衆議院

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第7号 令和7年4月11日(金曜日)

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令和七年四月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠藤  敬君

   理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君

   理事 木原  稔君 理事 篠原  豪君

   理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君

   理事 美延 映夫君 理事 橋本 幹彦君

      江渡 聡徳君    大空 幸星君

      金子 容三君    鈴木 英敬君

      鈴木 隼人君    関  芳弘君

      田畑 裕明君    中曽根康隆君

      深澤 陽一君    福田かおる君

      向山  淳君    新垣 邦男君

      五十嵐えり君    伊藤 俊輔君

      重徳 和彦君    下野 幸助君

      松尾 明弘君    池畑浩太朗君

      福田  徹君    西園 勝秀君

      山崎 正恭君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         中谷  元君

   外務副大臣        藤井比早之君

   防衛大臣政務官      金子 容三君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           斉田 幸雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局交通管制部長)         石崎 憲寛君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           家護谷昌徳君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  青木 健至君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  田中 利則君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            坂本 大祐君

   安全保障委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     深澤 陽一君

  草間  剛君     大空 幸星君

  平岩 征樹君     福田  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     草間  剛君

  深澤 陽一君     田畑 裕明君

  福田  徹君     平岩 征樹君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     黄川田仁志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官大河内昭博君外十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木英敬君。

鈴木(英)委員 おはようございます。自民党の鈴木英敬です。

 今日の質問の機会をいただきました理事の皆さん始め、関係者の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 法案の話に入る前に、まず、今話題のトランプ関税に関連しての日米の防衛産業協力の在り方について大臣にお伺いしたいと思います。

 アメリカは、国防省のレポートにもありますとおり、艦船、ミサイル、半導体、重要鉱物を含めて、防衛装備品の重要サプライチェーンの強靱化に苦慮している、これは彼ら自身も認めているところであるわけです。そういう中、日本が持っている物づくりの能力を生かすことで、アメリカの防衛サプライチェーンを補完することが可能だと思っております。

 だからこそ、私は、今の関税の日米交渉においては、日本がこれまで投資してきたよという経済的利益の日本の貢献だけを主張するのではなくて、防衛産業協力によってアメリカの安全保障環境の向上にも貢献が可能だということをしっかりと主張すべきだと思っていまして、中谷大臣も政府の対策本部の一員でいらっしゃいますので、是非しっかり取り組んでほしいと思います。

 そこで、アメリカとの安全保障面での産業協力を深め、アメリカの防衛装備品のサプライチェーンを日本が支えていく取組を更に強化していくべきと考えますが、大臣の御認識をお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 今般の米国政府による措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済、多角的貿易体制全体に大きな影響を及ぼしかねない非常に大事な問題でございまして、防衛省といたしましても、本日、第二回の米国関税措置に対する関係閣僚会議総合対策本部が開催されまして、関係省庁と連携しまして我が国の防衛産業への影響の分析等を今進めているわけでございます。

 その上で、トランプ新政権は、米国の防衛産業基盤が抱える課題を解決し、回復させることを重視していると承知しておりますが、日米両国の防衛産業基盤の相互補完及び強化を進めることは日米同盟の抑止力、対処力の強化のために死活的に重要でありまして、一層加速させていかなければなりません。

 先日のヘグセス長官との日米防衛相会談におきましても、DICAS、これは日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議のことでありますが、この枠組みを効果的に活用しつつ、ミサイルの共同生産、米軍艦船、航空機の共同維持整備に向けた取組を加速していくことを確認しました。

 こうした取組によりまして日米のサプライチェーンを互いに強化していくことは大変有意義なことであると考えておりまして、我が国の防衛力の強化、そして日米同盟の抑止力、対処力の強化を着実に進めるべく、日米の防衛産業協力の拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。力強い御答弁をいただきました。アメリカに、経済面だけではなくて安全保障も含めて日本が貢献している、そして、日米同盟をしっかり強化することがアメリカにとってもメリットがあるという主張を是非お願いしたいと思います。

 防衛産業の在り方についてもう一つお伺いしたいと思います。

 アメリカとの防衛装備品の協力を進めていく上では、前提として、日本の防衛産業がより強化されることが必要です。防衛における新しい戦い方が進む中ではイノベーション力を強化していくことが重要で、プライム企業だけではなくて、スタートアップのポテンシャルを活用しなければなりません。

 そこで、新たな研究所の創設や、経産省と連携してスタートアップとのマッチング、スタートアップが有する先端技術の活用に向けた取組などを近年強化していますが、これまでの調達実績などの成果、また、今後の活用加速に向けた取組についてお伺いします。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省では、委員御指摘のとおり、スタートアップ企業との連携は非常に重要であると考えております。また、これも委員御指摘のとおり、経産省との間で、防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会などのスタートアップとのマッチングの場を設定し、推進しているところでございます。早期装備化のための取組において、自衛隊の装備品への活用を念頭に置きまして、優れたスタートアップの技術の活用を図るとともに、スタートアップの先進的な基礎研究も防衛省として支援しているところでございます。

 こうした取組の結果といたしまして、AIでありますとか、無人機、ドローン、宇宙など、様々な分野でスタートアップとの契約が締結されつつあるところでございます。また、昨年十二月には、政府全体の取組に倣いまして、技術力のあるスタートアップ企業が一定の要件を満たした場合には随意契約を結ぶことを可能とする制度を導入したところでございます。

 防衛省といたしましては、こうした取組や制度を通じてスタートアップの参入を更に促し、その先端技術を積極的に取り込むことで、新しい戦い方に必要な装備品の早期取得に引き続き努めてまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 おっしゃっていただいているとおりで、大事なことは、スタートアップ、あるいは既に参入している中小サプライヤー、そういう人たちの利益率の上昇、適正な利益の確保を防衛省・自衛隊の調達でしっかりやっていくことがイノベーションにもつながり、防衛力の強化につながりますので、是非そういう点もこれから御配慮いただきたいと思います。

 では、今回の改正案について問うていきますが、まず、海上自衛隊情報作戦集団の新たな編成についてお伺いします。

 現在の世界の安全保障環境や各国の動向を踏まえれば、これは単にこれまでの延長線上の組織であってはならないと思っていまして、私は大いに期待しています。

 まず、今回の新たな編成の動機においてどういうことを課題と捉えて、その上でどういう効果を期待するのか、改めてお伺いしたいと思います。

 続けて、作戦情報群に関しまして、防衛省・自衛隊の情報戦における中核は情報本部でありますので、そことの連携、あるいは、我が国周辺における海洋安全保障の状況を考えれば、アメリカ、韓国、フィリピン、台湾を中心としたカウンターパートとの連携も不可欠です。こういう国内外の他の組織との連携の在り方についてもお伺いします。

青柳政府参考人 近年、国際社会におきましては、紛争が生起していない段階から、偽情報等により他国の世論や意思決定に影響を及ぼすとともに、自らに有利な安全保障環境の構築を企図する情報戦に重点が置かれているところでございます。海上自衛隊におきましても、あらゆる手段を総動員して正確な情報を把握し、それに基づく迅速な対処が可能な体制を構築することが必要でございます。

 海上自衛隊におきましては、現在、情報の収集、分析、対処という情報戦に係る機能が自衛艦隊隷下、各地方隊隷下、大臣直轄部隊に分散しておるところでございます。このため、各組織固有の観点からの情報の収集、分析となるため、海上自衛隊全体としての総合的な情報の収集、分析体制や、情報成果の活用に課題があるところでございます。

 そこで、情報戦に係る機能を有します部隊を整理、集約いたしまして、情報戦基幹部隊として情報作戦集団を新編することによりまして、効果的、効率的な情報の収集、分析が行われることで、海上自衛隊における情報戦への対応能力が強化されることになります。

 なお、情報分野につきましても、同盟国、同志国等との連携を行っていくことは当然重要でございます。新編する情報作戦集団につきましても、必要に応じ、国内外の関連組織と緊密に連携してまいりたいと考えてございます。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 続いては、サイバー防護群についてです。

 防衛省は、令和六年七月に防衛省サイバー人材総合戦略をつくりました。自衛隊サイバー防衛隊の増員分を今回の法案でも百三十人にするというのがありますけれども、これを実行していくためには、NISCや警察との連携、あるいは海外同志国との連携も重要です。この国内外組織との連携についてお伺いしたいと思います。

 あわせて、先日衆議院で可決されましたサイバー対処能力強化法案が成立したら、去年つくった戦略をサイバー法案の実装も踏まえて見直さないといけないと思いますが、戦略の見直し、定期的なローリング、これについての考え方もお伺いします。

家護谷政府参考人 お答えいたします。

 防衛省・自衛隊では、陸海空自衛隊の学校における教育に加え、国内外の部外教育機関における教育、企業研修を活用しましてサイバー専門部隊の隊員の育成を図っております。また、このような教育や研修に加えて、米国や英国を始めとする諸外国との間でサイバー演習や協議を積極的に行い、隊員が実践的な経験を積むことができる機会を確保しております。

 例えば、昨年四月に行われました、NATOのサイバー防衛協力センターが主催しておりますロックドシールズ二〇二四演習におきましては、NISCや警察庁等の関係省庁、それから重要インフラ事業者、英国防省、こういった人たちと合同チームを編成して部外の組織との相互連携の強化を図ってまいりました。

 今後につきましても、教育、研修、サイバー演習などにおける部外との連携を更に強化し、サイバー人材の確保、育成を実効的に強化するための取組を進めてまいります。

 それから、戦略についてでございますけれども、非常に重要なものだと思っておりまして、政府全体の取組の状況も非常に大きく変わってきております。それから、技術の進展も速い世界でございますので、こういったサイバー分野の特性を踏まえまして、サイバー人材の確保、育成に係る施策、それから防衛省サイバー人材総合戦略についても、必要に応じまして適時適切に検討、見直しを行うことが重要であると考えております。

鈴木(英)委員 戦略の見直しについても是非機動的に考えていただきたいと思います。

 さて、今、サイバーの話でNATOの話もしていただきました。そこで、順番を入れ替えまして、大臣にお伺いしたいと思います。

 先日、中谷防衛大臣それから石破総理がルッテNATO事務総長と相次いで会談をされました。サイバーの協力などもあって、僕は全体として大変評価しています。

 その中で、一点大臣にお伺いしたいのは、大臣が会談の中で、日本がウクライナ支援組織に参加することに関連して、ロシアのウクライナ侵略の教訓を収集する点でも大変意味があるとおっしゃられました。また、石破総理と事務総長の共同声明でも、誤った教訓が導き出されないよう、引き続き連携とありますので、大臣にお伺いしたいのは、この教訓とはどういうものを考えていて、それをどう生かしていきたいとお考えか、大臣の見解をお伺いします。

