衆議院

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第16号 令和7年6月5日(木曜日)

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令和七年六月五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君

   理事 葉梨 康弘君 理事 神谷  裕君

   理事 野間  健君 理事 渡辺  創君

   理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君

      大空 幸星君    栗原  渉君

      小池 正昭君    坂本竜太郎君

      島田 智明君    鈴木 英敬君

      武村 展英君    田野瀬太道君

      根本  拓君    根本 幸典君

      長谷川淳二君    平沼正二郎君

      福田かおる君    宮下 一郎君

      森下 千里君    簗  和生君

      山本 大地君    石川 香織君

      岡田 華子君    金子 恵美君

      川内 博史君    小山 展弘君

      近藤 和也君    西川 将人君

      福田 淳太君    緑川 貴士君

      柳沢  剛君    山田 勝彦君

      空本 誠喜君    林  佑美君

      許斐亮太郎君    村岡 敏英君

      庄子 賢一君    角田 秀穂君

      八幡  愛君    北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       小泉進次郎君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       堺田 輝也君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          深水 秀介君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           森  重樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            前島 明成君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   農林水産委員会専門員   千葉  諭君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  長谷川淳二君     鈴木 英敬君

  山本 大地君     福田かおる君

  岡田 華子君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     島田 智明君

  福田かおる君     坂本竜太郎君

  川内 博史君     岡田 華子君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本竜太郎君     山本 大地君

  島田 智明君     長谷川淳二君

    ―――――――――――――

六月五日

 国産食料の増産、食料自給率向上、家族農業支援強化に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八一四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八一五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八一六号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第一八一七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一八一八号)

 同(田村智子君紹介)(第一八一九号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一八二〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口靖君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房技術総括審議官堺田輝也君、大臣官房統計部長深水秀介君、輸出・国際局長森重樹君、農産局長松尾浩則君、経営局長杉中淳君、農村振興局長前島明成君、林野庁長官青山豊久君、水産庁長官森健君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。

宮下委員 おはようございます。自由民主党の宮下一郎でございます。

 本日は、今後の農政の進め方について議論をさせていただきたいと思います。

 先日、六月二日ですが、党の食料安全保障強化本部、総合農林政策調査会、また農林部会で取りまとめました農業構造転換集中対策の実施に向けた緊急決議を石破総理と小泉大臣にお持ちをして、今後の農政の進め方についても御要望したところであります。

 この中では、今後の農業者の減少見込みも踏まえて、基本法改正後の初動の五年間で、一つには、農地の大区画化等の農業、農村整備、二つ目、共同利用施設等の再編、集約化、三つ目、スマート農業の社会実装の加速化等、四つ目、輸出産地の育成強化、この四項目につきまして万全な事業を実施すべく、従来の農業関係予算とは別枠で必要な予算を確保することと、今後更なる資材費、人件費等の上昇により影響が生じる場合には、適切に反映していくことを求めています。

 また、食料安全保障強化本部として必要な事業費の積み上げを行いまして、五年間で事業費ベースで二・五兆円、国費ベースで一・三兆円の確保をお願いしたところであります。

 これらの事業を着実に前に進めて農業の構造転換を図ることによって、農業の生産性向上と省力化、農業所得向上、次世代の担い手確保につなげることが喫緊の課題であると思っております。

 小泉大臣は既に大臣所信でこうした点について述べておられますけれども、改めて、農業構造転換の必要性の御認識と、その実効性確保のための別枠予算の確保に向けた大臣の決意をお伺いをしたいと思います。

小泉国務大臣 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 今、宮下委員から、決議についてのお尋ねがありました。先日も決議を手交に来ていただきました。ありがとうございます。

 その中でもありましたとおり、私は、この決議の中の、今動かなければ手遅れになるという言葉が非常に重いというふうに思っております。まさに今、備蓄米の対応も、米の価格の高騰を手をこまねいていたら、輸入米が更に棚を占め、そして消費者の皆さんの米離れを加速させかねない、今我々政府が動かなければ手遅れになりかねない。この思いで取り組んでいますが、今後の構造転換に関する予算、別枠で獲得せよということにつきましても、自民党の皆さん、また衆参の与野党の垣根を超えた皆様方から、この予算の強化を言われております。そういった思いをしっかりと政府の中でも努力をしまして、結果として実を結ぶように全力を尽くしたいと思います。

宮下委員 力強い決意をいただき、ありがとうございました。

 財源の確保については、もちろん財務省にも御理解をいただくことが重要でございます。先ほど申し上げましたような構造転換を早急に図らなければ農業の未来を開くことは困難でありますし、逆に、この五年間、全国で構造転換に取り組めば、農業が成長力を持った持続可能な産業に生まれ変わることができるというふうに考えております。こうしたことを踏まえて、是非、予算確保について、財務省の御理解をいただきたいと考えております。

 別枠予算の確保について、財務省、今日は副大臣がお見えでございます。お受け止めを是非お聞かせください。

斎藤副大臣 宮下委員の御質問にお答え申し上げます。

 冒頭、委員から御発言のありましたような御決議がなされましたことは私どもも承知をしております。政府といたしましては、本年四月に閣議決定した新たな食料・農業・農村基本計画におきまして、農業経営の収益力を高め、農業者の所得を向上させるとしておりまして、財務省としても、その実現に向けてこの五年間で農業の構造転換を集中的に推し進めていくことが重要と考えております。

 こうした観点から、必要な事業を推進していくことができますように、所管である農林水産省と連携して必要な予算を確保してまいります。

宮下委員 非常に前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。是非しっかりお支えをいただければと思います。

 こうした構造転換を図るための基盤となりますのが地域計画です。地域計画は、農業経営基盤強化促進法に基づいて、全国の市町村、農業委員会、また農協や土地改良区の皆様などが連携して作成をされまして、この三月末に全国から約一万九千の計画が提出されたところであります。

 農林水産省がこのうち先行して策定された約四千六百地区の分析をしましたところ、地域計画によって農地の集約化が進展したものが一一%、現況地図にほぼ近い目標地図としているものが四五%、将来の受け手が不在であることが明確化しているものが四三%などとなっておりまして、現状の地域計画のままでは十年後に向けた構造転換が進まないことが明らかになってきております。

 このため、更なる協議の実施や地域の広域化、区域の見直しの実施などを通じた地域計画のブラッシュアップがどうしても必要と考えます。地域計画の中に農地の集約化や基盤整備を盛り込んだ地域では、将来の担い手の見通しが立ったところも多く、一方で、現況地図に近い目標地図しか作れていない地域では、将来の担い手の確保の見通しが立たない農地が目立っております。

 農業構造転換集中対策の予算を活用して、これまで中山間地などで規模が小さいために諦めていた基盤整備、水路改修、こうしたことも積極的に行うことで、スマート農業の導入や所得向上の道も開けてきます。

 したがって、農林水産省におかれましては、大臣を先頭に、これからが勝負だ、地域農業の未来の姿を描き、それに基づいて地域計画のブラッシュアップを是非お願いします、この強いメッセージを出していただきたいと考えています。

 同時に、地域計画策定の中心となって御活躍いただいた農業委員会の皆様にも更なる御活躍をいただかなければなりません。地域計画のブラッシュアップに当たっても、中核として御活躍いただくことを明確にしていただくことも併せて御検討お願いしたいと思います。

 この地域計画のブラッシュアップに向けて農林水産省としての決意を笹川副大臣からお聞きしたいと思います。

笹川副大臣 御質問いただきまして、大変ありがとうございました。

 今回の地域計画の策定につきましては、今委員から御指摘等々ございました。特に、農業委員会、市町村、土地改良区、それからJAの皆さん、様々な関係する皆様方に御尽力いただいて約一万九千地区ということの中での策定が三月末に提出をされたわけであります。

 今委員から御指摘ございました、本省としても四千地区先行しての分析ということを受けて、我々としては、やはり課題が浮き彫りになったということでありますから、これはあくまでもスタートと、スタートラインだったということでありますから、今ブラッシュアップという話がございました。これは間違いなくやっていかなきゃならないというふうに思っています。

 特に成功事例、好事例をやはり全国の人にも知ってもらって横展開を図っていく、そういった中での農業委員会の役割はますます大きいというふうに思っております。そういう意味では、農業委員会の皆さん方のインセンティブになるような形の中で、どういうふうな形で農業委員会がこれからも汗をかいていただけるのか、そのことも受け止めながら、ブラッシュアップの作業に入ってまいりたいというふうに思っております。

宮下委員 次に、少し中長期の話も含めてお伺いをしたいと思います。

 今回の米問題、米の需給バランスの在り方をどう考えるかという点であります。

 小泉大臣のリーダーシップで備蓄米の随意契約による放出も実現をして、安い価格の米を求めている消費者の皆様に迅速に選択肢を提供したということは高く評価できると思いますけれども、一方で、入札による備蓄米も含め、多くの備蓄米の放出でトータルとして民間在庫量は増加しておりますし、また、足下の状況も踏まえて令和七年産米については約四十万トン増産となる見込みもありまして、全体の需給を考えると、今後その需給バランスが崩れる可能性もあって、こうしたことも危惧されます。

 今日、政府として米問題に関する関係閣僚会議が開催されて、今回の要因分析とか中長期的な課題について議論がスタートするというふうに伺っておりますけれども、今後の米の需給バランスの在り方について、今現在どういうことを考えておられるのか、御見解をいただきたいと思います。

小泉国務大臣 まず、備蓄米については、今朝、ファミリーマートさんにお伺いをして、今日からはコンビニさんでの販売が始まったり、こういった展開が面的な広がりを持って進み始めたことは、大変、民間の皆さんの御努力に感謝を申し上げたいと思います。

 そして、御指摘のありました今後の需給についてでありますけれども、これは今日の夕方に総理を議長として閣僚会合が始まります。こういった中でまずはやらなければいけないことは、なぜ今のこの米の価格の高騰が起きてしまったのかという原因の分析、これはしっかりとやらなければいけないと思っています。

 そしてまた、流通の面での課題も多々指摘がありますので、流通の可視化、そしてまた、そこから見えてくる課題を特定した上での流通の適正化、こういったことに力を注いでいかなければならないと思っています。

 また、中長期を見たときに、価格の変動でも米農家さんが安心して農業を営むことができるようにするためには、令和九年度以降の新たな水田政策、転換をしていきますので、この中で与野党の皆さんの御提案も含めてテーブルにのせた上で、セーフティーネットづくりをしっかりと議論をして考えていきたいと考えております。

宮下委員 流通の可視化という話もありました。なかなか、米の流通、見えなかったというところもあったんですが、今日お配りした配付資料一を見ますと、今年になって価格高騰を受けて改めて小規模の集出荷業者、卸売業者の皆さんにも調査をかけて、いろいろなところも推計をして、こういう新たな米の流れが見えてきています。

 これは今回臨時で初めてやったということですけれども、私自身は、よく言われているように、今回、元々JAに対する集出荷が絞られてきていたこと、それから、去年八月の南海トラフ地震臨時情報で在庫積み増し需要が急増して、欠品も発生して、それで、それを見ていろいろな方々、主体が在庫を積み増した、こういうことで、消費者段階以外でも十九万トンの在庫が、おととしまではなかったところに在庫がある、こういうこと。それから、高温障害による精米歩留り率の低下による供給量の減少とか、インバウンドによる米需要の増加とか、その他の商品に比べて当時割安感があった米に需要の集中が発生したとか。

 いろいろ要因は言われておりますけれども、こうしたことも是非今後は定時的にしっかりモニターできて、そして、この需要予測の精度を高めていくというのも重要じゃないか。また、その状況を生産者、消費者、国民の皆様に適切に開示していくことが米の安定的な取引にもつながると考えます。農林水産省の見解をお伺いしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 米の需給見通し、この中の需要の見通しにつきましては、現在、これまでの需要実績を各年の人口で割りまして、各年の一人当たりの消費量を算出し、トレンドを踏まえて、一人当たりの翌年の消費量を推計し、人口を掛ける、こういったことで計算しております。

 また、こういった需要の見通しに加えまして、今年は、委員御指摘のとおり、小規模事業者に対する調査も追加して実施しております。

 将来の需給の動向を見通す、あるいは現在の需給動向を把握する、こういったことは極めて重要と考えておりまして、米の需給の安定を図るためにも、できるだけ精度の高い需給見通しと需給の把握、こういったことに努めてまいりたいと考えております。

宮下委員 最後に、食料システム法との関係について、一つお訴えをしたいと思います。

 時間が来ましたので御指摘だけにとどめますけれども、資料の二を見ていただきますと分かりますように、食料システムと産業構造は、大きく変化してきております。

 二〇二〇年はコロナ禍でしたので外食産業の割合が大きく減少しているというような影響はありますが、一番大きく特徴的に言えるのは、一九八〇年と二〇二〇年を比べると、国内消費は四十九兆円から七十六兆円に約一・五倍に増加しているにもかかわらず、国内生産の生産者売上げが十二兆円から九・六兆円、約二割以上減少しているということでありまして、こうした流通の流れを是正するためにも、コスト指標をしっかり算定をして、米についても再生産可能な取引が食料システム法の施行によってなされることを期待しております。

 今参議院で審議中ということでございますが、是非これを実効あるものにしていただくようにお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、葉梨康弘君。

葉梨委員 自民党の葉梨康弘です。

 宮下委員の最後の質問の続きのような質問になります。

 今日は、小泉大臣に、いろいろとちょっと私なりの分析をお話をしながら、最後に御意見もいろいろと伺いたいなというふうに思っています。

 やはり、今後の米政策の上では、おっしゃられたように、今年の米騒動の検証というのは絶対に必要です。

 さて、そこで、令和六年産のお米は足りていたのかどうか、まずそこから押さえなければいけません。令和六年産の主食用米の生産量、令和六年から七年の夏にかけての米の消費量の予測、これの数字を教えてください、松尾さん。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、主食用米の需給につきまして、令和六年産の生産量は、前年より十八万トン多い六百七十九万トン、民間在庫百五十三万トンと合わせて八百三十二万トンの供給量。一方、これに対する令和六年七月から令和七年六月にかけての需要量は六百七十四万トンというふうに見通しておりまして、この結果、需要量を上回る供給量ということになっております。

葉梨委員 一応、生産量が需要量を上回っているということなんですけれども、先ほど宮下委員の使われた、私の配付資料一、これにあるとおり、十九万トン在庫が一月の段階で増えているわけです。ですから、それだけとしても、六百七十四万トンの需要量で、更に在庫を積み増すと六百九十三万トンです。ですから、需要が供給を上回ってしまう。ですから、今年に入って米価がつり上がった一つの要因だろうというふうに思います。

 しかも、卸や小売の人たちは、その在庫は結構高く買っている可能性があるんです。資料の二を見ていただきたいと思います。集荷業者以外の方が、卸や小売に六十キロ当たり四万五千円とか五万円とか、これで売っているということなんですが、これは本当にこんなに高く売っているんですか。どこでこれは調べたんですか、松尾さん。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の集荷業者以外の業者間の取引ということで、スポット取引ということが業者間の業界紙、そういった報道等のところで一般で知られておりまして、我々もそういうところからこういった数字を拾っているところでございます。

葉梨委員 大臣、もう見ていただいて如実に分かるとおりなんですけれども、ここから私は二つほどのことが読み取れるかなというふうに思うんです。

 一つは、お米が今年高くなった要因、何か集荷業者であるJAが悪いというような見方もあるんですが、むしろJAの力が弱まって集荷力がなくなった、これも一つの大きな要因だということですよ。

 それからもう一つは、この四万五千円から五万円、これは五キロに精米すれば五千円ぐらいになります。それでもう既に卸の方や小売の方、中食、外食が買っていたんです。とすると、集荷業者に備蓄米を卸しても、そこから卸、小売に流れる前に、卸や小売の方々は既に買ってしまったお米から先に出さないと損になってしまう。なかなか、これが届かなかった要因だと。

 これが二つ、読み取れると思います。

 その意味で、大臣が決断をして、小売に直接届けるという緊急的な措置を取ったということを私自身は評価をしている次第なんです。

 そこで、話題をまた在庫の話に戻したいんですが、実は、約十九万トン積み増されているということなんですが、これは大分前から私、今年に入ってから農水省の方に、こういう分析じゃないのと言っているのは、やはり、南海トラフの臨時情報が出ました、それで欠品が出ました。特にスーパーの方々というのは大変欠品を恐れる、欠品が出たら幾ら高くてもいいから買う。欠品を出さないためには、今まで冷蔵庫を空にしていたわけです。今まで供給が需要を上回っていましたから、トヨタのかんばん方式みたいに、電話一本で来たわけです。ところが、ある程度ないといけないよということで、冷蔵庫にお米を積み増すようになると、在庫が増えました。

