第13号 令和7年5月28日(水曜日)
令和七年五月二十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 堀内 詔子君
理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君
理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君
理事 篠原 豪君 理事 鈴木 庸介君
理事 杉本 和巳君 理事 西岡 秀子君
逢沢 一郎君 石橋林太郎君
大空 幸星君 小寺 裕雄君
小森 卓郎君 島尻安伊子君
中西 健治君 平口 洋君
広瀬 建君 松島みどり君
松本 尚君 茂木 敏充君
小熊 慎司君 亀井亜紀子君
竹内 千春君 武正 公一君
太 栄志君 渡辺 周君
西田 薫君 和田有一朗君
深作ヘスス君 西園 勝秀君
山崎 正恭君 阪口 直人君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
法務副大臣 高村 正大君
外務大臣政務官 松本 尚君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
経済産業大臣政務官 竹内 真二君
防衛大臣政務官 金子 容三君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 室田 幸靖君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 千代延晃平君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 若田 英君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 礒部 哲郎君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 今福 孝男君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(外務省大臣官房政策立案参事官) 金子万里子君
政府参考人
(外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官) 斉田 幸雄君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 今西 靖治君
政府参考人
(外務省中南米局長) 野口 泰君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 安藤 俊英君
政府参考人
(外務省領事局長) 岩本 桂一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房総括審議官) 秋山 伸一君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 魚谷 憲君
政府参考人
(海上保安庁警備救難部長) 山戸 義勝君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 上田 幸司君
政府参考人
(防衛装備庁プロジェクト管理部長) 嶺 康晴君
外務委員会専門員 山本 浩慎君
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委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
英利アルフィヤ君 石橋林太郎君
新藤 義孝君 平口 洋君
高木 啓君 小寺 裕雄君
同日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 島尻安伊子君
小寺 裕雄君 高木 啓君
平口 洋君 新藤 義孝君
同日
辞任 補欠選任
島尻安伊子君 小森 卓郎君
同日
辞任 補欠選任
小森 卓郎君 中西 健治君
同日
辞任 補欠選任
中西 健治君 英利アルフィヤ君
―――――――――――――
五月二十二日
職場でのあらゆる暴力とハラスメントをなくすためにILO第百九十号条約の批准を求めることに関する請願(八幡愛君紹介)(第一二四五号)
同(田村貴昭君紹介)(第一二五一号)
女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(新垣邦男君紹介)(第一二六八号)
同(大河原まさこ君紹介)(第一二八七号)
同(藤原規眞君紹介)(第一三七〇号)
同月二十八日
横浜ノースドックへの米軍揚陸艇部隊配備撤回とノースドックの早期全面返還に関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第一四二一号)
女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第一四二二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国際情勢に関する件
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○堀内委員長 これより会議を開きます。
国際情勢に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官今福孝男君外二十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○堀内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大空幸星君。
○大空委員 おはようございます。自由民主党の大空幸星でございます。
本日は、主に国際情報戦の時代における認知戦、まさに在り方について、そして、在外邦人の孤独・孤立対策などについてお伺いをさせていただきたいと思っております。
まず、質問に入ります前に、今まさに様々なところで報道が出ておりますけれども、アメリカのトランプ政権がハーバード大学の留学生の受入れ資格の一時停止措置を発表いたしました。マサチューセッツ州の連邦地裁がこの措置の一時差止めを行っているということですけれども、今、ハーバード大学には、日本人の留学生、研究者二百六十名、外務省からも行っていると思いますけれども、こういった方々が含まれている。
既にもう外務省は、東京のアメリカ大使館なんかも通じて、様々な申入れ等をお伝えをいただいていると思っておりますけれども、改めてその中身について教えていただければと思います。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、五月の二十三日、米国の国土安全保障省は、外国人留学生の受入れに必要なハーバード大学の認定の取消し命令を発出したと承知しております。また、二十四日におきましては、ハーバード大学の提訴を受けまして、連邦地裁が一時的な差止め命令を発出したと承知しております。
この米国政府の発表を受けまして、日本政府から米国政府に対しまして、ハーバード大学には日本人留学生も多数在籍していることから、日本政府として高い関心を持って注視しており、日本人留学生への影響を抑える観点から、米国政府に対して更なる情報提供というのを求めたところでございます。
また、これはハーバード大学に限ったことではございませんけれども、これまでも外務省は、在外公館等におきまして、米国大学留学中又は留学予定の学生の方々に対しまして、個別の事情に応じ丁寧に相談に応じるとともに、必要な場合には弁護士さんを紹介するなど、学生の方々に寄り添った対応を行ってきているというところでございます。
今後とも、日本人留学生からの相談には、外務本省及び在外公館におきましても、できる限り丁寧に対応していくという考えでございます。
○大空委員 ありがとうございます。
日本人留学生の影響を抑えるという観点、それから学びの継続保障ということで、東京大学がハーバード大学の留学生の受入れなんかを発表しておりますけれども、日米関係の将来の礎にも関する話だということも是非お伝えをいただきたいんです。
まさに今ハーバード大学に入学している皆さんというのは、これからの三十年、五十年後の日米関係の礎を築く次世代のリーダーシップを発揮いただける人材だと思っておりますので、学びの継続という観点と、将来にわたって日米が友好的な関係を築くために、深化をするために重要な存在であるんだということも含めて、引き続きの働きかけをお願いしたいと思います。
では、国際情報戦における外務省の戦略的な対外発信等の在り方についてお伺いをさせていただきたいと思います。
まさに今の時代、国家の信頼とか評価というのは、イメージであるとかナラティブによって形成をされているわけでございまして、まさに不断の努力が必要になっているという状況だと思っております。
特に、我が国に対する歴史認識とか主権に関わる議論において、事実に反する、あるいは悪意を含んだ情報が発信をされるという事例が後を絶たないわけです。特に、慰安婦問題を始め、領土もそうですけれども、我が国の立場が問われる分野において情報操作が行われた場合には、迅速かつ毅然に対応しなければいけない。特に、正確な事実に基づく情報を積極的に発信をしていって、仮に国際社会の中において誤った誤解や偏見があるのであれば、そういったものを理路整然と未然に防いでいかなくてはならない。そのためには、国際場裏の場において適切なナラティブの共有も含めて、我が国に不当なイメージが定着することのないように戦略的な対応が必要であります。
一昨日の五時四十分、沖ノ鳥島周辺のEEZ内で、中国の海洋調査船が我が国の同意を得ずに調査を行っていた。海上保安庁もそうですけれども、外務省が即時抗議をした。それを受けてかどうかは分かりませんけれども、既にこのEEZ内からは数時間で離れたということでございます。
これは、去年の一月一日以来、この十年で九件目ということなんですね、中国の海洋調査船が我が国の同意を得ずに入ってきているのは。ふだんから、まさに中国のみならず国際社会に対して、沖ノ鳥島は国連海洋法条約上の島であるわけでありますから、そういったことを不断に発信をしていくということが求められている、まさにそのタイミングだと思っております。
しかしながら、新しくこれから戦略を立てていきますよという前に、これまでの政府ないしは外務省の対応がどうだったのかという自己評価が不可欠なのではないかと私は思っております。例えば、先ほど申し上げた事例もそうですけれども、今も慰安婦像というのは各国に存在をするわけでありますし、ALPS処理水をめぐっては、規制を強化をした国や地域が残念ながらあった。これらの国の中には、日頃から我が国と友好的な関係を築いている国も多かったわけです。
これまでの取組の検証、反省ということは、これは場合に応じてだと私は思いますけれども、まずは検証をして、外務省としての対外発信、情報収集、分析機能、評価をしていくということが必要ではないかと思いますが、その点についてお聞かせください。
○金子政府参考人 御質問ありがとうございます。
外務省としましては、我が国の政策や立場について客観的な事実に基づく正しい認識が形成され、我が国の取組が国際社会から正当な評価を受けられるよう、情報収集、分析の能力を不断に強化しつつ、発信の取組を強化してまいったところでございます。
情報収集、分析の面では、AIの活用等が極めて重要との考えの下、公開情報収集、分析のための予算を大幅に増額し、必要な能力を推進しているところでございます。
また、対外発信面におきましては、大臣会見そしてインタビュー等メディアを通じた発信、そして在外公館のネットワークを活用した発信、そしてソーシャルメディアを通じた発信など、様々な、多様な手段を活用しながら成果を上げてきていると考えております。
また、我々からの発信に耳を傾けていただく前提となる我が国の信頼度、好感度を向上させるため、文化外交にも積極的かつ戦略的に取り組んでおります。
御指摘のとおり、近年の国際的な情報戦の激化を踏まえ、外務省としましては、引き続き情報収集、分析能力の向上、そして対外発信の強化の取組を進めてまいりたいと考えております。
○大空委員 是非自己評価をしていただきたいと思います。過去の検証なくして新たな一歩はないということでございまして。
先ほどお答えをいただきましたので、三問目を飛ばしますけれども、これまでの五年間の国際情報戦に関するスピードとこれからの五年間というのは、全くスピード感が違うと思うんですね。
昨年六月に、当時のイギリスのキャメロン外相がウクライナのポロシェンコ前大統領を名のる人物とビデオ会談をしたと。これが本人じゃなかったわけですね。ディープフェイクかどうかという報道は出ていませんけれども、これはまさに氷山の一角だろうと思います。容易に、ビデオ会談であったとしても、本人とは分からないというような事例が実際に発生をしてしまうおそれもあるわけでありますし、こういった問題への対処のためには、先ほどおっしゃっていただいたように、やはり専門人材が必要なんですね。
AI等の活用、先端技術の活用を含めた戦略的な対外発信を是非行っていただきたいと思っておりますし、やはり各国に知日層を増やす、先ほどのハーバードの取組もそうですけれども、次世代、若年層との関係構築は、留学生のみならず議会関係者も含めて、是非積極的に後押しをいただきたいと思っております。
また、例えば駐英日本大使の鈴木さん、今、イギリスで大人気になっておられるわけですね。独自のXの投稿なんかをやっておられる。また、金杉大使も、実はウェイボーでかなり積極的に発信をされておられます。鈴木さんとか金杉さんはできても、じゃ、次の大使が同じことをできるかというと、なかなか難しいと思うんですね。なぜ鈴木さんがあれだけ今イギリスの国内の中で高い評価を得ているのか、こういったことも戦略的に分析を是非していただきたいと思います。そして、ナレッジを是非外務省の中でも共有を広くしていただければと思っております。
では、次に、在外邦人の孤独・孤立対策について伺いたいと思いますが、最新の海外邦人援護統計における邦人の死因のうち、自殺は何件ありますか、また死因全体の中で何番目に多いか、お聞かせください。
○岩本政府参考人 最新の統計が二〇二二年の統計になりますが、死因が自殺だった方は二十六人ということになります。死因が特定できる方で一番多いのが病死で、百八十六人ということですが、自殺で亡くなられた方は二番目に多い、こういった数字になっております。
○大空委員 ありがとうございます。
在外邦人は今百三十万人おりますけれども、死因の二番目が自殺なんですね。これが十年近くずっと続いているというトレンドです。
国際情勢が非常に不安定な地域のみならず、やはり、単身赴任で駐在で行かれている方も含めて、外務省にもたくさんいらっしゃるわけでありますから、そういった方が自ら命を絶っているという状況があります。
また、DVや虐待で悩んでおられる方もたくさんいらっしゃる。ハーグ条約の関連で、子の連れ去りであるとかDVについては、アメリカやイギリスの主要都市については日本語でも対応できる相談窓口やシェルターの案内がされていますけれども、例えば、日本人学校で虐待をされている子供がいた場合、日本人学校の先生は対応することができないわけですね。
虐待をしているのかというのをそれぞれの御家庭に聞くと、その後に危険が及ぶ可能性もあるし、現地の言葉が分からないお子さんが現地の機関に保護されるという事態も非常に難しい。日本の児童相談所は海外に出っ張っていきませんから、どこが対応するんだとなると、やはり在外邦人の保護というのは外務省が担っていただく必要があるわけでありまして、是非とも、これまで様々な取組をしていただいていると思いますけれども、例えばNPO団体との連携、相談窓口もありますし、実際に現地の在外公館とこういった団体が連携をしてケースに入っていただいているということもあると思いますが、こういった取組を更に私は加速化をしていただきたいと思っております。
これまでの在外邦人の孤独、孤立問題への外務省の対応についてお聞かせください。
○岩本政府参考人 外務省としましても、近年、孤独・孤立対策を重視してきておりまして、様々な対策を講じてきております。
今委員からお話のありましたとおり、二〇二一年からは、関係のNPO五団体の御協力を得つつ、専門の窓口を充実させるようにしてきております。また、メンタルヘルスに関する相談件数も増えてきておりますので、特にヨーロッパ等の幾つかの公館では、専門の精神科医の先生と契約を結んで相談ができるような形を取ってきております。
また、二〇二三年には、外務省として、海外の邦人につきまして、孤独・孤立に関する調査を初めて実施いたしました。実態把握、分析等を行ってきておりますので、こうした取組を通じて更に適切に対応していきたいと思っております。
○大空委員 ありがとうございます。
こういった調査、統計なんかは、WHOには社会的つながりに関する閣僚級の委員会ができたわけでありまして、厚生労働省とも連携をしながら、是非とも各国とこういった知見を共有をしていただきたいと思います。
また、様々な相談窓口と連携をしていただいておりますし、私もその一つを経営をしておりましたので非常に申し上げづらいんですが、こういった団体との連携を強化するというよりも、やはり、そもそも外務省そのものが海外における在外邦人の皆さんの保護をしっかりできるような体制を取っていただく、そのための定員増であり、そのために予算が必要なんだということを、私どもしっかりと応援をさせていただかなくてはいけないと思っております。
とはいえ、なかなか、百三十万人というと、エストニアの国家の人口と同じぐらいでありますから、非常に大きな規模のコミュニティーに対して、外務省の皆さんはふだんから様々な援護をしていただいているわけでありますので、是非とも、それぞれの国における機関若しくは団体等とも連携をしていただいて、海外にいたとしても、同胞の皆さんでありますから、決して一人で亡くなるというようなことがないように、見捨てられるということがないように、是非、領事定員の主要国並みの拡充、そして、小規模公館の体制強化も含めた二百五十公館の実現に向けて、私どももしっかりと後押しをさせていただきたいというふうに思っております。そもそもは外務省がしっかりとこの海外邦人の援護をしていただく、そのことも私は心から応援をさせていただきたいと思っております。
