第6号 令和7年4月2日(水曜日)
令和七年四月二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 御法川信英君
理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君
理事 葉梨 康弘君 理事 神谷 裕君
理事 野間 健君 理事 渡辺 創君
理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君
大空 幸星君 栗原 渉君
小池 正昭君 武村 展英君
田野瀬太道君 根本 拓君
根本 幸典君 長谷川淳二君
平沼正二郎君 宮下 一郎君
森下 千里君 簗 和生君
山本 大地君 岡田 華子君
金子 恵美君 川原田英世君
小山 展弘君 近藤 和也君
西川 将人君 福田 淳太君
緑川 貴士君 柳沢 剛君
山田 勝彦君 空本 誠喜君
林 佑美君 許斐亮太郎君
村岡 敏英君 庄子 賢一君
角田 秀穂君 八幡 愛君
緒方林太郎君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
農林水産副大臣 笹川 博義君
農林水産大臣政務官 庄子 賢一君
農林水産大臣政務官 山本佐知子君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 古田 裕志君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 松尾 浩則君
政府参考人
(林野庁長官) 青山 豊久君
政府参考人
(水産庁長官) 森 健君
政府参考人
(水産庁次長) 藤田 仁司君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 松本 啓朗君
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委員の異動
四月二日
辞任 補欠選任
石川 香織君 川原田英世君
北神 圭朗君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
川原田英世君 石川 香織君
緒方林太郎君 北神 圭朗君
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四月二日
国産食料の増産、食料自給率向上、家族農業支援強化に関する請願(岡田華子君紹介)(第八二九号)
同(神谷裕君紹介)(第八四五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
漁業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)
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○御法川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省農産局長松尾浩則君、林野庁長官青山豊久君、水産庁長官森健君、水産庁次長藤田仁司君、文部科学省大臣官房審議官古田裕志君、環境省水・大気環境局長松本啓朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○御法川委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。
○鈴木(貴)委員 皆さん、改めまして、おはようございます。
早速質疑に入らせていただきたいと思いますが、今日は漁災法の改正案についての質疑ではありますが、やはりこの農水で聞かなくちゃいけないのは、大船渡の火災の件だと思っております。大船渡を始め、今、何だか今年は火災が非常に多いような気がいたしておりまして、続々とその被害の報が入ってくることに胸を痛めているところであります。
三月の十七日に滝波副大臣と山本佐知子政務官が、大船渡林野火災、早速視察に入っていただいたと伺っております。そして、その際には、林野火災でありますけれども、漁業被害も出ているということで、その現場も視察をされたと伺っております。
是非とも、実際に現場を見られて、地元の皆さんの生の声を伺ってこられた、その率直な感想というものを、まずは山本政務官にお伺いをさせてください。
○山本大臣政務官 御質問ありがとうございます。
まず、鈴木貴子委員には自民党の水産部会長として、日本の水産業のために御尽力をいただいていることに敬意を表させていただきます。
林野火災対策本部長でもある滝波副大臣とともに、三月十七日、大船渡市また綾里漁港において、焼損した漁具倉庫や漁具等を視察をいたしました。
また、そのときに、漁業組合長様始め漁業関係者や、また大船渡市長の皆様からも、被害を受けた定置網漁、そしてワカメ養殖等の経営再建に向けて、きめ細やかな支援措置をお願いしたい、そういった御意見をいただきました。
この地は、東日本大震災で大変な被害を受けた地であります。そして、大きな御苦労をされてきた地でもあります。しかし、こんな中でも、今回の山火事でも、水産業をしっかり維持をしていきたいんだという皆様のお気持ちをいろいろなところから伺いました。
今回の視察によりまして、漁業の継続、再建をしっかり支えることができるように支援をしていくことが必要であるという思いを強くしたところであり、その旨は、副大臣とともに翌日大臣にも報告をさせていただきました。
○鈴木(貴)委員 ありがとうございます。
やはり火事ということで、目の前でどんどんどんどん火の手が迫ってくる中で、なかなか自分ではどうすることもできない、非常に苦しい、しんどい思いをされていらっしゃったことと思いますし、まさにこれからの時期、特にワカメなんかは、まさに時期ということもあって、なお一層、焦燥感というものは計り知れないのではないのかなと拝察をするところであります。
そこで、大臣に是非とも一問、お伺いをさせていただきたいと思っております。
今の山本政務官の御報告を伺いましても、間違いなく支援が必要であるということは紛れもない事実だと思っております。あわせて、既存の枠組みもそうですけれども、実態に応じて更なるいわゆる上乗せ、必要な支援というものをやはり講じていくということが現場の皆さんからも求められていると思いますが、大臣の見解、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 大変なことになっておりまして、この被災の報告を受けたときに、特に定置網については、海の中に入っている段階で被災を受ければ共済の対象になりますので共済金がしっかり出るということでありますが、特に漁期でもなく、メンテナンスのために浜に揚げていたと。浜に揚げていた状態でいわば焼失したということであれば共済の対象外ということで、それはないだろう、そこを何とか拡大解釈して、うまく共済で面倒を見られないのかということで検討しましたが、やはり契約ですから、共済はやはり無理という結論になりました。
そして、一度答弁したような記憶はありますが、官房長官とそれから財務大臣と三人で協議をいたしました。やはり、二回目の被災でもあり、何とかもう一度立ち上がっていただくためには漁具がなければどうにもなりませんので、ですから今回は、水産成長産業化沿岸地域創出事業、これはリース事業ですけれども、これの対象にすることにいたします。
ただ、この対象にいたしましても、リース事業ですから補助率は二分の一ということでありますので、網一本、四億円から五億円ということであれば、現場の負担が二億円以上あるということでありますので、そこをもうちょっと何とかできないかということで、今検討中です。
しかし、これに上乗せしたというのは過去にありませんので。しかし、二重被災というところに着目をして、過去に被災を受けた方は不公平感があるんじゃないかという意見が出るかもしれませんが、それでも、やはりこの地域の惨状に目を向けて、何とかリース事業にもう一歩踏み込めないか、今鋭意検討中であります。
私自身も、国会会期中でありますので、国会の御了解をいただき次第、なるべく早期に現場に行って、それまでに支援の内容がまとめられたら更にいいなというところで、努力中であります。
○鈴木(貴)委員 ありがとうございます。
今の大臣のお話を伺っていても、しっかりと現場に行っていただいた副大臣、政務官と大臣と、また役所全体、情報共有をしっかり連携を取っていただいているんだなということは、今の御答弁でも、現場の皆さん、大船渡の皆さんも感じていただくことができたのではないのかなと思っております。
現在検討中ということでありますが、いつも英断に英断を重ねていただいている大臣でありますから、その部分は私もしっかりと期待をさせていただきたいと思います。あわせて、国会が許せばということではありましたけれども、やはり大臣が実際に入っていただいて激励をしていただく、これは大きな希望になると思いますので、是非とも近いうちの大船渡の視察が実現ができますことを私からもしっかりと応援をさせていただきたい、このように思っております。
それでは、法案質疑に入らせていただきたいと思います。
漁災法の改正ということ、まず漁災法そのものでありますけれども、様々に気候変動がある、状況変化がある中でも、いわゆる再生産の確保、ひいては漁業経営の安定を図ることが目的とされていると思っております。この法律ですけれども、まさに我が国の漁業をめぐる様々な情勢、状況が変化をしてきた、これに対しての改善、善処をしていって、まさに今の時代に見合った、現状に見合った共済の在り方というものが今回法律案で示されていることと思います。
何点かありますけれども、例えば副業的な漁業が対象になる特約のところについて、まず一問、伺わせていただきます。
これまで共済対象外だった一部の副業的な漁業を、例えばウニであるとかナマコであるとか、あと、タコとかもそうだったと思いますが、主たる漁業種類とまとめて共済でカバーできる特約が追加をされました。これには生産金額の二分の一以下の生産金額という要件が課せられています。
ただ、私の地元もそうですし、多分、今日いらっしゃる委員の先生の地元も全てそうだと思うんですけれども、主たる漁業の不漁というのが続いていることも、これまた多く散見をされている。そうなってきますと、主たる漁業の生産金額が下がれば、共済でカバーされる、いわゆる副業的な漁業として認められる生産金額もおのずと下がっていくということになります。
そもそも共済制度が、冒頭申し上げましたけれども、経営安定というものを目的としているのであれば、この副業的漁業の生産金額に関する要件の緩和、いわゆる弾力的措置というんでしょうか、柔軟な対応というものも必要と考えますが、水産庁、いかがでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
御指摘のウニなどの採貝採藻漁業につきましては、保険母数の確保などの観点から、これまで漁業共済の対象とはできなかったものでございますが、今回の法律改正におきましては、こうした漁業種類についても、副業的に営まれる場合には、共済対象の主たる漁業種類の生産金額にまとめて算入できる特約を追加するということを提出させていただいております。
この副業的に営まれている場合というのは、共済対象の主たる漁業種類の生産金額の二分の一までの場合を想定をしているところでございます。
今回の特約の共済金支払いラインであります共済限度額の算定に当たりましても、過去五年間の生産金額のうち、最大、最小を除いた中庸三か年の平均値、いわゆる五中三という方向でございます。このため、直ちに不漁がこの共済限度額に影響を及ぼすというものではないんですが、御指摘のとおり、共済対象の主たる漁業種類の不漁の継続というのも想定されるわけでございます。
このため、具体的な運用については、現場の漁業実態にも鑑みまして、漁業共済団体とも連携して、しっかり検討してまいりたいというふうに考えております。
○鈴木(貴)委員 しっかりと現場の実態に合わせて、意見交換をしっかりとしていただきながら、実態に即した中身にしていただきたいと思っております。
続きまして、今度は陸上養殖についても聞かせてください。
陸上養殖なんですけれども、水産庁の中でももちろん、そして政府としても成長産業の一つとして今力を入れていただいております。また、農林水産物の日本からの輸出の拡大というところも全体で力を入れているわけでありますが、もちろん水産物も同じだと思っています。
あわせて、養殖のメリットの一つとしては、日本がまだまだ取り組まなくてはいけない、しかしながら実態としてまだ課題が多いと言われているトレーサビリティー対応のことを考えても、養殖というのは日本の水産における大きな可能性だと私は思っております。
そこで、サーモンを含むサケであるとかマスであるとか、こういったものを養殖共済の対象とすること、これも是非とも考えていくべきだと思いますが、水産庁の考えはいかがでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
漁業共済は保険の仕組みを取っているということでございまして、十分な保険母数があること、漁協の協力体制が確保されていること等によって客観的な損害査定ができるといったような、保険として成り立つための要件を満たすことが必要となっております。
陸上養殖のうち、こうした要件を満たしたウナギ養殖業については、現在、共済対象に追加をされているという状況です。
その他の陸上養殖業につきましても、御指摘のサーモンなどを含めて、こうした要件が整えば、順次対象化に向けて検討を行うこととしております。
私どもとしても、陸上養殖はこれからの可能性があるというふうに考えております。様々なこうした陸上養殖も含め漁業、養殖業が、保険として成り立つための要件を満たしていくよう期待をしているという状況でございます。
○鈴木(貴)委員 ありがとうございます。
まさにこれは、生産性の確保、そして経営安定です。今、水産を取り巻く状況がこれだけ厳しいという中において、経営の安定というものは雇用の維持にもつながっていくわけですし、ひいては日本を支える地方都市を維持していくことにももちろんつながっていく。
そこで、今回、加入率の観点から質問を一点させていただきたいと思います。
経営体ベースの加入率は四四%、これは二〇二三年の漁業センサスを見させていただきました。一方で、水産庁がよく出してくる生産金額ベースの加入率だと七八%なんですね。つまり、どういうことかというと、生産金額ベースの加入率が経営体ベースの加入率よりも大きいということは、規模の大きい経営体の加入割合が多くて、いわゆる小規模経営体の加入が少ないということが、ここの数字から読み取れるのではないのかなと思っています。
何度も申し上げますが、やはり経営の安定という意味では、経営基盤の小さいところ、こういったところにこそ漁業共済に入っていただく必要があると思います。今回のこの法案改正によって、加入率が例えば上がると考えていらっしゃるのか。若しくは、小規模をしっかりと守っていく、地域を支えてくださっているところを守っていくという意味での必要な制度設計について、最後、お伺いさせてください。
○森政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、生産金額ベースの七八%と経営体ベースの四四%の加入率を比較いたしますと、小規模な経営体の加入率が低いということを示唆しているということだと考えております。
これは漁業への経営依存度が高い経営体は多く加入していただいているということではあるのですけれども、漁業共済としては、経営基盤が弱い経営体も入っていただけるように、例えば小規模な経営体ほど掛金の補助率が高いというような工夫もしているところでございます。こうした工夫ですとか、あるいはこの共済に入りますと積立ぷらすにも加入できるといったような小規模経営体にとってのメリット、これをやはりより周知をしていく必要があるというふうに考えております。
あわせて、小規模な漁業でありましても経営感覚を持っていただくことも重要だと考えておりますので、経営安定のために掛金も負担をしていただいて漁業共済に加入していただけるよう、漁業共済団体とも連携をしまして、積極的に加入推進に取り組んでまいりたいと考えております。
○鈴木(貴)委員 まさに、いみじくも今長官がおっしゃったように、私は、これは守るということと併せて、生産者にとって、生産者の皆さんも経営者でありますよという自覚を促すという意味でもやはり重要だと思っています。様々に昨今厳しい状況が取り巻いておりますが、それを乗り越えていく力というものを様々な場面でしっかりと後押しをしてまいりたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、小池正昭君。
○小池委員 改めまして、皆さん、おはようございます。自民党の小池正昭でございます。
農林水産委員会、初めての質問に立たせていただきます。ありがとうございます。
まず、具体的な質問に入る前に、畜産関係の発言をお許しいただければと思います。
一昨日、私の地元の千葉県旭市で、千葉県で初めてとなる豚熱、CSFが発生を確認されました。養豚は私の地元千葉県の農業産出額の柱に位置づけられておりまして、実は養豚農家の約七割が今回の発生地域に集中をしております。最大限に警戒をしてきたわけでありますが、発生ということになりました。
千葉県では、今年一月から、大臣も御存じかと思いますが、鳥インフルエンザがずっと続きまして、これが実は同じ地域にもなっております。一月から始まって十六例、二月二十七日までで、約三百三十二万羽の殺処分が行われております。そして、今回の豚熱の発生で、一昨日より千葉県では、約五千六百八十頭の殺処分対応に当たることになりますが、日本国内のみならず世界での家畜伝染病の発生も念頭に、この対策の強化を求めておきたいと思います。
また、生産基盤を守るために、発生農場が早期に再生産可能な状態になるように最大限の支援をしていく必要があります。是非、国としても、千葉県との連携を密にしていただいて、御支援を賜りますようにお願いを申し上げます。
それでは、先ほどの我が党の水産部会長鈴木委員に引き続いて、今回、法案と漁業全般についての質問をさせていただきます。
全国的に見ますと、主要魚種において深刻な不漁となっている一方で、一部の魚種では資源量の増加が見られるなど、漁法や対象魚種を複合化した漁業への取組が増加傾向にあるというように認識をしております。漁業資源は変動が大きいために経営の不安定性が指摘されているわけでありますが、今後も漁業者の経営安定を強化するための支援策を充実させていくということ、これは必要があります。
また、養殖業についても、今後の成長産業に、先ほども鈴木委員からも御指摘ありましたが、しっかりと位置づけて、その支援策を講じていかなければなりません。
そこで、具体的にお伺いしますが、今回の法改正で、この複合的な漁業と養殖業において、安定的な漁業を確立するために、共済対象として漁業者の選択肢を増やすということであるというふうに理解をしていますが、この確認を一つさせていただきます。
また、この制度の改正について、漁業を営む方々に、正確かつ丁寧に情報が伝達され、いざ必要なときに利用できる制度であるということを周知していく必要がありますが、現場への周知について今後の対応をどのように考えているかについても、併せて伺います。
○森政府参考人 お答えいたします。
今般の漁業災害補償法の主な改正事項として、複数の共済対象の漁業種類をまとめて締結できる契約方式の創設、共済対象外の漁業種類をカバーできる特約の追加、網生けす単位での損害状況に応じた共済金の支払いを可能とする特約の追加を措置することとしておりますが、いずれも議員御指摘のとおり、既存の仕組みを残した上で、漁業者にとっての選択肢を増やすものということでございます。
