衆議院

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第9号 令和4年2月3日(木曜日)

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令和四年二月三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      井上 貴博君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      後藤田正純君    下村 博文君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      平沢 勝栄君    藤丸  敏君

      古川  康君    古屋 圭司君

      宮崎 政久君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    江田 憲司君

      落合 貴之君    城井  崇君

      源馬謙太郎君    近藤 和也君

      階   猛君    中島 克仁君

      馬場 雄基君    道下 大樹君

      足立 康史君    一谷勇一郎君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      中川 宏昌君    田中  健君

      前原 誠司君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    吉良 州司君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   環境大臣         山口  壯君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (防災担当)       二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   国務大臣         若宮 健嗣君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   財務副大臣        岡本 三成君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  宮崎 敦文君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  真一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   笹川  武君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    宇山 秀樹君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            真先 正人君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月三日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     井上 貴博君

  加藤 勝信君     古川  康君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  北村 誠吾君     藤丸  敏君

  江田 憲司君     中島 克仁君

  長妻  昭君     馬場 雄基君

  足立 康史君     一谷勇一郎君

  前原 誠司君     田中  健君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     岩屋  毅君

  藤丸  敏君     北村 誠吾君

  古川  康君     加藤 勝信君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  中島 克仁君     江田 憲司君

  馬場 雄基君     長妻  昭君

  一谷勇一郎君     足立 康史君

  田中  健君     前原 誠司君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官宮崎敦文君、内閣府政策統括官榊真一君、内閣府政策統括官笹川武君、外務省欧州局長宇山秀樹君、文部科学省研究開発局長真先正人君、厚生労働省医政局長伊原和人君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省雇用環境・均等局長山田雅彦君、厚生労働省子ども家庭局長橋本泰宏君、厚生労働省老健局長土生栄二君、農林水産省農産局長平形雄策君、環境省環境再生・資源循環局長室石泰弘君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長宮川尚博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川香織君。

石川(香)委員 おはようございます。石川香織です。

 今日は、三十五分いただきまして質問させていただきますので、大臣の皆様もよろしくお願いいたします。

 今日は、コロナ禍の中でそれぞれの現場の皆さんが困ったと思っていることをちょっとお伺いをしていきたいと思っております。

 今、検査キットが足りないということで、もっともっと増産をということも連日予算委員会で取り上げられております。

 感染拡大を受けまして、気軽に検査ができるようになった、自治体ですとか学校の現場、御家庭でもこの検査キットで陽性かどうかチェックするという体制が取れたということでありますが、使うことには慣れてきたんですが、果たしてどうやって捨てていたかと考えると、ちょっと正しい捨て方をしていたかどうか自信がない方もいらっしゃるかもしれません。

 令和二年の四月に、この頃はコロナ禍で家庭用のごみが非常に増えたという時期でありましたけれども、「新型コロナウイルスなどの感染症対策のためのご家庭でのごみの捨て方」というチラシを環境省は作っていまして、ごみ袋をしっかり縛って封をしましょうなどの基本的なルールとか、それから使用済みのマスクをこうやって捨てますよということも記載されています。

 一方、ごみを収集する方々に向けての、小まめに消毒をしてくださいねとか、こういった感染リスクを少なくするための手引はあるんですが、ただ、検査キットに関してはいまだに特に言及がないということで、まず、この検査キットはどのように捨てればいいのかということをお伺いをしたいと思います。

山口国務大臣 今、石川委員おっしゃるとおり、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って抗原検査キットの活用事例も増えてきているというふうに環境省としても認識しています。

 抗原検査キットについては、感染防止対策を講じた上で適正に処理される必要があるというのはもう本当におっしゃるとおりで、このため、さっきおっしゃられたように、ごみ袋に入れてしっかり縛って封をするなどの適切な廃棄方法について、厚生労働省と連携して、薬局においてキットを販売するに当たっての留意事項の中で自治体を通じて注意喚起をしているところではあります。

 加えて、現場で収集作業に当たられる作業員の皆さんの感染防止の観点から、作業前、作業中、休憩中、作業後の各段階における対策をチラシにまとめて自治体等への周知も行っています。

 今おっしゃられる問題意識は共有していますので、引き続き、円滑な処理がなされるよう、自治体を通じた国民への周知を徹底してまいります。

石川(香)委員 元々、このごみの処理というのは各自治体が定めているルールもありまして、かつ、今、環境省が厚労省と連携をしてある程度ガイドラインを示しているということだったんですが、問題なのは、この簡易検査キットの中にアジ化ナトリウムという成分が入っているものがありまして、このアジ化ナトリウムというものは、特定管理廃棄物という扱いになるそうです。

 このアジ化ナトリウムは、発火をしたり、爆発性の高い金属アジドという成分を生成することもあるそうで、本来は大量の水と一緒に廃棄しなければならないものなんだそうですけれども、最近は家庭の一般ごみにもこれが捨てられているのが見受けられると。ごみ収集の現場の方々も、薬品の成分が入っているのに一般ごみとして捨てられているのはいかがなものか、これは危険じゃないかといった疑問の声も寄せられておりまして、また、一般市民の方からも自治体にどうなっているんだという問合せが来る。困った自治体は製造メーカーに聞いたんですが、各自治体によって処理方法が違うので自治体で判断してくださいといったように回答されてしまって、結局また自治体に返ってきてしまう。

 自治体に周知をされているということも今大臣はおっしゃっておりましたけれども、全ての検査キットにアジ化ナトリウムが入っているわけではありませんが、ただ、もちろん説明書にも大量の水で廃棄してくださいということも書いてありますが、果たしてどれぐらいの方が読んで実践しているのかということが問題なのかなと思います。

 加えて、今、幼稚園ですとか大学でも今までで百二十五万回の検査キットを配付をしているということですので、文科省からも、それぞれの説明書に沿って処分をしてくださいということで、個人任せというような状態になっています。

 改めて、このアジ化ナトリウムの成分が入った検査キットを使用する際には、正しい捨て方も併せて自治体にもう一度周知をしていただく、そして自治体が住民に更に周知をしていただく、これがやはり今必要なんじゃないかなと思います。もちろん環境の配慮も含めてですけれども、是非、この正しい処分の仕方、自治体が困らないように周知の徹底の指示をお願いをしたいんですが、環境大臣、いかがでしょうか。

山口国務大臣 自治体に周知徹底、そしてまた、自治体からそれぞれの方々、薬局あるいは住民の方々に周知徹底されるかどうかという問題意識、私も、あるいは環境省も共有しているところです。改めてその趣旨が徹底されるように、きちっと対応していきたいと思います。

石川(香)委員 自治体も大変困っていますので、改めてきちんと指示をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 どんどん検査できる体制づくり、それぞれの立場で奔走していただいているからこそ、きちんと処理の仕方もセットでやはり発信をしていかなきゃいけないと思います。今、濃厚接触者の方々も増えて、自宅療養の方々も日に日に増えていらっしゃるという中で、今後もごみが全体的に増える可能性がある。当然、検査キットのごみも増えてくるということもありますので、ここを私たちも一層気をつけていくべきだなと思っています。

 ごみ収集は、二〇二〇年の緊急事態宣言下であっても、先日、東京都心で非常に大雪もありましたけれども、一日も休まず私たちのごみを収集してくださっている。そういう危険を顧みずに仕事をしてくださっているということも、もう一度しっかり私たちも心に留めながら、ごみ収集の現場の方々を守るためにも、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 環境大臣、これで退室していただいて結構です。ありがとうございます。

 ごみ収集の方々もそうなんですが、やはり、こういうコロナ禍でエッセンシャルワーカーの方々の存在の大切さというものに改めて気づかされるわけであります。ただ、今、このエッセンシャルワーカーの皆さんに限らずですけれども、御家族の、例えばお子さんだったり、家庭内で感染が広がっていくというような状況で、社会活動がストップしてしまうのではないかという瀬戸際まで今来ているということですが、そこで期待されるのが、五歳から十一歳までのワクチンであります。

 ワクチンを希望する方に、当然、子供ですから付添いをしなきゃいけない。打った後の副反応で当然子供が休むということもあり得るということで、こうなったときの親の休みの扱いはどうなるのかということについて、厚労大臣にもお伺いしていきたいと思います。

 まず、就業前の子供がいる家庭では、元々、子の看護休暇というものがありまして、予防接種の際に休まざるを得なかった親に年に五日の休みが認められているという制度があります。これはもちろんコロナワクチンの際にも認められます。一方、小学生以上のお子さんがいる御家庭では、小学校とか保育所が臨時休業をしたり子供が感染した際に、小学校休業等対応助成金を申請することができるということで、これは三月の末までの延長になりました。

 この対象になる子供なんですが、コロナの対応として臨時休業した小学校や保育所などに通う子供、それから感染した子供、それからもう一つ、小学校などを休む必要がある子供となっています。まず、この小学校などを休む必要がある子供とはどんなお子さんを示すのかということについて、厚労大臣、お願いいたします。

後藤国務大臣 小学校の臨時休業等により仕事を休まざるを得なくなった保護者を支援するために、今委員御指摘の小学校休業等対応助成金がございますけれども、新型コロナウイルス感染症に関する対応として、臨時休業その他これに準ずる措置を講じた小学校に通う子供、新型コロナウイルスに感染した、又は、風邪症状があるなど、新型コロナウイルスに感染したおそれのある小学校等に通う子供の世話を行うことが必要となった保護者を対象として、事業主に支給しているということでございます。

石川(香)委員 今言っていただいた条件に合致するお子さんが対象なんですが、ほかに、個別案件などはその都度判断をされているということで、今、国も、五歳から十一歳のワクチンについて、まだまだ議論されているところは多いわけですが、方針として打ちたい人は打ってほしいというような方向がある中で、やはり、子供のワクチンですから、当然親もセットで考えなきゃいけないというところがありますので、これは、親にとっては、どうなるのかというのは非常に大きなところだと思います。

 はっきり、子供のワクチンの付添い、それから副反応で熱が出たときといったような文言が入っておりませんが、是非、これは該当させていただくことが、やはりワクチンを受けるかどうかの大きな判断基準になるのではないかと思うんですが、今までの厚労省とのやり取りの中では、ワクチンの付添いであったり副反応で熱が出たときの休業というのはちょっと微妙なところだという答えが多かったんですが、是非、これも含めて検討していただけないでしょうか。

後藤国務大臣 今御指摘のあった小児のコロナワクチン接種時の付添い、それからワクチンによる副反応時に子供の看護をする場合の休み、これについては、小学校の臨時休校に準ずるものと解することができるというふうに考えます。

石川(香)委員 では、この小学校休業等対応助成金の中に、コロナのワクチンを受ける際、子供のワクチンを受ける際に親が付き添ったり、そして副反応で熱が出たときも該当するということで、対象になるということで御答弁をいただきました。

 これは非常に大きいと思います。現に、このコロナのワクチンだけではなくて、はしかとか風疹の予防接種さえも接種率がやはり下がっているということがありますので、これから子供のワクチンが、土日なのか、個別なのか、集団なのか、それぞれ今準備をしているところだと、計画を立てているところだと思うんですが、やはり、これは何日か、相当な時間が親にとっては調整が必要だというところもありますので、そこは御答弁いただいてよかったなと思います。

 もう一つ、今、郵送で申請をするということで、ほかの委員からも既に何度も御指摘があったんですが、これも是非、オンラインでの申請がないと、やはり今のこの状況下ではなかなか厳しいのではないかと思いますので、改めてオンラインの申請もセットでお願いできないでしょうか。

後藤国務大臣 本助成金については、時限的に導入したものでありまして、オンラインの申請の受付は行っておらない状況ですが、事業主の方に活用いただきやすくするために、申請様式の書き方のお問合せのコールセンターや、労働局で受け付けるなど、丁寧な相談支援を行っているところです。

石川(香)委員 是非、オンラインというのはもうこの状況下では絶対欠かせないと思いますので、重ねて要望させていただきたいと思います。

 これから子供のワクチンが進んでいく中で、この後、ほかの委員からも中身については質問があると思いますので譲りますけれども、小児科が中心の役割を担っていくということでありますが、このコロナ禍で特に受診が減ってしまったのが小児科と耳鼻咽喉科であるということを聞いております。小児科というのはやはり社会インフラであるということも含めて、売上げに依存しないところの更なる支援というものも必要だと思うんですけれども、今日は御指摘にとどめさせていただきたいと思います。

 続いては、経口薬、モルヌピラビルについてお伺いをさせていただきます。

 この薬は、年度内に四十万人分、現在二十五万人分が既に納入をされているということですが、在宅療養される方も爆発的に増えていますので、必要とされている方が五日以内に飲む、すぐ飲むという環境が求められています。

 しかし、この薬の扱いにも、現場から、非常に苦労しているという声が上がっています。私も幾つか調剤薬局ですとか病院、医療機関に聞きましたが、在庫がないとはっきりおっしゃっているところも多くありました。

 今現在、この薬は、国が所有権を所持をしていて、メルク社の日本法人である登録センターというところに委託をされている。医療機関や調剤薬局が発注をして、それを卸の会社が配送するという流れになっているんですが、数もなかなか十分にないということもあるんでしょうが、在庫数は三人分までというのが原則ということになっていまして、足りなくなった場合はまたすぐに発注をしてもらう。

 登録をした薬局からはこんな声が聞こえてきました。

 このメルク社というのは薬のメジャーな会社なんだそうでありまして、ふだんから日頃つき合いのある大手の調剤薬局とか病院というのは当然あるわけなんですが、卸の会社を通じてこういった大手の日頃のつき合いのあるお得意様に対してはもしかしてすぐ薬が行くんじゃないかとか、それから、それ以上、三人分以上の在庫があるんじゃないかとか、もしかして地域によって偏りがあるんじゃないかとか、やはりそういったことを勘ぐってしまうと。

 何でかといいますと、これは情報がなかなか共有されていないというのがあるんですよね。患者側からしますと、いざ必要になったときにどこに在庫があるか分からないということですので、薬が必要になるたびに保健所がどこにありますかと聞いて回っているという状況だということです。

 厚労大臣にお伺いしますが、どこの地域に、どの病院に、どの薬局にどのぐらい在庫があるのか、そういう情報はせめて現場レベル、つまり、保健所とか薬局とか医療機関などで共有されるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今委員から運営の制度については丁寧に御指摘がありましたけれども、確かに、製造販売業者が開設する登録センターが全国の日本の卸の仕組みを使って流しておりまして、厚労省、登録センター、登録医療機関、薬局間で情報を共有して円滑に経口薬が供給される仕組みとなっております。

 頻繁な時点更新というのが丁寧にできるかという問題もありますので、三つ上限として在庫を置くことも可能にした上ですぐに補充いたしますし、それから、もしなければ、域内での融通、それから、卸が地域ごとに拠点をつくっておりまして、即日の配送の体制にはなっております。

 ただ、頻繁な時点更新があるために、必ずしもきっちりとそれをいつも追うということも難しいので、国として一つ一つ公表を行っておりませんが、例えば、ある薬局で在庫がなくなったとかそういうような場合、あるいは大量に患者さんが出た場合の大量発注だとか、そういうことには臨機応変で対応することになっております。

 原則、ともかく、上限なく発注が可能である場合は翌日にはお届けできる仕組みでございます。

石川(香)委員 確かに、配送も土曜日もしっかりやって、日曜日なんかも状況に応じてやってくれるということで、十分その状況も理解するんですが、今御説明いただきましたが、都道府県ごとに、どこが登録した薬局なのかとか、どこに発注実績があるかといったことはその都道府県内に限って確認ができる、共有ができるそうなんですけれども、今まさにどこにあるかというリアルタイムがなかなか知り得ない。そうすると、やはり現場からすると、いろいろな偏りがあるんじゃないかという疑念は拭えない。

