衆議院

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第8号 令和7年4月18日(金曜日)

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令和七年四月十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 堀内 詔子君

   理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君

   理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君

   理事 鈴木 庸介君 理事 太  栄志君

   理事 杉本 和巳君 理事 西岡 秀子君

      逢沢 一郎君  英利アルフィヤ君

      大空 幸星君    高木  啓君

      広瀬  建君    松島みどり君

      松本  尚君    茂木 敏充君

      山本 大地君    小熊 慎司君

      亀井亜紀子君    齋藤 裕喜君

      篠原  豪君    宗野  創君

      竹内 千春君    武正 公一君

      渡辺  周君    西田  薫君

      林  佑美君    深作ヘスス君

      大森江里子君    西園 勝秀君

      山崎 正恭君    阪口 直人君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   法務副大臣        高村 正大君

   外務副大臣        宮路 拓馬君

   経済産業副大臣      大串 正樹君

   外務大臣政務官    英利アルフィヤ君

   外務大臣政務官      松本  尚君

   外務大臣政務官      生稲 晃子君

   国土交通大臣政務官    吉井  章君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡  朋史君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            藤吉 尚之君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        礒部 哲郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小林  出君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房政策立案参事官)         金子万里子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           斉田 幸雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 柏原  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中村 仁威君

   政府参考人

   (外務省中南米局長)   野口  泰君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   中村 和彦君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       佐藤  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          深水 秀介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           鎌原 宜文君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構理事)         小林 広幸君

   外務委員会専門員     山本 浩慎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  広瀬  建君     山本 大地君

  小熊 慎司君     齋藤 裕喜君

  竹内 千春君     宗野  創君

  和田有一朗君     林  佑美君

  西園 勝秀君     大森江里子君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 大地君     広瀬  建君

  齋藤 裕喜君     小熊 慎司君

  宗野  創君     竹内 千春君

  林  佑美君     和田有一朗君

  大森江里子君     西園 勝秀君

    ―――――――――――――

四月十七日

 海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

 職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第百五十五号)の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)

 千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

 職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第百五十五号)の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)

 千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

堀内委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人国際協力機構理事小林広幸君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長大鶴哲也君外十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。おはようございます。

 最近、総理も行っていたという何とかマサ、僕は料理が趣味なので、よく買物は行くんですけれども、趣味の話を延々としていてもしようがないんですが。

 この間、宿舎の近くのスーパーへ行ったら、やはりお米の値段が上がっているなというのと、備蓄米とは書いていませんけれども備蓄米が混ざったお米も並んできているなというのと、トランプさんは七〇〇%と言うけれども、七〇〇%も関税をかけていたらアメリカの値段があんなのじゃないなと。安いカリフォルニア米も売っていました。

 食料安全保障という概念が近年声高に叫ばれていて、本当に大事なこと、取組だと思いますけれども、この食料安全保障の要でもある日本の主食である米価の課題がいろいろあります。

 私も、自分でやっているわけではないんですが、一応実家に田んぼがあるので、お米は買わずに食べられていますけれども、お米の値段が上がって消費者の家計を圧迫しているというのは本当に切実な状況であります。

 私も農村地帯の議員ですから、農家からすれば今までが安過ぎて、農水省の人としゃべると三、四十年前の高水準ですと言うんですけれども、生産費を考えれば、三、四十年前の生産費と今とでは段違いですよ。三倍、四倍違います。幾らかつての高水準だと言っても。となると、やはり、食料安全保障の要である米作、そして今高齢化もしている、持続可能なものにしていかなきゃいけない、でも、家計にも優しくしなきゃいけないという状況にあります。

 その前に、今回の米価の上昇は、いろいろ流通業者の問題、それぞれのところでため込んじゃったという問題とか、いろいろ指摘をされていますけれども、作況指数というのがありますね、大臣も地元を回られると多分聞くと思うんですけれども、国が発表する作況指数と実際現場の声を聞くと、ずれが生じているんですよね。そんなに取れていないよ、そんなに出荷していないよと。こういうこともこの米価にも大きく影響してくると思いますが、まず確認として、この作況指数の在り方についてお伺いをいたします。

深水政府参考人 お答えいたします。

 米の作況指数につきましては、無作為に約八千筆の調査圃場を選びまして、その圃場で実際に稲を刈り取って把握をしたその年の十アール当たり収量を、過去からの趨勢を基に、その年に異常気象がなかったとした場合に予想される平年の収量で割って算出したものでございます。

 作況指数の算出に当たっての十アール当たりの収量につきましては、生産者の実感に少しでも寄り添うようにということで、その地域の生産者が多く使っているふるい目、例えば、先生の御地元の福島県ですと一・八五ミリを使って、ふるって算出をしているところでございます。

 このように、作況指数は、その年の十アール当たり収量が平年の収量と比べて多いか少ないかを示している指標でございます。この十アール当たり収量につきましては、収量の少ない圃場から多い圃場までの平均値でございまして、これを下回る生産者の方からすると、やはり作況指数を高く感じるという場合があるというふうに感じます。

 また、前年産に比べて多いか少ないかで収量を判断される生産者の方からしますと、これは前年との対比ではなくて平年との比較でございますので、実感と合わないという声もお聞きをするところでございます。

 加えまして、調査で把握をしております十アール当たりの収量というのは、主食用に供給される可能性のある玄米をできるだけ把握をしよう、全量把握をしようということでやっておりますので、農産物検査で申し上げますと、三等まで、一等米だけではなくて三等までを収量の基準としています。これは、品質向上を目指して色彩選別機等で選別を行っている生産者の方からは、やはり高いなというふうに感じられるというところはあるかと思います。

 我々としては、自分たちの目的からしますと、現時点での調査は正確性が確保されているというふうに思っておりますけれども、今申し上げたような理由から、御指摘のとおり、ギャップを感じるという生産者の方々も相当程度おられますので、どういうことがギャップの原因となると考えられるのかなどにつきまして、機会あるごとに生産者の方々や関係団体に対して調査に対する丁寧な説明と意見交換を行いまして、更なる周知と理解の醸成に努めてまいりたいと考えております。

小熊委員 配付資料の三番目に、今の説明のあった図が出ていますけれども、最初のように、一・七でやるので落とされるんですが、それを食べられるものは食べる方に回していこうということでなっているんですけれども、実際には、農家の生産現場では真ん中の図のようなことがあるので、ずれが生じていく。ただ、農水省としても、やはり省庁ごとによっていろいろ文化があるんですけれども、農水省は朴訥で、ちょっと宣伝というか発信力が素朴過ぎて、申し訳ないけれども下手だなと思って。

 三番目の表でいうと、目ごとに変えていて収量を発表しているので、生産者にしろ、国民全体がこれを見れば、米の状況ってこうなんだなというのが分かりやすいんですよね。でも、ニュースやメディアからすると、作況指数だかに出ちゃうので、今年取れているんだとか、取れていないんだというふうに一面的なもので見ちゃうんですけれども。

 こういう数字、これを近年使っていると思うんですが、もっともっと周知徹底していく。そして、生産現場と消費者に対して変な不安心理をあおるから市場も混乱していくので、こういうものを見せていく、発表をちゃんとしていって理解をいただくということで、消費者の心理の安定にもつながると思うんですけれども、是非この三番目の数字というのをしっかりやっていくということが安定的な米の市場になっていくと思うんですが、もう一回お願いします。

深水政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘いただきましたように、分かりやすい発表の仕方、どういうふうに見せていくかということは非常に大事だと思っております。今回の皆様の反応を見ていて、更に説明を尽くしていく必要があるというふうに思っております。どういうふうに示していくことが分かりやすい発表になるのかということも考えていきたいと思います。

小熊委員 生産者も多分知らないんですよね、余りこの発表のことは。是非これは、しっかりと御理解をいただけるように推進をしていただきたいと思います。

 次に移りますけれども、さっき価格の話もしていますが、消費者にとっては米価が高い。生産者からすると、まだまだ、だって去年までの、去年安かったときのお米の値段でいえば、よく言えば、時給計算をしたら農家の人は何十円だと言われるぐらいで、決して楽な経営でもなかったし、今の値段も、時給計算とかいろいろやっていくと、そんなに高くないんですよ、農家の人の収入だって。

 前よりは得られているけれども、じゃ、それがサラリーマンの平均給与と同じぐらい利益が出ているかというのはまた別の問題であって。そうなると、持続可能な安定生産、安定供給ということを考えれば、農家の経営をしっかりと支えていかなきゃいけないということになるんですが、農水省は農産物の合理的な価格が必要ですと言うんですね、消費者にとっても、生産者にとっても。

 これは抽象的な言葉で、それはどっちから見たってそうだよねとなるけれども、じゃ、それは幾らとなるんですよ。多分、消費者から見た合理的な価格というのを具体的に言ってみてくださいといえば、消費者からいえばこのぐらいじゃないのとなるし、生産者からいえばこのぐらいだねとなる。差が出ますよね。

 農水省として、具体的に金額として合理的な価格というのは、今のこの物価の水準の中でどういったふうに考えていますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 米の価格については民間の取引の中で決まってくるものであり、国が生産者や消費者にとって適正な価格の水準を一律に示すということは難しい問題である、このように認識しております。しかしながら、食料を持続的に供給するためには、生産から消費に至る食料システム全体で費用を考慮した価格形成が必要であります。

 このため、今国会に、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案、いわゆる食料システム法案を提出しているところであります。

 米についても、適正な価格形成に関する協議会の中でワーキンググループを設置し、生産から流通、販売、消費に至る関係者間で具体的な議論がなされているところでありまして、農林水産省としても、この関係者の議論を後押ししてまいりたい、このように考えております。

小熊委員 もうちょっといろいろ具体的に聞きたいところではあるんですが、佐藤審議官は私の高校の尊敬する先輩の一人でもありますので、また公私共にいろいろ御指導いただいているので、この件については、この後ちょっとまたいろいろと個別に議論していきたいと思いますので、先輩、どうぞよろしくお願いします。

 お手元の資料の一と二を見ていただきたいんですけれども、食料の自給率というような言葉、これはカロリーベースを主体に日本はどうだとやっていますけれども、お米は、ほぼほぼ国産と言われています。でも、こういう話をしていたときに、私の地元の、先輩と同じ地域の金山町の町会議員の人とお話ししていたら、いやいや、小熊君、お米も純国産と言えるのかなと言うわけですよ。カロリーベースでは、それは純国産、もうほぼ一〇〇パーですよ、米は。だけれども、お米を作っているけれども、肥料だって農業資材だって海外の物は多い。それを純国産と言っていいのかなという疑問を投げかけられました。

 一枚目の資料でいうと、化学肥料の輸入相手国、量です。二枚目が、リンしか取っていない、農水省では窒素とカリは取っていないらしいんですけれども、国内肥料と輸入肥料の割合です。だから、いざ何かあったとき、輸入が途絶えたときに、米があれば大丈夫といっても、作ることが海外に頼っていかないといけないということなんですね。

 そうすると、カロリーベースだけで食料の安全保障と語っていたんでは、これは完全じゃないということです。肥料や飼料まで、どういうふうな供給網の下に日本に入ってきているのか、ここも確実にしていかないと、食料の安全保障というのが担保されない。

 そういう中で、トランプさんがめちゃくちゃにしている世界の貿易の状況の中で、こうした農業の肥料や資材の安定輸入のためにはどのように取り組んでいきますか、お伺いをいたします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 農業資材のうち、特に化学肥料につきましては、その原料のほとんどを海外からの輸入に頼っており、原料の輸入先国の多角化、これを進めつつ、国際情勢の影響を受けづらい構造に転換していくことは喫緊の課題であると認識しております。

 このため、まずは化学肥料の使用量低減に向けた適正施肥、これを推進しておりまして、生産現場での精力的な取組により、我が国における化学肥料の使用量は、二〇一六年と比べまして、二〇二二年には約一割減となっておりまして、これを二〇三〇年に二割減とできるよう取組を進めてまいりたいと考えております。

 これに加えまして、家畜ふん尿ですとか下水汚泥など、国内の未利用資源の肥料利用の拡大と、そのために必要となる製造設備などの整備を推進しておりまして、輸入先が特定の国に偏っているリンについて、二〇二一年現在で二五%を国内堆肥などで賄っているところでございますが、これを二〇三〇年に四〇%に高めるよう取組を進めることとしております。

 さらに、化学肥料原料の需給が逼迫する事態にも備え、経済安全保障推進法に基づき肥料原料の備蓄も行っており、こうした取組を総合的に講じることで、肥料を始め我が国の食料生産に不可欠な農業資材の安定供給を実現してまいる考えでございます。

小熊委員 有機肥料の部分も指摘を受けましたけれども、審議官もお分かりのとおり、有機肥料を作るというのはすごく労力がかかって、今高齢化で省力化していこうというときには、有機肥料なんかも、多分これは増やしていかなきゃいけないけれども、限界があるのも多分審議官もお分かりだというふうに思いますので、様々な課題を抱えていますから、どういうふうに肥料や農業資材について安定的なものにしていくかというのは、引き続き努力をしていただきたいなというふうに思います。

 次の質問に移りますので、大臣に聞くところですけれども、是非大臣も外交交渉のときに、食料の安定輸入ということの意識、食料の安全保障という中に、こうした肥料や資材があって、日本だけでは賄えないということを、是非自覚を、御存じだとは思いますけれども、こういった観点から食料の安全保障はどうだと、単なるカロリーベースだけで、高くなった、低い、やばいじゃなくて。お米だって、今のままで言えば、純国産とは言えないですよね、残念ながら、こういう側面から見ると。そういった点で、是非、世界の貿易安定のためにも意識をしていただきたいなと思います。

 次に移りますので、農水省の皆様方はもうここで結構です。

堀内委員長 農水省の皆様方は、御退室いただいて結構でございます。

小熊委員 また個別に、佐藤審議官、よろしくお願いします。

 次が、トランプさんのせいでと言っちゃあれだけれども、中国が反応して、レアアースの輸出規制強化をするということなんです。

 皆さん御承知だと、僕は民主党じゃないんだけれども、かつて民主党政権の中で尖閣を国有化したときに、日本がこれをやられていて大変なことになったんですね。それで、中国の比率を下げていく努力をして、当時よりは下がっています。でも、いまだに日本だってレアアースは中国にかなりの割合で依存している。アメリカもそうなんですよ。

 まさに貿易戦争ですから、こうしたもので世界経済が混乱をしちゃうということです、この米中のヒートアップした中で。米中だけでやっているならいいんだけれども、世界にも影響を受ける、日本にも影響を受けるんですけれども、この中国のレアアースの輸出規制強化について、日本への影響というのは今のところどんな見通しを立てているのか、お伺いいたします。

大串副大臣 今月、四月に、中国が輸出管理の対象としたレアアースは、磁石や電子部品等の幅広い産業分野で用いられる重要なものでございます。今般の中国の輸出管理措置によりまして実際に我が国に影響が及ぶかについては現状では不透明でありますけれども、中国政府や国内の関係企業との対話を通じて、状況をしっかりと注視してまいりたいと思います。

 いずれにしても、本措置が世界中のサプライチェーンに影響を及ぼすことのないよう中国側に求めていくことが必要であると認識をしております。

小熊委員 まず、尖閣国有化以降、民主党政権でそのレアアースの比率を下げてきて努力はしてきたから、また更に努力していかなきゃいけないし、今回、世界中が思っていると思うんです、トランプさんのせいで思っていると思うんですけれども。いろいろなものの供給も、先ほどやった農業資材もそうです、ロシアとベラルーシから入れていたものは今入らなくなったので、カリウムの方ですけれども、その後のまた輸入先を変えるのに大変な思いを現場ではしていたんですね。

 やはり、リスク分散していかなきゃいけない。でも、鉱物資源なんかは限られていますから、これも限界があるんですけれども、今後更に中国依存度を下げていくのか。下げていく場合、どういう国としっかりやっていくのか。限られていますからね、どこにでもあるわけじゃないですから。今後の対応についてはどうですか、お伺いします。

大串副大臣 経済産業省といたしましては、中国の輸出管理措置に、我が国を含む……(小熊委員「声が小さいからもっと大きく。自信を持ってやってください」と呼ぶ)

 はい、失礼いたしました。

 経済産業省といたしましては、中国の輸出管理措置によりまして、我が国を含む世界中のサプライチェーンに影響を及ぼすことがないよう、日中輸出管理対話などを通じて中国と引き続き積極的に意思疎通を図り、適正な輸出管理が行われるよう求めていく所存でございます。

