衆議院

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第11号 令和6年5月10日(金曜日)

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令和六年五月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 務台 俊介君

   理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君

   理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君

   理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君

   理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君

      井上 信治君    井上 貴博君

      石原 正敬君    稲田 朋美君

      金子 容三君    菅家 一郎君

      国定 勇人君    熊田 裕通君

      笹川 博義君    柳本  顕君

      鷲尾英一郎君   大河原まさこ君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      松木けんこう君    屋良 朝博君

      渡辺  創君    杉本 和巳君

      空本 誠喜君    林  佑美君

      中川 康洋君

    …………………………………

   環境大臣         伊藤信太郎君

   環境副大臣        八木 哲也君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           清浦  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       佐藤  紳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       神田 宜宏君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       堺田 輝也君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  長崎屋圭太君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           殿木 文明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      植田 明浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  秦  康之君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  屋良 朝博君     渡辺  創君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺  創君     屋良 朝博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)


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     ――――◇―――――

務台委員長 これより会議を開きます。

 この際、伊藤環境大臣から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤環境大臣。

伊藤国務大臣 五月一日の水俣病関係団体との懇談において、時間を超過した一部の方について、発言の途中でマイクの音量を切るという運営をしたことを五月七日に事務方から報告を受けました。この点については、大変遺憾であり、発言されていた方に対して大変申し訳ない思いでございます。

 このため、五月八日に私自身が再び水俣に出向き、七つの団体の十名以上の方々とお会いして謝罪するとともに、参加者お一人お一人から御意見、御要望を伺わせていただきました。また、発言中にマイクの音量を切られてしまった方のお一人については、奥様の御位牌に御焼香させていただいた上でお話をさせていただきました。

 皆様からは、人の気持ちを考えた対応をしてほしい、懇談の際にもっと時間を取って話を聞いてほしい、今回のことを反省してしっかり引き継いでほしいといったことなど、様々な御意見、御要望をいただいたところでございます。

 この中で、改めて懇談の場をつくってほしいといった御要望があり、私の責任で懇談の場を設けることを決断いたしました。具体的な時期、方法について、今後調整してまいりたいと思います。

 今回の深い反省の上に立って、環境省として皆様に寄り添って対応ができるように、しっかり進めてまいりたいと思います。

     ――――◇―――――

務台委員長 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官清浦隆君、農林水産省大臣官房生産振興審議官佐藤紳君、農林水産省農村振興局農村政策部長神田宜宏君、農林水産技術会議事務局研究総務官堺田輝也君、林野庁森林整備部長長崎屋圭太君、経済産業省大臣官房審議官浦田秀行君、経済産業省大臣官房審議官殿木文明君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官植田明浩君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長秦康之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

務台委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創です。

 不知火海は、内海の実に穏やかな海です。慰霊祭が行われるエコパーク水俣の親水海岸からは、まさにその穏やかな海であるという姿がよく御覧いただけるのは大臣も御存じかと思います。

 その穏やかで豊かな海を前に、ずっと穏やかに暮らしていきたいというふうに考えていた方々の体をむしばみ、人生を大きく狂わせたのは水俣病です。自ら何ら瑕疵があるわけでもないのに、偏見や、時に有形無形の圧力とも闘い、声を上げられずに苦しんできた人たちがいる、強大な企業や国や県を相手に民が必死で声を上げ、自らの尊厳の回復と、それを救済しようとしない社会のおかしさを訴え続けている、これが水俣病の闘いの本質だというふうに思います。

 その患者団体の皆様の声をマイクの音を切るということで遮った、これが環境省であり、伊藤大臣であります。是非を議論する段階にはないと思います。これは単なる暴挙としか言いようがないというふうに思っています。

 この懇談会は、そもそも環境省が主催するものです。環境省が主催するわけですから、これまでの説明を聞いていると、以前から、発言が長引いた場合にはマイクの音量を切るという対応が環境省のマニュアル、段取りにはあったそうであります。

 繰り返しますけれども、これは環境省が主催の懇談会です。自ら関係団体の方々に来ていただいておきながら、呼んでおいて一方的にマイクを切る。何が情けないというかといえば、環境省がこういう対応に何の疑問も持たずにマニュアルのルーティンにしていたこと、つまり、環境省が公害患者に対してそういう姿勢の省庁であったということが大変恐ろしいことだと私は思います。

 大臣は、責任者としてこのことをどう思っていらっしゃいますか。

伊藤国務大臣 大変申し訳ないことだと考えております。

渡辺(創)委員 大変申し訳ないの一言だけなんでしょうか。環境省は、繰り返しこれまでも話が出ているように、水俣病は環境省ができる原点の一つですよね。にもかかわらず、そういう対応を環境省がずっと構えていたことについて、申し訳ないの一言だけですか、大臣。

伊藤国務大臣 申し訳ないと思うとともに、深く反省し、これをどうしっかり是正できるか、それについても全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、どういう言葉で表現したらいいか分かりませんけれども、本当に心の底から申し訳ないと思っておりますし、そういう環境省の体制、これは変えなければならないと私は思います。

渡辺(創)委員 引き続き大臣にお伺いをします。

 昨日、立憲民主党が開催した国対ヒアリングで、大変驚いた発言がありました。懇談会のあった一日以降の経緯を聞く中で、大臣はトラブルになったという認識を懇談会の直後から持っていなかったのかということを環境省の方に確認をしたところ、環境省は、大臣は当初、十分に話を聞くことができ、懇談会も時間内に収めることができ、充実したものになったと考えていた、環境省としては当初は同じ印象だったとの認識を示しました。

 充実したものだったんですか。私、信じ難い発言だと思ったんですが、伊藤大臣はそういう認識でいらっしゃったんですか。

伊藤国務大臣 充実したという認識を必ずしも持っていなかったと思います。

渡辺(創)委員 信じ難いことはもう一つありますけれども、環境省の説明によれば、一日に会場を後にした以降、事のてんまつについて大臣とやり取りをしたのは七日の午前が最初ということになっていますけれども、危機管理はどうなっているんですかね、にわかに信じ難いです。

 大臣にお伺いをしますが、大臣は、懇談会後、会見を行っていらっしゃいますよね。その後、車で移動されて、新幹線で福岡に向かい、空路東京に帰り、SNSを確認すると、翌日は地元の宮城県にいらっしゃったようでありますけれども、大臣は、一日にああいう懇談会になって以降、七日に事務方から報告を受けるまで、水俣病患者団体の皆さんとの間で意見交換会をめぐってトラブルになったという問題認識を全くお持ちじゃなかったんでしょうか。

伊藤国務大臣 五月一日の懇談の際、各団体のお話は、私にはまず全て聞こえておりました。そして、現場で、環境省の職員がマイクを切ったことについてどう思うかという趣旨の御質問がありましたが、私は、マイクの音量を切ったのか、切ったとしても誰が切ったのか、事実関係は分かりませんでした、そこで、懇談及び記者会見の場では、環境省の職員がマイクを切ったことは認識していないという趣旨のことを申し上げたわけでございます。

 懇談会後、事務方が連休中も確認作業を行っておりました、その旨報告を受けておりました。その後、連休明けの初日の朝となる五月七日午前中に事務方からマイクの音量を切ったとの報告を受けました、そこで、私は、その日のうちに謝罪や現地訪問の対応を指示したところでございます。

渡辺(創)委員 懇談会の最終盤の様子は、テレビの映像であったりとか新聞の報道、写真等でも多くの国民が知るところになっています。

 今日、配付資料を配っているので、見ていただきたい。そこにも写真が載っていますが、司会の室長さんがエクスキューズをしている後ろで、大臣は、封筒を手に、困った表情を浮かべて立っているではありませんか。この写真を見ていただければ分かると思いますし、さらに、テレビ等でもさんざん当日の様子は流れていますが、懇談中にマイクの音量が途切れた場面でも、参加者の方から、被害者のことを考えよっとなら、しゃべらせたらいいのにとか、聞いてやれな、大臣というふうに声が上がっていますよね。会場は紛糾していたと思います。

 しかも、さっき申しましたように、大臣が出るときにはああいう状況になっていますよね。そして、終わった後の記者会見でも、この件について大臣は聞かれていますよね、マイクの音量が聞こえていたか、聞こえていなかったか。

 だから、その場で、原因が音量を下げたことか否かというのは分からなかったというふうに百歩譲ったとしても、関係団体の皆さんからヒアリングをしている、懇談をしている場であれだけの声が上がれば、トラブルになったという認識がなかったというのは、にわかに信じ難いですけれども、本当にあそこでトラブルがあったという認識は大臣はなかったんですか。

伊藤国務大臣 五月一日の懇談等について、私は各団体のお話は全て聞こえておりまして、発言の途中でマイクを切られてしまった方のお一人については、団体として全部で七分程度お話しされ、終わりまで全て伺いました。

 そして、その後、二団体がまた御発言なさって、その後、私が八団体の御要望や御意見に対して私なりの回答をお話し申し上げて、そして懇談会が終了して、そして私が退出する途中にそういう御質問があった、そのときの場面を今委員がおっしゃっているんだろうと思います。

 ですから、そういう意味では、全く混乱がなかったというわけではないと私は思います。

渡辺(創)委員 じゃ、あの場でトラブルがあっている、あの方々が上げている声は、何らか環境省に対しての不満の表明をしているんだというのは、大臣は一日の時点で認識があったということですね。

伊藤国務大臣 環境省に対してか、あるいは運営に対してか、あの時点では私としてははっきり峻別できませんでしたけれども、多くの意見表明があったことは事実でございます。

渡辺(創)委員 あの場で分からないということ自体、私は問題だというふうに思いますよ。さっきも言いましたように、環境省の主催の懇談会ですからね。運営であったって、環境省がやっていることですから。その認識は、ちょっとかなり危ういものだというふうに思いますが、話を進めたいと思います。

 大臣、七日に事務方から話があるまで、大臣としての対応はなかったというふうに話されていますけれども、最初の報道は五月二日の朝刊の紙面ですよ。読売新聞、西日本新聞、さらには地元の熊本日日、そして、同じく被害者の皆さんがいる鹿児島の南日本新聞、それぞれ二日の朝刊で報じています。

 さらに、ウェブ版でいえば、地元の熊本日日新聞は、一日、二十二時〇三分の配信で、「環境相に「話聞く気あるのか」 水俣病患者団体、怒りあらわ 懇談で環境省が発言制止」との見出しで流れているんですよ。

 日程を確認しておりますが、大臣が熊本から東京に戻られたときには、既にオンラインでニュースが流れていて、環境省がこういうことをやらかしたというニュースが世の中に流れていたんです。にもかかわらず、大臣は、七日に事務方から報告があるまで、御自分では何もされなかったんですか。

伊藤国務大臣 懇談会後、事務方が連休中も確認作業を行っており、その旨報告を受けたところでございます。

渡辺(創)委員 主体的には何もされなかったということを今明らかにされたんだと思います。

 大変失礼な言い方で申し訳ありませんが、当事者の方々の怒りを考えれば言わざるを得ないと思って述べますけれども、先ほどるる述べたような現場の空気やこういう状況を現地にいてつかみ取れないような感性や感覚で、水俣問題の対処や環境行政のかじ取りはできるんですか。大臣は、これは御自身の進退問題に値するトラブルだという認識をお持ちですか。

伊藤国務大臣 環境大臣として、水俣問題を始め、しっかり職務を遂行することでお応えしたいと思います。

渡辺(創)委員 本当に失礼な言い方で恐縮ですが、現場にいてあの状況が読み取れない、感じ取れない大臣が、本当に患者の皆さんたちの思いをきちんと酌み取ることができるんですか。そこに疑義があるというふうに申し上げているんですよ。もう一回御答弁ください。

伊藤国務大臣 今回の深い反省の上に立って、環境大臣として皆様に寄り添って対応を進め、引き続き職責を全うすることで資質があることを自らの行動をもって示していきたい、そのように考えております。

渡辺(創)委員 聞き方を変えます。

 現時点から振り返っていただきたいというふうに思いますが、大臣御自身の現地での振る舞いに改めるべきことはなかったか、懇談会の場において大臣がなさった対応が異なっていれば、例えば、もっときっちりと話を聞きましょうと、事務方が終わりだと言っても、大臣がそこでそういう対応をされていれば事態は全く違っていたというふうに思われますし、環境省の信用や評価がここまで失墜することもなかったはずだというふうに思います。

 今の時点から振り返られて、自らはどうあるべきだったというふうにお考えですか。

伊藤国務大臣 あのときの状況をもう一度振り返ってみたいと思いますけれども、あの方は約六分ぐらい話されたと思います、その後、私はずっと聞こえていましたけれども、マイクを絞ったんじゃないかという声がありました、そして、その後も三十秒ぐらいおしゃべりになって、それで一旦おやめになりました、それで、隣の団体の方が、私たちの時間を譲ってもいいという御発言があって、もう一度マイクが戻されまして、その後また一分話されました、したがって、大体七分半ぐらい話されて、そして発言を終えられて、そして次の団体へ移ったということでございます。

 しかし、そのときに私が、何でしょうか、聞く立場で何か進行を更に言うべきだったかどうか、今熟慮しているところでございます。

渡辺(創)委員 揚げ足を取るつもりはありませんけれども、おしゃべりではありませんよ、悲痛な思いを一生懸命お話しされたので、おしゃべりをされたわけじゃないと思いますので、これは、揚げ足を取るようで恐縮ですが、改めていただければと思います。

 今の答弁を聞く限り、大臣は、今の時点では自分がどう振る舞うべきだったということがはっきりと何か考えられることはないということなんですね、熟慮されている途中だということですね。分かりました、そういうことで進みたいと思います。

 大臣は、七日に事態を把握して、すぐに事務次官と環境保健部長を厳重注意にしたそうでありますけれども、現場にいた環境省の最高責任者は大臣ですよね、御自身の処分はお考えではないですか。昨日、総理に厳重注意されたというお話でありますけれども、九日までの事のてんまつや御自身の身の処し方を事前に岸田総理に御相談されたことはあったんでしょうか、併せて御答弁ください。

伊藤国務大臣 私自身は、今回の深い反省の上に立って、環境大臣として皆様に寄り添って対応を進め、引き続き職責を全うすることで、資質があること、そして自らの行動をもって示してまいりたいと思っておりますし、環境大臣ですから、環境省の職員が行ったことに対しては責任があると深く反省しております。

渡辺(創)委員 話の方向性を変えようと思います。

 伊藤大臣は、八日に謝罪訪問した際に、改めて関係団体との懇談を設定する方針を示されています、それは先ほども述べられました。いつ行いますか。数か月という話を現地でされたようですが、それじゃ話にならないというふうに思うんですけれども。

伊藤国務大臣 相手方との調整もあり、現時点で具体的な時期をお答えすることは困難ですけれども、できるだけ早く実施したいというふうに考えております。

渡辺(創)委員 改めて問いますが、この再懇談は何のために行うんですか。

伊藤国務大臣 水俣病関係団体、また水俣病の被害者のお気持ち、状況、御要望、また環境省に対する御意見をつぶさにお伺いし、そしてまた、私が、今これから全力を挙げて水俣対策を進めていることについてもお話をして、その意見交換ということで、力を合わせてこの水俣問題の解決に向けていくその重要な意見交換、懇談の場というふうに考えております。

渡辺(創)委員 ノーモア・ミナマタの訴訟は、大阪、熊本、新潟でも地裁判決が相次いでいて、原告の皆さんの平均年齢は七十五歳を超えてきています。命あるうちの解決というのが今強く求められているというふうに思いますし、一日に環境省が発言を打ち切った水俣病患者連合の松崎副会長が、妻悦子さんの思いを背負って紡ごうとしたのはそういう話だったんではないかというふうに思うんですね。松崎さんは、苦しい思いをしてきたことを生きている間に国に認めてもらえなかったことの無念さを、大臣にお伝えしようとしたんだというふうに思います。

 今度の改めての意見交換ですが、ただやり直すという意味では駄目だというふうに思うんです。大臣も少し先ほど述べられましたけれども、全面解決に向けて、そのために皆さんの話を聞くんだという位置づけをはっきりさせて改めて懇談をしないと意味がないと思いますが、大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 昨日の参議院の環境委員会でも申し上げましたけれども、この水俣病の問題の全面解決に向けて私は全力を挙げたいと思いますし、懇談会もその目的に沿って行いたいと考えております。

