衆議院

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第16号 令和5年5月24日(水曜日)

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令和五年五月二十四日(水曜日)

    午後零時五十五分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 達也君    石川 昭政君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    熊田 裕通君

      坂井  学君    下村 博文君

      鈴木 馨祐君    鈴木 隼人君

      瀬戸 隆一君    田中 和徳君

      田野瀬太道君    辻  清人君

      土屋 品子君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    牧島かれん君

      三谷 英弘君    宮下 一郎君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      泉  健太君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    西村智奈美君

      馬場 雄基君    藤岡 隆雄君

      本庄 知史君    森山 浩行君

      吉田はるみ君    渡辺  創君

      阿部  司君    池畑浩太朗君

      馬場 伸幸君    掘井 健智君

      庄子 賢一君    中野 洋昌君

      平林  晃君    鰐淵 洋子君

      斎藤アレックス君    笠井  亮君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣         河野 太郎君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   三浦 章豪君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 吉岡 秀弥君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤江 陽子君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     金田 勝年君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     石川 昭政君

  鈴木 隼人君     鈴木 馨祐君

  牧島かれん君     務台 俊介君

  三谷 英弘君     坂井  学君

  本庄 知史君     泉  健太君

  吉田はるみ君     馬場 雄基君

  阿部  司君     馬場 伸幸君

  鰐淵 洋子君     平林  晃君

  宮本  徹君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     田野瀬太道君

  坂井  学君     三谷 英弘君

  鈴木 馨祐君     鈴木 隼人君

  務台 俊介君     瀬戸 隆一君

  泉  健太君     本庄 知史君

  馬場 雄基君     吉田はるみ君

  馬場 伸幸君     阿部  司君

  平林  晃君     鰐淵 洋子君

  笠井  亮君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     牧島かれん君

  田野瀬太道君     熊田 裕通君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(G7広島サミットなど内外の諸課題)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

根本委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長三浦章豪君、内閣府大臣官房審議官吉岡秀弥君、外務省大臣官房審議官日下部英紀君、外務省欧州局長中込正志君、文部科学省総合教育政策局長藤江陽子君、厚生労働省労働基準局長鈴木英二郎君、厚生労働省老健局長大西証史君、中小企業庁次長飯田健太君、国土交通省航空局長久保田雅晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、G7広島サミットなど内外の諸課題についての集中審議を行います。

 この際、岸田内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。岸田内閣総理大臣。

岸田内閣総理大臣 私は、五月十九日から二十一日まで、G7広島サミットを議長として主催いたしました。その概要を報告いたします。

 国際社会が歴史的な転換期にある中で開催された今般のG7広島サミットでは、G7の揺るぎない結束を改めて確認することができました。そして、今回のサミットの狙い、すなわち、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持していくとの強いメッセージを示すこと、そして、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々との関与を深めること、これらについて当初の狙いどおりの成果が達成できたと考えております。

 加えて、食料、エネルギー問題を含む世界経済はもちろん、さらには、気候変動や開発、国際保健、AIなど、幅広いグローバルな課題についても議論を深め、今後の対応の方向性について確認をいたしました。

 また、今次サミットを被爆地広島で開催することとした大きな狙い、すなわち、各国首脳に被爆の実相に触れていただき、それを世界の隅々に向けて発信していただくことについても、大きな成果が得られたと考えています。今回、核軍縮に関して史上初めて独立文書化した、核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンの発出を得て、引き続き、現実的で実践的な取組を継続、強化していきます。

 ロシアのウクライナ侵略に関しては、ゼレンスキー大統領にも議論に参加いただき、G7とウクライナの揺るぎない連帯を示すとともに、G7として厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続していくこと、ウクライナに平和をもたらすため、あらゆる努力を行うことを確認いたしました。

 さらに、G7と招待国の首脳にゼレンスキー大統領を加えて世界の平和と安定に関する議論を行い、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持すること、また、力による一方的な現状変更は認めないということ等の点で認識の一致が得られました。これは、大きな歴史的意義を持つものであると考えております。

 このほかにも、日米豪印首脳会合の開催、日米韓の連携強化など、今回得られた成果を基に、G7議長国として、また日本の国益確保のため、外交課題に全力で取り組んでいきます。

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂井学君。

坂井委員 よろしくお願いします。自民党の坂井学でございます。

 岸田総理、サミットの議長の大役、大変お疲れさまでございました。ゼレンスキー大統領も対面で参加をし、そして多くの成果を残せたサミットだったと思います。

 私も、週末でございました、地元を回っておりました。いろいろな総会とかで人が集まっているところで聞いておりましたが、あちらこちらでサミットが話題になっておりまして、多くの人が関心を持っている、関心の高さを感じたところであります。しかし一方で、やはりなかなか、テーマが難しいということがあったり、身近に感じないというようなことがあったり、このサミットの成果についてまだ十分分かっていただいていない、まだ十分伝わっていないのではないかという思いを持っているところでございます。

 しかし、政治がどう動き、どのようなことをやって、この先どうなっていくんだということを国民の皆さんに伝えていくというのは我々の重大な責務でもあろうかと思っておりますので、今日の質疑を通じて、このサミットで日本は何を得たのか、どう国益を推し進めていったのかといったようなことを国民の皆さんに理解をしていただければありがたいなと思っております。

 そこで、まず最初に、今総理からサミットの報告をいただきましたが、多くの国民の皆さんに分かるように、もう少し簡明に、そして具体的に、かみ砕いて、ポイントを絞ってその成果を御説明いただければありがたいと思います。

岸田内閣総理大臣 広島サミットでは、国際社会が直面する様々な課題を議論し、日本の国民の安全と繁栄、さらには日常生活改善にもつながる様々な成果を収めることができたと感じています。

 例えば食料価格の高騰、これは日本国民を含む世界中の人々の暮らしに関わる喫緊の課題です。今回のサミットでは、G7と招待国が共同で、強靱なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明、これを採択し、市場の透明性の強化、食料輸出国と輸入国の対話等に関する協力を進めていくことを確認いたしました。こうした協力を進めていくことで、今後危機が発生したときにも食料不安や食料価格高騰などが起きにくくなる、こうしたことが期待されます。

 また、今回、クリーンエネルギーを軸に据えた経済への移行についても議論し、G7として行動計画を採択しました。この計画に沿った行動を進め、より安価で、そして持続可能なクリーンエネルギーへのアクセス、こうした実現を目指していくことにもなります。

 こうした国民生活に身近な課題においても今回議論が行われ、そして一つの合意や成果に至った、これは、日本の国民の皆さんの生活にも影響が出てくる様々な課題、成果だったと考えております。

坂井委員 また地元でいろいろな方から聞かれたときにうまく今のお話を伝えていきたいと思っております。

 また、今回のサミットでありますが、八か国が招待国として、そして、それに加えてウクライナが参加をしたと聞いております。先日、ちょうどそのときですが、地元の方から、この八か国はどうやって選んだんだ、こう問われたわけであります。聞かれてみて、なるほど、どういう国を招待国として選ぶかということは、サミット全体をどういう方針で、そしてまた、どういう方向に持っていくかという根本的な戦略と直結をするということかと思います。

 そこで、この八か国はどういう基準で選ばれたのか、このサミットでどういうことを期待して選んだのか、そしてその結果、どう成果につながったのか、お聞きをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の招待国の選定ですが、グローバルサウスと呼ばれる国を中心に、国際秩序を堅持するために積極的に建設的な役割を果たす立場にある国、例えば、G20議長国であるインド、ASEAN議長国であるインドネシア、太平洋諸島フォーラム議長国であるクック諸島、あるいはアフリカ連合議長国のコモロ、こういった国々、あるいは、その意欲を強く示している国、こういった点を重んじました。同時に、アジアで開くG7サミットであり、インド太平洋地域という視点にも重点を置いた次第です。

 こういった招待国を交えて、食料、開発、保健、気候変動、エネルギー、平和と安定、こうした課題について率直な議論を行いました。先ほど、食料分野での成果についても紹介をさせていただきましたが、国連憲章の諸原則や法の支配の重要性について認識を一致することができた、これも一つの成果であると認識をしております。

坂井委員 招待国からも今回のサミットを評価しているという声が出ているということを、報道でも読みました。岸田総理が狙った意図が共有をされて、成果をそれぞれ感じていただいている証左ではなかったかと思っております。

 今年は、外交面でいいますと、今のこのサミットの開催国ということで特別な年であるわけでありますが、同時に、日本・ASEAN友好五十周年の年でもあります。ASEANとの関係から見ても節目の年ということになります。

 菅前総理も初めての外国訪問でベトナム、インドネシアを選ぶなど、もちろん、岸田総理を始め歴代の総理もASEANとの関係は重視してきていると思いますが、昨今はより一層その重要性が増していると考えています。

