衆議院

メインへスキップ



第9号 令和6年5月8日(水曜日)

会議録本文へ
令和六年五月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 勝俣 孝明君

   理事 城内  実君 理事 鈴木 貴子君

   理事 中川 郁子君 理事 藤井比早之君

   理事 源馬謙太郎君 理事 鈴木 庸介君

   理事 青柳 仁士君 理事 竹内  譲君

      上杉謙太郎君    小田原 潔君

      黄川田仁志君    高村 正大君

      島尻安伊子君    武井 俊輔君

      中曽根康隆君    西銘恒三郎君

      平沢 勝栄君    深澤 陽一君

      穂坂  泰君    宮路 拓馬君

      小熊 慎司君    佐藤 公治君

      松原  仁君    鈴木  敦君

      徳永 久志君    和田有一朗君

      金城 泰邦君    穀田 恵二君

      吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         上川 陽子君

   外務副大臣        辻  清人君

   外務副大臣        柘植 芳文君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   外務大臣政務官      高村 正大君

   外務大臣政務官      深澤 陽一君

   外務大臣政務官      穂坂  泰君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   馬場  健君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)       木原 晋一君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   片桐 一幸君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 千代延晃平君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            岡田  大君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房儀典長) 島田 丈裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       金井 正彰君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 仁威君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡野結城子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           松尾 裕敬君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長徳 英晶君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   御巫 智洋君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 梶川 光俊君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     上杉謙太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 国際情勢に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

勝俣委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長志水史雄君、大臣官房儀典長島田丈裕君、大臣官房国際文化交流審議官金井正彰君、大臣官房審議官中村仁威君、大臣官房審議官岡野結城子君、大臣官房審議官中村和彦君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官松尾裕敬君、大臣官房参事官濱本幸也君、大臣官房参事官宮本新吾君、大臣官房参事官大河内昭博君、大臣官房参事官長徳英晶君、中東アフリカ局長安藤俊英君、国際法局長御巫智洋君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健君、内閣審議官中溝和孝君、内閣府総合海洋政策推進事務局次長木原晋一君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長片桐一幸君、警察庁長官官房審議官千代延晃平君、金融庁総合政策局参事官岡田大君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、財務省大臣官房参事官梶川光俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

勝俣委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松原仁君。

松原委員 五月の大型連休が終わって、総理を含め、大臣も外遊されたと承知しております。

 拉致議連及び救う会、家族会が、この間、米国を訪問してまいりました。私が承知している限りでは、拉致対策特別委員会は、三大臣、外務大臣、国家公安委員長、拉致問題担当大臣が出席して審議するのが原則であります。そこで、拉致特に参加する三大臣は拉致家族会、救う会等の報告を受けるべきと思いますが、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

上川国務大臣 おはようございます。

 北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟、拉致議連、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、家族会、及び、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会、救う会の三団体が四月二十九日から五月四日の日程で訪米されたと承知しております。

 外務省といたしましても、在米国大使館を始め、三団体の訪米が充実した日程となるよう全力で支援をさせていただいたところでありますが、今回の訪問は、米国関係者の拉致問題に対します理解を深める上で非常に有意義であったと考えております。

 政府として訪米の結果について報告を受けるべきとの御指摘につきましては、三団体の方々の御意向もしっかりと承りつつ、関係省庁間で調整してまいりたいと考えております。

松原委員 模範的な回答だと思いますが、当然、基本的には聞いて情報を集める必要があるという御認識でよろしいですね。

上川国務大臣 そのような認識でおります。よく調整をいたしたいと思っております。

松原委員 次に、韓国の国会議員が複数名、竹島に上陸したことについて問いたいと思います。

 この韓国国会議員による竹島上陸は、日本に対する主権侵害という認識でよろしいでしょうか。

上川国務大臣 韓国によります竹島の不法占拠やそれに基づく活動は、竹島の領有権に関する我が国の立場に照らし、我が国に対する主権の侵害であると認識しており、政府としては、韓国に対し、累次にわたり我が国の立場を申し入れてきているところでございます。

 今般、韓国の国会議員によります竹島上陸が強行されたことは、竹島が、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本固有の領土であることに鑑み、到底受け入れられず、極めて遺憾と考えております。

松原委員 今回の韓国議員団の上陸に対してどのようなレベルでどのような抗議をしたのか、お伺いいたします。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国政府に対しましては、同日、鯰博行アジア大洋州局長からキム・ジャンヒョン在京韓国大使館次席公使、また、實生泰介在韓国日本国大使館次席公使から徐旻廷韓国外交部アジア太平洋局長に対し、それぞれ、本件上陸は、竹島が、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本の固有の領土であることに鑑み、到底受け入れることはできず、極めて遺憾であり、強く抗議するとともに、再発防止を強く求めるという申入れを行ったところでございます。

松原委員 この日本側の抗議に対して韓国側は謝罪したでしょうか。どのような反応だったか、お伺いします。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国国会議員の竹島上陸に対しては、先ほど申し上げた、強く抗議をするとともに、再発防止を強く求める旨申し入れたところでございますが、これに対し、韓国側から、従来の立場に基づく反応があったということでございます。

松原委員 従来の立場に基づく反応というのはどういうことですか。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 外交上のやり取りについて詳細をお答えすることは差し控えたいと思いますが、日本の領有権に関する立場とは相入れない、そのような従来の立場の反応があったということでございます。

松原委員 外交上の機微に触れることだとおっしゃるが、韓国側は既に、先ほど大臣がおっしゃったように不法占拠している。事実として誰もが分かる。そして、今回も国会議員団が上陸した。誰もが分かる。その行動は全部分かっているわけであります。それに対して我々は抗議をして、韓国側のこの応答に対してそのことは言えないというのは全然理解できないです。相手は現実に占拠しているんですよ。あれは占拠していないと思っているんですか。

 占拠しているかどうか、あなたの認識を教えてください。

濱本政府参考人 竹島に関しましては、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国の固有の領土であるということでございますが、竹島は、現在、韓国が占拠していると認識しております。

松原委員 相手がそういった行動を取っているときに我々は行動を取れていないわけですよ。遺憾であるとだけ言っている。そのときに韓国側が謝罪したかどうか。受け入れられないということを言ったということでありますが、もうちょっと本当はそこを詳しくやり取りを言ってもらわないと、こちらの真剣さに関わる問題だと思っております。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、国家主権による領土の侵害ということでありますが、これは参考人でもいいんだけれども、竹島を韓国が不法占拠した経緯というのは、私が承知している限りでは、李承晩が李承晩ラインを一九五三年か何かに設定した。そして、その後に、当時、竹島はアメリカ軍の射爆場、爆撃機が爆弾を落として訓練に使う島として存在していたというふうに承知しておりますが、その射爆場であったのを、日米合同委員会において日本側に返還すると。

 それは尖閣も全く一緒だからこういう話をしているんですよ。アメリカは射爆場で使っていたものを日本に返還した。そのときに、韓国の李承晩大統領が既にラインを引いていて、そして、韓国の漁民がそこの地域で漁業をやっていた。日本もアメリカの射爆場から返還されたので漁業を始めた。そのときに、日本の海保も行って話をしたんでしょう。そして、韓国側は日本の漁民に対して銃撃をした。当時の新聞もここで一回御披瀝いたしましたが、日本は死傷者が出ている、こういうふうなことであります。こういう中で、竹島はいつの間にか韓国が不法占拠しているわけであります。

 この不法占拠というのは、質問通告していないのでお答えいただけるかどうか分かりませんが、武力による不法占拠なのか、平和裏による不法占拠なのか、どちらだと今の説明を聞いてお考えですか。大臣、お答えください。

濱本政府参考人 竹島をめぐりましては、委員御指摘のとおり、当時、李承晩ラインを韓国側が引きまして、その中に竹島を取り込んだというのが経緯であると認識しております。

松原委員 質問の趣旨は、日本の漁民が韓国の船によって銃撃された、そして韓国は不法占拠に至った、この経緯というのは武力による不法占拠とみなすべきか、若しくは、いわゆる自然体で不法占拠されたとみなすのか。大臣、率直な御所見をお伺いしたい。

上川国務大臣 当時の経緯について御説明がございましたが、国際法上の今の認識につきましては、私自身、今軽々に申し上げることができない状況であります。今の二者択一の選択肢のどちらかを選べという御質問でございますので、いずれにしてもそういうことでありますので、しっかりと答弁をさせていただくべく検討してまいりたいと思います。

松原委員 これは、次回、私もまた質問する機会がありますから、明確に答弁いただきたい。

 私は、これは武力であるとも言い難いし、自然体とも言い難い、しかし、現実に韓国は不法占拠している、こういった事実になっているわけであります。

 仮定の質問をしても大臣はお答えにならないと思いますが、韓国との間には歴史的な様々な経緯があるのでこういったことになると思いますが、全く異なった第三国がしてきた場合は違う対応をするのかどうかも本当は確認したいわけでありますが、時間の都合でこの場では申し上げませんが、私は、少なくともこの韓国の併合というか不法占拠に関しては大臣も認めたわけでありまして、この不法占拠はいつ解決できるんですか。大臣としては、当然日本の国の外務大臣ですから、見通しをおっしゃっていただきたい。いつ解決しますか。

上川国務大臣 いつということを明確にお答えすることはなかなか難しいことでございますが、今のような事態が生じたときに、しっかりと遺憾の意を表明するとともに、この解決に向けて両国間でどういう対応をすることができるのか、また、日本としてのことにつきましても絶えず検討しながら、その状況の中で進めているところであります。

 今のような状況が長く続いている状況は必ずしも好ましくないというふうには思っておりますが、何といっても外交の場面でありますので、その意味で、慎重に、よく情勢を見ながらしっかりと対応してまいりたいと思っております。

松原委員 今の大臣の御答弁で、協議をして解決する、言葉対言葉の協議をして解決していく、こういうふうに聞こえたわけでありますが、今日の朝日新聞には、例のEEZ内の中国のブイ放置十か月と大きな記事が載っていますよ。これも遺憾だ遺憾だと言いながら十か月。片方は、遺憾だ遺憾だと言いながら七十年。七十年が百年になり、二百年になって、それでも遺憾だ遺憾だということで日本の外交はいいとは思っておられないと思います。

 そこで、お伺いいたしますが、こういった日本側の対応というのはなぜ現実的な行動が取れないのか、協議以外のものがないのかということになってまいりますが、日本国憲法の前文がこういった日本側の態度と関係を持っているかどうか、実は若干関係しているんじゃないかと私は思っておりますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

上川国務大臣 日本国憲法九条や同前文でございますが、我が国が平和主義及び国際協調主義の立場に立つということを宣明したものでありまして、我が国はこの理念の下に国際社会の平和と繁栄に貢献してきたものでございます。

 その上で、我が国としては、仮に他国から我が国領域に対します侵害がある場合につきましては、我が国の領土、領海、領空、そして国民の生命と財産を断固として守り抜くという強い覚悟を持って冷静かつ毅然と対応していく、こうした方針でございます。

松原委員 我が国の領土、領空、領海を断固として守ると。

 断固として守るということは当然主権国家として必要でありますが、今回の韓国の七十年の経緯、そして、かつては李明博大統領が上陸したりしていた、このときに断固として日本政府は我々の領海、領空、領土を守ったんですか。大臣の御所見をお伺いしたい。

上川国務大臣 過去の歴史的事実につきましてコメントするということについては、私自身、軽々に申し上げることができない状況の中で、多分、そのときの判断でなさったものというふうに思っております。

 私は、今こうして預からせていただいておりますが、その時々の状況の中でどのような対応をしていくのかということについては、今の段階で私が申し上げられるのは、この件については、これについて遺憾の意を表明し、そして、先ほど御質問のとおりの対応をしているという状況でございます。

松原委員 異なことをおっしゃる。ちょっとおかしいですよ。過去のものは私は言いませんと。

 政治の一貫性から考えたらば、一貫性の中で我々は判断するんじゃないですか。イギリスのエドマンド・バークという哲学者が言っていたことは、政治というのは現在の我々と過去の我々と未来の我々が一緒に行う共同作業だと言っているんですよ。過去の我々のプライドや在り方、未来の我々の子孫のプライドや在り方、その中で我々が行動するのであって、過去のことは知りません、私は分かりません、コメントできません。全くもって不可解、奇怪千万であります。もう一回答えてください。そんないいかげんな答弁はないでしょう。

上川国務大臣 歴史の経緯に遡ってその淵源をたどるというのは極めて重要な行為だと思っております。その意味では、現在の中におきましても、過去の経緯を積み重ねながら今に至っているということを十分にベースにしながら今の外交をしていくということ、これについてはそのとおりだと私も思っておりますし、そのような方向で進めているところでございます。

松原委員 であれば、先ほどの答弁はやめてもらって、きちっと大臣の胸のうちをこの場で吐露してください。今の信念を持っているんだったらさっきの答弁はおかしい。ちゃんと大臣の本音を言ってくださいよ。僕は大臣の本音が聞きたい。

上川国務大臣 申し上げてきたとおりでありまして、今の私の立ち位置の中で、過去の様々なやり取りの中で、外交の中で、日本は平和主義に基づいて、また、国際協調主義に基づいて対応していく、そうした姿勢でこの間先人たちが積み上げてきたものの上に今があるわけでございますので、そのような方向でこれからも進めてまいりたいと思っております。