 もう一つ、こんな話もありました。

 この経口薬は、ボトルに四十錠入っていまして、一回四錠、一日二回を五日間続ける、これは思わずちょっとメモを取りそうになる飲み方なんですが、渡すときはまとめてボトルで渡すそうなんです。在宅で、お薬を届ける際に、例えば障害がある方や高齢の方に関しては、なるべく四つずつに分包してあげたい、飲みやすいように分けてあげたい。ただ、ボトルを開けて、勝手に四つ、開けてしまうと、例えば湿気が成分を薄めてしまうとか、それから、違う作用が出ている可能性がないわけではないということで、メーカーに分包してもいいですかと聞くと、分からないと言われるそうなんですよね。メーカーも、データがないから分かりませんと。未知のウイルスと対峙をしているわけですので、全て分かってくださいとは言わないんですが、ただ、そんな分からないだらけで現場は対応しているという状況が今の状況であると。

 こうした薬の状況なんかも、是非、現場の声をしっかり踏まえた手引なんかがやはり必要ではないかと思うんですが、先ほどの情報共有も含めてですけれども、透明性と、詳細な、なるべく現場の方が困らないような手引、こういった情報発信というのを、メーカーに対しても国が積極的にやってくださいねと促す必要があるんだと思うんですが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今委員から御指摘がありました、高齢者向けに分包化して調剤するなどの対応については、医療現場において、適宜、薬剤師等の判断により、個々の患者の状況を踏まえて柔軟に対応いただきたいというふうに考えております。

 また、本剤の服用方法、患者向けのリーフレット等によりまして周知をしておりますけれども、更に医療現場に向けても適切に周知してまいりたいと思います。

石川(香)委員 柔軟にというのが一番困るのかもしれません。薬剤師の方は、やはり、お薬ありますからねと安心してもらいたいと。せめてその状況ぐらいはしっかり把握をしていたいし、それから、リアルタイムの状況もそうだし、こうなったときにどうしようということも含めて、やはり透明性のあるシステムづくりというのは、是非今後も、長引くコロナ禍という状況を考えれば急務だと思います。

 実は、薬局の倒産というのも過去最多になっています。というのも、病院の受診控えによるところが大きく影響しているわけなんですが、薬局に来る回数が減ってしまったんですよね。今まで一か月に一回だった頻度が例えば三か月に一回になれば、薬局的には調剤の部分の報酬が減る、技術料が減るわけですので、利益率が下がってしまう。ドラッグストアなんかは、今、日用品なんかも置いていますので、そういった大手は比較的影響が少ないと言われているんですが、いわゆる町の薬屋さん、町の薬局は患者が減ったことが非常に大きいということですので、こういう状況でやっていただいていますので、日々医療従事者の方々への感謝という言葉は口にしていても、本当にどういったものを現場が求めているかということを、どんどんどんどん、やはりしっかりきめ細やかに対応していただきたいと思います。

 続いて、同じく介護の現場からの声をお伺いしたいと思うんですが、今回、処遇改善されると。二月から九月までは、ベースアップに三分の二以上を使ってくださいということで、三分の一に関しては一時金などにも使ってもいいということなんですが、とにかく人件費に充ててくださいということが前提になっています。ベースアップをするということになりますと、事業所内で就業規則を作らなきゃいけない。この作業が二月から三月には間に合わないというところもあるだろうということで、二月、三月は一時金でもいいという形にはなってはいますが、四月からは基本給に組み込んでくださいねということになっています。

 この補助金をもらうためには、二か月分先に、従業員に先払いしなきゃいけない。事業所の持ち出しということになります。これが、小さな事業所などは運営も人手も含めてぎりぎりの状態でやっている中で、二か月分先払いするというのは困難だという声があちこちから出ています。となりますと、結局、事前に先払いができないことで、それによって補助金を受け取れない事業所も出てくるのではないかという指摘が今から出ていますが、この点についてはいかがでしょうか。

後藤国務大臣 石川委員御指摘のように、ある月に提供した介護サービスに係る介護給付費の請求は翌月十日、請求内容の審査を経て支払いがなされるのは翌々月ということで、二か月差があります。

 今回の補助金の各事業所への交付については、事務の簡素化、あるいは習熟した方式にということで、既存の処遇改善加算等と全く同様の仕組みとして算定をしております。具体的には、事業者ごとに、各月の総報酬に応じて交付額を決定する仕組みとしていることから、介護報酬と同様の支払いスケジュールになるということで御理解をいただきたいと思っております。

 ただ、事務負担が少ない形で手続ができる限り行えるよう、添付書類の提出を求めないなど簡素化を進めることによって、御負担にならないようにということは十分配慮していきたいと思います。

石川(香)委員 これは、二月から九月までは国費でということなんですが、この八か月の間で要は帳尻を合わせてくれればいいということだと思うんですよね、その事業所がベースアップしているかどうか。ただ、最初になかなか上げられないと、最後、山が高くなるので、なるべく計画的にやってくださいねということだとも思うんです。ただ、これは、処遇改善自体は現場でももちろん歓迎だと思うんですけれども、ある意味、一方的なスケジュールの中で、事務手続も簡素化を心がけているということでおっしゃっていましたが、大変な負担になっているということは相変わらずです。

 ある事業所では、介護の現場の方がもう既に手いっぱいでありますので、こういった申請の類いには、コンサルタントの方にお願いをして、申請のたびに三十万円かかっているというところもあるそうなんです。やはり、こういった事情の中で、果たして小さい事業所にきちんと行き渡るものなのかというのは、非常に私も懸念はしていますし、疑問だと思っています。

 申請をした事業所や施設に対して支払われるものでありますので、本来であれば、処遇改善、本当であれば、もっと積極的なアプローチが必要だと思っています。

 ベースアップに組み込むということは、事業所からすると、一度基本給を上げたら、それを継続していかなきゃいけないわけですので、きちんと先を見据えた上で計画をしていかなきゃいけません。十月からも加算でこの処遇改善を財源にするということですので、この財源の安定性であったり継続性という不安の声はもちろん聞かれました。

 今回のようにベースアップを目指す目標というのは大変重要なんですが、それは同時に、賞与とか超過勤務手当の算出根拠にもなるということですので、結局ベースアップに組み込むことがなかなか難しくて、手当として職員に支払うという選択をする事業所も結局多いんじゃないかということを介護の現場の方々も話していました。

 これは急な決定でもありましたし、経営が厳しい事業所もある中で、手当でしか出さざるを得ないということも考える中で、本当に業界全体のベースアップになるんでしょうか。

後藤国務大臣 ベースアップの中に、基本給と、決まって毎月支払われる手当というのが、両方あるということは御指摘のとおりなんですけれども、ベースアップに補助金の三分の二以上を充てることを要件として補助金は配られますし、トータル、そうした、賃金に充てられるということを報告をしていただくようにもなっております。それは、各人ごとではなくて事業所ごとに、しっかりと、給料に支払われたという報告を出していただくことにもなっております。いずれにしても、三分の二以上ということは、この補助金の間もそのレベルを保っていただくことが補助要件でございます。

 それから、十月以降については、診療報酬でこの部分がしっかりと恒久的に手当てされておりますので、財源的にはしっかり九月以降も手当てをされております。

石川(香)委員 これは、元々、月額九千円相当の補助金が交付されるということを、事業所に配られた案内にもいまだに書いてあるわけなんですが、ちょっと下を見ると、一律で九千円の引上げを行うものではありませんと書いてある。これは何なんだという声も出ています。

 やはり、この九千円の前提になる基準がそもそも、今、もう国の配置基準、それ以上の配置基準で皆さんやっていますし、これが全ての土台になるわけなんですけれども、そもそもその時点で現場と乖離している。その基準で算定をされたこの九千円という金額もミスリードになるという指摘も過去出ていましたが、本当にそのとおりだと思います。

 しっかり本当にベースアップできるのかということについては、引き続き、検証も含めて議論させていただきたいと思います。

 では、農水大臣、お待たせいたしました。一次産業のことについてお伺いさせていただきます。

 今日は、北海道で取れるお砂糖の原料であるてん菜、ビートについてお伺いしますが、今、日本人のお砂糖の消費量は非常に減っているんですよね、年間二・五万トンと言われています。今、糖質制限ブームとか、いろいろなそういう言葉もありまして、必要以上に砂糖が悪のようなイメージが、間違ったイメージですね、これがついてしまった。

 例えば、糖尿病の糖はお砂糖の字ですけれども、糖尿病の患者は年々増えている、でも日本人のお砂糖の消費は年々減っているわけですので、ここは全く関係ないということは、一九九七年にも国際的にも発表されています。

 まず、このお砂糖の誤解を解くというのも農水省の役割の一つだと思います。何せ、このてん菜とかサトウキビというのは、地域の作物として国が特別に認めてきた作物なわけです。今回、この国が特別に認めてきたビートが国の方針によって路頭に迷うかもしれないという、そんな局面になっています。

 令和三年度の補正予算の中に持続的畑作生産体系確立緊急事業というものがあります。これは、砂糖の原料になるビートから、今、非常にポテトチップスなんかが人気ですので、こういった需要のある加工用のバレイショや大豆に切り替えると補助金が出るというものなんですが、これは、需要が多いものを作ればいいじゃないかと考える方はいらっしゃるかもしれませんが、北海道では、輪作体系といって、年ごとに違う作物を栽培することで病害虫の発生を抑えたり、それから作業のピークをずらしたり、土の栄養バランスを保ったりして、これは先人の知恵で工夫して、北海道農業の基本のキになっているものです。

 ただ、この補助金は、いわばこの畑の健康を保つ輪作体系に欠かすことのできないビートだけを狙い撃ちにしている、この政策では、地元も、本当にビートはどうなっていくんだという怒りの声が聞こえているんですが、大臣、この制度をつくられた理由と、それから、今後ビートをどうしていくんだというところをしっかり御答弁いただきたいと思います。

金子(原)国務大臣 石川委員の御質問にお答えしますが、確かに砂糖の消費量は減っておりまして、二十年前は二百二十四万トンだった消費量が、現在では百七十一万トンと減少しております。

 しかし、先ほどいろいろな問題があるというお話がありましたが、特に砂糖は脳と体のエネルギー源となることや、消化吸収が早く、疲労回復に効果的というような機能を有しておりますので、農林水産省といたしましても、SNSを活用して砂糖に関する正しい情報を発信し、「ありが糖運動」を展開をいたしておりまして、できるだけ消費活動に努めているところでございます。

 なお、輪作体系についてのお話がありましたが、てん菜生産は北海道畑作において輪作体系の維持には重要な作物であると認識をしておりまして、一方、砂糖消費量が減少を続ける中、輸入原料から徴収している調整金の収入が減少しております。てん菜生産を支える糖価調整制度の収支は大変大幅に悪化しております。また、てん菜から砂糖を製造するてん菜糖業の製品在庫も増大している状況にあります。

 このため、てん菜を含めた北海道畑作を将来にわたって継続していくためには、てん菜生産の一部を、現在、需要に生産が応えられていない加工用バレイショや豆類にシフトしていただくことが重要であると考えております。

 このため、令和三年度補正予算におきましては……

根本委員長 農林水産大臣、簡潔にお願いします。

金子(原)国務大臣 はい。

 てん菜のある作物への一部転換を図るため、転換に必要な種バレイショの供給や農業機械の導入等への支援を措置しているところでありまして、こうした支援を通じまして、てん菜を含む北海道畑作の持続的な生産を推進してまいりたいと思います。

石川(香)委員 種芋のことも、これは細かく切ったものの人件費などに補助金なんかも出ているんですけれども、今、ただでさえ、もう小さく作業しやすいように小粒化していますので、この補助金もなかなか当たらないのではないかというような声も出ています。これ以上小さく切っちゃうと、結局、収量が減っちゃいますから、種芋農家の収入が減る。

 これは、令和五年に閉鎖するという、この北海道に八つある製糖工場のうちの一つが、こういうことが決まったんです。これはTPPとかEPAの、自由貿易、新自由主義の犠牲になったんじゃないかという、私、疑念が晴れないんですよ。自民党はわざわざ、TPPを決めたときに、外国産の輸入に、増えることによって影響を受ける加工業の再編というものに強化をしていまして、わざわざ製糖工場の合理化にも予算をつけている。それでいて、このビート狙い撃ちの政策というのは、やはりこれは一連の流れがあるんじゃないか、地元はそういうふうに思いますよ。

 だから、加工用の芋がやはり需要があるのはもちろんそうですけれども、ビートをしっかり守っていくという一言が欲しいんです。是非お願いします。

金子(原)国務大臣 いろいろと御意見を承りまして、できるだけ皆さん方のそういった立場を理解しながら、努力していきたいと思っております。

石川(香)委員 地元も、これはいろいろな説明会を今されているそうなんですけれども、本当に現場の声を聞いてくれているのかという声が非常に上がっているということですので、しっかりこの辺りの疑問も答えていただくということ、ビートを守っていただくということも重ねてお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて石川君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 予算委員会での貴重な機会をいただきましたので、私からも質問をさせていただきます。

 限られた時間ですので、早速質問に入りますが、まず冒頭、確認させていただきたいことがございます。

 昨日の報道で、いわゆるアベノマスク、配送に十億円という報道がございました。報道によると、政府関係者への取材で、約八千万枚の大量在庫となっている布製マスク、いわゆるアベノマスクでございますが、これが、希望者に配付した場合、配送料が十億円、こんな試算があることが分かったとされています。一方で、廃棄した場合は六千万円程度で費用は済んだともされています。

 これは事実確認ですが、この配送料、希望者に配送料十億円、この事実関係を確認をさせてください。

後藤国務大臣 今般の布製マスクの配付希望については、合計約三十七万件という多数の申出をいただきました。今現在、厚生労働省において、この多数の希望について集計作業をきっちりと進めているところであり、今後おおむね一か月程度で個々の希望者への配付枚数等を決定して、その状況を公表する予定でございます。

 配送費用については、こうした作業の結果明らかになるものでありまして、現時点でお示しすることは困難ということで、十億円というふうには今の段階で考えておりません。

中島委員 精査中ということでございます。

 また別の記事では、応募できるのは介護施設や自治体、そして個人も応募できることになっています。これは厚生労働省のホームページからアクセスできるわけですが、必要枚数の欄は百枚単位となっていて、これは個人の場合、百枚というよりは十枚単位で入力すると、百枚単位からになっているんですけれども、入力は十枚からもできる、こういう状況。実際に、百枚単位となっているけれども、十枚で一応入ることができる。実際に十枚来るのか百枚来るのか、これも分からない。

 一月十四日、募集期間が延長され、現在、必要枚数に、このホームページからのアクセス、一本化されているということですが、昨年末までは、十枚と打ち込むと百枚、百十枚と打ち込むと二百枚、二百十枚と打ち込むと三百枚と変換される仕組みとなっていたということです。これ、事実であれば、一枚でも多くさばきたいという思惑、意図も透けて見えるのは私だけじゃないと思います。

 安倍元総理も、二億八千枚配付希望があったと、テレビ画面で見ましたが、満面の笑みで、いわゆるどや顔というんでしょうか、こういうことを私もテレビ画面で拝見しましたが、この昨年末までのシステムですね、十枚と入れれば百枚となるような、この二億八千万枚、この数字、本当に確かなものなのか、この報道を見るだけで、私、大変疑念があります。

 先ほど精査中と言いましたが、これは一か月と言わずできるだけ迅速に、そして、その十億円の精査、またこの積算の内容ですね、経緯も含め、これは理事会に報告をしていただきたいと思いますが、委員長のお計らいをお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

中島委員 是非、早急に対応をお願いしたいと思います。

 では、本題に入ります。

 濃厚接触者の待機期間について御質問させていただきます。

 政府、コロナの濃厚接触者の待機期間を十日から七日に短縮、エッセンシャルワーカーの方々には、四日目と五日目に抗原検査で陰性確認をされれば、五日目から解除されることとなっています。

