衆議院

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第3号 令和4年10月27日(木曜日)

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令和四年十月二十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      今枝宗一郎君    上杉謙太郎君

      江渡 聡徳君    木村 次郎君

      小泉進次郎君    齋藤  健君

      鈴木 憲和君    関  芳弘君

      田野瀬太道君    武田 良太君

      長島 昭久君    穂坂  泰君

      細野 豪志君    松島みどり君

      山本ともひろ君    新垣 邦男君

      玄葉光一郎君    重徳 和彦君

      末松 義規君    渡辺  周君

      浅川 義治君    美延 映夫君

      河西 宏一君  斎藤アレックス君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    瀬口 良夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        坂本 大祐君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  渡海紀三朗君     関  芳弘君

  中曽根康隆君     上杉謙太郎君

  重徳 和彦君     末松 義規君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     穂坂  泰君

  関  芳弘君     田野瀬太道君

  末松 義規君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     今枝宗一郎君

  穂坂  泰君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     渡海紀三朗君

    ―――――――――――――

十月二十六日

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、警察庁長官官房審議官親家和仁君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省大臣官房参事官宮本新吾君、外務省大臣官房参事官今福孝男君、外務省大臣官房参事官林誠君、外務省欧州局長中込正志君、海上保安庁次長瀬口良夫君、防衛省大臣官房審議官茂木陽君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君、防衛省地方協力局長深澤雅貴君、防衛装備庁長官土本英樹君、防衛装備庁プロジェクト管理部長坂本大祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。國場幸之助君。

國場委員 質問の機会をありがとうございます。自由民主党の國場幸之助です。

 まずは、浜田防衛大臣には、与那国を始め沖縄に二度視察に入っていただきまして、誠にありがとうございます。

 まず、我が国の安全保障のグランドデザインについてお尋ねをしたいと思います。

 防衛力の抜本的強化とは、その内容と予算と財源を三位一体で進めることが政府の方針です。そして、これらを考える前提として、私は、我が国の特徴と独自性、歴史性といった初期条件を踏まえることが大切だと考えます。四百十八の有人離島と世界第六位の排他的経済水域を持ち、食料資源、エネルギーの自給率が乏しく、シーレーンが重要であり、さらに、世界で最も過酷な安全保障の環境にあるという状況と時代認識を踏まえた上で、外交、安全保障のグランドデザイン、全体像を描き、国民と共有することが大切です。

 そこで、防衛大臣と外務大臣にお聞きをします。

 海洋国家日本として、我が国を取り巻く厳しい国際環境下で断固として国家国民を守り抜くために必要な国家の指針をどのように考えているでしょうか。

浜田国務大臣 我が国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩んでまいりました。我が国周辺には強大な軍事力が集中し、軍事力の更なる強化や軍事活動の活発化の傾向が顕著であります。

 私としては、急速に激しさを増している我が国を取り巻く安全保障環境を直視し、また、多くの島嶼や広大な排他的経済水域を有するといった我が国の地理的特徴や、海上貿易等を通じて経済発展を遂げてきたという海洋国家としての特徴も踏まえながら、責任を持って我が国を守り抜くための防衛政策を進めていかなければならないと考えております。

 とりわけ、我が国の安全保障を最終的に担保するのは我が国自身の防衛力、すなわち自衛隊であるという覚悟を持ち、国民の生命、身体、財産を、領土、領海、領空を、主体的、自主的な努力により守り抜くために必要な防衛力を構築していくことが最も重要な取組であり、責務であると考えているところであります。

林国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境は、今防衛大臣からも御答弁がありましたように、北朝鮮による核・ミサイル開発、中国による東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試み、軍事バランスの変化による緊張の高まりなど、厳しさと不確実性を増しております。こうした現実に直面する中で、平和と繁栄を確保していくため、日本の外交、安全保障の役割を強化してまいります。

 その中で、本年末までに新たな国家安全保障戦略等を策定いたしまして、我が国自身の防衛力の抜本的強化への取組に、外務省としても関係省庁とともに参画をしてまいります。

 同時に、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化をしっかりと図ってまいります。

 さらに、来年のG7議長国及び安保理非常任理事国入りも見据え、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けた努力を牽引し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を、関係国や地域のパートナーとも連携しつつ、推進をしてまいります。

國場委員 ありがとうございます。

 防衛予算の考え方についてお尋ねをします。

 防衛力の抜本的強化は、額や期限ありきではありません。防衛大臣、外務大臣の答弁にもありましたように、いかなる事態でも我が国を断固守り抜くという国家としての総合的な外交、安全保障のグランドデザインの全体像を描いた上で、必要な防衛力の中身を優先順位をつけながら積み上げていく作業だと考えます。決して、初めから他省庁の事業を防衛関連予算として寄せ集めることではありません。

 まずは、大局的、長期的に必要とされる防衛力の内実を国家安全保障戦略等に反映させることが先決であり、その上での規模と所要額を三位一体で進めることが大切であると考えますが、防衛大臣の見解をお願いします。

浜田国務大臣 我が国の平和と安全を最終的に担保するのは自衛隊であります。この観点から、我が国が直面する厳しい現実に向き合い、将来にわたり我が国を守り抜くため、防衛力の抜本的強化に向けて整備すべき装備品等、自衛隊の能力の在り方について検討を進めてまいりたい、このように考えておるところであります。

 防衛費の内容や規模については、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討して、自衛隊の能力の強化を通じて、防衛力を五年以内に抜本的に強化していく考えであります。そのために必要なものを新たな国家安全保障戦略等にしっかりと反映させてまいりたいと思っているところであります。

國場委員 ありがとうございます。

 私は、防衛力の抜本的強化を考える際、まず大切なのは、自衛隊の処遇改善だと思います。自衛隊の隊舎、施設、インフラ、海洋での通信環境の整備、戦傷者の搬送機能を含む平時、有事の隊員の処遇改善が第一です。

 そして、自衛隊施設の抗堪性と継戦能力の向上です。私の選挙区の沖縄第一区、那覇基地には陸海空の三部隊がおり、群司令、司令、旅団長らからも切実な声を聞きます。まず、部品の共食いが起きていて、可動率が落ちている。那覇基地は、全国一のスクランブルの回数が続き、我が国の防衛の最前線ですが、部品が足りずに、注文しても時間がかかり、そして部品を製造している企業が撤退している。我が国の主権が脅かされている深刻な事態です。

 航空機や自衛隊整備に屋根や地下化が望ましいのは、台風や塩害防止や防護だけではなく、衛星からの監視に見られないようにするためでもあります。そして、弾薬、弾薬庫が特に南西諸島に決定的に不足をしており、地元の合意形成は丁寧に進めることは前提としつつも、対応が必要です。

 そこで、防衛大臣に質問です。

 限られた防衛予算の中で、維持費、訓練、整備費、弾薬、インフラを始め自衛力の、活動の基盤の改善強化が必要だと考えますが、これらの現状と取組の方針をお聞かせください。

浜田国務大臣 ありがとうございます。

 新たな国家安全保障戦略等の策定に向けて検討を加速する中、防衛省として、国民の命と暮らしを守るために何が必要なのか、年末に向けて防衛力強化の内容を現実的に検討しているところであります。

 具体的には、スタンドオフ防衛能力、そして総合ミサイル防空能力、そして無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力、持続性・強靱性といった分野を中心に強化するとともに、防衛生産・技術基盤、人的基盤等の要素を重視しておるところであります。

 自衛隊が十分な継戦能力を確保するためには、十分な数量の弾薬の確保や、計画整備等以外の装備品が全て可動する体制の確立、航空機の隠蔽用装備品の整備や、地下化、構造強化等の自衛隊施設の抗堪性の向上などの持続性、強靱性強化の取組が重要と考えております。特に、主要な弾薬については所要弾数を早期に取得することが不可欠であり、弾薬製造企業の製造態勢を拡充して生産能力を高めるとともに、弾薬の保有量に見合う火薬庫の確保にも計画的に取り組む必要があります。

 私は、防衛力の抜本的強化に向け、現有装備品等を最大限有効活用するための取組として、こうした持続性、強靱性の強化を重視して推進してまいりたい、このように考えております。

國場委員 ミサイル防衛の現状と課題についてお尋ねをします。

 北朝鮮は、今年に入って二十七回ミサイル発射を繰り返しております。ミサイル技術の進化により、迎撃のみでは我が国を守れないおそれもあります。仮に我が国が対象とされた際に迎撃能力はいかほどのものかという質問をお聞きしたいんですが、より深刻なのは中国です。

 現実に、八月の四日、九発の弾道ミサイルを発射し、五発が沖縄近海、我が国のEEZに着弾しました。この事態は戦後初のゆゆしき事態であり、改めて断固抗議をします。

 中国は、地上発射型中距離弾道ミサイルを約千九百発配備しておりますが、自衛隊と米軍はゼロです。スタンドオフミサイルの探知能力の向上、反撃能力、そして攻撃に着手したことを正確に把握する探知能力の保有などの整備は急務です。政府の対応を問います。

 同時に、八重山諸島の首長の方からは、シェルターの配備が沖縄県に要請されております。このことも必要であると思いますし、五年前にJアラートが発信しましたが、調査の結果、実際に避難した方が五%から一割未満だったということもあります。十月の四日にJアラートの発信に伴う避難、青森県、北海道が調査対象でしょうが、五年前に比べて何が改善されたのかを調べることも必要だと思いますが、この点は要望とさせていただきます。

浜田国務大臣 御指摘のとおり、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、進化をしており、迎撃がより難しくなってきていることは事実でございます。こうした脅威に対応するため、PAC3の能力向上や、イージス艦八隻体制の実現、SM3ブロック2Aの取得といった様々な取組を推し進めてまいりました。

 このような迎撃力を高める不断の努力を継続していくとともに、さらには衛星コンステレーションなどの新たな手段の活用も検討してまいりたいというふうに思っております。

 また、こうした状況を踏まえ、いわゆる反撃能力も含めたあらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところであり、今後とも、防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 武力攻撃を想定した避難施設につきましては、まず、弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するためには、コンクリート造りの堅牢な建物や地下施設に避難することが有効であり、これらの施設を緊急一時避難施設として指定の促進に取り組んでおり、着実に指定が進んでいるところであります。

 その上で、政府におきましては、武力攻撃を想定した避難施設の在り方に関し、より過酷な攻撃を想定し、一定期間滞在可能な施設とする場合に必要な機能や課題等について諸外国の調査も行うなどして検討を進めてきているところであります。

 今後につきましては、こうした施設に求められる仕様や設備に要求される性能等について、様々な視点から調査検討を行うことを考えており、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

國場委員 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一と申します。

 今国会からこの安全保障委員会に加わらせていただきます。本日は、質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきます。

 まず、平和安全法制の意義について確認をさせていただきたいと思います。

 先月九月十一日から、公明党といたしまして、ウクライナ避難民の実態調査のために、ポーランドを始めといたしまして東欧三か国を訪問いたしました。私も一員として参加をいたしました。痛感をいたしたことは、ウクライナの、自分の国は自分で守るという主体性がやはり隣国や米欧の支援、その前提になっているということ、また、何より、戦争は未然に防がねばならないということ、こういった点を痛感をいたしたわけであります。

 また、先週十六日の中国共産党大会における習近平総書記の台湾統一に関する発言。これは、過去三十年間で、武力行使あるいは非平和的手段といった表現がこの党大会で使われたのは、第三次台湾海峡危機後の一九九七年そして二〇〇二年以来であったという事実。これを冷静に踏まえるならば、台湾有事を未然に防ぐ日米同盟の重要性が高まっているというふうに考えております。

 そこで、本日改めて確認をしたい点は、安倍元総理の下で、自公政権で議論を尽くしまして二〇一五年に施行されました平和安全法制の意義であります。武器等防護の新設、武力行使の新三要件、また、存立危機事態の規定等々です。我が国の安全保障の基軸たる日米同盟を専守防衛の枠内で強固にするために不可欠であったというふうに認識をしております。当時は二百時間を超える審議の中で、平和安全法制について、中には戦争法あるいは廃案すべきという御意見もあったわけでありますが、今になって現実を直視すれば、この平和安全法制の整備なくして今般の安保関連三文書の改定を始め、戦争を未然に防ぐための議論、そのスタートラインにすら立てていなかったんだろうというふうに思っております。

 そこで、防衛大臣にお伺いをいたします。

 現下の情勢に鑑み、日米同盟の重要性がかつてないほど高まる中にあって、十全に平和安全法制を整備した意義は日を追うごとに高まっていると考えますし、また、様々な実績もこの七年間で積まれているというふうに思います。大臣の御所見をお伺いをいたします。

浜田国務大臣 二〇一五年に成立した平和安全法制により、自衛隊はあらゆる事態に切れ目なく対応することが可能となりました。

 法律施行後、平和安全法制に基づく任務の実績は一つ一つ積み重なっており、例えば、自衛隊法第百条の六に基づき、米軍に対する物品、役務の提供を行っているほか、自衛隊法第九十五条の二の規定に基づく米軍等の武器等防護について、二〇二一年は米軍に対し二十一件の警護を実施し、また、二〇一九年四月から、国際平和協力法に基づき、多国籍部隊・監視団に司令部要員を派遣しております。

 このように、平和安全法制の整備により、日米同盟の抑止力、対処力は向上し、また、国際社会の平和と安定により積極的に貢献できるようになったと考えております。

 その上で、現在、我が国が直面する安全保障上の課題は深刻化しており、平和安全法制によって構築された法的基盤を踏まえた上で、いかなる事態にも対応できる能力に焦点を当て、防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいります。

河西委員 ありがとうございます。

 続きまして、日韓関係について林外務大臣にお伺いをいたします。

 今回、特にポーランド訪問で実感をしましたことは、現時点でNATOに加盟をしていないウクライナが、米欧の提供するアセットの輸送あるいは避難民の受入れなどなど、いかに友好的な隣国に支えられているかという点でございました。

 翻って、我が国は海洋国家でございまして、台湾有事や北朝鮮の脅威などへの備えは、より重層的な体制が求められるんだろうというふうに思っております。したがいまして、先日の二十二日の日豪の安全保障協力に関する新たな宣言にこの有事への対応に関する検討が盛り込まれたことは極めて重要だというふうに考えております。

 他方、この日豪に加えまして、日韓の関係もますます重要になっていると認識をしております。

 日韓関係は、海洋国家と半島国家という意味では、御案内のとおり、世界最古の同盟である英葡永久同盟を結ぶイギリスとポルトガルの関係とも地政学的に重なる部分がございます。

 また、今月三日の開天節の祝賀会に参加をいたしましたが、尹徳敏駐日大使の挨拶からも、北朝鮮の脅威を背景にして、戦後最悪と言われる日韓関係改善へ、政権交代した韓国の強い意欲とまた危機感も同時に感じたところであります。

 その上で、林大臣の先日の所信で触れられたように、韓国は重要な隣国である一方で、様々な課題がございます。両国の世論も決して単純ではない。ただ、その一方で、世論の安定というのは、やはり抑止力を支える大変重要な基盤であるというふうに思っております。

 そこで、今後の日韓関係を展望し、例えば二〇〇二年の日韓ワールドカップのような、スポーツ、文化交流を通じた国内世論の醸成の促進を一つの発射台としながら、同時に、有事への対処を念頭に置いた日韓そして日米韓の連携を深化させていくべきだというふうに考えますけれども、林外務大臣の御所見をお伺いをいたします。

林国務大臣 韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国であり、日韓関係が非常に厳しい状況にある中においても、両国の国民間の交流は重要だと考えております。

 韓国との間では、青少年交流を含む人的交流事業である対日理解促進プログラム、JENESYS等を通じて、一九八九年度以降これまで累計四万名を超える人材が交流を行ってきております。こうした青少年を中心とした相互理解の促進等に今後とも積極的に努めていく考えでございます。

 また、現下の戦略環境に鑑み、日韓、日米韓協力の進展が今以上に重要なときはないと考えます。朴長官との間では、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて今月四日に電話会談を実施しまして、引き続き日韓、日米韓で緊密に連携していくことを確認をいたしました。

 国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づいて、日韓関係を健全な形に戻して、更に発展させていくために、韓国政府と緊密に意思疎通をしてまいります。

河西委員 ありがとうございます。

 最後に、サイバー防衛の強化について、浜田防衛大臣にお伺いをいたします。

 現在のウクライナ善戦の背景にはIT人材の活躍があるのは周知のとおりでございます。

 先日も私、オンラインでウクライナの大統領府のティモシェンコ副長官とお話をさせていただいたときに、ウクライナ政府は独自に短期間で構築したシステムがございまして、ロシアから攻撃を受けた国内施設やインフラの被害状況について、その位置と画像、さらに、その修復の費用まで画像解析をして自動計算して、見積りを既にはじき出しております。それに基づいて各国への支援を、しているということでございます。

 実際にそのシステムを拝見をしまして、これぞやはりIT大国ウクライナだからこそなせる業だというふうに痛感をいたしました。そのプログラムのソースも公募で集めて組み上げたそうでございます。

 翻って、我が国のIT人材不足は防衛分野にとどまらないことは御案内のとおりでございまして、やはりグレーゾーン事態への対処力、サイバー防衛能力の強化は焦眉の急であることは申し上げるまでもございません。