 私は、ある大きな弁当屋さんに聞いたら、今までは一万トン買っていた、去年は一万五千トン買った、でも、今年からは一万トンに戻します、そういうようなお話だったんです。ということは、今年、これだけ在庫が積み上がって、需要が供給を上回ったけれども、本当に来年これが続くのか。これは検証しないと、大変な疑問です。

 インバウンド、これがどれぐらいの影響があるかということなんですが、令和五年と六年を比較して、インバウンドによる米の需要は、どれぐらい増加したと推計しているでしょうか、松尾さん。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 インバウンドという御指摘でございます。訪日外国人による米の需要量につきまして、滞在期間に基本的に一日二食米を消費される、そういった仮定を置きまして、一日当たりの消費量と訪日外国人の数を乗じる、こういった算出をしたところ、令和五年は約四万トン、令和六年は五・二万トンということで、一・二万トンの増加ということで試算しております。

葉梨委員 そうなんです。

 一・二万トンの増加ですから、インバウンドの需要増がそれほど有意な影響があるということは思えないんですよね。このように、私の仮説がもし正しいとすれば、この秋以降の需要量は、実際に人の胃袋に入る需要量にずっと縮小していく。そうすると、再び過剰生産の問題が生じかねません。

 元々日本の田んぼは二百四十万ヘクタールあって、そこで全部お米を作れば一千二百万トン取れてしまう。一千二百万トンで、需要量が七百万トンですから、需要に応じた生産というのはこれからやはり基本になってくるんだと思うんです。令和七年産米は増産基調と聞きますけれども、これから米を増産するか否か、これには徹底的な検証、これが必要だということです。

 そして、最近よく話になるのは、お米の適正価格が幾らだということなんです。

 資料の三を見ていただきたいと思います。これは、大臣も私も関東地方です。令和四年のコスト指標、これによると、五キロ換算で一千八百五十八円。農家は赤字で出しています。コストはもっと上がっているはずです。令和四年が一万三千六百二十円でした、関東地方では。

 令和五年産米での玄米六十キロを生産するのに必要なコストというのは幾らだったでしょうか。全国平均で結構です。

深水政府参考人 お答えいたします。

 米の生産コストを把握しております農産物生産費統計のデータにおきまして、令和五年産の米の生産費の全国の平均を見ますと、六十キロ当たりで一万五千九百四十八円となっておりまして、令和四年産の当統計におきます全国平均と比較して四・四%更に上昇しているということでございます。

葉梨委員 お分かりのように、五キロ、精米で二千円だ、しかも、令和四年のような、通常の卸がそんなにたくさんもうけていない状況ですと、やはり、五キロ二千円というのは、農家にとってはなかなか再生産ができる値段ではないということが一つなんですが、私、もっと実は心配しているのは、今年の秋なんです。

 もうお聞き及びだと思いますが、令和七年産米については、既にJAなどの集荷業者は、六十キロ二万円台半ばで播種前の契約を農家と進めている。集荷業者以外の業者は、更に三万円という値段を出して農家から買い取ろうとしている。とすると、買取り価格は、令和六年産米よりも高いんですよね。もしも、令和六年産のような形で、間でマージンが積み上がるということになると、もうそのときには備蓄米の放出余力はありませんから、お米の値段は更につり上がってしまうということも考えられるわけです。

 そのためには、まず今緊急にやらなければいけないのは、流通業者とけんかするんじゃなくて、しっかり対話をして、すぐに流通改革というのをこの秋にやるというのは難しいから、この秋のためには、まずは流通業者としっかり対話をして、適正な流通で流してもらう、高くなり過ぎないようにする。そこのところを対話していくこと、これが必要だと思いますし、さらには、可能性はいろいろなことを考えなきゃいけませんので、さっきも言ったとおり、もう今年の秋には過剰在庫がうんと積み上がる可能性もあるわけです。そうなりますと、投売りが始まってしまって米価が暴落するという可能性もないではない。いろいろな可能性を考えなければいけません。

 そして、最後、大臣、今まで議論をしてまいりましたが、今後の米政策のかじ取り、これに当たっては、昨年から今年にかけての米価高騰要因をしっかり検証していくことが必要です。それに加えて、特に今年秋の米価、この対策が非常に大事なので、これについては、今申し上げたようないろいろな可能性を考えて、秋以降のシミュレーションをしっかり行って、流通業者とも対話をしていく、そういうことが必要だというふうに思います。大臣から御所見をお願いします。

小泉国務大臣 葉梨先生の分析、そしてまた今後についての御提言、私としては、共感を持って聞かせていただきました。あらゆるケースを想定して構えておく、これは行政の鉄則ですから、しっかりとそのとおり、あらゆるシミュレーションを行っておきたいと思います。

 なお、今、米の高騰が続いている中で、やはり相当マインドを変えていかなければ、この価格の高騰は収まらない、こういった思いで、あらゆる選択肢を決して排除することなく取り組んでいきたいと思います。

 備蓄米を放出した後はどうするんだということはよく言われますけれども、ミニマムアクセス米、こういったことも含め、このマーケットの動きを毎日よく見ながら、今日の日農さんの報道では、卸と、そしてスポットの、こういった価格が一〇%近く下がった、こういった報道もあります。そして、今日のコンビニさんも、備蓄米の販売のみならず銘柄米の値下げキャンペーンもやってくださると。こういった形で、全体の価格に対して効果のある様々な取組が、また動きが出てまいりました。

 そういったことを合わせて、秋以降どうなるか、両面の対応をしっかりと進めていきたいと思います。

葉梨委員 お米の価格は、高ければいいというものでもありません。また、安ければいいというものでもありません。ジェットコースターのようにお米の価格が乱高下するということになったら、もうお米を作る人はいなくなってしまう、そのことを大変危惧をしています。

 ですから、今おっしゃられたように、しっかりとあらゆる可能性を考えながら、消費者も安心して買える、生産者も安心して作ることができる、そういう米政策に是非持っていくように、私たちも知恵を出させていただきますので、よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 おはようございます。米どころ秋田県出身、国民民主党、村岡敏英です。

 小泉大臣に質問させていただきたいと思います。

 二〇一五年に内閣の政務官でいらっしゃったときも、TPPの件で何回もやり取りをさせていただきました。そのときは、TPPに反対した自民党の議員のことをお話ししましたら、自民党はいろいろな意味で懐が深いという話をしましたが、今、米の高騰は、もしかしたらマスコミが言っている闇が深いかもしれませんので、しっかりと対応していただきたい、こう思っています。

 まず初めに、食料の安全保障に関してお聞きしたいと思います。

 二〇一五年に、安倍総理大臣に予算委員会でこの写真を示して質問しました。そのとき、安倍総理が、日本は食料自給率が非常に低い、もし世界から食料が入ってこなければ、日本はやはり一挙に食料不足に陥ってしまうというような答弁とともに、麻生副総理が隣にいたんですが、これだけ食料を海外に依存していると、麻生家といえども買えないというようなことを話しておりました。

 それで、小泉大臣、国民にとって食料は命ですよ。命の食料の安全保障という観点において、この写真を見てどう感じるか、農林大臣として、政治家としてお答え願いたいと思います。

小泉国務大臣 この写真を見て、農水大臣としては、こういった食料危機を起こしてはならないという、その思いがまずあります。

 それと同時に、今、学校などでは田植作業とか様々、校庭の一部を使いながら農業体験、こういったものができる機会というものはこれからも後押しをしていかなければいけないので、我々国会議員にとっても、国会の敷地内でこういった農作業をやるかどうかは別としても、我々、現場に対する理解、これは不可欠だと思っています。

 なお、まさに今、こういった備蓄米のこと、お米のことが連日話題になるように、私はこの機会を、国民の皆さんを、生産者、消費者双方の一致する点を見つけ出す、こういったきっかけにしなければならないという思いがあります。

村岡委員 是非、米がこれだけ高騰が続いているのは消費者にとっては非常に苦しい状況です。それをしっかりと抑えていくということと、また農業が再生産できるということをやっていただきたいと思っています。

 そして、今の農家の現状なんですけれども、日本は、基幹的農業従事者数が、二〇〇〇年に二百四十万人いました。今、二〇二四年の現段階では百十一万人、百万人以上減っている。基幹的従事者の年齢は、七十歳以上が六割。農地は毎年三万ヘクタール減少している。そして、今日の農業新聞にも書かれておりましたが、十年後、耕作者が不在になるのが六割にもなるような予想。本当に危機的な状況です。

 ここで農業者、そして農地を守っていくということになれば、米の価格の高騰を抑えることはもちろんですけれども、農業者に対するメッセージをしっかりしていかなければならない、こう思っております。

 そこでなんですが、まずは米の方から質問したいと思います。

 米の高騰、資料の二枚目を見てください。

 これは在庫ですけれども、六年―七年と書いてある三月というところ、百七十九万トン、その上を見ると、二百十四万トン、二百五十一万トン、二百七十万トン。やはり、足りなかったんじゃないか。目詰まりと言っていますが、これはしっかり調べていただきたい、こう思っています。それに対して、下に、相対取引価格が連動して上がっています。

 そして、次の資料三を見てください。

 お米五キログラムの価格推移ということで、二〇二〇年の五月は千九百八十二円。これは、もう完全に再生産なんかできないような状況です。そして、二〇二五年四月、四千五百四十三円。余りにも高い。そして、今日の東京新聞に載っておりましたけれども、この価格はもう消費税に換算すれば一二・四%とか三%、そんな状況。

 ですから、今、小泉大臣が、これだけ熱を帯びて高騰しているのを冷ますためにということは非常に思い切った政策だ、こう思っております。しかし、これはどこかに出口戦略がなければならない。これはどのように考えているのか、教えていただければと思います。

小泉国務大臣 まず、今から出口戦略を話すのはちょっと早過ぎるという認識です。やはり、今、マーケットと向き合っている中で、あらゆるカードは選択肢に置いて、どんなことがあっても、仮に批判があっても絶対にこの価格抑制を実現をする、この覚悟を持ち続けなければそう簡単にマーケットは転換しないというふうに思っていますので、そこは御理解をいただきたいと思います。

 一方で、今、村岡先生が資料三でお示しをいただいたお米五キロの価格の推移を見ても、やはりこの上がり方は異常なのがよく分かると思います。ここを何とか抑えなければいけない。四千二百円の平均価格がおかしいのではなくて、上がり方がおかしいわけです。やはり、ここは、今の日本の物価と賃金の水準を考えても、段階的に物価やこういったものというのは変動しなければ、生活や家計に大きな影響を与えます。

 そして、もう一点。東京新聞の、これは三菱総研の試算でありますが、仮にこの四千円のお米の状態が半年続くと、家計に対して一兆四千億円の支出増を強いることになり、結果、それは、食料品にかかる消費税率が八%から一二・四%に上がるのと同等の影響があると。私は、この試算は非常に重いと思います。

 ですので、今回、様々賛否両論はあるかもしれませんが、二千円の備蓄米をもってこのマーケットを一回落ち着かせにいく、こういったことに対する御理解が得られるように、生産者の皆さんに対しても丁寧に説明をさせていただきたいと思います。

村岡委員 そうですね。今、出口戦略を言うとマーケットが冷えない、これはもう賛成であります。同時に、農業者にしっかりと説明していただくことが大切だ、こういうふうに思っております。

 そして、資料五を見てください。

 先ほど、自民党の委員の方からもありましたが、流通の中で、農業新聞に書いていた中で、このように流通で上乗せ額があります。自由主義経済であり、資本主義社会ですから、どれだけもうけるかをそれぞれに規制することはできません。しかし、この流通過程が非常に米の高騰を起こしている原因の一つだと考えられます。

 その中で、小泉大臣が思い切って小売に売って、そして消費者に二千円、千八百円で届けようというのは、非常に困っている人たちが喜んでおります。この流通の改革ということには、これからどのような改革をしていこうという方針なのか、教えていただければと思います。

小泉国務大臣 流通の改革につきましては、今、小売側からも、ほかの食料品と比べて米の流通というのは極めて複雑怪奇だ、そしてブラックボックスがある、こういった指摘が多々寄せられています。まず、一体、米の流通というのはどういった状況なのかを可視化をさせたいというふうに思っています。

 そして、今、資料五で、集荷、そして卸、小売、段階を経るに当たってこれだけ乗ってくるという話がありましたが、今、社名は言いませんけれども、卸の大手の売上高、営業利益、これを見ますと、ある会社は、売上高は前年比一二〇%を超え、営業利益は何と対前年比五〇〇%ぐらいです。そして、ほかの大手卸も営業利益は二五〇%を超えていますね。やはり、こういったことも含めてよくお考えいただきたい、そういうふうに思っております。

村岡委員 まさにそのとおりだと思うんですね。その会社とかの名前は挙げなくてもいいですけれども、これ、政府の備蓄米ですよ。税金で買ったものに対してこれだけの利益というのは、やはり国民の目に見てもらわなきゃいけない、流通革命というのはやはり必要だ、こういうふうに私も同じ思いを持っていますので、是非それは行っていただきたい、こういうふうに思っています。

 そこで、農業者に対してなんですけれども、大臣が言われるように、余りにも高いと、やはり米離れが始まってしまいます。そのためにも、手頃な値段というのはなかなか難しいんですが、やはり今の異常な上がり方を抑えなきゃいけない。

 そして、もう一つ、農業者にとって、そして日本の農業にとって危機的なのが、これだけ高騰した値段だと、日本の外食や中食、この部分において、今、輸入米が、関税を払っても入ってきています。まだまだ量は少ないです。しかし、外食や中食は二百万トン以上あります。ここにどんどん外国米が入ってくると、日本の稲作農家はもうどんどん衰退していく。その危機感は大臣も共有されているか、お答え願えればと思います。

小泉国務大臣 おとといの朝日新聞一面でもあったとおり、昨年と比べて海外からの輸入米が八十倍という状況ですから、既に棚の一部は外国産米に奪われていると言っても過言ではない面もあると思います。ですので、今回の備蓄米を放出をするということについても、外国産米に対するシフトが行かないように、そして消費者の米離れを加速させないように、こういった思いをしっかりと生産者の皆さんにも伝えたいと思います。

 そして、今、村岡先生からは、輸入米の一部が中食、外食でも活用されているということがありました。現実に、我々、国会の中にある牛丼チェーンさんだって使っていると思いますし、我々、そういったところで食べれば、結果として食べている、これは意識してもしていなくても。

 こういった状況が今ある中で、ある大手スーパーさんは、高い関税を払ってでもなおカリフォルニア米を輸入をし、そしてそれを棚に並べています。現実、その大手スーパーさんから話を聞きましたら、そのお米は一定売れるそうです。一方で、日本の国産の銘柄米を、高いので二キロパックで売っているけれども、それが売れないと言っていました。そして、麺とパンとシリアルが売れる。やはり、米から小麦へのシフトが、私が北海道のスーパーさんに聞いても、特に年金の生活者の方の中に、お米を我慢して、パン、麺、シリアルに消費行動が変わってきている傾向が見られるということを聞きます。

 だからこそ、異例の措置ではありますが、随意契約による備蓄米の放出をしているということを、生産者の皆さんにも引き続き届けたいと思います。

村岡委員 是非、そういう考えの下で進めていただきたいと思います。

 土日、秋田に帰って、農家の方々へ行きました。やはり生産地なので、東京よりはやはり米が安いんです。しかしながら、その方々と話したとき、小泉大臣が二千円、千八百円、いや、不安だなと言っていましたが、逆に、私は言いました。いや、本当に米離れが始まったら大変ですよ、そして、さらには、中食、外食に外国産米が入ってきたら大変です、やはり手頃な値段でいかなければならない、そして再生産できる、これを小泉大臣に質問し、是非その方針を示していただきますよということで東京に参りました。

 そこでなんですが、私は予算委員会で石破大臣や前の農林大臣にも話しました。やはり、減反政策というのは大きな原因になっているんじゃないか、作れるものを作らせないという中でなかなか減反政策が終わらなかった結果、このような状況を招いたことの一つの原因になっている。今、この増産をしていきながら、米の稲作農家にしっかり作ってもらう、でもそこで価格が暴落しては駄目だということの中、直接支払いもしっかり考えていくということを石破総理にも話しました。石破総理も、増産とは言いませんでしたが、そのときは。

 大臣は、増産と直接支払い、我々は食料安保の基礎支払いと言っていますが、これを導入していく、また、テーブルにのせていただけるということを是非ここで言っていただければと思っております。

小泉国務大臣 よく、この増産という二文字に対して非常に今注目が集まっていますけれども、冷静にこれからの政府の目標を見ますと、既に増産なんですよね。

 二〇二三年の七百九十一万トンの米の生産量について、二〇三〇年には八百十八万トンまで増産させるKPIを設定をしています。ですので、農家の皆さんには、そういった方向性に向かって今進めているということと、あわせて、今直接支払いのお話がありましたが、私は部会長のときには収入保険にも関わりましたけれども、収入保険、ナラシ、こういった支え方を考える一方で、既に様々な直接支払いをやっていることも事実です。

