衆議院

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第12号 令和7年5月21日(水曜日)

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令和七年五月二十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 堀内 詔子君

   理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君

   理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君

   理事 篠原  豪君 理事 鈴木 庸介君

   理事 太  栄志君 理事 杉本 和巳君

   理事 西岡 秀子君

      逢沢 一郎君    五十嵐 清君

      英利アルフィヤ君    大空 幸星君

      新藤 義孝君    高木  啓君

      広瀬  建君    松島みどり君

      松本  尚君    茂木 敏充君

      小熊 慎司君    亀井亜紀子君

      竹内 千春君    武正 公一君

      渡辺  周君    西田  薫君

      和田有一朗君    深作ヘスス君

      西園 勝秀君    山崎 正恭君

      阪口 直人君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   防衛副大臣        本田 太郎君

   総務大臣政務官      古川 直季君

   外務大臣政務官    英利アルフィヤ君

   外務大臣政務官      松本  尚君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堤  良行君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 林 美都子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小林  出君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 文土君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 柏原  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石川 誠己君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡本 利久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       佐藤  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           萩原 英樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 有馬 孝典君

   外務委員会専門員     山本 浩慎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  松本  尚君     五十嵐 清君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     松本  尚君

同日

 理事太栄志君同日理事辞任につき、その補欠として篠原豪君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

堀内委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事太栄志君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に篠原豪君を指名いたします。

     ――――◇―――――

堀内委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長大鶴哲也君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。

高木委員 おはようございます。自由民主党、高木啓でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきますが、本日は、まず、中東のシリアについて伺いたいと思います。

 今、シリア情勢が激変をしておりまして、米国のトランプ大統領が、五月十三日、アサド政権時代に科してきた制裁解除の方針を表明をいたしました。翌五月十四日には、国交正常化の可能性を模索している、こう明らかにしたわけであります。

 また、報道によれば、イスラエルとシリアは、アゼルバイジャンで秘密交渉を行っているとも仄聞をいたしております。

 内戦で荒廃した国の復興に向けて、シリア暫定政権は制裁解除を繰り返し国際社会に対して求めてきたところでありまして、国民の九割が貧困状態にあるとも言われている中、我が国としても対応を早急に考えなければならない時期に来たのかな、こう思うわけであります。ちなみに、EUは、既に制裁の段階的緩和を決定済みでございます。

 岩屋大臣は、五月十六日の記者会見で、この間の暫定政権の取組を一定評価しつつ、シリアの国民にとってよりよき状態がつくり出されることが望ましいという観点から、制裁については、国際社会の議論も注視しながら、解除することも含めて適切に判断していきたい、こう表明をされたわけであります。

 それでは、シリアの国民にとってよりよき状態がつくり出されるというのはどういうことなのか、そして我が国は何ができるのかということであります。

 かつて我が国は、シリアの各種基幹インフラの中で、一九八〇年代後半以降、円借款を通じて、日本企業も参加する形で、電力供給に深く関わってきたと聞いております。現在、シリアで最も必要とされている支援の一つが、やはり電力不足の解消ということだと私は思います。

 このような国民生活に不可欠な電力供給強化のための我が国企業による、例えばスペアパーツの提供のような支援であれば、暫定政権との関係はともかくとして、我が国の目指す基本的な外交方針、すなわち、基本的人権の尊重と、内戦で傷ついた民生の安定、そして、その先に平和の実現という趣旨とも合致をするというふうに思うわけであります。

 この点についてどうかというのがまず質問の第一であります。

 また、直接支援が困難であれば、UNDPなどを通じて、国際機関を通じた支援を拡大するべきではないのかというふうにも思います。アサド政権時代よりも我が国の支援が低下するようなことが、このシリアに関しては決して私はあってはならないと思いますので、岩屋外務大臣の見解をお伺いいたします。

岩屋国務大臣 我が国は、これまでシリア国民の人道ニーズに応えるべく、国際機関やNGOを通じまして、保健、水、衛生、食料、教育など、幅広い分野において、中期的視点に立った人道支援をシリアに対して実施をしてまいりました。委員御指摘の電力分野における支援についても、現地の情勢やニーズを踏まえてしっかり対応していきたいと考えております。

 アサド体制が終えんをして暫定政権に移行しているわけですけれども、会見で申し上げたように、シリアの国民にとってよりよき状態がつくり出されるということが望ましいという観点から、引き続き、G7を始めとする関係国あるいは国際機関とも緊密に連携しながら、シリアにおける政治プロセスの今後の進捗を見極めつつ、ニーズに沿ってできる限り支援をしていきたいというふうに考えております。

高木委員 是非いろいろな角度から考えていただいて、支援の方向を考えていただければというふうに思います。

 そこで、一点、これは要望でございますが、国際社会とこのシリアの関係を見ておりますと、各国は、やはりシリア現地に、政務レベルの要員を派遣をしているというふうに思います。我が国も外務省から事務レベルでは行っていると思いますが、しかし、政務レベルではなかなか行っていない。国の今の事情もあるでしょうけれども、やはり我が国も政務レベル以上の、いきなり大臣が行くというのはなかなか難しかろうと思いますが、是非派遣の方向性を探っていただけないかなと。それでこそ、やはり我が国のプレゼンスがシリアにおいて保てるんだというふうに思いますので、是非御検討いただきたい、このように思います。

 続きまして、国際機関との連携強化、あるいは邦人職員の増強についてお伺いをいたしたいと思います。

 私は、このゴールデンウィークにウィーンへ出張してまいりまして、国連宇宙部及び国連薬物犯罪事務所と懇談をし、また、訪問してお話をさせていただいてまいりました。

 まず、我が国の宇宙政策について、国連宇宙部との連携強化についてお伺いをさせていただきます。

 国連宇宙部は、与えられた権限、使命に比して、人員、予算共に資源が不足をしておりまして、国連の流動性危機と言われておりますが、経費節減の指示の中で、一層、今、困難な状況に直面をいたしております。約四十名ほどの職員の中で五人が実は日本人職員でもあるということ、日本人も大変活躍をしています。

 現在、宇宙空間の国際的ルールは、多様化する宇宙活動に応じるべく、発展途上の中で、国連宇宙部及び同宇宙部が事務局を務めております国連宇宙空間平和利用委員会は国際的なルールメイキングにおいて中心的な役割を担っておりまして、日本の宇宙活動及び我が国の宇宙産業の成長にとって、ここは死活的に重要なポジションを占めているわけであります。

 私は、五月五日に、ホラ・マイニ国連宇宙部部長と会談をいたしましたが、こうした重要な役割を担う同宇宙部の活動に対して、我が国による資金面における具体的な支援を強く要請をされました。そして、同宇宙部への支援は比較的小さな規模において効果が大きいと考えられておりまして、我が国の立場を強める意味では、ある意味コスパのよい支援になるというふうにも思います。

 現在、同宇宙部の戦略的重要性から、実は、中国が影響力を増そうとする動きも見える中にありまして、政府による迅速、機動的な支援を実施することが肝要であると思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 これは全く委員の御指摘のとおりだと思っておりまして、国連宇宙部は、宇宙空間の平和利用に関する国際ルールを作る、それを議論する唯一の国際機関である国連宇宙空間平和利用委員会の事務局として大変重要だと考えております。御指摘のとおり、そんな大きな部署ではありませんけれども、四十名中五名が日本人の、邦人の職員で占められているということでもあります。

 また、国連宇宙部の、宇宙新興国のための宇宙法プロジェクトに対する任意拠出金を活用しまして、昨年十一月にフィリピンに対して、また、本年一月にはタイに対して能力構築支援を実施をしております。コスパという言葉を使うのが適切かどうか分かりませんが、我が国の貢献がしっかりと届く支援を、効果的な支援をこれからもしっかり行っていきたいと考えております。

 我が国のプレゼンス向上の観点からも、どのような、今後更なる連携強化があり得るかについても、宇宙部のニーズも聞き取りながら、関係省庁と連携してしっかり対応してまいりたいと考えております。

高木委員 宇宙の関係は内閣府との関係もあると思いますので、是非、相談の上、適切に対処していただきたい、このように思います。

 続いて、麻薬、組織犯罪、サイバー犯罪、海上安全保障に関して、我が国と国連薬物犯罪事務所、UNODCとの連携について伺いたいと思います。

 法の支配の促進という価値を共有し、現場を中心とした知見を有するUNODCを我が国の犯罪対策に活用するのは効果的、かつ、こちらも、やはり費用対効果のいい支援になるというふうに思います。一層の協力拡大のために、外務省のみならず、法務省、海上保安庁、警察庁、厚生労働省、そして海上自衛隊等も積極的に関与すべきと私は考えます。

 特に、同機関が実施するテクニカルアシスタンスの事業に、それらの関係省庁の現場要員ないしそのOBが派遣され、被支援国の法執行機関等の要員に教育技術支援を実施することは、我が国の影響力増進にも資すると考えられるわけであります。また、外務省及び関連の省庁等から有為な人材を何らかの形でウィーン本部の高位の職位に派遣することも効果的と考えるのですが、見解をお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 法の支配の促進をマンデートとし、また、テロ・国際組織犯罪対策支援に深い知見と高い正当性を持っている国連薬物犯罪事務所、UNODCの重要性はますます高まってきていると考えております。

 我が国は、二〇一三年以降、関係省庁も参加して、UNODC事務局長との間で戦略政策対話を実施をしてきております。そこで取り組むべき優先課題を踏まえて、東南アジアやアフリカ地域などへの法執行能力構築支援事業などに拠出をしてまいりました。また、これらの事業には、関係省庁の職員が事業を管理したり、講師として参加したりしております。

 東南アジアなどに、海外に拠点を有する特殊詐欺、違法薬物、違法漁業などの海上犯罪など、我が国の治安とも直結する国際組織犯罪、違法オンラインカジノ問題への対策は喫緊の課題でございます。関係省庁の職員等また外務省の職員等の派遣を含めて、このUNODCとの一層の連携を図ってまいりたいと考えております。

高木委員 是非、一層の連携をお願いしたいと思います。

 ちょっと時間もありますので、済みませんが一問飛ばさせていただきまして、OPECとの関係について伺いたいと思います。

 ウィーンに本部を置きますOPECとの関係については、OPECは、原油等のエネルギーは国家安全保障の観点から、また、原油というのは我が国のエネルギー安全保障の基礎を成すことから、私はかねてから、その関係強化の必要性を主張してまいりましたし、外務大臣政務官就任後、その関係構築に具体的に取り組んでまいりました。

 資料を今日提示をしましたが、新聞記事も出しましたし、それから、外務省のホームページの記事も今日提出をさせていただきましたけれども、我が国とOPECの人事交流の端緒を開いたというふうに私は自負をいたしているわけであります。

 それは特に、アラブ人等の気質などを考えますと、人的な関係を構築することが何よりも重要であって、そして事務局とハイレベルを含めた人的な交流の拡大の必要性、単なるエネルギー問題を超えた外交、安全保障政策の観点からも、こうした取組が必要と考えたからであります。

 しかし、この取組が政務レベルで実は決定をしていただいたんですが、その後ほとんど何の動きも見られない中で、我が国の外交姿勢及び実務として甚だこのことはちょっと残念と言わざるを得ないわけであります。つまり、新しい試みが必ずしも進んでいないことから、OPEC側からすると、日本側はやる気がない、あるいはOPECを軽視しているのではないか、こう見られかねないとちょっと心配をいたしているわけであります。

 外交の責任者として、岩屋大臣の見解をお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 委員が外務大臣政務官時代のOPECとの関係強化への取組に対して敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。

 言うまでもなく、石油を始めとするエネルギーの安定供給は、我が国の経済と国民生活のために極めて重要でございます。その意味で、OPECとの関係構築は極めて重要な課題だと思っております。

 外務省としては、OPEC事務局長及び事務次長の訪日に向けた調整などを行ってきたところでありますけれども、御指摘も踏まえて、引き続き、OPECとの関係構築、関係強化にしっかり取り組んでいきたいと思います。

高木委員 時間が参りましたので終了しますが、どうかOPECとの関係、再構築と言ったらいいのかもしれません、しっかり構築をしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

堀内委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。立憲民主党の小熊慎司です。

 大臣、昨日はよく眠れましたか。私は、寝ようと思ったら、江藤大臣の更迭の話がにぎわっていたので、どうなるんだろうと思っていて、寝て起きたら、もう辞めるということで。

 通告にはありませんけれども、同じ内閣の一員であり、また、トランプのとんでもない関税交渉の中でも米が言及をされているところで、江藤大臣においては、米は守るという姿勢でずっと発言をしてこられていた方でもあります。

 他党のことですけれども、国民民主党の玉木さんも、辞めるということよりも結果を出してほしいと言っていたんですが、幹事長の方は、辞めるべきだとなって、玉木さんも与党になる練習をしているのかなというふうにちょっと思ったところです。

 いずれにしても、関税交渉に関わる大臣でもありましたので、通告にはありませんが、江藤大臣の事実上の更迭について、外務大臣として、とりわけトランプの関税交渉の中を含めた所感をお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 江藤大臣は、我が党においてはまさに農政の第一人者、エキスパートでありましたので、非常に期待をしておりましたし、しっかり職務を果たしていただいていたと思うんですけれども、先般の発言は余りに不適切であったと思います。

 これはある意味内閣全体の責任だというふうに思いますので、そのことを深く反省し、緊張感を持って国民の信頼回復に努めてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 お米の話は、米価のいろいろな課題で、家計の問題もありますけれども、関税にも関わる話ですので、今大臣が言われたように、引き続き緊張感を持って取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、質問に移ります。

 外国免許切替えについてですけれども、ほかの委員会でも与党の議員が取り上げておりますし、残念ながら、過日、埼玉県で起きた小学生のひき逃げ事件も中国籍の方でありましたし、その前に起きた事件は、免許を持っていない中国籍の少年が、無免許で逆走して、飲酒運転でという死亡事故も起きています。

 我が党にも、外国人の無免許で、しかも飲酒運転で、やはり無謀な運転で息子さんを亡くされた眞野さんという議員もおられますけれども、相手も無保険だったりするので、もう本当にどうしようもないというところもあります。こうした事件が起きないようにしていかなければいけません。

 この制度について、与党の自民党の河野太郎さんが旧ツイッターで、運転免許証を日本の免許証に切り替えるのは今後認めないということを警察庁が明確にしたということを旧ツイッターで発信しているんですけれども、私、確認しているところでは、まだ検討中、厳格化はしていく、試験もいろいろ考えていく、また住民票などを添付するなど、いろいろ制度を変えようとしているというまだ矢先であって、決まっている話ではないというふうに私は認識していたんですけれども、そこをまず確認させてください。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの外免切替え制度につきましては、観光ビザ等による短期滞在者がホテル等の滞在場所を住所として免許を取得している、あるいは知識の問題が簡単過ぎるといった御指摘をいただいているところでございまして、運転免許行政を適切に行う観点から見直しの余地があるものと考えているところでございます。

 一方で、海外におきましても外免切替え制度と同様の制度があることから、我が国の制度を見直した場合に、日本人の海外での外免切替えにも影響が生じるおそれがあることなども考慮する必要がございます。

 こうしたことから、現在、海外の制度等の調査を行うとともに、これまで回答された調査結果を踏まえて、外免切替え制度の在り方の検討を進めているところでございます。

小熊委員 ということであれば、旧ツイッターの話は毎日新聞に出ていたんですけれども、この河野さんの発言というのは不正確であって、まだ検討中ということで、決まった話ではないということでいいんですね。この新聞報道はちょっと確定的に書き過ぎていましたけれども、そうではないということでいいですね。

