衆議院

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第21号 令和4年6月1日(水曜日)

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令和四年六月一日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      加藤 勝信君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤田正純君

      笹川 博義君    下村 博文君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      平沢 勝栄君    藤丸  敏君

      古屋 圭司君    宮崎 政久君

      簗  和生君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    泉  健太君

      江田 憲司君   おおつき紅葉君

      落合 貴之君    城井  崇君

      近藤 和也君    階   猛君

      鈴木 庸介君    長妻  昭君

      野田 佳彦君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    山岸 一生君

      吉田はるみ君    足立 康史君

      赤木 正幸君    市村浩一郎君

      岩谷 良平君    小野 泰輔君

      馬場 伸幸君    吉田とも代君

      伊佐 進一君    浮島 智子君

      輿水 恵一君    福重 隆浩君

      山崎 正恭君    鈴木 義弘君

      前原 誠司君    赤嶺 政賢君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      仁木 博文君    大石あきこ君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (デジタル大臣)     牧島かれん君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官)          北波  孝君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          柳   淳君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  緒方 禎己君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    宇山 秀樹君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     簗  和生君

  秋葉 賢也君     武井 俊輔君

  加藤 勝信君     笹川 博義君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  北村 誠吾君     藤丸  敏君

  中谷 真一君     江藤  拓君

  石川 香織君     泉  健太君

  江田 憲司君     鈴木 庸介君

  落合 貴之君     山岸 一生君

  近藤 和也君     野田 佳彦君

  道下 大樹君     藤岡 隆雄君

  足立 康史君     馬場 伸幸君

  市村浩一郎君     小野 泰輔君

  岩谷 良平君     赤木 正幸君

  伊佐 進一君     山崎 正恭君

  輿水 恵一君     浮島 智子君

  中川 宏昌君     福重 隆浩君

  前原 誠司君     鈴木 義弘君

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

  緒方林太郎君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     中谷 真一君

  笹川 博義君     鈴木 隼人君

  武井 俊輔君     秋葉 賢也君

  藤丸  敏君     北村 誠吾君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  簗  和生君     青山 周平君

  泉  健太君     石川 香織君

  鈴木 庸介君     おおつき紅葉君

  野田 佳彦君     近藤 和也君

  藤岡 隆雄君     道下 大樹君

  山岸 一生君     落合 貴之君

  赤木 正幸君     吉田とも代君

  小野 泰輔君     市村浩一郎君

  馬場 伸幸君     足立 康史君

  浮島 智子君     輿水 恵一君

  福重 隆浩君     中川 宏昌君

  山崎 正恭君     伊佐 進一君

  鈴木 義弘君     前原 誠司君

  赤嶺 政賢君     宮本  徹君

  仁木 博文君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     加藤 勝信君

  おおつき紅葉君    吉田はるみ君

  吉田とも代君     岩谷 良平君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田はるみ君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(ウクライナ問題等内外の諸課題)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

根本委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、ウクライナ問題等内外の諸課題についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官北波孝君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長彦谷直克君、内閣官房内閣情報調査室次長柳淳君、内閣府地方分権改革推進室長寺崎秀俊君、警察庁生活安全局長緒方禎己君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、総務省総合通信基盤局長二宮清治君、法務省刑事局長川原隆司君、外務省欧州局長宇山秀樹君、厚生労働省健康局長佐原康之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。

江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。

 この度は、質問の時間をいただきまして、委員長それから理事の皆様、大変ありがとうございます。

 まずは冒頭に、ロシアのウクライナ侵略に対して強く抗議をいたします。一日も早く停戦を実現し、国際秩序がゆがめられることがないよう、総理、毅然とした態度で対応をよろしくお願いいたします。

 この事態を受けて、国民の安全保障に対する関心は今までになく高まっております。

 そして、私が今日議論させていただきたいのは、食料の安全保障についてであります。

 日本の食料自給率、三七%。これじゃまずいだろうということは政治も分かっておりましたし、国民の皆様方も感じておられました。しかし、その危惧、これがいよいよ現実のものとなって、生産現場を直撃し、家計を直撃しています。

 食品メーカーは、六月一日以降、次々と値上げ。今後二か月間に三千品目を超えて値上げが予定されています。年内には累計一万品目値上げされるのではないかと報道されています。

 そして、今農業の生産現場で最も危惧されていること、それは、肥料価格の高騰であります。

 化学肥料の原料は、リンにしてもカリにしても、全量輸入に頼っております。春に行う施肥、春肥については、全農そして全国の農協が大変努力をしていただいて、値上げを抑えてくれました。しかし、この秋は大変厳しいです。昨日、秋肥について全農から発表がありました。尿素は九四%、カリは八〇%、信じられない、経験したことのない値上げであります。

 これでは、秋の施肥を諦めてしまう農家、これが出るかもしれません。大変危惧しています。施肥をしないということは、営農を断念するということですよ。農業を諦める、耕作をもうしないという事態が起こるかもしれません。緊急的な対策が私は必要だと思います。

 そして、国内の堆肥、これはあるわけですから、これをペレット化して、広域で流通するような、そういう体制も急いで整える必要があると私は思っております。

 このことは、党内でしっかり議論をして、政策提言としてまとめさせていただきます。大臣、その節はどうぞよろしくお願いいたします。

 日本の農業は、輸入なくしては成り立たない。これは農業だけじゃありませんけれども、そういう産業構造になってしまっています。ですから、総理、総理が提唱されています新しい資本主義において、食料安全保障、これを国の大きな政策の柱として立てる必要があると私は考えますが、総理のお考えをお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、江藤委員におかれましては、農林水産大臣時代に、御指摘の食料安全保障を確立する旨の内容を含んだ食料・農業・農村基本計画の取りまとめに努力をされた、また、引き続き党の農業政策調査会長として御尽力されていること、このことについては敬意を表し申し上げます。

 そして、食料の安定供給の確保、これは、国民に対する国家の最も基本的な責務の一つであり、重要な課題であり、食料安全保障の重要性、委員の方から御指摘がありましたが、今後の不透明な状況を考えますと、ますますこの食料安全保障は重要になってきている、このように認識をしています。

 そのために、まずは、今は肥料について御指摘がありましたが、肥料、燃料あるいは飼料、こうした価格高騰にしっかり対応する、また、国産小麦の生産拡大など、様々な取組をするべく用意した総合緊急対策、これをまず実施すること、これが何よりも重要であると思います。

 そして、昨日、今年の骨太の方針の原案を示させていただきましたが、その中においても、食料安全保障の強化を図る、これは明記されています。

 今後、私が本部長を務めます農林水産業・地域の活力創造本部、これを改組しながら社会課題に取り組んでいかなければならないと思っていますが、その中で、スマート農林水産業、輸出力強化、農林水産業のグリーン化とともに食料安全保障の強化、これはしっかりと位置づけて議論を進めていきたいと考えております。

江藤委員 ありがとうございます。大変力強い御答弁をいただきました。しっかり党内でも努力をさせていただきます。

 そのためにも大切なのは、やはり、農地を国民の財産としてしっかりと次の世代に引き継いで、その農地を守る担い手を育てること、これがとても大切であります。

 日本の農地は四百四十万ヘクタールを切ってしまいました。基幹的農業従事者は百三十六万人おりますけれども、その平均年齢、七〇%が六十五歳以上です。この農業の構造的な欠陥、これに今こそメスを入れるべきだと私は考えております。

 ここで一枚のパネル、これは国会議事堂の写真です。今は、噴水があって、花が咲き誇っております。舗装もされていますけれども、七十数年前、戦中戦後、日本が食料に窮していた時代、国会議事堂の前にもこうやって芋を植えなければならなかった、こういう時代があったことを我々日本人はもう忘れ去ってしまおうとしております。

 しかし、今、ウクライナ侵略によって、第二次世界大戦後最悪の食料危機が引き起こされる可能性があるということを国連が指摘しております。さらに、世界の人口はこれから爆発します。二〇五〇年には百億人になると言われます。

 じゃ、それに合わせて地球の食料の増産能力があるのかというと、ありません。地球温暖化が進み、砂漠化が進み、水面は上昇し、農地の面積は逆に減っています。そして、インドは熱波、フランスは干ばつで苦しんでいます。世界中が異常気象に今苦しんでいます。

 この事態を受けまして、今御指摘がありました私の調査会の下に、森山裕元農林水産大臣、私が最も尊敬する先生でありますが、大変僭越ながら委員長をお願いして、食料安全保障に関する検討委員会、これを設置をさせていただきました。

 党内で活発な議論を行って、中間の取りまとめができました。今度お時間をいただけるということですから、委員長から官邸でしっかり御説明をさせていただきますが、今日は、それに先立って、その柱だけ若干御紹介させていただきます。

 まずは、食料安全保障を確立をして国民の不安に応えるということであれば、やはり予算が必要だということであります。今は、当初予算、それから補正予算、補正予算はあるかどうか分からないですが、そしてTPP関連予算という形でやっておりますけれども、これからは、食料安全保障の予算、これを別建てでしっかり立てる必要があるのではないかというのが提案のまず一つ目であります。

 そして、食料・農業・農村基本法です。今度は法の方ですね、基本計画ではなくて。これは農政の憲法とも言われるものでありますが、これも、食料安全保障のそういった思い、観念をしっかりと盛り込んだ上で改正する必要があるということを提案させていただきます。

 総理は、日本を取り巻く緊迫した安全保障環境の中で、防衛力強化のために、防衛費の相当な増額を確保する、こう表明されました。私も大いに賛同いたします。きっと国民の皆様方も御理解いただけるものと思っております。

 それでは、農林水産省の予算はどうかということを御紹介させていただきますと、令和四年度ですと二兆二千七百七十七億円です。大きな金額です。しかし、農林水産省は、農、林、水とウィングが極めて広いわけでありますから、私は、大臣当時から、これが足りないということを実は感じておりました。食料安全保障を確実に、そして本気で取り組むということであれば、私は、大きいことを言うようで恐縮ですけれども、GDPの一%を目指して予算確保をしていきたいというふうに思っております。

 総理それから財務大臣の御答弁を求めたいところでありますが、今日は、思いということで、御答弁は求めません。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、米について議論をさせていただきます。

 農政の基本はやはり米政策です。米の消費は落ち込んでいます。非常に厳しい状況です。毎年十万トンずつ国内消費は落ちています。そして、さらに、厚生労働省の人口動態調査によりますと、毎年日本の人口は五十万人以上減っています。私の宮崎県の人口、百五万人ですから、二年間で宮崎県の人口がなくなってしまうという恐ろしい事態がこの日本では進行しているということであります。

 自民党の少子化対策調査会、この皆さんが極めて思い切った提言を総理にお届けをされました。厚生労働大臣も御存じだと思います。その実現に向けて、厚生労働大臣、答弁は求めませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

 米を議論するときには、やはり出口対策を考えなければなりません。まずはやはり消費の拡大です。結構、米は低カロリーなんですよ。パンに比べるとカロリーは低いんです。そして、日本は長寿国です。先人は米を食べて大きくなりました。長寿じゃないですか。私は、健康食品だと思っています。政府を挙げて消費拡大を私はしてほしいと思います。

 輸出にも取り組んでいます。頑張っています。少しずつ伸びています。

 そして、今日、少し話題にしたいのは米粉です。米粉は大体二万トンの消費で推移してきました。しかし、昨今の小麦の値上がりによって非常に引きが増えてきました。今、四万トンを超えて、五万トンに届こうとしています。

 しかし、ここで問題になるのは、非常に製粉コストが高い、そして売価も高いということです。ここを何とかすれば、学校給食だったり、パンに混ぜたり、一定数量ですね、すれば、新しい米の出口が確実につくれます。このことをしっかり国として後押ししてほしいというふうに思います。

 そして、私が大臣だったときに初めて、政府備蓄米を子供食堂それから子供宅食に提供することを始めました。しかし、まだこれまでの実績、延べ八百八十三件なんですよ、総理。少ないじゃないですか。日本中には、今、六千以上の子供食堂があって、皆さん頑張ってくださっています。この備蓄米をもっと有効に活用して、求めている人に届ける努力を、農林水産省も政府も挙げて、私はやっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 ここで、米の需給対策を少し紹介をさせていただきたいと思います。

 昨年末には、米穀周年供給・需要拡大支援事業、これを大幅に拡大しました。市場隔離効果のある十五万トンの特別枠もつくりました。そして、令和三年度の米の契約数量、前年の同月に比べましたら一二三%というふうになってきております。いい感じになってきています。四月の相対取引価格もようやく上昇に転じました。これは一連の政策が効果があったということだと思いますが、それには生産者の方々の御協力がありました。その御協力に、この機会をかりて心から感謝をしたいというふうに思っております。

 そして、今、国会では、水田活用の直接支払交付金、これが度々取り上げられています。これについて、総理は、水田転作への助成については、現場の課題を検証しながら、麦、大豆、野菜などの需要に応じた生産、販売を一層促進し、農家の所得向上と食料自給率の向上、これらを図ってまいりたいとお答えになりました。私も全くそのとおりだと思います。

 ただ、この水田活用の直接支払交付金の趣旨を改めて周知し徹底しようとしたところ、現場の皆様方から非常に多くの不安の声が寄せられていることもまた事実であります。そして、それぞれの地区にはそれぞれの事情があります。水活に限らず、国のあらゆる交付金はその趣旨に沿った執行を執り行うこと、これが財政民主主義の観点から求められます。しかし、その結果、耕作放棄地が出てしまった、離農者が出てしまったということでは、これはよくないと私は思うわけであります。

 今ちょうど食料自給率とか食料安全保障の話をさせていただいているわけでありますから、このことについては党内でしっかりこれまで議論してきました、近々、今度、農林水産大臣の元に、今後の対策も含めた決議文、これをお持ちする予定でありますが、今の時点で、農水大臣、どのようにこの問題を捉えておられるのか、御答弁をよろしくお願いします。

金子(原)国務大臣 大変いろいろと参考になるお話を伺いました。ありがとうございました。

 先ほどのお尋ねの件でございますが、今後、生産者や産地が畑地化を選択する場合、水稲と転作作物のブロックローテーションを選択する場合、いずれの場合でありましても、産地がしっかりと話し合い、その判断を後押しできるよう、また、耕作放棄地や離農が増加することがないように、議員御指摘のように、党の決議を踏まえまして、必要な政策を今後しっかりと検討してまいりたいと考えております。

江藤委員 ありがとうございます、大臣。政策を検討すると明確におっしゃっていただきました。

 今、農林水産省は、全国で一生懸命調査をしています。現場の声を拾うこと、これは農政の基本ですから、これも七月までには調査結果が上がります。やはり、現場の声を十分踏まえて、不安を取り除きながら政策を進めていただきますように、大臣には重ねてお願いをさせていただきます。

 次に、畜産の話を少しさせていただきます。

 今、コロナ禍でも経験したことのない、とんでもないことが起きています。

 先月の二十三日に、私の宮崎の延岡の市場に行ってきました。見てください、この価格の推移を。大暴落ですよ。こんなことは、私、経験がありません。コロナ禍でもこんなことはありませんでした。前年の同月に比べて二〇%も下落してしまいました。これは宮崎だけじゃありませんよ。鹿児島も、ほかのところも同じ状態に今苦しんでいます。そして、全ての畜種の畜産農家が飼料や生産資材の高騰に今苦しんでいます。

 配合飼料につきましては、令和三年度の補正で二百三十億円の積み増しをしていただきました。四月の総合緊急対策においても四百三十五億円の積み増しを行いました。ですから、配合飼料価格安定制度自体は大丈夫です。しっかりその趣旨を果たすことができます。

 じゃ、これで安心かというと、そうじゃないんですよ。これで補填を受け取っても、畜産農家は、前年の同月に比べると、一トン当たり一万円以上の負担増になっています。しかし、売価は上がっていません。これは農政の大きな課題なんですけれども、どうしても生産コストの上昇を販売価格に転嫁できないという状況にあります。生産資材は上がっていく、売価は上がらないということであれば、経営が厳しくなるのは当然のことだということを御理解いただけると思います。

 配合飼料の主な原料はトウモロコシですが、九九・九%輸入に頼っています。これを今何とかしようと、去年からリノベ事業等を始めました。そして、海上の運搬費も上昇し、円安など様々な要素がマイナスに働いています。本当にダブル、トリプルの苦しみです。

 このために、今の対策も必要ですが、今の制度の在り方も含めて、高止まりしたら配合飼料価格安定制度はどうなるのか、そういう議論も含めて、抜本的な議論が今求められています。

 昨日は、自民党本部に、全ての畜産団体の皆様方、お越しをいただきまして、全国の現場の声を聞かせていただきました。その中で、酪農の団体の方は、あの九州で有名な熊本で、今年だけでもう既に四十の酪農家が営農を諦めようとしているという話を聞きました。衝撃です。大変な事態が今起こっています。

 そして先週は、私の地元のいわゆる各畜種の部会長さんたち、全員御上京いただいて、私の事務所で意見交換しました。経済連の会長さんもお越しをいただきました。私の頭に、そのときの会話でこびりついている言葉があります。お先真っ暗です。

 江藤君、今まで畜産経営は厳しいことはいろいろあった、だけれども、今頑張ればきっと何とかなる、その先には一条の明かりが見えていた、しかし、今はそうじゃない、もっと円安が進むかもしれない、もっと配合飼料の価格が上がるかもしれない、もっと物財費が上がるかもしれない、やっと息子も帰ってきてくれた、自分の息子が帰ってきて三代目だ、一体どうなってしまうんだ、夜も眠れぬと言われました。何とかこの危機を我々は救わなければならないというふうに思います。

 日本の畜産は、我が国の農業産出額の四割を占めるまで、四〇%ですよ、成長しました。また、農林水産物の輸出は、一兆円を超えて、一兆二千三百八十五億円に到達しました。コロナがあってもです。頑張ってきました。そして、畜産物は、これから輸出の柱になることも期待されておるわけであります。

 地元に帰ると、若い子たちが本当に増えました。女性の姿も本当に増えました、競り場に行くと。こういう人たちの、こういう次世代を担う担い手たちの夢を砕かないように、今こそ政治が努力すべきだと思いますが、大臣、御答弁をよろしくお願いします。

金子(原)国務大臣 ただいま委員御指摘のとおり、我が国畜産をめぐる情勢は、配合飼料価格の高騰などから、厳しい環境下にあると認識をいたしております。

 先般の原油価格・物価高騰総合緊急対策におきまして、配合飼料価格安定制度の異常補填金基金の積み増しや、金融支援対策の充実の措置を講じたところであります。

 今後は、若い後継者や女性も含めた生産者の皆様が意欲を持って経営を継続していけるよう、また、農林水産物の輸出の柱である和牛の生産が地域を支える大事な産業として機能し続けられるよう、牛マルキンなど経営安定対策の着実な運用を始め、今後とも、必要な対応につきましては不断に検討を行ってまいりたいと考えております。

江藤委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

 続いて、林業政策についてお伺いをさせていただきます。

 木材は食料ではもちろんありませんが、しかし、国土保全、安全保障の観点からは、極めて重要な案件だと思います。

 この間の日曜日に、私の地元の美郷町渡川というところに行ってまいりました。非常に山深いところなんですけれども、そこは、Iターン、Uターンで、若者が林業の施業班として帰ってきてくれています。活気のあるところなんですよ。行ったら、おばちゃんたちが、渡川マンマというんですけれども、地域の食材を使った煮つけとか、そういう食材のお弁当を作って待っていてくれました。そして、前の議長さんも、地元の、自分の畑でできたそばを振る舞ってくれました。非常にうれしかったです。元気をもらいました。

 やはり政治は、こういう条件に恵まれないところで頑張っている人を支えるのが我々の使命だなということを改めて痛感したところであります。

 そこで出た意見は、たくさんありますけれども、例えば、森林環境譲与税、やはり山の多いところにもっと重点的に配分してほしいという意見、それから、ウッドショックで確かに価格は上がったけれども、山元への還元が十分じゃないから、やはり植林がなかなか進んでいないというような話、そして、道路整備は、田舎にとっては命の道ですよ、道路整備をしてほしい、その他、生活に関わるいろいろな意見を聞かせていただきました。

 総理にここでお尋ねしますが、この林業で働かれている人たちの平均給与、どれぐらいだと思いますか。三百四十万円ですよ。刈り払いにしても伐倒にしても、非常に危険を伴う重労働です。それにもかかわらず、この給与水準。そして、学校は統廃合される、田舎ですから。そして、病院も遠い、買物も遠い。そういうところで頑張っている人を、もっと応援しないといかぬじゃないですか。私はずっと初当選以来、四百万を目指して努力すべきだということを言ってきました。

 では、林野庁の予算がどれくらいかということを御紹介させていただきます。令和四年の当初予算、三千百二十五億円です。ちなみに、GDP比でいうと〇・〇五%です。我が国の国土の三分の二は森林です。三分の二を占める森林、これを管理する林野庁の予算が、これでやってきたこと自体が、ちょっと驚きだと私は思います。やはりCO2の固定化、そういうことも考えると、もっと林政に力を入れるべきだと思います。

 国の総理大臣として、国を治める立場として、林業政策についてどのようなお考えをお持ちか、総理のお考えを是非お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、林業経営については、関係者の皆様方が、生産性の向上ですとか、あるいは規模拡大ですとか、様々な御努力をいただいてはおりますが、依然、委員御指摘のように、大変厳しい状況にあると認識をしています。

