衆議院

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第3号 令和5年3月14日(火曜日)

会議録本文へ
令和五年三月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 笹川 博義君

   理事 あべ 俊子君 理事 武部  新君

   理事 若林 健太君 理事 渡辺 孝一君

   理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君

   理事 足立 康史君 理事 庄子 賢一君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      伊東 良孝君    泉田 裕彦君

      上田 英俊君    上野賢一郎君

      江藤  拓君    加藤 竜祥君

      神田 潤一君    小寺 裕雄君

      鈴木 隼人君    田野瀬太道君

      高鳥 修一君    西野 太亮君

      平沼正二郎君    細田 健一君

      宮下 一郎君    保岡 宏武君

      山口  晋君    梅谷  守君

      金子 恵美君    小山 展弘君

      佐藤 公治君    山田 勝彦君

      渡辺  創君    池畑浩太朗君

      掘井 健智君    稲津  久君

      角田 秀穂君    長友 慎治君

      田村 貴昭君    北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   農林水産副大臣      野中  厚君

   農林水産大臣政務官    角田 秀穂君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            前島 明成君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           森   健君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            青山 豊久君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           川合 豊彦君

   政府参考人

   (林野庁長官)      織田  央君

   政府参考人

   (水産庁長官)      神谷  崇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         奥田  薫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小森  繁君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     上野賢一郎君

  宮路 拓馬君     鈴木 隼人君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     田野瀬太道君

  鈴木 隼人君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     坂本 哲志君

    ―――――――――――――

三月十三日

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

笹川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官前島明成君、消費・安全局長森健君、輸出・国際局長水野政義君、農産局長平形雄策君、畜産局長渡邉洋一君、経営局長村井正親君、農村振興局長青山豊久君、農林水産技術会議事務局長川合豊彦君、林野庁長官織田央君、水産庁長官神谷崇君、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、国土交通省大臣官房技術審議官奥田薫君、環境省大臣官房審議官小森繁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

笹川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神田潤一君。

神田(潤)委員 皆さん、おはようございます。青森二区、自由民主党・無所属の会の神田潤一です。

 先週ぐらいから花粉症がひどくて、今日も目がしょぼしょぼして鼻も詰まっている状況で、お聞き苦しいところもあるかもしれませんが、本日は、青森二区、基幹産業である農林水産業、中でも鶏卵、鶏の卵、そして大間のマグロについてお話を伺ってまいりたいと思います。

 青森県といえばリンゴが有名ですけれども、太平洋側など青森県の南東に広がる青森二区は、水田による米作のほか、昨年大雨により大きな被害を被った畑作、中でも長芋やニンニク、ゴボウなどが全国的な産地になっています。このほか、八戸港の飼料ターミナルを中心とした畜産、酪農クラスターも、近年では全国的にも有数の規模を誇る一大産地となっております。さらに、八戸港を中心に、豊かな海の恵みを基にした水産業も、過去には日本有数の水揚げを誇ってきた地域でもありました。

 このうち、まず、日本有数の畜産、酪農クラスターと申し上げました、この地域の鳥インフルエンザについて伺ってまいりたいと思います。

 まず、鳥インフルエンザの発生状況についてです。

 野村大臣は先週の所信演説で、一番最初に、鳥インフルエンザの発生状況が、過去最大の発生だった令和二年を上回り、大変厳しい状況にあるとの認識を示されました。

 そこで、まず、農林水産省に伺います。

 今シーズンの鳥インフルエンザの発生件数と殺処分数のほか、海外での発生状況や、それらを踏まえた今後の見通しについて、農林水産省のお考えを教えてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 今シーズンの家禽での鳥インフルエンザの発生事例数につきましては、今朝時点で、合計二十六道県で八十事例の発生となっておりまして、殺処分対象羽数も千六百十二万羽というふうになっております。

 また、海外におきましても、世界各国で流行しておるところでございまして、特に北米や欧州では、昨年夏以降、現在に至るまで継続して発生が確認をされておりまして、さらに、今シーズンは、これまでほとんど発生が確認されておりませんでした南米でも発生が確認をされている状況でございます。

 今後の見通しにつきましては、予断を持ってお答えすることは難しいわけでございますけれども、昨シーズンは五月まで鳥インフルエンザの発生が確認をされたところでございまして、引き続き、発生のリスクは高いものと考えているところでございます。

 また、昨年九月に公表いたしました、昨シーズンの疫学調査チームの報告書では、「世界各地で発生が継続している現状を踏まえると、今後は毎シーズン、本病の発生リスクが高まる可能性が考えられる」とされたところでございまして、今後も引き続き、最大限の緊張感を持って、発生予防と蔓延防止に取り組んでまいりたいと考えております。

神田(潤)委員 ありがとうございます。

 ただいまのお話にあったように、今シーズンは八十事例が発生し、殺処分数が千六百十二万羽と過去最高ペース、さらに、今後もリスクの高い状況が続くというお話がありました。

 このうち、私の地元の青森県では、今シーズンは二件発生しておりまして、昨年十二月には三沢市で百三十九万羽という過去最大の殺処分が行われたケースもありました。

 こうした状況を受けて、一月下旬には北海道東北地方知事会から、高病原性鳥インフルエンザに関する緊急要望が農林水産省に対して提出をされています。

 これによりますと、北海道、東北地方の養鶏場は、一農場当たりの飼養羽数が全国平均を上回り、十万羽を超える大規模農場が多数あるということで、分割管理などのリスク分散の在り方を国の指針などに明記することや、施設の改修などに要する経費を国が支援することなどを要望しています。

 現在のルールでは、鳥インフルエンザが発生した農場では、ウイルスの拡大防止のため、原則として全羽処分されることになると認識しています。これに対して、今申しました分割管理というのは、建物を別棟にしたり、あるいは卵を運ぶベルトコンベヤーを分割したり、あるいは農場のスタッフの動線を分けたりすることによって、鳥インフルエンザが発生した場合のリスク分散を図り、仮に鳥インフルエンザが発生した場合でも、全羽処分ではなく、一部の鶏のみを処分するということで、被害を最小限にとどめる考え方のことです。

 実際に、お渡ししております資料一の新聞記事にありますように、十二月に百三十九万羽の過去最大の殺処分を行った三沢市の農場のケースでは、今後、一億五千万円程度の経費をかけて分割管理を導入し、リスク分散を進めるという決断をしたということです。

 私は、全国的にもこうしたリスク分散の取組が進んでいくことが望ましいのではないかと考えますが、北海道東北地方知事会からの要望に対する農林水産省の受け止めについて御説明をください。

森政府参考人 お答えいたします。

 本年一月の二十四日でございましたが、北海道東北地方知事会から農林水産省に対しまして、大規模農場における分割管理の促進についての御要望をいただいたところでございます。

 さらに、現に農場の分割管理につきましては、先ほど御紹介の記事にありましたとおり、青森県の農場において、鳥インフルエンザ発生時のリスク回避のため、農場の分割を視野に入れて取り組もうとする動きがあるということも承知をしているところでございます。

 こうした点につきましては、一月末に、農水省の食料・農業・農村政策審議会の家きん疾病小委、専門家会合でございますが、こちらにおきましても、大規模農場における対応として、例えば、施設及び飼養管理を完全に分けることにより農場を複数に分割し、別農場として取り扱うことは現場で検討し得るとの考え方が示されたところでございまして、こうした点については、既に農水省の方から各都道府県宛てにも通知を行っているという状況でございます。

 このような農場の分割管理につきましては、個々の経営判断にも関わることになるものでございますけれども、農水省といたしましても、引き続き、都道府県や現場の声を聞きながら、また、どのような支援策が活用可能か等につきましても示しながら、相談等に丁寧に対応してまいりたいというふうに考えております。

神田(潤)委員 ありがとうございます。

 既に都道府県に対して、こうしたリスク管理の在り方について通知していただくなど、対応を進めていることが分かりました。引き続き、こうした対応を進めていっていただきたいと思います。

 一方で、私は、こうした飼養管理の強化に関する財政支援の在り方について、例えば、次のような考え方があり得るのではないかと考えています。

 まず、殺処分された鶏に対しては、家畜伝染病予防費から、殺処分の対象となった鶏のその時点での価値を一羽一羽評価して、それに相当する手当を支給することになると認識しています。その価格は鶏によって異なりますが、大体一羽につき五百円から二千円の間に収まるというふうに認識をしております。そうすると、仮に今シーズンに殺処分の対象となった千六百十二万羽に対して平均千円を支給したとすれば、その手当は合計で百六十二億円程度ということになります。

 また、去年から今年にかけては様々な生活必需品が値上がりしていますが、物価の優等生と言われた卵も例外ではなく、こちらの資料二にありますとおり、日本養鶏協会の統計を見ますと、二月、三月は一キロ当たり三百三十円以上。例年に比べても百五十円近く上昇をしております。卵は大体一パック十個入りで売られている、これが六百グラム程度だというふうに思われますので、一パックで百円程度、一個当たり十円程度の値上げが例年に比べてされているという計算になります。

 日本人は、メキシコに次いで世界で二番目に卵を食べる民族、国民と言われており、一日、大体一人一個近い卵を消費します。そうなると、日本人は、一日当たり、卵の消費に対して一人十円ずつ例年よりも多く支出している計算になります。一億二千万人を合計すると、卵に対して、合計で一日十二億円もの金額を例年よりも多く支出しているということになります。もし、こうした状況が一か月続けば三百六十億円、半年続けば二千億円を超える国民負担が例年に比べて多く発生しているということになります。

 先ほど、殺処分による財政負担が百六十二億円程度というふうに申し上げましたが、また、卵の値上がりによる国民負担も一か月で三百六十億円程度と試算できるということになります。

 もちろん、卵の値上がりの背景としましては、飼料や燃油、電気料金の値上がりなどもあるため、全額が鳥インフルエンザのせいではないというふうに考えられますが、鳥インフルエンザの拡大によって品薄状態が続いていることは頻繁に報道されており、今や国民共通の理解になりつつあります。

 このように、殺処分による財政負担に加えて、鶏卵の値上がりによる国民負担が増加している状況を踏まえると、私は、例えば、二年間など期間を限定して、国が飼養衛生管理の強化や分割管理の導入などの取組に対して支援するといった形で、集中的に養鶏事業者の鳥インフルエンザ対策を強化し、我が国全体として飼養衛生管理の一段のレベルアップを図るという考えも取り得るのではないかというふうに考えます。

 まさに、食料安全保障に直結する、このような財政負担の在り方の考え方について、野村農林水産大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

野村国務大臣 お答えを申し上げます。

 鳥インフルエンザ対策につきましては、発生予防と蔓延防止対策が基本でありまして、特にウイルスを鶏舎に入れないための飼養衛生管理の徹底が最も重要でございます。

 先ほど、いろいろ試算された数字をお述べになりましたけれども、やはり基本的にはそれぞれの農家の衛生管理が中心でありますので、お金をつぎ込めばこれを完全に払拭できるかとなると、疑問な点がやはり出てきます。

 したがいまして、私どもは、発生した鶏舎ごとに疫学調査チームを派遣しておりますが、今シーズンの調査結果を踏まえますと、専門家からは、やはり日々の衛生管理を徹底することに加えて、それに、今回初めて分かったことですが、ウィンドーレスなんかからも相当出ております。したがって、そのウィンドーレスの入気口や天井裏など、ふだん目が届きにくい場所の点検、それから補修について提言がされておりまして、今後も新たな知見が得られれば、現場での指導に活用してまいりたいと思っているところでございます。

 なお、農林水産省としては、これまでも、防鳥ネットや消毒器具の整備、あるいは、地域一体となった衛生管理向上の取組について支援をいたしているところでございますが、今後も引き続き、疫学調査で得られた科学的な知見も踏まえて、必要な改善を図りながら、農場における衛生管理向上に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

神田(潤)委員 野村大臣、ありがとうございます。

 今すぐ財政負担というのはなかなか難しいかもしれませんが、こうした鶏卵の価格の高止まりな状況が続くようであれば国民負担も増していきますので、財政支援ということも考え得るのではないかということだけコメントをさせていただきたいと思います。

 それでは次に、青森県下北半島のクロマグロ、いわゆる大間のマグロの漁獲報告違反について伺います。

 この事件は、下北半島の複数の漁港で、漁業者と仲買人が共謀して漁獲量を報告していなかったとして逮捕されたものです。私は、地元青森県選出の国会議員として、この問題のことを大変残念に思っております。それは、大間のマグロという全国的に大変評価の高いブランドに傷をつけるばかりでなく、燃油高騰や後継者不足などで大変苦労しながら、それでも真面目に漁業を営んでいるほとんどの漁業者に対して、大きな迷惑をかける問題だと思っているからです。

 一方で、仮に、青森県の大間のマグロだけにとどまらない構造的な問題がそこにあるんだとすれば、早急にそうした課題を共有し、解決していくことこそが、漁業や水産業にとっても、また国民全体にとっても重要なことだというふうに考えています。そうした立場から幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 先ほども申しましたが、この事件は、下北半島の複数の漁港で、漁業者と仲買人が共謀して漁獲量を報告していなかったとして逮捕されたものですが、当初、青森県が調査した際には、未報告の漁獲量は約五十六トンということでした。一方で、青森県警の捜査が進み、漁業法上の漁獲量の未報告が約九十八トンであるというふうに拡大しています。

 これについて水産庁に伺います。

 このように未報告の漁獲量が青森県と青森県警とで相違した背景を水産庁ではどのように捉えているのでしょうか、お聞かせください。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、県の調査では把握し切れなかった部分があると推察されますので、この差につきましては、青森県に事実関係を確認の上、正しい数量を報告するよう求めております。

 その上で、県からの新たな報告を踏まえ、漁獲枠の差引きなど、必要な措置を講じてまいります。

神田(潤)委員 ありがとうございます。

 まだこれから、調査中ということですが、しっかりと確認していただきたいと思います。

 ただ、私としては、都道府県の管理体制、あるいは、こうした調査が不十分ではないかという印象を持っているところでございます。都道府県への管理の指導など、国としても関与を強化する形で、漁獲量の把握や管理の実効性を高めていっていただきたいというふうに考えます。

 そして、今回の事件は、漁業法における報告義務違反に今後問われることになると考えておりますが、その罰則について、六か月以下の懲役か三十万円以下の罰金というふうに規定されていると認識しています。一方で、一匹百万円を超えるようなマグロも取引されるという中で、この報告義務違反の罰則が軽過ぎて、犯罪の抑止力になっていないのではないかという指摘も聞かれています。

 そこで、水産庁に伺います。

 なぜ、この漁業法上の報告義務違反の罰則はこのように軽いのか、その理由と、これが不十分ではないかという指摘に対する水産庁の受け止めについても教えてください。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、漁業法上の特定水産資源の漁獲量報告を怠った者に対しましては、六か月以下の懲役又は三十万円以下の罰金が科されることとなっております。

 この罰金を引き上げることにつきましては、漁業法上の他の報告義務違反に係る罰則や他の法令との比較を含め、慎重な検討が必要と考えております。

 しかしながら、当該報告義務規定に違反した場合には、国又は都道府県による停泊命令や、漁業収入安定対策事業や漁業経営セーフティーネット構築事業を始めとする各種補助金などの停止などの厳しい措置を取ることが可能でございますので、農林水産省といたしましては、関係都道府県と連携し、これらの措置を的確に運用しながら、漁業法上の報告義務が遵守されるよう取り組んでまいります。

神田(潤)委員 ありがとうございます。

 漁業法の報告義務違反による罰則だけではなく、行政処分も科されるという方向性があるということだと思いますので、こうした形で抑止力のバランスを確保するということでお願いできればと思います。

 また、こうしたクロマグロにつきまして、国内では数量管理、TAC管理の対象となっている八魚種に含まれております。国としての漁獲枠は、毎年、国際会議で決定されると理解をしております。こうしたクロマグロの報告義務違反といった事例が、漁獲枠の国際交渉の場面で日本にとって不利な材料となり得るということが可能性として指摘もされております。そうしたことであれば、なおさら、国益に関係する重要な問題として都道府県任せにせずに、しっかりと政府として、国としてこの課題について真剣に考え、行政処分あるいは罰則の在り方、そして管理の強化の在り方について考えていっていただきたいというふうに考えます。

