衆議院

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第10号 令和6年5月10日(金曜日)

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令和六年五月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 勝俣 孝明君

   理事 城内  実君 理事 鈴木 貴子君

   理事 中川 郁子君 理事 藤井比早之君

   理事 源馬謙太郎君 理事 鈴木 庸介君

   理事 青柳 仁士君 理事 竹内  譲君

      上杉謙太郎君    小田原 潔君

      黄川田仁志君    高村 正大君

      島尻安伊子君    武井 俊輔君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    穂坂  泰君

      宮路 拓馬君    小熊 慎司君

      佐藤 公治君    松原  仁君

      鈴木  敦君    徳永 久志君

      和田有一朗君    金城 泰邦君

      穀田 恵二君    宮本  徹君

      吉良 州司君    塩谷  立君

    …………………………………

   外務大臣         上川 陽子君

   外務副大臣        辻  清人君

   外務副大臣        柘植 芳文君

   経済産業副大臣      岩田 和親君

   環境副大臣        滝沢  求君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   外務大臣政務官      高村 正大君

   外務大臣政務官      深澤 陽一君

   外務大臣政務官      穂坂  泰君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小杉 裕一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門松  貴君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           矢作 修己君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)       木原 晋一君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            岡田  大君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        君塚  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房儀典長) 島田 丈裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 仁威君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            河邉 賢裕君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    辻本 圭助君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            彼末 浩明君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 前田 光哉君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       青木 健至君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 弓削 州司君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            坂本 大祐君

   政府参考人

   (防衛装備庁調達管理部長)            森  卓生君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  宮本  徹君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)


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     ――――◇―――――

勝俣委員長 これより会議を開きます。

 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長志水史雄君外二十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

勝俣委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。黄川田仁志君。

黄川田委員 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日の本題はGIGOということは理解しておりますが、しかし、外交上重要な日米関係におきまして看過できない発言がバイデン・アメリカ大統領からありました。これについては前回の外務委員会におきまして小熊議員も質問されておりましたが、私は、与党の議員として、非常にこの件について憂いがございますので、質問をさせていただきます。

 復習となりますが、バイデン大統領は、一日、ワシントンDCで開かれましたイベントで、日本経済が問題になっている、彼いわく、ジャパン・イズ・イン・トラブルと言っていましたが、その理由は移民を受け入れないからだということであるとして、日本の外国人政策について批判しています。

 日本語訳では外国人嫌いとか排外主義的という言葉で表現されておりますが、英語ではゼノフォビックという非常に差別的な意味を含んでいる言葉を使っていました。そして、中国、ロシアと同列に批判しているということでございます。

 非常に失礼千万であると思いますし、先日、国賓で遇した首相の国に対する言葉として大変配慮に欠けていると思います。

 また、同盟国を中国とロシアと並べて差別的な発言をすることは、大統領選挙のリップサービスだとしても、黙っているわけにはいかないと思っています。

 加えまして、自由で開かれたインド太平洋のために大変重要なインドも含めての批判でありましたので、欧米メディアも驚きを持って報道しておりました。

 日本政府としては、三日までに、日本政府の政策の正確な理解に基づかない発言であったことは残念だとアメリカ政府に申し入れ、日本の考えや政策について説明したということでありました。これは前回の委員会でも大臣から説明があったと記憶しております。

 しかしながら、これについて実際にどういうやり取りがあったかということはお話できないと思いますけれども、日本外交の責任者であります外務大臣の見解、どういう思いでいるかということを聞かせていただければと思います。

上川国務大臣 今般のバイデン大統領の発言でありますが、承知しております。

 この発言の中に、日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言があったことは残念であります。米国に対しましては、この点を申し入れるとともに、日本の考えや施策を改めて説明したところであります。

 ジャン・ピエール・ホワイトハウス報道官は、大統領が言いたかったのは、我々が国家としてどのような存在であるかというと、我々は移民の国であり、それが我々のDNAだということであると説明した上で、米日関係は重要な関係であり、深く永続的な同盟関係であると述べたものと承知しております。

 いずれにいたしましても、四月の岸田総理大臣による米国の公式訪問において内外に示したとおり、日米関係はかつてなく強固であり、引き続き米側と、同公式訪問の成果も踏まえ、日米関係の一層の強化に取り組んでまいりたいと思っております。

黄川田委員 ありがとうございます。

 今の御説明で、日本の政策の正確な理解に基づいていないのは残念だということでありますが、これは、政策に対する理解というよりも、日本に対する態度、差別的な意味合いを含んだ言葉を使って中国、ロシアと同列に並べて批判している、この姿勢が問題であると思いますので、引き続き、いろいろな外交の場で、事務方も含めて、日本とアメリカの信頼関係が揺るがないように努めていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、GIGOの方に質問を移らせていただきたいと思います。

 イギリスとイタリアとともに日本は次期戦闘機を共同開発することになりました。このGCAPにおきましては、日本の安全保障政策にとって大変大きな意義を持っていると考えております。そして、この共同開発によりまして、日本国内の防衛産業の生産や技術基盤をしっかりと培う、維持する、日本の防衛力の自立の幅を広げるということに私は期待しております。

 ただし、次期戦闘機の開発におきまして日本が主導的な役割を果たせるかどうか、これが日本にとってGCAPが成功したかどうかの一つの評価になるのではないかと考えております。

 かつて、日本は戦闘機の共同開発において苦汁をのんだ経験がございます。過去、米国とのF2戦闘機の共同開発においては、主導権を米国に奪われ、日本は大きな譲歩を迫られました。

 今回、GCAPを進めるに当たり、GIGOなる国際機関をつくることになりまして、日本が本当に主導権を取って主導的な役割を取っていけるのか、ここが私は心配しているところでございます。

 このGIGOの体制を見る限り、取り越し苦労であればいいんですが、心配な点がありますので、そこをちょっとお話しさせていただきます。

 このGIGOのGCAP実施機関の初代首席行政官に日本人の就任が決まったという点については非常によかったと思います。しかし、開発主体のGIGOの本部と共同企業体の本部はイギリスに置くことになっております。また、メディアによりますと、製造工場はイタリアに置いて、実際の組立てもイタリアでやるということであります。これが事実でなければいいのですが。また、共同企業体のトップはイタリア人で固定されているが、GIGOの代表は各国持ち回り制ということも報道がございました。

 先ほどお話ししたように、日本人がGIGOの初代委員長になったものの、持ち回りでございますので、いずれ交代するわけでございます。そうすると、ほかのものはイギリスとイタリアで固定されているにもかかわらず、日本はそういう体制からのプレゼンスがなくなってしまう、弱くなってしまうということを心配しております。

 このような人事と機構の体制で本当に日本は次期戦闘機の開発において主導的役割を果たせるのだろうかということであります。防衛省から御所見をお願いいたします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 次期戦闘機でありますけれども、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現するためには、委員御指摘のとおり、我が国主導の開発を確保することが極めて重要であります。

 この我が国主導の開発とは、防衛力整備計画に明記しておりますとおり、次期戦闘機の共同開発に当たりまして、まず、我が国が求める主要な要求性能を全て満たすこと、また、将来にわたって適時適切な改修の自由を確保できること、さらには、高い即応性を実現する国内の生産・技術基盤を確保すること、これを実現するものであります。

 この点、次期戦闘機の生産の在り方につきましては、現在、日英伊三か国で協議中でございまして、製造、組立ての場所がイタリアに決定したとの事実はございません。先ほど申し上げましたように、日本国内に生産・技術基盤を確保することが我が国主導の開発のために重要であると考えてございます。

 また、協業体制につきましても、日英伊の三か国でバランスの取れたものとすることが必要でございまして、GIGOのトップのみならず、これに対応いたします共同事業体制のトップも、イタリアに固定ということではなく、三か国でローテーションすることを予定しているところでございます。

 防衛省といたしましては、我が国主導の開発を確保する上では、GIGOの立ち上げとGCAPの将来を左右する重要な役割を担いますGIGOの初代トップを日本から派遣することは極めて意義があると考えてございます。

 さらに、我が国主導の開発を実現するべく、我が国は、次世代の戦闘機に求められる技術を蓄積してまいりまして、こうした取組に対して、次期戦闘機の開発に着手するまでに二千億円以上を投じまして国内の技術基盤を確立いたしております。

 我が国といたしましては、これまで蓄積してまいりました戦闘機開発に必要な経験や技術を背景に、官民一体となってイギリス、イタリアとの交渉に当たりまして我が国主導を確保し、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現できるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

黄川田委員 ありがとうございました。

 報道が少し間違いであったということを確認できたので、よかったと思います。しっかりと主導的な役割ができるようお願い申し上げます。

 そして、私がこのGCAPの共同開発で注目しておりますのはジェットエンジンの開発でございます。戦後、GHQの占領下におきまして航空機開発が禁止されまして、その後、欧米に比べて日本のジェットエンジンの開発は大きな後れを取りました。しかし、日本の企業の努力もありまして、IHIがXF9を二〇一八年に開発して防衛装備庁に納入されております。このXF9においては、当時、最高のエンジンだというような触れ込みでございました。

 このGCAPにおきましては、ジェットエンジンの開発は、IHIに加えて、イギリスのロールス・ロイス、イタリアのアビオエアロが参加することになっていると聞いております。

 私は、IHIの血のにじむような努力に報いるためにも、XF9を採用するか、若しくは、IHIが主導で、XF9の技術開発の経験を基にジェットエンジンを造っていくということをしっかりとやるべきだと考えておりますが、防衛省の御所見をお願い申し上げます。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 次期戦闘機のエンジンの開発におきましては、開発コストやリスクを分担しつつ、優れた性能のエンジンを開発するため、日英伊三か国それぞれの優れた技術を結集して共同開発することとしております。

 その上で、我が国では、これまでに、XF9エンジンの試作を通じまして、大推力とコンパクト化を両立するためのエンジン技術を実証しております。XF9エンジンは、技術の実証と技術課題を洗い出すことを主眼に開発され、重量等の点からそのまま次期戦闘機に搭載することはできませんが、得られた知見や教訓は今後開発される次期戦闘機搭載用エンジンに生かされるものでございます。

 こうした取組を踏まえ、国内の企業に十分な技術が蓄積され、日英伊の共同開発を主導できる技術レベルにあると考えており、これまでのエンジンに関する技術や経験を踏まえまして共同開発に取り組んでまいります。

黄川田委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので、最後に短く質問します。

 次期戦闘機の共同開発は、その開発のみならず、外交的にも非常に意味があるものと考えます。上川大臣が考えるGIGO設立の意義と期待についてお願い申し上げます。

勝俣委員長 上川外務大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

上川国務大臣 GIGOの設立によりまして、日英伊間の協業を一元的に管理運営する体制が構築され、GCAPの事業の円滑な実施に資することになり、これによりまして、我が国の防衛能力の向上や、我が国の防衛生産・技術基盤の維持強化が期待されるところでございます。

 GIGO設立を通じました日英伊三か国の協力につきましては、今後数十年にも及ぶ英伊両国との幅広い協力の礎ともなるものでございまして、一層厳しさを増す安全保障環境の中におきまして、インド太平洋地域及び欧州地域の平和と安定に大きく貢献するものと考えているところでございます。我が国の国際的な影響力への寄与も期待されるところと考えております。

黄川田委員 どうもありがとうございました。

勝俣委員長 次に、金城泰邦君。

金城委員 おはようございます。公明党会派、金城泰邦でございます。

 それでは、GIGO設立条約に関しまして、通告に従い、質問させていただきます。

 まず初めに、本条約に関連する案件について質問させていただきます。

 政府は、次期戦闘機の調達をイギリス、イタリアとの共同開発で行うこと、また、その完成品である戦闘機の輸出を認める閣議決定を行いました。これは、二〇一四年に自公政権が防衛装備移転三原則を閣議決定し、その運用指針で、完成品の移転は救難、輸送、警戒、監視、掃海の五分野に限定しており、戦闘機は対象外でした。

 我が党は、戦闘機輸出は安全保障政策の大きな転換になると判断しました。そこで、まず、完成品の第三国移転の方針を閣議決定し、将来は輸出の個別案件ごとに閣議決定するよう求めました。さらに、完成品輸出は次期戦闘機に限定、輸出先も日本と防衛協力協定のある十五か国に限定、戦闘中の国は除外とする歯止めも実現させていただきました。閣議決定には与党の了承が必要なため、与党議員が国会で政府の説明を求め、国民的議論ができることになります。三つの限定も実効性があります。

 そこで、武器海外移転の審議の四大臣会合メンバーとしての外務大臣にお伺いいたします。

 次期戦闘機の第三国移転に関する今回の新たな歯止め内容について、外交をつかさどる外務大臣としてどのように理解して、どう評価されておられるのか、御所見をお伺いいたします。

上川国務大臣 委員御指摘のとおり、今般の見直しにおきましては、次期戦闘機の完成品につきまして、いわゆる三つの限定と二重の閣議決定を盛り込んだ上で、我が国からパートナー国以外の国に直接移転を認め得ることになったところであります。

 このように、通常の防衛装備移転よりもより厳格なプロセスを経ることで、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を堅持することをより明確な形で示すことができると考えているところであります。

 こうした政府の立場につきましては、国民の皆様や国際社会にしっかり説明し、一層の理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。

金城委員 ありがとうございました。

 この歯止め策に関連して、二点質問させていただきます。

 一点目は、移転先について、防衛装備品・技術移転協定を締結している国に限定することになりました。現在は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、インド、フィリピン、フランス、ドイツ、マレーシア、イタリア、インドネシア、ベトナム、タイ、スウェーデン、シンガポール、UAE、この十五か国となっております。

 今回、次期戦闘機をこの協定締結国に限定したことに鑑み、この協定を締結するプロセスについても一層厳格な決定プロセスと透明性確保が必要と考えますが、協定締結を所管する外務大臣の御答弁を求めたいと思います。

上川国務大臣 移転先を防衛装備品・技術移転協定の締結国に限定する要件につきましては、最先端の戦闘機という装備品の性質を踏まえて、他国への侵略等、国連憲章の目的と原則に適合しない形で使われることがないことを法的拘束力のある形で確保するために設けているものであり、適切な限定を付しているものと考えております。

 協定の締結に当たりましては、国連憲章の目的と原則に沿った使用が確保されることを含め、相手国の制度等を関係省庁で確認の上、締結することといたしております。

 その上で申し上げますと、委員御指摘のとおり、防衛装備品・技術移転協定を含めまして、防衛装備移転に係る政策について国民の皆様の一層の理解を得ることが重要であり、国会における質疑も含め、丁寧に説明してまいりたいと考えております。

金城委員 ありがとうございました。

 二点目は、第三国における適正管理についてであります。

 第三国に次期戦闘機を輸出した後、それを紛争の助長に使用させないために政府としてどのように適正管理を確保されるのか、これについてお尋ねいたします。

上川国務大臣 移転した次期戦闘機に関しては、目的外使用及び第三国移転についての適正管理を、国際約束、すなわち防衛装備品・技術移転協定によって相手国政府に義務づけることとなります。

 その上で、移転を認めるか否かの厳格な審査のプロセスにおいて、最終需要者による防衛装備の使用状況や適正管理の確実性等を考慮した上で移転を認めることとなると考えております。

金城委員 ありがとうございました。

 それでは、本題のGIGOの設立条約について質問いたします。

 GIGOは、GCAP、グローバル戦闘航空プログラムの管理等を日本、イギリス、イタリア、三か国のために行う国際機関とのことですが、日本がどのように関わっていくのかをお伺いいたします。

 まず、組織体制に関して、GIGO運営委員会はGIGOの意思決定機関だと思いますが、日本政府としては日本の委員としてどのような方を考えておられますでしょうか。また、GCAP実施機関の首席行政官は日本人が就任することになっていると伺っていますが、どのような方を想定されていますでしょうか。また、GCAP実施機関の職員数はどのくらいで、そのうち、政府として、防衛省、外務省や経済産業省を始め、省庁の職員をどのような役職、立場の方をどれくらいの規模で派遣しようと考えておられるのか、お尋ねいたします。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 運営委員会を構成する我が国の代表は、防衛省の指定職や課長級職員といったしかるべき者を想定しております。GCAP実施機関の首席行政官の人事につきましては現在調整中ですが、当該機関の立ち上げとGCAPの将来を左右する重要な役割を果たす者であると考えており、国際的な協力の経験を有し、指導力に秀でるなど、英伊の期待を裏切ることのないベストな人材を我が国として責任を持って選出していく考えでございます。

 また、GCAP実施機関の職員の規模につきましては、具体的な人数は現在三か国で調整中でございますが、各国の政府から合わせて数百人規模の組織となることが想定されております。

 我が国から派遣される職員につきまして、詳細は検討中でございますが、防衛省からは、技術的な観点からプロジェクト管理を担う技官、組織運営等を担う事務官及び戦闘機の運用者である航空自衛官の派遣を予定しておりますが、防衛省以外の省庁からの派遣につきましても、オール・ジャパンの観点から前向きに検討していきたいと考えております。

金城委員 三か国でしっかりとリーダーシップを取ってやっていける方を派遣していただけるよう期待しております。

 次に、GIGOへの日本の拠出金についてお伺いをいたします。

 これまでの木原防衛大臣の答弁などから、長期にわたり年間一千億円規模の巨額の拠出金を負担する可能性があることを踏まえ、三か国による拠出金検討結果をできるだけ早期に明らかにするとともに、拠出金への日本政府の対応方針、考え方を国民に明示することが必要だと思います。政府の見解を伺います。

鬼木副大臣 三か国によるGIGOへの拠出額については、作業分担等、国際協力の詳細な在り方により、今後大きく変動し得ることになります。そのため、現時点でお答えすることは困難でありますが、三か国で公平に分担することを検討しておりまして、イギリス及びイタリアとの調整の上、可能な限り早期に公表できるよう検討してまいります。

 その上で、次期戦闘機の共同開発においては、開発費を削減することは日英伊三か国共に共通の課題と捉えておりまして、しっかり三か国で協力して取り組んでまいります。

 また、我が国の拠出額については、しっかりと精査した上で、年度ごとの予算案として国会で御審議いただきまして、国民への説明責任を果たしてまいります。

金城委員 ありがとうございます。しっかりと目的に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 次に、次期戦闘機の開発については、今後、三か国でGIGOを設置して共同開発を進めていくことになります。

 三月二十六日には、次期戦闘機の第三国移転に関する歯止め策が閣議決定されました。この日本の歯止め策について、次期戦闘機を具体的に第三国移転する直前になってイギリス、イタリアまたGIGOに説明し、理解してもらうのではなく、日本政府は、GIGO設立の当初から、早い時期からGIGOやイタリア、イギリスに対し説明し、理解され、尊重され、歯止め策に沿ったGIGO運営がなされるよう取組を行うべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

鬼木副大臣 防衛装備移転三原則を含む我が国の防衛装備移転に関する制度については、これまでも累次の機会にイギリス、イタリアに対して説明してきております。今般の我が国から第三国への直接移転に係る制度の見直しについても既に説明しておりますが、今後も必要な機会に説明を続けていく考えであります。

 我が国としては、次期戦闘機を含む我が国から第三国への直接移転に際しては、防衛装備移転三原則等に基づき、個々の具体的な案件に応じて、与党との協議も含め、厳格に審査を行い、適切に対応していく考えであります。

金城委員 最後の質問になりますが、次期戦闘機の開発費の予算についてお尋ねいたします。

 過去の航空機開発の事例において、当初の見積りと比較して開発費が増大していったことがありました。政府としては、開発費増大の要因等については分析していますでしょうか。これからのGIGOによる次期戦闘機開発について、同様に開発費増大のリスクが存在する可能性は否定できません。開発費増大のリスクについて、政府はどのように認識して、どのように対応しようと考えているのか、お伺いいたします。

鬼木副大臣 過去の航空機開発の事例として、F2の開発総経費については、当初、十一年間で約一千六百五十億円程度と見込んでいたところ、その後の日米両国間における交渉により、一つ、人件費の高いアメリカも改造開発を本格的に分担するようになったこと、二つ、飛行制御システム、フライトコントロールシステムに係る技術援助をアメリカより受けることができず、我が国自らが開発することになったこと等の事情の変更があり、結果として開発総経費が約三千六百億円となりました。

 また、近年、防衛装備品の高度化、高額化が進み、開発のコストやリスクが増大する中、これまでの教訓を踏まえ、次期戦闘機事業においては、開発段階から開発後の量産、運用、維持段階までを見通した効率化のための施策に取り組むこととしております。例えば、イギリス、イタリアの知見も活用しつつ、デジタルトランスフォーメーションといった先進的な取組による製造時の効率性の向上策も積極的に取り入れていく考えです。

 コスト上昇やスケジュール遅延といったリスクを低減しつつ、しっかりと開発を進めていきたいと考えております。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございます。

勝俣委員長 次に、松原仁君。

松原委員 今日は、グローバル戦闘航空プログラム政府間機関の設立に関する条約について質疑をいたします。

 その他質疑を用意しておりますが、御答弁が的確でない場合はまた積み残しが生じるかもしれませんので、あらかじめ理事者の皆様にはおわびを申し上げておきたいと思います。

 まず、戦闘機を複数国によって共同で造るということは、極めて深い軍事同盟的と言える側面を有すると承知しております。日本にとっては、日米軍事同盟とは別の、インド太平洋地域の平和、安定に貢献する同志的な同盟関係を構築することになると考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

上川国務大臣 日英伊三か国は、いわゆる同盟関係にはないが、自由、民主主義、人権、法の支配といった共通の価値に基づきます長年にわたる緊密な関係があります。GCAPを通じまして、長年にわたります防衛協力関係を一層拡大するとともに、深化する三国間のパートナーシップを更に進めていくものと考えております。

 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中にありまして、こうした協力を通じ、同盟国、同志国間のネットワークを重層的に構築するとともに、それを拡大し、抑止力を強化していく方針でございます。

松原委員 今回、イギリス、イタリアと三か国で行うわけでありますが、ドイツ、フランスが入っていないわけであります。

 私は、今から十数年前に、石破団長の下、超党派でドイツを訪問いたしました。当時、ドイツの人が、ユーロファイター、ユーロコプターというのを造っておりまして、これはアメリカ産より安いぞといって随分と石破団長に売り込んでいたのを記憶しているわけでありますが、実際は、安くても、例えば二機、三機で一機に相当しても、戦闘の状況、現場の状況においては優秀な一機の方がすごいのかもしれません。そういったことでありますが、こういった共同開発は、当時、ユーロコプター、ユーロファイターでも行われていたことを承知しております。

 なぜ今回はドイツ、フランスではなくイギリス、イタリアなのか、アメリカがなぜ入っていないのか、防衛省、参考人にお伺いします。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 次期戦闘機の開発を進めるに当たりまして、我が国の独自開発や米国との共同研究などの可能性を十分に検討しました。その結果、要求性能の実現可能性、スケジュール、コスト等の様々な観点から、英伊との国際共同開発が最適な選択肢であると判断しました。

 英伊を相手国として選択した理由につきましては、共同開発においては、相手国が配備予定時期を同じくし、国際協力を追求する自国の開発プログラムを有していることが重要でございまして、我が国とイギリス及びイタリアは、それぞれ二〇三五年頃に配備を目指す次期戦闘機の開発プログラムを有しておりました。このため、日英伊間におきまして優れた技術を結集するとともに、開発経費や技術リスクの低減を図るため、今般、三か国で共通の機体を開発することに合意したものでございます。

 アメリカにつきましては、アメリカではNGADというプログラムがございますが、そちらの方は詳細は承知しておりませんが、ただ、日本の配備予定時期とは合わないということで、現実的な選択肢になりませんでした。あと、まさに国際的な共同開発でやるというようなプログラムではございませんでした。

 最後に、ドイツ、フランス、スペイン、こちらにつきましては、次期戦闘機を共同開発しているところでございますが、二〇四〇年代の運用開始を目指していると承知しておりますが、日英伊が目指すスケジュールとは異なると考えております。