 そして、村岡先生の、御党の御提案も含めて、与野党の垣根を超えた様々なカードをテーブルにのせた上で、令和九年度以降に水田政策の在り方を転換していくわけですから、そこに向けた議論の中で幅広く御議論をさせていただきたいと思っています。

村岡委員 是非そのようにお願いしたい、こう思っております。

 先ほど、今の農業の現状を話しました。今取り組んでいっても、これは幾ら頑張っても、だんだんと農業者が減る、農地が減るという現実があります。だからこそ今、手をつけなければならない。

 そして、自民党が決議で、基盤整備やスマート農業や、いろいろなことで二・五兆円、五年間というのがありました。これは野党の方もみんな、増額をやはりしていかなければ日本の食料は守れないというところでは一致しております。

 さらに、直接支払いとなると、石破大臣が、どんな方にそれを支払うのかということを言われました。それはいろいろな視点があると思います。技術の革新を求めたり、それから生産コストを落としたり、いろいろなことがあります。

 この前、秋田に帰ったときに、最後の資料の六番なんですが、この田んぼは乾田直播なんです。これは雨が降った日だったので少しぬれていますが、実は乾いた畑のようなところに田植をした後です。約三十町歩やっています。コストは約半分になるそうです。ところが、収量がやはり半分近くになってしまう。この収量は研究していかなきゃいけないということなんですが、意欲的に挑戦しています。

 このように、新たな挑戦をしている、そしてその作っている農業者は、法人の中の若い人が担当しています、二十六歳。この方と話をしたら、これはどこに向かって米を作っていますかと言いましたら、海外に向けて、そして海外の米とも勝負します、こう言っているんです。

 そういう意欲的な部分、この乾田直播というのはなかなかまだ研究の余地がありますが、これも一つのコストダウンであり、そして、増産の方に研究をしていけば日本の輸出米という戦略も見えてくると思いますが、小泉大臣、どのように思いますか。

小泉国務大臣 この乾田直播栽培というのは、安定的に収量を得るためには、適切な雑草の防除など独特の技術が必要ではありますが、今までの移植栽培と比較をしても作業時間の大幅な短縮を図ることが可能であって、生産コストの低減に資する技術として有望であると考えていて、国としても必要な機械の導入等を支援をしているところです。

 なお、今、村岡先生から、この若手の農家の方は乾田直播で作られたお米を海外に出したいという思いだとすると、是非、農水省の取り組んでいる施策の一つのGFP、グローバル・ファーマーズ・プロジェクトの事業にも、もしもまだ手を挙げておられなかったら、手を挙げていただきたいというふうに思っております。

 私は、実は部会長のときにこの事業を創設をするときに携わりまして、思いとしては、輸出を全ての農家さんにやりましょうといっても、なかなかそれはハードルが高いので、輸出をやりたいという方に手を挙げていただいたら、その方に対しての政策資源をしっかり投入する、伴走支援をする、こういった制度設計を考えたんです。

 ですので、是非、そんな制度もあるということをお伝えをいただいた上で、意欲を持ってチャレンジをする、そんな次世代の農家の皆さんを応援していきたいと思います。

村岡委員 時間が参りましたので、最後ですが、昨日秋田県議会があったんですが、新知事の鈴木知事は、米の主産県として、主食用米、業務用米、そして輸出米、それに挑戦しますということを県議会でも宣言しています。そのように変わってきていると思いますので、是非、大臣、よろしくお願いします。

 それともう一つ、最後に、新規就農がありますが、四十九歳から延ばせという方向もあるんですが、その若手の農家の方は、今の現状を考えて、三十歳以下の新規就農には倍のお金をつけてくれないか、そうなれば若い人が必ず農業に参入してくるというふうなことが言われていましたので、それも併せてお願いして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、小山展弘君。

小山(展)委員 立憲民主党、静岡県中東遠の選出の小山展弘です。

 今日は、もう大臣は覚えておられないかもしれないですけれども、先日、玉木国民民主党の代表と大臣の質疑のやり取りを聞いていまして、二〇一六年に、大臣がちょうど自民党さんの農水部会長でいらしたときに、分館の地下のコンビニの前で声をかけていただいて、一緒に改革をやりませんかと。私は、そのときにはもう法案も出ていましたし、いろいろ考えやスタンスの違いもあって、そのときはお断りを申し上げたんですけれども、ただ、いろいろこういう法案が出る前から、平時のときから、先ほど大臣も、いろいろな制度について、与党、野党の垣根を超えて選択肢として出していこう、与野党で超党派で取り組んでいこうということもおっしゃっていただいて。

 私も、去年の予算委員会の質問なんかでも、私どもは、戸別所得補償制度、今回も新たな農業振興策ということで制度を出しておりますけれども、こういったことを是非超党派で取り組んでいくということは大事なことだと思っておりますし、また、協同組合振興研究議員連盟、これは御党の森山幹事長が会長をやっておられて、また、石橋湛山研究会、これは岩屋大臣と篠原衆議院議員、それから古川元久衆議院議員が共同代表をやっていまして、先日、岩屋大臣と中谷大臣が勉強会に、現職閣僚が二人も出席して私もびっくりしましたですけれども、そんな会もありますので、大臣、お時間ございましたら、また是非お越しいただければとも思います。

 質問に入らせていただきたいと思いますが、五月二十七日、衆議院で、五月二十八日、参議院で、国際協同組合年に当たり協同組合の振興を図る国会決議が可決をされました。大臣にも御賛成をいただきました。趣旨説明をした提出者として、改めて、この場で言うのもなんですが、感謝申し上げます。ありがとうございました。

 大きな規模の協同組合を所管する農水省の大臣として、当国会決議の受け止めについて、本会議では共助社会担当ということで三原じゅん子大臣が受け止めの発言をされましたけれども、農水省の大臣として、また、四月八日に江藤前農水大臣が、国際協同組合年に当たり、政府の、協同組合、農水省所管の協同組合の果たす役割について一定の評価を行う答弁をしておりますけれども、こういった江藤大臣の答弁を小泉農水大臣も引き継ぐかどうかも含めて、認識をお尋ねしたいと思います。

小泉国務大臣 前大臣の江藤大臣の思いを引き継いでまいります。

 国会決議につきましては、農協や漁協、森林組合を始めとする協同組合の振興を求める内容であると承知しております。この趣旨については、私自身、大いに賛同するところであります。

 そして、我が国の農協や漁協、森林組合の役割については、江藤前大臣が答弁をしたとおり、生産面の指導や農林水産物の販売、農林漁業の生産に必要な資金の貸付け、共済や日用品などの販売、こういった事業を総合的に行うことで、農林漁業や地域社会の維持発展に重要な役割を担っていると承知をしております。

 引き続き、農林漁業者のための組織として、農林水産物を高く売れるマーケットの開拓や輸出拡大により一層力を入れていただき、農林漁業や地域社会の持続的な発展に貢献していただきたいと考えておりまして、農林水産省としても、国会決議の趣旨を踏まえ、農協、森林組合及び漁協の振興を後押ししてまいりたいと考えております。

小山(展)委員 大変前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 国会決議のときには、原稿どおりに、余計なことは一切言うなということでしたので、そのまま読ませていただきましたけれども、今の大臣の発言も聞きまして、全国の協同組合の組合員さんや、あるいは役職員の皆さん、是非、誇りと使命感を持って日々の業務に邁進をしていただきたいと思います。

 配付資料を御覧いただきたいと思うんですけれども、これは山陰中央日報の記事ですけれども、島根県が調査して、調査結果を島根県の県議会の農林水産商工委員会で答弁をしたというようなことですけれども、これによりますと、二〇一九年から二〇二三年産の米単価、五キログラム二千五十四円から、二〇二四年産米の、お米の価格は三千九百二十一円、これは五キログラム当たりですね。千八百六十七円高騰したと。

 この要因について、卸、小売要因が千三百七円、JA要因は二十二円、生産者概算金が五百三十七円と算出をして、価格高騰は、卸、小売事業者の在庫を確保しようという心理が主要因と分析しております。

 そこで、農水省に伺います。

 この分析は、島根県に限ったことなのでしょうか。全国的にも敷衍できるのでしょうか。あるいは、この島根県の分析自体についての評価、見解をお尋ねしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 令和六年産のお米につきまして、集荷業者への生産者の出荷量が減少する中で、これまで、卸、実需者におかれましては、大手集荷業者からの供給、こういったものが減少したため、例年と異なる調達ルート、いわゆる業者間の取引市場からスポット的に、高い価格で仕入れることとなった。

 こういった中で、米の不足感、こういった関係者の不足感が継続する中で、例えば販売量を抑制する、こういう観点から、店頭価格も引き上げる、こういった動きが流通のところで出てきていたものというふうに考えております。

 こうした点では、御指摘の島根県の分析につきましては、農林水産省、我々としても、重なる点が非常に多いというふうに考えております。

小山(展)委員 鈴木宣弘教授によると、二〇二三年まで、農家の方の九三%が赤字であったと。このことからしますと、生産者、農家要因五百三十七円分増加というのは、これは自然なことではないかなと思います。

 注目したいのはJA要因なんです。倍ぐらい、千九百円ぐらい上がった中で、僅か二十二円しか上がる要因になっていない。まさにこれは、物価高の上昇分と言ってもいいのではないかと思っております。

 先ほど、小泉大臣が答弁の中で、マーケットの中で高く売ると。ここのところが非常に、今日はちょっと質問でできないかもしれないですけれども、確かに、生産者や組合員さんの共益というか、利益を増進するという意味では大事な視点だと思いますし、それはもう否定されるものではない。

 だけれども、このお米の状況で、もしもJAさんが、更に価格を上げていこう、もうかるから、生産者にとって還元もできるから、もっと価格を上げていこうというようなことをしなかったわけですけれども、もししていたらどうなるのか。あるいは、集荷が今回、全国で三十一万トン足りなかった。集荷業者に、いわば、もっと高く買いまっせと来たような人たちに負けないように集荷価格を上げよう、そうなると当然店頭価格も上がってきますから、そういう行動を取っていたらどうなっていたか。もっと価格が上がった可能性があるんですね。

 ですから、私は、JA要因が僅か二二%というところに注目したいと思いますし、農協法の趣旨、組合員さんに最大の奉仕をするということも踏まえつつ、やはり農協が、ある意味、今、農協法が二〇一六年に変わったんですけれども、非営利を旨とする協同組合である、この協同組合が地域の中で存在をして、地域に貢献する公器である、こういう理念がやはりバックボーンにあったから、まさにこのような社会的使命を果たそうというところで、過剰な利益、無制限の利益を求めない、そういう対応をしたのではないかなと推察をいたします。

 そこで、もう一度、協同組合のことについてお尋ねしたいんですけれども、二〇二〇年、労働者協同組合法が議員立法で全会一致でこれも成立しました。大臣も賛成していただきました。私は、このとき実は浪人中でして、事務局でお手伝いをしていましたが、議連でこれを取り組んでいくというときには現職で、二〇一七年、超党派議連でこれを取り組んでまいりました。

 この中でも、労働者協同組合法において、持続可能で活力ある地域社会の実現に資するということを目的とするということが第一条でうたわれております。また、今般の協同組合振興の国会決議でも、持続可能な地域社会づくりに当たって、その有力な主体として協同組合を位置づけると述べられております。そして、今まさに大臣の答弁の中でも、地域社会づくりに役割を果たしているんだという答弁、ちょっと一言一句合ってはいないかもしれませんが、そういう趣旨の答弁がありました。

 私は、地域社会づくりへの貢献をしていく、こういう内容の、労働者協同組合法にあるような文言を農協法に加筆をする、そういう改正をしたらいかがかなと思いますけれども、大臣の御認識をお尋ねしたいと思います。いや、大臣と言っています。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 農協に関する議員御指摘の地域社会づくりの貢献につきましては、現在、農協法の目的規定におきまして、組合員たる農業者の経済的社会的地位の向上を図る旨が定めてあります。

 その上で、この目的に基づきまして農協の行う事業といたしまして、農村地域の維持発展に資する生活に必要な物資の販売などの事業を規定をしており、現行農協法を改正をしなくても、地域社会づくりへの貢献の内容というのは既に盛り込まれているというふうに考えております。

小山(展)委員 通告では大臣ということで申し上げておりまして、また、そういうことで農水省の方からも、特に、ここのどなたが答弁するかということではそごがありませんでしたので、今そのように参考人の方が答弁されたのは非常に残念に思います。

 その上で、ICAの協同組合原則というのは、一九六六年、九五年にも改定されているんですね。

 元々、農協法というのは、産業組合法はその前からありました。事実上、組織としては産業組合が私は源流だと思っています。農林中央金庫は、産業組合中央金庫の解消で農林中金となっておりますので、大正十五年設立なんですね。こういったことから考えても、本来は産業組合法が源流だと。ただ、農協法としては、これは昭和二十三年に制定されておりますけれども、そのときには、実は、地域社会への関与ということが国際的にもまだ原則として認知されていなかったんですね。

 だけれども、二〇二〇年ではそういうことも書き込まれておりますし、また、今回の協同組合振興の国会決議にも記載されているわけですので、確かに今も、やってはいけないということにはなっておりませんけれども、より、これから中山間地域で、まさに営利企業が市場競争で、競争しながら地域のニーズを満たしていくということができない、競争すら、競争にならないような、村で、あるいは地域で一つの生活インフラをどうやって維持していくか、こういうような地域というものがどんどん出てきているわけです。その地域の課題を解決して、これは経産省でもどこでも、こういうようなことにどう対応していくか、農村RMOなんかもそうだと思いますけれども、そういう中で、やはり非営利組織の活躍というものが求められている。

 労働者協同組合もそういう観点から、あるいは、細田先生が前に作られた特定地域づくり協同組合というのも、そういう観点から法律が議員立法されたわけですけれども、こういう地域の中にあって最もインフラあるいは手段を持っているのは、私は農協さんだと思っています。この農協さんが更に、もちろん、無理して赤字を出したりとか、あるいは、組合員さん、農家の皆様方の農家所得の増加に最大限の役割を果たすということは大前提ですけれども、やはり地域への貢献というところをもっともっと意識してやっていくというのは協同組合として当然のことだと思いますし、この部分をもっとしっかり前面に出すということからも、私は改正を是非お願いしたいと思っております。

 それで、少し、二十分で今回は時間が短いですので、順番を入れ替えさせていただきたいと思いますが、今度は、通告もしていますので、大臣にお願いしたいと思います。

 経産委員会では下請法の改正が行われました。石破内閣としても、価格転嫁を進めて賃上げを促進し、国民所得を上げて、経済の好循環をつくり出していこうとおっしゃっております。小泉大臣も、大臣就任前は経済産業委員会の理事をされていらっしゃって、下請法の改正を通そうということで進めておられた側にいらっしゃったわけです。

 農業生産も、当然のことながら、輸入物価高騰に起因するコスト高、資材高で価格転嫁が必要であると考えますけれども、農業における価格転嫁の必要性について小泉大臣がどのような認識を有していらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。

小泉国務大臣 小山先生と思いは全く同じで、だからこそ、衆議院の方では既に可決をいただいた食料システム法案というのがその一助となるというふうに期待をして、今参議院の方で審議中でありますので、その意義をしっかりと御説明をさせていただきたいと思います。

 なお、御指摘いただいたとおり、私は大臣就任前まで経産委員会の筆頭理事を務めておりましたので、下請法のような、しっかりと働く方が報われる価格転嫁とそして賃金への反映がされる、こういったことが農業分野においても当たり前だと思っております。

 今回、食料システム法案の中では誠実な協議を求めておりますけれども、ひどい対応をするところがあったら、下請法に位置づけているような、まさにGメンのような、そして公取の出番だ、こういったことぐらいの思いで、私は、食料システム法案の、これから仮に成立をした暁には、運用面でしっかりと御理解を関係者に得ていくような努力はしたいと思います。

小山(展)委員 是非、今日はお米のことが大きなテーマですけれども、お米についてもやはり生産者の再生産可能な価格というものが必要だと思いますし、私の地元でいうとお茶ですね。これは、価格の部分で上げていくという部分と、もう一つはやはり、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、時としてハラスメント的な、業者間、生産者と流通業者さんの上下関係というものがやはりあるんですね。まず、この不等な上下関係のようなものをなくして、対等なパートナーシップだ、こういう意識をつくっていかなければいけない、それが結果としてやはり価格にも反映してくるといいと思っておりますけれども。

 農水省にお尋ねしたいと思います。

 農水省は、お米について再生産可能な価格というものがどのぐらいのものであるか、お尋ねしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 再生産可能な価格ということで一概に申し上げることは困難ではございますけれども、その上で、全国平均の米の生産費ということであれば、令和五年産の六十キロ当たりの生産費は一万五千九百四十八円、例えば十五ヘクタール以上ということであれば、一万一千四百四十九円となっております。

