衆議院

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第9号 令和7年4月23日(水曜日)

会議録本文へ
令和七年四月二十三日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 堀内 詔子君

   理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君

   理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君

   理事 鈴木 庸介君 理事 太  栄志君

   理事 杉本 和巳君 理事 西岡 秀子君

      逢沢 一郎君  英利アルフィヤ君

      大空 幸星君    新藤 義孝君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      広瀬  建君    福田かおる君

      松島みどり君    松本  尚君

      茂木 敏充君    小熊 慎司君

      亀井亜紀子君    篠原  豪君

      竹内 千春君    武正 公一君

      山崎  誠君    渡辺  周君

      西田  薫君    和田有一朗君

      深作ヘスス君    西園 勝秀君

      山崎 正恭君    阪口 直人君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   外務副大臣        宮路 拓馬君

   農林水産副大臣      滝波 宏文君

   外務大臣政務官    英利アルフィヤ君

   外務大臣政務官      松本  尚君

   外務大臣政務官      生稲 晃子君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   農林水産大臣政務官    山本佐知子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門前 浩司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  市川 道夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 伊藤 正志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       中村  亮君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 文土君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石川 誠己君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省中南米局長)   野口  泰君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           今井 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           古田 裕志君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       井内  努君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       佐藤  紳君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済安全保障局貿易管理部長)   猪狩 克朗君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           堀 真之助君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君

   外務委員会専門員     山本 浩慎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     福田かおる君

  茂木 敏充君     鈴木 隼人君

  篠原  豪君     山崎  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     茂木 敏充君

  福田かおる君     松島みどり君

  山崎  誠君     篠原  豪君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

 職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第百五十五号)の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)

 千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)


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     ――――◇―――――

堀内委員長 これより会議を開きます。

 海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定の締結について承認を求めるの件、職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第百五十五号)の締結について承認を求めるの件及び千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長大鶴哲也君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。立憲民主党の小熊慎司です。

 国連公海等生物多様性協定、いわゆるBBNJ協定についてお聞きいたします。

 海洋国家日本としても、海の資源また環境を守るということは、世界の中でもリーダーシップを発揮していかなければいけない分野でありますけれども、随時、この協定についての課題についてお諮りをしてまいります。

 このBBNJ協定は、深海の海底の資源開発の規制を盛り込んでいるところではありますけれども、深海の生物多様性保護と、また、近年、いろいろな資源が発見をされたり、また有効活用して地球温暖化にも寄与していかなきゃいけないというテーマもありますけれども、一方で、この両立というのは非常に難しいところであります。決して両立しないということではありませんけれども、両立させるためには非常に難しい課題を抱えています。

 深海底資源開発は、一方で、海洋生態系に悪影響を及ぼす可能性も懸念をされていますので、また一方で、鉱物資源の需要増加も背景に、開発の期待感も高まっています。両方とも、どちらも大切であるということでありますけれども、ある意味、一見相反してしまうこの二つの部分について、どのように調整していって、この協定の目的を達成していくのか、お伺いいたします。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 国連公海等生物多様性協定、BBNJでございますが、この協定は、その第五条におきまして、他の法的文書、法的枠組み及び国際機関の権限を損なうことなく、協定を適用すると規定しているところでございます。

 御指摘の深海底における鉱物資源開発、それに関わる活動につきましては、現在、国際海底機構、ISAの場で規則案に関する審議が行われているところでございます。したがいまして、御指摘の深海底の鉱物資源開発に関する活動は、今後、このISA、国際海底機構にて作成される規則が適用されるということでございます。

 その上で、我が国としましては、環境保全に配慮しつつも資源開発が促進されるようISAにおける開発規則の議論に積極的に関与してまいりたいと考えているところでございます。

小熊委員 これは海底のことなので、日本はちゃんとやるとは思いますけれども、国際的に守っていかなきゃいけないところでありますから、お互いの監視体制、チェック体制というものを強化していかないと、中国もいろいろなことをやっていますから。中国だけでなく、ほかの国も、海底で何をされるか分からない、ちょっとこれでは、国際的な連携の中で、しっかりと今言われた規定にのっとって全て行っていかなければならないという点も併せて指摘をさせていただくところであります。

 次に移ります。

 この協定は、公海上において新たな管理手法を導入していますけれども、既存の地域漁業管理機関とか国際海事機関との権限の調整も必要となってきます。重なる部分、またお互いお見合いしちゃう部分というのも出てきますから。特に、この協定が漁業に関する具体的な規定を設けてはいないので、既存の機関との権限の分担、協力体制を明確にしていかないと、今言ったとおり、お見合いしちゃったり、余計な仕事をお互いしてしまったりということが出てきます。そして、新たな実効性のあるルール作りも必要だと思いますけれども、見解をお伺いします。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 この協定は、関連する他の法的枠組みや国際機関の権限を損なうことなく、また、それらと整合的、協調的に本協定を解釈し適用するという具合に規定しているところでございます。

 特に、海洋保護区を設定する場合には、この規定を踏まえまして、委員御指摘の既存の地域漁業管理機関等の関連する国際機関等と協力及び協調の上、これらの機関等が採択された措置と両立する措置について決定を行うということになっています。これは二十二条に規定があるところでございます。

 我が国としましては、この協定、早期に締結し、協定がこうした規定を踏まえて適切に実施されるように、今後の議論に積極的に関与してまいりたいと思っております。

小熊委員 二十二条で協調していくということですけれども、定期的に話合いを設けるとか、何か具体的なスケジュールとか具体的な取組というのは今のところありますか。なければないでいいです。

濱本政府参考人 具体的なことにつきましては、今後、協定が発効して締約国会合が開催されて決まってくるところでございます。

小熊委員 非常にこれは細かい点ですけれども、実際、現場においてはこういうことをしっかり決めていくということが大事ですから、締結後は、具体的な取組にしっかり邁進していっていただきたいというふうに思います。

 さらに、次に続きます。

 本協定は、海洋生物のサンプル採取に関する規定も設けてありますけれども、学術研究を含めたあらゆる活動が対象となってきます。こういう学術研究というのはどんどん支援をしていくべきだというふうには思いますけれども、この点についても、定義が曖昧であるがために、条文の解釈また適用に際して不明確な点が残る懸念があります。国によって解釈が変わってしまったのでは、何だこれ、協定と違うんじゃないか、いやいや、こっちはそういうふうに解釈しているんだよ、こういうことも起きてきかねないので。

 先ほどの質問も同じです。締結後になるとは思いますけれども、しっかりと曖昧な部分を具体的に詰めていかなきゃいけないと思いますが、見解をお伺いします。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 不明確ではないかという御懸念でございますので、ややちょっと細かくなりますが、幾つか挙げさせていただきますと、協定の第十二条というところで、海洋遺伝資源の採取を行う際には、採取計画の内容、採取された海洋遺伝資源のサンプル及びデータの保管場所、保管されているデータの利用状況等の情報を、協定によって設置される情報交換の仕組みに通報するということが定められているということでございます。そして、この通報は、漁獲及び漁獲関連活動あるいは軍事活動を除き、海洋遺伝資源を採取する場合に行う必要があるとされているところでございます。ここまでは明記されているということでございます。

 その上で、委員御指摘のように、海洋遺伝資源に係る通報に関する詳細及び運用方法につきましては、本協定発効後に開催される締約国会合にて決定されるということになっているということでございます。

 我が国としましては、この通報に関する手続が学術研究を含む我が国の活動に過度な負担とならないよう、本協定を早期に締結し、締約国会議におけるルール作りに積極的に関与していきたいと考えているところでございます。

小熊委員 ありがとうございます。いずれ、やはり締結後にいろいろまた取り組んでいかなきゃいけないということであります。

 更に進みますが、本協定は生物多様性の保全と持続可能な利用を両立させることを目指していますが、具体的に、この優先順位というものもあると思いますけれども、これをしっかり決定していかなければならないというふうに思います。

 例えば、漁業における生物多様性の影響と、また深海の海底資源開発の影響、これが相反してしまった場合にどっちを優先するんだということになってきます。私は、これは、海の環境を守る、それなくしては全てが始まらないと思っていますので、それを上回るものというのはないとは思うんですけれども、相反してしまったときに、どっちもやらないのか、どっちかを優先するのか。

 具体的にこういうケースの場合はどうと言わないと言いにくいとは思いますけれども、相反して両者が成り立たないときに、保護と資源開発、どっちがやはり優先されるべきか、政府の見解をお伺いします。

濱本政府参考人 委員御指摘されましたように、海洋生物多様性の保全に当たっては、漁業あるいは深海底鉱物資源開発等の海洋資源の利用と両立を図っていくことが必要であるという具合に考えております。

 その上で、この協定は、生物多様性の保全と持続可能な利用の双方に一層取り組むことで、それらの両立を図ることを目的として作成され、採択された条約ということでございます。具体的には、海洋における人間の活動あるいはその影響が広範囲に拡大した結果、公海あるいは深海底にも生物多様性に関するルールが必要だという認識の下で作成されたものでございます。

 本協定の規定に従いまして、関連する他の法的枠組みや国際機関等との整合性や協調性を確保しながら本協定を適切に実施する、そのことによりまして、生物多様性の保全とそれから持続可能な利用の双方が一層促進されるよう取り組んでいく考えでございます。

小熊委員 その目的はそのとおりなんですけれども、いずれ、現実的には相反する場合も多分出てきますから、今言われたように、保全ということをしっかり念頭に置いて、また、締結後に、これはやはり国際的な取組の中で、先ほどの答弁でもありましたが、心強く感じましたけれども、日本がリーダーシップを発揮して、具体的な取組、その会議体の中で是非力を発揮していっていただきたいと思います。

 本当に海は変わりまして、大臣の地元もそうだと思いますし、東京湾なんかもめちゃくちゃ変わっていて、サンゴが広がっているんですよね、これはバラスト水で。ガゴメという海藻があるんですけれども、それがなくて、もう沖縄の海みたいになっている。私は海に潜ったわけじゃないんですけれども、そういう状況です。

 あと、船橋のふるさと納税にもなっているホンビノスガイというのは元々日本にいないやつですよね。ハマグリの、なんちゃってハマグリだと最初安く売られたけれども、今はもうブランド化されて、本当においしいんですけれども。これも、バラスト水の関係で来ている。

 この間、すし屋さんに行って聞いたら、アカガイもなかなか今大変になってきているということで。私の選挙区には海はありませんけれども、福島県の海も今、イセエビが捕れたり。かつてそんなに捕れなかったのに。

 そういうふうに大きく状況は変わっていますので、ある意味、気候変動で、陸地も変わっているけれども、それ以上に海は本当に変わってきているということですから、海の環境を守っていくというのは非常に大事であります。

 海を守る、これは今、海だけの話をしているんですけれども、実は陸地側にも大きな課題を抱えていまして、次の質問に移りますけれども、一発肥料というのがあります。農村部の委員の皆さんだと分かるとおり、一回まけばもう大体それで終わっちゃうという、農作業の省力化にもつながっている肥料でありますけれども、これはプラスチックで覆っているので、農水省が頑張って、出ないようにと、ネットを張ってくれ、何とかと言っているけれども、ネットを張るとほかの雑草とかも絡まるからみんな嫌がるし、どうやったってやはり飛んでいって、今、海にももう出ているんですね、この被膜が。

 これは、せっかくこの協定を結ぶときに、海を守っていく日本といいながら、残念ながら、大事な農業からこういうものを出してしまっている。

 業界団体の方でも、その肥料を作っている団体の方でも、二〇三〇年までにこういうのをなくしていこう、代わりのものを作っていこうと。今、代わりの肥料はあるんですよ。いろいろな肥料があるんですけれども、効果とか手間から考えると、この一発肥料、一発ぽおんとまけばそれで終わるんです。だから、手間暇を考えるとこっちがいいです。だけれども、これは環境に今悪影響も及ぼしているということで、海洋汚染の原因として、まだ国際的には大きく問題視はされていませんが、一部指摘はやはり受けています。

 農水省も余り使わないようにしましょうとは言っているんですけれども、これはどのぐらい日本の水田で使われているのか、ざっくりした量も把握していないと、減らしていきましょうといっても、じゃ、今年はどのぐらい減った、次の年はどのぐらい減ったというのが分からないわけです。

 今の状況で、水田にちょっと限らさせてもらいますけれども、どのぐらい使っているのか、お伺いします。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 いわゆる一発肥料というものは、肥料をプラスチックなどの被覆資材で覆うことによりまして、成分が土の中に溶け出す時間を延ばすことで、量や散布回数などを削減することができる機能を持つものであり、我が国では、委員御指摘のとおり、水稲栽培を中心に幅広く利用されています。

 この被覆資材の農家段階の使用量を調査、把握することは大変難しいわけでありますが、国内製造事業者における生産量は把握しております。毎年報告を受けておりまして、これによると、直近、令和五年の生産量は約十万トンとされております。これは前年から約二万トン減少している数値ではありますが、十万トンということであります。

小熊委員 そうすると、これは二〇三〇年に大体やめましょうということでいいんですよね。そういう目標、ちょっと確認させてください。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 今、二〇三〇年の目標とおっしゃられました。これは、二〇二二年一月に肥料関係団体が、プラスチック被覆肥料に頼らない農業にすることを目標とした取組方針、こういうものを作りました。これが、二〇三〇年までに、生分解性プラスチック等を使用した肥料を開発することを目指して取り組むということでございますので、議員おっしゃるとおりでございます。

小熊委員 あと五年間の中で、はっきり言えばゼロにしなきゃいけないというふうに思いますけれども、直近のデータだと、二万トン下がって、あと十万トンぐらいが製造されているから、うまくいけば五年でなくなるけれども、そんなにうまく下がるかどうか分からないし、今言ったとおり、これは農家の人から見ると楽なんですよ。代わりのものはあるけれども、それはまた設備投資が必要だったり、一発肥料より高かったり、また、米を育てる上での効果を考えれば、それを上回るものでもなかったり。

 今、業界も一生懸命その代わりになるものを作ろうとしていますけれども、それは、上回るものができて、環境にも優しい、この一発肥料を上回る性能というか効果のあるもので、環境にも優しいものができれば一斉に切り替わると思いますけれども、できるかどうかは絶対とも言えないわけですよね。

 そういう状況の中で、もしできなければ、やはり代わりの、今あるほかのやつに、ちょっと手間がかかるけれども、しっかり支援をしていかなきゃいけないということです。

 国においても、代替肥料の導入について、実証実験を支援をしていますけれども、累積で五十件ぐらいと聞きました。これをやはり今のうちから、五年後に結局開発できなくなって、いきなりもう完全中止となっちゃったら、現場でも大変なことになりますから、一生懸命、ほかのものも、もっともっと支援を拡大していって、定着も図っていかなきゃいけないと思いますけれども、その点についてはどうでしょうか。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 農林水産省では、みどりの食料システム戦略推進交付金により、令和四年以降、現在までに全国延べ七十一地区において、プラスチック被覆肥料の代替肥料を開発したり、あるいは、被覆殻の流出防止技術、こういった様々な技術の実証を支援をしています。

 また、ここで得られた成果は広く全国展開しなければいけませんので、都道府県の普及組織や、またJAなどの指導機関を中心に全国約百四十機関が参画して進めております。

 今後とも、こうした取組を推進することで生産現場での定着が図られるよう、取組を後押しをしてまいります。

 また、それと同時に、農林水産省では令和四年一月に、県知事そして肥料関係団体の長宛てに通知を出しまして、代替技術の技術実証や、そして導入を推進するよう、改めて依頼をしております。

小熊委員 今、累積五十件というのは少ないと思いますよ。いきなりやめとなっちゃったら、やはりこれは全国的な話ですから、もっともっとあちこちで取組を始めなきゃいけないし。