松原委員 この辺も議論を深めたいところなんですが、もちろん、技術的なもの、コスト、スケジューリングというのはあるんですが、こういったものも一つの外交的な網打ちですから、本来であれば、ドイツ、フランスを巻き込むようなものの模索をするとか、様々なことがあったと思いますが、これは時間もないので、今日はそういったことでお話を進めてまいります。

 このことによって、日本における航空機技術は飛躍的に伸びるチャンスであると思っております。何だか分からないが、日本は航空機に関しては手を出すなみたいな暗黙の空気があったと私は率直に思っております。どこの圧力でどうだとは言いませんが。しかし、このことは日本にとって航空機技術の飛躍的なチャンス。お答えください。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としては、次期戦闘機の国際共同開発を通じまして、他国の英知も取り込みつつ、国際的に活躍する次世代エンジニアの育成や我が国防衛の足腰を支えるサプライチェーンの強化等を図ることで、我が国の防衛生産・技術基盤を維持強化していくこととしております。

 また、航空機産業は、高度な技術力と、部品、素材に至る幅広い裾野を有する、民間防衛部門共通の産業基盤でございます。このため、次期戦闘機の開発におきまして、様々な先端技術に投資するとともに、優秀な人材が育成されることで、防衛産業はもとより、産業界全般への幅広い波及効果が期待できます。

 さらに、共同開発により、我が国企業が国際標準にのっとった航空機の開発に携わることとなるため、例えば、航空機の安全性を証明するための耐空性の認証に関する経験が蓄積されるなど、防衛、民間の用途を問わず、我が国の航空機分野の技術力が総合的かつ飛躍的に向上するものと期待しているところでございます。

松原委員 その意味においては、日本の航空機産業新時代がこの条約によって切り開かれる。日本、お前は飛行機に余り出てくるなということが誰もが言えない環境がイギリス、イタリアとともに共同でやることによって生まれるというのは私は極めて国益に資するものだと思っておりまして、この条約を評価しているところであります。

 次に、この機関の本部が日本に置かれていない。大変残念であります。ローテーションで変わる。先ほど来、与党の先生方の御質問にあったように、首席行政官が日本であるというふうに聞いておりますが、やはり、この本部を日本に置くということが、特に、中国、ロシア、北朝鮮等によって安全保障環境が極めて深刻さを増す日本においては大きな応援団になると思うんですが、これを置かないということで既に外務省の方で決めてしまっていると聞いておりまして、大変残念でありますが、これに代わる安全保障上のプレゼンスを高める施策というのは何かお考えでしょうか。外務大臣。

上川国務大臣 戦闘機でありますが、航空優勢を確保する上で大変重要な装備品でありまして、GIGOの設立を通じまして日英伊の技術を結集し、優れた戦闘機を開発することによりまして、我が国の防衛能力の向上及び我が国の防衛生産・技術基盤の維持強化が期待されるところであります。

 このことは、英伊との連携の強化を通じた協力関係の深化と相まって、我が国の国際的な影響力に寄与するものと考えております。

松原委員 それしか言いようがないですよね。

 次、航空機技術を革新的に発展させるために、次期戦闘機の開発段階でも相応の数の先端的半導体の確保が不可欠でありますが、その調達の見込みがどうなっているのか、防衛省、お伺いします。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としては、防衛生産基盤強化法に基づく措置を始め、サプライチェーンを含む防衛生産・技術基盤の強化のための措置を講じながら、装備品等の安定的な製造等を確保する取組を進めております。

 次期戦闘機の開発におきましても、国内の関連企業に対して、開発段階にとどまらず、量産、運用、維持段階も見据えたライフサイクル全体でのサプライチェーンの構築、維持を図るように求めているところでございます。

 その上で、御指摘にある先端的な半導体につきましては、例えば、高出力レーダーの素子に用いるパワー半導体などは、次期戦闘機を支える重要な構成品であると捉えているところ、共同開発の強みを生かしまして、国内の取組に加え、イギリス及びイタリアとも連携することによりまして、安定的な調達を確実にしていく方針でございます。

 済みません。先ほどの私の答弁で、アメリカとの共同研究と申し上げましたけれども、間違いです。米国との共同開発でございます。

松原委員 ありがとうございました。

 さて、昨日の夕方といいますか午後、私は耳を疑うような、眼を疑うような驚愕の伝聞が共同通信、時事通信から入ってまいりました。

 要するに、ウォルバーグ議員があのような暴言を吐いたことに対して大臣は抗議をしませんとこの場でおっしゃったわけでありますが、事もあろうか、今回は上院の公聴会。

 ウォルバーグは、彼の個人演説会、地元の集会で話をした。簡単に言えば、人間が心の中で何をどう考えるかというのは個人の自由に当然委ねられている。一人一人がこの問題に関して心の中ではこうだと思っている。あるかもしれない。

 しかし、いやしくもアメリカの議員が公の席上で広島、長崎のように最終決着をつけるべきだというふうなことを言ったというウォルバーグ下院議員の発言は本当に許されないということで、私はこの場で言ったわけでありますが、しかし、これはまだ、言ってみれば彼の個人演説会か何かであったわけであります。

 目と耳を疑ったというのは、今度はアメリカの上院の公聴会で同様の議論があり、今日の読売新聞にも載っていますよ。

 大臣、これを見ているでしょう。見ていますよね。衝撃を受けたでしょう。受けていないんですか。受けたか、受けていないかだけ、まず答弁してください。

上川国務大臣 その記事については、衝撃的と言ってもいいと表現なさいましたけれども、非常に厳しいものと受け止めております。

松原委員 最後が聞こえなかった。厳しい何とおっしゃったんですか。もう一回言ってください。

上川国務大臣 厳しい状況にあるということを改めて認識したところであります。

松原委員 何がどう厳しい状況なんですか。

上川国務大臣 今回の発言でございますが、広島及び長崎に関する発言、これは適切ではないと考えております。

 また、現下の中東情勢の文脈の中で、グラハム上院議員が広島、長崎の原爆投下を引用した議論を提起したことは受け入れることはできない、このように思っております。

松原委員 受け入れることはできない、不適切である、この間も同じ議論がありました。

 日本国内で、今、正式な日本の議会で、不適切であり、受け入れることはできない。これはアメリカに対しては抗議をするんでしょうね。

上川国務大臣 加えて、広島、長崎の原爆投下は、大変多くの貴い命を奪い、また、病気や障害などで言葉に尽くせない苦難を強いた、人道上極めて遺憾な事態をもたらしたものと認識しているところであります。

 政府といたしましては、かねてから明らかにしてきたとおり、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にあります人道主義の精神に合致しないと考えているところであります。

 このような広島及び長崎に対します原爆投下に関する日本側の考えは変わりはなく、米側にも繰り返し伝えてきているところでございますが、今回改めて米側に申し入れたところでございます。

松原委員 繰り返し伝えてきていて、例えば、岸田総理大臣と上川さんがアメリカに行かれた。繰り返し伝えてきて、それでも原爆投下は正しかったというふうなアメリカの公聴会における議論が行われたということをどう分析しますか。岸田さんや上川さんが行って繰り返し伝えてきたことが全くアメリカ側に伝わっていないということになりますが、御所見をお伺いしたい。率直にお伺いしたい。ペーパーに書いていない答えをお答えください。

上川国務大臣 今、日米関係が成熟する中におきまして、こうした発言があったということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、今の中東情勢の文脈におきまして広島、長崎の原爆投下を引用した議論を提起したことについて、まさに先ほど申し上げたとおり、受け入れることができないものと考えております。

 このようなことについては、この間も、日本は、唯一の戦争被爆国として、核兵器が将来二度と使用されることがないよう、核兵器のない世界の実現に向けて、米国とも協力しながら、現実的かつ実践的な取組を積み重ねてきたところでございます。そういう観点からも、このようなことについては受け入れることはできないと先ほど申し上げたところであります。

松原委員 受け入れることができないというのは結構ですよ。当然でしょう。

 私が冒頭言ったように、酒を飲みながらの話で出た話ではなく、ウォルバーグのように、彼の講演会における話でもなく、アメリカの上院の公聴会で出て議事録にも残っている話であるというところが大問題なんですよ。

 このことに関して抗議をする用意があるのか。ウォルバーグさんのときには抗議しませんと言い切った。今回は抗議をするんですか、遺憾であるということは言うんですか、まずお答えください。

上川国務大臣 今申し上げたところでございますが、広島及び長崎に関する発言は適切でなかったと考えております。

 また、現下の中東情勢の文脈で、グラハム上院議員が広島、長崎の原爆投下を引用した議論を提起したことは受け入れられないということであります。

 米側には、広島及び長崎に対する原爆投下についての考えを今般改めて申入れをしたところでございます。そして、米国政府のみならず、グラハム上院議員事務所に対しましても申入れを行ったところでございます。

松原委員 申入れは、今回のことについては大変結構ですよ。抗議の申入れを、時差があるけれども、昨日の未明ですよ、日本的には。

 日本に原爆を落とした、広島、長崎は正しかったと彼らは言っているんですよ、文脈をどう考えても。広島、長崎への原爆投下が正しかったと言っているんですよ、上院の公聴会で。とんでもない話ですよ。

 遺憾であるということはおっしゃっていただけますか。まず、遺憾であるかないかだけ、同じ答弁を繰り返さないで、一人の日本国民として、遺憾である、それを言ってください。

上川国務大臣 米国政府、そしてグラハム上院議員事務所に対して申入れを行ったところでございますが、その内容、やり取りにつきましては、詳細について差し控えさせていただきたいと思っております。

 いずれにしても、今、先ほど申し上げたような文脈の中のやり取りということでございまして、まさにそういう視点に立ったやり取りにつきましては受け入れることはできないということでございます。この点につきまして申入れを行ったところでございます。

松原委員 私は、遺憾であるかどうか、大臣の一人の日本国民としての心情を聞いているんですよ。ペーパーを読まないで、最低限、遺憾であると言ってくださいよ。それだけは言ってくださいよ。遺憾であるとすら言わない。不適切であると言っているけれども、遺憾であると言わない。遺憾であると言ってください。

上川国務大臣 受け入れることはできないと申し上げているところであります。受け入れることはできません。

松原委員 遺憾であるということですな。

 その上で、どのレベルでどう抗議したのか、これは日本国民が極めて関心を持っていますから、おっしゃってください。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、広島及び長崎に関する我が国の立場につきまして、米国政府及びグラハム上院議員事務所に対して申入れを行ったところでございますけれども、それ以上のやり取りの詳細については差し控えさせていただきたいと思います。

松原委員 当然、抗議ということは言った。抗議をしたと大臣はさっき言っていましたから、内容は言わないけれども抗議ということをやった、こういう認識でよろしいですね。確認です。大臣。

上川国務大臣 繰り返し申し上げるところでございますが、先ほど申し上げた到底受け入れることができないということにつきまして、この認識について申入れをしたところでございます。

松原委員 アメリカは日本にとって最大の同盟国であります。私もそれはそのように認識しております。同盟関係を維持するための我々の矜持、プライドというものは私は一つあると思っております。日本人にとってどうしても越えられない一線は断固として主張する。これは日米の同盟関係をこれからも育成するために極めて重要な部分だと思っております。

 ということは、原子爆弾を日本に投下したことについて軽々に触れてもらいたくないし、それをイスラエルの中近東戦争の文脈で軽々に持ち出されては我々も承服できない。大臣がおっしゃったとおり、断固として受け入れることはできない。当たり前であります。

 受け入れることはできないというだけではなくて、怒りを持たなきゃいかぬ。私は、その意味において、わざわざ米国に岸田さんと上川さんがいらっしゃって、話をして戻ってきて一か月たっていない、その段階で、アメリカの上院の公聴会で原爆投下を正当化するような議論がなされ、答弁する側も原爆投下は正しかったということですよ、文脈上。こういうことを言っている。これは、もちろん、アメリカ側が日本に対してそういった極めて軽々な態度をしているというのは極めて残念至極であります。同盟国に対して、原子爆弾で多くの人が亡くなってDNAの様々な問題が発生しているという悲惨な現実があるにもかかわらず、あの原爆投下は正しかった、必要だったということをグラハムさんの質問に対してブラウンさんが言っている。大変なことですよ。

 こういったことを言わせてしまう。極論を言えば、彼らが内面で思っているのは勝手ですよ。上院の公聴会でそういう発言をするというのはとんでもない話ですよ。私は、米国に対してそこまでできるかどうか分からないけれども、議事録の削除ぐらい求めなきゃいけないぐらいの我々の琴線に関わる議論だろうと思っております。

 言うべきことを言わないとこのような発言が向こう側から出てきて、結果として、我々が尊重し大事にしている日米同盟が、瓦解はしないけれども毀損する可能性があると思っております。

 その意味において、アメリカに岸田総理と上川さんが行ったときに、その前にウォルバーグの発言があったわけであって、私はこの外務委員会で批判しました、このときにこのウォルバーグの発言を捉えてきちっと向こうの政府高官に話をしたんですか、何も言っていないんですか。大臣、それだけお伺いしたい。

上川国務大臣 まず、御指摘のティム・ウォルバーグ下院議員の発言でありますが、核兵器の使用を容認しているかに受け取れる大変適切でないものであったと認識しております。

 同時に、同議員が声明を発出し、冷戦時代に幼少時代を過ごした身として、核兵器の使用を訴えることは決してないとして、自身の発言について釈明しているということに照らし、抗議を行うことが必要な状況にあるとは認識していない、前回もそのように申し上げたところであります。

 今般の岸田総理大臣の米国公式訪問におきましては、岸田総理大臣も私もこのウォルバーグ議員の発言につきまして個別に取り上げることはいたしませんでしたけれども、岸田総理大臣は、日米首脳会談や連邦議会での演説等におきまして、核兵器のない世界の実現に向けた取組の重要性について改めて訴えたところであります。

 我が国は、唯一の戦争被爆国といたしまして、核兵器による広島、長崎の惨禍は決して繰り返してはならない、こうした強い信念の下、核兵器のない世界の実現に向けて、米国とも協力しながら、現実的かつ実践的な取組を積み重ねてきているところでございます。

 オバマ元大統領またバイデン大統領には広島を訪問していただき、被爆の実相に触れていただきました。今後もこのような取組を積み重ね、被爆の実相の正確な理解を世代と国境を越えて促進してまいりたいと考えております。

松原委員 今までその努力が足りなかったということですね。足りているならば、アメリカの上院の公聴会でこんな許し難い議論は行われていないはずであります。

 なお、記事にもあるように、アメリカの防衛のトップのオースティンさんも同意している。広島、長崎の原爆は正しかったということにオースティンも同意しているということが時事でも共同の報告でも今日の読売新聞にも書いてある。

 オースティンさんすらこういった広島、長崎の原爆の正当性を言っているということについて大臣はどんなふうにお考えですか。簡単に答えてください。今日はコメントできないというのならそれでも結構ですよ。答えてください。

上川国務大臣 先般のオースティン国防長官も参加しての上院の歳出委員会におきましてのやり取りでございますが、グラハム上院議員の質問に対して答える形でやり取りをしている状況であります。まさに、ウォルバーグ議員の発言については、先ほど来申し上げていたとおり、中東の情勢の中でこれを引用したということも含めまして、適切でないものであったと考えているところでございます。

 その中で、正しく認識していくということについて、核兵器のない世界の実現に向けて唯一の被爆国としての取組については、理解促進のための努力を更に一層重ねてまいりたいと考えております。

松原委員 答弁がつらいですね。本当につらい答弁ですよ。日本にとってアメリカは最大の同盟国ですから、そこに対して物をなかなか言えないという苦渋は上川外務大臣のお姿からひしひしと感じて、本当にかわいそうだな、残念だなと思うところであります。

 しかし、上川さんは日本の外務大臣でありますから、我が国の国益を考えて言うべきは言う。先ほど北米局長は抗議をしたという。それを信じますよ。どういう抗議をしたのかというのは極めて重要ですけれども。

 我々はこの点について二つあって、怒りを明確に伝えなければまたアメリカの公聴会で同じような議論が起こる可能性がある。どんな文脈かは別にして、何かといえば広島、長崎への原爆投下は成功事例だった、あれをまねしてやれみたいな話を平然と行う。最低限、同盟国に対する同盟国の矜持というのがあると思うんですよ。アメリカの日本に対する矜持はどうなっているのか。アメリカの日本に対する矜持は、広島、長崎という言葉を弄んでも構わない、そういう矜持なのか。私はこれは非常に許し難い、受け入れ難い。

 しかし、そのような発言を平然とさせるようにアメリカに対して仕向けたとは言いません、これは日本政府のいわゆる努力不足ですよ。ウォルバーグさんのときも、こういったことで本人は釈明しているが、我々はこの発言は納得できないと例えば政府のスポークスマンである林官房長官が官房長官談話で明確に言う。そういうのを明確に言っていれば、こういったばかげた、アメリカの公聴会における議事録に残る発言で、広島、長崎に原爆を落としたことは正しかったというような発言はなされない。

 これは今までの発言と違って、茶飲み話でもないし、個人の演説会の発言でもない。議事録が残るアメリカの公聴会の発言です。これを許してしまった、それをさせてしまった日本の、これは大臣だけじゃない、申し訳ないけれども外務省の皆さんは連帯責任ですよ。こんなことを言わせちゃ駄目ですよ。それを言うような環境を醸成してしまったということが無念であります。

 ウォルバーグさんの発言のときにも誰かが明確にそのことを米国に言って抗議をする。今、北米局長は抗議をしたとおっしゃいました。抗議をした以上は、こういった発言をこれから行うことは極めてハードルが高くなる、こういう認識でいいですか。局長でいいです、答えてください。大臣はお疲れでしょうから。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、米側には広島及び長崎に対する原爆投下についての日本側の考え方というものを改めて申し入れたところでございます。具体的には、米国政府及びグラハム上院議員事務所に対して申入れを行ったものでございます。

 ただ、我が国の立場について申し入れたところにつきまして、それ以上のやり取りの詳細は差し控えさせていただきます。

松原委員 では、実務的にお伺いします。

 オースティンさんに対しては何らかの伝達はしたんですか。自分はブラウンさんと同様の意見だと肯定しているんですよ。オースティンさんに対してはどうしましたか。お伺いします。

有馬政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、米側に対しましては日本側の立場を申し入れたところでございますけれども、それ以上のやり取りの詳細につきましては差し控えさせていただきたいと思います。

松原委員 今局長はブラウンさんには言ったと言っているんですよ。オースティンさんには言ったかどうかだけ言ってくださいよ。

有馬政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、広島及び長崎に対する原爆投下についての日本側の考え方を改めて米側に申し入れました。これは米国政府及びグラハム上院議員に対して申入れを行ったものでございますが、それ以上のやり取りの詳細につきましては差し控えさせていただきたいと思います。

松原委員 米国政府に言ったということは、オースティンさんも米国政府の一員ですから、当然これは伝わっているという認識でよろしいですね。いいですよ、これ以上やっても時間がもったいないですから。

 ただ、これは我々にとって軽々にスルーできる課題ではないんですよ。まさに私たちが、かつての日本人の本当に汗と血を流す中において今日があり、未来を語るならば、原爆投下を正しかったというふうな議論がアメリカの議事録が残る公聴会でされたことに対して、我々は、そういう言葉を使っていいかどうか分かりませんが、日本人的な怒り、日本民族の怒りを込めて抗議をするべきですよ。

 どの程度の抗議をしたのかは分かりません。外交上の秘密だと言う。しかし、大問題であるということは認識してください。私が外務委員会にいる限り、こういった議論は繰り返し行う可能性があります。今日の答弁では納得できない。大臣は遺憾であるという言葉も言わなかった。

 時間がありません。次に移動します。

 次は、一つ質問を飛ばしまして、先般行った韓国の国会議員団の竹島上陸についてお伺いいたします。

 竹島に上陸した韓国の国会議員の行為は不法入国、不法上陸であると考えるが、法務省、政府の見解をお伺いします。

君塚政府参考人 出入国管理及び難民認定法では、外国人が有効な旅券を所持しないまま、あるいは上陸の許可を受けずに上陸する目的で本邦に入国した場合は不法入国となり、また、入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した場合には不法上陸となりまして、いずれにあっても退去強制事由及び罰則に該当することとなります。

 その上で、一般論となりますが、我が国固有の領土である竹島につきましては、現実に我が国が施政を行い得ない状況にありまして、出入国管理及び難民認定法における上陸に関する諸々の手続に関する規定を適用することができない地域でございます。

 具体的には、上陸の申請を行って入国審査官から上陸の許可を受けるということを前提に、そうした手続を踏まなかった行為自体を退去強制手続あるいは罰則適用の対象とするものでありますところ、竹島に関しては、施政を行い得ない状態にあることに照らせば、不法入国や不法上陸などに係る現行入管法の規定を適用する前提を欠くといいますか、現在はその状況に至っていないものと考えております。

松原委員 もし完全に今の政府参考人さんの意見が正しいというか、そうだとするならば、法律の網の目が存在しているということになろうかと思っております。

 ただ、私は、入管法の第九章、七十条の一項の二号ですか、入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者は罰金の対象なんですよね。今言ったとおり、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金等々と書いてある。だから、そこに入国管理を管轄する部署がないということであるからできませんというのは、それはそういう議論もあるかもしれないが、七十条の二号で、罰則の二号には、入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者。

 今回の韓国の国会議員団は入国審査官から許可を受けたんですか。確認です。

君塚政府参考人 承知しているところではございませんし、私どもが関与することはございませんでした。

松原委員 つまり、入国許可を与えていないんですよ。そうすると、第二号の入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に入国した者が今回の韓国の国会議員であります。

 七十条の一項二号を見ると、したがって、これは三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処することができるんじゃないですか。確認です。

君塚政府参考人 外国人の出入国管理に関する法執行という実務的な視点から、それから、先ほど申し述べましたけれども、竹島では、日本の主権が及ぶ領土でありながら、管轄権の一部を事実上行使することができていないということでございまして、先ほど申し上げたとおり、出入国管理及び難民認定法を適用することはできない地域にあることに照らしますと、出入国在留管理庁といたしましては、出入国管理及び難民認定法上の罰則について規定する入管法を適用する前提には至っていないということでございます。

松原委員 そんなことを言っていては駄目なんですよ。要するに、これは、罰則の一項二号を解釈すればできるんですよ。被疑者が日本にいなくても、これを裁判にかけるのかどうか分からないけれども、三百万円以下の罰金、懲役、禁錮、この条文からいけばできるんですよ。別に拡大解釈でも何でもない。是非検討していただきたい。

 入管にもう一つ聞きたいんだけれども、今回、韓国の国会議員団で竹島に上陸した人たちは、別の機会に日本に入国したいというときは、普通の韓国の国民として入国はできるんですか。確認です。

君塚政府参考人 入管法七条に上陸のための条件というのがございまして、旅券、査証が有効であること、入国目的に照らし在留資格該当性があること、それから、いわゆるブラックリストといいますか、上陸拒否事由に該当していないことということでございまして、個々に見る必要はあると思いますけれども、今申し上げた上陸のための条件に適合しているということであれば上陸することができますし、いずれか一つを満たしていない場合には上陸ができない場合もあるということでございます。

松原委員 今、ブラックリストに載っていたら駄目ですよという話でした。竹島に上陸した韓国の国会議員はブラックリストに載るんですか。

君塚政府参考人 これは私どもの一存でできるものではございませんで、政府全体で恐らく議論等々されるということなのかと思います。

松原委員 いよいよ上川大臣の出番がやってきたわけであります。大臣の答弁に多くの人が固唾をのんでいると思います。

 確認します。韓国の国会議員で竹島に上陸した人はブラックリストに載っていて、普通に日本に入れないと私は思いたいわけでありますが、大臣の出番ですから大臣の御所見を言ってください。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 ブラックリストに載せる載せない、個別の案件につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。

