衆議院

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第3号 令和7年3月26日(水曜日)

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令和七年三月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 堀内 詔子君

   理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君

   理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君

   理事 鈴木 庸介君 理事 太  栄志君

   理事 和田有一朗君 理事 臼木 秀剛君

      逢沢 一郎君  英利アルフィヤ君

      大空 幸星君    新藤 義孝君

      高木  啓君    広瀬  建君

      松島みどり君    松本  尚君

      茂木 敏充君    簗  和生君

      小熊 慎司君    亀井亜紀子君

      神津たけし君    篠原  豪君

      竹内 千春君    武正 公一君

      渡辺  周君    杉本 和巳君

      西田  薫君    深作ヘスス君

      西園 勝秀君    山崎 正恭君

      阪口 直人君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   外務副大臣        藤井比早之君

   外務副大臣        宮路 拓馬君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   外務大臣政務官    英利アルフィヤ君

   外務大臣政務官      松本  尚君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 柏原  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 町田 達也君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  石月 英雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           郷  達也君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事長)        田中 明彦君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事)         大場 雄一君

   外務委員会専門員     山本 浩慎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  松本  尚君     簗  和生君

  武正 公一君     神津たけし君

  西岡 秀子君     臼木 秀剛君

同日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     松本  尚君

  神津たけし君     武正 公一君

  臼木 秀剛君     西岡 秀子君

同日

 理事西岡秀子君同日委員辞任につき、その補欠として臼木秀剛君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

堀内委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に臼木秀剛君を指名いたします。

     ――――◇―――――

堀内委員長 内閣提出、独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国際協力機構理事長田中明彦君、理事大場雄一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官今福孝男君外五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大空幸星君。

大空委員 おはようございます。自由民主党の大空幸星でございます。

 岩屋外務大臣、連日お疲れさまでございます。また、今日は田中理事長にもお越しをいただいております。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はJICA法の改正ということでございますが、今年はJICAの海外協力隊発足六十周年、そして、昨年は我が国が国際協力を開始して七十周年の節目の年でございました。この節目の年に当たりまして、やはり、日本の国際協力というのは改めて世界から高い信頼を得ているんだということは、この委員会の場においてもしっかりと申し上げておかなければいけないと思っております。

 一方で、今まさに、この日本のODAも含めまして、国際協力の在り方というのが問われていること、岐路に立っているというのは間違いないんだろうと思っております。ODA予算そのものの課題もあると思いますけれども、ODAであるとか国際協力に対する国民の信頼というのをしっかりと獲得をしていくという、この不断の努力がなお一層求められている現状なんだろうと思っております。

 私自身もJICA議連に入らせていただいておりますので、しっかりとそうした説明を果たしていくということを一議員の立場でもやっていかなきゃいけないというふうにも思っております。

 皆さん、もう御案内のとおり、先月、内閣府が公表をした外交に関する世論調査、二〇二四年度でありますけれども、今後の開発協力の在り方について、積極的に進めるべきと答えた人の割合が二五・一%、前回から二ポイント以上低下をして、この十年間で最もこれが低い数字だということでございます。そして、なるべく少なくすべきとやめるべきだ、そもそもやめるべきだというふうに答えた人も含めての割合が一八・四%、これも二・二ポイント増えて、十年で最も高かった。過去を見ますと、もう少し国際協力に対しての世論調査、厳しかったときもあるということだと思いますけれども、ただ、この十年で最も低い数字であるということをやはり重く受け止めなければならないんじゃないかというふうに思っております。

 また、米国では、USAIDの支援の一時停止といったようなニュースも流れている。こういった状況の中での今回の法改正でありますから、まずは、是非大臣から、このODAの意義と、これまでこの長きにわたってJICAが果たしてきた役割についてどのように評価をしておられるのか、お聞かせください。

岩屋国務大臣 大空委員の御指摘のとおり、昔から、外を助ける余裕があるんだったら自国のためにというような議論はございました。特に最近は、多くは申し上げませんが、自国ファーストみたいな風潮がどんどんと広まってきている中で、やはり、ODAに関する理解をしっかり国民の皆様にしていただくための努力は今まで以上に重要になってきているというふうに考えております。

 ODAの目的は、言うまでもないことですが、開発協力大綱にありますとおり、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の下に、国際社会に一層貢献すると同時に、我が国と国民の平和と安全の確保、また我が国の経済成長にも資するという取組であると思っております。まさに、情けは人のためならずということだと思います。

 そして、JICAは、ODAの実施機関として、質の高いインフラ整備や機材の供与といったハード面だけではなくて、きめの細かい人材育成支援、法制度の整備の支援といったソフト面にも力を入れてきておりまして、途上国からの信頼を地道に積み上げてきているというふうに考えております。まさに、日本に対する信頼の土台を形成してきたというふうに考えております。

 今般御審議いただいている独立行政法人国際協力機構、JICA法の改正によりまして、新たな時代における新たなニーズに応えられる国際協力の仕組みを構築すべく、しっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

大空委員 ありがとうございます。

 まさに、この七十年間の国際協力の歴史の中で培われた国際的な信頼というのは、日本の外交の源泉たる重要なアセットだというふうに思っております。

 また、この国際的な信頼を世界に対して広げていく、深化させていくということにおいて、ODAというのは極めて重要な役割を果たしていく、そして、そのツールをどこがやるのか、一番開発現場の最前線に立っている主体はまさにJICAでありますから、そうしたJICAの機能を強化をしていく、時代に合わせて柔軟に変化をしていくということの法改正なんだろうというふうに理解をしております。

 また、今大臣からもありましたとおり、日本自身もやはり成長し続けるということ、これは、グローバルサウスの国々の成長も取り込みながら、若しくは関与をしっかりと引き出しながら、日本の経済成長にも資するものであるんだということをしっかりと社会全体に対して届けていくということが必要なんだろうというふうに思っております。

 今回の法改正、まさにJICAにとってはある種の新しい挑戦なんだろうというふうに思っております。ODAを強化をして、時代に合わせて変化をしていく、そしてJICAがそれに対応できるような体制を取っていただくということは大事ですけれども、やはり、法改正をした後の体制づくり、ここにしっかりとリソースを割いていただかなくてはいけない。法改正の意味、法改正の役割というのをやはり最大化をしていくということが重要だろうというふうに思っております。

 そういった意味においては、今回の法改正によって、ブレンデッドファイナンス、いわゆる民間資金と公的資金を組み合わせることによって開発効果を最大化していくんだということが更に促進をされていくんだろうというふうに思っております。

 この投資規模を拡大をしていく取組に際して、新業務となるのは債券取得や信用保証、民間では取り得ないリスク、例えば事業リスクもあれば、それぞれのカントリーリスクもある、こういったものを一部引き受けることによってインパクトを最大化をしていこうということで、これはまさに、ODAというのをある種のカタリストとして、どんどんどんどん民間の資金を呼び寄せていく、関心を引き出していく、これが公的資金による過度な肩代わりを軽減するという側面も私はあると思っております。

 今、これだけ国民の皆さんが、本当にこの状況で国際協力に対してこれだけリソースを割く必要があるのかというふうに思っておられる方も多い中で、いや、これは民間資金も導入して、かつ、開発効果というのを最大化できる可能性もあるんですよ、広げる可能性もあるんですよという意味では、私は、これはベターかつベストな選択肢なんだろうというふうに思っております。

 一方で、やはり、この債券取得と信用保証というのはJICAにとっても新たな業務となるわけです。債券取得については、これまでの海外投融資のスキームであるとか、そこで培われたスキルというのを一部活用できる部分もあるとは思いますが、ただ、信用保証については、これはもう全く新しい事業になるわけでして、これまでのノウハウがどうやって生かされるのか、そこもまだ未知数の部分ももしかしたらあるんじゃないのかなというふうに思っております。

 特に、この保証業務、そしてこの債券取得の新業務は、リスクをどうやって、じゃ、評価するのか、民間では取り得ないリスクをなぜJICAが取り得るのかということも含めて、どうやってそれを審査をしていって、またかつ、融資が決まりました、債券を取得して、その後事業をしっかりとモニタリングをしていくという体制も重要となってくるわけです。

 この新業務を始めるに当たって、審査体制若しくはこのリスク評価やモニタリングの仕組みをどのように今検討されているのか、お聞かせください。

田中参考人 JICAの田中でございます。

 本日は、JICA法の改正について御審議賜りまして、誠にありがたく存じております。

 今、大空先生から、新業務を進めるに当たってJICAとしてどういう体制を取ろうとしているのかという御質問でございますけれども、信用保証、債券取得といったこの新業務を始めるに当たっては、先生御指摘のとおり、リスク評価や審査というものを適切に行うことが非常に重要だと認識しております。

 具体的に申し上げますと、ある部分についてはJICAが既に海外投融資事業をやって、いろいろな経験、信用リスク評価やそのノウハウというものを蓄積はしてきておりますけれども、信用保証についてはやはり初めてということもございますので、保証先の現地金融機関による類似融資の貸倒れ率とか、債権保全措置の状況というようなものを慎重に審査して、そしてリスクを評価していくように、リスク管理体制を更に拡充する方針でございます。

 債券取得につきましても、海外投融資業務の勘定全体としてリスクを吸収できるような範囲にとどめるように、規模感を慎重に管理してまいりたいと思っております。

大空委員 ありがとうございます。

 国際開発金融機関なんかにおいては、国別とか格付によってどれぐらいの保証範囲を定めるのか、いわゆるそのアッパーを設けているというところもあるんだろうと思います。今回、個別に、例えばおっしゃっていただいたような各銀行のトラックレコードなんかを追って保証料の範囲を定めていくということだと思いますけれども、この信用保証の場合には、じゃ、保証料をどれぐらいにするのか、その範囲の設定でありますとか、若しくはその審査、そしてその後のモニタリング、これはやはり専門人材というのがJICAの中にかなり新たに必要になってくるんじゃないかというふうに思っております。

 先ほどおっしゃっていただいたように、これまでの海外投融資のスキームで培ったスキルで生かされる部分もあるけれども、全くの新業務につきましてはやはり新しい人材獲得というのも重要なのではないかというふうに思っておりますけれども、この法改正後のJICAとしての体制、新業務を行うに当たっての体制についてどのように考えておられるでしょうか。

田中参考人 今、大空先生おっしゃっていただいたとおり、信用保証、債券取得といった新業務を導入するに当たっては、リスク管理を適切に実施するための審査に係る人材、体制というものを強化していかなければいけないと認識しております。そのために、専門性を有する外部人材の活用を含めて、体制強化に取り組む予定にしております。JICAの令和七年度定員要求でも、新業務に備えた定員増を盛り込んでおるところでございます。

 それからまた、これは、これまでの海外投融資のときでもやってまいりましたけれども、実績のある国際機関等との協調、それからそういう国際機関への出向、そういうことによって知見を獲得をして、体制を構築してまいりたいと思っております。

大空委員 ありがとうございます。

 まさに、外部人材も含めて専門人材を獲得をしていく、IFCであるとかフランスのプロパルコも含めて、今恐らくいろいろな話をされておられるんだろうと思いますが、こういった外部の機関ないしは民間の金融機関なんかにも、やはり開発学を学んでおられる方は今かなり多くいらっしゃるわけでありますし、こういった人たちをヘッドハンティングしてでも連れてくるんだというぐらいのやはり意識を持っていただくことも重要なんじゃないかと思います。

 一方で、じゃ、今のJICAの職員の皆さんの給与規程で、それだけのプロフェッショナルの専門人材が来てくれるかどうか。これもまた厳しい状況があるんではないかというふうに思っておりまして、中長期的な人材戦略というのも、今回のこの法改正と併せてしっかりと検討していただくということ、やはりこれは人材によってそれぞれの持っている知識やノウハウが違う、そして、その知識やノウハウによって、今回、新しく業務に加わる信用保証も含めた適正な審査体制というのが確立をされるんだろうと思っておりますので、是非とも、その人材戦略の部分についても、併せて引き続き進めていただければというふうに思っております。

 次に、今回の法改正によって新たに始まります成果連動型の海外投融資、これは非常に意欲的な制度だと思っております。開発協力に資する内容だと思いますけれども、同時に、これほど難しい分野もなかなかないんじゃないか。要は、そのインパクトをどういうふうに測っていくのかということが難しいポイントだというふうに思っております。まさに、アウトカムをどうやって設定をして、そして、その定義であるとか指標というのが曖昧なままで進んでいかないようにしなくてはいけない。

 例えば、成果の設定において、アウトカムの定義と指標を事前にしっかりと客観的な指標を使って定めておくとか、そういったことも重要となってくると思いますし、この指標とか定義が曖昧な状態でプロジェクトが進行していけば、現地の機関であるとか現地の国と、そもそもこの評価に対する認識が違う、成果を出したといっても、いや、これは成果ではないんだというような、そういうそごも起きかねないんだろうというふうに思っております。

 こうした成果、判断をしていく、若しくはモニタリングをしていくためには、第三者的な視点も含めたしっかりとした公平な監査体制が重要だと思っておりますけれども、この成果連動型海外投融資を始めるに当たって、成果の評価をどのように判断をしていくおつもり、御予定なのか、お聞かせください。

田中参考人 ただいま先生から御指摘いただきましたように、成果連動型海外投融資、これは大変重要な新しい試みだと思っておりますけれども、やはり、この成果の検証を適切に行うということが重要であるということは認識しております。

 そして、そのためには、成果指標及びその達成の検証方法をあらかじめ貸付先と契約の中で合意しておくということ、これが大事だと思っておりますし、さらにまた、先生御指摘のように、成果の検証に当たっては第三者による検証を求めるなど、客観性を担保するように運用してまいりたいと思っております。

大空委員 ありがとうございます。

 二〇一九年に、JICAは、IFCのインパクト投資の運用原則に署名をされておられると思いますが、こういった海外基準なんかも積極的に取り入れて、かつ第三者的な視点で、その支援が本当にJICAの支援なのかということが、成果によって生まれたものなのかということが、私は非常に重要になってくると思っております。

 やはり、今回のように新しく制度を設けたときに、これがJICAの支援の結果としてインパクトが生まれたんですよということを立証できなければいけないわけでありまして、ほかのドナーであるとか現地の政府の機関による支援とか、いろいろな外部要因も当然プロジェクトの中には入ってくると思いますから、そういった意味でも、ある種、JICAから独立した、おっしゃっていただいたような第三者的な視点での評価体制というのを確立をしていただければというふうに思っております。

 そして、最後に、草の根技術協力のパートナー拡充についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 今回、開発途上地域に対する技術協力における委託先に、新たに、例えば高専なんかの学校が可能になったり、これは非常に重要だと思っております。同時に、海外の団体等にも拡充をされるということになっております。

 私は、議員になる前にソーシャルセクターでNPOを経営しておりましたので、ある種、日本のソーシャルセクター、非営利セクター、これは全体の底上げ、ガバナンスの強化等も含めて必要だという認識に立っております。

 そういった中で、やはり、インパクト測定の在り方とか、基盤的な財務体制であるとか、こういったものというのは、正直海外の、アメリカやヨーロッパのNGO等の団体の方が、これは優れているんですね、比べてしまうと。非常に重要な点は、外務省さんの資料によりますと、日本人の渡航制限がある国で活動する団体ないしは日本の団体よりも優位性がある団体というような記述もございます。

 今この日本のNGOというのが、例えば中国のNGOも非常に今勢いがありますね、これまでだったらなかなか入ってこなかったような教育であるとか気候変動の分野でも、中国のNGOは、メンタルヘルスも含めて、かなり台頭してきているような状況もございます。

 こういったNGO、非政府組織でありますけれども脱政府組織ではないわけでありまして、それぞれの国の国家戦略の中に包摂をされながら、いろいろなソフトパワーとして使われていくというような側面もありますので、やはり原則として、この日本の団体の知見や技術というのをしっかりと強化をしていく。海外の団体にも拡充はしますけれども、そういった日本の団体に対する基盤的な支援であるとか、若しくは活動しやすいような環境づくり、日本の団体とのパートナーシップというのが揺らぐことはないのかどうか、その辺りについてお聞かせください。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の法改正により、草の根技術協力のパートナーを一定の条件を満たす海外の団体に拡充する、例えば、委員御指摘のとおり、日本人の渡航制限がある国等で活動する団体等への委託を行いまして、これまで支援できなかった地域での支援が可能になるというふうに考えてございます。