 また同時に、レアアースを始め重要鉱物の安定供給の観点から、補正予算等で計上した出資金や経済安保助成金など様々な支援策を通じて、供給源の多角化の取組を進めてまいりたいと考えております。

小熊委員 多角化が必要なんですよね。どこか一か国に依存していると、外交上、弱みになっちゃうんですよね。これが、トランプさんの混乱で、いろいろなものが日本も見えてきました。この弱みをなくしていくという努力、レアアースだけではなくて、いろいろなことで。今の状況で、アメリカに頭を下げ、中国に頭を下げて、必要な頭の下げ方は必要だけれども、それで国益が失われるのであれば、これは元も子もないわけですから、是非、今言われた多角化、早急にやらなきゃいけないですよね。トランプさんの挑戦は、大統領任期中は続くので。

 副大臣も、昨日、僕は見ていたんだけれども、「トランプ・ショー」というドキュメンタリーがあるんですよ、一期目のやつ。大臣は見ましたか。外務省の人も、あれは見た方がいいと思うけれども。一期目の混乱がドキュメンタリーで流れていて、出てくる人は更迭された人ばかりなんですよ。文句を言っている人も、とんでもない人だと言っている人もいれば、まあまあ、もごもごしながらも、ちょろちょろ言っているのもあって。あれを見ると、ああ、トランプさんというのはこういう人だなと。

 あと、別に、僕はアマゾンプライムとかU―NEXTの宣伝マンではないんですが、師匠と言われたロイ・コーンという弁護士のドキュメンタリーもあるので、こういうのを見ておくと、おとといは、真面目な人が行ってもしようがないよとちょっと失礼なことを言ったんですけれども、ああいうのを見て、やはり外務省もプロファイリングして。外務大臣も、ホワイトハウスに行ったとき、相当外務省からはレクチャーを受けたと思いますが、そういうのを見てくださいというレクチャーはなかったんですか。絶対見た方がいいんですよ。外務省はちゃんとそういうのも入れて、外務省も見てないの、そういうのをやはりやっていかなきゃいけないですよ。

 本当にあれはいいですから、お忙しいとは思いますけれども、副大臣も是非見ていただいて、トランプさんというのはどういう人なのか、見てみると、やはりとんでもない人だなというのは分かりますので、御紹介をさせていただきましたので、是非そこを頑張ってください。

 次に移ります。経産副大臣はオーケーです。

堀内委員長 大串副大臣におかれましては、御退室いただいて結構でございます。

小熊委員 次に移りますけれども、アジア・ゼロエミッション共同体、略称AZECというのは、岸田政権のときに立ち上げて、脱炭素とか地域の経済成長、エネルギー安全保障を全部両立していくという、いい取組ですし、今トランプさんのせいでめちゃくちゃになった中で、いろいろな地域や国と連携していこうという中で、ASEANとの連携を深める意味では大変いい取組になっているところでありますけれども。

 今、この変化、トランプさんの関税によってめちゃくちゃになっている状況の中で、この取組はいい取組なので、更に加速度化させていかなきゃいけない。今までの計画じゃない、更に加速度化していかなきゃいけないと思いますが、大臣、どうですか。

岩屋国務大臣 まず、今日は委員会が細切れになってしまいまして大変恐縮ですが、お許しをいただきたい、御理解をいただきたいと思います。

 また、ただいまの肥料の話ですとかレアアースの話、大変勉強になりました。ありがとうございました。

 その上で、アジア・ゼロエミッション、AZECについてのお尋ねですけれども、これも委員がおっしゃるとおりだと考えております。AZECは、頂上は同じでもいろいろな登山道があるよということを示しつつ、アジア各国との共通の理念を共有して、エネルギー移行を進めるための枠組みでございます。

 御指摘の脱炭素、経済成長、エネルギー安全保障の両方を実現をする、そして多様な道筋によるネットゼロを達成する重要性をパートナー国との間で確認をしてきておりますので、これは引き続き関係省庁ともしっかり連携して、具体的な取組を進めていきたい、加速させていきたいというふうに考えております。

小熊委員 大臣、お褒めいただいてありがとうございます。でも、過剰なお褒めの言葉は、済みません、慣れていないのであれですが、私に教えてもらったというのでは大丈夫かなと思っちゃいますけれども。この中には日本の三大塾の出身者も数多く、慶応義塾、松下政経塾、私も三大塾の一つの河合塾の出身でありますけれども、優秀な方ではありませんので、私に教えてもらったというのは日本の外交が危ういですから、是非頑張っていただきたい。

 加速度的にというのは、今内容も言ったし、関係省庁会議が日本であるのも分かっています、国内にあるのも。ただ、いろいろな国がありますので、会合、会議を今までのスパンで開くという考えじゃなくて、やはり頻度を上げていかなきゃいけないというふうに思っています。

 そういう中で、質問通告したら違うと言われた、今月二十七日から石破総理が東南アジアを歴訪するという時事通信社のニュースに触れたら、決まっていませんと言うんですよね。そこはそうなんですか。決まっていないんですか。

岩屋国務大臣 総理の連休中の外遊については今様々な検討をしておりますけれども、確定したものはございません。

小熊委員 結構、時事の記事を見ると細かくどこどこに行くとか書いてあるので、まあ、確定はしていない、行くだろうということを前提ですけれども、この際に、AZECを加速度的に進めていこうということを言っていったらいいと思うんですよね。仮定の話には答えないという得意の答弁も出てきそうなので、ここは止めておきますけれども、是非このAZECの更なる進展のことはテーマにしていただいて、会合も、会議もちょっと頻度を増やそうということを是非御提案をしていただきたいことを申し上げさせていただきます。

 資料の四枚目、本人がいないからあれなんだけれども、大臣、赤澤さんは茂木さんに相談しているんですね、書いてあるけれども。どんなことを相談したのかなと茂木委員に聞くのは、委員会のルールとしてはないんですよね。参考人としても呼べない。だって、大事なことだから聞いてみたいですもの。僕だって、赤澤さんは真面目過ぎるから、ちょっとよくないんじゃないと言っちゃった手前、でも、茂木さんにどんなことを聞いて交渉に臨んだのというのは聞きたいな。個別に聞いた方がいいですかね。

 これを思ったら、すごく、昨日の日経の記事を大臣は読まれましたか。大臣も、行く前に茂木さんに聞いて行かれましたか。アメリカに行くときに、茂木さんにレクチャーを受けました。受けない。今後もその予定はない。

岩屋国務大臣 何かおしゃべりになりそうなのでお答えさせていただきますが、私もこの記事を読ませていただきましたが、さすが茂木先生だなというふうに思いました。的確な御指摘、アドバイスをいただいているなというふうに思います。

 貿易に関する交渉であればこそ、第一次トランプ政権のときに御苦労された茂木元大臣のアドバイスが重要だということで、赤澤大臣は相談に行かれたんだと思います。もちろん、外務大臣の先輩でもいらっしゃいますし、折に触れてそういう方々の知見を拝聴させていただいて、参考にさせていただきたいと考えております。

小熊委員 あのときは、茂木さんをアメリカに派遣してもいいんじゃないかなというふうに思いましたし、ただ、今回、赤澤さんが行って、プロトコルからいうと、それを飛び越えてトランプさんが会ってくれたというのはよかったんですが、危険なのは、トランプさんのことをプロファイリング、ドキュメンタリーを見てやってください。ツンデレかもしれないですから。ツンデレという言葉は分かりますか。大臣、娘さんとかに聞いてみてください。ツンデレだったらすごいことね。今、最初はこうやっておいて、後でがんときますから。そのことも予見しながら、今回の一回目の会合はよかったとは私も思います。だけれども、絶対そこは信じちゃいけない、頼っちゃいけない、この後また何か言ってくるかもしれない。

 是非、ツンデレ、ちょっと後で勉強していただいて、また次の機会で質疑をさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

堀内委員長 次に、松島みどり君。

松島委員 自民党の松島みどりです。

 私は、三月一日、南米ウルグアイの大統領就任式に特派大使として出席させていただきました。

 オルシ大統領が宣誓式の演説で、私はここにいる半分の人たちに選ばれました、しかし、残りの人たちの考え、政策にも耳を傾けることが重要であり、民主主義とは継続する努力をしなければいけないものなのですと述べた言葉が強く印象に残りました。アメリカのトランプ大統領が議会演説で、十数回もバイデン前大統領の悪口を言ったのとは大違いでありました。

 五十七歳の大統領は、私との会見を終えて見送ってくれる際、ウルトラセブンが大好き、五十年前の白黒テレビの時代から好きだった、日本の大使からフィギュアももらいましたと目を輝かせて語り、ポーズを決めました。長崎県のちょうど真裏なんですけれども、日本の真裏の国に五十年前からこんな少年がいたのかと、日本のソフトパワーに改めて感じ入りました。

 今日は日本の外交を陰で支える人たちに光を当てて質問したいと思いますので、もう少しウルグアイの話を聞いてください。

 世界一貧しい大統領という映画や本もあるホセ・ムヒカ元大統領に、農村部の質素な冷房もない御自宅の狭い部屋でお会いすることができました。オルシ大統領の就任式には六十五か国から元首や大統領が来ており、恐らく多くの要人がムヒカ元大統領にお会いしたかっただろうと思います。しかし、八十九歳と高齢で御病気も抱えているので、面会できたのはごく少数でした。そのため、私も、現地のテレビ数社が待ち構える、そういう中、おうちに入ってまいりました。

 面会の実現は、駐ウルグアイ大使の秘書を務める日系人女性の人脈のたまものです。彼女は日系パラグアイ人ですが、外務省の日系人招聘プログラムで知り合った日系ウルグアイ人の男性と結婚し、お隣の国ですけれども、ウルグアイに移り住みました。

 ムヒカ元大統領は、日系人は、花の栽培など、とても勤勉で尊敬している、我が国に日系人が少ないのが残念だと私に語りました。ムヒカさんの曾祖父がイタリアからウルグアイに移住し、花卉栽培に携わったのですが、日本の大使の女性秘書の御主人の御実家も同業、花卉栽培という御縁がありました。

 同国の日系人は僅か約四百六十人とされています。ブラジル二百七十万人、ペルー二十万人、アルゼンチン六万五千人などとは比べ物になりません。外務省は常々、日系人の存在は南米との外交で貴重な財産という言葉を繰り返し、私も、二〇〇七年に外務大臣政務官として中南米を担当した際に、東京に招かれた日系人のブラジル最高裁判事の方や次世代リーダーの方々とお会いしました。当時は、ブラジル空軍の司令官も日系人でした。

 その後訪問したブラジル、ペルー、アルゼンチン、パラグアイ、そして今回のウルグアイでも、日系人社会の方々と懇談する機会がありました。一部の年配の方を除きますと、多くの方々が日本語での会話はスムーズではありません。自分は日系人という意識が余りなかったけれども、招聘プログラムで訪日してからその意識が芽生えるようになった、さらに、各国にいる同世代の日系人と交流するようになったというお話をしばしば伺いました。

 そこで、質問というかお願いです。

 日本への招聘事業では、移民船が出港した横浜や神戸は訪ねますが、是非、それぞれの方のルーツの地、両親あるいは祖父母いずれかの故郷を訪問できるようにしていただきたいのです。例えば、先祖は海に囲まれた島で農地が乏しかったから、ブラジルの大地を目指しアマゾンで農業に従事したのだというようなことを、そこへ行って、その島へ行って目で見て実感していただきたいと思います。

 各県の国際課などに協力を求めれば、外務省職員が一人ずつに付き添う必要はないだろうと思います。広島県、長崎県、沖縄県など、移住者の多いところでは、地元の方々とも触れ合えるチャンスだと思います。いかがでしょうか、質問いたします。

野口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、特派大使として現地を御訪問いただいた委員からの御指摘は、大変有益な観点を含んでいると考えております。

 日系人招聘の実施に当たりましては、これまでにも、横浜の海外移住資料館への訪問を行いつつ、招聘した日系人が自身のルーツに触れる機会を設けるなどしているところではございますが、委員の御指摘も踏まえ、自身のルーツをより実感していただき、日本とのきずなを一層深めるための有意義なプログラムとなるよう努めていきたいと考えております。

松島委員 日系人一万人のパラグアイは日本語教育に熱心で、大豆生産の農村に行きますと、日系四世ぐらいの方でも、自然な、流暢な日本語を話しておられるのに驚きました。

 毎年開催される日本語能力試験では、パラグアイの各地の日本人会が運営する日本語学校の生徒さんが、N1、N2などに合格しています。しかし、そのパラグアイから、是非日本語教師を継続して派遣してほしい、日系人が世代間で教えつなぐのには限界があるという要望がしばしば寄せられています。

 世界のいろいろな国から日本語教師の派遣が求められていますが、日系人のいる南米の国、特に日本語の伝承に熱心な国への派遣、これは優先していただきたいと思います。いかがでしょうか。

金子政府参考人 御質問ありがとうございます。

 海外での日本語教育の推進は、日本理解を促進し、日本との交流の担い手を育て、諸外国との友好関係の基盤をつくることにつながりますので、日本外交を推進する上でも極めて重要であると認識しております。

 こうした観点から、外務省では、国際交流基金を通じ、日本語専門家の派遣や日本語教師の研修、教材開発など、海外における日本語教育環境整備のための事業を、中南米を含む世界各地で推進しておるところでございます。また、中南米を始めとする各国に派遣されているJICAの海外協力隊には、日本語教師の職種も含まれております。

 特に、中南米におきましては、日本と各国とのきずなは日系社会の存在に支えられておりまして、次世代を担う若い日系人の方々とのきずなの強化は重要です。このため、日系人を含む海外に移住した邦人の子孫等に対する日本語教育支援のための施策を推進しているところでございます。

 今後も、現地からの要望にしっかり耳を傾けつつ、中南米地域における日系社会のニーズにも沿った日本語教育の普及に取り組んでまいりたいと考えております。

松島委員 長い答弁でしたけれども、その中で、中南米に特にたくさん送っていただける、そういう答弁と解釈させていただきます。

 話が変わります。

 今年、発足六十周年を迎える海外協力隊について質問します。

 昔は、青年海外協力隊といえば、若い男性が井戸を掘りに行くというイメージがありました。その後、保健医療分野や自動車整備、獣医など農畜産に広がり、近年、教育、スポーツなど新しい分野に重点が移っていること、そして、女性が六割も占めている。特に、アフリカでは七割近くの方が、三十代女性の方といえばアフリカという感じだと伺いまして、驚きました。

 最近求められるようになった新しい分野について事例を挙げて御紹介いただき、また、帰国後の彼ら、彼女らの進路について、ビジネスを始める起業や、あるいは元の職場に戻る制度などについてお伺いいたします。簡潔にお願いします。

小林参考人 ありがとうございます。お答えいたします。

 JICA海外協力隊ですが、今議員御指摘のとおり、現在、教育あるいはスポーツといった分野が約半数を超えてございます。その最も多い分野といたしましては、小学校教育、コミュニティー開発、青年活動、そして日本語教師、環境教育等がございます。

 また、隊員の全体の派遣の約二割の方が、休職等の形で所属先に身分を残したまま現職で派遣されています。また、公務員に加えて、これまで延べで一千五百社以上の民間企業、団体の方が、何らかの制度を用いて現職参加を御利用いただいているという状況でございます。

 また、帰国後に関しましても、全体の、帰国されて就職する方の約一割の方が、国際協力分野で活躍されていらっしゃいます。また、委員御指摘のとおり、起業を志す方もいらっしゃいますので、今JICAとしてはその支援も行っております。

 三事例、具体的に活躍された方の事例を御紹介させていただきます。

 一事例は、高校の野球の監督を長年務められて、そして、定年退職後にタンザニアに派遣されまして、タンザニアのナショナルチームの指導を行った男性隊員がおられます。この方は、まさにチームメンバーを集めるところから活動をされたというふうに伺っております。

 また、ウガンダでは、女性隊員が、帰国後にウガンダで再び起業して、モバイルマネーを活用した井戸の管理システムの普及を行っております。

 また、エチオピアに派遣された隊員は、帰国後、日本国内の地域におきまして、無料食料品の配達を通しまして、いわゆる困窮子育て家庭の支援を行っています。

 JICAとしましては、こういう方々を引き続き支援しつつ、社会還元を発信してまいりたいと思っております。

松島委員 海外協力隊のこのパンフレット、「クロスロード」というんですけれども、とても面白くて、一晩で五冊一気に読んでしまいました。皆さんにもお勧めいたします。

 時間が足りなくなってきたので次は簡単に答えてほしいんですが、せっかくの活動ぶりを広く知ってもらうために、万博や八月のTICADを利用すべきだと思いますが、御予定はございますか。簡潔にお願いします。

