第14号 令和6年6月12日(水曜日)
令和六年六月十二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 勝俣 孝明君
理事 城内 実君 理事 鈴木 貴子君
理事 中川 郁子君 理事 藤井比早之君
理事 源馬謙太郎君 理事 鈴木 庸介君
理事 青柳 仁士君 理事 竹内 譲君
上杉謙太郎君 小田原 潔君
大岡 敏孝君 黄川田仁志君
高村 正大君 島尻安伊子君
西銘恒三郎君 平沢 勝栄君
穂坂 泰君 宮路 拓馬君
柳本 顕君 山本 左近君
小熊 慎司君 神津たけし君
寺田 学君 松原 仁君
鈴木 敦君 徳永 久志君
和田有一朗君 山崎 正恭君
穀田 恵二君 吉良 州司君
塩谷 立君
…………………………………
外務大臣 上川 陽子君
防衛副大臣 鬼木 誠君
外務大臣政務官 高村 正大君
外務大臣政務官 穂坂 泰君
文部科学大臣政務官 安江 伸夫君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 須藤 明夫君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局次長) 筒井 智紀君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 千代延晃平君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 新発田龍史君
政府参考人
(外務省大臣官房政策立案参事官) 金子万里子君
政府参考人
(外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官) 松尾 裕敬君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君
政府参考人
(外務省アジア大洋州局長) 鯰 博行君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 安藤 俊英君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森 孝之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 奥野 真君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 松浦 重和君
政府参考人
(観光庁国際観光部長) 星野 光明君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 堀上 勝君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 米山 栄一君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 三浦 潤君
外務委員会専門員 大野雄一郎君
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委員の異動
六月十二日
辞任 補欠選任
武井 俊輔君 大岡 敏孝君
深澤 陽一君 山本 左近君
佐藤 公治君 神津たけし君
金城 泰邦君 山崎 正恭君
同日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 武井 俊輔君
山本 左近君 柳本 顕君
神津たけし君 寺田 学君
山崎 正恭君 金城 泰邦君
同日
辞任 補欠選任
柳本 顕君 深澤 陽一君
寺田 学君 佐藤 公治君
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六月十日
女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(中川正春君紹介)(第一八八三号)
同(大石あきこ君紹介)(第一九七八号)
同月十二日
イスラエルのジェノサイドを止めることに関する請願(大石あきこ君紹介)(第二三八六号)
女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第二五〇五号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第二五〇六号)
代執行による辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五〇七号)
同(笠井亮君紹介)(第二五〇八号)
同(穀田恵二君紹介)(第二五〇九号)
同(志位和夫君紹介)(第二五一〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二五一一号)
同(田村貴昭君紹介)(第二五一二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二五一三号)
同(宮本岳志君紹介)(第二五一四号)
同(宮本徹君紹介)(第二五一五号)
同(本村伸子君紹介)(第二五一六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国際情勢に関する件
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○勝俣委員長 これより会議を開きます。
国際情勢に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房政策立案参事官金子万里子君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○勝俣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○勝俣委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。青柳仁士君。
○青柳(仁)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の青柳仁士です。
まず、警察庁にお伺いします。
靖国神社の石柱への中国籍と見られる男性の落書きについて、SNS上でいろいろ動画が上がっておりまして、たくさんの国民が怒っております。
まず、事実関係をお伺いしたいんですが、放尿という行為はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。
○千代延政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの事件につきましては、本年六月一日午前五時五十分頃、通行人からの通報を受けた現場周辺の警察官が、靖国神社の石柱に赤色の塗料で文字が吹きつけられた状況を認知したものでありまして、現在、警視庁において鋭意捜査を進めております。
お尋ねの件につきまして、犯行の状況と見られる動画が作成され、拡散されており、その中では御指摘のような映像もあると承知しております。
現在、警視庁において事案解明に向けて鋭意捜査中でありますので、その事実関係についてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○青柳(仁)委員 放尿という行為に関するビデオが残っていたということですから、これは確たる証拠だと思います。
もう一つお伺いしたいんですけれども、仮にそのような行為があった場合、また石柱への落書きというのがあった場合、これはどういった罪に問えるんですか。
○千代延政府参考人 お答えいたします。
具体的な適用罪名につきましては、警視庁において今後の捜査により事実関係を明らかにした上で検討することになるものと承知をしておりますが、例えば刑法の器物損壊罪といった容疑が考えられるところでございます。
この器物損壊罪の罰則ということで申し上げれば、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料とされているところでございます。
○青柳(仁)委員 三年以下の懲役では軽過ぎると思うんですね。逆の立場で、やりますか、日本人はこんなこと。絶対やらないですよ。
靖国神社なんてどういう位置づけなのか誰だって分かっているわけで、上川大臣も御自身のホームページに書いていますよ。さきの戦争で命を失った方々の思いを、それが自分の政治家の原点だというふうに書かれています。そういう存在であるところに、こんな行為が許されていいわけないんですね。
これは、刑法上重い罪にもちろん問われるというのは当然のことながら、外交的にこれを放置していいのかというふうに思います。
これに対して、上川大臣は記者会見で、関係法令に反すると思われる行為であり、それを是認、助長するような動画が作成され、拡散されることは、受け入れられるものではないと。これだけですか。
○上川国務大臣 御指摘の事案でございますが、我が国の関係法令に反すると思われる行為でございまして、そうした行為を是認、助長するような動画が作成をされ、拡散されるようなことは、受け入れられるものではないと考えております。
そうした観点から、この事案につきましては、外交ルートを通じまして、中国政府に対し、我が国の国民感情の観点からも受け入れられるものではないとの懸念を表明するとともに、中国政府から中国国民に対して、現地法令の遵守、冷静な行動を取るよう、注意喚起することを要請をいたしました。
今後の対応につきましては、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきますが、関係省庁としっかりと連携して、適切に対応してまいりたいと考えております。
○青柳(仁)委員 外交ルートを通じて申し入れたということなんですが、これは誰に申し入れたんですか。
○上川国務大臣 本事案につきましては、アジア大洋州局長から在京中国大使館公使に対して行ったところでございます。
○青柳(仁)委員 事務方から公使に、やめてくれと言うだけの話なんですかね。これは国辱ですよ、言っておきますけれども。ちょっと外務省の対応、上川大臣の対応、甘過ぎますよ。こんなの、日本の国民が求めている対応じゃないですよ、余りにも弱腰過ぎるんじゃないですか。ここまでやられて、それしかやらないんですか。大臣は何も言わない。大臣は、こういう動画が作成されることは受け入れられないとか、それで、事務方が日本にいる公使にちょこっとやめてくれと言って終わりなんですか。
こんな外交を続けていたら、中国になめられっ放しですよ。中国だけじゃないですよ。日本はここまで屈辱的なことをやられても、こんなことしかしないんだなとほかの諸外国はみんな思いますよ。ここで野党の我々が言わなかったら、誰も言わないじゃないですか、この話。情けないと思わないんですか。これは、政府の中でちゃんと言う話じゃないんですか。自民党の中だって同じことを思っている人はいっぱいいると思いますよ。ちゃんとやってくださいよ。
二つ目の質問に移りますけれども、竹島南方の日本のEEZ、排他的経済水域内における韓国調査船の海洋調査についてですけれども、この調査について韓国側からの事前の申請はなかったということです。
これについて、外務省のアジア大洋州局長が、東京にある韓国大使館の次席公使を外務省に呼んで、調査は受け入れられず、即時に中止すべきだと抗議したとあります。
一方、その抗議の後、韓国の外務省から、日本側の不当な主張は一蹴した、こういうコメントを発表されました。独島ですね、竹島の領有権を主張した上で、歴史的、地理的、国際法的に明白な韓国固有の領土である、国際法や国内の法令に従って行われた正当な活動に対する日本側の問題提起は受け入れられないと。その上で、日本側の不当な主張は外交チャンネルを通じて一蹴したということですけれども。
この韓国の対応について、受け止めと、この後、外務省としてどういう対応を取るんでしょうか。
○上川国務大臣 この韓国側の意図についてお答えをする立場にはございませんが、竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本固有の領土でありまして、韓国側によります一連の行動につきましては到底受け入れることができないものであります。
日本として、竹島問題についての日本の一貫した立場に基づきまして、引き続き韓国側に適切な対応を強く求めてまいります。
○青柳(仁)委員 この一蹴したと、日本側の問題提起は受け入れられない、日本側の不当な主張は一蹴したということについて、大臣はどう考えますか。
○上川国務大臣 今のような御質問でございますけれども、それに対してどう考えるかという御質問については、意図もございますので、お答えする立場にはございません。
しかし、竹島は、今申し上げたとおり、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本固有の領土でございまして、韓国側による一連の行動は到底受け入れることができないものであります。
こうした一貫した立場に基づきまして、引き続き韓国側に対しましては適切な対応につきまして強く求めてまいります。
○青柳(仁)委員 何か一見もっともらしいことを言っているんですけれども、そういう何か誰が聞いても美しい言葉みたいなのを言っていても、相手は引き下がらないと思いますよ。
これは、一蹴したとか強い言葉で言われているときに、適切でないとか、適切な対応を求めていくとか、そういうことをやっていたら、また同じことをやりますよ。同じことをやられるたびに、こういうところで話をして、またどんどんどんどん韓国側の、今回、だって事前の申請もなく勝手に調査をやっていたわけですよね。もっと厳しいことをどんどんやってくると思いますよ、外務省がきちんとこういうところで強いメッセージを出さなかったら、外務大臣が。
そういう大人の対応みたいなのがいいときと悪いときがあるというのは、ちゃんと考えた方がいいと思いますよ。いつもいつもそういう何か公平中立みたいな言い方が外交上いいかというと、そんなことはないと思いますよ。こういう場でせっかく質問して大臣の見解を聞く機会をつくっているんですから、もっと強い言葉でおかしいとかぐらい言ってもいいんじゃないですか。
ほかにもちょっと今日最後なので聞きたい質問がいっぱいあるので、最後というのは委員会じゃなくて私が、もう一回、二回あっても恐らく最後なので言いますけれども。
国連恥ずべきリストと国連に対しての言動についてということで、イスラエルのネタニヤフ首相の最近の言動が極めて過激になってきているというのはもう全世界が認めているところだと思います。
おととい、アメリカのブリンケン国務長官がイスラエルを訪問しまして、ネタニヤフ首相と会談を行いました。このときにブリンケン氏は、即時停戦と人質全員の解放に向けた提案をアメリカや世界の指導者が支持しているということを伝えたそうです。もし停戦を望むのであればハマスが同意するように圧力をかけるべきだと。しかしながら、ネタニヤフ首相は、アメリカの報道内容は不正確であるし、そもそもハマスを壊滅させるために恒久的停戦には同意しない姿勢というのを引き続き堅持したと、様々なメディアが報道しております。
これについて、国連でも、国連事務総長は恥を知れとか何かとんでもない発言を既にもうしているわけで、衆議院の方でもいろいろな決議等々の動きがあるというのは承知しておりますが、これは、外務省として、あるいは日本の外務大臣として、ブリンケン国務長官とか海外に任せていないで、やはり、ネタニヤフ首相に一定程度自制を求めるようなメッセージというのを送るべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○上川国務大臣 昨年の十月のハマス等によりますイスラエルに対しましての攻撃以降、日本は一貫して、人質の即時解放、また人道状況の改善、事態の早期鎮静化、紛争の波及の防止、これを求めてまいりました。私自身、日本が築いてきたイスラエル、またパレスチナを含みますアラブ諸国との良好な関係を踏まえ、安保理やまたG7の一員として関係国とも緊密に連携をしつつ、環境整備に取り組んでまいりました。