 その上で、海外の団体につきましては、国内の団体に係る従来の審査プロセスと別枠での審査を想定しておりまして、日本のNGOが不利益を被るようなことはないように配慮してまいりたいと思います。

 日本のNGOとの協力につきましては、開発協力大綱にも明記してあるとおり、日本のNGOが、日本の顔が見える開発協力を担う戦略的パートナーである、この認識を我々として何ら変えるものではございません。

 今後とも、草の根技術協力、また無償資金協力を通じた連携、またNGOへの能力向上支援等を通じまして、引き続き日本のNGOと緊密に協力していきたいと考えております。

大空委員 ありがとうございました。

 日本の母子健康手帳を使って、様々な国で支援をしていただいている海外の団体もございますが、やはり、日本の団体を委託先に選んでいくということが、日本全体にとって、国際協力全体にとっても私はいいんじゃないかというふうにも思っておりますので、是非、抑制的な運用も含めて御検討いただければと思います。

 終わります。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 Z世代の大空さんのすばらしく爽やかな質問の後に、昭和世代のちょっとしょっぱい質問になりますけれども、よろしくお願いをいたします。

 この委員会でもお話しさせていただいていますが、私の家内も協力隊の隊員で、南の島のサモアに数十年前に行っておりましたけれども、その頃ずっと文通でしたから、それを乗り越えて、今幸せな結婚になっていることを度々発表させていただいていますが、そういう意味でも、このJICAのこれまでの活動というのは、私は、これは世界に誇るべきすばらしい実績があるというふうに思います。

 課題もいろいろありますけれども、世界のどの国よりも私は質の高い海外援助をして積み上げてきたなというふうに思っていますし、今、財政的な制約の中で、ちょっと金額的には縮小はかつてよりはしていますけれども、その中でも、岸田外務大臣が選択と集中と言っていたんですが、茂木大臣のときからはもっと戦略的にやるというような積極姿勢に転じたというのは、非常に厳しい財政状況の中ではいい方向性になっているなというふうには思います。

 引き続き、こういったことでやっていかなければいけませんし、先週この委員会でもお話ししたとおり、USAIDの事実上の解体というのは相当のインパクトになります。その穴埋めをしなきゃいけない状況にある中で、この法改正というのは非常に時宜にかなったところにあると思います。

 ただ、私は、参議院のときに、亀井さんもそうでしたけれども、ODA特別委員会にいて、東南アジアを訪れる機会がありました。そのときに、いろいろベトナムで聞いたんですけれども、やはりこういう事業をやるとき、賄賂が発生しているんだと。日本は賄賂を払うことはないよ、質の高い事業をしてくれるからと。ただ、決定のスピードが遅い、それが一番よくないという指摘も受けてきたところであります。

 今回のこの法改正によって民間との連携も深まっていくということでありますから、いろいろな不祥事もありましたから、この後にちょっと触れていきますけれども、意思決定のプロセスがしっかりとしたものでなければならないし、適正かつスピードも、やはり民間のスピードというのは公共セクターのスピードと全然違いますから、スピード感を持ってやっていかなければいけない。この辺についてはどうされますか。

岩屋国務大臣 小熊委員には、このODAについて深い御理解を賜っておりまして、本当にありがとうございます。また、奥様とのなれ初めも教えていただいて、ありがとうございます。

 今般の法改正においては、一言で言うと民間資金動員を促進をしていくということになるわけですが、先ほどのやり取りにもありましたように、債券の取得ですとか信用保証ということをやっていくためには、それなりのしっかりとした専門的な知見に基づく審査をやらなきゃいけないということもありまして、委員御指摘のように、そのしっかりとした体制づくりとまたスピード感をどうやって両立させるかというのが大きな課題になると思っております。

 現在の審査プロセスとしては、企業からの相談に基づいて、リスク管理や迅速性にも配慮した上で、必要に応じて外部有識者の関与を得つつ、JICAにおいて審査を行い、外務省、財務省あるいは経産省による審議やJICAの理事会の審議を経て、案件採択の可否を決定をしております。新業務の実施に当たっても、この従来の審査プロセスをベースにしながら、新業務の特性を踏まえて、迅速で適切な意思決定を行ってまいりたいと思います。

 スピードが大事だという御指摘をしっかり踏まえて、JICAにおいて対応してもらいたいというふうに思っております。

小熊委員 適正なことはもちろん当然なんですが、このスピード感というのはより求められてくるというふうに思いますし、今ほども言ったとおりUSAIDがもう事実上停止していますから。でも、援助を待っている人はそんな時間はないわけですよ。迅速性というのをかなり意識してやっていかないと、今まで、海外の人から言われるとおり、内容はいいんだけれども決定が遅いという指摘がもう数年来あるわけですから、かなり意識して、いろいろなプロセス、手続、実施に至っては意識をしていただきたいなというふうに思います。

 あと、先ほどの大空さんの言ったとおり、国民的理解が、この海外援助はまだまだ足りていないと思います。この後、この法案、採決に当たって附帯もつくようでありますけれども、やはり納税者への理解促進という言葉も入っています。

 ちょうど十四年前、東日本大震災が起きたときに、ODA特委の有志で、官邸に、ODAの予算、あのときは民主党政権でしたけれども、削るな、海外援助を止めるな、減額するなという申入れをしました。私も福島県の人間としてそれをやったら、もう抗議の電話やファクスやメールがいっぱい来たんです。そのとき亀井さんも一緒に官邸に行ったので、同じような思いをしていると思いますけれども。

 チャリティーだったら、そのとおりなんです。国民意識はチャリティーだと思っています、海外支援というのは。でも、大臣が言ったとおり、情けは人のためならず、地球の国際益が国益にもちゃんとつながっているということの理解はまだ進んでいないし、今でもこれは変わっていない、チャリティーだと思っています。

 だから、本当に民主党政権の人には申し訳ないけれども、あのとき減額したのは、チャリティーだというのをまさに証明しちゃったようなものですよ。だって、イギリスも、財政が厳しいときに逆に海外援助を増やしたという過去の歴史もあります。

 島国である日本であるからこそ、海外とどうつながっていて、こうした国際的な利益がちゃんと日本の国益につながっているということをもっともっと打ち出していかなければならないと思います。

 今回、この法改正によって民間の方を引き入れるときにも、その人も、そういう民間の部門も、しっかりそういう国際的な利益が国益にかなっているから是非やりましょうよというふうになっていかないと、チャリティーだと思っていたら、民間の方も促進されませんよね、資金調達が。

 この国民的理解、これはまだ誤解している状況だと思います。ここをしっかりやっていかないと、この民間資金の調達も促進されないというふうに思います。単に、ただ商売のためだけに、じゃ、それをやろうかみたいになっちゃうので。この点についてはどうですか。

岩屋国務大臣 なかなかそこが難しいですよね。対象国の開発支援をやるということが、巡り巡って我が国に対する信用を形成し、また我が国の国益にもつながっていくんだということを、例えば数値的にお示しをするということもなかなか難しいと思うし、また、余り数字を前に出していくというのも、ある意味、かえって目的を誤解されるということにもなると思いますが。

 委員御指摘のとおり、やはりこのODA、JICAの活動ということが最終的には日本の国益あるいは信用の形成というものに大きく寄与していくんだということを、あらゆる手段を使って丁寧に説明をしていかなければいけないというふうに考えております。

小熊委員 大臣、可視化していくことが大事なんですよ。もちろん、これだけもうかりましたみたいなのは、それはやる必要はないし、違った意味で可視化をしていくということが重要です。

 例えば、先週も言ったんですけれども、USAIDが活動を停止して疫病が増えたとか、やることによって疫病が抑えられて、日本の方にも来ていないという、とにかく、可視化するという意識は必要だと思います。抽象的なことで理解を求めても、それは伝わりません。

 幾らもうかったかという可視化ではなく、見える化はする必要があると思いますので、これは今までできていませんから、だから、国民が誤解しています。是非ここはしっかりやっていくということを、可視化するということを意識してやっていただかなければならないというふうに思います。

 次に移ります。

 そういう意味では、新しい制度の中でもいろいろな仕組みをやっていく上で、JICAそのものの人材確保、大空さんの質問でもあったけれども、お金でいうとやはり駄目なんですよね、なかなか。でも、じゃ、意識高い人だけ来てくださいというわけでもないし。

 ただ、あらゆる分野で人口減少ですから、別に、公共セクターだけ、また海外人材、グローバル人材だけが足りていないわけではなくて、あらゆる分野が人手不足です。ここをどうカバーしていくかというのは、効率化も図っていかなければならないんですけれども。

 まず、人材確保、ちょっと大空さんと重なるけれども、どういうふうに取り組むか、これは参考人でもいいです。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども田中理事長の方から答弁があったとおり、本法改正によりまして拡充した業務、これを踏まえまして、JICAの体制をしかるべく整えていく予定でございまして、JICAの令和七年度予算案でも、新業務に備えた機構・定員を盛り込んでいるところでございます。加えて、専門的知見を有する人材の採用、育成、実績のある国際機関との協調による知見の獲得、そういったところにも努力していきたいと考えているところでございます。

小熊委員 法改正に当たって、外務省、JICAの事前の説明の中では、国内外人材を問わずということがありました。そういう意味では、最終的にどうなるか分からないけれども、事実上USAIDは解体していますから。現地の人材がいるわけですよね、あとは連携していた団体とか、こういうのを活用していくということを今意識的にやった方がいいと思うんです。これもやはり、USAIDに関わっていた人たちは、民間の人たちも含め、これは有為な人材であるし、これが全くゼロになることはもったいないわけですよ、世界のことを考えれば。

 この活用をしていくという、今のうちからですよ、推移を見て決まってからでは遅いです、今のうちにその当たりをつけておくというか、やっておく必要があるんじゃないですか。その点についても。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、有為な人材をJICAの中にしっかりと獲得して、JICAの体制をしかるべく整えていくということは非常に重要だと考えております。他方で、一定の予算制約等々もございますので、その範囲内でベストな人材を採用、育成できるよう、しっかりと努めてまいりたいと考えておるところでございます。

小熊委員 先週の質疑でも、大臣は、もしそういうことになれば穴を埋めなきゃいけないと言いましたから、穴を埋めるという意味では、USAIDに関わっていた人たちの人材の活用というのも今意識的にやった方がいいと思いますし、予算の制約があるということではありますが、制約を受けない部分でも連携できる部分もあると思います。

 そこを、大臣、意識的に、その穴を埋めると大臣自身が言ったわけですから、USAIDに関わった団体や人材の活用、連携といったようなものを意識的にやるべきだと思いませんか。

岩屋国務大臣 米国のその政策の動向というのはまだ紆余曲折があるんじゃないかなというふうに思って、注視をしていきたいと思っておりますが、もう委員御案内のとおり、米国のその支援規模というのは数兆円に及んでいたということで、我が国が必ずしも全部穴埋めができるわけではありませんけれども、米国のコミットメントがやむを得ず減っていくような地域における支援をどうするのか、あるいは、そこで経験を積んできた人材とどうやって連携できるかということはしっかり念頭に置いて、方策を考えていきたいと思っております。

小熊委員 それは予算も限られていますから、それを肩代わりしろという話じゃなくて、有為な人材をしっかり使うということが世界のためになるということで、この人材を無駄にしないように、是非意識的に連携をしていっていただきたいというふうに思います。

 次に移ります。

 私の家内が、妻が行っていた協力隊の方、配付資料にあるとおり、近年、募集人数、応募者数の差が出ていますけれども、かつては、応募する人が多かったからその中から選んでいたんですけれども、今、応募人数を下回っている、一般の方は特に下回っている状況でもあります。

 シニア層も考えると、今まで、団塊の世代の人とか、それなりに日本の人口の中でパイの大きい世代が、今度は、我々からそれ以降はまた減っていくので、シニアもだんだんこういうふうな傾向になってくるかなというふうに思っています。

 何度も言いますけれども、僕は、世界一の海外支援を行っている日本、JICAとして、この協力隊の活動というものは本当にすばらしいものがあると思います。

 ラオスに特別委員会で行ったときに、数学の、理科の先生がでんじろう先生みたいにしてやっていて、すばらしい授業をやっていたんですね。子供たちに、いい先生でしょう、皆さん、どういうところが感心する、授業はいいでしょうと言ったら、授業よりも、時間どおりぴったり来るというのがすごいと。結局、技術供与とかそういう指導だけじゃなくて、日本人として現地で生活していることが、その国に対して大きないい影響を与えているというものもありました。

 そういう意味では、この海外協力隊の果たしている役割というのは目に見えないところでもすごい大きないい影響があるという意味では、これからもしっかり継続をしていかなければいけないし、できれば、日本のためにも、本当はもっと拡大をしていく必要もあると思うんですが、実態はこのとおりであります。

 人口も減っていくわけなので、そういう中でこの確保をどういうふうにしていくのか、改めてお聞きします。

岩屋国務大臣 御指摘のとおり、六十年の歴史を持つJICA海外協力隊ですけれども、これまで世界各地に延べ五万七千人以上の日本国民が派遣されまして、開発途上国の経済社会の発展に貢献するとともに、草の根レベルでの信頼と相互理解を深めて、我が国と開発途上国との間の懸け橋となってきてくれております。

 また、JICAの海外協力隊に対する海外、途上国からの評価も非常に高くて、各国からの派遣要請に応えられるように、できるだけ多くの方に協力隊員に応募していただくことが重要なのですが、委員御指摘のような状況になっていることも事実でございます。

 したがって、積極的な広報活動に加えまして、オンライン式の募集説明会の開催ですとか、現職を維持したまま参加できる制度の拡充ですとか、大学や地方自治体あるいは民間企業と連携して派遣する制度などの拡充にも取り組んできております。

 引き続き、JICAと連携しながら、協力隊員に対する一層の理解の促進、それから関心の喚起を図って、応募者の拡大に努めてまいりたいと思います。まあ、どうしても若年層でいうと、どんどんどんどん数が減っていくという中にあって、なかなか困難な道のりではありますが、しっかり努力してまいりたいと思います。

小熊委員 これも先ほど言ったように、国民への理解促進が必要で、外務省の資料にも、JICA海外協力隊の帰国後支援などを通じた日本経済社会への還流も重要だと言っていて、僕、十年以上、これはもっと、先ほどの見える化、可視化をしなきゃいけないという話をしているときに、結局、数値として見える化で出てくるものというのは、帰ってきた後、こういうふうに就職しています、職場に戻れています、こういうところに就職しましたというものだけで、なかなかその数値化はできないんですが、いかに社会の中に還流しているかというのをもっと追っかけていかなきゃいけないなと思っています。

 駒ケ根の訓練施設に行ったときに、協力隊のOGの人とお会いして、看護師さんでしたけれども、その近所の方だったんですね。近くに駒ケ根の訓練所があったから自分も応募してみて行った、常に世界を感じていた、訓練所を通じてというのがあって。やはり、協力隊の人で、帰ってきた後、いかに就職したかというより、まさにその人を通じて世界を感じられるわけです。海外に行けない人も、その人を通じて海外を感じるんです。そして、その人を通じて、国際社会の利益が日本の利益にどれだけなっているかと知れるんですね。

 そういう意味では、いかにその人を就職させるかということの見える化じゃなくて、その人が帰ってきた後、まさに社会にどう影響を与えていったか、影響を与えられるかという仕組みをつくっていかなきゃいけない。

 じゃ、それをどうやって具体的にするのというと、一部、JOCA、OB、OGの会がやっておられるんですけれども、国際的なイベントを各地でやっていたりもしますが、これは文科省の方に理解を得なければ、現場の理解が必要ですけれども、国際理解教育とかの授業でJOCAの人たちが活動もしています。

 こういうものをしっかり事例を集めて見える化していくということも、国民理解にも重要になってくるし、この協力隊の人たちの役割というのが広く国民に知られることによって、自分もやってみたいな、行ってみたいなと思う若者も出てくる、若しくはシニア層も出てくる、そういう見える化が必要だと思います。

