衆議院

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第7号 令和4年11月28日(月曜日)

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令和四年十一月二十八日(月曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長代理理事 古川 禎久君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 堀井  学君 理事 牧原 秀樹君

   理事 逢坂 誠二君 理事 後藤 祐一君

   理事 青柳 仁士君 理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 達也君    石川 昭政君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    柿沢 未途君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      後藤田正純君    鈴木 隼人君

      田所 嘉徳君    田中 和徳君

      辻  清人君    土屋 品子君

      中根 一幸君    中村 裕之君

      丹羽 秀樹君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      梅谷  守君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    鈴木 庸介君

      西村智奈美君    藤岡 隆雄君

      本庄 知史君    森山 浩行君

      山岸 一生君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    渡辺  創君

      阿部  司君    池畑浩太朗君

      一谷勇一郎君    漆間 譲司君

      遠藤 良太君    小野 泰輔君

      住吉 寛紀君    馬場 伸幸君

      堀場 幸子君    掘井 健智君

      河西 宏一君    庄子 賢一君

      中野 洋昌君    平林  晃君

      鰐淵 洋子君  斎藤アレックス君

      玉木雄一郎君    田村 貴昭君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      福島 伸享君    大石あきこ君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         齋藤  健君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣

   国務大臣         斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       秋葉 賢也君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (アイヌ施策担当)    岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中澤 信吾君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  望月 明雄君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        吉住 啓作君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  高橋 一郎君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     田所 嘉徳君

  岩屋  毅君     中村 裕之君

  亀岡 偉民君     柿沢 未途君

  土屋 品子君     堀内 詔子君

  山本 有二君     石川 昭政君

  鷲尾英一郎君     丹羽 秀樹君

  吉田はるみ君     米山 隆一君

  阿部  司君     小野 泰輔君

  池畑浩太朗君     馬場 伸幸君

  掘井 健智君     漆間 譲司君

  中野 洋昌君     河西 宏一君

  斎藤アレックス君   玉木雄一郎君

  宮本  徹君     田村 貴昭君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     山本 有二君

  柿沢 未途君     亀岡 偉民君

  田所 嘉徳君     石破  茂君

  中村 裕之君     岩屋  毅君

  丹羽 秀樹君     鷲尾英一郎君

  堀内 詔子君     土屋 品子君

  米山 隆一君     鈴木 庸介君

  漆間 譲司君     遠藤 良太君

  小野 泰輔君     堀場 幸子君

  馬場 伸幸君     住吉 寛紀君

  河西 宏一君     平林  晃君

  玉木雄一郎君     斎藤アレックス君

  田村 貴昭君     宮本  徹君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 庸介君     山岸 一生君

  遠藤 良太君     一谷勇一郎君

  住吉 寛紀君     池畑浩太朗君

  堀場 幸子君     阿部  司君

  平林  晃君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  山岸 一生君     梅谷  守君

  一谷勇一郎君     掘井 健智君

同日

 辞任         補欠選任

  梅谷  守君     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計補正予算(第2号)

 令和四年度特別会計補正予算(特第2号)


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     ――――◇―――――

古川(禎)委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。

 令和四年度一般会計補正予算(第2号)、令和四年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中澤信吾君、内閣府政策統括官笹川武君、内閣府沖縄振興局長望月明雄君、内閣府子ども・子育て本部統括官吉住啓作君、文部科学省初等中等教育局長藤原章夫君、文部科学省高等教育局長池田貴城君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、国土交通省海事局長高橋一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川(禎)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川(禎)委員長代理 去る二十五日の泉健太君の質疑に関連し、西村智奈美君から質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 旧統一教会の被害救済問題について、まずはお尋ねいたします。

 この旧統一教会の問題については、三十年にわたり、私も含めて政治が十分に取り組んでくることができなかった、このことを大変申し訳なく思っております。今回こそは、被害の防止と救済をしっかりと図っていかなくてはなりません。

 しかし、相談体制は今なお不十分で、政府から示されている消費者契約法などの改正案、そして新法の概要を見ても、とても旧統一教会の被害の実態を踏まえたものとは言えません。旧統一教会側に言い逃れの方便を与えているものであって、被害救済ではなくて、旧統一教会救済法案になっているのではないかというふうにすら言われております。

 まず、総理、同じ土台に立って議論ができるのか、そのことを確認させていただきたいと思います。

 総理は、旧統一教会の被害者の方々と内々お会いして、凄惨な御経験を直接お伺いしましたということです。その上で新法を作る決意を固められました。私たちもたくさんの方からヒアリングをしました。個人情報に関わらない範囲で、どういう立場の方から、どういった被害実態を伺ったのか、是非お答えください。

岸田内閣総理大臣 先日、旧統一教会の被害者の方々と内々にお会いし、三名の方から約一時間半にわたり、献金などによる財産被害や周囲からの孤独、あるいはDV被害など、凄惨な御経験を直接伺いました。

 こうした被害を生じさせず、また、救済できるよう、政府として、相談体制の充実、悪質な寄附の勧誘の規制など、新たな法整備、しっかり進めていきたいと考えております。

西村(智)委員 具体的に伺いたいと思います。まず、取消権についてですね。

 総理が伺った被害の実態については、やはり、献金は長いことやっていたというのが、これが旧統一教会の、言ってみれば特徴であります。一回限りの献金にとどまらない。最初、マインドコントロールに陥って、その後も献金を続けていくということだと思うんですけれども、元々、消費者契約法には契約の取消権が認められております。

 今回、この消費者契約法の改正によって要件を客観的にしたというふうに政府は説明をしているんですけれども、実際に旧統一教会はどういう手口でやっているかといえば、何か月かかけて教義をまずは教え込みます。そして、相手を信者とした上で献金を求めていきます。信者になってから献金を求めていく場面では、わざわざ不安を覚えさせるような発言はいたしません。ほんのちょっとした刺激で献金をするということなんです。唯々諾々と献金をするということなんです。

 こういった方は、取消権を行使できるでしょうか。

河野国務大臣 霊感等に基づく不安をあおるような不当な勧誘をした場合には、寄附者が困惑して寄附の意思表示をしてしまった、そういう場合には意思表示を取り消すことができます。

 また、不当な勧誘行為によって、長時間をかけて教義を教え込んだような事案であっても、その勧誘の経緯自体が違法だと評価される場合には、不法行為に基づく損害賠償によって救済を図る、これが適切かつ相当ではないかというふうに思っております。

 また、不当な勧誘行為について、寄附者が適切な判断をすることができないような状況に置くことがないようにという法人の配慮義務を今検討しておりまして、さらに、不法行為に基づいて損害賠償請求をする、そうした救済を容易にしていく、そんなことも検討したいと思っております。

西村(智)委員 私、河野大臣は要求しておりませんので、委員長、総理に答弁をお願いしております。

古川(禎)委員長代理 具体的なことですので。

西村(智)委員 総理、今、河野大臣はいろいろお話しになりましたけれども、実は今、河野大臣が説明されたケースというのは非常にレアなケースなんです。認定されれば、それは確かに取消権は行使できるかもしれない。だけれども、先ほど申し上げたように、本人が私は困惑していませんというふうに主張すれば、それは行使できないんですよ。多くの場合は、困惑していないというふうに信者の方はやはりおっしゃる。これでは、取消権そのものは行使できないということです。

 先ほど配慮義務のことについてお話しになりましたけれども、これも後で伺いたいと思います。

 次に、必要不可欠という言葉についてです。

 これも、先日の長妻委員との質疑の中でありました。答弁は、必要不可欠という言葉についてそのまま告げる必要はなく、同等程度の必要性、切迫性が示される場合は適用可能であると。悪質勧誘事例では、多くの場合、そうした切迫性、必要性があるというふうに答弁しておられるんですけれども。

 旧統一教会の被害実態に照らして、本当に、多くの場合で必要性、切迫性があるということなんでしょうか。一体、どういうケースでそういった事例があるんでしょうか。これで救済できる旧統一教会による被害実態というのを把握しているのであれば、是非、総理、お聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 河野大臣は結構です。総理からお願いいたします。(発言する者あり)

古川(禎)委員長代理 静粛に願います。

河野国務大臣 以前にも答弁をしておりますが、必要不可欠という言葉をそのまま告げる必要はございません。それと同等の必要性、切迫性が示されている場合には適用可能だと思っております。多くの悪質な勧誘事例においては、こうした必要性、切迫性を有し、寄附をしないという選択肢は示されない、そう考えられると思います。

 単に、必要とだけしてしまいますと、例えば、厄払いとか交通安全祈願、合格祈願のようなものに、それを回避するために祈願を勧める、そうしたことにも対象が広がってしまいかねないということから、こうした必要不可欠ということが必要なのではないかと思います。

岸田内閣総理大臣 必要不可欠という文言につきましては、今、河野大臣からも答弁させていただきましたが、先ほどのマインドコントロールによる寄附についても同様でありますが、現行の日本の法体系の中で許される限り、最大限、禁止行為や取消権の対象となる方向で政府としては検討しています。法的な観点から、様々な事態に対応するためにどこまで取り組むことができるのか、そういった観点から、現在、政府として法律の作成を行っている過程であります。

 様々な御指摘があります。これをしっかり受け止めて、法律の中に落とし込み、そして、この国会に法律を提出するべく今努力をしています。御指摘はしっかり受け止めますが、こういった中で、法的な観点からどこまで法律に落とし込めるのか、最大限努力をしていきたいと考えております。

西村(智)委員 総理、是非答弁をお願いします。私は河野総理大臣だというふうに指名をしたつもりはございませんので、よろしくお願いいたします。

 それで、今朝の報道で、今日、自民党の法案審査が行われるというふうにお聞きをしておりますが、新法についての報道がありました。寄附勧誘時に配慮義務を課す、意思を抑圧しない規定を設けるということのようで、私、この見出しを、一見、拝見しましたときに、やっと私たちの法案に少し近づいてきてもらったのかなというふうに思ったんです。

 私たちが提出している法案は、手段の悪質性と結果の重大性、この二つをもって特定財産損害誘導行為というのを禁止しております。ですから、意思を抑圧してはいけない、そして生活の維持を困難にさせないというふうに書かれるということでありますので、ちょっと近づいてきたのかなというふうに思ったんですけれども、やはり所詮は配慮義務でありますので。しかも、対象が法人に限られております。今、政府は、解散命令請求も視野に入れつつ、質問権の行使をしておりますね。旧統一教会が法人でなくなったら、この配慮義務も適用されないということになります。

 是非、総理、私たちが出している法案、これをベースに議論をしていただきたいんです。そうすれば、もう今のような議論を、本当に時間をかけて、本当によくやっていただいているというふうに思いますけれども、もっとスピーディーに進めることができたはずだというふうに思います。これは与党の皆さんにもお願いしたいです。

 今日の二時からもう法案審査で条文が示される、これでオーケーということで本当によろしいのかどうか。取消権の対象は狭まる、そして全国弁護士連絡会の皆さんが判例として積み上げてきたその水準からももしかしたら後退をするかもしれないと言われているこの法案を、私は、もう一回見直していただいて、そして、ここまで来たら、もっと時間をかけて、幅広く意見を聞いて、作り直してほしいというふうに思いますけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、被害者の方々を救済しなければならない、また、こうしたことは将来に向けて二度と繰り返してはならない、そのために政治の責任を果たさなければならない、こういった思いにおいては、政府も、与党も、野党も、大きな方向性は一致していると私は信じております。そうした中で、この法案を通じて国会の中においても議論が行われている、こういったことです。

 そして、寄附ということについても先ほど来議論が行われてきました。具体的には、不適切な勧誘行為を受けて困惑した中で行われた寄附の意思表示については瑕疵があることから、寄附者を保護するために取消しを認めるという考え方に基づいて条文の整理を今行っているところです。

 そして、今御指摘がありました配慮義務の規定ですが、要は、今申し上げた取消しを認めるという条文に加えて、寄附の勧誘に当たっての配慮義務を規定するという形で、二段構成でこうした現実に対応していこう、こういった法律を検討しているということであります。こうした配慮義務を規定するということで、配慮義務に反するような不当な寄附勧誘が行われた場合、民法上の不法行為の認定やそれに基づく損害賠償請求が容易となり、更に実効性が高まる、こういった考え方に基づいて、こうした二段構えの法律を検討しているということを申し上げている次第です。

 いずれにせよ、現行の日本の法体系の中で許される限り、最大限、禁止行為や取消権の対象とする、こうした方向で検討を進めている次第です。

 本日の議論もしっかり踏まえながら、政府としての対応を整理していきたいと考えております。

西村(智)委員 信者本人の方、被害者本人の方の救済も、今のような御答弁では、私はとてもできないというふうに思います。

 今回の政府の提案の問題点は、もう一つ、被害者本人の救済が不十分なだけではなく、子供さんの救済、いわゆる宗教二世と言われる方の救済、これも全く現実的ではないという点であります。

 債権者代位権というものを行使して救済をするんだというふうな説明なんですけれども、未成年の子供が、適切な扶養を受けていないことを自覚して、親の信教や献金活動に疑問を持ち、外部に助けを求めて、裁判手続も経なければいけない、これが政府が今提案している債権者代位権の枠組みです。二世信者の方々からは、宗教の話になると途端に対応は難しいといって取り合ってもらえなかったというふうなお声を聞いています。

 政府案の要綱では、さらに、法テラスなどの相談体制、これも強化するということになっておりますけれども、この支援対象は信者本人に限られております。二世の方は除外されています。

 二世信者の困難に向かい合うつもりが本当にあるのかどうか、総理、御答弁ください。

河野国務大臣 債権者代位権は、自らの権利を保全するために必要な限度で他者の権利を行使することを認める制度です。今回の寄附適正化のための法制度においてこれを活用しやすくすることで、個人の財産権の侵害とならない限度で家族らの被害救済に資することができると考えております。

 債権者代位権の適切な行使により被害回復を図ることができるようにするための支援は重要だと思っておりますので、法テラスあるいは関係機関が連携した相談体制の整備など、支援の在り方も検討していきたいと思っております。

岸田内閣総理大臣 今、河野大臣から答弁させていただきましたが、委員の質問の中で、一つ、二世の方は対象にならないという御指摘がありましたが、これは二世の方は対象になると理解しております。

 そして、その上で、今申し上げた債権者代位権の考え方ですが、これは従来から議論されておりますように、個人の財産権の問題、憲法にも関わる問題であります。こうしたことから、法律を適用する際には、債権者代位権という考え方に基づいて法律を構成していかなければならない、こういった判断をしたところであります。

 そして、委員おっしゃるように、現実に本当に対応できるかどうか、これもしっかり考えていかなければいけないということで、この債権者代位権の適切な行使を考えなければいけない。そうしたことで、法テラスと関係機関が連携した相談体制の整備をしていく。この支援の具体的な在り方についてもしっかり考えていくことによって、債権者代位権を適切に行使をし、現実に適合した、より多くの方々を救済できる方策を考えていこう、これが政府の法律を作成している今現在における考え方であります。

西村(智)委員 これで分かりやすいと言われたら、本当に救済が進まないですよ。

 総理、先ほど私が質問した件について、一点何かおっしゃいましたけれども、概要には、不当な勧誘により寄附をした者に対する支援ということで法テラスが書かれています。二世信者には、対象になっておりません。そこはよくよく踏まえていただいて、二世信者の方も、それから被害者本人の方も救済できる法案、是非とも作ってください。そうでないと、本当に取消権がまた縮小してしまうということになりかねませんので、そこは強く要請をいたします。与党の皆さんにもお願いいたします。

 それから、次は、名称変更の問題について伺いたいと思います。旧統一教会の問題では、まだ解明されない闇が多く残っております。その一つが、二〇一五年の名称変更問題です。

 教団側は名称変更を強く求めてきた。その理由は、霊感商法などの悪評を表面的に払拭して新たな勧誘や信者獲得を、その障害を取り除くためであったと私は考えます。

 永岡大臣にお伺いいたします。

 二〇一五年、下村博文文部科学大臣の下で名称変更が認証されたことが、結果として、国民に旧統一教会とは別団体であるという誤認を与えて、様々な被害の発生につながったということはお認めになりますか。また、お認めになるのであれば、文科大臣としてそのことをどうお考えでしょうか。

永岡国務大臣 西村委員にお答えいたします。

 宗教法人法上、形式上の要件を備えた申請は所轄庁におきまして受理される必要がございます。所轄庁は、申請を受理した場合に、同法の第二十八条に基づきます審査を行い、要件を備えていると認めたときは認証をする旨の決定を行う必要がございます。

 旧統一教会の名称変更につきましては、このような宗教法人法上の規定に従いまして手続を行い、その審査の過程におきまして法的な検討を重ねた結果として、本件は認証すべき案件であると事務的に判断をしたものでございます。

 なお、二〇一五年、これは平成二十七年になりますが、八月の認証書の交付に当たりましては、旧統一教会に対しまして、民事裁判の確定判決で指摘をされている状況を解消することを求めるとともに、正体隠しなどの批判をされることがないよう取り得る最大限の措置を講ずるよう強く求めたほか、文化庁のホームページにおきましては、掲載されております宗教年鑑におきまして、変更前の旧統一教会の名称が併記をされているところでございます。

西村(智)委員 私は法律上や手続上のことを聞いているのではありません。本当にこれによって被害が拡大したのではないか、その責任について永岡大臣はどういうふうにお考えになっているんですかということを伺っています。もう一度御答弁ください。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 解散命令の要件は宗教法人法に厳格に定められておりまして、この要件に該当するためには法人の活動に係る十分な実態把握が不可欠と考えております。

 宗教法人法に照らしまして解散命令の請求の適否を判断するために、文部科学省におきまして、まずは報告徴収、質問権の行使を通じまして、旧統一教会の業務等に関して、具体的な証拠やまた資料などを伴います客観的な事実を明らかにする必要があります。

古川(禎)委員長代理 文科大臣、的確な答弁をお願いします。

永岡国務大臣 その上で、法律にのっとり必要な対応を行っていくこととなると考えております。

 以上です。

西村(智)委員 いや、本当はね、これは質問を続けられないぐらいですよ。全くお答えになっておりません。

 私は、手続のことなど聞いているわけではなくて、国民に被害を与えた可能性がある、その責任についてどういうふうにお感じになっているんですか、どうお考えですかということを聞いていらっしゃるんですけれども、もういいです。同じことだと思いますので、もうお答えにならなくて結構です。

 先に進みます。

 大臣、文科省は、一九九七年に統一教会が名称変更を画策し始めてから約十八年間、この名称変更を、事前に相談するという中で、申請を出させないようにしてきました。事実上食い止めてきたんですね、名称変更を。国民を守るために行政としてぎりぎりの判断だったということで、私は評価したいと思います。大臣はどういうふうにお考えですか。

永岡国務大臣 二〇一五年以前にも、旧統一教会からは名称変更に関する相談が複数回ございました。当時の文化庁におきまして、旧統一教会をめぐります報道等を踏まえまして、名称の変更が社会に与える影響を検討いたしまして、慎重な対応が必要であるとの認識から、申請の取下げを慫慂していたところでございます。その結果といたしまして、旧統一教会から名称変更の申請はされず、認証はしておりませんでした。

 一方で、二〇一五年の旧統一教会からの名称変更の申請につきましては、文化庁からの申請の取下げの行政指導には従わないで、明確な意思表示がございました。

 宗教法人法上、形式上の要件を備えた申請は所轄庁において受理される必要がありまして、所轄庁は、申請を受理した場合、同法第二十八条に基づく審査を行いまして、要件を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行う必要がございます。

 旧統一教会の名称変更につきましては、このような宗教法人法の規定に従って手続を行い、その審査の過程において法的な検討を重ねた結果として、本件は認証すべき案件であると事務的に判断をしたものでございます。

西村(智)委員 私が質問したことと同じことを繰り返しておられる。質問していないことには長々とお話しになり、聞いていることには全く答えていただいていません。この先、進んでも大丈夫ですかね。

 いずれにしても、私は、行政としてのぎりぎりの判断、これが十八年間続いてきたわけですけれども、二〇一五年の下村文部科学大臣の下で、方針が百八十度変更されております。

 こちらに御紹介するパネル、写真は、旧統一教会系の月刊誌「ビューポイント」、これは世界日報のダイジェスト版だということなんですけれども、こちらの二〇一四年の二月号の表紙であります。

 この撮影場所は文部科学省の大臣室だと思いますけれども、永岡大臣、お間違いないですね。

永岡国務大臣 今御質問のございましたこの「ビューポイント」につきまして、私もよく拝見させていただきました。以前、宮本……(西村(智)委員「はいかいいえだけで答えていただければ結構です」と呼ぶ)はい、分かりました。

 これは文部科学大臣室であるかもしれないというふうに考えます。

西村(智)委員 これは前にも質問を受けていますよね、永岡大臣。御確認されていないんですか。間違いなく、私、文部科学大臣室だというふうに思うんですけれども。お願いします。

永岡国務大臣 今詳しくお話ししようと思いましたら止められましたので、今言わせていただきます。

 この「ビューポイント」、これは、私は今資料で拝見させていただきまして、以前、共産党の宮本委員からも聞かれたことがあります。こちらだったと思いますが、これを見たときに、私は、全然……(西村(智)委員「これです」と呼ぶ)こちらですね、はい、見させていただきました。全くこれはどこで写したのか分かりませんでしたが、よくよく見ますと、下の方の写真が、これは大臣室かもしれない、そういうふうに思ったということでございます。

西村(智)委員 これは大臣室なんです。記事の中で、文部科学大臣室でインタビューを行った、下村大臣にインタビューを行ったというふうに書かれています。間違いなく大臣室なんです。

 下村大臣がこの雑誌に登場したのは、この一回ではありません。二〇一三年の三月号、それから名称変更直前の二〇一四年の十二月号、こちらにもインタビューが掲載されております。

 宗教団体を所管する文部科学省の大臣室で、特定の宗教団体と関係の、まして永岡大臣も社会的に問題のある組織だというふうに答弁されている、その団体との関係の深い新聞、この取材に応じることについて、大臣はどういうふうにお考えですか。

永岡国務大臣 そのときの状況を考えますと、今現在とは大分違うかと思いますが、当時の下村大臣の御判断でございますので、私から何を申し上げるかというような必要はないかと思っております。

西村(智)委員 驚きました。先ほど、永岡大臣、答弁の中で、二〇〇九年の新世事件のことについて言及されましたよね。大臣自身も社会的に問題のある組織だというふうに言っておられるんですよ。その団体の取材を受けたことについてどう考えているかということもお答えにならない。本当に大丈夫でしょうか。

 文部科学省の説明では、下村大臣が名称変更の判断には一切関与していなかったというふうに言っておられるんですけれども、改めて、大臣、確認をいたします。

 下村大臣の関与は全くなかったということでよろしいでしょうか。

永岡国務大臣 宗教法人法上、形式上の要件を備えた申請は所轄庁におきまして受理される必要がございます。所轄庁は、申請を受理した場合、同法の第二十八条に基づく審査を行いまして、要件を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行うことが、これは形式上決まっております。

 旧統一教会の名称変更につきましては、このような宗教法人法上の規定にのっとって手続を行っております。その審査の過程においては、法的な検討を重ねた結果として、本件は認証すべき案件であると事務的に判断をしたものでございまして、政治的な関与はなかった、そう認識をしている次第です。

西村(智)委員 下村大臣の関わりは政治的にはなかったというふうに判断をしておられるということですね。

 ところが、残念なことに、下村大臣が一切関与していないのであれば正々堂々と出されるべき二〇一五年当時の意思決定をめぐる資料が一切示されておりません。

 この理由は何ですか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 宗教法人法の第二十五条は、信者その他の利害関係者に宗教法人の備付けの書類の閲覧請求を認めております。誰を信者その他の利害関係者と認めるかなどは各宗教法人が決めることになっております。

 こうした宗教法人法の趣旨や情報公開法も踏まえまして、御指摘の資料の情報公開に当たりましては、宗教法人から所轄庁に提出をされている書類のうち、当該法人の非公知の事実に関する情報を含むものや、また、行政内部の意思形成過程に関する資料につきましては、不開示とさせていただいております。

西村(智)委員 同じ答弁書を繰り返し聞かされまして、そして資料についても一切示されない、これじゃやはり納得できないですね。

 少し具体的にお伺いいたします。

 名称変更の申請は二〇一五年の六月二日に出されているようです。これに先立つ二月に、統一教会の責任役員会議で、名称を世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合に変更すると決定したということです。

 文部科学省はこのことをいつ把握されましたか。

永岡国務大臣 旧統一教会の名称変更につきましては、平成二十七年六月二日に申請書を受理しておりますが、御指摘の会議におけます決定については承知をしておりませんでした。

 なお、同年三月に全国弁連の方から文部科学大臣ほか提出された申入れ書に、統一教会は本年二月の責任役員会議で世界基督教統一神霊協会の名称を世界平和統一家庭連合に変更するとの決定をしたとのことですとの記載があることは承知をしております。

西村(智)委員 そうなんですね。三月に全国霊感商法弁護士連絡会の皆さんが申入れを行った、それで文部科学省は把握をしたということなんです。

 これまでの組織的違法行為による悪評が日本社会に広く浸透していることから、名称変更して新たな被害者を獲得するとともに、被害回復請求を抑制する目的で行うものであるというふうに考えているということで、申入れをしました。

 この申入れは下村大臣のところまで届きましたか。

永岡国務大臣 申入れ書につきましては、下村大臣には報告をしていたかどうかというのは、現時点では確認はできておりません。

西村(智)委員 そもそも、情況証拠的に、二月の統一教会の方針決定の前に、下村大臣は事前に統一教会側と意思を通じていた可能性が高いと私は思うんですけれども、なかなか検証のしようがありません。

 しかし、三月に弁護団からの申入れが文科省に届いていた。こういった重大な情報を得て、申請が出される六月二日までの間に、文部科学省の中でどういった対応が行われたのかということについては、これは検証が可能です。

 三月のこの申入れを受けて、文部科学省の中ではどんな議論がありましたでしょうか。下村大臣は、本当にこの重大な議論に参加していなかったんですか。

永岡国務大臣 西村委員にお答えいたします。

 二〇一五年の三月二十六日付の統一教会の名称変更の申請につきましての申入れ書を受領しておりまして、これは、宗務行政に関する御指摘、そういうふうに伺ったものでございます。申し訳ありません、今のは全国弁連の、二〇一五年、平成二十七年の三月二十六日付の申請に対します御指摘ということでございます。

 また、その後、六月二日に、旧統一教会の規則変更の申請がなされまして、八月の二十六日に認証するまでの間、文化庁では、宗教法人法の規定にのっとりまして手続を行い、その審査の過程におきまして法的な検討を重ねた結果として、本件は認証すべき案件であると事務的に判断をしたものです。

西村(智)委員 私の質問を分かっていただけていますか、大臣。

 私は、下村大臣が、この重大な議論、インタビューを何回も大臣室で受けている、そして、永岡大臣だって社会的な問題のある組織だというふうにおっしゃっている、その関連団体の取材ですよ。そしてまた、全国弁連から本当に重大な申入れが届いている。この議論に参加していたかどうか、それすらもお答えいただけていない。

 また、政治的に関わっていたかどうかということについては、無関係だったというふうに言われたら、大臣が逆の立場だったら、このことを信じられますか。

 もう一回御答弁ください。

古川(禎)委員長代理 申合せの時間が終了いたしております。文科大臣、簡潔に御答弁ください。

永岡国務大臣 当時の担当の宗務課におきまして、当時の資料の内容を確認を行うとともに、当時の担当者から聞き取りを実施をしたところによりましても、下村大臣からの指示はなかったとのことでございました。

西村(智)委員 総理、私は、下村大臣が本当にこの名称変更に無関係だったというふうには信じられません。総理はどういうふうにお考えですか。

古川(禎)委員長代理 申合せの時間が来ておりますので、内閣総理大臣、簡潔に御答弁願います。

岸田内閣総理大臣 今、客観的な事実からは、下村大臣が直接その情報に接していたかどうか、関与していたかどうか、これは確認はできないと考えております。

 しかし、こうした手続については、法的観点から、適切だったこと等、文部科学省の手続の適正さについては、引き続き説明をしていくことは重要であると考えます。

西村(智)委員 名称変更についても下村大臣の関与がなかったのかどうか調査をするために、下村元文部科学大臣の参考人招致を求めます。

 また、文科省が提出した資料の黒塗り部分の開示、また現在文科省が拒否している当時の書類、大臣への説明メモ、旧統一教会とのやり取りの記録の本委員会への提出を求めます。

古川(禎)委員長代理 その件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

西村(智)委員 こういったずさんなことが続いているようでは本当にいけない、政治は変えなければいけないということを強く申し上げて、私の質問を終わります。

古川(禎)委員長代理 この際、源馬謙太郎君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。今日はよろしくお願いいたします。

 まず初めに、出産・子育て応援交付金について伺いたいと思います。

 補正で新たに創設される出産・子育て応援交付金ですが、総理が記者会見で、〇―二歳までの子育て世帯への支援として、妊娠時から出産、子育てまでを一貫した伴走型相談支援と十万円相当の経済的支援を組み合わせたパッケージを創設する、こういうふうに表明をされました。これを聞いた子育て世帯は非常に喜びました。

 しかし、実際には、〇―二歳の子育て世帯が皆さん十万円相当いただけるわけではなくて、令和四年四月から令和五年四月一日までに妊娠、出産された方たちだけが十万円相当のクーポンをもらえる、こういう理解でよろしいですか、総理。

加藤国務大臣 経済的支援については、妊娠期から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援の実効性をより高めるために、相談支援機関にアクセスするきっかけとなる妊娠届出また出産届出、その段階に実施するという事業の趣旨、また、令和四年度補正予算案で創設する事業であることから、令和四年度四月以降に出産された方まで遡及して支給することとしておりますので、御指摘のように、令和四年四月一日時点でもう既にお生まれになっている方について、いわゆる令和三年度中に出産された方については支給の対象とはならないことになっております。

源馬委員 総理が記者会見でさっき説明したような内容を表明されたことは、今の内容とは違って、ミスリードするものだったと思います。私のところにも実際に、子育て中のお母さんから、私たちももらえるんですよね、そういう問合せも来ています。

 ミスリードだったんじゃないんですか、総理の。

岸田内閣総理大臣 まず、今の社会に対する認識として、核家族化が進み、そして地域の関係が希薄になっている、つながりが希薄になっている、こうした中で、孤独感や不安感を抱く妊産婦、子育て家庭も少なくない、こうした問題意識に立って、今御指摘がありました応援交付金事業、これをスタートすることといたしました。

 要は、身近な伴走型の相談支援と経済支援、この組合せが重要だということでこういった事業を用意したわけですが、事業をスタートするに当たって、これはどこかで制度の構成の中で線を引かなければいけない、これが現実だと思います。より幅広く、多くの方にこういった支援の恩恵を受けていただきたいということで遡及措置等も考えたわけですが、結果として、先ほど厚労大臣が答弁させていただきましたような制度を用意した、こうしたことであります。

 もちろん、こうした子育てあるいは出産に対する支援はこれだけではありません。これも大事ですが、その他の政策と重層的に政策を用意することによって、こうした出産、子育て世帯、しっかりと支援をしていきたいと考えております。

源馬委員 つまり、もう既に一歳になっているお子さんや二歳のお子さんは十万円相当をもらえないということなんですね。しかも、それをまた今回クーポンで配る。自治体が選んでもいいということになっていますが、前回も、あの給付のときも、千七百四十一市町村の中で僅か七市町村しかクーポンを実施しなかったんですが、何でまた九十億円も事務費をかけてクーポンで配ることにこだわるんでしょうか。現金でいいのではないかと思いますが、厚労大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、今回の経済的支援、各自治体の判断で、妊娠、出産の育児関連用品のクーポン支給、一時預かり、産後産前ケア、訪問支援サービス等のサービス利用券、妊婦健診の交通費やベビー用品の購入、レンタル費用等の助成など、ニーズに応じて幅広く認める方向で検討しておりますので、どのような支給方法を選択した場合においても、係る経費について必要な予算を確保するということで、事務費を計上させていただいているところでございます。

源馬委員 事務費の中に、クーポンに係る費用というのがありますよ、委託経費というのが。こういう無駄なことをやらずに、それぞれ自治体に、最初から現金支給でやればいいんじゃないかというふうに思います。

 しかも、この子育て応援交付金、さっき総理は、もちろんどこかで線を引かなきゃいけないとおっしゃいましたが、何か三千億とか何千億の基金をどんどん使う、新たに組んでしまうよりも、こういう本当に必要なところに補正予算を組むべきじゃないですか。ちょっと、やはりお金の使い方が間違っているというふうに思います。

 さて、次の質問に移りたいと思います。

 秋葉大臣にお伺いしたいと思います。

 復興大臣が、二十七日の被災地の福島への視察を御予定だったそうですが、なぜこれは取りやめられたんですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 国会でいろいろな質問が集中しましたことから、国会での審議において丁寧に説明をさせていただく必要があると考えまして、日程の変更をお願いさせていただいたところでございます。

 今回の出張は、私が中間貯蔵施設などの現在の状況を見させていただくためのものでございました。日程的に余裕のあるときを使って被災地の現状をいろいろと拝見させていただいておりまして、その一環としての視察のお願いをさせていただいていたにもかかわらず、急な日程の変更により関係者の方々に大変御迷惑をおかけしたことを、心からおわびを申し上げたいと思います。

 これまで、現地現場主義に立って、就任以来二十三回にわたって現場に入らせていただいておりますが、今回拝見する予定だった箇所にお伺いすべく、具体的な日程については、現在、十二月の十八日を軸に調整させていただいているところでございます。

源馬委員 関係者に御迷惑をおかけしたのは確かにそうですが、復興大臣が被災地の視察、これは大事な公務だと思いますよ。それをこの国会で、答弁の準備に充てる。それはもう、そもそも大臣としての資格がないんじゃないですか。

 総理、どう思いますか、国会答弁の準備で視察を取りやめる大臣。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 大臣として、まず復興大臣としての職務をしっかり果たす、これは大事なことであります。あわせて、国会に対しての説明責任を果たす、これも大臣として大事な職責だと思います。

 先週の予算委員会でも様々な御指摘をいただき、様々な資料の提出を求められるなど、様々な御指摘をいただきました。それに対して対応する、こういった説明責任を大臣として果たす、このことについても全力で取り組んでもらいたいと考えています。

源馬委員 そもそも、大臣自身がこういったいろいろな問題を起こさなければ、国会で説明する必要なんか全くないわけなんですよ。そういう大臣をしっかり任命していただきたいと思います。

 それから、大臣が以前、二〇二一年の七月二十日に仙台市青葉区内のマンションの一室にある世界平和連合宮城県連合会に会費二万四千円を支出していたという指摘があり、これは雑誌購読料だったというふうに訂正をされたと聞いています。

 領収書も、先ほど理事会に出てきまして、拝見しました。「世界思想」代として一年間ということですが、年間二万四千円。これは一冊幾らなんですか、大臣。

秋葉国務大臣 事務所に届いてはおりますけれども、私も内容を精読しているわけではございませんので、一冊当たりの単価までは存じ上げません。

源馬委員 これは月刊でよろしいですか、大臣。

秋葉国務大臣 月刊誌だと思いますけれども、しっかりと拝読をさせていただいたことがございませんので、恐らく月刊誌だと思いますけれども、詳細についてはお答えできないところでございます。

源馬委員 土日に視察を休まれてまで国会答弁を準備していたのに、その一冊の値段も分からないんですか。私は十分ぐらいで調べられましたよ、これは。

 世界平和連合のホームページを見ればすぐ載っているんです。一冊八百円です。一年払いだと一万八百円です。何で二万四千円も払うんですか。寄附したんですか。

秋葉国務大臣 報告を受けているところによりますと、あくまでも雑誌購読としてお願いをされ、その雑誌購読としての費用をお支払いしていると聞いています。

源馬委員 大臣、お買物をするときに、値段も調べずに、相手の言いなりの値段を払うんですか。もしそれが事実だったら、返還してもらった方がいいんじゃないんですか、差額を。

秋葉国務大臣 お答えをいたします。

 事務所には、いろいろなところから、いわばおつき合いのような形で、雑誌購読は方々から頼まれていると承知しております。その中で、あくまで雑誌の購読料としておつき合いくださいということで支出した金額だというふうに聞いております。

源馬委員 国会答弁の準備をされるなら、もっとしっかり準備していただきたいと思います。

 ところで、大臣は旧統一教会関連団体の平和大使協議会の会員ですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 会員ではございません。