松原委員 従来積み上げてきたものというのは、韓国が竹島を七十年占拠したことを踏まえてということですね。そういうことですよ。韓国が竹島を七十年不法占拠してきたことを踏まえて、それを前提にして物を考える、そういうことですか。答弁してください。

上川国務大臣 今、ここに至る過程の中で、領土、領海、領空を守る、そして国民の財産と生命を守る、この方針の中で、今ある行為について、先ほど来説明したとおりでございまして、これは日本の主権に関わる部分であるということで抗議をしているところであります。その考えの下でこの間もやってきたところだと考えております。私もその意味では同じスタンスで臨んでいるところであります。

松原委員 大臣を前に、大変恐縮です。何をおっしゃりたいのか全然分からない。言っている意味が分からないですよ。私の質問に対しても正確に答えていない。分からない。まず、この委員会で分からないようなことをおっしゃると、韓国だって分からないですよ。明確におっしゃってくださいよ。

 断固として守るといって、かつての流れで、そのかつての流れが韓国の今に対する流れにもなるし、竹島問題は、これも次でやろうと思っていましたが、時間が大分なくなって困っていますが、尖閣も同じになりますよ。

 尖閣もアメリカの射爆場だった。竹島も射爆場だった。アメリカは日米合同委員会で日本に返した。韓国が不法占拠した。尖閣も同じ射爆場。アメリカが日本に戻した。中国が領有権を主張して、日本はまさに協議、話合いで全てを解決するという姿勢。その姿勢は大事ですよ。大事ですが、その結果として竹島は七十年不法占拠されている。尖閣もそのようになる可能性が大きい。

 中国だって見ていますよ。日本は韓国に対して、日本が経済的に世界で最も強い強国の一つだった時代に折れたじゃないか。今回、我々が射爆場だった同じところを同じようにやって、彼らはやってこないよ、大丈夫だよと。彼らにそういう経験値を与えるということは、私は日本の外交上マイナスだと思っている。

 だから、今、上川さんが新しい日本の外務大臣としてその様々なギャップをどう取り戻すかということを聞いているんですよ。もう一回答弁してもらえませんか。

上川国務大臣 冒頭の御質問に対して申し上げたところでありますが、竹島が、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本固有の領土であるということに鑑みまして、今起きている竹島上陸というこの行為につきましては到底受け入れることができず、極めて遺憾であり、強く抗議するとともに、再発防止を強く求める、この申入れをしてきたところでございます。

 それぞれ、竹島問題につきましては、国際法にのっとり、冷静かつ平和的に紛争を解決するという考えに基づきまして、様々な検討、準備を行っているところでございます。これからも種々の情勢を総合的に判断して適切に対応する考えでございます。

松原委員 時間が押してきてしまったので、本来であれば、二〇一〇年のメドベージェフ北方領土上陸のとき、日本は日本大使を召還している、二〇一二年の李明博韓国大統領竹島上陸のときには向こうの日本大使を召還している。今回はそういう行動は取るんですか、取らないんですか、お伺いしたい。大臣。

上川国務大臣 過去、今委員が御指摘のとおり、二〇一二年の時点でありますが、李明博韓国大統領の竹島上陸を受けまして、当時の玄葉外務大臣から韓国の外交通商部長官及び駐日大使に対し抗議を行ったほか、当時の野田総理大臣から李明博大統領に対し遺憾の意を伝える書簡を発出されております。また、駐韓国の大使を一時帰国させているところでございます。

 今回同じような対応を取るかということにつきましては、今回は、先ほど申し上げたように遺憾の意を表明するということでございまして、その先の同じような対応を取るかという御質問に対しては、その時々の判断ということでございますが、今のところ想定しておりません。

松原委員 大臣は、今回のことは、そこまで怒りがない、そこまで怒っていない。怒りも起こらずに行動するぐらいのレベルの怒りだった。こういうことですな。残念です。

 時間の都合で二問飛ばしていきます。本当は、マネロンとか大使館の問題、相互主義をやりたいんですが、PKKについてお伺いいたします。

 日本国内のクルド人が、トルコ政府がテロ組織とみなすとともに、EU、米国も同様の立場を取るPKKの旗とともに写る写真を明示している。このことと構成員であることの相関性についての認識があるか、問います。警察。

千代延政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、警察法第二条に定める公共の安全と秩序の維持という責務を果たすため、必要な情報について収集及び分析を行っておりますが、個別の団体や個人につきましては、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきます。

 我が国を取り巻く国際的な情勢が目まぐるしく変化している中、警察といたしましては、引き続き治安対策に万全を期してまいる所存でございます。

松原委員 関係があるともないとも言わなかったという認識であります。関係があるかもしれないし、ないかもしれない。PKKとなると、これは国際的にテロ組織というふうに認識されているわけでありますから、関係があるとかないとか、明確に簡単に言えないというのが認識としてあるわけであります。

 一般社団法人日本クルド文化協会について、トルコ政府が、PKKに資金提供しているとし、テロ組織支援者と認定し、トルコ国内の資産を凍結したが、日本の警察庁はテロ組織支援者という扱いをするのか、お伺いします。

千代延政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、警察法第二条に定める責務を果たすため、先ほど申し上げましたとおり、平素から必要な情報収集、分析を行っておりますけれども、個別の団体、個人につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論として申し上げれば、警察は、事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に捜査することとしております。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、引き続き治安対策に万全を期してまいる所存でございます。

松原委員 今、私の質問は、テロ組織支援者というこの表現自体が日本にはないということだから、該当するかどうか言えないということで私は認識しております。

 それで、PKKは、国連安保理決議一二六七を踏まえた我が国が実施する財産の凍結等に関する特別措置法に基づく指定がされている国際テロリストか、お伺いいたします。

千代延政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのクルド労働者党、PKKにつきましては、当時の国際テロリスト財産凍結法第四条第一項に基づき、国際連合安全保障理事会決議第千三百七十三号により、その財産の凍結等の措置を取るべきこととされている国際テロリストとして平成二十七年十月三十日に指定されており、その後、現在に至るまでその指定が延長されているところでございます。

松原委員 したがって、我が国にあるPKK財産は凍結されるのか、お伺いします。

千代延政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、クルド労働者党は、国際テロリスト等財産凍結法に基づき財産凍結等の措置を取るべきこととされている国際テロリストとして指定されておりますので、同法に基づき、国内取引に対する財産の凍結等の措置が取られる対象でございます。

松原委員 我が国からPKKへ送金を行うことは許可されるのか、質問します。

梶川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の団体は、現在、外為法に基づいて、テロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象者になっておりまして、当該措置の趣旨に鑑みまして、同団体に対する送金について許可することは想定してございません。

松原委員 PKKは、EU、アメリカ以外にも、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダにおいてテロ組織として制裁対象か、お伺いします。

松尾政府参考人 本日現在把握している範囲では、EU、米国、英国、オーストラリア、ニュージーランド及びカナダにおいてはPKKを制裁措置の対象としていると承知しております。

松原委員 PKKについては、こういったやり取りをさせていただきましたが、冒頭の質問に関して、現在、日本にあるPKKの旗をバックにしたり、また、PKKのテロを大変に褒めたたえる歌を歌った民族祭がかつて行われたということも我々は承知しております。その歌は最近は歌われなくなったということでありますが、こういったことが一部地域で、もちろん、現状は関係性がほとんどないと警察が判断するようなものであっても、ある瞬間にそれが変わってしまうリスクというのは常にあるわけであります。

 私は、その意味において、PKKの活動が日本においてまだ行われていませんが、これから行われる可能性はあると思っておりまして、そういったことに対して予期することが必要だと思っております。このことについての大臣の御所見をお伺いいたします。

上川国務大臣 国際的なテロ組織がそれぞれの国におきまして様々な活動をしているということについて、日本としては、いずれも注意深くこれを監視していかなければいけないと思っております。

 いずれの国、地域におきましてもこうした活動が様々な事態につながり得るということも想定して考えますと、注意深く監視していかなければいけないと考えております。

松原委員 その答弁でいいと思いますよ。それ以上は踏み込めないし、注意深く見ていく。お答えいただいた後ろの政府参考人の方々も、閣僚の一人、閣議に参画する一人がこのような重みのある発言をしたということを是非とも理解していただいて、PKKの活動に関しては注意深く注視する必要を申し上げておきたいと思います。

 冒頭の質問を含めて、今日は質問を積み残し、次回に行いますが、もう少し、歯切れがいい必要はないけれども、何をおっしゃっているのか分かるような、委員会ですから、皆様に対して、我々だけではなくて、海の向こうにいる他の国の人たちに対しても日本の外務大臣は何を言おうとしているのか分かるような、そういう答弁を次回の質疑においては心より御期待申し上げて、今日の私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

勝俣委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 なかなか厳しい松原委員の後にちょっと優しくいくかもしれませんが、もしかすると秋には総理大臣になっている上川大臣にお聞きいたしたいと思います。公明党さんも、秋以降に選挙をやれというのは、多分、総理を替えてという裏があるというふうに報道でも出ていますが、そういう期待も世論調査でも出ているということで、そういう意味では、上川大臣も国家を背負ってしっかり答弁していただきたい。

 順番をたがえて、バイデン大統領の発言について、政府としては官房長官がコメントを出しておりますけれども、ゼノフォビア、ゼノフォビックな国というのは、私は英語はそんなに得意ではないんですが、この言葉は単に外国人嫌いというふうに日本のマスコミでは訳されていましたけれども、実際には、差別的な外国人排斥といった意味も含んでいる単語だと承知しているところであります。

 ロシアや中国と並べてこれがされたということは非常に遺憾なところでもありますが、一方で、日本は、移民政策を取っていないといいながらも外国人労働者を拡大していく。国際的な移民という定義であれば入るんだけれども、あくまでも外国人労働者で移民ではないというふうに建前と本音を使い分けているところにもこうした国際的な日本に対する認識のゆがみが出てしまっているのではないかと私は考えています。

 そうした点を踏まえて、改めて外務大臣に、ホワイトハウスは火消しには走りましたけれども、バイデン大統領のこうした外国人に排他的な国であるという発言に対して、大臣の見解をお伺いいたします。

上川国務大臣 御指摘のバイデン大統領の発言は承知しております。

 このバイデン大統領の発言の中に日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言があったことにつきましては残念であり、米国に対しては、この点を申し入れるとともに、日本の考えや施策を改めて説明したところであります。

 ジャン・ピエール・ホワイトハウス報道官は、大統領が言いたかったのは、我々が国家としてどのような存在であるかというと、我々は移民の国であり、それが我々のDNAだということであると説明した上で、対日関係は重要な関係であり、深く永続的な同盟関係であると述べたとも承知しているところであります。

 いずれにいたしましても、四月の岸田総理大臣によります米国公式訪問において内外に示したとおり、日米関係はかつてなく強固であり、引き続き米側と、同公式訪問の成果も踏まえ、日米関係の一層の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

小熊委員 また後日時間があるときに質疑いたしますけれども、先ほど申し述べさせてもらったとおり、国際移住機関、IOMの定義での移民と日本政府の国内向けに説明している移民の定義のずれがいろいろな国際社会での認識の違いにつながっていると思います。

 バイデン大統領が言う前に、日本はゼノフォビックな国と日常で指摘されているところでもありますので、こうした外向けの話と内向きの話がずれているという点、これから外国人労働者が拡大していくということですから、間違った対応にならないように、世界発信にならないように、この点についてはまた後日議論させていただきます。

 続きまして、大臣、外遊お疲れさまでございました。とりわけ、スリランカでの債務問題解決に向けて日本政府が協力していくことを確認できたということは大いに評価したいところであります。

 先日の外務委員会でも、いわゆる中国の対外債務の問題、債務のわなとも言われている問題について質疑させていただきましたけれども、スリランカもそうしたことで国家的な財政破綻になってしまったという点、日本も貸していますから協力しようということで、また、G20でも、国際社会の中でしっかり公平にもう一回再編しようという合意がなされている中での取組の一つだというふうにも理解しています。そうした中で、スリランカで確認したということは、一歩進んだなという感じがあって、よかったと思います。

 あわせて、スリランカだけではなくて、ほかの国もこういった債務超過の問題がありますから、とりわけまず初めにお聞きしたいのは、大臣も前にサモアに行っていただきました。のろけ話になるかもしれませんが、うちの妻が協力隊で行っていた国でもあり、私も超党派の議連の事務局長を務めておりますので、サモアの方も、初めて大臣が来たということで、もしかすると未来の総理かもしれないとサモアの方にも言っておきましたけれども、非常に喜んでおりましたが、PALM10、島サミットが東京で七月に行われます。島嶼国の中にも中国への債務が非常に莫大なものになっている国々が、島がありますので、PALM10の中でもこうしたものを議題にしながら解決に向けた取組をしていくべきだと思いますけれども、大臣、答弁をお願いいたします。

上川国務大臣 途上国に対します開発金融でございますが、債務持続可能性を考慮しながら行われるということが重要であると考えております。御指摘いただきましたとおり、太平洋島嶼国におきましても、適切な債務管理を含みます財政の安定化は重要な課題と認識しているところであります。

 こうした認識の下、我が国は太平洋島嶼国に対しまして債務管理や財政運営に関する技術協力を行い、財政安定化支援を実施してきているところであります。

 前回のPALM9におきまして、重点協力分野の一つとして、持続可能で強靱な経済発展の基盤強化を打ち出しまして、債務持続可能性等の国際スタンダードにのっとった質の高いインフラ開発の重要性を強調したところであります。

