衆議院

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第4号 令和6年3月22日(金曜日)

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令和六年三月二十二日(金曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 務台 俊介君

   理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君

   理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君

   理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君

   理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君

      井上 信治君    井上 貴博君

      石原 正敬君    稲田 朋美君

      金子 容三君    菅家 一郎君

      国定 勇人君    笹川 博義君

      宮内 秀樹君    宮澤 博行君

      柳本  顕君    鷲尾英一郎君

      大河原まさこ君    神谷  裕君

      篠原  孝君   松木けんこう君

      屋良 朝博君    杉本 和巳君

      空本 誠喜君    林  佑美君

      中川 康洋君

    …………………………………

   環境大臣         伊藤信太郎君

   環境副大臣        八木 哲也君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  白石 隆夫君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     宮内 秀樹君

  近藤 昭一君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  宮内 秀樹君     熊田 裕通君

  神谷  裕君     近藤 昭一君

    ―――――――――――――

三月二十一日

 石綿による健康被害の救済に関する法律の抜本的改正等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五六一号)

 同(笠井亮君紹介)(第五六二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五六三号)

 同(志位和夫君紹介)(第五六四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五六五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五六六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五六七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五六八号)

 同(宮本徹君紹介)(第五六九号)

 同(本村伸子君紹介)(第五七〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

務台委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として環境省自然環境局長白石隆夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

務台委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮澤博行君。

宮澤委員 自由民主党の宮澤博行でございます。

 本日は、午前中に内閣委員会において質疑をさせていただきました。本日、ダブルヘッダーですけれども、誠心誠意務めてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 法律名が、地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案、なかなか長い法律名だなと思いますけれども、今回、私、この質疑は志願をさせていただきました。といいますのも、地元は、結構、なかなかなんですよ。トンボの生息数、数というよりも種類ですね、生息種類。実は、うちの静岡県磐田市が日本一なんです。ほかにトンボ王国とかトンボ天国とか称されているところが、岐阜県の笠松町、さらには高知県の四万十川等々、トンボを売りにしている自治体がありますけれども、若干うちの磐田市の方が勝っているということで、日本一のトンボの町ということでございます。

 そこで代表的なトンボがベッコウトンボと呼ばれておりまして、本当に羽が透けて見える、全部透けて見えますけれども、べっこうのようなトンボなんですね。このベッコウトンボが何と種の保存法に基づく国内希少野生動植物種四百四十八種の中に登録されている、そういうトンボでございます。

 地元で、実際この保護活動や啓発活動をしている団体がございまして、磐田市における桶ケ谷沼というところのトンボの生息数なんですけれども、桶ケ谷沼を考える会というのがありまして、これはもうかなり前に、地元の青年会議所がバックアップしてこの会を立ち上げ、今もなお活発に活動されている、そういう団体。特にこれは、子供たちや市民に対する啓発、PRを行っているところなんですね。

 もう一つ、その地域、字岩井というんですけれども、岩井里山の会というものがありまして、ここの皆さんたちは、実際に、ヤゴの保護のために生けすを造っている。何で生けすかというと、ヤゴの天敵はアメリカザリガニなんです。それがやはりこの沼にいるものですから、ヤゴが食べられてしまって生息数が激減するという事態が起きております。こんなわけで、希少動植物に対して地元でそういう運動がある。

 もう一つあるんです、私の地元に。御前崎市というのがありますけれども、この御前崎市にアカウミガメが上陸して産卵をいたします、アカウミガメ。どこにでも来るじゃんと思われるかもしれませんが、この静岡県御前崎市は、アカウミガメの上陸、産卵の北限でございます、北限。ということで、国の天然記念物になっています。

 アカウミガメが天然記念物じゃなくて、御前崎市のアカウミガメが天然記念物ということでございまして、これは、市民団体というよりも、市の方が積極的に頑張っておりまして、市が保護監視員を委嘱いたしまして監視している。

 私も、実は、昨年夏の朝五時ぐらいにその見学会に行ってまいりましたけれども、残念ながら、ゆうべはちょっと上陸しなかったんですよと言っていますが、監視員の人にしてみると、どこにどういうふうに上陸して産卵したか、砂を見れば分かるというぐらいなんですね。

 そのまま大事に見ておけばいいんですが、そうすると食べられたりする、それから湿度が高いと腐ったりするものですから、それを掘り出して、別の安全なところに埋めて、大事にふ化まで監視、保護をしていくというようなことがございます。

 そんなわけで、今回、私は、この法律案の質疑に志願をさせてもらったところでございます。

 まず最初にお聞きしたいんですけれども、一番最初に私が言及いたしました。地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案、長い。略称はどのように考えていますでしょうか。これは通告していませんけれども、用意していますよね。これをちょっとお答えください。

白石政府参考人 お答えいたします。

 非常な難問だと思いますが、端的に地域生物多様性増進活動促進法案というふうに我々としては呼びたいというふうに考えてございます。

宮澤委員 地域生物多様性増進活動促進法、それも長いですね。まあ、それはしようがないなと思いますけれども。

 私も、生物多様性を守っていくということは大事だということは、これは直感的に分かります。直感的に分かりますけれども、じゃ、国全体として、社会として、それから生物の自然界全体として、どういうメリットがあるのか、これを分かりやすく説明していただきたいんですよね。

 そんなわけで、まず一点目。生物多様性が失われているという説明が政府からの書類にもありますけれども、実際日本ではどのくらい生物多様性が失われているのか、数値を挙げて説明できるなら是非説明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 志願しての大事な法案への質問、ありがとうございます。

 お答え申し上げます。

 生物多様性及び生態系サービスの総合評価二〇二一年によれば、我が国の生物多様性は、過去五十年間損失し続けているとされています。大変深刻な状況だと思います。

 例えば、環境省のレッドリスト二〇二〇年において評価した野生動植物種のうち、哺乳類の二一%、鳥類の一四%、爬虫類の三七%、両生類の五二%、汽水・淡水魚類の四二%、維管束植物の二六%が絶滅のおそれがあるとされております。

