衆議院

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第9号 平成31年2月18日(月曜日)

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平成三十一年二月十八日(月曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 野田 聖子君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 田中 和徳君

   理事 堀内 詔子君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 達也君

      石崎  徹君    石破  茂君

      今村 雅弘君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      小野寺五典君    奥野 信亮君

      河村 建夫君    熊田 裕通君

      笹川 博義君    鈴木 俊一君

      田野瀬太道君    竹本 直一君

      武井 俊輔君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    中山 泰秀君

      野田  毅君    平沢 勝栄君

      福山  守君    古屋 圭司君

      務台 俊介君    村上誠一郎君

      盛山 正仁君    山口  壯君

      山本 幸三君    山本 有二君

      吉野 正芳君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡島 一正君

      落合 貴之君    亀井亜紀子君

      川内 博史君    高井 崇志君

      長妻  昭君    初鹿 明博君

      本多 平直君    村上 史好君

      森山 浩行君    矢上 雅義君

      山崎  誠君    山花 郁夫君

      早稲田夕季君    奥野総一郎君

      後藤 祐一君    近藤 和也君

      階   猛君    関 健一郎君

      玉木雄一郎君    西岡 秀子君

      山井 和則君    太田 昌孝君

      岡本 三成君    高橋千鶴子君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      浦野 靖人君    松原  仁君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         石田 真敏君

   法務大臣         山下 貴司君

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   厚生労働大臣       根本  匠君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    原田 義昭君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   多田 明弘君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  白川 靖浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 横山  均君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小野瀬 厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田村 政美君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   参考人

   (前内閣総理大臣秘書官) 中江 元哉君

   参考人

   (統計委員会委員長)   西村 清彦君

   参考人

   (元厚生労働省政策統括官)            酒光 一章君

   参考人

   (厚生労働省前政策統括官)            大西 康之君

   参考人

   (独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)   樋口 美雄君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     小倉 將信君

  石破  茂君     冨樫 博之君

  竹本 直一君     武井 俊輔君

  村上誠一郎君     熊田 裕通君

  山口  壯君     務台 俊介君

  川内 博史君     山花 郁夫君

  武内 則男君     村上 史好君

  本多 平直君     矢上 雅義君

  早稲田夕季君     初鹿 明博君

  奥野総一郎君     玉木雄一郎君

  後藤 祐一君     関 健一郎君

  階   猛君     近藤 和也君

  西岡 秀子君     山井 和則君

  宮本  徹君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     谷川 とむ君

  熊田 裕通君     福山  守君

  武井 俊輔君     竹本 直一君

  冨樫 博之君     石破  茂君

  務台 俊介君     山口  壯君

  初鹿 明博君     早稲田夕季君

  村上 史好君     長妻  昭君

  矢上 雅義君     本多 平直君

  山花 郁夫君     山崎  誠君

  近藤 和也君     階   猛君

  関 健一郎君     後藤 祐一君

  玉木雄一郎君     奥野総一郎君

  山井 和則君     西岡 秀子君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     秋本 真利君

  福山  守君     村上誠一郎君

  長妻  昭君     落合 貴之君

  山崎  誠君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  落合 貴之君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     岡島 一正君

同日

 辞任         補欠選任

  岡島 一正君     亀井亜紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  亀井亜紀子君     森山 浩行君

同日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     武内 則男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

野田委員長 これより会議を開きます。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算、平成三十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として前内閣総理大臣秘書官中江元哉さん、統計委員会委員長西村清彦さん、厚生労働省前政策統括官大西康之さん、元厚生労働省政策統括官酒光一章さんの出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹さん、内閣府政策統括官多田明弘さん、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官長谷川秀司さん、警察庁生活安全局長白川靖浩さん、総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝さん、総務省大臣官房審議官横山均さん、厚生労働省大臣官房長定塚由美子さん、厚生労働省労働基準局長坂口卓さん、厚生労働省子ども家庭局長浜谷浩樹さん、厚生労働省政策統括官藤澤勝博さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 本日は、統計問題等についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本三成さん。

岡本(三)委員 皆様、おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私、大学院の時代に統計学をメジャーの一つとしておりましたので、本日は、本来統計はこうあるべきだという視点を持ちながら質問させていただきたいというふうに思います。

 今回の統計不正問題、私は、国の根幹を揺るがしかねない重大な事案だというふうに思っています。とりわけ、毎月勤労統計を始めとした五十六ある基幹統計の中で、約四割に当たる二十四で不正が見つかりました。想像を絶する割合であります。

 この統計不正、さまざまに問題をはらんでおりますけれども、私は、二つの側面において、大変その深刻さが重大だと思っています。

 一つは、この統計不正が国民生活に重大な影響を及ぼすという点です。

 統計というと、何か国民生活から遠く離れたように感じてしまう側面もありますが、実は緊密に連携をしております。統計データというのは、国民経済の実態をつかむために行うものであり、そのときの経済全体の全体像を把握するものであります。

 そして、この統計をもとに政治家は今後の政策を考えていき、国民生活を一歩でも支援できるような政策を考えていくという出発点がこの統計であるにもかかわらず、その出発点が間違えていれば、とるべき政策も間違ってしまいます。その意味において、今回のこの事案、看過することができない大変重大な問題であります。

 加えまして、この毎勤統計におきましては、例えば民間の賃上げや最低賃金の参考数値として利用されておりますので、給料に直接はね返ってきます。さらに、雇用保険や労災保険など、本来セーフティーネットとしてしっかり国が支援するべき方々に関しても、今事案において、二千十五万人の方々に、本来受け取っていただける保険金を少ない金額しかお支払いすることができませんでした。このことに関しては、厚労省に一日も早く不足分を確実にお支払いすることを要請したいと思います。

 そして二つ目に、今回の事案が重大な問題であるという点は、国内外から、ただ単に公的統計に対する信頼を失墜させたということだけではなくて、日本政府、日本全体に対する信頼を失墜させたことに大きな問題があると思います。

 このように、統計でさえもうそをつく、そして正確な数字を出さないと思われているような国であれば、ほかのことにおいても平気でうそをつくのではないかというふうに思われてしまう側面が大きいからであります。海外のクオリティーペーパーであるフィナンシャル・タイムズも、大きな失望をしたと断じております。

 信頼を築くのには大変長い時間がかかります。けれども、それを崩すのは一瞬です。そして、一旦崩れてしまえば、更に信頼を構築するのには今までかけた以上の時間がかかるというのが常識です。私は、政府において、今回の不正問題に対する認識が甘いのではないかというふうに感じています。

 総理、まず初めに、今回の統計不正に対する事の重大性についての総理の認識をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 公的統計は、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であります。しかしながら、毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、セーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわびを申し上げます。

 高い専門性と信頼性を有するべき統計分野において、大変長い間、これは十五年間でございますが、十五年間にわたって誤った処理が続けられていたにもかかわらず、それを見抜けなかったという大きな問題、根本的な問題があるんだろう、こう思います。そのことについて責任を重く受けとめております。

 今回のような事態が二度と生じないよう、徹底して検証を行い、そして信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいりたいと思います。

岡本(三)委員 一方で、今回のこの不正を見つけることができたという点においては、平成二十七年から始まった統計改革、とりわけ昨年の統計法の改正の成果であったという側面も事実であります。もし仮に統計改革に切り込んでいなければ、いまだに不正が続いていたことになります。その意味において、その方がより大きな問題を将来に提起したということもあり得ますので、統計改革の方向性自体は正しいと思うんですね。

 ただ、この改革を進めるためには、まずは現時点において全容の解明が何よりも重要であります。

 厚労大臣にお伺いいたします。

 今回の不正の全容を解明して今後の再発を防ぐために、現在、特別監査委員会の調査が行われております。(発言する者あり)特別監察委員会ですね。第三者性が重要ですので、ここまでというふうに期限を仮に切って、そして十分な検証がなされなければ本末転倒ですので、やみくもに早くしてくださいというふうに申し上げるつもりはありませんけれども、ただ、ただ時間をかければいいという問題でもありません。政府の中では、これぐらいまでをめどにということを心に持ちながら、監察委員会の方々にしっかりと思いを共有して全容解明に努めていただく必要があると思いますけれども、この報告書、いつごろをめどに完成する予定かということを御答弁いただければと思います。

根本国務大臣 現在、特別監察委員会では、改めて厳正な調査を行っていただいております。

 このスケジュールについては、委員会の判断で行っていくべきものと考えておりますが、一月三十日の特別監察委員会において、改めて、追加報告及び取りまとめ時期はこの委員会で決める、拙速な議論を避けて、委員の合意のもとにスピード感を持って取り組む旨、これが再確認されております。

 現在、委員会において精力的に行っていただいております。

岡本(三)委員 今の御答弁の中で、拙速な調査になっては本末転倒というのはよく理解をいたします。その一方で、先ほど申し上げたように、国民に全容を明らかにするという政府の決意を示す意味からも、委員会の方々に強く、ある程度の時間内で報告をしていただくことをお願いするという姿勢をぜひお持ちをいただきたいと思います。

 今回の一連の不正を転換点として、今後、精度の高い統計を算出できるように、私は、統計の手法を一から見直すプロセスを政府にぜひお願いをしたいというふうに思っております。そして、将来、振り返ったときに、あの統計不正があったからこそ日本の統計は信頼できる、正確なものになったと国内外に評価をいただけるような統計行政全体像に転換をしていく必要があると思います。

 そこで、きょうはぜひ、本来統計とはこうあるべきだということにつきまして、政府にこういう観点から一体となって御検討いただきたいということを御提案申し上げたいと思います。

 その際に、三つ、大切な視点があります。

 一つは、学術的にも、そして調査手法の効率化の観点からも、現在の統計手法が真に精度が高いものとなっているかどうかという観点。そして二つ目には、他の主要国と比べて日本の統計手法がどういう状況かという観点。そして最後には、これは重要なんですけれども、調査対象者、協力者の皆様の負担を極力軽減するということに配慮ができているかという観点であります。

 例えば、現在の公的統計、全部で二百八十九あるんですが、これは本当に二百八十九必要なんでしょうか。歴史的に役割が終わったものはないんでしょうか。新たな経済の側面ができて、実は、これよりもふやさなければいけないということはないんでしょうか。前もやっていたから今も同じことをやっているということがないかということは、ぜひ調査をしていただきたいと思います。

 加えまして、その調査対象においても、それぞれの統計で全数調査が本当に必要なのか、それとも、統計の手法を使えば、十分に分散をしていれば抽出調査でもいいのか、そういう議論も必要です。

 また、訪問をして調査をするというのが今の時代、本当に必要なのか。今はルールですから、しなければいけませんが、郵送の方がいいのかもしれません。電子メールでのやりとり、さらにはWEPを設定してそこに直接入れていただくようなこと、又はAIを活用したまとめ方もあります。さまざまな議論が必要です。

 調査項目についても、実際に調査票として送られているものをきょうは持ってきましたけれども、大変多くの調査項目があります。これは本当に全部必要なんでしょうか。確かに必要といえば必要なんですが、優先順位もあるはずです。協力者の方々の負担を軽減するために、この質問内容についても、いま一度見直すときが来ているのではないかというふうに私は思っております。

 加えて、一旦集めたデータを役所でどのように分析しているんでしょうか。

 私、厚労省の方に、毎勤統計を分析するプログラムを伺いました。あえてネームは挙げませんが、このプログラムは、私が三十五年前、大学に入学したときに、一年生でプログラム言語で習った言語がこのプログラムです。(発言する者あり)COBOLです。いまだにそれを、COBOLがいい悪いという評価をしているわけではありません。あれ以来、さまざまなソフトウエアが開発されています。厚労省の方に伺いました、なぜこの言語をいまだに使っていらっしゃるんでしょうかと。前任者が使っていたからだとおっしゃるんですね。ちょっと恥ずかしそうにおっしゃいました。

 これがいい悪いではなくて、常に、厚労省の方、又は役所の方、統計に携わる方の効率化をしっかり図るためにも、ソフトウエアについても分析をして、より適切なものを使うべきではないかというふうに思います。

 パネル1、資料一をごらんいただきたいんですけれども、統計の組織体制についても御検討いただきたいというふうに思っているんです。これは主要国における統計機関を比較したものでありますけれども、日本とアメリカは、それぞれの役所が担当する統計をそれぞれ算出をしておりますが、フランス、ドイツ、カナダは、専門の統計組織が一元的に調査をしております。この表にはありませんけれども、イギリスも国家統計局が一元的に行っております。私は、一元的に行ってほしいということではなくて、そういうことも含めて議論をしていただきたいというふうに思っているんですね。

 私、個人的には、少なくとも基幹統計においては一元的にやっていくということに意味があると思っているんです。それは、専門家を育成するという観点から、例えば、一元的に総務省の中につくった組織において基幹統計をやって、そこに学術界の若手の研究者を三十人、五十人の単位で採用していただき、役人の方とともに統計を行っていく。そうすれば、常に最新の統計手法を役人の方と共有することができ、役所の中でも専門性が深まってまいります。

 実は、日本は、統計学並びに労働経済の分野におきましては、世界最先端の若手の研究者がたくさんいるんですね。にもかかわらず、いわゆるポスドク、博士号を取得した後にこの方々が活躍できる場が余りにも少ないんです。もったいないです。ぜひ、この方々が活躍していただけるような大きなフィールドを政府につくっていただきたいというふうに思っています。

 ただ、専門性を持った一元的な組織にするのか、今のままでいいのか、どちらがいいというふうに私は申し上げているわけではなくて、そういうことも含めて御検討いただくタイミングだと思います。

 あと、この職員の人数をごらんになっていただきたいんですけれども、人数自体は、それぞれの国で経済規模の違いや人口の違いもありますので、一概に多い少ないとは言えないんですが、仮に、人口十万人当たりそれぞれの国で統計に携わっている方が何人いらっしゃるかという観点から見ると、日本は、アメリカやフランスの約半分、そしてカナダの七分の一。やはり、正確な統計をしっかりと確保していくことからも、この人材の大幅な拡充ということも御検討をいただきたいというふうに思います。

 統計の全体像を見直すに当たって大切な視点の一つは、先ほど申し上げたように、協力者、情報提供者の皆さんに最小限の負担で、しっかりとした統計の精度を上げていくということであります。

 大企業ならまだしも、中小、小規模の皆さんが、あなたが統計の対象に選ばれましたというふうにいきなり言われて、この統計の内容につきまして全て回答するというのは大変な労力なんですね。ぜひ軽減していただきたいと思うんです。

 この統計のローデータというのは重要ですので、統計法の中で、これに答えなかったり不正確な答えをすると罰金が科されるようになっています。ですから、この統計の集計表の下にも罰金が科されると書いてあるんですね。私、ちょっと、質問をお願いしているのに、上から目線過ぎると思っているんですよ。はい、あなたが選ばれました、答えてください、もし答えなかったら五十万円請求しますと、ちょっと偉そうじゃないですか。

 私は、もっと感謝してほしいんです。物すごい頑張っているんですよ。例えば、ちゃんと答えていただいた方には、大臣からお礼状の一通ぐらい送っていただきたいんですね。それぐらいの気持ちでこの統計の基礎をなすデータを示していただいている方々と向き合っていただきたいというふうに思います。

 ちなみに、私がここでさまざま議論をしているようなことに関しましては、既に政府の方で何回も何回も議論をしていただいておりまして、このような、公的統計の整備に関する基本的な計画としてまとめていただいております。

 しかし、ここで目標としていらっしゃること、期限もついていますけれども、はっきり言って余り進んでおりません。議論をすることが目的になっているのではないかというふうに私は危惧しているんですね。実現することに魂が入っていないんじゃないかと思うんです。しっかりと議論をして決める、期限も決める、進捗状況もチェックする、そういう体制をいま一度政府の中で見直していただきたいと思います。

 もう一つだけ重要な点、ぜひ皆さんに御検討いただきたいんですけれども、では、どうやって今回失った信頼を取り戻すかということであります。

 諸外国はどうしているかというと、統計に不正がないことをしっかりと民間と共有をするために、この一つ一つの生の、ローデータ、生の基礎データを民間と共有できる仕組みがあります。実は日本もこれがあるんですね。ただ、どの会社のデータかということが余りにも推測されやすくなってはいけませんので、しっかりと守秘義務を結んで提供できるようになっています。

 特に、学術者においては、この基幹統計のローデータというのは宝の山だそうです。このデータを使うことによって、世界的なジャーナルにも多くの論文が出せるという学術者の声も多くあります。けれども、諸外国に比べて日本は著しく活用されていないんですね。

 なぜ活用されていないかということを研究者の方に伺いました。二つあるそうです。一つは、政府の宣伝不足。活用できること自体を御存じない研究者が物すごく多い。もう一つは、時間がかかることです。活用させてくださいと申し込んでから、長いものではデータを入手するのに半年以上かかるそうです。統計を分析するにはタイムリーな分析が必要なのに、半年前のデータをもらっても、もう世の中は変わっています。その点において、このような信頼を回復するという側面全体も含めて、ぜひ、政府の、本来統計はこうあるべきだという観点の議論をしていただきたいと思います。

 その上で、総理に質問させていただきたいんですけれども、結局、どんなルールを決めても、それを守らなければ意味がないんですね。結局、今回の問題も、私はガバナンスの問題だと思っています。しっかり、いろいろな方の意見を反映して決めたことを守れるような体制をつくり、事後チェックもしっかりしていくということが何より重要だと思います。どんなにすばらしいルールをつくっても、それが守られなければ意味がないからです。その意味で、大胆なガバナンスの強化をして、しっかりと機能する、日本の統計行政機構全体を見直すというタイミングに来ているのではないかと思います。

 事後チェックの仕組みが何より重要です。総理、今回の特別監察委員会の報告書が出てきた後、この日本の統計行政全体のあり方を見直す、そういう再検討するときに来ていると思いますけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今回のような事態が二度と生じないよう、徹底して検証を行い、統計調査が定められた手順に基づいて確実に実施されるようにすることが何より重要だと考えています。

 我が国の統計機構では、各府省が所管行政に関連する統計作成を担い、統計委員会が統計整備の司令塔機能を果たしてきました。さらに、統計機構の一体性を確保するために、昨年の統計法改正により統計委員会の機能が強化され、各府省の所管する統計調査について、予算や人員、人材の配分を含め、自律的、機動的に政策提言等を行うことができるようになったところであります。まずは、こうした機能を十分に活用していくことが重要と考えています。

 また、今回の統計をめぐる問題を受けて、統計委員会に点検検証部会を設置し、第一回会議をあす開催する予定であります。各府省が所轄する統計について、再発防止や統計の品質向上といった観点から徹底した検証を行うこととしており、そうした結果も踏まえつつ、総合的な対策を講じてまいりたいと考えています。

岡本(三)委員 総理、現状の統計行政全般を考えたときに、このままで同じことが将来起きないという確信を私は今のところ持てていないんですね。それは先ほど申し上げたとおりでありまして、新たな適切なルールができ上がっても、それを事後的にしっかりとチェックをしていくような仕組みにまだ完全になり切れていないからであります。

 その意味において、先ほど申し上げたとおり、一から統計行政機構を見直すという気持ちで、今回の報告書が出てきた後の仕組みづくりを総理のリーダーシップのもとでお願いをしたいと思います。

 この統計法には、統計の目的はこう記されております。「国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与すること」。国民生活の向上に寄与しなければ、統計は意味がないんですね。今回問題になっている統計不正は、国民の生活に直接かかわっています。だから大問題なんです。

 政府は景気回復が戦後最長だと言っていますけれども、世論調査をとると、NHK調査では、六六%の人が実感していないとおっしゃっています。私は、この政府の判断と国民の肌感覚の違いは何かということを明らかにしたいと思うんです。

 経済学や政府において、景気がいいという定義は、GDPの連続プラスを中心とした経済指標の上向き、これをもって経済判断をいたします。ただ、一般国民からいうと、景気がいいという判断基準はたった一つ、自分の給料が上がっているかどうか、これが一番大事なんですね。

 いろいろな言葉が飛び交います。賃金というのは払う側の視点ですから、私は、経済学用語でありますけれども、余り好みません。給与というのは実はボーナス等や全体を含めます。けれども、一般な言葉で言うと給料、これは基本給なんですが、一番わかりやすいのであえて給料という言葉を使いますけれども、給料を上げることが何より重要なんですね。

 ただ、この六年間、安倍自公政権、給料は上がっているんです。ただ、細かく分析していきますと、大企業の給料というのは、諸外国の大企業と比べても遜色ない程度に実は上がっています。どこが上がり切っていないかというと、中小企業なんですね。

 諸外国の中小企業と比べて、日本の中小企業で働いている方の給料、実は上がり方が低いんです。そして、この中小企業は、企業数でいうと九九%以上、働く方でいうと七〇%以上が中小企業に属していらっしゃいますので、中小・小規模企業の給料をどう上げていくかということが何より重要です。

 そこで、厚労省、根本大臣、実は、厚労省で業務改善助成金というのを出していらっしゃいます。これはすばらしいんですよ。中小・小規模企業で、その事業所の中で一番低い時給の方の時給を三十円上げると、その企業が設備投資をするときに、百万円を上限に九割の助成がされます。これは、実は、申し込んだら採用率九割以上です。ほとんど採用されるんです。

 例えば、このパネル2をごらんください。ほとんど、いろいろなものに使えます。レストランで食洗機を買う、対象です。学習塾で電子黒板、対象となっています。花屋さんが電動の日よけ、対象なんですね。ほとんど何にでも使えます。経営者の立場からすると、従業員の給料を上げると会社が潤うんです。本当にすばらしいんです。

 にもかかわらず、このパネル3をごらんください。これは、この予算に対して実際交付が決定した金額、何と、ほとんど毎年、半分以上未消化です。こんなにすばらしいものなのに使われていないんですね。

 伺いました。最大の理由は、この助成金の存在自体を知らない。二つ目には、助成金の申込書が複雑過ぎて、小規模企業の方々、忙し過ぎてそんなところまで手が回らないんですよ。

 税金ですから、しっかりとした使い道が必要ですけれども、使っていただいて値打ちがあるんです。これ、しっかり使っていただけるような指導、お願いできませんでしょうか。

根本国務大臣 この業務改善助成金、まさに委員が御紹介していただきました。

 最低賃金の引上げに対応して生産性を向上させることができるように、設備投資やコンサルティングの費用を助成する。この助成金について、マスコミや業界団体を通じた周知、今、存在自体が知られていないというお話でしたが、この周知、そして働き方改革推進支援センターやセミナーでの周知。助成金の活用事例、今の食洗機等々の活用事例、こういうものを作成し、配布しております。

 実数自体は、申込受け付け数は増加傾向にあるんですが、これはしっかりと我々周知をしていきたいと思っております。きょう、本当にいい御紹介をいただきました。

 そして、申請書類が複雑ではないか、これも、申請時の添付書類について簡素化を図っておりました。例えば、従来必要としていた法人登記簿謄本の提出を不要とするなど、簡素化を実施してきておりますが、これからも簡素化に努めていきたいと思います。

 この助成金、周知が本当に大事なので、更に活用されるように周知に努めていきたいと思っております。

岡本(三)委員 総理、この自公政権の経済政策、いよいよ本丸に直接的に影響のあるような政策を打つときに来ていると思うんです。

 実は、中小・小規模企業の給料、上がっているところがあるんですね。上がっているところに共通していることが幾つかあります。

 統計的に言いますと、中小・小規模企業でも社員の数が多いところは給料が高いです。これは相関係数〇・九三。十人の企業より二十人の企業の方が給料が高いんです。であれば、後継者がいないような企業では、例えば地域金融機関が中心となって、合併して大きな企業となることが重要かもしれません。

 例えば、給料が上がっている中小企業、輸出をしているところは高いです。輸出をしている中小企業と給料の相関関係は〇・八四。そうであれば、政府が中小企業に輸出できるような支援をしていく、ジェトロをもっと活用していく、そのようなことも大変重要であります。

 直接的に、中小企業という法人のためではなくて、中小企業の社長のためでもなくて、中小企業の従業員の方の給料を上げるための政策をしっかりとピンポイントで打っていくという決意を最後に総理にお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 御指摘のとおり、中小企業そして小規模事業者で働いている皆さんの給料が上がっていく、そういう環境をつくっていくということは、私たち、この六年間、進めてまいりました。

 そもそも、中小企業、倒産が大変多かったです。小規模事業者もそうです。我々は、前政権から比べて三割、中小企業そして小規模事業者の倒産を減らすことができた。最も今少ない水準に、倒産件数、そもそも給料以前に仕事を失っていたという状況を大きく変える、いわば給料を上げていく環境をつくり始めているわけであります。

 そして、その中において、例えば最低賃金ですね。最低賃金においては、政権発足以降六年間で、時給で約百二十五円引き上げ、ことしは二十六円の引上げを行ったわけでありますが、これはバブル期以来の引上げ幅となっています。

 こうした積極的な引上げを可能とするため、御指摘の業務改善助成金を始めとした中小企業の生産性向上支援に政府一丸となって取り組んでおります。

 また、賃上げも……

野田委員長 総理に申し上げます。質問時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 はい。

 中小企業の賃上げは、これは連合の調査でも過去二十年で最高となっておりますが、確実に成長と分配の好循環が生まれておりますので、これを更に加速をしていきたい。

 さらに、近年の下請いじめの実態を踏まえて、下請法の運用基準を十三年ぶりに抜本的に改定するなど、下請取引の条件改善に取り組んできたところでございまして、まさに中小・小規模事業者で働いている皆さんが景気回復の実感を持っていただけるように全力を尽くしていきたい、このように考えております。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 終わります。

野田委員長 これにて岡本さんの質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎さん。

玉木委員 おはようございます。国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 まず冒頭、通告しておりませんけれども、気になるニュースがありましたので、総理に伺いたいと思います。

 トランプ大統領に対して、ノーベル平和賞を安倍総理が推薦したとの報道がありますけれども、これは事実関係を教えてください。

 仮にこれが事実であるとすれば、どういう理由で推薦したのか、あわせて教えてください。

安倍内閣総理大臣 トランプ大統領は、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて、果断に対応しておられます。

 昨年、歴史的な米朝の首脳会談を行いました。また、その際には、拉致問題について、私の考え方を直接、金正恩委員長に伝えていただいたわけでございますし、その後も、この拉致問題の解決についても、ホワイトハウスを挙げて積極的に協力をしていただいているのは事実であります。

 私も、トランプ大統領とともに手を携えて、北朝鮮の核・ミサイル問題、そして我が国にとって最重要課題である拉致問題の解決に向けて、引き続き全力を尽くしてまいります。

 その上で申し上げれば、ノーベル平和賞については、ノーベル委員会は推薦者と被推薦者を五十年間は明らかにしないこととしていることを踏まえまして、私からは、この方針にのっとって、コメントは差し控えたいと思います。

玉木委員 では、一部報道されていることは事実ではないということですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、私、もう既に答弁をいたしました。事実ではないということを申し上げているのではありません。

 これは繰り返しになりますが、トランプ大統領は、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて果断に対応されているわけでありまして、トランプ大統領のリーダーシップを高く私は評価をしております。

 私も、トランプ大統領とともに手を携えて、北朝鮮の核・ミサイル問題、そして我が国にとって最重要課題である拉致問題の解決に向けて、引き続き全力を尽くしてまいります。

 その上で申し上げれば、ノーベル平和賞については、ノーベル委員会は推薦者と被推薦者を五十年間は明らかにしないこととしていることを踏まえ、私からコメントすることは差し控えたいと思います。

玉木委員 していなければしていないと言えばいいんです。推薦者を明らかにしちゃだめだということは、推薦していなければ推薦していないと言えばいいので、言えないということはされたということだと思います。

 私、これは問題なのは、総理がもししていたとしたら、今の北朝鮮の状態が平和だと、北朝鮮との関係において、当該地域、我々のこの北東アジアが平和になっているんだという総理の認識があるとしたら、私は問題だと思いますね。

 拉致も、核も、そして近距離、中距離も含めたミサイルの問題は、何ら解決していません。もしこれでノーベル平和賞を推薦したとすれば、総理の北朝鮮に対する認識は甘いと言わざるを得ませんし、かつ、そのことが対外的に与えるメッセージについては、非常に間違ったメッセージになるということを強く懸念します。

 あわせて、一昨年末に閣議決定したイージス・アショアを導入するときの閣議決定ですね、北朝鮮は差し迫った新たな脅威としていますよね。その状況の中で、トランプ大統領に対して、北朝鮮との脅威が緩和したということを理由にノーベル平和賞の推薦をするということは、私は大きく矛盾していると思いますので、この点は指摘をしておきたいと思います。

 次に、私たち国民民主党は、「つくろう、新しい答え。」というキャッチフレーズを掲げております。幾つか提案をさせていただきたいと思いますが、総理、聞いてください。

 水泳の池江選手が白血病を発表されました。治療に専念されて、一日も早くあの元気な笑顔が戻ることを祈りたいと思います。

 私たち国民民主党は、民進党時代から、骨髄バンクへのドナー登録の活動を推進してまいりました。私たちの仲間であった元名古屋市議会議員の日比健太郎さん、彼は三十五歳で白血病で命を失いました。しかし、患者になって初めてわかったこと、こういったことをまとめて政策提言にし、それを私たちは今、日比プランとしてまとめて、総合的な対策を進めています。

 パネルをごらんください。

 今、移植を待っている人たちは三千人弱、ドナー登録をされている方は四十九万人強いらっしゃいます。適合者は九五・八%いる中で、実際に移植に至る方は五八・三%。

 では、なぜできないのかということですが、この右側に書いておりますけれども、辞退をした理由が、都合がつかないということがあります。連絡がとれないという人も三一%。都合がつかない理由に、御自身が高齢になったり健康不安があるということもあると思いますが、健康の理由以外のものも約六割あります。

 そこで、私たちは、例えばドナーとなって移植するときには、何度も病院に行かなければいけません。会社も休まなければいけません。ですから、本人そして会社にも経済的なある意味損失が生じるということで、自治体によっては、今現在、全国の四百三十七の自治体で休業時の補償にかかわるドナーの助成制度が導入されています。

 どこに住んでいてもドナーが骨髄の提供がしやすくなるように、この際、各市町村に任せるのではなくて、ドナーの助成制度を国の助成制度として新たに再編し直すべきではないかと考えます。

 また、国民民主党では、ドナーになった方が病院に行って移植をするときのドナー休暇制度ということを政党として導入しておりますが、こういったことを各企業でも導入することを支援してはどうか。

 あるいは、四十九万人いるドナー登録者のうち、実は六万人の方には現時点で連絡がつきません、引っ越しをしたり。電話ということを主な連絡手段にしておりますので、なかなか連絡がつかないということがありますから、特に若い人を中心にLINEなどSNSを使って新しい連絡手段をすれば、もっともっとこの移植率というものが高まっていくのではないかと思いますけれども、今、私から申し上げたような幾つかの提案、ぜひ政府としても進めていただきたいと思いますので、安倍総理の見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 骨髄移植については、ドナーによる骨髄提供があって初めて成り立つ仕組みであり、希望する方がドナーになりやすい環境を整備することが重要であります。

 政府としては、これまでも、日本骨髄バンクや臍帯血バンクに対する支援や医療機関等の体制整備などを行ってきたところでありますが、来年度からは、ドナー休暇等を導入しようとする企業への働きかけを行う活動などを支援していくこととしています。

 また、若年層のドナー増加が重要であることから、若者が多く集まる地区の献血ブースに担当者を重点的に配備するとともに、SNSを用いた普及啓発の促進など、その働きかけやPR等を進めてまいりたいと考えております。

玉木委員 助成制度はいかがですか。

根本国務大臣 制度の趣旨を踏まえますと、ボランタリーなものですので、政府として直接助成を行うことは難しいのではないかと考えておりますが、ドナー休暇制度については、総理からもお話がありましたように、日本骨髄バンクが企業に対して実施する普及啓発活動への支援を来年度から強化していきたいと思います。

玉木委員 今の答弁、ちょっと理解できませんでしたね。ボランタリーな制度なので補助することができないということなんですが、市町村はやっていますから。

 ですから、どこに住んでいてもドナーの皆さんがドナー提供、協力をしやすいような体制を国全体として、ある種のナショナルミニマムとして整備したらどうかという提案なので、これはぜひ前向きに検討をしていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、毎月勤労統計の問題に入りたいと思います。

 今回、さまざまなことが問題となっておりますが、先週新たに、出してくれ出してくれと我々野党側が要求してきておりました毎月勤労統計の改善に関する検討会というものの議事録がやっと出てきました。三年前の議事録です。

 これは何で出てこなかったのかなと思うんですが、実は、出てきた議事録の第六回ですね、一番新しい、最後に、第四回、第五回の議事録については近々委員の皆さんにチェックしてもらいますという記述がありました。

 三年前、当然すぐにチェックしてもらって、いつでも出せるようなスタンバイしていたと思うんですが、まず、これは事実関係なので事務方に聞きます。この第四回、五回の毎月勤労統計の改善に関する検討会の議事録の委員のチェックはいつされましたか。(発言する者あり)

藤澤政府参考人 申しわけございませんでした。

 御指摘の毎月勤労統計調査の改善に関する検討会の議事録の委員への確認でございますけれども、委員への確認を始めましたのがことしの一月の三十一日でございます。

玉木委員 いや、驚きましたね。

 これは、検討会の第四回、五回というのは、ここにも書きましたけれども、二〇一五年の八月七日と、第六回、九月十六日なんですけれども、二〇一五年ですよ。その議事録が、ことしは何年でしたっけ、二〇一九年の一月に委員のチェックを始めたということは、もともと出す気がなかったということじゃないですか。国会で問題になって、急ぎメンバー、委員の皆さんのチェックを受けなければいけないといってチェックしているということは、これは闇に葬ろうと思っていたんじゃないですか。

 なぜ出せなかったのかということは、読んでみてわかりました。都合の悪いことがいっぱい書いてあるからです。

 特に、ここにありますが、八月七日、第五回の検討会では、いわゆるサンプリング、どういう企業を対象に調査を行うのかということがこの間国会でも問題になってきましたけれども、これまでやってきた全部入れかえ方式で行うことが適当との取りまとめ案が、実は第五回の検討会ではほぼまとまりつつありました。

 しかし、それがなぜか、九月十六日、第六回の検討会になると、全部入れかえ方式でいこうと、例えば第五回においては、座長の阿部座長、きょうなぜか来ていただけませんけれども、では、検討会の方向性としては総入れかえ方式で行うことが適切であるということにさせていただきたいと思いますと。座長が、これまでやってきた総入れかえ方式を継続してやろうということを第五回でもう決めているんですよ、ほぼ。にもかかわらず、九月十六日の第六回になりますと、部分入れかえも引き続き検討という、なぜか中間的整理になるわけです。

 これは、議事録をよく読むとわかるんですけれども、まず、総入れかえでやろうと言っていたことが、部分入れかえにすることを検討することを厚労省の姉崎部長から突然提案されます。しかも、なぜかこの六回のところは、阿部座長は病気で欠席です。そして、取りまとめをするということになっていたのが、なぜかちょっと一歩下がって中間的整理になり、かつ、引き続き検討となります。

 これはおかしくないですか。なぜこれは役所のある種都合で方向性が大きく変わっていくんですか。

 さらに、次のパネルです。

 これも以前指摘をしましたけれども、今度は、十月になりますと、経済財政諮問会議で麻生大臣が、財務大臣としては私は異例だと思います、統計について言及して、企業サンプルの入れかえ時に変動がある、そして、これは具体的に言っています、統計委員会で具体的な改善方策を早急に検討してくれと言っています。

 実は、先ほどの厚生労働省の毎月勤労統計の検討会は、次の年の三月末、つまり二〇一五年度末まで任期があり、それを前提に委員の皆さんにお願いしていたんですね。なぜか六回で終わってしまいます。

 しかも、不思議なのは、第六回の最後でこういうふうに事務方は言っているんですね。皆様方には来年の三月まで委員をお願いしておりますので、また検討会を開催させていただくことになると思っております、第七回以降の検討会については、開催日時等の調整はまた別途させていただきますので、引き続きお願いをいたします、こうしています。

 もう一回事務方に聞きます。

 三月末までやるつもりだったのに、第六回でぱたっと切れてしまいます。しかも、総入れかえ方式でもうまとまろうとしたのが、土壇場で事務方が出てきて、両論併記に後退します。

 伺います。

 三月末まで任期があるにもかかわらず、第六回で終わってしまいました。しかも、第六回の最後の議事録には、引き続きお願いします、第七回以降の日程調整をさせていただきますとまで言っています。

 委員の皆様に対して、第六回が最後になってしまって、もうこれで打ち切りますよという連絡は、三月末までにしたんですか、していないんですか。

藤澤政府参考人 初めに、先ほど、公表のおくれた理由でございますけれども、これは、各委員に議事録の確認を依頼しないまま期間が経過したことによるものでございますけれども、その原因といたしましては、当時の担当者に議事録の原則公開という認識が十分に及ばなかったこと等が考えられると承知しております。まことに遺憾に存じております。

 それから、五回目の検討会と六回目の検討会でございますけれども、そもそも、検討会の議論の過程では、総入れかえか部分入れかえかといったサンプル入れかえ方式のあり方についての議論は相対的に少なく、また、新旧サンプルの遡及改定について、利用者のわかりやすさや納得性が得られる方法等の議論が主だったため、あえて……

野田委員長 藤澤さん、簡潔に。

藤澤政府参考人 はい、かしこまりました。

 五回目の議論で、部分入れかえ方式は自治体での実務上の懸念がある等の委員の指摘も受けて、実務の変更を伴わないよう総入れかえ方式が適当とした資料を五回目に提出しております。

 しかし、その五回会議の中で、統計の専門家から……(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。

藤澤政府参考人 部分入れかえ方式も有益である旨の委員発言もあったことから、第六回の中間的整理案で、ギャップの補正方法とともに、サンプルの入れかえ方法は引き続き検討と記載して提示をしたところでございます。

 それで、六回目以降の話でございますけれども、九月十六日の第六回の会合で中間的整理案が示され、その場で議論をされたところでございます。その際、同年の秋以降に統計委員会の未諮問基幹統計の調査審議を控えていることや、サンプル入れかえ方式としてのローテーションサンプリングについても引き続き議論していく旨を説明してございます。

 検討会の構成員の方々におかれても、この段階で、統計委員会において毎月勤労統計を御議論いただくことなどについては御認識をいただいていたものと承知をしております。

 それで、その後、統計委員会に本格的に検討の場が移りまして、平成二十七年十二月十一日の統計委員会第六十五回基本計画部会以降、平成二十八年三月二十二日、統計委員会第六十八回基本計画部会及び同年八月三十一日の統計委員会第三回新旧データ接続検討ワーキンググループにおいて、それぞれ、定期的なサンプル入れかえ方法についてはローテーションサンプリングの導入に向け取り組む、ギャップの補正方法については過去値を補正し断層を解消することなく新旧計数をそのまま継続するとの方針が示されまして……