終わります。ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、武正公一君。
○武正委員 おはようございます。立憲民主党の武正公一です。今日はよろしくお願いいたします。
経産大臣政務官もお見えいただきまして、ありがとうございます。
冒頭、私もやはり、ハーバード大学に対する今回のトランプ大統領の措置は言語道断であって、大学の自治、そうした学問の自由、そしてまた日本の留学生も、御記憶かどうかは分かりませんが、鳩山当時総理がハーバード大学の学長と会って、当時、ハーバード大学への日本の留学生は一人だ、これを何とかしろというようなことがあって、爾来、そうした留学生も増えてきた、そういう経緯もございますので、やはりこの留学生、そしてまた職員、研究者、しっかりと日本の代表としてそれぞれ務めておられますので、外務大臣としても毅然たる対応を求めてもらいたいと思います。
まず、関税交渉について伺いたいと思います。
第三回が終わりましたが、第四回目は三十日にということで。
まず、ベッセント長官がなぜいなかったのかというのは非常に不思議なんですね。それまで、G7でしたでしょうか、財務大臣・中央銀行総裁会議にいたわけですから、日程的にも空いていたんじゃないかと思うので、まずこれについて伺いたいのと、相変わらず自動車が対象外ということで、ゆっくり早くということで、赤澤大臣は引き続き遺憾だということを言い続けるんだということなんですけれども、なぜこの自動車が対象にならないのか、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 先般の閣僚会議にベッセント長官はいなかったわけですが、その前に赤澤大臣とは電話連絡を取っていると思いますし、御都合だったんだろうというふうに思っております。
一方で、先般、赤澤大臣は、ラトニック商務長官とは九十分、グリアUSTR代表とは百二十分間、それぞれ会談を行っておりますので、かなり中身の濃い協議ができたものと承知をしております。
それから、当然、自動車関税を含む全ての関税措置について、我が方は、これは遺憾であり、見直されたしということを一貫して主張しているわけでありまして、それが対象になっていないということではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
○武正委員 アメリカ側の発出は、やはり九十日ということで、七月上旬がタイムリミットということで発出をされていますし、アメリカ側の言い分は、やはり自動車、二五%の関税措置は対象外ということがもたらされているので、日本とすれ違っているというふうに言わざるを得ないわけでございます。うがった見方をすれば、七月上旬までになかなかこの自動車の決着は難しかろうということで、場合によっては日本側も了解をして、その協議の対象から外したんじゃないかという指摘がありますが、そういったことはあってはならないということを申し上げておきたいと思います。
それで、六月中旬にはG7首脳会談が行われます。議長国はカナダでございます。カナダもアメリカへの自動車の輸出国、ほかのG7、輸出国が多いということで、我が党の野田代表からも、ストレートに毅然と交渉してほしい、カナダを含め自動車輸出国ばかりがそろっている、チームワークで米国に主張していく方がいい、こういったことを発出しておりますが、G7首脳会談、当然、石破総理も日米首脳会談をということで予定をされていると伺っております。
この自動車交渉も含めて、議長国カナダほか参加国との連携について御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 まず、野田代表のアドバイスには感謝申し上げたいと思います。自動車関税を含めて、関係各国と意思疎通を行うことは極めて有益であると考えております。
そうした考えから、石破総理も、四月十日には英国のスターマー首相、十六日にはフランスのマクロン大統領、五月二日にはカナダのカーニー首相、二十日にはドイツのメルツ首相、二十六日にはイタリアのメローニ首相との間でそれぞれ電話会談を行っておりまして、米国の関税措置、自動車も含むということですが、世界経済や多角的自由貿易体制に与える影響を踏まえて、経済分野につき、幅広く議論を行っていただいております。
こうしたG7を始めとする各国との意思疎通を含めて、何が日本の国益に資するのかということを、あらゆる選択肢の中でしっかり考えながら取り組んでいきたいと考えております。
○武正委員 それで、先日、日米電話首脳会談もあったわけなんですが、トランプ大統領から日本側への提案、やり取りが、昨日、今日と、朝日新聞だけなんですけれども大きく取り上げられております。昨日は、日米電話首脳会談でF47戦闘機購入を持ちかけられたと。それから、今日は、アメリカの半導体購入、数十億ドル購入をと。これは日本側の提案であるというようなことなんですけれども。
まず、日米電話首脳会談、どんなやり取りがあったのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○岩屋国務大臣 五月二十三日ですが、午前十一時から約四十五分間、石破総理はトランプ大統領と電話会談を行いました。
両首脳は、米国の関税措置に関する日米協議や経済安全保障に係る協力などの諸課題について、幅広く意見交換を行っております。
それから、外交、安全保障をめぐる諸課題についても意見交換を行っております。その中で、トランプ大統領からは、先般の中東訪問の成果について説明があって、これに対して、石破総理から、米国による外交努力を多とするという旨述べております。
そして、石破総理から、米国の関税措置に係る日本の立場を改めて伝えています。そして、関税措置に関する日米協議について、この段階ですが、現在、赤澤担当大臣がワシントンDCに向かっているので、閣僚間で生産的な協議が行われることを期待すると述べ、トランプ大統領もそれに賛同しております。
そういうことでございますので、それ以上の詳細については控えさせていただければと思います。
○武正委員 外務大臣はそうお答えになるんですけれども、連日、そうして新聞が報じているということは遺憾だなというふうに思います。
それと、トランプ大統領の中東訪問で、カタールからですか、エアフォースワンの寄贈を受けたり、また、ボーイング社からの大量の購入が表明されたりということだったので、その乗りで電話をされて、F47戦闘機購入はどうですかというような感じだったんでしょうか。いかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 繰り返しになりますが、安全保障についても意見交換がされておりますけれども、詳細については控えさせていただきたいと思います。
○武正委員 報道では、中谷防衛大臣もシアターという言葉を使うのを控えるというようなこともありますので、トランプ大統領は一流のディールということが念頭にあるんでしょうけれども、特に安全保障に関しては、やはり一つ一つの積み重ねを丁寧に行っていくことと、やはり国会との情報共有、これを是非念頭に進めていただきたいというふうに思います。
続いて、パレスチナ難民支援について移りたいと思います。
昨日、私も、議員連盟で、UNRWAの事務局長ともお目にかかってお話を伺いました。ガザへの様々な対応、総理もお会いになったということで報じられておりまして、事務局長からも、今の現状が極めて悲惨な状態であることに対して日本の支援が求められたというふうに思いますが、外務大臣もお会いになったと思いますが、どのようなやり取りがあったのか、御紹介いただけますでしょうか。
○岩屋国務大臣 昨日、ラザリーニUNRWA事務局長と私も会談を行いました。
私からは、UNRWAは中東地域におけるパレスチナ難民支援において必要不可欠な役割を果たしておられる、UNRWAを含む人道支援活動が可能な環境が持続的に確保されることが大事だ、イスラエル政府への働きかけを含む外交努力を我々も粘り強く行っていくということをお伝えをいたしました。
これに対してラザリーニ事務局長からは、日本のこれまでの支援への謝意が表明されるとともに、現在のガザ地区の人道状況についての説明、UNRWAをめぐる状況、あるいはUNRWAのガバナンス改善の取組状況について説明がありました。
その上で、引き続いて、パレスチナ難民の支援のために国際的な連携に共に取り組んでいくことを確認をした。そういう会談をさせていただいたところでございます。
○武正委員 今朝の報道では、西ドイツのメルツ首相も、イスラエルに対して、もはや目的が理解できない、国際人道法が侵害されているのであれば発言しなくてはいけないというようなことが言われておりますし、英仏とカナダの三か国首脳は十九日に共同声明、大規模な地上侵攻の即時停止と支援物資の輸入拡大を求めると表明がありましたし、また、同じ五月十九日でしょうか、日本も含めた二十七か国、ガザへの援助と新たな援助提供モデルの提案に関する二十七の人道支援パートナーを代表する共同声明も発出ということでありますので、引き続き、我が国の立場として、二国家解決、またガザ即時停戦をという立場は変わらないということでよろしいでしょうか。
○岩屋国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
我が国としては、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する、いわゆる二国家解決を一貫して支持しております。
また、現在の紛争については、国連安保理決議や当事者間の合意などに基づいて、当事者間の交渉によって解決されるべきという立場でありまして、こういう立場に変わりはございません。
○武正委員 そうした中、日本を始め外交団が西岸地区を訪れたときに、イスラエル軍から射撃を受けたということでございます。これについては外務大臣も抗議を述べておられると思いますが、改めて事実関係と、それに対する日本政府の対応をお聞きしたいと思います。
○岩屋国務大臣 五月二十一日ですが、我が国を含む外交団がヨルダン川西岸地区の北部にありますジェニン難民キャンプを視察していた際に、イスラエル軍が警告射撃を行ったと報告を受けております。我が国を含め負傷者はいないと承知しております。また、引き続き現地において詳細な事実関係を調査中でありますが、このような事案の発生は誠に遺憾であって、あってはならないことだと考えております。
事案発生後、直ちに中東アフリカ局長から駐日イスラエル大使に対して抗議をしたほか、在イスラエル大使館臨時代理大使からイスラエル外務省アジア太平洋局次長等に対して抗議を行っております。また、二十二日、船越外務次官がコーヘン駐日イスラエル大使を召致の上、厳重に抗議し、十分な説明と再発防止を強く求めました。
イスラエル側からは、申入れを十分認識するとして、このような事案が発生したことに対する遺憾の意の表明がありました。また、現在、事実関係を調査中であり、調査結果はしかるべく共有するという説明があったところでございます。
引き続き、イスラエル側に対して、十分な説明と再発防止を強く求めてまいります。
○武正委員 日本政府として、西岸地区に対しての入植の停止、これもかつて求めてきたと思います。そうしたことも併せて強く発出をしてもらいたいというふうに思います。
UNRWAがガザあるいは西岸から活動を移さざるを得ないという、あるいは、イスラエルの統治の下、活動ができないというような状況で、本部もエルサレムに移すというようなことも含めて、こうしたUNRWAへの支援、これについてやはり引き続き強く求めておきたいと思います。
続いて、イランとアメリカとの核合意協議について、今始まっております。
御案内のように、いわゆる六か国との核合意、イランとの核合意からアメリカが離脱ということになった第一次トランプ政権から、にわかに、こうしたイランとアメリカの核合意が結ばれるように日本としてどういう支援ができるのか。特に日本は、イラン、中東とやはり独自のパイプ、あるいはそうした関係性を持っておりますので、日本として関与ができるのではないかというふうに思います。
先ほど、日米電話首脳会談は、中東から帰るときというんでしょうか、電話があったわけですけれども、例えば、イランとアメリカとの交渉などについて言及があったのかも含めて、日本としてどうしたことができるのか、改めて伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 まず、首脳会談での中東での話の詳細については控えさせていただきたいと思いますけれども。
今お尋ねのイランの核問題に関しましては、御案内のように、米・イラン間ではこれまで五回にわたって協議が行われてきております。我が国として、核問題の平和的解決に向けた動きとして、これを歓迎しております。我が国としても、イランに対して、核問題の平和的解決に向けた対話を進めるためには、建設的かつ具体的な行動を取るべきだ、取った方がいいということを様々なレベルで今働きかけております。
私からも、イランのアラグチ外相、この方は元駐日イラン大使でもありますので親日家でもいらっしゃるわけですが、アラグチ外相と電話会談をいたしまして、建設的な対応を求めたところでございます。
我が国としては、引き続き、米国及びその他の関係国、機関と緊密に連携をして、このイランの核問題の平和的解決のために外交努力を継続してまいりたいと考えております。
○武正委員 イランとのそうした関係、更に強く太くしていただければと思います。
アメリカのイラン経済制裁がまだまだ続いているわけですので、やはりそうした中で、日本の果たす役割というのが大きいものがあるというふうに思います。
今日は、政務官もお見えでございますが、お手元の方に資料をちょっと御用意したんですが、まず、最近十か年の原油、粗油輸入量の推移という表を御覧をいただきたいと思います。
今挙げましたイラン、そしてイラク、これは日本の原油、粗油輸入量の上位をずっと占めてきたわけですね。一時、特にイラクからの原油輸入量は、日本の輸入量の一〇%を占めていた時期もあったわけでございますが、対イランは、経済制裁もあったからなのか、二〇二〇年からぱったり止まったということなんですが、イラクに関しても、二〇二一年までは輸入がされているんですが、二〇二二年以降は輸入がされていないということでございます。
二ページ目を御覧いただきますと、これは産出量の方の資料でございます。二〇二三年が一番直近の資料でございますが、今のイラクは日量四百三十五・五万バレルですね、日量四百三十五万バレル。ちなみに、イランは日量四百六十六万バレルということでございまして、これら以上の国というのは、これを見ていただくと、アメリカ、カナダ、それからロシア、サウジアラビア、そして中国、中国は下ですね、というような産出量を誇るイラン、イラクからの輸入が、我が国に途絶えているということがいかがなものかなというふうに思っております。
やはりできるだけ多方面にエネルギーの依存体質を分散させるのがリスクヘッジということかと思うんですが、まず、イランは制裁対象だったのかもしれませんが、特にイラクがこうなった理由を政務官にお聞きをしたいと思います。
○竹内大臣政務官 武正委員にお答え申し上げます。
イラクは、原油の確認埋蔵量が豊富であるということはもう当然でありますけれども、その一方で、我が国が原油をどこから輸入するかの判断につきましては、やはり国内の需給動向あるいは経済性など、様々な要因を踏まえて、市場原理に基づき決まることになります。
そして、御指摘のように、二〇二二年以降にイラク原油の輸入実績がないことにつきましても、制裁などのイラク原油の輸入を禁止する措置が存在しているわけではありませんが、石油精製元売各会社が、原油の性状や価格などを踏まえて、総合的に判断した結果であると認識しております。
○武正委員 外務大臣、また後でちょっと御所見を伺いたいと思いますが。
二〇〇九年には、イラク復興支援という名目で、日・イラクフォーラムということで、私と松下経済産業副大臣の二人、バグダッド空港で日・イラクフォーラムに参加をいたしまして、多数の日本からの経済関係者、エンジニアリング会社を始め、参加をされておりました。
イラクが、先ほど触れたように、これだけの産出量があるし、また、イラク復興ということで、日本も支援をというようなことが始まっていたわけなんですが、どうも、二〇二二年でぱたっと途絶えてしまった理由がちょっと分からない。今のような国内の事情だということでは、なかなかちょっと理解がしづらいというふうに思っております。
先ほど、イランと日本との関係性を指摘をいたしましたが、やはりイラクも、中東にあっては、極めて今大事なポジションにあるのではないかというふうに思います。イラクに米軍基地なども置かれているということも承知をしておりますが、日・イラクとの関係性、併せて、イラクからやはり原油の輸入が再開できるように、これだけ産出しておりますので、聞くところでは、これがかなり中国などに輸出されているんではないかということも聞いておりますが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 イラクは中東地域のまさに中心に位置するわけでありまして、イラクが安定するということは、地域全体の平和と安定のために極めて重要だと考えております。それから、委員御指摘のように、イラクは世界有数の石油の生産国、埋蔵国でもあります。また、人口も四千五百万人以上ということで、マーケットとしても大きな経済的ポテンシャルを有しております。
どこから石油をどのぐらい入れるか、リスクを分散してヘッジをかけるということは大事だというのは御指摘のとおりだと思いますが、そこに立ち入って外務省から説明することは控えたいと思いますけれども。
いずれにしても、イラクとの関係は、我が国にとっても非常に重要だと考えております。中東地域全体の安定の維持のため、イラクへの支援を継続をしていきたいと思っておりますし、経済分野を始めとする様々な分野において二国間関係の一層の強化を図っていきたいと考えております。
○武正委員 経済産業政務官、いかがでしょうか。場合によっては、イラク国内のインフラの整備状況でなかなか日本側企業が対応できないのか、あるいは、場合によっては、イラク産の原油の価格、品質などということもちらっと聞くわけなんですけれども。