 また、先般、これは政府から、マイナンバーカードと保険証の二四年秋までに原則一体化する方針が打ち出されました。これは、国民皆保険制度がデジタルネットワークに大きく依存する仕組みに変化するということで、こういったDXの進展とともに、想定されるグレーゾーン事態に対処しまして、そして国民の命と暮らしを守るサイバー防衛力の重要性、今後より一層高まっていくというふうに認識をしております。

 そこで、お伺いをいたします。

 既に防衛省では、サイバーセキュリティ統括アドバイザーの採用を始めといたしましてあらゆる取組を行っていただいておりますが、今後の防衛費の検討に当たりましては、新編されたサイバー防衛部隊の強化も念頭にいたしまして、処遇改善に加えて、継続的に人材を育成する貸費学生制度について、特にこのIT分野を始め、財源拡充なども検討すべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

浜田国務大臣 防衛省としては、サイバー攻撃の脅威が日々高度化、巧妙化する中、サイバー人材の確保は喫緊の課題と認識しております。このため、サイバー教育基盤の整備、民間の高度人材の採用、サイバー人材の給与面の処遇向上など様々な取組を行っております。

 新たな国家安全保障戦略等に向けた議論を加速する中で、引き続き、御指摘の貸費学生制度も含め、サイバー人材確保を実効的に強化できるよう検討してまいりたいと考えております。

河西委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。

 まず冒頭、昨年の熱海、伊豆山で発生をしました土石流災害、そして今年、台風十五号で静岡県の清水区を中心として断水が発生した際に、防衛省・自衛隊の皆様方に大変迅速かつ精力的な復旧復興活動に取り組んでいただきました。まず冒頭、地元民として心から感謝を申し上げたいと思います。

 静岡県民の一人として言わせていただければ、まさに安全保障と災害対策の二正面作戦を、我々は念頭に置いて、防衛省・自衛隊の皆様方に活躍を、是非、今後も引き続いて支援してまいりたいと思っております。

 まず冒頭、伺わなければいけないことが、統一教会との関係でございます。

 大臣始めとして、防衛省の副大臣、政務官の皆様方に伺います。統一教会から推薦確認書、政策協定ですね、教会から提示されたことはあるか。そして、そこに署名はしたか。そして、選挙の支援は受けたかどうか。その点につきまして、大臣始め四名の三役の方に伺いたいと思います。

浜田国務大臣 お尋ねの政策協定について、署名を求められたことはありませんし、実際に署名したこともありません。

 統一教会との関係、私自身にはございません。

井野副大臣 私自身は統一教会の方々から政策協定というものを求められたこともないですし、私自身が署名したことはございません。

 選挙応援ということになりますと、たしか私の支持者の中には統一教会の方々という方もいらっしゃったんだろうとは思いますけれども、具体的に、選挙事務所で何かしらのお手伝いをしていただいたりということはございません。

 以上です。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 お尋ねの政策協定につきまして、署名を求められたことはございませんし、また、実際に署名したこともありません。

 それ以外の関わりにつきましては、既に党の調査において報告した内容で公表されたとおりでございます。

小野田大臣政務官 お尋ねの件につきましては、政策協定を提示されたこともありませんし、署名をしたこともございません。そして、支援も受けておりません。

渡辺(周)委員 前防衛大臣の岸さんが、自身が選挙で支援を受けたということをおっしゃっていました。

 統一教会という団体は、我々も何回もヒアリングをしておりますけれども、反共を掲げながら、しかし、冷戦終結とともに文鮮明は故郷の北朝鮮に接近をして、金日成と義兄弟の契りを結んで、日本からの信者の献金や霊感商法の売上げを原資に、生まれ故郷である北朝鮮に多額の資金提供をした、このようなことも報道されているわけなんです。

 我が国を脅かす、まさに安全保障上の脅威として、北朝鮮の体制強化に統一教会の日本での活動、あるいは韓国あるいは北朝鮮への資金提供が我が国の安全保障上の脅威につながった可能性は大である。そのことを考えると、我が国の政策に影響を与えてきたのではないかということについては、大変危険極まりない団体であります。

 我々としては、今、政府・与党に申入れしながら、あるいは与党との政策協議をしながら、まずは被害者の方々の救済、そして、統一教会という団体のまさに解散命令を今すべきであると主張してきたことでございます。

 個々の皆様方、特に井野副大臣について、今後、どのようなことで関わりがあったか、もう既に報道も一部されていることは承知をしております。今日は、この場ではもうこれ以上のことは尋ねませんけれども、また改めてこうしたことについては追及をしていきたいと思っております。

 それでは、浜田大臣に、まず、大臣所信を受けての質問をさせていただきます。

 これは、外務大臣も今日お見えでございますので是非伺いたいのですが、一つは、習近平三期目、異例の形で三期目に就任をした。様々書かれております。側近で固めた一強政治が続く、そしてまた、台湾独立に断固として反対し、抑え込むんだということが党の憲法とも言われる党規約には記載をされたという中で、この習近平体制三期目が我が国の安全保障にどのような影響を与えるかということについて、両大臣の御所見を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 中国共産党において、習近平氏を党総書記とする新しい指導部が選出されたと承知をしておりますが、他国の政党の活動について、防衛省として予断を持ってコメントすることはいたしません。

 その上で申し上げれば、中国は、透明性を欠いたまま継続的に高い水準で国防費を増加させ、核・ミサイル戦力を含め、軍事力の質、量を広範かつ急速に強化するとともに、海空域における活動を急速に拡大、活発化させつつ、東シナ海や南シナ海において力による一方的な現状変更を試みております。

 こうした中国の軍事動向等は、我が国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっており、今後も強い関心を持って注視していく必要があると認識しております。

林国務大臣 この二十二日まで中国共産党大会が開催されまして、二十三日午前にいわゆる一中全会が開催され、習近平を党総書記とする新しい指導部が選出されたと承知しております。

 他国の政党の活動についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、日中関係が様々な可能性とともに数多くの困難な課題や懸案にも直面する中で、我が国としては、引き続き、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという建設的かつ安定的な日中関係、これを日中双方の努力で構築していくことが重要だと考えております。

渡辺(周)委員 中国が、今、経済的にも非常に今後混迷していくのではないか。例えば、各種経済指標が目標に届かない、あるいは出口の見えない住宅建設不況に国民の不満が高まってくると、対外的に強硬策を打ち出す可能性というのは、これは当然考えておかなければいけないだろうというふうに思います。

 この後質問に入っていくんですけれども、その前に、ちょっと通告していなかったんですけれども、報道を見て、これは外務大臣にも防衛大臣にも伺いたいんですが、いわゆるロシアの核の脅し、これに対して、被爆国日本として、国際社会の中で、とにかく核の使用をさせないということについてはどのように取り組んでいらっしゃるのか。

 また、いわゆる汚い爆弾と呼ばれる、これは偽旗作戦とも言われておりますが、ロシアが、使用することへの報復として、要はウクライナがやったことにして、核を使用する口実、戦術核を使う口実にするのではないかと。

 当初は、核の使用なんというのはまさかと思っていた。ロシアに対する、ウクライナの侵攻から始まって、まさかということがどんどん続いて、ここへ来て、NATOあるいはアメリカも核の使用については現実味を持って非常に警戒をしている中、我が国として、今この状況をどう捉えて、そして、日本として、岸田総理がよく言われていますけれども、自身は被爆地広島の出身の総理大臣であるということを言われます、世界の中で、核を使わせないということについて日本としてどう取り組んでいくのか。

 是非この点について、通告はしておりませんけれども、外務大臣と防衛大臣に伺いたいと思います。

林国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会で長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げられてきた国際秩序の根幹を脅かすものであります。

 その中で、我が国としては核兵器が使用される可能性を深刻に懸念をしております。ロシアがウクライナにおける核兵器の使用を示唆していることは極めて憂慮すべき事態であり、広島と長崎に原爆が投下されて七十七年間核兵器が使用されていない歴史をないがしろにすることがあってはならないと考えております。

 先般の、日豪、日・リトアニア首脳会談を含め、岸田総理が繰り返し訴えているとおり、唯一の戦争被爆国である日本として、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや使用もあってはならないということを、引き続き様々な国際場裏において強く訴えていきたいと考えております。

浜田国務大臣 日本としては、今般のロシアによるウクライナ侵略の中で核兵器が使用される可能性を深刻に懸念しております。唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや使用もあってはならないということを、政府として国際社会において強く訴えていきたいと考えております。

 ロシアの核兵器の脅しへの対応については、個別具体的な状況に応じて適切に判断する考えであり、抽象的に議論することは困難でありますが、政府として、同盟国、同志国と連携して、国民の生命と財産を断固として守り抜いていく考えであります。

渡辺(周)委員 浜田大臣、もう一点、通告していなかったんですけれども。

 今朝、ちょっと、ニュースを見ながら、先ほど公明党の委員から韓国との関係についてのお尋ねがあった中で、関連して、TBSが独自で、十一月六日の国際観艦式に韓国が参加を決めたというような報道があったんですけれども、これは事実ですか。参加されますか。

浜田国務大臣 これは、現時点でまだ私の方に、今確認しておりませんが、確認をさせていただきたいというふうに思います。

 我々の方からは、当然のごとく、国際観艦式に参加をしてもらいたいということでお話をしているわけでございますので、まず、今お話にあった点については、私のところに、今手元に資料がございませんので、ちょっと確認させていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 現時点では、中国と韓国からは、招待はしているけれども返事はないということでございます。

 韓国については、北朝鮮の脅威を考えれば、政治的ないろいろな思いは両方にあるにしても、やはりそこは、自衛隊と韓国軍との間で緊密な関係を持って、情報の共有をしながら、この韓国、北朝鮮、朝鮮半島の状況には連携して取り組んでいただきたい。もしこの報道が事実であれば大変好ましいことだなと思います。もちろん、何か条件をつけて、旭日旗はみたいな話になっていくと、それはまたそれで厄介な問題になりますけれども、もしその条件をつけずに参加されるのであれば、それは歓迎すべきことだなというふうに思っております。

 じゃ、今度、ちょっと中国について伺いたいのですが。

 大臣は、大臣所信の中で、「東シナ海では、海軍艦艇の恒常的な活動の下、中国海警局に所属する船舶が尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を繰り返しており、このような現状変更の試みは断じて容認できません。」とおっしゃられました。

 確認なんですけれども、海軍艦艇の恒常的な活動の下というのはどういう意味なのか。そしてまた、この中国海警局というものはどういう存在だと日本の防衛省は把握をしていらっしゃるのか。改めて確認したいと思います。

浜田国務大臣 御指摘の、海軍艦艇の恒常的な活動の下とは、中国海軍艦艇が我が国尖閣諸島に近い海域で恒常的に活動しております。そうした状況の下、中国海警船が尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を繰り返しているという事実を所信において申し上げたものであります。

 中国海警局については、中国政府部内では法執行機関であると位置づけられていると承知しておりますが、同時に、中央軍事委員会による一元的な指導及び指揮を受ける人民武装警察部隊の下で運用されています。また、中国海軍の退役艦艇が海警に引き渡されているほか、海警部隊の主要ポストに海軍出身者が就任しているとされるなど、近年、海警と中国海軍の連携強化が図られております。

 こうしたことから、防衛省としては、中国海軍、海警それぞれの個別の動向だけでなく、両者の連携にも留意しながら、尖閣諸島周辺を含む我が国周辺における中国の活動について、情報収集、分析及び警戒監視に努めていく必要があると考えております。

渡辺(周)委員 まさにこの海警局は、対外的にはその名前を維持しながら、実態として、これは中央軍事委員会の指揮統制を受ける、いわば準軍隊である、私はそう認識しているんですね。当然そこは、事あらばいつでも軍事的な態勢を取ることができるという意味で、非常に警戒を強める、まさに先ほど申し上げたような、習近平三期目の中においてブレーキ役もいなくなる中、対外的に強硬策に出てきた場合に、当然この尖閣の緊張はまた高まるのではないかというふうに懸念をしております。この後の質問、ちょっと後にしますけれども、もう一つ。

 ペロシ・アメリカの上院議長が訪台をして、その台湾を訪問した後に、これに反発した中国軍が軍事演習を行いました。様々な識者の方々がこの点については言われておりますけれども、台湾周辺で実施した軍事演習は、弾道ミサイルの発射、台湾海峡中間線越え飛行の急増、ある意味、最高レベルの軍事圧力を台湾にかけた。そして、先ほども指摘がありましたけれども、我が国のEEZ内にミサイルが着弾をしたということでございました。

 この軍事演習から、防衛省はどのように知見を持っていらっしゃるか、分析していらっしゃるか。そして、この中国軍の軍事演習は、取りあえず今は少し静かになったのかなと思いますけれども、常態化していくのかどうか、この辺をどう分析しているか。もっと言えば、今後も我が国周辺に、例えばEEZ内に実際飛んできたという事実に鑑みれば、今後こうした訓練が行われるという危険、可能性は、防衛省としてどう捉えているか、どう分析しているか、その点について伺いたいと思います。

浜田国務大臣 本年八月、中国は、台湾周辺で多数の艦艇、航空機を用いて大規模な軍事演習を行いました。中国側は、当該軍事演習について、台湾周辺空域で統合封鎖そしてまた模擬対地攻撃、対海上攻撃等の実戦化統合訓練を実施した旨公表したと承知をしております。

 当該軍事演習について、防衛省としても重大な関心を持って情報収集、分析を行っておりますが、個別具体的な情報、分析の内容については、事柄の性質上お答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思います。

 その上で、当該軍事演習においては、台湾に接近し、かつ包囲するような形で訓練エリアが設定されるなど、中国側の一連の活動は非常に威圧的であったと認識をしております。

 台湾自身も、当該軍事演習は台湾本島に対する模擬攻撃を演練していたと推定される旨公表しております。

 近年、中国は、台湾周辺で軍事活動を活発化させてきており、一連の活動を通じ、台湾及び国際社会に対する軍事的圧力を高めるとともに、実戦能力の向上などを企図していると見られております。

 中国軍の今後の活動については予断を持ってお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思いますが、いずれにせよ、中国の軍事動向等は、我が国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっており、防衛省としては、今後も警戒監視に万全を期してまいりたいと思っているところであります。

渡辺(周)委員 一つには尖閣の現状、そして中台の緊張をめぐる中で中国がこのような軍事演習を行ったことで、これはやはり、波照間島の沖、あるいは与那国島の沖のEEZ内にたしか五発着弾したのではないかという中で、中台の緊張も我が国に非常に影響を及ぼす。

 もっと言えば、何か中国と台湾と緊張関係が高まってくるときには、当然、日米がどのような行動を起こすかということも含めて、それを足止めするために、例えば尖閣に同じように中国海軍が包囲網を敷いて、日本はそちらに傾注しなければならない勢力、それによって足止めするとかくぎづけにするというか、そういう戦略も当然考えてくるのではないのかなと。

 私は、今回の中国の軍事演習が常態化していくことを考えると、非常にこれまた緊張を高めることになるだろうというふうに思いますが、その点について、今日は海上保安庁にも来ていただいているんですけれども、先般の記者会見で、大臣も、海上保安庁とは連携をしながらいろいろ訓練していますと。この後にちょっと質問をする、いわゆる国防、安全保障の中で、今、海上保安庁を組み込む、予算を組み入れるかどうなのかというような議論がされていますが、武力攻撃事態を想定した共同訓練というのは行われているんでしょうか。

 当時の鬼木副大臣が、今年四月の外務委員会で、平素から武力攻撃事態を含め云々というふうに答弁されているんですね。ところが、この間の、海上保安庁に対して、八十条に基づいて防衛大臣の指揮下に入るということについては、いわゆる要領についてはこれから立ち上げていくんだというようなことを記者会見で言われました。

 今、海上警備行動でありますとか大規模災害を念頭に置いた訓練は海上保安庁と海上自衛隊の間で行われているというふうに、当然資料もいただいておりますけれども、まさにこの両実力組織の連携がますます必要となる今申し上げたような二つの事案の中で、有事を想定した訓練というのはこれから行われるのかどうなのか。

 その際に、海上保安庁第二十五条に出てくる、「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」とあるんですね。ですけれども、これから、海上警備行動でもない、大規模災害でもない、ある意味、そうした軍事的な緊張が高まる中で訓練するということで、この海上保安庁の二十五条というものとどう整理をつけるかということは、これは今までも指摘されましたけれども、その点については、大臣、今後どうしていかれるお考えか、伺いたいと思います。

浜田国務大臣 海上保安庁法第二十五条により、海上保安庁は、軍隊としての機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならないとされており、武力攻撃事態を含め、海上保安庁は現行の所掌事務の範囲内で活動することとなると承知をしております。

 一方、海上自衛隊と海上保安庁が御指摘の武力攻撃事態における連携を強化することは極めて重要であると認識しており、いかなる連携が可能となるか、新たな国家安全保障戦略等の策定をする中で検討していく考えでおります。

渡辺(周)委員 二十五条について改正をするというお考えがあるやなしや、これは大臣に聞くのが適切かどうか分かりませんけれども、そうでなければ、訓練を行う上でも、やはり私は、有事を想定した訓練というのはしていかなければならない。

 ですから、ここの点については、やはりこの二十五条について検討しなければならないと思うんですけれども、大臣に伺うのはちょっと酷かもしれませんが、是非御所見を伺いたいと思います。