 林業が地域経済を支え、そして国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止など多面的機能を発揮している、こうしたことを考えますと、林業の持続的な発展、これは極めて重要であると考えます。

 そして、特にいわゆるウッドショックに対して、林業が国内資源を活用して木材需要に的確に対応していけるよう、路網整備、木材乾燥施設の能力向上など進めているわけですが、ウクライナ情勢等を受けて一層木材需給の不透明さが増しており、国内材製品の緊急増産への支援など、用意した総合緊急対策、これを着実に実施し、緊急かつ機動的に対応していく、まず政府としてこの対策の結果を現場にしっかり届けていかなければならない、このように思います。

 そして、将来を見据えて、林業者の所得向上を図り、切って、使って、植える、こうした循環利用を確立するために、森林経営管理制度、樹木採取権制度、こうした制度の着実な実施による意欲ある経営者への集積、集約あるいは人材確保、こうしたものに努め、またデジタル技術等を活用したスマート林業への総合的な支援、こうしたものを推進していきます。

 こうした様々な政策を重層的に政府としてもしっかり用意することによって、現場で大切な林業を守っている皆さんたちをしっかりと支えていかなければならない、このように認識をいたします。

江藤委員 ありがとうございます。

 次に、水産業についてお話をさせていただきます。

 我が宮崎県は、カツオ、マグロの基地として発展してきました。そして、日本もかつては水産大国でした。魚介類の自給率は一〇〇%を超えていました。戦後の厳しかった時代、水産業は外貨獲得の先兵として大活躍をした時代があります。

 しかし、残念ながら、様々な事象によって、今、自給率は五七%まで落ちています。これを回復することは、私は大事だと思います。それにはまず資源管理。日本は、WCPFCなど、世界と共闘して、資源の管理にすばらしい役割を果たしてきました。結果、クロマグロの資源も回復してきました。実績を上げています。

 そして、水産の課題は、浜値と売価で全然この格差が大きい、流通の問題があります。この流通の問題に今こそ手を入れるべきです。そして、漁獲量の約三割は未利用魚、名前が分からないとか人気がないとかいって捨てられています。こういった未利用魚も利用することによって漁業者の所得を上げることに取り組むべきです。

 そして、忘れてならないのは、領土、領海の問題であります。尖閣周辺の話、大和堆の話、もう言いません。

 そして、尖閣周辺では、漁業者が命懸けで操業を続けてくれています。海上保安庁も水産庁も頑張ってくれていますけれども、体制が十分とはとても言える状態ではありません。

 それでは、水産庁の予算はどれぐらいあるのかということを御紹介させていただきます。令和四年度当初予算、千九百十九億円、対GDP比で〇・〇三%。これだけ広い領海を持ち、海洋大国であり、広いEEZ、排他的経済水域を持つこの日本の水産庁の予算が二千億に届かない、よくこれまでこの予算で頑張ってきたなと、私は褒めてやりたいぐらいの気持ちであります。

 是非、総理、水産大国日本を復活させようじゃありませんか。その私の考えについて、総理のお考えを是非お聞かせください。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 我が国の漁業生産量は、委員御指摘のように、かつて世界一でありました。

 しかし、水産資源の減少、漁業者の減少などにより、ピーク時の約三分の一に減少している。食用魚介類の自給率は五七%になっている。こうした現状を見るときに、食料安全保障の観点から、漁獲量を増大し、自給率を向上させていく、こうした取組は極めて重要であると思います。

 政府としましては、本年三月に閣議決定した水産基本計画に基づいて、海洋環境の変化による不漁、外国漁船の違法操業、燃油価格の高騰、こうした課題に対応しながら、持続性のある水産業を成長産業化し、そして漁村の活性化を実現していく、こうした取組を進めていかなければならないと認識をしています。

 基本的には、資源管理ロードマップに基づいて資源管理を着実に実施していきたいと思いますが、あわせて、燃油価格高騰対策、こうした対策を進める、スマート水産業を進めていく、あるいは、次世代型漁船の建造、養殖の拡大、こうした様々な取組を通じて、生産性の向上、さらには加工流通支援、これも大事な視点であると思います。

 こうした政策を総合的に進めることによって、水産資源の適切な管理による水産業の成長産業化を実現し、水産大国日本の復活に向けて取り組んでいきたいと思います。

 あわせて、御指摘の水産庁の予算ということにつきましても、環境整備ということにおいてどこまで充実しなければいけないのか、しっかりと現実を見ながら、予算についても考えていきたいと思っております。

江藤委員 ありがとうございました。終わります。

根本委員長 これにて江藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。

 本日は、質問の機会をいただき、心から感謝を申し上げます。大変にありがとうございます。

 まず、ロシアのウクライナ侵略により、お亡くなりになられた方々と御遺族に心からお悔やみを申し上げますとともに、戦時下で、また、避難先で厳しい生活を余儀なくされているウクライナの国民の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 また、ウクライナから避難されてきた方々の受入れ、そして、皆様が心から安心して日本で生活できるよう、人道復興支援に全力で努めてまいります。

 本日は、学びの支援について質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私ども公明党は、これまで、奨学金といえば公明党と言われるほどの、若者の学びを支える奨学金制度、これに全力投球してまいりました。

 同時に、歴史を振り返りますと、現在の日本学生支援機構の源流である大日本育英会は、今から七十九年前の戦時下、一九四三年に創設がされました。その際の大蔵省の主計局の担当の主査が、岸田総理が敬愛し、田園都市構想などを打ち出した大平正芳さんでした。大平総理は、衆議院議員になっても、文教委員長を務めるなど、教育の政策の推進に御尽力をしてこられました。また、岸田総理も文部科学副大臣として御活躍をされていました。

 本日は、そういう歴史や御経験を担う岸田総理に、奨学金の制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。日本の宝の子供たちのため、そして日本の未来のために、どうか是非、積極的な答弁をお願い申し上げます。

 公明党は、立党以来、半世紀にわたって、一九六九年の教科書無償配付、そして七二年の児童手当の創設など、子育て、教育を政治の柱とすることに全力で取り組んでまいりました。特に、この約二十年、連立与党の責任ある立場から、幼児教育・保育、私立高校授業料、高等教育の三つの無償化を実現させました。中でも、高等教育の無償化については、岸田総理が訴える新しい資本主義における人への投資、これの最も重要な柱だと思っております。

 公明党は、高等教育の無償化を更に改善、そして充実させるという観点から、現在の奨学金制度について、卒業後のライフイベントに応じて柔軟な返還ができるようにと強くこれまでも訴えてまいりました。二〇一七年に、日本学生支援機構の奨学金に、所得連動型奨学金制度、すなわち、卒業後の所得に応じて返済額が変動する仕組みを我々公明党が強く主張し、導入が、創設がなされたところでございます。

 しかし、私のところにたくさんお声をいただいているのが、子供が欲しいけれども夫婦で返済をしていてなかなか余裕がない、また、既卒者に対してもライフイベントに合わせて返済制度ができないものか。

 現行制度は、既卒者や有利子奨学金を借りている方は、この所得連動型返還を選ぶことができません。また、返済金が減額される年収の基準額は三百二十五万と低く、所得連動の活用には高いハードルがあります。減額幅も、現在、二分の一と三分の一のみで、ライフイベントに応じた柔軟な返済が難しいと指摘がなされているところでもあります。

 奨学金を借りて学び、卒業して仕事を始め、結婚、出産、また、転職したり転勤したりすることもあります。そんな個人個人で異なるライフイベント、これに応じて柔軟に奨学金を返済できる仕組みこそ今求められているところであり、その実現のために、本年四月の二十八日、私が本部長を務めさせていただいております公明党の教育改革推進本部の提言を末松文部科学大臣にお渡しし、要望をさせていただいたところでございます。

 そこで、岸田総理にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、個々人で異なる就職、就業、また結婚や出産といったライフイベントに応じた柔軟な奨学金の返済を可能にするために、所得連動型返還が使えない有利子奨学金の受給者や既卒者にも利用可に、返還負担を軽減するべきではないでしょうか。

 そのため、減額返還制度の年収基準を、現在の三百二十五万から要件を緩和すべきだと思います。例えば、三百二十五万から四百万に緩和した場合は、利用可能な人数の効果は、約二百三十万人から約三百万人が対象になります。また、定額返還している四百六十万人のうち、年収三百二十五万以下では約五〇%、二十代では五四%、また、四百万円以下の場合は約六四%、二十代では八〇%が対象となります。

 また、減額の幅も、現在は二分の一と三分の一でありますけれども、これを、四分の一、二分の一、四分の三といったように、月々の返還の減額の幅を新たに設定し、柔軟性を増すことも重要であると思います。

 大平総理が創設された我が国の奨学金制度、令和の時代、新しい資本主義にふさわしい仕組みとするために、これらの改善を行うとの英断をお示しいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 貸与型奨学金を利用し返済中の者のうち、約三分の二が年収四百万円以下であり、結婚後も夫婦共に返還を続け、出産等のライフイベントにより奨学金の返還の支払いが一時的に難しくなる、こうした場合があるということ、これは十分承知をしています。

 こうした観点から、教育未来創造会議においては、無利子、有利子にかかわらず、貸与型の奨学金の返済に当たって、既に卒業して返還中の者も含めて、返還者が自らの判断で卒業後の所得に応じた返還額により返済できるようにする出世払いの仕組みを創設する、こうした提言が行われた次第であります。

 この仕組みは、結婚や出産などのライフイベントに応じて柔軟に返還できる環境を整えるものであり、これはまず着実に実施したいと思います。

 そして、仕組みの詳細については今詰めているところでありますが、委員の今の御指摘等もしっかり受け止めながら、現行の貸与型奨学金の減額返還制度について、返還者の年収分布などを踏まえ、現行の年収要件、御指摘の三百二十五万円ですが、これを緩和するとともに、減額幅の在り方、これについても考えてまいりたいと思います。

浮島委員 ありがとうございます。

 着実に実施すると今御答弁をいただきました。ありがとうございます。私たちも全力でやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、このライフイベントに合った返還、これを実現するとしますと、一つ問題が起きて、課題が生じてまいります。

 それは何かというと、有利子奨学金の受給者もライフイベントに柔軟にした返還ができるようになりますと、支払い期間の延長に伴い増加する利息の負担であります。一%の利率で月五万円の奨学金を貸与されていた方が、所得に応じて減額返還し、十五年ではなく、これを二十三・五年で返還をしたとすると、十六・二万円の利息の負担増になってしまいます。ライフイベントに応じて返還しようとしたら利息の負担が増えてしまうというのでは、何のための支援か分かりません。

 そこで、総理に、総理の御決断で減額返還制度を改善していただいたとしても、その減額返済による返済期間の延長で利息の負担の増が生じては、せっかくの決断の意味が失われてしまうと思います。そこで、この利息負担増を軽減する必要があると思いますけれども、総理の御見解をお伺いをさせていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のとおり、月々の返還額の減額に伴って返還期間が延長する場合、有利子奨学金の返済に当たっては、その利息負担、これは増加することになります。この利息負担の在り方については、考えなければならないと思います。

 利息負担の在り方について、出世払いの仕組みの詳細、今後詰めていく中で、将来、年収が上がった者にどの程度まで返済長期化に伴う利息負担を求めるべきかなど、支援の必要性あるいは安定財源の裏づけ、これも念頭に置きつつ、検討していきたいと思います。

 御指摘の点について、念頭に置きながら、是非考えてまいりたいと思います。

浮島委員 まさにこれからの検討になると思いますけれども、しっかりと国で支えるようにお願いさせていただきたいと思います。

 また、二〇一七年に当時の安倍内閣が掲げた人生百年時代の下、二〇二〇年度から、大学や専門学校への進学に当たって、現行制度は、住民税非課税世帯は授業料減免と給付型奨学金の基準の全額、また、年収三百万円以下の場合はその三分の二、三百八十万円以下の年収については三分の一が支援されているところでございます。その結果、住民税非課税世帯の進学率は、四〇%から五四%に上昇いたしました。

 他方で、収入が三百八十万円を超える子育て家庭からは、自分たちも家計が苦しいというお声をたくさんいただいております。

 そこで、我々公明党は、四月の二十八日に取りまとめた提言においても、低所得者向けに給付を行う高等教育の修学支援新制度、これを、特に負担軽減の必要性の高い多子世帯や理工農系の学部学生等を始めとして、中間所得世帯まで拡充することを提言させていただきました。私立大学の理工農学系学部の年間の授業料や修学は年間約百四十万と、私立大学の文系学部に対し三十万円以上高くなっていて、理工農学系の分野の進学のハードルが高くなっております。

 そこで、総理にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、この高等教育の修学支援新制度は、人への投資の重要な柱だと思います。現在、三百八十万円、これは四人の家族モデルの世帯で目安年収三百八十万円となっていることでございますけれども、ここのところを思い切って例えば六百万円まで引き上げ、多子世帯、理工農学系学部に進学する場合にはその支援の対象とするなど、中間層への支援の拡大、これを決断すべきだと思います。

 現行制度から例えば年収六百万に拡充をすると、利用可能な人数は、約六十万人から約八十万人と対象が増えます。現行制度では、給付型奨学金の支給額は最大で年間九十一万、授業料の減免額は最大で七十万、合計で百六十一万です。これはいずれも、私立大学に通う自宅外生の場合です。

 新たな区分として、このパネルの黄色のように、四分の一の支援の区分を設けると、その区分の一人当たりの支援額は、百六十万円の四分の一となりますので、最大約四十万円となります。私大では、理工農系の授業料負担が人文系より約三十万多く、また、多子世帯の教育負担増は、そうでない世帯よりも約三十万円高いというデータがあります。この新たな区分での支援額の最大四十万円というのは、こうした理工農系や多子世帯の教育負担の軽減につながると考えております。

 そこで、今後、どの程度の所得層までを高等教育支援新制度の対象とすべきとお考えなのか。

 また、日本の女性の理数の学力は、義務教育を終了した十五歳の段階では世界のトップレベルであるということを、OECDのPISAでは、調査で示されております。しかし、高校で普通科理系を選ぶ女性は同世代の一六%、大学で理工農学系学部に進学する女性は僅か五%というところに激減しているのが事実でございます。これをしっかりと打開していかなければならないと思います。女性がSTEAM分野で活躍できる環境をしっかりと整える、これは私たちの大きな責任だとも思っております。

 この問題を含めて、積極的な御答弁をお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先般の教育未来創造会議においては、大学生に対する授業料減免や給付型奨学金の中間層への拡大について、特に負担軽減の必要性の高いと認められる多子世帯や理工系、農学系の学部で学ぶ学生等への支援に関し必要な改善を行うこと、これが提言されたところですが、委員の御指摘の年収六百万円までという考え方、これもしっかり受け止めたいと思いますが、こうした様々な指摘も受けながら、具体的な支援の対象範囲や内容については、支援の必要性や安定財源の裏づけも念頭に置きつつ、今後、政府内において検討を進めたいと思います。

 また、科学技術、イノベーションの創出に向けては、女性の活躍が重要であるということ、これは強く認識をいたします。

 今後は、教育未来創造会議での提言も踏まえて、理工系分野の学問を専攻する女性の割合を男子学生と同等の三割程度に引き上げることを目指し、女性活躍に積極的に取り組む大学をしっかり支援をしていく、こうした支援を実施していきたいと考えます。

浮島委員 今総理より、六百万円も一つの考え方として受け止めたいという前向きな御答弁をいただきました。しっかりと、六百万円を基準に検討していただくようお願いをさせていただきたいと思います。

 また、この修学支援新制度について、三十日の参議院の予算委員会で、我が党の三浦信祐議員から末松文科大臣に質問させていただきました。それは、保護者から、虐待を理由に保護者の元から避難している学生には、この支援制度が使えません、対象になっておりません、なので、しっかりと対象にしてもらいたいと質問させていただいたところ、末松大臣からは、新たに随時の受付の対象とするという前向きな御答弁をいただきました。

 それで、質問なんですけれども、通知はもう既に出していただけたのか。

 また、あわせて、この修学支援新制度は周知が徹底されておりません。学生が、必要なのに知らなかったということで、学業を諦めなければならない。また、実際に、これを使用したいんだけれども知らなかったので受けられないという学生から、もう話はたくさんありますけれども、進学している学生の数は、制度設計をしていた当初を下回っておりまして、相当額が、用いずという意味の不用となって国庫に返納されたと聞いております。知らない、必要としている学生がいるにもかかわらず、そこのところに届かないというのは私は大問題だと思います。

 しっかりと子供の支援の現場の人たちとタイアップをして、発信、周知を徹底すべきだと思いますけれども、末松大臣の決意と今後の対処方針についてお伺いをさせていただきたいと思います。

末松国務大臣 浮島先生にお答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、避難の時期によりまして、長期間支援が受けられず、修学の継続が困難になることも考えられることから、虐待等を理由に避難した場合について、新たに随時受付の対象とすることの制度改善をすることにいたしました。この制度改善につきましては、今先生お話ありましたが、昨日、大学等に対して周知を行ったところでございます。

 引き続き、厚生労働省とも連携しまして、地方自治体の福祉部局に対する周知を行うとともに、分かりやすい情報発信に努めてまいりたい、そのように思ってございます。

 それと、この制度についての利用が低いのではないかという御指摘でございます。

 日本学生支援機構のアンケート調査では、学生が新制度に申し込まない主な理由といたしましては、一つは……

根本委員長 簡潔にお願いします。

末松国務大臣 はい、分かりました。

 手続が面倒である、制度を理解できていないとか、何とか生活ができておるといったような、そういう回答がありまして、御指摘のとおり、周知に課題があることは認識をいたしているところでございます。できたら中学生の段階から一層の周知が必要であるという認識もございます。

 そして、政府広報やSNSなど、若い世代の利用頻度が高い媒体を活用して広報に努めてまいりたい、そのように、あらゆる手段を講じて利用を高めたいと思ってございます。

浮島委員 しっかりと支援が行き渡るようにお願いをさせていただき、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて浮島君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉健太君。

泉委員 立憲民主党の泉健太でございます。

 先日も総理と論戦をさせていただきました。そして、衆議院予算委員会、参議院予算委員会と昨日まで行われて、補正予算が可決ということでありました。

 総理、私は、国会論戦というのは、やはり政府も様々な気づきを得る機会だと思うんですね。自分たちの出した法律また予算でよいのか、国民の声はどうだろうかと。ちまたの、全国の声を聞いている各党の議員が意見を述べ、政策を政府に提示をして、そして、改めて政府が出した予算や法律を考え直す、問い直す機会だと思っています。

 そういう中で、残念ですが、全く補正予算について、何の変更もなく可決をした。私は、これは本当に残念であります。

 総理、この衆議院と参議院の予算審議を通じて、我々立憲民主党も、例えば物価高、非常に多くの品目が値上がりをして国民の生活が厳しくなってきている、こういうことを何度も申し上げ、そして対策を講じるべきだと言ってきた。

 総理、立憲民主党を始め各党の政策で取り入れるものはなかったですか。

岸田内閣総理大臣 国会の論戦を通じて各党の皆様方から様々な提案をいただき、政府としてしっかり受け止める、こうしたやり取りは誠に重要であると思います。こうした議論を国民の皆さんに見てもらい、国民の皆さんにも共に考えてもらう大変重要な機会であると思います。

 そして、御質問は、この論戦の中で取り入れたものはないのか、あったのか、こういう御質問でありますが、補正予算については、おっしゃるように、御提案させていただいた予算をしっかりと御審議いただき、そして成立させていただきました。

 しかし、その議論の中で、例えば補正予算の予備費についても、どうあるべきなのか、国民の皆さんにしっかりと説明責任を果たすべきだなど、様々な貴重な御提案をいただきました。

 政府としては、それを受け止めて、御提案をいただきました予備費の取扱いについて、しっかりと丁寧に取り扱い、国民の皆さんに対する説明責任をしっかりと果たしていかなければならないと思いますし、十分かどうかということについても、申し上げているように、昨年の七十九兆円の経済対策、そして四月の十三兆円の経済対策、そして今回の補正予算、この三つを切れ目なく運用することが大事だということを説明申し上げ、こうした野党の皆さんの御指摘についても、これらをしっかり有効に活用することが大事など、政府としてもいろいろな思いを巡らせて、是非前向きに対応したい、こういったことも説明させていただいています。

 こうした議論、大変重要であるということを受け止めている次第であります。

泉委員 という総理の答弁で、結局何も変わらなかったということですよ。何も変わらなかった。

 今、改めて、我々、前回も出させていただきましたが、総理、昨年の十一月、経済対策を打たれたとおっしゃった。しかし、その頃から、はるかに円安が進んでいるじゃないですか。そして、ウクライナ情勢が起きたのはいつですか。全然環境が変わっているじゃないですか。そういう環境が変わった中で、この五月の補正予算という話になった。

 そして、環境が変わったことで今後どうなっていくかということは、前回もこのパネルを示させていただいた。年収三百万未満の世帯で、食料だけで二万一千円の値上がり、そして、電気、ガス、公共料金で二万八千円近く上がって、合計約五万円の年間の負担増になりますよと。年間の負担増になりますよ。

 これは、ガソリンのいわゆる対策をすれば解消されるというものじゃないじゃないですか。それだけで済むというものじゃないじゃないですか。ガソリンの対策をしたら、食材費がどうにかなるんですか、食用油がどうにかなるんですか。ならないですよね。だから対策が必要だと我々は言ってきたわけです。