 また、里地里山は我が国の生物多様性保全上重要な地域でありますけれども、人口減少や社会経済の構造的な変化に伴って、水路やため池、山林、採草地などで構成される里地里山の多様な環境が消失するなど、生態系が劣化してきております。

 環境省レッドリスト二〇二〇年において絶滅危惧2類に選定されているタガメ、またゲンゴロウ、こういうもののように、かつては身近な存在であった里地里山等に生息する、生育する動植物も絶滅の危機に瀕していると思います。

宮澤委員 ありがとうございました。

 そういう数字を挙げてくださって、絶滅が危惧されている種がこんなにパーセンテージがあるのかというのは、確かに説得力があろうかと思います。

 その一方で、じゃ、実害というのは何なんだろうということも別の観点から説明していただきたいんですね。

 例えば、ニホンオオカミの絶滅というものがありました。そのニホンオオカミ、日本の自然界における食物連鎖の頂点に立っていたと言われるわけですね。明治以降、やはり家畜の飼育が始まって、大神、大きい神様と称されていたニホンオオカミが、害獣というふうに扱われてしまって駆除されてしまい、絶滅に至ったというようなことも漏れ聞いております。

 ニホンオオカミというのは犬ぐらいの大きさですから、イノシシをどうやって食べたんだろう、鹿をどうやって食べたんだろう、どうやって食物連鎖の頂点に立っていたんだろうというふうに思って農家の方に聞いたら、子供を食べるんだよというふうなことをおっしゃっていました。子供の数が減れば、当然成体も少なくなっていく。

 このように、ニホンオオカミが絶滅したことによって今イノシシとか鹿が増えてしまっているんだ、この事例を説明すれば確かに分かりやすいんですけれども、先ほど言ったベッコウトンボとかタガメとか、そういったものが失われるとどういう事態が予測されていくのか、それが保たれることは一体どういうメリットがあるのかということについても、そういう視点でも説明していただきたいと思うんですが、いかがなものでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 生物多様性の損失、これは生態系サービスの低下という形で、既に我々の生活に多大な影響を与えていると思います。人口減少や高齢化の影響によって、手入れ不足の森林においては、水源涵養や防災、減災等、森林の多面的機能が十分に発揮されていないことが懸念されております。また、さらに、湿原面積の大幅な減少により、湿原が持つ洪水調整機能も減少傾向にあると考えられております。

 また、里地里山においては、耕作放棄地や利用されない里の山林が鳥獣の生息にとって好ましい環境となることや、狩猟者の減少、高齢化で狩猟圧が低下することによって、今お話がありましたけれども、ニホンジカ、イノシシの個体数が著しく増加するとともに、生息域は拡大し、生態系への影響や農林業への被害の更なる深刻化などが想定されております。

 私たちの暮らしは、考えてみれば、食料や水、気候の安定など、多様な生物が関わり合う生態系から得ることのできる恵みによって支えられている。もっと言えば、私たち自身の存在も生態系の一部であります。こういう健全な生態系を確保することで、自然が安定し、変化に対するしなやかさを持ち、将来にわたりその恵みを受けることができるようになるものと認識してございます。

宮澤委員 ありがとうございました。

 大変分かりやすい御説明だったかなと思います。

 確かに今、山林の保水機能が落ちている。山林の土砂崩れ等を原因として、洪水が起こっていく。実際、私の地元でも、荒れた里山、荒れた山林が豪雨で崩れることでもって堤防が決壊してしまったという事例も確かにございました。

 そして、先ほど大臣の方も、里山における植物、奥山における植物、そういったものが少なくなることでもって、それらの生態系が乱れることでもって鹿やイノシシ等の生息数が増えてしまった、それが農作物に影響を与えた、確かにそのとおりだなと思います。でありますから、今のものを保っていかなくちゃいけない、おっしゃるとおりだと思います。

 では、そこら辺は私も得心いたしましたので、法律の中身の方に移っていきたいと思っております。

 まずは、受益、ジュエキというのは幹から出てくる液じゃないですよ、我々が利益を受ける、そういった点について御質問していきたいんですけれども、財政措置というのがありますね、財政措置。これはどういう制度を想定しているのかについて、説明していただきたいと思います。

 まず地方自治体への財政措置、それから事業者への財政措置。そして、先ほど私は、桶ケ谷沼、トンボのことについて申し上げましたけれども、いろいろな活動団体もあります。なかなか会費だけではやっていけるものじゃありませんから、国の方からしっかりとした事業費があると大変ありがたいんですけれども、そういった市民団体、活動団体への財政措置、そういったものがあると大変ありがたいんですけれども、どういったものを想定しているかについて、見解を伺いたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 地域生物多様性増進活動の促進に向けましては、法案への特例措置の位置づけ、情報開示、発信等の支援に加えまして、関連予算の拡充による支援を想定しているところでございます。

 このうち、委員御指摘の地方自治体等への財政支援につきまして、環境省といたしましては、既存の事業でございますが、生物多様性保全推進支援事業に基づく補助金を活用いただくことが可能となるように検討を進めていく予定でございます。

 また、当該補助金につきましては、ニーズに応じて可能な範囲で柔軟に交付対象の見直し等を行っていく予定にしてございます。

 引き続き、関連予算の拡充に努めまして、様々な形での支援を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

宮澤委員 先ほど私は、地方自治体に対してどうですか、そして事業者、今回、事業者というのが規定されていますので、事業者に対してはどうですか、そして活動団体にはどうですかというふうに、三つ区切って質問をさせていただきました。

 今のお答えは、地方自治体に対するもののみのお答えのように聞こえました。これはどういうことなんでしょうか。もしかしたら、自治体が判断して、後は事業者等々に交付するようにという制度が含まれているのかどうなのか、そこのところの説明をお願いいたします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました生物多様性保全推進支援事業につきましては、現段階におきましては、活動団体等につきましては、地方自治体と連携の協議会等をつくっている場合には、支援の対象とするということでございます。