源馬委員 大臣の支部は、二〇二〇年にも、平和大使協議会へ新聞購読料として同じ二万四千円を払っていますが、これは何の新聞ですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 この購読料は、「ビューポイント」という雑誌だったというふうに聞いております。

源馬委員 「ビューポイント」は、年間だと七千六百円で、もっと安いんですね。しかも、我々のところにも、全議員のところにも何か自動的に配布されているじゃないですか。わざわざ、そんなに二冊も読みたいんですか、大臣、七千円のものを二万四千円払って。

 私、平和大使協議会のホームページを見ましたが、そこのどこにも新聞とか、そもそも「ビューポイント」は新聞じゃないんですが、「ビューポイント」の記載もありませんでした。

 ただ、これはホームページを見ればすぐ分かるんですが、「入会のご案内」とありまして、一般会員月二千円、年間二万四千円。これに入ると、会員情報誌一部、「世界思想」という雑誌を送付してくれるそうなんですよ。

 これなんじゃないですか、大臣が入られていたのは。二万四千円のお支払い。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 事務所で確認をさせていただきましたが、あくまでも雑誌の購読料としておつき合いをいただきたいということで支出した会費のようでございました。

源馬委員 まず第一に、雑誌ではなくて新聞と書いてあったこと、収支報告書には。それから、年間二万四千円というのは、どの雑誌や新聞を取っても値段が合わないということ。そして、この平和大使協議会では、ここにちょっとパンフレットもありますが、ここにも「ビューポイント」がどうのとかは書いていないんですね。会員の募集、二万四千円の会員募集、これしかありません。

 もう一回しっかり調べた方がいいんじゃないですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 金曜日に初めてこうした関連の指摘を受けたものですから、しっかりと、ヒアリングも含めてスタッフに確認をさせていただき、あくまで、お勧めいただいたのは、雑誌やあるいは新聞の購読料としてということでお勧めがあって、そういった形でお支払いをしたということでした。

 なお、当時、そういった団体の関連者の方が旧統一教会関連団体の方だとは全く分からなかったということも伺っている次第でございます。

源馬委員 我々の事務所にも自動的に配布されている「ビューポイント」を更にお金を出してまで買ったり、あるいは、「世界思想」も普通の金額よりかなり高い額を払って購入しているわけですから、それは寄附しているというふうに見られても仕方がないと思います、本当に会員じゃないなら。もし違うなら返還請求された方がいいんじゃないですか。そのことを指摘しておきたいと思います。

 それから、大臣、確認ですけれども、就任会見で御発言されたとおり、旧統一教会が主催している会合には出席したことは一切ない、これは今でもそのお立場ですか。

秋葉国務大臣 週末にも改めて確認をさせていただきましたけれども、そうした関連の会合に出席した覚えはございません。

源馬委員 一切ないから覚えはないというふうに、ちょっと答弁が変わられたと思います。

 先週の質疑でも話が出ましたが、多賀城市でのイベント、それから名取市でのイベント、私、大臣の御地元の自民党関係者の方に直接お話を伺いました。その方は、多賀城市でも複数回、名取市でのイベントにも確実に出ていたとおっしゃっておりました。写真が出てきたりする可能性、あると思いますが、後からだと山際大臣と同じになりますが、大丈夫ですか。

 例えば、具体的な日付も記録があるとおっしゃっていました。二〇一八年十二月九日、名取市、二〇二〇年一月二十六日、仙台国際センター。大丈夫ですね、大臣。ないですね、出ていないですね。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 御質問のイベントにつきましては、出席した覚えがございませんし、先ほど答弁させていただきましたとおり、事務所にも再度確認をいたしましたが、記録もございませんでした。

 いずれにいたしましても、今後、旧統一教会との一切の関係を持つことはございません。

 また、こうしたイベントが本当にこういった関連団体のものであったかということについては、今日のような問題点というのはクローズアップされていなかったというふうに承知しております。

源馬委員 その自民党関係者の方によりますと、大臣の方から依頼をして信者たちと座談会を開催してもらったということもあったと聞いています。はしごしたこともあるというふうに聞いています。

 今、具体的な日時も言いましたので、その日時についても改めて確認して、理事会に報告していただきたいと思います。よろしいですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今、そういった事実関係、初めて御指摘をいただきましたので、事実関係も含めてまた確認させていただきたいと存じます。

源馬委員 それでは、公設秘書の方のお話を伺います。選挙運動について。

 済みません、今の件、理事会でお取り計らいをお願いします。

古川(禎)委員長代理 理事会で協議いたします。

源馬委員 車上運動員としてお二人の秘書を登録してお金を払っていたということですが、車上運動員としてお金を受け取っていたらその日は他の選挙運動、選挙活動を一切してはいけないということは共通の認識だと思いますが、大臣もそれでよろしいですよね。うなずいていただくだけで大丈夫です。はい。

 ということで、先日、委員会に求めがありました、西さんが八日間、五十嵐さんが六日間の車上運動員をしていた、いつだったのかというふうに委員会に報告してくださいと言われていましたが、報告がなかったというふうに聞いています。

 これだけ長い時間、実際に今も秘書をされているお二人ですから聞けばすぐ分かると思うんですが、そもそも、これがない限り、本当に選挙違反していなかったかどうかというのを確認できないじゃないですか。いつまでにこれは調べていただけますか。

秋葉国務大臣 委員会から、そして理事会の決定もあったということで、できる限り資料は詳細なものを提出させていただきたい、このように考えておるところでございます。

 今回、選挙の終了後の二週間以内に選挙運動費用の収支報告書を作成して選挙管理委員会に報告する必要がまずございます。そこで、選挙期間中のN秘書とI秘書の車上運動員としての活動につきましても、この報告に間に合うように、選挙戦終了直後にヒアリングを行って確認をしたところでございます。

 ただ、選挙終了から既に一年以上が経過しておりますことから、その際の記録も残っておらず、今となっては具体的な乗車日までは分かりませんでした。念のため領収書も確認いたしましたが、何日に乗車したのかという日付の記載はありませんでした。

 選挙管理委員会からも記録提出を求められているところでもなく、具体的な日付の特定や、それから記録の提出などは求められたこともないということでございました。

源馬委員 いや、それがないと、選挙違反していたかどうか分からないじゃないですか。選挙違反していなかったと大臣が言えるかどうか分からないじゃないですか。しっかりそれは、委員会になるべく早く提出していただきたいと思います。

 そもそも、何で公設第一、第二秘書を務めるような中心的な人物を車上運動員に登録するんですか。そんなこと、我々の常識ではあり得ないですよね。主戦力となって、いろいろ取り仕切りしてもらったりとか、関係者と連絡してもらったり、そういう仕事があるわけですから、その方たちを車上運動員として登録するなんということは、多分、自民党の先生方も、やったことがある方なんて一人もいらっしゃらないと思いますよ。何でそんなことをしたんですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 これまでの選挙戦において、選挙運動カーが、いわゆる選挙カーが周辺を回っていないでありますとか、あるいは、今選挙カーはどこを走っているんだというような問合せなどが非常に多かったものですから、基本的にはどちらかの秘書が乗って、その辺の説明、対応を十分にしたい、このように考えたようでございました。

源馬委員 いや、そのお話を聞いた大臣の御地元の自民党関係者の方も、あるいはメディアの方も、そのお二人が選挙カーに乗っているのなんて見たことがないと言っていましたよ。見たことがある人の話を聞いたことがありません、逆に。

 引き続き、この問題もしっかり質問させていただきますので、委員会になるべく早く提出をお願いしたいと思います。

 それから、影武者の問題もありました。

 大臣は、御子息が大臣のことを心配して自ら影武者になったとおっしゃっていましたが、本当にそんなことがあるんですか。御次男が、よし、秋葉賢也と大きく書いて、小さく次男と書いて、それをしたらいけるんじゃないかと自分で言って、たすきを作って、そんなことをやりますか。普通だったら、親が子供をかばうのは分かりますが、子供のせいにしてどうするんですか。

 本当に、大臣、これは御子息が言われたんですか、自分、自らの意思でやりたいと。

秋葉国務大臣 私の初当選は、当時の野党議員の選挙違反事件による辞職に伴う補欠選挙でしたので、本当に、法令の遵守やクリーン選挙ということには人一倍気をつけながら、留意して活動してまいりました。

 そのような中で、正直、私には三人の息子がおりますけれども、二番目の、次男が私に最も似ているということをよく言われるものですから、周りが、そういった声も一部出たのかもしれませんが、ただ、本人に確認したところ、そういった指摘を受けてすぐに外したということを伺っているところでございます。

源馬委員 質問に答えていないと思います。似ているから影武者を自ら名のり出たのか分かりませんが。

 大臣、そろそろ時間が迫ってまいりましたが、大臣は御存じないかもしれないんですけれども、私も松下政経塾の出身でございます。大臣の後輩に当たります。我々は、八十歳を超えてなお日本の行く末を寝られなくなるぐらい心配したという松下幸之助さんの思いに共感をして、政経塾で学びを受けてきた。しかも、大臣は、御生前の幸之助さんに会われた最後の世代だったと思います。恥ずかしくないですか、幸之助さんの前に。

 政治を正さなくては日本はよくならない、そういう言葉を我々に残してくれた幸之助さんに対して、息子さんのせいにしたり、以前は、お年を召した義理のお父様のせいにしてみたり、そして、法律的には何も問題ないと言い張って、いつまでも。大臣、被災地に行く視察をやめて国会の答弁を準備したりとか、本当に私は、大変、後輩で僭越ながら、恥ずかしいと思います。

 幸之助さんは、出処進退をとても大事にされていました。これは大臣もよく御存じだと思います。幸之助さんのお言葉で、会社でも国でも個人でも、一番大事なことは出処進退を誤らないことである、それが欲にぼけるとか欲望に走るとかしますと、出処進退の正しい姿を忘れてしまう、分からないようになってしまう。人間というものは出処進退が大事で、それが非常に鮮やかであるということが必要ですな、これは個人のために鮮やかであるということも必要だし、外部のためにも鮮やかであることが必要ですと。

 これは塾生に向けた言葉ですが、やはり、国を背負っている立場の人たちは、ある理念に基づいて出処進退のできる人であってほしいですね、理念も何もなかったら、出処進退も鮮やかにできないということになるでしょうな、政治哲学といいますか、政治理念、政治の使命感というようなものに固く立っている人はやはり出処進退も当を得ている、こういう言葉を残しています。

 今この場で決めなくてもいいですが、一晩考えてみるということもいいんじゃないですか。素直な心で、衆知を集めて、一晩お考えになってみたらいかがですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 様々なお声があることを承知しております。そうした様々なお声の一つ一つを謙虚に受け止めて、本当に、いま一度原点に返って、こうした疑念が生じないように精進を重ねてまいりたいと存じます。

源馬委員 大臣の進退が、国家の繁栄のためにどうするのがいいのか、是非素直な心で考えていただきたいと思います。

 総理、今の一連のやり取りもありました。国会答弁のために、もう既に支障が出ているじゃないですか、復興大臣としての職務に。今、なかなか御自身で決断できないようでしたので、やはり総理大臣が御決断されて、交代させた方がいいんじゃないですか、もう復興大臣の職務を果たせないわけですから。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど、復興大臣としての職務も大事、説明責任を果たすことも大事、このように申し上げました。要は、この両方をトータルでしっかり果たすことが重要だと思います。復興大臣の職務についても、この週末の日程につきましては、変更等も、しっかり用意をして対応していく、こういった説明もあったかと聞いておりました。

 いずれにせよ、トータルで両方の責任をしっかり果たしてもらうことが重要であると思います。そして、説明責任についても果たしてもらわなければならない。引き続き、様々な疑念が指摘されているというのであるならば、説明責任をしっかり果たすべきであると考えています。

源馬委員 全く説明責任も果たしていないと思いますし、職務すら遂行できていない復興大臣を交代させていただきたいというふうに申し上げて、終わります。

古川(禎)委員長代理 この際、藤岡隆雄君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党、栃木県第四区の藤岡隆雄でございます。

 今日もまず地元栃木県第四区の皆さんに感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださった先輩また関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 最初に、賃上げのことからお聞きをさせていただきたいと思います。今日は、黒田総裁にもいらっしゃっていただいております。ありがとうございます。

 総理、物価上昇に見合う賃上げに向けた、まず決意をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 今回の物価高騰につきましては、背景として、世界規模の物価高騰があり、また円安等の影響もあり、国民生活に大きな影響が生じている。これにしっかり対応していかなければいけないということで、エネルギー、食料を中心に対策を用意いたしました。

 しかし、こうした物価高騰に対して対策を用意するとともに重要な点が、まさに委員御指摘の賃上げの部分だと思います。

 物価高騰にしっかり見合うだけの賃金の上昇があることが国民生活を守る上で重要である、こういった認識で、今回の総合経済対策においても、物価高騰対策と併せて賃上げ対策、これが重要である、なおかつ、賃上げにつきましても、足下の賃上げはもちろん大事でありますが、これが持続することが重要であるという観点から、構造的な賃上げ、これを実現するために取り組んでいきたい、こうしたことを申し上げ、総合経済対策においてもそういった対策を用意した、これが政府の対策の具体的な考え方であります。

藤岡委員 今、総理の意気込みはという声が上がりましたけれども、もうちょっと強い意気込みが私は欲しいなということを本当に強く思いました。

 物価上昇に見合う賃上げ、これは極めて重要でございます。

 私、総理の今国会の所信表明の中で、なぜ賃金が上がらないのか、長期にということを大上段でおっしゃった。正直、これは本当に、ある意味がっかりしました。もっとこの賃上げに対して危機感を持って、しっかり分析をしていただきたいということを私は本当に思いました。

 物価に見合う賃上げがなぜいかないのか。本当にいろいろな要因が私もあると思っております。かねて、いろいろな指摘がされております。内部留保の問題もございます。ただ、その中で、例えば、この十年ぐらい、日本企業の行動がどうだったのかということをやはり見ていかなければいけないと思います。

 その中で、やはり特筆すべきところは、海外への対外直接投資というものがかなり増えている。百三十七兆円増えている。内部留保は二百十二兆円ですけれども、これはもちろんイコールのあれではないですけれども、現預金は百十二兆円。この対外直接投資が増えているということも一つの大きな原因にはなっているかなと思います。

 それは、やはり日本企業というのが、今、業績アップの要因に、海外部門で稼いでいるというところがある。ただ、この海外部門というところは、再投資をされて、また海外の賃上げになるとか、海外でまた使われるとかという要素もあって、なかなか、国内の賃上げというものにつながっていっているのかどうかというところの話がまず一つあると思います。

 それから、中小企業は、やはりそもそも価格転嫁がいまだに難しくて、なかなか賃上げを、そもそも余力がなかなか難しい。

 それから、日本は、やはり雇用を確保するということが優先されてきている。

 それからさらに、黒田総裁が今、労働需給の引き締まりでなかなか状況がよくなりつつあるというふうな話もおっしゃっていると思いますけれども、労働需給が引き締まっているというところの中で、数年前も引き締まっているときもあったんです。ただ、労働需給が本当に引き締まっているところの中で、例えば介護士さんや保育士さん、こういうところの賃上げというのは、国がやはり積極的にやっていかなければ、いわゆるちゃんとした賃上げというのはなかなか実現できないというところもあると思います。

 それから、そもそも成長余力というところがどこまでなんだというところがあると思います。

 黒田総裁にお伺いしたいと思っております。

 賃上げを伴う物価上昇、物価上昇はやはり賃上げが重要なんだということをかねてから、このところ答弁をされております。この労働需給の引き締まりで、物価安定目標二%、これは持続的、安定的に近づきつつあるというふうな話もおっしゃっていると思います。

 私は、こういう中で、やはり一つ鍵を握るのは、政府ができることをしっかりやってもらうということも一つあります。その中で、例えば、いわゆる本当に逼迫している保育士さんや介護士さんの分野、むしろこういうところも積極的に政府が賃上げに向けて、この二十九兆の予算を組んでいるわけですから、積極的に行うことも重要であって、それがやはり持続的な賃金上昇を伴う物価上昇につながるというふうにも思うんですけれども、黒田総裁の御見解をお聞きしたいと思います。

黒田参考人 二〇一三年以降、生産年齢人口が大きく減少する中でも、雇用者が四百万人以上増加してきました。これは、女性や高齢者を中心に労働参加が大幅に増えたためであります。ただ、我が国の女性の就業率は既にアメリカを上回っている、さらには、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上に達することなどから、これまでと異なり、女性や高齢者の労働参加の増加ペースは鈍化し、今後、経済が改善していくに伴って、労働需給の引き締まりが進みやすくなっているというふうに考えております。

 その意味で、マクロ的な需給ギャップの改善に伴い、賃金の上昇圧力は次第に強まっていくというふうに見ております。また、労使交渉でも、こうした労働需給の引き締まりに加え、これまでの物価上昇も相応に今後の賃金に反映されるというふうに見ております。

 御指摘の点につきましては、私から具体的に申し上げるのは僭越だと思いますが、そういったことも賃金の上昇にプラスになるということは事実だと思います。

藤岡委員 今、黒田総裁からも、プラスになる、やはり賃金の上昇にというお話もいただきました。

 私は、この今回の補正予算を拝見しておりまして、レクのときにもお伺いしましたけれども、介護士さんや保育士さんの賃上げ、例えば政府が関わって積極的にやれる分野があるんですけれども、これは入っていないというようにお伺いしたんですね。これは、事実関係、それでまずよろしいですか。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の介護あるいは保育に携わっておられる方々の給料につきましては、処遇改善に取り組むため、給与を、本年二月から、恒久的に三%程度引き上げるための措置、これを既に講じております。そして、今後も、世の中の物価の状況等様々な変化、これを踏まえて、いわゆる公的価格と言われる賃金について議論しなければいけない。

 そして、そのために公的価格評価検討委員会というものをつくっております。この中間整理等も踏まえながら、現場で働く方々の処遇改善、あるいは業務の効率化、さらには様々な負担軽減、こうしたものを考えていく、これは政府として引き続き取り組んでいかなければいけない課題だと思います。

 先ほど申し上げたように、引上げを本年二月から行っておりますが、引き続き、状況の変化に対応して、こうした公的価格と言われる賃金につきましても、政府としてあるべき姿を適切に判断していきたいと思っています。

藤岡委員 本当に、今、それは大変残念な答弁ですね。その昨年、二月から始めているものは、これは物価は全く反映されていませんよ。そして、改めて、この物価上昇で事業者の皆さんも本当に大変厳しい、来年の四月は同じように賃金、できるかどうか本当に不安だ、そんな声も私はたくさん聞いております。

 本当に、だって、持続的なですよ、先ほど総理がおっしゃいました、持続することとおっしゃっているんです。これまで、上げてもまだ月額平均八万円、給料はなかなか厳しいんです、まだ少ないんです。その中で、非常に、生産性というものを考えても、まさに、働ける環境、働きやすい環境という意味でも、安心して働ける環境を更に整備することによって、また更にいろいろな労働移動なども起こるかもしれない。

 そういうところのいろいろな価値を考えると、これはまだ、二月に上げた、だって、それは物価がこんなに上がる前の話ですから、物価上昇に見合う賃上げと総理はおっしゃったわけですから、なぜこれを入れないんですか。

 しかも、総理、ちょっと待ってください、しかも、二十九兆円の予算ですよ。これは千六百億円ぐらいで補正予算でやっているんですよ。二十九兆、膨らませていて、賃上げがすごく重要だという話をされていて、何で政府から取り組まれることをやらないんですか。これはおかしいですよ。

 この場で、総理、是非、これは上げるという決断をしてください。お願いします。

岸田内閣総理大臣 公的価格につきましては、本年二月に引き上げた後も、民間給与の伸び等を踏まえた改善を行っていく、こうしたことを私も所信表明等で申し上げております。だからこそ、社会における賃上げの機運が大事だということで、本年の春闘におきましても、民間の方々に御協力をいただき、コロナの影響から脱した企業においては三%の伸び等を示していただいた、こういったことでありますし、そして、今後、来年の春闘に向けても官民で協力をしなければいけない、民間の方々にも御協力をいただいて賃上げの機運をつくっていこう、こうしたことを申し上げております。

 政府において、こうした動向も見ながら、公的価格についても考えていかなければならない。それ以外にも、民間の賃上げのための環境整備、賃上げ税制、価格転嫁など、様々な取組をしっかり進めていくことによって、社会全体の賃上げの機運を盛り上げていきたいと考えています。

藤岡委員 だからこそ上げるべきじゃないですか、ここで。だからこそやるべきなんですよ。だって、物価上昇に見合う賃上げとおっしゃっているんですよ。物価上昇に見合う賃上げになっていないじゃないですか、だったら。政府からまずできることがあるのに、なぜやらないんですか。

 では、物価上昇に見合う賃上げというのは、総理、うそですか、これは。

岸田内閣総理大臣 物価上昇に見合うだけの賃上げを目指さなければいけないということで、官民協力してまいりましょうということを申し上げています。二月、公的価格を引き上げました。その後の状況、この厳しい状況、御指摘のとおりであります。その中で、検討委員会において引き続き議論を行っていきたい、こういったことを申し上げています。

 官民の協力ということから、民間の皆様方にも、この賃上げ、しっかりと取り組んでいただかなければならない。環境整備ということで、政府としてはしっかり政策を用意しています。だからこそ、総合経済対策の中にも、中小零細企業における価格転嫁を始め、環境整備に向けた政策をしっかりと用意をしています。こういったことによって社会全体の機運を盛り上げる、その中で公的価格についても取り組んでいきたいと考えています。

藤岡委員 本当に、それは政府が何で積極的にやらないのか。物価上昇に見合う賃上げなんですから、全くこの物価上昇を反映していない段階での話を話されて、それで足りています、あとは何か緩やかに検討していきますというふうなことにしか本当に聞こえません。これでは、物価上昇に見合う賃上げとは到底、なかなか難しいなと思います。

 私、この二十九兆の予算の中で、本来は、こういうふうな賃上げをやろうというふうな予算というのが本当は現場からも私は上がってくるべきだと思うんです。ところが、それが上がってこないというのはやはり理由があるんです、総理、これは。やはり賃上げについて、政府と日本銀行でも共同声明を結んでおられます、そういうところにきちっと、賃金のことをどうするんだと、本当にその思いを書いていないから、ペーパーとか、デジタルでもいいんですけれども、その中ではっきりと書いてあれば、政府として、では賃上げに向けてどうするんだ、もっと、この二十九兆も使うんだったらそこにやるんだということが、しっかり対応が本当は行われるんです。

 黒田総裁にお伺いしたいと思います。

 私は、先日、財務金融委員会で、この物価安定目標、十年たってもなかなか達成ができていない、こういう状況に対し、黒田総裁の方は、賃上げを伴う、持続的な、安定的なということをおっしゃっている。その中で、私はこう申し上げました、最初の段階から賃上げのことをもっと触れるべきだったのではないですかということを黒田総裁に話させていただきました。そのときに、最初から賃上げを盛り込むべきだったというのはそのとおりであるというふうな御答弁をいただきました。

 黒田総裁、改めて、この共同声明に、これまで十年の経験を生かして、やはり賃金上昇を伴う物価上昇という面で、実質賃金をちゃんとプラスにする。実質賃金、ちょっとパネルでお示ししますけれども、下がり続けているわけでございます。そういう賃金のことをきちっと共同声明に明記をする。それによって、政府も、なかなか日本銀行の金融政策の限界というのもある、その中で政府がしっかり取り組んでいく、それを明記をやはりした方が私はいいと思うんです。

 黒田総裁の見解をお伺いしたいと思います。

黒田参考人 共同声明に示されております政府、日本銀行のそれぞれの役割については、現時点で見直す必要があるとは考えておりません。日本銀行としては、今後とも、共同声明の考え方に沿って、政府と緊密な連携を図りながら、物価の安定という使命の実現に向けて、自らの役割をしっかりと果たしてまいりたいと思います。

 なお、やや長い目で見ますと、名目賃金の上昇率から物価上昇率を差し引いた実質賃金の上昇率は、基本的には労働生産性の伸びによって決まるというふうに考えられます。労働生産性の引上げが重要な課題であるということは事実でありますけれども、労働生産性は、イノベーションを含む技術進歩など、金融政策によって必ずしもコントロールできない様々な要因によって規定されるため、実質賃金の上昇率を金融政策の目標にするというのは難しいと考えております。

 いずれにいたしましても、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定目標を達成するということが我々の責務であるというふうに考えておりますので、引き続き、賃金の上昇率を伴う形で物価が上昇するように、経済の発展、成長を支援してまいりたいというふうに考えております。

岸田内閣総理大臣 今、黒田総裁からありましたように、共同宣言の考え方、これはベースとして政策を考えていきたいと思いますが、その上で、先日、黒田総裁と面会をし、政府と日銀が密接に連携していくことの重要性は確認をさせていただきました。政府と日銀が、内外の経済や金融市場をめぐる不確実性が極めて高い中、密接に連携しながら、経済、物価情勢に応じて機動的な政策運営を行い、構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定の目標の持続的、安定的実現を図っていく、こういった認識では黒田総裁と一致をいたしました。

 もとより、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきであると思いますが、こういった連携、共通の認識に立って、政府として、賃上げにつきまして、しっかりと政策を用意していきたいと考えております。

藤岡委員 そういう共通認識も、何となく会って確認しましたというだけでは霞が関に伝わらないんです。きちっと紙にして、デジタルでもいいです、そういうことを書かないと、全体の予算編成においても、予算の要求においても、きちっと明確にしておかなければこれは動かないんです。だから、それだけ共通認識を高めてきているのであれば書かなければ、だから、今回も、二十九兆も予算を膨らませながら、大事なところで、介護や保育士の予算など、できるところの予算も入らないんですよ。だから、私はしっかり明記をするべきだと思います。

 総理、ちなみに、構造的な賃上げは何%程度を目標にされているんですか。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 構造的な賃上げ、何%を考えているかということでありますが、これは、目の前の物価に見合うだけの賃上げを考えていかなければいけない、これがまず第一でありますが、その先、中長期的に構造的な賃上げを考えていく、こうした考え方を説明させていただいています。

 この中長期的な賃上げの部分について、今から具体的な数字は、今申し上げておりません。まずは目の前の物価高騰に見合うだけの、物価高騰を官民挙げてしっかり対応していく、このことが重要であると認識をしています。

藤岡委員 物価安定目標二%です。先日、財務金融委員会で、黒田総裁、二%を達成するには三%程度の賃上げが実現されていないといけないというふうな御答弁を私いただきました。全くこれは認識がずれていますよ。黒田総裁は、二%を達成する上で三%必要だというふうにおっしゃっています。ところが、今、岸田総理は、いや、特にそれは言えないんだという話でございまして、全く連携できていないじゃないですか。だからアコードをちゃんと見直さなくちゃいけないんですよ。

 総理、きちっとアコードを見直してください。

岸田内閣総理大臣 アコードについての見直しは考えておりません。

 そして、連携が重要だ、そのとおりであります。そして、今御指摘のように、物価高騰に対して三%の賃上げというような、様々な議論があることは承知しています。そういったものを踏まえて、政府としてしっかりと対応していくということを申し上げております。連携をしっかり取りながら、政府として、あるべき賃上げ政策を用意していきたいと考えています。

藤岡委員 残念ながら、やはり、政府、日銀、まだまだ連携が足りていないなということがはっきり分かりました。

 そして、総理、きちっと、賃金の目標をしっかり持ってください、何%ぐらい行くのか。それを持たなければ、これは何となく、その政策が成功したか失敗したかすら分からない。これはきちっとそういう目標を持ってやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 黒田総裁はこれで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 二%自体がどうだという、もちろんありますけれども、今日はもうここで次の質問に入りたいと思います、大丈夫です。

 では、続きまして、秋葉大臣にお伺いをしたいと思います。

 先ほど、いわゆる政治資金収支報告書の会費を購読料に訂正をされたと。先ほどの源馬委員の質問に対して、私も聞いておりましたけれども、大臣、これは本当に確認していなかったんですか、きちっと。どういう確認をしてこれは訂正をされたんですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今回、改めて相手方が提出した領収書を確認したところ、そこに資料代というふうに書いてあったことによって、訂正をさせていただいた次第でございます。

藤岡委員 今、資料代とおっしゃいましたか。資料代を確認したということでよろしいですか。

秋葉国務大臣 調査において、会費類の提出との項目がありましたが、会費を支出したという認識はなく、また、購読の契約先が旧統一教会の関連団体という認識もなかったために、申告をしていなかったようでございます。

 今回、相手方から発行された領収書にも、定期購読代あるいは「世界思想」代と明記されているところでございます。

藤岡委員 先ほど資料代とおっしゃいましたけれども、「世界思想」代ということなんですね。それは「世界思想」代ということでいいんですね。これを確認して訂正をされた。この中身について、大臣は、じゃ、これは確認されなかったんですか。

 実際に会費というふうに一回計上していたわけですよ。計上していたものが、「世界思想」代ということをもって、何でこれが購読料だというふうに言い切れるんですか。これを見ただけじゃ言い切れませんよ。何でこういう、どこまでの確認をされたんですか。

秋葉国務大臣 繰り返しになりますけれども、相手方から発行された領収書には、定期購読代あるいは「世界思想」代と、令和二年、令和三年、それぞれ記載されたのを確認しております。

 そこで、今委員御指摘のとおり、この定期購読代の雑誌はどんなものなのか、あるいは、「世界思想」代、「世界思想」という雑誌はどんなものなのかということで、現物は見ておりませんでしたが、こういうような雑誌だったということで、表紙は確認をさせていただいているところでございます。

藤岡委員 最初に会費と書いてあるんですよ。会費と書いてあるのに、領収書を見て、普通、「世界思想」代と見ただけでは、これが購読料なのか、何らかの会費ではないかと普通これは思いますよ。しかも、これは政治資金収支報告書の訂正ですから、虚偽の訂正をされたという可能性もあるわけですよ。しっかり確認をされていないんですか、本当に。

 虚偽の訂正報告ということになる可能性がありますけれども、大臣、これは本当にどこまで確認されたんですか。

秋葉国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほどもお答えさせていただきましたとおり、今回の指摘を受けまして、改めて領収書の原本を確認したところ、自然思想代と書いてあり、これは本来、雑誌の購読でございましたので……(発言する者あり)大変失礼しました、「世界思想」代と書いてありましたので、本来は会費ではなくて資料代、雑誌購読費として計上すべきところのミスが判明したので、本日修正の手続を行うと聞いているところであります。

藤岡委員 本当に、それは雑誌の購読料を含めた会費だったんだと思うんですよ。それは、源馬委員からの先ほどの資料の要求もございました。これは真摯なまたお答えをお願いしたいと思います。

 じゃ、次に参ります。

 影武者の話でございますが、たすきを、小さく次男と書かれたということでございましたが、大臣、先日の予算委員会で、いや、違法じゃないんだということをおっしゃっていました。大臣が今刑罰に問われるかどうかということを聞いているんじゃないんです。普通に法令の当てはめに照らして、これは違反ですよねということを確認させていただきたいと思いますけれども、大臣の御見解をお願いします。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今、本件に係る違法性の認識についてお尋ねをいただきました。(藤岡委員「いや、違う、違法性の認識じゃないです、法令の当てはめです。違法性の認識は刑事罰かどうかですから、そうじゃないです。一般論で、法律の規定に照らしてどうかという」と呼ぶ)

古川(禎)委員長代理 ちょっと、質問をもう一度し直してください。大臣、戻って。

藤岡委員 法令の規定の当てはめに照らしてどうですかということをお聞きしています。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 公職選挙法の違反かどうかにつきましては、個々の案件の事実関係に即して当局において判断されるものと承知しております。

 いずれにいたしましても、今後は、クリーン選挙を実践してきました原点に立ち返り、疑念を招くことのないように十分注意してまいりたいと存じます。

藤岡委員 法令の規定には反している、だって、これは候補者しか着けられないんですから。それはよろしいですよね、大臣。そこはお認めいただくということでいいですね。それはよろしいですね。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今後とも、こうした疑念が生じないように謙虚に受け止めて活動してまいりたいと思いますが、そもそも、私自身には法解釈の権限はございません。

藤岡委員 もう全く、法令の規定に照らしてそれが反しているかどうかお聞きしているだけなんですけれども、それに対するお答えがない。非常に、本当に、またこれは行ってしまうのかなというふうな感じがいたします。

 じゃ、続きまして、車上運動員の件についてお伺いをしたいと思います。

 大臣、予定表というのは、これは残されていないんですか、選挙のときの予定表。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 何日間、それぞれの関連の人間が車上運動員を実施したかということにつきましては、先ほどもお答えをさせていただきましたとおり、選挙終了後から二週間以内に選挙運動に係りました収支報告書を提出しなければなりませんので、直ちに確認をして、それぞれの日数分を把握して報告をさせていただいているところです。

 ただ、選挙終了から一年が経過し、当時の詳細な記録については処分してしまっているところであり、今となっては分からないということでございました。

藤岡委員 やはり、記録がない、記憶がない、山際大臣と同じであるなということを言わざるを得ません。

 大臣、続きまして、先日私もお伺いしました政治経済研究所、大臣の義理のお兄さんが団体をされているところに対しての、政治資金を寄附をされ、そして二年後に解散をされ、そしてその残金がどうだったのかという議論がございました。

 これは元々、政治資金を、ある意味、自由に使えるお金にロンダリングをされていたのではないかというふうに思われてもしようがないような話だというふうに私は思っておりました。そういう中で、最後、残金が三百十二万程度残られて、何だかそれをどうしたらいいか分からなくて手元に残っていたんだ、ようやくお話が来て、先日それを返金をされたんだということを、御答弁を他の委員会でされておるようでございますが、これは明らかに違和感がありますよね。

 そんな三百万円も超える大金を、どうしたらいいか分からなくて、しかも近しい親族で、それが手元に残っていて、それも三年もですよ、それを今になって、いやいや、どうだったんだと。私は、これは非常に不自然だと思います。どういう形で残っていたんですか、それは。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきたいと存じます。

 本来、私が代表を務める団体のことではなく、他の者が代表を務める団体のことではございますが、国会でも繰り返しお尋ねをいただきましたので、義兄に確認をしましたところ、政治団体を解散して残金は出たけれども、自分のものではないし、どう処理すればよいのかずっと考えていたとのようなことでした。その中で、日常に忙殺され、対応が延び延びになっていたところ、政党支部に戻すべきと考えたということでございました。

 また、総務省にも確認をいたしましたが、解散したその他の政治団体の残金に係る処理については、政治資金規正法上、特段の規定はないとのことでしたけれども、いずれにいたしましても、残金については、元代表者は自分のものではないという認識があり、既に当該政党支部に返金をいただいているところでございます。

藤岡委員 これはどういう形で保管されていたんですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 私が所管する団体のことではございませんので、どういった形で保管していたかまでは存じ上げません。

藤岡委員 この残金の経緯について、きちっとして予算委員会にまだお答えがないと思いますので、委員長、これはきちっと、どういう形で保管されていて、どういうふうになっていたのか、これはちゃんと予算委員会に報告をお願いしたいと思います。

古川(禎)委員長代理 後刻、理事会で協議いたします。

藤岡委員 総理、今、秋葉大臣に私もお伺いしておりましたけれども、なかなか、福島行きを取りやめて、そして、一体、例えば政治資金収支報告書の訂正にしても、これは確認も甘いですよ、非常に。そして、数々の、今日はまだ取り上げておりませんけれども、政治資金を御親族のところに、家賃を更に出していく。また、新しい収支報告を見ますと、金額が上がっていました。そして、この政治経済研究所、まだまだ不透明なお金。

 復興大臣というのは、非常に公平性が問われる仕事でもあると思います。公平性が問われるこの復興大臣の職務に、これまでのいろいろな御答弁をお聞きしていても、私は資質を欠いていると思いますが、総理は秋葉大臣の更迭をされないということですか。

岸田内閣総理大臣 復興大臣、公平性が重要だという御指摘ですが、要は信頼が大事だということなんだと思います。だからこそ、説明責任を果たしてもらわなければならないと考えています。疑念に対して説明責任を果たすべく努力を続けてもらわなければならないと考えています。

藤岡委員 分かりました。

 いずれにしても、明らかに、聞いていても本当に難しいと思います。総理、早急な決断を私はするべきだということを申し上げたいと思います。

 最後に、ワクチンの話をちょっとお聞きさせていただきたいと思います。資料をお配りさせていただいております。

 今回、四千七百五十億の予算が計上されております。最初の段階の確保のことについて何か私は申し上げるつもりはないんですけれども、その中で、これからの予算確保は、非常にやはり慎重に、よくよく検討していかなければいけないと思います。資料を配付させていただいておりますけれども、今、在庫の状況、廃棄の状況、こういうところをきちっと踏まえてこれからの予算というのはやはり考えていかなければいけないと思います。