今後、こうした仕組みであるというようなことを含め、漁業共済団体と連携協力をして現場への周知を図るとともに、加入の推進に努めてまいりたいと考えております。
○小池委員 ありがとうございました。
今後も必要に応じて、先ほど鈴木委員からの御指摘もありましたが、加入者の方々は様々ありますので、制度の見直し後も継続的な検討というものは必要だと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
それでは、以後、現状の漁業の問題など幾つか質問させていただきたいと思います。
まず、海洋環境の変化に関してなんですが、その調査分析の必要性は問われていると思います。海洋環境変化は、海に出る漁業者がいち早く実は感じるということになると思います。
先日、JF、全国漁業協同組合連合会を訪ねて、関係者の方と意見交換させていただきました。その中でも、海洋環境変化の調査について、全てを国の調査だけに委ねるのではなくて、漁業者と研究者がタッグを組んで、漁業者が自らモニタリングを行って、日本財団あるいは東京大学と連携して分析を行って、日本沿岸の海洋環境変化の実情を明らかにするということで、名称なんですが、海洋環境変化対応プロジェクトを進めていると伺っております。
これは、海洋環境や魚の動きを肌で感じておられる漁業者が自らデータを収集して分析するという初めての試みでありまして、今後、収集されるこのデータの活用と多角的な見地からの調査分析が進むことを期待をしています。
そして、国や研究機関が実施しています海洋環境変化の調査分析や水産資源評価に当たっても、今後は漁業者が持つデータとの連携を深めていくという必要があると思います。
この動きの激しい海洋環境の調査分析に関して、現状どのような取組を行い、また、今後どのように進められていくのか伺います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
現在、水産資源の評価を行っております水産研究・教育機構におきましては、その資源評価の精度向上を目的といたしまして、主に調査船調査ではカバーできない海域あるいは魚種を調査する手段といたしまして、漁業者から操業中に得られますデータの収集、活用を実施しているところでございます。
また、マサバ対馬暖流系群などの一部の魚種におきましては、これまで活用できていなかった漁船の魚群探知機のデータを活用するといった取組も進めているという状況にございます。
様々なデータを用いまして、海洋環境の急激な変化を的確に捉えていくということが極めて重要であるというふうに考えておりまして、資源評価におきまして、漁業者との連携による漁船情報の活用を積極的に進めていきたいと考えているところでございます。
○小池委員 ありがとうございます。
原因究明と実効性ある対策を実施するためには、海洋環境の調査、また分析、そして水産資源評価、引き続き努力をお願いしたいと思います。
次に、海業についてなんですが、全国の漁港や漁村には多種多様な新鮮な水産物が水揚げされております。自然環境や景観など、大きなポテンシャルが実は存在をしていると思います。
このポテンシャルを生かすべく海業の取組が広がっているところでありますが、私の地元、先ほども申し上げました旭市というところでありますが、この飯岡漁港でも、遊漁船業が盛んであることなどから、その立地を最大限に生かして、漁業者の所得向上と地域の発展を目指して、海業の検討が具体的に始まっております。
今後も、各地において積極的な取組を期待するところでありますが、各地方の特色ある資源を活用した取組との相乗効果によって漁村がにぎわい、更なる漁業所得の向上につながることが期待されるこの海業の振興を一層図るべきであると考えますが、農林水産省、水産庁のお考えについてお伺いをしたいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
漁村の地域資源を生かして地域の所得と雇用の創出を図るため、海業の全国展開を進めるということは大変重要だというふうに考えております。
農林水産省といたしましても、漁港漁場整備法を改正しまして、漁港で海業に取り組みやすくなるように漁港施設等活用事業というものも創設をいたしましたし、また、海業の取組に活用可能な支援策を取りまとめたパッケージも作成をしております。さらに、海業に関する政策ですとか優良事例等の情報を共有する全国協議会なども開催をしているという状況でございます。
さらに、全国展開を進めていくという観点から、海業の立ち上げに必要な実証調査等に対する事業といったものも新たに措置をしたところでございます。
こうしたような取組、支援を通じまして、海業の全国展開、横展開の方を進めてまいりたいと考えております。
○小池委員 ありがとうございました。
是非、海業の取組、国としての支援、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
我が国は、四方を海に囲まれ、全国に漁港が存在し、各地で多種多様な水産物が様々な漁法で漁獲され、豊かな食文化と漁村文化が発展してまいりました。また、全国の漁港で水揚げされた水産物が素早く新鮮な状態で発送される鮮魚流通システムは、世界にも類を見ない、日本の宝であると言えると思います。
この流通システムを最大限に生かして、輸出への取組も一層強化するということになっておりますが、コロナ禍後、インバウンドが急激に回復をしております。しかしながら、現状では、地方の漁村への波及というのはまだ十分ではないというふうに言えると思います。今後、更にインバウンドの増加が見込まれる中で、日本の漁村文化と地域固有の食文化、これを広く発信をして、実際に訪れて体験してもらう、こういったことで今後の水産物の輸出拡大にもつなげることが必要であると思います。
そこで、競争力ある日本産の水産物の更なる輸出拡大についての今後の展望をお伺いをいたします。
○森政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、我が国を訪れる外国人の増加は、日本の食、食文化の魅力を海外に発信していく好機であります。先ほど申し上げた海業の広がりと併せて、水産物の輸出拡大につなげていくということが重要と認識しておるところでございます。
今後の更なる輸出拡大に向けましては、海外需要の拡大と国内供給力向上の取組を両輪として展開していくことが重要だというふうに考えております。
農林水産省といたしましては、ブリなどの輸出重点品目を中心に、例えば、日本食レストランだけではなくて、現地のスーパーなどのニーズへの対応ですとか、昨年新たに認定されましたフラッグシップ輸出産地を中心とした輸出産地の育成、HACCP対応施設の整備などの支援などを進めてまいりたいと考えております。
○小池委員 ありがとうございました。
漁業は、地方を支え、また日本の食文化を発展をさせてきた重要な産業であるということは言うまでもありません。漁獲量の減少は、水産加工や流通、また小売を含めて、地域社会全体の衰退にもつながりかねないと思います。海洋環境が激変する中での漁業、これを今まさに守っていく国の姿勢が問われているというように思います。
そこで、今回の法改正のほか、どのような水産施策を講じていくのか、最後に江藤大臣にそのお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 まさに海は変わりました。私が生まれた門川町というところは、かつてはでっかい網元がいて、まあすごかったですよ、まさに漁業の町で。今は、非常に漁業者の数も減ってしまいまして、もう製氷工場も維持できないような状態まで追い込まれています。これは、海洋の変化によるものも大きいですけれども、様々、流通の変化であったり、産業構造の変化もある。やはりそれに対応した政策が必要だと思います。
ですから、今回の法改正も、今までは、養殖なんかだと、養殖の網全体で被害を受けなければ共済対象になりませんでしたけれども、今度は、網一つ一つごとに被害を受ければ共済対象になるというような、やはりきめ細やかな対応がまず必要になってくると思っています。
そして、やはり資源管理、これが大事です。WCPFC、ようやくマグロの資源回復も、目に見えるようにできましたけれども、十年かかりました。十年間、やはり漁業者が我慢をして、こらえて、国際的にも協調した上で、今、資源回復が見込めているということでありますから、資源管理。
それから、やはり、いい船を持っている人は金を取っていますよ、宮崎でも。古い船で我慢してやっている人は、同じ漁場に行っても、量は少ない、そして燃料効率も悪い、収益性も悪いということがありますから、もうかる漁業を中心に補助率を上げていくとか、様々なことを考えていく必要があるんだろうというふうに思っております。
それから、何といっても人ですから。今、御存じだと思いますが、経営体育成総合支援事業があります。学校で学ぶ人には、最大二年間で三百万円の就業準備金。それから、独立を目指して漁業の現場で長期研修を行う場合は、指導してくれる漁業者の方に謝礼金として、謝金として最大三年間で八百四十六万円。こういう制度は世界にはないですよ。現場で、漁師のところで研修したら、八百四十六万円、謝金が出るという制度も用意しておりますから。
漁業者は、農業に比べて平均年齢は低いです、五十七歳ですから。農業は六十八歳ですから。しかし、やはり若い人たちが少しでも漁業の世界に夢を持ってもらえるように、様々な政策を不断に見直してまいりたいと考えております。
○小池委員 どうもありがとうございました。
時間が参りましたので、以上とさせていただきます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
○御法川委員長 次に、岡田華子君。
○岡田(華)委員 立憲民主党の岡田華子です。
今回、漁業災害補償法の改正に当たりまして、私の地元、日本海側の漁師さんにお話を聞いてまいりました。私自身は農家の孫でして、海のことが余り分かっていなかったので、今回は、いろいろ、最近の漁について、これからの漁についてというところで幅広く意見交換をさせていただいてきたところです。
地元では、スルメイカ、マサバ、マイワシ、マグロなどの漁が盛んなんですけれども、漁災法の話を聞かせてくださいという話をしても、そんなことより、とにかく今、経営が大変なんだ、そういうふうな切実な訴えを言われる方が多かったです。とにかく今は、燃料費の高騰、人件費の高騰、そしてそれに加えて、今までのようには安定して魚が捕れない、イカが捕れない、そういった状況になっている、漁に出れば赤字、そういう話を聞きます。
特にイカについては、ニュース等でも話題になっておりますけれども、非常に深刻な状況が続いております。かつて、一九六三年には約六十万トンだったところから、最近はもう約二万トンを切るところまで落ち込んできている。捕れなくなったために、私の地元でも、廃業する漁師さん、漁業者さんが複数出てきている状況でございます。
漁師さんたちも、漁獲量が落ちているのであるから、漁獲を制限して資源管理をしましょう、漁獲が不安定な期間は漁業共済でこらえて、何とかこらえて資源が回復するのを待ちましょう、それは分かっているんだ、分かっているんだけれども、こうも続くとちょっと話は違ってくるぞと。漁済も、漁業共済の方も、過去五年の平均で補填額が決まってくるというそういった制度的な制約もありますため、漁業共済ではもはや救済し切れなくなってきている、もう本当に苦しいんだというお話が数多く聞かれました。
先ほど来のお話にありましたとおり、海洋変化、海洋環境の変化も大きく影響している、そして乱獲の影響も大きく影響している、そんな状況にある中で、農水省、水産庁として、漁業者さんの生活を守るための資源管理についてどのようにお考えか、そして今どのような対応をしているか。漁業者さんが将来に見通しをつけられるように、是非御説明をお願いできればと思います。
○江藤国務大臣 大変難しい御質問をいただいたと思っております。
共済で全て救えるとは当然思っておりません。これはやはり保険制度であって、漁業者の方々がお互いに支え合うという制度でありますので。
本当に海の状態が変わってしまいました。宮崎でも、かつてはそんなに捕れなかった、例えばボラみたいな魚が山のように入って、最初はどうしようかということでしたが、からすみを取ったり、それから、国によってはボラを食べる国もあるという国を市場開拓をして、何とかそういうことで工夫をしながら漁業者の方々が頑張っておられるという現場もあります。そして、養殖のためのいわゆる餌となるような魚もなかなか捕れない。
ですから、こういうことになりますと、資源管理をしても、その資源自体が温度それから海流の変化によって変わってしまってはどうにもならないということでありますから、今回、我々としては、例えばサバですけれども、我々、マサバは公海では全く捕っておりません。捕っておりませんが、しかし、公海でサバをいっぱい捕られてしまいますと日本近海に寄ってきませんので、ですから、今回、NPFC、北太平洋漁業委員会におきましては、我々としては、五割、世界と協力して漁獲量を削減しようという提案をいたしました。やはり公海で捕りたいという国は多いので、結果的に三割というところで落ち着きましたけれども、苦しくてもやはり管理をしなければならないということはもう間違いない事実だろうと思っております。
やはり科学的な見地に基づいてこれはやるしかないので、漁場の管理、これは制限だけではなくて、藻場の回復であったり海底耕うんであったり、様々なやり方はありますが、ただ、先生の御地元のようなところはちょっとそれは当てはまりませんので、特に、イカが捕れないということになると、大間あたりは、イカが入ってこないとマグロも入ってこないというようなこともあって、イカが入ってこないイコールいわゆる大間の有名なマグロも釣れないというような複合的な被害も出ているということであって、少ないと言われている枠さえも消化し切れないというような御指摘もあります。
非常に頭の痛い問題であって、これが解決策だということを申し上げられないのは大変申し訳ないんですが、しかし、様々考えて、これから水産政策に当たっていきたいというふうに改めて思っております。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
本当に大臣がおっしゃるとおり、すぐにはこれだという解決策というのは難しいのはみんなが承知しているところだと思いますので、是非複合的な支援をお願いできればと思います。
私の地元でも、最近サワラが捕れるようになってきた、ただ、サワラをどういう商流で市場に出したらいいのか分からないというようなことがあって、そういった今まで捕れなかった魚をどういうふうな商流に乗せていくかというところ、そういった支援もできたらいいのかなというふうに思っておりますので、併せてお願いを申し上げたいと思います。
続きまして、今回の漁業災害補償法、漁災法の改正の背景にもあるように、単一魚種で漁をする場合には若干のリスクがある、これからは複合的な漁業に転換していってほしいというような、そういった推進をする流れがあると思っておるところです。単一魚種で漁をしていると、その年の漁獲量に生活が左右される、このボラティリティーをヘッジするためにも、複合的な漁業に転換していきましょうというところなんですけれども、実際に、じゃ、違う魚種に取り組んでみようという声を聞くことは余り多くないような気がしています。
この背景、理由、幾つかあると思うんですけれども、水産庁としてどのように分析をされているか、お知らせください。
○藤田政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、新しい魚種を対象にする、あるいは漁法を営むということになりますと、通常ですと、船を替えるとか改造するとか、そういったことで設備投資といったものが必要になってきます。一方で、新たな操業を行うということになりますと、その新しい操業で十分漁獲を上げることができるのか、あるいは採算がちゃんと合うのかといった面で不透明な部分がございまして、リスクが伴うということがございます。さらには、実際に操業しようとする漁場ですとか時期で、ほかの漁業者との関係で調整が必要になるといったようなことがございまして、様々なハードルがあるんだろうというふうに認識をしてございます。
こうした負担ですとかリスクを軽減いたしまして、漁業者の方が海洋環境の変化に対応できるように操業転換等に積極的にチャレンジできますように、農林水産省といたしましては、水産研究・教育機構と連携し、新たな操業の実証に取り組んでいるという状況にございます。
引き続き、様々な操業転換等の取組をしっかりと後押しする施策を講じ、状況の変化に強い漁業を育ててまいりたいと考えてございます。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
設備投資の負担、漁業調整がつかないというところなんですけれども、特にやはりその二つ目の点で、ほかの漁業者さんとの調整がつかない、今までイカを捕っていた人がサバを捕りたいといったときに、今までサバを捕っていた人たちの取り分を減らしてしまうから、今までのサバ漁師さんたちからしたら入ってきてほしくないわけですよね。そういったときに漁業調整という話になっていくんだと思うんですけれども、実際の漁師さんたちは、そんな調整つくわけないだろう、結局許可なんて下りないんじゃないかというふうに感じているのが現実なところなんだと思います。
その点について、決してそんなことはないのだよというような、今、具体的な新たな操業の実証に取り組んでいるというお話でしたので、具体的な例をお示しいただければと思います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
おっしゃるとおり、いきなり、制度をがらっと変えて、今までイカ釣りをしていた方にサバを捕れるようなことをするということになりますと、非常にその調整問題が難しい局面に至ります。
ですから、我々の方といたしましては、先ほど申し上げましたように、まず、何らかの形で公的機関なりが関与する形で実証というものを間に挟みまして、それで、こういう操業だったら余り問題ないんじゃないかというものを関係者の方にお示しをする形で、一つ一つ丁寧にその調整問題をひもといていきたいと考えております。
具体的には、現在、サンマ棒受け網漁業の方がアカイカを太平洋で兼業できないかということで、そういった取組をさせていただいておりますし、日本海の沖合底引き網漁業の方が夏場の禁漁期にドスイカというものを捕って利用できないかという取組にも着手をして、その操業の可能性というものを探っているという状況になっておりまして、こういったものをしっかりお示しをして、関係者の理解を得るように努めてまいりたいと考えてございます。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
是非、現実的に新しい設備投資、負担もありますので、それにチャレンジできるような環境をつくっていっていただければと思います。
続きまして、少し話題に出ましたマグロ、クロマグロの資源管理のところをお聞かせいただければと思います。
昨今、資源の回復傾向ということで、網にかかることも多いと言われております。今回、国際的な資源管理機関である中西部太平洋まぐろ類委員会、WCPFCで日本の漁獲枠の増枠がございました。それに伴って、二五年の配分は、細かい数字は割愛いたしますけれども、まき網船も沿岸漁民も増枠となっているところであります。これは大きくニュースで取り上げられているところですけれども、水産庁としては、沿岸漁民に配慮した漁獲枠ですよというふうにおっしゃられました。