 といいますのは、いわゆるNATO基準で防衛予算を、防衛予算というのか国防予算というのか安全保障予算というのか、言い方はどんどんどんどん広義の意味になっていくわけですけれども、もしかするとこの海上保安庁を、予算も含めて大きな意味での防衛予算、安全保障予算というのであれば、やはりそこのところは整理をしなきゃならないだろう、その点についてはどうなのか。

 そして、併せて海上保安庁に伺いたいんですけれども、やはり海上保安庁の装備については、海上自衛隊の装備と互換性のない部分もある。これはもういっぱい、いろんな方が指摘されていますから一つ一つは言いませんけれども、例えば、大規模災害の訓練においてですら、言ってしまえば、給水口の大きさが合わなくてホースがつなげなかったとか、もっと言えば燃料も違うし、もっと言えば弾薬も違うので、もし何かあったときに弾薬の相互交換、補充ができないんだ。

 これは、やはりほかの国と比べて、NATO基準に予算を、日本でいうところの海上保安庁予算を組み入れていくのならば、こうしたことは法的にも、いわゆる装備品も含めてですけれども、そこは統一していかなければならないというふうに思います。

 その点については大臣あるいは海上保安庁はどうお考えか、是非伺いたいと思います。

浜田国務大臣 他省庁との取組と、そしてまた防衛関係費との関係をどう整理するかについては、今後とも有識者から御意見を聞いていくものと承知しておりますし、現段階では何ら結論を得ているものでもございません。

 そのため、仮定の前提に基づく質問にお答えすることは差し控えますが、いずれにせよ、海上保安庁との間においては更なる連携強化を図ってまいりたい、このように考えているところであります。

瀬口政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁の任務を遂行する上で新たに必要となる装備があれば、導入を検討してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、海上保安庁におきましては、防衛省・自衛隊を始めとする関係機関との情報共有、連携の深化、各種訓練の充実など、必要な取組を推進してまいります。(発言する者あり)

渡辺(周)委員 御意見は分かります。私も同じ考えで質問しておりますが、ちょっとだけ静かにしていただけるとありがたい。

 まさに、今申し上げたように、安全保障の予算については海保予算を入れる。中には、恩給の予算もというんですけれども、恩給は、総務省のホームページを見たら、もう対象になっている方も相当御高齢の方々ですから、これはちょっと、幾ら何でも防衛費に入れるのは、広義の意味でも防衛費に入れるのはちょっと無理があるのではないかというふうに思うんですね。

 今、いろいろ与党からも御意見が出ていますけれども、軍警分離という実態をやはり考えたときに、今のままではとても一元化された安全保障予算とならないんじゃないだろうかと。ですから、そこのところについては、大臣が所信でおっしゃられた防衛力を抜本的に強化、そのためには、海上保安庁も一つの大きな防衛力、広義の意味での防衛力として入れる。

 しかし、今、何回も繰り返しますが、法律的にも装備的にも、まだとてもじゃないけれどもそこは、じゃ、防衛大臣の傘下に有事の場合はなるというふうになっていますけれども、現実は、そこが本当にできるのかというのはなかなか難しい。そこのところをどう整理するかということについては、これは本当に考えていかなければいけないことなんですね。

 設置された有識者会議の名称は、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議。論点の中に、経済力を含めた国力を総合し、あらゆる政策手段を組み合わせて対応する必要があると。そして、防衛省のみならず、関係省庁の施策、資源を活用しているか、それを一つの問題提起とされているんですね。

 ですので、この総合的な防衛力という言葉を考えたときには、エネルギー安全保障から、科学技術の研究開発費から、あるいは食料安全保障から、もうみんな入っちゃうわけなんですね。

 その中で、やはり私たちは、本当に必要な防衛力としての防衛予算、これはどう確保するかということについて、様々、安全保障の議論の中でこれだけは譲っては駄目だということは、大臣、お考えがありましたら、是非そこは強く主張していただきたいと思う。

 あるいは、海上保安庁との関係についても、大臣のお考えがあれば是非お聞かせいただきたいと思います。

浜田国務大臣 我が国の平和と安全を最終的に担保するのは自衛隊でございます。この観点から、我が国が直面する厳しい現実に向き合い、将来にわたり我が国を守り抜くための整備すべき装備品等の自衛隊の能力の在り方について、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、防衛力の抜本的強化に必要な予算をしっかりと確保していく考えであります。

 他方、防衛関係費ではないものの、総合的な防衛体制の強化に資する経費について議論がなされており、防衛省としても議論に参画をしているところであります。

 今お話にあったように、我々の任務というのは明確でありますし、国の防衛を行うに当たっての予算というのは、当然、我々の管轄のものはしっかりとこれからも主張しながらやっていきたいというふうに考えているところであります。

渡辺(周)委員 是非、この有識者会議の中で、防衛大臣、防衛省として、やはり海上保安庁の予算を国力の一つとして当然考えていくのであれば、そうした個々の問題、法的な問題、あるいは装備の問題と、実はこれだけあるんだということをしっかりと伝えていただいて、その意味での真の国防力に、何か、つなぎ合わせたような、水増しをしたような、あれも安全保障これも安全保障といって額だけは増えるんだけれども、実際、本当に我が国の、今申し上げたような尖閣であるとか、あるいは台湾周辺を含めた危機に対応できるものかどうなのかと。

 そして、習近平が三期目、あと五年やるとして、この五年の間でどういう変化が生まれるのかという中で、やはり時間も必要だと思うんです。永遠の課題になってはいけない。その点について是非リーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 もう五分しかないので最後の質問ですが、関連して、防衛省予算の中で、ちょっと驚くべき数字が先日七月に報道されました。全国の自衛隊施設の四割、九千八百七十五棟が旧耐震基準で造られている。旧耐震基準というのは、震度五程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないこと。だけれども、新耐震基準は、改正されたものは、震度六程度で倒壊や損傷を受けないこと。

 この施設整備費が僅か二・四%、防衛予算の中でですね。次期中期防の中で是非対応すべきだと思うんです。我々も被災地に、駒門駐屯地や板妻駐屯地、御殿場から出ていきます。静岡県内二十二施設のうち、駒門駐屯地だけまだ改修されていないということなんですけれども、いざというときに、実は格納庫が壊れていました、あるいは、大臣も記者会見でおっしゃっていますけれども、シェルター化も含めてやはり次期中期防の中で早急に整備をする、当たり前ですけれども、出動するときにもう実は地震が来て潰れていましたなんていったら何の話にもならないわけですから、是非ここはやっていただきたい。その点についてはどういうお考えでしょうか。

 それは本当に基礎的な防衛力だと思いますけれども、その点についてお考えを伺いたいと思います。

浜田国務大臣 防衛省は、庁舎、隊舎など約二万三千棟の建物を保有しており、このうち昭和五十七年以前に建てられた築四十年以上の建物は約九千九百棟、全体の約四割存在いたします。

 これまで建物の耐震化については、耐震改修促進法等を踏まえ、三階建て以上かつ千平方メートル以上の庁舎等の耐震化を優先して進めつつ、これに該当しない建物についても、老朽の状況を踏まえ、順次対策を行ってきたところでございます。

 安全保障環境が急速に厳しさを増す中、防衛力の持続性、強靱性の基盤となる防衛施設の十分な機能発揮を確保することは重要であると認識しております。

 防衛省としては、耐震化について、集約、建て替え等により効率的に進めることなどを含め、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論が加速する中でしっかりと検討してまいりたいと思っております。

 今委員から御指摘のあった点、十二分に私自身も考えておりますし、また、これに対処するよう努力してまいりたい、このように思います。

渡辺(周)委員 もう時間がなくなってきます。

 そのほかに、例えば、ウクライナ戦争でドローンが兵器として非常に脅威であることが分かりました。また、台湾の軍事演習でも、中国大陸から台湾に向かってドローンが来た。ところが、例えばレーダー網をかいくぐって入ってくるドローンなんかに対しては、今どうして対応するかということについて、先日、防衛省の方にも聞いたら、なかなかまだ難しいという。

 そんな中で、やはり、防衛省の研究開発が三・六%。いろいろ今民間の、あるいは防衛省以外の、関係する研究機関で科学技術研究をする、あるいは開発をするということが、今後広義の意味での防衛予算として考えていかれるとすれば、本当に、こうして今直面しているドローンの脅威に対してどう対応するか、非常に特化した問題について、果たしてほかの研究機関がどこまでやってくれるのだろうか。

 ある意味では、その点についてもっと言えば、例えば対空レーダーを海上保安庁の巡視船が持っているかといったら、それは私が調べた限りではない。そうすると、やはり第一義的には防衛省の予算でやらなければいけないのですけれども、この科学技術研究費についてどのように確保していくか。

 そして、もう一つだけ。最後、同じように、フェイクニュースだとか偽旗による心理的扇動に対応できる強化策も急務です。いわゆるハイブリッド戦争、ハイブリッド攻撃から、国民保護として、国民を守る、こういう研究開発についても防衛省がやはり中心になるべきだと思いますけれども、最後に、是非決意を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略の状況を踏まえれば、我が国防衛の観点から、偽情報の見破りや分析、そして迅速かつ適切な情報発信等を始めとした認知領域を含む情報戦への対応が急務であると考えます。

 具体的には、多様な情報収集手段を確保しつつ、諸外国の情報発信等に関して、その真意や意図等を見極め、偽情報の無力化などの対処を行うとともに、同盟国、同志国等との連携の下に、あらゆる機会を捉え、適切な情報を迅速かつ戦略的に発信をするといった手段を通じて、我が国の意思決定を防護しつつ、力による一方的な現状変更を抑止、対処し、より望ましい安全保障環境を構築していくことが重要と考えております。

 このような認識に基づき、防衛省としても、所要の能力及び体制の整備を検討していきたいと考えておるところであります。

渡辺(周)委員 やはり、ウクライナの情勢についても、台湾をめぐる問題についても、一番情報を持っているのは、安全保障の予算を持っているのは防衛省でありますので、その予算がほかの予算につけ替わられないように、是非ここはというところは確保していただいて、こうした有識者会議の中でも、当面する危機に対して存在感を防衛省が発揮していただけるように、大臣の御活躍をお祈りしまして、終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 このような質問の機会をお与えいただいて、本当にありがとうございます。

 この安保委員会、本当に久々の質問でございますので、今日は、ちょっと外交の基本的な認識というのと、それから日本に対する脅威、それと対策、これについてお聞きをしていきたいと思います。

 まず、中国、ロシア、北朝鮮の連合体制における日本の防衛対応ということなんですけれども、ウクライナ戦争の世界両陣営の対立というのは、まさしく日本とか西側にとって、三つの点で大きく変わってきたと思うんです。

 一つは、中国とロシア、そして北朝鮮という強大な軍事連合の体制を生み出した。固まってきたということですね、彼らが。

 二点目が、経済的に見て、ドル経済圏を脅かすような、例えば人民元とルーブルの経済圏とか、さらに、上海協力機構に及ぶような、そういった新たな経済圏、これも強化されてきたという点が大きい。

 三番目が、特に中ロの関係で、中国とロシアでお互いに核心的な利益というものを、お互い支援し合うという、そういう中ロの関係の確立、これが出てきたということだと思います。

 特に、上海協力機構、九月十五日に行われました、ウズベキスタンのサマルカンドでやられた会合ですけれども、この会合に、中ロに加えて、クアッドのメンバーのインドとか、あるいは、イラン、あるいは中央アジアの国々も正式に参加することになったし、さらに、産油国のサウジとか、カタールとか、あるいはエジプトとか、こういった国が対話パートナーということで参加をしてきているということ。

 こういうことの中で、特に私にとって非常に不気味に思えるのは、中ロがお互いの核心的利益に対してはお互いに支援し合うという、この大きな関係、それに北朝鮮が加わってくるという話になると、例えばの話なんですけれども、台湾有事という話が不幸にも起こった場合、日本が、日米同盟を遵守するという立場から、米軍がもし台湾に入っていけば、それを支援していく、よく世上でこの前提のシナリオがなされていますけれども、こういった場合は、我々としても、米軍を支援するという話になると、中国がそれを、今度は日本を敵国と見ていく、そういった中で本当に戦争状態になり得る。そうすると、中国だけじゃなくて、今度はロシアあるいは北朝鮮という、そういった、連合国家的にこれが参加してくると、本当に、これは戦争シナリオの場合なんですけれども、例えば、そこで中国と戦争状態みたいな形になっちゃうと、国民生活上非常に危機が出てくる。

 例えば、中国からよく我々は食料も輸入していますけれども、食料危機だとか、サプライチェーンの危機だとか、あるいは原料の供給の危機だとか、そういったところから、また、戦争下において、当事国になっちゃうと、特に、やはり日本の場合、基盤が弱いということもあって、株暴落、あるいは円暴落、あるいは債券暴落という、そういった危機も出てくる危険性がある。

 さらに、領土の危機ということで、これはちょっと想定なんですけれども、例えば、中国によって南西諸島とかを占領される場合とか、あるいは、ロシアによって、攻めてきて北海道を占領される場合とか、あるいは、北朝鮮によって東京にミサイルを撃ち込まれる場合とか、こんなシナリオをシミュレーションとして我々としては考えざるを得なくなる。

 ということで、そうなると、日米同盟をバックにはしていますけれども、少なくとも日本が無傷ということにはならないよねという話になる。ということは、この戦争シナリオというのは、どうしても日本にとって最悪になってしまう。経済的にも、国土の関係についても。

 これについて、外務大臣の認識をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 台湾有事や、今、末松先生から御指摘のあったようなシナリオのような仮定の御質問にお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、台湾海峡の平和と安定、これは、日本の安全保障はもちろんでございますが、国際社会の安定にとっても大変重要だと考えております。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の従来から一貫した立場でございます。

 その上で、あくまで一般論として申し上げますと、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、政府としては、いかなる事態に対しても対応できるように、平素から体制の整備を含めて万全を期していく、このことは当然であると考えております。

末松委員 万全を期すのは当たり前の話ではあるんですけれども、どういう形で戦争状態を回避していくか、そういう形での指針が一番重要になってきますよね。

 私も、実は立憲民主党の、九月まで、外交・安保・主権調査会長という形で、そういった報告書をまとめて、これが参議院選挙でもそういう形で生かされてきたんですけれども。

 米国と中国のぶつかり合い、これに対して冷やし玉を投げつけるような、そういった国際的な外交が私は有効じゃないかというふうに思っていて、特に、四月二十七日に出された我が党の外交・安保・主権調査会の中間報告においても、松原仁インド太平洋地域積極外交ワーキングチームの座長の結論でもあり、また、私も、そこは非常に重視したのが、この中間報告をちょっと読み上げますけれども、インド太平洋地域において、日米安全保障のみならず、二国間及び多国間、クアッドとか、あるいはASEANとか、あるいは日中韓、EUによる航行の安全確保を含む安全保障協力、交流を促進し、大国間の緊張緩和と信頼醸成のため、これが米中の覇権争いのような対立を緩和させるということなんですけれども、国際協調主義に基づく、地域の航行と上空航空の自由と安全のためのルール作りなどを協議する新たな枠組みである会議体の設立を目指しますというふうに書いてあるんです。

 そういった米中の対立というのは、ある意味では、アメリカがしかけているのか、そこは必ずしもよく分からないところですけれども、これが対立すればするほど台湾有事という危険性が出てきて、これは、我が国がこれに巻き込まれると大変な最悪シナリオになってくるということなので、そこに対して、何か外務大臣の方でイニシアティブというか、そういうのをお作りになられるような、そんな戦略がもしあればお聞きをしたいんですけれども。

林国務大臣 今先生がおっしゃっていただいたインド太平洋、我々も、FOIPということで、自由で開かれたインド太平洋、このビジョンを掲げて、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序ということを訴えてきておりますが、今るる委員がお述べになったように、真っ向からこれを否定する動きが堂々と行われているという大変厳しい状況にあるわけであります。だからこそ、これまで以上に幅広い国際社会のパートナーと協力して、自由で開かれた国際秩序を維持強化していくということがかつてなく重要となっていると思っております。

 今お話のありました航行及び上空飛行の自由、これを始めといたします法の支配に基づく海洋秩序、これは日本だけでなく国際社会全体の平和と繁栄に不可欠、こうした認識を持っておりまして、その下で、インド太平洋地域の各国との間で、海洋法を含む国際法の知見を共有するシンポジウム、こういうものを実施して、このFOIPの実現に向けた取組を推進してまいりました。

 こうしたものに加えて、FOIPを新たに展開していく必要がある、こういうふうに考えておりまして、これまでの取組を更に加速して、ODAを拡充するなど外交的取組を強化して、新たな切り口からの取組も含めて、オール・ジャパンで臨んでいきたいと考えております。

 具体的に少し申し上げますと、総理が今年の六月のシャングリラ・ダイアログで表明されましたけれども、巡視艇の供与や海上法執行能力の強化、さらには、サイバーセキュリティーやデジタル、グリーン、経済安全保障、こういった分野に重点を置きながら、新たなFOIPプランというものを来年の春までに発表するべく、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

末松委員 今の大臣のお言葉、非常に外交的に前向きで、私も一定の評価をいたしますけれども、先ほど米中の、何か、アメリカがしかけているよなんていう言い方は、ちょっと私も誤解を招くので訂正して、中国のああいった海洋に対するちょっと侵攻のような雰囲気を持った膨張主義的なところ、これが前提にあって、どっちにしても、米中が戦わざるを得ないような環境をとにかく避けていく、何とかそれを外務大臣には期待したいと思いますので、よろしくお願いします。