野田委員長 藤澤さん、もう少し簡潔に参りましょう。

藤澤政府参考人 はい。

 一定の結論が出ましたことから、同検討会については再開されることがなかったものと承知をしているところでございます。(発言する者あり)

野田委員長 お静かにしてくださいね。お静かにしてください。皆さんが騒がれると、私が聞こえないんです、何を言っているか。判断できませんから。

 玉木さん、もう一度質疑してください。(発言する者あり)

 いや、皆さん、皆さんのおかげで私は聞こえないんです。ですから、ちょっとまずは静かにしてください。

玉木委員 もう少し建設的な議論をしていきたいと思いますので、簡潔にお願いしたいと思います。

 私が聞いていることはシンプルです。

 六回の最後で、更に引き続きやりますと言って別れているわけです。結局、やらないまま、事実上フェードアウトして立ち消えになっていきます。だったら、委員の皆様に対しては、これは社会人の礼儀として、三月末までお願いしているんだから、どこかの時点で、もうこの会の役目は終わったのでやりませんから、あるいは、統計委員会に引き継がれました、そういった連絡は少なくともするのが筋だと思うので、当然していると思うんですが、しているか、していないか、お答えください。

野田委員長 厚生労働省藤澤政策統括官、簡潔に玉木委員の質問に答えてください。

藤澤政府参考人 六回目の終了後以降、毎月勤労統計の改善に関する検討会の委員の方々に連絡はしておりません。

玉木委員 それだけ端的に答えてくれたらいいんです。

 これは皆さん、私も役所にいて、審議会の回しなんかもしたことはありますけれども、異常ですよ。やらないならやらないで連絡しなきゃいけませんし、そんな、立ち消えになっていく、知らないうちにフェードアウトしていくような、それは委員の皆さんにも失礼な話ですよね。

 ということは、そういう異常なことをしていることは、何か理由があるんですよ。

 第五回と第六回、方向性も大きく変わっていくわけですね。そのことが初めて今回の議事録でわかりました。

 では、その間に何があるのかということで、これは事実だけを申し上げますと、八月七日、第五回検討会で、全部入れかえ方式でほぼまとまりかけていた。しかし、それが、第六回の九月十六日には、部分入れかえ方式も引き続き検討というのがなぜか役所から出てきて、両論併記になって、中間的整理に下がって、さらに、継続審議になりますね。しかし、一切その後審議はなされず、委員の連絡さえなかった。

 では、この間に一体何があったのかというと、この間、国会でも問題となっている、九月三日、初めて安倍総理が中江秘書官からこのサンプル入れかえの話を聞いたのが九月三日なんですね。いろいろなことがこの辺から始まっているというふうに思います。

 もう一つ、このころ、九月八日でしたかね、自民党総裁選挙の告示日ですが、結局誰も出ずに、野田委員長も推薦人が集まらなかったそうで、それで、つまり安倍総理の再選が確定するわけですね。その後、大きな流れが出てきている。

 さらに、もう一つやはり大きな役割を果たすのが、総理秘書官と同時に経済財政諮問会議です。いずれも、官邸官僚あるいは官邸会議と言われている官邸の組織や人が大きな影響を与えている。麻生財務大臣も、ここで、統計委員会で議論してくれということを、ある種、議論の場を指定しますね。その後、実は統計委員会が開かれておりまして、十月二十六日に西村統計委員長は、三月にでも一括して取り上げてみてはと思いますと言うんです。三月に取り上げようと思うんです。

 ただ、その後、十一月四日に開かれる諮問会議では、甘利大臣から、何かというと、来春までに方針を整理するよう統計委員会に依頼するわけですね。西村さんもやろうとしていました。いろいろあるから、三月に一括して取り上げてみようと。でも、諮問会議の要請は、三月までに、来春までにやってくれということで、また、十二月十一日の統計委員会では、西村委員長は、十一月四日の諮問会議の議論を重く受けとめておりますということで、その後、部分入れかえに向けて一気に流れができてくるわけですね。

 私は、この一連の過程を見ますと、やはり、総理秘書官、そして経済財政諮問会議、まさに官邸主導、政治主導で、厚生労働省や統計委員会の議論さえ押し切る形で、自分たちに都合のいい統計手法に変更していく流れがつくられているんじゃないですか。

 まさにアベノミクスの成功を演出するための、統計改革という名をかりた恣意的な統計の操作を官邸主導でやったのではないかと思われますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず、これは問題を、見ている方が混同されるとよくないので申し上げますが、今回の統計不正と今おっしゃっているこの毎勤統計のサンプリングのやり方の変更は、これは全く別の問題であるということをはっきりさせておかないと、もちろん意図的にそれは混同させようとしているのではないでしょうけれども、それは別だということは、お互いの認識も、また見ている人の認識も合わせておく必要があるんだろうと。冷静な議論が必要ですからね。

 そこで、私は、当時の秘書官から検討会に関する報告を受けてもおりませんし、厚生労働省でそうした検討が行われていたということ自体、最近になってこの問題が取り上げられるようになって初めて知ったわけであります。

 なお、平成二十七年九月三日についてでありますが、これは、賃金について国会で御質問を受けたので、その答弁を準備する際に、その年の六月の賃金の伸びについて調査対象事業所の入れかえの影響があった旨の説明を受けましたが、その際も、六月以外のデータについては特段の説明を受けておらず、私からは何ら指示をしていないわけであります。

 いずれにせよ、毎勤統計の調査方法の見直しについては、統計委員会を始めとする専門家の検討を経て統計的な観点から行われたものであると承知をしております。

 それと、私が何か九月の三日に質問を受けたことが契機の一つになっているとの印象を今与えておられますが、これは全く違いまして、まず第一に、そもそもこれは、質問に対するお答えをする際の説明で秘書官から説明を受けたということであります。

 なお、私は、この九月の三日の前に、八月の七日の議事録を見てみますと、この議事録が出てきてよかったなと思うんですが、この議事録で委員がこう言っておられるんですね。ローテーションサンプリングという方法がありますが、ギャップが完全に解消しなくても、それだけ早い時期により正確な情報をとり得るわけです、こう述べているんですね。より正確なデータをとるためには、このような方法もあるのだというような見方も必要と思いますと委員が述べて、それに答えた阿部座長は、そこは修文をお願いしますと述べている。これはあるんですよ、議事録に。

 ですから、これは私の九月三日の前にこういうやりとりがあったということははっきりと申し上げて、皆さんに知っていただかないとな、こう思うわけであります。

玉木委員 そういうことがあったことも全部踏まえて、阿部座長は最後に、では、検討会の方向性としては、総入れかえ方式で行うことが適切であるということにさせていただきたいと思いますと取りまとめているわけです、総理。ですから、そこは総理、印象操作だと思いますね、取りまとめはそういうことになっているわけですから。(発言する者あり)

野田委員長 ちょっと、静粛に。

玉木委員 ちょっと、私は、総理の明示的な指示がなくても、いわゆる官邸官僚や経済財政諮問会議などが決めた目標とか期限に霞が関は必死で合わそうとしているんですよ。いや、そうです。総理は笑うけれども、そこの自覚がないことがいろいろな問題を生じさせていると思いますよ。だって、そうしないと出世できないですもの。内閣人事局も目を光らせていますからね。まさにこれは、森友学園、加計学園とも同じような構造が出てきているんじゃないですか。

 安倍政権になって、政権に都合のいい数字が出るような恣意的操作というのは、私はほかにも、例えばGDPに関してもあると思っているんです。

 これはもう何度も指摘をしていますけれども、例えば、これはこの前、小川委員も出しましたけれども、二〇一六年の年末にGDPの改定が行われました。そのときに、一つは、二〇〇八年の新しい国際基準に合わせて改定しようということでやったということになっているんですが、それでは説明できないその他の要素があります。

 これを見てもらうとわかるように、かさ上げで、確かに安倍政権になってからぎゅんと伸びているんですね。

 私も最初、これはSNA、この国際基準対応でこんなに伸びたのかなと思ったんですけれども、例えばRアンドD、研究開発費なんかを入れていくということだったら全部が持ち上がるはずなのに、何か最近だけすごく伸びていておかしいなと思って調べたら、どうもその他の要因があって、その他の要因のかさ上げ要因だけ抜き出してみると、右側で、実は、見てください、これ、安倍政権になってからすごく伸びているんですね。しかも、伸びているどころか、それ以前のところはかさ下げになっているんです。

 今回の毎月勤労統計は、過去にさかのぼって引き下げるのはけしからぬから直そうということだったんですよね。これは下がっているじゃないですか、過去が。何でこれだけ認められるんですか。

 その他の要因もいろいろ聞くと、例えば、建設投資に対する計上のやり方を変えたというのがあるんですが、それで、例えば二〇一五年だと、二〇一五年はプラス二・五兆円になるんです。でも、民主党政権の二〇一一年だったらマイナス一・四兆円になって、一九九四年だったらマイナス〇・七兆円になって、最近のだけすごく上がって、民主党政権のときから九九年代のところはずっと下がる。これは恣意的じゃないんですか。

 もう一つ言います。

 これは、将来の推計、ことしも一月に中長期試算というのを出しましたけれども、経済の成長というのは三つの要素で成るんですね。労働投入と資本蓄積と、それと生産性の向上、この三つで経済は成長するので、それでいろいろなことを、推計もするわけです。

 それで、三つ目の要素である生産性の上昇率ですが、歴史的にこういう変化をしています。

 これは前も取り上げましたけれども、実は、要は、総理が二〇一五年九月に六百兆円の目標を掲げた直後に出された二〇一六年の一月、七月のその試算だと、この生産性の上昇率、ここがあり得ないぐらい、もう倒れそうなぐらい急に上がるわけですよ、点線で描いているところ。確かに絶対値で見るとバブル期ぐらいかなと思うんですけれども、この速さで上昇したことは過去一回もないんです。

 これがずっと維持するのかと思ったら、さっきのかさ上げが成功したので、余り、多分、生産性の要素で無理する必要がなくなったんでしょう、ことし一月に出たやつは急に下がっちゃっているんですよ。

 生産性というのは、短期でそんなに上がったり下がったりするものじゃないです。でも、それを、この数年間でこんなに移動させて、前提条件を変えて計算していたら、GDPの推計なんか信じられませんよ、こんなの。私は、これでも高いと思いますよ、一・三は。だって、実績を見てください、ずっと横ばいです。

 ちなみに、日本銀行はこの生産性を出していますけれども、ずっと横ばいか低位で、ずっと安定して低いんですよ。だから、こういうことにも、私は、都合のいい経済前提を置いたり、あるいは統計をいじったりすることに、同じことが行われているんじゃないんですか。

 総理に改めて伺います。

 このGDPの計算方法や試算の前提を恣意的に変えて、都合のいい数字だけをはじき出しているんじゃないですか。フィナンシャル・タイムズを始め、世界も疑惑の目を向け始めています。国の信頼にかかわる、私は、これは恥ずかしい事態だと思いますから、こんなことはやめるべきだと思いますけれども、いかがですか。

茂木国務大臣 二点について御質問いただいたと思いますが、まず簡単に、建設業に関する推計方法の改善についてでありますが、これは、従来のインプット型の推計をアウトプット型に変更することによりまして、GDPの概念、これは、御案内のとおり、支出項目ですから、入ってくる方ではなくて、何に支出をしたか、消費であったりとか設備投資であったり、ガバメントスペンディング、こういう形でありますので、GDPの概念により適した推計方法に改善をされている、このように考えております。

 その上で、二点目、お示しをしたグラフにも関連をいたしますが、まず、二〇一六年のGDP統計の基準改定におきまして、政府として、何か数字を大きく見せる、こういったことでやったことはございません。更に申し上げると、先ほどのグラフをちょっと見せていただいた方が、多分、国民の皆さんはおわかりをいただけるんじゃないかな、そういうふうに思うところでありますけれども、バブルが崩壊をする、そして日本がデフレに入る、この中で、成長率の中でも、この全要素生産性、これは下がるわけでありますけれども、過去の実績を見ていただきますと、先ほどのグラフでいいますと、一九八二年から八七年、このバブル前はきちんと成長しております。この五年間の成長の幅が〇・九ポイント。現在が〇・四ポイントでありますから、〇・四ポイントから、これから五年間で〇・九ポイント、過去の実績も踏まえて成長するということで一・三だ、極めて現実的な試算であると考えております。

安倍内閣総理大臣 GDPについては、先ほど茂木議員から答弁をさせていただきましたが、先ほど、そのサンプル入れかえについて、私たちが大きく見せるために、それをまるで官邸の意思のように言っているわけでありますが、それは全く違うわけでありまして、私もこの国会で議論になるまでそういう問題点について認識をしていなかったのでございますが、最近説明を受けたところ、三年間サンプルを入れかえなければ、これは玉木委員もおっしゃっていたように、当然、そこで潰れていく事業所等々が落ちていきますから。落ちていきますから、残っているところだけで統計を見ていけば、よく出てしまう。だから上振れをしやすい。下振れするときもありますよね。上振れしやすいのは事実であって、その上振れのままに三年間ずっと伸ばしていけば、上振れは当然大きくなるわけですよね、誰が考えたって、三年間の蓄積での上振れですから。

 それを今度は修正するから、当然このギャップは大きくなる。それを毎年半数ずつやっていけば、実は上振れが減って、そしてギャップは小さくなるのは事実ですよね。つまり、上振れを大きくしなくて、一年ごとにギャップは小さくなっていくんです。これは誰が考えたってわかりますよね、これは一年ごとにやっていくんですから。半数入れかえていくわけですものね。半数入れかえながら一年ごとにやっていくわけですから、決してこれは大きく見せるんじゃないんですよ。むしろ、これはこう伸びていっちゃうわけですから。

 それを三年後に急にやって、毎月毎月調べてその統計を出す、それがずっと本当だと思っていたら、三年後に総入れかえしたときに前の三年間も全部入れかえるという統計は、じゃ、毎月毎月やっていたこの三年間は何だったということの疑問を当然持つわけですよね。その中で、では、専門家に聞いてみたらというのは、かなり当然の私は疑問ではないのかなと思うわけでありますし、あと、大きく見せたというのは、これは事実とちょっと違って、むしろ毎年毎年入れかえていった方がギャップが小さく、事実そうなっていますから、ギャップが小さくなっているということでございますから、いわば……

野田委員長 安倍総理、簡潔にお答えください。

安倍内閣総理大臣 玉木議員の推論の目標である、我々がそういう統計をいじって我々の政策をよくしようと見せていたわけでは全くないということを申し上げたい、こう思いまして、ここに立った次第でございます。

玉木委員 だったら、議事録を隠さなきゃいいんですよ。おかしな理由があるから隠したんでしょう。透明性が低いことが問題なんですよ。だから国際的にも疑問を投げかけられているので、ちゃんと答えてほしいのに、またごまかす答弁をするんですよ。

 最後、私は、今回の問題の一番大きな問題は何かというと、確かに、景気が戦後最長の成長の長さなんでしょう。でも、問題は、労働分配率がどんどん下がっていることですよ。この本質的な議論をやはりやるべきだと思いますよ。

 この法人季報、財務省が出したのを見ていると、ずっと下がってきているわけですね。景気回復局面では確かに下がる傾向があるんですが、ずっと続いていますよね。私、この実質賃金が伸びないで消費が伸びないのがアベノミクス最大の弱点だと思っています。この労働分配率を見ていただくとわかるんですが、このやはり本質的問題をきちんと捉えなければならないと思っています。

 官邸や経済財政諮問会議がやることは、賃金がちょっとでも上がったように見せかけるように賃金統計をいじる議論をするんじゃなくて、どうやったら労働分配が上がるかの議論を正面からやるべきですよ。あそこに集まっている会社の社長さんも、賃金統計のデータをどうしようかと議論するよりも、自分たちの企業も含めて従業員の給料をどうやってふやせるかの議論をした方がいいんじゃないですか。そのことがなく、労働分配が下がり続けている、このことにやはり手だてを打たないと、私は、やはり賃金が上がらない、それが、総理も目指す本当の意味のデフレの解消にならないと思いますよ。日本はこの実質賃金をどう上げるか、これが経済政策の一番の今根幹になっています。

 私たちは家計ファーストの経済政策を進めていきたいと思いますが、総理、この労働分配率が下がっている、この話、どのように考えていますか。

安倍内閣総理大臣 まず、玉木議員がおっしゃった、我々が統計をいじって多く見せようと考えているというのは、これは全く違いますから、そういう間違った認識を与えないでもらいたい。それは全く事実と異なります。それをはっきりと申し上げておきたい。

 私は、そもそも、毎勤統計の実質賃金とか名目指標ですとか、それをいわば示して賃金が上がっているということを私から積極的に申し上げたことは、これはないんですから。

 私がいつも申し上げているのは、個人個人の賃金が、基本的には毎年の四月に労使が話し合って賃金を何%上げるという、この賃上げについて申し上げているのであって、事業所の人件費をその事業所で働いている人から割って出してくる、いわばこれは毎月賃金というよりも総賃金ですよね、それを平均にしたということで私はいつも正確に申し上げているんですが、それよりも、実際に一人一人を見ていかなければいけないわけでありますから、それについて言えば、従業員に対して何%引き上げたかという平均である、連合が言っている調査をむしろ私は使っているわけであります。

 そしてまた、家計調査についてでありますが、これは世帯主年齢が六十歳未満の世帯で見れば名目においても実質においても増加をしているわけでありまして、まさに家族全体の稼ぎはふえているということを申し上げているわけであります。

 もちろん、可処分所得を上げていく、これは、まさにそのために、我々は賃上げを促す政策、税制も含めてそうした政策を推奨しているわけでありますし、また、賃上げに向かうためにも、生産性を上げていく、そのための中小企業、小規模事業者に対する支援も行ってきているところでございます。

玉木委員 都合のいいところだけを、総理、取り上げるんじゃなくて、やはり現実を見るべきだと思います。

 最後、一つ指摘して終わりますが、実は労働分配率のとり方はいろいろあるんですが、財務省が発表している法人季報ベースだと下がっていますね。ただ、今回問題になっている毎勤統計をベースにした、総理のお好きな、総雇用者所得を付加価値の総和であるGDPで割って出した労働分配率は、一八年になってから急に上がっているんです。本当だったら、下落するんだったら同じ方向に行かなきゃいけないんですが、毎勤統計を前提にした総雇用者所得を分子に持ってくると、一八年だけ異常にはねるんですよ。

 ということは、やはり二〇一八年の毎勤統計の数字や、それに基づく総雇用者所得については、やはり何かバイアスがかかっているんじゃないか、ひずみがあるんじゃないかということを実はあらわしているので、しっかり検証して、現実に向き合っていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。

野田委員長 この際、階猛さんから関連質疑の申出があります。玉木さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛さん。

階委員 国民民主党の階猛です。

 本題に入ります前に、前回の私の質疑で総理の答弁について疑問がありますので、取り上げたいと思います。

 オリンピックの憲法ともいうべき五輪憲章の根本原則には、「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」が五輪の目的だと書かれているわけです。

 先日の櫻田五輪担当大臣の発言、金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なのでがっかりしているというものでした。この発言を聞いたときに、私は、櫻田大臣が人間の尊厳を最優先に考えている五輪憲章を理解しているのか、疑問に思ったところです。

 そこで、先日の予算委員会で、櫻田大臣に尋ねたところ、五輪憲章について、話には聞いていますけれども自分では読んでいませんという驚きの答弁でした。大臣就任直後ならいざ知らず、就任から四カ月以上もたってこのありさまでは、到底、資質があるとは言えません。五輪担当大臣が五輪憲章も読まず、五輪の根本的な哲学や理念もわかっていないのであれば、大臣の務めを果たせないと思っております。このことを指摘して櫻田大臣には辞任を求めましたが、職務を全うしたいという答えでした。

 ここにも書いておりますけれども、職務を理解していないから、私はやめるべきだということを申し上げたわけであります。

 その日、任命権者である安倍総理にもお尋ねしました。櫻田大臣を続投させていいのかということです。この点について、総理の答弁は、二つの理由を挙げて、続投させるということでした。

 一つ目は、文科副大臣として五輪招致に尽力した、二つ目は、今回の発言について撤回、謝罪した、この二つの理由を挙げられたわけです。

 しかし、櫻田氏が文科副大臣に就任したのは五輪招致が決まった三週間以上も後のことで、最初の点については事実誤認です。また、私が辞任すべき理由として挙げたのは、櫻田氏の発言ではなくて、五輪担当でありながら、五輪憲章すら読まず、五輪の根本原則を理解していないということであります。後段の点については、論点をすりかえて矮小化していると思います。近年、こうした論点のすりかえは御飯論法とも言われるわけです。

 こうしたことから、この二つの理由、いずれも続投を可とする理由にはならないと思っております。

 櫻田大臣を続投させるという理由について、総理から、改めて、国民が納得できるような説明を求めます。

安倍内閣総理大臣 櫻田大臣は、文科副大臣に就任したのは確かに招致決定の直後でございましたので、私は前任の谷川副大臣と少し混同しておりました。櫻田副大臣は、招致委員会としてではなくて、組織委員会の立ち上げに文科副大臣としていわば貢献をしていただいた、こういうことでございまして、訂正をさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、櫻田大臣には、文部科学副大臣として組織委員会の立ち上げなどに携わってこられた経験を生かして、来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、しっかりと取り組んでいただきたいと考えております。

階委員 前段の理由については、撤回していただいたものと思います。

 しかし、後段の理由について、私は論点すりかえだと思っておりまして、私が前回お尋ねしたのは、オリンピックの担当大臣でありながら、就任から四カ月もたってオリンピックの根本的な原則も理解していない、そんな方で務まるんでしょうか。このことについて、いや、務まるんだということであれば、ちゃんとその理由を説明していただきたいと思います。総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 組織委員会の立ち上げにしっかりと取り組んできたという経験がございます。何といっても、東京オリンピック・パラリンピックを成功させたい、世界に誇るべきオリンピック、パラリンピックにしたいという強い熱意を持って臨んでいる大臣でございますので、しっかりとその情熱のもとに、オリンピック、パラリンピックを成功させてもらいたいと考えております。

階委員 熱意だけで務まるとは思えないわけですね。やはり五輪の根本的な理念を知らないと、おかしな発言をしてしまうことにもつながりますし、国際社会にもマイナスの影響を及ぼすおそれがある。

 やはり、ここまで来てこうした発言をされている大臣、五輪の根本的な理念である人間の尊厳を理解していない、この大臣を続投させるのはおかしいと思いますよ。

 総理、本当に続投させる、この方でいいと思われるんですか。最後にもう一度お尋ねします。

安倍内閣総理大臣 私は、櫻田大臣が人間の尊厳を理解していないとは考えておりません。先ほど申し上げましたように、強い情熱を結果に結びつけてもらいたい、このように考えております。

階委員 国民が納得できる理由の説明はなかったと思います。

 それでは、本題に入っていきたいと思います。

 この委員会では毎月勤労統計が主に取り上げられておりますけれども、同じ時期に、総務省の家計調査、これについても見直しが行われているわけです。

 具体的に言いますと、その家計調査は、全国の無作為抽出の八千世帯に毎日家計簿をつけてもらって、そのデータをもとに、収入がどうだったのか、消費がどうだったのか、これをデータを集計して、全世帯の家計がどうなっているか、これを毎月出しているわけです。

 ところで、昨年の一月から、このもととなる家計簿の様式が大きく変わりました。

 昔の家計簿は、左側に書いてありますとおり、一枚の紙の上段だけで、「現金収入又は現金支出」、これはその世帯全体について書くものなんですが、この上段のフォーマットに、例えば現金以外の支出についても書くとか、現金以外の収入、口座の振り込みの収入についても書くとか、いろいろな要素をこのフォーマットだけで書くことになっていた。

 ところが、昨年の一月からは、この旧家計簿の上段のところ、これが四ページぐらいに拡大したわけです。もともとと同じところが、最後の四枚目のところ、この色が変わっているオレンジのところですね。それ以外の三ページは新たに加わったところでありまして、「口座への入金」というところが新しいフォーマットとして加わったわけです。これが、しかも、世帯を構成する世帯主や配偶者、あるいはそれ以外の方々、その人ごとに書くようになった。

 これは、直観的に言いますと、今までよりも収入の捕捉率が上がって、家計全体の収入がふえた結果が出てくるような気がします。そして、見かけ上は家計が豊かになったように見えるような気がします。

 なぜこのような変更を行ったのか、石田総務大臣にお尋ねします。

石田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 総務省が行っている家計調査につきましては、昨年、平成三十年、二〇一八年一月に、調査票である家計簿の改正やオンライン化の導入を行ったところでございます。

 御指摘のように、これまでの家計簿は、給与などの収入が全て現金支給を前提としていたほか、電子マネーなど近年進むキャッシュレス化には対応していないなど、調査世帯の記入負担が重く、時代の変化に即していないことが従前から課題とされておりました。

 平成二十七年、二〇一五年でありますけれども、三月に公表された統計委員会の報告書でも、家計調査の記入負担が重いことや、時代に対応した調査方法などについて指摘がなされたところであります。

 このため、総務省統計局におきまして有識者を交えた検討を行いまして、統計委員会への諮問、答申を経て、昨年一月に家計簿の改正を行ったところであります。

階委員 記入負担が重かったので軽くしたというお話なんですが、それだけではなくて、私がその変更の際の議事録、統計委員会やその分科会での議事録を拝見したところ、商品やサービスの購入時にもらえるポイント、これを使った場合に、収入があったということで扱われるようになっています。やはり、形式面だけじゃなくて、実態面でも収入はふえる方向にこの見直しは働いているわけです。

 更に言いますと、収入にカウントされるポイント、これを使って商品やサービスを通常の価格より安く購入した場合、支出額は、実際に支払った金額ではなくて、このポイントによる割引前の金額を記入させるようにもしているわけです。つまり、消費額も同時にふえて、景気がよくなったようにも見えるわけであります。

 こうした家計簿の変更などを含む家計調査の変更は、今問題となっている毎月勤労統計の変更と同じ時期に検討、実施されているわけです。

 中江参考人にお尋ねします。

 毎月勤労統計と同じように、所管の総務省に問題意識を伝えたり、あるいは総理にレクチャーをしたりしたことはあったのでしょうか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の家計調査につきましては、二〇一五年の六月と十一月に、総務省の担当者の方から説明を受けた記憶はあります。

 まず、六月には、毎勤統計と同じ収入に関する統計でありますこの家計調査の収入に関して、対象など基本的なことを把握する、そういう観点で、総務省の方から毎勤統計との違いなどについて説明を受けたと思います。

 それから、十一月には、経済財政諮問会議で家計調査が議論になっていたことを踏まえて、その直近の家計収支の状況などについて説明を受けたと思います。

 なお、この十一月の説明の際に家計簿の様式について説明があったかもしれませんが、実は私、ほとんどこれは記憶がございません。

 それで、御質問の、問題意識を伝えたかということにつきましては、家計調査の状況について話を聞いただけであり、そのようなことは行っておりません。また、そういうことですので、当然、総理にも何らかのレクとか説明はしたことはございません。

階委員 総理と麻生大臣にも事実関係を確認したいんですが、この家計調査の変更、収入や支出が上振れするような可能性のあるこの変更について、何がしか関与されたことはおありでしょうか。総理と財務大臣、続けてお答えください。

安倍内閣総理大臣 毎勤統計については先ほど私も答弁をしているわけでございますが、そのことについて秘書官から報告をもちろん受けていないということは申し上げたとおりでございまして、その年の九月の三日ですか、質問に対してお答えする際に説明を受けただけであります。

 家計調査に限った話ではありませんが、統計精度の向上に関して専門家等の間でさまざまな指摘があるということを、平成二十七年十月の経済財政諮問会議での議論を通じて認識をしましたが、ここでこういう議論がありましたのでそういう認識をしましたが、家計調査用の家計簿用紙の変更について説明を受けたことはございません。

 こんな、一々、調査のサンプリングの中身について私が説明を受けるということは……(階委員「いやいや、私が聞いているのは家計調査の変更についてということであります。家計簿の話ではありません」と呼ぶ)

野田委員長 階さん、一度答弁をお聞きになってから再質問してください。

麻生国務大臣 端的に、ありません。

階委員 そこで、実際、この様式が変わって、家計調査の収入や支出がどのように変化したのかということをお尋ねしたいと思っているんですね。

 実は、昨年一月から変わったと言いますが、経過措置として、昨年一月からは、全面入れかえではなくて一年間だけ半分入れかえ、つまり、旧家計簿の結果と新家計簿の結果、両方見られるようになっているわけです。

 そこで、昨年一年間で、旧家計簿の使用世帯と新家計簿の使用世帯で家計調査の実収入額にどれだけ違いが出たのか、及びその理由について、西村統計委員長、お答えいただけますか。

西村参考人 お答えさせていただきます。

 済みません、ちょっと声が悪くてお聞きづらいかと思いますが、平成二十八年の十月から二十九年の一月までの間で諮問、審議を経て、三十年の一月に家計簿の改正やオンライン調査というのを導入したというのは、これは事実です。

 そのときの一つ重要な点というのは、新家計簿への全面移行に関して、新旧家計簿の並行使用については、全体の集計結果に加えて、適宜、主要な数値について新旧家計簿の集計結果を参考提供するなど、利用者に対する情報提供の充実を求めるという形にしたわけです。それを……(階委員「影響額だけお答えいただけますか」と呼ぶ)わかりました。

 年平均で、二人以上の世帯のうちの勤労者世帯の実収入は、約二万一千円の差があります。新しい方が増加しているということです。それから、同じく年平均で、二人以上世帯の消費支出は、約二千円の増加と推計されるというのが数字です。

階委員 収入も支出もふえたという御答弁でした。

 委員の手元には、六ページ目に、事務方から既に出していただいている新家計簿と旧家計簿の差額、これを示しておりますが、事前に示されたものによると、大体、月平均で三万一千八百八円ぐらい新家計簿の方が収入面では上振れする。これは、パーセンテージに直すと六%、年額では三十八万円も上振れするということであります。

 そして、今、支出についてもお答えがありましたけれども、いずれも高目に出るということなんですが、それがGDPといった他の政府統計の数値にも影響を及ぼして高目に出るということはあるのかないのか、西村統計委員長、端的にお答えいただけますか。

西村参考人 これに関しては、修正をいたしますので、直接の影響というのはないというふうに考えていただいて結構です。

階委員 それは間違いないと断言できますね。これは全く影響がないというふうに断言できますか。

西村参考人 これは、まだどういう形で修正というのが行われるのかということについての正確な情報を私はいただいておりませんので、原則として、この修正に関しては、当然ながら、そこのところの修正を行いますので、大きな変化はないであろうということは思いますが、実際の数字というのがどのくらいあるかということについては、ここでは断言することはできません。

階委員 やはり断言できないわけですね。やはり、家計調査の数字をもとにGDPというのは出しているわけだから、当然、その数字が変わってくれば影響も及ぶというふうに私は考えております。

 そこで、総理に根本的なことをお尋ねしたいんですが、GDP六百兆円を目標にしているわけですけれども、こういう統計手法の変更によって数字をかさ上げして達成しても、意味がないと私は思うんですね。大事なのは実態でありまして、実態をよくする、このために努力をすべきだ、そして実態がよくなったかどうかをきちんと判断すべきだ。そのためには、基本的には統計の算出方法は変えるべきではない、万々が一やむにやまれぬ事情で変えた場合であっても、もし変更がなかりせばこうでしたよという数字もあわせて出して、判断に影響を及ぼさないようにする、これが正しいあり方だと思いますよ。

 実態を見誤るような統計の数字の出し方は、これはおかしいと思うんですが、総理も同じ見解なのかどうか、お願いします。総理にお尋ねしています。

野田委員長 まずは、データのことなので、茂木国務大臣。

茂木国務大臣 例えば、二〇一六年、GDP統計の基準の変更等を行っておりますが、政府として、数字を大きく見せるために、恣意的な基準の選択とか統計手法の選択というのは全く行っておりません。見直しは、統計上の見地から、最新の国際基準があるわけであります、RアンドDを資本化するとか、他国が取り入れていることも。これに対応する。また、統計の精度を向上させるために行ったものでありまして、そもそも、この方針、これは二〇一一年、民主党政権時代に方針が決定をされたものであります。

 さらに、家計調査の話がいろいろありましたが、多分、専門的なところで、テレビをごらんの皆さんはわからない部分があるかと思うんですけれども、家計調査、これは世帯当たりの収入とか消費額というのを見ているわけです。ただし、これは同じ家族構成の世帯、例えばサザエさんの家を見ているわけじゃないんです、ずっと。これは毎月勤労統計が一人当たりの賃金……(階委員「早くしてください。そもそも答弁を求めていませんから。要求大臣に入っていませんよ」と呼ぶ)説明させてください。

野田委員長 では、茂木大臣、簡潔に御答弁ください。

茂木国務大臣 例えば家計調査でも、家計消費でありますので、世帯当たりの人数が、子供の数が減っていくとか単身世帯の増加によりまして、一世帯当たりの人数の減少などから、結果として、一世帯当たりの消費額、これは長期的には伸びにくい傾向があるわけでありますし、また、勤労者世帯、これを対象にしておりますから、高齢者の方が新たに就労する、そうなりますと、その前は無職世帯で調査の対象じゃなかったのが、勤労世帯に入ることによりまして、一世帯当たりの実収入、こういうものを押し下げる効果もありますが、我が国全体の消費であったりとか、我が国全体の賃金所得を示します総雇用者所得、これはともに増加をいたしております。

安倍内閣総理大臣 いわば統計について、経済あるいは家計等々も含めて、実態をあらわす統計であるべきかという根本的な考え方については、まさにそのとおりであります。

 時代の変化の中において、より正確にそれをつかむための、当然、改善は常に行わなければならないだろう、専門家の目の中においてですね、というふうに考えております。

階委員 それで、総理に、今の点に関してお聞きしたいんですよ。

 それで、時代の変化に合わせて統計を変える必要性があることは私も否定しません。そういう意味での変更は否定しません。ただ、変更すれば、当然のことながら、今まで見てきた世界と違う世界をあらわすことになるわけですね。

 だから、もし変更がなかりせばどういうふうになっていたのかということもあわせて開示していただきたいんです。今、この委員会で問題となっているのは、変更によって変わった世界しか見せていなくて、変更なかりせばどうだったのかというところがはっきり示されていないわけですよ。

 そこで、私は、今回二つのことを総理にお願いしたいんです。

 一つは、私が指摘した家計調査については、旧家計簿を用いたと仮定した場合の数値を、先ほど統計委員長が示した数字だけではなくて、毎月の勤め先からの収入も含めて幅広く提示してほしい。あわせて、問題となっている毎月勤労統計については、昨年一月の算出方法変更の影響を除いた実質賃金を早急に提示してほしい。これを総理に強く求めます。ぜひお願いします。総理、総理に。今の議論の延長線上ですので、総理、お願いします。

野田委員長 まず担当大臣に聞いてから、総理に答えていただきます。

 石田総務大臣、簡潔にお願いします。

石田国務大臣 ちょっと整理を……(階委員「いやいや、時間がないので。あと一問だけお願いします」と呼ぶ)わかっていますが、ちょっと整理をさせていただきたいんですけれども、統計委員会で、平成二十五年、二〇一三年に、未諮問統計についてチェックを行うべきという議論がなされました。(階委員「いや、ちょっと関係ないことですから。済みません、大事なことを議論しているんですから」と呼ぶ)いや、関係あるんです。

 つまり、何が関係あるかといいますと、家計調査見直し方針は、先ほど、中江秘書官が接触される以前に、もう統計委員会において決定されているんです。平成二十六年度に家計統計調査を行うということを変更されているわけですから、議論の前提が違っているということははっきり申し上げたいというふうに思います。

 それから、今言われましたけれども、調査内容の変更、これは、私も新宿区の統計局へ行って見ましたけれども、本当に大変ですよ。魚も種類別にいろいろ買っていて、そういうのが生データで上がってくるわけですから……

野田委員長 石田大臣、簡潔にお願いします。

石田国務大臣 だから、そういうことについて、やはり負担と統計のより正確性をやるために今回こういうことをやったということですから、御理解いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 家計簿の調査については、先ほど既に統計委員長から、二万一千円ですかの差があるというお話があったわけでございまして、いわば、それ以上に深掘りできないのかという御質問でございますね。

 それはちょっと、私も統計の専門家ではございませんので、新しい方式でとった結果が出ていて、前の方式でとっていないにもかかわらず、前の方式でとったとするとどうなのかということが果たして出るのかどうかというのは、私はわからないんですが、それは専門家の皆さんにおいて、それは実際どうなのかということについて検討していただくということなんだろうと思います。

 いずれにせよ、私が今ここで確たることをお答えすることは、残念ながらできないということでございます。(階委員「毎勤統計の話も聞きました、毎勤統計」と呼ぶ)

野田委員長 階さん、もう一度。

階委員 ちょっと時間がないので、総理からお願いします。

 毎勤統計の実質賃金、これについて、今回の統計の手法の見直しなかりせばどうだったのか、これを出してほしいと言っているんです。

安倍内閣総理大臣 本系列については名目も実質も既にお答えをしていると思いますが、参考値については、従来から根本大臣が答弁をしているように、専門家が今検討しているんだろう、こういうふうに思います。

階委員 これを出さないと実態を見誤るから私は指摘しているんです。委員の皆さんもそこを言っているわけですね。ぜひここはお願いします。

 あと、最後になりますけれども、麻生大臣にお尋ねします。

 そもそも、来年度予算で、一〇%への消費増税とセットで軽減税率が導入されて、消費税収が減るわけですね。幾ら減ると見込んでいて、そしてその算出根拠はどうなっているのか、これを説明してください。

麻生国務大臣 軽減税率の制度による減収額の話を聞いておられるんだと思いますけれども、予算編成時点でいわゆる利用が可能だった変更前の家計調査に基づく年次データを用いて見込んだところであります。予算の編成をする前の話ですから、十二月にしますので、当然だと存じますが。

 いずれにせよ、歳入予算というのは、あくまでも一般会計年度、いわゆる会計年度における収入の見積りでありまして、税収の見積りの前提となるデータが予算編成後に更新されたとしても、直ちにこれをもって予算の修正を行わなければならないというように考えてはおりません。

階委員 今、私の質問に先走ってお答えされたんですけれども、そもそも、この減収額が幾らかというのは、過去に政府統一見解を出されていますね。

 二〇一六年一月十九日の政府統一見解では、家計調査から推計した消費支出額に占める軽減税率対象品目分の割合を乗じてというふうにあるわけです。つまり、家計調査の数字をもとにして、軽減税率による減収額は決まってくるわけですね。

 そして、この家計調査、二〇一六年段階では、先ほどから言っているように旧家計簿に基づく結果です。ところが、この新家計簿に変わったわけですから、当然、前提となる数字も変わり、そして、軽減税率の減収額、これも前提となる数字が変われば変わってくる。この点も考慮して今回の予算案を編成したのかどうか、最後にお尋ねします。