ただ、やはり、これまでもそういう声があったかと思うんですけれども、大型漁を優遇しているんじゃないか、今回の増枠についても、やはり割合を見ていると大型漁の優遇というところは引き続きその傾向としては変わらないというふうな声を聞きました。
資源管理には、TAC、対象魚種での漁獲可能量を定める管理と、さらに、個別の漁船ごとに割り当てるIQ、インディビジュアルクオータがありますけれども、まず確認なんですけれども、個別漁獲割当て、IQは、クロマグロの大型漁、大中のまき網漁業に適用されているのかいないのか、そこを事実関係として教えてください。
○藤田政府参考人 お答えをいたします。
大中型まき網漁業ですけれども、令和四年度から、主要な時期、操業海域でございます五月から七月の日本海におきますクロマグロの大型魚の漁獲に対しましてIQというものを導入して管理を実施しているというところでございます。
一方で、太平洋側でもこの大中型まき網漁業は操業できるわけでございますが、こちらの方につきましては、年間を通じまして、マイワシ等を対象とした操業におきますクロマグロの混獲の問題がございまして、これをどういう形で解決するかということで、課題の整理をしているという状況になってございます。
水産庁といたしまして、適切な形でIQ管理が導入されるように、引き続き、まき網の関係者と議論を進めていくということにしてございます。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
日本海側では対象になっているとのことなんですけれども、太平洋では適用されていないのは混獲の問題があると。これというのは、素朴な疑問として、日本海側では起き得ない問題なんでしょうか。
○藤田政府参考人 お答えをいたします。
先ほど申し上げましたように、日本海では、クロマグロが捕れる時期というものが割と限られておりまして、主要な五月から七月に大きな群れができるものですから、それを狙って大中型まき網漁業が操業するという形になります。
一方で、太平洋側におきましては、イワシを操業するときに、イワシに混じってクロマグロが捕れるという状況がございまして、それをいかに個別割当ての中で管理していくかというところが、現在、漁業者の方との関係では、個別に割り当ててしまいますと、漁業者ごとになりますと非常に小さな割当てになってしまうものですから、それをうまく管理できるのかということで、その課題の整理をさせていただいているという状況でございます。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
なぜ太平洋の方ではやらないんだというような、こういった小さい点が沿岸漁業者さんにとっての不信感の種になっているような印象を受けております。丁寧な説明をいただければ、沿岸漁業者さんもある程度の納得というところもあるのかなというふうにも思いますし、やはり大型の方が優先されているのではないかなというような印象も受けますので、これから引き続き、丁寧な御説明をいただきながら調整を進めていっていただければと思います。
沿岸漁業の漁獲量を、マグロの漁獲量増量を求める声が多いのは多いんですけれども、その背景にあるのは、やはり後継者の問題が多いというふうに聞きました。あらゆる産業で後継者が不足していると言われておりますけれども、漁業も同様で、漁村の後継者が今いない。そういったときに、クロマグロの規制が厳しくなる前は、かつては、都会に出ていった息子たちがクロマグロの漁はもうかるからということで地元に戻ってくる例が複数あったんですけれども、規制が厳しくなって、もうマグロでは生活していけないということになって、都会に出ていってしまった、このままでは、沿岸漁業、廃れる一方だ、地方の漁村も廃れる一方だというふうな話を聞きます。
クロマグロの沿岸漁業の更なる増枠という観点、これは漁村の振興にも当たるんだよと。漁村の振興イコール、私は国の安全保障上の問題にも関わると思いますので、その観点からも、是非沿岸漁業へのクロマグロの増枠というのを御検討いただきたいんですけれども、この点について水産庁からの御意見を是非お伺いさせてください。
○藤田政府参考人 お答えをいたします。
今般のWCPFCの決定に基づきまして増枠をいたしましたけれども、その国内配分につきましては、関係者の御意見を伺いながら、漁業種類ごとの近年の漁獲実績をベースとするとしつつも、特に大型魚につきましては、一旦網に入ったマグロを丁寧に放流するなど、負担の大きい沿岸漁業の方に配慮をいたしまして配分をいたしました。
今後の資源管理の取組の結果といたしまして将来また増枠が決定した場合におきましては、やはり関係者の意見をしっかり丁寧に伺った上で、国内配分の在り方を検討していきたいと考えてございます。
○岡田(華)委員 是非御検討をよろしくお願いいたします。
最後、陸上養殖の点について、冒頭、鈴木委員の方からもありましたのですけれども、少しだけ現状をお聞かせいただければと思います。
陸上養殖、ウナギを除いて漁業共済の対象外ということなんですけれども、十分な保険の母数が確保できるかとか、査定ができるかとか、そういった要件が今のところそろっておらないために漁業共済の対象外とのことなんですけれども、現状の見込みで、足りないのは数量の方なのか、査定ができるかどうかといった、そういった要件のところはクリアできているのかどうか。漁業共済の対象になるまでの道のりというか、今どの辺で止まっているのかという現状についてお聞かせください。
○森政府参考人 お答えいたします。
漁業共済、先ほども御答弁申し上げましたが、保険の仕組みということで、十分な保険母数があるかといったようなこと、あるいは、客観的な損害査定ができるか、そのために、例えば漁協の協力体制が確保されているかなどといった要件を満たすことが必要でございますし、そのほか、例えば、陸上養殖の場合、種苗導入が年に複数回できるので年級区分をどうするのかとか、そういったような問題もあるかというふうに考えております。
いろいろ整理した上で、現在、要件を満たしたものはウナギ養殖業ということでございますが、今後も、こうした要件を順次整えていくことで、対象化に向けて検討できるというふうになっていくと考えております。
○岡田(華)委員 ありがとうございます。
陸上養殖はこれからの水産業の一つの可能性だと思いますので、是非、方向性、進めていっていただければと思います。
今日は委員長も体調が悪いようですが、お大事になさってください。
私の質問時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、川原田英世君。
○川原田委員 立憲民主党の川原田英世です。
農林水産委員会では初めて質問をさせていただきます。
私は魚屋の生まれでして、魚屋といっても、オホーツクの鮮魚を集めて全国の中央卸売市場に送る、業界的に言うと送り屋と言ったらいいんですかね、送りの仕事をしていました。また、母方は漁業の家系でして、捕る側と、また売る側と、両方を見て育った人であります。
それで、学校を出てから国会議員の秘書をやって政治の道に入り、また世界各国をバックパッカーとして歩いたりして、その後、十数年前に地元に戻って、自分自身も水産業を経営しておりましたので、毎日、朝は欠かさず競りに行って、自分で、競りの帽子をかぶって、競りに参加して買い付けをするということで、毎日浜の状況はつぶさに見てきたところであります。
年々、浜の状況というのは変化します。いい年もあれば駄目な年もある。周期がありますので、三年に一回この魚種はいいですよだとか、五年に一回この魚種は当たりですよとか、大体当たるんですよね、そのとおりで、駄目な年も大体事前に分かるわけですけれども、そういった周期から外れてきて、劇的な変化が起こってきたのはこの三年間だというふうに思っています。
毎年、春にはホタテの稚貝の船に乗って状況を見て、夏はマスの定置網、秋はサケの定置網と、船にも乗って見ているわけですけれども、ホタテの稚貝については、死滅しているだとか、生育環境が悪くなっていって、育ちが悪いという環境も出てきている。マスに至ってはもう壊滅ですね、壊滅的です。一日十トン捕れていた船が、去年なんて、乗ったら、一週間ぐらい定置網に毎朝乗ったんですけれども、一週間乗って三匹ぐらいしか捕れないわけです。一トン、二トンじゃないです。シーズンで三匹、四匹しか捕れないわけですね。これまで一日十トン捕れていた船がそういった状況。
ほかに捕れているといったら、もう商品にならないような痩せ細ったサバだとか、これまでなかった海藻類が網に付着して重たくなっていて、揚げるのも大変な状況になっているということで、ここまで深刻な海の変化がこの数年で起きているのかということを目の当たりにしています。これでは到底生活ができないというような状況でありまして、これは何とかせねばならぬというふうに思っているところです。
こういった状況も含めて、漁済というものの在り方、今回改正ということですから、中身について何点か確認をしながら、少し議論をさせていただければというふうに思っているところです。
まずは、漁済についての現状の確認から行いたいというふうに思っています。
今回の改正では、温暖化の影響も一つ背景として、漁業者にとってはセーフティーネットの選択肢が増えるということで、私は前向きに受け止めさせていただいているところです。
ただ、こうなると、もちろん、適用する漁業形態も選択肢が増えるということなので、ある程度支払いも件数が増えるということも想定されるのではないかなというふうに思っています。
ですので、この検討がされるということは、現状の共済の積立金にある程度の余力があるからこういったことができるようになるのかなというふうに思って見ていたんですけれども、現在の共済ではどの程度積立金というのがあるのか、そして、それがどのように運用されているのか、まずはこの点を確認させていただきたいというふうに思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
各漁業共済団体は、共済金の支払いが掛金収入を上回った場合の損失の填補に充てるために、毎事業年度、共済掛金等の事業収益と支払い共済金等の事業費用との差額の全部を、準備金、いわゆる積立金として積み立てているものでございます。その額は、令和五年度末で全国で約百六十五億円というふうになっております。
この準備金の運用については、法律で、損失の填補に充てる場合を除いてはこれを取り崩してはならないと規定されておりまして、また、安全確実な運用と、さらに填補に充てるための流動性の確保というものが必要でございますので、金融機関への預貯金、国債証券等の保有により適切に行われているということでございます。
○川原田委員 分かりました。
近年、ちょっと積立金を、不当にじゃないけれども、ちょっとミスがあったというか問題があったというニュースも見ましたので、あえて確認のためにこの点は質問させていただいたところです。状況は分かりました。
次は、内容について伺っていきたいと思いますが、一つは、浜の声として上がっているのは、漁済で助かっていますよという声もたくさんあるんです。だけれども、一方で、特に、近年、先ほど言ったような温暖化でこれまでにない影響を受けている漁業者の方からはこんな話が出てくるわけですね。
年に二十万の共済掛金を払っているんだそうです。話では、全損した場合、全部駄目になっちゃった場合でも二百万しか補償がないと言われているんだということです。これでは到底、職員の給料にもならないよねという話ですよね。さらには、掛け捨てだし。今までは、年によっていろいろ上下の差はあったけれども、余りこれは頼らないでやれたという方たちが今、今回、地球温暖化で大変な状況になっているということですね。そうなると、やはりこれは、漁業者の側からすると、十分なセーフティーネットになっていないんじゃないかという声が結構あるんですよね。
これはやはり現場の声として、浜の声として受け止めなくちゃいけないなというふうに思いながらも、そのほかにもやはり問題、課題はあるんじゃないかなと思って受け止めていました。こういった声をどのように認識をしているのか、まず確認したいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
漁業共済には、例えば減収の一〇%や二〇%までを補償するといった方式の商品ですとか、あるいは減収の一〇〇%まで補償する方式の商品というのがございまして、各漁業者が、事故が起きる可能性だとか、起きても自分は経営技術があるからそれほど大きな被害が起きないだろうというような判断だとか、あるいは、おっしゃられた掛金の額を勘案して選択をしているという状況でございます。委員御指摘の契約については、恐らく、さきに申し上げました減収の一部を補填する方式で契約されているということではないかというふうに思います。
御指摘のような現場の声が生じるのは、補償水準が高い商品などいろいろな商品があるんだということについて、なかなかまだ御理解、周知が十分でないというところがあるのかなというふうには考えているところでございます。このため、共済を更に活用いただくべく、共済団体とも連携をして、現場への周知を図りながら、加入推進というものに努めてまいりたいと考えております。
○川原田委員 周知の問題というのは確かに本当にあると思うんですね。
これまでは、さっき言われていたように、波が年々ありながらも、ある程度安定的な漁業ができていた、だから、漁済について漁業者の皆さんが考えるということは余りなかった方が多かったんじゃないかなと思っています。ところが、近年のこの大きな変化で、あら困っちゃったというときに見てみると、あれ、こんなんじゃ全然セーフティーネットにならないじゃないかということでの声だと思うんですね。
ですので、やはりしっかりとした周知がされるということが必要だというふうに思っています。これは、困ってからではやはり遅いというのが今回見ていてよく分かりました。改めて、早い段階でしっかりとした周知を各現場にできるような体制を、この改正も併せて行っていただきたいというふうに要望させていただきたいというふうに思います。
そして、次の質問をさせていただきたいと思いますが、先ほど、マスが全然捕れないよという話がありました。サケも捕れなくなってきているんです。しっかり養殖は皆さん行っています。養殖だけでも相当なコストがかかるわけです。でも、自分たちの浜に戻ってきてくれない。
聞くところによると、戻ってきてくれないんだけれども、じゃ、それがどうなっちゃっているのかというと、北海道の方に戻ってこないで、逆に北回りでほかの方に行って、北欧の方では北海道の放流した魚がたくさん捕れているというような状況があるんだそうです。だから、魚も進化しているんだと思いますね。暑さから逃げて、違う海路を通って違うところに行っちゃっているということなんだというふうに思っています。
となると、せっかく育てているのに捕れない、負担はいっぱい出るんだけれども所得にならない。だから、コストはかかるんだけれども所得にならないというのは、これは本当に漁業者にとっては苦しい、本当に苦しい状況に今あるというところです。
そこでのこの制度を、やはりこれからの次のステップのために使っていってほしいというふうに私は思うんですね。なので、地球温暖化による海洋の劇的な今の変化にある中での、漁業者自身のなりわいとしての漁業の継続と経営の安定化、これを図る、そういった共済制度にしていってほしいということで、国費をしっかりと入れて、この共済制度を支えていっていただきたいというふうに思っています。
特に、今のこの制度の中でいくと、これまでは、どこかの地域で単発的に問題が起きましたとか、何かの魚種で起きましたということで共済の支払いがあってだったんですけれども、これはもう全国的に温暖化で、しかも長期的に変化が起きてきているわけですから、相当、多分、これから支払いが増えていくような気がしています。すると、先ほどの積立金も底をつくときがもしかしたらいずれ来るのではないか、そして、そうなってしまうと今度は漁業者の掛金の負担が増えるんじゃないか、こんな心配もされるわけです。
ただ、今の海の変化というのは、やはり急激な、そして大きな変化ですよね。となると、底をついたから漁業者の負担を増やしますというんじゃなくて、私は、やはり国でしっかりと国費を入れて、この制度を維持していってもらいたい、漁業者の負担ができるだけ少ない中でこの制度を維持をしていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、その点についての所見を伺います。
○江藤国務大臣 委員の大変現場をよく知っているという姿を見て、大変感銘を受けました。私も浜の育ちなものですから、漁師の方々にぶん殴られて育ったような子供でありますので、非常に浜のにおいのする方に会えてよかったなと思います。
しかし、この共済制度は、まずは漁業者同士の方々がお互いに支え合うという仕組みをまずつくった上で、それを国が支えるという仕組みでありますから、このフレームはやはり変わらないというふうに思うんですよ。
ただ、言われるように、これから様々なことが起こってくるかもしれません。
現状について若干御説明させていただきますと、漁業災害補償法に基づく法定補助に加えまして、積立ぷらす加入者には上乗せの予算補助も行っております。その場合は、最低でも掛金全体の五割の補助、それから、更に沿岸漁業の方々は八割程度まで補助できるというふうになっておりますし、今委員が言われましたように、今後、不測の事態が起こって大変なことになった場合には、その掛金上昇分に応じて国庫の補助の増額がなされるという仕組みがもう既にビルトインされていますから、これがワークするのではないかと思います。
しかし、確かにとんでもない変化の度合いですので、やはりこの積立ぷらす、それからこの漁業共済制度が働かなくなったら多分浜は死活問題になりますので、しっかり状況の変化をウォッチしてきて対応してまいりたいと考えております。
○川原田委員 ありがとうございます。
時間も限りがありますので次の質問に行きたいと思いますが、今ありました積立ぷらすの関係でちょっと一点伺いたいと思います。
ホタテの稚貝の養殖が大きな被害を受けているというのは先ほどお話をさせていただいたとおりです。その漁業者の方から聞くと、積立ぷらすに入りたくても、五%の計画減産をしないと加入できないと言われたというような話で、それだと入りたくても入れませんよ、逆に量を増やしたいのに、補償に入りたかったら、漁済に入りたかったら量を減らせ、こんなのでは到底入りたくても入れません、これを何とかしてくださいという声が上がっています。
これを是非見直していただきたいというふうに思いますが、現状、どういった状況でしょうか。
○森政府参考人 お答えします。
農林水産省におきましては、養殖業の成長産業化に向けて、輸出も視野に入れて需要に応じた増産を進めていく方針ということでございます。
こうした観点から、これは今年度からなんですけれども、漁場ごとの養殖数量の上限を定める漁場改善計画、この中に適正養殖可能数量というのがございます。実は、これまで、平成二十年頃の養殖数量から原則五%削減としておりましたが、これを見直しまして、個々の漁場環境に見合った数量の設定を可能としたということでございます。
これに合わせて、養殖積立ぷらすにつきましても、漁場改善計画に沿って生産することを加入要件としておりますので、増産しつつ漁場改善に取り組む漁業者に対しては、今年度から積立ぷらすにも加入できるようになったということでございます。
○川原田委員 ありがとうございます。
今年度からは加入できるということで、かなり漁業者の皆さんとしてはこれからに希望が持てる答弁をいただいたんじゃないかなというふうに思っています。