小林参考人 ありがとうございます。お答えいたします。

 まず、万博ですけれども、こちらでは、地方創生をテーマにしたパネルトークイベントを四月二十五日に企画しております。具体的には、バングラデシュに派遣された隊員が日本に戻りまして、岐阜県にUターンされて、そこで地ビール等を用いた地域おこしをまさに一生懸命取り組まれています。この東恵理子さんを始め五名の隊員の方と、そして有識者の方に御登壇いただきまして、パネルトークを開催したいと思っております。

 また、TICADですが、こちらは、アフリカの起業家の方も交えまして、日本とアフリカの共創をテーマとしますイベントを企画しております。そこで、JICAが支援しています帰国隊員向けの起業支援、そこに参加された元隊員の方がビジネスアイデアを発表する、そういった機会も提供してまいりたいというふうに考えております。

 引き続き、こういった形で隊員の社会経験の活躍をしっかりと発信していきたいと思っております。

松島委員 最後に、協力隊の活動は、途上国の方々の心をつかみ、我が国の外交にとって重要な資源だと思います。途上国に赴任する前に、見知らぬ県の町や村に出かけて、地域おこし隊として数か月過ごす制度もあると聞きます。石破内閣の地方創生とも合致します。

 自治省御出身で今外務副大臣の宮路副大臣から、こういった視点も含めて、海外協力隊の方々への期待と励ましのお言葉をお願いします。

宮路副大臣 青年海外協力隊に対する応援メッセージということで、外務副大臣として心から感謝申し上げます。

 まず、本年で発足から六十周年を迎える海外協力隊は、九十九か国に延べ五万七千人以上が派遣され、現地の人々と生活を共にしつつ、開発途上国の経済社会の発展に貢献し、草の根レベルで信頼と相互理解を深め、受入れ国との間の懸け橋とも言える存在となっており、日本の国際協力の中でも顔の見える開発協力として、受入れ国側からも高い評価を得ております。

 そうした中、新潟県出身の協力隊員が、派遣前訓練の一環として、島根県海士町において数か月間の実践経験を積んだ後、サッカー指導者の隊員としてスリランカで活動し、その後また海士町に戻って勤務しているという実例もあり、御指摘のとおり、JICA海外協力隊の活動が地方創生にもつながるものであるというふうに認識しております。

 隊員の皆さんには、厳しい環境の中ではありますが、是非現地の人々の心に残るような活動をしていただきたいと考えており、また、隊員としての活動を通じて培った知見を生かし、帰国後にも、地方の活性化や多文化共生を含む社会が抱える様々な諸課題の解決に御貢献していただくことを期待しております。

松島委員 ありがとうございました。

 途上国の地域おこし、日本の各地の地域おこし、共通するものがあると教えていただきました。

 どうもありがとうございました。

堀内委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 松島先生、海外青年協力隊の話、ありがとうございます。実は、私の妹も、先ほどあったように、タンザニアに二十年ぐらい前に行っておりまして、小学校の教員で。

 びっくりしたんですけれども、余り体育という概念がないみたいで、いろいろやりながら、運動会を初めてやっていまして。そのときにびっくりしたのが、綱引きの綱がなくて、棒を引っ張っていまして、短い棒を両方が取って、その後ろの子供たちは、前の人のおなかをこうやって引っ張りながら、僕らから見るととても不思議な光景なんですけれども、子供たちは物すごい喜んでやっているのが印象的でして、そこで体力の増進をということで。

 済みません、余計な話じゃないですけれども、先生の話を聞いて、ちょっと刺激を受けまして。本当に様々な学びがあって、戻ってきて、今、日本の方で小学校の教員をしています。

 済みません、本題に入りたいと思います。

 まず初めに、アメリカ・トランプ大統領の関税措置についてお伺いします。

 先ほど来、小熊先生からもお話がありましたけれども、赤澤担当大臣がいよいよアメリカの方に行かれまして、これから、まさかのトランプ大統領も同席されてというふうにお伺いしております。最後までどうなるか分かりませんけれども、その中での交渉が始まっていかれるということで、会場、場所もホワイトハウスに移されるという異例の対応というふうになっているとお伺いしております。

 様々、SNSで相変わらず発信されておりまして、トランプ大統領は、日本の代表が関税、軍事支援費用、そして貿易の公平性について交渉にやってきますとも発信されまして、交渉のメインは自動車関税だと見られていましたが、在日アメリカ軍の費用負担増額などを要求される可能性もあるというふうな報道もございます。しっかり、赤澤大臣の方に、相手が変幻自在ですので大変だと思うんですけれども、頑張っていただきたいなというふうに思うところでございます。

 ベッセント財務長官からも、あらゆる選択肢が検討対象になるということで、今後どういうふうなところになっていくのか、この点は非常に注視していかなければならないというふうに思っております。農業市場についての言動がグリア通商代表からあったり、様々なことが指摘されるわけでございますけれども、しっかりと取り組んでもらいたいというふうに思います。

 こういった状況の中、総理からは、この四月、九十日間の延長というか停止のときに、三点指示があったと承知しております。第二回総合対策本部の中で、林官房長官及び赤澤大臣の下で、関係府省の職員が省庁の枠を超えて米国との交渉や国内産業に対する必要な対策に取り組むオール・ジャパンの組織体制を構築して取り組んでいくと。

 一点目は、昨日の相互関税の一部停止措置を含め、一連の関税措置の内容を精査し、影響を十分に分析すること、二点目の指示は、林官房長官及び赤澤大臣を中心に関係府省が緊密に連携し、合衆国政府に対し、措置の見直しを強く求めるなどの取組を進めること、そして三点目に、関税措置による国内産業への影響を勘案し、資金繰り支援など必要な支援に万全を期すことというふうにあります。

 これも受けまして、米国の自動車に対する追加関税措置及び相互関税措置は、今後、国内産業の広範囲に影響が及ぶ可能性があるため、しっかりと精査し、我が国産業や雇用を守るために必要となる支援に万全を期すということで、今取り組んでくださっているというふうに承知しております。

 そこで、まず、トランプ大統領による関税政策が日本経済、特に重要な自動車産業に与える影響について、現段階で政府はどのように評価し、どのような対策を講じる方針なのか、お伺いいたします。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 追加関税によりまして米国の新車販売市場が冷え込みまして、日本から米国への輸出が減り、国内の生産台数に影響が生ずる可能性があるというふうに考えてございますけれども、引き続き、この点、よく精査をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、米国市場の動向につきましては、米国メーカーを含めた各社の価格や生産地などの戦略、為替を含む各国の事業環境などによって変わり得るものでございまして、我が国経済への影響を一概に申し上げることは現時点で難しいということを御理解いただければと思います。

 その点で申し上げますと、自動車産業は中小企業や小規模事業者を含む裾野の広いサプライチェーンを有しておりまして、こうした部品を作る中小企業への影響をよく見て対策を講じていく必要があるというふうに考えてございます。

 こうした中で、全国の経済産業局のほか、政府系金融機関、商工団体など、全国約千か所に相談窓口を設置しており、地域産業への影響の把握に努めているほか、米国の関税措置の影響を把握するため、プッシュ型で事業者の方々のお声を直接お聞きしているところでございます。

 現場での意見交換の中では、今後の見通しの不透明さに対する不安、仮に今後発注が減少した場合の資金繰りや雇用維持に関する政府の支援への期待、前向きな事業強化に向けた支援の要望など、様々な声をいただいているところでございます。

 こうした現場の声を受け止めながら、影響の把握を速やかに行い、それらの状況も踏まえて、自動車産業を始めとする我が国産業を守るための対応の検討を行ってまいります。

山崎(正)委員 次の質問に関することもお答えいただきまして、ありがとうございます。

 非常に重要なのは、やはり、どうこの影響から国内の企業の皆さん方、国民の皆さん方を守っていくかということで、しっかり対応が大事だと思います。経済産業省では、短期の支援策を三つの柱で、先ほどかなり御紹介がありました。

 大事なことは、全国の相談窓口を約千か所準備してくださっているというふうにお聞きしています。先ほど言ったように、丁寧に聞くとともに、プッシュ型支援もやってくれている。そして、この間も言いましたけれども、リーマン・ショックのときも黒字倒産があったということで、資金繰りや資金調達の支援をやってくださっている。セーフティーネットの利用要件の緩和等を行ってくれたり、また、中堅・中小自動車サプライヤーの事業強化のための支援もやってくださっていると思っています。

 それで、ジェトロを中心に、今現在、相談窓口にどのような案件が届いているかというところで、やはり千五百十件のうちで最も多かったのが関税措置に対する問合せで、実際、自分のところが対象になるのかとか、どれぐらい影響を受けるのかという、対象になるのかどうなのか、何%ぐらいの関税が自分のところにかかるのか、また、発注が減少した場合の資金繰り不安や支援措置についてのお伺いが一番多かったというふうに聞いております。

 そういった中で、これらの様子からも、関税措置が日本経済や産業に与える影響を精緻に分析し、経済産業省さんと連携して取り組んでもらいたいんですけれども、一番は、皆さんは単純に、かかるかどうかとか、どれだけ影響があるかということを心配していますので、分かりやすく情報発信を行っていただきながら、不安の払拭と理解促進に更に努めていただきたいと思いますが、認識と具体的な方策についてお伺いいたします。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 今般の関税措置は幅広い国内産業に影響が及ぶ可能性があるところでございまして、国内産業への影響の精査と国内の産業や雇用を守るための必要な対応の検討に着手をしているところでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、短期の支援策といたしまして、特別相談窓口の設置、資金繰りや資金調達への支援、中堅・中小企業の事業強化のための支援を進めるとともに、プッシュ型の現場訪問などで状況の把握に努めているところでございます。

 委員から御指摘がございましたように、米国の関税につきましては頻繁に状況が変化をし、不確実性が高い中で事業者の不安が増しているということも承知をしてございます。そこで、先日、企業への支援策も含めて、米国の関税措置に関する情報をワンストップで発信するポータルサイトを経済産業省のホームページに立ち上げたところでございます。加えまして、ジェトロによる特別オンラインセミナーの開催など、米国の措置の解説を始め、積極的な情報発信を行っているところでございます。

 引き続き、事業者の疑問や不安に寄り添ったきめ細やかな情報提供に取り組んでまいりたいと考えてございます。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 次に、中国との関係についてお伺いします。

 アメリカが、今、中国へ追加関税一四五%、中国が報復で一二五%、これ以上の米中の摩擦の激化は世界にとってよくない状況だと思います。そういった中で日本の役割が非常に重要なんですけれども、そんなタイミングで、今回、超党派で我々も中国へ訪問することになっております。しっかり実りある訪問にしなければならないと思っております。

 ここで改めて、複雑化する国際情勢の中で、日中間の対話や共通課題への協力をどのように推進していくのか、また、現時点での中国との関係の中の最大の課題なんかをどのように認識しているのか、改めてお伺いします。

宮路副大臣 日中両国間には、様々な可能性とともに、数多くの課題や懸案がありますが、両国は、地域と国際社会の平和と繁栄にとって共に重要な責任を有するものと考えております。中国との間では、戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくというのが日本政府の方針であります。

 三月の日中外相会談では、岩屋大臣と王毅外交部長の間で、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくための歩みを確かなものにしていくことで一致をいたしました。その中で、グリーン経済や少子高齢化への対応を始め、幅広い分野において互恵的な実務協力を推進していくということを確認するとともに、ハイレベル往来を重ねる中で懸案を解決していく重要性を強調したところです。

 具体的には、尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海情勢や、中国軍の活動の活発化、ブイ、邦人拘束、日本人の安心、安全、水産物を含む日本産食品に対する輸入規制といった課題や懸案について、日本の考えや懸念を率直に伝達し、中国側の対応を求めたところです。

 中国との間では、これらの課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくことが重要であり、引き続き、首脳、外相間や議員交流を含むあらゆるレベルで、幅広い分野において意思疎通をより一層強化し、共に取り組んでまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 申し訳ありません、ちょっと時間の関係で、次の質問を飛ばさせてもらいたいと思います。本当は、ここで日中ハイレベルの人的、文化交流の対話の重要性についてお聞きしたかったんです。これで、本当に若者の交流とか、修学旅行なんかの交流もあるということで、非常に重要な、コロナを経てこれが始まったということで、すばらしいと思ったんですけれども。

 そういった交流をやっていく上で、ちょっと一点気になるのが、やはり、昨年九月三十日に、中国シンセンで日本人学校に通う子供さんが登校中に襲われ亡くなられた事件を受けて、これを受けて、我が党としても、緊急決議を申し入れて、しっかりと安全措置をしてもらいたいということを要望したんですけれども。

 そこで、その要請をした後、文科省とも連携した取組は、実際にどのようなものが行われているのか。生徒や保護者、職員の安心感につながる取組になっているのか。さらに、この事件を受けて、他の在外施設に対して何か新しい安全対策の追加の指示を行ったかについてお伺いいたします。

岩本政府参考人 外務省といたしましても、従来から在外教育施設の安全を大変重視してきておりまして、文科省と連携して様々な支援をさせていただいております。

 先ほど御指摘いただきました中国の事件を受けまして、まず、中国側に対して、学校の警備強化を強く申し入れて、中国側も対応してきております。そして、昨年度の補正予算も活用しまして、各校に配置する警備員の増強の支援を行ってまいりました。

 そして、いただきました決議を踏まえまして、中国以外の全世界の在外教育施設に対しましても、文科省と連携して対策強化に取り組んでおります。例えばですけれども、各校の安全対策の確認を行いました。また、校長先生また教員に対する研修、こういったものも強化をしてきております。

 さらには、令和七年度、今年度の予算では、この安全対策の経費の支援の予算を増額していただきました。こうした予算もしっかりと活用して、継続的に全世界の在外教育施設の安全対策強化に取り組んでまいりたいと思っております。

山崎(正)委員 しっかりその発信をしていただきまして、かなり修学旅行も来ていただいているし、向こうにも行っていたと思うんですけれども、そういった交流の足かせというかストップにならないように、是非また取組を進めていただけたらと思います。

 時間が来ましたので、以上で終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時六分開議

堀内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。

 まず、国際刑事裁判所、ICCの方について伺わせてください。

 世界で最も重大な犯罪に取り組むICCでございますけれども、日本人としては初めて赤根智子さんが所長に就いていらっしゃるわけですが、実際は、アメリカ、中国、ロシア、インドといった大国とか、また人口の多い国は、ICCについて規定しているローマ規程には加盟していないということで、ICCの普遍性と実効性には残念ながら疑問符がつく事態となっている。さらには、一部の加盟国が、ICCの活動とか特定の捜査、訴追に不満を持っているということで、脱退するという動きもあるわけですね。

 こうした中でまず伺いたいのが、加盟国が全世界の三分の二程度にとどまっていることについての所見を外務省に伺えますでしょうか。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 議員から御指摘がありましたとおり、国際刑事裁判所、ICCですが、国際社会全体の関心事でございます最も重大な犯罪を犯した個人が処罰されずに済まされることがないようにするために、国家の刑事裁判権を補完するものとして、国際法に基づいて、こうした個人を訴追し処罰する権限を与えられております常設の国際刑事法廷でございます。加盟国数でございますが、二〇二五年四月時点で百二十五か国ということにとどまっております。

 ICCが真に普遍的かつ実効的な裁判所となりますためには、アジア太平洋地域を始めとする締約国の拡大、これが不可欠であると政府としても認識しております。こうした観点から、我が国は、各国に対してICC加盟を働きかけてきているところでございます。

 引き続き、こうした働きかけを行うとともに、ICC普及のための方策をICCとも連携しつつ、摸索してまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 世界的に三分の二なんですけれども、アジアに特化すると、東アジア、太平洋の諸国に特化すると半分も入っていない、四割しか入っていないんですが、この辺の所見を伺えますか。なぜ、そういうふうになっているのか。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 アジア太平洋地域、これは国連の区分でございますので、国内で通常想定されるものよりもちょっと広くて、中東とかまで含むんですが、二〇二五年四月時点で、アジア太平洋地域におけるICCの加盟国は十九か国ということになってございます。

 先ほど申し上げましたとおり、ICCが真に普遍的かつ実効的な裁判所となるために、アジア太平洋地域を始めとする締約国の拡大は不可欠であると認識しておりまして、アジア太平洋地域においても働きかけをしてきているところでございます。