渡辺(創)委員 個人的な話で恐縮ですが、宮崎県には土呂久鉱害という慢性ヒ素中毒の鉱毒事件がありました。大臣も御存じかもしれません、公健法ができる経緯にも大きく関わった事件であります。水俣病とは原因企業は違いますけれども、被害を受けた方々の思いは共通するものがあります。

 私は、父がこの土呂久鉱害の裁判闘争を支える事務局を務めていたので、幼き日から原告の方々と接してきました。そういう鉱害被害者の皆さんを支えるという家庭の中で育ってきたというのが私の出自であります。

 私が小学校高学年のときに、この土呂久の裁判闘争は山場を迎えていました。土呂久というのは、当時は宮崎から車で半日ぐらいかかる県北の非常に山の中の集落であります。その山村の、私にとって心優しきおじいさんやおばあさんたちが、原告勝訴の判決に従うよう被告企業に訴えるために、東京の寒空の下で座り込みをしたり、車で何時間も揺られて宮崎の裁判所まで出てきて、たすきをかけてマイクに向かって訴える。本来、人の前で話すことすら得意ではないと思われる山村の集落の皆さんたちが、必死になって救済を訴える姿というのは、私の心、子供心にも大変焼き付きました。

 十五年かかった土呂久の裁判は、一九九〇年に最高裁の勧告で裁判闘争としては決着を図るわけでありますけれども、その際も、患者の皆さんの高齢化が進む中で、命あるうちに解決をというのが苦渋の判断をした経緯にあったというふうに思っています。

 私は、衆議院に来てから、西村議員や野間議員とともに、超党派の水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会に加わって新潟を訪問させていただいたり、東京で患者の皆さんの話を直接伺うたびに、その姿を思い出すんです。患者の皆さんは、必死で自らの思いを訴えているわけです。

 昨日、我が党の国対ヒアリングにオンラインで出席した水俣病不知火患者会の岩崎明男会長は、出席されていらっしゃった方ですよね、私は背中に患者の思いをいっぱいからっている、そういう気持ちが分かりますか、あなた方は死ぬのを待っているんでしょう、特措法ができて何年たった、毎年毎年亡くなっていくんですよ、これをどうしてくれるのか、人間の血が通っているならそんなことはしないというふうに、政府への怒りをあらわにしました。本当にやりきれない気持ちになりました。

 大臣、再懇談は、毎年やっているから話を聞く、そういう範疇を脱するべきだというふうに思います。昨日の参院の環境委員会で大臣もおっしゃられたように、最終解決を目指して全力で進みたい、二回の政治解決でも漏れている方々がいるわけで、できる限りのことをしたいと答弁されています。

 最終解決のために、改めて被害者の皆さん、関係者の皆さんから話を聞く、そういう位置づけで改めて懇談をするんだと、ここでしっかり宣言してください。

伊藤国務大臣 昨日も総理から、環境大臣が先頭に立って、関係団体の皆様を始めとした関係者に寄り添った対応をしていくことを含め、水俣病対策をしっかり進めることを御指示いただいているところでございます。

 今委員御指摘のように、最終解決に向けて全力で今回の懇談もいたしますし、そして、今回の一回の懇談だけではなくて、既に、私を始めとする、大臣、副大臣、政務官、そして環境省の幹部が多く水俣に赴き、水俣病の被害者また関係団体の方と懇談を重ね、全面解決に向けて、その具体的な方策を力を合わせて紡ぎ出して、なるたけ早い時間にそれを実行していくために、私も全力を挙げてまいりたい、そのように考えております。

渡辺(創)委員 今大臣から、副大臣、政務官を始め環境省全体で今までも一生懸命やってきたという話がありましたけれども、それが本当に皆さんに通じていれば、一日の意見交換会であんな場面があったからといって、今ほどの状況にはなっていないと思うんです。やはり足りないものが何かあるはずなんですよ。だから、そこをしっかり考えていただきたいということをお願いしたいと思います。

 もう一つ、是非この機会に、新潟水俣病の方々の話も聞こうではありませんか。昨日の新潟日報によると、新潟の患者団体の方々も対話の場を求めていますよ。三十一日には、公式確認から五十九年を迎える県の主催式典があります。患者団体は、大臣の出席を県に要望しているはずです。

 大臣、こちらも検討して、出席いただいて、是非新潟の皆さんの話も聞いてください。

伊藤国務大臣 新潟水俣病に関する式典には、日程が許せば、地元新潟県出身の国会議員である国定政務官を派遣することとしております。国定政務官に、地元の声を丁寧に聞いてくるように既に指示したところでございます。まずは、国定政務官に参加いただき、地元の声を丁寧に聞いていただく、私自身は国定政務官からしっかり報告を受けることとしたいと思います。

 今の委員の御発言は重く受け止めて、検討してまいりたいと思います。

渡辺(創)委員 大臣の日程もあるでしょうから、その機会じゃなかったとしても、早期に是非実現していただきたい。

 そして、大臣は、九日の参院環境委員会で、大臣として解決に向けて具体的に何をやるかと問われ、多岐にわたるが、現行法制の中で最大限何ができるか、そして、現行法制で足りない部分があると指摘されているので、行政府の立場を超えてでも、そこについても一政治家として努力したいと述べています。

 昨年から続いているノーモア・ミナマタ訴訟の各地の判決も踏まえた上で、現行法で足りない部分というのは具体的に何を指しているんでしょうか。

伊藤国務大臣 関係団体からの御要望あるいは御意見を伺いますと、多岐にわたると思います。ですから、今、短時間でお答えすることは困難ですけれども、その多岐にわたるものを一つ一つ検証して、現行法制の丁寧な運用で解決できるものは解決したいと思いますし、どうしても現行法制では、やはり行政府というのは法令に基づいてしか仕事ができませんので、足りなければ、法律を実際作るのは立法府でありますけれども、元々あの法律、特措法の方は超党派の議員で作った法律でありますので、それをどういうふうにするかも含めて検討してまいりたいと思います。

渡辺(創)委員 大臣、今もお述べになりましたし、昨日も、立法府で、特措法は元々議員立法なのでというお話を繰り返されています。私は政府ができることというのもあると思いますが、この際これはおいておきますけれども、全面解決に向けて努力するというふうに大臣はおっしゃっているんですから、政府が仮に主体的に動かないなら、私たちは、立憲民主党や議連、連絡会のメンバーを中心に、今国会中に解決を目指して新たな議員立法を検討していいと思っているんです。そういう準備もしています。是非大臣も賛同していただいて、後押ししてください。そうしたら、政府も、国会議員も併せて、政治解決を、全面解決を図るために是非後押ししていただきたい。

 それが患者の皆さんの望んでいることだというふうに思いますので、伊藤大臣は身を張って全面解決のために、政府の中で環境省がこれだけの歴史的大失態をやらかしたんですから、これをしっかりと回復するためにはそのぐらいのことが必要だと思いますけれども、この大失態に直面した大臣としていかがお考えか、大臣に答弁を伺います。

伊藤国務大臣 昨日も、総理からも、環境大臣が先頭に立って関係団体の皆様に寄り添った対応をしていくこと、そして水俣病対策をしっかり進めることの御指示をいただきました。こうした御指示も踏まえて、しっかり寄り添っていきたいと思います。

 そして、今の御提案、これは具体的にその法案が出てこなければあれですけれども、患者の皆様を、あるいは被害者の皆様を救うものであれば、私は賛成して、後押ししたいというふうに思います。

渡辺(創)委員 今、極めて重要な発言があったと思いますので、この重みはしっかりとかみしめていただいて、我々も一生懸命取り組みたいと思います。

 先ほど来、官邸で総理から寄り添うようにという指示があったというお話をされていらっしゃいますけれども、寄り添うというのはどういうことなのかというのを考えれば、大臣も、改めての意見交換等もありますけれども、患者の皆さんの思いからいえば、寄り添うというのは全面的な解決を図るということ、その一点に尽きると思うんですよ。

 私は、患者の皆さんたちが望んでいるのはその一点に尽きるというふうに思っているので、岸田政権が本当に聞く力があるならば、総理が寄り添うと言っているのは全面解決を図れという意味だと私は思います。それが違うのであれば、寄り添うなどという言葉を軽々しく使わないでいただきたいと思う。

 私たちは野党の立場から、できることは限られていたとしても何とかしたいと思うので、患者の皆さんたちに寄り添ってやってきました。でも、政府はできるんですから、できる立場にあるんであれば、寄り添うと言っているのではなくて、本気で解決をする、全面解決をするということを是非誓っていただきたい。そのことを心からお願いを申し上げまして、私の質問にしたいというふうに思います。軽々しく寄り添うのではなくて、岸田政権の聞く力の本気をしっかり見せていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

務台委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十四分開議

務台委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 温対法の関連で質問という機会をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、冒頭、先ほど同僚委員からも質問させていただきましたが、水俣病の関係のことについては、私も質問をさせていただきたい、申し上げたいと思います。

 今回の環境省の対応は本当に残念であり、問題があると思います。そして、本当に残念でありますけれども、大臣に、なぜ現場で踏みとどまっていただくとか、そういう方法が取れなかったのかなというのは私も思うところであります。

 ただ、私は、これからどう伊藤大臣が対応していただくかということが本当に重要だなと思っているんです。

 少し振り返って申し訳ないんですけれども、いわゆる政治解決ということで、議員立法で救済の特措法が作られたということであります。二〇一〇年に施行されました。これは、当時、民主党政権だったわけであります。私も、環境の副大臣をさせていただいて、水俣にも参ったところでありますし、副大臣を離れて、環境委員会の筆頭理事を民主党政権の時代にもさせていただきました。

 当時から患者、被害者の皆さんから言われていたことがありました。つまり、救済に当たっての申請期間を設けるのはいかがなものか、そして、それが短いのではないか、こういうことがずっと言われてきたわけであります。

 政権におり、また政権与党であったわけでありますけれども、私も、当時の環境委員会で、与党の議員として質問させていただいた。つまり、これはやはり今申し上げたようなことであります、患者の皆さん、被害者の皆さんにしっかりと寄り添っていかなくちゃいけないということで、当時、期間は区切られていたわけですが、私は、環境委員会では、申請期間が区切られた後も、しっかりと患者、被害者の皆さんに寄り添ってほしいと。当時、環境省の答弁としては、特措法に、法律でありますから、法律には基づけないけれども、やはり環境省としてはしっかりと患者の皆さんに寄り添っていく、こういうような答弁だったわけでありますね。

 そして、このときにも指摘をさせていただきましたけれども、被害者、救済者の方は、まだ当時は症状が出ていなくても、高齢化に伴って出てくるのではないか、まだまだ分からないことが、未知の、未解決の部分がたくさんあるのではないかということは当時から言われていたわけであります。

 そういう意味では、私は、先ほど大臣も御答弁いただきましたけれども、正確でないかもしれませんが、大臣の中でも、しっかりと要望を聞いて、解決に向けて努力をしていきたい、こういうお言葉があった。大変失礼ですが、少し確認をしたいと思うんです。

 特措法は議員立法であります。そういう意味では、閣法ではないんですけれども、大臣の決意というのは、議員立法、そして先ほどの中でも、議会で決めていくことだ、こういうお言葉はありましたが、これはやはり環境省が協力といいましょうか、所管の省庁は環境省になるわけでありますから、議員立法で決めるということではあるけれども、きっちりと環境省として関わっていく、責任を持っていく。

 そして、これも先ほどの大臣の答弁の中にもあって、じゃ、その全面解決、新たな解決は何なのかということは、なかなか限られた時間の中では言えないというお話がありましたが、でも、私は、患者さんたちが、被害者の皆さんが大きく求めているのは、やはり一つは申請期間の延長だと思うんです。よく言われるのは疫学の健康調査だと思うんです。あと、対象区域のことだと思うんです。対象区域が限られていることによって、救済されていないと訴えていらっしゃる被害者、患者さんの皆さんがいらっしゃるわけです。ですから、私は、こうしたポイントはあると思います。

 それと、患者さんになぜヒアリングをするか、話を聞くかというと、全面解決というか、解決とは何なんだ。それは、やはり患者さんたちが求めて、患者さんたちがなるほどというか、納得しないとそれは解決にならないと思うんです。

 そういう意味では、私は、環境省を率いられる大臣として、今私が申し上げたように、患者さんたちに寄り添うということは、患者さんたちが求めるそうしたことをきっちりと、今申し上げた健康調査であったり、これは方法を考える、方法を考えるといってずっと来ているわけですから、健康調査をやる。あるいは、対象区域というのを限らない。そして、申請期間、やはりこれは期限を設けるべきではないと思うし、少なくとも期限を延長すべきだった、こういうふうに思うんですが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 非常に歴史的経緯を踏まえた御意見、御提案をいただいたと思いました。

 先ほど私が申し上げたとおり、まずは現行法制の中で最大限何ができるかということだと思いますが、現行法制の中でどうしてもできないものもあると私は思います。

 ただ、私は、今、行政府の立場におりますので、それ以上のことは申し上げられないんですけれども、仮に議員立法で出されるとすれば、やはりその中身を見てみないとはっきり申し上げられないんですけれども、まずはその法案の中身をよく拝見したいし、それは、当然、超党派でやると思いますので、政党間で協議して、その中身を精査した上で判断するということになると思います。

近藤(昭)委員 大臣のお答えの仕方も分からないではないんですけれども、でも、そうすると、大臣が現地で声を聞かれた意味が今の中からは全然感じられないんですね。議員立法は、出てきたものを見てみないと分からないと。でも、私が申し上げて、そして大臣も御存じのはずです、これまで被害者、患者の皆さんが何を求めてきたかということを。そのことに対して何も言及がないというのは本当に残念です。

 大臣、私は、大臣は現地に行かれて、いろいろと遅かったのではないかとか、遅いという指摘はありますけれども、現地まで足を運ばれて、そして新たに大臣の責任でそうした懇談会という意見を聞く場を設ける、こうおっしゃっているわけですから、今の話は、大臣は患者さん、被害者の皆さんに寄り添っているとは全然思えない。

 議員立法でやられるんだから、それを見てではなくて、やはりその中には、今ポイントを申し上げたわけですよ、あるいは見ないと答えにくいということはあるのかもしれないけれども、その主役というか主は当事者の皆さんでありますから、その皆さんが求めることはしっかりと環境省としても受け止めていく。もちろん、議員立法ですから、議員が作る法ですから、そのもの自体の主体は議員だと思います。でも、先ほどから申し上げているように、所管は環境省ですし、環境省が協力というか、環境省が一体になっていかないと、議員立法だってできないわけですから。

 環境省として、今、そうしたこれまでの患者さん、被害者さんの皆さんの声にどう思っているのか。今申し上げたことですよ、期間の問題と地域の問題といわゆる疫学調査、このことなんです。このことについて、議員立法とは関係なく、大臣はどう思っていらっしゃるか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 現在の特措法について、どこまでのことができるかという部分について、まずお答えさせていただきたいと思います。

 まず、健康調査につきましては、昨年六月に研究班を立ち上げまして、早急な健康調査の実施に向けて、今、鋭意検討を進めていただいているところでございますので、これについては大臣からも御指示をいただいておりますので、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

 指定地域の関係につきましては、これは当時の患者団体とも協議の上で設定されているということで、指定地域内に一年以上居住されている方については、暴露について、暴露があったものとみなして認めて、それで救済するという考え方で設定された指定地域でございまして、それを越えた地域にお住まいの方々についても個別に、汚染された魚をたくさん食べていた状況が認められる方については個別に審査をして、四千名ぐらいの方が当時救済されているということでございます。

 あと、申請期間の件についてでございますけれども、この特措法のそもそもの、前文にも書かれておりますけれども、この地域において、紛争のない、安心して暮らせる地域にするんだというような、そういう趣旨がこの特措法の目的だということで、この条文の中で、早急に救済対象を特定するということになっております。

 この申請期間の中で早急に救済対象者を決めて、その部分について紛争のないような形にしていくというようなことを狙ったものということでございますので、これを延ばすということになりますと、ちょっと紛争を終結させるという意味で、法の目的はなかなか達成が難しいのかなというふうに承知をいたしております。