 私の地元に、只見町という、すごい豪雪のところで、今年も大変な状況でありましたけれども、また、数年前に二十一世紀枠で甲子園にも出させてもらって注目を浴びた町ですけれども、ここで実証実験しているんですけれども、国の支援はないんです。

 町のホームページにその結果とかも載っていますので、意識ある農家さんたちがこういったことをやって、町も取り組んでいるという、志ある農家、志ある自治体でありますから、もう国の支援なしでやりましたけれども、是非、この後また連絡を取っていただいて、只見町で行われたことの知見を国にも吸収していただきたいし、今後の町の取組によっては、これは国としても支援をいただきたいと思います。

 今、JAの話も出ましたけれども、一発肥料、これをインターネット上でいろいろ調べると、JAさんは、否定するような情報、私は、インターネット上ではひっかからなかったですね。かえって、この有効活用でどうやって収量を上げるかみたいな話があったり。農業新聞もそうですよ。否定的な記事は僕は見つけられませんでした。メーカーによっては、メーカーの農業者表彰によっては、この一発肥料を使って収量を上げたという農業法人に表彰を上げている。これは一企業のことですからとやかくは言えないんですけれども。

 何が言いたいかというと、世の中の雰囲気がこれをみんなでやめるようにしようという雰囲気になっていない。当たり前のように、効果的であって収量が上がるという感じで、肯定的にまだなっている。世論の状況も変わっていないというふうに思います。

 言うならば、地元に帰って、農家の方に、一発肥料は数年後には多分使えなくなりますよと言うと、ええっとなるんですよ。大臣もなかなか地元に帰れないと思いますけれども、是非、帰ったら聞いてみてください。じゃ、代わりのものといって、こういうものがあるでしょう、いや、それはまた新たな設備投資が必要だし、これは値段が高いしとやはり言われますよ。

 そういう状況の中ですから、是非、もっともっとこれは広げていかなきゃいけない、今やっている農水省の取組は。

 ここでお聞きしますけれども、今回の協定というのは非常に大事ですし、日本が海を守っていく、海洋国家日本だと示していく上でも、やはり陸地においても取り組まないと、海だけでやって目的が達成するわけじゃないし、農業も一次産業、漁業も一次産業ですけれども、同じ一次産業が傷つけ合っちゃいけないという意味では、これは真剣に取り組まなきゃいけないんですね。

 先ほど言ったとおり、代わりの肥料が、同じ効果かそれ以上の効果があり、また面倒くさくない、省力化が図られる、一発肥料よりも農作業の手間が増えないものができればそれはいいですけれども、できなかったときにどうするかですよ。今のうちからほかのものに、既存のものに移行するといっても、今から取り組まなきゃ、あと五年後というのは、なかなかそこも普及しないですよ。ここをどう考えますか。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 まず、委員も先ほど冒頭御指摘をいただきましたように、肥料関係団体が二〇三〇年までに生分解性プラスチック等を使用した肥料を開発することを目指しているという取組方針を掲げたということは、やはりいわゆる被覆肥料について明確に問題意識を持っているということだと思っております。

 また、農林水産省も、併せて、例えば浅水代かき、こういった違うやり方でもこの流出を防ぐというようなやり方を今実証しておりますし、また、ネット張りのパンフレットの配布など、様々取組を展開をしております。まずは農家さんの皆さんができることを情報共有をして、そして横展開を積極的に行っていくということもしております。また、先ほど申し上げましたような様々な実証実験を支援して、やはり面的な指導の強化に向けた対応、これも進めております。

 そして、こうした実証された実験の中には、プラスチックではなくて、例えば硫黄でコーティングした肥料、こういったものも今開発しております。あるいは、肥料成分を高分子にすることで肥料成分が溶け出す時間を延ばしていく、そういった肥料など、また省力化と被覆殻の流出防止を両立できる技術も多く報告されておりますので、引き続き、海洋汚染の防止に向けて、今後とも関係者一丸となって取り組んでまいりたいと思います。

小熊委員 硫黄のやつは、あれはちょっと不安定なんですよ。政務官も地元で農家の人とお話合いするでしょう。聞いたらいい。だからやはり一発肥料なんですよ。でも、環境によくない。

 でも、五年後、二〇三〇年に本当に代わりになるようなものができなかったとき、僕は昨日ちょっと地元の、逆に一発肥料は使わないと自分自身で宣言して頑張っている若手の農家の方とお話ししたら、その人は意識高い農家さんですから、二〇三〇年にはもう製造中止でしょうという言い方をしました。そういう措置まで取りますか。どうなんですか。その予定はありますか。ないならないでいいんですよ。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 肥料会社では、やはり非プラスチックを使用した肥料の開発について今進んでおります。委員御指摘のところは大きな問題でございますので、しっかりこういった開発の後押し等もさせていただいて、そして、肥料会社が一日でも早くしっかり開発できるような、そういった体制を取り組んでいきたいと思っております。

小熊委員 できればいいんですよ。できなかったらどうするのという話で。まあ、答えにくいと思いますけれども。

 やはり水は高きから低きに流れて、人間はやすきに流れやすいです。政務官は厳しい道を選んでいくと思いますけれども、私のような人間はやすきに流れやすくて、毎日が戦いでありますけれども。人間、すべからく本当に高潔で自分に厳しい人ばかりではないし。

 そういう意味で、一発肥料が製造され続けて、ほかのいい肥料ができなければやはり使い続けます。そうすると、このプラスチック被膜は、今でも田んぼにあるんですよ、今年まいたのじゃなくて、去年もおととしもまいたやつはまだ田んぼにあるんですよ。少しずつでも毎年流れていくんです。今、海でも発見されていますよね、これ。だから、これは厳しい措置を取らなきゃいけないと思う、二〇三〇年と決めたら。もう製造停止、そこも検討すべきだと思います、ほかの新しいものができなくても。

 政務官が御紹介したとおり、一応、効果は一発肥料ほどじゃないし、手間もかかるけれども、農水省でも、代替資材、幾つかありますよというのはやっていますから、そっちに移行させていかなきゃいけない。これは農家の理解も必要ですから、やはり、二〇三〇年に向かって、今からどういうふうにしていくのかというのをしっかりつくっていかなきゃいけないし、肥料業界もロードマップを作っていますけれども、農水省も積極的に関与して、さらに農水省のまた自身の考えもしっかり連携しながらやっていくべきだと思います。

 是非、二〇三〇年に向けて、厳しい措置の選択肢も含めて検討していただきたい。これについて、政務官、どうですか。

山本大臣政務官 委員の御指摘、しっかり賜りました。ありがとうございます。

小熊委員 是非、海洋国家日本として不名誉な状況にならないように、農水省としても、僕は数年前から農水省とはやり取りしていて、それはなくしていきますと言っていたけれども、いよいよ、ちょっとまだスピード感が足りていないというので、今日、ちょうど協定のこともあったので質疑させていただきました。今まで以上に取り組まないと現状は追いついていきませんから、是非、更に取組を加速化していくよう、よろしくお願いを申し上げます。

 政務官、もういいです。

堀内委員長 政務官におかれましては、御退室いただいても結構です。

小熊委員 ちょっと協定とは離れますけれども、トランプさんがいろいろやっていて、これはアメリカの内政の問題ですけれども、大学も今大変な状況です。今日もまたいないんだけれども、茂木さん出身のハーバード大学も大変なことになっていますが、ハーバード大学だけじゃなくて、F―1ビザ、いわゆる留学生のビザの取消しが大きな混乱を起こしているところであります。

 私も、アメリカにいる知人から、大変なことになっていますよ、取り上げられて帰国を命じられた人もいますよとなっていますが、今、このF―1ビザの取消しについて、日本人の状況はどうなっていますか。お伺いいたします。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 最近、在留邦人から我が国の在外公館に対して、米国政府による査証取消しに関する照会や相談が寄せられた事例が複数あったとの報告を受けております。

 こうした照会や相談に対し、我が国の在米大使館、総領事館からは、個別の事情に応じて丁寧に相談に応じるとともに、必要な場合には弁護士を紹介するなど、現地邦人にできる限り寄り添う対応を行ってきております。

 海外に渡航、滞在する邦人の保護は政府にとって最も重要な責務の一つであり、今後とも、米側との緊密なやり取り等を通じて、更なる状況把握に努めつつ、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

小熊委員 今言ったように、弁護士をかませてビザが再発行された方もいるというのも聞いています。でも、本当は元々そんなのはなくていいはずで、余計な費用もかかってしまうし。今、こういう状況なので、不安がいっぱいあると言っていました。是非、こうした対象者においては、相談されたから対応するではなくて、いろいろ日本政府からも情報発信をして、安心の醸成も必要だと思います。これもしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、是非、御対応をお願いいたします。

 次に移ります。最後になりますけれども。

 新しいアメリカの大使と総理が面会をされました。この面会後に、グラス大使は、日米の関税交渉は合意に至ると楽観的に見ているという言葉も発せられましたけれども、こうしたコメントについて大臣の御所見をお伺いします。

岩屋国務大臣 私も、二十一日にグラス大使とお目にかかりました。

 御指摘のグラス次期大使の発言については承知をしております。さらに、同大使は、トランプ大統領が直接交渉に来られたということは、最優先事項だということが分かるということを述べられておられます。米側の真の意図を正確に把握することはなかなか困難ですけれども、こうしたグラス大使の発言や米側の対応の背景には、緊密な同盟国である我が国に対する一定の配慮というものがあったのではないかというふうに思っております。

 私も、グラス大使との間で、この協議は、お互いにとって利益になる、そういう結論を得なければならないという話をさせていただいて、大使からも同意を得たところでございまして、そういう考え方でおっしゃっておられることではないかなと思います。

小熊委員 是非、今後また推移を見守らなければならないと思いますけれども、過日、大臣にもトランプさんのドキュメンタリーを御紹介しましたが、その後も私いっぱい発見して、昨日もちょっと夜中三時過ぎまで見ていたんですけれども。

 その中で、インタビューに答えている共和党、選挙参謀のロジャー・ストーンさんが言っています、彼は勝てない勝負には挑まないという言葉も言っておりますし、あと、興味深かったのは、「トランプ」という本を書いているマーク・フィッシャーさんという人は、交渉は相手ごとに個別に行うというのがトランプ流だそうです。マルチではやりません。TPPから脱退したのもそういうことですよ。

 こういったトランプさんの性質を踏まえて、また、相手をやり込めようとする人は初め味方のふりをするという言葉もあります。大臣は先週分かりませんでしたけれども、ツンデレに気をつけていただいて、今回の大使のやつも、いいコメントだなと一瞬思ったけれども、相手を油断させるやり口かもしれませんので、よくよく注意をして、そしてまた、トランプさんのプロファイリング、是非また、忙しいと思いますけれども、ドキュメンタリーを紹介しますので、御覧になってください。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、武正公一君。

武正委員 武正公一です。

 それではまず、職業安全衛生条約について、今日、それぞれ厚生労働省、農水省また財務省、副大臣、政務官にもお運びいただきまして、ありがとうございます。

 資料の方にも書きましたが、ILO基本条約、十本のうちの一本が本条約ということでありますので、この条約が締結をされますと、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約、百十一号、一本が基本条約では未締結ということになります。

 これについて、あと一本ということになりますが、厚生労働省政務官、おいでですので、なぜこの残る一本、批准ができないのか、理由を伺いたいと思います。

安藤大臣政務官 どうも済みません。ちょっと車椅子なものですから、座ったままのお話、お許しいただければ幸いです。

 ILO第百十一号の条約は、人種そして皮膚の色、性、宗教、政治的見解、そしてまた国民的出身又は社会的出身の、七つの事由に基づく雇用及び職業における差別待遇の除去を目的としています。

 そして、この条約の批准については、その重要性は確認していますが、公務員の政治的見解の表明の制限に関する規定のほか、就業、労働条件について、性に基づく差異を、設ける規定等について、国内法令との整合性を慎重に検討をする必要があると考えております。

 引き続き、当該条約を批准する上での課題について、各府省庁とも検討してまいりたいと思います。

 以上でございます。

武正委員 公務員の政治的な関係をよく挙げられるんですけれども、こういったところも何か工夫の余地があるのではないのかも含めて、残る基本条約、百十一号、やはりこの批准を政府として進めるべきではないかというふうに思います。

 外務大臣にも伺いたいんですが、百九十一本のILO条約のうち、日本が批准をしているのは五十本、労働時間関係の条約はゼロ本。それから、安全衛生分野については、百四十八号、百五十五号、百六十一号、百六十七号、百七十号、百七十四号、百七十六号、百八十四号、八本が未批准ということでございまして、なぜ批准できないかという理由などをILOの方に述べるということになっておりますけれども、やはり、国会の方にもILO議連のそれぞれ議員の皆さんが超党派で批准をと求めている中で、今回、基本条約が一つ批准になる、締結されることは前進というふうに思いますが、この百十一号も含めて、特にILO関係の条約の批准を日本政府として積極的に進めるべきというふうに考えますが、外務大臣の御所見を伺います。

岩屋国務大臣 それは委員御指摘のとおりだというふうに考えております。

 ただ、その際に、先ほど厚労省の方からも御説明がありましたが、国内法との整合性についてしっかりと検討する必要があろうかというふうに思います。

 関係省庁とこれからも連携を取って、できるだけ一つずつ課題を克服できるように努力をしてまいりたいと考えております。

武正委員 政府としてそういう努力を、いろいろなクリアするべき課題について、一体、努力しているのかどうかということがやはり問われるというふうに思うんですが、厚生労働省さんとして、もしお答えできれば、こういうような取組をしている、努力をしている、先ほど政府での連絡というのはありましたが、何か触れていただければ。いかがでしょうか。

安藤大臣政務官 どうもありがとうございます。

 現在、労使と定期的に意見交換というものを行っております。

 あともう一つは、在外公館を通じた、他国における条約の実施状況等についても調査をして、それをまた落とし込んでいきたい、そう思っております。

武正委員 よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、政務官、御退室をいただければと思います。

堀内委員長 安藤政務官におかれましては、御退室いただいて結構です。

武正委員 それでは次は、STCW―F条約ということで、今国会にもう一本、承認を求めるということで提出されております、千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びにという条約、略称、STCW―Fということでありますが、この批准による影響。

 先日も、サンマ漁獲枠が過去最少というような報道もありますけれども、船の大型化などに与える影響。あるいは、今、漁船員の方がやはり減少している。こういう中に対して、今回の条約では、漁船員の訓練、あるいは、そうした資格のための講習などということで、やはりそれなりの負荷を課すわけでありますが、影響について、農水省、御答弁いただけますでしょうか。

滝波副大臣 お答えいたします。

 今般のSTCW―F条約の締結により、EEZ外を航行する比較的大型の漁船等を対象として、乗組員に対する生存、消火訓練の実施、船長又は航海士として乗り組む者に対する漁ろう操船講習の修了等が義務づけられることになりますが、これらは漁船の運航、操業の安全性を高めるものでありまして、農林水産省としても重要と考えているものであります。

 一方で、漁業者からは、制度の施行までにちゃんと訓練が受けられるのか、経済的負担が大きくならないのか等について心配する声をお聞きしてございます。

 このため、農林水産省としても、水産業界からの意見を丁寧に聞きつつ、例えば、関係する漁船の基地港の周辺地で安価、簡便に訓練が受けられるよう、国土交通省とも連携して対応してまいりたいと考えてございます。

武正委員 伺うところ、例えば、今の訓練の場所が西日本に限られているというようなことや、そのキャパ、対応する人数の関係、課題があるというふうにも伺っております。また、一人十二万円講習料がかかるというようなお話も伺っております。