 一方、一昨日、二月一日、私、地元は山梨県でありますけれども、山梨県は、全ての職種を対象に、濃厚接触者の待機期間を五日に短縮することを決定、発表をいたしました。

 確認ですが、エッセンシャルワーカーの対象範囲を全職種として、濃厚接触者解除を五日に短縮する、この山梨県独自の判断、これは政府として容認されるものなのでしょうか。

後藤国務大臣 山梨県の取組については、濃厚接触者の待機期間について、基本的対処方針に示されている事業者のみならず全ての職種の方を対象に、二日にわたる検査を組み合わせることで五日目に解除とすることとしたものであるというふうに伺っております。

 これについては、感染拡大を防止しながら社会経済活動を維持する観点から、地域の実情に応じた判断を行ったものというふうに認識をいたしております。

 今の先生の御認識、問題意識は、予防接種法改正法案に対する、それまではよろしいでしょうか。(中島委員「これは違います」と呼ぶ)はい。

 そういうことであれば、そのように認識をしております。

中島委員 エッセンシャルワーカーの対象範囲、これを山梨県が全職種としたこと、これは、厚生労働省の通知は、エッセンシャルワーカーの対象を都道府県が判断と通知で規定されておりますから、山梨県が独自に、エッセンシャルワーカー、そもそもその境界というか、なかなか都道府県の判断だけでは難しい中、山梨県は全職種を対象とすること、この通知の内容によれば、これは厚労省として不許可にはできないんだというふうに私は認識しています。違いますか。

後藤国務大臣 我々の認識としては、ワクチン接種をしていない方に対する差別や不利益取扱い等になってはならないというような点はありますけれども、そういった点を踏まえながら、そうした取扱いをしていただくことは、これはあくまでも目安なので……(中島委員「エッセンシャルワーカーの範囲」と呼ぶ)そういうことで、こういう取扱いを、感染状況によって、県で行われることは構わない。なぜかというと、先ほど申し上げた基本的対処方針というのは、目安であって、それぞれの地方公共団体にお任せするという指針でございます。

中島委員 それはこの後の、山梨県知事の、ワクチン未接種者への自粛要請の。

 私、今問うたのは、エッセンシャルワーカーの対象範囲、山梨県が全職種とした、これは許容できるかどうか。私は、厚生労働省の通知からすると、これは都道府県が判断するということなので、これは厚労省として認めざるを得ないだろう、こういう問いだったんですが、それで間違いないですね。

後藤国務大臣 おっしゃるとおりで、目安としてお示しをしているルールですので、知事が判断をしていただくことについて、厚労省としては、それを了解いたします。

中島委員 先ほどの答弁は、後ほどまた改めてお尋ねいたします。

 この山梨県の判断なんですが、今日、大変お忙しい中、分科会の尾身会長にも御出席をいただいておりますので、ちょっとお尋ねをしたいんですけれども、濃厚接触者の待機期間において、一月十四日、尾身先生始め専門家の皆様の提言では、医療機関の従事者等のこの「等」が、今非常に、現在、広がった形となっています。

 改めて尾身先生にお尋ねいたしますが、一月十四日の提言を公表される際、この医療機関等の従事者が全業種の従事者となることについて、尾身先生始め専門家の方々は想定されていたのか。一月十四日の提言の背景には、社会機能維持のために一定程度感染拡大リスクが増えることを許容する考えがあったと思われますが、全業種に拡大したとしても許容できる程度の感染拡大リスクの増加にとどまるとお考えになられるか、尾身先生の御見解をお尋ねしたいと思います。

尾身参考人 今委員の御指摘の課題は、一方で感染リスクを下げて、と同時に社会経済活動を回すという、非常にエビデンスベースの下でバランスを取るということが今必要だと思っています。

 そういう上で、今委員の御指摘の十四日の提案の際には、私どもは、七日に短縮することに加えて、まずは人々の命を守る医療従事者について、検査などをすれば更に短縮できるということを申し上げて、ただ、そのときには既に海外の情報もあるし、いわゆるエッセンシャルワーカーというものが医療従事者を始めにしてだんだんと広がるということを想定していたかということについては、想定しておりました。

中島委員 この十四日の時点で、医療従事者等としたときには、今のように、エッセンシャルワーカーに拡大することはもう想定されていたと。

 そして、オミクロン株の特異性、伝播力が高いというよりは感染速度が速い、一方で、ウイルスは上気道にとどまる、従来株、デルタ株に比べて肺への侵入率十分の一、潜伏期間も短いということから、社会活動維持のためのいわゆるエッセンシャルワーカーにも対象を広げるということは念頭にあったということだと思います。

 そうであるならば、尾身先生にまたお尋ねいたしますが、エッセンシャルワーカーの範囲を山梨県のように全職種とするならば、もはや、四日目、五日目に検査、陰性であれば、一般に解除とするべきというふうに私は考えますが、現在の状況等を鑑みて、尾身先生の御見解をお尋ねしたいと思います。

尾身参考人 私どもは、エッセンシャルワーカーの定義というもので、やはり社会機能の維持に必要な人にはある程度活動してもらわなくてはいけないということで、医療従事者その他ということで、今先生の、議員のお尋ねのことは、今大臣との議論でもありましたけれども、エッセンシャルワーカーというのは、社会機能を維持するために必要なということで、それは地域によって違いますよね。

 そういう意味で、自治体にある程度判断を任せるという、法的になっているので、基本的には、文字どおり、言葉の本当の意味でのエッセンシャルワーカーに限定をしてやっているわけですが、それを無制限に拡大すれば感染のリスクはあるんですけれども、ただ、エッセンシャルワーカーというものがどういうものかというのは、地方自治体、さっきの山梨県のことはそういうことだと思うから、地域の実情に合わせて弾力的に判断するということになっているというふうに私は理解しています。

中島委員 一方で、今、山梨県の判断で、全職種にエッセンシャルワーカー、対象範囲を広げる。一方で、山梨県知事は、エッセンシャルワーカーを全職種としながら、子供や学生、そして高齢者、これは年齢で対象外と仕切りをしております。

 子供、学生、高齢者を対象外にすることが、感染拡大リスク、軽減されるのでしょうか。このようなエビデンスがあるのか、尾身先生に確認をさせていただきたいと思います。

尾身参考人 先ほど申し上げましたように、これは社会機能の維持に必要な仕事ということでエッセンシャルワーカーとしたわけですけれども、短縮する人の数が無制限に増えれば、理論的には感染のリスクというのは上がるということになると思うので、そういう意味では、社会機能の維持と感染対策のバランスを考えた上で決めていくというのがこれからも求められるんじゃないかと私は思います。

中島委員 これはエッセンシャルワーカーの解釈だと思うんですが、例えば、我々国会議員、私、一方で医者ではあります。医者として週末働いているときには、これはエッセンシャルワーカー。東京都に確認をすると、じゃ、国会議員はエッセンシャルワーカーですかと聞くと、対象外ですと。ただ、その後、修正があって、国会の中でもコロナ対策に関与している国会議員はエッセンシャルワーカーになるかもしれませんと、非常に曖昧なんです。

 しかも、これは、都道府県が一人一人エッセンシャルワーカーかどうかなんということを把握できませんし、ほぼ自己判断するしかない状況なんです。この解釈だけで、もちろん、尾身先生のおっしゃるように、地域の実情に応じて、必要な方、社会活動維持に限定し、そして、仕事をしていないお子さん、また高齢者の方は除外する。それはそれで一定程度地域の判断ということなんですが、仮にお子さんが七日間待機となった場合、結局、お子さんのいるエッセンシャルワーカーは出勤できなくなります。

 全職種にまで対象を拡大するという山梨県の判断があるならば、これはやはり、自治体の解釈任せというよりは、社会活動を維持する、まさに今回のオミクロン株の特性のめり張りの部分だと思います。

 山梨県がそのような判断をしたからには、私は、このような不安定な状況ではなく、早急に、今日、尾身先生にも来ていただいて御見解をいただきましたけれども、濃厚接触者、検査二回、抗原検査二回をもって五日間への待機短縮、これは早急に議論して、そして結論を出すべきだと思いますが、大臣の見解を伺います。

後藤国務大臣 先ほどもお答えしたんですけれども、感染拡大を防止しながら社会経済活動を維持する観点から、地域の実情に応じた判断を行うということは今のルールの中でも認めていることなので、地域の実情ということで何でもかんでもということであれば、それは我々きっちりと見たいと思いますけれども、少なくとも、二日にわたる検査を組み合わせることで五日目に解除するということを事業者の皆さんに拡大して適用していくということについては、地域の判断の範囲だというふうに思っております。

中島委員 それがもう混乱して、先ほども言ったように、誰がエッセンシャルワーカーに当たるか、ある程度国が明確にしていかないと混乱してしまうという私の問題意識ですから、これは対象を一般に拡大して、それはもちろん、七日にした方が、数%のリスクということは数字上あるかもしれませんが、ただ、先ほどのお子さんを持つ主婦の方も含めて、これはやはり広義の意味でエッセンシャルワーカーと言えると思います。

 そういう意味で、一般に五日間への短縮、早急に対応するべきだというふうに改めて要請させていただきたいと思います。

 ちょっと時間が限られておりますので、次の質問に入ります。

 資料の四枚目を見ていただきたいと思いますが、これも山梨県、私の地元の山梨県のテーマでございます。山梨県の臨時特別協力要請の内容について、これが先ほど大臣が御答弁になった内容でありますが、これを見ていただくと、黒字は一月二十三日の要請文、そして赤字が二十六日に改訂された文書であります。

 この(一)に、ワクチン未接種者不要不急の外出自粛というタイトルで、ワクチン二回接種を終えていない方は、やむを得ない場合を除き、不要不急の外出、移動をお控えくださいとされております。

 さらに、この文書、二の部分で、事業所の皆さんへとして、(一)、ワクチンの二回接種の勧奨や人の集まりを減らす取組の徹底として、ワクチン二回接種していない従業員等には、従業員からの申出によりテレワークの推奨や不特定多数の方と直接接する業務を控えるなど、勤務環境の配慮をお願いします、なお、健康上の理由により接種を受けられない従業員等が不利益となる扱いを受けないよう配慮をお願いしますとされています。

 私、この文書を読むと、健康上の理由等により接種を受けられない従業員等に該当しないワクチンの二回接種を終えていない従業員等は、不利益となる扱いを受けても仕方がないと書いてあるように、私、読み込めてしまいます。この内容は、自らの意思でワクチン二回接種をしていない方に対して、事業所が不利益となる扱いをすることを認める意図があると私は思わざるを得ないんです。この要請文自体が、私は不利益取扱いを助長するものだと。

 各種事業所に対して様々な権限、一部の法人に対して許認可権を握っている県知事が、ワクチンを自らの意思で受けない方に対しては不利益取扱いを容認するように読める文書を突きつけることは、私は余りに不適切だと思います。

 山梨県、私も地元ですが、ワクチン担当大臣、堀内大臣も御地元だと思います。一週間前に、記者には一般論としてのお答えをされておりました。そして、内容は詳細に承知していないということでしたが、これから一週間。そして私、今日改めて添付資料でお示ししました。この内容、不適切だと思いませんか。

根本委員長 まず、国務大臣堀内詔子君。(後藤国務大臣「先に行きます」と呼ぶ)

後藤国務大臣 委員長の御指示でございますので。

 政府としては、附帯決議を踏まえまして、引き続き、ワクチンを接種していない方に対する差別や不利益取扱い等を決して許されるものではないことを周知していきたい、それが基本的立場でございます。

 山梨県による新型コロナワクチン未接種者に対する不要不急の外出自粛の協力要請については、山梨県知事が一月二十五日の記者会見において、接種できない方や接種したくない方がいることを肯定した上で、御本人にはまずは自らの命を守るべき行動を、周囲の方々にはそういう方々に対する配慮をしてほしいという趣旨であった、県民に対する不当な差別の事例が発生した場合には、人権侵害の問題として、県として毅然とした断固たる対応を取りたいといった旨の説明をされているというふうに聞いております。

堀内国務大臣 私自身も山梨県出身でございますので、御指摘の山梨県の御対応について様々な反応が御地元であるということは承知しているところでございますが、一般論として、ワクチン接種は、先日も申し上げたように、国民の皆様が自らの判断で接種していただくことが重要であり、ワクチン接種をしていない方及び接種できない方が不当な偏見、差別等を受けることは適切ではないというふうに思っているところでございます。

 また、各自治体で小児接種の体制の準備などをお願いしている中でございますので、そういった中でも、ワクチンを接種している、いないといったことで差別を受けることは適切ではないと考えておりますが、しかしながら、ワクチン接種というものは感染、重症化を防ぐために重要であり、希望されている方はしっかりとワクチンを受けていただくような、そういった方向性は持っていきたいというふうに思っております。

中島委員 大臣、この後質問しますから。時間がもったいないので。私は、大臣に、ワクチン担当大臣に質問しました。

 一般論じゃないですよ。だって、ワクチン担当大臣ですよ。そして、これから子供の、五歳から十一歳のワクチン、努力義務にするかどうか分かりませんが、もう既に、ワクチン未接種、いわゆる同調圧力や様々な社会問題が発生しています。これにも対応するのがワクチン担当大臣としての役目なんじゃないですか。

 改めて聞きます。

 この文書が不適切かどうか。大臣の、大臣としての、これは一般論じゃないですよ、ワクチン担当大臣としてどう思うか、考えるか、御答弁いただきたいと思います。

堀内国務大臣 繰り返しとなりますが、ワクチン接種は、国民の皆様が自らの判断で接種していただくこと、これは重要であるというふうに認識していますし、ワクチンを接種していない方、接種できない方が不当な偏見、差別等を受けることは適切でないというふうに考えていることは変わりはございません。それは、日本全国どこであってもそうであると思っております。(発言する者あり)

根本委員長 質問は、この山梨県についてどう考えるか、こういうことですね。(中島委員「この文書」と呼ぶ)この文書がどうなるか、どう考えるか。

堀内国務大臣 先ほど来申し上げているように、一般論としては、もちろん差別はいけない、ワクチンをしているかしていないかによって差別はいけないけれども、政府の基本的対処方針においては、必要な措置を講じるというのは、各地域の御事情については尊重していかなくてはならないというふうにも思っております。

中島委員 済みません、尾身先生には御退席いただいて結構でございます。申し訳ありません。

 地域の事情と言いましたが、ワクチン担当大臣として、これは、じゃ、容認する、これは不適切ではないという判断でよろしいんでしょうか。

堀内国務大臣 これから小児接種も始まります。大変デリケートな問題だと思います。これから、もちろん審議会で最終的なことをしっかりと決めていく段階でありますが、二月上旬に行われて。本当に、ワクチン接種によって、様々な行動、差別が余り起きるということについては、私自身もそれはあるべきではないと思っておりますが、一方で、政府の基本的対処方針に応じて、各地域の事情は、各地域で決めていただく部分においては、それはそういうことも致し方ない部分があるというふうに思っております。

中島委員 致し方ないという判断、ワクチン担当大臣としてそういう答えで本当によろしいんですか。

 これは、山梨県だけではなくて、全国から私のところにも、そして県にも相当なクレームというか、そして、これ、知事が訂正をしておりますが、ワクチン未接種者を対象に自粛を求めている。これは、対象を変更もしていないわけですよ。

 資料の七枚目。これは一昨年の予防接種法、検疫法の改正のときの附帯決議、それを恐らくワクチン担当大臣は一般論として読み上げられていると思うんですが、まさにこの赤枠であるところですね、先ほど来答えていることです。

 これは私は担当しておりました。自民党の大岡先生が筆頭提出者ということで。こういうワクチンを接種していない者に対して、差別、いじめ、職場や学校等における不利益取扱い等は決して許されるものではないことを広報等により周知徹底すること。これは政府に、国会決議ですから、国会決議の内容とこの山梨県知事の要請が、私はそごを来していると思います。