 私が今年二月に共同議長を務めましたPALM中間閣僚会合におきましても、質の高いインフラの開発における継続的な協力を確認したところでございます。

 我が国といたしましては、七月のPALM10の機会も活用しつつ、今後も引き続き、太平洋島嶼国の債務管理能力の強化に協力するとともに、この地域の持続可能な経済発展に貢献してまいりたいと考えております。

小熊委員 そもそも島嶼国はいろいろな意味で脆弱な国々でもありますので、しっかりとした国際的な連携の下で発展に寄与していかなきゃいけないと思っていますので、是非PALM10でしっかり成果が上がることを御期待申し上げる次第であります。

 今、PALM、島嶼国のことも言及していただきましたけれども、アフリカを始め、いわゆるグローバルサウスといった国々は、対中債務が非常に大きな比率になっている国々があります。

 今回、スリランカには日本もお金を出しているので、平等、公平にやっていこうということで再編に向けての確認をしたわけでありますけれども、日本が今後こうした債務のわなのくびきを解いていく優先順位というか、それは日本の関わりが多いところから始めていくのか、それとは関係なく、世界の安定のためにとにかくすべからく対応していくのか。世界的な広がりの中でどう債務のわなを解消していくのか、優先順位があるのか、日本の関わりの深いところからやっていくのか、そうした点も含めて御説明をお願いします。

上川国務大臣 我が国は、G20あるいはまたパリ・クラブ、こうした国際的な枠組みの下で債務問題の議論に参画しているところであります。例えば、低所得国を対象とするG20の共通の枠組みに係る債務再編交渉への参加や、他のG7等とも緊密に連携しながら積極的に取り組んでいるところでございます。

 先ほどスリランカのことについて触れていただきましたけれども、スリランカにつきましては、債務再編を日本としては共同議長として主導するという立場で関わりを持っているところであります。

 私がスリランカを訪問した際にも、ウィクラマシンハ大統領やサブリー外相に対しまして、スリランカ政府による債務問題に関しましての取組、また改革努力につきまして、目下精力的にやっていただいているということで評価するとともに、債権国会合との債務再編に係る覚書に早期に署名すること、及び、全ての債権者との間で債務再編を透明性及び公平性が確保された形で速やかに進めていくことの重要性について強く申し入れたところであります。

 途上国における債務管理能力の不足も懸念すべき課題でありまして、先ほどの太平洋島嶼国と同じように、アフリカ各国に対しましても、他の国々に対しましても、債務の管理及びマクロ経済運営のアドバイザーを派遣し、各国の職員が自ら自分たちの債務問題を取り上げて、公的債務・リスク管理強化についてしっかりとスキルを持てるように研修を実施しているところであります。

 債務管理能力を自らが強化していくための支援ということにつきますと、これは持続可能な取組につながっていくと考えておりますので、財政の健全化に資するこうしたことにつきましては積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

 優先順位について御質問がございましたが、今、それこそ共同議長を務めているスリランカ、こういったそれぞれの国々に応じて、そして他の国との連携の中でしっかりと、国際的な非常に重要な問題であるとの認識の下で対応してまいりたいと考えております。

小熊委員 肝腎の債務のわなの仕掛け人である中国に対してどうやるかということが非常に重要であって、親中派とか嫌中派という言葉は私は余り好きじゃないというか、それは誤りであって、外交は好き嫌いでやるものでもないし、武井さんとも超党派の議連で中国をよく訪れて、行くからこそ厳しいことも言えるということで、海外援助のことについても我々は厳しく言っています、やり方がおかしいよと。

 この間言ったとおり、世界のGDPシェアでは、かつての日本の一七・五%がピークでしたけれども、今、中国がそのぐらいのGDPであって、国際支援もしているけれども、日本のような評価を受けているわけじゃないですよね。

 中国は債務のわなという自覚がないんですよ。人民日報なんかでは、中国は長年にわたって低金利で長期間でいかなる条件も課さないでやってきたんだと。そんなことはないでしょう。いろいろな条件、軍港を造ったりいろいろやっているじゃないですか。中国は自覚がなくて、対象国に幾らアプローチしたところで、貸してくる中国に対して厳しいことを言わなきゃ駄目ですよ。中国が自覚がない。いろいろな中国の報道ベースで見ると。これは国際的に泥を塗る間違った行為だとまで言っている。

 中国に対してこの債務問題に日本は厳しく当たるべきだと思いますけれども、時間がないので、大臣、端的にお願いします。

上川国務大臣 まさに、中国の途上国向けの融資につきましては、OECD等の多くのドナーが参加するルールまた枠組みに依拠せず不透明である、こうした指摘がなされているところであります。

 また、中国は、パリ・クラブ参加国の総額を上回る低所得国向けの債権を保有しているほか、債務問題に直面する国々におきましても中国が最大の債権者となっている例も見られます。その意味で、委員が御指摘のとおり、債務問題の解決には、中国を巻き込んだ形で議論するということが不可欠と考えております。

 中国を含めまして、先ほど申しましたG20で共通枠組みが用意されたところでございます。中国を含む全債権国が低所得国の債務再編に透明かつ公正に取り組むべきことの重要性については、G20を含みます様々な場で指摘しているところでございます。中国との二国間協議におきましても、国際ルール、スタンダードを遵守した透明で公正な開発金融の重要性については問題を提起してまいりました。引き続き働きかけを強めてまいりたいと考えております。

小熊委員 最後に一言。

 日本は国際支援に関して世界一だと僕は思っています。是非日本がリーダーシップを発揮して中国をしっかり導いていかなければいけませんし、日本の貸金業のCMにもありますけれども、御利用は計画的にというのもありますから、あのCMを中国にも見せてあげたらいいんじゃないですかね。そういう気持ちでやらなきゃいけないよということを指摘させていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

勝俣委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十七分開議

勝俣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 大臣、参議院の本会議、お疲れさまでございました。

 まず最初は、参考人に答えていただければと思います。

 先日台湾で地震がありまして、それに対する百万ドルの支援を我が国が表明したということがありました。この経緯をまず参考人から御説明いただきたいと思います。

濱本政府参考人 お答えします。

 四月三日に発生した台湾東部における地震につきましては、発生直後から、日本政府として必要な支援を行う用意がある旨を表明してきたところでございます。支援のニーズを含めて台湾側と意思疎通をし、四月五日午後、政府として、日本台湾交流協会を通じ、百万ドル規模の緊急無償資金協力による支援を実施することを上川大臣から表明し、四月九日に決定したということでございます。

 日本と台湾は、コロナ禍も含め、これまでも困難に向き合うたびに互いに支え合ってきておりまして、能登半島地震の際も台湾の皆様から心温まる多大な支援をいただいております。

 先般の支援は、日本政府として、被災者の救援と被災地の一日も早い復旧復興に向け、台湾側のニーズに応じて必要な支援を積極的に行っていくという考えから決定したものでございます。

源馬委員 もう少し細かな経緯を教えていただけたらと思います。

 四月三日の午前九時に震災が発生して、四月五日午後に表明されたわけですね。どのような手続やどのようなニーズの調査をやって、いつ支援を決めたのか、教えてください。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 地震が発生したのが四月三日でございます。それ以降、台湾側と、日本台湾交流協会を通じ、どのようなニーズがあるか意思疎通をするとともに、支援要請があれば迅速に対応できるよう準備を進めていたということでございます。

 その上で、四月五日の午前のタイミングでは、上川大臣の方から、現時点では台湾側からの支援の要請はないと御説明したところでございます。その上で、ニーズを含めて台湾側と意思疎通し、支援要請があれば迅速に対応できるよう準備を進めていると申し上げておりました。

 その後、台湾側と更なるやり取りを行った結果、同日午後、百万ドル規模の無償資金協力による支援を表明したということでございます。

源馬委員 ちょっと先走って答えていただいたと思いますけれども、今おっしゃるとおり、四月五日午後二時五十八分に記者会見でマスコミに対して大臣が百万ドルの支援を表明したわけです。

 その日の午前中、外務委員会をやっているんです。私も上川大臣に質問しています。台湾に対する具体的な支援策、支援金なのか分からないけれども、今検討しているものがあれば教えてくださいと。これを答えなかったわけですね。ということは、この時点では検討していなかった。でも、午後になったら急に検討して決まったんですか。そんなことはないと思いますが、これはいつ決まったんですか。

 午前中の時点では大臣は台湾側からの支援要請はないと言っていましたが、本当にないんですか。午前中は支援要請がなくて、午後になって三時までに決めちゃうんですか。大臣がお答えください。なぜ台湾側からの支援要請はないというお答えをしていたのか。

上川国務大臣 台湾への支援につきましては、少しでも力になりたいという思いがございまして、被災者の救援におけるニーズ等も総合的に勘案の上、決定したものでございます。

 四月五日の午前の時点で、委員からの御質問に対しまして、私から、現時点でありますが、台湾からの支援要請はないと申し上げた上で、日本台湾交流協会を通じ、支援のニーズを含めまして台湾側と緊密に意思疎通をし、支援要請があれば迅速に対応できるよう準備を進めていると答弁をさせていただきました。

 その後、台湾側との更なるやり取りを行いまして、そして、同日の午後でありますが、百万ドル規模の緊急無償資金協力による支援を表明したものでございます。

源馬委員 私は、この質問のときも、台湾へ支援してくださいという趣旨でもちろん質問しています。私のほかに鈴木庸介委員や公明党の金城先生も同じ趣旨で御質問されていましたが、同じように台湾側からの支援要請はないと四月五日の午前中には言っていた。それから急に支援要請があり、そこからいろいろ決めて二時五十八分に間に合うんでしょうか。

 私は、これは国会軽視じゃないかと思うんです。外交の機微に関わることを言えないというのは、私は異論がありますけれども、まだ百歩譲って理解できるところはありますが、台湾への支援を実質的に決めていたのに、国会での質問には答えなくて、午後マスコミに答える。これは明らかに国会軽視じゃないかと思いますが、大臣の御認識を伺いたいと思います。

上川国務大臣 台湾側との間でどのような具体的なやり取りがあったかということについて申し上げることは差し控えさせていただきますが、政府としては、日本台湾交流協会を通じまして、支援のニーズを含めて台湾側と緊密に意思疎通をして、支援要請があれば迅速に対応できるよう、そのための準備を進めてきたところであります。その意味で、やり取りをしてきた上で、このタイミングの中で最終的な意思決定をしたと思っております。

 現地に支援のチームを派遣するとか、様々なニーズがあり得るということを想定しながら準備を進めてきているところでありますので、その中で、今のようなタイミングの中で最終的な決定をしたということであります。

源馬委員 私が伺っている趣旨と違うんです。

 事前に外務省にもっと細かな経緯を伺ったら、三日に発災して、四日には支援する手続を始めていた、緊急無償でやろうというところまで話は決まっていた、三日のうちには被害状況の把握、確認は済んでいた。外務省が事前に教えてくれました。

 ですから、四日の時点では手続も済んでいるわけですよ。額は最終的に決まっていなかったとしても、緊急無償を使って、ニーズは大体このぐらいあると。これも伺いましたが、二〇一六年のときの震災よりも被害は大きそうだ、そのぐらいの規模より大きいものを検討していた。四日と五日には緊急無償について財務省と協議もしていた。

 参考人、この経緯でよろしいですか。外務省から事前に伺っていますが、正しいですね。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 地震が発生したのは四月三日でございまして、それ以降、支援要請があれば迅速に対応できるよう準備を進めていたということでございます。そして、そのことは五日の午前の時点での御説明でもこの場で差し上げたというのが経緯でございます。

源馬委員 いや、違います。

 では、支援要請はいつあったんですか。

濱本政府参考人 四月五日午前のこの場でも御説明しましたとおり、恐らく十時頃ではなかったかと思いますが、委員の質疑の時間、その時点におきましては支援要請はなかったということでございます。そして、その上で、台湾側と様々なやり取りを行った後、午後には支援の表明を行ったということでございます。

 同時に、地震発生以降、支援要請があれば迅速に対応できるよう、我々としては準備を進めていたということでございます。

源馬委員 支援要請は委員会の時点ではなかったけれども、その後、記者会見の前にあったんですね。

濱本政府参考人 御指摘のとおりでございます。

源馬委員 だったら、大臣、そう答弁していただけたらよかったんじゃないですか。我々は準備しています。あとは、支援要請があれば、すぐ百万ドル規模で緊急無償を使ってやりたいと思っています。準備しています。ただ、今のところ、支援要請がもうすぐ来るであろうという段階ですという答弁をしても全然おかしくないんじゃないですか。

 ここを全く無視して、国会での答弁では、ありませんと、具体的なことを含めて、迅速に対応できるように準備を進めているところでございますという答弁を午前中のうちにしておいて、午後にマスコミに百万ドルですというのは、これは野党だからかなと思ったら、与党の先生の質問にもそう答えているわけです。国会軽視だと思いますが、いかがですか、大臣。

上川国務大臣 経緯については今のようなやり取りだということでありますが、どのようにそれを皆様の質問に対してしっかりお答えするかということについては、今委員御指摘のような部分について丁寧さを欠いていたのではないかと私自身は思っております。

源馬委員 そういうことなので、申し訳ないですけれども、上川大臣もお答えしないということがこの外務委員会の場でもすごく多いと思うんですよね。以前はキックバックの話もありましたが、国会にはできるだけ真摯に向き合っていただいて、できるところはしっかり答弁していただきたいと思います。