 いずれにいたしましても、今後、ニーズに応じて、柔軟に交付対象の見直し等を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

宮澤委員 今、連携協議会とおっしゃいましたね。そうすると、ここにも、この法律の中に連携計画というのがありますね。それとリンクしているということですか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で対象にいたしておるのは、連携計画を行っている事業者が対象だということでございます。

宮澤委員 では、だとすると、連携計画についてちょっとお聞きしたいと思いますが、この連携計画は、どういった活動、そしてどういった主体、それをどういうふうにこれは想定しているものなんでしょうか。まずは、それについて。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 連携増進活動実施計画におきましては、市町村が、土地所有者、民間企業、市民団体、教育機関といいました多様な主体と連携いたしまして、里地里山の保全、外来生物の防除、希少種の保護といった活動を実施することを想定してございます。

 環境省といたしましては、地域の自然的、社会的条件に応じまして、市町村の取りまとめの下で、関連する生物多様性保全施策や地域活性化施策などと連携しながら、裾野の広い活動が実施されることを期待してございます。

宮澤委員 そうすると、連携計画が策定されていることでもって、その市町村なりなんなりに交付金、若しくは補助金が下りてきて、市民団体や事業者等々に補助金が行く、そういう構造でよろしいんでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 国からの補助金ということに関しましては、多分そのようなイメージだと思います。

 現に今、先行して自然共生サイトということで、幾つか市町村主導で認定をしている事例がございます。

 例えば神戸におきます神戸の里山林、棚田、ため池などにつきましては、実際にここを自然共生サイトとして認定しておるわけですが、神戸市が主体となり、ここの活動を行っている市民団体向けに基金をつくりまして、そこに企業版ふるさと納税の受皿として寄附を募るという形で支援のお金を回す。いわば税制のようなものを利用しながら寄附を募り、そこに回すとか、そういうような仕組みもございます。

 いずれにいたしましても、多様な支援が行き渡るよう工夫をしてまいりたいというふうに考えてございます。

宮澤委員 ありがとうございました。

 この連携計画ですけれども、今お聞きしたイメージだと、地域を対象としたもののようなイメージがありますが、地元のことでいうと、ベッコウトンボ、そういった種に特化したものも採用の対象になるのかどうかというのが一点目。

 それからもう一点、ついでに聞きます。自然共生サイトとおっしゃいましたけれども、これはどの法律のどの制度に基づくものなんでしょうか。二点お願いします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目、種に着目したというような御指定でございましたが、今回の法律の場合は、土地に着目した保全活動というものを想定してございます。したがいまして、対象地がやはり明示をされている必要はあるのかなと思っております。例えばベッコウトンボであれば、ここの区域というものを明確にお定めいただいて、そこで保全をするというようなことが一つ対象になるのではないかというふうに考えてございます。

 もう一つ、二点目の御質問でございます自然共生サイト、これは、この法案の前身の事業といたしまして、法律に基づかず試行的に令和五年度から始めているものでございます。百八十四か所認定をしてございます。様々な地域における活動を認定をしてきてございます。

 こちらの自然共生サイトにつきましては、本法案が可決、成立し、施行された段階で、この法案の対象の認定事業にしかるべく移行いただくということをイメージしてございます。

宮澤委員 ありがとうございました。

 それでは、ちょっと次に進みたいと思います。

 保護活動の支援の全般についてまた改めて聞いていきたいんですけれども、この法律に限らずということなんですけれども、失礼、その前に一点。

 今回、この法律を制定することで、生物多様性地域連携促進法が廃止されるというふうに聞きましたけれども、この法律と今回の法律の違い、そして、この旧法律の反省点等々があったら、ちょっと説明をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の生物多様性地域連携促進法は、市町村が、NPO等の多様な主体と連携して生物多様性保全の活動に関する計画を策定することを主な内容とした法律でありまして、平成二十三年十月に施行したものでございます。

 この法律では、施行当時の情勢を踏まえて、計画策定の主体が市町村に限られていたほか、主務大臣による認定の仕組みを設けていなかったことなどから、取組の広がりが限定的となるという面がございました。

 今回提出した法案では、近年、市町村やNPOだけでなく、企業に対して、気候変動に続き生物多様性に関する取組の期待、要請が高まっていることを踏まえ、企業についても、中心的な担い手として計画の作成主体に位置づけることとしております。

 ネイチャーポジティブの考え方、昆明・モントリオール生物多様性枠組における行動目標を踏まえ、国際的な基準とも整合した活動を主務大臣である環境大臣、農水大臣、国交大臣が認定することで、企業や市町村等が、活動の価値や意義を客観性を持って対外的に発信できるように後押ししてまいります。

 こうした対応により、法律の特例も拡充しながら、生物多様性地域連携促進法の仕組みを更に発展する形で再構成し、ネイチャーポジティブの実現に向けて、全国各地で多くの者による活動がより一層取り組まれるように推進してまいりたい、そのように考えております。

宮澤委員 企業もそういった活動をされるようになってきた、この十数年間でということですけれども、そういった感触だったり、今までそういった申請があったりとか、この法律を新しく通したら即そういった応募があるという感触は省庁として持っているでしょうか。どうでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、既に、先行する自然共生サイトということで、百八十四か所の認定もしてございます。また、日々行政をやっております中で、様々な関係者、企業の皆様でありますとか、地域のNGOの皆様、自治体の皆様から非常に多くの関心を寄せていただいております。

 我々といたしまして、相当程度応募があるのではないかという、ある種の何か確信のようなものを得ながら行政をしているということでございます。

宮澤委員 ありがとうございました。

 大変期待の持てる答弁だなと思いましたので、是非お願いいたします。

 では、一番最初に申し上げましたが、国内の希少野生動植物種、四百四十八種と一番最初に私は申し上げました。これは、希少であるならば、それぞれに保護活動があってしかるべきだと思いますけれども、把握していらっしゃいますか。そして、それぞれについてちゃんと財政措置等はできているのか、それについて見解を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 種の保存法に基づきまして、国内希少野生動植物種に指定している四百四十八種のうち、七十六種につきましては保護増殖事業計画を策定し、国が中心となり保護増殖事業に係る事業を実施してございます。