やはり多くの雇用を地域では生み出しているわけです。でも、大きな変化が起きてきているという状況で、これから先の見通しは立たないという漁業者に対して、この共済が安心して使える制度でなくてはならないというふうに思いますので、今の答弁をいただいて、多分、今まで入れなかったけれども、これで安心して入れるねというふうに思ってくれる漁業者の方は大分多いんじゃないかなというふうに思いますので、これも併せてしっかりとした周知もお願いをしたいというふうに思います。
次の質問をさせていただきたいと思いますが、深刻な状況にある漁業ということは、各委員からもお話があったとおりです。今必要なのは、漁業者の皆さんが諦めないで次に向かって挑戦してもらいたいということだというふうに私は思っているわけです。
確かにもう深刻で、私が周りから聞いていると、もうこの町にはいられないという方が多いです。もう漁業をやっていることはできないと。今の形態で定置網をやっていても、網を直すのに年間一千万ぐらいコストがかかりますよ、でも、これしか捕れないんじゃ到底続けられません、であれば、今都会に行けば仕事はいろいろあるし、この町を離れようかなというふうに言う、私と同世代、三十代、四十代の漁業者の方が非常に多いです。となると、漁村の維持が危機的になる。
私の地域なんて見ると、北海道とかもそうですけれども、その漁村イコール、日本でいうと国境なんですよね。国境の維持、そういった視点が必要なんだと思っています。安全保障上を考えても、離島で漁業しかなりわいがないというようなところで、もう漁業できませんよとなると、その離島自体が人がいなくなって、自治が機能しなくなるというような問題もあるわけですよね。
ですから、今の漁業、大きな転換点にあるという視点から、しっかりと支えていっていただきたいと思います。
ですので、今回のこの改正もそうですけれども、やはり一つのセーフティーネットとしての共済の在り方と同時に、育てる漁業など、今の漁業からの転換を支援するということを併せてセットで周知と取組を進めていただきたいというふうに思うわけですね。
特に、例えば昆布だとかだと、天然物は温暖化でかなり死滅しました、影響を受けました。でも、養殖は影響は少なかったんですね。だから、養殖というのはやはりこれから先にまだまだ可能性があるということです。でも、そこには人手もかかるし、労力もかかるし、当然、初期投資のコストもかかりますよということで、なかなかやりたくてもやれない。特に、お年を取った漁師の方は、そんなことをやるぐらいならこれでやめるわということになってしまうということです。
ですので、そういったことが起きないように、特に、若い漁業者の皆さんには諦めて町を離れるというようなことがないように、きめ細かく、このセーフティーネットの周知とともに、次の漁業への転換支援、これをしっかりと促していただきたい。このことを要望したいと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
○江藤国務大臣 しっかり受け止めさせていただきたいと思います。
今回のこの法律の見直しにおきましても、様々、個別に入っていた共済を一つにまとめることができる。これによって掛金は下がります。下がるわけでありますから、漁業者の負担はこれによって一定程度は減らすことができます。
しかし、魚種の転換といっても、今日の質疑でも明らかになっているように、そう簡単ではない。新しいものに取り組めば、今までやっていた人もいますし、そして、新しいことをやったことがない、うまくできるかどうかもまだ分からないですよね。ですから、様々なことが必要であります。
さらに、若い方々がそこに残っていただくためにはある程度の収入がないと、いつも私が申し上げていることですが、やはり、一次産業に従事している方々が家族をしっかり養い、子供二人、三人、しっかり大学にも行かせて、役場で働いている同級生と生活を比較して、絶対自分は劣っていない、逆に言うと、それよりも俺の方がいい暮らしをしているんだというようなことに持っていかないと、なかなか一次産業の未来を開くことは難しいと思っています。
収入が全てではありませんが、しかし、そこにはやりがいもあるわけでありまして、この共済制度や、魚種の転換や、それから新規就業への支援や、様々な政策を駆使して、何とか浜の活力が失われないように、自分も努力してまいりたいと思います。
○川原田委員 ありがとうございます。
時間が来ましたので質問を終わりますけれども、漁業にはたくさん可能性があると思います。漁業者は多分、データは見たことないですけれども、出生率、高いんじゃないかなと思うんですよね、豊かな漁業者は。日本の未来につながる産業だと思いますので、大臣から前向きな答弁をいただきましたので、是非これからも進めていただければと思います。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、山田勝彦君。
○山田(勝)委員 立憲民主党、山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。
漁業共済保険の本題に入る前に、昨日、備蓄米が、ようやく都内など一部のスーパーで販売を開始したと報道がありました。私の地元長崎県のスーパーの経営者にヒアリングを行ったんですが、米卸業者から備蓄米の案内は一切なかった、こちらから問い合わせ、今後の米の価格について聞くと、極端に上がることはないが、下がることもない、そういう回答があったそうです。
米の産地である東北や大消費地の東京、大阪に比べ輸送費がかかる九州や沖縄、そういった地方には備蓄米が届かないのではないか、私は強い危機感を感じています。そうなれば、地方と都市部で米の価格差が生じてしまいます。
宮崎県出身の大臣に伺います。備蓄米、本当に全国各地に行き渡るのでしょうか。
○江藤国務大臣 私は長崎の情勢は存じ上げませんが、私の女房が宮崎県内の様々なスーパーに足を運んで、米の販売価格について報告してくれています。宮崎は、備蓄米が届く前の段階から若干安い価格で何とか流通しているということであって、フードマイレージをかけない、自分のところでできた米をその地域で消費する努力というものはやはり必要なんだろうと思います。
しかし、委員の指摘は結構正しくて、この備蓄米放出の時点から、特に近畿の方々から、特に米地域ではない京都とか滋賀とか、そこら辺の方々から、東北やそっちの方は米が大量に備蓄されているから運送費もかけずに運ぶことができるから適正な価格でできるかもしれませんが、それを九州まで運ぶと、特に三月、四月は転勤や新学期の季節で、トラック運送業の方々が特に多忙な季節、こういう季節でありますから、この分の価格が、コストがしっかり、がっつり乗せられてしまうと非常に困ったことになるなということは、私も最初の頃から懸念していたことであります。
ですから、売り先には、隔週ごとに、販売数量、金額といった状況を報告してくれということを申し上げていますが、売った以上は、それはその人たちのものでありますから、それをどのように価格帯を設定しろとか、そういう拘束力は持てませんけれども、しかし、国の財産である備蓄米を放出したというそもそもの考え方は、いかに商売とはいえ、私は理解してほしいと思うんですよ。国民全体になるべく行き渡るようにという趣旨で国は今回この決断に至ったわけでありますから、その趣旨をやはり商取引といえども理解していただいた上で、できる限り、沖縄のような離島のようなところも含めて備蓄米がしっかり行き渡るような努力は、農林水産省としてしっかりしたいと思っております。
○山田(勝)委員 大臣が備蓄米の放出を御決断いただいたことに対しては、本当にある意味において感謝もしております。ただ、その量が本当に足りるのか。地方にこのままでは届かないと私は思っております。
そして、この委員会で度々、こういった質問に対して大臣の答弁を聞いていて強い違和感を感じるのは、大臣は、消費者のために米の価格を下げたいから備蓄米を放出する、その一方で、生産者のために、米の価格が下がり過ぎないように、備蓄米の放出の仕方は慎重に、そして原則一年以内に買い戻すと言われています。これは消費者対策と生産者対策を同時に行っているという状況、この中途半端な状態では、まさに二兎を追う者は一兎も得ずという状況に陥るのではないかと思っています。
だからこそ私は大臣に提案させていただきたいんですけれども、やはり今、海外の米がスーパーに並んでいますよね。国民の皆さんは国産の米を食べたい、でも、備蓄米の量が、放出が、まだまだ在庫が残っている。これを思い切って放出すべきだと思うんです。そのためには、民主党政権、何度もここでも話していますが、農家の戸別所得補償制度、これには、一反当たり一万五千円の直接支払いだけではなくて、六十キロ一万三千七百円の最低価格補償がありました。つまり、仮に米価が急落しても、この価格の補償があるので、農家の皆さんは安心して米作りができる環境を実現していました。
なので、大臣に提案させてください。緊急の物価高対策として、生産者に対し既に導入実績のある米の最低価格補償を行った上で、備蓄米が全国各地に届く量を一気に放出すべきと考えております。もちろん、当時の一万三千七百円に比べ生産コストが上がっているので、最低価格補償の金額は大幅に引き上げないといけないと思っております。これこそ生産者対策と消費者対策を同時に行う唯一の政策だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 まあ、理屈としては分からないじゃありませんよ、理屈としては。
しかし、まず、備蓄米とは何ぞやという話を今更長々するつもりはありませんが、これを思い切り出すというのは、やはり今でも大いにちゅうちょがあります。
凶作である、連続した不作が起こった、そういったときに国民が食に困らないようにためているのが備蓄米でありますが、その政策の意義は今も変わりません。ですから、これを思い切り出す、二十一万トンでは不足だという御指摘でありましたが、私は、正直言って二十一万トンは出し過ぎじゃないかといって、びくびくしながら出しました。これを出すことによって、もし、各段階において滞留しているであろう米が、国が出すなら今のうちに売ってしまえということで一気に出たら、暴落してしまうんじゃないかというふうに思いました。
ですから、ああしていたらこうだったかもしれないというのは過去を振り返ると、いろいろ自分としても反省すべき点もありますし、思うところはありますが、しかし、この段階で備蓄米を一気に出すという選択を私は取るつもりは全くありません。二兎を追う者は一兎をも得ず、まさにそのとおりだと思います。農林水産省としては、本来の職務ではない、そういうミッションに挑まなければならないところに今回追い込まれました。
ただ、様々御意見はありますが、しかし、昨年、南海トラフの緊急地震情報が起こり、消費者の方々が米を買い求め、スーパーの米が消え、地震や台風が起こり、さらにマスコミの方々がスーパーに米がないところを報道して、そこに商機というか商売のいわゆるチャンスを見出した方々も新たにこのマーケットに参入してきたということが、私は今回のいわゆる流通の滞留だというふうに思っているんですよ。
ですから、今議員も言われましたように、一万三千七百円は、これは変動部分ですよね。変動の部分と、一万五千円、十アール当たりだったと思いますが、これで三千三百億。これを今例えば緊急的に導入したとして、これを一時しのぎのものとして一年限りにするのか、それとも恒久的なものとするのかということについては、かなり精密な、緻密な議論が必要です。これは緻密な議論が必要です。そして、その裏側には国民の皆様方の御理解が必要です。
ですから、委員から今言われて、御提案は御提案として、今回は熟議の国会ということを私は肝に銘じておりますので、決して聞き流すようなことはいたしませんが、しかし、この場でなるほどねということを申し上げられないということでございます。
○山田(勝)委員 ありがとうございます。
大臣におっしゃっていただきました。私があくまで提案したのは、緊急の物価高対策などで直接支払いの反当たり一万五千円までということは求めずに、今回は、生産者の方々が安心して米を作り続けられるように価格の補償をする、備蓄米が大量に出れば価格が下がるかもしれないので、そのリスクマネジメントをやる意味で最低価格補償の部分を導入したらどうかという話です。あくまで物価高対策です。
そして、恒久的に農家の皆さんに直接支払いの所得補償が必要だというのは、立憲民主党だけではなくて他の野党の皆さんもこの場でさんざん議論をさせていただいておりますので、そこは熟議の国会の中でしっかりと制度を一緒に考えていけるような、そういった方向で進めていきたいと思っているところです。私は、令和の米騒動を何とか早く収束しないといけないという思いで、これからも様々提案させていただきたいと思っております。
そして、三月三十日には、令和の百姓一揆、これは全国十四か所で開催され、私も東京会場に参加したんですが、全国で五千人を超える方々が、生産者、消費者、日本の食と農を守るためにデモ行進を行いました。この国民運動は、これからますます拡大していくことと確信しております。この民意に応えるような農政の転換、農家の所得補償の実現を強く求めて本題に入ります。
漁業共済についてなんですけれども、実は、民主党政権では農家の所得補償だけではなく漁業者の所得補償も実現しました。燃油対策と、この漁業共済より更にお得な収入保険である積立ぷらすです。漁業共済が掛け捨てに対し、積立ぷらすはあくまで積立金なので、収入が減少しない場合は払ったお金が返ってくるので損をしない。そして、この制度に入るには共済の加入が条件となっています。
資料一を御覧ください。なので、実はこの積立ぷらすが導入された平成二十三年に、漁業共済の加入率もこれまでの五五・七%から六六・一%と一気に増加し、その後も上がり続け、八年後には八〇%を超えるようになりました。こういった八〇%程度あたりから、実は、でも、加入率が上がらなくなったんですね。国費も投入されていて、漁業者の方々にとっては大変メリットの高い収入保険です。是非、一〇〇%加入を目指していただきたいと思っているところです。
そこで、私から、この制度の改善点、すばらしい、いい制度で喜ばれているとは思うんですが、改善点があると思っています。
地元の漁村で座談会をしたとき、地域全体で加入すれば高い補助が受けられる、しかし、個人で加入すればその補助が受けられないと漁師の方々から聞きました。この共済掛金補助の仕組み、大変複雑になっています。
資料二を御覧ください。義務全数加入、連合加入、任意加入と三つの区分があり、なぜこのように加入条件で国からの補助割合を変える必要があるのでしょうか。水産庁、お答えください。
○森政府参考人 お答えいたします。
漁業災害補償法に基づきます掛金補助の補助率につきましては、今申し上げた義務加入、連合加入の順番に補助率が高くなっているという状況でございます。これは、共済制度の健全かつ安定的な運営のためには幅広い保険母数でのリスクの分散が重要であるという考え方に基づいて、いわば優遇措置を措置しているということでございます。
○山田(勝)委員 今後、補助区分、要らないと思うんですよ。基本的に、小さな集落で頑張っている漁師さんたちほど、本来、国は支援していかないといけないのに、そういう漁師さんたちには補助の割合が低くなっているという状況です。なので、こういう不公平な制度を改めていく。
さらに、今八〇%程度入ってもらっている加入者を九〇%以上と目指していくためには、これも大臣に提案させていただきたいんですけれども、こういった現状の区分をなくして、みんなが高い補助割合で加入できるような、シンプルで、より公平な制度に改めていくべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございます。
先ほど来大臣からも御答弁ありましたけれども、この制度は、漁業者同士の相互の助け合いの仕組みを基本として、そこで国がしっかりと支援していくということでございます。いずれにいたしましても、幅広い保険母数でのリスク分散が必要になることから、幅広く、多くの漁業者の加入が重要ということであります。
いずれにいたしましても、制度のメリット等をしっかり周知し、御理解をいただいた上で加入をしていただくことが肝要かというふうに思いますので、現行の中での制度理解というのをやはり進めていく必要があるのじゃないかというふうに思います。
○山田(勝)委員 この制度、今言われた、母数が増えれば、共済の制度自体が安定していきます。私が言っているのは、この補助割合という複雑なものをなくせば、より加入者が増えるので、母数が増えることなんですよね。官僚の方とも議論して、どれくらいの予算がかかるのかというのはまだちょっと算出されなかったんですけれども、ただ、これを高い補助割合に全部そろえたところで、数億円規模で収まる可能性も十分あるということで、財源的にも決してハードルが高いわけじゃありませんので、多くの漁師の方々が参加しやすい制度を是非御検討いただきたいと思っております。
そして、次に、この共済、積立ぷらす、先ほど岡田委員からもありました、クロマグロ漁師さんたちは大変な漁獲規制を受けて、特例措置がありました。この特例措置によって減収を補填されたということで、多くの漁師さんたちが助けられています。しかし、残念ながら、この特例がこれからどんどん五年かけてなくなっていくということです。その理由は、資源回復しているとか、漁獲枠も上がっている、そういう回答でありました。
ただ、確かにクロマグロは増枠されているんですが、漁師の所得は増えていないのが現実です。
資料三を御覧ください。対馬のマグロ漁師である西川さんへインタビューした長崎新聞の記事です。
直接私も話を伺いました。
小型魚の国内増枠四千三百八十三トンに対し、長崎県への配分は八百八十トン程度であり、二千四百以上の船に割り当てた場合、これは全国では二万隻以上です、末端の漁師さんたちにはほとんどその割当てが届かない、年間で数回多く漁に出られるぐらい、これでは、十年間我慢してきたのにもかかわらず、まさにスズメの涙程度しか収入は上がらないと落胆されていました。
更なる大幅な増枠が必要です。クロマグロの資源回復、どのような状況なのでしょうか。また、国際会議で日本として今後も増枠を求め、交渉を続けるのでしょうか。
○藤田政府参考人 お答えをいたします。
クロマグロの資源につきましては、昨年のWCPFCにおきまして増枠が認められましたように、資源の回復傾向というものは科学的に明らかになっているという状況でございます。
現行の漁獲枠につきましては、国際的には二〇二六年に見直すということになってございます。一層の拡大の実現のためには、最大のクロマグロの漁獲国である我が国が適切に資源管理を実行いたしまして、資源を更に回復して、科学的に増枠が認められるという状況をつくり出すことが重要なのではないかと考えてございます。
このため、漁業関係者の皆様による資源管理の取組を後押ししつつ、国際社会におけます議論を積極的に主導してまいりたいと考えてございます。
○山田(勝)委員 是非、国際会議の中で、日本政府を代表し、水産庁の皆さん、頑張っていただきたいと思います。そして、その増枠した漁獲割当てをしっかりと沿岸漁師さんたちに配分していくべきだと強く訴えさせていただきます。
そもそも、二〇一五年、クロマグロの小型魚、漁獲規制が始まった配分当初に、私は配分の在り方に問題があったと思っております。
資料四に載せているんですが、これが実際の配分です。
本来、国際的な取決めで小型の沿岸漁師さんたちをより優遇するというふうになっているにもかかわらず、残念ながら、日本政府は二千トンずつ、ほぼ半分ということで、かなりまき網に有利な配分になっていました。
そして、ノルウェーの水産資源の管理について、審議会での議事録を資料五に載せていますが、ノルウェーでは、こういった大型の船に対しては五〇%の漁獲枠しか配分せず、逆に小型の船には一〇〇%の漁獲枠が配分されていました。