 いや、本当に、ワクチン担当大臣、堀内大臣、これ、地域の実情ということで容認しちゃっていいんですか。

堀内国務大臣 県民の皆さんに対して不当な差別の事例が発生した場合とかについては、しっかりと毅然とした態度を取られるといった旨の説明が行われているならば、そのように、それにつきましては、県の、やはり各地域の御地元の状況というのは尊重されるべきだというふうに思っておりますが、いずれにしろ、政府としても、附帯決議は踏まえて、引き続き、ワクチンを接種していない方に対する差別や不利益は決して許されるものではないということは周知徹底してまいりたいというふうに思っております。

中島委員 これ、こんなに時間をかけるつもりはないんですが、大変私、残念な答弁だと思います。

 地域の実情でこの内容を、今後、もう今現在も起こっていますよ、先ほど言ったように、差別や同調圧力、私のところにも。私は医者で、これは改めてですが、私は医者としてコロナ患者さんも診察させていただいています。そして、政府、決められた集団接種また職域接種、再来週も私はワクチン接種に参加します。こういう立場で、実際に、多くの国民の皆さんがこのワクチンに対して、ある意味、分断が起きているわけです。その象徴とも言えるこの要請文に対して、ワクチン担当大臣として容認するような答弁だったと。容認しましたね。

 私は、堀内大臣、大変御苦労されていると思います。私も同じ山梨県の人間として、コロナ……(発言する者あり)いや、山梨の問題だけじゃないですよ、この内容。こんなのを容認したら、全国各地でこういうことが起きますよ。いや、ちょっと今のは不適切発言ですよ、本当に。

 本当に、私は、こういう問題に毅然として向かうのがワクチン担当大臣の役割だと思います。今日の答弁は大変残念だと言わざるを得ませんし、これを容認してしまうことで、全国でこのような状況が起こった場合、誰が責任を取られるのか、非常に懸念があります。

 もう時間がありませんので、本当は、今の感染状況、コロナ、オミクロン株による感染拡大、もう全国で九万、東京だけでも二万を超える、こういう状況の中で、ワクチンの有効性とか自宅療養者への医療システムの変更とか、こういう話をしたくて、わざわざ資料もたくさん用意したわけです。今の答弁は、改めてちょっと問題視したいと思いますが。

 次の質問は、この資料にあります、昨日、予算委員会で同僚の重徳議員が御質問して、後藤大臣も、私、以前の田村大臣よりも大分踏み込んだ、前向きな答弁だったというふうに思ったところが、資料の一枚目ですね。

 現在のオミクロン株の特徴から、私は、一日の感染者数よりも自宅療養者、この急増が非常に心配になります。非常に心配になる。

 御質問、これは、報道では自宅療養者の数がいろいろ言われているんですけれども、正確に、今現在、自宅療養者の数、そのうち無症状、有症状、そして、万が一にも御自宅療養されている人の中に中等症以上の方がいないのか。一応、端的に確認させてください。

後藤国務大臣 自宅等で療養されている方の人数としては、一月二十六日時点で、週一回の療養状況調査で二十六万四千八百五十九人となっています。

 自宅療養者における無症状、有症状の方の割合については、具体的に、網羅的に把握しておりませんが、HER―SYSのデータによると、陽性者における発生届提出時点の無症状者の割合は、昨年の十二月以降でおおむね九%程度であるというふうになっております。

中島委員 現在、中等症以上の方は、自宅療養、今現在、一人もおられないということでよろしいですね。

後藤国務大臣 昨年十一月末に取りまとめた全体像に基づいて体制の充実をしておりまして、一人もおられないかということについては、ちょっとお答えも難しいというお問いのされ方ですけれども、確保された医療提供体制をしっかり機能させて、高い警戒感を持って現場も取り組んでいると思いますし、我々も取り組んでいきたいと思います。

中島委員 今のお答えも、二十六万人というのは一月二十六日ですよね。一月二十六日、二十六万人。

 私は、現在、リアルタイムに自宅療養されている方、これは同日だったですか、読売の方では三十六万人と報道されているわけです。そして、この一週間の間に急増しているわけですよ。その数字も二十六日時点というのは、余りにも、私、危機感が足りない。危機感が足りないですよ。

 そして、この数日間で、私のところにも連絡があります、入院したい、入院適応なんだけれども病床が確保できない。こういう状況はもう何度繰り返されているのか。

 私、この資料にある、日本の医療をめぐるギャップ、まさにここの空白のところなんです。これを、資料の二枚目、真ん中にちゃんとかかりつけ医を据えるべきだ。そして、基礎疾患がある方、また重症化リスクが高い方は、ここを制度化して、確実に医療につなげる。

 我々、去年の六月に、このコロナ対応をするためのかかりつけ医の制度化、整備法案を提出しています。

 感染症法改正も我々準備しておりますが、是非、医療システムの変更を、早急に議論を深めるべきだと思いますが、前向きな答弁を一言いただいて、質問を終わりたいと思います。

根本委員長 答弁、よろしいですね。

 じゃ、答弁は結構です、時間が来ておりますので。

中島委員 はい。終わります。

根本委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 早速質問させていただきたいと思います。

 昨日、NHKの報道で、昨年九月以降に在日米軍の軍人たちが出国前の検査を受けずに入国をしていたことについての報道がありました。このことについて伺っていきたいと思います。

 改めて外務大臣に伺いますが、この昨年の九月以降に在日米軍で出国前の検査をせずに入国していたということを我が国が知ったのはいつですか。

林国務大臣 お答え申し上げます。

 在日米軍による出国前検査が免除されたことを日本政府が確認したのは、昨年十二月二十四日でございます。

源馬委員 確認したというのは、確認したのが十二月二十四日、初めて知ったのも十二月二十四日ということですか。

林国務大臣 確認したということと知らされたということがどう違うのかよく分かりませんけれども、確認をしたのは十二月二十四日でございます。

源馬委員 報道によると、去年十二月に知ったというふうに日本政府はしているが、すぐに日本側に情報共有しなかった理由を尋ねられて、米軍司令部は、言うまでもなく、取られている措置については日本政府に対し情報を提供してきた、そういうふうに文書で回答しています。

 知らされていたんじゃないんですか。

林国務大臣 出国前検査が免除されたことを日本政府が確認したのは、昨年十二月二十四日でございます。

 昨年九月の時点で、在日米軍が出国前検査を免除することとしたという通知は受けておらないところでございます。

源馬委員 これは文書で答えています、NHKの取材に対して。米軍司令部がそんないいかげんなことを文書で答えるはずがないと思うんですね。伝えていたというふうに言っています。

 大臣の記者会見の中でも、日々いろいろ米軍とはやり取りをしているというような記述もあります。例えば、米側には、日本側の措置が変更されるたびに、その措置を詳細に説明しというようなこともやっているという記者会見の発言もあります。つまり、日常的なやり取りがあったと思うんですね。

 その中で、知らされていた、伝えられていたということは絶対ないと言えますか。確認したのが十二月で、それまで伝えられていたのにそれを見逃していたということはありませんか。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございますが、出国前検査を免除することとしたという通知は受けておらないところでございます。

源馬委員 通知を受けていないという言い方がちょっと分からないんですが、何か文書で通知を受けていないという意味なんですか。口頭やそのやり取りの中でも一切伝えられていなかったということなんでしょうか。

林国務大臣 知らされておらないということでございます。

源馬委員 これは全く食い違いますよ。

 向こうは文書で答えているわけですね。本当にこれが違うというんだったら、やはり何らかの行動は必要だと思います、抗議なり。それはどういうふうに対応されるんですか。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおり、出国前検査が免除されたことを日本政府が確認したのは昨年十二月二十四日であり、それよりも前に日本側に通知していたとの認識は誤りである旨、米軍に今般申し入れたところでございます。

源馬委員 誤りであると申し入れたということなんですね。

 その米軍側の反応はどうだったんですか。それについて、その申入れについて。

林国務大臣 申し入れたところでございますので、反応はまだ承知しておりません。

源馬委員 申し入れて終わりということは、まさかないですよね。

 言っただけで終わりで、いろいろ、ゲノム解析の話もそうですけれども、言っただけで終わり、そうするつもりなんですか。何らかの反応を求めるんですか。

林国務大臣 申し入れたのはごく最近でございますので、その時点で何か反応があったということは承知をしておりません。

 今般、新しい分科委員会、しっかり立ち上がっておりますので、そこでしっかりと議論したい、こういうふうに思っております。

源馬委員 これ、窓口はどこになっているんですか。どなたが、どなたに対して、どのような形で申入れをされたんですか。

林国務大臣 うちの北米局でございます。

源馬委員 北米局が、どなたに対して、どのような形で申入れを行ったんですか。

林国務大臣 北米局の地位協定室というところがございますが、ここから、在日米軍の司令部に申入れをしております。

源馬委員 それは、いつ、そして、文書ですか。口頭で。

林国務大臣 報道がございましたので、それを受けて、メールで申入れを行ったということでございます。

源馬委員 随分軽い申入れなような気がします。

 向こうは文書で回答していることに対して、メールで申入れ。それで終わりにするということはないですよね。

 どのレベルで、室長なんですか。どのレベルの方がやられたんですか。

林国務大臣 地位協定室の実務レベルで行っております。

源馬委員 いや、随分軽く申入れをしているんだろうなというふうに思いました。

 これは大きな問題だと思いますよ。全然、言っていることが全く違うわけですから、その実際のメールでどのように申し入れたかを是非提出していただきたいと思います。

 委員長、是非お取り計らいをお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

源馬委員 これは大変大きな問題だと思います。

 いつ知ったかという、九月から、ずっとそういう検査をせずに入国をさせていたことを見逃していた、四か月も、それも大きな問題ですが、それを実は知らされていて、見逃していて、放置していたとなったらもっと大きな問題ですよ。だから、この違いをやはりはっきりさせるべきだと思います。

 米軍が本当に言ったという認識なのか、絶対にそれは我が国としては聞いていないのか、これはしっかりはっきりさせるべきだと思うので、先ほどの申入れ、メールによる申入れの回答をいつまでに求めるのかもしっかり明らかにしていただきたいと思います。いつまでに、期限。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、申入れを行っておりますので、今般新しくできた検疫・保健分科委員会の場も活用しながら、しっかりと対応していきたいと考えております。

源馬委員 そのメールでは、返答はいつまでにという、返答を求めているんですか。それとも言いっ放しなんでしょうか。

林国務大臣 これは米軍との間のやり取りでございますので、詳細は差し控えたいと思います。

源馬委員 いや、これは大変大きな問題なので、詳細は控えるというのはちょっと困ると思います。いつまでに返事をもらうのかをしっかり明らかにしていただきたいと思います。

 引き続き、この問題については、更にこれからも事実確認をしながら追及していきたいと思います。

 さらに、この報道で問題だと思ったのが、軍の施設・区域などでの感染拡大が周辺自治体での感染拡大に、広がる要因になったのではないかというようなことについて問いがあったわけで、その中で、責任の所在を明らかにすることは利益をもたらさないという回答があったと。これは余りにも我が国はばかにされていると思います。言葉どおりに読めば、米軍基地内での感染と、沖縄や山口、そうした日本での、周辺地域での感染拡大の関係をもう調べるなという意味に取れると思います。

 これまでも、我々は、感染源を明らかにするという意味も込めて、ゲノム解析をしっかりやって、周辺の地域で広がった感染の感染者との、解析の結果としっかり比較をしてくれと言ってきたことについても、大臣は、まだいつそのゲノム解析の結果が来るか分からないというような答弁ばかりで、まさにこの米軍の司令部の答えの姿勢と符合するような気がします。

 これからも、大臣もこの姿勢で、この関係、基地での感染拡大と、周辺地域、ひいては日本で起こっているこの感染拡大の関係も調べないという姿勢なのか、伺いたいと思います。

林国務大臣 在日米軍施設・区域の周辺自治体における感染拡大の要因については、様々な可能性がある中で、確たることは言えないと考えております。

 その上で、今委員から御指摘がありましたように、在日米軍施設・区域内の感染状況、その一つであった可能性というのは否定できないということは申し上げてきておりますが、一番重要なことは、やはり感染拡大を防ぐためにあらゆる関係者が協力をするということでございますので、日米間で検疫・保健分科委員会というものを今般設置をしておりますので、この場を含めてしっかり連携をしていきたいと考えております。

源馬委員 こうした脅しみたいなことを言われて、それに屈するような外交を是非やらないでもらいたいですね。しっかり関係を調べてもらいたいと思います。

 厚労大臣にもちょっと、せっかくおいでなのでお伺いしたいんですが、一般論として、こうした感染、クラスターのようなものが発生したこととその周辺地域での市中感染、これに関係があるかどうかというのを調べることは利益をもたらさないということなんですか。一般論としてで結構ですけれども。

後藤国務大臣 一般論として言えば、感染について、その感染経路だとかあるいは状況を把握していくということは有用な情報である、積極的疫学調査をしっかりやっていく必要があるということだとは思っております。

源馬委員 ありがとうございます。

 今厚労大臣がおっしゃったとおりだと思いますので、是非、林外務大臣、この関係も調べるように、米軍としっかりやり取りしていただきたいと思います。

 それでは、コロナについて伺っていきたいと思います。

 外務大臣、これで結構でございます。

 いろいろなところで、医療の逼迫ですとか、いろいろな影響がこのコロナで出ておりまして、昨日も九万人を超える感染者ということで、保健所の業務も大変逼迫をしております。このことについて伺っていきたいと思います。

 私の地元の浜松では、お話を聞いたら、保健所の健康医療課の職員、通常は六人でやっていたところを十倍にして、本庁とかから人を補充して六十人体制でやっているけれども、それでも日付が変わるまで仕事をしたりしていて、人事管理面でも最近問題が出ていると。そして、本庁の方の業務でもやはり影響が出ていると。これはもうどこの地域も同じだというふうに思います。特に、このオミクロンでは、やはり都市部だけじゃなくて地方でもかなり感染拡大しているので、この保健所業務の逼迫というのは大変深刻だというふうに思います。

 積極的疫学調査、先ほどもお話がありました。これはやはり感染を食い止めるという意味で重要だ、これまでも政府はこういうふうに言ってきましたが、最近ではそれすら追えなくなってきていると思うんですが、この積極的疫学調査の国の方針について、少し緩くなっていると思いますが、この政府の方針がいつ変わったのか、お示しいただきたいと思います。

後藤国務大臣 積極的疫学調査については、従来から積極的疫学調査実施要領ということで定めておりますけれども、地域の感染状況等を踏まえて、重症化リスクのある者へ波及し得るクラスター対策を確実に行うなど、対応すべき優先度を考慮して行うことが可能である旨を示しております。

 今般、大変に、感染者の増加に伴いまして、保健所の業務が、先生御指摘のように非常に大きくなっております。保健所の体制強化を図るためにも、オミクロン株の感染が急拡大した地域において、同居家族の把握や、重症化リスクの高い人の中で濃厚接触者に該当する人がいないかを優先して把握を行うなど、地域において柔軟に対応いただくことは差し支えないということで、一月十九日の事務連絡でその旨示しています。

源馬委員 先日、指定都市市長会の皆様から緊急要請というのがありまして、その方針も非常に分かりにくくて、統一した見解を国が出してもらいたい、こういう要請もされているわけなんです。

 大事なところはもう地方に任せて、勝手に柔軟にやってくれと言いつつ、ワクチンの時期もそうでしたけれども、方針がころころころころ変わって、しかも、先ほど言っていた十九日のQアンドAも見ましたけれども、非常に大部で分かりにくい。こういう状況になっているので、統一感を持って、このようにやってくれという、そういう方針を示してくれ、こういう要請がありますが、これについてはどのようにお応えになりますか。