 是非、総理、この物価高対策を立憲民主党が言っている、にもかかわらず、これを採用せずに、結局ガソリン対策と予備費だけで終わってしまった、これは大きな誤りなんですよ、そこはやはり認識をしていただきたい。

 まさにこの六月一日、今日から、恐らく物価、上がる品目が千五百品目ぐらいあると言われていますね。千五百品目ぐらいある。そして、六月、七月で三千品目を超える。これはまさに値上げの夏。これは参議院でも議論がありましたけれども、値上げの夏であり、異次元の物価高騰であり、そして岸田インフレだとも言われている。全然対策が取れていないんですよ。

 繰り返し言いますが、燃油対策はやったでしょう、しかし、食材費対策、やれていますか。やれていますか、総理、答えてください。

岸田内閣総理大臣 今の御指摘について、やれていますか、それは先ほど申し上げました。

 昨年来、状況がずうっと変化している中で、政府として順次対策を講じています。その中で、燃油だけではなくして、物価高騰対策、しっかり行っているということを予算委員会の中でも再三説明をさせていただいています。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 昨年の経済対策、そして四月の総合緊急対策、補正予算、これを切れ目なく対応していくことが重要であると思っておりますし、そして、その結果として、今、こうした物価高騰の背景には世界的な価格高騰がある、そして、多くの国々が皆ひとしく影響を受けている中で、欧米諸国においては物価高騰七%から八%と言われる中で、日本において二%台を維持している。こうした対策、これは効果があるということを申し上げております。

 このように準備をしている、用意をしている。再三申し上げているとおりであります。(泉委員「答えていない。食材費対策をしていますか」と呼ぶ)

根本委員長 泉健太君、そこをもう一度言ってください。

泉委員 次、ちゃんと答えてくださいね。

 様々しっかりやっていますじゃ何にも分からないんですよ。様々しっかりやっていますでは何も分からない。

 食材費対策、この補正予算で何をやりましたか。答えてください。

岸田内閣総理大臣 補正予算、補正予算とおっしゃいますが、政府の説明は、昨年の十一月来の経済対策、ずうっと順次行ってきた対策、この全体の中で対策を用意しているということを申し上げているわけであります。

 食材費についても、小麦価格等様々な価格、政府売渡価格の維持を始め、様々な取組をこの一連の経済対策の中でしっかり示しています。

 食料につきましても、ユーロ圏においては七・四%、米国においては一〇・八%、物価が上がっている中で、日本は影響を抑えているということ、こうしたことを考えましても、政府の取組、影響が出ている、効果が出ているということを説明させていただいています。

 何もやっていないのではないかということでありますが、昨年来、一連の経済対策の中で食料につきましてもしっかり対策を行っているということを、予算委員会においても説明させていただいてきたわけであります。

泉委員 ですから、食料について、じゃ、具体的に言っていただけますか。小麦もこの四月から一七・三%値上がりをする。

 先ほども話をしましたが、円が急激に、為替が変わって、円がどんどん下落をしていって百三十円近くまでいったのは、この三月からの動きですよね。昨年の十月や十一月の段階の話ではないわけですよ。そのときの対策というのは、この円の急変とは関係ない話じゃないですか。そして、ウクライナの事態とも関係がない話じゃないですか。

 だから、この環境になってこれだけの物価高になっているんじゃないですか。昨年の十月のままの、例えば百十二円の水準でこれだけの物価高になっているということですか、総理。それは大きな誤りじゃないですか、認識の。

 改めてですが、様々やっていますではなくて、今これだけ、六月一日から特に物価が上がるんですよ、上がっているんですよ。多くの方々、生活者の方々が、それは大手企業とかではなく、あるいは富裕層とかではなく、生活者の方々が、スーパーに行ったってコンビニに行ったっていろいろなものの値段が上がっているわけです。それは、この二月、三月、大きく世の中が、世界が変化していく中で、円安が一層進み、そして物価高がより顕著になって、だから対策が必要じゃないかというのが今回の補正予算じゃないですか。その中で何をしたのかということを問うている。そして、食材費が上がったことについて総理は何をしたのか、お答えください。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 大切なことは、状況が変化する中で、どのような結果を出したか、具体的に何が変わったか、これが重要だと思っています。

 ですから、先ほど、十一月の経済対策、あの時点でどうだったかということでありますが、十一月の経済対策によって、住民税非課税家庭に対して一律十万円の支給は、今年の二月から三月に十万円の支給が行われている、こうしたことであります。(発言する者あり)

 ちょっと待って。ちょっと委員長、答弁をさせてください。

根本委員長 答弁を継続してください。

岸田内閣総理大臣 質問に答えたいと思います。是非答弁をさせてください。

 だから、補正予算と併せて、一連の対策を用意することが大事である。その効果がどのタイミングでどう出てきたか、これをしっかり見ることが大事である。そして、様々な状況の変化がそれとのタイミングにおいてどうであるかを見ることが大事である。発表した時点で全て結果が出るわけではない。この経済対策において、今申した点が重要であるということを申し上げております。

 是非、委員長、ちょっと整理していただいて、冷静に答弁をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

泉委員 本当に、聞いても、あえてなのか、すれ違いをされる。

 総理、だって、私、明確に、分かりやすく、これだけ世の中の環境が二月、三月に変わって以降の話をしていますよね。総理、十一月の経済対策で今の世の中の環境を予想していたということですか。それはないんじゃないですか、総理。

 だから、十一月の時点では、総理、あのときの経済対策、何のためだったか。コロナの長期化による悪影響を防ぐためだと言ったじゃないですか。コロナの長期化でしょう。その後に、円安がどんどん進み、そしてウクライナ情勢が起こり、為替の面でもエネルギーの面でも、どんどんどんどん我が国の物価が変わってきたじゃないですか。

 そして、じゃ、この物価を抑える対策、具体的に何をやったか、答えてください。様々経済対策ではなくて、具体的に何をやったか、答えてください。

岸田内閣総理大臣 まず、確認しておきたいのは、昨年十一月、経済対策を発表した、それはそのとおりでありますが、その具体的な効果あるいは変化、これはどの時点で生じているのか、これをしっかり確認しながら、現実の変化においてそれがどれだけ意味があったか、それに加えて何があるのか、それを考えなきゃいけないから、経済対策、幾つも用意をして、そして対策全体を仕上げている、こういったことであります。

 そして、食材費について何をしたのか、ようやくこの答弁をさせていただきますが、食材費についても、先ほど小麦価格ということを申し上げましたが、政府において、政府売渡価格、これを維持するという形によって、今、国際的な価格は二割から三割上昇している、こういった現状にありますが、日本においては、価格上昇する前の価格を水準に売渡価格を維持している、こうした対策を続けているわけでありますし、それ以外にも、様々な原材料コストの抑制、この対策の中に盛り込んでいます。

 是非、こうした国際価格が変化する中にあっても、日本の対策がどのような効果が出ているのか、これは、背景には世界的な価格高騰があるわけですから、各国の対策がどれだけ国内政策に利いているのか、これをしっかり見ていかなきゃいけない。我が国においては、間違いなく、今申し上げたように、価格において効果が出ているということを申し上げさせていただいています。この具体的な結果こそ、政策を実施する上において大事だということを申し上げております。

 補正予算において何をしたかということは、委員自らおっしゃったじゃないですか。この補正予算においては燃油費の激変緩和措置と予備費を用意したわけですが、だからこそ、説明しておりますのは、昨年十一月の経済対策と四月の総合緊急対策と補正予算と、トータルで今現状に対応している、これが大事だということを申し上げています。その全体の中に、先ほど申し上げた食料価格対策等もしっかり用意をしているということを申し上げています。

 昨年十一月の経済対策によって、今年二月、三月に、住民税非課税世帯に対して十万円の給付が行われているわけです。そして、総合緊急対策において、子育て世帯に対する五万円も、五月、支給が始まっているということであります。この状況、タイミングも見ながら、そして、おっしゃるように状況がどんどん変化している、この状況も見ながら更に何が必要なのかを考えていく、これが基本的な考え方であると思っています。

泉委員 本当に、与党席からの拍手は何の拍手なのかなと思います。

 これだけ繰り返し、私は、今の物価高が異常であるということをお話をしています。これは、先ほどから繰り返し言いますが、昨年の十一月にも、また今年の二月にも生じていなかった事態ですよ、今のこの物価高というのは。

 ですから、包括的にという話ではなくて、まさに今回の補正予算で、今から更に始まると言われている、政府だってそれは分かっている、六月、七月で三千五百品目ぐらいの物価が値上がりするわけですから、そういうものに対するこれからの政策が必要だ、その議論をするのがこの補正予算の議論だと再三言ってきたわけですが、残念ながら、今の繰り返しの御答弁をいただいても、今回の補正予算では、特に食材費の値上がりについては何も対策がないということが分かりました。

 改めて、我が党がこの物価高対策で訴えていることですね。

 まず、アベノミクスについても議論が行われましたが、政府の金融政策ですよね。

 この政府の金融政策、異次元の金融緩和も、これだけ欧米各国が利上げをしてきている中で、また、利上げを今後していこうとしている中で、我が国だけがずうっと、ある意味、金融政策を変えていないということが、この物価上昇に、輸入物価の上昇の三分の一の影響を占めていると言われている円安、それにつながっているんだということはこれまでも言ってきた。だから、せめて、今後物価がまた上昇してくるという流れを変えられないということであれば、金融政策の見直しということも言ってきた。

 ちょっと総理、ここで、昨日ちょうど、骨太の方針原案ですか、これが発表されて、私はちょっと驚いたわけですね。次のフリップを見ていただきたいんですが、経済財政運営と改革の基本方針二〇二二、仮称ということで、「今後とも、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持し、」と。

 これは、総理、アベノミクスを堅持ということですね。

岸田内閣総理大臣 基本的なマクロ経済政策は維持するという考え方を申し上げさせていただいております。

泉委員 今日、このパネルには、隣にアベノミクス三本の矢、第一の矢、第二の矢、第三の矢と書いてあります。一字一句同じであります。

 総理、総理が今回出されたものはアベノミクスと呼びますか、呼びませんか。

岸田内閣総理大臣 私の経済政策は、新しい経済モデルとして、新しい資本主義と申し上げております。アベノミクスとは呼んでおりません。

 マクロ経済政策は維持しながら、経済全体の持続可能性を維持するために、成長と分配の好循環、成長も分配もと申し上げています。こうした経済モデル全体について説明をさせていただいております。

泉委員 総理、これは詭弁じゃないですかね。学校のテストで、隣にアベノミクス三本の矢と中身が書いてあって、そして、こちら側に新しい文章があります、さて、この赤字の部分を何と呼ぶでしょうというふうに問題が出されたら、みんな、アベノミクスと答えるんじゃないですか。

 総理、これはアベノミクスじゃないですか。アベノミクスの堅持だとちゃんと言うべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 全く異なると思っています。

 マクロ経済政策は維持しながらも、経済の全体像について示させていただいております。この部分について一致している、そのとおりであります。基本的なマクロ経済政策は維持すると申し上げているわけですから、同じことが書いてある、当たり前のことであります。それに加えて、経済の全体像をしっかり示すことによって持続可能な経済をしっかりと実現していこう、こういったことを申し上げております。

 この部分が私の経済政策の全てだとおっしゃるのであれば、委員のおっしゃるとおりかもしれませんが、これはもうずうっと昨年来説明させていただいておりますように、マクロ経済政策は維持しながら、経済全体の仕組みについてしっかり説明させていただき、新しい経済モデルについて御理解いただけるよう説明を続けている、こうしたことであります。アベノミクスとは違う経済モデルを今示させていただいております。

泉委員 では、二つ質問いたします。

 まず、では、マクロ経済政策ではアベノミクスであるということでよろしいですね。

 そして、これは総裁選のときに総理が発行されたチラシですけれども、新しい日本型資本主義ということがいろいろ書いてありますが、この中で、総理、新しい日本型の資本主義という言葉を使っておられますけれども、その中でも、マクロ経済政策はアベノミクスと同一である、こういうことでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 御指摘の部分については、マクロ経済政策、しっかり維持をしていきたいと思っております。

泉委員 結局のところ、この新しい日本型資本主義あるいは新しい資本主義と言われるものの、そのマクロ経済部分はアベノミクスである、これはもう明確に分かりました。

 そして、その上で、総理、昨年のまさに総裁選で、分配なくして次の成長なしというふうにもおっしゃっていました。そして、その政策の中では、金融所得課税の見直しあるいは一億円の壁の打破、こういうことをおっしゃっていた。昨日の経済財政運営と改革の基本方針にこういったことは書いておりますか。

岸田内閣総理大臣 まず、マクロ経済政策は維持しながら私の経済モデルとしてお示しさせていただきますのは、従来のように過度に市場や競争に頼るのではなくして、官民協働で気候変動等の課題を成長エンジンに切り替えていく仕組みをつくっていこう、こうしたことを申し上げさせていただいています。そして、そのための政策を昨年来説明しておりますが、その順番が大事だということも申し上げさせていただいています。

 まずは、こうしたモデルをつくる上でどこから手をつけていくのか、これを考えた上で、分配政策においては、人への投資、賃金、これを最優先に考えてまず手をつけた、こういったことでありますし、金融所得課税については、与党あるいは自民党の税制調査会において、今後の課題として引き続き議論が続いているということであります。

 是非、優先順位をしっかり定めて、こうした全体像をつくり上げるために具体的な政策をどう進めていくのか、これをしっかりと示していきたいと考えています。

泉委員 本当に、分配なくして次の成長なしと言っていて、次々と、金融所得課税の見直しや一億円の壁について後回しになるということで、ある意味、再配分については後回し、こういうことでは、恐らく次の成長というものも望めなくなってくるというのは極めて残念であります。

 先ほどの補正予算の考え方の中で、我々は、やはり分配というところ、特に今回の経済対策ということにおいても、まず、この真ん中の段、価格引下げ、これが必要だと。

 要は、生活者の立場、我々は生活安全保障と言っていますので、生活者の立場からすれば、円安は日本経済にとってプラスである、そんな一言では到底片づけられないわけです。一人一人の生活者は今負担増にあえいでいる、そういう状況にある。これからもっともっと負担増になっていく。だからこそ、消費が落ちる可能性があるということですよね。その消費を落としてしまっては我が国経済にとってもよくない、だから、我々は、消費の喚起もしなければいけない、購買力も高めなければいけない、そういう考えとして、消費税を時限的に五%に引き下げるべきだ。これは、多くの政党もそういう主張をするようになってまいりました。

 今の経済状況、今後の物価高を踏まえれば、何らかやはり減税というものもやらなければいけない、こういう具体的な提案を我々はしている。しかし、政府の方は、この減税ということについては手つかずというのが今回の補正予算でありました。

 そしてさらに、年金ですね。

 年金生活の皆様からも我々は声を聞いてまいりましたけれども、四月そして五月分から年金が〇・四%下がる。そして、物価は上がる。年金の給付は下がり、物価が上がる。当然、生活費は少なくなる、切り詰めなきゃいけない。だから、我々は、立憲民主党は、こうして、年金についても、低所得者の年金生活者に支給されている年金生活者支援給付金、これは一回きりということではなくて、恒久的に上乗せをしていくということが必要ではないか、じゃないと今の物価高に対応できない、ただ単に生活費が減っていくことになるということも訴えてまいりました。

 そして、更に言えば、この下の段、低所得高齢者に対する年金の上乗せ制度ですね。これは、イギリスなんかで実際に行われている制度であります。

 こういう具体的なもので生活を支えていかないと、年収一億の方の消費活動と年収二百万の方の消費活動、それは全然違うわけですよね。本当に日々の生活をする食料品だとか、エンゲル係数、こういうところで、非常に切実な思いで生活費を何とかやりくりしている方々が多い。だから、我々はこういう具体策を出している。

 しかしながら、こういった、年金が減る、物価高に負けてしまうという年金生活者の方々に対しても、やはり今回は、補正予算で何も対策がなかったわけですよ。こういうことが本当に残念。だからこそ、私は、冒頭、やはり補正予算をちゃんと議論をして、直すべきところは直していただきたかったわけですよ。本当に残念でなりません。

 この補正予算の審議において、意見は参考にしたのかどうか分かりませんが、結局のところ、中身、何も追加がなかったということについては、本当に残念でならない。

 だからこそ、今、先ほど総理がおっしゃったように、この国会の中での議論を踏まえた国民の声も踏まえて、今後また政策を打っていくということであったとすれば、私は、国民皆さんが、大いに物価対策が必要だ、今の自民党や今の政府では考えていない物価対策が必要だという機運を国民皆さんと高めていきたいと思います。それがなければ今の政治は変わらないということがよく分かりましたので、私は是非この機運を高めてまいりたいと思います。

 そして、先日の国会質問で取り上げたこと、幾つかまだ、総理、お答えでないことがありまして、それを触れたいと思います。

 総理、たしか、シンガポールで行われるシャングリラ会合、こちらにも行かれるということであります。これはアジア安全保障会議と言われるものでして、我々立憲民主党は、今の安全保障、この日本の安全保障を考えたときに、すぐにいわゆる軍事力をただ高めていくという方向だけではなく、一つは対話外交が必要だ、そして着実な安全保障が必要だと言ってきた。この対話外交が必要だという中で、中国との対話、これも大事だということを言ってまいりました。

 このシャングリラ会合では、アメリカと中国の国防相会談も行われるやに、今そんな情報も伺っています。我が国も、中国側とやはりこのシャングリラ会合で何かしらの会談をするべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、答弁の機会をいただけませんでしたが、先ほどの消費の重要性、年金生活者への支援の重要性、政府もしっかり認識して、しっかりと対策を用意しております。是非そうしたことにつきましても説明をさせていただく機会をいただきたかったものだと思っております。

 その上で、シャングリラ会議においての対応でありますが、我が国として、基調講演において、是非、アジアにおいてG7唯一の参加国として、我が国はこの厳しい外交、安全保障環境の中でどんな役割を果たすのか、しっかりと発信をしていきたいと思います。

 その中で、中国と対話をするのかということでありますが、目的はこの会議においての発信であります。具体的に中国との対話は予定されているものではありませんが、これについては、従来から申し上げておりますように、中国とは、言うべきことは言い、そして、大国としての責任をしっかり果たしてもらう、こうした指摘はしっかりしつつも、両国関係を建設的な方向で安定させるために、対話ということは重要であると認識をしています。

 是非、意思疎通を図りながら、日中関係についても、我が国の国益の上からも、建設的な関係にしっかりと、維持していきたいと考えております。

泉委員 先日の国会での議論でも、私は、対話外交が必要だ、中国と行うべきだと言っていましたが、今、考えがないということでありまして、極めて残念であります。

 日米韓、もちろん連携をするということは大事でしょうし、そして、中ロに対抗するという考え方もあるのかもしれない。それでも、米中も会談をするわけですから、是非、私は、そういった会談についても、日中も考えていただくべき、それが本当の対話外交だと思います。

 そして、最後、一点です。

 離島住民の国民保護、このことについても前回質問いたしました。今、日本の有人離島、人が住んでいる離島は四百を超えます。そして、人口は合計百万人を超えます。そして、お話ししたように、離島の自治体は住民の避難行動の計画を組めていても、そこから先、島の外に逃げる場合には国の助けが必要だ、しかし国からは何の方針も示されていないという声が自治体から上がっている、これを前回取り上げました。

 そして我々は、改めて、今日の質問の前に、国交省や内閣官房や消防庁や総務省を呼んで、防衛省もですね、話を聞いた。そうしたら、文書としては一枚も存在しないというわけですよ、その具体的な計画を作った、想定を作ったものが。私は、百万人の離島住民を助けるためにも、是非、避難計画、それは想定として何パターンかを具体的に作っていただく、それが生活安全保障なんですよ。

 総理、これは有事だから、別に、何も細かく指定できるものではない。しかし、考え方として、沖縄本島に避難する場合だったらこうだ、あるいは本土に避難する場合だったらどうやって船や飛行機を調達する。私は、実は航空会社にも聞きましたよ。そうしたら、国からそういったアプローチは一回も受けたことがないと言っていました。ないと言っていた。こういうことが本当の安全保障じゃないですか、総理。

 是非、これはもう恐らく時間がないでしょうから、やっていただくということを明確にしていただきたいと思うんです、総理。私、総理に発言していただきますから。やっていただきたい。そして、明確に、離島の住民を守るための計画を、できれば内閣官房に部屋をつくって、今年中に早急に動いていただきたいというふうに具体的に提案したいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 一言言うならば、先ほどのシンガポール・ダイアログ、あれは、首脳で今回呼ばれているのは日本の総理と地元シンガポールの首脳だけだと思います。その中で日中の首脳会談は不可能だということは申し上げておきたいと思います。

 その上で、今の点につきましては、我が国として有事に対してしっかりと対応を検討していく、政府として大変重要な取組であると認識をしています。

 委員は、やはりこれを現地の皆さんとしっかり共有し、そして意思疎通を図っておくことが大事であるということだと思います。是非、その点については政府としてもしっかりやっていきたいと思っております。

泉委員 もう本当に、最近は、総理の聞く力、住民からの声を聞く力、また国民からの声を聞く力が落ちているというふうに言わざるを得ません。本当に残念であります。我々は、その代わりになって国民の声を聞き、そして政府に届けていきたい、このことをお伝えして、私の質問を終わります。