 理由についてお尋ねがございましたが、ちょっと一概に述べることは難しいんですけれども、一般論として申し上げれば、例えば、自国民が裁かれる可能性などを踏まえて慎重な姿勢を維持しているという側面はあり得るのかなと思っております。

 いずれにいたしましても、そのアジア太平洋地域の各国におきまして、ICCの意義、仕組み等について理解の促進、これを一層進めることが重要であると考えております。

鈴木(庸)委員 加盟しないことについては、国家主権への干渉と捉えられていたりとか、ローマ規程の内容が国内法と必ずしも一致していなかったりとか、政情不安定とか、紛争を抱えるとか、いろいろあると思うんですけれども。

 中には、加盟に関わる分担金を払いたくないという国もあるという話を伺ったんですが、日本は、最大の分担金の支払い国であるとともに所長まで出しているというところで、是非、法の支配というものを広げるために、ICCへの応援というのはしていただければと思っておりますし、ICCの応援をしている日本が、なかなか今難しい国際情勢の中でも、法の支配を遵守している国だというアピールにもつながると思いますので、是非こつこつ頑張っていただければと思っております。

 そうした中で、ICCの関係者というのは表に裏に尋常じゃない圧力がかかっているというのは、御案内のとおりかと思います。

 アメリカでは、ICCへの制裁の法案が可決されたり、捜査に関わったICCの職員とかその家族が資産凍結とかまた入国の制限などの制裁対象になっております。あくまでも、これは表立っている話だけですよね。表立っているだけでこれで、もっと怖いのは裏でどんなことをやっているのかというところで、たまにぽろぽろとニュースに出てくるんですけれども。

 例えば、去年の五月の二十八日のザ・ガーディアンの記事なんですが、今、カーンさんが首席検察官をやっていますけれども、その前に、二〇一二年から二一年までファトゥ・ベンソーダさんという方が主任検察官をやっておられました。このベンソーダさんに関して、イスラエルのモサドが物すごく家族に強い関心を持っていて、家族の安全に警戒を促すようなメッセージを発したり、彼女の夫の秘密録音の写しを入手したりとか、さらに、コンゴ民主共和国の大統領を介して個人的に彼女にモサドの幹部が接触してきたり、そういった報道がされております。

 相当身の危険を感じたことについては想像に難くないんですけれども、表に出ているだけでもこれだけあるわけですから、裏では相当いろいろあるんだと思うんですよね。これが国際政治の現実と言ってしまえばそれまでなんですが、片や、ロシアもICCの関係者を指名手配したりとか、相当な危険とともに職務を遂行しているわけであります。

 その前に、ロシアのプーチンさんやネタニヤフさんといったところに逮捕状を出したカーン首席検察官についてもセクハラ疑惑が出てきました。さらには、このセクハラをめぐってカーン氏がICC職員を降格させて報復した疑いがあるという報道も出てきました。事実は調査中ということなんですけれども、カーンさんが中心になってイスラエルやロシアの国家元首への逮捕状を出したという事実はあるわけで、初代のルイス・モレノ・オカンポ氏もアフリカ諸国からのかなり強い反発を受けているという話を聞いております。

 こうした中で、あるインタビューで、赤根所長も、外出をしないように心がけるようになったとおっしゃっています。

 私も、イリヤ・ポノマリョフさんという、二〇一四年にロシアの国会でクリミアの併合を反対した方とちょっとおつき合いがあって、彼が日本に来るときは警察の警護もつくし、去年は、キーウの彼の自宅にドローンが飛んできて、もう血だらけで死にそうになったりしているんですけれども、本当に、政治的、社会的に潰されるだけじゃなくて、実際に命まで狙われるというこの国際政治の現実というところになかなか我々は気づけていないのかなという大変な危機感を持っております。

 そういう中で、法の支配というものを牽引している赤根所長に対する警備体制というのは一体どうなっているんでしょうか。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 ICCを取り巻きます厳しい状況を踏まえて、我が国として、ICCあるいはICCが所在しますオランダの当局に対しまして、従来より赤根判事の警備に万全を期するよう申入れを行ってきております。既に、具体的な措置も講じられているところでございます。また、赤根判事がICC所長に就任された際も改めて、警備に万全を期するよう、ICC、オランダ当局に対して申入れを行ってきておるところでございます。

 警備対応の具体的な内容につきましては、事柄の性質上、お答えは差し控えさせていただきますが、政府としても、御指摘のあった問題意識を共有しておるところでございまして、赤根所長の安全確保、これは最優先であると考えております。

 赤根所長を始めICCがその役割を十全に果たすことができますよう、引き続き緊張感を持って、ICC、オランダ当局等と連携しつつ適切に対応してまいります。

鈴木(庸)委員 力強いコメントをありがとうございます。

 本当に命まで狙われかねない国際情勢の中で、赤根所長の保護というものに重点を置いていただければと思います。

 このICCは、いろいろな世界中の指導者とか、そういうところ、指名手配とか逮捕状の発行とかをしているわけでありますけれども、ICCの犯罪者とされた人たちに、被害を受けた皆さんに、被害者信託基金というものがあるかと思うんですけれども、余り多くの額が積まれていないという話も聞きます。この辺の現状と額についての評価を伺えますでしょうか。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのありました国際刑事裁判所の被害者信託基金、略称でTFVと言っておりますが、ICCの管轄権の範囲内にある犯罪の被害者及びその家族のために、裁判所の有罪判決に基づいて被害者賠償を行うこと、それから、ICCが管轄権を行使している事態におきまして、被害者及びその家族に物理的リハビリテーション、物資供与、精神的リハビリテーション等を供与することを任務とする基金でございます。

 このTFVの活動は、我が国が外交政策の柱の一つとしております国際社会における法の支配の確立のために重要な活動である、このように認識しております。

 日本は、紛争下における女性暴力対策、これにイヤマーク、使途指定する形で、TFVに対しまして二〇二四年度までに累計約百八万ユーロを拠出してきております。直近の二〇二四年度でございますが、三万六千四百二十ユーロ、邦貨換算で約五百四十万円の拠出を実施しているところでございます。

 このように日本政府が継続してTFVへの拠出を行ってきておりますことは、ICC側からも高く評価いただいております。引き続き、被害者の賠償、救済の分野でもICCとの連携を深めてまいりたいと思います。

鈴木(庸)委員 例えば、ロシアの場合だと子供の連れ去りとか、あと、イスラエルの場合だと、ハマスもそうですけれども、虐殺、人殺し、そういうことに関わることに関係したというところで、被害者の数が膨大で、なかなか三万ユーロという単位ではないと思うんですけれども、是非、小粒でもぴりりと光るICCならではの、やはり日本人が所長をやってよかったなと世界に思っていただけるような支援を引き続きお願いしたいと思います。

 ちなみに、これまでICCで逮捕状が発行された対象者が日本に入国した例というのはあるんでしょうか。

中村(和)政府参考人 政府といたしまして、お尋ねのような事例があったということは承知しておりません。

鈴木(庸)委員 仮にですよ、仮に、実際に対象者が入国した場合の具体的な手続というのはどういうふうになるんでしょうか。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 現時点では、ICCから逮捕状が発付されている被疑者の入国というのは想定される状況にございませんで、かつ、日本の対応ぶりについては個別具体的な事案に即してその都度判断する必要がございます。

 したがいまして、ちょっと仮定の御質問にお答えすることは難しいんですが、一般論として申し上げますと、ICCから我が国に対しまして、ICCから逮捕状が発付されている被疑者の引渡請求がある場合には、我が国は、ICCローマ規程及びその国内実施法でありますICC協力法に基づきまして対応を行うことになります。

鈴木(庸)委員 当然、情勢を見ながらということになると思うんですけれども、やはり日本に来たら逮捕されるという雰囲気はつくっておかないといけないと思うんですよね。日本は何をするか分からないという雰囲気を出し続ける必要があると思っております。

 恐らく、そういう方が来ることはそうないと思うんですけれども、例えばモンゴルといった加盟国でも、プーチンさんが行ったときは国賓待遇のような扱いをしている部分もあるので、日本に寄りつきにくい雰囲気、また、日本とだったら交渉できるんじゃないかなみたいな雰囲気も打ち消すような雰囲気を是非維持していただくということが、先ほどもおっしゃっていましたけれども、この委員会でも度々指摘されている、法の支配が徹底されている国というところにつながると思うんですけれども、是非、矜持を持って取り組んでいただきたいと思います。

 また、ICCの所長さんが日本人で、かつ最大の分担金を拠出している。そして、法の支配を掲げている国の日本で何か問題がなかったということにならないように、そういった雰囲気を醸すことをお願いしたいと思っております。

 ちなみに、このICC、東京事務所の設置について議論されているという話も伺うんですが、その辺りを伺えますでしょうか。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 ICCは、先ほど申しましたICC普及等のために、締約国との関係強化にかねてから関心を有しております。その関連で、まさにこの地域、アジア太平洋地域にも地域駐在員を配置するという構想があると承知しております。

 この地域駐在員を配置させることにつきましては、現在、締約国の間でその必要性等について協議が行われているということと承知しております。我が国としては、この協議に積極的に参加してまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 そうした協議も含めて、いわゆる手足のない巨人とも言われているわけですけれども、その辺りについての所見を伺えますでしょうか。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 手足のない巨人という御指摘の関連ですが、一般に、主権国家の領域内におきましては、その国の同意なくして公権力の行使と呼ばれる行為を行うことが認められていないということは御案内のとおりでございます。したがいまして、このICCローマ規程の下におきましても、ICCが各締約国内の領域において自ら逮捕等の行為を行うことは想定されていない、こういう仕組みになっておるところでございます。

 その上で、ICCローマ規程におきましては、ICCが行う捜査、訴追に関しまして、締約国がICCの請求に応じて、逮捕、引渡し、証拠の提供、ICCの判決等の執行、あるいは被害者、証人の保護のための措置等について協力する、こういうことを義務づけているわけでございまして、かつ、これらの規定の下で実際に個人の訴追及び処罰も行われるに至っているということでございます。

 ICC締約国が関連の国際法上の義務を遵守するとともに、アジア太平洋地域を始めとする締約国が更に拡大し、これによってICCが真に普遍的な裁判所となること、これがICCの実効性の更なる向上にもつながるものと考えております。

 我が国は、重大な犯罪行為の撲滅と予防、法の支配の徹底のために、世界初の常設国際刑事法廷であり、我が国出身の赤根智子氏を所長としておりますICCを一貫して支持してきております。

 こうした立場を踏まえまして、引き続き、ICC普及のための方策、これをICCと連携しつつ模索してまいりたいと思っております。

鈴木(庸)委員 法なくして永続的な平和はない、復讐と暴力が繰り返されることになるということで、国際法に基づく問題解決の重要性に改めて力を置いていただきたいと思います。

 そして、ICJの方についても伺わせてください。

 こちらも日本人が所長ということで、国際司法裁判所の場合は、国連憲章の第九十四条で、国際司法裁判所の判決に従わない場合、国連安保理が適切な措置を取ることができるとあるんですが、安保理が動けば、当然、当事国に関しては制裁を加えることができるわけですけれども、御案内のように、常任理事国が拒否権を発動することで一切機能しなくなってしまうということで、理念はすばらしくても、このICJについても、現実の執行には疑問符がついてくるところなんですが、それでもこの義務的管轄権というものがあるわけで、これを受諾しているのは僅か世界の三分の一しかない。この辺についての所見を伺えますでしょうか。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 ICJの強制管轄権受諾についてのお尋ねでございますが、我が国日本につきましては一九五八年に受諾しているところでございますが、世界全体を見ますと、ICJの強制管轄権を受諾している国、これは国連加盟国全百九十三か国中七十四か国にとどまっているということでございます。

 国際社会におきます法の支配、これを実現していくためには、より多くの国がICJの強制管轄権を受諾する必要があると考えております。このため、我が国は各国に対して、例えば国連の場や二国間のやり取りにおきまして、様々なレベルでICJの強制管轄権を受諾することを呼びかけてきております。

 引き続き、ICJの発展に協力し、国際社会における法の支配の推進に積極的に貢献していく考えでございまして、今後とも、政府としてより多くの国がICJの強制管轄権を受諾するよう働きかけてまいります。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 最後に、大臣に、ICCとICJ、法の支配をつかさどる両機関のトップが日本人であることについての所見を伺えますでしょうか。

岩屋国務大臣 委員からるるお話しいただきましたように、法の支配を最重要視する我が国として、このICJとICC、国際社会で最も権威ある司法機関の代表を送り出しているということは、大変誇らしいことだと思っております。このICJとICCの果たす役割はますます増大してきているというふうに考えております。

 ICCは赤根所長、また、今般、ICJに岩沢雄司裁判官が選出されたことは、両所長への高い国際社会の評価が示されたということであり、大変大きな意義があると考えておりまして、我が国としては、今後とも、ICJ及びICCの発展に協力をして、国際紛争の平和的解決及び国際社会における法の支配の増進に積極的に貢献してまいりたいと思います。

鈴木(庸)委員 本当に、国際政治の最も理不尽な部分に理屈を通そうとするこの二つの機関を支援するということが日本にとっても必ず国益になると思いますので、是非よろしくお願いを申し上げます。

 ちょっと順番を入れ替えさせていただきます。

 やるかやられるかのこの熾烈な戦いの中で、最も重要なのはやはり情報だと思っております。

 そうした中で、デイリー新潮の記事、禁煙のホテルに喫煙所を設置させた、G7会合で発覚した岩屋大臣の行動、外交日程で一番気にするのは、いつ、どこで、たばこが吸えるかという記事が出ました。

 岩屋さんが追及されるだろうという前提で書かれた記事だと思うんですけれども、私が驚いたのは、岩屋さんがヘビースモーカーであるということよりも、一国の外務大臣が外遊で立ち寄る場所が、雪が残っているので転落防止の赤いじゅうたんが敷かれていたといった設備面の問題、さらには、夕方から夜の日程、そうなった理由、全部情報が漏れていた。これはすごいことだなと、そっちの方に驚きました。

 まず、聞きます。

 驚いたのは僕だけで、実は、これというのは公開情報だったんでしょうか。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から言及がございました記事につきましては、これは事実ではないということでございまして、したがいまして、公開か非公開かということもお答えしかねるということになります。

鈴木(庸)委員 じゃ、事実ではないということは、岩屋さんはたばこを吸われないという方なんですか。どの辺りが、具体的にどこが事実無根なのか、カナダに行ったことも事実無根ということになるんでしょうか。具体的に言ってください。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今言及がございましたカナダに行ったといったところとかは、それはもちろん事実でございますけれども、大臣の趣味、嗜好の点などについては、公開か非公開かということをお答えは控えさせていただければというふうには思います。

鈴木(庸)委員 じゃ、事実ではないということは、これは抗議するということでよろしいんでしょうか。

岩屋国務大臣 私のことですから、私からお答えした方がいいと思いますが、正直申し上げまして、カナダの会場というのはセキュリティー的には相当甘かったなというふうに私は感じておりまして、メディアの方々、恐らくフリーの方々も含めて割と自由に出入りをしていたようなところだったように記憶をしておりますので、そういう意味で、いろいろな記事が表に出ているということだと思います。

 細かくは触れませんが、週刊誌に書かれたようなことは事実ではないということは申し上げておきたいと思います。

鈴木(庸)委員 会場のセキュリティーはそういうことだと思うんですけれども、御案内のように、記事に出ていたのは、途中の教会で止まってそこでたばこを吸ったとか、あとは、夜の日程が、大臣がパーティーに出なかったとか、そういったところの日程が出ているところというのは、やはり会場の設備の問題では私はないと思っていて、中から、どこかから、それ自体が事実無根であるということになっては、まあ、そういう言い方もあると思うんですけれども。

 私、申し上げたいのは、仮に、大臣がこういうふうにたばこを吸うという日程をやってくれとお願いして、それに義憤に駆られて、そんなのは大臣がやることではないというような外務省の職員の方がいたとしても、それは外務省の中でやってくださいと。やはり、一国の大臣の日程、そこでどういう行動をしたかというのがこう簡単に外に漏れるというのは、まともじゃないと思うんですよね。

 今御案内のように、このファイブアイズとか、あとCTU―Jとか、日本がいよいよ情報の分野でも前に進もうとしている中で、突然、こういうふうに、何か、大臣の日程すらもばんばん情報が漏れてしまうような情報管理なのかと思われるということは、大変問題であると思うんです。もう外務省さん、いつもこういう話になると、必ずこうやって、分かりません、分かりませんというか、事実無根ですとか、答えられませんという話になるので。