後藤国務大臣 保健所における積極的疫学調査や自宅療養者の健康観察など、保健所の役割は非常に重要だと思います。そして、積極的疫学調査についても、感染拡大を防止するために感染源の推定や濃厚接触者の把握を行う重要な調査でありまして、調査を行う保健所の皆様方が日々大変な御努力をされていることにまず感謝を申し上げたいと思います。

 そして、その上で、感染者数の増加に伴いまして保健所の業務負担が重くなっているところから、保健所の体制強化を図らねばならないということで、オミクロン株の感染が急拡大して逼迫している地域においては、積極的疫学調査の重点化、すなわち業務の合理化を図るということを認めて、一月十九日の事務連絡を出すに至っております。

 同居家族の把握、重症化リスクの高い人の中で濃厚接触者に該当する人がいないか、こうしたことは優先して把握を行うなど、地域の保健所の状況等を踏まえて地域において柔軟に対応していただけるように、事務連絡を出しております。

源馬委員 この緊急要請では、それに加えて、発生届の全数の報告も、何とかしてくれないかみたいな要請もあるわけです。法律で決められた届出すらできなくなってしまっている状況に特に地方は追い込まれていると思うんですね。いろいろなところで、みなし陽性ですとか自主療養の仕組みなんかも始まってきて、そうすると、この届けすら、本当に全数がちゃんと正確に届けられているかどうかということも怪しくなってきていると思うんですよ、もう制度そのものが。

 これはやはり、もっと前々に政府がしっかり対応して、保健所が逼迫する前に何らかの対応を取っておけば、こうはならなかったんじゃないかと思います。その辺りについて、政府の今の見解を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 オミクロン株、急速に拡大をしているということを一言で申し上げましたけれども、特徴からいえば、やはり感染力が速くて、非常に感染のスピードが速いというところで、非常にオミクロンの特徴はあります。一方で、重症化をしにくい可能性が高い。今までのところのいろいろな感染の状況を見ていると、確かに重症化する方たちが少ない。だけれども、このことは、どんどんかかっていくことによって、高齢者やリスクのある方たちが将来重篤化する可能性を否定していることではないので。

 そうしたことを踏まえて、急拡大とオミクロン株の特徴に合わせて対応するということで、やはり、まず健康観察でファーストタッチをするとか、そういうところで、非常に多くの仕事が保健所に集中している事態に対して、今はなるべく、医療あるいは地域のいろいろな仕組みの中で、その保健所の体制をしっかりとサポートできるように、医療機関がそういう健康観察を最初からできるような仕組みや、それぞれの自治体においていろいろな自宅療養の仕組みを工夫していただいておりますし、我々もそれを支援しておりますし、財政的にも支援をするということで対応いたしております。

源馬委員 これだけ保健所業務が逼迫したことも、その原因はやはり、これまでの後手後手の対応だったりとか、ころころ方針がその都度変わったりすることにも大きな原因があったということは申し上げておきたいと思います。これは地方の声ですから、申し上げておきたいと思います。

 続いて、持続化給付金について伺っていきたいと思います。

 ちょっと済みません、順番を変えまして、不正受給の回収の方について先に伺いたいと思います。

 二十四日の城井議員の質問にもありましたが、現状を再度確認させていただきたいと思います。この持続化給付金に係る不正受給の件数と額、それから未返還の件数と額も教えていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 持続化給付金につきましては、二月二日現在、九百六十四件、約九億七千万円の不正受給を確認をしております。

 このうち、約八割の七百六十三件、約七億七千万円分については、年三%の割合で算定した延滞金を加え、元本と延滞金の合計金額、二割に相当する加算金を含めて返納を受けているところです。

 また、未納分は、二百一件、約二億円となっております。

 また、事実誤認などにより、受給要件を満たさないにもかかわらず受給された方も中にいらっしゃいまして、こうした場合には、税金の毀損をいち早く取り戻すという趣旨から、中小企業庁が調査をする前であれば加算金などを付さない自主返納を求めることを認めるとともに、新聞広告やSNSなどを通じて積極的な返還を呼びかけてきておるところでございまして、その結果、二月二日現在、一万四千八百三十七件、約百六十億円の自主返還を受けているところです。

源馬委員 全部まとめて答えていただきましたが、不正受給は九百六十四件、九億円程度、自主返還は別にして、ちょっと今メモれませんでしたが、百六十四億ぐらいということで、十倍ぐらいの差があるわけですね。

 私は、この自主返還も、その中身は不正受給が多かったのではないかなと思います。今大臣がおっしゃったみたいに、調査を開始する前に先に自分から返せば、加算のお金もないし、延滞金もかからない。まあ、お金だけじゃありませんが、むしろ、調査されて摘発されるよりも自分から返しておこうというモチベーションが働いたんだと思うんですね。

 それ自体はそれでいいと思うんですが、この自主返納の中にどのぐらいの割合で不正受給と思われるものが入っていたのか。中には間違えたというのもあるかもしれませんが、かなり少ないと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 返還の理由につきましては、申請時から、その後に、業績の回復によって、もう私は大丈夫ですということで、善意の返還もございます。また、受給要件の誤認による返還、これは、別に悪意はなかったんですけれども、間違いで、返すという方もいらっしゃる。それから、不正な受給による返還など、自主返還した方が申し出る場合があると承知していますが、それぞれの具体的な数については今把握をしておりません。

源馬委員 間違えて申請しちゃったから返すなんてことは、あるかもしれませんが、余りないと思いますね。業績が上がったから返すという人もいたと事前に事務方から聞きましたけれども、もちろんそういう方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなに多くはないのではないかと思います。

 仮に、間違えて申請したケースであったり、悪意があったかなかったかは別にして不正に申請して受給した場合というのは、これは結局、申請そして確認の段階でそれが見抜けなかったということだと思うんですが、何で見抜けなかったんでしょう、これだけの数が。百六十四億円分、プラス九億円分ですね。

萩生田国務大臣 このコロナ禍で中小企業の皆さんが大変苦しんでいる中で、とにかくスピーディーに支給するというのが当時のマインドでした。したがって、申請を性善説で受け付けて、そして、申請で外形的要件が整っていればまずは支給をするということを先に選択をしました。

 今申し上げたのは、その後に、やはりこれは不正ですねということを中小企業庁から指摘したものは、さっき冒頭申し上げた九百六十四件がございますけれども、この間に、先ほど申し上げたように、もしかしたら間違って申請している人や、もしかしたら、先生がおっしゃるように、元々悪意を持って申請をした人たちもいるかもしれないということは当然想定ができましたので、そういう方がいらっしゃったら、早めに返還してくれれば、言うならば、滞納金等々は求めないで、罰則をしないで終わりにしますよということを呼びかけた結果、こういう数字が出てきたと承知しています。

源馬委員 雇調金の方でも不正受給もあって、これについても先日ニュースがありましたが、ちょっと大きめな不正受給の報道があったときに、それをきっかけに自主返還する人がかなり増えたという報道もありました。やはり、怖いなと思って自主返還に切り替わる人もいると思うんです。それはそれで、あってもいいことだと思うんですが、そもそも、そういうことができないようにしっかりチェックをするとか、そういう仕組みがこれから求められると思います。

 この経験を生かして、事業復活支援金や再構築補助金などの仕組みではどこがどう改善されているのか、伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 持続化給付金において数多くの不正受給が確認されたその事実を踏まえ、事業復活支援金では、これまでの経験を踏まえて、一時支援金や月次支援金と同様に商工会議所等による申請書類の事前確認を行うことのほか、申請書類において重要事項の記載を強調することや、申請画面上でポップアップを表示することで虚偽申請に対して繰り返し注意喚起をすることなど、不正受給を防止するためのシステムを構築をしております。

 また、実際の審査に当たっては、これまでの給付金で得られた不正案件の知見を最大限活用することで、適正な給付に努めてまいりたいと思います。

 また、事業再構築補助金を含め各種の補助事業では、申請の内容を審査した上で、実際の事業に必要となる経費の妥当性をチェックし、補助金の交付決定を行っておりますが、事業終了後にも使用した経費の妥当性を検査するなど、申請から事業終了まで多層的な確認を行い、適切に事業や支出が行われていることを確認しております。

 加えて、事業再構築補助金では、経済産業省が認定している支援機関、これは税理士の先生方ですとか中小企業診断士ですとか地方の銀行ですとか、こういった方たちへの相談を申請の際の必須要件としており、事業者だけでは申請ができない仕組みとしております。

 このように、各事業でそれぞれ必要な不正対策を講じており、引き続き適切な執行を行ってまいりたいと思います。

源馬委員 その際に、個人事業主やフリーランスの皆さんにも不利にならないような制度設計をお願いしたいと思います。

 済みません、財務大臣、野田大臣にもおいでいただいて、間に合いませんで、失礼いたしました。会計検査院も、済みませんでした。次回以降、必ずやりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて源馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会の市村でございます。今日、またよろしくお願いいたします。

 まず最初に、いわゆるアベノマスクは布マスクということで政府の方は表現されておられますが、その活用につきましてちょっとお話をさせていただきたいと存じます。

 これは昨年の予算委員会でも、保管料が結構かかっているぞということで、総理の方から、もうこれは廃棄ということにするという話があったところから今日を迎えているということだと思います。

 その昨年の暮れでありますけれども、ちょうど私がニュースをたまたま見ていましたら、このような写真、これは産着なんです、このような写真がニュースに出ていたんですね、このような産着が。ああ、これは本当にもったいない、すなわち、このマスクを本当に廃棄するのはもったいない、こうやって使えるのにというお話をされた方がおられたということで、そのニュースを見て、それは本当にしみじみと、ほのぼのとするニュースだなと思っておりましたら、何と、私の地元の尾辻さんという方が、川西というところなんですが、これを作って、これは、今、このちっちゃい方は、いわゆる布マスクを五枚ばらして作った、ちっちゃいやつです。ちょっと大きめのやつ、これは六枚でこういうのが作れるんですと。そもそも、この布、要はガーゼなんですね。しかも大変質のいいガーゼだというふうに、その尾辻さんはおっしゃっておられました。

 本当にもったいない、こういうことで、いわゆる布マスク、アベノマスクを廃棄せずに、やはりしっかりと生かしていったらいいんじゃないか、活用したらいいんじゃないかということで、御提案があったわけであります。

 そこで、結局、一月十四日に締切りということであったのが、二十八日までそれで延長されて、約八千万枚の廃棄処分をされそうだったマスクが、いわゆる二億八千万枚もの応募があったというわけであります。

 この間、恐らく厚生労働省の役人の皆さんは、本当に寝ずに、恐らく暮れから今日、また更にこれから一か月間、その配送まで含めて大変御苦労があると思いますが、その状況を見て、厚生労働大臣から一言お言葉をいただけないでしょうか。

後藤国務大臣 今般の布製マスクの配付について、国民の皆様から大変多くの申出をいただいておりまして、八千万枚のところの在庫になっておりますけれども、二億八千ということでございます。

 こうした申出をいただいたことを踏まえまして、今後有効に御活用をいただきたいというふうに考えております。

市村委員 これは、こうしたいわゆる産着というだけではなくて、学校教材として、こういうアクリルペイントを使う学校教材。それから、例えば給食の当番で、子供たち、マスクを使う。ちょうどマスクがちっちゃいという御指摘もあったわけですから、子供たちに、今は不織布の方がいいと言われていますから、今じゃなくて、このコロナ騒動というかコロナ禍が落ち着いた後に、こうした、六百万枚ぐらいの需要があるだろうと言われているようでありますから、子供たちの給食当番のマスクに使うとか。

 あとは、面白いといいますか、いろいろアイデアはあるものだなと思ったのは、カイワレ大根の栽培にも何かガーゼは使えるらしいんですね。また、ガーゼそのものとしても使える。よく、昔は、血を出したりしたときはガーゼを当てて包帯を巻いていたというようなこともありますし、いろいろなアイデアがあるわけであります。

 ですので、多分、恐らく厚生労働省として、政府としては、マスクはマスクとして使ってほしいという思いもあるのかもしれませんが、そもそもこれは廃棄される予定だったわけでありますから、それを、国民の皆さんがもったいない精神で、ある種、政策のある意味の失敗みたいなところを国民が助けてくれているという思いもあります。ですから、使途については、もうマスク以外の使途でも、例えばこういう産着とかにも使ってもいいというようなことも、まずもって大臣の方からおっしゃっていただければありがたいと存じます。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

後藤国務大臣 有効に使っていただきたいという言葉の中には、今先生から御指摘いただいたようなことも含めて、是非有効に使っていただきたいと思っております。

市村委員 それと、この件について最後に一点ですけれども、例えば、中には、ちょっと悪い気持ちを持って、たくさんこれを引き受けて、まさか転売するような目的の方は多分いらっしゃらないと信じておりますが、転売などというのは言語道断であるということも、一言、大臣の方からおっしゃっていただきたいと存じます。

後藤国務大臣 今回無償配付する布製マスクにつきましては、配付希望の申出様式や厚生労働省のホームページで既に御案内しているとおり、転売や商業利用は認めないということでございます。

市村委員 これでめでたしめでたしと言いたいところなんですが、そもそも、いわゆるアベノマスクにつきましては、私も浪人中でありましたし、えらい思いつきみたいな話だなというふうに客観的に見ていたところであります。

 今日は財務大臣にお越しいただいていますが、税の使い方として、今は残念ながら税だけじゃなくてたくさん公債も発行しているわけでありますけれども、税の使い方として、ここに今数百億費やされている。しかも、さっきここで議論もありましたが、これから配送にまた十億円ですか、もかかるだろうとかいう話も出ているということであります。

 そもそも、税の使い方として、いわゆるアベノマスクは適切だったのかどうか、財務大臣からの御見解をいただきたいと存じます。

鈴木国務大臣 布製マスク配付事業の中身につきまして、厚労大臣からも話があったところでございますが、この事業を含めまして、新型コロナ関連予算につきましては、その時々の感染状況等を踏まえまして、適切かつ効果的な予算となるように努めているところでございます。

 御指摘の施策につきましては、様々な御意見が国民の皆様方からもある、あったということは承知をしておりますが、税金の使い方としては問題はなかったものと考えております。

市村委員 一か月後にこの検証があると先ほど厚生労働大臣からも御答弁がありましたので、そのときにまた改めて議論させていただきたいと存じます。

 それでは、次に、障害者の「害」の字を今のうかんむりから「碍」に変えるべきではないかということに関して議論させていただきたいと思います。

 これは、先ほどのいわゆるアベノマスクのときも、国民の皆さんから、国民の方からいろいろな提案があるということなんですが、障害の「害」の字をうかんむりでいいのかということに関しましては、実は、あるお一人の方がもう二十年以上かけて、これでいいのかということを提案し、様々な行動をされてきているということがあります。豊田さんという方なんですが、豊田徳治郎さんという方が、たまたま肉親に障害を持たれた方がおられるということで。

 しかし、この「害」という字は、これは文科大臣も少しお調べいただいたんだと思うんですけれども、余りにも、この「害」の字、例えば害虫とか害悪とかということに当てておられる漢字でありまして、非常に能動的に、例えば人を傷つける、人だけじゃありません、傷つけるとか、殺すとか、そういう意味を持ったのがこの「害」なんですね。

 やはり、この「害」を、障害者の方とか障害児とか、人とかお子様に当てるというのは、これはさすがに、どう考えてもないだろうということで、今、平仮名表記を採用する自治体もたくさんあるわけでありますね。

 ただ、じゃ、全部が平仮名になればという話もあるんですが、もっと根本的に言えば、障害という表現がいいのかどうかというのも、これは根本的な議論もあるわけであります。

 かつては、チャレンジドと呼んだらどうだとか、そういう議論もあったのを覚えていますが、それはおいておくとして、少なくとも今の段階では障害という表現をし、そして、その障害という表現に対して漢字を当てているわけですね。まあ、平仮名を使う場合もあるんですけれども。