 他方で、国内希少野生動物種を始め絶滅のおそれのある野生動物種の保護は、国、地方自治体、民間企業、動植物園等が連携して取り組むことが重要であるというふうに考えてございます。

 残念ながら、財政的な資金にも一定の制約がございますので、我々の実態といたしましては、自治体でありますとか動植物園の皆様だとか、そういう皆様のお力をかりながら取り組んでいるところもあるということでございます。

 こうした多様な関係者が保護活動を実施できるように、我々としても、手引書の作成でありますとか、交付金による支援というものを進めているということでございます。

宮澤委員 財源の話をされているときに局長が強い目でこちらを見られまして、お金をつくれと政治側に言っているような感じがいたしましたので、我々も応援させていただきますので、是非大臣、副大臣、政務官、財政措置をこれから努力していかなくちゃいけないと思いますけれども、何か意気込みがあったらお願いします。

伊藤国務大臣 委員の方から強い応援のメッセージをいただきまして、それを受けて、この政策が財政的な裏づけも含めて推進できるように努力したいと思います。

宮澤委員 続いて伺いたいんですけれども、地元の活動の皆さんを見ていると、それぞれがしっかり頑張って貢献しているという自負を持っているんですけれども、若干、表彰制度がもっとあるといいなという声も聞くんですよね。是非ここのところの充実もお図りいただきたいんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

伊藤国務大臣 環境省では、野生生物保護や自然環境保護に関する顕著な功績のあった個人や団体等に対して、その功績をたたえるため、大臣表彰等を行っております。

 また、令和五年度から、希少種の保全に関する活動を含め、民間等の取組によって良好な生物多様性が維持されている区域を、前にお話がありました自然共生サイトとして認定する制度を本法案に先行して開始し、百八十四か所を認定したところではございますけれども、昨年十月には、認定証授与式や交流会を開催し、全国の自然共生サイト関係者に参加をいただいたところでございます。その様子がテレビ放映されるなど、高い関心を集めたものと思います。

 ネイチャーポジティブの実現のためには、地域に根差した希少種の保護活動は非常に重要でございます。こうした活動を国が認定し、活動の意義や重要性を改めて明確にすることで、地域での情報発信や企業等からの活動支援につなげ、地域で希少種保護を始めとする活動をされてきた方々を応援できるような制度にしたいというふうに考えております。

宮澤委員 ありがとうございました。

 表彰もいいですけれども、是非いろいろな保護団体を視察されてください。大臣が行くだけで、多分地元の皆さんは喜ばれると思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 最後の質問とさせていただきます。

 先ほど、アカウミガメについて言及いたしましたけれども、これは天然記念物。天然記念物制度というのはありますよね。これは文化庁だと思います。そして、四百四十八種と一番最初に言いましたが、種の保存法。それから、ワシントン条約とそれを国内で担保するための外為法。それぞれあるんですけれども、もうこんがらがっちゃうんですよね、我々からすると。これがどのように整理されて、今回の法律ではどのように活動が推進していくのか、そこのところをちょっと整理するという意味でも、再度説明をしていただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の諸制度につきまして、それぞれ、制度の目的に応じて動植物等の保護、管理に関する仕組みが設けられているもの、確かにたくさんございますので、整理をして御説明申し上げます。

 まず、天然記念物制度につきましては、文化財保護法に基づきまして、動植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもののうち重要なものを指定し、保護していくという制度と承知してございます。

 次に、二番目、種の保存法につきましては、絶滅のおそれのある野生動物の種の保存のため、希少野生動物種を指定し、捕獲、採取や国内取引などを規制するほか、国内に生息、生育する種については、必要に応じ、生息地、生育地の保護や個体の保護増殖を実施してございます。

 三番目の、絶滅のおそれのある野生動物の種の国際取引に関する条約、いわゆるワシントン条約につきましては、野生動植物の一定の種が過度に国際取引されることのないよう、対象種の輸出入を規制するというものでございます。我が国におきましては、この条約の履行のため、外国為替及び外国貿易法に基づきまして、ワシントン条約対象種の輸出入について承認が必要なものとすることにより管理をしているということと承知しております。

 本法案につきましては、国内におきまして、一定の場にひもづいた活動を促進することで、その場における生物多様性の維持、回復、創出を図っていく仕組みとしてございます。種の保存法で指定されているような希少種保護の活動はもちろん、生態系の重要な構成要素となる普通種や、天然記念物である動植物を含め、面的に動植物の生育環境を維持、回復させていく活動も認定の対象になります。

 環境省としては、この法案を通じた活動が、希少種の保護や地域の文化を構成する自然の維持などを含め、幅広い課題に対応できるような制度となるよう、今後運用に向けて準備を進めてまいります。

宮澤委員 以上で終わります。ありがとうございました。

務台委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 今日は、地域生物多様性増進活動促進法案、略称でもこれだけ長いわけですけれども、その法案審議ということで質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 大臣を始め環境省の皆さんに何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、本法律案の基本理念等について確認的にお伺いをさせていただきたいと思います。

 本法律案では、第三条において、ネイチャーポジティブの実現に向けての基本理念を規定するのとともに、その前条の二条において、生物多様性の増進の定義、これを定義されております。読みますと、生物多様性の増進とは、生物の多様性を維持し、回復し、又は創出することをいうと定義しております。

 また、環境省による自然共生サイトの認定につきましても、今回の法制化に合わせ、これまでの生物多様性が豊かな場所での活動、いわゆる維持活動に加えて、今後は、管理放棄地等における生物多様性の回復活動や開発跡地等における生物多様性の創出活動、これも新たな対象に加えるというふうにしております。