 また、今回、伺いましたところ、この条約を適用する遠洋漁業の方は、特に漁船員がインドネシアの方が三千二百人いるというふうに伺いました。また、特定技能で外国人が漁業に携わっている方の人数も、やはり三千人を超える、三千四百人、令和六年度ということですが、うち二千八百八十八人がインドネシア人ということで、インドネシアの方がたくさん日本の漁船で、遠洋漁業、沿岸漁業も含めて業務をされているということを改めて確認をしたわけですが。

 こうした外国人の漁船員への対応ということは、この条約ではどういったことになるんでしょうか。

滝波副大臣 お答えいたします。

 委員の御指摘のように、漁船漁業におきましては、外国人技能実習制度及び特定技能外国人制度に加えまして、漁船マルシップ方式と言われる、日本漁船を外国法人に貸し渡しまして外国人船員を乗せた上でチャーターバックする、こういった様々な方式で外国人の人材を受け入れております。その中におきましてインドネシアの方が一番中心になっていると承知してございます。

 外国人が現場において漁業を支える人材として活躍いただいていること、これについて、農林水産省としても適切な活用を進めてまいりたいと考えておりますので、先ほどから御議論のありますSTCW―F条約の締結によって、新たな訓練等必要なことについては、しっかりと日本人と同様に、研修等の支援については国交省とも連携をして対応していきたいと考えてございます。

武正委員 基本訓練の対象が三百八十隻、それから講習の対象が、五百七十隻の漁船が対象になるということですので、国交省とも協力をして万全の対応ができるようお願いを申し上げたいと思います。

 また、この後またインドネシアについてもお聞きをいたしますけれども、やはり、特に漁船員として、特に遠洋漁業に対して、インドネシアの人材がこれだけ日本の漁業に貢献をしているというのは改めて認識をした上で対応が必要だというふうに思いますので、外務大臣におかれましてもよろしくお願いしたいというふうに思います。

 それで、農水省さんに続いて伺いたいんですが、米国との関税交渉について、報道などで、農業分野の日本側の米国からの輸入拡大、これが先週の日米交渉で求められていたという報道がございます。米、大豆、トウモロコシ、肉など、そして、特にミニマムアクセス米の拡大というのが政府の中で検討をされているというようなことが報じられておりますが。

 まず一義的には外務省さんに伺いたいと思いますが、日米交渉でそうしたことがあったのか、そしてまた、政府として今、関係閣僚会合も開かれておりますが、具体的にミニマムアクセス米拡大など検討されているのか、外務大臣、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 今般の日米協議の個別具体的な中身については、外交上のやり取りでもあり、また、今、スコーピングという、何を取り上げていくかという協議も進行中ということもございまして、この段階でつまびらかにすることは控えさせていただきたいというふうに思います。

武正委員 来週にはまた日米交渉、半ば以降あるということなので、非常に政府内も交渉に向けて、たしか農水省さんも加わってもらって、そういう布陣になったというふうにも聞いておりますが、取組をしていくということだと思いますので。

 ただ、やはりこれは与野党の垣根を越えて、国会も十分こうした議論に加わる形で、交渉のバックアップをオール・ジャパンでやっていこうと、石破総理との各党党首会談でもそういった旨が確認をされたのではないかというふうに思いますし、この場でも、私の方からは、是非、国会決議でその背中を押す、交渉の背中を押す必要があるんじゃないかということを申し上げたわけでございます。

 そういった意味では、やはり、これから様々な、日本の農業において日米交渉の中で輸入拡大ということが迫られるとすれば、迫られなくても、私自身は、農業者戸別所得補償、こういったことで農家の支援が必要ではないかと思うんですが、農水省、御所見を伺いたいと思います。

滝波副大臣 お答えいたします。

 日米の協議の状況が予断できない中で、仮定の御質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論として、農業者戸別所得補償制度のことについてでありますけれども、旧戸別所得補償制度は、個々の売買農家に主食用米の生産数量目標を割り当て、それを守った生産者のみに直接支払いをするものでございました。

 一方、現在では、国による生産数量目標の配分、いわゆる減反政策は二〇一八年以降廃止しておりまして、生産者の経営判断による米の作付になっているなど、状況は大きく異なってございます。

 いずれにいたしましても、水田政策については、令和九年度から、水田を今まで対象として支援する水活、これを根本的に見直しをして、米、麦、大豆、飼料用作物等の作物ごとの生産性向上等への支援へと転換する検討、これを本格的に開始したところでございまして、今後、幅広い方々から御意見をいただくなどし、検討を深めていきたいと考えております。

 以上です。

武正委員 立憲民主党も、この戸別所得補償が必要だということで、令和版の戸別所得補償なども含めて、更に内容を深めていこうということで、今、検討を進めております。

 今回、場合によってミニマムアクセス米拡大なのかという報道がありますが、ただ、ミニマムアクセス米の現状の卸売業者が応札をする仕組み、今回、備蓄米の応札、そしてそれが市中になかなか流れないということも含めて、米の流通、販売について、ミニマムアクセス米もいささかやはり課題があるのではないかというようなことも見られるところでありますので、こうした点も、更に国会としても議論を深めていく必要があるというふうに思います。

 それでは、副大臣も御退室をいただければと思います。ありがとうございました。

堀内委員長 副大臣におかれましては、御退室いただいて結構です。

武正委員 続いて財務省に伺いますが、加藤財務大臣とベッセント財務長官の会合が間もなく行われますが、この席で為替について議論が行われる場合に、日本側の主張について伺いたいというふうに思っております。

 その上で、盛んにトランプ大統領からパウエルFRB議長に対して解任のような発言が相次いで、それを修正したことで、今、またニューヨーク・ダウは株価が上がったとか、あるいはドル高にまた振れたとかいうふうに言われるところなんですけれども。

 やはり、こういった発言などを見るにつけても、日本銀行の独立性というものが必要ではないかということを改めて強く思うわけでありますが、先日来この場でも申し上げております外為特会の透明性の確保と併せて、御所見を伺いたいと思います。

東大臣政務官 お答えいたします。

 まず、先ほど外務大臣からお話があったとおり、加藤大臣とベッセント財務長官の間では、今後、二国間の会談を引き続き調整中というところでございますので、この機会も利用して同長官と議論する意向であると承知をしているところであります。

 御質問の、海外からの日本の金融政策を左右される、日銀の独立性、これについてでありますけれども、各国の金融政策は、それぞれの国の経済、物価、金融情勢に応じて、中央銀行の自主性の下で実施されているものというふうに考えております。

 その上で、日銀法第三条においては、御承知のとおり、日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性、これは尊重されなければならないと考えておりまして、日本銀行の金融政策の高い独立性が確保されているところでございますし、これからもそうであるというふうに考えております。

 そして、外為特会の透明性の必要ということでありますけれども、外為特会が保有する外貨資産は、将来の為替介入等に備えて保有しているものと承知をしております。こうした性質に鑑み、米国債を始めとする個別銘柄の保有額など詳細な内容を明らかにすることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただいておりますが、その上で、外貨証券の満期別構成や国債、非国債の構成割合等について可能な範囲で情報開示を行っておりまして、令和五年度末時点における外国国債の額は合計で約百九兆円というふうになっているところでございます。

 以上でございます。

武正委員 これから交渉が行われて、日本が保有する米国債、あるいはまた、それについて言及、あるいは、場合によっては、報道によりますと、もっと米国債を引き受けるようにという話があるのではないのかなどを含めて、かなり日本の金融政策に対して、もしかしたらいろいろな提起がされるおそれがあるというふうに言われておりますだけに、やはり、日銀は独立しているから、もちろん日本の金融政策について、それぞれの主権の下運営をしているわけだから、とやかく言われる筋合いはないというか、そういうような認識も示す必要もありますし、ましてや独立した中央銀行の政策に我々政府でも立ち入ることができないんだ、日銀の独立性は担保されているんだということを交渉で財務大臣が堂々と言えるように、やはり、国内で政府は日銀との関係、臨むべきではないかというふうに思いますが。

 残念ながら、ここのところ、日銀の独立性が毀損されるような、そういうような政府の対応が続いてきたのではないかということが、いざこういう交渉のときに、ある面、非常にリスクになり得るというふうに考えますが、この点について御所見を伺いたいと思います。

東大臣政務官 委員御指摘のとおり、我が国は、まさしく、繰り返しになりますけれども、中央銀行の下の自主性、これは尊重されなければなりませんし、先ほどのお話でありますけれども、第三条において担保されている。今までも、そしてこれからも、その独立性の確保というのは重要だというふうに考えているところでございます。

武正委員 是非お願いいたします。

 その意味での、外為特会も含めて、介入のために必要なんだ、百九兆円、外国債は持っているけれども、米国債については明らかにできないということも含めて、国会でもっと議論ができるように、その国会のバックアップで日米交渉に臨めるように、やはり透明性も、外為特会、もっと確保が必要だということも改めて申し上げ、政務官、これで御退室いただければと思います。

堀内委員長 政務官におかれましては、御退室いただいて結構です。

武正委員 それでは、引き続いて外務大臣の方に伺いますが、またこれも報道でございますが、今回、日米交渉では在日米軍のいわゆる思いやり予算増額も俎上に上がっていると報じられております。

 米側にも、そして日米両国民にも、日本側の負担が、米軍駐留国では、その基地施設数や負担割合など、世界で一番その割合が高い、多いということを、日本国民も含めてもっと知ってもらう必要があると思うんですが、まずこれを伺いたいと思います。

 また、あわせて、日米合同委員会の議事録の公開、こういったこともやはりしていかないと、先ほどの外為特会もそうですが、国民には知らせない、国会でも言わない、こういったことで本当に日米交渉なり対外交渉が、国民の世論のバックアップの下、そしてある面、国会の後押しの下、臨めないんじゃないかというふうに思うんですが、衆議院本会議でも石破総理からは前向きな答弁をいただいております。日米合同委員会の議事録公開、三十年ルールに基づいて公開すべきと考えますが、現状公開されているのは、お手元の資料の二ページにあるということでお示ししておりますが、この件数でよいのかも含め、お答えをいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 まず、今回の日米協議というのは主に経済分野の取組に焦点を当てるものであるというふうに認識をいたしております。やはり、経済分野の話と安全保障の話というのは、元々事柄の性質が違うというふうにも思います。

 その上で、同盟強靱化予算交渉については、もとより、この予算については日米両政府の合意に基づいて適切に分担されていると政府は考えておりまして、こうした考え方についても、丁寧に、また粘り強く米側に訴えているところでございます。協定の期限は再来年でございますので、通常、前の年から日米間で安全保障の枠組みにふさわしいトラックで協議をしていくということが本来の在り方だと考えているところでございます。

 それから、日米合同委員会の合意事項や議事録についてですけれども、日米間の忌憚のない意見交換や協議を確保するために、双方の同意がなければ公表されない、しないということで、日米間で合意をしておりますが、最終的に日米で一致する場合は公表するように努めてきております。

 昨年は百件以上を公表しております。また、議事録については、外務省ホームページにおいてこれまで五件を公表しております。これが多いか少ないかという御議論はあろうかと思いますけれども、国民の皆様に丁寧に説明をするという観点からも、今後とも、日米間で一致するに至った合意のうち、公表できるものは公表するように努めてまいりたいと考えております。

武正委員 二ページにありますように、三回しか日米合同委員会で議事録は公開されておりません。そのうちの二回、一番と二番は民主党の政権下での公開ということでありますので、自民党中心の政権の下では一回しか合同委員会の議事録は公開されていないという現状でありますので、やはり、三十年ルールに基づいて知らしめていく必要があるということを重ねて申し上げたいというふうに思います。

 それで、実際、私も、ですから検索をしたんですが、e―Gov、文書管理で、例えば、日米合同委員会とか、合同委員会、議事録と検索しても、例えばこの一九五三年の二件の記録などは出てきません。それから、外務省の外交史料館の方のシステムでも、検索しても出てきません。

 ようやく出てきたのが一番最後のページにあります国立公文書館のアジア歴史資料センターでありますが、これも検索のときに、例えば裁判権小委員会刑事部会なりのキーワード検索をかけても出てこなくて、キーワードとして教えてもらったんですが、刑事裁判権条項改正関係、スペースを空けて、第三巻、こういった入力をしないと見れないというような形で。

 やはり、国民の皆さんが合同委員会の議事録を見るについても非常にハードルが高いような状況になっている点も、やはり工夫の余地があるのではないかというふうに思いますが、この点については、大臣、御所見はいかがでしょうか。

岩屋国務大臣 今委員が御指摘いただいたのは、二〇一一年に、既に米国では公開されているものを、当時の岡田外務大臣が外務省ウェブサイトで公開をされたということを指摘されておられるんだと思います。

 一般論として申し上げますと、御指摘の外交記録及び関連資料を含めまして、日米合同委員会の議事録を含む日米間のやり取りのうち、米国において既に公開されている文書があれば、米国とも協議の上で、日本側においても公開することが望ましいというふうに考えております。

 したがって、先刻も申し上げましたように、日米間で一致するに至った合意のうち、公表できるものは今後も公表に努めてまいりたいと考えております。

 また、検索上なかなか課題もあるという御指摘については、承って、改善に努力をしたいと思います。

武正委員 イラン核合意協議、それから、インドネシアが中国と2プラス2で海上保安協定を結んだことについても質疑で取り上げたかったんですが、時間が参りました。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党の山崎誠でございます。

 今日も、外務委員会の質疑の貴重な機会をいただきました。早速入らせていただきます。

 まず、国連公海等生物多様性協定についてお聞きをしたいと思います。

 言うまでもありません、日本は世界第六位の海洋国家でございまして、公海も含めて、この海洋の重要性というのは日本は特に重い。そして、我々としても、この環境をどうやって守っていくかと、全力で取り組まなければいけない、そういう立場にあるんだろうと思います。

 本協定の意義についてまずお聞きします。手短にお願いします。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、生物多様性の保全、それから持続可能な利用の確保ということは国際社会全体として取り組むべき喫緊の課題だという具合に考えております。本協定は、その確保を目的として、公海及び深海底における新たなルールを整備するものでございます。

 本協定の早期発効と効果的な実施が図れるよう、我が国としましても、本協定を早期に締結し、今後のルール作りに関与してまいりたいと考えているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 今もお話がありました、私、早期発効に向けて日本がリーダーシップを発揮をしていくべきだというふうに思います。是非この辺りは、岩屋大臣から決意というか抱負をお願いしたいと思います。

岩屋国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、我が国としても、本協定の早期発効に向けて努力をしてまいりたいと思います。

 各国に働きかけを行っております。例えば、二〇二三年のG7広島サミットでは、この協定の迅速な発効と実施を呼びかける旨の記述を含む首脳コミュニケをG7議長国として取りまとめております。また、本年三月に、国連において、全ての国に本協定の早期締結を呼びかける国連総会決議が採択をされた際には、我が国は、他のアジア諸国とともに共同提案国となって、決議の採択を後押しをしたところでございます。

 今、二十一か国ぐらいですが、これが六十か国になって百二十日たつと発効するということでございますので、そこへ向かって引き続き努力を重ねてまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。岩屋大臣のリーダーシップに非常に期待をしております。早期発効に向けて是非取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、次の話題に入らせていただきます。

 前回に引き続きまして、外務省の組織のガバナンスの問題についてお聞きをしてまいりたいと存じます。

 前回、三月二十一日の当委員会で、外務医務官の方が訴えたハラスメントに関する内部告発について取り上げました。簡単に概要を申し上げますと、被害者の方は、一斉メールにて百人を超える仲間の医務官に宛てて本件を告発しています。幹部、診療所長、メンタルヘルス副所長によるパワハラ、理不尽としか思えない執拗に繰り返される人事異動打診により、メンタル不調を起こしています。復職に当たっては、PCを取り上げられるなど一方的な追い出しに遭い、最終的には望まない出向を言い渡されることになりました。そうした経緯をメールにて告発しています。当事者にもお会いをしてお話をお聞きしましたが、誰が聞いても見ても明らかなハラスメント事案であります。