 しかし、法令用語とかはやはり漢字を使わざるを得ない、又は、報道とかも、例えばNHKさんとかはいまだに漢字で「害」を使っておられるということが続いているということで、様々議論があったということであります。

 この間、川内博史代議士とか、今は残念ながら国会におられませんけれども、また、自民党の、それこそ元文科大臣だった馳浩代議士が非常に御尽力をいただいて、約四年前の平成三十年の五月三十日には、衆議院の文部科学委員会で、スポーツへの障害者の参加の更なる促進のため「障害」の「害」の表記について検討を求むるの件の決議案も全会一致で出されている。

 また、平成三十年の六月十二日には、参議院の文教科学委員会の方で、スポーツ基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議でも、この「碍」の字を用いることを検討すべきでないかというようなことで、附帯決議もされているというところでございます。

 さて、今日、今の御担当の若宮大臣にお越しいただいておりますが、今、大阪・関西万博の御担当大臣もしていただきまして、是非ともまた関西の発展のためにお力を賜りたいところでありますけれども、まず、ちょっと今日はその話はおいて、この御担当ということで、今までの経緯を踏まえて、若宮大臣からの、これは政治家としての御決断というか、御決意を聞かせていただけたらありがたいと存じます。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

若宮国務大臣 今委員からお話がございました障害の表記につきましてでございますが、これまで、障害者政策委員会におけます議論などにおきましても、「害」の字を用いることに否定的な御意見、これがある一方で、社会の障壁自体が障害者の方をつくり出してしまっているという考え方もございまして、「害」の字を用いることが適当であるというような御意見もあります。

 こういった様々な、両方に分かれた御意見があるというふうに承知をいたしているところでもございますが、この障害の表記につきまして、障害当事者の御意向、あるいは世論の動向などを踏まえることが大切であるというふうにも考えるところでもございます。

 この表記に関して様々な意見がございますけれども、現段階においてはなかなか具体的なところ、難しいというのが正直なところではあるんですが、委員も御指摘の「碍」の文字でございますね、この使用につきまして、国会での決議を受けまして、文化審議会国語分科会においても障害の表記についての検討が行われました。

 昨年の三月には、「碍」、これにつきましては直ちに常用漢字表には追加することはしないということ、そしてまた、障害の表記に関しては当事者を中心とした議論の行方を見守ることなど、引き続き動向を注視するという考え方が取りまとめられたところであるというふうに承知をいたしているところでもございます。

 こうしたことから、現在では、内閣府といたしましては、今後とも、障害当事者の御意向あるいは世論の動向など、しっかりと注視をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

市村委員 今、常用漢字の話もありました。もうこの議論は、私も九年浪人の間、まさかこれが変わらないとは思っていませんでした。多分変わっているんだろうなと思っていましたら、変わっていないということで残念な思いです。

 結局、パラリンピックの前に変えようという思いで、多分平成三十年に決議があったと思います。ところが、その後、コロナ禍という状況になっているということで、残念ながらそういう議論がちょっと後回しにされてしまったというところは否めないなと思っています。

 しかし、大分もう煮詰まってきています、議論は。でも、恐らくこれは、政治的な、担当であられる方の決断が必要だと私は思っています。今文科大臣もお越しですけれども、そもそもが原則としては常用漢字を当てるということがあるんでしょうけれども、この場合、原則をおいておいても、やはりさすがに、この害悪とか害虫の字を障害者の方とか障害児の方に当てるというのは、法律の用語とか何か知らない、素直な気持ちで考えて、これはないだろうと思うわけでありますし、恐らく多くの方は、それを聞かれたら、いや、それはないよねということだと思うんですね。だから、ある意味で「害」の字を平仮名にしているわけですから。でも、漢字を使わざるを得ない部分があるわけでありますから、そこは、常用漢字云々の議論はおいておいて、ここはもう、さすがにこれを当てるのはおかしいんじゃないかということで、私はこれまでも議論がされてきたんだと思うんです。

 文科大臣からもちょっと御見解をいただけますでしょうか。

末松国務大臣 市村先生のお話、誠実なお話、真摯にお聞きをさせていただきました。

 私の考え方でありますけれども、私といたしましては、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会、共生社会を実現することが必要であると考えてございます。

 この障害の表記の問題につきましては、文化審議会の国語分科会で検討が行われまして、先ほど若宮大臣、お話がありましたように、昨年三月、「「障害」の表記に関する国語分科会の考え方」をおまとめいただいたところでございます。

 この中で、「碍」の字を直ちに常用漢字に追加することはしないこと、そして、出現頻度などの使用状況、国民の意識や障害当事者を中心とした議論の動向を注視していくことなどの考え方が取りまとめられたものと承知をいたしてございます。

 ただ、平成二十二年に常用漢字改定の折、市村先生も、一生懸命「碍」を追加すべきであるという御意見を主張されたことも伺いました。先ほど川内先生のお話もございましたけれども、川内先生も、選択肢を増やすということで「碍」をつけ加えるべきではないか、それの方がいいのではないかという御提案をいただいたところでございます。

 また、古くは、昭和二十二年十一月十六日に、当用漢字に、僅か千八百五十字に決めたという当時の様子、書き込みも拝見をいたしたところでございます。

 先ほど若宮大臣も答弁させていただきましたけれども、関係する調査ですけれども、直近の調査で、障害者に関する世論の調査でございますけれども、平成二十九年八月三日から十三日まで、三千人の方々にお聞きをして千七百七十一人御回答ですけれども、「障害」の字を使うのがふさわしい方が三一・六%、「障がい」が四〇・一%、先生の御主張の「碍」は二・五%という結果なんです。どちらでもいいという方も一八%おられます。

 五年たった今、どういう意識の変化があるかということは分かりませんけれども、しかし、例えば日本生命は、会社の封筒を見たら、やはりガイは平仮名を使っているんですね。福祉施設内でも平仮名が多いということでございます。

 ですから、私は、やはりこの「碍」につきましても、社会一般で国民の皆さんにとってなじみのある存在にしていくということが私はまず必要ではないかと思います。そのことによって、国民全体が強い意識を持って、問題意識を持って、支持の輪が広がっていくんだと思います。

 市村先生のお気持ちとお考えに敬意を表したいと存じます。

 取りあえず、私の考え方を述べました。

市村委員 結局、ここで、今日、予算委員会の貴重な時間をいただいて、こうやってお話をさせていただいているのですが、こうやって話をしていかないと、やはり、多分、皆さん、多くの方は知らないと思うんですね。でも、多分、「害」でいいかと聞かれたら、恐らく僕は百人中百人の方は、いや、それはないよねというのが素直な考えだと思います。だから平仮名も使われているわけで。別に平仮名を使っちゃいけないという議論はしていません。漢字を使わなくちゃいけないときには、さすがにこの「害」はないだろうという素直な気持ちなんですね。

 だから、「碍」がいいかどうかはおいておくとして、少なくとも「害」を使うのはいかがなものかということでこれまで議論も積み重ねてきているわけですから、大分もう私は議論は煮詰まっていると思いますので、あとは、これは政治決断が必要な状況じゃないかなと。多分、これまでの議論の経緯を私も改めてお聞きして、これはもう政治家の判断が必要じゃないかなというところで思っているところであります。

 素直に、うかんむりはやめておきましょうというところじゃないかなと思うんですが、若宮担当大臣、いま一度、ちょっと思いをお願いします。

根本委員長 時間が近づいていますので、簡潔にお願いします。

若宮国務大臣 今、市村先生のお話を伺っていまして、本当に心優しい、温まる、障害者の方に対する思いというのを私もしっかりと受け止めさせていただきました。

 これは社会全体で捉えていく問題だというふうに思っておりますし、それから、周りの普通の私どもがどういった形で障害者の方々に対してまなざしを持って見るのが適切なのか、様々な形があろうかと思いますので、今日の市村先生のこのやり取りをしっかりと受け止めさせていただき、今後につなげてまいりたい、このように思っております。

市村委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて市村君の質疑は終了いたしました。

 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会、一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 私は、二十年間、医療や介護の現場で仕事をしてまいりました。そして、介護経営も行い、人手不足でもありますから、柔道整復師としてリハビリも担当しながら、送迎も行い、入浴介助もやってきました。

 その中で、補正予算で二千六百億円、エッセンシャルワーカーの処遇を底上げする、そういったところの質問をさせていただきたいと思います。また、本日は介護職員に絞って質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 このエッセンシャルワーカーの二千六百億円の対象者は、支援の対象者は三百万人以上に上ります。そのうち、介護職員に充てるお金は一千億円と聞いております。その対象者は百三十八万人。しかし、厚生労働省の令和元年の調べによりますと、二百十一万人の方が介護の現場で働いておられます。この差が七十三万人。

 この差について、大臣に御意見をお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

後藤国務大臣 予算の積算に当たりましては、実人数ではなくて、常勤換算の介護職員数百三十八万人を用いておりまして、その配分に当たっては、各介護サービスの平均的な常勤換算の介護職員の配置状況に応じて配分することといたしております。その上で、各事業所においては、介護職員ごとに勤務時間が異なるなど、職員の勤務実態に合わせた処遇改善を行っていただくことを想定しております。

 また、今回の措置は、他の職種にも一定の処遇改善を行うことができるよう、柔軟な運用を認めることとしております。

 こうしたことから、各職員の処遇改善にはばらつきが生じ得ますが、こうした点を含めて、混乱なく実施できるよう、丁寧に説明していきたいと思っています。

一谷委員 ありがとうございます。

 ただやはり、各新聞社、そしてネットの記事などを見ると、九千円の給付が介護職員に支給されるというふうな記事が多く、多くの介護職員の方々は、自らの給料が九千円上がるんじゃないかというふうに捉えておられると思います。結局、二百十一万人の方にこの一千億円の配分をすると、手元に配られるのは四千七百円ぐらいになる。

 次の質問ですが、収入の格差、我々介護現場が支給を行うその基は、実は事業所の業績になります。業績に対して支給が行われる。

 施設でいきますと、今、三人のシニアの利用者の方を見るのに一人の職員が必要になります。そうすると、三十人の利用者の方を見るのに十人の職員の方が必要になる。そうすると、九万円の給付があり、一人九千円になります。

 しかし、厚生労働省の調べでは、今、二人の利用者に対して一人の職員がついています。そうすると、三十人の利用者の方をケアするには十五人のスタッフが必要になるという計算になり、これまた、九千円ではなく六千円の給付ということになるのではないでしょうか。

 また、先ほど大臣がおっしゃっていただいたとおり、広くいろいろな職種にこの支給ができる。三分の二がベースアップになります。この六千円の三分の二になると、やはり四千円の支給になるというふうな計算になります。

 この九千円の給付というものが私は独り歩きしてしまっていて、何か、手元に来たときに、やはり四千円ぐらいになったときに、政府や政治への不信感、またもう一つ、身近な自らの経営者に対しての不信感が募り、せっかく、皆様の税を預かり、行政の方が知恵を絞り、そして給付していただくこの九千円が、誰もが喜ばないような処遇改善になるのではないかと思っております。

 その点について、大臣のお考えをお聞かせください。

後藤国務大臣 介護分野におきまして、各サービス種類の中で平均的な職員配置の事業所であれば、常勤換算の介護職員一人当たり月額九千円の賃金改善が可能となるように、配置基準上の介護職員数ではなく、介護サービスに従事する常勤換算の介護職員数である百三十八万人を予算上の積算に用いているということは、先ほど申し上げました。

 ただし、今回の措置は、他の職種にも一定の処遇改善を行うことができるように柔軟な運用も認めることとしているのは、もう先生御指摘のとおりでございますし、こうしたことから、各職員の処遇改善にばらつきが生じますけれども、これは、こうした点を含めて、是非、混乱なく実施できるようにしていきたいというふうに思っております。

 元々、三%程度というのを、月二十九万円、平均的な給与収入、これの三%、九千円ということで、一人頭九千円ということが流布しているということは私も承知しておりますけれども、そういう形で、こういう新しい処遇改善の仕組み、しっかりと丁寧に説明していきながら、混乱の起こらないように実行していきたいと思っております。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり、介護現場や行政の混乱を招かないように説明をしていくのが大切だと思っております。

 また、もう一つ、業績によってこの給付が決まってしまいますので、業績のいい大きな事業所は更にこの処遇改善加算が受けられる、また、小規模の事業所で、少しコロナのあおりを受けてしまって業績が悪いところに関しては、給付がなかなか受けられないということになるのではないかと思っています。

 これから、二〇二五年そして二〇四〇年に介護事業所を増やしていかなければならない。そして、介護で働いていただく方も二〇四〇年に向けて四十万人足らないと言われているこの現状、一人でも多くの方が働いていただく、納得していただける、そういったメッセージを発していただけたらと思います。

 続きまして、介護現場での給付に関わる同一賃金同一労働についての御質問をさせていただきたいと思います。

 現状、この給付は、事業所にまとめて、業績によって支給がされます。そして、報告もまとめて、例えば先ほどの三十人でしたら、九万円で年間百幾ら、まとめての報告になります。そうすると、一人一人に本当にこの給付が行き渡っているのかは判断ができないと思うんです。平成二十一年から五回にわたり処遇を改善していただき、最大で七万五千円、今回の八千円を足すと八万三千円ほどの給与が上がる。しかし、これが本当に全ての方々に行き渡っているのかということは調べができておりません。

 こういった中で、同一賃金同一労働の思いにも反すると思いますし、また、少ないと思いますが、少し悪意があれば、この方にたくさんの給付、そして、この方には、同じ仕事をしているけれども少ない給付ということもできてしまうということがあります。

 私は、ここで思い切って、これは事業所に給付するのではなく、一人一人の介護職員の方へ給付を行ってはどうかというふうに思います。

 今、三段階の介護処遇改善になり、これは行政の方の事務コストも大変。そして、私も、事業所を運営しながらこの書類を書くのに大変苦労してきました。こういったコストも考えれば、個人個人への給付をする方が効率的で、また、同一賃金同一労働、政府への不信感、経営者への不信感、こういったものを一掃できるのではないかと考えています。

 大臣のお考えをお聞かせください。

後藤国務大臣 今御指摘の点でございますけれども、介護職員の給与、他の職種に比べて低い状況にあって、引き上げていく、処遇改善に取り組む必要があることから、御指摘のように、順次、改善を進めてきたところでございます。

 今回の補助金について、できる限り給与の引上げに充てるということで、ベースアップに三分の二以上充てなきゃいけない。それから、他の職員にも配分できますけれども、総額は給料に充てたことをしっかりと報告をしなければいけない。個々の人に幾らずつという報告までは求めませんが、総額として、実績報告書の中で、事業所単位で、しっかりと全額が給料に充たっていたということをしっかりと自治体において確認する仕組みとしております。

 今回の補助金の効果、いわゆるどの程度反映されるのか等々につきましては、公的価格評価検討委員会の議論も踏まえながら、しっかりと調査もしながら、介護職員等の賃金改善の状況も把握していきたいというふうに思っております。

 それから、今回の補助金でございますけれども、二月から九月ということの補助金でございますけれども、その後、これを恒久的な制度にするという経済対策の文書や閣議決定の下に、介護報酬で恒久的な対応をその後、四年度予算ですることになっております。

一谷委員 ありがとうございます。

 十月からの恒久的なところの加算については介護点数でいただくということになっておりますが、そうなると、やはり利用される方への負担増ということにもなります。その辺も考慮いただき、また、今、介護現場の、我々の、いろいろな分析というのは、いい事業所に対してどれだけいい成果を上げているかというような、ピラミッドの、本当に売上げのいいような、大企業がほぼほぼ占めているような、そういったデータになります。