特にイスラエルに対しましては、四月以来、カッツ外相との三度の電話会談を含めまして、累次の機会に働きかけを行っております。国際人道法を含む国際法の遵守、持続可能な停戦の実現、また人道状況の改善等につきまして、こうした電話会談等を通じて求めてまいりました。
六月三日でありますが、五月三十一日に発表されました人質解放やまた停戦をめぐる新たな提案、これを歓迎をするG7の首脳声明が発出されたところであります。
また、昨日、安保理におきまして、同提案を歓迎し、ハマスにその受入れを求めるとともに、両当事者に対しまして無条件かつ遅滞なくその完全履行を求める等の内容の米国提案の決議第二七三五号を、我が国を含みます賛成多数で採択されたところであります。
これに対して談話を発出をいたしました。我が国としてこれを歓迎するとともに、改めて全ての当事者がこの機会を捉え、全ての人質の解放と持続可能な停戦の実現に向けて着実に取り組むよう強く求めております。
今後も、米国を始め関係国と緊密に連携をしながら、粘り強く外交努力を積極的に行ってまいりたいと考えております。
○青柳(仁)委員 これから、恐らくまだ戦争が激化しますよね、ハマスの壊滅まで停戦しないと言っているわけですから。それで、ブリンケン長官の言うことも聞かないわけですから。国際社会が制止に入らなかったらもっとたくさんの人が死ぬと思うんですけれども。それについて、日本ができることもいろいろあると思うんですけれども、大臣はこれから、ますますネタニヤフ首相はまだこれからも態度を硬化させていくと思うんですけれども、そういった状況に対して、どんなことをなさろうと思っていますか。
○上川国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この局面におきまして、米国を始め関係国と緊密に連携をしながら、人道状況の改善、事態の早期鎮静化に向けまして、まさに外交努力を粘り強く積極的に行い続けるということであります。
様々なバイの会談、またマルチの会談がございます。また、国際的な場裏の中におきましても国連中心の動きもありますし、また、G7を始めとして様々なチャネルの中で、こうした姿勢を共に共有をしながら、ワンボイスでしっかりと伝えていく、このことが大きな鍵になると私は思っております。
○青柳(仁)委員 マルチ、バイ、いろいろな場があるというふうに今おっしゃいましたので、是非、アメリカ任せにするとか、今の成り行きを見守るとかではなくて、現場では人がたくさん死んでいますから、今日も死んでいますから。一刻も早くこの事態を収拾するに当たって、日本ができることはたくさんあると思うんですね。是非、外務大臣として、外務省として、しっかりと意思を持って取り組んでいただきたいなと思います。
それから、次の質問に移りますが、前回、通告がなかったということで正確にお答えいただけなかったので、今日はしっかりと通告をさせていただいたので、ちゃんとした答弁をいただきたいと思っております。
外務省の報償費、内閣官房の報償費の件です。
報償費というのは、使途を明かさなくていい予算ということで、俗に言う機密費というもので、内閣官房と外務省に認められております。予算額は内閣官房が十二億三千万円、外務省が国内で十三億円、海外で二十一億円というものであります。
まず最初に、今日、内閣官房をお呼びしていますので、内閣官房に教えていただきたいんですが。前回の質疑のときに私がお伺いしたのは、内閣官房の機密費、つまり報償費が党の活動や選挙に使われることはない、これは自民党の今の政治改革特別委員会の担当の方がおっしゃっていたわけですね、これは事実かという話をしたんですが、二〇一〇年頃にこの官房機密費について様々な議論が行われました。
その際に、これは新聞記事をそのまま申し上げますと、読売新聞の二〇一〇年五月二日の東京の朝刊の二面ですけれども、小渕内閣で官房長官を務めた野中広務元自民党幹事長は、一日、読売新聞の取材に応じ、官房機密費(内閣官房報償費)について、私が官房長官当時、毎月五千万円、最高で七千万円程度使っていたと証言した。使途に関しては、首相に月一千万円、国会で野党対策に当たる自民党の国会対策委員長と参院幹事長にそれぞれ月五百万円を配ったと述べた。官房機密費の具体的使途を官房長官経験者が公表するのは異例だ。野中氏は、前任の官房長官の秘書官から渡された引継ぎノートに基づき、評論家や与野党の国会議員に機密費を配ったと説明。評論家の元議員が、当時の小渕首相に家を建てたから三千万円欲しいと求めてきたり、野党の元議員から北朝鮮に行くからと機密費を要求されたりしたこともあったと振り返ったとあります。
それからもう一つ、二〇一〇年二月二十日、日経新聞の朝刊ですけれども、政府は十九日の閣議で、麻生政権下で二〇〇九年八月の衆院選の直後に、二億五千万円の内閣官房機密費(報償費)が引き出されたことについて、それまでの支出の態様とは異なるものと言わざるを得ないとする答弁書を決定した。新党大地の鈴木宗男代表の質問主意書に答えたとあります。
これは、党のために使っていないというのであれば、その前にあった野中元官房長官の証言にある、自民党の国会対策委員長と参院幹事長にそれぞれ月五百万円を配ったというのは、これは党のために使っているとまず思います。あるいは、選挙のためにも使われている可能性がある。
それから、もう一つの日経新聞の方では、麻生政権下での二〇〇九年の衆院選の直後に二億五千万円使っているというのは、これは恐らく選挙に対する支出であろう、こう思われるわけなんですけれども。
改めて伺いたいんですが、まず、これは内閣官房の機密費のことですから内閣官房にお伺いしたいんですけれども、内閣官房の報償費、機密費が自民党あるいは政党の活動あるいは選挙に使われたことはないということでよろしいですか。
○須藤政府参考人 お答えいたします。
内閣官房報償費についての御質問でございますが、これまで総理や官房長官が御答弁しているとおり、内閣官房報償費は、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきており、個別具体的な使途に関するお尋ねについては、お答えを一切差し控えているところでございます。
○青柳(仁)委員 答えられないということなんですけれども、ただ、自民党の議員は答えたんですね、一切使われていないと。政党や選挙の活動には一切使われていないと言ったわけなんです。ですから、省庁の、政府の職員としての答えとしてはそれで結構かと思います。これ以上、内閣官房には聞きません。ただ、やはり、自民党、政治家としての答えとしては極めて不十分だと思います。
なので、改めて上川大臣にお伺いしたいと思うんですが、この報償費は内閣官房だけではなく外務省にも認められています。先ほど申し上げたとおりです。内閣官房が十二億三千万円に対して、外務省はトータルすると三十四億円です。外務省の方が多いです。その外務省の機密費も、今、内閣官房から答弁があったとおり、使途は明かさなくていいということになっております。
これについて、これもまた二〇一〇年二月八日の日経新聞の夕刊ですけれども、平野官房長官が記者会見で、外交工作などに使う外交機密費の首相官邸への上納があったというふうに認めたということについて、過去、自民党がないと言ってきたことについて事実が明らかにされたというふうに述べました。
つまり、この二つのお金というのは、少なくとも平野元官房長官の証言によると、入り繰りされているということなんですよ。あるいは入り繰りされていた可能性がある。そうすると、内閣官房のお金だからとか、外務省のお金だからということじゃなくて、報償費自体が何に使われているか分からないし、それは選挙にも党にも使われている可能性があるわけですよ。
ですから、改めて、今回、通告したので、ちゃんと答えてください。大臣にお伺いしますが、外務省の報償費が政党の活動であるとか選挙に使われたことはないということでよろしいですね。
○上川国務大臣 お尋ねの外務省の報償費でございますが、これは、公にしないことを前提とする外交活動において、情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を展開するための活動に支出されるものでございます。こうした趣旨に沿って適切に支出をしているところでございます。
今、委員から、外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用途に使われていたことということでの御質問がございました。これに関しましては、いわゆる外務省の機密費流用事件の際に、外務省の調査で判明をしたところであります。それ以上の詳細につきましては、報償費という経費の性質上、お答えすることはできませんが、少なくとも同事件以降は、外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていることはございません。
○青柳(仁)委員 外務省の報償費が内閣官房の報償費とこの事件以来混じったことはないという答弁をいただきました。それは新しい情報として歓迎したいと思うんですけれども。
ただ、聞いているのはそうではなくて、自民党の国会対策委員長だとか参議院幹事長、そういうところにお金を出したみたいな話があるわけですが、こういうことには使われていませんよねという話なんですが。今これだけ政治と金の問題で、自民党の裏金問題で騒がれていて、不透明な金の流れを一掃しようと言っているときに、政策活動費の話なんかありますけれども、あれは言っても党のお金です。こっちは政府のお金ですから、もっと罪が重いです。
それに関しては、少なくとも、いや、そんなことに使われるはずがないと国民はみんな思っていると思いますし、我々も思っているんですけれども、そこぐらいは証明してもらえませんか。だって、自民党の議員が言っているんですから、テレビの中で。今回、通告したわけですから、ちゃんと答えてもらえませんか。選挙だとか政党のために外務省報償費が使われたことはないし、これからもないと明言してもらえませんか。
○上川国務大臣 内閣官房の報償費についての御質問ということでございますが、内閣官房の方にお尋ねをいただきたいというふうに思います。
○青柳(仁)委員 私はちゃんと通告しました。外務省の報償費についてお伺いするということを明確に通告させていただきましたので、そのことについてお答えいただきたいと思います。
○上川国務大臣 その件につきましては、先ほど申し上げたとおり、外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたことがあったということは、いわゆる外務省の機密費の流用事件の際に、外務省の調査で判明をしたところでございます。それ以上の詳細につきましては、報償費という経費の性質上、お答えすることはできませんが、少なくとも同事件以降につきましては、外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われているということはございません。
○青柳(仁)委員 もうやめますけれども、時間も来ましたからね。でも、言い切れないんですよ、だから、要するに。言い切れないんですよね、使っていないと。
ちょっと最後にもう一個だけ聞きたい。言い切れるのか、言い切れないのかだけ教えてもらえませんか。言い切ってもらいたいんですよ、国民も我々も。外務省の報償費は日本の外交のために認められていて、一定程度外交の中で秘密のやり取りがあって、そこに費用が必要だと、これはみんな認めていますよ、別にそれが駄目だとは言っていないですよ。それが政党の活動や選挙なんかに使われることはあってはならないと思っていて、そんなことはないと思っているんです、はっきり言えば。
だから、言い切ってもらえませんか。言い切れますか、言い切れませんか。それだけちょっと答えてもらえませんか。
○上川国務大臣 まず、外務省の報償費についてでありますが、繰り返し申し上げるところでありますが、公にしないということを前提とする外交活動におきまして、情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を展開するための活動に支出されるものでございます。こうした趣旨に沿って適切に支出をしているところでございます。
そのような趣旨でございますので、報償費につきましては、今現在でありますが、事前の厳格な審査及び事後のチェック、さらには会計検査院によります関係書類の検査を通じまして、厳正かつ適正な使用を図っているところであります。
そして、外務省の報償費の個別具体的な使途につきまして、先ほど来の御質問でございますが、このことにつきましては、使途に関するお尋ねにつきましては一切差し控えているところであります。これは従来から公にしないということでございます。
適切な支出をしているということについては、厳正かつ適正な使用についてのチェックをしっかりとしている上で、支出をしているところでございます。
○青柳(仁)委員 要するに今の答弁は、言い切れないということですね。だから、言い切れるのか言い切れないのかと聞いて、厳正に対処しますというのは、言い切れないということですよね。
裏金事件を起こして、これだけ国民の信頼回復をすると言っていて、あり得ないですよ。政党のお金ですらないんだから。それを、使っていませんとも言い切れない、外務大臣が。使っているんじゃないですか、だから、要するに。そう思われても仕方ないですよね、この場で聞いて答えないんですから。
それなのに、なぜテレビ番組で自民党議員は、それは使っていないなんて言うんですか。国民が勘違いするじゃないですか。言い切れないということをはっきり言ってくださいよ、それだったら。
こういうごまかしの議論をずっとやっていても、国民の信頼回復なんて私はできないと思います。
時間が来ましたので、終了します。
○勝俣委員長 次に、和田有一朗君。
○和田(有)委員 まず、ちょっと順番を入れ替えまして、二問予定しておりますが、先に後段の方から入りたいと思います。
今、青柳理事からもあったことも含めてになるんですが、せんだって、台湾の新総統就任式に私も出席をいたしました。そのことに対して、台湾に議員が行ったということを絡めながら、中国の大使が、日本の民衆は火の中に連れ込まれるというような、大変不穏当な発言をしました。
さらに、私は、これは現物ですけれども、行った者に関しては、大阪の総領事から抗議文が来ました。これは現物です。
さらに、私はせんだって尖閣諸島にも参りましたけれども、その尖閣諸島にも、ずっと毎日のように中国海警が入ってきている。こういったことがあった。
さらに、今、先ほど青柳理事が申されたように、靖国神社に対して落書きがなされ、それは、こういう場で使う言葉、いいかどうか分かりませんが、おしっこをかけられた。
このことについて、一連のこういったことごとについて、外務省としては、誰から誰に対してどのような手段を使って抗議をしたり、そういったことをしているのか、確認をしたいと思います。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
まず、御指摘がありました呉江浩駐日中国大使の発言でございますけれども、駐日大使の発言として極めて不適切であると考えており、発言後、直ちに外交ルートを通じて中国政府に対し厳重な抗議を行っております。また、その後、岡野事務次官から、呉江浩大使本人を含め、様々な機会を通じて様々なレベルで我が国の立場を厳格に申し入れてきております。