中谷国務大臣 四月八日の火曜日でありますが、ルッテNATO事務総長との会談を通じまして、私から、NATOの対ウクライナ安全保障支援・訓練組織、NSATUへの参加に向けて調整していきたいということを伝達いたしました。それに対してルッテ事務総長は前向きに受け止めていただきましたが、この組織は、ウクライナ軍の装備品に関連した支援、訓練の調整、また、ロシアによるウクライナ侵略に関する教訓の収集、分析等を実施している組織でございます。

 今後、この組織に具体的にどのような協力が可能であるのか、また、協力を通じてどのような教訓の収集、活用が可能であるのか、情報を収集して検討していくことといたしておりますが、一般論としまして、ウクライナの侵略においては新しい戦い方が実践をされ顕在化しておりますので、例えば、サイバー、偽情報、無人機といった分野を始めとする様々な分野について幅広い教訓と知見が得られることを期待いたしております。

 引き続き、NATOとの協力を通じまして、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現に向けても国際社会と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。おっしゃっていただいたとおりで、支援とともに、教訓を得て我が国の防衛に生かす、是非お願いしたいと思います。

 最後に、一問だけ質問できませんでしたけれども、要望であります。

 今回の人的基盤の強化と両輪になるのは、自衛隊施設の老朽化の解消あるいは強靱化、あるいは、隊員の生活、勤務環境の改善であると思います。うちの地元の明野駐屯地もそうですけれども、教育研究組織も含めて、老朽化の解消あるいは強靱化に向けて是非よろしくお願いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。鈴木英敬君の質疑は終了いたしました。

 次に、松尾明弘君。

松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。本日もよろしくお願いします。

 今日は防衛省設置法等の一部を改正する法律案について質疑させていただきます。

 早速ですけれども、今回の法改正案においては、自衛隊の隊員の待遇改善を通じた人材確保の促進を目指していると記載されております。

 一方、自衛隊員の定数割れが慢性化していることが課題だとずっと言われております。過去十年間を見ても、平成二十七年ですと定員割れが一万九千八百十五人だったのが、令和五年になりますと定員割れが二万三千六百四十三人ということで、多少の増減はあるものの、定員割れが続いている状況となっております。

 これを解消しなければいけないというのはここにいる全員の共通認識だと思いますけれども、今回の法改正によって各種手当の新設、定年退職後の再任用の見直しなどが行われますが、これらの法改正によってどの程度効果があったのかということについては今後どうやって評価するんでしょうか、その評価方法を教えてほしいと思います。

 例えば、デジタル的に、人数が増えた、充足率が上がったという数字で見るのか、それとも、定性的に、アンケート等を行って自衛隊員の満足度等を測っていくのか、その辺りを教えてください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力の中核である自衛官の確保は政府としての至上命題であり、自衛官が国防という国家にとって極めて崇高な任務に誇りと名誉、高い使命感を持って専念できる体制を整えることが不可欠です。このため、委員も御指摘のとおり、昨年末、関係閣僚会議で基本方針が取りまとめられまして、手当の新設や引上げ、処遇改善策を含む法案を提出しているところです。

 この基本方針に定められました各施策につきましては、自衛官の採用、中途退職の抑制、充足率の向上、こういったものにいかに寄与しているか、そういった観点から閣僚会議において令和七年中に効果の検証を行う、また、毎年フォローアップをすることとしております。

松尾委員 そういった不断の見直しを行っていただきたいと思っています。

 これがうまくいかなかった場合、改善が見られなかった場合に、今後どうしようかという辺りはもう考えていらっしゃるんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明いたしましたとおり、この法案による処遇改善策を含む、基本方針に定められた各施策をまずはしっかりとやっていくということでございますが、その上で、先ほど申しました採用、中途退職抑制、充足率向上にいかに寄与しているかという検証を行います。その検証を踏まえまして、基本方針で取りまとめた各施策の実効性をまずは確保していく。そして、関係省庁とも連携しながら、引き続き、隊員の処遇改善施策、生活、勤務環境の改善、新たな生涯設計の確立等の具体的な施策の実施に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

松尾委員 そのように取り組んでいただきたいと思います。

 一方で、先ほど言った、この十年を見ても充足率がずっと下回っている状態が続いている。定員は十年間変わっていないわけです。これから劇的に改善されればいいですけれども、ただ、日本の社会環境として少子化が進展しているのは間違いないわけであって、去年二〇二四年の出生数が七十万人を割り込んだと言われている状況です。

 母集団である若い人たち、自衛隊で働く人たちの人数がどんどん減っている中、これまでどおりの人数、定員を確保するというのは、この外的環境からしてもどんどんハードルが上がっているのではないかと思うんです。

 いろいろな待遇改善を進めて人材確保に努力するというのはもちろんやっていただきたい一方で、そもそも定員を見直すであったりとか無人化、省力化を進めていくということも併せて行う必要があると考えられますが、この辺りはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

中谷国務大臣 自衛官の定数は、自衛隊の任務遂行に必要な自衛官の人数を積み上げたものでありまして、防衛力整備計画においては、自衛官の定数の総計を維持するとされております。しかしながら、少子化の影響が進行するわけでありますので、この定数を前提に、民間委託等の部外力を引き続き積極的に活用していく、そして、定員が従来の汎用護衛艦の半分程度でも運航できる「もがみ」型の護衛艦など、省人化、機械化、無人化の導入による装備体系、組織の最適化という取組を進めてまいります。

 また、人材不足の中で、令和六年七月末の高卒新卒者の有効求人倍率は過去最高の三・七〇を記録するわけでございますので、民間も含めた人材獲得競争がより熾烈なものとなっておりまして、自衛官の募集環境は引き続き厳しくなっております。

 私の個人的な考えでありますけれども、自衛隊を二年又は四年勤めた任期制の隊員の有効求人倍率も非常に高く、企業から人材が求められておりますので、自衛隊の中で過ごした任期制に何らかの資格を与えて、また、大学においても、こういった方々は、本当は大学へ行きたいけれども学費がない方が多いわけでありますので、二年、四年の任期を勤めた者に対して奨学金とか、大学への入学を認めるとか、そういう制度で優秀な人材の確保、活用を進めることができないのか、こういった特殊性を踏まえた給与面の処遇改善とか、ライフスタイル、生活環境の改善などに取り組んでいるところでございます。

 一般社会は、自衛隊出身であるということに対して採用を検討する風潮が結構大きくなってきておりますので、そういう点で、自衛隊で働きながら就職もできるというようなことも模索してまいりたいと思っております。

松尾委員 そういった努力を引き続き行っていただきたいと思います。

 一方で、自衛隊入隊に二の足を踏む大きな原因の一つは、今、緊張感が非常に高まっていることと裏表だと思っています。緊張感が非常に高まっていて、日本を守らなければいけない必要性が上がる一方で、いつ戦場にリアルに自分が行かなければいけないかもしれないといったことが、周りの家族からしても危険にさらすわけにはいかないという思いもあると考えられますので、待遇改善と併せて、緊張感を緩和する、あとは、日本は専守防衛に徹するんだ、こういう自衛隊の在り方そのものをきちんと示していくことが重要であると考えられますが、この点について大臣の考えを聞かせてください。

中谷国務大臣 そのような緊張感とか使命感のある隊員が自衛隊にいることは必要なことでありますので、それだけ意識の高い集団でもありますし、やはり強くならなければならないわけでありますので、そのような方々が集まって自衛隊という組織の能力を高めていけるように、優秀な人材、そして、自衛隊が果たすべき役割、使命感、こういうことも募集の際には正直にPRしてまいりたいと思います。

松尾委員 是非取り組んでください。

 話は変わりまして、物品役務相互提供協定、ACSAに関する規定の共通化についてお話を伺います。

 今回の法改正を踏まえますと、新たにACSAを他国と締結した場合に法改正が行われなくなると考えるんですけれども、具体的にACSAを締結した後の国内での手続の流れについて教えてください。

大和政府参考人 お答えいたします。

 ACSAの国内法の共通規定化は、ACSAに関する国内法の内容が定型化していることを踏まえて、これまで締約相手国ごとに整備していたACSAに関する規定を統合するものであります。

 共通規定化により、従来のように相手国ごとに別個の条文を参照することなく、自衛隊法及びPKO法が規定するACSAに係る活動の範囲及び提供される物品、役務の類型が総覧できるようになります。

 また、共通規定化は、潜在的なACSA締約国に対して、我が国とのACSAの締結に伴って我が国が実施する国内法上の措置について一定の示唆を与えるものであり、今後の新たな協定の交渉を円滑に進めることに資するものと考えております。

 本法案について今国会で御承認いただけたならば、今後締結されるACSAがこの法案の範囲内の内容となる場合には、その実施のために法改正が必要となることはありません。

 他方で、仮に本法案の範囲内にとどまらない例外が生じた場合には、改めて法改正、立法府の審査が必要になるということであります。

松尾委員 法改正が必要ではなくなるということは、当たり前ですけれども、この安全保障委員会で法案の審議が行われないわけですから、国会の関与というものが一歩後退するかなという懸念は持っております。

 そして、先ほどの質問にもありましたけれども、今週、NATOのルッテ事務総長が来日しておりまして、中谷防衛大臣、石破総理大臣と相次いで会談されております。それを受けての政府からのリリースにおいては、相互運用性の向上を含め、様々な分野で実務的な安全保障・防衛協力を進めていくといったことが発表されておりまして、先ほどもお話に出ましたNSATU、対ウクライナ安全保障支援・訓練組織に日本が参加することについて前向きなお話がされたとされております。

 これまでの日本のウクライナに対する支援、関わり合い方とは質が変わってくるかなと考えられるんですけれども、このNSATUに日本が参加していくことを通じて、今後、NATOに加盟している諸国との間でACSAを締結することはあり得るんでしょうか。

中谷国務大臣 今、ウクライナの戦闘が続いているわけでありますが、世界の安全保障環境が本当に変わってきておりまして、これは単なるヨーロッパの戦争ではなくて、あした、将来アジアでも起こり得る状況であるという認識は共通したものになってきておりまして、最近、NATO加盟国の我が国周辺での共同訓練とか、NATOとの情報共有とか、先ほどお話しした人事交流とか、非常に増えてきておりますので、こういう点におきまして、新しい状況に関してNATOとの関係もその在り方を変えていくべきであるというようなことも協議をさせていただきました。

大和政府参考人 先ほど委員から、今後、安保委員会の審議にかからなくなることについてお話がありました。

 確かに、私が御説明したように、今国会でこの束ねる法案を御承認いただけたならば、今後締結されるACSAがこの範囲内となる場合には、御指摘のとおり、その実施のための法改正が必要となることはありません。