 そこで、大臣にお伺いをしますが、今回の新法では、これまで生物多様性増進活動の対象ではなかった回復とか創出について、どのような考えから新たに対象とすることにしたのか、その背景と意義、また、さらにはこの対象拡大による効果、こういったところをお答えいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 環境省では、民間等の取組によって良好な生物多様性が維持されている区域を自然共生サイトとして、既に全国百八十四か所を認定したところでございます。

 一方で、ネイチャーポジティブの実現に向けては、生物多様性をよい状態で維持していくことに加え、管理放棄地あるいは開発跡地等での生物多様性の回復、創出に向けた活動を促進し、自然再興、ネイチャーポジティブの要素をより強化していく、このことが必要となってきております。

 このため、今回の本法案では、自然共生サイト相当の認定に加えて、劣化した生態系の回復や緑地の創出など、これから生物多様性の回復、創出に取り組む活動も認定の対象としたところでございます。

 こうした活動に必要な手続のワンストップ化等の特例措置を設けること等によって、民間等による生物多様性増進活動を一層促進することで、我が国の生物多様性の質の向上を図って、ネイチャーポジティブの実現を強力に目指してまいりたい、そのように考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今大臣がお答えいただいたとおり、今までは、やはり維持活動、要するに守ることが主体だったと思います。今回は、そこから新たに一歩前に出て、能動的な、生み出す活動、これを打ち出していただいた。それによって、まさしく企業とか、今、宮澤委員もいろいろな団体活動の説明がありましたけれども、団体が能動的、さらには主体的な活動をすることができる、またそれを促す。

 そういった意味においては、今回、この定義に新たに加えたということは非常に私は有意義だというふうに思いますので、そういったことも現場でお伝えをいただきながら、特に、企業等は、こういった環境活動、生物多様性増進活動に非常に今意識を高く持っていますので、そういった取組が進むようにまたお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、サーティー・バイ・サーティーについてお伺いをいたします。

 特に、このサーティー・バイ・サーティーの指標の根拠と、目標達成による具体的な効果、どういった効果が出てくるのか、ここについて確認をいたします。

 二〇二二年十二月に、新たな世界目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択されるのとともに、我が国もその世界的な流れとまさしく歩みをそろえる形で、生物多様性国家戦略を改定をし、二〇三〇年までのネイチャーポジティブの実現、今大臣がおっしゃっていただきました、さらには、陸と海の三〇%以上を健全な生態系として保全するサーティー・バイ・サーティーの目標を掲げております。

 そこで、まず初めに、確認的にお伺いをしますが、今回、目標として掲げられているサーティー・バイ・サーティーの、特に、この保全目標を三〇%以上にするということの指標の根拠、ここを御答弁をいただきたいと思います。

 また、加えて、サーティー・バイ・サーティーの目標達成、これは二〇三〇年目途ですが、その達成によって将来的にはどんな効果が現場で出てくるのか、このことについてもお答えをいただきたい。

 さらには、三点目に、今回の法案による生物多様性増進の活動は、例えば、里地里山の保全とか都市緑地の整備など、陸域での取組が非常に多く紹介をされております。また、陸域の保全地域は既に二〇・五%であるために、私は、陸域での目標達成は大丈夫じゃないかな、こんなふうにも考えているわけですけれども、片や、海域での保全はいまだ一三・三%、非常に海域での目標の達成というのはちょっと厳しいんじゃないか、こんなふうにも感じておる一人でございます。

 そこで、海域での三〇%以上の目標に向けては、今後どんな活動を想定しているのか、この取組の展開についてもお伺いをしたい。

 以上三点、よろしくお願いいたします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 三つ質問をいただきました。

 まず一点目、サーティー・バイ・サーティーの三〇%の設定の根拠は何かということでございますが、二〇一〇年の愛知県名古屋市で開催されましたCOP10、ここで合意された二〇二〇年までの愛知目標におきましては、保全の目標は陸が一七、海が一〇といった数字でございました。

 生物多様性のネイチャーポジティブを増進するためにこれを引き上げるという国際的な議論の中で、二〇三〇年に三〇%という目標が議論され、定められたものだというふうに承知しておりますが、この三〇%という数字自体は、様々な研究報告におきましても、生物多様性を保全する地域を三〇%以上確保することが、科学的根拠があるんだというような指摘もあります。国際交渉の結果、合意されたんだと思っております。

 例えば、世界の陸生哺乳類の多くを守るために保護地域を三三・八%にまで拡大する必要があるという一部学者の指摘、それから、我が国の保護地域を三〇%にすると生物の絶滅リスクが三割程度減少するという研究結果がございます。これが一点目でございます。

 それから二点目、効果でございますが、健全な生態系を回復することによりまして、自然から様々な恵みを享受することが期待されます。

 例えば、健全な森林生態系は、二酸化炭素の吸収源となるほか、自然災害に対する防災、減災等に寄与するということでございます。また、地域の豊かな自然資本は、観光振興や地域づくりの基盤になるというふうに考えてございます。

 三点目、海域の件でございます。非常に的を射たというか、厳しい御質問だと思っています。

 現在、約一三%程度の保全が図られている地域に加えまして、新たに一七%に当たる地域の保全が必要でございます。海域は、陸域と違って、技術的にもなかなか難しい問題がございます。この目標を達成できるよう、関係省庁と連携いたしまして、OECMに資する海域についての具体的な考え方等の整理を加速してまいりたいというふうに考えてございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 サーティー・バイ・サーティーとよく言うんですけれども、その根拠というのはどこにあったのかなというのは、意外に、実は私も政務官をやっていたときから議論されていなくて、その指標をやはりしっかり知っておくことは大事だなというので、今日は確認的に質問させていただきました。

 その上で、やはり二〇三〇年までに三〇%以上というこのサーティー・バイ・サーティーは、非常に語呂がいいと思うんです。ですから、これがすとんと国民の中に入ってくると、非常にいい語呂だと思いますので、やはりそれをしっかりと浸透していきながら、これからは企業とか民間の団体等でも能動的にそういった保全活動をやっていただくわけですので、是非お広げいただきたいなというふうに思います。