近藤(昭)委員 速やかに健康調査の件は進めていただきたい。

 期間の問題は、法律で決めているところであります。ただ、冒頭申し上げましたように、当時から言われていた懸念があった。そして、残念ながら、そういうことがあるから、やはり患者さんの皆さんが、被害者の皆さんが、ずっと、話を聞いてくれ、こう言ってきている。そういう中にあるんだから、それは第三次政治解決といいましょうか、この法律の中ではできない部分はやはり新たに作るしかないんだと私は思いますし、そうしたことは、同僚議員が言及させていただいていますけれども、被害者の皆さんとともに歩む議員の連絡会というものの私もメンバーでありまして、この間もいろいろと意見交換をさせていただいているところなんですね。そこはしっかりとやっていかなければならないというふうに思っています。

 そして、患者の皆さんとも話をしてという言及がありましたが、ですから、患者さんと被害者という、御承知のとおり、少し違った概念というか、幅広にきちっと救済をしていこうということで関係者が努力をしてきた結果、患者さん、被害者という言葉も出てきているわけですけれども、そういう中でも、残念ながら、ずっと続いている。

 多くの議員が、個人的に申し上げても、私もやはり学生時代に見た水俣の患者の皆さん、有名なユージン・スミスさんの写真とか、ああいうものが非常に心に突き刺さって、政治家として国会にお送りいただいて、この課題について取り組みたいと思ってきた、取り組まなければいけないと思ってきたんですね、そういう方は多いんだと思うんです。

 質問がありますのでこれぐらいでやめますが、大臣、議員立法である、でも、環境省としてきちっとこれは協力してというか、連携をしていくということと、大臣もお話の中で、一議員としてという言葉もありました、やはりそこは議員立法、第三回目ということになるのかな、政治解決というか、そこにどういう思いで臨まれるのか、もう一度聞かせていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 この場は環境大臣として立っておりますので、現時点で申し上げるのは、やはり現行法制の中で最大限救う方法がないかということに全力を挙げるということだと思います。

 その後については、私の立場がどうなるか分かりませんけれども、水俣問題の全面的解決に向けて、一政治家として努力したいと思います。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

 いろいろと制限もあると思いますけれども、本当に今回の問題は大きな問題だったということをしっかりと受け止めていただいていると思いますので、受け止めていただいて、また、私もそうした国会にお送りいただいて立法府にいる者として、しっかりと連携をしていきたいと思っています。

 さて、少し時間が限られてまいりましたけれども、温対法について質問させていただきたいと思います。

 二〇三〇年の削減目標についてでありますけれども、地球の平均温度を産業革命前に比べて一・五度Cの上昇に抑えるいわゆる一・五度C目標に対して、世界で必要な削減割合は、二〇一〇年比で二〇三〇年までに約半減する、こう言われているわけであります。こうした科学に基づく排出削減の水準から見たときに、先進国である日本の現在の二〇三〇年目標、二〇一三年、一〇年ではなく一三年度比四六%削減は、一・五度目標に整合していると言えるのかどうか、お聞きしたいと思います。

秦政府参考人 お答え申し上げます。

 最新のIPCC第六次評価報告書、これは二〇二三年でございますが、ここにおきまして、地球規模のモデル解析におきまして、世界の気温上昇を一・五度に抑える経路といたしまして、世界全体の温室効果ガス排出量を二〇一九年の水準から二〇三〇年までに約四三%、二〇三五年までに約六〇%、それぞれ削減し、CO2排出量を二〇五〇年代前半に正味ゼロにするというものであるということが示されたというふうに認識をいたしております。

 我が国におきまして、パリ協定の一・五度目標に整合的な形で、二〇五〇年のネットゼロ、そしてその中間である二〇三〇年度に二〇一三年度比四六%削減、さらに五〇%削減の高みに向けた挑戦を続けるという目標を掲げており、その達成に向けた取組を進めておるところでございます。

 政府としては、引き続き、予断を持つことなく、地球温暖化対策計画やGX推進戦略等に基づく対策、施策を政府一丸となって全力で推進してまいる所存でございます。

近藤(昭)委員 二〇三〇年、そして二〇五〇年カーボンニュートラルということで目標を掲げているわけであります。

 ただ、今私も指摘をさせていただいたのは、二〇三〇年に向けて、そして二〇五〇年のゴールといいましょうか、ゼロに向けては、今のままでいいのかと危惧をしているということなんです。今お答えがあった、是非、精神論と言っては失礼かもしれませんが、具体的に目標達成のために頑張っていただきたいというふうに思います。

 さて、次の質問に行きますけれども、二〇三〇年、火力部門での排出削減の見通しと全体の排出削減量ということであります。

 エネルギー転換部門の削減割合のことについてでありますが、地球温暖化対策計画では、二〇三〇年の削減目標として部門別に削減割合を示しており、そのうちエネルギー転換部門を四七%削減としている。これは、第六次エネルギー基本計画の二〇三〇年電源構成に示された総電力需要約八千七百億キロワット時で、石炭一九%、LNG二〇%、石油三%などを根拠として設定した割合と考えてよいだろうかということです。

秦政府参考人 お答えいたします。

 地球温暖化対策計画におきましては、第六次のエネルギー基本計画で示された二〇三〇年度における電源構成を含む二〇三〇年度エネルギーミックスを踏まえまして、二〇三〇年度における温室効果ガス排出量に関する目標を設定してございます。

 このように、地球温暖化対策計画で示したエネルギー転換部門四七%削減というのは、二〇三〇年度の電源構成を参照して作成をしてございます。

近藤(昭)委員 ということであれば、今お聞きをした石炭、LNG、石油を根拠としたということでよろしいということでしょうかね。

 では、次の質問に行きます。

 二〇三〇年電源構成の実態的な見通しということであります。

 今、設定した割合ということで根拠としておられるということを確認したんですけれども、それで、二〇二四年三月二十七日に、電力広域的運営推進機関、OCCTOでありますが、OCCTOが供給計画の取りまとめを公表している。

 これによると、各電力会社の二〇三三年の見通しを合算した総電力需要は約八千七百十一億キロワット時となるわけであります。これは、エネルギー基本計画に示された二〇三〇年目標に近い値であるわけですが、電源種ごとで見ると、石炭は二千五百四十五億キロワット時、LNGは二千四百九十億キロワット時となり、それぞれ電源構成に占める割合が約三〇%程度と、二〇三〇年目標を大幅に超過すると思います。

 この超過分はCO2排出量何トンに相当するのか。また、再エネについて、二〇三三年に三千億キロワット時にもならないわけであります、これでいくと。これも二〇三〇年目標とする三六から三八%の割合に全く届かない。環境省はこれをどう分析しておられるのか、聞かせていただきたいと思います。

秦政府参考人 第六次エネルギー基本計画で示されたエネルギーミックスは、二〇三〇年度四六%排出削減を目指す中で、需給両面における様々な課題が克服された、こういう想定における我が国のエネルギー需給の見通しを示しているものでございます。

 これに対し、今委員から御紹介のございましたOCCTOの供給計画の取りまとめでございますけれども、こちらは、電力に関する全国の需給バランスの把握、評価を目標に、各電力事業者が現時点での事業環境を踏まえて作成した計画を積み上げたというものになっております。

 例えば、電力量についてでございますけれども、発電効率に関する省エネ法の規制がかかっておりますが、こうした規制的な措置によります非効率な石炭火力の発電量の抑制効果、これらを考慮しない前提で、運転コストの安いものから機械的に発電電力量を積み上げているという性質のものになってございます。

 このように、エネルギー基本計画とOCCTOの供給計画の取りまとめが別の目的、観点から作成されているということになってございまして、これらをそのまま比較するというのはちょっと難しいというのが現状でございます。

 いずれにいたしましても、我が国としては、二〇三〇年度の再エネについて三六から三八%、こういう導入目標の実現に向けまして、地域との共生を前提に再エネの最大限の導入を加速化していくとともに、電力の安定供給を前提としつつ、石炭火力については、その発電比率をできる限り下げていくという方針を持って、引き続き政府全体として取り組んでまいる所存でございます。

近藤(昭)委員 繰り返しになりますけれども、精神論にならないように、今、OCCTOが報告している数字でいうと甚だ懸念を持つということでありますので、しっかりと具体的に対応していただきたいと思います。

 さて、余り時間がなくなってまいりましたので、少しまとめて質問したいと思います。

 JCMの扱いについてであります。

 地球温暖化対策計画に目標として定める二〇三〇年度までの累積一億トン程度の国際的な排出削減、吸収量の確保というのはどのような見通しを立てているのか。また、現状で見込んでいる一億トンは、二〇三〇年度のクレジット分としてまとめて計上されるのか、それとも一年ごとに報告されるのか、教えていただきたいと思います。

 また、次の項目でありますが、二〇三〇年の削減目標四六%とJCMの関係について説明をいただきたいと思います。四六%削減にJCMのクレジット分を合算するつもりなのか、これは大きなポイントだと思うんですけれども。それとも、四六%削減はあくまで国内削減分として、クレジットは国の削減目標としてカウントしないつもりか、これはしっかりとイエスかノーかでお答えいただきたいと思います。

 そして、三つ目であります。GXで推進されているような火力への水素、アンモニア混焼やCCSなどはJCMに含まれるのかどうか、教えていただきたいと思います。

伊藤国務大臣 三問お尋ねいただきました。

 政府においては、現在、官民共同で二〇三〇年度までに累積一億トンのCO2の排出削減、吸収量を確保すべく取り組んでおります。これまで二十九か国とパートナー国の覚書を署名し、最後のウクライナは私が署名しましたけれども、二百五十件のプロジェクトを通じて、累積二千万トンを超えるCO2の削減を見込んでおります。

 今回の改正法案によって、JCMの長期的かつ安定的な実施体制を確保するとともに、政府は、パートナー国の増加に向けた協議やプロジェクト案件の組成等に注力することが可能となります。

 今後は、新たな実施体制の下で、大型案件の発掘や、公的資金に加え、民間資金を活用したJCMの拡大等に積極的に取り組むことで、目標達成を確実なものにしてまいりたいと考えております。

 また、一億トンCO2程度の排出削減、吸収量は、二〇三〇年度までの累積の値であり、我が国が獲得したJCMクレジットを我が国のNDC達成のために利用する場合は、その実施期間の年数である十で割った単純平均の値を用いることとしております。

 そして、二問目でございますけれども、JCMは、途上国等への優れた脱炭素技術等の導入や対策の実施の結果として実現した排出削減、吸収量については、我が国の貢献分をクレジットとして定量的に評価するとともに、我が国のNDC達成に活用するために実施しております。

 委員が御指摘いただきましたけれども、二〇三〇年度四六%削減を目指し、さらに五〇%の高みに向けた挑戦を続けるため、まずは国内において、温室効果ガスの排出削減、吸収等に関するあらゆる対策、施策を講じております。その上で、我が国が獲得したJCMクレジットについても、NDC達成のため、パリ協定のルールに沿って、適切にカウントすることとしております。

 三問目のお答えでございます。JCMは、パートナー国における脱炭素移行支援の取組の一環でございます。このため、一般論として、例えば、パートナー国が策定した脱炭素に至る指針や計画等の中で、温室効果ガス排出削減につながる技術の活用が想定されている場合には、それらの技術をJCMの対象とすることは一概に排除するものではございません。

 その上で、委員御指摘のような事業をJCMプロジェクトとするか否かは、パートナー国との協議の中で個別に決定されるものでございまして、我が国の国際的なコミットメントの内容、新たな脱炭素技術の動向、パートナー国における脱炭素に至る指針や計画などの国内外の考慮要素を踏まえて、関係省庁とも個別具体的に検討する必要があるというふうに考えております。

近藤(昭)委員 質問時間は終わっておりますけれども、大臣、私が申し上げたいのは、大臣も分かっていただいていると思いますけれども、実質的にきちっと減らしていくということなんですよ、いわゆる精神論ではなくて。そして、そのときに、とにかく国内でしっかりと削減をするということが大事だというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 以上です。ありがとうございます。

務台委員長 次に、松木けんこう君。

松木委員 どうも御苦労さまでございます。

 まず大臣、本当に大変な思いをしていると思うんですけれども、すぐに対応しなかったとかいろいろなことを言われたけれども、考えてみればG7に行っていたんだよね、たしか。そういうこともあったんだろうし、いろいろなことがあったというふうに思っております。

 ただ、マイクを切るというのは、さすがに余りいいことじゃなかったというふうに思いますし、今、関係の方々というのは、やはりちょっとかっかしていると思います、はっきり言って。非常に怒っているというのが現状でしょう。

 ただし、そうはいえ、やはり解決するというのが一番大切なことなんですよね。やはり政治家の使命というのは、こういうことになったときに解決をするというのが我々の使命のはずですから、もちろん、今までの経緯もあります、一回決まったことじゃないかという意見もあるでしょう、いろいろなことがあると思うんですよ、本当にあると思う。環境省の人たちも一生懸命頑張ってきたと私も思っている。でも、そうはいえ、まだいろいろな症状も出て、やはりそのままになっているようなところもあるわけですよね。

 ですから、ここはやはり政治的な解決、こういうものをしていくしかないんだろうなというふうに思うし、それが我々に与えられた一番大きな使命ではないかなというふうに思います。

 ですから、今大臣は一議員という立場もあります、ただ、今ここで、それをそのとおりですとは言えないのは私もよく分かります、分かりますから、そこまでは言わないけれども、是非、もう何回か言いましたけれども、議連みたいなものもうちもありますし、よくよく話合いの場を持って、それでいい方向に持っていく。いい方向というのは、やはり一人でも多くの患者さんをお助けさせていただくということではないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。しゃべりづらい、大丈夫だよね。

伊藤国務大臣 一人でも多くの患者さん、また被害者を救うことであると思っております。

松木委員 ありがとうございます。

 そういう気持ちを、もちろん大臣もそうだけれども、我々もやはりそれを忘れないで、そうしなきゃいけないというふうに思いますので、後から症状が出たとかいろいろなことがありますから、環境省の人もいろいろと知恵を是非これから出していただきたいなというふうに思いますので、よかったら一言。

神ノ田政府参考人 もしよろしければ、当日の状況について御説明させて……(松木委員「大丈夫、頑張るって言ってくれればいいから」と呼ぶ)はい。大臣をお支えして、しっかり頑張りたいと思います。

松木委員 当時の事情はいろいろとあるのは僕も聞いています。でも、その気持ちを忘れないで頑張ってください。

 ということで、次の質問ということになりますので、よろしくお願いします。

 この地球温暖化の件なんですけれども、まず、ちょっと一つ、私、気になることがあるんですけれども、この間、全国の空き家の問題というのをテレビでやっていたんですよ。そうしたら、全体の一三・八%が空いちゃっていると。もちろん、もう住めないような古いものも含めての話だから、全部それが有効だとは思いません、思わないけれども、一三・八%で九百万戸が空いているというんですよね。

 去年の住宅着工件数というのをちょっと調べてみたんですけれども、八十一万九千六百二十三件ありました。昔、よく、百万件あると景気がいいというふうに言われていた時代がありましたよね、たしか、大分前だと思うんですけれども。

 ですから、住宅着工件数というのは非常に経済にとっては正しい、何というのかな、あるのは非常にありがたいことだというのもよく分かるんだけれども、しかし、三十年前から見て二倍の空き家になったそうですし、ただ一方、二〇二三年は八十一万だったんですけれども、前年から見ると四・六%減ったということなんです。

 例えば、東京都で八十九万八千戸が空いているそうなんですね、家なのかマンションの部屋なのか、ちょっと詳しいことは私もよく分からないんですけれども。そして、大阪が七十万三千、神奈川が四十六万六千戸、これだけのものが空いているわけです。

 リフォームなんかしたときに、税制とか何かいろいろな優遇とかもあったような気もするんですけれども、どうもこれをほっておいていいようには到底思えないんですよね。

 これは環境省としてやはりこういうものに、家を建てるなとか、マンションを造るなとかということは言わないけれども、何かいい方法はないのか、こういうふうに私は思うんです。

 何か知恵を是非、今すぐは出ないかもしれないですけれども、こういう事実がありますので、ちょっとお考えになった方がいいなと思っているので、もしよかったらお答えを。

秦政府参考人 お答えいたします。

 住宅のライフサイクルCO2削減の観点からも、空き家を効果的に活用するというのは、委員御指摘のとおり重要だと思っております。現在、環境基本計画という、これが環境基本法に基づく閣議決定計画なんですが、ここにおいても、既存住宅を改修して長寿命化を図る、こうしたことで良質な社会ストックを形成をして、長期に活用していくということを位置づけております。これは、現在検討中の第六次環境基本計画においても踏襲していく方針でございます。