 さて、この資源管理につきまして少し伺ってまいりたいと思いますが、日本近海でここ数年マグロの大群が泳ぎ回るようになったという声も聞かれており、クロマグロは比較的資源管理が有効に機能しているというふうに言われています。

 一方で、サバやイカ、イワシなどの多くの魚種では、資源の回復が見られないばかりか、漁獲量の減少が続いている状況となっており、私の地元の八戸港でも、私が小中学生だった頃、水揚げ日本一を誇っていた頃と比べて、二十分の一近くにまで漁獲量が落ち込んでいます。やはり、日本の水産業を成長産業にしていくためには、育てる漁業や海業などの推進と並行して、資源管理をしっかりと進めていく必要があることを痛感をしているところです。

 そこで、水産庁に伺います。

 資源管理のうち、現在TAC管理の対象になっている魚種は八魚種だと認識していますが、これを目標の三十五種まで拡大していく取組がどの程度進捗しているのか、現在の進捗状況について教えてください。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 令和五年度までに、漁獲量ベースで八割をTAC管理とすることを目指して、このために、令和三年三月に、TAC魚種拡大に向けたスケジュールを公表したところでございます。これまでのところ、残念ながら、新型コロナウイルス蔓延の影響で、現地での意見交換会などが開催できなかったこともありまして進捗が遅れておりますが、令和五年度に向けて議論を加速化してまいります。

 なお、カタクチイワシ・ウルメイワシ対馬暖流系群につきましては、先月の関係者との会合の結果を受けて、令和六年一月からのTAC管理を目指して、準備をしているところでございます。

神田(潤)委員 ありがとうございます。

 TAC管理の対象魚種の拡大が、新型コロナなどで会合ができないということで、少し遅れぎみということでした。今週からマスクも外すことが増えると思いますので、是非ともこの遅れを取り戻して、着実に進めていっていただくようにお願いします。

 さて、TAC管理の推進の前提としまして、資源調査や資源評価の対象を拡大したり、管理の精度を高めたりする取組についても大変重要であるというふうに考えます。このような資源評価対象魚種の拡大、これは二百種程度までという目標になっていると思います。

 また、水揚げ情報の電子的な収集体制、これは四百市場が目標になっているというふうに伺っています。この進捗状況についてはどのようになっているのか、水産庁に伺いたいと思います。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 資源評価対象種の目標二百種程度につきましては、現在、百九十二種まで拡大しております。

 また、水揚げ情報の電子的な情報収集体制の構築につきましては、目標とする四百か所以上を今年度末までに達成できる見込みでございます。

 今後は、この情報収集体制から迅速に収集されたデータも活用しながら、資源評価の精度向上に努めてまいります。

神田(潤)委員 ありがとうございます。

 資源評価対象魚種の拡大あるいは水揚げ情報の電子的な収集体制の強化については順調に進んでいるということですので、是非とも着実に進めていっていただきたいと思います。

 このように、水揚げ情報の収集、あるいはTAC管理などの資源管理の強化は、本来、我が国単独では行えません。例えば、スルメイカでは、韓国や中国が日本海などで乱獲をしていて、そのせいで我が国のイカの水揚げが減少しているという指摘も漁業者からは頻繁に聞かれています。このような、国際的な漁獲枠をめぐる交渉状況、あるいは国際的な資源管理の議論につきましても、しっかりと国として進めていっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 それでは、最後に、野村大臣に伺いたいと思います。

 大間のマグロの問題で明らかになってきました、例えば都道府県に対する国の指導の強化など、漁獲枠の管理の実効性強化を進めるとともに、資源管理を着実に推進し、水産業の成長産業化に向けた流れを確実にしていっていただきたいというふうに考えますが、野村大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

野村国務大臣 お答え申し上げます。

 漁獲量の適切な把握は、資源管理の根幹を成すものと認識をいたしております。特にマグロのような国際的な枠組みの下で資源管理を行っている水産資源につきましては、国内での管理体制が不十分とみなされれば、漁獲枠などの国際交渉への影響も懸念されます。

 このため、議員御指摘のとおり、都道府県に対する指導を含め、漁獲枠管理の実効性の強化を検討する。例えば、米のトレーサビリティーなり、あるいは牛肉のトレーサビリティーなり、こういったような形での実効性の強化を検討して、資源管理の着実な推進につなげてまいりたいと思っているところでございます。

神田(潤)委員 野村大臣、ありがとうございます。力強い御答弁、一緒に水産業を成長産業化、私もしっかり努めてまいりたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

笹川委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子賢一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、福島相双地域の農業の再生の問題について、大臣にお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 去る十一日で、東日本大震災から十二年経過をいたしました。あれほどの甚大な被害だったわけですが、岩手、宮城等ではハードの復興はほぼ完了に近づいておりまして、福島のそれは少し次元が異なりますのでまだ長い時間を要しますけれども、この間の関係者の皆様の御尽力に心から敬意を表したいというふうに思っております。

 総理は、十一日に福島に入っていただきまして、被災者に寄り添う、そうした姿勢を示していただいたことを、本当に評価をさせていただきたいと思っております。

 福島の被災地の課題は、数え切れないほどまだございます。その中でも、東京電力福島第一原発の事故によりまして、十二の市町村では、避難区域が設定をされておりまして、基幹産業でありました農業の再生についても大きな課題として残っています。

 農林水産省が五年に一回行っております農業センサス、この数字によりますと、二〇一〇年時点で、この十二市町村の農業従事者の皆さん、約一万二千人いらっしゃったということでありますが、十年後にはそれが約三千九百人にまで減少という、激減であります。

 国もいろいろ、この相双地区には農業の再生ということで手を入れていただいていますけれども、肝腎の従事者、担い手が戻っておりません。

 福島の復興再生といいますと、イノベーション・コースト構想ですとか、あるいは国際教育研究拠点ですとか、何か華々しいものにスポットライトが当たりがちではありますけれども、元々の、この現地の基幹産業であった農業を再生する、営農や農業という豊かな恵みを生み出す価値創造の産業の復興こそ、大切なあかしではないかというふうに思っておりまして、この点、野村大臣におかれましては、福島相双地域の農業の復興再生にどのように取り組んでいくお考えなのか、見解を是非お聞かせをいただきたいと思います。

野村国務大臣 庄子委員にお答えを申し上げます。

 被災されてから十二年が経過しました。避難された農業者の方々の高齢化が進む中で、地域農業の担い手や労働力の不足が大きな課題だという御指摘もされました。

 一方で、私は、昨年九月に南相馬の方に行ってまいりました。そして、そこでやっております農業法人で、スマート農業を活用して大規模な経営を行っておられる農家を訪ねてみました。そこには若い人たちが八人来ておりまして、そして、一人一人、その方々の将来を聞きましたら、ここで学んだことを独立して自分でやりたい、これは女性も一人入っておられたんですが、特にこの方は、自分のうちは農業はしていなかったけれども、ここに来てみて本当に農業の楽しさが分かった、私も是非農業をやりたい、こういうようなことで、八名の方々が大変生き生きとされて働いておられたのが大変印象的でございました。

 これは地域とそれから地域外からの参入もあったわけでありますが、担い手を確保する、そのためには、農業者の営農意欲を高めていくためには、将来に向けて被災地域の農業が産業として発展する姿を提示していくことが必要だ、そして経験していただくことが必要だというのをつくづく私は感じました。

 このため、市町村を越えて広域的に生産、加工等が一体となった高付加価値生産等を展開する、そうした産地の創出を支援してまいりたいと思っております。例えば、富岡町には、野菜のカット、これはタマネギの皮むきであります、それからブロッコリーの冷凍加工、こういったようなことの工場を整備しまして、加工野菜として供給する産地の創出に向けた取組を推進しているところでございます。

 さらに、福島イノベーション・コースト構想に基づきまして、引き続き、現場が直面している地力回復や放射性物質対応などの課題解決に資する研究開発に取り組みますとともに、新たに、令和五年度から、委員も御承知のように、福島国際研究教育機構において、誰もが取り組めるスマート農業等を通じた超省力、高付加価値で持続性の高い新たな生産システムの実証研究等を是非推進してまいりたいと思っておるところでございます。

庄子委員 是非、お願いを申し上げたいと思います。

 次に、内閣府、来ていらっしゃると思いますので、価格高騰重点支援地方交付金について伺います。

 今般の電気料金の値上がりにつきましては、JAが保管するカントリーエレベーター、あるいはライスセンター等の共同利用施設の運営に影響を与えております。地元の宮城県の農業協同組合中央会によりますと、令和四年十一月からの電力会社の自由料金の見直しによりまして、高圧電気使用施設であるカントリーエレベーターあるいはライスセンター等のいわゆる共同利用施設の電気料金について、高圧電気料金見直しによる影響額を試算しましたところ、旧料金等で年間約七億三千七百万円でありましたのが、新料金では八億七千六百万円と、一九・六%上昇するということが推計されました。

 これまでは、施設利用料金の値上げをせずに、農協の経営努力で何とかしのいできたようでありますけれども、しかし、その努力も限界に来ておりまして、事業継続のためには、共同施設利用料金の値上げを検討せざるを得ないという状況です。

 しかしながら、一方で、農家の皆様の飼料、肥料の生産資材価格の高騰がありますので、厳しい経営環境にあります。利用料金の値上げの負担を農家に求めることは困難だ、そうした意見もあるようであります。

 こうした中、昨年九月、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金六千億円が措置をされておりますけれども、しかし、これは、土地改良区における農業水利施設の電気代高騰に充てられた部分が大きいために、カントリーエレベーター等への施設には回っていないという指摘もありました。

 二月二十八日の予算委員会で岸田総理にもこの点は申し上げておりますけれども、速やかに支援策を講じていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金の中に創設をされました六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援交付金につきましては、各自治体におきまして、本交付金を活用し、地域の実情に応じた様々な物価高騰対策を講じていただいております。

 議員御指摘の農業協同組合の共同利用施設への支援といたしましては、例えば、穀類の乾燥、貯蔵、調製、出荷を行うためのカントリーエレベーター等の施設に係る電気料金の増額分を支援する事業であったり、ライスセンター等の施設に係る燃料価格の高騰分を支援する事業を行っている事例もあるというふうに承知をしております。

 いずれにしましても、今後の物価高騰対策につきましては与党におきまして検討がされていると承知をしておりますので、政府といたしましても、引き続き、自治体におきます本交付金の着実な執行に努めるとともに、物価の動向や国民生活、事業者への影響等を注視しながら、政府全体として適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

庄子委員 今週中には与党自民党さんと我々公明党それぞれから政府に要望書が出る予定でございますので、是非、今の御答弁のように速やかな対処をお願いを申し上げたいと思っております。

 次に、次世代施設園芸事業の支援につきましてでありますが、先ほども東日本大震災のことを触れさせていただきましたけれども、あの震災以降、大規模な次世代型施設園芸に取り組む法人が増加をしております。

 一方で、施設園芸は経費全体に占める燃料費の割合が高いわけでありまして、現下の燃油高騰で経営が圧迫されている状況です。今年一月からはLPGもこの燃油の高騰対策に加えていただいている点、非常に評価をさせていただきますけれども、施設園芸等燃油価格高騰対策につきましての長期かつ安定した支援を求める声が強く出ております。そのお考えを伺います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、施設園芸につきましては、計画的に省エネルギー化に取り組む産地を対象に、農業者と国で基金を設け、燃料価格高騰時に補填金を交付する施設園芸等燃料価格高騰対策を実施しているところでございます。

 燃料価格の高騰の状況を踏まえ、令和三年度補正より省エネ機器の導入等に対する支援を措置したところでございますが、令和四年度第二次補正予算においては、基金に八十五億円を積み増すとともに、支援対象燃料にガスを追加したところでございます。

 引き続き、燃料価格の動向を注視しつつ、これらの対策を着実に実施してまいります。

庄子委員 特に被災沿岸地域では、この大きな次世代型の施設園芸というのは、非常に地域の雇用を支える効果もございますし、また耕作放棄地を防ぐという効果もあるものですから、そうした対策は是非しっかりと継続をしていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。

 水産の方にちょっと話を転じますけれども、人工のサケふ化放流事業の支援についてでございます。

 この人工サケふ化放流というのは、今から約二百五十年前、新潟県のある河川におきましてサケの回帰性というものが初めて確認をされて以来、今日に至るまで営々として続いてきたわけでございます。

 二〇〇〇年代に入った当初の頃は全国で平均して約二十三万トンありました漁獲量、これが、二〇一六年には十万トンを割り込んで、直近では八万トンと激減をしております。北海道はまだ何とかもっておりますけれども、私の地元、東北の青森、岩手、宮城等は壊滅的な状況と言って差し支えないと思います。

 こうしたことから、種卵不足あるいはふ化放流団体の経営悪化など、事業の継続に影響がかなり出ておりまして、原因は、不確かではありますけれども、北洋海域における海水温上昇など、海洋環境の変動による稚魚の生存率低下などが指摘をされているところであります。

 そこで、稚魚の減耗要因、この究明、そして、回遊経路の広域的な調査研究など、サケ放流事業の振興をこれまでどおり、あるいはこれまで以上に強化するということの一方で、養殖業へのシフト、あるいは新たな魚種への転換支援、こうしたところもちゃんと強化をしていく必要があるだろうというふうに思っておりまして、複合的、そして総合的な支援策を求めたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

角田大臣政務官 全国のサケの漁獲量、委員御指摘のとおり、激減をしている。特に、令和元年から五万トン台というような状況でございましたけれども、本年度は八万トンと少し回復をしておりますけれども、やはり長期的に見ますと減少傾向にあり、特に、北海道太平洋側、本州太平洋側の減少が顕著であります。これを受け、主にサケ水揚げ金額の一部で運営しているふ化場の経営は厳しい状況に陥っていると承知をしております。

 サケ不漁の原因につきましては、稚魚が海に降りて回遊する時期の海洋環境、海流であるとか水温分布であるとか、稚魚の生育にとって好ましくない環境にあると考えられております。

 このため、放流後の沿岸での生き残りが高いとされる大型の種苗の飼育技術開発等を行うとともに、環境変化に強い健康な稚魚を河川ごとに最適な時期、サイズで放流する取組等に対する支援を行っているところです。

 さらに、海洋環境の変化を要因とした、地域における主要な魚種の不漁が継続していることも踏まえ、海洋環境の変化の要因分析を行うとともに、養殖への転換を含む操業の在り方や対応の方向性について、水産庁では検討会を立ち上げ、今月一日に初会合を開いたところです。今後、この中でも議論を行うこととしております。

 今後とも、海洋環境の変化に対応したふ化放流体制の構築に向けて、道県庁やサケ増殖関係者と連携をしながら取り組んでまいります。

庄子委員 海洋環境の変化というのは本当に深刻で、捕れていた魚種が捕れずに、また、今まで捕れなかったものがどんどん揚がる状況になっている。

 例えば、蛇足ですが、三重県の志摩で捕れていたイセエビが、今、福島県のいわき沖で捕れている。いわきで捕れてもイセエビというんですけれども、あえて常磐イセエビというふうに、常磐という名前をつけてブランド化をする取組などもあって、宮城県でも、捕れなかったタチウオなどが捕れ始めていて、食文化がないものですから、どういうふうにこれを加工し、料理するかということから始まっている。

 海洋環境の変化の調査研究はしっかりと是非行っていただきたいというふうに思っております。

 最後に、新規の漁業者支援策について伺いたいと思います。

 被災地におきましては、東日本大震災以降、就業者数が減少しておりまして、漁業者の高齢化も相まって、担い手の確保は喫緊の課題です。

 国では、被災地次世代漁業人材確保支援事業におきまして、いわゆる親元漁業、親元就業を含め支援をしていただいております。しかしながら、対象は全国で六県のみだと承知をしております。現行の漁業就業者支援制度は、就業先が三親等以内の親族である場合、対象とはなっていません。

 しかしながら、今触れましたように、生産者の高齢化、担い手不足、これは深刻化をしております。

 そこで、提案でございますが、農業の場合の就農準備資金につきましては、親元に就農した際、就農後五年以内の経営継承や自立、独立という要件を課して対象にしているわけであります。漁業につきましても、親族就業を一定要件として認めてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