松原委員 個別の案件と言われたら国民は怒りますよ。竹島は日本の主権があって、主権侵害というのは物すごく重篤な侵害ですよね。その侵害をした韓国の国会議員が、俺、銀座でステーキ食いたいから日本に行きますわ。どうぞどうぞとなるんですか。

 大臣、一人の日本国の国会を代表するというか、行政を代表する外務大臣として大臣の御所見をお伺いしたい。大臣です。後ろから出てこなくていいよ。大臣の個人的な思いを言わなきゃいかぬでしょう。大臣、答えて。

上川国務大臣 竹島問題についてでありますが、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であります。このような不法占拠に基づきまして韓国が竹島に対して行ういかなる措置また行為も法的な正当性を有するものではないということであります。

 いずれにいたしましても、引き続き、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜く、こうした決意の下、毅然と対応していく考えでありまして、何ができるか、更なる検討を進めてまいりたいと考えております。

松原委員 後ろの彼、こういう一番重要なときに、あなたが日本の国の方針を決定するわけじゃないんだから、大臣の今までの知見と今までの認識と矜持の中で答えてほしいんですよ。だって、入管は、我々の範疇ではない、政府全体でといったら、上川大臣の出番じゃないですか。

 最後に、これから検討するということですから、大臣、竹島のこの国会議員団の日本に対する再上陸、どういうふうにするか検討するんですね。大臣、答えてください。

上川国務大臣 今の竹島に係る問題につきまして一連の御質問をいただきました。

 この件につきましては、いずれにいたしましても、日本の領土、領海、領空に関することでございますので、これは断固として守り抜く、こうした決意の下、毅然と対応していく考えであるということを改めて申し上げたいと思います。何ができるのかということにつきましては、更なる検討を進めてまいりたいと考えております。

松原委員 更なる検討を加えて、何ができるか考える。期待しています。

 入管も七十条の一項二号を使えばできるんですよ。被疑者不詳で韓国の国会議員に対して、日本に対してはブラックリストであなた方は上陸できませんよと言えるんですよ。それぐらいやらなかったら主権も何もあったものじゃない。断固として守り抜くという言葉が言葉だけ躍っているんじゃどうしようもないと私は思いますよ、大臣。

 大臣も内心は、一人の日本の矜持を持つ、強烈な自負を持つ外務大臣として、日本人としてじくじたる思いがあって、ここまで本音が出かかっているのは私は見ていて分かりますよ。本音がここまで出かかっている。松原さんの質問に対して本音で答えたらすぱっといける。でも、多くの外務省の職員が後ろから羽交い締めにしているから発言ができない、こういうことでしょう。何となくうなずいているような気がしますから、そういうことだと思いますよ。(発言する者あり)違う。いや、そうでしょう。今回はそういうことにしておきますわ。

 ただ、そういうふうにしなかったら、今回の外務大臣の発言は日本の国の外務大臣として不十分ですよ。

 では、もう一回答えてください、外務大臣。

上川国務大臣 竹島問題につきましては、先ほど来申し上げているとおりでございます。日本の領土、領海、領空を守り抜く、こういった決意の下で、今、私も外務大臣としての務めを果たそうと全力を傾注しているところでございます。毅然と対応していくということでございまして、その意味でも、何ができるか、更なる検討を進めていくと申し上げているところでございます。

松原委員 法の網の目が入管の方がおっしゃるとおりあるとするならば、竹島新法のようなものを、本気で日本の領土を毅然として守るならば検討してもいいんじゃないかと思うんですよ。アメリカはワームビア新法というのをワームビアさんの賠償金を取り返すために二つ作りました。新しい法体系を作って竹島の問題に関してきちっと対応できるようにするべきだと思います。大臣の御所見をお伺いします。今のはそういったものも含めて検討するという趣旨だと思いますが、もう一回答えてください。

上川国務大臣 先ほど来申し上げているところでございますが、竹島問題につきましては、様々な御議論をいただいたとおりでございますが、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下におきまして毅然と対応していく考えであります。何ができるか、更なる検討を進めてまいりたいと考えております。

松原委員 本来であれば、今日は警察を呼んでいませんが、警察の方にも来ていただいて、指名手配というところまで持っていくぐらいのことをしなかったら、私は断固として国土を守り抜くということにつながらないと思っております。

 竹島に関しては、前回、当時の民主党政権下で日本大使の召還をロシアに対しても韓国に対しても行いました。召還は考えていない、民主党政権のときにやった召還を今の岸田内閣、上川大臣は考えていない、こういう答弁でしたが、それでよろしいですか。確認です。

上川国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、何ができるか、更なる検討を進めてまいりたいと考えております。

松原委員 一歩前進ですね。二日前は召還しないと言いました。召還することを考えていない、私の記憶が間違いなければそう言ったけれども、今回は召還の可能性もあるというふうな発言という認識で、よろしいですかと言うと答えないだろうから、よろしいですな。答えますか。

上川国務大臣 竹島問題につきましては、先ほど来申し上げているとおりでございまして、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜く、こうした決意の下におきまして毅然と対応していく考えで今答弁を申し上げているところであります。何ができるか、更なる検討を進めてまいりたいと考えております。

松原委員 あと一問だけ質問して、後続の方の時間を余り食ってもいけないので。

 外国人土地所有についてお伺いいたしますが、一九八四年十一月、ワシントン・ポストにおいて、米中が外交施設を相互に購入するための条件に同意したとある。内容を問いたい。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道については承知しているところでございますけれども、報道を含めまして第三国間のやり取りについて政府として確たることを申し上げる立場になく、コメントすることは差し控えたいと思います。

松原委員 外務省は、自分の国のことじゃないから知りませんとよく言うんだよね。その態度はよくないですよね。今、国際化社会の時代で、アメリカと中国がどう向き合っているかということの実務的な分析や、そのことによって何が招来しているかという分析なくして日本の外交は成り立つんですか。他国間の動きを見ないで日本の外交は成り立つんですか。これは実務的なことを聞いているんですよ。政治的な判断を教えてくれと言っているんじゃないですよ。ワシントン・ポストの記事で、簡単に言えば、この内容は、一九八四年の段階のものを見るならば、アメリカは、相互主義の原則にのっとって、中国のアメリカ大使館が土地所有の権限がないならば、アメリカにおける中国大使館も土地所有のことは許可しない、そういう内容だったと私は承知しておりますが、そういった実務的なことも外交に関することですから言えませんなんて言ったら、外務委員会で何を議論してもしようがないじゃないですか。議論が進まないじゃないですか。

 第三国と第三国の間のことも、とりわけ今申し上げたような実務的な案件に関しては明確に言ってくださいよ。その姿勢がけしからぬと言っているんですよ。もう一回答弁。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のあったワシントン・ポストの記事につきましては、米中間では、建物の購入は許可されるが、土地は許可されないとの内容があること、これは承知しております。

松原委員 それのどこがこの場で言えない秘密なんですか。余りにも腹立たしいから、どこが言えなかったのか言ってくださいよ。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁におきまして、第三国間のやり取りについて政府として確たることを申し上げる立場にないというふうに申し上げた次第でございます。

松原委員 質問をあなたが誤解して聞いていたんだね。やり取りというよりは、どういうことがそこで確定し、報告されたかということですよ。

 大臣、この際一言大臣に申し上げたいのは、何かというと、日本の国と直接関係がありません、それは他国と他国の間のことです、それは一応私は理解します。しかし、条約やそういうことの解釈とかじゃないですよ。実務的な話、具体的な、中国にあるアメリカ大使館の不動産は誰が所有しているか、逆に、アメリカにある中国大使館の土地は誰が所有しているか、こういう調べれば誰もが分かるような話に関して、外務省はこれだけのメンバーがいながら、我々はそれは分かりません、こういうふうな非常につれない答弁はやめてほしいんですよ。

 大臣、この場で発言して外務省の職員の皆様に薫陶を与えてほしい。発言してください。

上川国務大臣 報道の一つ一つの内容につきましてコメントすることについては、もちろん背景等を調べた上ということは前提であるものの、この場でお答えするのは差し控えさせていただくことになろうかと思います。

 では、その中に書かれていることについての事実はどうなのかということについては、それは、様々な問題がありますが、極めて重要であるという認識の中で更に掘り下げていくということはあり得ると思っております。

 その意味で、そこも含めてどのように御答弁申し上げるかということについての今委員からの御指摘でございますが、できるだけ事実についての的確な調査等を踏まえた上で正確にお伝えしていくということは極めて重要であると思っております。

松原委員 大変結構な御答弁をいただきました。今の御答弁で、外務省の皆さんも、今みたいな具体的な事実関係に関しての情報は我々がレクで要求したときにも早く出していただきたい、このように思っているわけであります。

 質問は、在日米国大使館の土地所有者は誰か、在米日本大使館の土地所有者は誰かとか、それぞれあります。大体私も事前にレクで聞いているんですが、この場で言えないと言うからこういう話になるわけであります。

 少なくとも、相互主義というものを、今お話があったように、アメリカと中国の間ではこういった条約で、中国のアメリカ大使館に土地所有権を与えていないから、アメリカの中国大使館にも土地所有権を与えないという相互主義を米国は貫徹している。日本の場合は、中国の日本大使館は土地所有権を持っている。土地謄本を私は上げていますよ。日本の中国大使館は土地所有権を持っていない。これは相互主義とは違うわけであります。

 私は、目には目をというハムラビ法典がいいとは言っていません。しかしながら、相互主義というのは外交の基本的な原則だろう、その相互主義にのっとって例えば日中の排他的経済水域の問題も議論していくべきだと私は思っているんです。

 したがって、日本と中国の大使館が全く不均衡な状況にあるということに関して外務大臣として何かおっしゃることはありませんか。コメントを大臣にお伺いします。

上川国務大臣 外交関係に関しましては、国際法としてウィーン条約がございます。そのウィーン条約におきましては、外交使節団の設置は接受国及び派遣国の相互の同意によって行うこととされているところであります。我が国におきましても、外交使節団が公館設置のための土地取得をするには日本政府の事前同意を得ることを条件としておりまして、その旨を外交団に累次周知しているところでございます。

 実際に、外交使節団から公館設置のための土地取得の同意申請があった場合におきましては、関係国内法令を参照しながら、同土地の取得が外交活動のための適切な取得であること等を厳格に審査した上で、同意の付与の是非を決定しているところでございます。

 我が国におきましては、外国の公館設置の申請に際しまして、一律に土地取得に関する相互主義を適用しているわけではございません。

 一方、一般論として言えば、外国において我が国の外交使節団の公館がウィーン条約に照らして不当な扱いを受けている場合におきましては、我が国におきまして当該国から外交使節団の公館設置の新たな申請があれば、審査に当たってそうした点を考慮することはあり得ると考えております。

松原委員 私は、アメリカがあえてこういった米中の間の領事館、公館的なものに関する協定を結んだ、これは、相互主義というものを一方において一つの正義の御旗として考えることは、私は日本の外交上これから重要だと思っております。

 今日は時間を延長しまして、残余の質問は、近いうちにやってくると思われます次の機会に皆様に御質問したいと思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

勝俣委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。立憲民主党の小熊慎司です。

 グローバル戦闘航空プログラム、いわゆるGCAPの政府間機関の設立に関する条約の締結についてお伺いいたします。

 片仮名が多過ぎて、GIGOも最初に聞いたときには違うのを思い出してしまいました。

 これまでの質疑の中でも、我が党もいろいろな意見がありましたけれども、国際連携の中で共同開発をして、コストを抑えつつ質の高い防衛装備品をしっかり整備していくというのは大きな流れでもあるし、飛躍した言い方になるかもしれませんけれども、いわゆる吉田ドクトリン、軽武装、重経済という吉田ドクトリンに沿って言うのであれば、いろいろ懸念されることはあるけれども、コストを抑えつつしっかりとしたものを獲得していくという流れの中にはあるんだろうなと理解しているところでもあります。

 ただ、その中では、国民的なしっかりとした理解、政府側の説明責任、あと、大臣のこれまでの答弁でありましたけれども、国際的な理解も必要であるということであります。

 通告にはなかったんですが、国際理解ということであれば、今、直近でゆゆしき事件が起きました。横須賀基地における海上自衛隊の護衛艦「いずも」のドローンの撮影。そしてまた、同じ基地にあった米軍の船も撮られていた。しかも、それをSNSに載せた本人が、一か月も気づかないというふうにやゆもしている。

 私は、ドローンはどんどん利活用を推進していけばいいという立場であります。自分でもライセンスを持っていますので。ただ、厳しく制限されるときは制限されなきゃいけないけれども、日本は中途半端だ。もっと利活用した方がいいのに、いろいろたがをはめていて、肝腎なところが筒抜けになっていた。

 今回、国際共同開発していくという中で、これは一事が万事とも捉えられかねない事件だと思います。こんなことで日本は大丈夫と。

 この再発防止や経緯等は防衛省でありますけれども、いわゆる国際社会の中での信頼が揺らいでしまった今回の撮影の件について、外務大臣として、ドローンの撮影によって国際的に揺らいだ信頼、その点について一言あれば、これは通告はしていませんが、重要な案件ですし、大臣が言った国際理解といったものにもつながりますので、これをどうしていくのか、大臣、お答えください。

上川国務大臣 今般の件でございますが、まず、事実につきまして正確に調査する必要があろうかと思います。今、一か月もというお話もありましたけれども、そうであればあるほど、今のことにつきましての事実確認あるいは事実の調査についてしっかりと取り組んでいく必要があろうかと思います。

 どういう背景の中で、どのような目的でこうしたことが起きたのか、そしてアップされたのかということについて、先ほど信頼を失墜したという厳しい御指摘もありましたけれども、まさにこうした事態が起きたことの対外的な影響も含めて、外交上非常に重要だというふうに思っております。

 この点につきましては、一つの大きなテーマとして、今、ドローンを始めとして、また、AIの分野につきましても大きな課題になっているところでありますので、こういった点も含めて議論を更に深掘りしてまいりたいと思っております。

小熊委員 今大臣もおっしゃったように、ウクライナの戦争ではドローンも兵器として使われているわけであります。何年か前には首相官邸の上にも落ちた。

 私もドローンを使っていますけれども、やりようによっては技術的にも防止策があるんじゃないかなと思います。重要な施設がこんなことをされて一か月も気づかないというのは、日本の防衛は大丈夫となってしまいますので、鬼木さん、答弁は要らないけれども、防衛省と一緒になってしっかり対策を取ってほしい。

 ただ、その上では、利活用ということにさお差さないようにしていかなければいけない。ドローンの世界は日本は何周も遅れているので、そこはブレーキとアクセルは併せながらしっかり対策を取っていっていただきたいと思います。

 大臣は飛ばしたことはないですね。やったことはないですよね。今、免許制度にもなっているから、総理になる前に、秋には総理になるかもしれないから時間がないかもしれないけれども、是非自分で体感してみていただきたいと思います。

 では、条約に移っていきますが、先ほど言ったとおり方向性としてはあるんですが、まだまだあやふやな点もありますし、平和国家日本として、防衛装備品をしっかりしていくということはありながらも、第三国に悪用されないようにしなければいけないという懸念もあります。

 そこで、幾つか確認させていただきます。

 開発における次期戦闘機と連動する自律型システムを日米で研究することとなっていますが、この自律型システムというのはミサイル発射等の攻撃も行う可能性があるのか。また、AIということでありますから、人の関与がどの程度そこで行われるのか、確認させてください。

鬼木副大臣 お答えします。

 次期戦闘機と連携する無人機については、現在、その在り方に関する検討を鋭意行っているところでありまして、現時点において、無人機にどのようなものを求めていくのか、お答えできる段階にはありません。

 その上で、昨年十二月には、無人機の行動判断に適用されるAI技術について、高度な自律化技術の分野において最先端の知見を有するアメリカとの間において共同研究を始めることに合意をいたしました。本共同研究の成果として得られるAI技術については、次期戦闘機と連携する無人機等に適用することを念頭に置いています。

 いずれにしましても、我が国としては、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性を有する兵器の開発を行う意図は有していないとの立場を明確にしてきております。次期戦闘機と連携する無人機の研究開発に当たっても、かかる方針に従い、適切に対応する予定であります。

小熊委員 AIについては、防衛分野じゃなくて民間の分野でも、どういうふうに規制していくか、世界中でしっかりしたものがまだできていない中で進めていくので、かなり意識してやっていかないとあらぬ方向に行ってしまうなと思いますし、AIだけじゃなくて、数年前にこの外務委員会で、今はこちらにいらっしゃらない公明党の遠山元議員さんが、AIじゃなくてロボットの世界的な規制をきっちりルールを決めていこうという質疑をしましたけれども、実際にはそれも国際的にはなっていなくて、アメリカや中国、ほかの国でもどんどんどんどん進めてしまっているという状況であります。AIじゃなくロボットでさえそうなっているんです。

 これはかなり力を入れて、どうブレーキをかけていくかということをやっていかなきゃいけないし、今言ったとおり、民間領域においてもこれをどうしていくのかというのはいろいろな意見が出てしまっていますので、ここはとりわけ意識してやっていかないといけないところでもあると思いますので、しっかりここは高い意識を持って対応していっていただきたいと思います。

 次に移りますが、第六世代戦闘機開発計画では、NATOのドイツ、フランス、スペインが参加しているFCASとの研究協力だけではなくて、将来的に統合といったものも可能性があるのかをお伺いしますとともに、そもそも、研究協力していくということではありますけれども、両者の計画の違い、重なる部分があれば協力していけばいいんだけれども、違いはどういう点にありますか。併せてお聞きいたします。

鬼木副大臣 ドイツ、フランス及びスペインにより共同開発される次期戦闘機、FCASについてでありますが、詳細についてお答えする立場にはありませんが、二〇四〇年代の運用開始を目指しているものと承知しております。

 一方で、日英伊で共同開発する次期戦闘機は二〇三五年までに開発完了することを目指しております。ドイツ、フランス及びスペインの共同開発プログラムよりも早い配備スケジュールであり、現時点において研究協力や将来的な統合の計画はございません。

小熊委員 了解しました。

 次に移りますけれども、一個飛ばしますが、日本は国際共同開発の経験がほとんどない中で、共同開発というのはチームワークがしっかりしていかなければいけない。野球でいえば、お見合いしても駄目だし、一緒に同じことをやってぶつかっても駄目だというところでありますけれども、そういう意味で、それぞれのポジションでワークシェアというか、そういうものをうまくバランスよくやっていくという意味では、日本はどのようにこの三か国の中で主導的な立場を取っていこうとしていくのか、確認させてください。

鬼木副大臣 次期戦闘機の共同開発は、将来の航空優勢を担保する優れた戦闘機を開発するため、コスト等を分担しつつ、三か国の優れた技術を結集するものであります。

 我が国は、F2の開発経験に加え、各種研究の成果を踏まえた次世代戦闘機に求められる技術を蓄積しているところであり、こうした技術は次期戦闘機の共同開発にも生かしていく考えであります。

 このように、我が国の技術を活用するとともに、イギリス、イタリアの英知、技術も取り込みながら、三か国の共同開発を着実に推進してまいります。

小熊委員 分かりました。

 先ほどの質疑の中でも、アメリカとは検討しなかったのか、いろいろな要求性能の実現性とかコストの面とかを考えて今回の枠組みを選択したという答弁もありましたけれども、日本の考える開発の要求性能はどのように実現していくのかということと、今回のGCAPが第三国への移転といったものにも踏み込んでいくわけでありますけれども、そういった中で、日本も武器輸出のいろいろな制約がある中で、要求性能についてはどう実現していくのか、お伺いいたします。

鬼木副大臣 次期戦闘機の共同開発の協議につきましては、今後、本条約に基づき設立されるGIGOを通じて、各国が蓄積してきた技術や経験を背景に、各国が置かれている安全保障環境に応じて必要となる性能について議論を重ねつつ、共通の装備品を造り上げていくプロセスです。

 こうしたプロセスの中で英国及びイタリアに対して我が国が優先する性能の搭載を主張し合うこととなりますが、今般の直接移転に係る決定により、我が国が両国と同等に貢献し得る立場の確保が可能になったと考えております。

 我が国として、あらゆる面で対等に貢献するとともに、官民一体となって交渉に当たり、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機をしっかりと実現してまいります。

小熊委員 移転先についてお伺いしますけれども、国連憲章の目的及び原則等に適合しない形で使用しないようにしてもらうために外交上どのように取り組んでいくのか。ここが抽象的では本当は困るんですよね。しっかりピン打ちしていかなきゃいけない、歯止めをかけていかなきゃいけない点ですから、外交上どのように努力していくのか、お伺いします。

上川国務大臣 移転した次期戦闘機に関しましては、目的外使用及び第三国移転につきましての適正管理を、国際約束、すなわち防衛装備品・技術移転協定によって相手国政府に義務づけることとなります。

 その上で、移転を認めるか否かの厳格な審査プロセスにおいて、最終需要者によります防衛装備の使用状況や適正管理の確実性等を考慮した上で移転を認めることとなるところであります。

小熊委員 これはいろいろな問題点をはらみながら進んでいきますので、我々としてもしっかり注視しながら、今言ったようにしっかり歯止めが利くのかどうかということもその都度適宜、点検、検証させていただきたいなと思っているところであります。

 次の質問に移りますので、委員長、防衛省関係は結構です。

勝俣委員長 退席して結構です。

小熊委員 次の質問ですが、対ロ外交についてですけれども、二年前のウクライナでの戦争が起きたときには、当時の経産担当大臣の萩生田さんは、サハリン2は撤退しないということを明言しましたけれども、そのときと現在では大きく現状が変わりました。

 ロシア政府は今年の三月に、シェルが保有するサハリン2の株式を国営ガスプロムが追加取得することを承認しましたので、このことによってサハリン2は、シェルを軸とした民間プロジェクトから、国営企業ガスプロムが主となるロシアの国策プロジェクト、まさに今問題を起こしているロシアの国策のプロジェクトに大きく変わりましたし、そのほかのいろいろな影響があって今後いろいろな係争が起ころうとしている中で、日本の企業がまだそこに参加しているということは、逆に国益に資さない。今までのいろいろな利益を捨てなきゃいけない部分はあるけれども、そこに大きな国益、権益はないというふうに変わったんだと私は見ていますけれども、この環境、状況が変わった中で、サハリン2の撤退について改めて政府のお考えをお伺いいたします。

岩田副大臣 お答えいたします。

 今年三月に、シェルが保有しておりましたサハリン2プロジェクトの株式を、ロシアのガスプロムの子会社が取得することがロシアの政府令により承認されたことは承知しております。

 ロシアへのエネルギー依存につきましては、G7の方針に基づきまして着実に低減の取組が進められております。実際に、二〇二三年のロシアからの輸入量は、ウクライナ侵略前の二〇二一年と比較しまして、原油は九割超の減、石炭は約八割の減となっております。

 他方、LNGにつきましては、安定的な調達を可能にさせる長期契約の代替が当面困難であり、不安定な状況にあるLNG市場の現状を考えますと、サハリン2プロジェクトからのLNGは、我が国のエネルギー安全保障上非常に重要な役割を担っております。そのため、サハリン2プロジェクトからは撤退しない方針であります。

 引き続き、G7と連携しつつ、我が国のエネルギー安定供給を損なうことのないよう、総合的に判断し、適切に対処してまいりたいと考えております。

小熊委員 副大臣、経緯は分かっていると思いますけれども、ガスプロムの方に、子会社だけれども、行く経緯の中で、ノバテクが本当はあったんですけれども、これじゃなくなったわけですよ。我が国とノバテクとの関係を考えると、これを維持するということは、ノバテクと対峙してしまう構図も背景にあるんじゃないですか。

 ノバテクと敵対していいのか、日本の国として。そこをどう考慮していますか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに報道等ではサハリン・プロジェクトにノバテクが参画するということが検討されていた段階もあったというふうに承知しておりますけれども、様々な検討の結果、結局、ノバテク側はそれほど強い参入の意思は示さなくなったというふうに承知しております。