 前回の委員会で大鶴官房長、今日もお越しいただいていますけれども、御指摘のメールの存在については承知しております、私も読ませていただきました、その内容につきましては、そこに書かれてある記載事項の中身が正確かどうか、今、外務省関係者の間で精査をしております、ただし、今まで調査しました結果、一部、事実関係ですとか、その背景にある事実認識に関係者間で意見の相違がございますので、この辺につきましては、公正なチェック、検証が必要かと思います、したがいまして、この事案がハラスメントに当たるかどうかというのは、その辺の検証を踏まえた上での判断ということになろうかと思いますと答弁をされました。

 時間がたっております。精査の結果について教えてください。誰がどのような調査を行ったか、その結果、ハラスメントの事実は確認できましたでしょうか。

大鶴政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに今委員から御指摘ございましたような複数論点を含んでおりますメールでございまして、しかも、申し上げたとおり、そこで提起されている内容におきましては、ほかの複数関係者からも事情を聞いておりますけれども、認識が異なる点がございますので、その点、関係者、それから当該メール記載事項の事実確認などの作業を行っておりまして、いまだ最終的な検証結果については得られていない状況でございます。

山崎(誠)委員 もう随分時間がたっていますよ、官房長。

 当然でありますけれども、当事者間で意見の相違があるということですから、当然ですけれども、当事者である被害者にもお話を聞いていますよね。どのようなお話を聞いていますか。

大鶴政府参考人 まず、認識が異なる点につきましては、そのメールが発出された直後、外務省の福利厚生室の管理職からその点について指摘をする返信を行いましたけれども、それについては、メールを出された職員から現時点まで返答等をいただいておりません。

 そのような中で、しかしながら、メールを受け取った側の認識などについては、できることから聴取するということで、複数の人間から今事情を聴取したり、その事実関係なんかを行っているところでございます。

山崎(誠)委員 本人から意見を聞いていないんですよね。どんなメールを出したか、私はメールをいただきましたよ。

 こんなメールですよ。出向に至った経緯を始めとして、指摘の内容については関係者を批判的に言及される部分等がございますが、こちらの理解と異なる内容や、このようなメーリングリストでの言及になじまない内容があるようにも思われました、逐一につきこちら側から具体的に申し述べることは差し控えさせていただきますが、御注意くださいと。

 これに返信がなかったから、被害者から意見をもらっていないと言えるんですか。これは外務省の今お話があった幹部が出したメールですよ。御注意くださいですよ。

大鶴政府参考人 そのメールというのは、正式な、私ども法令あるいは規則で準備しておりますハラスメント受付相談窓口に対するものではございません。同僚の百名を、まさに先生おっしゃるとおり、超えるメールとしておっしゃっておられるものでございまして、したがいまして、私ども、今御指摘のあったメールを受けて、そこに反論があるのであれば、当然そこはお話を聞く用意があるということでございます。

山崎(誠)委員 聞いていないということですね。これは認めますね。官房長、まだ当人とはちゃんと話合いをしていない、事実関係の確認をしていないと認めますね。

大鶴政府参考人 対面での事情聴取というものは行っておりません。

山崎(誠)委員 対面でないのは行ったということですか、それは。対面でのというのはどういうことですか。

大鶴政府参考人 メールを同僚の多数の人間におまきになられたということについて、人事当局としての見解を申し上げさせていただきました。

 したがいまして、何かハラスメント相談窓口について正式に、先生、告発というお言葉をお使いになられましたけれども、そういう形で我々受領して、その後、所定の手続に基づいてやり取りをするというものではないというふうに認識しております。

山崎(誠)委員 とんでもない話ですよ。当人がどれだけ訴えたか。涙して何回も訴えていますよ。

 何も当人には確認をしないで、事実関係の調査をした、している、あり得ない私は今対応だと思いますよ。誰が対応していますか。人事課じゃないですか。

 人事課はハラスメントの当事者なんですよ。当事者が、被害者にも聞かずに、自分たちで都合のいいように、このハラスメントはなかったことにしよう。一斉メールが不適切だ、そればかり言うじゃないですか。ハラスメントの中身について何も触れない。おかしいじゃないですか。

 じゃ、どこが一部食い違いがあったんですか。具体的に指摘してください。どういう内容に認識の違いがあったんですか。

大鶴政府参考人 本件をめぐりましては、メール以外にもいろいろな事象が起こっております。外務省診療所、前回も委員からいろいろと御指摘をいただきましたけれども、その中で、そのやり取りに至るまでの過程において、個人情報保護にも関わる内部情報の漏えいですとか、本来運営管理事項である人事政策につきまして、行政機関の外に解決を求めるというような動きもございます。ある弁護士事務所の方から外務省の方に何かそういう文書が送られるというようなこともございます。

 したがいまして、こういうことが行政法上どうなのかという論点もあるというふうに私ども考えておりまして、今後、弁護士ですとか省外の関係部局への相談というようなことも含めて対応を検討しております。

 したがいまして、その過程の中で必要に応じて当事者との対面でのやり取りというのはあろうかと思いますけれども、今その段階にはまだ至っていないという認識でございます。

山崎(誠)委員 どこが食い違ったか聞いているんですよ。

 大鶴さん、これは前回も指摘したんだけれども、訴えている人が組織の特定の人を誹謗中傷している、そんなことを言って、その被害者、訴えている人を攻撃する、これは典型的なハラスメントですよ、組織によるハラスメントですよ。認識はありますか。

 大臣、この問題は、人事課、事務方が加害者なんですよ。加害者なんです。大臣、是非このメールを読んでくださいよ。その上で、速やかに、第三者をちゃんと入れて、本件について調査を実施して、ハラスメントの認定あるいは処分、これをお願いしたいんですけれども、大臣、いかがですか。大臣にお聞きしています。

岩屋国務大臣 まず、ハラスメントというのはあってはならないというふうに、言うまでもなく考えております。

 また、対応は関係部署において適宜適切に行われていると私は認識をしておりますが、仮に、第三者を入れて調査すべきではないかという御指摘については、制度上、外務省内のハラスメント相談窓口以外にも、人事院の相談窓口に直接に提起することも可能であります。また、外務省としてということであれば、場合によっては、別途、監察査察といったような仕組みもございます。

 いずれにしても、外務省としては、引き続き関係者の間で精査をしていき、また精査の結果を踏まえた上で、どのような対応を取るかということを判断してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 第三者については否定的なことをおっしゃいましたけれども、この件について精査をするというのは御答弁いただけたと思います。

 委員長にお願いします。

 その調査結果の詳細、ハラスメントの認定結果、取られた処置、処分についての文書による当委員会への報告を求めます。御協議ください。

堀内委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議させていただきます。

山崎(誠)委員 私、非常に重要だと思うのは、この後の事案にも絡むのでありますけれども、メンタルヘルスの担当医師がハラスメントの加害者になっている、そういう事実なんですよ。このメールの中にも出てきます。

 これは大臣にお願いなんですけれども、この事実については、ハラスメントの細かないろいろな事実はありますけれども、それとも整合を取らなければいけないでしょうけれども、私は、メンタルヘルスの担当医から是非外していただいて、別なお医者さんなり、きちっと、医者と、そして人事の評価だとかとは別に、きちっと動く、そういう組織にしてもらいたい、大臣にそういう指示を出していただきたいと思います。大臣に聞いています。大臣に指示を出してもらいたい。

岩屋国務大臣 委員は断定的におっしゃいますけれども、そこはきちんと精査した上でなければ適切な判断はできないというふうに思いますので、しっかり精査をしたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 大臣、精査には、当事者にちゃんと、第三者に当たる人がいいと思いますよ、被害者に対して加害者が面談したって意味がないですから。そういう意味での第三者、外務省の中でもいいですよ、ちゃんと入れて被害者の方の声も聞く、そういう精査をするんだと、大臣、お約束ください。

岩屋国務大臣 いずれにしても、よく検討して適切な方法を取りたいと考えます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 じゃ、次の件に移ります。

 もうこれは古いお話にはなるのでありますけれども、二〇一二年の十月十四日、当時の駐イラン大使から書記官であった被害者に対して、密室において無理やりキスをする、体を触るなどの行為があり、セクハラというよりは強制わいせつ、今は不同意わいせつといいますけれども、そういうことに当たりかねない行為が、性加害があったという事案であります。本件、外務省の対応に納得がいかない被害者が刑事告訴するに至りました。

 その頃、この刑事告訴の話があった頃、二〇一九年の四月十七日の厚労委員会で、山井委員が本件を取り上げています。その際に、官房長は、さらに、調べることがどこまでできるか、何ができるか更に検討してまいりたいと思いますと答弁をしています。

 本件について、その後、どんな調査、処分等、対応が取られましたか。

大鶴政府参考人 今御指摘いただきました衆議院厚労委員会でのやり取りを踏まえまして、その後も、外務省として、被害者と人事当局との間でかなりの時間、リソースを充てまして、丁寧にやり取りを行って、それに基づき、適切と考える対応を取ってきております。

 そのやり取りの一部あるいは全容を明らかにすることは諸般の事情により差し控えたいと思いますけれども、その上で、あえて申し上げますと、このやり取りの中で、再調査を行うかどうかのことについて、被害者との間で問題になっているということではございません。

山崎(誠)委員 被害者の方は納得していません。一つは、その性加害に対する認定、そしてそれに対する処分、そしてまた人事課のこれまでの対応、二次被害だということで訴えているのであります。

 人事課とのやり取りの中で、私は看過できない言葉がありました。これまで、体調を崩して休職をして、そして復職をする、そういう過程の中で、二年間にわたり人事課から何度も何度も面談をされています。その際に、この性加害事件については触れるな、そういうことを何度も圧力をかけられたと。これは口封じじゃないですか。

大鶴政府参考人 やり取りの詳細について逐一申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、何度も何度も口封じを行った、これについて触れるなということを申し上げた事実はございません。

山崎(誠)委員 私は、申し訳ない、当事者から何度もお話を聞いています。どうしてそう言い切れるんですか、官房長。どうしてそう言い切れるんですか。

大鶴政府参考人 本件につきましては、過去十年間以上にわたって様々なやり取りが行われてきております。この間、それに携わってきた人間というのは多数おりますので、そういう人間から私はいろいろとこれまでも話を聞いてきております。そのような中で、この件について、今後の人事キャリアの中において、触れてくれるなというような発言をしたというような証言はないということでございます。

山崎(誠)委員 これは真っ向から食い違います。これは裁判じゃないので、事実を調査することもできない、言った言わないの話ですから。でも、本人は、そうした対応に本当に苦しんで苦しんで、今も外務省で仕事しているんですよ。あなたたちの仲間ですよ。

 外務省の精神科医の被害者に対する対応についてお聞きします。この外務省の精神科医は、この被害者に対してどんな診断を下していますか。

大鶴政府参考人 まさに、その精神科医ですとか、診療所で本件をめぐって被害者が診察を受けているとか、こういった診断が下っているとかいうようなことにつきましては、こういう公開の討論の場で扱うべきではないというふうに考えております。

山崎(誠)委員 まあ、そう言うと思いますよ。でも、本人は、明らかにしてほしい、この診断書には非常に問題がある、納得いかないと。

 私、実は持っています。理事会に資料として提出を求めたのでありますけれども、診断書というのはなかなかショッキングでありますから、出せなかったという判断は従わざるを得ないと思います。

 ただ、手元には、正真正銘、本物の診断書があります。それで何と診断してあるか。双極性障害、躁うつ混合状態という診断を受けています。二〇二四年の十二月の二十日です。そんな昔の話ではありません。

 この診断書はどういう経緯で発行されたんでしょうか。適正な医療手続を踏んでいるものかどうか、お答えください。双極性障害というのは重い診断なんであります。重篤な精神疾患。簡単に出せる診断書ではありません。いかがですか。

大鶴政府参考人 その中身の部分につきましては、私は医者ではございませんので、医学的な判断の是非について判断することはできませんけれども、手続につきましては、外務省診療所のしかるべく、処置、診断、そういったものを経てやっておるということでございます。

 口頭で聴取しましたところ、その担当医師と被害者の間では過去何度も面談を行って、その結果に基づいて診断を行っているということでございますから、これについては適切なものであったと考えております。

山崎(誠)委員 当人からお聞きをしました。いつ診断を受けたのか全く認識がない、診療を受けている認識はありませんよ。本人から診療を求めたこともありません。本人は、働きたくて相談をしていたところはありますけれども、診断をしてくれ、精神状況を見てくれ、そんなことを一回も話したことがない。診察の代金も払っていません。診断書の発行のための費用も払っていません。精神療法のようなことも何もされていないし、医療の説明もありません。双極性障害を判断するためには、チェックするべき項目だとか、たくさんありますよ。そうしたチェックを受けたこともありません。薬も発行されていません。これだけの病気であれば、当然処方すべきであります。

 ひどいのは、十二月、これは診断書に日付がありますけれども、診断書ももらっていないんですよ、当人。当人がもらったのは二月ですよ。何のための診断なんですか。本人を無視して診断書だけが作られて、これは、診療の事実がない診断書を書くというのは医師法二十条の違反です。罰則もあります。重大な違法行為が行われたということですよ。その認識はありますか、官房長。

大鶴政府参考人 今委員御指摘の点、事実関係も含めまして、認識のそごがあろうかと思いますけれども、その細かいところにつき説明をしようといたしますと、まさにこの公開の討論の場に本人の健康状態ですとかそのときのやり取りの内容についてさらすことになりますし、また、プライバシーに関する点について、本人がいいとおっしゃっておられても、必ずしも御本人の意向に沿わない形で言及せざるを得なくなるというようなことを深刻に懸念しております。

山崎(誠)委員 続けます。

 この医師からその後何を言われたか。休みを取りなさいと、強制的に休みを取らされたんですよ。これは命令である、そう言われて休まされた。一方的に、診断書も見せられずに、診療の内容も知らされずに休みなさいと言われる。どういうことですか。

 もっとひどいんですよ、これは。この医師は、本人に無断で家族に電話をして、実家の母親に電話をして、実家に呼び戻すように、そう言われたんですよ。それも、丁寧に口止めまでしたんですよ。

 こんなことが行われていいんですか、外務省。こういうことをこの医師の独断でやったんですか。こういうことを許しているんですか。

大鶴政府参考人 ただいまのやり取りの内容、それから親御さんとのやり取りの部分につきましても、事実関係を含めまして認識のそごがあろうかと思いますけれども、そこについて御説明を始めますと、まさに個人情報ですとか、その診断状況、御本人の精神状況とか、そもそもこういった場で、精神科にかかっているということ自体、御説明することはどうかと思いますし、お答えは差し控えさせていただきます。

山崎(誠)委員 これは、本人からお聞きをしています。もちろん名前は出せませんよ、個人情報ですから。でも、それで今苦しんで、もうこれは本当に公にしようかと言っているんですよ。そのぐらい今せっぱ詰まって、私にもこうして質問に取り上げるようにお願いされたのでありますよ。官房長、事の重要性をもっと認識した方がいいですよ。

 そして、もう一つ言うと、この診断、その直後に主治医に診断をしてもらっていますけれども、その診断、適応障害ですよ。双極性障害なんという診断は下っていないんです。あえて言えば、私は誤診だと思っています。今も元気に働いている。診断の後も元気に働いていますよ。

 私は、この経緯を総合すると、組織の都合で口封じのために診断を下したんじゃないか、その疑い、濃厚ですよ。

 被害者は、こうした双極性障害の診断を受けて、大変傷ついて、心的な大きな負担を強いられていますよ。私は、これは医師として絶対に許されない行為、違法行為ですから、それをやっているんだ。