 では、日本の脅威と対策について、防衛大臣にお伺いします。

 資料に書いてございますけれども、HEMP攻撃というのがございまして、これは一七年ぐらいかな、北朝鮮もこれを言及したことで、かなりそこは騒がれました。

 私も、ある研究会に行ったときに、ここは本当に危ないなと思ったのがございまして、具体的に申し上げますと、例えば、北朝鮮が一般航行の船か潜水艦で日本の東、大体太平洋の四百キロぐらいまで行って、そこで垂直に、彼らの持っている核爆弾、これを、大体五十キロから二百キロぐらいですか、そこで爆発をさせると、これがすさまじい電磁波になって、この日本列島を覆っていくという話になります。

 そうなると、人はすぐには死なないし、あれっ、そんなものやったんだっけという話になるんだけれども、電子機器のチップが飛ぶんですね。それによって、自動車、輸送機関ですね、電車も含めて、飛行機、船も、要するにそれが飛んじゃうと航行できなくなってしまう。あるいは、一般の発電所などのインフラも、そういった機器の高度化されているところが全部機能しなくなってしまう。あるいは、役所にしてもコンピューターにしても、フィジカルプロテクションというんですか、そういった機器を覆ったフィジカルプロテクションがないところは全部飛んでしまって、いわば、何か、日本列島が原始生活に戻るというんですか、輸送も駄目だという話になったり、食料も届かないとか。そうすると、アメリカの研究にもあるんですけれども、大体一年近くで数百万人が死亡する。

 餓死したり、そういったことになるということで、アメリカも本当に大変な勢いでこの研究をして、どうすればいいんだという対応について今やっているわけなんですけれども。

 これは徐々に人が犠牲になっていくということで、だから、そこをどういう形で、解決策としては、そのチップを全部覆って、それが電磁波の影響を受けないようにすればいいんだけれども、これは非常にとんでもない費用がかかるわけですね。

 ちなみに、防衛省でそれの対策を行っておられるのかというのが質問の一点。そして、そういったときに、各国の研究とか、あるいは大臣御自身の見解として、どういうふうな対応をすればいいのか。逆に、安全航行をして、そこでどこかで核爆発なんかを起こされると、これ自体は別に、防ぎようがない、そういったところに危機感を覚えたんですけれども、大臣、所感はいかがですか。

浜田国務大臣 委員の御指摘のとおり、一般的に、電磁パルス兵器は、核爆発などにより瞬時に強力な電磁波を発生させ、電子機器に過負荷をかけ、誤作動をさせたり破壊したりするものであると承知しております。このため、これが使用されれば、国民生活にも影響が生じる可能性は否定できないものと認識をしております。

 実際に電磁パルス攻撃が行われるといった万が一の事態への備えとして、そのような場合の国民生活への影響を最小限とするための努力も重要であると認識しており、この点については政府全体で必要な対策について検討してまいりたい、このように考えております。

 その上で、特に防衛省の観点で申し上げれば、まずもって、このような攻撃が行われないように、米国の拡大抑止を含めた日米同盟の抑止力を強化する、そしてまた、万が一抑止が破れてしまった場合に備え、例えばミサイル防衛により迎撃できる体制を強化するなどが重要と考えております。

末松委員 私も、期待するのは、要するに、そういった北朝鮮の船とか潜水艦が来たときに、やる前に潰すというようなことが、本当に、情報、インテリジェンスで分かればいいんですけれども、分からなかったら、これは大変だよね。一旦やられたら、もうあとは甚大な被害が生じるので、そこを是非、そこはもう本当に綿密に、緻密に、情報収集と、それをやるという、そういった攻撃がなされないという覚悟を持って是非お願いをしたいと思います。

 次に、では、今話題に出ました北朝鮮のミサイルで、我が国の瞬時の迎撃判断についてという、この判断のプロセスをちょっと問いたいんです。

 十月四日の我が国を越えていったミサイル、これについて、私は非常に印象に残っているんですけれども、発射した時間が朝の七時二十二分、日本の上空に届いたのが七時二十八分。ということは、計六分間で、これは高度一千キロメートルをやっていますから、日本に届くともうちょっと水平になるのかもしれませんけれども、この六分間で判断をされて、あれは日本の上空をとにかく飛んでいったんだということで迎撃はしなかったわけですけれども、この六分間で、本当に、実際にゴーサインを出す、判断を下す、これが、余裕がないですよね、時間的な。こうなると、総理にしても防衛大臣にしても、要は事前の包括同意で、誰かに、やってくれ、非常にテクニカルにたけた人にと。という判断、その判断はいろいろな項目があって、多分AIとかああいう形にしないと、六分というのはまず無理ですよね。

 この辺は本当に人が判断するのか、できるのか、そこをちょっとお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 自衛隊法上、事態が急変した緊急の場合に備え、防衛大臣は、あらかじめ弾道ミサイル等の破壊措置を命令しておくことが可能です。そして、破壊措置命令が発令されている場合に弾道ミサイルが我が国に向け飛来したときは、一般にBMD統合任務部隊司令官が迎撃を判断をします。この判断に至るまで、各種レーダーによるミサイルの探知や追尾や落下予測地域の計算などが行われます。こうした一連のプロセスは、ほぼシステム化、自動化されておりまして、極めて迅速になされるということでございます。

 このように、短時間で飛来する弾道ミサイルに対しても、自衛隊は的確に対応することが可能であります。

 引き続き、あらゆる事態への備えに万全を期してまいりたいというふうに思います。

末松委員 その司令官は何人おられますか。一人かもしれませんけれども、要するに、二十四時間の体制でいくと、彼がまた下に何か権限を下ろすんですか。要するに、二十四時間という、これまた大変な、労苦な体制なんだけれども、どうですかね、一人しかいないんだったらちょっと無理ですよね。どうですか、そこら辺は。

浜田国務大臣 二十四時間対応できるように、それは任務として与えられておりますので、対応していくということが前提であります。

末松委員 そこはまた詳細について情報をいただければと思います。別に私は防衛情報をとにかく探っているわけじゃないんだけれども、ちょっと国民も不安ですよね。

 では、次に行って、今、衛星ということで、GPSとか我が国も上げていますけれども、今、戦争も、現場と地上、それから空中、さらに宇宙と、様々な情報の中で戦争をやっていくという話になるわけですけれども、そういった中で、まず、自国の衛星、これが守れるような仕組みになっているのかどうかが一点。

 それと、要するに、もし例えば戦争状態になったときに、敵国の衛星というもの、軍事衛星、これを潰すというか、これを破壊できるようなことは法的に、あるいは物理的にできるのか、そこをお伺いします。

浜田国務大臣 御指摘のとおり、宇宙空間の安定的利用に対する脅威が高まっていることは事実だというふうに思います。

 自国衛星の防御は可能かとのお尋ねについて、衛星に対する攻撃は、対衛星破壊兵器やジャミングなど様々な手法があり、全ての手法に対する防御は困難でありますが、防衛省としては、宇宙システムの抗堪性向上のための取組を進めることにより、攻撃を受けた際に通信等を確保できる体制の構築を図っているところであります。

 また、有事において敵軍事衛星に対する攻撃が法的に可能かとのお尋ねについては、あくまでも、武力の行使の三要件を満たす場合に限って、自衛のための必要最小限度の措置である必要があると考えており、個別具体的な状況を踏まえて判断する必要があると考えております。

 物理的に可能かとのお尋ねについては、我が方の能力を明らかにすることになるため、お答えできないことを御理解をいただきたいと思います。

末松委員 本当にそこを、物理的にと言われたら、いろいろな専門家に聞くと、心もとないよね、アメリカに全部頼むしかないのかねとかいう、そういうことも出てくるんですよね。

 ただ、自らの、やはりそういったGPSとか、今、最近はミサイルも全部GPSの感知する部品が組み込まれていて、だから、もしGPSをぽんとやられたら、こっちもできないし、また相手方に対してそれは妨害することができるという話になるので、非常に電子戦としても有効なので、そこを是非、これは軍事情報に当たるから明らかにできないと言われれば我々も何も聞けないんですけれども、ただ、そこは本当に、実際にもし有事になったらそういうことをやらざるを得ないということを防衛大臣に是非深く御認識いただいて、対応していただきたいと思います。

 最後に、ハイブリッド戦争への対応ですけれども、今、二〇一四年でしたっけ、ロシアがクリミア半島で電撃戦をやりましたけれども、あれが大変なショックを世界に与えて、ウクライナもそれからようやく、何とかそれに対応しようということでやり始めて、今回はかなりの進展はあったんですけれども。

 特に、ハイブリッド戦争、資料の二をちょっと御覧いただければと思いますけれども、ここはまさしく、何でもかんでも、情報社会になった分だけ、その情報を全部ひっくり返すような、ディスインフォメーションとか、あるいはサイバーとか、そういうこと、あるいはハッキングとか、あるいはジャミング、いろいろな機能を不全化をするためにあらゆることを総動員していこうというのがこのハイブリッド戦の意図だと思いますけれども、そこで人心の混乱を招いてパニックに陥れるというのがこの一番のポイントだろうと思います。

 これについて、クリミア半島のあの攻撃、防衛省は幾つも学んで、今、予算に、それに生かしていると思いますけれども、私もそれは幾つか認めているんですけれども、そこはどんなことか、御説明いただけますか。

浜田国務大臣 いわゆるハイブリッド戦は、軍事と非軍事の手段を複合的に用いた現状変更の手法であると考えます。

 二〇一四年のクリミア併合に際し、ロシアは、いわゆるハイブリッド戦を展開し、親ロ派や不明部隊による地方政府庁舎等の占拠といった秘密裏の作戦や、偽情報、プロパガンダの流布、サイバー、電子戦といった手法を用いて領土の占拠等を遂行したとの指摘がなされているほか、今般のウクライナ侵略においても、ロシアはハイブリッド戦の手法を取っていると見られます。

 防衛省・自衛隊としては、こうした動きを踏まえ、現状変更が試みられる際にハイブリッド戦の手法が取られ得ることも念頭に置き、防衛省・自衛隊のみならず、政府一体となった取組等を通じて、対応に万全を期していく必要があると考えております。

 具体的に、例えば、我が国の安全保障を脅かすようなサイバー空間における脅威に対しては、内閣官房を中心に関係省庁が一体となって、取り得る全ての有効な手段と能力を活用し、断固たる対応を取ることとしております。

 このように、我が国としては、防衛省・自衛隊のみならず、政府一体となった取組や、重要インフラ事業者や先端技術、防衛関係技術産業、研究機関といった民間部門との協力による総合的な防衛体制を通じ、このような複雑な状況にしっかりと対応していくことが重要であると考えております。

末松委員 ちょっと具体的に、思い当たるところで結構なんですけれども、例えばディスインフォメーション、こういったことに対して、日本で、自衛隊の中で部隊か何かを、どんな訓練というのをやっているのか。今、小平にそういった情報の学校がありまして、私の選挙区なんですけれども、いろいろなそういったパニックに陥れるような情報戦、これについて、何か、我々としてどういう対応を、具体的な訓練みたいなものを、もし思い当たられれば、ちょっとおっしゃっていただけませんか。

浜田国務大臣 今お話のあった点についてでありますけれども、今のロシアによるウクライナ侵略の状況を踏まえれば、我が国防衛の観点から、先ほど申し上げたように、偽情報の見破りや分析、そして迅速かつ適切な情報発信等を始めとした認知領域を含む情報戦への対応が急務だと考えております。

 具体的には、多様な情報収集手段を確保しつつ、諸外国の情報発信等に関して、その真意や意図等を見極め、偽情報の無力化などの対処を行うとともに、同盟国、同志国との連携の下、あらゆる機会を捉え、適切な情報を迅速かつ戦略的に発信するといった手段を通じて、我が国の意思決定を防護しつつ、力による一方的な現状変更を抑止、対処し、より望ましい安全保障環境を構築していくことが重要と考えているところであります。

 このような認識に基づき、防衛省としても、所要の能力及び体制の整備を検討していきたいというふうに考えております。

末松委員 そういうことでたけているアメリカや何かに、その辺、是非ちょっとノウハウを伝授してもらいながらやっていく必要があると思います。

 また、今、私もいろいろと本を読んだり研究会をやったりしているんですけれども、デブセクオプスという、ディベロップメント、それからセキュリティー、そしてさらにオペレーションズ、こういう、レジリエンスというんですか、要するに抵抗性というんですかね、そういったものをやっていくということで、グーグルなんか、聞いてみると、大体一日に何万回かハッキングが行われる前提で、それを更に、瞬時に、すぐにそれを全部修正していく、そういったことがやられているんですね。

 だから、防衛省の方も是非そういった、ハッキングはやられるのが当然なので、これを前提として、それがすぐに回復してそれ以上の機能にしていくということを、レジリエンスを高めていく、そこも是非頑張っていただいて、これは全体に言えますので、本当にそういった、今もう既に始まっているし、スノーデンが言っていましたけれども、とにかくいろいろなところにマルウェアを入れ込んで、もし日米が関係が悪くなったら、これを全部作動させて、公共のそういった施設、全部そこを潰していくとかいう話を映画でも私も見て、本を読んで、本当に恐ろしいなと思ったので、是非そこはよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲民主党・無所属会派、社民党の新垣邦男です。よろしくお願いします。

 両大臣の所信表明では、普天間飛行場の辺野古移設について触れられておりました。これまでも数多くの議論が重ねられたと思いますが、改めて御質問したいと思います。

 今年の沖縄は選挙イヤーでありました。市町村レベルではなく、沖縄全県を選挙区とする七月の参議院選挙、そして九月の知事選挙では辺野古新基地建設の是非が明確に争点化をされまして、いずれも、反対姿勢を貫いた候補が当選をいたしました。また、直近の那覇市長選挙でいえば、当選した自民党、公明党推薦候補も、辺野古反対が圧倒的多数を占めた県民投票の結果を政治家として尊重すると明言をいたしております。政府側が県民投票の結果に向き合うべきだと申しております。

 そこで、まず初めに民意について両大臣のお考えを伺いたいと思います。浜田大臣、林大臣、民主主義国家において行政府が政策を形成、遂行していく上で、民意というのはどの程度尊重されるべきなのか、お考えなんでしょうか。よろしくお願いします。

浜田国務大臣 地方自治体の首長選挙については、地域の住民の方々がその地域の課題をめぐって御判断をされる機会であると認識しており、防衛省としてお答えすべき立場にないことを御理解を願いたいと思います。

 また、県民投票の結果については真摯に受け止めております。

 普天間飛行場をめぐる問題の原点は、市街地に位置し、住宅や学校まで、囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の危険性を一日も早く除去することであり、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これは政府と地元の皆様との共通の認識であると考えます。

 辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づいて着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えているところであります。

林国務大臣 インド太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟及び在日米軍、これは、日本の防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためになくてはならない存在であります。そのような在日米軍の円滑な駐留のためには、国民の御理解と御協力を得ることが極めて重要であると考えております。中でも、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされるということは絶対に避けなければならないと考えておりまして、これは地元の皆様との共通認識であります。

 政府としては、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。

 外務省といたしましては、引き続き、丁寧な説明を行うとともに、地元の皆様の御意見を伺いながら、地元の負担軽減に全力で取り組んでまいります。

新垣委員 今、両大臣から、唯一の解決策、さらには、県民に丁寧に説明をしていくということをおっしゃっておりますが、どうもその認識は県民とは少し違うような気がします。

 私は、普天間飛行場の辺野古移設に反対する県民の意思がこの選挙で改めて示されたものだ、これは極めて大きいものがあるのではないかと考えております。そして、このような民意が示されたのは、亡くなられた翁長雄志前知事が当選した二〇一四年の知事選挙、その志を受け継いだ現玉城知事が一期目に当選した二〇一八年の県知事選挙、さらには、七割以上の県民が辺野古埋立てに反対し、意思を示した二〇一九年の県民投票に続いて、今回の知事選挙、玉城知事は二期目ですが、今回が四回目となるわけですね。

 今年の参議院選挙と知事選挙は、明確に争点がはっきりした選挙だろうと思います。これまではなかなか明確に争点になりませんでした。辺野古推進を掲げた候補と辺野古反対がはっきりと示された選挙だろうと思っています。ですから、過去四回こういう形で来たという経緯は、これは私は民意が示されたものだと考えているんです。

 また、辺野古新基地の建設には恐らく十二年から十五年はかかるんじゃないかと言われ、一兆円近い費用を要して、貴重なサンゴが生息する大浦湾に広がる軟弱地盤の問題もございます。軟弱地盤は海面下九十メートルまで及んでいると言われておりますし、地盤改良工事を行っても、まともな滑走路が完成するのかどうか、なかなか厳しいのではないかという意見もあります。

 そこで、浜田大臣にお伺いしますが、今ここで思い切って一度立ち止まって考えようじゃないかという意思はありませんか。

浜田国務大臣 辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づいて着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。

 地盤改良工事について、一般的で施工実績が豊富な工法によって行うことが可能であることを有識者に御確認をいただいております。また、経費についても、引き続き抑制に努めてまいりたいと考えております。