また、御指摘がございました、薛剣在大阪中国総領事が台湾の総統就任式に出席した国会議員の一部の方々に対して文書を送付したものと承知しております。文書の内容は、基本的にこれまで中国政府が表明してきている内容ではございますけれども、その内容は日本政府として受け入れられるものではございません。これに対して、六月四日、アジア大洋州局長から在京中国大使館の公使に対して日本の立場を明確に申し入れております。
また、中国側による尖閣諸島周辺への領海侵入について御指摘がございました。四月二十七日、中国海警局に所属する船舶二隻が、順次、尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入し、沖縄県石垣市委託の調査船に近づこうとする動きを見せております。中国海警局に所属する船舶のこのような活動は国際法違反でございまして、同日、アジア大洋州局長から在京中国大公使に対して厳重に抗議をし、調査船への接近をやめ、速やかに領海から退去するよう強く求めております。
そして、御指摘がありました靖国神社への石柱への落書き等の事案、この件については、我が国の関係法令に反すると思われる行為でございまして、そうした行為を是認、助長するような動画が作成され、拡散されるようなことは、受け入れられるものではございません。そうした観点から、本事案につきましては、アジア大洋州局長から在京中国大使館公使に対して、事案は受け入れられるものではないという懸念を表明するとともに、中国政府から中国国民に対して、現地法令の遵守、冷静な行動を取るよう、注意喚起するように要請したところでございます。
○和田(有)委員 多くは局長から公使に対して申し入れたと。これはどういう手段でされましたか。呼びつけたんですか、あるいは、大臣室に来て、やったんですか。その状況というのを教えてください。
○門脇政府参考人 今申し上げました抗議、申入れにつきましては、電話にて行っております。
○和田(有)委員 全部電話ですか。これは電話一本で済む話じゃないですよ。今初めて公の場で、前は、機微なることでお答えできへんみたいな言い方をしていた。新聞報道では電話とあった、これはどうなんだと聞いても、お答えはなかった。
大臣、ここからは大臣に申し上げたいんですけれども、時間がないので余りこれにも取れないんですけれども、これは取らなきゃいかぬことですからね、本当の話。
これは、私がいただいた抗議文でも、何て書いているかというと、台湾問題においては日本側が約束を違反していると書いているんですよ。こんな約束をしたつもりはないですよ、日本は。日中共同声明において理解し尊重はするけれども、あなたたちの言うことを全部やりますと約束したわけではない。これがまず間違いだ、向こうの認識は。
さらに、台湾独立勢力とのいかなるつき合いや交流は約束違反だと。こんなことを約束した覚えはない。別に独立勢力とやっているわけでも何でもない、台湾の人々との友好親善を深めているだけであって、これも間違いだ。台湾といかなる接触も往来もするなと書いてある。そんなことを我々が受け入れられるものでもない。
そして、更に言えることは、靖国の話です。
靖国神社の立ち位置に関しては、いろいろな議論があることは私も承知しています。しかしながら、多くの日本国民が、さきの大東亜戦争で命をささげてくださった、我々の命をつないでくださった多くの英霊に対して敬意を持ち、宗教的概念を持って、ある立場に対して、おしっこをかける。どういうことですか、これ。もしも、アメリカのアーリントン墓地でこんなことをやったらどうなると思いますか、サウジアラビアのモスクでこんなことをやったらどうなると思いますか。
もっと小さな話をしましょう。上川大臣の、大臣がどういう宗教的なあれをお持ちか分からないけれども、一般論で言うと、上川家のお墓に行っておしっこをかけられたら、大臣どうなさいますか。ははは、器物損壊ですねで終わりますか。終わらないでしょう。
サウジアラビアのモスクで別の国がおしっこをかけたら戦争ですよ。そういうことを御認識なさっておられるんですか、皆さん。
電話一本で抗議しましたと。じゃ、抗議をして効果はありましたか。済みませんと、謝罪がありましたか。以後しませんと、尖閣に船は入らなくなりましたか。いかぬぞ、いかぬぞと遺憾砲ばかり撃ったって、今度、とうとう大砲を積んだ船が来るようになっちゃったじゃないですか。全然やっていることが、ピントがずれているんですよ。
やはり、きちっとここら辺で、物事全てにおいて対処の仕方を考え直すべきじゃないですか。たしか内規で、外務省の中で、こういう場合にはこのクラスの人、それはあるかも分からない。しかし、以前、岸田さんが外務大臣のときに、大臣として呼びつけて言ったこともあるんですよ、この中の話には。
これについて、外務大臣、いかがお考えになりますか。御所見をお聞かせください。
○上川国務大臣 ただいま委員から御指摘がございました尖閣諸島、靖国神社、呉江浩大使の発言、薛剣総領事の文書につきまして、中国側はそれぞれ独自の立場を繰り返し主張してきているところでございますが、先ほど政府参考人から答弁をしたとおり、様々な機会を通じまして、様々なレベルで、日本政府の厳格な立場につきましては中国側に明確に伝えているところでございます。
今、電話とかという抗議の方式につきまして議論がございましたけれども、この抗議の形式につきましては、召致して行う場合もあれば電話などにより行う場合もございまして、その時々の状況に即して判断をし、対応しているところでございます。
○和田(有)委員 大臣、少なくともこの件に関しては、呼び出して、外務大臣が外務大臣室でまずやるべきですよ。まずそれからです。いや、これだって甘っちょろい話で、だからどうなるかじゃないです。でも、その姿勢を、しっかりとフルオープンのマスコミの前でやるべきですよ。いかがですか。
もう一回その点をお聞きしたい。大臣、呼び出して、直接大使に対して強く抗議すべきだ。いかがですか。
○上川国務大臣 どのような方向で進めていくかも含めまして、しっかりと状況に応じて対応してまいりたいというふうに思っております。
○和田(有)委員 これ以上言ったって同じことを繰り返すんでしょうけれども、もう一回私は大臣に申し上げておきます。これはやはり、電話で、一課長だ、やれ何とかが公使にする話ではない。国家として威信を示すべきだ。
これは、我々は顔に泥を塗られたんですよ。靖国の石柱におしっこをかけられた、立ち小便をされたということは、言葉は悪いけれども、上川さんの顔におしっこをかけたようなものですよ。それをされて、器物損壊ですね、何とかですねと笑ったら、幾らでもなめられますよ。そんなことをしているのが、続けてきたから、我々の日本はこんなことになっちゃったんです。尖閣には毎日のように船が入ってくる。私が行ったって、目の前でとぐろを巻いて、尖閣の周りを中国の船がうろついている状況になっちゃったんです。
大臣、もう一回しっかり考えて、判断していただきたいと思います。申し入れておきます。
次に、あと五分しかないので、ささっと終わりますけれども、もう一つお聞きしたいことがありまして、二〇一〇年の四月に、日本台湾交流協会と台湾日本関係協会は十五項目から成る取決めをやりました。その中で、最後の部分に、日本と台湾は双方で、日本研究、台湾研究の重要性というものを認識して、それぞれの国の大学や研究機関にそういうことをする施設、ポストをつくりましょう、それを応援しましょうというような取決めをしたんです。
それが結局、十四年たったわけですけれども、日本が重要なパートナーと位置づけている台湾研究、あるいは向こうから見たら日本研究ですが、そういった中で、現実に日本の国立大学や私立大学で台湾研究ポストというのはできたのか、どうなっているのか。そういうことを制度化していくために国は対策を講じるべきだと思いますが、いかがでありましょうか。お伺いします。
○松浦政府参考人 お答え申し上げます。
まず、大学における学術研究の振興に関しましては、人文学、社会科学から自然科学までの全ての分野にわたり、研究者個人の自由な発想に基づき独創的な研究を進めております。そのため、大学における個別の研究テーマに従事する教員の数や配置状況等につきましては、文部科学省としては把握しておりません。
また、大学の研究において、各大学の戦略に応じまして、それぞれの研究体制の整備を行っております。文部科学省といたしましては、今後とも、各大学の研究戦略に基づく要望に基づいて、必要な研究体制の強化に対する支援を行ってまいります。
○和田(有)委員 しっかりやっていただきたいと思うんです。
次に、日本台湾交流協会の日本奨学金留学生の取扱いについてです。
台湾からの奨学金留学生が各大学で受けている扱いの実態というのはどうなっているのか、現状は。そして、台湾からの奨学金留学生は優遇措置をちゃんと受けることができているのか。その点をお伺いします。
○奥野政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの事業につきましては、日本と台湾の間の文化交流の推進等の一環として、日本台湾交流協会の留学生事業に対し、文部科学省から補助を行うことにより、台湾からの留学生へ奨学金を支援しているところです。
事業の実績といたしましては、令和五年度は約六億五千万円の補助を行うことで二百七十三名に奨学金を支給しており、令和六年度も同額の予算を確保しております。
あと、優遇という趣旨ですが、奨学金の受給の水準についてでございますけれども、日本への往復旅費及び毎月の奨学金が支給されており、また、授業料、入学金及び入学検定料については、申請に基づき留学生本人が納入した額が支給されていることから、文部科学省の国費外国人留学生制度と実質同様の待遇となってございまして、他国からの留学生と比べましても遜色のない水準としておるところでございます。
文部科学省としても、これからも引き続き支援をしてまいる所存です。
○和田(有)委員 了解です。国費留学生とほぼ同等だということ、しっかりやっていただきたいと思います。
あともう一問、実は修学旅行の件でお伺いしたかったのですが、時間がなくなりました。これは、いずれ何がしかのときにまた、私、させていただきたいと思います。台湾からの修学旅行の皆さんを受け入れるために、もっとどういうことができるか。我々日本からはたくさん行っています。台湾からも来ていただいています。これをもっと盛んにするためにどうするか、また次、やりたいと思います。
なぜこれを私は聞いたかだけ、もう一点つけ加えて、この時間を終えますが。
我々がかつておつき合いをしてきた日本語をしゃべれる日本統治下であった時代の台湾の皆さんは、もう鬼籍に入り、いなくなり、次の時代の交流を担う台湾の若い人々が減っているんです。
どういうことかというと、日本語をしゃべれる台湾の国会議員、立法院議員はたった二名です。かつてなら李登輝総統だって、今、日本に来ている謝長廷大使だって、みんな日本語を普通に日常用語として使えた方々です。もういないんです。普通にしゃべれるのは立法院議員でもたった二名です。
多くの台湾の若者はアメリカに留学します。日本じゃありません、アメリカです。アメリカで人脈をつくり、人間関係をつくり、いろいろなことを学び、帰ってきて、台湾との交流をやっている。これを何とかしていかないと、我々は思っていた以上に台湾は遠い国になってしまう可能性がある。
そのためにも、文部科学省のこういったプログラムをしっかりやっていただきたいという意味で触れました。その点も問題提起をしておきます。
終わります。
○勝俣委員長 次に、小熊慎司君。
○小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。
まず、来月、東京で行われます第十回太平洋・島サミット、いわゆるPALM10についてお伺いをいたします。
第十回という節目になるわけでありますし、三十年近く取り組んできた島嶼国の発展に、こうした取組は大いに貢献をしてきたというふうに評価をするところでもありますし、度々紹介させていただいていますけれども、私の妻も協力隊でサモアに行っていたので、私も深く関わっているところであり、サモアと日本の友好議員連盟の事務局長を務めさせていただいて、先月、外務省にもお世話になって、議連も開催したところでもあります。
また、トンガの議連が昨日開催をされて、そこでも私、事務局長を務めさせていただくときに、このPALM10についても意見交換されましたのでいろいろ確認をしたところでありますが、この委員会の場で新たに確認をさせていただきたい。
このPALM10に先立つ、大臣も出席された外務大臣級会合でも確認をされた、逆に島嶼国の方からの意見もあったということで、いわゆる東電の原発事故由来の処理水放出に関して、どのようにこのPALM10の中で位置づけられるのか、まずお伺いいたします。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
本年二月の、御指摘のありましたPALM中間閣僚会合でございますけれども、太平洋島嶼国との間で、IAEAを原子力安全の権威として認識した上で、科学的根拠に基づく対応の重要性で一致することができました。また、ALPS処理水をPALMの議題とすることで一致をしております。
PALM10の機会においても、太平洋島嶼国に対し、IAEAの継続的な関与の下で実施されるモニタリング結果の提供、こういったものも含めまして、科学に基づく丁寧な説明を積み重ね安心感を高めていく、こういう努力を続けてまいりたいと思っております。
○小熊委員 さらに、そのときに、この議題については、PALM10だけではなくて、今後もずっと恒常的にテーマとして設定をしてほしいという意見があったと聞いていますが、確認させてください。
○門脇政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、ALPS処理水の問題をPALMの常設の議題とすることで一致をしております。
○小熊委員 とりわけ太平洋島嶼国地域は、かつては原水爆の実験場になった地域でもあるので、この点については非常に関心も高いと思いますので、正しい情報発信、理解を促進するために、このPALM10でも努力をしていただきたい。
一方で、次の質問にもちょっとつながってくるんですけれども、これは大臣にもちょっと答えていただく場面が出てくると思います。
島嶼国の中には、いいか悪いかは別にして、やはり中国の影響が強い国もあって、その中国の影響の強い国が、中国と同じように、この件に関して、科学的根拠に基づかないむちゃくちゃな理論で、ある意味、批判をしてくる国の意見もあるというふうにもちょっと確認をしているところでありますし、しっかりと、そうした間違った中国の影響を受けないように、冷静に対応していっていただきたいというふうに思います。
それで、次の質問なんですけれども、昨日の議連でも確認しましたが、こうした日本のいい取組、これが、ほかの国でもやっている。いい影響であればいいと思うんですけれども、不定期ではあるけれども、アメリカ、あと韓国もこうした取組を、今後定期的にやるかどうかは別として、始まっている。中国ももちろんやっている。中国は台湾を承認している島を外しているということではありますけれども。
日本と同じような枠組みで各国がやっている中で、これは別にけんかする必要はないんですけれども、協調する部分は協調していった方がいいと思うんですが、どのように、ほかの国の島嶼国への対応とどう連携していきますか。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
委員御案内のとおりと思いますが、我が国は、太平洋島嶼国との首脳会合を先駆け的に、一九九七年、平成九年から太平洋・島サミットを実施しております。
委員御指摘のとおり、昨年を見ますと、アメリカ、韓国、インド、この三か国が太平洋島嶼国との首脳会合を開催しておると承知しております。