日本政府もこういった沿岸漁師さんたちをしっかりと優遇する政策が必要だということを訴えまして、まだまだ質問したかったんですが、時間が参りましたので終わります。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、空本誠喜君。
○空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。本日もよろしくお願いいたします。
本日、漁業共済に関する質問でございますが、令和五年、二〇二三年度の漁業共済の支払い実績は二百六十九億円、台風とかの被害もございますけれども、やはりこれは様々な不漁の問題が一番であろうと思います。今日は、不漁の問題について、どう対策していくか、それを含めて深い議論をさせていただければと思っております。
その前に、福島の原発事故から、水産物が不安であるという声が、風評被害がたくさんございました。ちょうど二〇一一年三月十一日、東日本の大震災が起きまして、それから原発事故が数日後に起きてしまったというところでございますけれども、その際に、実は私も官邸から呼ばれまして、官邸に入って、福山副長官と細野補佐官といろいろ対処、対策を行いました。
漁業共済の枠外でありますが、福島の今のお魚といいますか水産物、こういったものは実は安全なんだよ、安心なんだよということをまず皆さんに、皆さんは御理解いただいていると思いますが、国民の皆様そして海外の皆様に御理解いただき、そして販路開拓とかそういったものをますます広げていただきたいと思っております。
その意味で、実は、原発事故直後は、やはり少し海は汚れていました。特に、高レベル汚染水の垂れ流しというのがございまして。
ちょっと今日、配付資料にはしていないんですが、ちょうど私の顔が載っている新聞が、二〇一二年五月二十五日、東京新聞の朝刊の一面に「影武者たちの真実」という、三月十五日から緊急対策のチームを実は官邸の中につくりまして、トップ、ヘッドになっていただいたのは、当時原子力委員長であった近藤駿介東大名誉教授、そして内閣官房参与に就いていただきました、その当時は東京大学教授でありましたが、小佐古敏荘内閣官房参与、そして原子力委員でありました尾本委員、そういったメンバーと、さらには原子力安全・保安院、文科省、各省庁の方々を集めて緊急事態対応を約一か月間させていただきました、キリンとか海水注水とか。
その中で、ここに書いてあるのは、実は、一番怖かったのは、最悪シナリオという言葉は皆さん御存じと思いますけれども、福島原発の四号機、炉の中には燃料は入っていなくて、がらんどうであった。けれども、その横には燃料プールがあって、使用済燃料プールの中にはまだ温かい使用済燃料があって、その水がもし万が一、抜けてしまったらどうなるかということを三月の二十日頃、最悪シナリオを近藤駿介委員長なんかと作ろうというのが、三月の十五日、十六日からもう作ろうということで動き出しました。
四号機の原子炉は大丈夫だった、原子炉といいますか、使用済燃料プールは大丈夫であって、最悪シナリオに至っていなかったんですが、実は、四月の二日に、高レベル汚染水が海に垂れ流しの状況があった。そういうことがございまして、これを何とか垂れ流しを止めなければ海の汚染は広がってしまうであろうということで、実は、当時の細野補佐官と相談して、私たちの助言チームからの見解として、高レベル汚染水を止めるために、入れるタンクがない、ならば、海水依存、海水由来の低レベル汚染水、ほとんど海水なんですよね、そこを、入っているところがあって、それの低レベル汚染水を出せば、高レベル汚染水をそこにためていくことができるから何とかなる、海の汚染を拡大させなくて済むであろうと。
四月二日頃、そういう事態がありまして、実は、東京電力から泣きつきがあって、保安院は動かない、原子力安全・保安院はなかなか低レベル汚染水の放出をよしとしてくださらなかった。だから、その助言チームからの官邸への緊急提言という形で、低レベル汚染水を流させてください、そして、高レベル汚染水をその空いたところに入れさせてくださいということをやったんですね。
そのときに、ちょっと海外の大使館とかそういったところに連絡が不徹底だった。そこは反省しているところなんですが、それによって、本当に汚れた汚染水の拡散というのはある程度封じ込められたということでございます。
そして、実は、その汚染水の話について、私、これは理事会で諮っていただきまして許可いただいた「汚染水との闘い」というのを直後にもう書き始めて、魚の影響とかも含めて。私自身、原子力の専門家といいますか、原発を造っていた人間で、特に放射線、ガンマ線とか中性子線とか、そういったものを得意としておる人間でありまして、電力関係全部やっていまして。
あと、福島の子供たちの健康影響がどうかということで、「二〇ミリシーベルト」。あの問題も、あの当時は、緊急時だから二十は高過ぎるよね、五ミリにして、将来的には一ミリシーベルトに抑えなきゃいけない、年間の被曝ですが、抑えなきゃいけないということで提言し、何とか一か月後ぐらいには一ミリを目指すということで、抑えていただいた。
そういう中で、この「汚染水との闘い」の中に、水産物の話も書かせていただいています。
その当時、緊急の基準としては一キロ五百ベクレル、魚のすり身を作って、それを検出器にかけて測ったら、その当時は出たんですね、やはり。やはり出ました。
そして、このチームの中での一つの対策を取ろうということで、文科省の管轄の白鳳丸に、緊急モニタリングに出てくれと。海水、いろいろなところをポイントを測ってもらって、しっかり見てもらおう、それによって安全、安心ができるよと。ただし、やはり最初の頃は、ホットスポットではありませんけれども、濃い部分もございました。
けれども、今、令和七年三月二十七日の福島県が出されている情報としましては、数字的に言いますと、さっき確認したんですが、四十一種類の魚、魚介類、湖沼とかも含めて、海、川含めて、四十一種類、六十四点のサンプルを取って、それに対しては一切、緊急時、五百ベクレルだったんですが、今、一キロ当たり百ベクレル、その基準は出ていない、ほとんど検出されていないということでございます。
そういった意味で、出荷制限に向けた規制基準を厳しくしているということは、福島の海産物って本当に逆に安全なんだよ。
実は、米の全数検査とか、また、サンプリング検査というのも、小佐古内閣官房参与が、早くやらなきゃいけない、そういったのは富士電機さんがすぐできるから、そういうのを作らせようじゃないかというので動き出して、今、福島県のお米も安全です。全数検査をやっていますからね、サンプリングもやっていますから。
そういった意味で、実は、福島県のものが、放射性物質に関しては一番安全、検査しているから。そういうことを、まず議員の皆様にも多く知っていただきながら、さらに、そういうことをちゃんと広報していただければ、もっともっと農産物、水産物の福島県産のものがどんどん売れて、更に発展できるかなと思っております。
ここは質問では入れていませんが、大臣、ちょっと所見だけいただけたらうれしいです。お願いいたします。
○江藤国務大臣 様々、専門的な御見識から、御苦労されたことに敬意を表します。
そもそも、その基準値自体も、厳し過ぎるのではないかという指摘も最初の頃からありました。しかし、その厳し過ぎるという指摘もある一方の指摘を、しっかりと現場は受け止めて、全量検査からサンプリング検査までしっかりやって、五年前、私も大臣でしたので、そのときに、私が現場に行って申し上げたのは、いわゆるALPS処理水ですけれども、この海洋放出については、漁業者の方々の御理解をいただくまでは絶対に放出しませんということを断言させていただいたことを思い出しました。
ですから、今委員がおっしゃったように、私も、この間、福島に行って、とてもショックだったのは、茨城から福島に新たに農業生産法人として参入した農家の方がいらっしゃいました。若い青年でした。彼が言っていたのは、福島だからとは言われないけれども、何となく、何となくよけられている感じがすると。何となく、空気感としてですね。それはね、大臣、残っているんですよと言われました。
ですから、委員が言われるように、これだけ厳しい検査をほかのところはしていないわけですから。ほかのところが危険だと言っているんじゃないですよ、していないわけですから。もうこれだけの基準値を多分クリアできているのは世界中にもないということは胸を張って言えることでありますので、是非、日本中の国民の皆様方に、やはり食べて応援するということは基本的に私は間違いなくあると思います。是非、店頭に、野菜でも果物でも海産物でも並んでいたら、福島由来、周辺の方々の産物を選んでいただけるように、農林水産省としても広報活動をしていきたいと考えております。
○空本委員 是非よろしくお願いいたします。
それでは、入っていくんですが、もう一枚、今日、配ってはいないんですが、実は、平成二十二年に、食料・農業・農村基本計画、これは民主党政権で作り変えています。それは、実は二〇〇九年に受かった一期生組が大きく携わって、文案をほとんど書き換えた形です、今回新しいものができましたけれども。
その中で、「森は海の恋人」という言葉、これは気仙沼の漁師さんが本に書かれていらっしゃって、そういう言葉を入れようじゃないか、海の問題は実は森の問題なんだよということをその基本計画の中に入れさせていただいています。実は、それは私が無理やり入れました。
今回、不漁の問題を考えるに当たって、やはりいろいろなことを考えていかなきゃいけない。地球温暖化の問題もあろうが、例えば、逆に日本海とかは豊漁であったり、また、太平洋の方は、捕れるものが違ってきているけれども、かなり捕れているものがある。不漁のものもございます。さらには、瀬戸内海とか有明海とか三河湾とか、そういった内海においては不漁が続いている。
これは予算委員会でも大臣に質問させていただいたり、またいろいろ御意見をさせていただいたと思うんですけれども、そういった意味合い、全然地域地域で違っているということを踏まえ、短期的な不漁の問題と長期的な不漁の問題があろうと思います。そういったものについて、水産庁はどのように、まず把握されていらっしゃいますか。御説明をお願いします。
○森政府参考人 お答えいたします。
近年、海水温の上昇ですとか、あるいは海流の変化などの海洋環境変化に伴って各地で漁獲される水産物に変化が生じておりますし、また、漁業や地域の水産関連産業にも大きな影響を与えているというふうに認識をしているところでございます。
こうした水産資源の変化、分布の変化等については、御指摘の外海と同様に、内海ですとか内湾の方でも変動が見られているというところでございます。
○空本委員 地域によって違っていまして、瀬戸内海の場合の不漁問題は予算委員会でも指摘をさせていただいたんですが、配付資料がございますが、配付資料の中に、これは兵庫県を中心に瀬戸内海の漁協の皆さんが作られた資料の抜粋でございます。最近、海はほんまにきれいになった、しかしなあ、魚が余り捕れぬようになってきた。瀬戸内海の場合は海がきれいになり過ぎていると。
したがって、これは下の棒グラフを見ていただければと思うんですが、一九八二年には漁獲量が一番多かったんですが、だんだんだんだん。これはいろいろな法律がございまして、法制度である程度水質基準を高めてしまったということもありますが、それによって瀬戸内海ではノリの色づきが悪くなるとか、カキの養殖で身が太らないとか、また、魚が今、本当に瀬戸内海にいないというところでございます。
そういった意味では、やはり下水処理とかというのが厳し過ぎたんじゃないかな、それを緩和しなきゃいけないんじゃないかなというところもございますが、兵庫県などでは、この裏面を見ていただければ、栄養塩の供給イメージということで、下水処理の基準を少し緩めるとか、また、海底を耕うんするとか、いろいろな対策を取られていらっしゃいますけれども、まずは下水処理緩和、これをまず瀬戸内海全体として、県の許可が最終的にオーケーが出なければ駄目なんですけれども、水産庁として瀬戸内海全体をやはりもう一度豊漁の海に戻そうじゃないかという取組をしていくべきだと考えますが、水産庁はいかがでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
瀬戸内海におきましては、例えばサワラの資源回復ですとか、マダイ、カタクチイワシの資源は安定傾向にあるんですけれども、一方、イカナゴなどについては大変な不漁ということが生じているということで、その原因として、海水温の上昇に加えて栄養塩類の不足等が指摘されていると承知しております。
こうした中で、委員御指摘のとおり、兵庫、香川、山口県においては、下水処理施設から海域への栄養塩類の供給を増加させる取組を行っているというふうに承知をしているところでございます。一部の海域では、養殖ノリの色落ちが軽減されたと考える旨の報告があるというふうにも聞いているところでございます。
農林水産省といたしましても、栄養塩類と水産資源の関係についての調査研究、さらに、漁業者が行う海底耕うんですとか施肥の取組の支援など、今後も必要な取組を継続していきたいと考えております。
○空本委員 是非お願いしたいんですが、ちょうど地元広島県の漁協さんにいろいろ意見をお聞きしていまして、幾つか御意見をいただきました。
浜づくりとか底質改善、こういったものをしっかりしてもらえないか、海の底を耕してもらえないか。広島県の漁獲量は減少傾向にあり、水産資源の増大を図るためには、資源管理や種苗放流、藻場、干潟の造成に加え、海底耕うんなどの環境改善に取り組むことが必要ですと。海底耕うんにつながる底引き網の漁業者も不漁、高齢化などの影響で厳しくなっていく一方であるというような御意見もありました。
もう一つ、配付資料の裏面の下に、カキ殻で干潟を再生しようという取組を今行っています。広島大学の名誉教授の山本民次教授が率先されて、これはちょうど私の地元なんですけれども、カキの養殖が盛んですので、そのカキ殻を焼結といいますか熱を加えて、それを中和剤として浜に埋める。硫化水素とかが出てくるところを、そこを一緒に混ぜ込んで、カキ殻をばらばらにしながら埋め込んで浜を再生させるというような問題。
瀬戸内海等も、各地、東京湾なんかもそうですが、アサリというのが全然最近捕れなくなっている。そういった意味で、それが捕れるように今するためには、やはり、そういう浜づくりとか海底の耕うんとか、こういったものが一番重要と思いますが、まず、水産庁より、そういう対策を今どう取られているか。そして、環境省から、環境省も関連すると思いますので、その取組について御説明をお願いいたします。
○森政府参考人 お答えいたします。
瀬戸内海におけますアサリの漁獲量は減少傾向で推移しておりまして、特に近年の減少の要因としては、底質の変化などの生息環境の悪化というものが指摘をされています。
このため、水産研究・教育機構におきまして二枚貝類の生産環境に関する研究会というのが開催をされておりまして、アサリ漁業の現状についての情報交換、最新の研究成果の共有を行っているところでございますし、農林水産省におきましても、海底耕うんですとか堆積物の除去など、底質改善の取組等への支援を行っているところです。
御指摘のあった広島県では、漁業者によりまして、硬くなった干潟を耕うんする、あるいはヘドロなどの堆積物を除去するということ、さらに、食害生物の除去といった取組も行われているというふうに承知しております。
引き続き、瀬戸内海におけるアサリ資源の回復に向けて、必要な取組を継続してまいりたいと思います。
○松本政府参考人 では、環境省よりお答え申し上げます。
豊かな海の実現には、十分な底層溶存酸素量の確保、これが必要でございまして、海底の底質改善の取組は重要であると考えてございます。
環境省におきましては、平成二十八年に、水生生物の生息、再生産への影響をより直接的に評価できる指標といたしまして、底層溶存酸素量の環境基準を設定しました。地方自治体等においてこうしたモニタリングを実施するとともに、順次、水域類型の指定も進めてございます。
また、水産庁の御支援による海底耕うん等に加えまして、水質総量削減制度の基本方針を踏まえた底質改善対策といたしまして、例えば大阪湾においてはくぼ地の埋め戻しなどを行っていただく。関係自治体等において必要に応じた対策が取られていると認識をしてございます。
環境省としましては、引き続き、水産庁を始めとした関係省庁そして関係自治体等との連携に努めまして、適切な底質改善対策の実施を後押ししてまいりたい、このように考えております。
○空本委員 是非、水産庁と環境省が協力し合って海を再生させる、こういった事業も県が許可をされなければなかなかできない部分もありますので、県に対する指導といいますか、一緒に県と協力し合いながら、是非、環境省、水産庁、一緒に取組をお願いしたいと思います。
そして、広島県の場合は、一番のカキの産地でございまして、カキ殻の問題も大きいんですね。カキ殻、鳥インフルとかで今、鶏とかが少し減っていて、実はカキ殻を焼結、粉末にしてそれを餌に混ぜるとかしています。しかしながら、それが余ってくる。
カキ殻も、これも漁協の皆さんから、実際のところ最近処分がし切れていないというところもあって、それをどう対策するか、県も頑張っているんだけれどもなかなか対策が打てない。こういった問題に対して、やはり水産庁としてもまたしっかり取り組んでいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
養殖業から排出されますカキ殻の処理につきましては、いわゆる廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいて、事業者であります養殖業者自らの責任で適正に処理しなければならないということでございます。このため、養殖業者が自治体と協議をしながら保管場所の確保、廃棄物としての処理を検討していただくことが基本となりますが、併せて、新しい利活用の開拓といった対応も検討が必要であるというふうに考えております。
こうしたカキ殻の新たな利活用については、例えば、漁場の底質環境改善のための敷設や散布において、その効果が認められる場合には、水産基盤整備事業による支援も可能となっているというところでございます。
現在、広島県では、カキ殻を散布した実証調査により効果を検証しているというふうに承知しております。こうした取組についても支援を行っているところでございます。
○空本委員 やはりいろいろ取組はされていらっしゃるんですが、カキ殻は廃棄物になってしまうんですね。廃棄物になってしまうということは、処理業者に任せていかなきゃいけない。それを逆に使えるものに変えていくということを事業としてどんどん進めなきゃいけない。
この後、実は私、ラピダスの法案審議に、ちょっと後ほど質問に入るんですが、ラピダスにあれだけお金をかけているんだったらば、こっちも、カキ殻の問題とか、これもそんなにかからないんですよ。先ほど申し上げましたが、漁業共済の費用だって、一年間、二百六十九億ですよ。
そういった意味では、何か偏りがあり過ぎる。やはり食ですし、食に関わるものは、カキ殻というのは廃棄物と言っていいのかどうか。皆さんが食べたものですけれども、廃棄物というよりも、これは本当に使えるものだという形で新たな産業を育成するとかということをやるべきかと。特別会計の法案審議もありますけれども、それに財投の資金、投資勘定を使う。こういったところに逆に新たな産業をつくってもいいんじゃないかなと思います。
これは、農水省、しっかり、新しい産業育成ということで何か事業を立ち上げましょうよ。是非よろしくお願いします。大臣、いかがですか。ちょっと質問通告していないんですが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 余り知恵はありませんが、しかし、捨てるものをお金に変える努力、これはとっても私はすべきだと思っております。