 前回、ハンガリーで日本人が亡くなったときは、私、現地のリサーチャーを雇って、彼女の、亡くなった方の弁護士、亡くなった方が頼った組織、亡くなった方の友達、殺した男のSNSを全部調べ尽くしました。それで、質疑にいったんですけれども、今回、人が死んでいないので、シャルルボワまでの道に、グーグルアースを見ながら、じゃ、何個の教会があるなんて、その教会に電話したりとか、あと、今回についてはそういうことはしませんけれども、余りにも情報管理の体制というものが甘いのか、恣意的なのか、怖いなと。

 外務省の職員の皆さんと、やはり、本当だったら、我々は野党ですから、大臣、そんなことを外務省に言ったんですかなんというような局面かもしれませんよ。でも、まず、信頼感がなく外務省と政治家が一緒にやるというのは国益に反すると思うんです。ですから、そこを外務省の皆さんには、事実無根とかで押し通すだけじゃなくて、調査して、もしそういうことがあれば、再発は防止しますみたいなところの答弁ラインにしていただかないと、調べたいなという気持ちになっちゃうわけなんです、調べませんけれども。

 ですから、是非、本当にそういうことに、もう極めて気をつけていただきたい。今、大臣からもお話があったんですけれども、改めてもう一度伺わせてください。今日、せっかく大臣官房長にお越しいただいているので、外務省内の管理体制をどう思われますか。

大鶴政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも、この元になった記事の情報ソースがどこからというのはよく分かりませんけれども、先ほど来申し上げているとおり、事実ではないことがるる記事になっておりますので、私どもとしては、外務省から大臣の行動の詳細が漏れて、それが記事になったというふうには認識しておりません。

鈴木(庸)委員 分かりました。

 何が、どの部分が具体的に事実無根なのかは一切明らかにならないまま、結局、事実無根で通すということだと、なかなか、そういうことなのかなと。ちゃんとやってくださいということしか、もう申し上げようがないんですけれども。

 済みません、最後に、ちょっと一分しかなくなっちゃったので、フィリピンからのビザについて一個だけ伺わせてください。

 ビザセンター方式というのをこれから、かなり大幅に伸びて、制限もかかっているような報道がある中で、このビザセンター方式に移行するメリットについて教えていただけますでしょうか。

岩本政府参考人 今御指摘をいただきましたこのビザセンター方式でございますが、査証を受け付けている在外公館から委託を受けた代理の申請機関が一般の方からの査証申請を受け付けるビザセンターを開設いたしまして、申請者に代わって我々在外公館の方に査証申請を行っていただくものでございます。

 在外公館によっては非常に大量の査証申請を受け付けているわけですけれども、この方式を取ることによって、査証事務をより迅速かつ効率的に行うことができるという具合に考えております。

 例えばですが、査証の申請者にとりましても、在外公館がお休みの日であってもビザセンターに対して申請を行うことができるということ、また、在外公館の前で非常に長時間待っていただく必要もなくなるということで、利便性が向上するという具合に考えております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございました。終わります。

堀内委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。

 昨日の朝、訪米中の赤澤経済再生大臣が、トランプ大統領とホワイトハウスで会談をされました。この会談の中でトランプ大統領は、在日米軍の駐留経費について日本側の負担が不足をしていること、また、日本で米国製の自動車の販売台数が少ないこと、そして、米国の貿易赤字の解消などを要求したと報じられています。

 赤澤大臣は、元々は、関税をめぐる対日交渉の担当に指名されたベッセント氏やグリア・アメリカ通商代表部代表らとアメリカの財務省で協議に臨む予定だったということですが、トランプ大統領がこの交渉に参加するということは、予測、そして準備、対策はできていたのでしょうか。まず、予告しておりませんが、お聞きしたいと思います。

岩屋国務大臣 直前にそういう情報が入りましたので、それを踏まえて、それなりにしっかりと対策をして臨んだというふうに承知をしております。

阪口委員 トランプ大統領というのは非常に予測できない人ですから、今後も、こういうことはあり得るということを踏まえて対応すべきだと思います。

 安全保障に関わる問題についてトランプ大統領が要求してきたこと、これは、トランプ大統領が関税交渉において要求するレシプロカル、対等性という考え方を逆手に取って、日米の安全保障の問題をまさにレシプロカルに改革していく、変えていくチャンスだと思うんですね。

 アメリカにもメリットがあるから、日本に基地を置いているんです。幾つか述べますと、軍事的な戦略拠点でもあります。太平洋地域での影響力を行使して、迅速な軍の展開が可能です。また、貿易ルートの保護。重要な海上輸送路の安全の確保ができる。また、低コストでの軍事展開。これは、アメリカ国内に基地を設けるよりもはるかに低コストでアジアにおける軍事的影響力を維持できる。また、韓国やオーストラリアなど日本以外の同盟国との連携もしやすいという意味では、大変大きなメリットがアメリカにもあるわけですよね。

 これだけ米国にもメリットがあるにもかかわらず、日米地位協定というのは、世界の様々な地位協定と比べても最も従属的だと考えています。アメリカは、日本中どこにでも基地を造ることができる。アメリカ人が、アメリカの兵隊が犯罪を犯しても、日本の法律では裁かれません。また、どこでも飛行訓練ができる。同じ敗戦国であるドイツもイタリアも、また北朝鮮と休戦中の韓国も、いわば政治家が体を張って交渉して、独立国としての当然の権利をかち取ってきました。変えられていないのは日本だけだと思います。

 しかし、この基地の存在が地域の住民に与える影響も大変大きくて、今後は、安全保障上のアメリカの要請と、そして地域住民の生活の質の向上のバランスを取るということが非常に重要だと思っています。

 質問です。

 日米地位協定の改定というのは、石破総理が総理になる前は主張されていました。石破総理に任命されて岩屋大臣が外務大臣に就任されたわけですが、今回、トランプ大統領が主張するこの対等性を逆手に取って、この日米地位協定であったり、日米合同委員会の非対等性を変えていくチャンスでもあると思うんですね。この点について、岩屋大臣の考えはいかがでしょうか。

岩屋国務大臣 委員御指摘のように、日米安保体制の下での日米の義務というのは、確かに非対称的ではありますけれども、委員がおっしゃったように、米軍の前方展開が我が国の駐留基地によって維持されて、プロジェクション能力というか、地域並びにインド太平洋も含めて大きな抑止力を形成をしているという意味でいいますと、非対称的ではありますけれども決して片務的ではないというふうに考えております。

 その上で、お尋ねですけれども、地位協定については、石破総理もおっしゃっておられるように、なかなか一朝一夕にできるものではないので、今、自民党の中では、アジアにおける安全保障のあり方特命委員会というものが設けられて、幅広く議論が行われているところでございます。また、自民党のみならず、国会においても各党各会派の皆さんの御意見も是非拝聴させていただいた上で、日米同盟の抑止力、対処力を強化すると同時に、その強靱性、持続性も高めていくという観点から検討し、対応していきたいと考えております。

阪口委員 ASEANの国において、アメリカか中国かどちらか一方を選ばなければいけないとした場合にどちらを選ぶかという非常に興味深いアンケートが、シンガポールのISEASというシンクタンクによって結果が発表されました。結果は、二〇二三年はアメリカが六一・一%、中国が三八・九%だったんですが、二〇二四年、昨年は、中国が五〇・五%、アメリカが四九・五%と逆転しているんですね。恐らく更に差が開くことだと思います。中国が急によくなったわけではないと思うんですね。これは、やはりアメリカが信頼を急激に失っているということだと思うんです。

 日本は、様々な関わりを通して、民主主義の価値というものをASEANの国々に伝えていくことができる立場にあると思うんですね。そういうことでいうと、余りにもアメリカに追従的であるということ、これはマイナスだと思います。やはり、より中立的で、自立的であってこそ、平和貢献がより効果的にできるということで、是非、この点は今後の外交においてしっかりと留意していくべきだと思います。

 実は、私、二〇二二年の四月に、十人ぐらいのアメリカ空軍のパイロットの方々に対して、非公式でありますが、講演というかレクチャーをさせていただく機会があったんですね。

 彼らに、日米地位協定であったり、日米合同委員会について、現状を私なりにお話ししたところ、彼らが言うには、こんなに一方的なのはフェアじゃない、変えた方がいいんじゃないですか、僕らにとってはすごくありがたいことだけれども、決して、長期的に日米関係を考えた場合に、これは持続可能ではありませんよという、もうアメリカ空軍のパイロットがこんなことを言うわけですね。

 私、日本はちょっとアメリカに、言うことを聞くことが外交なんだという考え方にとらわれ過ぎていると思うんです。アメリカの若い人たちと対話をしても、日米の関係が、特にこの安全保障において非対等性が強いということについては、やはりおかしいんじゃないか、僕らの世代で変えていきたいんです、そんなことをアメリカ人の若い人たちが言うんですよね。

 ですから、私は、今回のこのトランプ関税の問題というものを一つの契機にして、日米関係を是非よりよいものに変えていく、そういったチャンスにしていっていただきたいと思います。

 次に、日本の平和貢献の象徴的な例としてのカンボジアについて質問します。おとといの続きですね。

 一昨日にも質問したように、日本で民主化に向けて活動していたカンボジア人が、カンボジアに戻れば逮捕すると政権から脅迫されていたにもかかわらず、実は、十五日、私が質問した前日にカンボジアに強制送還をされました。プノンペンの空港を使うと逮捕される可能性が高いということで、急遽、陸路からの入国に変えたということなんですね。

 カンボジア当局は、あえてすぐには逮捕しなかったのかもしれませんが、しかし、今後厳しい監視下に置かれて、常に命の危険にさらされる状況になること、これは、これまでのカンボジア政府の対応が証明していると思います。

 法務副大臣に伺います。

 逮捕されると宣言されている人が難民申請をしていることに対して強制送還をするという対応に、私がおととい質問したところ、個別の事例については答えられないという官僚答弁でした。

 この場にUNHCRの会長をされていらっしゃる逢沢一郎議員もいらっしゃったんですが、法務省の君たち、ちょっとこっちへ来いとぶち切れたような、大変お怒りを表明されていました。自民党の中で屈指のジェントルマンで、声を荒げることなどないと聞いている逢沢委員がこのようにおっしゃるということは、よほどのことだと私も思いますが、人権を守る国家として、このような対応をしていると、私は信頼を失墜すると思います。

 この点について、法務副大臣はどのようにお考えでしょうか。官僚ではなくて、政治の責任だと思うんですね。いかがでしょうか。

高村副大臣 お答え申し上げます。

 まず、個別の案件についてということは、政治家であろうが、ちょっと答えることは控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、最新の出身国情報も踏まえながら申請者ごとにその申請内容を審査した結果として、真に保護するべき者は確実に保護しており、これはカンボジアの方についても同様であります。

 例えば、カンボジア国籍の方は、令和四年に一人、令和五年に一人、令和六年に二人の方々が難民と認定されております。また、令和六年六月に施行された改正入管法の送還停止効の例外規定の運用として、令和六年中に難民等の認定を行うべき相当の理由がある資料を提出したために送還計画を中止した者が一件ございます。それは、カンボジア難民等認定申請者に係るものであります。

 もっとも、どの国の方だからといって、一律に難民であるという判断や難民でないという判断を行っているわけではなく、難民条約上の難民に該当するか否かについては、申請者の出身国情報を踏まえて申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定するべき者を適切に認定しているというふうに承知しております。

阪口委員 これまでの日本とカンボジアの関係に照らし合わせても、カンボジアにおける人権侵害、あるいはその民主主義の破壊ということに対する日本政府の対応というのが、私は十分でないと思うんですね。

 在日カンボジア救国活動という会の代表をしていたハイ・ワンナーさんという方、この方は日本にもう既に帰化していらっしゃる方ですが、タイへの亡命を試みた弟さんが当局に拘束されて、その解放と引換えに、民主化運動の中止と、前首相で現在与党人民党の党首であるフン・セン氏への謝罪などを強いられました。特に、二〇二四年には、フン・セン人民党代表の特使が来日して、日本人であるハイ・ワンナー氏に圧力をかけて、謝罪と人民党への入党を懇願する動画を都内のホテルで撮影して、そしてSNSで公開するということをしました。

 日本の主権に関わる問題ではないですか。先ほども、主権国において外国の公権力が権力を行使することはできないという答弁がありましたが、こんなことを許してもいいんでしょうか。この点についてのお考え、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 御指摘の事案については承知をしております。

 特定の個人をめぐる外交上のやり取りについて、詳細を明らかにすることは差し控えたいと思いますが、国内で法令違反等が疑われる事案を把握したときは、関係機関で連携して調査、捜査を行って、法令に違反する行為が認められれば、当然、厳正に対処することとなります。

 委員御指摘あったように、カンボジアの人権状況については、我が国としてもこれを注視をしておりまして、また、カンボジア政府と意思疎通もしております。昨年のことになりますが、当時のソック・チェンダ・サオピア外務国際協力大臣と私は電話会談を行いましたが、その際に、民主主義においては国民が多様な意見を表明し得る環境が極めて重要だということをお伝えをしたところでございます。

 今後とも、我が国としては、国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配、これが保障されることが重要であると考えておりまして、こうした我が国の考え方、立場をカンボジア政府に対して今後も粘り強く伝えていきたいと考えております。

阪口委員 日本での言論活動によって逮捕されたり人権侵害を受けるということが相次いでいるんですね。今、注視という言葉を使われましたが、やはり、注視ではなくて、強く抗議をする、改めさせるという姿勢が必要だと思います。この点については、引き続き問題提起をしてまいりたいと思います。

 以上です。

堀内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十分開議

堀内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。太栄志君。

太委員 太栄志でございます。

 大臣、どうぞ本日もよろしくお願いいたします。

 それで、通告していなくて、先ほど一応通告をさせていただいた案件なんですが、日本時間昨日早朝に、赤澤大臣が、トランプ関税をめぐっての日米の担当閣僚協議が行われたということ、そういった中で、まさにそこにトランプ大統領も突如参戦する、参加するということ、そういった形で、その件に関してちょっと幾つか、今後の日米交渉において大変問題があるんじゃないかという点がありましたので、大臣、お答えいただきたいというふうに思っております。

 といいますのも、赤澤大臣が会談をした、四対一という形、突如そういった形で交渉されたということで、まさにトランプ大統領のペースに乗って、そういった交渉になったんじゃないかという点がまず危惧されるというふうに思っております。一対四ですね。

 そこで、日本側は想定していなかったんじゃないかと思うんですが、在日米軍の駐留経費の負担増しを要請された、この点に関して言及があったという報道がなされております。

 そこで、大臣にお伺いしたいのが、そもそも赤澤大臣は、防衛問題、安全保障に関して、権限がそこまで与えられていたのかどうか、その点に関して、大臣、お答えいただけますでしょうか。お願いいたします。

岩屋国務大臣 まず、トランプ大統領が会談に参加をするということは、赤澤大臣が機中にいる間の情報だったと思いますけれども、事前に様々な準備をして渡米をしておられますので、極めて適切に対応してもらったのではないかなと思っております。

 一対四という言い方もありますけれども、大統領を始め主たるプレーヤーが全部そろった中で会談ができたということは、極めて有意義だったのではないかというふうに考えております。

 お尋ねの、今般の協議における議論の詳細については、外交上のやり取りでございますので、しかも交渉が始まったばかりの段階でございますので、お答えは差し控えたいというふうに思います。

 当然、赤澤交渉担当大臣の主たる議題としては、一連の関税措置ということになる、その前提で会議に臨まれたというふうに承知をしております。

太委員 大臣、ちょっと分かりづらかったんですが、万全の体制で臨んだということもおっしゃられましたけれども、これはちょっと、万全だったんですか。

 それでは、防衛省の職員は同行していたのかどうか、その点、教えてください。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げましたが、今般の米国との協議に当たりましては、全閣僚が対策本部員でございますので、関係省庁とも協力、連携の上、しっかりとした準備で臨んだものでございます。協議への同行に関しても、政府全体として適切な体制が取られていたと思います。

 先ほども申し上げましたが、今般の米国との協議に当たりましては、想定される主な議題を踏まえて、防衛省関係者の同行は求めませんでしたけれども、準備の段階から、防衛省を含む関係省庁とも連携をして、政府全体として適切な体制が取られていたというふうに考えております。