 政府といたしましては、一定以上の耐久性や、あるいは維持管理のしやすさなどの要件を備えた長期優良住宅の普及促進を図る、これも大事なんですが、既存住宅のリフォームにつきましても支援を行っております。

 具体的には、住宅の脱炭素改修を促進すべく、窓の断熱、こういった支援の補助事業を実施しておりまして、要件を満たせば、これはちゃんと住んでいただけるということなんですけれども、空き家の断熱リフォームについても、この事業を活用可能といたしてございます。こうした事業を通じまして、良質な社会ストックの形成を図ってまいりたいと考えてございます。

松木委員 なるほど、いろいろと考えてはいるということですね。ニュースを見て、やはり地球温暖化ということを考えたときに、物を大切に使っていかなきゃというのもあるんだろうなというふうに私は思ったんですね。ですから、これはちょっと大切かなと思って聞いたんですね。

 そして、建てるときに、リフォームとかするときに、全部国がお金を払うとかという話じゃないだろうから、当然、何割負担だとか、何かそんなこともちょっと考えられるでしょう。そういうときに、そこは消費税をカットするとか、そんなことをちょっと財務省と話し合ってみたらどうですか。

秦政府参考人 今御紹介申し上げた窓断熱の事業については、実は結構補助率も高くて、半分出させていただきます。いわゆるGXの移行債を活用した事業となってございまして、これにより新たな需要をたくさん生む、それによって単価を下げていく、これで国民の多くの皆さんに手の届きやすい価格にする、こういったコンセプトでやらせていただいております。

松木委員 より手が届きやすいように工夫をしていく、これが大切ですから、是非頑張ってください。

 それと、JCMのこともちょっと聞かないといかぬですね、時間は余りないんですけれどもね。

 二〇三〇年までに累積一億トンの目標ということなんですけれども、年間日本が出しているCO2というのは十一億トンと聞いているんですけれども、これは間違いないよね、であれば、累積で、二〇三〇年までで一億トンということは、申し訳ないんだけれども大したことはないのかな、大きな値じゃないような気がするんだけれども、どうやらそればかりじゃなくて、いろいろな意義があるような話も聞いているので、そこら辺のことをやはり国民の皆さんにもよく分かるように説明しておいた方が私はいいと思います。

 是非、この意義を含めて、ちょっと一回話してください。

秦政府参考人 委員御指摘のとおり、JCMというのは、世界全体での温室効果ガス排出削減に向けて、今後も排出量の増加が見込まれる途上国、ここに対して日本の優れた脱炭素化技術を導入することを通じまして、もちろん、日本の排出削減のクレジットとして計上したいというのはあるんですけれども、一方で、途上国における排出削減、そして持続可能な開発に貢献したいというものでございます。

 また、JCMを推進することで、途上国における脱炭素の市場というのが創出、開拓されていくということで、日本企業の海外進出を支援するということにもつながっていくというものだと考えてございます。

 先ほど大臣からの答弁にもございましたが、二十九か国、そして二百五十件を超えるプロジェクトを通じて、既にもう二千万トンを超えるクレジットといいますか、CO2の削減というのも見込んでおるところでございます。獲得したクレジットは、我が国のNDC達成のためにも活用はしてまいりたいというふうに思っておりますが、今申し上げたような様々な効用を生むものだと考えてございます。

松木委員 是非頑張ってやっていこうということですね。

 それと、大臣、ちょっと一つ、せっかくG7に行ってきたので、日本のCO2の排出量というのは世界の三%ぐらいというふうに私は聞いているんですけれども、大きいのはアメリカ、中国というふうに聞いているんです。やはりここら辺にもっとがんとプレッシャーをかけなきゃ駄目なんでしょうね、多分ね。これは、まあいいか、聞いていないからやめておく、なかなか答えづらいといけないので。是非、何かの機会があったら、またアメリカとか中国にどんどんプレッシャーをかけてもらいたいなということをちょっとお願いしたかった話なんですけれどもね。だから、ここら辺が、CO2の排出量というのは日本から比べてもめちゃくちゃ多いですからね。ここら辺の人たちがちゃんとやってくれなきゃ、我々三%の人間が一生懸命やったってどうしようもないという話になりますので、そうならないように頑張っていただきたいというふうに思います。

 そして、もう一つ聞きたいのは、まだ時間は大丈夫かな、カーボンフットプリントというのがありますね。日常生活の温室効果ガス排出削減を促進するため、原材料調達から廃棄までのライフサイクル全体での排出量の少ない製品等の選択やライフスタイルの転換を国民に促す規定を整備しますということで、カーボンフットプリントというのをつくったということなんだけれども、これももうちょっと国民の皆さんに分かりやすいように一回説明した方がいいかなという感じがするんだけれども、いかがでしょうか。

秦政府参考人 ありがとうございます。

 カーボンフットプリントといいますのは、製品やサービスにつきまして、原材料の調達から廃棄まで、ライフサイクル全体にわたりまして排出される温室効果ガス、この総量を表現するという数字のことでございます。

 カーボンフットプリントの普及は、より数値の低い製品やサービスを選ぶことによりまして、消費者によります脱炭素型製品、サービスの積極的な選択を促進する重要な取組であると考えています。環境省におきましては、経産省と連携しまして、カーボンフットプリントの算定方法に関するガイドラインというのを策定いたしますとともに、算定に取り組む企業あるいは業界を支援するモデル事業というのを実施いたしてございます。

 昨年度のモデル事業では、様々なジャンルで中小企業を含む五件を採択いたしまして、消費者に身近な製品だけじゃなくて、あるいは、イベント開催なんかにおけるそういった算定にも取り組んだところでございます。

 一方で、カーボンフットプリントが消費者の製品やサービスの選択につながるためには、やはり同じ商品群あるいは同じサービスの中で比較可能になるということが重要でございますので、今年度から新たに、個別企業を対象といたしましたモデル事業に加えて、業界単位でのカーボンフットプリントの算定、表示に向けた共通ルールの策定などについて支援を実施する予定といたしてございます。

松木委員 業界でルールを作るというのが一つですね、大切なのは。それぞれの会社が私のところはこれだけいいんですよと言ったって、本当かいなという話になっちゃうわけだから、ちゃんとしたルールをまず作るというのが大切だというふうに思います、そのとおり。

 そして、要するに、ライフサイクルの中でどれだけCO2が出ているかということをオープンにして、それを、これは少ないんですよ、例えば発言席のこの木でも何でもいいですよ、これは百作っています、しかしこっちの方は二十です、じゃ二十を選ぼう、こういうことですよね。

 でも、ちょっと一つ大切なのは、カーボンフットプリントでこれはいいものですよと言うのはいいんだけれども、高いんだよね、大体そういうのは、値段的に。どうしても高くなるということはありませんか。

秦政府参考人 議員御指摘のとおり、こういった製品が普及していくためには、やはりそういう製品が選択されるようなインセンティブというのも、単に温室効果ガスの排出量だけじゃなくて、いろいろなインセンティブが必要だと考えてございます。

 現在、一部商品につきましては、公共調達においてということなんですが、例えばコピー機ですとか、あるいはタイルカーペットとか、そういった一部の製品についてなんですが、カーボンフットプリントの算定、表示をグリーン購入法の判断基準に追加するなどしておりまして、公共調達においてまずはそういった商品が優先的に選択されるような、そういった取組を進めております。

 一方で、一般の消費者向けの商品については、御指摘のとおり、まだまだそういった商品は限られていることと、それからインセンティブも考えていかなきゃいけないということで、先ほど御紹介したようなモデル事業を通じて、製品、サービスがちゃんと適正に計算されたカーボンフットプリントなのかとか、そういったところからちょっとまず始めているというところでございます。

 こういった様々なインセンティブにつきましても、引き続き、こういった商品、サービスの普及状況を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

松木委員 いろいろな工夫をしなきゃいけないというふうに思いますけれども、要するに、多分、カーボンフットプリントがついているものは、普通のものが百円だったら百二十円だったり、千円だったら千二百円ぐらいだったり、絶対高いんだよね。これはどうして高いか。当たり前なんですよ、人の手が入るから。今、人手が一番高いんだから、これはしようがないことなんですけれども。

 そこで考えられるのが、財務省の人は呼んでいなかった、じゃ、環境省の人、一緒にやろうよ、消費税をそこはなしにするとか、そういうことがあってもいいんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、一つのやり方としてね、工夫として。やはり安い方が絶対いいわけだから。ちょっとそれを、どうですか、大臣。しゃべりづらかったら、局長。

秦政府参考人 先ほど御答弁申し上げたとおりなんですが、まずは、こういった算定、表示ルールの普及啓発をやりつつ、税制優遇なんかも先生御指摘のようにあるのかもしれません、そういったものも含めて検討してまいりたいと考えてございます。

松木委員 今、答えづらいだろうから、これ以上は私は詰めないけれども、財務省とよく話をして、ここら辺は、ちょっと消費税を減免しようよとかということがあっていいと僕は思うので、是非そういうことをちょっと考えていただきたいなというふうに思います。

 というのは、ある新聞社といっても、大きな新聞社から小さな新聞社まで、世の中というのはいろいろな新聞社があるんですけれども、そこで聞いたんです。バージン紙というのは新しいものですよね、バージン紙といわゆる再生紙、どっちを使っているのと聞いたことがあるんです。そうしたら、バージン紙を使っているんですよ。何でか。バージン紙の方が安いんですよ。どのぐらい違うの、少しぐらい、いいじゃないのなんという話をしたんですけれども、そこの会社は、年間でいうと三百万以上違うのね。そうすると、やはりどうしてもバージン紙を使っちゃうということになるので、これはそのまま当てはまる話じゃないんだけれども。

 いずれにしても、やはり地球温暖化というのは非常に大切な問題だと私は思いますので、そういう意味において、一生懸命頑張っていただきたいなという、顔がだんだん厳しくなってきているけれども、財務省も巻き込んで、是非大臣も頑張っていただいて、これは消費者にとってもプラスの話ですから、是非頑張っていただきたいというふうに思っております。

 もう時間もないようでございますけれども、あと、バージン紙が結構使われているという話なんです。アマゾンの木が伐採されているんじゃないかとかいろいろなことを言って、何となく日本人が悪者になっているような雰囲気もあるじゃないですか。日本がどんどんどんどん輸入してやるから、どんどん駄目になっているんだと。そこら辺は、現実はどうなんですか。現実は、若干何か違うような話も聞いたことがあるんだけれども。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 違法に伐採された木材からバージン紙が生産されないようにするということが重要であるというふうに考えております。

 これに関連いたしましては、適法に樹木が伐採されている森林か否かということを認証する国際的な枠組みが存在いたします。

 例えば、世界自然保護基金が中心となって設立されております森林管理協議会が行っている民間の取組というのがその一つの例でございまして、長期的に森林を維持できるように、適切に管理された森林から生産された木材でありますとか、その木材を使用した製品に認証ラベルをつけて認証製品として販売ができるという仕組みが整えられてございます。

 日本の製紙メーカーは、こうしたバージン紙の製造に当たりましては、必ず、こうした第三者認証機関が認証した森林から生産された木材を原料として用いて製造、販売を行っているものと認識をしてございます。

 業界団体である日本製紙連合会におきましても、会員企業に対しまして、違法伐採対策として、原料の調達方針を作成して自社のホームページなどで公表するなどの活動を促してございまして、経済産業省としても、引き続き、業界と連携をして、製紙会社の取組を注視してまいりたいと考えてございます。

松木委員 何となくちまたではちょっと違うふうに考えられていたところがあると思うので、あえてこれを質問したんですけれども、意外と、我々、日本国として、そういう熱帯雨林を駄目にするようなことには資していないんですよね。これは本当に大切なことだと思います。結構そうじゃないと思っている人も多いと思うので、あえて聞きました。

 逆に言うと、今、日本の森林地帯というのはそろそろ切りどきなんですよね。伐採して、それを植えて、それで循環しているじゃないですか。ちょうど、この頃、そういうところが切りどきだという話も聞いたんです。それは意外と、やはり切り出すのがなかなか大変でお金もかかるからという話を聞いたことがあるんですけれども、ちょっとこれは質問に入っていなかったんだな、だから申し訳ないんだけれども、日本の木材、そういうものがしっかり使われるようなことをこれからちゃんと考えていただきたいなというふうに思います。そうすると、森林業界もしっかり潤っていくんじゃないかなというふうに思いますので、是非そこら辺は、ちょっと私の指摘にとどめておきます。

 いずれにしましても、時間をいただいてお話しさせていただきまして、ありがとうございました。大臣、本当に大変な役で、大臣の顔を見て、涙しているのを見て、私もちょっと、逆に、いろいろなことをみんなが言いますからね、でも、本当に大変だなというふうにつくづく思いました。

 私は、伊藤大臣は心のない大臣だとは思っていません。私は、お父さんもよく見てきました。私は、永田町にもう四十六年ぐらいいるものですから、秘書時代からずっと十九歳から実はいるものですから、先々代とかいろいろな方、知っているのはいるんですけれども、本当に、大臣の涙には私はうそがないというふうに思っていますので、是非、ここで本当に解決するということをお互いに頑張っていけたらと思います。

 あと、あのときに司会をやっていた室長さんも、今はいろいろと、あの場所にいた方々というのはどうしてもかっかくる、腹が立つ、これは当たり前です、当たり前だけれども、是非大臣の方から励ましておいてやっていただけたらいいんじゃないかというふうに思います。

 質問を終わります。

務台委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 温暖化対策の法案についての質疑でございます。

 私の出身は、今も住まいもそうですけれども、埼玉県の熊谷市というところでございまして、日本一暑いというところで、最初は、暑さを売りにして町づくりをやっていこうという感じで、「あついぞ!熊谷」とかというふうなこともやっていたんですけれども、最近は、それによってお亡くなりになる方が出てくるということは非常に大きな問題であるという捉え方で、当然、町づくりも安心、安全をやはり一番基本に、命を一番基本に考えなければいけないということがございますので、そういうことを考えますと、それを中心にした町づくりというのは、面白おかしいという方向ではなくて、やはり暑さ対策をやっていこうという中での日本一を目指すということでやっております。

 二〇〇七年に四十・九度、一位はほかに一度譲ったというのも何か変な言い方なんですけれども、二〇一八年に四十一・一度という一番の気温を記録しまして、首都圏からも、首都圏というか東京からも近いものですから、今日は暑くなりそうだなというときには、テレビの中継のカメラが大体熊谷駅の前に何台かその様子を撮ろうということで集まっていたりということもあるんです。

 いずれにしても、私たちが、いろいろな今までも議論がなされてきて、CO2が地球の温暖化につながっているということは、何となく大枠としては分かっているわけなんですけれども、とはいえ、やはり常に最新の知見というものを私たちは基にして政策を決定し、それに基づいていろいろなことを実行していくということをしなくてはいけないわけなんです。

 気候変動とか暑さ対策についての研究について、どういうふうに国として助成、支援をしているかという辺り、ちょっと文科省の方から聞かせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

清浦政府参考人 喫緊の課題である気候変動への対応を適切に行うためには、その判断の基礎となる科学的知見の創出に向けた研究を進めていく必要があります。

 このため、文部科学省では、気候変動予測先端研究プログラムを通じまして、地球規模や日本域における気候予測データの創出、二酸化炭素等の温室効果ガスの循環メカニズムの解明や予測、気候変動の影響を踏まえた洪水や高潮などの自然災害の予測等の研究を行う大学等を支援しております。

 文科省といたしましては、引き続き、気候変動に関する研究を進め、創出された成果を気候変動に関する政府間パネル、IPCC等に提供すること等により、国内外の気候変動問題の解決に向けて貢献してまいりたいと考えております。

森田委員 今のお話は、恐らく気候変動、大きな地球的なレベルでの話を主に扱っていらっしゃることと思いますけれども、私たちが生活している中でどういうところに、町の中で、例えば、直射日光が当たるアスファルトと、それから日陰の下にある同じアスファルトでも、どうやってそれが違うのかとか、それがどうやって健康にまた影響があるのかとか、いろいろと、私たちが生活している中での暑さ対策とかといったものもあるんじゃないかなと思っております。