よく分かっておりませんが、例えば、カニの殻なんかを砕いて、何に使うんだったか報道等で見ただけなのでちょっと覚えておりませんが、様々な、例えば海藻なんかも、一部堆肥に大変有効に利用できるというような研究結果も出ているようですから、今まで厄介者と言われていたものが、浜で、いわゆる処理のお金がかからない、更にはお金になるということであれば、それは国として応援するのには非常に意義のあることだと思いますので、是非研究をしてみたいと思います。
○空本委員 是非、お願いします。
そしてもう一つ、瀬戸内海の海流の問題。
これは農水省、水産庁さんにはもうお示ししているんですが、別の漁協さんから、ヒラメとかクルマエビとかガザミとか、そういったものの稚魚を放流しているんだけれども、最近不漁だよね、これは、太平洋を流れる暖流、黒潮がやはりちょっと曲がって迂回しているんじゃないかな、それによって、豊後水道から海水が入ってきて大阪湾を通ってまた和歌山の方から流れる、こういうルートがあるんじゃないか、それについて今流れが変わってきて、流入量が少ないんじゃないか、そういった研究を文科省の管轄である海洋研究開発機構で調査されていますよ、そういった知見を生かして、何らか対策を打つことができませんかねというのを漁協さんからいただいたんです。
文科省さん、今のそういう研究動向を御説明いただきまして、また、水産庁さんからも御見解をお願いいたします。
○古田政府参考人 お答えいたします。
国立研究開発法人海洋研究開発機構は、日本沿岸域を含む世界の海洋で船舶や漂流フロートなどを用いた観測、大規模計算機システムを活用した海流のシミュレーション研究などを行っています。
黒潮の流路の変化とその予測に関しても研究を行ってきており、観測データやシミュレーションによる分析からは、二〇一七年以来、黒潮が大きく蛇行し、四国沿岸から離れ、それによって瀬戸内海に流入する海水量が減少していることが分かっています。
文部科学省としては、引き続き、黒潮の流路変動を含む地球環境の状況把握と、観測データなどによる地球環境の将来予測などに取り組んでまいります。
○森政府参考人 お答えいたします。
黒潮の大蛇行によりまして瀬戸内海への海水流量の減少が生じているという御指摘でございますけれども、これが生態系や水産資源にどういう影響を与えるのかにつきましては、現状ではまだ定まった見解はないというふうに認識しているところでございます。
一般的に、黒潮は高水温で貧栄養だということで、これが流入すること、あるいは流入しないことが瀬戸内海の生産性にどういう影響をもたらすかということについては議論があるところだと思っております。他方、水産庁といたしましても、こうした環境変化による水産資源への影響を把握できるよう、資源調査を引き続き行うとともに、先ほど御紹介のありました国立研究開発法人の研究成果なども踏まえて、様々な検証を行ってまいりたいと考えております。
○空本委員 こういう研究もあるというのは、一応、漁業者の皆さんすごく勉強されていらっしゃるので、是非一緒にまた研究していただければと思います。
そして最後に、昨今山火事が増えています。先ほど森は海の恋人と言いました。また鳥獣被害対策としても、熊が出てきて、それを撃たなきゃいけない。鳥獣保護法の改正も来週ぐらいが審議かな、そこでも私、質疑に立たせていただきますが、山の問題、ドングリが取れなくなっている、だから、しようがなく熊が出てくるという問題。そして実は、山の火災、今回の今治、岡山、また岩手の問題もありますけれども、針葉樹が燃えやすい。手入れができていないところが燃えやすい。逆に、ドングリは広葉樹です。落葉ですが、広葉樹であって、常葉の広葉樹が多ければ、逆に燃え広がりの速度も遅い。
そういった問題を含めて、熊の問題もドングリの不作の問題も山火事の問題も、これは全て海の問題と全部つながっているというふうに感じていまして、全てを、もう一度山を手入れすること、それによって火災を出さない、熊が山奥にいてくれる、さらには、それによって栄養塩が川から流れて豊漁になる、すごくいい循環ができると思います。
森林の整備と、また漁場の整備、これを一緒にやっていただいたらいいと思うんですが、いかがでしょうか。大臣、最後、御見解をお願いいたします。
○江藤国務大臣 まさに私の地元でもよく言われるのは、しっかり栄養分の多い水が山から流れてくれば、それは非常に豊漁になる。そして、藻場が育ち漁場が育つ。ですから、山と海は不可分の関係、まさに恋人同士だろうというふうに思います。
ですから、山でドングリが取れないことによって人的な被害が出ることも含めて、人間と動物の共生、そして、自然からいただく我々の海への恵みというものもしっかり考えながら、海も山も、そしてその沿岸も、総合的に物事は考えていく必要があるんだなというふうに感じております。
○空本委員 是非お願いいたします。
ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、許斐亮太郎君。
○許斐委員 国民民主党・無所属クラブの許斐亮太郎です。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
まずは冒頭、先日発災いたしました岩手県大船渡市での大規模森林火災について、お亡くなりになられた方、御遺族様に衷心よりお悔やみ申し上げますとともに、岡山や愛媛での山林火災によって被害に遭われた方へ心からお見舞いを申し上げます。
そこで、まずは、漁業共済の前に、森林保険についてお伺いしたいと思います。今回、大船渡森林火災地域の森林保険の加入率と、全国の加入率を教えてください。お願いします。
○青山政府参考人 お答えいたします。
今回の大船渡市の林野火災によりまして焼損した二千九百ヘクタールの民有林につきまして、森林保険の加入対象となる人工林における保険加入率は九・四%でございました。また、全国の森林保険加入率につきましては、令和五年度末時点におきまして六・七%となっております。
○許斐委員 ありがとうございます。
一割という状況、率直な感想としては、加入率、非常に低いと思います。このように、森林保険に入っていない方もたくさんいますが、今後、どのように災害復旧を図っていくのか、国としてのお考えをお聞かせください。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございました。
私からも、大船渡の森林火災、被害に遭われた方々、それぞれの方にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
今委員御指摘がございましたが、三月二十八日の日に激甚災害を指定をされたところでありますので、森林保険に加入していない森林も含めて、森林災害復旧事業により、自治体の財政負担を軽減しながらの森林復旧が可能ということになります。
引き続き、被災自治体と緊密に連携しながら、被害木の伐採や搬出、跡地への造林、その後の育林も含めて息の長い支援を行い、火災前の豊かな森林の回復に努めてまいりたいというふうに思っております。
○許斐委員 ありがとうございます。
政府におかれましては、この窮状にしっかりと目を向けて、寄り添って、一日も早い復旧復興に向けて全力で取り組まれるように、心よりお願い申し上げます。
それでは、漁業共済関連法案についてお伺いします。
まずは、漁業共済の、これも加入率について。今日、話にも出ていますが、共済の目的は、加入者が互いに助け合って様々な支援を行うものなので、当然ながら、加入率の向上が不可欠です。
そこで質問です。
資料一を御覧ください。水産庁の公表データでは、漁業共済の加入率がだんだん上がっていって、令和三年度の加入率八八・三%がピークになっています。しかし、令和三年度の加入率八八・三%から、令和五年度の加入率が七七・六%へ、二年でおよそ一〇%下落しています。その原因をお答えください。
○森政府参考人 お答えいたします。
御指摘は生産金額ベースの加入率についてということでございますが、この加入率につきましては、共済加入の状況ですとか、その傾向をおおむね把握するというために、分母については、いわゆる全国の前年単年の生産金額をベースとした額としまして、分子は、実際に共済に加入されている方の、過去五年の五中三の生産金額、いわば平年値をベースとした額により算定をしております。
こういうふうに、分子が平年値で大きく変動しにくいということでございますので、一般的には、全国の生産額が減少した場合には加入率の数値が上昇する、一方、全国の生産額が増加した場合には加入率の数値が低下するといった傾向が見られますし、また、生産額の増減については、数年かかって分子の平年値に反映されるということになります。
委員御指摘のとおり、加入率は、令和三年に一旦八八・三%まで上がりましたけれども、令和五年には七七・六%まで下がったということでございますが、この主な要因は、契約件数はほぼ変わらない中で、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、短期間で生産金額が大きく変動したということによるものと考えております。
○許斐委員 難しいんですけれども、コロナの影響で、計算の分母、すなわち全国の漁業の金額が減って、分子である加入者の収入に関しては、五年のうちの中間の三年、いわゆる五中三の金額なのでさほど変わらなかった、そういうことで、令和三年度の加入率が、ここだけが高く出てしまったということでよろしいでしょうか。確認です。
○森政府参考人 はい、基本的にはそのとおりでございます。また、その後下がったことにつきましては、特にコロナから回復して生産額が増額する中で、一方、五中三である平年値の方が低くなったということによって下がったということでございます。
○許斐委員 ありがとうございます。
この資料の一の金額ベースの調査方法だと、まさにおおむねのような感じになりますので、コロナのような外的要因で簡単に数字が変わってしまいます。やはり、経営体ベースの加入率の調査が重要だと私は思います。
そこで、令和二年五月の十二日、この農水委員会で同じ要望を受けて、当時一回目の農水大臣であった江藤大臣の答弁があります。この実数を把握する努力はせねばならぬと私も思います、こう答弁されていました。その後、確かに、令和五年の漁業センサスに経営体ベースの漁業共済の調査が初めて盛り込まれました。これが資料の二です。ところが、この共済の加入率を算出すると、出た数字は四四%です。自民党の鈴木貴子委員の指摘もありましたが、四四%です。一方、漁業産出額での調査、先ほどの資料一での調査は七七・六%でした。
そこで質問です。
共済加入率について、この漁業センサスでの四四%という数字と、水産庁が七七・六%としている数字、どちらを今回の政策を考える上で考慮したのか、教えてください。お願いします。
○森政府参考人 お答えいたします。
今回の法律改正、政策を考える上で、基本的には、毎年度調査を行っております生産金額ベースの加入率を基本として考えているところでございますが、一方で、御指摘のとおり、この二つの加入率に大きな差があると。両者を比較しますと、先ほどもお答え申し上げましたが、小規模な経営体の加入率が低いことを示しているというふうに考えているところでございます。
○許斐委員 まさに、小規模経営体の加入率が低いことを証明する数字の差ということは御答弁でもありました。これまで、小さな漁業者を守る形の共済になっていなかったのではないかと指摘せざるを得ません。
そして、さらに、今回の保険設計も、複数の漁業種類をまとめて共済契約できるものや、養殖共済の養殖施設ごと、つまり、生けすごとに特約できるものは、むしろ大規模漁業者向けの商品だと思われますが、政府の見解をお答えください。
○森政府参考人 お答えいたします。
今般の漁業災害補償法の改正のうち、複数の共済対象の漁業種類をまとめて締結できる契約方式、ここの創設ですとか、共済対象ではなかった漁業種類をカバーできる特約の追加については、大規模な漁業者だけではなく、沿岸漁業者の方も含めて、複合的な漁業に取り組む漁業者のセーフティーネットとして現場のニーズや現場実態を踏まえて行うものでございます。
他方、養殖共済の網生けす単位での損害状況に応じた特約の追加につきましては、養殖業の一経営体当たりの経営規模の拡大の状況を踏まえて行うものでございます。ただ、具体的には六台以上の生けすを有する経営体を対象とすることを想定しているわけですけれども、これは経営体全体の中の六割以上をカバーするというものになっているということでございます。
いずれにいたしましても、経営基盤が弱い小規模漁業者を含めて、しっかりと、共済のメリットでございますとか、小規模な経営体ほど掛金の補助率が高くなっているというような仕組みも含めて周知の上、積極的な加入推進に取り組んでまいりたいと考えております。
○許斐委員 ありがとうございます。
私の地元福岡、特にその離島では、小規模漁業者が非常に多いです。そういう漁業者こそ、共済への加入促進を図るべきではないでしょうか。なぜならば、それらの漁業者は、経営基盤が弱いことに加えて、文化、国境の守り人でもあると思います。
そこで質問です。
離島の漁業者の役割とその支援体制について、江藤大臣の考えをお聞かせください。
○江藤国務大臣 離島の漁業者の方々には、大変国はお世話になっているというふうに思っており、私も南北大東島、与那国島、硫黄島、もうほとんどの離島にはこの二十年間の間お邪魔をさせていただきました。非常に厳しい条件の下で頑張っていただいている姿に触れて、いろいろなことを感じました。自然環境それから文化、伝統、そういったものを守っていただく。それから国境監視、そういったいわゆる国を守る役割も果たしていただいている。
ですから、これを踏まえまして、離島漁業再生支援交付金、こういったものがございます。予算規模でいいますと、令和七年度の予算額は十二億円でありますが、こういったものを是非御活用いただきまして、漁場の監視、一万五千円程度ですけれども、それから改善の取組、それから鮮度の保持の技術、眠らせるとか、様々今新しい技術があります。それから新規就業の確保、さっきも御説明をいたしました。
それから、今回、新たに基本計画の中に海業というものを、海洋資源だけではなくて浜の資源を生かす海業というものの展開も書き込ませていただきましたので、是非そういったものを総合的に展開することによって、離島の漁業者の方々をこれからも支援してまいりたいと考えております。
○許斐委員 力強い御答弁、ありがとうございます。
ヨーロッパでは、農家を大事にしています。なぜかというと、陸続きの国境付近に住んでいるのは主に農家だからです。国境に人の営みと経営基盤、文化があることが、国を守ることにつながるからです。これを日本に置き換えると、その役割は離島です。そして漁業者です。そういう国を守るという国防の観点からも、まずは漁業者を守る、そのような政策を進めていってほしいと思います。
続きまして、個別の法案についてお伺いいたします。
今回の法案の一つに、共済対象外の漁業種類がいわゆる副業的に営まれている場合、主たる漁業種類にまとめて共済でカバーする特約の追加ができるようになっています。
そこで質問です。
その副業の漁業種類は何を想定しているのでしょうか。そして、そこに陸上養殖は入っていますでしょうか。政府の考えを教えてください。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
今回の法改正におきましては、まず、沿岸漁業におきまして、漁船漁業などを主たる漁業として営まれている方が、ウニですとかサザエですとか岩ノリ漁などを副業的に営まれている、こういう実態がございますので、これを特約として追加できるようにするというものでございます。
具体的には、例示をいたしましたウニ、サザエ、アワビ、岩ノリに限らず、広く採貝採藻漁業を、算入することができる漁業としてその対象として想定をしておるという状況でございます。
一方で、陸上養殖の件でございますけれども、漁業共済は漁業者による相互扶助制度でございまして、この特約におきまして、その算入先の漁業共済等の漁業と、算入元の共済対象外の漁業とを一つのリスク集団としてまとめることが、加入者から見ても適切かどうかというところがポイントになろうかと思います。
その点で、特約による算入先の漁業共済等の漁業と陸上養殖とでは、かなり、生産者、漁業形態、共済でカバーしたいニーズなどの違いを踏まえますと、一つのリスク集団としてまとめるには、ちょっと保険設計上はそぐわないのではないかと考えられます。
このため、現時点におきましては、この特約で陸上養殖を対象とするということは想定をしてございません。
○許斐委員 更に質問をさせていただきます。
前の委員からの質問にもありましたが、それでは、陸上養殖は、そもそも養殖共済の対象でないのはなぜでしょうか。改めて教えてください。
○藤田政府参考人 お答えをいたします。
漁業共済そのものは、保険の仕組みを取っているということから、十分な保険母数があること、漁協の協力体制が確保されていることなどによりまして客観的な損害査定ができることなど、保険として成り立つための要件として満たすということが必要でございます。
陸上養殖のうち、これらの要件を満たしましたウナギ養殖業につきましては、共済対象として追加されているということでございます。
そのほかの陸上養殖業につきましても、こうした要件が整えば、順次対象化に向けて検討を行うこととしてございます。
今後、様々な漁業、養殖業が保険として成り立つための要件を満たしていくということを期待しているところでございます。
○許斐委員 非常に残念でもあります。陸上養殖は、答弁のとおり、ウナギ以外、共済がありません。
私の地元福岡県の新宮町で、サーモンの陸上養殖を行っている藤原光来さんという十八歳の若手経営者がいます。資料三です。まだ小規模ですが、しっかりとリスクを回避できる設備投資を進めています。停電に備えて、太陽光や風力発電、そして蓄電池の整備、さらには、万が一のために冷凍による出荷も想定しています。
藤原さんは、若い人、個人で陸上養殖を始めたい人は多い、しかし新規で始めるのは勇気が要る、だから保険、共済があれば安心と言っています。
今では、陸上養殖された水産物、例えば、サーモン、ヒラメ、チョウザメ、キャビア、海ブドウとか、様々なものが地元の特産品となっています。更に安定して経営できれば、今後、地域どころか日本の食料安全保障を支える産業に陸上養殖はなり得ると私は思います。
そこで、陸上養殖の将来性について、大臣の考えを教えてください。
○江藤国務大臣 私個人的には、大いに期待をいたしております。今までできなかった魚種まで、最近は陸上養殖は可能だ、例えばクエとかハタとか、そういった魚まで可能だと。ちょっと前まではフグぐらいかなという話でしたけれども、最近は様々な魚種についても可能であるということは、もう証明されてきました。
しかし、様々な魚種になると、ますます分母が小さくなっていくんですよね。陸上養殖という一つのくくりにすること、例えば、イワナとサーモンを一緒にするのはなかなか難しいじゃないですか。
ですから、何度も申し上げておって申し訳ないんですが、漁業者の方々がまず組織立っていただいて、それを国が支えるというのが共済のシステムですから、今現在では、いわゆる漁業者とか漁協がやる場合は浜活が使えるんですよ。これは例えば、海で養殖をやっている方が陸上養殖もやるということであれば、連関性がありますから浜活が使えますので、そういうことも可能でありますけれども、例えば、スタートアップ企業であると、内閣府の事業でスタートアップを支援する事業がありますので、こちらをそういう方には是非紹介をしたいなと思います。
ただ、そういう若い方ではなくて、大規模にやる方は、資本力をお持ちだということでありますから、そういう方々については、やはりリスクを取って、民間のところから借入れを起こして事業を起こすのがやはり最初は筋だろうと。