 私は、これから広く裾野を広げていくためには、やはり十人以下の従業員しかいないような小さな事業所であってもしっかり検証を加えてやっていただきたい、そして、この九千円の処遇改善が生きているのかというところは細かく見ていっていただきたいように思います。

 最後になりますが、先ほど来お話ししているこの介護の制度、地方分権、地方は地方の実情に合わせて介護保険を制度設計してくださいということになっておると思うんですが、ほぼほぼ、今、厚生労働省が一括で運営がされているように思います。私は、やはり、地方を再生させていくためにも、地方に権限と人と、そして財源を与えて、自治事務である介護保険の制度を自治体に任せてしまえばいいのではないかと思っています。

 そして、先ほど言いましたけれども、その自治体がもし個人への給付をするというのであれば、その自治体が、今、最高で八万三千円ほどの給付になります、その給付を個人に支払うのであれば、これはベーシックインカムになるのではないかなと思います。介護職員のベーシックインカムです。

 私は、福祉というのは、やはり職員も一番安心で、そして利用を、受けられる方も安心である、これが最大の大事なところではないかと思っております。こういった思い切った政策を取っていかなければ、とてもこれから迎える二〇二五年や二〇四〇年の高齢化の社会に対して対応ができない、また、介護職の魅力を上げて、働く方を増やすということはなし得ていけないのではないかというふうに思っております。

 我々日本維新の会は、地方分権、そしてベーシックインカムを含めた大改革プランを掲げておりますので、どうか、この制度は十月で終わりになる、そして十月から新たな制度に変わる、その期間の間に検証していただき、そして新たな、今ここでお話をさせていただいたことも検討いただき、制度に生かしていただけたらと思っております。

 今までの中で、大臣、何か御答弁がありましたら、いただけましたらありがたいです。

後藤国務大臣 介護を始めとしたいろいろな制度を本当に地域で支えていただき、また、地域共生社会、医療、介護の包括ケアというようなことで、地方の占める役割というのは非常に重要だというふうに思っておりますし、一人の人をいろいろな社会保障制度、福祉制度がどのように支えていくか、それは、地域において人というものを支えている役割が根本にあるというふうに思っております。

 そういうことも含めまして、この処遇改善の問題、先ほど申し上げた公的価格評価検討委員会においては、御指摘のあった賃金改善の状況も含めて、また来年の夏までには方向をしっかり出す。中間整理をその前にまとめますけれども、そういうことで検討していきたいというふうに考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 この介護分野ですが、我々は、超高齢化社会を迎え、世界で最もこの問題に直面しています。これからインドや中国も追随してきます。我々が今行っているこのサービスであるとかケアをしっかりデータ化して、そして世界に向けて商品化していくというか、世界に向けての価値をつくっていく、そういったこともできる分野だと思っておりますので、どうか介護職員の皆様の処遇を上げていただき、この介護の世界が、介護の分野が破綻しないように、党を超えて、皆様のお力をおかりできたらと思います。

 少し早いですが、私からの質問は以上とさせていただきます。

 どうも皆さん、誠にありがとうございました。

根本委員長 これにて一谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 本日、予算委員会、初めての質疑となります。この機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず冒頭、ガソリン価格の高騰について申し上げます。

 資源エネルギー庁の発表によりますと、一月三十一日月曜日でありますが、レギュラーガソリンの全国平均小売価格は、先週に比べて七十銭高い、一リットル当たり百七十円九十銭でした。

 これは予測よりも小幅な上昇にとどまったと言われていますが、原油価格の高騰は高止まりしたままです。また、ウクライナ情勢次第では原油の価格が一段と上昇するという懸念も強い状況であります。

 また、今回の政府の高騰抑制策は春までの時限措置でもあります。私たち国民民主党は、引き続き、トリガー条項の凍結解除、これを訴えて、国民生活のみならず企業支援の側面でも有効な措置であり、また、さらに、給料の上がる経済政策に資するものであるということを訴えて、実現を求めてまいります。

 質問に入ります。災害対策についてです。

 政府の地震調査会は、一月十三日に、国内で可能性のある地震の最新の発生率を公表いたしました。南海トラフ地震は、今後四十年以内にマグニチュード八から九の地震が発生する確率を、これまでは八〇%から九〇%としていましたが、今回九〇%程度というものに引上げをいたしました。

 言うまでもなく、南海トラフ地震は、九州から関東まで広範囲が震度六弱に見舞われ、津波は最大三十四メートル、犠牲者は最大で三十三・二万人、全壊する建物は二百五十万棟、経済損失は二百兆円とも想定をされています。

 政府としましては、平成二十六年に策定をされた南海トラフ地震防災対策推進基本計画の中で、死者数を八割減、また建物の全壊を五割減、これを令和五年までという目標で掲げて、今進めています。

 最終取りまとめに向けた後半の段階に今来ておりますが、現時点での達成状況、また今後の見通しについてを、まず伺います。

二之湯国務大臣 委員御指摘のとおり、国が平成二十六年五月に策定した南海トラフ地震防災対策推進基本計画では、死者数が約三十三万二千人をおおむね八割減、そして建物の全壊棟数二百五十万棟をおおむね五割減らす、こういうことを掲げて、これらの目標を達成するために、関係省庁や自治体等が連携して、今様々な取組を進めてきたところでございます。

 具体的には、住宅の耐震化や、津波ハザードマップの整備による避難意識の向上等の対策を推進してきたところでございますが、今のところ、平成三十年度の時点では、死者数については約二七%減、そして建物の全壊棟数については約一三%減となっておりまして、今まだ道半ば、こういうことでございます。

 したがいまして、南海トラフというのは切迫性が非常に高うございますので、甚大な被害が想定されていることから、着実に防災対策を進めることが非常に重要と考えております。

 引き続き、関係省庁等と連携して、南海トラフ地震対策に全力で取り組んでまいりたいと思います。

田中(健)委員 平成三十年の結果ということでありますが、二〇%、一〇%ではかなり低いという印象を受けざるを得ません。

 恐らく各自治体によっても取組は違うんだと思います。例えば私の静岡県は、一九年末の試算ではありますけれども、その時点で想定の七割が達成できているという評価の結果を聞いています。

 九〇%になった今、かなり心配な状況が続いていますので、各自治体と連携を取って万全な対策を進めていただきたいと思いますし、また、目標を掲げても二割、一割しか進んでいないのでは、現実的でなければ、その見直しも含めて、これから、もう見直しの時期も来年から始まるということでありますので、進めていただくことを要望したいと思います。

 また、一月十五日には、今度は南太平洋のトンガ諸国の海底火山が大噴火をして日本各地に津波警報が発令されたのは、皆さんも記憶に新しいかと思います。

 今回のトンガの噴火は、日本の火山プレートとは違うため、日本の活火山への連動はないとのことでありますが、日本には三十四か所の海域火山がありまして、昨年八月には小笠原の火山が噴火もいたしました。これに加え、日本は百十一もの活火山があり、世界の一割もが日本に集中しているという、世界有数の火山国でもあります。

 その一つである富士山のハザードマップが、昨年、十七年ぶりに改定をされました。ドラマの「日本沈没」を見た方もいるかと思いますが、最終回に富士山が噴火をしたあのシーンが、ドラマだけではなくて現実に起こる可能性が近づいているとも言われています。

 これを受けて、自治体はそれぞれ防災マップや避難計画の改定を今進めているところであり、また企業も、サプライチェーンの影響を最小限にするため、BCPの改定に取り組んでいます。

 これだけでも大変な作業でありますが、更に大変なのは、その後の火山灰であると言われています。こちらも、令和二年の内閣府の報告によりますと、この降灰は、東京、神奈川、埼玉、さらには千葉、首都圏に及びまして、交通や電力、通信や、インフラと言われる影響が多大であると言われています。

 どのような被害を想定しているのか、まず伺います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 富士山の噴火に伴う広域降灰につきましては、中央防災会議の下に設置されましたワーキンググループにおいて広域降灰の影響等についての検討がなされ、令和二年四月に報告書が取りまとめられたところでございます。

 この中で、降灰による影響につきましては、過去の火山噴火における被害想定や、類似の他の災害事例の状況、実験結果などから、一定の仮定を置いて整理がなされております。

 まず、交通に関しましては、道路は、降灰時に、三センチメートル以上の降灰で自動車が通行不能となり、鉄道は、微量の降灰で地上路線の運行が停止すると想定されております。これらに伴い、物資の輸送や人の移動が困難になってまいります。

 また、ライフラインについてでございますが、電力は、降雨時に〇・三センチメートル以上の降灰があると停電が発生し、通信は、降雨時に基地局等の通信アンテナに火山灰が付着すると通信不良が発生すると想定をされております。また、上水道は、原水の水質悪化等により飲用に適さなくなるおそれがあるなど、降灰によって大きな社会的影響が生じるとされているところでございます。

田中(健)委員 大きな被害があることというのは今るる説明をいただきましたし、かなり被害の影響が広いことも分かりましたが、しかしながら、既に内閣府は、二〇〇四年、この時点で、富士山が、前回の一七〇七年の宝永噴火と同規模のまた噴火があれば、交通機関などの麻痺によって最大で二兆五千億に上る甚大な被害があるということを、もうこの時点で発表しています。

 約二十年がたっています。この間、どんな対策が取られてきたんでしょうか。

二之湯国務大臣 今おっしゃいました富士山ハザードマップ検討委員会報告書におきましては、一七〇七年にございました宝永噴火と同程度の噴火が発生した場合の降灰等の火山現象の規模や範囲を取りまとめられました。

 これを踏まえて、関係省庁や地元自治体等が連携しながら、ハード、ソフトの両面の対策を総合的に実施しているところでございます。

 具体的には、降灰に伴う土石流対策として、砂防堰堤や遊砂地等の砂防施設の整備、あるいは、噴火時に一時退避するための避難施設等の整備に加えて、住民等の避難を円滑に進めるため、富士山の監視、観測等に基づく情報提供体制の充実や、避難計画の策定、避難訓練などのソフト対策に取り組んできておるところでございます。

 引き続き、関係省庁や地元自治体等と連携しながら、富士山噴火に備えた防災対策を推進していきたい、このように思っております。

田中(健)委員 今の答弁ですと、先ほど、対策を、令和四年に定めたものとして、そごがあります。具体的に、電車が止まり、また交通が止まり、インフラが止まるという中で、砂防堤やまた避難経路というのはもう二十年前から言われておりまして、つまり、問題の認識はみんな共有しています、問題だと。

 そして、ワーキンググループも、この間、二十年で何回も開かれてきました。しかし、検討、検討という言葉は資料を拝見しますと並ぶんですけれども、その具体的な取組、各関係省庁をまとめるだとか、また民間をまとめるですとか、そういった取組は全く進んでいません。本当にこの間に噴火がなくてよかったなと思うわけでありますけれども、やる気があるのかと疑ってしまうような状況です。

 降灰の問題は広範囲にわたりますので、一自治体、県や市では対応できません。さらに、国家の危機管理という点でも喫緊の課題であると思っています。是非、国の責任として、この対策を講じる必要があると考えておりますが、大臣、またお考えをお願いします。

二之湯国務大臣 先ほど統括官が述べましたように、富士山噴火に伴う広域降灰によりまして、都市機能が集積した首都圏において非常に深刻な影響を及ぼすということから、国としてもこれを積極的に取り組んでいかなければならない、このように思っているところでございます。

 このため、平成三十年八月に中央防災会議にワーキンググループを設置して、富士山をモデルケースに、大規模噴火時の広域降灰によるライフラインや建物への影響等々、その影響に対する対策について整理をしたところでございます。

 これを踏まえて、令和二年六月から、関係省庁等から成る検討体制を設けまして、救助や物資輸送等に必要な火山灰の除去や、あるいは社会活動の維持に必要となる電力等の復旧対策、あるいは避難を含めた住民の安全確保方策など、富士山噴火に伴う広域降灰への対策オペレーションについて、現在検討を進めているところでございます。

 委員御指摘のように、引き続き一生懸命取り組んでまいりたい、そのために、関係省庁と連携しながら、国としても責任を持って富士山降灰への対策を検討してまいりたい、このように思っております。

田中(健)委員 更に話を進めますと、富士山は、一七〇七年の宝永地震の四十九日後に大噴火を起こしています。以来三百年間、噴火がありませんで、マグマがたまっていると言われています。

 富士山と南海トラフの著書がある鎌田浩毅京都大学名誉教授によりますと、富士山の直下のマグマだまりは十年前の東日本大震災で大きく揺すぶられ、マグマだまりの天井にひびが入った、今は富士山噴火のスタンバイ状態である、南海トラフ地震で強い揺れが加われば噴火の引き金になるおそれがあると述べています。

 このような研究については、政府は把握をしていますでしょうか。

真先政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省の科学技術・学術審議会、こちらの方において、大学等における地震火山に係る学術研究の計画でございます、災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画、これを取りまとめておりますが、その中に項目を掲げまして、「地震発生と火山活動の相互作用の理解を目指す。」このようにされておりまして、このようなことを踏まえまして、大学等における学術研究上の一課題として取り組まれているというふうに承知しております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、地震火山分野におきます学術研究等の推進に努めてまいります。

田中(健)委員 火山と噴火の理解を示すということでありますので、つまり、文科省としては、南海トラフ地震と富士山噴火の関連を研究していないということかと思いますが、つかさどる防災大臣、政府としての見解はいかがでしょうか。

二之湯国務大臣 京都大学の鎌田教授の学説については承知をしております。

 南海トラフ地震も富士山の大噴火も、恐らく、時を経ずして集中的に起こるかも分からないということで、非常に危機意識を持っておりますから、そういう、もしこの二つのものが同時に、あるいは時間差が非常に近く起これば、非常に大災害が起こるということで、これに対しまして真剣に取り組んでいかなきゃいかぬ、このように思っているところでございます。

 そのため、中央防災会議の下に、南海トラフあるいは富士山噴火のワーキンググループを設けまして、被害想定等を今取りまとめて、関係者一丸となって一生懸命対策を講じているところでございます。

 これらの二つの災害から国民の生命と、あるいは身体、財産を守るために、国はもとより、地元自治体と連携しながら、引き続き着実に防災対策を推進してまいりたいと思います。

 委員も恐らく富士山近傍にお住まいだ、こういうことで、富士山の噴火に対する危機意識は人一倍だと思いますけれども、国としても一生懸命頑張ってまいりたいと思います。

田中(健)委員 災害は忘れた頃にやってくるとも言われます。コロナで今大変な危機的国の状況でありますが、災害対策もまた忘れることなく、ひとつ力を入れて行っていただきたいことを要望しまして、終了いたします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 政府が佐渡島の金山を世界文化遺産として推薦することを決定いたしました。我が党としても、推薦に値すると考えます。

 そもそも世界遺産とは、人類の知的、精神的連帯に寄与し、平和と人権を尊重する普遍的な精神をつくるというユネスコの理念に基づくものです。そして、文化遺産の解説及び展示に関するイコモス憲章では、より広い社会的、文化的、歴史的、自然的な文脈と背景に関連させなければならないとしています。

 本委員会で高市さんが、佐渡の金山の登録について、江戸時代の産業遺産であって、戦時中とは全く関係がない、韓国は当事者ではあり得ないとおっしゃいました。

 しかし、史跡佐渡金山のホームページでも、佐渡金山は四百年の歴史が紹介されております。世界文化遺産として、負の面も含め、四百年全体を示すことは当然のことだと思います。

 この点は、明治日本の産業革命遺産でも問われております。

 二〇一五年の登録の際、日本政府は、資料二ページ目のステートメントを出しております。

 日本は、一九四〇年代に幾つかのサイトにおいて、その意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者らがいたことについて理解できるような措置を講じる、こうあります。