 これはちょっと通告にはないけれども、国民理解の促進という意味では、教育現場にどんどんどんどんそういう仕組みを入れていくことが重要だと思う。国際理解教育の授業なりイベントを教育機関にかませていくというのは必要だと思います。この点については、これはどっち、政府参考人。

田中参考人 今、本当に、小熊先生がおっしゃったように、協力隊というのは誠に日本にとっての貴重な人材でございまして、この協力隊が日本の社会に戻ってきたときにどうやって活躍できるかという、この活躍を国民の皆さんに見ていただくということによって、この事業の有益さというものを理解していただくということが大事だと思っております。協力隊の三つの目的の一つはボランティア経験の社会還元ということですし、二〇二三年六月に閣議決定された開発協力大綱にもそのことは触れられております。

 ただ、これをどうやって見える化していくかということは非常にチャレンジングなんですけれども、ここ二年ほど、JICAでは協力隊のOB、OGの方の社会還元表彰というのをやっておりまして、本当はほとんどの方をみんな社会還元表彰をしたいんですけれども、その中の特に有意義、目立つ活動、それから、特に日本の地方に役立つような活動をしている協力隊の経験者をJICAとして表彰して、この事例を本にしたり、あるいはいろいろなところで展開する。

 それからまた、協力隊の経験者の中には現職教員の方も大勢いらっしゃいますし、それから、帰ってきて学校で自分の経験を伝えたいという人もいらっしゃいますので、こういう人たちに是非協力していただきたいというふうに思っております。

 それから、ここ二、三年積極的に進めておるのは、グローカルプログラムと私どもが言っておるものなんですが、これは、協力隊に派遣する前に、日本の地方の活性化に協力したいと思っている皆さんに、日本の地方自治体に二、三か月OJTで行ってもらって、日本の課題をまず認識してもらって、それから海外に行ってもらうという取組をやっております。

 こういうことを含めて、協力隊の活動が日本社会の隅々まで役に立っているということを御理解していただけるように努めてまいりたいと思っております。

小熊委員 可視化するのにはなかなか大変なんですけれども、是非幅広に見ていかなきゃいけないというふうに思います。

 自分の関わった職場というか専門職の中での還元ではなくて、それ以外の、本当に、ありますから、是非そうした見える化。あと、現地ででも、自分の専門で貢献しただけじゃなくて、先ほど言ったとおり、日本人としてただ生活しているだけでも感動を与えていて、外務省には申し訳ない、下手な外交官よりもよっぽど日本のプレゼンスを上げてもらっている隊員も多くいますから。

 そういうところも、現地でやっていたことのそういう部分の評価も併せてしていくということが、両方です、国内外での幅広な見える化を是非、評価のところを努力をし続けて、国民理解の促進につなげていただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、これだけすばらしい実績のあるJICAですが、昨年、フィリピンの鉄道改修事業において、JICA職員による情報漏えい問題が起きました。

 幾つか端的に申し上げますけれども、情報漏えいを正式に外務省に報告したのは、当該職員の処分から半年後です。遅れた理由と、報告が遅れたことに対して外務省側はどのような見解をお持ちだったのか、お聞きいたします。

 あわせて、就業規則では懲戒処分をその都度公表することになっていますけれども、実際に懲戒処分が公表されたのは一年以上たってからです。処分理由も、詳細な説明はなく、簡素なものでありました。

 この二点、遅れた理由と、こうした発表になってしまったことについてのこの二点をお聞きいたします。

田中参考人 まずもって、JICA職員が、フィリピン共和国向け円借款、首都圏鉄道三号線改修事業の調達手続に関する秘密情報を漏えいした事案について、このような事態が発生したことを重く受け止めております。御迷惑、御心配をおかけしていることを深くおわび申し上げたいというふうに思います。

 それで、現在、検証委員会をつくりまして、そもそもなぜこの事案が起きたのかということを検証してもらうとともに、これに対してJICAの対応が適正であったのかどうかという検証もお願いしておるところでございます。この検証委員会の検証はまだ継続中でございますけれども、これを受けて、私どもとして再発防止策を徹底的に進めてまいりたいと思っております。

 委員からの御指摘の、JICAが調査を始めて、それから懲戒の処分をし、それから外務省に正式な報告をするということになぜこれだけ時間があったのかということでございますが、まず、一つの要因は、JICA内の調査だけで、現在、懲戒処分をするに当たる事実は、当該人については解明できましたが、それが、外部、つまり企業やその他との関係でどういうふうになっているのかというようなことについて、やはり徹底的な調査をしなければいけないというふうに私どもは判断いたしました。

 ですから、その場合に、処分を過度に早く発表してしまいますと、関係する企業等に対して、JICA自体は捜査権限はございませんから、こちらからいろいろな事情を聴取するに当たって困難が生ずるというところもございました。それからまた、このような事案に対して捜査当局がどのように判断するかということも勘案しまして、それでもって、一番適正な時期に外務省には正式に報告し、そして外部に対しての報告も申し上げた、そういうことでございます。

岩屋国務大臣 JICAから外務省に対して、正式な報告は二〇二三年十一月になされました。

 外務省としては、本件漏えい事件を重く受け止めて、JICAに対して事実関係の確認と再発防止の取組を進めるように指示してきたところでございます。

 今も答弁にありましたように、JICAが今検証委員会を設置をして検証しておりますので、その結果を踏まえて、国民の信頼回復に向けて、引き続きしっかりと監督をしてまいりたいと考えております。

小熊委員 是非、こういうことが二度とないように、光り輝くJICAの中の深い暗闇ですから、しっかり、今後ないように、隠蔽体質と言われても仕方ない動きでも、経過でもありました。途中経過からちゃんと外務省と連携を取らなきゃいけないし、一部報道によれば、この職員も、別に自分の利益じゃなくて、確実に事業が実施されるように、スピーディーになるようにということでやってしまったということも、報道ベースですけれども、伝わっています。

 そういう意味では、先ほど言ったとおり、適正で迅速なプロセスが必要ということです。そういうことを意識してやっていくということがこういう再発防止にもつながってくると思いますので、是非検証委員会の結果をよりよい方向に向けていくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子です。

 外務委員会での質疑は久しぶりです。茂木大臣のときに質問させていただいて以来ですけれども、よろしくお願いいたします。

 今回、JICA法の改正ということで、私は一つ思い出した光景があります。それは、私も参議院のODA特別委員会に所属をしていたんですけれども、新JICAになって、初代の緒方貞子理事長が委員会で答弁をしていた姿です。あれはいつだったろうかと思って、今回、議事録を確認をしてみましたら、二〇〇八年の五月十六日でした。

 この二〇〇八年というのは、まず、JICA、国際協力機構が、旧国際協力銀行、JBICの海外経済協力業務部門、ここと統合して新JICAになった、このことによって、技術協力、有償資金協力、円借款と、無償資金協力、この三つの違うスキームを一つの組織が担うことになったという非常に大きな変化があった年です。加えて、この年、五月の末に第四回TICAD、それから七月にはG8北海道洞爺湖サミットもあったんです。

 このときの委員会を調べてみましたら、当時の福田康夫内閣総理大臣、それから高村正彦外務大臣、そして緒方貞子理事長という答弁者、出席者でございまして、いろいろ大事なことが話されております。ですので、少しあのときに遡って、新JICAができたときにどういうことを目指していたのかということについて質問をいたします。

 緒方貞子さんは、新JICAになってどういうことが求められているかと聞かれたときに、従来の日本の援助は徹底しているけれども遅いと言われていた、それが、三つのスキームが一緒になったので、当然その効果と効率を上げることが求められていると思いますと。当面の課題として、例えば、JICAは、当時、在外五十六か所に事業所があり、JBICは十九か所に事業所がある、建物の問題もあるかもしれないけれども、なるべく統合をしていきたいと。

 そして、こうありますけれども、一番大事なことは、どこの国でも日本に対するODAの相談をしようとするときは、一か所に来て、そこで全部必要なアドバイスもインフォメーションも取れるように持っていかなきゃならないと。そういうような形で一体化を出していくという工夫は今やっておりますが、相当大きなチャレンジだというふうに考えておりますと発言をされています。

 この間、今、二〇二五年ですけれども、JICAの歩み、この一体性というのがどのように進んできたのか、これは大臣に伺います。

岩屋国務大臣 前回の二〇〇六年の法改正では、ODAの効果的かつ効率的な実施のために、技術協力の実施機関であるJICAに、今も委員から御紹介がありましたが、有償資金協力及び無償資金協力の実施も担わせることで、ODAの実施機関としての一元化を進めたと思います。

 この改正の成果の一例として、JICAは、インフラ整備でありますとか機材供与などのハード面と、そして人材育成支援や法制度整備等のソフト面のそれぞれの支援を有機的に組み合わせることでODAの戦略性を高めたほかに、国際機関、NGO、民間企業、多様なパートナーとの協働、一緒に事業を展開することが容易になったと考えております。

 一方で、途上国への民間資金の流入の増大、それから途上国のニーズの多様化など、ODAを取り巻く現在の環境変化を踏まえまして、今般、民間資金動員の促進、それから国内外の課題解決力を有する主体との連携強化が一層の課題となっております。この認識の下で、今般の法改正をお願いをしているところでございます。

亀井委員 ちょっと質問とずれているような気もしますけれども、それはまたJICAの方に補っていただければよいかと思います、後ほど。

 次の質問に、時間もありますので、進みたいと思います。順番を変えます。

 先ほども申し上げましたODA特別委員会のときに、緒方貞子さんが、ちょうどTICAD4の前だったので、アフリカについても触れておりまして、そこで出てきたのが、アフリカの縦貫道路なんですね。大陸縦貫道路を早く造って、物、物資が早く動くようにしなければいけないという指摘があったんですけれども、それから時間がたちました。

 今日、資料を配付いたしましたけれども、JICAのホームページの方から、この縦貫道路がどういう状態になっているのだろうかと。一枚資料をお配りしましたけれども、進捗状況ですとか、あと、中国のアフリカ進出がいろいろ言われておりますので、中国の関与はどの程度あるのか、あと、今後の見通しですとか、あと、本改正について、資金調達の方法が広がるわけですけれども、このようなプロジェクトにどういう影響があるのかということについて、これは政務あるいは政府参考人の方でも結構です。よろしくお願いします。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のTICAD4、二〇〇八年に行われておりますけれども、その際議論されておりました広域道路網の整備につきましては、その後、二〇一二年に、アフリカ連合、AUの中で、アフリカにおける長期的なインフラ開発計画としてPIDA、アフリカ・インフラ開発プログラムを策定されまして、その実現を、日本、中国を含む各国ドナー、世銀、アフリカ開発銀行等の開発金融機関が支援してきているところでございます。

 日本としましては、インフラ整備は非常に地域統合においても重要だと考えておりまして、三つの回廊を中心にやってございます。北部回廊、ナカラ回廊、西アフリカ成長の環の三回廊を中心に、道路とか港湾等、質の高いインフラの整備を支援してきているところでございます。

 アフリカにおけるインフラの開発のニーズは非常に大きなものがございまして、アフリカ各国やドナーによる公的資金のみでこれを支えていくのも難しいという事情がありまして、この観点で、今回のJICA法の改正、これはアフリカにおける民間資金動員の促進にも資するものと考えているところでございます。

 いずれにせよ、我が国としては、引き続き、アフリカにおける質の高いインフラ整備、これを後押ししていく考えでございます。

亀井委員 まだまだ伝統的なインフラの整備を必要としている国は多々あるかと思いますけれども、今回の法改正の概要のところで、開発途上国向け民間資金フローがODAを凌駕していることと、あと、途上国の抱える課題が経済成長だけではなくて社会課題に移行するなど、開発ニーズが複雑化しているとありますけれども、じゃ、この複雑化している社会課題、ニーズというのはどういうものがあるのか、具体的に教えていただけますか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 開発ニーズの複雑化に関しましては、近年、経済成長を遂げた開発途上国におきまして、医療分野における生活習慣病の増加、また高齢化の進行、また都市化に伴う大気汚染、さらには脱炭素化の推進やデジタル化といった、日本でも起きている共通する社会課題にも直面していると認識しております。

 民間資金の増大でございますけれども、九〇年代は、ODAが海外から開発途上国への資金流入において最大の割合を占めておりましたけれども、二〇二二年を見ますと、海外直接投資がODAの約二・五倍、海外送金がODAの約二・八倍と、民間資金フローがODAを大きく上回っている状況にございます。

亀井委員 ありがとうございます。

 お配りした資料の二枚目に、ODAの予算がどのぐらい削減されてきているかというグラフを、これは外務省のホームページから取ってまいりました。

 私が先ほどから触れている新JICAが発足した二〇〇八年、そこを見ますと、七千二億円です。JBICの一部と一緒になって新JICAが発足した翌年、初めて七千億円を切るんですね、六千七百二十二億円。ここから、今度、六千億を切るまでは早かったですね。震災があった年、二〇一一年、五千七百二十七億円。それからずっと五千億円台が続いているわけですけれども。

 私が今回気になりますのは、この資金調達の方法が広がる、民間資金の導入を促進をしていく中で、それがきっかけとなってODAの予算が更に減らされるんじゃないか、そんな嫌な予感がするわけですけれども、来年度からODA予算を更に減らすなんてことはありませんよねということを外務大臣に確認をさせてください。

岩屋国務大臣 なかなか財政状況が厳しい中でこのODAの予算の獲得も苦労しておりますが、委員始め多くの議員の先生方の後押しもいただいて、何とか今回微増ということになりました。お示しいただいたように、往時の、一時期のもう半分になってしまっておりまして、これ以上減らすことはできない、ここから少しでも増やしていかなければいけないというふうに考えております。

 外務省としては、今回の法改正によって費用対効果を高めていくということはしっかり追求していきたいというふうに思いますけれども、だからといって、ODAの予算が少なくていいとは考えておりませんで、今後とも、しっかりとした予算の確保に努力をしていきたいと思います。また、委員の先生方の御理解、御支援をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

亀井委員 戦う相手は財務省ですので、是非頑張っていただきたいと応援申し上げます。

 では、次の質問です。USAIDについてです。

 今、トランプ大統領がUSAIDを閉鎖する大統領令に署名をして、開発援助の現場が大混乱しております。被援助国におけるアメリカの影響力の低下を中国が穴埋めをしていくことが懸念されると思うんですけれども、そういう状況で、日本のODA予算も減ってきているわけですし、アメリカの代わりをするということはできませんが、ただ、支援先を、やはり選択と集中という考えで、日本にとって地政学的に重要な場所、例えば太平洋島嶼国、特に台湾と外交関係があるような国々ですとか、そういう場所とは連携強化が必要ではないかな、そのように考えております。

 そうしましたら、数日前に報道がありまして、昨年七月、安倍元総理の三回忌に合わせて来日を希望した蔡英文元台湾総統の入国を認めなかったとあったんですけれども、これは事実でしょうか。また、事実であるならば過剰反応ではないでしょうか。大臣に御質問いたします。

岩屋国務大臣 結論から申し上げれば、そのような事実はございません。

 なお、台湾の報道によりますと、蔡英文前総統側も、報道されているような訪日をアレンジしたことはないという旨を述べておられるというふうに承知をしております。

亀井委員 確認ができてよかったと思います。

 台湾は、二〇一一年に、東日本大震災の義援金を官民合わせて百四十四億円も、当時の王金平立法院長が持って来日をされましたし、ビザに関しては、いろいろ中国から批判がありましたけれども、李登輝元総統が岡山県に心臓病の治療で二〇〇一年に来日されたときに、当時の森総理がビザを出したという経緯があります。

 それで、二〇二〇年に李登輝総統が亡くなったときに、私は今、日華議員懇談会のメンバーですけれども、弔問団、派遣の団長の森元総理が行かれて、戻ってきて、報告会のときに、そのビザを出したときの状況とか気持ちとか、いろいろ報告がありました。かなりの覚悟、信念を持って出されたわけですけれども、やはり、人道的なことで大事だと思いましたし、政治活動をしないということであれば寛容であるべきだと私は考えますので、この質問をしました。