しかし、将来的には、今言われましたように、海だけではなくて、育てる漁業、そして病気になりづらいという内陸での養殖の特性がありますから、そういったものは国内の食料安全保障に大いに将来的には寄与するものになり得るというふうに私は考えております。
○許斐委員 時間になりました。
最後に、漁業には様々な国を守る力があります。漁業者は、その役割にプライドを持っています。しっかりと漁業者に寄り添った共済政策を行うことを最後にお願いして、質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○御法川委員長 次に、角田秀穂君。
○角田委員 公明党の角田秀穂でございます。本日も、よろしくお願いをいたしたいと思います。
漁業災害補償法、この改正の背景として、一つには、近年の海洋環境の変化によって、捕れる魚が変わってきた、サンマが減ってブリが増えてきたといったことなどの変化に対して、漁業経営を安定させるためには漁業の複合化を進める必要がある。セーフティーネットとしての共済制度も、複合化のほか、自然災害の頻発、こうしたものにも対応を図るための拡充が必要である。このことは当然として、水産資源の減少の中で、漁業者の所得の向上や人材確保のために、でき得る限りの対策を進めることが何よりも求められており、そのことがひいては共済制度の安定にもつながっていくものと考えます。
千葉県においても、内房地域の海域では、かつてはアラメやカジメといった海藻が当たり前のように取れていたものが、今はいそ焼けで全く見ることができなくなりました。また、クロダイがノリを始め文字どおり全てを食べ尽くしてしまうといった、漁業者の悲鳴にも近い声も受け止めております。
こうした近年の漁場環境の変化、また、これに対応した藻場の回復、保全に向けた取組なども強化する必要があると考えますが、これまでの取組と今後の対応について、まずお伺いをしたいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
藻場は、豊かな生態系を育む場でございまして、水産生物の産卵場や幼稚仔魚の隠れ場、餌場としての役割を持っております。水産資源にとって重要な場所ということでございますが、近年、海水温の上昇、食害生物などによって、その衰退、喪失が起きますいそ焼けが全国で拡大をしているところでございます。
こうした中で、農林水産省では、磯焼け対策ガイドラインということで、いそ焼けの対策手法ですとか全国の取組事例をまとめたガイドラインを作成するとともに、磯焼け対策全国協議会を毎年開催をいたしまして、国や各地域における取組についての情報共有を図っているところでございます。
また、各都道府県においても、藻場・干潟ビジョン、これは全国八十海域で策定しておりますが、海藻が着生しやすい基質の設置や母藻の設置など、ハード、ソフト一体的な取組を進めているところでございます。農林水産省もこれらに対して支援を行っているというところでございます。
引き続き、地域の実情を踏まえ、藻場の保全、創造に向けて効果的な支援に努めてまいりたいと考えております。
○角田委員 是非とも、効果的な技術の開発、そうしたものに対する後押し、それから普及に向けての取組、一層の強化を求めたいというふうに思います。
また、法律案では、近年の自然災害の頻発化や大規模化に対応して共済制度の安定を図るというために、全国レベルでの危険分散を強化するために、漁業施設共済について、共済組合が全国連に再共済に付す割合の上限、現行の百分の九十から百分の九十五に引き上げるとしていることについて、これは東日本大震災の被害等を踏まえたものとの説明を受けましたけれども、なぜ今見直しを行うのか、その必要性について、また、近年の災害における全国連の保険金支払いの状況、再共済機能を強化することによる効果についてどのように見ているのか、お伺いをしたいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
漁業施設共済を始めとします漁業共済では、制度の安定化を図るため、県段階の共済組合が漁業者から共済契約を引き受け、さらに、全国漁業共済組合連合会が再共済をすることによりまして、全国的な危険分散を行っているところでございます。現在、漁業施設共済につきましては、この共済組合が全国漁業共済組合連合会へ再共済に付す割合は九〇%となっているところです。
御質問の、漁業施設共済におけます全国連の支払い再共済金額の支払い状況につきましては、令和五年度では一・五億円ということでございまして、近年は比較的落ち着いているところでございますが、例えば、過去には、平成二十三年度には東日本大震災により五十億円、平成二十七年度には台風や低気圧により十億円といった大きな支払いが発生したところでございます。
このため、近年の自然災害の頻発化、大規模化を踏まえ、将来に備え、今回の法律改正によりまして、漁業施設共済において再共済に付す割合の上限を九五%に引き上げる措置というものを講ずるものでございます。
○角田委員 次の質問に移りたいと思いますけれども、今、漁村では人口の減少や高齢化が急速に進行をしております。水産業の基盤である漁村のにぎわいを創出していく、こうした取組が重要な課題となっております。
漁村振興について、現行の水産基本計画等を踏まえ、漁業の根拠地である漁港について、その有している価値や魅力、これを生かして水産物消費の増進、交流人口の拡大を図るとともに、漁港において陸上養殖の展開等の漁港機能の強化を図るため、漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部改正が行われました。
現在、五年間でおおむね五百件の漁港における新たな海業等の取組実施に向けて、水産庁が、個別に助言や海業の推進に関する情報提供などを行い、取組を積極的に支援をしようとしているところでございますけれども、これまでの成果、それから今後の取組についてお伺いをしたいと思います。
○庄子大臣政務官 御質問ありがとうございます。
先日、委員御地元の千葉県に伺いまして、鋸南町の保田漁港というところなんですが、視察をしてまいりました。ここは、国が海業という言葉を使うずっと以前から、漁港施設の中で飲食、物販、あるいは温浴施設などを展開しておりまして、非常に、外からお客様を呼び込んで、今御指摘になったような浜あるいは漁村のにぎわいづくり、前から取り組んでおられまして、大変、海業というのは、浜あるいは漁港だけではなくて、地域全体の活性化につながるということを実感をしてまいりました。
今おっしゃったように、おおむね五百件程度、目標を掲げてございますけれども、それに向けまして、農水省といたしましては、まずは、海業振興の相談窓口でございます海業振興コンシェルジュの開設、これを本省の中に設置をしておりますし、また、他の省庁にまたがっておりますので、海業支援パッケージというものを各省庁連携の中で作成をさせていただいております。また、全国協議会の開催なども行ってきているところであります。
こうした取組によりまして、令和五年度末時点での実績は今百五十一件となっております。着実に進んできているというふうに認識をしておりますが、さらに、海業の全国展開に向けまして、必要な実証調査等に対する事業を新たに措置をし、支援をしてまいりたいというふうに思っておりますので、しっかり取り組んでまいります。
○角田委員 保田は本当ににぎわっておりまして、休日などはかなり並ばないと食事もできないというようなところですけれども、こうしたにぎわいが是非とも全国各地の漁港に広がるよう、しっかりと取組を進めていただければというふうに思います。
水産業振興のためには何よりも需要の拡大というものが求められますが、水産をめぐる近年の状況は、国内における食用魚介類の一人一年当たりの消費量、これが、食料需給表によると、平成十三年、二〇〇一年の四十・二キログラムで過去最高となった後は減少傾向が続き、平成二十三年、二〇一一年度に初めて肉類の消費量を下回り、令和五年には二十一・四キログラムと、ピーク時の半分程度にまで減っております。
年代別に見ると、令和五年度の国民健康・栄養調査によりますと、若い世代ほどやはり魚を食べない。十代、二十代までの若い世代の摂取量は、最も食べている七十代の半分から三分の一程度です。逆に、若い世代は魚の三倍も四倍も肉を食べているという状況があります。
魚は健康によいということは分かっていても、調理に手間がかかる、ごみの処理が面倒などの理由から敬遠をされているようです。夫婦共働きが増える中、このような理由による魚離れが更に進み、子供も魚介類を余り食べないまま成長する傾向がますます強まってくるのではないかというふうに感じております。
国内での水産物の消費拡大のためには、食育や学校給食の食材としての利用の拡大、さらには、手軽でおいしい調理方法や新製品の開発普及、こうしたものへの取組を進めるべきと考えますけれども、この点について見解をお伺いしたいと思います。
○藤田政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、食用魚介類の消費量は減少傾向にあるという中で、水産業を振興していくためには、マイナス要因であります、例えば、調理の手間ですとか、ごみ処理が面倒といった、こういった問題も取組をしていく、課題解決に向けた取組をしていくということが重要だというふうに考えてございます。
このため、農林水産省といたしましては、小中学校向けの出前ですとか課外授業による魚食普及を推進するとともに、令和四年十月には、三日から七日、この毎月の日をさかなの日として制定いたしまして、現在、千を超える企業や団体と官民協働で水産物消費の拡大に向けた取組を展開しているところでございます。
また、魚介類消費のマイナス要因対策といたしまして、調理機器メーカー等とも連携いたしまして、簡単に調理できる、簡単に掃除できるといった、そういう情報発信ですとか、家庭での魚調理が促進されるための、短い時間で調理ができるといったレシピの情報発信、これを強化しているところでございます。さらに、生産、加工、流通業者が連携した新商品開発に対する支援も行っているというところでございます。
引き続き、水産物の消費拡大に向けまして様々な取組を推進してまいりたいと考えてございます。
○角田委員 国内での消費量減少の一方で、世界に目を向けますと、一人当たりの食用魚介類の消費量は、この五十年、半世紀ほどで二倍に増えており、特にアジアやオセアニア地域では、生活水準の向上と相まって、新興国を中心に顕著な増加を示しております。
輸出促進への取組として、農畜産物については、JA全農と、海外販路拡大を担うジェトロ、プロモーションを担うJFOODOが昨年七月に連携協定を締結し、輸出産地の形成から海外販路の開拓まで一体的に推進する体制づくりが前進をしております。
水産においても同様に、今年二月に、ジェトロ、JFOODO、大日本水産会の三者が連携協定を結んでおりますが、輸出推進に向けた取組の現状と、特に、ブリやタイ、ホタテガイなど需要の旺盛な品目の生産拡大など、今後の輸出促進に向けた戦略についてお伺いをしたいと思います。
○藤田政府参考人 お答えをいたします。
今委員御指摘の三者によります連携協定、これにおきましては、海外向け販路の新規開拓や日本の食文化発信を推進していくという内容になってございます。
農林水産省といたしましても、海外需要の拡大と国内の供給力向上の取組を車の両輪として展開いたしまして、輸出拡大を加速化していくという考えでございます。
具体的には、輸出拡大実行戦略に基づきまして、ブリ、タイ、ホタテガイ等を輸出重点品目といたしまして、日本食レストランに加えまして現地大手スーパー向け等のニーズへの対応ですとか、昨年新たに認定されましたフラッグシップ輸出産地、これを中心といたしました輸出産地の育成や、HACCP対応施設の整備等への支援を通じて、輸出の拡大を更に推進してまいりたいと考えてございます。
○角田委員 ありがとうございました。
時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○御法川委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
本日は、漁業災害補償法の一部を改正する法律案の法案審議ということで質問をしてまいります。
水産庁のホームページによりますと、世界では、一人当たりの食用魚介類の消費量が過去半世紀で約二倍に増加をしておりまして、近年においてもそのペースは衰えていないということですから、漁獲の競争の激化とか、あとは開発による漁場の環境悪化などで、水産物の需給というのは逼迫している。
だからこそ、水産物を輸入に頼るのではなくて、国内資源を最大限に生かしながら、水産資源の実態に合った持続可能な漁業を発展させ、国民への水産物の安定供給、そして自給率の向上を目指すことこそが重要な課題となっております。そのためにも、漁業災害補償法が定める漁業共済の拡充というのが中小の漁業者の経営安定にもつながるので、やはり重要だと考えます。
今回の改正案は、これまで共済の対象になっていなかったものが該当していたりとか、あと、共済内容の選択肢を増やすというものがありますので、漁業経営を支援する視点からは何ら反対はないんですけれども、法案の中身に入る前に、一つ確認しておきたいことがあるんですが、やはり、近年、漁業者の経営を最も不安定にしたというのは東日本大震災と原発事故だと考えています。
東日本大震災においては、岩手、宮城、福島を始めとして、全国の海面漁業、養殖業生産量の五割を占める七道県を中心に、広域な地域で甚大な被害が発生いたしました。津波による被害のほか、福島第一原発の爆発事故に伴う放射性物質の飛散、そして原発周辺地域での放射線量の増大、土壌や海洋の放射性物質による汚染の結果、漁業の操業停止とか、収入が減少、風評被害、関連産業への波及などなど、影響が発生いたしました。
それらの補償や賠償というものは、十分か不十分かというのは一旦おいておくとして、もうなされているんですが、政府が一昨年、二〇二三年の八月に、原発の汚染水をALPS処理水だと言いながら海洋放出を強行したというのは深刻だと考えております。被災地の漁業者はもちろん、全漁連からも、我が国の漁業者の総意として絶対反対、慎重な判断を求めるという決議も出ていたのにもかかわらず、放出がされてしまいました。
実際、この影響で、中国などの禁輸措置などによる損害に対して、これは東京電力なんですけれども、今年三月二十六日の時点ですが、約五百七十億円の賠償を実施しています。足りている、足りていないとかは一旦おくんですけれども、東電が支払っているから、これは終わりにはならないと私は思います。原発事故が日本の漁業、水産業の全体に深刻な打撃を与えた事実と向き合うことは、決して忘れてはいけないことだと思います。
江藤大臣も所信表明でおっしゃっていましたし、農水省のホームページでも我が国の農林水産業は国の基と書いているんですけれども、そう言うのであれば、今の政府が推し進める原発政策は農林水産政策とは相入れないと私は思うんです。
原発の爆発事故は、漁業者の経営を根本から覆して、農林水産業に多大な影響を、ALPS処理水の放出も含めて、十四年たった今も与えているんです。日本は災害大国ですし、何が起きるか分からないからこそ、今回の漁災法の改正で共済の拡充が図られていると言っているのに、何かやはり言っていることとやっていることが違うんじゃないかなと思うんですが、大臣の御所見を伺いたいです。お願いします。
○江藤国務大臣 大変厳しい正論をぶつけられたなというふうに思います。
私も、これは政治家として申し上げますが、原発がなくて済むなら、それがいいとずっと思っております。やはり、人間が制御できないものに人間の生活が頼っているということは極めて不安定である。完璧に制御できるものであれば、それは一つの選択肢ですが、いまだにそこに至っていない。ましてや、事故が起これば、チェルノブイリはいまだにあのままですし、福島も、いつデブリが全部処理できるか見通しも立たないような状況であります。
ですから、この共済を見直すに当たって、合わないんじゃないかと言われれば、なかなか厳しい答弁になりますけれども、しかし、人間がこれからこの地球で、特に日本人が生きていく上では、どうしても、漁業に限らず、農業も林業も、それから様々な産業も、電力なくしてはやはりやっていけません。電力がなくては、本当に人間の文明的な生活が維持できない。それから、これから情報処理に多大な電力が必要になる時代になれば、今の発電量でもとても足りないという未来予想図も描かれています。ですから、残念ながら原発を選択せざるを得ないというのが私の考えであります。
ですから、やはり理想を追うのが政治でありますから、いつの日か、高市先生がおっしゃるような新しい発電の方法が開発されることを願っておりますが、これも、十年先、十年先と言われて、もう多分三十年ぐらいたっているので、どれぐらいたつか、まだ分かりません。
ですから、原発を是とするつもりはありません。私も、被災地に行って、漁業者の方々にすごい、すごい厳しい目で見られたことは忘れられないですよ。そして、五年前の大臣のときも、あんた、まさか海洋放出をせぬやろうねと言われて、私は、漁業者の方々の御理解をいただくまではしません、そのように申し上げて帰りましたが。
しかし、今回の処理水の放出、安全だということも科学的に、先ほど、ある先生からも証明していただきましたけれども、しかし、あれだけの貯水タンクを建てて、そしてこれも限界があるということであれば、国際理解を得る努力は私も一生懸命しますが、しかし、文明を維持することと農林水産業との共生というものは、ある意味、難しい側面があるのかなということは私自身も感じております。
○八幡委員 ありがとうございます。
私が想像していた答弁よりもしっかりと、自民党の政治家として、しっかりと、でも、その中でも、やはり現場で、当時のことを思い返されて、漁業者の方ともきっとお話もされているだろうし、その何か揺らぐ思いみたいなものが通じましたので、その答弁を大臣の口から聞けて私はよかったなと思いますが、先ほどもほかの委員がおっしゃっていましたけれども、やはり福島の農産物とか水産物が安全だという話、だから、これもほかの委員にも知ってほしいということだったんですが、当然、やはり検査をしていって、安全なものは安全だと思う。だから、私ももちろん食べますし、それこそ東北とかだったら、私はお酒が好きなものですから、日本酒とか最高なのでよく飲むんですけれども、でも、本当の安全は何かというと、やはり原発をやめて海を汚さないというのが未来永劫つながる安心じゃないのかなということを考えながら、お話を聞いておりました。
ということで、法案について質問をいたします。
まず、副業的漁業の対象生産金額について聞こうと思って、御準備もいただいたと思うんですが、これはほかの委員さんがまた同じ内容を聞かれていたので、申し訳ないんですが、ちょっと飛ばさせていただきたいんです。
やはり、副業的な漁業の生産額が、これは二分の一まで補償ということなんですけれども、その辺りはどうしていくんですかと聞こうと思ったんですが、これはこれから協議をされていくということでしたので、是非、現場の意見をしっかりと聞いていただいて、よりよい方向性を導き出していただきたいなと思っております。
続いての質問です。
今回の改正案、漁業の変容に応じて、中小漁業者の要望を踏まえて漁業共済の仕組みを改正し、中小漁業者の選択肢を増やすということを目指しているので、その方向性は当然賛同するんですが、お金だけではないサポートの体制というのも私は必要だと思うんですね。
例えば、気候変動が漁業に対してどういうようなこれから経営のリスクを伴っていくのかとか、あと、先の見通しを含めて、政府として海洋資源分野の何か研究とかに取り組んでいるのかなとか、環境の変化に対応できないという漁業者さんが出てくるかもしれない、そういうときには何か対策があるのか、聞かせてください。お願いします。