そうはいっても、二〇二二年でぱたっとゼロになってしまうというのが極めてちょっと理解しづらいんですが、改めて、もし、イラン国内のそうしたインフラ整備など、あるいは価格など日本側の交渉の状況もあるのかもしれませんが、経産省としてどういったお取組をされるか伺いたいと思います。
○竹内大臣政務官 お答え申し上げます。
繰り返しにはなりますけれども、イラク原油の輸入の判断につきましては、石油精製そして元売会社が、先ほどもお答えしましたが、価格等の経済性、そして、私どもとして認識しておりますのは、原油の種類あるいは成分、こうしたものを踏まえて、各社が総合的に判断しているというのが私どもの認識でございます。
よろしくお願い申し上げます。
○武正委員 政務官、お引き取りいただいて結構でございます。
○堀内委員長 竹内経済産業大臣政務官におかれましては、御退室いただいて結構でございます。
○武正委員 ありがとうございます。引き続き、イラクへの取組をお願いしたいと思います。
それでは、続いて、クルド難民について伺いたいと思うんですね。
トルコとの関係性については、この場でもやはり、グローバルサウスをうかがうような国、また日本に極めて親日的な国。また、中東には所属していますが、EUへの希望を出している、中東とEU、ヨーロッパとの結節点の国。また、今も、ウクライナ侵攻を止めるための停戦協議などを行っている、政治的にも非常に重要な国ということでありますが。ただ、日本との関係で、クルド難民ということが取り沙汰されております。
クルド難民を受け入れないために今のビザ発給を停止したらどうかというような提案が出ているというふうに報じられておりますけれども、まず、過去にこうしたビザなしを取り消した事例というのがあれば御紹介いただきたいと思います。
○岩屋国務大臣 我が国は、これまで、不法残留者の急増等を理由に、パキスタン、バングラデシュ及びイランに対する査証免除措置を停止をしたことがございます。また、不法残留者の急増等を理由に、コロンビア、ペルー及びマレーシアに対して査証取得勧奨措置を導入した事例がございます。
○武正委員 埼玉県の川口市あるいは蕨市について言えば、イランの査証免除が取り消された結果、当時解体業に従事していたイラン人が帰国をする、そこにトルコのクルド人が入っていったというような経緯があるわけでありまして、特に、先ほど言った親日的で非常に重要なトルコの、今のビザなしを取り消しても、問題の抜本的な、本質的な解決にはならないというふうに理解をいたします。
その上で、私自身は、日本に対して海外から人を受け入れるについては、やはり日本語教育、これが非常に重要であるというふうに考えておりまして、ちょうど民主党政権時も、国際交流基金にこうした海外での日本語教育を一本化する、こういう対応も行いましたし、資料の方で、三ページ目にありますように、各国での日本語教育の学習者も非常に増加を見てきた、そういう経緯がございます。
今触れましたクルドということでいいますと、トルコは順位でいいますと三十七番目ということで、三千三百五人、二〇二一年度は若干コロナの影響もあったと言われておりますが、それでも三年前に比べて増加を見ております。
主要国は、上位国は、アジア、アメリカあるいはまたヨーロッパがほとんどの主要な位置を占めているということなんですけれども。やはり、コロナ禍もあって、黒三角が上位にはついている中で、上位以下のところが増加をしてきております。
三年ごとの調査ですから、まだ二〇二四年度調査が出ていないということですが、その傾向はまだまだ続くのではないかというふうに考えるとき、四ページ目を御覧をいただきたいんですけれども、国際交流基金の所在地を見ますと、中東にはないんですね。ですから、中東地域あるいは北アフリカについてはカイロが対応している。
カイロの職員は十名、うち日本語専門官は三名と聞いておりますし、サハラ以南については、ケニアに日本語専門官が一人いるだけということでございまして、やはり、日本語学習者も増えている、あるいは増えていくであろう中東、アフリカへの対応ということが必要なんではないかというふうに思います。四ページ目の資料を見ていただくと、カイロがその対応をするとともに、プノンペン、ビエンチャンなどのところにも事務所も置かれていますので。
私も予算委員会でも取り上げましたが、ジャパン・ハウス、この三か所については国際交流基金に移管をして、一桁金額も多いので、こうした対応については見直しが必要ではないかというふうに思いますし、トルコ、中東への事務所が必要ということを、最後に一言、外務大臣に伺って、終わりたいと思います。
○岩屋国務大臣 トルコでは、一九九八年に両国の官民の協力でトルコ・日本基金文化センターが開設されて、文化交流の拠点となって、様々な行事、活動を行っておりますけれども、今の委員の御指摘も踏まえて、国際交流基金がどういう配置であるべきかということも、しっかりと検討をしていきたいと考えております。
○武正委員 終わります。ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、源馬謙太郎君。
○源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。今日もよろしくお願いいたします。
ちょっと順番を変えまして、先ほどからお話が出ているハーバード大学の件について、私からも伺いたいと思います。
事前のレクで外務省から教えていただきましたが、今のところ、外務省あるいは大使館に問合せ、相談なんかがそんなにたくさんあるわけではない、数件というふうに聞いております。それについては少し安心をしているわけですが、今後何があるか分かりません。ハーバード大学だけではなくて、ほかの大学にも影響することも懸念されるというふうに思います。
先ほどの質疑の中で、どのように対応しているかという御答弁はあったので、それはもう結構ですので、仮に、今後ハーバードが、トランプ大統領が今言っているように、入学資格、在留資格の認定が取り消されるということになった場合、政府は日本人の研究者や留学生に対してどのような対応ができるとお考えですか、外務大臣。
○岩屋国務大臣 まだ事態が進行中といいますか、また係争中でもありますので、その状況をよく注視しないといけないと思っておりまして、予断を持って今の御質問にお答えするのは控えたいと思いますが、我が方としては、米国側としっかり意思疎通を行って、我が国の留学生に影響が及ばないようにするということを目標にして、目的にして、まずはしっかりと事態を注視して、米国との意思疎通を行っていきたいと考えております。
○源馬委員 予断を持ってお答えを今ここでしていただく必要はありませんけれども、やはり予断を持って検討しておいてください。今後何があるか本当に分からないと思いますし、もう大臣も御経験だと思いますが、今、意思疎通がちゃんとできる政権かどうかも、いろいろと問題があると思いますので、是非検討をあらかじめしておいていただきたいと思います。
私の事務所に、今アメリカの大学に通っている留学生がインターンに来てくれていますけれども、彼女に聞いたら、近くの大学にICEが来たりとかして、ICE、ちょっと日本語の名前は忘れましたけれども、アメリカの当局ですね、移民やそういう留学生なんかを管轄する当局が来たりとかして、怖いと感じていると。それから、日本人を含めて常にパスポートやビザを持ち歩かないといけないと毎日のように注意されていたりとか、あるいは、大学側からも、トランプ政権への意見をSNSや公の場で言うのは避けるように、こういう注意も受けていると。
将来、彼女はアメリカの大学に進学することも検討していたんですけれども、それも今どうしようか迷うぐらいの状況だということなので、大使館に問合せは数件であっても、今後いろいろな対応が必要になってくると思うので、是非日本人の留学生や研究者を守る対応をしていただきたいと思います。
次に、Gaviアライアンスへの拠出について伺っていきたいと思います。
Gaviワクチンアライアンスは、現在五十四か国で予防接種を行っていて、これまで十億人以上の子供に予防接種を行い、千八百八十万人の子供の命を救ってきているというふうに言われております。
今度、二〇二五年から二〇三〇年の取組、六・〇という取組ですが、この取組において、Gavi全体での必要額は百十九億ドル、これで八百万人から九百万人の命を救うというふうにしています。しかも、これは予防接種で救うので、本来救えるはずの命をこれだけ救うということです。
改めて大臣にお伺いしたいと思いますが、このGaviへ日本がお金を拠出する意義を外務大臣に教えていただければと思います。
○岩屋国務大臣 我が国は、国際保健を外交の柱の一つに位置づけております。人間の安全保障の考え方に基づいて、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、UHCが達成されるように各種の取組や支援を実施しております。
その中において、Gaviワクチンアライアンスは、途上国における予防接種率を向上させて人々の命と健康を守る活動を行っておりまして、我が国としては、こうした活動ともしっかり協力をして、UHC達成に向けて積極的な役割を果たしていきたいと考えております。
○源馬委員 これは、外交的に国際保健という分野が大事ということ、今大臣の御答弁でありました。
一方で、我が国の保健にとっても大事だと思うんですが、今日は厚労政務官においでいただきましたが、厚労分野から見たGaviへの拠出の意義、これを厚労省はどう捉えているか、教えてください。
○吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。
今委員から御指摘がありましたように、Gaviワクチンアライアンスは、予防接種率を向上させて人々の命と健康を守るという活動を行っているところでありまして、こうした活動は我が国が積極的な役割を果たしてきたUHCの達成にも資するということで、我が国もこのGaviの活動には協力をしてきたところであります。
そして、新型コロナウイルス感染症のような将来のパンデミックへの予防、備え及び対応を含めて、途上国での感染症の抑制がウイルスの国内への流入を抑止することなどの観点から、Gaviの活動というのは大変重要であるというふうに捉えております。
○源馬委員 ありがとうございます。
このように外交面でも大事、そして、予防接種を行っていれば日本に入ってこない、例えば、麻疹とかもそうですけれども、はしかもそうですけれども、こういったものを防いで、あらかじめ日本国内でのパンデミックも防いでいくことができるという、そういう側面もあるわけですね。ですから、非常に大事だと思います。
特に我々はコロナも経験しているので、こういう予防というのは大事だと思うんですけれども、まず参考人で結構なんですが、前回、Gaviから支援の要請があって、二〇二〇年だと思いますけれども、そのとき幾ら要請があって、幾ら日本が拠出したのか、お答えいただきたいと思います。
○今西政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二〇年六月に開催されました前回のGaviの増資会合の際には、これは期間がその翌年の二一年から二五年までの五年間でございましたけれども、我が国政府に対しましては三億ドルの資金要請がございました。当時、新型コロナの戦いというのがあった特別な時期ではございましたけれども、日本政府として、新型コロナ対策を含む当面三億ドル、同じ額ですけれども、拠出を表明し、これまでも着実に拠出は実施してきたところでございます。
○源馬委員 コロナは、その後も十五億ドルぐらい出しているんですね。ですから、Gaviに対する拠出額というのはやはり三億ドルだった、要請どおりの三億ドルを出していたと思います。
これは釈迦に説法かもしれませんが、先ほど大臣と政務官からお答えいただいた重要性のほかに、経済効果もありますし、あとは、ワクチンを日本の製薬会社が作って、それを世界的に使ってもらうという、そういう効果も、ビジネスチャンスにもつながっていくと思います。やはりそろそろ施しというイメージをやめて、日本の国益につながるということで拠出を考えていただきたい。
その上で、前回は、三億ドルの要請があって三億ドル出した。今度、六月二十五日に増資会合がありますが、大臣、幾らプレッジするんですか。今、三・三億ドル要請されていると思います。前回は、三億ドル要請されて三億ドル出した。今回、三・三億ドル要請されて、幾らプレッジしますか。
○岩屋国務大臣 御指摘のとおり、六月二十五日にGaviの増資会合が開催される予定でありまして、次の戦略期間は二〇二六年から二〇三〇年までの五年間でございますが、Gaviからは三・三億ドルの支援要請を受けているところでございます。
もちろん、今委員が御指摘になった様々な意義がございますが、それを踏まえつつも、我が国の財政も非常に厳しい状況にもございますので、様々な事情を総合的に考慮して、厚労省を含む関係省庁とよく連携しながら、実際の拠出額を検討してまいりたいと考えております。
○源馬委員 まだ決まっていないのかもしれませんけれども、あと一か月切っているわけですね。そのうち決めなきゃいけないと思うんですが、最終的には外務大臣が決めるということでよろしいですか。
○岩屋国務大臣 こういう国際機関への拠出という意味ではそうかもしれませんが、先ほども申し上げましたとおり、厚労省を含む関係省庁とよく連携をして、政府全体として決定をしていきたいと考えております。
○源馬委員 厚労省と連携するのは当然だと思うんですけれども、最終判断は誰かがやはりしなきゃいけないと思うんですね。事前のレクでも打合せしましたけれども、事務方で協議して、じゃ、このぐらいでいいやと仮になったとしても、誰かがやはり最後に決めなきゃいけないじゃないですか、政治家が。
それは、外務大臣でいいのか、あるいは厚労大臣が決めるのか、どちらが最終的に決めるんですか。
○岩屋国務大臣 どちらが決める、誰が決めるということが確定的に決まっているわけではありませんけれども、当然、こういう機関への拠出は外務大臣が責任を持たなきゃいけませんし、また、国際保健という観点からは、厚労大臣の考えもよく聞かなきゃいけないということだと思うので、よく協議をした上で決定をしていきたいと考えております。
○源馬委員 よく協議をしていただいた上で、外務大臣がお決めになるというふうに受け止めました。
前回は、安倍総理御自身が、Zoomでしたけれども、増資会合でプレッジされました。今度はどなたが増資会合に行かれるんですか。
○岩屋国務大臣 現時点では、出席者についてはまだ決定しておりませんで、検討中でございます。
○源馬委員 大事な会議だと思いますので、総理とまでは言いませんけれども、大臣を含めそれなりの方が行って、しっかりプレッジしていただきたいというふうに思います。
USAIDがいろいろな支援を止めている現状で、やはり日本が果たすべき役割というのは、この国際保健の分野でも非常に大きいと思います。そういった意味でも大事ですし、逆に言うと、トランプ政権はこれだけ止めているんですけれども、Gaviにはまだ止めていないです、もう御存じだと思いますが。これだけ援助を止めるトランプ政権でも止めないGaviへの拠出というのは、やはり大事なことだということも言えると思うので、是非これは前向きに検討していただきたいと思います。
事前の外務省と厚労省さんの話によると、何か一億ドルぐらいになりそうなことをおっしゃっていましたが、例えば、Gaviが出している、全体の、先ほど申し上げました百十九億ドルで八百万人から九百万人の命を救えるということを考えると、日本が要請されている三・三億ドルを出すと、その分で大体二十五万人分ぐらいの命が救える。仮に一億ドル、三分の一になっちゃったら、八万人しか救えない。この十七万人の差があるので、是非これは、日本の財政ももちろん大事なんですが、巡り巡って日本の国益につながるということも勘案して、前向きに捉えていただきたいと思います。
それから、更に言うと、二〇三〇年はUHCの目標達成年限でもあります。さらに、日本がG7の議長国を務める年でもあるので、この二〇三〇年に向けた大きなプレッジをしっかりしていただきたいというふうに思いますので、重ねて前向きに御検討いただくようにお願い申し上げます。
次に、ジェノサイド条約について伺っていきたいと思います。
事務方で結構ですが、現在、ジェノサイド条約に加盟している国と地域は何か国か、OECD加盟国あるいはG7諸国の中で加盟していない国はどこなのか。
その前に、厚労政務官は御退室していただいて結構です。ありがとうございます。
○堀内委員長 吉田厚労大臣政務官におかれましては、御退室いただいて結構です。
○源馬委員 ジェノサイド条約について、加盟している国と地域の数、OECD諸国、G7諸国の中で加盟していない国を教えてください。
○斉田政府参考人 お答え申し上げます。
このジェノサイド条約でございますけれども、現時点で百五十三の国及び地域が加盟しております。
OECD加盟国ということでございましたけれども、ちょっと今手元にそういった形での整理されているものはございませんけれども、主要国におきましては、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダといったところがG7の中では加盟しているという状況でございます。
○源馬委員 済みません、これは別にその数を通告していなかったので申し訳ないですが、OECD諸国の中で加盟していないのは日本だけなんですね、三十七か国のうち、日本だけ加盟していない。G7の中でも、日本だけ加盟していないという状況です。中国や北朝鮮も批准しているということだと思います。
大臣にお伺いしたいんですが、何度も出ているんですけれども、なぜ日本は加盟していないんでしょうか。
○岩屋国務大臣 我が国も、ジェノサイド、集団殺害犯罪のように、国際社会全体の関心事でもあります最も重大な犯罪を犯した者が処罰されずに済まされてはならないと考えております。
その一方で、このジェノサイド条約は、締約国に対して、集団殺害の行為などを国内法によって犯罪化する義務を課しておりますので、条約を締結するためには、条約上の義務と国内法制との関係を整理する必要があるわけでございます。