 したがいまして、ノバテクと日本は別のプロジェクトでも協力しておりますので、ガスプロムがサハリン2の出資割合を増やしたこと自体が日本とノバテクとの関係を損じるということには必ずしもならないのではないかと考えております。

小熊委員 それは表のあれで、サハリン2とノバテクが係争に陥る可能性がある、大丈夫なのかという話をしているんです。

 サハリン2を通じて、今回、いろいろなごちゃごちゃした経緯があったでしょう、裏舞台が。これからもLNGのことでいろいろ起きてきて、その中で、サハリン2をノバテク側が訴えるというか、係争になるんじゃないか。そうしたら、逆に、サハリン2側に日本は立つわけでしょう。係争にならないと断言できますか。

定光政府参考人 お答えいたします。

 ノバテクはなぜサハリン2への参加を断念したかということについては、これは報道等で承知している範囲ですけれども、一つの要因としては、ノバテクがこのプロジェクトに参加してしまうと、シェルとの間での係争に巻き込まれる可能性があるということも懸念したという報道に接しております。

 したがいまして、そういう係争に巻き込まれることを避けるためにノバテクはある種引いたということなのではないかと理解しておりまして、日本がこのプロジェクトの権益を維持することによってノバテクとの係争に巻き込まれる可能性は大きくないのではないかと承知しています。

小熊委員 シェルとが今度は出てくるわけですね。

 これは今後また引き続いてやっていきますけれども、重大な決断、撤退しないと決断するのに、政府が報道等だけの情報で判断する、そんな軽くていいのかなと思いますよ。そんなことでいいのか。これは問題だと思いませんか、皆さん。そんな情報だけで国家の大事な政策を判断していく、これは非常に問題です。今後また継続して質疑していきますので、しっかりとした情報収集の下で、報道等で伺っているじゃなくて、そんな程度で判断するんだったらそんな政策は推進できない。これはまた後日やりたいと思います。

 次に移ります。

 GIGOの中でも出ていたとおり、国民の支持がなければ外交政策というのは円滑に推進していけません。そういう中で、今、日本の政治の信頼が非常に失われている中にあります。これは内政とはいえ、我々だってほかの国のいろいろな内政が混乱しているところを見ながら、その国と友好関係が非常に危ういなとか、どうなっていくんだろうということを心配するわけであります。

 例えば、これまでの質疑にもあったとおり、アメリカの大統領が誰になるか、アメリカの選挙民が決めることではあるけれども、世界に影響があるからいろいろ日本も注目している。恐らく世界からも今の日本の政治状況は注目されていますし、まして今、与党だけとは言いません、我々野党の責任もあると思いますが、国民から政治全体が信頼を失っている中で、円滑な外交の推進の非常に足かせになっているところがあります。

 この委員会は、気がついてみると、委員長、与野党両筆頭、大臣始め、静岡県の委員会だな。あと、無所属になられた塩谷先生もいらっしゃって、静岡であります。政務官もそうですね。静岡県の委員会みたいになっていて、静岡県には富士山があるというと山梨の人に申し訳ないけれども、富士山という日本の象徴のすばらしい山がある中で、日本の汚れた政治をどう富士山は思っているのかなと心配しますし、私も、一九八八年八月八日に朝八時八分にカウントダウンするというイベントに二十歳のときに参加させていただいて、そのときに交際していた女性の誕生日でもあったので、一緒に登ってそこで御来光を望んだときに、本当に心がすがすがしくなりましたし、その後、六年間の文通を経てちゃんと結婚しておりますので。(発言する者あり)ありがとうございます。

 今の日本の政治はすがすがしくないわけです。昨年来発覚しているパーティー券の裏金問題は、政治資金規正法の改正についても国会で取り組もうとしていて、自公合意、公明党さんもじくじたる思いで、あれで許しちゃいかぬ。公明党さんは違うなと思うんだけれども。

 改めて、今、塩谷さんはいないけれども、塩谷さんは、言葉はちょっとひどいかもしれないけれども、雇われ店長みたいな立場でも店長は店長だから、派閥の幹部だから、処罰を受けて離党までさせられた。派閥の暫定的な幹部といえども幹部だから。でも、宏池会、総理は会長を辞めるという慣例があったにもかかわらずずっとしがみついていて、この問題が出て急に辞めた。派閥の幹部だったのに責任を取らない。

 私もかつては、新井将敬先生の後は宏池会の先生の秘書をさせていただきました。橋をつないでいただいたのは今回逮捕されてしまった事務局長の方です。私の郷里の高校の先輩でもあります。あの人があんなことをするわけがない、できるわけがない。これは政治家の責任ですよ。ある意味明確に責任を取ったと言えない安倍派。でも、責任はある程度取った。全然取っていない宏池会、そしてその総理。

 そうした中で、この裏金問題の中で起きた政治不信の信頼を回復するためには、近い将来に総理になるかもしれない上川大臣はどのように考えるのか、お伺いいたします。

上川国務大臣 私自身、昨年の九月十三日に外務大臣に就任して以来、三つの原則の一つとして、国民の皆様に理解され、支持される外交を展開する、こうした方針にのっとって進めてきたところでございます。

 内政と外交を分けて考えることはできないものということを、今回、様々な国を回りながら、また、日本のことについても皆さんが非常に注目している、これからの協力関係をつくり出していこう、こういう非常に大きな期待があるということも併せて痛感しているところであります。

 今般の政治資金をめぐる問題につきまして、先ほど委員が御紹介されたところでありますが、国民の皆様からの信頼を損ねているということについては、その回復することの必要性について大変重く受け止めているところであります。

 私自身、先ほど来のお話のとおり、内政と外交を分けて考えることはできないということでありますが、何といっても国民の皆様に理解され、支持される、そうした外交を一意専心の思いで今取り組んでいるところでありまして、その職責に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

 外交の現場に行きますと、八十年近い長きにわたりまして、特に、ODAを中心に、日本の相手の立場に立ったある意味では寄り添い型の政策の様々な足跡というものが現実にあるわけでありまして、それを外国の皆様が大変信頼と羨望も含めてのまなざしでこの間見ていたんだなということをかいま見る機会がございまして、そうした信頼にも応えていかなければいけないと思っております。

 未来志向で、さらに政治の信頼、さらには日本の国としての立ち位置、そして信頼のある外交努力については引き続き邁進してまいりたいと考えております。

小熊委員 内政と外交と信頼についての解説をありがとうございました。具体的にどうするかが大事ですよ。

 私も真実がどういうふうになっているのかは全て知っているわけではありませんが、世の中の印象としては、塩谷さんは雇われ店長みたいな立場だったにもかかわらず、一応座長だからといって責任を取らされた。一方で、同じ派閥のトップであったにもかかわらず、一切責任を取っていない岸田総理。このままでは信頼が回復されません。自民党さんの中にも、この不平等な処分については本当に不満がたまっているというふうにも思います。

 まして、今、政倫審、全員を我々は要求していますが、総理は政倫審に呼んでいないのに自分から来ているんですよね。何をやっているのかな。それで、処分は何もしない。事実がどこにあるかはしっかり究明されなければなりませんけれども、こうした不信、そして自民党内の不満も国民にも伝わっていますよ。処分の不平等性、これが政治不信を招いている一端でもあります。

 そのことについて、同じ派閥であった上川大臣、そして岸田内閣の重要閣僚を務める上川大臣は具体的にどうするか、一般論じゃなく。甘い処分、不平等な処分、このことについて岸田総理は処分を受けるべきだと思いますし、また、政倫審に全員出席することで信頼回復につながるんじゃないですか。具体的にお答えください。

上川国務大臣 今、私自身、外務大臣として、岸田政権の下、その職責を一意専心の思いで、全力で脇目も振らず注力しているところでございます。党におきましては、岸田総裁の下でそれぞれの役割の中で議論を重ね、また、友党であります公明党の皆様とも審議を重ねながら今に至っている状況でございます。

 今、委員の方から、国会におきましての様々なやり取りについてのお話がございましたけれども、そうした中で、一つ一つ国民の皆様に信頼していただくことができるよう尽くしていくことが極めて大事であると思っております。

小熊委員 具体的には何も言えない、それは岸田内閣の一員であるからだと思いますけれども、これは本当に深刻な問題でもありますから、簡単な問題ではないし、外交に脇目も振らず集中しているというのは大事なことではありますけれども、逆に、周囲をちゃんと見て、もっと広い視野でしっかり当たっていっていただきたいと思います。

 地元に戻られたら、霊峰富士山を拝んで、自分たちのやっていることに本当に恥じ入ることがないのか、もう一度改めて考えていただきたいと思うし、機会があれば一緒に富士山に登ってもいいですけれども、是非政治家の原点に立ち返って対応していただきたいと思います。

 以上で終わります。

勝俣委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 前回の続きで、ウィーン条約について伺わせていただきます。

 日本国内で日本の法令を遵守しない他国の外交官に取ってきた対応について、これまでどういった対応を取ってきたのか、時間がないので短めにお願いできればと思います。

島田政府参考人 お答え申し上げます。

 在京外交団は、外交関係に関するウィーン条約によって、我が国の法令尊重義務が課されているところでございます。在京外交団による法令違反が判明した場合、外務省は違反の内容に応じて様々な対応をしているところでございます。

 先生からは駐車違反の踏み倒しに対する措置について御質問があったところでございますけれども、違反に対しても、外交団に対し累次にわたり注意喚起や個別の申入れ等を行ってきておりますし、令和三年四月には、新たな措置として、繰り返し違反を行う車両に対して、全ての違反金の支払いが確認されない限り、免税でのガソリン購入のための証明書を発給しないというような形で、累次いろいろな対応をしているところでございます。

鈴木(庸)委員 日本の法令を守らない外交官の人たちに対してなかなか我々が使えるオプションが少ないなと思っておりまして、今御説明いただいたガソリンの件というのはいいと思うんですけれども、例えば、彼らの特権の中で免税カードがあります、こういった外交官の持つ様々な特権について、法律の範囲内でほかに何らかの規制をかけることはできないんでしょうか、対抗措置として。

島田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、外交官は、外交関係に関するウィーン条約によって、外交使節団としての任務の能率的な遂行を確保するために、身体の不可侵や裁判権の免除などの特権免除が認められているところでございます。

 その関係で、例えば租税の関係で申し上げますと、直接税の免除というのが同じウィーン条約で規定されておりますし、間接税については、同条約での義務ではないものの、我が国が二国間の相互主義に基づいて免税とするというようなことをしておりまして、ガソリン税の免税はその文脈で考えられるものでございます。

 今先生から免税カードのお話がございましたが、これについてはまさにこの間接税の免除の文脈で考えられているものでございまして、相互主義に基づいて対応しているところでございます。

 先生から免税カードの発行をしないというような対応について今御示唆がございましたけれども、免税カードを出さないということについては、あくまでも相互主義の下でやっているものでございますから、これ自体はウィーン条約に明示的に盛り込まれた義務でやっているものではございません。

 したがいまして、例えば、駐車違反に対して免税カードの発給をやめるということを考えることになりますと、逆に、我が国の外国にいる外交官が交通法規の違反を例えば踏み倒してもしなくても、そういった違反の有無にかかわらず、相手国によって我が国の外交官に対する間接税の免税が止められてしまう、そういう不利益を課されるという可能性もございます。

 このため、我が国に駐在する外交官による交通違反金の支払いを確保するための方策の在り方については、その目的と効果を総合的に判断しながら慎重な検討が必要と考えておりまして、そういった観点から慎重な検討が必要と考えているところでございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 令和元年以降、世界中にいろいろな大使館、領事館があるわけでございますけれども、前回来、中国の件、ロシアの件等々、あとエクアドル等々質問させていただいたんですが、これ以外で日本の外交官に対してウィーン条約違反に該当し得るとして日本が抗議した案件はあるんでしょうか。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 我が国の在外公館職員の拘束など、外交関係及び領事関係に関するウィーン条約の違反に該当し得る事案につきましては、事柄の性質上、それぞれ具体的な職員に関係するものでございまして、当該関係職員の安全あるいは相手国との関係に影響を及ぼす可能性がございます。

 したがいまして、大変恐縮でございますが、これを全てつまびらかにすることは困難でございまして、先ほど来御質問で触れていただきました、かつ前回の審議でも触れていただいた事案以外の事案につきましては、その有無も含めて、恐縮ですが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、我が国としましては、先ほど申し上げたウィーン条約上問題があり得る事案が発生した際には、相手国に対する抗議、あるいは問題となる状況の是正や再発防止の要請など、必要な対応を取ってきておるところでございます。

鈴木(庸)委員 今の口ぶりと私自身も集めている情報で、あるということで理解しているんですけれども、是非、あるたびに相当口うるさく、しつこく相手の国に言っていただきたい。そして、必要とあらば、日本の外交官の方の権利が損なわれる可能性はあるとしても、免税カードの話を先ほど出させていただきましたけれども、そういうことも含めて強い対応を取っていただきたい。今、世界中でウィーン条約を軽視しているような雰囲気があると感じておりますので、それがその改善につながるのかな。どうぞよろしくお願いいたします。

 GIGOについて伺わせてください。

 GIGOの本部も、企業による共同事業体の本部もイギリスに置かれるということで、イギリスが共同開発の主導権を取りつつあるという指摘がございますが、その中でも日本として具体的に主導権を実現できるという答弁もございます。では、我が国がGIGOでの主導権を取れる、実現できるという根拠は何になるんでしょうか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国主導の開発とは、我が国が求める主要な要求性能を全て満たすこと、将来にわたって適時適切な改修の自由を確保すること、高い即応性を実現する国内生産・技術基盤を確保することを実現するものであり、必ずしもGIGO及び共同事業体の本部所在地によって決まるものではないと考えております。

 その上で、GIGOの立ち上げとGCAPの将来を左右する重要な役割を担うGIGOの初代トップを日本人とすることは、我が国主導の開発を確保する上で極めて意義があると考えております。

 さらに、我が国は、F2の開発経験や各種研究の成果を踏まえた次世代戦闘機に求められる技術を蓄積し、こうした取組に対して、次期戦闘機の開発に着手するまでに二千億円以上を投じ、国内技術基盤を確立しております。

 このように、蓄積した戦闘機開発に必要な経験や技術を中心に貢献していくことで我が国主導が実現できると考えているところでございます。

鈴木(庸)委員 まだ始まったばかりなので、どこが主導権を取るか、がつがつやっているところだと思うんですけれども、第二章に、運営委員会の議長は締約国の代表団の長が務めるという項目がございます。日本からの代表団の長にはどのような人選が予想されて、さらに、運営委員会の議長になることによって日本にとってどんなメリットが、権限が付与されることになるんでしょうか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 運営委員会を構成する我が国の代表団の長として、防衛省の指定職や課長級職員といったしかるべき者を想定しております。

 運営委員会の議長は各締約国の代表団の長が交代で務めるものでございますが、議長に付与される権限につきましては、現在、日英伊の三か国で検討しているところでございます。

鈴木(庸)委員 今検討ということですけれども、同じように、先ほど来、首席行政官の初代トップは日本人だけれども、共同事業体制の初代トップはイタリア人。トップがいろいろ出てくると思うんですが、この二つのポストの関係性というのはどうなんでしょうか。首席行政官が日本人で、共同事業体制のトップがイタリア人となったときに、意思決定プロセスにおいて最終決定権者が誰になるのか、そういうことは詰まっているんでしょうか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 GIGOは、次期戦闘機の研究開発から廃棄までの各段階において、各国のためにGCAPの事業の管理を実施する機関であり、共同事業体制の方は、GIGOに対応する組織として企業側によって設置され、各国の企業を取りまとめながら開発の実作業を担います。

 GIGOの設置後は、現在、各国政府が個別にプライム企業と結んでいる契約の大部分がGIGOと共同事業体制の間の契約に一元化されまして、この契約関係の下でGIGOは共同事業体制の活動を管理していきます。

 それぞれの組織のトップは互いに独立して意思決定をするものの、共同事業体制のトップはあくまでも発注者たるGIGOトップの示す方針の下で開発を進めることとなります。いわゆる発注者と受注者の関係みたいなものです。

鈴木(庸)委員 これは初めての取組ということなので、ここも大変だと思うんですけれども、例えば、サッカーのフリーキックで俺が蹴る、俺が蹴るぐらいな、あれぐらいの押しの強さでやっていただければと思うんです。

 あと、監査人があるということで、監査人にはどんな人選を想定していますでしょうか。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 この条約の第二十三条に言う各締約国が指名する監査人は、各締約国の行政機関に関する監査の任務を遂行する監査人であります。

 我が国におきましては、会計検査院職員等を想定してございます。

鈴木(庸)委員 会計検査院なんですね。

 監査については当該締約国の議会へ報告ということで、日本もそういうことになるわけですけれども、日本においてはどのような形で国会に報告されることになるんでしょうか。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 会計検査院が検査した結果、検査報告、随時報告又は国会からの検査要請に関する報告として国会に報告される内容は、会計検査院法第二十九条、第三十条の二、第三十条の三等に定められていると承知しております。

 どのような検査結果がこれらの規定内容に該当するかにつきましては、検査結果の事実関係や事態の規模、重大性、発生原因、事態の広がり等の各要素を総合的に検討して判断されることになると承知しております。

 国会から防衛省における監査結果等の報告について要請等がありました場合には、法令等に基づき適切に対処していく考えでございます。法令に基づいて対処していく考えでございます。

鈴木(庸)委員 国会から要請しないと出てこないということですか。自動的に出てくるものじゃないんですか。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 会計検査院の関係の話ではございますが、これは、私どもが承知しておりますのは、監査結果等の報告について要請等があった場合には法令等に基づき適切に対応していく、そういうふうなことになっていると承知してございます。

鈴木(庸)委員 要請しないといけないんですね。なるほど、分かりました。

 一つ飛ばさせていただいて、イタリアのクロセット国防大臣という方が今年の一月に、初期段階終了後に他国に門戸を開く可能性があるとしています。御案内のようにサウジアラビアとかが取り沙汰されているんですけれども、開発の最初からじゃなくて初期段階終了後に門戸を開くということについて、一般論としてでいいんですけれども、どんなメリットがあるのかということが一点と、もう一つ、開発の初期段階というのは具体的に何を示すんでしょうか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 クロセット国防大臣がそのような発言をしたとの報道については承知しておりますが、報道内容を基に他国の国防大臣の意図についてお答えすることは困難であることを御理解ください。

 その上で、自国が求める要求性能の反映や、技術や経験の蓄積のためには、初期段階から参加することが望ましいと考えられます。

 あと、初期段階の方でございますが、これは特段今このような議論があるわけではございません。

鈴木(庸)委員 クロセットさんの御自身の考えということなんですね。

 日本から百人規模の職員の方が送られるということになっております。ウィーン条約の話もるるさせていただいているんですけれども、この百人の職員の皆さんには外交官の持つ特権とほぼ同じ特権が与えられる、GIGOの構内も不可侵とされるというところなんですけれども、日本からの百人には当然民間の方も入ってくると思うんです。この民間の方の扱いというのは、民間の企業、例えば石川島播磨でもいいですけれども、そこから直接GIGOに出向する形になるのか、それとも、防衛省とか外務省に出向してそこから再出向みたいな形になるか、どういう立場で出向になるんでしょうか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 各国がGIGOに派遣する具体的な人数は現在三か国で調整中でございますが、GIGOは各国の政府から合わせて数百人規模の組織となることが想定されます。

 我が国からは、防衛省の技官、事務官及び航空自衛官の派遣を予定しており、民間の方を民間の所属元を維持したまま直接GIGOで勤務させることは想定しておりません。

 なお、民間企業を退職した者を防衛省の職員として中途採用した上で、適当な者をGIGOに派遣することを検討しております。

鈴木(庸)委員 二つ質問を飛ばさせてください。

 令和四年の十二月に声明を出していらっしゃいます。五年の十二月に署名、今年の三月に完成品の第三国への輸出が解禁されて、今、五月になってGIGO設立への法案審議が行われている。

 本来は、これだけ大きな話で、共産党の穀田委員からも御指摘がありましたけれども、第三国輸出に関する方針についてまず議論して、それを詰めた後、諸手続を開始するべきではないのかなというのが一般的な流れかと思うんですが、こういう流れになってしまった理由は何かあるんでしょうか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 次期戦闘機につきましては、将来にわたって我が国の平和と安定を確保するためには、F2の退役が見込まれる二〇三五年までに開発を完了することが必要でございます。

 二〇三五年までの開発完了を目指し、まず、開発の在り方として共同開発を決定し、さらに、共同開発を効率的に実施し得る協業体制を構築するため、GIGOを設立することとなったものでございまして、第三国輸出に関する方針の議論との前後関係を考慮したものではございません。

鈴木(庸)委員 なし崩しなんですよね。こういったなし崩し的なやり方で、実際に第三国に移転する際にも個別案件ごとに閣議決定するということにはなっているんですけれども、政府・与党だけで決めることには変わりがないですよね。

 こうした重要な案件にもかかわらず、歯止めの機能というのが最初から機能していないんじゃないかというふうに思ってしまうんですが、そこについての見解を伺えますでしょうか。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の国際共同開発、生産の完成品に係る我が国から第三国への直接移転に関する制度の見直しにおきましては、三つの限定を設けております。(鈴木(庸)委員「その辺は分かっています。なぜこういうことになったのかというのを教えてください」と呼ぶ)

 そもそも、私どもとしましては、この三つの限定を加えているということ、それから、先ほど委員からも御指摘のあったとおり、個別の案件ごとに改めて輸出に当たっては閣議決定をするということにしております。これは、通常の装備移転に比べまして、より厳格な仕組みを設けているということでございます。

 これは、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を引き続き堅持するということをより明確に示しているということでありまして、歯止めとしての機能が存在していないというふうには考えてございません。

鈴木(庸)委員 おっしゃっていることが分からないんですけれども、結局、なし崩し的で、私が申し上げているのは、政府・与党で決めることには変わりなくて、国会でしっかりと審議をなされないで決まってしまうというところが歯止めの機能がなっていないんじゃないかと申し上げています。

 その流れで申し上げるんですけれども、第三国に対して当該戦闘機を輸出した際に、移転先が我が国の事前同意なく目的外使用を行う事態は想定していないという旨の答弁が行われています。また、他国への侵略等に使用される場合については我が国として相手国への是正の要求を行う、こういった答弁もあるんですね。

 でも、ロシアの戦争を見ても分かるように、それぞれがそれぞれの大義で戦争を行う中で、ここで防衛省の皆さんの言う侵略というのは何をもって侵略とするんでしょうか。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 侵略の話でございますが、一般論として申し上げれば、侵略の定義については国際場裏において様々な議論が行われておりまして、その内容が十分に明確になっているわけではございませんが、例えば、二〇二二年二月に開始されましたロシアによるウクライナに対する軍事的侵攻は侵略に当たる、そういうふうに考えてございます。

 いずれにしましても、我が国から第三国に移転される次期戦闘機に関しましては、防衛装備品・技術移転協定の運用指針における三つの限定の一つとして、移転先が、国連憲章の目的と原則に適合した使用を相手国政府に義務づける防衛装備品・技術移転協定の締約国に限定されることになります。

 委員御指摘の他国への侵略等を含めまして、移転先における使用が国連憲章の目的と原則に反するか否かによって防衛装備品・技術移転協定に違反するかどうかというのが判断されることになります。

鈴木(庸)委員 侵略の定義も国連の機能も危うい中で、この侵略という言葉は何をもって侵略とするのかというのはしっかりと考え方として持っておいていただきたいと思います。

 もう一つ気になったのがありまして、第三十四条でGIGOの資金は運用できるとなっているんですけれども、これは運用されてしまうんですか。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 条約の第三十四条は、GIGOの実施機関が、原則としていかなる種類の資金又は通貨も保持し、及び使用し、いかなる通貨の勘定も維持し、運用すること等ができる旨を定めてございます。