 モデルナが、現在、四千七百万個ぐらいでしょうかね、今余っていると思います。その中で、これは従来株用でございます。有効期限は、これはあと、二月ぐらいで終わるというふうにも聞いております。これは廃棄になるというまず見通しでよろしいんでしょうか。

加藤国務大臣 現在、従来型ワクチンの接種促進に向けて、初回接種について年内に完了いただくよう、様々な媒体を活用して周知に取り組んでいるところであります。

 オミクロン株、御承知のように追加接種用でございますので、まだ一回、二回接種していない方、そうしたことを活用を図っていただいた上で、結果として有効期限を迎えてしまったもの、これは医薬品の適正な管理の観点から廃棄せざるを得ないというふうに考えています。

藤岡委員 そうすると、モデルナ四千七百万は廃棄になるというふうな見通しが高いというふうに思いました。

 その次に、武田、ノババックスの一億五千万回、このうち約五百万回は配送できるようになっているというふうにお聞きしました。残り、これも従来株だと思いますが、これも一億四千五百万回というふうに在庫と捉えていいんでしょうか。そして、これは供給をされたときにお金を払うんだというふうにはお聞きをしましたけれども、実際、例えば、今後、従来株、なかなか、接種というのは恐らく少ないでしょう。一億四千五百万回分のこの確保の分、これはどういう形になるんですか。これはキャンセルということになるんですか。

加藤国務大臣 武田社のノババックスワクチンについては、令和三年九月に一億五千万回分の供給契約を締結をし、順次国内で接種をしているところであります。これまで七百万回分が企業から国に納入され、約七十万回分を自治体に配送しているところであります。

 この契約においては、実際に必要となる時期や量を踏まえて、順次ワクチンを武田社に製造していただくこととしておりますので、必要以上のワクチンが製造、納入されることはないということでございますし、また、最終的に納入されなかったワクチンについてはキャンセルすることができる、こういう契約でございます。

藤岡委員 キャンセルできるということが今分かりました。

 その次に、オミクロン株ですね。一億九千五百万回分、今確保されていて、これは年内に納入を全てされてしまうんですよね。今日の朝日の新聞報道でもございました、なかなか接種が、一六%、進まない。一億九千五百万回分でございますから、恐らく、今後、なかなか、これも非常に余ってくるなということが容易に予想されます。

 加藤厚生労働大臣、これはどうですか、見通し。

加藤国務大臣 まず、今回、これだけの量を確保した、これはもちろん人口を超えるわけでありますけれども、当時においては、どの企業が実際にこれを開発できるか分からない、こういう状況の中で、令和四年中に確実に必要量を確保するということで、ファイザー社、モデルナ社、二社と契約し、約一億九千万回分を確保ということでございます。

 このオミクロン株対応ワクチンについては、初回接種を完了した十二歳以上の全ての方を対象に本年九月二十日から接種を開始しており、自治体に対しては、十二月末までに合計一億二百万回分を配送する計画をお示ししているところでございます。

 残りの九千万回分のワクチンの活用については、今後の感染状況や、また新型コロナの感染法上の位置づけ等にもよるところでありますが、今後、新型コロナワクチン接種の在り方、これを検討していく中で適正に判断したいと考えています。

藤岡委員 これで最後の質問にさせていただきたいと思いますが、今、接種の在り方を検討するということもおっしゃいました。その中で、今後また、この四千七百五十億円、そして九千万回分ということで私はお聞きをしました。

 国民の接種行動は随分変わっております。そして治療薬もできてきている。随分変わってきている中で、この四千七百五十億円、九千万回分、これはどういうふうな、そういうことを反映して組まれているんですか。総理にお伺いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、補正予算案において、新型コロナワクチンを確保するための必要な予算四千七百五十億円を計上しております。

 来年度の新型コロナワクチン接種の在り方、その必要性、あるいは枠組み等について現時点では決まってはおりませんが、これは来年度後半に接種する可能性も想定して今回の補正予算に計上しているというものであります。

 新型コロナとの戦い、これは自然との戦いであります。国民の安心そして安全のために、この状況をしっかり把握しながら、機動的に対応できるために、こうした予算を用意していくことは重要であると考えています。

藤岡委員 時間が来ましたので終わりますが、これからの確保については本当により慎重に御検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

古川(禎)委員長代理 この際、逢坂誠二君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二でございます。早速質問させていただきます。

 まず、秋葉大臣にお伺いします。

 秋葉大臣、先週金曜日の質疑の中で、奥さんのお兄さんが代表を務める政治団体、政治経済研究所に六百万円を寄附した、この寄附などについて、親族への資金の横流し、還流ではないかと問われ、二十五日、大臣は色をなして反論をしたんですけれども、一体何に反論したんですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 活動の事実があったということに加えまして、この原資となっているものは、政党交付金すなわち税金が使われていないという意味で、自信を持ってお答えをさせていただいたところでございます。

逢坂委員 活動の実態があったことと、原資が税金ではないと。税金ではないとはいいながらも、それは政治資金ですね、皆さんから御寄附をいただいたりしたもの。それを自分の親族で自由に使えるような形にするというのは、それは、御寄附いただいた方などに反することになると私は思いますけれども。

 活動の実態があったということですが、それでは、この奥さんの御実家、ここを事務所としているわけですけれども、この事務所賃料を払っていますが、この領収書は発行されているんですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今朝の理事会の資料に提出させていただいていると聞いておりますけれども、この政治経済研究所は、私の団体ではございません。したがいまして、法律上はその他の政治団体に区分されているところでありまして、その他の政治団体の場合には、政治活動費が五万円以上のものについてのみ選管に提出することが義務づけられているところでございます。一般の経常経費についても、選管に届け出る義務はございませんけれども、五万円以上のものは手元で保管することが義務づけられております。今回の支払いしました家賃につきましては、五万円未満だったことから、領収書は徴収していないと伺っているところでございます。

逢坂委員 結論から言えば、領収書は取っていないということですね。だから、実際に家賃の受け払いがあったのかというのは第三者には分からないということだと私は思いますよ。

 それじゃ、事務所の実態はあったんですか。実は私、昨日、事務所の場所に行ってまいりました。事務所の実態はあったんですか、ここには。

秋葉国務大臣 ここの自宅のポストに政治経済研究所という名札を貼っていたということは伺っておりますし、基本的に、私が主宰する政治団体ではございませんのでお答えする立場ではないかと思っておりますが、度々この委員会でも聞かれておりますから、改めてヒアリングをしたところ、当時、ステッカー、二年前に解散しておりますので今は外しておりますけれども、表記ですね、表記を書いていたということと、事務所として使っていた、一部ですね、それは確認をさせていただいているところでございます。

逢坂委員 私、住宅地図を確認しました。そうしたら、住宅地図の中に政治経済研究所というふうに書いてありましたので、いずれかの時期には多分何らかの表記があったものというふうには思います。

 しかし、事務所の実態というのは、ステッカーを貼るだけで事務所になるんですか。いかがですか。

秋葉国務大臣 お答えさせていただきます。

 基本的に、私が主宰する政治団体でございませんので、事務所として具体的にどのような利用をしていたか分かりませんが、お借りをしていた、一戸建ての一角をお借りして、例えば帳簿づけとか、そういった作業は行っていたのではないかと推測しているところでございます。

逢坂委員 賃料の領収書もない、事務所の実態は御本人は確認していない、それでも賃料を払っている形跡はある、これは、自分たちで自由にお金を使えるようにしているとしか思えないんですけれどもね。

 大臣、ところで、この政治経済研究所、これは二年余りで解散しました。解散した理由について大臣は、自分の事務所で対応できる範囲というふうに説明されていると承知しているんですが、自分の事務所で対応できる範囲というのは、これはどういう意味ですか。

秋葉国務大臣 この政治経済研究所が設立されたのは、二〇一七年の総選挙のあった、直後の年でございます。当時、私が当選六回を果たしたことから、もう少し東京での足場を広げていった方がいいのではないかということで設立をしていただいたというふうに聞いております。

 その中で、勉強会でありますとか、会食形式の会合でありましたとか、実際上、複数回いろいろな催しは開催したんですけれども、義兄が中心になっているのはさることながら、私の議員会館の事務所でも少しお手伝いするようなところもあったと伺っておりますので、そういった運営上の問題で不要になったというふうに伺っておるところでございます。

逢坂委員 すなわち、大臣、客観的に見て、あえて義理のお父さんのところに事務所を設置するなどということは必要のない活動だったんじゃないか、そう思わざるを得ないんですよね。御自身も実際に事務所のありようを確認されておらないということは、先ほど答弁されました。しかも、賃料についても、領収書もいただいていないということも答弁されました。これは、政治資金の親族への横流し、そう指摘されても仕方がない。

 だったら、ちゃんと説明してくださいよ、首を横に振っていますけれども。説明できないじゃないですか。どうやって説明してくれるんですか。

秋葉国務大臣 お答えさせていただきます。

 繰り返しになりますが、本来は、私が主宰する政治団体ではございませんのでお答えする立場にはございません。しかし、度々この委員会でも取り上げておりますことから、しっかりとヒアリングをして実態を調査したところ、先ほどもお答えいたしましたけれども、その他の政治団体の場合には、領収書の提出というのは、政治活動費に関わる部分で五万円以上、そして、経常経費につきましては、提出の義務はございませんけれども手元に保管をしていなければならない、こういうルールでございます。

 義兄に改めて確認しましたところ、この経常経費については五万円未満だったことから、徴収自体していないということで、誠実に事実関係を説明させていただいているつもりでございます。

逢坂委員 繰り返しの説明しかできないわけで、これで第三者が納得できる説明だとは思われません。事務所の実態も、御自身も把握していない。

 それから、大臣は繰り返し、自分とは違う政治団体だとおっしゃっていますけれども、この政治団体の原資、何ですか。大臣が支部長を務める政党支部から六百万円出ていて、その他の収入はないんですよ。丸々あなたの政党支部から出ているものなんです。それを関係ないなんてことは言えない。このことは明確に指摘をしておきたいと思います。

 ところで、大臣、仙台の政党支部の事務所、ここも家賃を奥さんにお支払いになっていますね。これも身内への政治資金の横流し、還流じゃないんですか。違うんですか。

秋葉国務大臣 先般の予算委員会でも同様の御質問がございました。

 他の方の所有物に対して適正な家賃を支払っているというのが実態でございます。

逢坂委員 確かに、奥様は他の方であるでしょう。でも、大臣、元々この物件、大臣が所有していたんですよね。二〇〇〇年に大臣が購入したものじゃないですか。

秋葉国務大臣 今、急な御質問でございましたので、正確な日付までは……(逢坂委員「日付はいいです」と呼ぶ)よろしいですか。(逢坂委員「元々大臣のものだったか」と呼ぶ)間違いなく、この物件につきましては、私と家内の共有名義での購入でございました。

逢坂委員 これを、大臣、後に奥様に贈与されていますね。贈与されているから、これは家賃の支払いが生ずるということになるわけですか。大臣の名義のままだったら、家賃の支払いは生じないんですか。いかがですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 この中古物件、当時もう築二十数年たっていたと思いますが、家内との共有名義で購入をさせていただいたところであり、家内の所有権があるということでお支払いをさせていただいているということでございます。

逢坂委員 この物件、贈与の事実はないですか。現在、秋葉大臣の持分はあるんですか。贈与の事実はないですか。

秋葉国務大臣 まず、手元で事実関係、今、確認できました。

 当該物件の、この中古建ての住宅につきましては、二〇〇〇年、平成十二年に、私と妻の共有名義で購入したものであります。

 その上で、贈与についてでありますが、十七年前のことでありまして、はっきりとは思い出せませんけれども、今振り返ってみますと、ちょうど、この贈与を決めた時期というのは、私が県議会議員から国政選挙に挑戦する決意を固めた時期でございました。その際に……(発言する者あり)もちろん贈与を前提にお話をさせていただいているわけでございますが、その際に、それまで三期十年にわたって県議会議員としての私の活動を支えてくれた妻に対して、何か見える形で感謝を示したいと思って贈与したものでございました。

逢坂委員 事情はともかく、贈与をした。大臣、これは、贈与しなければ家賃の支払いは生じない、その理解ですか。

秋葉国務大臣 重要なポイントは何かといえば、贈与云々の前に、誰がこの建物の所有者であるかということだと思います。その建物の所有者の持分に応じた負担を家賃という形で支払いをさせていただいているところでございます。

逢坂委員 明確な御答弁をいただけないんですけれども、贈与がなければ家賃の支払いは生じない、そういう理解ですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 事実関係として、贈与をする前にも妻の持分はございました。

逢坂委員 お答えになられないんでしょうけれども、この点も、要するに、政治資金を御自身の身内で自由に使えるように横流しをしているのではないか、贈与がなければそういうことはなかったはずですので。この点、後でもう少し大臣に調べていただいて御答弁いただきたいと思いますけれども。

 それでは、次のお話をさせてください。

 大臣の影武者の問題ですけれども、実は、昨日とおとつい、私、大臣の御地元の方複数名に話を聞かせてもらいました。大臣のことについて幾つか話を聞かせてもらったんですが、大臣、この影武者というのは、今回の選挙だけじゃないという声があるんですよね。前回の選挙のときも、大臣以外の方がたすきをかけて街頭に立っていた、秋葉先生の選挙ってそういうの多いんだよねという話を聞いたんですが、これは事実ですか。前回の選挙だけじゃなくて、前々回ですね。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員からそういったお話を初めて伺ったところでございます。

逢坂委員 それでは、大臣、前々回も影武者を使っていなかったのかどうか、これは、是非御確認いただいた上で、理事会に御報告ください。

 委員長、よろしくお願いします。

古川(禎)委員長代理 理事会で協議します。

逢坂委員 それと、大臣、今回御地元の方に話を聞いたら、今回の選挙は御次男一人だけが影武者だったと言っているんですよね。前回は複数いたんじゃないかという話もあるので、それも含めて。いや、私、分からないから聞いているんです。

 それから、先ほどの藤岡委員の質問なんですが、先週の二十五日、政府参考人がこの件についてこう言っているんですね。たすきについては公職の候補者が使用するものが認められており、選挙時において候補者本人の名前が記されたたすきは一般的には選挙運動のために使用する文書図画に該当するため、候補者以外の者が使用することはできないものと解されておりますと。

 これについて、大臣、これは、この規定はこのとおりだというふうに思われますか。

秋葉国務大臣 先ほどもお答えしたところでございますけれども、それが適法かどうかについては個々の事案において当局が判断されることでございまして、また、私自身に有権解釈はございません。

逢坂委員 これは単なる法律の条文の解釈を総務省の担当が説明をしている、それはそのとおりかどうかということは、一般論としても自分は判断できない、そういうことですね。判断できないような方が大臣をやっているのでは、本当に困ったものだなというふうに思います。

 それと、大臣、私、今回話を御地元の方から聞いて、面白い話を聞きました。秋葉大臣は統一教会とはさほど関係がなかったはずなんだよねという話を聞いたんですが、これは事実ですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 そのとおりでございます。

逢坂委員 随分明確に覚えておられるんですね。旧統一教会とは余り関係がなかった、そのとおりでございますと。

 その後、この方はこういう話をされました。統一教会と余り関係がなかったものだから、秋葉大臣側の方から積極的に旧統一教会に働きかけをして、できれば、集会などがあれば参加をしたい、御案内いただけないか、こういうアプローチをどちらかといえば秋葉事務所側からやったのではないかという話もあったんですけれども、この点はいかがですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 そういった事実はないものと承知しております。

逢坂委員 秋葉大臣は余り旧統一教会とは関係がなかったと言った人もいれば、逆に、実は会合に頻繁に行っていたんじゃないかなとおっしゃる方もいるんですよ。

 例えば、二〇一八年の十二月九日、これは先ほども出ていましたけれども、名取の市民会館、それから、二〇二〇年の一月二十六日、仙台国際センター、こちらで旧統一教会関連の何か会合が開催されていると。大臣、ここに参加をされているはずだという話があったんですが、間違いなら間違いと言っていただければいいんですけれども、これは事前に事務所の方にも連絡をしておりますので、多分、行ったか行かないかは調べられていると思うんですけれども、いかがですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 私自身、覚えておりませんし、事務所にもそういった資料は残っていないというようなことでございました。

逢坂委員 日付とか時間とか、あるいは具体的な会場の場所とか、そういうのは、ああ、どうだったかなということはあるんですけれども、分からないなということは多くの人もあると思います。だけれども、その集会そのものに行ったことも覚えていない。

 じゃ、行っていないという断言もできないんですね。

秋葉国務大臣 多賀城での集会のことは、前回、聞かれましたので、出席していないと思うということを答えましたが、その名取と仙台のことは初めて伺いましたので、それも含めて全体で確認したところ、ないということだったものですから、ないと思いますということで先ほど答弁をさせていただいたところでございます。

逢坂委員 了解いたしました。仙台にも、それから名取にも出席していないということでございますね。

 それでは、大臣、私、大臣の話を聞いていて思うんですけれども、全く説明になっていないんですよ。例えば、東京のお父さんの、奥さんの御実家のことも、御自身で調べられもしないで、事務所の実態についても、ステッカーが貼ってあったみたいな話をするわけです。ほかのこともみんなそうです。だから、説明責任を果たすということは、全くその説明責任を果たされていない、その指摘はあえてしておきたいと思います。

 総理、そこで、お伺いします。

 総理は、統一教会との関係を絶つというふうに言っているんですけれども、なぜ統一教会との関係を絶つんですか。

岸田内閣総理大臣 閣僚を含む多くの議員が、社会的に問題がある旧統一教会、その関連団体と接点を有していたことが明らかになり、結果として国民の皆様の政治への信頼を傷つけた、こうした認識に基づいて、将来に向けて関係を絶つことをしなければならない、このように判断した次第であります。

逢坂委員 総理は、社会的に問題があるということは随分強調されるんですけれども、私は、もう一つ問題があると思っているんですよ。

 お手元に資料を配っておりますけれども、これは統一教会の元の総裁でしょうか、文鮮明さんの言葉ですけれども、「日本はすべての物質を収拾して、本然の夫であるアダム国家である韓国の前に捧げなければならない」、こういう基本的な考え方があるようなんですね。要するに、必ずしも日本にとって友好的とは思えない、どちらかといえば日本を敵対視するようなイメージですよ。こういう考え方が基本にある。

 それから、これはこのことに関する解説、これは桜井さんという大学の先生が書いていることですが、「日本が韓国を…植民地支配し…この罪を日本人は償うべきとして一般の人々の財産を霊感商法や万物復帰で神の側に戻す」、こういう考え方があるわけですね。

 したがって、要するに、よく一般的に言う言葉ですけれども、反日的な考え方があるんじゃないか、ここが実は統一教会の大きな問題点なんじゃないかというふうに指摘をされているわけですが、この点については、総理、どう思われますか。

岸田内閣総理大臣 統一教会の中の考え方や教えについては、これは宗教における、信教の自由に関わる問題ですので、私の立場から具体的にコメントすることは控えますが、ただ、少なくとも、私や政府あるいは自民党の考え方とは違っている、異なっているということは言えるかと思います。

逢坂委員 すなわち、私も、この考え方、私も一人の日本人として、受け入れることはできません。自民党の考え方とも違うというふうに、総理、おっしゃられました。

 しかし、この間、自民党の皆さんは、こうした団体から選挙の応援を受け、集会に行って、この団体がやっていることを称賛し、しかも、これは総理にまで伝えるとまで発言した方もいるんですよね。

 これは、二〇一九年、旧統一教会系の会合ですけれども、細田議長さんが行かれまして、「韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの場は大変意義深い」、「安倍総理に早速報告したいと考えております」、極めて密接で、極めて評価をする発言をされているわけですよ。

 これはもう、自民党としての大いなる矛盾なんじゃないですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今、三権の長の立場にあられる方の発言について、私の立場からコメントすることは控えますが、いずれにせよ、閣僚を含む多くの議員、また多くの自民党国会議員が、社会的に問題がある旧統一教会、その関連団体と接点を有したことが明らかになり、政治の信頼を損ねたということについては、率直におわびを申し上げなければならないと思います。

 その上で、これまでの自らの関係を精査し、そして明らかになったならば、これは説明責任を果たしていくこと、そして何よりも、今後、当該団体との関係を絶つということ、これを徹底していくことが重要であると認識をしております。

古川(禎)委員長代理 逢坂君、申合せの時間が過ぎております。

逢坂委員 総理、今、関係を精査するというふうに言いました。関係を精査するためには、所属議員の十分な調査が必要です。来年の春には統一自治体選挙も控えています。地方議員を含めて、総理、しっかり調査をする、そのことを私は総理に提言をしたいと思います。そうしなければ、今回の秋葉大臣のように、次々次々また関係が後に明るみになって、本当に国民の皆さんから信頼が得られるという状況にはならない、そのことを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございます。

古川(禎)委員長代理 これにて泉君、長妻君、大西君、石川君、本庄君、後藤君、西村君、源馬君、藤岡君、逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は大分冷え込んだ朝に東京もなっております。これからどんどんどんどん寒くなっていって、もう燃油代で高騰があって、そして生活にも困る方々も出てくるということで、今回の補正予算の審議は非常に大事なものだというふうに思っております。

 私の方からは、補正予算の中で特に経済対策、そしてエネルギー高騰対策、また規制緩和、そしてまた、そもそものエネルギー、カーボンニュートラルに向けた取組について、政府の考えをお聞きをしたいというふうに思っております。

 まず最初に、物価対策、価格高騰対策でございます。その中で、私ども日本維新の会が政府のこのやり方についてずっと問題があるんじゃないかということを申し上げてきたことが、物価高騰対策においても補助金を、これをどんどん配っているというようなやり方が非常に多いんではないかということをまず指摘をさせていただきたいというふうに思うんですね。

 電気・ガス価格激変緩和対策事業というものが今回三兆一千七十四億円、そして燃料油の価格激変緩和対策事業が、これはさきにも行われておりますけれども、今回も三兆二百七十億円計上されているということで、合わせて六兆一千億円以上もの額が計上されている。非常に大事な対策ではあるとは思うんですけれども、このやり方ですね。これが、例えば燃油価格高騰対策についても石油の元売会社に補助金を入れるというようなやり方を政府はされているわけなんですけれども、しかし、やはり、それで本当に消費者、国民の皆様のところにその補助金がちゃんと届くのかという問題が指摘をされています。

 財務省の先般の事業の精査によっても、五千五百億円をさきの補正予算によって燃油価格の激変緩和対策事業に使ったわけですけれども、このうち約百十億円が価格維持以外に使われたというようなことが指摘をされております。またこのようなやり方を今回も政府として推進をされるということですけれども、まずお伺いをしたいというふうに思います。

 補助金を入れた石油元売の会社数、これは三十四社ということでございますけれども、今回の補正予算で新たに電気やガスに入れていきます。電気に入れていくやり方は、小売事業者に対して補助金を入れていく、そして電気の料金をそのままユーザーの皆さんに反映させるというような仕組みを取っておりますけれども、電力の小売会社というのは何社あるんでしょうか。お答えください。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 小売電気事業者の数は、十一月二十二日の時点で七百三十二社であります。

小野委員 先ほど申し上げました石油の元売は三十四社ですけれども、電気の場合には自由化も進んだということもあって、お答えいただきましたように七百三十二社もあるということで、これを的確にウォッチして、確実に値段が下がっているのかどうかということを、これをチェックするのも非常に大変なことだというふうに思うんですけれども。

 これは総理にお伺いしたいと思いますが、今回の電力の価格高騰策について、先ほど申し上げたような燃油高騰対策のように、途中で事業者の支援、あるいは配賦する、値段を下げるための事務費に消えるとか、そういったことでロスすることがないのかどうか、このやり方について本当にこれで確実に消費者の皆さんに恩恵があるのかどうか、そこをお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 電気料金の激変緩和事業における支援措置ですが、委員が今御指摘になられたように、事業者七百三十二社、本当に多くの事業者も関わっている、こういった実態を把握して、既存の料金システムを活用して支援額が国民の皆さんに届くようにという工夫をいたしました。すなわち、国民の皆様方お一人お一人に届く請求書、この書類の中に、どれだけの支援が行われたか、これが明記されるような仕組みを準備いたしました。できるだけ透明性を確保した方法で実施をしていきたいと考えます。

 そして、さらに、支援に際しては、需要家に対する販売実績、これを確認し、事後的に確定検査を実施すること、これも行いたいと思います。

 こうしたことを通じて、いわゆる中抜き、こうしたことを発生させない、こうした仕組みとしていくことを考えております。

    〔古川(禎)委員長代理退席、牧原委員長代理着席〕

小野委員 お答えをいただきました。是非これは徹底していただきたいと思います。

 総理がまさにおっしゃいましたように、透明性、説明がつくことが一番大事だというふうに思います。理想的な配り方というのは、どんな仕組みを使ったとしても、これは一〇〇%はうまくいかないというふうに思いますし、また、何らかの事務的経費が発生することだって、当然それはあることだと思います。

 私がこの問題について経産省にお聞きしたときも、経産省さん、非常に自信を持たれていました。本当に使っていくお金が消費者の方にそのまま行くんですというような形で、大分自信を持たれているようでしたけれども。ただ、やはり、また財務省がこれは調査することになると思いますから、本当にどれだけのお金が直接電気代の値下げに結びついたのかというような検証をしっかりしていただきたいと思っております。

 次に、物価高騰対策に関して、我が党がずっと申し上げてきた消費税の減税、これについて、これも何回も、この予算委員会を始め様々なところで質問されていることでございますが、改めてお伺いをしたいと思います。

 私ども日本維新の会は、政府・与党が今やっているように、いろいろなところに配るということも、これを別に完全に否定するわけではありませんけれども、もっともっと効率的で、そして納得感があって公正性があるような給付の仕方というものを目指すべきではないかと思っております。

 コロナ禍や、あるいは物価高騰対策において、世界各国で付加価値税を導入しているところが消費税の引下げというものも時限的にやっているわけですけれども、これを私ども何回も何回も主張してもなかなか聞いてくださらない。そこに、なぜ、できない理由があるのかということを、財務大臣、お答えいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 消費減税を実施しない理由ということでございますが、端的にお答えをいたしますと、消費税につきましては、急速な高齢化等に伴いまして我が国の社会保障給付費が大きく増加している中で、これをあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられております。全世代型社会保障制度を支える重要な財源であるため、減税は考えておらないところでございます。

小野委員 この答弁は何回も繰り返されていることではございますけれども、ちょっとパネルを御覧いただきたいと思います。資料一でございますけれども、補正予算ですね。

 これは非常に経産省の場合にも膨れ上がっているというようなことがございます。当初の予算、令和四年度の当初予算が一兆二千二百五十七億円なんですけれども、今回の二次補正予算、本当に、破格といいますか、物すごい跳ね上がりなんですね。先ほどの燃油高騰対策とか電気代の引下げということに使うというのも六兆ある、それを差し引いてもかなりの額に上っていて、経産省だけで十一兆一千二百七十四億円ということで、約九倍の予算額になっています。

 そもそも、私は、経済政策を党でも一番中心にやっておるんですけれども、経産省の予算自体はもっともっと増やすべきだろうという立場です。しかし、そうであれば、当初予算でちゃんとそれを用意しなければいけないんじゃないのかというようなことがありますけれども、このように本当にはるかな規模の予算が当初ではなく補正予算で積み上げられているというようなことが起こっているわけなんですけれども。

 先ほど、財務大臣、社会保障費用で使っているとか、いろいろなことで消費税は下げるわけにはいかないんだというようなこともおっしゃいましたけれども、ただ、私たちは、例えば自治体のレベルで、我が党が地域政党でやっているところについては、増税もせずに、そして借金にも頼ることなく、改革を行って財源を生み出すという努力もしています。

 消費税を下げることはまかりならぬという一方で、これだけ補正予算の規模で、大盤振る舞いもしているというようなことで本当にいいのかと。私は財務官僚の皆さんに問いたいんですよね。本当に、国の財布を預かるようなプライドを持ちながら仕事をしている人たちが、物すごく短期間の中で審査ができない、精査ができないような中で、どんどん押し切られて、補正予算の中身も、これから我が党の質問でもどんどんその中身についても質問させていただきますけれども、本当に緊要性がないものについてどんどん積み上がっている。

 こういったことが本当に財務省として、これは財務省のトップとして、大臣として、何かじくじたる思いがないのか、あるいは、危機意識がないんじゃないかというようなお心、お気持ちをお持ちなんじゃないかと思いますが、お伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 これまで、新型コロナでありますとか物価高騰等に対しまして前例のない規模の補正予算等により対応してまいりましたが、これは、国民の命や暮らしを守るため、危機に必要な財政出動はちゅうちょなく行わなければならない、そういう考えに基づいて行ったものであり、適切な対応であったと考えております。

 その上で、先生から御指摘がございました、危機意識を持たなければならないのではないか、こういうことでありますが、もちろん、そうしたことも考えなければいけない、こういうふうに思っております。

 これまでの新型コロナ対応や累次の補正予算の編成等によりまして、財政状況がより一層厳しさを増しているということは、これはもう事実でございます。足下の喫緊の課題である物価高騰等に対しては切れ目のない対応を行い、万全を期してまいりますが、目の前の課題に必要な対応を行っていくことと中長期的な財政健全化に取り組むことは決して矛盾するものではないと考えます。

 財政は国の信頼の礎であり、新型コロナへの対応という例外からの脱却、平時への移行、これを図りながら、歳出歳入両面の改革の取組を続けまして、経済再生と財政健全化の両立に取り組んでいかなければならない、そのように考えております。

小野委員 お答えをいただきましたけれども、来年はこんな補正予算はないようにやはりしなければいけないというふうに思うんですね。

 今、鈴木大臣、危機的な状況、いろいろと、燃油高騰、物価高、そしてまだコロナも続いているとかというようなことをおっしゃいましたけれども、ただ、やはりやり方があるだろうと思います。そのことはもう年度の初めから分かっていたことですし、やはり、予算が、圧倒的に、百兆円も超えている中にあっても、更にまた三十億円も計上される。これを、何か、いろいろと緊急的に対応しなければいけないけれども、みんなが麻痺していること自体が国家の危機なんじゃないのかというように私は思っています。

 私も地方自治を行政、執行部の立場でやっておりましたけれども、自民党の県議の方々も、これだけの補正予算が積まれると、やはりめちゃくちゃ怒られます、これは本当に緊要性があるのかと。これは与野党を問わず、やはりそういう問題意識を地方議会は持っています。それはなぜかというと、地方の場合には、それこそ財務省、そして総務省から頭を押さえられていて、勝手に借金をどんどん、これを重ねることができない構造にあるからです。そういった緊張感が与野党共に、地方行政、地方政治ではあるわけなんですけれども。

 でも、政府がこのように巨額な補正予算を積んでしまえば、それを地方が執行しなければいけないわけですね。そうやって、日本全体がだんだんだんだん、ぬるま湯につかってゆでガエルになっていくように、危機を危機と思わなくなる。こういうことがまた来年も繰り返されるようであれば、本当に日本は信認を失ってしまうんじゃないかというふうに思いますけれども、総理もこの危機意識についてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、財務大臣からお答えさせていただいたように、今、目の前の経済的な危機に対してしっかり迅速に対応しなければいけないという直近の課題と、そして中長期的に日本の財政の健全化を考えていかなければならないという課題、これは両立させなければならない課題であり、そして、日本の財政に対する信頼、これは間違いなく我が国の信頼の礎になるものでありますから、国際社会あるいは市場からの日本の財政に対する信頼をしっかり維持するべく、この二つをコントロールしていかなければいけない、これが政府の立場だと思います。

 そして、補正予算、大変大きなものになった、そしてこうしたことを繰り返してはならないと委員おっしゃいましたが、補正予算は、その時々における日本の経済社会の状況あるいは国民生活を守るために何が必要なのかという問題意識、あるいは危機感の表れであると思います。当初予算と比べて、今、何が求められているのか。

 委員、パネルで、経済産業省の予算、補正で十一兆一千二百七十四億円になった、これは当初予算と比べてこんなに大きくなっている、この御指摘、これは数字はそのとおりでありますが、この中身は、委員も一部触れられましたが、そのうちの六兆円は、先ほど来議論になっております電気、ガス、燃料油、これに対する激変緩和措置です。それから、あと二兆円は、今我が国の経済の強靱化が問われている中であって、サプライチェーンを強化する、あるいは半導体等の重点投資をしっかりと応援する、こういった予算が二兆円含まれている。さらには、賃上げを是非実現しなければいけないということで、継続な賃上げの促進のための中小企業支援、これが〇・八兆円盛り込まれているなど、これは、今の経済の状況に対して政府として的確に何をしなければいけないか、こういった問題意識の下に各項目を積み上げ、結果として補正予算において経済産業省の予算がこうした数字になったということであります。

 これは、来年以降も、状況はどんどんと変化するわけですから、その状況の中で的確に何が求められているのか、これは政府は判断していかなければならないと思います。もちろん、額、規模についても、冒頭申し上げたように、財政の信頼を維持していくこと、大変重要でありますが、その一方で、補正予算においては、激動する経済状況の中で何が求められるのか、これを的確に政府が判断し、そして経済対策として応援するために予算を用意する、こういった姿勢は絶えず維持していかなければいけないのではないか、このように思っています。

小野委員 総理から、もちろん間違ったことはおっしゃっていないんですね。でも、その中身が本当に必要なのかどうか。おっしゃるような、私も、この経済政策、日本の経済を再び復活させるために必要な予算も入っているとは思っています。ただ、後ほど我が党の議員からもたくさん指摘があると思いますが、そもそも執行できるのかどうかというような額でもありますし、また、基金で積んでしまうことによって国会のチェック、本当に十分に働くのかというようなこともありますし、本当に、当初予算でしっかりと十分な審議をした形での、単年度主義という原則が今あるわけですし、それはやはり、こののりを政府としてしっかりと持つべきだろうということ、これを指摘しておきたいというふうに思います。

 この議論、かなり総理の答弁も力が入って長かったので、ちょっと次に移りたいと思いますけれども、その中身ですね。どういうふうに予算を、ちゃんと、例えば経済対策であれば、皆さんに、本当に必要なところに届くようにするのかということについて、私は、これは国民の皆さんも多く疑問を持っていらっしゃると思いますけれども、住民税の非課税世帯に対しての給付というものが、これが昨年の十一月にも閣議決定なされましたし、今年の九月もそうです。そのようなことをやられている。あるいは、児童扶養手当とか、あるいは、今回、四月以降に生まれた子供たちとか、こういうふうにいろいろ配って、これは様々苦労して、どこに配るのかということを毎回毎回お考えになっていると思うんですけれども、そもそもやはりすごく不公平で、そして、本当に効果があるのかということが明らかにならないような配り方を繰り返しているんじゃないかというふうに思います。

 これは何でこうなっているのかというと、やはり私はDXだというふうに思うんですね。これはもう皆様いろいろ苦労されているとは思いますけれども、なかなかDXが進まない。特に、マイナンバーカードによって所得を捕捉する、あるいは、それぞれの御家庭あるいはそれぞれの方々がどんな状況に置かれていて、どういうことに困っているかということが政府が分からないので、的確にプッシュ型で支援することができない、こういうことが続いているわけです。

 国民の皆様も、特例定額給付金の十万円が配られたときに、私も半年間ぐらいやはり来るまで待ちましたけれども、この状況が、もう二年半たっているのに、政府は全然改善をされていない。

 私もIT系のコンサル会社にいましたけれども、こんなプロジェクトをやっていたら普通は首になってしまいます。プロジェクトマネジャーもプロジェクトのリーダーも当然首ですよ。これがやはり、今本当に生活が苦しくなったり、あるいは物価が上がってきつくなっている人たちに、ちゃんと適宜適切に、そして、海外の先進国であれば給付が決定されれば一週間もたたないうちに給付されるような仕組みというものを、この間二年半も、政府・与党、時間があったわけですけれども、なぜ進まないのか。

 やはり、そこが本当に、我々は、今、世界は多様化していて、そしていろいろな問題に対してきめ細かく対応しなければいけないのに、それができていないということがずっと続いているんだと思いますが、これを打開するつもりは、総理、あるんでしょうか。