 ただ、国の防衛政策について、安全保障委員会の委員の皆様を含む国会議員の皆様に対する御説明が必要だということはよく認識しておりまして、防衛省としては、新しくACSAが締結される場合には国会での説明に努めてまいりたいと考えております。

藤井副大臣 今後のACSAの交渉予定について予断することは差し控えますが、政府といたしましては、NATO諸国を含む各国との安全保障・防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係や、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、具体的ニーズ等も踏まえながら、必要なACSAの締結等に取り組んでいく考えでございます。

松尾委員 ありがとうございます。

 今の答弁にあるとおり、やはり予断を許さないし、ウクライナの問題が日本にとっても非常に大きな影響を生じる可能性があるのは私も当然理解しています。だからこそ、NATO諸国とACSAをもし締結するということは日本にとっても非常に大きな影響を生じることにつながり得ると思っていますので、今話したように、国会できちんと関与していくことがより一層重要になると考えております。

 先ほど政府の方から、国会に事前に報告することもあるというお話がありましたけれども、それに対して安全保障委員会の各委員から様々な意見、指摘があると思うんですけれども、そういったものに対して政府はどのように向き合っていくのか、その姿勢について教えてください。

大和政府参考人 先ほど私が申し上げたことの若干繰り返しになりますが、まず、ACSAの締結相手国を検討するに当たっては、相手国との二国間関係、防衛協力を強化する必要性、また、これまでの自衛隊との協力実績、相手国からの要望などを総合的に勘案して判断してまいります。

 その上で、国の防衛政策について、安全保障委員会の委員を含む国会議員の皆様に対する丁寧な御説明を通じて国民の皆様の御理解を得ることは極めて重要であると考えております。防衛省としても、新しくACSAが締結される場合には説明に努めてまいりたいと考えております。

 いかなる安全保障政策も国民の理解と納得がなければ実行はできません。国民の代表である国会からの御指摘や御意見に対しては、今後とも誠実に対応してまいります。

松尾委員 ACSAの締結が、先ほどおっしゃったみたいに、予断を持って判断できない、いろいろな可能性があり得るというふうに言われておりますけれども、今までACSAを七か国と、イタリアで八か国目ですかね、締結してきている中で、これは特定のどこかの国を対象として意識して締結されているのでしょうか。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来ありましたとおり、我が国は、我が国の安全保障を一層強固なものとし、国際社会の平和及び安全により積極的に貢献していく観点からACSAを締結してきております。同協定の締結は、特定の国を念頭に置いたものではございません。

松尾委員 そうだと思うんです。私もいろいろ確認したんですけれども、政府としては特定の国を対象としているというような発表をされていないと私も承知していますが、一方で、各種報道では中国を念頭に置いているということも普通にみんなが書いているわけです。

 実際、東アジアの安全保障環境を見ると、中国の進出というものは意識せざるを得ないと思っておりますけれども、一連のACSAの締結に対して中国、ロシア、北朝鮮、東アジアの諸国からのネガティブな反応はあるのでしょうか。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで我が国が締結してきたACSAにつきまして、中国から特段の反応があったとは承知しておりません。

松尾委員 ほかの国はいかがですか。ロシア、北朝鮮その他。

斉田政府参考人 今手元にはございませんけれども、承知している限り、特段の反応があったとは承知しておりません。

松尾委員 反応がないということは、いいことなのか分からないですけれども、いいことだとは思っています。

 私は先週もRAAで同じ質問に立たせていただきまして同じ話をしているんですけれども、外交と安全保障は車の両輪だと言われています。ACSAを締結したりRAAを締結したりすることで同志国との連携を強めていくことは、今の安全保障環境を踏まえると絶対にやらなければいけないことだと考えています。一方で、こういった同志国との連携を強めていくことが周辺国を刺激して緊張を高めることにつながることも無視できないと思っています。

 こういった同志国との連携を高めるのと併せて外交的な努力を一層強めていただいて、認識の共通化であったり緊張感の緩和を果たしていくべきだと考えていますが、外務省としてはこの辺りをどのように取り組んでいらっしゃるんでしょうか、具体的に教えてください。

藤井副大臣 我が国の周辺国、地域では、核・ミサイル能力の強化、急速な軍備増強、力による一方的な現状変更の試みなどの動きが一層顕著になっております。

 我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していると認識しております。厳しい安全保障上の現実を直視し、国家安全保障戦略等に基づき、我が国の防衛力の抜本的強化を着実に進める、また、同盟国、同志国との連携を更に深めてまいります。

 同時に、国際社会を分断から協調に導くべく、グローバルサウスを含む幅広い国際社会と連携して、対話と協調の外交を積極的に進めているところでございます。

 引き続き、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するため、外交と防衛を車の両輪として、総合的に外交、安全保障政策を進めてまいります。

 委員御指摘の中国との間につきましては、価値を共有する同盟国、同志国との連携を前提としつつ、戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくというのが日本政府の一貫した方針でございます。この大きな方針の方向性の下、日中安保対話等による安全保障分野における平素からの意思疎通を含め、幅広い分野で意思疎通を一層深めて、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくために共に努力してまいります。

松尾委員 そうですよね。コミュニケーションの質と量をあらゆるレベルで増やしていくことが緊張感の緩和、ひいては日本の安全保障につながると考えていますので、是非取り組んでいただきたいと思っているんですけれども、私が不安なのが、先月三月二十二日の外務大臣の中国との会談においても、安全保障についてお互いの立場の言いっ放しになっていて、コミュニケーション、認識のすり合わせができているように余り見受けられないので、是非これからも引き続き取り組んでいただきたいと思っております。

 話は変わりまして、在日米軍の総司令部の移転の話を少しさせてください。

 在日米軍の総司令部が移転するかもしれない、そして、アップグレードを今進めている、サテライトオフィスを港区にあります赤坂プレスセンターに設置した、こういったことが報道されまして、先週も安全保障委員会でも少しお話をさせていただきました。

 赤坂プレスセンターにはヘリポートがありまして、在日米軍のヘリコプターの離発着が日常的に行われているのですが、具体的な在日米軍のヘリコプターの離発着状況、使用状況について防衛省としてどのように把握されているのか、教えてください。

田中政府参考人 お答えいたします。

 防衛省といたしましては、御指摘の米軍機の赤坂プレスセンターの利用状況について逐一詳細を把握しているわけではございませんけれども、赤坂プレスセンターにおける航空機の運用に関しましては、米側から、基本的にビルなどの障害物がない都立青山公園側からヘリポートにアプローチしている、全ての飛行運用を安全に実施しており、国際民間航空機関、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われている、赤坂プレスセンターの周囲にはヘリコプターが安全に進入するために必要となる空間が存在しており、全ての飛行を安全に実施している、ヘリポート周辺の政策研究大学院大学等は米軍の運用において支障にはなっていない、米軍は日米安保条約、日米地位協定及び日米合同委員会の合意に従い、引き続き全ての航空機を安全に運航するとの説明を受けているところでございます。

 私どもとしましては、引き続き米側に対して、安全面に配慮し、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう求めてまいりたいと考えております。

松尾委員 先週私が配付資料で配ったように、フライトレーダー等のサービスを利用すれば具体的な運航状況は見られるわけですから、具体的に防衛省としても把握していただいて、アメリカの説明がきちんと正しく正確であるといったことも随時確認していただければと思っています。

 これも先週少し話をしたんですけれども、ヘリコプターが、赤坂プレスセンターは港区にあって、西の方にあります横田基地、神奈川県の厚木基地に飛んでいくわけで、西に向かって飛び立つわけです、青山公園の上とおっしゃっていましたけれども。そうなると、羽田空港に着陸してくる飛行機と航路が交差するわけです。これが非常にリスクが高いのではないかと考えているのですが、そこのリスクについてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

石崎政府参考人 お答え申し上げます。

 羽田空港におきます新経路の運用に当たりましては、羽田空港到着機とヘリコプターなどの有視界飛行方式により飛行する航空機の飛行の安全を確保するために、特別管制空域を指定しているところでございます。

 有視界飛行方式により飛行いたします米軍機につきましては、特別管制空域の通過が必要な場合には管制機関への連絡を行うこととなってございます。連絡を受けました管制官は、交通状況などに応じまして、一時的に特別管制空域外での待機を指示するなど、十分な安全間隔を確保することにしているところでございます。

松尾委員 そういった運航上の安全確保が行われているとはもちろん思っています。それは世界中で行われているわけですけれども、実際に一月にはワシントンで旅客機と軍用ヘリが衝突して墜落するという痛ましい事故がありました。あれは川に墜落したので、川でよかったとは言わないですけれども、最小限だったかなと思いますが、あれが都心の上空で起こって、当然港区なんて密集していますから、都心に落ちてきたら比ではないぐらいの大惨事になるわけです。こういったリスクはきちんと考えていただきたいと思います。

 あと、高度について、羽田空港への着陸便が降りてくるに従ってだんだん高度を下げてくる。ただ、港区の上空あたりですと最低で大体七百五十メートルの高度になるというふうに聞いております。この七百五十メートルの高度の下をヘリコプターが通ろうとすると、今度は日本の航空法で、一番高い建物より三百メートル以上を飛ばなければいけない、こういった航空法の規則に抵触することになるんですけれども、これを軍用ヘリが日常的に行ってもいいとされている理由は何でしょうか。

石崎政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機につきましては、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律に基づきまして、最低安全高度などの航空法の規定の一部についてはその適用が除外されているところでございますが、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動することが当然の前提になっているものと認識しておるところでございます。

 委員御指摘の米軍のヘリの飛行につきましては、ICAOのルールや航空法と整合的な米軍の規則に従いまして、安全を最優先に配慮して行われているものと承知しているところでございます。

松尾委員 日米地位協定の取決めによって、日本の空の安全を守るために定められている航空法の高度の問題が日常的に破られている。法律的には整合性が取れているのかもしれないけれども、実態としては危険な状態が続いているわけです。こういった問題を一つ一つ解消していくことが、周辺の住民にとっても、ひいては日本全体の在日米軍に対する感情という面でも非常に重要だと思いますので、きちんと取り組んでいっていただきたいと思っております。

 一方で、サテライトオフィスが赤坂プレスセンターに設置された、若しくは、今後、在日米軍の総司令部が組織改編の後にアップグレードして赤坂プレスセンターに来るようなことがあったら、軍用ヘリコプターの行き来、往来は増えたり減ったりするのでしょうか。どう変化するのか、教えてください。

大和政府参考人 今回のアップグレードに伴いまして設置される自衛隊の統合作戦司令部と連絡調整を行う部門の人員は、市ケ谷を訪れて連絡調整の一環として業務を行うことが予想されますが、その際、ヘリによる移動というものは想定されておりません。