 ここに規定されております維持し、又は運用といいますのは、例えば、GIGOの資金の口座の管理等を想定した規定でございます。

鈴木(庸)委員 投資信託とかを買うわけじゃないんですね。安心しました。

 国際情勢の変化に応じて戦闘機の将来的な改修の自由度を高めるというのは当然重要な要素で、それが今回イタリアとイギリスを選んだ最大の理由の一つだと理解しているんですけれども、将来改修するときに、具体的にはどういった手続を踏まえて改修することができるようになるんでしょうか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 将来にわたって適時適切な改修の自由を確保することは、三か国いずれも重視しているところでございます。このため、次期戦闘機の国際共同開発に当たっては、日英伊三か国の企業が共同で作業し、技術やノウハウを含め、必要な情報等を共有することとしております。

 以上でございます。

鈴木(庸)委員 ちょっと本音が出ましたね。アメリカのときは、結局、六〇%が向こうで、四〇%がこっちで、改修の自由度がなかった。そういう話じゃなくてですか。

弓削政府参考人 失礼しました。余計なところを読むと思っていましたので、済みません。

 したがって、米国機のライセンス生産等の場合のように、逐一関係国の了解が必要というわけではございません。

鈴木(庸)委員 それが大事なところかと思います。

 あと、三か国の出資、生産比率について、今後日本が当然優位性を確保していかなくてはいけないと思うんですけれども、ヨーロッパで一部行われてしまったような、右翼と左翼、右の翼と左の翼を別々の国が造るといったような非効率なやり方になってしまう、同じことを繰り返してしまうのではないかなと大変危惧しております。そうならないために、どうやってこのプロジェクトに国全体として臨んでいくのでしょうか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 次期戦闘機の共同開発においては、効率的な協業体制を確立するため、GIGOを設立し、三か国の政府と民間企業との間の協業を一元的に管理運営する体制を構築します。

 その上で、具体的な作業分担等については三か国で設計作業を行う中で決定していくこととなりますが、我が国は、F2の開発経験に加え、各種研究の成果を踏まえ、我が国が蓄積してきた戦闘機開発に必要な経験や技術を背景に、日英伊の共同開発において我が国の立場を粘り強く主張してまいります。

 また、近年、防衛装備品の高度化、高額化が進み、開発のコストやリスクが増大する中、これまでの教訓を踏まえ、次期戦闘機事業におきましては、開発段階から開発後の量産、運用、維持整備までを見通した効率化のための施策に取り組むこととしております。

 例えば、英伊の知見も活用しつつ、デジタルトランスフォーメーションといった先進的な取組による製造時の効率性の向上策も積極的に取り入れていく考えでございます。

鈴木(庸)委員 僕も実際に設計図を見たわけじゃないですけれども、ユーロファイターの場合、右翼と左翼を別々の国が造ったりというような話もあったり、あと、将来的には第三国によるライセンス生産というところも見据えていかなくてはいけないと思うんですけれども、この権利関係も絶対負けないでいただきたいと改めて申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

勝俣委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 条約の話に入る前に、昨日の夕方発表のありました護衛艦の空撮の話について、一点だけお聞かせいただきたいと思います。

 通告していませんので事務方でも結構ですが、今回のこの動画のことについて、どういった懸念があって、どういう問題点をはらんでいたというふうに考えていられるのか、防衛省に伺います。

鬼木副大臣 御指摘の映像につきましては、防衛大臣に報告した際、調査分析を進めるとともに、関係機関と緊密に連携しつつ基地警備に万全を期すよう指示がありました。この指示に基づき分析を進めた結果、今般、当該映像について実際に撮影された可能性が高いとの認識に至りました。

 防衛関係施設に対してドローンにより危害が加えられた場合、我が国の防衛に重大な支障を生じかねないという問題があります。防衛省・自衛隊としては、今回の分析結果を極めて深刻に受け止めております。

 現在、防衛省・自衛隊は、ドローン対処器材の活用に加え、基地内の定期的な巡回警備、監視カメラによる監視等を組み合わせて、厳重な基地警備を実施しているところであります。

鈴木(敦)委員 これから次期戦闘機を開発する我が国にとって、情報をどう守っていくかというのは非常に重要な観点なわけです。メディアもそうですし、世論もそうですが、我が国の護衛艦の上部を撮影された、その直上を飛行したということだけにシフトしているように見えますけれども、御承知のとおり、副大臣はよく御存じだと思いますけれども、あの護衛艦が停泊していた、逸見岸壁といいますけれども、あの岸壁の横には建物があります。海上自衛隊の隊舎があります。

 これは答弁していただくまでもありません、私から申し上げますが、あそこには第一護衛隊群の司令部と横須賀方面総監部が入っています。海上自衛隊の、我が国の首都周辺の司令機能を持った建物の真横を民間のドローンが飛行したということになります。まあ、空撮で済んだからよかった。ですが、空撮されたということ自体が非常に問題だった。

 ですから、副大臣にも申し上げたいと思いますが、今回の問題の一番の問題点は、先ほど答弁にもありました、防衛関連施設の中でも最も重要な部分に侵入を許したということでございます。仮に戦時であれば壊滅です。この点は肝に銘じておいていただきたい。

 あの岸壁は私もよく行きますけれども、周りは山なので、入りやすいのは入りやすいと思いますから、何かしらの方法を考えていただかないといけないということは申し上げておきます。この議論の続きは、安全保障委員会の方で多分させていただくことになると思います。

 では、条約について伺いたいと思いますが、外務大臣も骨を折っていただいて、今回の条約、昨年の六月に成案を得るということができました。二〇三五年までに開発を完了して、これから配備していこうという前向きな話になっています。

 これから先の展望についても、今日の委員会の中でもいろいろと議論がありましたし、明るい未来が待っているというような、おおむね期待感があったんだと私は思っておりますが、その開発が終わった後の新型機をどういうふうに運用していくか、これを外交にどう生かしていくかということに、今度、我々は考えを変えていかなくちゃいけないと思うんですね。

 ここで終わりじゃないんです。条約が終わって、開発が終わって、その後どうしていくか。そのためのツールとしての新型機の在り方というのもあると私は思います。この点、外務大臣に御意見をいただきたいと思います。

上川国務大臣 次期戦闘機につきましては、我が国防衛に必要な性能を有する機体を実現するためにも、第三国への直接移転を用い得る仕組みを持つことが国際共同開発の成功にとって必要であると考えております。

 その上で、仮に次期戦闘機を我が国から第三国に移転することとなった場合には、当該第三国との間におきましての安全保障、防衛分野におきましての協力の強化につながるものと考えております。

鈴木(敦)委員 まさにその点が非常に重要で、他国に輸出するということだけではなくて、輸出した国との結びつきがより強固になるという意味で、この第三国移転というのは見なければいけないんですよ。

 例えば、インドは、ロシアとかと関係を今もぎこちないながらも維持をしています。それはなぜか。兵器でつながっています。中国とロシアはどうですか。同じように武器でつながっています。アメリカも当然同じような戦略で、アメリカ製の武器を世界中で共通のものとして使っていますよね。

 だから、この新型機についても、日英伊の三か国がこれからどう戦略的に使っていくか。使うというのは、戦いに使うというだけじゃないですよ。これを用いて、どう結びつきを強化していくかということを考えていかなくちゃいけない。これはこれから先考えていくことです。

 ですから、条約が終わったからといって、この戦闘機プログラムについて考えるのは後は防衛省さんでしょうではなくて、これをどう外交に生かしていくかということを外務大臣には考えていただきたいというふうに思います。

 今の答弁の中にも、輸出の重要性という御指摘がありました。ここから先はテクニカルな話をしますので、防衛省等役所の方々も御協力をいただきたいと思います。

 この第三国移転についての議論、我が国では今年になってから再燃して、三月二十六日に閣議決定がなされて、運用指針が変わりました。ばたばたっとしたようなイメージがあったと思いますけれども、そもそも論として、この条約の議論が始まったのは昨年の一月です。六月まで議論をして、成案を得ました。十二月に署名をしました。

 その本文の中に、輸出の可能性を認識しという文言が既に入っていますよね。それは前文に入っています。かつ、五十条には、輸出をしよう、あるいは移転をしようという場合には、その意見を尊重しなければならないという文言も入っておりますから、当初から輸出を想定した条約になっていたことは明らかです。昨年六月の段階で分かっている。

 だから、今年までなぜこの議論を引っ張ったんですか。いきなりばたばたっとした議論を始めたように見えるから、国内の世論もまとまらないんですよ。もっと事前にこの話をするべきだったと私は思いますが、なぜここまで議論されなかったのか、お答え願います。

鬼木副大臣 GCAPに係る完成品の我が国からの第三国直接移転の必要性に係る認識について、我が国は、二〇二二年十二月に次期戦闘機の共同開発に三か国で合意した当時、技術面や資金面での貢献により、我が国の要求を通し、求める戦闘機を実現可能と考えておりました。

 しかしながら、協議を進める中で、英国、イタリアは調達価格の低下等に向けて完成品の第三国移転を推進することを貢献の重要な要素と考えて、我が国にも同様の対応を求めていることを、我が国として徐々に認識するようになったものであります。

 このように、政府の認識が変化してきたことは事実でありまして、今後は、今回の経験を生かし、第三国直接移転を要する国際共同開発、生産のプロジェクトが新たに生じた場合には、その必要性を十分に検討した上で、適時に対応できるよう努めてまいります。

鈴木(敦)委員 話を進める中で前提条件が変わることはよくあると思いますけれども、もう案文ができた段階で分かるじゃないですか。ここの五十条に書いてある文言をどう読めば、我が国は輸出しなくてもいいと判断するんですか。ここに書いてある文章は、「生み出された品目及び情報を非締約国に輸出し、又は移転するといういずれか一の締約国の意図を可能な限り支援する。」と書いてあるわけですから、日本が何もしなくていいということにはならなかったはずなんですよ。

 事前に質問のレクのときにもお話しいただきましたし、今副大臣からも御説明がありました。協議を続ける中で、我が国にもそれを求めているということが分かってきたのだということを言っていますけれども、成案を得るまでの六か月間の間でそれが分かっていたはずですよ。署名してから、あるいは署名するまでの間に徐々に分かってきたわけじゃないはずなんですよ。

 だから、その点を聞いているんです。なぜ約半年以上もこの議論をたなざらしにしてしまったのか。もっと早く議論を始めておけばよかったと思うんですよ。いつそれに気づいたんですか。六月の段階で気づいていなかったのか、あるいは十二月の段階で気づいたのか、いつそれに気がついたんですか。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 GCAPの完成品の輸出につきましては、三か国間での議論はございました。ただ、当初の議論は、イギリスなどの国が輸出をするに当たってどのような対応を各国が取るのかといったようなところが中心であったというふうに承知をしております。そういった中で、日本もイギリスやイタリアと同じように対等のパートナーとして輸出をすることが期待されているということを徐々に認識をしてきたということでございます。

 それも、議論していく中で、なかなかいつというふうに特定の時間を申し上げることは難しゅうございますけれども、徐々に認識をしてきたということで御理解いただきたいと思います。

鈴木(敦)委員 徐々にって、では、国会みたいに毎週毎週やっているんですか、三か国で。それだったら、徐々に分かってくることは分かりますよ。

 国際的なやり取りをそんなに頻繁にやっていらっしゃいますか。もし本当にそんな毎週のようにやっているんだったら分かりますよ。でも、そうじゃないでしょう。先方にもいろいろ事情はあるだろうし、持ち帰って国内で議論してまた持ち寄ってくるわけだから、そんなすぐにやるわけじゃないですよね。

 では、一つだけ答えてください。六月に成案を得た段階で分かっていましたか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 日英伊の協議というのは、本当に日々いろいろなレベルで、いろいろな内容で、様々なやり取りが行われているというところでございまして、それで、まさにいろいろなレベルでもそういう英伊の輸出が重要であるという話が伝わってくるところがもちろんございまして、その中で、我々の認識が徐々に高まっていった、そういう状況でございます。

鈴木(敦)委員 ですから、六月の成案を得た段階でそれに気がついておられたかどうかを聞いているんですよ。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇三五年までの開発完了を目指し、まず、開発の在り方として共同開発を決定し、さらに、共同開発を効率的に実施し得る協業体制を構築するため、GIGOを設立することとなったものであり、第三国輸出に関する方針の議論との前後関係を考慮したものではございませんでした。

鈴木(敦)委員 前後関係というか、だから、もっと細かく言いますよ、そうしたら。

 この条約の第五十条の一項と二項、輸出に関して書いてある部分の成案を得た段階で、我が国は、イギリスとイタリアが日本にも輸出をしてほしいという意図があったかなかったかが認識できていたかどうかということです。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 時期については、徐々に認識が高まっていったということでございまして、いつというのはなかなか申し上げにくい状況でございます。

鈴木(敦)委員 そうではなくて、何月何日にこれに気がついたかを聞いているのではなくて、成案を得た段階でその認識があったかなかったかということなんですよ。あったかなかったかだけでいいんです。昨年の六月までの段階であったかなかったかです。

弓削政府参考人 繰り返しで大変恐縮ですが、徐々に認識が高まっていったということでございます。

勝俣委員長 速記を止めて。

    〔速記中止〕

勝俣委員長 速記を起こしてください。

 防衛装備庁坂本装備政策部長。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 条約の協議をしている中で、輸出について、まず、我が国が直接移転することができないということは、英伊も、今の制度上できないということは認識をしていた。そういった中で、イギリス、イタリアは日本にも輸出を期待しているという認識はございました。

 他方で、イギリス、イタリアの期待がどの程度大きいのかということについては徐々に認識をしてきたということでございまして、我が国から直接移転ができないことによって対等なパートナーたり得ないというところまで重要な問題であるということは徐々に認識をしてきたということでございます。

鈴木(敦)委員 これはよくない。絶対によくない、そういう言い方は。だって、六月の段階で分かっていたかどうかを聞いているだけですよ。

坂本政府参考人 失礼をいたしました。

 六月の時点で分かっていたか分かっていないかということで言えば、分かってございました、イギリス、イタリアからの期待があると。ただ、その重要性、非常に重要であるということの認識はその後徐々にということでございます。

鈴木(敦)委員 それだとしたら、本当にもっと大きな問題になる。この条約を作った段階で、彼らがそういう認識があったにもかかわらず、その重要性を、その重さが分かっていなかったというのは、そっちの方がよっぽど問題ですよ。それで、今年の三月になるまで一年近くも議論を止めていたということですよね。それは大問題ですよ。

 私は、この第三国移転は当然やるべきだと思っていますけれども、そういう考え方では絶対進められないですよ。こんなのでは主導なんか取れないです。副大臣、どう思いますか。

鬼木副大臣 この重要さを理解しているからこそ、この中身を詰めまして、次期戦闘機の装備移転についてのルールを定めて、日本が主導権を取ることができるように協議を進めてきたところであります。

 以上です。

鈴木(敦)委員 この根幹に関わる部分の重要性の認識の欠如というのは、これは政府の皆さんには反省していただかないといけないですね。非常に重要な問題だったと思います。もっと時間があれば、国民にももっと周知できたし、議論も深まったと思いますよ。なのに、これまでの間、その話を、全くその重要性を認識していなかったということ自体が、イギリス、イタリアはどう見ますかね。

 次、進めていきますけれども、主導権の話になるので、次の質問をします。

 主導権を取る取ると言っていて、先ほどの議論の中にもありましたし、防衛装備庁の長官もおっしゃっている三つがありますね。我が国が要求している性能を全て満たすこと、あるいは改修の自由度があること、国内生産の基盤が確保されること、この三つは決して主導権ではないんですよ。国内でどうしていくかという国内事情でしかない。

 だけれども、本当に主導権を取ろうと思ったら、日本が開発した技術をヨーロッパのスタンダードにしてやるんだ、あるいはヨーロッパで開発した技術を日本に持ち帰るんだ、いろいろな観点があってこそ、何かを持ち帰ることが主導であるべきです。何を主眼に置いてこの開発を主導とおっしゃっておられるんでしょうか。

鬼木副大臣 次期戦闘機の共同開発は、将来の航空優勢を担保する優れた戦闘機を開発するため、コスト等を分担しつつ、三か国の優れた技術を結集するものであります。

 我が国は、F2の開発経験に加え、各種研究の成果を踏まえた次世代戦闘機に求められる技術を蓄積しているところ、こうした技術は次期戦闘機の共同開発にも生かしていく所存であります。

 このように、我が国の技術を活用するとともに、イギリス、イタリアの英知、技術を取り込みながら、我が戦闘機を我が国主導で開発していくものです。

鈴木(敦)委員 ですから、主導とは何ですか、開発の主導とは何ですかと言われたときに、こういう課題点をクリアしてとか、あるいはそういう革新的技術を日本が持ち帰るあるいは提供するというようなことを目標として定めていない抽象的な開発目標ということを今までずっと答弁をされてきていると私は思いますよ。

 今副大臣がおっしゃったのはまさしく開発を主導という意気込みなんだと思いますから、もうちょっと細かく言っても私はいいと思いますよ。三か国それぞれに必要な要求を持ち寄るわけですから、日本はこれをしたいんだということははっきり言わないと主導にはなりませんよ。

鬼木副大臣 まず一つは、繰り返しになりますが、要求性能の実現であります。これはやはり主導権を持ってやらないと、本当に日本の防衛のために必要なものが造れなかったら元も子もない。なので、日本が求める要求を実現するということ。

 そして次に、改修の自由度であります。いろいろな技術や部品を共同開発したときに、それが日本の力で改修できるものでなければよいものに将来的にもなっていかない。そこで、改修の自由度の確保。

 そして、そうした国内の生産や改修を通じて国内生産や技術基盤を確保していくという、この三つが日本が主導してかち取らなければいけない大きな目標だということで、漠然とした抽象的な表現になっていますけれども、そういうものを目指しています。

 そしてもう一つ、ここにないものでいいますと、時期です。二〇三五年のF2退役の時期には必ず間に合わすんだということを日本はもう明確にしていますので、この時期においてもそれを実現する。こうした実現したいものがあって、それを主導してかち取るということを申し上げているところであります。

鈴木(敦)委員 ここははっきりとこれから先も御説明をいただきたいと思います。そうしないと主導できない。彼らははっきり物を言うし、これはプラスチックの議論のときも私は言いましたけれども、EUというのはすごい高いボールを投げてきて周りをついてこさせる戦略を取っています。だから、向こうの要求性能は日本の性能よりもはるかに高いものを要求してきて、それにどう我々が対応するかということになると、これは主導権を取られていることになりますから。是非そこを進めていただきたい。

 次の質問は、その要求性能についてです。

 これまで、F2が開発されたときの経緯は皆さんも議論がありました。アメリカ主導でやられた、いろいろありました。でも、その後で自衛隊は非常に血のにじむような努力をして、あのF2に対艦戦闘能力を非常に強化して造ったんですね。

 我が国は島国ですから、船をまず攻撃しましょうということで、F2は対艦能力が非常に強くなっている。海上自衛隊だけじゃないですけれども、自衛隊は対艦誘導弾という非常に優秀なものを何個も製造してきています。でも、イギリスとかイタリアについては、ヘリコプターについているものがほとんどですよね。ですから、日本の場合、要求性能に対艦性能が入る可能性が非常に高いと思います。

 今回の新型機についてもマルチロール機を目指すとおっしゃっておられますが、マルチロール機にしたって、対艦ミサイルというのは非常にサイズが大きいので、ステルス機の機内には入らないんです。これはもう世界の常識で、F35ですら入りません。F35に入れるためのミサイルというのも、JSMというのはあるんですけれども、それはノルウェーがまだ開発しているときなので、まだF35にも入らない。だから、日本がこれから新型機を開発して要求性能に対艦性能を入れたら、イギリスとイタリアがついてこられなくなる。

 この点をクリアしましょうといったときに、日本だけが要求していて、ほかの二か国は要求していないというものがいっぱい出てくると思うんですね。今のは一例です。この点をどう折衷案としてやっていくか。ここが折り合わないと、開発は三五年までに間に合わないんですよ。この点の見解を教えてください。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 各国の要求性能は、その安全保障環境に応じ、差異がございます。例えば、四面を海に囲まれた島国である我が国に対する侵略は、必ず空又は海を経由して行われます。そのため、専守防衛を旨とする我が国が安全を確保するためには、航空機や巡航ミサイルによる空からの攻撃や艦艇による海からの攻撃をできる限り洋上、遠方で阻止することが必要でございます。また、我が国の周辺には、欧州を含むほかの地域と比べても大規模な軍事力を有する国家等が集中しており、戦闘機についても、周辺国が新世代機の開発や配備を進めております。こうした我が国特有の安全保障環境から、我が国として次期戦闘機に対して攻撃をできる限り洋上、遠方で阻止することができる優れた空対空能力を重視しているように、要求性能はそれぞれの状況に応じて異なるものでございます。

 イギリスとイタリアが次期戦闘機に求める性能につきましては、相手国との関係もあることからお答えを差し控えますが、その上で、例えば我が国と同様に空対空能力を求めても、それぞれの状況に応じて求める程度には差があるところでございます。

 国際共同開発の協議は、各国が置かれている安全保障環境に応じて必要となる性能について議論を重ねつつ、共通の機体を造り上げていくプロセスでございます。具体的には、機体のサイズやコストに制約があり、各国全ての要求性能が実現できない中、各国が同等の貢献を行うことを前提に、自国が優先する性能の搭載を主張し合うプロセスとなっております。

 このプロセスでは、各国の技術力も重要な要素となるところ、我が国は、先ほど来御説明申し上げておりますF2の開発経験に加え、各種研究の成果を踏まえた次世代戦闘機に求められる技術を蓄積しているところでございます。二〇二〇年に次期戦闘機の開発に着手するまでに二千億円以上を関連研究に投資し、技術力を高めてきました。こうした我が国が蓄積した戦闘機等に必要な経験や技術を背景に、英伊との協議に当たってまいります。

 ちなみに、次期戦闘機につきましては、対艦、対地の能力を兼ね備えたマルチロール機にする方向でございます。

鈴木(敦)委員 審議官、今のは多分総理の答弁をそのまま読んでいるんだと思うんですけれども。

 どこの国とは言いませんが、日本とイギリス、イタリアの大きな違いというのは、大陸に続いているか続いていないかですね。大陸に続いていれば空からやってくるので、空対空能力で十分かもしれませんが、今審議官が答弁の中でおっしゃったように、できる限り遠方で脅威を排除しようと思うなら、我が国周辺の軍事大国が我が国に攻め込もうとしてきたときに、戦闘機でいきなりやってくるのではなくて、空母でやってくるんですよ。四隻目ができましたけれども。そういうものを先にたたかなければいけないと私は思うので、空対空能力を要求している時点で、既に私たちは譲歩しているというふうに私は思います。

 この点は、今後の議論の中で、交渉の中で、是非優位をかち取っていただきたいところだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次ですが、GIGOに巨額の拠出金を出すわけですから、何かしら技術を持って帰ってきていただきたいと思います。何を具体的に想定していらっしゃるか、教えてください。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛省としては、次期戦闘機の国際共同開発を通じて、他国の英知も取り込みつつ、国際的に活躍する次世代エンジニアの育成や我が国防衛の足腰を支えるサプライチェーンの強化等を図ることで、我が国の防衛生産・技術基盤を維持強化していくこととしています。

 また、航空機産業は、高度な技術力と、部品、素材に至る幅広い裾野を有する、民間防衛部門共通の産業基盤でございます。このため、次期戦闘機の開発において、高出力レーダー、ステルス技術、一体化・ファスナーレス構造といった様々な先端技術に投資するとともに、優秀な人材が育成されることで、防衛産業はもとより、産業界全般への幅広い波及効果が期待できます。例えば、F2の戦闘機の開発においても、一体成形複合材等の新技術が民間のほかの分野にも応用されるという波及効果がありました。