角田大臣政務官 漁業就業者の減少が継続する中、我が国の水産業の持続的発展を実現していくためには、漁家子弟を含め、新規就業者の確保、育成に向けた対策は重要な課題であると認識をしております。

 経営体育成総合支援事業により、親元を離れて就業する漁家子弟を含め、漁業経験のない人を対象に、漁業学校等で学ぶ若者に対する就業準備資金の給付、漁業現場での長期研修に対する支援を行うとともに、親元就業を行う漁家子弟も含め、経営、技術講習や安全操業等に関する講習会の開催等の支援を行っているところであります。

 また、とりわけ、東日本大震災により特に大きな被害を受けた青森県から千葉県にかけての被災六県において漁業生産を支える人材の確保が急務であるため、これまでの福島県に加え、令和五年度から、被災五県においても漁家子弟も対象に追加をしたところです。

 今後とも、現場のニーズを酌み取りつつ、漁業従事者の確保に向けて、必要な支援をしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

庄子委員 農業も、そして水産業も東北にとっては大事な基幹産業ですが、担い手がいないという深刻な現状がございます。様々な要件を課しているのはよく承知をしておりますけれども、どうぞ新たな担い手確保に一層踏み込んだ御支援をお願いを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

笹川委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 立憲民主党の、静岡三区選出の小山展弘です。

 先週に引き続きまして、質問させていただきたいと思います。

 まず、食料・農業・農村基本法のことについてお尋ねしたいと思います。

 食料・農業・農村基本法では、第十五条において、食料・農業・農村基本計画を定めること、そして、農業及び農村に関する施策の効果についての評価を踏まえ、基本計画については五年ごとに変更する、そういう記載があり、そのように現在までも運用されてまいりました。

 先日、私どもの党の金子恵美先生も質問の中で触れておりましたけれども、この食料・農業・農村基本計画は、施策に関する評価を踏まえてこの基本計画を変更していくということになっているわけですけれども、その根拠法たる食料・農業・農村基本法についても、これまで基本法が二十数年にわたって行ってきた諸施策の効果、あるいは基本法が果たしてきた機能についてしっかり評価した上で今後の変更や改正について検討していくべきだと思いますけれども、農水省としてはどのような評価を行っていますでしょうか。

野村国務大臣 小山委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この食料・農業・農村基本法の見直しに当たりましては、これまでの施策の検証、評価をしっかり行うことが重要だというふうに思います。昨年十月以降、食料・農業・農村審議会に設置しました基本法検証部会において、こうした議論を現在積み重ねておるところでございます。

 検証部会はこれまで十回開催し、私ども、大臣、副大臣、政務官も可能な限り出席をしていろいろ聞いておりますが、一例を御紹介しますと、人口減少、高齢化により縮小する国内の食市場のみをマーケットの対象とすることは農業、食品産業の持続性に影響するとの評価の下、農業、食品産業は成長する海外市場も視野に入れたものに転換すべきではないか、こういった委員の意見がございます。また、長期にわたるデフレ経済で低価格競争の意識が醸成され、価格形成において生産コストが十分に考慮されていないとの評価の下で、適切な価格形成に向けたフードシステムを構築すべきではないか、こういったようないろいろな意見が出てまいりました。

 大変私どもも参考になるということで、各界各層の皆さん方の御意見を賜っているわけでありますが、前の基本計画では、こういった価格形成に向けた価格転嫁、こういったようなことは全く記載してありませんので、今回の基本法の中にはこういったものも盛り込んでいこうというふうに考えているところであります。

 今後、基本法検証部会においては、さらに、基本的施策の在り方について、現状の評価、あるいは現時点の環境下においてどういう要素が足りないのかなど、施策の検証、評価をしっかり行いながら、基本法の見直しに向けた議論を進めてまいりたいと思っているところでございます。

小山委員 是非、食料安全保障ということが、今回の計画の中で含まれてくる一番大きな要素かと思っておりますけれども、今、まさにその言葉のとおり、これは一人一人の国民が、これから食料安全保障の定義についてお尋ねしますけれども、どの概念を定義として採用するかによっても、いろいろ定義もありますけれども、しかし、国民一人一人がやはり意識していかなければいけない。その上でも、やはり国民的な議論ができる限り行われるように御尽力いただければと思っております。

 それと、余りこのような場で申し上げてはいけないかもしれませんが、私どもも実はこの検討会の資料を見せていただいて、たしか農家の方の労働生産性という指標がございました。

 今、野村大臣からも、デフレ経済の下での価格のお話がありましたが、この労働生産性についても、じゃ、二〇〇〇年代前半のその数値というものはどのぐらいかということでお尋ねをしたら、実は、これは日本生産性本部さんから出た数字をそのまま出している、古い数字については、元々のデータがないか、特に取り寄せていないということで、その場では御回答できないというようなことがあったんです。

 そういったところも、本当に私は、労働生産性というところも、為替とか、そういった物価の影響も受けているところもありますので、時間をかけて、時間を必ずかけることがいいということではないんですけれども、急ぐ余りに議論が少し丁寧でなくなるということがないように、是非、野村大臣の御指導の下で御尽力いただければと思っております。

 食料安全保障の概念についてなんですけれども、これについて、食料不足の際などに、不測時の食料の確保といったような意味合いで定義をする場合という、日本ではこちらの方がイメージが、なじみがあると思いますけれども、一方で、FAOが定義しているような、全ての人が、いかなるときでも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養のある食料を、物理的、社会的、経済的にも入手可能である、こういう定義をすることもあって、よく、平時も含めた食料安全保障、このように言われていることもあろうかと思っております。

 前者の、日本でなじみのある、なじみの深い食料安全保障概念では、むしろ、輸入が途絶した場合にどうするか、あるいは、そこから更に一歩進めて、輸入に頼らない食料生産ということも視野に入ってこようかと思います。

 一方、後者の概念では、どんな人であっても、例えば低所得者の方であっても食料に困ることがないようにということから、とりわけ、今までの日本においては、かなり円の価値が高く、円が強かったですから、むしろ貿易を自由化していく、そういうことの概念として使用されることもあったかと思います。

 これはどちらの概念がいいとか悪いとかということではないんですけれども、今度、この定め、変更していく基本法の中で、食料安全保障という概念について明確に定義をする必要があるのではないかと思いますけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。

野村国務大臣 大変これは重要な御指摘でございまして、我々は食料安全保障という言葉をよく使いますけれども、これの定義をはっきりさせろ、こういう委員の御指摘だと思いますが、今までの、現行の基本法では、凶作などの不測の要因により国内需給が逼迫又はそのおそれがある場合には、国民が最低限必要とする食料の供給が図られなければならないとの観点から、第十九条において、不測時における食料の安全保障に関する条文が規定されております。不測時のいわゆる食料安全保障。

 しかしながら、委員がおっしゃいましたように、現在、基本法の検証、見直しを審議している部会におきましては、食料安全保障を、「国民一人一人が活動的かつ健康的な活動を行うために十分な食料を、将来にわたり入手可能な状態」と定義しまして、平時からその達成を図るべきである、こういう議論を今現在いただいております。

 ですから、従前の基本法では不測の要因でありましたが、これは平時からもその達成を図るべきだという、大変、両面からの御指摘をいただいておるところでございます。

 今後とも、各界各層から幅広く御意見を伺いながら、国民的なコンセンサスの形成に努めながら、検証をしっかりと行い、基本法の見直しの作業を進めてまいりたいと思っております。

小山委員 大変丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございます。

 輸出入のところをどう考えるかというところでも、これからも恐らく、私は、円安傾向、あるいは日本のファンダメンタルの低下と人口の減少といったことも背景にした経済力の相対的な低下ということも考えますと、やはりこれから、食料を輸入してくればいいというような、これまでの時代から少しずつ変化する可能性もあるのではないかと思っておりますし、そういった中で、日本では高付加価値なものを生産をして、海外に輸出をして、海外の富裕層に食べてもらう、一方で、日本人は海外からより安いものを輸入してきて食べるというようなこと、これが本当に望ましい姿なのかどうか。

 SDGsやあるいはカーボンニュートラルというようなことも言われる中で、それだけ食料が、輸出入で輸送のCO2排出も出てくるということも考えると、もちろん輸入や輸出といったものを決して否定するわけではないですし、日本の高付加価値な、大変高品質な農産品、食料というものを海外の方に食べていただくというのは大いに意義があることだと思いますけれども、しかし、一方で、やはり地産地消といったようなことを、国消国産といったことも併せて、そのバランスを取っていくということも大事なことではないかなと感じております。

 次に、国際家族農業年のことについてお尋ねしたいと思います。

 二〇一四年は国際家族農業年、そして、二〇一九年から二〇二八年までの十年間は国連の定めた家族農業の十年ということで、まさに今年もこの十年の中に入っております。

 国連は、家族農業が、食料安全保障と栄養改善の促進、そして、より包摂的で公平な社会の構築への貢献に重要な役割を果たしていると評価し、家族農業の役割と機能を世界に周知するとしております。

 この二〇一四年の振り返りと、そして、現在行われているこの十年間の家族農業の十年について、農水省はどのようにこの家族農業の役割と機能を評価し、また、国連の定めた二つの、国際年、そして十年についてどのような周知活動を行ってまいりましたでしょうか。

野村国務大臣 我が国の家族農業経営は、農業経営体の実は九六%を占めております。それで、アメリカが大体九五・九、それからEUも九五%ということで、我が国の九六%とほぼ同一水準でありまして、日本なりEUなりアメリカにおいても、この家族農業がいわば農業の中心にあるというのは、これはもう間違いのないことであります。

 このために、二〇二〇年三月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画におきましては、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するために、経営規模や、家族、法人など経営形態の別にかかわらず、経営改善を目指す農業者を幅広く担い手として育成支援していく、こういったようなことが二十年前の基本計画の中にも盛り込んであるところであります。

 また、家族経営が地域社会の維持に重要な役割を果たしている実態に鑑みまして、生産基盤の強化などに取り組むことを明確に位置づけ、そうした施策を講じているところでありますが、また、先ほど委員がおっしゃいました国連家族農業の十年につきましては、その周知を図るために、趣旨や国際的な取組等に関する情報を農水省のホームページに記載したところでございますが、またさらには、そのほか、国際シンポジウムを開催し、これは二年連続でシンポジウムを開催しましたけれども、家族農業の果たす役割への理解の促進を行っているところでございます。

 今後とも、家族農業経営をしっかりと支援してまいりたいと思っております。

小山委員 SDGsばかりが取り上げられますけれども、実は、こういった国際年とか、二〇一二年は国際協同組合年という年でございましたけれども、是非こういった国連の動きといったものを周知もしていただきながら、どうしても、日本の国内では、農業について、あるいは農業政策について、他の製造業や他の産業政策と比較する嫌いが多いかと思っております。

 よく言われるのが補助金の話なんですけれども、これは、他の産業と比べて日本の国内農家の方の補助金がどのぐらいもらっているかということもさることながら、他の諸外国の農家の方の収入に占める補助金の割合がどのぐらいであるか、そして、日本の国内の農家の方のそれと同様の補助金の収入に占める比率はどのぐらいであるか、こういうことは余り議論されていない。

 そういう中で、農業に対するネガティブな言説ばかりが多いかなというふうに感じておりますけれども、是非、家族農業の十年、この周知もこれからも図っていただきたいと思っております。

 次に、土地改良区のことについてお尋ねしたいと思います。

 全国の土地改良区で、残念ながら、職員さんによる不祥事事件が起きております。中には刑事告訴の時効が経過した後に横領等が発覚するケースもありますけれども、それは時効が過ぎたからおとがめなし、本来それで済まされることではないと思っております。

 平成二十六年四月一日付で、二五農振第二四九〇号にて、土地改良区等に関する不祥事件の未然防止について、土地企画課長通知が出されております。そこには、職員のコンプライアンス意識の向上、内部統制の強化を審議する内部統制委員会を理事会の補助機関として設置することを規程に記すことなどの内容が書かれています。

 しかし、今でも内部統制委員会を設置できていない改良区も存在し、通知発出以後にも横領事件等の不祥事案が発生しています。内部統制委員会がもし存在していれば不正事案を防げたんじゃないか、そのように考える元理事の方にお会いをしたり、私も、話をいただいたことがございました。

 まだ内部統制委員会を設置していない改良区さんも含めて、不祥事を防ぐために農水省はどのような指導を行っていますでしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘がございましたけれども、土地改良区職員が多額の経費を私的流用し、着服する事案が相次いで発生したことを受けまして、不祥事を未然に防止する観点から、平成二十六年の通知によりまして、役職員のコンプライアンスの意識向上、内部牽制強化等を審議する内部統制委員会の設置等について指導を行ったところです。また、農林水産省では、土地改良区の役職員を対象に、監査、内部点検等に関する研修を実施するなど、内部牽制機能の強化に向けた啓発を行っているところでございます。

 今後とも、こうした研修の実施を通じまして、土地改良区における不祥事案の未然防止に努めてまいりたいと考えております。

小山委員 特に、時効が過ぎてから分かるというケースもやはりございまして、それでも、時効が過ぎているので警察の方でも捜査はできない、検察の方でも、これはもう時効が過ぎている以上はしようがないと。だけれども、補助金に関する不祥事案ですと、国民の税金が使われてしまっているわけですから、是非、再発防止に向けてこれからもお取り組みいただきたいと思います。

 もう一つ、平成三十年の法改正を踏まえて、令和六年までに外部監事又は外部監査を受けるかのいずれかの体制整備を行うようにということになっておりますけれども、現時点で、外部監事あるいは外部監査を受ける改良区さんというのはどのぐらいの数に上っていますでしょうか。また、これらの体制整備ができていない組合に対しては今後どのように指導していく方針でしょうか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年の土地改良法改正後、定款において員外監事制度を導入した土地改良区は、令和四年十月時点で二千九百四十一地区となっております。また、員外監事制度の導入に代えて公認会計士等の指導を受けている土地改良区は、二百八地区となっております。

 これらの結果、員外監事の導入等が完了していない土地改良区は六百五十地区となっておりまして、これらの土地改良区に対しましては、令和五年度の導入期限までに員外監事の導入が完了するよう、都道府県と連携しまして指導助言を行ってまいりたいと考えております。

小山委員 是非、これからも、不祥事案が一件でも発生しないように、今後とも御指導をお願いしたいと思います。

 次に、リニア新幹線に関する質問をさせていただきたいと思います。

 リニア新幹線南アルプス静岡工区の工事については、大井川の水量減少が懸念されておりまして、とりわけ農家の皆様、土地改良区の皆様方からも、党派を問わず、懸念の声が上がっております。

 その工事について、そもそもの話ですけれども、二〇一四年六月に出されました環境影響評価に対する環境大臣意見、国土交通大臣意見につきまして、次のようなものがございます。

 「最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めない。」「地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を与える可能性が高い。」「ユネスコエコパークとしての利用も見込まれることから、当該地域の自然環境を保全することは我が国環境行政の使命でもある。」「環境保全について十全の取組を行うことが、本事業の前提である。」また、「技術の発展の歴史を俯瞰すれば、環境の保全を内部化しない技術に未来はない。」「本事業の実施に伴う環境影響は枚挙に遑がない。」

 大変厳しい意見を、当時、環境大臣が出されていらっしゃいます。

 また、国交大臣につきましても、「地元の理解と協力を得ることが不可欠である。」「地域住民等に対し丁寧に説明すること。」「環境保全に関するデータや情報を最大限公開し、透明性の確保に努めること。」「河川流量の減少は河川水の利用に重大な影響を及ぼすおそれがある。」「必要に応じて精度の高い予測を行い、その結果に基づき水系への影響の回避を図ること。」と意見を出しております。

 ほかにも幾つかございますけれども、環境省、国交省共に、この二〇一四年時点の意見を踏襲していますでしょうか。また、踏襲しているとすれば、JR東海さんが、静岡県が十分に説明責任を果たし、JR東海さんと静岡県が両者合意形成するように指導していくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

国定大臣政務官 私の方からは、環境大臣意見の部分につきましてお答えをさせていただきます。

 環境影響評価法に基づきます環境アセスメント手続におきましては、環境大臣意見は対象事業の主務大臣に対して提出することとなっており、リニア中央新幹線につきましても、平成二十六年六月に環境影響評価書に対する環境大臣意見を国土交通大臣に提出をしたところでございますし、今ほど御指摘いただいたとおりでございます。