河野国務大臣 問題意識は全く同じだと思っております。

 現在は、公金受取口座登録法に基づいて特定公的給付に指定をすると、自治体における支給事務の効率化をすることができるようになっております。これまでに、昨年五月の制度開始以来、七件の国の給付金、九十件程度の自治体独自の給付金が特定公的給付に指定されて、マイナンバーを用いた給付につながっているところでございます。

 恐らく委員は、もっとリアルタイムに所得を把握して給付をせよというお考えなのではないかと思っておりますが、今のところ、残念ながら、前年の確定申告のデータしかございませんので、改善の余地というのはいろいろ検討しなければならないんだろうと思いますが、まずはこの制度をしっかり活用してまいりたいと思っております。

岸田内閣総理大臣 今、河野大臣の方からマイナンバーを用いた特定公的給付の指定制度について紹介がありましたが、まだ、活用につきましては、国主体の給付金で七件、自治体独自の給付金で九十件、こうした件数にとどまっています。

 これを拡大していくこと、これはもちろん考えなければいけませんし、マイナンバーあるいはマイナンバーカードの普及等を通じて、よりこうした迅速な行政に結びつけていく、こうした姿勢は重要だと思います。是非、政府全体の取組として、こうしたデジタル化、大いに活用し、進めていきたいと考えています。

小野委員 これは、もう時間がたっておりますので、本当に、岸田総理が在任中にでもやらなければいけないことだというふうに思います。IT化というのは、デジタル化というのは、これはトップダウンがなければできません。例えば大手の企業でも、システムの統合に失敗しているところというのはリーダーシップがないんですね。

 ですから、様々な御不安の声とかが国民の皆さんからもあります、デジタル化にして自分の情報が政府に握られてしまったらどうしようかということがありますけれども。そこはしっかりと、セキュリティーをちゃんと担保した上で、すごく今メリットがやはりあるわけですね。これだけ一人一人が困っている状況が違う世の中にあって、政府が迅速に対応するために必要なのがデジタル化なのだということを、これを、政府の代表として、国のリーダーとして、総理がちゃんとメッセージを発して、そして、反対をしている方々に対しても納得していただく。そして、その批判は、本当に何か事故があってセキュリティーが侵されたときに責任を取る、そのときに追及してくれというふうに、いろいろな立場の政治家も政党もありますけれども、そのことをやはり共通認識としてやらなければいけないんだというふうに思っています。

 大分、前半でかなり時間を使ってしまいましたが、もうぱっぱといきたいというふうに思います。

 配り方の問題としては、国交省の予算でも、例えば高速道路料金の引下げというものを延長するという措置をされておりますけれども、これは何で大口や多頻度だけが対象になっているんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 高速道路料金の割引制度ですが、目的は、一般道路の沿道環境の改善とか観光需要の喚起などございます。こういう各種割引制度がございます。

 御質問は、なぜ大口・多頻度だけ今回の補正予算で拡充しているのか、こういう御質問だと思います。

 この大口・多頻度割引につきましては、主に二つ。一つは、主に業務目的で高速道路を利用する機会の多い車の負担を軽減することによって、広く国民の暮らしや日本経済の下支えとなる物流を支援していく必要があること。二つ目に、物流関係業界の皆様から一様に御要望をいただいていること。これらを踏まえまして、経済情勢に鑑み、これまで補正予算を活用して最大割引率を四〇%から五〇%に引き上げてまいりました。

 現在御審議いただいている今回の補正予算案においても、先ほど申し上げた事情が継続しており、現在の拡充措置を引き続き実施する必要があるため、必要な経費を計上しているというところでございます。

小野委員 一様に業界が要望しているということでございましたが、まさに業界団体を重視してやっている政策だというふうに私は思います。

 中小零細のトラック事業者、私もこの間お会いしたら、やはり今本当に困っているんですね。そういったところに対して、そもそも高速道路というのは国民の共通財産ですよね。それを、もっともっとコストを安くして利用できることが経済の発展にもつながりますし、また、今のように燃油代が上がっている、そして、トラックの運転手さんのお給料も上げていかなきゃいけない、そういうところで、やはり廉価で使いやすいインフラをつくっていくというのが、これが国交省の役割だというふうに思うんですね。

 それをやはり、もっともっと幅広い声を聞いて、大手だけではなくて様々な方々の思いを聞いて、全ての道はローマにつながるというような格言がありましたけれども、それが高くちゃ駄目なんですね。そして、それが全ての人たちに開かれていなきゃいけないということを、これは私も毎回申し上げていることですが、本当に、これは国交省、やっていただきたいと思います。

 総理にもコメントしていただきたいんですが、時間がないので次に行きたいというふうに思います。お許しください。

 次に、エネルギー問題についてです。

 カーボンニュートラルを達成するために、二〇三〇年で野心的な目標というものをマイルストーンとして政府は定めておりますけれども、これに対してかなりまだほど遠い状態だと思います。特に、原発の再稼働が進んでいないということで、これが二二%の目標に対して六・九%、二〇二一年段階ですね、ということになっています。

 これは、非常に今の現状は厳しいというふうには思いますけれども、私もこの間、九州の様々な方々と一堂に集まって議論する場がありました。そこで希望を見たんですね。九州のカーボンニュートラルに対する取組はどうなっているかというと、お手元の資料のように、昨年段階で原発は三六%の電源構成比率を達成をしています。そして、再生可能エネルギーも二一%ということで、今、カーボンニュートラルの電源が五七%ということで、二〇三〇年の六割に匹敵するような実績値を出しています。

 そういうことで、私たち、本当に日本がカーボンニュートラルを実現できるのかどうかということは、漠然とした不安があると思いますけれども、私は、こうやって、それぞれの地域ごとで、特に再生可能エネルギーをどんどん増やしていかなければいけないのであれば、中央集権的な考え方、政府が中央で全部決めるのではなくて、それぞれの地域でカーボンニュートラルを目指すんだという動きを促進した方がいいというふうに思っているんですけれども。この二〇三〇年の再エネの野心的な見直しを実現できるのかどうかということを西村大臣にお聞きしたいと思います。

 また、あわせて、総理にも、エネルギー政策というのは、やはり私は、これはそもそも再エネを増やさなければいけないということであれば、分権型でエネルギー政策もやるべきだ。例えば、九州の知事会を中心にして、そこにエネルギー政策を入ってもらうとか、そういった分権型の進め方をやはりやるべきじゃないかと思いますが、この点について総理にお伺いしたいと思います。

    〔牧原委員長代理退席、古川(禎)委員長代理着席〕

西村(康)国務大臣 まず、委員御指摘の九州エリアでは、太陽光発電を中心に再エネの導入が進んでおります。昨年、二一年度の再エネ比率は、発電電力量ベースで約二四%になっております。他方、太陽光発電の発電量が多い日中には電力供給が需要を上回るということもありますので、二一年度には年間で約四%の再エネの出力制御が発生しております。

 そこで、経産省では、更なる再エネ導入、できるだけ導入するということを進めるべく、いわゆるオンラインで直接自動で制御できる、オンライン制御による再エネの出力制御時間の短縮、あるいは蓄電池の導入、余剰なときに水電解で水素を製造する、こういった活用を進めていきたいというふうに考えておりますし、九州と大需要地をつなぐ地域間の連系線の整備も進めていきたいと思っております。

 加えて、九州は更に洋上風力の導入も有望でありますので、年内には長崎県西海市の江島沖におきまして約四十万キロワットの案件の公募を開始する予定であります。

 御指摘のように、エネルギーミックスの中で再エネ三六%―三八%、これはなかなか厳しいんですけれども、九州エリアにおいてもこうした取組を通じ、また、各地でこうした取組を通じながら、再エネの最大限の導入を進めていきたいというふうに考えております。

岸田内閣総理大臣 委員の方から私に対しては、再エネに関しまして分散型あるいは地方分権型の取組が重要ではないかという御質問でありますが、御指摘のように、地域の自然環境など実情に即した地方分権型の発想の取組、これは重要だ、再エネの場合、大変重要であると思います。

 ただ一方で、再エネの場合、再エネ適地とそうしたエネルギーの需要地、電気の需要地、これが離れている、こういったケースが大変多くあります。そういったことから、この隔たりを埋めるために、系統制約、系統について考えなければいけない、こうした条件を克服していかなければいけない、こうした地域を超えた取組、全国規模の取組も必要になってくるということなんだと思います。

 結論として、地方分権型の発想と、そして地域を超えた全国的な取組、両方を追求することによって、それらが相乗効果を発揮して、そして結果につながる、こうしたものであると認識をしています。

 御指摘の点も大変重要なことだと思いますが、両面考えていきたいと思っています。

小野委員 総理がおっしゃることは、もちろんもっともなんですね。九州で豊富な再生エネルギーが発電された場合に、系統連系をもっと増強してほかに送れるというようなことは、これは政府がやらなきゃいけない、広域的にやらなきゃいけないことですが。ただ、やはり、私も再生可能エネルギーの導入の現場を見ていて、地域に裨益をしていない形での、つまり地域の皆さんが喜ぶような形での投資が行われていない。

 つまり、大資本が海外やあるいは東京から地方の方にどんどんどんどん投資をされていって、そしてメガソーラーだらけになって景観が壊れていく。あるいは、再生可能エネルギー賦課金は、これは例えば九州であれば九電管内のユーザーが払っているんですけれども、その払っているものの利益というのは九州外のところに、ポケットに入ってしまう。こういうことがあれば当然歓迎されないわけですね。ですから、やはり、地方においてちゃんと再生可能エネルギーが進んでいくようなこの分権の取組というのを、是非目に見える形で進めていただきたいと思います。

 そして、残り時間も限られてまいりました。端的にお答えをいただきたいというふうに思います。

 私も、経産委員会のときに質問して、そのときには大臣を呼べなかったのでお答えいただかなかったんですけれども、てんぷら油を再生させて、これをBDFにするというような、今非常に優れたものが出てきています。このパネルが、今、熊本空港で、BDFを三〇%軽油に混ぜて、そして運転をして実証実験をしている。これは経産省にも非常に御努力をいただいておりますけれども、まだ日本ではBDFを軽油に混ぜると全体に課税されてしまうということが起こっているんですが、これは何で解消できないんでしょうか。

松本国務大臣 小野委員にお答え申し上げたいと思います。

 GX推進は大変重要な政策テーマであるというふうに認識しております。ただし、同時に、税を課す、課税をするに当たっては、適正性を確保するということは必須でございます。

 軽油引取税については、課税対象となっていない重油や灯油などの混和による不正軽油が問題となっております。このような混和による課税逃れが生じないように、混和された軽油については、その全体を課税対象として軽油引取税を課す仕組みとしております。

 このため、御指摘のバイオディーゼル燃料が混和された軽油についても、課税対象となる引取りの時点における軽油全体に対して軽油引取税を課すこととしているところでございます。

 他国において、フランスのように、燃料に含まれる再生可能エネルギーの割合に基づき税を軽減している例もあるものと承知をしておりますが、御指摘のような特例措置の可能性については、混和されたバイオディーゼル燃料の数量を正確に把握する仕組みが必須であること、重油や灯油などの混和による不正軽油との区別をつけなければならないことを考えますと、適正な課税を担保することが難しいことから、そのような特例措置を全国的に実施することは困難であると考えております。

 なお、兵庫県では、脱炭素社会を目指し、再生可能エネルギーの供給体制の強化や地域のバイオマス利活用促進に貢献するために、特定の事業者との間で、製造、流通過程を正確に把握する仕組みを構築した上で、バイオディーゼル燃料と混和した軽油のうち、バイオディーゼル燃料相当分について軽油引取税を免除する独自の制度を設けていると承知をしておりますが、適正性を担保しなければならず、制度を利用する者には必要な手続をお願いをしているというふうに聞いております。

小野委員 兵庫県はやれているわけですよね。これは、一生懸命総務省も勉強されたのか、あるいは地元の西村大臣に教えてもらったのか分かりませんが。それだったら、先ほど私が申し上げた分権型で、どんどんやってくださいよと総務省は言えばいいじゃないですか。それをやらないで、今本当に、てんぷら油をみんなが集めて、そして、それを再生可能エネルギーに使っていこうと、大阪万博でも、おかげさまで、経産省さんにも頑張っていただいて、やるんですよね。それを後押しするような仕事の仕方をもうちょっと総務省でやっていただきたい。いつまでも同じような答弁を繰り返していては、カーボンニュートラルなんてやはり進まないんですよね。積み重ねてやっていくべきだというように思います。

 それでは、最後に、今度はまた国交省さんにお伺いしますけれども、船舶の問題です。

 小型のモーターボート、これは電化が今進んでいるんですけれども、日本では全然、なかなか、モーターショーに行っても、ボートショーに行っても展示がされていないというような状況ですが、海外では小型のものがだんだん電化しているんですね。

 もうヨーロッパで売られているものを、システムをこちらに持ってきて、それを日本の造船所で組み立てて造ろうとしても、国交省の規制が邪魔になって造れないんです。様々なデータを提出しなきゃいけないということになっているんですが、私は、やはり日本の経済が衰退しているというのはこういう態度にあるんじゃないかと思うんですね。海外でちゃんと認められているものは、その基準がどういうものかをちゃんと察知して、これだったらいいよと、ずばっと国交省が出すという動きをしないと、今、国内の船外機メーカーというのは、これはトップシェアにありますけれども、また半導体とか蓄電池とか、そういうのと同じようなことを繰り返すと思うんですね。電化にちゃんとついていくような規制の在り方、これを国交省がもっともっと意識を持ってやらないと産業を潰すことになっちゃう。

 こういうことについて、国交省はこれからどういうふうにしていくのか、お答えいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今、二つ御指摘があったと思います。一つは、海外で認証されたものを日本に導入するときにどうするかという問題と、そもそも新しい電気駆動の船外機の認証そのものをもう少し簡素化すべきではないかという御指摘があったかと思います。

 第一点でございますが、既に海外で認証されたものについては、国際標準化機構、ISOや、国際電気標準会議、IECの国際標準と整合させて国内の安全基準を定めておりますが、それと同等のものであれば、海外で認定されたものはそのまま日本でも使えるということにしております。

 ただ、海外で、製造した国にそれがない場合は、日本できちっとこの認定をさせていただく、その作業をする。

 二点目は、その日本での認定について簡素化すべきではないかということでございますが、これは安全に関わるものでございます。きちっと専門家の意見も聞きながら現在も認定をやっておりますけれども、委員御指摘の、合理化すべきものは合理化するということ、そして、電気で動く船外機の国際市場において日本がリーダーシップを取っていくような産業になること、このこともしっかり見据えながら基準について考えていきたいと思っております。

小野委員 船外機の事例は本当に一例なんですね。やはり、安全性はもちろんないがしろにしてはいけませんが、ただ、我々の国で富を生み出す産業を役所が足を引っ張らない、そういう姿勢をやはり国交省が持つというのは非常に大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 総理にももっと聞きたいことがあったんですが、残念ながら時間がなくなりました。午後の我が党の質問でまたさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古川(禎)委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

古川(禎)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、馬場伸幸君から関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。馬場伸幸君。

馬場(伸)委員 皆さん、お疲れさまです。日本維新の会の馬場伸幸でございます。

 昨日はサッカーのワールドカップがございまして、総理も御覧になられましたか。御覧になられた。結果は残念な結果でありましたけれども、やはりスポーツというものは、多くの国民に夢や希望を与えて、そして、わくわくどきどき、こういう臨場感が感じられて、非常にすばらしいものであるなと改めて感じたところでございます。

 昨日のワールドカップのテレビの瞬間最高視聴率が五八%ということで、国民の二人に一人が見ていたという勘定になるわけでございます。

 開催国カタールということでございますが、カタールというのは、日本語に直訳しますと噴出という意味だそうでございます。外務大臣もいらっしゃいますけれども、その名のとおり、石油とか天然ガスが豊富にあるという国でございまして、昔は漁業とかそういうことで細々と暮らしをしておられたようですけれども、今、カタールは非常に金持ちの国と言われておりまして、国民に対しても、所得税、医療費、電気代、電話代、全て無料です。そして、大学を出ると十年間国から土地が貸し与えられて、十年たつと自分のものになるというような、すばらしい国だなというふうに思います。

 政治家たるもの、やはり、日本の状況は、人口も違いますし、資源があるかないかというようなこともあって、カタールと同じようにはいかないということはよく分かっていますけれども、そういう方向を目指して政治をやっていくということが私は必要だと思います。

 片方では、我々の日本、国民負担率もどんどんどんどんと上がって、税金や社会保険料の増加ということで、総理、今、最新の国民負担率は四四・六%になっているんですね。

 石川啄木さんが昔、「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢつと手を見る」と詠まれたと言われていますけれども、本当に、日本の普通の国民は、幾ら働いても可処分所得が増えないな、経済的な余裕は出てこないなということが率直な感想であると思いますし、大変失礼ながら、岸田内閣に対する評価も、今日は午前中からありました統一教会の話であるとか経済対策の話であるとか、そういうことに対する不満もあるんでしょうけれども、とにかく、何かあれば税金が上がる、何かあれば自分たちの負担が増やされる、こういう国でいいのかということを今の日本国民は強く感じていると思います。それが、昨日発表された各メディアの内閣支持率等にもはね返っているのではないかなというふうに思います。

 私たち日本維新の会は、基本的に、国民の負担を減らして、納税者が満足できるような、国民が納得のいくような、そういう政治をやっていくということをスローガンに掲げてまいりました。できるだけ国民の負担を減らしていく、それをやりながら行財政改革も行って、その財源を将来への投資に回していく。これは言っているだけじゃないんです。有言実行でやってきたという、もう既に実行例がありますので。自民党さんとの大きな違いは、私は、そこにあるのではないかなと。

 財源がなくなれば増税する、いろいろな社会保障制度が困窮してくると負担を増やす、また、年金を始めとするそういった給付も先延ばしするとか、そういうことであれば、私は政治家は要らないと思います。AIでやった方がきちっと緻密な計算ができて、AIに任せておけば政治ができるのではないかな、もっと言えば、AIでやった方がより効率的になって、無駄なこともどんどんと排されていくのではないかなというふうに考えておりますので、是非、今日はそういった観点で総理と議論させていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、防衛費の問題であります。

 総理は、この臨時国会冒頭の本会議で、私の代表質問の答弁といたしまして、安保の、防衛三文書の閣議決定前の協議について、これは国会で議論する機会が全くありませんので、党首間でのやり取りも含めて検討すると、私の質問に対して御答弁をいただきました。

 いよいよ自公協議も煮詰まってきているやに聞いておりますけれども、もう年末まであと一か月しかありませんので、ぼちぼちその協議を始めていただく時期が来ているのではないかなと思いますが、いつやっていただけるのか、今の総理のお考えをお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 国防費につきましては、今、新たな国家安全保障戦略の策定の議論と併せて行っているところですが、国会においての説明は、こうした国会の審議の中で様々な形で、政府の取組や考え方については説明させていただいています。

 しかし、その上で、委員御指摘の公党間の、党首間のやり取りも含めた議論につきましては、是非、できるだけ近いうちに調整をさせたいと思います。

馬場(伸)委員 防衛三文書の件については、再三、有識者会議も行われています。先週二十二日に有識者会議が開かれまして、その報告書、私の元にも届いています。

 これまで、本会議、またこの予算委員会等で盛んに、防衛力の増強というものについて、中身がどうなのかというような議論はなされてきたというふうに思いますし、昨日、テレビの朝の討論でも、そういったことに集中して各政党が意見を述べるということがございました。

 おおむね方向性としてはほとんどの政党が一致しているのではないかなというふうに思いますが、肝腎なのは、総理、やはり財源なんですね。財源の確保をどうするかということが一番の焦点になってくると思います。

 昨日のテレビでも、五年で四十兆とかいう数字が飛び交っていまして、公明党さんの方が逆に、いやいや、そんないっぱい認められませんよとかいうような、与党間でもまだまだ足並みがそろっていないんだなという思いで議論も聞かせていただいておりましたが、先週、有識者会議の報告書を拝見しますと、後半で、この財源の確保についても明記がされています。

 重要ですのでちょっと読み上げさせていただきますが、「財源確保の検討に際しては、まずは歳出改革により財源を捻出していくことを優先的に検討すべきである。透明性の高い議論と目に見える歳出の効率化を行うことにより、はじめて追加的な財源確保についての国民の理解が得られるものであることを忘れてはならない。」と。これはすばらしい報告書だと思うんですね。

 これは防衛費のことだけに当てはまることではありません。私が冒頭に申し上げたような、今の日本の国の財政全般について言えることではないかなというふうに感じたところでありますが、財源論に入る際には、私は、まず、国を守るということの必要性を国民の皆様方にきちっと説くということが大事だと思うんですね。

 自衛隊だけで日本の国を守れるわけではありません。やはり日本国民全員でこの国家と我々の財産、生命を守っていくという大前提を国民に御理解をいただくということが、まず最初の入口論だというふうに思います。

 その上で、我々政治家が、維新の会が出てきたらまたそれかと言われるか分かりませんが、身を切る改革を行って、徹底的な行財政改革をやる。それと経済成長ですね、岸田総理も御就任当時はおっしゃっておられた、やはり成長させていく。

 これは自民党歴代の内閣がそういうことをおっしゃっていると思いますが、経済を成長させるということを念頭に、増益増収で国の台所をやりくりしていくということをやった上で、それでも足りないんですということを国民にお願いして負担を求めるということが順序として当然の流れだと思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の有識者会議ですが、防衛力の抜本的な強化の目的や必要性、縦割りを打破した総合的な防衛体制の強化に資する取組、また、経済財政の在り方、こうした大きな重要な課題について御意見をいただきました。

 その中で、委員御指摘のように、財源の議論においては、歳出改革の取組を継続的に行うことを前提として、なお足らざる部分については、国民全体で負担することを視野に入れなければならない、このように指摘をしています。

 この基本的な考え方は大変重要な考え方であると思いますし、最も重要なのは、防衛力の抜本的な強化、国民の命や暮らしを守るために実質的にしっかり考えていく、そして、それを恒常的に維持していくためにはどのような財源を用意するべきなのか、こうした視点ではないかと思います。

 今、御案内のとおり、政府においては、NSC四大臣会合、あるいは、国家安全保障局においても関係者のヒアリングを行いました。与党においても様々な議論が行われています。議論が今行われている中ではありますが、その中で、財源ということについては、今申し上げたような考え方を大事にしながら議論を進めていきたいと考えています。

馬場(伸)委員 有識者会議の先週の報告書の一番文末に、「政府は、多角的な検討を速やかに行い、本年末に方針が決定される令和五年度予算編成・税制改正において成案を得て、」と書いてありますね。「成案を得て、具体的な措置を速やかに実行に移すべきである。」というのが最後の文末に書いてあります。

 順序的には、正しい正論をおっしゃった上で、もう時間がない、この年末にはきちっと方向性を決めなさいということが書かれてあるわけなんですが、今の総理の答弁をお聞きしても、その前段階の改革をやるとかいう意気込みというのは、私は余り感じられませんでした。

 とにかく安定財源が必要だから、どこに求めるかを考えていきましょう、恐らく、言葉の裏には増税ありきという色合いが強いのではないかなと思いますが、この理屈は一見正しいように聞こえますけれども、実は非常におかしいことを言っていると思います。

 今、法人税の増税とかいろいろな可能性が飛び交っているわけでありますけれども、繰り返しになりますが、経済が成長しなければ、税率を上げても税収は増えません。

 このパネルを見ていただくと、これは法人税収の推移ですけれども、ちょうど一九九九年ぐらいから法人税は三〇%でずっと続いてきました。安倍政権時代に法人実効税率は約七%下がりましたが、赤い線が法人税率です、そして黄色い棒グラフが法人税の税収なんですが、税率は下がっているんですが、税収は右肩上がりで上がってきている。税率は七%下げましたが、税収は四兆円近く増えているんですね。

 ですから、これは財務省さんのお考えなのかどうか分かりませんが、増税をすれば税収は増えるという、私は、そう簡単な構造にはなっていないと思います。ですから、簡単に増税をするというよりも、しっかりとした中長期的な経済成長戦略、岸田総理も新しい資本主義ということをおっしゃっていますので、これはいろいろな部分で減税できるところがあると思うんです、ほかにも。消費税も我々は言っていますけれども、減税できるところがあると思うんですけれども、総理の減税に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員が今まさにおっしゃったように、委員は、増税ということと税収というものはそう単純に結びつかないということをおっしゃいました。

 税の在り方と税収の在り方については、見通すことは、そう単純な、簡単なことではないと私も思います。ですから、例えば減税を行った場合に、一般に、短期的な減収の規模を見込むということは、割合具体的に考えることはできると思います。ただ、減税を行って、中長期的な増収の規模、これを安定的に見通すというのは難しい点もあると思います。

 ですから、先ほどの財源ということを考えた場合に、安定財源ということの関係において、将来的な、中長期的な税収をどのように見込んでいくのか、こうした議論は存在しますし、この議論はそう簡単な議論ではない、このように認識をしています。

馬場(伸)委員 法人税増税というのが一番先にこの防衛費の増額については出てきましたので、私からもポイントを申し上げているわけです。

 繰り返しになりますが、法人税は、税率一%当たりの税収、調子がいいときは五千億ぐらいのときもあるんですね、これを見ていただいたら分かると思いますが。ただ、景気が低迷すると、やはり一%が二千億程度ということで、随分振れ幅が大きい税目であるということはもう御案内のとおりだと思います。したがって、法人税を安定財源にするということについては我々としては反対であるということを申し上げておきたいと思います。

 それならば、維新の会としてどういう財源を考えているんだということになると思いますが、パネルの二枚目を御覧ください。

 我々は、防衛費の増額について、まず増税する必要はないと考えています。この二次補正予算のフレーム、この中に歳入として税収の数字が出てきています。当初予算の税収は六十五兆円という数字になっていましたが、補正予算のフレームでは六十八兆円と、これはもう既に三兆円、自然に税収が増えているんですね。

 だから、これはいわばグリコのおまけみたいなお金ですから、降って湧いたようなお金なんです、正直申し上げて。ですから、このお金は防衛費に回す。コロナが収束していくと、おのずと景気回復していくのは間違いないですから、ここ何年かはこういう税収が上振れするということが考えられると思いますので、例えば、こういうお金を目標にするということも可能だと思います。

 また、コロナ関連予算ですね。この三年間で何と九十五兆円のお金を使っていただきました。これはコロナ基金として積み立てられたまま残っているお金もありますし、九十五兆円を三年で割れば三十数兆円ということですから、三十数兆円のお金がある程度浮いてくるということも予想ができます。要は、一般家庭と同じで、家計のやりくりで五兆円程度のお金は簡単に生み出されるのではないかなというふうに思うんですが、今の提案を申し上げて、岸田総理、どう感じますか。

岸田内閣総理大臣 まず、政府・与党としては、今、防衛力の内容と予算と財源、これを一体的に議論するということで、議論を続けています。よって、今現在、具体的にどの税目を引き上げるとか、そうした結論があるものではありません。

 その上で、一般論として、委員の今の御指摘について申し上げるならば、私も、経済あっての財政だということを申し上げてきました。まずは経済を立て直す、経済を成長させる、これが重要であるということを申し上げてきました。そして、結果として税収が伸びること、これは是非期待したいと思います。

 そして、コロナ対策についても御指摘がありました。

 私は、是非、今後、新型コロナの感染の状況、これを収束させて、従来コロナ対策として大きく確保していた予算を活用するということは考えていきたいと思いますが、こうした経済成長の成果によって税収が増えたとか、コロナ対策費を活用するということ、これは、仮にその活用を一時的に考えたとしても、防衛費の議論においては、先ほど申し上げました、国民の命や暮らしを守るためにしっかりとした防衛力を確保しなければいけない、これをいかに継続的に維持していくのか。この安定財源として、そうした税収増あるいはコロナ対策費の活用、これをどこまで使うのか、これは議論が今行われているところであります。

 是非、そうした議論も見守りながら、防衛費を安定的に維持、そして持続させていくためにはどうあるべきなのか、こうした議論を進めていきたいと考えています。

馬場(伸)委員 実は、国民民主党の玉木さんが、先般、外為特会を使えばいいんじゃないかと。我々も、そういう何かおいしいリンゴがどこかになっていないかなということで、探してみました。

 国債の問題なんです。グラフを見ていただいて、一般会計歳出のところ、赤枠で囲ってあると思いますが、債務償還費、これはほとんど毎年十六兆円の返済を行っています。

 総理、なぜこれは十六兆円になっているかということを調べますと、国債は六十年で償還するというルールになっているんですね。それで、役所の皆さん方に、六十年というルールになっている根拠は何ですか、こうお尋ねしたら、よく分かりませんということなんですよ。分かっているんですか。いや、法律で決まっているというのは、それは誰でも分かっていますよ。特別会計の法律で、百分の一・六、すなわち一・六%、毎年返していきなさいと法律でなっているということは分かっています、私も。何で六十年なのかということを聞いたら、その六十年のルールは分からないということなんです。

 ですから、そこを律儀にやらなくても、例えば、返さないということは厳しいかも分かりませんので、六十年を九十年にする、一・五倍にするわけですね。六十年で返さないといけないという根拠は何もないですから。ありますか、財務大臣。あるならば、おっしゃってください。

鈴木国務大臣 先ほど馬場先生からお話しのとおり、法律でそう決まっているというだけで、その根拠ということになりますと、一応、耐用年数ということが考えられて、それで六十年というふうに決まってきたという話を私も聞いたことがございます。

馬場(伸)委員 財務大臣、正直で結構でございます。

 六十年という耐用年数。これは、今いろいろなものが発達していますから、耐用年数六十年というわけではありません。百年ぐらい余裕でいけます。ですから、六十年という償還のルールを九十年に変えれば、私は、債務償還費から五兆円ぐらいのお金はすっと出てくると思うんですね。

 ですから、何を言いたいかといいますと、冒頭に申し上げたように、行財政改革は必要です。その上で、もっとやはり知恵を絞って、汗をかいて、どこかにそういう安定財源はないかなと探すことが筋で、そういうことをやらないで国民に負担だけを押しつけるということについては、我々としては絶対に認められないという筋書だと思いますので、安直に増税しないということを、総理、お約束していただけますか。

岸田内閣総理大臣 安直に増税しない、それは私もそのとおりだと思います。そして、そのために様々な知恵を絞らなければならない、そういった点についても同感であり、事実、政府においても様々な知恵を絞って財政について思いを巡らせている、これが現実であります。

 委員御指摘の国債の六十年償還ルールについても、与党の中でいろいろな議論があるということも承知をしております。

 例えば、今後、国債の返済が行われなくなる、期間が延びる、その際に、その分だけ債務残高が増加するということも事実だと思いますし、我が国の信頼の礎は財政であるということを先ほども申し上げましたが、国債の六十年償還ルールが市場の信認の基礎として定着している現状もあるのではないか、こういった指摘があります。こうしたルールに手をつけるということが市場の信認という意味にどんな影響があるのか、こういった点も問題点が指摘をされているのも承知をしております。

 いずれにしましても、それ以外にも様々な工夫を絶えずしながら、国民の負担軽減のためにどうあるべきなのか、政府としても検討、努力を続けていきたいと思っています。

馬場(伸)委員 総理、時間がないですからね。有識者会議の報告書に、今年の末までにきちっと対応せよと書いてあるんですよ。ですから、何かいろいろお考えがあったら早く手を打っていただかないと、これは増税すると決まってから後戻りできませんよ。だから、私はそれを申し上げているわけですね。

 立憲民主党の泉代表からも、いろいろな増税の問題について、総理にそういうお考えがあるかどうかという質問が先週ありました。

 本当に、消費税とか道路利用税、炭素税、相続税、エコカー減税の適用基準の厳格化とか、退職所得控除の見直し、問題になっている配偶者控除の見直し、こういうものがどんどんどんどん見直されて国民の負担が増えていくんじゃないかというふうに、国民の皆さんは感じておられます。

 ですから、できるだけそういう増税とかいうことをやりませんと総理が宣言するということが、私は国民の安心感を醸成していくのではないかなと思いますので、この防衛費の問題も早急に議論していただいて、増税なしで手当てをするというところからスタートをしていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、メイド・イン・ジャパンの復活です。

 これは、私、先日、北海道の石狩のLNG基地を視察してまいりました。天然ガスを輸入しているわけですけれども、どこから買っているんですかと聞いたら、サハリンから買っていますというふうにおっしゃっておりまして、もう言うまでもなく、エネルギー、食料品、医薬品、コロナのワクチン、そういうものは全て海外に今依存している。貿易赤字が何と三兆円を超えています。

 それだけ安全保障というもの、国民の命というものを海外に委ねてしまっているということが裏返せば言えるのではないかなと思いますが、戦後、高度経済成長をやったときには、やはり国の国策として重厚長大産業を育てていくんだということで、私は大阪の堺ですけれども、海が全部埋め立てられて、そこに重厚長大産業の工場が立地して、一定の経済成長に貢献したということは事実だと思うんですが、これからの日本のそういった物づくりとかいうことを考えた場合は、やはりメイド・イン・ジャパンの製品を増やしていくことが非常に大事な観点になるのではないかな。

 ですから、そこに、昭和四十年代のときのように、国家として、国として物心両面で支援をしていくということが、今もやっていただいていますけれども、もっと力を入れて、国策として、半導体を始めいろいろな産業をつくり上げていくべきではないかなと思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 エネルギーの安定供給、あるいは食料の安定供給、さらにはサプライチェーンの見直し等の経済安保の議論、その様々な議論を通じて、国内における生産、国内回帰、こうしたものが重要だという考え方が改めて今示されています。

 今御審議いただいているこの補正予算においても、目下の円安環境によって国内の立地環境がコスト面で大きく改善している、この機を捉えて様々な取組を進めるべきであるということで、半導体に加えて、エネルギーの安定供給上、今後重要性がますます高くなる蓄電池ですとか、ワクチン等の戦略的な物資の国内の製造拠点整備に対する支援、この補正予算の中にも大幅に取り入れている、こうしたことであります。

 是非、今後とも、国内における経済の拠点再構築、政府としては後押しを強力に行っていきたいと考えています。

馬場(伸)委員 経済安全保障の中でもそういった議論もなされているというふうには聞いていますので、是非、国内回帰というんですか、全てを国内に戻せというわけではありませんが、そういったところに力点を置いていくということはこれから非常に重要だと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 また、これと並行して、脱炭素ですね。

 世界の潮流になっておりまして、やった者勝ち、早い者勝ちという、これが脱炭素社会では言われています。一方で、脱炭素といえば何か暗いイメージがあるんですね。みんなで我慢しましょうとか、苦しいけれども減らしましょうとか、戦時中の日本じゃないんですから、そんな何かしんどい目、苦しい目をして脱炭素を進めていくということでは、なかなか目標には達成しないと思います。

 電気の問題でも、太陽光パネル、また蓄電池と組み合わせるとか、今、充電済みの車から家庭用電気を逆に放出するとか、いろいろなこともAIでコントロールできるようになってきています。

 また、先日、神戸大学へお邪魔をして、水素細菌という微生物を研究しているラボを視察させていただきました。二酸化炭素をぱくぱくぱくぱくと食べて、それでプラスチックとか燃料を作り出せる。しかも、CO2をぱくぱくぱくぱく食べるわけですけれども、このCO2は濃ければ濃いほどいいんです、総理。ですから、石炭をばっとたいている横でこの水素細菌をばっとばらまくと、濃度の濃いCO2をぱくぱくぱくぱく食べてくれて、それでエネルギーとかに変換する。これはかなり実証段階まで来ています。

 こういったやはり夢や希望のある脱炭素、これは日本ならではの醸造技術が要るそうですので、みそやお酒とかしょうゆとか、そういうことで培ってきた醸造技術、これが必要らしいので、こういうこととかも、どんどんどんどん明るい分野にスポットを当てていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 将来世代への投資ということで、自慢話になりますけれども、我々日本維新の会、大阪で、冒頭にも申し上げましたように、身を切る改革と行財政改革から始まって、生み出された果実を将来への投資に回してきました。

 幼児教育の無償化、また私立高校の授業料の無償化、こういうものは四十七都道府県で先頭を走ってきた自負があります。これから小学校、中学校の給食費も無償にしていくとか、中学生には月一万円のクーポン券、習い事助成ということでクーポン券をお渡しする。また、今年の四月から、大阪府立大学と大阪市立大学が経営統合されて、そして大阪公立大学という大学が誕生しました。この大学も、大阪に二年住んでいる方に限って、入学金、授業料無償ということになっています。どんどんどんどん、将来を担ってくれる子供たちのために投資をしていこうということが我々のポリシーでもあります。