 先ほども言いましたけれども、医師と人事担当者の両方をかけ持ちして、医師としての最低守るべきルールも逸脱ですよ。こうした医師が、職務上、法律に基づいて精神疾患患者を強制入院させる権限を持つ精神保健指定医の資格を持って外務省で仕事をしている。私は恐怖を感じます。

 私は、これは厳しい処分が必要だと思いますが、いかがですか。

大鶴政府参考人 外部のクリニックで別の診断書、診断が下っているというのは、私どもも承知しております。どちらが正しいのか、私は医師ではございませんので判断することはできませんけれども、少なくとも外務省診療所、外務省診療所というのは基本的に患者は外務省員のみに限られておりますので、その中で、業務復帰がどういうふうにあるべきであるとか、どんなアドバイスをすべきであるのか、その辺に、私どもが抱えております診療所の医師の見解を踏まえながら、助言を踏まえながら対応していくというのは適正なものであると考えております。

山崎(誠)委員 そんな中でも、被害者の皆さんは、二次被害にも負けないで、泣き寝入りせずに何とか外務省を正したい、真っ当な組織になってもらいたいと、こうやって戦っているんですよ。今も公務員として、正当性と信頼性を維持しながら一生懸命仕事をしているんですよ。あなたたちの仲間ですよ。その皆さんに今の答弁が通じると思いますか。

 大臣、事実関係を明確にしないとなかなか難しいんだと思いますけれども、これは当人はいろいろな証拠を持っていますから、是非、もう一度原点に立ち返って、外務省として、事実の認定のやり直し、事実の公表、外務省の誤った対応により二次被害を引き起こしたことに対する謝罪、これをしっかりとやっていただきたいですよ。岩屋大臣、どうですか。

堀内委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、大臣からの御答弁はごく簡潔にお願いいたします。

岩屋国務大臣 外務省としては、引き続いて当該職員に寄り添った対応を模索をしていきたい、また、今後このようなことが再び起きることのないように、ハラスメントのない職場環境の確保に向けた取組をしっかり進めてまいりたいと存じます。

山崎(誠)委員 お願いします。

 終わります。

堀内委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 杉本和巳でございます。

 冒頭は大臣以外の方に質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、この三条約のうちの一つの、一番最初の国連公海等生物多様性協定、条約第一一号ですか、こちらについて、大臣はいらっしゃいませんが、私は科学的見地からちょっとお伺いしたいということで、今日は文部科学省の政府参考人の方に来ていただいております。ありがとうございます、忙しいところ。

 それで、本当に一般的な質問になってしまうかもしれませんけれども、私もテレビっ子というか、もうテレビの時代ではないかもしれないんですけれども、そういった中で、海洋探査などをNHKスペシャルだとか民放等でも拝見したりしていますけれども。

 今回の条約によるところの公海や深海底において国際共同開発などがなされているのが現状だというふうに思っていますが、どんな国とどんな感じで協力してやっているのかなみたいな現状認識を知りたいというか伺いたいというのと、今回の条約が批准されることによって及ぼされるいい面での効果、どういった展望が、また国際的な関係における共同研究に資するかといった点を、担当の参考人の方からお願いを申し上げます。

古田政府参考人 お答えいたします。

 公海及び深海底における国際共同研究として、例えば、海洋の微量元素とその同位体の挙動を地球規模で明らかにしようとする国際共同研究、GEOTRACES計画が実施されておりまして、海洋の生物多様性の保全及び持続可能な利用の促進に貢献する重要な取組として認識しております。

 国連公海等生物多様性協定を締結することにより、海洋生物多様性の保全と持続可能な利用の促進に貢献する効果が期待されています。

 さらに、このような国際共同研究等の成果が、生物多様性等を示す科学的根拠の一つとして、本協定の実施に活用されることが見込まれております。

 引き続き、本協定の締結も見据えて、国際共同研究などを推進してまいります。

杉本委員 科学的意味からも、文科省さんの御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 そういった意味で、我が党は、この条約を含め三条約、特段の異論は持っていない所存でございますので、是非前に日本国を進めていただきたいと思います。

 文科省の方、もうお仕事に戻っていただいて結構でございます。

堀内委員長 古田大臣官房審議官におかれましては、御退室いただいて結構です。

杉本委員 それで、いつも漫談というか、いろいろ申し上げて恐縮なんですが、今日、まず、これは一方的に申し上げたいのが、昨日、実は全国女性税理士連盟さんから御要望がございました。要望のタイトルは、国連女性差別撤廃委員会からの勧告を受けていますよということを再認識してほしいということを伺いました。

 内容は、いわゆる所得税法第五十六条、不動産所得、事業所得又は山林所得の計算上、同一生計親族に支払う対価、給与、地代家賃、支払い利息等については、これを事業所得等の必要経費とせず、一方、これを受け取った親族の所得としない旨を規定しているということなんですが、この所得税法五十六条は、昭和二十五年、一九五〇年だから七十五年前に制定されているということで、社会経済情勢、働き方の変わり方、そういったことの中で、我が国は、国連女性差別撤廃委員会から、二〇一六年に一度、そして二度目が昨年、二〇二四年に、所得税法第五十六条を改正すべきという政府勧告を受けているということを御指摘いただきました。

 私も認識がきちっとしていなかったので、このことは外務委員会の皆様、そして外務省、大臣始め皆様に、一応御共有いただければという問題意識だけ申し述べさせていただきます。これは質問ではございません。

 次に、質問として、経済産業省の政府参考人にお伺いしつつ、大臣からも御答弁をいただければということでございますが。私は愛知県ですけれども、愛知県の知事選挙にも出馬してくださった細川昌彦さんという大学の教授がいらっしゃいます。細川氏が、最近の、オピニオンという発信をされている中での問題意識をちょっと共有させていただいて質問させていただくんですけれども、中国との関係の問題でございます。

 私は、石破政権になって、中国との関係改善に向けて努力をされていることは多としたいというふうに思っていますが、前の岸田政権であり、例えば林外務大臣のときには、言うべきは言う、こういうようなことを何度か聞いた記憶がございます。現在もそういう形を継続してくださっているという認識をしていますけれども。

 今月の四日、中国はレアアース七種の輸出規制を発動、アメリカ向けのみならず日本向けも事実上輸出が停止されたということでございます。それに先立って、去る三月末に日中韓の貿易大臣会合の共同声明があって、サプライチェーンに関する協力といったものが盛り込まれ、安定供給の確保をコミットしたという状況だったということの中で、一週間もたたないようなタイミングで、これを無視するようなものなのか、輸出規制を発動ということでございました。

 これに対して、経済産業省として、政府としてですけれども、異議を唱えられたのかどうか。また、もし異議を申し述べていないのであれば、今後、ちょっと遅いかもしれませんが、きちっと言うべきは言うということをしていただけるかどうか、経済産業省の政府参考人から御答弁いただければと思います。

猪狩政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省としましては、重要鉱物を対象とする中国の輸出管理措置につきまして、累次中国側に問題を提起してございます。三月三十日の武藤経済産業大臣と中国の王文濤商務部長の会談におきましても、武藤大臣から輸出管理措置の運用の適正化を求めているところでございます。

 また、四月四日に中国が本輸出管理措置を公表した後も、輸出管理当局間のチャネルを通じまして、中国の輸出管理措置が我が国を含む世界中のサプライチェーンに影響を及ぼすことのないよう申入れを行っております。

 中国の輸出管理当局との間で引き続き様々な意思疎通を行っているところでございます。中国における適切な輸出管理が行われるよう、引き続き求めてまいります。

杉本委員 適宜適切に言っていらっしゃるというふうには聞こえました。

 ただ、何となく言えていないんじゃないかなという心配を一国民としては感じているところがありますので、やはり、日本国の国益、あるいは世界の自由貿易というような意味からも、是非とも、今後も言うべきは言うということをお願いしたいと思います。

 念のため大臣に御答弁をいただきたいんですが、中国との関係は戦略的互恵関係という形で機能をさせようということでお互い認識していると思います。例えば、この後また2プラス2についていろいろ御提言をしたいと思っているんですけれども、同盟国であったり友好国とは2プラス2というのは結構あるんですけれども、中国とあえてそういったものをチャネルとして、外務、防衛なのか外務、通商なのか分かりませんけれども、そういったことも含めて、やはり戦略的互恵関係を前に進めるという意味ではそういったことも私は必要かなと思っていますけれども。

 戦略的互恵関係の、機能しているかどうかなどについて、現状認識というか展望というか、今後の在り方など、大臣からお言葉ありましたらお願いします。

岩屋国務大臣 中国との間では、ペルーでの日中首脳会談で、戦略的互恵関係を包括的に推進していこう、そして建設的、安定的な関係を構築していこうということが合意された以降、様々なレベルで対話が進んできているというふうに考えております。

 そういう中の一つに先月の日中ハイレベル経済対話というものがございましたが、ここは私と経産副大臣という形で対応をさせていただきました。

 また、中国による重要鉱物の輸出管理を始めとする日本側の懸念や、先ほどのあれは外務省と経産省で基本的に対応させていただいたんですが、中国による重要鉱物の輸出管理を始めとする我が方の懸念や問題意識もこの席でしっかりと中国側に伝達をして、中国側による是正、対応を求めたところでございます。

 恐らく、米国の関税措置に対して中国がこれに対抗したという余波が我が方にも及ぶかもしれないというところだと思いますけれども、今後とも、意思疎通をしっかりと行って、課題と懸案を減らしていく、そして協力と連携を増やしていく、そういう取組を進めてまいりたいと思います。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 ビリー・ジョエルのオネスティーという言葉があって、その詞で、誠実という意味が非常に私は好きなんですけれども。諸外国、向こう三軒両隣、そして同盟国のアメリカを含めて、したたかな国ばかりですね、正直。ただ、日本国は、やはり、その誠実さゆえ、世界から長く長く、ようやっとと言ったら語弊があるかもしれませんが、そのよさを理解いただける状況になっていると思いますので、時にしたたかである必要はあるかと思いますけれども、誠実さも大事にしながら、日中ハイレベル経済対話を始めとして、中国との関係も前に進めていただきたいとお願い申し上げます。

 次に、ちょっとまた、私、立場上、国際局長という党の仕事をさせていただく中で、各国大使にお会いさせていただいています。次は農水関係の質問をさせていただきますが、佐藤審議官に来ていただいていますけれども。フィリピンのミレーン・J・ガルシア・アルバノ大使ですね。たしか、南の方の、前大統領出身地の島出身でいらっしゃったかと記憶していますけれども。岩屋大臣も一月にフィリピンを訪問してくださっていたという事実を、私は逆に大使の方から言っていただいて認識をさせていただいたという状況なんですが。

 フィリピンとの外交関係は来年七十周年を迎える、そして二年に一度は2プラス2を開いているという関係にあって、良好な、外交、通商、安保上、極めてよい関係にあるという理解をしているんですけれども。

 トランプ関税が問題になる中で、あれ、待てよというようなことを大使閣下から伺いました。杉本さん、御存じでしょうかと。私の地元のスーパーでカネスエさんというのが非常にお値打ちな商品を出すんですけれども、入口を入るとすぐバナナが並んでいるんですね、フィリピンバナナです。その商品にも、そうか、関税がかかっていたのかということなんですけれども。夏は八%ですね。冬もかかっているんですが、冬のが高いんでしょうか、低いんでしょうかと皆さんに質問したいですけれども、冬場は一八%の関税をかけられている。東南アジアの国で、例えばベトナムなどは関税ゼロというふうに大使は言っておられましたけれども。

 このフィリピンに対する関税ですね。お米の値段がなかなか、今、農水省さん、来ていただいているわけですが、下がらないという中で、備蓄したお米を逐次投入するんじゃなくて一気に出して値段を下げるというのが、我が党は考えているようなスタンスなんですが、小出しに出して、米の値段の安定は分かるんですけれども、値段を下げる意識がちょっと政府は少な過ぎるんじゃないかなと思いつつですね。せめてバナナぐらいはもっとお値打ちに我々の食卓に、健康管理のためにも、手に入れられないものかという、大臣のお言葉も含めて聞いた次第なんですけれども。

 私の地元の一宮市の南側に稲沢市というのがあって、そこでも実はバナナを作っていらっしゃる農家さんがあられますけれども。国内の農家の保護というのも分からなくはないんですけれども、本当に、そういった地元の逸品というか、そういうものは、それなりの価値のものとして、我々は高くお金を払っても食べたいというのは思ったりするんですけれども。日頃の、日常の食品、消費税もゼロにしようかということで、我々は党の意思を一番早く固めて、もう発信をさせていただいていますけれども。

 話が長くなりましたけれども、なぜフィリピンのバナナに関税をかけているのか、今後の見通しとして引き続きかけていくのかどうかみたいなところを教えていただければと思います。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国のバナナの輸入量は年間で約百万トン以上、うち約八割がフィリピンからのものとなっております。

 バナナは最も輸入量が多い生鮮果実であることから、国内果樹農業への影響に鑑みまして、WTO協定税率は、四月から九月の夏季は二〇%、国産果実の特に出回りの多い十月から三月の冬季は二五%、このようになっておるところでございます。

 そういった中でも、フィリピンからの関税率は、日・フィリピンEPA交渉の結果、夏季は八%、冬季は一八%ということになっております。この関税水準は、バナナだけではなくてほかの農林水産品、さらには自動車や鉄鋼などの市場アクセス、これらも含めてパッケージで決まったものでございます。

 ですので、これまでもフィリピンから関税引下げの御要望があるということは承知をしておりますけれども、一般論として申し上げれば、一つの品目の関税を取り出してお話しするということではなくて、このEPA一般見直し協議のような全体のパッケージの中でのお話になる、このように承知をしているところでございます。

杉本委員 佐藤審議官、ありがとうございます。

 ちょっと全体感がつかめていなかったので。やはり、国内の果樹農家等の保護といったことはとても大切であり、我々、食料の自給率を、この間の小熊さんではありませんけれども、カロリーベースだけではなくて、本当に生産という能力とか、肥料を含めて、しっかりと高めていきたいというふうに思っておりますので、事情は分かりました、ありがとうございます。

 審議官、以上で結構でございます。ありがとうございます。

堀内委員長 審議官におかれましては、御退室いただいて結構です。

杉本委員 それでは、残った時間で、また2プラス2等についてお伺いしたいんですが、次はドイツとの関係でございます。

 ドイツは、御案内のとおり、四月九日に、CDU・CSU、キリスト教民主・社会同盟と、中道左派のSPDが、社会民主党ですけれども、連立合意をしたということで。

 実は、お会いしたのが、駐日ドイツ連邦共和国大使はぺトラ・ジグムントさんという方で、私との相対的には背の高い方で非常に印象深く思っているんですが、うちの前原共同代表と一緒にお会いしたんですが。

 今、彼女は、SNSをたくさん発信してくださって、さあ、万博行くぞみたいな、オフィスから大阪に向かって旅出つような、そんな映像を流してくださったりして、万博の機運を盛り上げてくださっておられます。

 彼女から聞いたのは、ちょっと連立が固まるのは四月三十日までぐらいかかるかもしれないというふうにおっしゃっていたんですけれども、やはり、国際情勢緊迫化の中で、あるいはトランプ関税ありということもありだと思いますが、四月九日にドイツの方はメルツ首相の下に連立合意がなされたということでございます。

 それで、メルツ首相が、まだ連立合意に至る前にドイツの場合は憲法改正をして、そして財政の柔軟性を確保するというようなことで、経済的にも今ドイツは決して景況感がよくない状況の中でありますけれども、財政赤字ということも許容するという方向感を持って、安全保障等も含めて、あるいは経済的対策等を含めて動き出そうというような流れにいち早くされておられるというふうに認識していますけれども。