 また、防衛省といたしましては、今般のアップグレードの開始を受けて、東京都や港区などの関係自治体に対して説明を行いました。

 防衛省といたしましては、引き続き、周辺地域に与える影響が最小限になるよう、今後とも米側に働きかけを行っていくとともに、関係自治体に対して丁寧に御説明をするなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

松尾委員 ヘリコプターの発着の増減がどうなるのかという辺りは今御答弁いただけなかったと思うんです。もう一回教えてもらっていいですか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のアップグレードに伴ってということで申しますと、繰り返しになりますが、この要員が市ケ谷を訪れて連絡調整を行う際にヘリによる移動というものは想定されていないということであります。

松尾委員 余り変わらないということですかね。

 今聞いてきたとおり、地位協定もあって、低い航路を飛んでいても、申入れはするけれども、特に何か変わるかどうかはよく分からない、どのように飛んでいるかというのも分からないといった状況は非常に不健全であると言わざるを得ません。

 羽田空港へのルートと交差することによるリスクは看過できないものであって、ヘリコプターの往来についてどうするのかというのは考えなければいけないし、どうしても地位協定の問題等でこれを変えることができないのであれば、羽田空港の着陸便のルートは今までどおり都心の上空を飛んでいることが本当にいいのかということも併せて検討していかなければいけないと考えています。

 特に、今の一連のことを通じて、地域の住民は何が起こっているのかよく分からない。サテライトオフィスの移転についても、移りましたという事後報告であったりするわけです。

 こういう説明責任をきちんと果たす、情報公開をきちんとするということは、日本が主権国家であり民主国家である以上は絶対に必要だと考えていますけれども、情報公開をきちんと行っていくことの重要性、必要性について大臣の見解を教えてください。

中谷国務大臣 今後とも、米側からできる限りの情報を得るように努め、速やかに関係自治体の皆様に情報提供するとともに、米側に対して、航空機の飛行訓練に際して、安全面に最大限配慮しつつ、地域の皆様に与える影響を最小限にとどめるように求めてまいります。

 特に、今、港区の再開発というのは、昔は三百三十三メートルの東京タワーしかなかったんですけれども、それを超えるタワーが乱立しておりますので、環境や状況もかなり変わってきつつございますので、こういう点も一度検討してまいりたいと思っております。

松尾委員 ありがとうございます。

 何度も言うように、東アジアの緊張感の高まりに対応しなければいけない必要性は私も十分認識しています。一方で、それに対して対応するベースになるのは国民の信頼、理解だと思っていますので、きちんと説明責任を果たすことも併せて行っていただきたいと要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。松尾明弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、五十嵐えりさん。

五十嵐(え)委員 立憲民主党の五十嵐えりです。本日もよろしくお願い申し上げます。

 私も、まず冒頭、この法案のたてつけについて確認させていただきたいと思っています。

 束ね法案についてなんですけれども、今回の法案は、防衛省設置法と自衛隊法と防衛省の職員給与等に関する法律、あと国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の四つを一括して審議しようとするもので、束ね法案でございます。

 この点は篠原委員からも本会議で質問されておりまして、これをなぜ四本束ねるのかというところなんですけれども、中谷大臣が御答弁されまして、現下の安全保障環境を踏まえ、防衛省・自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、人的基盤の抜本的強化、自衛隊の組織改編、同志国等との協力強化に関する法整備であるとの政策が統一的なものというような御答弁をされております。

 細かく確認をさせていただきたいんですけれども、束ね法案のそもそもの定義を確認させていただきます。

 束ね法案とは、その政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められるとき、そして第二に、内容に法案の条項が相互に関連していて一つの体系を形作っていると認められる場合に認められるようなんですけれども、今回の法律について何が政策なのか、そして、その結果として法案の趣旨、目的が一つというところについて具体的に御説明をお願いいたします。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 本会議で防衛大臣から答弁させていただいた内容は先ほど委員が御指摘いただいたところでございますけれども、政策が統一的というところにつきましては、今回、防衛省設置法と自衛隊法と職員給与法、さらにはPKO法をいわゆる束ねをやっておるわけでございますけれども、これらは全て、防衛省・自衛隊の任務の円滑な遂行を図るために、組織の改編でございますとか人的基盤の強化を行うとともに、ACSAという同志国との協力も防衛省・自衛隊として活動をやっていくに当たって重視しているところでございますので、これも併せましてACSAの締結に伴って、あるいはその装備移転に関連するところを改正するものでございます。

 したがいまして、これらによりまして防衛省・自衛隊の任務の円滑な遂行という趣旨、目的を達成するというところは統一されていると考えているところでございます。

五十嵐(え)委員 そういうふうに御説明されればそうなのかなとも思いつつ、ACSAについては、イタリアとの協定に基づく法改正であり、かつ共通化するという今回の改正の趣旨もありますので、性質が本当に同じなのかなというところは違うんじゃないかなと疑問に思います。結果として法案の趣旨、目的が一つであるというところで、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るためということでくくってしまった場合に、そうじゃないものがこの世に存在しないんじゃないかと思うんですけれども、その点について御見解をお願いします。

 要するに、そういうふうにくくってしまえば、条文ごとに重なっていればまとめて束ねでできる、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため以外のものが基本的にはないんじゃないかという問題意識なんですけれども、いかがでしょうか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 我々は、先ほど申し上げましたように、自衛隊の任務の遂行の円滑化ということで、そういった統一的な政策があるということでやっているものでございまして、何でも束ねているというものではございません。

 これらは、現下の安全保障環境を踏まえれば、我々は、自衛隊の能力の強化と併せて同盟国あるいは同志国との協力強化をやっていかなきゃいけない、特に同志国との協力強化というところでは、イタリアでございますけれども、その必要性が特に高まっておるということでやっておるものでございます。

 これは、御案内のとおり、我々は国家防衛戦略を令和四年十二月に出させていただいておりますけれども、この中でも、我が国の防衛体制の強化と並んで、同盟国あるいは同志国との協力、連携の強化を防衛目標を実現するためのアプローチとして三つ並べておりますので、そういったところからいたしましても、我が国の防衛という観点からは政策が統一的なものであろうというふうに考えておるところでございます。

五十嵐(え)委員 それぞれの法案の必要性は分かるんですけれども、そうすると、防衛省が過去に提出した法案で、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため以外の趣旨、目的というものがあるんでしょうか。

萬浪政府参考人 御指摘は、自衛隊法の改正というところで申し上げますと、その点におきましては、自衛隊の任務の円滑化というところは全て共通しているものだと考えてございます。

五十嵐(え)委員 質問としては、それ以外の趣旨、目的を有する過去に防衛省が提出した法案があるかという質問です。

萬浪政府参考人 過去のものを網羅的に確認しておりませんけれども、お答えいたしますところが自衛隊の任務の円滑化、円滑な任務の遂行というところを更に細分化していきますと、いろいろ細かいところはあろうかと思います。おっしゃったように、ACSAの締結に伴う実施法でございますとか、組織の点でございますとか、隊員の服務等々のところ、それぞればらけているところはあろうかと思いますけれども、それを全体的にまとめますと任務の円滑化ということになりますので、それ以外のものがあるとは、質問されているところで、自衛隊の任務の円滑化以外を利用して自衛隊法を変えるということは特にないかと思います。

五十嵐(え)委員 御答弁になっていないかなというふうに思うので、結局、政策を防衛省の方で三つ立てまして、政策目的が同一だ、趣旨、目的が自衛隊の任務の円滑な遂行を図るためというふうにくくってしまえば束ねとして出せる、そういうことでよろしいんでしょうか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊の任務の円滑な遂行ということでくくってしまえばというお尋ねでございますけれども、我々は、そういう自衛隊の任務の円滑化という形でくくれるということで、束ねた形で国会に改正案を出させていただいているというものでございます。

五十嵐(え)委員 実際には自衛隊の任務の円滑化を図るため以外のものはないということですよね。うんというふうにうなずいていらっしゃいますけれども、ないということであれば、政策として三つ立てて、この四つの法律が政策目的が一緒です、結果、自衛隊の任務の円滑化を図るために趣旨、目的が同一ですというふうに言えてしまえば、結局、理論上は全て束ねることができるようになってしまう。

 そういったやり方というのは、ACSAについては他国との協定に基づくもので、他国との、同志国等との協力強化という別の点を安全保障環境において含むと私も思うので、この点、何でもかんでも束ねて出していいというそういった考え方は、非常に国会軽視というか、しっかり審議を丁寧にするという姿勢に欠けていて問題があるのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 次の話題に行きたいと思います。

 今日は資料を配らせていただいております。自衛隊の中途退職者の推移でございます。

 御覧いただいたら分かるんですけれども、直近の令和五年、六千二百六十人の方が中途退職されていらっしゃいます。採用者数も確認したところ、令和五年度は、採用計画数では一万九千六百人なんですけれども、採用した数が九千九百六十人なんですね。何が言いたいかというと、令和五年で約二万人募集して九千九百六十人しか入ってくれなかった、そして、その年に六千二百六十名の方が中途退職で辞めているというものでございます。

 こういった現状の認識について大臣に伺いたいと思います。

中谷国務大臣 我が国の今の労働市場は完全に人手不足でありまして、若い労働力を取り合っている状況ではないかと思います。

 そういうことで、給与とか休暇とか処遇とか、そういうものをしっかりと上げていかないと維持できないという点もありますし、また、民間なりのいろいろな仕事の能力等もございますので、自衛隊における働きがいとかやりがいとか、そういう自衛隊の仕事のやり方も変えていかなきゃいけないというようなことで、この数字が物語っていることは、それだけ自衛隊を離れている方が増えているということではないかと思います。

五十嵐(え)委員 実際に、いろいろ今おっしゃっていただきましたけれども、ハラスメント対策というのが自衛隊の中ではかなりひどいといった声も実はお聞きしております。

 ハラスメントというと、単にパワハラみたいな、大声を上げたとか、例えば自衛隊のパワーハラスメントの定義で、階級、職権、期別、配置等による権威若しくは職場における優位性を背景に、職務の適正な範囲を超えて、隊員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、又は職場環境を悪化させる行為をいうなどという定義もありますけれども、実態は、単にどなったとかではなくて、結構ひどいものがございまして、例えば二〇二五年の報道だけを見ておりましても、二〇二五年三月の長崎放送の報道なんですけれども、後輩隊員に足蹴りなどの暴行で陸上自衛官を停職処分。これは暴行ですよね。同じく二〇二五年三月、同僚の女性隊員にわいせつ行為、男性陸士長を停職四か月、陸自久留米駐屯地。西日本新聞。同じく二〇二五年三月、組織を信頼していたのに残念、現役自衛官が国賠訴訟提訴、強制的配置転換で適応障害発症。同じく二〇二五年三月に、わいせつ行為、警察官にけが、自衛官二人を懲戒処分。同じく二〇二五年三月、同僚にキス、服脱ぎ停職四か月、二等陸曹、伊丹駐屯地。共同通信。二〇二五年三月、指導受ける態度に立腹と後輩に暴行、三等陸曹に停職二か月、香川の陸自。産経ウエストなど、いろいろ、単にハラスメントというだけではなく、暴行、傷害、そして性加害、そういったものもかなりあるという実態でございます。

