第3号 令和6年3月15日(金曜日)
令和六年三月十五日(金曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 勝俣 孝明君
理事 城内 実君 理事 鈴木 貴子君
理事 中川 郁子君 理事 藤井比早之君
理事 源馬謙太郎君 理事 鈴木 庸介君
理事 青柳 仁士君 理事 竹内 譲君
東 国幹君 井野 俊郎君
上杉謙太郎君 小田原 潔君
木村 次郎君 黄川田仁志君
塩谷 立君 島尻安伊子君
田所 嘉徳君 武井 俊輔君
西野 太亮君 西銘恒三郎君
深澤 陽一君 古川 直季君
穂坂 泰君 宮澤 博行君
宮路 拓馬君 佐藤 公治君
松原 仁君 吉田はるみ君
鈴木 敦君 徳永 久志君
和田有一朗君 金城 泰邦君
穀田 恵二君 吉良 州司君
…………………………………
外務大臣 上川 陽子君
外務副大臣 辻 清人君
外務副大臣 柘植 芳文君
外務大臣政務官 深澤 陽一君
外務大臣政務官 穂坂 泰君
政府参考人
(外務省大臣官房長) 志水 史雄君
政府参考人
(外務省大臣官房地球規模課題審議官) 赤堀 毅君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 林 誠君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 大河内昭博君
政府参考人
(外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長) 北川 克郎君
外務委員会専門員 大野雄一郎君
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委員の異動
三月十五日
辞任 補欠選任
黄川田仁志君 宮澤 博行君
高村 正大君 西野 太亮君
武井 俊輔君 井野 俊郎君
平沢 勝栄君 田所 嘉徳君
小熊 慎司君 吉田はるみ君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 東 国幹君
田所 嘉徳君 平沢 勝栄君
西野 太亮君 木村 次郎君
宮澤 博行君 黄川田仁志君
吉田はるみ君 小熊 慎司君
同日
辞任 補欠選任
東 国幹君 武井 俊輔君
木村 次郎君 古川 直季君
同日
辞任 補欠選任
古川 直季君 高村 正大君
―――――――――――――
三月十四日
二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案(内閣提出第七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案(内閣提出第七号)
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○勝俣委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長志水史雄君、大臣官房地球規模課題審議官赤堀毅君、大臣官房審議官日下部英紀君、大臣官房参事官林誠君、大臣官房参事官大河内昭博君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長北川克郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○勝俣委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。源馬謙太郎君。
○源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。大臣、今日はよろしくお願いいたします。
まず、法案について質問してまいりたいと思います。
在ナイロビ国際機関日本政府代表部の新設ということですが、この新設は、海洋プラスチック汚染を始めとするプラスチック汚染対策に関する法的拘束力のある、いわば条約の策定に深く関与することを目的の一つとしていると承知しております。
在ケニア大使館が今のまま担当した場合と、代表部を新設して在ケニア大使館が兼館した場合とでは、具体的にどのような違いがあるのか、教えてください。
○赤堀政府参考人 お答え申し上げます。
ナイロビには、国連環境計画や国連人間居住計画という、国際的な環境問題や都市問題に関する議論において中心的な役割を果たしている国際機関の本部が所在しております。これらの国際機関においては、条約交渉を含む重要な国際ルール等の交渉が行われているほか、関連分野の幅広いステークホルダーの糾合や国際世論の形成の場としてもますます大きな役割を果たすようになっております。
これまで我が国は、在ケニア大使館が国際情勢や二国間関係の業務を行いながら、国連環境計画や国連人間居住計画を含む在ナイロビの国際機関についてフォローしてまいりました。我が国が国際機関日本政府代表部を新設し、政府代表部の肩書を持つことになりますが、この肩書を持つことで、在ナイロビの国際機関を重視する姿勢がより一層明確になるだけでなく、これらの国際機関が行うルール形成等の交渉により緊密に関与していくことが可能となります。
○源馬委員 ありがとうございます。
通告した質問の次の質問とその次の質問を後に回させていただきます。
二番の質問。アフリカに我が国の在外公館を設置する必要性ということで、こちらは大臣にお伺いしたいと思います。
アフリカでは、御存じのとおり、中国が、国家として承認する五十三か国全てに大使館を設置しております。これによって、中国の影響力というのはアフリカ内でかなり高まっているのは周知のことだと思います。
一方で、我が国は、アフリカにおいて国家として承認している五十四か国のうち、令和六年度予算案に実館化のために経費が盛り込まれた在エリトリア大使館が設置されたとしても、いまだ五十四か国中十七か国で大使館が設置されていないということになります。
アフリカにおいて、中国の影響力というものを鑑みたときにも、我が国が大使館を更に増やしていく必要性があるのではないかと私は思いますが、大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○上川国務大臣 在外公館の外交における役割の重要性につきましては、私も、就任以来、訪問するたびに痛切に感じるところでございます。
新設に当たりましては、先方によりましての在京の大使館の設置希望の有無のほか、安全保障や戦略的な対外発信、さらに、資源獲得を含む経済上の利益、日本企業の支援、テロ対策及び邦人保護、国際社会における我が国への支持の獲得等、総合的に勘案して、その基準の下で決定しているところでございます。
アフリカでありますが、特に、若い人口と豊富な天然資源を有する地域でございまして、今後も地球上の中でも極めてダイナミックに成長を期待でき得る大陸として世界からの注目を今集めている状況でございます。したがいまして、それぞれの国々が抱える多様な課題にきめ細かく対応していくということにつきましては、日本自身もアフリカのダイナミズムを取り込むという観点からも非常に重要と考えているところであります。
委員御指摘のとおり、六年度におきましては、予算が成立すればということでありますが、エリトリアに大使館を新設する予定でございます。エリトリアは、インド洋と欧州を結びます国際航路に位置する地政学上の要衝であるということも勘案いたしますし、また、豊かな鉱物、水産、観光資源に加えまして、紅海に沿った良港であるということもありまして、ここに要衝としての大使館の機能をしっかりと発揮していきたいと思っております。
アフリカ諸国のうち今十七か国ということで御指摘がございましたけれども、大使館の新設につきましては、先ほど申し上げた基準をベースに、予算、人員上の制約がある中にありまして、何といっても、相手国との二国間関係を始めとする在外公館の基準をしっかりと踏まえた上で検討を続けてまいりたいと考えております。
○源馬委員 まさに予算や人員的な考慮しなくてはいけないこともあると思いますが、国益を損ねないように、しかも中国の影響力を最大限に考えた上で、是非いい方向で検討していただければと思います。
それから、在外公館の整備方針の見直しということでお伺いします。
二〇一四年八月に外務省は在外公館の整備方針というものを公表し、ここに目標として掲げられた百五十大使館体制は実現されたと承知しております。既にもう十年前のものになったということです。
一方で、我が国を取り巻く安全保障環境は刻々と変化しており、令和四年十二月には新たな国家安全保障戦略が閣議決定されました。
在外公館の新設方針や基準等に変わりはないとしても、現在の整備方針は一定の役割を果たしたとして、今大臣が御答弁いただいたとおり、アフリカでのプレゼンスのことなども含めて、近年の状況を踏まえた新たな整備方針を検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
現在の我が国の大使館数は百五十五であり、先ほど来質疑が行われていますけれども、令和六年度予算案が認められますれば、在エリトリア大使館が新設され、令和六年度末までには大使館数が百五十六となる予定であります。したがいまして、御指摘のとおり、平成二十六年の在外公館の整備方針に掲げられた百五十大使館体制は実現されているということであります。
しかしながら、これも委員御指摘のとおりでありますけれども、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増し、外交課題が多様化する中、在外公館の新設や人員の拡充など、外交実施体制を強化していく必要は引き続き変わりません。
在外公館の新設に当たりましては、平成二十六年の整備方針におきまして、各種の要素を総合的に勘案して検討していくとしております。今後の外交実施体制の強化の在り方につきましては、こうした在外公館の新設基準も踏まえつつ、不断に検討してまいりたいと考えております。
○源馬委員 ありがとうございます。
その次とその次も飛ばさせていただきます。後ほど時間があれば質問させていただきたいと思います。
通告の五番目の質問です。昨年の国会において、在外職員の子供たちが在勤地で幼稚園に就学する場合における子女教育手当の限度額が引き上げられました。しかし、去年の令和五年五月の調査によると、限度額の引上げ後も在外職員の追加的自己負担が増えているということが分かりました。具体的に言うと、幼稚園の平均月額教育費が、令和四年は八万四百円であったところ、令和五年は九万七千四百円に平均額が上がった。
令和四年にこの平均額が上がったので、手当の限度額が四万三千円から五万一千円に上げられたわけです。改正したばかりでありますけれども、世界的な物価高もありますし、教育費もどんどん上昇していく可能性があるということなので、幼稚園に就学する場合の子女教育手当の限度額の更に引上げを検討する考えがあってもいいのではないかと思います。
また、そもそも追加的な自己負担が増すことを理由に限度額を引き上げるのであれば、年ごとの教育費の変動に応じて毎年改正することも検討できるのではないかと思いますが、その辺りについての御見解をお願いします。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
子女教育手当における幼稚園に係る加算限度額につきましては、在外職員子女の幼稚園就学経費の平均額から日本国内の公務員の教育支出に相当する額を自己負担額として差し引いているところでありまして、基本的には、一人当たり八千円の支給に加えて、委員が御指摘の加算限度額までの支給を行うという形になっております。
幼稚園に係る加算限度額の在り方につきましては、実態を踏まえながら、御指摘の点も踏まえて、引き続き必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
○源馬委員 是非、在外で勤務する外務省員の皆さんが働きやすい、負担がなるべく生じないような、そういう制度にしていただければと思います。
それから、外貨建てに関することで伺っていきたいと思います。