 今回は、午後の記者会見を見て顎が外れそうになりましたよ。さっき、まだ決まっていないと言ったじゃないかと。これは非常に問題だと思いますので、是非今後改めていただきたいと思います。一言お願いします。

上川国務大臣 この場に立たせていただいて、答弁についてはしっかりと丁寧にお答えするということを信条としておりますので、基本的にはそういう姿勢で臨んでいるところでありますが、ただいまの件も含めまして、御質問に対してその時点で発言できることについては丁寧に説明するということに更に心がけたいと思っております。

源馬委員 余りしつこくなるとあれなので、これで終わりますが、大臣は恐らくそのときは知っていたわけですよね、百万ドル用意があると。それとも、知らずに外務省がこの答弁を作って、そのとおりなんだと大臣は思っていらっしゃって、午後になったら記者会見にこういうふうに入れてくださいというのを突然知らされたんですか。

 午前中の委員会の時点で大体こうなるというのはレクを受けていて、でも、まだ発表しないという答弁で、そのとおりやったのか。それとも、外務省側が、午前中の答弁ではまだ決まっていないかのような答弁を用意して、そうなんだと大臣は思われていて、午後、記者会見になって、突然決まったというのを読まされた。どちらなんですか。

上川国務大臣 今、そういうふうに御質問なさると、どうだったのかなというふうに思うんですけれども、私の中には、この支援のことについて、いろいろな支援の要請があるのではないかと思っておりました。

 先ほど申し上げたように、支援チームを派遣するとか、あるいは医療関係でありますとか、ボランティアの方も含めましていろいろな可能性がある。その支援の内容のニーズがどういうものなのかというのを測りながら、その中のメニューとしてはあると思いましたけれども、それについて具体的に、それをもって支援の全てであるという認識ではなかったので、一連の様々なニーズにどう応えられるのか、今、災害の現場に行きましても、当該の地域においてはなかなか受入れが難しいということで、警察犬などを準備して現場に行くということもございますので、そういうことがもし要請があればすぐにそれができるようにしていくというようなことを、いろいろな可能性について検討していた。そして、検討しているということでありましたので、その中の部分についてはその意味で今の答弁については考えておりました。

源馬委員 我々も国民を代表してこの委員会で質問しているわけなので、マスコミに向けた記者会見ではなく、しっかり丁寧に答弁していただきたいと思います。お願いいたします。

 それから、岸田政権の外交方針について伺いたいんですが、前提ですが、当然、上川大臣も岸田総理と外交方針は共有して、一致しているということでよろしいですか。

上川国務大臣 外交方針ということで、総理大臣の外交方針の下にそうした取組をしております。

 外交の現場は様々な動きがございますので、そういったこともできるだけフィットする形の中でやっていくというのが私は外務大臣としての役目だと思っております。

源馬委員 私も先日、帰朝報告の質疑で本会議でも伺いましたけれども、岸田総理も法の支配に基づく国際平和のようなお話もされています。これも当然共有されていると思います。

 法の支配に基づくといっても、例えば、この委員会でも度々ありました。ウクライナには国際法上の支援を適用するけれども、パレスチナには人道上の支援すら十分できていないのではないか、このダブルスタンダードがあります。さらには、法の支配に基づいて、ハマスに対する批判あるいはイランに対する批判はするのに、イスラエルの国際法違反は問えずにいる、このダブルスタンダードもあると思います。

 結局、このダブルスタンダードが分断を深めているのではないかという指摘もあります。例えば、ロシアや中国、あるいはトルコ、こういった国々は、日本を始めG7の国々のこうしたダブルスタンダードに強い懸念を示しているわけで、これが助長されていくことになると思います。

 この現時点でのダブルスタンダード、大臣の御認識を伺いたいと思います。

上川国務大臣 ハマス等によりますテロ攻撃を受けたイスラエルは、こうしたテロ攻撃に対し、国際法に従って自国及び自国民を守る権利を有しております。しかしながら、同時に、全ての行動は国際人道法を含みます国際法に従って行われなければならず、政府はこれまで、イスラエルに対しましても、一般市民の保護、また、国際人道法を含む国際法に従った対応等を要請してきているところであります。

 こうした点に関します我が国の立場は一貫しておりまして、今おっしゃったダブルスタンダードとの批判は当たらないと考えております。

 また、イスラエル政府は引き続きラファハにおきます地上作戦について言及しているところでありますが、この地域につきましては多数のパレスチナ避難民が集中しておりまして、そのような状況下で軍事作戦が継続すれば更に多くの犠牲者が発生する惨事となり、人道支援活動がますます困難になることは明らかであります。こうした状況下でのラファハへの全面的な軍事作戦については、我が国としては反対であります。

 非常に厳しい現地の情勢を我が国といたしましては非常に深く憂慮しておりまして、とりわけ、人道支援活動が可能な環境が持続的に確保され、また、人質の解放が実現するよう即時の停戦を求めるとともに、それが持続可能な停戦につながることを強く期待しているところであります。イスラエル側に対しましても、こうしたラファハへの状況への懸念に言及しつつ、こうした行動を強く求めてきているところであります。

 事態の鎮静化に向けましてあらゆる外交努力を重ねてまいりたいと考えております。

源馬委員 これについては、時間がないので、また引き続きいろいろお伺いしていきたいと思います。

 最後に、先月の柘植副大臣の海外出張について伺いたいんです。時間がないので、参考人に短く、どういう日程でどういう成果があったのか、教えていただきたいと思います。

長徳政府参考人 お答えいたします。

 柘植外務副大臣は、四月二日から八日にかけ、首都メキシコ市、それから、約三百の日系企業が所在するグアナファト州、並びに全国日系人大会及びジャパン・エキスポが開催されましたモンテレイ市を訪問いたしました。

 メキシコは、我が国と百二十六年の外交関係を有する戦略的グローバルパートナーであるほか、約千三百社の日系企業が進出し、さらには七万九千人もの日系人社会が存在するなど、外交、経済、日系人のいずれの観点でも我が国にとって重要な国でございます。

 今次訪問では、メキシコとの外交、経済関係強化に加えて、同国の日系人との連携強化等の観点からも極めて有意義な訪問となったというふうに理解しております。

源馬委員 私も、外務大臣や政務三役が海外に出張されるのは大事なことだと思っています。日本の国益に資するようにしっかりやっていただきたいと思うんですが、今回の柘植副大臣の出張は国会会期中に六日間も行っているわけですね。日系企業の視察とかは大事ですけれども、国会をやっていないときでもいいんじゃないか。出なきゃいけなかった日系人の大会とか、そういうことに行っていただくのはしっかり行っていただきたいと思いますが、別の予定まで組んで六日間も国会会期中にいなくなるというのは、ちょっとその在り方も考えた方がいいと思います。時期をずらしてもいいし、視察は別の機会でもいいのではないかなと思います。

 これは時間がないので答弁を求めませんが、これから海外出張についてもいろいろあると思いますので、検討していただければと思います。

 終わります。

勝俣委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。

 今日はウィーン条約について伺わせてください。

 最近つとに思うのは、世界中で、外交官の立場を守るとか、大使館を攻撃しないといった当たり前の約束事が守られなくなってきているのではないかなというニュースがよく耳に入ってまいります。

 ウィーン条約というのは、これは皆さんには釈迦に説法ですけれども、外交活動の前提で、この前提が崩されてしまうと秩序が成り立たなくなり、何でもありになってしまう。今週も、外交官ではありませんけれども、アメリカ人がウラジオストクで拘束されたり、ロシアによるウクライナ侵攻以降にこうした動きが顕在化しているという指摘もあるところでございます。

 そうした中、まず、二〇二二年九月に発生したウラジオストク総領事館員の拘束について聞かせてください。

 この事件は、ロシアの連邦保安局がウラジオストクの日本総領事館の領事を目隠しして拘束して、解放、その後、四十八時間以内にロシアを出国するように通告したものでありますけれども、ロシア側は、日本の外交官がロシアとアジア太平洋地域の他国との協力関係に関する機密情報を金銭と引換えに受け取っているところを拘束したとしております。

 まず、この事件についての大臣の見解を伺わせてください。

上川国務大臣 委員お尋ねの件でございますが、二〇二二年の現地時間九月二十二日、ロシアのウラジオストク市におきまして、在ウラジオストク日本国総領事館の館員が、ロシア連邦保安庁の職員により両手及び頭を押さえつけられたところであります。この館員は、身動きが取れず、かつ目隠しをされた状態で連行され、威圧的な取調べを受けたと承知しております。

 その後、現地時間九月二十六日に、ロシアの外務省から在ロシア日本国大使館に対し、当該総領事館員が違法な情報収集活動を行ったことを理由に挙げ、同館員をペルソナ・ノン・グラータとしてロシアから退去するよう要請があったところであります。

 当該館員がロシア側が主張するような違法な活動を行ったという事実は全くないわけでありまして、また、今回のロシア側の行為は、領事関係に関するウィーン条約及び日ソ領事条約の明白かつ重大な違反であり、極めて遺憾であり、決して受け入れられないものであります。

 さらに、こうした不当な扱いを行った上で、当該職員に対しペルソナ・ノン・グラータを通告したことは信じ難い行為でありまして、事案の発生直後から、当時の森外務次官から当時のガルージン駐日ロシア大使に対するものを含め、累次にわたりロシア側に対して強く抗議した次第であります。

鈴木(庸)委員 今、ウィーン条約にも日ソ領事条約にも違反していて、かつ、当時の森次官が信じ難いということで、さらに、松野官房長官も、威圧的な取調べを受けて、これも信じ難いということで抗議するということなんですけれども、信じ難いということで抗議するけれども、具体的にその後、抗議した後に何らかのアクションは取ったんでしょうか。

中村(仁)政府参考人 お答えいたします。

 当該事案の発生を受けまして、九月二十七日に、当時の森外務事務次官が当時のガルージン駐日ロシア大使を外務省に召致いたしまして厳重に抗議して、そして、ロシア側からの正式な謝罪と再発防止を求めるとともに、日本政府として相応の措置を講じる、そういう考え方を述べたわけでございます。

 これを受けまして、十月四日でございましたが、森外務次官はガルージン大使を改めて召致いたしまして、その場で同大使に対して改めて強く抗議した上で、日本国政府として、在札幌ロシア総領事館領事一名についてペルソナ・ノン・グラータを通告した次第であります。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 今のロシアと日本の関係を見ていても、ロシアで目隠しをされて拘束されて、この方は大分怖かったと思うんです。

 ただ、その一方で、拘束された後に、御案内のようにFSBがビデオを公表しているわけですけれども、そのビデオを見ると、通訳の女性の方に、ロシアの法律を違反することは分かっていますかという問いに、今分かりましたと答えたり、ロシア内部の情報をもらったことを分かっているかという問いにも、今分かりましたという答え方をしている。ビデオを見る限りでありますけれども、ウィーン条約に基づいて不当な拘束であることを主張しているようには見えないんですね。

 ビデオのないところでやっているのかもしれないし、また、レストランで誰か分からない相手から書類を渡されているような映像も入っているので、正直、細かい状況は分からないんですけれども、外交官が拘束されたときの対応として、これがトラップにせよ、情報収集にせよ、一般の行動にせよ、どうであろうと、拘束されたときの行動として正しかったということについての検証ができない状況ではないかと思っております。

 ただ、御案内のように、私もウラジオストクに二回行ったことがありますけれども、軍港で、とにかく各国の情報機関がうろうろしているようなところで、監視の目も厳しいという中で、どういう形の活動をしていたのかというところについても検証をしっかりされるべきではないかと考えております。

 こういう形で拘束される日本人の外交官の方は残念ながら世界中でぽつぽついるんですけれども、不当な拘束をされたときについて、外務省として外務省職員の方にどういう対応をしろと指導しているんでしょうか。

御巫政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省におきましては、在外公館に赴任する職員に対しまして、赴任前に研修を実施しております。そうした研修を含めまして、不当な拘束など、不測の事態が発生した際の対応についても指導しております。必要に応じてその周知徹底を図っているところでございます。

 事柄の性質上、その内容の逐一を明らかにすることは差し控えさせていただきますけれども、例えば、外交官証等の提示、所属の公館への速やかな連絡等、個別具体的な状況を踏まえて、迅速かつ適切な対応を具体的に説明してきております。

 また、在外公館の館員として任務を遂行するに当たっての基本的な事項といたしまして、外交関係及び領事関係に関するウィーン条約上の身体の不可侵、裁判権免除等を含みます関連の規定についても研修を行っております。

鈴木(庸)委員 強く主張することが結果的に身を守るのではないかと、世界で活躍している外交官の皆さんが活躍しやすいように、働きやすいように、しっかりそこを指導していただきたいということと、前段がどうあれ、明確な主権侵害であるということならば、毅然として、いや、それ以上の対応をしていただきたいと思っております。

 南米では、つい先日、エクアドルで、汚職で有罪とされたグラス元副大統領を拘束するために、彼が逃げ込んだメキシコ大使館にエクアドル警察が突入するという大きな事件が発生しています。その後、メキシコは、すぐにエクアドルとの国交を断絶して、国際司法裁判所に提訴しています。

 外交には様々なオプションがあると承知しておりますけれども、先ほど既に答弁いただいた、札幌の領事一人をその対象にしたということだったんですけれども、是非、とにかく強い毅然とした対応で臨んでいただきたいと思います。