○藤田政府参考人 お答えをいたします。
まず、海洋環境が激変する中で、持続的に漁業をやっていこうという場合には、資源管理ですとか藻場、干潟の保全等によりまして水産資源を維持、回復させるということと、高性能な漁船を導入する、あるいは魚種、漁法の複合化等を通じまして、変化に対応できる強い漁業を育てていくということが重要だと考えております。
委員の御指摘のような情報提供に関しましては、現時点で申し上げますと、操業の役に立つといいますか、ものといたしまして、水産研究・教育機構におきまして、幾つかの魚種におきまして漁海況予報というものを出してございます。このほかにも、漁業情報サービスセンターの方で漁場予測等が実施されておりまして、漁業関係者の方は、こういった情報を基に、効率的な操業といいますか、そういったものを組み立てておられるというふうに認識をしてございます。
農林水産省といたしましては、先ほど申し上げましたような漁法ですとか魚種の複合化等の実証的取組を支援しまして、その結果を漁業者の方に共有するなど、海洋環境が変化する中での資源状況のよい魚種を漁獲できる漁業への転換というものを後押ししてまいりたいというふうに考えておりまして、今後とも、そういった漁業者の方が有益と思える情報をしっかり提供しまして、さらには漁業者からの意見も伺って、必要な施策の展開をしてまいりたいと考えてございます。
○八幡委員 るるおっしゃっていただいて、たくさんの情報量を詰め込んでいただいて、その熱量で、私だけじゃなくて、直接、実際漁に出られている方たちとお話をしていただきたいなと思いました。まさに海やお魚たちとどうつき合っていくかというのは、やはり官民一体となって一緒に取り組んでいくべきだなと、話を聞いていて思いました。
これは最後の質問になりますが、農業や酪農の現場で担い手不足というのを、私は毎回この質問も取り上げているんですけれども、漁業の従事者というのも、この三十年間で六割減少しているんですよね。水産庁によると、二〇二二年のデータですけれども、平均年齢五十六・四歳、六十五歳以上がその四割を占めているなど、高齢化も広がっております。
漁業従事者が一貫して減少傾向にある中、一部には外国人労働者の受入れも増えてきていると聞きます。漁船に若手が入ってきたとしても定着しない場合が多いんだというドキュメントを私は見たこともあるんですけれども、実際、海外から来た方は辞めずに働いてくれるんだみたいな現場の声も聞いたこともあります。
外国人労働者に頼るのではなくて、新規で漁業をやりたいという人たちを、もっと育成に力を入れていくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。お願いします。
○江藤国務大臣 海外からの研修生につきましては、やはり、自分の国に帰って、日本の先進的な漁業技術を自分の国で生かしたいという高い志を持っている子たちなので。私もこの間、地元の、日向の細島なんですが、定置網の網揚げに久しぶりに行ってまいりました。研修生もいましたけれども、女性も含めて、若い子たちも一生懸命やっていました。ちっとは役に立つかと思ったんですけれども、全然役に立たなくて、なるべく邪魔にならないように端っこの方で見ているだけが精いっぱいだったんですけれども、随分、私が知っている定置網の網揚げとは全然違ってシステマチックになっていて、これなら若い人たちの労働生産性も上がるし、定着もするんじゃないかと思います。
ですが、今おっしゃっていた五十六・四歳、しかし農業は六十七ですから、比較的若いんですけれども、安心はできない水準だと思っています。
ですから、漁業への新規就業支援は一生懸命やります。経営体育成総合支援事業、いわゆる漁業学校で学ぶ者には、最大二年間で三百万円の就業準備金を支給をする。お金だけが全てではありませんけれども。それから、これは多分、日本独自のシステムだと思いますが、現場の漁業者が若い担い手を引き受けて、現場で操業しながらいわゆる技術指導をする、そういう長期研修につきましては、三年間で最大八百四十六万円は支給するという制度を設けてあります。
これを是非利用していただいて、漁業は、私も実は、私は一人っ子なので無理なんですけれども、憧れの仕事ではありました。難しい仕事だし、技術も要りますが、しかし、ロマンがある。行ってみなきゃ分からないけれども、行ってみたらどえらいことになるかもしれないというのは、すごく夢のある世界だと思うんですよね。
そういう世界に漁業者の方々が、若い子たちが魅力を持ってもらえるように、浜はなかなか高齢化も進んで、なくなっていく浜もありますが、しかし、浜によっては、若い人がいっぱいいる浜もあるんですよ。私の地元もそうです。ですから、そういう浜が少しでも増えるように努力してまいりたいと思います。
○八幡委員 行ってみないと分からない、そのロマンを是非私も一緒に見に行きたいので、一度機会があったら連れていっていただきたいなと思います。やはり私たち、ここでずっと話しているよりも見た方が早いんちゃうかなというのを、大臣の答弁を聞きながらいつも思っております。
生き物を相手にするお仕事ですから、絶対という確約がないんですよね。それはやはり、場合によっては所得が不安定になるとも言えると思うんです。なので、私、まだまだ漁業分野は勉強中なんですけれども、今回質問を作るに当たって、共済だけではなくて、国による漁業者の所得補償とか制度なんかも支援の拡充も訴えられたらいいななんて思っておりました。
これからも、私もいろいろな方の意見を聞きながら、農林水産委員として努めてまいりますので、今日はありがとうございました。
○御法川委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後十分、よろしくお願いいたします。
漁業災害補償法、何度か質問が出たんですが、陸上養殖について、ちょっとまとめのようにお伺いしたいんですが、前回改正時の附帯決議のときに、ウナギについて取り組むべきだということで、これは実現したということでありました。
そして、もう一つ、附帯決議で、ヒラメ等の陸上養殖についても検討すべきだということで、今日何人かから質問があったんですが、要するに何が今課題なのかというのをちょっとまとめてお伺いしたいと思うんですね。
先ほどから、組織化をされていないとか損害算定が難しいとか、いろいろ言われたんですが、要するに何がひっかかっているから、現在、陸上養殖、ウナギ以外の、ヒラメとかサケとかマスとかいろいろあると思いますけれども、そこら辺が共済の中に入ってこないんでしょうか。
○森政府参考人 漁業共済につきましては、先ほどからも御答弁申し上げておりますが、保険の仕組みということですので、十分な保険母数でございますとか、漁協の協力体制等の下での客観的な損害査定ができるかどうか等、要件を満たす必要があるということでございます。
ウナギ養殖につきましては、いわゆるこうした保険母数だとか客観的な損害、いわゆる漁協がしっかりと対応できるような体制が整っている等によりまして共済対象の追加が可能だったということでございますが、例えば、委員御指摘、さらに前回の附帯決議にも出ておりますヒラメ等については、まだまだそうしたような体制、保険母数も含め、あるいは客観的な損害査定の体制を含め、まだまだ整っていないという状況かと考えております。
○緒方委員 まとめてと言ったのでまとめてほしかったんですが、まあいいです。
ウナギについて、ちょっと論点を変えて取り上げさせていただきたいと思うんですが、最近気になっているのが、シラスウナギの輸入の不透明性、これを問題提起させていただきたいと思います。
日本は、シラスウナギ、香港からの輸入が極めて多いんですけれども、もちろん、香港にそんな川があるわけないわけであって、どこかから連れてきているわけですよね。最近、二〇二三年、二四年、どこからが多かったかというと、多分皆さん聞いてびっくりすると思いますけれども、ハイチとドミニカ共和国からの輸入が非常に多かった。百五十トンを超える輸入が行われています。
そして、ハイチという国は、現在、首都のポルトープランスとか、何が起きているかというと、ギャングの支配地域です。ほとんど無法地帯の状態です。どう考えても資源管理なんかできているわけないんですね。シラスウナギの取引が、私は、昔、「ブラック・ダイヤモンド」という映画がありましたが、あれと同じブラックイールになっているんじゃないか、紛争を助長する、そのちょっと資金源になっているんじゃないかという危惧を持っています。
そして、それとはまた別のテーマとして、台湾は今、シラスウナギの輸出を禁輸、輸出禁止をしておりますが、どうも密輸で香港に行っているんじゃないかとかいう話はよく聞きます。
これまでのウナギの消費によって、ヨーロッパウナギは既にクリティカリーエンデンジャードという状況にある。単なる危機的なんじゃなくて、極めて危機的な状況にあるというところまで追い込まれているわけですね。
日本のウナギの消費の背景にはこういったことがあるということについて、大臣、いかが思われますでしょうか。
○江藤国務大臣 いやあ、難しい質問ですね。
大変、ハイチについては何かテレビ番組で見ました。何か英語の三文字のギャング団の方々が完全に町を支配していて、恐ろしい状況になっている。日本では考えられない。そして、周辺の国ではとんでもない刑務所まで造って管理している。ですから、そういうことが資金源になっているということはやはり問題ではあると私も思いますよ。
しかし、現状を若干整理しますと、ハイチから香港への稚魚の輸出が増加しているという報告があることは承知をいたしておりますけれども、また、我が国は、アメリカからウナギの稚魚を現在輸入はしておりません。業者からは、中国で養殖されたアメリカウナギが加工品になって我が国に入ってきているんじゃないかなという話になっているんだと思います。
大変クリティカルな状況になっているというお話もありました。
これは、IUCNですか、ここでは、アメリカウナギ、それからニッポンウナギも、1B類というんですかね、この中に入っているということでありますから、非常に、極めてこれから注意を払わなきゃいけない対象でありますけれども、同じリストにはほかに多くのものが掲載されるというふうに聞いております。このリストに掲載されたからといって、直ちに国際的な貿易規制の対象となるという仕組みそのものにはなっていないというのが現状であります。
○緒方委員 そういうふうに言っているうちに、ヨーロッパウナギはクリティカリーエンデンジャードのところまで行ったわけですよね。
なので、私、これまで何もやっていないとまでは言わないんですけれども、これまで以上に、例えば、中国でやっているのであれば中国と話をする、韓国と話をする、台湾と話をする、そういったことで、今よりももう一歩踏み込んだ措置を取るべきではないかというふうに思いますが、大臣の見解を求めたいと思います。
○江藤国務大臣 これは、海洋資源管理、ウナギは特に難しいです。稚魚自体の価格が非常に高い。日本でも、いわゆるちょっとこういう感じの人が昔は随分これに関わっていたというような世界でありますから。
しかし、これが、捕ってしまえば、ヨーロッパウナギの話も今されましたけれども、結局ああいう結果になってしまったということは、過去の我々の学びとしてはあるわけでありますから、我々、国際社会との連携は是非、委員がおっしゃるように強めていく必要があるというふうに考えます。
○緒方委員 歴代水産庁の方にこの問題を指摘すると、みんな共通の反応をするんです。いつも苦笑いするんです。余りに共通するので、いつも印象に残っているんですが、要するに、問題は多いけれども、土用のうしだ何だということで消費が多いので、そういうふうになってしまうのは仕方ないじゃないか、目をつぶらざるを得ないじゃないかというような雰囲気が水産庁の中にあるんじゃないかと思いますけれども、どう思われますか。
○江藤国務大臣 いやあ、そういうのはあってはいかぬでしょうね。そういうのはあってはいかぬですよ。
幸い今年は国内のシラスウナギが大変豊漁でありますので、多分、消費者の皆様方にも昨年よりかは安い価格でウナギを提供できるんじゃないか。私の宮崎は、ウナギの養殖、ナンバーツーかナンバースリーなんですよ。それぐらい養殖業も多いので、ですから、できる限りやはり採捕自体は国内で行うことを基本とすべきだというふうに思っています。何事も海外に頼るような体制は、なるべく脱却すべきだと思います。
○緒方委員 最後、一問、漁業と関係ないんですけれども、私、農林水産委員ではふだんないので、予算委員会のフォローアップということで、ちょっと質問させていただきたいと思います。
予算委員会で、新市場開拓米への補助は、WTO農業協定正文を読む限りは輸出補助金じゃないかと指摘して、議事が止まりました。
私の論点は、結果として輸出に対するものに補助金を出していれば、条文を、正文を読む限りは該当するとしか読めないですよねということを聞いたら、農産局長は三回にわたって、日本語訳を自分なりに読めば該当しないという、国会の歴史に残る珍答弁をひたすら繰り返したんですね。まあ、いつも大体、農産局長はそうなんですけれども。
正文である英語や、あとフランス語を読む限り、どう見ても、新市場開拓米への補助は、WTO農業協定第九条における輸出補助金だと思います。違うというのであれば、正文に照らして論理的に説明いただきたいと思いますが、大臣。
○江藤国務大臣 私も、TPP交渉のときに、委員ほどの知識は当然ありませんが、条約に極めて詳しい方なので、しかし、この単語の持つ意味がどういう意味なのかについては随分こだわった記憶があります。
ですから、三つのセンテンスを引かれて局長と議論をされたんだと思いますが、私は聞いておりませんけれども、決して、自分なりの解釈でしたのではないんだろうと思います。
我々は、あくまで正文は、フランス語と英語とスペイン語と、もう一つ何かあった。(緒方委員「その三つです」と呼ぶ)三つかな、でありますけれども、これは、日本国政府の責任において、当該条約の正文テキストの内容を正確に反映するように日本語として和文を作成したものでありますので、これは局長の判断、局長の解釈ということはなくて、日本国政府の責任において和文でそういうふうに作ったということであります。
WTO農業協定上の輸出補助金を説明する和文については、輸出を行われることに基づいて、これを基づいてと訳すか、ほかの意味で訳すかで、多分、全然考え方が合わないんだろうと思いますが、直接補助金を交付することを記載しております。
一方、新規市場米への支援につきましては、国内、国外を問わずに、新たな市場を開拓することに着目した措置です。バイオエタノールであったり、バイオプラスチックであったり、化粧品であったり、それから健康食品であったり、こういったものを対象にしているんですよ、しているんです。納得していただきたいと思います。しているんですから、我々としては、支援の対象は、輸出するか否かではなくて、新しい市場、新規市場開拓であるか否かに着目をしてこれは支援をしているということでありますから、委員の御指摘は委員の御指摘として受け止めさせていただきます。
○緒方委員 最後に一言だけ、もう質問を終えますけれども、それが珍答弁なんです。結果として輸出につながっているものであれば輸出補助金だというのが書いてあるんです。まさに今大臣が言ったようなことを言うやつがいるから、だから蓋をしているような条文になっているのに、大臣はまた、三つ珍答弁があったと言いましたが、四つ目の珍答弁なんです。その程度の答弁しか渡さなかった農産局に、厳しく、それじゃ駄目だということを指摘した上で、私の質疑を終えたいと思います。
ありがとうございました。
○御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、漁業災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○御法川委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木貴子君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、れいわ新選組及び有志の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。柳沢剛君。
○柳沢委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。
漁業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
近年の海洋環境の変化等によるサンマ、スルメイカ等の不漁など、我が国の漁業を取り巻く情勢変化の中で、漁業災害補償制度が、中小漁業者の相互救済の精神を基調とした漁業共済事業の実施を通じて、漁業の再生産の確保と漁業経営の安定に果たす役割は一層重要なものになっている。
よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 漁業災害補償制度への一層の加入促進を図るため、漁業者及び漁業協同組合等に対して今回の改正内容を十分周知するとともに、漁業協同組合及び漁業共済団体等の普及推進体制の充実を図ること。あわせて、地方公共団体が実施する各種施策と本制度との連携の強化を図ること。
二 二以上の漁業種類を一括して対象とする契約を締結できる方式の創設や、共済の対象とならない漁業種類であっても、共済の対象となっている他の漁業種類と併せて副業的に営まれるものについて共済の対象とする特約の追加に当たっては、漁業者のニーズに即した的確な保険設計を行った上で、事業の円滑な運営に支障を生じないよう努めること。
三 網いけすなどの養殖施設ごとの損害状況に応じて共済金を支払う特約の追加に当たっては、輸出等を見据え、需要動向を踏まえた養殖生産を促進することができる制度となるよう、的確な保険設計を行った上で、事業の円滑な運営に支障を生じないよう努めること。
四 漁業災害補償制度は、自然災害や水産物の需給変動といった漁業経営上のリスクに対応して漁業の再生産を確保し、漁業経営の安定を図る重要な役割を果たしていることから、制度の持続的かつ安定的な運営を確保すること。
五 漁業共済とともに、その経営安定機能を補完する形で実施されている漁業収入安定対策についても、我が国の漁業をめぐる状況が変化する中で、漁業経営のセーフティネットとして引き続き制度の持続的かつ安定的な運営を確保すること。
六 海水温の上昇など海洋環境の変化による漁場変動や魚種変化に的確に対応するためには、海洋状況をより詳細に把握する必要があることから、海洋調査に必要な観測、測定等の体制の充実を図ることにより、調査を加速化すること。
七 瀬戸内海に代表される内海においては、栄養塩類に起因する不漁問題が発生していることから、国は都道府県と連携した下水処理緩和や底質改善などの効果ある施策を図ること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○御法川委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。
○江藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
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○御法川委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○御法川委員長 次回は、来る八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十二分散会