 環境省といたしましては、この環境大臣意見におきまして、国土交通省に対し、事業者が十全な環境対策を講じるよう適切な指導を行うことなどを求めており、現在も高い関心を持って注視しているところでございます。

 これらを受けまして、国土交通省におきまして、今後の水資源利用や環境保全へのJR東海の取組に対して具体的な助言、指導等を行うことを目的として、リニア中央新幹線静岡工区有識者会議を設置し、運営しているものと承知をしているところでございます。

 私ども環境省といたしましても、この有識者会議へ環境に関する情報を提供し、オブザーバー参加するなど、必要な協力を行っているところでございます。

古川大臣政務官 国土交通大臣政務官の古川康でございます。

 お答え申し上げます。

 平成二十六年七月、国土交通省は、環境影響評価法に基づきます国土交通大臣意見におきまして、JR東海に対して、地域住民などに対して丁寧に説明すること、委員御指摘のように、水系への影響の回避を図ることに加えまして、河川流量のモニタリングを実施すること、水利用に影響が生じた場合には、専門家などの助言を踏まえて適切な環境保全措置を講じることなどの措置を講じるように求めたところでございます。

 また、平成二十六年十月の工事実施計画認可の際には、国土交通大臣からJR東海の社長に対しまして、地域の理解と協力や、環境の保全の措置などを指示いたしました。

 なお、大井川の水資源への影響につきましては、国土交通省の有識者会議が令和三年十二月に取りまとめました中間報告におきまして、科学的、工学的な観点からの専門的な判断といたしまして、工事期間中にトンネルの湧水が静岡県の外に流出した場合におきましても、結果として、大井川中下流域の河川流量は維持されることが示されております。

 いずれにしても、国土交通省といたしましては、リニア中央新幹線の建設に当たりまして、国土交通大臣意見などを踏まえまして適切に対応が行われるよう、引き続きJR東海を指導してまいります。

小山委員 南アルプスにつきましては、平成二十年の地形、地質等の報告書で、三千メートル級の山々で地下水位が高く、岩盤劣化に伴う地圧や大量湧水が発生するおそれなどと記載されております。静岡県行政が懸念を抱くのも理解できることではないかと考えますし、回避とは、釈迦に説法ですけれども、影響を与えないということで、代償や低減とは違うわけですね。

 是非、この回避という言葉の重みをいま一度お考えいただいて、その上で両者の対話と合意が行われるように、国交省の指導を求めていきたいと思います。

 国定政務官さんにつきましては、今後質問はございませんので、御退席いただいても構いません。

 それと、このリニア新幹線に関しまして、JR東海さんが、静岡県との意向と異なり、現在、山梨県から静岡県境に向けてボーリング調査が開始されております。

 静岡県は、県境にあるもろい地質が山梨県側とつながっており、ボーリング調査といえども、穴を掘れば水が流出する可能性があるが、そういう懸念に対してJR東海さんが回答をしていないと反発しております。

 川勝平太知事は、双方向でのコミュニケーションを約束したはずなのに無視された、国交省の指導力がどこに行ったのか、こんな勝手なことをしていいのか、そもそも地域住民の了解を得なければ駄目だと繰り返し言っている、それを無視していると、報道によると、発言をいたしております。

 なお、これから申し上げますことは、静岡の反対運動をされている方の御意見とか川勝知事個人の思いではなくて、静岡県行政の、県の担当参事にヒアリングをした上でお尋ねをいたします。

 令和五年一月三十一日、静岡県は、山梨県側からの県境付近で実施する高速長尺先進ボーリング計画について、地質や湧水量に注意して削孔する区間を設定した科学的根拠の明示を要請いたしました。その区間が妥当であれば工事については問題ないと回答しておりまして、どんなことでもボーリング調査をしちゃ駄目だということを静岡県は主張しているわけではないんですね。

 二月二日、その要請への回答がなく、JR東海さんから十七時頃に静岡県に対して電話で、二月三日よりボーリング調査を開始したいという旨の意向が伝えられました。これは、工事をする前日には、事前には工事をしますよという連絡をするという両者間の取決め、約束によるものです。

 静岡県は、同日、国土交通省さんに対して、県の理解なきボーリングについては行うべきではないことを要請して、国土交通省さんはJR東海さんを指導され、二月二日の二十二時頃、二月三日のボーリング調査を断念するという電話がJR東海さんより静岡県にありました。このときは、国交省の指導により静岡県からの要請に応えていない段階でのボーリング調査開始をストップしていただいたと、このときの国土交通省さんに対しては、静岡県は大変歓迎し、感謝をいたしております。

 二月二十日、二月二十一日よりボーリング調査をするという連絡が、JR東海さんより文書で静岡県に対して示されました。この文書では静岡県内の水資源に影響がないと示されておりましたが、冒頭申し上げましたとおり、ボーリング調査を行う山梨県内の断層帯は深度の深いところで静岡県内の断層帯とつながっていることが分かっておりましたから、静岡県は国土交通省さんを通じて、静岡県内の地下水が流出をしてしまうという懸念を伝えました。

 しかし、その懸念を払拭する科学的根拠は示されないまま、しかも約束していた着手時の報告、連絡を行うことなく、二十一日よりボーリング調査が残念ながら開始されてしまいました。

 静岡県は、二十二日、現在の削孔計画の再考と速やかな対話の再開の要請を行って、冒頭の報道の話となったわけでございます。

 これらの経緯を踏まえた上で、また、先ほどの国交大臣意見や環境大臣意見を踏まえた上で、二月三日にはボーリング調査の中止を指導しながら、なぜ、二十一日には、静岡県の懸念が払拭されていない、理解が得られていない状況にもかかわらず、JRさんに対して同じような指導が行われなかったのでしょうか。この違いについて御答弁願いたいと思います。

奥田政府参考人 お答えをいたします。

 このお話のまず大前提として、先ほど古川政務官から御説明もあったように、地元の理解をしっかり得ることが重要である、この視点がございまして、特に、やはり大井川の流域の十市町なり関係者の皆様、この話、非常に注目をしておると思います。心配をしておると思います。

 その方々の思いをしっかり受け止めるということが大事だと思っておりまして、直接国と意見交換をやった際に、科学的、工学的な議論をしっかりやって、それを分かりやすく伝えてほしい、こういうメッセージをいただいております。強い要望をいただいております。

 この点、非常に重視をしておりまして、今回の件でのJR東海への指導に当たりましても、科学的、工学的な観点での議論にちゃんと光を当ててやるという、こういう方針でJR東海を指導しております。

 その意味で、先ほど、経過はおっしゃるとおりではございますけれども、二月三日に取りあえず実施は待ってくださいという指導をしたときも、まさに科学的、工学的な説明をまだしていない状態でやるのはよろしくないという意味で指導しております。

 それから、二十一日の段階は、何も指導していないということではなくて、先ほどお話があったように、事前に静岡県さんに、何を懸念されるのか、我々としてお聞きをして、そうすると、今回、山梨県側のボーリングなんですけれども、静岡県境に向けて八百メートル手前の地点から始めるということで、その間、どういう懸念があるのかをお聞きしたところ、先ほどの破砕帯の水の議論、これは大体二百五十メートルぐらい手前になります、そこのお話はありましたので、それが懸念材料だから、それについて工学的な説明をしっかりすべきであると。

 八百メートル手前で始める部分、要するに、スタートする部分ですね、ここについての科学的、工学的な懸念を県の方から示しておりませんので、その意味で、二百五十メートルほど手前の部分については、しっかりその前段でデータをお示しして、相談をするということをJR東海から県に報告しておりまして、我々も、地下水の専門家の御意見も聞いて、その対応の仕方はおかしくはないということで確認をしておりまして、そういう経過でございますので、国土交通省としての指導方針は、科学的、工学的な観点からしっかり説明をするんだ、その意味では一貫しておるというふうに考えてございます。

 引き続き、JR東海をしっかり指導してまいりたいと思います。

小山委員 このボーリング調査を行うところの山梨県側の破砕帯というのが、JRさんから示された文書では、これは静岡県とつながっていないような図面になっておりましたけれども、実は深度の深いところでつながっている、そこから抜けてしまうのではないか、あるいは、論文によっては、ボーリング調査をすることであらかじめ水を抜いてしまって、圧を抜くことで、本体工事になったときに工事自体が事故が起きないように、こういうような一部の論文もあるというようなことも静岡県の方では大変、そこが目的なんじゃないかというような懸念もあるようです。

 いずれにしましても、県行政の方が今納得していない段階で、文書を出した、だからいいということでもないと思いますので、両者が合意するということが必要だと思いますので、今後、今はもうこの局面から田代ダムの話に移っておりますけれども、決して静岡県も、最初に私が申し上げたとおり、全ての工事を駄目だと言っているわけではありませんので、両者が対話をして、そして合意形成をして物事が進んでいくように、是非、国交省さんも、非常に大変だと思いますけれども、間に入っていただいて、合意形成されるように御指導を賜れればと思っております。

 それでは、ちょうど質疑時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

笹川委員長 次に、渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党、宮崎一区選出の渡辺創でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 昨年、二〇二二年は、国民が、日本の農業生産、食の確保というのが実はガラス細工のような状況にあるというふうに気づく、大きなターニングポイントであったのではないか、そういう一年であったのではないかと思っています。

 ロシアによるウクライナ侵攻は、物理的に日本から遠方にある地での国際紛争も、いざ世界的規模での食料危機が生じてしまえば自分たちの食卓と直結しているということを、そういう連動しているという現実を目の当たりにした機会でもあったというふうに思います。さらに、原油高、肥料、飼料の高騰が国内生産に直結しているということを実感し、高騰にとどまらず、その深刻度が増し、確保に不安が高まればどうなるんだろうかという思いが、たくさんの国民の頭をよぎったというふうに思うところです。

 そういう昨年を受けての今年、二〇二三年でありますので、今通常国会冒頭での岸田総理の施政方針演説で、どのような現状認識と打開策が示されるのか、大変興味を持って見ていたところでございました。

 ただ、残念なことに、その内容は、ちょっと原文を読み上げますが、「農林水産業については、肥料、飼料、主要穀物の国産化推進など、食料安全保障の強化を図りつつ、夢を持って働ける、稼げる産業とすることを目指します。 農林水産品の輸出については、二〇二五年二兆円目標の前倒し達成を目指し、更なる輸出拡大支援を進めます。」と非常に淡泊な表現であったというふうに言わざるを得ないというふうに思っているところです。

 二月の一日、八日の予算委員会でも議論いたしましたが、施政方針演説の中で、先ほど読み上げた部分ですけれども、農政への言及は、全一万一千四百九十四文字のうち、僅か百二十一文字でありました。資料を御覧いただきたい。お配りしている資料を見ていただければと思いますが、明らかに、この十年間で過去最低でありますし、実は、その後、戦後ずっとの施政方針演説を振り返りましたけれども、最低水準です、文字数としては。そういう状況のものであり、しかも、ボリュームもどんどん下がっていっているわけですから、大変残念と言わざるを得ません。

 これが岸田政権における農政の位置づけなのかと予算委員会でも問いましたが、総理は、文字数については指摘のとおりだとした上で、位置づけについては、決してそんなことはないと当然申し上げなければならないというふうに御答弁されましたけれども、繰り返しますが、配付資料を読んでいただければ分かりますように、こういう水準であったということであります。

 ただ、農水省という立場から見れば、これだけ厳しい状況の中で、日本が抱える食料確保の脆弱性をいかにして克服していくかという立場で課題と向き合われているはずですから、当然、政府としての姿勢を示す施政方針演説においては、本来であれば、もっとボリューム厚く盛り込みたいというのが本音であったのではないかと勝手に想像するところでありますが、大臣、いかがでしょうか。

野村国務大臣 渡辺委員が、こうして歴代の総理の所信演説、施政方針演説の数をずうっと調べられたというのはびっくりしました。今こうして見ると、本当に、先般の岸田総理の農政の関連の発言は百二十一文字だったというのは、歴代で比べれば確かに少ないなという気はいたします。気はいたしますが、先日の予算委員会、我々もずっとおりましたので聞いておりましたけれども、総理から、施政方針の演説については文字数が政策の重要性や優先順位を示すものではないがと、こういうふうな御発言があったというふうに記憶いたしておりますけれども、農業は、我々が生きていく上でも必要なんだ、食料の安定供給が不可欠であるということを考えてみても極めて重要な存在である、こういうこともおっしゃっておられます。

 私自身も総理と同じ思いでありまして、今、日本にあるものを使って、そして日本で生産をしていくという考え方の下に、食料安全保障の強化、それから、みどりの食料システムの戦略の推進、あるいは、スマート農林水産業の推進、輸出促進などの施策を現在やっておるところでございまして、こうした考え方の下で、岸田総理が本部長となり、私が副本部長を務めております食料安定供給・農林水産業基盤強化本部においても、関係大臣を含めて、御了承をいただいているところでございます。

 また、同本部で総理から、世界的な食料情勢や気候変動、海外食市場の拡大など、我が国の食料、農業を取り巻く環境の変化を踏まえ、私を中心に今年の六月をめどに、食料、農業、農村政策の新たな展開方向をまとめろと、こういう御指示をいただいておりますので、引き続き、総理のリーダーシップの下で、政府一体となって農林水産政策を推進してまいりたいと思っているところでございます。

渡辺(創)委員 施政方針演説の組立て方もいろいろあるでしょうから、もちろん文字数だけが価値判断の基準ではないというのは分かりますが、一つの指標ではあるというふうに思うところです。

 大臣今、この間の大臣所信でもあったことも含めて、いろいろお話あったところでありますが、ちょっと聞き方を変えようと思うんですけれども、もし、施政方針に倍のボリューム、農政についての指摘ができたとしたら、今回の表現以外に大臣だったら何を、まだ盛り込んでいいよと総理から言われていたとしたら、何を盛り込みたかったでしょうか。

野村国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、限られた時間の中で総理のお考えの一端を申し述べられたものでありますが、今度は、もし私だったら、どういうようなことを入れさせたいかというようなお話でありますが、やはり今回、今、基本計画の議論の中でも、今後進めてまいらなきゃならないのは、みどりの食料システム戦略を踏まえた環境負荷低減の取組の推進、それから二つ目が、農村、中山間地域の対策、あるいはまた、後継者不足ということも言われておりますので、人材の確保、育成、それから農地の集積、集約化などは、いずれも重要な施策でありまして、これらについてしっかりと取り組んでまいりたいということを入れたい、こんなふうに思います。

渡辺(創)委員 大臣、ありがとうございました。こういう話が本当は予算委員会でも総理ともできたらよかったなというふうに思っていたんですが、今大臣で補完していただけましたので、ありがとうございました。

 ちょっと続けてお伺いをしたいと思いますけれども、私は、今、我が国の農政が問われている大きな課題は、食料確保の脆弱性の解決だというふうに思います。食料安全保障の問題は、今日の審議でも、またこの農水委員会でも度々繰り返し議論されていますので、子細に取り上げることは避けようと思いますが、大臣に少し大きな認識、現状認識を伺いたいんですけれども、私は、やはり、この国の誤りというのは、お金があれば食料は買える、確保できるという安易な選択を続けてきてしまったことだというふうに感じています。

 その結果が、様々な貿易交渉においても常に農業が犠牲になり続けてきた、その行き着いたところが、農産物の輸入自由化が進み、食料の確保という、本来、国家にとって最も大事な役割ということの意識も薄れてしまって、政府もおっしゃるように、極度に海外に食料の依存を高めてしまっても何の違和感もないというような国家になってしまっているのではないかと感じるところです。

 もちろん、貿易交渉には、その時々、様々な事情や難しさ、難しい判断があるのも分かりますし、日本経済が強い状況の中では、先ほど持ったような意識を持ってしまうのも致し方なかった面もあるかもしれません。

 また、与党の責任だけではなく、政治に関わる、野党も含めて、政治全体の責任で今こういう状況にあるというふうに私は思っているんですが、その上で、今るる述べてきたように、国のこういう基調、基本的な姿勢というか温度というか、が過度に海外に依存した食料供給を生み出してしまったのではないかという問題意識を持っておりますけれども、大臣はその辺り、いかがお考えですか。