小山(展)委員 今、生産費のことで答弁をいただきましたけれども、これから、食料流通、この適正化ということで、法律も通ってやっていかれるんだと思うんですけれども、やはりここで、適正価格はこのぐらいだ、再生産可能な価格は、店頭価格だったら五キログラムこのぐらいだというようなものをやはりお示しいただいて、まさに食料・農業・農村基本法も、消費者への理解を進めていくということも大事な視点ですね。まさに消費者でもあり生産者でもある。ですから、本当は、国民的な農業生産、食料生産に対する理解の醸成というのが非常に大事だと思っております。

 ちなみに、今、鈴木宣弘教授、あるいはJAの関係の方に伺いましたところ、多分、与党の先生方も同じような認識だと思いますが、現状においては、肥料の高騰あるいは資材の高騰もまだありますので、五キログラム店頭価格三千五百円ぐらいが再生産可能な範囲の下限ではないかと言われております。こういったことも併せて農水省がしっかりと算出をした上で、是非、国民の皆様方にも理解の醸成を図る先頭に立っていただきたいと思っております。

 もう一つお尋ねしたいと思います。

 米離れを防ぐためというお話もございました。米離れ、まさに今起きているというわけではなくて、ずっと続いているんですね。毎年十万トン需要が下がってきております。これが米離れだと思います。米離れは日本だけの問題ではありません。韓国やあるいは台湾島など、東アジア各国でも見られていると言われております。

 こういった米離れの原因について、どのようなものであると農水省は認識しておりますでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 米の一人当たりの消費量、これにつきましては、昭和三十七年度の一人一年当たりが百十八キロ、これから一貫して減少して、令和五年度では五十一キロ、こういうふうになっております。

 要因といたしましては、一つは、ライフスタイルの変化により食の欧米化、簡便化、こういったことが進む中で、米食は十分に対応できなかった、あるいは、特に壮年層の方々で糖質の多い米食を控える人が増加している、あるいは、高齢化、こういったことの中で一人当たりの平均消費量が減少している、こういったことがあろうかと考えております。

小山(展)委員 まさに、価格だけではないということであります。

 そして、戦後間もない頃に給食などで洋食が入ってきて、ライフスタイルの変化、まさに食の変化といったものが大きな米離れの要因だと思いますし、まさに和食を推進していく、あるいはお米の消費量を増やしていくということをもっともっと考えなきゃいけないと思います。

 価格の高騰のこの局面で余り米離れの話がされますと、生産者からすると、安くしろよと脅しをかけられているようにも、取りようによってはあるかと思いますので、是非、米離れの要因は何かということも総合的に見ながら、まさに超党派でお米の消費拡大に向けて取り組んでいきたいと思っております。

 以上で質問を終わります。

御法川委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆さん、お疲れさまです。

 備蓄米の随意契約について最初にお尋ねいたします。

 精米能力のあるお米屋さん向けの備蓄米二万トンの枠は、受付初日の先月三十日で埋まりました。この枠の受付は一旦やめています。もう一つの、六万トンの中小小売向けの枠というのもあるんですけれども、どちらの枠も、申請書類の不備が多くあるということで、今、申請内容を国で精査しているということです。

 やはり書類の申請に慣れていない、スーパーの、小さな商店の経営者とか、あるいは町のお米屋さんもいらっしゃると思います。申し込まれた数量が枠を超えてしまった場合には国が数量を調整するということなんですけれども、書類に不備があって修正の対応に時間がかかるかもしれません。しかし、だからといって、書類が整っているところから枠を埋めていくということがないように、これは確認ですけれども、公平な対応をお願いしたいということ。

 そしてもう一点、申込みの数量についてなんですけれども、小売店に配送してもらう量は原則として十トン以上からというふうになっています。ほかの業者との共同購入は認めていても、それでも一店舗当たりの取扱量が大き過ぎて扱い切れないという声が聞かれます。共同購入ではなくて、十トン未満を単独でも購入したいという声もあります。

 農水省に確認しますと、配送だけではなくて、自分で備蓄米の倉庫に取りに行くという方法であれば、共同購入をしなくても十トン未満も受け付けるということでした。ただ、ホームページで見ても、原則十トン以上だということしか書かれていません。

 十トン未満も条件によっては受け付けるということを明記をしっかりしていただきたいと思いますし、大手の流通網から離れた地域にこれから更に行き渡らせるようにするために、今、申込みが殺到して止まっているわけですので、この多い申込みに対して数量を調整している結果、やはり希望の数量に満たないという場合もあるかもしれません。こういう十トン未満というような調整もあるかもしれませんので、仮に希望量よりも下回る場合も、これも公平に、数量も含めて公平に御対応いただきたいというふうに思いますし、要件も、今後の随意契約で配送の要件も十トン以下に下げていくということも今後検討していく必要があると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。大臣にお願いします。

小泉国務大臣 私から先に御答弁をさせていただいて、松尾農産局長にも補足をしてもらいます。

 まず、書類の不備ということでありますけれども、例えばどういう事例があるかと申し上げますと、数量というものが記載をされていない例、こういったこともあれば、また、数量を記載をされた方が、事業者が、一回申込みをされているんですが、その後に数量の変更をお申出をされているケースなどもあるんですね。なので、こういったことの集計をした上で最終的な数量を確定させるのに、合わせて千五百件、今来ていますから、ここに、農水省、全力を今傾けているということであります。

 そして、今お話のありました十トンということですが、備蓄米の倉庫から出しているのは十トントラック若しくは十二トントラック、こういった形になっていることがこの数量の考え方にもなっているということで、仮に、これから町のお米屋さんという、一トンも扱っていないとか、例えばそういうところに対してはどのような提供の仕方がいいかという一つには、組合としてまとめていただいて、組合として申込みをしていただく。今回、実際に既に契約を今申出をされている方の中には、東京の中での米穀商業組合とか、こういった方々も入っております。

 ただ、私も伺うと、お米屋さんの組合がない地域の方が多い、こういったこともありますので、最終的に個店の皆さんがお米、備蓄米を欲しいといったときに、物流網も含めて、かなり、軽貨物の配慮とかいろいろなことが必要となりますので、国交省に今、物流の関係の協力要請もして、国交省の中に支援チームも立ち上げていただいて、連携をしてやっています。

 いろいろな課題はあるかもしれませんが、スピード感を持ってできる限り早くお届けをするということに加えて、昨日もニュースで、長崎県の五島列島の方にももう既に販売が始まったということもありますので、できる限り面的に広がるように考えますけれども、よく現場の状況を伺いながら対応を考えたいと思います。

緑川委員 ありがとうございます。

 やはり組合がないところですね。共同購入が困難なところというのは、やはり大手の流通網から離れているところほど、そういうところがよく聞かれます。そういうところで、十トン未満が対象じゃないから、はなから諦めて申請していないという方がやはりいらっしゃいます。

 第一弾の随意契約のときも、大手の小売優先の契約というのが公平性とか、あるいは透明性の確保にやはり課題があったところですし、ここで大手に買物客が流れてしまって、自分のところには来ない、こういうような不公平感というのがありますので、やはり、きめ細かく中小のスーパー、町のお米屋さんにしっかりと配慮をしていただいて、数量も含めて、十トン、十二トン、あるかもしれませんけれども、そういう効率性というのはあるかもしれませんが、やはり、きめ細やかさというのをとにかく、特例的な対応ですので、重視をしていただきたいというふうに思います。

 今、店頭には、五キロの四千円から五千円の銘柄米、あるいは三千円のブレンド米、あるいは第三回までに放出された入札方式の単一の備蓄米、そして二千円前後の随意契約の備蓄米が並んでいるというふうに思います。

 お配りしている資料1を御覧いただきたいんですけれども、これは、銘柄米とブレンド米などの販売割合、そして価格の推移、農水省が今週公表した資料ですけれども、ブレンド米の販売割合がじわじわと今高まっています。オレンジ色の棒グラフですね。これまでの備蓄米ではなかなか価格が下がらずに、オレンジ色の折れ線グラフがブレンド米等の価格の推移ですけれども、むしろ、備蓄米が出てからも、四月よりも高くなっていて、先月は高止まっています。

 高い価格で落札をされて、流通経費の上乗せもあって小売価格を下げにくいという事情があるかもしれませんが、今後は、随意契約の備蓄米が単一米としてだけじゃなくてブレンド米として販売されていく場合は、もしかしたら平均価格ということで取れば安くなる可能性はあるんですけれども、ブレンド米については、今までやはり、食品表示法ではどこの産地か、国内のどこなのか、何年産なのかという表示義務はありませんので、例えば、原料の米が全て国産でブレンドされていれば、複数原料米、国内産十割とだけ書かれていれば、何年産という表示がなくても法律上問題ないんですけれども、今回は随意契約の備蓄米、入札方式の備蓄米は二四年、二三年産でしたけれども、それよりも二年、三年古い二二年産、二一年産のお米になります。

 これは、備蓄米が古いから駄目と言っているのではなくて、お店の、例えばPOPなどもなくて、何も表示がなければ、一般流通の原料米から成るブレンド米なのか、あるいは備蓄米入りのブレンド米なのかという、外見上、区別ができなくなります。一般流通のブレンド米とはっきり区別できるようにしてほしいという小売店の声、消費者の声というものがあります。

 早く安く米を届けたいというのは、これは誠実な営業としてそういうお店がほとんどだと思うんですけれども、価格の縛りもありませんので、中には、随意契約の備蓄米のブレンド米を、値段は安く仕入れたけれども、その値で販売しないで、ちょっと高い利益をつけて売ろうというように考えるところも、こういう場合も想定しておかなければならないというふうに思っています。

 早く安く買えるという消費者の利益と同時に、ブレンド米の中身が一体、国産は分かるけれども何年産なのか、随意契約のブレンド米を販売する場合にはその表示を必ずしていただくということ、消費者がブレンドの中身に納得をした上で商品を選ぶというのも消費者の権利、大切な利益ではないかと思いますけれども、小泉大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 今回、随意契約の方でいえば、今朝私がお伺いをしたファミリーマートさんの一キロの随意契約の袋はしっかりと備蓄米というふうに書いてありますし、先日、イオンさんの店頭販売にも視察に行ったところ、イオンさんも備蓄米というふうに書いてあります。

 一方で、今の御指摘のブレンド米、ここについては、食品表示法で義務となっているもの以上の表記を求めるということになるとやはりそれなりの負担になるので、スピードという観点からいうとなかなか難しい状況はあると思います。

 今、農水省で、全国の農政局の職員が店頭の価格の調査、これをやっていて、もう既に今週も発表しましたが、その中で、一番安い最低価格のブレンド米と一番高いブレンド米で千五百円の価格差があること、地域によってですね。これは都道府県別で全部出してありますから、こういったことも今、メディアの方も含めて、なぜ千五百円も差が出るのか、こういったことの指摘も始まったことなどを通じて、しっかりと緑川先生の今、御懸念、こういったものが結果として世の中にちゃんと正しい方向性が伝わるように、我々としても努力をしていきたいと思います。

緑川委員 北海道と、たしか静岡県との格差というところがまたあったかもしれません。都道府県ごとにも、米産地であったり都市部であったりというところで大きな差があるというふうに思いますけれども、やはり、今回、備蓄米の契約というのが随意契約での販売、あるいは流通も国から小売に直接流すという方法で、これは現行の食品表示法がやはり想定していない対応だというふうに思います。

 この後、三十万トンが放出されれば、さらに、二〇年産の古々々々米も販売されるわけですから、トータルでおよそ九十万トンもの古米が消費者に販売されるということがあります。こういう状況はかつてなかったというふうに思います。特例的な対応だからこそ、今回、国の責任として、今回は食品表示の義務を、年産表示を義務づける、これはやはり不可欠であるというふうに思います。

 大臣はこの備蓄米、硬めというふうにおっしゃいましたけれども、私も別に、硬いお米は好きで、玄米をいつも食べているんですけれども、粒立った硬いお米というのは好きなんですけれども、一方で、硬いのが苦手だという消費者もやはりいらっしゃると思うんですね。そういう様々な、備蓄米の品質の受け止めが様々だからこそ、多様な反応を示す消費者には最低限の情報提供がやはり必要だというふうに思います。

 政府備蓄米何年産ブレンドというふうにPOPで必ず掲げていただくとか、あるいは、シールでそのようにぽんぽんと貼っていただくというだけで、手間もコストもかからないというふうに思いますけれども、やはり早く安く届けるということと両立できる対応だと思いますが、大臣、この辺りをお願いしたいと思いますが、いかがですか。

小泉国務大臣 私も思いは同じで、国家備蓄米を使っているのであれば、そういうふうに表記をしてもらいたいなと思っております。これを、じゃ、義務とするか、今後の随意契約の改善というのは常に必要だと思いますので、御意見として受け止めさせていただきたいと思います。

緑川委員 炊き方を工夫すれば、備蓄米はおいしくなるわけです。つまり、備蓄米が入っているかどうか分からなければ、炊き方もどうしようかというふうになるわけですよね。今回、硬めに炊ける、硬めのものに対しては例えば水に長く浸しておく、あるいは水分量を増やして炊くということでおいしく食べられるということが分かっていますので、備蓄米が入っているかどうかというのは、この区別は消費者のニーズとしてやはり必要だというふうに思いますので、大臣の、そこは是非とも発信力、期待をしておりますし、掲げているところは多いんですけれども、そのように掲げていない、今後のブレンドしていく業者に対しても、しっかりとメッセージをしていただきたいというふうに思っております。

 備蓄米全体、今、六十一万トンが放出が決まっています。今後さらに、三十万トンの一部、お酒用とか加工用とかに回っていくということなんですけれども、九十万トン弱が主食用米として活用できるものになるとすれば、計画的に販売するとしても国内の消費量としては一か月半に満たない量ですので、千円台、二千円台で売られる備蓄米というのは、今後、新米が出てくるまでの端境期の八月、九月にはほとんどなくなっていく、高い価格帯のお米だけになって不足感が強まっていく可能性というものがやはりあります。

 今、民間輸入で、一キロ三百四十一円という高い関税を払ってでも、先ほどもお話しいただいたように、高い銘柄米よりも安く仕入れられるということで、外国産米を取り扱っているところが今増えてきています。

 資料の2なんですけれども、民間の米輸入というのは、精米、玄米、もみなどがありますけれども、民間輸入のほとんどを占めているのが精米です。貿易統計の数字をまとめましたけれども、二三年のおととしは一年間で七百十九トン、昨年は増えて千八トンですけれども、今年の一月から四月は既に九千トンを超えています。四か月間だけで、民間輸入が増えた昨年の九倍もの輸入量になっています。

 五月の数字というのはまだ出ていないんですけれども、先月も相当な輸入量になっていると思います。主食用米のシェアが今奪われてきていますし、この端境期、その後も、新米がもしかしたら高くなるかもしれません。民間輸入が更に増える可能性がございます。

 この辺りの御見解を伺いたいのと、喉の調子が悪くて申し訳ありません、米の流通の見える化、適正化を図りながら、需給の実態を正確にマーケットに伝えていく、対話をしていくということが、先ほどの議論でも大事になってくると思いますし、先週の農水委員会では、小泉大臣が、米の供給量を増やすためのあらゆる選択肢を排除しないというふうにおっしゃいました。

 過熱したマーケットを冷やすメッセージとしては非常に大事だというふうに思うんですけれども、あらゆる選択肢ということの中に、備蓄米が仮に今後、九十万トンも出してもう底をついたという場合でも直ちに輸入に頼るというものではない、政府輸入を含めた、すぐに供給に頼るものではないということは明確に発信をしていただきたいのと、困ったときは輸入でいいやということになれば、日本の足下を見られて、日米の関税交渉にもやはり影響が生じてくる可能性がございます。食料安全保障を柱とする基本法が改正されたという意義もやはり失ってしまうと思うんですね。

 ですから、ほぼ完全自給できていた主食用米、その生産基盤を守りながらも、守って安定供給を図っていくという、農家と消費者をつなぐメッセージを、マーケットには、供給量をあらゆる選択肢ということの中、特に主食用米を支えてきた生産基盤を守っていくと、農家と消費者をつないでいくメッセージを強調していただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

小泉国務大臣 大分、緑川先生には私の立場をおもんぱかっていただいて、マーケット向けのメッセージと生産者向け、消費者向け、いろいろな御理解をいただいた上での御指摘なんですが、一般論から申し上げると、足りないときには外から入れるというのはやっているんですよね。

 これは、鳥インフルエンザのときに生卵が足りないとなったとき、ブラジルから緊急輸入しているわけです。そして、私の地元横須賀市、三浦市というのはキャベツ、大根の大産地でありますけれども、近年、キャベツがあれだけ高くなったときに、これだけ高いといって、中国などからキャベツを輸入したというのが増えたというのも事実です。