 防衛省としては、我が国経済への広範な波及効果も期待される次期戦闘機の開発について、二〇三五年度までの開発完了を目指し、着実に推進してまいります。

 イギリスとイタリアとの関係におきましては、まさに共同開発のメリットでございますので、それぞれが持っている優れた技術、英知を活用して新しい戦闘機を造るということでございますので、詳細についてはちょっと申し上げられませんが、イギリスとイタリアの優れた技術を取り込んでいく予定でございます。

鈴木(敦)委員 これはこの条約で造る新型機の中でも非常に重要なところで、せっかく造ったものを、先ほどは外務省に申し上げたように、これをツールとして使う方法も一つ、そして、そこで得た技術をどう使って我々が運用していくかということもまた一つ重要な観点ですから、是非この点を重視して今後の交渉に当たっていただきたいと思いますので、お金を出している分、ちゃんと確保してくださいねというお願いでございます。

 話は変わりますけれども、副大臣に伺いたいんですけれども、これまでもほかの委員会とかでも議論になっていますけれども、運用指針が改正されて、その中に含まれた、武力紛争の一環として行われる戦闘という文言です。これが適宜判断されるものだということで一概には申し上げられないということを言っているんですけれども、それだと、この後の質問にも出てきますけれども、ほかの部分にも波及していろいろ影響が出てくるんですね。ある程度の線引きをしていただかないと、この判断が終わっていないとほかの判断がつかなくなってくる。次に質問しますけれども。

 ですから、まず、防衛大臣の発言だけでは不十分なので、改めて補足説明をしていただきたいと思います。

鬼木副大臣 今般の次期戦闘機の第三国への直接移転については、最先端の戦闘機という装備品の性質や、防衛装備移転に関する我が国のこれまでの歩みを踏まえ、より厳格に管理すべきという観点から、武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国への移転は認めないこととしたものです。

 その上で、武力紛争の一環として戦闘が行われていると判断される国に該当するか否かの判断は、具体的な移転案件が生じた際に、防衛装備移転三原則に従って案件を審議する中で、戦闘の規模や期間等を踏まえて、個別具体的かつ総合的に行われるものであることから、今後の案件について一概にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

鈴木(敦)委員 移転する際に個別に判断しなければいけない、それはそうですよね。もう要求があったから売りますというわけにはいかない。だから、それを個別具体的に判断して、それが戦闘行為かどうかというのを判断しなければいけない。大本は、それが武力紛争の一環として行われている戦闘であるか否かの線引きがないと判断できないということなんですよ。

 おっしゃることは分かるんです。私も理解できます。第三国移転するときに、その案件が生じたから、そこの国は大丈夫かどうかと判断する、それで閣議決定をする。理屈は分かりますけれども、そこから先、更に前の段階で、それが武力紛争の一環として行われる戦闘であるかどうかを更にまた判断しなければいけなくなるわけです。

 その案件が生じたときというのは、恐らく政府の面々ももう異動されているでしょうし、大臣、副大臣も替わっている可能性があるので、今思われていることとは違う判断が下されることになるんですよ。だから、何かしらの基準がないと困っちゃうんです。

 この点、今回の移転についての一つの穴だと私は思います。そこの部分は誰かが判断するんです。今は正確に判断できる方がいらっしゃるかもしれない。でも、未来永劫皆さんと同じぐらい優秀な方がいるわけではない可能性がある。だから、線引きしておいていただかないと。線引きというのは、ここから先はということじゃないです、ある程度の要件を定めておいていただかないといけないと私は思うんですけれども、副大臣、どう思いますか。

鬼木副大臣 あらかじめ一概に決めておくということは、かえって物事を固めてしまうといいますか、そのときの総合的な判断というものを縛ってしまうことにつながるおそれもあると思いますので、今のところは、やはりそのときの総合的な判断を重視しているという状況でございます。

 委員の思われる、どのような具体的な要件というものがあり得るかというものを御指摘いただければ、また検討する、考えるということは必要なときがあるかもしれませんが、今の時点では、戦闘の規模や期間、総合的に考えて、そのときの政権与党の協議の中で判断していくという判断にいたしております。

鈴木(敦)委員 では、個別具体的な案件を申し上げます。

 四月十四日にイランがイスラエルに対して弾道弾の攻撃を行いましたが、その際、無人機も出しております。そのとき、中東に展開していたイギリス空軍が無人機を撃墜しております。これは戦闘に値すると思います。以前から大臣も言っていた戦闘の基準、物を破壊する行為に入っていると思いますが、これは武力紛争の一環として行われた戦闘に該当するのかどうか。

 そしてもう一つは、仮に、日英伊どこかの三か国のうち一か国でも武力紛争の一環として行われる戦闘が行われた際に、開発に影響はないのかどうか。

 二点、お答えください。

鬼木副大臣 前段の御質問について、今、私の判断でお答えするということは差し控えたいと思います。

 また、後段の御質問、三か国の中で戦闘が行われた場合でございますが、まずは、防衛省としては、御審議いただいている本条約に基づいて設立するGIGOを通じて効率的な協業体制を構築し、引き続き、日英伊三か国で緊密に連携しながら、次世代戦闘機の共同開発を着実に推進していく考えであります。

 その上で、もし御質問のようなことがあった場合ですが、仮定の状況についてお答えすることは困難であることをまずは御理解いただきたいと思います。そして、その上で、あくまで一般論として申し上げれば、実際に発生した事態の態様等を踏まえて、パートナー国と行う共同開発を継続するか否かを適切に判断することになると考えます。

鈴木(敦)委員 時間ですから終わりますけれども、前段のイギリス空軍の攻撃が該当するかどうか、レクで言っていますから、後で説明に来てください。

 以上です。

勝俣委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

勝俣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。和田有一朗君。

和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 では、質問に入りたいと思いますが、まず、今回の法案、GIGOのことでお伺いしようと思います。もう随分と細かな、大変高度な議論が進みましたので、簡単におさらいという形でGIGOの方をお聞きしたいと思います。

 まず、こういった大きなプロジェクトというものをやっていくと、おおよそ予算が膨らんでいく場合がある。開発をかけていくと開発費が大きくなっていくということが往々にしてあるんですけれども、今国家プロジェクトというものをやっておりますと、何とは言いませんけれども、予算が大きくなってしまった、だからどうだ、それはもうやめるべきではないかとか、いろいろな議論が、そういう場合に往々にして起こりがちでございます。

 そういうことも踏まえて、今回のこの関係で、開発費の増大のリスクといいましょうか、そこら辺についてどう考えておられるのか、まずお伺いします。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 近年、防衛装備品の高度化、高額化が進み、開発のコストやリスクが増大する中、これまでの教訓を踏まえ、次期戦闘機事業においては、開発段階から開発後の量産、運用、維持段階までを見通した効率化のための施策に取り組むこととしております。例えば、英伊の知見も活用しつつ、デジタルトランスフォーメーションといった先進的な取組による製造時の効率性の向上策も積極的に取り入れていく考えでございます。

 コスト上昇やスケジュール遅延といったリスクを低減しつつ、しっかりと開発を進めていきたいと考えております。

和田(有)委員 リスクを勘案してしっかりとと言うんですが、もし増大してしまったらどうするんでしょうか。私が心配するのは、それによって、ウェルカムだった世論というものが一夜にして、これはもうやめようや、これ以上お金がかかるのならやめてしまおうとか、そういう声になってしまうということを私は恐れて、実はお聞きしているんです。

 もう一回、その点、どうでしょうか。何か御答弁がありましたら。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 やはり装備品の高度化、高額化が進んでおりまして、これはイギリスもイタリアも同じ認識は持っているところでございます。

 したがいまして、そういうコスト上昇だとかスケジュール遅延とか、そういうスケジュール管理、コスト管理というものはきちんと対応してやっていきたいと思っています。

和田(有)委員 もうこれ以上聞いてもそういうお答えしかないんでしょうけれども、しっかりとやってください。

 もう一つ。今スケジュールの話も出ましたが、これは後継機ですので、今ある戦闘機が引退して入れ替えていくという代物ですから、遅れると、日本の国防上、安全保障上大きな問題があると思うんですね。

 そこら辺、開発が遅れを来すということに関しては、どのようにお考えになっておられますか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 次期戦闘機につきましては、F2の順次退役の開始が見込まれる二〇三五年までの開発完了を目指しているところ、昨年十二月の日英伊防衛大臣会合におきましても、二〇三五年の開発完了に向けて、引き続き三か国が結束して様々な課題を乗り越える確固たる意思を確認しているところでございます。

 コスト上昇やスケジュール遅延といったリスクを低減しつつ、しっかりと開発を進めてまいりたいと考えております。

和田(有)委員 それは何とかならないように、そういうことが起こらないように頑張るということなんですけれども、もしも開発が遅れたときに、今のF2は退役していくわけですね、交代していくわけですね。そこら辺に対する懸念というか、そういうものは大丈夫なんですか。

 もう一回、お願いします。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、万が一、では、そういう状況になったときはどうするのかということでございますが、そのときはそのときの状況に応じて対応していくしかないということだと思うんですが、ただ、委員御指摘のように、そのときの戦闘機の、何といいますか、いろいろ考え得ると思うんですけれども、もう少し長く運用できるかどうかといったことも含めて考えていく必要があろうかと思います。

和田(有)委員 これ以上申し上げないので、しっかりとやってください。

 これは初めてやっている作業なので、恐らく皆さんも、ある意味、この交渉にしたって何にしたって、手探りでやっていっているんだと思うんですよ。こういう枠組みをつくり、次のことをやっていくというのに。ですから、当然、予想もしなかったことも起こってくるだろうし、交渉の中でも、考えてもみなかった事案というのも出てくるだろうし、それは致し方ないことですが、しっかりとやっていただきたいと思います。

 そこで、もう一点だけ確認したいことは、装備品の移転というのは、次期戦闘機だけでいいと私は思わないんですね。やはり考え方として、変な言い方ですが、それを買ってくれた国というのは、それをもって日本の同盟国のようになっていくという抑止力が働くものだろうと。

 先ほどの、私の前の鈴木さんにしても、ほかの委員の質問の中にもあったと思うんですが、これを供給することによって、買った側はその国には戦争を起こすことはできない。サプライチェーンが閉じられるわけですから、そのものを使うことができなくなる。そのことがまず抑止力になっていくんだと思うんです。例えば、さっきも出ていましたけれども、インドだって、ロシアからだって買っている。だから、ロシアにとってみたら、インドに対しては攻めることができないという関係が生まれるわけですよね。

 そういったことを考えるときに、日本が供給国になっているというサプライチェーンの中に入っていくという意味で、東アジア、極東アジアの政治環境を考えると、例えばの話、中国に親しい国に対してもいろいろな装備品を売っていく。そういうことをすることによって、その国が日本に反対するような作業ができなくなるというような考え方もあると思うんですが、そういった抑止の考え方についてお伺いいたします。

鬼木副大臣 特定の国家を念頭に置いた質問にお答えすることは困難であるということを御理解いただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、国家安全保障戦略や防衛装備移転三原則に記載のとおり、防衛装備品の海外への移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、力による一方的な現状変更を抑止して、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出等のための重要な政策的な手段です。

 また、適切な防衛装備移転は、サプライチェーンへの我が国の参画も含め、同盟国である米国及び同志国等との安全保障、防衛分野による協力の強化、ひいては地域における抑止力の向上に資するものであります。

 また、相手国との装備協力を通じて緊密に連携しつつ、より長期的な関係を構築することが可能となると考えており、引き続き、防衛装備移転を推進していく考えであります。

和田(有)委員 分かりました。

 そういう考え方をできるだけ多くの人にアピールをしていただきたい。すぐに偏った議論になりがちですから、こういうことによって平和が保たれるという側面も広くアピールしていただきたいと思います。

 このGIGOの関係で最後に一点お聞きするんですが、共同開発国は当然、完成しますと、売り込みをするために、いわゆる飛行機ですから、航空ショーに出すとか、あるいは装備品の展示会に出すとか、そういう出品をしていくことになると思うんです。そのことについて日本はどう考えておられるのか、お伺いいたします。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 次期戦闘機事業につきましては、二〇二二年十二月の共同開発決定後、昨年三月に幕張メッセで開催されました国際的な防衛セキュリティー総合展示会でありますDSEIジャパン二〇二三などの国際展示会などにおきまして、日英伊共同で出展し、三か国の優れた技術力や協力について発信してまいりました。

 防衛省としては、今後も、こうした展示会を含めた様々な機会を捉えて、英伊とともに、次期戦闘機の高い能力に係る効果的な発信を行いつつ、次期戦闘機に係る取組を推進していく考えでございます。

和田(有)委員 しっかりとこういうことにも参画をして、日本の技術力を示したり、あるいは、それをよしとして、これを求めたいという国も出てきますから、そういうことにも前向きにしていただきたいと思います。でないと、おちおちすると、この極東アジアでは韓国が大変な勢いで防衛産業を進展させておりますから、後れを取ってついていけないということになると、基礎的な技術の欠如ということにつながる可能性がありますから、しっかりやってください。

 次の項目に移らせていただきます。領土問題を聞かせていただきたいと思うんです。

 私、せんだって、四月二十七日に尖閣諸島に行ってまいりました。国会議員としては十二年ぶりにこの地域に足を踏み入れたんだと思います。私としても、同様に、平成二十四年八月十九日に私は尖閣諸島に上陸をしたんですが、それから十二年ぶりに現地を訪れました。

 今日、資料をお配りさせていただきました。てめえの顔写真が載っておる、こうお笑いになる方もおられるかも分かりませんが、この写真が一番、その状況と距離感とか、物が分かると思って、私、これを載せさせていただきました。実は、この左側の写真の後ろに写っているのが魚釣島です。

 行ってみると、朝起きて、私、ちょっと寝坊して、皆さんがもう出ている後から追っかけて甲板に出たんですが、既に周りには海保の船と海警がおりました。それが入り乱れております。

 私が指差している方向、どんな状況かというと、青い斜めのラインが入っている船は海上保安庁の船。その向こうに、赤いラインが入っている、これは海警です。こういう状況で我々の船をガードしてくれるわけです。技量は非常に高いし、熱心であり、すばらしいとは思いますが、私、最初に、あれっと思ったんです。

 というのは、十二年前に私が行ったときは、当然、海警なんかいないんです。非常に牧歌的な雰囲気だったんです。海上保安庁の、海保の巡視船もおりましたけれども、何か突発的に我々を捕まえてやろうみたいなものでもないし、遠くから安全を確保するために見てくれている。上陸していると、しばらくすると、まあ一時間以上ですかね、すると、マイクで、そちらにおられるとよろしくありません、退去してくださいということが放送されて、では、そろそろ帰りましょうかと帰ったんです。

 でも、今回、そんな状況じゃないんですよ。これは日本の領海ですよ、皆さん、大臣。後ろにあるのは日本の島ですよ。そこの前に中国の公船がいるわけです。操舵室なんかでは我々は無線を聞くことができます。何を言っているかというと、こちらは古来より我が国の領海である、出ていけというわけです。中国語と日本語と英語で言います。それに対して、海保も無線で、その主張は認められない、そちらは退去せよ、こうやるわけです。これをずうっと繰り返しているわけです。

 これは日本の領海ですよ、日本の島ですよ。こんなものではなかったわけです。当然、当たり前のように日本の領海で日本の島だし、誰も、それは、公的な機関が、そこは何とかだからどうだこうだはあっても、ほかの国に、おまえ行くなとか、出ていけなんて言われることは当然なかったわけです。

 私はそれを経験しておりましたので、一体これはどうなっちゃったんだ、こう私は思ったんです。まず、えっと言いましたね。あれは中国の船ですか。ここには一隻写っていますが、その隣の右側の写真、いっぱい船がありますよね。これは海保と海警が入り乱れているんです。実は、いっぱいいるんですよ。そういう状況なんです。

 こういうことを見たときに、まず、このことについて、私は、言葉は選ばなきゃいけませんが、もはや日本の領海にいるというふうには感じられなかったんです。これは主権侵害だと思います。そのことについて大臣はいかがお考えになりますか。

上川国務大臣 尖閣諸島でありますが、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土でありまして、現に我が国はこれを有効に支配をしているところであります。したがいまして、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在をしないものであります。

 中国海警局に所属する船舶が累次にわたりまして尖閣諸島周辺の我が国の領海に侵入し、日本船舶に近づこうとする動きを見せていることは断じて容認できず、海上保安庁を始めとした我が国関係省庁におきましても、現場海域において冷静かつ毅然とした対応を行っているところであります。

 こうした、尖閣諸島周辺の我が国の領海内で独自の主張をするといった中国海警船の活動は、国際法違反であると認識をしているところでございます。また、中国海警局に所属する船舶が尖閣諸島周辺の我が国領海に累次にわたって侵入することは、我が国の主権に対する侵害であるということであります。

和田(有)委員 主権の侵害であると大臣は申された。

 その中で、その何日か後に、中国外務省の報道官が、向こうの会見で、中国での会見で、中国の主権を侵害する挑発行為だ、こういうふうに言っているんです。これについて抗議しなきゃいかぬのじゃないですか。

 今、累次にわたって入っている。昨日の新聞を見たって、中国公船が領海に侵入したと書いて、百三十九日連続だと。この状況が恒常化しているんですよ。もう当たり前の状況で、もちろん、私だって、日本の固有の領土だと思っているし、知っているし。

 領土問題は存在しないとおっしゃっているけれども、毎日のように、今日は入っているのかどうか知りませんが、昨日の時点の報道では百三十九日連続で入ってきている。実効支配しているとおっしゃるが、本当にそうなんだろうかと。

 そうだとするならば、中国の報道官が、ちゃんと新聞報道でも出ていますよ。主権を侵害する挑発行為だと言っていることは我々は断じて容認できないのなら、これを抗議をするなり、何がしかの対策を今回のこの言葉に対してすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

上川国務大臣 御指摘の中国外交部報道官の発言を含めまして、尖閣諸島をめぐります中国側の独自の主張に基づく発言は決して受け入れられないものであります。

 先般の石垣市による調査に関しましては、現場での中国海警船による動向に加えまして、御指摘の報道官の発言にもあります中国側からの独自の主張に対し、外交ルートを通じて厳重に抗議をしているところであります。

和田(有)委員 分かりました。厳重に抗議したということですね。まず、それは分かりました。

 ここで、では、海保は現場においてどう対処を現実にはされておられるのか、お伺いします。

彼末政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁では、常に尖閣諸島周辺海域に巡視船を配備して領海警備に当たっており、中国海警局に所属する船舶への対応については、相手勢力を上回る巡視船で対応するなど、万全の領海警備体制を確保しております。

 また、我が国領海に接近する中国海警局に所属する船舶に対しては、領海に侵入しないよう警告を実施するとともに、領海に侵入した場合には、退去要求や進路規制を繰り返し実施し、領海外へ退去させているところです。

 海上保安庁では、引き続き、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と緊密に連携し、冷静に、かつ毅然として対応を続け、領海警備に万全を期してまいります。

和田(有)委員 確かに海保は一生懸命やっておられると思います。現場で見ました。この写真の、この船のしばらく後、これはどうなったかというと、この海警の船をがあっと羽交い締めにするわけですよ、あの海保の船が。止めちゃうわけです、前後左右で。五隻ぐらいでがあっと止めるわけです。それはすばらしい操船技術だと思います。

 でも、今回三隻が、一隻はここまで来ていない、我々の周りにいたのは二隻か三隻です。海保の船は十隻ぐらいはいたでしょうね、これで止めているわけですよ。もっとたくさん来たらどうするんですかね。山のように、雲霞のごとく来始めたらどうするんですかね。では、日本は、向こうが十隻来たら二十隻、三十隻来たら四十隻、船を出せるんですかね。それは、今一生懸命巡視船を拡充しなきゃ、充実しなきゃとやっていますけれども、私は無理があると思います。

 これは、結局、今海保の方が言われたけれども、警告をし、そして退去を求めている。そして、操船によって上手にあれして、進路をあれしているというけれども、現実には、毎日のように、百三十日も百四十日も来ているわけですよ。こんなことをやっていたってイタチごっこの繰り返しなんです。対処療法的であって、追い出すには至っていない、来るんですから。現実に目の前にいて、主権を侵害しているんですから。

 そこで、もう一回外務大臣にお聞きしたいのは、なぜこういう状況になってしまったと思われますか。お伺いします。

上川国務大臣 そもそもでありますが、中国政府が尖閣諸島に関する独自の主張を始めたのは、一九六八年秋に行われました国連機関による調査の結果、東シナ海に石油埋蔵の可能性があるとの指摘を受けて尖閣諸島に注目が集まったところであります。これが一九七一年十二月以降からであります。

 その上で、二〇〇八年十二月に、同海域におきまして、中国政府所属船舶による尖閣諸島周辺海域におきましての領海侵入事案が初めて発生をいたしまして、二〇一二年九月以降、同海域におきまして、中国海警局等に所属する船舶による領海侵入が相次いでいるという状況であります。

 中国側の行動の意図について述べる立場にはございませんが、こうした力による一方的な現状変更の試みは、我が国として全く受け入れることができないわけであります。

 我が国といたしましては、中国海警局等に所属する船舶による尖閣諸島周辺地域におきましての活動に対しては、一貫して、現場海域における海上保安庁による警告を含みます対応や、これは先ほど説明があったとおりでありますが、外交ルートを通じた厳重抗議にとどまらず、首脳、外相レベルといった各種会談において取り上げるとともに、同盟国である米国を中心とした国際社会での取組も進めてきているところでございます。

 引き続き、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、冷静かつ毅然と対応していく所存でございます。

和田(有)委員 冷静かつ毅然として遺憾を述べ抗議をするとしてきても、このしてくる中でどんどんどんどん入ってきているわけですよ。何の効果も出ていないんです。

 今日も松原さんが別の関係で同じようなことを言われましたけれども、抗議をする、そして向こうに意を伝える、全然効果がないわけです。何でこんなことになったのか。それは、いろいろな今言われたようなこの時点でこういうことがとありますけれども、日本が毅然とした態度を示していないからなんですよ。

 その態度とは何か。何も戦争せいと言っているわけじゃないんです。少なくとも、この島に上陸をして日本の領土として活用をし、そして、ここは日本がちゃんと活用しているとか、そういうふうな何がしかの作業をしてこなかったからだと私は思うんです。ただただ、いや、駄目ですよ、これは日本の領土で来ちゃいけませんよと言ったって、来ているんですから。結果、挙げ句の果てに国会議員が何人か乗っていったらこういう状況になっちゃうわけです。行かなかったらならないだろうと言う人がいるかも分からないけれども、そんなことはないですよ、毎日来ているんですから。

 皆さん、行った方がいいですよ。どんな緊張した状況か。一歩間違うとどんと当てられますよ。当てられてわあと言ったら、ばばばばっと撃たれたら、もう大変なことですよ。

 それを、途中から、その羽交い締めにした向こうの海警は言い始めるんです。初めは、退去しなさい、ここは中国の領土だと言っている。しまいに、止められていくと、危険だからやめなさい、危険だからやめなさいと言うわけですよ。危険だからやめなさいってどういうことだと私も思いますけれども。要するに、最後、当ててやろうかみたいなものですよ、向こうは。そんなことになったら、大変なことになっていく。

 そんなことにさせないための前段が、やるべきことがある。それは、もう抗議をしたり遺憾だと言ったりという程度のものではないだろうと私は思って、今の質問をさせていただいたんです。

 そういう中で、では、今どう対処されようとしているのかというのを併せて御答弁になっていますが、もう一回、このことについてどう対処していこうと今大臣はお考えですか。

上川国務大臣 今申し上げたとおりでありますが、中国海警局等に所属する船舶によります尖閣諸島周辺海域における活動が継続をしているということは、極めて深刻に受け止めているところであります。

 中国側に対しましては、一貫して、現場海域における海上保安庁による警告を含みます対応、また外交ルートを通じた厳重な抗議にとどまらず、首脳、外相レベルといった各種会談におきまして取り上げるとともに、同盟国である米国を中心とした国際社会での取組も進めてきているところでございます。