根本委員長 この際、藤岡隆雄君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤岡隆雄君。

藤岡委員 イチゴ王国、栃木県からやってまいりました、立憲民主党新人の藤岡隆雄と申します。

 予算委員会にて初めて質問をさせていただきます。地元栃木県第四区の皆様、そして、新人にこの質問の機会を託してくださった先輩、同僚、関係各位に感謝を申し上げたいと思います。

 そして、今日は、同期の北海道四区、おおつき紅葉さんが、このパネルを持って、手伝いをして、臨ませていただきます。心強く頑張らせていただきたいと思います。

 先ほど、まず、泉代表と岸田総理のやり取りを聞いていて、改めて、岸田インフレは止まらないなというふうな思いを私は持ちました。それを持って、また質問に入らせていただきます。

 斉藤大臣に最初にお伺いしたいと思います。

 昨年来、国土交通省におきまして、いわゆる合算書換えや二重計上といった統計不正、この問題がございました。先日、朝日新聞の朝の報道で、いわゆるこの問題で懲戒処分を受けていた幹部職員が、過去に遡って統計を元に戻す検討会議の事務局に参画をされていたということの報道がございました。大臣、このことについて、記者会見で、報道で知ったというふうに答弁をされていますが、これは本当に報道で知ったんでしょうか。

斉藤国務大臣 御指摘の職員が遡及改定検討会議の事務局に参加していたことにつきましては、報道で知りました。

 この検討会議におきましては、国土交通省の職員は、専門家である委員の先生方の指示の下で、調査票の精査やデータベースの作成といった膨大な事務作業を行ったと聞いております。その上で、検討会議における事務作業は限られた時間で集中的に進める必要があることから、統計に関する知識を有し、過去の経緯を把握している当該職員についても参画させたものと承知しております。

 報告書は、全て委員の先生方の判断と責任でまとめていただいたものです。五月三十日に、先生方、委員全員が連名で公表されたコメントにおいても、「検討会議が作成した報告書の中立性が損なわれるような運営がなされたことはない。」「報告書の作成は完全に独立した検討会議の責任で実施したもの」とされております。(発言する者あり)

根本委員長 できるだけ短く。

斉藤国務大臣 国土交通省としては、報告書に基づいて、今年の秋頃までに遡及改定を実施し、結果を公表することにより、統計の信頼回復を図ってまいりたいと思います。

根本委員長 簡潔に。

藤岡委員 驚きです。

 大臣、一月二十一日に懲戒処分を受けて、四日後ですよ、その検討会議。当然、外部の目から見て、それは専門家の皆さんは、技術的におっしゃりたい、気持ちは分かります。しかし、それをちゃんと公正性を担保する、それがやはり大臣の役割じゃないですか。

 それで、大臣、しかも一月の十八日頃の記者会見において、大臣自ら、検討会議の立ち上げを大臣自ら指示されているんですよ。そのメンバーを確認されなかったということですか。

 これは、大臣、報道で知ったというふうに今おっしゃいました。その報道で知ったのは、自ら新聞を読まれて知ったんですか。それとも、幹部の職員から報告があって知ったんですか。そのときに何と幹部の方におっしゃったんですか。教えてください。事実関係だけで結構です。

斉藤国務大臣 その新聞報道が出るという、こういう形で出ましたということをまず最初に知って、その新聞報道を見たということでございます。

 ただ、先ほど、いわゆる私自身がこの遡及改定検討会議立ち上げを指示いたしました。これは、あの不適正な処理で失われた統計に対しての信頼性を回復させる、そのための措置でございまして、全体として、先ほども申し上げましたように……(発言する者あり)

根本委員長 簡潔に答えてください。

斉藤国務大臣 全体として適正な運営が確保されたものと思っております。

藤岡委員 本当に、今、大臣、私、一番驚いたのが、恐らく幹部の職員から報道が出るということの連絡があったんだと思います、今の、推察をします。大臣、そこで怒ったんですか。それは言わなくちゃ駄目ですよ。何でそういうことが、もし、報道で知るまでそれを、懲戒処分に関わった職員がその事務局に参画をしていた、これほど大臣を軽んじている話というのはないんですよ。

 あるいは、身内の、すごく甘い、そういう対応が、身内に甘い対応が行われているということを表しているわけですから、その場で強く言わなくてはいけないんです。それをやらなければ、統計の信頼回復というのは、私はおぼつかないということを思います。

 総理にお伺いをしたいと思います。

 これは本当に、一月の二十一日に懲戒処分を受けていて、二十五日の検討会議に、遡って戻す、その会議のメンバーにその職員が参画をされるということ、幹部です、これは、総理は適切だということを思うでしょうか。総理の見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の国交省の職員につきましては、専門家である委員の指示の下に、限られた時間で集中的に作業を行うため、過去の経緯を把握している、こうした人間を是非作業に参画させたい、そういったことで参画したと承知をしております。

 この作業に参画したということと、その結論が曲げられるということは、全く別次元の話であると思っています。実態を把握した職員がしっかり作業に協力をして、実態を把握した上で、専門委員がしっかりと判断を行う。独立した検討会議のありようとして、決しておかしなことではないと認識をいたします。

藤岡委員 非常に、今、身内に甘いというふうな答弁であったと私は思います。

 統計問題は、これは報告書にも書いてございますが、この問題がおかしいといって声を上げ続けた職員もいらっしゃるんです。そういう職員もいらっしゃる中で、なぜわざわざこの不正に関する関連で処分を受けた方が事務局として参画をされるのか。そういう状態で、身内に甘い対応をしていて、統計の究極の目的である信頼回復に私は到底つながるとは思えません。そのことだけははっきりと指摘をさせていただきたいと思いますが。

 この問題が、では、その次の知床の遊覧船事故、これに関連して、これも身内に甘いというふうな対応になってしまって、これまた人の命に関わることでございます。

 改めて、この知床遊覧船事故におきまして、お亡くなりになられた十四名の方に心から哀悼の誠をささげたいと思いますし、今なお行方不明になられている十二名の方、私は、最後の瞬間まで無事であるという奇跡を祈りたいし、一日も早い発見を願いたいと思います。

 この知床遊覧船事故における、国土交通省さんの関係でこれまで明らかになっている監査、指導の状況をこのパネルに挙げさせていただきました。国会答弁などで明らかになったものでございます。この国土交通省さんの監査、指導というものがしっかりしていれば、この事故というのは防げたのではないかというふうな思いを私は持っております。

 そういう中におきまして、まず一つ、最初にお伺いをしたいと思います。

 この知床遊覧船、二度の事故を起こしております。その後、改善指導をされました。そして、改善指導をして、二度の事故です、改善の報告書が出てきております。例えば、その中で、出航判断に大きな、これをしっかりしてもらうための運航記録簿というものがございます。これは委員会でも議論になりました。波の高さが全く同じものが連日続いてしまう、さらには風速が全く同じものが続いてしまう、これに対し特段の問題指摘をしていなかったというふうな御答弁もいただいております。これは、運輸局で十一名の方でしかも確認をされて、それで特段の問題を指摘をしていなかったということでございます。

 これは、気づかなかったということなんですか、気づいたけれども指摘をしなかったということなんですか。事実関係だけ国土交通大臣にお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 この運航記録におきまして、我々、現地の運輸局が、きちっと出しなさい、出航するかどうか判断するための記録をきちっと出しなさいということで出してきた、指導して出してきたものです。それに対して同じ数字が記されていた。そこを、確かに不自然だと思います、その不自然さを気づかなかったということは確かに我々としても十分ではなかった、このように考えております。

藤岡委員 今、気づかなかったということでございました。そういうふうに理解をしました。

 十一名で確認をして気づかなかった。もしこのときに様々、もう一つ一つはやりませんが、この問題を受けて例えば行政処分を発令しておく、こういうふうな対応を行っていれば、その後の対応が変わった可能性は私はあるとは思っています。

 こういう中で、もちろん個性的な今の社長に対してこれはきちっと厳しくこれからも対応していくというのは当然のことでございますが、同時に、この国土交通省さんの監査、指導の、これをしっかり検証していかなければ、これは再発防止に本当につながるかどうかという問題があると思います。

 今、事故対策検討委員会というのがあると思います。しかし、これは将来に向けたどちらかというと改善、防止、本当にこの事故に関しての検証というものに関すると、私は不十分なことになっているのかなと思います。

 総理にお伺いをしたいと思います。

 この今の事故対策検討委員会、いわゆる第三者委員会と言えるものなんでしょうか。総理も指示をされているということでございますが、これは第三者委員会と言えるものでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の委員会につきましては、構成メンバー、海事法制、船舶工学、船員養成、様々な分野の専門家に加えて、弁護士、消費者団体、こうした様々な立場の方、十四名にお集まりいただきまして、御議論いただいています。第三者委員会という立場で御議論いただいていると認識をしております。

藤岡委員 日弁連がガイドラインを出しておると思います。弁護士さんなどを中心として検証に当たる。しかし、この事故対策検討委員会は、弁護士さんというのは、一名とか本当に僅か、少ししかいないというふうに私は思います。

 こういう中で、総理も、先日の予算委員会で、大串先輩議員の質問に対して、第三者委員会の指示を出しているというふうにおっしゃっていました。しかし、私、四月二十六日の総理の指示の記者会見も見ましたけれども、総理、第三者委員会をやってくれという指示を出されていないと思いますよ。検討会を立ち上げてくれという指示だと思いますよ。事故検証の改めて第三者委員会をしっかり立ち上げて検証をするべきだと私は思いますよ。

 総理、今この場で、事故検証の第三者委員会を、いわゆる統計不正のときにはしっかり指示を出されています。改めて、事故検証の第三者委員会を立ち上げることをこの場で今表明していただけませんか。総理、お願いします。通告も総理にしておりますので、総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 今御指摘の委員会につきましては、先ほど申し上げたような様々な立場の方に御参加いただいています。

 ここで整理しておかなきゃいけないのは、私が指示してつくられた委員会、これは、再発防止の観点から、たちまち安全対策についてどうあるべきかを議論していただく、こうした委員会であります。

 そして、御指摘の事故原因の究明、これにつきましては、これは、ほかの事故、例えば航空機事故等と同様に、専門の独立行政委員会、運輸安全委員会でこれはしっかりと議論してもらわなければならないと思っています。現在、船舶事故調査官による調査が始まっています。

 是非、この運輸安全委員会において事故原因の究明等はしっかりと行われる、従来、航空機事故等の検証につきましては一年近くをかけてしっかりと検証する、こういった取組が行われておりますので、今回におきましても、原因究明、この委員会におきましてしっかりやっていただくことが重要であると認識をしております。

藤岡委員 今非常にまた甘い対応をおっしゃったと思います。

 斉藤大臣は本当にお人柄がいいので、やはり総理が指示をしっかりされて、そして検証をしていただかないといけないと思うんです。非常に先ほどから甘い対応、また、統計の対応から、大臣、軽んじられている、いろいろな問題が出ております。

 その中で、検証をしていただきたいのは、国土交通省さんの監査や指導等、これがしっかりと機能していたのかどうか、それが事故の原因として、その一つとしてどうなのか、そこを検証していただきたいからこそ、第三者委員会を改めて立ち上げていただきたいということを私は申し上げているんです。

 だからこそ、総理、統計の不正のときには、総理は第三者委員会をはっきりと立ち上げるという指示をされていると思います。統計よりも人の命を守るということの方が軽いということですか。改めて、これは総理、第三者委員会を立ち上げることをこの場で御表明をお願いしたいと思います。総理、お願いします。

斉藤国務大臣 今回の立ち上げた検討委員会では、先ほど総理からありましたように、中立性、公正性、客観性が確保されているものと認識しております。

 同様の例としては、平成二十八年一月に長野県軽井沢町で発生したスキーバス事故の際も、省内に、弁護士、消費者団体等の様々な分野の有識者から成る軽井沢スキーバス事故対策検討委員会を設置し、総合的な安全対策を徹底的に検討していただきました。

 今回も総理の指示でこの検討委員会を立ち上げました。そこで国交省の監査等についてもしっかり検討いただけるもの、このように思っております。

藤岡委員 大臣、今、総理の指示の下で事故対策検討委員会が立ち上がったという話をされました。その指示が、事故の検証の、やはり、国土交通省さんの検査、監査を含めて、それを検証する第三者委員会のことを私は申し上げております。

 総理、人の命をやはり守るために、もう二度とこれを起こさないために、その元となる、その非が何なのか、それを明らかにしましょうよ。これはやらなくちゃいけないですよ。先ほどから身内に甘い対応が見えておりましたけれども、総理、これを二度と起こさないように事故検証をしっかりやりましょうよ。総理、どうですか。

岸田内閣総理大臣 確認しておきたいのは、私の指示で立ち上がった検討委員会、これは安全対策の在り方について検討いたします。そして、こうした事故の重要性に鑑みて、恒常的な組織として独立行政委員会である運輸安全委員会が存在いたします。この委員会において、事故原因の究明、これはしっかり行っていただかなければなりません。

 この委員会を通じて事実の解明をしっかり行っていくことが重要である、これはまさに第三者的な立場から重要な取組であると認識をしております。(発言する者あり)

根本委員長 藤岡隆雄君、もう一度質問してください。

藤岡委員 同じです。総理、同じです、お答えください。

岸田内閣総理大臣 事故原因を究明する、その中で、国土交通省の責任がどうだったかも含めて、独立行政委員会であります運輸安全委員会でしっかりと調査をしていただく。船舶事故調査官ももう調査を開始している、こうした取組の中で、国土交通省の在り方も含めてしっかりと判断していただく。これは、事故の重要性から考えて、従来から恒常組織としてこういった組織があるわけですから、ここでしっかりと判断していただきたいと思っております。

藤岡委員 本当にこの検証をしっかりやっていただかなければ、人の命を軽んじているということを申し上げまして、しっかりやっていただきたいということを申し上げて、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、山岸一生君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。

 昨年、初めて議席をお預かりし、今日、予算委員会で質問の機会をいただきました。先輩、同僚の議員の皆さん、そして、何よりも地元練馬の皆さんに心から感謝を申し上げます。

 まず、総理、今、藤岡議員との質疑でもありましたが、決断すべきときに本当に決断いただけるのかな、正直疑問に思いました。

 私は、長年新聞記者をしておりましたので、総理大臣の歴代の発言というものを注意を持って見てまいりました。どういう言葉を選ぶかというのは政治姿勢そのものだと思っています。

 この三年で三人の総理が国会で答弁されていらっしゃいますが、どういう言葉を使っていらっしゃるのか、少し調べてみました。二つ、検討、決断、二つの言葉を何回総理が使われたのか。

 パネルを御覧ください。今日、お手伝いは、お隣杉並の吉田はるみさんでございます。

 一目瞭然なんですね。二年前の安倍総理、検討、百四十三回、去年、菅総理百二十六回、今年、岸田総理は何と二百四回。一方で、決断は、安倍総理二十九回、菅総理十回、岸田政権は僅か七回。

 おかしな決断をされるよりは、しっかり検討いただいた方がいいということもあるかもしれませんけれども、しかし、先ほど来泉代表も議論してきたように、このインフレ、岸田インフレという言葉もありますけれども、苦しんでいる国民が今求めているのは、やはり命と暮らしを守る決断だと私は思います。しかし、岸田総理の言葉からはその姿勢が見えてこない、検討もインフレを起こしている、こういう状況なのでございます。

 総理、改めて、データを御覧いただいた上で、今、中身が、文脈がいろいろあるんじゃないかというような声がちょっとありましたけれども、確かに文脈が大事なんです。総理、決断、七回おっしゃっていますけれども、僕は中身を見たんですけれども、七回のうち五回は、ほかの人の決断を紹介している、そういう文脈なんですよ。総理御自身の、決断しますという発言がほとんど見られない。

 改めて、総理、これを御覧いただいた上で、岸田ノートに決断という言葉はちゃんと入っているんだろうか。総理、決断はお嫌いですか。

岸田内閣総理大臣 委員の方からそういう御指摘をいただきましたが、要は、今聞いておりますと、答弁の中で決断という言葉を何回使ったかということであります。決断という言葉を何回使ったかと決断を何回したか、これは別物であるということは改めて申し上げたいと思います。

 議論の中で、様々な課題が議論されてきました。コロナ対策一つ取ってみても、ワクチン、検査、あるいは検査薬、病床の確保、水際対策、水際対策の緩和、様々な課題、絶えず決断を続けてきました。経済対策においても、様々な対策を用意してきました。ウクライナ問題についても、対ロ政策の大幅な転換を始め、様々な決断をしてきました。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 決断の言葉を使った数と決断をした数、これは別物であるということは御理解いただきたいと思います。

山岸委員 冒頭この話から入ったのは、是非とも、総理、今日は決断をお願いしたいのでございます。

 オンラインカジノの問題を今日は質問いたします。

 山口県阿武町での四千六百三十万円のお金を誤って振り込んでしまったという問題をきっかけに、今注目をされております。逆に、ニュースを見て興味を持ったなんという方も私の周りにも実際いらっしゃいます。

 今、スマホでオンラインカジノを検索しますと、本当にたくさんの日本語のサービスが出てきて、検索しなくても、CMや広告がたくさん入ってきています。実にハードルが低いものになっている。

 総理、総理は公務御多忙ですから考えづらいと思いますけれども、オンラインカジノで遊ばれたことはありますか。

岸田内閣総理大臣 使ったことはありません。

山岸委員 ないということで、安心しました。なぜならば、オンラインカジノ、国内でプレーをすることは違法だからですね。刑法の賭博罪を構成いたします。

 なので、この質疑を今テレビ、ラジオ等で御覧の方、もし、興味を持ったよという方がいても、お待ちをいただきたいと思います。オンラインカジノ、提供している事業者は海外にあって、自分の国では合法だとPRをしていますけれども、日本の刑法では、国内で遊んだらこれは違法になる。

 総理、誤ったメッセージを与えてはいけませんから、是非総理の口からもこの機会に明快にしてほしいと思うんですけれども、オンラインカジノ、国内で遊ぶことは違法ですね。

岸田内閣総理大臣 具体的な事案については個別に判断されるものではありますが、一般論として申し上げて、オンラインカジノに係る賭博行為の一部が日本国内において行われた場合、刑法の賭博罪が成立することがある、このように承知しております。

山岸委員 一般論ということなんだけれども、これは是非、総理、国民の皆さんに、遊ばないでほしい、気をつけてほしいということを言ってほしかったから、あえてお尋ねをしたわけなんです。

 非常に政府の姿勢が明快ではない、余り力強く発信されていないという状況の中で、今、オンラインカジノはどんどん拡大をしています。

 次のパネルを御覧ください。

 国民生活センターのデータベースで、オンラインカジノに関する相談件数、消費者庁の方が調べていただきましたけれども、激増しているわけです。初め、数十件程度だったものが、この七、八年で五百件近くにまで急増している。もちろん、これは相談に至るケースなので、氷山の一角なわけです。

 じゃ、全体でどれぐらいの方が使っているんだろうかと政府に聞いたら、どこの役所の方も把握されていないんですよ。なので、民間の試算になるわけですけれども、国際カジノ研究所さんが独自アンケートをされたところでは、二〇二〇年から二一年の一年間での参加率が一・六%ということで、およそ二百三万人、二百万人ぐらいの方が使っているんじゃないかと。

 じゃ、この二百万人という数字、ちょっと大き過ぎてつかめないので、どれぐらいなんだろうかということなんですが、次のパネルを御覧ください。

 二〇二〇年の数字を見てみますと、公営ギャンブル、ネット会員、ネットの利用者の方の数、競輪で三百二十九万人、モーターボートは百十七万人ということで、オンラインカジノはこうした公営ギャンブルに匹敵するような存在になってしまっている。先ほど総理から一般論という答弁があったけれども、国内では違法なわけです。にもかかわらず、現実には、多くの方が違法だという認識すらお持ちでない可能性がある中で、これだけ蔓延をしている。

 総理、このオンラインカジノが急速に拡大していることについて、政府として危機感はお持ちですか、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 実際、オンラインカジノに関わる事案で逮捕、立件されたケースがあるということを承知しています。こうした違法な行動が広がるということは許してはならない、このように認識をいたします。

山岸委員 摘発事例があるということなんですけれども、私、この間、警察庁にお聞きしましたけれども、それは平成二十六年、相当昔の話で、本当に数えるばかりしか実際ない、野放しというのが今の実態なんです。

 この間、私も各省庁の皆さんにお尋ねをしてきましたけれども、どなたもこのオンラインカジノの実情を把握していらっしゃらないというのが結論なんです。どなたが責任者なんでしょうかというふうにお聞きしますと、みんな顔を見合わせて、最後は下を向いてしまう。これ、役所を私は責めるつもりはないんです。なぜならば、政治が本来、役所に対して、これは問題だ、対応しろと言わなければ動きようがないからなんですよ。

 事務方に聞いても分からなかったから、これも、総理、教えてください。岸田政権において、オンラインカジノの担当大臣というのはどなたになるんですか。

岸田内閣総理大臣 オンラインカジノ担当大臣は置かれておりません。関係省庁で、それぞれ所掌に基づいて対応しているというのが現実であります。

山岸委員 担当大臣はいないんですよ。だから、総理の決断で、しっかり取り組むという体制を取っていただかなければいけない。今、正直、各省庁が細切れでやっているという状況なんですね。

 ギャンブル依存症対策、これは若宮大臣になるんですかね、担当はあるにはある。この基本計画というものを作っています。しかも、今年の三月に改正されたばかりになるんですね。この新しいギャンブル依存症対策の基本計画にオンラインカジノが入っているというふうに僕は聞いたので、どこに入っているのかなと思って見てみたんです。