 また、加えて、その効果というのも、その後、二〇三〇年目途ですけれども、今、CO2削減とか防災、減災、この防災、減災というのは非常に大事な部分かと思います、さらには観光地の促進、こういったところに資するんだということも併せてやはり共有していくこと、これは非常に大事だと思いましたので、その効果というのも、ただ三〇%を達成するのが目標じゃなくて、その先にどういった姿が表れてくるのか、そういったところも示すことが大事かと思いまして、お伺いをさせていただいたところでございます。

 加えて、そういいながら、海域は、私も実際これは非常に難しいだろうなと。関係省庁なり連携するところが相当やはりしっかりと連携を図りながらこの目標に向かって行っていく、さらには、新たなる知恵も出していかないかぬなと。ブルーカーボン等の議論等もありますけれども、そこは本当に省庁横断的に、知恵を出し合いながら進めていっていただきたい、ここは要望にさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、この法律案と国交省所管の都市緑地法の改正案との関係性についてお伺いをしたいと思います。

 今国会では、生物多様性の増進及び緑地の保全、さらには、それら環境分野への民間投資の促進、こういったことを目的に、環境省所管の本法律案とともに、今回、国交省の方でも、戦略的な都市緑地の確保を目的とした都市緑地法等改正案、これが提出をされております。非常にタイミングよく同じような内容の法案が出てきたなというふうに私は認識をしていて、やはり各省庁にCO2削減とか脱炭素とか生物多様性、これが本当に横串で入ってきておる、その証左だなと私は実感をしておる一人でございます。

 この都市緑地法等改正案は、具体的には、緑と調和した都市環境整備への民間投資の呼び込みを促進するために、民間事業者等による緑地確保の取組に係る国による指針の策定でありますとか、都市の脱炭素化に資する都市開発事業に係る認定制度の創設、こういったものが盛り込まれておるというふうに伺っております。

 そこで、今日は環境委員会ですので、改めて環境省に伺いますが、今回、国交省より提出をされております都市緑地法等改正案と本法律案はどのような関係性を持ち、かつ、お互いにどのように有機的に機能をしていこうとしているのか。特に、都市緑地法等改正案で新たに創設をされる認定制度により認定された都市緑地と、これは都市部では結構進んでいくと私は期待をしております、この都市緑地とOECM及び自然共生サイトとの関係性、こういったところも含めて御答弁をいただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案でございますが、環境大臣、農水大臣、国交大臣の三大臣の共管法でもございまして、国土交通省とは、お互いの検討会にオブザーバー参加するなど、制度の検討段階から密に連携をしてきたところでございます。

 今回の法案は、里地里山、企業の森林や都市の緑地等における生物多様性の維持、回復、創出に関する活動を認定し、民間等による活動を促進するものでございます。

 例えば、都市部での企業緑地などにつきましては、国土交通省が今回都市緑地法の改正案で設けようとしています認定制度、こういったものを受けようとすることも想定されるところ、環境省といたしましては、共通化できるものがないかの検討を含めて、企業等にとって使いやすいようなものとなるように、今後、基本方針等の細部の制度設計の段階で調整を進めていきます。

 また、法律上も、相互の制度連携につきまして、本法案の基本方針と、都市緑地法改正法案で新設される緑地確保指針を相互に調和すべき旨を規定をさせていただくという方向で法案の規定を設けているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回の両法案は、非常に関係性が深いということと、有機的に機能させていくことが大事だという思いで、今日、改めてここで聞かせていただきました。

 その中で、今、最後に局長の方から、法案の附則ですかね、調和をすべき、調和を図りながら進めるという一文も入れておるというようなところも御紹介をいただいたわけでございます。

 今回、都市緑地法等改正案、これは国交省所管ですけれども、昨年十二月の税制改正なんかでも新たなる要望が出てまいりまして、そして、都市緑地、さらには企業緑地、これを進めていくという方向性が出てまいりました。これは、非常に私は重要な部分だというふうに思っています。

 この都市緑地法等によって、企業緑地や都市緑地を進めていく、これは、ディベロッパー等が、相当これからやはり企業価値を高めていくという意味においても進めていくんじゃないか。既に東京、首都圏では相当進んでいますし、これからやはり関西圏、さらには名古屋圏、福岡圏、こういったところで期待ができるわけですけれども、進めていく中で、この認定制度で認定されたものが、いわゆるOECMとか自然共生サイトにそのまますとんとスライドされていけば、何も問題なく、どんどんどんどんサーティー・バイ・サーティーも広がっていくわけですけれども、そこで、実は中身が違うということで、OECMの設定とか、さらには自然共生サイトにすとんと流れていかないとなると、同じタイミングで両法案を出した意味合いというのが私は薄れてくるというふうに思います。

 まさしく調和を図るという附則も入れていただいていますので、詳細を詰めながら、そこがうまく有機的に機能してリンクをし、かつ、それによって自然共生サイト等も増えていく、そしてサーティー・バイ・サーティー等が、またネイチャーポジティブ等が進んでいく、こういった方向性を打ち出していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、今回の法律における税制改正について少し提案をさせていただきたいと思います。

 本法律案では、里地里山の保全など、地域における生物多様性増進活動を行おうとする市町村は、その連携促進活動実施計画を作成し、主務大臣の認定を申請することができるとともに、認定を受けた市町村は、その実施計画のために必要があると認めるときは、認定連携活動実施者、ちょっとこれは文字が全て長いんですよ、認定連携活動実施者及びその区域の土地所有者等と生物多様性維持協定を締結をして、その土地の区域内の連携地域生物多様性増進活動を行うことができるというふうにされております。

 また、この協定は、活動の継続性、さらには安定性を担保するため、その公告のあった後において、相続人等、その土地の所有者となった者に対しても、その効力があるというふうにされております。土地のその後の相続人に対しても効力が引き続き発生しますよ、こういった内容が書かれております。