我が国としては、御指摘の首脳会合を開催したこういった三か国も含め、同志国との間で、太平洋島嶼国・地域にどういう関与をしていくか等々について幅広く連携を行ってまいりたい、このように考えております。
○小熊委員 中国はどうですか。
○門脇政府参考人 中国につきましては、首脳会合という意味でいうと十年前、二〇一四年に実施した後、外相級の会合ということですと直近では二年前に実施しております。
幅広い連携の中で、いろいろな連携の在り方があるかと思いますので、委員の御指摘も踏まえながら、よく太平洋島嶼国のために連携を行っていきたい、このように考えております。
○小熊委員 ここでちょっと大臣に聞きたいんですけれども、これは配付資料にあるとおり、自由で開かれたインド太平洋、いわゆるFOIP構想、私は、これをもっともっと評価していって、もっとしっかりと具体化していくということが重要だというふうに、この委員会でも何回か取り上げさせていただきましたけれども、この理念ともこれは一致しますし、FOIPに関して言うと、どっちかというと大きい国とかASEANに目が行きがちですが、これは対象地域、国としても島嶼国が入っているわけであって、FOIPの理念は、法の支配とか連結性の強化とかということがあるわけですよね。
そうなってくると、ここで次の質問に入ってくるんですけれども、いわゆる中国の債務のわなに落ちてしまっている島嶼国もある。なおかつ、昨日の議連の中では確認していませんけれども、僕は現地に行って多少確認しているんですが、日本の援助の仕方と違って、中国はがさっと勝手に物を造って、自分たちの規格で、人も連れてきて、労働法制がしっかりしている島の国であればこれは問題ないんですけれども、ない国であるほど、その中国人を置いていっちゃうんですよね、労働者を。それでめちゃくちゃになっちゃっているというのがあるので。
これは昨日の段階ではちょっと確認できていないところで、しっかりと、島嶼国一つ一つ、そうした中国人労働者の問題を把握して、そうした国には、まさにFOIPの理念であるとおり、法整備の支援をしていくということが必要じゃないですか。国際貢献の中には、物を造るだけじゃなくて、そうした法整備の支援もしているはずでありますので、この点についてはどうですか。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
太平洋島嶼国を含む途上国において、委員御指摘の、中国人労働者をめぐる様々な指摘があるということは承知をしております。
委員が配付された資料の中にも太平洋島嶼国というところがございまして、そこにも書いてありますけれども、各国の自律性を高めるということが重要だと考えておりまして、我が国としては、太平洋島嶼国と協力を行っていく上において、各国の自律的発展に資する取組を促進していくことが重要であると考えております。
また、入国管理を含めて、太平洋島嶼国が主権を行使できるということが重要でございますので、これは太平洋島嶼国自身も重視しているというふうに我々は認識をしております。
我が国は司法分野における協力を重視しておりますので、これらの点の実現に向けて、太平洋島嶼国ともよく話し合いながら、同志国とも連携しつつ取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○小熊委員 昨日の段階では、外務省はまだしっかり一つ一つ把握しているわけではないということだったので、これはしっかりまず調査をしてください。調査をした上で、そういう未整備な国に対してはしっかりやっていくということ。
あと、今日も中国の話が出てきましたけれども、僕は中国にも、いろいろな議員連盟を通じて交流していますけれども、あえて厳しいことを中国にも言っています。あなたたちの国際貢献したいというのは別に否定するものではないけれども、嫌われているよと言っているんですよ。こんなやり方だったら全然好かれないよと。
本当にそうですよ。僕がサモアの独立五十周年のとき行ったときにパレードがあって、日本の人たちが来たらみんなスタンディングオベーションで拍手していたけれども、中国がプラカードを持って、こんな体育館を造りました、こんな陸上競技場を造りましたと言っても、みんなしらっとしちゃっている。ほかの国でもこんなことをやっているわけですよ、中国は。それを中国の大使館とか外交部の方に向けて、いや、国際貢献をあんたらがやるのはいいけれども、全然なっていないんだ、ちゃんとしなきゃ駄目だよと言っているんですよ。そういう意見を言わせてもらっている。
そういう意味では、PALMでも中国の間違った影響力はしっかりブロックしていく、排除していくということをやっていかなきゃいけない。国によっては、中国に寄りかかっている国も出てきちゃっている。そういう意味では、労働法制についても、債務のわなについても、しっかり一つ一つの国を調査した上で対応する。
昨日の段階では、全部は把握していないんですと言っていました、外務省の担当官が。まず調査して、だから、これは国際貢献もオファーしていくわけでしょう。今度、提案型にしていくわけじゃないですか。どうですか。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
委員から、今、債務のわなでありますとか司法分野における協力について御指摘いただきましたけれども、こういった点も含めて、太平洋島嶼国とよく話をしていきたい、その中で、同志国とも連携しつつ様々な取組を行っていきたい、このように考えております。
○小熊委員 次に移りますけれども、大臣も、海外に行ったときに、日本語を学んでいる若者たちは何で学ぶのといったら、アニメとか日本のドラマを見てというのが非常に多いというふうに言われていましたけれども、私もそういう場面がいっぱいあります。
島嶼国への支援もいろいろなものがあるんですけれども、先月末に行われたサモアの議連の中でも、私が行ったときはテレビが各家庭になかったけれども、今はテレビが各家庭にあるから日本のコンテンツも見られますよと言っていたので、かつて一生懸命やっていた国際交流基金による放送コンテンツ等海外展開支援事業、これは限られた予算でやらなきゃいけないんですけれども、とりわけ、やはり予算規模の割合が小さな割合でも、影響は、すごく効果は大きいと私は思います。
それは、一個の学校を造ったり一個の病院を造ったりするということも大事なんですけれども、これを支援していくということは、日本語の理解、日本のプレゼンスが非常に高まるし、昨日も議連で議題になって、日本との交流をもっと促進したいんだけれども、でも言葉の壁もあるというんですけれども、だから、日本語教室を現地の学校でやる支援というのも大事だけれども、やはり興味がなければ学びませんから。
その入口にこういうものがなっていくので、とりわけ、PALM10において島嶼国にこういう支援をやるというのを提案するという取組、どうですか。
○金子政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のありました国際交流基金による放送コンテンツ海外展開事業は、二〇一四年度から二〇二一年度の補正予算により実施した事業でございます。様々な日本のテレビ番組を無償提供するもので、日本の魅力を広く一般の方々に発信してきたところでございます。
太平洋島嶼国に対しましては、同事業により、トンガ、サモア、フィジーといった国々に対し、「ちびまる子ちゃん」や「宇宙兄弟」などのアニメを含む四百件以上の番組を提供し、太平洋島嶼国における日本への理解増進や親日感情の醸成につながったと考えております。
御指摘のありました太平洋島嶼国の重要性を踏まえまして、今後も、日本の魅力的なコンテンツを活用して、親日感情の醸成に資するような様々な文化交流事業を実施してまいりたいと考えております。
○小熊委員 大臣、どうですか。
この委員会でも言いましたけれども、いまだに「おしん」と言われるんですよね。あれはまさに全世界に広めたわけですよ、国が予算を取って。全世界までやったというのは多分「おしん」以来ないんです、一部ずつはあるけれども。
おしんがいると思って日本に来たら、おしんっぽい人はいなかったみたいなことも、うちのかみさんはおしんみたいな、山形県出身で、そうなんですけれども。済みません、余計なことを言って。
だから、全世界にやるというほどの予算規模は今は取れないと思いますが、大臣、どうでしょう、PALMに、僕はPALMでまずやってほしいと思いますけれども、こうした取組の拡大。大臣だって、海外へ行ってそれを目の当たりにしているわけでしょう、日本に興味を持ったきっかけはそういうものだったと。これをどんどんやっていくということは、すごくいい外交ツールでもあり、交流につながるものだと思いますけれども、大臣、どうですか。
○上川国務大臣 私も、各国を訪問する折に若い世代の皆さんとも交流をする機会がございまして、そのときには必ず、今、どういう理由で日本に関心を持って皆さんいらっしゃるのかということを質問します。その折には、異口同音にと言ってもいいぐらい、日本の漫画、アニメから入っているということに驚かされることが多々ございます。
そういう中で考えてみますと、そういった入口のところから、さらに、日本語を学ぶ、あるいは日本にも来ていただく、もっと留学をして学びたい、こういうところに広がりを持つ、人的交流の、ある意味ではライフサイクルというか、ロードマップができるということでありますので、そういうところを切れ目なく応援していくということが極めて重要ではないか、こう思っているところであります。
その意味で、文化交流、文化外交ということでありますが、これに力を入れておりまして、国際的な環境の醸成のためにも、国民の皆さんが好意的に受け止めていただけるような環境整備を図っていくために、在外公館、そして国際交流基金、あるいはジャパン・ハウス、こういったところもうまく活用して、知的、文化、そして人的交流の推進を図ってまいりたいというふうに思っております。
今、ネット社会でございますので、こうした島嶼国におきましてもネットでつなげることができますので、そういったものもフルに活用して、世界の中で、今委員から御指摘ありました、日本に対しての関心と、そして理解を深める活動に全力で取り組んでまいりたいと思います。
○小熊委員 是非、いわゆるビジネスみたいに成り立つ国の規模があればいいんですけれども、やはり島嶼国は脆弱な国が多いですから、これは日本がコンテンツを支援していただきたいというのと、あと、最後に一点、まさに、緊張感を惹起しなくてもいいんですが、やはり中国の間違った影響力はしっかりとブロックしていくということを意識して、PALM10の成功に尽力をしていただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○勝俣委員長 次に、鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。
大臣、今日はよろしくお願い申し上げます。
国連のビジネスと人権作業部会が日本の人権問題などについて調査した報告書の第五十八条では、ユネスコの諮問機関、イコモスから貴重な遺産が失われる可能性があるヘリテージアラートが出されている神宮外苑の再開発について、開発計画における環境影響評価プロセスや地元との協議などが不十分であると深刻な懸念が表明されています。
この五十八条、文書によっては五十七条になったりするんですけれども、外務省はこれの削除要請をしています。この削除要請の文書はなぜ出して、その文責、文書の責任はどこにあるんでしょうか。大臣に伺います。
○上川国務大臣 御質問のビジネスと人権作業部会が取りまとめております報告書でありますが、これは、ビジネスと人権をめぐる課題を明らかにし、また、人権を尊重するための取組に向けました普及啓発を目的とするものでございます。
外務省といたしましては、この作業部会の報告書や、また作業部会の活動がより効果的なものとなるよう協力をしてきたところでございます。
個別事項につきましては、当該事項を監督、所管する関係府省庁や、また地方自治体が報告書の内容を検討し、必要に応じ意見を作成したものでございまして、神宮外苑部分につきましては東京都が検討、作成したものでございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
東京都が作成したものをコピー・アンド・ペーストして国際機関に提出したということでよろしいですね。
○上川国務大臣 外務省といたしましては、地方自治体を含みます当事者の意見、これを幅広く聴取して、公正な立場から取りまとめられることが望ましいと考えておりまして、ビジネスと人権作業部会の報告書や作業部会の今後の活動が、より多様な意見を反映し、その内容を一層充実したものにするとの観点から、それらを取りまとめて提出したものでございます。
○鈴木(庸)委員 ですから、東京都が作ったものをそのまま何ら加えずに提出した、そういうことでよろしいわけですよね。
○上川国務大臣 今申し上げたとおりでございまして、この報告書は、一当事者である東京都の意見聴取を行わない状況の中で作成されているということでございまして、外務省としては、東京都の意見を作業部会に伝達することによりまして、ビジネスと人権作業部会の報告書、また作業部会の今後の活動が、より多様な意見を反映し、その内容を一層充実したものにするとの観点から、それらを取りまとめて提出したものでございます。
○鈴木(庸)委員 今、伝達というお話がありましたけれども、伝達によって東京都の意見をそのまま出した。
外務省は、てにをはを加えたみたいな話はあるかもしれませんけれども、東京都の考え方をそのまま国連機関に出したという理解でよろしいですね。
○上川国務大臣 今委員からも御指摘ありましたけれども、外務省が取りまとめるに当たりましては、関係府省庁及び地方自治体によるコメント、これを、政府文書としてふさわしいものになっているかという観点から、体裁や、また文書の書き方などについて、必要に応じて編集を行っておりますが、そうした作業については、今般も同様のやり方でございます。
○鈴木(庸)委員 今大臣自身がお認めいただきましたけれども、体裁は整えているけれども、意見又はその文書については手を加えていない。
そういった理解で、済みません、ここは本当に大事なところなので、確認させてください。そういうことでよろしいですね。
○上川国務大臣 そのような状況でございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
では、こんなことをいつもやっているんでしょうか、外務省は。一地方自治体が自分の考え、一方的な主張を外務省に持ってきて、それに検証を加えることもなく、国連機関にそれを政府の抗議文として出している。これは、自治体の意見を国の意見として、検証も行わずに出しているということに対して、ある意味恐怖すら僕は覚えました。
ほかのケースも出してくれ、同じようなことをやっているのかと外務省に申し上げたんですけれども、何度お願いしても、数週間にわたっても、あるにはあるが、見つけるのに時間がかかる、担当者が替わっている、それで一向に出してくれない。何か守っているのかもしれないんですけれども、ここまで大きな問題になっているわけですから、しっかりと、誠心誠意対応していただきたいんですね。
だって、例えばアメリカが国連に抗議文を出して、大統領に問い合わせたら、いや、それはニューヨーク州の知事が言っているから知らないよという話になったら、これは外交というものそのものの前提が崩れますよね。
もっと困ってしまうのが、先日、共産党の山添拓参議院議員の質疑に対して、大臣の答弁と政府参考人の答弁が食い違っているんです。
大臣は、個別事項につきまして監督、所管する立場にない外務省といたしましては、こうした所管府省庁及び地方自治体が作成した意見の内容の正否につきましては判断する立場にございません。今の、先ほどの答弁と一貫していると思います。