 いわば生活の場での、自治体とかあるいは大学の研究機関、例えば熊谷ですと立正大学のキャンパスがございまして、地球環境科学部の方と協力して、そういった生活の場、町の中での対策について研究、調査をしていこうということがあるわけですけれども、こういった視点についても、是非環境省としても応援していった方がいいんじゃないかなと思いますけれども、環境省としていかがお考えでしょうか。政務官でしょうかね、お願いします。

朝日大臣政務官 ありがとうございます。

 委員おっしゃるとおり、気候変動の影響は、地域の気候や地理などの自然的な状況、そして、産業構造などの社会的な状況によって様々であります。このため、気候変動の影響や被害の防止、また、その軽減を図るための適応策ですけれども、これは、各自治体において、地域の実情や特性に応じて取り組むことが重要だと考えております。

 環境省では、地域における効果的な適応策の立案、また実施を促進するため、自治体による地域気候変動適応計画の作成に関するマニュアルの周知や、優良事例の共有等を通じた技術的助言を行っております。また、地方環境事務所が中心となりまして、自治体や国の地方行政機関の参加を得まして、適応についての情報共有や適応策の検討などを行う気候変動適応広域協議会を全国七ブロックで開催をしておりますので、是非御活用いただきたいと思います。

 これらによりまして、地域レベルで幅広い関係者が連携協力し、気候変動適応に取り組むことを支援してまいりたいと考えております。

森田委員 本当に、私たちの身近なところで命を守るということについてプラスになるようなことを環境省としても是非応援していただきたいなというふうに思っております。

 それから、私たち、これから再生エネルギーをいろいろ取り入れていくに当たって、今回の法案の中でも、地域における計画で都道府県と市町村が一体となってというような、そういうことも入っておりますけれども、一月一日、今回、正月から、本当に寒い中で被災された能登半島の皆様、本当に今でも被災の避難生活を送られている方も大勢いらっしゃって、まだまだ再建が見えていないというところもあろうかなと思いますけれども、今回の地震において被害がどの程度出たか、再生エネルギーの関連の施設ですね、把握していらっしゃれば教えていただきたいと思います。

殿木政府参考人 お尋ねの件でございますが、電気事業法におきましては、太陽電池発電設備や風力発電設備等の再エネ設備につきまして、太陽電池モジュールや風車、支持物等の主要電気工作物の破損事故が生じた場合などに、設備の設置者から経済産業省への事故報告が義務づけられているところでございます。

 令和六年能登半島地震の影響と考えられる本年一月からの石川県内における再エネ設備の事故報告の件数につきましては、昨日時点におきまして、太陽電池発電設備につきましては十八件、風力発電設備につきましては二件でございます。

森田委員 ありがとうございました。

 それで、今みたいなやはり大きな災害が起きれば、必ずそれによって破損したり、あるいは洪水になったりすると、水害があったりすると流出をしたりとかということもあるわけなんですけれども、そういった防災ということも踏まえた、特化して太陽光パネルについて伺いたいと思いますが、設置の基準というのはどうなっているか、教えてください。

殿木政府参考人 太陽電池発電設備に関する安全基準についてのお尋ねでございますけれども、電気事業法におきましては、太陽電池発電設備を含む電気設備が適合すべき技術基準が定められておりまして、例えば、感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設することが求められているところでございます。

 また、設備の設置者に対しましては、技術基準への適合を維持することに加え、電気主任技術者の選任や巡視、点検方法などを定めた保安規程の届出等の保安の確保が求められているところでございます。

 特に太陽電池発電設備につきましては、設備の増加や設置場所の多様化等を踏まえまして、電気的な安全だけではなく、支持物の安定等、設備の構造面にも配慮した保安の確保を徹底する必要が生じているところでございます。このため、令和三年四月施行の発電用太陽電池設備に関する技術基準によりまして、地震や風圧に対する支持物の安定や土砂流出の防止の措置の実施等が具体的に義務づけられたところでございます。

 また、改正された電気事業法によりまして、昨年三月からは、十キロワット以上五十キロワット未満の小規模な太陽電池発電設備につきましても技術基準への適合等が義務づけられたところでございます。

 さらに、本年度は、全国で太陽電池発電設備の現地調査の実施体制を強化することとしておりまして、今後とも、必要に応じた規制の見直しや着実な実行にしっかり取り組んで保安を確保してまいりたい、このように考えておる次第でございます。

森田委員 大臣にお伺いしたいんですけれども、例えば私の近隣の地区の方からも、うちの近くの畑が太陽光パネルの工事がこれから始まりそうだなんという話があると、やはり不安な声がある、今みたいに、大きな地震があったときに、例えばそのパネルが崩れたりしたら、その周辺の地域の影響というのはどうなんだろうかと。もちろん、再生エネルギーをこれからどんどん推し進めていかなければいけないということがありながらも、これはやはり地域の住民の方の理解がないと、なかなかその立地もままならないということにもなってしまうかなと思っているんです。

 いろいろと今の法案の中で、都道府県と市町村が一緒になってというようなお話もございますけれども、こういった地域の方への理解とか説明とか、こういうところをどうやって進めていくお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 委員に今御指摘いただいたとおり、近年、再エネ導入に伴う景観の悪化、また土砂災害のリスクの高まり等について、地域の懸念が高まってきていると思います。

 環境省としては、地域における再エネ導入に当たっては、環境に適正に配慮し、地域の合意形成が図られた地域共生型の再エネ導入が重要と考えてございます。

 地球温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業制度は、地方自治体が主導して、住民を含めた地域の多様な関係者から成る協議会での合意形成等を通じて、地域共生型の再エネ導入を促進する仕組みでございます。

 今国会に提出させていただいた改正法案を通じて、こうした制度の活用を一層促進して、地方自治体とも連携しながら、地域の合意形成が適切に図られた再エネの導入を促してまいりたいと思います。

森田委員 本当に、いろいろな住民の方もいらっしゃいますので、合意形成を図るというのは並大抵の作業ではないというのは承知をしておりますけれども、是非、これは全体として考えるとすごく大事な話なんだという前提の中で、丁寧に御説明をしながら進めていければなというふうに思っております。

 あと、エネルギー全体のことを考えたときに、やはり地産地消というものを考えていくべきかなというふうに思っております。発電とか送電を考えても、大規模に発電して大規模に送るというと、施設も大きくなるし、送電の設備も高い鉄塔を建ててとかという話になってくると、これはこれでやはりコストもかかるし、導入もそうだし、その維持管理も含めてコストも大変な金額がかかるということもありまして、なるべく地域のことは地域のことでというふうに収めていきたいなというふうに思います。

 ということを考えると、今ある単位、例えば地域の自治会、町内会であったりとか、あるいは農村地帯に行くと用水の管理組合があったりとか、そういうところで、既に一つの一定の人の集まりがあるというところで、例えば太陽光パネルが設置できるような場所があったり、あるいは、用水の組合であれば、もう既に用水があるので、そこに小水力の発電の施設を造って、それで組合さんでそれを何か分配できるようにしようとか、いろいろと今ある枠組みなんかも活用しながら、そういった再生エネルギーなんかを割と軽く導入するようなことができれば、今よりももっと再生エネルギーの導入も進むんじゃないかなと思うんです。

 その簡単な仕組みについてどうなっているのかなということで、その辺りのことを教えていただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のマイクログリッド、再生可能エネルギーなんかを使ってという仕組みでございますけれども、現行の制度の下でも実施することは可能でございますが、御指摘のとおり、電力の地産地消にも資するということに加えて、電力の安定供給や災害時のレジリエンスの向上にも寄与するというものと考えておりまして、経済産業省としても、環境省さんと連携しながら取り組んできております。

 若干の例だけ申し上げると、例えば沖縄県宮古島市におきましては、太陽光発電設備や蓄電池などを活用しまして、平時には発電した電力を住宅や店舗などで自家消費するとともに、停電時には指定避難所等へ電力を供給するシステムを構築いただいておりますし、その他、家畜の排せつ物を活用したバイオマス発電設備を組み入れたような取組が北海道釧路市阿寒町などでも進んでおりまして、更に取組を進めてまいりたいと考えてございます。

森田委員 自分の自宅を考えても、発電は発電でして、それを今度は買ってもらわなくちゃいけない。買ってもらう会社と、今度は足りないときに電気を買うということがあって、さらに、今、お話を伺っていると、送電ですよね、電気を送るという、その幾つか分解されたことがあったりするんですけれども、なかなか一般の方が、それぞれの契約をしたり何だりかんだり、権利関係を整理するとか売買契約、こういうところは非常にハードルも高いのかなと思っているんです。

 何らかの形でやはり簡便な形を入れながら、地域における再生エネルギーの導入というのを促進していくべきかなと思いますけれども、是非、この辺りの大臣の見解を伺えればと思います。

伊藤国務大臣 今委員に御指摘いただいたんですけれども、我が国の温室効果ガスの削減目標の達成に当たっては、地域の特性に応じた再生可能エネルギーの最大限の導入が不可欠でございます。そのためには、地域、暮らしに密着した地方公共団体が主導する取組が重要だと考えております。

 本改正法案では、地域脱炭素化促進事業制度、すなわち、地方公共団体による再エネ促進区域の設定等を通じて、環境に適正に配慮し、地域の合意形成が得られた地域共生型再エネの導入を促進する制度の拡充を行ってまいります。

 また、脱炭素事業に意欲的に取り組む地方公共団体等を継続的、包括的に後押しするために、地域脱炭素推進交付金を創設して、財政支援も行っております。

 引き続き、こういった取組を中心として、地域主導の再エネ導入の促進をしてまいりたい、そのように考えております。

森田委員 ちょっと時間の関係で質問の順番を飛ばさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたとおり、私は一番暑いところに住んでおりますので、クーリングシェルターですね、元々、熊谷で始めたときにはクールシェアの仕組みなんという話をしていました。

 例えばお店の立場からすると、知らない人が急に来て、お茶を飲めばまだいいんですけれども、ただ居座って、何時間もいられたらどうしようとか、いろいろなことがありまして、やはり何らかの支援、インセンティブみたいなものも含めて必要かなというふうに思うんです。

 更なる促進をしていくためにどういうふうに環境省としてお考えか、政務官からお聞かせいただきたい。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 指定暑熱避難施設の指定対象でございますけれども、市役所の庁舎であったり、公民館といった公共施設のほか、今ほど御指摘いただきましたとおり、民間施設でも、既に冷房等の設備が整っている既存施設を考えているところでございます。

 環境省では、改正気候変動適応法の施行前から、指定暑熱避難施設の指定を促すため、指定暑熱避難施設の運営に関する事例を作成、公表するなど、準備を進めてきたところでございます。

 また、指定暑熱避難施設の普及を図るために、指定暑熱避難施設の指定を受けることを条件といたしまして、高効率空調等の導入に係る費用を補助する事業を既に実施をしているところでございます。

 こうしたところから後押しをしてまいりたいというふうに思っておりますし、私自身も、森田委員の御地元の熊谷市とほぼ毎年一、二を争う新潟県三条市で市長をしておりました。熱中症対策は本当に大切だというふうに思っております。

 環境省といたしましても、各地域においてより多くの指定暑熱避難施設の指定が進むよう、引き続き、市町村や事業所等に積極的に働きかけをしてまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 最後に、これから暑い季節を迎えるわけなんですけれども、特にお米が、去年なんかも白く濁ってしまってということで、大きな被害を受けました。暑さに強い稲についてどういう取組をされていらっしゃるか、農水省からお考えを聞ければと思います。

堺田政府参考人 お答え申し上げます。

 農作物の品種開発は、農業の生産性の向上を図る基盤技術として極めて重要であると考えております。暑さに強い高温耐性品種の開発を農林水産省気候変動適応計画に位置づけ、推進しているところでございます。この中で、稲につきましては、温暖化に伴い、米が白濁化する白未熟粒の発生が増加していることから、高温下でその発生が少ない品種の開発を実施しております。

 具体的には、国立研究開発法人の農研機構におきまして、これまで、西日本向け、九州向けのにこまる、あるいは、北陸及び関東以西向けのにじのきらめきなどの高温耐性品種を開発してきました。特に、にじのきらめきは関東を中心に導入が進んでおりまして、今後、更に作付の増加が見込まれているところでございます。

 今後とも、温暖化に対応した暑さに強い農作物の開発を、地域の生産者、自治体関係者と情報交換をしながら進めてまいります。

森田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

務台委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 馬場雄基です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 会派を最後に代表して、質問いたします。

 この間、既に様々な議員から指摘がありましたが、水俣病患者の懇親会におけるマイクオフ事件につきまして、応援したい省だからこそ、満身の怒りを込めて抗議したいと思います。

 部会や国対ヒアリングを含め、様々な資料が都度提出されてきている状況ですが、現時点で最も怒りを覚えているのは、皆様が作成した資料になります、提出いただいた懇談会のシナリオ、資料、恐らく分かられると思うんですけれども、時間を超過した場合の三つのシナリオが書かれていたはずです。そのうちの二つ目に書かれていた言葉、思い出していただきたいですが、時間を短くした際、これは括弧書きで書いています、時間を短くした際、時間を短くしたから後でしゃべらせろと言われた場合というふうに、二つ目に書かれています。間違いないですよね。

 懇談会を環境省が主催しているはずです。にもかかわらず、しゃべらせろと言われた場合という表現が内部資料でまかり通っているこの事態は、私は看過し難い状況だというふうに思いますし、環境省だけではなく、岸田政権そのものがその姿勢でいいのかということは、甚だ問題であり、これは許し難い事項であるというふうに言わざるを得ないと思います。

 大臣に改めて伺いたいと思います。既に松木けんこう議員からもございましたが、四月、イタリア・トリノへ行かれていたはずです、大事なG7の気候・エネルギー・環境大臣会合だったと思います。このときに、大臣は途中帰国なされています。大事な会合でありながら途中帰国された、何の会合に出られるためであったのか、お答えください。

神ノ田政府参考人 懇談の場の運営の在り方について御指摘いただきましたので、ちょっと事実関係、経緯等を含めてお答えさせていただければと思っております。

 まずもって、この度、発言の途中でマイクを切るという不適切な対応によりまして、関係団体の皆様方に不快な思いをさせてしまったということ、大変申し訳なく、事務方を統括する立場の環境保健部長として責任を痛感しております。

 その上で、経緯でございますけれども、環境大臣と非常にタイトな時間の中で対応しなければいけないということで、今回の懇談につきましては、四十分間の開催時間の中で、環境大臣の冒頭挨拶、要望書の手交、また、八つの団体の御発言、環境大臣からの締めの御挨拶、これは可能な限り回答ということで予定していまして、各団体には事前に三分以内で御発言を準備していただいたということです。

 我々の立場としては、準備いただいた御発言について、しっかりと発言いただけるような時間を取らなきゃいけないと……(馬場(雄)委員「シナリオの中で二つ目に書かれていたことは事実ですね」と呼ぶ)はい。(馬場(雄)委員「それだけでいいです」と呼ぶ)はい。それで、思いとしては、準備された発言をしていただき、また、大臣の方からそれを受けての回答をしていただくということを事務方としては考えていまして、大臣自らメモを取りながら非常に……(馬場(雄)委員「分かりました」と呼ぶ)はい。ということでございまして、今回の件については、ひとえに事務方の不手際であったということでございます。

伊藤国務大臣 御指摘のとおり、四月二十八日から三十日にかけて、イタリア共和国トリノで開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合に出席しておりましたけれども、環境大臣として、途中で切り上げて帰国し、五月一日に熊本県水俣市で開催された水俣病犠牲者慰霊式に参列させていただいたところでございます。

馬場(雄)委員 是非質問にのみ答えていただきたいと思います、残り十分になってしまいましたので。

 大臣、ありがとうございます。まさに、世界の会議、大事な会合を欠席してまで、途中帰国されてまで参加されたのが水俣病患者との懇談会であった。その姿勢を私たちは本当に評価させていただきたいと思っていますし、でも、だからこそ、内部の、逆に言うと裏側で起きていた、こういったことがあったということは、本当に信じられない、そして二度とあってはならないということだと思います。