○源馬委員 それを踏まえて、大臣は、このジェノサイド条約、加盟した方がいいとお考えなんですか。前向きなのか、それとも必要ないとお考えなのか。
○岩屋国務大臣 基本的には、ジェノサイド、集団殺害などはあってはならないことでございますから、それをしっかり担保できる枠組みができるということは望ましいことだとは思いますけれども、先刻申し上げましたように、条約上の義務と国内法制の関係を整理する必要があります。
例えば、このジェノサイド条約第三条が規定する集団殺害の共同謀議、あるいは直接かつ公然の扇動という規定がございますけれども、その意味するところが必ずしも明確ではないといったこともございます。したがって、これらの規定の国内法上の整備を含めて、やはり条約と国内法制との関係を整理する必要があるというふうに考えております。
この条約の締結に向けて真剣に検討を進めるべく、法務省を始めとする関係省庁との間で協議を進めてきているところでございます。外務省としては、こうした動きが更に加速するように、引き続きしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○源馬委員 ジェノサイド条約の中に、国内法の整備をしないと加盟できないというふうになっているんじゃなくて、もう釈迦に説法ですが、ジェノサイド条約に加盟するんだったら国内法整備を約束するというふうになっているんですよね。だから、別に、それはもう、条約上は、条約に加盟してから国内法を整備したって問題はないわけです、それを約束すればいいわけなので。
通告していないので参考人で結構なんですが、参考人なら分かっていると思いますが、いつから政府はジェノサイド条約への加盟を検討しているんですか。
○斉田政府参考人 お答え申し上げます。
この条約自体、随分古いものでございますので、いつからというのはちょっと今明確に答えることは難しいところでございますけれども、今大臣の方から答弁申し上げましたとおり、法務省と協議を実施しているというところでございます。
○源馬委員 茂木大臣のときも検討している、上川大臣のときも真剣に検討しているという答弁がありました。更に調べてみると、一九五七年に、岸信介外務大臣が検討していると。もう七十年検討しているじゃないですか。いつになったら答えが出るんですか、大臣。七十年も真剣に検討するという先送りは、やはりちょっと問題だと思いますよ。
加盟しないなら加盟しないでもいいと思いますけれども、日本がそういう姿勢でいくならですね。でも、ICCの初の日本人の所長の赤根所長も、取材に対して、このジェノサイド条約に日本が加盟していないのは世界的に見て恥ずかしいと言っているわけです。七十年検討して、いつ頃加盟するという決断ができますか、大臣。
○岩屋国務大臣 時間がかかってきたのは、やはりそれだけ難しい……(発言する者あり)いや、難しいということだと思うんですよね。(発言する者あり)いや、この種の立法ではいつも議論になりますけれども、国内における人権の確保、擁護というものがしっかりできるか、それと抵触することがないかどうかということについては、やはり慎重な検討が必要なんだというふうに思います。
したがって、今、前向きにしっかり真剣に検討しております、法務省を中心にですね。ですから、もう少し時間をかけてしっかりと検討していきたいと思います。
○堀内委員長 発言は委員長の指名を受けてからするようにお願いいたします。
○源馬委員 それにしても、やはり七十年というのは時間をかけ過ぎですよ。もう世代も変わる、時代も変わる。そもそも、ホロコーストがあったときに、この条約が、世界、全会一致で決まって、そして、百五十三か国が入っているこの条約に、七十年かけても答えを出せない日本政府というのは、やはり赤根所長が言うように、世界的に見て恥ずかしいことだと思います。
参考人に伺いますが、先ほど大臣からも御答弁がありました。法務省を始めとする関係省庁と協議していると言うんですけれども、どこですか、法務省以外の関係省庁というのは。
○斉田政府参考人 お答え申し上げます。
これまでのところ、外務省と法務省との間で累次協議を実施してきているということでございます。
○源馬委員 そうなんですよね、これは外務省と法務省だけじゃないですか。何かもっとすごいいろいろな利害関係があって大変みたいなイメージを、関係省庁と言うと与えますけれども、外務省と法務省の話じゃないですか。法務省が国内法整備できるかどうか。我々は立法府ですから、議連もあるし、与党の中でも賛成の方もたくさんいらっしゃるわけなので、七十年もかけなくてできると思いますね。
今お答えいただきましたけれども、レクの中では、関係省庁というのはどこかと教えてくれなかったんですね。法務省を始めとする関係省庁、ずっとそれを繰り返していらっしゃいました。余りそこで頑張る必要がないというか、法務省と言えばいいだけなのに、法務省を始めとする関係省庁というかたくなな答えだったので、ちょっと、レクのときの在り方ももっと真摯に、本当に外交上の機密で答えられないというのは仕方ないこともあると思いますが、関係省庁がどこなのかというぐらいは、やはり外務省としてもちゃんと答えてもらわないと。これは、しっかり省内でも共有しておいていただきたいというふうに思います。
ちなみに、最後にしますが、日本はICCのローマ規程に入っている。ただ、ローマ規程だけでは、例えば予防措置が取れなかったり、それから予防措置の体制整備の義務がなかったりとか、あるいは前提として自国で裁くというふうにローマ規程でもなっているので、そうすると、ジェノサイド条約に入ろうがICCのローマ規程だけの現状であろうが、やはり国内法整備は必要なはずなんですよね。
ローマ規程でも、まずは自国の中で裁くというのが優先というふうになっているはずなので、やはりここは、所管はこれは国内法なので外務省じゃないと思いますが、法務省としっかりと連携をして、是非、七十一年たたないように、七十年でそろそろ答えを出していただきたいと思います。
現在の検討の進捗状況、何割ぐらい、どのぐらい今進捗しているのかということだけ、ちょっと最後にお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 何といいますか、定量的にというか、何割ぐらい進んでいるかというような答え方はちょっと困難でございますけれども、法務省を中心に、関係省庁、関係省庁というのは、もちろん今は外務省と法務省がやっておりますが、事柄の中身によっては他省庁の照会も必要なことも出てくるでありましょうし、そういう意味で関係省庁と言っているんだと思いますけれども、何割までという答え方はちょっと難しいんですけれども、引き続き協議をしっかり進めてまいります。
○源馬委員 是非よろしくお願いいたします。
最後に、尖閣諸島の安保について伺いたいと思います。
これまでも度々、日米安保の範囲内であるかどうかというのを米国政府と確認していると思いますが、トランプ大統領ともそれは確認できているでしょうか、尖閣諸島が日米安保の対象であるということを。
○岩屋国務大臣 はい。この二月の日米首脳会談の際に、日米安保条約第五条の尖閣諸島への適用を含めて、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを確認をしているところでございます。
○源馬委員 私は常々、この確認が、確認するだけで何か胸をなで下ろしているというか、ほっとしている日本側のナイーブさがちょっとあるのではないかなというふうに思っています。
常にどの大統領も、尖閣は日米安保の対象である、条約の義務を履行する、同盟責任を果たすというふうに言い続けてきた。一方で、一九七二年の沖縄返還協定以降、中国に配慮してだと思いますが、尖閣が日本固有の領土であることには誰もコミットしていないわけです。
ルビオ国務長官は、かつて、尖閣は日本の領土だという発言をしました。今、チャンスだと思うんですね。トランプ政権に、尖閣の日本領有を認め、沖縄の米軍が共同防衛に当たることを意味するのかというところまで踏み込んで確認して、初めて、私は日米安保の対象ということの意味だと思いますが、そこまで確認していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
○岩屋国務大臣 尖閣諸島は、そもそも我が国固有の領土でございますので、領有権をめぐる問題は存在していないというのが我が国の立場でございます。
米国政府は、尖閣諸島に関する我が国の立場を十分に理解し、尖閣諸島をめぐる情勢について、我が国の側に立って緊密に連携していくという立場であると理解をしております。このことは、委員が御指摘のように、米側が、累次にわたって、尖閣諸島への日米安保条約第五条適用を確認してきていることからも明らかであると考えております。
○源馬委員 やはり私はそれでは不十分だと思います。ちゃんとアメリカにも、じゃ、尖閣には領土問題はそもそも存在しない、日本固有の領土であるという立場であるということまで確認して、初めて、私は実効性のある確認だと思いますが。
改めて聞きますけれども、そこまで踏み込んだ確認を米側に求めるつもりはないのか。求めるつもりがないのであれば、その理由を是非お聞かせいただきたいと思います。
○岩屋国務大臣 繰り返しになりますが、尖閣諸島をめぐる領有権の問題はそもそも存在しておりません。
米側は、この日本の立場を理解し、我が国の側に立って緊密に連携していくという立場を表明しているというふうに考えております。
○源馬委員 我が国のその立場を理解するのと、それを共有しているのとは違うと思います。日本はそう言っているなとアメリカは理解しているのかもしれませんが、アメリカがその立場に立っているかどうかは別問題だと思います。
これは言葉のあやではなくて、しっかりとやはり確認をして、初めて意味のある、尖閣は日米安保の対象内ということになると思いますので、是非、大臣、そこまで確認していただきたいと思います。どうぞ、もう一度。
○岩屋国務大臣 繰り返しになって恐縮ですが、先ほど申し上げたとおりでございます。
○源馬委員 それでは、しっかり尖閣の周辺の安全を守っていく、米側が、何かあったときにはしっかりと日本側に立つということを確認できていないということと同じだというふうに受け止めましたので、しっかりそのことは申し上げておきたいというふうに思います。
以上で終わります。
○堀内委員長 次に、鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。
今日は、議連についてまず伺いたいと思います。
先日、私はトルクメニスタン議連というところに入れていただいているんですけれども、万博のナショナルデーの初日、トルクメニスタンの議連があったんですが、遠藤利明先生が会長をしていらっしゃいますけれども、議連に伊藤忠の都梅代表取締役とか、そういうところが何か一緒にいろいろなことをやって、本当の外交の最前線の現場を担っている。いろいろトルクメニスタン側からの日本政府への要求も議連を通じて来るみたいな、何か相当活発な、まさに外交というところかなとも思って、大変勉強させていただいているんですが。
まず、一番から五番までちょっと外務省に伺います。
外務省が行う外交と議連が行う外交と、更に議員個人がいろいろ外交というのを行うと思うんですけれども、この関係性についての所見を伺えますでしょうか。
○今福政府参考人 お答え申し上げます。
外務省は、今おっしゃられましたように、岩屋大臣の下で、本省及び在外公館を通じて日々外交活動を行っております。それに加えまして、国会議員の方々、今お話がございました議連等の方々が、議員としてのお立場から様々な形で海外の要人と意見交換等を行われることは、これは大変重要なことだと認識しております。
○鈴木(庸)委員 その場合に、外務省の外交方針と議員外交の方針が乖離するケースというのは今まであったんでしょうか。
○今福政府参考人 お答え申し上げます。
今おっしゃられた各議員の方々、これはそれぞれの各議員の方々のお立場で活動を行っておられるものというふうに承知しております。
御指摘のとおり、外交の一元化、これは非常に重要でございます。外務省といたしましては、議連の方々、あと議員の方々とも引き続き緊密に連携してまいりたいと考えております。
○鈴木(庸)委員 ここからが本題なんですけれども、外務委員会の理事職を賜って、興味のある議連にいろいろお電話させていただいたりしたんですね。地域を基にした議連と、あと国際機関とかイシューを基にした議連と、いろいろあるということなんですけれども、幾つかの議連では、やはり活動状況が確認できないとか、厳しいところが出てきているようです。
ちょっと幾つか参考までに申し上げたいんですが、この情報は、弊事務所が各事務所とか大使館への独自調査なので、情報が不正確でしたらお叱りをいただければと思うんですが、例えば、パキスタン議連、これは事務局長も会長もちょっと誰なのか曖昧なところがあって、議連関係の活動がストップされていると言われています。
シリア難民議連、これは詳細を分かっている人が今誰もいない。
マリ議連、これは大使館の方に確認したら、大使と議連の会長はコロナの前にお話ししたけれども、その後は没交渉であると。何かマリの方の情報だと、議連をやめたというような話もあるみたいな話があったりして、ここも釈然としないんですね。
アフガニスタン議連、二〇一九年と二〇年に議連をつくろうとしたけれども、うまくいかずに、そのままタリバン政権と。先日、どうなっているのかなと思って、アフガニスタン大使とちょっとお会いしてきたら、日本財団の招きで日本にタリバンの皆さんが来ましたよね、そのときに会ってもいないと。ですから、今のアフガニスタンの大使館は前の政権がオーソライズしたものであって、タリバン政権がオーソライズしたものでないとか、その辺の情報も、やはり議連がない理由の一つなのかなと。
ブータン議連、活動を何年も中止して、解散はしていないということです。
いずれにしても、リサーチから見えてきたのは、我々、落選する可能性が誰しもあるわけですけれども、落選後に議連の情報を引き継ぐとか、特に、落選した後、新しい会長の選出とか事務局長の選出まで関わり続けるということはできないと思うんですけれども、情熱を持ってやる人が現れないと、せっかく培ったその国とのネットワークというものが、結構、雲散霧消してしまうケースというのが多々見られるのかなと考えております。
こうした中、外務省として把握している議連の数を教えていただけますでしょうか。
○今福政府参考人 お答え申し上げます。
外務省といたしましては、外務省の各部局が業務上関わりのある範囲で、議連については承知しております。その範囲で、ここ数年のうちに外務本省の各部局が業務上関わりのあった議連、これは約三百ほどあるというふうに承知しております。
○鈴木(庸)委員 そうですね、三百ということで、結構あるなという思いはあるんですが、先ほど来答弁もいただいているんですけれども、外交の一元化ということは大事なので、議連の管理、名簿とかも含めて、議員といった身分が不安定な我々が管理するのではなくて、例えば、少なくとも、最後に誰が会長職に就いていたとか事務局長職に就いていたとかというのを、外務省の方で情報の一元管理というものをしていただけないか。
そうすれば、私がこれに問題意識を持ったのは、最初に、例えば何とか議連に入りたいとなったときに、外務省に問合せをしても分からない、いろいろな秘書の方とかを通じて、ようやくどこが議連をやっているらしいとたどり着いたみたいな、そういうことがあったので、ちょっと問題意識を持ったんですけれども。例えば、特に、新人で入ってきて、何とか議連に入って、ここの外交を頑張りたい、そういうバックグラウンドもあるんだみたいな人たちが、何もできないというような事態というのが結構出てきてしまうと思うんです。
重ねてお願いしたいんですが、外務省で情報を取りあえず、全部を議連の管理なんていうのはできないし、与党の議連しかない議連とかもあるというのは承知しているんですけれども、少なくとも情報の一元管理というのはできないんでしょうか。
○今福政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、議連を含めて、国会議員の方々が様々なお立場から様々な形で海外の要人の方々と意見交換を行われること、これは大変重要なことと認識はしておりますが、おっしゃられるいわゆる議連につきましては、国会議員の方々の活動の一環として行われるものであるというふうに私どもは認識しておりまして、様々な議連の情報を外務省として網羅的に把握、整理する立場にはないというふうに考えております。
○鈴木(庸)委員 そうすると、またちょっと、せっかく培った議連のネットワークとかが断絶になってしまうと思うんですけれども、立法府のことだから、そういう部局をつくってそれを対策するとかいうのはなかなかできないんだろうなというのは分かるんですが、少なくとも、例えば新しい議連が、私どもも隣の小熊さんを中心に立憲民主党日米議連というのをつくりましたけれども、例えば議連が新しくできましたというときに、外務省さんの方に一言入れておいて、このときにはこんなのがありますよということで、後々ほかの議員から問合せがあったときに、一応情報だけは提供するぐらいな体制にしていただけると、継続性が出てくるのかなと思っております。
もちろん、会計の問題とか、何百万円もたまっているけれども、それが全く、塩漬けにされているとか、そういういろいろな問題があるとは承知しているんですけれども、是非その辺の情報の管理については御検討いただきたいとお願いを申し上げます。
大臣に、こうした国際的な議連の活動についての所見を伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 私も、議員個人としては恐らく数十の外交関連の議連に参加をしていると思いますが、やはり、議員の方々が様々な外交上の課題に対応していただいているというのは、本当にありがたいことだと思います。外務省の外交もある意味助けていただいているというふうに認識をしております。
ただ、さっき事務方が申し上げたように、あくまでも議員の方々の自由な活動でございますので、それを政府の方が一元管理するというのは、ちょっと筋が違うのかなというふうに思っております。
いずれにしても、可能な限りにおいて、議員外交に対する支援を外務省としてはしっかり行ってまいりたいと考えております。