しかし、同じところで、政府参考人は、削除要請した理由について、我が国の取組について事実に反する内容や一方的な主張が含まれることから、日本政府として、国内の多様な意見を伝達する観点から、国連人権高等弁務官事務所に文書を提出いたしましたと答弁しています。
これは、外務省は東京都の意見だと言っていて、その外務省内でも、大臣と参考人が全く違う意見を述べている。この深刻な矛盾というか、全く整合性の取れていない主張の違いというのは、どこから来るんでしょうか。
○上川国務大臣 私からは、外務省の役割といたしましては、訪日受入れの窓口官庁として当該文書の提出を行ったところでございますが、当該文書に含まれます所管府省庁及び地方自治体が作成した意見の内容の正否について判断する立場にはないと述べた上で、外務省といたしましては、国内の多様な意見を伝達する観点から、意見を取りまとめて、そしてOHCHRに提出した旨説明をいたしました。
私及び政府参考人の発言も、当該文書に含まれます所管府省庁及び地方自治体が作成した意見の内容の正否について判断する立場にはございませんが、国内の多様な意見を伝達する観点から、意見を取りまとめてOHCHRに提出した、この外務省の役割について述べたものでございまして、両者につきましては矛盾をしていないと考えております。
○鈴木(庸)委員 というと、それがもし矛盾していないとなると、これから、地方自治体が政府、外務省にこれを翻訳してくださいとお願いした文書は、外務省としてそこに意見を加えないと今答弁されているわけですから、今後、地方自治体の意見がそのまま我が国の意見として国際社会で通ってしまう、それが抗議文として受け入れられてしまうということになってしまうのではないかという危惧を覚えているというか、今の答弁だとそうなってしまうと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。
○上川国務大臣 一般論として申し上げるところでございますが、特別報告者等によります報告書につきましては、これは地方自治体も含みます当事者の意見を幅広く聴取して、公正な立場から取りまとめられることが望ましいと考えております。
外務省といたしましては、国内の多様な意見を伝達することで、ビジネスと人権作業部会の報告書や作業部会の今後の活動が、より多様な意見を反映し、その内容を一層充実したものにするとの観点から、OHCHRに文書を提出したものでございます。
○鈴木(庸)委員 これ以上ついても同じ答弁になってしまうかと思うんですけれども、重ねて申し上げたいのは、地方自治体の一意見を、外交の場で、国の意見として、政府の意見として発表するということについての危険性と申しますか、そこに一切検証を加えないで続けるということに関して、改めて深刻な懸念を表明させていただきたいと思います。
最後に、この文書を見ていただきたいと思います。
これは取扱注意なんと書いてあるんですけれども、都のホームページで普通に閲覧できる文書です。都が神宮外苑開発の決定に至った経緯を時系列で記録しているページの一部です。
先ほど来申し上げているように、この神宮外苑の話については、幾らほかの例を出してくれと言っても一切出てこない。何か特別感が半端ないんですよね、この神宮外苑についてだけは。
ですから、いろいろ調べてみると、ここに、先日、東京都知事選挙で現職知事の支援を表明されている自民党の萩生田議員が森元総理大臣としたとされる会話が記録されています。
そこで、森氏から萩生田氏に、競技場施設そのものは国、しかし、都が一生懸命汗をかいてくれないと困る、君が、君というのは萩生田氏でしょうね、君が文科省、NAASH、都を横断的に調整してくれと言われているとありますね。さらに、萩生田議員は、今の機会しかここの整備はできないと、整備へ向けた大変強い意思まで語っているわけでございます。
森元総理大臣に至っては、サブトラックもここがいい、ラグビー場の芝もそのとおりだし、新競技場とサブトラックに近い方がいいと、位置についての指示のようなことまで語っていらっしゃる。
このコメントを読んだ上で、地図を見ていただければなと思います。
質問です。
これは自民党の幹部が、東京都などと協力して神宮外苑の整備を進めようとしていたことが分かる貴重な資料だと思います。
そこで、大臣に伺いたいのは、外務省がこの抗議文を国連に作成する際に、こうしたやり取りが影響を及ぼしたといったことはありましたでしょうか。
○上川国務大臣 御指摘の神宮外苑地区再開発の決定に至る経緯の記録とされる文書については承知をしておらず、当該文書の内容につきまして、外務省としてコメントする立場にはございません。
外務省といたしましては、この作業部会の報告書、また作業部会の今後の活動が、より多様な意見を反映し、その内容を一層充実したものにする、こうした観点から、地方自治体を含みます当事者の意見を幅広く聴取して、公正な立場から取りまとめられることが望ましいと考えているところでございます。
御指摘のような、影響を受けた経緯は全くございません。
○鈴木(庸)委員 終わります。
○勝俣委員長 次に、神津たけし君。
○神津委員 立憲民主党の神津たけしと申します。
本日は、初めて外務委員会に、質問に立たせていただきます。
本日は、まず、世界の平和を維持、回復していくために日本や国連が取り得る方策について伺ってまいりたいと思っております。
その前に、私、質問通告しているんですが、質問通告していない部分について、これは要望という形でちょっと外務省にさせていただきたいんです。
今回、六月十五、十六で、平和サミットがスイスにおいて行われると伺っております。岸田総理が参加するというふうに伺っているんですが、今回、百六十九か国を招待して、九十か国が参加する予定と伺っております。
これに対して、中国、それからブラジルが主導権を握って、別の、ウクライナの危機の政治解決に向けた独自提案というものを作成して、ここについて、百一か国、国際機関から前向きな回答を得ているというふうに中国が発表されているんですよ。私は、まさにこれは、今、中国が、あるいは世界が、分断していくような事態に陥ってしまっているのではないかというふうに思っております。
恐らく、これから中国とブラジルがこの百一か国と国際機関の名前を、どこの国かというところを発表されると思うので、なぜそういう決断に至っているのか、ここに賛成することに至っているのかというところを、二か国間の協議において各国でちょっと話合いをしていただいて、是非、排他的ではなく包摂的な方法での外交というものをお願いしたいというふうに思っております。今のは要望です。
私は、衆議院になる前にはアフリカに十七年間、六か国に駐在しておりました。ニューヨークでも駐在したことがあって、そのときに青柳委員と、青柳委員が国連開発計画で働いていらっしゃっていて、私は日本政府代表部経済部と、あとは国連開発計画で研修を受けていたことがあるんですが、そのときに一緒にさせていただいておりました。
直前は実はルワンダという国でして、三十年前に、一九九四年、ジェノサイドが行われて、たったの百日間で八十万人もの方々が殺されてしまうという事態がありました。おおよそ、八十万人というのは、当時のルワンダの人口が七百万人ぐらいでしたので、一〇%ぐらいの方が殺されてしまうというような、本当に大きな大虐殺であったというふうに思っております。それから、私はこの虐殺から十年後にルワンダを訪問したんですが、そのときにはまだまだ生々しい痕跡とかが残っていて、被害に遭われた方々の大量の骨というものが積み上げられておりました。
今回、まず伺いたいのが、一九九四年、ルワンダで、大量虐殺の前後において国連がどのような対応を取ったのか、参考人から御説明をお願いします。
○松尾政府参考人 ルワンダにおきましては、ベルギー統治時代に形作られた少数派のツチ族と多数派のフツ族の民族対立が激化し、一九九〇年に、ツチ族避難民の一部で組織されたルワンダ愛国戦線と当時のフツ族政権との間で内戦が勃発いたしました。
一九九三年八月にアルーシャ和平合意が成立し、これを受けて、安保理は、決議第八百七十二号に基づき、停戦監視を任務とする国連ルワンダ支援団、UNAMIRを派遣いたしました。
一九九四年四月に、ハビヤリマナ・ルワンダ大統領暗殺を契機に、フツ族過激派によるツチ族及びフツ族穏健派の大虐殺が始まり、UNAMIR軍事要員に対する攻撃により犠牲者が出たことから、安保理決議第九百十二号などを踏まえ、同要員が二百七十名まで縮小されましたが、その後、情勢悪化により多数の犠牲者が出たため、同年五月、安保理決議第九百十八号により、要員を最大五千五百名に増員いたしました。
その後、安保理は、同年六月に決議第九百二十九号を採択し、フランス主導の多国籍軍による民間人の安全確保や人道支援物資の提供などのための作戦を許可したほか、同年十一月には決議第九百五十五号を採択し、ジェノサイド及びその他の国際人道法違反について責任を有する個人を訴追するため、ルワンダ国際刑事裁判所の設立を決定いたしました。
○神津委員 次に大臣は参議院の方に行かなくちゃいけないというふうに伺っております。あと七分しかないので、是非、端的な答弁をお願いしたいと思います。
まず、今御答弁いただきましたが、私は、やはり国連の限界というものがあるというふうに思っています。
まず一点目に挙げさせていただくと、現場のルワンダの支援団の長官は、平和維持活動本部にフツ族民兵の武器庫を押さえるようにまずは提案しておりました。これは大虐殺が起きる三か月前に提案していたにもかかわらず、これができなかった。これは、国連憲章第二条七項で内政干渉しないという原則がありまして、そこに基づいてこれをやっていなかったと伺っております。
二点目に、ベルギーの平和維持部隊の方々十名が、大虐殺が始まった直後に殺されてしまった。それによって、PKOの平和維持部隊の方々の人員が二千五百四十八名から二百七十名まで削減されることとなってしまいました。本当はもっとこれから人員を増やしていかないといけないところを増やせなかったというところでもあります。
三点目に、平和維持部隊のマンデートは、内戦の監視、それから平和構築というところにありました。まさに司令官を務めていた方々が語ったのは、やはり世界はルワンダを見捨てた、ルワンダの運命はルワンダの人々に任せて置き去りにしたというふうに発言されております。
今もし同じようなことが世界で起きて、こうした兆候をつかんでいたとしても、国連は実は何もできない、事前には何もできない。何らかの紛争や戦争が起きたとしても迅速に対応できないというのが今の国連だというふうに私は思っております。
世界においては、ロシアによるウクライナ侵攻、それからハマスとイスラエルの衝突など、人道危機が昨年も続いておりました。弱い立場にある子供たちを含む民間人が犠牲になり続けているような状況というものがあると思っております。
上川大臣は、世界の戦争、紛争を止めるため、防ぐために日本は何をすべきだというふうに考えていらっしゃるのか。各地で起きている戦争、内戦に対して国連は抑止力になっていないという現状があります。国連は世界平和を維持するためにどうすべきだというふうに考えているのか、国連をどういうふうに変えていくべきだと考えているのか、上川大臣のお考えを聞かせてください。
○上川国務大臣 我が国は、平和国家として、戦後八十年近くにわたりまして、世界の平和、そして安定と繁栄を実現するために具体的な行動を取るということが重要であると認識をしてきたと理解をしております。その下で、紛争予防や、また解決に向けまして、関係国との対話や、また国連平和維持活動への貢献、ODAを通じました支援等を積極的に行ってきたところでございます。
岸田政権の中で推進しております人間の尊厳、また法の支配、こうしたことも紛争予防や解決に当たりまして重要な要素であると認識をしているところであります。
また、脆弱な立場にある女性や子供たちがこうした紛争の中で多くの犠牲になっているという現実を踏まえ、保護や、また救済に取り組むということが重要であるということでございまして、女性自身も指導的な立場から紛争の予防や復興、平和構築に参画をする、これによりまして、より持続的な平和に近づけるWPSという視点ということが一層重要性を増していると認識をしております。私自身、WPSにつきましては、日本外交のメインストリームとして位置づけているところでございます。
今委員から国連の限界をお示しいただいたところでありますが、まさに紛争予防、解決に向けましての国連の役割は、私は重要性は増しているというふうに認識をしております。今まさに国際社会におきまして転換点にある中でありますので、安保理の正統性と代表性を向上させるということ、そして、国際社会の諸課題により効果的に対処することができるように、その改革を実現するということが極めて重要であると認識をしております。
安保理改革を含みます国連の機能強化につきましては、多くの国々と連携をしながら粘り強く取り組んできましたが、これからもそうした姿勢で臨みたいというふうに思っております。
紛争解決につきましては、私もアフリカ等を訪問する折に様々な状況に触れる機会が多いということでありますが、WPSも含めまして、具体的な取組を推進していくことで、従来以上に貢献してまいりたいと考えております。
○神津委員 今いろいろ伺ったんですが、国連憲章の改正と安保理について、安保理、特に日本の常任理事国入りについてはどういうふうに考えているのか教えてください。
○上川国務大臣 安保理改革でございますが、昨年の国連総会の一般討論演説におきましても、岸田総理から、今年の未来サミット、また二〇二五年の国連創設八十周年、これを見据えて、具体的な行動に移っていくべきということを強調してまいりました。
その意味で、日本は国連に貢献してまいりましたし、また、非常任理事国も加盟国中最多、十二回目ということでございます。安保理理事国入りするということによりまして、安保理が国際の平和と安全の維持という責任を十分に果たすということに貢献できると考えております。
安保理改革に際しましては、新常任理事国になることを目指しておりまして、立候補につきましては、お互いに支え合う、支持し合うということで、日本、ドイツ、インド、ブラジルの四か国の枠組み、G4に参加をしているところでございます。こうした連携をしっかりし、そして戦略的に取り組んでまいりたいと考えております。
○神津委員 時間になりましたので、最後、一言だけ。
国連憲章の改正については、岸田総理から、文言ベースで交渉していくべきだという発言もありました。是非、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございます。
○勝俣委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十時二十八分休憩
――――◇―――――
午前十一時九分開議
○勝俣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。松原仁君。
○松原委員 私は、日本という国は、ここ数年といいますか、宝くじに当たったと地元でもどこでも言っているわけです。それは、私が当たったというだけではなくて、ここにいらっしゃる皆さん、日本国民全体が大変な宝くじに当たった。それは、国連海洋法条約によって日本が大きな面積を持つようになったことと、そこにある地下資源、これは資源小国から大国への可能性を我々に与えている、こういうことであります。
そこで、内閣府にお伺いいたします。
排他的経済水域を加えた日本の面積と世界における順位はどれぐらいなのか、また、その事例として、南鳥島近くのレアアースの埋蔵状況を簡潔に教えてください。お願いします。
○筒井政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の領海及び排他的経済水域の面積は約四百四十七万平方キロメートルであり、アメリカ、ロシア、オーストラリア、インドネシア、カナダに次ぐ世界第六位となっております。