 その動きの一環として、先日、我が党の萩生田政調会長がフィリピンとインドネシアを訪問いたしました。脱炭素でありますとか、経済安全保障ほか、政策課題を広く議論をし、両国との緊密な協力促進が必要だという認識を共有してきたところでございますが、同時に、そのときに、今回、このサミットで、日本がアジアの代表としてG7としっかり話ができる国だということをアジアの皆さんに分かってもらうということも大事だ、こういう趣旨の指摘をしているところであります。

 まさしく、私はその観点は重要だと思っておりまして、G7メンバーの中でアジアの国は日本しかありません。G7サミットの場においてアジアの主張を代弁できるのは、これは日本ということになります。アジアの国々からそういった期待を担うことにより、そしてそれに応えていくことにより、自然とアジアの国々からも信頼が深まる、こういう結果になろうかとも思います。

 これらの観点から、今回のサミットにおいて、アジアの代表としての日本としてどのような動きや働きがあったかということをお聞きをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回、アジアで開くG7サミットであることから、インド太平洋にも重点を置き、議題の設定、あるいは招待国の選定、これを行いました。

 G7首脳間では、インド太平洋情勢についてしっかりと意見交換を行う機会を設けました。その結果として、中国をめぐる諸課題への対応、核・ミサイル問題、拉致問題を含む北朝鮮への対応において引き続き緊密に連携していくことを確認することができました。G7としてASEAN諸国や太平洋島嶼国を含むインド太平洋地域との協力の強化をしていく、こうした点でもG7として一致をした、こうした会議でもありました。

 加えて、先ほど招待国の選定の話がありましたが、韓国、豪州、インド、インドネシア、ベトナム、クック諸島、こうした国々、インド太平洋諸国をお招きして議論をする、こういったこともアジアで開催するサミットという点において重視した点であります。

坂井委員 今の質問のように、アジアとG7各国との間に入って調整役、橋渡し役をするのは日本しかない、こう思っているわけでございますが、私は、今後特に、分野でいえば、脱炭素の分野で日本の役割が大きくなってくるのではないかと考えております。

 世界の潮流と歩を一にして、日本は、菅政権のときに、二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言をいたしました。欧米各国ともある意味その方向での足並みをそろえて、その実現に向けて総力を挙げて邁進をしているところでございますが、しかし一方で、目をアジアへ向けてみますと、アジアの国々、それぞれの各国の置かれた状況というのは違うわけでありまして、そして、日本や欧米各国と同じテンポで、同じ時間軸で脱炭素の方向に向かっていけると考えるのは、やはりこれは非現実的だと思わざるを得ないところがあろうかと思います。

 ところが、人口も多い、影響力もあるこのアジアが脱炭素の動きから外れていっていいわけはありません。アジアの取組状況は、世界の全体の流れを決めていくほど大きなインパクトを持っているとも言えようかと思っております。

 そこで、アジア各国も、そして欧米各国も受け入れられる脱炭素への道のりでありシナリオであり、こういったものをつくっていく、お互い合意をしていく、落としどころを探していくということが必要になってきて、その調整作業は日本の貢献が求められるというふうに私は考えておりますし、そして、その重要性はますます増加するものであろうと想像できるわけであります。

 この点に関しての総理の見識をお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 気候変動は、気候危機とも呼ぶべき、人類共通の待ったなしの課題です。

 今回の広島サミットでは、招待国及び国際機関を交えて率直な議論を行い、G7も、アジアを含む世界の国々も、共に世界の脱炭素化に取り組む必要があること、これを確認をいたしました。

 世界の脱炭素化を進めていく上では、エネルギー安全保障、気候危機、あるいは地政学リスク、これらを一体的に見据えて、各国それぞれの事情に応じ、あらゆる技術やエネルギー源を活用する多様な道筋の下でネットゼロという共通のゴールを目指していくこと、これが必要です。

 こうした中、我が国は、アジア地域において、例えば、公正なエネルギー移行パートナーシップ、JETPですとか、アジア・ゼロエミッション共同体、AZECですとか、こうした構想の実現を通じて、パートナー国の事情を踏まえながら、経済成長を損なうことなくエネルギー移行を支援していく、こうした姿勢で、アジアの国々とこうした大きな目標を共に目指していきたいと考えています。

坂井委員 一番分かりやすい例でいいましても、車にしても、内燃機関の車に関して欧米ではかなり高い目標を持っておりますし、日本でも電動車に替えていくという目標を持って進んでおりますけれども、やはり、アジアの国々は、それ一つ取っても、なかなか日本や欧米のようにいかないという現実があるわけでありまして、それぞれの国に合わせて、また、それぞれの国が取組ができるように、技術的な支援も含めて、日本の役割というのが大きいものが出てくる、大きくなってくると思っておりますので、この辺の対応もよろしくお願いをしたいと思います。

 サミットの質問をしてまいりました。まだあと幾つかありますが、ちょっと時間がなくてということが心配でございまして、一点、ちょっとサミットから離れた質問をさせていただきたいと思います。

 昨今、現場で大変な負担になっております、主に身寄りのない高齢者の課題について、一点、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 高齢になりますと、程度の差はあっても、理解力や判断力が低下してくるケースが多くあり、その際に御家族の支援が得られなくて困るという事例が、現在、多数発生をいたしております。介護保険導入時に車の両輪として導入した後見制度というのがございまして、これが利用できる、事前に準備をしておいて利用ができる場合はいいわけでございますが、この後見制度の利用は、認知症と診断された人の数に比べて一向に増えていないということを聞いております。

 頼れる家族もない、そして正常に一人で意思決定もできないということになりますと、日常生活の現金管理、医療や介護の利用、住まいの選択、こういったことも誰かの支援が必要になってまいりますし、また、施設に入るようなときには、緊急連絡先でありますとか、それから身元の保証人というものも求められているというのが現場でございます。

 今現在どうなっているかといいますと、そこにたまたま居合わせたケアマネさんでありますとか、それから施設や病院の現場の職員さんたちが、職員さんたちも困るので、ある意味職権を超えて、ボランティアベースで今対応しているというところでございますが、当然、ボランティアベースで、時間はかかるけれどもそこには料金が発生をしないということでございますので、限界状態に来ていると思われます。

 こういうときに任せられる家族がいないという人はこれから増加していくと見込まれる中、私は、行政で対応する仕組みづくりを早急にしていかなければならないと感じています。全体を統括するとなると、これに関係する団体、会社等もございますし、それから後見制度に関わるものもあります。分野がかなり多岐にわたるため、実は、統括する、この課題を受け止める担当省庁も決まっておらず、それも一つの要因でありましょうが、今まで行政側が積極的に対応してこなかった実態があると思っています。

 私は、この話を聞いて多少勉強させてもらって、この課題に対して、身元保証を提供する民間業者も出てきておりますが、いろいろな質があるものですから、ガイドラインを含め、しっかり管轄をするということも含めて、担当を厚労省に決めて、対策の検討、実施を進めるべきではないかと考えますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 高齢者の単身世帯などの増加が見込まれる中で、身寄りのない高齢者への対応、これは今後ますます重要になってくると見込まれます。

 これまで、高齢者の身元保証等のサポートを行う事業については、委員がまさに御指摘になられたとおり、ケアマネジャーや施設職員等が事実上支援を行っており、一部の民間事業者がサポートを提供しているところであると承知をしておりますが、適切な支援に向けて課題があると承知をしております。

 そこで、まずは厚生労働省を中心に、民間の身元保証等のサポートを行う事業等について、実態把握や課題の整理、これを行いたいと思います。その結果を踏まえて、必要な対策を政府としても講じていきたいと考えます。

坂井委員 総務省が行政評価局で今調査をしておりますが、これは全く業界もないものですから、どこでこの仕事をやっているかというのを職員さんが一つ一つインターネットで検索をして当てていって、会社を並べてリストを作ってというところからやっているというようなことでございまして、人の一生、最後の一番大事な部分を、お金やその人の介護であるとか医療であるとか、そういった大事なものを決めていく仕事でありますので、是非ここをきっちり行政でも対応していただきたいと思っております。

 今日は出張前の経産大臣においでいただいておりますが、もう時間的に最後の質問になろうかと思いますけれども、サミットにまた戻ります、申し訳ありません。

 今回、半導体に関しても、このサミットで、特に経済安全保障の分野から議論がなされたと承知をしております。

 私たちも昨年、半導体不足を肌で実感をしまして、この重要性を改めて認識をしたところでございますが、それもあって、菅政権で半導体政策を大きく転換をし、今は国の予算も投入をして、新たな工場も建設中ということでございますが、今回のサミットの議論によって、今後半導体の現場に具体的にどのような効果が期待をされるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 今回のG7広島サミットでは、G7で初めて本格的に経済安全保障について議論がなされました。四月の貿易大臣会合の成果も踏まえつつ、強靱で信頼性のあるサプライチェーンに関する原則が表明されたところであります。半導体を始めとした重要物資について、世界中のパートナーシップを通じて、強靱なサプライチェーンを強化していく、これを合意したところでございます。