 今、これだけお米が足りないという不足感があるときに、価格が高騰していて、そのためにはあらゆる選択肢を排除しないというその姿勢は、私は貫き続けます。そういった断固たる姿勢を持たなければ、マーケットとの向き合いの中で、そう簡単にトレンドは変わりません。ありがたいことに、スポット価格も今日の朝のニュースですとちょっと下げの方向になってきましたけれども、まだまだ出口を語るには早過ぎます。

 そういったことも御理解をいただきながら、今先生から御指摘いただいた、既に、我々政府が海外から輸入を増やしますと言っていなくたって民間は増やしているんですから、そして、高い関税を払ってでもカリフォルニア米を買って店頭に並べて、しかも、それが、一定の量がもう、一定の量どころじゃないですね、一年前と比べて八十倍、そしてこのデータだと九倍増えているわけですから、こういったことも含めて、国民の皆さん、消費者の皆さんにも知っていただく形で、結果、生産者、消費者の皆さんの一致するところをしっかりとつくっていく入口にしたいと思っています。

緑川委員 やはり、消費者の理解という点では、適正な価格形成というのは、消費者の折り合いがついても、農家にとっては納得のいかない、再生産が非常に厳しい価格に妥結されてしまうという場合があります。これで所得を確保するという政策はやはり限界があります。

 小泉大臣が部会長のときに手がけられた収入保険の点について最後触れさせていただきたいんですけれども、収入額そのものに収入保険は着目をしますので、例えばこれまでと同じ収入額が得られていたとしても、資材高騰分を経費としてそのままかぶっている場合には、高騰した場合には、同じ収入額でも実質の減収になります。収入額自体は減っていないから、保険が出ません。

 過去の平均の収入額だけに着目しないで、収入に占める資材費などの経費割合が上がっているという場合には、その上がった経費分を収入額に加算する、この資材高騰による実質の減収を防ぐ仕組みというのも考える必要があるんじゃないでしょうか。最後にお尋ねいたします。

小泉国務大臣 今回、食料システム法案、これを参議院で仮に可決をいただけたら、誠実な協議を通じてコスト上昇分を回収することは可能ですので、収入保険への加入と併せれば、農業収入の安定化を図ることができると考えています。

 一方で、今後、令和九年度以降の水田政策の在り方は大幅に変えていくので、この中で、今までやってきた収入保険で仮に見直す点など、こういったことがあった場合は、そういったことも含めて、与野党の皆さんからの御提案を真摯に議論をして、結論を出していくことが大事だと捉えています。

緑川委員 自然災害のリスクへの対応としても保険制度は重要ですので、この充実に向けてまた議論をさせていただきたいというふうに思います。

 お聞き苦しくて失礼いたしました。

御法川委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 小泉大臣、よろしくお願いをいたします。

 私、昨年の選挙のときに、ずっと回っている中で、ある御家庭の奥様が、うちは子供が三人いる、育ち盛りで、私もそのときにはっとしたんですけれども、育ち盛りの子供が三人いると、一日に米を一升炊く、三日で五キロなくなるんだ、腹いっぱい御飯を食べさせてあげたいけれども、それができなくてつらいということで、選挙期間中だったんだけれども、その御家庭の奥様が泣かれたんですよ、つらいと言って。そのときに、ああ、この米の問題というのは大きな問題なんだということを感じて、私なりにいろいろ研究も調査もしてきたことを今日ちょっと大臣と議論をさせていただきたいというふうに思います。

 その前に、まず、この米価の高騰というのは、政府的には、いや、供給は十分足りていたはずなんだ、足りているはずなんだ、だけれどもこれだけ米価の異常な高騰があるということをおっしゃっていらっしゃるわけで、それに対して、臨時異例、特例の措置として、随契で備蓄米を売り渡すよ、だから皆さん安心してくださいねということを小泉大臣がおやりになられた。そういう意味では、私はそれは賛同をいたします。だって、子供たちに腹いっぱい米を食べさせてあげたいですよ。それはみんなそうだと思うんです。

 そこで、お尋ねするんですけれども、これは事務方で結構なんですが、五月二十八日に小泉大臣が基本指針をお出しになられた。その二日前、五月二十六日に説明会を開かれて、もうその時点で既に申請を受け付けられていらっしゃる。これは、食糧法上、若干のフライングがあったというふうに言わざるを得ないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の随意契約による売渡しでございますけれども、これにつきましては、小売業者向けということで、買戻し条件をつけないで売り渡すこととなったところでございます。

 このため、実際に最初の引渡し、説明会の後、順次手続をやるわけでございますけれども、最初の引渡しが行われた二十九日の前日の二十八日に、委員御指摘の食糧部会を開催し、基本指針の変更ということで諮問し、買戻しを必要としない旨を明確にして答申を得たものでございます。

 今後は、更にきちっと時間的余裕を持って諸手続を進めてまいりたいと考えております。

川内委員 いやいや、私が申し上げているのは、五月二十八日に小泉大臣が基本指針を決定された。その二日前、五月二十六日に説明会を開いて、その時点で申請を受け付けていますから、それは若干のフライングがあったということはお認めになられたらいかがかということを申し上げているんですけれども。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 本来でありますと、いろいろな基本指針、いろいろな諸手続をきちんとやりながら、説明会とか、そういったことが一番よかったというふうに思いますけれども、今回につきましては、ある意味、並行的にといいますか、そういったことで対応して、引渡し前にはきちんと手続はやった、申請はやったということで、今後、しっかり対応していきたいと思います。

川内委員 大臣、食糧法上、大臣の基本指針というのは官報告示をしなければならないことになっておりますが、官報告示はもうされていますか。

松尾政府参考人 指針の変更等、そういった答申を受けて、そのようなものにつきましては、そういった対応、委員御指摘のような対応をされているというふうに理解しております。

川内委員 だから、官報に告示しましたかと聞いています。

松尾政府参考人 告示されているというふうに理解しております。済みません、私、そのものをまだ確認しておりませんけれども、通常は告示しております。

 失礼いたしました。告示の官報掲載自体はまだ遅れておりまして、六月の中旬というふうに承知しております。

川内委員 いや、大臣、私、だから、おかしいじゃないかとか、そういうことを言うつもりでここで言っているわけじゃないんですよ。きちんと食糧法にのっとって、手続をきちんと踏むということが大事ですよねということを申し上げているわけで。法律で、様々な法令でこの国は動いているので、幾ら臨時異例、特例の措置だからといって、法律を無視してやってもよいのだということではないということを申し上げたくて。

 大臣、それはそうだねと思われると思うので、ちょっと一言いただけますか。

小泉国務大臣 これは川内先生の言うとおりで、幾らスピード重視だったからといって、法律を無視しろということはあり得ません。

 ただ、今御指摘の点は、官報告示というものを待たなければ今回の対応ができなかったのではないかという……(川内委員「いや、そういったことを言っているんじゃない」と呼ぶ)そういったことではないんですね。一回座った方がいいですか。

川内委員 いや、だから、法令違反をしているとか言っているわけじゃないんです。手続をちゃんと取っているかどうかということを確認しているだけの話で。

 基本指針を大臣が決定される二日前に説明会を開いて申請を受け付けているというのは、若干のフライングがありますよねということを確認している話でございます。そこは、フライングだったということはお認めいただきたいというふうに思うんですよね。

小泉国務大臣 今回、相当異例のスピードと取組をしていますので、フライングぎみだったのではないかというのは、党の方からも、本来は部会に諮れとか、いろいろな御指摘があります。

 ただ、これは大臣の責任を持って判断をさせていただいていますので、私は農水省の職員を信頼をし、基本的な方針を示した下で、法律にのっとった対応をしてもらっている、そういった下で私が判断をしています。責任は、私の結果責任と説明責任を持って果たさせていただければと思います。

川内委員 農産局長は官報告示しているかどうかも分からずにこの場に立たれて答弁されていらっしゃるので、私は、きちんとした手続を踏むこともすごくこういう状況の中では必要であるということを申し上げておきたいというふうに思います。

 大臣が自分の責任で様々なことを判断するのだということを今おっしゃいました。私はそのとおりであろうというふうに思うんですけれども。

 そもそも、米価がこれだけ異常な高騰をし、こういう随意契約で売り渡す。本来、供給は足りている、足りていると政府はおっしゃっているわけですから、お米を腹いっぱい子供たちに食べさせたいよというお母さんも普通のお米が本当は買えるはずなんです。でも、スーパーに並んで古々米や古々々米を買わなければならないという状況になっているということについて、徹底的に原因を究明するというふうにおっしゃっていらっしゃいます。

 じゃ、徹底的に原因を究明するという言葉の意味はどういうことなのかというと、私は、農水省からこれまで様々、集荷や在庫やあるいは売渡しについて報告を受けていらっしゃるわけですけれども、その報告自体が正しい報告であったのか。すなわち、エビデンスをきちんと徴求して、その数字が確認されてきたのかということをまず徹底的に調査をするということが必要であるというふうに思うんです。大臣、いかがですか。

小泉国務大臣 まず、大臣としての基本的な姿勢の中で、職員が上げてきたことは本当かという疑問が基本姿勢だとすれば、それは職員の信頼をかち得ることはできないと思います。まずは、農水省の職員を信頼をし、そして、その上がってきたことに基づいて判断し、決断をするのが大臣の仕事だと思っています。

 仮にそれに対しての疑義などがあった場合、そこに対して虚心坦懐に耳を傾けて、仮に、今これだけデジタル化なども進めている中で、農水省の統計や、またデータの精度、こういったものに問題があるとしたら、これは様々な知見をおかりをして改善をしなければならない、それも大臣の責任だと思っております。

 そして、何を解明するのかということでありますけれども、今日の夕方から、総理を議長とする閣僚会合が設置をされます。こういった中で、一つは、川内先生が御指摘のとおり、なぜこれだけ米の価格高騰が起きているのか。今、まるで犯人捜しのような、こういった状況がありますが、これだけ複雑な流通の世界ですから、まずは予断を持ってここではないかという気持ちを持たずに全体を可視化をする、こういったところから明るみになっていくところを把握をする努力をしたいと私は考えております。

川内委員 だから、全体を可視化するに当たっては、様々な数字のエビデンスというものがすごく大事になるというふうに私は思いますので、それをお伝えしておきたいというふうに思います。

 そもそも、農水省が把握していらっしゃる、あるいは調査していらっしゃる数字の中に、私は生産者が最も大事だと思っているんですけれども、生産者が集荷業者に、これは大手も中小もいろいろあるんでしょう、農家が集荷業者に幾らで売渡しをしているのか、あるいは預けているのかということについて、そもそも農水省は調査をしていらっしゃるんでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 農家の方が米を出荷された場合の価格につきましては、農林水産省が実施している農業物価統計、こういったものがございますけれども、これの最新のものでいきますと、令和六年十月以降、平均販売価格は一万八千円から二万円程度で推移しているところでございます。なお、令和六年産で見れば、報道によれば、概算金ということで、こういったものも二万円前後というふうに承知しております。

川内委員 ちょっと、レクの段階では、農水省はそういうことは調査していませんというふうに教えてもらっていたんですけれども、今の、販売統計というんですか、それはどういう統計なんですか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 これは、農業物価統計ということで、いろいろな指数等々を統計の方で調査している、そういった中での一つの米の販売価格ということでございます。

川内委員 いや、その米の販売価格というのは、農家が集荷業者に渡す価格のことを指しているんですか。

松尾政府参考人 これにつきましては、農家の方の庭先価格を統計の方で調査したものということで承知しております。

川内委員 農家の庭先価格というのは、農家が集荷業者に渡す価格のことですか。

松尾政府参考人 一般的な仮渡しということで行われる場合は、概算金がこういった統計のところで出てくるというふうに承知しております。

川内委員 じゃ、何でレクのときには調査していないと私に教えてくれたんですか。ちょっとその理由を教えてくださいよ。

松尾政府参考人 済みません。こういったレクの説明をするときに、この職員がそういったいろいろな統計各種、精通していなかった面があったのではないかというふうに承知しております。

川内委員 農水省を代表して私に様々なことを教示していただくために説明に来ていただく方が、何回も聞いているけれども、いや、調査していませんと。昨日も、これは聞きますけれども、調査していないと答えるんですねと聞いたら、そうですとおっしゃったんです。どうもよく分からないですよ。

 私は、大臣、いや、そんなことを文句を言うつもりは全然ないです。それをちゃんと確認できなかった私が悪いんですから。だけれども、江藤大臣は、価格の安定なんて食糧法には書いていないと言い張ったんですね、予算委員会の分科会で。だけれども、食糧法は価格の安定というのがタイトルに入っています。

 需給と価格を安定させるよという食糧法が今回機能しなかったから、これだけの異常な高騰をした。食糧法が機能しなかった。したがって、食糧法の見直しなどを含めて、関係閣僚会議ではしっかりと議論するということになるのではないかというふうに思うんですけれども、大臣の御所見をお聞かせください。

小泉国務大臣 まず、今の点にお答えする前に、職員とのやり取りの中で、仮に先生の質問レクとのそごなどがございましたら、この後確認をさせていただきますが、委員会に臨むに当たって的確な、また正確な御質問がいただける環境を整えるのも我々の責任もありますので、しっかり対応したいと思います。

 そして、今の御質問でありますが、食糧法の見直しというものがまずありきの閣僚会合ではないとは思いますが、この食糧法の中には、おっしゃるとおり、物価の安定ということだけではなくて、例えば備蓄の在り方、こういったことも食糧法の中には書いてあります。

 今回、備蓄米を活用しているわけですから、今後、備蓄の在り方についても議論の一つになるとは思いますので、まずは今回のことを検証をして、そして、その結果、例えば制度改正などが必要だとしたら、そういったことはもちろん一つの選択肢だとは思います。

川内委員 今回の異常な高騰、米価の異常な高騰というのは、食糧法がきちんと機能していれば、このような異常な高騰は起きないわけですよね。だから、食糧法がうまく機能しなかったということについては、大臣、それはそうだねというふうにおっしゃっていただきたいんですけれども、いかがですかね、最後。

小泉国務大臣 法律だけに解を求めるかというと、私は幅広い分析が必要だと思いますので、御指摘も含めてよく検証したいと思います。

川内委員 終わります。

御法川委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 空本誠喜でございます。

 今日も質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、農業新聞さんとか自民党さんがざわつくんじゃないかというような内容をやらせていただきたいと思っております。

 そして、質問通告していないので、ちょっとコメントだけさせていただきたいんですが、昨日の晩に地元の中山間地域の農業者の方から、令和七年度の中山間直接支払いの説明会があった、これについて、要件の緩和どころじゃなくて、逆に縛っていて、これから、十割もらえたものが八割しかもらえないと。というのは、実際、東広島市の農林水産課は、広域化を図りながら、いろいろな集落営農を広域化でまとまりながらやれば十割支給するけれども、単独で今までの集落だけでやっていくと、逆に八割に下げられると。

 多面的機能の方もすごく厳しい状況もあるというふうに聞いていまして、これについてはしっかり、中山間地域、また多面的機能、こういった直接支払いの在り方は、逆にある程度の余裕が必要なんですね。一年、二年、三年ぐらい余裕が必要で、そうなったときにちゃんと、制度の移行というか、考え方を考えていただきたいなと思っております。

 さらには、二つ、三つの集落がまとまって広域化した、そうしたら逆に十割から一・二倍に増やすとか、そうしなければ中山間地域はどんどん衰退していくと思いますので。これについては質問通告しておりませんので、また、昨日の夕方に来た情報でございますので、しっかりとお伝えさせていただきたいと思っております。

 そして、農業ばかりがクローズアップされていますが、今お配りしている資料がございます。これは前の農水委員会でもお示しをした資料でございますけれども、水産業、こちらも今大変厳しい状況にあるよと。瀬戸内海、私の島は倉橋島という島なんですが、瀬戸内海においても水産業がかなり厳しい。魚が捕れない、海がきれいになってしまったために、魚が捕れなくなった。カキの養殖ができない。そして、今問題となっているおにぎり、おいしいノリが必要ですよね。ノリの色づきが悪い。

 きれいになり過ぎた問題によっての水産業の不漁問題、これについて原因と対策を、今、水産庁さんはどのようにお考えか、お答えください。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 瀬戸内海におきましては、一部、資源回復、安定傾向にある一方で、御指摘のノリの色落ちですとか、あるいはカキの生育不良、あるいはイカナゴなどの不漁といったものが発生しております。要因といたしましては、海水温の上昇に加えて栄養塩類の不足などが指摘されているところでございます。

 こうした中で、兵庫県、香川県、山口県におきましては、下水処理施設から海域への栄養塩類の供給を増加させる取組が行われておりますし、こうした取組によって、一部では養殖ノリの色落ちが軽減されたというふうな報告もあるというふうに承知しております。また、広島県でも下水処理施設の緩和運転についての実証試験、これが実施されているというふうに承知をしております。