阿部政府参考人 ただいまお答えしましたとおり、現在、海外の制度等の調査を行うとともに、その調査結果を踏まえて、外免切替え制度の在り方の検討を進めているというところでございます。

小熊委員 ありがとうございます。

 それで、やはり問題が簡単過ぎるというのもありましたし、住民票を添付しなくてもいい、ホテルでいけちゃうというのも問題だし。昨日、ちょっとほかの委員会でやった黄川田さんと話しましたけれども、日本も海外へ赴任している方は恩恵を受けたりするので、相互的なことでもあるからそんな簡単にということも黄川田代議士からもちょっと、私、御指導いただきましたけれども、今その調査をしている、お互いの国同士の関係もあるということであります。

 技能試験の方は三割弱ぐらいしか通らないので、そこはしっかりしているかなとは思います。ただ、外免制度を使った取得者が十年前から比べて二・七倍、三倍近くになっているわけですし、私も海外に行ったときに、車に何か国かで乗ったことがありますし、バイクも乗ったことがあるんですけれども、日本の教習制度がやはりしっかりしているから大丈夫かなと思いましたが、相手の国の車の教習の在り方とか、免許取得の在り方とか、あと文化とか、あとは、今回のひき逃げ事件は、技能とか知識じゃなくて、はっきり言えば生き方の問題で、人柄であり国柄であって、それはもう測れないですよね、試験とか、技能試験では。

 でも、そういうものもちょっと考慮に入れていかないと、無免許で飲酒運転なんかは言語道断なんですけれども、人に当てておいて、笑ってごめんごめんはもうどうしようもないなと思って、ここをどう考慮していくのか、国柄というか人柄というのは。ここまで取締り、また制度としてどうやっていくかというのは、なかなか難しいところもあるんですけれども、そうしたその社会背景、文化的背景というものもちょっと考慮に入れながら、何がしかの反映が必要だというふうには思います。

 そういう意味では、中国に対しては、ちょっと今止めた方がいいかなと思っています。この件だけじゃなくて、日本語試験なんかも不正があったり、この間、TOEICでもあったり、国柄としてもちょっと、中国だけは一旦ペンディングしておくというのも必要だというふうに思います。そこはもう政治判断ですから、外務大臣のレベルになりますけれども、そこは警察庁に聞きませんが、今検討しているということで、早急にやらなきゃいけないです、頻繁に事故とかいろいろ事件が起きていますから。

 調査結果を踏まえて、検討結果というのは大体、大体でいいんですけれども、どのぐらいの時期と考えていますか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 現在、調査状況を踏まえ検討を行っているところでございまして、外免切替えの制度の在り方の検討結果の公表につきましては、現時点で未定ではございますが、なるべく早く明らかにしたいというふうに考えているところでございます。

小熊委員 外免切替えは増加傾向にあるので、早くしないと、また簡単な問題で切替えがなされていくということが続いていくわけですから、年内にでも、年内でも早い時期に、是非検討結果を早く出して、様々な、なかなか定量的に測れないものも含め考慮した上で、制度の厳格化に努めていただきたいと思いますし、それをやったとしても、やはり一定程度事故は、それは日本人だって事故を起こしたりしていますから、この取締り強化といったことも併せて頑張っていただきたいというふうに思います。警察官も数少ない中で、その役割が増えていくから大変なんですけれども、是非そこは、警察庁は、各都道府県警と協力して頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に移りますので、警察庁の方はいいです。

堀内委員長 阿部長官官房審議官におかれましては、御退室いただいて結構です。

小熊委員 次に、カンボジアとの外交ですけれども、おととい、私、旧救国党の国会議員であったムー・ソクアさんとお会いして、懇談をさせていただきました。また、カンボジアでは有名なインフルエンサーのワン・レアケナーさんも同席して、いろいろお話を聞きました。

 これはずっと長い取組にはなっていますが、日本の果たすべき役割が、中国に対してなのか何なのか、ちょっと遠慮しがちなところがあります。でも、戦後、日本が戦争で敗れた後、日本が比較的リーダーシップを取ってカンボジアの和平に寄与した形になっていますし、その後の地雷撤去など、また人道的支援、また警察官が派遣されて亡くなったりという、まさに血も流しているところで、かなり努力をしてきたんですが、最近の日本外交におけるこのカンボジアへの取組というのは、少々、残念ながら一歩腰の引けたものになってきています。

 日本がリーダーシップを発揮した一九九一年のパリ和平協定では、人権及び基本的自由がカンボジアで尊重され、遵守されることを促進し、奨励することを約束すると定められているんですけれども、現状では、親子二代にわたっているフン一族の支配の下で、日本も、不正選挙だけれども、選挙監視団を出すと、不正なのに正しい選挙だったということで担保されちゃうということで、逆に選挙監視団も出さないぐらいの選挙になっちゃっているわけです。こういった中で、民主主義というものがカンボジアで崩壊をしていますし、著しい人権侵害も横行しているわけであります。

 日本がリーダーシップを発揮したこのパリ和平協定、この約束をどう今後履行していくのか、実行していくのか、大筋をお伺いいたします。

岩屋国務大臣 委員が御指摘のとおり、我が国は、一九九一年に締結されたパリ和平協定の締約国であり、カンボジアの民主的発展に向けた取組を実施をしてまいりました。

 民主主義というのは、やはり国民が多様な意見を表明し得る環境が重要でございますので、政府としては、これまで、カンボジアの政府、与野党、市民社会など幅広い関係者との間で意見交換し、率直な意見を伝えるとともに、継続的な支援を実施してまいりました。

 カンボジアの与野党の若手政治関係者を日本に招聘して、党派を超えて交流をし、日本の与野党議員との意見交換、あるいは地方選挙の視察を通じて、日本の複数政党制民主主義を学ぶ機会を提供するなどの努力も積み重ねてきております。こういった取組を更に強化していきたいと思っています。

 カンボジアの民主的発展は、カンボジア自身にとってはもちろんですけれども、地域や国際社会にとっても重要だと思いますので、このカンボジアの民主的発展ということに関しては引き続き後押しをしていきたいと考えております。

小熊委員 優等生的な発言ですけれども、一党支配になっているから、いびつな状況で、向こうの議員はもう一党だけで支配されている中で、いろいろ日本の民主主義を見てもらっているといっても、余り効果はないのかなと思います。

 ちょっと話題を変えますけれども、邦人保護というのは外務省の大きなテーマの一つでもありますし、日本国民の生命と財産を守るというのも我々政治家としての責務でありますけれども、じゃ、邦人とか国民というのは何、どう定義するのかというのは、まずは国籍を持っていることも一つですよね。

 でも、日本国籍を取得したカンボジア人の男性が、カンボジア政府の圧力によって宗旨変えをせざるを得なかったことがありました。日本人と結婚されて、日本国籍を取って。ただ、本国で家族を人質に取られて、もう今や首相のアドバイザーにもさせられてしまっているという状況です。

 また、日本国内で、日本にいるカンボジア人の方々が監視をされていたり、また、いろいろな恫喝を受けています、日本の国内でです。こういった状況を見過ごすわけにはいかないんですけれども、こうした状況、日本国内で行われている、カンボジア大使館が中心に行っているこうした恫喝や恐喝、日本国籍を持った人にもそれをした、これについてはどうですか。

岩屋国務大臣 委員は、ハイ・ワンナー氏の話を今されたんだと思います。外務省としても、様々な情報や報道については承知をしております。

 個別の事案についてのお答えは差し控えたいと思いますけれども、言うまでもないことですが、国内で法令違反が疑われる事案を把握した際は、関係機関で連携して調査、捜査を行って、法令に違反する行為が認められれば、厳正に対処することとしております。

 カンボジアの人権をめぐる状況については、政府としても今後ともしっかり注視をしていきたいと思っておりますし、カンボジア政府とも適切に意思疎通をしていきたいと考えております。

小熊委員 厳格にということで、確認ですが、カンボジアの外交官でも、別にそれは差別をせずに厳格にやるということですか、法令違反があれば。

岩屋国務大臣 外交特権との関係もあろうかと思いますので、捜査当局において適切にそれは判断されるものと思っております。

小熊委員 大臣の方からハイ・ワンナーさんの話が出たので、まさにそのとおりでありますし、それ以外にも、家族を人質に取られて、いろいろ脅されている状況でもありますし、ちょっと、おととい、お聞きしたんですけれども、ワン・レアケナーさんは、ハイ・ワンナーさんが首相から、あいつだけは許せないというふうにもハイ・ワンナーさんを通じて言っていたという話もありますので、今、彼女は様々な形で日本でも活動しています。

 かつては、日本ではありませんけれども、タイでは、旧野党の国会議員が暗殺までされているんですね。これはタイで起きた事件でありますけれども、そうしたことです。日本では、不幸にして、まだ命は奪われていませんけれども。これは、通り一遍の注視の仕方では、ちょっと私はそんな状況ではないなと思っています。

 ちょっと、同じカンボジアで次に移りますけれども、今、特殊詐欺の問題もあります。東南アジア一帯で拠点が広がっていて、カンボジアもその拠点の一つになっていますけれども、これも、ほかの東南アジア一帯でそうですけれども、中国マフィアの関与が非常に色濃いというところでもあって。

 日本では余りないんですけれども、韓国の映画では、この特殊詐欺、東南アジアを拠点にしたやつが結構撮られていまして、フィクションですけれども。でも、元になるものがあるわけですよ。やはり中国マフィアなんですね、それも登場人物は。それがもう韓国でも一般的に認識されているから、そういったフィクションもできてくるということであります。

 カンボジアにおいては、とりわけフン・センさんのおいっ子だか何かが関わっていて、その資金も提供を受けちゃっている。まさに、中国マフィアとカンボジア政府がつながっちゃっているという状況なんですね。

 そういうところで、特殊詐欺被害者は日本の国民も多くいるわけですよ。カンボジアに取り締まれと言ったところで、やはり中国側の問題もあるわけですよ。カンボジアの問題は、中国政府に対してもしっかりアプローチしなければ解決しない問題だと思います。その点についてはどうでしょうか。

岩屋国務大臣 特殊詐欺の被害が拡大しておりますし、日本人を含む多数の人々が逆に今度は犯罪行為に加担させられているという実態を受けて、国際的な特殊詐欺対策は急務だと認識をしております。

 政府としては、外国当局による摘発への協力のための様々な施策、例えば関係各国の当局間の情報共有の促進、あるいは国際機関と連携した法執行能力の構築支援に取り組んでいきたいと思います。

 この取組の一環として、五月の一日に、カンボジアを含むASEAN諸国との実務者会合を日本と国連薬物犯罪事務所との共催でバンコクで開催をしたところでございます。

 カンボジア政府との間では、我が方の植野駐カンボジア大使を含め、現地の大使館がカンボジア政府と緊密にやり取りをしております。

 また、中国との関係でいいますと、三月の日中韓外相会合においては、私から、特殊詐欺対策に関する関係国の連携の重要性を強調したところでございます。

 今後も、アジア各国、もちろん中国も含めて、国際会議の場など様々な機会を捉えて、この特殊詐欺対策での連携を強化してまいりたいと思います。

小熊委員 フン政権とつながっているということを踏まえて、厳しくやってもらわなきゃいけません。通り一遍じゃないですよ。お金のやり取りもあるわけですから。それで、中国も今の体制の方がやりやすいから支えているという、これが現実の背景です。その背景を踏まえた上で、しっかり対応していただきたいというふうに思います。

 次に移りますけれども、トランプさんの関税だけでもいい迷惑な話なのに、ある意味悪乗りしているのか、中国が、反ダンピング関税をポリアセタール樹脂というものにかけていくということで。林官房長官も、しっかり、精査しながら適切に対応していくという、一応、官房長官の発言もありましたけれども、そもそも、理屈になっていない話も中国は持ち出してきていて、中国、おまえもかという感じで、本当に悪乗りしてきているな、トランプさんの悪乗りに乗じているなという感じもしますが、これはこれで大変な話になってくるので、これに対してどう対応していますか。

岩屋国務大臣 御指摘の中国によるアンチダンピング措置ですが、これは中国政府が昨年の五月に、日本、米国、EU及び台湾から輸入される御指摘のポリアセタール樹脂に対するアンチダンピング調査を開始をしております。そして、この一月に暫定的な調査結果を公表の上に、暫定措置を発動した後に、五月十八日にアンチダンピング措置として追加関税を五年間賦課する旨を最終決定して、発動に至ったと承知をしております。

 昨年の五月にこの作業を中国サイドが始めたということは、必ずしもトランプ関税と連動しているということではないんでしょうけれども、政府としては、中国側に対して、日本企業による対象製品は中国の国内産業に損害を与えていない、したがって、アンチダンピング措置として追加関税を賦課すべきではないと繰り返し申し入れているところでございます。

 今後の具体的な対応については、当該措置が与える影響について分析するとともに、関係省庁と連携し、また、関係企業の意見も踏まえながら検討していきたいというふうに考えているところでございます。

小熊委員 調査に入った段階から、日本は自国のことは分かっているわけですから、正しい主張をしてきたわけですよね。してきたら、伝わらなくて、こうなっているんですよ。それは何でというところなんですね。

 だって、そうでしょう。だって、言ってきたんだもの。いや、こんなのは全然調査されたって、ちゃんと正しいですよと言ってきたわけですよね。それなのに、こうなっちゃったわけです。伝わっていなかったということですよね、日本の主張がですよ。調査の段階から言っていたわけですよ、正しい主張を、日本は。でも、それなのに違ったわけですね。何でこう違っちゃったんですか。正しい日本の主張が伝わっていなかった、伝わらなかったということですよね。そこは何と。

 だから、理屈に合わないことをやるというのがトランプのまねじゃないのと、調査は前からやっていたけれども。だって、日本はちゃんと理屈を通していたんですよ。

岩屋国務大臣 中国側の意図について説明する立場にはないわけですけれども、伝わらなかったのではなくて、伝えたけれども理解をしなかったということだと思いますので、これは厳しく抗議していかなければいけないことだと思っております。

小熊委員 ありがとうございます。

 理解していないというか、本当は理解しているんですよ。中国人だってばかじゃないんですから、中国政府だって。

 だから、これがもう外交上のちゃんとした理屈での戦いではなくて、まさに無理筋を通そうとするところですから、これは絶対許し難い問題でもあるので、強い態度で交渉に臨んでいただきたいと思います。

 次ですけれども、アメリカが自動車運搬船の入港料を取るという話で、事実上の関税と一緒です。イギリスともアメリカは妥結したし、中国との交渉もよかったとトランプさんは言っているけれども、はっきり言えば中国にだだ折れしたなと思っています。日本も今交渉中ですが、是非ここは頑張っていただきたい。

 大臣にもいろいろ御提案した映画とかドキュメンタリー、赤澤大臣にも言ったら見ていただいているようで、私も何がしかの役に立ったのかなというふうに思います。

 ただ、どこかで何か得点を上げようとしてトランプさんも焦っているのか、こういうことをやってきている。こういうことをやることが自分自身の経済を傷つけると一回覚えたはずなのに、またやろうとしているわけですよ。入港料をいろいろ計算すると、相当の値上がりになっちゃって、船舶会社もそれを自社で負えないから、やはり価格転嫁していくしかないというふうになっているわけですよ。そうしたら、事実上の関税と一緒ですから。

 私の大好きな映画俳優の一人であるロバート・デ・ニーロ様の、カンヌ国際映画祭で名誉パルムドールを取って、よかったなと思ったんですが、ああいう映画界でも政治的発言はみんな余りしないんですけれども、彼は政治的発言もして、俗物の大統領と言っておりましたし、今日は質問しませんけれども、映画に関税をかけるというのは、本当にどうしようもないですよ、これは。こんなのあり得ない話だし、それも彼は怒っていましたけれども、今日は運搬船の入港料の話なので。ここも強くアメリカに交渉していかなきゃいけない。