 半導体は、言うまでもなく、将来に向けた産業の競争力、経済成長にとっても不可欠な重要物資であります。ただ、一か国でこの強靱化ができるわけではなく、有志国との連携が重要であります。総理にリーダーシップを発揮していただいた今回のG7広島サミットの合意は、サプライチェーンの強靱化に向けたこうした連携を大きく前進させていくものと考えております。

 その前日、世界を代表する半導体トップメーカーが、日本を重視し、投資拡大の声をいただいたところであります。日本の半導体産業への大きな可能性を感じたところであります。

 引き続き、日本の半導体産業が世界をリードしていけるように、技術力、生産能力向上、人材育成など、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

坂井委員 時間なので終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、鈴木馨祐君から関連質疑の申出があります。坂井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。鈴木馨祐君。

鈴木(馨)委員 自由民主党の鈴木馨祐であります。

 本日は、予算委員会、質問の機会をいただきまして、理事各位そして委員の皆様方に感謝申し上げたいと思います。

 本日はG7を受けてということで、総理始め政府の皆様、大変お疲れさまでございました。

 今回のG7、国際政治の議長国、リーダーとしては、ウクライナであったり、あるいは地球規模課題、こういったことの道筋をどうつけるのか、そして、日本のリーダーということでいえば、やはり対中国というところで、どう、特にヨーロッパの諸国、大陸の諸国に同じ船に乗ってもらうことができるのか、そういったことが、恐らく、両方の大きなテーマとして大変難しい、そんな会議だったのではないかと思います。そういった中で大変すばらしい成果を出していただいたこと、改めて敬意を表させていただきたいと思います。

 そういった状況の中で、特に台湾有事ということで申し上げれば、今、専門家の間でも、今後五年というのが一つの大きな山場ということが言われています。そういった中で、G7が七年に一遍日本での開催ということを考えれば、この東アジアで開催をされるG7、これは恐らく非常に大事な機会ということがやはり言えるんだろうと思います。

 そういった中で、今日は、中国というものを一つの柱として私は質疑を進めていきたいと思っております。

 まず、総理、今度広島ビジョンも出されて、核不拡散、核軍縮について伺いたいと思いますが、やはり拡大核抑止の問題、そして同時に核のない世界をつくっていく、この二つをどう両立をしていくのか、これは極めて難しい命題だと思っております。

 その一方で、例えば全ての核保有国が同時に核弾頭数を半減する、こういったことができれば極めて大きなステップになるわけでありますけれども、当然、そのためには信頼の醸成というものが極めて大事になってくるんだろうと思います。

 一方で、現状を言えば、ロシアがニューSTART、この履行の中止をプーチン大統領が表明をし、そして、中国、北朝鮮においては、大半の核保有国が弾頭数を減らしている中で、その二つが弾頭を増やしている、そういったことも言われている状況であります。

 まさに、信頼醸成ということでいえば非常に厳しい状況でありますけれども、この中でどうこれからの核軍縮を進めていくことができるのか、是非、総理の御見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、今、核兵器のない世界に向けての道のり、これはますます厳しい状況になっているという強い危機感を持っています。しかし、だからこそ、核軍縮に向けて再び機運を反転させ、そして盛り上げていく、こうしたことが重要である、その上で現実的かつ実践的な取組を着実に進めていく必要がある、こうしたことを強く感じています。

 今回のサミットにおいては、参加したG7首脳に被爆の実相に触れていただき、その上で胸襟を開いた議論を行い、そして、G7として核兵器のない世界へのコミットメント、これを一致して確認いたしました。そして、これらを踏まえて、核軍縮に関する初めてのG7首脳文書となるG7首脳広島ビジョンを発出する、こういったことによって、核兵器のない世界に向けた国際的な機運、いま一度高める大きな機会になったと感じています。

 今回のコミットメント、G7で一致した声明、広島ビジョンをステップ台として、ヒロシマ・アクション・プラン、これは、昨年八月、私は日本の総理大臣として初めてNPT運用検討会議に出て、総会の場で明らかにした、公表したプランでありますが、この中身を一つ一つ実行することが現実的な取組であると思います。

 そして、その中の一つとして、透明性の確保、こうしたことが信頼の基盤であるという項目を設けました。信頼の醸成のためには透明性が重要である。今回G7に参加した三つの核保有国は、一致して、透明性を向上させる、明らかにする、これを承諾してくれました。

 是非、この取組を更にG7の外に広げることによって、国際社会における信頼性の基盤をつくっていくことによって、これからの現実的な取組を進めていく基盤としていきたいと考えています。

鈴木(馨)委員 大変難しい命題でありますけれども、是非総理のリーダーシップで進めていただきたいと思っております。

 それでは、次の課題に移りますが、今回も、いわゆるグローバルサウスと言われる発展途上国の国々、G7としてもどのようにしてそういった国々の将来の経済成長をしっかりと支えていくことができるのか、このことは極めて大きな課題だったと思います。

 特に、私も経験がありますが、そういった多くの国、話をしてみると、やはり、実利的なところでどうしても、中国の方が気前がいいとか、欲しいものをつくってくれるとか、そういったことで、かなり中国のプレゼンスが大きくなっているところもあります。

 その一方で、これから、聞くところでは、今日スリランカの大統領も日本に来られるということでありますけれども、まさに、いわゆる債務のわなという問題というものは極めて深刻になっている。簡単に言うと、極めて高い金利の中でそういった債務が積み重なって、まさに国の将来が描けない状況になってしまう。あるいは、その結果として、重要港湾等々の重要インフラを差押えをされてしまうケースもかなり出てきています。

 まさに、G7とともに、G7一体となって、どのようにしてこうした問題意識の共有をしていくことができるのか。その国の国民の将来のためを考えれば、そういったことをまさに先進国一体となって進めていくべきだと思いますが、G7として、こういった債務のわなの問題も含めて、どういう方向にこれから進んでいくのか、総理の御見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 中国の途上国向けの融資は、OECD等の多くのドナーが参加するルールや枠組みに依拠せず不透明である、こういった指摘があります。

 こうした点に関しては、今回の広島サミットにおいても、G7として、国際ルール、スタンダードを遵守した、透明で公正な開発金融の重要性を確認し、その促進のために共に取り組む、こういったことでも一致をいたしました。

 特にインフラ投資に関しては、日本が主導した質の高いインフラ投資に関するG20原則、大阪のG20の際に主導した原則でありますが、これに沿って、開放性、透明性、経済性、債務持続可能性、こうしたものを考慮しながら実施していくことが重要であると考えています。

 日本は、G7や同志国とも連携しながら、途上国の債務の持続可能性あるいは自立性、これを尊重しながら、質の高いインフラ投資を促進していきたいと考えています。

鈴木(馨)委員 是非、こうした途上国のそうした発展、これは国際経済の極めて大事なことでありますので、これからも取組を進めていただきたいと思います。

 三つ目の点に移りますが、今回、G7サミットが行われているまさにほぼ同じタイミングで、中国の西安で、中央アジア五か国の首脳を呼んで、習近平国家主席との会議が行われました。

 この中央アジアの国々は、それこそロシアと中国に挟まれたハートランドとして、昔から地政学的にも要衝でありますし、今、アメリカであったり日本であったり、様々、こうした戦略的な位置づけも含めて、こうしたプレゼンスをどう発揮をしていくか、そういった検討を行っているところであろうと思います。

 中国は、これからまさにSCO、上海協力機構の会議も控えていますし、かなりこれから積極的な勢力拡張を狙っているんではないかと思われますが、我が国も去年の十二月に、林外務大臣を中心に五か国との外相会談というものをしたと記憶しております。

 まさにそれから先、私も議員連盟事務局長をしておりますけれども、その次のステップとして、これを首脳レベルで、よりハイレベルにしていくということは極めて大事なんだ、これはメッセージという意味でも、実効性の観点でも大事なんだということを我々としても考えているところでありますが、今後の方向性について外務大臣としてどうお考えなのか、御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 今、委員からお話がありましたように、我が国は二〇〇四年に、他国に先駆けて、中央アジア五か国との対話の枠組みとして、中央アジアプラス日本対話を立ち上げまして、中央アジアの自由で開かれた持続可能な発展に向けて、域内協力を促しつつ、地域全体との協力を実施してまいりました。