 本題の太平洋諸国に対する支援ですけれども、先ほどから参議院のODA特別委員会の話が出ております。私もあの委員会に所属をして、非常に貴重な経験をいたしました。

 協力隊のお話で、その人を通してその国を感じるという発言がありましたけれども、せっかくですので、私の経験を通してちょっとツバルを感じていただきたいと思います。

 派遣先として、参議院は、アフリカとアジア方面と太平洋諸国に分かれます。私は太平洋諸国で、当時の溝手顕正委員長が、地球温暖化で本当にツバルが水没しつつあるのか見に行きたいと言い出しまして、それで、私はそちらの太平洋諸国の班に入っておりまして、フィジーとツバルに行ってまいりました。

 ODAらしく、とてもワイルドな視察でした。初めにブリーフィングを受けましたけれども、まずフィジーからツバルに飛びます、三日に一度しか飛行機がないので、行くともう自動的に三泊になります、ホテルらしいホテルはありません、唯一宿泊できるところがあるけれども、部屋に鍵がかからないことが多いので、それは鍵がかかるようにリクエストしておきます、シャンプー、リンスはもちろん、石けんも持っていってください、何年前の石けんだか分かりません、シャワーは水しか出てきません、ただ、寒い国ではないので冷水ということはありませんと。そんな具合でして、私たちもかなりの覚悟で、国会議員の滞在記録をつくるぞという思いでみんなで押しかけていきました。

 現地で見たものですが、日本のODAで造られた海水の淡水化施設、それから日本が寄贈した消防車がありました。この消防車は空港にありまして、どう使われたかといいますと、まさに私たちが帰るときですけれども、滑走路をサイレンを鳴らして走り回ります。それは、滑走路に人がいないかクリアにするためなんですね。昼間はともかく、夜だと滑走路がアスファルトで冷たくて涼しいので人が寝転がっていることがあるらしくて、そういう人をどけるために日本の消防車が走ります。さらに、その上空を飛行機が一回旋回して、障害物がないのを確認して着陸をしてまいりました。

 いろいろカルチャーショックだったんですけれども、その中で感じたことが、台湾と国交がある国だということです、今でもそうですけれども。なので、あの首都で一番立派な建物は、三階建ての、台湾の援助で造られた政府の建物でした。一方、国会議事堂というのは、壁がない、屋根と柱だけの集会所のような建物でして、その建物は神聖なので、中に入るとけんかをしてはいけないんだそうです。そんな状況で、あと、流通していた通貨はオーストラリア・ドルです。

 ですので、感じたことですけれども、ああいう国はやはり援助がないと立ち行かないですね、オーストラリアの援助、そして台湾の援助、こういったものがないと。要するに、中国のように、被援助国から援助国に脱するようなことはちょっと難しいと感じまして、つまり、どこからお金が来るかということで、外交的な姿勢も背に腹は変えられず変わってくると思うんです。

 なので、ツバルとかマーシャル諸島とかパラオとか、元々日本がODAで深い関係にある国々との連携は強化していくべきだと思いますけれども、大臣の御見解を伺います。

岩屋国務大臣 亀井委員のお話を聞いていて、まさに、何かツバルの光景が目に浮かんでくるような感じがいたしました。ありがとうございます。

 太平洋島嶼国地域との協力関係は、価値や原則を共有しているという意味でも、また、地政学的に戦略的にも極めて重要だというふうに考えております。

 政府としては、こうした考え方の下に、昨年七月に開催した第十回太平洋・島サミット、PALM10の首脳宣言及び共同行動計画において、七つの重点協力分野を設定いたしまして、今後三年間にしっかりとした開発協力を行う、さらに、六千五百人以上の人的交流、人材育成を実施する旨を表明をいたしました。

 私も、本年一月にパラオを訪問させていただきました、大統領の就任式典に参列したんですけれども。また、今月も、太平洋諸島フォーラム、PIF事務局長のワンガ氏を迎えて会談をしたほか、また、ロバート・ミクロネシア連邦外務大臣とも会談を行いました。こうした機会を通じまして、PALM10の成果を基に二国間や地域全体との協力を着実に実施をして、次回のPALM11に向けて緊密に連携をしていきたいと考えております。

 そして、オーストラリアなどの同志国とも緊密に連携して、太平洋島嶼国に対して戦略的に支援を行っていきたいと考えております。

亀井委員 先日、オーストラリアの太平洋諸国担当の方も来日されていたと思いますし、やはりオーストラリアもかなりの危機感を持ってこの地域を見ておりますので、連携して、是非ODAに力を入れていただきたく、お願いを申し上げます。

 では、最後の質問です。

 先ほど、JICAの職員の自治体派遣を進めておりますという御答弁があったんですけれども、まさに私の地元の島根県海士町も、JICAと二〇一八年に連携協定を結びまして、海外青年協力隊が海外に実際に派遣される前の研修を行っております。実際に協力隊員が海外でいろいろな地域の要望を受けてプロジェクトに取り組むわけですけれども、その前に、日本語という母国語で、その地域で要望されている、何かのITのシステムを作ってほしいとか、あるいは祭りを復活させてほしいとか、いろいろな要望をかなえるために奮闘しております。ですので、いい取組だと思います。

 ただ、一方で、今年から特別交付税も使えるようになったらしいんですけれども、今、JICAが五十代の職員の自治体派遣を進めているようでして、何かありませんかと、自治体の側がいろいろと、いかがですかと言われるので戸惑っております。どういうことをやってもらえるんだろうかということもありますし、元々海外に人を派遣してきた組織ですから、何か国内派遣というのはちょっと内向きになってはいないかなということも気になっているんですけれども、その辺りについて御答弁をお願いいたします。

大場参考人 お答え申し上げます。

 地方自治体へのJICAの職員の派遣でございますけれども、今年度、海士町を含めまして八つの地方自治体への職員の派遣実績がございます。これは、いずれも地方自治体からの要請を受けて実施しているものでございます。

 開発協力大綱におきまして、新たな解決策や社会的価値を我が国にも還流させること、こうした取組の中で、我が国と開発途上国の次世代を担う人材を育てていくことによって、我が国自身が直面する経済社会課題解決や経済成長につなげることを目指すということが基本方針で示されておりまして、また、この方針にも合致しているものと考えております。

 それで、役職定年を迎えた職員でございますけれども、この八つの自治体のうち六つの自治体にはそういう職員を派遣しております。

 JICAの職員全体としましては、JICAはまさに国際協力を実施する機関ですので、今海外に九十七の拠点を設けておりまして、職員は非常に海外志向も強く、そういった形で取り組んでいるところでございます。今後とも、有為な人材を採用、育成することで開発協力に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

亀井委員 続けて、ちょっと質問を分けて、また伺います。

 JICAの関係者から聞こえてきたことなんですけれども、今深刻な問題であるのは、JICAの職員の五割がこの三年以内に大体採用されていて、引継ぎに問題が生じている。なので、数年前のことを尋ねても、ちょっと組織によく伝わっていないということが起きているんだそうです。これは一体どういう、何が起きているのかなというふうに感じております。

 また、先ほど青年協力隊の応募者が減っているという指摘が小熊議員からありました。これは、若者の人口も減っているわけですから、それは減っていくことは考えられますけれども、それだけなのかどうか。実際に応募者が少ないということをJICAとしてはどのように捉えていらっしゃいますか。

 そこで、私、またさっきの議事録にちょっと戻りたいと思うんですけれども、緒方貞子さんが委員会でこんなことを言われていました、そのまま読みます。

  まあこんなこと申し上げていいのか分かりませんが、非常に生活が比較的楽で内向きになっている今の現状から、何とかもっと厳しい状況で、相互依存の世界の中だからそういう人たちを、もっと国々や人々を助けなきゃならないと思うような若い人がどんどん出てくるという状況に今日本がなっているんだかどうか、私には非常に外向きで元気いっぱいで世界中のためにいろんなことがしたいという若い人が育っている時代じゃないんじゃないかというような気が時折いたします。それはやはり日本は楽なんだと思います、生活も生活水準も。

とこのとき発言されているんですけれども、こうした緒方さんの感じ方なども含めて、どのように捉えていらっしゃいますか。

大場参考人 まず、経験年数の浅い職員が増えているという点でございますけれども、やはり、一般的な傾向としてJICAは離職者が多い。加えて、それに対応して、社会人採用という形で新たな職員も採用しています。ですから、相対的にずっと職員の流動性が高まる中で、経験年数が浅い職員が増えているというのはございます。そういった中で、それを補うために研修などを拡充するとかいう形で、しっかり事業に取り組める体制を整えていきたいと考えております。

 協力隊についての御質問ですけれども、派遣の規模につきましては、一時期、コロナの影響で全員が日本に帰国しましたけれども、その後、徐々に派遣を再開しまして、今年、二〇二五年二月現在では千七百七十四名を七十四か国に派遣しておりまして、これは、おおむねコロナ前の派遣規模に回復しております。一方で、応募者が減っているということはそのとおりでございまして、そこは、なるべくたくさんの方に応募いただけるように、SNS等を通じた応募勧奨を行っております。

 最後に、緒方理事長のメッセージを受けてということなんですけれども、JICAはまさに世界でODAを実施する組織でございますので、是非とも、海外志向が強い人材がそろっておりますので、そういった人的体制の中で、開発協力に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

亀井委員 青年海外協力隊は長い歴史がありますし、民間の外交官ですから、是非ここは力を入れていただきたくお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 立憲民主党、長野三区、衆議院議員の神津たけしです。

 私、今、ちょっと質問に入る前に少しだけ。亀井亜紀子議員の配付資料にありましたけれども、PIDAとかJICAの広域の回廊開発とか、私、衆議院議員になる前は、一日前までJICAのルワンダ事務所におりましたので、まさにNEPADに行って交渉したりとか、いろいろやっておりました。

 その意味において、私、JICAに対しては、本当に感謝という気持ちと、それから、このままJICAのレピュテーション、高い評価を海外から得ていますので、それを継続していただきたいというふうに思っております。

 ただ、今回の法律の改正の中においては、一部分、私はちょっと、この部分についてはもう少し条文の中でも詳しく書いていくべきであるというふうに思ったところもございました。というのは、一つのところで、信用保証を付与する点でございます。

 これまでJICAの政府開発援助というのは、相手国の発展につながるような公益の開発協力というのを行ってきました。これに対して、今回の民間資金を動員していくというところ、特に信用保証をやっていくというところについては、途上国の民間企業の利益のためにJICAが大きなリスクを取っていくというところにあって、ここが大きな問題ではないかというふうに思っております。

 例えば、ちょっと配付資料一をまず御覧いただきたいんですが、これは日本の信用補完制度の図なんです。

 中小企業が金融機関からお金を借りるときに、担保とか信用力がなければお金を借りることができない。その際に使えるのがこの信用保証協会の保証でして、信用保証協会に対して保証料を支払うことによって、金融機関からお金を借りることができる。ただ、万が一、中小企業が借りたお金を支払えないというときには、信用保証協会がその借金を銀行に代わりに支払います。これを代位弁済というふうに言っておりますが、この仕組みのよいところは、中小企業にとっては、保証料を支払うことで、金融機関から創業や運転資金の融資を受けられる点でもあります。

 ただ、今回の仕組みでは、各信用保証協会が担っている役割、それから日本政策金融公庫が行っている信用保険制度、この全てをJICAが担っていくこととなります。これは非常に大きなリスクでもありますし、万が一、途上国の中小企業が倒産してしまった場合は、JICAが持っている財産から代位弁済が行われていく。これを言い換えれば、日本国民の税金によって、財産によって、途上国の企業が赤字、借金をしてしまったところ、返せないところを返していくことになるんですね。実は、私は大きな問題ではないかというふうに思っております。

 質問一に行きますけれども、なぜ、特定の途上国の民間企業が利益を上げるための事業活動に日本政府が、信用保証、実質的な政府保証を与えていくのか。また、途上国企業が借金を支払えなくなったときに、日本の国民の財産、税金で支払う理由はなぜか教えてください。

岩屋国務大臣 民間資金を導入していくという際に、委員がおっしゃったような、リスクコントロール、管理がしっかりできるのかどうかというのは重要な視点であるというふうに思います。

 信用保証の導入を含む民間資金動員のための手法の拡充は、JICAが開発途上地域における多様な資金ニーズに応えることを可能とするとともに、公的資金を効率的に活用し、民間資金をそこに動員して、途上国の抱える開発、社会課題の解決に貢献するものでございます。

 この信用保証は、世銀等の国際開発金融機関や主要国の開発金融機関も実施している手法でありまして、開発分野における国際的な潮流にも合致するものでございます。

 この信用保証業務の実施におきましては、現地民間金融機関による融資の貸倒れ率、債権保全措置の状況、金融市場の動向などを踏まえまして、信用保証の付与に伴うリスクを適切に評価し、その上で、当該リスクに見合った保証料を徴収し、既存の海外投融資業務と同様に、業務全体として利回りが事業のリスクを上回るように運用する考えでございます。

 なお、これはポートフォリオ保証という手法になります。個々の会社に対する信用保証ではなくて、開発途上地域の現地金融機関が現地企業に対して行う複数の融資を束ねた融資ポートフォリオに対してJICAが信用保証を付与するということを想定しているところでございます。

神津委員 今、聞いたことに対しては答えずに、別のことを答えていらっしゃる。

 今おっしゃられたのは、多様な開発資金のニーズに応えていく、それから国際的な潮流、ほかの開発銀行がやっていることをやっていく、それからリスクに合うような保証料を設定していく、それからパッケージで保証を行っていく、銀行経由で保証を行っていくということをおっしゃられましたけれども、今の私の質問には答えていないんです。

 なぜ、途上国の民間企業が利益を上げるための事業活動に日本政府が実質的な政府保証を与えていくのか、それから、途上国企業が借金を支払えなくなったときに、日本の国民の財産、税金でそれを支払っていくのか、ここについての答えがなかったんですが、ここをお答えいただけますか。

宮路副大臣 今回のJICA法の改正に伴う、御質問にもありますポートフォリオ保証は、ODAの一環でございます。

 ODAというのは、開発協力大綱にもあるとおり、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の下、平和で安定し、繁栄した国際社会の形成に資するものであると同時に、我が国と国民の平和と安全の確保、経済成長による繁栄といった我が国自身の国益の実現にも寄与するものである。そのODAの手法を多様化し、民間のスキームを有効に活用するというものでございまして、その意味で、今回、日本政府が信用保証を行うということでございます。

神津委員 お答えいただいていないと思うんですが。

 なぜ私がこんなにここを気にしているかというと、先ほど配付した資料一をもう一回御覧いただきたいんですが、日本の信用保証の仕組みの中では、中小企業のうち、百五十八・八万社、四七・一%もの企業がこの仕組みを実は利用しているんですね。全体の中では、三十六兆円、今、信用保証を与えています。毎年、おおよそ五千億円ぐらいの代位弁済というものが行われているんですね。

 五千億円毎年必要なわけではなくて、保証料をいただいているので、差引きすると毎年千数百億円ぐらい。税金が注入されているのは、毎年、おおよそ八百億円ぐらいの税金が注入されています。

 日本の信用保証制度、毎年必ず数百億円ぐらいの大きな赤字を生み出してはいるんですが、ただ、日本としては私は成り立つと思っているんです。何でかというと、中小企業が成長すれば、そこから税収が入ってくる、それから、中小企業で働いていらっしゃる方々は、住民税であり、所得税であり、消費税であり、こうした税金を支払っていくことによって、毎年一千億円ぐらいのお金を注入したとしても、それ以上の税収というものが返ってくるというところで、この仕組みは私は成り立つと思うんですね。

 ただ、今回の場合には、海外の中小企業の信用保証を行っていく、赤字を出したとき、借金を出したときに、なぜかそれを日本の国民の税金で支払っていくというところが、ここがやはり私は余り納得できないというところなんですね。というところなので、何で政府保証をここに出していくのか、それから、何で日本国民の財産、税金を支払っていくのかというところを気にしているところです。

 ただ、今お答えいただいていないんですけれども、多分、これは何度も私はやっているんですけれども、ずっとお答えいただいていないんですよね。このままだと、やはり私は国民に対する説明が不足していると思いますので、ここの部分についてはやはりしっかりと考えておいていただきたいというふうに思っています。