 次のパネルを御覧ください。

 確かに、オンラインカジノ、書いてはありました。でも、たったの一行。しかも、これは括弧書きなんですよ。更に言うと、計画自体が百十四ページある中の百十四ページ目、最後の一ページに本当に申し訳程度に書いてある。これが実態なんですね。なぜこんなずさんな扱いになっているのか。

 オンラインカジノの依存症、これは決してなめてはいけない、非常に深刻です。私、昨日、当事者団体の方、支援団体の方にお話をお聞きいたしました。ほかのギャンブルとはオンラインカジノは桁が違う、こういう話なんです。

 例えばパチンコ、もちろんパチンコも依存症は深刻ですけれども、時間の制限があります。深夜はできません。あるいは競馬、競馬はレースとレースの間に時間がありますし、曜日の制約もあります。ところが、オンラインカジノはそういった縛りが全くない。いつでも、どこでも、幾らでも賭けることができてしまって、依存症に至るまでの時間が桁違いに速いんだ、秒の世界ですよとその支援団体の方はおっしゃっておりました。非常にこれは深刻です。

 総理、今御紹介したように、このギャンブル依存症対策推進基本計画、オンラインカジノ、余りに扱いが小さ過ぎる。これは、先ほど申し上げたように、役所のせいじゃないですよね。政治の、この問題に取り組むという総理の決断がないから、こういう小さな扱いになっている。

 総理、この取組、不十分じゃありませんか、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 基本計画における記載が不十分だという御指摘でありますが、ギャンブル等依存症対策推進基本計画、この基本計画、文書の性質そのものが、そもそも、合法的なギャンブル等における関係事業者による依存症対策の取組を中心に記述するもの、このようにされています。

 御指摘のように、オンラインカジノ、これは違法であります。オンラインカジノを含めた違法なギャンブル等については取締りの強化のみを記述しているというのが基本計画のありようだと思っております。

山岸委員 総理、違法だから対応できない、そういって野放しになっている、本末転倒じゃないですか。違法だというのであれば、その違法な事業から国民の健康と財産を守るということこそ政治の責任ではないかと私は思います。

 今日は、一つの対策として、幾つかアプローチがあると思うんですが、お金を止めるということ、これが重要になってきます。

 山口県阿武町の出来事でも注目されておりますけれども、決済代行業者というものがあるんですね。これは私も今回初めて知りました。そこがお金をやり取りしていて、今回、お金が九割方返ってきたということで、そのこと自体は町民の皆さんにとっては歓迎すべきことかもしれませんが、一方で、これは、何があったのかな、随分気前のいい業者なんだな、一体どういう人々なんだろうかと、むしろ謎が深まったような思いもいたします。

 総理、担当大臣はいないということですから、これも総理にお答えいただきたいと思うんですけれども、オンラインカジノをめぐるこの決済代行業なる存在というのは、どんな人々が、どういうビジネスモデルで、どこにあって、どのぐらいの市場規模というか、仕事をしているのか、何か政府は実態を把握されていますか。

岸田内閣総理大臣 オンラインカジノの入出金には様々な者が関与している可能性があると承知をしています。

 そして、委員御指摘の決済代行業者、これがどのような存在なのか、その実態、必ずしも明らかにはなっていないと承知をしています。

 しかしながら、取引が犯罪による収益である疑いがある場合には、犯罪収益移転防止法に基づいて金融機関は政府に届けることとされており、政府当局は必要に応じこの情報を捜査に活用していると承知をしています。

山岸委員 様々な者が関与している可能性がある、それを調べていただきたいんですよ。何も分かっていないということなんですよ。今オンラインカジノがどれぐらい広がっているのか、ビジネスがどういうからくりなのか、どういうお金の流れなのか、何ら政府は把握をしていない。

 今、政府は、岸田政権も、カジノで経済成長だというふうにおっしゃっているけれども、国際的なカジノビジネス、実態を分かっていらっしゃらないというのが現実なわけです。依存症対策も取られておりません。

 今こんな状況の中で、岸田政権は、カジノ、これはリアルの、箱物の方ですね、箱物カジノをつくろうとされている。カジノの設置をしたいということで、今、大阪、長崎から申請が上がってきて、この夏から秋にかけて国が審査を行う、今重要な局面を迎えております。私自身は、箱物カジノ、反対ですし、立憲民主党大阪府連は、カジノには住民投票を条件にすべきだ、こういうふうな提言もまとめています。なぜならば、地域の不安の声が大変強いから。

 今日議論してきたみたいに、オンラインカジノ、既に存在しているオンラインカジノという社会の脅威にすら対応できていない今の政府に、本当にこの箱物カジノを任せることができるのか、私は甚だ疑問だと言わざるを得ません。

 今日、与野党の委員の方がいらっしゃいますけれども、箱物カジノを推進している自民党、公明党、維新の会の皆さんにこそ、このオンラインカジノの問題、私は取り組んでいただきたい。なぜならば、皆さん方、箱物カジノを導入するときに先立って、ギャンブル依存症対策をしっかりやりましょうよということで、依存症対策の推進基本法ができて、それに基づいて、先ほど議論したような政府の計画もできているわけです。しかし、実際にはオンラインカジノへの対策はほとんどなされていない。

 総理、時間的に最後の質問になると思いますけれども、私は是非とも総理に今日は御決断をお願いしたいんです。

 この夏、あるいは秋かもしれません、箱物カジノの認可を政府は出すか出さないかというふうな、こういうタイミングになっています。一方で、既に存在しているリスクであるオンラインカジノ、これはまず、対策に取り組んでいく、国民の皆さんの健康と財産を守る責任を果たす、そういう、私は、政治の決断、総理の決断が必要ではないかと思います。

 よもや、オンラインカジノを放置したまま箱物カジノを認可する、このまま進めていくということは、これはあり得ないと思いますけれども、総理、御決断をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国のIR、これは、カジノだけではなくして、国際会議場や大規模なホテルなどを併設し、家族で楽しめる観光拠点をつくるという発想に基づいて取り組んでいる課題であります。

 一方、御指摘のオンラインカジノ、これは、委員おっしゃるように違法なものであり、関係省庁が連携をし、厳正な取締りを行わなければならないと思います。また、資金の流れの把握、実態把握、これをしっかり行うことは重要であると思います。あわせて、依存症対策についても考えていかなければならない、こうした重要な課題であると認識をいたします。

山岸委員 時間ですから終わりますけれども、考えるだけではなくて、決断を、実行をお願いしたい。オンラインカジノ対策なくして箱物カジノなし。

 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、野田佳彦君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。野田佳彦君。

野田(佳)委員 ウクライナとの連帯の気持ちを胸に、対ロシア外交の検証の質問をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、プーチン大統領と二回、首脳会談を経験をいたしました。

 一回目は、二〇一二年の六月。通常国会の会期末で、当時は社会保障と税の一体改革の三党合意の大詰めでございました。厳しい日程だったんですけれども、ゼロ泊三日でメキシコのロスカボスに飛び、G20の首脳会議に出席をいたしました。久しぶりにメドベージェフに替わってプーチンが大統領に再び返り咲いたときでしたので、さしの会談をセットしたんです。来ないんですよ、なかなか。予定時刻になっても、一時間たっても、一時間半たっても来ない。もう帰ろうかと思いましたけれども、遅刻の常習犯だから、もうちょっと待ちましょうと言われました。入ってきたけれども、わびもせずに用件に入ってくるんですね。私は、宮本武蔵かよと思いました。じらしながら人を試すというのが彼の癖だと思いましたね。

 次が、二〇一二年の九月。ウラジオのAPEC開催でございました。ロシアがホスト国なんです。会議の終盤に、野田さん、お会いしたいというお話があって、二国間会談になったんですね。何かというと、APECの成功のためにロシアの青年五百人をボランティアで使ったんだけれども、物すごく頑張ってくれたから御褒美を上げたい、ついては、日本に行かせてあげたいんだと言うんですね。いいことですね、ウェルカムですよと言ったら、畳みかかってきまして、これから船を出して三日後に横浜に着かせたいんだ、至急ビザを発給してほしいと。事務方には何の相談もなく、いきなりトップ会談で来たんですね。これも人を試すことなんだな、また、おねだりが上手だなと思いました。

 私が二回の会談を通じて感じたのは、これがプーチン大統領のイメージなんですが、試す人なんですね。

 本格的に国際社会を試したのが、二〇一四年のクリミア併合だと思います。力による現状変更を試みた。でも、実効支配が終わった後に、ようやく制裁でしたね。余り効果がなかったわけです。この成功体験が、今回の二月のウクライナへの本格的な侵攻につながったと思います。

 ある意味、日本も含めて、国際社会がプーチン大統領を増長させたと私は思いますけれども、岸田総理はどうお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の話を聞いておりまして、私も、外務大臣時代、サンクトペテルブルクでプーチン大統領と会談した際に、二時間近く待たされたことを思い返しました。そうした様々な、駆け引きとは申しませんが、様々なやり取りをされる方であると認識をいたします。

 そして、御質問は、二〇一四年のクリミア併合における、国際社会がプーチン大統領を増長させたのではないか、こうしたことでありますが、もちろん、その点につきましてもしっかり検証しなければならないと思いますが、私は、基本的に、二〇一四年のクリミア併合以後の対ロ外交については、やはり、国際社会全体の動きの中で日本外交がどうであったのか、これを見なければならないと思います。

 二〇一四年のクリミア併合によって、G7を始めとする国際社会は、あのときも経済制裁は行いました。しかし、それぞれの国の事情の中で行うということで、十分ではなかったのではないかという指摘もありますが、あのときの国際社会の雰囲気全体が、こうしたクリミアの併合、これは領土、主権の一体性を害するとんでもない暴挙であると指摘をしながらも、ロシアとウクライナ両方に働きかけることによって緊張緩和に努める、こうしたことで、ミンスク1、ミンスク2を始めとする様々な働きかけが、ロシア、ウクライナ両方に行われていた。そういった雰囲気の中で外交が進められていた。その中で、それぞれの国がどうあるべきだったのか、こういった点で検証してみる必要があるのではないかと思っています。

野田(佳)委員 私は、日本外交に限って検証していきたいと思うんですけれどもね。

 二〇一四年です。クリミア併合の前に、ソチで冬季オリンピックが開催をされました。あの羽生選手が圧倒的な勝利で金メダルを取った大会でしたけれども。ロシアにおける人権問題があって、これをもって、各国の首脳が出席を取りやめていました、オバマ大統領も、フランスのオランド大統領も。主要国の首脳で出ていったのは、出席したのは、当時の安倍総理だけなんですね、人権の問題で。

 今年の冬季オリンピックは、外交的ボイコットを日本はしました。私はそれは支持をしますけれども。二〇一四年当時は、G7の各国が首脳が出席をしなかったけれども、日本は出席したんです。価値観外交を言っていたはずなんです、民主主義とか、法の支配とか、人権の尊重とか。価値観外交と言っている割には、私はロシアに甘いなと思いました。

 そして、その後にクリミアの併合ですね。国際社会の対応はさっき言いましたけれども、日本の対応に限って言うと、欧米諸国が制裁を決めた後に、十日後に決めているんです。中身は、当時、真空切りと言われたぐらいに、ほとんど中身のない、効果のない制裁でした。

 私は、あの二〇一四年当時の日本のロシアに対する姿勢を見て、G7の中で一番足並みを乱す国は日本だと見られたのではないかと。私はそこから総括しなければいけないと思いますが、当時、外務大臣でございましたから、経緯をよく御存じだと思います。御見解をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、ソチ五輪の出席は、時間軸でいいますと、クリミア併合の前でありました。そして、ソチ五輪に対して出席等が議論になった最大の理由は人権問題でありました。そして、国際社会は対応が割れて、結局、日本以外にも、イタリア、オランダ、チェコを始め、出席した国が出る、一方で欠席される主要国もあった、こういったことであったと思います。人権問題を含めてロシアとどう向き合うのか、こうした判断であったと思います。

 そして、その後、クリミア併合が行われました。これに対して経済制裁が行われたわけですが、委員の方から、真空切りではなかったか、甘かったのではないか、こういった御指摘があります。

 今回のロシアのウクライナ侵略においても議論になっていますが、具体的な制裁の中身については、それぞれの国の事情があり、判断があるんだと思っています。

 しかし、いずれにせよ、あの当時の国際社会の雰囲気は、ロシア、ウクライナ両方に働きかけて緊張緩和を実現していくべきである、こうした考え方の下に、それぞれへ対応を行っていた、こういったことであったと思います。

 ロシアに対する様々な取組もありましたが、一方で、ウクライナに対しても、私は外務大臣としてウクライナに、あの当時、二回訪問いたしましたし、安倍総理もウクライナにも訪問しているなど、働きかけを行ってきた。このウクライナ、ロシアそれぞれに対する対応のバランスの中で、具体的なそれぞれの政策があったと認識をしています。

野田(佳)委員 バランスは取れていないんですよね、基本的には。制裁をしたといっても、例えば資産の凍結などをやっていますけれども、日本のやっている対象、個人とか団体は、アメリカと桁が一桁違います。相手は七百数十凍結している、日本は数十、五、六十ですよ。などなど、どれを見ても、もう規模が違うし、やる気が全然違うなというレベルで、ウクライナの対応は別として、ロシア対応は、ほかの国に比べれば圧倒的に見劣りがしていたということは間違いのない事実だと私は思います。

 その上で、次は、二〇一六年の総括をしたいと思います。

 二〇一六年は、五月にソチで首脳会談があって、そこで日本は八項目の経済協力プランを提案するんですね。そして、九月には、経済協力を担当する大臣を新設します。要は、経産大臣が兼務する形、当時は世耕さんですね、今は萩生田大臣が兼務されていますね、まだ。そして、二〇一六年の十二月には、あの山口県にプーチン氏を呼んで会談が開催をされたときに、北方四島の共同経済活動を具体的に開始をするための協議を始めたんですね。

 これは、ロシアにとって渡りに船ですよ。ロシアは、今、韓国よりもGDPは落ちてきている。あんな広い国土の中で、島の方まで目配りできません。日本の技術と資金があれば、開発してもらえば、こんなありがたいことはない。ありがたい提案をいっぱい続けたのが二〇一六年です。

 なぜ、ここまで踏み切っていったんでしょうか。その経緯を、その根本を是非教えていただきたいと思います。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、二〇一六年の八項目の経済協力につきましては、これは、先ほど申し上げました、日本としては、ウクライナ、ロシア共に働きかけることによって緊張緩和を実現する、世界各国がそういった姿勢で臨んでいる中で、日本としての取組の一つであったと理解をしています。

 一方、おっしゃるように、あれは十二月ですか、長門会談が行われ、日ロ首脳会談が行われた。その際に、北方領土における経済協力が合意された。この部分でありますが、この部分は、北方領土交渉において大変重要な取組であったと認識をしています。

 我が国は、北方領土に関しまして、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、こうした方針で臨んできました。四島の帰属の問題を明らかにする、我が国としては、我が国の領土をしっかりと取り戻していきたい、こうした方針で臨んでいたわけですが、現状、北方領土においては、ロシア人しか住んでいない、ロシア人しか経済活動を行っていない、こういった状態がずっと何十年も続いてきた。

 将来を考えた場合に、是非日本人が、そして日本の企業が北方領土で活動する、こうした環境をつくることは重要であると認識をして、こういった考え方は、一九五六年の日ソ共同宣言以降、先人が何度も、こうした取組ができないか挑戦した課題でありました。そして、結果として、二〇一六年の長門会談において、北方領土において初めて日本人、日本企業が経済活動を行うことができる、このことについて合意をした。残念ながらこれは実現には至っておりませんが、こういった合意に至ったことは、北方領土交渉において大変重要な結果であったと認識をしています。

 それぞれ位置づけは違うのかもしれませんが、先ほど申し上げました全体の国際社会の動きの中で、日本としてそれぞれ具体的な取組を行った結果であると認識をしております。

野田(佳)委員 重要な取組だったという御認識には、私は驚きを禁じ得ませんね。

 当時、経済協力をどんどんやっていけば、あるいは共同経済活動を含めてどんどん経済協力をやっていけば、おのずとロシアの肩もほぐれて領土交渉で譲歩できるだろうというのが、これは新しいアプローチと言っていましたよね、新しいアプローチ、当時。私は、軽率な、安易なアプローチだったと厳しく断ぜざるを得ないと思います。

 四島における共同経済活動といったって、主権の問題をちゃんとはっきりしないで物事を進めるというのは極めてリスクがあると私は思うんですね。精緻な議論がないままに官邸内の経済官僚を中心に進んでいったロシア外交は、私は厳しく反省をしなければいけないというふうに思います。新しいアプローチによって領土問題は進展しましたか。しなかったじゃないですか、結局は。

 二〇二〇年にロシアは憲法を改正して、領土の割譲を禁止する規定を入れましたね。結局、石ころ一つ返ってこないということじゃありませんか。要は、足下を見られて、島を人質にしてジャパン・マネーをどんどん引き出すという戦略にまんまと乗ってしまったと私は思うんです。これは反省が必要だと私は思うんですよ。

 そもそも、七十七年前に火事場泥棒のように不法占拠されたんです。今回は、火事場泥棒に、表現がちょっときつくなっちゃって申し訳ないんですけれども、今度は食い逃げされたと同じじゃありませんか。

 この新しいアプローチは厳しく反省すべきだと思いますが、改めて総理の御見解をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた八項目の共同経済活動、そして北方領土における共同経済活動、それぞれの意味合いは先ほど申し上げたとおりであります。

 食い逃げされたのではないかということでありますが、北方領土交渉の中にあっても、新しいアプローチにおいて北方領土における共同経済活動に合意したということは、それまで、それぞれの法的な立場をどうするかということについて延々と議論をして結論を出せなかった、こういった問題について合意をし、法的な枠組み、具体的には条約等を想定していたと記憶をしていますが、そういった枠組みをつくって、それぞれの経済活動を法的にもしっかりと位置づけていこう、こうした議論を行い結論に至った、このことの意味は、北方領土交渉において大変大きなものであったと思います。

 しかし、結果として、今、こうではないかということを指摘をされています。結果につながらなかった、これはそのとおりでありますが、国際情勢の変化の中で、最大限、国益を考えて努力をするということで努力を続けてきた、このことは決して不当ではなかったと思っております。

野田(佳)委員 次に、二〇一四年、二〇一六年と総括をしてきましたけれども、もう既に外務大臣ではなくなってしまうときなんですが、二〇一八年の十一月のシンガポール合意です。

 これは先ほど総理も触れられましたけれども、九三年に細川・エリツィン会談で、四島の帰属を明らかにすることによって平和条約を進めるというところまで先人たちは頑張って努力をして持ってきましたけれども、それを一九五六年の日ソ共同宣言まで交渉の基礎を後退させてしまったのがシンガポール合意なんですね。何でそんなに無条件に譲歩してしまったのか、私、全く理解できませんでした。

 何で、歯舞、色丹の返還はあり得るというあの一九五六年のラインまで下がるんでしょうか。世の中では、四島のうちの半分でも返ってくればいいと思っている人がいますけれども、面積で占めているのは、歯舞、色丹は四島の中の七%じゃないですか。七十七年前に百万円かすめ取られた、今頃、いっぱい資金協力して、ようやく七万円返してくれるかもしれないなんということに簡単に合意をしてしまったということは、私は痛恨の極みだと思います。

 結果が出なかったというお話をさっきしましたね。このシンガポール合意は、もちろん成果は出ていませんよ、出なかったどころか、これからまた平和条約に向けての交渉がいつかの段階ではあると思うんですね、ポスト・プーチンのときに。そのときに領土の問題をどうするのか。

 これは、結果が出なかったどころか、負の遺産として残ってしまうんじゃないですか。そこは厳しく反省すべきだと思いますが、もし、総理が外務大臣だったらこんなことやらせなかったというんだったらいいんでしょうけれども、それまで評価しているんだったら私は問題だと思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の二〇一八年のシンガポール合意は、基本的に、一九五六年の日ソ共同宣言を基礎とし、平和条約交渉を加速化させるという内容であったと承知をしています。一九五六年の日ソ共同宣言も、二島の取扱いについて明らかにしていますが、残り二島、これを決して諦めたというものではないと思っています。引き続き、その二島についても帰属の問題を明らかにしていく、こうした基本的な方針であると承知をしています。だからこそ、一九一八年のシンガポール合意後も、日本政府として、四島の帰属を明らかにして平和条約交渉を進める、この基本的な方針は何度となく確認をしていると承知をしています。

 あのシンガポール合意をもって大きく日ロ交渉の基本方針が変わったと私は認識をしておりません。

野田(佳)委員 私は、二島返還だけで終わるだけじゃなくて、要は、先行返還論のお話を今ちょっとされたと思いますが、ロシアは一貫して領土抜き平和条約という姿勢だったんじゃないですか、恐らく。領土の話は全く関係なく平和条約をやろう、日本は勝手に島の話は言っているけれどもというスタンスではなかったのかなという印象を強く持っているんですね。日本だけが甘い幻想の下でやってきた。そして、特にその甘い幻想を振りまいたのは元総理だと思いますよ。個人的な信頼関係といって、ウラジミール、晋三、二十七回会談をやったと。