 本当に、ここから先、環境省も都合の悪かった事実も含め素直にお話ししていただきたいというふうに思っていますし、事実関係を明らかにしながら、そして、いま一度、ここにいる全員で、そして環境省の職員の皆様、関係者の皆様全員で、改めて志を確認し合って、問題解決に一丸となって取り組むことができる環境を私も努力してつくらせていただきたいと思いますので、是非ともリードしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、法案の改正案に行きたいと思いますけれども、今回の改正案、まずはやはりこれまでの分析が必要だというふうに思っております。

 資料を配らせていただきました。

 まず、表の方、資料を見ていただきたいと思いますけれども、日本における温室効果ガスの排出量の推移についてでございます。

 この資料をよかったら是非真っ二つに折ってみていただきたいなというふうに思うんですけれども、真っ二つに折って見たときに、このグラフの推移がよく分かるようになると思うわけです。

 向かって左側の図においては、これまでの排出量、九〇年から二〇一一年ぐらいまでのところの推移が見られますけれども、よく凸凹凸凹というような表現になりますが、翻って右側をちらっと見ていただくと、見事なまでに右肩下がりで、逆にきれい過ぎるんじゃないのかなということさえ思ってしまうぐらいのきれいな図になり、ある意味、成果は評価したいと思うんですが、ここまできれいになるのかなというところも一方で疑問に思います。

 そもそも、皆さん、実感はありますか、下がったなと。温室効果ガスが下がったなというふうに、ふだん暮らす中で、あるいはふだん接している数字の中で、それを覚えることがあるでしょうか。

 例えば、火力を止めましたというならば分かると思うんですけれども、でも、その火力を止めたのは一瞬の出来事なので、かくんと下がっていくはずですけれども、そういったところが見られるわけではないですし、LED等が逆に功を奏していますというならば、こんなに毎年毎年、LEDが順調に増えていますとかということは考えにくいんではないかなというふうに思うんですけれども、この数字は本当に確からしいというふうに表現していいものであるのか、これは参考人に伺いたいと思います。

秦政府参考人 お答え申し上げます。

 この減少の要因といたしましては大きく二つあるかと思っていまして、一つは、省エネルギーの進展によりまして、様々なエネルギー消費量が減少してきたこと、そして、再生可能エネルギーなどの拡大によります電力の排出係数、原単位ですね、これが下がってきたことで、電力由来のCO2というのが大きく減少してきたことというのが挙げられるかなというふうに思っております。

 そして、省エネとか再エネ、それぞれまた細かく見ていきますといろいろあるのですけれども、こういった様々な要因について分析をしつつ、環境省のウェブサイトにおいても今公表等しておりますけれども、議員御指摘のように、やはり国民の皆さんの実感として、どうしてもガスなのでなかなか見えにくいという部分もございますから、なるだけ国民の皆様に分かりやすい形での発信に努めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 再エネと省エネというふうにおっしゃられましたが、では、その中身の中で、どういうふうにそれが推移してきているのか、そしてこの数字にどれぐらい寄与しているのかということははっきりと明記して、国民全体にそれが分かりやすいようにしていくということが環境省の責任だというふうに思います。

 そもそも、デコ活というのがありましたけれども、国民全体の機運を高めていかなければいけないわけですから、それをやるのが環境省なので、一体全体、再エネ増えたよね、省エネできてきたよねじゃ駄目だと思っていまして、どれが一番やはりアタックポイントがあったのかということをはっきりさせていただきたいというふうに、これは求めたいと思います。

 時間がないので、あえて一番最後に聞きたいことを最初に持ってきたいと思います。一番最後に、済みません、大臣、飛ばせていただきたいと思います。

 若者の意見の反映です。今回、参考人において我々は大学生をお願いさせていただきましたが、若者の意見の反映というものをしっかりとこの間、特に温室効果ガスについて取り組めてきていたのかというところ、ある意味、今回の水俣病患者のところと比較してしまうのはおかしいですが、聞くのではなく聞き流すような状態になってはいけないんだと思うわけでして、しっかり受け止めて反映し、政策に反映させていく、まさに主役に若者が今後なっていかなくてはならないというふうに思っています。

 裏面、資料にさせていただいたのが日本財団の十八歳の意識調査であり、政治的影響力が日本は欠けていますよねというのが、まさにこの資料でも読み取れることだと思っています。

 動くか動かないかは我々に懸かっているわけでして、今後の温室効果ガス削減、まさに気候危機に対していくものに対して若者の政治参加を具体的に推し進めていくという、まさに環境大臣の、伊藤大臣のリーダーシップをここでお伺いしたいと思うんですが、是非とも御検討いただけないでしょうか。

伊藤国務大臣 気候変動対策プロセスにおいて、ほかの政治課題も同じだと思いますけれども、若者を始めとする様々な方の声に耳を傾けることは大変重要だと思います。

 特に、気候変動対策を考えた場合、正直言って、私よりも、若者の方はこれから長い時間生きております、ですから、それだけ長く影響を受けるし、気候変動が続けば本当に厳しい状況になるということを若者の皆さんはもう肌身で感じておられると思います。二〇二一年に閣議決定された地球温暖化対策計画の検討においても、透明性のある形で、若者を含む様々な意見を広く伺ったところでございます。

 今後の地球温暖化対策計画の見直しのプロセスにおいても、過去の事例も参照しながらも、年齢層、性別、専門分野などのバランスに留意しつつ、若手経営者、有識者の参画やヒアリングの実施など、多様な方々から意見を伺うことを考えてまいりたい、御指摘は大変大事だと思います。

馬場(雄)委員 大臣、具体的に御指摘いただき、ありがとうございます。

 若手経営者のみならず、まさに学生であり、強いて言うならば高校生であったり、本当にこれからまさに温室効果ガスについて直接向き合っていかなくてはならない、まさに大臣のお言葉、そのとおりだと思いますが、聞き流すような会合をつくってもしようがないわけでして、しっかりと主役にして、政策の担い手になっていただくということを担保するのが一番大事だというふうに思います。

 私自身、様々役所の中で開かれる会合に過去参加したことがあるんですけれども、正直、参加したことに使われるような存在であったというふうに私自身が感じてしまうことも多くあります。とかく若者は、使われたくない、自分たちの意見がちゃんと通るために自分たちは頑張りたいんだというふうにしっかりとおっしゃっていますし、それだけの力を彼ら彼女らは確実に持っている、これはもう皆が認めることだと思いますので、何としてもその担保を取っていただきたいというふうに思います。

 今お言葉をいただきましたが、最後に、もう時間はこれしかありませんでしたので、その担保をしっかり取るぞということ、政策の主役に置くんだということ、そのことだけお答えいただけないでしょうか。

伊藤国務大臣 非常に大事な御指摘だと思います。その御指摘を踏まえて、担保という言葉がちょっと的確かどうか分かりませんけれども、若者の意見がしっかり反映できるような政策決定ができるように、私も全力を挙げたいと思います。

馬場(雄)委員 みんなで一致団結して頑張りましょう。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、空本誠喜でございます。

 今日も一時間いただきまして、ありがとうございます。しっかりと質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 先ほど立憲さんの方からお話がありましたが、維新としましても、水俣病関係団体の皆さんとの懇談の場における環境省の対応について不適切である、そして、今後、水俣病の全面解決、こういったものに対してしっかりと取り組んでいただきたいということを先に申し上げまして、質問に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは、今日は、地球温暖化対策において再生可能エネルギーが本当にどのぐらい要るのかな、そこをしっかりと議論した上で、これから再生可能エネルギーの導入を正しく適正に行っていきたい、行っていくべきということで質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、大臣が、先日、G7の気候・エネルギー・環境相会合に出席されておりまして、その際の共同声明を受けて、資源エネルギー庁にまず聞きたいんですけれども、エネ庁さんは、経済産業省さんとNEDOさん、そして各電力さんがこれまで主導開発してきて、今、実用化している、特に大崎上島で大崎クールジェンというのをやっておりますけれども、石炭火力、超超臨界、またIGCC、石炭ガス化複合発電とか、IGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電、これについて、今、マスコミ報道の中では、石炭を全てやめてしまうという報道がかなり出ています。ねじ曲がっていると思いますが、我が国として火力発電を断念するのか、まず、エネ庁さんから回答をお願いいたします。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のG7気候・エネルギー・環境大臣会合におきましては、各国のネットゼロの道筋に沿って、二〇三〇年代前半、又は、気温上昇を一・五度に抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで、排出削減対策の講じられていない既存の石炭火力を段階的に廃止することに合意をしております。

 日本としては、エネルギー基本計画に基づき、安定供給の確保を大前提に石炭火力の発電比率をできる限り引き下げていく方針に変わりはございません。

 この方針の下で、具体的には、まずは二〇三〇年に向けて、高効率なUSC、超超臨界圧等の火力発電を活用しつつ、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めます。御指摘のIGCC、石炭ガス化複合発電や、IGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電は、高い発電効率と環境性能を有する次世代型の火力発電システムでありますので、こうした技術の研究開発等は引き続き推進してまいります。また、二〇五〇年に向けては、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで脱炭素型の火力に置き換える取組を引き続き推進してまいります。

空本委員 御答弁ありがとうございます。

 次世代型の石炭火力については推進する、そして脱炭素に向けてそれも頑張っていくということを確認させていただいたと思います。

 それを受けまして、環境大臣として、今のエネ庁さんの御発言に対してどうお考えか、お願いいたします。

伊藤国務大臣 少しダブった回答となって恐縮ですけれども、私が出席しましたG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、各国のネットゼロへの道筋に沿って、二〇三〇年前半、そして、この間に又はが入っております、アンドではありません、又は、気温上昇を一・五度に抑えることを射程に入れ続ける整合的なタイムライン、日本はこの整合的なタイムラインに入っております。ですから、又はの後が日本に適用されるという解釈になると思います。タイムラインで、排出削減対策の講じられていない既存の石炭火力発電をフェーズアウトするということでございます。

 したがいまして、我が国としては、一・五度目標と整合的なエネルギー基本計画に基づいて、二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めるなどの今までの方針と変わりはございません。

 引き続き、二〇五〇年のネットゼロに向けて、政府一丸となって、電力部門の脱炭素化に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 そこで、次世代型の石炭火力を、これまでも新興国への国際貢献として、先ほど中国とかアメリカの排出が多いんじゃないかという発言もありましたけれども、その中で、やはり中国とかインドとかの石炭火力というのは、この間の参考人質疑のときには、だんだんだんだんなくしていくということだったというふうに聞いておりますが、実は、二〇三一年から三二年までに、例えばインドでは、石炭火力を八十ギガワット新規建設する。今でも二十七ギガワット建設中とか、二十五ギガワット追加建設するというような状況で、これから海外の新興国たる国々は石炭火力を増設してまいります。もちろん、古いタイプはフェードアウトさせていくということで、なくしていく方向ではありますが、石炭火力が全体的に増えていきます。

 ならば、今回のJCM、二国間クレジットにおいての国際貢献が我が国はできるということでございまして、そのときに、例えばインドとか東南アジアの国々と、しっかりこういうIGCCとかIGFCといった新しい石炭火力、高効率かつ低炭素化を図っているものを技術輸出をする、技術導入をしていただく。国内向けの今トランジションファイナンスがありますが、これもしっかりと組み込みながら、日本のメーカーさん、こういったものをサポートしながら組み込んでいく。

 いかがでしょうか。エネ庁さん、まずお答えください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、石炭火力発電の輸出につきましては、二〇二一年六月のG7コーンウォール・サミットにおける首脳コミュニケに基づき、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を二〇二一年末で終了してございます。

 その上で、御質問の二国間クレジットのプロジェクトの対象として支援していくか否かにつきましては、委員御指摘のUSCやIGCCなどの高効率の石炭火力、これらの新興国への技術輸出を図る我が国企業の存在があるということが前提ではありますけれども、パートナー国との協議によって個別に決定するものと考えております。より具体的には、新たな脱炭素技術の動向、パートナー国における脱炭素化に至る指針や計画などの国内外の情勢を踏まえ、関係省庁とともに個別具体的に検討する必要があると考えてございます。

 IGCCやIGFCは、高い発電効率と環境性能を誇る次世代型の火力発電システムでありまして、我が国としては、新興国の事情や我が国企業のニーズを踏まえつつ、経済成長と脱炭素の両立に向けて、あらゆるエネルギー源、技術を活用した現実的な対応を新興国とも連携しつつ進めていきたいというふうに考えております。

空本委員 じゃ、大臣、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 先ほど私の発言の中で、二〇三〇年代前半というところを、二〇三〇年前半と言ったので、訂正させていただきます。

空本委員 了解いたしました。

 そして、次に、原子力の国際貢献ということも、二国間協定を結んでいて、やはりアメリカとかとの協定を結んでいる中で、最終的にはアメリカのある程度の理解をいただかなきゃいけないと思うんですが、これについても、新興国に対して、元々ベトナムなんかには原子力発電所を造る予定でありましたが、三・一一を受けて頓挫している状況かと思いますが、これから原子力は世界でどんどん増やしていく状況にあります。

 ならば、我が国の技術を今こそ、四十代の方は新規建設物は余りやっていない、メーカーの方々で五十代、せいぜい六十代の方々しかいません、この方々がいなくなれば、我が国の原子力技術は消えてしまいます。ということで、今回の二国間クレジットを有効に活用しながら展開するというのはすごくいい話ではないかと思うんですが、資源エネルギー庁さん、どうでしょうか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 資源エネルギー庁では、原子力の導入や拡大を目指す国におきます原子力発電所の開発、建設プロジェクトへの日本企業の参画を後押しするため、昨年立ち上げた原子力サプライチェーンプラットフォームの枠組みを通じて、輸出金融等の支援策の活用も検討しながら、日本企業の海外展開を支援しているところであります。

 御指摘いただきました二国間クレジット制度で実施するプロジェクトにつきましては、最終的にはパートナー国との協議によって個別に決定するものでありますので、新たな脱炭素技術の動向、パートナー国からの要望や、脱炭素化に至る指針や計画等の国内外の情勢を踏まえ、個別具体的に検討する必要があると考えてございます。

 原子力については、これまでにパートナー国からJCM活用の要望がなく、JCMで支援した実績はない状況であると承知しておりますけれども、原子力利用を検討する国を含め、各国の脱炭素化に向けた取組への資金供給が進むよう、G7等の国際会議やアジアへの発信などを通じて、トランジションファイナンスの推進について引き続き取り組んでまいります。

空本委員 ありがとうございます。

 それでは、今の資源エネルギー庁さんの見解を受けて、環境大臣として、この二国間クレジット制度に対して次世代の火力そして原子力、こういったものも組み込んでいく、これが大変重要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 JCMの活用においては、脱炭素に向かう世界的な潮流も踏まえて、パートナー国の脱炭素移行を促進していくことが重要だと思います。

 委員御指摘の石炭火力については、我が国は、二〇二一年G7コーンウォール・サミットにおいて、排出削減対策が講じられていない石炭火力への政府による新規の国際的な直接支援を二〇二一年までに終了することにコミットしていることに留意する必要があります。

 その上で、石炭火力をJCMプロジェクトの対象とするか否かは、パートナー国との協議によって個別に決定するものであり、我が国の国際的なコミットメント、新たな脱炭素技術の動向、パートナー国における脱炭素化に至る指針や計画等の国内外の考慮要素も踏まえて、関係省庁とも個別具体的に検討する必要があると考えております。

 原子力については、今、御質問がなかったので、これで答弁を完了させていただきます。

空本委員 ありがとうございます。

 これは、資源エネルギー庁さんと環境省さんでしっかりとタイアップしながらといいますか、しかし、規制するべきところはしっかり規制していただきながら頑張っていただきたいんです。

 こっちはお願いなんですが、二〇二二年二月、電力分野のトランジションロードマップの資料が今ホームページ等で掲載されています。その中で、例えばエネルギー分野であれば、電力分野であれば七、八十ページあるものでありますけれども、それを見ていると、さっきのIGCCとかIGFCというのは大崎上島のクールジェンのところで、カーボンニュートラルの観点からアップされているんですけれども、このIGCC、IGFCというものはやはりトランジションファイナンスのロードマップに組み込むべきかなというふうに考えておりますので、それについてはエネ庁さんの方で御検討いただきたいと思います。