 去る参議院選挙のときには、これをもっと進めて、出産費用の無償化もやろうじゃないかという公約を掲げました。恐らく総理のお耳にも届いて、この度、一時金十万円を出しますよとか、さらに、来年度からはそれを増額させますというようなことも聞いております。

 経済的な理由で学問を修められない子供たちというのは、我々が想像する以上に今増えています。したがって、こういった、やる気があるのに経済的な理由で学問を修められないという子供がこの日本からは一人もいなくなるということを念頭に、私は、将来世代への投資というものをもっと拡大していくべきではないかなと思います。

 私も高校三年生の息子を持つ父親です。いよいよ受験ということで、毎日塾へ行ってくれます。正月も三が日、元旦から行くと言っていまして、恐ろしいほど塾代を払うているんじゃないかなと。余りに恐ろし過ぎて、うちの家内には聞けません、塾代を何ぼ払うているのというのは。聞けないぐらい恐ろしい金額が多分投入されていると思うんですが。

 それはそれでいいんですけれども、これがやはり三人、四人となってきたときに、私でも耐えられるかなというふうに考えると、なかなか厳しいなと。中学のときから塾へ行き出して、高校、中学、私立へ行かれてということになってくると、到底、それを養っていくということは厳しい御家庭がほとんどだと思います。

 ですから、今、いろいろな経済的な支援もあって、いろいろ国がやってくれているというのはよく分かっていますけれども、私は、もう一歩踏み込んで、やはり高等教育の無償化というものにも歩みを進めるべきではないかなと思いますが、総理としてはどんなお考えでしょうか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 高等教育の無償化につきましては、給付型奨学金と授業料減免を併せて行います高等教育の修学支援新制度を令和二年度より開始しております。安定財源を確保しつつ、真に支援の必要な学生への支援を行ってまいりました。

 御指摘の多子世帯を対象にした恒常的な無償化につきましては、やはり安定的な財源を確保することが必要と考えますが、政府といたしましても、本年六月の骨太の方針二〇二二等におきまして、負担軽減の必要性の高い多子世帯などの中間層に拡大するとしております。

 文部科学省では、現在、令和六年度の導入に向けまして、例えば、多子世帯の範囲は扶養する子供が三人以上の世帯とするなど、具体的な制度設計を進めております。

 引き続きまして、具体的な高等教育の経済的負担の軽減に取り組んでまいります。

馬場(伸)委員 大臣、この問題も、奨学金問題と並行して考えるべき課題だというふうに思います。奨学金も、給付型であるとか貸付型、貸付けでも、今、有利子、無利子とか、出世払いとか、いろいろなことが派生し過ぎているんですね。

 ですから、こういったことをスクラップ・アンド・ビルドするだけでも私は相当な財源が生まれると思いますので、是非、やる気があって経済的な理由で学問を修められない子供たち、こういう子供たちを積極的に救済していくという観点で、これからも御努力をお願い申し上げたいと思います。

 次に、大阪万博について質問させていただきます。

 大阪万博、二〇二五年日本国際博覧会というのが正式名称でありますが、世界的なイベント、これは国家イベントですから、オリンピックは都市イベントですけれども、国家イベントですから、誘致がおかげさまで成功した以上、総理が先頭に立って全力で取り組んでいただきたいと思います。

 議会の方も、国会の方も、誘致をする議員連盟というのがありました。誘致が成功して、コロナの感染が拡大したのでしばらく休眠しておりましたが、来月早々には衣替え、看板替えをいたしまして、日本国際博覧会を成功させる国会議員連盟というのが超党派で再結成されるということになりまして、来年早々には現地の視察もやろうじゃないかというような段階に来ています。

 是非、今までもいろいろと政府の方からはサポートはいただいておりますけれども、来年、年が明けますと本格的に準備もスタートいたしますし、パラレル的に機運醸成というものが非常に重要になってくると思います。

 ぱっと、この閣僚席、拝見しますと、岡田万博担当大臣だけがこの万博バッジをつけていただいている。岡田大臣、いつもつけていただいていて、ありがとうございます。

 是非、総理も万博バッジをつけていただいて、東京でつけている人を見ることは少ないですから、そのバッジは何ですか、いや、これは万博なんですということで、どんどんどんどんそういう機運が広がっていくように、内閣を挙げて御支援をいただきたいと思いますが、その前段階として、一度、総理、現場の視察に来ていただきたい、現地を是非御覧いただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、二〇二五年の大阪・関西万博、これは我が国、国を挙げた一大イベントであり、世界に向けて日本の魅力をしっかり発信していきたいと思っています。

 そして、大阪・関西万博のコンセプトである未来社会の実験場、これを実現するために、六月十日に二〇二五年大阪・関西万博アクションプラン、バージョン2を決定して、空飛ぶ車、あるいは多言語同時通訳など、開発プロジェクトが動き出しているわけですが、是非、これはバージョン3に向けた取組も進めて、スタートアップの参画促進、修学旅行の誘致促進、スポーツと連携したイベントの実施、こうした新たな取組をしっかり盛り込んでいきたいと思います。

 その上で、御指摘の機運醸成でありますが、私も、本年七月の千日前イベントには出席をする、また、外交の場でも必ず大阪万博のPRをさせていただいています。しかし、これからなお一層、政府が前面に立って、国内外の機運醸成に努力をしていきたいと考えています。

 そして、その中で、是非準備状況をこの目で確かめたいと思います。スケジュール上の制約など諸般の事情が許せば、是非現場を訪れさせていただきたいと思います。

馬場(伸)委員 最重要視察先ということで、是非お願いを申し上げたいと思います。

 二〇二五年万博が終わりますと、二〇二九年頃ということになっておりますが、跡地利用も兼ねてIR施設を誘致するということで、今、区域認定の申請を国交省に行わせていただいております。審査委員会七名の方が問題がないかどうかチェックをしていただいているというふうには聞いていますが、これは早期に区域認定していただかないと、ずっと待っているんですね、認定を。

 ですから、大きな意味では、万博の機運、また成否、こういうものにも大きく影響を与えると思います。特に民間側は、絶対にIR、いけるんだろうな、それによって万博にも資金を提供するかどうか考えようかというような企業もあるやに聞いています。

 ですから、是非早めの、早めというか、もう年内ぐらいには決定していただきたいと思いますが、IR担当大臣、各国のIRの現状と、現在も観光立国を推進する上でこのIRというものが重要な施策であるかどうか、どういう認識をお持ちか、お答えいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、最初のお尋ねの現在の世界の状況でございますが、海外の当局発表等によれば、アメリカのラスベガスでは、昨年のカジノ収益は既にコロナ前の二〇一九年の水準を上回っており、今年も昨年を上回るペースで推移している状況です。シンガポールにおいても、業績が回復傾向にあり、直近公表の三か月間のカジノ売上げは二〇一九年とほぼ同水準まで回復しています。加えて、これらの地域においては、国際会議や展示会、イベントといったMICEについても再開している状況です。他方、厳しい水際措置の残るマカオでは、今年十月のカジノ収益が二〇一九年同月比で八五%減であり、本格的な回復には至っておりません。

 そして、二点目の認識についてでございますが、IRについては、長期滞在の促進、消費単価の拡大等に資するなど、観光立国の実現に向けて取り組むべき重要な施策の一つであると考えています。

 区域整備計画の認定審査については、現在、外部有識者から成る審査委員会において、IR用地の地盤沈下や液状化等に関する安全の確保も含めて、多岐にわたる観点から慎重かつ十分な審査を行っていただいているところでございます。

 引き続き、IR整備法に基づき、審査基準に沿って精力的に必要な認定手続を進めてまいりたいと思っております。観光立国の実現に向けて重要な施策の一つであるという認識は変わっておりません。

馬場(伸)委員 国交大臣、ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、万博に与える影響もかなり大きなものがありますので、できるだけ年内にきちっと区域認定していただければと思いますので、重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、旧統一教会の質問をさせていただきます。

 私からは、統一教会からお金をもらったとか払ったとか、そういう質問ではなしに、今、積極的に与野党で協議をしていただいています新法、被害者救済法の関係の質問でございます。

 これは、もう既に何度も何度も与野党で協議をして、法文上の定義であるとか、実効性の担保、こういうものを詰めるところまで今詰め切っているという状況だと現場からは報告を聞いています。

 今日も午前中に、弁護団の皆さん方であるとか被害者の皆さん方から、最新のこの法案についてどういう受け止めをされておられるかというヒアリングをしてもらいました。結果は、残念ながら、政府・与党案は全く、又はほとんど使えない、現場では使えないという厳しい指摘が相次いだと聞いています。

 総理も、二十五日の予算委員会で、読み上げますと、法的な観点から、どこまで書き込むことができるか、その限界について努力を続けている、憲法を始め法体系の中で最大限、被害者救済のためどこまで踏み込むことができるか、しっかり追求して法律を仕上げたいと御答弁をいただきました。

 かなりレベル的には高まってきているというふうには私も思いますけれども、まだまだちょっと、細かな部分はもう申し上げませんけれども、対立している、焦点が当たっている、そういう部分があります。

 やはりせっかく法律を作る以上、これは被害者の皆さん方とか、弁護団はもちろんですけれども、今後日本でそういった、宗教団体であるとか、おかしな団体の霊感商法であるとか、そういうものが絶対に起こらないように、後世に憂いを残さないように、総理から強いリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思いますが、総理としてはいかがですか。

河野国務大臣 いろいろな御意見があるのは承知をしております。

 ただ、総理がおっしゃられているように、憲法上の財産権ですとか信教の自由といった、考慮すべきこともございます。

 そういう中で、まず最初に出させていただきました消費者契約法の改正案で、取消権の対象範囲の拡大、あるいはその行使期間を延長する、そうしたことをやっております。

 また、寄附につきましても、不当な勧誘があれば取消しができる、あるいは法人等による不当な寄附の勧誘を禁止し、勧告などの行政措置を定めるといったことを今検討しておりますので、いろいろな制約はございますが、その制約の範囲内でしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

馬場(伸)委員 定型文どおりの御答弁をありがとうございます。

 この旧統一教会の問題は、安倍元総理の銃撃、狙撃に端を発して世が知ることとなった非常に重い問題であるというふうに思います。

 安倍元総理は、言わずもがな自民党所属の議員さんでありました。自民党がもっとリーダーシップを発揮して、安倍元総理の御遺徳をつないでいくということであれば、私は、もっと積極的にやっていただくべきではないかなというふうに思いますし、これは総理の英断で、なかなか国会では行われない、野党を巻き込んだ形での法案協議というものが今まで積み重ねてこられたわけですから、あともう一歩、二歩の問題であるというふうに現場からも聞いています。

 ですから、ここは最後、総理が強いリーダーシップを発揮していただきたい、私はこれを切にお願いしたいと思うんですが、総理の覚悟のほどを御答弁いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 この旧統一教会の問題については、被害に遭われた方々を救いたい、また、今後こうした被害を引き起こしてはならない、こうした思いは、政府も与党も野党も、そして私も、大きな方向性は一致していると確信をしています。その大きな方向性に向けて共に力を尽くしていかなければならない、もって政治の責任をしっかり果たさなければいけない、このことを強く感じており、その中で、私も、こうした委員会審議において発言をさせていただいているということであります。

 そして、様々な御意見を、多くの関係者、また与野党の皆様方からもいただいてきました。それを踏まえて、これも再三申し上げているように、憲法を始めとする我が国の現行の法体系の中で許される限り、最大限、取消権あるいは禁止行為を対象とするなど、検討を進めてまいりました。

 引き続き、いただいている御意見についてもしっかり踏まえた上で、政府としての案をこれから確定していきたいと思います。

 委員の御指摘もしっかり踏まえて、政府として、法案作成に最大限努力をし、今国会に法律を提出して、早期成立に向けて努力をしていきたいと強く思っております。

馬場(伸)委員 餅はつき上がりかけていますから、最後、一つき、二つき、これはもう総理のお力しかございません。総理の最後の英断を御期待申し上げたいと思います。

 最後に、二〇一二年十一月十四日、はっきりと覚えておられる方もいらっしゃると思います。この場で党首討論が行われまして、当時民主党の野田佳彦総理、そして相手は当時の自民党安倍総裁という党首討論が行われました。

 この場で、税と社会保障の一体改革に基づいて消費税を上げる、その代わり、国会議員の定数を大幅に削減する、そして歳費もカットするということをここでお約束されました。そして、二日後の十六日に衆議院は解散をされました。

 もうあれから十年たっていますけれども、その約束はどこへ行ったんでしょうか。大幅な国会議員の定数カット、どこで行われたんですか。

 加えて、報酬の問題です。コロナがはやり出して、我々の報酬、二割カットしましょうということをやってきました。この間、気がつけば、報酬がなぜか私の分、増えているんですよ。何でやと秘書に聞いたら、この二割カットが時限立法だったので、自動的に終わっていますということなんですね。

 まだ今、物価高で国民みんな困っていますよ。そのために経済対策をいろいろやっているんでしょう。でも、自分たちの身は切らずに、知らない間に報酬は戻してしまう。

 文通費の問題もそうです。さきの通常国会で結論を得ると出してきたのは自民党さんですよ。今回も全然我々の、議論をしようというところには乗ってきてくれません。

 やはり隗より始めよですよ。我々がやはり覚悟を示すことが、国民の理解を得て、今日いろいろな議論を総理とさせていただきました、こういった議論が国民の耳にすっと入ってくる、そういう舞台を整えるのは、我々政治家の仕事です。

 ですから、総理、約束したことはやりましょう。約束していないことはやらぬでいいですから、約束したことをやるという姿勢を、総理の強いリーダーシップで、それは国会のことですから私は知りませんじゃなくて、総理も国会議員ですから。

 ですから、大きく国会改革、行財政改革、進めていくということをお約束していただきたいと思いますが、最後に御答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 政治に関わる者、また国会に関わる者、国民の厳しい評価の中にあるんだということを肝に銘じて、高い緊張感を持って自らのありようについて考えていかなければなりません。

 そして、国民の意識や考え方、また世の中の状況を踏まえて、自らがどうあるべきなのか、国会あるいは行財政の在り方、これについて絶えず厳しく検討していく、こういった姿勢は誠に大事であると私も強く思います。

 是非、そうした姿勢をこれからも大事にしながら、政府としての取組、また国会における論戦、臨んでいきたいと考えます。

馬場(伸)委員 終わります。ありがとうございました。

古川(禎)委員長代理 この際、堀場幸子君から関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、京都一区、堀場幸子と申します。本日、初めて岸田総理に質疑をさせていただきます。

 まず、私自身ですが、補正予算を見て、約二十九兆という金額に、次に、八割が国債であること、予備費の金額、こういったものに非常に驚きました。中を見ると、私が所属しております文科の予算を含めて、基金の新設や積み増しで、補正予算とは一体と、首をひねったところでございます。

 この件は明日の文科委員会でも質疑をさせていただきますけれども、一方で、来年度の予算編成に向けて、防衛、脱炭素と並んで最重要視されているのが子供、子育ての分野です。

 今回、妊産婦に対する伴走支援が入っていたことに関しましては、これから出産しようとしている女性にとってありがたいことだなと思っております。しかし、多くの課題が山積している現在、子供や若者に対する支援が足りていないのではないかというのが率直な感想ですが、総理のお考えはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、我が国にとりまして、少子化あるいは人口減少、これは国家的な大きな課題の一つであると認識をしています。

 その中にあって、御指摘の子育て世帯あるいは若者に対する支援、これは重要であると認識をしています。

 今回の補正予算において、伴走型の相談支援と経済的な支援の一体化したパッケージについて委員からお触れいただきましたが、今回の補正予算だけではなくして、今年に入ってからも、三月、四月、七月、九月と対策を講じてきました。

 本年六月からは、低所得の子育て世帯に対して児童一人当たり五万円の給付ですとか、あるいは、地方の実情に応じて、学校給食費の支援、子育て世帯や住民税非課税世帯以外の低所得者世帯にも柔軟に活用可能な地方向けの交付金の創設など、こういった政策を重層的に用意してきたところです。

 そして、総合経済対策においても、御指摘の伴走型相談支援に加えて、出産育児一時金の大幅な増額、子供食堂などNPO等への支援の拡充、そして、人への投資ということで五年間一兆円のパッケージを用意するなど、子育て世帯や若者世代への支援、こういったことに取り組んでいるところです。

 是非これからも、年末に向けて、全世代型社会保障構築会議において、子供、若者への支援の充実、これはしっかり議論していきたいと思いますし、来年にはこども家庭庁もスタートします。そこで本格的に、子供政策として何が求められるのか、財源についても、社会を始めどのように負担するべきなのか、本格的な議論を深めていきたいと考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 子育てしていると本当にしんどいんですけれども、やはり低所得者とか多子世帯とか、そういったカテゴリー化されずに、できれば全員が享受できるような、そういった子育て政策について、これから今日は質疑をさせていただきたいなと思っています。

 日本維新の会というのは、次世代への徹底投資というものを言わせていただいています。これを通じて日本を元気にする、現役世代が元気になって、税金を納めて、お父さん、お母さん、先輩方をしっかりとお支えする、こういった循環を生み出していきましょうということを主張させていただいています。大阪では、高等教育の無償化を始めとしまして、給食費の無償化等々、取り組ませていただいているところでございます。

 私たちは、令和の時代に生きているということになります。昭和でも平成でもありません。令和の時代は非常に不安定で、そして大きな変革のときだと思っております。だからこそ、グランドデザイン、こんな日本にするんだというようなものが必要なのかなというふうに思っています。

 子供が減っています。そして、人口の減少が尋常ではない。先ほど総理もおっしゃっていました、少子化がやはり大きな社会の課題であるという認識は、ここにいる人はみんな持っていると思います。

 先ほどはすごい細かいメニューを教えていただいたんですけれども、もう少し大きな意味で、令和の時代に合った若者、子供の政策があると思います。つまり、育てている人に対する支援のみならず、こどもまんなか社会と言われるからには、子供に行き渡る、そういった支援策があるのではないかということを考えているところでございます。

 子供の政策というのは、当たり前なんですが、人を育てるのは人であり、人を助けるのも人だと私は思っています。

 それは、なぜ少子化が進んでいるか、将来への不安だと思います。お金がないし、社会の冷たさを感じることもあるでしょう。そして、子供たちは貧困であり、ヤングケアラーも増えている。そういった社会の状況だからこそ、次世代への徹底投資が必要だと思っております。

 総理の御所見をお伺いしたいと思います。

 令和の時代のグランドデザインと、その時代に合った子供、子育て、若者政策について教えてください。

岸田内閣総理大臣 令和の時代、今の時代における子供、子育て政策ですが、まず、先ほども申し上げたように、大きな政府の政策の柱として、少子化対策、人口減少対策、こうしたものは大変大きな柱の一つであり、こうした大きな課題について正面から取り組んでいかなければならないと思います。その中で子供政策を考えていく。

 今は、大変厳しい物価高そして経済状況の中で、子育て世帯を支援するためにということで、先ほど申し上げましたような具体的な政策を予定していますが、これから、今の令和の時代にふさわしい子供政策について、来年四月、こども家庭庁がスタートし、そこで、今の時代に求められる子供政策は何なのか、これをしっかりと整理をした上で、そして、その費用をどのように社会が負担するのか、社会全体での費用の負担の在り方、こうしたものも検討しながら子供政策を考えていかなければならないと思います。

 今の時代の変化ということで申し上げるならば、今、より一層核家族化が進んでいる、あるいは、地域のつながり、きずなも希薄になっている、こういったことが言われています。その中にあっても、社会全体で子供たちを支えていく、子供たちが安心に、そして未来に希望を持って生きていく社会をつくっていくためにはどうしなければならないのか、この令和の時代の子育て支援ということについては、そういった点も大きなポイントになるのではないか、このようにも感じています。

 こういった思いで、岸田内閣においても、最重要課題の一つとして、この子供、子育て支援、しっかり行っていきたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 私も全く同じようなことを思っているところでございます。やはり令和の時代には、しっかりと、令和に合わせた、社会全体で子供を守るんだよという、そういったメッセージ性のある政策が必要なんだと思っております。

 私は、令和の時代のリーダーというのは、聞く力が必要、傾聴が必要だというのは常々子供に言っていたところです。そして、岸田さんが総理になられまして、聞く力という言葉が非常にクローズアップされました。これは、令和の時代のリーダーには必要なことだと思っています。だからこそ、今、すごく前に進むんじゃないかなという期待を持っているところです。

 でも、一方で、決断も必要だと思っています。なので、是非、子供たちのために、子供たちの明るい未来のために今決断をしていただきたいなというふうに思っていることがございますので、次の質疑に行きたいと思います。

 我が党は、教育の無償化を憲法上の原則として定めるということを公約に掲げさせていただいております。それは、どんな家庭で生まれても、自分が学びたいと思ったことを選んで、選択することができるようにという、教育格差をなくしたいという強い決意の表れでございます。

 このことに対する総理の御所見をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、教育基本法に今規定されているように、子供たちの誰もが家庭の経済事情にかかわらず質の高い教育が受けられるチャンスが平等に与えられるようにする必要がある、こういった考え方は重要であると思いますし、こういった点は、御党とも、それから委員とも共有できる部分ではないかと思います。

 その上で、御質問は憲法との関係でありますが、内閣総理大臣、行政府の立場から憲法改正について内容まで言うのは控えなければならないかもしれませんが、今言った問題意識に基づいて、教育を充実させなければいけないということで、自民党も、憲法改正の四項目の一つの重要な項目として教育の充実を掲げている。その背景となる考え方は、今申し上げたことではないかと思っています。

 是非、憲法改正を含めて、今言った思いを大事にしながら政策を前に進めていきたい。憲法改正については議論が進むことを期待いたしますし、政府としては、今言った思いで政策を進めていく、こうした姿勢を大事にしていきたいと思います。

堀場委員 ありがとうございます。

 問題意識というのは恐らく今共有できたのかなというふうに思っています。

 我が党がやはりどうしても教育の無償化を憲法上の原則にしたいというのは、どんな人が政権を取っても変わらない、そういったものにしたいという思いからです。是非、こういった点も憲法の議論の中でしていってくださればなというふうに思っているところです。

 また、コロナ禍で多くの若者が非常に困難さを抱えることになりました。そもそも教育の無償化が実現しておりませんので、大学を卒業した段階で、奨学金という形で何百万という借金を抱えている若者が大勢います。

 今、若者支援という点で見たとき、どのような支援メニューがあるのか、総理、教えていただいてもよろしいでしょうか。

永岡国務大臣 堀場委員にお答えいたします。

 若者支援についてでございますが、文部科学省といたしましては、経済的に困難を抱える大学生等が進学、修学を諦めることのないよう、授業料の減免と給付型奨学金を合わせた支援をしております。また、日本学生支援機構の貸与型の奨学金を充実させてきたところでございます。

 さらに、今般、令和六年度から、授業料減免、給付型奨学金につきまして、多子世帯や理工農系の学生等の、中間層へ対象を拡大するとともに、大学院段階におきまして、卒業後の所得に応じて奨学金を柔軟に納付できる仕組みを創設することとしておりまして、学生への経済的支援の充実を進めてまいるところでございます。

 以上です。

堀場委員 ありがとうございます。

 今ちょっと、総理に、どんなメニューがあるのかなということをお聞きしたかったんですけれども。ありがとうございます、では、お願いします。

岸田内閣総理大臣 メニューとして、文部科学大臣から、文部科学省の立場からメニューの紹介がありましたが、それ以外に若者支援ということを考えますと、若者の雇用の安定、それから経済基盤の充実確保、こういった視点も重要であると思います。

 そういった政策ということについては、まずは、所得の増加を図らなければいけない。同一労働同一賃金の徹底、あるいは、それによって非正規雇用の労働者の賃上げや正規化支援を強化する。また、構造的な賃上げの実現に向けて取組を進めて、誰もが希望に応じて多様で柔軟な働き方を選択できる社会をつくっていく。また、その際に、きめ細かな就職支援、リスキリングへの支援、さらには生活困窮者への自立支援の推進など、こういったことを通じて、若者世代の雇用の安定、経済的基盤の確保、こうしたことを進めていくことも若者の支援の重要なメニューではないかと思います。

堀場委員 ありがとうございます。

 やはり、高卒で就職する人、結構いますので、そういったところに対する支援というのはなかなか少ないのかなというふうに思っているところでございます。おっしゃるとおり、賃上げ等々は非常に重要な視点ではございますけれども、どうしても漏れが多いのかなというふうに思っています。我が党が主張しておりますベーシックインカムというシステムであれば、こういった漏れは防ぐことができるのではないかなというふうなこともつけ加えさせていただきまして、次の質問に行きたいと思います。

 妊娠と出産についてということで、お話です。

 ちょっと時間がないのでクーポンのお話は割愛させていただきまして、私たち日本維新の会は出産費用の保険適用というものを公約に掲げております。この点は、前回の予算委員会にて我が党の吉田とも代議員の質疑もございましたので、御存じかと思います。

 そもそも、妊娠、出産というものが、私自身は、アンコンシャスバイアス、無意識の性別役割分担や男女の格差の根底にあるのではないかというふうに考えております。子供を産むから女性は仕事をすぐ辞める、子育てで家にいるのだから家事をして当たり前、これらの一種伝統的な考え方は、多くの子供を持たない女性をも傷つけてまいりました。

 そして、総理、ちょっと話はずれるんですが、総理にとって出産というものは、感想でいいので、どういうものか、お聞かせいただけますか。

岸田内閣総理大臣 私も子供が三人おりますので、夫婦で出産を経験してきました。大変、夫婦にとって大きな希望を感じる出来事でもありました。しかし、実際、子育てというのは大変大きな労力を要する、経済面はもちろんですが、体力的にも大きな労力を要する、こうした大変なことであるということも感じてきました。

 しかし、是非多くの方々が未来に希望を持って出産を迎えることができるような環境整備、政治の立場からはしっかり用意をしていかなければならない。それが社会全体の希望につながると信じて、こういった政策を充実させていきたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 私自身は子供が二人おりますし、私ごとですが流産も二回しておりますけれども、様々な、出産というのは、一人目と二人目も全然違いますし、人によっても全然違うと思います。妊娠の高血圧症になったり糖尿病になったり、それは更年期障害が出たときにそういった病気を発病するかもしれないので気をつけなさいと、私自身も指導されました。そして、本当にこれは一時的な、体に異常が来ているんですよね。私たちにとって、昨日まで大好きだった食べ物が急に嫌いになって、においを嗅いだだけで吐き気がするというようなつわりが急にやってきたり、子供を産むことがどんなにしんどいことなのか分からないので不安になったり、様々な変化があります。

 そういう中で、安心して妊娠できる環境というものはどういうものなのか、少子化担当の小倉大臣にお尋ねしたいと思います。

小倉国務大臣 お答えをいたします。

 妊産婦の死因の第一位が自殺ということで、やはり妊娠や出産に伴う女性の様々な不調、体調変化がかなりあるということは承知をいたしております。そういう意味では、誰もが安心をして妊娠期間を過ごして出産することができる環境を整備することが重要だと思っております。

 このため、現在、政府全体といたしまして、少子化社会対策大綱に基づいて、産後ケア事業の全国展開など、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援、妊娠、出産に関する経済的負担の軽減やマタニティーハラスメントの防止など、安全かつ安心して妊娠、出産できる環境の整備などに取り組んでおります。

 また、再三言及のあります伴走型支援、これも重要だと思っております。

 総理が申し上げているとおり、核家族化が進んでおりまして、妊娠や出産、育児で周りに相談できる人がいないという方も多数に上っていると認識をいたしております。そういった方が身近な相談窓口で対面で相談する機会があったりとか、あるいは、そういう場所がない場所であっても、SNSやオンラインを通じて相談をできる場所というのが非常に重要だと思っております。

 この事業は来年度からこども家庭庁に引き継がれますことから、こども政策担当大臣としても、本事業により伴走型相談支援を充実をすることで、全ての妊婦、子育て家庭の孤立感や不安感を取り払い、安心して出産、子育てができるようにしてまいりたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 次に、厚生労働大臣、加藤大臣にお尋ねします。

 出産費用の保険適用のメリットとデメリットを教えてください。

加藤国務大臣 まず、正常分娩を、現在保険適用されていないわけでありますが、保険適用する場合は、分娩サービスの内容が標準化されるということ、そして、それに要する費用についても、公定価格として全国一律の価格を設定するということが可能になると考えています。

 他方で、出産においては、現状、出産場所や提供されているサービスがまさに様々であります。そして、妊婦の方がそれを自由に選んでいただいているという実態がある中で、それらを全国一律の診療報酬という形で評価することが適当なのかという課題があります。

 それから、保険適用ということになりますと、現在、出産費用の自己負担が地域によってはかからない、あるいはそれを超えてお金が残るというケースもありますが、保険適用ということになりますと自己負担が生ずる、この点をどう整理するのか。

 さらに、現物給付として、身体の一時的な異常である病気やけがに対して行う公的医療保険制度の療養の給付という基本的な考え方があるわけでありますけれども、そもそものこの基本的な考え方を見直す必要があるのではないか。

 こうした課題があることから、慎重な検討が必要であるというふうに考えているところであります。

堀場委員 ありがとうございます。

 私自身がすごく嫌な言説というのは、妊娠は病気じゃないと言われるということです。何かあると、妊娠は病気じゃないんだよ、つわりでしんどくても妊娠は病気じゃないんだよ、そういうふうな言説というのは女性を非常に苦しめると私は思っています。そして、これは嫁しゅうとめ問題を再生産しているものでもあると思います。小さな家庭の中で、病気じゃないんだから頑張りなさい、つわりは病気じゃないよと言われてしまうわけですね。

 なので、私は、制度が変われば価値観が変わって、そして社会が変わる、男性の育休というのはそういうイメージだと思うんですけれども、そうなると思います。私は、しんどいときは休むことができる、そうすることでパフォーマンスが上がって生産性が上がると思っています。しんどいというリスクは誰にでもあります。男性にもあります。生理休暇をわざわざつくるのではなくて、生理だろうとつわりだろうと、そのほか、男性がしんどいときも全て、しんどかったら休むということができる社会を私自身は目指しています。それがフラットな社会だと思います。

 保険適用ですが、不妊治療にも議論がありました。でも、保険適用になった今、多くの方が利用して、そして子供をもうけようと頑張っています。これをどう評価するのか。同じように保険適用には可能性があると思います。

 出産の数が伸びたらすごいことですし、これは、自分のことから社会のことですよという、大きなメッセージだと思います。もう苦しまなくていいから安心して産んでください、社会でしっかり見守りますよという、私は、そういう国からのメッセージだと思います。

 ほかにも、医療の安全の観点からも意味があると思います。保険適用になれば、厚生局のチェックが入ります。集団や個別の調査が入っています。人の配置等を確認されているでしょう。医療の安全が叫ばれ、痛ましい医療事故を防ぐためにも、妊婦さんにとっては安心なことだと思います。

 地域の格差はあるかもしれません。でも、それはほかの診療科も同じなはずです。けれども、なぜ産科だけが駄目なのか。そして、見える化される、それは本当にすばらしいけれども、見える化だけでは何も変わらないと私は思っています。保険適用をしても、選ぶ医療は選べるはずだと思っています。

 以上のような理由によって、私は、保険適用を進めていただきたいなというふうに思っております。

 最後、ちょっと時間がないので、給食費の無償化についてさせていただきたいなと思います。

 我が日本維新の会は、大阪で給食費の無償化を実現させていただいております。大阪以外にも、多くの自治体で給食費の無償化をしています。それは、教育予算のみならず、多様な財源を使ってやられていると聞いています。

 文部科学省さんにお尋ねしたいと思います。ちょっと簡潔にお願いしたいんですが、運営費に関して、給食指導の観点から、文部科学省さん、やられていると思いますけれども、給食費の無償化について教えてください。

永岡国務大臣 堀場議員にお答えいたします。

 学校給食費の無償化でございますが、学校の設置者とそして保護者との協力によりまして学校給食が円滑に実施されることが期待をされるとの学校給食法の立法趣旨を踏まえまして、設置者である自治体において適切に御判断いただくものと考えております。

 その上で、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の学校給食費につきましては、生活保護による教育扶助や、また就学援助を通じまして支援をしているところでございます。

 また、今般の学校給食におけます食材費の高騰に対しましては、地方創生臨時交付金を活用いたしまして、保護者負担の軽減に向けた取組を促しておりまして、ほとんどの自治体が取り組んでいるところでございます。

 以上です。

堀場委員 ありがとうございます。

 今、本当に物価高で厳しい状況にあるという点から考えても、今給食費は上げられないという点に関しては様々な方策が取られているというふうに聞いています。

 しかし、給食費の無償化をそもそも実現すれば、保護者の負担がないので速やかに対応することができると思います。ほかにも、食の安全保障の観点から国産食材を買う、そして地産地消を促進できる、オーガニック給食も実現できるかもしれない、こういったメリットもあると思います。

 そして、無償化というのは、教育的な観点というよりも、福祉的な観点、子育て支援だと私は思っております。特に給食というものが子供の貧困対策として非常に有用だと思っております。

 こういった理由から、我が党は、日本維新の会は、教育の無償化を国でも進めるべきだということで、物価高騰等にかかる総合経済対策の中でも言わせていただいております。

 ここまでお話をさせていただいたんですけれども、岸田総理、最後に、この給食の無償化、どのようにお考えか、教えてください。

岸田内閣総理大臣 まず、学校給食の無償化についての自治体とそして国の役割分担については、ただいま文部科学大臣から答弁させていただいたとおりであります。

 そして、その上で、今般の物価高騰対策の中で、政府において、地方創生臨時交付金の活用を促して、九九%の自治体において学校給食費の値上げが抑制されているという状況が報告をされています。

 こうした様々な制度を、政策を活用することによって、現場において学校給食費の負担を軽減するべく努力をしていく、こうした姿勢は重要であると私も認識をしております。

堀場委員 ありがとうございました。

 補正予算ということですので、できるだけ早くみんなが享受できる、できるだけ多くの人が享受できる、そして子供が多い人にも享受できる様々な政策が必要だと私どもは思っております。出産費用の無償化、そして給食費の無償化、この二点に関しては、我が党としても引き続き主張してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

古川(禎)委員長代理 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)国務大臣 発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 午前中の小野泰輔委員の質疑において、電気駆動船外機について、ISOやIECなどと同等のものであれば、海外で認定されたものはそのまま日本でも使える旨の答弁をいたしましたが、正しくは、海外の電動船外機について、国内の安全基準に適合することを船舶検査により確認する際、海外の公的な試験機関で取得されたデータの活用等を行うことにより、船舶検査の合理化を図っております、であります。

 おわびして修正させていただきます。

古川(禎)委員長代理 この際、住吉寛紀君から関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 総合経済対策とそれの関連の補正予算について質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、今回の総合経済対策のタイミングについてお伺いいたします。

 新型コロナ感染拡大に加え、ロシア、ウクライナ問題や円安の進行により物価高が続いております。私は、今年の二月に初めて予算委員会で日本のエネルギー政策の脆弱性について質問させていただき、このままだと電気代などが高騰してしまうのではないかという趣旨でしたが、ロシアがウクライナに侵攻して、それは残念ながら現実のものになってしまいました。CPIは上昇の一途をたどり、賃金は上がらず、国民の生活は苦しいままです。

 これまで政府は、三月、四月、七月、九月に経済対策を講じておるとはいえ、各社の世論調査では、六月あたりを境に、半分以上が物価高対応を評価せずとなっております。直近では八割という数字もございます。

 さらに、経済対策がばらまき中心で事務負担がかかり、国民の手元に恩恵が届くのが遅いというような性質もございます。九月の住民非課税世帯への五万円給付も、まだ手元に届いていない方の方が多いのではないでしょうか。これは、先ほど小野委員からもDXを進めていくことが重要であると言われましたが、それも進んでいるとは言えません。支持率狙いの評論家もおります、この経済対策自体が支持率浮揚対策であるというような評論家もおります。

 経済状況に実質的な変化を起こせる量の財政支出をもっと早く行うべきでしたし、少なくとも、この臨時国会の早い時期に審議できるよう提出すべきだったと考えますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 もっと早く提出するべきではないかという御質問ですが、委員も触れていただきましたように、この経済対策、年初から、政府としましても、状況の変化に応じて様々な政策を打ち出してきました。

 本年三月には原油価格高騰に対する緊急対策、四月には燃料油激変緩和などの対策を盛り込んだ緊急対策、七月には肥料高騰対策など二千六百億円、九月には燃料油激変緩和措置の延長や五万円の給付金、特に経済的に厳しい世帯への五万円の給付金、こうしたものをずっと切れ目なく対策を講じてきたわけであります。そして、その上で十月、今御審議いただいているこの補正予算を背景とする総合経済対策を明らかにさせていただいているということであります。