 引き続き、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

新垣委員 政府の方針は一貫して変わらないということなんですが、ただ、十年以上かかる、完成しても、ひょっとしたら十五年からそれ以上かかるかもしれない。そういう中で、国際情勢、そして軍事情勢が変わっていくかもしれない。近年の軍事情勢は目まぐるしく変わっていきます。その中で、今、普天間基地の飛来は、非常に訓練が激しくなっています。それも低空飛行で、騒音が大変なんですよ。

 その意味では、一日も早いということなんですが、これは十五年ぐらいかかるという話になると、なかなか政府がおっしゃっていることが県民には理解できないのかなと思うんですが、例えば、少し立ち止まって、辺野古を全部埋めていくということではなくて、今、埋めていっているのが約一二%ぐらいですよ、そういうところで、是非、立ち止まって考えるということは、政府としては全くないのかどうなのか、もう一度お願いします。

浜田国務大臣 我々政府の方針としては、先ほどお話をした、唯一の解決策であるこの辺野古移設というのに、この方向性は変わらないというふうに考えます。

新垣委員 令和二年六月十六日の本委員会における質疑を通して、屋良朝博前衆議院議員が、米軍再編完了後に沖縄に残る海兵隊の部隊のうち、実動部隊と呼べるのは約二千五百名規模の第三一海兵遠征隊であり、その主力部隊である歩兵大隊は約八百名程度の規模にすぎないと明らかにしております。つまり、辺野古新基地によって得られる抑止力というのは非常に限られて、小さな兵力しかないわけですね。

 要するに、今、沖縄に海兵隊が一万九千名ぐらいいるわけですね。二〇二四年からは約九千名が移動する。恐らく、グアム、ハワイ、オーストラリア、本国という形になると思うんですね。残るは一万人。一万人の中で五千名を司令部にする、五千名が実動部隊となります。その実動部隊の中でも、前衆議院議員の屋良さんが指摘したのは、二千五百名ぐらいが恐らく実動部隊、後方支援も入れて。ただ、兵力としては八百から千だという見解があります。これは私もそうじゃないかなと。ほとんど、海兵隊、三分の二は海外に行っていますから、訓練も一日三機か四機ということですから、そういう現状を踏まえると、本当に十年以上もかかる辺野古の新基地を抑止力と言えるんだろうかという疑問がどうしてもあるわけです。

 その辺について、さらに、普天間飛行場が担ってきた、一点目はオスプレイの運用、二点目は空中給油機の運用、三点目が緊急時の航空機の受入れと、三つの機能を有しております。ただ、この二と三は分散されて、残っているのが、辺野古の新基地に移されるのはオスプレイの運用だけなんですよね。

 辺野古に整備される新基地の抑止力について防衛大臣として事実を確認をしていただいて、日米同盟の抑止力維持のために辺野古に新基地が本当に必要だと言えるのかどうなのか、もう一度、済みませんが、よろしくお願いします。

浜田国務大臣 在沖縄海兵隊のグアム等への移転により、在沖縄米海兵隊の定員約一万九千人のうち、約九千人が日本国外に移転し、約一万人が沖縄に残留することとなります。他方、その詳細な移転計画については、現在、日米間で協議しているところであり、沖縄に残る地上戦力の規模については決まっておりません。

 その上で、移転後も、沖縄には高い即応性を有する第三一海兵機動展開隊等の部隊が初動対応部隊として維持されます。さらに、在沖縄海兵隊が増強部隊の来援のための基盤となることによって、種々の事態への柔軟な対応が可能であります。

 これらを踏まえれば、在沖海兵隊は、引き続き重要な抑止力として機能すると考えております。

新垣委員 今防衛大臣からもお話がありましたが、確かに減るんですね、減っていく。その約一万ですが、実質は千前後だろうと思うんですね。これを、ならば、何もこの大きな辺野古を埋め立てて、自然を壊してやる必要があるのかどうなのか、非常に疑問なんですね。

 ですから、その辺は是非政府としてもアメリカ政府にしっかり訴えていきながら、全部埋め立てなくても、ほかに方法はないのか、このことについては全く検討の余地はないんでしょうか。

浜田国務大臣 先ほども申し上げたとおり、我々の方針というのは今も全く変わっておりませんので、辺野古への移設というのが唯一の策だというふうに考えております。

新垣委員 なかなか沖縄県民の思いが届かないのかなと思っておりますが、是非ともに、辺野古が唯一だというお考えを少しでも改められるんだったら、是非お願いしたいなと思っております。

 次に、今、県内で大きな問題となっております、嘉手納基地内のパパループ地区における防錆整備格納庫移転計画についてお尋ねいたします。

 今日は、資料を少し添付をしております。これは嘉手納町の全体図です。真ん中に嘉手納基地が大きくあります。嘉手納町は、面積の八二%が嘉手納基地であります。上の方に住宅密集地となっております。

 以前もパパループから発生する悪臭、騒音について質問をいたしましたけれども、今回、パパループの奥側に防錆整備格納庫を建設するということですが、これはもう防衛大臣も林大臣も、いろいろ要請があって、十分に認識をされていると思うんですが、改めて事実確認についての確認ですが、当該移設計画の全容を防衛省としてはどのように把握しているのか、米側から初めて計画の説明を受けた日時と併せて御説明をお願いしたいなと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の格納庫の建設計画につきましては、米側より、航空機に防錆加工等を付すための格納庫をパパループ内の住宅地側の区画に整備する予定であり、大型機にも対応した高さ約三十メートルの施設となるとの説明を受けているところでございます。

 この問題につきましては、現在、米側に詳細な情報提供を求めつつ、様々なレベルで協議を行っているところでございまして、相手方もありますことから、現時点ではこれ以上の建設計画の詳細についてお答えできないことを御理解いただきたいというふうに思います。

新垣委員 詳細については答えられないということですので、是非、地元嘉手納町の思いを酌んでいただきたいと思います。

 実は、この間、嘉手納町に行って、町長にもお会いをしてお話を聞いて、議会の皆さんとの意見交換もしてきたところです。ふだんはおとなしい嘉手納の町長が、非常に頭を悩ませて怒っておりました、このことはどうにかしてもらいたいんだと。

 今、予定地なんですが、なぜそこなのか、是非これは確認をしてもらいたいと思うんですね。

 ただでさえ、町長を始め町民が心配をしているのは、住宅地に余りにも近過ぎる、三十メートルの高さの二棟の格納庫が建設されるとなると、この影響はどうなるんだろうと。

 町からも、少し前の方にという逆に提案もあるわけですね。これだけ嘉手納が、極東最大の基地を抱えて、日々住民の皆さんが苦労しながら、それでも町としては国や米軍に協力をしてきているという姿勢があります。是非そのことは米側に伝えてもらいたいと思います。

 その中で、また、今年八月に、パパループの一角で米軍が文化財調査を実施していることが明らかになっております。

 米軍から沖縄防衛局への回答では、通常の文化財調査であり、特定の施設の建設開始を示すものではないとの内容が示されたようですが、その数日後には、当該文化財調査は防錆整備格納庫の建設を前提とする準備作業であることを米国防総省が認めた旨の地元紙の報道がなされております。

 この報道を受けて、防衛省は改めて事実確認をしたのかどうなのか、よろしくお願いします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の文化財調査につきましては、米側からは、防錆整備格納庫の建設に伴うものではなく、調査地付近にありますHH60格納庫の建て替えのために行っている調査であるとの説明を受けているところでございます。

 その上で、現在、米側との間におきましては、嘉手納町の御懸念を伝達した上で、建設計画の詳細について説明を求めつつ、様々なレベルで協議を行っているところであります。

 防衛省といたしましては、嘉手納町の御懸念を十分に受け止めまして、引き続き、米側としっかりと協議を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

新垣委員 ちょっと確認なんですけれども、そもそもパパループは十数年間使われておりませんでした。別のエリアで第三五三特殊作戦群の駐機場拡張工事が始まって、二年間の一時使用として二〇一九年二月にパパループの使用が始まりましたが、工事が延長しているとして現在も使用が続いているわけですね。

 これについて、さきの通常国会における私の当委員会での質問に対して、防衛省の政府参考人からも同様の答弁を得ておりますし、パパループにおけるエンジン調整音、悪臭被害についても認識を共有しているものだと思っております。

 そこで確認なんですが、パパループはあくまでも一時的な使用であるべきとの防衛省の認識には今も変わりはないわけですよね。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、嘉手納飛行場の駐機場でありますパパループ地区につきましては、米軍の運用を制限する取決めというものはございません。その上で、米側におきましては、パパループの使用に当たりまして、自主的に配慮が行われているというふうに承知をいたしているところでございます。

 委員御指摘の、三五三に所属いたしておりますMC130が一時的に駐機をしている件につきましては、そういった米側の自主的な配慮の中において一時的に駐機をしているというところでございます。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、米側によるパパループの使用につきまして、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるように、引き続き、米側と緊密に連携を図りながら、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

新垣委員 そうすると、あくまでも一時的な使用という認識でいいわけですよね。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、パパループエリアについて、米軍の運用を制限する取決めというのはございません。ただ、米側において、このパパループの使用に当たりましては自主的な配慮を行っておるというところでございまして、三五三の特殊航空団のMC130がパパループを今一時的に使用しているというのは、そういった自主的な配慮の中において行っておるということでございます。

新垣委員 実は地元が心配しているのは、このパパループはあくまでも一時的であって、その後は使わないんじゃないかということを思っているわけですね。だから、心配しているのは、防錆整備格納庫ができると、そのパパループも永久的に一体として使っていくのではないか、そうなると、もう騒音、悪臭どころじゃない、環境問題にまで影響してくるのではないかという町長を始め議会の心配なんですね。ですから、その辺は是非配慮していただいて、お願いしたいと思います。

 次に、外務大臣にお伺いしますが、防錆整備格納庫の移設問題について、林大臣は沖縄県の玉城デニー知事との面談の席上、現地司令官を始め国防総省にも計画の撤回を強く働きかけていきたいと応じたと報じられておりますが、私は、撤回という言葉を使って踏み込んだ大臣のこの発言と姿勢は大変高く評価したいなと思っております。

 大臣、是非この場でも、防錆整備格納庫の移設撤回を力強く表明していただければと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 嘉手納飛行場内で、住宅地に近いパパループにおけます米空軍の防錆整備格納庫建設計画については、地元の皆様の不安が大きいと伺っておりまして、嘉手納町長や町議会、沖縄県議会から私宛てに要請書もいただいております。

 政府は、米側に対して、こうした地元の御懸念を累次の機会に伝達し、様々なレベルで働きかけを行ってきております。本件について、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう、防衛省とともに米側に対する働きかけを続けてまいりたいと考えております。

新垣委員 在沖米軍は、遅くとも二〇一九年四月までにパパループへの移設計画を有していたとの報道もございます。事実だとすれば、パパループの使用開始と防錆整備格納庫の移設計画はほぼ同時だと。心配しているのは、米側は、表向きには国や嘉手納町に一時使用だと言いながら、パパループの恒常的な使用を考えているのではないかということで、非常に懸念をして、そのことが大きな不安、心配になっております。

 二〇二三年米会計年度国防権限法案には、防錆整備格納庫建設費七千七百万ドルが計上され、これは日本円でいうと百二十億程度だと思います、米議会で予算が承認されれば来年十月にも着工、さらには二〇二七年十一月に完成、使用開始と言われております。

 こういう状況ですから、状況は一刻を争うんだという状況だ、私はそう思っております。計画撤回の立場を明確にした上で、日米合同委員会で議論するなど、米側との交渉に強く当たってもらいたいということを、是非、浜田大臣にお願いしながら、決意を再度お聞かせいただきたいと思います。

浜田国務大臣 本件格納庫の建設計画については、嘉手納町長と、また沖縄県知事のそれぞれから計画の撤回を求める要請書をいただいております。また、嘉手納町議会と沖縄県議会において計画の撤回や見直しを求める決議がなされていることは承知をしております。さらに、先月、私が沖縄を訪問した際、嘉手納町長や沖縄県知事にお会いをし、本件格納庫の建設計画に対する御懸念を直接伺っております。

 防衛省としては、こうした地元の御懸念について、十分受け止めているところであります。

新垣委員 防衛大臣、外務大臣が一生懸命御努力をされているということは理解をするんですが、ただ、頑張ったけれどもやっぱり駄目だったよと言われると、これは嘉手納町にとっては大変な問題なんですね。ですから、町民大会をやろうじゃないかというような町民の皆さんの不安や憤りも含めてあるものですから、是非これは強力に、米側に計画撤回ということを強く要請していただくようお願いをし、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会、浅川義治でございます。

 本日は、初の安全保障委員会の質問に立たせていただきます。委員長、各会派の理事の皆さん、委員の皆さん、どうもありがとうございます。

 また、これまでの委員会質疑でも私が心がけていたのは、今日のこの中継あるいは後からアーカイブで動画を見られる方、あるいは議事録を見られる方に、分かりやすく、御理解いただけるような質問を心がけてまいりたいと思います。

 実は、今日、両大臣、非常に私は今日ここで質問に立たせていただくことについて因縁深く感じておりまして。

 実は、林大臣のお父様、今こちらに肖像画もあられますけれども、三十年前に大蔵大臣だった頃、私は横浜銀行に入行した新入行員でして、当時はまだ金融庁がなくて、いわゆる大蔵省検査というのが銀行というのはありまして、俗に言う、蔵検と言うんですけれども、その大蔵省検査対策というのが大変だったんですね。当時、林大臣が大臣ということで、毎日その動向を追っていたという、その御子息様でいらっしゃいます。そして、浜田大臣に当たっては、これは失礼な言い方かもしれませんけれども、ハマコーさんの愛称で有名なお父様がいらっしゃって、引退後もテレビで大活躍をされていたので、非常に国民にもなじみのある両大臣のお父様でいらっしゃる。

 お二人に共通しているのは、音楽性が非常に高いということですね。これについては後ほどまたお伺いしたいんですけれども。

 まず最初に、今日、林大臣に、国連と、あと世界連邦のことについてお尋ねしたいんです。

 実は、昨年の十二月のG7で林大臣がリバプールに行かれたときに、帰国後の会見等で国家機密についてお話しされているんですが、そのリバプールで、G7の会場で、ビートルズのヒストリー博物館で「イマジン」を演奏されたかと思うんですが、ジョン・レノンのピアノ、レプリカだそうですけれども、ここで「イマジン」を演奏されたそうなんですけれども、弾き語りをしたかということについては国家機密ですということで明かされていないんですが、そのときは弾き語り、つまり歌も歌われたんでしょうか。

    〔委員長退席、若宮委員長代理着席〕

林国務大臣 ちょっと、御通告もなかったものですから、今記憶をたどっておりましたけれども、当時、ビートルズ博物館で、ジョン・レノンのピアノがある場所で記念撮影をしようということになりまして、ピアノに一人座った方がいい構図になるというようなことで座らせていただいて、一曲演奏したということでございますが、せっかくですからということで、一緒に「イマジン」の一節を歌ったというふうに記憶をしております。

浅川委員 今、国家機密の一端をお述べいただきまして、ありがとうございます。

 その「イマジン」を、大臣は好きな歌ということで、ネットでも調べさせていただいたんですけれども、今日、世界連邦運動についてどうして取り上げたかというと、私が、四十年前、中学校の社会科の授業で、いわゆる憲法第九条と自衛隊の関係について授業で習った際に、どう考えても自衛隊は違憲だという先生のお話があったわけですね、もちろん教科書には書かれておりませんが。その中で、その後ずっといろいろ考えていることはあったんですけれども、今の日本国憲法は世界政府とかそういうものを前提として第九条というのが作られたのではないかというふうに、私見ですけれども、考えておりました。

 学問的にもそういう考えがあるかと思いますが、ただ、私も幼い頃から、母方の祖父母は京都にある大本教という教派神道の教祖の書生というのをしておりまして、戦後、世界連邦運動に取り組んだ教団なんですけれども、幼い頃からその世界連邦について私も慣れ親しんでおりました。

 将来的には、そういうことが実現すれば核兵器のない世界が実現するのではないかということを若い頃は考えていたんですが、現実的にはそうはいかないだろうと、もうほとんど忘れていたんですけれども、何と、私が昨年初当選させていただいて様々な議連を御紹介いただく中で、議連というわけじゃないのかもしれないですけれども、世界連邦の国会委員会というのがあって、自民党の衛藤征士郎先生が今代表をされておりますが、その活動も活発にされているということを知って、私も参加させていただきました。

 現実の安全保障、つまり軍事的なことを取り扱う政治の中で、国会の中に世界連邦を語る先生がたくさんいて、なおかつ、今回私も知ったんですけれども、衆議院あるいは参議院でも、決議で、世界連邦の道を探求するという決議もこれまでにされている。これは理想ではあるんですけれども、いずれ各国の核兵器をなくしていくという大臣の、あるいは我が国の方向性に沿うような形ではあるかと、今でも私も思っております。

 ただ、その前に立ちはだかる障壁を越えていくためには、どうしても今の段階では軍事的な面できちんとした安全保障体制をつくっていかなければならないと考えております。

 そこで、林大臣に、世界連邦運動についてどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。

    〔若宮委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 先ほどお触れいただいた「イマジン」には、世界に国がなくなるという歌詞がございまして、それを言った上で、こう言ってもそれは夢にすぎないだろう、しかし、私は一人ではない、こういうふうに歌詞が続いていくわけでございますが、そういった世界連邦運動、これは、第二次大戦を教訓に、世界の平和を実現するために、一つの理想の姿として世界連邦を構築しようという国際的な運動であると承知をしております。