 農林水産省といたしましても、こうした栄養塩類と水産資源との関係についての調査研究でございますとか、あとは漁業者が行われる海底耕うん、藻場や海域に鶏ふんなどの肥料を散布する施肥の取組への支援などを行っているところでございまして、今後も必要な取組の継続に努めてまいりたいと考えております。

空本委員 是非お願いしたいです。

 また、林野庁さんの方にお聞きしたいんですけれども、今、森林火災、林野火災の拡大がございました。それについて、実は、林野庁さん、森林総合研究所の方に風害・森林火災軽減対策というのをまとめられていまして、実はここにちゃんと、森林火災、林野火災が拡大しないようにするにはどうしたらいいか、広葉樹を植えるとか下草刈りをすると書いておりますが、昨今の林野火災の拡大、こういったものに対しての原因と対策、どのようにお考えか、お答えください。

青山政府参考人 お答えいたします。

 本年は、岩手県大船渡市、岡山市、愛媛県今治市など大規模な林野火災が多く発生いたしました。

 我が国の林野火災のほとんどは人為的な要因で発生しておりまして、気候変動の影響により、今後、極端な乾燥状態や強風が増え、火災が激甚化することも予想されます。これに対応していくためには、乾燥時期にたき火などをしない、させないといった対策をより一層徹底することが山火事予防の第一であると考えております。

 その上で、林野火災の延焼拡大を防いでいくためには、例えば、松くい虫やナラ枯れによる被害木を除去し、燃えやすい枯れ木を減らすこと、林道や作業道を整備し、延焼を防ぐ防火帯としての役割も果たすことなど、森林整備を進めることは林野火災の防止の観点からも重要と考えております。

 また、現在、消防庁と共同で大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会を開催しておりまして、検討会における議論も踏まえまして、今後、より一層の林野火災予防に努めてまいりたいと考えております。

空本委員 しっかりまとめられた研究所の対策マニュアル、こういったものもございますので、これは、ちょっと前の委員会でお示しさせていただいて、一緒にこれを図っていきたいということだったものですから、是非よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、米の問題について行きたいと思います。

 私も島の生まれでありますが、元々は、島の中でも山の奥に棚田で水田があります。そして、ミカン畑がずらっとあって、そういった環境で育ってきました。うちの家も、一反の田んぼを造成して家を造った、実家はそういう形でありました。そして、すぐ家の背後には田んぼが、棚田がずっと並んでいて、そこで野球したり、キャッチボール、下から上にノックして遊んだりしたんですけれども、そして、そういうときにウンカが出てきて、いつも夜は網戸、農薬のにおいがちょっとする、そういうような環境でも育ってきたんですが、実際のところ、私、農業には余り興味がなくて、原子力の専門家、若しくは半導体とかそういった方が得意分野であるんですけれども。やはり、農業を考えるときに、そういう中山間、島嶼部の農業というのは、もう一度考え直さなきゃいけないなというところでございます。

 それに当たって、まず、中山間地域と平地の生産コスト、今コスト割れしています。これについて、これも前大臣、江藤大臣にお聞きしていますが、小泉大臣に、平地と中山間地域、どのぐらいの生産コストの差があるか、お示しください。

深水政府参考人 恐れ入ります、事実関係ですので、先に私から申し上げさせていただきます。

 令和五年産の米の生産費につきましては、平地農業地域では六十キロ当たりで一万四千三百二十四円、中山間農業地域では同じく六十キロ当たりで一万八千五百六十四円ということで、四千円近くの差があるということでございます。

空本委員 大臣は、今、生産コストというのは、私、約二十数年、選挙区である中山間地域、東広島市、実は中川秀直先生とずっと戦っていまして、二〇〇三年負け、二〇〇五年負け、そして二〇〇九年に中川先生に勝たせていただき、そしてその後、二〇一二年には中川俊直先生に負けてという、二〇〇九年、同期の当選なんですけれども、結構苦労したので、その間、農政をしっかり、中山間地域、特に中川先生の地盤の中で私が戦い抜くために、田んぼを歩き回りました。田んぼの本当におっちゃん連中としっかり議論をして、そして田んぼのことをしっかり教えてもらいました。

 そういった中で、やはり平地と中山間地域は全く違うんだと。草刈りをして、本当に、平地だったら、草刈りもそんなにたくさん要らない、機械が入るけれども、圃場整備をやったら、今度は圃場整備ののり面が本当に高くなっちゃって、そこを七十代、八十代の人が草刈りをしなきゃいけないんだと。そうなると、この生産コストというのは、ただ単なるコストではなくて、人件費が本当に反映されていないんですよね。そういった中で、JAグループの概算金制度があります。

 この概算金制度についても、既に農水省さんに、私はいつも質問項目だけじゃなくて質問の原稿まで全て渡しています。その原稿を見ていただいて考えていただいているんですが、生産コスト割れどころか労務費も入っていない、そういう安過ぎる概算金であるということで、だからこそ、農家の皆さんが農協離れをしているんだということだというふうに確信しています。

 農家の方々にしっかり概算金が入るように、せめて、今年はもう上がっていますから、まあまあ入っているかもしれません。うちの方は三十キロ概算でやりますが、やはり三十キロ概算でも、大体一万二千円、一万五千円ないと本当は中山間地域はやっていけないよというところでございます。

 この農家の生産コスト割れを起こしている概算金制度、ここをしっかり生産コストを入れられる仕組みに変えていかなきゃいけないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

笹川副大臣 済みません、私の方からお答えをさせていただきますが、あくまでも概算金は民間の間の取引のことでございます。

 今委員から概算金の話がございました。私も気になったので、地元でもよく概算金の話はお聞きしますが、今回、米価のこともありましたので、うちの地元のJAの集荷率は、前年と比べても九割以上、集荷率を誇っております。それはやはり概算金に対して上乗せもさせていただいているということで、農家の信頼を得ている結果だというふうには思っております。

 ただ、いずれにしても、この農水委員会の中で、「今後検討される新たな水田政策の下においても、米の生産・流通・備蓄政策全般について必要な検証を行う」というふうに決議をいただいておりますので、これに基づいて概算金も含め検証、検討をしっかりと行ってまいりたいというふうに思っております。

空本委員 農協さんと農林水産省はかなり近いんですよ。そこで概算金がつくられていって、さらには、生産数量目標は今なくなって、二〇一八年から消えましたけれども、実質的な生産調整は様々な形で行われている。これは今日聞こうと思ったんですが、私は逆に、食管制度を戻してもいいかもしれない、そのすばらしさをもう一回考えてもいいかもしれない。維新にいてはそういうのは御法度かもしれませんが、私自身は、農家の考え方をもってすれば、食管制度をもう一回再検討してもいいかもしれない。

 そういうことも考えて、減反政策の在り方もちゃんと考え直したらいい。たくさん作らなきゃいけないけれども、生産数量目標じゃないけれども、まだ実質的には地域農業再生協議会というのがあって、そこで生産調整もしているし、転作奨励もされている。その中で、農水省さんは、生産数量目標がないからもう減反は終わったと言っているんだけれども、その在り方もちょっともう一度考え直して、私は、食管制度の在り方というのはもう一度見直していく必要があるのかと思います。

 その中で、概算金は民間であるということは分かっています、当然分かっています。私も、元組合長さんとか、この概算金を決めてきた担当者とか、いろいろな方々と議論をしていて感じるところは、やはり、でも生産コスト、コスト割れしている、逆に流通側だけを全農が見ているということなので、その在り方を変えていかなきゃいけない。

 では、米ですから、主食ですから、その前に財務省さん、財務副大臣、斎藤副大臣にお聞きしたいんですけれども、米は主食、安全保障上重要な主食だ、財政措置をしっかりしなきゃいけないが、いかがでしょうか。

斎藤副大臣 空本委員から、米政策に対する財政措置につきまして御質問いただきました。

 財務省といたしましては、我が国が農業者の減少、高齢化や国際社会における食料需給の不安定化に直面している中で、本年四月に閣議決定した新たな食料・農業・農村基本計画に基づき、米も含め、農業経営の収益力や農業所得を向上させ、農業の持続的な発展を図ることが重要であると考えております。

 こうした観点から、必要な事業を推進していくことができますように、所管である農林水産省と連携して必要な予算を確保してまいります。

空本委員 副大臣は、新潟県の御出身で、それも昔は村の出身ということで、村上市、まさに米作り、コシヒカリを作っていらっしゃるところです。であるならば、今の農水予算だったら駄目ですよ。二兆三千億、これじゃ足りない。あと一兆円増やさなきゃいけない。この農水委員会でも私は何回も言いましたし、予算委員会でも言いました。あと一兆円増やさなきゃ、やっていけない。これは、米作り産地の新潟県出身の副大臣として、いかがですか。

斎藤副大臣 私のふるさとに言及いただきまして、ありがとうございます。

 今後の農業予算の具体的な規模について、現時点でお答えするということは困難ではございますが、先ほど答弁申し上げましたとおり、必要な事業を推進していくことができますように、所管である農林水産省と連携してまいります。

空本委員 是非一兆円、来年度、予算は増やすようにお願いします。

 次は、小泉大臣に最後、自民党農政についてお聞きしたいところはあるんですが、それを最後に持っていきます。

 そして、今、来年の米とか、今年の今の備蓄米の放出についてはもうさんざん皆さんが議論されていらっしゃるので、じゃ、令和八年産の米はどうなるんだと。七年産米じゃないです。今年取れる米ではありません。来年取れる米について、そろそろしっかり考えておかなきゃいけない。

 私は下落すると思います。なぜならば、今スポットで備蓄米をどんどん放出しているけれども、価格破壊を一回起こしちゃった。そうすると、この農協が持っている機能、こういったものが全部奪われていっちゃって、年間を通じての計画的な米の卸、そして小売への展開というのが、安定供給体制がぶっ壊れてしまった。

 ここで、今、農業新聞などにも書かれていますが、農水省は甘く見ているんですが、令和八年六月の在庫量、民間在庫量は幾らになるか、二百五十万トンの可能性が高い。だけれども、今回、備蓄米を、更に全農さんに売り渡した備蓄米を返してもらって三十万トン、こういったぐらいを備蓄米に回せば若干減るかもしれない。二百二十万トンぐらいになるかもしれない、民間在庫量。

 ならば、それでも二百万トン以上を超えてくるとすると、令和八年産米は民間でだぶつくわけですよ。そうなったら、令和八年産米は暴落を起こしてくる可能性はないかなと。そして、そうなったときに、概算金を全農は農業者を無視して落としてくるしかない。さらには、離農が始まる。日本の米作り、これが崩壊するというような悪循環がこれから起きるのではないかという危惧があります。

 やはりこれは、今回やったのは、短期的に私も賛成なんですが、毒薬、劇薬でもあったんです。その御認識はございますか。大臣、お答えください。

小泉国務大臣 今回、随意契約という形で備蓄米を二千円そして千八百円。これが劇薬かと問われれば、通常時の対応ではない、そういったことは言えると思います。

 一方で、これはある意味日本的なのかもしれませんが、目の前の課題に対して今取り組んでいるときに、そこが今課題なのに、先のことを心配し過ぎて余りに悲観的な思いを世の中に広げることは、全く私はいいことはないと思っています。

 今、問題は、この異常な価格高騰を抑えなければ、国産米離れ、消費者の米離れが起きかねない。年金生活の方が、お米が高いからパンや麺やシリアルを選択をする、こういった傾向に歯止めをかけて、安心してお米を買える環境を実現しなければいけない。ここが私は今大事だと思っていますし、この随意契約という手法を取る前は、むしろ多くの方は今の価格高騰を本当に心配していたのではないでしょうか。

 ですので、もちろん先のことはしっかり考えて対応策は、あらゆるシミュレーションは行わなければいけませんが、私は、今回のことを、マーケットを落ち着かせることができれば、生産者と消費者の思いを一致をさせ、そして中長期の米政策の転換に向けた前向きな議論が始まり、食料システム法案にも基づいた生産者の皆さんが報われる適正価格というのは何か、こういったことも今よりもより前向きな方向性に向かうことができると思っております。

空本委員 今怖がらせてはいけない、それは確かです。

 ですが、実は、配付資料の中に表があります。私が作った表、五月十三日の農林水産委員会で示しました。農家さん、政府からの集荷業者、卸、小売、消費、その中で、卸、集荷、さらには小売がどの程度のもうけを持っているかという表をお示しいたしました。

 こちらなんですけれども、これをもってこのときにお願いしたのは、集荷業者、卸業者の今の取引の現状を全て調査した上で公表してくださいと言いました。そうしたら、農水省さんは、頑張っていただいて、先ほどの質問でもございましたけれども、今、その取引状況を確認している。概算金だけではなくて、流通の流れの中でのその金額も調査しているというところで、大変ありがたい。

 まずは、概算金、下に書いてありますが、概算金を、卸、集荷のところから全て、小売まで、示していただきました。本当にありがとうございますというところなんですが、実は、これは五月十三日の委員会でこの表を出して動き出したんですよ。

 そうならば、この委員会をもって、令和八年産米を、消費者の方々にはお手頃な価格でおいしい米を提供する。一方で、一生懸命働いて米を作っていただいている生産者の方々には、しっかりとした、赤字にならないような生産に見合ったお金をしっかりと概算金でお渡ししていただきたい。

 そのために、令和八年の米が下がっちゃ困るんですよ。そうならないように、今だから打たなきゃいけないと思います。逆に、今こそ安全装置を組み込まなければならないというふうに考えます。

 そこで、今回の、五月二十八日の、前原共同代表が農水委員会で質問されたときに、どこに問題があったかというと、流通だと。流通で、前原さんが示した図は米の卸業者の株式動向を示す、その中では、卸が経常利益三四七%、この四月。まさに卸業者が、ピンはねとは言ってはいけないかもしれませんが、それに近い状態で取っている。江藤大臣のときの備蓄米に関しては、全農はそんなに取っていないんですよ。流通コストしか取っていないんですよ。だから、誰が悪玉だったのかというところ。

 まさに卸業者さんが、まあ、これまでは苦労されています、卸さんも。だけれども、今回、もうかるということだから、一般の資本主義ですからもうけてもらっていいんだけれども、逆に私は、今回のやり方によって卸さんは自分の首を絞めてしまうんじゃないかな。小売が逆に上に行って、小売業者が卸業者に、精米をして、そしてパッケージしてくださいというような流れになってきて、流通が大きく革命的に変わってしまった、変わってしまうということだと思います。

 全農さん、去年、集荷は全生産量の三割ぐらいしかないんですよね。全農さんが三割だったらば、米の値段をつり上げるような力はもうない。そして、これまで果たしてきた機能というのが全農さんはあるんですが、大臣、どうお考えですか、米政策において。

小泉国務大臣 先日、前原代表とも議論させていただいたとおり、流通の中に課題があることは事実だと思います。

 一方で、今、空本委員が悪玉みたいな言葉を使われましたけれども、この検証において、まだどこが原因だということを、偏見を持ってしまうと私は検証を見誤ると思っていますので、まずは全体を見える化をすることが大事だと思っています。これはゼロベースでしっかりと見なければいけないと思っています。

 そしてまた、全農の役割についてでありますけれども、私は基本的に、全農の大きな役割は、農家の皆さんが必要な資材を海外から調達をして、それを農家の皆さんに高く売るのではなくて、農家の皆さんが手取りを上げられるようにできる限り安く提供をして、そして農家の皆さんが作られたものをより付加価値がつくマーケットを開拓をして、農家の皆さんの手取りを上げてもらうこと、これが私は大事なことだと思っていますので、これからそういったことをよく頑張っていただきたいなと思っております。

空本委員 全農の役割というのは、やはり米について言えば、これまでは一生懸命集荷してもらって、適正な額じゃなかったけれども集荷して、それを年間を通じて一般に流通させる、そういう安定供給機能があったんですね。今、それが崩れてしまった。

 私はもう一回全農さんに頑張ってもらっていいと思いますが、概算金だけはちゃんと、生産者の目線での概算金制度に改めていただいて、全農さんがしっかり集荷してもらって、年間を通じて安定的に米を供給する、この体制づくりじゃなきゃいけないのかなと思います。是非、そのことも含めて農水省の中でも検討いただきたいと思います。

 そして、小泉さんが掲げる農協改革ということ、これまでいろいろやられたと思いますが、JAグループの金融があります。これを外資に差し出すことなんですかね。それか、安全保障上重要な米、これは、全農、グローバル穀物商社でありますけれども、こういったものの解体なんでしょうか。

 また、今、共同購入とおっしゃっていましたけれども、そういう事業もあります。こういった事業、実は、信用、共済、農業に係る経済事業、こういう三事業、ただし、経済事業、農業で肥料を売るとか、また営農指導するとか、そういった事業については赤字であります、真っ赤であります。そこを何とか共済と信用、貯金でつないできたというのがある。これは、郵政三事業の解体と同じような末路を迎えるのかどうか。どのようにして、農業に係る経済事業というか、農家を支える事業を支えていくのか。赤字です。大臣、いかがですか。