現在は、住居手当以外の部分は本邦通貨、円建てで支給するとなっているのを、今回改正するということであります。これは、構造的に送金時の為替変動のリスクを在外職員が負担することのないように、根本的な解消をするためにこのように改正するんだと外務省の資料にございます。
仮にこの本法律案が成立した場合、住居手当以外の在勤手当も外貨建て支給になるわけですが、外貨としていわゆる支出官レートに掲げられた十八の通貨しか想定していないということだと思います。そうすると、本当に構造的に在外職員が為替変動のリスクを負わないように根本的な解決になっているのかということをお伺いしたいわけです。
例えば、カンボジアは恐らくドル建てで支払われることになると思うんですけれども、確かにドルは使えることが多いんですが、例えば、地方に在外職員が出張に行くときなどは現地の通貨のリエルしか使えないケースもあると思うんです。そうすると、換金しなくてはいけない。そのときの為替変動リスクは本当にこれで根本的に解消できるのか。また、ドルで払ってもお釣りはリエルで返ってきますから、このときの為替変動のリスクというのは本当に今回の改正で根本的な解決になっているのかどうか。この辺りを伺いたいと思います。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
在勤手当に関しましては、御指摘のとおりでありますけれども、これまでにつきましては、年度内に急激な為替変動がある場合に、必要に応じて政令を改正し、法で認められている基準額の上下二五%までの範囲内での改定を行ってきたところであります。
しかしながら、政令改正による年度内改定では、手続に時間を要するなど、急激な為替変動に適時に対応できないということで、為替リスクを在外職員に負わせている状況が根本的に解決されないという課題がありました。
そこで、令和六年度より、毎年四月に在勤手当の月額を外貨建てで決定し、年度内はその外貨建ての定額を支給することにより、在勤手当の支給額が為替変動の影響を受けないようにすることとしたものでございます。
この外貨建てに当たりましては、委員御指摘のいわゆる支出官レートを使うということでありまして、支出官レートは十八種類の通貨についてございますけれども、実際に使うものとしては、各在外公館とも協議の上、現在念頭にありますのは九種類のものを使うということになっております。
それでは、委員の御指摘のカンボジアのような例はどうするかということでございますけれども、各種制約によって在勤手当を現地通貨建てで受給できない在外公館は確かに存在するということではございますけれども、どの外貨で送金するかにつきましては在外公館と調整して決定することとしておりまして、在外職員が為替変動の影響を極力受けないように取り組んでいくということでございます。
仮に、円貨でしか送金できない場合には、基本的には、現在のやり方で行っている年度内改定と同様のことを今後も残していかざるを得ない、そういうことで対応していかなければいけないと考えております。
○源馬委員 私は、基本的にこの改正は前向きに捉えているんですけれども、根本的な解消ではないということは申し上げたいと思います。今、審議官におっしゃっていただいたように、極力というお言葉もありました。まだまだ根本的な解消にはなっていないと思います。
続いて、法案から離れますが、女性の活躍、女性の登用について伺っていきたいと思います。
まず、現在の我が国の在外公館長、大使の数ですね、現在我が国が在外公館に派遣している大使の数と、そのうち女性大使の数、そして女性大使の割合、これを伺いたいと思います。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
三月十五日現在、我が国の特命全権大使、百六十三名おりますけれども、そのうち女性は十名でありまして、割合にいたしますと六・一%に相当いたします。
○源馬委員 総領事の数も合わせて。
○志水政府参考人 総領事に関しましては、現在、三月十五日時点で総数で七十三人おりまして、うち女性の総領事は七名で、九・六%でございます。
○源馬委員 合わせてでいいんですけれども、事前に聞いておりました。全部で二百三十六人の大使、総領事がいて、そのうち女性は十七名、七%が女性の割合だと聞いています。
今、女性活躍が言われている中、しかも、大臣もWPSを推進する、女性の力をというふうにおっしゃっている中で、この女性の大使の数は余りにも少なくないですか。女性の大使を増やす、そういう方針はありませんか。
○上川国務大臣 まさに、女性の大使そして総領事という日本の外交の前線の中でのフロントの顔になる方々でございますので、これにつきましては、目標をしっかり設定しながら、それに達していくための努力を重ねていく必要があると考えております。
三月十五日現在でありますが、全権大使は百六十三名中の十名、また、総領事は七十三名中の七名、割合は七・二ということであります。
令和二年十二月に、第五次の男女共同参画基本計画におきまして、これは閣議決定されたものでありますが、二〇二五年までに特命全権大使、総領事に占める女性割合を八%に増加させる等の方針を定めているところでございます。この目標に現在まだ達していない状況でありますので、これにつきましては更にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○源馬委員 令和二年に立てたこの五か年計画では八%にする。令和二年当時、五・三%、十二人だった女性の大使や総領事を十八人にする。余りにも志が低い目標だと思いますね。十二人を十八人に五年間で六人増やす。これは本気度が感じられないですね。しかも、五か年計画の最後の年が来年ですね。来年に何人にすると目標が達成できるかというと、あと一人増やせば目標を達成できちゃう。それでも八%ですよ。
各国の状況を教えてくださいと事前に外務省に言ったら、分かりませんと。各国の状況も分からないようでは、本気で女性の大使を増やそうとしているとはとても思えない。大使館にも聞きましたが、大使館も知らないと言っていましたと。私がネットでちょこちょこっと調べただけでも幾つか出てきます。だから、本当に本気で取り組んでいるとは残念ながら言えないと思います。
もっと野心的な目標値をつくった方がいいのではないかと思います。来年新たに目標を改定するわけですから、是非、大臣、そこはもっと大きな目標をつくっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○上川国務大臣 今、世界のということでございますけれども、私のやり取りの感覚からしても、女性の大使、また、日本にいる女性の大使の人数も大変多い印象でございますので、目標を野心的にということでありますが、確実に高めていくべく努力をしてまいりたいと思っております。
実は、そこのキャリアに至るまでのプロセスは採用から始まるわけでありまして、この点につきましては、私は、まだ現時点では十分ではないところではありますが、近い将来着実に比率が高まると考えております。その背景でございますが、今、外務省の職員に占めます女性の割合は、総数で四割に達している状況であります。
令和二年十二月、第五次男女共同参画基本計画において、国家公務員の採用者に占めます女性比率でありますが、三五%以上にする、こうした成果目標が定められている中にありまして、今、先ほど申し上げたとおり四割ということでございますので、それを上回る女性を採用しているという状況でございます。ちなみに、去年四月の入省者数は五割を超えている状況であります。
その意味で、男女問わずでありますが、キャリアを継続的に築いていくことが非常に重要と考えているところでありまして、その意味で、力の発揮できる職場環境の整備、こういったことを重ねながら、先ほどのチャレンジング、野心的な目標に向けまして全力で取り組んでいきたいと思っているところでございます。
○源馬委員 昨年の入省者の女性の割合が五割を超えたのはいいんですけれども、その方たちが大使になるぐらいまでの時間は相当あるじゃないですか。今度の五か年計画でまた三%ぐらい増みたいなことでは、私は本当に世界に取り残されると思います。
ちなみに、フランスでは、二〇一八年です、かなり前ですけれども、二〇一八年の時点で女性の割合が二六%。オーストラリアは、十年前に二五%だったんですけれども、そこから三年計画で四割にしよう。三年で四割ですよ。三年で四〇%にしようという計画を立てて実現したそうです。
日本は五年で三%、五年で六人。これでは少な過ぎるので、せめて二桁、二桁でも少ないと思いますが、大臣の感覚を今の時点でいいので教えていただきたいと思います。
○上川国務大臣 私としては、非常に目標高く動いていきたいと思って、今、その意味で、採用からキャリア形成から、そしてその世代になったときの登用ということにつきましても、省の中でもエンカレッジしながら動いているところでございます。
目標をいかに設定するかということについて今数値的なものを申し上げることはできませんが、三割というのは全体の社会の形成に向けましては非常に重要な数字であるということで、二〇二〇・三〇、こうしたことについては唱えてきたところでありまして、それに向かって法制度も進んできている状況でもありますので、外務省におきましては、更にそれを上乗せすることができるぐらいの気持ちを持って今取り組んでいる状況であります。
来年に向けまして、しっかりと踏まえて取り組んでまいりたいと思います。
○源馬委員 非常に心強い御答弁をいただきました。是非お願いします。
一方で、何で日本では女性の大使が余り増えないとお考えなのか、その背景はどういうふうにお考えになっていますか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣から答弁もありましたように、現在、外務省の中におきましては女性の比率が高まっているということでありますけれども、現時点におきまして、大使としてよいというような候補者の中に、外務省の中におきまして女性の候補者が十分多数存在しているわけでは必ずしもないということもあります。
それでは、外務省以外のところから女性を登用してはどうかという話もあるかもしれませんけれども、それも、社会全体の中で女性として大使になっていただくにふさわしい方がどれだけいるかということ等もございまして、現時点においては必ずしも高い割合ではないというのが実態でございます。
これも大臣の答弁のとおりでありますけれども、今後着実に、外務省でもそうですし、外務省以外でもそうだと思いますけれども、大使になれるような方の人数、割合が増えていくと思いますので、大使ないし総領事の中で女性の占める割合も着実に高まっていくものと考えております。
○源馬委員 事前にこの問いは大臣にお願いしていたのに出てきて、そして、理由も余りよく分からないような御答弁をされる。本当に意味がなかったと思います。今伺っていても、ふさわしい人間が余りいないみたいな、そんなような感じだったじゃないですか。原因がはっきりしなかったら目標を達成することはできません。目標がそもそも志が低いんですが。
でも、大臣から三割を目指したいという非常に心強い御答弁をいただいたので、是非それは前向きに取り組んでいただきたいと思います。
次に、ミャンマーについてお伺いします。
クーデターから三年がたって、徴兵制まで国軍が始めるというような報道もありました。現在、ミャンマーの国軍の総司令官のサイトで、日本のODA事業のバゴー橋建設の現場を視察しに行って、そこで式典に参加しているような様子まで載っています。これは、日本政府のODA事業が今なお多数の国民を殺害している国軍のプロパガンダに使われているのではないかと思います。
現在もこの事業は継続中なのか、そして、以前も私は指摘しましたが、日本のODAの資金が軍系企業に支払われている、これは林前外務大臣もお認めになりましたが、この支払いは継続しているのか、このことをお伺いしたいと思います。