 関税交渉の対象ではないかもしれないけれども、事実上の関税措置と変わりませんから、自動車に関してですから。併せてテーマにのせていって撤回をさせるということが必要だと思います。対応と取組をお願いします。

岩屋国務大臣 御指摘の今回の米国政府による措置についてですが、委員御指摘のとおり、国土交通省が海運業界から聞き取りをやっておりますが、海運を含むグローバルサプライチェーンの混乱、また我が国海運事業への深刻な影響が想定される声もあると承知をしております。

 日米協議が今進行中ですが、この議論の詳細については、外交上のやり取りでございますので、つまびらかにすることは差し控えたいと思いますが、これまでの関税措置に加えて、この様々な課題についてしっかり協議をして解決をしていかなければいけないと考えております。

小熊委員 国交省が聞き取りをしているということですけれども。でも、発表されている内容でいえば、日本が、三百二十隻ぐらい日本の船があって、何台ぐらいやっているというのもあるので、もう計算はできてきて、どのぐらいマイナスになるかというのは見えている話なので、調査の上、いろいろやるということじゃなくて、もう数字的には分かっている話ですから、是非そこは俎上にのせなきゃいけないと思いますよ、これは。三回目の赤澤大臣のやつにも。

 終わった後でこれもというのは、言われた方も、えっとなるので、これも併せてやっていかないと自動車を守っていけないし、そもそもこの取り方が、もう守る守らないじゃなくて、これも無理筋の話なので、是非、そこは俗物の大統領に対してしっかり厳しくやっていただきたいなというふうに思います。

 今日、いろいろ質問させていただきましたけれども、日本のやっている外交の精神とか方向性というのは、僕は決して間違っているものではないというふうには思っていますが、余りにも目配りをし過ぎていて、時には弱腰外交とも言われてしまいます。

 間を取ろうとして何も取れないときもあるかもしれないし、相手に誤解を与える場合もある。白黒はっきりつけることだけが外交手段ではないというのも私も理解するところではありますけれども、やはり一線というものはあります。カンボジアの外交もそうですよ、今回の関税措置もそうですよ、ディールじゃないですよ、これは。無理な話で、理論が破綻している話ですから。

 最後に御感想を聞きたいんですけれども、マーチン・ルーサー・キング牧師が、最大の悲劇は、悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙であるというふうに言っています。沈黙は、暴力の陰に隠れた同罪者であるというふうに言っています。そういう同罪者にならないように、日本の外交の精神をしっかり守って、世界の利益、世界の平和に寄与していただきたい。一言だけ、何か。

堀内委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

岩屋国務大臣 御指摘をしっかりと踏まえて、外交を進めてまいりたいと思います。

小熊委員 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 今日は、前半はインドについて、後半はトランプ関税についてお伺いをしたいと思います。

 なぜインドかといいますと、連休の後半、五月一日から六日の朝まで、額賀衆議院議長のインド公式訪問に同行して、インドに行ってまいりました。自民党の議員三人、それから立憲から私一人、議長、国会議員五人で訪問をいたしました。私にとって初めてのインドで、いろいろ学ぶことも多かったので、初めはインドについて質問をしたいと思います。

 ちょうど私たちが訪問した時期が四月二十二日のカシミール地方でのテロの直後で、パキスタンに対してインドがどう対応するかという非常に差し迫った状況での訪問になりました。額賀議長は去年の十月にも訪問されていて、二年連続なんですね。それは、去年訪問されたときに、今後五年間で五万人の人材交流をしましょうということをモディ首相と合意をして、その気持ちを伝えるために、一回だったら訪問するけれども、二年連続で訪問をしたら、相手の国にもこちらの熱意が伝わるはずだからということで、今年訪問をして、モディ首相に面会を求めていたんですけれども、このテロに対する対応ということで、お会いすることができなかったんです。

 その代わりにといいますか、初めから計画されていましたけれども、ジャイシャンカル外務大臣と会談をいたしまして、当初三十分の予定が、一時間以上時間を取っていただいて、いろいろな意見交換をいたしました。

 そこで、インドとパキスタンの情勢ですけれども、まさに私たちが帰国した翌日、七日にインドがパキスタンを攻撃をしたと発表もありましたし、緊張が高まったわけですけれども、現地で聞いた話としては、カシミール地方で二十六人の犠牲者が出た。それは単なる無差別発砲ではなくて、一人一人ヒンズー教徒かと確認をして殺害をしている。家族でそこを訪れていて、目の前で夫を亡くした女性もいるし、かなりやり方が残虐であったということ。

 それから、テロの首謀者と言われている人、かつてのオサマ・ビンラディンのような人がいて、パキスタンに逃げ込んでいる、それをかくまっていると言われていて、引き渡せとか、いろいろ裏で交渉というか、インドが要求をしていた中で、世論を見たときに何もしないわけにはいかないから、日本大使館のブリーフィングでも、攻撃はするかもしれない、過去には一往復して終わるということがあったので、そういうこともあり得るし、アメリカは、余りエスカレートしないようにということを一生懸命言っているという状況での訪問でした。

 初めの質問は、外務省に、今のインド、パキスタンの情勢をどのように分析しているか教えてください。

柏原政府参考人 お答えいたします。

 今委員からもお話がございましたように、四月二十二日にカシミールでテロ事件が発生し、その後、五月七日に、インドが、パキスタン領及びカシミールのパキスタン支配地域のテロリスト拠点九か所を攻撃したというふうに承知しております。さらに、その後、五月十日未明に、インド軍がパキスタンの空軍基地を攻撃し、パキスタン軍が反撃としてインドの軍事施設を攻撃したというような経緯があったというふうに承知しております。

 こうした中、五月十日、インド及びパキスタン両国がそれぞれ軍事行動の停止に合意をしたということを発表したということでございます。日本政府といたしましては、この両国の合意を歓迎しております。この合意を歓迎するとともに、今後の情勢については注意深く見ていきたいというふうに思っております。

亀井委員 今日は防衛省にも来ていただいておりますが、中谷防衛大臣もインドを訪問されていて、帰国便が一緒でした。ですので、私たちも行く先々で必ずテロの話は出て、最初はお悔やみを申し上げてというところから始まったんですけれども、同じように、やはりそういうテロの話であるとか、あと、元々の日印の協力の話とかがあったと思いますので、防衛省の方に、中谷防衛大臣のインド訪問について、現地で得た情報や日印防衛協力など、会議の内容、成果について御報告いただきたいと思います。

本田副大臣 お答えいたします。

 中谷防衛大臣は、今月の五日にインドを訪問し、シン国防大臣との会談を実施いたしました。

 まず、四月二十二日にカシミールで発生したテロについては、中谷大臣からシン国防大臣に対して直接、犠牲となられた方々へ心からの哀悼の意を表するとともに、テロはいかなる理由をもっても正当化できない、その旨をお伝えをいたしました。その上で、南アジアの平和と安定のため、関係国が責任ある行動を取ることを期待する旨も述べました。

 また、日印防衛協力については、中谷大臣とシン国防大臣との間で、日印両国を取り巻く情勢が複雑化する中、法の支配に基づき、平和で繁栄したインド太平洋を目指すという理念を共有する日印両国が、防衛面での協力と連携を強化し、相乗効果を生み出すことで、地域全体に新たな価値と利益をもたらしていくことが重要であるとの点で一致をいたしました。

 その上で、中谷大臣からは、日印の防衛当局間において、先ほど申し上げたような方向性を具体的に、インド太平洋地域における日印の防衛協力、いわゆるJIDIPと呼んでおりますが、これを位置づけまして、その下での協力、連携をスピード感を持って具体化していくことを提案をいたしました。先方からは、これを歓迎し、今後中身を議論していきたいとの発言があったところであります。

 このように、今回の中谷大臣によるインド訪問により、シン大臣との間で、これまで積み重ねてきた協力と連携の上に、日印の防衛協力の今後の方向性について改めて一致した、その上で、具体的な協力、連携をスピード感を持って進めていくことを確認できました。このことは、非常に大きな成果であったと考えています。

亀井委員 インドというのは、日本が中国と接する上でも非常に大事なパートナーだと思いますし、また、アフリカに進出するという意味でもインドの知見というのはいろいろございますし、戦略的にも経済的にも今後大事なパートナーだと感じております。

 更に質問を続けます。

 今回、アッサム州、紅茶でアッサムティーとあって有名ですけれども、アッサム州を訪問しました。現地四泊のうち、デリーに二泊、それからアッサムのグワハティに二泊しました。アッサム州というのはインドの北東部、逆三角形のインドの右上のところに廊下のようなところがあって、ブータンとかバングラデシュの方にちょっと張り出している地域なんです。ここが非常に親日的なんですね。

 額賀議長が訪問した理由は、去年ですか、シャルマ首相というアッサム州の首相が議長を訪問したことに始まって、それに対してこちらも伺ったわけですけれども。

 今、モディ首相はこのアッサム州に物すごく投資をしています。といいますのは、インドはモディ首相の率いるインド人民党と各州の州の首相の政党が一致しないケースがかなりある、地方政党が強いので、それが一致しているときはダブルエンジンと言うらしいんですけれども、かなり分かりやすく投資をするんですね。

 今、シャルマ首相というのはBJPなので、投資をモディ首相がどんどんしていまして、日本のJICAのODAプロジェクトもあります、橋を建設していたりするんですけれども、現地の財閥のタタが半導体工場を今造っていまして、この建設現場にも視察をしております。

 そこで外務省に質問ですけれども、今この地域でどんなODAが進んでいるのか。何か橋を建設していて、それができると、今まで何時間もかかっていたのが二十分で着くんですというような説明も受けたんですけれども、日本の今進めているプロジェクト。それから、半導体の工場建設地の周りは本当に田舎で、これは工場ができても輸送はどうするんだろうと思ったりしたんですけれども、今後のインフラのいろいろな計画など、何かあるのかということも含めて教えてください。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 インド北東部でございますけれども、日本の自由で開かれたインド太平洋構想とインドのアクト・イースト政策が重なる地勢的な要衝でございます。

 我が国は、これまで、アッサム州において、御指摘の橋梁それから北東州道路網連結改善事業、こういったことを実施してきていました。そのほかにも、上下水道整備ということで、グワハティの上水道、下水道、そういったものの整備といったこともODAで実施しているところでございます。近年は、先生が御指摘のとおり、タタ社を始めとした民間投資も活発に行われていると承知しております。

 インドは、基本的な価値を共有する戦略的な重要なパートナーでございまして、引き続き、インド側のニーズも踏まえながら、我が国の強みを生かした協力を実施して、日印関係を更に強化してまいりたいと考えております。

亀井委員 今回の訪問は、国会議員五人だけではなくて、外務省はもちろん、国交省、経産省も現地で合流していますし、日本のインドに投資をしたいと考えている企業も同行して、かなりの人数でアッサム州にも行ってまいりました。向こうでかなり歓迎もしていただきましたし、それから、最後に、シャルマ首相とのかなりプライベートな食事会などもあって、少人数でお話をすることができたんですけれども。北東部というのは、歴史的な背景もあって、かなり親日的なところだと感じました。

 食事会のときに、私、パール判事の話を出したんですね。インドといえば、やはり、東京裁判のときに、パール判事は日本側の弁護をしてくれましたよねという話をしましたら、あれはパール判事じゃなかったとしても、インドから判事が出ていたら皆同じ行動をしただろうと言われました。それは、日本側ではもう語られていない歴史かもしれないけれども、英国からインドが独立するに当たって日本は一緒に戦ってくれた、そういう記憶がインドの方にはあるからだと言われまして、特にそういう気持ちが強いのが、コルカタ、旧カルカッタと言われるところと、インドの北東部なんですね。

 ですので、今回言われたことは、日本が今経済発展しているからとか技術力があるから日本に支援を求めている、ただそれだけじゃなくて、もっと歴史的な背景があって協力してくださいと言っているんですよということを言われたのは、すごく私も印象に残りました。

 ですので、いろいろな意味で、やはりインドというのは今後非常に大事なパートナーである。額賀議長いわく、民主主義、法の支配という共通の価値観を共有しているユーラシア大陸の国で、ロシア、中国は違うのだから、やはり十四億の民が暮らすインドともっと交流をしていくべきであるということをおっしゃっているんですが、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 インドは、御指摘のように、基本的価値を共有する、我が国にとって自由で開かれたインド太平洋のある意味中核を成す戦略的なパートナーだと思っておりまして、インドとの関係は極めて重要だと考えております。今日の委員のお話も大変参考になり、勉強になりました。感謝申し上げたいと思います。

 インドは、今はもう中国を抜いて世界一の人口を擁しておりますし、成長も著しい有望な市場でもありますし、FOIPだけではなくて、クアッドという枠組みでも重要なパートナーですし、また、委員がおっしゃったように、アフリカへの中継拠点ということにもなっていくんだろうと思います。

 いろいろな意味で重要なインドとの二国間関係を更に強化していきたいと考えておりますが、今、日印特別戦略的グローバルパートナーシップという名の下に、人的交流を含め幅広い分野において日印関係を強化していくという取組がスタートしておりますけれども、額賀議長のおっしゃった人的交流、今後五年で五万人ということも含めて、しっかりインドとの関係を前に進めてまいりたいと思います。

亀井委員 五万人というとかなりの数のように思えますけれども、人口が十四億いる中の五万人なので、向こうから見たら大した数じゃないんですよね。それで、交流なので、日本側からもインドに行く人がいるように、交流を目指していきたいということでございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、インドはこのぐらいにして、トランプ関税について伺いたいと思います。

 トランプさんというのは、例えば日本は米に七〇〇%の関税をかけていると言ったり、かなりめちゃくちゃな、事実に基づかない発言をする方ですけれども、でも、一方で、今回の相互関税については、突発的なことじゃなくて、かなり計画的に、深い考えというか強い決意を持ってやっているように私には思えます。

 交渉するときに相手が何を考えているかというのをなるべく理解して交渉に臨んだ方が、この人はめちゃくちゃだよねと思いながら交渉するのとはやはり違ってくると思うので、そういう意味で、私はトランプさんを理解しようとして、いろいろ考えております。

 私は、トランプ大統領というのは、やはりアメリカ自らがずっと主導してきた自由貿易、グローバル経済を強い決意で転換させたい、反グローバリズムという運動もこれまでありまして、やはり関税というもので自国の利益を守りたいという方に転換をしようとしているのだろうと感じています。

 それは、やはり対中国ということがあって、中国のトウショウヘイによる改革・開放政策というのは一九七八年からですけれども、当時中国が自由主義的な経済を取り入れたときに、それで国が豊かになったら、もしかして中国の政治体制も変わってくるかもしれない、やはり民主主義、自由経済というのはいいものだなというふうに中国が変わってくることを期待したんだろうと思いますけれども、実際には全く政治体制は変わらず、習近平の権力は増し、国は豊かになり、そして、日本ももうGDPは抜かれ、今、アメリカが一位、中国二位だけれども、結局、このままこの体制を続けていると、グローバル経済で一番得をしたのは中国で、いつかアメリカもGDPで抜かれてしまうかもしれないから、もうこの体制はやめにしたいということで、これだけ性急な行動に出ているんじゃないかなというふうに私は見ています。

 なので、今、日本としては、自由貿易体制に戻ってきてくださいねということで交渉していますし、日本も特別なパートナーだから例外をお願いしますと言っているわけですけれども、いろいろと御発言できないことは多いかと思いますけれども、ただ、トランプ大統領がこのような行動を取る背景ですとか、どのようにトランプ関税について外務省として分析をされているか伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 大変難しい御質問で、私も、いつもここまで来ていることを抑えて、しゃべらないようにしていることが多いものですから、そこは御理解をいただきたいと思います。