小泉国務大臣 今、SNSも含めて何でも物事を単純化をする傾向にありますけれども、郵政の改革と今回のことで全くシンプルに対比ができる構造ではないのは御承知の上で御質問されていると思いますし、近年陰謀論がはびこりやすい状況の中で、まるで農協を外資に差し出すとか、全くありません。そういったことは、まず空本先生も承知の上での御質問をしていただいているということが私は基本的な認識なんですけれども、それはよろしいんですよね。(空本委員「はい」と呼ぶ)

 その上で、農協の経済事業について言えば、残念ながら八割の農協が経済事業は赤字です。そして、この状況の中でも、一部の農協の中では、この経済事業で立っていくんだということを本当に真剣になって頑張っている農協があることも事実です。

 ですので、我々としては、農家の皆さんのために頑張る農協を応援をしたいと思いますし、フラットな言い方をすれば、農家の皆さんに選ばれる組織であれば、農協でなくてもほかであっても私はどこでも構わないと思っております。

空本委員 大臣からしっかりとした御見解をいただいたと思います。

 私自身は、うちのおふくろも農協の元職員でありまして、私も農協の准組合員であり、そして共済も入っています。農協からお金も借りて事務所を建てていますということで、農協さんとは切っても切れない関係にあるんですが、今の全農、農協、単協の在り方であると潰れていきます。経済事業は成り立たない。共済と貯金の信用事業で何とか頑張っているというところなんですけれども、そういったものを含めて、本当に、前の事務次官の奥原事務次官のその路線、こういったものでいいのかどうかも含めて、しっかり考えていただきたいと思っておりますし、そして、何度も言いますが、概算金制度を含めて。

 そして、もう一点、最後にお聞きしたいのは、これまでの自民党さんの農政、特に日本の米作り農家を極限まで痛めつけた、追い詰めた今の米作り農政、これを抜本的に変えないといけない。所得補償制度、本当はやるべきなんですけれども、そして私は食管制度も考えながら一緒にやるべきだと思っているんですが、今ここで自民党の米作り農政を大きく変えていかなきゃいけない。いかがですか、大臣。

小泉国務大臣 まず、今までの自民党の農政が米作りを営んでいる農家さんを徹底的に痛めつけたということはありません。やはり時代に合わせて苦労しながら、米農家さんに本当であれば自由にお米を作っていただきたい。だけれども、やはり食の多様化などもあって、お米だけじゃない選択肢が相当広がりました。こういった日本人の消費の在り方の変化なども相まって需要が毎年減っていく、それでもなお農家の皆さんの経営を安定させるにはどうすればいいだろうかというこの苦労の積み重ねだったと思います。

 一方で、それが今このような異例の米価の高騰を招いている要因として何が原因かということは、我々、謙虚になって、見直すべきは見直さなければいけないと思っていますので、今日から始まる政府においての米の関係閣僚会議などにおいて、しっかりと今までの政策も今の米価高騰の要因も検証した上で、令和九年度以降の水田政策を抜本的に転換をしていく、ここに向けて真摯な議論を積み重ねたいと思います。

空本委員 どうもありがとうございます。

 中山間地域は、高齢化、厳しいです。草刈り、大変です。そういったことを理解した上でのしっかりした生産者目線での田んぼ、農政、そして集落はやっていけません。まとまればいいだけではありません。そういったことを踏まえて、しっかりお願いします。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 初めに、米のことからお伺いをしていきたいと思います。

 今、足下の米不足、米の価格高騰対策というものが進められておりますけれども、この対策をしっかり進めるとともに、今年の夏以降、再び、昨年と同じような米の不足であるとか価格高騰、そうした混乱が起こらないよう、ここはしっかり米の増産を進める必要があるというふうに考えております。

 その点については、令和七年産米については、四月末現在の作付の意向では、備蓄米分も主食用に振り向けるというようなこともあって、これまでの五年で最大の生産面積となっており、生産量も対前年で四十万トン増と、これが平年並みの作況であるならば、十分に需要を賄え、昨年のような混乱も恐らく起こらないだろうというふうに考えられますけれども、一方で、現在も、原料となる米の価格高騰の影響を受けている煎餅であるとかみそなどの食品製造業がこれから十分な原料米を確保できるのかという懸念があります。

 加工用米をめぐっては、昨年八月からの主食用米の品不足、価格高騰が始まる一年前、令和五年の九月に米菓業界が原料米の不足に対する対策を要請を行い、十一月には備蓄米の放出も要請をしております。また、令和六年四月には、全国味噌工業協同組合連合会が加工用向けの販売を要請したことなどによって、この年の七月に農水省では備蓄米一万トンを加工用原料として販売をしております。

 特に、一・七ミリ以上のふるい下米というものが主食にも加工用にも回せる、これがある程度、バッファーの役割、需給調節の役割をしていたと思うんですけれども、ここがなくなってしまったということが起こった。これは、米不足の予兆が既に一昨年からあったのではないかというふうにも考えております。

 そして、今現在、価格高騰で主食用へのシフトというものが進み、国産原料にこだわってきた製品も作れなくなってしまうという声も上がっています。七年産の作付意向では、加工用米は前年よりも減少をしており、関連業界は大きな不安をいまだ抱いております。

 同様に深刻なのが酒米で、急激な価格高騰に対して、経営規模の小さい日本酒業界では価格転嫁もままならない状況です。さらに、主食用米の価格が酒米を上回る状況に農家も主食用米に切り替える動きが出てきており、今後肝腎な原料の米を確保できるかどうか、酒蔵も大変な不安な状況に置かれております。

 良質な国産米原料の安定供給のために、水田活用支援交付金の単価見直しや、現在対象外となっている醸造用玄米の新規追加を行う必要があると考えますが、この点について見解を伺いたいと思います。

庄子大臣政務官 お答えいたします。

 私も先日、米菓工業会の皆様やあるいは酒造組合の皆様と意見交換をしてまいりまして、今委員が御指摘になったことを共有をさせていただきます。

 その上でお答え申し上げますが、加工用米への支援といたしましては、水活の直接支払交付金、十アール当たり二万円ですね。加えて、米の新市場開拓促進事業は十アール当たり三万円というふうにさせていただいております。

 また、醸造用の玄米につきましては、新市場開拓に生産をしていただく場合については、ほかの米と同等の支援をさせていただいております。

 さらに、産地交付金におきましては、都道府県や地域の判断におきまして、助成対象物や単価を設定可能という仕組みにしております。

 加工用米についてでございますが、米の基本方針におきまして、政府備蓄米の加工原材料用販売につきまして、MA米への代替が行われてもなお端境期の供給が不足をしてしまうという場合につきましては、当年八月以降の入札による販売を行うというふうにしておりまして、本年端境期がこうした状況に該当するかどうかということについてよく見極めた上で、適切に判断をしてまいりたいと思っております。

角田委員 あくまでも、来年以降もしっかりと安定して製造できる、そうした基盤の確保というものが必要だと思っておりますので、是非しっかりと検討いただくことをお願いしたいと思います。

 続きまして、今回、流通の目詰まりを解消するとして売り渡した備蓄米の流通状況を見ても、なかなか消費者の手元に届かない、地域的にも差が生じる等の問題が明らかになっております。

 価格高騰、高止まりの要因は、一つには、国の対応そのものにやはり時間がかかった、後手に回ったことにあるとも思っております。

 今回の経験を踏まえて、需給バランスが崩れた際に迅速に、さらに確実に必要な食料が行き渡るようにするための体制、仕組みというものをあらかじめ構築しておくことも考える必要があると思います。

 その際、備蓄米というのは、本来の目的である、不作、凶作への備えとして常に一定の水準を確保しておく、放出するというのはあくまでも最後の手段であって、今回のような流通の目詰まり等で急激な価格の高騰などには、迅速にその原因を解消するための仕組みを設けるべきと考えます。そのためには、国だけではなくて、地方や民間とも連携、連動した仕組みというものを是非検討すべきと考えますけれども、この点について見解をお聞かせいただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在、八月までの緊急措置として、随契による政府備蓄米の売渡し、こういったことをまずしっかり行っていきたいと考えております。

 その上で、今回新たに立ち上げられる関係閣僚会議におきましては、消費者の皆様に持続的に安心いただける価格で米を提供するとともに、生産性向上を通じた持続的な農業生産により米の安定供給を実現するため、まずは、今回の米価高騰の要因と今般の対応の検証、こういったものを行うということでございます。

 農林水産省といたしましては、こうした関係閣僚会議を通じまして、御指摘のございました備蓄の対応、こういったことも含めまして、必要な検証、検討を行ってまいりたいと考えております。

角田委員 続いて、農業人材の確保ということについてお伺いをしたいと思います。

 大臣所信においても、人口の減少に伴い、農業者の減少が避けられない中で、持続的な食料供給を図るためには、新規の就農を促進しながら、少ない農業者でも対応可能な強い生産基盤が必要との考えを示されておりますけれども、そのためには、農地の大区画化などとともに、農業者の急激な減少に対応して、農業生産を維持する、少ない人数でも対応可能な組織の育成ということを急ぐ必要があると考えます。

 そのために不可欠となってくるのが、農業分野でのDXの推進、デジタル人材の確保、育成だと考えております。

 これから五年は、農林水産業だけではなくて、日本にとって極めて大事な時期であり、基本計画では、スマート農業技術の実装によりDXをリードする、デジタル技術やデータ活用に対する高いリテラシーを持つデジタル人材を育成するとしておりますけれども、具体的に、これから、どれだけの人材が必要となって、そのために、どのように育成を図り、確保しようとしているのかということについて、まずお伺いしたいと思います。

堺田政府参考人 お答えいたします。

 農業者の減少下においても生産水準が維持できる生産性の高い食料供給体制を確立するためには、デジタル技術を活用したスマート農業技術を使いこなす農業者の育成、確保が重要と考えております。

 このため、現在、デジタル田園都市国家構想総合戦略におきまして、スマート農林水産業の人材を、二〇二二年度から二〇二六年度まで毎年三万人育成することとしまして、農業大学校、農業高校等におけるスマート農業機械の導入やスマート農業のカリキュラム強化、体系的なスマート農業研修を通じた現役農業者へのリスキリング等の取組を進めているところでございます。

 さらに、農業者が高度なデータ活用をより簡便に行えるように、データの収集、分析を行うサービス事業体の育成支援も進めているところでございます。これらの取組によりまして、農業者によるデータ活用及び人材の育成に係る施策を着実に推進してまいりたいと考えております。

角田委員 先端技術の導入には専門的な知識や技術が必要となりますけれども、多くの農業従事者には技術の理解と適切な活用スキルというものが不足をしているというのが現状であると思います。

 DX化、そのための人材確保は、農業分野こそ、先頭に立って進めなければならない、そして、その際、本当にデジタル人材がいなければならないのは、農業生産を行う、その現場の組織の中だと考えております。

 令和六年版情報通信白書、デジタル化への取組状況は、中小企業では約七割が未実施と回答しており、日本、アメリカ、ドイツ、中国の企業に行った調査では、デジタル化の効果について、日本では、新規ビジネス創出や新しい働き方の実現など、各観点に共通して、期待以上とする回答が最も少なく、期待する効果が得られていないとの回答が、四か国中で最も多いというような結果になっております。なぜデジタル化の効果が上がらないのか。大きな要因というのは、やはり人任せにしているからです。組織内にデジタル人材がいないからであります。

 システム開発の内製化状況の調査においては、日本では、システム開発を自社主導で実施していると回答したのは四割、一方で、海外では、自社主導での開発を行っていると回答したのは八五%から九五%となっており、日本と大きな差があります。ベンダーお任せで、果たして生産性が上がるのか、上がってきたのかということなんですね。

 人材不足と言われますけれども、昨年、二〇二四年時点の大学生数は、二百九十四万九千七百九十五人で、過去最多です。進学率の上昇、特に女性の学生数の急増で、三十年前より百万人以上増えております。

 民間の調査では、約六割の学生が地元就職を希望している一方で、地元に戻らない理由として、給料が安い、大手企業がない、志望する職種がない、キャリアを築けないなどが挙がっております。地方でも、新たな雇用を生み出すために、企業の誘致など様々な取組を行っておりますが、なかなかうまくいっているところは少ないようです。

 既に農地は全国どこに行ってもあって、農業はあるのですから、そこに人材を呼び込むことに更に積極的に取り組んでいくべきと考えます。特に、デジタル技術の活用は、様々な困難が待ち受けるこれからの農業を維持発展する上で不可欠であり、これから特に必要とされる、生産者と消費者を結び、消費者理解を醸成する上でも極めて有効なツールでもあります。

 DX化による地方創生は農業が先頭に立って進めるぐらいの意気込みで、人材確保そして育成に戦略的に取り組んでいくべきと考えますが、この点について見解をお伺いしたいと思います。

堺田政府参考人 お答えいたします。

 デジタル技術の高度化が進む中、デジタル化に意欲を持つ農業者等を中心にデータ活用の取組が進んでいるものの、食料システム全体で見ると、更なるDXが必要と考えております。

 このため、新たな食料・農業・農村基本計画において、食料システム全体の生産性の向上に向けて、生産現場におけるスマート農業技術の活用や、生産から消費までの情報伝達におけるデジタル技術の活用など、食料システムのあらゆる場面でのDXを推進することとしております。

 女性や次世代を担う若者を始めとする農業者が農業現場で生き生きと活躍していただけるように、農業者におけるデジタル人材の育成も含め、食料システム全体でのDXを推進してまいる考えでございます。

角田委員 しっかりと推進していただくことを求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 前回、大臣所信について質問させていただいてから、またこの一週間で備蓄米がずらっと店頭に並んだり、新たな動きもあって、さすがのスピード感だなと感心しているんですが、でも、いやいや、待てよと思うこともありますので、私も今日は話のスピードにブレーキをかけながら、しっかり進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 現在、食料自給率、三八%から四五%に引き上げる目標というのを掲げられておりますが、そのためにも、令和七年度農林水産関係予算、二兆二千七百六億円では足らない、まずは四兆円台、倍増を目指すべきだと前回もお伝えいたしましたが、この委員会のメンバーの中でも、予算を減らせという人は絶対いないと思うんです。ですので、小泉大臣にも、予算の確保には努めていただきたい。

 そんな中、今週二日、自民党の森山幹事長らは、農家の所得向上に向けて、今後五年間でおよそ二兆五千億円の予算を確保するという決議を石破総理と小泉大臣に提出されました。以前からこの別枠予算については報道がありましたので、私自身も期待をしておりました。小泉大臣はこの決議を米の強靱化予算と表現されておりましたけれども、予算を別でつけるというのには私は大賛成ですが、その中身が問題です。

 まず、強靱化といいながら、少な過ぎです。二兆五千億円と聞くと巨額に思えますけれども、五年で割ったら、一年で五千億円程度です。農家の所得向上や構造転換を本気で目指すんだったら、この規模では、選挙前にやっている感を出したかったんかなと思われるしかないと思います。

 そして、その予算、具体的に何に使うのかということ。農地の大区画化による低コスト生産の推進、スマート農業技術の導入の加速化、それに、これだけ国内でお米が足りないとか高くなっていると言われて、備蓄米を放出しなければいけなくなったという状態にもかかわらず、米の輸出目標などを達成するため、販路拡大の支援というのを盛り込んでいるということで、何かちょっとずれているなと思いました。

 この決議だけを見ますと、日本の農政は大規模農家を優先する方向にしっかりとかじを切ってしまったのかなと危惧をいたしますが、特に、今も何とか踏ん張って田植をしてくださっている小規模農家や家族経営の皆さん、また切り捨てるのではないか、ただでさえ、備蓄米の影響で米価の下落のリスク、みんな心配しています。農地集約化といいますけれども、圧力か何かが出てくるかもしれないと恐れている人たちもいらっしゃいます。今頑張っている人たちを支えなければ、また離農者が相次ぐ。

 一方、大臣所信表明では、規模の大小を問わず、家族農業を含めた効率的かつ安定的な経営体の育成、確保、円滑な経営継承に取り組んでまいりますとおっしゃっている。ここでは、大小を問わず、全部守るんだとおっしゃったんですけれども、大臣、お子さんを毎年田植に連れていっているとメディアでおっしゃっていたのを私は見たんですが、やはり、農作業とか食べるものを作るということ、これは効率化が全てではないということ、大臣が一番御存じだと思うんですよ。多分ですけれども、最先端のばりばりの大企業がやっていますというようなスマート農業に子供は連れていかないと思うんです。

 しかし、自民党が出した決議、これは、小規模農業や家族農業、今農作業に頑張っている方たちへの支援が全く見えてきません。農地の大区画化、スマート化などが中心で、弱い生産者を淘汰するようなものに私は感じるんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。お願いします。