 そして、次に話を進めたいと思います。

 再生可能エネルギー導入がどのくらいできるのかなというところを、まず、九州電力で二〇一八年ぐらいに出力制御というものをやっています。これは何かというと、五月の連休ぐらいにちょうど日が照っていて、太陽光パネルの熱吸収が一番いいところ、そして、そのときに、太陽光で発電して、ソーラーパネルで発電したものが実際の需要よりもはるかに超えてしまう、火力とか原子力とかを合わせて超えてしまって、一時的に超越して需給バランスが崩れてしまう、そのときに出力制限をしなきゃいけない。大変難しい。

 もし出力制限をしなかったらどうなるかというと、六十ヘルツ、五十ヘルツで電気は流れていますけれども、その周波数が大きく変動して大停電、ブラックアウトを起こしてしまう可能性があるということで、出力制限というのを九州電力からスタートして、再生可能エネルギーに対して、ここまでは受けてもいいけれども、これ以上だったら受けられないという出力制限をやっています。

 全国の出力制限は今始まっているところなんですが、二〇一八年頃から二三年、去年度までの導入の実績についてお聞きしたいんですが、出力制御の、九州から始まりましたが、離島からの開始の経緯について、まず御説明をお願いできますか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、出力制御ですけれども、電気は大量に貯蔵することが困難なので、基本的には発電と消費が同時に行われる必要がある。このため、供給が需要を上回ると見込まれるときには、需給バランスを保つために、再エネを含めて出力制御を行うということにしております。

 御指摘の経緯でございますけれども、我が国では、二〇一二年のFIT制度の創設以降、再エネの導入が進みまして、二〇一四年九月に九州エリア等におきまして、需給バランス維持等の観点から、再エネ設備の系統接続を保留するといったような事態に至りました。その後、二〇一五年五月に九州エリアの種子島におきまして、初めて需給制約による太陽光の出力制御が実施されました。

 こうした中、再エネの更なる導入が進みまして、北海道、東北、中部、四国、九州エリアにおいては、エリアの最小の電力需要を上回る再エネが導入されてきております。

 この結果、特に、御指摘のとおり、需要が小さい一方、再エネの発電量が多い春や秋の昼間の時間帯におきまして、再エネの出力制御が全国に拡大しております。

 二〇一八年十月に九州本土、二〇二二年四月に東北、中国、四国、五月に北海道、二〇二三年一月に沖縄、四月に中部、北陸、六月に関西エリアで初めて実施されております。

空本委員 まず、出力制御というのは本当はしたくはないんですね。再エネの蓄電をする、若しくは水素に貯蔵する、こういうことができればいいんですが、実際はそれが技術的に厳しい状況にある。そういったときに出力制御をかけなきゃいけない。

 今、御説明があったとおり、全国に広がっていて、資料を見ていただきたいんですが、まず、配付資料の一番でございます。ちょっと縮小しておりまして申し訳ありませんが、まず、上の図からすると、再エネ出力制御の実施状況ということで、一番上の折れ線グラフがございますが、これが二〇一九、二〇二〇、二〇二一、二二、二三年度で、四月から始まって、四月、五月にピークが来て、また次の年の四月、五月にピークが来る。そして、二〇二一年、二年ぐらいからちょっと下がるんですが、二三年に四月、五月にまたピークが来て、どんどん増えていく。

 次の真ん中の棒グラフでございますが、これも二〇一九年から二〇二三年で、三月から五月、この辺が山ができていまして、これは電力会社ごとにちっちゃく分けているんですが、カラーにしなくて申し訳ありませんけれども。

 こういった形で、今からどんどん再生可能エネルギー、太陽光とか風力に対する、特に太陽光に対する出力制御をかけていかなければならない。繰り返し申し上げますけれども、これをしないと、電力の周波数、日本の場合はすごく品質がいい電力なんですが、その電力品質に対して影響を及ぼすと大規模停電、ブラックアウトにつながってしまうという状況にありますので、これは絶対しなければならない。

 となると、再生可能エネルギーの蓄電ができなければ、限界がもうそろそろ来ている状況かなと私は考えていまして、これ以上、ソーラーパネル、メガソーラー、どんどんどんどん入れようという話はあるんですが、やはりこういう技術的なところで無理が来ている状況かなと思っています。九州電力の場合、需給バランスは変わってきたということなんですが。

 次の、今いろいろ御説明いただいていたので、皆さん御存じと思いますが、一日のうちで六時から、ちょうど十二時がピークで、十三時がピークぐらいになりまして、十八時、十九時になると日照が今度はなくなって、ソーラーパネルはほとんど発電しなくなるということがあります。季節の問題もあります。そして、一日の中での話もある。また、例えば北海道とか新潟とか、豪雪地帯とかであるならば、その環境影響の問題もあると思うんです。

 資源エネルギー庁さん、その辺について、まず、全国のバランスとか全国の状況とか年間推移とか一日の発電量とか、もう一度御説明をいただけたらと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでして、日本の電力の需要と供給は、同時同量を達成しなきゃいけないんですけれども、一日であれば、時間帯で昼間、元々、昔は昼間が一番高かったという状況でございますけれども、需要は比較的昼間が多くてという状況は変わっておりません。一方で、供給の方は、昔はそれこそ一定だったんですけれども、御指摘のとおり、太陽光は昼にぐんと上がってくるものですから、むしろ朝とか夕方とかが需要に応じて供給量がちょっと足りなくなるといったような懸念も出てきている。

 そういった意味では、一日の中での需要の変化というより、供給力の変化に応じて物の考え方をしなきゃいけなくて、そういった意味でも、御指摘の蓄電をしなきゃいけないというのは一点ございます。

 それから、もう一つは、季節ごとにも違うというのも全くおっしゃるとおりでございます。一日ごとの変動については、蓄電池のようなものでやりやすい、あるいは伝統的には揚水発電所といったようなものでやっていけますが、季節を越えるような電力の需給をどうやって蓄電的なもので代えていくのかという意味では、将来的には、例えば水素といったようなものが考えられておりますが、こちらはこちらで様々な課題があると考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 同じような質問だったんですが、やはりしっかりと資源エネルギー庁さんからそういった技術的な面でのコメントをいただきたかったので、ありがとうございます。

 その中で、やはり出力制御をやらなきゃいけないというんですが、一方で、蓄電、例えば再生可能エネルギーからのリチウムイオン電池とか、ほかの電池もありますが、また、水素で貯蔵する、こういったことも再エネ蓄電になりますけれども、今、二〇三〇年、世界で二二年比で六・五倍に増やす、こういった目標をこの間明記されたようなんですけれども、実際、この国で蓄電池を国産で造ることができるのか、六・五倍に増やすことができるのか。

 実は、資源エネルギー庁さんからいただいた資料で、資料の二、裏面ですね、上に定置用の蓄電池の導入見通しということが書かれておりまして、これはギガワットアワーという単位になります、時間も掛けています、エネルギーになります。二〇二三年には一、二ぐらいで、そして二〇三〇年には二十四ギガワットアワーまでエネ庁さんとしては持っていきたいということなんですが、六・五倍に増やすということもあるんですが、本当に二十四倍にできるのかどうか。

 レアアース、リチウムも要りますし、また、その電極材たるニッケル、カドミウム、そういったいろいろな資材が必要になってきますが、それを国産で調達して、調達するのは難しいと思いますが、リチウムは南米の方でたくさん取れるので難しいんですが、日本国内で蓄電池を造って、蓄電で賄って、二十四ギガワットアワーまで達成できるのかどうか、エネ庁さん、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の数字は、G7のトリノ気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケで、電力部門でのエネルギー貯蔵の世界目標として、二〇二二年の六倍以上となる千五百ギガワットへ貢献することが盛り込まれたということでございます。この千五百ギガワットの各国内訳は示されておりませんけれども、我が国としては、蓄電池はしっかりと取り組んでいきたい、極めて重要だと考えています。

 その達成のめどでございますけれども、一言で申し上げると、容易ではないというふうに考えております。他方で、諦めるべき目標ではないと。先ほど御指摘いただいた目標値を考えてございまして、これは、実はリチウムイオン電池でございますので、車載用、車に載っけるリチウムイオン電池と同様に政策軸を組んできておりますが、そういう中で、我が国の蓄電池産業が製造してくれることがエネルギーの安定供給という観点からも極めて重要と考えておりまして、車載用も含めて二〇三〇年までに年間百五十ギガワットアワーの蓄電池の国内製造能力を確保することを目標としております。車載の方がどうしても大きゅうございます。

 この点は、二点取組を大きく進めておりまして、一点目は、蓄電池の国内生産基盤確保に向けました設備投資を行っている、あるいは技術開発支援をやっているということで、時々新聞紙上でも出てくるような国産の蓄電池工場への新たな設備投資支援といったようなものを進めているということでございます。

 それから、もう一点は、御指摘いただきましたとおり、米国、豪州、カナダなどの同志国と連携して、鉱物資源開発、南部アフリカ諸国やチリ等の資源国との関係強化、こうしたことを進めまして、蓄電池の製造に不可欠な上流資源の確保の取組を総合的に進めているところでございます。

 ただ、目標の達成については容易ではない中で、我々としては一生懸命取組を強化していきたいというふうに考えてございます。

空本委員 今御回答いただいたとおりで、蓄電というのはすごく難しくて、問題は、やはりレアアース、リチウム、先ほど言った材料が国内には余りない、また、製錬をしているところがやはり中国なんですね、今。二〇一〇年頃から一二年頃、我が国は、蓄電は、リチウムイオン電池はまだあったが、この十数年で韓国に取られ、そして中国に取られていったという半導体と全く同じ産業構造なんですね。ですから、これをもう一度国内に取り戻すというのはすごく大変で、またお金もかけなきゃいけなくて、しかしながら、コストの面からは安いものを造っていかなきゃいけない、中国との価格競争をしていかなきゃいけない。

 すごく難しい問題であるんですが、ここは本当に、私も二〇一二年に委員会質問で、半導体と蓄電池、リチウムイオン電池、これについては今こそやるべきというふうに経済産業省さんにお願いをしたところなんですが、それができなかった。その反省をしっかりと経済産業省さんには持っていただいて、金はかけない、まあ、効率的にかけて、そしてしっかりと産業の育成、また新しい電池の開発もありますので、それについてはしっかりと技術開発を進める。

 となると、やはりメーカーの力が一番重要で、国としては資金面を援助する、しかし、技術の開発については、一つ一つ、普通には工程、スケジュールを確認しながら、できているかできていないか、できていなかったら金を引くよと。昔は、MITIの補助金とか、ああいったものがありました。そういう中で、実は、メーカーというのは補助金を使いながら、研究開発部門を生かしていたんですね。今はそういうものがなくなっている。特に、原子力なんかは、研究開発、共研とかMITIの補助金とか、そういったものを使わせていただきながら、研究開発をしながら、そこで保全技術をつくっていく。

 やはりこういう仕組みをもう一度つくり直さなきゃいけないのかなと思っていますので、このリチウムイオン電池、若しくは新しい電池、さらには半導体を含めて、新しくその辺のサポート体制、開発に対して余り口は出さなくていいと思うんですよ、でも、金は出さなきゃいけないというところも、やり方はあるかと思いますので、しっかりお願いしたいと思います。

 資料のまた一に戻りまして、下を見ていただきたいんですが、これもエネ庁さんからいただいたデータでありまして、出力制御の地域別なんですが、北海道と東北、そして九州、さらには中国地方、ここがやはり多いんですね。中四国については太陽光が比較的発電する。そして、太陽光のパネル自身も、余り高温になり過ぎると発電効率が三割、四割落ちてしまったりしますので、余り暑い時期、八月とかは、逆に再エネの効率が非常に悪い。そういうことを踏まえながらも、やはり地域差がありまして、しっかりここは、二四年から三〇年にかけて、全国、全体的にどの程度出力制御をこれからやるのかなと。

 下に需要対策、供給対策、系統対策と書かれておりますが、こういった観点から、二〇二四年から二〇三〇年に向けての出力制御の見通し、そして再エネの今後の導入、こういったことを考えながら、エネ庁さんの方から御説明いただきたいんですが。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネの出力制御率でございますけれども、二〇二四年度、北海道エリアで〇・二%、東北エリアで二・五%、九州エリアでは六・一%の見通しでございます。

 また、二〇三〇年頃の長期の見通しにつきましては、資料をお示しいただいておりますけれども、系統対策などがない場合では、北海道エリアで五四・八%、東北エリアで五四・九%、九州エリアでは三〇%となっております。

 なお、北海道、東北エリアでは、系統対策により、制御率が一から一〇%程度まで低減することも併せて提示をさせていただいております。

空本委員 ここで実は系統対策というのが重要になりまして、やはり再生可能エネルギー、発電したものを、北海道、東北、またその電力を東京とか大首都圏に持ってくる、その系統の強化も大変重要で、系統連系といいますけれども、そういったものが大変重要かと思います。

 そのときに、今、洋上風力をこれから進めようというところなんですけれども、これも電力系統の安定化が大変重要かと思いますが、例えば、電力需要の低い深夜、意外に深夜に風がよく吹く、そして、火力発電所は出力は逆に下げなきゃいけないんですね、下げて需給バランスを取る。下げ代に対して風力の方がたくさん発電すると、また先ほどの周波数の問題が発生しまして、風力発電の系統を切らなきゃいけない。これを解列といいますけれども、遮断しなきゃいけない。

 こういう受入れの上限、こういったものについて、今、各電力間ではどのようになっているのか、そして増強しようとしているのか、資源エネルギー庁さんから御説明をお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 電気の需給バランスを維持するために、まず、今行われている順序でございますけれども、第一に、地域内の蓄電池や揚水によりまして余剰電力を有効活用する。第二に、地域内の火力の出力を最大限制御する。そして三つ目に、地域間連系線を通じまして、余剰電力をほかの地域に送電する。それでもなお供給が需要を上回る場合に再エネを出力制御するという段取りで、現状、対応を行っております。

 出力制御量を可能な限り低減するために、地域間連系線を活用して余剰電力を他のエリアに送電することは極めて重要でございまして、現在も、地域間連系線の運用容量であるとか、あるいは受電する方のエリアの需給バランスを踏まえながら、連系線を通じた電気の広域的な融通は行っております。ちょっと今手元に具体の量がございませんので、大きな方向性でいうとそういうことでございます。

 他方、今後、更に再エネが導入していくことになった場合には、委員御指摘のとおり、広域連系系統を更に強化していく必要がございまして、これに向けたマスタープランというものを策定し、これを踏まえた全国大での系統整備を進めていく必要があるというふうに考えてございます。

空本委員 ありがとうございます。

 今後、洋上風力をたくさん増やしていくというときには海底ケーブルを敷設していかなきゃいけない、また洋上の変電所を造ったりする、ここについて質問は今回は省かせていただきますが、そういったときに誰がそのケーブルを敷くかとか、そういった問題もこれから発生しますので、本当に発電事業者が敷くべきなのか、逆に、電力会社の方はやはり敷かないと思いますので、そういうことも踏まえて、こちらはちょっと今回は見送りますので検討を。費用負担の問題とかがございます。やはり四、五十キロ先からケーブルを敷くというのは相当大変ですし、また変電所も造らなきゃいけないということも踏まえて、本当に洋上風力は、魅力はあるようなんだけれども、なかなか費用面での負担というのがあるかと思います。それについてもお考えいただきたいと思います。

 次に、海外資本、特に中国の資本によるメガソーラーとか太陽光とかの問題について、それを規制強化すべきだなと私はずっと前から考えているんですが、例えば、スカイソーラー、企業名は出しちゃいけないかもしれませんが、上海電力が、北海道、福島、大阪、山口、こういったところで我が国の再エネ賦課金制度を狙ってメガソーラー事業に進出しているんじゃないかなと。また、報道には、ステルス買収とかサイレント国土買収とか、安全保障上の問題があるといった報道もなされています。

 実は、維新としても、風評的な、ちょっと我が党に対して被害的なものもあります。それに対しては、大阪の横山市長の方も、外国資本が関連していると懸念するのであれば、それはもはや自治体のレベルではなく、国の法律などでしっかりと議論してほしいということをおっしゃっています。その中で、やはり環境委員会のこの法案の審議の中でしっかり議論すべきだと考えます。

 資源エネルギー庁さんの再生可能エネルギー事業計画認定情報においては、中国資本の名前が出てこないんですね。実質的には中国系の企業の日本法人であるが、それが売電事業をしていると考えられるんだけれども、出てこない。