○鈴木(庸)委員 是非、情報提供程度でもいいと思いますので、御検討をいただければと改めてお願いを申し上げます。
次に、邦人のサポートについて伺いたいと思います。
海外で性被害に遭った邦人のサポートについて教えていただきたいと思うんです。
ちょっと古くはイタリアとかインドでもこういう報告があったりしたんですけれども、ある御相談をいただいたのは、他国で就職をして、その会社の上司から性的な被害を受けた。ただ、その国は民主主義がない中で、俺は政府の高官と強いコネクションがあるんだと言われて、よく言いそうな、聞きそうなコメントですけれども、何をされるか分からないということで萎縮してしまうようなケースもある。
こうした中で、外務省の方でそうした方々のサポートというのもやっていると思うんですけれども、改めてしっかりやっていただきたいなとお願いをしたいところなんですが、まず、一般論として伺いたいのは、海外で邦人が性被害に遭った場合に、外務省としてどのような対応を取っていらっしゃるんでしょうか。
○岩本政府参考人 外務省としましては、この性被害、こういったことに海外の日本人の方が遭わないように、まずは様々な形で、こういうことを注意してくださいということを周知をさせていただいております。具体的には、外務省の海外安全に関するホームページ、また、別途動画ですとかパンフレットも使いながら、具体的な事例も紹介しつつ注意喚起をさせていただいております。
そして、その上で、万が一性被害に実際に遭われたという場合には、在外公館では被害者の方のプライバシーに配慮しつつ対応したいと考えておりますので、在外公館に相談してくださいということを呼びかけているところでございます。
○鈴木(庸)委員 この対応の具体性というところなんですけれども、例えばイギリスとかオーストラリア、この場合は、チャイナ・インフォメーション・フォー・ビクティムズ・オブ・レイプ・アンド・セクシュアル・アサルトという、法的申請や警察等の対応について事細かに書かれているマニュアルがあったりするんですね。それだけ被害の申請が多いということかと推察されるんですけれども。
ただ、その一方で、今、被害に遭ってしまったら相談をという、こういう場だから漠としかおっしゃれないことというのは分かるんですけれども、在中国日本大使館の犯罪防止ガイド、安全手続、並びに被害やトラブル及びその対策例には、性犯罪への言及がありません。さらに、外務省のホームページも、海外における女性の性的被害というところにおいても、事前防止が中心で、被害に遭った際の具体的な対応についての詳細がないわけですね。
改善の検討をしていただけないでしょうか。
○岩本政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、まずはそういった被害に遭わないように注意していただくということが重要と考えておりますので、そういった観点から、先ほど申し上げたような注意喚起をさせていただいております。
その上で、被害に遭われた場合の対応、これは今委員から他国の事例も御紹介いただきましたけれども、こういった点も踏まえながら、外務省としましても、更にどういった対応ができるのかはしっかりと考えていきたいと思っておりますし、また、私どもが現在行っております支援の内容、これを一層分かりやすく、邦人の方にも御理解いただくように工夫をしていきたいという具合に考えております。
○鈴木(庸)委員 できるだけ具体的に、分かりやすくお願いできればと思います。
万が一、不幸にも大きな犯罪に巻き込まれる、被害に遭ってしまったときにある制度として、国外犯罪被害弔慰金等支給制度、これは議員立法ででき上がったということで承知しているんですが、この概要について、まず伺えますでしょうか。
○若田政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの国外犯罪被害弔慰金等支給制度は、国外犯罪行為により不慮の死を遂げた日本国民の御遺族又は障害が残った日本国民の方々に対しまして弔慰金等を支給するものでございまして、平成二十八年に成立したものでございます。
支給される金額は、被害者が亡くなった場合には二百万円、被害者に法が定める程度の障害が残った場合には百万円が支給されることとなっているところでございます。
○鈴木(庸)委員 スタートからこれまでの支給件数と金額を伺えますでしょうか。
○若田政府参考人 お答えいたします。
平成二十八年十一月三十日の法施行以降、令和五年度末までに、死亡の場合と障害の場合を合わせまして二十二名の被害者の方に関しまして、総額約四千三百万円の支給裁定を行ったところでございます。
○鈴木(庸)委員 例えば、交通事故でひかれてしまった、亡くなってしまった。過失なのか、それとも故意なのか分かりにくいけれども、残念ながら海外で亡くなられてしまった。そういう場合に支給する、この制度がどれだけ周知されているかということは別として、御遺族としては、少なくとも二百万円の受取ということは御希望される方が多くなるかとは思うんですけれども、判断基準というところについては、どのような判断基準で出す出さないを決めていらっしゃるんですか。
○若田政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの支給に関わります基準につきましては、法令に定めが置かれておりまして、例えば国外犯罪被害障害見舞金の対象となる障害の程度につきましては、法律の第二条及び別表におきまして列挙されておりまして、具体的には、障害の場合は、その「両眼が失明したもの」、あるいは「咀嚼及び言語の機能を廃したもの」、あるいは「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」などが定められているところでございます。
支給の裁定に当たりましては、外務省の在外公館並びに被害者の方々御本人から収集いたしました資料に基づきまして、法令にのっとった裁定を行うこととしているところでございます。
○鈴木(庸)委員 法令にのっとった裁定ということですけれども、日本の法令の基準と向こうの法令の基準が違う場合とかがあるんですが、昨日のレクの段階では、できるだけ被害者に寄り添うというようなお話をいただいたんですが、その辺を議事録に残しておきたいんですけれども、よろしいでしょうか。
○若田政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、今申し上げました障害の程度に関して、関係の書類を出していただくんですけれども、その具体的な認定に当たりましては、医師の診断書等に基づいて認定を行っているところでございます。
今御答弁申し上げましたとおり、支給の裁定に当たっては、客観的な資料に基づいて法令にのっとった裁定を行っているところでございますが、これに加えまして、犯罪被害者等の方々の立場に立って、できる限り早期の給付を行うことができるよう、迅速な裁定に努めているところでございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。できる限り早期の給付をお願いしたいと思います。
今のお話の中にも、精神障害、かなり精神的に追い詰められている方が今世界中にいらっしゃる中で、この精神障害の場合に、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」とあるんですが、この基準はどう判断されるんでしょうか。
○若田政府参考人 お答え申し上げます。
本法が定めます障害の範囲は、例えば災害弔慰金の支給等に関する法律において、災害障害見舞金の支給対象となっている障害と同様になっているところでございまして、引き続き、法令にのっとった裁定を行ってまいりたいというふうに考えております。
○鈴木(庸)委員 法令にのっとったけれども、極力被害に遭われた方に寄り添ってお願いできればと思います。
同じように、海外の邦人保護の一環として、重要犯罪被害者弁護士無料相談。なぜ、るるこういうことを申し上げているかというと、余りにもちょっと、海外で邦人が殺されるとか、凶悪犯罪が何か去年ぐらいから多いのかなという気も、気のせい、まあ、統計を取っていないので分からないんですけれども、多いのかなという気がしていて、この重要犯罪被害者弁護士無料相談サポートについても伺わせてください。
先ほどの支給制度と同じく、在外邦人のサポート体制として、この重要犯罪被害者弁護士無料相談サポートがあると承知しているんですけれども、とりわけ、この制度の概要と、中国人弁護士を紹介するときの選定基準を伺わせていただけますでしょうか。
○岩本政府参考人 今御紹介いただきましたこのサポート制度ですけれども、これは、そもそも、昨年、中国で大変痛ましい日本のお子さんが殺害される事件がございましたが、そういった状況も踏まえまして、中国において重要犯罪事件、具体的には、殺人ですとか傷害ですとか、またDV、不同意性交等々、こういった犯罪、事件に遭われた方を対象としまして、日本語による弁護士無料相談サービス、これを今年一月から開始させていただきました。
このサービスを通じまして、弁護士の方から、捜査や裁判手続についての説明ですとか、また、必要に応じて損害賠償、こういった関係の手続等について、法的観点からアドバイスをしていただくようになっております。
そして、弁護士の選定基準でございますが、基本的には、日本語がお分かりで、かつ、日本人への支援について一定の実績がある弁護士の方を選んで御紹介をさせていただいております。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。選定基準は日本語がメインということなんですけれども。
例えば、何かがあったときに大使館員が同行をするということになってくると思うんですけれども、これも先日のハンガリーのときもそうだったんですけれども、何かがあったときに大使館員が同行する、例えば警察に同行する、行政機関に同行する、この同行する支援の基準というのはどこになるんでしょうか。
○岩本政府参考人 海外の犯罪、様々な事案がございますので、警察への同行の基準を一概に定めて申し上げることはなかなか難しいのではございますが、基本的には、事案の重大性、そして該当される日本人の方の個別の状況、これを総合的に勘案しながら同行の必要性を判断しておりますが、実際に、これまでも、必要に応じて在外公館の担当者が警察に同行させていただいている例はございます。
○鈴木(庸)委員 そこはもうケース・バイ・ケースということになるしかないというのは承知しているんですけれども。
以前のハンガリーの邦人女性殺害のときも問題になったんですけれども、例えば、大使館の職員に同行していただけない中で警察に被害届を出すとなると、大使館に、この日、このとき、どういうことを相談に行ったと。日本のDV被害でもそうですよね、日本のDV被害とかストーカー被害でも、このときにこの警察署に相談に行った、行っていないというのが、事件が残念ながら起きてしまった後に、報道のボリュームも変わってきますし、日本だけじゃなくて海外でもやはり同じ傾向があるのかなと思うんですね。
前回のハンガリーのときも、大臣は彼女が首を絞められたという話を聞かれていない、東京の領事局の方にもその情報が上がってきていない、でも、彼女の友達は彼女が首を絞められたというのを聞いているということで、どこかで情報がおかしくなっている。どういう、意図的なのか偶然なのか分からないけれども、記録がどこかでおかしくなっているというような事実が幾つか見受けられるのかと思うんです。
その前提で伺いたいんですけれども、この記録をどう取っていらっしゃるんでしょうか、相談記録というのは。
○岩本政府参考人 在外公館におきましては、日本の方から御相談があった際には、主に領事の担当者が相談記録を作成しております。この記録は、その在外公館、そして外務本省の関係者が閲覧できるような形になっております。
そして、相談の記録につきましては、これは基本的に行政文書として、情報公開法による開示請求の対象となります。もし開示請求がございましたら、情報公開法に基づいて記録の開示、不開示が決定されることになります。
その上で、今申し上げたこの開示請求のプロセスとは別に、実態上の運用としましては、先ほど委員からも御紹介のあった、相談者の方がどうしても今後の手続等で必要だというようなことがある場合には、相談者の御本人に限って、その御本人だということが確認できれば、その相談の記録、御本人からあった相談の内容、これについては写しを提供できるような形になっております。
○鈴木(庸)委員 かなり踏み込んだ御答弁、どうもありがとうございました。
写しを提供できるということなんですけれども、これはおおむねどれぐらいの期間で、請求から出すことができますでしょうか。
○岩本政府参考人 それは個別のケースで、御相談の内容のボリュームがどれぐらいあるのかということにもよりますけれども、基本的には、御相談の内容ということであれば、それほど時間がかからずに御提供できるような形になっております。
○鈴木(庸)委員 それほど時間がかからないと。すごく時間がかかったというようなお話をされている方もいらっしゃるんですけれども、数か月がマックスぐらいの理解でよろしいですか。
○岩本政府参考人 それは事案の状況によりますけれども、数か月単位とか、それほど長い時間がかかるというわけではないと理解しております。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
正直、ここまで御答弁いただけると思っていなかったので、大変感謝を申し上げます。海外で何かトラブルに巻き込まれた邦人の皆さん、これで事務的な手続が、どうプロセスが進んでいくのかというのが明確になったので、大変感謝を申し上げたいと思います。引き続き、邦人保護に取り組んでください。よろしくお願い申し上げます。
最後に、イスラエルについて伺わせてください。
先ほども武正委員からもお話がありましたけれども、御案内のように、パレスチナを国家承認する国として、スペインとアイルランドとノルウェーが国家承認を表明していて、さらに、フランスやイギリスも数か月以内にこれに同調するといった構えを見せておりますが、このことについての日本の所見を大臣に伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、スペイン、アイルランド及びノルウェーが、昨年五月にパレスチナを国家承認したと承知をしております。
第三国の決定について我が国としてコメントすることは控えたいと思いますが、いずれにしても、我が国は、従来から当事者間の交渉を通じた二国家解決を一貫して支持しておりまして、独立国家樹立に向けたパレスチナ人の希望を理解して、これまでパレスチナの支援を行ってまいりました。
国家承認につきましては、やはり和平プロセスが進んでいくということが重要だと考えております。我が国としては、いかなるタイミングでそういう判断、つまり国家承認の判断を行うことが適当かということを引き続き総合的に検討してまいりたいと思います。大事なことは、和平プロセスがしっかり進んでいくということだというふうに考えております。
○鈴木(庸)委員 戦争が始まる前から、国家承認云々ということについては議論の余地があったと思うんですけれども、和平プロセスが進んで、少なくとも国家承認ということについては検討されているということの答弁だったと理解をさせていただきます。
これに加えて、これも先ほどもあったんですけれども、正直、イスラエルがガザで今やっていることは何が目的なのか、もはや理解できないということで、ドイツの首相もおっしゃっていますし、国際人道法が本当に侵害されているのであれば、ドイツもドイツの首相もそれについて何か言わなければならない。
御案内のように、この歴史的な背景から、ガザへの攻撃についてイスラエルが国際的な批判を受ける中でも、ドイツは、どちらかというとというか、結構明確にイスラエル側を支持する立場を貫いてきたと思うんですね。それが、明らかにここに来て、メルツさんも、ちょっと発言の内容が変わってきている。引き続きイスラエル側にとどまることに強い関心を持っている、また、イスラエルも、ドイツが少なくともヨーロッパからの最も重要なパートナーであり続けることを望んでいるみたいなことは言っているんですけれども、その親友がもはや受け入れられなくなるようなことをやってはいけないというような言い方もしていて、ドイツの雰囲気も変わってきているのかなと思います。
御案内のように、ドイツというのは、小学校、中学校、義務教育の現場でも、ナチス・ドイツがやったことについて、これほどまでやるのかというぐらい教え込まれる国なんですけれども、そのドイツでも、この五月、公共放送ZDFの調査だと、イスラエルによるガザの軍事侵攻、軍事行動について正当化できないという回答が八割、八〇%となって、三月の六九%から一〇%以上増えているということになっているわけですね。
この歴史的な背景も踏まえて、ドイツは、ほかのヨーロッパ諸国よりもイスラエルを批判することにずっとちゅうちょしていたというか、慎重な姿勢を示してきたわけですけれども、日本は、極めてこのまま、ずっと極めて遺憾という表現を続けているんですけれども、これは続けるんでしょうか。続けるとしたら、具体的にどの部分が遺憾ということになるんでしょうか。
○岩屋国務大臣 ガザ地区における今般のイスラエルの軍事作戦の拡大といいますか再戦闘行動といいますか、このことによって民間人を含む多くの死傷者が発生していることは、まさに甚だ遺憾に思っております。
イスラエルの軍事行動ですけれども、一般論として、軍事行動が全体として正当化されるためには、やはり必要性あるいは均衡性を満たさなければならないというふうに思っておりまして、国際法の観点から、イスラエル政府により説得的な説明がされているとは言えないと考えております。我が国としては、イスラエルに対して、国際法を遵守するよう一層強く求めていきたいと思います。
先般も、イスラエルとの外相会談において、私からサール外相に対して、国際人道法を含む国際法の遵守を直接強く申し入れました。また、今般、二十二日、船越外務次官が駐日イスラエル大使を召致して、このガザの再占領や軍事作戦の拡大について強い懸念を表明し、ガザの人道支援の全面的な再開を直ちに許可することを改めて強く求めたところでございます。