 米国政府あるいはトランプ大統領の意図について、政府として予断を持ってお答えする立場にはありませんけれども、米国政府が相互関税を発表した際には何を言ったかというと、経済再建のための相互性の追求、国家、経済安全保障の強化、経済主権の回復、米国製造業の復興、貿易不均衡への対処というような言及があったことは事実でございます。

 当然、グローバリズムにも弊害はあるんでしょうけれども、では、反グローバリズムで元に戻っていいかというと、それは決してそうじゃないんだろう、これは私の個人的な見解でございます。米国が主導してきたこの自由な貿易体制の下で、米国自身も大きくこれまで裨益をしてきたことも事実だと思います。

 資源に恵まれない我が国にとって、公正なルールに基づく自由な貿易体制というのは、これは不可欠の我が国の国益でございますので、グローバリズムの弊害は取り除いていかなければいけないと思いますが、やはりこういう体制をしっかりと守っていくということが大事なことだ、それがまた世界全体にとっても大切なことだというふうに考えております。

 ただ、やはり米国においても、選挙ですから、この間、米国の製造業が衰退をしてきてしまった、大統領の言葉で言えば、ラストベルトの忘れられた人々のために米国の製造業を復活させたい、そういう強い思いがあるということは推察できることだと思います。

 そういう様々な米国の考え方も踏まえながら、日米間の関税問題はあくまでも交渉によって、お互いがウィン・ウィンとなるような、そしてまた、それが地域、世界のためにもなっていくような解決策を得られるように、政府一丸となってこれからも努力をしていきたいと考えております。

亀井委員 答えにくい中で、ありがとうございます。

 私がこの質問をしましたのは、トランプさんの後の大統領がまたどういう行動をされるのかということなんですよね。つまり、一回目にトランプ大統領が当選したときは世界中が驚いたわけですけれども、今回はかなり圧勝して、やはり国民に選ばれて二回目の任期があるわけで。

 ということは、やはり、アメリカの製造業が、自動車だけじゃなくて、みんな中国に出ていってしまった、それは日本も同じですけれども。アメリカに行って、では、お土産を買おう、Tシャツを買おう、デザインはアメリカのものであっても、裏返せばメイド・イン・チャイナと書いてある、大体、メイド・イン・USAのものを見つけるのが難しいぐらい海外で製造されているという状況で、あれを見れば、もうここ三十年ぐらいで、みんな製造業が人件費の安いところに出ていってしまったというのは明らかですから、それに対するやはり米国民の気持ちが投票行動に表れているんじゃないかなと思うんですね。

 なので、トランプさんほど急進的でめちゃくちゃな発言をする人じゃなくても、その後に政権担当をする人が、必ずしも今までの自由貿易体制に、全く元に戻っていくということにはならないかもしれないので、そういう意味で、アメリカが今何を考えているのか、なるべく理解を試みた方がいい、そのように思っています。

 米のことについて伺います。農水省にも来ていただきました。

 江藤大臣はまさに辞任をされるわけですけれども、江藤大臣の備蓄米の放出という判断は、私は評価できるものだと思います。ただ、それでも価格は下がりません。

 当初、米はあるけれども、流通が目詰まりしている、そして、今までと違った卸の人が入ってきて、どこかに米があって、投機的な動きをしている、価格が高いときに売ろうとして、どこかに米がどうもたまっているようだけれども、備蓄米を出すことによって市場に米が増えたら価格も下がるであろうということだったんですけれども、この価格が下がらないことについて、今やはり米の総量が不足しているんじゃないだろうかという声もいろいろなところから出てきているんですけれども、農水省は今の現状をどのように分析をされていますか。

 また、加えて、食料自給率三八%なんですけれども、この中で米が占める割合というのはどのぐらいか、それも併せて教えてください。

笹川副大臣 御質問ありがとうございました。

 備蓄米の放出について、価格が下がらないと。今委員の御指摘というのは、多分二通り、二系統の話というふうに思います。

 一系統は、備蓄米の放出というものは、ある程度価格引下げの効果を狙ったものであります。これがまだ十二分に発揮をしておらないというのは、三回入札し、三十一万トンをということでありますが、事実上、まだ市場の方に出ている量が十分ではないということになりますと、やはりこの備蓄米の流通についての問題があるというふうに指摘はあるというふうに思います。

 同時にまた、米全体の価格ということになりますと、いわゆる集荷団体の方に今般米がなかなか全部集まり切らなかった、私の地元でも直接農家に買い付けに来た業者の方もいらっしゃった。全体として今三十一万トンを集荷できなかったということになりますと、その分はどうするんだということがその先の問題ということになりますので。

 ある意味、店頭で一番気にしなきゃいけないというのは、欠品のおそれというものは、やはり皆さん、スーパーも含めて、懸念材料でありますので、そういったことになると、欠品をしないためにはしっかりと確保しなきゃいけないということもあるだろうし、それが、今言ったように直接農家に買い付けたということになりますと、今度は、縁故米も含めてということになりますと、新しい消費者も生まれてくる。

 いわゆる多様な米の流通に対してどうなのかということだというふうに思いますので、そういった意味で、米が不足しているのではないかというようなことについては、やはり、ぎりぎりのところの米の生産ということになりますと、こういった事態のときに対処ができたのかという中での、米が不足しているのではないかというような指摘もあろうかというふうに思っております。

山口政府参考人 自給率と米の関係についてお答え申し上げます。

 日本人一人一日当たりの供給熱量は二千二百三キロカロリーとなってございます。このうち、国産で供給される熱量が八百四十一キロカロリーということで、食料自給率は三八%となってございます。米はそのうちの四百七十八キロカロリーを占めておりますので、供給熱量全体の二二%を占めている状況でございます。

亀井委員 二二%という数字をいただいたので、食料自給率三八%の半分以上、二二%は米であるということですので、いかにこの米を守るかということが大事だというのはもう明らかです。

 それで、先日、ニュースを見ていましたら、イオンがカリフォルニア米を輸入をしたと。米国大使館で何かそのセレモニーをやっている様子が報道されていて、わあ大変だと思いました。民間企業が輸入するのを止めることはできないですし、関税を払ってもなお国産の米より安ければ、消費者はそっちに行くということも十分考えられるわけで、今後心配されるわけです。

 今回、赤澤大臣がまた交渉される中で、やはり、ただでさえ今こういう、たまたま米が市場に不足しているという状態での交渉ですから、政府が譲ってしまうと本当に取り返しのつかない影響が米農家にあると思いますので、ここは是非頑張っていただきたいということと、あと、今回のイオンの米の輸入について、政府は情報を持っていましたかということも含めて伺いたいと思います。

笹川副大臣 イオンの販売につきましては、報道で承知をいたしました。

 それから、先ほどの交渉の件につきましては、先ほども、林長官それから赤澤大臣から、別の委員会でございますが、今後の日米協議に当たっても、農業を犠牲にするようなことではなく、守るべきことは守ることを前提に、引き続き政府一丸となって取り組んでいくという御答弁であり、私自身も今答弁をさせていただきました。

亀井委員 それでは、最後に、大臣に対する質問です。

 先ほどの質問とも関係しているんですけれども、今、自由貿易体制にアメリカが戻ってくるようにという交渉のさなかなので、なかなか御発言できることは難しいと思うんです。ただ、前回質問したときにも、例えばTPPにアメリカは戻ってこないんじゃないかという質問に対して、戻ることが望ましいと思っていますということで、あくまでもアメリカをこちら側に戻ってもらう交渉だということなんですけれども。

 今後、このアメリカの状況を世界各国が見ているわけで、英国と交渉が締結されても、その基本税率の関税の一〇%は維持していますよね。なので、そういうアメリカの姿勢が見えてくる中で、各国が現実的な対応をし始めて、自由貿易の協定は協定で結んでいる国とはそのまま続けるとしても、いろいろな対応を取っていく中で、日本だけが最後まで精神論で、自由貿易の旗を掲げ続けるのですというような対応は取らないでいただきたい、その辺はやはり柔軟に考えて、国益を一番に考えていただきたいなと思うんですけれども、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 それはもう当然のことだと思います。当面のといいますか、国益というものをやはりしっかりと守っていく、これが毀損されないように交渉していくということは大事だと思います。

 一方で、さっきも申し上げましたが、国際公益といいますか、そういうものがしっかり達成されていないと、我が国の繁栄もない。特に、資源に恵まれない我が国にとって、自由貿易体制というものはまさに国益の中核だというふうに思いますので、現実的な対応をしながらも、そういう国際公益というものがしっかりと維持されるための努力もしていかなきゃいけないと思っていますし、WTOが土台になりますけれども、CPTPP、RCEP、あるいは二国間のEPA、FTA、様々な取組を一方で行って、そういう自由な、公正なルールに基づく貿易体制の維持ということにも尽力をしていかなければいけない。その両方をしっかり取り組んでいかなきゃいけないと考えます。

亀井委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。以上です。

堀内委員長 次に、竹内千春君。

竹内(千)委員 立憲民主党・無所属の竹内千春です。

 今日は、在外投票についてお伺いをしたいと思います。

 在外投票の問題というのは、投票率も非常にずっと低くて、ネット投票を導入すべきではないかという声は以前から聞かれていると思います。しかし、いまだにまだその議論が進んでいない。ただ、これは本当にもう悠長に検討しますと時間をかけていられないような、そんな投票する権利の侵害があるんじゃないか、もう既にあるんじゃないか。そういう問題意識から、今日は、在外郵便投票を中心にお伺いをさせていただきたいと思います。

 三月の二十八日に、西岡委員も、こちらの委員会で、昨年の十月の第五十回の衆議院選挙についての質問をされていました。それが資料の一ですね。

 資料の一を御覧いただきたいんですが、資料一の右の方の上、在外投票全般のこの数字、十八歳以上の日本人の数、それから、当日の有権者の数が九万五千四百七十二人。在外投票するには登録をしておかなければいけない、この登録自体が、実は九・二%と一〇%を切っている低さであることも一つ指摘がされていました。

 それで、実際に投票したのが一万七千二百九十一人で、こちらは、総務省の発表等で投票率としては一八・一一と出ているんですけれども、もし分母を海外の十八歳以上の日本人の数とすると一・六五、もう二%を切っているんですというようなことだったんですけれども、これは一・六五という、そういう非常に低い現状があります。

 これに対して、岩屋大臣も、百万を超える在外邦人がいるのに、投票率が二%というのは、機会が十分に提供されていない、政府としても考えていかなきゃいけないと思っている、今、総務省において、このインターネット投票について、制度運用面での論点整理を行っていると承知していますというような回答がこのときされているんです。

 一度総選挙を遡りますと、資料一の左上にあるのが第四十九回のときのデータです。このときは、まだ海外の十八歳以上の日本人の数の統計を取っていなかったと外務省の方から回答がありまして、ですので、このときの登録者数の割合とかが出せないんですね。投票率も、十八歳以上の日本人の数を分母にするものは出せないんですが、ただ、投票者数もそんなに大きく変わっていないことからすると、やはり同じく二%程度だったということが想定されます。

 そうしますと、四十九回から五十回に向けて、むしろパーセンテージとしては悪くなっているというような状態があります。

 これだけ投票率が低いということはもう既に確認がされているんですけれども、実は、ちょっと私が今回これを取り上げようと思ったのが、もしかしたら余り注目されていなかったかもしれない在外投票の在外郵便投票に非常に気になる数字があるので、今回それを指摘させていただきます。

 元々、在外投票の方法は三つあって、一つが在外公館で投票する、そして日本に一時帰国して投票する、そして三つ目がこの在外郵便投票なんです。在外公館というのは、まず数が限られている上に、片道数時間かかる、飛行機代も宿泊費もすごく高い、しかも投票期間も短い。一回日本に帰ってくるというのも、これもハードルが高いということで、やはりセーフティーネットとして、この郵便投票というのが非常に貴重な、重要な意味を持つんですが、今日お示ししたいのは、これがセーフティーネットになっていないという現状です。

 資料の二をちょっと御覧をいただきたいと思います。

 この資料の二は、海外有権者ネットワークの竹永さんという代表の方が、令和六年の方は、下の方ですね、こっちを作成をされて、もちろん、今回了承を得てここに出しています。それを基に、上の方はうちの事務所で作っているものなんです。

 まず、下の方で説明をさせていただきます。

 郵便投票をするときには、まず最初に、海外にいらっしゃる方たちが、一度日本の選管に直接投票用紙を請求しなきゃいけないんですね。そのときに、在外選挙人証も一緒に送る。そして、それを受け取ったら、今度は選管が海外の方たちに投票用紙を送る。そして、またその海外の有権者が投票用紙を送り返すという一往復半をしなきゃいけないということが前提にあるわけです。

 問題なのが、いつ投票用紙を選管が海外の有権者に向けて送るかということなんですが、今、衆議院選挙の話をしています、これは解散の日あるいは任期満了から六十日前ということなんですね。任期満了までということはそうそうないので。

 これは下の方の第五十回をちょっと見ていただくと、第四十九回は史上最短、解散から公示日までが五日しかなかったという選挙でした、昨年の第五十回が史上最短から二番目というか、六日しかないという選挙だったんです。十月九日の解散、この日に選管が、もうその日に用意ドンで送ったとしても、もう公示まで僅か六日しかないわけですね。公示の翌日から海外の有権者が郵便投票用紙を返送開始ができるんですが、本当にこれが投開票日までに間に合うのかということが、かなりここに私は疑問を持っています。

 この四十九回は、このときは任期満了まで行ったので、ちょっと右上にちっちゃく書いていますが、選管の投票用紙発送開始日は八月の二十二日だったはずなんです。だから、この第四十九回は、まれに、海外の有権者からすると余裕を持って投票用紙を受け取れたはずの選挙だったんですね。

 じゃ、そのときにどういうことが起きていたかということなんですが、また資料一に戻ってほしいんですが、資料一の左側の真ん中、在外郵便投票と書いているところです。

 このときに、ここは、公表データで在外郵便投票数が八百八十三でした。ただ、私が注目したいのは、この下の、締切り後に到着した数が百五十八あるんです。これは合計千四十一、千四十一が選管に届いているんだけれども、そのうちの百五十八、一五・二%が締切りに間に合っていない。先ほど申しましたように、この回、このときは余裕を持って郵便投票用紙を受け取れていたはずの選挙なのに、一五・二%が届いていないということなんですね。

 これが、もし本当にこの人たちが少しサボっていて、投票のぎりぎりに送っていたのならまだ分かるんですが、受け取った日に送っていたような状態があったにもかかわらず、もしこれが投票されていない、有効になっていないとすると、これはもう投票権の侵害じゃないか、そういう問題意識を持っているんです。

 今日、総務省の方にもお越しをいただいているんですが、まず最初の質問は、この百五十八名の人たちは、自分の票が時間どおりに間に合わなかったということ、この人たちは知る権利がやはりあるんじゃないかと思うんですね。

 先ほども申しましたように、投票用紙を請求して受け取って、また投票している、これはかなりの金額、お金がかかっているんですね。その人たちが、自分の投票用紙が、投票が届いたかどうか、これは知らされているのか知らされていないのかをまずお聞かせください。

古川大臣政務官 お答えいたします。

 国内の不在者投票制度と同様、投票管理者は、投票所を閉じる時刻までに投票の送致を受けた場合には、これを保管し、受理すべきかを決定した上で、投票箱を閉じる前に投票箱に入れることとされております。