 その辺についてエネ庁さんとしてどのように把握されていらっしゃるのか、その事業スキームに対してどのようにこれから取り組むのか、お答えをお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 電力の安定供給を含む国の安全等の観点から、外国投資家による発電事業への投資等にありましては、外為法による事前届出が義務づけられておりまして、外国投資家によるメガソーラー事業への投資状況の把握は可能となっております。

 また、今年四月から施行いたしました、昨年の通常国会で改正いただきました改正再エネ特措法におきましては、主な出資者などを含む関係者情報などの事業内容につきまして、周辺地域の住民の皆様に説明会等の開催を行っていただく、これを我々がFIT、FIP認定する要件としているという制度の強化を行っております。こうした形で、再エネ発電事業に対する地域の懸念に対応しているところでございます。

 地域との共生が大前提でございますので、こうした対応を通じて、再エネの導入を進めていきたいというふうに考えてございます。

空本委員 やはり我が国の防衛上の問題もあるというふうなことも指摘されていますので、しっかりそこについては見張っていただきたいと思いますし、国会議員も、そういったところにちゃんと指摘しながらただしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 そして、もう一点は、再エネ賦課金の問題であります。再エネ賦課金はやはりちょっと重いですね、国民負担が。今、実質賃金も下がっているという話が今日の報道等でありましたけれども、二四年度が四兆八千億円の総額であって、一般的な家庭の年間負担額が約一万七千円程度、電気代の中に含まれてくる。ちょっとこれは今の実質賃金が下がっている中で国民の負担が重いと思うんですが、私自身は、再エネ賦課金を入れてしまった、FIT、FIP制度を入れてしまっているので、すぐにはなくせということはなかなか言えないけれども、これをやはり減らしていったり、若しくは国民負担を考えて再エネ賦課金に対する制度のちょっと変更を行う必要があると思うんですが、資源エネルギー庁さん、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としては、カーボンニュートラルの実現に向けまして、国民負担を抑制しながら再エネの最大限の導入を図ることが基本方針でございます。

 再エネの導入拡大に向けまして、御指摘の再エネ特措法に基づきまして、そのメリットを受ける電気の利用者の御負担の下で再エネ電気の買取り等を行っているところでございまして、このための原資が再エネ賦課金ということになっております。現状、この法律に基づいて着実に制度を運用しているというところでございまして、二〇二四年度の賦課金単価は御指摘のとおりでございます。

 昨年度は、逆に、ウクライナ危機を踏まえた化石燃料の高騰というところがございまして、我が国国内での卸電力の市場価格が上がったという状況を踏まえて再エネ賦課金はぐっと下がったんですけれども、逆に、その部分が今までと同様に変わってきたことをもちまして、我々は法律に基づいて制度を執行しておりますが、御指摘のとおりの賦課金に戻ってきております。

 こうした御負担をよく考えなければいけないというのは御指摘のとおりでございますが、私どもといたしましては、法律に基づいて制度を適切に運用してまいりたいというふうに考えてございます。

空本委員 今の再エネ賦課金の資料は、配付資料の三で上下にありまして、各電力さんごとにやはり一割ぐらいの負担を国民がしているということなので、そこについては負担が減るような形でのちょっと仕組みの変更、こういったことも考えていくべきであるということだけ指摘させていただきます。

 大臣、御質問をする予定だったんですが、ちょっと時間の関係で飛ばさせていただきます。申し訳ございません。

 続きまして、再生可能エネルギー導入、先ほど景観の問題とか土砂災害の問題の質問もございましたけれども、いろいろなところで、乱開発と言われていらっしゃるところもございます。

 資料の裏面、配付資料四ですね、例えば、草原だった阿蘇周辺のソーラーパネル、釧路の湿原地がソーラーパネルに侵食される、また住宅地の近くにメガソーラーが並ぶとか、さらには西日本豪雨災害のときに土砂災害があったり、下の方は、草にまみれた太陽光パネルがございます。こういった環境がありまして、ソーラーパネル自身、宅地とかいろいろなところに置くのはいいんだけれども、これまでの法令で縛られていなかったというところがございます。

 先ほど説明はあったんですが、こういった状況を見て、環境大臣、どのようにこういう規制をかけるべきか、御見解をお願いいたします。

伊藤国務大臣 委員御指摘のとおり、近年、再エネ導入に伴う環境への影響、また安全面、防災面等に対する地域の懸念は大変高まっていると承知しております。

 もとより、再エネ事業は、森林法など個別の土地利用を規制する法律に従って行われる、これが大前提でございます。また、経済産業省では、固定価格買取り制度等において再エネの事業規律を強化する取組を進めていると存じております。関係省庁とも連携しつつ、しっかり対応していくことが必要でございます。

 本改正法案は、地域の懸念に応えて、再エネ事業において適正な環境配慮が確保され、地域の合意形成が図られた地域共生型の再エネ導入を促進するものでございます。

 今般の制度改正によって、再エネ促進区域の設定等における都道府県の関与を促して、より積極的かつ広域的な制度の活用を促進することで、地域に貢献する地域共生型再エネの更なる導入拡大を進めてまいりたいと思います。

空本委員 まず、環境省さんの方から、大臣から御見解をいただいたんですが、先ほどもあったように、山を削るとかいろいろな問題があって、森林法の中で、太陽光の設備を設置するときに面積要件、一ヘクタールから〇・五ヘクタールというふうにちっちゃくはなっているんですが、私としては、これまでいろいろなところを見ていると、中山間地域を中心に考えると、乱開発に近いような感じに見えます。

 やはり設置するときの認可においては、森林法において、全ての面積要件を取って、全てのソーラーパネル設置に対して許可を取るようなことをしていかなきゃいけないかと思うんですが、林野庁さん、いかがでしょうか。

長崎屋政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電設備の設置に係る林地開発許可でございますけれども、委員御指摘のとおり、令和四年に見直しをいたしまして、従来、一ヘクタールを超えるものを対象にしておりましたが、それを〇・五ヘクタールに引き下げるということとしたところでございます。

 また、全て面積要件を外すということの御指摘でございますけれども、これにつきましては、太陽光発電施設の設置の許可基準につきまして、公共の安全と個人の財産権とのバランスを考慮して慎重に検討する必要があると思っておりまして、過度な規制につきましては、財産権を過剰に制限することになる可能性があると考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 質問通告は、逆に、この法文をどう変えたらいいかという質問であって、ちょっと申し訳なかったんですが。

 もう一点、急傾斜地に対してはどの程度の基準かなというところを教えていただきまして、森林法の施行令も見させていただいていまして、私としては、逆に、急傾斜地の場合は、三十度以上でもできるし、擁壁を造ったりする等、対策を打っていればいいという話なんですが、やはりそれもちょっと乱開発じゃないかなと。

 やはり二十度ぐらい、滑らない、土壌にもよるけれども、頑強なところだったらいいけれども、もう少し、三十度近いところで、緩い砂のときには、それはやはりちょっと難しいんじゃないかな、無理があるんじゃないかなと思っていまして、実際に、森林法をどういうふうに変えたらいいのか、二十度にするんだったらどうしたらいいか。また、こういう基準運用のやり方を書いていますが、これを変えたらいいんじゃないかなと思うんですが、基準を、例えば二十度とか、若しくは固いところには設置していい、軟らかいところにはもっと規制を強化すべきじゃないか。

 施行令、こういったものを変えるべきだと私は考えるんですが、林野庁さん、今現状どうなっているか、御説明をお願いします。

長崎屋政府参考人 お答えいたします。

 まず、森林法におきましては、災害防止など公益的機能発揮のために特に重要な森林につきましては保安林に指定しておりまして、原則、太陽光発電設備の設置ができないなど、開発行為を厳しく制限しておりまして、現在、我が国の民有林の約三割が保安林に指定されているところでございます。

 また、保安林以外の民有林につきましては、先生御指摘のような林地開発許可制度によりまして、一定規模を超える開発について都道府県知事が審査して許可することにしております。

 御指摘の傾斜の件でございますけれども、太陽光発電設備は自然斜面に沿って設置される場合が多いことから、令和元年に開催いたしました太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会におきまして、学識経験者による議論を重ねた結果、例えば、急傾斜地法で、三十度以上の傾斜地を急傾斜地と定義して工作物設置を許可制にしていることなどを踏まえまして、自然斜面での設置基準の具体策について提言を受けたところでございます。

 これを受けまして、林野庁では、太陽光発電設備を設置する自然斜面の平均傾斜度が三十度以上の場合、擁壁又は排水施設等の防災施設を確実に設置することとしたほか、三十度未満の場合も、災害の可能性が高い場合などには防災施設を設置するなど、太陽光発電設備の特殊性を踏まえた基準を整備しております。

 また、傾斜が緩やかでありましても、太陽光発電設備の設置によりまして植生が失われ、洗掘が起こるなどの影響があることから、平均傾斜度のいかんにかかわらず、柵工によります地表の表面流の分散ですとか、伏せ工による地表面の保護をすることとしております。

 開発行為によりまして土砂流出や土砂崩壊の災害を発生することがないように、これらの見直した林地開発許可の基準を厳格に運用していくことが重要と考えておりまして、関係省庁や都道府県とも連携しまして、森林における開発行為が適正に実施されるよう取り組んでまいります。

空本委員 今御説明いただいたとおりなんですが、やはり森林法の施行令に基づいた通知、規制を強化しているということなんですが、こちらをもう少し規制を強化していただきたいなということだけお願いしておきます。

 そして、次は、急傾斜地の下には農地がございます。小規模な農地も含む農業用地にパネルを置くというのは、先ほども立憲さんの方から指摘もありましたけれども、やはり環境的に住民の皆さんから避けてほしいという声も多々出ています。

 そういった意味で、今、地域の住民の方々と協議会をつくったりして、農業委員会もありますが、農業委員会だけでなくて、その集落ごとにある程度規制をかけてもらうというか、意見をいただく、こういったものが必要かと思うんですが、今はどうなっていますか。農水省さん、お願いします。

神田政府参考人 お答えいたします。

 農業振興地域の整備に関する法律、いわゆる農振法におきましては、市町村が定めます農業振興地域整備計画の中で、農業上の利用を図るべき土地の区域として、農用地区域を設定しております。

 この農用地区域内の農地につきましては、原則、太陽光発電設備の設置など、農地以外の用途への転用が禁止をされておるところでございます。農用地区域の変更につきましては、法令に定めます要件のほか、公告縦覧による地域住民からの意見提出や地権者による異議申出の手続が定められているところでございます。

 また、農業経営基盤強化促進法に基づきまして、地域の農業者等が農用地の効率的かつ総合的な利用について協議をいたしまして地域計画が策定された地区内におきましては、地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがないと認められる場合に限り、農地法に基づく農地転用の許可ができることとしているところでございます。

 このように、農地転用許可制度につきましては、農地の農業上の利用の確保を図るという観点から、農地の転用につきましても必要な規制を、制限を行うものでございますので、太陽光発電設備の設置による農業以外の影響につきましてこの許可制度の中で審査を行うことは困難ではないかと考えているところでございます。

 なお、転用目的となっております事業を実施する上で、例えば環境面などで他法令の許認可が必要な場合につきましては、この事業が実施できなくなる事態にならないように、これらの許認可の見込みがある場合に限って農地転用についても許可をするということにしているところでございます。

空本委員 農地転用は厳しくやっているということなんですけれども、やはり資料の四の一番下にあるような、草がぼうぼう生えているというようなこともございますし、放置されて、ここがすぐに火事になるということはないと思いますけれども、農地を転用して、こういうふうな管理がなかなか行き届かない、そうすると、その集落自体の景観が悪くなる、こういうこともございますので、この法案は、もっともっと、ある程度厳しさを持って修正をかけていただきたいところですが、なかなかそうはいかないと思いますので、附帯等でこういったものをしっかり入れていただきたいなというところでございます。

 それと、今、質問予定だったんですが、例えば、宮城県とか岡山県の自治体においては、急傾斜地などに設置する場合は課税条例を設けているというところもございます。そういった意味で、景観を守ろうじゃないかという自治体さんもございます。そういった活動も私はいいんじゃないかなということもありますので、そういったことも踏まえて環境省さんは御理解いただきたい。

 それをもって、最後にもう一回、大臣、最後にまとめてお答えいただきたいんですが、陸上風力の問題にまず入ります、時間がございませんので。

 陸上風力について、そろそろ限界に来ているんじゃないかなと思います。自治体若しくは地域の反対、住民運動の反対によって、これまで陸上風力を建てようとしたけれども、ほとんど最近建たなくなっている。そして、逆に、リプレースをしようとするときも、なかなか費用面でリプレースできない、撤去しようとしても、一基に一、二億かかっちゃう。大変厳しい状況にあると思うんですが、資源エネルギー庁さん、今後のそういう陸上風力の見通しはいかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、陸上風力につきましては、景観や環境への影響に関する懸念から計画が中止となる事案があるなど、地域共生に関する課題があるプロジェクトも存在するというふうに認識いたしております。

 このため、地域との共生が図られた陸上風力の導入を促進する観点から、本年四月一日に改正再エネ特措法を施行しております。FIT、FIP認定要件として関係法令の遵守を求めておりまして、これが遵守されない事業者にはFIT、FIP交付金を一時停止するといったような措置を盛り込んでおりますし、景観面や環境面を含む事業内容を周辺地域の住民の皆様へ説明すること、これをFIT、FIP認定の要件とするなどの事業規律の強化を行っているところでございます。

 陸上風力の導入状況でございますが、二〇三〇年度十七・九ギガワットというのがエネルギーミックスの導入目標でございますけれども、二〇二三年三月末時点で五・一ギガワットの導入状況となっております。

 今後、地域の御懸念に適切に対応しながら、地域と共生した陸上風力発電の導入に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

空本委員 陸上風力は、北海道の北の方とかまた福島県とか、まだまだ計画はございますし、そういったところでは、住民に対する問題とか景観、環境、こういったものに対して問題がなければ進めてもいいと思いますが、既存の風力発電所等を見ると、やはりある程度制限をかけていかなきゃいけないのかなと。

 そうなると、再生可能エネルギーばかりがいいものというふうには言えません。先ほど言いました出力制御もしなきゃいけないということで、適正な再生可能エネルギーというのはやはり三割、四割弱だと私は思うんですが、そういったことを含めて、最後に環境大臣から、風力発電、太陽光発電、簡単で結構です、環境影響等、また景観、そういったものに対しての影響がないようにしっかり取組を、この法案審議も含めて、環境省には規制を、強化といわず、適正な規制をやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 三問なのでお話ししたいと思いますけれども、陸上風力発電の導入拡大に当たっては、まさに適正な環境配慮が確保され、丁寧な対話を通じて、地域の合意形成が図られることが不可欠でございます。

 環境省では、今般の改正法案によって、自治体による再エネ促進区域の設定等を更に促していく予定でございます。例えば、環境影響評価制度により、地域との適切なコミュニケーション等を通じて適正な環境配慮が確保されるように取り組んでおります。

 それから、太陽光発電、これも先ほども御答弁申し上げましたけれども、景観や環境への影響、安全面、防災面に対する地域の懸念は大変高まっております。

 この懸念に応えるために、経産省、環境省、農水省、国交省の四省による有識者検討会を設置し、課題の解消に向けて検討を進めたところでございます。

 この結果を踏まえて、関係省庁において、再エネ特措法、いわゆるFIT法に基づいて事業を申請する際に、森林法における林地開発許可等、土地開発関係の許認可の取得を求めるなど、再エネ事業の規律強化に取り組んでございます。加えて、有識者検討会の場において、各省の取組のフォローアップ等を適切なタイミングで実施しているところでございます。

 こういったフォローアップ、新しい法律に基づいた適切な配慮、これを進めながら、再エネの導入に関しては、二〇五〇年のネットゼロに向けて必要な再エネでございますので、先ほど御指摘があった出力制御への対応、国民の負担についての御懸念、それから既存の電力系統の在り方に頼らない形での再エネの導入、今度、ペロブスカイトというものもありますので、環境省としては、屋根や窓、壁などを活用した自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入支援などの取組を進めております。

 環境省としては、国民負担の抑制と地域共生を図りながら、再エネを適切に最大限導入拡大していくという方針の下、引き続き関係省庁とも連携して取り組んでまいりたい、そのように考えております。

空本委員 ありがとうございました。

 しっかりとお願いいたします。

務台委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十六分散会


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