今後とも、こういう外交努力をしっかり継続して、イスラエルに対する働きかけを強めてまいりたいと思います。
○鈴木(庸)委員 ティックトックとか、あとインスタグラムとか、皆さんのところにも、ガザの子供が亡くなっているとか爆弾で体が吹っ飛んでいるとか、そういうのがいっぱい出てくると思いますし、一般の日本人の、日本の国民の皆さんの携帯電話にもそういう映像がだんだん出てきている中で、ちょっとドイツ国内ですら世論が変わっている中で、日本も更に強い姿勢で戦争終結に向けて頑張っていただきたいと思います。
終わります。
○堀内委員長 次に、和田有一朗君。
○和田委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。
幾つか聞いていくんですが、今、鈴木委員とかぶるものが幾つかありまして、ちょっとどうしようか考えながら質問をしてまいります。
まず最初は、日本とパラグアイの関係についてお伺いするんですが、ちょっと非常に難しい聞き方をしますので、質問取りのときにも丁寧に説明したつもりなんですが、意図が伝わるかどうか、丁寧に聞いてみますが、意図を理解した上でお答えいただければありがたいと思います。
日本とパラグアイが戦略的パートナーというものに引き上げられたというところの話なんですが、まず最初に私が申し上げるのは、実は、第二次世界大戦のときに、チャーチルは、この戦争を終わらせるために何が大事かと考えたときに、とにかく欧州戦争に米国を引き込むことだ、これに全力を尽くしたと言われるんですね。アメリカが欧州大戦に、引き込もうと言うと言葉は悪いですけれども、関わったということが決まった段階で手を打って、これで戦争は終わった、勝った、こういうふうに言ったとも言われているぐらいなんです。
今、台湾有事というものが私たちは目の前にあると危惧をしている。そのときに、どう考えても、アメリカ、米国をどう関与させるか、台湾有事を抑止するためには米国をどのように私たちは巻き込んでいくか、やはりこれしかないと私は思います。日本独自でできることだって、そんなのは限られていますし、それで何かが決まるというものでは、それだけで決まるというものではない。やはり米国をどのように関与させるかということに全ての力を注ぐ必要があるだろう、こう思います。
そういったときに、実は今回、日本は、台湾と国交関係を、正式に外交関係を持っているパラグアイを戦略的パートナーというふうにいたしました。これは大変すばらしいことだと私は思うんです。日本としてはなかなかこういう積極的な動きをするということは、今までには余りなかったような気が私はしています。
前期のときも、林外務大臣もそうですし、上川さんにも、私は、台湾と国交関係を持つパラグアイをできるだけ支援をすべきだ、ODAとかそんなものでもすべきだということも申し上げてきましたし、それを了とする発言もございました。そういう中で、アメリカが台湾政策を見る中で、台湾と外交関係を持つ国を我々は支援をしていくということも大切なことだと思うんです。
今回の日本のパラグアイとの戦略的パートナーに引上げというような、踏み込んでいく、踏み込んでいくと言うと変ですけれども、関わりを持っていくことは、アメリカの台湾政策にも影響される部分があったりする部分も私はあると思うんですね。
やはり米国に歩調を合わせていくということを見せていく、私たちは、アメリカが台湾を大事にしている、あるいは台湾と友好関係のある国を大事にしている、そのことに我々も寄り添っているという姿勢を示すことも大事だと思うんですが、今回のパラグアイとの戦略的パートナーに引き上げていくという動き、政策というものの主眼というものはどこにあるのかをまずお伺いしたいと思います。
○野口政府参考人 お答え申し上げます。
パラグアイは、自由、民主主義、法の支配、自由貿易等の価値や原則を共有し、また、約一万人の日系社会というきずなも有する、従来からの我が国の重要なパートナーでございます。拉致問題や自由で開かれたインド太平洋のビジョンの共有等、国際場裏においても協力をしております。
国際秩序が歴史的転換期にあり、同志国との連携が重要な今、これまでの協力関係を踏まえつつ、更なる連携を目的に、今般、ペニャ大統領訪日の機会を契機に日・パラグアイ間で調整した結果、両国関係を新たに戦略的パートナーへ格上げするに至ったものでございまして、特定の第三国との関係を考慮に入れて行ったものではございません。
○和田委員 それは、日本も独立国ですから、米国に言われてやりましたということもないだろうし、そういうことも言うこともないでしょうけれども、やはり、横目で見ながらそういうことも考えて、我々は米国の政策に寄り添いながらやるということも大事だというふうに申し上げておきたいと思うんです。
ここでもう一つ申し上げたいのは、台湾において疑米論というのがあるんですね。アメリカは本当に台湾を守ってくれるのかと疑いの目を持つというのは疑米論というんです。これは、恐らくは、中国共産党の工作によるものが大きいだろうとよく言われています。
この疑米論をやはり我々は払拭してあげる必要、あげると言ったら、これも変な言い方ですけれども、上から目線じゃないですよ、横からやはりそういうものを払拭していく。日本国内においても、台湾においても、この周辺地域においても、アメリカがしっかりコミットするんだということを知らしめる必要が私はあると思うんですね。
そういう中で、やはり我々は、台湾有事の抑止につながるような、いろいろな作業はしていく必要があるだろうと思います。そういった意味で、今回のパラグアイとの戦略的パートナーの格上げというのもありますし、そういうことを活用していくというやり方もありますし、アメリカもコミットをする政策に我々も積極的にコミットをするみたいなやり方がやはりあってもいいと私は思うんですが、そのことについて、外務大臣はいかがお考えになりますか。
○岩屋国務大臣 今般の日・パラグアイ関係、これを戦略的パートナーに格上げをしたというのは、今般、ペニャ大統領訪日の機会を契機にして、これまでの両国間の協力関係を踏まえて、日・パラグアイ間で調整した結果でございまして、その目的はあくまでも日・パラグアイ間の更なる連携のためであって、特定の第三国との関係を考慮に入れて行ったものではありません。
その上で申し上げれば、台湾は日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人でございます。
今、台湾を承認する国は十二か国となっておりますが、この点、我が国として、両岸関係及び地域の平和と安定の観点から、今後の影響を含め、大きな関心を持って注視をしているところでございます。
台湾をめぐる問題は、あくまでも対話によって平和的に解決されるべきであるというのが我が国の一貫した立場でございまして、このことは中国側にも直接伝えてきておりますし、関係各国の共通の立場として明確に発信をしてきております。
今後とも、こうした外交努力を続けてまいりたいと考えております。
○和田委員 ちなみに、この間、頼清徳総統が一周年に際して、日本のメディアのインタビューを受けたときに何と言ったか。日本との関係は家族である、このように言われたんですね。家族のような関係だと。これに、やはり私たちは応えていくだけのものがないといけないと私は思います。非常に感動しました。家族のような関係だと。友人でも隣の隣人でもない、家族だと言ったんですね。私は非常に心を打たれました。
その次に、もう一つ、パラグアイの話をやるんですけれども、先日、ペニャ大統領が来られて、パラグアイ共和国、日本及び台湾の友好を祝うレセプションというのがございました。私も行ってまいりました。私は、日華断交以来の慶事だと思って、喜んで実はその場に行ったんです。ところが、私は非常にがっかりしてしまったんです。
このことをやることだけでも、恐らく、関係された方々は見えないところでいろいろな苦労はあったんだろうと思います。私も、先ほどの話じゃありませんが、議員外交でいろいろなことを、特に台湾との中でいろいろなことをやらせてもらっているので、これはいろいろな方々が汗をかいただろうなというのは、私は思いました。でも、あのレセプションが終わってからですから、私、やはり申し上げたいと思うのは、がっかりきた。
なぜか。大統領が来られていて、そして、日本と当然パラグアイは外交関係がある、その大統領が来られてレセプションをやる、そこに、パラグアイと外交関係のある台湾の大使や、そういう方々も来られている。なのに、日本は、責任ある立場の方が、政府の立場のある方々は、その立場で参加をしていないということ。なぜだろうと私は思ったんです。
これはなかなか、知恵を出した人がうまかったなと最初は思ったんです。パラグアイにおいては日本国大使館と中華民国大使館は併存し、共に国を代表する大使同士が存在をし、会話をするんです。なぜできなかったんだろう、日本のこのレセプションで。誰も日本側は責任ある立場の人は来ない。私は非常に悲しい思いでございました。
その点について、事実関係をまず参考人にお伺いしたいと思います。
○野口政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の行事は、在日パラグアイ大使館と台湾の対日民間窓口事務所である台北駐日経済文化代表処が開催し、議員連盟やビジネス関係者等を対象としたものであり、日本政府関係者の出席はなかったと承知しております。
ペニャ大統領の今次訪日では、パラグアイとの関係を重視する観点から、石破総理との間で日・パラグアイ首脳会談及びワーキングディナーを行ったことに加え、同国の万博ナショナルデー公式行事等への高円宮承子様の御臨席、秋篠宮皇嗣同妃両殿下の御接見、日・パラグアイ外相会談等、充実した行事が行われたところでございます。
今回のペニャ大統領訪日の成果を踏まえ、パラグアイとの間では、引き続き戦略的パートナーとして関係強化に取り組んでいく所存でございます。
○和田委員 私が聞いたのはこのパーティーの話であって。
そこで、こういう表現をすると失礼かも分からないけれども、そこまで日本は、北京政府、中国の顔色をうかがわなきゃいかぬのでしょうか。日本で外交関係のあるパラグアイの大統領が来られるレセプションがあって、そこに台湾が来ているからといって、それを、中国の顔色をうかがって行かなかったんじゃないでしょうか。
その点について、大臣はいかがお考えになるか、お伺いします。
○岩屋国務大臣 御指摘の行事は、今も説明いたしましたように、在日パラグアイ大使館と台湾の台北駐日経済文化代表処が開催したものであって、政府として関与したものではございません。
そういう意味で、何かに気兼ねをしているとか、そういう御指摘は当たらないと考えております。
○和田委員 正式な招待状というのは政府に対して来なかったんでしょうか。その点、事実関係はいかがですか。
○野口政府参考人 お答え申し上げます。
日本政府関係者には、基本的には招待状は来ていなかったというふうに承知をしております。
○和田委員 基本的には来ていなかった。一体どういう意味なんですかね、それは。
もう一回、基本的にはというのはどういうことですか。
○野口政府参考人 何といいますか、我々として、招待状がどこに発送されたかということまで詳細には承知しておりませんので、細かいところまでは分かりませんけれども、パラグアイから聞いておる説明では、日本政府関係者には招待状を出されていないというふうなことでございます。
○和田委員 細かな話はこれ以上やりませんけれども、こんな状況でやってきたから、次の質問、私は尖閣のことを聞くんですけれども、我が国はこんなことになってきているんじゃないかと思うんですよ。
そこで、次の質問、尖閣の話に行きます。
実は、この間も私はやりました。セスナ機で飛ぼうとした人がいて、それに対して向こうがヘリコプターを飛ばした。それに抗議したのかと。抗議したら、今度は向こうから逆抗議が来たといった事実関係を前に聞きました。
そうしたら、その後に出てきた報道があって、そのことについて。遊覧飛行をしようとした人が、国土交通省の出先に飛行計画を出す。普通、遊覧飛行をする人とかは出すんですよね。神戸空港から大阪を回って帰るときも出すんですね、ああいうのを。
それを出したら、危機管理案件として政府内でその情報が共有されて、飛行直前に海保から接触があって、中国が何をしてくるか分からないから、不測の事態が起こったら困るから、中止要請された、こういうことだったというんですよ。
まず、そこまで、この事実関係はどうなっていますか。
○魚谷政府参考人 お答え申し上げます。
当該民間小型機の飛行に関する情報につきましては、事前に当該人から国土交通省にございました。これを受けて、国土交通省から関係省庁に情報共有をいたしております。
○和田委員 関係省庁に情報を共有したと。それは、その後どうなったんですか。
○山戸政府参考人 お答えいたします。
海上保安庁におきましては、関係機関と連携しつつ、政府の考えとして、当該我が国の民間小型機の飛行目的が遊覧飛行である点も踏まえ、不測の事態を防ぐ観点から、当該民間小型機の航行の安全を図るという目的で、飛行の安全性を考慮すべきである旨を当該小型機の運航者に対し伝達したものでございます。
○和田委員 我が国の飛行機に、我が国の領空を飛ぶことをやめてくれと言ったというんです。一体、どうなっているんですか。
これを質問取りに聞いていくと、いや、うちではない、うちではないみたいな話になって、事態室ですかねみたいな話になったわけですよ。事態室はこのことについてどう把握されておられるんですか。
○千代延政府参考人 お答えいたします。
事実関係につきましては、ただいま国土交通省航空局及び海上保安庁から御答弁のあったとおりでありますけれども、私ども内閣官房事態室は事態対処や危機管理を担当しておりまして、常日頃から関係省庁と連携をし、様々な緊急事態への対応を行っております。
今般の事案につきましても、関係省庁と緊密に連携の上で情報の把握など行い、政府全体の見地から調整を行ったところでございます。
○和田委員 全く、ちょっと時間がないので、次々聞いていきますけれども。
じゃ、今度、次に何が報道で出てきたかというと、中国政府がこの情報を察知して、我が国外務省に、飛行をしたら大変な事態になるから、あなたたち、制止すべきだと警告をしてきて、その流れの中で事態室はこんな判断をしたと書いているんですけれども、この点についてどうなっていますか。
○大河内政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の中国からの事前の要請でございますが、報道の一つ一つについて政府としてコメントすることは適切ではないということでございます。また、本事案をめぐる中国側とのやり取りについては、外交上のやり取りであるので、詳細は差し控えたい、このように考えてございますが。
その前提で申し上げますと、中国からは独自の主張があったということでございまして、それに対して我が国としては全く受け入れられず、尖閣諸島周辺の領空においても我が国は完全かつ排他的な主権を有している等、我が国の立場を伝え、中国側には明確に反論した次第でございます。
○和田委員 私が聞いたのは、事前に日本のその情報が中国に流れたというふうな報道があるわけですよ。それをもって中国が日本の外務省に言ってきている。この事実はどうなんですか。もう一回お聞きします。
○大河内政府参考人 中国から日本への事前の要請という御質問でございますので、ちょっと繰り返しになって申し訳ございませんけれども、外交上のやり取りでございますので、詳細の方は差し控えさせていただきたい、このように考えてございます。
○和田委員 いや、外交上のやり取りと言っているのが意味不明ですよね。前後の話なのに。
ちょっと時間がなくなってきているので、もう一声、次に行きますけれども。
その次の報道では、別のところで、自衛隊のある関係者が言っているというわけですよ。これでは、まるで日本がもう主権を持っていないようなことを言っているようなものじゃないか、実質的に日本の主権が及んでいない状況を知らしめることになっているんじゃないかと言った人がいるというんです。私は、そのとおりだと思うんですよ。
領土問題はないと言われましたけれども、中国に不測の事態が起こるからと言われるような、それで飛ぶのをやめてくれと言っているのは、何を寝ぼけたことを言っているんだろうと私は思うわけです。
そのことについて、まず、このことを管轄するのは、NSS、国家安全保障局というふうにお聞きしましたので、いかがですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、先ほどの質問の中で、中国が事前に把握していたという事実でございますけれども、これを中国がどのように把握したかにつきましては現時点で確認できておりませんが、一つだけ申し上げますけれども、日本政府として、中国にこのことを事前に伝えたというようなことは全くございませんので、その点については誤解のなきようにお願いをいたします。
その上で、御質問について申し上げさせていただきます。
まず、国際法上、主権とは、一般に、国家が自国の領域において有する他の権力に従属することのない最高の統治権のことでございます。一国がその統治権を行使をするという範囲で一番重要なことは、領土、領海、領空に対する外部からの侵害を排除することでございますが、それに併せ、同時に、当該領域内における自国民の安全を守る、これも統治権行為の一環として非常に重要なことである、この点についてはまず御理解いただきたいというふうに思います。
それにつきまして、今回の件を申し上げます。
尖閣につきましては、私ども国家が有効に支配をしております。しかし、これに対し、中国側による、かねてからの力による一方的な現状変更の試み、チャレンジを受けておりまして、まさに中国海警船が常に接続水域周辺で活動しているという大変遺憾な状況が続いている、こういうことでございます。
こういった試みは、当然、受け入れられるものではございません。これについて、海上保安庁を始めとする関係省庁で連携し、三百六十五日、昼夜を問わず、我が国の有効な支配を守っているというところでございます。