また、御質問の南鳥島周辺のレアアースにつきましては、現在、レアアース生産の社会実装支援のための調査を鋭意進めているところでございますが、その埋蔵量につきましては、産業規模での生産が可能な量というふうに認識しております。
○松原委員 簡潔な答弁で、ありがとうございます。
要するに、宝くじに当たったというのはこういうことなんですね。
かつて、フランスの皇帝ナポレオン・ボナパルトがフランスの国土をヨーロッパ征服戦争を行って拡大したとき、二十倍になっていないぐらいでありますが、莫大な兵員を消耗した。我々日本は、そういったことをせずに、世界第六位の、三十七万平方キロメートルの国土が四百五十万平方キロメートル近くの大国になっているわけであります。しかも、従来、我々の国は資源小国と言われておりましたが、レアアース等、またメタンハイドレート等を考えると、大きな資源を持つ。
つまり、大国になり、資源大国に同時になった。それは、国連の海洋法条約ができたことによって、本当に宝くじに当たるぐらいの僥幸を持った、私はそのように思っております。
したがって、これからの日本は、海洋大国として大きく成長する可能性を大きく前進をさせる必要があると思っております。
考え方によれば、この海洋大国を実現するには二つのキーワードがあるだろうと思っております。
一つは、海洋地下資源を実用化するために莫大な投資を行うということであります。ケネディ・アメリカ大統領が月に人間を届けるためのアポロ計画で莫大な資金を投入しましたが、同様な決意をするならば、海底地下資源は我々にとって大きな財産になります。それをやらなければ実用化はなかなか難しいでしょう。
そして、もう一方においては、排他的経済水域と言われる二百海里にほかの国が手を出す、ちょっかいを出すことを、ぱしんと、入ってくるな、こういうふうにやらないといかぬと思っているわけであります。
ここでブイの質問やガス田の質問に入っていくわけでありますが、その質問の前に、今日は、先ほど和田有一朗議員の質問でお話がありました。この総領事の件、また呉大使の件は、電話でこれを抗議をしたということでありますが、ちょっとアジア大洋州局長にお伺いしますが、電話で抗議をするのと面談で抗議をするのとではどう違うのか、どちらが重いのか、簡潔にお答えください。
○鯰政府参考人 一般に、抗議や申入れの形式につきましては、召致して行う場合、あるいは電話などにより行う場合等ございますけれども、それぞれについて、どれが重いということをあらかじめ整理して申し上げることは難しいですが、私どもは、その時々の状況に即して判断しております。
○松原委員 電話と召致とどちらが重いか言えないというのは、逃げ答弁であります。明らかに、呼んでやった方が重いのは当たり前であります。それを同じように言うということ自体が外務省の欺瞞であると強く糾弾しておきたい。同じじゃない。同じじゃない。
電話はすぐできますが、確かに、召致して行うのは段取りが必要です。その段取りが必要なぐらい重いものを段取ってやるということが大事なんです。
大臣、電話でやるのと召致とどちらが重いかという一般論で、このふにゃふにゃの答弁でいいんですか。どう違うのか言ってくださいよ、大臣。大臣はその辺の価値観を持っていなきゃ駄目ですよ。
○上川国務大臣 抗議の形式につきましては、様々な状況の中で判断をするものと承知をしております。今答弁をしたとおりでございます。
○松原委員 そういうことを言っていると軽んぜられるんですよ。召致をしてやる方が重いですよ。それを認めない、召致をしてやるというのを認めない。まあ、重くないと思っているんでしょうか。あり得ないですね。何でそんなばかげたことを言うんですか。電話で抗議するのと、呼んで、面と向かって抗議するのと、どちらが重いか分からないなんてあり得ないじゃないですか。(発言する者あり)そのことが分からない大臣であるということを今承知いたしました。
大臣として、電話で抗議をするのと呼んで抗議をするのがどちらが重いか、一般論で。呼んだ方が重いに決まっているし、段取りも組むし、相手もそれだけ重い話だと思うわけでありますよ。それについてまず答弁拒否をするというのはあり得ないですな。(発言する者あり)それは、こういう答弁をして総理になったら日本が困っちゃうよ。
その上で、私、申し上げますが、先ほどの和田議員との質問で随分ありました。率直に言って、前回のときに、五月三十一日の質問で、ペルソナ・ノン・グラータ、これを大使、そして薛剣総領事に行うかどうかをお伺いいたしました。
私は、両方ということではなくてもいいと思う、外務的な、外交的なことですから。しかし、少なくとも戦狼外交をやってきて、戦狼外交の旗手みたいなものですよ、大阪総領事。薛剣だけはペルソナ・ノン・グラータをするべきじゃないですか。大臣、答弁してください。簡潔にお願いします。
○上川国務大臣 今般の呉江浩大使の発言については極めて不適切であると考えておりまして、厳重な抗議を行ったところでございます。また、薛剣総領事によります文書の内容につきましては、日本政府といたしまして受け入れられないと考えておりまして、これに対して、中国側には日本の立場を明確に申し入れているところであります。
御指摘の点を含めまして、今後の対応について、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきますが、適切に対応してまいります。
○松原委員 予断を持って答えられない、適切に対応しておく、もう耳にたこができるぐらい聞きましたよ。上川大臣の答弁は、予断を持って答えられない、適切に対応していく、抗議を度々繰り返す、これしか言わないですよ。これしか言わない。
私、ちょっとお伺いしたいんですが、そんなことをやったってもう効果がないのは分かっておるわけですよ。中国の戴秉国は、アメリカにおける話で、こんなもの、紙切れ、価値がないと言っているわけですよ。前々回、質問でやりましたよ、私、前々々回か。だから、こんな抗議は全くもって、中国は、へえ、また何か言ってるわ、日本がちょっとうなってるわ、まあ、うなったって、かみつかないから、あいつらは。こういうことですよね。
かみつかない日本の外務省。外務省はいいですよ。国民がたまらない。日本の外務省は、我々の名誉や我々の活動を本当に支える、プライドを持って支える、それが外務省の使命だと私は思っております。全くもって使命を果たしていないというのは、上川さん一人の問題ではなく、申し訳ないけれども、アジア大洋州局長もいるけれども、後ろの皆さんがもっと気合を入れて、日本の外交をどうすればいいか。皆さん一人の名誉ではない、我々国会議員だけの名誉ではない、自衛隊が例えば命を賭して戦う名誉だけではない、日本国民全体の名誉が皆様の行動によって台なしになっているというその可能性というか、なっていますけれども、認識してほしい。
そこでお伺いしますが、こういう、抗議をする、遺憾であるということを言うという、言葉によるものではなく、具体的な行動を私は示していくべきだと思っております。具体的な行動を示すとなれば、それは、今言った、ウィーン条約におけるペルソナ・ノン・グラータを機能させる、これしかないと思っておりますが、これに関して、アジア大洋州局長、あなたは大臣に進言する立場だから、一言何か答えてよ。
○鯰政府参考人 ただいま大臣から御答弁を申し上げたとおり、今後の対応について現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたい、適切に対応していくということでございます。
事務当局としては、その前提として、様々な検討をしてまいるということです。
○松原委員 その適切に対応していきたいというのが不適切なんですよ、全くもって。
二〇〇六年、コートジボワール大使館の男性外交官、自身が所有する南麻布のビルにおいてバカラをやっていた、四千万円を受け取った。これを摘発してペルソナ・ノン・グラータを使っています。不適切だと。それから、二〇〇六年四月、インド大使館の警備担当男性技能員、日本人女性に対する、強制、まあ、嫌がらせをした。これでペルソナ・ノン・グラータをやっています。これはやっているんですよ。
私は、バカラをやったとか、こういったことはもちろん犯罪ですよ。お前、犯罪をやってるじゃないか、日本から出て行けよと。ただし、その犯罪よりも、大使が、日本国民を火の中に落とし込むよと、総領事が、台湾とつき合うなよと、こっちの方が政治的には極めて重い案件であるということは明白であると思っています。目先の、賭博をしたとか何かしたとかって、こういうことを摘発するのも結構ですよ。でも、外交上の影響ははるかに呉大使や薛剣総領事の方が大きい。
大臣の頭の中は、名誉に関する問題というのは、実害、例えばバカラをやったことよりはるかに小さい問題だ、こう思っているんですか。答弁もすれ違いの答弁が多過ぎるけれども。ちょっと、簡単に答えてくださいよ。こういった事例に比べて呉大使や薛剣総領事の行動の外交的な影響力は小さいと思っているんですか。答えてください。
○上川国務大臣 様々な事態が起きたときの事の軽重につきまして、今、それぞれのケースということでございますので、申し上げることがなかなか難しい状況でございます。それぞれの背景、また、そうしたことが起こってきたその事態、こういったものをしっかりと判断をしていく必要があるというふうに思っております。
○松原委員 大臣が法務大臣のときに大きな決断をされたことは、私、敬意を表していますよ。あのときの記者会見、何回も私は見ていますよ。明鏡止水という言葉がある、上川さんは、鏡を磨いて、磨いて、磨いて、磨いて、磨いてこの判断をしたと。
大臣、鏡を磨いてくださいよ。鏡を磨いて磨いて、日本の名誉のために何が一番いいか考えてほしい。一点の曇りもなく考えるならば、ペルソナ・ノン・グラータで。私は、外交は複雑的なものだと思っていますよ。二人とも辞めさせる必要はない。総領事だけでいいですよ。ペルソナ・ノン・グラータ、考えてもらえませんか。もう一回答弁してください、簡単に。
○上川国務大臣 事案の性質、これを的確に把握し、また分析した上で、目的を達成するためにいかなる方法が、極めて効果的だということを総合的に判断をして、外務省として責任を持って実施をしていく、これが外交であるというふうに思っております。
今後の対応につきましては、現時点で予断を持ってお答えすることにつきましては差し控えさせていただきますが、適切に対応してまいりたいと考えております。
○松原委員 全然これが進まないから、ブイの問題もそうですよ。ブイの問題、あれから一年たってほっぽり放しである。ガス田の問題もそうですよ。
ちょっと政府参考人に聞きますが、いわゆる自制義務というのがありますよね、未画定領域。簡単に答えてください。
○鯰政府参考人 簡潔にお答え申し上げます。
国連海洋法条約第七十四条3及び第八十三条3に基づき、関係国は、排他的経済水域又は大陸棚の境界未画定海域において、実質的な性質を有する暫定的な取決めを締結するため及び最終的な境界画定のための合意の達成を危うくし又は妨げないためにあらゆる努力を払う義務を負っている、それを自制義務と申します。
○松原委員 中国のブイの問題、中国のブイやガス田の開発というのは全くこの自制義務違反であると私は思っております。簡単に答えてください、大洋州局長。違反でしょう。
○鯰政府参考人 簡潔にお答え申し上げます。
累次御答弁申し上げているとおり、私どもとしては、国際法上問題がある行為だと思っております。
○松原委員 相手が国際法上問題があることをやって、一年間ほっぽらかしている。ガス田に関してもそうです。ガスが経済的に中国にとってメリットがあるかどうかではなく、そこにガス田が造られたということによって、中国は、ここは俺の領地だぞと。つまり、ある意味で副次的な効果でそのことを訴えている。
大臣、こういうことを考えたときに、ガス田を取っ払うというのは、一応、日本の認識でも日中中間線の向こう側ですから。ブイは勘弁してほしい。ブイはどうするんですか。いつまでブイをこのままにしておくのか。簡潔にお答えください、大臣。
○上川国務大臣 我が国は、中国側によりますブイの設置や、また、一方的な開発行為を始め、東シナ海におきまして、中国による一方的な現状変更の試みにつきましては、米国やG7といった同盟国、同志国との間におきましても一致をして反対の声を上げてきているところでございます。
関係省庁と連携をして、現場における状況の警戒監視、また外交ルートでの厳重な抗議の実施等とともに、二国間及び多国間におきまして、中国側の問題のある行動に対して反対の声を上げるなど、外交的取組も継続、強化をしていく考えでございます。
○松原委員 もう時間がないから担当局長に聞くけれども、ITLOSとか、またハーグに対してこれを提起をするという、そういった計画はあるんですか。あるかないかだけ言ってください、現状において。
○鯰政府参考人 現時点におきまして、御指摘の中国によるブイの設置あるいは一方的な資源開発につきまして、国際海洋法裁判所や国際司法裁判所への提起は行ってございません。
今後の対応については、中国側の対応を見極めながら、政府全体として戦略的観点から検討していく所存でございます。
○松原委員 だから、何でこれを考えないんですか、大臣。相手に対して遺憾だ遺憾だと言ったって全然有効じゃないのは分かっているし、そういう、適切な行動を求めるとかいう不適切な答弁でも全然この事態は進まない。
私は、このITLOSとかハーグに提起をするべきだと思うし、その次には、ブイは当たり前ですよ、日本の排他的経済水域、海洋大国になるためには、こんなものを放置していて誰もがこの国は駄目だなと思うに決まっているじゃないですか。それを私は明確に進言をしておきたい。答弁は結構ですよ、まともな答弁してくれないから。残念ですよ。これだけまともな答弁ができないというのはもう本当に残念ですよ。
僕は、昨日の夜、夢を見たんですよ。外務委員会の夢。そうしたら、その夢の中で上川さんは……(発言する者あり)違うよ。総理じゃなくて、ペルソナ・ノン・グラータを薛剣に出しますと言った、俺に。これは夢が正夢になると僕は思ってやって来たけれども、残念ながら正夢にならなかった。無念ですよ。
鏡を磨いて磨いて磨き切れば、何が本当の国益かというものが私は見えてくると思っています。うなずいているだけじゃ駄目なんですよ、大臣。本当にやってくださいよ。現状の中国は、もう日本は何をやったって全然へっちゃらだと思っていますよ。
その態度を見たら、今日は済みません、韓国のレーダーの問題も質問を用意しておりましたが、これはきちっとテーマとして残っているということを政府参考人にお伝えしますし、また、アメリカのグラハムやウォルバーグが、広島、長崎、こういった、原爆を投下したのは正しかったと言ったことについては、少なくとも合同委員会で言ってほしいということを答弁してもらおうと思って担当者に来てもらっていましたが、時間がなくなりましたから、これはもう言いっ放しであります。
しかし、大臣、これだけ日本が大きな国で、いや、中国に抗議ができるだけでもこの国は立派ですなんというばかな話はやめてほしいんだ。日本はもう少し、我々の先人の名誉に関して報いることを含めてやっていかなきゃいけない。私が見た夢を、大臣、早い段階で正夢にしてくださいよ。
日本をもうちょっと、日本のかじ取りとして、我々は、外務省や外務大臣がばかにされているだけじゃないんですよ、なめられているだけじゃないんですよ、こういう汚い言葉は使いたくないけれども。答弁が全然、ぬかにくぎだからこう言わせてもらっている。皆さんがそうなっているということは、その背景にいる一億の日本人がそうなっているということなんですよ。肝に銘じていただいて、うなずくだけではなく、行動していただきたい。お願いしますよ。