 それから、今、私、家を一軒一軒やはり訪問していると、そうすると、この寒い冬の中でも、皆さんが家の中から出てくるときに、家庭によっては厚いコートを着てマフラーを巻いて出てくるんですよね。夏場でも、回っていると、皆さんはクーラーを使わないで、すごい汗をかいて出ていらっしゃる方とか、非常に多くなっていらっしゃいます。それから、先月出たエンゲル係数のデータでも、四十三年ぶりの高い係数が出ているというふうになっております。

 質問二に移りますけれども、日本は長期にわたって経済が成長せずに、国民生活は物価高に賃金、年金が追いついていないというところがあります。国民からは途上国への開発支援に対しても厳しい声がある中で、なぜこのタイミングで、この時期にJICA法を改正してこうした信用保証という仕組みをやっていくのか、これを教えてください。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、やはりODAをめぐる環境が大きく変わってきている、開発途上地域における多様な資金ニーズに応えることを可能とする、そしてODA予算も、先ほど来御議論いただきましたが、往時の半分ぐらいになって、簡単にこれをまた回復するということも難しいという状況の中で、より効果的、効率的にこのODA予算を使っていくという観点から信用保証という仕組みも取り入れようとしているところでありまして。

 重ねて申し上げますが、個々の会社に対する信用保証ではなく、ポートフォリオ保証という形を取ります。また、審査には、先ほど申し上げたような手法を使って、そのリスクコントロールをしっかりやっていくという考え方で進めていこうとしているところでございますので、そこは是非御理解を賜りたいと思います。

神津委員 また今の答えにも、なぜこのタイミングでやっていくのかというところは答えていただいていないと思うんですが。

 それから、ポートフォリオでの保証をやっていくというのも、これも別に、個別でやろうが、ポートフォリオでやろうが、仕組みとしては一緒なんですよね。結局保証する金額というのは、百社に対してそれぞれ保証をやっていくのと、それからポートフォリオ、じゃ、一括してまとめた金額を保証していくというところも、保証料というのは結局一緒なんですよね。だから、余り私はそこを強調されても響かないところなんですけれども。

 なぜこのタイミングでやっていくかというところは、私は、この法案の信用保証をやっていくという構図、タイミング的にはやはり間違っているんじゃないかなと思っています。やはり今の日本の状況を見ていれば、国民生活が豊かになっていくところについてもう少しサポートしていくべきであって、新しいことを今やる段階なのかというと、本当は、今やはりやっていくべきではないのではないかというふうに思います。

 もう一つ、今日、コロナ禍のときについてもちょっと言いますけれども。

 この信用保証制度、日本における信用保証制度なんですが、毎年大体一千億円ぐらいの税金が注入されている中において、じゃ、コロナ禍のときに幾ら注入したかというと、三・六兆円、日本政府は税金を投入したんですよね。これも、三・六兆円は非常に大きな金額で、賛否両論あると思うんですが、ただ、この三・六兆円を投入したことによって、中小企業が何とかコロナ禍の中でも生き延びることができたというところで、私はやはり評価するべきところだと思うんです。

 ただ、これが同じように、じゃ、日本政府が信用保証を与えている、JICAが信用保証を与えている途上国においてコロナ禍が発生したときには、非常にリスクの高いこととなってしまうというふうに思っています。

 三番目の質問に移りますけれども、日本の信用保証というのは常に赤字です。JICAの信用保証は赤字とならないのか。リーマン・ショック、コロナ禍、戦争時には、中小企業からの銀行への返済が滞り、JICAによる代位弁済が大幅に増加するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 ポートフォリオ保証については、もう何回も答弁しましたので省かせていただきますけれども、委員が今御指摘されたような、例えばマクロ経済への大きな影響が発生した際には、確かに保証履行が大幅に増加する可能性もあると考えておりますが、そのような場合においても、その保証の履行額が海外投融資業務の勘定全体の中で吸収できる範囲にとどまるように、規模感を慎重に管理しながら業務を実施していく考えでありまして、これは先刻、JICAの理事長からもそういうお話があったところでございます。当然、そういうことがしっかりできる知見を持った専門人材、また外部との連携が図られなければならないというふうに考えております。

神津委員 今の規模感のところなんですが、どのくらいを想定していらっしゃいますか。

宮路副大臣 現時点で規模感は定まっておりませんが、小規模なものから取組を始めまして、実績を積んでいく考えでございます。

神津委員 小規模のものからやっていく、規模感を定めていないというところなんですけれども、やはりここは条文が非常に私は粗いと思っていまして、信用保証をやっていくということだけが書かれているんですよね。

 だから、もう少しこの質問の中で、どれぐらいの規模感でやっていくのかとか、それから、ポートフォリオ保証にしたって、じゃ、どのぐらいの金利でやっていくのか、やはりここを答えてもらわないと、なかなか審議にならないと思うんですけれども。

 規模感は、じゃ、もう全く金額ベースでは分からないということですか。コロナ禍のときとか、例えば、本当に莫大な金額を保証しなければならないような仕組みなんですよね。そこについて、やはり規模感というものを教えていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

宮路副大臣 今回のこの信用保証は、他国、例えば、フランスの開発金融機関、プロパルコであるとか、あるいは国際金融公社、IFC等と協調して行うことになるということを想定しております。

 例えば、フランスの開発金融機関の例でいきますと、二十八・五百万ユーロ、約五十億の信用保証を行っている、あるいは国際金融公社であれば、三千六百万ドル、約五十四億円の信用保証を行っている、そうしたことが一定の参考になろうかと思います。

神津委員 全く私は参考にならないと思うんですよね。

 日本が、JICAが信用保証を与えているのであれば、JICAがどのくらいの規模でやっていかなくちゃいけないか、やっていこうと思っているかというのを答えてもらわないとならないと思うんですよ。それを答えられないというのは、信用保証のこの制度を今このタイミングで出してくること自体が私はやはり間違えているんじゃないかなと思うんですよね。

 金利というのは、どのぐらいを想定していらっしゃいますか。

宮路副大臣 これも、先ほど申し上げた他国、他の開発金融機関の例を挙げてお答えしたいと思いますが、米国の開発金融機関においては、一九九九年から二〇一六年に実施した保証額に対する保証履行額の比率は約三%であったと承知をしております。

 仮にJICAがこれと同様のリスクを想定するポートフォリオ保証を付与する場合は、三%をやや上回る程度の保証料率を設定することが考えられますが、実際の保証料率の設定に当たっては個別のケースに応じて慎重に検討してまいることになろうかと思います。

神津委員 今のアメリカの保証料率の設定は三%ですけれども、コロナ禍のとき、ちゃんと勘案していますか。

 じゃ、私が勝手に先に答えさせていただきますけれども、勘案していないんですよね。コロナ禍のときの代位弁済が三・六兆円、通常であれば一千億円ぐらいで支払っていたものが三・六兆円に大きく跳ね上がったんです。

 これは、やはりJICAが行う援助のときだって同じように急激に、コロナ禍だけじゃないですよ、リーマン・ショックのときだって大きく企業が倒産しましたし、それから、急に戦争になることも、内戦が起きたりとか、途上国の中でやはりリスクというのは非常に高いんですよね。

 だから、先ほどおっしゃられていた三%というのは、もう少しやはり考えていかなければならない金利だと思います。ちゃんとコロナ禍のとき、それからほかの有事のとき、こうしたことを想定した金利になるように設定していただけますか。

宮路副大臣 コロナ禍についてはちょっと御用意しておりませんが、先ほども申し上げたとおり、米国の開発金融機関の例について言えば、一九九九年から二〇一六年までですから、当然リーマン・ショックは含まれることになりますので、それを含めても保証履行額の比率は約三%であったということでございます。

神津委員 もう少しデータを見直した方がいいんじゃないかなと私は思います。

 じゃ、次に、五番の質問を飛ばして、六番と七番をちょっと併せて聞かせていただきます。

 今回JICAが行う信用保証なんですが、代位弁済した後にはJICAの方に債権が移ってくると理解しています。

 JICAは、返済が滞ったとき、債権をほかの企業に売り飛ばすことはあるのか、それからもう一つは、JICAが、回収に係る手数料、これを銀行に支払って回収業務を依頼するのか伺えますでしょうか。

宮路副大臣 JICAが行う信用保証業務においては、現時点では、個社に対する信用保証ではなく、開発途上地域の現地金融機関が現地企業に対して行う融資ポートフォリオへの信用保証を想定しております。

 当該保証対象となる融資先の現地企業が債務不履行に陥り保証履行を行った場合は、JICAが当該現地企業への求償権を有することとなります。

 求償権については、JICAが直接回収するのではなく、現地金融機関が引き続き回収を継続し、JICAは現地金融機関が回収できた資金を保証比率に応じて得ることとなります。保証先の現地金融機関に回収業務を委ねることから、求償権を第三者に売却することは想定しておりません。

 そしてまた、JICAが回収に係る手数料を銀行に支払い、回収業務を依頼するのかということについてでございますが、回収業務については、現地金融機関が引き続き回収を継続し、回収できた資金はJICAの保証比率に応じて得ることについて、あらかじめ現地金融機関との契約において取り決めることを想定しているものでございます。

神津委員 債権の転売はしないというところが確認できましたので、ここはよかったのかなと思っています。二国間の関係の中においても、JICAが取立て屋になるようなことはやはりやめていただきたいというふうに思っているので、そこを確認できたのでよかったと思っています。

 ただ、回収に係る手数料、これもまだやはり余り決まっていないようなところがあると思うんですよね。これも、結局、銀行にとっては、JICAが回収業務を依頼するのかもしれないですけれども、余りメリットはない。銀行が、自分自身が、じゃ、信用保証がない場合には一生懸命取立てというのをやると思うんですけれども、JICAから代位弁済してもらえているのであれば、ここはもう回収するメリットも少なくなってしまいますので、そこはもう少しやはり仕組みというものはしっかりと考えていただければというふうに思います。

 ちょっと質問を飛ばして、時間がないので、マイクロファイナンスの方にいきたいと思います。

 次の配付資料二のところをちょっと見ていただきたいんですが、マイクロファイナンスにおいてでは、開発銀行、世界銀行、IFCグループが行ったところについて、カンボジアでマイクロファイナンス機関に対して資金拠出を行った。そのマイクロファイナンス機関が取立てを厳しくやったせいで、自殺してしまったり、それから土地を売ったりとか、子供を働かせるような事例というものが大きく取り沙汰されているところでもございます。

 じゃ、このIFCはそのマイクロファイナンスの機関に対して審査というものをちゃんと行ったのかといえば、実は、このマイクロファイナンスの機関というのは、真ん中の部分あたりにあるんですが、国際基準に基づいて最高級の顧客保護の体制を設けているというふうに認証を受けていたところでもございます。こうして国際基準にちゃんとのっとっているようなマイクロファイナンス機関でさえ、やはりそういうような大きな問題、取立ての問題というものがあるというところでもございます。

 ちょっと質問九に行きますが、開発金融機関や現地のマイクロファイナンスを提供する銀行がもうかっている中において、貧困層や農家は返済で首が回らなくなっているという現状がございます。マイクロファイナンスは高金利で返済も厳しく、多重債務につながっております。さらには、借金を苦に自殺する、家屋や土地を取られてしまう、海外に出稼ぎに行かざるを得ない、子供を働かさざるを得ないような家庭も多くなっているところでもございます。

 JICAが提供する信用保証なんですが、マイクロファイナンスを行う銀行が提供する融資に対しても保証を行っていくのか、教えてください。

宮路副大臣 一般に、マイクロファイナンス機関の融資金利は、無担保融資に起因する信用リスク、小口多数の借入れの審査や管理等に伴う運営コスト等の影響で、銀行融資と比べて高水準となる場合が多いと認識しております。他方で、マイクロファイナンスは、適切に運用されれば、雇用機会の創出や支出の平準化等を通じて、貧困削減に貢献し得るものと考えております。

 JICAがマイクロファイナンス機関に対して信用保証を行うかどうかについてでございますが、その信用保証を付与する際には、委員御指摘の問題も十分に踏まえつつ、当該機関の法令遵守の実績を含むトラックレコードやレピュテーション等を確認した上で、先ほど委員が参考資料でお示しになられた点もしっかりと踏まえた上で、特に慎重を期して検討してまいりたいと考えております。

神津委員 特に慎重を期してやっていただけるというところなんですが、マイクロファイナンス自体がやはり高金利なんですよね。今ちょっと下がっているかもしれないですけれども、二〇一五年までのこのマイクロファイナンスの平均金利、アフリカにおいては三四%、南米においては三〇%、それからアジアにおいては二二%と非常に高いこの高金利。

 じゃ、今、アメリカにおいても、どのぐらいの金利でやっているかというと、アメリカにもグラミンバンクがありますけれども、グラミンバンクにおいて、アメリカのグラミンバンクですよ、一五%が入口です。一五%から一八%、非常に高い金利。更にここに信用保証の分の料率を乗せていくということになるので、やはりこれは大きな問題だと私は思うんですよね。

 例えばインドでも、今年になってからも抗議行動が行われております。BBCの報告書においては、一九九七年から二〇一一年までの十四年間で二十万人の農家の方々が自殺しているというような統計もございますし、国際連合人権高等弁務官事務所の……

堀内委員長 神津たけし君に申し上げます。

 申合せの時間は経過しておりますので。

神津委員 分かりました。

 スリランカにおいても、数年間の間に二百人の女性が債務のわなに陥って自殺しているような現状もございますので、是非ともこういう点にちゃんと留意していただいて、この信用保証をやるのであれば、本当に慎重にやっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、和田有一朗君。

和田委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 もう随分といろいろと丁寧な議論が続いておりますので、私からは、JICA法の関係に関しては、大ざっぱな、大ざっぱというのは変な言い方ですけれども、大きな枠での話をお聞きしたいと思うんです。

 まず、JICAが包括的な開発協力機関となってから初めての法改正ということになりますので、原点に返って、まず、JICA、何人かの先生方もJICAについてはお聞きになりましたけれども、JICAの設立あるいは途上国支援の理念、そういったことから含めて予算に関して聞いてみようと思うんです。

 去年の実は補正予算のときも岩屋大臣に、私、このことをお聞きしました。私もJICA議連にも入っておりますし、申入れにも行かせてもらいました。あのときも申し上げましたが、私もそうですし、大臣も、末次一郎先生という民間外交をなさった大変偉大な方の下で学ばせていただいた同門であると私は思っております。

 この末次一郎先生が、民間外交を進められた、沖縄復帰やそういったこともやられた偉人ですけれども、JICAを設立、青年協力隊を設立した、実務的にしたわけじゃありませんけれども、そういう生みの親というふうにも言われています。

 毎年、この末次一郎先生の銅像がある沖縄のJICAセンターに我々門人が集まって掃除をするということをやっている。そのときに勉強会もやったりする。そのときに岩屋さんからは外務大臣としてのメッセージもいただいて、今年は行けないけれども、末次一郎先生の思いを持って国際協力に、あるいは協力隊を応援したいというような内容のメッセージをいただいた。我々は非常にうれしく思った、力強く思いました。

 そういった中で見てみると、やはりJICAの予算というものは厳しい。ODAは増えましたけれども、これだって全体的にどんと増えたわけでもなければ、いろいろと為替の関係があったり、あるいはウクライナの支援のいろいろな、言葉は悪いですけれども、つけ替えとかいろいろある中で、ODAというのは若干辛うじてとどまったという中で、JICAの予算は減っている、こういうことだと思うんですね。

 そういうことも含めて、このJICAの果たす役割や理念というものを考えながら、予算についてどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。

岩屋国務大臣 和田委員とは、末次先生に御指導いただいて以来の仲でございますが、今その間のことも御紹介いただき、大変恐縮しております。

 JICAの目的は、言うまでもないことですが、JICA法第三条に規定されておりますとおり、開発途上地域の経済及び社会の開発若しくは復興又は経済の安定に寄与することを通じて、国際協力の促進並びに我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することでございまして、当然のことながら、この規定は本改正法案でも引き続き堅持をしているところでございます。