麻生国務大臣 二つあるんだと思いますが、まず、軽減税率制度の実施に伴う減収見込み額ということにつきましては、これは、平成三十一年度における税率一%当たり消費税収は二・八七兆円、八千七百億円等を基礎としておりますので、家計が負担いたします税率一%当たりの消費税額の見込み額というものをそれによって算出いたして、これに軽減税率の適用対象となる消費支出の割合を乗じるということなどによって、平年度で約一兆八百九十億円程度と見込んでおるというのが実態であります。

階委員 ちょっと答弁が私の質問に答えていないんですけれども、来年度予算を編成する上で、家計調査の方式が変わりました、家計調査の方式が変わって消費支出額も軽減税率対象品目への支出額も変わりますということなんですが、そうであれば、軽減税率による減収額も変わって、消費税増税によって国に入ってくるお金も変わって、予算額にも影響が及ぶわけです。これをきちんと計算した上で予算を出すべきではないか、これをやっているんですかということをお尋ねしているわけです。お答えください。

麻生国務大臣 あの予算編成時点で、私どもとしては、利用可能でありました変更前の家計調査に基づく年次データを用いて見込んでおります。

階委員 これは変更前だと意味がないと思いますよ。もう二〇一九年一月から新しい家計簿が全面的に採用されているわけですから、古い家計簿をもとにした消費増税の減収額、軽減税率による減収額では意味がありません。したがって、この予算の編成には私は大きな瑕疵があると思っています。

 そのことを指摘申し上げるとともに、この予算案ではこれ以上審議が続けられないと私は思いますけれども、この点について、ぜひこの後も御議論を続けさせていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

野田委員長 麻生財務大臣、簡潔に。

 ちょっと、階さん、お待ちください。

麻生国務大臣 今御質問でした、階先生、ちょっと引きとめて恐縮ですけれども、この歳入予算というのは、あくまでも一会計年度における税収の見積り、先ほど申し上げたとおりですけれども、税収の見積りとなりますデータというものが予算編成後に更新されたとしても、それをもって直ちに予算の修正をせねばならぬというものにはならないということは、先ほど申し上げたとおりです。

階委員 いや、ただ、これはあらかじめわかっていることなんですから、一月から変わるとわかっていることなんだから、それを反映させて計算するべきですよ。やれることをやっていないから、私は問題だと言っています。

 以上です。

野田委員長 この際、山井和則さんから関連質疑の申出があります。玉木さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。山井和則さん。

山井委員 御苦労さまです。

 質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 最初に申し上げますが、この統計不正の問題、二つの問題点があると思います。

 一つは、二〇〇四年以降、統計が間違っていて、二千万人の方々に労災保険など過少給付になっていた問題。この問題については、安倍総理や安倍政権の責任は私は少ないと思います。

 しかし、きょう議論したいと思っているのは、もう一つの統計不正の疑いのある問題、いわゆるアベノミクス偽装ではないかという問題点であります。

 これを今から御説明しますが、先ほど玉木代表や階さんからもお話がありましたが、去年の一月以降、不自然に賃金が上昇をしております。そのことについては、野党が批判をしているということではなく、国内外のエコノミストが、昨年の日本の賃金統計はおかしい、使い物にならない、実態と乖離があるというふうに、国内外のエコノミスト、また、日本や海外の新聞社の試算でも、去年の賃金統計はおかしい、具体的に言うと、上振れ、かさ上げされているという指摘が相次いでおります。

 この統計不正の疑いのある問題については、安倍政権が去年の一月から、経済財政諮問会議、つまり安倍総理が議長の経済財政諮問会議が主導して調査方法の変更をしたわけでありますから、安倍総理にも大きな責任が私はあると考えております。

 この後者の、経済財政諮問会議が主導して行った調査方法の変更で、なぜ賃金が急激に上がったのか、このことについて議論をさせていただきたいと思います。

 そもそも、このことは政争の具にすることではなく、与野党協力して、本当の去年の実質賃金はプラスだったのかマイナスだったのか、このことは疑惑とかじゃないと思います。私との二週間前の質疑でも、安倍総理は、共通事業所の実質賃金、現時点ではわからない、今の階議員への答弁でも、検討中とおっしゃいました。でも、昨年の実質賃金がプラスだったのかマイナスだったのか、国民生活が上向いているのか下がっているのかもわからずに、正しい政策というのは議論できないと思います。

 正しい統計なくして正しい政策はつくれません。その意味で、ぜひとも、共通事業所の実態に近い実質賃金、これはマイナスではないかと言われておりますが、それを公表していただきたいと思っております。

 なぜ実質賃金が重要なのか。名目賃金というのは給料をもらう額ですね。それに対して、物価が上がると実質賃金はちょっと下がるということですね。物価が下がると実質賃金は上がる。つまり、国民の皆様の生活実感に近いのが実質賃金であります。

 にもかかわらず、昨年の実質賃金、共通事業所、同じ事業所で比較したデータがまだ公表されていません。安倍総理は、かたくなに公表を拒んでいます。マイナスだったからじゃないですか。

 なぜ私たちがこのことにこだわっているかというと、厚労省が先日発表したのではプラス〇・二%。実質賃金は、おととしよりも上がっているという、〇・二%になっております。しかし、同じ企業、事業所を比べてみたら、日本や海外のマスコミ、そしてエコノミストの皆さんの試算ではマイナス〇・四%程度。マイナスじゃないかとなっているわけですね。

 これはやはり、私たちが今後、景気対策、経済対策、消費税の問題を議論する上でも、上がっているのか下がっているのか、非常に重要な問題です。ですから、ぜひとも、この衆議院の予算委員会の審議中に共通事業所の値を出していただきたいんです、実質賃金の。

 先ほど言いましたように、国内外のエコノミストから大批判が出ているのがこの賃金の上昇です。見てもらったらわかりますように、去年、急に賃金が大幅に上がっています。これは不自然だと思われませんか。なぜならば、去年の一月から調査方法が変更になったんです。調査方法が変更になったら急に賃金が上がったんです。

 このことについては、エコノミストの方々の声というのがあると思いますが、どういう声が国内外から出ているか。別に野党の批判じゃないですよ。エコノミストの方々の声としては、この急に賃金が上がっているというのは、統計の信憑性を疑わざるを得ない、ことしの賃金の伸び率は全く当てにならない、信頼性の高い賃金統計がなくなってしまった、サンプルがそもそも違うため調査結果には何の意味もない、また、この続きでは、一七年、一八年の大半の月で参考値がマイナスだと指摘する野党の主張は正しいということもマスコミの方々はおっしゃっておられます。安倍総理、聞いてくださいね、聞いてください。

 こういう非常に深刻な状態であり、安倍総理が経済財政諮問会議で調査方法を変更したために、こういう、国内外から、この統計はおかしいという批判が殺到しているわけであります。

 そこで、西村統計委員長にお聞きしたいと思います。

 このことについて、昨年の八月、九月と統計委員会で議論をされました。その結果、公表されている集計値ではなくて、共通事業所の参考値を重視すべきという見解を出されたと思います。共通事業所の参考値を、景気指標としての賃金伸び率としては重視すべきという見解を出された、その理由を端的にお述べください。

西村参考人 お答えさせていただきます。

 統計委員会としては、もうちょっと確認しますが、労働者全体の賃金の水準は本系列を重視し、景気指標として見る重要な個々の労働者が実感する賃金の変化を見るときは、同一事業所の賃金変化率である共通事業所を重視するということです。

山井委員 非常に重要な答弁であります。

 今、西村統計委員長は非常に重要なことをおっしゃったんです。というのは、一昨年と昨年とで調査している会社をかえているんですね。半分がかわっているんです。半分かわっているから、今、西村委員長おっしゃったように、国民の実感の景気指標の伸び率は、サンプルがかわったら比較できないので、この緑の、おととしと去年と同じ共通事業所で比較するのが正しい。なぜならば、去年かえたときに、賃金の高い大企業を少しふやしているんですよ。そうすると、賃金は上がるに決まっていますよね。

 だから、今、西村統計委員長がおっしゃったように、去年とおととしの伸び率を比べる場合は、共通事業所の比較の数値を重視すると。皆さん、これは当たり前の話だと思われませんか。

 ところが、この右下にありますように、なぜか、同じ事業所を比較した実態に近い実質賃金は未公表なんですよ。繰り返し言いますよ。企業がかわっているわけですよ、半分も。それを比べて、賃金が上がりましたといったって、結局、大企業で賃金が高いところをふやしているから、上がるに決まっているんですよ。だから、統計委員会が、実際、同じ企業を比べた共通事業所の方が実態として重視すべきだということを言った。にもかかわらず、実質賃金の共通事業所の伸び率を発表しないから、おかしいと私たちは言っているわけであります。

 例えば、日本の新聞社、あるいは海外のロイター通信、あるいはエコノミストの方々が試算をされました。その結果、公表されているのは、青い折れ線グラフで、プラス〇・二%平均になります。しかし、今言ったような共通事業所でおととしと去年を実質賃金の伸びで比較すると、赤線になって、大体マイナス〇・四%になるわけです。

 これは誰が考えても、違う企業を比較するよりも同じ企業を比較した調査の方が正しいに決まっているわけですね、伸び率としては。これは統計委員会の西村委員長がおっしゃったとおりであります。

 そこで、安倍総理、お伺いしたいと思います。野党からだけではなく、国内外のエコノミスト、そして各新聞社の試算でも、やはり共通事業所の参考値を実質賃金で出さないと正しい日本の経済状況がわからない、国際的な信用も得られないんじゃないかと言われております。ぜひ、安倍総理、実質賃金、共通事業所のデータを早急に出してください。

安倍内閣総理大臣 山井委員は、いわばエコノミストの発言を相当はしょったりとかしているんですがね。

 まず、山井委員が示されたこれは、確かに共通事業所ということであれば同じ会社が入っているわけでありますが、ここで注目しなきゃいけないのは、あくまでもF社、H社なんですね。個人ではないんですよ。個人は入れかわっています。なぜならば、これはやはり統計について正しく知ってもらう機会ですから、テレビを通じて。いわば、普通、賃上げというのは、大体一年に一回、労使が交渉して四月に行いますよね。では、毎月毎月何で変わっていくかといえば、中で入れかわりがあるわけであります。

 例えば、F社が次に落ちたとして、では実際、一人一人の賃金が落ちたのかとなれば、実は、単純にするので、例えば二人だとすると、四十万円、四十万円収入があった人が、この会社が非常によくなったからあと二人パートで雇った、十万円、十万円の人を二人雇えば、今度、人件費としては、四十万円足す四十万足す十万、十万で百万になりますよね。でも、これを四で割りますから、そうすると二十五万円になってしまう。これは、まさにF社は二十五万円になるんですよ。そうすると、前の月は四十万円ですが、二人パートの人を雇って百万になったけれども、一人平均が二十五万、二十五万になっていきますから、それはそうなってしまう。単純に話をしますとそういうことなんですね。

 そこで……(発言する者あり)ちょっと、後ろの人、しゃべるのをやめていただけますか。わかりやすくお答えをさせていただきますが、そういうことなんですよね。

 そこで、先ほど、会社が同じ会社ということで見るのであればそれだと言ったエコノミストの方も、中身をよく見ていかなければそれはわかりませんねということを同じエコノミストが言っているんですよ。これは日経新聞の例ですよね。他のエコノミストは、もとは働いていなかった人が所得を得て総雇用者所得が増加するのは大きな意味がある、あるいは、総雇用者所得の伸びを景気回復の証拠とみなすことができるというこのエコノミストの発言もその中にあるわけですね。それは一切無視をしておられる。ですから、私はまさに、景気回復の証拠としてみなすことができるこの総雇用者所得でお答えをさせていただいているわけであります。

 そこで、果たして、本系列については、既にもう、〇・二%ですかということで実質賃金もお示しをさせていただいているところでございますが、参考値について果たしてどうなのかということについては、これは根本大臣からお答えをさせたいと思います。

山井委員 いいです。

 長々と言いわけをされましたが、私が言っているのは、統計委員会が、共通事業所を比べた方が実態に近い、別に、景気指標としての伸び率は共通事業所、同じ会社の方を比べるべきだ、重視すべきだというのは、私が言っているんじゃないんです、統計委員会が言っていることなんです。そのことに関して安倍総理が反論されても、それは説得力がないわけです。

 実際、海外のメディアでも、フィナンシャル・タイムズで日本の統計については危機だと書かれておりますし、また、ニューズウィーク日本版でも、毎月勤労統計、適正試算すると実質賃金は二年連続マイナス、ロイター通信が試算したところ、二〇一八年の一月から十一月の実質賃金の水準は前年比マイナス〇・四%、こういう報道も出ております。

 また、私たちが連日議論をする中で、例えば実質賃金、今言ったように、共通事業所を比べると実態はマイナス、厚生労働省の担当者も認めておられます。また、根本大臣も、機械的に計算すれば実質賃金はマイナスというふうに認めておられます。

 そして、私たちも事務方と話をする中で、もう何か出してもらえるのかなと思っていたら、最近急ブレーキがかかって、実質賃金が出されない。二週間前に安倍総理と私が議論したときは、各省庁でこの共通事業所の実質賃金、検討していますと言ったのに、きょうの答弁では、検討会をつくるって、後退しているじゃないですか。

 時間稼ぎ、先延ばしはやめてください。国内外から見て、実質賃金はマイナスではないかという疑惑は高まっているわけですね。

 おまけに、もう一つ安倍総理に申し上げたいのは、前回の私への答弁の中でこうおっしゃっているんですね。まるで私たちが統計をいじってアベノミクスをよくしようとしている、そんなことできるはずないじゃないですかという答弁を二週間前にされました。しかし、この間明らかになったのは、この調査方法の変更が経済財政諮問会議主導で行われたことです。

 実際、二〇一五年の十月十六日ですね、ここに書いてあります。安倍総理大臣が議長です。安倍総理大臣が議長の場で、麻生財務大臣は、毎月勤労統計について、企業サンプルの入れかえ時に変動があるということもよく指摘されている、ぜひ具体的な改善方策を早急に検討していただきたいということで、つまり、この調査方法の変更は、誰かほかの人がやったのではなくて、安倍総理が議長となっている経済財政諮問会議が、先ほどの質疑にもあったように、厚生労働省の改善検討会の議論をすっ飛ばして、安倍総理が議長となっている経済財政諮問会議がこういう調査方法の変更をされたということなんです。

 安倍総理、去年一月以降、賃金が上振れした、水増しされたと言われているこの調査方法の変更は、経済財政諮問会議ですから、安倍総理が議長ですから、経済財政諮問会議が主導して変更した、このことはお認めになりますね。安倍総理、まず安倍総理。安倍総理に聞いております。

野田委員長 ちょっとまずは事実確認を、茂木国務大臣。(山井委員「茂木さん、私の質問時間は限られているんですから、短くお願いします」と呼ぶ)

 では、茂木大臣、短く、事実確認だけお願いします。

茂木国務大臣 経済財政諮問会議にかかわる問題でありますので、進行役の私からお答えさせていただきます。

 経済財政諮問会議におきましては、我が国の経済状況や今後の政策方針について幅広い議論が行われまして、毎年年末には予算編成の基本方針の取りまとめ等を行っております。

 確かに、諮問会議におきまして、二〇一五年から一六年にかけて、インターネットの普及によります購買行動の変化など、経済構造の変化を的確に捉える、あるいは証拠に基づく政策形成、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングの推進といった観点から、統計全般の改善についても議論を行ったと承知をいたしております。

 その上で、サンプルの入れかえだけ議論したように、そういう印象でお話をされていますが、この諮問会議におきましては、家計調査と小売販売統計の乖離幅の問題、さらには消費者物価でのインターネット通販の取扱いについて、さらには資本形成での住宅リフォームの把握等について議論を行っておりまして、これらは政府統計全般の方法改善に向けての議論であった、このように承知をいたしております。

安倍内閣総理大臣 今まさに茂木大臣から、事実を、ファクトを述べさせていただいたわけでありまして、経済財政諮問会議で統計について何を話したかということについてお話をさせていただいたわけでございます。

 先ほどから、山井委員は本当に決めつけ……(山井委員「いや、質問に答えてください」と呼ぶ)今答えますけれども、今はむしろ、そこでちょっとじっとしておられた方が私はちゃんと答えられますから、むしろ効率的に議論も進んでいくと思いますよ。

 そこで、毎月勤労統計について、先ほど統計委員長からもお話がありましたが、いわばこれは、ユーザーはユーザーとしてどのようにそれを活用していくかというのは、ユーザーとして活用していくという中において、先ほど総雇用者所得との関係でお話をさせていただいた、つまり、景気がよくなって仕事がふえてパートさんを雇い始めたら、結果としてかえって事業所の賃金が下がるという実態もあるんだということも勘案しながら見ていく。

 そういうことを、日経新聞で答えられたエコノミストの方も、同じ事業所同士を見ていくという比較であればそれは野党の言うとおりだけれども、そういう今言った趣旨のことを理解した上での説明も、やはり中身を見ていかなければいけないということで述べておられるわけでございます。

 だからこそ、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得を私はいつも例として挙げさせていただくのはそういうことでございます。

 その上でお答えをさせていただきますと、まさにこの経済財政諮問会議で行ったのは、先ほども共通認識はつくったと思うんですが、新しい状況、経済実態、社会の状況において統計のとり方も変えていくというのは当然のことであろう、このように思うわけでございます。

 そして、先ほど来議論になっております、総理秘書官がこの問題意識を投げかけたわけでございますが、そのことについて私は全然それは報告も受けておりませんし、私も知らなかったことではありますが、しかし、その問題意識というのは私は当然のことではないのかな、こう思うんです。(山井委員「そんなことは聞いていません」と呼ぶ)いや、つまりそれが大切なところなんですよ。それが本当に大切なところだということを申し上げたいと思うんですが……(山井委員「端的にお答えください」と呼ぶ)端的に申し上げますと、まさに、三年間ずっと同じ事業所でやっていますと、それは企業が脱落をしていきますから、新しい企業も入っていませんから、だんだん結果としてよくなっていくという上振れを起こしやすい。下振れも全く起こっていないわけでありますが……

野田委員長 総理、簡潔に御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 それが三年間、上振れがたまっていきますから、その三年を一度にかえると大きなぶれが出てくるということと、それを今まで三年間やってきた、毎月毎月出していた統計を全部変えるんですよ。では、今までは毎月毎月統計を示してきたことに対して分析していく意味が一挙になくなってしまうのは意味がないのではないかという、これは、問題意識を伝えるのは私はかなり当たり前のことではないのかなと思います。

 その結果、一年一年でむしろぶれが少なくなっているわけでありますから……(山井委員「ちょっと長過ぎる。委員長、注意してください」と呼ぶ)

野田委員長 総理、再度お願いします。簡潔に御答弁願います。

安倍内閣総理大臣 それは別にアベノミクスをよく、上振れを大きくしようということとは、むしろ逆に、上振れは、毎年毎年やっていれば少なくなっていくということでありまして……(発言する者あり)全然関係ないということではなくて、まさにこれが実態なんだと、これは不都合な真実かもしれませんが、それは言わせてくださいよ。実態は実態だということでございます。

山井委員 私が聞いてもいないことを長々長々と答弁して、そして時間稼ぎをして、私たちの議論を邪魔するのはやめてください。

 実際、事実はここに報告書も出ているんです。この調査方法がなぜ変更されたかということに関しては、総務省の統計委員会が去年八月二十八日に、結局、経済財政諮問会議で麻生大臣がサンプル入れかえについて改善方策を早急に検討していただきたいと発言した、この要請があったからだと統計委員会の報告で書かれているんですよ。経済財政諮問会議の要請に基づいて調査方法を変更したら上振れしたわけですよ。

 これも統計委員会での報告書ですけれども、実際、上振れをして段差ができて、現時点でも〇・五%、サンプル入れかえや企業規模構成の見直しによる上振れが解消されていないということは、これも統計委員会で議論をされているわけです。

 さらに、日経新聞ではこのようにも報道をされております。実際これを見てみると、読み上げますが、先日、〇・二%実質賃金がプラスと報道されたときの日本経済新聞、「実態はマイナスか」。〇・二%、二年ぶり増ということだけれども、実態に近い参考値はマイナスになった公算が大きいと。

 つまり、政府の統計はもう信用されていないんですよ。大本営発表で、賃金が上がった上がったと安倍総理先頭におっしゃっているけれども、新聞でさえ、プラスと発表されているけれども、実態はマイナスですよと。こんな恥ずかしいこと、今までの歴史上、日本の国でありましたか。海外からも日本からも賃金統計は信用されていないんです。

 それで、ここに書いてあります。昨年の参考値に基づく実質賃金の伸びを試算すると、マイナス〇・四%程度になると。これは日本経済新聞ですよ。

 それで……

野田委員長 山井さん、質問時間が終了いたしました。

山井委員 これは、実際、多くの方々から統計が信用されなくなっているんです。そのきっかけをつくったのは、安倍総理が議長となる経済財政諮問会議なんです。ということは、安倍総理がリーダーシップをとって、この実質賃金、恐らくマイナスでしょう、その共通事業所のデータを発表させないと、実質賃金隠し、アベノミクス偽装と言われてもこれは仕方ありませんよ。ぜひとも、発表するということを最後にお約束ください。

野田委員長 山井さん、質問時間が終了いたしました。(山井委員「安倍総理、安倍総理」と呼ぶ)山井さん、質問時間が終了いたしました。(山井委員「本当に、逃げるのはやめてください、隠すのはやめてください」と呼ぶ)

安倍内閣総理大臣 私は隠しているわけではありませんから。

野田委員長 簡潔に。

安倍内閣総理大臣 別に……(山井委員「出すんですね、公表するんですね」と呼ぶ)

野田委員長 山井さん、静粛にしてください。

安倍内閣総理大臣 毎勤統計について、実質賃金について、従来からマイナスのときもありましたよ、何回かマイナスのときもありました、前の調査において、主系列において。そのときは別に、私はそれは総雇用者所得との関係で御説明をしているわけでございますから、それがいわば隠す動機にはそもそもならないわけでございまして、いわば賃金については、私は基本的に四月の賃上げがどうかということにいつも注目をしているということを申し上げているわけでございます。

山井委員 とにかく隠さないでいただきたいということを言って、終わります。

 ありがとうございました。

野田委員長 これにて玉木さん、階さん、山井さんの質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭さん。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。

 まず申し上げたいのは、総理大臣、聞いていますか、総理。ちょっと何か、ぼんやりされておられると効率的な議論ができないので、やましいところがなければ、質疑妨害はしないでいただきたい。つまり、聞いていないことを長々と、ほかの閣僚も含めて、答弁することはやめていただきたい。

 それと、総理がさっきおっしゃった話の中で、例えば、これまでの毎勤の全取っかえ方式のサンプル、これは、脱落サンプルがあったら補充しないような話をされておられましたけれども、本当ですか。補充しているんじゃないですか。そこら辺、事実誤認であれば、後ほど訂正された方がいいのではないかと私は思います。

安倍内閣総理大臣 基本的な考え方として、ずっと同じいわば対象の企業であれば、そこは基本的には脱落をしていく。ですから、基本的には上振れになりやすい、総入れかえをしたら。しかし、それは下振れになる場合もないわけではないから。それはもうそういう議論を一回ここでやっているんですよ。おたくと党が違うのかな、国民民主党の皆さんと。

長妻委員 総理、全然違うことを私は聞いています。

 そのサンプルを入れかえるときに、今までは全取っかえ方式で、脱落していきますよね、何年かたつと。そうしたときに、補充がないとさっきおっしゃいましたけれども、脱落しても新規サンプルで補充しているんですよ、その都度。そういうようなことの手法があるということを、今、ないようなことをおっしゃったので、訂正された方がいいんじゃないですかと私は思うということです。

 まず、統計に入る前に、ちょっと見過ごせない点がありますので。

 ノーベル平和賞の推薦の件なんですが、これは、総理、確かに総理がおっしゃるように、ノーベル賞の委員会というのは、候補者名あるいは被推薦者、推薦者名、これを明らかにしないというのは、ノーベル賞の委員会、そこが発表するのはしない、五十年間。

 ただ、みずからが明らかにするのはしょっちゅうあるわけですよ。推薦者や候補者がみずから明らかにすることまでは妨げていないわけでありまして、これほどちょっと間違ったメッセージが世の中に出かねないので、総理、どうなんですか、推薦をされたんですか、されていないんですか。自分からおっしゃるのは全く問題ないと思いますが。

安倍内閣総理大臣 私自身は今まで、今トランプ大統領のことが話題になっておりますが、では、他の方々ということについてこれもまた聞かれる可能性というのはあるわけでありますから、そういうことも含めて私はお答えをしないということにしております。これは、ノーベル委員会の基本方針に私はのっとって対応するべきだ、こう考えているわけでございます。

 いずれにいたしましても、トランプ大統領が昨年、いわば歴史的な米朝首脳会談を行ったということ、そこで朝鮮半島の非核化について、これは両国の首脳が初めてサインをした形で声明を出したということの重みは大変大きいんだろう、こう思いますよ。

 我々は、その中で、この米朝、米国の努力を、トランプ大統領の努力をしっかりと支援していく、その中において解決を図っていくということが日本の首相としての役割なんだろう、こう思っております。

 かてて加えまして、米国の大統領としては初めて金正恩委員長に、拉致問題について直接、私の考え方について、そのものを言及をしていただいております。その後も、大統領を中心にこの問題は大変な努力をしていただいています。このことを今、中身についてお話をすることはできませんが、そういうことも踏まえて私は常に行動をとっているわけでありまして、日本の国益を損なうことは決してしないわけでありますが、この上において、いわばノーベル委員会が決めていることでありますから、ここでそういうことは申し上げないということでございます。

長妻委員 ですから、御自身が言うのは妨げていないわけでありまして、非常に問題なのは、トランプ大統領がどんどんおっしゃっているんですよ、総理から五ページにわたる書簡をいただいた、安倍総理からノーベル平和賞に推薦されたと。そして、記者からの問いで、日本が北朝鮮問題をめぐってということについて、現在、安全と感じられるのだろう、私のおかげだと。日本人が北朝鮮問題はもう安全だと感じている、そういうようなお話をトランプ大統領はされる。

 あるいは、報道によると、トランプ氏によると、首相は、日本を代表し、敬意を込めてあなたを推薦したと伝えたと。推薦理由を問われると、トランプ大統領は、日本の領土を飛び越えるようなミサイルが発射されていたが、今は突如として日本人は安心を実感しているからだ、こういうふうに安倍総理が推薦した理由をおっしゃっておられるんですよ。

 これは合っていますか、総理。こういうメッセージ、日本人はみんな安心していますか、もうミサイルは飛んでこないと。核開発は続いているというレポートも出ましたよ、最近。ミサイルをまだ持っていますよ、日本が射程距離の中に入っている。こういう間違ったメッセージを大統領であるトランプ大統領が発信されておられて、否定するのならやはり否定しないと。どうですか。

安倍内閣総理大臣 北朝鮮が、もう既に核について廃絶をするという方向で走っているんであれば、第二回の米朝首脳会談を行う必要なんかないんですよ、長妻さん。それをやるためにも、トランプ大統領もそう認識をして……(発言する者あり)ちょっと、済みません、私がしゃべっている間、少しの間ですから静かにしていただかないと、非常に答弁がしにくいものですから。

 まさに、トランプ大統領も、米国も、もちろん日本もそうなんですが、数百発の日本に届く弾道ミサイルを配備をしているのは事実、この事実は変わっていないわけでありますから、安全保障環境が厳しい中において私たちはさまざまな防衛努力を重ねなければいけないというのは、これは答弁しているとおりであります。

 一方、まさに先ほど申し上げましたように、トランプ大統領が米朝首脳会談を初めて歴史的に行った、まさにお互いに疑念の殻を打ち破って、お互いが話合いを始めたということは評価をしているわけでございます。その評価は、まさに私が今申し上げたとおりでありまして、多くの国々がこの評価を共有していると思いますよ。

 同時に、今既に安全になったなんという認識はもちろん全くないわけで、いわば北朝鮮の脅威については依然として存在するということは変わりがないということははっきりと申し上げておきたいと思います。

長妻委員 ですから、そうであれば、ちゃんと抗議しないとだめですよ。いや、日本国民はもう安心を実感しているということではないということをちゃんと。曖昧に、推薦したかしないかわからないみたいな話では、我が国の国益を損なうんじゃないかということは申し上げておきたいと思います。

 そして、統計の問題に入りますけれども、麻生大臣の書いた本を拝読をいたしました、こういう本を。「麻生太郎の原点 祖父吉田茂の流儀」という本を、初めて麻生大臣の著作を拝読いたしましたけれども、こういうことが書いてあるんですね。非常に興味深いことが書いてあるんです、麻生大臣。

 終戦直後のまだ国民が焼け野原で飢えと闘っていたころ、祖父は

祖父というのは吉田茂さんですけれども、

 マッカーサーに「四百五十万トンの食糧を緊急輸入しないと国民が餓死してしまう」と訴えた。結局六分の一以下の七十万トンしか輸入できなかったが、餓死者は出なかった。

  マッカーサーが抗議をしてきた。

  「ミスター・ヨシダ、私は七十万トンしか渡さなかったが、餓死者は出なかったではないか。日本の統計はいい加減で困る」

  祖父は切り返した。

  「当然でしょう。もし日本の統計が正確だったら、むちゃな戦争などいたしません。また統計どおりだったら、日本の勝ち戦だったはずです」

  さすがのマッカーサーも、腹を抱えて笑い出したという。

 非常にこれは示唆に富む、興味深い話なのでございますが、実際、戦後、餓死者がいなかったというのは事実と違うと私は思うんですが、それ以外の点については、これは事実でございますか。

麻生国務大臣 小学生ぐらいのときに何回か聞かされた話ですから、少々記憶、数字が違っているかもしれませんけれども、おおむねそういうところです。

長妻委員 これは貴重な逸話だと、麻生大臣、私は思うんですね。

 やはり統計が、戦前、戦中、いいかげんだった、権力者の意のままに使われて、それが正確であればあんなむちゃな戦争はしなかった、こういう、吉田茂、私も尊敬している元総理大臣ですけれども、おっしゃったということは、非常に示唆に富む話だと思います。

 そこで、今回の統計問題なのでございますけれども、いろいろな疑問点があるんですが、一つは、きょう、西村統計委員長も来られておられますけれども、ありがとうございます、お伺いしたいのが、平成三十年の一月から、毎勤統計で、ベンチマーク更新、ウエート更新と言ってもいいんですが、それのさかのぼり補正、賃金指数のさかのぼり補正を、今までずっとやっていたのに、なぜか去年の一月からぱたっとやらなくなっちゃった。これは、委員長、どうしてでございますか。

西村参考人 お答えさせていただきます。

 平成二十八年の六月から八月にかけて、標本交代時の結果の接続法一般について、標本調査による基幹統計調査を対象にして整理を行いました。

 その結果として、多くの基幹調査は標本交代時にギャップを修正することなく直接接続しています。ギャップ修正を行っている統計は一統計のみということです。多くの基幹統計では標本交代の期間が一年未満ということになっており、二年から三年となっているのは一統計だけです。その一統計というのはこの統計です。

 この現状から、ギャップを修正することなく直接接続させながら、ギャップが過度に広がる前に標本を交代させるということが、標本交代時の接続方法の望ましい方法であるとして結論づけました。

 その後に、平成二十八年の十一月十八日に、毎月勤労統計の変更申請に基づく諮問が統計委員会に対して行われ、審議では、ローテーションサンプリングを導入する、部分的な標本交代を毎年行う、それから、新指数と旧指数はそのまま接続しても遡及改定を行わないという説明が厚生省からなされ、それに対して、我々が、既にやっていた議論に従って適当と判断したということでございます。

長妻委員 西村委員長、ちょっと混同されて今、答弁されているのではないかと思うんですね。

 標本交代による過去の賃金指数の補正、これはやらないということはわかるんですけれども、西村委員長、ちょっと聞いていただければと思うんですが、標本交代によることを私は言っているんじゃなくて、経済センサスに基づく労働者数のベンチマークにおける過去賃金指数を三角補正でさかのぼる、これをしなくなったということで、さっきおっしゃっていただいた資料を私は持っているんですが、標本交代によるさかのぼりはしない、これはわかるんですよ。そしてもう一つ、ベンチマークもあるんですが、これは常用雇用指数のことなんですよ。常用雇用指数についてはさかのぼりはするというのは、ここにあるんですね。

 ところが、私が言っているのは、労働者数の賃金指数とか労働時間指数に影響を及ぼす三角補正、これが議論されないまま、去年の一月からぴたっとやらなくなっちゃった。これはなぜですかということを聞いているんです。

西村参考人 ウエート変更の問題は非常に問題が複雑になっているために、この時期のときではまだ十分な資料がないという形で、これはまだ事実上ペンディングの状態になっているというふうに私は考えます。

長妻委員 ちょっと今、私は愕然としました。驚きました。予想どおりでした。

 ちょっと詳細に説明する前に、根本大臣、なぜですか。私が先ほど申し上げた質問について、厚労省はどう考えていますか。

根本国務大臣 少し質問を確認させていただきたいんですが。

野田委員長 では、いま一度、長妻さん、確認を。

長妻委員 では、これはちょっと複雑なので正確に申し上げますと、まず、賃金指数と労働時間指数、これは過去にさかのぼって三角補正していました、これまでは。その補正は、ギャップを補正するためにします。そのギャップは二種類あるんですよ。ここが混同されがちなんですが、二種類ある。

 一つのギャップは、平成二十七年一月に、麻生大臣から指摘があったように、サンプルがえによるギャップ、これが一つあります。

 それとは全く関係のないギャップがあります、もう一つあります。これは、労働者数が変わるから、経済センサスによって労働者数を全部調べるわけです。それにおいて、サンプルで抽出していますから、それを膨らませていくわけですね。そして、日本全体の賃金総額を出して、そして全体の労働者数で割り算する。いわゆるベンチマーク更新と言われているもの、これはサンプルがえとは全く関係のないことです。

 そのベンチマーク更新が、これは非常にギャップが大きいんですよ。サンプルがえより大きいんですよ。それを突然、これまで何十年もギャップ修正していたのに、去年の一月からぴたっとやらなくなっちゃった。これは、私、資料を全部見ました、徹夜で全部読みました。どこにも書いてないのにやめちゃっているんですよ。何でですかと聞いているんです。

根本国務大臣 今までのやり方だと、おっしゃるように、旧サンプルと新サンプルを三年に一遍ばっと入れかえると段差が生じる。それは確かに……(長妻委員「それじゃない、その話じゃない」と呼ぶ)二つあって、私もちゃんと理解していますよ、私も読んでいますから。だから、サンプル入れかえによるものと、それからベンチマーク更新によるものがある。

 ベンチマーク更新も、一回経済センサスで労働者数を出して、毎年毎年、毎勤統計の労働者数で修正していきますから、だから次の時点に来ると、その労働者数と実際の新たな経済センサスのやつにギャップが出る。それを今までは、三角補正というんだけれども、ここからこうやって補正してきた。これが今までであります。

 そして、先ほど委員長も答弁されましたけれども、今回は、そういう三年に一遍入れかえるというのは、より精度を高めるためには……(長妻委員「三年じゃない」と呼ぶ)いや、二年とか三年ですよ。(長妻委員「違う、混同しているよ、それは」と呼ぶ)いやいや、混同していない。(長妻委員「違うって、だから、その話は」と呼ぶ)

野田委員長 長妻さん、ちょっと大臣の答弁を聞いてから質問してください。

根本国務大臣 ですから、私は今回の統計がどういうふうに変わったかということを申し上げています。

 そして、まずは部分入れかえをしましょうと。そして、過去にさかのぼって、このベンチマーク更新も含めて、統計利用者のニーズを踏まえる観点から、ベンチマーク更新も含めて、過去を補正し断層を解消することなく、そのまま先に継続する。

 これは統計委員会で適当であると評価をされておりますから、我々、過去にさかのぼっての三角補正は、これはしておりません。(発言する者あり)

野田委員長 お静かに。

長妻委員 これは、委員長、根本大臣はわかっていません。

 ベンチマーク修正は、二年に一度とか三年に一度ではないんですよ。今回六年ぶりなんですよ。六年ぶりなので、だから違うんですよ、サンプルのことと。(根本国務大臣「だから」と呼ぶ)

野田委員長 大臣もちょっと静かにしていてください。

長妻委員 今、統計委員会の話をされましたけれども、統計委員会の委員長がおっしゃったように、十分な資料がないからペンディングだ、こういうふうにおっしゃっているわけですよ。ということで、全然答えていないわけ。つまり、議論なしで、去年の一月に、なぜか、何十年も続いていた三角補正、賃金指数の補正をしなくなった。理由を答えられないじゃないですか、根本大臣。

 それで、ちょっとパネルを、今、総理が全然わからないとおっしゃったのでちょっと説明しますと、まず、これが三角補正のイメージ図なんですが、総理、いいですか。九ページ目。

 まず言いますと……(発言する者あり)ちょっと待ってください。一々やじを飛ばさないでください。今説明しますので。

野田委員長 それぞれ秩序を持ってやってください、お互いに。

長妻委員 三十年の一月、これがイメージ図ですけれども、ベンチマーク更新における賃金指数のさかのぼり三角補正のイメージ図ということなんですが、今まではこの点々々ということで過去の賃金指数を補正していたんです、接続していたんです。

 これはどういうことかといいますと、経済センサスというのが、今回は平成二十六年が最新なんですが、経済センサスで全部の労働者の数を調べるんですよ。それで、毎勤の抽出調査、全労働者は調べていませんから、その抽出、それぞれ業界とか企業規模別にその労働者数を膨らますんですね。それで賃金を掛け算する。そして、あたかも日本全国の全体の労働者を調査したかのようにして、そして一人当たりの平均賃金を出す、こういうことなんです。そこがベンチマーク更新。

 つまり、経済センサスを毎年やればいいんですよ、本当は、理想は。ところが、今回は六年ぶりなんですよ。そんな、何年かに一度しかしないので、それについてギャップが出るんですよ。この黒の部分ですね。今回もギャップが出たわけです。なぜギャップが出るのかというと、大企業で働く人がふえているからですよ。つまり、賃金が上がる、つまり賃金の高いところで働いている人がふえる、そうするとギャップがここに出るんですね、平成三十年一月。

 それで、今までは、これは賃金指数を、そのままギャップを放置しておくと伸び率とかが適切に出ないので、毎勤というのは伸び率も大変重要な指標なので、ギャップ補正ということで、ここに段差がありますよね、黒のところが、平成三十年一月、段差がありますが、その段差を三角補正ということで、この黒いところから三角の点々々、赤線にして、そして過去の賃金指数を変える、こういうことをしていたわけですよ。ところが、何十年もしていたのに、平成三十年の一月から議論なしにぴたっとしなくなっちゃった。これが今の答弁でも解明されていない。