 こういったハラスメントに対する、こういう暴行や性加害も含めて、自衛隊としては懲戒処分は増えているんでしょうか。推移と理由を教えてください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 懲戒処分ですけれども、様々な理由がございますが、ハラスメントを原因とする懲戒処分は、先ほど委員が御指摘いただいたような件も含めて、今の時点でも発生しております。

 ただ、防衛省・自衛隊といたしましては、ハラスメントはあってはならないということで、ハラスメントのないような組織をいかに構築していくかというところで、今、省全体を挙げてやっているところでございます。

 いずれにいたしましても、ハラスメント対策につきましては、様々な教育、講演等をやっておりますし、また、隊員の意識を変えることが必要だということも重視しておりますので、そういったことも含めてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

五十嵐(え)委員 そういったところに取り組んでいるのは分かるんですけれども、実態として暴行なりそういったものがかなり横行している、それはやはり隠蔽体質だったりとか、相談できない体制だったりとか、言うと犯人捜しみたいなことをされてなかなか言えないといったような実態がある。

 今、退職者のお話をさせていただきましたけれども、自衛官の人権弁護団・全国ネットワークというのがありまして、全国の自衛官の方から相談を受け付けている弁護士さんの集団があるんです。自衛官がハラスメントに苦しまずに安心して働くことができることを願って行動する弁護士たちの集まりで、本当に多くの現役自衛官の方々から、退職自衛官の方も含めて、いろいろ自衛隊に対する相談を受けている弁護士さんたちにも話を聞いてきました。

 自衛官の人権弁護団によれば、退職者は令和五年で六千二百六十人いて毎年上昇傾向にあるんですけれども、実態はもうちょっと多いんじゃないかということです。つまり、何を言いたいかというと、例えば、年間数百件その弁護士の先生方が相談を受けたときに、実は半分ぐらいが、自衛隊が辞めさせてくれない、そういった相談が今かなり増えている。その背景には、自衛隊の充足率が九割、何としても増やさなければいけないという国家的な思惑があるんですけれども、その裏で、自衛官の人権弁護団の先生たちは、なかなか退職させてもらえない、そういった現役の自衛官の方からの相談が約半分ぐらいを占めて、かなり多いという実態があるということでございます。退職できないというのは、憲法の職業選択の自由にも関わる重大な人権でもあります。

 具体的に弁護士さんたちに話を聞くと、どういう理屈で退職させてくれないかというと、自衛隊法の四十条というのがあって、退職の承認という規定があるんです。

 自衛隊法の四十条を読み上げますと、「第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。」実はこの規定を用いて退職できないんだみたいなことを上司の方から言われたという自衛官の相談があるということでございます。

 確認なんですけれども、この自衛隊法四十条がありますけれども、自衛隊の退職の自由、その原則、考え方について確認させてください。

中谷国務大臣 私も以前、自衛隊の現場で隊員指導をしたこともございます。

 基本的には、自衛隊は、それぞれ任務が課せられまして、いざというときに行動するということですので、一定の人員がいて一定の役割が要るということですので、急に辞めてしまいますとその任務を果たせなくなるという点もございますので、退職のときには、しっかりとその理由を聞いて、どうして辞めたいのかということをよく確認させていただきました。

 したがいまして、こういった理由等もございますが、世の中が変わってきまして、今のフジテレビではありませんけれども、ハラスメントにおける非常に厳しい中で、責任の所在等もしっかりと確認した上で判断しなければならないということでございますので、こういった状況等にしっかり対応できるように防衛省としても今後とも対応していきたいと思っております。

五十嵐(え)委員 ありがとうございます。

 条文の解釈を確認させていただきたいんですけれども、四十条と、もう一つありまして、自衛隊法施行規則七十二条の二項、「任命権者は、規律違反の疑がある隊員をみだりに退職させてはならない。」という規則があるんですけれども、要するに、ハラスメントの場合とか相互に事実関係を争っているときに、こういった条文を使って退職が承認されないというような説明をされていることもあるということでございます。

 なので、条文の解釈として、もちろん自衛隊員は退職の自由があるということでよろしいでしょうか。四十条及び自衛隊法施行規則七十二条の解釈、考え方を教えてください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自衛隊法の四十条でございますが、先ほど大臣からもありましたけれども、まず、「隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、」「退職を承認しないことができる。」というのがまさにこの条文でございまして、自衛隊の任務にはいろいろな任務がございますので、そういった退職を承認しないことができます。

 ただ、その上で、それは常にできるわけではなくて、「その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、」ということでございますので、退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いて承認しないことができるということになっております。

 また、自衛隊法施行規則七十二条でございますけれども、任命権者は、規律違反の疑いがある隊員、実際に規律違反を行っているという疑いがある隊員について、それをみだりに退職させないという規定でございまして、実際に規律違反の疑いがある隊員を事実の判明を待たずに退職を承認してしまうということになりますと、組織の規律維持の観点から適切ではないだろうと考えております。

五十嵐(え)委員 先ほど大臣からもありましたけれども、退職指導をされるときに、任務に支障があっては困るから退職理由を詳細にお伺いする。

 おっしゃるとおり、今日も資料を配らせてもらっていて、航空自衛隊の退職願に退職理由を具体的に記入することとあって、自衛隊員の悩んでいる、辞めたくても辞めさせてもらえないという方々のお話の中で、正直に理由を書くと、例えばパワハラされているからとかそういうことを書くと、そんな理由では駄目だということで、家族の都合で退職しますみたいな、書き直させられたりすることが結構ある。

 退職理由は必ず書かなければいけないのか。何を言いたいかというと、一般的には、退職する場合には、特段、理由があって、それが承認されなくても退職、転職の自由というのがありますので、基本的には退職の自由があるんですけれども、自衛隊だけ、自衛官だけこういうふうに具体的に記入を求められる。これは航空なんですけれども、陸自も海自も退職理由というのがしっかり退職願にあって、具体的にちゃんとしたものを書き直させられているという実態があるようなんですけれども、これは必ずしも必要なことなんでしょうか。法律上の根拠もあるんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、法律上の根拠でございますが、自衛隊法などの法律におきまして退職理由を記載しなければならないということを明文で直接具体的に規定したものはございませんけれども、防衛省の訓令におきまして、退職しようとする隊員は、退職理由を具した上で、任免権者に対して退職を申し出るというふうに規定されております。

 退職理由を具させることにつきましては、先ほどの自衛隊法四十条、「特別の事由がある場合を除いては、」「退職を承認しない」という規定になっていますので、その特別の事由があるか否かという判断のために必要でございますので、自衛隊法第四十条の趣旨を踏まえて退職理由を具させているという理解でございます。

五十嵐(え)委員 特別な理由があるかどうか、自衛隊法四十条との関係で書かせているということが分かりましたので、パワハラを書き直させるとか、そういったこととかはやってはならないということですよね。ということが確認できたと思っております。

 先ほど実は松尾委員からもあったんですけれども、現役の自衛官の相談の中で、アメリカとの共同訓練が増えたり国際的な緊張感が増えたことで、実際に戦争をされている方々と訓練をする中で、やはり自分にはできない、現憲法の下で専守防衛で災害とかをやりたかったのに、戦争を実際にされているような方たちと訓練して、これは違うんじゃないかというふうに思ってしまったみたいな自衛官もいるのは事実みたいでございます。

 先ほど松尾委員からもあって大臣が御答弁をされて気になったのが、緊張感があるのはいいことだと前向きに捉えているのかなと感じたんですけれども、その点、実際に、これは違うんじゃないか、自分は災害をやりたくて入ったのに、このような非常に緊張した中でというような隊員も実際にいると私は弁護士の方々から聞いているんですけれども、緊張感があることが自衛隊にとっていいみたいな考え方なのか、御見解をお伺いできればと思います。

中谷国務大臣 私が申し上げました緊張感というのは、国を守るという国防の意識があるか、また、そういうことで、いざというときにしっかりと対応できるかどうかという意識のことでございます。

 自衛隊はそれぞれ隊員に任務があって、その隊員がいなければ、例えば艦艇の船も動かなくなるんです。航空自衛隊も飛行機の整備をやっていますけれども、その隊員がいなくなると飛行機の安全性が確保されないというような持ち場、持ち場がありますので、常日頃から持ち場の任務の重要性とか、与えられた使命感とか責任感とか、そういうことを教育をいたしております。

 しかしながら、職業の選択の自由がありますので、どうしてもそういうものに耐えられないという場合には、意見を聞かせていただいて、そういったことが不向きであるとか合わないとか、そういう点につきましては、職場を替えたり退職の方向へ行くというようなことは指導としてはしていることでございます。

五十嵐(え)委員 ありがとうございます。

 自衛隊員の充足率、採用に力を入れるのはとてもいいことなんですけれども、その一方、辞めていらっしゃる方が六千人もいらっしゃって、その中でパワハラで嫌だという方もいらっしゃる。

 そもそも、先ほど退職理由をおっしゃってもらいましたけれども、退職理由さえきちんと真実を書けないような実態もあって、調査中であることを理由に退職願をとどめ置かれている実態もかなりあるということでございましたので、その点は注意して今後見ていただきたいと思います。

 特別防衛監察のパワハラ対策が不十分だという点もやりたかったんですけれども、時間がなくなっちゃったので次に回させていただきたいと思います。

 以上で終わります。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。五十嵐えりさんの質疑は終了いたしました。

 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。兵庫県の西播磨、中播磨から参りました。今回も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今回は防衛省設置法等の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。

 前回はヘグセス長官との会談とかDICASについて質問させていただきました。今回は、まず自衛官の定数について伺いたいと思います。

 現在は、宇宙、サイバー、電磁波の新たな領域や、無人アセット等を用いた新たな戦い方が顕在化しているようでありますし、これからサイバー分野、宇宙分野といった分野への自衛官の増強が不可欠となっていると思っております。