 投票所を閉じる時刻以降に投票管理者に送致された場合は、これを投票箱に入れることはできません。投票所を閉じる時刻に間に合わなかったことにより投票箱に入れられなかった場合に、当該選挙人にその旨を通知するような制度とはなっていないところです。

 仮に通知するとした場合、送致が間に合わなかったことには、選挙人の手続の遅れ、郵便事情による遅延など様々な理由が考えられること、どのような理由で送致が間に合わなかったか分からないにもかかわらず、通知する根拠がない中で通知することによって双方に不必要な混乱が生じるおそれがあること、国外に居住する選挙人へ個別に通知することにより選挙管理委員会に事務負担が生じることなどが考えられ、問題が多く、慎重に考えるべきものと考えます。

竹内(千)委員 ちょっと時間があれなんですが、今、資料一の左下にもう一つちょっと大事な数字があるので、これもお伝えをしたいなと思っています。

 在外郵便投票の交付数、今、済みません、小選挙区の方をずっと私は言っています、千七百三十七枚が、投票用紙が交付をされているんですね。七十八枚返却があったということで、有権者の手元にある投票用紙、千六百五十九枚ありました。そのうち、先ほど申しましたように、八百八十三人がこのとき投票しているんですね。そうしますと、投票用紙を手にした人の四六・八%しか投票していないということがあるんです。

 これはもう、登録をしただけでなく、投票用紙をわざわざ日本にお金をかけて郵送して、投票する気満々だった人たちとも言えるんじゃないかと思うんですね。それなのに、四六%の人が投票をしていない。この中には、このデータとしては、百五十八人、先ほどの届かなかった人も入っているので、投票されなかった数というのは誤解かもしれません。投票が不成立だったのが七百七十六、四六・八はもう投票になっていないという状況があるんですね。

 このような状況を繰り返さないためには、先ほど百五十八人の方に知らせることが難しいというお話はあったんですけれども、やはり、まず、投票用紙を本当に選管が、投票すべき日に、一番最初の日に送っていたのか。そして、その遅れた百五十八人の人たちの投票用紙がいつ届いたのか、一日遅れなのか十日遅れなのかというようなことを、ここは分析をしないと、次、またずっと続いていくんじゃないかと思われるんですね。

 その辺の、そういうデータは取られているんでしょうか、続けて総務省にお伺いします。

古川大臣政務官 お答えいたします。

 郵便投票を行った在外選挙人が、投票用紙等を請求した日や、その交付を受けた日、投票用紙に投票の記載をし、選挙管理委員会に対し送付した日などは、総務省としては把握しておりません。

 各選挙管理委員会において、投票用紙の請求を受けた際は直ちに投票用紙等を発送することを要請しているところであり、各選挙管理委員会においても適切に対応しているものと認識をしております。

竹内(千)委員 もう一度、資料一の右側に行きます。

 今度、第五十回なんですけれども、結局、在外郵便投票で前回届かなかった人が百五十八人で一五・二%だったと。ところが、令和六年、ここのデータはまだ公表されていないんですけれども、この質疑に当たって、一昨日総務省の方からデータをいただいて、ちょっと作ったんですけれども、また今回も、四十九枚の、四十九人分の投票用紙が間に合わなくて、これは全体の一六・七%の人たちが結局カウントされていないということになる。もしかしたら、前の百五十八人とかぶっているかもしれない。そして、先ほどと同じように、投票が成立しなかったパーセンテージは五四・三%と半分を超えているんですね。

 それで、外務大臣、岩屋大臣にお伺いをしたいんですが、先ほどもお話がありましたけれども、やはり在外邦人の権利保護というのは外務大臣のとても大事な仕事だと思うんですよね。本当に大事な投票、憲法上の権利が事実上侵害されている。そうしたら、これはもう待ったなしじゃないか。

 まず、今いろいろ、データを追跡することは難しいというお話があったんですが、本当に今回のこの四十九枚は、どうやってこれが生じているのかも含めて、これをちゃんと調べて、一人も投票するぞという人たちの意思を取りこぼさない、在外ネット投票の可能性も含めて、大臣の見解をお聞かせをいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 先ほどから非常に重要な質問をしていただいていると感じております。

 在外選挙については、私自身、政治家として非常に強い問題意識をこれまで持ってまいりました。大臣に就任する前にも、自民党の選挙制度調査会、今日、逢沢先生はお越しでありませんが、その選挙制度調査会での活動や超党派の在外投票を推進する議員連盟を通じて積極的に関わってきたところでございます。

 これだけ多くの邦人、日本人が海外にいて、そして、選挙権というのは参政権、憲法が保障する、いわゆる人権の重要な構成要素だと思いますけれども、それがしっかりと行使できていないということは、やはり大変な問題だというふうに私は思っております。

 しかし、選挙制度ですから、これはもう基本的には全政党会派の皆さんの合意によって改善をされるということが前提になろうかと思いますので、是非、在外投票の改革について国会において議論を活性化させていただきたいと思っているところです。

 一方、外務大臣としては現行制度の下でベストを尽くすしかありませんが、外務省としては、各在外公館のホームページ、領事メールの配信、現地の邦人紙、新聞ですね、等を通じて在外投票の広報に努めてきておりますし、郵便投票についても早めの手続を呼びかけてきております。

 また、昨年四月から、在外選挙人証を在外公館で印刷することによる交付の迅速化の取組を開始をいたしまして、申請から手交までの、お渡しするまでの期間の短縮に努めております。

 こういった努力は、外務省としては、今後ともしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

竹内(千)委員 ありがとうございます。

 繰り返しになりますが、今、そもそも公館でやる、一時帰国する、これが難しい。郵便投票、これは、半分ぐらいは海外の郵便事情に頼らざるを得ないわけですよね、日本がコントロールできないことにあるので。しかも、今の衆議院の解散、この短さをやったら、どれだけ早く出してくださいと言っても、不可能なものは不可能。だから、ここをしっかりまずは分析をして、この権利侵害を是非とも止めてほしい。ネット投票の検討はもう待ったなしじゃないかというふうに私は思います。

 続きまして、国際仲裁についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 国際仲裁は、裁判と違って、実施国を問わず、ほぼ同じ手続で紛争解決をすることができる、そのような様々なメリットがあります。企業間のみならず、企業と国家、国家間の紛争の中立的な解決手段としても利用されているというようなことで。

 アジアでは、シンガポールの国際仲裁センター、香港の仲裁センター、そして韓国、中国、マレーシアというのが主な仲裁センターで、日本でも日本商事仲裁協会が、JCAAがあるんですけれども、今、年間の取扱いが約二十件程度と、海外の仲裁機関に比べても数十分の一というふうな状態になっているという現状があります。

 今日お配りしている資料三、こちらの方は、そのような中で、日本の中小企業が海外に出ていくときに、紛争が起きた場合に、この日本の国際仲裁機関も一つ使えるというようなことが、日本の中小企業の海外展開への後押しにもなるということから、内閣官房、法務省、外務省、様々な機関が一緒に連携しまして、国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議というのがつくられて、検討されてきて、令和六年に出された指針がこちらであります。

 時間の関係でちょっと省きますが、四ページに、今後講じるべき主な施策というのを、八回か九回かな、済みません、その会合の、最終的にこれが作られています。それぞれに関係省庁が、ここの分野はこの省庁が、ここはこの省庁がというふうに書かれているんですけれども、全体に関わっている法務省、今日、済みません、法務省の方にも来ていただけていると思うんですが、この指針を受けて、これが昨年に出され、一年半ぐらいたつんですかね、その間に、実際にどのような取組をされているのかをお聞かせをいただけたらと思います。

堤政府参考人 お答えいたします。

 委員が御指摘のとおり、政府は、昨年五月、これまでの取組で得られた知見や民間有識者の意見等を踏まえまして、国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議におきまして、国際仲裁の活性化に向けて考えられる施策、いわゆる令和六年指針を策定いたしました。

 この令和六年指針においては、今後行うべき具体的な施策として、特に国内の中小企業をターゲットとする広報活動などの国内外における周知啓発活動、日本商事仲裁協会等の我が国を拠点とする仲裁機関の国際的な認知度及び評価向上のための必要な取組、大学生、法科大学院生、司法修習生等の若年層を対象とした各種教育等の活動などによる人材育成などが掲げられております。

 法務省としましては、令和六年指針に基づき、関係府省及び民間団体と協力し、企業向けのセミナーや学生向けの講義を実施し、また、昨年十一月には日本国際仲裁ウィークと題する一週間にわたる広報イベントを開催するなど、国際仲裁の活性化に向けた取組を進めているところでありまして、引き続きこのような取組を積極的に推進してまいりたいと考えております。

竹内(千)委員 ありがとうございます。

 また、外務省の方も、項目は限られてはいるんですけれども、国内外における周知啓発活動等、官民連携の在り方等、それぞれ役割分担が入っている中で、一つ、国際仲裁等に関する官民意見交換会というものがつくられているようなんですが、こちらは、法務省、経産省、内閣官房と、政府関係はこの三つが入っているんですけれども、ここに外務省が外れているのは何か理由があるのか、この意見交換会のメンバーには入っていないけれどもきちんと連携しているのか、その辺についてお伺いをさせていただきたいと思います。

小林政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘の官民意見交換会でございますが、今回確認いたしましたところ、まさに委員が御指摘のとおり、法務省、経済産業省、内閣官房の関係府省と、法曹界、仲裁調停機関、それから経済界、学識者等を中心に、国際仲裁の活性化に向けた現状と課題について意見交換をするための場として開催されているということでございました。外務省への参加の要請や情報の共有は、今のところは特段行われてはございません。

 一方で、まさに委員が御指摘いただきましたとおり、政府の枠組みといたしましては、国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議が開催されておりまして、外務省といたしましても、同会議及び幹事会に積極的に参加、そして貢献をさせていただいているところでございます。同会議が策定いたしました令和六年指針、まさに御指摘のとおりでございますけれども、外務省の関連施策も盛り込まれてございます。

 引き続き、関係省庁そして関係機関と連携して施策を進めてまいりたいと考えてございます。

竹内(千)委員 ありがとうございます。会議体ができて、話し合って、制度、指針を作って、そこで終わりとなるとちょっと残念なので、是非具体的に進めていただきたい。

 最後に、また大臣に、国際仲裁等の促進について取り組まれる、この辺の御見解をちょっと一言いただければと思います。

岩屋国務大臣 国際仲裁の活性化については、これは国際取引の促進の観点から非常に重要だと思っておりますし、ひいては、日本企業の海外進出、あるいは対日投資の呼び込みといった国益にも資すると考えております。

 したがって、外務省としては、国際仲裁セミナーを後援したり、在外公館を通じた広報での協力、それから、国際機関における国際的な紛争解決ルールの形成への参画といった取組を行ってきておりますが、引き続き、関係府省庁、関係団体と協力、連携して、国際仲裁の活性化に向けた取組をしっかり進めていきたいと思います。

竹内(千)委員 ありがとうございます。

 時間が少なくなってきましたので、最後のテーマを少しだけやらせていただきたいんですが、今、アメリカで、日本人に限らないんですが、留学生のビザが、F―1ビザ、留学ビザが、突然理由もなく取り消されるというような状況ができている。前、小熊議員からもちょっとお話があったと思うんですけれども、日本大使館の報道でも、五月一日の報道で、今年四月から、日本人留学生を含む外国人留学生のビザ、滞在資格がアメリカ当局により取り消される事案が全米各地で相次いでいるというような報道がされております。

 本当はちょっと相談件数等を今お伺いしたかったんですけれども、一つ具体的な、大々的に名前も出て報道されているのでもう御存じかなと思うんですけれども、恩田さんというユタ州に通う日本人の大学院生が、あるとき、大学の職員から、在留資格が取り消されているということの連絡があって、それで調べてみると、過去の犯罪歴ということが出てきた。

 ただ、思い当たるのが、三年前のスピード違反と、魚釣りに行って、キャッチ・アンド・リリースして、本当はリリースしなきゃいけなかった魚を捕って帰ったという、これぐらいしかない。でも、これはどちらも犯罪履歴には入らないはずだということで、しかも、調べてみると、十五日の猶予期間内にアメリカを出なきゃいけないということが分かった。

 それで、この恩田さんは、どうしようとなって、メディアにまず出て、地元のメディアに出演した。そうしたら、ある記者がそれをXでつぶやいたら、六百万人を超える拡散をされて、全米がこれを知ることになって、ユタ州の知事もこれについて言及をして、この恩田さんは、滞在資格を取り消されたほかの八人の留学生と一緒に集団訴訟を起こした。そうしたら、その訴訟を提起して間もなく、記録を見直し、現状変更、元に戻った。ただ、じゃ、何で一旦取り消されたのかということは何の説明もないということが起きているということなんですね。

 ちょっと本当はこういう数がどれぐらい起きているのかとか、その辺をお聞きしたかったんですが、いずれにしましても、私も留学経験者なんですけれども、留学に行くまで相当なお金と費用といろいろな努力を積み重ねてきて、そして留学先でいきなり取消しですと言われたら、本当に悲劇だと思うんですね。

 もちろん、在留資格の関係だから日本政府が余り言えないというような発言が大臣の方からも前にどこかであったんですが、もうここは、こんなふうに、大学生が自分でメディアに出たり裁判を起こしたりというのは、普通はできないですよね。そこを助けるのが、やはり邦人保護、外務省の仕事じゃないかと思われるところなんです。

 ここに関して、学生の予見可能性という観点からも、やはりこの学生の教育を受ける権利、邦人保護という観点から、外務省としてアメリカ当局とどういう基準で取消しをしているのかとか、もうちょっと周知活動をしてくれとか、そういうふうな交渉、話合いが進んでいるのかどうかを、最後に大臣にお伺いをさせてください。

岩屋国務大臣 御指摘のとおり、本年四月以降、我が方の在外公館に対して、そのような照会や相談が寄せられているところでございます。個別の事情に応じて、丁寧に相談に応じてきております。また、必要な場合には弁護士を紹介するなど、現地の邦人に寄り添った対応を行ってきているところでございます。

 これに加えて、五月一日に、在米の日本国大使館、総領事館から、在留邦人に対して更なる情報提供を行うという観点から、米国において仮に留学生の査証及び滞在資格が取り消された場合のあり得べき対応などを説明する領事メールを発出しております。米国政府との間では、引き続きしっかり意思疎通を行ってまいりたいと考えております。

竹内(千)委員 弁護士を学生がアメリカで実際に頼むということは、値段からいっても、もうほとんど非現実的だと思いますし、これは氷山の一角かもしれないです。本当は、こういう事象で、怖くて留学することを諦めたり、もう自ら戻ったり、逆に、取消しと出て帰ってきている子たちもいるかもしれないので、これは積極的に解明の姿勢で邦人保護に努めていただきたいと思います。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

堀内委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳と申します。

 それで、私の方からは、まずこの場をおかりいたしまして、先般の、航空自衛隊二隊員が、選挙区はお隣ですけれども、私の地元の愛知県の犬山市入鹿池でのT4練習機墜落事故、隊員の発見それから原因の究明を私の方からも重ねて強くお願いを申し上げたく存じます。

 それで、ちょっと質問の順番を変えたので、ウクライナの情勢についての認識を先にさせていただこうかな。というより、まず、私の意見をちょっと言わせていただければというふうに思います。二つあります。

 一つは、今朝ですけれども、日弁連と情報交換をしました。竹内さんからも、今、国際仲裁の大事さみたいなところを言っていただいて、岩屋大臣からも答弁がありましたので、私の意見だけ申し上げさせていただきます。

 日弁連は、やはり国際トラブルの解決に国際仲裁、調停を活用すべきであると。特に、彼らが強調されておられたのは、地方の中堅・中小・小規模事業者等の国際取引において弁護士を活用していただきたいというお話がございました。