太委員 防衛省のスタッフはいなかったということですよね。そういった意味では万全じゃなかったと私は明らかに思っておりますし、もちろん、この関税の問題と通商の問題と安全保障を絡めるということ自体が問題だと思っておりますが、まさにこれはトランプ劇場の中でのことでありますので、それはもう様々なことを想定しながらやらなきゃいけなかったと思っております。

 もう一つ、私、残念だったのが、トランプ大統領がオーバルオフィスで座って、その隣に赤澤大臣が立っている、立たされているんじゃないかと思われるような。いや、これは見方だと思っておりますので。ちょっとあれは、我が国の、これからまさにぎりぎりの国益を懸けた交渉をしなきゃいけないという中で、本当に立たされていたんじゃないかと思わされるような、ああいった写真が出回ったことも含めて、これは相当慎重に、様々。

 我々も、揚げ足を取るつもりは全くないです。ここはしっかりと、万全にしてほしいですよ。様々なことがあり得ると思っておりますので、相手はトランプ政権ですので。そこを万全に進めていただきたいと思っていますし、総理は政府の総力を挙げてと言っていましたけれども、一番大事な防衛問題が抜け落ちていますよ。

 そういったことのないように、今後、しっかりと、まさにオール・ジャパンで取り組んでいくことだと思っておりますので、特に外務大臣の責任は重いと思っておりますので、引き続きの外務大臣のリーダーシップをどうかよろしくお願いいたします。

 それでは、この後、想定していた質問に移りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初。今月の二十八日から、ニューヨークで、NPT、核拡散防止条約の再検討会議の第三回準備委員会が開催されます。外務大臣が出席すれば、二〇一八年四月以来七年ぶりになるということで、大変重要な会議だというふうに思っております。言うまでもなく、このNPTは多国間での条約でありますが、再検討会議は、二〇一五年又は二〇二二年と二回連続で合意文書が採択できずに決裂しているという状況が続いております。

 そういった意味で、外務大臣御自身が出席をして、我が国としてこの核不拡散推進にリーダーシップを発揮するべきだと考えていますが、大臣の御出席も含めて御返答をお願いいたします。

岩屋国務大臣 NPT体制は非常に重要な枠組みでございます。これまで核禁条約をめぐる様々な御議論がありましたし、政府の判断というのもさせていただきました。であるがゆえに、なおさらこのNPT体制の充実強化に汗をかいていかなければいけないと思っております。

 こうした考え方から、我が国は、NPT運用検討プロセスに継続してずっとハイレベルの参加者を派遣して、リーダーシップを発揮してまいりましたが、次回の準備委員会会合についても、現時点では決まっておりませんけれども、私も出席について前向きに検討したいというふうに考えております。

 今度の第三回準備委員会会合は、来年の、今委員御指摘があった運用検討会議につながる極めて重要な会議であると認識しております。分断を乗り越えて、真摯な対話と建設的な議論を行って充実した成果を上げられるように、我が国としてもしっかり尽力をしていく考えでございます。

太委員 大臣、是非とも、来年の再検討会議にもつながる、難航は予想されていますので、どうかどうか御出席いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、アメリカによる拡大抑止の信頼性ということでお伺いしたいと思っています。

 まさに今、ヨーロッパで、アメリカとヨーロッパとの対立が深刻になっております。アメリカは、同盟国に対しても、関税でもそうですし、損得で評価しているという中で、アメリカの拡大抑止への欧州、ヨーロッパ各国の不安が高まっています。不安ですね。

 もちろん、アメリカも、通常戦力は、ヨーロッパは自分でやってくれというふうに言っていますけれども、まだこの拡大抑止の提供をやめるということは言っていない、そういった段階でありますけれども、例えば、ドイツのメルツ次期首相は、欧州核、その検討の必要性を言及している。フランスは、イギリスと協議する意向も示しています。フランスのマクロン大統領はテレビ演説で、フランスの核抑止力の対象を欧州全体に、ヨーロッパ全体に広げるための協議を進めると表明しました。それを受けて、イギリスも、イギリスの外務大臣は、核抑止で英仏協力が欧州の安全の保障で重要だということを述べている。また、ポーランドでは、首相が議会で、将来的な核保有にも意欲を示しているということを表明されている。こういった事態。

 また、核禁条約第三回締約国会議がありましたが、過去二回オブザーバー参加していたドイツ、ノルウェー、ベルギーが参加を見送るなど、まさに欧州各国でアメリカの拡大抑止に対する不安が広がっているというふうに思っております。

 このような中、ヨーロッパでは、それぞれの国がこういった様々、アメリカ以外の核抑止力の在り方を新たに模索する、こういった動きが出ている中でありますが、大臣、米国の核の傘、拡大抑止、ちゃんと機能しているのでしょうか。その点に関する大臣の御認識を教えてください。

岩屋国務大臣 米国との間では、累次の機会に拡大抑止を更に強化していくことを確認をしてきているところでございます。また、日米安保条約の下での対日防衛義務についても確認をしてきているところでございます。

 二月の日米首脳会談におきましても、拡大抑止に関して、トランプ大統領から、米国による核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントが強調されたところでございまして、その意味で、拡大抑止は機能しているというふうに考えております。

太委員 まさにトランプ大統領は、この拡大抑止に関しても、米国の揺るぎないコミットメントを表明されております。そういった中でありますが、それでは、大臣、まさにこの米国の拡大抑止、これをどういうふうに信頼性を高めていくのか、向上させていくのか、これが大事だと思っております。

 といいますのも、ヨーロッパで起こっていることが、今、ヨーロッパの同盟国が、様々、アメリカ以外の拡大抑止をいろいろと模索するという状況、そういうことがいつアジアで起こっても私はおかしくないんじゃないか。それを想定することこそが政治の役割だと思っておりまして、そういった視点から、大臣、どのようにこの米国による拡大抑止への信頼性を高めるのか、向上させるのか、その点に関しての御見解をお聞かせください。

岩屋国務大臣 その前に、委員が御指摘された欧州の動向なんですけれども、確かに、欧州の防衛に対する米国のコミットメントということに関して、一部不安視する向きがあることは事実だろうと思います。したがって、欧州独自の努力というものをもっとやらなきゃいけないという意見が出てきているというふうには理解をしております。

 ただ、先日、私も出席したNATO外相会合の後、米国のルビオ国務長官は、これまでどおり米国はNATOにコミットしていくということを事後の記者会見で述べているということも紹介をしておきたいと思います。

 その上で、この拡大抑止の信頼性をいかに強化していくかというお尋ねですけれども、これまで日米両政府は、日米拡大抑止協議や、昨年の七月に実施した拡大抑止に関する日米閣僚会合、これは拡大抑止に関する日米閣僚会合と銘打って初めてやった協議ですけれども、こういった取組を進めてきているところでございます。こういった努力を着実に続けていかなければいけないと考えているところでございます。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 そうですね、昨年の七月に、2プラス2にプラスして、拡大抑止に特化した閣僚級会議が行われたということでありますが、私は、まさにどう政治が主体的に米国の拡大抑止に関与していくのか、そのことが大事だと思っておりまして、というのも、アメリカが日本防衛のために核兵器を使用する際に、米国の政策決定に日本が主体的に関与する、つまり、米国の政策決定に日本の意思をでき得る限りどう反映させるか、その制度化、仕組みづくりが本当に大事だと思っております。

 この昨年の拡大抑止に関する閣僚級会合、これは一つ進歩だと思っておりますが、ですが、時間はたった二十分だったんですね。これが、じゃ、次、いつ開催されるか、そういったことは決まっているんでしょうか、次の開催に関して。その点、教えてください。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 次回の拡大抑止に関する閣僚級会合というのは、実際にまだ決まっておりません。

太委員 2プラス2は、たしか、日米首脳会談で、できるだけ年内の早い時期だということだったと思うんですが、これも前回からもう間もなく一年になると思いますが、是非とも、大臣、この政治の関与、主体的な関与、これが大事だと思っております。

 この件に関して、日米政府間の拡大抑止に関するガイドラインが昨年の十二月に制定されました。これも、私は大変大きな進歩だと思っております。

 しかし、じゃ、ここでお伺いしたいのが、このガイドラインにおいても、メンバー、たしかこれまで、日米の拡大抑止協議は外務、防衛の事務方が参加していた、メンバーだということでずっと来ました。今後もそういった流れなんでしょうかね。ここはちゃんと、政治の関与、閣僚級の会議も開かれるというのは、まだ取決めはないんでしょうかね。ガイドラインもできました、ガイドラインの中でやるのかどうかも含めて、その点、お願いいたします。

岩屋国務大臣 先刻も申し上げましたように、日米の拡大抑止に関する閣僚会合というのが昨年開催されたわけでございまして、もちろん、事務方レベルの協議も行ってまいりますし、必要に応じて適宜この閣僚会合も行っていくということになろうかと思います。

太委員 まだ次回も決まっていませんし、年に一回でもやはり少ないです、大臣。しかも、前回は二十分だけの形式的なものですので。そうじゃなくて、しっかりとですね。

 今既にヨーロッパでアメリカの核の傘、拡大抑止に対する不安が広がっている中で、やはりどれだけ不安を軽減していくのか、これが私は我が国にとってもこれから大事になってくるというふうに思っていまして、やはり、そういったときに、先ほど少し言いましたけれども、アメリカが必要以上に核兵器を使ってしまう可能性もありますし、あるいは、我が国として本当に必要なときに使ってくれないという、そういった見捨てられる恐怖もありますので、そういったところに関して、米国の核戦略の運用と、あと政策決定にしっかりと我が国として、できる限り多くの機会に我が国のこの意思を伝えていく、反映していく、その作業を何とかしていただきたいと思っておりますので、その点、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、それでは、もちろん日米でこういった形で拡大抑止協議が進んでいるということは分かりました。一方、やはりこれも、日米だけじゃなく、韓国あるいはオーストラリアの関与も私は必要だと思っておりまして、といいますのも、二〇二二年、三年前に米国が発表したNPR、「核態勢の見直し」において、これまでの二国間の拡大抑止に加えて、日米韓、まさにここもやっていこうということで記載されております。

 是非とも、もう政権は替わっちゃいましたけれども、ですけれども、昨年来、大分アメリカと韓国、韓国国内はもう七〇%近い、七割近い国民が核保有というのをするべきだという世論がある中で、米韓で拡大抑止協議というのは相当進んでいますので、そこをうまく活用するという意味でも、日本が、これはアメリカ側の提案ではありますので、そこを何とか、大臣、生かしていただきたいと思っております。この点に関して、御見解をどうかお願いいたします。

岩屋国務大臣 安全保障環境が厳しさを増している中ですから、米国を始めとする同盟国あるいは同志国と、韓国や豪州を含めて緊密に連携していくことは重要だと思っております。

 ただ、拡大抑止ということになりますと、それぞれの国が置かれた安全保障環境でありますとか、核に対する国民世論でありますとか、それらを踏まえつつ検討していく必要があるというふうに考えておりますので、陸続きの欧州のような枠組みに簡単になるかというと、なかなかそこは難しいところがあるのではないかなというふうに思いますけれども、我が国の拡大抑止については、先ほど申し上げたような協議をしっかりと積み上げていきたいというふうに考えております。

太委員 大臣、是非とも、拡大抑止に対する不安を軽減するためにお力添えいただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 あと、通告しておりましたが、カットオフ条約、FMCT、これは岸田政権下で昨年来FMCTのフレンズの提案もありました。大臣もこの委員会でも御発言がありましたが、是非とも、もちろん、この拡大抑止とあと核軍縮、この両方をうまく両輪で進めなきゃいけないことだと思っていますので、その点、FMCT。

 また、核セキュリティーの問題も、ちょっと時間がないのでスキップしますが、オバマ大統領のリーダーシップで首脳会合というのもこれまで行われていました。そういったところの活動も含めて進めていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 さて、次に移ります。

 二年後に迫りました、私の地元の横浜市の瀬谷区で国際園芸博覧会、花博、グリーンエキスポ二〇二七が二年後に開催されます。

 現在、大阪・関西万博が開催されておりまして、この二年後の横浜での花博へ向けて、機運の醸成とともに、課題解決に向けての取組というのを加速していくことが今大事ですし、まさに、世界が注目するイベントで、しっかりと我が国のプレゼンスを示す必要があるというふうに認識しております。

 そこで、大臣にお伺いしたいのが、この横浜花博、これは、大阪・関西万博同様に、BIE、博覧会国際事務局の認定を受けて開催する最上位の花博であって、大阪万博、一九九〇年、それ以来の三十七年ぶりの開催となりますが、大臣の開催に向けての意義というのはこれまでも、ごめんなさい、ちょっとここはスキップしますね、聞かせていただいておりましたが、現在、今、何か国が参加の表明をしているのか、その点に関して、大臣、教えてください。

岩屋国務大臣 二〇二七年グリーンエキスポ・イン横浜ですけれども、まさに委員のお地元でございますので、引き続いての御支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 今のところは三十か国から参加表明が得られているんですけれども、目標は七十程度の国、国際機関の参加を達成したいというふうに思っておりますので、私も、委員も外務省に要請に来ていただきましたが、あらゆる全てのバイ会談でこのグリーンエキスポの参加をお願いをしておりまして、引き続き、外務省を挙げて努力を継続してまいりたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。是非とも、引き続きの御尽力をお願いいたします。

 それで、では、どう参加国を増やすかということではあるんですが、今年の二月の首脳会談の日米共同声明で、台湾の問題、国際機関への台湾の意味ある参加への支持を表明と両首脳で表明されました。私は、日本で開催される国際イベントに台湾が参加することは日台関係の更なる深化に大きく貢献するというふうに思っておりますが、しかも、日本のコチョウランの流通している中の七割から八割は台湾産だということで、しかも、日本の国、地域別の花卉の輸出相手国では台湾は三位だということであります。

 大臣、そういった意味でも、横浜の花博において台湾の参加を是非とも促してほしいと思っておりますが、その点に関する御見解をお願いします。

岩屋国務大臣 国際博覧会条約では、万博の参加招請については、招請国の政府が被招請国の政府に対して外交ルートで行う旨規定されております。

 我が国としては、台湾についての基本的立場、非政府間の実務関係ということですが、この立場とこの博覧会条約の規定を考慮して、グリーンエキスポへの参加招請は行っておりませんが、台湾は我が国と基本的な価値を共有する極めて重要なパートナーでございます、大切な友人でもございますので、今般の大阪・関西万博の例も踏まえながら適切に対応していきたいと考えております。

太委員 二〇一〇年の上海万博で、台湾は四十年ぶりということで台湾館を実現しております。そういった意味で、確かに条約のいろいろ規定はあるんでしょうけれども、主催国の意向、判断である程度できるものはあると思っていますし、先ほど言いましたように、石破総理のそういった首脳会談の発言もありました。

 あと、やはり横浜というのが大事だと思っておりまして、横浜は日本最大の中華街があります。ずっと台湾との関係がある中、孫文が亡命していたときの地でもあって、そういった意味でも深い歴史的なつながりがある。そして、この花博の会場の隣の地域も、大和市と座間市というところなんですが、そこも、戦前から、台湾少年工、日本統治下の台湾から八千四百人、極めて優秀な台湾の少年たちが航空機の製造ということで日本に渡ってきたという。そして、彼らというのは、まさに戦後台湾へ戻ってから政治や経済の世界で功績を残して、今の戦後最良とされる日台関係、その礎をつくったというふうに私は思っておりますので、そういった意味でも、特別な関係のある地域。

 この機会に、是非とも台湾を呼んでいただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、ちょっと時間になってきましたね、会場の建築費に関して国交省の方にお伺いしたいんです。

 もう既に二年前の段階で当初予定から九十七億円増えるという発表がありましたが、この点に関して、国の負担分、建築資材や人件費の上昇だということですが、国はどれだけ増えるのか。あと、もうこれが最後の、これ以上増えることはないということも確認をさせてください。お願いします。

吉井大臣政務官 太委員の御質問にお答え申し上げます。

 グリーンエキスポ二〇二七の会場建設費については、閣議了解に基づき、国、地方自治体、民間がそれぞれ一対一対一で負担することとしております。このうち、国負担分は国土交通省と農林水産省、そして、地方自治体分は横浜市と神奈川県が負担をしております。

 先月十日に、開催である二〇二七年国際園芸博覧会協会から、近年の急激な物価及び人件費の上昇による影響により、コスト抑制策に取り組んでもなお、会場建設費を三百二十億から最大四百十七億円に変更することが必要との要請がありました。