 その中で、国家防衛戦略及び防衛力整備計画においても、サイバー分野において自らのサイバーセキュリティーのレベルを高めるために、二〇二七年度をめどにサイバー専門部隊を約四千人に拡充することや、サイバー人材の確保、育成強化等の強化を行っていこうというふうに書かれております。サイバー人材の確保、そして、宇宙分野においては宇宙領域の活用や情報収集、通信等の各種能力の一層の向上という指針が示されていますが、今回の法改正においてサイバー分野や宇宙分野といった新しい分野を増員されていこうとされているのかどうか、改めて防衛省の見解を伺いたいと思います。

青柳政府参考人 防衛力の抜本的強化を行うに当たりまして、従来の陸海空の領域に加えまして、宇宙、サイバーなどの新領域の組合せにより、非対称的な優勢を確保していくことが重要であると考えてございます。

 そのため、宇宙領域につきましては、令和九年度までの航空宇宙自衛隊への改編も見据え、宇宙空間の監視や対処に係る能力の強化を進めているところでございます。

 また、サイバー領域につきましても、令和九年度をめどに、自衛隊サイバー防衛隊等のサイバー専門部隊を御指摘のように約四千人体制に拡充することを目標に、専門教育等の養成者数や内容の拡充を進めております。

 今回の改正案におきましても、宇宙領域やサイバー領域の着実な強化のため、自衛隊サイバー防衛隊の定員を百三十人、航空自衛隊の宇宙作戦団の定員を百五十一人、それぞれ増員することといたしております。

池畑委員 今、自衛官の辞める、辞めないの話もありました。その中で四千人の拡充ということでありますから、なかなかの数だと思いますし、これからサイバー分野や宇宙分野は大事だと理解しました。

 その上で、今回は、先般新編された自衛隊海上輸送群や、前回も質問させていただきましたが、統合作戦司令部について増員されるということでありました。

 まず、海上輸送群について伺いたいと思います。

 南西地域の防衛体制の強化が喫緊の課題とされている中にありまして、必要に応じて必要な隊員や必要な物資を南西諸島の島嶼部へ迅速に展開させる能力が必要だと私たちは考えておりますが、この海上輸送群を島嶼部へ機動展開していく上で、今般の改正における海上輸送群の強化の狙いは何でしょうか。また、海上輸送群は最終的にはどのような体制を目指しておられるのか。まず防衛省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

青柳政府参考人 島嶼防衛に万全を期するためには、全国各地から島嶼部に部隊や装備品を迅速かつ継続的に輸送するための機動展開能力の強化が必要であります。特に、南西有事におきましては、陸上自衛隊のアセットを迅速に南西地域に展開させる必要があるところ、このような輸送所要を補完することが求められております。

 そのため、令和七年三月に、呉地区におきまして、陸海空自衛隊を支える共通機能を有する共同の部隊である自衛隊海上輸送群を新編いたしました。

 海上輸送群は、令和九年度までに、本土と主要島嶼間の輸送が可能な中型の輸送艦二隻、水深の浅い島嶼部の港湾にも輸送が可能な小型の輸送艦四隻、輸送艦では接岸できない小島嶼への輸送が可能な輸送艇四隻の計十隻の船舶を取得いたしまして運用する計画であります。これらの船舶の就役に合わせて順次体制を強化していくことを考えてございます。

 令和七年度には、現有の二隻に加えまして、新たに二隻の小型級船舶が配備されることから、呉地区の係留能力等を勘案いたしまして、小型級船舶を運用する海上輸送隊一個部隊を呉地区から海上自衛隊の阪神基地内に移転することを計画してございます。

 人員も、現在の約百名体制から約百五十名体制に強化いたしまして、司令部要員約十名、呉地区の海上輸送隊約五十名、阪神基地の海上輸送隊約九十名の体制としてございます。

 今般の改正は、このような体制の強化のため、共同の部隊の定数を変更するものでございます。

池畑委員 今、青柳局長から答弁いただきました。

 これをもって大臣にお聞かせいただきたいと思うんです。

 サイバー、宇宙、海上輸送群、統合司令部、いずれも重要ということで今防衛省の方からも答弁がありました。このまま強化を続けていただきたいと思います。

 ただ、今回の法改正は総定数の変化がなく、このような新しい分野を強化するために陸上自衛官、海上自衛官、航空自衛官などの振替が行われておりますが、特に陸上自衛隊の定数は三百六十四名も削減されています。南西方面の防衛体制の強化もしっかりと取り組んでいく必要があるんじゃないかと思っておりますけれども、その中で陸上自衛官の定数をこれほどまでに減らしてしまいますと影響があるんじゃないかと私は思っております。現行の自衛官の定数約二十五万人を維持したまま、新しい分野、今、青柳局長からも答弁いただきました中で、このままでは限界があると思っておりますが、サイバーや宇宙などの新領域を強化しつつ、しかも南西方面の防護も固めないといけない中でありますから、定数自体を増やすことも考慮するべきじゃないかと思います。

 その中で、サイバーというのはなかなか特色のある分野でもありますし、これからはそういった分野の民間企業からのヘッドハンティングも考えていかなければいけないんじゃないかと思いますが、今の局長の答弁も含めながら、これからの方向性も含めて防衛大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 今回の改正におきましては、陸上自衛隊につきましては三百六十四人の定数減となっていますけれども、せんだって私は与那国駐屯地に行ってまいりました。最前線の、しかも本州の最南端、最西端ということで、非常に使命感を持ちまして隊長以下がしっかり勤務しておりますが、この地域につきましては、指揮機能の効率化、ヘリコプター部隊の整備機能、通信部隊の整備機能、旧装備品の交換による省人化などの努力によりまして、結局、与那国駐屯地の人員は増えております。しっかりと対応すべきところは人員を捻出しまして対応させているということでございます。

 また、御指摘の民間企業のサイバー人材の活用につきましては、非常勤のサイバーセキュリティーアドバイザーの採用、事務官等や自衛官への経験者の採用、サイバー予備自衛官の拡充、官民人事交流制度の活用などの取組を通じまして、サイバーの高度な専門知見を持つ外部人材の取り込みを図っております。

 私はコンピューターを新しく買い換えようとしていますけれども、その調整は私はできないんです。そのたびに秘書とかスタッフにお願いしないといけませんが、防衛省も同じような状況でございまして、こういったITとか新しい機材、サイバーセキュリティー、こういうものに精通している者がいなければ、機材も使えないし、対応できないということがございますので、努めてこういった高度な専門知識を持つ外部の人材の取り込みを図っておりまして、今後とも、防衛力整備計画にのっとりまして、現在の自衛官の定数の中で防衛目標を達成することができるように努めてまいる考えでございます。

池畑委員 三百六十四名も、削減したわけではなくて、与那国を含めて大事なところに防衛力を強化しているということでありましたし、これからは民間からというのは、今大臣からもいただきましたけれども、かなり特殊な能力も含まれていますから、中途採用ですから、今、五十嵐委員からも辞めてしまうという話もありましたが、いろいろな目的によって採用の仕方も変えていくべきだと思いますし、今お話がありましたとおり、これからもどんどん進めていただかないといけないと思っている分野でありますので、是非よろしくお願い申し上げます。

 その中で、今大臣からもありました自衛隊の抑止力、対処力を強化していくことが必要だと思っておりますが、ロシアによるウクライナ侵略の状況などを踏まえますと、各種事態において自衛隊が粘り強く活動を続けられる体制を整備することも大事だと思います。

 その中で、自衛隊の各種部隊の活動を支える後方支援体制の強化は私たちは非常に重要であると考えております。今般の改正においては、物資の補給、整備といった陸上自衛隊の後方支援活動に伴う補給統制本部が補給本部に改編されると承知しておりますけれども、これは当然名称の変更だけではありませんから、改編の意義について防衛省からまずお聞かせいただきたいと思います。

青柳政府参考人 陸上自衛隊では、各警備区域におきます作戦の主宰者たる各方面総監が各補給処に対して指揮監督を行い、補給統制本部が全国的な在庫量の適正管理という観点から統制を行うという体制にしてございます。

 他方、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえまして、各種事態に応じて柔軟かつ機動的に対応できる体制を構築する観点から、防衛力整備計画におきまして、第一五旅団を除きます各師旅団は、所属する方面隊の警備区域内のみで活動することを前提とせずに、機動運用を基本としております。

 これを受けまして、後方支援に係る体制につきましても、機動運用される部隊に適切に後方支援を行うため、補給処が所在する方面の警備区域をまたいで、より円滑な補給の実施や装備品等の整備を行うことが可能な体制を構築することが必要となってございます。

 そこで、今般、補給統制本部を補給本部に改編いたしまして、補給本部長が全国の各補給処を一元的に指揮監督する体制を構築することといたしました。

 今般の改編によりまして、補給本部長が各部隊の需要や各補給処の在庫状況を一元的に把握し、陸上自衛隊全体として最適な後方支援を企画することが可能となるほか、補給処で業務に当たる隊員の練度を全国的に管理し、事態に応じて補給処に補給要員や整備要員の運用、配置を柔軟に行うことが可能となるなど、陸上自衛隊の後方支援体制が強化されることとなります。

池畑委員 今、意義も含めて、流れも含めて答弁をいただいたと理解しております。

 今、意義の部分でお聞かせいただいたんですが、方面総監が補給処の処長を指揮監督することで、任務に当たる方面隊に、今説明もいただいたと思いますけれども、今般の改正により、補給本部長が補給処の処長を指揮監督する体制にすることで、実際に任務に当たる部隊のニーズがよく伝わっていると思っておりますが、適切に後方支援活動を行うことが難しくなるおそれがあるのではないかと思っております。

 後方支援活動が今の部隊の編成によって難しくなるおそれはないと認識しておられるかどうか、答弁を求めたいと思います。

青柳政府参考人 まさに、今般の改編におきましては、御指摘の点は極めて重要であると我々も思っております。補給本部及び各補給処が行う後方支援業務を適切に行うためには、現場部隊のニーズの把握は必要不可欠でございます。

 補給本部の新編後は各方面総監が各補給処を指揮統制する体制ではなくなりますけれども、制度上は、必要な場合には方面隊を指揮し得る陸上総隊司令官に補給本部長を指揮監督させることができるほか、平素から方面総監と補給本部長、各補給処長との間に密接な連携を維持することとしてございます。これによりまして方面総監のニーズが適時適切に反映されるような体制を取るという考えでございます。

池畑委員 これからは、頼み込むという方向性から指揮命令ができるという流れになっていくんじゃないか、迅速に対応していくということがこの編成に表れていると理解していますので、これからも適切な後方支援活動が行われるように是非よろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 水上艦隊への改編の意義について質問させていただきます。