 今先生からお話がありましたように、この実現は容易ではないというふうには私も理解はしておりますが、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げた国際秩序、これが今深刻な挑戦を受けております。そういった今こそ、この理念は一層重要性を増しているというふうに考えております。

 政府としては、御指摘の決議等を真摯に受け止めながら、世界の平和と繁栄に向けた具体的な取組として、安保理改革を含む国連の機能強化や、法の支配に基づく国際秩序の維持強化というものに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

浅川委員 ありがとうございます。

 今大臣の答弁にもありました国連改革なんですけれども、国連についても、戦後、戦前からあったかと思うんですけれども、国連は五大常任理事国が安保理での拒否権を持っている。つまり、民主的ではないわけですね。投票権に不平等がある。

 世界平和を構築していく、将来世界連邦になるかどうかは別ですけれども、現状の国連は民主的ではない。それだからこそ改革をしていかなければいけないんじゃないかと思うんですけれども、現実的に、今大臣、一部お答えにもなっていましたけれども、これからその国連改革を具体的に進めていく中で、我が国が取り得る方策というか、あるいは大臣なりのお考えがあったら教えていただきたいと思います。

林国務大臣 ロシアのウクライナ侵略等によって、先ほど申し上げましたように、国際秩序の根幹が揺らいでいる中で、国連憲章の理念と原則に立ち戻って、国連の信頼を回復するために、国連自身の機能強化が重要だと考えております。

 今お触れになっていただいた安保理改革ですが、国連において長年にわたって議論が積み重ねられてきております。我が国としても、議論のための議論ではなくて、改革実現に向けた行動、これを開始すべきであると考えておりまして、先般の国連総会の一般討論演説でも、岸田総理から、そのために文言ベースの交渉開始に入るべきだということを訴えさせていただきました。

 私自身も、先般の国連総会の際のG4、これは日本、ドイツ、インド、ブラジルですが、このG4の外相会合において、文言ベースの交渉開始に向けた連携、これを再確認をいたしました。また、日米豪印の外相会合においても安保理改革の推進を確認をしたところでございます。これらを含む八つの多国間会合、また十五の二国間会談等を通じて、国連の理念と原則に立ち戻ること、そして安保理改革を含む国連全体の機能強化について議論いたしました。

 各国の一般討論演説においても、アメリカのバイデン大統領から、安保理改革の推進について、これまでにない積極的な呼びかけがございました。また、クールシ国連総会議長も交渉を進めるという旨を述べたほか、多くの国が、安保理改革など、国連強化に前向きなメッセージを述べたところでございます。

 各国の利害が複雑に絡み合うこの安保理改革、決して簡単ではございませんが、引き続き、今申し上げましたG4やアメリカ、さらにはアフリカを含む多くの国々と連携しながら、粘り強く取り組んでいきたいと思っております。また、総会とか事務総長、この役割の強化も含めて、国連全体の機能強化にも取り組んでまいりたいと考えております。

浅川委員 ありがとうございます。

 国連安保理改革、五大常任理事国の状況というのもいろいろ第二次大戦の終結間際から大きく変わってきておりますので、その点、日本の政府としても、引き続き強く訴えていただきたいと思います。

 続きまして、浜田大臣を中心にお伺いします。

 今のこの世界平和、あるいは核兵器のない世界を目指すにしても、この十年、二十年の間で日本を取り巻く外交、防衛上の環境が大きく変わって、もちろん、今ここで言うまでもなく、周辺国の軍事力の増強というのがある中で、目先、非常に、私の周りの市民、国民からも関心を、特にこの防衛関係で持たれているところが、極超音速ミサイルですとか、あるいは最新のAIとかドローンを使った兵器で、先ほどの質疑の中にも関連することがありましたけれども、いわゆる最新技術によってやられてしまうのではないか、そういう脅威が高まっているという認識であります。

 そこで、今、隣国である中国がもう極超音速ミサイルの開発を成功させているといいますが、UAV、ドローンも含めて、どのように防衛省として認識されているか、お伺いします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 極超音速滑空兵器、HGVは、マッハ五を超える極超音速で飛翔するとともに、通常の弾道ミサイルと比べ、低い軌道を長時間飛翔し、高い機動性を有することなどから、探知や迎撃がより困難になるとの指摘がございます。

 御指摘の中国は、ミサイル防衛の突破が可能な打撃力を獲得するためにHGVの開発を急速に推進していると見られます。HGVを搭載可能な中距離弾道ミサイルと指摘されるDF17の運用が二〇二〇年に開始されたとの指摘もございます。また、二〇二一年夏頃には、地球の低周回軌道を飛翔させるHGVの発射実験が実施されたとの指摘もございます。

 HGVは、将来の戦闘様相を一変させる、いわゆるゲームチェンジャー技術の一つであると認識しておりますことから、防衛省としては、中国によるこうした最新兵器の開発状況について、引き続き重大な関心を持って情報収集、分析に努めていきたいと考えております。

 また、御指摘のありましたUAV、水中ドローンなどでございますけれども、中国が、ミサイルなどを搭載可能なものを含め、多種多様な無人航空機、UAVの開発、配備を急速に進めていると見られます。実際、中国空軍におきましては、攻撃を任務とする無人機部隊が創設された旨指摘されているほか、我が国周辺空域においては、情報収集などを目的としていると見られる中国のUAVの飛行を確認しているところでございます。また、中国は、軍事利用可能な無人潜水艇、UUVの開発、配備も進めていると見られます。

 UAVやUUVは、一般に、有人の航空機や潜水艦等と比較して安価でありながら、その活用により、敵の海上、航空優勢などの獲得を効果的に妨害することが可能な非対称戦力とされております。

 こうした点も踏まえまして、防衛省としましては、UAVやUUVの開発状況も含めまして、中国軍の軍事動向について、引き続き重大な関心を持って情報収集、分析に努めてまいりたいと思っております。

浅川委員 丁寧にありがとうございました。

 今の、中国の情報収集目的のUAVがもう既に活動しているというところが非常に重要だったかなと思います。

 ちょっと時間の関係もありますので総括的に意見を述べたいと思いますが、まず、これに対抗していくために、イージスシステムの中に、極超音速ミサイルに対抗していくことを開発していくということが正式にもう発表されていますでしょうか。

川嶋政府参考人 防衛省でございます。お答え申し上げます。

 イージスシステムということでございます。イージスシステムは、弾道ミサイルを迎撃するミサイルを撃つという一つのシューターとして極めて重要なものでありまして、イージスシステムを搭載した船は現在八隻保有してございます。

 御指摘のとおり、新しいタイプの様々なミサイルが開発されております。それに対して対応していくこともまた急務だと考えておりますが、今、防衛省の中で、あるいは政府の中で検討をしておるという段階でございます。したがいまして、どうするという決定を、防衛省として、あるいは政府としてなしたということはございません。

浅川委員 ありがとうございました。一部の報道では、もう既に決定しているかのようなことも書いてありました。

 無人ドローンのメリット、これについては、今後、我が国が攻撃型のドローンを開発していくことがあるのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 ドローンにつきましては、様々な形の、あるいは様々なタイプのものがございます。防衛省といたしましても、様々な用途にそれぞれ向いたドローンというのが様々ございますものですから、それに関して重大な関心を持ってございます。

 したがいまして、様々なタイプのドローンにつきまして必要な調査研究を実施しておるという段階でございます。

浅川委員 そういう、今、いわゆる民生機のドローン、まあ、飛ぶドローン、水中ドローンもありますけれども、既に技術的にはある程度できている。

 もちろん、もっと研究開発していく必要性はあると思うんですけれども、単に防御するためあるいは情報収集するためのドローンではなくて、もし、仮想敵国はないかもしれないですけれども、中国等がそういう攻撃型のドローンを今後配備するような場合、あるいは、そのドローンが、いわゆる人工知能、AIが搭載されて、自律的に人を攻撃できるような、自分で判断して攻撃できるようなものを配備するような段階になった場合、今までの日本の政府としては、完全自律型の装備は持たないという判断だったかと思うんですけれども、今後もし周辺国で、完全自律型の、よくSF映画に出てくるような、そういう完全自律型の攻撃兵器ができてきた場合に、我が国としては、それでも開発をしないのかどうか。方向性としてはどうでしょうか。

浜田国務大臣 自律型致死兵器システム、LAWSと言われますが、については、その定義に国際的なコンセンサスが得られていないと承知をしておるところであります。

 その上で申し上げれば、我が国としては、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性兵器の開発を行う意図は有していないとの立場を明確にしてきており、防衛省としても、装備品の取得や研究開発を行っていくに当たり、この方針に従って適切に対応してまいりたいと考えます。

浅川委員 SF映画の世界では、そういうものが進歩していくと人類を支配してしまうんじゃないかというような未来映画、小説もあります。

 もし、我が国がそういうことをやらなかったとしても、他国がやってきた場合、しかも、コンピューターシステム、ネットワークでつながってきたときというのは、本当に恐ろしい将来というのが見えてくるかもしれないと思います。ただ、自国の防衛のためには、必要なことは増強していただきたいと思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

鬼木委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 質問に入らせていただく前に、自衛隊内でのセクシュアルハラスメントについて、元自衛隊員の女性が訴えられて、結果的に退官に追い込まれて、記者会見をなさって、和解に至ったということでございますけれども、女性としても非常に強い憤りを感じております。今後二度と同じことが繰り返されないように、再犯防止にしっかりと努めていただくことを強く要望いたしまして、質問に入らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、中国共産党の党大会が十月十六日から二十二日まで開かれました。二十三日に習近平氏の異例の三期目が確実となったわけでございます。

 党大会の中で、台湾をめぐり、最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄せず、あらゆる必要な措置を取るという選択肢を残すと発言し、統一のためには武力行使も辞さない考えを示しました。いよいよ台湾有事が近くまで迫ってきていると感じずにはいられません。

 また、北朝鮮は、習近平国家主席を核心とする中国共産党の指導力を更に強化することで、社会主義、中国の勝利的前進を担保し、全人民を奮起させる歴史的大会になると確信すると祝電を打ち、同志のきずなをアピールしております。

 中国・北朝鮮・ロシアと、台湾・日米韓の対立の構造といいますか、そういったものがますます鮮明になってきた中国の共産党党大会ではなかったかと私は感じております。

 そのような中、アメリカは、台湾と武器共同生産へ協議を始めたと報道されております。米軍は、二〇二七年までに、あと五年でございますけれども、中国が台湾侵攻能力を取得すると分析をしています。通常であれば、米政府が武器売却を承認してから引渡しが完了するまで数年から十年程度を要すると言われておりますけれども、この二〇二七年という目標があと五年ということですので、早期に武器を台湾に供給することが中国抑止につながる、武器の提供を前倒しするという考えだと私は受け止めております。

 ロシアの侵攻を受けるウクライナが粘り強く抗戦を持続させられているのも、欧米から武器の供給を受けていることが大きいことは、皆さんの周知のことと思います。

 それでは、仮に、台湾有事の際に、台湾が今のウクライナと同様の状況に陥った場合、台湾より日本に何かしらの支援の要請が来ることは容易に想像ができます。仮に、台湾有事で戦いが膠着状態になり、台湾が抗戦を続ける場合、日本はどのような態度でどのような支援をするのか想定をされているのでしょうか。お伺いをいたします。

 仮に、一つのパターンとして、現在のウクライナのような徹底抗戦で膠着状態になった場合、日本は台湾有事の際に台湾に装備品を提供できるのか、お尋ねいたします。

浜田国務大臣 我が国の対応は個別具体的な事態の状況によって決まるものであり、現時点でお答えすることは控えなければならないと思いますが、いずれにせよ、憲法、国際法や、平和安全法制を始めとする国内法令に従い、具体的な対応を考えてまいります。

 その上で、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要です。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の従来から一貫した立場であります。

三木委員 御答弁の中で、個別の事案に対しては時々の判断になるということだと思うんですけれども、各状況を段階的にシミュレーションして、想定して、どう対応するのかというのは考えておいた方がいいと思うんですね。

 あと、台湾に対して、今の状況のままで装備品が提供できるかどうか、可能であるかどうかというふうに考えますと、やはり幾つかの法的な壁があるように感じております。

 防衛装備品移転三原則の中では、やはり防衛装備品を研究開発していったりとか、提供していったりとか、企業が輸出をするとかというときには、ちゃんと各国と協定を結んで、お互いの、次のところに武器を渡さないとか、そういう取決めをした上で渡していると思いますので、ただ、台湾は、国と国の話だから防衛装備品三原則は当てはまらないとはいえ、国と国という、少し台湾が国際的に特殊な立ち位置にあると考えますので、なかなか日本がそういう協定を結ぶことも難しいのではないのかなというふうに思っております。

 そういった状況の中で、アメリカは、台湾関係法というものを制定をしています。平和構築関係維持のために、防衛関係では、台湾に、あくまで台湾防衛用のみに限り米国製兵器の提供を行うとあります。また、アメリカ合衆国は、台湾国民の安全、社会や経済の制度を脅かすいかなる武力行使又はほかの強制的な方式にも対抗し得る防衛力を維持し、適切な行動を取らなければならないとされています。

 米国の介入は義務ではなくあくまでオプションであるために、同法は台湾の防衛を保障するものではありませんが、米国が台湾に武器を供給する根拠にはなっていると私は考えております。

 日本は、装備品を輸出する場合は、防衛装備品・技術移転協定を相手国と結ぶ必要があるというふうに先ほども申し上げましたけれども、現段階ではやはりそれが台湾とは難しいと思いますので、もし現状のままでこの協定を結べないのであれば、米国のように日本版台湾関係法を国内法として制定して、協定を結ぶ準備をしてはいかがでしょうか。

浜田国務大臣 台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、一九七二年の日中共同声明にあるとおりであり、非政府間の実務関係として維持していくとの立場に基づき、適切に対応しております。

 その上で、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にも重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の従来からの一貫した立場であります。

 いずれにせよ、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中、政府として、いかなる事態にも対応できるよう、平素からの体制の整備を含め万全を期してまいりたいと思います。

三木委員 従来どおりの政府の御見解であるならば、やはり各国の状況に応じてその見解も変えていく必要が時々に応じて出てくるのかなというふうに考えています。

 というのも、やはり台湾を中国が統一をしてしまうと仮定をするならば、第一列島線につながる日本の南西諸島、尖閣を始めとし、宮古、そういったところがやはり次に狙われるというふうな危機に陥るわけですから、ここはやはりきっちりと台湾とアメリカが防衛をする、その枠組みに日本も入って、できることをやっていく。それで、中国から見た際に、日本はこういう態度でこういうふうにやってくるんだなということをはっきりと示していくことが抑止力につながると思います。

 やはり戦争になるのは最終的に、絶対に避けていかなければなりませんけれども、戦争にさせないためにも、ある程度の抑止力を日本が真剣に考えているんだということを示していくのはとても大切なことだと思いますので、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 おっしゃるとおり、我々、あらゆる努力をしていかなければならないというふうに考えておりますし、各国との間の協議含め、また外務省を中心に対応してまいることになろうかと思います。

三木委員 是非、今の世界、日本を取り巻く状況を、日本として、やはり明確な発言というか意思表示をしていくべきじゃないかなと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 防衛装備庁に新研究機関を新設することについて質問いたします。

 これは問取りのときにちょっとお話をしたんですけれども、新研究機関は、大手から新興まで広範な企業や研究機関、大学などを対象に中長期的な研究費の支援を行うとありますが、現在ある安全保障技術研究推進制度からどれぐらいの規模で予算措置をするのか、お伺いをいたします。

 それで、これは、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議で大学外に研究拠点をつくるということを提案されていますが、これとどう連携をするのか、御質問をさせてください。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、AIや量子技術といった民生の先端技術を取り込み、将来の戦い方を変える画期的な装備品等を生み出す機能の強化が非常に重要だと考えているところでございます。その一環としまして、研究機関の在り方につきましても現在検討しているところでございます。

 研究機関の組織の在り方などの細部につきましては、今後、アメリカのDARPAなどの事例も参考にしつつ、我が国の実情というものもしっかり踏まえつつ検討してまいる所存でございます。

 あと、委員の方からもう一点御質問がございましたアカデミア等との関係という点でございますが、委員御指摘の、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議における御意見を含め、現在議論が行われているところであり、今の段階で防衛省としてコメントすることは差し控えさせていただきますが、その上で申し上げれば、やはり防衛省独自の研究開発に係る投資の拡大というものに加え、政府が推進する研究開発事業の成果を防衛分野で真に意味のある形で活用していくことが重要だと考えているところでございます。

三木委員 お答えいただいたんですけれども、まだ何も決まっていませんというような答弁だったと思うんですけれども、検討を続ける過程で、まだ何も決まっていませんというような御答弁だったと思うんですけれども。

 新聞にはっきりと書いてあって、それはちょっと、多少新聞側のフライングなのかなと思いますけれども、そこは、複数の政府関係者が明らかにした、モデルとするのは、先ほどおっしゃった、米国防省傘下の国防高等研究計画局や国防イノベーションユニットになっている、新研究機関は、大手から新興まで広範な企業や研究機関、大学などを対象に中長期的な研究費の支援を行う形だ、具体的な支援では、装備庁の技官が新研究機関で研究計画の進捗や予算、品質管理などに責任を持つプロジェクトマネジャーのような形で関わり、必要な助言を行うと、微に入り細に入り報道されているわけでございます。