 国土交通省では、本要請を受け、農林水産省とも調整の上、内容の妥当性について精査を行い、先月二十八日に会場建設費の変更の受入れを表明したところであります。同様に、横浜市そして神奈川県、経済界も同日までに受入れを表明しております。

 なお、今回の変更に当たっては、博覧会事業終了までの物価上昇等の費用を見込んでおり、また、予想を上回る物価等の上昇など不測の事態に対応できる費用として予備費二十億円を計上しており、更なる増額は想定していないと承知しております。

 以上であります。

太委員 どうもありがとうございました。

 交通網に関してはちょっと質問できませんので、次回やらせていただきたいと思っておりますが、是非とも、これ以上建築費が増えないような形で進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、西田薫君。

西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。

 早速質問させていただきたいと思いますが、ちょっとまた順番を変えさせていただいて、万博から質問をさせていただきたいと思います。

 四月十三日、先週から、いよいよ大阪・関西万博が開幕をされました。十月十三日まで百八十日間、私も大いに盛り上げていきたいというふうに思っておりますし、非常に感慨深いものがあります。

 私、昨年十月まで大阪府会議員をやっておりましたが、あれは平成二十九年ですかね、自民党、公明党、そして我々維新、そして当時民進党さん、この四会派で、万博を誘致するに当たりまして、万博誘致特別委員会というのを大阪府議会で設置をさせていただきました。

 そして、大阪万博が誘致が実現したという後に、次は、その誘致特別委員会を推進特別委員会と、このときは令和元年だったと思います、自民党、公明党、民主党、そして私たち維新の会。共産党さんだけが、誘致の委員会、そして推進の委員会、共に反対をされたんですが、全会一致で、誘致の委員会、そして推進の委員会が設立をされた。私もその推進委員会の委員長もさせていただいておりました。そういったことから、非常にこの万博に対しては強い思いを持っております。

 ただ、今、その万博開催に当たりまして、様々な御意見が出ております。例えば、なかなか入れない、並ばないといけないという点に関しては、並ばないといけないという御批判もあるでしょうし、一方で、並ばずに入れた場合には、今度は、同じ方なのか、また違う角度で見られている方か分かりませんが、閑散としている、人気がないという御批判があったり、それぞれの思いというのは、私がどうのこうの言うつもりはないんですが、ただ、私、この万博の開催の意義は非常に大きいものがあるというふうに思っております。

 この万博の期間中というのは、海外からも多くの皆さんが来日をされるわけなんですね。その万博を見た後、日本全国各地、すばらしい場所もいっぱいあろうかと思うんですね。そういったところに来ていただいて、そしてまた日本文化に触れていただく、この日本のすばらしさを知っていただくという部分においても、非常に私は万博というのはすばらしいものじゃないかなというふうに思っております。

 そしてまた、先般、私、予算委員会で経済効果について質問させていただきました。経済産業大臣に質問させていただいたんですが、今のところ、政府としては二・九兆円の経済効果があるという御答弁もいただいております。

 そして、特にこの万博の期間中というのは、万博の中でもナショナルデーというのがありますから、そのナショナルデーに合わせて、その国の代表の方であったりとか首脳の方、そしてまた閣僚の方が訪日されるということも非常に多くあろうかと思うんですね。

 ここはなかなか見えにくい部分かもしれないんですが、いわゆる万博外交ですね。ちょうど一週間前というのは、アメリカ・トランプ大統領が関税措置を発動した。今こそ多くの世界の方々と協議をしていかないといけないという中に、ちょうど日本で万博が開催されている。そういったことから、この万博外交というのも非常に大事になってくるんじゃないかというふうに思っております。

 そして、四月十三日に開幕をしてから六日たちましたが、もう既に、外務大臣はほかの国の首脳の方と会談をされているかと思うんですが、この一週間というか、六日間なんですが、これまでのそういった成果であったり、今後、この万博外交に対する意気込み、まずは、外務大臣、御答弁願います。

岩屋国務大臣 まさに、国際秩序が大きく揺らぎ、また自由貿易体制も揺らぎかねないという状況の中で、万博に各国が集って交流するというのは極めて意義のある機会だというふうに私も思っております。

 開幕以来、委員がおっしゃるように、各国の要人が相次いで来日をされておられまして、私も、既に六か国の要人と会談を行わせていただきました。ナショナルデーはほぼ毎日のように続いていきますので、そういう機会を使って、是非、一か国でも多く会談を行っていきたいと思います。

 考えてみると、そちらのお国まで出向くか、あるいは国際会議の場で会うということじゃないとなかなか会えない方々がどんどん日本に来てくださるわけでございますから、ありがたいことでありまして、この機会を最大限に活用してまいりたいと考えております。

西田(薫)委員 御答弁ありがとうございます。

 やはり、絶好の機会だと思うんですね。今大臣がおっしゃるとおり、相手の国の方がどんどん日本に来られるということですから、やはり、これをチャンスと捉えて、しっかりと交渉を深めていただきたい。閣僚の中でも、一番外務大臣が御多忙になるんじゃないかなというふうに思っておりますが、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移りたいと思いますが、次は、外務省のホームページの件についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 その前に、今日、午前中の質疑を聞いておりましたところ、ほかの政党の方なんですが、中国と日本の修学旅行相互受入れの促進、そういう思いから質問をされたんじゃないかなというふうに思うんですが、その議員さんも、安全確保はしっかりしてくださいという御質問があったかと思うんですね。

 そこで、外務省の政府参考人の方の御答弁を聞いていると、中国における日本人学校には警備員の数を増やしましたであったり、また、警備の予算を計上しますという御答弁があったかと思うんですけれども、その御答弁をさらっとされるところに、私、問題があるんじゃないかなというふうに思っているんです。

 前回も言いました。そういった、警備の数を増やさないといけない、警備の予算を計上しないといけない場所に、子供たちが修学旅行に行っていいんでしょうかと。私、ずっと言ってきたことだったんですよね。何かそれをさらっとする、その感覚が国民感覚とは少しずれているんじゃないかなというふうに思っておりますし、やはり、子を持つ親の気持ちというのはそういう気持ちにはならないと思います。

 通告していませんので、答弁は結構なんですけれども、そこをさらっと言うその気持ちが、少し、私は、多くの国民の皆さんと認識が違うというふうに思っておりますので、この点は指摘だけさせていただきたいと思います。

 そして、前回の質問なんですが、外務大臣に質問をさせていただいて、十二月二十五日の日中人的・文化交流対話において、修学旅行を日中で相互受入れを促進するというようなことは、これは違うんじゃないかという質問をさせていただいたところ、大臣は、決してそうじゃない、外務省としても、修学旅行をどこの国に行ってくださいと言う、そういった権能もないというような御答弁でしたし、決してそういう意味じゃなかったんだと。

 要は、日本の学校に対して、中国へ修学旅行に行ってくださいと別に促すものでもない、推進するものでもないというような、大臣、御答弁をいただきましたので、それは私も一定理解をしているんです。

 その後に私が言わせていただいたのが、それだったら、外務省のホームページ、促進するというその言葉、ここにはやはり問題があるんじゃないかと。大臣の思いと違う形でホームページに掲載されているんじゃないかということも質問をさせていただきました。すると、そのとき、大臣は、先週ですよね、四月九日だったと思うんですが、ホームページの書きぶりについては、一度検討するという御答弁だったと思うんです。

 あれから六日間、一週間たちました。その後、そのホームページはどうなったか、どういった検討をされて現在どうなっているか、御答弁願います。

柏原政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月の第二回日中ハイレベル人的・文化交流対話の後の日本側事後発表において、修学旅行の相互受入れ促進に言及した経緯がございます。

 これは、日本政府が、日本の個々の学校に対し、中国への修学旅行の実施を求めるということではなく、中国への修学旅行を希望する学校に対しては政府として安全確保の面で可能な支援を行う、そういう考えに基づくものでございます。

 その上で、外務省としては、従来より、中国を含む海外への修学旅行を実施する学校から情報提供をいただいており、この点を徹底していただくとともに、修学旅行に際する注意事項の周知をしっかり行っていく考えでございます。

 このような基本的な考え方について、岩屋大臣の方から答弁させていただいたとおりですけれども、今般、そうした趣旨がより明確になるように、外務省ホームページの関連部分の修正を行ったということでございます。

西田(薫)委員 もう少し答弁を簡潔にお願いします。その前段の部分は分かっていますから。

 ホームページの書きぶりを検討するというふうに大臣がおっしゃられたので、変更になったんですか、どうですかということを聞いたんです。変更になったんですよね。もう一回お願いします。

柏原政府参考人 お答えいたします。

 ホームページの関連部分の修正を行ったということでございます。

西田(薫)委員 今日、私、午前中の委員会質問の予定でありましたが、参議院本会議が入ったり、衆議院の本会議が入ったりということで、結局この時間になりましたので、先ほどもホームページを確認させていただきました。すると、変更になっておりますよね。ただ、「促進し、」という言葉はそのまま残っていまして、その後に、注釈、注意書きという中で、つけ加えて書かれておりますよね。

 ただ、大臣、検討するということで、実際検討いただいて、修正しなさいという指示を大臣にやっていただいたと思うんです。しっかりとホームページは修正になっておりましたので、これで誤解は少し払拭できるんじゃないかなというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移りたいと思いますが、次の質問は、これも同じく、やはり修学旅行に関してなんですが。

 この二日前、我が党の和田先生、和田議員から、高校生が、今、オーストラリア、シンガポール、そして、台湾が三番目に多くの学生が行かれるという中において、中国に修学旅行に行ったときに、南京大虐殺記念館に行っているというような指摘があったと思うんです。それに対して、外務省の政府参考人の方ですかね、御答弁の中で、決してそこばかりに行っているわけではないという御答弁だったんですが。

 では、何校ぐらいがその南京大虐殺記念館に行かれているのか、御答弁願います。

岩本政府参考人 外務省では、従来から、安全対策の観点を踏まえまして、中国、そして中国以外の海外へ行かれる修学旅行については、各学校から情報提供していただくようにお願いをしております。

 今お尋ねの点ですけれども、過去五年間の記録を確認をいたしましたが、南京のその記念館を訪問したという情報はございませんでした。

西田(薫)委員 過去はあったんですよね。

岩本政府参考人 現在、外務省として保管している記録、過去五年間というものですので、それ以前については記録が残っておりませんので、分かりません。

西田(薫)委員 記録が残っていなかったとしても、把握はされていないんですか。結構、メディアでも報道されたことですよ。そこは外務省として知らないということですか。

岩本政府参考人 私どもは、先ほど申し上げた仕組みで正確な情報を把握するようにしておりますので、それ以外の情報について外務省として確認することは困難でございます。

西田(薫)委員 私、何で今外務省に聞いているかというのは、この二日前の御答弁で、必ず南京大虐殺記念館が視察先に含まれるというような事実は、必ず行っているというような事実はないという、わざわざそこを御答弁されているから私は聞いているんですよね。

 把握もしていない、よく分からないというのであれば、過去に行ったことはありますかと和田議員は質問をしていないんですよ。していないにもかかわらず、それをあえてつけ加えてこの前答弁をされたんですよ。だから、聞いたんですよね。まあ、いいです、この話をずっとしても一緒なので。

 南京大虐殺記念館とよく我々は言いますが、正式名が、正式名というのは中国語で書かれていますので、それを日本語訳に訳すというのも変なんですが、中国侵略日本軍受難同胞記念館ということですよね。

 この壁には、南京大虐殺は三十万人が被害に遭ったということを中国側は主張をしておるわけですから、この記念館の横の壁にも三十万という数字も書かれておりますよね。どうですか、今の外務省としての認識としては、この南京大虐殺というか南京事件、三十万というのは、今外務省はどういう見解ですか。

柏原政府参考人 お答えいたします。

 南京事件に対する日本政府の立場でございますけれども、日本政府としては、日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えております。しかしながら、被害者の具体的人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えております。

西田(薫)委員 そうですね、それが今の我が国政府の考え方ですよね。三十万人ということを日本政府は認めているわけでもないわけですよね。

 この五年間なかったとしても、過去にやはり行っていたというのも、しっかりとこれからも認識してもらわないといけないですし、今現在、この南京大虐殺記念館はあるわけですから、今後、修学旅行に行った場合、その学校の判断、校長の判断になろうかどうか分かりませんが、そこの都道府県教育委員会の判断になるかもしれませんが、そこに行く可能性というのもあるわけですよね。

 であれば、やはり大臣、十二月二十五日ですよ、人的・文化交流対話が行われたときは。ちょうど、昨年の朝日新聞なんですね、二〇二四年十二月十三日、いわゆる南京事件があったという日に、中国は、毎年大きな式典、国が主催する式典が行われていますので。ここには中国の国家首席は来なかった。ただ、一四年、一七年には出席されているわけなんですよね。

 この記事を見ると、一番最後ですよ、この十三日という日ですよ、十二月十三日は中国にある全十二校の日本人学校がオンライン授業への切替えや休校を決め、登校を取りやめたとなっているんですよ。だから、大臣が修学旅行の話をしたときに、向こうが議題に上げたのか、大臣が提案されたのか分かりませんが、修学旅行の話が出たその二週間前には、中国にある日本人学校は登校を取りやめたとなっているんですよ、その二週間後の話なんですよね。

 であれば、促進はしないということなので、それは何度も言いませんけれども、その二週間後のそういう話合いの場においては、中国には南京大虐殺記念館がある、やはりこういった施設がある以上は、なかなか日本の修学旅行生は行かすことができないということを逆に大臣の方から中国側に言ってもいいような話だったんじゃないかなと思うんです。

 もう何度も何度もこの話になるので、これ以上大臣の答弁は求めませんけれども、そこをしっかりと中国に対して主張いただきたいなというふうに思っておりますし、今現在、この南京大虐殺記念館というのは今も中国にあるわけですから、やはり、日本政府との見解が違うという施設、そこに日本の学生さんたちが行ってしまうという危険性、そういったことを考えれば、やはり、中国と日本の修学旅行を相互に促進するというのはまだまだ違うんじゃないのかなというふうに改めて感じております。

 もし、大臣、答弁というか反論があるんだったらいいですが、別にいいんだったら、このまま答弁を求めないですが。じゃ、お願いします。

岩屋国務大臣 そこは残念ながら、私は委員とはちょっと見解を異にするんですね。

 この話の前に、やはり今、日中双方で国民の世論調査をすると、九割近くが相手側を余りよく思っていないというのは非常によくない状況だなと考えておりまして、やはり人が行き来することによって理解が深まっていくと考えております。特に、若い方々がお互いの国に実際行ってみるということでお互いに対する理解が深まるということは、大いにあるんだろうと思います。

 日本からの修学旅行は少ないんですけれども、中国からは毎年六千人、七千人という規模で来ている。日本を本当に見て、日本人に触れて、やはり対日観というのは大分変わるんではないかなというふうに思っております。個々の学校に対して、何も中国に行ってくれということを政府が言うということではなくて、中国を修学旅行で見てみたいという学校があれば、安全確保の観点から外務省は支援をいたしますということを申し上げているわけでございます。

 個々の学校に対して、どこに行けとか、どういう日程にしろと具体的に見解を示す立場にもございません。今、事務方から報告したように、少なくとも過去五年は、委員御指摘の記念館に行ったという情報は入っていない。通常、殊更そこに行くという選択は余りないのではないかというふうに私は考えておりますけれども、そういう若者の交流という機会に、外務省としてできる支援は提供していきたいなと考えているところでございます。

西田(薫)委員 私、国交を断絶しろとか、行き来するなというようなことは言っておりませんので。しっかり行くことによって、確かに交流も深まるでしょう。実際、中国の方が日本に来たとき、日本の方というのはいい方が多いなということを知っていただく機会にもなりますから。

 行き来するなと言うわけじゃないんですが、ただ、純真無垢な子供たちがそういった施設に行く危険性がある。ここはしっかりと、阻止と言ったら変ですが、自虐史観を植え付けるような教育の一環となるのもよくないですし、そこを私は指摘しているわけであって、国交を断絶しろとか、そういう論点で言っているんじゃないので、そこは大きく私の認識と更にやはり違うなというのを改めて感じました。

 この話をずっとしても、もうあと残り四分しかありませんので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次の質問も、二日前の和田議員の方から質問させていただいたんですが、岩屋大臣が中国での会談の後、岩屋大臣の発表と中国のメディアの発表、これには随分相違があるという指摘が二日前の委員会であったかと思うんですね。