 ODAの予算については、本当に、和田委員始め議連の先生方にも大変御支援をいただいて、ありがとうございました。結果としては微増ということになったわけですけれども、私は、これはしっかりキープ、少しでも回復させていかなければいけないというふうに思っております。

 なぜならば、ODAあるいはJICAを通じた国際協力というのは、日本外交の本当に大きな資産になっている。私は、外交使節団と面会をするたびに、また海外、特にグローバルサウスの国々を訪問するたびにそれを体感しております。

 したがいまして、今回の改正法案を通じて、新たな時代における、新たなニーズに応えられる国際協力の仕組みを不断に構築をしていくとともに、ODAの費用対効果を高めるということを含めて、このODAあるいはJICAによる活動を一層拡充をしていきたいというふうに考えているところでございます。

和田委員 こういうふうに語ってはいただけるんですが、JICAの予算は増えていない。去年、補正予算でも一生懸命我々もお願いしたし、この場でも今の話をしながらしましたが、増えなかった。しっかりとやっていただきたいと思います。

 これを何度繰り返したって、それはここで、じゃ、増やしましょうとなるものでもないし、なりませんけれども、やはりそういった理念の下にしっかりと大事なことはやらなきゃいけないんですから、お願いしておきたいと思うんです。

 ここで、最後に今日、ここまでたどり着けるかどうか分かりませんけれども、パラグアイの支援のことにも触れようと思っているんです。今日、そこまで質問の時間が足りなかったら次へ送りますけれども、それだってやはり情けは人のためならずで、やはり我々がこの厳しい国際環境の中で生き残っていくために実は必要な部分なんですよね。

 それでいうと、今なぜ末次一郎先生の話を出したかというと、今日ですか、産経新聞の「オピニオン」に末次先生の名前が出ていたんです、実を言うと。何かというと、インドネシアの独立を支援した日本人に対する謝意というオピニオンがあった。そこに何を書いているかというと、ジャカルタでインドネシアの国防副大臣が先般こういう発言をしたそうです。日本には感謝しなければならない、独立を助けてくれたんだと。独立を助けてくれたのには何人かの人々がいるという言葉の中に、北方領土、沖縄返還運動に尽力した末次一郎らもいた、戦後に民間人となった日本人であるというくだりが出てくるんです。

 やはり我々は海外でいろいろな応援をすることによって、最後に我々に返ってくるものがあるはずなんです。それを思うときに、やはりJICAの予算が、ODAの予算が、これではいかがかな、こう思うところであります。

 もう一度、何か思いがありましたら、一言お願いします。

岩屋国務大臣 もう御指摘はおっしゃるとおりだと思うんですが、一方で、今日も幾つか出ましたけれども、国民の皆さんから見ると、対外支援をするそれだけの資金があれば、国内に振り向けるべきだというような声も出てまいります。したがって、やはりこのODAあるいはJICAの事業というものがまさに情けは人のためならずで、最終的にはこの日本の国益、国民の利益というものに返ってくるんだということについて、今日は小熊委員からもっと見える化をせよというふうに御指摘をいただきましたが、国民の皆さんにこのことを御理解いただけるように、その努力をしっかりとしながら拡充に努めていく、この両方の努力が必要なんだというふうに思っております。

和田委員 ひとつよろしくお願いします。

 そこで、次の質問に移ります。

 今回の法改正で、草の根技術協力のパートナー拡充みたいなものが盛り込まれております。海外の団体にも拡大されていく。外務省のNGO向け資金協力というのもある。こういうものが国益に反したり、テロ組織とのつながりとか、そういったものにつながっていくようなことがあってはならないわけで、適正さへの担保はどうするか。さらに、違法状況のチェックは大丈夫なのか。

 今回くしくも、先ほどの質問に出ましたけれども、フィリピンへのODAで情報漏えい事案が出ました。こういうことを見ても、JICAのガバナンスというのは、我々は応援してもっと予算を増やせとは言っていますけれども、大丈夫なのかと。再発防止はちゃんとできますよねということを、私は細かいことまで言いませんから、この全体的なガバナンスについて、そして再発防止についてどうお考えかをお聞きします。

岩屋国務大臣 草の根技術協力のパートナーを拡大するという考え方に立っているわけですが、委員がおっしゃるように、それがまたよからぬ団体などに拡大することがあってはならないというのは当然のことでございます。

 海外の団体の審査に当たりましては、JICAの現地事務所を通じて当該団体へのヒアリングを行うとともに、団体の概要、活動内容、実績、財務状況などをしっかりと把握するということを想定をしております。加えて、事業の終了後には活動報告書を提出をさせる。資金の用途をしかるべく確認して、適切な事業の実施に努めていく方針でございます。

 なお、現在外務省が実施しているNGOと連携した支援におきましても、事業の審査段階において、今申し上げたような段取りを踏んでいるということでございます。

 御指摘のあった先般の情報漏えい事案については、これを重たく受け止めております。今、検証委員会を通じた検証が行われておりますので、その結果を踏まえて、国民の信頼回復に努めるようにJICAをしっかりと監督をしてまいります。

和田委員 しっかりお願いします。

 私も前期、WFPの議員連盟ですか、ラオスに行きました。当時はまだコロナ禍にかかっていた時期でしたので、十分な活動は協力隊の皆さんはできていない、それがもどかしい時期だったんですけれども、やはり現地の皆さん、協力隊の現場の皆さんというのは、非常に熱心に一生懸命やっている。やはり、そういう人々を国民から見てきちっと正しく受け止められるような状況にしておかなきゃいけませんので、しっかりとお願いします。

 次に移りますが、前回できなかったものをしていきたいと思うんです。

 台湾に関係する、国際関係について聞いていくわけですが、先ほども亀井先生からもありました、蔡英文前総統の訪日に関する話、もう一回聞きます。

 安倍元総理の三回忌参列のための来日というものが取り沙汰されたときに、報道では、日本が拒絶したというような報道が出ました。これについて、もう一回、その事実関係はどうだったのか、まずお聞きします。

岩屋国務大臣 重ねて答弁申し上げますが、そのような事実はございません。また、蔡英文前総統側も、そういうアレンジをしたことはないと述べておられると承知をしております。

和田委員 では、もう一回聞きますけれども、申入れそのものがなかったということなんでしょうか。

岩屋国務大臣 そのとおりでございます。

和田委員 じゃ、ということは、拒絶した事実もないということでよろしいですか。もう一回聞きます。

岩屋国務大臣 御指摘のとおりでございます。

和田委員 じゃ、ある意味、誤報ということになりますよね。大通信社が誤報をやったということになります。背景があったのではないかと私は思ってしまうんです。正式な申入れが出てくる前に、何がしかのやり取りの中でそういう忖度が生まれたとか、そういうことはあったんでしょうか。いかがですか。

岩屋国務大臣 そのような事実はございません。

和田委員 ということは、次に日本に、私人である、もう私人です、公人ではありません、蔡英文さんが、お墓参りをするとか、健康状態が悪くなって何か病院に行くとか、そういうことで日本に来ることは、来れるということでよろしいんですかね。

岩屋国務大臣 これは定番答弁になって恐縮なんですが、仮定の質問へのお答えは差し控えたいと思います。

 いずれにしても、政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくという立場を踏まえて、個別具体的な状況に応じて適切に対応してまいります。

 なお、委員も御承知のとおり、台湾の総統経験者の訪日は、これまでにも過去に複数の例がございます。

和田委員 実は、今総統である頼清徳さんも、副総統という立場である中で、お葬式には来ているんですね。

 そういうことも考えると、やはり、仮定の質問には答えられないという表現が誤ったメッセージを国際社会に与えてしまいがちだと私は思います。ここをはっきりと言うべきだと私は思っているんです。いや、可能ですとか、そういうことがあったとか。仮定の質問には答えられないと言うから、世上、岩屋大臣は中国に顔を向けているのではないかという人々が出てくるんだと私は思うんです。

 やはりそこら辺はしっかりと物を言っていただきたいと思うんですが、その点、今私が申し上げたこと、仮定の質問には答えられないと連発をしていくことが誤ったメッセージを発することにつながっているという考えについて、いかがお考えになりますか。

岩屋国務大臣 私は、台湾にも中国にも、全世界に顔を向けて外交をやっているつもりでございます。

 お尋ねの点につきましては、繰り返しになりますが、個別具体的な状況に応じて適切に対応していく、過去には例があるというふうに申し上げているところでございます。

和田委員 では、適切に今後対応していただきたいと思います。

 次にお伺いしたいのは、この五月からですかね、台湾から日本に帰化した方の戸籍に国籍を表示する欄が、表記の仕方が変わります。そのことについて、台湾というふうに書くことができるようになります。今までは、中華人民共和国台湾省であったり、台湾の人が見たら、あれっ、俺は中国の人じゃないんだけれどもなとみんな思っていた、そういうことが変わるんですが、それについてまず法務省が判断をして、なるんですが、外務大臣のこのことに対する感想を伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 これはもう法務省においてなされた措置ではありますが、五月二十六日に施行予定の戸籍法施行規則の一部を改正する法務省令によれば、戸籍に国籍を記載することとされている場合において、台湾出身の方については、婚姻や出生等の届出書又は戸籍に台湾と記載することになると承知をしております。

 本件は、他の行政手続においては国籍・地域として台湾と表記できるようになっておりますので、戸籍についても他の行政手続の取扱いに合わせて、一定の地域の記載をすることができるようにしたものであるというふうに認識をしております。

和田委員 認識を示されて、感想にはなっていないんですが、もう次に行きます。

 これに関しては多くの皆さんの、大変な汗をかかれた皆さんが政府にもいろいろなところにもおられる、日華懇もそうです、私は感謝を申し上げたいと思います、敬意を表したいと思います。

 ならば、次に、資格証とか、いろいろな免許証というのがあるんです。そういうもので、こういう点についてはどうなっているのか、まず、法務省関連に関してどうなっているのかをお伺いしたいんです。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、各省庁におかれまして所管しております免許証における表記の在り方につきましては、当該免許証を所管しておられます省庁で判断されるべき事柄と考えておりまして、法務省としてお答えする立場にないことを御理解いただきたいと思います。

 なお、法務省の所管いたします国家資格におきまして、免許証と称するものは法務省として発行はしておりませんけれども、例えば法務省民事局所管の国家資格試験におきます合格証書の表記について申し上げますと、司法書士試験及び土地家屋調査士試験の合格証書については、いずれも国籍は表記していないというところでございます。

和田委員 ならば、司法試験、弁護士等々に関してはどうなっておられるんですか。

内野政府参考人 申し上げます。

 司法試験の合格証書につきましては、国籍、これは表記していないというところでございます。

和田委員 分かりました。表記がそもそもないということですね。

 じゃ、次にお伺いしたいのは、お医者さん、歯医者さんもそうですし、そういった方々というのは免許みたいなのがあると思うんですね、これは法務省ではなく厚労省だと思うんです、厚労省だったら例えば調理師さんもそうです、そういったいろいろな免許というのがあると思うんですが、ここら辺はどうなっておられますか。

仁木副大臣 和田委員の質問にお答えします。

 各資格の免許証における国籍表記については、それぞれの法令に従ってなされております。

 そうした中で、御指摘の医師、歯科医師の場合は、医籍等への登録事項については、医師法施行令等において、日本の国籍を有しない者は国籍を登録するものと定められております。調理師も同様に、調理師名簿への登録事項については、調理師法施行令におきまして、日本の国籍を有しない者は国籍を登録するものと定められておりますので、お尋ねがあった各資格に関しましては、免許証における台湾の方の国籍については、登録事項を踏まえ、中国と表記の上、発行を行っているところであります。

和田委員 私も、高校のときの友人で、台湾の華僑の人とかがいて、お医者さんになった人がいますよ、高校時代の友人とかでも。その人たちは中国と書かれているわけですよ。これは、やはり私はおかしいと思うんです。

 やはり彼らは、自分たちは中国、中華人民共和国で生まれて、北京だか上海だかで育って、中国人だと思っているわけじゃないんです。台湾に生まれ、台湾に育った、あるいは自分のお父さんが台湾に生まれ、台湾に育った、自分の祖国は台湾という国だと思っているわけです。そういう人々に対してやはり私は失礼だと思います。これはアイデンティティーにも関わるもので、これはやはり人権問題に関わるんだと私は思うんです。そういうことを申し上げて、日本に帰化した人々の国籍を書く欄もそうなってきた。

 ちょっと意味は違いますけれども、やはりこういう点に関していろいろと検討し、これから改善、改善というのかな、改めていくべきだと思うんですが、そこら辺、厚労省、いかがでしょうか。

仁木副大臣 お答えします。

 和田委員の御指摘を踏まえまして、各資格の性質であるとか経緯、そのことを踏まえますが、御指摘のことに関しましては、趣旨もよく理解した上で適切に対応したいと思っております。

和田委員 適切に対応していただきたいと思います。

 何度も申し上げますが、我々にとって、この厳しい国際環境で我々が生き抜いていくためには、台湾と我々はやはり仲よくやっていく、台湾とともに歩んでいくという姿勢は大事なんです。そのときに、第一歩が、やはり台湾の人々の思いをどう受け止めるかということもある。これは日本のためです。日本の国益として、日本国としての話。台湾の人たちにとってというんじゃなくて、我々にとっての話です。そういう意味で、しっかりとやっていただきたいと思うんです。

 もう終わりますけれども、先ほど大臣に対してメッセージの発し方ということを私は申し上げました。中国の海警船がずっと尖閣の周りに入っていましたね。とうとう領海に入って、とどまり始めました。隻数もどんどん増えました。既に、八隻ですかね。もう入ったまま出ないんです。

 こういうふうな我々は誤ったメッセージを、私から言うと、誤ったメッセージを発しているから、こんなことになってきているんだと私は思うんです。やはりしっかりと言うべきことはばしっとここでも言って、そういうことを言うから、じゃ、尖閣の中で、領海の中にとどまるということを止めることになっていくんだと思うんです。

 このまま、この間、石垣市の調査船で私も尖閣に前に行きましたけれども、どんどんどんどん入ってきて、もう領海に入るまでになってしまっている。入っているんじゃないです、とどまっているんですよ。彼らは出ないんですよ、自分たちの職分として。それを止めるためにはしっかりとした態度を取っていただきたいということを申し添えて、終わります。

 ありがとうございます。

堀内委員長 次に、深作ヘスス君。

深作委員 国民民主党・無所属クラブの深作ヘススです。

 本日、この改正案の質疑、登壇、少し緊張をなぜかしていることに気づきまして、済みません。今回、質問をさせていただきます。

 今、これまでほかの先生方、委員の意見交換の中で、このODAというものがいかに我が国にとって重要なことであるのか、これを確認をされた、そして、その上で、これが超党派で合意ができる分野であるということが明らかになったように思います。

 他方で、ほかの委員からもいろいろと御指摘があったように、なかなか国民の皆さんから、今これに対する理解が得られていない。小熊委員からもありましたように、ここに対する解像度をどう上げていくのか、効果というものをどのように表に出していくのかということが一つの課題になっていると思います。

 先日、三月五日に、ウクライナの英字新聞の中で、実は、このUSAID、今日も何度か出てまいりましたが、USAIDを今後JICAが代わりに担っていくのではないか、インフラやそしてエネルギーの分野を担っていくのではないかということが報道で出ました。

 これは、私、外務省に確認をしたところ、そういった事実はないということではあったんですが、他方で、このJICAに対する期待、このUSAIDがなくなっていく中で、誰がこれを面倒を見ていくんだ、しっかりそこを担ってほしいという思いがある意味で表れているようにも感じましたし、JICAに対する、日本に対する期待というものを感じるものでもありました。

 先ほど亀井委員もありましたが、実は、私も、海外にいる中で、こういった事業がいかに我が国にとって重要なのかというのを幾つか感じた瞬間がありました。

 ワシントンDCのタクシーというのは、多くの移民の方々、情勢が不安定だった国からアメリカに渡ってきた方々が運転手をされているケースなどもあって、ある車に乗ったときに、おまえはどこから来たんだと言って、日本だという話をしたときに、俺の村は、日本人が架けてくれた橋のおかげで学校に行けるようになったり買物ができるようになったりしたんだということを、これは何度となくいろいろな方々に言われたことがあります。