 外務省の方は結構実は頑張ってくださっていて、弁護士の活用事業という形でホームページにも掲載されております。

 在外公館で、一部ですけれども、一部といっても結構見るとたくさんあるんですけれども、日本企業に対する法的問題に関するアドバイス業務や、現地の法令、法制度等についての調査、情報提供の業務を弁護士に委託する事業を実施してくださっていて、現地でもそういった情報提供に大いに活動していただいているということでございますので、この点について更に活発に活動いただき、日本企業のために、国際仲裁、調停等の人材育成にも資するようなことも含めて頑張っていただきたい。

 国際仲裁について、大臣から答弁が先ほどございましたので、その点を重ねて、今朝、日弁連から要望がございましたので、その話を冒頭、宿題という形で彼らにも申し上げましたので、言わせていただきました。

 次に、先週十三日に在外公館の食の外交官のお話があって、大臣から発表があったかと思います。私も古くは中東に行かせていただいたときに、大使から情報をいただくとともに、日本食を離れていたのにおしょうゆの味を久しぶりに味わわせていただいたり、このゴールデンウィークも、アメリカ飯ばかり食べさせていただく中で、情報交換をいただく中で、本当に食の外交官のサービスをいただいたということで、身をもって体感しているんです。

 特に、海外の在外公館の大使閣下以下、公使を始め、情報を取るのは非常に重要だと思います。それで、各国はやはり日本の食に対する敬意というのが随分変わってきまして、このゴールデンウィークでも有馬さんにお世話になってワシントンに行ってきたわけでありますが。

 例えば、SAISの教授でガビンという人がいるんですけれども、フランク・ガビンという人の話を聞いてきました。彼にちょっと、昔からの友人であるので、君、私が昔、アジの開きを焼いていたら、何て気持ち悪いものを食っているんだというようなことを言ったよな、今はどうなんだと言ったら、いや、あのときは申し訳なかった、日本食がこんなにすばらしくて、今はウニもトロも大好きだというようなことを彼はまた言っていた中で、そういった意味で、日本食に対する評価、日本国に対する評価というのは食を通じても広がるというふうに認識しております。

 来年からという新制度なんですけれども、一刻も早く本当は処遇を改善していただいて、給与だとか、奥さんの帯同だとか、その旅費とか、いろいろ面倒を見ていただくようになるようなんですけれども、この点について、この大事さみたいなところを、大臣の御認識を改めて伺えればと思います。

岩屋国務大臣 私は、大臣就任後に、大使としてこれから新たに海外に行かれる方々と毎回お話しする機会を持つんですけれども、そのときに皆さんが口をそろえておっしゃるのは、公邸料理人をどうしようかということなんですね。あらかじめそういう縁を持っている方はいいんですけれども、今から探すというのは相当今は困難なことになってきているということを聞いてまいりました。

 今般、これも個々に対応するというよりも、やはり体制、組織を変えないと解決しない問題だということで、いわゆる公邸料理人を食の外交官と位置づけて、新たな制度の下に、優秀な公邸料理人の確保がよりやりやすくなるようにしようという制度をつくったわけでございます。

 今、インバウンド旅行客が増えていたり、海外でも日本食ブームになっておりますので、なかなか、引っ張りだこといいますか、公邸でしっかり料理を作っていただく方が見つけにくくなっているわけですけれども、委員が御指摘のとおり、やはり、会食を通じて人脈を構築する、あるいは情報を収集するというのは、外交活動の基盤だと思います。

 したがって、こういう新しい制度を一刻も早く活用して、しっかりと食の外交官を確保して、日本外交の、これも大げさな言い方になるかもしれませんが、外交力強化に資するようにしていきたいと考えております。

杉本委員 ナイさんという方が亡くなりましたけれども、ソフトパワーということをよく言っておられました。まさしく、この食の外交官もソフトパワーの本当に実は中核を成すものではないかというふうにも思いますので、是非、ひょっとすると六百万じゃ少ないんじゃないかという気もいたしますので、改善も含めて、まずはスタートを切っていただきつつ、更に見直しを進めていただければというふうに思います。

 次に、トランプ大統領の関税についてのこと、並びに、ウクライナについて時間があれば聞いていきたいと思っているんです。

 アメリカに結構行かせていただいて、主要な方々に会わせていただき、また、山田大使のお話も聞いたりとかする機会、ちょうど赤澤さんが御出張されていたときと重なって、長く行かせていただいていた中で情報を取ってきたんです。一つの答えは、トランプさん以外はノーバディーノウズだと。彼が何をするかというのはノーバディーノウズだということが答えだったような気もするんです。

 そうはいっても、私が感じ取ったのは、短期的なターゲットと中長期的なターゲットをお持ちで。短期的には、関税を通じつつ、減税の財源を確保する、それは何のためかというと、中間選挙のためであるというような短期的な目的と、中長期的には、大臣もさっき言われていました、製造業の復活とか貿易赤字の解消とか、ラストベルトのお話もありましたけれども、そこから先、更にそれを成功させてレガシーをつくって、できればノーベル平和賞ももらいたいというような。六月十四日が誕生日で、軍事パレードがあって、七月四日が独立記念日で、その辺がエポックメイキングな日付だとかということも聞いてまいりました。

 私の認識は、一つは、アメリカの製造業の復活というのは、言うのは簡単なんですけれども、賃金が高くて、それで製造業を復活させるというんだったら、かなり高付加価値のものを造らないといけないので、それこそ航空機であるとか、あるいは、発表されましたでしょうか、ゴールデンドームという次世代ミサイル防衛システムとか、トランプさんが発表して、千七百五十億ドルかかるんだというような発表があったようでございます。

 そういった宇宙航空産業であるとか、IT関連とかで、そういう高付加価値のものというのは、賃金が高くても仕事はあると思うんですけれども、果たして製造業を復活させて高付加価値のものができるかといったら、やはりUSスチールを日鉄に買わせていただいて、日鉄の高い技術のシームレスのパイプだとか、そういったものが造れる高付加価値の製造業にしないと、アメリカの製造業の復活というのは、私は、結構難しいんじゃないかなというふうに感じています。

 それと、ちょっとまた長くなって恐縮ですが、長い目で見て、ポストグローバリズム的には、中国の封じ込めというか、中国との貿易も大事だけれども、本当にルールにのっとった貿易なのかどうかというのはベッセントさんが感じ取っているところだと思うんです。

 そういった、もろもろ勝手申し上げましたし、先ほど、亀井さんの質問で、大臣は、ここまで出かかっても言えないことがたくさんあるとは思うんですが、そんな中で、現状のトランプ政権の短期的、中期的な、あるいは中長期的なターゲットをどんなふうに見ておられるか、言える範囲でお答えいただければと思います。

岩屋国務大臣 日本政府の立場で、米国政府あるいはトランプ大統領が今取っておられる政策について、これを評価するようなことは控えたいというふうに思いますけれども。

 先ほど亀井委員にお答えしたように、米国政府が相互関税を発表した際には、経済再建のための相互性の追求、国家、経済安全保障の強化、経済主権の回復、今御指摘があった米国製造業の復興、貿易不均衡の対処などに言及されていたことは事実でございます。

 今委員が御指摘になったように、米国で製造業を復活させようと思えば、相当高付加価値のものを造らなきゃいけない、もうそれは御指摘のとおりだと私も感じておりますし、日本もかつては世界の工場と言われたんですけれども、しかし、逆に今、製造拠点はどんどんと海外に展開してきた、アメリカほどではないにせよ、ある意味、後を追ってきたところもあるわけでございまして、我が国において製造業をしっかり維持していくためには、やはり高付加価値のものをサービスも含めてしっかり造っていかなきゃいけないという、ある意味同じ課題を抱えているんだろうと思います。

 したがって、ここは対抗したり報復したりということではなくて、交渉、話合いによって、お互いにとってそういうウィン・ウィンの関係、例えば製造業でいえば、お互いが高付加価値な製造業を維持発展させるためにどういう協力ができるか、そういう提案をし合って合意に達することが大切なんだというふうに思います。

 一方で、早期に合意することだけを優先して、日本の国益を損なうようなことがあってもならないというふうに考えておりまして、なかなか本当に難しい交渉ですけれども、政府一丸となって全力でこの交渉に臨んで、最終的には首脳同士でしっかりと発表できる、そういう結論を得るべく努力をしていきたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 ここに小熊さんがいらっしゃって、「アプレンティス」を見るようにとか、いろいろ、もっとSNSでこれを見た方がいいぞとか言われて、ロイ・コーンに教わったんだからとか、ロイ・コーンさんの話はもっとすごいぞとかいうようなことを聞いてはいるものの、まだ見ていません、「アプレンティス」はもちろん見ましたけれども。

 そんな中で、今NHKがインタビューして、ヘリテージ財団のスティーブ・イエーツさんという方とお会いしました。イエーツさんは、NHKのタイトルでいえば、九年目の大統領だ、大統領九年目だという言い方をされました。要は、空白の四年間というのは大統領の任になかったけれども、その間ずっと準備をしてきたので、それで九年目でやっているので、朝令暮改だとか優柔不断というよりは変幻自在と言った方がいいのかもしれないトランプさんの変化の具合かというふうに、いい意味でいえば認識しているんです。

 そのぐらいちょっと前向きな意味で、おっしゃったとおり、ウィン・ウィンの関係になるように、是非交渉を進めていただきたいなという中で、また、そうはいってもというような質問になるかもしれませんが。

 先週のやはり食の外交官の話と同じ日に、大臣はWTOのオコンジョ・イウェアラ事務局長、ナイジェリアの経済学者、女性として、アフリカ出身者として初のWTO事務局長にお会いになっておられます。総理も個別に会われているようでございます。その中で報じられている内容だと、多角的自由貿易体制の重要性をお互い認識を深めたというようなことだと思うんです。

 私が、勉強不足ではありますが、多少勉強した中では、やはり、国際貿易というのはコンパラティブアドバンテージだ、比較優位というものが極めて重要だということで学んでまいりましたけれども、その一方で、中国じゃありませんけれども、それに対しての経済安保、先ほどカロリーベースの御質問がありましたけれども、食料安保というようなことがございました。

 亀井さんからはイオンのお米の話をしていたのと、農水副大臣に、笹川さんに質問したところ、報道で知ったということです。更に加えれば、私は自分で買物に行ったら、ハナマサにもカルローズが売っていましたね、三千円台だったんですけれども。ということで、イオンだけじゃなくて、恐らく日本の小売関連は、関税を払って、それでも三千台のお米を出しているというのが現状だと思います。消費者のことを考えてくださっていると思っています。

 そういう中で、いわゆる比較優位と経済安保、食料安保、この辺のバランスがとても大事と私は思っているんですけれども、そんな中で、アメリカの米に対する日本の関税を少し動かしてみるとか、あるいはミニマムアクセスの量を一時的に増やしてみるとかということも、今次米不足、米流通の障害というか、もろもろあると思うんですけれども、そういった少し柔軟な、トランプさんでいう変幻自在的な政策の打ち方も必要かと思っているんです。

 この辺りについて、特にアメリカからのお米の輸入をちょっと一時的にでも増やしてみるとか、そういうことについての大臣のお考えは、九州の大分の選出の大臣でいらっしゃいますけれども、お立場を国際的に見てどうお考えになるか、御意見をいただければと思います。

岩屋国務大臣 委員の今のお話も大変参考になりましたが。

 もちろん経済安保も食料安保も、あるいはエネルギー安保も非常に大事な課題だと思いますけれども、その上で、やはり根底に公正なルールに基づく自由貿易体制が土台としてあるということが非常に大事だと思いますので、先般のオコンジョWTO事務局長との間でもそのことを確認させていただき、WTO改革についても日本は是非イニシアチブを発揮したいという話をさせていただいたところでございます。

 そして、今お話しになった米についてですけれども、日米の協議の中で何を取り上げ、どういう話をしているかということについては詳細は控えさせていただきたいと思いますが。

 米は、言うまでもなく我が国の主食でありまして、食料安全保障の観点からも重要な産品であります。米を海外に依存するということになりますと、食料安保の確立に支障が生じ得ると言っていいと思いますし、米の関税引下げによって輸入を増やすことについては、食料安全保障も含めた様々な観点から、政府で総合的によく検討しないと軽々に答えが出せる問題ではないというふうに感じているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 私も食料安保というのはとても大事だと思うので、一時的とか、そういう柔軟性というのを考えていただきたいというようなことで申し上げさせていただきました。

 時間も押してまいりましたが、イギリスが妥結しました、一〇%と十万台という妥結で。理解すると、関税割当て制みたいなところで、あるいは数量規制というようなことになったのかなというふうに私は理解しているんです。日本の場合、自動車について見ると、アメリカへの完成車は百三十七万台、全体で四百四十二万台を総数として輸出しているという中で、金額ベース約六兆円、台数ベース二六・四%がアメリカに行っているということなんです。

 私が銀行員をしていたときに、外為の担当で毎月月報を書いていて、自主規制というのがあって、二百三十万台というのが頭にこびりついたままずっと残っているんですけれども、その当時の仕事が。

 そんな意味で、交渉は開示できないと思いますけれども、一つの在り方として、関税ではなくて数量規制、自主規制という考え方で、やはり百万台とか百十万台、この百三十七万台の現在の輸出量に対して、そういった考え方もあるのではないかというふうに思っていますが、これは大臣、ちょっと時間がなくなってきたので答弁は求めませんが、数量で少し考えるという交渉もお考えいただけないかなというふうに思います。

 さて、もう一つ、防衛省の方に聞くことになるかもしれないんですけれども、ハドソンの研究所で日本の研究者の方から、本も書かれている立派な方からお話を聞いてきたんですが、今回の貿易交渉には安全保障と経済は分けるというのが大原則になっていると思うんですけれども、一方で、逆手に取って、防衛関係で日本が貢献する形でトランプさんから評価してもらうというのはどうなんだろうかというような思いの中で、日本の抗堪化というか抗堪力というか、ミサイルが飛んできたときに格納庫がしっかりあって、あるいはシェルターがしっかりあって、あるいは、海軍あるいは海上自衛隊の基地なんかで要塞化するというんですか、そんな形で、いわゆるミサイル防衛的な部分での抗堪力、これはだから、先制攻撃とか、そういうリベラルな方々が反発しそうなことではなくて、防衛力を強化するという意味で、米軍と日本の自衛隊が、例えば一緒に使っている岩国だとか三沢だとか佐世保だとかいったところ、あるいは、米軍だけかもしれませんが、嘉手納とか、そういったところの抗堪力を増す、抗堪化することに予算を使う、防衛予算を振り向けるということは、日米にとってのウィン・ウィンの答えの一つかなというふうに私は考えるんですけれども、この点について政府参考人から御答弁いただければありがたく存じます。

茂籠政府参考人 お答えさせていただきます。

 国家防衛戦略及び防衛力整備計画では、持続性、強靱性の観点から、自衛隊の施設の強靱化、これについては、平素において自衛隊員の安全を確保し、有事においても容易に作戦能力を喪失しないように粘り強く戦う姿勢を確保する、そういうこととしております。

 具体的には、先ほど委員が御指摘いただきましたように、岩国、三沢、那覇を始めとする航空自衛隊施設であったりとか海上自衛隊の施設であったり、それにかかわらず、陸上自衛隊の施設も含め、武力攻撃に対する自衛隊としての抗堪性の向上、そして自然災害対策及び既存施設の老朽対策、こういうものを各施設の重要度に応じて適切に進めていくこととしております。