 確かに、生物多様性維持協定は、長期安定的にこの活動を実施するために必要なものであるというふうに認識をいたします。しかし、それは同時に、その協定区域内の土地の所有者並びにその後の相続人に対しても、一定のその土地の活用等における制限をかけるものでもあります。

 ゆえに、私は、連携地域生物多様性増進活動並びにその協定について、決まってくる土地については、手続を円滑に進めるためにも、何らかのインセンティブをやはりしっかりとつけることが必要じゃないか。具体的には、その土地に係る固定資産税とか相続税など、税制上の優遇措置を検討していく必要が私はあるのではないか、それによって円滑な協定、こういったものを進めることの必要性があるんじゃないかと思いますが、その点について、環境省の見解をお伺いします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の生物多様性の維持協定でございますが、本法案に基づく連携増進活動実施計画の認定を受けた市町村と、市町村と連携して活動を行う者、それから土地の所有者等が協定を締結することにより、長期安定的な活動を担保するための制度として提案をしてございます。

 この生物多様性の増進活動の実施に当たりましては、その土地の所有者等の協力が不可欠でございますが、土地の相続等により所有者が替わるという場合に、相続をした者が気持ちが変わったりして、協力が得られなくなったりする場合があります。

 そのため、生物多様性の維持協定につきましては、協定の締結後に新たに土地の所有者等となった者に対しても協定の効力が承継されるという仕組みを設けることとしてございます。

 これは、逆に言いますと、土地の所有者には一定の何か土地使用に関する制約を課すという側面があるということは先生御指摘のとおりでございます。そういうところもございまして、税制措置をという御指摘でございます。

 環境省といたしましては、まだ御提案も申し上げておりませんし、今後の話ということでございますけれども、今回の法案の整備を前提といたしまして、活動を支援するための税制措置の検討を進めて、法の施行までに結論を得ていきたいというふうに考えてございます。

中川(康)委員 生物多様性増進活動をこれからしっかり進めていきたい、そのためには、やはりそういった土地において、しっかりと土地の持ち主と協定を結んで長期安定的にしていきたい。これが、考え方が変わって、私は嫌だとなって、そこがいわゆるそういった活動ができなくなるとなると、まさしくこれから創出とか回復までやっていくという方向まで出しているのに、非常にもったいない話になるわけなんです。

 当然、私は、土地所有者並びに相続人の多くの方はそういったことには御協力をいただけるというふうには思うんですが、やはり不測の事態というのは当然あるかもしれない。しかし、今回の協定というのは一定の縛りがかかりますから、そこにはやはり表と裏で、インセンティブがあるということは、私は国の施策としてあっていいんじゃないか。

 そういった意味においては、相続するときの相続税とか、あとは固定資産税、ここの優遇措置というのは、私は当然考えていい話だなというふうに思うわけですけれども、これから恐らく年末の税制協議に向かって関係省庁との協議に入っていくかと思うんですが、私は、ここは何としてでもやはりしっかり形にしてもらいたいというふうに思うわけです。

 ちょっと通告していませんが、大臣、ここに対してのお考えを一言いただけますでしょうか。

伊藤国務大臣 新しい政策を、法案を出すに当たっては、その法案の施行に際してそれが効果的に推進できるように総合的に考えていく必要があると思います。

 そういう意味をもちまして、今委員御指摘の税制措置についても検討していく必要があるというふうに考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 大臣にちょっと通告をしなかったわけですけれども、是非とも大臣の一言もお伺いしたいということで、御無理を申し上げました。ありがとうございます。

 最終的には、例えば、トラスト協会が持っておるとか自然団体が持っておるそういった広域なところも、そういった考え方を出してもいいんじゃないかというふうに思うんですが、まずは第一歩として、今回のところにおける税制措置、こういったところの提案をさせていただきました。

 次に、ちょっと視点を変えまして、国立公園の保護管理体制の充実強化についてお伺いをしたいと思います。

 陸と海の三〇%以上を保全するサーティー・バイ・サーティーの目標達成は今回の法案に入っているわけですけれども、里地里山、都市緑地など、OECMの推進と同時に、現在、全国で三十四区域が指定されております国立公園等の保護地域の拡張も重要な取組ということで考えられております。

 そのような中、今夏には、今年の夏には、日高山脈襟裳国定公園を中心とする区域が新たに三十五番目の国立公園として指定される予定であり、これは、実は我が国最大の陸域面積の国立公園が誕生することになります。

 環境省における国立公園の管理体制は、全国七か所の地方環境事務所が国立公園の事務を行っており、その下に国立公園管理事務所、さらには自然保護官事務所等が配置をされております。

 また、それら事務所には、いわゆるレンジャーと呼ばれる自然保護官や国立公園管理官及びそれを補佐するアクティブレンジャーが、国立公園内の巡視や保護管理を始め、希少種保全や外来種対策等に従事をしておりますが、近年、国立公園は、生物多様性の屋台骨として、野生生物対策や生物多様性保全など新たな業務も担っており、国立公園の現場における業務は年々増加をしてきております。

 さらには、国立公園満喫プロジェクト等に象徴されるように、国立公園の利用や活用に向けての期待も非常に大きく、これまでの保護とのバランスを取って管理を進めるためにも、現場の保護管理体制の充実強化は喫緊の課題と私は考えます。

 そこで、環境省に伺いますが、今夏には新たな国立公園の指定が予定され、今後も現場で従事する自然保護官等、レンジャーの役割の拡大による業務の増加が予想される中、保護官等の増員も含めた更なる保護管理体制の充実強化は大変重要な取組というふうに考えますが、環境省の見解をお伺いしたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省の自然系技術職員、いわゆるレンジャーは、現地に駐在することにより地域に密着し、かつ、各地の自然を熟知した職員が国立公園の保護管理等を担っているというものでございます。環境省では、レンジャーを中心とする現地の管理体制の強化に取り組んでおります。