 そういった意味で、こういった事業に取り組んでいくこと、すぐに目の前では見えない成果であっても、これがひいては我が国の利益に、そしてレピュテーションに関わっていくということを様々な場で感じた背景がございます。

 今回の改正案の中で、幾つか今日も議題に上がってまいりましたが、私は国庫返納についてお伺いをしたいと思います。

 今回の改正の中で、財務省から、二〇二一年に財政審の中で、予算の滞留が起きているということに対して指摘があった、これに呼応する形だと思いますが、プロジェクトの停止における国庫返納が行えるようになったというふうに理解をしています。

 この国庫返納ですけれども、どういったプロセスでこの国庫返納が行われるのか。どのようにプロジェクトを判断をし、どの時点で国庫に戻す額を決めていくのか。プロジェクトが頓挫をしたタイミングで決めていくのか、又は年度ごとにそれを精査をしていくのか。このプロセスについてまず御答弁を求めたいと思います。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御質問のありました、無償資金協力による支払い前資金と我々は呼んでおりますけれども、この支払い前資金の削減につきましては、我々としても、無償資金協力の予算の適正かつ効率的な執行、これに努めるべく削減に努めてきているところでございます。

 今御指摘のありました中断中の計画に係る資金でございますけれども、途上国におきまして、政変ですとか治安情勢等におきまして事業が進展しないケースというのがございます。そのような場合に、日本側の中の判断として中断ということで判断をいたし、さらに、そこの中断した事業の中で支払う資金が出ていくということが見込まれないものについてケース・バイ・ケースで判断をいたしまして、それについては中断という判断をして、国庫返納又は外務大臣の承認により翌事業年度までの贈与等に充てることを可能にするという条項を今回の法改正の中に入れさせていただいているところでございます。

深作委員 ありがとうございます。

 今のお答え、もう少しお伺いをしたいんですが、それは、プロジェクトが止まった又はこれが行えないということが分かったタイミングで判断をしていくものなのか、どういったタイミングでこの国庫返納を決めて、そして、その額についてどのように算定をしていくのか、より細かく教えてください。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げたとおり、治安情勢とか政変等でプロジェクトが動かなくなってくるということは間々あります。その中で、プロジェクトが止まっている中でも企業への支払い等が残っている場合等がございます。そういったところをよく見極めた上で、本当にこのプロジェクトをもう中断しても大丈夫だなということであれば、そこは中断という判断をするということになりますが、相手国政府との関係では、我々、無償資金協力の場合、国際約束を結んだ上で、コミットをした上で、それを完工する義務が生じますので、そこは、相手国政府に対してはプロジェクトは引き続き残ったまま、我々の予算の整理として、一回そこは中断をして、国庫返納又は翌事業年度までの事業に充てるというようなやり方を、判断をしていくことになります。

 したがいまして、相手国政府との関係で、もしその後、治安情勢が改善して事業ができるようなことになれば、別途、資金手当てをした上で事業を再開するというようなやり方を取るということになります。その上では、一個一個、個別に判断をしていくということになります。

深作委員 ありがとうございます。

 先ほどおっしゃられたように、政変であったりいろいろな事情があると思いますので、都度都度の判断ということは承知をいたしました。

 他方で、予算の根拠がないままプロジェクトを残しておいて、その後、再開をした場合に再度予算をつけていくということが想定をされているということでしょうか。

石月政府参考人 予算的には、この無償資金協力予算というのは、そのときの外国のニーズ、それぞれの途上国の要請等に基づいて機動的に行うものとなってございまして、中断中の資金につきましては、相手国政府に対しては国際法上コミットした状態が残っているということもあるので、直ちにそこを解除するということができないという事情がございます。

 相手国政府との合意ができるような状態であれば、そこは完了というような形にして国庫返納を今まででもできたんですけれども、相手国政府との合意ができないようなケースというのも間々ございますので、その場合には中断という判断をして、先ほど申し上げたような措置を取るということでございます。

深作委員 ありがとうございます。

 そういう観点から考えれば、将来的に再度プロジェクトが起きたときに改めて予算を審議をしていくことになるかと思いますが、一旦中断をする又は停止をするときに、国庫納付をする額であったり、これがどういった経緯で国庫納付をされたのか、この額については官邸の基金の国庫返納状況というページで明らかになるものだと思っていますが、こういったところに具体的なプロジェクト名として残るのか、それとも、JICA全体として様々なプロジェクトが止まったものが一斉に載るような形になるのか、今、もし決まっていることがあればお知らせください。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、計画の中断に係る判断、これは治安情勢や政変等で事業が進展しないケースが想定されますけれども、これはあくまで日本側の判断として、予算上の手続として行われるものでございまして、逆に言うと、被援助国政府との関係では、当該計画を取りやめるという合意をするものではございません。

 したがいまして、個々の判断につきまして、事業を中断したということについては、相手国政府との関係もあるので、対外公表等は想定していないところでございます。

 他方で、委員御指摘のとおり、ODAについての透明性の確保、これは非常に重要な課題と認識しておりまして、御指摘も踏まえて、何ができるかしっかりと検討していきたいと考えております。

深作委員 済みません、同じことで追加になりますが、そうすると、国庫返納をした場合であっても、これは幾ら戻ったのかは明らかにならないということでしょうか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 個々のケース、個々の事業について、どの事業が中断ということになって国庫に返納したかということについては、我々として一個一個出すということは、相手国との関係もあるので難しいということでございます。

 全体としての国庫に返納するといった流れにつきましては、年度ごとの財務諸表等の中で、資金の流れについては一定程度開示されていくという理解でございます。

深作委員 ありがとうございます。

 そこは、やはりしっかりと、戻ってきたもの、そして、今後また改めて予算をつけていくのであれば、その予算をつけていくタイミングではそこを明らかにして、どれだけ積み残しがあったのか、そこに対してどれだけ新たに必要なのかというようなことが議論をされなければいけないと思いますので、そこの透明性の部分も今後取り組んでいただきたく、お願いを申し上げます。

 さて、私の方からは、先日行われました報道、先ほどから漏えい事件として何度かほかの委員からも御指摘がありましたが、これについてお伺いをしたいと思います。

 JICAビジョンの中で、「信頼で世界をつなぐ」という言葉が掲げられています。この事業はやはり信頼で成り立っていますし、ここに、無駄なといいますか、先ほどの表現の中でも、影を落とすようなことがあってしまっては、その事業そのものに対しての信頼、人々から、今国民にこれだけなかなか理解がないということも言われている中で、ここを明らかにしていくということが大変重要であると考えています。

 まず冒頭、今回の報道が行われた背景、そして、二回に分けてこれが報道ベースで出てきています。元々、JICAはこの二つに関して、この二回に関して、当初から認識をしていたのか、また、新たな事実として別途把握をしたところなのか、その事実関係をお知らせください。

田中参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたけれども、今回の秘密情報の漏えいにつきまして、御迷惑、御心配をおかけしていること、深くおわび申し上げたいと思います。

 そして、今の深作先生からの御質問でございますけれども、私どもは、JICA内での調査で懲戒処分をするに当たって、今回報道された事案も含めて認識しておりまして、それ全てを評価した上で懲戒処分にしたものでございます。

深作委員 であれば、報道された内容については元々全て御存じであったということだと思います。

 そうなると、今後、新たな事実が報道各社から出てくる可能性はないとお考えでしょうか。

田中参考人 私どもが調査した限りでは、この情報漏えいについて、私どもはこれが全てであるというふうに評価しておりますが、その点についても、検証委員会で私どもからの情報を全て出した上で御評価いただければいいと私どもとしては思っております。

深作委員 ありがとうございます。

 先ほど来、検証委員会でということで、様々なこと、これから報告が出てくるというふうに把握をしていますが、この調査委員会というのはいつ立ち上がったんでしょうか。

田中参考人 調査委員会につきましては、二〇二四年十一月八日に設置するということを発表しております。

深作委員 それは、事案が発生をして把握をしてから、どれくらいたってからの設置となったのでしょうか。

田中参考人 お答えいたします。

 この問題についてJICAとして内部で調査を開始したのは、二〇二三年の初めでございます。そして、処分は二〇二三年五月に行い、そして公表は二〇二四年七月でございます。その後、十一月に検証委員会を設置させていただいたということになります。

深作委員 二〇二三年の年初にこれを把握をして、設置まで一年以上かかっている。かつ、今回、内部の調査が、委員会が設置されるのとほぼ同じタイミングで報道が出ています。

 報道があったから今回これを調査をしようということになったのか、ここはどう、この前後関係、事実関係について教えてください。

田中参考人 JICAとして、この職員に対する処分の公表を行ったのは二〇二四年の七月でございます。その時点でJICAとしての調査は全て終わっておりますし、実際、処分は二〇二三年五月なので、五月に行った処分に相当する事実は、私どもはつかんでおります。

 ただ、二〇二三年の五月以降、その職員と、これは職員が内部で行ったことをベースにして私どもは処分は決めておるんですけれども、漏えい先の企業というものが存在しますので、漏えい先の企業の側でどういうような状況であったのかというのを私どもは慎重に調べるということが必要だというふうに判断いたしました。そういうこともありまして、漏えい先の企業への私どもの調査に影響を与えないというような判断から、公表に相当時間がかかったということでございます。

 それで、検証委員会をつくるということについては、私どもが公表した後、報道がありまして、それで、国民の皆様にも大変な心配をおかけしましたし、先ほど委員がおっしゃったように、「信頼で世界をつなぐ」というJICAの基盤をしっかりと固め直さなければいけないということもあり、私どもとして見ると、JICA内の調査は適切に行ったと思っておりますが、そのJICA内の調査それから公表の在り方についても、もう一度第三者の目を通してしっかりと検証してもらうことがJICAへの信頼を再び確立する道だと思って、このような措置を取った次第でございます。

深作委員 今回、今理事長がおっしゃられたように、既に処分がされている、処分をされた後に調査を行っている。この後、調査を行って、処分が相当でなかったということが起きるようなことがあった場合にどうするのか。私、この順番についても少し疑問を持っているところがございます。

 本来であれば、しっかりと調査をして、先ほど小熊先生もおっしゃったように、できるだけこれを円滑に進めたいという思いで行ったことであったかもしれない、これが個人ではなく組織的に問題があったのかもしれない、それが分かる前に停職というものが決まっているということの運用がよかったのかということは、改めて問いたいと思います。

 何かそこに対して所見はありますでしょうか。

田中参考人 JICAといたしましては、そもそもこのような情報漏えい、これは全くのルール違反でございますので、それが分かった時点で直ちに処分をしなければいけないというふうに判断し、懲戒措置を行ったものでございます。

 それについては、JICAとしては全力を尽くして調査をしたわけですけれども、更になお一層、そのJICAの行った調査自体が適切であったかどうか、そしてそれをどういうふうに公表するかということについても、その公表の仕方も含めて適切であったかどうか。

 これは、私どもとして難しいのは、処分をした人間の人権といいましょうか、プライバシーというものがございますので、そのプライバシーを侵さない形でしかJICAとしては公表できないわけでございます。それを、検証委員会、第三者から成る方々に中を全部見てもらって、JICAが行った調査が適切であったか、そして、JICAがそれを公表するに当たって、時間的な軸も含めて適切であったかどうか、これを御評価いただきたいと今思っておる次第であります。

 その結果については予断を持って申し上げることはできませんけれども、検証委員会からの報告が出れば、これを真摯に受け止めて、必要な再発防止策を取っていくつもりでございます。

深作委員 時間が参りましたので質疑を終了いたしますが、私は、当選をして最も最初に入った議連がJICA議連であり、大臣への申入れもさせていただきました。そういう意味では、有権者の皆様に私たち自身が説明責任を果たしていかなければいけない、そのためにはJICAが健全に運営をされていることが、それが担保されていなければいけないと思っています。

 そういった観点から、今後とも、ODA、そして私たちの国が取り組んでいく活動について、私たち自身も国会の場で応援していきたいと思いますし、皆さんも御努力をいただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、西園勝秀君。

西園委員 公明党の西園勝秀です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 JICAは、二〇〇六年の法改正によりまして、これまで行っていた技術協力に加え、新たに、国際協力銀行、JBICが担っていた有償資金協力、外務省が実施していた無償資金協力を加えた三つの援助を総合的に行う国際協力機関となりました。

 私は、国土交通省からJBICに一度、JICAに二度出向し、勤務をいたしました。港湾分野を中心に、有償資金協力、無償資金協力、技術協力の業務に携わってまいりました。本日は、その経験を生かし、現在審議されているJICA法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 今回の法改正が実現すれば、日本のODAを総合的に担う機関としてJICAが発足して以来、初めてのJICA法改正となります。前回の改正以降、途上国の発展には、ODAだけでなく、民間資金やその他の活動の役割がますます重要になっていると政府も認識しておりました。

 そこで、お伺いします。

 これまでの間、制度の見直しや法改正についてどのような議論が行われてきたのでしょうか。そして、今回、JICA法を改正することにはどのような意義があるのでしょうか。政府の御見解をお伺いいたします。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 ODAは、民間資金フローの増大や途上国開発ニーズの複雑化といった国際社会の環境変化に現在直面してございます。加えて、国内におきましては、我が国の厳しい財政状況の中でODAの一層の効率化、これも必要となってきていると認識してございます。

 このようなODAを取り巻く環境の変化を受けまして、政府としては、二〇二三年六月にまず開発協力大綱を改定いたしました。さらに、二〇二四年には、外務大臣の下に、開発のための新しい資金動員に関する有識者会議を立ち上げまして、提言を受領したところでございます。

 こうした動きを踏まえまして、今回の法改正でございますが、第一に、民間資金動員の促進、第二に、国内外の課題解決力を有する主体との連携を強化する、第三点として、柔軟で効率的なJICA財務の実現、これらを目的としてJICA法の改正を行うものでございまして、そういった観点から本改正の意義があるというふうに考えているところでございます。

西園委員 御説明ありがとうございます。

 今回の法改正では、今御説明がありましたように、JICAが行う有償資金協力の手法として、現在の資金の貸付けと出資に加え、新たに、開発事業に必要な資金に係る債務の保証、その資金を調達するために発行される社債の取得をJICAの業務として追加することになっています。

 政府や国際機関の資金と、企業や銀行などの民間資金を組み合わせて開発を支援する仕組みは、既に国際金融機関や他国の援助機関で活用されており、日本は導入が遅れていると指摘されております。今回の法改正により、JICAが債務保証と社債取得という新たな資金支援の手法を取り入れることは大変意義があると考えております。

 その際、公的資金が入ることで、民間の投資意欲がそがれたり市場に悪影響を与えたりしないかという懸念もございます。この点について政府はどのようにお考えでしょうか。御見解をお聞かせ願います。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の法改正におけるJICAによる信用保証と債券取得の導入、これは民間資金動員の促進が目的でございますが、これらの取組が市場歪曲やモラルハザード、こういったものを招かないように適切な運用を行う必要があるというふうに認識してございます。

 このため、信用保証におきましては、信用保証の供与先である民間金融機関等にも相応のリスクを負担させるという意味で部分保証とすることを考えておりまして、また、事業リスクに見合った保証料率を設定することを想定してございます。

 また、債券取得におきましては、従来の融資と同様に、債券発行体の信用力を適切に審査すること、また、市場取引において合理的に設定される水準も考慮した上で、利回り等の取得条件を設定することを想定してございます。

西園委員 御説明ありがとうございます。くれぐれも相手国の市場をゆがめることがないよう、適切な制度の運用をお願いいたします。

 同時に、ODAの原資をつくり出してくださっている日本の納税者に対しても丁寧な説明をお願いいたします。

 近年の物価高騰により、多くの国民が生活の苦しさを感じています。食料品や光熱費の値上げが家計を圧迫し、特に低所得世帯や年金生活者の方にとっては深刻な影響を及ぼしています。そのような状況の中で日本がODAとして多額の資金を海外に提供していることに対し、まずは自国民の生活を支えるべきではないか、あるいは、財源に限りがある中、優先順位を見直すべきだとの批判の声があるのも事実です。こうした不満の声を受け止めつつ、日本の国益に資するODAでなくてはなりません。