野村国務大臣 食料というのは人間の生活にこれはもう不可欠なものだというのは、これは委員御承知のとおりでありまして、誰もが思っておるわけですが、ただ、食料安全保障は、これは国家の最も基本的な責務の一つだというふうに私は思っておりまして、これは生産者だけではなくて、消費者を含めた国民一人一人の問題だ、こんなふうに思ってございます。

 したがいまして、食料安全保障を考える上では、国全体で食料の安定供給を確保できているかという観点に加えて、国民一人一人が十分な食料を入手可能な状態にあるかどうかというのも大変重要でございまして、こうしたことが平時に確保されているだけではなくて、凶作等の不測の場合であっても、国民が最低限必要とする食料の供給が確保されるようにすることが必要だというふうに認識いたしております。

 そこで、こうした食料安全保障の重要な要素の一つであります国全体の食料の安定供給に関しては、輸入リスクが増大していることを踏まえれば、安定的な輸入と、それから適切な備蓄、これを組み合わせつつ、国内で生産できるものはできるだけ国内で生産をしていくという基本的な姿勢でもって、食料や生産資材の輸入への過度な依存を低減していくための構造転換を進めて、食料安全保障を強化していきたい、こんなふうに思っておりまして、今や構造転換のその時期だ、こんなふうに思います。

渡辺(創)委員 ちょっと私がお伺いしたかったのは、これからどう臨むかというのも大臣重要なんでしょうけれども、やはり過去の清算というか、これまでどこかに誤りがあったのではないかというふうに、これまでの農政をしっかり見詰め直して、もちろん、その時々の判断が誤っていたかどうかは難しいですけれども、時間がたった上で今の現状を考えると、過去の判断だったり、やってきたことに誤りがあったのではないか、それもきちんと見詰める姿勢が必要ではないかと思っているんですが、その辺りはいかがですか、大臣。

野村国務大臣 お答え申し上げたいと思いますが、これは先ほどもちょっとほかの先生に対して御答弁申し上げたんですが、いわゆる、私どもが今やっておりますのは、二十年前にできました食料・農業・農村基本法の見直しをしながら、今回の新たな基本法の制定に向けて検討を進めているということでございました。その中には、委員おっしゃりますように、過去の、今までの二十年間どうだったのかというやはり検証を踏まえてやっているということだけは、是非御承知おきいただきたいと思います。

渡辺(創)委員 分かりました。

 ちょっと次に進みたいというふうに思いますが、農林水産所管の独立行政法人、特に国立の研究開発法人について伺いたいと思います。

 その中でも、農研機構、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構についてお伺いをしたいと思うんですけれども、同機構は、明治二十六年設立の、当時の農商務省農事試験場に起源を持つ研究機関で、数回の統合を経て、二〇一六年から現在の形になっているというふうに理解をしております。

 農業分野では我が国最大の研究機関であるというふうに思いますし、基礎から応用まで幅広い研究を行い、研究施設も各地に有する、日本農政の基盤を支える重要な組織というふうに認識しておりますけれども、同機構の取組や研究成果等について、農水省はどのように評価をしていらっしゃるでしょうか。

野中副大臣 農研機構でありますけれども、おっしゃるとおり、我が国の農業研究の中核機関であります。

 成果でありますけれども、例えばイネゲノムの完全解読、これが平成十六年の成果でありますけれども、これは世界的な評価を得たところであります。また、現場の直面する課題解決のためにも、例えば、シャインマスカット等の高付加価値作物の開発、また、スマート農業、あと、水田の水回りの自動化とか、今も流行しております鳥インフルエンザ、そして豚熱の検出、診断技術の高度化など、多岐にわたっているところであります。

 これからの政策課題も多々ありますけれども、その中でも、例えば食料安全保障の強化とか、あと、みどりの食料システム戦略、これらについてもやはり農研機構の果たす役割は本当に重要だというふうに思っておりますので、この農研機構の研究開発力の強化というのは不可欠であるというふうに感じております。

渡辺(創)委員 ありがとうございました。

 その今お話があった農研機構の本部と主要な研究部門の幾つかが配置をされている茨城県つくば市の施設に、昨年の十二月十二日に立憲民主党の衆参の議員で訪問してまいりました。理事長や機構の幹部の皆様にもお話をさせていただいた上で、研究施設も視察をし、そこで働く方々とも意見交換をしてきたところです。

 非常に高い志を持ち、国益に大きく資する研究に励んでいらっしゃる皆さんの存在を大変心強く誇りに思うと同時に、今副大臣からも御答弁ありましたけれども、大変大きな期待を持ったところでありました。

 ただ、その中で、衝撃的な話を幾つか聞きました。その一つは、同機構の皆さんは、高騰する、高くなっている電力コストに対応するために、午前十一時から午後二時までの間、照明も空調も止めて仕事に臨まざるを得ない、そういう指示が出ていて、夏は室内が四十度を超えるし、冬は事務スペースも研究スペースも冷蔵庫のような中で働いているというお話で、大変驚いたところでありました。

 にわかに信じ難いようなお話ですけれども、確かに、理事長との懇談の中でも、高騰する電気料金への対応が本当に深刻だというお話を我々も伺ったところです。研究施設ですから、実験や止められない設備もいろいろあるわけですので、そういうしわ寄せがどんどん職場に来ているんだなというのが分かったところでありました。

 正直、その伺った現状というのは、一生懸命に研究するモチベーションを維持することにも大きく関わるレベルのように思えたところでありますが、農水省はこのような実態を把握していらっしゃるのか、また、電気料金の高騰への対策は政府を挙げて取り組んでいるはずですけれども、運営交付金の配分など、きちんとした手当てが必要なのではないかというふうに感じましたが、農水省の見解をお伺いします。

川合政府参考人 お答えいたします。

 最近の電力等の高騰を踏まえまして、農研機構では、電力使用の多い設備の集約化、フリーザーとか人工気象室、冷蔵庫ですね、それから植物工場などの温室の使用制限、何棟もあるやつを一か所に集約するとか、努力しております。研究業務を工夫してやっております。

 それ以外に、委員御指摘のとおり、居室空調機の徹底した温度管理、二十八度で設定しております。非常に暑いです。それから、お盆期間、八月の十一日から十七日、その何日間かだけだったんですけれども、委員御指摘のとおり、お盆期間におけるつくば本部地区の全館休館、要するに、事務職員も多いのでテレワークしてください、そういったお願いをしております。

 こういった光熱費の節約に取り組まれていると承知をしております。これは農研機構から聞いております。

 こうした実態について、農林水産省では、農研機構と日頃から業務に関する情報交換を行いまして、迅速な状況の把握に努めているところであります。

 また、このような電気代等の高騰によります農研機構の業務への影響の状況を踏まえまして、令和四年度の補正予算におきまして、法人の研究機能継続に必要な経費を措置したところであります。

 引き続き、農研機構と連携を密にしまして、業務への影響などの状況を把握しまして、必要な予算の確保に努めてまいります。

渡辺(創)委員 電気代の高騰等々に対しては補正で措置したという話ですけれども、今日、ここにたくさん、一緒に行った委員の皆さんいらっしゃいますけれども、我々が聞いている話は、今御答弁があったより、よりハードな内容であり、深刻であったというふうに思いますので、もし聞かれていないのであれば、改めて聞いていただければ出てくる事実じゃないかと思いますので、是非、もう少し十分に状況把握をいただきたいというふうに思うところです。

 もう一点、施設の老朽化も進んでおりました。特に水漏れですね。筑波研究学園都市は一九六〇年代後半に整備が始まって、七〇年代、八〇年代に国の施設の移転等で充実が図られてきた地域でありますので、当然、その頃にできた施設というのは四十年から五十年ぐらいの時間がたってきていることになるわけです。

 農研機構で働く皆様から伺った話では、水道管のトラブルが多くて、出勤したら研究室が水浸しになっていたりとか、PCが水をかぶってしまって駄目になっていたりとか、そういうトラブルが、日常茶飯事とまでは言わないんでしょうけれども、決して珍しいことではないというようなお話でしたが、そのことを把握されていますか。

川合政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の農研機構につきましては、様々なこれまでの経過がございまして、大変統廃合を繰り返してきました。その結果、二十二の研究部門などを有しております。また、五十を超える全国の拠点がございまして、先ほど副大臣が申し上げたとおり、基礎から応用まで、幅広い研究をやっています。

 こういった観点で、いろいろな施設がございまして、空調管理もあれば水道もありますし、牛舎もありますし、いろいろな施設があります。当然、水漏れ、電気が止まったり、臨時の対応など、職員自らがやっておるという状況もあります。

 ただ、移転してから非常に時間がたっておりまして、四十年以上経過のものが七割を占める、つくば地区だけですけれども、そういったことであります。状況は把握しています。

渡辺(創)委員 我々は行って話を聞きましたけれども、施設がたくさんあるとか、そんなのは合理化すればいいという話だけじゃないわけですから、やはり働いている皆さんの立場からすると、これが本当に世界に誇る日本の技術を支えようとする研究をしているところなのかという大変かわいそうな思いにも至ったところですので、これ以上はやりませんが、改めてしっかり考えていただきたい。

 それで、実は、野村大臣も一月に行かれているそうだというふうに伺っておりますけれども、今指摘したことも含めて、大臣もいろいろなお話を聞かれているんじゃないかと思いますが、やはり、国立の研究施設は国の礎を築くものでありますから、きちんと国と法人が連携をして、力を合わせながら研究所としての役割を果たし、これまで以上の成果を上げていくことが重要じゃないかと考えます。いろいろ絞ったり合理化するだけではなくて、その根本的な役割を果たすことすら危うくなるのではないかというような状況を、しっかり農水省と法人が連携をして各種の課題に向き合うことが大事ではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

野村国務大臣 今、渡辺委員おっしゃいましたように、私も一月に農研機構を視察をさせていただきました。御承知のとおり、農研機構はもう四十年たっておりまして、確かに老朽化が進んでいるところもありました。そういうのをつぶさに見せていただきましたので、施設の改修なり設備の更新等を、これは計画的に進めることが大事だなということをつくづく感じました。

 このため、農研機構の意見を聞きながら、職員が意欲的に業務に取り組むことができるよう必要な予算の確保に努めていかなければいけないし、老朽化施設の改善にも取り組んでまいりたいということで、農研機構の要望を踏まえて、この予算を計上してみたいと思います。

渡辺(創)委員 ありがとうございました。次のテーマに移りたいと思います。

 G7宮崎農業大臣会合についてお伺いしたいと思いますが、いよいよ四月の二十二、二十三日、宮崎市のシーガイアコンベンションセンターにてG7宮崎農業大臣会合が開催をされます。

 私、宮崎一区選出でございますので、会合の開催地の選出でございます。この委員会には、元大臣の江藤先生や長友慎治さんもいらっしゃいますけれども、大変多くの方々の御尽力があって宮崎での開催ということになったのであろうというふうに思いまして、感謝もし、また大変期待もするところであります。

 この農相会合ですが、二〇〇九年のイタリアでの開催が初めてで、二回目は二〇一六年の日本・新潟での開催であった。今回は五回目というふうに伺っています。農相会合自体は固定的に開催されるものではなくて、議長国、開催国が判断をするというのが重要視されるようですが、今回開かれるわけでありますので、今回の農相会合はどんな狙いを持つのか。言い換えれば、今回の二〇二三サミットにおいて農相会合をセットした狙いは何なのかということを大臣にお伺いしたいと思います。

野村国務大臣 四月には宮崎でG7の農相会議を開かさせていただきますので、是非御協力をよろしくお願い申し上げたいと思いますが、今委員からありましたように、今回のテーマが何になっていくのかというのは、今、G7の各国と調整中であります。

 しかしながら、ロシアによるウクライナ侵略などを背景にしまして、食料の安全保障というのは、これは各国とも、これは世界的な課題になっておりますので、メインテーマはそういうことになるのではないかな、こんなふうに思っておりますが、ただ、まだ調整はついておりませんので、詳しいというか確定的なことは申し上げられないんですけれども、G7の宮崎会合で現在各国との調整を進めておりますが、議長国として議論をリードしてまいりたい、このように思っているところでございます。

渡辺(創)委員 開催地の宮崎は、畜産や施設園芸を中心とした農業に加えて、豊富な、個性豊かな果樹など、特徴的な農業を持つ地域でありますし、世界農業遺産、日本農業遺産、それぞれ持っている県でもあります。まさに人間と自然の調和した持続可能な農業形態についても世界に発信できる地域だというふうに思っていますけれども、このような宮崎において農相会合をセットした意義を大臣はどのようにお考えか、お伺いしたい。

野村国務大臣 渡辺委員の御地元は、大変、今おっしゃいました持続可能な農業について、有機農業なり、あるいは地域的な取組、あるいは環境負荷の低減に熱心に取り組んでおられるということは十分承知をいたしております。

 このために、農業の持続可能性を議論し、その成果を発出する今回の会合を宮崎県で開催するということは、大変意義のあることだというふうに思っておりますし、また、宮崎県は、和牛やマンゴーの生産、こういうことも大変立派にされておられますし、外国からの訪問者にこうしたものを食べていただく食材も豊富でございますので、我が国の食の魅力発信の場としても適しているのではないか、こんなふうに思っているところでございます。

 こういったようなことを考えながら、宮崎を選ばさせていただいたということでございます。

渡辺(創)委員 ありがとうございます。

 会場となるシーガイアコンベンションセンターは、今はそういう呼び方はしないですけれども、以前は、その名もサミットと呼んでいたコンベンションセンターであります。宮崎であり、会場は同じですが、ここでの閣僚会合は、二〇〇〇年の九州・沖縄サミットのときに外相会合をやって以来、二十三年ぶりというふうになります。

 宮崎県は、MICEの誘致など、コンベンション都市としてこれから打ち出していきたいというふうに力を、私も県議会で十一年議論しておりましたけれども、そういう位置づけのところでもありますので、今回の農相会合は非常に大きなチャンスだというふうに思っています。

 県内でも、「みらいに みのりを みやざきから」というスローガンを打ち出して、四月末、実は、統一自治体選挙、市議会議員選挙の最終日がちょうど大臣会合と重なっておりまして、六十数人立候補するのではないかと今言われていますので、ちょっとなかなか大変な状況のときにあるかもしれませんけれども、四月末を迎える準備を進めているところですが、是非、会合に連動した形で視察や意見交換なども行っていただいて、宮崎の発信に力を入れていただきたいと思うんですが、その辺りについては、いかがお考えでしょうか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 今回のG7農業大臣会合における各種視察につきましては、各開催自治体を始め、関係者と調整を行っているところでございますが、我が国の持続可能な農業への理解促進という観点から、効果的な方法を検討しているところでございます。

 具体的には、現地視察では、宮崎県の農業生産の実態、我が国のみどりの食料システム戦略を推進するイノベーションの実例を見てもらうなどの方向で検討しているところでございます。

渡辺(創)委員 まだ余り具体的なことを言えないという話なんだろうというふうに思いますけれども、ちょっと調べてみると、二〇一六年の新潟で行われた際には、新潟の農業や食文化に根差した取組が行われたように承知をしているところであります。今回も、世界に対して宮崎を十分にアピールできるような、また、宮崎だけではなく、大臣の御地元であります南九州全体を強くアピールできるような機会にしていただきたいというふうに思っておりますので、是非、十分な検討をお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

笹川委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。

 今日は、これまでこの委員会の中でも議論されておりますけれども、有機農業について質問をしたいと思います。

 私は兵庫県の地方議員出身で、兵庫県は、コウノトリが舞い立つ、環境保全型農業に力を入れておりまして、そこに関わってきたものですから、非常に関心があるということでございます。

 この度、みどりの食料システム戦略においても、有機農業の位置づけは非常に大事であると思っております。二〇五〇年カーボンニュートラルを見据えた上で、今や有機農業の流れは世界の趨勢であります。

 しかし、この度の有機農業の取組計画を見ますと、何だか世界の流れに取りあえず乗っていくというか、何やら急ごしらえにも見えなくもなく、二〇三〇年、二〇五〇年を見据えて、どう進まそうとしているのか、そういう具体的なロードマップがなかなか見えてこないんです。