 それで、これはどういうふうになるか、これをやると。三十年の賃金上昇率が高目に出ちゃうんですよ。高く出ちゃうんですよ。これはわかりますよね、これを見ていただければ。つまり、三十年の例えば二月でも三月でも四月でもいいんですが、そこと赤の線の水準と比べると、赤の線の方が上に水準が行っているので、三十年の伸び率はそれほど高くない。ところが、補正をしないと、三十年一月以前もこの黒の線、実線のままだから、伸び率がどんと高くなるんですよ。

 事実、今回の平成三十年一月の新旧のギャップ、これを調べていただくと〇・八あった。そのうち〇・四がベンチマーク更新のギャップだった、こういうことなんですよ。非常に大きいんです、これ、〇・四ですから。

 そういう意味で、なぜこれをしなくなったのかということについて、なかなかお答えがない。

 では、どうぞ。

根本国務大臣 私、三年総入れかえを、今回ローテーションサンプリングした、先ほど申し上げました。そして、もう一つ、委員おっしゃるように、経済センサスというのは五年に一遍出ますよね。だから、今回、三十年一月は、そのときの産業構造、あるいは、大きな企業、中小の企業、ウエートが変わりますから、ここは正しくその時点での産業構造を反映する必要があるから、その実態を反映することになるから、そのベンチマークというのを新しくした。これは直近の産業構造を反映する。

 そして、その意味で、過去は、ローテーションサンプリングをやる前は補正していましたよ、三角補正というのをやっていた。ですから、これは、統計委員会で我々ちゃんと承認されているんですよ。ローテーションサンプリング方式への移行時において、統計委員会の議論を踏まえ、過去値を補正し断層を解消することなく、新旧計数をそのまま接続すると言われたので、これは専門的な議論の上にこういうふうになされております。

長妻委員 まだ全く誤解していますね。誤解していますね、根本さん。だから、ローテーションサンプリング方式とは全く関係ない話なんですよ。

 では、西村委員長、もう一回お伺いしますけれども、先ほど、十分な資料がなくてこれはペンディングになったと。そのとおりなんです。これは、根本大臣はちょっとなかなかお答えできないんですが、いかがでございますか。

西村参考人 お答えいたします。

 正確に申し上げますと、ワーキンググループがありまして、新旧データ接続検討ワーキンググループ……(長妻委員「これね」と呼ぶ)それです。それで、このときの場合には、ウエート変更は問題が複雑になるため資料を除外するということは明示して、接続方法を検討いたしました。

 それを受けて、統計委員会に二十八年の十一月に諮問されたわけですが、そのときは個別の統計として審議いたしました。審議は、さっき言いました変更内容について、さきに示した横断的な考え方を踏まえつつ、その他の面も含めて、かつ、この新旧データ接続ワーキンググループの議論を含めて、多角的に審議した結果という形になっております。

長妻委員 結局、議論していないんです。

 今委員長も正直におっしゃっていただいて、ベンチマーク更新というんですが、総務省はウエート更新というんです、呼び方として。全く同じことです。厚労省はベンチマーク更新と呼んでいるんですが、今、委員長がウエート更新は除外するということをおっしゃっていただいたわけでございます。

 私は、これは厚労省のこの資料も出してもらえればと思うんですが、根本大臣、例の、今話題になっていますよね、平成二十七年九月十六日に、この真ん中でございますが、毎勤統計の改善に関する検討会、厚労省で設置された。これはちょっと不可解な動きがいっぱいあります、詳細は申し上げませんけれども。

 これについて、ここの下が注目なんですよ、「ギャップ補正方法(ベンチマーク更新)」こう書いてあるんですね。「ベンチマーク更新時の賃金・労働時間指数については、」私がさっき申し上げた賃金指数のことです、「新旧ベンチマークの差に伴う労働者構成のギャップ補正(三角修正方式)を行う。」結論は行うということなんです。明確に、検討じゃなくて、行う。これまでどおり行う。「ただし、過去の増減率については変更しない。」と。この「ただし、」以降は新しいことです。

 これはいろいろな考え方はあると思います。ただ、変更を行う、ギャップ補正を行うということは、将来にわたって伸び率は変わる、適正になるということなんですよ。ところが、これを行うというふうに書いてあるのに、これ、結論ですよ、行っていないわけですよ。その手続がさっぱり厚労省の中ではわからない。どうして、厚労省が大もとですからね。根本大臣、ちょっと、聞いていないんですね、両方は聞こえないので。

 これは結論が出ているのに、厚労省の中でどういう議論があったのか。

 これは、安倍総理、ちょっと、では、休憩してください。安倍総理に今聞いてもらって、その後ですから。

野田委員長 総理が大丈夫だと言っておられるので、長妻さん、質疑を続行してください。御本人が大丈夫とおっしゃっているので、質疑を続行してください。

長妻委員 いや、私は、生理現象は、一旦、別に一分か二分かとめていただいて行っていただく分には全然構わないんですが、これは核心のところなので、総理に聞いていただいて質問をさせていただくので。私たちも、野党は非常に限られた時間の中で精いっぱい質問しているので、何とか実態解明したいということで。

 根本大臣、こういうふうに結論が出たにもかかわらず、大もとの厚労省は、どんな議論を経て、どんな理由でこれをなくしちゃったんですか。

根本国務大臣 中間報告、委員もお読みいただいていると思います。その中間報告を出した。そして、我々は、ああいう中間報告、さんざん審議してきましたけれども、もともとこれは、公的統計についてきちんと見直しましょうねというのが平成二十六年からあって、統計委員会が秋から毎勤統計をやるということになっていて、我々、検討会をつくりました。

 そして、これについては、その判断は、経済センサスで新しい産業構造を反映しますから、これは過去にさかのぼっての三角修正はしないようにしよう、こういうこと……(長妻委員「すると書いてあるんです、すると。行う」と呼ぶ)そういうふうになっておりますが、中間報告は、例えばローテーションサンプリングもこれから検討する必要があると書いて、あとは経済財政諮問会議や統計委員会で議論をされている。だから、我々は、こういうものを統計委員会に報告して、その統計委員会の検証の結果、新たな、より精度を高めるという部分入れかえ方式、今回の新しい方式に切りかえている、こういうことであります。(発言する者あり)

野田委員長 ちょっと、では大臣、もう一度わかりやすく再答弁をしていただけますか。いま一度、根本厚生労働大臣、ギャップ補正方法の、この三角補正についての質問でしたから、それについて正確に御答弁ください。

根本国務大臣 要は、総入れかえ方式のときには、三角補正はやってきた、これについては。しかし、今回、ギャップの補正方法と書いてありますが、この指数については、サンプル入れかえ後の増減率を正しく計算するため、適切な補正を実施するが、実数については、従来どおりの補正は行わないということを言っているんですよ。(発言する者あり)だからそれは、いやいや、二つある、二つありますよ。

野田委員長 御静粛に。皆さん、御静粛に。(長妻委員「委員長、こっちも真剣に質問しているので」と呼ぶ)もちろんです、私も……(発言する者あり)静かにしてください。とにかく御静粛に。

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 根本厚生労働大臣。

根本国務大臣 私もきちんと頭を整理して答えていますよ。ベンチマーク更新のそのギャップの話とサンプル入れかえのギャップの話は、ちゃんと。

 サンプル入れかえによってギャップは縮まる、そして、ベンチマークのギャップについては、部分入れかえ方式に仮に移行しても、ギャップの補正が必要になれば、当該方式を採用する合理性は低いとの意見もある、こう書いてあって、そして、サンプル入れかえ方式については引き続き検討とされていますが、先ほど申し上げましたけれども、ベンチマーク更新も含めて、この統計委員会で我々が適当だと言われているのは、標本交換、これはサンプリングの問題。そしてベンチマーク更新、もう一つある。

 このベンチマーク更新については、ベンチマーク更新も含めて、過去値を補正し断層を解消することなく、新旧計数をそのまま継続することとなっていますから、三角補正は過去にさかのぼってやるということはしていないということであります。

 これは統計委員会で我々オーソライズをされておられますから、あとは統計的、専門的な議論だと思いますが、我々は少なくともこういうことでやりましょうということで了承を得て、そして新たな制度にしている、こういうことであります。

長妻委員 根本大臣、今の統計委員会の話は、私が冒頭解説した話なんですよ。統計委員会の標本交代というのは、これはサンプルのギャップの話。統計委員会の、二番のこのベンチマークというのは、これは常用雇用指数はさかのぼって三角補正をしているんです、三十年一月からもう。これはいいんです。だから、そこでベンチマーク更新がすっぽり抜けているということを言っているので。

 私は、統計委員会の話も今御披露いただきましたけれども、厚生労働省がなぜ真逆の判断をしたのかというのを聞いたわけですよ。

 根本大臣、サンプル入れかえとは全く関係ないわけでありまして、非常に不可解なので、これは、委員長、らちが明かないので、ぜひ統一見解、厚労省としてなぜここでは、ここと真逆の判断が出たのか、混同しないで、ベンチマークのギャップについて、これは誤差が大きいんですから、ここについて統一見解を出すように差配いただければと思います。

野田委員長 後刻、理事会にて協議をいたします。

長妻委員 それで、いろいろな不可解なことが起こるんですが、その根元をたどっていくと、きょうはナガエ秘書官が来られておられますけれども、これは、平成二十七年の三月三十一日に厚労省がお呼びになって、こういうことをおっしゃっているんですね、ナガエ秘書官が。過去にさかのぼって、大幅に数値が、伸び率の数値ですが、変わるようでは、経済の実態がタイムリーにあらわせないのではないか、タイムリーにあらわすために改善の可能性について伝えるべきではないかという問題意識を伝えた、こういうふうにナガエさんがおっしゃっておられる。

 そうすると、突然、きょう、配付資料を配付しておりますけれども、こういう資料が厚労省から出まして、同じ平成二十七年の三月三十一日ですが、厚生労働省大臣官房統計情報部ということで、三月三十一日、本日公表を予定していた毎勤統計について、精査が必要な部分が見つかったため、公表を延期しますと。面談したこの日に発表する予定、三月三十一日。ところが、面談の後か前か知りませんけれども、突如、公表を予定していたものが延期ということで、その日に紙が配られたわけでございますけれども、これは、ナガエ秘書官、何か……(発言する者あり)大変失礼しました、中江秘書官、延期というのは、何かあったんですか。

中江参考人 お答えします。

 今の延期の資料は、これは厚労省から御発表されたということでありますので、私からお答えする話ではないかと思います。

長妻委員 そうしたら、根本大臣、なぜこれを延期したんですか。

根本国務大臣 公表日については、厚生労働省が判断しておりますから、官邸の連絡によって延期を行ったという事実は毛頭ありません。

 そして、なぜ延期をしたかということですが、公表予定の毎月勤労統計の一部の数値で前年比の小数点以下の端数処理のプログラムの不都合が生じている可能性があったため、精査の必要が生じたことから延期をいたしました。これは、まさしく統計上の処理であります。

長妻委員 これは、全く疑うわけじゃないんですが、こういうことはまさかないと思いますけれども、三月三十一日に厚労省が中江秘書官に資料を見せたわけですよね。そして、前後関係、何時かわかりませんけれども、延期になって、発表が四月三日になった。こういうことで、何か数字が動いたということがシステム的な問題以外であるとしたら、私は大問題だと思うので。

 これは、先週、大串さんが質問して、委員長に資料要求しましたよね、中江秘書官が説明を受けたときの説明の資料とメモ、これはどうなりましたか。

野田委員長 後刻、理事会にて引き続き協議をいたします。

長妻委員 委員長、なぜそんなに時間がかかるんでしょう。先週ですよ。だって、きょう私、これを質疑するということで。

 これ、中江秘書官、どんな具体的な話があって、資料はどういうふうにあって、それは、やりとりのメモとかいうのはとられているんですか。

 あとは、場所とか、どのぐらいの会談時間だったのかを簡潔に教えていただきたいと思います。

中江参考人 お答え申し上げます。

 二〇一五年の三月三十一日であります。(長妻委員「何時ごろ」と呼ぶ)ちょっと時間は、済みません、覚えておりません、官邸の秘書官室というところの会議室だったと思います。

 それで、どういう資料で数値を説明を受けたかということでありますが、詳しくは覚えておりませんが、毎月勤労統計、それにつきまして、毎月公表されておりますので、その毎月公表されている計数表で説明を受けたというふうに思います。

長妻委員 このときに、こんな資料を示されましたかね、パネルの三ですね。こんな資料は、当時示されましたか、厚労省から。

中江参考人 お答え申し上げます。

 そのときにどういう資料だったかというのは、ちょっと、先ほど申し上げたとおり、はっきり覚えておりませんが、この件につきましては、全数を入れかえることによって、過去三年間公表していた数値を、過去にさかのぼって大幅に変わるという話を事前に私、受けておりまして、その件について、それは内閣参事官から受けましたので、厚労省の方から御説明をいただいたわけでございます。

 したがいまして、そのときに、今までに公表されていた数値を出されたのか、新しくこれがこういうふうな数値に変わるという御説明だったか、その辺について、詳細なことは私、はっきり覚えておりません。

 それから、やりとりについては、私は、先ほど御質問いただきましたが、メモはとっておりません。

長妻委員 それでは、厚生労働省の姉崎部長をお願いします。

 これ、また呼んでいるのに、きょう来ていないわけですね。

 姉崎部長と宮野総審が説明に秘書官に行っているわけで、なぜこれもまた出さないんでしょう。私が要求するときには出さずに後に出すということは、ちゃんと出していただきたいんですね、これ。

 メモについて、大串さんからも要求があったと思いますけれども、ぜひ委員長、やりとりメモについても厚労省はとっているはずですので、提出をお願いします。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

長妻委員 その後重要なのは、中江秘書官にお伺いしますが、厚労省はどんな返事をしましたか、問題意識を伝えて。こうこうこうしますとか、何とかはこうですとか。

 それと、それ以外で厚労省と接触したことはありますか、毎勤統計で。例の中間報告の例の検討委員会については聞いたとおっしゃっていますけれども、それ以外で、電話とかメールとか、あるいは実際面談で、毎勤統計で接触したのはどのくらいありますか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 三月に厚生労働省から説明を受けた後、時期は正確に記憶しておりませんが、厚労省内において議論した結果、専門家を交えて検討会を始めることとしたとの報告を受けました。それで、その検討会でどういう議論が行われたとか、その検討結果については、報告を受けた記憶はございません。

 それから、毎勤統計につきましては、これは毎月、公表の前の日だったか直前に、厚労省から官邸に出向されている内閣参事官から毎月数値は聞いておりますが、それ以外について厚労省とやりとりしたことはございません。

長妻委員 これは麻生大臣も中江秘書官も同じなんでございますけれども、私、ちょっと不思議なところがあるんですね。中江秘書官も、こういうふうにおっしゃっているんですね。過去にさかのぼって大幅に数値が変わるようでは、経済の実態がタイムリーにあらわせない。なぜ過去の数値が変わるとタイムリーにあらわせないのか、これは疑問なんです。

 過去、変えた方がタイムリーですよ。GDP統計だってしょっちゅう変わりますよ、最新のデータで。御存じのように、SNA、国民経済計算。幾らでもありますよ、過去にさかのぼって変わるのは。こういう、過去にさかのぼって変わるのがいかぬといったら、タイムリーにできないじゃないですか、逆に。ですから、ここの認識、下がったから怒っているのかなと疑うわけですよね。

 しかも、このときの下がりぐあいは、今から考えると不正も入っているわけですよ。東京は全数やらなきゃいけないのに、五百人以上。千五百社のうち、五百のサンプルをとってやっているわけで、そのサンプルも総取っかえしているわけですよ、本当は東京は全数やっていなきゃいけないのに。だから、その影響もあって相当下がっているんじゃないですか。ですから、そういう意味も含めて、あの下がりぐあいの政府の認識というのは、もう一回整理して、一から全ての議論を私はやり直すべきだ、こういうふうに思うんですね。

 麻生大臣も、この下のこの麻生発言、鶴の一声と言われております、この麻生発言で歯車が動き出して、いろいろなところで麻生発言、言及があります。統計委員会でもありますし、中間報告が出た厚労省の委員会でもありますし、麻生発言についてですね。

 麻生発言でも、サンプルの入れかえ時には変動があるということが指摘されていると。変動とか過去にさかのぼって変わるのがなぜ悪いんだろう、これが私の疑問なんですよ。上がっていたら悪くないのか、下がっているから悪いのかと疑うんですが、麻生大臣、これ、なぜ、過去、変動があるとよくないんですか。

麻生国務大臣 いわゆるサンプルというものが大幅に入れかわるということになりますと、入れかわる時点の前後で調査結果を単純に比較できないということを意味するのは、これは非連続ということなんだと思いますが、毎月の勤労統計において、二〇一五年の一月のサンプルの入れかえによって、過去の発表値が遡及して大幅に修正されるとの指摘が有識者からされたんです。厚生労働省において毎月勤労統計の改善に向けた議論が開始されたところでもありました。

 したがいまして、統計の精度の向上という観点からいろいろ改善の余地があるのではないかという話を申し上げて、問題提起をさせていただいたというのが経緯です。

長妻委員 サンプル入れかえについては、私は、さっきのベンチマーク更新はどう考えてもおかしいと思いますが、サンプル入れかえについてローテーションサンプリング方式を採用する、これは一概に私は悪いとは思いません。

 ただし、前提条件をすっ飛ばして、議論なしに入れちゃっているんですよ。前提条件というのは、厚労省の中でも議論されました、ローテーションサンプリング方式を入れるときは、今までの三年に一度ではなくて、一年に一度にするとか、頻度を上げる、そういうことも必要じゃないか。あるいは、ローテーションサンプリング方式にしたときに、賃金指数も従来どおり、サンプル入れかえによる賃金指数の補正も過去にさかのぼってすべきじゃないか。こういう議論もあって、それをすっ飛ばして、どおんと入ったから、ローテーションサンプリング方式についてもこの先生方が怒っているわけですよ、私が聞いた先生は。

 それで、最後に、時間もなくなりましたのでお伺いしますけれども、きょうは酒光前政策統括官も、前々ですか、来られておられまして、酒光さん、私のもう一つの疑問は、不正の復元、これを平成三十年一月以降だけしたと、以降だけ。復元するんだったら、正直に話して、前もすれば、伸び率が異様に高くならないわけですよ。これは誰でもわかることですよね。平成二十九年は三倍にしていなくて、その前はしていなくて、三十年以降だけ三倍にしたら、どおんと上がるに決まっているじゃないですか。

 なぜ三十年以降だけ黙って補正をしてしまったのか、これは最大の謎なんですよ。いかがですか。

酒光参考人 お答えいたしますけれども、その前に、最初に、私が厚生労働省の政策統括官在任時に所管しておりました毎月勤労統計調査、このような、いろいろと問題、不適切な事例があったという、それによりまして、統計への信頼を失わせ、あるいは国民生活に多大な影響を与えているという事態につきまして、深く反省して、おわびを申し上げます。

 その前提で、ちょっと、今の御質問にお答えしたいと思いますけれども、私、在任時でございますけれども、ここの、監察委員会の報告書にもございますけれども、標本抽出の話というのはたまたま聞いたわけですけれども、復元というのは当然行われているというふうに思っていたものですから、なぜ復元が行われなくて、なぜ一月から復元が行われるようになったかという件については、ちょっと、私には全くわからないというところでございます。

長妻委員 最後に、総理に最後、質問しますけれども、総理はいつも、まさか統計数字をつくるはずがない、こういうふうにおっしゃっているんですが、それはどういう根拠に基づいてなんでしょう。どういう根拠なんですかね。

 結局、この政権は、言っちゃ悪いんですけれども、決裁文書まで、たくさんの人の、責任者の判こが押してある決裁文書まで改ざんした政権ですよ。何でもありですよ。だから、簡単にそんな、データを偽装なんかできない、上振れするように、平成三十年、することができないというふうに簡単に決めないで、徹底的に調査した上で、根拠に基づいてそういう反論をしていただきたい。

野田委員長 長妻さん、午前中の質問時間が終了いたしました。

長妻委員 ベンチマーク更新についてはきょうも明らかになりませんでした。最後、総理、いかがですか。

野田委員長 総理、簡潔にお願いします。

安倍内閣総理大臣 もう今のやりとりを見ていても、政権として影響を及ぼしていないということが明らかになったと思います。

長妻委員 全くその認識はおかしい。

野田委員長 質問時間が終わっています。

長妻委員 決めつけだと思います。ベンチマーク更新についての三角補正、全く答えられないじゃないですか。

野田委員長 質問を終えてください。

長妻委員 いいかげんな答弁はやめて、徹底的に調査をしたい、してくださいということをお願い申し上げまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

野田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、委員長より一言申し上げます。

 去る十五日の委員会において、出席大臣より不穏当な発言がありました。本委員会の審議は国民も大変注視しております。出席大臣におかれましては、不必要な発言は厳に慎むようお願いいたします。

 質疑を続行いたします。

 この際、大串博志さんから関連質疑の申出があります。長妻さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志さん。

大串(博)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。

 早速、質疑に入らせていただきます。

 きょうは、統計不正の集中質疑ということでございます。

 まず、総理にお答えをいただきたいというふうに思いますけれども、今般、毎勤統計を始めとする統計に関するいろいろな事案が生じて、国民の皆さんの統計に対する信頼、国民だけじゃないですね、海外からも信頼が失墜しているというふうに言わざるを得ないと私は思います。国の政策判断、そして国民の皆さんもいろいろなことを判断するのに必要な統計の信頼が失墜している。

 この間も、我が会派の小川議員が、統計の日に寄せられた国民からの多くの標語、私も驚きました。

  不景気も統計一つで好景気

  合わぬならつくってしまえにせ統計

  アベノミクス全ての統計自由自在

  お上から鶴の一声好景気

統計の日の標語を求めたところ、国民の皆さんから、こういう笑うに笑えないような標語が続々と寄せられるような今の統計に関するこの状況、こういう状況をつくり出していることに関して、国を統率する総理大臣としてどのようにお考えでしょうか。総理、お聞かせください。

安倍内閣総理大臣 統計について、このように長い間不正な調査が行われてきた、それを見抜けなかったことについて、十五年にわたって不正な調査が続けられてきた、それを見抜けなかったことについては責任を感じているところでございまして、この上においては、徹底的に検証を行い、そして再発防止に力を入れていきたい、こう考えているところでございます。

 しかし、今、例に挙げられて批判をされましたが、決して、私たちは、私たちの経済政策を何かよく見せようとして統計を変えたということは全くないわけでございますし、そういう事実は今のところ全くないということははっきりと申し上げておきたい。

 むしろ、今回の不正によって、本来であれば高く出ているべき賃金が高く出ていなかったということによって、まさにこれは雇用保険あるいは労災保険の皆様に大変な御迷惑をおかけしたということは事実であろう、こう思っているところでございます。

大串(博)委員 今、私たちが統計を使って何がしかのことをしようと思ったわけではないということをおっしゃいましたけれども、よく見せようというふうにしたとかいうことはないとおっしゃいましたけれども、果たしてそうでしょうか。

 私は、国民の皆さんがこれだけ統計の日の標語に声を寄せられたということは、恐らく、国民の皆さん、この予算委員会の審議等も見られて、安倍総理がアベノミクスに関してどうなんだと。私も、この数年間、予算委員会でずっと安倍総理とこのことを議論してきました。そのときに、都合のいい数字だけをとうとうと長い時間かけて述べられる、議論が深まらない、そういった状況を何度も目の当たりにされてきたから、国民の皆さんが、何か都合のいいことだけやっているんじゃないかなというふうに思われているんじゃないかと思うんですよね。

 私、非常に驚いたことがあるんですよ。この間、先週の十三日ですけれども、安倍総理とここで議論したときに、中江総理秘書官が、毎勤統計に関してギャップが起きる、これに関して問題意識を厚生労働省に伝えられた、それに対して厚生労働省が大きく反応して、それがだんだんだんだん毎勤統計の不適切な、あるいは国民が疑念を抱かざるを得ない統計のまとめ方につながっているんじゃないか、こういうことを問うたときに、安倍総理、おっしゃいましたね。

 「例えば、アベノミクスに都合のよくなるようにどうのこうのなんということを一々考えませんよ。だって、実際もういいんですから、経済の状況は。あらゆる数値がいい方向を示している中において、事実、私は一回も、毎月勤労統計を使ってアベノミクスの成果を誇ったことはないです」、こう言われています。「だって、実際もういいんですから、経済の状況は。あらゆる数値がいい方向を示している中において、」こう言われている。

 実質賃金の数値を見ていただきたいと思いますが、果たして本当に全ての数値がいいんですか。まさにこれなんじゃないですか。安倍政権が始まって、二十五年、実質賃金はマイナス。

 先ほど、公明党の委員の方からも話がありました。国民の皆さんが自分の暮らしがよくなっているかどうかと一番実感するのは、実質の賃金なんだとおっしゃいましたよ。私も、そうだなと思って聞いていました。

 そのときに、その実質賃金が安倍政権になってマイナス。マイナス〇・七ですね。二十六年は、まさに問題になっているサンプル入れかえの前の年ですね、マイナス二・八。これは、マイナス二・五だったものが、サンプル入れかえでマイナス二・八により悪くなっている。二十七年も引き続きマイナス〇・八。

 こうやって、実質賃金はずっとマイナスじゃないですか。どこがいい数字なんですか。こうやって、安倍政権にとって非常に厳しい、都合の悪い数字は出続けているじゃないですか。どこが、「あらゆる数値がいい方向を示している中において、」なんですか。

 この実質賃金に関してこれだけ厳しい数値が出ている。これは、私、総理官邸も、あるいは厚生労働省も、あるいは政府全体が、非常にびりびりと感じていたんだと思いますよ。何とかしなきゃ、何とかしなきゃと思っていたんだと思いますよ。

 だって、新聞記事にもありましたね。先週、共同通信の記事ですけれども、中江秘書官からの問合せを受けた、これに関して、厚生労働省の関係者、国会でも賃金の話が出ており、何とかしなきゃいけないと思った、こう言われているじゃないですか。国会でも賃金の話が出ており、何とかしなきゃいけない。これは、私、どこかで聞いたせりふだなと思ったんですよ。

 これは、いわゆる森友学園問題で公文書の改ざんが行われた。その背景、事実関係を財務省において精査された報告書ができ上がりました。その報告書の中で、なぜ公文書の改ざんを行ったか、それは、安倍総理が国会の中で、私や私の妻がかかわっていたら総理大臣をやめますよ、あそこまで国会で言われた、こういったことに対して、国会でこれ以上取り上げられてはいけない、それに対して、事前に、国会で取り上げられることを避けるために公文書を改ざんした、そう言われていたじゃないですか。全く同じ構造じゃないですか。

 不都合な数字が出ている、これに対して、官邸、厚労省、政府全体が何とかしなきゃというふうに思ったことが背景にあったんじゃないですか。いかがですか、総理。

安倍内閣総理大臣 今の論理は相当苦しいと思いますよ。そういう、それをいわゆる牽強付会というんでしょうけれども、強引に論理の展開をされるから、この問題についての議論が深まらないんだろうな、こう思いますね。

 では、実感は実質なのかということですよね。

 この前、共産党の志位さんと議論をしました。共産党は、民主党政権時代に実質賃金が上がったということを誇っておられた。まあ、共産党は参加していなかったという記憶があるんですが。

 ここで、しかし、それはデフレだから伸びますよ。GDPデフレーター、ぐっとマイナス、CPIもマイナスですよ。デフレなんですよ。まさにそれはデフレ自慢でしかない。

 では、あの時点で、みんなすごくよかったと思っていましたか。思っていないですよね、職を失っているんですから。今よりも三割も、中小企業、小規模事業者は倒産件数が多いんですよ。有効求人倍率、今の半分ですよ、皆さん。一人の求職者に対して一人分の仕事がある、四十七都道府県のうち、やっと八つですよ。たった八つ。それが皆さんのときの実態ですよ。今、四十七全ての都道府県で一倍を超えている。

 つまり、どういうことかということは、それは、ゼロだった人が収入を得た、まさに勤労者に入ったんですよ。その方たちはいきなり高給取りにはならない。ですから、平均していけば、平均賃金は下がる。

 毎月勤労統計の、いわば実質についても名目についてもそういうところはあるんですが、我々はそういうふうに、私はそういう議論をずっと行ってきました。だから、みんなの稼ぎである総雇用者所得というところにずっと注目をしてきたわけでございます。それは、ずっと私はそう申し上げてきた。

 だから、実質、ですから、ずっとマイナスだったわけですよ。今回、いきなりそれを、マイナスになったからどうのこうのと言うつもりは全然ございませんよ。それは全然ない。

 ですから、大切なことは、統計を正しく見ていくということじゃないですか。統計を正しく見られなければ、我々は財政出動が必要かどうかという判断もできませんし、マクロ経済運営にとって、むしろ、正しい統計を見ていくということが大切。

 正しい統計、そして正しい統計の見方が求められているんだろうな、こう思うわけでありまして、実質賃金の伸びについては、一人当たりの実質賃金について確かに伸び悩んでいますが、この要因としては、景気回復に伴い雇用が増加をしているんですね、六年間で三百八十万人増加をしている。過程においては、女性や高齢者など労働時間が短く比較的賃金の低いパートで働く方がふえたからでありまして、実際、女性の就業者数は昨年八十七万人増加をしましたし、六十五歳以上の高齢者も五十五万人増加をしているわけでありますが、同時に、正規雇用、百三十三万人ふえたんです、この六年間で。前政権時代、民主党政権時代、これは五十万人マイナスじゃないですか。マイナスということはどういうことかというと、まさにこれは百三十三万人純粋にふえたということであり、賃金の場合は、ゼロの方はその中には入らないということでございますから、ゼロの方がまさに十万円、二十万円、三十万円とふえてきたから、入ってきたということでございます。

大串(博)委員 実質賃金が苦しい。実質賃金じゃない数値をるる挙げられてしゃべられるわけですよ。だから、国民の皆さんは、この人、何かおかしいことを言っているんじゃないかなと思っているから、こういう標語になるんですよ。(安倍内閣総理大臣「選挙五回勝っている」と呼ぶ)選挙五回勝っている、今、そうやじられましたね。選挙を勝っていればどんな統計にしてもいいということなんですか。そういうやじが出るところが、私は総理の品格を問うなと思うんですよね。

 少し時系列で議論をさせていただきたいと思いますが、やはり、実質賃金が伸び悩む、総理も非常に気にされている、総理官邸も厚労省もみんな気にしている中で、何が起こっているか。

 三月三十一日に中江秘書官が、厚労省から、わざわざサンプル入れかえで賃金が下方修正されることを聞かれている。これを受けて、厚生労働省で六月三日から毎月勤労統計改革のための検討会が行われる。これはけさもいろいろ議論をされましたね。九月十六日にその第六回が行われ、そこまでは、このサンプル入れかえに関しては、これまでの方法は変えない、全量入れかえにするというふうにされていた。全入れかえにされていたんだけれども、なぜか第六回の中間的整理の中では引き続き検討ということで、どこからか力が働いたのかわからないけれども、全取りかえじゃなくて、ローテーションサンプリングを示唆するような方向になってきている。

 ここに何があったのか。私が注目するのは、さらにその次の十月十六日の経済財政諮問会議、ここで、麻生副総理の言葉がよく取り上げられています。毎月勤労統計に関して、サンプル入れかえの際に変動が生じる、これもよく議論してほしいということを麻生副総理が言われた。

 私、注目しているのは、この次の甘利大臣の発言なんですよ。統計担当の大臣でした、当時、甘利大臣は。統計担当大臣が総務大臣に翌年に行く前に、まだ統計大臣の座が内閣府にあるとき、統計委員会の担当大臣として、甘利大臣が述べられているんです。

 麻生財務大臣の話に呼応する形で、サンプル数を入れかえるときに落差が起きるというのは、サンプル数の入れかえのシェアが大きく、対象が大幅に変わってしまうことで落差が出るので、時期をずらし一度に入れかえる数を減らして、入れかえ時の落差が出ないようにということで工夫もしていくようであるので、それで対応していけるかと思うと。結論を述べられているんですよ。統計委員会担当大臣が、ここで結論を述べられている。麻生大臣が言われたことに対して、結論を述べられているんですね。なぜこんなにさっさっさと物事が進むのかということなんです。

 四月の頭に段差が出た、明らかになった、それを受けて中江総理秘書官がその問題意識を厚生労働省に伝えた。委員会を開いた。厚生労働省の委員会では、しかし、政府が思うようなローテーションサンプリングの結論は出なかった。よって、それを経済財政諮問会議に召し上げるかのごとく持ってきて、経済財政諮問会議の担当大臣である甘利大臣は当時統計委員会の担当大臣でもあるから、結論までこの場で決めてしまっている。

 総理、これが全体、流れの中で行われているものだと普通は思うんじゃないかと思いますね。そうじゃないということを言われるのであれば、麻生大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、先週の質疑の中でも、麻生大臣がこのことを聞かれたことに対して、なぜここでこういう質問をされたんですかというような質問が何度も行きました。

 なぜかというと、この経済財政諮問会議で麻生総理は、私が見ると、かなり突然に、唐突に統計のことを言われているんですよ。アベノミクスの第二ステージ、あるいは経済・財政一体改革の話、こういった話がある中で、突然、統計の話をされているんですね、かなり技術的な。非常に違和感を生じる。それに対して甘利大臣が、それを受けるように方向も出しちゃっているんですね。

 だから、私が非常に不思議になるのは、先週も、麻生総理にその経緯、中江秘書官との、財務省のコンタクトがあったのかどうか、麻生総理の発言録、発言要領をつくるときにあったのかどうかという話がありました。なぜ、麻生財務大臣、このときにこんなにタイムリーな発言をされて、甘利大臣のこの結論を導き出すようなアシストをしたんですか。

麻生国務大臣 たびたびお答えしておりますので、同じような質問を同僚議員からいただいておりますので、重複するところもあろうかと思いますが、少なくとも、私どもは、政策判断の基礎になります統計というのは、我々財政を担当する者にとりましては大変大事なところでありますので、これが、サンプル入れかえとかいろいろな形で前の統計は大幅に遡及して、前の統計の三年間はどんなものだという話になるというのは、これは我々としては甚だ迷惑な話でもありますので、こういったもののギャップが、そういったもののぶれが少なくなるようなものにしてもらいたい、統計は正確に出してもらいたいということを申し上げている。

 これはもう前々の中であって、これに限らず、私どもは、たしか消費者物価の中でいろいろな話がありましたので、これ以外にも、まあ読んでいただいたらわかりますけれども、少なくとも、今の時代に通販が消費者物価に全然反映されていない、新築着工の建築のあれは出ているけれども、今はリフォームが多いのにこれは載っかっていない、こういうのはおかしいじゃないかというものの一つとして、この中の話を申し上げているという経緯だと思います。

 その上で、今御質問をいただきましたので、私ども、この前の質問で、たしか質問の中で、私の言葉が信用できないということですねと言ったら、そうだと言われましたので、そういうことでしたら、わかりました、調査をさせていただきますと言ったのが、前回の質問の終わりでしたよね。

 そこで、私どもとしては確認をさせていただきましたが、諮問会議の資料や発言を準備するに当たって、中江前総理秘書官から毎月勤労統計について指示あるいは示唆というものは受けたことはおりません。私どもとしては、そういったようなことでありますので、これは私どもとしては調査せないかぬと思いましたので、担当部局には、大臣官房の総合政策課ですので、大臣官房総括審議官、総合政策課長、政策調整室長などの関係者に話を聞いたと、私どもとしては調査の結果の報告を受けております。

大串(博)委員 中江総理秘書官からの連絡、示唆を受けてこの質問をつくったのでは仮にないとして、そのほかから何がしかのインプットがあって、財務省の方で、今回これを取り上げようということで、財務大臣に対して発言要領をつくられたという経緯はないでしょうか。

麻生国務大臣 今御答弁したのと同じ話でございまして、ございません。

大串(博)委員 そうすると、麻生大臣は、あくまでもたまたま、たまたまこのときに統計の問題が非常に気になっていたので、たまたま取り上げた、そしたら、甘利大臣が、統計担当大臣としてそれに対して見事に拾ってくれて、結論を導くような答弁をその場ですぱんとやってくれた。アシスト・アンド・ゴールみたいな話ですよ。たまたまだったんだ、そういうことですか。

麻生国務大臣 同様の質問をいただいておりますのだと思いますが、少なくともこの種の話で、賃金の動向とかほかにもいろいろありましたけれども、総理秘書官との間で話をすることは、それは一般的にはあるんだと思いますが、少なくとも毎月勤労統計に関して、諮問会議での私の資料、また、発言等々やサンプル入れかえ方式のあり方の話を質問しておられるんだと思いますので、それについて事前に中江前秘書官から話を聞いたという事実はございません。

大串(博)委員 中江さん以外から何がしかのインプットがあって、省外からのインプットがあってつくっているということはないですか。そうじゃないと、この流れは説明できないんですよ。

 見てください。中江秘書官が問題意識を伝えた。厚労省が検討会を開いた。第五回までは、ローテーションサンプリング、すなわち甘利さんがやろうとした方向とは違う方向になりつつあった。それを第六回で、先ほど来話があったように、情報統計部長がねじ曲げるようにして引き続き検討にした。

 その直後の経済財政諮問会議でたまたま麻生財務大臣がこの問題を取り上げたというんですか。たまたま取り上げたことに対して、甘利経済財政担当大臣、当時の統計委担当大臣が、見事なシュートを打ってローテーションサンプリングを行うというふうにした、それが流れをつくった、そういうことですか、どうですか。

麻生国務大臣 大串先生のシュートという意味がよく理解できないので、サッカーにお詳しいんでしょうけれども、私はそんなにサッカーに詳しいわけではありませんので、シュートの意味の、定義を取り間違えると間違いがあると思いますので。

 経済財政諮問会議の資料とか私の発言というのは、これは前々から、先ほども申し上げましたような資料等々を、いろいろ問題意識を持っておりましたので、財務省に、事務方に用意をさせておりましたもので、財務省独自で用意したことは、これは関係者にも確認をさせていただいているところです。

 したがって、他の官邸関係者ですかね、とすり合わせたという事実もありませんし、また、ほかの官邸の関係者から指示とか示唆というものもなかったということであります。

大串(博)委員 この間の動きは非常に、先ほど来話があったように、不可思議なんですよね。

 実際、甘利担当大臣は統計委の担当大臣なので、この方向性をここで言うべき人じゃないんですよ。なぜかというと、統計委員会は国家行政組織法における八条委員会ですよ。大臣がこうだと決めれば統計の方法はこうするというものじゃないんですよ。

 きょう事務方に来てもらっていますけれども、統計委員会が八条委員会である、これは、統計委員会は諮問を受けて答申をする、その上で方向性を出していく、だから、大臣が事前にあらかじめぱっとこういうふうに決めればこの方向だというものではないという性格のものだということでよろしいでしょうか。