今回の八十代民間人男性による自家用機遊覧飛行の計画、これを私ども把握をしたわけでございますけれども、残念ながら海警船が常にいるという状況、この中において、主権の行使として、領土、領海、領空を守ることと同時に、日本国民の安全を守るということも我々の責務でございます。これを同時に果たすということを考えた際に、まさに日本国の主権の行使として、政府の責務としてまずやったのは、やはり安全の観点から、危ないので行かない方がよいのではないかという説得をするということでございます。こういった説得をするということによって日本の主権がへこむ、こういうことは全くございません。
○和田委員 私はそうは思わない。普通の人はそうは思わないと思います。それは詭弁だと私は感じる。
それで、もう一声言います。もう時間がないですけれども。
ヘリコプターが海警局から飛んで、日本がスクランブル発進をした。ところが、スクランブル発進して、着いたときにはもう帰っていたというんですよ。どうしますか。防衛省、どう考えますか、これに関して。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる領空侵犯対処措置でございますので、相手の動向を確認し、必要なスクランブル処置をしたところでございますが、スクランブル処置をしたところ、先生が御指摘のとおり、退去してありましたので、そのまま措置を終了したということでございます。
○和田委員 もう既に中谷大臣が言われているように、中国が航空母艦を近所まで持ってきていますよ。以前、接続水域の外に来ていた、接続水域に海警が来た。そして、領海に入り始めた。ついに遼寧まで、近所まで来ている。どうしますかね。接続水域に中国の航空母艦が入ってきて、領海に入ってきたら、「いずも」を出すんですか。「いずも」を横にひっつけるんですか、航空母艦同士。そんなことになったら、ますます不測の事態が起こり得ますよ、防衛の、安全保障の話でいったら。そういうことも考えたら、もっと断固たる姿勢を示さなきゃいけないんじゃないですかね。
というところで、もう時間がないので、最後に外務大臣、いかがお考えになりますか。
○岩屋国務大臣 もう繰り返しになりますが、尖閣は我が国固有の領土であって、中国側の主張は断固認められません。その都度明確に抗議をし、反論をしてきているところでございます。
その上で、我が国領空における我が国航空機の飛行は、法令の制約を満たす限り、それは当然のことながら妨げられるものではないんですけれども、先刻説明があったように、一方で、この尖閣諸島周辺の空海域において一方的な現状変更の試みが誠に遺憾ながら続いている、こういう状況において、十分な対応能力、性能を有さない民間機が当該空域において遊覧飛行を行うことは、国民に危険が及ぶ可能性がある。これを防ぐという観点から、政府としては、当然行うべき措置を取ったということだと考えております。
○和田委員 時間が来てしまったので、あと二問ありましたが、恐らく、この常会は多分これで私は最後なので、次回に送るということは今国会ではできないかも分かりませんが、また次回に残したいと思います。
ただ、しっかりとやってください。こんなままやっていたら、いつの間にか、日本人の命がと言っているうちに、尖閣が取られちゃいますよ。どうしますかね。そのときに我々子孫に対して申し訳が立ちますかね。そのことを申し上げて、終わります。
以上です。
○堀内委員長 次に、深作ヘスス君。
○深作委員 国民民主党・無所属クラブ、深作ヘススです。
冒頭、政府参考人に御質問いたします。
大臣、必要でしたら、一時的に御退席いただいても結構でございます。
冒頭、まずは、USスチールについてお伺いをしたいと思います。
先ほど来、トランプ政権、トランプ氏の言動やこれまでの政策についていろいろと御議論がありましたが、このUSスチールに関しては、前政権のときから続いている一つの課題でもございます。また新たな局面を迎えたというような報道もございますが、現時点において、このUSスチール、どのような状況になっているのか、政府のお立場、御理解についてお示しください。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
日本製鉄によるUSスチールへの投資計画については、バイデン前大統領によって買収禁止命令が出され、その後、本年四月、米国政府内で、トランプ大統領からCFIUSに対し、再度審査を行うよう指示する覚書が出されたという経緯がございます。
こうした中で、先日、トランプ大統領が本件に関するSNSでの投稿を行ったこと等については承知しておりますけれども、米国政府による正式な発表を待ちたいと考えているところでございます。
○深作委員 ありがとうございます。
現段階においては、トランプ氏のSNSでの一つの発言しか根拠がないということで、なかなか政府として答えられることはないのかもしれないと思いながらも、この件につきましては、先ほども申し上げたように、元々のきっかけは、トランプ氏がこれに対して選挙が行われる前から訴えていたことに呼応するような形で、バイデン氏もこの買収停止を政策に掲げていこうということで、最終的にはバイデン氏が退任直前にこの停止命令を下したという経緯がございます。
一般的に考えると、基本的には市場というものは自由であるべきでありますし、例えば、こういったことが政治の力によって、政局によってこういったものが差し止められてしまうと、今後、未来に行われるMアンドAや投資、こういったことに対して、相手の政権がどう思うのかということを心配をしなければ次の行動に移せなくなってしまうということで、市場を守っていくためにも、ここをしっかりと、民間同士の活動というものを担保していくことが大変重要であると思っています。
他方で、今回は、先ほど来申し上げているように、政治が前に出てきて、ある意味政局化されて、日本製鉄、USスチールというものがやり玉に上がってしまいました。
この中で、日本政府は、政府の立場でこの交渉にどういった関与をしてきたのか、どういった主張をアメリカ側にしてきたのか、この部分について、日本政府の関与についてお示しください。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
日本製鉄によるUSスチールへの投資計画につきましては、委員からもお話がございましたとおり、バイデン前大統領によって買収禁止命令が出されたという経緯がございます。
バイデン前大統領の判断につきましては、日米双方の経済界から、今後の投資の予見可能性について強い懸念の声が上がっていたということを重く受け止めまして、政府といたしましても、その懸念の払拭を米国側に働きかけてきたところでございます。
その後、本年二月の日米首脳会談におきましては、本件は単なる買収ではなく、米国に大胆な投資を行うことで、米国や世界が求める優れた製品の生産を行い、日米がウィン・ウィンの関係になるものにしようという認識が首脳間で共有されたという経緯でございます。
○深作委員 ありがとうございます。
懸念の払拭をするように政府からも求めたということなんですが、具体的に、どのラインで、どういったメッセージを誰から誰に出したものなのか、今お示しいただけますでしょうか。
○浦田政府参考人 外交的なやり取りでございますので、詳細については申し上げませんけれども、大臣等のハイレベルも含めまして、事務方も含めまして、様々なレベルでそうした懸念の払拭の働きかけを行ってきたという経緯でございます。
○深作委員 ありがとうございます。
これまで、アメリカとの向き合い方について、私たちも主権国家として、自らの国のことは自分たちで決めていくんだということをしっかりと態度として示していく。それを、外交の現場ですので、表に立って見えるような形でやるのが本当にいいのかとか、最終的な成果。
今回のことであれば、買収がしっかりと前に進むこと、成果があれば、プロセスはおいておいても、成果を求めていくんだという考え方もある中ではありますが、私は、やはりプロセスにおいても、私たちが、あちら、アメリカ側が特に政治的に出てきたときに、しっかりと政府がバックアップをして、市場のことであっても、国の利益、産業の利益を守っていくんだということを前に出していただきたいというふうに思っています。
ちょっと今日、質問をどのような形でしようか、先ほど座りながら考えていたときに一つ思い出したことがありまして。
私がアメリカの日本大使館で在外公館派遣員として働いていたときに、記憶が正しければ、政務部か又は経済班どちらかだったかと思いますが、その壁に、日本車が燃やされている写真が飾られていたように思います。ちょうど今いらっしゃる参考人の中でも、在米大経験者の方がいらっしゃる、間違っていたら訂正をいただきたいんですが。
これは、ある意味で、外交という現場において産業を守っていく。当時は貿易摩擦の中で日本車がやり玉に上がって、今回の関税もそうですが、攻撃対象になってしまう、これをしっかりと防いでいって守っていく。産業を守ることで私たちの生活を守っていくのは、ある意味で外交の大きな役割であるということを考えたときに、ある意味でその苦々しい思い出をしっかりと忘れないように、大使館内に飾っているんではないかということを今思い出しました。
是非大臣におかれましても、今まだ確定的な状況、このUSスチール、先が見えているわけではございませんが、こういったアメリカ、ある意味で、同盟国でありながら、最もこういった産業においては時に牙をむいてくる可能性がある。この言い方がなかなか大臣からは言えないかもしれませんが、トヨタのプリウス問題などもありました、こういった形で、日本の産業に対して損失が起こるような形で、アメリカが出てくる場合もあるわけです。
他方で、今、この関税交渉が行われる中で、トランプ氏の今回のUSスチールのSNSの発信の中に、これが七万人の雇用創出につながって、百四十億USドル、二兆円程度の貢献があるというようなこともありました。
起きたこととして、元々はネガティブなことではありましたが、この関税の部分の交渉についても、日本がこれだけ投資をしているという一つの例としても、こういったものを取り上げていただくとともに、最後まで市場が自由であるということ、既に懸念は示されたというふうにおっしゃっていましたが、是非この取組をしていただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
○岩屋国務大臣 御指摘の発言については承知をしておりますが、まだ途中経過だろうと思いますので、米国政府による正式な発表を待ちたいというふうに思っております。
実際、本件については、外交上も様々なレベルで扱っております、正直申し上げて、私のレベルでも。ただ、元々は民民の契約事項でもございますので、政府がどういう形でどこまで前面に出るか、あるいは出たように見せるかということについては、いろいろ考えなくちゃいけないということだろうというふうに思います。
したがって、政府としては、必要に応じて関係者間の意思疎通の促進を支援するという言い方に徹してきておりますけれども、実際には、様々な取組をやっているということを御理解をいただきたいと思いますし、それは今後も続けていきたいと考えております。
○深作委員 ありがとうございます。
今回、この件が、今大臣、政府もいろいろと関与してきてくださったということを明確に言っていただいて。
実は、元々買収阻止をされたものが再び審査にのるということは、過去、私が調べた限り、ほとんどない又は全くないようなことで、これは間違いなく政府や、もちろん当事者を含めて様々な努力があったから逆転をしていった、ある意味で、日本の外交が一つの力を、成果を見出せる、きっかけを見出すことができたいい例だと私は思っています。
最後まで、今、予断を許さない状況ではありますが、ただし、しっかりとこういった取組をしてきて、私たちも、日本の産業、利益のためにやってきたということが見えるということは、ある意味で私たちが外交に対する期待を持てる、望みにもなりますので、是非、できる範囲でこういった発信も大臣には引き続きしていただきたいと思います。
続きまして、次の質問、外国人の土地規制についてお伺いをいたします。
外国人の土地規制については、これまで様々な場面で国会でも取り上げられてきた議題であります。先ほど、ジェノサイドについては七十年以上国会で議論しているけれども進んでいないと。ただし、外国人の土地規制に関しては、大正十四年の外国人土地法が制定されてから、実効的なものというのは整備をされてきていない。もちろん、近年、重要土地調査法が制定をされまして、重要土地周辺における活動をモニタリングする、これを管理ができるような状況はできましたが、実際の土地取得ということに関しては、具体的な法律改正などは行われていないと承知をしています。
その中で、この議論は参議院の外防委員会でも既に何度か行われているというふうに私も承知をしていますが、現時点で、日本は、外国人が土地を所有したければ購入をすることができる、完全な形で所有ができるということになっていますが、日本と同様に、ほぼ完全な形で外国人が土地の所有権を持てる国、これは世界の中でどれくらいあるのか、政府参考人からお答えください。
○斉田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の点につきまして、我が国として網羅的かつ有権的にお答えすることは難しいところがございます。
しかしながら、例えばということで申し上げれば、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアにおいては、外国人も土地の所有が可能であるというふうに承知しております。
他方、これらの国において、例えば、安全保障上の懸念が認められるような土地取引に関しましては、投資規制などを通じた規制があるものと承知しております。
なお、フランス、イギリスについては、対象となる主体は外国人に限定されておらず、外国のサービス提供者や投資家に対して差別的な扱いをする規定というものはないというふうに承知しております。
○深作委員 ありがとうございます。
実際、今世界の中でどれだけの国がどういったことをやっているのか、これをしっかりと把握をすること、これは、世界だけではなく、国内においてどの土地がどのように買われているのかが実はどこの省庁も管轄をしていない。重要土地については内閣府を主体として、そして林野庁や農水省などが田畑を管理をしているということは承知をしていますが、それ以外は今網羅的に、どういった国籍、日本人も含めて、誰がどこの土地をどれだけ持っているのかというのが把握ができていないことも大きな課題であるというふうに考えています。
そして、この外国人の土地の取得に関しては、一つ、もちろん、GATSとの関係、この留保規定をつけていなかったということで、これに対して実効的な規制をかけることが難しい状況がございます。もちろん、条約を批准しておきながら、それを無視をするような形で法律を作る、この改正をしていくということは、難しい状況であることは承知をしていますが、他方で、留保条項をつけていないながらも制限をかけている国というのはあるものと私は承知をしています。
ですので、このGATSで留保条項をつけていない国々の中で、外国人による土地取得にどのような国内規制を講じているのか、ほかの国の事例でも結構ですので、お示しください。
○斉田政府参考人 お答え申し上げます。
WTO事務局が公表しているサービス貿易に関する一般協定、GATSの約束表におきまして、土地取引について留保を明記していない主要なWTO加盟国には、我が国のほかに、例えばイギリスやフランスといった国があると承知しております。
イギリスの例について申し上げますと、他国の国内規制について網羅的に、かつ有権的に我が国としてお答えする立場にございませんが、その上で申し上げれば、イギリスには国家安全保障投資法、NSI法というのがございまして、それによって、土地取引が国家安全保障上の脅威となるおそれがあると当局が合理的に判断する場合、そういった場合には当該取引を審査することができるというふうに承知しております。
また、フランスでございますけれども、フランスの場合は、都市計画法典といったものによって、国防、エネルギー、公衆衛生、公共の安全などに関係する土地について、公共の目的のために、土地取得、利用の制限を課すことができるというものと承知しております。
なお、これらの制度の対象となる主体は外国人に限定されておらず、外国のサービス提供者や投資家に対して差別的な取扱いをする規定はないものと承知しております。
○深作委員 ありがとうございます。
外国の事例を見ながら進めていくことも大事なんですが、私たちも、法の支配を大事にしていくという中で、国際的な条約、約束事に違反をする前提で法律を作るということはかなり厳しい、そして、これがなかなか進んでいない理由も、そういった複雑性にあると思っています。
他方で、だからといって、こういった土地が買われていく状況をそのままにしておくわけにもいかない。先ほどあったように、安全保障上の懸念があるということを理由にこれを守ることができるのか、こういった議論は、より積極的にこの国会においても進めていかなければいけないというふうに思っています。
時間の関係で、次に進みます。
T4の練習機墜落事故についてお伺いをいたします。
過去十年間の中で起きた航空死亡事故、死亡を伴う事故の中で、フライトレコーダーがついていなかった事案、その件数についてお示しください。
○嶺政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一五年度から現在までの間におけます自衛隊の航空機事故で搭乗員が死亡した事故の件数につきましては、今月十四日に発生したT4練習機の墜落事故を含め十件となります。
このうちフライトレコーダー、フライトデータレコーダーが搭載されていなかった機体による事故でございますが、今般のT4練習機の墜落事故のみとなっております。
○深作委員 ありがとうございます。
今回、報道によりますと、フライトレコーダーがついていなかったときにどういうふうに原因究明をしていくのかということは大きな課題になっていくと思いますが。
今回、最後に背面飛行をしている様子が見受けられたというふうに聞いています。多分それは、ちゃんとランディングをするために、目的地を定めるために、背面飛行にしてしっかりと直滑降で降りていき、ほかの地域に落ちないように最後に判断をされたんではないかというふうに思います。