 これは本気で農水省が取り組んでいるのかどうか、ちょっと疑問でありまして、また、応援のために質問したいと思います。

 二〇五〇年の有機農業の取組面積が百万ヘクタール、資料を見ていただきたいと思うんですけれども、百万ヘクタールという非常に高い目標値を掲げております。これを目指していくためにも、二〇三〇年の目標が六・三万ヘクタールと、余りにもこれは小さいのではないかなと思っております。これで五〇年に向けての助走になるのかどうか、非常に心配です。

 二〇三〇年までのこの取組も、やはり二〇五〇年に見合った、もう少し高い目標を掲げないと、研究も普及も進まないし、いつまでたっても現状打破はできないのではないでしょうか。この辺りをお伺いいたしたいと思います。

平形政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省は、有機農業に関しまして、委員御指摘のとおり、二〇三〇年に六・三万ヘクタール、二〇五〇年に百万ヘクタールという目標を掲げておりますが、二〇三〇年の目標につきましては、現在、現場で取り組まれている技術を横展開して、オーガニックビレッジの二百か所の創出などを通じて達成する目標として掲げております。その後、革新的な技術開発ですとか病害虫に抵抗性のある品種の開発などを通じて、普通に有機農業に取り組める環境を整えることにより、二〇五〇年に百万ヘクタールの目標を達成する考えであります。

 六・三万ヘクタールの目標につきましては、令和二年に、有機農業の推進に関する基本的な方針の目標として、有識者の意見を聞きながら、有機食品市場の今後の成長を見込み、それに応じた生産体制の整備などを踏まえ設定をしております。六・三万ヘクタールという目標は、令和二年度の二・五万ヘクタールに対して約二・五倍に相当するもので、とても高い目標と認識しております。

 農林水産省としては、この目標の達成に向けて、有機農業の生産拡大だけではなく、国産有機農産物の需要喚起などにも全力で取り組んでまいります。

掘井委員 確かに二倍なんですけれども、この世界の流れに沿っていって、二〇五〇年の目標も実は二十年遅れておるんですね。それに対して助走をつけていかなあかんという意味で、やはり高いと思わないんです。

 市町村にこれから取り組んでもらうということでありますけれども、自治体というのは、やはり国の目標が低いと、その低い目標に合わせて行動しますよね。逆に、高い目標を定めたら、それに向かってやはり何とかしようと頑張るものであると思うんです。全国への発信が大事なんです。

 今、オーガニックブームの中で、有機農業を勉強しようとする自治体が少しずつ増えてきているんです。農水省のこの図、この方針を見て、国は本気ではないなと疑っていると聞いております。現に私も、国の二〇三〇年までの目標値が低いから少し様子を見ると、農水行政の担当員からも聞きました。これではなかなかこのみどりの食料システム戦略を実行する合図に僕はならないと思うんです。

 これは今、目標がそうだとしても、もう少し国の方から、農水省の方から、力強い、推進していくというあかしを見せていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 委員の方から今、あかしというお言葉をいただきましたけれども、我々も大変重要な政策だというふうに思っております。

 二〇三〇年の目標の達成に向けましては、有機農業をこれまでの、点の取組から地域の取組にしていくということがとても大事だというふうに思っております。このために、地域ぐるみの有機農業に取り組む市町村に対するオーガニックビレッジを全国に展開するということとともに、有機農業の指導員の育成等、技術指導体制の強化により、有機農業に取り組む農業者の拡大、増大を図りながら、もう一つは、国内の消費の拡大、それから輸出の促進等によるマーケットの拡大、こういったものも含めて総合的に拡大をしていくことが必要だなというふうに考えております。

 今、ロードマップがなかなか示されていないというふうに御指摘もいただきましたけれども、オーガニックビレッジにつきましては、現在、五十五市町で手が挙がっておりますけれども、二〇三〇年までに二百市町まで伸ばしたいと思っておりますし、これはできるだけ早期に達成をしたいというふうに思っております。

 また、技術指導体制につきましては、有機農業の指導員を今年度末までに五百人以上育成、確保することを目指しております。現在、三百四十五人でございますので、これについても早急にやっていきたいというふうに思っております。

 また、マーケットの拡大につきましては、生産者と有機農産物の取扱事業者とのマッチング、あるいは有機農産物の輸出拡大を進めることで二〇三〇年の目標を実現したいと思っておりますし、農水省としてもしっかりこれはやっていきたいというふうに思っております。

掘井委員 今御答弁いただきましたけれども、今からちょっと詳しく聞いていきたいと思うんですね。

 オーガニックビレッジの話がありましたけれども、今、オーガニックビレッジを宣言する自治体が現在五十五、二〇二五年までに百の市町村を目指す、二〇三〇年までに二百の市町村を目指すということなんですけれども、これは、僕は、どんどんどんどん増えていった方がいいと思うんですけれども、二〇五〇年までにどんどんどんどん増えていっても全然オーケーということでよろしいでしょうか。

 それと、今、底ですよね。だから、オーガニックビレッジだけじゃないと思うんですけれども、そのメンバーで、市町村でこの数字が達成できるかどうかということも懸念しておりますけれども、いかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、オーガニックビレッジ、二〇三〇年までに二百市町なんですが、その前に二〇二五年までに百市町、二〇三〇年までに二百市町村を育成することを考えているんですが、その後ということでございます。

 例えば二〇五〇年にはどういうふうになっているかということでございますけれども、二〇五〇年に目指す有機農業の姿というのは、多くの農業者が有機農業を経営の一つとして選択していただけるように、そういうふうな環境を整えるということが農水省として目指しているところでございます。

 同様に、オーガニックビレッジにつきましても、より普通に多くの市町村で地域戦略の一つとして取り組んでいただけるようにもっともっと伸ばしていきたい、そう思っております。

掘井委員 次の質問です。

 有機農業の技術を教わる機関や指導者が少ないということが僕は一番の問題であると思っております。地域で有機の指導者を探してね、そうすれば支援しますよ、こうじゃなくて、やはり主体的に取り組んでいただきたいと思うんです。経験や技術を持った人材を国が養成して、それを普及させるわけですね。その体制をすぐさまつくるべきだと思いますけれども、どうでしょうかということと、有機農業に関心を持たれている首長が普及センターに有機農業の指導を聞いたら、技術者がいない、こういう答えが多いと聞くんです。普及センターの有機農業への意識が浸透していないのではないかな、こんなふうに思います。

 しっかりやるんだという指導を普及センターにも言っていただきたいと思うんですね、農水省。何かガイドラインを作るというようなことも聞きましたけれども、こういうことを更に盛り込んでいってやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 有機農業の拡大に向けて、委員御指摘のとおり、各産地において有機農業に取り組もうとされる方々が、その技術を習得できる環境を整備することが重要だと考えております。

 このため、農林水産省では、各都道府県において、有機農業の栽培技術や経営の指導を行う有機農業指導員の育成、確保、さらには市町村によるオーガニックビレッジの取組の中でも有機農業の技術指導を行う体制づくり、さらに民間の支援団体から販売戦略等について助言するオーガニックプロデューサーの派遣などの取組に対しても支援をしているところです。

 加えて、令和五年度から、有機農業の熟練者、熟達者の方が全国の産地に赴いて有機農業の指導活動を行う取組に対しても新たに支援を行うこととしております。

 さらに、今、普及センターについてのお尋ねがございました。

 全国、都道府県の普及センターによる技術指導の機能、これを活用していくこともとても大事な問題だというふうに思っております。

 このため、農林水産省としては、国が普及指導員に対して行う研修に有機農業の講座を設けたり、あるいは各県の優良事例の周知に努めてきたところですが、委員御指摘もございましたけれども、協同農業普及事業の実施について国としての考え方を示したガイドラインというものがございます。これを昨年六月に改正いたしまして、重点化すべき課題に有機農業の推進、これを加えました。また、普及指導員の有機農業に係る資質の向上ということも明確に位置づけたところでございます。

 これらを通じまして普及指導員の有機農業に対する意識も変えていただいて、まさに指導能力を発揮していただきたいというふうに考えております。

掘井委員 よろしくお願いいたしたいと思います。

 例えば、農業大学校があるんですね、兵庫県に。お金の、原資は国の事業でありますけれども、有機の農業を教えるという内容の計画書を、認可書を、兵庫県なので近畿農政局を通じて農林水産省に行くと思うんですけれども、有機の計画書を出せば、なかなかこれまで通りにくいというか、そんなことも聞くんですけれども、どんどんどんどんやはり意識してもらって、こういうところからも広げていただきたいと思っております。

 次の質問です。

 経験者の勘を体系化するという計画は必要だと思っております。地方が積み重ねてきた知見に対して、やはり科学のメスを入れてほしいんです。例えば害虫に抵抗性のある品種開発とか微生物の動き、研究、こういったことは市町村でやはりできないんです。国の研究機関で研究して、それをフィードバックできる、そんな仕組みがあればいいななんて思いますけれども、いかがでしょうか。

野中副大臣 有機農業に関する技術開発でありますけれども、病害虫抵抗性を強化するなど有機栽培に適した品種の開発、AIやリモートセンシング技術により、生産者が自身の圃場の病害発生の兆候をスマホ等のプッシュ通知で知ることができる病害虫予報システムの開発、植物と土壌微生物の相互関係を解析し、それらを活用した栽培システムの開発等を進めているところでありまして、新たに令和五年度から、土壌診断や有機質資材の活用による土づくり等、効果的に病害を抑制する圃場管理技術の検証とマニュアル化等を実施することとしております。

 私どもとしましては、今後、政府全体で行う研究プロジェクトの活用を含めて予算をしっかりと確保し、新たな有機農業技術の確立に向けて、革新的な技術、生産体系の開発を推進し、有機農業の面積拡大に取り組んでまいります。

掘井委員 技術の普及というのは、現場での対応と同時に、やはり基礎研究、これも大事でありますので、取り組んでいただきたいと思います。

 次の質問です。

 現在の有機農業技術は、まだまだやはり生産性が低いということであります。若い就農者であれば、生活リスクがあったり、また、慣行農業から有機農業に変わるリスクもあると思うんですね。もっともっと有機農業者の経営サポートをする施策が必要だと考えております。

 EUの場合ですと、有機農業の拡大には、農業環境政策の十分な補助金でありますとか、市場を発展させるプロモーション基金など、間違いなく推進の後押しになっております。韓国でも、有機農業の所得保障や、また、有機認証経費の無償化など、財政的な支援があったために拡大しました。もっと有機農業に特化した支援をできないかということなんです。

 もちろんしていただいているんです。環境保全型農業直接支払交付金、これではいろいろなことをやっていただいております。慣行農業や有機農業にかかわらず、いろいろな支援があるんです。しかし、これでは有機農業を行うモチベーションに余りなっていないのかなと思います、増やしていかなきゃ駄目なので。有機農業に特化した支援が欲しいと思います。

 現状でも幾らかやっておりますね、有機農業を実施する支援。十アール当たり一万二千円とかありますけれども、こういったものをもっともっと充実させていただきたいと思います。

 また、先ほど普及センターの話をしましたけれども、交付金についても、やはり普及員を育てていくという中で、普及センターの経費が下がってきておると聞きます。車のガソリン代も困っている、こういう話も聞いたりします。給付金が約二十五でしたっけ、二十三億、ありましたけれども、これも十分でないんだろうと思います。

 こういった中で、有機の技術指導から生産、消費まで有機農業を後押ししていくには、やはりもっと充実した財政支援が必要だと思っております。

 大臣、この予算の拡充を頑張っていただきたいと思いますが、意気込みについて教えていただきたいと思います。

野村国務大臣 掘井委員にお答えしたいと思いますが、今お話がありましたように、有機農業の取組拡大に当たっては、産地づくりから人材育成、市場の開拓、あるいは、そういった地域に即した取組を伸ばしていくことが重要だというふうに思います。

 このため、農水省では、産地に向けては、市町村が中心となって、生産から学校給食での活用等の消費まで一貫した取組を地域ぐるみで進めるオーガニックビレッジへの支援をやっております。

 それから、二つ目は、環境保全型農業直接支払交付金というのがありますが、これは、有機農業に取り組む場合のかかり増し経費の支援をいたしているところでございます。

 それから、有機農業に取り組む方への技術指導を行うための有機農業指導員の育成、確保をやっておりまして、令和二年で十七県で百三十一人だったわけでありますが、令和三年にはこれが二百四十五人、それから令和四年には五百人になる予定になっておりまして、こうした指導員の育成、確保も支援をしております。

 さらに、需要拡大に向けて、生産者と小売事業者等のマッチングによる販路の確保、有機農産物の加工・販売施設等の整備等への支援など、現場のニーズに応じたきめ細かな支援を行っているところですが、今後も、有機農業の取組の進捗状況を踏まえつつ、必要な予算、施策を実施していく考えでございます。

掘井委員 ありがとうございます。

 いろいろやっていただいているのは存じておるんですけれども、今、大臣、最後にお話ありましたけれども、状況を見てじゃなしに、やはり、農水省は旗を振るんだから、これだけやるからやってくれ、そういう考え方でないと、なかなか進まないと思います。

 次の質問であります。

 JAの有機農業の取組と課題についてちょっと聞きたいと思うんですけれども、農協は、営農について、販売、購買を通じて、農業の持続性を守っていただいております。農協が有機農業に対してどう向かい合っていくのかということは、これは有機農業を広げる上で非常に重大なことであると思っております。

 現状は、有機農業について、旗振りをしてくれる農協さんもいれば、何で有機農業せなあかんねん、こういう、理解が遅れているというか、なかなか浸透しない農協さんもいて、非常に温度差を感じております。農家さんもやはり、地域の中で、農業行政と、JAとタッグを組んでいかないと、不安であると思うんです。しっかり話合いを進め、理解をしてもらう必要を感じております。

 全中さんへの理解でありますとか、また中央会への働きかけについて、これはどう取り組んでおられるのか、また課題があれば伺いたいと思います。お願いします。

野村国務大臣 議員御指摘のとおり、有機農業の推進に当たりましては、地域の農協を巻き込んで進めることも重要でございます。

 実際に、議員御地元のJAたじまでは、コウノトリ育むお米ですか、大変有名になってございますけれども、有機米のブランディングや販売拡大に取り組まれておりますし、また、私の地元の鹿児島経済連では、家畜ふん尿、これは豚、鳥、それから牛ですが、ふん尿を原料に農家が使いやすいペレット堆肥を製造するなど、農協が参画することによって有機農業の取組が進展した事例も見られておるところでございます。

 さらに、農林水産省では、市町村によるオーガニックビレッジの取組の中で、農協など地域の関係者が連携する取組、あるいはまた農協が行う有機農業など栽培技術実証の取組等を支援しているところでございます。

掘井委員 大臣、その辺、力を入れて普及していただきたいと思っております。

 次の質問です。

 有機農業の先進国では、市場の流通の形だけではなくて、公的施設など、学校給食、軍隊であるとか病院、刑務所等に有機農産物が供給されているということで、市場がある程度確保されております。こういった公的な機関の販路の確保について農水省の取組をお伺いいたしますということと、特に、今いろいろ言われております、いろいろなところで出てきますけれども、学校給食が話題になります。学校給食は、有機農業の販路としては非常によくて、食育の観点からも好ましいと考えておりますけれども、農水省が学校給食を後押しする、これは厚労省とか文科省じゃなしに、農水省が学校給食を後押しするこの取組について、併せて伺いたいと思います。

野中副大臣 学校給食への有機農業の導入ということですが、先生おっしゃるとおり、何より食育の推進にもつながりますし、あと、安定供給の確保ですね、そして何より、地域に有機農業の理解が浸透するということで、非常に有意義な取組であるというふうに思っております。

 私どもとしましては、今年度から、生産者から消費者まで地域ぐるみで有機農業に関わっていただく、取り組んでいただく仕組みとしてオーガニックビレッジを創出しておりまして、その支援の一環として、学校給食等の地域の公共機関における有機農産物の活用についても助成をしているところであります。

 また、公共部門での有機農産物の利用でございますけれども、昨年二月二十五日、環境省所管のグリーン購入法に基づく環境に配慮した物品の調達方針が見直され、国等の食堂における有機農産物等の使用が配慮事項として追加されたところであります。