 こうした防衛力の抜本的強化に向けた取組の目的は、あくまで、力による現状変更やその試みを許さず、我が国への侵攻を抑止することでありますが、我が国が自らの防衛力を抜本的に強化することによって、当然、日米同盟の抑止力、対処力が更に強化されるものと考えております。

 防衛省におきましては、引き続き、自衛隊施設の抗堪性の強化を始めとする防衛力の抜本的強化に向けた取組を着実に進めてまいりたいと思っています。

 以上です。

杉本委員 ありがとうございます。

 抗堪化、抗堪力をどんどん増していただきたいと思います。

 ちょっと懸念していることを一つだけ申し上げておきたいんですけれども、国防次官になったコルビーさんが、日本の防衛費を三倍にしろとかと言った方がニュースになっちゃっているんですけれども、あの同じときに、公聴会で、テスティモニーで彼が言ったのは、台湾がアメリカの、括弧つきですけれども、存立に関わる問題ではないというような言及をしたというような、ちょっと台湾に対する弱めの発言、トーンダウンというか、バイデン政権から今度トランプ政権になって少しトーンダウンしているんじゃないかというようなことを、先ほど申し上げたフランク・ガビンさんが指摘をしていました。

 そんなことで、アメリカの台湾に対する政策というのを、あるいは姿勢というものは、我々は注意をして見ていかなきゃいけないんじゃないかということを今回出張の中でちょっと聞いてまいりましたので、そこは御報告というか、大臣に御認識しておいていただきたいなということで申し上げさせていただきます。

 時間となりましたので、以上で終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

堀内委員長 次に、深作ヘスス君。

深作委員 国民民主党・無所属クラブの深作ヘススです。

 本日、冒頭、高木委員から宇宙に関する質問が出ておりました。

 私も今回、日本がこの宇宙分野においてどのような役割を果たしていくのか、そして、六月に行われる予定でありますCOPUOS、こういったところでどういった議論を日本が率いていくのか。この宇宙分野というのは、皆様の前で本当に釈迦に説法ではありますが、これは宇宙の問題ではなく、私たちの生活をどのように守っていくのか、限られた資源を守っていくことによって、私たちの生活の安定、こういったものをどのように守っていくかに直結をする話でもございます。

 そこで、まず冒頭、大臣には、特に宇宙の交通管理、この分野について国際的な議論を鑑みて効果的な取組を促進するためにも、内閣府のタスクフォース大臣会合が開催をされていますが、ルールメイキング、このルールを作るという観点からは、過去、宇宙二法そして宇宙資源法の制定、これを内閣府宇宙事務局が主体となって取り組んできたというふうに認識をしておりますが、今後、より国際的なルールメイキングをしていく、こういったことをしていく中で、そのツールとして法整備を用いるという視点が出てきております。こういった中で、外務省が各省庁とどのように連携をし、協力をしていきながら、この宇宙分野において役割を果たそうとされているのか、外務省の役割について、まず冒頭、大臣にお伺いをさせていただきます。

岩屋国務大臣 委員が今御指摘をされました宇宙交通管理に関する関係府省等タスクフォース大臣会合は、国際的な議論の動向や我が国における対応状況を踏まえまして、関係する府省庁が密に連携をして効果的な取組を促進することを目的として設置をされております。外務省も、これに積極的に参加をしてきております。

 直近三月の会合では、外務省の方からは、昨年の国連未来サミットで宇宙空間における国際協力強化を確認したこと、それから、昨年十二月の国連総会で米国などと連携して、宇宙空間への配備を目的とした核兵器等の開発を行わないことを加盟国に求める決議採択を主導した、こういうことを報告をさせていただきました。

 また、国連に対する我が国の任意拠出金を活用して、先刻も申し上げましたが、フィリピンあるいはタイに対して、JAXA、内閣府とも連携しつつ、能力構築支援を実施をしたりしてきております。

 引き続き、委員がおっしゃるとおり、人間生活に直結するこの宇宙空間の持続的かつ安定的、安全な利用の確保に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

深作委員 ありがとうございます。

 今大臣からもありましたが、この宇宙空間というのは、民間だけではなく、産業そして防衛の分野でも大変積極的に使われている分野でもあります。政府の立場から、こういった宇宙分野を進めていくこと、これがデュアルユースにつながっていくということはなかなかお話ししにくいところかもしれませんが、やはり私たちの国を守っていく、産業を発展をさせていく、科学技術を伸ばしていく、こういったことを進めていく上で、この宇宙、是非大臣にも今後とも力強く取り組んでいただきたいと思っております。

 その中で、外務省として、やはり国際的な枠組み、ルールメイキングをどのように行っていくのか。冒頭にも申し上げましたが、六月二十五日からCOPUOS、この本委員会が開催をされる予定です。特に、この交通の宇宙管理そしてスペースデブリの対策の取組に関して、国際的な規範やルール、こういったものを作成をするに向けて、日本が、どういったスケジュール感を、いつまでに何を、どういったことを達成していくのか、こういったマイルストーンがあるのであれば、それを是非お示しください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 国連では、昨年、国連未来サミットにおいて未来のための約束が採択され、そこにおいて、今委員が御指摘の宇宙の交通管理やスペースデブリ等に関する新たな枠組みの設立について、今後議論することが確認されているところでございます。

 また、従来から我が国は、委員の先ほどのお話のとおり、宇宙空間における法の支配の実現、強化を目指し、COPUOSにおける議論への積極的な参加を通じて、宇宙の交通管理やスペースデブリ対策の論点を含む、宇宙活動の長期的持続性等に関する国際的なルール作りに貢献しているところでございます。

 また、今まさに委員も御指摘がありました、来月ウィーンで開催されるCOPUOS委員会においては、我が国は、スペースデブリに関する包括的な取組を発信すべく、内閣府を始めとする関係省庁と今準備を進めているところでございます。

 マイルストーンのお話がございましたけれども、マイルストーンについては、現在、未来のための約束でも記載された、国連主導の宇宙に関する大型の会議、いわゆるUNISPACEというもの、これまで三回ほど開催されてきておりますけれども、これを二〇二七年に開催する可能性を検討するということになっております。

 同会議では宇宙空間の交通管理やスペースデブリに関する議論が見込まれるところ、日本としても、是非この会議に積極的に関与していきたいと考えております。

深作委員 ありがとうございます。

 この分野、特に今は交通管理、スペースデブリに関する議論が大変多くされています。

 今、衛星は、オペレーショナルなもので、軌道上に今二万以上ありますし、既に運用を終了したものが二千五百以上、これは今後もどんどんと増えていくものであります。そして、宇宙デブリ、このデブリだけでいえば、十センチ以上のものが四万個以上あるということと、十センチ未満で一センチ以上のものを入れると五十万個以上あるということで、この宇宙の交通状況というのは大変混み合っている、かつ大変リスクの高い分野にもなっています。

 本来であれば、私たちの生活や未来の発展に向けて、新しい産業や新しい技術に取り組んでいきたい、こういった分野が本来は伸びていくべき分野でもありますが、なかなかここにリスクが今あるということで、このリスクをどう取り除いていくのか、又は、このリスクが起きないための国際的なルールをどのように策定し、それを実効的に運用していくのか、こういったことが大変重要となっている状況であります。

 今回、このCOPUOSにおける宇宙ガバナンスの議論の状況、特に、今申し上げましたデブリ以外にも、月の資源であったり、宇宙環境全体における議論がありますが、こういった分野における日本の取組又はどういった貢献があるのか、これについて是非まずお聞かせください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げたとおり、まず、COPUOSにおける国際的なルール作りに、日本としては、長年にわたり積極的に関与してきているというところでございます。

 委員から御指摘のあった月資源を含む宇宙資源についてでございますけれども、COPUOSの下にある法律小委員会において、宇宙資源の開発及び利用が宇宙条約に即して実施されるための国際的な枠組みの必要性が、現在議論されているところでございます。

 また、同小委員会の下に設置されている宇宙資源作業部会というものがございますけれども、ここにおいては、宇宙資源の定義や、開発及び利用の法的側面について、現在議論が行われているというところでございます。

 我が国としては、引き続き関係国と連携して、宇宙資源を含む宇宙空間のガバナンスに対する我が国の考え方を丁寧に説明するとともに、宇宙空間の持続的かつ安定的な利用を確保すべく、実効的なルール形成に貢献していきたいと考えております。

深作委員 ありがとうございます。

 本日冒頭、高木委員からのお話の中に、高木委員も国連宇宙部の部長に会われたというお話がありました。その中で、日本に期待することは、一つは、より拠出をしていただいて、より積極的に関与してほしいということでもありました。

 日本は、二〇二一年には一千八十万円、そして直近では一千三百万円程度拠出をしておりまして、数で見ると少なく見えますが、ほかの国々も含めて今バランスを取って行っている中で、より日本のプレゼンスを示してほしいということをおっしゃられたんだと思います。

 本日、日経新聞二月二十八日、国連宇宙部の部長の記事をお持ちをさせていただきました。

 この中では、日本とアメリカ、イギリス、ニュージーランド、こういった国々が連携をしていくことで、スペースデブリ、是非、より積極的に取り組んでいってほしいと。

 私も今、これまで、どのようにルールメイキングを日本がリードしていくのか、関与していくのかということを申し上げましたが、この作ったルールを運用していくためには、それに伴う技術などが必要となってまいります。これは、ルールだけを作ったとしても、そのルールをどのように運用できるかの、いわゆるその裏づけまで含めて日本が取り組んでいかなければいけない、責任を持っていかなければいけない分野だと思っています。

 今回のCOPUOSのデブリ対策の議論、今後どのようなふうに進んでいくのか、その展望と、あとは、日本がこの実効性を担保していくためにどのような取組をしていくのか、これについてもお聞かせください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員が御指摘のとおり、宇宙におけるデブリ対策というのは非常に重要でございまして、幸いに、日本が非常にここは強い分野でもございます。

 国連においては、我が国も参加するCOPUOSにおいて、二〇〇七年に、人工衛星などの設計や製造、運用の段階においてデブリを低減させるための奨励行動を規定する、いわゆるスペースデブリ低減ガイドラインというものが策定されております。

 また、我が国の国内的な取組としては、宇宙デブリの除去も含む軌道上サービスに関するガイドラインを制定し、国連の場において、各国に対し当該ガイドラインの意義をよく説明し、同様の取組を行うよう働きかけているところでございます。

 また、昨年、JAXAが実施するプログラムにおいて、スタートアップ企業であるアストロスケール社の衛星が、宇宙空間でデブリから約十五メートルの距離まで接近に成功し、映像を取得いたしました。今後は、実際のデブリ除去を目指していきたいと考えております。

 このように、委員からも御指摘のあったとおり、日本としては、技術開発とルールメイキングをまさに車の両輪として進めてきておりまして、引き続き、スペースデブリの低減、除去に資する技術開発を着実に進めるとともに、国際的な規範、ルール作りにも率先して取り組むことで、宇宙空間の安定的、安全な利用に貢献していきたいと考えております。

深作委員 ありがとうございます。

 今、参考人からも御指摘がありました。今、宇宙空間においては、アストロスケール社などが、実態的、まあ技術を持ってこの問題に取り組もうとしています。世界で初めて、実際に利用が停止をされたデブリに接近をし、そして、間もなく捕獲もできるのではないかという状況に来ています。これを世界の中で実現をしているのは日本だけということを考えますと、ルールメイキングの部分を支えていくのは当然のことながら、では、そのルールを、実効性を持たせるための技術をしっかりと後押しをしていくということは大変重要なことであると思っております。

 今、宇宙空間にある様々なごみは、大体、一秒間に七キロ、八キロのスピードで移動をしています。それに接近をするというだけで高度な技術を持たなければいけない中で、それをしっかりと捕獲をして再突入をさせることで廃棄をしていく、これを、日本が技術を持っているだけで進めているだけでは、世界各国のものをどのようにこれから、今、年間打ち上げの回数も、そして衛星の数もどんどんと増えている中で、こういった技術を後押しをしていかなければいけないと思っています。

 なかなか民間のことについて政府から具体的な取組ということをおっしゃることは難しいかと思いますが、こういった民間の活用、そしてこういった宇宙分野における日本のリード、プレゼンス、こういったものを是非大臣にも進めていただきたいと思いますが、ここに対して、最後に御決意をお聞かせいただければと思います。

岩屋国務大臣 宇宙に関するルールメイキングに日本が主体的な役割を果たすということ、それから、こういう委員会に対する支援というものをしっかり行うことによってまた我が国の存在感を高めていく、そして、それに伴う技術を開発していくということによって、ひいては、それが日本企業、日本産業にも裨益していくということになろうと思いますので、様々併せて、この宇宙への取組ということを一層強化してまいりたいと考えております。

深作委員 ありがとうございます。

 ただいま御紹介をしたこの宇宙の捕獲技術については、普通に考えれば、デブリを除去するために使うと言えば、それは大変いいことのように聞こえますが、他方で、ほかの国々が同じような技術を持ち始めたとき、国家の運営に必要となっているエッセンシャルな衛星に対してアプローチをかけて、それを軌道上から移動させることも技術的には可能になってしまいます。

 日本は、これに先駆けて、既に相手国又は相手の主体の同意なしに接近をすることはできないということを国内でルール化しているということは承知をしていますが、やはり、技術がどんどんと進めば進むときに、よりほかの問題が起こってくる。こういったことを先進的に日本が、技術が今唯一ある日本だからこそ、今後、より積極的にルールメイキングと技術の側面で取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、西園勝秀君。

西園委員 公明党の西園勝秀です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 二〇二三年五月、G7広島サミットに集まった首脳たちは、平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花を行い、原爆資料館を視察し、被爆者の証言に耳を傾けました。そして、核兵器のない世界の実現に向けた我々のコミットメントを再確認すると宣言した広島ビジョンを採択しました。

 あれから二年、プーチン大統領の核の恫喝はやまず、北朝鮮の核・ミサイル開発は進み、核保有国であるインドとパキスタンの間では今もなお紛争が絶えません。G7首脳が目指した核兵器のない世界の実現には、依然として大きな隔たりがあります。

 そのような中、先月行われた二〇二六年NPT運用検討会議第三回準備委員会に七年ぶりに外相として出席された岩屋外務大臣は、一般討論演説で次のように述べられました。

 今日、核兵器による惨劇を二度と繰り返してはならないと求める声、そして核のない世界を求める声は、これまで以上に大きなものとなっています。NPT体制がこのような世界の人々の切なる願いに応え続けるよう、締約国の間で一つずつ一致点を見出していくことは、我々全員が共有する責務であり、道義的な要請でもあります。今できることは、我々の理想からすれば小さな一歩かもしれませんが、重要な一歩です。皆さん、一緒に取り組みましょう。大きな飛躍に向けて。

 岩屋大臣のこの思いに私も深く共感をいたします。全くそのとおりだと思います。日本として、どのようなプロセスで核軍縮、核不拡散を成し遂げていくのか。また、二〇二六年NPT運用会議でどのような合意を目指しているのか。その点についての、具体的な岩屋外務大臣の御見解をお聞かせいただけたらと存じます。

岩屋国務大臣 先般、運用検討会議の準備委員会に参りまして、今委員から紹介していただいたような一般討論演説をさせていただきました。

 来年の運用検討会議というものは非常に重要な会議になっていくというふうに思います。過去二回、成果文書が採択できなかったということでもありますので、次回は、是非、実りある運用検討会議になるように、我が国がイニシアチブを発揮していかなければいけないというふうに考えております。