 先ほど、交渉を加速させるというお話をさっきされましたけれども、シンガポール合意の後も言ったと。交渉を加速する、首脳会談の後には必ず会見で言っていたんですよ。二十七回会談をやって、交渉を加速する。その交渉当事者は、事実上、岸田外務大臣でしょう、相手はラブロフ外務大臣でしょう。これで個人的信頼関係ってありましたか。セルゲイというんですか、ラブロフは。セルゲイ、文雄と言う関係でしたか。

 十四回会談していますよね、電話会談を含めて。直接は九回、五回電話会談。一貫して強硬姿勢じゃありませんか。ブリキのパンツをはいたような外務大臣じゃないですか、あの人は。さきの大戦の結果を受け入れろということばかり言っていたんじゃないんですか。さきの大戦の結果、北方領土がロシアの領土になったわけではありませんからね。強くその話は反対論を常にぶたなきゃいけないんだけれども、全然、外務大臣間のいわゆるいろいろなエピソードが伝わってこないんですが、この外務大臣間の議論についてはどのような総括をされていますか。

岸田内閣総理大臣 日本、ロシアの外務大臣の交渉、振り返りますと、二〇一三年のロンドンにおけるG7外相、当時はG8外相会談において最初の顔合わせが始まったときから、絶えず、北方領土問題、平和条約問題、これについての議論ばかりであったと振り返っています。

 その後、御指摘の二〇一四年のクリミア併合があり、その後、この交渉は途切れました。そしてその後、あれは二〇一六年だったと思いますが、新しいアプローチによって交渉を再開するということで交渉を再開した、外相間においてはそういった経緯をたどりました。

 首脳間の様々な約束を踏まえて外相レベルで議論をするということで、首脳間の様々な合意が交渉に影響したことは間違いないと思います。ラブロフ外相も、プーチン大統領の方針に基づいて議論を行っていたと受け止めています。絶えず緊張感のある緊迫したやり取りが続いていたと記憶をしています。

野田(佳)委員 日本が緊張感を持っていたんだろうなと思いますね。私は、一貫して彼らは余り変わっていない、逆に、固い姿勢に遠慮をしながら、我が国の固有の領土であるとか不法占拠という言葉を、外交青書だけではなく、国会の答弁やあるいは会見でも使わなくなりましたね。かなり遠慮していたんだろうと思いますね。本当にそれがよかったかということは、私は厳しく総括しなければいけないと思います。

 総理は、新時代のリアリズム外交ということを掲げられています。リアリズムというのは、直近起こってきたことを直視して、そのことを厳しく総括をしていくということがリアリズムだと思います。私は、総理がリアリズム外交をおっしゃるならば、ロシアとの外交については今申し上げた安倍外交以降のことを、今日は三十分ちょっとしかないから私は大急ぎで検証していますよ、本当は三時間ぐらいやりたいところですけれども、大急ぎでやっていますけれども、政府の中でしっかり検証することが新時代リアリズム外交の初めの一歩になると思います。

 それで、そのためには、戦後外交の総決算と安倍元総理がおっしゃっていましたけれども、戦後外交の総決算の総決算がリアリズム外交のスタートだと思います。御見解をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 新時代リアリズム外交、これから新しい時代の外交を進めるに当たって、当然のことながら、これまで日本外交がどうであったか、こういった点についてしっかり振り返りながら前を向かなければいけない、このように思います。

 先ほど申し上げたように、二〇一四年以降の日ロ外交のありようについては先ほど御説明したとおりであり、そのことが不当、不適切であったとは思いませんが、しかし、こういった経緯、今の現状に至っているこの結果、こういったことをしっかり頭に置きながら、今後ロシアとどうつき合っていくのか、北方領土についてどう考えていくのか、これを現実的に、具体的に考えていく、こうした姿勢は重要であると思っております。

野田(佳)委員 私は、戦後外交の総決算は、ロシアを、プーチン大統領を見誤った大失敗だったと思っています。厳しい総括が必要だと思います。その下で外務大臣をやられていたので、私のような厳しいことは言えないのかもしれませんが、検証なくして外交戦略は私はないと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいということを要請をさせていただきたいと思います。

 今まではこれまでを振り返った話が多かったんですが、大事なのは戦争の出口なんですよね。

 ウクライナ侵攻から三か月たちました。先行き不透明です。一進一退の状況が続いていますね。この状況の中で、私は、世界の各国、あるいは我が国の国論もそうかもしれませんが、二つに大別することができると思うんです。

 一つは、時間がかかれば多くの血が流れる、民間人も犠牲になる、そして経済的にも大きな影響がどんどんと出てくるから早く停戦をしなきゃいけない、チャンスがあれば停戦合意に向けて汗をかこう、知恵を出そうとしている、取り組んでいる国々がありますね。ドイツやフランス、イタリーなんかはまさにそのとおりだと思います。

 一方で、それは早く停戦した方がいいんだろうけれども、でも、プーチンには、プーチン大統領には、国連憲章違反をやって、しかも常任理事国じゃありませんか、重たい代償を払わせなければ、これはまだもっと続けなければいけないなという立場の国々もあるし、我が国の国内の議論もあると思います。

 これは、決して二者択一で語れないと思いますよ。そんな単純ではないと思います。でも、状況を見ながら、それは適切な判断は必要でしょうけれども、どちらに軸足を置いておくかということは、外交の岸田というのなら、それはきちっと御説明をいただきたいと思うんですね。どちらにスタンス、軸足を置いていらっしゃいますか。

岸田内閣総理大臣 プーチン大統領に対しては、国連事務総長を始め各国首脳が様々な働きかけを行っています。しかし、今まだ、プーチン大統領は、自らの侵略を正当化し、そして強硬な態度を和らげようとしておりません。

 このような状況においては、まずは国際社会が一致してメッセージを発することが大事であると考え、一致して、強い制裁とそしてウクライナ支援、この二つを国際社会が協力して行うことが重要であると私は今現状思っています。

 そして、今後の状況もしっかり見ていかなければなりませんが、ロシアによるウクライナ侵略が継続し、ウクライナの国民が懸命に祖国を守る努力を続けている中で、国際社会や我が国が、要は、ウクライナの国民以外の人間がウクライナの将来を決めるようなことはしてはならないと思います。ウクライナの国民の皆さんの思いをしっかり尊重しながら、国際社会としてこの事態を平和的に解決するためにはどうしたらいいのか、この点を重視しながら我が国の具体的な対応を考えていきたいと思っています。

野田(佳)委員 ウクライナの国民がウクライナの将来を決める、これは鉄則だと思いますし、それを尊重すべきだと思います。

 その上で軸足の話をしたんですが、私は総理のお考えに近いですね。近いというか、現時点はまだちょっと停戦の機運から遠いんですが、あのこの間のプーチンのグテーレス事務総長との会談で言った話を聞くと、全然懲りていないと思ったんですね。彼は、集団的自衛権の行使を言いました。あのロシアに近しい地域、親ロ派武装勢力の強い地域からの要請があって集団的自衛権を行使したという説明です。

 この論理をこれからも持ち続けるならば、今難民をいっぱい受け入れているあのモルドバだって、そういう地域があるんですよ、共和国が。かつては一回侵攻されたグルジアだって、あるんですよ、ロシアに親和的な地域、共和国が。要請があれば集団的自衛権行使をするということは、これからも続くんです、この論理がある限り。昔のソ連を復活させよう、ロシアを巨大化させようという野望はついえないです。

 だから、このウクライナの戦いの中で猛省を促すような結果を求めていくというのは、私は基本的には大事な姿勢だというふうに思います。これは、今、私の意見で、党内の意見はどうか分かりません。分かりませんが、私はそう思います。

 あえて、停戦の機運が出てきたときに、私は、その気があったのかなと思ったのがあるんです。それは、令和四年度の予算二十一億円、まだ経済協力費、残っているじゃないですか。中身はひどいですよ、あれ。人道支援、医療支援とかいったって、ロシアの太っちょを減らすための予算じゃないですか。何でこんな予算を残したのかと思いますよ。まだ大臣がいるじゃないですか、経済協力担当大臣。萩生田さん、大臣でしょう。

 何でこんなみっともないことをやっているのかなと思ったんだけれども、和解を、仲介をするための一つのきっかけとして残しているのかなと思ったりもしたんですが、それは違うんですか。違うんだったら、やめた方がいいと思います。

岸田内閣総理大臣 ロシアの経済協力について、予算や大臣を残している意味についての御質問でありますが、今、ロシアによるウクライナ侵略によって、ロシアにおいて経済活動をしている日本企業、大変な苦しみの中にあります。撤退を余儀なくされる、そして、今後、ロシア国内での経済活動をどうするのか、今ぎりぎりの決断を迫られている、こうした状況にあります。

 こうした日本企業の撤退、あるいは様々な判断、決断、行動、これを日本政府として、今、経済協力という形でこれまで支援をしてきたわけでありますが、今後、方向転換をする際にも、日本としてこうした苦しんでいる企業を見捨てることはできない。やはり、どうあるべきなのか、予算、あるいは大臣がしっかり責任を果たしていくことは重要であると考え、現状のとおり残させていただいている、これが政府の基本的な考え方であります。

野田(佳)委員 時間が参りました。終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて泉君、藤岡君、山岸君、野田君の質疑は終了いたしました。

 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 今日は、同僚の赤木正幸議員にもお手伝いいただきまして、質問を進めさせていただきます。私にいただいた時間が非常に短いので、本当に端的に質問したいというふうに思います。

 馬場共同代表からは後ほど、国家像という大きな話ですが、私は、今ちっちゃなことをやはり政治家は積み上げなければいけない、三つのことを総理にお伺いしたいと思います。

 まずは、私も初当選ということで、もう七か月たちました。そして、議員になってから文通費の問題を指摘をさせていただきましたが、これは各党で、今国会でしっかりと結論を見ようということで御努力されている最中だと思います。

 しかし、今、もう会期末も迫ってきているという中で、まだ見通しがはっきりと見えているわけではないというふうに思いますが、まず総理に、今何が問題で、この問題、なかなかすっきりと前に向かっていかないのか、このことについての御意見、お考えをいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今、名称が変わりまして、調査研究広報滞在費となったと承知していますが、この議論については、議員活動の在り方に関わる重要な課題であるからこそ、与野党の間で議論をしていただくことが重要であると思っています。

 行政府の長として、議員活動の基本に関わるような課題について具体的に何か申し上げることは控えなければならないと思います。

 是非、こうした全議員共通のルールについて御議論いただいているわけですから、できるだけ早く結論を出すことによって国民の皆さんの納得もいただくことは大事だと思いますし、ルールができたならば、私もしっかりとそのルールに従って対応していきたいと考えております。

小野委員 もちろん、総理として、なかなかこれは口を差し挟めるような問題ではないと思いますが、自民党総裁としての御意見をお伺いしたいと思います。

 この残る期間の中でしっかりと、これは国民がほとんど大部分、やはりこの改革やるべきだと。私も地元を回っていて、民間の方々がこんな領収書も出さなくて経費を認められるなんということはあり得ないわけですから、これはしっかりやってほしいということは、これは合意争点だというふうに思いますので、是非、自民党総裁として、政治家のトップとして、残りの期間でしっかり進めてくださいということを総裁として御指示されるようなおつもりがないのかどうか、お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 自民党総裁ではありますが、行政府の長でありますので、具体的な中身までは控えさせていただくと申し上げているわけでありますが、こうした課題が国民の政治に対する信頼にも関わる問題であるということを考えますときに、是非、こうした問題について立法府がどう考えるのか、こうしたことについてできるだけ早く結論を出すことは大切なことではないかと認識をいたします。

小野委員 国会ももう日程が限られているということで、これは党派関係なく進めるべき問題だと思いますので、是非、岸田総理もそういったことをメッセージとしても発信していただきたい。今、岸田総理、内閣の支持率、本当に空前絶後の高さでありますから、やはり、そういう中でしっかりと国民の信を受けながら物事を前に進めていくということは必要だと思っておりますので、是非この場でもそのことをお願いしておきたいというふうに思います。

 その上で、もう一問、総理にお伺いしたいと思います。

 私ども日本維新の会は、かねてより、この文通費、今名前は調査研究広報滞在費というふうに変わっておりますけれども、全議員がホームページでこの使い道については公開をしているということでございますが、仮に、今回の国会でこの旧文通費の公開とか返納というところが実現しなかった場合に、岸田総理、岸田総裁として、自分の政治家の信念として、この調査研究広報滞在費をしっかり公開するというようなおつもりがあるかどうか、お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 調査研究広報滞在費、これについて、ルールができ上がる前であっても自ら対応しないのか、こうした御質問だったと思いますが、先ほどの答弁との関連で言いますならば、具体的に私がどういう物差しで対応するかということが、まさに一つのメッセージになってしまいます。

 是非、全議員共通のルールを作っていただくわけですから、ルールをしっかり作っていただき、私もそれに従わさせていただく、こうしたことであるべきだと私は思っております。

小野委員 総理から、今までの答弁と同じように、非常にやはり調和を大事にして、そして安全に物事を進めようというようなお気持ちがにじみ出ているなと思うんですが。

 私も、正直、この問題は、本当に自分が書いていいのかどうかというのは迷いました。やはり、今までこの制度ができてきて、そのことに触れていいのかと。私の、この維新の中の議員の皆さん、先輩からは、小野がパンドラの箱を開けてしまったというようなことをおっしゃる方もいました。でも、それでも、政治家というのは、やはり一人であってもやらなきゃいけないことがあるというように思うんですね。

 この問題が岸田総理にとって政治家としてやらなきゃいけないことかどうかというのは、それは政治家としての岸田総理の御判断だと思いますけれども、でも、私はやはり、政治家としてどのように、岸田総理、この国会議員のトップなわけです、どのように判断するのかはちゃんと国民が見ているというように思いますので、是非これからも、この問題、我々維新も、この国会が終わってそれで解決しなければそれで我々も諦めるというわけにはいきません。しっかりと問うていきたいというふうに思いますので、どうぞそのことはしっかりと心に留めていただきたいと思います。

 それでは次に、マスクの問題についてお伺いしたいと思います。

 昨日も、参議院の予算委員会の方で伊藤孝恵議員が御質問されておりましたけれども、私は、より実践的なことについてお伺いをしたいと思います。やはり、しっかりと一つ一つ物事を前に進めていくというのが、先ほどの文通費問題もそうなんですが、大事だというふうに私は思っています。

 例えば、今、赤木さんにお願いしますけれども、ちょっとパネルを御覧いただきたいと思います。

 これは、五月五日の日英首脳会談のときに、そのときに、ちょうど総理が訪問された、このときに、儀仗式というものがありまして、近衛兵のおなじみの歓迎を総理は受けられたわけですね。このときに、私、特徴的だなと思ったのは、この近衛兵がマスクを着けていないということです。

 次に、バイデン大統領が五月二十三日に迎賓館に来られたとき、このときの自衛官はマスクを着けているということでございます。

 ただ、これだけの写真だとフェアじゃないと私も思いますので、次に、イタリアを総理が訪問されたとき、このときに、やはりイタリアの衛兵の方々、マスクを着けておられるということでございます。

 そういう意味で、いろいろな国の考え方があるのは私も承知はしています。

 しかし、そういう中で、五月二十三日に、政府の新型コロナウイルスの感染症対策本部が基本的対処方針を改定をいたしました。その中でマスクのポリシーについて書かれているわけなんですけれども、屋外において、他者と身体的距離が確保できる場合や、他者と距離が取れない場合であっても会話をほとんど行わない場合は、マスクの着用は必要なく、特に夏場においては、熱中症予防の観点から、マスクを外すことを推奨するというようなことが言われております。

 こういう中で、私も、ちょっと自民党本部から平河町の方に行って、歩いて催物に行ったんですけれども、首相官邸それから国会の周りも、警備員それから警察官の皆さん、今日もそうですが暑いんですよね、そういう中でマスクをされている。しかし、この新しい基本的対処方針に沿えば、マスクを外してもいいんじゃないかというふうにも思います。

 そして、私も昨日、マスクを外してこの院内を歩きました。そうしたら呼び止められて、そして、院内ではマスクをしなければいけないということで、ちょっと衛視さんに怒られちゃったんですね。

 ところが、この基本的対処方針を見ますと、屋内において他者と身体的距離が取れて会話がほとんどない場合には、マスク着用は必要ないというふうに書かれていまして、やはり、政府は国民に対してしっかりと、変わったことに対してはスピーディーに対応するということは必要だというふうに思っています。

 やはり、私も日々生活していて思うんですけれども、このマスクがもう我々の体の一部になっているんじゃないかというふうに思います。そういう中で、子供たちへの発育の問題というのもありますし、そして私も、自分自身が新しい秘書を迎えてから、秘書さんの顔がどういうのかというのが本当に分からないというようなこともあるわけですね。

 ですから、やはり、コミュニケーションを大切にしていくというようなことも考えても、しっかりとやっていくことが必要だと思いますが、屋外で身体的距離を取っていて、マスク着用の必要がないというふうに思うんですけれども、それでもやはり外していけないという理由を、総理、どういうふうにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず前段の、海外出張時におけるマスクの着用については、相手国の防疫措置を踏まえて判断しているということです。

 ロンドンを含むイングランドでは、一月二十七日にマスク着用義務が撤廃されており、こうした英国の防疫措置に沿った対応であるということを申し上げます。

 そして、その上で、委員の方から国内の方の御質問がありました。

 先日、政府としましては、屋内、屋外、会話を行う、行わない、様々なケースについて、具体的な、基本的な考え方を申し上げました。これは決して、政府が政治的に判断したというよりは、極めて専門家の意見を重く受け止め、尊重した上で、改めて考え方を整理したということであります。

 屋外においても、会話がほとんど行われない場合については、身体的距離が確保できる場合もできない場合も、これは着用の必要がないという資料を既に出させていただいています。その辺が徹底していないという御指摘につきましては、政府として引き続き、こうした考え方を分かりやすく国民の皆さん方に説明することによって、トラブル等をなくすように努力をしていかなければならないと考えております。

 基本的には、まだ平時への移行期間でありますので、マスクは基本的な感染対策として大事だと思いますが、スムーズな国民生活のために、このマスクに関する考え方は、政府としてしっかりと説明をしていきたいと考えています。

小野委員 やはり、端的にリーダーがおっしゃることは大事だと思います。ルールがしっかり科学的根拠に基づいて、そのことを私は別に問題視はしていません。そうではなくて、決まったことに対してちゃんと皆さんがやっていただく、これをやはりリーダーが示す。

 だから、私は、今日外に出たとき、あしたでもいいです、そのときに、例えば、炎天下の中で警備をしていらっしゃる方々がこの対処方針に沿ってちゃんとマスクを外した上でやっている、こういったことがやはりしっかり行われるようにならないと、コロナももちろんこれから強毒化するとかいろいろなリスクはありますが、そのときそのときでちゃんと適切な対応を取っていくということを、政府自ら、そして総理自らがこのメッセージを発する、そして実践をしていくということを是非やっていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、後藤大臣、多分答弁を用意されていると思います。一言だけ、どういった条件が備えられればマスクを外せるようになるのかということを端的に短くお願いします。

後藤国務大臣 感染経路は、飛沫、エアロゾルの吸入、接触等ということでありますので、マスクの着用を緩和するということは現時点では考えておりませんけれども、今後の感染状況や変異株の流行状況を見て、これはウイルスの特徴にもよります、専門家の意見も伺いながら検討していく課題だと思います。

小野委員 端的な答弁、ありがとうございました。

 やはり、しっかりとその基準を定めて、その後ちゃんと移行できるようなことを、政府としてしっかりウォッチしていただくということが大事だと思います。

 ちょっと時間がなくなりまして、最後、総務大臣、金子大臣にお伺いしたいと思います。

 最高裁の国民審査の違憲判決が出ました。今まで何でこれは放置されていたか、我々国会議員が全て反省しなきゃいけないことだと思います。

 長らく立法措置が行われなかったということですが、これが、どうしても、技術的な問題ということで、投票用紙の裁判官の名前を印刷しなきゃいけないというのが大変なんだというのが今までの国政選挙との違いで、在外の投票が難しかったということですが、やはりここは、今、ICTも発達しています、全部をフルDXでやる必要はありません、例えばタブレットを使うなりなんなりして工夫はできると思うんですね。

 今後、どうやってデジタルの技術も使いながらやっていくのかというところについて、最後、総務大臣、お伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 小野泰輔委員には、熊本の御縁もあり、また、今日は御指名いただきましてありがとうございます。こういう形で質疑するとは思っておりませんで、非常にうれしく思っております。

 ただいま御意見いただきました、最高裁判所裁判官国民審査の在外投票を認めていない現行制度については、最高裁において違憲と判断されたことは厳粛に受け止めております。

 御提案の、在外国民の国民審査について、在外公館においてタブレットによる電子投票を導入することについては、在外選挙が電子投票とされていない中で、衆議院総選挙と同時に行われる国民審査のみに電子投票を導入することをどう考えるのか、電子投票機について、二重投票の防止や投票の秘密確保のための機能をどう確保するか、機器やシステムにトラブルがあった場合に各公館でどのように対応するかなどの課題もあるものと考えております。

 いずれにしましても、違憲状態を早急に解消する必要があると考えておりますので、判決内容を踏まえ、国民審査の在外投票を可能とするため、投票用紙をどのようなものとするか、投票の方式をどうするかなどの具体的な方策について検討してまいります。