 時間がなくなってきたので、質問を二つ飛ばさせていただいて、今のエクアドルに関連して、エクアドルのやり方はかなり過激なやり方だと思うんですけれども、これでウィーン条約を損なうということについて、ほかの政府も、これは大丈夫なんじゃないか、追従する可能性のある前例をつくってしまったのではないかなという危険性について危惧しているところでありますけれども、これについて外務省はいかなる行為も非難するということをおっしゃっているんですが、これについての大臣の見解を伺わせてください。

上川国務大臣 委員御指摘の事案ということでございますが、それについては承知しているところであります。

 今の事案についてどのような対応をするかは、それぞれの国の判断に基づくものでございまして、私の方からコメントすることについては差し控えさせていただきますが、日本の対応につきまして、先ほどの御質問の中で拘束事案ということでありますが、ロシア側によるペルソナ・ノン・グラータ通告に対するふさわしい対応として、相応の対応として、先ほど申し上げたとおり、日本側からロシア側に対しまして、在札幌ロシア総領事館の領事一名についてペルソナ・ノン・グラータを通告し、国外退去を求めたものであります。

 その意味で、これにふさわしい対応という形で、毅然とした対応であると認識しております。

鈴木(庸)委員 済みません、今、エクアドルの件についての大臣の見解を伺っているんですけれども、もう一度御答弁いただいてよろしいでしょうか。

上川国務大臣 御質問いただいていなかったので、ひとつ検討して、どのような形で対応したかは、改めてしっかりと答弁したいと思います。

 今、突然のことでありましたので、今のようなお答えをさせていただきました。

鈴木(庸)委員 済みません。僕は通告したつもりだったんですが、そこにそごがありましたら次回また質問させていただきます。

 同じようなケースで、同じ年の二月に、在中国日本大使館員が中国当局に一時拘束された事件がございました。このときは、当時の垂中国大使が中国外務省を訪ねて、外務次官補に抗議、謝罪、再発防止を求めた。森次官も駐日臨時代理大使を呼んで抗議、謝罪、再発防止を求めたということですが、ここについては、その後の経緯、又は、日本として何らかの対抗措置を取ったということはあるんでしょうか。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二二年二月二十一日、北京市内におきまして、在中国日本大使館員がその意に反して中国側当局により一時拘束されるという事案でございます。本件は外交関係に関するウィーン条約の明白な違反であり、到底看過できず、断じて受け入れられないことから、様々なレベルで中国側に対し厳重な抗議を行い、謝罪と再発防止を強く求めてきているところでございます。

 しかしながら、現在までに中国側から本件について謝罪や再発防止のための説明等はなされておらず、極めて遺憾な状況でございます。

鈴木(庸)委員 やられ損なところがあるので、是非、強い毅然とした対応、ロシアのときにもう一人こちら側も指定したということなんですけれども、大変強い毅然とした対応、特に、御案内のように、中国の今の拘束事案というのは国民の皆さんの関心事でもございますので、是非強くやっていただきたいと思っております。

 あと、シリアのイラン大使館もイスラエルに先月、攻撃、空爆を受けています。多くの人が亡くなったんですけれども、イスラエル軍は、攻撃された標的はダマスカスにある民間施設を装ったゴドス軍の軍事施設と主張しているわけです。

 これを聞いて思い出すのは、ユーゴスラビアで中国大使館がアメリカ軍の空爆に遭って三人が死亡したニュースです。実は、昨日五月七日で発生からちょうど二十五年たちました。

 習近平さんは、今ちょうどセルビアを訪れていて、決して忘れないと言っていますし、ロシアのメディアでスプートニクというのがあるんですけれども、ここは、このときのアメリカは照準誤差が十三メートルのGPS誘導精密爆弾を使ったにもかかわらず、そこからアメリカとしては四百四十メートル離れたセルビアの建物を攻撃しようとしたという主張なんですね。一部のイギリスやデンマークの新聞についても、これについては爆撃が意図的に行われたのではないかといった報道も見られている。

 何を申し上げたいかというと、理由をつければ、大使館を空爆しようと、外交官を拘束しようと、何でもありに今世界中がなってしまっているのかと思っております。大変ゆゆしき事態だと思うんですが、そういった中で、今回のシリアのイラン大使館の空爆についての日本政府の見解を教えていただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事案につきましては、我が国として事実関係を十分に把握することが困難である中、確定的な法的評価をすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般に、国際法上、外交使節団等の公館に対する攻撃は許されるべきものではないと考えております。

鈴木(庸)委員 ウィーン条約の細かいところについて聞かせてください。

 第九条、先ほども出ましたペルソナ・ノン・グラータの指定について、通告後、第二項のところにある相当な期間内にこれを実行しなかった場合の、この相当な期間ということについて国際的な基準はあるんでしょうか。それとも、接受国の判断に任されているんでしょうか。

御巫政府参考人 お答え申し上げます。

 外交関係に関するウィーン条約第九条の2にございます相当な期間につきましては、具体的にどの程度であるかについては条約上明記されておりません。基本的には、個別具体の事案を踏まえて相当な期間を接受国が判断することになります。

鈴木(庸)委員 理由を示さず、受け入れ難い者であるということを通告した上で、使節団、外交の構成員と認めることを拒否された。つまり、そういう場合には外交官でも身柄がすぐに拘束されてしまう可能性というのはあるんでしょうか。

御巫政府参考人 お答え申し上げます。

 外交関係に関するウィーン条約上、接受国が派遣国の外交官等に対し、ペルソナ・ノン・グラータ又は受け入れ難い者であることを通告した際、相当な期間内にこれを履行しなければ、接受国は同外交官等を使節団の構成員として認めることを拒否することができます。この場合には、当該外交官等は特権免除享有者としての身分を失い、同時に、特権及び免除も終了いたします。

 したがって、外交官としての身分を失い、特権免除が終了した後に引き続き接受国から退去しない場合には、特権免除が終了した後の同人の行為は、接受国に滞在する通常の外国人と同様に扱われます。

鈴木(庸)委員 そうなんです。通常の外国人と同じように扱われてしまう。それが接受国の判断によって、ウィーン条約の中にも規定されていないとなると、相当な覚悟でこれから外交官の皆さんを世界中で守っていただく覚悟、気迫というものを政府にはお願い申し上げまして、大分質問が残ってしまったので、積み残しは次回にさせていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

勝俣委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 徳永久志です。

 本日は、日本のアニメ業界、そして日本外交についてお伺いをいたします。

 まず冒頭、通告をしておりませんけれども、もし可能ならば、大臣、日本のアニメの作品の中でお好きなものがございましたら、一つ御紹介いただけますか。

上川国務大臣 私は、宮崎駿さんの作品が大好きでありまして、何度も見た「ナウシカ」などがあります。

徳永委員 宮崎駿監督の作品もすばらしいですよね。こうした日本のアニメというのは、世界でも大変高い評価を受けております。

 そうした中で、政府も、二〇一三年からクールジャパン戦略ということで、その中核にアニメを置いて、さらに、日本が誇るソフトパワーの一つでもあるということでもあります。

 私は、日本外交を推進するに当たって、日本のアニメというのは強力なツールになるというふうに考えておるんですけれども、まず大臣のその辺りの御認識を伺います。

上川国務大臣 私といたしましても、日本のアニメまた漫画が世界の人々に愛されている様子は、訪問するたびごとに、様々なチャンスを捉えてそうした機会をいただいているわけでありますが、そういうときに強く感じるところであります。

 岸田総理も今回の訪仏におきましてマクロン大統領やアタル首相と会談をしたところでありますが、両者からは、多くのフランス人が「ドラゴンボール」等の漫画、アニメに慣れ親しんでいるとの反応があったと聞いております。私も、先般訪問いたしましたマダガスカルで日本語を学ぶ大学生と懇談した際に、アニメが日本語学習のきっかけの一つであると聞いておりまして、アフリカにおいてもアニメや漫画が日本への関心を高める手段となっているということを改めて感じたところであります。

 アニメ、漫画を始めとする日本の文化の魅力を発信することは、相手国との間におきまして相互理解の裾野を広げていくことにつながりますし、また、日本との関係を盤石なものにする上で重要であるというふうに考えております。

 今後も、文化外交の一環として、各国にある図書館等を通じてアニメまた漫画を始めとする日本のコンテンツを発信し、また、対日理解促進のためのエントリーポイントとして活用することも含めまして積極的に取り組んでいきたいと考えております。

徳永委員 今大臣がおっしゃったとおりだと思います。

 しかしながら、実際にアニメ業界の現場で働いている方々のお声を聞きました。彼らが言うには、大臣が今みたいに日本のアニメはすばらしいと国際社会で発信をされる、我々国会議員もいろいろなところでそういう発言をする、それを聞くたびに、アニメ業界の現場の方々は、俺たち、自分たちの大変な苦労も知らずしてと、非常にしらっとした雰囲気になるんだそうです。

 なぜそういうふうにアニメ業界の現場の方々が思うのかということについて、これからちょっと御紹介をしていきたいと思います。

 恐らく問題意識は同様なのだろうと思うんですが、確認のためにお聞きします。

 新しい資本主義実現会議におきまして、映画やアニメといったコンテンツ産業の現場の実態調査を行うということが明らかにされました。これはどのような問題意識で行うものなのか、内閣官房にお伺いします。

馬場政府参考人 お答えいたします。

 アニメ、映画、音楽、ゲーム、漫画、放送番組といったコンテンツは日本の誇るべき財産でございます。他方で、先生御指摘されましたように、制作現場の労働環境や賃金の支払いといった側面で、若い人たちが安心して働くことができる環境が未整備であるという指摘がございます。

 そこで、このコンテンツ分野を、いわば好きでやっている人たちの集まりという状況から、成長産業として持続的に成長できる体制を整えるために、取引慣行の実態調査とそれに基づく改善のための指針の作成が必要である、このように考えてございます。

徳永委員 問題意識が共有されていてよかったと思います。日本のアニメ業界の制作現場の実態というのは大変過酷なものになっておりますので、そこにスポットを当てて今回調査をしていただくことは大変意義のあることだというふうに思います。

 一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟の方々のお話をお聞きしました。彼らが調査をしたところ、アニメ現場の制作者の方々の月間労働時間は平均で二百十九時間。ですから、全産業の一般労働者の方々の三割以上長く働いている。一方で、年収については四〇%の方々が二百四十万円以下ということになっています。まさに長時間労働に低収入といった過酷な状況ということになっておりますので、是非こういった部分に強くスポットを当てて徹底した調査をお願いしたいというふうに思うんですけれども、実際に調査を担われる公正取引委員会の見解をお伺いします。

片桐政府参考人 お答えいたします。

 クリエーター個人の創造性が最大限発揮される取引環境を整備するために、公正取引委員会は、クリエイター支援のための取引適正化に向けた実態調査を実施してございます。

 クリエーター支援のための取引適正化の中でも、まず、これまで議論のある音楽、放送番組などの分野における実演家と芸能事務所、プロダクションとの取引などの実態について調査を実施しておりまして、年内を目途に調査結果を取りまとめる予定としてございます。

 そして、年明け以降、映画やアニメなどの制作現場におけるクリエーターの取引環境に係る実態把握のための調査を実施する予定でございます。

徳永委員 年明け以降、そんな悠長なことでいいのかなと思いますが、それは後でまた申し上げたいと思います。

 問題は、非常に手間をかけて苦労して作った作品が世界的な大ヒットを飛ばしても、現場の人間には何の恩恵もないという仕組みが今あるようであります。例えば、アニメ関連業界の市場規模は全体で三兆円に達する一方で、日本国内でアニメ制作に携わっている方々に目を向けると、その市場規模は二千七百億円と十分の一以下に落ち込むわけです。

 これは、今、複数の企業が合同で組織する製作委員会方式というものがありまして、この製作委員会がアニメ作品の著作権を独占しています。作品が大ヒットしても、制作現場には利益が還元される仕組みすら整っていないというようなことが今の現状のようであります。

 こうした製作委員会が独占する著作権の一定割合を現場の制作会社が確保できるような仕組みが少しでもつくれればもっと違った状況になるんだというふうに思うんですけれども、こうした根本にしっかりとメスを入れる、そういう調査もやっていただけるんでしょうか。公正取引委員会、お願いいたします。

片桐政府参考人 現在、先ほども答弁申し上げましたとおり、音楽、放送番組等の分野における調査を実施しているところでございます。

 年明け以降、映画やアニメなどの分野についての調査を実施する予定でございまして、ただいま先生御指摘の問題意識も踏まえまして実態解明を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

徳永委員 ちょっと悠長に構え過ぎなんじゃないかなと思うんですね。

 なぜかといいますと、昨年の夏、国連人権理事会のビジネスと人権作業部会の専門家が来日をされて、日本国内をずっと調査に回られました。その調査をまとめた声明によると、日本のアニメ業界についても言及をされているわけです。

 外務省、これはどのような内容だったか、教えてください。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年七月から八月にかけての約二週間、国連人権理事会のビジネスと人権作業部会の専門家が訪日いたしました。その最終日に、訪日調査における取りあえずの所見に関するステートメントが発出されたと承知しております。

 そのステートメントにおきまして、アニメ業界について、アニメ業界での極度の長時間労働や不正な下請関係に関連する問題ゆえに、クリエーターがその知的財産権を十分に守られない契約が結ばれている例が多いという情報も得た旨記載されていると承知しております。

徳永委員 国連人権理事会ですから、我が国も加盟国でありますよね。そこのステートメントで、過酷な長時間労働、不正な下請関係、そして知的財産権がしっかりと守られていないという大変な指摘を受けているわけです。