 政府といたしましては、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針の下、冷静かつ毅然として対応していくことに変わりはなく、引き続き、緊張感を持って、関係省庁が連携をし、情報収集また警戒監視活動等に万全を期してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 毅然とした対応をしてやっていくといっても、何をやっているんだと聞きたいわけですよ、私。

 そこで、では、例えばの話、対外的に尖閣諸島というものが日本の島であると主権を主張するためには、さっきも言いかけましたけれども、島を活用すべきだ。例えば、この土地は石垣市にあるわけですから、今回も石垣市が行う行政調査に私は同行させてもらった。東海大学に委託をして、その調査船で行ったわけです。石垣市が今度は上陸をして調査をしたいと言っている。今までそれが認められてこない。

 環境を見ても、ごみがいっぱい。見たら分かりますよ、ごみがいっぱい打ち上げられている。植生もどうも非常に荒れてきている。ドローンも飛ばしました。でも、ドローンを一回目飛ばして、降りてきて、もう一回飛ばそうと思ったら、海警の船がかなり接近してきたので、上げると妨害電波とかで落とされる可能性がある。あるいは、別の、物理的に落とされたら本当に大変なことになるということで、上げられなかったんです。二回目、ドローンを飛ばすこともできなかったんです。今そんな状況ですよ。

 だから、やはり上陸してもっと確かめたいとおっしゃっておられる。海岸の漂着物の状況や動植物の状況など、環境調査を希望しているんですが、それをお認めになるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

滝沢副大臣 お答え申し上げます。

 石垣市において尖閣諸島周辺海域の調査を数回実施しており、上陸調査を希望する声があることは認識しております。

 環境省では、自然環境の把握を目的とした全国調査の一環として、植生図を更新しています。また、衛星画像を用いたアホウドリの生息状況調査を実施しております。こうした調査により、尖閣諸島の自然環境の状況について必要な情報は一定程度収集できており、現時点で上陸調査を行う予定はありません。

 環境調査のための上陸については、尖閣諸島及び周辺海域の安定的な維持管理という目的のため、原則として、政府関係者を除き何人も上陸を認めないという政府方針を踏まえた上での対応となります。

 石垣市による調査結果も含め、引き続き関係者との間で情報交換に努めてまいりたいと考えております。

和田(有)委員 今、政府の方針でという言葉が出ました。

 石垣市が上陸をしたいということについて許可を求めたいと。質問取りのときに、どちらに聞きましょうかと。これは管轄はどこが持っているんだ、こういう話をしたら、あっちでございますと。今度はこっちに聞くと、いや、うちではございませんと。最後、標柱を立てたいのなら、住居表示の関係だから総務省ですねと、こうなる。

 だから、あっちに回され、こっちに回され、一昔前の、今ではもう、普通、市役所でもこんなことはない。カウンターに行ったら、あっちの課ですよ、こっちですよ、たらい回しなんですよ。最後に行き着いたのが、では、環境調査といったら質問する相手がどうなるんだと。環境省ですから、環境省に答えてもらってくださいといって、環境省に行ったら、いやあというところを、まあ落ち着けて、ここで今答弁をもらったんです。

 こんなことをやってきたから、こんなことになったんじゃないんですか、大臣。私はそう思うんですよ。皆さん、自分のことと思っていないんじゃないですか、この尖閣のことを。お役人さんも、どこか遠い南の島の、誰か他人の話だと思っているんじゃないですか。これは我々の国土の話ですよ。

 次のところで聞きますけれども、ここは最もホットスポットですよ。ここの海域というのは、それはもう何度も質問したし、防衛関係の方は御存じのように、上の上空というのは防空識別圏がかぶっているんですよね。そういう場所です。その辺りですよ。これを他人事のように、何か、それはあっちの課ですわ、あっちの省ですわ、あっちに聞いてください、うちじゃ答えられません、そんなことをやってきて、腰が引けて、何にもしてこなかったから、いかぬぞ、遺憾です遺憾ですと言ったって、入ってくるんです。

 やはりここは、毅然とした態度でと大臣が言われたように、では、その毅然とした態度をどう示すかを政府の主要なところでしっかりと議論をし、煮詰めるべきじゃないですか。でないと、私が行った感覚では、これはもう近々に大変なことになると思いますよ。一遍、大臣、護衛艦か何か、海保の船でもいいですよ、乗って、あの辺をぐるっと回ってみたらいいですよ。そんな悠長な、来たから、遺憾ですよ、そんなことは抗議しますよと言っていられないですよ。

 私は偶然にも、ありがたいことに、そこに行く機会に恵まれた国会議員だから、あえてこの場で言わなきゃいかぬと思って言わせてもらっているんです。是非ともそういうことを念頭に置いていただきたいと思います。

 これ以上言ったってどうにもなりません。今、お答えは変わらないでしょう。ただ、もう一回聞きましょう。

 これは、いわゆるサラミ戦術というやつにかかっているんです。徐々に徐々に近づいてきて、いつの間にか目の前にいて、それで、向こうがいつの間にかぱっとドローンを飛ばして、島に落ちちゃった、取りに行きますわと言われたら、どうしますか。これはもうこの瞬間でも起こり得る話なんですよ。今でもあそこでは起こり得る話ですよ。

 そういう中で、サラミ戦術みたいのにはまりつつある、根本的に、外交上抗議する以上の何がしかの策が必要だと思いますが、もう一度御答弁を求めます。

上川国務大臣 繰り返しになるところでございますが、政府としては、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針の下、冷静かつ毅然として対応していくことに変わりはなく、引き続き、緊張感を持って、関係省庁が連携をし、情報収集、警戒監視活動等に万全を期してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 それ以上は今御答弁はないでしょうけれども、しっかりと関心を持って、何ができるかを考えて、政府の中で検討してください。

 石垣市の皆さん、石垣市行政としての上陸を来年は認めていただきたいと思う。それは環境調査なら環境省なのか、それは標柱を立てるなら総務省なのか、何とかだったら何省か分かりませんけれども、日本国政府として、本来なら日本国政府がすべきですよ。上陸して、公的な、官にある人、役所の方が常駐するとかをやるべきだと思います。是非とも来年にはお認めいただきたいと思います。

 次に移るんですが、これは次のことに関わるんですが、昨日、日華議員懇談会という超党派の議員連盟がありました。その総会があって、そのときに、次期台湾の総統に就任される頼清徳さんからビデオメッセージをいただいたんですね。

 頼清徳さんは、そのビデオメッセージで何とおっしゃったかというと、日本と台湾は一本の糸でつながった運命共同体である、こう言われました。

 私、前回ここで質問したときに、日本と台湾はどういう関係だと思いますかと大臣に聞いたときに、大臣はいろいろ御答弁になった後に、私は運命共同体じゃないですかと言った。それを聞いて言ったんじゃないでしょうけれども、これがまさにその言葉に表れて、この場所がその場所なんですよ。中、台、日本の接している、この極めてナーバスな地域の、まさに一本の糸のど真ん中なんです。

 そういう中で考えたときに、中国という国を、こういう状況にあるから、私は脅威だと思います。中国を脅威と大臣はお考えでしょうか。その見解を聞かせてください。

上川国務大臣 日本として、中国自体についてそのような位置づけをしているわけではございませんが、現在の中国によります対外的な姿勢や軍事動向等は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項であることは事実であります。そのような観点から、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安全を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦として、我が国の総合的な国力と同盟国、同志国等との連携により対応すべきものであり、その旨、国家安全保障戦略で明らかにしているところでございます。

和田(有)委員 そういう御答弁になるんでしょうけれども、私は脅威だと思います。脅威だと思って、こういう尖閣の問題にしたって、領土問題は存在しないというのは公式な言い方ですが、どう考えたって、私が現場にいる限りは、これはそういう嫌い、そういうていを帯び始めている。そういう中で、中国は脅威だという前提で物にかかっていただきたい。

 そういうふうに申し上げて、次のまさに領土問題に質問を移ります。北方領土です。

 北方領土に関する関係団体を、ロシアは好ましくない団体に指定しました。元島民のロシア入国を禁止しました。これは、物の見方を変えると、元島民の方が北方領土への入域もできないことを意味しているのか。そして、これはロシアの意図として見てみると、ロシアの国内だから入域を許可しないということをアピールしようとしているのではないかという見方ができますが、その点についていかがでしょうか。

上川国務大臣 ロシア側は、昨年四月二十一日に千島歯舞諸島居住者連盟を、また、本年二月六日に北方領土復帰期成同盟を、いわゆる望ましくない外国NGO団体にそれぞれ指定する旨を発表いたしました。

 両団体は、長年にわたりまして、北方領土問題に関します国民世論を喚起し、日ロ政府間の平和条約交渉を促進するための運動を行ってきており、ロシア側による指定は受け入れられるものではありません。ロシア政府に対しましては、速やかに抗議を行うとともに、指定の撤回を求めてきておるところであります。

 そもそも、北方領土でありますが、我が国が主権を有する島々でありまして、我が国固有の領土であります。ロシアによる北方領土の不法占拠は受け入れられるものではありません。そのため、ロシアの国内法令が北方領土に適用されることを前提に議論すること自体、適切ではないと考えております。

 その上で、あえて申し上げれば、ロシアの法令におきましては、いわゆる望ましくない団体に属する人々のロシアへの入国を禁止する規定はありませんが、例えば、ロシア国内において、かかる団体に資する事業の実施は禁止されるとの規定はあると承知をしております。

 本件に関しますロシア側の意図について推測をすることは差し控えさせていただきますが、ロシア側による今回の指定によって、北方墓参を始めとする四島交流等事業に悪影響が出ることはあってはならない。政府としては、引き続きロシア側に指定解除を働きかけてまいりたいと考えております。

和田(有)委員 もう時間が大分なくなってきたので、ちょっと急ぎますけれども、日本がもっとしっかりと国際世論に対してアピールしなきゃいかぬと思うんですね。

 内閣府の北方対策本部のウェブサイトを見ると、日本語だけだったと思うんです。まず、これでいいんだろうかと思うんですが、いかがですか。

矢作政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年実施いたしました北方領土問題に関する世論調査におきましては、北方領土をロシアが不法占拠し続けている現状についてどの程度知っていますかという質問に対し、現状についてよく知っている、あるいはある程度知っていると回答した者が六四%であり、おおむね若年層ほどこの割合が小さくなる傾向がございます。

 内閣府としましては、このような結果も踏まえ、特に若い世代に対し、北方領土問題への関心を高め理解を深めていただくことが重要と考えております。内閣府といたしましては、まずは所掌事務である国民世論の啓発として、特に国内の若年層への啓発を行っていくことが重要との認識の下、取組を進めているところでございます。

 なお、北方対策本部ホームページは英語ページも掲載しておりますが、国外向けの北方領土問題等の広報、情報発信等につきましては外務省を中心に実施しているものと承知しているところでございます。

和田(有)委員 これ、ロシア語がないんですよ、英語はあっても。ロシアの国民に対して、ここは日本の国だ、日本の領土なのにロシアが不法占拠しているという知識が届いていないわけですよ。だから、そういう意味でロシア語でのアピールが必要だと思いますが、その点、いかがですか、手短で。

中村(仁)政府参考人 お答えいたします。

 北方領土問題に関する広報の重要性、これはもう委員の御指摘のとおりでございます。

 外務省のホームページにおきましては、この問題についての特設ページを設けて、日本語だけでなくて、英語、そして、今おっしゃられたロシア語でございますけれども、広報雑誌を作って、ロシア語を含む外国語十か国語によって各方面に配布をしてきております。

和田(有)委員 まだ半分も行っていないんですけれども、ロシアの項でも半分も行っていないので、もう時間がないので、できないところはもう次に回すので、来ていただいている方は申し訳ないですが。

 北方領土問題の啓発などを求めるというのが内閣府設置法であったり、北方領土問題対策協会法であったりするんですよ。だから、ウェートが国内向けの啓発にかかってしまっているように私は思うんです。そのためにも、やはり法律を改正することも視野に入れて、もっと外向きに、日本の領土なんだ、それを不法占拠されているんだということを言う、そういう姿勢をつくっていく必要があると思うんですね。

 そのことについて、積極的な対外アピールが北方領土に関して必要だ、ロシア語のそういうページも作る、何も作る、発します、そういうことを思いますが、大臣はいかがお考えですか。

上川国務大臣 今委員御指摘のとおりでありまして、他国あるいは国際社会の国々との間で様々な情報の共有をしているところではございますが、今の北方領土に関しまして、我が国の立場、日ロ間の交渉の経緯を積極的に広報していく、そして、国際社会に正しい理解が広まることは重要と考えております。

 先ほど説明したものでありますが、この資料、これは日本語版でありますが、ロシアにも訳して、十数か国に訳していると思いますが、こういったものもございますが、それ以外にも可能な限り広報に努めてまいりたいというふうに考えております。

和田(有)委員 最後に、このロシアの分を終わらないと、中途半端にすると、次、ここからできないので、二つまとめて簡単に聞きます。

 大臣は、これまで、北方領土問題についての日本の立場を外国要人に会ったときには言っているはずなんです。何回言いましたか。

 最近、考えたら、ウクライナに関しても日本も、同じようにクリミアと北方領土は軍事占領されているわけです。このことについて、ウクライナと協力して国際社会にキャンペーンを張るべきだと思いますが、その点だけ聞いて、私の質問を終わりたいと思うんですが、いかがでしょうか。

勝俣委員長 上川外務大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

上川国務大臣 私、就任以来、外国要人との会談におきましては北方領土問題を取り上げたことはございます。その回数と具体的内容につきましては、会談を行いました相手国との関係もございますし、また、北方領土問題に係る我が国の外交政策等に悪影響を及ぼすおそれがあるということで差し控えさせていただきたいと考えますが、積極的にその旨を申し上げているところであります。

 先ほど、二点目、クリミアとの関係でということでございますが、この点につきましては、そもそも北方領土問題と現在のウクライナが置かれている状況については大きく異なっておりまして、両者を関連づけて取り上げていくことがそれぞれの問題解決にとりまして有意義かどうか、この点につきましては慎重に考える必要があると考えております。

和田(有)委員 時間が来ましたから終わりますが、ちょっと議論したいことが幾つか最後の御答弁にありました。次の機会に、あればやりたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

勝俣委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今回のGIGO設立条約は、殺傷能力のある兵器の最たるものである戦闘機を共同開発、生産、輸出するものであります。国際紛争を助長する武器輸出はしないという我が国の国是を投げ捨てるものと言わなければなりません。

 まず、大臣に、平和国家の哲学、武器を輸出することについての倫理観についてお伺いしたいと思います。

 配付資料を御覧いただきたいと思いますが、一ページ目、一九七六年の宮沢喜一外務大臣の答弁になります。「わが国は兵器の輸出をして金をかせぐほど落ちぶれてはいないといいますか、もう少し高い理想を持った国として今後も続けていくべきなのであろう。」、こうおっしゃっているわけですね。当時の宮沢さんは、平和国家の大臣としての理想、哲学があったと思うんですね。兵器を海外に輸出してもうけることは落ちぶれることだ、こういう倫理観があったと思います。

 上川大臣、この大先輩のお言葉をどう受け止めますか。

上川国務大臣 今般の防衛装備品の海外への移転についてでありますが、この目的は、外務省として申し上げるところでありますが、我が国にとりまして望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略等を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段となるものと考えております。

 我が国は、国際連合憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持していくことには何ら変わりはなく、これまで同様、厳正かつ慎重に対処する方針でございます。

宮本(徹)委員 何か、宮沢大臣の言葉をどう受け止めるのか、一言もお答えがないのは残念ですね、ペーパーだけ読まれて。平和国家の歩みを続けていくと言いますけれども、平和国家の歩みをやめようというのが今回の法案になっているから、私はあえて宮沢大臣の言葉を紹介したわけであります。

 戦闘機を共同開発して輸出して、それが戦争、武力行使で使われたら、人は亡くなっていくわけですよ。そういうことに対しての倫理観というのが、平和憲法を持つ国の政治家には求められると私は思います。

 そして、武器輸出の禁止というのは、単なる政府の政策ではなくて、憲法の平和理念に基づく国是だったわけであります。そのことは、自民党政権の大臣が国会で繰り返し表明してきております。

 配付資料の二ページ目、中山太郎外務大臣、「武器輸出三原則で国際平和のために一切武器を輸出していない、これが日本の国是である、」。三ページ目、渡辺美智雄外務大臣、「日本としては、もちろん核については非核三原則というものを持っており、武器輸出をしないという国是を持っております。」。四ページ目、額賀福志郎防衛庁長官、今の議長ですね、「この問題は、戦後政府がとってきた国是であります。」「武器輸出三原則という平和理念に基づいて考えてまいりたい」、これは公明党の赤松正雄議員が追及しての答弁です。

 この武器を輸出しないという武器輸出三原則について、自民党政府自身は繰り返し、非核三原則と並べて日本の国是と位置づけてきたこと、これは大臣も御存じですよね。

上川国務大臣 存じ上げております。

宮本(徹)委員 今紹介したからね。

 それで、この武器を輸出しないということは、初めから国是だったわけでは実はないんですね。政府と野党の国会論戦を通じて確立され、全会一致の国会決議によって国是として内外に宣言されたものであります。

 戦後、冷戦下で武器は電子機器などとともにココムの対象とされ、輸出が制限されておりました。ただ、一九六〇年代、経済界から武器輸出要求が出てくる。そういう中で、一九六七年二月、配付資料の五ページ目、佐藤栄作首相が、共産圏諸国、国連決議で禁止された国、国際紛争の当事国やそのおそれのある国への武器輸出は認めない、これを、武器輸出三原則を国会答弁で表明したわけであります。

 しかし、この三原則の下で、C1輸送機の輸出解禁を求める動きというのが問題になります。それが一九七六年の国会なんですね。この武器輸出三原則の武器の定義、あるいは、おそれのある国の範囲はどうなのか、この三原則では曖昧じゃないか、ここを野党が追及しました。そして、その追及の中で三木武夫首相が表明したのが政府統一見解であります。

 六ページ目につけておりますが、このときに、この三木武夫首相に政府統一見解を読ませたのは、公明党の正木良明議員が、これは議事録にありますように、詰めて詰めて総理に読み上げさせるということがあったわけですね。統一見解はこうあります。平和国家の立場から、国際紛争を助長することを回避するため、当該地域以外にも武器輸出を慎むとして、全面禁輸が政府の方針になりました。

 大臣、公明党も含めた、公明党さんは当時野党ですけれども、政府と野党の国会論戦の中でこの政府統一見解がつくられ、武器を輸出しないというのが政府の方針になっていく、こういう経過は御存じですか。

上川国務大臣 今の御指摘の点でございますが、ここの配付資料のとおりでありますが、衆議院予算委員会におきまして武器輸出に関する質問を受け、一九七六年二月二十七日に、当時の三木内閣総理大臣が、武器輸出三原則対象地域については武器の輸出を認めず、それ以外の地域については武器の輸出を慎むものとする、武器輸出に関する政府の統一見解を表明したものと認識をしております。

宮本(徹)委員 時の政権の思いつきじゃないんですよね。国会論戦の産物、国会論戦の積み上げの中で、政府が統一見解として示した大変重いものなんですね。最初に紹介した宮沢当時外務大臣の答弁も、この統一見解の下で、その国会の中で述べられたものだったわけであります。

 ところが、この政府統一見解の下で、一九八一年に堀田ハガネ事件というのが発覚いたします。許可なく韓国に大量の砲身の半製品を輸出していた。これが国会で大問題になりました。

 資料の七ページ目を御覧いただきたいと思います。ここで、この武器輸出を慎むというのは例外もあるんですかという質問に対して、田中六助通産大臣が、この政府統一見解の武器の輸出を慎むという意味について、「「慎む」ということは、やはり原則としてはだめだということ、」だ、こう答弁されて、武器輸出の原則禁止というのは、ここで政府から表明されるようになる。

 さらに、このすぐ後になりますけれども、一九八一年三月に、衆参両院の本会議で、全会一致で武器輸出問題等に関する決議が行われます。これは資料の八ページ目と九ページにつけました。この国会決議は、七六年の政府統一方針について、日本国憲法の理念である平和国家としての立場を踏まえたものだとして、武器の禁輸を国内外に宣言したわけであります。

 さらに、国会決議では、この堀田ハガネ事件みたいなのもありましたから、制度上の改善も含めた実効ある措置を求めたわけです。政府統一見解に、「日本国憲法の理念である」という言葉が国会決議では加わっているわけですね。こうした経過を経て、武器を輸出しないという原則が憲法の平和主義に立脚した国是なんだということになっていったわけですよ。

 歴代大臣が武器を輸出しないことは国是だと表明してきたのも、こうした歴史的な経過があるからです。武器を輸出しないことがこういう経過で国是になっていったということを深く大臣は認識されているんでしょうか。

上川国務大臣 平和国家として、こうした武器輸出三原則に係る国会におきましての様々な議論、そしてそのやり取り、この間の経緯等につきましては、今委員がおっしゃったとおりであります。こうした中で統一見解が表明されたものというふうに認識しているところでございます。

宮本(徹)委員 私は、その政府統一見解の後の話をしたわけですね。統一見解を受けて、武器輸出が疑われる事件があったから、さらに、政府も、そして更に国会決議まで上げて、武器輸出はやらないというのが平和憲法の理念なんだと。ここまで、これは別に共産党が多数の国会じゃないですよ。自民党さんまで含めて、全会一致で国会決議を上げたわけでありますよ。

 政府と国会の総意が武器輸出三原則なんですね。武器を輸出しないということなんですよ。そういう国是をつくり上げてきたわけです。憲法の理念に基づく国是だと国会も政府もしてきた。これが、時の政権の一片の閣議決定で投げ捨てるということは到底許されないと思うんですけれども、いかがですか。

上川国務大臣 この点に関しまして、防衛装備の海外移転についてでありますが、武器輸出三原則等の下におきましては、実質的には輸出を認めないこととなっていた一方で、その時々の事情に応じ、必要がある場合には、例外化措置を講じ、個別判断により海外移転を認めてきたところであります。

 武器輸出三原則、防衛装備移転三原則及び同運用指針は、外為法の運用基準及びその指針を定めるものであり、同法の運用は行政権の作用に含まれるということでありまして、そうした法律にのっとりまして、政府がその主体となって判断していく、今こういう中であるというふうに認識をしております。

 その上で申し上げれば、防衛装備移転三原則におきましては、平和国家としての基本理念を引き続き堅持していくこととしておりまして、今後ともこの点が変わることはないということでございます。

宮本(徹)委員 武器を輸出しないというのが平和国家の理念なんですね。戦闘機を輸出しようと言いながら、平和国家の理念は維持していきますなんて、そんな詭弁はやめた方がいいですよ。それから、先ほど、この法の運用は行政権の作用なんだ、だから、行政権の範囲で政府が武器は輸出できるようにするんだ、これも本当に私は暴論だと思いますね。

 資料を次のページにつけておきました。資料の十ページ目でありますが、これは内閣法制局の関係主要用語集でございます。「国会決議の効力」、こう書いていますね。「国会は国権の最高機関であり、政府においては、この国会の意思として示された国会決議の趣旨を十分尊重して行政を遂行すべきことは当然のことである。」と。当たり前のことを書いているわけですね。だって、国権の最高機関は国会ですから。その国会が決議を上げたら、当然、内閣はそれを尊重して行政をやるのが当たり前なんですよ。

 先ほど、行政権だから何でもできるかのようなことを答弁されましたけれども、武器の輸出はやらない、これは平和憲法の理念なんだと国会決議が上がっているのに、それを無視して、行政権でできるんだというのは、国会と内閣の関係を全く理解されていないんじゃないですか、大臣。いかがですか。