 こうした対策を切れ目なく講じていくことが重要であると思いますし、対策の遅れを指摘する声に対しても、こうした切れ目ない対策、しっかり説明をし、そして、おっしゃるように、何よりも対策を国民の手元に届ける、一日も早く届けることが重要だという認識の下に対策を進めていきたいと考えています。

住吉委員 六月末には、帝国データバンクの食品主要百五社を対象に行った調査、食品主要百五社価格改定動向調査、これは、年内に多くのものを値上げするということはもう予定されていた、分かっていたことでもございます。

 また、日本の産業構造上、円安が進むとこれは物価高に非常に影響を及ぼしますが、日米の金融スタンスの違いから、ほとんどの方が、専門家が、円安に進むだろうと予想されていた。さらに、先ほど世論調査でもありましたが、この物価高対策、これがなかなか国民に届いていない、恩恵を感じていない、そういう声は非常に大きいわけでございます。

 そういった意味で、対策が後手後手に回っているという印象を受けます。せめて、経済状況に実質的な変化を起こせる量、いわゆるビッグプッシュの経済対策を取りまとめて、この十月の臨時国会、早めに出すべきだったと思っております。

 また、今回の規模についてもお伺いしたいと思います。

 物価上昇の要因が、賃金上昇でなくコストプッシュが強く、マイナスのGDPギャップが存在することから、財政出動を行うこと、これ自体には異論はございません。

 しかし、どのようなロジックで額が決定されたのか、よく分かりません。財政支出は三十九兆円、民間支出を含む事業規模は七十一・六兆円、第二次補正予算は二十九・一兆円と、非常に巨額でございます。財源の大部分は国債発行です。一夜で四兆円増額されたという報道もあります。このような政策決定のプロセスは、税金を納めている、又はこれから負担を課せられる国民が知る権利があると考えます。

 さらには、政府は一貫して、財政健全化の旗印は降ろさないと答弁しておりますが、国債残高、これは年々積み上がっております。国債の発行可能額をどのようなロジックで決定しているかも疑問でございます。

 この規模の決定について、総理の答弁を求めます。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほど申し上げたように、三月以降、適宜対策を連続して行ってきました。その上で十月の対策ということであります。

 そして、その対策の規模についての御質問でありますが、そもそも、この経済対策を作成する際に、GDP、需給ギャップにつきまして、日銀の算定で十五兆円以上のギャップがあるということが指摘をされている中で経済対策を作っていかなければいけない、こうしたことでありました。よって、経済対策を作成する当初から、内容も規模も両方大事だということを申し上げながら経済対策を作ってきた、こうしたことであります。

 そして、具体的な中身、何が重要なのか。食料、エネルギー対策が重要である、あるいは、強靱な経済構造をつくるためにも、半導体を始めとする成長分野に思い切った投資をしなければいけない、六兆円の資金を用意するなど、様々な内容を積み上げて経済対策を構築してきました。

 そして、最後、仕上げの段階で、これからの経済を見通した際に、特に来年前半に向けて、米国、中国、そして欧州の経済状況、大変厳しいものがある。この世界発の経済の下押し圧力、こうしたものがこれから予想される、こうしたことにも十分備えなければならない、こうしたことで最終的な規模を決定した、これが経済対策の規模に対する考え方であります。

 そして、もう一つ御質問が、財政の方の話、国債と、国の借金との関係について御質問がありましたが、この部分につきましては、まずは、一昨年のコロナ禍から始まって、物価高騰があり、そしてこれから引き続き厳しい状況も考えられる中にあって、政府として国民の生活あるいは事業を守るために、講じられる政策は全て動員して、国民の生活や事業を守っていかなければいけないということで政策を用意する。しかし一方で、中長期的に国の信頼であります財政の健全化、これはしっかりと目指していかなければならない。

 この両立の下に日本の財政の信認を国際社会あるいは市場においてしっかり確保するのが政治の責任であると考え、政府として、そのバランスをしっかり取り、信認を確保するために、これからも腐心していきたいと考えています。

住吉委員 この規模に対して、優先順位であったり費用対効果など、この中身についても非常に大変重要になってまいります。

 例えば、今回、十・六兆円を投じる国民の安全、安心の確保には防災・減災、国土強靱化関連の事業を盛り込んでおります。こういった公共事業はGDPの直接的な押し上げ効果が高いとされております。

 ただ、過去の経済対策でもこのような予算を計上してきたわけですが、二一年度決算では四兆円近くが、繰越額、発生しております。この規模を大きくする、小さくするという議論だけで、予算執行や国内経済への効果、これが軽視されているのではないかというような指摘もございます。

 補正予算とは、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出又は債務の負担を行うために必要な予算の追加を行う場合に行うということです。これはもう他の委員からも何度も指摘されておりました。この定義に当てはめると、今回の基金と予備費、これについては全く当てはまらないのではないかと考えております。

 まず、基金についてお伺いいたします。

 今回、総額で八・九兆円計上しております。

 パネルを御覧ください。

 基金への予算措置、推移を見ると、二〇二〇年から大幅に上昇しております。基金の事業は運営が各省庁の関連団体など外部に委託されるため、国会での検証が十分ではなくなり、適正に事業が執行されているか見えにくくなります。そもそも、数年にわたって執行される性質のものであり、緊要性がなく、GDP押し上げの即効性は低いと考えられます。

 せめて、基金の性質上、補正予算ではなく通常予算で計上すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 補正予算に盛り込まれる事業につきましては、緊要性の要件を満たすか否か、これは基金事業であるかどうかにかかわらず、それぞれの事業内容等に応じて個別に判断する必要がある、そういうふうに考えております。

 その上で、例えば、今般の補正予算では様々な課題に対応する基金事業に対する予算措置を講じておりますけれども、経済対策に掲げられた柱に基づく施策を迅速かつ効率的に実施する上で必要であると判断したものを措置しておりまして、緊要性の要件はきちんと満たすものである、そのように考えております。

 あわせまして、基金の運用に当たっては、先生からも御指摘がございましたが、その透明性を向上させたり、効果的かつ効率的な活用につなげていくこと、これは重要なことでありまして、引き続き基金事業の適正な執行管理に努めてまいりたいと思っております。

住吉委員 基金が緊要性の要件を満たすべきだと考えるというような御答弁がございました。

 これは、我々は、本当にそこまで緊要性があるのかと、他の党の委員も様々に御指摘してまいりましたし、いろいろな報道、新聞であったり、また経済アナリストの方が、基金、これは二〇二〇年から一気に上がっているわけですよね、こういうような使い方が果たしていいのかというのは、非常に多くのところから御指摘されていると思います。

 総理も、是非、聞く力、これを強みというのであれば、こういった形で、やはり、本当に緊要性があるのか、また、数年にわたって使うような性質のものをこの補正予算でするのかというのは、我々としてはやはり違うと思っております。これはもう立場の違いもございますし、次の質問に移りたいと思いますが、予備費についてもお伺いしたいと思います。

 今回の予備費においても、四・七兆円という巨額を計上しております。さらに、これまで、政府の予備費の使い方、これについては、我々日本維新の会は、既得権へのばらまきや、また若者支援が少ないということで、我が党としてもいろいろ意見があるというところでございます。

 しかし、予備費の支出に関しては、閣議決定で何でも使えてしまう。もし本当に緊要的に必要であれば補正予算を組むというのが正しい考え方であると考えますが、これについてもいかがお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 予備費について御質問がございましたが、まず、補正予算計上の妥当性について申し上げますと、新型コロナの影響に加え、足下で進行中の世界的な物価高騰、これは国民生活や経済活動に様々な影響を及ぼしておりまして、今後の推移や影響の範囲等について、残念ながら、確たる見通しは依然として困難であると考えております。これに加えまして、世界的な景気後退懸念、これが高まっておりまして、日本経済を取り巻く環境には厳しさが増している状況であります。

 こうした中で、新型コロナの再拡大、あるいは物価の更なる高騰、さらにはウクライナ情勢等に伴い発生し得る経済危機など、直面する難局に機動的、弾力的に対応するため、万全の備えとして予備費を活用することは、これは国民の命と暮らしを守るという観点から適切な対応である、そのように考えております。このため、今般の経済対策では、コロナ、物価予備費を追加するとともに、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費を新たに創設することといたしました。

 その上で、財政規律の観点から、予備費は濫用されるべきでなく、その使用に当たっては、必要性や緊急性等についてよく所管省庁との間で議論、検討を行った上で、憲法や財政法の規定に従って適切に使用を判断していくことが必要であると考えております。

 財政民主主義との関係についても御指摘がございましたけれども、今回の経済対策で追加する予備費につきましては、令和四年度第二次補正予算の一部として国会で御審議いただくものであること、それから、予備費の支出については、憲法、財政法の規定に従いまして事後に国会の承諾を得る必要があることから、財政民主主義に反するものではないと考えているところでございます。

住吉委員 今、大きな問題の一つとして、物価が上昇している、でも賃金が上がらないことだと思っております。

 先ほど総理は、需給ギャップが存在するとおっしゃり、それに見合う規模を総合的に考えたという答弁がございました。需給ギャップがマイナスということは、企業の設備や人員が過剰ということで、需要を喚起していく必要があるわけです。マクロの面から賃金を上げていく、上げやすい環境をつくることが必要だと思っております。そのための今回の規模だと先ほどの答弁を受け止めました。

 今回の例えば基金や予備費、非常な大きな役割となっておりますが、割合が非常に大きくなっておりますが、果たしてその目的を達成できるのでしょうか。先ほどの規模についての整合性はあるのでしょうか。御答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭、先ほど、需給ギャップの答弁の中で十五兆円の数字を挙げた際に、あれを日銀の数字と申し上げたようでありますが、これは内閣府の数字でありました。ちょっと訂正をさせていただきます。

 その上で、御質問に対して答えさせていただきますが、今回の緊急経済対策は、柱としまして、一つは物価、円安への対応、二つ目として構造的な賃上げ、三つ目として日本経済再生のための投資と改革、この三つを柱として掲げさせていただきました。

 目の前の物価対策をしっかりと行わなければいけませんが、あわせて、すぐにでも日本経済再生に向けて努力もしていかなければいけないということで、半導体、蓄電池、あるいはサプライチェーンの構築など、成長に向けた投資ということで六兆円の支援を用意するなど、前向きな対策も盛り込ませていただきました。

 その中で、基金の部分につきましては、多年度にわたり、そして財政支出につきましても機動的に行わなければいけないなど基金の特徴を生かしながら、今言った前向きな政策を進めていく必要がある、そういった判断から、今申し上げたような課題に向けては基金という手法を用意した、こういったことであります。

 そしてもう一つ、予備費についての御指摘もありましたが、予備費につきましては、特に今の、現状の経済状況に対する危機感が裏にあります。年度初めと比較しましても、今は物価が更に高騰している。また、先行きの不透明感も、世界経済の動向を見ておりますと深まっている。こうした危機感の下に、少なくとも、コロナそして物価対策の予備費についても、年初と同じレベルは引き続き維持していかなければいけないのではないか、こういったことで三・七兆円の増額を考えたということでありますし、これから来年前半における世界経済の下振れリスクを考えると、こうした世界規模の下振れリスクへの対応、あれは平成二十一年だったと思いますが、リーマン・ショックの際に用意した予備費、あれを参考に、一兆円規模が必要であるという認識の下に、ウクライナ対策としての予備費一兆円を用意した、こうした次第であります。

 このように、基金についてはこれからの経済再生に向けて、予備費については今の状況に対する危機感、こうしたことからそれぞれ用意をした、こうした次第であります。

住吉委員 政府の立場として、そういった事情というのはある意味分からなくもないです。ただ、我々、税金の使い道を決める国民の代表の一人としては、ある意味、財政規律、これが失われているのではないかという思いがあります。

 二〇一九年度の補正予算、これは約三兆円となっております。これまで補正予算で審議していたような額自体が予備費として積み上げられているような状況でございます。幾らでも予備費を積んでいいのであれば、予算自体、予算審議自体、そもそも要らなくなってしまいます。

 予見し難い事態への対応として予備費の計上が認められ、予備費でも対応できないような事態が生じる場合に追加で予算を編成するということになっておりますが、巨額の予備費と補正予算も同時に計上され、財政規律が有名無実化していると言わざるを得ません。

 パネルなんですが、二〇二〇年以降、年末近辺で毎年大幅な補正予算が組まれており、これが常態化しております。二〇二〇年は、月は閣議決定された月ですが、十二月は財政支出四十兆円、二〇二一年は五十五兆円、今回は三十九兆円規模となっております。

 今回もそうですが、年度内に執行されず、概算要求でも記載のあるものがほとんどでございます。本年度予算では小さく見せて補正予算で大きく見せる、こういう手口が横行しているという状況です。

 また、予算を年度内に使い切る単年度主義の弊害を是正する手段として、先ほど答弁があったような、基金を使用したり、白紙委任の予備費が積み上げられたり、政府側からすると使い勝手がいいわけですが、国会のチェック機能がより届きにくいやり方が取られております。

 財政規律のモラルが失われていることについてどのように考えているのか。また、国際社会においても、この状態を続けていくことに信認を得られると思うのでしょうか。単年度会計を堅持しつつ、そのゆがみを運用で無理やり調整し、その手法を正当化するというのは本末転倒であり、今の制度に弊害があるのであれば、複数年度会計も検討すべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 先生からも御指摘ございましたけれども、これまで、新型コロナや物価高騰に対し、前例のない規模の補正予算等によりまして対応してきたわけでございます。これは、国民の命や暮らしを守るため、危機に必要な財政出動は、これはちゅうちょなく行わなければならない、そういう考えに基づいて行ったものでありまして、決して本予算を小さく見せるために行ったものではありません。

 その上で、新型コロナ対策につきましては、感染の拡大状況が予測できない中で、切れ目なく万全の対応を期すため、十分な予算を措置したこともありまして、会計年度独立の原則の例外として認められている繰越額が大きくなったこと、これも事実です。

 こうした予算につきましては、各省庁において早期の執行に努めていただくことは言うまでもありませんけれども、他方で、早期の執行を急ぐ余りに内容の精査なく支出を行うこと、これも適切ではないと考えております。財務省といたしましては、執行を担う各省庁とよく連携し、新型コロナの感染状況や地方自治体や事業者の状況等をよく踏まえながら、効果的、効率的な執行を促してまいりたいと考えております。

 住吉先生から、複数会計年度などを検討すべきと考えるがというお話がございましたが、我が国では、国会における予算の審議権の確保という観点から、予算を毎年度国会で議決いただく、いわゆる単年度主義が原則となっております。この原則の例外として、財政法上、国庫債務負担行為、繰越明許費といった制度が認められており、一定の経費について、国会の議決を受けた範囲で複数年度にわたる予算の確保ないし執行が可能となっております。

 その上で、御指摘の複数年度予算につきましては、国会の予算統制を緩めることになるために、慎重な検討が必要であると考えております。

住吉委員 本予算を小さく見せるというのは指摘に上がらないというような話ですが、実際には、本当に、概算要求にされているものが今回の補正予算に加わっている。誰がどう見てもそういうような印象を受けます。

 そういった意味では、やはり財政のモラルが、コロナのときには緊急的で仕方なかったかもしれない、それが、どんどんどんどん、政府側からすればやりやすいような形、そして我々からするとチェックが行き届きにくい、そういうような形になっていると思っております。この辺りはしっかりと改めていただきたいと強く申しておきます。

 ちょっと時間もなくなったので、少し質問を割愛しまして、最後に、マスク着用に対する考え方の整理と国民への周知についてお伺いいたします。

 少し話は脱線しますが、私もサッカーワールドカップを見ております。そして、昨日は、残念ながら日本代表はコスタリカ代表に負けてしまいましたが、ドイツ戦では劇的な逆転勝利を収め、日本中が歓喜の輪に包まれました。報道では、日本代表を応援しているサッカーバーなどの映像があって、皆さんビール片手に喜び合っている風景、これが報道されておりました。もちろん、マスクをしていない方が私が見る限り多かったわけです。

 一方で、学校現場では、学校の裁量に委ねられているとはいえ、依然として黙食が行われていたり、私の地元、姫路市内の学校では、合唱コンクールもマスク着用で実施されているというのを聞きました。

 大人たちはビール片手にマスクを外して楽しんでいる状況で、子供たちは黙食やマスクを着けての生活を強いられているというのはおかしな光景でもございます。

 現在、日本の場合は、それぞれの企業等が独自の判断でマスク着用の基準運用を行っていることが、国民がいつまでもマスクを外せない一因になっているのではないでしょうか。子供の成長にとっても悪影響がございます。どのような場面でマスク着用に意義があったのかという検証結果を国民に分かりやすく周知し、そして、マスクを外せる基準作りを行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、マスクの着用の効果でありますけれども、厚労省のホームページの一般の方向けのQアンドAで分かりやすく周知をさせていただいておりまして、例えば、マスクは、相手のウイルス吸入量を減少させる効果より、自分からのウイルス拡散を防ぐ効果がより高くなります、あるいは、両方がマスクを着用することで、ウイルスの吸い込み量が七割以上、不織布マスクでは七五%抑えるという研究成果がある、こうしたこともお示しをさせていただいております。

 その上で、新型コロナの感染経路は、飛沫やエアロゾルの吸入等々、あるいは接触感染などとされております。マスク着用の効果に対する研究結果、専門家の意見も踏まえて、基本的な感染防止対策として、換気などに加えて、場面に応じた適切なマスクの着脱をお願いをしておりまして、基本的には、屋外においてはマスクの着用は不要ということを申し上げております。

 子供のマスク着用の話がございまして、夏場における熱中症等の健康面の影響や、表情が見にくくなる、声が聞き取りにくいなど、コミュニケーションへの影響も指摘されております。二歳未満には推奨せず、就学前の子供にも一律には求めていない、このことについて、リーフレットなどによって周知も図っているところでございます。さらに、衆議院、参議院における感染症法の改正案に対する附帯決議もいただきました。

 それらも踏まえ、今後も科学的な知見に基づいて、マスク着用の考え方を含めた感染対策の在り方について不断の見直しも行い、また、その内容についてしっかりと周知を図っていきたいと考えております。

住吉委員 終わります。ありがとうございます。

古川(禎)委員長代理 これにて小野君、馬場君、堀場君、住吉君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 総理、我々国民民主党は対決より解決ということをうたっています。ただ、政府・与党側がしっかりと環境を整えてくれないと建設的ないい議論ができないので、やはり今、このがたがたがたがたした状況を総理の責任できちっと整理していただいて、リフレッシュ、リスタートしていただきたいな、このことをまず冒頭申し上げたいと思います。

 その上で、旧統一教会のいわゆる新法については、我々としても夏から議論していて、自民党、公明党さんとの三党の協議の中でも提案をさせていただいて、そして、特に最初のときから提案している二つの配慮義務、これを今の政府案に入れていただいているのは、これは評価をしたいと思います。

 罰則を厳しくすることとどういう規定を盛り込むのかはセットなので、我々も悩んだのは、いろいろな禁止規定を入れればいいんですが、信教の自由に関するところは禁止規定までなかなか書き切れないだろうということで、まず、家族と配偶者の経済状況に対する配慮、これをしながら寄附募集してください、寄附の勧誘をしてください、あわせて、心理的な抑圧状態に置くような形の寄附募集は慎んでくださいと。これだと罰則はかからないんですが、ただ、民法七百九条の不法行為でいけるので、基本的には、被害者の救済というのは民事上の救済なので、ここはいろいろ、憲法の信教の自由との関係の中で、何とか我々、この二つの配慮義務、最初の三党協議の中で提案させていただいて、これが入ったことは評価します。

 ただ、いろいろな考え方があるので、ほかの野党の方にもいろいろな考えがあるので、早くこれは一致点を得て、そしてこの国会で成立させる。これをしっかりとメッセージを発しないと、与野党共に国民から信頼されない、被害を受けた、特に信者二世と言われる方からの期待を裏切ってしまうということになりますので、そこは、総理、しっかりと進めていただくことを、まず冒頭、総理の意思を確認したいと思います。

    〔古川(禎)委員長代理退席、牧原委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 被害者の方々を救済する、そして、今後こうした被害を発生させない、そのことでもって政治の責任を果たす、これを目指さなければいけない、こういった思いは、政府もそして与野党の国会議員の皆様方も共有していただいていると考えています。

 そのために今様々な議論が行われて、そして、政府としては、そうした議論をしっかり受け止めて、法的な観点からどこまで対応が可能なのか、このぎりぎりを今検討しております。

 御指摘があったように、信教の自由ですとかあるいは財産権の保護ですとかの憲法の要請を始めとする日本の法体系の中で許される限り、最大限、禁止行為や取消権の対象とする方向で今検討を進めているところです。

 引き続き、様々な意見を踏まえながら、政府として責任を持って、法的観点から責任の持てる法律をしっかり用意をして、この国会に提出をし、早期成立を図っていきたいと考えています。

玉木委員 家族や配偶者、扶養親族が賠償請求しやすいような法体系を作ることが、裁判を円滑に進める上でも、権利請求をしやすい意味でも、是非ここはしっかりと前に進めてもらいたいというふうに思います。

 補正予算の話に入ります。

 我々国民民主党は、九月の十三日の早い段階で二十三兆円規模の緊急経済対策をまとめて、総理にも十月二十日に直接御説明をしました。

 今、もう一歩だと思うんですよ。需要不足が十五兆円、九月時点で。いわゆる欧米型の、食料とエネルギーを除いた欧米型の物価上昇率、コアコアで一・五%まで来ていますから、もうちょっとなんですよ。

 よくある失敗が、もうちょっと見えたところで増税の話とか金融緩和をやめましょうという話が出るから、いつも失敗するんです。だから、ここを、大気圏を抜け切った後にいろいろなことをやることが大事なので、我々としては、最低限二十三兆円必要だということで、今回二十九兆円の補正予算になっているその規模感は評価をしたいと思います。

 ただ、執行です。これがちゃんと市場に出ていって有効需要につながったり、こういったことができるのかということがポイントで、我々としては参議院選挙の公約で、これは我が党だけなんですよ、一割強、具体的に電気代を下げろと言っていたのは。なので、これが今回の対策の目玉になったことはよかったんですが、後で幾つかちょっと問題点を指摘しますけれども、是非、足りないところは更に執行段階でもよくしてもらいたいというふうに思っています。

 この補正予算の内容としては、電気代の値下げ、あるいは、いわゆるCEV補助金、クリーンエネルギー自動車の補助金、これも総理に申し上げて、拡充を入れてもらいました。あとは、静岡県や宮崎県、山形県、いろいろなところで起こった災害に対する対策も入っていることは、これは評価をしたいと思います。

 電気代の話に戻しますが、今回、家庭用の低圧、事業用の高圧、これは対象になっています。我々がずっと言った再エネ賦課金、つまりキロワットアワー三・五円、これは、まさに事業用ではこのまま入れてくれています。家庭用はそれ以上の、七円ということで、二割ぐらいやってくれているんですが、抜けているのがあるんですよ。これは、大規模工場やオフィスビルなど七千ボルトを超える特別高圧電力は対象となっていないんです。いろいろな理由で外しているんですが、私、大事なのは賃上げなんですよ。幅広い企業で幅広い人が働いていますから、いろいろな企業、いろいろな産業の電気代の値上げの負担を軽くしてあげることによって、来年の春闘の賃上げ原資が出てくるんですよ。とにかく、給料が上がる経済を取り戻さない限り希望は戻ってきませんから、だから、ここだけ電気代を下げる、ここだけ下げるんじゃなくて、もう全部下げたらいいんですよ。

 だから、総理、この大規模工場やオフィスビルなんかが対象となっている特別高圧のところ、ここも電気代を下げるべきだと思いますし、まして予備費を積んでいるんですから、こういったことも執行段階で、通常も下がりますから。与党の皆さんも知っていましたか、特別高圧が外れているのを。これはやった方がいいですよ、絶対。どうですか、総理。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 まさに御提案もいただき、我々このような対応を取らせていただきますけれども、まさに来春以降に見込まれる電気料金の負担増の軽減のためということでありまして、賃上げというものは、別途の手段で様々支援をしながらこれは実現していきたいと思っております。

 その上で、御指摘のように、家庭への支援を第一に考えて、低圧需要家に対して手厚い支援を行うということでしておりますが、これは、転嫁が困難な中小企業などが相当数いることを踏まえて、こうした事業者が多く含まれる高圧需要家までは対象を広げるということにしております。

 限りある財源の有効活用という観点から、大企業が多く含まれる特別高圧の需要家を一律に対象として広く薄くやることは行わずに、それぞれの事情に応じて分野ごとの対応を行うということにしております。

 御案内のとおり、九月に措置しました電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援の地方交付金もありますので、こうしたものを含めて、また、大企業向けには省エネ対策の抜本強化、こうしたものもありますので、是非重層的に組み合わせながら適切に対応していきたいというふうに考えております。

玉木委員 やった方がいいですよ、総理、これは。与党の皆さんも、ちょっと。

 総理、私もちょっと、ちゃんとチェックして分かったんですけれども、特別高圧が外れていたのは、正直、知りませんでした。

 与党の皆さん、知っていましたか、与党審査のときに。結構これが経済に、特に電力多消費産業が外れるというのはかえっておかしいですよ。

 これは、まさに予算審議の中で気づいたものは改善していったらいいので、経産大臣、柔軟にやりましょうよ。

 総理、どうですか。

岸田内閣総理大臣 今、経産大臣からも答弁させていただきましたが、要は政策の優先順位をどう考えるかという問題であると思います。

 電力の価格高騰による費用増については、適切に価格転嫁ができるかどうか、これが最も大きな、重要なポイントであるという考え方に基づいて、最終消費者、これは価格転嫁できないわけでありますから、これを第一に考えて、最終消費者、低圧需要家に対しては委員御指摘のように七円、より手厚い支援を行った、こうしたことであります。そして次に、転嫁が困難な中小企業が相当ある、そういったことを踏まえて、高圧需要家までは対象を広げるということにした。

 そして、更に、委員の御指摘は、その範囲を広げて特別高圧電力、これも対象にしろということでありますが、こちらの部分については、一応、政府としては、六千億の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、これを活用することを働きかけている、こうした整理をしているところです。

 問題意識は理解いたしますが、やはり政策の優先順位はしっかりとつけていかなければならない。

 さらに、それ以外の様々なエネルギー対策、省エネ投資への支援等については、特別高圧電力を利用する需要家も含めて政策を用意することによって支援していくことを考えていきたいと思っています。

玉木委員 やっていただいたことは評価します。私は、一割強、一二、三%下げたらいいと言って要求していたので、二割ぐらい家庭用電力が下がったことはよかったと思うんですが、足りないところは、やはりこれはちゃんとやったらいいと思うんです。

 総理、これは引き続き我々も求めていきますけれども、是非前向きに、経産大臣、これは検討してください。結構、これは影響あると思いますから。お願いします。

 次に、インフレ手当についてちょっと提案したいと思うんですね。

 今、四社に一社の民間企業で自分の会社の従業員にインフレ手当を配ろうと、検討中も含めたら、もう四社に一社が考えているんですね。やはり現金というのが一番、何でも使えるから、やはりもらってうれしいので。

 ただ、出せるところと出せないところがあって、特に円安とか原材料価格の高騰で苦しんでいる企業ほど出せないんですよ。だったら、ここは、国がインフレ手当を出して、さっき言った、余裕ができたものは賃上げの原資に各企業では回してもらったらいいということで、我々国民民主党としては、国民一人当たり十万円のインフレ手当ということを提案しています。これは所得連動型ということで、所得の高い人は後で税金で返してもらうという形にしていますから、高い人はそもそも申請しないという仕組みにしていますが、これは大体、十兆円強の予算でできます。

 この今回の予算委員会でも、四・七兆円の予備費が使い道もなくどんと積まれているのはおかしいという議論がありました、財政民主主義の観点から。だから、ある程度使い道を決めたらいいと思うんですよ。なので、私は、それは、このインフレ手当の給付をすればいいと思います。四兆円使えば、一人当たり全員に三万円配れますし、あと、今回、為替介入で、外貨を売って円を手に入れています、九・一兆円。この一部を使えば合わせて十兆円ぐらいになりますから、一人当たり十万円の給付はできるので、是非、インフレ手当、予備費とあと外為特会からのお金を使って、十万円のインフレ手当、経済の回復を確実なものにするためにもやるべきではないですか。

岸田内閣総理大臣 委員の方から、国民に対して一人当たり一律十万円の現金給付を行うべきという御指摘をいただきました。

 政府としては、物価対策、これは、エネルギー、食料品等に的を絞って、ピンポイントにきめ細やかな対策を実施する、こうした考え方に基づいて対策を用意しました。

 そして、現金支給ということにつきましては、本年六月から、低所得の子育て世帯に児童一人当たり五万円の給付、九月には住民税非課税世帯に五万円を給付することを決定し、年内にほとんどの自治体で支給が始められる見込みになっている。また、非課税世帯以外の低所得世帯への直接給付も可能な地方向けの交付金、これを創設するなど、重層的な支援を切れ目なく講じてきたというのが、政府のこの対策の基本的な考え方です。

 そして、外為特会の外貨資産は、政府短期証券を元手に保有しているものであり、為替介入で円貨を得た場合、償還期限を迎える政府短期証券の償還に充てる、このようになっており、これを財源として捻出するということは適当でないというのが政府の考え方であります。

玉木委員 いろいろ知恵を使ったらいいと私は思っていて、外為特会はもうちょっと積極活用したらいいと思います。

 今まさにおっしゃったとおり、政府短期証券によって外貨資金を調達しているということで、償還に回さなきゃいけないということなんですが、直近、ドルを売って円を買ったのは一九九八年です。あのときは数兆円単位で、まさに、ドルを売って円を買って、今と同じような介入をしていますが、そのときのお金は償還に回っていません。あのときは百六十七兆円償還していますが、全額、新しい政府短期証券、FBを発行して、百六十七兆円、きれいにロールオーバー、つまり借換えしています。

 だから、財務省はよく償還しなきゃいけないと言うんですが、外為特会の負債サイドのこの政府短期証券の積み上げというのは、減ったことがないですよ。どんどんどんどん増えていますよ。

 ちなみに、ちょっとパネル一を見てもらいたいんですが、外為特会から一般会計に繰り入れるのはおかしいという議論があるんですが、これを一番やってきているのが財務省です。毎年数兆円規模の運用益が出て、そのうち、一兆、二兆、ずっといろいろな繰入れを行っていて、平成に入ってからでもトータル五十兆円ぐらい繰り入れているんですよ。これはまさに、FBを発行してやっていますから。

 私、こういう質問をよくするんですけれども、やったら駄目だと言って、駄目だ駄目だと言うんだけれども、お金が足りなくなったら、一番外為特会に頼ってきたのは財務省ですよ。だって、平成になってからもう五十兆使っているじゃないですか。

 だから、我々は、予備費をまずどんと積んでいるのはおかしいということと、今回、為替介入して現に円が手に入っていることを利用して、十万円のインフレ手当の給付のための予算の組替え案を出したいと思っています。

 そして、これを見てもらうと分かるんですが、一年間に一回外為特会を入れるのは、法律に書けばできるので特別法は要らないんですが、年度当初で入れるときには、湾岸戦争のときとか東日本大震災とか、特別法を一本通して入れています。だから、併せて法律も今回、国民民主党は出しますから。だから、いろいろな工夫でできるし、いろいろな工夫というか、財務省がやってきたことをやったらいいんじゃないのと言っているんです。

 テレビを御覧の皆さんに外為特会は難しいので簡単に言うと、例えば、一ドル百円のときに一万ドル外貨預金したと思ってください。そうすると、百万円だったんですね。それが、ドルが強くなって円が安くなって一ドル百五十円になったら、その一万ドルは百五十万円になるんです。五十万円増えているんですね。だから、この五十万円を使っていろいろな財源に使ったらいいんじゃないですか。特に、円安で国の特別会計がうはうはになっているのであれば、円安で困っている企業と個人を助けるための財源に回せば合理的だということを申し上げているんです。

 外貨なので、外貨の取り出し方にいろいろな工夫があって、今のように介入して円を手に入れたらその円を使えばいいんですが、これまで、確かにドルを売って円を買うと介入になるから、どうしているかというと、その運用益が出た見合い分を、政府短期証券を発行して、そのうちの一部を繰り入れるということをしてきたんです。

 私が与党だったときの平成二十二年に、全部繰り入れるのはちょっとリスクもあるから、七割だけ入れて三割は残そうというルールを決めました。それを破ったのが、二〇一五年、麻生財務大臣です。全額入れました。つまり、私も一定のリスクの下で繰り入れろということを言っているんですが、調子が悪くなるとというか、財源が足りなくなると全額入れたりしたのが麻生大臣ですよ。

 今回は歴史的な円安で、さっき言ったように、かなり為替差益が出ているので、それをうまく利用しましょうということを提案しているんです。

 鈴木財務大臣、今、外為特会は、ドル建て、円建てでどれぐらいあるか御存じですか。

鈴木国務大臣 一兆二千億ドル程度だと思います。

玉木委員 ちょっと減っている、合っています、一・二、三兆ですね。

 大体、去年の今頃の為替レートは一ドル百十五円なんですね。今、百四十円ぐらいになっていますから、単純計算しても三十兆ぐらい日本円で増えているんです。その一部を使ったらどうですかということを私は提案しているんですね。

 さっき言ったように、円建てで見たときに増えている。例えば、この一部をインフレ手当に回しましょうということを提案していますが、防衛費の話をします。

 一部報道で、次の中期防は四十兆円台とか、あるいは、すごく大きな、四十七兆円という議論も出ていますね。今が大体、中期防は二十七兆円ぐらいですか、五年間で。だから、追加で十三兆とか、多く見積もっても二十兆、次の五年間で必要なわけですよね。でも、ここで円安による為替差益三十兆が出ていますから、このうち一部を使えば、少なくとも今後五年間の追加の防衛費は賄えるのではないかなと思うんです。

 そこで、総理に伺います。

 この前、有識者の会議で、幅広い税で防衛費の増を賄うという提言があったと承知していますが、総理としては法人税や所得税の増税を考えておられるんですか。

岸田内閣総理大臣 防衛費につきましては、防衛力の内容と予算と、そして財源と、これを一体的に議論をするということで、今議論を続けております。

 今現在、これをどのように賄うのか、大切なのは、これは、防衛力を抜本的に強化し、それを恒常的に維持していくためには財源についてどう考えるか、こういった考え方が重要である、この点は間違いないと思いますが、具体的な税目については、今議論が続いている最中でありますので、今確定的に申し上げることは控えます。

玉木委員 確定的に申し上げることは控えるということは、将来、法人税や所得税の増税もあり得るという理解でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 それも含めて、今の段階で私から何か申し上げるのは控えなければなりません。

 今、政府あるいは与党において、議論が続けられています。その際に、十分な防衛力を恒常的に維持するための財源としてどうあるべきなのか、議論を続けている途中であるということを申し上げさせていただいています。

玉木委員 途中なんですけれども、私は、いろいろなことをやはり検討した方がいいと思います。

 今、景気回復、ようやくコロナから戻ってくるこの段階、すごく大事なときなんですね。今回の補正予算についても、一つ残念なのは、二十九兆円というのは私は一定評価しているんですが、これをやると同時に増税の話をするので、合理的な意思を持った人は何を考えるかというと、今もらっても将来取られると思うから使わないんですよ。これは合理的期待形成学派という人も言っていますが、出す話と取る話を同時にするのはやめた方がいいです。だから、それはせっかくやった経済対策の効果を減じるので、ある意味、人は合理的なので、将来、増税がありますよと同時に言われたら、やはり経済波及効果とか乗数効果が落ちるんですよ。これは是非気をつけてもらいたいなと。

 そこで、まずは、さっき申し上げたような特別会計とか基金で余ったお金とか、いろいろなものを使って財源を捻出するということを考えていただくということが大事だと思いますので、それこそ、防衛費の財源、それについて考える与野党協議会を設置して、私はちゃんと議論した方がいいと思います。安全保障については、やはり与野党の合意が必要だし、我々も、国民民主党も増額した方がいいと思っています。なので、これをどう考えるのか。いきなり増税に行くことは反対です。だから、さっき申し上げたような、少なくとも外為特会等々の活用というのはもっと考えるべきだということを、これは総理に是非御理解いただきたいと思います。