 恐らくこの六月にも最終報告書が日本政府に提出をされるんだろうと思います。日本も国連人権理事会の加盟国であり、報告書は確かに法的拘束力はありませんけれども、加盟国としてしっかりと責任ある対応が早急に求められているんだろうというふうに思うんです。ですから急いでくださいということを申し上げているということは是非理解をしていただきたいと思います。

 加えて、特に昨今、欧米では人権デューデリジェンスを重視する風潮が強いものですから、日本のアニメの作品の流通制限とか不買運動というものにこれからつながる可能性があるのではないか。こうした長時間労働とか不当な下請関係、あるいは知的財産権が守られないというような状況が放置されたままだったら、まさしくこの人権デューデリジェンスにひっかかってしまって、不買運動あるいは流通制限、日本のアニメはもううちとしては取り扱いませんよというようなことになりはしないかと非常に心配をするんです。もしこういうことになってしまったら、あっという間に中国や韓国に席巻されてしまって、日本のアニメ業界というのはもう沈んでしまうということなんですよね。

 まさか新疆ウイグルの綿製品と同じ扱いになっていいわけがありませんので、日本外交推進のツールというのであるならば、クールジャパンの中核というのであるならば、ソフトパワーの中核というのであるならば、ここらはしっかりと外務省としても、所管外ということではありますけれども、注視をして、取組をいろいろな面でサポートしていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、通告をしておりませんけれども、一言ございますでしょうか。

上川国務大臣 今委員から作業部会の最終報告書が六月に人権理事会に提出されるということでお話がありましたが、その経緯につきましては承知をしているところであります。

 現時点で我が国自身がどう対応するかについては述べることは困難でありますが、その報告書の内容をしっかりと検討した上で適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

 問題は共有をさせていただきましたので、しっかり対応してまいりたいと思います。

徳永委員 大臣も新しい資本主義実現会議のメンバーでもありますので、繰り返しますけれども、所管外ということでのんびりと構えるのではなくて、これは日本外交のツールがもしかしたら一つなくなってしまうのではないか、もっと言うならば、日本の成長産業の一つが欠けていってしまうのではないか、そういう認識の下で、是非とも関係省庁と連携を取っていただいて、お尻をたたく、そういう役割も果たしていただきたいというふうに思います。

 それで、若干話は前後しますけれども、来年から調査を実施するということでございますけれども、これはもうそういうふうに決まってしまっているんですか。最初からそういうふうに決め打ちして、その段取りで進んでいるという理解をすればいいんですか。

片桐政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のアニメの分野、それから今取り組んでおります音楽、放送の分野、これらの分野におきましては、業界内で一定の立場を得た事業者がクリエーターの才能を搾取する構図が懸念されるといった先生御指摘の問題があるところでございまして、クリエーター個人の創造性が発揮される取引環境を整備するという観点から調査をしているところでございます。

 そこで、繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、まずは、これまでいろいろ議論のあった音楽、放送番組の分野における実演家と芸能事務所、プロダクションとの取引等の実態について調査をしているところでございまして、これについては年内に取りまとめます。

 それ以降、その調査結果も踏まえながら、公正取引委員会として得た知見も踏まえて、映画やアニメなどの制作現場における問題についても実態把握のための調査を実施する予定としているところでございます。

徳永委員 その実態把握をしていただいた中で、先ほども申し上げましたけれども、いわゆるアニメ業界の根本的な課題だと思う製作委員会方式、そこが著作権を独占してしまって、現場には全くその恩恵が回ってこない、そういう仕組みを改善していかなければ、これは幾ら言っても仕方がない問題になるんだろうというふうに私は思うんですね。その辺りの解決策めいたことについては、公正取引委員会としては今回の調査では触れていただけますでしょうか。もう一度。

片桐政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のアニメなどの制作現場におけるクリエーターの取引環境でございますけれども、調査を行うということでございますが、まずは、先生御指摘の点も念頭に置き、この分野における取引環境について実態を十分に把握するということで調査に注力したいというふうに考えております。その上で、その結果を踏まえまして必要な対応を検討してまいりたい、このように考えてございます。

徳永委員 もちろん実態調査は大事ですので、裏金問題でも実態調査をせずに解決策を出すというのは無理な話ですから、それはしっかりと実態調査をやっていただいた上で、根本的な解決策に向けての言及もしっかりとしていただかなければいけないという部分でありますので、ここは新しい資本主義実現会議の方でも議論をされていくんですよね。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、このコンテンツ分野につきまして、成長産業として持続的に成長できる体制を整えるために、取引慣行の実態調査を公正取引委員会にお願いしております。

 それとともに、それに基づく改善のための指針、取引部長が申し上げておりましたように、調査を踏まえていろいろ整理して指針を取りまとめていただきたいというのが実現会議での議論の方向性でございます。

徳永委員 内閣官房としては、新しい資本主義実現会議としては、解決のための指針を公正取引委員会にまとめていただきたい、それを実現会議の議論の俎上に上げてほしい、そういう答弁ですよね。

 でしたら、そこはしっかりと取りまとめて指針を出していただけるということで、公正取引委員会、よろしいですね。

片桐政府参考人 お答えいたします。

 まずは、今行っております音楽、放送の分野を対象にした実態調査について、これは年内を目途に調査結果を取りまとめて公表する予定としております。

 調査結果を踏まえまして、クリエーター支援のための取引適正化に資する指針の策定に速やかに着手をいたしまして、独占禁止法や競争政策上の具体的な考え方を明確にしていきたい、このように考えてございます。

徳永委員 もう一度しっかりと整理をしていただいてスピードアップして取り組んでいただかなければ、六月に国連人権理事会の専門家から最終報告が出されて、それについて日本政府としてどう対応するのだと言われて、調査中です、調査中ですとずっと言ってしまえば、国際社会の信用もなくなりますし、ひいては日本アニメ全体の評価の低下にもつながりますから、是非、もう一度繰り返しますけれども、上川大臣におかれましても、そういった日本外交を推進するツールを守るという観点からもしっかりとした取組をしていただきますようお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

勝俣委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の青柳仁士です。

 アフガニスタンへの支援について御質問させていただきます。

 まず、アフガニスタンに関しては、二〇〇一年に例の九・一一のテロ事件がアメリカのニューヨークでありまして、それの首謀者と言われたオサマ・ビンラディン氏がタリバン政権にかくまわれているのではないかということで大規模な空爆が行われまして、内戦が終結して、そこからカルザイ大統領を中心とする新政権が立ち上がった。それから二十年間、国際社会はカルザイ政権を支えるために様々な支援を行ってきたわけですが、二〇二一年の八月に、タリバンが再び勢力を取り戻しまして、大統領府を含む政府を全て占拠して、現在までその状況が続いている、まずはこういう背景があります。

 その中において、日本も非常に巨額のODAの資金をつぎ込んできたということと、それから、そこに対する国際的なコミットメントも何度も何度も行ってきた極めて責任ある国の一つであるわけなんですが、そのうちの一つのプログラムについてお伺いしたいと思うんです。

 平成二十七年に外務省がまとめた資料の中に、元兵士の社会への再統合というプログラムを行ったというふうに書いてあります。これはどういうことかというと、当時は、ISAFと言われる国際軍プラス・アメリカ軍が主体となって、国際軍とアメリカ軍と現地に駐留する軍隊がタリバンの武装勢力と戦っていたわけですが、戦闘をして相手の数を減らしていくというのは、人の命を奪うことでもありますし、こちら側の犠牲も多く出ますので、向こうのタリバンの兵士そのものの数を減らしてはどうか、こういう発想でまず始まったものだと認識しております。

 そのために、当時、現地で分析をされていたのは、タリバンの兵士のほとんどは貧困層の方で、職業がない。ですから、今自分の生まれた農村等で暮らしていても将来の展望が開けない、子供たち、家族も食べさせていくことができないから、やむを得ず収入源を得るためにタリバンに入っているんだ、タリバンに入れば給料が出る、御飯が食べられる。こういう現状認識がありまして、それに対して、であれば、そういった方々の今持っている武器と引換えに現金を渡す、あるいは彼らがこれからきちんとした生活を営めるような状態をつくってあげることによってタリバンの数を減らせるんじゃないか、こういう分析が現地でなされておりました。

 それに対して、二〇一〇年に立ち上げられたアフガニスタン政府主導の再統合事業、平和・再統合プログラム、APRPを支援するために、この再統合基金に対して日本政府は当時のお金でおよそ五十億円という非常に巨額のODAをつぎ込んでおります。

 端的にお伺いしたいんですけれども、まず、このプログラムによってどれぐらいの兵士が実際に武器を手放して一般の社会に戻っていったんでしょうか。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 プログラム全体で、二〇一五年までの累計で、目標一万人に対しまして約一万一千人の元戦闘員の再統合が実施されたと承知しております。

青柳(仁)委員 一万一千人という非常に大きな数が減っているにもかかわらず、ずっとこの間、タリバンの数は二万人から三万人と言われていましたが、そうすると、一万人が減るということはほぼ半減したということになるんですけれども、タリバン軍の数、国際社会で報道されている数がほとんど変わっていなかったんですけれども、これはどういうことですか。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 このプログラムの終了後に提出された報告書によれば、一万一千人の再統合を実現したことが成果だとされております。その後について、これらの中からまた戦闘員に戻った人がいることについても同時に承知をしております。

青柳(仁)委員 プログラムの終了後に戦闘員に戻ったら意味がないと思うんですけれども、その点、いかがですか。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 プログラム実施中には一万一千人の再統合を実現したことが成果でありまして、元戦闘員及びコミュニティーが雇用や小規模開発事業を通じて生活の質を上げたとされております。

 当時、アフガニスタンにおける平和構築が大きな課題となる中で、外交的には最大限に取り組んだものと考えております。

青柳(仁)委員 その報告書というのはどこから出された報告書で、その一万一千人というのは日本政府としてどのように確認したんですか。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 報告書は、UNDPが二〇一五年に出したアニュアルプロジェクトプログレスリポートというもので、ここの数字を先ほど申し上げたとおりでございます。

青柳(仁)委員 では、UNDPが出してきた数字をそのまま受け止めている、こういう理解でよろしいですか。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 本件はUNDPのプロジェクトでございますので、日本政府としては、この報告書に基づいて評価をしているところでございます。

青柳(仁)委員 これは非常におかしいんですよ。今、成果が一万一千人と言っていましたけれども、現地のタリバンの人数は二万人ですから、だから、一万人減っていたんだったら半減していなきゃおかしいんですよ。でも、この間、タリバンの数というのはほとんど減っていないんです。

 何で減らなかったのかというと、現地の人たちはみんな分かっている話なんですけれども、タリバンじゃない人たちがその辺にある武器を適当に持ってきて現金と引き換えていたとか、自分はタリバンだと言えば現金がもらえるわけですから、そういう人たちが大量に列に並んでいた。

 私も実は当時カブールにいましたけれども、私のアシスタントを含めてほとんどのアフガニスタン人はこのプログラムを失笑していました。こんなことでタリバンの数が減るわけがない、タリバンじゃない人たちが大量に列を成して日本政府から現金をもらっているだけだ、みんなそう言っていました。

 どう考えてもそれはそうでしょうと思うんですけれども、何でこんなばかげたプログラムを五十億円も国民の税金を使ってやったのか。これはいまだに私は非常に不思議でしようがないんですけれども、こういう同様のプログラムはほかの国でも行った実績があるんですか。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 その件につきましては手元に資料がないのですが、武装解除というのは、日本もいろいろと協力をしておりますので、この規模ではないと思いますが、ほかの国でもやったことがあるのではないかと推測いたします。この点は確認してお答えをさせていただきたいと思います。

青柳(仁)委員 確認して答えていただきたいんですが、私が聞いているのは、DDRのこういう武装解除、動員解除のプログラムがあったかなかったかではなくて、今回のAPRPのように現金を直接渡して武器と引き換えるだとか、それから、それによって今実際に戦っている兵士たちの数を減らしていくというような取組をほかの国でやったことがあるか、こういう質問ですから、きちんとこれはお答えください。

 私の知る限り、ないんです。こんなプログラムをほかのところでやるわけがないんですよ。非常におかしなプログラムなんですけれども、なぜこれを日本政府として採択することにしたんですか。なぜなら、決められたアフガニスタン支援の様々な予算の中で、いろいろなプライオリティーがあったと思うんですよ。やるべきプロジェクトもたくさんあったと思うんですよ。なぜこれが採択されたのか。採択したのは外務省、日本政府の責任ですから、これをやった理由を教えてください。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のプログラムは、アフガニスタンの諸問題を解決するためには、反政府勢力との和解、構成員等の社会への再統合が有効であるとの考えの下、アフガニスタン政府によって立ち上げられたものでございます。

 先ほど申し上げましたけれども、当時、アフガニスタンにおける平和構築が大きな課題となる中で、我が国として外交的に最大限に取り組んだと認識しております。

青柳(仁)委員 これが最大限取り組んだとしたら、非常に日本のODAのあるいは外務省の判断のレベルは低いなと言わざるを得ないと思います。

 何度も言いますが、現地で失笑されていました、いろいろなドナーの方々からも。なぜなら、そんなことが起きるわけがないからなんですよ。ちょっと考えれば分かる話です。自分がタリバンだと言えばお金をもらえるんですから。長蛇の列を成して、みんな自分がタリバンだと言ってお金だけもらって出ていくわけです。そのときの身柄の安全はこのプログラムの中では確保されていますから。ですから、実際に実行していたUNDPの職員ですら実は首をかしげていたというのが実態です。