 現在では、アメリカ、EU、イタリア、インド、韓国や中、ロなど、多くの国が同じような中央アジア五か国との枠組みでの会合を実施してきておりまして、近年、EUや中、ロなど、首脳レベルでこうした会合を行う国も出てきておると承知しております。

 今、御紹介いただきましたように、昨年十二月に私の議長の下で、中央アジアプラス日本対話第九回外相会合を対面で開催をいたしました。その際、中央アジア五か国の外務大臣が初めてそろって訪日をいたしまして、有意義な意見交換が行われたところでございます。

 引き続き、この五か国との間で対話の枠組みを効果的に活用し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化するパートナーとして、連携を強化するとともに、この地域の持続可能な発展に向けて、各国のそれぞれの事情、これに寄り添った協力を推進していく考えでございます。

 こうした観点も踏まえて、今、鈴木委員から御指摘いただいた首脳会合の開催の可能性も含めて、しっかり検討してまいりたいと考えております。

鈴木(馨)委員 是非とも進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、次の論点に移りますが、G7、元々が、一九七〇年代の中盤に、当時の変動相場制の導入によって国際金融がかなり混乱をした、そのときに集まった当時のG5、これがその源流だというふうに承知をしています。

 そういった意味で、国際金融の安定性ということで、世銀であったりIMFだったり、こういった国際金融機関、これとは切っても切り離せない、そんな会議であろうと思いますが、近年、この国際金融機関においても中国のプレゼンスがかなり大きくなってきています。

 もちろん、責任あるステークホルダーとして積極的な参加を促していくべきだと思う一方で、特にIMFにおいては、通貨の流動性、これを供給していく、危機のときの流動性供給が一つのミッションでありまして、先般、二〇一六年に、いわゆるSDRに人民元が組み込まれた。このときも、これが自由取引が可能な通貨なのか、果たして使い勝手がいい、いつでも引き出せる通貨なのかという疑念があったと承知をしています。まさに、万一のときに流動性がない、あるいはいまだに資本取引があるような状況ということを考えれば、そこの疑義も依然として残っているんだろうと思います。

 そういった中で、今年の十二月までの期限で、いわゆる十六次の増資というものが今検討されていると思います。簡単に言うと、IMFにおけるボーティングシェア、投票権をどうしていくのか、今の経済に合わせた形によりしていくべきではないかという議論も一部にあるとは承知しておりますが、財務省として、あるいは政府としてどのようにお考えなのか、見解を伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 鈴木先生からも質問の中で御紹介がございましたが、人民元、これは、二〇一五年のIMF理事会におきまして、国際取引上の支払いを行うため現に広範に使用され、また、主要な為替市場において広範に取引されている自由利用可能通貨と認定をされているところでございます。

 その上で申し上げますと、御指摘のとおり、中国には現在でも様々な資本取引規制というものが存在をしており、日本としては、これまでも、IMF理事会などにおきまして、安定的なマクロ経済運営に向けた中国の資本市場改革等の必要性、これを指摘をしてきたところでございます。

 そして、IMFのクオータ見直しについて申し上げますと、二〇二〇年のIMF総務会決議におきまして、IMFの加盟国支援のため適正な資金規模を確保するほか、世界経済における相対的地位の変化に沿ったシェア調整の可能性も念頭に、ガバナンス改革を継続することとされているところであります。

 現時点で、御質問の第十六次クオータ見直しの結果について予断を持って申し上げることは控えますけれども、日本といたしましては、IMFが必要な資金規模を確保するということとともに、適正なガバナンスを維持すること、これを念頭に置いて、引き続き議論に参画をしてまいりたいと思っております。

鈴木(馨)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後の質問に移りたいと思いますが、G7の対中国のスタンスについてということであります。

 今回のコミュニケ、私も目を通しまして、若干違和感というか衝撃があったのが、デカップリングというものを今回否定をしているわけであります。デリスキングという形でやっていくということでありますけれども、趣旨は分からなくはないんですが、下手をすると、これは誤解を中国に与えかねないという私は懸念があります。もちろん、これは多国間の協議の結果の文書ですから、そういったことは重々承知の上でありますけれども、やはり、ここのところは相当慎重に進めていかなくてはならないんだろうと思います。

 特に、四月の中国とフランスの首脳会談で、中国が一貫して取りにいっていたのがこのデカップリングはしないというその文言で、その後のたしか報道官の会見でも、マクロン大統領サイドはそういったことも触れられていたと記憶しています。

 そういったことでいうと、万々が一にも、これがG7としての弱腰だとか、万一のときの例えば経済制裁はできないんじゃないかとか、そういった誤解を中国の指導部に与えることがあっては、これは逆に台湾有事を引き起こすことにもなりかねないんだろうと思います。

 今我々が一番やっていかなくてはいけないことというのは、どのようにして習近平国家主席を始め中国の指導部に計算ミスをさせないのか、このことに尽きるんだろうと思います。実際、第二次大戦前のミュンヘン会談でも、当時のチェンバレン首相を始めとして、そういった国々のある意味でのメッセージがヒトラーの暴発を招いたということも指摘をされております。

 今の国際情勢を考えれば、今回の広島G7サミットは極めて重要な会議、私も最初に申し上げたとおりでありますけれども、まさにその会議だからこそ、こういったワーディングというところ、しっかりと正確に伝わっていくことがなければならないと思います。

 もちろん、自由な貿易ですから、いろいろな形でなるべくオープンにしていく、そのことは私も大賛成でありますけれども、ただ、同時に、これは、重要インフラ以外でも依存度が高まってしまえば、万一のときの経済制裁はやりにくくなる、だからこそ、中国側もそれを希求しているんだろうと思います。

 そういったことで、是非、議長国として、あるいは台湾有事の最前線である日本のリーダーとして、総理からしっかりと、デカップリングをしないという今回の意味合い、これは決して従来のものと変更ということではないんだということ、そういったことも含めてメッセージを出していただく必要があると私は思っております。

 その観点で、是非岸田総理に、今日はテレビ中継も入っていますから、対世界という意味でもそういった発言をいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 今回のサミットでは、G7として、中国と率直に関与をし、また、懸念を直接表明することの重要性を認識しつつ、中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意がある旨、これを確認いたしました。

 経済面においては、G7として、デカップリングは否定しつつも、同時に、経済的強靱性にはデリスキング及び多様化、これが必要であること、また、中国との持続可能な経済関係や国際貿易体制強化のため、公平な競争条件を求め、中国の非市場主義的政策がもたらす課題、これに対処する、こういったことでもG7で一致をいたしました。

 我が国としては、こうしたG7首脳間での共通認識の下で、また、中国が日本にとって最大の貿易相手国であり、日本企業による対中投資も極めて多く、日系企業にとって中国が引き続き重要な市場であることも踏まえつつ、引き続き、日本全体の国益に資する形で対話と実務協力を進めていく考えです。

 隣国であるがゆえに、様々な課題、懸念はあります。それに対して、率直に主張すべきことは主張し、国際社会の一員としての責任をしっかり果たしてもらう、これは大事なことだと思います。しかし、一方で、対話を続け、国際社会共通の課題について協力すべきは協力する、こうした建設的な、そして安定的な関係、これを維持していきたいと考えております。

鈴木(馨)委員 まさに今総理がおっしゃったこと、極めて大事なポイントだろうと思います。同時に、やはり、経済とそして国の安全保障、これは時としてなかなか両立をすることが難しいケースも往々にしてあると思います。そういったところも含めて、しっかりとそこは、何を国としてしっかりしていくべきなのか、そのことはまさに、国の最高指導者でもある総理のそれは責務であろうと思います。

 ここのところずっと進めている経済安全保障という切り口も、まさにそこをどううまくしっかりとつなげていくのかということに尽きると思いますし、まさに万一のときに、日本がやはり痛みを伴う形がなるべく少なくて済むような形の備えもしていかなくてはいけない、これが今の日本が置かれている状況であると思っております。

 そして、先ほど最初に申し上げましたように、どのようにしてG7全体で、特に欧州の大陸諸国を対中国で同じ船に乗ってもらうことができるのか、このチャレンジはこれからも恐らく更にいろいろな形で続いていくと思いますので、そこは同志国としっかりと連携をいただきまして、どうにか日本の国民の安心、安全、総理のお力でお守りいただくように私からお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて坂井君、鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、平林晃君。

平林委員 公明党の平林晃です。

 党を代表しまして、G7広島サミットについての質問をさせていただきます。

 予算委員会、初めての質問となります。総理始め関係大臣の皆様、よろしくお願いを申し上げます。

 この度のG7サミット、極めて厳しい国際情勢の中、開催をされたと認識をしております。ロシアによるウクライナ侵略、核兵器の使用をちらつかせた威嚇、また、これに限らず、エネルギー問題、食料問題と、様々な懸案、諸課題が山積する中、今回のG7サミットを無事開催された総理のリーダーシップに心より敬意を表します。