最後、一言あれば答えてください。
○上川国務大臣 今後の対応でございますが、中国側の対応を見極めながら、政府全体として戦略的観点から検討してまいります。
○松原委員 頑張ってくださいよ。
○勝俣委員長 次に、寺田学君。
○寺田(学)委員 寺田です。
委員外にもかかわらず、このような機会をいただきましたことを、委員長を含め関係各位の皆さんに御礼申し上げたいと思います。
そしてまた、上川大臣、御無沙汰しております。上川大臣が法務大臣をお辞めになられた後もずっと法務委員会に残りつつ、ずっと審議を重ねております。
今日、こういう機会をいただいたのは、長年法務行政のトップに立たれて、特に入管行政にも非常にお詳しい上川さんが今回外務大臣に就かれているということで、この二つの省庁に関わる問題を提起をして、是非与党の先生方にも同じ意識を持っていただきたいなというふうに思っています。
昨年、入管法改正案が通過しまして、可決しまして、昨十日、施行されました。今年も入管法をやったんですけれども、昨年のはいわゆる難民申請者の取扱いを中心に改正をする法案でした。与野党で大きな意見の隔たりがありつつ、私自身としては、法務の筆頭でしたので、何とか折り合いをつけたいと思って、修正協議をして、私たちなりには大きな成果を得た修正案はできたんですが、党内で私、ぼこぼこにされまして、その修正案自体が成果を得ることはできなかったんですが。
事入管及び難民の取扱い、難民申請者の取扱いで大きな議論があるんですが、私は、今日取り上げたいのは、いろいろな議論はありながら、いろいろな制度に対する意見はありながら、難民と認められた方をしっかりと我が国はサポートをしているのかという点です。この点に関しては、与党も野党も私はないと思いますので、是非とも意見を共有させていきたいというふうに思っています。
お手元の方に資料をお配りをいたしましたが、今回取り上げるのは、アフガニスタンの現地協力者、タリバンによってカブールが陥落した後のアフガン難民の日本国内においての取扱いです。
まず、そもそもとして一点申し上げたいんですが、このアフガニスタンの現地協力者をどのように、いわゆるタリバンが復権した後に諸外国はサポートをしたのか。今回、資料としては日本の部分だけ載せています。総数として八百二十人強、資料の方にあります。多少の差はあれども、政府としても同じような見解だと思いますけれども。
数だけ比べても仕方がないんですが、アメリカは、まず十万人規模です。アメリカはアフガニスタンに対しては特別なところがありましたので。ドイツであれば二万三千人、イギリスであっても一万人を超え、カナダであっても一万人。当時、二〇二二年末現在で、入国済みの方がその程度です。数としても圧倒的に少ないのが日本です。
そしてまた、どういう方を協力者として受け入れたかということですけれども、日本の方は政府の退避組と民間招聘組で分けていますけれども、直接雇用にあったというような一つのルールはありますが、民間招聘組に至っては、身元保証人が日本にいるかどうか、全員分のパスポートがあるかどうか、迫害を受けるかどうかという供述書を出せ、日本における新たな雇用主か受入れ機関の確保、在留資格に対する様々な要件と、物すごい厳しい絞り込みをして日本への協力者を保護、本当に一部の部分の保護に終わったというのが現状です。
かつ、在留資格、日本に来た上での在留資格が、九十日の短期滞在で入国して、その後、特定活動、一年更新です。じゃ、諸外国はどうかといえば、アメリカは、直ちに即時永住の資格を与え、英国においても、短期で入国後すぐ永住権に切替え、カナダにおいても永住査証で入国をさせた。圧倒的な待遇の差があるわけです。
私は、これが何を意味するかというか、問題なのかというと、このようなアフガニスタンのようなケースが起きた場合において、その協力者をどのようにその国が守ったかによって、その国のレピュテーションは大きく変わってくると思います。どれだけ、アフガンですから、命を懸けて、身の危険を感じながらも日本に協力していた方々、及びアメリカも含めてですけれども、諸外国に協力してきた方々を、実際にカブールが陥落したときにしっかりと保護する国こそ国際協力のかがみであり、そしてまた、その国には協力しようという未来の協力が待っていると思いますが、こんなざまを繰り返しているのであれば、私は日本に対する協力者というものはますます減っていくのではないかなとまずは思います。
この、私はひどいざまだと思いますが、まず政府にお伺いしますけれども、認識をどう考えていますか。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二一年八月のアフガニスタンの情勢悪化後、日本関係のアフガニスタン人の日本への退避におきましては、外務省として、関係省庁と連携してできる限りの対応を行ってきたところでございます。
アフガニスタン人の退避者の受入れに関し、各国の入国管理政策、これはそれぞれ異なっておりまして、一概に比較することは困難だというふうに思っておりますけれども、日本政府といたしましては、日本関係のアフガニスタン人の受入れについて、個別の事情を踏まえ、必要に応じて支援を行ってきており、今後も適切に対応してまいりたいと考えております。
○寺田(学)委員 どうですかね、それで信用されるんですかね。
一例を申し上げますけれども、日本のNGOの現地職員に至っては、ルールでは本人しか日本で迎え入れないというので、乳飲み子を置いていけと言われたそうですよ。そういうようなことが現地の方々から、様々なケース、証言としてあります。これは本当に、カナダ、先ほど例を挙げましたけれども、あの規模でああいう待遇をしても、国会の中で、あの退避に関しては余りにもお粗末だといって国会で追及をされ、報告書まで出していますよ。日本は本当に改めるべきだと思います。
このような形で限定的に日本に迎え入れたアフガニスタンの難民に対して、日本政府はどのようなサポートをしているのかということを問題意識として持っています。どのようなサポートをしていますか。
○松尾政府参考人 我が国といたしましては、法務大臣により難民と認定された者に対して、内閣に設置された難民対策連絡調整会議の下で関係省庁が相互に協力し、生活ガイダンス、日本語教育、職業あっせんなどの定住支援プログラムを実施しておりまして、難民認定されたアフガニスタン人に対しても定住支援プログラムを実施しております。
○寺田(学)委員 それは六か月で終わるんでしょう。それは後でやりますけれども。
後ほど取り上げますけれども、もう今NPO法人のWELgeeさんというのが一生懸命頑張られているんですが、基本的にまず、外務省としては、RHQが支援対象の窓口じゃないですか。それはそうですよね。
では、そこが十分に機能しているのかどうか。前の本部長だった吉田さん、外務委員会時代から私は知り合いでしたのでいろいろ聞いてみた。一生懸命やられていますが、いかんせん、人員と予算がほとほと足りないです。
難民認定者数、まだまだ足りないと言われながらも、この数年で十倍に膨らんでいます。過去、数年前は四十人規模だったんですが、昨年は三百人まで増えました。そのうちの二百四十人はアフガニスタンの難民です。その難民の方々に対してしっかりとサポートをしているのか。今どのようなサポートをしているのかというメニューはありましたけれども、実質的にその方々に寄り添えているのかというのは、強い問題意識を持ってほしいんです。
RHQ、外務省が委託している先です。外務省の職員も、入管の、法務省の人間も行っていますけれども、サポートはしているんでしょうけれども、先ほど申し上げたとおり、全く人員と予算が規模に対して足りません。なので、お手元にお配りしていますけれども、二枚目、ニュースが出ているんですが、「NPO法人WELgeeとの意見交換と協力覚書への署名」と。私は、RHQが自分たちでは何ともならないので民間事業者に協力を頼んだという姿勢は物すごく評価したいんです。助けたい、そういう思いからだと思いますけれども。
このWELgee自体、カラーで添付しているので、是非皆さん見てみてください。これは三十代の女性が八年ぐらい前から始めて、いわゆる難民申請者及び難民と認定された方々、難民のイメージは、外務委員会の皆さんは違いますけれども、ハイスペックな方々も多いわけですよ。特に今回のアフガンなんて、大使館だったりJICAに協力している人たちは日本にも留学経験があったり、修士、博士を取っていたり、専門的な技術、様々持っている方々ですけれども、結局、六か月間の間で就労しなきゃいけないということで、ほとんど何にも就職がままならないので、このWELgeeさんにRHQとして協力をお願いしたと。私は前向きに捉えたいと思います。
そして、最近、JICAのアフガンの担当の方々もこのWELgeeさんに、頼むから、今抱えている、アフガンで難民として日本に招き入れた方々の就労支援を手伝ってくれないかという声を寄せてきたというか、相談が来たそうです。
大臣、ここを聞きたいんですけれども、私は、難民をどう受け入れるかというのは、様々、与野党で議論があったと思います。ただ、その中で、結論として、日本の政府としてしいている仕組みの中で、そしてまた、特にこのアフガン難民なんて、日本のために物すごく頑張ってくれた方々ですよ。その方々が今どんな状況にあるか。
JICAの方々がWELgeeさんにお話しした内容を了解を取って紹介したいんですけれども、もちろん、現役で働いていた方々も就職がままならない、加えて、十代でアフガニスタンで高校を卒業した人たちで大学進学した人はゼロ、本当は日本語を習熟したらちゃんと日本の大学に行きたいし、弁護士や看護師とかにもなりたいと言っているけれども、ほとんど就職できずに困っている状態にあるんです。それで、このWELgeeさんに、NPOさんにお願いしたんですけれども、WELgeeさん、ボランティアですよ。何の資金援助もないです。
そんな中で、もちろんNPOの自分たちの役割の中でやっているんですけれども、限界がありますよ。これだけアフガン難民、いや、全然少ないですよ、全然少ないですけれども、急に三百人規模のこういう方々のケアをしなきゃいけない、就職支援をしなきゃいけない、日本に対して命を懸けて協力してくれた方々を日本でしっかりと生活できるようにしなきゃいけないという体制が日本には今ないんですよ。
大臣、ここは、僕は松原さんと違って夢は見ていないですけれども、法務大臣を長らくやられているので、入管行政及び、難しさは御存じと思いますが、その後のケアも十分じゃないことも十分御承知と思います。そしてまた、今、外務大臣として顔の見える国際協力ということを挙げてやられているので、何とかこれはちゃんと予算をつけて、せめて日本に今来たアフガン難民の方々に対して実質的な、資金的にも援助をし、人員的にもサポートをした、何か協力を得られないものですか。大臣、いかがですか。
○上川国務大臣 難民認定者に対します定住の支援プログラムということで、まさに、定住していくためには様々な課題があるということであります。
一つずつに対して寄り添うと同時に、それがつながってきちっとサービスが提供できるようにしていくというのは極めて重要であるというふうに思います。その意味で、NGOの皆様の取組というのは、その中の大きな力になるというふうに思っております。
今、省庁に行きますと、法務省、また外務省もございますし、また、今学校のお話がありました、文部科学省というお話もございます。それぞれ、ある意味では、その所掌の中で提供しているものでのプログラムがありますけれども、それがつながってしっかりと、安心して、安定した形で定住ができるような仕組みのところまできちっとプログラムを、粘り強くこれをつなげていく必要があるというふうに思っております。
予算のこと、人員のことにつきましては、よく精査をして、今のような課題、問題に対していかにして進めるべきかということについては、他省庁ともよく連携をしながら対応してまいりたいと思っております。
○寺田(学)委員 難民認定をされた方々に対するサポート、今はRHQで、外務省所管、を中心にやっていますけれども、もちろん、今後、法務省、入管の方に移管する、しないというので議論もいろいろあると思いますが、それは政府側の事情であって、実際、難民として、今まで日本に協力してくださった方々ですよ、その方々を大切にしないで何が私は国際協力だと本当に思います。
一点、これは通告していないですけれども、まず、大臣、RHQの方々も含めてですけれども、このWELgee、三十代の女性で、頑張っていますよ、カンコロンゴ清花さんという方ですけれども。一回会って、ちょっとその実情。
私は、立派だなと思うんです。難民の認定の在り方は、本当に与野党大きな、議論の、壁が、それこそ一度廃案になったときの法務大臣ですから御承知と思いますが、いろいろあると思いますが、彼女は偉いなと思うのは、ちゃんと難民認定をされるべきだという、その仕組みとしてやることは当然望みながらも、とはいえ、そういう人材を、実績として、企業に対してマッチング活動を一生懸命して、実際、就職させて、そこで要は違う在留資格を得て、その方々も、企業としても、ウィン・ウィンになるような活動をされている。
大臣、一度会ってみてくれませんか。いかがですか。
○上川国務大臣 現場の声を聞くことにつきましては、非常に重要であるというふうに思っております。検討したいと思います。
○寺田(学)委員 会ってください。そこは後でねちねちいろいろやりますので、よろしくお願いします。
今後、これ自体は非常にそれこそ広範な省庁にまたがりながらやるんですが、来年度予算に向けてどういうふうに、どこでやっていくのかというのはあるんですけれども。
私は、もう一点として、インドシナ難民のときから始まっているそうなんですが、就労支援及びそのサポート自体を六か月で打ち切る仕組みになっているんです。打ち切る仕組みになっているというか、それを期日としているんですが。ただ、このアフガンの方々を含め、それ以外に難民認定された方々も含めてですけれども、六か月で、我が国に来て、言語を習得し、そして日本の企業に勤めるというのは難しいですよ。やはり六か月という一つの区切りがあるものですから、結局のところ、その六か月以内に何とか就職を決めなきゃいけないという範囲で物事をやるんですが、本当は、その難民の方々、様々なスキルも、潜在的に及び明示的に資格としても持っているわけで、私はもっと柔軟に考える時期に来ていると思うんです。時期に来ているというか、六か月という縛りをなくすべきだと思っています。
これ自体も、外務省のみならず、様々な省庁、特に入管を含めて、話し合わなきゃいけないと思いますが、その点も私は問題意識を持っていただきたいと思っています。大臣、いかがですか。
○上川国務大臣 現状がどうなのかということをしっかりと踏まえた上で、どのような制度にしていくべきかということについては不断に検討していく必要があると私は思っております。
○寺田(学)委員 時間になりましたので終わりますけれども、この点は与野党関係ないと思うんです。難民をどのように認めるか認めないかというのは様々な、大きな議論がありますが、認めた、日本に受け入れた難民、特に、私は、このアフガン、日本に協力していた方ですから、この方々を絶対に国会としても政府としても忘れないでケアをして、しっかりと日本の中で、今まで日本のために頑張ってくださったことを我々として恩を返していくという時期にあると思いますので、何とぞよろしくお願いします。
終わります。
○勝俣委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
初めに、鬼木防衛副大臣に聞きます。先週三日、航空自衛隊三沢基地所属のステルス戦闘機F35Aが青森空港に緊急着陸した問題について聞きます。
内倉航空幕僚長は、六日の記者会見で、緊急着陸の原因について、搭載しているコンピューターシステムの一部に不具合が発生したと説明し、現時点では緊急着陸した機体固有の問題との認識を示しています。