小野委員 これは是非、金子大臣在任中に必ず実現させていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、馬場伸幸君から関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。馬場伸幸君。

馬場(伸)委員 日本維新の会の馬場伸幸でございます。

 岸田総理始め閣僚の皆様方、連日お疲れさまでございます。

 今日は、まず、岸田総理の国家像について、総理の胸の中を一度お伺いをさせていただきたい、そういうふうに思います。

 最新の世論調査、新聞の世論調査によりますと、岸田内閣支持率、支持が六六%、過去最高です。不支持が二三%、過去最低です。

 恐らく、あと一か月少しで、参議院選挙、投開票が行われますけれども、投開票が行われれば、この支持率でいけば、自民党が大きく勝利をするのではないか、そういう予想がされています。

 新聞等の報道によりますと、そうなると、三年間、国政選挙すなわち解散をしなければ、黄金の三年間になるという活字が躍っています。

 岸田総理、黄金の三年間という言葉を聞かれて、誰が黄金なのか、そしてどんなよいことがあるのか、誰にとってどんなよいことがあるのかということを、まず、岸田総理の個人的な見解で結構ですから、お伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から世論調査の結果について御指摘がありましたが、世論調査の支持、今は高いとしたとしても、政治は一寸先は闇であります。これから先何が起こるか分からない、参議院選挙までにおいてもどんな事態が起こるか分からない、これが現実であると思います。引き続き緊張感を持って取り組んでいかなければならない、これが基本的な思いであります。

 その上で、黄金の三年間は誰のための三年間かという御質問でありますが、これは、その言葉を使っている方々がどんな思いで使っているかは様々だというふうに思いますが、もしそういった言葉を前向きに評価するとしたならば、これはまさに、今、日本は歴史を画するような大きな事態に直面している、新型コロナ、ウクライナ情勢、物価高騰等、こうした大きな課題に直面している、こういった政治課題に立ち向かっていくためには何としても政治の安定が重要であるということで、政治の安定を実現するためにそうした歴史的な課題にしっかりと向き合って結果を出してもらう、結果として国民の皆さんの生活あるいは仕事、事業をしっかりと守っていく、結果につなげていくことができる期間として前向きに捉えることはできるのではないか、こうしたことではないかと私は理解しております。

馬場(伸)委員 おっしゃるとおりですね。

 もし、岸田内閣が参議院選挙で大きく勝たれた場合、今、国内、国外にある大変な大きな問題、山積しています、これを解決して、やはり国民に夢や希望を持っていただく、そして安心、安全感を持っていただく、この礎をつくる三年間に是非していただきたいというふうに思います。

 いいことばかり申し上げていると、我々は自民党の応援団であるとか補完勢力であるとまた言われますので、次にちょっと厳しいことを申し上げさせていただきたいと思います。

 この世論調査によりますと、いろいろポイントを見ていきますと、支持している理由、岸田内閣を支持していますよという理由、第一位が、人柄が信頼できる、岸田総理の人柄、どれだけの人が知っているのか分かりませんけれども、それが三〇%で第一位です。そして、内閣に安定感がある、これは第二位で二九%。残念ながら、一方では、この選択肢の中の一番最下位、八番目になるんですけれども、この最下位の理由が、政策がよいというところなんですね。何とこれは一〇%しかありません。

 岸田内閣を支持しない、不支持の理由というのが片方にありまして、一位が、指導力がない、三五%なんですね。三位が、政策が悪い。これは、先ほど政策がよいが一〇%でしたけれども、不支持の方は、政策が悪いという方が三一%いらっしゃるんですね。何と三倍の差がある、いいと言っている人と悪いと言っている人。

 こういう中身をつぶさに見てみますと、マスコミ等では岸田内閣のことを例えて無策無敵内閣、こういう報道ぶりもあります。策がないから、いろいろな具体策をやっていないから敵もない、いいも悪いもないんだという意味だと思いますけれども、そう言われている岸田総理、この無策無敵内閣という言葉に対してどう感想をお持ちでしょうか。

岸田内閣総理大臣 様々な御指摘については謙虚に受け止めなければならないと思いますが、無策無敵内閣と言われますと、やはり私としては、具体的な結果を出しておりますということを申し上げなければならないんだと思います。

 評価はともかくとして、新型コロナ対策につきましても、ワクチンや検査や治療薬や医療病床の確保、水際対策あるいはオミクロン株に対応して隔離期間の変更など、様々な課題について具体的な判断、決断をしてきました。

 経済対策につきましても、昨年の七十九兆円の経済対策、四月の十三兆円の総合緊急対策、そして補正予算と切れ目なく対応を用意してきました。

 また、外交においても、まず何といっても、ウクライナ情勢を受けて、長年のロシア政策の基本を大転換する、これは外交における一大決断であったと思っています。その後も、自由で開かれたインド太平洋をつくるために、G7、日米首脳会談、クアッド、様々な議論をリードしてきました。

 評価はともかくとして、いろいろなことに取り組んでいるということを改めて申し上げさせていただきたいと存じます。そして、それが、こうした様々な取組が結果につながるよう、これからも精進していきたいと考えております。

馬場(伸)委員 私は、岸田内閣のことが無策無敵内閣だとは思いません。今おっしゃっていただいたように、総理就任以来、いろいろな目配りをしながら、特に、一番の長所であります外交関係はがんがんとされておられるというふうに拝察をいたしておりますが、なぜ、それではこういう調査でそういう結果が出ているのかということなんですが、私は、岸田総理が、大変僭越ながら、これからの日本をどういうふうにしていきたいんだ、こういう国家像を持っているんだということが国民の皆様方に余り伝わっていないんじゃないかと。

 いろいろな細かい施策をやっていただいていると思うんですけれども、一体日本をどういう方向に導いていこうとするのか、日本のあるべき姿というのはどういう姿なのか、こういうことが国民の皆様方に私は伝わっていないんじゃないかなと思います。

 もし、岸田総理、今端的におっしゃっていただけることがありましたら、俺の国家像はこういうことだと端的におっしゃっていただけることがあれば、お願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 これは、たしか衆議院の予算委員会でも似たような御質問をいただいたように記憶をしています。

 国家像、どんな国を目指すのか、これは極めて基本的な部分で申し上げるならば、やはり国というのは、国と国民の皆さん、あるいは権力とそして国民生活、この関係について私は大事にしていきたいと思っています。

 すなわち、国家あるいは政府というもの、これは当然のことながら、国民の暮らしそして仕事を守り、そして国家の平和と繁栄を守る、こうした大きな役割を果たさなければなりません。しかし、その国と国民の皆さんとの関係を考えた場合に、国のこういった取組は、何よりも信頼と共感に基づいて存在しなければならないと思います。

 こうした国家と国民の皆さんとの間の信頼関係というものがしっかりあった上で、様々な具体的な政策が進められなければならない。この信頼関係に基づいて、新型コロナ対策、あるいは新しい資本主義、新しい経済モデル、そして新時代リアリズム外交、これが進められていく。こうした国であることが、私たちの日本にとって大切なのではないか、私はそのように思っております。

馬場(伸)委員 ありがとうございます。

 私は、岸田総理のその国家像については否定をするものではございません。ただ、そのベースに基づいて岸田総理がいろいろなことをおっしゃっておられることが国民にとってはよく分からないというのは、私が地元へ帰っても、岸田さんの言っていること、何か分からないんですけれどもというお話をよくお聞きをします。

 今、新しい資本主義という言葉も出ましたが、これは海外の人に聞くと、ニュー・フォーム・オブ・キャピタリズムと。海外の人がこの言葉を聞くと、何か社会主義か何かになるんですかというような感想を持っておられる方が実際にいらっしゃるんですね。

 資産所得倍増計画というのを、岸田さんは、総裁選挙のときには所得倍増計画とおっしゃっていたと思うんですね。就任直後に新しい資本主義とおっしゃって、最近では資産所得倍増と。これは、この間、イギリスのシティーでのスピーチで、総理が資産所得倍増という考え方を打ち出されました。

 これは、簡単に、国民の方に分かるように、どういうお考えなのか、もう一度ちょっとおっしゃっていただけますか。

岸田内閣総理大臣 委員の御指摘を踏まえて言うなら、まず、順番からいきますと、私は、総裁になる前から、まず、新しい資本主義という考え方に基づいて議員連盟を立ち上げて、勉強会を続けてきた、こうしたことであります。

 その上で、まずは、成長と分配、両方が重要である、成長も分配もというのがこの新しい資本主義の基本である、従来は成長か分配かの議論が主流であったけれども、成長も分配もというのが基本だ、これをしっかり申し上げた上で、従来の政策を考えた場合に、分配、まずはしっかり注目しなければならないということで、所得倍増ということで、所得を引き上げるということを申し上げました。所得の中でも、特に子育て世代、若い世代の可処分所得を引き上げることが重要である、こういったことを申し上げました。

 あわせて、資産倍増と申し上げた部分についても、あの講演の中で強調したのは、中間層において、その持っている資産をしっかり生かしていただく、活用していただく、これが大事であるということを申し上げました。二千兆円に及ぶ日本人の金融資産の中の半分を占める預貯金、これを動かしていくことが日本の活力につながるということで、資産倍増ということも申し上げさせていただきました。

 これは、つまるところ、所得も資産も、こうした中間層を中心に可処分所得を増やすことによって消費につながっていく、これが次の成長につながっていく、そして成長の果実がまた分配に返ってくる、この好循環を実現するために大事だということで、御指摘の様々な点について説明をさせていただいているということであります。

馬場(伸)委員 持っているお金をどんどん投資に回して、それでもうけていただいて、どんどんどんどん国民の皆さん方の資産所得を増やしていきましょうということがその本質のことだと思いますが、それでは新しい資本主義でも何でもないんですね。投資をした人がリターンを得て自分の資産をまた増やしていくということは、これはずっと続いてきた資本主義そのものなんです。

 総理、メーテルリンクという方が書いた「青い鳥」という童話は御存じですか。チルチル、ミチルという子供が出てきます。近所のおばさんに、子供が病気だから、青い鳥がいたら病気が治るのでそれを探してきてくれと頼まれるわけですね。それで、チルチルとミチルは、いろいろな冒険をしながらいろいろなところへ行きます。その先々で青い鳥を見つけるんですけれども、見つけて帰ろうと思えば、黒い鳥になって死んでしまっている。落胆して自分たちの家へ帰ったら、自分たちの家の鳥籠の中に青い鳥がいた。

 私は、岸田総理がおっしゃっている新しい資本主義というのは、全然この青い鳥と比べても同じようなことで、くるっと一周回って戻ってこられたんじゃないかな、そういうふうに感じていますし、総理の経済ブレーンの一人であります原丈人さんという方が、新聞報道にこういうコメントを載せられています。日本で株を持っている人は一一・二%で、その多くはある程度の資産を持っている層です、九割の国民にとって株価の上がり下がりは実生活と関係ありません、資産所得倍増の前にやるべきは、勤労所得の倍増を実現して、株を買う資産を形成できるようにすることですと。

 だから、やはり、この予算委員会でもずっと言われていますけれども、三十年間、経済成長していないんです。だから賃金が上がらない。今はもっと最悪ですよね、物価が上がっていくけれども賃金は上がらない、国民負担率はどんどん上がっていく。だから、そこが一番の肝に私はなると思うんですけれども、岸田総理から余りそういう話をお聞きさせていただくことというのは少ないように思います。

 成長と分配というのは分かるんですが、我々は、その前にやはり改革を行って、成長、分配につなげていくという考え方を持っていますし、維新の会のこれからの国の形の考え方はどうなんだと思われる方はたくさんいらっしゃると思います。

 実は、我々は二年前から、新しい国のかたち協議会二・〇というのをやってまいりました。構成メンバーは、日本維新の会、立憲民主党、国民民主党の有志の皆さん、さきの衆議院選挙が終わってからは有志の会の皆様方も御参加をいただいて、これからのあるべき国家像というものをまず打ち立てようじゃないかということで、これは、繰り返しというか、もう皆さんがよく分かっている国家的危機の原因と課題が左側に書いてあります。そして、右側には、我々が目指す国家像、新しい国の形とは何ぞやと。自立、分散、協調を基調とした強くしなやかな日本の実現を目指すというのがコンセプトになっています。

 是非、岸田総理も、こういう形で、誰もが見て分かるような国家像というのを打ち出していただいて、この資本主義についても、どういうことを目指しているのかということを国民の皆さんが分かるように是非努力をしていただきたいというふうに思います。

 新しい国のかたち協議会では、このコンセプトを具現化するために、実は、法案を今作っています。今国会ではちょっと提案することが難しいかも分かりませんが、新しい国の形の創造的改革の推進に関する基本法ということで、プログラム法になりますけれども、臨時国会には提出をさせていただいて、政府・与党の思っておられるプランAと、私たちが考えるプランB、これをけんけんがくがくと国会で議論をさせていただきたいと思います。

 これが国家像なんですけれども、何度もこの予算委員会でも質問したりお披露目をしていますけれども、国民の社会保障であるとか日常の生活の部分、これはどうしていくんだと。国家像は分かったけれども、そこから具体的なことは何なのかというのは、我々が既に打ち出しています日本大改革プランというのがあります。

 これは今まで予算委員会等でお披露目をしたり、各項目にわたって質問をさせていただいてまいりましたが、まだまだ分かりにくいというお声もあって、特に若い皆さん方に我々の考え方を理解してほしいということで、漫画を作りました。もしよかったら岸田総理にもお届けさせていただきますので、眠れない夜にでも少し読んでいただければ、多分眠れるんじゃないかなと思いますが。

 この日本大改革プランの肝は、経済成長と格差解消を実現する、そのために、税制と社会保障と規制改革、この三本柱をセットで、パッケージで改革をしていきますよということなんですね。これは、過去において、いろいろな政党の方とか歴代の内閣も同じようなことをおっしゃったり、やったりされておられました。

 でも、我々は、これをパッケージで推進するためのエンジンとして、ベーシックインカム、最低所得保障と日本語で言いますけれども、そういうものをエンジンとして使って、この三つの大改革をやりますということを申し上げていますので、是非、国会の場で、こういう国家像と、そこから派生してくるこういう具体的な政策、これを闘い合わせて、三年後になるのか、いつになるか分かりませんが、来る衆議院選挙では、我々も、ホップ、ステップ、ジャンプで、政権交代目指してやっていくという強い意思で、今、党内議論もしておりますし、活動もしておりますので、是非、岸田総理のすばらしい議論を御期待を申し上げたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりまして、物価高騰の話もさせていただきたいんですが、もう既に各政党の皆さん方が物価高騰の話についてはいろいろとおっしゃっておられます。

 我が党も四月に法案を出させていただきました。四月二十一日に国民負担軽減法案というのを出しました。基本は、コロナの給付金であるとか補助金、これは各省庁が持っていて、二百ぐらいメニューがあるとか言われています。これを全て理解をして説明できる方はなかなかいらっしゃいません。この物価高騰対策についても、訳の分からぬ交付金とか、ガソリンも、最初トリガーでやるとかいう話もありましたが、補助金に変わったり、いろいろな紆余曲折があります。

 結局どうしたらいいんだということを一まとめに維新の会が取りまとめたのが国民負担軽減法案で、ほかにもメニューはあるんですが、即効性があって、国民の皆さん方が財布の中を毎日見て、なるほど、これは物価対策になっているよなと思っていただけるようなことを取りまとめました。

 油については、ガソリン税にかかっています暫定税率、二十五円十銭ですか、これを、暫定だったわけですから、廃止をする。トリガーとか補助金を出すとかいろいろな考えはありましたけれども、暫定税率を廃止することが一番シンプルで分かりやすい。だから、もうこの際廃止をすればどうだというのが一つ目の考え方です。

 二つ目は、食品関係です。多くの、何千という食品に対して今物価高が襲いかかっています。消費税の税率、我々は導入するときには反対でした、軽減税率はやめた方がいいということを言いましたが、この際、逆に軽減税率を使わせていただいて、食品は全部八%、もう軽減税率を全部に適用しますというふうにすれば、商売人の方にも余り混乱もないんです。そしてシステムを大きく動かす必要もないですから、非常に現実的な案だと私は思います。

 最後は、電気です。この夏、そして今年の冬、萩生田経産大臣が、できるだけ電気を使わないようにしてくださいよ、できれば夜はろうそくか何かで過ごしてくださいと、それは言うてないですか。言うてないね。そういうお気持ちだと思いますけれども、電力不足、電力危機というのは目の前に迫っています。ですから、やはり、新しい基準における安全性が確保された原発、これは再稼働すべきであるということを申し上げておきたいと思います。

 やはり、コロナの問題、またこの物価の問題、行政がいろいろ手を入れて、お預かりしている税金や負担金をまた違うところに配分をするというようなことを複雑にやっても、なかなか、そこに行政コストもかかりますし、時間もかかります。今までもいろいろな対策が、コストがかかり過ぎだとか、時間がかかり過ぎだとか、いろいろなことが言われてまいりました。

 政府が考えるこういう対策は、私は複雑で不公平でずさんであるというふうに思います。基本に戻って、税の三原則じゃありませんが、簡素、公平、中立という観点で私はこういった対策は打っていくべきだと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 あと最後に、サイバー防衛と憲法という項目を通告させていただいております。

 日本のサイバー防衛、大丈夫かという、国民の皆さん方が今そう思っておられます。自民党が四月の二十六日に、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言というのを政府にお届けをしているそうでありますが、ここには、いろいろな項目があって、サイバー戦というのも入っています。

 しかし、元航空自衛隊の織田邦男さんのレポートを読ませていただきますと、画竜点睛の計画だと。何がかといいますと、サイバー戦を語るときには専守防衛というものが非常に足かせになるということをおっしゃっておられます。専守防衛によってサイバー戦も後追い、後追いの対策になっていく、サイバーで壊滅的な深刻な状況を受けなければ反撃することができないという状況になっています。

 ですから、私は、専守防衛というのも、今憲法審査会、衆議院で毎週開かれるようになりましたけれども、専守防衛のやはり議論もすべきだと思うんですね。

 総理、専守防衛ということがサイバー戦の戦略を組んでいく上で制約になっていると思いますか、なっていないと思いますか。どちらかお答えください。

岸田内閣総理大臣 委員の方から、先ほど来るるお話を聞かせていただきました。

 なかなかお答えする時間がありませんので、ちょっと一言だけ言うと、まず、国家像をしっかり示す、大変重要なことです。私も、新しい資本主義、しっかりと説明をしていきたいと思います。

 また、物価対策、大変重要でありますが、消費税については、社会保障の安定財源のみならず、システム変更を考えますと、機動的に今変更することはなかなか難しい現状を考えますと、消費税については慎重でなければいけない。また、当分の間税率についても、あれが残ったのは、財政と環境、この点について重視するということで残っておりますので、今現状を考えた場合に、廃止するのはどうか、これは考えなきゃいけない。

 その上で、今の質問でありますが、サイバー攻撃に対する対応、情報戦、これは、ウクライナの情勢を見ましても、改めてこの重要性は強く感じます。

 しかし、専守防衛というのは、我が国の憲法に基づく、我が国の安全保障の基本的な姿勢であると認識をしています。サイバー対応、しっかり万全を期していかなければならないと思いますが、やはり、具体的な対応、現状においては、憲法というものを念頭に、どこまでやるのかを考えなければならないと思います。

 一方、憲法に対する議論は、是非、国会において引き続きしっかり議論をしていただき、どうあるべきなのか、憲法審査会等においてしっかり行っていただきたいと思っております。

馬場(伸)委員 一言だけ申し上げます。

 佐々木毅元東大学長が中心になって……

根本委員長 申合せの時間が超過しておりますので、簡潔にお願いします。

馬場(伸)委員 はい。すぐ終わりますから。

 産と学で、今度、令和国民会議、令和臨調というのが立ち上がりますので、そういう皆さん方も、構造的な改革をやっていこうと、また民間の方から盛り上がってきていますので、是非、私も協力しますけれども、岸田総理も令和臨調の方にも御協力をいただいて、よりよい日本をつくっていくことに協力し合おうではありませんか。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて小野君、馬場君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 六年ぶりの予算委員会での質疑に、関係者の皆さん方に感謝を申し上げたいと思います。

 高度成長からバブルがはじけて、リーマン・ショックを過ぎて、何とか日本経済を上向かせようという国民の努力、企業の努力があった中で、コロナがあり、ロシアがウクライナへの侵攻によって蛮行を犯して、経済がまた傷んできたということで、この一連の流れをずっと見ていくと、何となく、幸せって何だろうかというふうに思い返さなくちゃならない時期に来ているのかなというふうに思っております。

 まず初めに、通告はないんですけれども、岸田総理が考えている幸せということに関してお尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 幸せというものについては、それは、個々人、様々な立場、境遇、考え方によって様々だと思いますが、極めて単純に申し上げるならば、自ら選ぼうとする人生、生き方、これを選び取れるというのが基本的に最も大事ではないかと思います。

鈴木(義)委員 選び取れない人が社会にもたくさんいるから政治の役割が出てくるんだと思いますし、そのために、社会の中にある制度が時代に合っていなければ、改革していかなくちゃいけない、改正していくというのが政治の役割。もう一つは、経済的に困窮している人がいればサポートしていこうというのが政治の役割だと思うんです。

 一人一人の幸せというのは、みんな同一じゃありませんから、自分の幸せだろうと、幸せになりたいということを、自分の手でつかめるような社会をつくっていくのが私たち政治家の役目だと思うんですね。