 その上で、今回のサミットを総理の御地元広島で開催されたことには大きな意義があったと考えております。私も、開催が決まったときから、比例中国の選出であり党広島県本部所属の一員として、仲間とともに大いに喜びまして、被爆地にG7首脳が集まり、核のない世界に向けて議論することに期待をしておりました。

 改めまして、総理御自身がお考えの広島開催の意義、また、そうして行われたG7広島サミットでの成果についてお伺いをいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、今回のサミットにおいては、先ほど冒頭の報告の中でも申し上げさせていただきましたが、二つの大きな狙い、すなわち、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、これを堅持していくという強いメッセージを発すること、そして、いわゆるグローバルサウスと言われる国々との関与を深めること、この二点について成果を上げることができたと考えています。

 加えて、食料、エネルギー問題を含む世界経済、さらには気候変動、開発、保健、AIなど、こうしたグローバルな課題についても議論をし、今後の方向性について確認をする、これも今回の成果であったと思っています。

 そして、委員御指摘のように、今回、被爆地広島で開催されるということで、各国首脳に被爆の実相に触れてもらい、それを世界に発信してもらう、そして、今後、この議論において一つの大きな材料にしてもらう、土台にしてもらう、こうしたことについても成果が得られたこと。これは、各国首脳が、今回、平和記念資料館の芳名録に様々なメッセージを残しています。このメッセージの中においても見て取ることができるのではないか。さらには、そうした思いの下に、G7首脳広島ビジョンをまとめました。これを実際に結果に結びつけていく、行動していく、こういったことを確認した次第です。

 また、ゼレンスキー大統領の対面での出席を受けて、招待国の面々とも共に同じセッションに参加することによって、そのメンバーで、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持、これで一致することができた、G7だけではなくして、招待国そしてウクライナも含めて同席したセッションでこれを確認することができた、これは大きな意義があったのではないか、こうしたことも感じております。

平林委員 ありがとうございます。

 その上で、今総理も指摘をされました、核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンを示されたということ、これは、被爆地広島における今回のサミットの最重要ポイントの一つであったのではないかと私は考えております。

 この中で、G7首脳は、核兵器のない世界の実現に向けた決意を再確認するとともに、核戦争に勝者はなく、また、核戦争は決して戦われてはいけないとの昨年一月の五核兵器国首脳の共同声明の文言が再確認をされました。

 こうした内容は、サミット直前の五月十六日、私も同行させていただきまして総理に手渡しをさせていただきました党の提言の内容にも符合しておりまして、広島ビジョンの内容を評価させていただいているところでございます。

 一方、このビジョンに対して様々な声があることも承知をさせていただいております。こうした受け止めも踏まえまして、今話もあった部分もございますが、広島ビジョンに込めた総理の思いを改めてお伺いできればというふうに思いますし、また、党の提言でも触れておりました、直面する核兵器使用のリスクリダクション、危険性の低下につきまして具体的な協議がなされたのであれば、その内容について、総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 先ほど述べたように、G7首脳広島ビジョン、これは核軍縮に関する初めてのG7独立首脳文書です。このことによって、核兵器のない世界に向けた国際的な機運を高めることができたと考えております。

 そして、委員御指摘のように、サミットに先立ち、公明党から、核リスク低減を含む貴重な提言をいただきました。

 G7首脳広島ビジョンでは、戦略的リスク低減のための核兵器国による具体的措置の必要性を認識した上で、中ロに対し、多国間及び二国間フォーラムへの実質的関与、これを求めているところです。御提言の趣旨にもしっかりと重なる、こういった内容であると考えております。

 そして、委員御指摘のように、このビジョンにつきましては様々な指摘、御意見がある、これも事実でありますが、しかし、こうしたビジョンをG7として初めて取りまとめた、この中身、これを現実的に具体的に動かしていく、結果を出していく、この努力をこれから続けることが、今回のこのビジョンの意味を後々しっかり感じてもらえることにつながるのではないかと思っています。

 ヒロシマ・アクション・プランに掲げた五つの項目を中心に、具体的な取組を一つ一つ前に進めていきたいと考えております。

平林委員 ありがとうございます。

 そして、被爆の実相に触れていただきたいという点に関しまして、党の提言でも要望させていただいておりました。今回のサミットにおきまして、G7首脳、八か国の招待国、さらにはゼレンスキー大統領が一度に被爆の実相に触れられたということは、歴史的に大きな意義があったと考えます。

 平和記念資料館を見学され、被爆者である小倉桂子氏との対話が実現をいたしました。小倉さんからは、私も、昨年七月、党の平和創出大会におきまして被爆体験を伺う機会に恵まれ、大変な感銘を受けたところでございます。

 こうした見学及び対話におけるG7各国リーダーの様子や反応を伺うとともに、核兵器のない世界をこれから築いていく上でどのような影響を与えることになっているとお考えになっておられるのか、岸田総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 今回のサミットで、被爆地広島での開催ということもあり、G7首脳とともに平和記念公園での献花、資料館訪問、被爆者との対話等を行い、世界のリーダーたちに被爆の実相に触れていただき、そして粛然と胸に刻む時を共有いたしました。それぞれのリーダーたちの受け止め方については、先ほど申し上げたように、芳名録に記したメッセージ、その中身にしっかり表れていると感じております。

 この視察を通じて、被爆の実相への理解を深めてもらいながら、G7首脳が慰霊の心を合わせ、ロシアによる核の威嚇は断じて受け入れられず、ましてやその使用はあってはならない、こうしたG7首脳の立場を改めて共有することができました。

 いずれにせよ、G7として独立の文書を出して、核兵器のない世界の実現に向けて努力をする、こういった目標をG7として一致して確認したということ、これは、国際社会において核兵器のない世界に向けての機運が今後退していると言われる中にあって、今回のサミットにおいてこうしたコミットメントを確認できたということは、いま一度機運を盛り上げる一つのきっかけになり得るのではないか、このように受け止めております。

平林委員 ありがとうございます。

 先ほどから総理が言っておられます芳名録、例えばバイデン大統領、NHKの訳文で申し上げますと、世界から核兵器を最終的に、そして永遠になくせる日に向けて共に進んでいきましょう、信念を貫きましょう、このように書いていただいておりまして、米国大統領に一人の人間としてこのように書かせる、これが被爆の実相の力なのではないか、このように考えているところであります。

 被爆の実相に触れるという意味におきましては、私も小学生のとき、当時名古屋に住んでおりましたが、夏休みに両親に連れてきてもらいまして平和記念資料館を見学いたしました。当時の展示は今よりも直接的な表現がありまして、その衝撃は子供心に深く刻まれまして、核兵器廃絶に対する思いを持たせていただきました。

 若干話が変わるようですけれども、中国地方の学生団体が平和意識調査というものを二十年以上実施してきております。昨年、全国三百七十一の高等教育機関に通う男女学生千七百三十四名に対して、インターネットで回答を得たということであります。広島出身者、在住者は五十七名のみで、ほとんどが広島以外の方に御回答いただいたということであります。

 その結果ですけれども、二九%が広島原爆投下の日を知らなかった。長崎に関しましては三一%です。また、五四%の回答が、広島、長崎の資料館のいずれも訪問したことがない、訪問したことがあるというのは逆に四六%、こういうことになっているということだそうです。

 岸田総理が今般の広島ビジョンでも強調されたように、世界中の若者の広島及び長崎への訪問を促すことは極めて重要であると考えております。それと同時に、足下の日本の若者の広島や長崎への訪問を促すことも重要と考えております。

 また、より広い意味では平和教育の充実も重要と考えておりまして、政府の見解、文部科学大臣にお伺いいたします。

永岡国務大臣 平林委員にお答え申し上げます。

 戦争が未曽有の惨禍をもたらしたことを子供たちに理解をさせ、そして二度と悲惨な戦争を繰り返すことのないように平和で民主的な社会の実現に努めることというのは、その重要性というのは大変大切なことと認識をしております。

 このため、小学校や中学校の学習指導要領におきまして、例えば、社会科の中では、第二次世界大戦と人類への惨禍や、日本国憲法の平和主義の原則などについて指導すること、また、国際社会におけます我が国の役割について学習をする際に、核兵器などの脅威に触れ、戦争を防止し、そして世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育成するように配慮することという、これらを明記をしております。

 また、学習指導要領を踏まえまして、教科書におきましては、八月六日に広島に原爆が投下されたことが取り上げられているところでございます。

 これに加えまして、各学校におきましては、修学旅行で広島、長崎を訪問して、そして語り部の方から被爆体験を聞いたり、また、原爆資料館や戦争の遺構を見学したりする活動を行う事例もございます。