○上川国務大臣 ただいまの事業でございますが、主契約企業から、必要な工事につきましては、二〇二四年の一月に完了した旨、報告を受けております。
○源馬委員 この三年を迎えて、大臣も二月に談話を出されました。残念ながら、昨年の談話と余り変化が見られない内容でした。ただ、中で、ASEANとの連携をより強化し、事態打開に向けて取り組んでいきますというふうにおっしゃっているわけですが、具体的にどうやって取り組んでいくんでしょうか。
先日の松原委員の質疑の中でも、言っているだけじゃ駄目なんだ、懸念を表明しているだけじゃ駄目なんだという御指摘がありました。このミャンマーについてもまさにそうだと思います。G7の国々がミャンマー国軍に制裁をしているのに、日本だけ唯一制裁を科していない。ただ遺憾だ、遺憾だと言っているだけ。これで本当に日本のプレゼンスを発揮できるのか、大臣の受け止めを伺いたいと思います。
○上川国務大臣 ASEANでございますが、昨年は日・ASEANの友好協力締結から五十年ということでございました。また、ASEAN自身は設立から五十七年を経過しているところであります。
私の強い印象でございますが、ASEAN自身が一体性と主体性を高めているという認識でございます。ASEANの問題はASEAN自身が解決していく、こうした決意そのものが高まっている、そのような認識をしているところであります。
こうしたASEANの努力を踏まえまして、我が国といたしましては、今、ミャンマーの情勢は年々悪化しているということでありますし、特に、国軍によります空爆などの暴力行為によりまして多くの無辜の市民が日々死傷しているということについては強く非難しておるところでございますが、何といっても、この事態の打開のためには、ASEAN自身が協力してそれを切り開いていくことが重要と認識しておりまして、そのASEANの取組については最大限の後押しをしていく、こういう方針でございます。
ミャンマー国軍につきましては、ASEANの中で、五つのコンセンサスを早期に履行することによりまして、ミャンマーの国民また国際社会が受け入れられるような平和的な問題解決に真剣に取り組むよう強く求めてきているところでございます。
日本といたしましても、議長国は今ラオスでございますが、ラオスを始めとしまして、ASEANの各国、特に、議長国を務めたインドネシアでありますとか、ラオスを中心により一層の意思疎通を図りながら、この努力を最大限後押しするという形の中で、課題解決に向けて日本としての支援をしてまいりたいと思っております。
○源馬委員 言っているだけではなくて、しっかりと実効性のある行動を取る外交にしていただきたいと思います。
終わります。
○勝俣委員長 次に、鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。
法案について順番どおり伺わせていただければと思います。
まず、在ナイロビ国際機関日本代表部を新設して在ケニア大使館が兼館した場合に、体制的には何がどう変わっていくのでしょうか。
○赤堀政府参考人 お答え申し上げます。
ナイロビには、国連環境計画や国連人間居住計画という、国際的な環境問題や都市問題に関する議論において中心的な役割を果たしている国際機関の本部が所在しております。これまで我が国は、在ケニア大使館が国際情勢や二国間関係の業務を行いながら、国連環境計画や国連人間居住計画を含む在ナイロビの国際機関についてもフォローしてまいりました。
今後は、在ケニア大使館が在ナイロビ国際機関日本政府代表部を兼館する形で政府代表部を新設することになります。現在、在ケニア大使館で国際機関関連業務を担当している職員は、大使以下、政府代表部職員の肩書を持つこととなります。
○鈴木(庸)委員 代表部が設置されることによって、具体的になぜUNEPとUNハビタットとの関係が強化できるということになるんでしょうか。
○赤堀政府参考人 お答え申し上げます。
国連環境計画や国連人間居住計画を含め、主要な国際機関においては、当該国際機関が所掌する分野において条約交渉を含む重要な国際ルール等の交渉が行われてきているほか、関連分野の幅広いステークホルダーの糾合や国際世論の形成の場としてもますます大きな役割を果たすようになっております。
ナイロビにおいては、これまでも在ケニア大使館が在ナイロビの国際機関についてもフォローしてきましたが、我が国が国際機関日本政府代表部を新設し、職員が日本政府代表部職員の肩書を持つことで、ナイロビに本部が所在するUNEP及びUNハビタットを重視する姿勢がより一層明確になるだけでなく、これらの国際機関において行われる国際ルール形成等の活動により緊密に関与していくことが可能となります。
○鈴木(庸)委員 是非よろしくお願い申し上げます。
通貨について伺わせてください。
まず、本国通貨から外国通貨に改める理由。改めるということは、今後の経済予測等々について何らかの見通しがあるということだと思うんですけれども、その辺りを御説明いただけますでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
在勤手当は、在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食住などの経費に充当するために支給されるものでございまして、為替変動の影響を受けないように支給することが重要と考えております。
このため、これまでは円貨建てだったわけでございますけれども、令和六年度より、毎年四月に在勤手当の月額を外貨建てで決定し、年度内はその外貨建ての定額を支給することにより、在勤手当の支給額が為替変動の影響を受けないようにすることとしたものでございまして、特段、今後の経済予測に基づくものではございません。
○鈴木(庸)委員 質問が行ったり来たりで申し訳ないんですけれども、八番のところで、今まで為替変動リスクを外務省の職員の方が負担していたけれども、これからは本省が負担することになるということなんですけれども、年に一回価格を決めて、為替ですから上がったり下がったりするわけじゃないですか、そのときに極端な負担が生じるような場合の予算措置というのは一体どうなっているんでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
今回、在勤手当、なかんずくその中心的な在勤基本手当に関しましては、基準額の算定は、法案の別表にあるとおり、円貨で書かれております。
これは、決める前の一年間における様々な調査、それは為替もありますし、物価もございますけれども、そういったものを調査の上で円貨で決めておきますが、その上で、為替変動リスクを職員に負わせることは適当ではないということで、年度当初、すなわち四月にその円貨についていわゆる支出官レートによって外貨建てとし、それで決まった外貨の額を一年を通じて支給するというものでございます。それによって為替リスクがなくなるということでございます。
そういうことでございますので、別表にある基準額を基に円建てでの予算額は決めているということでございますが、為替変動によって必要な経費が増えるないし減ることが確かに想定されるわけでございますが、これは基本的には予算の中での実行においてそれに対応していくということでございます。
○鈴木(庸)委員 昨日の御説明だとそこがちょっとよく分からなかったところで、予算の中での実行といっても、例えば、一ドル八十円で計算したものが最初にスタートしていたのが、今みたいに百五十円になってしまった場合は倍になってしまうわけです。外務省の職員の方はかなり多いと思うので、皆さんに対する給料が倍ぐらいになってしまうのかなと思うんです。
なかなか具体的なところまで詰まっていないのは仕方ないと思うんですけれども、もう少しその辺りを御説明していただいてよろしいでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
予算額の積算は先ほど申し上げたとおりでございますが、その上で、実際にかかる経費の増減に関しましては、与えられた予算の中で執行上対応するというのが第一でございます。
他方、それではどうにもやりくりができないというような状況が生じましたら、これはほかの予算も同様でございますけれども、財政当局と相談し、対応を考えていくことになります。
○鈴木(庸)委員 できていたらでいいんですけれども、予算の振れ幅は最大どのぐらいを考えていらっしゃいますでしょうか。
○志水政府参考人 申し訳ございませんけれども、それはまさに為替レートがどう変動するかということでありまして、私ども、積算に当たって、IMFなどの経済予測などを使っておりますけれども、そういったものの中で反映できるものは反映し、予算を積算しているところでございますが、現実に為替がどれぐらい変動するかというのは、恐縮ながら、現時点で見通し、さらに、それを予算に反映することができていないところはじくじたるものはございますけれども、その場合の対応ぶりは先ほど申し上げたとおりでございます。
○鈴木(庸)委員 十八の通貨を選んだ理由について御説明いただけますでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
政府として、ないし外務省として外貨を基礎とする外国送金を行う場合には、大蔵省令である支出官事務規程により、財務省にて定められた外国貨幣換算率、いわゆる支出官レートを用いることとされておりまして、これが現時点で全部で十八種類の通貨について規定されております。
私どもは、現在、この中で実際にこの支出官レートを使って送金することができるものとしては九種類だろうと考えて、それで準備しているところでございます。
○鈴木(庸)委員 先ほど源馬さんの質問のときもあったんですけれども、十八が九になってしまう理由は何なんでしょうか。
○志水政府参考人 これは、実際にどういう通貨で送るのが適当かについて各在外公館と協議しているところでございますけれども、他方におきまして、流通量が少ない貨幣ですと、実際に送金するに当たって、少ない流通量の場合、適時に安定的に送金できるかが確実ではないような場合もございます。
そういったことを総合的に勘案して、現時点では十八種類の支出官レートのうちの九種類を使うことを考えているところでございます。
○鈴木(庸)委員 そういうことなんですけれども、九しか想定されていないという中で、構造的に送金時の為替変動のリスクを在外職員の方が負担するという問題は本質的に解決できるとお考えでしょうか。
○志水政府参考人 まさに、先ほど源馬委員からは根本的という言葉で御指摘いただいたところでございますが、今までるる御説明申し上げたように、確かに今回想定しているものは九種類の支出官レートでございます。
他方、これまで、円貨建てにしたものを送金する際の実勢レートで送金するということになっておりましたところを、基本的に外貨建てにする、そして、その中には世界的に主要な通貨であるドル、ユーロなどが含まれるということでありますので、根本的な解決かどうかというところはあるかもしれませんけれども、かなり多くの在外職員が為替変動リスクから解放されると考えております。
○鈴木(庸)委員 これまで住居手当だけが外貨建てだったということなんですけれども、これは何か背景があるんでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
住居手当は、外貨による契約に基づく実費に充当されるものでありまして、外貨で手当水準を設定することが適当であることから、外貨で限度額を規定した上で、在外公館において住居の状況を実際に確認するなどして認定、支給してきたところでございます。
住居手当以外の各在勤手当に関しましては、手当額を円建てで規定することにより、俸給表との整合性、すなわち、給与について円貨で、円建てにしているところでございますが、そういった俸給表との整合性を確保し、国民にも分かりやすいものとする観点から、これまで円貨で規定したところでございます。