 次に、その防衛費の話をしますが、これも、先般の有識者会議の報告書によると、NATO基準は用いないで、我が国独自の基準で総合的防衛予算を計算すべきというふうに言っていますが、これはちょっと、私は、単なる見せかけ予算になる気がして、真に防衛力の強化につながる予算になるのかというのを心配しているんですね。

 まず、NATO基準というのはそもそも何なのかというと、こういうことです。特に、今回は海上保安庁の予算にちょっと絞って考えたいと思うんですが、いわゆる沿岸警備隊、コーストガードみたいなことも入り得るんですが、その他の軍も含む場合があるとしています。ただ、その場合の国防費は、軍事戦術の訓練を受け、軍隊としての装備を保有し、作戦展開の際に軍の直接指揮下で行動できるとともに、軍を支援して実際に領外に展開可能な部分のみを計上するとしています。これがNATOの定義です。

 次の、ここで総理に質問したいのは、海上保安庁法二十五条です。何て書いているかというと、海保については、「その職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」とされています。これは、制定の背景は、自衛隊よりも早い、一九四八年に海上保安庁が発足するときに、当時のソ連や中国が再軍備につながるといって反対して、批判をかわすために、アメリカが精神規定として、盛り込まれたとされています。もう一つの憲法九条とも言われています。

 先ほどのNATO基準を見ると、つまり、いざというときに軍の指揮下に入るかどうかがその予算を計上できるかどうかの定義になっているんですが、海上保安庁二十五条があれば、今のままの海保の予算は合算できません。

 なので、せめて何か、防衛に役立つ総合的な予算ということを仮に概念するにしても、この二十五条を改正するか、あるいは、自衛隊八十条に基づく、防衛大臣による海上保安庁の統制要領を少なくともきちんと定めておくことが必要だと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、NATO基準ということにつきましては、海外との比較ということにおいてこうした基準を用いるということは、大変意味があると思っています。

 ただ、この防衛力の強化の議論は、当初から申し上げておるように、日本の置かれているこの厳しい安全保障環境の中で、日本の国民の命や暮らしを守るためには何が必要なのか、この内容をしっかり吟味するのがまず基本であるということを申し上げています。

 そして、委員御指摘の海上保安庁法第二十五条あるいは自衛隊法第八十条の点について申し上げるならば、日本においてこうした法律がどうあるべきかを議論した場合に、海上保安庁法第二十五条は、法にのっとり、事態をエスカレートさせることなく業務を遂行するという観点から、これは重要な規定であると認識をしています。

 その上で、安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、有事における海上自衛隊と海上保安庁の連携強化、これは我が国において極めて重要であり、この点は長年積み残されてきた課題だと認識をしています。

 よって、自衛隊法第八十条に基づく武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領、これは今、政府内において既に統制要領作成に向けて作業に着手しております。是非、この統制要領についてしっかり政府として考え方を明らかにし用意することによって、海上保安庁とそして海上自衛隊の連携の強化、長年にわたり積み残された課題について政府の考え方を明らかにしていきたいと考えています。

玉木委員 統制要領策定に向けた動きが今始まっているのは非常にいいニュースだと思います。是非これは進めていただきたいと思います。

 一方で、現場で海保と海自の共同訓練は、防衛大臣、まだやっていないんですよね、国交大臣でもいいんですけれども。一回もやっていませんよね。

 これも、統制要領がないからそうなんでしょうけれども、やはり現に、きちんと、いざというときには連携して対処できるように。実際、統制要領ができたらその中で、まあ有事の際ならあれですけれども、訓練も、やはり海自と海保がやるということは、是非これはやっていただきたいなと思いますけれども、防衛大臣、まだ一回もやっていませんものね。あるんですか。

浜田国務大臣 海保と海上自衛隊との間の共同訓練については、これまで海上警備行動命令が発令される事態を想定した共同訓練を積み重ねてきております。各種事態への対処に応用し得るものとして考えてきましたが、武力攻撃事態を想定した共同訓練については実施したことはございません。

玉木委員 武力攻撃事態を前提にしたものはまだだということ、それは統制要領がないので。だから、そこをしっかり、法文上作ることとオペレーショナルな現場の体制と、両方をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 次に、今、国民民主党として、政府のいわゆる三文書の改定の前に、我が党としても安全保障の戦略をまとめています。前原誠司安全保障調査会長の下で、間もなくこれはできると思います。

 その中で幾つかの柱を用意していますが、我々が非常に力を入れているのがアクティブサイバーディフェンスです。これは、横文字でちょっと難しいんですが、積極的サイバー防衛あるいは防御というふうなものですけれども、サイバー空間においては、はっきり言って、攻めることと守ることが表裏一体というか、その境が曖昧です。専守防衛は我々も守るべきだという立場ですが、何が攻めで何が守りかがよく分からないのがサイバー空間。

 特に、サイバー攻撃は受けたら終わりです。受けたら終わりなので、攻撃を受けないために、ここに書いていますが、監視活動をしっかりやる。あるいは、時に相手を、アトリビューションといって、特定して、侵入していく。これは場合によっては攻撃とみなされ得るかもしれない。

 ここが表裏一体なので、何が問題になるかというと、現行の、例えば不正アクセス防止法とか、その根っこにある憲法のいわゆる通信の秘密、あるいは刑法、こういったところと衝突するので、この法体系が我が国にないんですよ。どこまで何をやったら認められるか、認められる条件は何なのか。

 何が問題かというと、司令塔がないんです。防衛省は防衛省でサイバーをやりましょう、警察は新しい組織ができました、今度は、病院が攻撃されるから厚生労働大臣が何かサイバー対策をするとか。個々にやっていてどうするんですか。だから、司令塔機能もきちんと設ける。CDCをつくりましょうみたいな話がコロナのときもありましたけれども。何をどうするかということと組織をどうするかという、サイバー安全保障基本法みたいなことが要ると思うんです。

 我々国民民主党はこれを提案しますが、総理、こういったアクティブサイバーディフェンスを可能とする基本法、法体系、これは速やかに整備すべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の話を今聞いておりまして、問題意識としては共有できるところが多いのではないか、このように思っております。

 昨今のサイバー空間において、政府機関や重要インフラ事業者のみならず、様々なものがしばしば国境を越えてサイバー攻撃の標的になっている、こうした現実があります。そして、御指摘のように、サイバー攻撃においては、攻撃側は圧倒的に有利であり、攻撃側を特定すること、これが困難である場合が多いなど、サイバー空間の脅威はますます高まっておりますし、これへの対応が迫られているということは強く感じています。

 そこで、我が国としては、新たな国家安全保障戦略を策定する中で議論を進めてまいります。それを進めた上で、サイバー空間の脅威に的確に対処できるようにするには具体的にどうするのか、これを精査し、そして用意をしていきたいと思っています。

玉木委員 是非用意してください。

 これはちょっと伺いますが、我が国のサイバー攻撃、民間にも最近すごいんですけれども、これは担当大臣は誰ですか。

    〔牧原委員長代理退席、古川(禎)委員長代理着席〕

谷国務大臣 お答えをさせていただきます。

 現在、サイバーセキュリティー担当大臣として、国家公安委員長でもあります私が兼ねているところでございます。

玉木委員 谷大臣、我が国の官民問わず受けている攻撃について全容を把握されていますか。

 例えば、病院、この前、もうずっと機能不全のままですけれども、厚生労働分野におけるサイバー攻撃、あるいは各種企業に対するサイバー攻撃、様々な分野に攻撃がありますけれども、これは国家公安委員長が兼務してできる話では私はないと思っているんです。谷大臣がどうこう、能力がどうこうじゃなくて、これはやはり、担当大臣を設けてやるぐらいの、専門部局を設けてやるぐらいのもので、ここが役所の縦割りが典型的に出るところで、予算要求でも、警察が今度あれです、あれとかと、こんなのばかりじゃないですか。

 この横串を刺すような組織もやはりちゃんとつくっていかないと駄目だと思いますので、そこも併せて、総理、是非検討いただきたいんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども答弁させていただきましたが、まずは新しい国家安全保障戦略の策定等に努め、その中でサイバーへの対応を整理したいと思います。そして、それに基づいて具体的な対応を用意していく、こうした順番で対応を考えていきたいと思います。

 担当大臣を置くべきだという御指摘につきましても、御指摘を今日いただき、また政府としてどうあるべきなのか、検討したいと思います。

玉木委員 我々はかなり踏み込んだ安全保障戦略を間もなくまとめますので、今申し上げたような具体的な提案もしています。特に、アクティブサイバーディフェンスに関してはかなり分厚くやっております。それ以外にも幾つか、いわゆる反撃能力の問題であるとか、そういったことについてもしっかりまとめております。

 安全保障に関しては、できるだけ与野党の合意を丁寧に私は取るべきだと思うんですね。その意味では、我々は早急にまとめますので、まとまったら、まさに三文書改定を閣議決定する前に、是非、我々国民民主党も、協議の場を設けていただいて、我々の考え方を政府にも総理にも説明する、その機会を是非いただきたいと思いますけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げているように、政府としましては新しい国家安全保障戦略等の策定に向けて検討を進めているわけですが、公党間のやり取りについては、先ほども維新の馬場代表から御提案をいただいています。そもそも、今国会冒頭で御提案をいただき、先ほどの質疑の中でも公党間のやり取りについて御提案をいただいています。

 その際に、先ほど馬場代表にお答えしたとおり、是非、御党ともできるだけ近いうちに、こうした公党間のやり取り、調整させていただきたいと思います。

玉木委員 それは、維新の皆さんとやるということで。我が党ということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 ただいま、御党ともと申し上げたつもりであります。

玉木委員 是非我々も責任ある提案をしていきたい、提言していきたいと思いますので、是非その機会をお願いしたいと思います。

 最後に一問伺いたいと思いますが、今、私、全国を回っていますと一番言われるのが、子育てあるいは教育支援の所得制限を外してほしいということなんですよ。給料を上げよう、賃金を上げようといって我々は頑張っているんだけれども、上がって、上がったら、そこで所得制限にひっかかっていろいろな支援から外れてしまう。何か働くのがばからしいと言われたり、いろいろな分断ができているということで、我々は今国会の冒頭に所得制限撤廃法案という法律を出しました。

 是非、所得制限をなくしていただきたいなと思うし、与党の中にもそういう考えの方はいらっしゃると思いますし、小倉大臣も本音はそう思っていると私は思っているんですが、まず、その中で是非やってもらいたいのが、涙ながらにベビーカーを押して、少なくとも三人の方に会いました。障害をお持ちのお子さんを持っている御家庭の方です。

 私、勉強不足で知らなかったんですが、障害児に対する例えば特別児童扶養手当、こういった障害児福祉についても所得制限ががちっと入っているんです。いろいろな、やはり装具の問題とか、お金がかかるので、せめて、総理、どうですか、もう本当はいきなり全部やってもらいたいんですが、せめて障害児の、障害児福祉の所得制限だけはまず撤廃するということで、障害をお持ちの、多くの親御さんの思いに応えていく。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 障害児、そしてその御家族への支援、これは大変重要な取組であると思います。

 政府としましても、所得に応じた福祉サービスの利用者負担の設定、あるいは、三歳から五歳までの障害児の福祉サービスの無償化、こうしたことをきめ細かく進め、負担の軽減を図っているところです。

 そして、委員御指摘の特別児童扶養手当につきましては、これは、精神又は身体に障害を有する児童の生活の安定に寄与するとともに児童の福祉増進を図る、こうした目的によって支給されているということで、制度発足時から所得制限が設けられているということであります。

 これが現状でありますが、委員の御指摘等も踏まえながら、政府としましては、こうしたそこの制度のありようについて、絶えず、どうあるべきなのか、これは議論は続けていきたいと思います。

玉木委員 障害児福祉の所得制限撤廃、ここは政治の決断、総理の決断で進めていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。

古川(禎)委員長代理 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、統一協会と政府の関与について質問します。

 二〇一九年七月、アフリカのモザンビークの太陽中学校、高校の理事長に、当時の河野外務大臣が外務大臣表彰を与えました。実は、この理事長は、統一協会関連、世界平和女性連合からの派遣員で、学校は世界平和女性連合が運営支援していました。

 先月の外務委員会で我が党の穀田恵二議員が、統一協会関連団体の活動を政府が称賛したという重大問題だと指摘したところ、十一月四日、外務省は表彰を取り消すと発表しました。

 外務大臣、取り消した理由について説明をしていただけますか。

林国務大臣 令和元年度の宝山晶子モザンビーク太陽中学校、高等学校理事長に対する外務大臣表彰に関しましては、モザンビークにおける教育、医療関連活動を通じて我が国とモザンビークとの友好親善に寄与したとの理由により、令和元年七月に表彰を行っております。

 しかしながら、当省として改めて関係者からの聴取や関連資料の確認を行った結果、宝山氏が、同学校において、通常の教育活動に加えて、社会的に問題が指摘されている旧統一教会の布教を強く意識した学校活動を実施していたということが確認をされました。また、同氏が派遣員を務める世界平和女性連合が、本件表彰後に、本件表彰を同団体の活動の正当性の裏づけとして利用している、このことも確認されたところでございます。

 本件表彰が社会的に問題が指摘されている旧統一教会の活動を促進するものであるかのような無用な誤解を与えることは適切ではないという点を踏まえまして、十一月四日、宝山氏に授与した令和元年度外務大臣表彰を取り消したところでございます。

田村(貴)委員 このモザンビークの学校では、教育と称して統一協会の創始者の自叙伝を配布し信者に勧誘するなど、海外宣教を行っていました。これが明らかになっています。学校を隠れみのにして統一協会の宣教活動をする、これが世界平和女性連合です。

 その世界平和女性連合がアフリカのセネガルで運営している職業訓練校の新校舎建設に対して、政府は、二〇一五年、ODA、政府開発援助として九百五十五万円余りの無償資金協力を行っていたことが、先日の外務委員会で、穀田議員の質問で明らかになったところであります。二〇一五年、資金協力をした当時の外務大臣は岸田総理ですね。それがこのセネガルの職業訓練校の写真ですけれども。

 それでは、岸田総理に伺います。

 反社会的団体に対して国民の血税である政府資金を当時外務大臣として供与した責任について、総理はどのように認識されていますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のセネガルの案件ですが、セネガルのダカール州においてセネガルの現地NGOである女性団体が運営する職業訓練を建設するというものであり、これに我が国の草の根・人間の安全保障無償資金協力による支援を行って、女性の社会進出を支援するための基礎教育、職業訓練を行う環境を改善することを目的として行ったものであります。

 これは、二〇一五年、こうした支援を行う際には、このセネガルの現地NGOである女性団体がどのような団体であるか、少なくとも、御指摘のような旧統一教会との関係がある団体であるということは全く把握できておりませんでした。

 しかし、その後、関係が指摘をされているということで、改めて外務省として、まずは、この職業訓練校がどのように運営されているのか、これを現地大使館を通じて確認いたしました。少なくとも、先ほど御指摘があったモザンビークの事例のように、違法な活動ですとか、問題のあるような布教活動というものは行われていない、このことは確認をしたところであります。

 そして、それに対してどう対応するかということでありますが、この職業訓練校については、セネガル政府も土地を提供するなど協力をしている、実績について高く評価し、そして現地セネガル国民も裨益している、こういった事態がありますので、これについてどう対応するか、これは慎重でなければならないと思いますが、しかし、先ほども申し上げたように、まずは、当該職業訓練校において布教活動等目的外の活動が行われていないかを確認するとともに、本件支援で得られた信用を利用するなど、社会的に問題が指摘されている旧統一教会の活動を促進するものであるかのような無用な誤解を与えていることがないか、この点についていま一度確認をしていきたいと思います。その上で、当該案件についても適切な対応を考えていきたいと考えます。

田村(貴)委員 そこはしっかり調査してもらわなければいけないんですけれども、一千万円近くの政府資金を正体を隠した統一協会に出していた、日本政府がその活動にお墨つきを与えていたという、これは重大な問題なんですよ。

 総理、セネガルの資金の提供については、これは返還を求めるべきではないですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、セネガルの現地NGOである女性団体について、資金が拠出された当時、旧統一教会との関係が確認されていなかったことは改めて今強調しておきたいと思います。その上で、その後そういった事態が明らかになった、その上でどう対応するかということであります。

 これは、セネガルも土地を提供するなどこの事業に協力をしている、また、現地において実際大きな裨益を多くの国民が受けている、こうした高い評価があるという観点があるということも踏まえて、どのように適切に対応するのか。少なくとも、問題があるような行動があれば、あるいは信用を利用するというような事態があれば、政府として対応は考えていかなければならないと思っています。

田村(貴)委員 当時外務大臣だった総理自身に関わる問題なんです。徹底調査して、そして資金の返還請求を行うべきであります。

 この間、我が党は、ルワンダも含めて三つの国の事例を明らかにしてまいりました。統一協会の海外での活動に対する日本政府の関わりはほかにはないのか、岸田総理の責任で徹底的に調査をして、そして解明し、そして関わりについてはちゃんと清算する、このことを強く求めていきたいと思います。

 続いて、賃金引上げについて質問します。

 パネルの二番目ですね、御覧いただきたいと思います。

 十八日に公表された十月の消費者物価指数の上昇率は三・六%と、四十年八か月ぶりに急激な上昇となりました。一方で、賃金上昇率は一%程度で、実質所得はマイナスが続いています。物価高騰に悲鳴の声が日本国中で上がっています。消費税の減税とともに、賃金の引上げは待ったなしの課題であります。

 最低賃金も、物価高騰に追いついていません。最低賃金を決める基準、持家の帰属家賃を除く物価指数は四月、三・〇%でありましたので、最低賃金は十月に三・三%に引き上げられました。しかし、十月にこの指数は四・四%と跳ね上がって、物価高騰が最低賃金を上回っています。最低賃金が実質マイナスになっていますよね。それはお認めになりますよね。

 最賃の再改定が必要ではないですか。総理、いかがですか。

加藤国務大臣 最低賃金の決定に当たっては、今お話がありました消費者物価指数のみならず、労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払い能力のデータを総合的に勘案して決定しているところであります。そうした指標は引き続き注視していきたいと思っております。

 他方で、賃上げしやすい環境をつくっていくということが必要でありますので、そうした支援も行うことによって、まずは十月一日から段階的に最賃の引上げが実施されておりますけれども、着実にそうした最低賃金の引上げがそれぞれの企業において実施されるように取り組んでいきたいと考えています。

田村(貴)委員 加藤大臣、何をおっしゃっているんですか。

 八月の中央最低賃金審議会の公益委員はこのように言っていますよ。消費者物価等の経済情勢に関する状況認識に大きな変化が生じたときは、必要に応じて対応を検討することが適当と。公益委員の見解をちゃんと踏まえるべきではありませんか。

 そして、岸田総理、岸田総理は総合経済対策を発表する記者会見で、最優先すべきは物価上昇に合わせた賃金です、そういうふうにおっしゃったじゃないですか。物価上昇をしっかり組み込む形で最低賃金を引き上げてまいりますとおっしゃったじゃないですか。

 じゃ、やりましょうよ。総理、いかがなんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のとおり、十月二十八日の記者会見において、来春の春闘等について申し上げた上で、賃上げ実施企業に対する補助金や、公共調達の優遇を行うとともに、物価上昇をしっかり組み込む形で最低賃金を引き上げていく、こうした発言をいたしました。

 今年の最低賃金の改定では、過去最高となる、全国の加重平均で三十一円の引上げ、十月からこれを行ったところであり、引き続き、景気動向や物価動向を踏まえて、できる限り早期に全国加重平均が千円以上になること、これを目指して、引上げに向けて取り組んでいきたいと考えています。

田村(貴)委員 遅いと言わなければなりません。物価上昇に賃金が追いついていないんです。

 パネルを御覧ください。

 各国では、日本をはるかに上回る最低賃金を実現しています。日本は九百六十一円、オーストラリアは二千五円、イギリスは千五百九十六円です。そして、フランスでは、物価上昇に合わせて今年もう三回、ドイツも今年三回、最賃を引き上げています。

 四十年ぶりの物価高騰が国民を襲っているんです。最低賃金法では、必要なら最低賃金の再改定はできることになっている。厚生労働省もそう認めておるじゃないですか。今すぐ最低賃金の引上げの諮問をすべきであります。

 そして、この物価高、最低限の生活を維持するためには、時給は全国一律で千五百円以上、手取りは月収二十万円程度はどうしても必要です。しかし、中小企業は、コロナ、物価・原材料の高騰、過剰債務という三重苦の中で、賃上げはなかなか厳しいという状況です。

 では、どうやって賃金を引き上げていくか。各都道府県の最低賃金審議会でもこれは大きな議論となりました。

 次のパネルを御覧ください。

 賃上げへの直接支援を政府に求める要望や意見が相次いでいます。直接的、新たな支援策を要望する地方審議会は七都府県、税、社会保険料の減免を十の府県が求めています。例えば福岡県からは、コロナ禍や原材料費等の高騰により賃上げ原資を確保することが難しい中小企業、小規模事業者において、特例措置として賃金引上げ幅に見合った新たな直接的給付等支援策の創設を早急に検討することと要望が上がっています。

 総理、地方からのこういう要望に応えるべきではありませんか。社会保険料は赤字企業も負担しています。緊急対策として、全ての企業が賃上げできるように、賃上げに応じて社会保険料を軽減すべきです。そして、保険料の軽減だけでは賃上げが難しいところ、厳しいところには、最賃引上げのために直接補助をする賃上げ助成を行うべきです。

 今必要なのは、賃上げのための政府からの支援なんです。総理、決断が求められています。こうやったら最低賃金を引き上げられる、私も案を示しました。決断してください、総理、いかがですか。

加藤国務大臣 まず最初に、各国のをお出しになりましたけれども、相当各国で物価上昇率は違うわけでありますから、そうしたこともしっかり反映して議論していかなきゃいけないというふうに思っております。

 その上で、今お話がありました、最低賃金とかあるいは賃金を引き上げやすい環境をつくっていく、そのために、今、社会保険料の減免のお話もありましたけれども、社会保険の加入により、労働者が安心して就労できる基盤の整備、これはまさに事業主の責任でもあります。また、労働者の健康の保持及び労働生産性の増進が図られることは事業主の利益にも資することでありますので、そういった観点から、事業主に保険料負担を求めております。

 また、今お話がありましたように、国による賃金の直接の補填については、企業の生産性や稼ぐ力そのものを向上させるものではありません。企業収益の拡大にもつながるものではありません。したがって、持続的な賃上げ、あるいは事業の継続には結びつかないわけであります。

 まさに求められているのは、中小企業が賃上げしやすい環境をつくっていく、そのための生産性の向上を図っていく、そういった支援をしっかり行っていくことによって、賃上げができる環境をつくっていきたいと考えています。

田村(貴)委員 最優先して物価高騰に賃金が追いつくようにすると総理が言っているんですよ。そんなことを言っておったら、いつまでもできないじゃないですか。

 賃金引上げのための社会保険料の減免というのは、フランス、アメリカ、韓国では実施されています。中小企業支援は、もう諸外国では行われています。お隣の韓国では、直接支援も実施しました。韓国の最低賃金は、日本の最低賃金を超えています。

 岸田総理、決断が遅過ぎます。今、総理が決断しないと、これはもう大変なことになってしまいます。

 もう一つ伺います。

 総理の判断で時給千五百円を実現するために、すぐできることがあります。自治体や国で働く非正規職員の賃金引上げです。地方自治体の非正規職員は、この十五年間に二十四万人も増加しました。職種は幅広く、うち女性が七割以上を占めています。

 パネルを御覧ください。

 住民生活に欠くことができないこの非常勤公務員の時給はどうなっているか。事務補助職員で九百九十円、そして給食調理員は千十四円、保育所の保育士さんは千百五十六円、放課後児童支援員は千百二円、看護師さんに至っても千三百九十六円と、千五百円に届いていません。

 自治体の会計年度職員は、今年度末に数十万人の雇い止めが起きるかもしれないと言われています。非正規という不安定な雇用形態の改善とともに、賃金引上げを急いで行わなければいけません。そうじゃないですか。

 非正規職員の七割が年収二百五十万円未満です。我が党で試算したところ、非正規公務員の時給を千五百円に引き上げるために、五千億円の財源があればできることが分かりました。やろうと思ったら、足下からすぐできる対応ではないでしょうか。強く求めたいと思います。

 これは、決断一つでできると思います。総理、私たちの提案、いかがでしょうか。

松本国務大臣 まず、お示しいただいたパネルでございますが、出典、お示しいただいたとおりでございますが、国民の皆様にお聞きいただいている本委員会でございますので、正確性を期すために二点申し上げたいと思います。

 この調査においては、一時間当たりの給料、報酬の平均給与額ということで、この数字を示しているところでございますが、これは、各団体における主な職種について、最も多くの職員に適用されている給料、報酬の一時間当たりの額、この該当団体の単純平均値を出しているものでございます。

 二つ目は、一時間当たりの給料、報酬の平均給与額には、地域手当、それに相当する報酬を含んでおりますが、その他期末手当などの手当は含んでおりません。

 この点をまず申し上げた上で、今の質問にお答えをしたいと思います。

 総務省としては、令和二年度以降、非常勤の地方公務員である会計年度任用職員に期末手当を支給することとするなど、処遇の改善が図られるよう取り組んできたところでございます。また、地方財政計画においても、期末手当の支給等に要する経費として二千四百二億円を措置することとし、適切に財政措置も講じてきております。

 今後とも、会計年度任用職員の給与水準については、それぞれの地方公共団体において地方公務員法の趣旨に沿って適切に決定されるよう、引き続き助言を行ってまいります。

田村(貴)委員 非正規職員の年収が、七割が二百五十万円未満だと言っているじゃないですか。そして、物価高騰に生活が成り立たないと、各地の非正規公務員労働者が訴えているじゃないですか。そのことが耳に入っていないんですか。

 この際、主張しておきたいと思います。

 公定価格も国の判断です。保育士、幼稚園教諭の給与を三%引き上げたとおっしゃいますけれども、物価高騰に追いついていません。給料が安過ぎて、募集しても人が来ない。人材不足です。

 公的価格、公定価格で賃金水準が決まる介護、そして保育、障害者福祉などケア労働者の賃上げを行うことを、この際、強く求めておきます。

 いろいろ提案しましたけれども、結論、何もやらないと。決断し切らない岸田政権、これでは国民が大変なことになってしまいますよ。

 次の質問に移ります。

 やらないでいいことはさっさとやっていく、その典型がインボイスであります。インボイスについて質問します。

 物価高騰の中で、新たに消費税の導入などとんでもない。課税業者になるというのは廃業宣告に等しいと、インボイス制度の実施、これをめぐって、中止、廃止、延期を求める声が、各地、そして各業界、多くの地方議会で沸き起こっています。

 先日、院内で開かれたインボイス問題検討・超党派議員連盟の総会に、アニメ、漫画、演劇、声優、俳優の四団体の方が参加され、声優の有志チームVOICTION共同代表の甲斐田裕子さんが次のように訴えました。総理、ちょっと聞いていただきたいと思います。

 フリーランスや小規模事業者の廃業や倒産が増えれば、彼らと一緒に作品をつくっている中小企業も事業が立ち行かなくなり、業界そのものの縮小、クオリティーの低下は免れません。インボイス制度による税収の見込みをはるかに超える減収となるのが目に見えています。目の前の二千五百億円という増収のために、将来の減収は視野に入れないと財務省は考えているのですか。国にとって大事なものは税収でなく、この国に生きる一人一人であり、その人々が生み出す文化や付加価値だと思います。その文化や付加価値を生み出している事業者の多くは、消費税法で納税が免除された免税事業者です。こう述べられました。

 総理に伺います。

 先ほどの文化事業に携わる四団体が調査したところ、全てにおいて、働く人たちの半数以上の方の年収が三百万円以下でありました。二割の人が廃業を検討している、そういう調査結果です。

 インボイスの消費税負担に不安を抱き、何とかその見直しそして中止を求めている方々の声は総理に届いていますか。真摯に受け止めておられますか。いかがですか。

    〔古川(禎)委員長代理退席、牧原委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 御指摘のエンターテインメント業界のインボイスに対する声、これについては、私も、報道等様々なルートでこのお考えを聞かせていただいております。

 インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであると思っておりますが、中小・小規模事業者等の方々の準備状況また御懸念について、政府として丁寧に課題を把握しながら、きめ細かく対応していくことが重要であると考えております。

 具体的には、財務大臣から答弁をさせます。

鈴木国務大臣 簡単に申し述べますが、財務省といたしましても、これまでも、直接あるいは関係省庁を通じまして、フリーランス関係の団体を含めて、事業者団体への丁寧な周知を行ってまいりました。具体的に申し上げますと、各府省庁から各事業団体へ講師派遣等に係る周知依頼文書というのを送付いたしまして、その中で、必要があれば講師を派遣をする、こういうことを言っております。

 そして、先生からお示しいただいたパネルの中でも、日本アニメーター・演出協会には既に講師を派遣をし、また、日本漫画家協会、協同組合日本俳優連合、日本映像職能連合、こういうところには文書を発出しておりまして、今後とも、引き続きまして、こうした取組を進めながら、現場の声にしっかり耳を傾け、説明をしっかりとやってまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 説明したって、解決できないんですよ。消費税の増税が強いられる、取引が停止されるかも分からない、取引価格が下げられるかも分からない、この大きな問題を解決するすべは中止以外にないんです。

 十一月十五日に、声優、俳優らが所属する日本俳優連合がインボイス制度の施行ストップを要望する声明を出しました。御覧ください。エンタメ業界、文化団体からも声明が次々に上がっています。

 そして、クリエーターたちがSNSで声を上げています。

 例えば、小説家の似鳥鶏さんはこのように発信しています。総理、聞いてください。インボイスで廃業する漫画家の二割って、売れない人たちではなく、これからヒットを出すはずの新人なんです、読み切りを描いていた頃の吾峠呼世晴とか遠藤達哉がそこで漫画家を辞めてしまうんです、小説も演劇も同じ、これがどれだけの損失か、取り返しがつきませんよと。吾峠呼世晴さん、この方は「鬼滅の刃」の作者です。遠藤達哉さんは「スパイファミリー」の作者です。若い芽を摘んで、こうした才能が埋もれてしまうという警告であります。

 インボイスの制度のために、日本が誇るあらゆる文化、芸術、伝統が衰退し、そして危機に瀕することは明らかです。政府が進めるクールジャパン戦略にも矛盾しませんか。総理、クリエーターたちの未来の可能性を奪わないでいただきたい。インボイス導入、ここは一旦立ち止まって、中止すべきじゃないですか。総理、どうですか。

    〔牧原委員長代理退席、古川(禎)委員長代理着席〕

鈴木国務大臣 インボイス制度についての基本的な考え方は総理から既にお話があったところでございますが、免税事業者を始めとした事業者の取引について、独禁法、下請法等の取扱いをQアンドAにより明確化いたしまして、各事業者団体への法令遵守を要請するなど、取引環境の整備に取り組んでまいります。

 その上で、お尋ねのエンタメ、文化について申し上げますと、業界全体として、アニメーター等を含むクリエーター等の待遇向上につなげることが重要と考えておりまして、経済産業省では、アニメーター等について、二〇一九年に下請法に基づく下請ガイドラインを策定しております。また、文化庁においては、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドラインを取りまとめまして、関連して、研修会の実施や相談窓口の設置を進めているところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、取引環境等の整備改善を図ってまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 総理にお伺いします。

 閣内からも異論が出ているんじゃないですか。

 この間、就任したばかりの齋藤健法務大臣。齋藤大臣は、自身のホームページで、インボイス制度導入を延期すべしと主張されています。多くの中小零細企業が生きるか死ぬかの瀬戸際にあるようなときに、事務負担を大幅に増大させたり、取引実態に混乱を与えかねないようなことを今やりますかとホームページで指摘されています。この点、大いに主張していく決意ですと。

 閣内において、大臣がインボイスの延期を大いに主張していく決意ですと述べられている。党内からもいっぱい声が上がっているじゃないですか、延期とか、中止とか、見直しとか。党内でも閣内でも意見が一致していないものを国民に押しつけるんですか。総理、やはりインボイスは、ここは中止する、立ち止まって考える、それを述べてください。

齋藤(健)国務大臣 私のホームページについて言及がありましたので、一言補足させていただきますが、就任前の一国会議員としての意見を表明したまででございます。

田村(貴)委員 就任前といっても、齋藤大臣、十一月九日、就任の二日前じゃないですか。

 総理、答えてください。

岸田内閣総理大臣 大臣就任前に様々な議論が行われる、これは当然あってよいことだと思います。議論は行っていただきたいと思いますが、政府の一員となった以上は、政府として一体感を持って政策を推進していただきたいと思います。

 そして、そもそも、御指摘の課題については、様々な懸念がある、様々な関係者が様々な指摘をされておられる、これは十分承知をしております。これからも丁寧にそうした課題を把握しながら、政府としての対応を進めていきたいと考えています。

田村(貴)委員 導入一年前にして、様々な問題が起こっています。まず、負担増の問題ですよ。それから、消費税を取引先とそして免税事業者が、どちらが負担し合うか、その押しつけ合いがある。さらには、免税事業者が排除されている。例えば、総理、広島のある駅前の個人タクシーの乗り入れ場所では、免税業者の個人タクシーに使わせないとの通知が送られた、こんな問題が起こっておるんですよ。これがインボイス制度の根本的な問題です。是非見直しすべき、中止すべきことを強く申し上げたいと思います。

 最後に、農業問題について質問します。

 農業は今、肥料、飼料、資材、燃油の高騰で危機に陥っています。中でも酪農は、既に限界を超えて、離農が続出しています。乳牛にする雌も、肉牛にする雄も、飼料代が高いために売れない、子牛が千円でも値がつかず、泣く泣く殺処分したという状況も生まれています。中央酪農会議の六月のアンケート調査では、全国の酪農家の九七%が経営が悪化と答え、五五・八%が経営を続けられない、半数以上が経営を続けられないと答えています。

 総理、酪農が危機的な状況にあることを承知していますか。農水大臣とは論議してきました。酪農家の声を聞いているのか、後で答えてください。

 続いて質問します。政府の飼料対策、飼料がとにかく高くて、これが経営を圧迫している。その飼料対策の中心は、配合飼料価格安定制度にあります。その配合飼料価格安定制度は、どういう問題があるのか。生産者の負担、これは赤字が増える一途なんですよね。

 パネルを御覧ください。

 高騰前から比べると倍以上になっています。価格安定制度による補填、政府補填、オレンジ色の部分ですけれども、これは一部にすぎません。しかも、この一部は農家の負担も入っています。不足分、水色の部分が全部農家にのしかかっています。だから廃業が相次いでいるんですよ。

 総理に伺います。酪農家は牛乳を今搾れば搾るほど赤字という事態になっています。このままでは国内から酪農家が激減します。国産の新鮮な牛乳を私たちが飲めなくなる、そういうことがあり得るかもしれません。少なくとも飼料の高騰分全てを補填する緊急措置を今すぐ取るべきと考えますが、いかがですか。

野村国務大臣 田村委員にお答えをいたします。

 酪農経営が非常に厳しいというのは私どもも十分承知をいたしておりまして、これはもう委員御承知のように、飼料の高騰が最大の要因であります。原料のトウモロコシが上がった、それを運ぶ運賃が上がった、そして為替がまたこれだけの変動をしておりますので、こういった三要素が大変な飼料価格の高騰に拍車をかけている状態でございます。

 そのほかに、販売価格にこのコストの上昇分を上乗せできる、そういうことが一番のいわば解決策になるわけでありますが、そのためには生乳の需給ギャップが余りにも大き過ぎるということが一つあります。現在、業界において、この需給ギャップ解消に向けた取組を生産者自ら行っていただいておりまして、生産者団体からの要請を受けまして、今般、補正予算におきまして、二つのことを私どもはお願いをしております。

 それは、一つは、経産牛の早期リタイアによる抑制的な生産の取組であります。これが酪農経営改善緊急支援事業ということであります。二つ目は、乳製品の長期保管の取組を、これに対する支援をやろうということで考えておりまして、これらの生乳の需給改善を後押しをしようとしているところでございます。

 飼料につきましては、昨年度から、配合飼料価格安定制度の異常補填基金に六百六十五億を積み増しましたし、さらに、九月には、予備費で、飼料高騰対策として五百四億を措置したところでございます。加えまして、今般の補正予算では、異常補填基金への更なる積み増し、百三億円を計上したところでございます。

 したがいまして、先ほど御指摘のありましたように、農家が負担した部分は全てまた餌メーカーがそれに上乗せして飼料を売るので結果的には生産者負担になる、こういう御指摘でありますが、全てはそういうふうにはなっていない、こんなふうに思っております。