 今回のG7広島サミットを通じまして、各学校の学習ですとか修学旅行などの関心が高まるものと考えております。今後とも、各学校におきまして、戦争の惨禍や平和に関する教育が適切に行われますように、しっかりと取り組んでまいります。

平林委員 ありがとうございます。

 実は、本日の予算委質疑を教師をしている友人に伝えましたところ、子供たちにも見てもらう、こんなことを言ってくれておりました。小学生の皆さん、見ていていただきましたら、ありがとうございます。

 こうした広島を含む日本の若者、そして、岸田総理の御構想の下、世界から広島を訪れる若者、こうした若者同士が交流できれば、平和の世界的な連帯を築いていけるということも考えます。取組の推進、是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、ロシアによるウクライナ侵略に関しましてですけれども、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、一つ減らさせていただきまして、復旧復興に関しましてお聞きできればありがたく存じます。

 ゼレンスキー大統領は平和記念資料館を見学をされまして、ウクライナのバフムトで起きている破壊とかつての広島の写真の風景が似ている、このように述べたそうであります。また、全ての建物や道路が壊された状態のバフムトも将来必ず再建できると思うと。復興を遂げてきた広島の町に希望を感じていただいたのではないかと推察をいたします。

 だからこそ、ウクライナは、日本の戦後復興や東日本大震災からの復興に大変関心を寄せておられると存じます。インフラ、地雷除去、医療、教育、農業、汚職対策など、我が国はウクライナの復興支援に官民を挙げて取り組んでいくべきと考えております。そのための方針や方策をどのように考えておられるのか、政府の御見解、外務大臣にお伺いいたします。

林国務大臣 日本は、ロシアによる侵略開始直後から、ウクライナ及び周辺国等に対しまして、人道、財政、食料、復旧復興の分野で総額七十六億ドルの支援を表明し、着実に実施してきております。

 このうち、復旧復興につきましては、ウクライナ側からの、日本の持つ、今お話のありましたような戦後復興や震災からの復興の知見や経験を学びたい、そういう期待に応えるべく、五月十四日から二十六日までの日程で、ウクライナの政府及び地方自治体の復興に関わる関係者、これを招聘いたしまして、復興の経験の共有に努めておるところでございます。

 また、日本製品を含む日本の技術力を生かしつつ、カンボジアとの協力を通じた地雷対策能力強化支援、また、瓦れき処理に資する建機の供与、発電機等の供与を通じた電力インフラ整備、零細農家への種子の配付、ウクライナ国民の情報へのアクセスに貢献する放送機材の供与等を既に行ってきております。

 さらに、五月十二日には、日本の官民によるウクライナの経済復興を促進する観点から、ウクライナ経済復興推進準備会議を立ち上げたところでございます。

 今後も、地雷対策、瓦れき処理、教育、医療を始めとする基礎インフラ整備を含む生活再建、農業生産の回復、産業振興、民主主義、ガバナンス強化等の様々な分野で、ウクライナ側のニーズを適切に把握しながら、日本の持つ経験や知見を活用して、切れ目なく、日本らしい、きめの細かい支援を行ってまいりたいと考えております。

平林委員 是非リーダーシップを取って進めていただければというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、G7以外の国々との連携に関しまして伺えればと思います。

 G7以外の国々との連携、総理が目指される法の支配の確立のためには、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々との結束が必要でございます。ただし、そうした国々の中には、様々な経緯から欧米と距離を置くことも少なくありません。だからこそ、結束していくためには、こうした国々と欧米との橋渡しの役割を日本が積極的に果たすべきであります。

 いわゆるグローバルサウスの国々が招待された二十日夕刻の拡大会議などを通して、どのような成果が得られたのでしょうか。総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 今、国際社会が直面する様々な課題、気候変動ですとか保健ですとか、こうした課題を考えますときに、グローバルサウスと呼ばれる国々を始めとする国際社会のパートナーと協力して対応しなければならない、これは重要な考え方です。今回のサミットでは、招待国とともに、これらの課題への対応について率直な議論を行い、取るべき具体的な行動を含め、認識を共有いたしました。

 二十日のセッションでは、食料に関し、G7と招待国の共同で、強靱なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明、これを発出し、具体的な行動を示し、共に取り組んでいくことで一致をしました。

 そして、二十一日のウクライナ・ゼレンスキー大統領の参加を得て開催したセッション、G7、そして招待国、そしてウクライナ、こうした国が共に同じテーブルを囲んだセッションにおいて、主権や領土の一体性の尊重といった国連憲章の原則を守るということ、対話によって国際法や国連憲章の原則に基づく平和を支持していくということ、力による一方的な現状変更の試みは許してはならないということ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守るということ、こうした四つの点について今申し上げたセッションにおいて確認をした、このことは歴史的にも大きな意義がある成果であったと感じているところであります。

平林委員 ありがとうございます。

 最後になりますが、総理は、韓国の尹大統領も招待をされております。そして、韓国人原爆犠牲者慰霊碑への献花、二国間会談、さらには米国を交えた三か国での意見交換も実施をされ、日韓のみならず日米韓の緊密な連携を確保、確認する機会にもつながったと考えます。

 この二か月で三度目となる、サミット期間中における一連の会談、意見交換を通して得られた成果について、総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 二十一日に、G7広島サミットのアウトリーチ会合に出席するために訪日中の尹錫悦韓国大統領と日韓首脳会談を行いました。また、それに先立ち、尹大統領夫妻とともに韓国人原爆犠牲者慰霊碑に祈りをささげました。

 今般の会談は、御指摘のように、ここ二か月の間で三度目の日韓首脳会談であり、これは日韓関係の進展を如実に示すものであると思っています。

 尹大統領との間においては、二国間関係のみならずグローバルな課題についても両国の連携を強化していくことが重要である、こういったことでも一致をいたしました。この中で、北朝鮮への対応について、引き続き日韓、日韓米で緊密に連携していくことを確認いたしましたし、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けても協力をしていく、こうしたことも確認をいたしました。

 バイデン大統領を交えて日米韓首脳間で短時間の意見交換も行い、それぞれ強化された二国間関係を土台として、日韓米三か国の連携を新たな高みに引き上げるべく努力をしていく、こういったことでも一致をいたしました。

平林委員 ありがとうございます。

 公明党は、これまで、八月六日に合わせて山口代表が韓国人慰霊碑に献花を続けておられ、この二年は私も御一緒させていただいております。このことは韓国側も高く評価いただいておりまして、我が党は日韓関係を重視してきております。この関係改善の動きを高く評価しております。

 以上、核兵器のない世界に向けた取組を中心に質問させていただきました。公明党はこれからも平和への取組に一層力を入れていくことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて平林君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉健太君。

泉委員 立憲民主党・無所属の泉健太でございます。

 総理始め、質問させていただきます。

 まず、総理、サミットホスト国として、大変苦心もいろいろされたと思います。改めて御慰労を申し上げたいと私からも思います。

 ここからは、ある意味、サミット熱というところから頭を切り替えていただいて、やはり今、国民の生活、内政、これがどうなっているのかということを、総理、改めて正面に向かって考えていただきたいと思います。何より、政治の基礎というのは、国民の生活が第一ということであろうと思います。

 今、こうしてサミットが終わった直後ではありますが、実際に実質賃金は十二か月連続下がっていますよね、総理。十二か月連続で実質賃金は下がっている。賃上げ、賃上げとは言っても、実際には、賃上げ以上に物価が上がり、そして使えるお金が減り続けているというのが現在の状況であります。

 最低賃金で働いても、家賃も取られる、食費もかかる。当然ながら、電気代も、今、一部補助がありますが、もうすぐ切れるという状況にある。そして、教育費でもお金が消えていく。これは年金生活者でも同じです。家賃、食料、そして医療費、介護費、どんどん引かれていく。そういう中で、まさに十二か月連続の実質賃金の下落ですから、現役世代も年金生活者も大変ということであります。こういったことについても後ほど総理にお伺いをしたいと思っています。

 まず、広島サミットについてであります。

 これは、総理、意外というふうに思われているのか、まさにそこを聞きたいんですね。被爆者の皆様から、数々、失望の声が上がった。広島ビジョンというものも出たけれども、核抑止力というのが大前提のサミットを広島で行ったのか、道筋が見えないじゃないか、こういう声がたくさん出てまいりました。

 総理、率直にどう思いますか。

岸田内閣総理大臣 今回、核軍縮についても独自の文書をまとめるなど、核軍縮の議論においても力を入れたところでありますが、結果として、でき上がり、まずは、この厳しい安全保障環境の中で、それぞれの国の国民の命や暮らしを守る現実的な対応、これをしっかりと確認した上で、未来に向けて核兵器のない世界を目指すという理想を掲げる。こうした現実と理想、これは両方をしっかり議論した上で、この二つをどう結びつけるのか、こうした考え方を文書等にまとめた、こういった次第であります。