 その中で私が最も気になったのは、将来的には年一兆円規模を目指すと書いてあったんですね。これは今後どういった形で進んでいくのか分からないですけれども、報道にこういった形で出てくるということは、やはりある程度は、いろいろと防衛省の中でも御検討されていることだと思うんです。

 やはり、私は三委員会連合審査のときにも申し上げましたけれども、防衛費の枠二%の中にEUの考え方を取り入れるということで、防衛費、研究の部分を入れるとかというふうになっておりましたけれども、デュアルユースということになれば、これは防衛費一色で対応するのがいいのかどうかという議論にもなってくると思いますし、将来的には年一兆円というのはかなりな規模の支出になりますので、これは報道の方が先に出ているということではあるかもしれませんけれども、今の段階で、こういった研究機関から研究者に年一兆円規模を目指すというような考えは今のところはないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 報道の内容について逐一コメントすることは差し控えさせていただきたいのでございますが、いずれにしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、我々といたしましては、研究組織の在り方とか、あと、委員御指摘も一部はございました研究開発の手法、やり方など細部について、先ほど申しましたように、アメリカのDARPAなどの事例も参考にしつつ、日本の実情もしっかり踏まえて検討していくということでございますので、現時点ではお答えできない点は御理解いただければと思っております。

三木委員 今後の検討課題ということで防衛省の中で検討されているんでしょうけれども、科学技術・イノベーション、CSTIと連携してやっていくというようなことも別の記事の中には書いてありました。

 科学技術・イノベーションの方では、世界と伍する卓越研究大学ということで、十兆円の財政投融資を投入をして、手を挙げてきた各大学に百億とか二百億とかのお金を融資をして研究開発を促進するというものが既にもう始まっておりますし、そういったところのすみ分けとかきっちりやっていかないと、せっかく、防衛費が二%ということで防衛関係に予算がつくというふうに喜んでいたら、何かそういったところに全部お金が回ってしまうということのないようにだけちょっとお願いをしておきたいんですけれども、大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 今お話しになったことというのも含めて、我々、今これから議論をしていくということでございますので、そういったことを念頭にまた対応していきたいというふうに思います。

三木委員 ありがとうございます。防衛大臣には是非とも頑張ってこの予算をかち取っていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 海上自衛隊と海上保安庁の連携についてお伺いしたいと思います。

 武力攻撃事態の際に自衛隊法八十条に基づき防衛大臣が海上保安庁を統制下に置く際の要領の策定を検討すると表明をされております。武力攻撃事態を想定した海上自衛隊と海保の共同訓練や防衛省による海保統制要領がないと明らかにされているわけですが、どういった方向性になるのか、お尋ねをいたします。

浜田国務大臣 海上自衛隊と海上保安庁は、平素から情報共有そして連携に努めているところでありますが、武力攻撃事態における対応も含めて連携を強化することは、厳しい安全保障環境の中であらゆる事態に対応する体制を構築する上で極めて重要だと考えております。

 武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領については、今後具体化していく考えであり、現時点で予断を持って内容等をお答えすることはできませんが、我が国の抑止力、対処力を強化していくという重要な課題にどのように取り組んでいくか、新たな国家安全保障戦略等を策定する中で検討していきたいというふうに考えております。

三木委員 要領を策定するということで、それで海上保安庁の活動というかできることが増えるわけではなくて、国土交通省の指揮管理下から防衛省の指揮管理下に置かれるということだと思いますので、なかなか、先ほど別の方の御質問にもありました、やはり海上保安庁法二十五条、「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」というこの法律がございますので、後方支援や人命救助、そういったところに限定されてしまうのかなというふうに理解はしております。

 翻って、NATO基準の軍隊以外の武力組織というのは、軍事訓練を受け、軍事力として装備され、軍事展開時に軍の直接指揮下で運用可能である範囲に限るとされています。これは明らかに、日本の海上保安庁とNATOの基準というのは合わないわけでございます。

 だから、このことを、やはりNATO基準の防衛費枠二%に海保の予算を組み入れるのは非常に無理があると私は思っているんですね。私は、でも、この際であるから、この二十五条の方を改正してはどうかというふうに考えております。

 先ほど、中国の海警局のお話もございました。海警局のみならず、中国は、漁船に軍人が乗って、普通の民間の漁船に軍人が乗って日本の港を占拠したりとか、最近では、島に民間の大型の船が着いて、後ろのハッチが開いたら、そこから戦車が島に乗り込めるというような訓練とかも、もう既に民間を巻き込んでやっているんですね。

 中国は何でもできるお国柄ですから、そういったことをやっていく中で、日本がこの海上保安庁法二十五条を後生大事にして、海上自衛隊と海上保安庁がなかなかうまく連携できないという事態は私はどうなのかなと思っております。

 海上保安庁の方も、やはりそういったことをきっちりと意識して連携をすることが大切だと思うんですけれども、この海上保安庁法二十五条について、浜田大臣、どのように思われますか。

浜田国務大臣 委員御指摘のとおり、海上保安庁法第二十五条により、海上保安庁は軍隊としての機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならないとされております。武力攻撃事態を含め、海上保安庁は、現行の所掌事務の範囲内で活動することとなると承知をしております。

 一方、海上自衛隊と海上保安庁が御指摘の武力攻撃事態における連携を強化することは極めて重要であると認識しており、いかなる連携が可能となるか、何度も申し上げておりますけれども、新たな国家安全保障戦略等を策定する中で検討してまいりたいというふうに思っております。

三木委員 海上保安庁の予算も、私はばかにならないと思っております。無人偵察機のシーガーディアンもこの間投入されましたけれども、これだって四十億円しているんですね、二十四時間運航ということで。だから、その予算の枠の中に海上保安庁を入れていくというのであれば、やはりそこをきっちりと法的整理もした上でやっていかないと、日本の防衛体制というものを構築していくのに非常に壁があるというふうに考えております。

 三委員会連合審査会のときにも、委員会のときにも質問の中で言わせていただいたんですけれども、やはり、燃料が違う、ガスタービンで回るものとディーゼルで回るものとの燃料の違いであるとか、軍事訓練ができない部隊なので、自衛隊から艦船を海上保安庁の方に移してもいいというような申出があったときも、軍事訓練にひっかかるので訓練ができないから、そしてガスタービンとディーゼルでエンジンの形態が違うからそれを辞退したというようなことも過去にあったと思いますので。

 また、先ほども、委員会でもお伝えしたんですけれども、給油口の口径が全く違うというような、全く今のままでは連携できていないなということが、何かニュースを見ているだけでも分かってしまうというような状態は非常によろしくないと思いますので、是非とも、ここの連携を強化するとともに、海上保安庁法二十五条についても考えていただきたいなと思います。

 質疑時間が終了いたしましたので、これで、要望として終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

鬼木委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日は、まず、ウクライナ情勢に関連した質問から始めさせていただきます。

 ロシアのウクライナ侵略が始まってから今週で八か月が過ぎました。八か月に及ぶウクライナ領土内での戦闘で、ウクライナの国民と国土は甚大な被害を被っています。ロシアのウクライナ侵略によって無辜の市民が殺害されており、最近も、イラン製とされる自爆型ドローンを用いて、市民や生活インフラを狙った攻撃を続けるなどしています。ロシアはこのような残虐な行為の責任を必ず問われなければなりません。

 ロシアの行動を許すこと、あるいはロシアのウクライナ侵略を一部でも成功させることは、極東に位置する我が国日本の安全保障にも重大な悪影響を及ぼすことになるため、ウクライナを支援することは、困難に直面するウクライナを助けると同時に、我々の安全を守る上でも極めて重要です。

 日本が行っている支援と今後の支援の在り方に関して、防衛大臣からは防衛省として行っているものに関して、また、外務大臣からはそれ以外の人道、経済的なものに関して教えていただきたいと思います。

浜田国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を脅かすものであり、断じて認められません。我が国としても、平和秩序を守り抜くため、国際社会と結束し、断固たる決意で対応してきております。

 防衛省はこれまで、自衛隊法に基づき、防衛装備移転三原則の下、防弾チョッキ、防護マスク、防護衣、小型のドローン、民生車両等をウクライナに提供してきており、引き続き、民生車両とドローンを輸送し、提供する予定であります。

 その上で、その後の装備品等の提供については、予断を持ってお答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思いますが、防衛省・自衛隊は、今後も可能な限りの支援を行ってまいりたい、このように考えております。

林国務大臣 日本はこれまで、ウクライナ及びその周辺国等、影響を受けた関係国に対しまして、総額約十一億ドルの緊急人道復旧支援、財政、食料関連の支援、これを表明し、この支援を順次実施してきております。これまで、累次にわたる首脳会談や、私からもクレバ外相に対しまして、ウクライナへの連帯の意を示しつつ、支援の意を示してきたところでございます。

 国際社会が結束して、強力な対ロ制裁措置を講じつつ、ロシアに侵略されているウクライナを支援していくことが重要であります。冬の厳しい寒さが待ち受ける中で、越冬支援を含めて、引き続き、日本としても、G7各国等と連携しつつ、ウクライナの人々に寄り添った支援を実施していく考えでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 大事な点ですので改めて確認させていただきたいんですけれども、こういった日本として行っている支援は、G7やNATO諸国とともに、日本としてもウクライナが必要とする限り続けていくという方針を持たれていると理解していますが、ウクライナに連帯を示す意味でも、外務大臣から改めてこの支援は続けていくんだという御答弁をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、国際社会が結束して、強力な対ロ制裁措置と、そして、ウクライナそして周辺国に対する支援が重要であります。

 引き続き、G7各国と連携しながら、ウクライナの人々に寄り添った支援を実施をしていく考えでございます。

斎藤(ア)委員 既に八か月に及ぶ侵略となっていて、また、先ほど林大臣もおっしゃられたように、冬に向けて、電力インフラなどへの攻撃によって、冬を越すということが大変不安視されるような状況もウクライナでは起きてしまっています。

 ほかのG7諸国、またNATOを含めたウクライナを支援している約五十か国と連携をしながら、日本としても最大限の支援を続けていくべきだと私も思いますので、引き続き政府には対応をお願いしたいと思います。

 続いて、関連してですけれども、先ほども少しこの委員会で質疑がありました、ロシアによる核の脅しに関してお伺いをしたいというふうに思います。

 ロシアは、今回のウクライナ侵略において、核兵器の使用をほのめかすような言動を繰り返しており、核使用の懸念が高まっているとされています。このようなロシアによる核の脅しに関しての我が国の対応に関しては、先ほど御答弁をいただいたところでございますので、改めての質問は割愛をさせていただきたいと思いますけれども、こちらは一般論で構わないのですが、このような核の脅しに対して、核の脅しによってその国が何かを得るようなことがあるというか、その核の脅しに対して譲歩するようなことがあってしまった場合、世界の安全保障体制にどのような悪影響を及ぼすことになるのか、一般論で構いませんので防衛大臣から御答弁をいただけますでしょうか。

浜田国務大臣 これは、今委員から御指摘のあったとおり、やはり、これを容認するということがあれば、我々のこの地域にも同じようなことが起こる可能性が高いわけであります。

 これは、ロシアによるウクライナの侵略によって、この侵略だけでも我々の国際秩序の根幹を揺るがす行為であって、こういうような力による一方的な現状変更を許してはならないという思いであるわけでありまして、こういったことを考えると、我々としても、それに対応するためのいろいろな分析、そしてまた、新たな国家戦略を策定する中で、国民を守るために何が必要か、あらゆる選択肢を排除せずに現実的に検討して、我が国の防衛力の抜本的な強化をしていかなければならないというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今、防衛大臣におっしゃっていただいたように、こういった核の脅しが成功してしまうと、それをまねるような国であったり、あるいは、その核の脅しに成功した国がまた核の脅しを使って他国を脅威にさらすということもあり得ますし、また、核兵器がなければ自国を守れない社会、世界になってしまうということを意味しますので、核の拡散にもつながっていくということでございますので、何としても、既に繰り返し政府から御答弁をいただいていますけれども、核の脅しは絶対許さないんだという姿勢、ほかのNATO諸国やG7諸国、世界の国々と連携をしながら、しっかりとロシアなどに示していただきたいというふうに考えております。

 次に、このロシアによるウクライナ侵略、既に八か月が過ぎているわけでございますので、日本の安全保障政策にも様々な示唆を与えているところだと思います。

 今回のウクライナの戦争が日本の安全保障政策に与えている示唆とは何であるのか、そういった点に関して、防衛大臣のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

浜田国務大臣 今私からもお話をさせていただきましたけれども、安全保障環境は大変大きく変わっているところでございますので、我々が今議論を進めている国家安全保障戦略等で、それを策定する中でしっかりと分析して、我々の将来に向かっての安全保障政策をしっかりと構築していきたいというふうに思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 なかなか個別の事案について御答弁は難しいと思いますので、何点か私の方から挙げさせていただきたいと思うんです。

 まず、権威主義国家では国際社会が予想だにしなかった行動を取ることがあり、その予見は難しいという点、特に今回のロシアのプーチン大統領を見ていますと、そういったことを改めて日本としても認識をしなければならないと思います。

 日本の周りには、ロシア、北朝鮮、そして中国が存在しています。この委員会でも、本日も複数の委員の方から言及がありましたけれども、先日行われた共産党大会で習近平主席による支配が強まったと広く認識されています。大会の途中で胡錦濤前国家主席が退出をさせられる場面は、世界中に衝撃を与えたというふうに私も感じております。

 次に、やはり、絶対に日本の領土内、国土で戦闘を行ってはいけない、国土に対する攻撃を絶対に防がなければならないということを改めて強く感じます。

 ウクライナとその国民の皆様は、果敢にロシアの侵略に対抗し、これを一部で押し戻すことにも成功していますが、国土が戦場となってしまったせいで多くの人命を失い、国土の破壊がもたらされてしまっています。戦争が起こることを止める、他国に日本への攻撃を諦めさせる、そのような抑止力の強化が平和の守護のために必ず必要だというふうに感じております。

 そして、最後になりますけれども、もう一つは、自分の国は自分で守るという能力と覚悟は欠かせないというふうに考えております。国連の安保理はロシアが常任理事国であるがために機能不全に陥っていますし、今回のような大国による暴挙を止めるような国際的な機関、枠組みは存在しません。世界に警察はいないということが改めてはっきりとしてしまいました。

 今、我が国を含めて、NATO諸国を中心にウクライナに対して多くの支援がなされていますけれども、ウクライナが強固に抵抗しているからこそ、そのような支援が寄せられているということでございますから、やはり、日本としても、自分の国を自分で守る能力の強化が欠かせないというふうに考えております。

 こういった基本認識に基づいて、国民民主党においても安全保障政策の議論を今深めているところでございまして、政府にも我々の案を御提案申し上げていきますので、年末の防衛三文書の取りまとめに是非生かしていただきたいというふうに考えております。

 そのまま日本の安全保障環境に関する質問に移らせていただきたいと思います。

 少し大きなテーマ、大きな質問、ざっくりした質問になってしまって恐縮でございますけれども、かつてない日本の安全保障環境の厳しさということは、かねてから言われています。

 日本の安全保障環境に関する基本認識に関して防衛大臣に伺いたいんですけれども、可能であれば、難しいとは思いますけれども、日本にとって最大の安全保障上の脅威、懸念は何であるのか、可能であれば付言をいただきたいと思います。防衛大臣、よろしくお願いいたします。

浜田国務大臣 これは、今目の前に起きているいろいろなことを考えれば、安全保障環境は御指摘のとおり大変大きく変わってきておるのも事実でありますし、周りにある国々の防衛力の増強というものも含め、本当に、そういう意味では、我々が避けては通れないものが目の前にあるというふうに考えております。

 その中において、我々は常にあらゆるものに対応できるように努力をしているところでありますけれども、さらに、今の防衛の装備品の、かなりのスピードで新しい研究が進んでいるのも事実でありまして、これに対応するために、我々も、いろいろな考え方、そして今回の安全保障戦略というのを考えているわけであります。

 その中において、そういった大きな装備を持っている国々は、やはり我々にとって脅威であろうというふうには思いますし、それをしっかり冷静に受け止めて今後対応していきたいというふうに考えます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 なかなか、特定の国であったり特定の事象を挙げて、それを懸念していると言うことは、政府としては明示しにくいことだと思いますので、これをしっかりと国会の中で各議員であったり各会派が議論していくことが重要だと思っておりまして、現状では、私個人の意見ですけれども、日本周辺における最大の安全保障上の懸念はやはり台湾有事だと考えております。

 ロシアは、極東地域でウクライナでやっているような領土拡大を企図する状況では恐らく今はないでしょうし、また、北朝鮮は、今の体制を維持することが目的であると想定されますので、そして、他国を攻撃すれば政権の終わりだということはよく理解していると思いますので、やはり、何といっても台湾有事。武力を使った統一も排除しないとの立場を改めて中国共産党が明確にしている、この台湾有事の可能性についてしっかりと向き合っていくことが日本の安全保障上極めて重要だと考えております。

 まず、この点、あえてお伺いしたいんですけれども、中国が武力による台湾統一に乗り出した際、日本の国土にも攻撃が加えられるという危険性を政府としてしっかりと認識をされているのか、防衛大臣にお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 台湾をめぐる情勢の安定は、南西地域を含む我が国の安全保障にとって重要であります。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決することを期待するというのが我が国の一貫した立場であります。