今回これを外貨建てにするということでございますけれども、在勤手当は、在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食住などの経費に支給されるものでありまして、為替変動の影響を受けないように支給することが重要であって、今回外貨建てで決定、支給することによって為替変動の影響を受けなくなるようにするというものでございます。
住居手当につきましては、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、現地において外貨によって契約に基づいたものに対して、それを本当にそうなのかといったことを在外公館が確認した上で現地において出すということで、これは、まず在外公館に送金し、在外公館で現地で使っている外貨で各在外職員に支給するという形になっております。
在勤手当については、このような、住居で契約に基づいて外貨で幾ら必要なもの、だからそれを外貨で送金するというものではなく、一般に現地で生活するのに必要な経費を手当てするものであるとともに、先ほど申し上げたように、住居手当は、在外公館から各在外職員に支給する額が外貨でということでありますが、住居手当以外のものについては、外務省から在外公館に送金するものを外貨建てにすると今言っておるんですけれども、その外貨建て外国送金につきましては、先ほど申し上げた大蔵省令によって支出官レートを使うということが定められていることでございますので、この支出官レートを使わせていただくということでございます。
○鈴木(庸)委員 済みません、通告していなかったんですけれども、外務省さんは借り上げはしないんですか。例えば、この辺りの各国の大使館の一等書記官の方とか二等書記官の方とかは大使館の借り上げの住宅に住んでいる人が結構多いと思うんですけれども、外務省さんは借り上げはやらないで、毎回渡しているんですか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
日本国外務省の在外公館における在外職員の住居手当に関しましては、基本的には、各在外職員が住居を選定し、それに要する経費、費用について、これを各在外公館が確認し、外務本省が更にそれを確認した上で経費を支給するという形になっておりますけれども、幾つかの例外的な場合におきましては、大使館、総領事館の方で借り上げたものについて在外職員がそこに住むということも、例外的なものではございますけれども、それが必要なところにおきましては、そういうことをしております。
○鈴木(庸)委員 私も前職で外国人の不動産とかをやっていたんですけれども、やはり借りるのは大変なんですよね。相当な御負担になるのかなという気もするので、ですから、ケン・コーポレーションさんとか、ああいうノウハウがあるところがすごくマーケットを持っているわけですけれども、在外公館の外交官の皆さんの御負担を下げるという意味でも、借り上げ等々も御検討いただければと思います。
全公館二百七十四のうち、増額となる公館が二百五十八、その一方、減額となる公館が十六あるということなんですけれども、十六が減額となる理由というのはどこになってくるんでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
在勤基本手当は、在外においても本邦勤務時と同等の購買力を補償するとの考えの下、民間調査会社による生計費調査の結果を基に、為替相場及び物価の変動の影響も反映させ、客観性を確保した上で、適正な基準額を定めているものでございます。
今回の改定におきましては、十六の在外公館につきまして、現地通貨に対して円高が進行したなどの影響により、円貨額で見ますと減額となるものでございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
家族等々の方に行かせていただきたいんですが、今回、適用対象年齢を六歳から五歳に引き上げるということなんですけれども、現時点で想定されているのがネパール及びコロンビアということなんですが、実際にネパールとかコロンビアにおいてはどんな状況になっているんでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
ネパール及びコロンビアでは、任国、すなわちネパールそしてコロンビアの制度によりますと、五歳の子女は小学校に入学することになっており、幼稚園に就学することはできないという制度になっていると承知しております。
○鈴木(庸)委員 ネパール、コロンビア以外のほかの国で想定されているところはあるんでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
今回、まさにネパール及びコロンビアは、その国の制度で五歳の子女は小学校に入学するということになっておりますが、国というよりも、いわゆるイギリス式の学校制度によりますと、六歳になるカレンダーイヤーのときに小学校一年に相当する学年に入学するということになっております。そうしますと、五歳の段階で小学校に入るということが、イギリスは当然そうなんでしょうけれども、それ以外の国においてもイギリス式の学校制度、学校方式を取っている学校が世界各地に存在しますので、そういうところは存在すると承知しております。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
その他に、五歳での小学校入学に合理的な理由があることとあるんですけれども、それは今おっしゃったようなイギリス式の学校制度のところだという想定でよろしいんでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
五歳の子女に小学校の加算限度額を適用する場合に必要となる合理的な理由といいますのは、次の条件を全て満たす場合と考えております。二つに分かれておりまして、日本語の幼稚園がない場合、それからある場合で、二つに分かれます。
日本語の幼稚園がない場合でありますけれども、在勤地に日本語校の幼稚園課程が存在しない場合に、一つ目の条件として、子女の年齢が五歳で、同子女が就学する学年が当該学校において小学校一年生相当であること。二番目として、当該小学校が日本人子女が就学可能な小学校として外務大臣から認められていること。三つ目として、五歳の子女が就学する幼稚園も別途存在する場合に、当該小学校に就学することにやむを得ない事情があることであります。
日本語の幼稚園が存在する場合には、以上の三つの条件に加え、四つ目として、日本語校の幼稚園課程に就学しないことにつき、やむを得ない事情があることとしております。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございました。
今の御答弁でも幼稚園という単語が出てくるんですけれども、保育園という単語はないんですね。外務省さんで使い分けている基準等々はあるんでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
法令上、子女教育手当の支給対象は、学校教育法に規定する教育施設である幼稚園に相当する施設で教育を受ける子女となります。保育園に関しましては、これは児童福祉法に規定する保育所に相当するものということでございまして、これは学校教育法の射程外であり、子女教育手当の対象にならないため、名称位置給与法では規定していないところであります。
それでは、保育園に在園する子女について何らかの支援ができないかということにつきましては、今申し上げたとおり、子女教育手当の対象とはなっておりませんけれども、外務省共済組合の下で、一定の要件を満たす在外職員に対しましては、保育園等の費用を子女一人当たり月額三万円を限度として助成しており、引き続き適切に支援してまいりたいと考えております。
○鈴木(庸)委員 例えばニューヨークとかだと、保育園で年間三万ドルかかってきてしまうと思うんですね。それを外務省さんが全部負担するということにはなかなかならないと思うんですけれども、昔と違って、今は海外に行っても共働きの方が増えていると思うので、未就学児の親への支援というものもしっかりやっていかないといけないと思うんです。
今、共済組合の月額三万円ということをおっしゃっていただいたんですけれども、例えば、具体的に、三歳未満の子供たちをお持ちのお父様方、お母様方には何らかの予算措置みたいなものはあるんでしょうか。
○志水政府参考人 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、単身赴任又は配偶者同伴かつ共働きである在外職員、これは委員まさに御指摘のとおりそういう方が増えているということでございますけれども、こうした在外職員が帯同する子女につきましては、保育施設、ベビーシッター、学童施設を利用した場合、三歳未満の子女を含め、先ほど申し上げた外務省共済組合において必要な支援を行っているところでございます。
○鈴木(庸)委員 その外務省共済組合での月額三万円以外はないというような理解でよろしいですか。
○志水政府参考人 外務省ないし外務省共済組合による支援ということにおいては、以上申し上げたとおりということでございます。
○鈴木(庸)委員 月三万円ではアメリカとかだとなかなかきついのかなという気もするんですけれども、先ほど来のお話にもありましたけれども、今後、大使館も増やしていくというようなお話がある中で、当然、現地で子供たちの教育に悩む外交官の方は増えてくると思うんですね。
でも、現地で行かせたい学校がなかったり、また、教育を受けさせられる状況じゃないような国もあると思うんですけれども、将来的に、今は全く決まっていないというのは分かるんですけれども、例えば日本語学校のオンライン教育で世界中にいる子供たちに一緒に教えるとか、何か外務省さんが主導して新しい教育の形を検討することというのはあり得るんでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
コロナ禍もありまして、世界的に遠隔・オンライン教育の利用が従来よりも広がっておりまして、教育においては対面による授業や課外活動の役割も不可欠と認識されているとも承知しておりますけれども、まさに委員御指摘のようなオンライン教育の利用が広がっているというようなことも踏まえ、適切な子女教育やその支援の在り方につきまして今後とも不断に検討していきたいと考えております。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございました。是非御検討をお願いしたいと思います。
十五、十六と飛ばして、十七番を伺わせていただきたいと思います。
大臣に伺いたいんですが、在外公館の派遣員の皆さんの在外報酬は、外務省職員の皆さんの在外勤務手当の最低号の僅か四七%、住宅手当も同七〇%にとどまっているということなんですけれども、働き方改革と言いながらこれだけの差があることについての御評価を伺いたいと思うんですが。
○上川国務大臣 在外公館の人員体制に関しましては、その強化のためには、もちろん多様な人材の活躍が重要でありますし、派遣員を含めました外務職員以外の待遇改善も重要であると認識しております。
今回、そうした観点から財務当局と協議を重ねさせていただきまして、これまで外務省職員の最低水準よりも劣後しておりました派遣員の在外報酬につきまして、令和六年度から、予算が通りましたならば、個々の属性、経験、業務内容に即した形で待遇をしかるべく改善するために必要な予算を政府案に計上させていただきました。
具体的に申し上げますと、在外勤務手当につきましては最低号俸九号の八五%となる水準の予算を、また、住居手当につきましては最低号俸五号の約八〇%となる水準の予算を計上している状況でございます。
より安心してその能力を発揮していただきたいということでありますので、こうした待遇改善につきましてしっかりと対応してまいりたいと思っております。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