 ドイツとの2プラス2、外交、防衛が行われたのが、先ほど申し上げた林外務大臣在任時の二〇二二年、これが最後で、ここ二年、二〇二三、二〇二四と開催されていません。例えばフィリピンとの2プラス2は二年に一度というふうに伺っておりますけれども、ドイツとはもう少し緊密にやはり意思疎通を、EU全体ではお会いになっている機会というのは結構あると思うんですけれども、是非とも個別に、通商でも、あるいは安全保障でも、意思疎通を図っていく必要がある。

 開かれたインド太平洋という意味でも、やはり、ヨーロッパの大国ドイツは関心を高めているというふうにも認識していますので、そういった意味からも、防衛装備品の共同開発なども、先行きをにらんで考えると、近いうちに2プラス2を開いてはいかがかと思うんですけれども、大臣の御見解を伺えればと思います。

岩屋国務大臣 ドイツは、委員がおっしゃったように、欧州の大国、中核国家でございますし、我が国にとっては極めて重要なパートナーだと考えております。

 確かに2プラス2はちょっと最近できておりませんが、例えば、二〇二三年から二四年にかけては三度の首脳会談、五度の外相会談も実施をしてきておりますし、去年の七月には日独ACSAが発効するなど、日独間の安全保障分野での協力も着実に進展をしてきております。

 これも委員がさっき紹介していただいたように、いよいよ選挙後の連立交渉が妥結をして、これから新政権が発足をしてくるということでございますので、御指摘の日独2プラス2の開催を含めて、ドイツの新政権との関係も更に強化していきたいと考えております。

杉本委員 お言葉どおり、是非進めていただきたいと思います。

 次に、今度はオランダのお話で恐縮ですけれども、オランダも、私と比較して相対的に背の高い、私が背が低いということかもしれませんけれども、ヒルス・ベスホー・プルッフ特命全権大使にお会いしました。

 オランダ大使館というのは長崎の出島を模して造ってあって、秘書の女性の方か何かが実を言いますと非常に使いにくいんですみたいなお話があって、出島の形にして失敗だったということなのかどうか分かりませんけれども、駐日の大使館の建物というのはそんな形になっておられて、出島といえば、四百年来のオランダとの国際交流というか国交というかがあるわけでございます。

 オランダの方は、先日お会いになったかもしれませんが、ルッテ氏が前の首相でいらっしゃって、今は、長いんですね、ヘンドリクス・ヴィルヘルムス・マリア・ディック・スホーフ首相が今の首相でいらっしゃいます。

 私がちょっと関心を持ったのは、連立政権が常にあって、ドイツじゃないですけれども、連立を合意するのに、どっちがトップをやるんだとか、どっちが重要ポスト、外務大臣を取るんだとか、そういうことで連立合意がなかなかできないのは困るので、オランダの場合というのは、実は、第三者というんですかね、余り政治に関わらない人を政治の執行役というか、そういうことでポストに就いていただくというような知恵を働かせて、連立というものをうまく回していくという。日本国は今は違いますけれども、将来、五十年後か百年後か、あるいはもっと期近な状態なのか分かりませんが、そこも一つの参考になる国家の運営の仕方かなというふうに拝聴いたしました。

 オランダも、御案内のとおり、開かれたインド太平洋の、戦前戦後を通じて、その利益というか国益を有する国でいらっしゃると思っています。海洋国家でもあり、そして長い通商の歴史もあるので、オランダとの関係も、2プラス2をやっているのかなと思ったら、どうやらやっていないみたいでございます。何でも2プラス2をやればいいというものでもないよ杉本君と岩屋大臣はおっしゃるかもしれませんけれども。

 オランダとの関係の深さといい、開かれたインド太平洋との関わりといい、やはりオランダとは外務、防衛よりは外務、通商なのかもしれませんけれども、そういった意味での交流というものを深めていただく必要があると思いますが、この点について、もう時間もないんですが、大臣からの御答弁をいただければと思います。

岩屋国務大臣 オランダも価値や原則を共有する非常に重要な戦略的パートナーでございます。

 直近では、オランダとの間では、二〇二三年以降、三度の首脳会談、三度の外相会談が行われるなどしておりますし、私もこの二月にフェルドカンプ外相と会談をいたしまして、防衛協力を深めていこうということを確認をしました。また、一昨日は石破総理とスホーフ首相が会談をし、幅広い分野での協力を推進していくことで一致をしております。

 2プラス2をやれるのはいいと思うんですけれども、どんどんどんどん増えてきておりまして、お互いに行ったり来たりして隔年でやるみたいなことになっておりますので、そうすると、それぞれ外務、防衛の大臣の日程を、四人の日程を確保するというのはなかなかやはり大変なので、適宜、外相同士でやったり防衛相同士でやったり、また、日程が合えば2プラス2をやったりというやり方にどうしてもなっていくんだと思いますが、オランダとの関係についても更にしっかりと進めてまいりたいと思います。

杉本委員 時間ですが、2プラス2、戦略的に是非進めて、各国と、お願いします。

 以上です。

堀内委員長 次に、松島みどり君。

松島委員 今回議題となっておりますSTCW―F条約について質問いたします。

 この条約は二〇一二年に発効したものですが、日本は今回初めて締結することになりました。元の条約では、適用対象となる漁船の基準が我が国に大変不利だったことから、日本が主導して見直しを提起し、昨年五月、改正されたと聞きました。

 改正内容のポイントを伺います。

宮路副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の一九九五年の漁船員訓練、資格証明及び当直基準条約は、漁船員のための訓練、資格証明及び当直に係る国際基準の設定等について定めたものです。

 附属書改正前、本条約が適用される漁船の条件は船体の長さのみとなっておりました。そのため、欧州の漁船と比較して細長い傾向にある日本を含むアジアにとっては、比較的トン数の小さい漁船にも厳しい要件が課されることとなり、不利でありました。

 そうしたところ、二〇一五年に我が国が主導して包括的な見直しを提起いたしました。それを契機に本条約の改正が検討されることとなり、その後、二〇二四年五月に、船体の長さと船のトン数の読替規定が設けられるなど、我が国の主張が反映される形で附属書改正が採択されたものでございます。

 以上です。

松島委員 ありがとうございます。

 私は、南アフリカ共和国のケープタウンを訪れた際、鹿児島県枕崎から来た漁船に出会いました。何日も停泊し、修理、整備するとのことで、胸が熱くなりました。また、アフリカのモロッコの沖合、大西洋に浮かぶスペイン領カナリア諸島も日本の漁業の重要な拠点となっておりまして、ここには領事事務所が置かれ、船に詳しい国土交通省出身の職員も常駐しています。魚好きの身としては、本当に世界中で頑張っていただきたいと思います。

 この条約を締結するための国内担保措置としての船員法改正案が既に衆議院を通過しました。この条約に加盟するメリットは何でしょうか。また、日本の漁船は全体で何隻あり、そのうちこの法改正に該当するのは何隻でしょうか。国土交通省に伺います。

堀政府参考人 お答えいたします。

 我が国がこのSTCW―F条約を締結し、同条約に適合する資格証明書を発行することによりまして、我が国の漁船が外国の港に入ったとき、立入検査、PSC、ポートステートコントロールといいますけれども、この検査を受けた場合であっても、その検査を短時間で終了することができるようになるというメリットがあると考えております。

 また、我が国における漁船の総数は約十一万隻でございますが、このうち今回の法改正の対象となる漁船は、EEZ、排他的経済水域外を航行する比較的大型の漁船などでございまして、最大で約五百七十隻と想定しております。

松島委員 今後は、多国間条約が採択される際に、その前に、影響を受ける我が国の産業が不利とならぬよう、関係省庁が力を合わせて積極的に国際基準作りを主導していってほしいと思います。

 国交省の方はもうこれで結構です。

堀内委員長 堀官房審議官におかれましては、御退室いただいて結構です。

松島委員 さて、世界中に展開する二百三十四の在外公館の定員は、日本の職員が三千七百七十四人、それに対し現地採用の職員の数が五千七百三十八人というふうに、現地採用の方が多い状況になっております。

 私も、外国出張の際、いろいろな国で現地スタッフの方にお世話になりました。二〇〇七年度、外務大臣政務官として訪れたウズベキスタンでは、大使車の運転手さんがとても流暢な日本語を話されるので、理由を尋ねますと、大阪大学に、阪大に留学していたというのです。とてもすてきな国ですが、二重内陸国で資源も余りなく、日本企業の進出が少ないため、大使館が人気の職場となっているのだと思います。

 ポーランドのクラクフには、マンガ館と呼ばれる日本美術・技術博物館があります。このマンガという名前は、漫画、アニメの最近人気の漫画ではなくて、浮世絵の北斎漫画のことでありまして、私の地元墨田区に長く住んだ葛飾北斎のコレクションを持っています。すみだ北斎美術館とこのクラクフの美術館との提携の下準備として私が訪れた際、日本語が堪能で日本文化に詳しいポーランド女性職員、もちろん現地採用の方が、同行してくれました。

 これらの例は日本にゆかりの深い方たちですが、大使館、領事館の中には、質の高い現地職員の採用に苦労しているところもあります。東ヨーロッパで大使を経験した人から、英語ができて外交センスのある人材は他国の大使館と奪い合いになっている、日本に憧れている人は多いので、例えば十年勤めたら日本に行けるという御褒美があれば館員募集もしやすくなる、今あるシニア研修では人数が少な過ぎてなかなか回ってこないという嘆きの声を聞きました。

 在外公館の現地職員の方たちには、生の日本を知ってもらい仕事に生かしてもらうと同時に、モチベーションを上げることにも役立つ日本研修について、現在の内容と人数を簡潔に教えてください。そして、是非人数を増やすよう要望します。財政的な事情があるなら、しっかりと応援してまいります。

宮路副大臣 在外公館の現地職員について御質問いただき、ありがとうございます。

 現地職員に対する研修を通じてその士気向上を図り、優秀な現地職員を育成、確保することは、我が国の外交力を強化する上で大変重要だと考えております。

 こうした観点から、外務省では、勤続年数が五年や十年に達し在外公館からの推薦を受けた優秀な現地職員に対し、各種講義や施設の視察等を通じて、職務遂行に必要な知識経験を習得し、我が国外交政策等への理解を深めるための本邦における研修を毎年実施しております。本邦研修に参加した現地職員からは、有意義な研修を受講できたことに対する感謝の声や、今後の勤務に活用していきたいとする声が多く寄せられています。

 委員御指摘のとおり、本邦研修は現地職員のモチベーションの向上に大きく貢献しておりまして、外務省としても、毎年の研修参加者数を、外交力強化の観点から、従来の三十名程度から六十名程度まで倍増させているところではございますが、更なる充実についてしっかりと検討してまいりたいと考えております。

松島委員 日本の在外公館、本当に、二百三十四、もう大幅に増やして、戦線も伸び切ったに近い状況だと思います。そこにおける現地職員の実力というのは、日本の外交に大きく関係してきますので、しっかり、六十人と言わず、もっと増やすように頑張っていただきたいと思います。

 先週に続き、中南米外交への励ましの気持ちを込めた質問をさせていただきます。

 五月十三日から、北京で中国・CELACフォーラムという会合が開かれます。CELACというのは、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体、三十三か国が二〇一一年に発足させたものを、中国がてこ入れする形で、二〇一五年に中国・CELACフォーラム第一回会合を開き、今回が四回目となります。

 かねて中南米諸国は親日的で、国連や捕鯨問題など国際場裏でも日本の味方というケースが多い時代が長く続きました。最近、ウクライナ侵略に関する国連のロシア非難決議でも、中南米諸国は日本と同じ賛成という国が圧倒的に多く、東南アジア、アフリカや中近東とは明確な違いを見せました。

 中国・CELAC会合のようなものを、日本が主導してつくれないでしょうか。TICADは、日本が始めた後、中国が同様のものをつくったわけですから、今度は逆に、中国が先でもいいですから、日本にもやっていただきたいと考えます。

 中南米には、鉱物資源や穀物の大生産地として重要な国がたくさんあります。私が三月に出席したウルグアイ大統領就任式にも、中国からは大臣、農業大臣が来ていました。そのような状況ですから、是非、日本との関係、よろしくお願いします。

宮路副大臣 CELACについて御質問、御要望いただきました。

 我が国は、CELACを全ての中南米諸国が参加する重要なフォーラムであると認識しております。先週十四日には、CELACの前議長国であるホンジュラス及び現議長国であるコロンビアの外相が、万博もあり、訪日した際に、岩屋大臣との間でそれぞれ外相会談を行い、日・CELAC間の対話を強化していくことで一致したところであります。

 加えて、我が国としては、中南米の多様性を踏まえ、昨年発表した中南米外交イニシアティブに基づき、二国間や準地域的なグループとの対話を積み重ね、多様なネットワーキングを構築しつつ、中南米諸国との関係強化に取り組んできております。

 例えば、昨年は、日・CARICOM外相会合を東京で開催いたしまして、対CARICOM政策三本柱の下での関係強化で一致をいたしました。日・中米交流年である本年も、引き続き中南米諸国との間で政策対話等を活発に行ってまいりたいと考えております。

 今後とも、日本と価値や原則を共有し、経済安全保障上も重要なパートナーである中南米諸国との関係を、重層的な外交アプローチを通じて強化していく考えでございます。

松島委員 おっしゃるように、一口で中南米諸国といっても、中米、南米、そしてカリブというのはかなり違いがあると思いますから、中国と違って、実のある、そういう形での取組も重要なことだと思います。

 さて、台湾と国交を結んでいる国が多いのも中南米地域の特徴でした。しかし、最近、台湾と断交し、中国と国交を結ぶ国が増えてまいりました。この切替え状況について教えてください。質問します。

野口政府参考人 お答え申し上げます。

 最近の例を御紹介させていただきますと、かつて全ての国が台湾承認国でありました中米諸国でございますが、二〇〇七年にコスタリカが、二〇一七年にパナマが、二〇一八年にエルサルバドル及びドミニカ共和国が、二〇二一年にはニカラグアが、二〇二三年にはホンジュラスが承認切替えを、台湾から中国に行っております。

 現在、中南米には、台湾承認国全十二か国のうち、同承認国最大の経済、人口規模であるグアテマラを含め七か国が所在をしております。こうした観点も踏まえまして、対中南米外交に取り組んでまいりたいと考えております。

松島委員 環境は厳しくなっています。頑張っていただきたいと思います。

 条約に戻ります。

 一九八一年からある職業安全衛生条約を今回日本が締結することになったのは、ILO基本条約の一つに加わったことで慌てて対応しているようにも思えます。もっとも、この条約締結が、前提となる国内法の整備を促し、日本の労働者、それも正規社員だけでなく個人事業主や派遣労働者、また最近増えている隙間バイトサービスというようなことによって働く人にもよい影響を及ぼすものだと考えます。

 これまで、本条約のどこが国内の労働環境と合致しなかったのか、どのように法改正することになったのか、厚生労働省、教えてください。

井内政府参考人 締結に際しての主な課題ということですが、具体的には、本条約第十七条に規定される、二以上の企業の同一の作業場における協力義務について、建設業、造船業、製造業のみにしか、協力に関する労働安全衛生法の規定が存在しなかったということでございます。

 この点につきましては、労働災害の実態を踏まえ、危険性の高い業種から優先的に対応してきたというものがございます。建設業と造船業は昭和四十七年の安全衛生法制定当時より、製造業は平成十七年の安全衛生法改正により、作業間の連絡調整等が義務づけられたものでございます。

 近年、産業構造や就業形態の変化に伴い、これらの業種以外でも、例えば、リース機材の配材を請け負った運送業者が配送契約に基づいて機材をトラックに搬送中、機材のリース会社の倉庫においてリース会社のフォークリフトに挟まれるといった、混在作業による災害が発生していることや、第百五十五号条約がILO基本条約に追加されたことにより締結の機運が高まってきたというようなことから、今回の法案では、業種を限定することなく、連絡調整等を義務づけることをいたしました。