上川国務大臣 先ほど来の冒頭からの御質問にのっとって、この間の経緯、経過について、ただいま武器輸出三原則というところでございますが、先ほど申し上げたとおり、この件につきましては、国連憲章を遵守するという平和国家としての基本理念を堅持することとされておりまして、まさに日本国憲法の理念であります平和国家としての立場が閣議決定によって次々と今変えられているという御指摘は当たらず、今後ともこの点が変わることはないと考えております。

宮本(徹)委員 別に、国連憲章を遵守するというだけが平和国家の理念じゃないですよね、大臣。平和国家としての理念、平和国家の歩みということは、もっとちゃんとしたことを政府は述べてきたんじゃないですか。

 次のページ、資料十一ページ目。外務省のホームページにまだ大事なことが載っていますね。「平和国家としての六十年の歩み(ファクト・シート)」。これは私が捏造したわけじゃないですよ、外務省のホームページですよ。ちゃんとしたことを書いていますよ。

 「我が国は戦後六十年一貫して、強固な民主主義に支えられた「平和国家」として、専守防衛に徹し、国際紛争を助長せず、国際の平和と安定のために持てる国力を最大限に投入してきた。」と。そして、「国際紛争助長の回避」の項目には、「武器の供給源とならず、武器の売買で利益を得ない(「武器輸出三原則」)。」と書いていますね。

 平和国家としての歩みというのは、外務省自身、いまだにホームページにちゃんと、「武器の供給源とならず、武器の売買で利益を得ない。」ということが、これこそ平和国家の歩みなんだということを書いているわけじゃないですか。これを投げ捨てながら、平和国家の理念は変わっていない、成り立たないでしょう。整合性が取れないと、大臣は聡明だから分かっていますよね。

 その役所が書いたペーパーを読むんじゃなくて、私たちはこの平和国家の歩みを捨てるんです、そういうことでやっているんですと、正直に述べられたらどうですか。

上川国務大臣 二〇〇五年の外務省作成のファクトシートについての御質問でございますが、これは、平和国家の理念に基づきました我が国の具体的な取組を、その時点におきまして、国内外に対して説明するために作成したものでございます。

 防衛装備の海外移転につきまして、二〇〇五年時点も含め、当時の武器輸出三原則等の下におきましては、実質的には輸出を認めないこととなっていた一方、その時々の事情に応じ、必要がある場合には、例外化措置を講じ、個別判断により海外移転を認めてきたところであります。

 その上で、防衛装備移転三原則におきましても、平和国家としての基本理念を引き続き堅持していくこととしておりまして、今後ともこの点が変わることはないと繰り返し申し上げてきているところでございます。

宮本(徹)委員 よくもそんな恥ずかしい答弁ができますね。その時点においてとおっしゃいましたけれども、大臣、憲法の平和理念というのはその時点時点で変わるんですか。憲法の文言は一つも変わっていないですよ。憲法の理念というのがその時点時点で変わるんですか。

上川国務大臣 平和国家として、今申し上げてきた一連の経緯の中で、今の立ち位置の中で今申し上げてきたところでございます。

 先ほど、一九七六年二月の衆議院予算委員会におきましての武器輸出に関する質問を受けた三木内閣総理大臣の答弁でありますが、武器輸出三原則対象地域については武器の輸出を認めず、それ以外の地域については武器の輸出を慎むものとすると、武器輸出に関する政府の統一見解を表明したものと認識をしている。

 そして、慎むということについては、原則としては禁止ということを確認しているところでございますが、原則としては禁止をしつつも、今申し上げたように、例外化措置を通じまして、その時点の中での対応をしてきた、個別的な判断をしてきたものと考えております。

宮本(徹)委員 今回は例外化措置みたいな話じゃないじゃないですか。原則として禁止を確認してきたけれども、今回は殺傷兵器の最たる戦闘機を輸出するわけですよ。例外化措置どころか、原則と例外の転換でしょう。誰がどう考えたって、日本は武器輸出国家になっていく、こういうふうにしか見えないわけですよね。元々武器輸出そのものをしないというのが国是だったわけですよ。これを投げ捨てることは本当に許されないと思います。

 そして、武器輸出をしていく、武器を海外に出していくということは、国際紛争を助長していくことになるわけですよね。それは今日の世界を見ても明らかだと思います。

 今ガザ地区のラファをめぐって、イスラエルがいつ侵攻するのかという大変重大な局面にあります。百二十万人もの避難民が密集するラファに本格的な軍事侵攻に踏み切れば、大惨事になることは明らかであります。国際社会が一致してイスラエルに攻撃の中止、停戦に応じるように迫らなければなりません。

 イスラエルが無差別攻撃を実行できるのは、簡単に言えば、背景に軍事援助があるからであります。一方で、バイデン大統領は、先日、ラファへの地上作戦をイスラエルが行った場合、一部の武器については供与しない考えを示しました。しかし、全部の武器ではありません。そして、軍事援助はドイツなどもやっているわけであります。

 上川大臣に是非やっていただきたいんですけれども、上川大臣がイニシアチブを発揮して、欧米諸国に働きかけて、攻撃中止と停戦に応じない限り、これ以上の軍事援助はしない、こういうメッセージが、国際社会が結束してイスラエルに出されるようにすべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

上川国務大臣 まず、現状の認識ということで申し上げさせていただきますが、昨年十月のハマス等によりますテロ攻撃を発端とする現下のイスラエル、パレスチナ情勢につきましては、日本として、一貫して、ハマス等によるテロ攻撃を非難し、人質の即時解放を要求しておりますが、同時に、戦闘が長期化する中にありまして、現地の危機的な人道状況が更に深刻さを増しているということを深く憂慮しているところでございます。

 ラファハのこの地区におきましては多数のパレスチナ避難民が集中しておりまして、そのような状況下で軍事作戦が継続されれば、更に多くの犠牲者が発生する惨事となり、人道支援活動がますます困難になることは明らかであります。こうした状況下でのラファハへの全面的な軍事作戦には、我が国として反対であります。

 我が国といたしましては、人道支援活動が可能な環境が持続的に確保され、また、人質の解放が実現するように即時の停戦を求めるとともに、それが持続可能な停戦につながることを強く期待しておりまして、欧米諸国を含む関係国と緊密に連携しつつ、イスラエルへの働きかけを含みます様々な外交努力を精力的に展開してきたところでございます。

 さきのイタリアでのG7外相会合におきましても、この件につきましては議論をいたしたところであります。こうした中で、人質の解放、また停戦をめぐって、今もまさに調整がなされている状況でありまして、今後の見通しができる状況にはございませんが、こうした動きが早期に実現するように環境整備に取り組んでいるところでありまして、引き続き、粘り強く積極的に行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 長々お話しされましたけれども、私が聞いたことには全然答えていないじゃないですか。

 やはり軍事援助があるからイスラエルはこうした攻撃を続けているわけですから、あらゆる軍事援助は世界がやめましょう、こういう働きかけをすべきじゃないかということを私は申し上げたわけです。武器輸出に熱心になると、他国の武器援助についても物が言えなくなっちゃうんですか。

 国連人権理事会は、四月五日、ガザ地区の停戦や封鎖の解除、そしてイスラエルへの武器や弾薬の売却そして移転の停止を求める決議を二十八か国の賛成多数で採択しました。ところが、日本政府は棄権しているんですね。なぜ棄権したんですか。

上川国務大臣 四月五日、現地時間でありますが、ジュネーブで開催中の国連人権理事会におきまして、東エルサレムを含みますパレスチナにおける人権状況、説明責任及び正義の確保義務決議が採択をされたところであります。

 我が国は、現下のガザ情勢に関しましては、先ほども申し上げたとおりでございますが、全ての当事者に対しまして、国際人道法を含む国際法の遵守、また人道支援の確保を含めまして、関連の国連安保理決議に基づいて誠実に行動することを求めてまいりました。

 今回の決議におきましては、今般のガザ情勢を受けた文言が多数追加されているところ、事実関係を十分に把握することが困難である中、ICJで係争中の事項をも含め、本決議においてその法的帰結について予断することは適切ではないと考えておりまして、そして、本決議については棄権票を投じたところでございます。

宮本(徹)委員 もう本当に明々白々なんですね。国際法違反の攻撃が目の前で展開されているわけですよ。それについて法的評価は踏み込まない、そして決議に棄権する、こういう姿勢で本当にいいんですか。

 これ以上の大惨事を食い止めるためには、国際社会が結束してイスラエルに迫っていかなきゃいけないわけですよ。私は本当に、武器輸出を日本がしようと思っているから、武器の援助についても物が言えなくなっているんじゃないか、このことを大変疑いを持って見ている状況でございます。

 加えまして、次の問題ですが、今回の次期戦闘機の共同開発は日本の三菱重工とイギリスのBAEシステムズ、イタリアのレオナルドが共同事業体制を構築して進める計画になっているわけであります。この共同開発に踏み切るに当たって、相手企業のBAEシステムズやレオナルドがイスラエルとどのような関わりを持ってきたのか調査されたんでしょうか。

鬼木副大臣 BAEシステムズ及びレオナルドについては、共同開発国であるイギリス及びイタリアが責任を持って選定したプライム企業であります。お尋ねのような特段の調査は行っておりませんが、我が国としては、引き続き三か国の官民で緊密に連携して、次期戦闘機の共同開発を推進してまいります。

宮本(徹)委員 まあ、調査していないということなんですけれども。

 アメリカ・フレンズ奉仕団によりますと、BAEシステムズが製造した百五十五ミリりゅう弾砲、ガザ攻撃に数万発の規模で使用されています。白リン弾も含まれている。F15やF16、F35戦闘機に搭載されているミサイル発射装置や送信機もBAEシステムズが製造しているわけですね。レオナルドは、艦船用の七十六ミリ砲をイスラエルに輸出しております。イスラエルの艦船は、二〇〇七年以来、海上封鎖を強制するための手段として使用されてきて、昨年十月の無差別攻撃開始後も実戦使用されているということなんですね。

 ですから、このBAEシステムズも、そしてレオナルドも、イスラエルによる国際法違反の無差別攻撃に事実として加担してきたということになります。こういうところと共同開発に踏み切るということは、こうした行為を不問に付していくということになるんじゃないですか。

勝俣委員長 時計を止めてください。

    〔速記中止〕

勝俣委員長 速記を起こしてください。

 鬼木防衛副大臣。

鬼木副大臣 BAEシステムズ及びレオナルドにつきましては、共同開発国であるイギリス及びイタリアが責任を持って選定したプライム企業であります。我が国としては、引き続き三か国の官民で緊密に連携して、次期戦闘機の共同開発を推進してまいります。

宮本(徹)委員 本当に倫理観がない答弁と言わざるを得ません。

 時間がないので、次の問題に行きます。

 本会議で次期戦闘機の開発費について質問しましたが、全体の見積額も上限についても答える段階にないという一言だけが返ってきました。

 上限額がなければ、開発企業の言いなりで開発費が膨らむのではないか。実際、F2戦闘機は当初の見積りに対して一一七%増になったわけですね。同じことを繰り返さないための具体的な手だてはあるんでしょうか。

鬼木副大臣 過去の航空機開発の事例として、F2の開発総経費については、当初、十一年間で約一千六百五十億円程度と見込んでいたところ、その後の日米両国間における交渉により、アメリカも改造開発を本格的に分担することになったことや、飛行制御システムに係る技術援助をアメリカより受けることができず、我が国が自ら開発することになった等の事情変更があり、結果として総開発経費が約三千六百億円となりました。

 また、近年、防衛装備品の高度化、高額化が進み、開発のコストやリスクが増大する中、これまでの教訓を踏まえ、次期戦闘機事業においては、開発段階から開発後の量産、運用、維持段階までを見通した効率化のための施策に取り組むこととしております。また、例えば、イギリス、イタリアの知見も活用しつつ、デジタルトランスフォーメーションといった先進的な取組による製造時の効率性の向上策も積極的に取り入れていく考えです。

 コスト上昇やスケジュール遅延といったリスクを低減しつつ、しっかりと開発を進めていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 今の話だと、どこまで膨らむかがさっぱり分からないですね。既に三千八百億円も予算で計上しちゃっているわけですよね。

 そして、GIGOに派遣する職員について、防衛大臣は、防衛省の技官や事務官だけでなく、民間から採用した職員の派遣も含めて検討していると答弁されています。

 民間から採用した職員というのはどういう基準で選ぶんでしょうか。三菱重工を始めとする開発企業の出身者というのは除外されるんでしょうか。

鬼木副大臣 GIGOに派遣する職員を選定するに当たっては、民間から採用した職員の派遣も含め検討しているところ、これは、民間から防衛省職員として中途採用した者の中に、GIGOに派遣することが適当な者がいれば派遣を検討するという趣旨であります。したがって、派遣する職員の選定は適材適所の観点から行うものですが、特定企業の出身者を優遇又は除外するものではありません。

宮本(徹)委員 そうすると、三菱重工の人を中途採用して派遣するというのもあり得るという話になるわけですよね。

 そうすると、GIGOは開発企業と契約を交わし監督する立場にありますが、GIGOに開発企業の三菱重工の人が入り込むということになれば、利益相反になるんじゃないですか。

勝俣委員長 速記を止めて。

    〔速記中止〕

勝俣委員長 速記を起こしてください。

 鬼木防衛副大臣。

鬼木副大臣 民間企業から防衛省に中途採用された職員であっても、GIGOへ派遣される防衛省職員は、防衛省職員派遣処遇法上、防衛省職員の身分を維持することから、自衛隊員倫理法が適用され、特定の企業への利益誘導を行うことは禁じられます。したがって、特定企業の出身者をGIGOへの派遣職員から除外する必要はないと考えております。

宮本(徹)委員 禁じているからといって、三菱重工の人が中途採用されて入って、それで本当に大丈夫なんですか。建前を言っているだけで何の保証もないと思いますよ。企業にとって都合のいいように計画が書き換えられる、あるいは契約の予定価格を事前に企業側に漏えいする、そういう可能性も私は出てくると思うんですよね。私は、そのようなことを招かないためには、受注企業からの採用は行わないというのが本来あるべき姿だと思いますよ。

 外務省にお伺いしますけれども、今回の条約で、GIGOの職員が予定価格を漏えいしたり、あるいは収賄などの違法行為に及んだ場合、日本の警察は捜査できるんでしょうか。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、条約の大前提といたしまして、GIGO及びその職員には、接受国の法令尊重義務が課せられるとともに、裁判の正当な実施を容易にし、特権及び免除に関連する濫用の発生を防止するため、接受国当局と協力する義務が課せられてございます。我が国といたしましては、GIGO及びその職員が適切に任務に当たるよう、イギリス、イタリアとともに監督していく考えでございます。

 その上で、実施機関の職員につきましては、基本的に、公的資格で行った全ての行為について訴訟手続免除を条約上享有してございます。しかし、条約にも別途規定されていますとおり、実施機関の職員が享有する特権免除はGIGOの利益のために与えられるものであって、職員個人の一身上の便宜のために与えられるものではございません。万一、不適切な事案が発生するような場合には、日本政府としては、こうした条約の規定に基づき適切に対応していく考えでございます。

宮本(徹)委員 先ほど、対応はしたいという話ですけれども、公的資格で行った行為については訴訟手続免除を享有するということに条約上はなっているわけですよね。日米地位協定で特権を保障されているのと同じように、裁判上の様々な特権がある。

 私は、GIGOの中はブラックボックスになっていて、いろいろなことが行われても外から不正行為についてもうかがい知れない、こんなことになりかねないんじゃないか、さらに、開発費も企業の言いなりで膨張していくんじゃないか、こういう大変強い懸念を持っているということを申し上げておきたいと思います。

 残り五分です。次の問題に行きます。

 防衛省の中央調達で三菱重工の契約金額が増えていますね。二〇二二年度と二〇二三年度、それぞれ幾らでしょうか。

鬼木副大臣 確認いたしますが、今、問いは三菱重工についてですね。

 防衛省が実施する装備品の中央調達において、二〇二二年度における三菱重工業株式会社との契約金額の総額は約三千六百五十二億円となっております。また、二〇二三年度においては、三菱重工業株式会社との契約金額の総額は約一兆六千八百三億円となっております。

宮本(徹)委員 一年で三菱重工との契約額が四倍以上に膨らむということになっているわけでございます。

 そして、この三菱重工には多くの防衛省・自衛隊の職員の皆さんも天下りされているわけです。配付資料十三ページ目につけているわけですけれども、ちょっと人数の間違いがあったということで今日お話がございましたので、本会議の答弁の人数も間違っていそうなので、訂正していただけますか。

鬼木副大臣 過去十年間におけるこの企業への自衛隊法の規定による再就職の届出等に基づき防衛省が公表している再就職者は、現在、再度集計中の暫定的なものでございますが、三菱重工については約三十人となっております。

宮本(徹)委員 三十人だというのが今日来て、昨日いただいたのは二十五人で、本会議もそう答弁されていたんですけれども。ここに漏れている方もいらっしゃるわけですけれども、この三菱重工に天下りした幹部職員の官職名について、一番上位のポスト名、この五年間、年度ごとに述べていただけますか。

鬼木副大臣 隊員の再就職につきましては、自衛隊法第六十五条の十一の規定に基づき、防衛大臣に対して再就職情報の届出を行うこととなっております。

 この届出に基づき、令和五年までの五年間で三菱重工業株式会社に再就職をした隊員のうち、離職時の官職が最上位であった者を年ごとに述べさせていただきますと、令和五年は陸上自衛隊教育訓練研究本部研究部実動検証班長、令和四年は海上幕僚長、令和三年は陸上幕僚長、令和二年については、指定職として同じ号俸が適用される海上自衛隊横須賀地方総監、自衛艦隊司令官及び防衛装備庁防衛技監、令和元年の年につきましては統合幕僚長となっております。

 以上です。

宮本(徹)委員 令和元年度でいえば、あと、航空自衛隊の航空総隊の司令官も、最上位じゃないですけれども天下りしているわけですよね。去年はなぜか大幹部ではないわけですけれども、それまでずっと大幹部ですよね。自衛隊のトップクラスの方々が毎年のように三菱重工に天下りされているんですけれども、何でこんなに連続して幹部の皆さんが三菱重工に天下りしているんですか。何かお約束があるんですか。

鬼木副大臣 お約束があるかと言われても、私は全く存じ上げておりません。

 以上です。

宮本(徹)委員 普通、これだけ幹部の人が毎年毎年何で天下るんだろうと、私、これは本当に名簿をいただいたときに驚きましたよ。

 こういう中で契約額がどんと増え続けているということが起きているわけですよね。自民党への献金も三菱重工からたくさんあるという話ですけれども、政治家と官とそして企業の癒着が疑われても仕方がない状況が、私は、今の防衛費が膨らんでいる裏にはあるんじゃないかと言わざるを得ないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 私に与えられた時間がもう来てしまいました。私、たくさん通告していたんですけれども、まだまだ時間が足りないんですよ、大臣。大臣も答弁し足りないでしょう。

 今回、国是を投げ捨てる、国是を変えるわけですよね。私、一期目で、一番初めに当選したときに、安保法制の国会がありました。集団的自衛権の行使容認だと。あのときは、私たちは猛烈に反対しましたけれども、国会で、そうはいっても何か月も議論しましたよ、百何十時間議論しましたよ。ところが、武器は輸出しないという国が戦闘機を輸出しようという国になろうというのに、四時間半の審議で終わっていいんですか。最後に、大臣、どう思いますか。

勝俣委員長 上川外務大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔に。

上川国務大臣 委員会の方の御指導でこうした形で行われたということでございますので、政府としては誠実に答弁をさせていただくことに徹しさせていただきました。

宮本(徹)委員 時間になりましたので、終わります。

勝俣委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

勝俣委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党の鈴木庸介です。

 会派を代表して、GIGO設立条約について賛成討論を行います。

 日本を取り巻く厳しい安全保障環境の下、時代の変化に対応した質の高い防衛装備、とりわけ次期戦闘機に関しては、最新の防衛技術を獲得し、コストを抑えるため、国際共同開発、生産が主流になってきており、GCAPを円滑に実施するため、政府間機関、GIGOを設立し、日英伊政府と各国にまたがる民間企業との間の協業を一元的に管理運営する体制を構築することは必要なことです。

 我が国の安全保障に資する必要な防衛装備の移転については、二〇一一年、民主党政権下において、国際共同開発、生産に関する案件は包括的に例外措置が取られ、対象を米国のみからNATO友好国へ拡大されました。ただし、殺傷能力のある完成品の日本からの第三国への輸出については引き続き慎重に対処すべきとしてきました。

 しかし、本条約は、戦闘機の第三国への直接輸出を前提としており、その大きな政策転換の必要性、合理性について納得できる説明は十分になされたとは言えません。

 他方で、日本からの第三国移転いかんにかかわらず、国際共同開発、生産のためにはこの種の機関の設立は必要です。

 立憲民主党は、現状においては、戦闘機の第三国への直接移転については慎重な立場であることは変わりません。

 今般変更された防衛装備移転三原則や指針が必要な歯止めとなり得るかどうかについて疑問も残り、本条約への賛成をもって次期戦闘機の第三国への直接移転を積極的に容認するものではないことを明確に表明いたします。

 共同開発はこれからスタートし、二〇三五年度までの開発完了を目指していますが、いまだ、戦闘機の性能、我が国の役割分担、開発の成否や輸出可能性が現実になるかも不明です。

 よって、我々は、GIGOの設立条約は認めた上で、国際条約に従い、地域の安定を損なうことなく厳格に輸出管理が行われることや、我が国の平和主義を堅持するのに新三原則が十分かどうかも含め、今後もGCAPプログラムの進捗を注視、検証し、AIやLAWSの研究などが急速に発展する中で、憲法に基づく平和主義を踏まえつつ、プログラム自体を監視し、関与していくことで、我が国の安全保障の確保と平和主義を守ることの両立に資すると考え、賛成することといたします。

勝俣委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 私は、日本共産党を代表し、次期戦闘機共同開発条約に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、憲法の平和国家としての立場を投げ捨て、日本を武器輸出でもうける死の商人国家へと堕落させるものだからです。

 戦後の日本は、一九六七年の武器輸出三原則、七六年の政府統一見解により、全面的な武器輸出の禁止を原則としてきました。この原則は、国会論戦の中で歴代政府が表明した方針であり、八一年の衆参両院における全会一致の国会決議によって、日本国憲法の理念である平和国家としての立場を踏まえた国是として確立したものです。

 にもかかわらず、殺傷兵器の最たるものである次期戦闘機の第三国への輸出を与党の密室協議と閣議決定で解禁し、本条約に基づき日英伊三か国で推進する体制をつくることは、憲法の平和主義と立憲主義を根底から破壊するものであり、断じて容認できません。

 第二は、地域の軍事的緊張を高め、国際紛争を助長するものだからです。

 国家安全保障戦略は、防衛装備の海外移転を推進する理由として、インド太平洋地域における望ましい安全保障環境の創出を挙げていますが、アメリカの対中戦略に沿って、NATO諸国との軍事的連携を強化し、アジアへの武器輸出を推進することは、地域の緊張と衝突の危険を高めるものにほかなりません。

 イギリスがサウジアラビアに輸出したユーロファイターはイエメンでの無差別攻撃に、アメリカがイスラエルに輸出したF35などの戦闘機はガザでの住民虐殺に使われています。国際紛争を助長する殺傷兵器の輸出方針は撤回すべきです。

 第三は、巨額の財政負担を国民に強いることになるからです。

 政府は質疑で、数兆円とも指摘される次期戦闘機の開発費の見通しを一切示しませんでした。次期戦闘機は無人機と連携した運用を想定し、そのためのAI技術の日米共同研究に着手していますが、この費用も全くの未定です。

 物価高と低賃金、医療、介護の負担増に苦しむ国民に、大軍拡による増税と巨額の借金を押しつけることは断じて容認できません。

 最後に、政府に対し、戦争の心配のない東アジアをつくるための平和憲法を生かした外交に全力を挙げることを求め、討論を終わります。

勝俣委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

勝俣委員長 これより採決に入ります。

 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

勝俣委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

勝俣委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十五分散会


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