 そして、これに関わって、昨年、世界遺産委員会は、日本が関連決議をいまだに十分には実施していないことに強い遺憾を示す決議を採択、約束したことを実行するよう日本政府に求めております。

 外務大臣に確認いたしますが、この二〇一五年のステートメントの最終決裁権者は誰ですか。

林国務大臣 二〇一五年の明治日本の産業革命遺産の世界遺産登録時に実施した日本政府ステートメントについては、当時、政府全体で意思決定を行ったものでございます。

宮本(徹)委員 政府全体ということですから、つまり、最終的には安倍総理ということだと思うんですよね。文書自体が、日本政府を代表しとありますから、これも当時の安倍首相が世界に対して約束したことであります。

 そこで、産業遺産情報センターの展示物を見た場合、安倍元首相が当時約束したように、多くの朝鮮半島出身者が意思に反して連れてこられた、このことが一見して理解できるような展示になっているんでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 産業遺産情報センターは、二〇一五年に明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録された際のユネスコ世界遺産委員会の決議を受けて、二〇一九年度末に設置したものです。

 これまで、我が国は、世界遺産委員会の決議、勧告等を誠実に履行し、明治日本の産業革命遺産の世界遺産価値や歴史全体が理解できるパネル等を展示するとともに、世界遺産登録時の日本政府のステートメントのパネル、国民徴用令を含む第二次世界大戦中の徴用政策等が理解できるパネル、厳しい生活環境や労働環境に関する元端島島民の証言を紹介するパネル等を展示してきているところであり、初めに日本内地で実施されていた国民徴用令が朝鮮半島出身者に対しても実施されたことが明確に理解できる内容となっています。

宮本(徹)委員 ところが、それを見て、世界遺産委員会は全会一致で、いや、日本は履行していないという決議を昨年上げているわけでございます。ですから、誠実にやっているんだという独りよがりの立場というのは、国際社会からは全く受け入れられていないというのが今の現状だということをしっかり見なきゃいけないというふうに思います。

 資料を、内閣官房からいただいたものを四ページ目、五ページ目とつけておきました。

 例えば、五ページ目のものが大きく産業遺産情報センターに貼り出されております。私も、昨日伺って、お話も伺ってまいりました。

 この方の証言が大きく出ています。ただ、この方でいえば、時期でいえば、一九四〇年代に連れてこられた方ではないわけですよね。この方のお父さんは、その前の時代から端島の炭鉱で働かれていた方ということになっているわけです。一九三九年以降の労務動員計画、そして徴用による労働者の証言が大きく貼り出されているわけではないですよ。

 是非、現地にも、御覧になっていただいて、本当に、世界遺産委員会がなぜそういう、日本は約束を守っていないという指摘をしているのかというのを考えなければならないというふうに思います。

 多くの朝鮮半島出身者が意思に反して連れてこられ厳しい環境の下で働かされたと万人が分かる資料の展示にしていくということは、私は非常に大事なことだと思いますし、国際社会との約束を履行していない、こうみなされている姿勢を取り続ければ、結果として、佐渡金山の世界遺産登録のコンセンサスを得る障害にもなるということを指摘しておきたいと思います。

 その上で、佐渡金山の歴史についてですけれども、資料六ページ目以降に、新潟県がまとめた新潟県の通史を載せております。

 こういう記述がございます。「昭和十四年に始まった労務動員計画は、名称こそ「募集」「官斡旋」「徴用」と変化するものの、朝鮮人を強制的に連行した事実においては同質であった。本県では十五年末現在募集認可数一八五〇人、移住者数八八〇人であった。家族持ちが六八一人もいながら、家族を呼び寄せたものは三五世帯八一人にすぎず、移住者の不本意さがわかろう。」こう書かれております。

 そして、新潟県史では、労務動員計画で最も多くの朝鮮人が働いていたのは三菱鉱業佐渡鉱山と書かれております。賃金は内地同様とうたわれているが、両者を職種別で見るなら、その悪平等が判然とする、ここでは半島人が五百八十四人、内地人が七百九人稼働していた、ところが、前者が圧倒的に多数配属されていたのは、削岩と運搬部門であったとあります。つまり、朝鮮人の大多数が坑道の中での危ない労働に割り当てられていたということです。

 そして、相川の歴史、相川町の町史をまとめた委員会の資料もつけております。

 こういう記述がございます。昭和十五年二月、九十八人の第一陣が到着した早々、四十人の朝鮮労働者が会社に押しかけて待遇改善の要求、同年四月には三月分の賃金支給を受けた九十七人が応募時の条件と違うとして賃上げストライキを決行し主謀者三人が強制送還されたりしたと。

 つまり、だから、応募のときは違う条件、もっと厚遇を示して、ある意味だまして募集をしていたということになるわけでございます。

 そして、佐渡鉱山の半島労務管理についてを見ますと、千五名のうち百四十八名が逃走したという記録もあります。特高月報などには、逃亡した労働者が検挙され、労務調整令違反で送局されたことが記録されております。

 ちょっと、まず事実の問題として確認したいと思いますが、文部科学大臣、佐渡鉱山の歴史には新潟県史や相川町史に記されているこういう事実があることは、これは否定されませんよね。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の、意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたとの文言は、明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録された際の日本の政府のステートメントであることは承知をいたしてございます。

 他方、御指摘をいただきました点ですけれども、様々な議論、そして意見があることは承知をしております。

 いずれにせよ、文部科学省といたしましては、佐渡の金山の高い文化的価値を評価していただけるよう、関係自治体及び関係省庁と連携しつつ、冷静かつ丁寧な議論に努めてまいりたいと思います。

 また今般、内閣官房副長官補の下に、関係省庁が参加をいたします世界遺産登録等に向けたタスクフォースが設置されたところでありまして、今先生おっしゃいましたけれども、歴史的経緯も含め、様々な議論をいたしてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 様々な議論と言いますけれども、私が今紹介したのは、全部、公的記録ですよね。県史だったり、町史だったり、あるいは戦前の特高警察の記録だったり、客観的な資料に基づいて話している。別に、日本共産党史を引用しているわけじゃないわけですよ。ですから、その事実はやはり事実に立って考えなきゃいけないですよ。

 こういう事実があったということ自体はお認めになりますよね。

末松国務大臣 佐渡鉱山史とか、その県史のコピーもちょっと送っていただいたことがございますけれども、定かであるかどうかということは私自身は確認はまだいたしておりません。それをきちっともう一度調査はいたしてまいります。知事とも市長とも、そういう話はいたしております。

宮本(徹)委員 定かであるかどうか分からないって、それをひっくり返すようなものを何か持っているわけでもないわけでしょう。公的なところがしっかりと書いたものを、定かであるかどうか分からないと、ひっくり返そうというのは、本当に私はとんでもない話と思いますよ。やはり、ちゃんと事実はしっかりと認めていくということが必要だと思います。

 ちなみに、この相川町史は、佐渡金山の異常な朝鮮人連行は、戦時産金国策に始まって、敗戦でようやく終わるのであるということも指摘されております。

 私は、こういう事実を覆すというような方向で物事を考えるというのであれば、それは大変な誤りだと思います。

 安倍元首相は、新たな歴史戦チームを立ち上げ、日本の名誉と誇りを守り抜いてほしいとおっしゃっています。

 そうした中、先ほどお話ありましたけれども、二月一日に、世界遺産登録等に向けたタスクフォース第一回会合が行われました。このタスクフォースの目的を見ると、正しい歴史認識、こういう言葉があるわけです。

 官房長官にお伺いしますが、このタスクフォースの任務というのは、NHKの「シブ五時」が報じたように、政権の歴史認識に基づいて、それに合う事実を、これだけを集めていくんですか。それとも、政権の歴史認識にとって都合の悪い事実も含めて、事実をしっかりと集めて積み上げていくんですか。どちらですか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 二月一日、滝崎内閣官房副長官補の下、世界遺産登録等に向けたタスクフォース第一回会合が開催をされ、内閣官房、外務省、文部科学省等から局長級が出席をいたしました。同会合においては、今後のスケジュールの確認、今後必要となる作業に関する議論等を行ったとの報告を受けています。

 このタスクフォースは、佐渡の金山のユネスコ世界遺産の登録実現等に向け、歴史的な経緯を含めて、今後行われる様々な議論に対応するための省庁横断的な取組を強化をすること、この関連で、国際社会において、客観的事実に基づく正しい歴史認識が形成をされ、我が国の基本的立場やこれまでの取組に対して正当な評価を受けるため、また、いわれなき中傷には毅然として対応するために、関係省庁の間の情報共有を図るとともに、政府一体となって、発信の在り方を含め、効果的な対応の検討を行うことを目的として立ち上げたものであります。

 政府としては、客観的事実に基づいて、国際社会において正しい歴史認識が形成されることを重視をしており、引き続きしっかりと取り組んでいく考えであります。

宮本(徹)委員 初めに申し上げましたけれども、世界遺産は、人類の知的、精神的連帯に寄与し、平和と人権を尊重する普遍的な精神をつくるというのが理念です。ですから、負の側面も謙虚に認めていく、このことでこそ、その遺産の価値が、世界遺産としての価値を私は持っていくと思います。政権に都合の悪い事実から目を背けて、歴史戦だ、こうやって声高に叫ぶのではなくて、私は、村山談話の立場に立って、歴史に謙虚に向き合うことを強く求めたいと思います。

 最後に、先日の高市さんの質問に、外務大臣はこう答弁されています。日本は、ユネスコ改革を主導して、昨年の四月には、世界の記憶について、関係国間での見解の相違がある案件は関係国間の対話で解決するまでは登録を認めないこととするための異議申立て制度を導入するなどしてきた、こう答弁されておりました。

 私は、世界文化遺産でも関係各国間での対話というのは極めて大事だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、世界の記憶においては、関係国間の合意を必要とするルールが日本主導で採択されたところでございます。

 これを受けまして、世界遺産でも、世界遺産条約履行のための作業指針におきまして、関係国と議論を行うことが推奨されております。

 我が国としては、この趣旨に沿って、佐渡の金山の文化遺産としてのすばらしい価値が評価されるよう、関係国と冷静かつ丁寧な議論を行っていく考えでございます。

宮本(徹)委員 時間になりましたから、終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会の吉良州司でございます。

 まず、時間配分について、立憲民主党、維新の会の皆さんに御配慮をいただいたことを感謝申し上げます。

 それでも、僅か八分と限られていますので、問題提起の域を出ないとは思いますけれども、北方領土問題について取り上げさせていただきます。

 北方領土問題を取り上げようと思ったきっかけは、実は、ウクライナ問題、ウクライナ決議案です。これを契機に、あれこれ考えました。

 ロシアの真意は一体どこにあるのか。

 クリミアや東ウクライナは、歴史的に見れば、語弊があるかもしれませんけれども、ロシアの領土であってもおかしくないのではないか。けれども、当時は、ソ連内共和国、国内共和国であったがゆえに、つまり、将来的にその国内共和国が独立しようなどと想定していなかったがために、ソ連崩壊後、いろいろな問題が出てきているのではないか。

 さらには、NATOは、元々、ソ連とワルシャワ条約機構の軍事的脅威に対して欧州の平和と安全を守るためにつくられた同盟であるにもかかわらず、今次、ウクライナ問題では、ロシアとの、場合によっては軍事衝突もあり得るかもしれない。にもかかわらず、更に東方拡大を目指すゆえんは何なのか。

 それから、ウクライナ問題がロシアの東アジア戦略にどう影響を及ぼしてくるのか。結果的に我が国にどういう影響を及ぼすのか。

 さらには、中国が、このウクライナ問題を契機として、どのような国益を追求してくるのか。

 さらには、中国は、もしかしたら、米国が中間選挙を前に、対中国、対ロシア、二正面作戦を実行する余裕はとてもない、そういう足下を見て、一挙に台湾を狙ってくるのではないか。

 ただ、よく考えたら、今年、中国共産党の大会があり、習近平も三期目を狙う。とてもじゃないけれども、準備はそんなに整っていない。それはないか。

 あれやこれや、商社マン時代の習性で、風が吹けばおけ屋じゃないけれども、誰がもうかるのかと、あれこれ考えた次第です。

 我が国としては、中国とどう向き合っていくかというのが外交上最大の課題だ、そういう認識をしていますが、その中で、ウクライナ問題の対応いかんによって、ロシアと決定的な関係悪化を招いてはいけない、また、これを契機にする、中ロ、更なる接近についても備えなければいけない、このような思いから、北方領土問題を取り上げることにしました。

 いつもながら前置きが長くなりましたけれども、林大臣、北方領土四島が歴史的に見て日本の固有の領土であることというのは明らかでありますけれども、欧州の国でもあるロシアに対して固有の領土論が説得力を持つのか、そのことについての見解を問います。

林国務大臣 先生の元商社マンらしい思い巡らせを、私も元商社マンとして今お聞かせいただいたところでございますが、我が国の主張や論理、これがロシア側にどういうふうに受け止められているかという点については、我々の具体的な交渉の方針、またその進め方及び交渉内容にも関わってまいりますので、平和条約締結交渉が行われている中で、お答えすることは差し控えたいと思います。

 領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下で、引き続き粘り強く交渉していきたいと考えております。

吉良委員 私の見解としては、ヨーロッパの長い歴史の中で、領土はというか国境線は絶えず変更されるし、領土というよりも、その土地を統治している国自体が入れ替わっていく中で、残念ながら、日本の固有の領土論というのは説得力を持たないというふうに思っています。

 ただ、もちろん、日本としては、尖閣あり、竹島あり、それを考えますと、固有の領土論というのは主張し続けなければなりませんけれども、少なくとも北方領土に関しての対ロシア交渉上は説得力がないと私自身は思っています。

 その意味で、その意味というか、皆さん方に、お手元に資料をお配りしています。これは、ドイツの領土の変遷、そして現在の国境が永久に画定しているドイツ・ポーランド国境条約の内容についての資料です。

 見ていただければお分かりいただけるように、ドイツは戦争するたびに領土を減らし、さきの大戦において、オーデル・ナイセ線以西が当時の東ドイツとなり、そして東西ドイツが統一されたということであります。

 そして、このドイツ・ポーランド国境条約において、ドイツが、プロイセンを源流とする国、プロイセンと、ある意味ではオーストリアを除く神聖ローマ帝国が合体した国であるとするならば、プロイセンが源流、そういう意味では、日本でいえば奈良、京都に当たる、プロイセンの誕生の地を放棄してまで東西ドイツの統一を成し遂げたということです。これをもってしても、固有の領土論というのは残念ながら北方領土交渉においては意味を成さないと思っています。

 そういう中で、私が大臣にお聞きしたいのは、安倍総理が二島返還による日ロ平和条約締結ということも考えていたというふうに言われておりますけれども、仮に、あくまでも仮の話ですけれども、固有の領土である北方領土の一部を放棄してでも、ドイツでいう東西ドイツ統一、これに相当する、又はそれ以上の国益が何なのか、これについて答弁を求めます。

林国務大臣 御指摘の記事の内容、また、あくまで仮定の問題ということですので、政府としてはコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、日ロ関係を重視していく姿勢というのは変わりはないわけでございます。平和条約締結問題を含む政治や経済、そして文化等で、幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するように発展をさせてまいらなければならない、そういうふうに考えております。

吉良委員 外交上そういうふうにしか答えられないというふうに思いますけれども、私は、日本にとって一番いい結果をもたらすためにも、実は、四島を全部取り返すということから、場合によっては二島も含めて、幅広い選択肢、幅広い裁量権を持つことが交渉上最も強くなるというふうに思っています。

 ただ、そういう意味で、それを実現していくためには国民の理解、支持が必要になりますので、こういう例えばドイツの事例のようなことも国民に示していただいて、強い支持を国民から得て、よりよい結果をもたらす交渉をしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明四日午前九時から委員会を開会し、参考人の意見陳述及び参考人に対する質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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