 何で実際にこんなプログラムをやったかというと、今大学教授をされている方ですけれども、当時ブリティッシュコロンビア大学で大学院生をされていた方が書いた論文があったんです、これと同じような論文が。それをそのまま採用した。その方は何か現地に来られたんですけれども、それを、どういうわけか、当時の民主党政権あるいは外務省の方と人脈的なつながりがあったのか分かりませんが、はっきり言って、その方の書かれた大学院生のレポート、卒業論文みたいなもの、書いてあるやつをそのままやったんですよ。しかも、その後その方はこのプログラムのプログラムコーディネーターにまでなっていました。これも現地の人は日本人も含めてみんな失笑していました。何ですかこれはと。

 こんないいかげんなプログラムで日本の国民の税金五十億円を使って、しかもほとんど意味がない、こんなひどいODAは私はないと思いますよ。もちろん、日本にだってタリバン政権が復権してしまった責任はありますよ。こういう復興がうまくいかなかった責任の一端はこんなことをやっているからじゃないかと私は思うんです。これからも紛争国での支援というのは当然あるわけなんですけれども、同じようなことが繰り返されないことを心から切に願っております。

 当時、国際協力機構、JICAの理事長をされていた緒方貞子さんはこのプログラムに大変否定的でした。これは現場を知らない人が考えているものだとはっきりおっしゃっておりましたし、それから、こういった紛争国というのは一つのやり方をいろいろな紛争国に当てはめちゃ駄目なんだと。紛争国はそれぞれ現場現場で違うし、事情も違うし、状況も違うから、現場の意見をきちんと聞かないと、現場の主導で考えないといい支援なんかできないと再三おっしゃっていたにもかかわらず、何かよく分からない外務省の連れてきた大学院生のレポートをトップダウンで実行してこういうばかげたことをやる。こういうことは、日本という国として私は恥ずかしいと思いますよ。

 これからも復興支援はありますよ。ウクライナ、パレスチナはまた事情が違いますが、ほかの国でも内戦というのはたくさんありますから、是非今後よく考えていただきたいと思います。

 それからもう一つ、当時、カブール首都圏開発というプロジェクトを行っておりました。これは、二〇〇一年の前は、様々な内戦を行っていた中で、アフガニスタンの中の土地は現地の四つの民族がそれぞれ歴史的に治めていたところがあるわけですね。ですから、例えばパシュトゥン人ならパシュトゥン人の土地というところをほかのタジク人とかウズベク人とかハザラ人とかが一緒に住もうと言ったらパシュトゥン人の非常に強い反発を受けるとか、こういうことがありましたので、今まで歴史的に誰にも占拠されたことがない土地に新しい都市を造ろうということで、カブールのすぐ隣に大きな土地がありまして、そこに新しい都市を造ろうという、これは日本がアメリカと一緒に主導して行ったプロジェクトなんです。

 ところが、その後タリバン政権が復権してしまいまして現状がどうなっているか分からないものですから、まず、現状がどうなっているかということと、それから、現状も含め、どんな成果が日本政府としてあったかということをお伺いできればと思います。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりでございまして、このカブール首都圏開発に関しましては、カブール市の人口が急増する中で、アフガニスタン政府からの要請を受けまして、二〇〇八年から九年にかけて、都市計画マスタープラン作成のための開発調査を日本が実施いたしました。続けて、この調査を受けて策定された基本計画に基づいて、二〇一〇年から一五年にかけて、技術協力でカブールの都市環境、居住環境の改善、整備などを実施いたしました。この協力は二〇一三年以降の現地の治安悪化の影響を受けつつも継続されまして、開発の基本計画の策定、カウンターパート機関の都市開発における能力強化に貢献したものと考えております。二〇一七年には、我が国による開発調査の成果を踏まえて、アフガニスタン政府自身によるカブール新市街建設事業が開始されております。

 現在のタリバン暫定政権下における現状でございますが、これは公開情報によりますけれども、暫定政権は我が国作成のマスタープランを認知していまして、同プランに従って、詳細な計画の修正を行った上で事業を実施していると承知しております。

 この教訓でございますけれども、紛争国におきましては長期的な政治的和解のための素地をつくることが重要でございまして、生活の安定化、経済基盤の構築を図ることが不可欠であると考えておりまして、こういったことでこの首都圏開発も一定の役割を持ったのではないかと思いますし、そういった取組を続けていきたいと思っております。

青柳(仁)委員 今おっしゃったとおり、マスタープランの作成をして、そこに各ドナーあるいはアフガニスタンの政府をのせて、それで実施していくというようなたてつけで行われたわけです。ですから、もちろん、その後大量のインフラ建設が必要なプロジェクトですから、それが予定どおり進んでいるとはとても思えないんですけれども、少なくとも、政権が替わって状況が変わっても一定の成果というのが見て取れる。

 つまり、何が言いたいかというと、はっきり言って国際社会から見てばかにされるようなどうしようもないプロジェクトもあれば、紛争がまた再び再燃してもある程度の成果を残すようなプログラムもある。つまり、現場のプロジェクトは全然同じではなくて、どれを選ぶか、何を実施するかによって、現地の人たちの命も懸かっているし、アフガニスタンの復興も大きく関わってくるわけです。

 これをトップダウンで、本当によく分からない決まり方をしているなと当時思ったんですけれども、そういうことをこれからも続けるのかなというのが私は非常に疑問に思っておりますが、外務大臣に通告していましたので、今の点について外務大臣の所見をお伺いできればと思います。

上川国務大臣 現地のニーズをしっかりと把握した上で、そして、現地のニーズを問題提起している者とよく連携しながら取り組んでいくプロセスというのは非常に重要であるというふうに認識をしております。

 カブールの首都圏開発プロジェクトにつきましても、今説明したとおり、都市計画のプランを作るというプロセスから、そして、その実現に向けて様々なステージにふさわしい支援をしていくということ、これを愚直にやっていく必要がある、また、そうしたプロジェクトほど長く持続した開発につながっていくというふうに思っておりますので、そうしたことを大事に、ベースは何といっても、現地の開発に携わる、あるいは政府とよく相談をしながら対応していくというある意味では日本型の寄り添い型の取組というふうに私は理解しておりますが、こういったことを実践していきたいというふうに思っております。

青柳(仁)委員 特に紛争国においては、何度も繰り返しになりますが、現場の声を是非聞いていただきたいと思うんです。現場の人が一番よく分かっていますから。その声なしに、これがいいとか正しいとか、これだけの大きな予算をはかなきゃいけないからここの国際機関にお金を突っ込むだとか、そういう発想でやってもうまくいかない。これはアフガニスタン支援だけじゃないです。ほかのところでも同じことです。

 これからも同じですから、外務省のやり方が変わらなかったらこれからも同じことが繰り返されます。これは本当に外務大臣としても是非頭に入れておいていただきたいなというふうに思います。

 それから、もう一つ私が感じた非常に大きな違和感なんですが、当時、とにかく誰でもいいからたくさんの日本人の頭数を現地に送ってくれ、誰からとは申し上げませんが、そういう依頼がありまして、とにかく日本人を大量にカブールに呼んで、余り専門性がないような人も含めて、何とか調整員とか何とか調査員とか、要るのか要らないのか分からないような人でもいいので、とにかくいっぱい呼んでカブールに住まわせていました。なぜかというと、頭数が重要だったからです。日本人が何人現地にいるか、こういうことを示すことが重要だったからなんですね。

 ところが、当時、現場にいた日本人たちは自衛隊には守られておりませんでした。なぜなら、危険地域なので自衛隊を派遣することはできなかったからです。ところが、例えばUSAIDだとか、アメリカの同じようなODAの実施機関、それからそういった専門家の方々はすべからくアメリカ軍に守られておりました。

 我々を守っていたのは、雇われの三人ぐらいのひょろひょろのアフガニスタン人が、銃を撃ったことがあるのかないのか分からない人たちに銃を持たせて門の前に立たせておく、そんな状態でした。こんなのは襲われたら一発でおしまいです。また、現地でそのことを言う人もいました、こんなに日本人の命を日本政府は軽く見ているのかと。

 ほかの国はほかの国の軍隊が守っていますから、その軍隊が負けちゃって、その結果、中の人がもし殺されたりしたのであれば、それはその国の責任ですから仕方がないですよね。でも、我々がお願いしていたのは、民間の、民兵といいますか、セキュリティー会社みたいなところです。そんな人たちに命を預けながら、なぜ日本人があそこに頭数だけ置かなきゃいけなかったのか。

 これは、背景にはインド洋の給油をやめたことによるアメリカ側からの強いプレッシャーがあったというふうに認識しておりますが、そもそも、自衛隊が派遣できない危険地域に文民だけが派遣されているという現状が紛争国支援ではあるわけです。これは各国同じではなくて、かなり日本に特化した話なんですが、この点、非常に奇妙だと思うんですが、外務大臣の認識を教えていただけますか。

上川国務大臣 まず、海外に渡航、滞在する邦人の安全確保は政府の最も重要な責務の一つであります。危険レベルが3又は4が発出されている国、地域につきましては、全ての邦人に対しましていかなる目的であれ渡航しないよう勧告をしているところであります。

 他方、開発途上国の平和構築や経済社会開発等のニーズに応えるために、今委員が御指摘なさいました地域も含めまして、ODAを実施するために、JICAの職員あるいは専門家の方々、そうした国際協力の事業関係者が危険な国、地域への業務渡航をせざるを得ないという現実が存在をしているところであります。

 こうした現実を踏まえまして、国際協力事業の関係者が渡航を希望する場合に、渡航の必要性及び緊急性、渡航先の治安状況、また必要な安全対策が講じられているか等を精査した上で、外務省として渡航の是非を判断しているところであります。

 今後とも、邦人の安全確保や保護に万全を尽くしつつ、国際協力事業の実施に当たってまいりたいというふうに考えております。

青柳(仁)委員 私が現地にいたときにも、目の前で何度も自爆テロとか戦闘が行われておりました。戦闘が始まったときは映画を見ているかのようで、現実とは思えないような光景が目の前に広がるわけですけれども、そういった中で、当然恐怖を感じる人もいる。私自身も感じなかったと言えばうそになりますが。そういう中で、自国の軍隊に守られながらそういう活動を続けているというのと、そうではないというのは、安心感の面でも非常に大きな違いがあると思うんですよね。

 私はこれは非常に奇妙だと思うんですよ。なぜ丸腰の文民は派遣できるのに、訓練された自衛隊は派遣できないのか。逆に、訓練された自衛隊が派遣できないそういう危険地域なのに、なぜ文民がそこにいられるのか。憲法、集団的自衛権の解釈の云々という問題はありますけれども、現実に現場でこういう矛盾が起きているということを是非外務省としても考えていただきたいなと思うんですよね。

 それからもう一つ、この問題のそもそもの原因は、やはりインド洋の給油をやめてしまったことだと私は思うんです。

 インド洋の給油というのは非常に優れた策だったと思います。なぜかというと、戦闘行為に加わることなく、海上で十一か国に給油をするということをもって国際貢献を果たしている。したがって、現地に自衛隊を派遣する必要もないし、そういった無理な頭数を求められることも、それを継続していればなかったと私は思うんですね。

 ですから、日本が難しい立場にあるとか、憲法上の制約があるとか、それはそのとおりなんですけれども、それを踏まえた上できちんと適切な外交をしないと、ああいうめちゃくちゃなことが現場で起きていてもこういった場で話す機会はほとんど現場の人はないわけですよ。みんな知らないんですよ。知らないまま終わっていく。政策には反映されない。

 これでは、先ほど申し上げましたけれども、国際社会からの失笑、現地からの失笑は免れない、恥ずかしい国だと私は思いますので、今日申し上げた点、是非しっかりと頭に入れていただきたいなというふうに思っております。

 残余の質問については、また次回、機会をいただきまして、御質問させていただきます。

 以上で終わります。

勝俣委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 私は、この間、本委員会で、日本が購入する米国製巡航ミサイル・トマホークの日米一体運用など、自衛隊が米軍の指揮下に置かれ、指揮統制のかつてない連携強化が進んでいることを告発し、批判してきました。

 今回は、関連する具体的問題を取り上げたい。

 滋賀県高島市の饗庭野演習場で展開される日米軍事演習を含む実弾射撃訓練について質問します。

 饗庭野演習場は陸自中部方面隊最大の演習場であり、日米地位協定により年間六週間以内の米軍との共同使用が可能とされる一方、自衛隊の軍事訓練は年間三百日を超え、多い年には年間約十八万人の自衛隊員が百六十八日の実弾射撃訓練を行う演習場であります。

 この饗庭野演習場では、二〇一五年以降、場外への着弾事故が四回起こっています。いつ起こったのか、どういう内容だったのか、報告いただきたいと思います。

鬼木副大臣 穀田議員にお答えいたします。

 二〇一五年以降、饗庭野演習場における場外への着弾等の事案としては、一、平成二十七年七月に陸上自衛隊第四施設団第一〇二施設器材隊が十二・七ミリ重機関銃の射撃訓練を実施した際、着弾地点から跳弾した銃弾が演習場近隣の民家屋根を損壊させた事案、二、平成三十年十一月に陸上自衛隊第三師団第三七普通科連隊が八十一ミリ迫撃砲の実弾射撃訓練を実施した際、三発目に発射された実弾の破片が演習場境界線付近の路肩に停車中の民間車両に当たり、窓ガラス等を破損させた事案、三、令和元年九月に防衛装備庁が調達する八十一ミリ迫撃砲用赤外線照明弾の射撃訓練を行った際、照明弾のパラシュートが演習場外に落着した事案、四、令和三年六月に陸上自衛隊第一四旅団第五〇普通科連隊が百二十ミリ迫撃砲の実弾射撃訓練を実施した際、砲弾の一発が演習場外に着弾した事案の四件が発生いたしております。