 私どもとしましても、この有機農産物市場確保に向けて様々な取組を進めてまいりたく存じます。

掘井委員 はい、分かりました。

 有機農業を語ると、どうしても農薬と向かい合うことになるんですね。みどりの食料システム戦略においては、新規農薬の開発を期待して、ネオニコチノイド系を含む殺虫剤を減らす取組も期待されております。二〇五〇年までに使用量を五〇%に低減するということです。日本の残留農薬の基準がEUなどと比べて緩いということもありますけれども、これはいろいろ知見があると思うんですけれども、この緩い理由と、ネオニコチノイド系殺虫剤が人体や生態系に与える影響を今の時点でどう評価されておるのか。これは、もし二〇五〇年に、廃止するなら、今すぐしたらいいとも思うんです。だから、この辺のお考えはどうでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 ネオニコチノイド系農薬についての御質問をいただきました。

 一般に、農薬の使用方法につきましては、各国の害虫の種類、気候風土等により異なるため、同じ作物でありましても国によって残留基準値が異なる場合があるわけでございますが、我が国で使用されます農薬は、食品を通じた農薬の摂取量の合計が、許容される一日摂取量、ADIと申しますけれども、こうした毒性の指標値を超えない範囲で残留基準値が設定されておるといったものでございまして、仮にEU等と基準値が異なったとしても、人の健康上、安全性に問題が生じるということはないというふうに承知をしているところでございます。

 一般的に、農薬の安全性につきましては、我が国では、関係府省が連携をいたしまして、法律に基づいて、科学的知見に基づくリスク評価を行って、安全性の確認をされた農薬のみ登録を行っております。定められた使用方法で認めているところでございまして、こうした使用方法を守って使用される限り安全性に問題が生じることはないというふうに考えているところでございますが、御指摘の、みどりの食料システム戦略においての低減目標というものにつきましては、いわば環境負荷を低減をし、持続的な農業生産を確保する観点から掲げているというものでございます。

掘井委員 二〇五〇年に半減していく、五〇%でしたか、していくということやから、やはりこれはよくないんだろうなと思っております。その規制の範囲であるということなんですけれども、これは世界の流れの趨勢でありますので、その辺を考えながら、やはり常に見ていくというか、注意していくというか、知見を積み上げていくというか、こういうことは大事であると思っております。

 もう余り質問する時間がありませんので、やはり日本は、有機農業に関して、世界の中でも二十年から三十年遅れていると思っております。

 私は、有機農業を推進していくということで、これまでの農業の問題を解決する糸口になるのではないのかなと考えております。食の安全保障の観点からも、農業生産者も、消費者も、ウィン・ウィンの関係をつくっていかないと、やはり日本の食というものはもう支えられないのではないかなと思います。

 幸い、オーガニックに関する関心は非常に若い人に多いということでありますから、やはり有機農業の将来の発展は、日本の農業を変えていく、農業を支えていくものになると思いますので、是非、応援したいと思っておりますので、農水省の皆さんには、大臣を始め頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

笹川委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。よろしくお願いいたします。

 今日は三月十四日でございますけれども、十二年前の三月十一日、巨大地震と未曽有の大津波によって甚大な被害が発生し、多くの貴い命が失われました。

 犠牲となられた方々に哀悼の意をささげるとともに、御遺族の皆様にはお悔やみを申し上げたいと思います。

 また、これまでの被災地の復旧復興に尽力してこられた皆様、御支援をお寄せいただいた国内外の皆様に対し、深く感謝いたします。

 私たちは、東日本大震災の教訓を決して風化させることなく、復興を前進させることに全力で取り組まなければなりません。また、震災の経験を防災や減災対策に生かすべきだと思います。

 早速ですが、全国各地の土地改良区が管理する樋門というものがあります。樋門は、堤防に暗渠を敷設し、堤防によって洪水から守られている堤防の中、堤内地の水を河川に排水する目的で設置される水門の一つです。洪水時、外水の逆流防止、また内水を排除するために、操作人が堤内外の水位を確認しながらゲートの開閉操作を行うわけですけれども、東日本大震災では、この樋門の操作に向かった多くの水防団員、消防団員が津波に流され、貴い命を失いました。そのことがきっかけで、津波警報が発令された場合は操作人の安全確保を最優先するように、水防法が二〇一一年十二月に改正されています。

 同時に、樋門の操作をする人を操作人といいますけれども、操作人の高齢化や後継者不足など、水が出たときの迅速かつ確実な樋門の操作が課題となっています。

 土地改良区が管理する樋門の自動化、遠隔操作化の必要性について、東日本大震災後、各地で議論されたと思うのですが、現状、自動化、遠隔操作が可能になった樋門は実際に増えているのかどうか、農水省に伺いたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 水門、樋門等の農業用用排水施設につきましては、基幹的施設の管理を土地改良区が、農地周りの小規模な施設の管理を地域の集落、水利組合等が行っております。

 近年、土地改良区の職員、地域の操作員の高齢化、減少等を踏まえまして、水門等の操作の自動化、ICTを活用した遠隔化を含めました水利システムの整備を推進しておりまして、今年度、水門、樋門等につきましては、国営かんがい排水事業で二十二地区、水利施設整備事業等で二十三地区などで整備を進めているところでございます。

長友委員 ありがとうございます。

 地区で把握されているということなんですけれども、全国に、大小合わせるとかなりの数になりますので、さすがに数を把握するのは難しいとは思うんです。思うんですが、それぞれの水門、樋門にそれぞれの操作員、操作人がついて守っていただいているわけでして、その方々の命に直結してくるという意味では、私は、極力把握する努力を是非していただきたいと思っています。

 近年、局所的な豪雨災害が増加している中、樋門の操作人の後継者不足や高齢化、御認識は一緒だと思っておりますけれども、樋門操作の遅れのリスクというものは本当に高まっているわけです。操作人の安全確保の観点からも、自動開閉式ゲートの整備であったりフルオートメーション化など、各地で望んでいるという声は土地改良区の皆様から直接聞いております。

 政府として、ここに対する予算措置を行っているのかどうかについて伺います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省におきましては、水門等の操作の自動化、遠隔化など、農業水利施設の管理の省力化に資する施設整備につきまして、水利施設整備事業等によって支援を行っております。

 今後とも、必要な予算の確保に努めるとともに、地方公共団体と密接に連携しながら、地域の実情に応じた支援を行ってまいりたいと考えております。

長友委員 水利施設整備事業ということで、もちろんお取組をしていることは私も分かってはいるんですけれども、ただ、具体的に幾らぐらいの金額を予算化できているというところまでは、全体像として見えない、見えてこない部分がございます。

 この事業を読み込んでいきますと、この中に、予算措置の中で、「管理の省力化・低コスト化に資する簡易な農業水利施設の整備」というふうにあるんですね。そこには、「ゲート・分水工の自動化など、管理の省力化等に資する簡易な整備を実施」ということで書いてありまして、二分の一の負担ということになる交付金です。国は二分の一、そして各地の地方自治体、若しくは市町村、県が、若しくは土地改良区になる場合もあるのかもしれません、各自治体で二分の一を負担しなければならないという内容になります。

 ここで、自分が自治体の人間だったり、また土地改良区の理事長だった場合に、この交付金に手を挙げて自動化を進めるのにちゅうちょを私はするんじゃないかと思うんですね。できればやりたいんですけれども、じゃ、その財源はどうするんだといったときに、地方の財政もなかなか今厳しい状況の中で、果たして二分の一負担というものが予算化できるのかどうか。樋門をオートメーション化する、自動化するというのは、そうそう簡単な金額ではないということも想像できるわけです。

 ここで、予算措置をする地方自治体や土地改良区が手を挙げやすいような中身に是非もっと踏み込んでいただけないかと思います。全額、できれば、私としては、国が負担して、操作人の安全確保に取り組むべきだというふうに考えます。

 樋門に関してはそのようにお願いしたいところなんですが、もう一つ、樋門とは別に、大きい河川の入口、排水路、用水路を引き込むところの入口に排水機場というものがあります。住宅地や農地の浸水を防ぐ目的でありますけれども、この排水機場についても、いろいろ問題点、問題が起きているということを今日は認識をそろえたいと思うんです。

 二〇二一年八月、佐賀県で、大雨対応のさなか、排水機場の操作員の方が亡くなるという痛ましい事故が起きております。このときは、発達した雨雲が帯状に連なる線状降水帯が発生しました。記録的な大雨になったときでございます。この操作員の方、七十五歳の男性でした。定年退職後、地元の区長やお寺の総代など、地域のために精力的に活動しながら、十年ほど前から地域を浸水から守る排水機場の仕事を担っていただいていた方になります。

 排水機場、ふだん、平時はどんな仕事をしているか。ポンプの稼働をしているぐらいにしか、皆さん、そうそう考えないと思います。イメージするものはそういうことだと思うんですけれども、台風が接近したり、また大雨が続いたりすると、この七十五歳、七十代の御高齢の方が三日、四日徹夜で排水に当たるわけですよね。大体平均して、アンケート調査をされたNHKの調査によると、自分がポンプ場に詰めて排水の管理をする中で、周りが浸水しますから、家に帰れるのは五日目ぐらいになるというのが実情だそうです。

 そのようなかなりの重労働に、徹夜で警戒に当たっていただいているというのが現状です。大雨になったら施設内に設置された排水ポンプを稼働させて、川の支流の水があふれる内水氾濫を防ぐということに努めていただいています。

 このときの佐賀県の男性は、排水ポンプに入り込む木くずなどのごみを取り除く除じん機というものに四日目の夜に体を挟まれて、そのまま挟まった状態で見つかったという事故でございました。現場をそのとき、一人で作業されていたということですので、その作業の瞬間を見ていた方はいらっしゃらなかったんですけれども、たまったごみを取り除く作業中の事故だというふうに見られています。

 本来、こういう危険で重労働な作業こそICT化して、人命を守るべきです。この排水機場の管理は、国土交通省と各県の管理になるというふうに聞いております。国土交通省との連携も必要になってきますが、水害のとりでを守る高齢な作業員、操作員の方が事故に巻き込まれ、命を落とすことがないように、農水省と国土交通省とで十分な予算を獲得し、先ほどお話ししました樋門であったり水門の自動化、また排水機場の無人化などに向けて取組を進めていただきたいというふうに思っています。

 さらに、もう一つ、私の地元で起きた話です。

 昨年九月に宮崎に台風十四号が上陸した際に、土地改良区から委託を受けた樋門の操作人が通常開けている水門を閉めなかったということで、一級河川の大瀬川という川があるんですけれども、そこから用水路に水が流れ込みました。延岡市の三須町という集落でございます。約五十戸が浸水被害に遭いました。

 農業用水路を管理する土地改良区が二か所の水門を閉めなかったため、増水した大瀬川から用水路の方に水が流れ込みまして、地区内にあふれて五十二の家屋が水につかったということで、この件、土地改良区さんがミスを認めまして、謝罪をされました。その際、これは人災だというふうに、地元の住民と土地改良区の間で賠償問題にまで発展してしまっております。

 先ほどの排水機場の操作員の方も、今お話しした水門操作の操作員の方も、この地区や周辺の一般の七十代の男性の方が担っていらっしゃるんですね。操作人が不足して、高齢化により、これまでどおり対応できなくなっているというケースが僕は全国に増えているというふうに思います。

 この件に関して、政府の認識を伺いたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 委員から、佐賀県の痛ましい事故でございますとか、昨年九月の宮崎県に上陸した台風十四号の際の、延岡市土地改良区が管理します樋門の操作ミスによって住宅の床上、床下浸水の被害が発生した事案、私どもも承知しております。

 農業水利施設の操作を取り巻く現状としまして、委員御指摘のように、農村人口の減少、高齢化によりまして、施設の操作に係る人員の確保が大変困難になってきております。集中豪雨の頻発化、激甚化等に伴って、施設の操作、運転が高度化、複雑化していることも課題であることを十分認識しているところでございます。

 他方、委員から御指摘のございました、施設を操作する土地改良区の役員や操作員の高齢化、人員不足については、個別の事案については、私ども、断片的に承知はしておりますけれども、全土地改良区に関する具体の数値までは、現在のところ把握しておりません。

長友委員 個別の案件を把握するのは難しいとは思うんですけれども、私たちの命を守って、しかも六十五歳以上の方が六割いらっしゃるというデータがございます。恐らく、六十後半で、七十代の方々がメインになったりいたします。そういう方々が体を張って守っていただいているということが持続可能であるかどうかといったら、全くそうじゃないわけなんですね。

 大臣、これまでのやり取りをお聞きいただきまして、日頃より水防に取り組んでいただいている命の守り手が災害発生時に命の危機にさらされるようなことがあってはならないということは、もう皆さん、当たり前に考えていただいていると思うんですが、安心して後継者が引き受けられるように環境を整備するということが私は必須だと思っておりますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

笹川委員長 答弁は簡潔にお願いします。

野村国務大臣 先ほど農村振興局長からもお答えしましたように、現在、水門等の操作の自動化なり遠隔操作の整備なりというのは、今、進みつつありますが、これからも、ハード、ソフトの両面から環境整備に努めてまいりたい、かように思っているところでございます。

長友委員 整備のためには予算が必要になります。どうぞよろしくお願いいたします。

笹川委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、輸入小麦の政府売渡価格について質問します。

 今年四月期の価格について、本日、野村大臣が朝の会見で明らかにしたというふうにお伺いしました。

 資料をお配りしています。

 これは大臣の会見の前に作られた資料なんですけれども、高騰が続く輸入小麦の政府売渡価格を、政府は、昨年十月期に据え置きました。今度は、四月期では、据え置かなければならない、上昇する価格の上昇幅を抑制するとしています。これによって、大臣、売渡価格の四月期はプラスで五・八%ということですか、トン当たり七万六千七百五十円というふうに伺っていますけれども、そうなのでしょうか。

 そうなれば、十月期の価格を据え置くでもなく、引上げとなってしまいます。これでは高騰対策としては効果をなさないのではないでしょうか。いかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 輸入小麦の令和五年四月期の政府売渡価格につきましては、価格の予見可能性、小麦の国産化、それから米粉への切替え促進の方針に加えまして、総理から御指示のありました食料品価格上昇の影響からの激変緩和措置、これを総合的に判断した結果、ウクライナ侵略直後の急騰の影響を受けた期間を除く、直近六か月間の買い付け価格を反映した水準まで上昇幅を抑制することとし、本日、大臣から公表した次第でございます。

 これによりまして、一年間の買い付け価格で算定した場合には、トン当たり八万二千六十円、対前期比一三・一%となるところ、今回、加重平均で、一トン当たり七万六千七百五十円、プラス五・八%というふうになったところでございます。

田村(貴)委員 その説明は農水省の説明になるんですけれども、国民感覚からいったら、とにかく値上げが続いているわけですよ。小麦と小麦製品、飲食店などでの値上げが現在も続いている。この先どうなるのかという悲鳴が上がっているわけです。トン当たり四万円から五万円で推移してきた売渡価格が、今、七万二千五百三十円。更に上げて、七万六千七百五十円にする。四千二百二十円が引き上げられると。今でも国民は四苦八苦なのに、これがまた上がるとなると、更に物価の高騰を引き起こしてしまうのではないでしょうか。

 大臣、やはりここは大幅に引き下げることを求めたいと思いますが、いかがですか。

野村国務大臣 お答えを申し上げます。

 小麦の国産化や輸入小麦から米粉等への切替えに、やはり引下げが大きくなっていくと、支障が生じるおそれがある、こういうふうにも思いますし、また、一方では、消費者の負担を踏まえて総合的に判断した結果が、先ほど局長の方から申し上げましたような七万六千七百五十円ということでございまして、我々も、このことについては、大変、どっちにするのか、一三・一%か、あるいは五・八%かというのは、さんざん議論しました。

 ただ、総理の方からは、激変緩和をしなさいよ、こういうふうな御指示があったものですから、私どもは、激変緩和ということで、五・八%、七万六千七百五十円にしたわけでございまして、これからもどういったように小麦の相場が動いていくのか分かりませんが、いずれにしても、今回は、委員、完全に据え置けということでは、なかなかまた、財政的な問題もありますし、そしてなおかつ、いろいろなほかの食品との関連もあるものですから、このような結果にやらせていただきました。