 台湾有事への対応については、仮定の状況を前提に一概にお答えすることは困難でありますが、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が、全ての情報を総合して客観的、合理的に判断して、対応していくべきものと考えます。

 防衛省・自衛隊としては、あらゆる事態に適切に対応できるよう万全を期していきたいというふうに思っております。

斎藤(ア)委員 これも、あえて一議員である私から申し上げると、台湾への武力行使を中国が決意するということは、米国との武力衝突を決意したということでもありますし、アジア太平洋地域の支配を決意したということでもありますから、間違いなく日本国土への攻撃を伴うことになると考えるべきだと思っております。

 もちろん、日本が中国の属国になる決意をするか、あるいは米国がアジア太平洋地域への関与を諦めるようなことがあれば別ですけれども、それこそあってはならないことでございますので、だからこそ、そのような攻撃をさせないための抑止力の強化を、日本独自の防衛力の強化と、そして、米国を中心に様々な同志国と連携をしながら深めることで追求していかなければならないと考えております。

 本日も様々な委員から台湾有事に関しても質問がありましたし、私も今させていただきました。そういった中で、やはり、個別の事案については回答が難しいんだということで、抽象的な回答にならざるを得ないということはこれまでのプラクティスで十分私も理解をしているんですけれども、防衛大臣にあえてお伺いしたいんです。

 防衛予算を大幅に増加をしようとしている、日本を守るために必要なことだと思いますけれども、そういった中、納税者の理解を得ることがより一層重要になるかと思いますけれども、これまでのような、政府が行ってきた一般的な問題意識を抽象的に伝えるだけで納税者の理解が得られるというふうにお考えでしょうか。より説明の仕方を変えていく必要があるとは防衛大臣はお思いになられませんでしょうか。

浜田国務大臣 おっしゃるとおり、国民の皆様に説明をするというのの難しさというのは十二分に認識をしております。できるだけ、我々防衛省としては、今まで積み上げてきた事例というものも含めてしっかりと説明できるように、具体的に、そして理解しやすいような努力を今後していきたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 どこまで表現するかということになるかと思いますけれども、これまで長年にわたりほぼ同水準で推移してきた日本の防衛予算を大幅に増やすということであれば、それは何のために行うのか納税者に説明して、そして理解を得なければならないということは、民主主義国家のこの日本では当たり前のことだと思いますので、是非その点、よろしくお願いしたいと思います。

 国民民主党としましても、国民への真摯で分かりやすい説明ということにしっかりと気を配りながら、この安全保障政策の策定に一緒に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 次に、先ほど少し防衛大臣からも触れていただきました、自衛隊の装備の可動率、継戦能力、施設の抗堪性などに関してお伺いをしたいと思っております。

 これも私の個人の考えということで申し上げますと、今後数年から十年のうちに台湾有事が起こるという専門家の見立ても大勢だと思いますので、そういった危機感を持って日本も対応していくことが必要だと思うんですけれども。

 そういった視点で、今ある防衛装備や自衛隊の組織の可動率を上げる、そういったことがまず最優先に取り組む課題ではないのかなというふうにも思うんですけれども、この点に関しての大臣の御所見はいかがでしょうか。

浜田国務大臣 自衛隊で使用される装備品については、過酷な状況で使用されており、頻繁な整備や部品交換が発生するものもあります。また、装備品の高度化、複雑化に伴い、維持整備費の所要が大幅に増えてきており、維持整備予算も増加させておりますが、必ずしも十分とは言えず、共食い整備となるものもありました。

 これを踏まえ、防衛力を五年以内に抜本的に強化するために必要な取組として、十分な部品を確保し確実な整備を行うことにより部隊の負担を軽減しつつ、計画整備等以外の装備品が全て可動する体制を確立することが重要と考えており、現実的かつ実効的な取組を検討してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 可動率や継戦能力の件に関しては、私も、先日の予算委員会の場でも総理大臣にも質問させていただき、改めて可動率や継戦能力に問題があるということを示して、総理大臣も認めていただきましたので、しっかりと早急に進めていただきたいと思うんです。

 特に、もしお答えできれば最後にお答えいただきたいんですけれども、今、共食い整備をするなどして生じているこの可動率の問題であったり、誘導弾などを中心に弾薬が足りないといった問題は、いつまでにこれを解消するんだという具体的な目標は既に防衛省内で定まっているのでしょうか。

浜田国務大臣 特に、主要な弾薬については所要弾数を早期に取得することが不可欠であり、弾薬製造企業の製造態勢を拡充して生産能力を高めるとともに、弾薬の保有量に見合う火薬庫の確保にも計画的に取り組む必要があります。

 私は、弾薬の確保を含む持続性、強靱性の強化を、現有装備品等を最大限有効活用するための取組として新たな整備計画において重視すべきものと考えており、防衛力の抜本的な強化に向けて強力に推進していく覚悟であります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。

 残りに関しては、また明日やらせていただきたいと思います。ありがとうございます。

鬼木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 浜田防衛大臣とは、大変久しぶりの議員と大臣との論戦の場になりました。どうぞよろしくお願いします。

 今日は、金武町伊芸区で発生した被弾事件について質問をいたします。

 七月七日、米軍キャンプ・ハンセンに隣接する金武町伊芸区で、民家の窓ガラスが割れ、付近から銃弾のようなものが発見されました。家主の方は、前日の六日午後、ガラスが割れるような音を聞いておりました。その後の警察の鑑定で発見されたものは、主に重機関銃で使用される銃弾の弾芯だったことが判明いたしました。米軍は関与を否定しております。

 まず、防衛省の対応について伺いますが、沖縄防衛局は、銃弾が発見された七日、プレスリリースを出しました。そこでは、米側に確認した結果として、当日、現場近傍のレンジでは実弾射撃訓練は行われていなかったことを強調しています。しかし、家主がガラスが割れるような音を聞いたのは前の日の六日でした。沖縄防衛局は、慌てて翌日にもプレスリリースを出して、六日も現場近傍のレンジで訓練は行われていなかったことを明らかにいたしました。米軍の関与を否定しようと非常に慌てふためいていたかのような対応でありますが、大事なことは、しっかりと事実を究明し、再発を防止することであります。まずは、どのレンジが使われ、あるいは使われていなかったのか、全体像を明らかにすべきです。

 防衛省に確認をいたしますが、家主の方がガラスが割れるような音を聞いた六日午後に実弾射撃訓練が行われていたのはどのレンジだったんですか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、米側から、七月四日から十日にかけて、レンジの1、2、3、5、7など十六か所のレンジにおいて実弾射撃訓練を行うとの通知があったということ、また、七月六日、現場から最も近いレンジ51において実弾射撃訓練は行っていないことといった事実関係を承知をいたしているところでございます。その他実弾射撃訓練の詳細につきましては、米軍の運用に関する事項でございまして、防衛省としては承知をいたしておらないところでございます。

赤嶺委員 近傍のレンジでは訓練は行われていなかったということをるる強調しておりますが、演習通報は、丸々一週間、零時から二十四時までの二十四時間使用する可能性のあるレンジを通報するだけのものです。事案が発生した時間帯に実際にどのレンジを使用していたかは分かりません。

 事件から三か月以上になりますが、実際にどのレンジを使用していたのか、その点は米軍から説明を受けていないということですか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、防衛省といたしましては、米側から、七月四日から十日にかけて、十六か所のレンジにおいて実弾射撃訓練を行うとの通知があったということと、七月六日、現場から最も近いレンジ51において実弾射撃訓練は行っていないといった事実関係を承知いたしておりますけれども、その他の実弾射撃訓練の詳細につきましては、米軍の運用に関する事項であり、防衛省としては承知をいたしておりません。

赤嶺委員 つまり、十六あるレンジは、六日の日に使われていたかという話じゃなくて、丸々一週間、零時から二十四時まで使いますという通知があるだけで、そして、防衛省の答えというのは、いやいや、それでも近傍のレンジは使われていませんという、結局、都合のいい情報が米軍から出されている、それをそのまま流しているだけですよ。

 聞いているのは、六日の日に使っていたレンジはどこかということを聞いているわけですよ。それに対する答えは、近傍は使っていませんでしたと。近傍を使っていたかどうかを聞いているわけじゃないんです。明らかにしなければならないのは現場近傍のレンジの使用状況だけではありません。恩納岳を挟んで、伊芸区とは反対側の恩納村にあるレンジから飛んでくる可能性もあるからです。

 警察庁に伺いますが、二〇〇八年に、伊芸区の民家で停車中の車のナンバープレートに銃弾が突き刺さるという事件がありました。あのとき沖縄県警は、米軍から一年近く待たされて、待たされた上ではありましたが、キャンプ・ハンセン内に立入調査を行いました。立入調査を行ったのは恩納村側のレンジ7だったのではないかと思いますが、当時どのような調査を行ったのか、明らかにしていただけますか。

親家政府参考人 お尋ねの事案に関しては、沖縄県警察におきまして、平成二十一年十一月、米軍の協力を得て、基地内のレンジ7に立ち入り、施設の状況等について確認を行ったと報告を受けております。

赤嶺委員 つまり、その当時伊芸区に飛んできた流弾を調査するのに、レンジ7というのは近傍ではないんですよ。伊芸区の近傍ではないんです。しかし、そこを県警は、事件が起きて一年もたった後に立入調査を認めて、今のようなあっさりした答弁なんですね。要するに、恩納村側のレンジから銃弾が飛んでくることはあり得るということです、近傍にとどまらず。

 私、先日、伊芸区を訪問し、お話を伺ってきました。今回も恩納村側のレンジから発射されたものではないかという疑念を持っておられました。伊芸区が沖縄防衛局に提出した要請書でもそのことを指摘し、早期の原因究明を求めています。

 大臣に伺いますが、沖縄防衛局は、恩納村側のレンジから発射された可能性があるにもかかわらず、米軍の断片的な情報に基づいて現場近傍のレンジの使用状況だけ公表しました。しかも、警察による捜査はこれからという段階であるにもかかわらず、銃弾にはさびが見て取れるなどと、捜査を予断するような内容まで明らかにしております。

 これは浜田大臣が大臣に就任される前のことではありますけれども、今回の沖縄防衛局は、警察の鑑定も終わらないのに、弾はこういうものだとか、それから、過去にも山の向こう側の恩納村から飛んできた事例があるのに、いやいや、近傍ではやっていなかったとか、アメリカをかばうような態度。これは非常に不適切だったんじゃないか、全体を、事実を確認していくという姿勢とは全く別個だったんじゃないか。私は大変不適切だったと思いますが、大臣はどのように認識されますか。

浜田国務大臣 本事案につきましては、様々な可能性も視野に、予断を持たず、警察当局において捜査を継続しているものと承知をしております。

 防衛省としては、捜査の結果を踏まえ、引き続き適切に対応していく考えであります。御指摘の点についても、我々、配慮してやっていきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 様々な可能性を、予断を持たずにと言うけれども、もう最初から沖縄防衛局は、いや、これは米軍がやったものではないんですよというものをずっと流し続けたんですよね。私は、この態度、本当に、許されていいものではないと思いますよ。

 警察庁に伺いますが、沖縄県警は七月二十九日に鑑定結果を公表しました。銃弾の弾芯だったことは公表しましたが、米軍との関係は明らかにしておりません。報道によると、県警が米軍に弾芯の確認を申し出ているにもかかわらず、米軍から正式な回答がないと報じられております。これは事実ですか。

親家政府参考人 沖縄県警察におきましては、予断を持たずに、様々な可能性を視野に入れて捜査を行う中で、米軍側に対し、捜査に必要な事項について照会を行っているところであります。

 現時点でこの照会に対する正式な回答は得られていないとのことですが、沖縄県警察におきましては、米軍側との必要な調整を継続して実施しているものと承知しております。

 引き続き、沖縄県警察において、米軍の協力を求めつつ、必要な捜査が進められるものと承知しております。

赤嶺委員 事故が起きたのは七月六日ですよ。米側には、警察はいつ協力を求めたんですか。

親家政府参考人 米軍に要請したのは九月中旬と報告を受けております。

赤嶺委員 九月中旬で、今まだなお回答は来ていないということですか。

親家政府参考人 沖縄県警察からは、現時点、回答は得られていないというふうに報告を受けております。

赤嶺委員 二〇〇八年のとき、米軍に資料の提供、提出を求めて、そのときは米軍の通常弾と特定をいたしました。ところが、今回はそれもできていないんですね。

 米軍基地内への立入り、これは求めているんですか。

親家政府参考人 沖縄県警察におきまして、米軍に対し、米軍基地内への立入りの実施について協力を要請したと報告を受けております。

赤嶺委員 米軍は、七月八日に出したプレスリリースで、警察の協力には応じないで、古く腐食した銃弾はどの火器からも発射されたはずがないと、関与を否定しているわけです。この事件に関する詳細については、米軍じゃなくて沖縄県警に照会いただきたいと。我々に聞くなという態度なんですね。知らぬ存ぜぬということです。

 外務大臣に伺いますが、日米地位協定は、犯罪の捜査や証拠の収集、提出について、日米が相互に援助しなければならないと規定をしております。しかし、米軍の木で鼻をくくったような対応はこの規定と違うと思いますが、いかがですか。

 米軍基地に立ち入るには、米軍の同意が必要になります。二〇〇八年のときには、県警が基地内に入ったのは事件から一年近くがたってからであります。その後、被疑者不明のまま書類を送検し、最終的に不起訴になりました。こんな状況では、今回もまたうやむやにされかねません。

 まずは米軍に捜査への協力を求めるべきであります。同時に、県警が求めている速やかな立入り、この仕組みを検討する必要があると思いますが、いかがですか。

林国務大臣 外務省としては、捜査当局が必要な捜査を円滑に行うことが重要だと認識をしておりまして、個々の事案に応じて、米側の協力、連携を求めてきております。

 米軍が関係する事案につきまして、今御指摘のありました新たな仕組みが必要となるような捜査における支障が生じたことはないとは承知しておりますが、いずれにいたしましても、外務省としては、個々の事案に応じて、捜査当局が必要な捜査を円滑にできるよう、米側の協力、連携を求めていく考えでございます。

赤嶺委員 新たな仕組みをつくる、そんな支障は起きていないと言いますけれども、二〇〇八年だって一年後ですよ、立入りを要求して。それで何が分かりますか。

 今回も、七月六日に起こった事故ですよ。警察は既に基地への立入りを求めている。それに対して米軍は、いやいや、俺たちはやっていない、俺たちに聞くんじゃなくて沖縄県警に聞けという態度ですよ。やっていない、やっていないという態度ですよ。

 客観的に事実を調査する仕組みそのものが、今、日米間にないわけですよ、外務大臣。だから、今度の事案についても、ちゃんと警察の立入りを認めるよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 個別の捜査につきまして述べることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど御答弁させていただきましたように、外務省としては、個々の事案に応じて、捜査当局が必要な捜査、これを円滑にできるように、米側の協力、連携を求めていく考えでございます。

赤嶺委員 個々の事案に応じて、円滑な捜査が、今行き詰まっているんです、外務大臣。やはり、今回の事案も直ちに外務省が動くべきだということを強く申し上げて、防衛大臣に伺います。

 地元紙の報道記事を今日配付させていただきました。伊芸区が二〇一三年にまとめた記録集を基に、過去に被弾した場所を地図に落としています。今回銃弾が見つかった民家の半径五十メートル以内では、一九五六年以降、住宅などへの被弾が七件、そこから東側の別の場所でも半径百メートル以内で七件が確認されています。このほかにも区内全域で発生しております。少なくとも三十五件の被弾が確認されています。記録集をまとめた後も、被弾や照明弾の事故が発生しています。

 地元の人は、これが米軍のものでないということを誰が言っているんだ、肌感覚でこれは米軍のものだと分かると。じゃ、客観的な事実の調査はやっているかといえば、それはさっきの地位協定上の壁でできていない。でも、どんどん被弾しているわけですよ。

 こういう地域がある、これが繰り返されている、これは異常だと思いませんか。

浜田国務大臣 今回の事案を除いて、沖縄県における米軍の射撃訓練に関わる事故として、米軍によるものと特定されたものは十二件と承知をしております。

 いずれにせよ、防衛省といたしましては、米軍の運用に際しては安全確保が大前提との認識の下、必要に応じ米側に対し安全対策に関する説明を求めるなど、地元の皆様の不安を払拭すべく、引き続き日米で協力してまいりたい、このように考えております。

 先生からの御指摘、重く受け止めたいと思います。

赤嶺委員 終わります。

鬼木委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

鬼木委員長 次に、内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。浜田防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

浜田国務大臣 ただいま議題となりました防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 防衛省職員の給与について、本年度の官民較差に基づく改定を実施するため、所要の措置を講ずる必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、人事院勧告の趣旨を踏まえて、自衛隊教官、自衛官等の初任給及び若年層の俸給月額等について引き上げることとしております。

 第二に、人事院勧告の趣旨を踏まえて、防衛大学校及び防衛医科大学校の学生等に係る期末手当について引き上げることとしております。

 なお、自衛官及び事務官等の勤勉手当の支給割合の引上げにつきましては、一般職の職員の給与に関する法律の改正によって、一般職の職員と同様の改定が防衛省職員についても行われることとなります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いをいたします。

鬼木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明二十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十七分散会


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