小泉国務大臣 よく決議も読んでいただいて、また、自民党が今訴えていることを聞いていただくと、全く、大規模だけを応援をするということにはなっていなくて、バランスよく、中山間地も含めて支援をしなければいけないということは御理解をいただけると思います。

 私が息子を、田植にということではなくて、毎年、農業現場に連れていっているというふうに、ネット番組で出たんですけれども、お話をさせていただきました。やはり、その思いというのは、私の地元も、メインはキャベツと大根が多いですけれども、イチゴ狩りとかミカン狩り、観光農園もあります。やはり、こういった農業の価値、そして魅力、こういったものが一つ今後の将来にとって、自分にとって、こういう分野で働くのが好きだなとか、そういった一つの何か気づきのきっかけになれば、そんな思いで連れていきますし、全ての子供たち、国民の皆さんにも、この機会に農業現場に対する理解、農家さんに対する理解が深まることを私としては期待をして、政策をしっかり進めていきたいと思います。

八幡委員 まさに今大臣がおっしゃったこと、子供たちに継承していきたい、それはもう大賛成です。でも、その農業をずっと支えてきたというのは、小規模農家さんであったり家族経営の農家さんたちなんです。だから、絶対そこは切り捨ててはいけないと思うんです。これは、私、ごめんなさい、田植と言いましたけれども、農業全体にしてもそう、お米農家さんもそうです、その人たち一つ一つをきめ細やかに守っていかないと、そんな、子供たちに継承できないですよ。何かドローンみたいなのが飛んで無人農家みたいなのを見せて、それは見せられないじゃないですか。何も伝わらないですよ。

 やはり、食べるものを作ってもらっているんだというところに敬意を払って、そこに予算をつけていくということ、絶対大事だと思います。この後、米の関係閣僚会議があるんですよね。是非、ここはちょっと言っていただきたい。大臣にお願いを申し上げます。

 次に行きます。

 別枠予算について、もう一問ちょっと聞きたいんですけれども、先日、れいわの高井崇志幹事長が三日の財務金融委員会で、予算の二・五兆円の財源についてどうするんですかと質問したんですが、財務大臣ははっきりと答弁されませんでした。そこで、またちょっと小泉大臣にもお伺いしたいんですけれども、二・五兆円の財源、これはどうすればいいと思われますか。ちなみに、私は、国債発行してでももっともっとやるべきだと思っております。まさかここで増税というのは出てこないと信じているんですが、いかがでしょうか。お願いします。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の決議につきましては、自民党が決定したものであり、財源を含めたその内容については、政府としてのお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、農地の大区画化や共同利用施設の再編、集約化など、農業の構造転換に向けた施策につきましては、政府として、新たな食料・農業・農村基本計画に基づき、着実に推進してまいりたいと考えております。

八幡委員 この質問は大臣にとお願いをしていて、通告レクというのが私たちはあるんですけれども、そのときに農水省の方とすり合わせをするんですが、この問題は先生、大臣に聞いてもちょっと面白くないから、もう政府参考人でいいですかねみたいなところを言われたので、あえて私はここで、いや、大臣でお願いしますと言ったんです。

 これは何の意図があるかというと、別に私、どっちが答えていただいてもいいんですよ。なぜなら、れいわ新選組というのは積極財政を訴えているんですよ。私たちが予算について言うと、何か、それ、財源どうするんだと与党も野党もみんな聞いてくるんです。でも、自民党さんがこの予算の話、今回、二・五兆円と言っても誰も聞かないじゃないですか。だから、何かずるいなと思って、今日は質問に入れてみました。だから、私たちは、財源はどうするんだといったら、いや、それは国債発行してでもやるべきだと答えるんですけれども、自民党さんにもしっかり答えていただきたいなと思った次第です。

 次に行きます。

 小泉大臣は、需要があれば備蓄米を無制限に出すと繰り返しておられますので、自民党内で反対が強いとされる、主食としての外国産米の輸入にも含みを持たせているのかなと邪推をしてしまうので、農水省にまずお伺いします。

 この備蓄米放出によって、在庫は、平時の三分の一となる約三十万トンまで減る見通しですが、農水省としてはこの状況をどう考えているんでしょうか。吐き出したらまた備蓄すべきですし、倉庫業界からは、全国で東京ドーム約八個分の空きが生じて、月当たり約四・六億円の倉庫収入が消失するんだという報道もありましたから、それらを受けて、農水省の考え方として、外国産米の輸入拡大を検討しているのかどうか、お願いします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 備蓄水準の減少に対しましては、今後、価格の高止まりが解消されまして、国が買い戻す環境が整った場合に計画的に国産米を買い入れることで回復していく、こういったことが基本であるというふうに考えております。

 以上でございます。

八幡委員 是非、国内で備蓄をしていく、国内で作って、私たちは、それをもっといっぱい、たくさん農家さんに作っていただいて、余剰分は買い上げて備蓄に回すということも言っておりますが。

 これらの答弁を踏まえて、大臣にもこれは聞きたいです。主食用米の輸入拡大、あるのかないのかについてもお伺いしたい。

 それに加えて、小泉大臣はおとつい、三日の参議院の農林水産委員会で、備蓄米全放出の場合、ミニマムアクセス米も活用が可能だと発言をされておりました。

 国は、これまで、ミニマムアクセス米の輸入が国内農業に与える影響を最小限に抑えるために、輸入米を主食用にほとんど流通させない運用を行ってきました。それは国産のお米を保護するためだったはずなのに、備蓄米に編入されているミニマムアクセス米を市場に放出したら、意外と海外米でもいけるやんとみんななって、結果として国産米と競合させてしまうのではないでしょうか。

 大臣が今日既にほかの委員の答弁で、二キロの国内産のお米が売れずに、関税を払ってでも仕入れた海外米の方が売れるんだと御自身でおっしゃっていたので、影響あると思うんですが、いかがでしょうか。お願いします。

小泉国務大臣 私が申し上げたのは事実です。スーパーさんの中で、高い関税を払ってでも独自でアメリカからカリフォルニア米を調達をしている企業があり、そして、昨年と比べたときに、朝日新聞の比較ですけれども、八十倍、一年前と比べて海外産米が増えている。こういった現実はもう起きていますので、政策で今輸入をこれから増やすのかという問いに対して言えば、何よりも価格高騰を抑えるために、あらゆる選択肢は持っておきたいと思います。

八幡委員 でも、まさにその答弁が、お金のない人、生活が苦しい人は輸入米を食べてくださいというメッセージにしかならないわけですよ。そこはやはり、しっかりと国産米を守っていかないといけない。これ以上自給率を下げないでいただきたい。

 最後に、もう一回伝えておきたいんですが、米の輸出について、私、輸出そのものを否定する立場ではございませんが、今輸出拡大に力を入れるというのは、国民からするとやはりずれているんじゃないかなと考えます。

 みんな新米をおいしく食べたいです。それが満足にできないということこそが、大臣が繰り返しおっしゃる米離れだと私は思います。輸出を拡大するよりも、国内需要がある米を今しっかり増産する、これは米以外もそうなんですけれども、日本の国民の食料は国内で賄えるように、食料自給率を高めていくべきだと考えます。

 別枠予算をつけてでも輸出拡大を目指すということなんですが、もう、米が安定するまで輸出はやめるくらいの強いマインドで国内の安定供給を図るべきではないでしょうか。お願いします。

小泉国務大臣 今、国内で不足感を払拭するためにできる限り国内に米を供給をしなければならない、その思いは同じです。

 一方で、これから農家の皆さんに前向きに米作りをやっていただくときに、自分は輸出をやりたいんだという若い農家さんがいることも事実で、今日もほかの議員からもそういう御指摘がありました。その方々の、やはり自分でやりたいということを後押しをする、そういった選択肢も私たちは後押しをすべきだと思いますので、今の課題、そしてまた中長期に向けて世界のマーケットを獲得をしに行く、こういったことをもって、結果として、国内で市場に対してお米を出している方々にとっても私はマイナスのことよりもプラスのことがあると思いますので、よくそこは丁寧な説明をして、しっかり輸出の後押しもやらせていただく、国内にも供給する、成し遂げていきたいと思います。

八幡委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣が言われたのは、農水省も出しております、勝てる農業というやつだと思うんですけれども、そこに、これでちょっともうけてやろうかという若い世代が意気込みを持って農業に関わるというのは、私、これは否定するものではないです。それもやりつつ、国内の安定供給をまずは図ろうよという話です。それができてこその輸出だと私は思っています。

 大臣、これから次また質問する機会があるかどうか分からないですけれども、私は、大臣、すごく分かりやすい方だなと思っていて、また質問したいんです。

 なぜかというと、前回、私たちれいわ新選組の農林水産政策、政府が価格保障をする、安定供給を図るために、そして、生産者へは所得補償をする、食料安全保障の観点からも、農家さんにたくさんお米を作っていただいて、それを政府が買い上げる、有事に備え、いつまた災害が来るかも分からないから備蓄強化すべきだと訴えているんですと言いましたけれども、そうしたら、すごいはっきりと、自民党にはそのような政策はありませんと、めちゃくちゃはっきり言ってくださったんですね。これは国民からするとめっちゃ分かりやすいです。このような調子で、しっかりと大臣が考えていること、国民に向けて自民党さんが考えていることなんかをやり取りさせていただきたいなと思っております。

 そして、備蓄米を国はビンテージ米と呼んでみたり、うまいこと言うなと思いますし、あと、備蓄米に何か、大臣、新しい名称を募集されていますよね。何かいろいろなことを言われて、大喜利みたいになっていますけれども、そんな流れは、これは聞いてくださっている皆さん、もう一回思ってほしいんですけれども、備蓄米は備蓄米ですよ。備蓄米はそれ以上でも以下でもないです。この備蓄米を世の中に、市場に放出しないといけない、これを誰がやったんだということをもう一回改めて立ち返って考えていただきたい。

 しっかりと日本の農業を支えてきて、安定した供給というのを続けてきたら、価格の保障なんかというのも私はもっと公金を入れるべきだと言ってきましたけれども、しっかりと事の発端というところを、小泉大臣が出てきたことによってすごく何かそれで解決みたいな、今日なんかも傍聴の方がすごいたくさん来られていましたけれども、それぐらい注目されているからこそ、ここを転機に、しっかりと日本の食の安全保障、本当の意味での安全保障、命を守る、食の安全を守る予算の確保に努めていただきたいと願って、また質問でお会いできることを願って、質問を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 大臣、なかなか今の状況というのは非常に難しい状況で、微妙なかじ取りが求められるというふうに思います。

 今日質問したいのは、備蓄米をどんどん出して安くするのは結構なことだと思いますが、私、資料をお渡ししていると思いますが、二番目の方に、ちょっとこれはうちの事務所で作ったんですが、令和七年産米、今年できるお米について見ますと、需要見通しが六百六十三万トン、一番上の数字です。それから、作付意向。農林水産省が出している適正生産量というのは六百八十三万トンなんですが、農家さんの作付意向というのは、これを優に三十万トンぐらい超える七百十九万トンになっている。ですから、この七百十九万トンがこのまま生産されるのかどうかというのはありますけれども、大変増産をしようとしている。そうすると、需要の見通しとのかなり差が出てくる。

 今まで農林水産省というのは需要に応じての生産というのが方針だったというふうに思いますけれども、この状態をそのまま放置してよいのかということをお伺いしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、需給見通しでございますけれども、令和七年七月から八年六月までの見通しにつきましては、需要量が六百六十三万トン、七年産生産量六百八十三万トンと見通しているところでございます。

 これに対しまして、七年産米の作付意向ということで調査しておりましたところ、買入れを当面中止している備蓄米と合わせて百三十三・四万ヘクタールの作付意向、これは生産量でいきますと七百十九万トンということになります。

 米の生産につきましては、基本的には生産者が自らの経営判断で作付を行うものとなっており、七年産米の生産のこういった拡大ということも、現在の米の需給動向を踏まえ、生産者の方で御判断されているというふうに考えております。

北神委員 それはちょっと多分無責任な答弁だと思いますよ。

 食糧法の第四条に、需給の安定及び価格の安定を図るために、農林水産大臣は指針を出すということになっています。今の答弁だと、いや民間の自由だというような話ですけれども、それで本当によいのか。食糧法四条との関係はどうなるんですか。

松尾政府参考人 食糧法四条ということでございますけれども、国は、食糧法第四条に基づきまして、米穀の需給及び価格の安定のために、作付前のときに毎年、こういった需給見通しということで、食糧部会の御意見を聞きながら見通しているわけでございます。

 こういった一つの国が示す需給見通しということで、生産者自らの経営判断で作付を行う上での参考情報として、生産者は、こういった需給の私どもが策定した見通しというものを見ながら、最後は経営判断ということになるんだろうというふうに思っております。

北神委員 適正生産量を出して、それが皆さんの需要見通しとある程度合致するように、合致までいかなくても、その水準に合わせるということだと思いますけれども、建前は農家の皆さんが自分の経営判断だということでしょうけれども、これをほったらかしにすると、先ほど、今日は葉梨委員からも、ずっといろいろな方が指摘されましたし、私も先週、大臣に直接頭出しを一番最後にしましたけれども、このままでいくと、これを見ていただくと、在庫が、作付意向どおり、この括弧の中、下から二番目の方を見ていただきますと、令和七年産米、何と二百七十五万トンになるんですよ。

 二百七十五万トンというのは、過去を見ますと、二〇〇六年に同じぐらいの水準の在庫がありましたけれども、当時の需要量というのは八百三十七万トンなんですね。でも、皆さんの需要見通しは六百六十三万トンしかないんですよ。ということは、やはり過剰供給になる可能性が非常に高いというふうに思いますけれども、これに対して対策を取るべきではないでしょうか。

小泉国務大臣 ありがとうございます。

 北神先生から御指摘、資料を拝見をすれば、数字はそのとおりだと思います。

 ただ、一方で、今、喫緊の課題としては、需要が供給を上回るというこの状況のマーケットの受け止めですよね。これが、集荷から卸、小売、そして消費者、あらゆる段階での不足感につながっている、このことが、結果として、個人の家庭内での在庫というか、こういったものも増えていて、そして、消費行動としても変化が生まれて、何とか今この高止まりを抑えなければいけないというときに、今回、備蓄米の放出をしましたし、今、見通しとして四十万トンが増えていく、この見通しは、私は、今の状況を変える上では前向きに捉えています。

 ただ、北神先生がおっしゃるとおり、では、需要と供給の乖離を、価格の暴落という形を起こさないための対応というのは必要ではないかというのは、行政としてあらゆる対応策を検討しておく必要があると思います。

 今、政府としては、そういった収入面での影響があったときに支える方策としては、ナラシや収入保険、こういったことも含めて、また直接支払交付金もあります。是非、こういったことも含めて対応策を考えながら、また、政府としても、九年度の水田政策の大きな変更に向けて、あらゆる選択肢を考えながら議論をしますので、そういったことも含めて対応を考えられればと思います。

北神委員 ありがとうございます。

 大臣は、発信は、今本当に、おっしゃるとおり、目下、価格高騰をある程度落ち着かせていかないといけないということですので、何も今から下がる下がると言う必要はないんです。ただ、水面下で、農林水産省の職員始め、やはり早めに対応しないと駄目だ。本当にこのままの作付意向でよいのかとか。結局、令和六年産米の備蓄米の三万ヘクタール使った農地がそのまま全部主食用米に移行しているんです。ですから、これで本当によいのかというところも、やはりこれも一種の緊急事態になりかねない。

 私、週末、地元の園部町の天引というところは、非常に小さな農村地域ですけれども、やはり彼らも現場でそれを恐れていて、特に兼業農家なんかは、そこで暴落なんかしたらもう、彼らの言葉で言うと心が折れてしまうというような声もありますので、是非そこはよろしくお願いしたいと思います。

 やはり、早め早めに手を打たないといけない。今回の価格高騰も、ついでに言いますと、左の資料を見ていただきますと、令和四年産米、五年産米のときに既に需要が過多になっているんですよ。左のグラフで、赤い数字が需要ですね。四年産米二十一万トン、五年産は四十四万トンも需要が過剰になっている。それで結局、先取り先取りで流通がどんどんどんどん買っていって、令和六年産米は需要と供給はほぼ一致していますけれども、結局足りなくなってしまったというのが恐らく今の現状の原因なんですよ。これはもう去年の段階で分かっていた話なんです。

 だから、やはりそういう、私なんかも、別に全知全能ではなくて、むしろ現場のお米屋さんからそういう話を聞いていますので、大臣も是非そこはアンテナを張って、農林水産省の職員はちょっと遅い、正直言って。だから、そこはやはり早め早めに打たないといけない。

 易経という中国の古典で、霜を踏んでいくうちに固い氷になる。霜を最初踏んでいて、霜だと思っていたら、だんだん固い氷になっていく。早めに早めに手を打って、是非、消費者だけじゃなく、生産者の視点にも立って御奮闘いただきますようお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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