 今般、国際賢人会議、日本が主導したここでの議論も提言として紹介をさせていただきましたが、具体的にこれから進めていかなくてはならないのは、核戦力についての透明性の向上ですね。場合によっては、NPTの枠を超えて、核保有国同士の軍備管理交渉がかなり滞ったり、なくなったりしておりますので、そういうものも是非復活を働きかけていかなきゃいけないと思っておりますし、それから、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約、FMCT、そして、包括的核実験禁止条約、CTBTの議論の活性化なども重要な要素だと思いますので、これは核兵器国をしっかり巻き込んだ取組を推進していきたいと考えております。

 いずれにしても、被爆八十年を迎える本年、唯一の戦争被爆国として、被爆地訪問の促進などを通じて世界に被爆の実相を伝えていくということにも一層努力をしていきたいと考えております。

西園委員 岩屋大臣、御丁寧な御説明ありがとうございます。

 NPT体制の下で、核軍縮、核不拡散を成し遂げていくことは極めて重要であると思います。

 その上で、私が感じていることは、核抑止論の是非についてです。せめて自国の安全だけは守りたいという思いから、核抑止論が幅を利かせ、さらには、核武装すら容認するような空気が世界を覆っている気がいたします。しかし、恐るべき破壊力と殺傷力を持つ核兵器に依存する核抑止論は、突き詰めれば、人間への不信感に根差したものであり、それを助長し、人間性のきずなを断ち切る思想と言えるのではないでしょうか。

 核時代に終止符を打つために私たちが本当に立ち向かうべき相手は、核兵器でも、保有国でも、核開発国でもありません。真に克服すべきは、自国の安全や利益のためには、核という脅威をもって相手を支配することを正当化しようとする、核兵器を容認する思想そのものではないでしょうか。

 核兵器による脅しに駆られ、不安に揺れ動く心から、平和がもたらされるわけは絶対にありません。その意味で、核のない世界を目指す第一歩として、核兵器の先制不使用という核保有国の合意は大変意義があることだと思います。是非とも、唯一の戦争被爆国である日本から、核兵器の先制不使用に向けたアプローチをしていただくことを切にお願い申し上げます。

 次に、アメリカのUSAID解体の影響についてお伺いいたします。

 トランプ大統領が、長年にわたり世界各地で開発や公衆衛生を支えてきたアメリカ国際開発局、USAIDを解体し、業務の八三%を廃止すると発表したことで、世界に衝撃が走っています。この動きは、アメリカ一国の政策転換にとどまらず、イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパ諸国にも影響を及ぼし、世界全体として、途上国への支援を縮小し、自国の防衛費へと予算が振り替えられる傾向が強まっています。

 対外援助が後退すれば、教育、保健、インフラ、気候変動対策など、途上国の未来に直結する分野への資金が減少し、地域の安定が損なわれます。その結果、貧困や紛争による移民、難民が流出し、さらにはテロリズムの拡大など、より深刻な問題の火種となるおそれがあります。

 また、中国やロシアが途上国で権益を拡大し、民主主義や法の支配という理念が軽視され、力による現状変更を容認する国が続出するなど、そのことによる各地での紛争も多発するおそれがあります。

 国際社会における対外援助の在り方が大きく変化している現在の状況は、目先の自国の利益のみにとらわれ、視野が内向きへと狭くなり、結果的に世界を混乱へと導く大変危機的なものであると私は危惧します。

 ロシアや中国、北朝鮮の動向など、軍事的に緊張が高まっている時代ではありますが、だからこそ、世界の人々の暮らしを守り、支える支援が、中長期的に考えれば、世界の安定と平和の基盤になっていくと確信いたします。

 以上の観点から、三点御提案を申し上げたいと思います。

 まず第一に、日本のODAの戦略的活用です。民間資金の呼び込みや、デジタル、気候、保健といった分野に重点を置いた援助を通じて、日本らしい価値観を世界に発信すべきであると考えます。

 第二に、同志国との連携強化です。欧米諸国が援助を後退させる中だからこそ、日本がリーダーシップを発揮し、グローバルサウスと信頼関係を築くべきです。

 第三に、援助に対する国民理解の促進です。物価高で日本の国民自身も厳しい生活環境の中、なぜ今、外国にお金を出すのかという疑問に対して、援助が日本自身の安全保障や経済的利益にもつながるという正確な説明を、分かりやすい方法で周知させていくことが必要であると考えます。

 世界が分断に向かおうとしている今、こうした流れを防ぐためにも、日本における国際援助の役割がこれまで以上に重要になってきていると思いますが、政府の御見解をお聞かせいただければと存じます。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 USAIDにつきましては、現在、米国政府は対外援助と外交政策の整合性につき評価中ということでございます。USAIDをめぐる動きが国際的にもたらす影響については、我が国としても情報収集、分析に今努めているところでございます。

 委員が御指摘のとおり、国際社会の分断と対立が深刻化する中で、グローバルサウスとの関係を強化し、国際社会を協調に導いていくためには、ODAは重要な外交ツールと考えておりまして、その戦略的、効果的な実施はますます重要になってきていると考えております。

 我が国といたしましては、関係者等の動向も踏まえつつ、米国を含む各国との間で意思疎通を図りながら、引き続き、開発協力分野において積極的な役割を果たしていきたいと考えているところでございます。

西園委員 御答弁ありがとうございます。

 是非とも、世界の安定に向けた日本の援助を引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、北東アジア安全保障対話・協力機構の創設についてお伺いいたします。

 日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、平和国家としての道筋を国際社会に示していくことが、日本の平和と安全につながっていきます。

 公明党は、戦後八十年の節目となる本年、平和への潮流をつくり出すという決意で、北東アジア安全保障対話・協力機構、いわゆるアジア版OSCEの創設を中核とする平和創出ビジョンを策定いたしました。先日、斉藤鉄夫代表が石破総理大臣にお渡ししたところでございます。

 現在のアジアには、欧州安全保障協力機構、OSCEのような包括的で常設の安全保障のための対話、協力機関は存在しません。対立する当事国であっても、平時から定期的に対話する枠組みが構築されていれば、万が一、緊張が高まり、一触即発の事態に陥った際にも、対話を継続できる道筋が残る可能性がございます。

 北朝鮮、ロシア、中国等、緊張関係が続く北東アジアにおいて、紛争を未然に防ぐために、常設の対話、協力機構であるアジア版OSCEを設置し、対立国を含む多国間の対話による信頼醸成が何より必要であると考えます。対象国としては、二〇〇三年から二〇〇七年までの六者協議に参加した、日本、アメリカ、韓国、中国、ロシア、北朝鮮を少なくとも含めることを想定しています。

 石破総理も、国会質疑の中で、設立に向けて努力をしていきたいと支持を表明され、国連の中満事務次長も、大きな意義があると評価してくださっています。

 いきなり制度化するのは難しいと思いますので、まずは、第一段階として、災害対策や気候変動対策など共通課題をテーマに議論を開始し、協力を深めて信頼醸成を図っていくのが望ましいと考えています。例えば、この分野での国際会議を開催するなど、日本がリーダーシップを発揮しながら、各国との対話のチャンネルを密にし、将来的には、アジア版OSCEのような常設の国際機関への発展を目指していけばよいのではないかと思います。

 以上の観点から、OSCEを参考にした北東アジア安全保障対話・協力機構の創設が大変重要と考えますが、岩屋外務大臣の御見解をお聞かせいただければと存じます。

岩屋国務大臣 公明党さんが策定された平和創出ビジョンにおきまして、様々、有益な御提案がある中で、今お話しになった北東アジア安全保障対話・協力機構、一般にアジア版OSCEと言われておりますが、こういう御提案をされていると承知をしております。

 また、この御提案を参考にした安全保障対話の枠組みについては、先般、石破総理からも、この意見を承って、広い議論を経た上で、実現に向けて努力したいという国会答弁がなされたというふうに承知をしております。

 委員がおっしゃるように、今、なかなか、北東アジアもまだまだ解決しなければいけない深刻な課題もある中で、まずはできるところから、災害対応でありますとか気候変動対策でありますとか、そういうところからそういう枠組みをつくっていったらどうだという御提案は非常に有益だと思います。

 その御意見も踏まえまして、地域の安全保障、これからの安全保障の在り方に関する検討を更に深めていきたいと思いますし、外務省としても検討を行ってまいりたいというふうに思います。

西園委員 岩屋大臣、御答弁ありがとうございます。

 唯一の戦争被爆国である我々日本には、分断から協調へ、世界の懸け橋となる使命と責務があると感じています。互いが助け合い、そして互いに繁栄していける国際社会の構築に向けて、岩屋大臣、また日本政府におかれましては、引き続きの国際社会への積極的な御貢献をお願い申し上げたいと存じます。

 もう一つ質問を用意しておりましたが、時間の関係で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。

 今日は、人権外交についてお話をさせていただきたいと思います。

 私は、一九九二年から、カンボジアの民主化支援、また平和構築に一貫して関わってきましたが、特に二〇一七年ぐらいから、カンボジアの民主主義が大変に後退していることを感じています。

 この委員会でも、再三にわたって、日本で民主化を求めて活動する人々が、例えば、逮捕されると脅されたり、様々な圧力を受けている、実際に逮捕もされているというようなことを問題提起してまいりましたが、先日、私に対して、駐日カンボジア大使であるトゥイ・リー氏から、この私の質問に対して異議申立てをする、カンボジアの政府の立場を説明する、そのような手紙が届きました。これがその実物なんですね。

 図らずも、カンボジア国民を監視して、そして圧力をかけている実態というのが、他国の国会議員の質疑に介入するという形で証明されてしまったのではないかと私は受け止めています。その様子について、このように新聞記事にもなっているんですね。これは東京新聞の記事です。

 調査室で調べたところ、過去十年間にこのように……

堀内委員長 阪口君に申し上げます。

 物品の提示につきましては、委員長の許可を得てから行うようにお願いいたします。

 理事会協議で、委員長の許可を得てから提示していただきたいと思います。よろしくお願いします。

阪口委員 承知いたしました。

 以後、気をつけてまいります。

 調査室で調べたところ、このような例というのは過去十年間を見てもないということなんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

 また、この五月二十八日にフン・マネット首相が来日されます。二〇二二年度の政府開発援助というのが確認できる最新のものなんですが、五百三十五億円を拠出しているんですね。これをそのまま拠出するということになると、やはりこのような人権侵害を黙認することに、そういうメッセージとして受け止められかねないと思うんですが、この点も含めて大臣の見解を伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 委員のところに届いたというその御指摘の書簡については承知をしておりますし、また、今この新聞記事も読ませていただきました。

 一般論として申し上げると、外交団は、国会議員を含め、任国の関係者に対して、様々自国の立場を説明することもあると認識しておりますが、その上で申し上げますと、仮に委員が圧力のように感じ取られたということであれば、それはもっとよいコミュニケーションの取り方があったのではないかなというふうに、率直に申し上げて感じているところでございます。

 今月末の日・カンボジア首脳会談の議論を現時点で予断することは差し控えたいと思いますが、我が国としては、国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配が保障されることが重要であるというふうに考えておりまして、こうした我が国の立場については、カンボジア政府に対して今後も粘り強く伝えていきたいと考えております。

阪口委員 この点については、粘り強くとか注視するという曖昧な言葉が大臣から返ってくるんですが、やはりもっと強い態度で、人権侵害ということについてはしっかりと日本の考えを示していかなければいけないと思います。

 引き続き、人権外交の在り方について続けてまいります。

 私、二〇一五年の五月に、中国新疆ウイグル自治区のカシュガルという町から、アフガニスタンやパキスタンに近いタシュクルガンという町まで、車に乗って一泊二日で旅したことがあるんですね。その際に、ウイグル族の青年から、現地で起こっている様々な人権侵害について話を聞きました。テロとの闘いとして、中国政府がウイグル族に対して様々な抑圧をしている、また、搾取的な労働であったり、漢民族への同化政策など、実態を聞くと同時に、抵抗する人たちに対しては弾圧をしている、そういった実態をリアルに聞きました。

 その後、そのときに聞いた状況を裏づけるような深刻な人権侵害についての報告、特に、百万人以上の規模で強制的に収容される教育施設の存在などが様々な証言や内部文書の流出などによって見えてきて、そして、国連人権高等弁務官事務所のレポートや、国際NGO、アムネスティ・インターナショナル、BBCやABCなどがそれらを次々と報じている。また、二〇二一年には、アメリカ、カナダ、EU、そしてイギリスなどが中国への制裁を発表しています。

 二〇二二年、岸田総理は、参議院本会議において、人権を始めとした普遍的価値を守り抜くことが重要で、中国においても保障されることが必要である、新疆ウイグル自治区について、重大な人権侵害が行われているという報告について、深刻に懸念しているという考えを表明しています。

 英利アルフィヤ政務官にお聞きしたいと思います。

 ウイグルにルーツを持ち、またウイグル研究もされてきたという立場で、御自分の経験や周りの方々の声も踏まえて、今のウイグルの人権状況についてはどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。

英利大臣政務官 阪口委員、ありがとうございます。お答えいたします。

 ウイグルの人権状況につきましては、これまで、私も、一政治家としても深刻な懸念を表明してきたところであります。

 一方で、本日は外務大臣政務官としてこの場におりますので、まず我が国の立ち位置からお答えさせていただければと思います。

 我が国としましては、国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権、法の支配が中国においても保障されることが重要であると考えております。

 その中で、ウイグル自治区に関しましては、重大な人権侵害が行われているとの報告がこれまで数多く出されており、我が国としても、人権状況について深刻に懸念している状況であります。

 そのような考えから、日本としましては、ウイグル自治区の人権状況等について情報収集を強化するとともに、米国との協議やG7、国連等の場を含め、我が国として深刻な懸念を表明し続けるなど、我が国と価値観を共有する国々とともに連携しつつ、ハイレベルでしかるべき対応をしてきている次第であります。

 政府として、引き続き、同志国や関連する国際機関を含む国際社会と緊密に連携しつつ、中国側に強く働きかけていきます。

 ありがとうございます。

阪口委員 ありがとうございます。

 この状況を変えるために、当事者としてのリーダーシップを期待するところでありますが、今までの取組を更にこのように強化していきたいというような御自身の考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

英利大臣政務官 ありがとうございます。

 繰り返しとなりますが、本日、政務官としてこの場におりますので、我が国政府の立ち位置を表明するばかりでありますけれども、繰り返し、我が国としましては、国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権、法の支配、このような価値観は、中国を含め、世界のどこであれ保障されることが重要であると考えております。

 こうした我が国の考え方については中国政府に対しても直接伝達してきており、例えばウイグルの人権状況等についても、昨年、石破総理から習近平国家主席に直接提起し、深刻な懸念を伝達しております。

 また、日本は、これまでの人権理事会や国連総会第三委員会におけるウイグル自治区を含む中国の人権状況に関する共同ステートメントにアジア唯一の参加国として参加するなど、G7、国連の場を含め、我が国と価値観を共有する国々とともに深刻な懸念を表明するなどしております。

 引き続き、同志国や関連する国際機関を含む国際社会と緊密に連携しつつ、このような取組を進めていくとともに、中国側に対しても力強く働きかけていくことが重要であると考えます。

 ありがとうございます。

阪口委員 政務官でいらっしゃるという立場ゆえの苦悩が表情からも大変強く感じられて、言葉以上にそれが雄弁に思いを伝えていると受け止めました。

 私は、このような状況を打開するツールの一つが、国際社会と連携できる法律、法の力を利用することだと思うんですね。マグニツキー法であったり人権デューデリジェンスというような、そういった法の整備に対する取組、今後、日本政府としても、それをどう使うかということとは別に……

堀内委員長 阪口君に申し上げます。

 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いいたします。

阪口委員 はい。

 しっかり持っていく、そのための検討は必要だと思います。

 是非、今後、また議論をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次回は、来る二十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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