 それと、あともう一つ、私が小さい頃に当たり前に町内会で飛び交っていた言葉があるんですけれども、お互いさまという言葉が死語になっています。それで、これからもそういう言葉をお互いかけ合うこと、そして、地域で笑顔が絶えない地域が日本全体に伝わっていけば、必ずや日本はいい国にまたよみがえっていくんじゃないかと私は思っておりますし、それを踏まえて、何点か、経済対策について質問したいと思っています。

 まず一点目は、アベノミクスでデフレ脱却、緩やかなインフレへと大合唱で、日銀が二%目標を掲げ、経済対策をこの九年間打ってきたと思います。それが、コロナや、ロシアからウクライナへの軍事侵略に伴う世界のサプライチェーンの断絶により、価格が高騰で、物価が上昇して、ついに四月の消費者物価指数が一・二%になったという報道がなされました。

 アベノミクスの目標は二%を掲げたんですけれども、それが仮に一か月で達成できたとしても、生活自体が苦しくなったのでは、インフレ目標を達成できたとしても何の意味もないと思うんですね。特に、低所得や年金受給者の生活は苦しくなるばかりです。

 国民民主党では、燃油価格等の高騰から家計を守るために、十万円のインフレ手当を導入する案を提案しているんです。まず、それについて、総理の御所見を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 政府としましては、昨年十一月の経済政策、七十九兆円の経済政策によって、住民税非課税世帯の皆さん方に十万円ずつの給付、これを二月、三月から支給を行っております。加えて、総合経済対策、十三兆円の対策の中で、五月から子育て世帯に対して五万円の給付を、五月末から給付を開始しております。こうした様々な取組を進めております。

 よって、インフレ手当の十万円給付ということでありますが、今、給付に対しましては、新たな給付というものは考えておりません。それ以外に様々な物価高騰対策等を用意しています。こうしたものを重層的に展開することによって国民生活を守っていきたいと思っております。

鈴木(義)委員 一つ事例なんですけれども、年金の上げ下げをどういうふうな仕組みでやっているかというのは、釈迦に説法になるかもしれませんけれども、十二月三十一日時点で消費者物価指数がどのぐらい上がったか下がったかで翌年の年金の改定をするんだそうです。そうすると、価格が急に上がったり下がったりしたときに対応できる仕組みになっていないんですね。そういったこともやはり変えていく時期に来ているんじゃないかということです。

 一番最初に、冒頭申し上げたように、社会制度自体のひずみができているんだったらそれを改定していくという考えがあるのか、一言で結構ですから、お答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今、現状の年金制度につきましては、給付と負担のバランスを取り、将来世代に過度な負担にならないように持続可能な制度としなければならない、こういった発想で制度ができ上がっています。持続可能な社会保障制度、これは大事なものであり、こういった観点から、今の制度、これは引き続き維持しなければならないと思います。

 しかし、制度の仕組みの関係で、現状の物価高騰との間において年金が引き下がるといったような現象が出てきている、これについて大きな問題が指摘をされている。このことはしっかり受け止めなければならないと思うからこそ、これとは別途、様々な対策を講じて年金生活者の生活を守っていこう、こうした政策を用意しているということであります。

 社会保障制度の基本は引き続き維持しながら、具体的な問題点について的確に対応するため、別途、具体的な政策を用意することによって国民生活を支援していきたいと考えております。

鈴木(義)委員 御答弁いただいたんですけれども、仕組みを複雑につくればつくるほど国民には分かりづらい、その分、コストがかかるということですね。そこのところを現行の制度で見直しが図れるんだったら、それも一つ制度としてやはり改定する必要性があるんじゃないかと思います。

 それともう一つ、物価が上がって賃金が上がるのか、賃金が上がるから物価が上がるのか。

 売上げというのは、過去に経産委員会でも農水委員会でも質問したんですけれども、単価掛ける数量ですよね。自由競争の中で、国内では人口減少により、消費者、消費をする国民が年間四十万ずつ減っているんです。だから、国内の消費を喚起させるんだといっても、年齢構成も、時代とともにどんどんどんどん六十五歳以上のパーセンテージが上がっている中で、もっと米を食え、もっと肉を食えといっても、食えないんです。それなのに数量を上げるといっても、これは限界があるんですね。

 それで、じゃ、単価を上げようとするとどうする。海外から安いものがどんどん入ってくる。だって、TPP11をつくったとき、そうじゃないですか。関税をゼロにするのはいい自由社会の、それで経済が活性化するんだといいながらも、第一次産業を中心に国内のローテクで生活をしている人たち、また非製造業で生活している人たちからすると、単価が上がったら商売で勝てないんです。それが、今の国内経済の中で賃金が上がらない要因の一つだと私は感じているんです。

 だから、大きな政策転換をしない限り、賃金を上げようと思っても、減税で少しやるよというだけでは、やはりそこのところをもう一度政策転換しなければ、賃金がコンスタントに上がっていくような状況をつくり出せない。だから、タイムラグが起きると、今言った年金、低所得の人たち、別の、個別のサポートをしたとしても、二、三か月の間はやはり生活が困窮してくるんですよね。

 そこのところをどうお考えになっているかというのと、これも国民民主党の提案なんですけれども、給付と所得税の還元を組み合わせた日本型ベーシックインカム、前任の方もベーシックインカムの話をされたと思うんですけれども、そういった方策を取り入れる考えがあるのか、お尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、前者の質問については、御指摘の点があるからこそ、経済モデルの全体像が大事だということを申し上げています。

 賃金を引き上げること、これは政府の政策として、呼び水として大変重要だと思いますが、あわせて、先ほど来議論が出ている資産の活用等も併せることによって可処分所得を増やし、そしてそれを消費に回す、そしてその消費が次の成長につながるということになるわけですが、この成長につきましても、従来のように競争やあるいは市場に任せっ放しではなくして、是非、官と民が協働する形で、社会課題、気候変動等の社会課題をマーケットとするような成長をしっかりと進めていく、その成長の果実を更に賃金にという形で分配をしていく、こうした循環が完成することが重要だ、だから成長も分配もということを申し上げている、こうしたことであります。

 そして、後者のベーシックインカムについてでありますが、これも予算委員会等でも何回も議論になりました。

 一つの考え方だとは思いますが、政府としては、現状の社会保障が社会保険制度に基づいて構築されているということを考えますと、今、現状を、様々な保険料を負担している方々との公平性ですとか、現実に制度を移行する際の様々な課題を考えますときに、どこまで現実的なのかという議論をさせていただいてきました。私の内閣としては、国民皆保険制度、今の被用者保険制度を拡大する形で、できるだけ多くの方々に社会保障制度を働き方にかかわらず享受してもらう制度をつくっていくべきではないか、そちらの方が現実的ではないか、こうした議論をさせていただいています。

 引き続きこうした議論は行っていきたいと思っております。

鈴木(義)委員 去年、私も十万円いただいて、孫と一緒に御飯を食べに行ってすぐ使っちゃったんですけれども、お世話になっている高齢の方に十万円使いましたかと聞いたら、まだ貯金してあるわと。その後、尋ね返していないんですけれども、実際、それが現実だと思います。だから、やはり違う制度を取り入れて。なぜ使わないのかといったら、次にもし何かあったときに不安だから残しておくという心理が働いているんだと思います。十万円を一回で給付するんじゃなくて、二回に分ける、三回に分ければ、後からもらえるといえば、前にもらったやつは使うんです。それが今の人間の心理じゃないかと思います。

 それともう一つ、自由競争は否定するものじゃないし、今総理がお答えになったんですけれども、競争が激化すればするほど、体力の乏しい中小零細や個人の事業者はだんだんと体力が衰えていくわけですね。いざ方向転換を図ろうとしたとき、既にもう体力が残っていなくて、結局転換できない状態がこの三十五年間ずっと続いてきたんじゃないかと思うんです。

 資本主義の本質は、周辺から富を収集するというふうに言われていますから……

根本委員長 鈴木義弘君、申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

鈴木(義)委員 中小企業の支援をするために、正社員を雇用した中小企業には社会保険料の事業主負担を半減させるというのを私ども国民民主党は提案しているんですが、それについて御見解をお述べいただきたいと思います。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、時間厳守をしてください。答弁は控えさせてください。

 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日は、沖縄の米軍基地問題について、総理に質問をします。

 五月十五日、沖縄が本土に復帰して五十年が経過しました。県民が望んだのは、平和憲法の下、基地のない平和な島としての復帰でした。ところが、占領下で構築された広大な基地が残され、五十年を経た今なお、県民の人権を脅かし続けております。真の復帰はいまだ実現していません。

 沖縄県の玉城デニー知事は、復帰五十年に当たり、平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書を取りまとめ、総理に手渡しました。普天間基地の速やかな運用停止と辺野古新基地建設の断念、米軍基地の更なる整理縮小、日米地位協定の抜本的見直しなど、基地のない平和な島の実現に一層取り組むこと、平和的な外交、対話によりアジア太平洋地域の緊張緩和と信頼醸成を図ることを求めました。総理は、政府としてもしっかり受け止めたい、このように述べました。

 ところが、総理は先日の日米首脳会談で、辺野古移設の着実な推進を再確認し、防衛費の相当な増額に向けた決意を表明しました。

 総理は建議書の何を受け止めたんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、先般行われた沖縄復帰五十周年記念式典に先立って、玉城沖縄県知事より建議書を受け取らせていただきました。

 本建議書では、五十年前の復帰措置に関する建議書に掲げられた考え方を尊重し、自立型経済の構築や基地のない平和の島の実現に一層取り組むことといった建議がされています。そして、あわせて、具体的に、普天間飛行場代替施設の建設の断念、そして日米地位協定の見直し、こうしたものについて建議をされています。

 こうした思いをしっかりと受け止めさせていただきながらも、具体的な個々の課題については政府としての考え方をしっかりと申し上げなければなりません。

 様々な御指摘の中で、普天間飛行場の辺野古移設については、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であるということ、これは政府の基本的な姿勢であります。地元の皆様の理解を得ながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現に取り組んでいきたいと思いますし、日米地位協定に関しては、事案に応じた最も適切な取組を、一つ一つ具体的な問題に対応していくべく取り組んでいく、これが基本的な姿勢であります。

 補足協定など様々な形で課題に取り組んできた、こうした努力をこれからも不断に追求していきたいと思っています。

赤嶺委員 結局、県民の、五十年たって、玉城デニー知事が県民とともにまとめた建議書の要求については一切聞く耳を持たないという態度しか、この間、繰り返されておりません。

 しかも、受け取った直後にバイデン大統領との間で、首脳会談で確認したのは、辺野古移設の推進、防衛費の増額であります。建議書の内容を全く受け止めていない、それどころか、真逆の方向に政府は進んでいると厳しく指摘をしておきたいと思います。

 首脳会談だけではないんです。

 政府は、四月二十八日、沖縄県が不承認とした辺野古の設計変更申請を承認するよう是正指示を出しました。四月二十八日というのは、一九五二年のサンフランシスコ講和条約で沖縄が本土から切り離され、米軍占領下に置き去りにされた日です。今も屈辱の日として県民の記憶に刻まれております。

 沖縄の歴史への理解があるなら選択できないはずの日であります。この日に是正指示を出すという方針に総理は異を唱えなかったんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、沖縄の歴史を考えますときに、四月二十八日、これは沖縄県民の皆さんにとって非常に重要な日であるということ、重々認識をしております。

 四月二十八日当日に私は是正の指示について報告を受けましたが、この是正の指示については、国土交通大臣において、法令にのっとり判断されたものであると承知をしております。

赤嶺委員 四月二十八日が県民にとって屈辱の日だと知りながら、更に強権的に辺野古新基地を押しつける是正の指示をあえてその日に出した、この姿勢は絶対に納得がいきません。

 安倍元総理は、二〇一三年の四月二十八日に主権回復を祝う式典を行い、県民の怒りの声が上がりました。菅前総理は、翁長前知事との会談で、沖縄の歴史は分からない、日米合意が全てだ、こう述べました。この態度と岸田首相との間にどんな違いがあるでしょうか。

 全ては日米合意。県民の民意は強権で押し潰す。こういう自民党政権の沖縄に対する、これは無理解ですよ、非情ですよ。そういう態度を見るたびに、私は開いた口が塞がりません。

 建議書を正面から受け止め、辺野古新基地建設の断念、基地のない平和な沖縄の実現に取り組むべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 総理は、軍事費を増額し、敵基地攻撃能力の保有にまで踏み切ろうとしています。

 地域の緊張が高まり、抑止が崩れたときに戦場になるのは沖縄県です。日本列島全体が戦場になる危険があります。住民避難ということがよく議論されますが、住民避難ということは不可能であります。これは沖縄戦の歴史が証明しています。

 沖縄県糸満市の摩文仁の丘にある平和祈念資料館には、次の言葉が掲げられています。

 戦争をおこすのはたしかに人間です

 しかしそれ以上に

 戦争を許さない努力のできるのも

 私たち人間ではないでしょうか

 戦後このかた私たちは

 あらゆる戦争を憎み

 平和な島を建設せねばと思いつづけてきました

 これが

 あまりにも大きすぎた代償を払って得た

 ゆずることのできない

 私たちの信条なのです

 これは、沖縄戦を体験した県民の、本当に譲ることのできない平和への決意であります。

 政府がやるべきことは、軍拡ではなく、東アジアに平和と協力の枠組みをつくるための、憲法九条を生かした外交努力だということを強調し、質問を終わります。

根本委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文でございます。

 今日も質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 まず、岸田政権が重要政策として掲げますDX、デジタルトランスフォーメーションについて質問したいと思います。

 総理、このDX、これは何のために、そして、どういう政治や社会を目指して取り組まれようとしておりますか、お聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 我が国のこれからを考える場合に、地方においてもデジタルの力で解決できる社会課題がたくさんあると認識をしています。

 また、コロナの影響が長引く中で、ニーズの高いオンライン診療、遠隔教育など、デジタルの力で解決できる社会課題、さらには生産性の向上、こうした機会は誠に大きいと思います。

 こうした社会課題を解決して、そして日本の活力を取り戻すために、デジタルは大きな役割を果たしてくれると信じております。

仁木委員 ありがとうございます。

 総理、私がデジタルということで期待していますのは、やはりスピード感というか、行政に特に置き換えると、迅速にできますし、また、より多くの対象の国民に対して効果をもたらすことができると思います。特に、今から私が質問として考えておりました医療のこともおっしゃっていただいて、ありがとうございます。

 特に、今、デジタル行政を進めるに当たって、経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太の方針でも、具体的に言いますと、マイナンバーの活用がうたわれていまして、今の健康保険証がおよそ二年以内に原則マイナ保険証に替わるというふうな情報も出ていますが、今のところ、総務省の所管しておりますマイナンバーカードの登録率が四四%、二人に一人の国民が加盟していないという現実があります。

 そこで、今、総理と一緒に、デジタル行政のありよう、私も推進派、共有しましたので、もっと国民に、義務的にこのことに登録してもらうのではなくて、よりメリットを感じていただき、能動的に登録していただくことを期待したいと思いますので、ちょっと事例を申し上げたいと思います。

 今、例えば、デジタル行政が医療の現場に進んでいきますと、様々なメリットがあります。

 例えば、A病院を受診した患者様がドクターの指示で検査を受けます。血液検査のみならず、画像検査、CT、MRIを受けます。ところが、また、その患者さんが、もう一つのB病院でセカンドオピニオンを求めたいとか、よりいい医療があるんじゃないか、治療法があるんじゃないかということでB病院を受けたときに、A病院のデータがそのままB病院のドクターに伝わって、あるいは閲覧して、もちろん、患者の許可がある上ですけれども、同意がある上ですけれども、また医療に活用できる。

 これは、先ほど総理もおっしゃられた遠隔診療でもそうでございますけれども、いわゆる誤診を防いだりとか、あるいは、患者さん、検査によってはすごくストレスのある痛い検査もあります。もちろん、同じ検査をすることが多い現実がありますけれども、それを踏まえると、医療費の抑制にもなる、患者さんの窓口負担の抑制にもなります。

 また、この前も、厚生労働委員会、私も所属しておりますけれども、薬機法の改正に伴って処方箋が電子処方箋になります。私、後藤大臣に質問したんですけれども、このことが、いろいろな医療の現場でなされることがNDBといういわゆる診療報酬と将来的につながって、例えば、自分ががんになって、こういう病気である、そして、ドクターが施した治療によってこういう結果に五年後なって生存しているとかいうことになってくると、これから後進の患者さん、同じような病気になったときに、また同じような選択肢がその場で示されるということで、デジタル行政の基本である情報、これは国民に帰属しますが、同時に、国民の情報の活用によって新たな国民のまたメリット、利益にもつながるということを考えております。

 こういう医療体制、今後、後藤大臣は、例えば母子健康手帳のデジタル化ということも言われておりますが、総理、こういった医療体制というのが行き着く先にあって、そういうことも、マイナンバーカード登録の国民にとってのメリットと感じるようなことにつながるかなというようなことはお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、考え方、そして取組のメリットに対する思い、これは委員と全く共有していると思っています。

 カードの保険証利用、あるいは、おっしゃった情報の共有、こういったことによって、まずは質の高い医療を実現する、そして医療費の適正化を図る、こうした効果は十分期待できます。

 是非、こうした取組を進めることによって、医療のありようをしっかりと変えていきたいと思っています。

仁木委員 ありがとうございます。総理、前向きな御回答をいただきました。

 そして、最後の質問ですけれども、今、二兆四千億円を投じて確保するワクチン、これは余剰になるとも言われております。八億回を超えると言われています。これを是非、いわゆる今ウクライナ紛争で困っている方々に対して、日本が、ワクチンのみならず、例えばVRS、HER―SYS等々、それを組み合わせたセットとして援助する、これはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、まずワクチンの提供等、これは大変重要でありますが、それだけにとどまってはならないということで、日本としても、輸送や接種能力の強化、これを重視して、コールドチェーンの整備ですとか、ラストワンマイル支援ですとか、あるいは、ワクチン接種データの管理に関しましても支援を行うなど、様々な支援を行っています。

 先般も、最大一億ドルの規模の支援を実施していくことを決定いたしましたが、こうした様々な取組を併せて、しっかり海外に提供していくことが重要であると思っています。

仁木委員 総理、ありがとうございました。前向きによろしくお願いします。

根本委員長 これにて仁木君の質疑は終了いたしました。

 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大阪五区、大石あきこです。

 先日、大阪のカジノの是非を問う住民投票署名が二十万筆を超え、法定数を大きく上回りました。住民合意なき国のカジノ認可はあり得ないと、冒頭申し上げます。

 さて、岸田総理、先週の予算委員会で、消費税は減税しないと明言されていました。

 もう一回確認します。消費税は減税しないでよろしいんですね。イエスかノーかでお答えください。

岸田内閣総理大臣 消費税減税は考えておりません。

 社会保障の安定財源として重要である、また、システムの変更等を伴うことを考えますと、コストあるいは準備期間、大きなものが必要になります。機動的に対応することは不可能であると思っています。

大石委員 この局面においても消費税減税しないと言う総理に対して、先週、我が党の櫛渕万里議員が、今後、総理ではなく鬼と呼ばせていただくと言いましたが、もう一度言わせていただきます、この鬼。

 さて、更なる物価上昇です。パネルの四。スーパーに並ぶ多くの食品、飲料が平均で一二%値上がり。ラーメンやハム、冷凍食品など、誰もが買うもので八千三百品目以上が値上がり。この状況で、一〇%の消費税は今すぐゼロにするべき。何でさっさとやらないんですか。国民、殺すつもりですか。

 さらに、岸田総理はこうもおっしゃいます。消費税は我が国の社会保障の安定財源だと。でも、それ、うそです。本当は、消費税は資本家のための安定財源です。パネルの五。資本家が払う法人税は減税に次ぐ減税、その穴を埋めるように消費税が上げられてきた。

 それでどうなりましたか。パネルの六。この青と赤のグラフ、青い部分が消費税の税収、年々どんどん増えています、赤い部分はその逆、法人税収はどんどん減っています。これまでに、実に消費税収の七三%が資本家の減税の穴埋めに使われてきたと言えます。

 穴埋めしてもらった結果、大企業、資本家はどうなりましたか。パネルの七。企業の内部留保、資本家の利益は右肩上がり、この九年間は毎年過去最高益です。

 一方で、消費税、上げられ続けて、庶民の所得、どうなりましたか。パネルの八。二十五年間で所得はだだ下がり、所得の中央値が年間百八万円も下がった。消費税を上げて物を売れなくして、国民や零細企業を切り捨てた。一方で、資本家など特定の人には優遇しまくり。その理由は、組織票や企業献金で議員バッジをつけてもらった御恩返し。そうやって日本が壊されてきた。そんなこと、私は絶対に許せません。

 パネルの九です。先ほど総理を鬼と呼ばせていただきましたが、もう一つ名前を差し上げます。資本家の犬、財務省の犬。でも、総理、飼い主を間違えたら駄目でしょう。総理の本来の飼い主は、国民でないと駄目じゃないですか。

 有権者の皆さんに言いたい。三十年以上国を衰退させてきた原因は自民党、これは替えるしかありません。方法は、参議院選挙で自民党を減らし、公明党を減らし、そして維新と国民民主党を減らすことです。飼い主の皆さん、分からせてやってください、選挙で。

 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 質問に当たりましては、用語の使い方には十分お気をつけください。

 これにて大石君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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