 令和六年度は、国立公園調整官で三陸復興国立公園、及び国立公園保護管理官、白山国立公園でございますが、それから、やんばるにおきまして国立公園の高付加価値化企画官、この三名の新規配置を行いまして、国立公園の現地管理のため、二百名を超える体制を確保しているところでございます。

 先生御指摘のとおり、新たな国立公園の指定を予定をしてございます。また、国立公園の満喫プロジェクトにつきましても更なる推進を図るということにしておりまして、国立公園の現地管理業務というものが大きく増加しているところでございます。引き続き、地元関係者との連携を図りながら、必要な体制の確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回の法案というのは、一義的には、ネイチャーポジティブの促進とか、さらにはサーティー・バイ・サーティーの目標達成というところに重きが置かれております。それは、私は十分承知をしておるんです。しかし、それと同時に、その前提として、国立公園等の保護地域を拡大、拡張していくんだ、これによって更に増やしていくんだということも書かれておる。

 その中において、私もまさしく政務官時代に、コロナだったものですから、国内を回ることを中心に、結構国立公園とかも回らせていただきました。

 そうしたら、やはりその現場におけるレンジャーの皆さんの御努力とか活動というのはすばらしいんですよ。しかし、その事務所では、実はもう三人しかいないとか、なのに広大な地域を管理しているとか、いっぱいありました。

 中には、本当にそこの首長さんや団体の皆さんと非常にいい関係を持って、逆に言えば、まず飲まないと話ができないんだみたいなことを言っているレンジャーさんもいましたよ。それぐらいやはり関係をつくらないと、その地域には入れないんだと。しかし、あるところなんかは、その町長さんが、この人には俺の後の町長になってほしいぐらい頑張ってくれているんだという、そういったレンジャーさんもおりました。それぐらいやはり現場で、霞が関なり永田町では見えないところで頑張っているレンジャーの方がたくさんおられたんですね。

 だから、やはりこういったところに我々環境委員会は光を当てて、そこの頑張りというのも応援していくようなその姿勢、体制というのも、今回の法案を機にちょっと一言言いたいなと思ったものですから、大臣並びに副大臣、また政務官、さらには局長、ひとつよろしくお願いを申し上げます。私も、あの緑の服をもう一回着たいような思いがありますので。

 最後には、事業者及び国民の理解増進についてお伺いをします。

 本法律案では、その三十二条において、国は、教育活動、広報活動等を通じて、地域生物多様性増進活動に関し、事業者及び国民の理解の増進のための措置を講じるというふうに明記をいただいております。

 確かに、今後、我が国において生物多様性増進の理解を広げていくためには、学校等教育現場や地域、企業等においてその必要性を広く知らしめるとともに、一人でも多くの人に、さらには一社でも多くの社に、企業に参画してもらえるよう、その仕組みやまた広報等を工夫していくこと、これは重要なことだと思います。また、それはまさしく大臣が提案をされておる同心円による環境政策の推進にも私は通じるものがあるんじゃないかなというふうにも思っております。

 そこで、最後に伺いますが、環境省は、ネイチャーポジティブやOECMの推進、さらにはサーティー・バイ・サーティーの目標など、これら地域生物多様性増進活動を今後どのように分かりやすく、また具体的に広げていこうと考えているのか、そういった広報等について最後にお伺いをいたします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国民、事業者の関心、理解を深めまして、我が事として認識していただくことが非常に重要だと考えています。令和四年度に実施した世論調査におきましては、生物多様性という言葉の認知度が約七割ぐらいになってございまして、過去の調査に比べ上昇傾向ではありますけれども、更に関心、理解を深め、実際の行動につながるということが大事だというふうに考えてございます。

 サーティー・バイ・サーティーや自然共生サイトにつきましては、有志の企業や団体等とサーティー・バイ・サーティー・アライアンスというものを立ち上げまして、シンボルとなる様々なロゴとかイメージキャラクター、こういったものも使いながら分かりやすく広報もやっておりますし、やはり人の語り口ということで、森里川海アンバサダーという、たくさんの有識者の方々に自然共生サイトの広報大使をお受けいただくということで広報を推進しておりまして、本法案に基づく認定を受けた活動についても同様に発信をしてまいりたいというふうに考えています。

 また、先生御指摘のとおり、子供たちでございますが、子供たちとか若年層に自然の大切さを実感してもらうための環境教育の推進、こういったものも行ってまいりたい、生物多様性の状況等を分かりやすく見える化するシステムの構築というものも必要じゃないかというふうに考えてございます。身近な場所で活動が実施され、自然の豊かさを実感できるように推進することによりまして、生物多様性やネイチャーポジティブへの関心、理解を深めてまいりたいというふうに考えてございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 アライアンスの取組も私はずっと一緒にさせていただいて、カエルを合わせたようなシンボルマークですね、最初に見たときに、何だ、この分かりにくいのはというふうに思ったわけですけれども、しかし、それも浸透していくとやはり身近に感じるんですよね。デコ活も、そういった意味においてはこれからかなというふうには思っているんですけれども。

 今回、学校教育活動における子供、さらには企業というところがやはり一つのキーワードだと思います。この学校等教育活動については、体験とか、そういった実感ということを是非進めていただきたいな、ここによって、自分自身がそれを体験するという、大臣がおっしゃる我が事というところにつながると思います。

 三十四の国立公園、今度、三十五になりますけれども、そこで、例えば夏の活動なんかで体験したら、これは一生得難いものになると思うんですね。さらには、企業等においては、こういった活動に参画することによって、企業ですから、企業価値に資するんだというところをやはりしっかりと浸透していって、そして一社でも多く参画をする、そういった環境を、今回の法案を機にどんどんどんどん我が国において進めていく、広げていく、この一つの大きなきっかけになるチャンスがこの法律に私はあると思いますので、その点を確認しながら何点かお伺いをさせていただきました。今日は、法案の審議をさせていただきました。

 以上、公明党を代表しての質問を終わります。大変にありがとうございました。

務台委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十一分散会


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