横田政府参考人 統計委員会につきましては、今御紹介ございましたように、国家行政組織法八条に基づく専門的かつ中立公正な第三者機関である審議会でございます。

 この場合、総務省が公的統計基本計画の案を作成若しくは基幹統計調査を新設、変更、承認する際などに、総務大臣の諮問を受け答申することとされております。

 また、統計委員会は、法律の施行状況を受けて各府省大臣等に対してみずから意見することができるなど、能動的なチェックも行っていく、そういう位置づけになってございます。

大串(博)委員 このように、統計委員会は諮問を受けて答申をするという形になっているので、大臣があらかじめ、この方向でいけば決まるんだというふうに言えるものじゃないんですよ。それを、のりを越えて甘利大臣はこういうふうに言われているんですね。

 かつ、おかしいことに、この後に実は統計委員会が十二月の十一日に開かれて、基本計画部会ですけれども、そのときに本会議も開かれて、ここで、ローテーションサンプリングに関して、毎勤統計、議論していこうということを決めて、それで、翌年の三月の二十二日に方向性を出し、これを受けてその年の十一月十八日に厚生労働省が諮問をし、二十九年の一月二十七日に統計委員会が答申を出して、ローテーションサンプリングでいいよということを後から言っているわけですね。

 だから、これは本当はこういうプロセスを経るべき話であって、甘利大臣がいきなりこの方向でいけるというふうに言える話じゃなかったはずなんです。これをこの場でこんなふうに言ってしまっているというのは、相当大きな力がかかっていないとこういうふうには進まなかったんだと私は思うんですよ。ここまで統計委員会を曲げてしまうような発言を甘利大臣がされているということなんですね。

 安倍総理、どうですか。これでも、政府全体が総理やあるいは官邸の、実質賃金を何とかしなきゃいかぬという思いに応じて、そんたくする形で全体の流れをつくり出していった、そういうものではないと言い切れますか。

安倍内閣総理大臣 大串委員は何でも決めつけておられて、先ほども、私が、選挙に勝てば統計を曲げてもいいんだなんて一言も言っていないじゃないですか。大串さんが、いわば私がこういう答弁をしているから、長々と答弁をしているから国民の信頼を失っているという指摘があったから、ではなくて、選挙でちゃんと勝っていますよということを申し上げたわけであります。

 もちろん、その結果について、私たちも、足りなかった、足らざるところをいつも考えているわけでございますが、お互いにそういう結果については真摯に受けとめる必要もあるんだろうなという思いから、ああいう発言に至ったところでございます。

 いずれにいたしましても、今回のこのサンプリングへの変更というのは、統計委員会を始め専門家の検討を経て統計的な観点から行われたものであると承知をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、この問題は、多くの方が誤解されているんですが、今般問題になっている統計不正の問題とはまた別の問題であって、この統計のいわばサンプリングのとり方を、全部かえる方式から、三年ごとに全部取りかえて、そして大変に大きなギャップが出る、それを修正するために、三年間、全部今までのやつを修正するというとり方を、専門の皆様が検討していただいた結果こうした方法に変わったということであるというのが事実なんだろう、こう思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、我々が経済をよく見せようということを考えているわけではないわけでありまして、実際、実態として、先ほども申し上げましたように、多くの指標がこの我々の経済政策によって経済がいい方向に動いているということを示しているのは間違いないんだろう、こう思うわけでありますし、昨年の十二月一日時点で大卒者の就職内定率は過去最高水準になっている。やはり仕事をしたいという人が仕事があるという経済社会をつくっていくことが政治に求められていることなんだろうな、こう考えております。

大串(博)委員 さっき、専門家の皆さんが議論されてと言われましたけれども、甘利大臣は、こんなしょっぱな、平成二十七年の十月十六日の段階でもう答えを出しているんですよ。答えを出しているんですけれども、実際は、十二月十一日、この基本統計部会のときに厚生労働省からローテーションサンプリングでやりたいということを詳細に説明を聞かれた西村統計委員長は、厚生労働省の説明に対して、それじゃ経済財政諮問会議には説明できませんねと言って、分析が足りないと言って返されているんですよ。まだ検討未達だったんですよ。検討が足りなかったんですよ。それを、いきなり十月十六日の段階で、統計委担当大臣が統計委に諮ることもなく結論づけている。これがおかしいんです。この流れがやはり非常な疑問を呼ぶんですよ。

 この間の事情を全部知っているのは、姉崎当時の統計情報部長ですよ。全部、中江さんに面会するところから始まって、この検討会合を開き、第一回会合、説明をし、賃金に関する注目が集まっているということを述べて、第一回会合で説明し、第五回会合から第六回会合にかけて、ぐぐぐっと方向性を変えて、第六回会合においては、全入れかえ方式ではなくてローテーションサンプリング方式も含めて検討を更にしていきたいという方向に強引に持っていった人と思われる人、この間の流れを全部知っているのは姉崎さんなんですね。

 姉崎さんをぜひこの委員会に呼んで事実解明をさせていただきたいと、私、だから申し上げているんです。ところが、なぜか呼んでいただけないんです。これは前から言っているんですが、呼んでいただけない。

 委員長にお尋ねします。

 野党の多くは、事実解明をしたいがゆえに、この間の状況の事実解明をしたいがゆえに、姉崎元統計情報部長をここに来ていただきたいと言っています。誰が反対するがゆえにこれが成っていないんですか。

野田委員長 参考人につきましては、与野党各会派で協議をいただいておりまして、本日に関しては協議が調わなかったということで決定いたしました。

 後刻、改めて理事会にて協議をしていただきたい、開きたいと思います。

大串(博)委員 委員長にもう一回お尋ねします。

 野党の多くは、姉崎さんに来てほしいと言っているんです、その方が真相解明に役立つから。絶対に、私、真相解明に役立つと思うんですよ。それなのにもかかわらず、それが成っていない。それは誰が反対しているということですか。与党の皆さんですか。

 ここは委員会の場なので、ぜひ、委員長、わかりやすく伝えていただきたいと思います。

野田委員長 参考人につきましては、常に理事会にて協議をしていただいております。協議が調わないということで、本日は参考人の招致がかないませんでした。

 引き続き、理事会にて協議をさせていただきたいと存じます。

大串(博)委員 じゃ、委員長はどう思われるんですか。委員長は、事態の解決をするためには、参考人の招致は、姉崎さんに関して、あった方がいいというような思いを持たれませんか。いかがですか。

野田委員長 大串委員にお答えします。

 この場は、私、委員長個人の意見を申し上げる場ではございません。

 改めて、この件につきましても、後刻、理事会にて協議をいたします。

大串(博)委員 ありがとうございます。ぜひ協議ください。

 この問題の流れ、どうしても不可解な流れを解決するためには、やはり姉崎さんに来てもらわざるを得ないんです。だからお願いしているわけですね。

 そして、今総理がおっしゃいました、この問題と毎勤統計全体は違うんだとおっしゃいましたけれども、果たしてそうでしょうか。

 今回、毎勤統計に関していろいろな変更点がなされています。ローテーションサンプリングを導入された。先ほどあったベンチマークの更新、これは、遡及改定しなかったことで、三十年一月から数値が大きく出ている。そして、小川委員が提示されました常用雇用者、常用労働者、すなわち、日雇外しですね。日雇の皆さんの賃金を外すから数値が物すごい差が出る。括弧にあえてしましたけれども、もう一つ最後は、これも大事、抽出調査をやっていたことに対して、こっそり三十年一月から三倍復元、三倍補正をした。こっそり三倍補正ですよ。

 この四つ、これはいずれも、前回は平成二十七年の一月からサンプルが改定されて、二十六年との段差ができて、賃金の数字が下に改定されてしまった。これを何とか、下方に修正されるのを何とか避けたいという力学、圧力が僕はあったんじゃないかと思うんです。それを避けるための一つの方法がローテーションサンプリングの導入だったんです。しかし、それ以外のこともたくさんやっているんです。

 きょうは酒光前政策統括官にも来てもらっていますけれども、先ほどこの一番最後の抽出調査のことを長妻さんからも質問がありましたけれども、抽出調査をやっているんだということを酒光さんは、報告書によると、二十七年度の冬ごろに聞かれたというふうに言われています。どういうきっかけ、経緯、タイミングで、あるいは理由でその報告があったんでしょうか。

酒光参考人 お答えいたします。

 今御質問で二十七年の冬ごろという話がありましたけれども、二十九年から三十年にかけての冬ごろだと記憶しております。(大串(博)委員「二十九年度」と呼ぶ)はい、二十九年度になります。私、二十九年の七月に赴任しておりますので。

 その意味でですけれども、担当参事官から、これは、この案件について特段上がったということではないんですけれども、別の案件についていろいろと議論している中で、たまたま議論が、話になったというふうに記憶していますが、統計の五百人以上について、全数調査になっているところがなっていないというような問題があるんですよというのを言われたというふうに記憶してございます。

大串(博)委員 もう一つお尋ねしますと、そうすると、確認しますと、統計のいろいろな話をしているときに、東京に関しては全数調査じゃなくて三分の一のサンプル調査、五百人に限っているんだということは、たまたま言われたということでしょうか。そして、それは厳密にはいつだったでしょうか。

酒光参考人 お答えいたします。

 この案件について相談したいとか、どうしたいとか、そういうお話があったということでは全くなくて、そういった記憶は全くありませんので、毎勤に関するいろいろな議論とかをしているときにたまたま出た話であったと記憶しております。

 日付につきましては、申しわけないですけれども、全くちょっと覚えておりませんで、私、二十九年の七月に赴任しましたけれども、そのすぐだとかということはないんですが、恐らくは、毎勤の今回の確報の発表が四月だったと思いますけれども、その前ではあっただろうと思います。

 どのぐらい前かというのは全く覚えておりませんので、そういう意味で、ちょっと、冬ごろという言い方をさせていただきました。

大串(博)委員 もう一回酒光さんにお尋ねしますけれども、先ほど長妻委員からの質問に対して、いわゆる三倍補正ですね、石原さんはこっそりやられていたわけですね、誰にも言わずに。このこっそり三倍補正に関しては、先ほど、全く聞かなかったというふうにおっしゃいました。というのは、先ほどおっしゃったのは、当然やっているものだろうというふうに思ったので聞かなかったというふうに言われましたが、抽出調査を五百人しかやっていないということを受けて、普通はそれを三倍に復元して補正する、それは、通常、当然やっているものだろうというふうに思うのが当然なんでしょうか。

酒光参考人 お答えいたします。

 毎月勤労統計調査は、五百人以上は全数ですけれども、基本的には抽出調査ですので、抽出調査である以上は、復元をするというのは当然のことであります。

 ですから、私、それほど詳しくその場で突っ込んだわけではないというのが問題だったかもしれませんけれども、抽出でやっているという以上は、当然復元しているものだというふうに理解をしております。

大串(博)委員 こう言われるように、上司の方が言われるように、抽出調査をしていたということであれば、毎勤統計のほかのセグメントもそうですけれども、いわゆる復元作業をする、当然だということですね、今おっしゃったように。

 それをずっとやらずにいていたのが、三十年一月から突然、石原さんは三倍補正されたわけです。このこっそり三倍補正をされたことが、いわゆる賃金のはね上げ、これが全部で〇・八%ポイントなんですけれども、そのうちの〇・三%ポイント、この一番下が〇・三%ポイントのはね上げ効果を得ちゃったということですね。

 こういったことが、普通は当然行われているにもかかわらず、なぜこっそり行われたのか。上司は報告を受けていない。

 だから、石原当時の参事官、室長さんにここに来ていただいて、なぜなのかということを聞かないと、原因の解明はできないんですね。それをもって、私たちはずっとこれも参考人質疑をお願いしているんですけれども、これも成っていません。これも、野党の多くは、何としても石原さんにここに来ていただいて、なぜこっそり三倍補正をしていたのかというのは聞かせていただきたいというふうに言っているんだけれども、これも通っていない。

 これも、ひょっとしたら、委員長、与党の皆さんが理事会で反対されるから成っていないということですか。

野田委員長 参考人の招致につきましては、常に理事会で、各派、協議をいただいております。

 今の大串さんの件につきましても、後刻、理事会にて協議をさせていただきます。

大串(博)委員 みんな、この原因の解明をしたいと思っているんです。

 今のこれまでの流れからすると、やはり二十七年当時の姉崎さん、そして三十年当時の石原さんに来ていただければ、前提条件がいろいろわかってくることがあるというのは相当見えてきているんです。にもかかわらず、最後の最後のところで与党の皆さんがブロックされている。私、これは非常に不可思議であって、統計不正の問題を解明しようとする姿勢が与党の皆さんにはないんじゃないかというふうに思わざるを得ないというふうに思います。

 ぜひ、これは予算の審議をしているわけですから、統計がしっかりしていないと予算の審議は成り立ちません。ぜひ、予算の審議をやっている間に参考人招致を実現させて、全容の解明をこの国会の場でもさせていただけるようにお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

大串(博)委員 それで、今回、毎勤統計の変更点、ローテーションサンプリングの導入、これは下振れしないようにということです、賃金が下振れしないように。ベンチマーク更新、これは〇・八上振れした、今回、上振れしました、三十年の統計が上振れした。上振れした部分も実は少なくないんです。〇・四、半分近く、このベンチマーク更新、先ほど長妻委員が示しましたけれども、これで関与しているんです。この常用労働者、日雇隠しのところは小川委員がこの間試算された。しかし、政府は答えない。どれだけの影響があったかわからない。このこっそり三倍補正でも〇・三。

 こういった非常に大きな影響を及ぼしているんですね。

 だから、ベンチマーク更新の問題もこれから解明していかなきゃならないんですけれども、先ほどの根本厚生労働大臣の答弁は、非常に私、不得手なものを感じました。ベンチマーク更新を行ったことに関して、これは遡及改定しなかったことが問題なんです。ベンチマーク更新をして、つまりウエートの変更をして数字が上に出るようになった。さかのぼってそれに対して三角補正をしなかった上に、段差が生じて、逆に伸び率が高く出るようになっちゃった。これに関して、先ほど根本厚生労働大臣は、統計委員会の皆さんに対して諮問をして答申を得たから、お墨つきを得ているんだというふうに言われましたが、私、ここに、それは先ほど、答申、諮問を持ちながら言われました。私も統計委員会の答申、諮問を持っていますけれども、この答申のどこにそれは書かれていますか。

 ローテーションサンプリングに関して、直接接続するということは書かれていますよ、ローテーションサンプリングに関しては。でも、ローテーションサンプリングには書かれているけれども、ベンチマーク更新に関しては、直接接続する、すなわち遡及改定しないなんてことは書かれていないと思うんです。どこに書かれているんでしょうか。指し示していただけませんでしょうか。

野田委員長 厚労大臣、答弁はできますか。できなければとめますけれども。

 じゃ、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働大臣根本匠さん。

根本国務大臣 「諮問・答申」のところに、今回の断層には、5標本交換による断層に加えてと書いてあって……(大串(博)委員「5って何ページですか、どこですか。5なんてないですよ」と呼ぶ)「(2)諮問・答申」の、今回の断層に……

野田委員長 じゃ、大臣、一度席に戻って確認を。

根本国務大臣 ちょっと確認させていただきますけれども、要は、ワーキンググループでは、基準改定、ウエート更新、計算方法の変更に伴う断層も実は含まれているんですけれども、それについては明示的には取り上げていないけれども、ワーキンググループにおいて考え方を整理する際に参考とした月次の九基幹統計において、結果を遡及改定していない。ほかの、九統計のうち六統計はローテーションサンプリングしているんですよ。それも過去にさかのぼって遡及改定していないから、今回の対応でもそれを援用しているというふうに報告されています。

 もう一つ。要は、ベンチマークというのは、経済センサスの新しい産業構造を入れるんですよ。だから、大企業とかのウエートが大きくなるから、結果的には上に出ている、それが事実であります。

大串(博)委員 端的に答えてください。

 先ほど、統計委員会の承認も得ているという趣旨のことを言われました。統計委員会の承認というのは、全部この答申に出てくるんですね。平成二十九年一月二十七日。

 この中で、ローテーションサンプリングに関しては直接接続と書いてある。しかし、ベンチマーク更新に関しては、一行、一言も書いていないと私は思うものだから、どこに統計委員会からお墨つきを得ているんですか、どの文章ですか、指し示してください、ここだと言っていただければいいんですよ、いかがですか。

根本国務大臣 「諮問・答申」の中に、(2)というのが「諮問・答申」と書いてありますよね、(2)と書いてある。毎勤統計、毎月……(大串(博)委員「(2)諮問、答申。大臣、これ、ほら、上げます。大臣、どうぞ見てください。これが答申です」と呼ぶ)ちょっと待って。私から説明させていただきたい。「「毎月勤労統計」の接続方法及び情報提供に係る統計委員会の評価」というのがあって、そして、一、経緯、二、新旧データ接続検討ワーキンググループにおける検討経緯及び、そしてその中の(2)に……

野田委員長 大臣、それは答申を読んでいますか。

根本国務大臣 でも、これは……(大串(博)委員「答申を読んでいないですよ」と呼ぶ)違うんです、これは……(大串(博)委員「答申はこれです」と呼ぶ)

野田委員長 ちょっと、そういうやりとりはやめてください。

 まず、大臣、答弁を。

根本国務大臣 接続方法を、ちょっと確認させてください。

 あのころ、接続方法について、ワーキンググループからきちんと示されているんですよ。(発言する者あり)では、ちょっと確認させてください。

野田委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 まず、事実確認ということで、総務省の官房政策立案総括審議官横田信孝さん。(発言する者あり)

 まず、答申について。私が指示をしているので。(大串(博)委員「答申、これですから。これのどこに書いてあるかですから」と呼ぶ)大串委員の質問に明確に答えてください。(発言する者あり)いや、今、事実確認。

 では、答弁、お願いします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 諮問を受けて答申をした、その中には入ってございません。その後、このベンチマークの件が話題になったときに、平成三十年八月に統計委員会の方でこの旨の意見を表明した、そういう意味でございます。(発言する者あり)

野田委員長 静かにしてください。

大串(博)委員 平成三十年の八月と言われましたね。すなわち、もうこのベンチマーク更新、遡及改定せず、高い数字が出た後なんですね。

 しかも、そこで、統計委員会は、どのような検討をどのような場で行って、どのような文書なり言葉なりを発したんですか。それは文書ですか、あるいは口頭ですか、具体的にお答えください。

横田政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年八月二十八日付の統計委員会の資料として出ております。

大串(博)委員 私は、統計委員会がオーソライズするような正式な文書なり、あるいは正式な言葉なりで、示達する形でやったのかなというふうに受け取ったからなるほどなと思ったんですけれども、何か今資料と言っていましたね、資料と。

 資料は、厚生労働省の今回の毎月勤労統計におけるベンチマーク更新に関して遡及改定しないということを、そのものを個別にオーソライズする内容なんですか。しかも、それは文書になっていますか。

横田政府参考人 若干繰り返しになりますけれども、平成三十年八月二十八日付でございます。「「毎月勤労統計」の接続方法及び情報提供に係る統計委員会の評価」という書類でございます。

大串(博)委員 私も、質問時間が来ましたので終わりますけれども、要するに、今回、毎月勤労統計の問題点は、ローテーションサンプリングの導入をして下振れしないようにした。そして、さらに、ベンチマーク更新をして〇・四も上振れさせた、遡及改定しなくて。そして、日雇外しをして、これも上振れさせた。そして、こっそり三倍補正をして、これも上振れさせた。計〇・八%ポイントも上振れさせた。

 これは全部つながっているんですよ、総理。実質賃金が下振れしないようにという強い強いプレッシャーと思いの中で、総理の思いにそんたくをして動いたというふうにしか思えない。

 だから、石原さんにこの場に来ていただいて、実態を説明していただきたいというふうに思うので、ぜひ、与党の皆さんにも御理解をいただきますようよろしくお願い申し上げ、質疑を終わります。

野田委員長 この際、小川淳也さんから関連質疑の申出があります。長妻さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。小川淳也さん。

小川委員 立憲会派の小川淳也です。

 きょうは、同志の高井さんと一緒に、二人三脚で質疑をさせていただきます。

 ただいまの大串さんの指摘なんですが、四重にげたを履かせたことで、総理、これだけはぜひ記憶にとどめてください。総理が就任されてから五年間で上がった賃金の伸びは一・四%です。一二年から一七年まで。

 ところが、今回、この四重にげたを履いたことで、一七年から一八年、たった一年間で伸びは一・四%です。五年で一・四だったものが、一年で一・四になっている。この事実だけは動かしがたいほどに不自然ですから。これの説明責任は非常に大きいということを前提に質疑を進めさせていただきます。

 総理、その前に、トランプ氏なんですが、中距離核戦力全廃条約から離脱を打ち出しています。イランの核合意から一方的に離脱を表明しました。エルサレムに大使館を移転して、中東を混乱させています。宇宙軍創設で、これから宇宙の緊張も高めるでしょう。パリ協定から離脱しました。地球温暖化の脅威は、このトランプ政権によって大いに高まると思います。米中の貿易戦争、自国第一主義、排外主義、壁の建設、どれ一つとっても、ノーベル平和賞に推薦するなんということはあり得ないし、日本国として恥ずかしいことだと思いますが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今、同盟国の大統領に対して口をきわめて批判をされたわけでございますが、米国は日本にとって唯一の同盟国であり、その国の大統領に対しては一定の敬意を払うべきであろう、私はこのように思うわけでございます。御党も政権を奪取しようと考えているのであればですね。

 その上で申し上げますが、ノーベル平和賞について、ノーベル委員会は推薦者と被推薦者を五十年間は明らかにしないということとしているわけでございまして、この考え方を私も尊重しておりますので、私からコメントすることは差し控えたい、こう考えております。

 いずれにいたしましても、米朝関係につきましては、昨年、歴史的な米朝首脳会談を行ったのは事実でございまして、まさに、今までの不信の殻を破っていわば首脳会談を行った結果、朝鮮半島の非核化ということについては、トランプ大統領も金正恩委員長も、初めて米朝の首脳がサインをする形で共同声明が発表されたわけでございまして、このいわば方向について我々はしっかりと支援をしていかなければならない、こう思っているわけでございます。

 今後の進捗ぐあいについては、まさに、私もトランプ大統領にいろいろなことを申し上げております。INF等々につきましてもいろいろなことを申し上げておりますが、北朝鮮をめぐる状況につきましては、まさにこれを突破口として、核問題、そしてミサイル問題、日本にとって重要な拉致問題について解決に結びつけていかなければいけない、このように考えております。

小川委員 戦闘機を買えと言われれば買い、ミサイルを買い、そしてノーベル平和賞に推薦してくれと言われればし、そこまで対米追従、対米従属をしなければ、やはりこの国の総理大臣というのは務まらないものなんでしょうか。そういうことまで私は今回感じた上で、あえてのお尋ねでございました。(安倍内閣総理大臣「委員長」と呼ぶ)いや、また後ほど、おっしゃりたいことがあれば。

 それで、統計についてなんですが、総理、統計をさわってはいけないと私ども申し上げていないんです。統計は、さわらないか、あるいは、さわったなら、どこをどうさわり、その影響がどうなのかをきちんと説明する責任がある。ましてや、やってはならないのは、ルールを変えたにもかかわらず、まるでそれが御自身の政策の効果であるがごとく喧伝するのは、政策的にも道徳的にも間違っているということです。統計に関して私どもが申し上げたいのはその点なんです。

 その上で、具体的にお尋ねします。

 まず、GDPが相当かさ上げされたことについては、初回の質疑で、二月の四日に指摘しました。そこで政権側が金科玉条のごとくおっしゃるのは、国際基準です。

 きょうは事務方にお越しをいただきましたので、端的にお尋ねします。

 私は、その質疑の中で、何点か上昇要因になるのではないかと指摘をしました。一体幾つの項目を見直し、その中にGDPの押し下げ要因は含まれているのかどうか。そして、幾つの適用を見送り、その中にGDPの押し上げ要因はあったのか否か。端的に事実関係をお答えください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 国際基準、二〇〇八SNAの項目数は六十三項目でございます。うち、我が国で既に対応済みの項目などを除き、基準改定での対応を検討した項目は三十四項目でございます。そして、三十四項目のうち、対応した項目は二十九項目、残り五項目は基礎資料の制約等から対応が不可能であり、見送らせていただきました。

 また、新しい国際基準、この二〇〇八SNAでございますが、経済活動をできるだけ幅広く記録するという考えがあるため、新たな対応はGDPの押し上げとなる項目が多いことは御留意いただきたいと思っています。

 二〇〇八SNAに対応した項目二十九項目のうちGDPへの影響を試算した項目は八項目でありますが、そのうち二項目はGDPへの影響がほぼゼロ、GDPを押し下げると試算された項目はございません。

 また、二〇〇八SNAの対応を見送った項目のうちGDPへの影響を試算した項目は一項目、これは官民パートナーシップ、PPPによる固定資産の所有権の明確化というものでございますが、そのGDPへの影響はほぼゼロと試算され、GDP押し上げ要因にも押し下げ要因にもなっていないところでございます。

小川委員 今、重要な御答弁を抜かされたんですが、今、〇八国際基準とおっしゃっているのでちょっとややこしいんですが、国際基準に〇八年のものとそれ以前のものがあるんです。そこを私、整理して申し上げます。

 国際基準に適合させたのは、今回二十九項目なんですよ。そして、試算が明確になっているものは全てGDP押し上げ要因です。そして、技術的に適用不可能なものは別です。一次統計がないとか、基礎統計がないとか、これは別。しかし、政策的判断で国際基準への適合を見送ったものは一つしかないんです。これは、まさに初回の質疑で指摘した私学の対応なんです。これは、GDPを〇・四%押し下げることが予想されており……(茂木国務大臣「〇・一から〇・四です」と呼ぶ)の間ですね、ということが議論されていた。

 つまり、動機はいろいろおっしゃりたいこともあるでしょう。結果において、この金科玉条のごとくおっしゃる国際基準は、政策的判断により取捨選択をし、結果として押し上げ要因を採用し、押し下げ要因は見送った、結果においてそういうことになっているわけです。これが一つ。

 もう一つは、以前も指摘をしましたが、その他要因、これがとにかく説明がつきません。いろいろなものをぶっ込んでおられるんでしょうが、とにかく、きょうは二回目ですので、第二次安倍政権以前はその他項目はマイナス要因として働き、そして、第二次安倍政権以降はウナギ登りのプラス要因として働いているということの事実確認、これをまずさせていただきたいと思っています。

 その上でなんですが、私、きょうはもう一点指摘したい点があるんです。

 勤労統計も、幾つもげたを履かせて随分と高くなった、五年分の高さを一年でやり遂げたということを申し上げました。GDPも、国際基準というげたを履き、そしてその他要因でげたを履き、私は、もう一つ、ひそかにげたを履かせた可能性がある要因について、きょう指摘したいと思います。

 実は、総理も御存じだと思うんですが、GDPはいわゆる二次統計と言われておりまして、さまざまな基幹統計で出てきた数値の合成です。したがって、各統計でいい数字が出れば、GDPはよく出るという構造になっています。

 今、ここにたくさん文字があってわかりにくいので恐縮なんですが、あえて並べました。第二次安倍政権になって、この基幹統計、しかも、GDPの計算にかかわる基幹統計を幾つ見直したかというデータです。事実です。

 ざっと数を申し上げます。第二次安倍政権になって、全部で五十三件の統計手法を見直しています。そのうち三十八件がGDPに影響します。さらに、そのうちの十件、この赤囲みの部分なんですが、これは、統計委員会への申請もないのに、かつても申し上げました、統計法は申請主義の原則なんですね、統計委員会への申請もないにもかかわらず、トップダウンで、未諮問審査事項だといってやらせた見直しです。

 ちなみに、申し上げます。民主党政権の三年間、統計を見直した件数は十六件しかありません。GDPに関連したものは、そのうち九件です。

 いかに、五十三件を見直し、GDPに関連したものが三十八件と多く、そして、そのうちの十件は、諮問もしていないのに、やれと統計委員会から言われたものだと。異常な形でこの一次統計を見直した事実については、ぜひとめていただきたいと思います。

 その上で、指摘します。

 茂木大臣、これは、幾ら担当大臣とはいえ、ここまで細かいことを全て御存じでないでしょうから、まずは聞いていただければ結構です。

 きょう午前中、階さんが家計調査について指摘しましたね。これは大事な指摘なんですよ。カードや電子マネー、商品券による購入の記入欄をふやしたわけですね。それによって六%家計消費がふえたという試算が提示されました。この点は実は統計委員会も指摘をしていまして、回答に変化がある可能性がある、影響が出る可能性があるよということを統計委員会が指摘しています。これは家計調査です。

 二番目、個人企業調査。これは今まで、製造、卸と小売、そして宿泊・飲食、サービス、四業種しか対象にしていなかったんです。ところが、これを全産業に拡大しました。何が起きるか。飲食サービスは賃金水準が極めて低いですから、全産業に拡大したことによって、恐らく、相当、統計上出る賃金水準は上がるでしょう。私の試算では、二十万円台後半から三十万円台前半に上がると思います。さらに、この個人企業統計でも、全部入れかえをやめ、勤労統計と同じですね、一部入れかえ制に移行しました。

 もう何点か指摘させてください。

 科学技術調査、これもGDPに関連します。任期のない研究者を追加しましたね。研究開発費のうち、今までなかったサービスの開発に関する研究費を追加した。これも、統計委員会から、従前の集計結果との間に断層が出る可能性があるよ、影響をよく検証する必要があるという注書きが入っています。

 作物統計。今まで入っていなかったソバ、菜種を追加しました。さらに、主要生産県の増減値から全国生産を推計する方法に変えました。これによって三%程度の誤差が出ると言われています。

 もう二、三。

 木材統計。これまで四十七県で調査していました。しかし、主要取扱県三十県に限るということをやりました。

 鉄道車両統計。これまで、十名以上の九十四社しか対象じゃありませんでした。全事業所に拡大した結果、統計調査対象事業所は二百七、倍以上に広がりました。これも、誤解を招かないよう適切な対応をすべきだと統計委員会から指摘されています。

 最後に、商業動態調査。家電、ドラッグストア、ホームセンター、合計十数兆円の売上げを捕捉した、そしてGDPに反映したのではないかと思われます。

 今も、リフォーム市場を調査していますよね。

 それこれ含めますと、今までおっしゃってきた国際基準への適合と、そしてその他項目に加えて、この基幹統計五十三、GDP関連三十八件を、しかも一部トップダウンで進めたことで、極めてこのGDPはかさ上げされた疑惑が高いと思いますが、大臣、いかがですか。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 今の資料はホームページをもとに小川先生の事務所で作成されたということでございますが、少し経緯を説明させていただきますと……(小川委員「簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい。

 統計委員会は、平成十九年に発足以来一度も審議されていない基幹統計、いわゆる未諮問統計について、基幹統計としての重要性や必要性の観点からチェックを行うべきという議論が二〇一三年八月になされまして、同年の十月には、総務大臣に対して意見が提出をされました。

 こうした意見も受けまして、二〇一四年三月に閣議決定された公的統計の整備に関する基本的な計画によりまして、未諮問統計について統計委員会が能動的に確認する仕組みを設け、基幹統計の改善を図ることといたしました。

 これを受けまして、平成二十六年、二〇一四年については家計統計等五統計、それから二〇一五年には法人企業統計等三統計、それから二〇一六年には賃金構造基本統計等二統計、そして二〇一七年には船員労働統計等四統計の計十四統計について審議することとなりました。

 毎月勤労統計調査については、二〇一五年六月二十五日の統計委員会基本計画部会において、二〇一五年十一月以降に審議を行うとのスケジュールを決定されたところでありまして……(小川委員「委員長、聞いてもいないのに」と呼ぶ)

野田委員長 大臣、簡潔にお願いします。石田大臣、速やかに。

石田国務大臣 二〇一五年十月の経済財政諮問会議における議論を端緒として審議を行ったとの指摘は当たりません。

茂木国務大臣 先ほど幾つかの統計についてお話がありましたが、例えば家計資産とか賃金水準、これはGDPには関係しません。

 GDPというのは、例えば消費であったり、さらには設備投資、そして政府支出、輸出入、こういった支出項目の積み上げででき上がってくるのがGDPであります。それに対して、家計の資産であったりとか賃金、これは所得の一指数でありますから、所得の指数が変わってもGDPには全く影響を受けない。

 そのように申し上げた上で、一番大きな変更というのは、二〇一五年度のGDPに比べて、二〇一六年に変えたと。もちろん、これは何回も申し上げたので、民主党政権時代に始めたとは申し上げませんけれども、その対応によりまして、国際基準への対応によって二十四・一兆円、また、最新の産業連関表や推計方法の反映によりまして七・五兆円、合計三十一・六兆円の上方改定となっております。

 その上で申し上げると、新基準のベースで見ましても、じゃ、二〇一二年の数字、新基準に直します。そうしますと、二〇一二年の名目GDP、これは四百九十四兆円。これに対しまして、同じ基準で見て二〇一七年度は五百四十七兆円で、政権交代から五年間で五十三兆円、日本経済は拡大しておりまして、五十兆円以上拡大している、この事実は変わりません。(小川委員「旧基準で」と呼ぶ)新基準です。新基準に直して、二〇一二年を新基準に直してです。

小川委員 お言葉ですが、今私が試算したところ、新基準になって伸び率は一・五倍になっています。旧基準では残念ながら出してもらえないんですよね、一六年、一七年がどうなっているか。一五年までしか出さない。新基準で一・五倍ですから、恐らく、旧基準でやっていれば一・五分の一だと思いますよ。数字を出してもらえないので、指摘しておきます。

 それから、家計調査は関係ないという話ですが、これもちょっと検証が必要ですが、見直しているんですよ。速報値を出すに当たっても、需要側の数値を縮小して、小売側、供給側の数字を、ウエートを増している。そういう形によっても、この数値のウエートづけを変更しているんです。これはよくまた調べてください。そういうことをやっているんですよ。

 とにかく、こうやっていろいろ数値論争になることの評価は後ほどしたいと思います。その上で、安倍総理にどうしてもこの点をお聞きしたい。

 この表をちょっとごらんいただきたいんですが、安倍政権になってから、物価が上がり、名目賃金は上昇、多少しているんですが、物価に追いつかない。したがって、実質賃金が低下し続け、国民は貧しくなっているという指摘に対して、総理はよく、総雇用者所得でいいんだとおっしゃるんですが、私は、それは本当か、それで本当にいいんですかというところを最後に議論させていただきたい。

安倍内閣総理大臣 先ほど、幾つかの中でこっそり改定とか言っていましたのも、こっそり三倍、あれは別に、こっそり三倍といって、我々を含めてこっそりやったわけではなくて、これは、まさにもう既に明らかになっているように、厚生労働省内において三倍の復元をしていたということでございまして、私たちが、全数調査をしなければいけないということは……(発言する者あり)

野田委員長 お静かにしてください。

安倍内閣総理大臣 不正であるということをわかっていながら、それをわかっていながら、それをただ三倍にするなんということはあり得ないじゃないですか。そんなことはあり得ない。そのあり得ないことをまるであったかのごとく……(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。答弁中、御静粛に。

安倍内閣総理大臣 あり得ないことをあったかのごとくに推論して政権を批判するというのはどうかと思いますよ、そういう議論というのは。ということをまず申し上げておいて、今の御議論でございます。

 国民みんなの稼ぎである総雇用者所得については、先日の新聞報道では、複数の専門家が、総雇用者所得か実質賃金かについて見解を述べていますが、複数のエコノミストが、もとは働いていなかった人が所得を得て総雇用者所得が増加するのは大きな意味があるや、総雇用者所得の伸びを景気回復の証拠とみなすことができる、こう述べているところでございまして、アベノミクスの取組によって女性や高齢者の就労参加が進んだことで、生産年齢人口が減少する中でも雇用が三百八十万人ふえたのは事実でありまして、そして、総雇用者所得は、名目においても、あるいは実質においても増加が続いているということであります。

 これはまさに、今まで働いていなかった人は収入はゼロなんですが、でも、働き始めたら勤労者として統計されますが、それはパートで始めた場合は十万円ぐらいでしょうし、また、経験者が、六十五歳以上を経た人は、今までの給料はもらえないけれども、しかし、継続雇用が可能になれば、それは、今まで六十万円の人が三十万円になるかもしれませんが、新たに雇用が生まれていなくて、あるいは継続雇用が可能でなければ、その人はいわば年金だけになってしまったわけでございますが、しかし、そうではなくて、いわば継続雇用が可能になって給料を得る。でも、今まで取っていた給料よりは低いですから、継続していけばそれは賃金が下がったような統計になってくるけれども、実態としては、そうでなければ、いわばその新たにもらえる賃金はもらえていないわけであります。

 そうしたことも含めて見る上においては、総雇用者所得の方が見る資料としてはいいのではないか、こういうことをエコノミストの皆さんもおっしゃっているんだろう、こう思うところでございます。

小川委員 総理、申し上げます。

 四百万人近く雇用がふえたと言われておりますが、そのうち約三割以上、百三十四万人は六十五歳以上のお年寄りです。百八十二万人、五割近くは現役世代の女性です。パートやアルバイトに出られているんでしょう。そして、約二割、七十万人強は高校生や大学生です。

 この人たちの顔を思い浮かべたときに、総理が言うほど、景気がよくなったからとか仕事ができたからとか、そんな単純な話でいいのかというところをまさに議論したいわけです。

 それで……(発言する者あり)ちょっと委員長、静粛にお願いします。

野田委員長 皆さん、静かにしてください。

小川委員 まず、その前に、総理、この表をもう一回ちょっとよくごらんいただきたいんですが、賃金の低い方がふえたことで下がるのは名目賃金なんですね。名目なんです。実質賃金が下がるのは、ひとえに名目賃金の上昇が物価上昇に追いつかない場合に起こるんです。そして、この物価上昇は、一四年の消費増税と円安政策、つまり、安倍政権がもたらしたものによって起きているんです。

 これによって、申し上げます、一四年から一六年、三年連続で民間消費が落ち込んだのは戦後初だそうです。一七年に少し持ち直したそうなんですが、四年前の数字である一三年に届かなかった。四年前の数字に届かなかったのも戦後初なんだそうです。それぐらい、実際には戦後最大級の消費不況だというのが本当のところなんです。

 今総理がおっしゃったこと、よく御答弁でもおっしゃいますので、私の方から御紹介します。

 例えば、安倍家において、私がそれまで三十万円の収入を得ていた、しかし、景気がよくなって、女房がパートで十万円の収入を得たとする、安倍家としては四十万円なんですが、平均すれば二十万円に減ってしまう、これが今まさに起こっている、ここでは実質賃金と言っているんですが、これは名目なんです。ここは今後混同しないように御答弁いただきたいと思いますが……(安倍内閣総理大臣「同じだって」と呼ぶ)いや、物価よりも名目賃金が上がれば実質賃金は上がりますから、そこは一旦切り離して議論する必要があるんです。

 それで、この答弁の中に、私は二つうそがあると思うんですね。

 一つは、これは昭恵さんと申し上げると語弊がありますから、主婦の方としましょう。主婦の方が景気がよくなったからパートで十万円収入を得たという総理のこの決めつけが、世の中の実勢に本当に合っているのかというのが一点です。