 厳しい現実の中で、日米同盟の中において、拡大抑止を始め、日本の国民の命や暮らしを守るために、様々な取組を進めていかなければならない。その中には、米国の核を始めとする拡大抑止を前提とした考え方も含まれている。そういったことについて厳しい批判がある、こういったことも承知をしています。

 しかし、厳しい現実に具体的に対応することと、未来に向けて核兵器のない世界という理想を目指すということ、これをいかに両立させ結びつけることができるかどうか、これが外交あるいは政治にとって最も大きな責任ではないかと認識をしております。

泉委員 これが結びついていないから、批判の声が上がっているということだろうと思います。理想というものが理想のままで終わってしまうんじゃないかということを心配される被爆者の方が大勢おられたというのが現実であります。

 では、総理に、まさにその現実に向けて取り組んでいく、私たち立憲民主党も是非提案をしたいと思います。是非、それについて前向きな答えをいただきたいというふうに思う。

 これは被爆者の皆様からも声が上がっていました。核兵器禁止条約、この件について記載がなかった、これは極めて残念です。やはり、核兵器禁止条約は、様々事情はあれども、まずはせめてオブザーバー参加、これはやるべきだ、日本の姿勢として。まさに日本が、間に立つ立場であっても、オブザーバー参加はできるじゃないか、我々はそう考えています。

 改めて、総理、核兵器禁止条約、オブザーバー参加しませんか。

岸田内閣総理大臣 核兵器禁止条約、これは従来から申し上げているように、核兵器のない世界を目指すという大きな理想に向けて、出口の部分に当たる大変重要な条約であると思います。その検証システム等をより充実させることによって、核兵器のない世界を目指す上で、出口に位置することができる重要な条約でありますが、しかし、その条約に核兵器国が一か国も参加していないという現実についてどう考えるかということを申し上げてきました。

 核兵器国が変わらなければ現実は変わらない、これが、私も外務大臣を四年八か月やる中で、何度となく痛感した厳しい現実でありました。核兵器国を動かさないと現実が動かせない、この中にあって、唯一の戦争被爆国として、現実に核兵器国をどう動かしていくのか、これが大きな責任であると考えています。

 だからこそ、今回……(発言する者あり)

根本委員長 お静かに。

岸田内閣総理大臣 G7の中においても、核兵器のない世界を目指す、こういったことで一致をすることができました。そして、その理想に向けてどう取り組むか。これについて、昨年八月、私がNPT運用検討会議の総会で明らかにしたヒロシマ・アクション・プラン、これに基づいて取組を進めようということでも一致をいたしました。その中の取組を一つ一つ実行していくことが、核兵器国を核兵器禁止条約に近づけていく道にもつながるんだと思っています。

 核兵器国を動かす、そして、理想に日本も歩みを進める、そのために、ヒロシマ・アクション・プランの五つの取組、これを一つ一つ実行していきたい。その際に、G7とともにこの輪を広げていく努力を続けていきたいと思っています。

泉委員 その出口に向かって、核兵器保有国が出口に行かなければ私も行きません、日本も行きません、私は、その姿はやはりおかしいと思うんですね。幾ら核兵器保有国と、様々連携をして、様々説得をしてもよいと思うけれども、日本が一歩前に進むことに彼らが批判をするんですか。日本に対して幻滅を抱くんですか。そういうものじゃないと思いますよ。

 その意味では、私は、日本が一歩を踏み出すということは、何も核兵器保有国から怒られたり、我々が爪はじきにされるような話ではないと思います。しかも、説得が緩むような話でもないと思いますよ。私は、是非オブザーバー参加は、やはりしていただくべきだというふうに思います。

 続いて、総理、サミット後でしたか、日中首脳会談について記者に答えて、主張すべきことは主張し、そして協力すべきことは協力すると言ったわけです。

 私、二つほど、まさに主張してもらいたい提案があります。

 これは、核兵器不拡散条約、NPTの下でのプルトニウム管理についてなんですけれども、今回の広島ビジョンの中でも、プルトニウムの生産について言及しているんですね。IAEAに年次報告をすることを求めるということなんですが、中国、写真は、甘粛省というところに再処理施設が今、大規模で建設中です。そして、この写真以外にも、福建省に高速増殖炉、これができつつある。

 プルトニウムは、三トンあるだけで核弾頭千発分だと言われておりますが、中国は、恐らく二〇三〇年ぐらいには二十トン、あるいは十トン、もう十分つくれるんじゃないかというぐらいに、この工事が進捗している状況にあります。

 ただ、その中で、このパネルにも書いてありますが、中国は二〇一七年以降、IAEAに保有量を報告していないんです。これは極めて問題だと思います。これが民生利用で、単純に発電用に使われるプルトニウムになるのか、それとも、高速増殖炉によって、まさに兵器用のウランになっていってしまうのか、ここが問われている。そのときに、中国は全く、二〇一七年からこの報告をしていない。

 私、総理が、言うべきことは言う、主張すべきことは主張すると言うのであれば、これは隣国としてもゆゆしき事態だと思います。日中会談のときに、是非、このプルトニウムの保有量の報告、これを再開すべきだというふうに言っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まさに今回のG7首脳広島ビジョンでは、民生用プルトニウムの管理の透明性の維持の観点から、一九九八年に関係国で作成したプルトニウム管理指針の実施の重要性を強調し、民生用プルトニウムの保有量をIAEAに年次報告することにコミットした全ての国に対して、かかるコミットメントの履行、これを求めているところです。

 我が国は、五核兵器国、ドイツ、ベルギー、スイスとともに、同管理指針にのっとり、民生用プルトニウムの保有量のIAEAへの報告にコミットし、毎年報告、公表を行ってきていますが、委員御指摘のように、中国は二〇一八年以降この報告を実施していない、このことは承知しております。

 よって、我が国としては、透明性の観点から、こうした報告を重視し、問題意識、これを引き続き関係国と連携して共有していかなければならないと思います。中国ともこうした考え方を共有するべく、働きかけを行いたいと思います。

泉委員 しっかり日中首脳会談で私はこれを取り扱っていただくべきだと思います。

 そして、同じくCTBT、包括的核実験禁止条約、こちらについても、発効について喫緊の課題だと言いました。しかしながら、実際に、アメリカ、中国、インド、今回広島に来た国もまだ批准が済んでいないという状況にあります。

 総理、アメリカ、中国、インド、またそのほかにも、当然、エジプトやパキスタン、イスラエル、イラン、そして北朝鮮などありますけれども、まずはこの広島のサミットの場に来られた主要国にも、是非これを求めていただきたいと思います。

 こうして、やはり被爆地の、そして広島の被爆者の皆様の思いをしっかり具体的行動に移していかなきゃいけないと思います。私は、その意味では、広島ビジョンというのは、残念ながら被爆者の皆様からの失望を受けてしまったというところについては、大変残念に思っているところであります。

 これは皆さん、失望ですよね。そういう声もありますよね。そのとおりです、そういう声があるんですよ。はっきりそういう声があるということ、これは自民党の皆さんも認めていることだと思います。それは岸田総理も思っていますよね。失望の声があることは総理も分かっていると思います。このことは、はっきりと申したいと思います。

 続いて、時間もございません、私、次の問題に行かねばなりません。

 まず、防衛増税のことについて、改めて、総理、聞きたいと思います。

 世論の八割は反対。そして、今日は防衛大臣に来ていただいたんですが、私は、国会でのこの一年間の、安全保障委員会を始めとした衆参の議論の議事録を確認しました。イージス艦、今いろいろ議論されていますね。スーパーイージスと言われるイージスシステム搭載艦の話は時々出てくるんです。ただ、従来のイージス艦、実は今、自民党のというか、政府の防衛力の整備計画、十年後の姿のところでいうと、この船の数も増えることになっていますよね、イージス艦の数も。

 このことについて、大臣、一年間、議論したことはありますか。

浜田国務大臣 今御指摘のあった点は、近年、我が国の周辺で、質、量共にミサイル戦力が著しく増強され、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつあるという現実がありますので、こうした中で、統合防空ミサイル防衛能力の下、ミサイル防衛システムと反撃能力を組み合わせて、ミサイル攻撃そのものを抑止していく必要があります。

 御指摘のあったイージス艦やイージスシステム搭載艦の隻数については、こうした観点から、現実的なシミュレーションを行い、導き出したものであります。

 我々とすれば、この間に、五年後、十年後ということになりますと、またそのときにおいて、予算要求もまだそのときにはできないわけでありますので、そういったことも目標として書いてあるのは事実であると思います。