田村(貴)委員 これはまた後の委員会でも議論したいと思います。

 鳥インフルエンザについて質問します。

 全国で猛威を振るって、殺処分数は過去最多、全国の飼養鶏の一割を超える一千六百万羽超となっています。卵が不足して、鶏卵価格にも影響を及ぼしています。なぜ、この感染を抑えられないのか。

 千葉県のある養鶏場の話です。

 昨年に発生しました。そして、一年かけて万全の対策をしたのでありますが、また発生しました。しかも、鶏舎はウィンドーレスです。なぜまたなのかと、この農家は大変落胆して、苦しんでおられます。

 大臣、鳥インフルエンザのウイルスは、あのハエも媒介しているのではないですか。

 国立感染症研究所の小林睦生名誉所員と沢辺京子昆虫医科学部前部長が、一昨年、日本環境衛生センターの隔月誌「生活と環境」誌上で、「鳥インフルエンザの予防対策の盲点」と題して緊急提言をしています。

 国立感染研は、二〇〇四年三月、京都府丹波町で発生した鳥インフルエンザの調査で、発生農場の周辺五百メートルから二キロまでの範囲六か所でハエ類の採集を行ったところ、養鶏場から六百メートルから七百メートル離れた複数の地点で採集されたオオクロバエの二〇%から三〇%でウイルス遺伝子が検出されたといいます。生きたウイルスも分離されました。また、二キロメートル離れた地点で採集したオオクロバエの一割からもウイルスが検出され、ハエによってウイルスが周辺に拡散された可能性が強く示唆されています。しかも、オオクロバエは、感染蔓延期の冬に活発に活動する上、鶏はこれを大変よく食べるという実験結果報告もされています。

 大臣に伺います。

 この国立感染研の研究、ハエが媒介する可能性があることを御存じでしょうか。

野村国務大臣 今、田村委員から御紹介をいただきました、日本環境衛生センターが発行する「生活と環境」の令和三年一月号に掲載された、国立感染症研究所の関係者お二人によるものということにつきましては、今朝方、事務方から聞いたところでございます。

 内容としては、先ほどもお話がありました、十六年の三月に京都府の鳥インフルエンザ発生農場の周辺で採取されたハエから鳥インフルエンザのウイルスが検出されたことを踏まえ、農場におけるハエ対策等が必要だという提言をなされていると聞いております。

田村(貴)委員 こんな大事な国立感染研の知見が大臣に入っていないということ自体がまた驚きなんですけれども。

 この研究では、発生農場での防疫措置で敷地や鶏ふんの集積場に大量の石灰を敷いているが、この処理はクロバエ類の分散を助長し、近隣の養鶏場にウイルスを運ぶことにつながる。石灰がウイルスを運ぶことにつながると。それを避けるために、殺処分開始前に殺虫剤を鶏ふんの集積場に処理し、ハエ類の防除を行うことが重要である。

 このように提言されているわけです。大変具体的で重要な指摘だと思います。

 しかし、鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針には採用されていません。

 農水省、なぜですか。国立感染研の提言、これは農水省にとって取るに足らないと判断しているんですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 家畜伝染病予防法に基づきます飼養衛生管理基準、こちらの方では、既に、鶏舎への病原体の侵入リスクの低減の観点から、ネズミ及びハエ等の害虫の駆除を行うために、殺鼠剤及び殺虫剤の散布、粘着シートの設置その他の必要な措置等を講ずるものというふうに規定をされているところでございます。

 こうした殺虫剤の散布等の対策につきましては、日々の衛生管理の中で農場において実施されているものと認識をしているところでございます。

 なお、鳥インフルエンザが発生した場合、その都度、疫学調査チームを農場に派遣し、野鳥、ネズミ、イタチ等の野生動物に加え、ハエ、ゴキブリ等の衛生害虫の分布、侵入及び接触機会の有無について調査することとなっておりますけれども、近年の発生事例ではほとんどの発生農場ではハエは見かけることがないとの報告を受けており、疫学調査結果の評価、分析の中でも、専門家からはハエを特に警戒するべきとの指摘はいただいておりません。

 実際にハエが鳥インフルエンザを媒介するのか、あるいは蔓延の原因となるかにつきましては、専門家による更なる科学的な検証を待つ必要があるというふうに考えておりますけれども、今後新たな知見が得られれば、現場に還元をいたしまして、発生予防及び蔓延防止に生かしてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 既に二〇〇四年から専門家が研究して、検証して、そして提言しているわけですよ。そのほかの知見もあるわけですよ。

 飼養衛生管理基準に入れているというけれども、疫学調査の調査項目には、分布、侵入、接触機会の有無と書かれているだけですよ。ハエが確認されてどうするかということは全く何も述べられていないんですよ。それでいいですかと聞いているんです。

 先ほど聞いたように、鶏ふんの集積場に石灰を敷いているけれども、これはクロバエ類の分散を助長する、こうした指摘について、じゃ、どうするのかと。答えていないじゃないですか。

 私は、こうした知見に長年向き合っていないというのは、予防対策の見直しをしたくないというのがうかがえます。農水省がハエの媒介を認めてしまったら、これまでの発生農場への防疫措置、敷地や鶏ふんの集積場での石灰散布を見直さなければならない、基本的に農家の責任とする現在の飼養衛生管理について根本から見直しをしなければならない、だからですか。だから知見を取り入れないということですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、疫学調査の際にも、こうしたような害虫の侵入があったかどうか等々確認をしている、調査を行っているところでございますが、なお、先ほど御紹介のありました緊急提言、令和三年一月号に掲載されたものということでございますが、その中でも、データとして紹介されておりますのは、平成十六年三月の京都府の事例についてのデータということでございますので、必ずしもその後いろいろな知見が積み重なっているという状況かどうかは、またやはり専門家の検証を経る必要があると考えております。

田村(貴)委員 専門家の検証が次々出ていると言っているじゃないですか。九州大学のグループが鹿児島の出水の発生現場でハエを採集して改めて調査しています。ハエがいるんですよ。採集しているんですよ。

 また、四月十五日に開催される日本衛生動物学会では、専門家が特別企画を組んで、鳥インフルエンザウイルスをハエが媒介することをテーマにした緊急提言を行うとしています。このことを承知していますか。研究者の中には、農水省の対応に業を煮やしておられる方がいるんじゃないですか。学会の緊急提言、衛生動物学会の提言、どんどん出てきますよ。これに耳を傾けるかどうか。大臣、どうですか。耳を傾けられますか。

 先ほど大臣は、午前中の質疑の中で、疫学的調査で得られた知見を生かしていくとおっしゃいましたよね。たくさん出ています。これからも出てきます。この知見には、専門家の意見ですから、ちゃんと耳を傾けて、対策に生かしていくべきだと思いますが、いかがですか。

野村国務大臣 このことにつきましては、先ほど局長の方からも答弁いたしましたけれども、専門家からハエを特に警戒すべきとの指摘はまだいただいておりませんが、今後新たな知見が得られれば、現場に還元して、発生予防、蔓延防止に是非生かしてまいりたい、このように思います。

田村(貴)委員 今出ている知見を吸収してくださいと言っているんですよ。何でそこまでこだわるのか。また議論したいと思います。

 最後に、鹿児島県の出水市では鳥インフルエンザの二次被害が出ています。高台の埋却地から消石灰、それから血液などが近くの川、ため池などに流出するということになっています。そして、周辺住民、クリーニング店など、地下水を利用している方々には大変大きな被害となっています。この事態の打開には大変な困難を伴います。だからこそ国の支援が必要となっています。

 農水省、この財政負担も含めて、対応について、どのようにされるかお聞かせください。

笹川委員長 答弁は簡潔にお願いします。

森政府参考人 失礼いたします。

 委員御指摘の鹿児島県で埋却地から漏出があったということにつきましては、承知をしているところでございます。鹿児島県が対策を講じているというふうに聞いております。

 農水省といたしましても、都道府県に対しまして技術的助言など必要な支援を実施しているところでございまして、引き続き、現場での蔓延防止が円滑に進むよう丁寧に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 対策の強化を求めて、質問を終わります。

笹川委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗でございます。

 前回、先週に引き続き、非常事態の食料安全保障についてお聞きしたいというふうに思います。

 前回、大臣に最後に質問したのは、いろいろ個別の品目、麦とか大豆とかについての自給率が、米はそこそこありますけれども、穀物について低いと。これに対して対策はどうかというときに、大臣からは、大豆とか麦については直接支払い交付金をやっているとか、水田活用交付金をやっているとか、さらには収入保険とかナラシ対策とか、そういうセーフティーネットの方も実施しているという話があって、大臣の言葉で言うと、その結果、結果的に自給率が上がればよい、そういう希望みたいな言葉があったんです。

 私が不思議に思うのは、二十年間食料自給率四五%というものを掲げながら、既存の対策をずっとやってきて、長期間にわたって結果として二十年間食料自給率というのは目標達成できない、できないどころか若干下がっているということで、これについてやはり総括していかないといけないんじゃないかと。このままでいい、もっと予算を増やすのか、あるいは違う対策をするのか、こういったことについてどうお考えになっているのかということと、もう一つは、この委員会でも、そもそも食料自給率というのは、そんなに目標として掲げるべきではないという意見もあると思います。

 これは、食料・農業・農村基本法に基づいて、五年ごとに基本計画というものが実施されているわけですね。ずっと二十年間、五年ごとに、食料自給率四五%というものを掲げて、全く達成できていない。それだったら、もうそういう目標設定はせずに、それは非常に紛らわしいので。だから、そういったことも併せて質問したいというふうに思いますけれども、農林水産省としてどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。

野中副大臣 基本計画における食料自給率の目標設定については、食料・農業・農村政策審議会において目標に到達するため必要な要因を検証した上で、品目ごとに、消費面と生産面、克服すべき課題を具体的に明記しております。

 例えばの例ですが、麦、大豆については、作付面積は増加しているものの、湿害、連作障害等により、単収が伸び悩んでいるとの検証を行った上で、克服すべき課題として、作付の団地化や排水対策の更なる強化等による生産性向上を明記しております。

 こうした品目ごとの課題に応じた取組を重ねる中、小麦のカロリーベースの自給率は、平成十年、九%だったものが、令和三年に一七%、大豆は一七%から二六%にそれぞれ上昇しているところであります。

 このように、目標を設定して、取り組むべき課題の検証、見直しを積み重ねていくことで、海外依存の高い品目の生産拡大などを着実に実施しまして、食料自給率の向上、食料安全保障の強化を図ってまいりたいと思います。

北神委員 一定の効果がある、そしていろいろ検証しながらやっておられるということなんです。

 ちょっと例が適当か分かりませんけれども、私も、たまたまこの政治の生活に入って、京都四区というところで二十年間やっているんですよ。目標は当選をすることだ。ところが、四回落選しているんですよ。やる気がだんだんなくなってくるんですよ、これは。だから、やはり食料自給率も、四五%をずっと掲げていて、いろいろ検証されているということなんですけれども、本当にこれが適切なのか。

 要するに、これは分母の方には国産の消費量、それも現在の国産の消費量ですから、非常事態でもないわけですよ、今。だから、輸入が途絶したときに同じような消費をすること自体が非現実的な想定なので、非常事態の食料安全保障を考えるんだったら、この食料自給率というのは、私は、直接そんなに関係ない、まあ関係ないというわけではないですけれども、指標としては余り適切ではないというふうに考えます。

 そういう意味では、大臣にちょっとお聞きしたいのは、大臣も、何となく、私の感覚としては、北神さん、余り食料自給率にこだわったらあかんでというような雰囲気が伝わってくるんですけれども、であるならば、私が申し上げているような非常事態、不測事態の安全保障についてどういう指標が大事なのか、やはり指標というか目標というのは極めて大事だというふうに思いますので、そこを答弁をお願いしたいというふうに思います。

野村国務大臣 私は決してそういうことは思っておりませんので、その誤解は解いていただきたいんです。

 なぜかといいますと、やはり自給率の目標を掲げて伸びてきた作目、これはもう委員も御承知のとおり、小麦でいきますと、平成十年度は九%だったものが令和三年度は一七%に伸びてきておりますし、さらに、大豆は一七%から二六%に伸びてきています。これは日本の食料の基幹を成す作目でありますから、日本食の本当に中心の作目だと私は思っておりますが、これがようやく伸びてきたという思いがしてなりません。

 ですから、こういう形で、ある程度の目標を掲げながら近づけていくというのは、これは本当に必要なことだと思います。

 ただ、委員がおっしゃりたいのは、四五%で、いつも三七、八%で止まっているじゃないか、このことなんだろうと思いますが、やはり米の消費が減ってくるものですから、パーセンテージとしては、大豆は伸びた、それから麦は伸びたということなんですけれども、最終的には、結果としては三七、八%の自給率になっている、そのことだけは御承知おきいただきたいと思います。

 ただ、今回、基本法の見直しをいたします。だから、その中で、どういったような目標数値を掲げていくのかというのは、いろいろな学者の先生やら、あるいは生産者、あるいはまた消費者の方も入っておられます部会でございますので、そういう方々の意見を十分に聞きながら、数値目標を掲げるならば掲げてやっていきたい、こんなふうに思います。

北神委員 法律の改正の中で、是非議論していただきたいと思います。

 私だけじゃないと思いますけれども、一部では食料自給力、食料自給率の分子の部分が大事だと。農地面積とか農業の労働者とか、そういう生産基盤とか。確かに、それは潜在力ですから、実際に輸入が途絶したときなんかを考えると、そういったときに、非常事態で、国民に供給する水準を表す指標としては非常に有効かなというふうに思っています。

 その分子の部分で、農地の面積なんですけれども、農地資源というのは極めてやはり、非常事態のときに生産転換をするときとか、農林水産省のマニュアルとかを見ていると、ゴルフ場とか小学校とか、そういったところも使うという、戦争中みたいな話も書いてありますけれども、できるだけそういう事態にならぬように、平時から農地というものを守っていかないといけないというふうに思います。

 農林水産省としては、多面的機能直接支払い制度なんかがありまして、それを頑張っておられるというふうに思いますし、皆さんとの意見交換の中で、それは一定の効果があるんだという話があります。

 しかし、特に中山間地域で、この多面的機能直接支払い交付金というものが実施されていないところもかなりあるというふうに思いますので、こういったところはどんどん原野化していっているわけですよ。やはり原野化して、マニュアルでは、そういう不測事態になったらまた農地を復元するんだという話がありますけれども、そんな簡単には、やはり数年間かかる話でありますので、その前に国民は食べることができなくなってしまう可能性も大いにあるというふうに思いますので、こういったところについてどういう政策を打っているのか、お聞きしたいと思います。

野中副大臣 多面的機能支払交付金のうちの農地維持支払でありますけれども、これが、適切に保全管理していくことの目的としての国の支援であります。

 それで、令和三年度ですが、全国の農振農用地の五六%、水田について六五%を対象に実施をしているところであります。

 さらに、先生おっしゃった、人口減少が深刻な中山間地域についてでありますが、本交付金の取組が困難な地域については、中山間地域等直接支払交付金による生産活動の下支え、粗放的利用を含めた、農地利用に必要な基盤整備等に取り組むための最適土地利用総合対策の推進等により、荒廃農地の発生防止、解消を図り、貴重な資源である農地の有効活用に努めてまいります。

北神委員 もう時間ですので終わりますけれども、また引き続き議論をしていきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

笹川委員長 次に、内閣提出、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣野村哲郎君。

    ―――――――――――――

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野村国務大臣 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法は、外国政府による漁業水域の設定に伴い、水産加工品の原材料の供給事情が著しく変化したことに対応するため、水産加工施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸付けを行うことを目的として、昭和五十二年に制定されたものであります。

 その後、水産加工品の原材料の供給事情及び水産加工品の貿易事情の著しい変化に対処するため、貸付けの内容について所要の見直しを行いつつ、水産加工業の体質強化に努めてきたところであります。

 本法は、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととされておりますが、昨今の水産資源の減少など、水産加工業をめぐる厳しい状況を踏まえると、引き続き、水産加工施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸付けを行う必要があります。

 このため、本法の有効期限を五年間延長し、令和十年三月三十一日までとすることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

 よろしくお願いいたします。

笹川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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