 もう一つは、総理と昭恵さんはいいですよ、仲むつまじく一緒に暮らしておられて。それは、世帯収入がふえれば世帯可処分所得がそのままふえるからいい。でも、世の中には、死別した人もいれば、離婚した人もいれば、シングルマザーもいれば、独居の高齢者もいれば、家族を持つほどに収入を持てない人たちもいる。

 総理、この国で今、人口が減っていることは御存じだと思います。世帯数がふえていることは御存じですか。

安倍内閣総理大臣 人口は減少しておりますし、例えば、生産年齢人口はこの六年間で五百万人減少しておりますが、その中で新たな三百八十万人が職についたわけでございます。

 そしてそれは、先ほど私が申し上げたのは、名目と実質の関係がございますが、いわば毎月勤労統計の性格について申し上げたわけでありまして、これは実質も名目も同じことでありますが、事業所……(発言する者あり)実質も名目も同じですよ。それは事業所において、いわば事業所の総人件費でありますから、それは働いている人がふえたらその分で割っていくわけでございまして、先ほど安倍家の例として挙げたのは、それをもっとわかりやすくしたわけでございます。

 ここは、名目であっても実質であっても同じことが起こっているわけでありまして、名目と実質の違いは、まさにそれを物価の上昇で割り戻しているかどうかという違いだけでありまして、ですから、それは、私が実質についてそれを解説していることは誤りではありません。でも、名目でも同じことが起こっているということではもちろんあるわけでございまして、それが、毎月勤労統計の賃金の出し方についての、これはいわば見方として御紹介をしているということでございます。

 人口は減少しております。また、パートの皆さんが、それはいろいろな事情でパートに出られるわけでありますが、もちろん、これは景気がよくなったから仕事をするというよりも、景気がよくならなければ、なかなか仕事はないのは事実であります。

 先ほど申し上げましたけれども、いわば我々の政権交代前は、今よりも三割も中小企業、小規模事業者が倒産をしているんですから、どんどんどんどん仕事が減っていたのは事実ですよね。

 若い皆さん、就職する、いろいろありますよ。でも、高校と大学において、就職の内定率、就職率は過去最高水準で推移しているのも事実じゃないですか。昨年の十二月の一日の内定率は過去最高になっていますよ。これはファクトですから、それをやはり見なければいけないのであって、そうなれば……(発言する者あり)関係ない話ではなくて、それが全く関係ないかのごとくの解説をされるから、そうではないということを今申し上げているわけであります。

野田委員長 お静かに。

小川委員 総理が今、もしおっしゃることが本当にそうであれば、何で国民の七割、八割が景気回復を実感しないと答えるんですか。総理の実感が、総理の仮説が間違っているんじゃないですか。世の中の実感はとてもそんな状況じゃないんじゃないですか。一方的な思い込みじゃないですか、総理の。

 総理、有効求人倍率も、これは今度よく研究してください。これは私もまだ研究中なので、はっきりした結論までは言えない。しかし、大体、求人数がふえると、求職者数は減っているんですよ、過去。確かにそうなんです。求人がふえて求職者が減るということは、結果として就業者数がふえているわけですから、有効求人倍率は確かに上がるんですよね。そこはそうなんです。

 しかし、今、私が見る限り、初めてのことが起きていまして、それはつまり、新規の求職者数が初めて減り続けているんです。新規の求職者数というのは、過去を見ても、余り景気に変動されていないんです。恐らく、生産年齢人口の増大に伴って、七〇年代からの話ですけれども、新規の求職者数というのは一貫して、ほぼほぼ景気に左右されずにふえている傾向があるんですよ。

 ところが、リーマン・ショック以降、人口減少が顕著になり始めた十五年ぐらい前から、歴史上恐らく初めてです、新規の求職者数が一貫して減り続けている。これもよく分析しないと、状況は、総理がおっしゃっているほど、こんなに単純なことなのかということになるわけです。

 それで、きょう申し上げたかったのは、仮に、国民の全賃金、総所得が、総理がおっしゃるようにふえたとしましょう。それは事実ですから、ここ何年かは。それはそうですから、そうだとしましょう。しかし一方で、申し上げたように、今お答えになりませんでしたが、日本では人が減っています。しかし、世帯数がふえている。なぜか。単身世帯や少人数世帯がふえているからなんです。ということは、どういうことかなんです。

 資料でお示しした、これは総務省の家計調査による家庭のコスト分析なんですね。一人世帯は、大体月々十六万円ちょっとかかるんだそうです。これが二人世帯になると、二十五万で済むんだそうです。三人なら二十九万、四人なら三十二万、五人なら三十四万。そして、六人なら三十、ほとんど変わらない。昔は大体一世帯五人が標準だったんだそうですね。今は二・三とか二・四まで減っているんです。

 ということは、申し上げたとおり、仮に世帯収入が少々伸びたところで、まあ離婚や独居やシングルマザーや、いろいろな生活の圧迫感を考えると、少人数世帯になれば、家賃や光熱費といった固定費だけでいっぱいいっぱいになるんですよ、国民生活は。こういう状況の中で、さっき申し上げた、戦後最大の消費不況とも言える状況が起きているわけです。

 したがって、総理がよくおっしゃる、総雇用者所得をマクロで見るのが一番いいんだとか適切だというお考えは、極めて一面的で、そして浅はかで、一人一人の国民生活の実態に寄り添っていないと私は思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 雇用をふやしたことをいわば悲観的に見るというのは、驚くべき経済的な姿勢だと思いますよ。

 世界じゅうどの国も、雇用をふやしたということについては、いわばそれぞれの政府の実績であります。三百八十万人雇用をふやしたというのは、実際に新たな雇用が生まれたんですから。そして実際、労働生産人口が五百万人減る中において、三百八十万人これをふやしたということであります。

 これを評価しないのであれば、もうほとんど議論が私はかみ合わないんだろうという気がするわけであります。いわば、雇用をふやすということに全く熱心でないということについては、私は驚きと言わざるを得ないと思います。

 そこで、例えば家計調査結果でありますが、勤労者世帯の収入は一世帯当たりの平均で、労働者一人当たりの賃金の動向や一国全体の雇用者所得の状況を示すものではないんですが、その上で、家計調査では、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の実収入が、昨年から実質で減少に転じているのは事実でございます。

 それはさまざまな、今委員がおっしゃったような事情もあるんだろうな、こう思いますし、特にお年寄りの方々が、いわば世帯主として、例えば奥様と一緒に新たな世帯となっていく、普通、今まではもう少しお子さんたちやお孫さんたちと住んでいたというのが、そんな形でなってきているということもあるんだろうと思います。

 これは、高齢者を世帯主とする世帯の割合が上昇するほど、世帯構造が変化する中で、好調な雇用情勢を反映して、再雇用などで働く高齢者の就業がふえたことでもあります。こうした、いわば年をとっても仕事ができるという状況にはなってきた。大体、六十歳以上、六十五歳以上で就業するというのは、今までは相当ハードルが高かったはずですよ。でも、その中で新たに雇用が生まれたというのは、そういう方々でも、やはり自分で仕事を選べるということも起こってきたということであります。

 なお、ここから大切なところなんですが、世帯主年齢が六十歳未満の世帯では、名目でも実質でも増加をしています。家族全体の稼ぎは増加をしているということでありますし、また、世帯主本人の収入を見てみても、世帯主本人ですよ、これは、ですから、いわば私が言っている総雇用者所得とは違いますが、世帯主本人の収入を見ても、六十歳未満世帯では名目でも実質でも増加をしているということであります。

小川委員 総理、お願いします。ちょっと、私の申し上げていることをよく聞いていただきたいんです。仮に少々ふえても、この固定費の増加に追いつかないでしょうと申し上げているわけです。格段に違いますから、少人数世帯化が進むということは。そのことに思いをいたして御答弁いただかないと、国民は救われません。

 ある、これも一つの例ですが、もうあえてお便りを紹介させてください。今回の質疑を通して、いただいたお便りです。

 以前、商社マンをしていました。バブルで破産して、今は新聞配達とアパート清掃で暮らしています。七十代の名古屋の男性です。名古屋でも、住宅の二、三割が空き家、つまりローンが払えず夜逃げしている家もあると言われています。生ごみの回収は、昔は自分みたいなおじいさんばっかりだった。少し前から若い青年もするようになり、今は若い、それこそきれいな女の子、親が倒産したらしいですが、もしている。景気なんて全くよくない。安倍さん、本当の底辺の人間、見ていますか。国民の目も開かせてください。本当に、今回の質疑、ありがとう。手紙を書きます。というお便りもあるんです。

 そういうことに応えていただくために、総理、きょう、本当はもう少し、何点かお聞きしたいこともあったんですが。

 私、いろいろ数字を調べました。統計の中身も調べた。素人だけれども一生懸命調べました。でも、途中から、何でこんなに数値論争をしているんだ、何でこんなにこの政権と数値論争でもがいているんだろう、私はそう思うようになったんです。

 総理、もしこの国の総理大臣が、いい数値を持ってきたら、いい数字はもういいから、いい数字はよくいっているんだろう、それはもうおまえたちで勝手にやっていってくれ、どこかに悪い数字はないのか、そこで困っている国民はいないか、そこに社会の矛盾が埋もれていないかと言うような総理大臣だったら、そもそもこんな数値論争は起きていないじゃないか。自分の政策のあたかも全てが効果であるかのように喧伝し、統計のルールを変えたことの説明も不十分で、そういう総理大臣の姿勢である限り、国民は救われないし、正しい経済政策は打たれませんよ。

 時間が二分だけあるので、総理、これだけ聞きます。

 GDPに関して、一六年の十二月に、立ち上げた研究会、こういう有識者の指摘があります。幾つか言いますが、元気になる材料があるので漠然とした不安感を打ち消すことに使えないか、GDP統計を。冗談じゃないでしょう。GDPの計算に入れて、国民が何を元気づけられるんですか。

 マスコミには従来から都合のいい統計をつくっているという論調がある、各省とも、制度上そのようなことはできないようになっていると言っていただいていると思うが、今回についても、そのような誤解が絶対生じないように、客観的かつ明確な手順に沿って反映した結果であると説明していただきたい。後ろめたいんじゃないですか。

 そして、問いに答えてほしいのは、この一番上の問いなんです。

 るる申し上げたGDPの基準改定と政府が掲げている名目六百兆円の目標との関係はどう説明するのか、目標を設定した時期、つまり一五年の九月と、目標を達成する時期、二〇年ごろでは計算方法が違っているので、どちらかにそろえて比較することがフェアなのではないか。この問いに対する総理のお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。

野田委員長 まず、担当の茂木国務大臣。簡潔に御説明してください。

茂木国務大臣 さまざまな研究会での個々の委員の意見について評価する立場には政府としてありませんが、政府としては、数字を大きく見せるための基準の選択とか統計手法の選択というのは全く行っておりません。

 先ほども同じ基準で比べた場合にどうなるかというお話を申し上げましたが、日本だけRアンドDについて資本化しないとか、そういう世の中じゃないわけですよ。古い基準で日本だけいいとか悪いとかいうのではなくて、新しい国際基準で、RアンドDも強化して、国際競争力をつけて、実態として六百兆円を目指していきたいと思っております。

安倍内閣総理大臣 私もまさに、今、我々の経済政策で全ての方がそれで満足しているというふうにはさらさら思っていませんし、まさに光が当たっていない方々に注目をし、光を当てていくことが政治の使命だと思っていますよ。そういう政策を進めています。

 ですから、家庭の経済事情に左右されないで、頑張っている子供たちが高等教育も受けられるようにするという政策のもとに、来年の四月から真に必要な子供たちに対するいわば高等教育の無償化を進めていくという政策を進めていきます。また、低年金者の方々に対する支援もしっかりと今回の消費税の引上げとともに行っていくということをさまざま行っています。

 しかし、仕事がふえたということについて、それについて批判をされるということについては我々は容認ができない、受けとめることができないわけでございまして、我々は、まさにそういう中においては、いわば自分の孫、最初の孫のときには大変就職に苦労した、大変自分も心配したけれども、今度は就職は本当によくて助かったという手紙だっていただいていますよ。そういうものももちろんありますよ。でも、そういうことは私も余りこういうところでは御紹介しませんが、さまざまな声がある中において、どういう政策を、マクロ政策をとっていくべきか、あるいはミクロの政策をとっていくかということが求められているんだろうと思います。

 そこで、GDP統計の基準改定は、最新の国際基準への対応などを行ったものと承知をしておりまして、かさ上げとの指摘は、これは当然当たらない、このように考えております。

小川委員 終わります。

野田委員長 この際、逢坂誠二さんから関連質疑の申出があります。長妻さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二さん。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二です。よろしくお願いします。

 最近、総理は悪夢という言葉を何か使われているというふうに承知をしておりますけれども、確かに、総理にとってみれば、二〇〇九年の政権交代というのは悪夢だったんだと思います。ただ、私は、過去の総理の悪夢の議論をしている今余裕はない。総理は、二〇〇九年をそう感じたのかもしれませんけれども、今私は、今の悪夢の話をしたい、そう思います。今の悪夢ですね。

 今の悪夢は何か。

 日本の国において、公文書の廃棄や改ざんや隠蔽、捏造、こういったことが起こっている。これは悪夢ですよ。

 あるいは森友学園問題。いろいろな議論はありましたけれども、いまだに、なぜあのような不透明な形で土地の値引きがされたのか、まだわからない。これは悪夢ですよ。

 加計学園の問題。これも、獣医学部がなぜああいう形で認可されたのか、全くわからない。悪夢じゃないですか。

 そしてさらに、今回、統計の不正によって、これは政策の判断を誤るかもしれない、日本の統計の何が本当のことなのかわからない、こんな状況になっている。これだって悪夢じゃないですか。

 私は、国会のたびにこうした悪夢が生まれてくる、一体どうなっているんだ、そう言いたいんです。

 私、総理は多分私が今言ったようなことは悪夢じゃないんだ、そうおっしゃるのかもしれませんけれども、そうおっしゃるのであれば、総理にお願いがあるんです。これらを議論するための資料、これはやはりしっかり出していただかなきゃいけない。ほとんど出されないんですよ。加計学園の問題、一点の曇りもないと総理はおっしゃいますよ。だったら、議事録を全て出してくださいよ。なぜ議事録を全て出せないんですか。(安倍内閣総理大臣「ほとんど出ている」と呼ぶ)ほとんどですね。肝心なところは議事録が出ていないんですよ。

 例えば今回の、いやいや、総理は首を横に振りますけれども、だったら、総理、この後私たちは資料の要求をさせていただきますけれども、そういうものはお出しいただけますよね。いかがですか、総理。

安倍内閣総理大臣 まず、一点訂正させていただきたいと思います。

 私は、二〇〇九年の我が党が野党に転落したときのことを悪夢と言っているのではないんです。悪夢はその後の民主党政権です。正直に言って、それは申し上げたいと思います。

 今よりも三割も中小企業、小規模事業者、倒産件数は多いんですよ。あのときの就職率、どうだったんですか。今よりも半分しか有効求人倍率、低かったわけですから、当然それは、それで就職できなかった人たちにとっては悪夢じゃないですか。だから、私たちは、それに歯がゆい思いをしたんですよ。だからこそ、政権を奪還して立て直さなければいけない、こう目標を立てたわけでございます。それは間違いなく、私は、そういう人々にとっては、皆さん、悪夢だったと思いますよ。

 まさに行き過ぎた円高の中でどんどんどんどん産業が空洞化して、そして連鎖倒産という言葉が日本じゅうを覆ったのは事実じゃないですか。これを全く受けとめていないのであれば、それはむしろ私は驚きなんだろうな、こう思うわけでございます。

 そして、御質問の……(発言する者あり)

野田委員長 傍聴席からの発言は認められておりません。静かにしてください。

安倍内閣総理大臣 済みません、口汚くやじを飛ばすのはやめていただきたいと思います、傍聴席から。

 そこで、今、いわば参考人については、これはまさに国会がお決めになることでありますから、国会でお決めになられれば、政府としてはその役割を果たしていくということでございますし、特に民間人については、これはまさに国会でお決めになることではないか、このように考えております。

逢坂委員 肝心な質問に答えておりません。出ていない資料を出していただけますかと、私はそれ一点聞いただけです。無駄なことを言って、人の質問時間を減らすのはやめてください。

安倍内閣総理大臣 資料においても、委員会から御請求があれば、これは、誠意を持って提出をするということは当然のことだろう、このように考えております。

逢坂委員 それじゃ、総理の方で、この資料を出すなとか、この参考人を出すななどということは言っていないということでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 それは当然、私から申し上げていないわけでありまして、大西前政策統括官についても、皆さん、まさにこの問題のキーパーソンだというふうにおっしゃっていたけれども、きょうは何か参考人として呼んでおられないということだそうでございますが、我々は、この予算委員会から要求されたものについては、当然、対応していくということになるわけでございます。

逢坂委員 委員長、今の総理の言葉を聞いて、総理は、その書類を出すことも、あるいは参考人についても、国会で決めてもらえばそれには反対はしないんだという御答弁でありますから、ぜひそのことをしっかり胸に刻んでいただいて、与党筆頭も、このままいけば、例えば統計の問題についても、参考人を出さないのは誰が反対しているんだって、与党が反対しているから出せないんじゃないかということになりますよ。

 与党筆頭、その点、よろしくお願いいたします。総理は出すと言っているんですから、国会が決めれば。よろしいですね。なかなかうなずいていただけませんね。

 さて、それじゃ、次の話に入りたいと思うんですが、安倍政権の悪夢に共通していることがあるんですね、これまで。

 一つは、やはり総理の秘書が絡んでいる件数が非常に多いということです。しかも、それで、最終的に秘書が本当のことをなかなか言わない、表へ出てこない。それから、重ねての指摘ですけれども、やはり証拠になる書類や資料、これをほとんど出さない。肝心なものはほとんど抜け落ちている。

 だから、やはり悪夢がいつまでたっても覚めないんですよ。悪夢を覚ますために、やはりちゃんと資料を出していただきたい、与党の皆さんは反対しないでいただきたい、このことは重ねて申し上げておきたいと思います。

 そこでなんですけれども、根本大臣、これは今回のこの統計不正の議論が始まった最初のころの議論なんですが、まだ私はこの答えを聞いていないんです。今回の毎月勤労統計の不正によって、一体いかほどの、その他の統計やさまざまな数値に影響が出るのかと、これは繰り返し聞いていますけれども、いまだに答えをもらっていません。

 この毎月勤労統計の不正が世の中に明るみに出て、ほぼもう二月ですよ、二月。この間、まだこの数字は出ないんですか。一体何をやっているんですか。

根本国務大臣 今回の事案によってGDP等については影響がないことが確認されているが、それ以外にどのような経済指標に影響が及び得るかについては、現在、鋭意確認を進めているところであって、まとまり次第、公表する方針であります。

逢坂委員 鋭意検討中って、一体いつまでやればいいんですか。もうこの事案が世の中に出て二月ですよ、繰り返させていただきますけれども。いつになったら出せるんですか、めどをお話しください。やる気があるんですか、それよりも何よりも。

根本国務大臣 今、鋭意作業中で、まとまり次第、速やかに公表をいたします。

逢坂委員 あらゆるものについて、そういう答弁じゃないですか。

 共通事業所の実質賃金の変化率、これはどうですか。検討会をつくったと言っていますけれども、これもまとまり次第早急に出す、そういう答弁ですか。だったら、そんなもの、大臣の答弁じゃなくったって、誰だって言えますよ。実質賃金の変化率、これはいつぐらいまでに出せるんですか。これは予算審議に非常に重要なものなんですよ。

 この間、我々は、名目も大事だ、本系列も大事だ、だけれども、共通事業所の実質賃金、これが生活者の実感に合っている、そういう指摘もある、だからこれを出してくれと繰り返し言っている。最初は、検討すると言っていた。いつの間にか、検討会にかさ上げになって、検討会でやるからまだ待ってほしいって、そんなの、変な手続を踏んでいるだけじゃないですか。先送りしているだけなんじゃないですか。いつまでにこれを出せますか。

根本国務大臣 まず、実質賃金については、我々は、労働者全体の賃金の水準を見る上で重要で、本系列で実質賃金をお示しをしております。

 そして、共通事業所については、これは私、何度も申し上げておりますが、この実質化ということであれば、前年同月との共通事業所群と翌年同月との共通事業所群、これは実は異なる事業所群になるという基本的性格から、経年変化を見る指数化にはなじまないという課題があって、今、さらに、各事業所の集計の前年同月を時系列で見る場合には、標本数が少なく標準誤差が大きい、新規事業所の影響が反映されずに標本に偏りがある……(発言する者あり)いや、これは本質的なことなので申し上げさせていただいております。

野田委員長 お静かに。

根本国務大臣 そして、作成が開始されてから十二カ月であって蓄積が乏しい、こういう課題がありますから、これを実質化することについては、統計的な観点からの専門的な検討が必要であると私も繰り返し申し上げておりました。

 そして、この統計的な観点、あるいは、統計を活用する側の、統計を利用する側の観点などを踏まえながら、専門家を参集した新たな検討の場を設けて、本系列との比較した共通事業所の集計値の特性、共通事業所の集計値の指数化をめぐる課題、共通事業所の賃金の前年比の実質化をめぐる課題、この論点について検討していきたいと思います。

 検討会については、可能なら早く立ち上げますが、こういう課題について整理する時間が必要だと考えております。

 これは実は本質的な問題でありますから、私は、これを整理する専門的な検討が必要だと思っております。(発言する者あり)

野田委員長 静粛にお願いします。

逢坂委員 今の質疑は、全国に生中継で流れていると思います。国民の皆さんによく見ていただきたいと私は思うんですよ。

 私は、共通事業所の実質賃金、この変化率はいつまでに出せるんですかと、こんな単純な質問を聞いただけなんですよ。本質に関係のない話をだらだらだらだらしゃべって、結果的に、私が聞いたことに対してはほとんど答えない。この繰り返しだったら、国会審議、中身が深まるわけがないじゃないですか。これは悪夢ですよ、悪夢。幾ら聞いたって答えないんだったら意味がない。

 根本大臣、どうなっているんですか。答えなくてもよろしいですけれども、もう繰り返しこの問題を聞かせてもらっていますけれども、これが現実ですよ、今の日本の予算委員会の。政府、一体どうなっているんだ。これは厳しく指摘をしたいと思います。

 次に、私、今回のこの統計の不正の問題、二〇一五年の春、これがやはり一つのポイントだと思うんです。ここがどうもよくわからない。

 それで、細かいことですけれども、厚生労働省の事務方、教えてください。

 二〇一五年、平成二十七年の三月三十一日、毎月勤労統計調査、先ほど長妻委員も指摘しましたけれども、その日になって公表が延期されるということが決定されました。これの発見はいつですか。いつ、このことがわかったんですか。

藤澤政府参考人 事前に通告をいただきましたので、わかった範囲でお答え申し上げます。

野田委員長 藤澤さん、ちょっと声が小さいので、もう少しはきはきとお願いします。

藤澤政府参考人 申しわけありません。

 平成二十七年の三月三十一日に毎月勤労統計の公表を予定をしておりました。ただいまの御指摘の延期の件でございますけれども、厚生労働省の担当課でシステムエラーの発生に気づきましたのは、その前日、三月三十日の午後でございました。また、同日の夜に、記者クラブに公表日の延期を申し入れたところでございます。

逢坂委員 システムエラーというのは具体的に、先ほどは小数点以下の数値に違いがあったという答弁だったと思いますけれども、先ほどはシステムエラーとは言っていませんでした。これは関連性があるんですか。

藤澤政府参考人 同じことでございます。

逢坂委員 もう少し経過を詳しく教えてください。

 システムエラーを発見されたのは、それは誰ですか。どのような職の方がどの時点で発見されて、どういう経過でこれを決定するに至ったんですか。教えていただけますか。

藤澤政府参考人 発見をしましたのは、当時の毎月勤労統計の担当課の職員でございますけれども、具体的に誰かというところまでは把握をしておりません。

逢坂委員 担当課の職員が発見して、それは、どのような意思決定過程を経て最終的に三十一日に公開しないということになったのか、その経過を教えていただけますか。

藤澤政府参考人 誰が発見をして、それで、誰が延期をするという判断をしたかまでは把握しておりません。

逢坂委員 このシステムエラーというのは、原因は何かということは特定できておりますか。

藤澤政府参考人 その発表日の前日、このときであれば三十日でございますけれども、その際に、最終確認として、公表データについて、検証用の集計ソフトによります集計結果との突合作業を行っていたところ、労働時間の増減率の一部で不一致が見つかりました。

 その後、プログラムに問題がある可能性があることが判明し、その同日の夜に公表日の延期を申し入れたところでございます。

逢坂委員 余り具体性がないんですけれども、突合結果に問題があることがわかったと。原因は何であるかわかったんですか。

 そのシステムは、もっと、この二〇一五年の三月以前は、それはエラーがなかった。じゃ、エラーが出たということは、それはシステムの変更をどこかでやったということですか。やらないで同じシステムを使っていて、突然二〇一五年の三月にシステムエラーが出るということは、一般的には考えがたい。その間にシステムの変更か何かやられたんですか。

藤澤政府参考人 具体的なことは把握しておりません。

逢坂委員 すなわち、こういうことだから、おかしなことだと疑わざるを得ないんですよ。システムの変更をしているかどうかもわからないのに、突然、問題になっている二〇一五年の三月三十一日の公表データの公表をやめる。それは、簡単にシステムのエラーだと言いますけれども、普通は、システムのエラーは、プログラムでも変えない限りは頻繁に起こるものではありません。

 だから、それもきちんと含めて、委員長、この公表を取りやめた経過について、子細に委員会の方に報告するように、よろしくお願いいたします。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

逢坂委員 さて、そこでなんですが、私、やはり、ここでまた気になることがある。それは中江元秘書官なんですが、中江さんは、経歴を見ると、統計の専門家でも必ずしもなさそうに思います。なぜここで統計のことに興味をお持ちになられたのか、どうも理解できないんです。

 そこで、まず厚生労働省にお伺いします。

 毎月勤労統計は、官邸に対しては、総理秘書官に対して、毎月発表するたびに定例的に報告に行っていた、こう理解をしているんですが、なぜ今回、二〇一五年の三月に限って詳しい説明をしに行ったんですか。

藤澤政府参考人 中江秘書官への説明に至る経緯でございますけれども、サンプルの入れかえに伴い数値の遡及改定が行われることについて、厚生労働省が官邸の担当参事官に情報提供したところ、担当参事官が、中江秘書官に相談の上、厚生労働省に対して説明を求められたものであると承知をしております。

逢坂委員 でも、藤澤さん、このサンプルの入れかえというのは、別に今回だけではなくて、過去にもありました。ある一定の年限ごとにやっている。

 なぜ今回だけ、特にサンプルの入れかえによって数値に変動があるということをとりたてて説明に行くんですか。定例の毎月勤労統計の発表だったら、こうなりました、今月はこうです、それでいいんじゃないですか。

藤澤政府参考人 平成二十七年の三月以前にもサンプルの入れかえがございましたけれども、その際に厚生労働省から官邸に対してどのように報告なりをしていたかということについては承知をしていないところでございます。

逢坂委員 では、厚生労働省は、それ以降、このサンプルの入れかえがあるたびに事細かに官邸に報告をしている、そういう理解でよろしいですか。そのときだけやったんですか。

藤澤政府参考人 平成二十七年の三月については官邸に報告に行ったわけでございますけれども、その後は平成三十年の一月にございまして、その際は報告をしておりません。

逢坂委員 だから不思議なんですよ。何で二〇一五年三月だけ、二十七年三月だけ説明に行くのか。その後もサンプルの入れかえはあった、でもそのときは行かない。

 これは定例的な統計ですから、なぜそのときだけ変えるのかというのがわからない。意味がわからない。毎月やっているルーチンなんだから、ルーチンは当たり前のようにルーチンとして報告すればいいのに、なぜそこだけ特別の説明をしたのか。これについて後でまた説明をしてもらいたいと思いますので、これもできれば理事会で落ちついて説明を聞きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから次に、中江さんにお聞きしたいんですけれども、中身の詳細を聞きたいんですが、その前に、この用語がどうも私、わからないんだ。問題意識を伝える。要するに、この毎月勤労統計、過去に上って数値が変わるようでは経済の実態がタイムリーにあらわれないんだ、だから、ほかの統計や諸外国の事例なども見つけ、専門家の意見も聞くなど、改善の可能性について考えるべきではないかという問題意識を伝えたと。

 これはどういう意味ですか、問題意識を伝えるというのは。

中江参考人 お答え申し上げます。

 まさにそういうことを、経済の実態を適切に、タイムリーにあらわすための改善の可能性について考えるべきではないかというふうに、私はそういう問題意識を持ちました。それをその場で、御説明に来られた厚労省の方にお話ししたということでございます。

逢坂委員 これは、問題意識を伝えるということは、自分の考えを表明したということなんですか、それとも自分の感想なんですか。これはどういうことなんだ、問題意識を伝えたと。

 政府の方はこの問題の答弁で、みんな口をそろえて、言葉を合わせたように、問題意識を伝えたと言っている。官房長官も問題意識を伝えたと言っているので、示し合わせた答弁のように思えてならないんだ。なかなかふだん使わない言葉だ、問題意識を伝えたというのは。(発言する者あり)いやいや、こういう場面では使わない。そう話したとか、その考えを伝えたとか。

 問題意識を伝えたと、官房長官も同じ言葉を使い、中江さんも同じ言葉を使う、この意味を具体的に教えていただきたい。

中江参考人 お答え申し上げます。

 このときに私が厚労省に伝えた、先ほどから申し上げました、改善の可能性について考えるべきではないかという問題意識を私が持ちまして、秘書官である私個人としての考えということで、その問題意識を厚労省の方にお話し申し上げたということでございます。

 官房長官の国会での御答弁は、官邸の中のことをお調べになられて、私がそのようなことで申しているということをお話しされたということで、別に、言葉を示し合わせたとか、そういうことはありません。最近お話ししておりません。

逢坂委員 問題意識が伝えられた。

 厚生労働省、問題意識が伝えられて、何をしましたか。どんな対応をされましたか。

藤澤政府参考人 厚生労働省内におきまして議論をした結果、専門家を交えて検討会を始めることとした旨、官邸参事官を通じ報告をしておりますけれども、当時の担当者は、その時期は正確に記憶していないとのことでございました。

 なお、検討会については、その三月以前から、問題意識を持って、サンプル入れかえに伴う数値の遡及改定について問題意識を持っていたところでございます。

逢坂委員 藤澤さん、もう少し詳しく教えてください。

 問題意識を伝えられて、厚生労働省内で議論をして、それで検討会を設置した、する、そこはどうなんですか。検討会にそれはつながるんですか、つながらないんですか。

 問題意識を伝えられて、何もしなければ、それは総理秘書官の問題意識の伝達を、ある種無視をしたことになりますし、あるいは、検討会の設置につながるというのであれば、問題意識を受けとめて具体的に動き出したということになるわけですよ。どっちですか。

藤澤政府参考人 毎月勤労統計調査の対象でございますけれども、以前は、二、三年ごとに、新たに無作為抽出をした事業所の総入れかえを実施をしておりました。その結果、事業所の入れかえに際して、調査結果について段差が生じ、過去にさかのぼって数値を補正することがかねてより、これはその平成二十七年三月以前でございますけれども、かねてより課題となっており、専門家の意見を聞くなどして改善策を検討する必要があるというふうに担当課では考えていたところでございます。

逢坂委員 問題意識を伝えられて、だから、具体的にどうしたんですか。

 前から検討しているということは、それは百歩譲って認めることにしましょう。それは、私は、この統計の問題はずっとそれを議論しているんですよ、実は。全数入れかえるか、あるいはローテーション方式にするかと。それで、それにはそれぞれメリット、デメリットがあって、どっちがいいかというのは、これはずっとの議論なんですよ。だから、厚生労働省がつくった検討会でも、五回目の結論あるいは六回目の中間報告、さまざまな意見が出ている。ちょっとあそこにはギャップがあるんですけれどもね。

 だから、首相秘書官から問題意識を伝えられて、具体的に何をしたのか、はっきり言ってくださいよ。

藤澤政府参考人 ただいま申し上げましたように、従前から改善策を検討する必要性を認識をしていたことや、遡及改定に関する問題を指摘をする有識者の声などもございましたので、そういったことも踏まえて、統計の専門家の意見を聞くために、平成二十七年六月から毎月勤労統計の改善に関する検討会を開催をし、毎月勤労統計調査に係るさまざまな課題について、国民にとってわかりやすく信頼性の高い統計を作成する観点から検討がなされたものと承知をしております。

逢坂委員 実は、二〇一五年の六月のこの検討会の開始、これに当たって、内部でどのような意思決定のプロセスがあったのか、検討会はどういう目的でつくられたのか、あるいはその決定の稟議書、決定書、これを表に出してほしいと言っても、厚生労働省に先週からお願いしているんですけれども、一向に出てこない。きょうも、質疑に使うから頼むと言っても出てこない。

 何でこんなものが出てこないんですか。以前から検討していて、その流れの中で二〇一五年の六月にその検討会をつくったというんだったら、なぜ出せないんですか。出せない理由を教えてください。

藤澤政府参考人 ただいまの資料につきましては、省内で確認をしているところでございます。

逢坂委員 総理、総理は先ほど、その資料なんかも出すんだという話をしていますけれども、一事が万事、この調子なんですよ。何の問題もないと思われる毎月勤労統計の検討会をどういう理由でつくったのか。そのときの決定書といいましょうか、稟議書といいましょうか、役所の中にはそういう公文書がないはずはないと私は思うんですけれども、あるともないとも言わないし、全く、ないならないでいいんですよ、でも、それも言わない。こういう調子だから、議論がいつも進まないんですよ。

 この点、総理、改めて各役所に、国会の審議にちゃんとたえられるように、ある資料は出せと指示をしていただけますか。

安倍内閣総理大臣 国会から御要請があれば、ある資料は出すということは当然なんだろう、こう思います。

 厚労省の方も、いわば、あるかないか、まず明確に、しっかりとさせなければいけない、こう思っております。

逢坂委員 では、藤澤さん、その書類はあるんですか。

藤澤政府参考人 確認の作業を急ぎたいと思います。

逢坂委員 厚生労働省のオフィスというのはどこにあるんですか。南極や北極にあるんじゃないんですよ。あなた方が仕事をしているその場がそうなんですよ。何でそんなものを確認するのに一週間もかかるんですか。不誠実ですよ。だから疑われるんですよ。だから悪夢だと言われるんですよ。

 悪夢の黒い霧を吹き飛ばすためには、ちゃんと書類を出してくださいよ。書類は出さないわ、参考人は出さないわ、参考人が来るまでも、何度も何度も粘り強く交渉してやっと出てくる。こんなことをやっているから、疑われるんですよ。

 では、委員長、この書類もお出しいただくように、委員会としても決定いただきたいと思います。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

逢坂委員 次、樋口理事長、恐縮です。

 きょうはJILPTの理事長としてお越しをいただいたんですが、これは長妻委員の初期のころの質問にあったんですが、私、どうも答弁が理解できないんですね。

 JILPTは厚生労働省から運営費を始め、あるいは事業費も始め多額のお金をいただいている、そういうところの理事長が今回の特別監査委員会の委員長を務めるのは公平性を欠くのではないかという指摘がありました。

 JILPTの理事長として、公正を欠くとは思いませんか。

樋口参考人 長妻先生のときにもお答えしたというふうに思っておりますが、私も統計委員会の委員長をかつて務めたことがございます。今回の問題を明らかにする上では、やはり統計の専門家の知識、情報といったものが必要であるというふうに考えましたので、お引き受けいたしました。

 以上でございます。

逢坂委員 JILPTの理事長として、今回の仕事を引き受けること、JILPTは厚生労働省から運営費やら事業費やらをもらっている、そういう立場の理事長が今回のこの仕事を引き受けることは公平性、中立性を欠く、そういうお気持ちはございませんか、私はそう聞いているんです。なぜ引き受けたかと聞いているんじゃなくて、中立性を阻害するのではないですかと聞いているんです。

樋口参考人 きょうはJILPTの理事長として招致されているというふうに認識しております。したがって、ただいまの御質問に対してお答えすることは差し控えたいというふうに思います。

逢坂委員 私は、JILPTの理事長として中立性を阻害するのではないかと聞いているんですよ。なぜそれに答えられないんですか。

 委員長、今の答弁はおかしいと思いますよ。再度答弁させてください。これは委員会の申合せと違いますよ。

野田委員長 では、いま一度、樋口理事長、逢坂委員の質問に対して御答弁をお願いします。

樋口参考人 私の方は、これを引き受けるかどうかというような意思決定をしたものでございまして、むしろ、依頼した者がどう考えていたのかということについてお確かめいただいた方がよろしいのではないかというふうに思います。

野田委員長 逢坂さんの質問時間は終了いたしました。

逢坂委員 はい。

 それじゃ、大臣、今のJILPTと厚生労働省の関係を踏まえて、厚生労働省から多額のお金がJILPTに渡っている、そういうところのトップを今回の特別監査委員会の委員長にすることで中立性を保てるのか、それは厚生労働省に聞いてくれということですから、いかがですか。

野田委員長 逢坂さん、質問時間が終了しました。

 根本大臣、簡潔にお願いします。

根本国務大臣 樋口委員長は統計の専門家です。そして、労働経済研究の専門家であるなどから、その個人の資質に着目して、樋口氏しかいないということで、委員長をお務めいただいております。

逢坂委員 個人の資質だということで、問題にしているのは、組織の長の点を問題にしているわけで、答弁に答えていない、そのことを申し上げて、終わります。

 ありがとうございます。

野田委員長 これにて長妻さん、大串さん、小川さん、逢坂さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山本幸三さん。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三です。

 私も六年ぶりに質問に立ちます。六年前はアベノミクスが始まったばかりで、私はそのとき、安倍総理は、デフレで失業者があふれて、給料が下がって、そして就職先もままならない、まさに悪夢のような経済状況を救ってくれた救世主だと申し上げて、質問いたしました。今でもその考えは変わりません。ぜひ頑張ってもらいたいと思います。

 そこで、今、毎月勤労統計で大騒ぎになっているわけでありますけれども、私はもう三年前から、こういう問題が起こるよということを予言というか予測していたわけでありますけれども、そのことを総理は御存じでしょうか。

安倍内閣総理大臣 山本議員におかれましては、自民党の行政改革推進本部において以前から政府統計の改善に向けて活動をされている中で、平成二十八年八月の内閣改造において行政改革担当大臣に就任をいただいたわけであります。そして、みずから設置を提唱された統計改革推進会議において、統計改革の中核として御尽力いただき、GDP統計を軸とした統計改革、改善や統計委員会の機能強化など、統計法制の見直しに道筋をつけていただいた、このように認識をしております。