今回殉職をされたお二方に心からの哀悼の誠をささげるとともに、この使命に向き合う中で、国民、市民への被害をもたらさないように最後まで努力をされたことに心から敬意を示しますが、これを美談にしてはいけなくて、やはり、こういったことが起きないことが最もいい状況ですので、フライトレコーダーの設置、ボイスレコーダーの設置、こういったことを是非より進めていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、山崎正恭君。
○山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。
まず初めに、私は、先月、四月二十七日から二十九日の日程で、超党派の日中友好議連として、自民党の森山幹事長を会長に、我が党の赤羽一嘉衆議院議員、立憲民主党岡田克也、海江田万里両衆議院議員、共産党の志位和夫衆議院議員など、小渕優子衆議院議員を事務局長にと、まさに超党派のメンバー十四名で中国北京を訪問いたしました。
本日は、その中から幾つか質問をしたいと思います。
四月二十八日の午後に、中国北京におけるハイレベル自動運転モデル区を視察いたしました。私は、初めて公道を自動運転の車で走りました。訪問団の国会議員が二グループに分かれて、私たちのグループは最初に自動運転タクシーの方に乗りました。正直、動き始めの二、三分は、運転席に誰もいない車に乗るのが初めてでしたので怖かったのですが、例えば、中国は右側運転なんですが、右側に止まっているバスや車をスムーズによけたり、前に車がいないと見るや、まあまあの加速で驚きました。
一番印象に残ったシーンは、左折のときでした。中国は逆で、先ほど言ったように右側運転なんですけれども、日本でいうと、いわゆる交差点での右折のときになるんですけれども、前から来ている車の距離を見たときに、私は、正直、自分がプライベートで運転しているときだったら左折するなと思ったのですが、まあ、自動運転だし、安全重視ならば行かないかなとも思っていたんですけれども、中国の自動運転タクシーは左折をしました。その瞬間、乗っていた国会議員みんなが、うわっ、行ったと同時に声を上げました。
その後、私たちのグループは、後半は自動運転のバスに乗りましたが、今度は一転、物すごく安全運転というか慎重運転でありました。
両方に乗った後、思ったのは、やはりタクシーの方は中国のタクシーの運転手さんの車に乗っているような感覚、物すごく車が多い中で、その中で車線変更や左折等のタイミングを計っているというか、そんな感覚でした。やはりAIに読み込ませているデータが違うんだろうなということを体感いたしました。
自動運転については、日本では、二〇二三年の法改正により、自動運転レベル4、特定条件下で完全自動運転が解禁され、二〇二四年十二月には、愛媛県松山市で全国初のレベル4自動運転路線バスが運行を開始されたと承知しています。一方、中国では、自動運転タクシーやバスの実用化で世界をリードし、十九都市でロボタクシーや自動運転バスの試験運行を実施し、うち七都市では完全自動運転のサービスが承認されていると承知しています。
そこで、今回そういった様子を目の当たりにしまして、日中で、今後、自動運転に関する技術交流や規制の在り方、社会的受容性などの最新動向、課題等について共有し、お互いの開発に生かしていくことが重要だと考えますが、そういったところの現状と今後の方向性についてお伺いいたします。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
自動運転による移動サービスの実現は、高い技術力に裏づけられたより付加価値の高い製品、サービスを創出するという自動車産業の国際競争力強化の観点に加えまして、地域公共交通のドライバー不足解消などの社会課題の解決手段という点からも重要と認識しております。
経済産業省としましては、昨年策定したモビリティDX戦略に基づきまして、関係省庁と連携し、国内での商用サービスの実現に向けた円滑な許認可取得のための関係省庁による会議体の立ち上げ、運営などに取り組んでいるところでございます。
御指摘の中国でございますけれども、中国におきましても、日系自動車メーカーと現地企業が自動運転の分野で協業し、ロボットタクシーを走行させている例がございます。こうした国内外の知見を組み合わせた先行事例が生まれてくることは重要だと考えております。
引き続き、このようにして得られた知見も活用しながら、自動運転の社会実装を進めてまいりたいと考えております。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
アメリカなどでも、通常運転と比べて事故が八割減というふうな数字があるというふうにも聞いています。是非、米中と協力して、特に思ったのは、やはり日本とは、社会的受容性といいますか、そういったところのハードルが体制的にやりやすいので、あのような形が進むのかなというふうにも思いました。
あと、質問の中で出たのが、法律なんかが、交通法が、人への交通法ではなく、車両への交通法に今後ますますなっていくだろうというふうな観点とか、保険なんかでは、質問された人がいたんですけれども、事故の判定は有人と無人は現段階では同じで、保険会社と連携しながら、今、適した保険はどうなのかというふうなことを考えているというふうなお話もございました。
中国における事故がどれぐらいなのかということについてはちょっとよう質問しなかったのであれですけれども、そういったところも含めて、是非日本も開発に力を入れていただいたらと思います。
次に、私たちは、今回の訪中で、北京外国語大学日本学研究センターも訪問しました。北京外国語大学は、御存じのように、中国屈指の国立大学であります。日本学研究センターは、一九八五年に北京外国語大学内に設立された中国国内屈指の日本研究、日本語教育の拠点で、中日両国の教育、文化交流や友好促進に大きく貢献しているというふうに思います。例えば、日本の神戸大学や広島大学などの研究機関とダブルディグリーや交流協定を結び、学生の日本派遣や国際技術交流を積極的に行っていると承知しています。
今回強く印象に残ったのは、非常に熱心な学生が多く、日本語も物すごくうまくて、何人かがばんばん手を挙げて発表してくれたんですけれども、世界で最も高齢化が進んでいる日本の社会制度を真剣に学んで、いずれ日本よりも更に速いスピードで進むであろう中国の高齢化に備えて学習をしていきたいなど、学生さんたちの熱量を感じたところでありました。
そして、そのときに話があったのが、実は中国の大学生の多くが今就職できていないという問題でありました。二〇二四年の春時点での就職率は大卒の就職率が五割を切る約四八%になるとも報じられており、コロナ流行前の二〇一九年の約七五%から大幅に低下しており、近年ますます悪化しております。日本の九割超と比べて大きな差がある現状です。そんな中、二〇二四年五月時点で日本の大学などが中国から受け入れている留学生は十二万三千四百八十五人と前年比六・九%増で、過去最高水準に達しています。
そこで、今回私たちが行った北京外国語大学の学生さんたちは大変優秀であり、日本の社会問題等の研究も行っています。現在の日本の人口減少、労働力不足が進む日本社会にとって貴重な人材供給源となり得ると思いますが、大臣のお考えをお伺いします。また、今後更にこういった人員を増やしていくことを考えているのかどうかも含めて、併せてお伺いいたします。
○岩屋国務大臣 一般論として申し上げますと、留学生の受入れは、自国の経済社会の発展あるいは科学技術・学術の振興、人材育成などに貢献し得るものでありまして、その意味で、優れた留学生を戦略的に獲得することは重要だというふうに考えております。
委員の御紹介があったように、去年の段階で三十三万人ぐらいの留学生が来ている中で十二万が中国ということなので、三分の一近くを占めているということです。次いで、ネパール、ベトナム、ミャンマー、韓国と続いておりますが、やはり多様な国や地域から優秀な留学生を受け入れるということが重要だと考えております。
中国との関係で申し上げますと、特に若い世代の交流は非常に重要だと考えておりまして、昨年十二月に行った日中ハイレベル人的・文化交流対話におきましても、若年層の相互理解、あるいは中長期的に日中関係の安定化に資する人材を育成していく上で、青少年交流は重要だと。お互いに留学生が行くということもその一環だと思いますけれども、こういうことはこれからもしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
もちろん多様なところからの人材が大事だと思いますので、またよろしくお願いいたします。
次に、今回の訪中の中で、森山会長は、中国共産党のナンバースリーである趙楽際政治局常務委員や楊万明中国人民対外友好協会会長ら要人との会談の場で、多分会った人全てに言われていたと思いますけれども、パンダの貸与についてのお願いを丁寧にされていました。
かつて日本のトキが絶滅の危機に瀕していたときに中国に助けてもらい、現在は五百羽を超えるまでに生息するようになったことなどの話も用いて、感謝の意を伝えながら、日本の多くのパンダファンや子供たちが別れを惜しんでいるということを丁寧にお伝えしながら、パンダの貸与についてお願いされていました。
先ほども言ったように、何回も言ってきたんですけれども、その中で、我々議員団の感触とすると、中国側も日本とともにパンダを守ることを歓迎するということで、かなり前向きな姿勢が示されたように認識しておるんですけれども、そこで、早期にパンダの貸与を国民の皆さんも望んでいると思うのですが、更なる今度の再貸与に向けての政府の取組のスケジュール感等についてお伺いいたします。
○岩屋国務大臣 先月、委員を始めとする日中友好議員連盟の代表団が訪中された際に、今お話しいただいたように、パンダを通じた日中交流が継続されるよう、新規貸与を働きかけられたと承知をしております。
現在、複数の地方自治体や動物園からパンダの貸与を強く希望する声が寄せられていると承知をしておりますし、御指摘のとおり、中国側からも次の貸与について前向きな発信がされていると承知をしております。
中国との外交課題、テーマは多岐にわたっておりますが、パンダを通じた交流というのは日中友好の国民交流の一環を成すものだというふうに認識をしておりますが、日中両国の国民感情の改善にもつながるものであって、政府としても支援をしていきたいと考えております。
○山崎(正)委員 是非よろしくお願いいたします。
次に、アメリカ・トランプ政権の関税措置の影響についてお伺いします。
赤澤大臣が五月二十四日に三度目となる日米閣僚級会議を行われて、今懸命に交渉していただいているということは承知しております。
そんな中、私の地元高知の方でも、この影響によりまして、自動車関連産業に影響が出ており、例えば、具体的にお聞きしたのは、大手メーカー等でも、こういったなかなか先行きが見通せない中では新車種やモデルチェンジ等を大きく制限していくというふうなことが、いわゆる下請の皆さん方の、企業の中の中では流れてきておりまして、三か月後以降の仕事の見通しがつかず、同業者では廃業に追い込まれている状況もあるとお聞きしました。
そこで、現段階での日本の自動車産業全体への影響は、実際、今どういった状況なのか、お伺いしたいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
米国関税による自動車産業への影響でございますけれども、まず、自動車メーカーの決算発表では、今年度の利益の見通しにつきまして、関税影響を減益要因として織り込んだメーカーや、関税影響が不透明なために未定とするメーカーがございます。
また、全国約一千か所の相談窓口やプッシュ型で行っている現場の状況把握でも、中小企業を含むサプライヤーから、関税の影響は今後どうなるのかを心配する不安や先行きに対する不透明感の声が届いております。
自動車関税の発動から二か月弱が経過する中で徐々に影響が顕在化してきておりますが、引き続き、我が国の自動車産業への影響を緊張感を持って注視し、影響を見極めた上で追加的な対応を行ってまいりたいと考えております。
○山崎(正)委員 今、丁寧な資金繰り等をやっていただいていると思いますけれども、今回行ってみて、こんな技術を持ったところが地元にあるんだなと思いましたので、何とぞ、中小企業の方も守っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。済みません、一問残ってしまいまして、申し訳ありません。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、阪口直人君。
○阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。
まず、難民申請をめぐる状況について伺います。
ミャンマーにおいては、二〇二一年に、クーデターによって政権を崩壊させ、政府を名のる国軍と、そして民主的な政権を求める市民が少数民族とともに戦う状況が続いています。
政治活動のリーダー的な存在であったカチン族やパオ族、またラカイン族の青年たちが私の事務所にやってきて、難民申請をしているんだけれども、ここ一、二年、全く連絡がないということを訴えております。
一次審査に平均二十二・三か月かかるということなんですが、なぜこんなにかかるのかということ、そして、放置するのではなくて、状況の報告ぐらいはすべきだと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○高村副大臣 お答えいたします。
難民認定手続において、令和六年の平均処理期間が二十二・三か月となっていることは事実であります。審査期間が長期化していることは、法務省としても課題であると認識をしております。
審査が長期化する要因について一概に申し上げることは困難でございますが、例えば、難民認定申請者数が増加していること、申請者の置かれた立場に十分配慮した事情聴取を行う必要がある等の事情により、審査に一定の時間を要する案件があること等が挙げられます。
難民認定申請の処理期間を短縮するため、法務省においては、これまで累次にわたり審査体制の強化や効率化を図っており、これに加え、国籍別の主な申立て内容を踏まえた出身国情報の収集、活用や、審査手法の見直しなどに取り組んでいるところでございます。
その上で、難民認定手続のスピードアップについては、特に法務大臣から本年三月に入管庁に指示をしていたところ、五月二十三日に、法務大臣から不法滞在者ゼロプランが公表されました。
その中で、難民認定手続の迅速化の対応策となるのがいわゆるB案件、すなわち、明らかに難民と認められない案件の処理の迅速化と在留抑制の実施であります。これは、申請案件のうちB案件として処理するものを確実に振り分けられるように、最新の出身国情報等を踏まえてB案件を類型化、具体化、明確化することで、従前の運用を抜本的に改善しスピードアップを図るものであり、処理期間の短縮に努めてまいりたいと考えております。
○阪口委員 どういう状況かをしっかり報告しないということ自体が人権侵害だと思います。この点においては、本当にしっかりとやっていただきたいと思います。
次に、トランプ関税問題について、日本は自由貿易を主張していますが、自由貿易自体が様々な問題を抱えています。人権や環境への配慮が利益優先の中でおざなりにされている、このような状況を正すべく努力を企業に求めるのが人権デューデリジェンスですが、日本はG7の中で唯一法令化がされていない、つまりスタートラインにも立っていないわけですね。
この外務委員会においても、カンボジアやミャンマーにおける人権問題について再三指摘してきました。実は、大変関心が高くて、私のような地味な議員の質問も、現地では、現地の言葉に訳されて、数百万回も再生されています。
私の視点は、政府を罰するということよりも、弱い立場に立っている方々の側に立って行動できるかどうか、ここが問われていると思うんですね。ですから、私は、個人や組織を一方的に人権侵害と断定して制裁することには慎重であるべきという立場ではありますが、せんだって大臣が答弁されたように、自由や民主主義を重んじる国家のグループとして、連携して人権問題に対応していくためには、人権デューデリジェンスやマグニツキー法などのような法律を整備することは、日本の平和外交の力になると思います。
この点についての現状と大臣のお考え、お知らせいただきたいと思います。
○岩屋国務大臣 法の支配でありますとか、自由、民主主義、人権、我が国が外交を展開する上においても極めて重要視していかなければいけない、そういうものの、人権は重要な柱の一つだと思っております。
御指摘の人権デューデリジェンス法については、国内外の動向や企業、産業界への影響等も踏まえながら、将来的な法律の策定の可能性も含めて、関係府省庁間で更なる政策対応について検討を進めていかなければいけないと思っております。
一方、マグニツキー法、今度は制裁法ということになりますが、日本は、これまで、人権侵害に対してはしっかり声を上げてきていると思います。また、対話と協力を基本として、民主化、人権擁護に向けた努力を行っている国との間では、二国間対話あるいは協力を積み重ねて、自主的な取組を促してきてもおります。そのために、人権制裁法については、これまでの日本の人権外交を踏まえ、全体を見ながら、引き続き検討していく必要があるというふうに考えております。
人権を重視していく、当然の我が国が取るべき姿勢だと思いますけれども、実際のデューデリジェンス法あるいはいわゆるマグニツキー法に類似する法律の制定については、更にいろいろな検討を多角的に加えていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
○阪口委員 先ほど来、ジェノサイド法の検討に七十年間もかかったというような答弁、議論がありましたが、やはりこれは国際社会との連携上、徹底した議論を経て、日本として法制化するのかどうか、これを考えていくべきだと思いますので、この委員会においても引き続き問題提起をしてまいりたいと思います。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次回は、来る六月四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三分散会