すばらしいことだと思います。最前線で頑張っていらっしゃる皆さんに厚い待遇で応える、そしてもっと頑張っていただきたいと一国民として改めて思います。
そういう中で、正直、それだけアップしているという前提ではなくてこういう質問を準備していたんですけれども、今よく言われているのは、公邸料理人が足りない。日本国内でもいろいろと飲食店の人手不足という中で、海外の大使館に行ってそこで専属でやるということのキャリアについていろいろ考えて、公邸料理人として行く人が減っているという話もあるんですが、この確保に向けて外務省さんとしてはどのような取組をされていますでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
在外公館が様々な外交交渉や情報交換を円滑に進めるため、公邸料理人は不可欠の存在であるとともに、日本が世界に誇る食文化を発信していく上で重要な役割を担っていると考えております。
一方で、委員御指摘のとおりでありますが、昨今の日本食ブームやコロナ収束後の料理人不足などにより、公邸料理人の確保が困難になってきているという現状もございます。
こうした状況を踏まえまして、質の高い公邸料理人の確保のためには待遇面での改善が必要であり、外務省としましては、令和六年度予算におきまして、公邸料理人の給与を増額するための官費補助額の増額計上をお願いしているところであります。
また、優秀かつ貢献度の高い公邸料理人に外務大臣表彰を授与し、公邸料理人のインセンティブを高める取組を行っているほか、広報面の強化として、公邸料理人の活躍について、外務省ホームページへの掲載、X、旧ツイッターでございますが、Xやフェイスブックの公邸料理人アカウントというものを作って発信を行っているところでございます。
○鈴木(庸)委員 そうなんですよね。公邸料理人という肩書が一回ついて、独立しちゃう人も結構少なくないと思うんです。そっちの方がお給料がもうかりますし、元公邸料理人というと、その店に行ってみようかなという人も多いと思うので、是非確保に御努力いただければと思います。
公邸料理人と同じように、医務官についてもなかなかなり手がいないという話があるんですが、医務官の確保についてはどのような取組を進めていらっしゃいますでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
医務官採用につきましては、感染症を含む幅広い専門性が求められることから、十年以上の臨床経験を有することを採用条件としております。また、公衆衛生の知見を持つ産業医の資格を有する医師を積極的に採用しております。
医務官の人数に関しましては、百四の公館に百八名の医務官を配置することとなっておりますけれども、現在、若干の欠員が生じているところでございます。
このため、医務官の確保が非常に重要でございまして、医療雑誌への募集案内の掲載、医療関係の学会会場でのパンフレットの配布、都内主要駅へのポスター掲示などの取組を行っております。また、現職の医務官による講演や学会発表などで医務官の活動の周知を行っております。このような形で医務官の確保のための努力を続けていきたいと考えております。
○鈴木(庸)委員 済みません、これは通告にないんですけれども、待遇面ではほかの一般の病院のアルバイト医よりは少し上なんでしょうか。分からなければ結構ですけれども。
○志水政府参考人 申し訳ございません、私、今、手元に資料はありませんけれども、医務官に関しましては、我々の普通の一般職の俸給表と違う医務官用の俸給表がございまして、医務官にふさわしい給与を定めているところでございますが、ほかの、外務省外、医務官以外の方との比較を今正確にお答えすることができないことは申し訳ございません。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございました。
いろいろと外交官の皆さんもお悩みはあると思うんですけれども、この中で、省員間相談プラットフォーム、プラっと相談というものができたと伺っているんですが、この実際の今の運用状況について御説明いただけますでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
外務省では、職員一人一人がその能力を十分に発揮できる環境を整備するため、様々な改革の取組を行っております。その一環として、令和五年、昨年三月、職員が働き方やキャリアパス、さらには在外での生活などについて、多様な経歴、経験を有する有志職員に対して相談できるプラットフォーム、これをプラっと相談と呼んでおりますが、これを省内のポータルサイト上に立ち上げたところでございます。
自らの経歴、経験を共有することで役立ちたいと考える有志職員が、プラっと相談上で、プロフィール、すなわち自分の略歴などを公開し、利用申請をした職員からの様々な相談に応じる仕組みとなっておりまして、組織内コミュニケーションを活性化し、風通しのよい組織文化の醸成に寄与しているところでございまして、これまでに約千人の職員が利用申請を行って活用されていると認識しております。
○鈴木(庸)委員 外務省の職員の方が辞めてマッキンゼーに行くとか、そんな話は皆さん本当に聞き飽きているぐらい聞き飽きていると思うんですけれども、優秀な方が外務省にずっといていただけるような取組を引き続きお願いしたいと思います。
とはいえ、政策が、例えば幼稚園の手当というところなんですけれども、専業主婦を前提とした仕組みになってしまっているのではないかな。例えば、大使の方が行く、奥様が行く、そこで奥様が働くということについては想定されないで制度ができているのかなという気もするんですけれども、共働きが当たり前の今の時代で、そういったことについてはどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
在外公館におきましては、在外職員の配偶者が在外職員とともにあるいは配偶者同士で行っている各種行事への参加、社交ないし交際などは、在外職員が幅広い人間関係を構築するための外交活動の重要な一部となっているところがあると認識しております。
このような観点から、外務省としましては、可能な限り配偶者が館員とともに任地に赴き、これら活動へ自発的に参加することを慫慂しているところでございますけれども、これを強制しているわけではございませんで、赴任の際に配偶者を同行するか否かは、各職員及び家族の御判断に委ねているところでございます。
配偶者を伴って在外公館に勤務する外務公務員に対しましては、在外勤務に配偶者を伴うことによる追加的経費に充当するものとして、配偶者手当を支給しております。
他方、共働き世帯が増える中で、在外に子供のみを連れて赴任する職員も増えております。これは先ほど質疑があったとおりでございます。その場合には、ベビーシッターや保育代等の支援を行っているところでございます。
引き続き、配偶者の同行の有無にかかわらず、働きやすい環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
○鈴木(庸)委員 引き続き待遇改善に取り組んでいただきたいと思います。
終わります。
○勝俣委員長 次に、和田有一朗君。
○和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。
まず、在外公館名称位置給与法改正案の関係でお伺いしますが、もう既に議論が随分出ておりますので、確認の意味という形で、かぶるものもありますが、お聞きします。もう何度も議論に出ておりますので、簡単に、明瞭にお答えいただけたらと思います。
まず、ナイロビに所在します国連環境計画及び国連人間居住計画の二つの国際機関との関係は、これまでは在ケニア大使館が担当してきた。しかし、今回新たに代表部というものを置くということになるわけでございまして、これは具体的にどんな違いが、今までのものとは違うことになるのかということをまずお聞かせください。
○赤堀政府参考人 お答え申し上げます。
端的にということでございます。
ナイロビにおきましては、これまで在ケニア大使館が在ナイロビの国際機関についてもフォローしてまいりましたが、我が国が国際機関日本政府代表部を新設いたしますと、政府代表部の肩書を職員が持つことになります。その肩書を持つことにより、在ナイロビの国際機関を重視する姿勢がより一層明確になるだけではなく、これらの国際機関が行う国際ルール形成などの交渉により緊密に関与していくことが可能となります。
○和田(有)委員 新たに組織ができるわけですから予算というのが必要なのかなと思ったりするんですが、予算についてはどのようになりますでしょうか。
○赤堀政府参考人 お答え申し上げます。
在ナイロビ国際機関日本政府代表部の設置に伴い、公館の開設、維持運営に係る経費が生じます。令和六年度当初予算案において三百九十一万七千円を計上しております。
○和田(有)委員 兼務することから、新たな組織をつくって三百何がしのお金がかかる。しかし、この三百何万というお金が効果的なのかどうかという議論はあるんですけれども、私は、それが効果を生むような活動をやっていただきたい、このように申し添えます。
そこで、先ほども議論で出ましたけれども、中国はアフリカにおいて五十三か国に大使館を置いている。我が国が国家として承認するうちの五十三か国に中国は大使館を置いている。一方、日本は三十六か国だ。一帯一路というものを中国は進め、アフリカに非常に力を入れている中で、こうやって兼務をするところから新たな組織をつくるということも大事ですけれども、やはり大使館を増やしていくということも大事なのではないか、このように思うわけですが、その辺についてどのようにお考えでしょうか。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
アフリカには、現在、日本が国家承認している国は五十三ではなく五十四でございますけれども、その中で、委員御指摘のとおり、先ほどの質疑にもございましたように、まだ日本が大使館を設置していない国が十七あるということでございます。そういう中で、今回、令和六年度の予算を認めていただければ、来年度にエリトリアに大使館実館を設置するということを予定しているところでございます。
それを超えての新設ということに関しましては、予算、人員上の制約がある中で、相手国の二国間関係を始めとする在外公館の新設基準を踏まえ、検討を続けていきたいと考えているところでございます。
○和田(有)委員 中国と向き合うときに、やはり私は、アフリカが大事ですから、もっと大使館なりそういうものをしっかり置いてやるべきだと思います。
ちなみに、余談ですけれども、エリトリアという国に私は行ったことがあります。それも内戦をやっているときに難民キャンプの支援で行って、そのときに感じたのは、子供の難民キャンプみたいなところに行ったんですけれども、子供というのは、命は強いなと私はすごく感じました。細かなことは申しませんけれども。
あのときのエリトリアというのは大変な状況だったんですけれども、しかし、町は案外平穏で、国連軍がいるんですけれども、向こうの方ではドンパチやっているんですけれども、しかし、イタリア圏ですから、昔のイタリアの植民地だったエリアなので、おいしくラテが飲めたりという不思議なところでしたですね。まあ、それはどうでもいいことですが。そこにも出ていく、しっかりとやっていただきたいと思います。
そこで、次にお伺いしたいのは、在外公館の話が今日出ているので、在外公館の強化という意味から私はお伺いするんですが、台湾の交流協会の事務所のことでございます。以前も私は聞いたことがあります。
せんだって、私が台湾に行ったときに、よく行かせていただくんですけれども、本当に初めてアメリカの代表部を見かけたんです。
どんなものかというと、ここにいらっしゃる皆さんが誰でも分かるもので言うと、造りはそこの首相官邸みたいなものです。入っていませんから分かりませんよ。石垣と山の上にある山城みたいなもので、すごい高い塀があって、巨大な建物で、雰囲気はちょうど首相官邸を下から、下というのは、国会側ではなくて逆サイドから見たような感じの造りです。