穀田委員 一歩間違えば人命を奪いかねない重大事故が起きているわけですよね。起こってはならないとんでもない深刻な事態だが、その事故原因について聞きたいと思います。

 防衛省陸幕広報室の平成三十年十二月十八日及び令和三年十二月九日陸上幕僚監部のプレスリリース、資料一、二で皆さんにお配りしています。事故原因についてどう述べているか、赤線を引いた該当箇所を読み上げてください。

鬼木副大臣 平成三十年十一月に饗庭野演習場で発生した迫撃砲弾の弾着区域外への着弾に至った経緯、原因については、射撃実施部隊の分隊長が思い違いから誤った方位角を分隊員に指示したこと、一弾目及び二弾目が着弾する景況が確認できない砲弾であったにもかかわらず、射場指揮官や射場勤務員が諸元点検を怠ったこと、その上で、射距離を二百メートル増して三弾目を射撃したことなどが挙げられています。

 次に、令和三年六月に饗庭野演習場で発生した迫撃砲弾の演習場外への着弾に至った経緯、原因については、当該事故発生時、装薬量を調整した弾薬と装薬量を調整する前の弾薬を取り違え得る環境であったこと、射撃部隊の分隊長が射撃を急ぐため時間計測に集中して、分隊員の行動に係る確認、指導が不十分であったことなどが挙げられております。

穀田委員 人為的ミスが重なり、相次いで重大事故が起こっているということですね。ただ、皆さんが見て分かるように、これはプレスリリースなんですけれども、全く反省も謝罪もないんだよね。それが特徴だということを一言述べておきたいと思うんですね。

 この背景には、饗庭野演習場に事故が集中する構造的な原因があると言わなければなりません。

 第一に、饗庭野演習場は、東西六から七キロ、南北四から五キロでしかないんです。最大射程距離が十キロ以上もある百二十ミリ迫撃砲、最大の射程距離が二十五キロもある百五十五ミリ迫撃砲などの実弾訓練をやるには極端に狭いんですよ。

 第二に、実弾射撃訓練が年間二百日前後、過密訓練に加え、兵器の改良で射程距離が伸び、質、量共に危険性が増している。

 第三に、陸自中部方面隊では実弾射撃をできるのは饗庭野だけしかなく、今後も饗庭野に演習が集中することが避けられない。

 以上の三点から、事故は起こるべくして不可避的に起こっている、そう考えませんか。

鬼木副大臣 一般に、訓練は、その内容や規模、実施部隊、演習場等の使用状況等に応じてそれぞれ適した演習場等を使用して実施しており、饗庭野演習場においてもこのような観点から必要な訓練を実施してきています。

 このような観点から、例えば、令和五年八月の方面野戦特科部隊合同訓練では中部方面隊の部隊が東富士演習場で演習を実施したように、中部方面隊の部隊が実施する訓練であっても、他の方面区にある演習場に赴いて実弾射撃訓練を実施することもあります。

 引き続き、部隊や隊員の練度を維持向上するため、饗庭野演習場を含め各地の演習場等において安全確保策を徹底し、必要な訓練を実施していく考えです。

穀田委員 二〇一九年の一月に開催された近畿防衛局主催の住民説明会で、防衛局の担当者は、今、富士の話がありましたわな、饗庭野演習場では実弾訓練の射程距離が実際には二・五キロメートルしか取れないんですよ。そのことを認めた上で、なぜ二十五キロもの射程距離がある実弾訓練を狭い饗庭野でやるのか、北海道や富士でやったらどうかという住民の疑問に対し、演習経費の関係でやむなく饗庭野で演習を実施していると回答したと聞いています。参加者からは、防衛省は住民の命や安全よりも金を優先するのかという怒りの声が沸き上がったそうであります。

 また、この説明会で、安曇川町上古賀の区長さんは、四年に三度の事故は再発防止策が形骸化されている証拠だ、狭い土地での射撃訓練はやってほしくないのが地区住民の願い、相当な精神的苦痛と不安を与えていると訴えておられます。また、別の区長は、安心して生活できません、実弾射撃はやめてほしいと訴えられておられる。

 防衛省は、演習経費の関係で狭い饗庭野で演習を続けているのか、住民の命よりも金が大事か、実弾演習をやめてほしい、こういう住民の切実な声にどう応えるのか、簡潔にお答えください。

鬼木副大臣 御指摘の住民説明会においてあったとされる発言ですが、どのような文脈でなされたものであるか明らかではないため、ここでのお答えは差し控えたいと思います。

 いずれにいたしましても、引き続き、部隊や隊員の練度を維持向上するため、饗庭野演習場での実弾訓練を含め、安全確保策を徹底し、必要な訓練を実施していく考えであります。

穀田委員 どんな文脈かは事実をみんな調べたら分かるわけで、そういう発言が出たことは明らかなんですよ。しかも、区長という人たちが話をしているということを軽視したらあきませんで。全く住民無視だと私は言わざるを得ないと思います。

 具体的な危険性について聞きます。

 資料三の地図を見てほしい。

 演習場内を国道三百三号が通っているけれども、この国道は、日中一時間に約四百台の車が通過します。常識で考えても、ここでの実弾演習を行えば事故が起こるのは不可避と考えます。実際、二〇一八年の事故では、あと三十センチ着弾がずれていれば死者が出ていたと。しかも、これまでの四回の事故はいずれも定点から定点を狙った訓練で起こったものなんですね。しかし、今後予定される実弾訓練は、質的に全く違う段階に踏み込むものであります。

 資料四を、写真を見てほしい。

 これは、今年の四月二十七日に開催された大津駐屯地創立六十五周年記念行事での訓練展示の写真であります。この車両は、最近七十二億円かけて十台配置された最新兵器一六式機動戦闘車だけれども、ジグザグ走行をしながら射撃する、いわゆるスラローム射撃が可能とされています。写真で火を噴いているのは百五十五ミリりゅう弾砲で、会場では、遠く離れた地から敵部隊を制圧します、大津駐屯地から大阪府枚方市付近まで射撃することができますとアナウンスされているんですね。

 定点から定点でさえ重大事故が相次いでいるのに、ジグザグ走行する戦闘車からこんな長射程の射撃を行えばもっと大きな重大事故につながらないのか。危険極まりない実弾訓練は直ちに中止すべきだと考えますが、いかがですか。

鬼木副大臣 饗庭野演習場での御指摘の事案につきまして、地元の自治体及び住民の皆様に御迷惑をおかけしたことを改めておわび申し上げます。

 防衛省・自衛隊として大変深刻に受け止め、徹底的な原因究明と再発防止策を徹底してきております。こうした再発防止策を徹底することにより、今後二度と同じような事案が発生しないよう努めてまいります。

穀田委員 私は新たな危険性を指摘しているわけですよね。

 次に、饗庭野演習場で昨年二月十七日から三月二日にかけて行われた国内初の陸上自衛隊とインド陸軍との共同訓練について聞きます。

 この日印共同訓練の目的、また、閣議決定された安保関連三文書との関係について、滋賀民放社が防衛省報道室に問いただしたところ、三文書に記載されている同盟国、同志国等との連携強化の一環、自由で開かれたインド太平洋の維持強化という日印共通の目的に向けた協力の一環として実施するとの回答だったと聞く。これは間違いないですね。

鬼木副大臣 陸上自衛隊は、令和五年二月十七日から三月二日までの間、自由で開かれたインド太平洋の維持強化に資するべく、陸上自衛隊の戦術技量の向上とインド陸軍との連携の強化を図る目的で、インド陸軍と共同訓練を実施いたしました。

穀田委員 間違いないということで。

 では、これは外務大臣にいよいよお聞きするわけですけれども、私は、陸自の施設である饗庭野演習場を使用できる他国の軍隊は、日米地位協定に基づく協定を締結した米軍に限られるはずだ。日印共同訓練は国会承認が必要な条約も協定も結ばれていない。インド陸軍が共同の軍事訓練を行える法的根拠はどこにあるのか、簡単に御説明ください。

上川国務大臣 インドとは、特別戦略的グローバルパートナーシップの下で、防衛、安全保障を含めまして幅広い分野で二国間協力を推進しているところであります。委員お尋ねの陸上自衛隊及びインド陸軍間の共同訓練につきましても、日印間の防衛協力を一層推進する観点から、昨年、陸上自衛隊饗庭野演習場において実施されたと承知をしております。

 なお、一般に、外国軍隊が他国の領域で活動するためには当該領域国の同意が必要であり、外国軍隊が我が国において訓練を実施できる根拠は我が国が付与する同意であると承知をしております。

穀田委員 私は、その内容でいうと、我が国の同意という形で済まされないと考えます。結局、同意でおしまいだというのですが、その法的根拠を私は聞いているわけですよ。どういう法的根拠があるんですか。

上川国務大臣 外国軍隊が我が国において訓練を実施できる根拠ということでありますが、根拠は我が国が付与する同意でございます。必ずしも委員御指摘のような日米の地位協定のような国際約束が必要となるものではないと認識をしております。

穀田委員 それは新たな見解と言わざるを得ません。日米地位協定でできる米軍の活用、それはありまっせ。そういう点では、やはり私は法的根拠はない軍事訓練だと言わざるを得ないと思います。

 日本が同志国とするインドにとってみると、この共同訓練は中国を仮想敵国と想定した戦争訓練であることは明白なんですね。そうすると、これは、日本の自衛隊がインドとともに中国を攻撃するという、憲法と国連憲章に違反する先制攻撃、集団的自衛権の行使を想定したものにほかならないということになると思います。

 実際、陸幕の広報室によると、日印両軍は、まず、二日間かけて実弾射撃訓練を実施し、続いて、二日間の市街戦訓練を実施、仕上げに、二日間かけて、自衛隊のヘリで敵が潜伏する市街地に侵攻し、機関銃の射撃など、ビルやレストラン、銀行、市役所を制圧する総合訓練が実施されています。これは仮想敵国を想定した戦争訓練そのものであります。

 鬼木副大臣に聞きますが、陸上幕僚監部は先月十一日、七月に中部方面区などで米陸軍と中部方面隊による実動訓練、いわゆるオリエントシールドと呼ばれる国内最大規模の実動訓練を実施することを発表しています。二〇二一年以降のオリエントシールドは、米陸軍のMDO作戦、マルチドメイン作戦と、陸自のCDOを連携させた実動訓練であり、陸海空だけでなく、宇宙、サイバー、電磁波など、敵国を制圧するためのあらゆる分野で共同し、対中国を想定した危険な訓練に様変わりしています。ここに先ほど紹介した新配備の一六式機動戦闘車や戦闘ヘリからの実弾射撃訓練が加わり、かつてなく危険な訓練となることが予想されます。

 第十九回目の日米共同訓練の場所や内容について陸自は調整中としていますけれども、これは今回も饗庭野演習場で実施されるんですか。

鬼木副大臣 饗庭野演習場での日米共同訓練について現時点で決まった計画はありませんが、防衛省・自衛隊は平素から日米共同訓練についての様々な検討を行っており、時期や実施内容等についての調整が整った場合に訓練を実施してきております。

穀田委員 そんな一般論を話したって駄目ですよ。七月にするのやからどうすんねんと聞いているんですよ。

 饗庭野では日印共同訓練、日米共同訓練が連続し、その内容が質の面でも規模の面でも従来の枠を大きく超えているんですよね。これは、四月の日米首脳会談の最重要項目に位置づけられた米軍、自衛隊の司令部機能の強化につながるものであり、作戦及び能力のシームレスな統合を可能にし、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にするためのもの、自衛隊をインド太平洋司令部の指揮統制の下に置くための実動訓練にほかならないと私は考えます。

 この点では、日米軍事同盟の歴史的な大変質であり、憲法をじゅうりんし、日本を守るどころか、戦争と大軍拡で国民の命、安全、暮らしを根底から脅かすものであります。

 また、地元住民からは、饗庭野での危険な実動訓練を中止してほしいと、先ほど言いましたように切なる願いが沸き起こっています。

 戦争準備のための日米共同訓練はきっぱり中止し、軍事同盟強化や大軍拡の道ではなくて、外交と対話による平和創出に徹すべきであるということを強く述べて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

勝俣委員長 次に、グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣上川陽子君。

    ―――――――――――――

 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

上川国務大臣 ただいま議題となりましたグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、令和五年一月から英国及びイタリアとの間でこの条約の交渉を行い、その結果、令和五年十二月十四日に東京において、三か国の代表により、この条約の署名が行われました。

 この条約は、GCAPの管理等を我が国、英国及びイタリア三か国のために行うことを目的とする国際機関として、GCAP政府間機関を設立するものです。

 この条約の締結により、三か国の政府間の協業及び三か国の政府と民間企業との間の協業を一元的に管理し、及び運営する体制が構築されることとなり、GCAPの事業の円滑な実施に資することが期待されます。

 また、こうした取組を通じ、新たな技術を利用することによる相互の防衛能力の向上、我が国の繁栄及び安全保障並びに国際的な影響力への寄与が期待されます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

勝俣委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.