 その意味では、今回のJICA法改正で、本来なら民間の資金だけで実施できる事業に我が国の貴重な税金を投入することがあってはなりません。そのため、この新しい仕組みを導入する際、借入企業の財務状況をチェックし、必要なところに過不足なく資金援助を行っていく必要があります。

 民間の資金だけでは実施できない、本当に公的資金を必要としている事業であるかどうか、そこをどのように見極めていくのか、JICAのお立場からも御見解をお聞かせ願います。

田中参考人 今、西園先生がおっしゃったように、本当に公的資金が必要であるかどうかということの判断は大変重要な課題だと思っております。

 どのように行うかといいますと、債券取得や信用保証をまず実施するに当たっては、まず、そもそも対象事業に開発効果があるということが認められないと、そもそもJICAのやる開発協力ではなくなってしまいますので、開発効果があるということ、それから、既存の民間、民有機関の支援では対応できないということを前提にして、JICAの強みを生かすことができる案件を選定する、そういうつもりでおります。

 ですから、公的資金の投入に見合う追加的な成果を確保するという観点で実施してまいりたいと思います。

 例えば、開発途上国企業の債券の取得ということにしましては、これまで起債実績がなくて債券市場で知られていないといったような事情も勘案して、民間のみで起債ができるかというようなことから判断してまいりたいと思っております。

西園委員 ありがとうございます。田中理事長を始めJICAの皆様には、日本の血税を決して無駄にすることなく、有効な国際協力を進めていただくことを期待をいたします。

 次に、中国の対外援助に対する日本の対応について伺います。

 私は、JICAに勤務していた際、途上国のニーズに合わせた案件形成に努めてまいりました。その中で、相手国の政府機関との協議では、日本の提案が中国の支援と比較されることがよくありました。日本のインフラ支援は、質は高いがコストがかかり、工期が長いと指摘されることが多々あり、そのことが印象深く残っております。

 相手国の首脳が日本の技術力や品質のよさを理解していれば、多少のコストや工期の長さは問題にならず、日本の支援を選んでくれます。しかし、各国の政治的な事情によってスピードや安さが優先され、結果として中国の支援が選ばれることが多くあります。

 スリランカ南部のハンバントタ港の整備は、その代表的な事例の一つです。ラジャパクサ元大統領の地元であったこともあり、彼の任期中に大型の港を建設したいという意向から、二〇〇八年に中国の融資を受けて工事が始まりました。そして、二〇一〇年に第一期工事、二〇一五年に第二期工事が完了しました。しかし、スリランカ政府は、返済に行き詰まり、債務を削減する代わりに港の運営権を中国企業に九十九年間譲渡することになりました。この取引は、中国が途上国への影響を強める債務のわなだとして、国際的に批判をされております。

 欧米や日本などのOECD加盟国は、重債務貧困国に対しては、有償援助の債務を帳消しにした上で、その後は主に無償援助の形で支援を行うようになりました。しかし、その頃から中国は、これらの国々への貸付けを増やし、OECD加盟国が債務を免除した後に多額の融資を供与するようになりました。そして、返済が困難になった国に対しては事業の運営権の取得を強要するなど、中国は、国際的なルールを無視し、自国の経済的利益を優先する姿勢を強めています。こうした状況は決して看過できません。

 世界第二位の経済大国である中国には、国際的なルールの枠組みに参加し、責任ある援助を行うことが求められます。ただし、OECDへの中国の加盟をめぐり、加盟国の間で意見が分かれているのも事実です。中国がOECDに参加すれば、中国の経済政策が国際基準に近づき、他国との協力が円滑になることが期待されます。一方で、中国の市場経済の不透明性や政府の関与の強さ、人権問題などが、OECDの価値観と一致しないとの懸念もあります。さらに、中国がOECDに加盟することにより、公正な競争環境の確保が難しくなる可能性があることから、慎重な議論が必要だと考える国もあります。

 このようなことを踏まえ、中国に責任ある援助を行ってもらうよう、政府として中国にどのように対応していく方針なのか、岩屋外務大臣の御見解をお聞かせください。

岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、中国は、OECD開発援助委員会、DACのメンバーではありませんので、我が国と同様に、国際基準にのっとった援助データの報告を行っておりません。中国政府の開発協力に関する発表は、詳細な情報を明らかにしておらず、不透明な点が多いことは事実でございます。

 昨今、グローバルサウスの存在感が増す中で、中国を始めとする新興ドナー国による支援の実態を正確に把握することは、我が国を含む既存のドナー国の支援の効果的実施の観点から必要不可欠だと思っております。

 委員御指摘のとおり、中国は、今や世界第二位の経済大国、GDP総額でいえば我が国のもう四・五倍になっているわけでございまして、この中国による支援が、OECDを始めとする国際的な基準や取組と整合的な形で、透明性、公正性を持って行われることが極めて重要だと思っております。

 バイあるいはマルチの枠組みを通じて、引き続き、中国に対して責任ある援助ということを働きかけていきたいと思います。

西園委員 岩屋大臣、御説明ありがとうございます。

 ただいま大臣がおっしゃったとおり、OECDを始めとする国際基準と整合的な形で援助が行われるよう是非中国に対して働きかけていただくよう、よろしくお願い申し上げます。

 中国との競争という観点では、円借款の日本タイド、すなわち、日本の企業や技術の活用を条件とするSTEP制度をもっと活用できるようにすべきだと考えます。

 日本のインフラ事業は、高品質で耐久性があり、環境や防災面でも優れた技術を備えています。この優れた日本のインフラ技術を途上国に提供し、長期的で持続可能な発展を支援することはとても重要です。また、日本企業の参入を促すことで、現地経済への貢献や雇用創出にもつながります。日本の顔が見える援助という意味でも重要です。

 このSTEP制度には、日本原産の資機材、役務の調達率三〇%以上という条件があります。このルールは、例えば、鉄道案件における車両輸送などでは、日本の車両を採用してもらう機会となります。

 一方で、全てのプロジェクトにこのルールを適用すると、コストが高騰し、途上国から敬遠されるケースが生じます。相手国は日本の技術を信頼し、日本企業に工事を発注したいと考えているにもかかわらず、日本の資機材、役務を三〇%以上使用しなければならないという条件が足かせとなり、価格面が折り合わず、本来であれば日本企業が受注できる大型案件を中国に取られてしまうというような事態も発生しています。

 私も、JICAに勤務していた際、ケニアのモンバサ港でSTEP案件の形成を図ろうとしたのですが、コストを気にする相手国政府に受け入れてもらえなかったという苦い経験がございます。

 この問題を解決するため、例えば土木分野においては資機材、役務の調達率三〇%の要件を緩和するなど、価格競争力も考慮した制度の見直しが必要と考えますが、政府としての御見解をお聞かせください。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、開発途上国に対する円借款の供与に当たっては、我が国の優れた技術やノウハウを提供することは、開発途上国の人々の暮らしを豊かにするとともに、開発途上国の成長を取り込みつつ日本経済の活性化につなげるという観点からも重要だと認識しております。

 いわゆるタイド借款であるSTEP、本邦技術活用条件、これは原則として我が国に優位性のある分野を対象とし、我が国の事業者が有する技術、資機材が活用される案件に適用されるということとしておりまして、幅広く日本企業への裨益に貢献しているところでございます。

 STEPについては、導入以降、本邦調達率における原産地ルールを含めて、不断の改善に取り組んできているところでございますが、他方、STEPは通常の円借款よりも更に譲許的な条件で融資する制度であるということであり、本邦調達比率につきましては、土木分野のみならず、資機材メーカー等、幅広い分野の日本企業に裨益する条件、これを設定していくことが必要であると考えております。

 いずれにせよ、STEPの更なる改善に向けまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。

西園委員 御説明ありがとうございます。是非、日本企業の活躍の場をつくっていただければと存じます。

 時間が残り少なくなりましたので、二問飛ばして、最後の質問に移らせていただきます。

 ベトナムについて伺います。

 日本政府は、ODAを通じて、ベトナムの経済発展やインフラ整備に大きく貢献してきました。道路、港湾、鉄道などのインフラ整備を始め、多くのプロジェクトが円借款によって実施され、日本企業も多数受注しています。しかし、近年、これらの事業においてベトナム政府による日本企業への支払いが遅延する事例が多発しており、日本企業の経営や事業遂行に深刻な影響を及ぼしています。この問題を放置すれば、日越間の経済協力に悪影響を及ぼしかねません。政府には、円借款事業の円滑な実施に向けた具体的な対策を速やかに講じることを求めます。

 人材交流に目を向けると、技能実習生や特定技能制度を活用し、日本で働いている外国人のうち、半分以上がベトナム人であり、彼らが日本経済を支えてくださっているのは紛れもない事実です。一方で、本国へ帰国したベトナム人が日本に滞在する同国出身者と共謀し、特殊詐欺に関与する事案が発生しており、深刻な課題となっております。その背景には、技能実習生が来日する際、仲介業者、いわゆるブローカーを通じて多額の借金を負い、経済的に厳しい状況に置かれることが一因であるとも言われています。

 こうした問題を解決し、帰国後の犯罪防止を図るためには、ブローカーを介さず、正規のルートで円滑に来日できる仕組みを強化することが不可欠です。犯罪抑止という観点からも、帰国したベトナム人が日本との友好関係を維持し、日本社会に貢献できるよう、幅広い層を親日、知日派として育成することが両国の友好関係を促進する上で重要と考えます。

 政府としてどのように取り組んでいかれるのか、岩屋大臣の御見解をお聞かせください。

岩屋国務大臣 その前に、委員が指摘をされた支払いが遅れているという事柄につきましては、宮路副大臣が現地に行ったりして、しっかり働きかけを行っているところでございます。

 そして、日本に在留するベトナム人は国別でいいますと第二位の約六十万人でございまして、ベトナムの人材は日・ベトナム経済の発展に大きく貢献をしております。

 そして、委員御指摘のとおり、在留ベトナム人を中心に親日、知日派を増やしていくことは、友好関係の促進に資するものであって、非常に大事な取組だと思っております。

 こうした取組の一環として、在ベトナム大使館におきましては、技能実習修了者、卒業者の集いや、日・ベトナム経済連携協定に基づいて、日本で働いて帰国した看護師さんたちの同窓会などに出席をしたりして、外務省としても、親日派、知日派のネットワークづくりを後押しをしております。

 引き続き、ベトナム人の帰国後のつながりにも留意しながら、しっかりと取組を進めてまいりたいと思います。

西園委員 ありがとうございます。

 済みません、ベトナムの割合、第二位でした。失礼いたしました。

 岩屋大臣の御見解のとおり、親日、知日派を増やすことこそが日越友好関係の要であると確信をいたします。日本で学ぶベトナムの方々は、単なる経済的なつながりを超え、まさに両国をつなぐ懸け橋となる……

堀内委員長 質疑者に申し上げます。

 既に持ち時間が経過しております。御協力を賜りますようにお願いいたします。

西園委員 失礼いたしました。承知いたしました。

 是非この両国の関係をしっかりと強化し、また、この度のJICA法の改正によって主要先進国としての日本が他国とともにより反映していけるよう、その仕組みづくりに万全を期し、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。

 今回のJICA法改正は、いわゆるODAの可能性を広げていく、そして、現地の方々が真に求める開発援助等を行う可能性を高めるものだ、高める可能性があるものだと理解をしています。やはり、被援助国の国民が真に求める支援をすることが、二国間の信頼を高め、そして、日本が尊敬を得るというプライスレスな価値につながるものだと思いますし、これが日本の平和外交の可能性を高めるものにもなると思うんですね。

 ただ、幾つか懸案事項もあります。今回の法改正によって、例えば、現地の民間企業の利益を優先するとか、あるいは軍事的なインフラなどに流用される可能性、これもあり得ることだと思います。

 現地政府であったり、あるいは現地の市民の方々の声が十分に反映されるものになるのか、また透明性は担保されるのか、そしてその根拠は何なのか、大臣にお伺いをしたいと思います。

岩屋国務大臣 これまでどおり、現地の関係者としっかりと意思疎通をし、ニーズをしっかりと把握した上で事業を進めていくことは当然だと思います。そのことは、今後ともしっかりと留意してまいりたいと思っております。

 それから、二〇二三年六月に閣議決定されました開発協力大綱におきましては、その原則として、軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避という非軍事原則を定めておりまして、当然のことながら、JICAが実施するインフラ事業についてもこれは適用されます。

 これをしっかり担保するために、案件の実施の前に相手国と結ぶ全ての国際約束及び実施の際に取り交わす文書に軍事目的の使用の禁止を明記し、相手国との間で非軍事原則の遵守の確認を徹底しております。また、事後には案件のモニタリングや第三者評価を行ってきているところでありまして、こうした取組を今後ともしっかり進めてまいります。

阪口委員 ありがとうございます。

 ただ、実際には、例えばミャンマーの軍に日本のODAが供与されることに対して、本当に多くの反発が出るなどの状況もありますので、是非この点は留意をいただきたいと思います。

 また、草の根技術協力、私も、実は、カンボジアの除隊兵士支援ということで、NGOの側からこのスキームを使っていたことがあるんですが、今後、例えば日本人の渡航制限がある国などにおいて、海外のNGOがこの草の根技術支援の対象になる、これも様々な可能性を広げることにつながると思います。

 例えば、ミャンマーなどにおいては数百万人の国内避難民が発生をしていて、目の前の救える命を救う、最も大切なことが、実は現在のスキームでは実現できないという問題があります。海外のNGOに対象を広げることで、これまでできなかった人道支援の可能性が広がるということを私は期待しています。

 例えば、これまでUSAIDが行っていた、支援をしていた海外援助に、トランプ大統領は、アメリカにとって利益のある人道援助のみに絞ると言っていますが、本来、人道援助というのは、これは、目の前の命を平等に救ってこそ意味があると思うんですね。こういった事業を日本が引き継いでいくというようなことがやはり日本のレピュテーションにもつながっていくと思うんですが、この点について、大臣の見解あるいは抱負があれば、お聞かせいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 前段の例えば日本人の渡航が禁じられている国に対する支援などは、委員御指摘のように、草の根技術協力のパートナーを開発途上地域の団体にも拡大することでニーズに応えることができるようになるというふうに考えておりますし、是非それを進めたいと思っております。

 それから、USAIDのことについては、今日も度々御質問がありましたが、最終的にどこに決着するかというのはしっかりまだ見ていかなきゃいけないと思っておりますが、いずれにしても、米国のコミットメントが減ってしまった支援について、国際社会としてこれをどうフォローしていくかということは、我が国ができることに限りもありますけれども、できる限りのことをやはりやっていかなければいけないというふうに考えております。

阪口委員 今日は六分ということで、非常に短かったんですが、引き続きこの問題について大臣と対話をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀内委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、星野剛士君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。太栄志君。

太委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。

 一 機構が行う開発途上地域の法人等に対する債務の保証がこれらの地域の経済及び社会の開発若しくは復興又は経済の安定に寄与することを通じて我が国の健全な発展に資することについて、納税者である国民の理解の増進を図ること。

 二 機構が開発途上地域の法人等に対する債務の保証を行うに当たっては、当該法人等の適格性について十分に配慮しつつ、厳正に審査するとともに、当該地域の借り手を守る法令を遵守することとなるよう努めること。

 三 機構が開発途上地域の法人等に対する債務の保証を行うに当たっては、当該債務の保証における保証料の設定、保証債務の履行に伴う求償に係る金利の設定、債権回収の方法その他の債務の保証に係る条件設定等について、借り手の返済能力等を十分に踏まえて機構と当該法人等との間において合意の上で行うよう努めること。

 四 開発途上地域における小規模なビジネスや貧困層の人々への少額な貸付け等の金融サービスを行う金融機関に対して機構が資金の貸付け、債務の保証又は社債等の取得を行う場合には、当該地域の国民感情に配慮し、我が国と当該地域との友好を損なうことのないようにすること。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

堀内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀内委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣岩屋毅君。

岩屋国務大臣 独立行政法人国際協力機構法の一部を改正する法律案を可決いただきまして、誠にありがとうございます。

 外務省といたしましては、ただいまの附帯決議の御趣旨を踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

堀内委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

堀内委員長 次回は、来る二十八日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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