山本(幸)委員 ありがとうございます。

 実は、私は、二〇一五年に三輪芳朗大阪学院大学教授から、日本のGDP統計は大変お粗末なものになっているという話を聞いて、それから横に座っている小倉先生なんかと一緒に勉強を始めたんです。そして、まさに深刻な問題だということを認識いたしました。

 それはどういうことかというと、日本のGDP統計というのは四階建てになっているんです。一階が各府省庁の一次統計、基礎統計と言われるやつですね、これは何百もあります。それから、それを加工して、五年に一度、総務省等十府省で産業連関表というのをつくります。そして、それをまた基礎に、五年ごとに内閣府が年次GDP推計の基準年の推計値をつくります。基準年と基準年の間は、その基準年を活用して毎年変えてつくっていきます。そして、その上に、四階のところに四半期のGDP推計、いわゆるQEというのがあるんですね。

 ところが、この一階の部分は、先ほども出ていましたが、戦後の占領期に各省がつくった、ばらばらであります。整理統合できていません。

 それから、日本は、産業連関表をつくって、支出の方からGDPをつくるんですが、世界の標準は生産からつくるんですね。GDPは、生産と支出と分配、三つの側面があるんですけれども、生産からつくるのが世界の標準であります。

 この中で一番大事なのは年次GDP推計なんです。この年次GDP推計をつくる上で、簡単に言えば、一階部分は、GDPという製品をつくる原材料だ。そして、その原材料を持っていってGDP推計をするんだけれども、そのレールも世界の標準から見ると曲がっているというのが日本の統計の現状でありました。

 ところが、統計について問題提起がされると、いつもこの四階のQEのところばかり議論されるんですね。今回も麻生大臣が指摘されて、私は非常に重要な指摘だったと思いますが、しかし、見ていると、役人の方々は、このQEのところだけで問題をおさめようとしている節がありました。つまり、この指摘された家計調査とか毎月勤労統計、その部分だけさわればいいんだ、あとはもうさわりたくない、そういう空気だったんですね。

 そこで、私は、これはだめだ、国家の一大プロジェクトとして全部やらなきゃいかぬということに大臣になってから決意して、そうすると、これはもう政治主導でやるしかない。そこで、私は官房長官にお願いして、統計改革推進会議というのをつくって、議論を始めさせていただきました。

 官房長官、この統計改革推進会議でどういう議論が行われて、どういう結果になったんでしょうか。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、平成二十九年一月に設置された統計改革推進会議においては、私が議長を務め、そして、委員は当時、行政改革担当大臣でございましたので、御参加をいただいて、抜本的な統計改革に向けた精力的な議論を行いました。

 その結果として、統計改革推進会議が平成二十九年五月に決定した最終の取りまとめ案でありますけれども、四点ありまして、一つは、証拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMを推進する体制の構築、二点目として、GDP統計を軸にした経済統計の拡充、改善、三点目として、ユーザーの視点に立った統計システムの再構築、四点目として、統計業務、体制の見直しや基盤の強化など、まさに、客観的な証拠をベースにした政策立案と、そうしたニーズを反映した統計の整備を一体的に進めることを提言したところであります。

 現在、これに基づいて一つ一つ着実に実施をしているという状況であります。

山本(幸)委員 ありがとうございました。

 まさに、政策に使うようにしなければいけないわけであります。そして、大きな変更点は、世界標準のGDPを、支出ではなくて生産からアプローチしようということです。そうすると、一次統計から全部つくり直していかなければなりません、十年ぐらいかかります。そういうことをもう既に始めているわけでありまして、その中で統計法を改正して、権限を強化しました。それで、今回のような問題が起こってきた。ある意味でいうと、統計改革の成果が今回の問題をあぶり出した、私はそういうふうに思っております。

 そこで、ちょっと気になるのは、じゃ、GDP統計と毎月勤労統計や家計調査、関係するのかというところが気になるんですけれども、この点については、茂木大臣、いかがですか。

茂木国務大臣 統計につきましては、山本委員は専門家でありまして、私から答弁するのもどうかと思うんですが、支出項目で見るか、さらには山本先生のように生産として見るかにしても、この毎月勤労統計におけます項目といいますか賃金等は所得の一指標でありますから、この毎月勤労統計の問題、これは我々として深刻に受けとめておりますが、この問題がGDPに影響するということはございません。

山本(幸)委員 これはまさにありがたい話、ありがたいと言ってもあれですが、いろいろ議論はしていますが、GDP統計の根幹を揺るがすような話ではないということであります。

 それは、配付資料の中の一番下の数式を見てもらっても、年次GDP統計は供給の統計を使ってつくりますので、需要側の統計を使いませんから、関係ないということであります。これもわかると思います。

 そこで、これをやはりしっかりと改革を、やっているんだけれどももっと進めなきゃいかぬというのが、私の今回いろいろな議論を聞いていての感想であります。

 この改革をもっと進めるために一つ提案したいんですけれども、官房長官ヘッドの統計改革推進会議のもとに、各省に今、統計幹事と、それから、証拠に基づく政策を担ってもらうEBPM担当官というのをつくってもらっています。この人たちに集まってもらって、そして、全員というわけにはいかないでしょうから、幹事会で議論をして、一年ぐらいかけて、各国の例も研究しながら、そして、どういう統計をつくっていったらいいのか、あるいはどういうふうに整理統合したらいいのかということをしっかりと議論して、そして、いい統計をつくってもらいたいと思います。特に、日本の場合はサービス関係の統計が極めて不足しています。

 その中で、例えば、整理統合するときに、これは統計表をもらっている企業なんかからの要望なんですけれども、例えば、民間給与実態調査、これは人事院がやっている、それから民間給与実態統計調査、これは国税局がやっている、そして賃金構造基本統計調査は厚生労働省ですね、こういうものはもう一本化してオンラインにしてくれというのが民間企業の要望でありまして、そういうことも含めて私は検討してもらいたいというふうに思います。

 この点について、官房長官、ひとつそういうふうにやっていただけるでしょうか。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、統計改革推進会議の最終取りまとめを受けて、政府としては、具体的な改革工程表であります公的統計基本計画を昨年三月に閣議決定をし、経済統計の改善や統計行政体制の見直し等の統計改革を現在進めています。

 公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる極めて重要な情報であることから、統計作成者だけでなく、政策立案や学術研究など統計利用者の視点にも十分に留意しながら、柔軟かつ機動的に不断の改革を進めていく必要がある、このように考えています。

山本(幸)委員 ぜひ、私の提案を含めてやっていただきたいと思います。

 それからもう一つ、今回の議論を聞いていても、政治が統計に介入したんじゃないかという議論をされる方々がいますけれども、こういう邪推を払拭するためには、もう統計に関するデータは全部出した方がいい、あるいは、つくった手法についても出した方がいい。それによって、統計委員会も日銀も民間シンクタンクも後で検証できる。そういうことを繰り返すことによって、変なことが行われていないということが、よくなるし、統計の精度も上がっていくわけでありまして、この点、午前中でも岡本議員が言っておられましたけれども、これはやはり内閣の姿勢として、総理から大号令を出してもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 議員御指摘のとおり、統計の透明性を図ることは、統計の信頼性の確保のために重要であると認識しております。

 昨年、閣議決定をいたしました公的統計基本計画において、統計作成過程のさらなる透明化を盛り込んだところでありまして、改めてその徹底を促したい、こう考えています。その際、各府省においては、政策立案総括審議官等が中心となって統計委員会と連携しつつフォローアップを行うなど、一層の透明性の確保に取り組ませることとしたいと考えております。

山本(幸)委員 各省の責任者はEBPM統括官、政策立案審議官がやるというようにして、統計についての検証ができるようなデータをぜひ広く提供するようにしていただきたいというふうに思います。

 次に、アベノミクスの実質賃金についての議論がありました。

 実質賃金というのは、デフレから景気回復していく過程でどういうふうにして変わっていくんでしょうか、茂木大臣。

茂木国務大臣 まず、デフレからの脱却を進める、こういった中で、当然、物価の上昇、こういったものが見られてくるわけでありますから、まずは、名目賃金、こういったものが上がるということによりまして、また物価も上がり、そして、たびたび御答弁を申し上げておりますが、この物価の上昇や、またパートで働く人等々によって、一時的には実質賃金は名目賃金に比べて上がりにくい、こういう傾向があるわけでありますが、潜在成長率等々の向上によりまして名目賃金も上がり、それに伴って、名目賃金ほどではありませんけれども実質賃金も上がる、こういった状態ができ上がっていくんだと思います。

山本(幸)委員 経済理論で、最初に実質賃金がマイナスになるのは当たり前なんです。金融緩和政策をとると物価が上昇してきます。そうすると、賃金は遅行指標ですから、おくれて上がる。そうすると、最初はマイナス実質賃金になるんですね。実質賃金がマイナスになるから、みんな雇用をふやす。雇用がどんどんふえていきます。雇用がふえて、そして人手不足になってくると、名目賃金も上げざるを得なくなる。そして、名目賃金が上がっていって、これが物価の上昇を追い越すようになると、初めて実質賃金が上がってくるんですね。一番最後に起こることなんです。

 だから、別にアベノミクスが失敗しているどころか、どんどん雇用がふえて大成功している、その証左ですよ。(発言する者あり)

野田委員長 御静粛にお願いします。

山本(幸)委員 例えば、共通事業所の問題がありましたね。

 実質賃金は幾らかと政府に聞いていますけれども、こんなものは聞かなくたって自分で計算すればわかる。私も計算しましたよ。マイナスの〇・四だ、二〇一八年は。

 ただ、おもしろいことは、その前の二〇一七年はプラスです。プラスの〇・二です、共通事業所で。つまり、共通事業所は、プラスの〇・二が二〇一八年はマイナスの〇・四になった。なぜか。これは一つしか理由がないですよ。共通事業所に物すごく人がふえたんです、雇用が。強烈にそこの部分で雇用がふえちゃって、平均賃金が下がって、物価も上がって、実質賃金が下がったんですよ。アベノミクスの成果そのものですよ。

 ただし、私は、やはり本当に成功させるためには賃金が上がらなきゃいけない。この賃金が上がるという議論をしなきゃいかぬということはそのとおりだと思います。玉木議員も言っておられました。

 そこで、私は、賃金を上げるために、まあ、経済界に要請してきましたけれども、経団連の会長の話を聞いても余り迫力がない。そこで、私は、経済界は法人税を下げたら賃金を上げてくれるかと思ったら、そうでもない。内部留保ばかりためている。そこで、私は、自民党税調の中でも内部留保税を取れという議論をしているんですけれども、財務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今の前半の議論は、六年前、こういうことになりますと申し上げたとおりになっておりますので、山本先生の見解は極めて明快だと思っております。

 その上で、企業収益は好調に推移しておりますけれども、企業経営者のマインドが、やはりデフレというものは、昭和一桁時代から含めまして、少なくとも我々はデフレーションによる不況というのをやった経験はありませんから。少なくとも、敗戦後この方七十数年たちますが、数々の不況がありましたけれども、いずれもインフレ不況。今回初めてデフレ不況ですから、そのデフレ不況にどう対応していいかわからなかった。政府は間違えたんですよ。日本銀行もその対応を間違えた。はっきりしていると思っております。

 そこにいわゆるバブル等々が来ましたので、いろいろ、二つ、三つ不幸なことが重なってこういったことになっていったんだと思いますが、七年前、政権を奪還させていただいたときに、これを変えないかぬということで、我々はその方針を、金融政策を変え、財政政策も変え、いろいろな形をさせていただいた六年間で、この二十年間というものがやっと出てきたところだと思っておるんです。

 少なくとも、今のその中で一番の問題は、企業経営者のマインドがデフレのままで固まっている。借金の返済に、貸し剥がしだ、貸し渋りだというのに苦労した人たちが、今ちょうど一番上に来ていますから、今さらあいつらに頭を下げて金を借りてまで更に設備投資なんかしたくないと思っているんですよ。聞きましたよ、みんな、私はその人たちに。知っているのがいっぱいいますから。その人たちは借りようとしないの。自分の自己資本だけでやるということになりますから、どうしたってということになります。

 結果として、企業収益は御存じのとおりです。今や内部留保は約四百四十兆ぐらいたまっておりますが、毎年、この五年間を見ますと、二十五兆前後ずっとたまってきて、去年が四十数兆いったと思いますが、トータル四百何十兆。その間、設備投資若しくは賃金をどれだけ上げたかといえば、毎年二十五、六兆前後にもかかわらず、人件費の伸び、設備投資の伸びは数兆円、二桁いっていませんから、年によって違いますけれども。そういった意味で、最後に残った金が内部留保で蓄積していったというのが事実。これはもうおっしゃるとおり、間違いなくそうなっております。

 したがって、この分をもっと賃金に、設備投資にということを奨励してきたのが政府のこの六年間。経団連との交渉は、連合が賃上げ交渉をしているのではなくて、政府が賃上げ交渉をしているんですから、これはどう考えたっておかしいでしょうがという話を何回も私ども申し上げたこともあります。それが事実ですから。

 しかし、現実問題として、内部留保がたまってきているのは事実ですけれども、少なくともこのことに関して、例えば内部留保課税をやれとか、いろいろな御意見があることは確かですよ。しかし、これは二重課税もきわまりないところですから、それをやることに関してはもう少し慎重であらねばならぬと思っておりますし、そういった御意見がいろいろ出るほど企業に対しての意見がいろいろ強くなってきているということは事実だと思っております。

山本(幸)委員 内部留保課税ですけれども、同族会社にやっているんですからね。やろうと思えばできるんですよ。ぜひ前向きに検討してもらいたいし、私どもも税調でしっかり議論していきたいと思います。

 それからもう一つ、下から賃金を上げるということも考えなきゃいかぬ。最低賃金を上げなきゃいけません。

 この最低賃金は、世界の標準から見ても低いというように言われています。また、もう一つの問題は、日本の場合、最低賃金は各県ごとになっていて、格差がある。私は、これが東京一極集中の一番の原因だというふうに思っていますし、あるいは、技能実習生が失踪するのは、これはやはり、東京に行きたがるのは、最低賃金が違うからだというように思います。

 そこで、私どもは自民党の中で、衛藤征士郎先生を会長に最低賃金一元化議員連盟というものをつくりまして、勉強を始めたところであります。ぜひ政府においてもこういう検討をしていただきたいと思いますけれども、厚労大臣、お願いします。

根本国務大臣 最低賃金に関する地域格差、これは政府としても問題意識を持っております。

 今、我々、最低賃金が低い地域の賃上げ、このために、例えば業務改善助成金なども用意して環境整備を図っております。

 他方、山本幸三委員は既に御承知でありますが、全国の一律最低賃金については、全国一律最低賃金を導入している諸外国、これは若年者などを適用除外あるいは減額するとしているのに対して、我が国の制度は原則全ての労働者が適用されるなど、制度的な違いがある。あるいは、賃金だけではなくて、県民所得や企業の付加価値生産性など経済指標に大きな地域格差がある。そして、最高の東京と最低の鹿児島では二百二十四円と大きな差があって、すぐに引き上げた場合には事業活動や雇用などへの大きな影響が懸念される、こういう課題があると思っております。これは山本委員も、この辺はよく御存じだと思いますが。

 いずれにしても、今後の最低賃金のあり方における重要な論点ですから、議連の御意見も伺いながら検討してまいりたいと思います。

山本(幸)委員 厚労大臣、もう一つ伺いたいんですけれども、今回の毎月勤労統計の問題、これはやはり深刻な問題でもあります。特に、実害が出ていますからね。これはしっかり特別監察委員会で原因究明、そして同時に、追加給付も急いでやっていただかなければなりません。その辺の決意のほどをお願いします。

根本国務大臣 今、特別監察委員会においては、より独立性を高めた形で、更に厳正に調査を進めていただいております。今般の事案の事実関係や原因について、徹底して明らかにしていただきたいと思っております。

 そして、厚生労働省として、やはり、統計に対する姿勢を根本から正して、再発防止を徹底する。特に、雇用保険等の追加給付、これはもうできる限り速やかに、簡便な手続でお支払いできるように万全を期していきたいと思います。そして、私が先頭に立って、厚生労働行政の重みに対応したしっかりとした組織のガバナンスを確立し、国民の皆様の信頼回復に努めていきたいと思っております。

山本(幸)委員 ぜひ、しっかり頑張ってもらいたいと思います。

 それから、総務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、統計委員会も総務省の所管で、まさに統計の実動部隊は総務省が担っております。

 先ほども申し上げましたけれども、今回の問題があぶり出されたのも、私は、統計委員会が権限が強化されて、ほかの役所が無視できなくなった、そこが要因じゃないかと思っていますし、それから、私の提案等も入れていただいて、そして、よりよい統計を抜本的につくり直す、ただQEの問題だけに矮小化させないで、全体の統計システムを変えるんだということを、実動部隊の司令塔としてやっていただかなきゃなりません。その辺の決意のほどをお願いします。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、今回の毎月勤労統計の事案は、統計委員会が自律的に審議する過程で発覚したものでございます。

 今、毎月勤労統計については厚生労働省の特別監察委員会で調査が行われ、そして、賃金構造基本統計については総務省の行政評価局が調査を行っているところであります。

 また、統計委員会におきましても、今般の統計をめぐる問題を受けて設置をされましたのが点検検証部会でございまして、基幹統計及び一般統計調査について、再発防止や統計の品質向上、こういう観点から徹底した検証を行うことといたしておりまして、こうしたそれぞれの結果を踏まえて、御指摘のように、今後の統計全体を考えていく中で、総合的な、きちっとした対策を講じてまいりたいと思っております。

山本(幸)委員 点検、検証をやっていただいているのはいいんですけれども、単に、総務省に、統計委員会に提出した計画とずれたやり方をしていたかどうかというようなことだけを調べるんじゃなくて、先ほどから申し上げているように、もう根本から見直すんだ、そして、世界標準の、供給側からGDPにアプローチするというやり方に一次統計そのものから変えていかなきゃいけない。

 これは大変な作業です。相当、総務大臣のリーダーシップがなければできません。各省の大臣に対しても相当嫌われることになると思いますけれども、その辺の、単に検証だけじゃなくて、中身を見直すんだということに踏み切っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

石田国務大臣 公的統計は、もう議論されましたように、本当に重要なものでございますから、今議員御指摘のように、さまざまな方面からの検討をしないといけないと思っておりますし、また、いろいろと御提言ももう既にいろいろな場面でなされているわけでございまして、そういうものも勘案しながら、今行われている検証部会等の検討結果を総合的に考えながら、御指摘のような方向でしっかりした対応ができるように頑張ってまいりたいと思います。

山本(幸)委員 ぜひお願いします。

 今回のような問題を災い転じて福となすという方向に持っていかなければ、意味がありません。まさに、ほかのところでもまだ問題があるかもしれませんからね。それをしっかりと見直して、しかし、もう改革の方向は決まっているんですから、それをしっかりとやって、加速してやっていただきたいと思います。

 最後に、もうちょっと時間がありますので、一つだけ、お願いというか要請をしておきたいと思いますが、委員の皆さん方の配付資料の一番下のところの数式があるんですが、QEは需要側統計と供給側統計を合わせてつくっていますが、このときに、係数が、アルファ・プラス・ベータ・イコール一という制約条件がついています。これは内閣府のつくり方ですね。年次GDPについては、供給側の統計だけでつくります。

 このアルファ・プラス・ベータ・イコール一という制約条件をつけるかどうかというのは、大問題になっているんですね。これは、統計委員会で、日銀から出ている関根さんなんかが問題提起して、非常におもしろい、興味深い議論が行われています。しかし、きょうはもうその細かいことには入りませんけれども、そういう議論が行われるようになったというのは、やはり情報が開示されて、そういう検証がなされるようになったからできてきたんです。

 したがって、先ほどもお願いしましたけれども、そういう検証ができるようなデータをしっかりと提供していただきたい。この点は、内閣府、統計委員会にお約束していると思いますけれども、ぜひしっかりとスケジュールに沿ってやっていただきたいと思います。その辺の決意のほどをお願いします。

茂木国務大臣 より精度の高い統計、それを実現するために政府としても万全の協力をしてまいりたいと考えております。

山本(幸)委員 ありがとうございました。

 終わります。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官田村政美さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、石崎徹さんから関連質疑の申出があります。山本さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。石崎徹さん。

石崎委員 初めてNHK中継入りの予算委員会で質問させていただきます、石崎徹と申します。

 理事各位、質問の時間を頂戴いたしましたこと、心から御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 この週末に、大変関心事項の高い拉致問題でございますけれども、少しニュースが入りました。神戸市の田中実さん、失踪当時二十八歳が、結婚し、平壌で妻子とともに生活していると北朝鮮が日本側に伝えていたことがわかったという報道がございました。

 この件について、朝のちょっと通告でございますけれども、横田めぐみさんを始め現在未帰国の拉致被害者の現状と、全面解決に向けてのまず総理の御決意を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今般、拉致被害者家族会、救う会が公表したメッセージがございますが、肉親の帰国を強く求める御家族の切実な思いが込められたものであり、こうした御家族の積年の思いを胸に、何としても安倍内閣で拉致問題を解決していくという強い決意を新たにしたところでございます。

 田中実さんを含め、拉致被害者の方々や、拉致の可能性が排除できない方々については、平素から情報収集に努めておりますが、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、逐一報道へのコメントを差し控えることは御理解を願いたいと思います。

 いずれにせよ、今月二十七日及び二十八日に予定されている第二回米朝首脳会談に向けて、トランプ大統領と電話会談を行い、日米で緊密にすり合わせを行っていきたいと思いますし、第一回目の米朝首脳会談でもそうだったんですが、第二回目の米朝の首脳会談においても、この拉致問題についてしっかりと大統領から金正恩委員長に私の考えを伝えてもらいたいと考えておりますが、この問題につきましては、次は私自身が金正恩委員長と向き合わなければならないと考えております。

 最重要課題である拉致問題について、御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向けて、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動していく決意でございます。

石崎委員 ぜひ安倍内閣のうちに全面解決をお願い申し上げたいと思います。

 そこで、毎月勤労統計問題についてでございますけれども、我々自民党若手で、去年、EBPM確立若手推進議員連盟というものを立ち上げました。証拠に基づく、適切なデータに基づく政策を推進していかなければならないということで、長野県の務台俊介先生とともに、こうした議員連盟を立ち上げまして、毎週、朝七時半から、五十六の基幹統計全てについて関係各省から話を聞いてきたわけでございます。

 厚労省からも、当時、毎月勤労統計について、果たして、全数調査というのは大変労力のかかる調査だけれども、ちゃんとできているのかと伺ったときに、しっかりやっていますという回答でございました。しかし、できていなかったということで、与党側に対してもしっかりとした説明をしてこなかったということについては、極めて残念であり、憤りを感じるところでございます。

 今回、大西前統括官の例を見ましても、統計部門について、適材適所の人材配置、幹部ポストも含めて、やはり専門性の強化が求められていると思います。

 この点については、先ほど、山本議員に対しまして、根本大臣から力強く今後の対応について決意があったわけでございますけれども、今回の事案を苦い教訓として、特別監察委員会の報告がまとまり次第、速やかに組織のガバナンスの強化や統計部門の専門性の強化に取り組むとともに、工程表に沿って、国民に対する雇用保険、労災保険などの追加給付をしっかりと、根本大臣に対してお願いを申し上げたいと思います。

 その上で、これとは別問題でございますサンプル入れかえ方法の見直しの件について、次にただしたいと思います。

 この件についての一番の論点は、官邸の関与があったかどうかという点でございます。そこで、きょうは、中江総理秘書官、私の元財務省の先輩であるわけでございまして、大変聞きづらいところもあるんですけれども、しっかり答えていただきたいというふうに思います。

 先週の金曜日、予算委員会で、中江元秘書官は、先ほどから答弁ございましたとおり、問題意識を伝えたというような答弁をされておられます。二〇一五年当時に、三年間の統計がさかのぼって大幅に変わるということでございますので、二〇一四年、二〇一三年、二〇一二年と、総理も悪夢とおっしゃっておられます民主党政権時代のデータにまでさかのぼってがらっと変わってしまうというものについては、やはり実態を適切に判断して政策立案を行うことはできないというような問題意識は、私はこれは当然の、正しい問題意識なんだと思います。

 ただ、この問題意識というものが、官邸の指示、総理の指示があってやったのかどうかについて、やはり、ここはこのテレビ中継ではっきりしていただきたいと思います。

 今、野党の皆様の話を聞いておりますと、官邸が指示をしたというような、陰謀論みたいな、間違った印象を国民の皆さんが持ってしまうのはよくないと思いますので、改めて、中江元秘書官に対しまして、この問題意識を伝えたのは総理からの指示に基づくものではないということと、個人の問題意識を伝えたということとあわせて、今回問題となっている一連の違法な統計処理とは無関係であるということをこのテレビ中継ではっきりと申し上げていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

中江参考人 お答え申し上げます。

 私が厚労省に伝えた、経済の実態をタイムリーにあらわすという観点から、専門家の意見を聞くなど、改善の可能性について考えるべきではないかという問題意識については、あくまで秘書官である私個人としての考えでございまして、総理の指示ではございません。厚労省からそもそも説明を聞いたのも、総理の指示ではございません。

 私としては、先ほど議員がおっしゃられましたように、これまで公表していた数値が過去三年間にわたってさかのぼって大幅に変わる、これに対して当然の反応をしたつもりであります。現に、このときの統計結果に対しては、有識者の方々からもさまざまな指摘がなされたと承知しております。

 こうしたやりとりは、全て政策的な観点からのものでございまして、何か、その数値をどうこうすべきとか、政府に都合のいいデータが出るよう、統計手法上、不適切な方法をとらせるといった意図に基づくものでは全くございません。

 それから、このサンプル入れかえ方式の見直しについては、統計法に違反して十五年にわたって行われていた統計処理の問題とは関係ないというふうに考えております。

石崎委員 私も、正しい指摘だったと思います。

 ただ、厚労省として、もしその指摘が違うのであれば、そのときにはっきりと、違いますと、幾ら総理秘書官であっても言うべきだったと思うんですけれども。

 この点につきまして、先週十四日の予算委員会で、根本大臣から、このサンプルの総入れかえにつきましては、いろいろな方から常々指摘を受けてきており、かねてより課題となっていたため、厚労省としても、専門家に意見などを聞くなどして、改善策を検討する必要があると考えてきたということとあわせて、遡及改定に関する問題を指摘する有識者の声なども踏まえて検討が開始されることとしたというふうに答弁をしておりますので、やはりこれは、純粋な統計そのものの課題を以前から考えていたから変更したということで、官邸の関与によって統計が変更されたわけではないということも、根本大臣から答弁をしておられるわけでございます。

 ただ、私から一点申し上げておきたいのが、この国民のニーズを踏まえて、そして適切な問題意識を踏まえて変更した統計について、変更しましたということを、厚労省から、エコノミスト始め、国民に対してしばらく何の説明も行っていなかったことは、私はこれは問題だというふうに思っております。やはり、わかりやすく説明するということも統計作成者として果たすべき責務であり、そうした体制になっていないのであれば、そうした体制に見直すべきだというふうに思います。

 そういった意味で、今回を機に、誰のために仕事をしているのかということと、そして、組織の体質改善、必要な人材確保、人材育成、これをしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。

 ということで、先ほど、根本大臣からお話ございましたので、これは私から強く要望ということでさせていただきたいと思います。

 そして、次に、テレビを見ておられます国民の大事な関心事項は、賃金上昇というものが実際にあるのかどうかという点だというふうに思っております。

 この点について、アベノミクスはこれまで三本の矢で、私は、三匹のウサギを追ってきたと思っています、三兎を追ってきたというふうに思います。一つがデフレの解消、もう一つが雇用環境の改善、もう一つが賃上げというところなんだというふうに思うんですけれども、前の前者二兎については、これは、先ほど総理からもいろいろと御答弁がありましたように、さまざまな統計データを見ると、これは疑いはないというふうに思いますけれども、ポイントは、賃金上昇があったかどうかなんだと思います。

 私も予算委員会を聞いておりまして、統計委員長からも、主系列、参考値、どっちを使うべきなのかということで、これはテレビを見ている国民も、やはりどっちなのかよくわからない。でも、統計委員長はどっちも見るべきだというような回答をされておりますけれども、ただ、私自身は、やはり平均値だけで議論をしてもなかなかこの問題は理解につながっていかないんだというふうに思います。

 そういった意味で、これから、この最も国民の関心の高い賃金統計につきまして、やはり個人単位で賃金がふえているか減っているかを捉える新しい統計が必要だというふうに思います。

 これは、既に米国、英国でも、あるAさんが、これは業種ごと、あるいは非正規、正規を区別して、対象者一人一人を継続的に調査するコホート調査、これはパネル調査ともいいますけれども、こういったものをかなりの予算と手間暇をかけてやっているんですね。こういったものを新たに日本で導入することで、この主系列か参考値かという神学論争に、私は、これはまた同じような議論が今後続いていくと思いますので、ぜひ総理の決意で、この新たな統計手法の導入を決意していただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 大変重要な指摘をいただいたと思います。

 ここでの議論は、毎勤統計について、事業所ごとでありますから、いわば、事業所ごとでありますが、ここの従業員の増減があって、その平均値ですから、一人一人を追っていったわけではないということ。その中で、総雇用者所得という見方をしているけれども、でも、そこで、今委員がおっしゃったように、同一の労働者を時系列でとって把握していけばよいのではないかとのお考えに基づく重要な視点をお示ししていただいたんだろう。いわば、そういうことができれば、もうこの論争には終止符が打たれるということではないかと思います。

 政府としては、社会経済情勢の変化や統計ニーズの変化等に適切に対応していくことが大切であると考えておりまして、賃金統計のあり方を検討していく際には大いに参考にさせていただきたい、このように考えております。

石崎委員 ありがとうございます。

 EBPMの若手議員連盟としても全面的に協力をしていきたいというふうに思います。

 先ほど公明党の先生から御指摘ございましたとおり、アベノミクスで、賃上げ助成金の拡充、周知、こういったものもやっているということでございますので、こういった点とあわせてぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 そして、今、私は、国民が一番高い関心事項を持っていると思っております児童虐待について質問をさせていただきたいと思います。

 パネルを御用意いたしました。こちらを見ていただきたいんですけれども、調査対象期間、平成十五年から平成二十九年の十四年間でございますけれども、このたった十四年の間に七百二十七人の子供が虐待で殺害されてしまっている、虐待死になってしまっている。これは本当に痛ましいことでございます。

 きょう、テレビを見ている虐待を受けているお子さんもいらっしゃるかもしれません、あるいは虐待をしている本人もいるかもしれません。こういった点で、我々は、一八九という相談ダイヤルも設けました。ぜひこうした相談ダイヤルも活用していただきたいと思いますし、また、きょう、オレンジバッジをつけております。これは、三原じゅん子女性局長を始め、自民党の女性議員が、地方議会含めて、全国でこの児童虐待についてそれぞれで今質問をするという、そんな活動をしているということも御紹介をさせていただきたいと思うんですけれども、この間、先週も、根本大臣のところに超党派の議員連盟でさまざまな御要望活動もしました。

 そうした点なども進めていっていただきたいと思うんですけれども、更に一歩踏み込んで、児童虐待罪というものを私は創設すべきではないかと考えております。

 次のパネルを見ていただきたいと思いますが、ちょっと国会図書館さんの協力を得まして、パネルをつくってまいりました。これは各国の事例でございますけれども、ドイツ、アメリカ、韓国、こうした国々で、児童虐待罪という罪がございます。一番下は日本でございますけれども、日本はないということで、傷害罪、暴行罪、既存の刑法典の罪で対応しているということでございます。

 このパネルの一番端っこに保護法益というのがございますが、各国の罪刑には、身体の完全性、精神の完全性に加えて、子供の健全な発達あるいは子供の福祉、児童の福祉ということで、日本の刑法典にはない保護法益を明確に規定しているわけでございますし、また、韓国の例を見ていただきたいんですけれども、児童を死亡させた場合には無期懲役ということであるわけでございます。そのほか、危険にさらしただけで犯罪となるような法定刑がほかの国では見られるわけでございますが、調べたら、日本は、判決の中でこうした事情をしんしゃくするということなんです。

 ちょっとさっきのパネルに戻っていただきたいんですが、では、今までの裁判例、どうだったのか見てきますと、このグラフの下でございますが、平成以降、児童を殺害した場合にどのような判決が下ったかということでありますが、死刑判決は一件、無期懲役判決は二件、懲役三十年は一件ということで、余りに膨大な虐待死事件の中で、重い罪が科せられた刑は非常に少ないということでございます。そういったことから考えましても、我が国で私は導入すべきだと思っております。

 調べましたら、昭和十五年の改正刑法仮案、昭和三十六年の改正刑法準備草案などでも、実際、この児童虐待罪を創設するという議論はあったということでございます。

 ただ、例えば危険運転致死傷罪の創設など、個別に対応してきた例がございます。例えばDVの法律もそうでございますけれども。ただ、こうした法律をつくることで、犯罪を犯した人を取り締まるということができると同時に、抑止力と、そして社会の意識を変えることができるものだというふうに思います。

 こうした思いを、先般、とある新聞に取り上げていただきましたところ、全国からほとんど賛同の声が私のところに届いているところでございます。

 そういった意味で、安倍総理からも、児童福祉司五千人に増員、あるいは懲戒権のあり方の見直し、こういったところを表明していただいているわけでございますけれども、そうしたところを踏まえながらも、児童虐待罪の創設、厳罰化を含めた幅広い検討が必要だと思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 虐待に関する刑罰のあり方等について、大変、委員が、しっかりとこの問題に対応しなければいけないということで、いわば御自身で新たな政策、法制を考えておられるということに対しましては敬意を表したいと思いますが、あり方につきましては法務大臣から答弁させたいと思います。

山下国務大臣 お答えいたします。

 本当に、児童虐待に関しましては、深刻な問題であるというふうに法務省は受けとめております。

 他方で、法理論的にどうかということになりますと、先ほど委員が御指摘いただきましたように、現行法のもとでも、児童虐待行為については、暴行罪、傷害罪、あるいは殺人、傷害致死、あるいはネグレクトによりその生存に必要な保護をしなかった場合には保護責任者遺棄罪、あるいは死傷された場合には保護責任者遺棄致死傷罪などが成立し得るということでございます。

 そうしたことについて、例えば児童虐待防止法上、見ると、児童虐待防止法についても、「児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。」と明記されております。ですから、こうした犯罪が親権者であっても正当化されない。

 また、よく言われる懲戒権につきましても、懲戒権は子の利益のために行使されるべきもので、子の監護及び教育に必要な範囲を超える行為は懲戒権の行使に当たらないということを示すために、平成二十三年、民法改正が行われ、八百二十二条の規定が改められたということでございまして、感情に任せて暴行を振るい、子の身体に傷害を負わせる行為や、心ない罵声を浴びせて心に深い傷を負わせるといった虐待に当たる行為は、いやしくも懲戒権の行使として許容されないことは民法の規定上も明らかであるということでございます。

 ただ、その前提のもとで、更に既存の罰則に加えて新たな罰則が必要であるのか、あるいは、例えば児童虐待として処罰すべき行為の外延を明確に定義することができるのかというなどの観点から、実際の児童虐待事案の内容や、それらに対する実際の処罰の状況等を踏まえて慎重に検討してまいりたいと思いますし、児童虐待に関しましては、その保護のあり方も含めて、政府全体として総合的に取り組むことが必要であるというふうに考えております。

石崎委員 ありがとうございます。

 児童虐待への取組を進める政府の後押しもしたいと思っておりまして、近日中に、与野党の関心のある先生方とこの児童虐待罪創設についての勉強会を立ち上げたいと思っております。

 きょう、中継を見ていらっしゃる皆様方にも、危険運転致死罪のときもDV法のときも、やはり国民の世論が動かしたというところもありますので、ぜひ応援をしていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、ちょっと資料にはないんですけれども、再犯の件でございます。

 きょう、保護司さんのバッジ、田中和徳理事がずっと取り組んでこられております再犯防止でございますけれども、去年、私の地元新潟で、わいせつ目的で女子児童を連れ回した前歴を持っていた者によって、小学校二年生の女の子が殺害され、遺棄されるという事件が起きました。もう二度とこういう事件を起こしてはならないということであります。これは再犯の事例だったということでありますけれども、この場合は性犯罪者の再犯ということでございました。

 私の地元新潟で、県議会で、性犯罪者に対しては、再犯防止のためにGPSの装着をすべきだという決議案が出てきております。また、福岡県議会におきましても、性暴力を抑止し、県民を守るための条例の制定に向けて今検討が進められていると伺っているわけでございますが、諸外国の例、アメリカや韓国の例などを踏まえて、我が国も性犯罪者にGPSを取り付けるということについて進めるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、法務大臣の見解をお願い申し上げます。

山下国務大臣 まず、石崎委員におかれましては、日ごろから、その黄色い更生保護のバッジをつけていただいておりますように、再犯防止について御理解を賜って、再犯防止推進法の成立につきましても、筆頭理事の田中先生始め皆様と一緒に進めていただいたことに、深い理解を示してくださっていることに心から感謝申し上げます。

 その上で、やはり性犯罪の防止と再犯の防止、子供の見守り体制の強化を求めるということで、昨年七月に新潟県議会議長名で意見書が出されたこと、これは重く受けとめております。その中で、GPS端末による監視システムについて御提言もあったところでございます。

 ただ、GPS端末による監視システムについては、委員御指摘のとおり、米国や韓国など一部の国では導入している例があるのですが、これはやはりプライバシー権などの関係において人権上の制約が生じることとなることから、我が国への導入については慎重な検討が必要であろうというふうに考えております。

 他方で、法務省におきましては、再犯防止推進法に基づく再犯防止推進計画に基づいて、例えば、矯正施設や保護観察所等で認知行動療法などを含む特別改善指導など、専門的な処遇プログラムを実施するなどして、性犯罪者の再犯防止に努めているところでございます。

 今後も、委員あるいはさまざまな先生の御指摘を得ながら、諸外国の例なども参考にしつつ、幅広い視点から引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

石崎委員 ありがとうございます。

 それに加えて、これは意見でございますけれども、ことしは、天皇陛下の御退位、皇太子殿下の御即位が予定されております。毎回、政令恩赦というものが元号が変わるときに行われておりますけれども、まだ検討していないということで伺っておりますが、やはりこうした性犯罪ですとか重大な犯罪を犯した者が刑務所から釈放される場合の、その被害を受けた方々のお気持ちも含めた対応が私は必要ではないかというようなことを意見として最後に申し上げまして、本日、この本当に貴重な質問時間をいただきましたことへの委員各位への感謝の意味も込めまして、閉じたいと思います。

 ただ、最後に申し上げますが、各地域で虐待のおそれ、疑いがある方がいらっしゃいましたら、一八九番にぜひかけていただきたいと思います。みんなでこの問題、ゼロに向けて取り組むということをお誓い、御決意申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