堀内委員長 既に申合せの時間が経過しておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。

松島委員 済みません、一言だけ。

 今後、改正内容が様々な職場に周知徹底されるよう、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、西園勝秀君。

西園委員 公明党の西園勝秀です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず初めに、米国の関税措置への対応について伺います。

 政府は、四月二十一日、日米関税交渉を担う内閣官房の事務局に十人規模の専従部隊を置き、本格的な交渉に臨む体制を整えました。報道によると、トランプ大統領の意図は、アメリカ車や米国産の米、肉類の輸入を増やせ、日本の防衛予算を増やせということかと思います。

 それぞれの内容について専門の職員が対応を検討すると思いますが、私はここで一つの提案をさせていただきます。それは、アメリカ製の特殊車両であるトイレトレーラーを自衛隊が防衛予算で購入してはどうかということでございます。もちろん、関税措置と防衛予算の話は分けて議論する必要がありますので、あくまでも日本にとって必要な防衛予算を計上する中で、その対象にアメリカ製のトイレトレーラーを加えてはどうかという趣旨です。

 能登半島地震においても、避難先に送られたトイレトレーラーが大いに活躍したことは記憶に新しいところです。スフィア基準では、避難所でのトイレは二十人に一つの割合で設置、男性と女性の割合は一対三が必要とされています。トイレトレーラー一台につき四室のトイレが設置されているケースが多いため、スフィア基準に照らせば、避難者八十人につき一台のトイレトレーラーが必要ということになります。東日本大震災では三万人を超える方が避難されましたので、トイレの清掃のための交換も考えれば、同規模の災害では約五百台のトイレトレーラーが必要ということになります。

 現在、全国の地方自治体が、新たに創設された新地方創生交付金、地域防災緊急整備型を活用し、トイレトレーラーの調達を行っていますが、全国で注文が殺到し、今年度中の納品が間に合わないのではないかと危惧されています。

 南海トラフ地震や首都直下地震等の災害を想定し、その際の避難所での対応を考えるとき、例えば、自衛隊が各駐屯地でトイレトレーラーを相当数確保できていれば、まさに彼らが被災現場の第一線で活動を行っていただくわけですから、被災地域の状況に応じて、的確できめ細やかな配備ができると思います。

 有事の際、トイレの確保は必ずと言ってよいほど被災地での大きな課題であり、その台数を確保していくことは、トイレを我慢することでの災害関連死を減らし、女性や子供の性被害を減らし、避難所での生活を余儀なくされている被災者の皆様の心身の安全と安心を守ることに確実につながっていくと、復興の現場で仕事をさせていただいた人間として、声を大にして訴えていきたいと思います。

 自衛隊にとって必要な台数をトイレトレーラーの実績が豊富なアメリカから受け入れることは、日本の防衛費について高い関心を持つアメリカに対してもよいアピールとなり、日本とアメリカがウィン・ウィンの関係を築く一助になるのではないかと思い、御提案をさせていただいた次第です。いつ起こるか分からない南海トラフ地震等の大規模災害に備える意味からも、是非とも前向きに御検討いただきたいと存じますが、政府の御見解をお聞かせ願います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊といたしましては、災害派遣などにおけるトイレの所要につきましては、必要に応じてトイレや洗面所の機能を備えた野外支援車等も活用して対応することとしております。

 野外支援車につきましては、陸上自衛隊の全国の各方面隊において、現在、計十両保有しておりまして、状況に応じて被災地等に展開して活用しております。また、このほかにも、簡易トイレを自衛隊の車両や航空機等により被災地に運搬するなどして支援を行っているところでございます。

 現時点で新規にトイレトレーラーを導入する計画はございませんが、自衛隊の災害派遣等の際の機能の在り方については今後とも不断に検討してまいりたいと考えております。

西園委員 御丁寧な説明、ありがとうございます。

 自衛隊が所有している野外支援車でございますが、十台程度保有ということでございますが、その規模では大規模災害では全く足りないというふうに思います。我が国にとっても意味のある政策だと思いますので、防衛予算を活用したトイレトレーラーのアメリカからの購入を是非前向きに御検討いただければと存じます。

 また、今回の関税引上げにより、特に裾野の広い日本の基幹産業である自動車関連産業を始め、多くの事業者の投資判断や賃上げの動向に深刻な影響が及ぶことが懸念されております。

 こうした状況を踏まえ、政府におかれましては、日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸付けの活用について、金融機関の窓口において積極的に制度の周知、提案を行っていただくとともに、融資決定から送金までの期間短縮を図るため、オンライン手続の活用促進と併せて広報にも一層努めていただきますよう、お願いいたします。

 あわせて、サプライチェーンを支えている中小企業に対して、関税コスト等の負担が過度に転嫁されることのないよう、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用に加え、業界全体での自主的な取組の推進など、取引適正化の徹底をお願い申し上げます。

 さらに、海外展開を進めている日本企業に対しましても、日本政策金融公庫や国際協力銀行等を活用した資金支援やリスク対応について、積極的かつ効果的な支援を講じていただきますよう、重ねて要望いたします。

 防衛省の寺田審議官におかれましては、御退室いただいて結構でございます。ありがとうございました。

堀内委員長 寺田大臣官房審議官におかれましては、御退室いただいて結構です。

西園委員 次に、国連公海等生物多様性協定、いわゆるBBNJ協定について伺います。

 一九二八年、青カビから発見された抗生物質ペニシリンは、人類の医療の進歩に大きく寄与し、生命の安全確保に飛躍的な前進をもたらしました。また、近年では、大村智博士らによって土壌中の放線菌からイベルメクチンが開発され、その功績によりノーベル生理学・医学賞が授与されたところです。

 さらに、海洋に目を向けますと、海に生息する無脊椎動物である海綿から、水痘・帯状疱疹ウイルスの治療薬や乳がん治療薬が開発されるなど、海洋遺伝資源の持つ可能性とその重要性は国際社会においても広く認識されつつあります。

 こうした背景の下、一昨年、国家管轄権外区域における海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とするBBNJ協定が国連において採択されました。この協定は、一九九四年の深海底実施協定、一九九五年の国連公海漁業協定に続く国連海洋法条約の第三の実施協定です。

 本協定には、公海等における海洋遺伝資源の利用及びその利益配分、区域に基づく管理手段の設定、能力開発及び海洋技術の移転など、国連海洋法条約がこれまで直接的には対象としてこなかった新たな課題が多数盛り込まれており、新しいタイプの国連海洋法条約とも評されております。

 約二十年にわたり積み重ねてこられた国際社会での議論と交渉を経てこの度策定されたBBNJ協定について、政府はどのような意義を認識しておられるのか、また、我が国として本協定を締結することの意義をどのように捉えておられるのか、併せてお伺いいたします。

宮路副大臣 お答え申し上げます。

 海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用の確保は、国際社会全体として取り組むべき喫緊の地球環境課題です。本協定は、その確保を目的として、公海及び深海底における新たな国際ルールを整備するものになります。我が国として、このようなルール作りの進展を評価しております。

 その上で、我が国による本協定の締結には、海洋の生物多様性の保全及び持続可能な利用の促進への貢献、そして、本協定の下での今後のルール作りに能動的に関与することを通じた我が国の海洋権益の維持、確保、三つ目に、法の支配に基づく海洋秩序の発展への寄与といった意義があるというふうに考えております。

西園委員 宮路副大臣、ありがとうございます。

 海洋国家である日本がこの協定を締結する意義は非常に大きいと考えておりますので、是非よろしくお願い申し上げます。

 次に、BBNJ協定の発効に伴う海洋遺伝資源の取扱いについて伺います。

 これまで、公海における海洋の動植物や微生物といった遺伝資源を採取し、医薬品や化粧品などの製品開発に関する研究開発活動については、公海の自由に基づき、実施されてまいりました。

 しかし、交渉の過程では、こうした活動を引き続き公海の自由の範疇に含まれるとする立場と、海洋遺伝資源を人類の共同の財産と捉え、その開発に伴う利益配分の衡平性を確保すべきとする立場との間で見解が対立してきたと承知しております。

 特に、前者の立場を取る先進国と、後者の立場を主張する開発途上国の間では、金銭的利益を含む利益の公正かつ衡平な配分の仕組みの導入が最大の論点となりましたが、最終的には、先進国側がその導入を受け入れる形で合意に至ったものと理解しております。

 また、本協定第十一条第一項において、公海等における海洋遺伝資源等に関する活動は、締約国及び締約国の管轄下にある自然人及び法人が行うことができると明記されたことで、これまでと異なり、自由なアクセス、利用が制限される可能性があるとの指摘もございます。

 そこで、伺います。本協定が発効した場合、公海等における海洋遺伝資源に関する研究や開発といった活動は、協定の締約国以外の国に属するものは実施できなくなるのでしょうか。政府の御見解をお聞かせ願います。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 この協定は、全ての締約国が公海及び深海底の海洋遺伝資源に関する活動を本協定に従って行うという具合に規定しているところでございます。

 同時に、一般に、公海におきましては、全ての国に公海自由の原則が認められているということでございます。したがいまして、本協定を締結していない国であっても、本協定発効後も、公海等において海洋遺伝資源に関する活動を行うことができるということでございます。

 同時に、海洋における人間の活動及びその影響が広範囲に拡大した結果、公海、深海底にも生物多様性に関するルールが必要だというのがこの協定ができた背景でございます。本協定の効果的な実施のためには幅広い国の参加が重要であると考えており、我が国としましては、様々な協議の場で、本協定の締結を引き続き呼びかけていきたいと思っております。

西園委員 ありがとうございます。

 人類共同の財産である海洋遺伝資源を守り、世界がその価値を共有することは大変重要な意義があると考えます。非締約国が本協定を締結できるよう、政府には引き続き働きかけをよろしくお願い申し上げます。

 次に、千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約、いわゆるSTCW―F条約についてお伺いします。

 近年、国際社会での海上輸送や漁業の安全確保を目的とした船員教育や労働環境の改善を図るため、安全基準の強化が進められております。我が国においても、漁業は地域経済や食料供給を支える重要な産業である一方で、長時間労働や安全教育の不十分さが課題として指摘されたところです。

 こうした中で、STCW―F条約の締結は、国際的な基準にのっとった漁船員の訓練と資格証明を義務づけ、漁船の安全運航を確保するという重要な意義を有しているものと認識しています。

 また、この条約の締結を前提として、今国会では、船員法等の一部を改正する法律案が衆議院で可決され、現在、参議院において審議が進められております。本法案により、国内法上も漁船員に対する基本訓練が義務づけられることとなり、海上労働の現場における安全性の向上、さらには若者や転職希望者が安心して漁業で働くことができる環境整備に資するものと期待しています。

 なお、本条約案については、本年三月二十八日に、政府において閣議決定の上、今国会に承認案件として提出されました。しかしながら、そこで提出された承認案件は、附属書が改正された後の条約の締結を前提としたものであり、提出時点では附属書改正の受諾が確定しておりませんでした。この点について、政府は、附属書改正の受諾が確実であるとの見通しを持って、改正後の条約内容を前提とする承認案件を提出されたのでしょうか。また、もし、本年七月一日までに、附属書の改正に対する異議通告が締約国の三分の一を上回り、改正が受諾されなかった場合、政府はどのような対応を取るつもりなのでしょうか。政府の御見解をお聞かせ願います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年五月に国際海事機関において採択をされました本条約の附属書の改正につきましては、本年七月一日までに、三分の一を超える締約国から改正に反対する旨の通告、いわゆる異議通告が行われない限り、二〇二六年一月一日、来年の一月一日に発効することとなります。

 当該改正は全会一致で採択されているということからも、政府といたしましては、来年一月一日に発効するとの見通しの下、今次国会に提出をさせていただきました次第でございます。

 なお、今般の改正について、いずれかの締約国から反対する旨の通告があったとの情報には現時点では接しておりません。

 その上ででございますけれども、万が一異議通告を行うような締約国がある場合は、関係国に働きかけを行うということを通じて、同日時に問題なく発効するように全力を尽くしてまいります。

 以上でございます。

西園委員 御説明ありがとうございます。

 条約の改正案については、IMOが全会一致で採択されているということですので、改正が受諾されない可能性はほとんどないということで理解をいたしました。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

堀内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十九分開議

堀内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西岡秀子君。

西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 今日は三つの条約の質疑ということで、私からは、一九九五年の漁船員訓練、資格証明及び当直基準条約について、いわゆるSTCW―F条約についてお尋ねをいたします。

 まず、本条約を締結している国が何か国であるのか、また今後締結に向けて準備している国はあるのかどうかにつきまして、外務省にまずお伺いをいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二五年四月現在、三十六か国が本条約を締結をしております。本条約は、その内容から締結に関心があるのは主として遠洋漁業を産業として有する国でありまして、国際海事機関加盟国全てが締結するような性格の条約ではない、このように認識をいたしております。

 各国の締結に向けた準備状況につきましては日本政府としてお答えできる立場にはございませんけれども、二〇二四年五月に本条約附属書の改正が採択されたことを受けまして、各国において国内事情も踏まえて検討されるもの、このように考えてございます。

西岡(秀)委員 今、締結している国が三十六か国という御答弁がございました。

 一九七八年に締結をされておりますSTCW条約、これは百六十七か国が締結している条約でございまして、当然我が国も締結をいたしているわけでございますけれども、今回審議をされておりますSTCW―F条約、これは締約国が限られている中で、我が国はこれまで締結をしてまいりませんでした。

 その課題となっていたことについては先ほど副大臣の方から御答弁がございましたけれども、これまで我が国が締結していなかったことによって、過去、我が国の漁船が寄港国において本条約に基づくPSC検査を受けて港で留め置かれる等の不利益を被った事例はないと聞いております。

 今回、我が国が条約を締結する意義と、我が国が締結することによって、他国の締結につながっていくのか、条約の普及につながっていくとお考えであるかどうかにつきまして、外務省にお伺いをいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 本条約の締結につきましては、我が国の漁船員の安全を含む、海上における人命及び財産の安全の確保に貢献するものであります。また、海洋環境保護の促進にも資するために有意義だ、このように考えてございます。

 また、我が国が未締結の場合、本条約が規定する漁船員の証明書を保有しない日本籍の漁船が他の締約国の港に寄港する際にその漁業活動に支障が出る、こういうことが懸念されておると考えております。

 こうした懸念を払拭し、遠洋漁業を行う日本籍船の円滑な漁業活動を確保するため、我が国として本条約を早期に締結をし、証明書発給に係る体制を構築することは重要だ、このように考えてございます。

 加えまして、本条約附属書改正の議論を主導した我が国といたしまして、漁船の安全に関する国際的なルール作りに積極的に取り組む姿勢を対外的に示すことは本条約の国際的な普及に資する、このように考えてございまして、本条約の締結は重要だ、このように考えてございます。

 以上でございます。

西岡(秀)委員 今お答えいただきましたけれども、遠洋漁業を含めた漁業活動の安全を確保するという意味で大変有意義な条約ということで、今回締結へ向けた動きとなったということで御答弁をいただきました。

 それでは、この条約を締結するに当たりましては、国内の担保法である船員法改正、これは先般、国土交通委員会で審議がされまして衆議院を通過いたしたわけでございますけれども、まず国交省にお伺いをいたします。

 委員会質疑でもあったところでございますけれども、日本の外航海運会社が運航する二千総トン以上の外航商船群である日本商船隊につきまして、この商船隊の構成でございますけれども、日本船籍と外国船籍から構成されております。

 日本船籍、そして並びに日本人船員の現状について、国交省にお伺いをいたします。

堀政府参考人 お答えいたします。

 手元の数字でございます、二〇二三年の数字でございます。日本商船隊におきまして、日本籍船の数が三百十一、それ以外の外国籍船については千九百となっております。日本人船員の数でいきますと約二千人ということになっております。