田村(貴)委員 農水大臣、いろいろおっしゃいましたけれども、それで、五割が離農する、廃業を余儀なくされる、これを解決できるんですか。今の状況をどうやって救済するんですか。

 それから、牛の早期リタイア、牛の数を減らしていく、余りにもひど過ぎますよ。一生懸命牛を育てて、そして、政府は、乳量を増やせと、大規模化だと、やれと言ってきたじゃないですか。それに対してこういう対策では、全然解決になりません。

 今必要なのは、高騰した飼料、資材に対して直接補填をする、負担を軽減する、それがこの制度ではできないから、新たな制度を踏み出してほしいと言っているんですよ。

 日本農業新聞の農政モニターの調査でも、農家の最も望む対策は、高騰分の補填、六七%と最多じゃなかったですか。一番農家が望む対策をなぜやらないのか。直接支援こそが今大事なんです。

 総理、ここは答えてください。酪農家の声を聞いていますか、今の現状をどう思いますか。

岸田内閣総理大臣 まず、酪農について、先ほど来答弁の中にもありましたように、飼料の高騰、あるいは新型コロナによる需要の大幅な減少により大変厳しい経営環境にあるということ、認識をしております。そして、委員の方から、関係者の方から直接支援についての要望があるという御指摘もありました。こうした厳しい状況を認識しながら、様々な関係者の声はこれからも丁寧に受け止めていきたいと思います。

 そして、具体的な対応については、今、農水大臣から説明をさせていただいたとおりでありますが、こうした対応についても、改善すべき点等、絶えず検証しながら政府の対応を考えていきたいと思っています。

田村(貴)委員 生きるか死ぬか、この死活問題に今直面している生産者の声は聞かない、直接支援はやらない、一方で、アメリカの言うことだけはよく聞いている、その典型を一枚出したいと思います。ミニマムアクセス米です。

 グラフを見てください。

 日本がミニマムアクセス米として輸入している年間七十七万トン、その約半分はアメリカ産米であります。これは、アメリカからのお米、日本のお米よりはるかに高い値段で買っているんじゃないですか。

 全国の収穫した秋のお米の価格は、六十キロ当たり一万円から一万一千円程度でした。私たち計算しましたけれども、生産費は一万五千円かかっています。ところが、米国産米は、精米で一万五千円程度になります。玄米換算で六十キロ当たり一万四千円ほどになります。こんな高いお米を買って、どうなっているのか。

 左側のグラフを見てください。

 ミニマムアクセス米、輸入米、全部含めて、高いから使いようがないと、ほとんどが飼料に回っている、これが現実ですよ。その結果、毎年数百億円という巨額な売買差損が生じているわけなんです。

 国内ではお米の生産量を減らせ減らせと言ってきているのに、アメリカからは高いお米を輸入して、需要もないお米を七十七万トンも輸入するのはおかしいじゃないですか。

 日本の稲作を守るためにも、総理、交渉して、このミニマムアクセス米の制度を見直して、そしてやめるべきじゃないですか。最後、お答えください。

野村国務大臣 田村委員は御承知のように、この米のミニマムアクセス米は、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の中で、全体のパッケージとしてこれは決まったわけでありまして、従来輸入がほとんどなかった品目について、最低限度の市場参入権を与えるという観点から、全ての加盟国の合意の下に、平成五年に決まった制度であります。このような経緯の下に導入されたものでありますので、米のミニマムアクセスの輸入の中止は極めて困難でございます。

 他方、食料の安定供給を図っていくためには、国内生産で十分に需要を満たさない作物等につきましては、これは小麦だとかトウモロコシとか大麦でありますが、引き続き、安定した輸入が行える体制を整備しつつ、海外に依存する農産物の国産化を強力に推進していくということになっておるところでございます。

田村(貴)委員 総理に私は聞いたんですね。

 これは現状なんですよ。輸入依存を転換する、これは誰もが認めているでしょう。そして、資材高騰とか……

古川(禎)委員長代理 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

田村(貴)委員 需要減とか災害等で損失が出たときにはしっかりと直接支援を行う、補填をしていく、こういう農政に切り替えることを強く主張したいと思います。

 最後、答弁してください。

古川(禎)委員長代理 申合せの時間が来ております。

 じゃ、総理、簡潔に御答弁ください。申合せの時間が過ぎております。

岸田内閣総理大臣 済みません。

 農水大臣から答弁ありましたように、まず、米のミニマムアクセス米については、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の経緯等を考えますときに、全ての加盟国の合意の下で設定されたものであるという経緯も考えますときに、見直しは困難であります。

 そして、その一方で、国産化を強力に推進していく、このことの重要性、委員が強調されましたが、それは全くそのとおりであります。国産化を推進するために農業の生産基盤を強化する、構造的な対策に取り組んでいく、こうした政策は、政府としてしっかり進めていきたいと考えております。

田村(貴)委員 以上で質問を終わります。

古川(禎)委員長代理 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 五人の小さな会派でありますけれども、ぴりっとした、ストレートな質問をさせていただきますので、総理、よろしくお願いを申し上げます。

 私は、政策というのは科学だと思っているんですよ。きちんと物事の原因、本質を客観的に分析して、適切なタイミングで、適切な理論的な裏づけのある政策を選択していくというのが科学的な政策の在り方だと思っております。

 そうした意味で、今般の経済対策、物価高だからやるということは、総合経済対策の中にも「世界規模の物価高騰がみられる中、」「円安の進行とも相まって、輸入物価の上昇を通じて、エネルギー・食料品を中心としたコストプッシュ型の物価上昇が生じている。」と書いてあるんですが、果たして政府として、今の物価高がどこに原因があるのか。一つではないと思うんです。

 いつも答弁は様々な原因があると言ってお茶を濁してしまうんですけれども、当然、外生的要因で我が国では変えられないものもありますし、この国、政府として政策を打って変えられるものもある。さらには、構造的な問題もあれば、短期的な問題もあると思うんですけれども、一体、総理は、この物価高の原因はどこにあって、どこの何に対処するためにこの対策を打ったのか、その点をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 原因について、単純なものではないということを申し上げた上で、今回の物価高、ウクライナ情勢等による国際的な原材料価格の上昇に加え、円安などの影響によってエネルギーや食料品を中心に物価が上昇している、これが国民生活に大きな影響を与えている、これが重要な要素であると認識をし、それに対応するための総合経済対策、これを用意した、これが政府の考え方であります。

福島委員 それでも、まだ私は曖昧だと思うんですね。

 パネルの一枚目を見ていただきたいんですけれども、これは輸入物価指数、日銀が出しているものですけれども、青いのが円ベースの額です。赤いのが契約通貨ベース、主にドルのベースでありますけれども。

 これを見ると、二〇〇〇年ぐらいからずっと物価は上がってはおりますけれども、特に今年になってから、青いところが赤い線を超えているんですね。それまでは青い線と赤い線は大体一致しているんですけれども、円ベースでは上がって、契約通貨ベースでは上がっていない。特に第三期、第四期の間に関しては、赤い、ドルベースの方はむしろ下がっているんですよね。

 結局、今、特に今この時点での要因というのは、ウクライナ危機もあります、それはもう前のことなんです、Q1の辺りのときです。今はむしろ、原因は円安なんじゃないですか。つまり、今やるべき対策は、円安に対する対策をやる。それが原因だと思いませんか。どうですか、総理。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、円安による影響、これも大変大きな要素であると認識をしています。そして、それに対して政府として対策を用意しなければいけないということで、まずは、円安のマイナス面の影響を緩和するために、エネルギー、食料品を中心に価格高騰対策、これを用意いたしました。

 そして、円安のプラス面の効果を最大限引き出さなければならないということで、経済の強靱化を図るべく、インバウンド観光の復活や企業投資の国内回帰、あるいは食料水産物の輸入拡大、こうしたものを進めていく、こうした政策を用意している次第であります。

福島委員 なぜ円安対策が価格と、しかも、円安のプラス面ということは、総理は円安の方がいいと言っているわけですか。私はそうは決して思いません。

 なぜ円安になっているかというのは、恐らく、最大の要因はドルとの金利差ですよね。つまり、金融政策に影響があるわけです。ただ、今日は日銀はあえて呼んでいません。なぜなら、いつ言っても紋切り型の答弁しか返ってこないから。しかし、円安を抑えるためには、現下の金融政策が最大の原因である。

 更に言えば、投機的な、短期的な筋から見れば、日本政府の財政政策も大きな影響を受けると思うんです。今の財政拡張政策を続けている限りは金利が上げづらいだろうなと読まれれば、また更に円安になるわけでありまして。

 つまり、日本政府のマクロ、日銀も含めたマクロの経済政策が今の円安を招いているという面もあると思うんです。私はそこを総理にきちっと認識をしていただきたいと思うんです。

 もう一点は、構造的な問題もあると考えております。

 二〇〇四年と二〇二一年の貿易収支。一番上が貿易収支です。二〇〇四年、千百四億ドル、日本は黒字であったのが、二〇二一年はマイナス百四十八の赤字になっております。

 その要因を見てみると、確かに、工業用原料とか粗原料、鉱物性燃料というのが貿易赤字を広げている要因になっておりますけれども、もっと注目すべきはその下の、例えば資本財。これは、日本が得意としていた部品とか半導体とかそういうものですね。その黒字が千九百七十六億ドルから千五百八十四億ドルに減っている。もっと下は、電気機械。これは、六百六十二億が百七十七億へ、四百八十四億ドルも減っている。

 つまり、日本は、食料とかエネルギーを輸入しなければならない構図はむしろ加速しているけれども、売り物がないという、そこの構造的な分野に円安が構造的に続く問題があるのではないかというふうに私は考えます。

 その点、総理、どう御認識されますか。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほどの答弁で、私は、農林水産物の輸出拡大と言うべきところを輸入拡大と言ってしまったようであります。輸出拡大が正しいということで、おわびを申し上げます。

 その上で、先ほど来の質問を聞いておる中で、まず、円安、プラス面と言ったことは、要するによいことだと思っているのではないかという御発言がありましたが、決してそういうことを申し上げているわけではありません。為替には立場によって両方の面があるということであり、両方の面をしっかりと伸ばすことによって我が国の経済を強靱化させていきたい、こういったことを申し上げた次第であります。

 そして、日銀の金融政策について御質問がありました。

 日銀の金融政策は日銀が判断するものでありますが、政府としましては、金融政策というのは為替だけではなくして国内景気、さらには国内における中小企業や個人の金利負担など、様々な点を勘案した上で金融政策を判断していると承知をしております。

 日銀とも政府はしっかりと意思疎通を図り、連携をしながら、政府の立場でこうした物価高騰等にしっかり対策を講じていくことが重要であるということで、総合経済対策を用意したということであります。

 是非、日銀の金融政策の判断につきましても、政府と日銀が連携しながら、結果として、為替変動の中においても経済成長を実現できる、そして安定的な継続的な物価高騰を実現するという目的を果たしていきたいと考えております。

福島委員 多分、聞いていた国民の皆さんは何を言っているのか分からないと思います。何か総理の頭にはもやがかかっているんじゃないかなと思うんですけれども。為替レートの両方の面を伸ばす、円安にしたいのか円高にしたいのか分からないんですけれども、私は、日本国の総理大臣たるものは、基本的に自国の通貨を高くするのが総理の役割だと思いますよ。その構造的な面を求めなければならないのであって、それを、両方の面を伸ばすなんて、両方伸びないですよ。円安になるのか円高になるのか、両方やるなんというのはあり得ない話でありまして、私は、是非、総理大臣である以上は、日本の通貨を強くするということを言っていただきたいと思います。

 その上で、先ほど、金融政策をどうするかには国内の景気が大事だという話がありました。当然、この財政政策の在り方そのものも、為替レートにも影響するし、物価にも影響するものだと考えます。

 財政支出が一般的に物価の高騰を招くことは、金曜日、大西委員の答弁で総理は、一般論として、大きな財政出動が物価高騰につながる、こういった理屈があるということは分かりますとおっしゃっていますね。私は、タイミングを間違えた過剰な財政出動というのは、物価高騰を招く可能性というのは大きいと思います。

 総理は、今回の経済対策をやるに当たって、今回の場合は、大幅な需給ギャップがまず存在しました、この需給ギャップに大きな予算を投入する、そのことがまず大事だという認識がありましたと答弁されております。

 先ほどちょっと答弁を間違えましたけれども、内閣府のGDPギャップは四―六期で十四・八兆円。しかし、このGDPギャップというのは推計方式で幾らでも変わり得るものなんですね。総理がふと口走った日銀の方、こちらはマイナス三・八兆円。いろいろ推計方法によって変わりますが、その一方で、今回の財政支出は二十九兆円、需給ギャップをはるかに上回る額であります。

 総理の、この需給ギャップだから予算を投入するということと、この二十九兆円。私は、きちんとした科学的な根拠が必要だと申し上げましたよね。なぜ、内閣府なら十四・八兆、日銀なら三・八兆円なのに、二十九兆円もの財政支出をやることを決めたんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、前半の為替の部分につきましては、為替の水準について私の立場から申し上げるのは控えますが、しかし、為替の変動については安定的に推移していくことが望ましい、これは誰もが一致するところであります。

 その中にあって、この円安については、立場によってプラス面、マイナス面があるということを申し上げ、それぞれのメリットを生かすことが日本経済の強靱化につながるという説明をさせていただいたわけであります。

 そして、補正予算、経済対策の規模の話でありますが、そもそも、この需給ギャップ、様々な議論がある中にあって、規模をある程度用意しなければいけない、こういった問題意識を持って議論を始めたということを申し上げています。

 その上で、具体的に今何が求められているのか。エネルギーあるいは食料品を始めとする様々な対策、そして日本の経済の成長に資するような様々な投資、こういったものが必要だということでメニューを積み上げて、その上で、さらに、これから先を見通すということを考えますと、来年前半に向けて世界規模で経済の下振れリスクがある、これにも備えなければいけない、この部分もしっかり備えて乗っけなければいけない。こういったことで最終的な規模を確定したという経緯について、先ほど来説明をさせていただいております。

福島委員 その答弁を前提として聞いております。

 なぜなら、幾ら政府が財政支出をやるかということは、マクロ経済に影響を与えることなんですよ。この支出でどれだけ物価が上がるか試算しているかを内閣府に聞いたけれども、全然試算もしていないという話なんですね。物価対策として行っているんだから、どの程度の財政支出をしたら、これは、過大な財政支出は物価上昇を招く可能性があります。総理も一般論として認めているんです。物価対策として行った予算が物価上昇を招くんだったら意味がないじゃないですか。

 政府が出している月例経済報告、これを見ると、一番下の十一月、景気は緩やかに持ち直している。そうなんですよ。景気は緩やかに持ち直しているんですよ。五月から、景気は持ち直しの動きが見られるとなって、七月からは、景気は緩やかに持ち直している。個人消費を見たって、このところ持ち直しが見られるとなって、今は、緩やかに持ち直しているというふうになっているんですよ。

 総理、GDPギャップ、デフレギャップの話をしていますけれども、実際に今の景気、どう御覧になっていますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来説明しているように、需給ギャップについては、一つ大きな問題意識を持って今回の総合経済対策策定の作業を始めました。そして、その中で、内容としてどこにしっかり焦点を当てるのか、こういった議論で具体的な項目を積み上げたわけであります。

 そして、現状についてということをおっしゃいましたが、これから先の経済、来年前半に向けての経済についても、政府としてしっかり備えなければならない。ウクライナ情勢を始め不透明な要素が山積する中にあっても、しっかりと備えをしていかなければいけないということで、予備費等を積み上げて規模を確定した。こうした経緯について御説明をさせていただいております。

福島委員 どこかで、備えあれば憂いなしという話をしていましたけれども。リーマン・ショックのときだって、起きてからやるんです、当然。だって、予測して積み上げるなんて予算はないんですよ。

 私はなぜそれを言うかというと、タイミングが悪いんですよ。物価が上がったのは春なんです。春にこの議論をしているんだったら、私はこの議論をしていませんよ。半年たったら景気は緩やかに持ち直し、さらに、今回の補正予算の大きな財源は、税収の上振れによる、三兆円かな、の税収を得ているんです。つまり、今景気は回復しているんですよ。

 昨日、私は同僚の北神議員の会で京都に行ってきましたけれども、もう人はいっぱい、駅はすごかったですよ。

 年末年始、旅行に行こうとしてホテルの予約サイトを取ったら、チェーンの某APAホテルでも、みんな軒並み一万円を超えて、すごい上がっているんですよ。

 私は、景気ってまさに気、そのときのが大事で、タイミングが大事です。悠長にお金を積み上げて、必要があったから何兆円だってやったことへのマイナスの影響って、今の段階でやったらどうかって考えなければ、二か月、三か月前と条件は全く変わっていると私は思うんですね。

 つまり、財政支出というのは、物価に対しての……(発言する者あり)ちょっと黙ってください、マイナスの面もある。その面も考えないで今回積み上げたんですか。

古川(禎)委員長代理 静粛に。

岸田内閣総理大臣 経済を判断する際に、委員が例として挙げた様々な点、これもしっかり念頭に置きながら判断していかなければいけないと思いますが、今回のこの総合経済対策の一番に挙げたのは、物価高騰そして円安への対応という部分についてであります。

 このことにつきましては、現状、例えば今年の年度初めと比べて、状況はよくなっているということは言えないんだと思います。この危機感をしっかり持ち続けなければいけない、このように思っております。

 この部分に対してはしっかりと用意をしなければいけない、このように考えて経済対策を用意したということであります。

福島委員 いや、びっくりぽんですね。だって、月例経済報告って、閣議決定しているところに、緩やかに持ち直しているのに、総理大臣がそうは思わないって言ったら、これは政策は成り立たないと思いますよ。

 しかも、この二十九兆円のうちの二十三兆円は国債の発行が財源。私は、国債の発行を財源とすることは必ずしも否定はいたしません。しかし、これ、どうするんですか。

 幾つかあると思うんです、考え方が。自国建ての、通貨建ての国債である限り、民間の資産になるだけだから何もしなくていいよ、MMT理論みたいなものですね。今の防衛費の増額の議論でやっているように、増税して穴埋めする、いずれですね、という考えが二つ目。三つ目は、経済成長すれば税収が増えるんだから、それでいいじゃないか。そのほかにもあるかもしれません。

 総理はどの道を取ることをお考えですか。

岸田内閣総理大臣 これも度々答弁させていただいておりますが、今の現状に対して必要な財政出動は果敢に行っていくということであります。経済あっての財政ということで、まず経済の再生に取り組まなければいけないと思っています。

 しかし、このことは、将来、中長期的に財政を健全化させていくという課題と決して矛盾するものではなく、これをまさに両立させることこそ政府の役割であると思います。

 そして、その基準、物差しは、まさに国際社会や市場が日本の財政をどのように信認するかということであり、この信認をこれからも維持していくというのが政府の役割であると思います。

 これを維持しながら、経済と財政と、これを適正にコントロールしていく、これが政治の役割であると考えています。

福島委員 それはいいんですけれども、じゃ、そうしたら、景気が回復したらどうするんですか。増税をその段階でするんですか。それとも、そのときの税収で賄うんですか。どちらですか。

岸田内閣総理大臣 景気が回復したときとおっしゃいましたが、経済の変化の中で、政府として、税収の状況もしっかり見ながら、税負担についても考えていかなければならない、こうしたことであると思います。今から仮定を持って、予断を持って何か申し上げることは控えなければなりません。

 いずれにせよ、そうした取組を通じて、我が国の財政に対する信認をしっかり維持していく、こうした責任を政治として果たしていきたいと思っています。

福島委員 景気が回復したら増税も含めて考えるという答弁であると受け止めました。

 私は、今回の予算の電気代、ガス料金の軽減策は愚策だと考えます。

 総務省の家計調査では、電気代が家計支出に占める割合は僅か三・七%。それでもみんな大変な思いはしておりますよ。食料費が占める割合は二六%。

 何で電気とか都市ガスは入っていて、先ほど玉木さんがやったように、電気は特別高圧は入っていない、LPガスも入っていない、食品には補助がない。もう不公平感極まりないですね。総理は前例のないものをやると言っていましたけれども、私は、愚策において前例がないやり方だと言わざるを得ないというふうに思います。

 経済対策が発表になると、東北電力や中国電力は三割の値上げ申請をしました。今日の報道では、中国電力も二八・八%の値上げ。そのほかの三社も値上げを申請しております。そうすると、三三%ですからね、今回の補助を入れたとしても電気代は上がるんですよ。

 これは、電力会社が便乗値上げしているわけじゃありません。なぜ電気がそうなるかといったら、電力会社は大赤字なんですよ。東京電力は上半期、最終損益が千四百三十四億円の赤字。東北電力は千三百六十四億円の赤字。軒並み大赤字です。それは規制料金だからなんです。自由に上げられないんです。転嫁させてもらえない。燃料費調整制度というのがありますけれども、その上限を上回っちゃったから、これだけ大赤字にして、なおかつ、料金は原発の再稼働を一応織り込んだ値段でつけちゃっているんですね。動かないから大赤字にこれだけなるんです。

 結局、今回の電気料金負担策って、こうした政策の失敗を穴埋めすることにしかならないんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 まず、前段の部分の、電力、低圧、高圧、特別高圧、こうした違い、あるいは、電力、ガス、そして燃油等の違い、これについては、まさに政策の優先順位の問題であります。先ほど来答弁しているとおりであります。

 そして、電力料金につきましても、来年の春以降想定される値上げの平均値を想定して対策を用意しました。なおかつ、来年春を待たずして一月から対策を用意することによって、先行して負担軽減に取り組む、これが今回の対策の考え方であります。

 是非、時期そして額、この両方によってこうした国民負担を低減させていく、こうした目的をしっかりと果たしていきたいと考えています。

福島委員 想定されるんじゃないんですよ。規制があったから、これから料金値上げ申請があるからそうなるのであって、外生的な要因で上がるんじゃない。政策の失敗によって春に上がるものを埋めるだけなんです。電気代はもうその前から上がっている。打つんだったら今年の春に打たなきゃならなかったのを、それまで電力会社が赤字になってどうしようもないから値上げすることに補助を出すという、それだけなんですよ、今回は。

 私は、価格の補助じゃなくて、まず制度的に対応できることはあると思うんです。例えば、再エネ賦課金二・七兆円。今、石油、原油、燃料が上がるということは、化石燃料が競争力が弱くなって、再生可能エネルギーの競争力が強くなっているんだから、当然、私は一時停止してもいいと思うんですよ、二・七兆円。電源開発促進税三千億円。さらに、これはいろいろ議論はありますよ。原発が一基動けば、年間でLNGが百万トン浮きます。十七基、今、審査を受けているので、千七百万トン。日本が輸入したLNGの二割以上です。額にして一・六兆円。一・六兆円と二・七兆円と三千億を足すだけで、もうこれで四・五兆円。今回、電気代補助には二・四兆、都市ガス〇・六兆、燃油費補助三・〇兆、赤字国債を発行してやっている。

 私は、原子力にはいろいろな意見があるのは承知しております。ただ、今、実態は、世界一厳しい規制といいながら、世界一面倒くさい手続なだけで、本当に安全性において厳しいかは、今の日本の原子力規制は私は大いに疑問だと思っています。規制の根本を変えるなら分かりますよ。ただ、今、一時的にでも、これまでの規制基準に照らして動かせるものは短期的に動かして、その後、規制の抜本的見直しをするとかそういうことをやれば、それだけの額の天然ガスの輸入が減るんですね。私は、それをやるのが政治の決断だと思うんです。

 更に言えば、今回のこれはある意味チャンスと捉えなきゃならないかもしれない。カーボンニュートラルに行くいいチャンスなんですよ。それを、電気代やガス代の補助によって潰してしまっている可能性もあるんです。

 なぜそれを言うかというと、一九七三年の第一次オイルショックのとき、田中角栄内閣、狂乱物価のさなか、何をやったか。十一月十六日の石油緊急対策で総需要抑制対策をやって、大型公共事業を止めたんです。今回と逆です。公定歩合を一九七四年には引上げ。その代わり、徹底した省エネをやることによって、日本は世界一の省エネ国家になったんです。原子力産業が発達した。様々な、サンシャイン計画を始めとする再生可能エネルギーの技術開発もこのときに始まったんです。私は、政治家がやるべきはそれだと思うんです。

 総理は、いろいろなスキャンダルを抱えて、内閣の支持率を維持したい、党との関係も維持したい、そうやってふらふらふらふらして、今この国は大きな岐路にあるんです。これから発展の道を行くか停滞の道を行くか。そのときに、今回の補正予算をいかなるものにするかによって、その道が分かれる可能性があるときに、私は、今回の補正予算は残念ながら亡国の予算と言わざるを得ないと思います。

 総理、じゃ、最後に御見解をどうぞ。

岸田内閣総理大臣 かなり議論を拡散されたものですから、ちょっと答えるのがなかなか難しくなってまいりましたが。少なくとも、物価対策につきましては、今の、現在の国民生活等にしっかりと焦点を当てて対策を絞ったと考えております。そして、大きな流れ、GXの流れ、これはしっかり大事にしなければいけないということから、FIT賦課金につきましても、これはしっかり残しながら、そして家庭向けの低圧電力につきましては、FIT賦課金の倍近い、手厚い支援を行う、こうしためり張りを利かせた対策を用意したというのが今回の対策であります。

 少なくとも、今後のGXを始め大きな政治の流れ、これは見誤ることがないように、こうした総合経済対策、しっかり進めていき、将来につなげていきたいと考えています。

福島委員 時間が来ました。一言だけ申し上げますけれども、私は、冒頭、政策には科学が必要だと申し上げました。アクセルとブレーキを一緒に踏んでいるんです。そして、タイミングを間違えば、同じ政策をやっても逆の効果になることがあると考えております。

 かつて、日本が負けたことを伝える……

古川(禎)委員長代理 福島君、まとめてください。

福島委員 アメリカの映画のタイトルは、科学なき者の最後。この予算が、科学なき者の最後にならないことを願いまして、質問とさせていただきます。

 以上です。

古川(禎)委員長代理 これにて福島君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の、東京二十二区、櫛渕万里です。

 さて、今回の補正予算、総理、遅過ぎます。さきの通常国会から五か月がたって、ようやく今頃出てきました。また、国民に直接届くものが少な過ぎます。二十九兆円と言いますが、企業や業界中心の基金の積み増しや予備費四・七兆円など、見かけだけです。本来、補正予算は、特に緊急に必要な経費のはずです。なのに、物価高に苦しむ国民に届く支出は僅かしかありません。

 今年五月の予算委員会で、総理は、物価の見通しを問われ、申し上げることは難しいとお答えになっていますが、あれから半年、物価は上がり続けてきました。反対に、実質賃金は六か月連続してマイナスです。まるで無策だったということですよ。

 そもそも、二十五年のデフレ不況に、コロナの災害となり、さらに、戦争の影響による物価高で、いわば国民生活は三重苦とも言える非常事態であるという認識を、総理、お持ちですか。

 五月のときも物価は上がっていましたが、更に加速し、消費者物価指数は三・六%、四十年ぶりの上昇幅です。

 一方、賃金はどうか。パネル一です。

 過去三十年の実質賃金の国際比較です。アメリカやイギリスは四〇以上伸びているんですよ。しかし、日本は全然上がっていません。総理、この地平線のように延びる恥ずかしい線が我が国日本です。一体なぜなんですか。その理由は何なのでしょうか、総理。

 パネル二、御覧ください。消費税率と実質賃金の指数です。

 消費税が増税されるたびに、実質賃金が切り下がっていることが分かります。一九九七年消費税五%、前から七ポイントも下落。失われた三十年は、いつの間にかそうなったのではありません。デフレ不況なのに、消費税の増税を繰り返して個人消費を冷やしてきたからです。明らかに経済政策の失敗ですよ。

 次に、パネル三、御覧いただきたいと思います。

 日銀の生活意識アンケート調査ですが、ゆとりがなくなってきた、このように答えた方が、六月から九月、一気に七%も増えて、過半数を超えています。この夏、国民の暮らしがいかに悪くなったか、明らかに分かるのがこの数字です。一年前の同じ時期から見ると、実に一五%近くも状況が悪化しているんですね。

 総理、これはちょうど岸田政権発足からの一年間に相当します。国民の二人に一人がゆとりがないという事態に陥った。いわば、これは岸田政権の成績表ですよ。岸田総理のせいで、国民はゆとりがなくなり、日本はどんどん貧しくなり、子供たちの未来が奪われているという危機感を総理はお持ちなんでしょうか。

 こうした非常事態に対応するために、何といっても消費税の廃止です。特に、中間層が減って年収の低い世帯が増えて、逆進性の高い消費税に苦しむ国民が増えているんです。そもそも、消費税は税金の在り方として不公平なんですよ。例えば、年収一千万円以上の消費税負担率は三・五%のところ、年収三百万円未満になると負担率はその倍の七%に達しているんです。

 総理、物価を下げる緊急対策として、五月にも申し上げましたが、消費税廃止、最低でも五%減税が必要であると考えます。れいわ新選組が主導して、野党四党で消費税減税法案を既に提出しています。各党とも参議院選挙の公約にしました。しかし、選挙が終わったら、それは間違いだったと言う人まで現れていますけれども、私は、消費税減税を前に進めるよう、NHK「日曜討論」でも与野党の幹事長クラスに迫りました。

 総理に改めてお聞きいたします。消費税減税法案をやると、ここで決断いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 幾つか御質問をいただきました。

 まず、日本において賃上げが進まなかった、これはなぜかと思うか。(櫛渕委員「消費税を聞いています。時間がないので」と呼ぶ)いや、思うかとお聞きになられました。思いますかと聞いたので、お答えいたします。

 これについて、これは、バブル崩壊後、デフレ状態が続くことによって、企業投資が進まなかった、賃金が上がらなかった、消費が喚起されなかった、こうした悪循環が続いた、こういったことであります。こういったことによって賃金が上がらなかったからこそ、今、世界的な物価高騰の中で、物価高騰策と併せて賃上げをしっかりやりましょうということを申し上げております。

 それから、まさに私の在任期間中、ゆとりについていろいろ御指摘があった。これについて、まさにこれはウクライナ情勢の前から、コロナ禍における需給の変化によって物価が高騰していた、こういった背景にあります。

 その上で、消費税についてお答えいたしますが、消費税につきましては、少子化が進む中にあって、社会保障費を是非広く負担していこうということについて考えていかなければいけない。結果として、消費税は維持する必要があると我々は思っており、消費税減税は考えておりません。

櫛渕委員 またもや消費税減税しないというお答えでした。

 本当にこれは、今回、補正予算を二十九兆円も積んでいるんですよね。一年分消費税を廃止しても、できるじゃないですか、ゼロにできるんですよ。残り今年度四か月だけでも、消費税ゼロに必要なのは七・二兆円、消費税五%減税でも三・六兆円です。これは是非やっていただきたいと思いますし、私たちれいわ新選組は、補正予算の組替え動議を提出させていただきたいと思います。

 さて、次に、安全保障についてお伺いします。

 政府は、反撃能力の名の下にミサイル攻撃能力を高めようとしています。つまり、相手のミサイルに対抗するために、増税してでも日本もミサイルを買うということなんですね。じゃ、相手がミサイルを更に増やせばどんどん増税するんですか。そもそも、反撃能力と称してミサイルを撃つことばかり議論していますけれども、ミサイルを撃たれたときのことを本当に考えているんでしょうか。

 例えば、パネル四を見てください。

 ウクライナの戦争でザポリージャ原発が戦場になっています。これは、NPR、アメリカの公共放送ですが、ビデオ分析によれば、このとき、日本では訓練センター周辺が攻撃されたという報道でしたが、実は原子炉建屋に複数の攻撃の跡が見つかっています。まさに危機一髪だったわけであり、二日前も、ザポリージャを含む四原発の外部電源が一時遮断しているんですね。今までは可能性にしかすぎなかった戦争時の原発攻撃リスクが、もはや現実化していることは明らかです。

 では、これが日本で起きたらどうなるでしょうか。

 次のパネル、御覧ください。

 これは、六ケ所村核燃料再処理工場がミサイル攻撃された場合の被害シミュレーションです。風向きなどの状況にもよりますけれども、最悪だと、北海道から近畿の先まで、日本全国に近い地域に影響が及びます。避難人口は六千万人以上になるかもしれません。

 政府は、今、反撃能力としてミサイルを増やすことしか考えていない、それに加えて、グリーンでも何でもない原発推進政策へ大きくかじを切ろうとしていますが、このまま稼働を増やせば、使用済み核燃料が積み上がって、リスクはどんどん上昇していきます。もしも原発や原子力関連施設に一撃でも、一発でも着弾すれば、壊滅的被害が出ることは疑いようがありません。

 では、こうした状況を招かないためにはどうしたらいいか。それは、一刻も早く原発を全て停止をさせてリスクを減らすこと、プールにたまり続ける使用済み核燃料は国の責任で乾式貯蔵に移行すること、そして何より、ミサイル軍拡競争のような事態に東アジアを置かないことです。

 このパネルを見て、十一年前の三・一一原発事故を思い起こした方は多いのではないでしょうか。今なお、原子力緊急事態宣言発令中ですよ。あのときのような事故に加えて、今や戦争が原発リスクに加わっていることを私たちは直視すべきではないでしょうか。

 さらに、核兵器禁止条約も重要です。

 世界で初めて核兵器を違法とするこの条約は、第一条で、核兵器の使用はもちろん、威嚇、脅しも含めて禁止しています。

 ウクライナで現実に核による威嚇が行われ、ここ東アジアでも潜在的な威嚇リスクがあると考えております。核兵器が使われたらどうなるか。広島や長崎の悲劇を知る日本がこの条約に参加をすることは、私は、責任ある歴史的な使命であると思いますよ。

 私は、今年六月、ウィーンで開かれた核兵器禁止条約の第一回締約国会議に出席してきました。日本政府がオブザーバー参加すら拒否したことは、外交的失敗だったと思います。アメリカと軍事同盟を結ぶオーストラリアも、NATO加盟国のドイツやオランダなど核の傘の下にいる国々も参加していました。

 また、条約を推進する初めての国会議員会議では、このパネルのように、れいわ新選組の提案で次のような一文を声明に盛り込むことができました。我々は核抑止と核共有を安全保障策として正当化する動きが活発化していることに真剣な懸念を表明するというものです。これは本来、日本政府が、唯一の戦争被爆国として、締約国会議がまとめたウィーン宣言に盛り込むべき内容だったのではないでしょうか。

 広島選出の総理にお聞きいたします。

 来月には核軍縮を進める国際賢人会議が予定され、来年五月には広島でG7サミットが計画されていますが、当然ながら、それらは一年後に開かれる核兵器禁止条約の第二回締約国会議の参加につながると考えていいですね。

 核の危機がこれだけ世界中に広がる中、唯一の被爆国である、総理に、是非ここは、少なくともオブザーバー参加はすると、ここで決断をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 また幾つも御質問いただきました。それぞれに答えなければいけないのかもしれませんが、時間の関係もありますので、少なくとも最後の部分だけは申し上げさせていただきます。

 核兵器禁止条約についてであります。

 核兵器禁止条約は、核兵器のない世界を目指すという理想に向けて、出口に当たる大変重要な条約であると思います。しかし、その出口に至るまでに、核兵器を持っている国、核兵器国をこの議論に参加させなければ、現実は全く変わりません。

 私も、外務大臣を四年八か月務めている中で、多くの核軍縮会議に出席をしてきました。その際に、核兵器国を動かさないと現実が動かない、こうした壁に何度もぶち当たって、悔しい思いをさせていただきました。

 是非、これから来年に向けて、国際賢人会議、またG7サミット、こうした議論の中で、核兵器国をこうした核兵器のない世界へ向けての議論に巻き込むべく努力することこそ、我が国が唯一の戦争被爆国として果たすべき責任であると考えています。そのために現実的な対応を行っていきたいと存じます。

櫛渕委員 時間が短いので、本当に議論したいところですが、お答え、今いただきました。

 核兵器禁止条約のオブザーバー参加をすることは、今の総理のお答えに反しませんよ。来年の第二回締約国会議に少なくともオブザーバー参加してください。

 そして、唯一の戦争被爆国の総理として、最高責任者として、二度と人類が核戦争に至らないよう最大限の努力をする、その意思を示すのが、この核兵器禁止条約に署名をする、そして批准をする、そのことであるということを強く申し上げ、私の質問を終わります。

古川(禎)委員長代理 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十九日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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