 水上艦隊、ちょっと聞き慣れないんですが、法律案では、従来の護衛艦隊に代わり水上艦隊が新編されます。護衛艦隊は一九六一年に編成された歴史と伝統のある部隊でありまして、この改編は海上自衛隊の歴史の中でも大きな変革になるのではないかと思っております。

 そこで、お伺いさせていただきますが、護衛艦隊から水上艦隊への新編の狙いはどのような点にあるのか、水上艦隊に改編されることで現行の護衛隊群から何が変わるのか、まずお答えいただきたいと思います。

青柳政府参考人 今般の改編におきましては、現在の護衛艦隊、掃海隊群、地方隊に所属する地方艦艇を集約いたしまして、水上戦群、水陸両用戦機雷戦群、哨戒防備群から成る水上艦隊を新編することといたしております。

 現在の海上自衛隊は、近年の周辺国の海洋活動の急速な拡大、活発化を受けまして、艦艇による警戒監視の所要が極めて増加しているという状況がございます。乗組員の負担が増大することとなるほか、本来、護衛艦隊部隊が必要としております練成訓練の機会が圧迫されるという課題が生じているところでございます。

 このため、平素の警戒監視を主任務とする哨戒防備群を新編いたしまして、警戒監視の所要に的確に対応するとともに、有事におきまして高度な任務に従事する護衛艦隊部隊として新編する水上戦群の練成機会を確保することといたしております。

 このような改編を行うことによりまして、高い迅速性と活動量を持続的に遂行可能な体制とすることが可能となります。

池畑委員 ありがとうございます。

 意味のある、また意義のある改編だと理解させていただきましたが、私がどうしてもひっかかりますのが水上艦隊という名前であります。

 お伺いさせていただきたいんですが、歴史を持っている護衛艦隊であります。その中で、なじみ深くなっていると思いますが、海上自衛隊にとって令和七年度の部隊改編が昨今の安全保障環境の変化に対応するために必要なものだと今も答弁をいただきました。

 その一方で、この部隊の名称変更についてどうなっているんだということもインターネット上なんかでも書かれておりますが、私個人といたしましても、水上艦隊という名称に違和感がないわけではありません。なぜ新しい部隊の名称を水上艦隊という名称にしたのか、お伺いさせていただきたいと思います。名は体を表すということでありますので、是非その辺りも含めて答弁いただきたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 この名称については、我々は様々な御意見を受ける機会もあって、違和感があるという御意見もあるので、こういう説明の機会をいただきましてありがとうございます。

 海上自衛隊では、隷下に艦を主力とする群を複数有する部隊は艦隊と称しており、その名称は、これまで隷下の隊に所属する主要な艦種を冠したものとしておりました。

 他方、今般新編する水上艦隊につきましては、部隊の一元的な練度管理や艦艇運用のより円滑な調整を可能とするため、隷下に水上戦群、哨戒防備群、水陸両用戦機雷戦群を編成することといたしました。それらの部隊は、護衛艦、哨戒艦、掃海艦、輸送艦と多数の艦種を有することから、護衛艦隊とすることは適当ではないということで、名称を再検討したところでございます。

 そこで、同じく自衛艦隊隷下にある航空集団、潜水艦隊、この横並びを考慮いたしまして、隷下のアセットが水上で活動することに着目いたしまして、その名称を水上艦隊としたところでございます。

池畑委員 令和という称号と一緒で、誰がつくったというのはなかなか言いにくいところもあると思いますが、皆さんで決めたことだと思います。これが意味のある中身、そして、今局長からも答弁がありましたとおり、こういう思いがあって変えているんだ、そして編成しているんだということがよく分かりました。名は体を表すと先ほど私も言わせていただきましたが、そうなるべく、いろいろな細部も含めて詰めていただきたいと思います。

 その中で、別の質問をさせていただきたいと思います。

 令和七年度の海上自衛隊の改編のうちのもう一つ大きな改編であります情報作戦集団の新編についてお伺いさせていただきたいと思います。

 ウクライナとロシアの戦闘においてもフェイクニュースが飛び交っておりました。これからは情報工作ということが大変重要になってくると思いますが、フェイクニュースがどこの部分なのか、そして、どれがフェイクニュースなのかを調べていく力も必要だと思います。

 これまでの従来領域の戦いに加えて、これらは目には見えない世界で情報戦をやっております。その中で、今の段階で海上自衛隊が情報作戦集団を新編する狙いは何か、お聞かせいただきたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 近年、国際社会におきましては、紛争が生起していない段階から、偽情報等により他国の世論や意思決定に影響を及ぼすとともに、自らに有利な安全保障環境の構築を企図する情報戦に非常に重点が置かれているという状況がございます。そこで、海上自衛隊といたしましても、あらゆる手段を総動員して正確な情報を把握していく必要がございます。

 しかしながら、海上自衛隊におきましては、これまで、情報の収集、分析、それに基づく迅速な対処という情報戦に係る機能が、自衛艦隊隷下の艦隊情報群、海洋業務・対潜支援群、各地方隊隷下の警備所、大臣直轄部隊である通信隊群、こういうところに分散してございました。このため、各組織固有の観点からの情報の収集、分析となるため、海上自衛隊全体として総合的な情報の収集、分析体制、情報成果の活用に課題があったところでございます。

 そこで、情報戦に係る機能を有します部隊を整理、集約いたしまして、情報戦基幹部隊として情報作戦集団を新編することといたしました。これによりまして効率的、効果的な情報の収集、分析が行われることで、海上自衛隊における情報戦への対応能力が強化されることになります。

池畑委員 今の答弁を聞いておりますと、安全保障を見据えて情報戦に対応していく体制を取るということでありましたから、海上自衛隊のみに情報作戦部隊をつくるのはどうなんだと思っております。情報戦への対応が必要ということであれば、海上自衛隊のみならず、陸上自衛隊や航空自衛隊についても情報部隊を集約するべきではないかと思いますが、防衛省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

青柳政府参考人 令和七年度に情報作戦集団を新編する海上自衛隊のみならず、陸上自衛隊や航空自衛隊におきましても新たな部隊を新編するなど、所要の体制整備、体制を強化していくこととしてございます。

 陸上自衛隊におきましては、情報戦への対応能力を強化するため、令和七年度に陸上自衛隊情報作戦隊を新編する予定でございます。航空自衛隊におきましても、防衛力整備計画におきまして、部隊の任務遂行に必要な情報機能の強化のため、空自作戦情報基幹部隊を新編することとされておりまして、これを踏まえまして、令和九年度末までの体制の構築を目指し、検討を進めているところでございます。

 今後とも、抜本的かつスピード感を持って情報戦への対応のための体制を強化していく考えでございます。

池畑委員 情報戦への対応を是非ともスピーディーにやっていただきたいと思いますし、これからどういう編成になってくるか、新たにいろいろな考えが出てくるかもしれませんので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 松尾委員からもありましたけれども、次に、ACSAについて質問させていただきたいと思います。今回の法案については、今、政府とか防衛省からも答弁が既にありましたけれども、新たな視点で聞かせていただきたいと思います。

 その中で、今回のイタリアとの防衛協力の必要性について大臣にお聞かせいただきたいと思います。

 日伊のACSAの署名を契機とするものなんですが、今回は自衛隊法及びPKO法の改正も含まれております。我が国を取り巻く安全保障がこれからどんどん厳しくなっていく中で、同志国との協力を一層強化していく必要があると思っておりますが、八番目のACSA締約国としてなぜイタリアが選ばれたのか。そして、我が国とイタリアの防衛協力を推進することの必要性について、前々回質問させていただきました日英伊の次世代戦闘機、ユーロファイターの後継機でありますが、今回は、我が国がイタリアとの防衛協力を推進することの必要性について大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

中谷国務大臣 イタリアとは盛んに防衛交流や多国間訓練、共同訓練などを行っております。昨年だけで三度の防衛大臣会談を実施しました。非常にハイレベルな意見交換を行っているほか、部隊間におきましても多国間の共同訓練の実施などを行っております。

 また、防衛装備の分野でも、現在、日英伊三か国でGCAP、次期戦闘機の共同開発を進めるなど、日伊の防衛協力の交流は近年様々な分野で大きく進展しているところでございまして、大きな目で見ますと、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であるという認識の下に、自由で開かれたインド太平洋を実現していく、そのためには、引き続き、ACSA等の制度の枠組みの整備を含めまして、イタリアとの防衛協力が必要であると考えているところでございます。

池畑委員 大臣、最後にもう一問質問させていただきたいんです。

 元々、防衛省にお伺いしてから大臣にお伺いしようと思いましたが、まず、今大臣からも答弁がありました共通規定化の妥当性というところで、日伊のACSAはこれまで締結してきたACSAに基本的に同じであるということは分かりました。

 日米のACSAとこれまでに各国と締結してきたACSAにも一部違いがあります。そういった中で、こうした事情を踏まえてなお共通規定化に踏み切った理由を、防衛大臣の見解としてで構いませんので、是非よろしくお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 イタリアとは、従来の日米ACSAと比較しまして、対日防衛義務を日米は負っているという理由から、適用対象となる活動に警護出動、弾道ミサイル等の措置が含まれるなど、他国とのACSAと活動は異なっているということであります。

 一方で、米国以外の各国とのACSAにつきましては、提供される物品や、弾薬が含まれていないことを除きますと、この範囲、物品の規定は同じ内容になっておりますので、今回国会に提出されている日伊ACSAにつきましても、米国以外の各国とのACSAと同じ内容になっているということでございます。

 そこで、日米ACSAにつきましては、日本は、米国が日米安保条約に基づく対日防衛義務を負っている等の理由から、適用対象となる範囲が他国とのACSAとは異なるために、共通規定化の対象とはしておりません。

 米国以外とのACSAにつきましては、非常に共通の点が多いし、また、提供される物品に弾薬が含まれていないなどを唯一の例外として、これ以外の国内法の規定は全く同じ内容になっております。

 こうした点を踏まえまして、米国以外の各国とのACSAにつきましては、国内法の内容が定型化したと判断しました。日印ACSAの下で物品提供の中で弾薬が含まれていない旨の例外規定を置いた上で、共通規定化することといたしました。

 この共通規定化におきましては、従来のように相手国ごとに個別の条文を参照することなく、ACSAの適用対象となる活動の範囲及び提供される物品、役務の類型を総覧できるようになる、そして、潜在的なACSA締結国に対して、我が国とACSAの締結に伴って我が国が実施する国内法上の措置について一定の示唆を与えて、今後の新たな協定の交渉を円滑に進めることができるというような意義がありますので、そのように対応したということでございます。

池畑委員 ありがとうございました。

 様々な国とタイムリーにACSAを締結できるように政府に要望して、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。池畑君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。本日も質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 貴重な時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、サイバー人材の育成についてお伺いします。