 そのうちの一つの例なんですが、さきの大戦において、大臣は、反省とおわび、これは中国側のコメントですよ、反省とおわびをしたというふうに報じられている。しかし、大臣、どうですかということを和田議員が聞いたところ、いや、反省とおわびは別に言っていないということで、中国側が勝手に記者会見の場で述べているというような御答弁だったと思うんですが、再度、もう一度確認をさせていただきたい。政府委員でも大臣でも結構ですが、そういった発言はされていないということでいいんですね。

岩屋国務大臣 私の発言ですから私からお答えしますが、中国側と会談すると、どうしても一部、歴史認識の話が出てくるわけですね。そのときに、石破政権は、これまでの歴代の内閣の談話、五十年村山談話、六十年小泉談話、七十年安倍談話、こういう歴代の談話をしっかりと引き継いでいるし、これからも引き継いでいくということを申し上げたところでございます。

西田(薫)委員 となると、言ってもいないことを中国のメディアは会見の終わった後に発表しているということですよね。これはもっと強くそこは主張すべきじゃないかなと思うんですが、どうですか。

岩屋国務大臣 それはそのとおりでございまして、中国側が事実と異なる内容を発出したことは誠に遺憾でありまして、その都度中国側に対して申入れを行っており、事実と異なる記述については直ちに削除するように求めてきております。このことは、昨年十二月の定例記者会見においても私から説明をしているところでございます。

 こういうことはお互いの信頼関係に関わることでございますので、日本政府としても、引き続き、中国側の発表にも目を配るなど、しっかりと対応していきたいと考えております。

西田(薫)委員 今、御答弁の中でも、この前の、二日前のときも政府参考人の方が、そこはやはり大臣が言ってもいないことを言っているということはしっかりと申入れをしていくというような御答弁だったと思うんです。今、大臣もこの申入れという言葉を使ったんです。申入れじゃないと思うんですよ。言ってもいないことを勝手に言ったとなれば、抗議ですよ。申入れじゃないと思いますよ。強い抗議をしないといけないと思うんですが、どうですか。

岩屋国務大臣 申入れをしているということは、抗議をしているということでございます。

西田(薫)委員 じゃ、抗議ということですよね。もし逆で、日本のメディアが、中国は過去の反省、おわびはもう結構ですと言いましたということを、言ってもいないのに日本側のマスコミが発表すれば、中国は物すごく抗議をされているかと思うんですよね。まだまだ抗議が弱いんじゃないかなと。中国に対しては腫れ物を触るような、何か配慮し過ぎじゃないかなというふうに思っております。

 もう時間が来ましたのでこれ以上は言いませんが、今日、この後、竹島の施設、立憲民主党さんの亀井先生が二日前にされたと思うんです。私も全く同じ思いで、思っておりまして、その質問も予定はしておりましたが、ちょっと時間の関係がありますので、次回にさせていただきたいと思います。

 以上で終わります。

堀内委員長 次に、西岡秀子君。

西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 今日、最後の質疑となります。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、先ほどから議論があっております関税引上げをめぐる日米交渉についてお伺いをさせていただきます。

 十七日朝から始まった今回の日米交渉でございますけれども、交渉の担当として指名をされた赤澤大臣が訪米されましてスタートしたわけでございますけれども、その結果としては、現在、早期の合意、次回の協議を四月中に実施をすること、また大臣級に加えて事務レベルでも交渉する等の内容が確認されたという報道がございます。

 まず、その受け止めについて大臣にお伺いすると同時に、また、先ほどからずっと議論があっておりますけれども、官僚級会合に先立ちましてトランプ大統領が急遽同席をされた。このことについては、赤澤大臣は機中でそのことを知ったという先ほど大臣からの御答弁があったわけでございます。赤澤大臣と五十分会談をされたということでございますけれども、米国から、日本との関税交渉が最優先という言及もあったこと、また日本を最優先、重視をしているという御発言があったこと、また、早くこのことで結果が出るのではないかというプラスの評価も多く聞かれるところでございますけれども。

 実際は、外交交渉にとって、やはり場所や相手は大変重要なファクターになるというふうに思っておりまして、場所も、アメリカ財務省から急遽ホワイトハウスに変更され、その外交交渉が大きく場所から変わっていると同時に、交渉スタートからトランプ大統領が同席をされ、本来の交渉相手のベッセント財務長官、グリア米通商代表、またラトニック商務長官、四対一、先ほどもありましたけれども、そういう構図でのスタートとなりまして、商務長官の出席については、日本政府は事前に聞かされていなかったという報道もございました。

 外交は生き物であって、これがトランプ流であるといえばそれまでなんですけれども、完全にある意味、主導権を握られたスタートではなかったかという懸念を持っております。

 日本側の交渉にどのように今後影響を与えるのか、今後の交渉に向けての大臣の御見解も併せてお伺いをしたいと思います。

岩屋国務大臣 今、西岡委員が大分おっしゃっていただきましたが、今般の赤澤大臣の訪米ですけれども、ホワイトハウスで大統領と五十分間、そのときも三閣僚は同席をされていたということでありまして、その後七十五分間、三人の、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官及びグリア通商代表と協議を行ったということであって。

 私は、個人的な感想ですが、何も米側はメンツをそろえて威圧しようとしたというよりも、まさに日本との協議を最優先にし、また重要視しているという姿勢の表れだというふうに受け止めたいというふうに考えております。ただ、もちろん楽観はできませんで、これからこそ厳しい、難しい交渉が始まっていくということだというふうに考えております。

 赤澤大臣を政府一丸となって支えて、これも委員から御紹介いただいた、可能な限り早期に合意して、首脳間で発表できる、このことを目指して努力を継続してまいりたいと考えております。

西岡(秀)委員 続いての質問は、先ほど太委員に対して大臣がお答えになりましたけれども、防衛省の関係者は同行していなかったけれども、万全の対応が取られたと考えているという大臣の御答弁がございました。

 そういう御答弁なんですけれども、次の質問に移りますけれども、まさに先ほど大臣がおっしゃった、これからが大変な交渉が始まるというふうに思っておりまして、ただ、トランプ大統領と会えたことが大変よかったというような、そういう報道やそういう向きの評論が大変多いんですけれども、実際、トランプ大統領と会えたから、直接、想定していなかった赤澤大臣とトランプ大統領の会談ができたからよかったという受け止めを、今、日本がしているような状況ではないというふうに私は考えておりまして、これはまさに序章でしかなくて、これから、先ほど大臣もおっしゃった、困難な交渉が予想されるというふうに思っております。

 外交、結果がよければ、その経緯というものは後から評価されることになるというふうに思っておりますけれども、今回のように、想定されないテーマ、これも先ほどございました、駐留経費についての、元々の議題としては上がっておりませんでしたけれども、このことも議題として議論があったということを踏まえますと、これからどういう想定外の外交が展開されるか分からないということを踏まえますと、これは一つの外交上の懸念であると同時に、我が国として、様々な状況を万全に予想して、想定外の事態にもしっかりと備えてこの交渉に当たらなければならないということが、今回課題として明確になったというふうに思っておりますけれども、ある意味、日本の常識では測れない交渉がこれから進んでいく可能性も十分考えられるというふうに思っております。

 このことについて、大臣として、外務大臣として大変重要な役割を果たされますけれども、今回、関税の交渉を含めた今後の交渉についての大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

岩屋国務大臣 トランプ大統領に最初からお目にかかれたことは、私はよかったのではないかなと思います。もちろん、言うまでもなく、大統領が最高責任者でいらっしゃるわけでありますし、その大統領に対して、まず石破総理のメッセージ、日米双方の経済が強くなるような包括的な合意を可能な限り早期に実現したいという総理からのメッセージを、直接に最高責任者たるトランプ大統領に赤澤大臣から伝えることができたということは意義があったのではないかなと思っておりますが、これも委員が言われるように、だからといって、今後の交渉が楽観できるわけではないというふうに思っております。

 まず、今度約束したことは、今月中にももう一度協議をやろうということが確認をされておりますので、その実現に向かって、これも委員がおっしゃるように、ありとあらゆるシミュレーションを行った上で、入念な準備の上に、二回目の協議を是非実現をしたい、させたいというふうに考えております。

西岡(秀)委員 ありとあらゆる想定をした準備というのは大変重要だと思いますし、日本にとっては、自動車や鉄鋼、アルミ製品の二五%の追加関税の見直し、これは大変最重要課題であるというふうに思いますし、極めて重要な課題であるというふうに思いますので、赤澤大臣を担当としてですけれども、岩屋外務大臣にもしっかりとお取組をお願いを申し上げたいと思います。

 続きましての質問でございますけれども、トランプ大統領の政権では、政府効率省、これが大変、今、様々な、政府機関の予算ですとか人員を削減するということに前代未聞の状態で取り組んでいるという状況がございます。

 例えば、アメリカ海洋大気庁、これは自然災害から人命や財産を守ったり、環境への対策、海洋資源の有効利用における様々な調査や開発を行う政府機関でございますけれども、既に千三百人規模の人員が削減をされ、予算も三割削減という報道がございます。また、NIH、アメリカ国立衛生研究所、これはアメリカの医学研究の拠点でございますけれども、研究開発費などの助成削減が進んでいる。また、NASAについても五〇%の予算を削減するという報道もございます。

 主要なアメリカの政府機関、特に研究機関が大きな影響を受けております。このことによって、米国内のみならず、国際社会にも大きな影響が生じてくるというふうに考えますけれども、様々な分野での影響が懸念されますが、特に科学技術という視点での質問をさせていただきたいと思います。

 このことによって、世界において大きな役割をこれまで米国が果たしてきたというふうに思いますが、科学技術の振興、発達の中で米国がこの役割を縮小していくということによって、大きな影響が起きてくるというふうに思います。米国からの研究者の流出が進むのではないかという懸念もございます。

 このことについても、まず大臣の御見解をお伺いすると同時に、また、一方で、従来から我が国の科学技術予算は他国に比べてその伸び率が大変低い状況、横ばいが続いていて、この研究開発費を我が国がまず倍増していかなきゃならないということは、我が国民民主党もずっと主張をしているところでございますけれども、我が国が大変横ばいに推移する中で、米国、中国は、研究者の研究開発環境を、大きくここに投資をしてきております。その中で、日本の優秀な研究者の方が、アメリカを含めて海外に流出をされるというのも課題でございました。

 今、アメリカが研究者の流出の懸念がある中で、一方で、確信的に科学技術予算を増やしてきた中国が優秀な研究者を受け止める受皿になる、この取組が進んでいくのではないかという懸念を私は持っておりますけれども、我が国として、まさにしっかり科学技術環境を整えていかなければならないというふうに思いますが、これは直接的には大臣の御所管のことでは科学技術はないんですけれども、今のこのような国際情勢、アメリカが政府効率省の名の下に様々な大切な予算、人員を削減している影響を含めて、大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

岩屋国務大臣 御指摘の米国内のいわゆる政府効率化ですか、この動向といいますか取組というのは、他国の内政に関わることでありますので、政府として正式にコメントすることは差し控えたいとは思うものの、個人的には私は非常に心配をしております、USAIDの話もそうですけれども。これはやはり、米国の外交基盤というのを毀損していくおそれがあるのではないかと私は個人的には大変心配をしております。

 その上で、今委員がおっしゃったように、科学技術イノベーションというのはまさに国力の源泉でございますので、経済を成長させるだけではなくて、様々な社会問題を解決する原動力になるものでございます。

 この分野には、私は、我が国ももっともっと力を入れていかなきゃいけないと思っておりますし、米国との間でも、二月に発出された日米首脳共同声明においても、重要技術開発において世界を牽引するための協力を日米でしっかり追求していこうということがうたわれておりますので、やはり、こういう考え方に立って、日米でこれからもしっかり力を合わせることができるように、人材の問題も含めて、そういう方向をしっかりと打ち出していけるように努力をしていきたいと考えております。

西岡(秀)委員 私見ということでございますけれども、大臣に力強い御答弁をいただきました。

 先ほど申し上げましたけれども、我が国も、研究開発費、予算を含めて倍増するとともに、優秀な研究者にやはり日本で研究をしていただく環境づくり、この戦略を強力に進めていく、まさに今、大変このことが求められるというふうに思っておりますけれども、これは内閣府に、今後の方針についてお伺いをしたいと思います。

藤吉政府参考人 お答えいたします。

 科学技術イノベーションを進める上では、中核となりますのは研究者を始めとする人材でございまして、日本の研究力の向上に向けては、国内外の優れた研究者を引きつける魅力的な研究環境を実現することは大変重要だと考えてございます。

 政府といたしましては、その魅力的な研究環境の整備に向けまして、基盤的な経費の確保に加えまして、例えば、大学ファンドを通じた国際卓越大学への支援ですとか、あるいは、海外の優秀な研究者を引きつけるための世界トップレベルの研究拠点の整備ですとか、また、先端分野での欧米等先進国との国際共同研究を通じた海外研究者との交流、関係構築の強化などの取組を進めておりまして、こうした取組を引き続き進めるとともに、必要な予算をしっかりと確保していくことが重要と考えております。

 今後とも、米国を含む諸外国の状況も勘案した上で、第七期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた議論と併せて、我が国の研究力強化に向けた検討を行ってまいりたいと考えてございます。

 以上です。

西岡(秀)委員 しっかり、我が国の研究開発、研究者の環境整備を含めてお取組をお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、もう時間がほとんど残っておりませんけれども、三月に開催されました核兵器のない世界へ向けた国際賢人会議につきまして、この会議の成果について岩屋大臣にお伺いをしたいと思います。

岩屋国務大臣 三月三十日及び三十一日に開催された核兵器のない世界に向けた国際賢人会議第六回会合ですが、私も最終会合に出席をさせていただきました。委員の皆さんの間で、核兵器のない世界の実現に向けた具体的な方策について議論が交わされまして、NPTの運用検討会議に向けた提言が発出をされました。

 これは非常に意義のあることだというふうに考えておりまして、これらも参考にさせていただきながら、今後の準備委員会会合また運用検討会議に臨んでまいりたいと考えております。

西岡(秀)委員 これも先ほど議論があったところなんですけれども、四月二十八日からNPT再検討会議第三回準備会が始まります。是非、岩屋大臣には、出席も含めて今検討中だという先ほど御答弁があったんですけれども、残念ながら、核兵器禁止条約の第三回締約国会議オブザーバー参加がかないませんでした。このことも踏まえて、しっかり、唯一の戦争被爆国としての我が国の明快な発信、二度と核兵器の使用があってはならないという明確なメッセージを、是非御出席をいただいて発出をしていただきたいと考えますけれども、大臣の御見解、もしお伺いできればと思います。

岩屋国務大臣 このNPTの来年の運用検討会議はとても大切な会議になると思います。

 先刻も申し上げましたが、世界秩序が揺らいでいる、そういう中にあって、この核軍縮に向けての国際的機運を高めるというきっかけになし得るかどうかということが問われるとても大事な会議になると思いますので、その前の準備委員会の会合も含めて、しっかり政府として取り組み、またリーダーシップを発揮できるように汗をかいていきたい、そして、核兵器のない世界の実現に向けたNPTにおけるその取組というのが、もう半歩でも一歩でも前進するという形に是非していきたいと考えております。

西岡(秀)委員 是非御出席をされることを心から要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

堀内委員長 次に、海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定の締結について承認を求めるの件、職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第百五十五号)の締結について承認を求めるの件及び千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岩屋毅君。

    ―――――――――――――

 海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定の締結について承認を求めるの件

 職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第百五十五号)の締結について承認を求めるの件

 千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岩屋国務大臣 ただいま議題となりました三件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 まず、海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定の締結について承認を求めるの件は、令和五年六月十九日に協定が採択されました。

 この協定は、公海及び深海底における海洋遺伝資源の利用、海洋保護区の設定、環境影響評価の実施、海洋技術の移転等について定めるものです。

 この協定の締結は、公海及び深海底において、海洋の生物の多様性を保全する見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第百五十五号)の締結について承認を求めるの件は、昭和五十六年六月二十二日に条約が採択されました。

 この条約は、作業に関連した事故及び健康に対する危害の防止を目的とする措置について定めるものです。

 この条約の締結は、労働における安全衛生に係る規範の国際的な普及を促進する見地及び国内における労働災害の一層の防止の見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件は、平成七年七月七日に条約が採択されており、令和六年五月二十三日にその附属書の改正が採択されました。

 この条約は、漁船員の訓練及び資格証明並びに当直に関する国際的な基準について定めるものです。

 この条約の締結は、海上における人命及び財産の安全の確保並びに海洋環境の保護の見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。

堀内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時一分散会


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