これはすごいなと。それは、世界の超大国であるアメリカが、それもこういう極めて緊張感のあるところで、先年改修しているんですよね、造り直しているんです、実を言うと。そこまでやっている。
あそこまでやれとは言いませんが、これは外務省の大使館ではありませんけれども、日本の外交を担う交流協会の事務所を見てみると、言葉悪く言えば雑居ビルの一室にちょっと居を構えているだけ。果たしてこれで仕事ができるのか。スタッフの数もそうです。今の緊迫感のある状況の中では私はこれでは全然足りないと思う。足りないということは、情報収集能力も推して知るべし。一生懸命やっているのは分かりますよ、でも、情報収集能力にも響くだろう。
そういったことも考えて、まずここまで、交流協会の事務所についてどう思っているのかということ、そして、もっと強化をすべきだと私は思いますが、その点について外務省のお考えをいただきたいと思います。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
日本台湾交流協会の人員や体制につきましては拡充強化を図ってきているところでございます。日本台湾交流協会は、台湾をめぐる状況に関しての情報収集等を行うなど、幅広い分野で台湾との実務的な協力関係を積極的に推進してきております。
政府としましては、我が国の台湾に対する基本的な立場を踏まえながら、日台間の協力と交流を更に深めていく考えでございまして、こうした観点からも、日本台湾交流協会が必要な業務を円滑かつ適切に遂行できるよう、引き続き緊密に連携してまいる所存でございます。
○和田(有)委員 恐らく型どおりのお答えなんですけれども、今の状況では、私は、業務はいずれできなくなると思います。というのは、やはりここまで緊張感が高まってきて、そして、例えばの話ですよ、在留邦人の保護とか救出ということになったときに、あの体制でできるだろうか。ここで聞きませんよ。ここで聞きませんけれども、これはいろいろな法的な問題もあるけれども、できるだろうか。私、何度も聞いてきています、情報共有だって、法的な面はさておいたとして、現実に、現場の体制としてこなせるだろうかと私は思うんです。
そういうことを考えると、やはり、台湾において日本のプレゼンスを高め、そして安心感を台湾の皆さんや在留邦人に与え、そのことがひいては抑止力となっていくことを考えると、もっとこの体制を強化すべきだと私は思います。もう一回、その点も踏まえてどうですか。同じ答弁になっちゃうかな。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
政府といたしましては、日台間の協力と交流を更に図っていく考えでございます。
今議員からも御指摘がありましたけれども、日本台湾交流協会が円滑な業務を行うことができるよう、引き続き、政府としては緊密に連携していきたいと考えております。
○和田(有)委員 しっかりやってください。
アメリカぐらいのあんなものを造れとは、それは私も言いませんよ。いや、造るにこしたことはないし、造らなきゃいけないと思います。アメリカは遠いんです。日本は隣なんですから。
そこで、こういうことを乗り越えようと思うと、やはり日台の関係をちょっと整理して、きちっと正常な関係にしなきゃいけないと思うんです、私は何度も申し上げているように。日中共同声明の呪縛にとらわれたままで、いかにも腰が引けたみたいで、北京政府の顔色を見てやっているような状況では話にならない。
その中では、私は、アメリカに台湾関係法があるみたいに、日本人が普通にぱっとイメージするものとは実はちょっと意味が違いますけれども、アメリカに台湾関係法があるように、私たちは、日台の間の交流に関する規定をする法律をやはり持つべきだと思います。それがないから、法的な物事が何も整理できないし、前にも進めないし、何もできない、こうなってしまう。
その点について、大臣はいかがお考えでございますでしょうか。
○上川国務大臣 この間、台湾との関係に関しましては、我が国の基本的立場でございますが、一九七二年の日中共同声明を踏まえまして、非政府間の実務関係として維持するという姿勢で臨んできているところでございます。
台湾との関係に関しましての枠組み等に関しましては様々な御議論があることは承知をいたしているところでございますが、政府といたしましては、今申し上げた基本的立場を踏まえまして、引き続き、台湾との間で幅広い実務関係を発展させていく考えでございます。
○和田(有)委員 百も承知だと思いますが、アメリカだって外交関係はないんです。ないけれども、台湾関係法というのを持っていて、そしてその上で、実務的なことがもっと順調に進むようにやっているわけです。これがなかったら、全てやることは、この先、超法規措置になってしまう可能性がある。
昔、テロリストを超法規で、命は地球より重いと言って、法律にも書いていないけれども逃がしたわけですよ。あんなことをやらざるを得なくなっていきます。それが果たして本当に正しい答えなのかというと、違うと思います。そういうことも念頭に置いて、台湾との関係を規定する法律についてしっかりと研究をし、前向きに考えていただきたいと思って、次に行きますね。
次、ここからは、一般に関係する外交問題についてお伺いしようと思うんですが、台湾の話をしましたので、まずは、台湾の話は何が大事かというと、結局、中国とどう向き合うかという話なわけです。
中国の話で、トリチウムの話、これをお聞きしたいと思うんです。
せんだって、北京政府が統治する中国の、中華人民共和国の公式資料で、二三年度版の原子力専門書、中国核能年鑑というやつで公表された公式データで、十三原発十九か所の観測地点において放射性物質を調べたら、七割以上に当たる十五か所の排水に含まれるトリチウムの量は、福島第一原発から放出が計画されるトリチウム量の年間最大量の二十二兆ベクレルを超えていたと。浙江省に立地する秦山原発の二二年に放出したトリチウム量は二百二兆ベクレルと、処理水上限の九・一倍だったと。
中国は我々に非科学的に難癖をつけてきていますが、自分たちのことを棚に上げて言っているわけです。このことをもっとしっかりと、このことを踏まえて抗議をし、かつ、世界に向かって、中国というのはこういうふうな体質で言っているんだ、自分たちのことを棚に上げて言ったって、全然駄目じゃないか、こういう国だ、彼らはそういう世論工作を世界に向かってやっている国だということをやはり私たちは言い、そしてアピールをし、工作をしなきゃいけないと思うんですが、その点について、大臣はいかがお考えでしょうか。
○上川国務大臣 まず、中国の公式資料によりまして、先ほど委員が御紹介をいただいた数字も含めまして発表されているということでありまして、承知をしているところであります。中国側も、この点に関する指摘も含めまして、科学的根拠に基づく説明という形で行ってきている、そうしたデータであると認識をしております。
中国の原発からのトリチウム放出量自体につきまして日本政府として評価することにつきましては差し控えさせていただきますが、政府といたしましては、ALPS処理水の安全性に関しましては、科学的根拠に基づきまして、高い透明性を持って丁寧に説明をしていく姿勢で今までも来ておりますし、これからもそうした姿勢を貫いてまいりたいというふうに思っておりまして、これは中国も例外ではないということであります。
この点につきましては、あらゆるチャネル、そして私自身もしっかりとこの点については指摘してまいりたい、また、説明もしっかりとしてまいりたいと思っております。
○和田(有)委員 これは中国に向かって言うだけのことじゃないんです。世界に向かって、中国とはこういう国だというふうにやはり言う、これが世界の、国際環境の中の工作活動だと思うんです、変な言い方ですけれども。それを我々は、やってこなかったとは言いませんけれども、非常に力が薄かった、そう思うんですね。
ですから、これは中国に対して指摘をしたり抗議をする、遺憾だとか言うんじゃなくて、世界に向かって、中国はこんな国ですよ、こんなことを言い触らしている国じゃないですか、それで皆さんは一緒になってやるんですかと、こういう国際環境づくりに努めていただきたいという意味で聞いたんです。
もう一回、大臣、その点で何かありますか。
○上川国務大臣 ALPS処理水の海洋放出の安全性につきましては、これまで、中国を含みます国際社会に対しまして、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って丁寧に説明を重ねてきたところであります。そうした状況の中で、理解が非常に進んできているということも、私自身実感をしてきているところでございます。
我が国の近隣国また地域におきましてのトリチウムの年間処分量などの分かりやすいデータ、また情報を含めまして、XなどのSNS、またホームページを活用いたしまして、英語や中国語を含みます多言語で、全世界に向けまして積極的に説明、発信しておるところでございますが、こうした姿勢をしっかりと強化してまいりたいと考えております。
○和田(有)委員 しっかりやってください。
国際環境に働きかけて、我々がしっかりとした発言力を持つ、プレゼンスを高めるということが大事ですから、これは世界に対する世論工作ですから、頑張っていただきたいと思います。
次に移るんですけれども、中国には国家安全法という法律があって、これは世界中どこでも中華人民共和国の国籍を有する人に対して通用するんだ、こういうわけですね。こういう中で、日本国内でも、これは一種、彼らは域外においても適用すると主張しているんだと思うんです。こんなことがあっていいんだろうか。
このことについて、まずどうお考えなのか、お伺いをいたします。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
中国が制定しております国家安全法についてはもちろん承知しております。その運用につきまして我が国としてコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、いずれにしても、中国の内政を含めた状況については、日頃から情報収集、調査をしっかりと行っているところでございます。
○和田(有)委員 実は、しばらく前によく議論になった、海外警察というのがあって、それが中国のいろいろな法律を照らし合わせながら日本国内でいろいろな活動をしているんじゃないか、こういう話があって、これはもう主権侵害ではないか、こういうふうに私は思うんですが、その点についていかがお考えですか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
今委員が御指摘になりました中国警察の海外拠点についてでございますけれども、中国側に対しましては、外交ルートを通じまして、我が国の主権を侵害するような活動が行われているのであれば断じて認められない旨申し入れているところでございます。
○和田(有)委員 主権を侵害するようなことがあればと言いますけれども、どう考えても、何か我が国の警察でない組織があって、いろいろとそういう活動をするというのは、やはり主権侵害と見えるわけですね。そこら辺、しっかりとよく見て対処していただきたいと思うんです。
そこで、せんだってちょっと報道があった中で、ある国会議員の人の元秘書、外交を担当していた、こういうふうに言われるんですが、そういう肩書を持っていた元秘書という人が新型コロナウイルス対策の持続化給付金を詐取した疑いで書類送検された。それを書類送検して、その住所を見てみると、住所というか、その元秘書なる女性が所属をしている組織というんでしょうか、団体の住所を見ると、今私が申し上げた、いわゆる中国による海外警察というところだとよく言われている秋葉原にあるビルと同じ住所だった、非公式警察署とよく報道なんかでは言ったりしますね、これが入居していたところだった、こういうんですね。