野田委員長 これにて山本さん、石崎さんの質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 数字はうそをつかないとはよく言いますが、数字でうそをつくことはできる。残念ながら、今の安倍政権が繰り返してきたことではないでしょうか。

 統計法第三条第二項は、「公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならない。」と書いています。

 初代統計委員長の竹内啓東大名誉教授は、特に、政府の圧力によって統計が歪曲されないこと、つまり、統計が政府にとって都合のよい形でつくられたり、逆に、必要な統計がつくられなかったり、あるいは不適切な形で公表されたりすることを防ぐために必要であると強調されています。これは、別に今の事態を見てのコメントじゃないんです。昨年の雑誌「統計」に寄稿されたものです。普遍的な理念であろう。

 統計の政府当局からの独立性がまさに今問われています。石田総務大臣、どのような認識を持っていますか。

石田国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 もうずっと答弁をさせていただいているように、本当に公的統計は国民生活にとっても非常に重要なものでございますので、しっかりしたものにしていかなければならないと思っております。

 そういう中で、統計法第三条の第二項のとおり、「公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならない。」こうした統計法の基本理念を実現するため、各府省から独立した第三者機関として統計委員会が設置をされまして、統計整備の司令塔として、中立公正かつ専門的な見地から、各府省が行う統計調査に対するチェック機能を果たしているところでございます。

 また、昨年の統計法改正では、このような統計委員会の機能を強化するために、総務大臣の諮問によることなく自律的、機動的に意見を述べることができるようにするなど、所要の規定が整備されたところであり、まずは、こうした機能を十分に活用していくことが重要であろうと考えております。

高橋(千)委員 このパネルを、総理、見ていただきたいと思います。

 真ん中が真っ白なこの表は何か。今月八日に発表された毎月勤労統計、平成三十年の速報です。東京都分の五百人以上の事業所を全数と言いながら抽出にしていたなど、不正調査を一定のルールのもとで再集計したのが下の数字なんですけれども、平成二十四年以前のデータが足りないために再集計ができなくなっています。非常に衝撃でした。もう取り返しがつきません。

 長い年月、多くの方々の苦労の上に、この国の姿を示してきたのが毎月勤労統計ではないですか。それが、このような形で毀損してしまったという事の重大性をどう受けとめるのか。それを率直に認め、国民に謝罪すべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、セーフティーネットへの信頼また統計に対する信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。

 また、現状において、統計データの欠落が一部に生じていることについては重く受けとめているところでございます。

 いずれにいたしましても、本当に長きにわたってこうした問題を見抜けなかったことについて、改めて責任を痛感をしているところでございます。

 今回のようなことが二度と起こることのないよう、徹底した検証を行うとともに、再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 なぜ、統計不正が発覚して、例えば雇用保険の失業給付や労災保険の追加給付につながるのか。雇用保険法第十八条に「毎月勤労統計」と明記した根拠規定がありますが、基本手当の日額を決める際、御本人の賃金に対して五割から八割掛け。その割合は、賃金が低い人ほど割合が高い、こういう基本があります。その上に、毎勤の賃金変動率で上限額を引き上げます。それが、不正によって低くずっと出ていたんです。そして、これを再集計を幾らしても、このままでは正確な数字は出ません。その意味を本当に理解しているのか。真相解明も含めて、これを重く受けとめると言うだけではない、本当に実態で示していただきたいと思う。

 そこで、次に伺いますが、総理の答弁が端緒となって発覚したのが、昨年の裁量労働制データ捏造問題です。

 お手元の資料二を見てください。

 昨年一月二十九日の予算委員会で総理は、平均的なもので見ると裁量労働制で働く方の労働時間の長さは一般労働者よりも短いと、声を張り上げました。働き方改革法案で、野党が繰り返し、裁量労働制の方が長時間労働であり、過労死がふえるのではないかと指摘したことに多分反論したかったんだと思います。

 しかし、その総理が根拠としたデータは、比べてはいけないものを比べたものであり、さらには、もとデータに異常値が多数含まれていたことまで発覚しました。結局、裁量労働制にかかわるデータを撤回し、法案から企画業務型裁量労働制の部分を削除する事態に追い込まれました。

 総理もよく覚えているはずです。数字でうそをつくことになってしまったのではありませんか。統計調査が政府から独立しているとは到底言えない、そういう事態だと思いませんか。

安倍内閣総理大臣 この答弁につきましても、それまで厚労省が出してきたものについて、それをもとに答弁をしたものでございますが、結果として、昨年の政府の裁量労働制に関するデータについては、国民の皆様に裁量労働制の改正について疑念を抱かせる結果となったことはおわび申し上げます。

 どうしてこういうことになったのかということについて、もし必要であれば厚生労働大臣から答弁させたいと……(高橋(千)委員「必要ないです」と呼ぶ)必要ないということでございますので、続けまして私から答弁させていただきますが、本件は、統計の独立性以前の問題として、厚労省においてデータを取り扱う際の注意の欠如により、本来は性質の異なる数字を比較するという誤りが生じたものであります。再発防止のために一層の緊張感を持って職務に臨むべきことを徹底させたところでございます。

高橋(千)委員 これはやはり、さっき私が言ったように、繰り返し、裁量労働制の方が長時間労働になる、過労死のおそれがあると随分厚労委員会で議論したんですね。そのときに苦し紛れに出てきた数字であった、それは本当は比べちゃいけない数字で、わずか二十一分の差です。それをいかにもな形で、一般の人の方が長いんですと総理が言ったことで、つじつまを合わせなきゃいけなくなったんですよ。そっくりじゃないですか、今の事態と。それを自覚してくださいと言っています。

 実は、このときの裁量労働制データ問題について、なぜこんなことが起こったのかという、厚労省の監察チームが検証を行って、昨年七月十九日に報告書を出しています。見てください。これは三月下旬から始まったんですけれども、この時点で既に、今回の統計不正に比べると長い時間をかけています。それだけは確かです。

 でも、よく見てください、上の段。ヒアリングを行ったのは事務局である大臣官房です。局長、課長級四名、課長補佐級以下十三名。五月十八日にやっと第一回会合をやって、報告を受けて、実際に外部構成員がヒアリングを行ったのは、局長、課長級の五名のみです。

 根本大臣、御存じでしたか。これが厚労省の常套手段ですか。国会の追及をやり過ごすときは、有識者がやっているから、そう言い、実際は厚労省がレールを敷いている、そういうことじゃありませんか。

根本国務大臣 厚生労働省においては、検証すべき事案が判明した場合、迅速かつ中立的、客観的に事案に対処をする上で、まずは、実は常設の監察チームを置いています。そして、常設の監察チームのメンバーである官房課長や事務局である大臣官房の職員で基礎的な事実関係の把握を行って、外部の有識者に評価していただき、必要に応じヒアリングにも参画していただくという手法が通例なんですが、今回の毎月勤労統計調査に係る検証においては、まずは基礎的な事実関係の把握を速やかに行うため、監察チームによるヒアリングとして、人事課職員等による聞き取りをずっとやっておりましたが、今般の事案の重大性に鑑み、過去の経緯と原因について徹底的に解明するためには、調査の中立性、客観性を高めるとともに、統計に係る専門性も重視した体制とする必要があることから、民間有識者のみで構成する特別監察委員会を設置いたしました。

高橋(千)委員 どこに、このヒアリングに専門性を発揮するチャンスがありますか。たった五名のヒアリングしかやっていない。あとは報告を受けているだけじゃないですか。

 今回、特別監察委員会が、第三者委員会、成り立たない、なり得ないと指摘をされて、今追加の調査をやっているんでしょう。それ自体も問題ですけれども、根っこは同じなんですよ。去年から同じことをやっていた。ちゃんと認めてください。

根本国務大臣 前回の裁量労働制、この問題については監察チームがやっておりました。外部構成員によるヒアリング、五名やったんですけれども、今回の事案、これについては、もう既に私がお話ししたとおりに、調査の中立性、客観性を高めるとともに、統計に係る専門性も重視した体制、だから、その意味では、民間有識者のみで構成する特別監察委員会を今回設置をいたしました。一月二十二日に報告書を取りまとめた後、国会審議における御議論を踏まえ、中立性、客観性をより高めた形で、そしてより独立性を高めた形で、さらなる検証を行っております。

高橋(千)委員 これについては、裁量労働制の再度の法案提出のために、今いろいろな審議会をやっております。このような結果で先に進むことは許されません。やり直しすることを強く求めます。

 そこで、特別監察委員会の樋口委員長に伺いたいと思います。このような第三者とは言えない特別監察委員会のやり方をどう感じていらっしゃいますか。

 まだ、何一つ真相が解明されていません。なぜかというパネルをつくってみましたが、一つ一つ読むだけで時間がなくなっちゃうので、九六年から、三万三千二百事業所と言っておきながら、三万でいいよねと、ずっとそうやってきたんです。なぜ東京都だけ抽出で、かつ復元もしなかったのか。一つ一つ、何の答えも出ていません。

 今回の特別監察委員会の報告が組織的隠蔽とまでは言えないというのは、樋口委員長も了解した全体の総意なんでしょうか。

樋口参考人 本日は、独立行政法人労働政策研究・研修機構の理事長として招致されているというふうに認識しております。このため、ただいまの御質問につきましては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。恐縮です。

高橋(千)委員 非常に残念です。

 樋口先生は、二〇〇九年、新統計法の改正の全面施行時から、二〇一四年まで統計委員長を務めていらっしゃいました。どんな思いで、統計改革の先頭を切っていた方が、この今の事態を見ていられるのか。

 先生が、昨年、JILPT、労働政策研究・研修機構の理事長に任命されたときに、その任命理由にはこう書かれています。「樋口氏は、他の追随を許さない労働問題に係る識見、労働政策の展開に貢献してきた経験、労働経済研究の第一人者としての社会的地位、労使等からの厚い信頼を得ていることから、本機構の使命達成に向けて的確に対応いただけると判断したもの」とあります。

 毎月勤労統計は、まさにその、労使に中立であることが最も求められるとして築いてきた統計調査であるはずです。だからこそ、長年にわたって行われてきた不正は許せないものではありませんか。一言お願いします。

樋口参考人 先生が御指摘のとおりに、私、統計委員会の委員長を務めさせていただきました。

 そのときの思いも込め、そしてまた、今回、問題を明らかにする上ではどうしても統計の専門家の知識、情報といったものが必要であるというふうに考え、引き受けさせていただいた次第であります。

 実態を明らかにするという、そしてまた防止策を考えていく上では、まさに長年統計に携わってきた者の義務であり、そしてまた使命感からこの仕事を受けさせていただいたという次第でございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 その使命感が本当に傷つけられる結果になったんではないのか、それを本当に聞きたいと思います。

 委員長、改めて、荒井特別監察委員会の委員長代理、並びに樋口委員長を監察委員会の委員長として出席を求めます。

野田委員長 後刻、理事会にて協議をいたします。

高橋(千)委員 パネルを見てください。

 東京都の五百人以上の事業所は、実際は千三百八十三あるものの、六百六十二しか調査をしていませんでした。しかし、この調査というのは常用雇用労働者の数で見ますので、東京は百六十九万五千百一人もいるんですね、母集団。これは、ようやっと一月三十日の統計委員会に出された数字です。それが半分の八十二万しか調べていないわけですから、東京都のデータの影響がいかに大きいかですよね。

 ひょっとして、ちゃんと計画どおりの調査をしていたら、朝から議論しているように、官邸や麻生大臣から、なぜサンプルをかえるたびに以前の統計をさかのぼって低くなるんだ、おかしい、そんなことを言われなかったかもしれないんです。全数調査ですから、サンプルが大きいんですから、本来はそうだったかもしれない。

 大きな声に押されて調査方法を変えたどさくさに、長年隠されていた不正データも同時に修正する、その形で紛れ込ませたのではありませんか。これが一つです。

 一緒に答えてください。

 それから、これは一月三十日の統計委員会に出された資料なんですが、全数調査という場合は、これ、一という数字があります。一分の一なんです。本当は全部一じゃなきゃいけない。ところが、東京都だけ違うんだけれども、その数字が三だったり二だったり、さまざまあるんですね。しかも、年度によって変わったりしている。非常にややこしい。こういう複雑なやり方をして、今回の全数調査ですということを、ずっと隠してきた。

 大西前統括官、あなたはどこまでわかっていたのか。酒光元統括官にも同じ質問をします。

大西参考人 お答え申し上げます。

 記憶によりますれば、十二月十三日に、担当室長から、五百人以上規模の事業所で全数調査すべきところを、東京都において抽出調査をしていた等の説明を受け、初めて知ったところでございます。

 今御質問にございました東京都の抽出率の関係でございます。これにつきましては、本件の事実関係を調べている過程で担当室の職員から提示をされた、そういう記憶がございます。ただ、それ以上の過去の経緯等につきましては、説明を受けた記憶もございませんで、申しわけございませんが、その辺の経緯については承知しておらなかったということでございます。

酒光参考人 お答えいたします。

 東京都の五百人以上で全数調査であるところが、全数でなかった、抽出であったということにつきましては、先ほどもちょっと別の方の答弁で申し上げましたけれども、聞いていたところなんですけれども、特に経緯等について詳しく聞いたということではありませんけれども、東京都は五百人以上の事業所の母集団もかなり多いので、そういうことも精度とか十分に検証した上でやっているんだったらあり得るのかなというふうには思っておりました。

 ただ、その経緯等は聞かなかったので、どうしてそういうことを始めたのかについては承知をしておりません。ですから、それをまた何か毎回変えていたというふうな事実についても承知をしておりませんでした。

 それからもう一つ、四百九十九人以下においても、全国……(高橋(千)委員「まだ聞いていない」と呼ぶ)失礼しました。

高橋(千)委員 ちょっと今、酒光さんが先走ってしまったので、答えたいのでしょうから、聞いていきたいと思います。

 五百人未満の事業所についても、これは違っていたということが書かれてあるわけなんですね。

 これ、マーキングしましたけれども、全国と東京都が違う部分なんです。これは、横で見て、産業が同じであれば同じ抽出率でなければならない。そして、復元するときも当然同じなんです。

 ところが、それぞれ違うでしょう。八に対して四とか、二四に対して四とか、違う。ところが、復元するときは一律の復元にしちゃった。そうすると、めちゃくちゃな数字が出ませんか。

 誰が何のためにこんなことをしたのか。しかも、これは単なる漫然とではいかないと思うんです。毎回、だって数字を細かい計算のもとに、先ほどおっしゃいましたよね、あり得ると。これは、あり得るという一定の技術的な計算をしているんですよ。なのに、何で復元するときはごちゃごちゃの数字になっちゃった。これはどういうことですか。

酒光参考人 資料を一ページちょっと間違えて見てしまいましたので、申しわけございませんでした。

 四百九十九人以下の事業所について、全国一律の抽出率じゃなくて東京都だけ独自の抽出率を設けたということにつきましては、私、在任中には把握しておりませんでしたので、経緯ですとかその理由もよくわかりません。

 また、当然ながら、復元していた、しなかったということも存じておりませんでしたので、またその理由についてもわからないということでございます。申しわけございません。(発言する者あり)

高橋(千)委員 今、誰を呼んだらいいという声がありましたので、当時の関係者を全部招致してくれないと、とても話がわかりません。お願いします。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

高橋(千)委員 私は、今度のことで思ったのは、これはとてもじゃないが、組織的にやらないと、単に一人の人がずっと長い間この計算をしていたなんて、それを、漫然と、はい、わかりましたと引継ぎなんてできませんよ。絶対できない。

 根本大臣、この事の重大性、わかっていますか。知っていましたか。

根本国務大臣 この事実については、特別監察委員会で、具体的な事実関係あるいは関係職員の動機、目的、認識、そして責任の所在を明らかにする報告書、これを一月二十二日におまとめいただきました。

 私は、その報告書の中身を読んで、今、高橋委員が御指摘されているようなことは、あの報告書に書いてありますから、私はそれを読ませていただいて、事実関係を把握させていただきました。

高橋(千)委員 それは、悪いけれども、自慢するところじゃないんですよね。一月二十二日にわかったというのは、それは、まずいでしょう。

 十番目の資料を見てください。

 昨年の十二月十四日に、総務省から厚労省の参事官宛てに、「毎月勤労統計調査の実施に係る経緯等の報告及び注意喚起について」という通知が出されているんですよ。これも報告書に書いてありますよ。だけれども、十二月十四日なんですよ。順次報告しなさいと書いてあります。これは、統計法違反が疑われているという意味なんですよ。これを全く知らずに、一月二十二日の報告書を見て初めて知りましたと。

 これは本当に、大臣、教えてもらえなかった、それで済まない問題なんですよ。大臣の資格が問われる問題、わかりますか。

根本国務大臣 ちょっと私、誤解したかもしれませんが、高橋委員が先ほど、東京都で抽出率、違うでしょう、そしてそれを、全国の抽出率、復元倍率も違っていましたねと。そのことについて、報告書でそこは事実解明をしていただきましたから、そこは私は報告書ということを申し上げました。

 そして、この事実関係については、今般の事案について私が報告を受けたのは十二月二十日。そして、そのときには、五百人以上規模の事業所において全数調査とすべきところ、東京都において抽出調査を行ってきたこと、抽出調査の結果に必要な統計的処理を加えず、適切な復元処理を行わずに集計していたこと、ですから、私からは、経緯、原因等について速やかに徹底的な調査を行うよう指示をいたしました。

高橋(千)委員 だから、こんなに手の込んだことをやっていたということを知らなかったでしょうと聞いたんです。

 それで、確認します。

 十二月十四日の通知、これは大西前統括官に聞きます。大臣に報告していませんね。確認です。

大西参考人 お答えいたします。

 十二月十四日の文書につきましては、私どもの参事官宛てに文書を受領したことについて、その日の夜に報告を受けた記憶があります。

 いずれにいたしましても、今回の事案の事実関係、経緯等について早急な調査が必要であるということについては認識しておったところでございます。

 また、大臣には、二十日に一報したというところでございます。

高橋(千)委員 一報ということは、通知の中身を伝えていないという意味なんです。そう聞いたんです、私。

 ここに、やはり、厚労大臣の危機管理のなさ、危機意識のなさがあると思います。昨年も同じような問題があった。秋には水増し問題があった。そのたびに、有識者に任せています、本当は全部お手盛りだったのに。それを追認してきた、そこに大臣の資質が問われる、ここを言っておきたいと思います。

 政治の関与があったのか、これはまだクエスチョンマークです。そのキーマンである姉崎元統計情報部長が出席されていないんです。毎月勤労統計改善の検討会の主催者であります。

 検討会が始まった二〇一五年の三月三十一日に中江元首相秘書官が厚労省に説明を求めたこと、十月十六日の経済財政諮問会議の麻生大臣の発言を得て、その検討会が中断し、調査の手法が大幅に変更になったこと、これは認めている事実だと思います。

 第一回の検討会は二〇一五年六月三日です。資料の十一を見てください。六月三日、その日の朝刊、読売新聞です。「経済好循環へ節目 実質賃金四月〇・一%増 二年ぶりプラス」。

 わずか〇・一%でも、二年ぶりだ、やっと上がったと喜んで一斉に報道するくらい、特に実質賃金に関心が強まっていますと、姉崎部長は検討会を始める趣旨をこう説明したんです。アベノミクスの成果が問われる中で、これだけ、〇・一%、二年ぶりが、関心を持っているんだ、そう言って始まったんです。

 ところが、次の資料、これは六月十八日に出された確報です。残念ながら、〇・一%増がマイナス〇・一%に転じてしまいます。ずっとマイナスになってしまいました。

 総理が国会で毎月勤労統計の調査手法について認識をしたのは、既にお答えがあったとおり、二〇一五年の九月三日、参議院の厚労委員会、小池晃議員の質問に対してです。

 派遣法の質問でしたので、小池さんは、一人当たりの給与が伸びない最大の要因は非正規雇用の拡大であることを認めますかと聞いたのに対し、総理は、名目賃金は二%を超える賃上げだと述べた後、実質賃金におきましても、四月、五月とゼロ近傍まで改善、今のデータです、そう言った後に、確かに、六月には名目、実質ともにマイナスですが、これは本年一月に行った調査対象事業所の入れかえもありまして云々と。

 この答弁で、サンプルの入れかえが賃金のプラマイに大きくはねるということを認識された、そこを確認したい。しかも、それがとても気になっていたのは、三月の中江秘書官の説明を受けてからでしょうか。お願いします。

野田委員長 質問の時間が終了していますので、簡潔にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 今回明らかとなった事案は、二〇一五年のサンプル入れかえの影響とは全く関係がないということは申し上げておきたいと思いますが、昨年の十二月の二十八日の報告は、全数調査が一部抽出調査だったことなど、事案の概要と考えられる影響についてであり、私としては、その見きわめが必要と判断して、しっかりと事案を精査するように指示をしたところであります。

 なお、委員が言及された毎勤統計の検討会の、失礼いたしました、当時の秘書官から検討会に関する報告を受けておらず、厚生労働省でそうした検討が行われていたということ自体は、最近になってこの問題が取り上げられるようになって初めて知ったところでございます。

 そこで……

野田委員長 総理、質問時間が終了しております。

安倍内閣総理大臣 はい。申しわけない、済みません。

 それで、平成二十七年九月三日に賃金について国会で御質問を受け、その答弁を準備する際に、その年の六月の賃金の伸びについて、調査対象事業所の入れかえの影響があった旨の説明を受けましたが、その際も、六月以外のデータについては特段の説明も受けておらず、私から何らかの指示をしたということはないということは申し上げておきたいと思います。

高橋(千)委員 終わります。ぜひ続きをお願いします。

野田委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長小野瀬厚さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 次に、浦野靖人さん。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 冒頭、通告とかそういうのはしていないんですけれども、きょうも骨髄バンクのドナーの話もありました。ネットとかでは、池江さんの話が政争の具にされているんじゃないかみたいな声も少しばかりありまして、そうであるならばそれは残念な話ですし、私は、個人個人が一体どういうことができるのかというのを考えてやればいいと思っています。

 例えば、骨髄バンクに登録をされている方というのはどれぐらいいらっしゃいますかね、この場に。年齢的なこともあって登録できない人もいてますし、条件がいろいろありますので、全員が全員できるわけじゃないんですけれども、皆さん、されていますか。されていませんか。年齢制限があるので、できない人もたくさんいるんですけれども。実は、今ざっと見たらほとんどされていないような雰囲気だったので、せめてしましょうね。僕もしていますけれども、何年も前に。それは、できる人は全員していただけたら一番いいんじゃないかな、国会議員がまず協力したらいいんじゃないかなというふうに思いますので、一言だけ申し上げておきます。

 きょうは、統計について質問をまずさせていただきます。

 今、もちろん、きょうもずっとこの問題が取り上げられております。これは本当に重要な問題で、私も、今まで委員会の質疑の中で、統計というかデータはやはりきちっと政府がとっていただかないと、我々はそれをもとにしていろいろな政策議論をしていくんだ、その数字が間違っていたらやはりそれができなくなるということは、ずっと今までも言わせていただいてきました。

 現在も、統計調査、毎月勤労統計なんかは今でもちゃんと行われているはずなんですけれども、問題なく実施されているという前提だと思うんですけれども、これは誰がちゃんと実施されているかということを確認していますか、今。

石田国務大臣 日本は分散型でございまして、総務省の統計委員会が司令塔的役割を果たしておりますけれども、それぞれの統計については、各省で責任を持って対応することになっております。

浦野委員 これは統計委員長も、西村さんもおっしゃっていたと思うんですけれども、基本的に性善説にのっとって統計のデータを集めているわけですよね。それが結局、今回、今、そのデータが信用できるかどうか、その統計が信用できるかどうかという話で、私たちは、じゃ、何をもってこのデータを信用していいのか、今でもその信用の裏づけが実ははっきりとないわけなんですよね。

 私たちが、じゃ、今とっていっている統計データを何を根拠に信用していいのかという問いに対しては、お答えすることができますか。

石田国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、もう一度申し上げますと、我が国の統計は、各府省が所管行政に関する統計作成を担い、同時に、各府省から独立した第三者機関として統計委員会が設置され、統計整備の司令塔として、中立公正かつ専門的な見地から、各府省が行う統計調査についてチェック機能となっているということでございます。

 そして、昨年の統計法改正では、このような統計委員会の機能を強化するため、総務大臣の諮問によることなく自律的、機動的に意見を述べること、いわゆる建議ができるようにするなど所要の規定が整備されたところでありまして、今、これについて、しっかり機能を活用できるように取り組んでいるところであります。

浦野委員 結局、どうやってその信頼性を、まあ、信頼はもう今失われた、まず一回失われてしまったわけですよね。きょう、公明党の岡本委員もおっしゃっていましたけれども、やはり、一度失った信頼を取り戻すというのは本当に大変なんですよね。

 そこで、私たち日本維新の会は、第三者機関による統計調査を検討したらどうか、イギリス型の統計をするべきじゃないかという提案もさせていただいています。要は、外形的公平性をしっかりと担保できる制度をやはり構築しないと、例えば、先ほどの高橋委員の指摘もありましたけれども、内部でやっている、それを外部でやっている、こういう議論も、しっかりと第三者機関が最初からやっておけば何の問題もなかったわけですよね。

 やはりそこは、はたから見て、しっかりと、独立した第三者機関が統計の調査をしている、統計のデータをとって公表しているということが国民にとっては大事なわけで、我々もそれにのっとっていろいろな政策をつくっていくというのが、これは信頼を回復する第一歩じゃないかというふうに思っております。

 我々の党のヒアリングでも、統計データの原票は残っていないのか、先ほど一番初めのパネルであった、ざあっと抜けている部分ですよね、原票は残っていないのかと聞いたら、僕らが聞いた時点では、今ちょっと捜していますと言っていました。先ほど高橋さんにも聞いたら、今でも捜していると言っていると。多分、一生捜すんやろなという話をしているんですけれども。

 その数年前の原票すら残っていないというのは、僕はちょっと考えられへんなと思っているんです。そういう原票すらなくなってしまうようなことでは、こういう統計データを何かあったときに再度調べるということもできないですし、これはきっちりとやっていただきたいと思うんですね。

 第三者機関による統計調査というのを私は検討すべきだと思いますけれども、いかがですか。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 先ほど山本幸三議員にもお答えをさせていただきましたけれども、今、毎月勤労統計については厚生労働省の特別監察委員会で調査が行われており、また、賃金構造基本統計については総務省の行政評価局が調査を行うこととされているところでございまして、統計委員会におきましても、今般の統計をめぐる問題を受けまして設置されました点検検証部会において、基幹統計及び一般統計調査について、再発防止や統計の品質向上といった観点から徹底した検証を行うことといたしておりまして、こうしたそれぞれの検証の、あるいは調査の結果を踏まえて、今後の統計全体を考えていく中で、総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。

浦野委員 そういう答弁になるだろうなとは思うんですけれども。

 総理、第三者機関による統計調査というのは、私はここまで来た以上必要だと思っているんですけれども、総理は、当然、総務大臣の答弁以上のことは答弁はされないとは思いますけれども、本当にそれでいいのかという疑問は、私は持っています。総理も、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 ただいま総務大臣が答弁したとおりでございますが、いずれにせよ、統計というのは政策を遂行していく上において基盤となるものでありますから、正しい統計をしっかりと、品質を確保していく、また、今般の事案が二度と起きないような再発防止に取り組んでいくことは当然のことであろう、このように考えております。

浦野委員 これまでのことも大事ですし、今、行われている統計、これからのことも大事ですし、これはしっかりと信頼回復に向けてやっていっていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 次に、私も虐待問題について質問をさせていただきます。

 虐待については、私、もう当選以来、さまざまな場面で質問を重ねさせていただいてまいりました。これまでも、予算委員会においても質問をさせていただいてきましたし、厚生労働委員会等でもさせていただきました。

 私、前の通常国会で、実は、自分が今まで虐待関連の質問をどれぐらいしてきたかというのを一度調べて、それがどういうふうに今対応されているかという質問をしたんですね。

 予算委員会においては、私、平成二十六年の二月十三日、だから、ちょうど五年、約五年前ですね、虐待について質問を総理と当時の田村厚生労働大臣にさせていただいています。その内容は児童相談員の拡充でした。それと児童虐待の通知番号の三桁化を実は総理にお願いをしたときの質問が、ちょうど五年前だったんですね。そのとき、当時、田村大臣も本当に前向きな答弁をしていただきましたし、総理も三桁化について検討するという答弁を、総理のあの答弁があったからこそ、今、一八九の三桁番号は決まっているわけです。私は、だから、政治が決めればしっかりとそういったことも前に進むんだというのを改めてそのときに実感したわけです。

 その後、予算委員会では、平成二十八年の二月十五日、ちょうど同じぐらいの時期に質問させていただいているんですけれども、そのときは、私は警察の積極的な介入についての質問を総理にさせていただいています。

 いろいろな検討が今なされている段階ですが、実は、ずっと検討がなされているんですね。私、ずっとずっと、何年もかけていろいろな虐待の質問をさせていただいていますけれども、今言われていることとその当時から質問していることはほとんど変わっていないんですよ。

 例えば、平成二十六年の六月には、自治体間の情報共有についての質問をしています。同じくその年の十月十五日は、虐待通知番号一八九の無料化についての質問です。二十八年の三月には、里親の育児休業、これは虐待を受けた子供が里親などに預けられるときの育児休業とかそういうものですね。二十八年の五月十八日も、中核市への児童相談所の必置義務と努力義務について、これは改正するときの議論だったと思います。そのとき、弁護士の二十四時間配置についても質問しています。五月十八日は、さらに、最後に警察の積極的な介入についてもまた私は要望をしています。

 今議論されていることで、真新しいことというのは実はほとんどないんですね。ずっと言われ続けてきたことが、今まで、児童相談員、人員は、いろいろな本当にひどい事案も多発して、政府も人数をふやしてきていただいています。でも、やはり人をふやすというのはなかなか難しいからこそ、早く対応していただかないといけないということで、ずっと言ってきました。

 私は今までの、真新しい対策、もちろんそれはあるとは思います、あるとは思いますけれども、今まで指摘されてきたことを確実にしっかりと実行していくべきだという考えなんですけれども、御意見、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 浦野議員が児童虐待の問題についてずっと長年にわたって取り組んでおられることに敬意を表したいと思いますし、この予算委員会の場においても非常に建設的な御意見をいただき、ともに虐待防止について考えていただいていることに感謝申し上げたいと思います。

 昨年の三月に五歳の女の子の結愛ちゃんが児童虐待で亡くなったことを受けまして、児童虐待の防止について政府一体となって取り組むため、昨年七月に緊急総合対策を取りまとめたにもかかわらず、今回の事案が繰り返されたことはまことに残念であります。政府として深刻に受けとめており、八日に関係閣僚会議を開催し、新たな対応を指示いたしました。

 その中で、現在三千名の児童福祉司を来年度に一気に一千名増員をいたします。そして、二〇二二年度には五千名体制、三千名から五千名体制といたします。児童心理司を八百名増員すること、また、全ての児童相談所に保健師を配置することなどを内容とする児童相談所の体制の抜本的強化などを直ちに実行するよう、厚生労働大臣を始め、各府省に指示を出したところでございます。

 また、先ほど例として挙げておりました一八九でございますが、委員からも三桁かつ無料ということで、政府もそれに対応してきたところでございますが、まだまだ普及が十分でないということも鑑み、政府としてもしっかりと普及していきたい。この一八九は、いち早くということでございまして、もしそういう兆候を感じたら、直ちに、とにかく電話をしていただきたい、こう思っております。

 それと、また警察におきましては、一一〇番通報や児童相談所等の関係機関からの情報提供を受け、関係機関と連携しながら、児童の安全の確保、保護等を行うとともに、事案の危険性、緊急性を踏まえ、事件化すべき事案については厳正な捜査を行っているものと承知をしております。また、児童相談所からの援助要請に基づき、児童相談所職員等による児童の安全確認、一時保護、立入調査等に警察官が同行して、児童の安全の確保、被害児童の保護に努めていくものと承知をしているところでございます。

 今回の事案を受けまして、八日に関係閣僚会議を開催したところであります。私から、保護者による威圧的な要求や暴力の行使等が予想される場合において、警察が学校等の関係機関と共同で対処していくことを指示しているところでございます。

 今後とも、子供の命を守ることを最優先に、全力で取り組んでまいります。

浦野委員 ありがとうございます。

 児童相談所の機能の強化をするのは、やはり人の手当てだと思うんですね、一つは。これは児童相談所に限らず、例えば保育現場もそうですし、介護現場でもそうです。もちろん、教育現場もそうだと思います。やはり人の手当てがあって初めて現場の総合力が上がる、これはもう間違いないと思っていますので、ここはぜひ、世界基準で見れば人口当たりの人数が、この増員を達成したとしてもまだまだ少ないというのが現状ですので、たゆまぬ努力をしていただけたらと思います。

 それと、やはり私はもう警察の介入を、これは、どっちかというと警察の方が民事に積極的に介入するということをなるべくしないようにしているという立場がある。お話をしていたら、そういう形になっているというのは、それはもう当然そうだと思うんですけれども、事児童虐待に限って言えば、今までの質問の中でも言わせていただいていますけれども、現場が判断に迷っている間に幼い命が失われる、こういうことがやはり起こるわけです。ですから、私は、そうならないように、まずは警察というか、制服警官がやはり介入をする。

 児童相談員が普通の児童相談員の身分を示すようなものを持っていっても、言うことを聞いてくれない、しかし、制服警官が一緒に行って、制服警官がいるだけで話がしっかりとできる、対応してくれる、本当にそういった場面は多々あるというふうに、児童相談員、私の地元の方々もやはり言っています。

 私は、やはり、もうちょっと積極的に警察がかかわる、バックアップという形ではなくて、第一線、前面に立って警察が対応していく時代がもう来ているんじゃないかなということを考えざるを得ないなと思っていますので、ぜひここは、そうなるように検討をしていただけたらなと思います。

 この検討の部分については、警察関係は、よろしいですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、いわば保護者が威圧的な態度をとる場合には、警察も含めて共同対処をしていくということもございますし、実際、児童相談所から援助要請があれば、職員とともに、安全確認等についてはまさに警察官がともに、制服かどうかというのは私も今直ちにわかりませんが、制服の場合もあるんだろうと思いますが、一緒にそこに安全確認に行くということで児童の安全を確保する、被害児童の保護に努めているものと承知をしております。

 三重県に視察に行った際、三重県においては、幾つかの児童相談所があって、拠点になる児童相談所には警察官が配置されている、管理するセンターですかね、拠点となるところ。あるいはまた、児相には警察OB等が配置をされているというお話を聞き、常に連携をとっている。

 ただ、児童相談所の皆さんは、両親ともある種の意思の疎通、信頼関係も構築をしなきゃいけないという観点から、警察にすぐに連絡するということをちゅうちょする場合もありますが、しかし、子供の命を守ることを最優先にとにかく取り組んでいくという方針で、これは意思をまさに統一をしていきたい、こう考えているところでございます。

浦野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次の質問は、週末に報道があったので、きょうはちょっと朝からお願いをして来ていただきました。

 法務大臣、共同親権について、ネットの配信で、共同親権について検討をされることになったという記事があったので、ちょっとそれについて聞きたいなというふうに思っています。

山下国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の報道、承知しておりますが、若干、共同親権の問題と、あと面会交流の問題、これを整理してお答えする必要があるんだろうというふうに思っております。

 まず、離婚後の共同親権制度について、離婚後も父母がともに共同親権者となるという離婚後の共同親権制度の導入に関しましては、離婚に至った夫婦の間では、往々にして、感情的な対立のため、合意に至って子供の養育監護に必要な合意が適時に得られないなど、子供の利益に反する事態が生ずるおそれがございます。さらに、例えばDV被害防止等の観点などから、国民の間にも共同親権の導入にもさまざまな意見があるということで、慎重に検討する必要があるというふうに認識しているところでございます。

 他方で、面会交流に関しましては、たとえ父母が離婚した後であっても、子供にとって親であることには変わりがないということで、両親が面会交流を始めとして適切な形で子の養育にかかわることは、子の利益の観点から非常に重要であるというふうに考えております。

 ということで、そうした問題、これらを整理しながら、国会を始め超党派の議員連盟など、さまざまなところで検討がなされているというふうに承知しておりますので、それらの議論の状況を踏まえながら、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

浦野委員 まず、共同親権も、児童虐待と切っても切れない関係があります。

 例えば、実際にあった話ですけれども、親権は片方にしかありませんので、例えば子供の運動会がありますよね。子供の運動会に、そのときはお母さんが親権者で、お父さんは親権を持っていない。お母さんが、お父さんに運動会に来てもらいたくないと学校に言いました。そうしたら、学校は、もうそのお父さんを入れない、運動会に来させないんですね。

 僕は、それは違うだろうと思うんです。やはり、離婚をしたとはいえ、その子の実の父親はその人なわけであって、その人が子供の運動会を、ふだん見られない子供のそういう生活を見たいと言っても、片方の親が、親権を持っている親が拒否をすれば見られなくなってしまう。

 例えば、これも実際の話でしたけれども、母親、親権を持っている方が、もちろんいろいろあって離婚するわけですから、相手に対するばり雑言を並べる、そして子供にもそれを吹き込む、そして子供はその人が悪いと思い込む。そういうふうにされて、事実ではない、例えば、暴力を振るわれたとか、全然子育てに興味を持ってくれへんかったとか、そういったことを平気でうそをつかれたりとか。

 実際、父親はそうじゃないんですよ。父親は子育ても一生懸命やっていたし、暴力も振るったことがない。それでも、やはり片っ方にしか親権がなくて、そういったことをわあっと裁判所で言われると、例えばそのお父さんはもう子供に接見すらできなくなってしまう。そういう処分を一方的にされたり、こういったことが起こっているわけですね。

 私は、そうじゃなくて、これは、日本は何か知らぬけれども親の子供に対する権利というふうにとられがちなんですけれども、いや、そうじゃないでしょうと。やはり子供を監護養育するというのが、その義務が、別れようが何しようがその子供の人生に責任を持たないといけないというのが親権なわけで、そこは何かちょっとはき違えている部分が日本には多々あるんじゃないかというふうに思っています。

 これは、ぜひ共同親権、もちろん、片親親権、共同親権、両方の制度に一長一短ありますから、そこはしっかりと議論をしていただいて、できるだけ共同親権を考えていただけたらと思っております。

 虐待のことは、我々も超党派の議連とかでいろいろな勉強会を開いて、検討して、いろいろな、まあ、私はちょっと予算委員会もあって参加できませんでしたけれども、根本大臣に申入れにも行かせていただいたりしています。

 田村大臣に始まって、その後、塩崎さん、塩崎さんが今一生懸命その議連をやっていただいているんですけれども、その後の加藤大臣も、本当にいつもしっかりと対応してくれていると思います。それでもなくならない児童虐待を何とかなくしていきたいと思っていますので、ぜひよろしくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

野田委員長 これにて浦野さんの質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後五時四分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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