 先日八日に、サイバー安全保障確保推進法が衆議院で可決しました。私も内閣委員としてその審議を行ってきましたが、その中で、実際にこの任務に当たる自衛隊についての質問がたくさん出ました。

 防衛省は防衛力整備計画に基づきサイバー防御能力の抜本的強化に取り組んでおり、二〇二七年度をめどにサイバー専門部隊を約四千人に拡充することに加え、システム調達や維持運営等、システムのライフサイクルを通じてサイバーセキュリティーを確保するために必要な業務に従事する隊員約一万六千人以上に対して必要な教育等を行い、合計約二万人の体制とすることを目指しています。

 また、二〇二四年七月には、サイバー人材の確保、育成等の羅針盤となる文書として防衛省サイバー人材総合戦略を策定し、防衛省・自衛隊の基本的な考え方を包括的に示されたと承知しております。この総合戦略に盛り込まれるサイバー人材の育成等により、政府がサイバー専門部隊四千人体制を目指しています。

 そこで、サイバー関連要員二万人、コア部隊として専門部隊四千人とありますけれども、これを僕は最初に勘違いしていまして、この二万人の中から四千人を精鋭かなと思ったんですけれども、そうではなくて、一万六千人はシステム調達とするということなんですけれども、このコアな四千人の人たちが非常に重要になってくると思うんですけれども、サイバー人材の不足が指摘される中で、実際に二年後の二〇二七年度までにどれぐらい育成していくことが可能なのか、期待できるのか、実際に具体的な人材育成が本当に可能なのか、技術革新のスピードが速いと言われる分野で実際に誰が指導されていくのかということも含めて、ここでそのことについてお伺いいたします。

家護谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、育成でございますけれども、先ほど出ました四千人に対して、陸自システム通信・サイバー学校などの自衛隊の学校における教育、それから、国内外の教育機関への留学、企業研修などを通じて専門的な知識を習得させる。あと、自衛隊員へのOJT、諸外国とのサイバー演習などを通じて実践的な知見を獲得させることによって高いレベルの人材育成を行っていく、そういう考え方でございます。

 それから、この四千人の確保に向けた道行きでございますけれども、学校で教育するキャパシティーに足りない部分は部外の教育機関に出したり、そういった形で二〇二七年度末までに四千人の体制が整うというふうに考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 自衛隊の中での訓練、海外を参考に、専門家との連携、そういったところの総力を挙げていただきまして高度な人材の育成をお願いしたいと思います。

 次に、防衛大学校の学生の外国士官学校留学の費用償還制度についてお伺いします。

 防衛大学校では、二〇二五年度から、同校に入学後、米軍士官学校に四年間留学する制度が開始されると伺っております。これに伴って、本改正案では、留学を命じられた学生が留学中又は自衛官任用後八年以内の期間内に離職した場合には、留学費用を国に償還しなければならない制度が新設されると承知しています。

 一般の国家公務員の皆さんとか防衛省の職員さんは、大体五年以内に離職した場合、全部又は一部を償還する。防衛医科大学校、お医者さんの分野に関しては卒業後九年間の縛りがあって、看護学科の場合は、六年未満で離職した場合、全部又は一部の償還ということで、これはどんなふうに決めているのかなと思って聞くところによると、大体、勉強した期間掛ける一・五ということで、医科大学生は六掛ける一・五で九、看護は四掛ける一・五の六ということで、今回は、一年二か月の研修も含めて約五年二か月で一・五と聞きました。

 非常に大事な制度だとは思います。せっかく税金をかけて勉強してきてもらって、帰ってきてすぐに辞められるというのはやはり駄目だと思いますので、非常に重要な制度だと思うんですが、八年間となった場合に、昨今の働き方とかキャリアパスの流動性の問題があるときに、学生の留学しようという意欲を抑制するようなブレーキとならないかということが懸念されます。

 そこで、優秀な人材を集めるという意味では、人材の流動化という観点でも、キャリアアップしやすい環境を整備しておくことが結果的に多くの人材が入ってくるのではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。

中谷国務大臣 山崎委員は教育者でありまして、教育制度の専門家で、今回、高校の無償化とか奨学金の制度につきましても、専門知識を生かされて、すばらしい仕組みをつくっていただいたと拝察いたしております。

 それで、防衛省における教育の中で、四年間米国の士官学校に防大生を留学させることにつきましては、現在、百名を超える希望者から数名を選抜中でございます。留学者の留学で培われた知識、人脈、能力を任務に生かして、同盟国との協力強化のための我が国の防衛力の強化に貢献することを期待いたしております。

 そして、自衛隊の勤務に加えて、内局、外務省、NSSにおいて我が国の安全保障政策の中枢を担っていただく、また、国際機関における貢献など、組織の枠を超えてキャリアアップしていくことが期待されておりまして、本留学を継続的に、安定的に進めて防衛省・自衛隊の中核となる優秀な幹部自衛官の確保に全力を尽くしてまいりたいということで、このような仕組みにしているところでございます。

山崎(正)委員 ありがとうございました。百人以上の希望者がおると聞いて非常に安心しました。

 やはり、留学したいなと思えるような魅力ある留学制度になるようにということと、もう一点は、戻ってきたときに、それを生かしたいとか、それが生かしていけるような環境、体制づくりも大事かな。ほかに目が行かないとか、しっかりここで生かしていこうという、そういった生かせる体制づくりと、そして、先ほども言いましたけれども、自衛隊の中でキャリアアップができていくような、そういう人材の流動性があれば、そういった大切な人たちにしっかり残ってもらえると思いますので、その三点が重要かなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、自衛官の定数変更と組織改編についてお伺いします。

 国家防衛戦略では、防衛力の抜本的強化には大幅な経費と相応の人員の増加が必要であるとする一方で、スクラップ・アンド・ビルドを徹底して自衛隊の組織定員と装備の最適化を実施すると、定員は増やさずに必要な人員を確保する方針が示されています。

 自衛隊の定数の総計については、直近十年以上にわたり二十四万七千人強の水準で横ばい状態であることに加え、二〇二七年度末までは整備計画において現行水準を維持することが定められています。

 これまで防衛省・自衛隊では、省人化を可能とする装備品の調達や組織の最適化などの取組により所要人員の削減などもされてきていると承知していますが、安全保障における脅威分野が一層拡大している状況において、スクラップ・アンド・ビルドの徹底と防衛力の抜本的な強化の両立が重要であると思います。

 そこで、今回の法案では、自衛隊の総計は維持しつつも、各隊の増減によりサイバー防衛隊の体制強化等を実施するとされています。このことは日本を取り巻く世界情勢の変化に加えて大変重要なことだと思いますが、一方、幾つかの組織が再編され、効率化も進められるが、これも非常に重要で、今後、人口減少社会を考えた場合に、画期的に人が増えていくというのは非常に難しいと思います。

 そういった意味で、今後については、自衛隊の能力を維持向上しつつも、より効率的、省力的な運用ができるようなハード面、ソフト面の改編が必要だと思いますが、どのようにお考えなのか、所見をお伺いします。

中谷国務大臣 まさに適材適所が大事になってきておりまして、サイバーとか人工知能とか、未知の部分においても誰かがそれを担当していかなければならないということでありますので、部隊の高度化に対しましては、既存の部隊の見直し、旧式の装備品の廃止、省人化、無人化の装備、AIの導入などを行うとともに、民間への委託等の部外力の積極的な活用を進めているところであります。

 具体的には、定員が従来の汎用護衛艦の半分程度の新型FFM「もがみ」の導入、省人化された補給艦の導入、駐屯地警備へのリモート監視システム、カメラでずっと見ていく、補給倉庫の自動化、ロボットで配備するというようなこと、潜水艦の省人化システム、滞空UAV、艦載型のUAVなどの取組を行っております。

 今後ともあらゆる面で部隊の行動に係る取組をしますが、民間がかなり進展しておりますので、それに負けないぐらいのスピードで、そして、人が足りませんので、そういう点におきましては、機械に取って代われるような、そして実力を落とさないような内容の変革を行ってまいりたいと思っております。

山崎(正)委員 定員不足の中で一人一人の隊員への負荷もかかっているということなので、是非そういった省人化等も進めていただけたらと思います。

 最後の質問に行きたいと思います。

 今回、指定場所生活調整金の新設が行われました。入隊からなかなか慣れない生活でということで、年間二十万円が六年間ということで百二十万円支給されると聞いて、これは大変にいい制度だなと思っています。

 一方で、自衛官の居住場所に関する訓令には、営舎外居住の許可を申請できる者は、営舎に住まない者は、曹長又は一曹である自衛官、二曹である自衛官で年齢が三十歳以上の者とされており、新設される指定場所生活調整金がもらえる六年間を経過しても、実際には営舎内での居住義務があることから、実質的には営舎に住むことになります。

 だから、ここで新設の支給期間を六年間とした理由についてお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 入隊後の営舎内や艦艇内における集団生活が現代の多くの若者にとってなじみのある生活スタイルではないため、任期制、非任期制にかかわらず、入隊を妨げる要因の一つとなっていると考えております。

 こうした生活環境は、一定の工夫、改善の余地はあるものの、有事即応という自衛官の任務の特性上、全てをなくすことはできません。

 そこで、即応のための不慣れな集団生活を強いられる入隊後の自衛官がモチベーションを維持向上できるよう、今委員御指摘の指定場所生活調整金を支給することといたしました。その支給期間につきましては、不慣れな生活環境を調整する期間として、採用から六年間としたところでございます。

山崎(正)委員 六年に特に根拠はなかったと思うんですけれども、大変な中、こういった財源を取ってきたということに敬意を表したいと思います。

 こういった形で、今回かなり強い思いを持って自衛官を集めているというのはすばらしいと思います。個人的な話になりますけれども、私のおいっ子も今年から自衛官に候補生で入りまして、実は、任期付で入ったんですけれども、教官の話を受けてか、まだ少ししかたっていないんですけれども、父親に、もう一回試験を受け直して継続的に本当の正採用になってやっていきたいと強い決意を申したようです。ただ、周りを見ると、もう十人以上辞めているということで、現場の大変さが思われるところです。

 一定、こういった初任給も上げながら、初任に対ししっかりやっていくことも大事ですけれども、現場からは、中堅をしっかり上げていくことで、初任の人たちが近くで見ていくのは中堅であって、その人たちの処遇も含めて、その人たちが生き生きと働くことで残りたいという意向があるというふうなお声も聞いております。

 これからますます自衛隊の役割は大事になってくると思いますので、そういった総合的なところも含めた処遇改善を進めて、より人材が残れるような形で進めていただけたらと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。これにて山崎正恭君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時一分散会


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