果たしてこれはどういう背景があるんだろうと私は思うわけです。こういう状況の中で、誰とは言いませんし、どこの党とも言いませんけれども、国会議員の事務所に所属していたような人が、我々も質問を作るに際して、質問取りをしたり、いろいろな情報を、レクを受けたりするわけですけれども、そこに同席していたとしたら、その中で機微なる情報があったとしたら、これはどうなるんだろうと。これこそまさに、我々からいうとスパイじゃないか、こう私なんかは思ってしまうんです。
これは報道ベースですから、私も事実に関しては分かりませんけれども、日本国内で、いわゆる非公式中国警察というんですかね、あれは中国人の動向把握をやっていたり、スパイ活動をやっているんじゃないかとよく言われている。そんな中で、そういう密接に関係性が問われるような人物が外務省に近いところにいたり、そういう状況というのは、事実としては果たしてどうなんだろうと。
そういうことについてどうお考えになっておられるのか、大臣にお聞きしたいんですが。
○上川国務大臣 個別の事案につきましてコメントすることにつきましては差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、様々な状況がいろいろな形で報道されているということについては承知をしているところでございます。
国内の関係省庁、また関係国ともよくよく連携をいたしまして、我が国における活動の更なる実態解明の結果に応じまして、適切な措置をしっかりと講じてまいりたいと考えております。
○和田(有)委員 それは、物の見方によってはいろいろな物の見方ができると思うんです、この事案に関しては。でも、やはり外務省としても、我々もそうです、脇を締めて、これからセキュリティークリアランスだ、やれ新しい法律だと言っている中で、こんな状況では、ファイブアイズなんてもうとてもとてもの話ですよ。次にあともう一つ別のことも聞きますけれども、これは外務省の話じゃないかも分からない。我々が皆さん方を呼んで話を聞かせてくれと言ったときに、政策秘書が横についたりいろいろしたら、それは皆さんの話ではないかも分からない、我々の責任かも分からない。しかし、やはりそこら辺も踏まえながら、皆さんも物事をしっかり見ていくという姿勢を取っていただきたいと私は思います。
次に、台湾の関係の話をもう一つ行きます。
中国が、大陸中国、中華人民共和国が、二月から、台湾海峡の民間航路を、中台間、台中間、中国と台湾の間の一つの停戦ラインとしているような中間線というのがあるんですが、そこに少し寄せるということを措置いたしました。それは、今までは、もう少しその中間線よりも中国大陸に近いところを飛ぶような設定をしていたんですね。それを、一方的にぐっと中間線に寄せるという決定をしたわけです。
これはいろいろな意味で、中国による台湾に対する圧力であったり嫌がらせというようなものだろうとは思うんですが、これは実は二〇一五年の、両岸協議といって、中国と台湾の、台湾と中国の協議をやったときに決めた一つの話なんですが、それを、何の話合いもなく一方的に、六海里ほど東寄りにずらしたというんですね。M503というんですね。
だんだんこういうことがエスカレートしていっている。東西航路というんですけれども、中国大陸から中間線に向かう飛行が始まっているんですけれども、台湾海峡の上を飛ぶ飛行機というのは、当然、その横は石垣、与那国という我々の領空と、実は台湾の件も前にもお聞きしましたけれども、日本と台湾というのは管制空域はかぶっているわけです。そういう中で、大動脈でもあるし、非常に緊張感をもたらすところであって、これはゆゆしきことだと私は思うんです。
この状況というものは、まず緊張を高めるものだと私は思います。このことについて、緊張を高めるということについてどうお考えなのか。あるいは、日本の民間航空機にどう影響するのか。あるいは、航空管制や日本の安全保障、すなわち、自衛隊や米軍もこの辺りを飛ぶわけですから、航空自衛隊はそんなものもスクランブルで飛んだり、影響するのか。そういうことについて、日本はちゃんと抗議をし答えを出そうとしているのか。その点について、大臣にお伺いしたいんです。
○上川国務大臣 台湾海峡の平和と安定につきましては、我が国の安全保障はもとよりでありますが、国際社会全体の安定にとりましても重要であると認識をしております。台湾をめぐる問題でありますが、対話により平和的に解決されることを期待する、これが我が国の従来からの一貫した立場でございます。
民間航空機の安全の確保は、従来からも何よりも重要と考えている状況でございます。その上で、外務省として、現時点までに本件が日本の民間航空、また航空管制、更に自衛隊等に影響が出ている、そうした情報には接していませんが、今後の影響も含めまして、引き続き高い関心を持って注視をしてまいりたいというふうに思っております。
我が国と中国との間で、今この問題をめぐりまして様々なレベルで意思疎通をしているかどうかという御質問でございましたが、日頃からこうした問題を含めましても、様々なレベルで意思疎通をしている状況でございますが、外交上のやり取りの詳細については差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
○和田(有)委員 外交上の機微なる問題は差し控えるということなんですけれども、後でこのことを含めて全部もう一回申し上げますが、やはりこれは極めて緊張感のある話だと私は思います。
なぜこんなことが起こっているか、大臣はお分かりですか。これは質問じゃありませんけれどもね。ICAOに入っていないからなんですよ、台湾は。世界の万博何とか連合、あれにも入っていないです。何でこんなことを聞くかというと、前に万博のことも私聞こうとしたんです、台湾のことで。実を言うと、これも非常に不正常な形になっています。この万博の話はこれ以上は言いませんけれども。
ICAOに入れないんです、中国が嫌がらせをするから。だから、ICAOの場で、国際民間航空連盟とかなんとかというんですね、ICAOに入れないから、ちゃんとテーブルの上で議論できないわけですよ。ということは、こういういわゆる国際的な機関とかそういうものに入ると、緊張感を下げていくための抑止力にもなるわけです。そういうことにもなるということを御理解いただきたい。
そして、もう一つお聞きしたいのが、さっきセキュリティークリアランスの話をしましたが、しばらく前に報道がありました。日本の公電が漏えいしているのではないか、それをアメリカが指摘した、日本の在外公館のネットワークが中国に見られていると日本側に伝えたと新聞報道がありました。アメリカのポール・ナカソネ長官が来日して、日本政府高官と会談し、実務的な話をしたとあるんです。
一体これはどうなんでしょうか。これは米国から指摘されて分かった話なのか、あるいは、事実はいかがなのか、対処はしているのか、まずそこら辺までお伺いします。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の報道については承知しております。
その上で、アメリカとは平素から様々なレベルで緊密にやり取りを行っておりますけれども、その詳細については、外交上のやり取りであり、お答えを差し控えさせていただければと思います。
なお、サイバー安全保障分野での対応能力の向上は政府として重要な課題と認識しておりまして、情報セキュリティーに関しましては、アメリカを始めとする関係国との情報共有を進め、連携を強化していくに当たっての基盤でもございます。
外務省としても、関係省庁と緊密に連携して、しっかりと取り組んでいきたいと考えているところでございます。
○和田(有)委員 これ以上これについては聞きませんけれども、セキュリティークリアランスをこれからやっていく、私も情報監視審査会におりましたから、意味はよく分かります。ですから、そういう意味で、しっかりと情報の保護については取り組んでいただきたいと思います。
それで、最後に申し上げたいんですけれども、台湾情勢は非常に緊迫化しています。レベルは上がっていっています。それはなぜかというと、アメリカの大統領選挙の結果いかんというものが出てきている。パレスチナとウクライナと極東で三つアメリカは向き合わなきゃいけないのに、全部ディールにしてぽんと放り出す可能性がある。そういう中で、誤ったメッセージを与えるとどんなことが起こるか分からないという状況にある。
そんな中で、今朝、ある私の愛読紙を読んでおりましたら、上川さんのことを非常にお褒めになっておりまして、その中で、大久保利通を尊敬する政治家の一人に挙げておられる。そういうことを読みました。
そういう中で、今は、多分大臣はいろいろな知識や物事をため込んでおられるのではないかと私は思いたい。そして、いろいろなことを模索し、考えておられるんだと思いたい。いざというときに、すぱっといく。フォークランド紛争のときのサッチャーさんのように、あるときからはすぱっと、それまでため込んでいたものをもって事に当たるということができるだろうと私は思いたい。
そういうことも踏まえて、日中共同声明の呪縛にとらわれるのではなく、あるところからしっかりと台湾と向き合っていただきたい。台湾との関係を正常化し、大陸中国と向き合って国益を守っていただきたいということを申し上げて、終わります。
○勝俣委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
初めに、在外公館法の一部改正案について質問します。
今回の法案は、在ナイロビ国際機関日本政府代表部を新設するというものです。ケニアの首都ナイロビには、国連環境計画、国連人間居住計画という国際機関の本部が所在しています。これら二つの機関の国際的役割は大事だと私は思います。
先ほどの審議官の答弁では、代表部を置くことによって重視する姿勢を示す、より緊密な関与ができるとありました。ケニア大使館が兼館兼務すると言われています。そういうことで、この二つの機関が提起している諸課題に十分貢献していけるのかということについて端的にお答えください。
○上川国務大臣 今この二つの国際機関は極めて重要な意思決定をしている状況でございます。それぞれの分野につきましてはしっかりと日本国としての対応をしていくべきであると考えておりまして、まさに新設した役割の代表部を設けるということの重要性は、遅かったのではないかと私自身は思うぐらいでございまして、しっかり対応し、貢献をしていく必要があるというふうに考えております。
特に、環境分野は国民の生活に極めて重要な影響があるということでございますので、こういった環境分野等におきましてのルール形成への参画、また我が国のSDGsの達成に向けた取組の強化、こういったことによりまして、より国際機関が掲げる課題解決に向けましての日本としての貢献ということについては、極めて重要なタイミングであるというふうに認識しております。
○穀田委員 代表が重要な役割を果たせるよう、私は、ふさわしい体制整備が必要だと思うんですね。だから、兼館兼務じゃなくて、本来、私は何回も言っているんですけれども、人員を増やすということを一応言うわけですやんか。そういうときに、兼館兼務じゃなくて、きちんとやるべきというふうに私は思います。
今日は、特に国連ハビタットに関連してお聞きしたいと思います。
居住の権利は、人権に関する複数の国際条約で基本的人権として認められています。一九九六年のトルコのイスタンブールでハビタット2が開かれ、適切な住居への権利を十分かつ着実に実現すると宣言され、日本政府はこれに調印しています。また、国際人権規約、社会権規約は、適切な住まいを全ての者の権利とし、その権利の実現と実施状況の報告義務を課しています。
日本政府は、二〇〇一年、国連の社会権規約委員会の所見で、震災弱者の住宅再建の困難化やホームレス対策の不十分さなど、厳しい指摘を受けています。日本政府として、この問題について、社会権規約委員会にどのように報告しておられますか。