西岡(秀)委員 我が国にとりまして、日本船籍、日本人の船員の確保というのは大変重要だというふうに考えております。今、日本人船員については二千人というお答えがございましたけれども、現在、日本商船隊に乗り込んでいる船員の総数は五万三千人、このうち日本船員は二千人というのが今の現状でございます。

 この日本船籍並びに日本人の船員の確保、これは、国民生活を支え、日本の経済を支え、これはエネルギー、食料の安全保障にもつながりますし、様々な国際情勢が緊迫している中で、安全保障上、また災害時も含めて、航行の安全を確保しながらでございますけれども、我が国にとって大変重要な海運を守っていくこと、これは極めて重要な喫緊の課題であると考えます。

 日本人船員が減少していることによって、将来、船自体が運航できないような事態も起こり得るような状況が危惧されるのではないかというふうに思いますけれども、岩屋外務大臣に御認識、御見解をお伺いをさせていただきます。

岩屋国務大臣 委員の御指摘のとおりの問題意識を持っております。

 四面を海に囲まれた我が国でございますので、貿易量の九九・六%を外航海運に担っていただいているということでございまして、我が国の経済、国民生活を支える基盤として極めて重要だと思います。安全保障上も重要な課題でございます。

 したがって、我が国における安定的な海上輸送の確保を図る上で、日本の船舶、日本人の船員はその中核となるべき存在でございますが、なかなか一朝一夕にはいかないと思いますけれども、今申し上げたような問題意識を踏まえて、関係省庁と連携をして、海洋安全保障の強化に外務省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

西岡(秀)委員 大臣からも力強い御答弁をいただきましたけれども、一朝一夕ですぐに日本船員を増やすということは難しいということも十分承知をいたす中で、総合的な取組が大変重要だというふうに思っておりますので、外務大臣としての、大臣のお取組につきましても是非お願いを申し上げたいと思います。

 国土交通省堀審議官につきましては、ここまでの質問とさせていただきます。御退室をいただいて結構でございます。

堀内委員長 審議官、御退室いただいて結構です。

西岡(秀)委員 船員不足に関連をいたしまして、今日は文部科学省にもお越しをいただいております。深刻な船員不足の対応、先ほど申し上げました総合的な取組が極めて重要でございますけれども、今後、将来の担い手として大きな希望、期待を持っております水産高校につきましてお尋ねをさせていただきます。

 現在、水産高校における卒業後の進路、様々な選択があるというふうに思いますけれども、船員等への就職の状況について、まずお伺いをいたします。

 その上で、令和七年度当初予算におきまして公立専門学校の施設整備等の予算が増額をされたところでございますけれども、水産高校への支援の強化策、どのように今後取り組んでいかれる方針かということも併せて文部科学省にお尋ねをさせていただきます。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 全国水産高等学校長協会の調べによりますと、水産高校で船舶運航等を学ぶ学科を令和六年三月に卒業した生徒のうち、船員として就職した者の割合は、その専攻科を含め四一・三%となっております。

 また、文部科学省では、こうした水産高校を始めとする専門高校における教育の充実に当たり、先月成立しました令和七年度予算におきまして、実習船の整備等、これらを支援する公立学校施設整備費を計上するとともに、この整備費がいわゆる高校無償化の三党合意に基づく修正予算で十億円増額されたことを受けまして、専門高校の追加ニーズに対する支援、これを充実させていただくこととしております。このほか、DXハイスクール事業によるスマート水産業に対応した人材育成や最新機器等の整備など、ソフト、ハードの両面にわたって学習環境の整備とともに、専門高校の魅力発信に向けた取組も進めさせていただいているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、関係省庁と連携を図りながら、水産高校における教育環境の充実に努め、我が国を支える海洋人材の育成にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

西岡(秀)委員 今、就職率四一・三%ということでございました。様々、生徒の皆さんの進路というのは、今、大変選択肢が多くなっておりますので。ただ、本来であれば船員を志している水産高校に入った学生さんたちが、やはり将来に希望を持てる教育環境というのが大変重要だというふうに思っております。

 この度、予算を増額をしていただいたという中で、実習船の整備等、様々な環境整備に取り組んでいただくこと、大変重要だというふうに思っております。

 一方で、お聞きをいたしますと、実習船の先生がやはりいらっしゃらないという大きな問題もお伺いをいたしておりますので、まさに総合的な対策が必要だというふうに思いますので、文部科学省としても、しっかりこの予算、充実したお取組をお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、これで今井大臣官房審議官につきましては、御質問を終わらせていただきますので、御退室をいただいて結構でございます。

堀内委員長 大臣官房審議官におかれましては、御退室いただいて結構です。

西岡(秀)委員 関連いたしまして、船員というのは、先ほどから申し上げております、我が国の国民生活、経済の維持に欠かすことのできない必要不可欠な職種であるわけでございますけれども、その職場の特殊性、陸上社会と長期間離れるという特別な労働環境の下に、行政サービスの受益が一定制限をされている職種であるというふうに認識をいたしております。

 その中で、かなり以前の話になりますけれども、平成二十二年から二十三年に、日本人船員に係る税制に関する検討会が五回にわたって開催をされまして、住民サービスの受益に応じた負担の観点から、従来は所得税での様々な税制、制度を要望されていたんですけれども、所得税ではなくて住民税減免を要望することが当検討会では適切という結論が出されまして、平成二十四年度の税制改正要望に盛り込まれた経緯がございます。

 人材確保策としても有効と思われます住民税の減免については、現在、全国で七自治体が、自治体の裁量で減免措置を実際に実施をいたしております。

 海外におきましては所得税の減免制度等、実際にあるわけでございますけれども、様々、やはりこの住民税の減税についても、海外の事例を参考にしながら、この減免措置がもっとやはり更なる拡大に向けた支援というのを総務省に是非お願いをしたいところなんですけれども、今日は総務省からもお越しをいただいております。伊藤大臣審議官に御答弁をお願いいたします。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 個人住民税につきましては、できるだけ多くの住民が広く負担を分かち合うという地域社会の会費的な性格を有する税でございまして、一月一日に住所を有する者に対し当該住所地の自治体が課税するものでございます。

 船員の方に限らず、長期出張や長期旅行などで住所地にいる期間が短い方などにも、当該自治体に住所を有し、一定以上の所得がある方には所得に応じて納税していただいております。

 また、自治体は個別の納税者の事情を考慮した上で条例に基づき個人住民税の減免を行うことが可能ですが、その減免を行うに当たっては、担税力の有無などの個別具体の事実について判断されるべきものと解されております。

 船員の方への対応につきましては、船員側が住所地の自治体から様々な行政サービスを受けていることを踏まえまして考える必要がございます。

 こうした点も踏まえ、それぞれの自治体において御判断いただいているものと考えております。

西岡(秀)委員 当然、自治体の裁量で減免を行われておりますけれども、今の船員不足を含めて、是非、この個人住民税における負担の軽減というものについても、積極的に総務省としてできる支援を御検討いただきますことを重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 残り時間が大変少なくなっておりますけれども、もう一本、職員安全衛生条約につきましては、二問目の質問だけにさせていただきますけれども、今、大変、令和六年の労働災害発生状況を見ますと、死亡者は微減しておりますけれども、休業四日以上の死傷者数とも前年に比べますと増加傾向にございます。働く全ての方々が、職種や雇用形態にかかわらず、安全に職場で働くことができる環境整備は大変重要だというふうに思っております。

 ただ、今、物価高騰、事業経営も厳しい中で、労働安全対策、これに係る費用も必要でございますので、この労働安全対策、様々な設備投資や支出に対しても、しっかり支援策、それが必要だというふうに考えますけれども、このことについて、今日、厚生労働省にも来ていただいております。最後に御答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

井内政府参考人 厳しい経営環境下にございましても労働者の安全と健康をおろそかにするということはあってはならず、事業者に対しては、法令に基づく措置の実施はもとより、労働災害防止に向けた自主的な安全衛生活動の推進をお願いしているところでございます。

 労働災害防止に必要な費用につきましては、一義的には労働者を使用して事業を行う事業者の責任において負担すべきと考えておりますが、中小企業におきましては、安全衛生の経費の確保、担当する専門人材の確保が困難な場合が多いと認識しております。

 このため、労働安全衛生法に基づき、中小企業等に仕事を請け負わせる注文者に対し、安全衛生を損なう条件を付さないよう配慮するということを求めているほか、中小企業に対する補助金、労働災害防止団体を通じた各事業場への技術的な支援を行っているところでございます。

 今後とも、こうした補助金や技術的な支援を活用し、中小企業における自主的な安全衛生活動の推進を通じ、労働災害の防止に努めてまいりたいと考えております。

西岡(秀)委員 今、労働災害の中でも高齢者の方のやはり労働災害が大変増えているという事象もございますので、今、AIを含めて様々な技術革新が進んでおります。この優れた最先端の技術を是非、職場での安全、労働災害防止に役立てていただく支援につきましても、引き続きしっかりお取り組みをいただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。

 今日は、国民保護法について質問したいと思います。

 三月二十七日、台湾有事の影響が日本に及ぶ事態を念頭に、沖縄の先島諸島の住民を、九州、沖縄の、八県に避難させる計画を政府が発表しました。

 十一万人の住民と約一万人の観光客を六日間で避難させる計画について、私も様々なヒアリングをしたんですが、住民の方々は大変な不満を表明し、また非現実的だという声が指定された交通機関やホテルなどからも寄せられています。また、七千六百人程度の要配慮者の方々、介護を受ける必要があったり、妊婦の方々などにとっても大変にこれは不安な状況だと思います。

 国民保護法が想定する事態というのは、武力攻撃事態等と、あと緊急対処事態が対象になるんですね。武力攻撃事態等というのは、武力攻撃事態と武力攻撃予測事態で構成されています。武力攻撃事態というのは、もう明白な危険が切迫している事態なんですが、武力攻撃予測事態というのは、相手国がまだ侵攻には至らないものの危険性が極めて高いと判断できる状況です。

 例えて言えば、二〇二二年の二月二十四日にロシアはウクライナに侵攻しましたが、アメリカ政府は二〇二一年の十二月頃から侵攻の危険性が高いと警告を発していました。その後、ウクライナの国境にロシアの軍隊が集結する事態になっていった、このような事態かと思います。

 質問です。台湾有事における武力攻撃予測事態とは、具体的にどのような状況を想定しているのか。先島諸島の住民の方々にも分かるように、簡潔に説明していただけないでしょうか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘されたのは台湾有事ということでございますけれども、済みません、個別具体的な状況につきましてはなかなかお答え申し上げにくいことでございます。一般論としてお答え申し上げます。

 武力攻撃予測事態は、武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態でございます。

 この武力攻撃予測事態の認定は、その時点におきます国際情勢ですとか相手方の動向、それから我が国への武力攻撃の意図が推測されるかどうかという、そういうことなどを、実際に発生しました状況、個別具体的な状況に即して判断することとなります。

阪口委員 住民の方々が大変な不安を抱いていらっしゃる。やはり、政府が丁寧に説明をする、具体的に説明をすることが非常に重要だと言われている中で、今の非常に抽象的な一般論の説明というのは住民の不安を払拭することにはなり得ないと思うんですね。本当に先島諸島の住民の方々の思いをしっかり受け止めて、本当に丁寧に説明していく必要があることを強く申し上げておきたいと思います。

 次の質問ですが、なぜ先島諸島だけなんでしょうか。沖縄本島の住民は屋内避難ということですが、沖縄本島の住民の避難計画はないんでしょうか。米軍基地があり、より攻撃目標になる可能性が高いと考えます。

 沖縄の米軍は、まずは米軍基地、そして軍人、その家族を守ることが第一優先なんですね。その過程で沖縄の民間人が犠牲になることも十分にあり得ます。と考えると、沖縄本島は危ないんじゃないですか。何で屋内避難なんでしょうか。

門前政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県の住民の避難につきましては、国民保護基本指針におきまして、国が特段の配慮をすることが必要とされているため、政府としては沖縄県の取組を積極的に支援をしております。

 現在は先島諸島の広域避難について検討しておりますが、これは先島五市町村の意向を踏まえますとともに、輸送手段の確保など避難の困難性がより高いことから、沖縄県、先島市町村と協議し、まずは先島諸島の避難について優先的に検討することとなったものでございます。

 沖縄県におきましても、まずは先島諸島の避難について検討し、その成果を踏まえて、沖縄本島を含む沖縄県全体の避難の在り方を検討していく必要があると認識しておられると承知しておりまして、今後の進め方につきましては、沖縄県と国でよく相談してまいります。

阪口委員 実際に住民の方々に聞くと、沖縄本島を含めた百四十万人の避難というのは現実的ではない、なので先島諸島の避難計画だけ策定しているのではないかというような、そういう声も聞くんですね。危なくないなら、そんな緊急性がないというのであれば、九州や山口県ではなくて、文化的あるいは環境的により近く、親戚も多いであろう沖縄本島に避難させればいいことだと思うんですよね。

 いろいろ問題があると思うんですが、次の質問です。武力攻撃予測事態においては、避難をさせるということについては強制力はあるんでしょうか、例えば家や財産などは保護されるんでしょうか。お答えください。

門前政府参考人 お答えいたします。

 国民保護法第五十四条に基づきます避難の指示は、当該指示を受けた住民に対して避難を行うべき、財産上の、義務が生じるものでございますけれども、罰則によって担保することなどにより住民を強制的に避難させる規定は法律上設けられておらず、島に残りたいと希望する住民の方々に対しましては、避難をしていただきますよう市町村等において丁寧に説明を尽くすことになるものと考えております。

 今後も、住民意見交換会などを通じまして、住民避難の取組の重要性について住民の皆様に丁寧に説明し、御理解を得られるよう、市町村とともに努力してまいりたいと存じます。

阪口委員 全然丁寧に説明していないんですよね。やはり具体的に説明しないと、到底納得を得られるものではないと思います。

 沖縄戦の歴史からひもといていくと、そもそも避難した先での保護や支援が定かでなかったために避難や疎開ができなかったという経緯があります。例えば牛を飼っていらっしゃる方々、石垣牛が有名ですが、一か月も避難させると全部駄目になってしまうんですね。ですから、こういう住民の不安を解消するような具体的な説明が必要だと思います。

 次の質問です。武力攻撃予測事態と武力攻撃事態というのは本当に紙一重で、想定されている六日間の避難中にこれが変わることもあり得ると思います。国民の生命財産が逼迫した事態になった際に自衛隊機を使うこともあり得るという説明ですが、これは国際人道法との関係において問題があるんじゃないでしょうか。この点、大臣、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 国際人道法には、文民たる住民と戦闘員とを区別する、それから民用物、民間の使用に供される施設等という意味だと思いますが、民用物と軍事目標とを常に区別するという、軍民分離の原則があるとされております。

 その上で申し上げますと、自衛隊が自衛隊機を用いて住民の避難誘導等に当たるとしても、これが軍事行動から生ずる危険から住民を保護するということを目的としたものであることを踏まえますと、こうした活動が直ちに国際人道法に反しているとは言えないと考えております。

阪口委員 これは、こちらはそのように解釈していても、先方が同じように解釈するとは限らないんですね。いざとなったら自衛隊が助けてくれるとか、いや、米軍が助けてくれるんじゃないか、そのために沖縄にいるんだからというような声も聞くんですが。しかし、国際人道法に照らし合わせると、自衛隊の船や飛行機を使用した場合、相手国からは、日本はひきょうにも住民を盾にして自衛隊の船や飛行機を戦略的に移動させたと言われかねません。また、このことで民間人がターゲットになる可能性もあるんですね。

 したがって、国際人道法も併せて周知徹底する、丁寧な説明をする必要があることをお伝えして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第百五十五号)の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

堀内委員長 次回は、来る五月七日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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