その後、明確な原因は判明しましたか。
○鬼木副大臣 今月三日、航空自衛隊三沢基地所属のF35A戦闘機一機が、錬成訓練中に、搭載しているコンピューターシステムの一部に不具合が発生し、青森空港に緊急着陸をいたしました。当該戦闘機は、青森空港において所要の整備及び点検を行い、翌四日に三沢基地に帰投しました。
これ以上の詳細につきましては、情報保全上、お答えすることが困難であることを御理解願いたいと思います。
以上です。
○穀田委員 御理解願いたいって、理解できないね。だって、どういう原因なんやということについてはっきりせいと言っているだけですからね。
このF35Aは、二〇一九年に世界で初の墜落事故を日本国内で引き起こしています。それ以後も、二〇二一年に函館空港に、昨年六月には青森空港に緊急着陸しています。いずれの原因も、コンピューターシステムや電気系統、エンジン制御の不具合とされています。沖縄でも、今年二月、米ユタ州のヒル空軍基地所属の機体が嘉手納基地に緊急着陸しています。
機体固有の問題と言うけれども、実際は構造上の欠陥を抱えているのではありませんか。
○鬼木副大臣 情報保全上、お答えすることが困難であるということを御理解願います。
○穀田委員 情報保全上って、そんな話がありますか。
だって、アメリカの国防総省が米議会に提出した二〇二〇年度の報告書によれば、F35は軍事作戦の有効性や安全性に影響を与える欠陥があると指摘しています。それで、何と言っているか。欠陥を解決しながら開発しているが、新たな欠陥が発見され続け、結果として変化が見られなかったと強調している。当のアメリカがこういうことを言っているのに、こっちは情報保全上なんて、そんなええかげんな話がありますかいな。
度々引き起こされている緊急着陸の原因には、報告書が指摘する、安全性に影響を与える欠陥があると言わざるを得ません。相手はそう言うとるねんから。事は国民の命と安全に関わる問題であって、国民を巻き込む大事故を引き起こしてからでは遅いんですよ。全ての機体の運用を停止し、原因の徹底究明を行うべきだ、このことを強く求めておきたいと思います。
そこで、F35Aは、米空軍、同盟国の空軍を問わず、同じハードウェア、ソフトウェアで統一されていると聞きますけれども、それはそのとおりやわね。
○鬼木副大臣 F35Aについては、米空軍及び我が国以外にも、イタリア、オーストラリア等の国々が導入しているものと承知しております。
他国が導入した機体について我が国として詳細を承知していないことから、確たることをお答えするのは困難でありますが、一般論として申し上げれば、各国は、それぞれの要求性能に基づいて運用する装備を決定し、これに基づく仕様のF35Aを取得するものとなると考えられます。なので、一概に全てが同じというわけでは、限らないということでございます。
○穀田委員 ほとんど同じだということは、それは常識なんですね。だって、アメリカ軍を含めてこれをやっとんのやから、違いがあったんじゃ一緒に共同できへんって、こんなのは当たり前の、戦術上、戦力上の話ですやんか。そんなことまで分からぬと言っているようじゃ、それは軍事作戦の根本が分かっていないというふうになると思いますね。
そこで、F35Aをめぐっては、米国防総省は、最新鋭の核爆弾、B61型12を搭載可能なシステムに移行する計画を進めています。そのことは防衛白書にも、「NATOの核任務を支援するため、核・非核両用機(DCA)の役割をF―15EからF―35Aに移行する」、核能力を組み入れていくと記されています。
一部報道によれば、国防総省のF35統合計画局、JPOの報道官が、昨年十月に核爆弾の運用能力を認証したとありますけれども、その後の状況はどうなっているか、お答えください。
○鬼木副大臣 米空軍が保有するF35A戦闘機に関し、核爆弾B61―12を搭載するための運用能力が二〇二三年十月に認定されたとの報道は承知いたしております。
○穀田委員 承知していると。
だから、五月に公表された米国防総省監察官室の評価報告書によれば、二〇二二年九月に獲得した核設計認証に伴って、F35Aに核爆弾B61型12を搭載するための核運用認証を開始したとあります。承知したと言ってはるねんから。
いずれにせよ、F35Aは、今後、いわゆる第五世代のステルス機として初めて核爆弾を搭載可能な戦闘機になります。沖縄県の嘉手納基地に暫定配備されている機体も、そうした能力を持つということになります。
F35Aで運用可能となる核爆弾は、広島型原爆のおよそ三倍の破壊力があるとされており、地中貫通型の核兵器です。GPSによる精密誘導で、地下十五メートルにある構造物もピンポイントで爆撃できると言われています。
鬼木副大臣、航空自衛隊はF35Aの導入を進めていますが、日本が配備する機体にもこの核爆弾を搭載できる能力が備わるのと違いますか。
○鬼木副大臣 我が国は、非核三原則を堅持しております。航空自衛隊のF35Aが核兵器を搭載することは想定しておりません。
その上で申し上げれば、航空自衛隊のF35Aは、核兵器を搭載する仕様にはなっておりません。
以上です。
○穀田委員 F35Aは、今議論したように、そういうことを進めているということがアメリカの実態だ。日本の場合はそうならないという理屈は通らない。つまり、F35Aにはできるということを彼らは言い始めて、やっているわけですね。
だから、その意味でいいますと、先ほど私が言いましたように、ハードウェア、ソフトウェアが、世界各国でいろいろF35Aを使っているというときに、日本だけが違うことはあり得ないということは先ほど私が指摘しているとおりなんですね。政策的にそういうことがどうだこうだという話をしているんじゃないんです。備わる可能性、能力が備わるということは紛れもない事実だと私は思います。
そこで、米軍は、核爆弾B61型12を、NATOと実施しているニュークリアシェアリング、核共有の対象として、米国の核兵器を保管するドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコの五か国に配備する計画であります。したがって、これらの国々が所有するF35Aにもこの核爆弾が順次搭載されていくことになる。
ここで、上川大臣に聞きます。
日本政府としては、この核共有についてどのような立場なのか、改めて伺いたいと思います。
○上川国務大臣 核共有でありますが、これは、平素から自国の領土に米国の核兵器を置き、有事には自国の戦闘機等に核兵器を搭載、運用可能な体制を保持することによって、自国等の防衛のために米国の核抑止を共有をするといった枠組みと考えられるところであります。
我が国につきましては、非核三原則を堅持していくこととの関係から認められないものであります。
○穀田委員 核共有は非核三原則と相入れず、認められない。当然です。
しかし、歴代自民党政府は、憲法上、自衛のための必要最小限度の核兵器は保有できるという見解を表明してきました。岸田内閣も同じ立場ではありませんか。
○上川国務大臣 我が国が自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは、憲法第九条第二項によっても禁止されておりません。したがいまして、純法理的な問題として、核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとすれば、これを保有することは憲法の禁ずるところではないとの解釈を政府は取ってきておりまして、この法理上の考え方に変更はございません。
いずれにいたしましても、我が国は、いわゆる非核三原則によりまして、憲法上は保有することを禁ぜられていないものも含めまして、政策上の方針として、一切の核兵器を保有しないという原則を堅持してまいります。
○穀田委員 つまり、非核三原則を堅持すると言いながらも、自衛のための必要最小限度の核兵器は保有できるという論理なんですね。日本が将来的に、核共有を認める余地を残す重大な立場と私は言わなければならないと思います。
憲法九条は、戦争放棄と戦力不保持を定めるとともに、第九十八条で、NPTを始めとする国際条約を批准している日本として、核兵器自体を保有する、使用することを禁じています。したがって、日本が、必要最小限度であれ何であれ、核兵器を保有すれば、国際条約に違反することになることは明白であります。
ところが、米国は、日本に自衛のための核戦力を持つよう求めてきた経緯があります。
例えば、一九五〇年代後半、原爆を使用する日米共同の図上演習が国内で行われた際、米統合参謀本部は、日本が自衛隊に適切な核兵器を導入することを望むとする見解をまとめていたことが、二〇一五年に見つかった米解禁文書で明らかになっています。このとき、米軍は、NATOと同じ核共有方式で核兵器を自衛隊に提供し、有事に共同で使うという考えを示していたわけです。
それでは、自衛隊がどうだったかといいますと、米空軍が作成した一九七一年九月二十八日付のベーシックドクトリン、この文書があります。米空軍大学図書館のデジタルアーカイブから入手しました。
文書には、この教範は米国の国家目的の達成に寄与する米空軍の航空宇宙部隊を運用するため基礎的な原則を定めたものとあり、米国の世界戦略における空軍の任務が列記されています。その任務は、核戦略から謀略活動まで含まれています。
鬼木副大臣、航空幕僚監部では、この米空軍の教範を全文翻訳し、訓練資料として使っていたのではありませんか。
○鬼木副大臣 昭和五十年六月に秦豊議員から提出された米軍のベーシック・ドクトリンと自衛隊との関連に関する質問主意書に対し閣議決定された答弁書によりますと、「航空自衛隊は、幹部自衛官の資質の向上に資するため、米空軍作成の「米空軍ベイシック・ドクトリン」を翻訳し、これを昭和四十八年三月七日航空自衛隊訓練資料とした。 なお、昭和四十九年七月十日に当該訓練資料は、廃止した。」とされております。
○穀田委員 答弁書を読み上げたわけですね。
航空幕僚監部では、この米空軍の教範を今あったように全文翻訳し、一九七三年三月から訓練資料として幹部自衛官で共有して使っていたということですわな。
この文書を見ますと、米空軍の航空宇宙部隊の戦略的任務の柱が、核兵器による軍事作戦に置かれていることが分かる。そして、その内容は、軽度の核作戦と強度の核作戦に区分されているんですね。
軽度の核作戦とは、非核保有国又は核保有小国との間に紛争が生じる可能性は常に潜在するので、それに備えるものと説明しているんです。その目的は、敵に交渉を強制するか、又は我が方の希望する行動を取らせること、圧倒的な在来型兵力で、奪われた主導権を奪回すること、大きな消耗を生む在来型紛争を終結させること、所期の目的を完遂するまで戦闘を継続しようとする国家的決意を敵に知らせること、この四つにあるとしているんですね。
また、強度の核作戦とは、核大国間における大規模な戦略核兵器の使用を含む作戦であって、結果的に、交戦国の一方又は双方が国家としての生存が脅かされるものとしているわけであります。
そのほか、文書には、不正規戦として、遊撃戦や脱出作戦、クーデターによる転覆活動といった謀略活動まで、事細かに書かれております。
鬼木副大臣、こうした内容が記されていることについては間違いありませんね。
○鬼木副大臣 ベーシックドクトリンの内容についての御質問でございますが、昭和五十年六月に秦豊議員から提出された米軍のベーシック・ドクトリンと自衛隊との関連に関する質問主意書に対し閣議決定された答弁書においては、「米空軍ベイシック・ドクトリンは、米国の国家目的の達成に寄与する航空宇宙部隊の運用に関する基本的な原則及び構想を示したものである。」と答弁しております。
また、同答弁書において、米空軍のベーシックドクトリンの内容として、「第一章から第六章にわたり、総論、航空宇宙部隊の特性、任務及び能力、在来型航空作戦における航空宇宙部隊、軽度の核作戦における航空宇宙部隊、強度の核作戦における航空宇宙部隊並びに空軍の特殊作戦について、それぞれ部隊運用の基本的な原則を記述している。」と答弁しております。
○穀田委員 つまり、文書には、私が紹介したような、具体的に言いましたが、軽度の核作戦とか強度の核作戦とか言いましたけれども、今お話があったように、お認めになった。
航空幕僚監部では、このような米空軍の作戦に関する教範をなぜ訓練資料として使ったのか。お答えください。
○鬼木副大臣 自衛隊における教育の基本方針においては、指揮官又は幕僚として、近代的装備体系に即応した戦略、戦術と部隊運用に習熟し、あらゆる事態に弾力的に対処し得る十分な統率力ある幹部を養成することを重視しております。この重視項目こそが、一般的に幹部自衛官に求められる資質であると考えております。
こうした観点から、同盟国たる米国を含め、様々な諸外国の防衛政策や部隊運用について学ぶことは、幹部自衛官として必要な知識及び技能を身につける上で重要であると考えております。
○穀田委員 それはないと私は思いますよね。一般論じゃないんですよ。
これは、お話ししたように、米空軍の核作戦の教範なんですよ。そういう内容なんですよね、このベーシックは。
ですから、皆さんがおっしゃるように、資質を高めるためとか云々かんぬんとかいって、訓練資料として、事実上、幹部自衛官で共有し、使っていたこと自体が大問題なんですよ。要するに、核作戦の教範なんですね。教範というのは、教える方のあれなんですよね。だから、そこに重大問題がある。
航空幕僚監部がこの文書を使っていた一九七三年三月十七日、当時の田中角栄首相は、参議院予算委員会で、「自衛の正当な目的を達成する限度内の核兵器であれば、これを保有することが憲法に反するものではない」と述べ、先ほどありました、今日の政府見解と同じ立場を表明しています。
つまり、航空幕僚監部がこの文書を訓練資料として使っていたのも、自衛のための必要最小限度の核兵器を保有できるという見解に基づいて、有事の際に米軍の核兵器を共同で使う核共有を訓練で生かそうとしていたからにほかならない、ここにこの重要性があると言わなければなりません。
航空自衛隊には、当時、米軍の航空宇宙部隊に相当するものは存在していません。しかし今日では、宇宙作戦群、鬼木さん、隊旗を渡しましたわな、それが発足し、安保三文書では、航空自衛隊自体を航空宇宙自衛隊に変更する方針が示された。それ以後、航空自衛隊では、抑止力の強化として、核爆弾を搭載できる米空軍のB52爆撃機との共同訓練を加速させています。
副大臣、安保三文書を閣議決定した二〇二二年十二月以降、B52爆撃機との日米共同訓練は、韓国軍やフランス軍が参加したものを含め、今日まで何回行われていますか。
○鬼木副大臣 自衛隊が、二〇二二年十二月以降、米空軍のB52爆撃機と実施した共同訓練は、公表した範囲で申し上げますと、日米共同訓練が十六回、日米韓共同訓練が二回、日米仏共同訓練が一回の、合計十九回であります。
○穀田委員 このB52というのは、何回も言うように、核爆弾を搭載できる爆撃機なんですよね。
訓練だけではなくて、このB52爆撃機は、今年の四月、米軍横田基地に無通告で飛来しています。それは知ってはりますわね。核攻撃の任務を持った爆撃機が、事前協議もなく周辺自治体に無通告で飛来するなど、許されないことであります。
日米同盟の抑止力、対処力の強化として核戦力の運用を拡大強化することは、これは唯一の戦争被爆国としてあるまじきことだと私は思います。
私がこの間指摘しているのは、そういう訓練をやってきている、核共有という可能性がある、B52という問題がある、F35Aという問題を、核の問題から通じて強調してまいりました。
こういう政治のありようからしまして、唯一の被爆国としてあるまじきことだということについて厳しく指摘して、今日の質問を終わります。
○勝俣委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十五分散会