○上川国務大臣 日本政府は、一九九八年の、経済的、社会的及び文化的権利に関します国際規約、いわゆる社会権規約でありますが、これに基づきます第二回の政府報告を社会権規約委員会に提出をいたしました。そして、二〇〇一年に、この政府報告に関しましての委員会の審査が行われまして、委員会からの総括所見が出されたところにつきましては、今委員御紹介のとおりでございます。
その後、二〇〇二年に、日本政府はこの総括所見に対する意見を提出いたしました。この日本政府の意見におきましては、御指摘いただきました様々な、震災、特に阪神・淡路大震災に係る対応につきまして、具体的な対応の内容を説明した上で、これら多種多様な施策によりまして被災者に対する生活支援を迅速かつ適切に行ってきた、こうした説明をしたところでございます。
○穀田委員 今最後に言ったんですけれども、適切に行ってきたと考えているというのが報告に対する意見なんですね。
そこで、回答した二〇〇二年の被災地の現状はどうだったか。その年の神戸新聞の世論調査で、被災地全体の復興状況について、取り残されている部分が多い、遅れているとの回答が六八・二%に上っています。朝日新聞の当時の調査では、県内の復興公営住宅の孤独死は通算百七十二人に達した。さらに、兵庫県こころのケア研究所調べでは、震災によるPTSDの症状が今もある高齢者は四七%に上ると報じています。
つまり、被災者に対する適切な生活支援を行った結果がこれかということをよく見なあかん。政府の認識は適切に行われていると報告をしているが、被災地の現状はそうではなかったということをはっきり私は述べておきたいと思います。
そこで、二〇〇一年の指摘を受けて以来もう二十年たっているわけですけれども、日本の現状は、住まいは人権である、そういう立場から前進したと胸を張って言えるかと思うんですね。私はそうじゃないと思うんですよ。
そこで、阪神・淡路大震災の被災者の粘り強い運動は、私は、被災があった九日後に、個人補償すべきだと言ったわけですわな。そうしたら、日本は資本主義社会だからできへんと言ったわけですやんか、それが政府ですよ。そういう中で、国民の運動で被災者生活支援法を作り、個人への補償はしないという政府の姿勢を正していったというわけですよね。
今、岸田総理は、能登半島地震対策で何でもやる、全てやると述べています。今その抜本的な拡充が必要だと国連ハビタット対応を行うのであれば、住まいは人権という立場から、国内における施策を充実させることが真の貢献になるということを述べておきたいと思います。
次に進みます。
昨年十一月の鹿児島県屋久島沖での墜落事故を受け、停止していた米軍オスプレイの飛行を再開した問題について聞きます。
この問題をめぐっては、昨年の十二月六日の本委員会で私が質問した際に、上川大臣は、米側に対して、オスプレイの飛行については、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう求めたと答弁されました。
そこで聞きますけれども、今回の飛行再開に当たっては、上川大臣は安全を確認されたわけですね。
○上川国務大臣 本件の事案につきましては、防衛省が米側から受けた説明につきまして、外務省としても共有をしているものでございます。私自身は、外務省事務方から説明を受けました。
今回の事故に関しましては、防衛省は、事故発生直後からの技術情報を含めました米側との緊密なやり取りを踏まえまして、専門的見地から、今回の事故に関します米軍の原因分析、また安全対策は合理的であり、各種の安全対策を講じることで安全に運用を再開できる、こうした主体的な評価を行っているものと承知をしております。
また、防衛省におきましては、自衛隊のオスプレイの運用者としての立場もございます。そうした観点からも、各種の安全対策を講じることによりまして安全に運用を再開できると評価しているものと承知をしております。
○穀田委員 今の話は、公式の見解として木原さんが言っている中身であって、私が聞いているのは、安全を確認されたのかと。分かりやすく言えば、防衛省の管轄で、話は共有してまっせということですわな。事務方から報告を受けて共有していると。
では、聞きますけれども、安保委員会で木原防衛大臣は、事故の状況や原因、安全対策などについて米側から詳細に説明を受けたと。そうすると、大臣も事務方から詳細に報告を受けた、その内容の中心は何ですか。安全だというふうに確信したポイントは何ですか。
○上川国務大臣 今申し上げたことにつきましては、防衛省の専門性、技術的な能力、運用者としての立場、こうしたところを評価した上で、まさに政府全体として判断をしているという状況であります。
専門性と技術性、こういったことを総合的に判断した上で政府として判断をする、これが今の状況でございます。
○穀田委員 専門性と運用者と。それでは、どうやって安全が確認できたのか。心底そう思いますか。
米大使とお話をされたときにお二方は何を約束したかというと、日本国民の安全こそが最重要課題だとお話しされているわけですやんかね。そういう報告をされていますよね、私に。そうすると、日本国民の安全がどう担保されたのか、具体的事実で述べてくれなければ検証できないじゃないですか。
専門性、運用者というような漠とした話で、全体で確認してまっせと。そうじゃないんですよ。日本国民の安全に関わる問題として、大臣自身がおっしゃったのは安全を確認するといった点なんですね。だから、その二つの運用者、専門性の話を受けて、安全だというふうに確信されたと言っていいんですね。一言。
○上川国務大臣 今委員からの御質問でございますが、これをトータルとして政府として判断をする、こうした意思決定ということでございます。
まさに、この分野については、安全性、専門性、専門的な技術的な評価、これがなくしては評価できないわけでありますので、その上に政府全体として判断をする、これが重要であると考えております。
○穀田委員 そんな一般論じゃないんですよ。
では、聞きましょう。墜落の原因は特定の部品の不具合とされるが、それが何なのか、全く説明がありません。それは聞いていただけましたか。整備と手順の変更だけで安全が確保されるのか、なぜ原因となった部品の交換を行わないのか。これは私の率直な疑問です。それにどうお答えになりますか。
○上川国務大臣 今回の事故に関しましては、御質問をいただきました昨年の十一月二十九日のオスプレイ墜落事故ということでございますが、先ほど来、十一月三十日に、私自身がエマニュエル駐日大使にもそうした働きかけを行ったということで御紹介がございました。また、私自身も、ブリンケン国務長官に対しましても、飛行の安全確保が最優先である、その意味で、日米で緊密に連携していくということについては直接申し入れたところでございます。
その後でありますが、防衛省は、外務省も共に、事故発生直後からの技術情報を含めました米側との緊密なやり取りを踏まえた上で、専門的見地から、今回の事故に関します米軍の原因分析、また安全対策は合理的であり、各種の安全対策を講じることで安全に運用を再開できる、こうしたことについては主体的な評価をしているということで、防衛大臣からもその旨の発表があったところでございます。
また、先ほど申し上げたとおり、防衛省は、自衛隊のオスプレイの運用者としての立場、この観点からも、各種の安全対策を講じることによって安全に運用を再開できる、こうしたことも、まさに技術的そして専門的な観点から評価を重ねてきたというふうに承知をしております。その上での対応ということでございます。
○穀田委員 木原防衛大臣は、特定の部品の不具合によると言っているわけですやんか。だから、その内容を私は聞いてんのや。その特定の部品という内容も含めてちゃんと聞いているかと。
それだったらお聞きしますけれども、特定の不具合の部品というのは何なんですか。聞きましたか。つまり、技術性、運用者と言わはるわけだけれども、一番肝腎な問題は、どこに原因があるのかと。不具合がある、そういう部品があるということは、誰しもがあの話を聞いて分かったわけですよ。しかし、それ以前、それ以後の話はさっぱり分からぬわけですよ。だから、私は国民の一人として聞いているわけですやんか。
大臣は聞いたんでしょう。不具合の問題について聞いてくれはったかと聞いているんですよ。
○上川国務大臣 今の御指摘でございますが、そうした今の状況の報告につきましては、今の段階で、米国の方の状況によって公開することができない状況にあるということも、併せて防衛大臣から発言していると私は承知しております。
○穀田委員 結局、言われへんということやろね。だから、私は、その内容を聞いているんじゃないですよ、それを聞いたかということを聞いているんですよ。だから、確かめてくれな、確かめたから安全やと言ってくれへんと安全確認できへんでと言っているわけです、私は。当たり前のことを言っているだけなんです。国民は、不具合が何やねんということについて聞いている。それを聞いたかと聞いているわけですよ。どれやとは聞いていないんですよ。どれやと聞きたいところやけれどもね。
もう終わりにしますけれども、そういう言い方だと、やはり、なぜ不具合が起こって、なぜ事故が起こったのかという一番のポイントについてお互いに共有できないじゃないですか。そういうことで国民は納得しないと私は思います。
最後に、一言言っておきます。
複数のメディアは、ギアボックスの不具合が事故原因だと報じているわけですよ。オスプレイの開発に携わったレックス・リボロ氏は、ギアボックスの不具合が事故の原因なら、これまで起きたことのない深刻な問題だと言っているわけですね。
私は、今、日本から起きている飛行再開に断固として抗議したいと思うんですね。直ちに飛行を中止すべきだし、併せて日本からの撤去こそ必要だ、そのことを申し上げて、質問を終わります。
○勝俣委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○勝俣委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○勝俣委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○勝俣委員長 次に、内閣提出、二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣上川陽子君。
―――――――――――――
二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○上川国務大臣 ただいま議題となりました二千二十七年国際園芸博覧会政府委員の設置に関する臨時措置法案につきまして、提案理由を御説明いたします。
二千二十七年国際園芸博覧会を開催するに当たり、我が国は、国際博覧会条約上の義務として、我が国政府を代表する博覧会政府委員を任命する必要があります。
この法案は、博覧会政府委員の任務の重大性等に鑑み、これまでに我が国で開催された国際博覧会の場合と同様に、政府委員の設置及びその任務、給与等について定めるものです。
この法案では、外務省に、特別職の国家公務員である二千二十七年国際園芸博覧会政府委員一人を置き、政府委員は、二千二十七年国際園芸博覧会に関する全ての事項について日本国政府を代表することを任務として定めています。
また、関係府省の長は、政府委員の任務の円滑な遂行を図るため、必要な措置を取ることを規定しています。
加えて、この法案では、政府委員の任免手続、俸給月額等について定めているほか、二千二十七年国際園芸博覧会の終了の日から起算して一年を経過した日に効力を失う旨を定めています。
政府委員の給与等については、令和六年度予算案に計上しているため、また、二千二十七年国際園芸博覧会に向けた準備に遺漏なきを期すため、本法案は四月一日から施行する必要があります。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
○勝俣委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十二日金曜日午前八時三十分理事会、午前八時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会