泉委員 改めて、議論したことはありますか。

 ちゃんと、イージス艦が十年後に更に二隻増えるというふうに、整備計画、十年後の姿のところには書いてありますよね。このことについて議論したことはありますか。

浜田国務大臣 当然、これは将来目標を見た中で議論している……(泉委員「していない」と呼ぶ)国会では議論していませんが、我々とすれば、防衛省の中で、将来的にはこれが必要だということを積み重ねて出したということであります。

泉委員 今、イージス艦を八隻にまでしていく、八隻体制をつくるまでに相当自衛隊も努力をしたし、役所の中でも議論をしてきたわけなんですよ。それは、イージス艦というのは決してずっと前線に出ていられるわけじゃなくて、点検も休養も必要だ、整備、修理も必要だ、ローテーションもしなければならない。だから八隻だし、八隻で体制を組めるんだと言ってきて、八隻まで持ってきたんです。

 そして、更に言えば、しかし、昨今の情勢を見て、ミサイル防衛を強化しなければいけないということで、従来の八隻とは別に二隻を造るというところまで今来ているわけなんです。

 では、更に普通のイージス艦を二隻造るという、その計画が今出てきているんだけれども、全然それは防衛省から国民に対しても説明はされていないし、私は理解もされていないと思いますよ。国会の中の一年間の議論も見てみたけれども、八隻体制プラス二ですねという質問はあっても、それに更に二つ加えるなんという話は一回も出てきていない。それぐらいに理解もされていないし、政府も説明をしていないんですよ。

 そして結局、やはり五年で四十三兆円、大きく大きく膨らますものだから、いろいろなところ、陸も海も空も、ではそれに基づいて出せと言われて、様々、今まで以上の計画を出してしまっているんですよ、本当に必要かどうかは別にして。求めていいんだったら求めさせてもらいますよ、うちだけ引っ込んでいるわけにいきませんからと、こういうことで、今、防衛予算が組まれようとしている。私は、本当に残念だし、駄目だと思いますよ、こういうことをやっていては。それは、今まで一生懸命、熟慮に熟慮を重ねて組んできた防衛予算と大きく異なっている。だから、我々はこの防衛予算はやり過ぎだと言っているんです。

 改めてですけれども、この防衛増税は、特にそのうちの一兆円ですから。総理、今、防衛予算を一兆円分削減したって、防衛増税をやめたって、私は、十分に我が国の防衛は機能すると思いますよ。それは機能すると思いますよ。ここはしっかり、私は、総理にもう一回考えていただきたいと思います。

 そして、次、決算剰余金、これについても言われている。

 この決算剰余金について、棒グラフがぼんと伸びているところがありますね。ここは、コロナ対策で物すごく、取りあえず予算を積んで、余ったというものですね。それが今回、防衛費の財源をつくるときに、この異常に増えた部分が平均値として出されて、結局、異常に増えたものも含めて、毎年〇・七兆円確保できますと政府は説明をしているわけです。

 総理、これは可能だと思いますか。かなり、こんな異常値を基に、毎年〇・七兆円財源を確保する、そして五年間で三・五兆円の決算剰余金を確保する、そういう組み方を今やっている。異常に思いませんか。

岸田内閣総理大臣 決算剰余金について、年によって大きく違いがある、御指摘がありました。だからこそ、十年間の平均を取るということをしているわけです。

 だからこそ、十年間平均することによって、この平均が一・四兆円程度である、そういった見通しを立てた次第であります。これは多い、少ないがある、それは御指摘のとおりでありますが、それだからこそ、十年間の平均を見通しの材料に使った、こういった次第であります。

泉委員 これはもう国民の皆さんに見ていただくしかないですよね。だから、こんな異常な数字が出ている、コロナ対策のために特別に積んだものがあるものを、平均して毎年出すなんというのはできない話ですよ。そういう予算の算出の仕方をしていることが大きな間違いだということを、まず指摘をしたいと思います。

 次に、さらには、もう一つのグラフ、これは防衛費の財源確保のイメージ。要は、全然これはできていないんじゃないか。

 今、決算剰余金の活用のところを指摘しました。その下に歳出改革というのがあるんですが、総理、改めて、二千百億円を確保したというふうに聞いています、何を削ったか教えてください。二千百億円を何で出したか、教えてください。

岸田内閣総理大臣 これは従来から説明しておりますが、社会保障関係費以外の経費を対象として、骨太の方針に基づいて、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続する。その中で、今年、令和五年度、約〇・二兆円の防衛関係費の増額を確保した、こうした次第です。

 ですから、六年度以降も毎年度の予算編成における歳出改革を継続する、こういったことで、九年度、一兆円財源を確保する、こういった計算をしております。

泉委員 もはや歳出改革という言葉が魔法の言葉になっている。マジックワードですよね。何かそれを言えば、中身を言わなくても済むというふうに総理は思っていられるんですかね。中身が本当にないんですよ。だから私たちは指摘をしているんです。

 これも国民の皆さんに是非私は知っていただきたい。政府の言う歳出改革、中身を聞いても、中身は具体的なものは出てきません。例えば何々補助金を削ったとか、何々交付金を削ったとか、こういうのは全く出てきませんから。これは是非、はっきり、今の防衛予算、財源確保の在り方がおかしいということは、国民に知っていただきたいと思います。

 総理、歳出改革という言葉が私は不安でしようがないという話をしていたら、今度は、子供予算を年三兆円確保するといったうちの二兆円を歳出改革で確保すると出てきたわけですよ。今度は社会保障費からなんですかね、二兆円を歳出改革で確保する。そして、三兆円のうち二兆円が歳出改革で、一兆円が医療保険の上乗せ徴収だと言ってきた。

 社会保険料を上げるということは、まず一つ、会社側からすれば、賃上げを止めかねないですよね。間違いなく会社側の負担が大きくなるということ。そして、会社側としては、経費節減のために、正社員の採用すら、もしかすると抑制される可能性があります。非正規雇用にまた走ってしまう可能性があります。

 そして、個人においても、現役世代の負担が上がるということにも当然なるわけです。せっかくの少子化対策、子育て支援が、まさにその当事者たちからお金を取って、当事者たちにお金を渡していく。結局、プラス・マイナス・ゼロみたいな話になりかねないんじゃないですか。

 例えば、今回も、児童手当を引き上げると言った。高校生たちには月一万円だということらしいです。そうすると、扶養控除を見直すと言った。扶養控除が消えてしまうと、これは実はプラス・マイナスどころか、マイナスになってしまう家庭も出てくる。

 総理、歳出改革で二兆円ということ、今、何を考えておっしゃっておられるのか。そして、実際に、社会保険料の引上げを本当にやるのか、聞かせてください。

岸田内閣総理大臣 社会保険料の引上げをやるのかという御質問でありますが、それを今まさにこども未来戦略会議において議論を行っています。

 増税はしないということ、これは明らかにさせていただきましたが、国民の実質的な負担を最大限抑制したいと考えています。そのために、まずは全世代型社会保障を構築する観点から、歳出改革の取組、これを徹底します。あわせて、既定予算の最大限の活用、こういったことを行います。こういったことによって実質的な負担を最大限抑制して、全体像をつくり上げていきたいと思っておりますが、これをまさにこども未来戦略会議において今御議論をいただいているところであります。

 議長の立場から、私が結論を言うわけにはいきませんが、六月の骨太方針までに国民の皆さんにお示しできるよう、議論をまとめていきたいと考えています。

泉委員 社会保険料の引上げというのは、実質増税みたいなものですからね。ステルス増税なんて言われていますよ、総理。生活をする側のことを考えてもらいたいし、総理、国の中で何に力を入れるかというときに、さっき私はイージス艦の話もしましたけれども、もう自衛隊だって、船や武器をどんどん増やしても、人が集まらない時代になっているじゃないですか。武器が増えて、人が減って、国が廃っていくんじゃないですか、このままだと。

 本当に、人に対して力を入れていかなきゃいけない、少子化対策、子育て支援にもっとお金を投じていかなきゃいけないときに、今、政府から聞こえてくるのは何か。社会保障費の中でひたすらやりくりをする。例えば、高齢者の窓口負担を上げて、子供たちの出産一時金に充てていくなんというのもそうじゃないですか。

 結局のところ、これだけ、五年で四十三兆円の防衛費はそのまま、こんなに大きく増やしておいて、そして、子供たちの支援については他の社会保障の中から取ってくる、お互いに切った張ったをしていく。全然、国全体の予算のバランスは、防衛費だけが高まっていってしまっているという状況だと思いますよ。これはおかしいじゃないですか、やはり。私は、それは総理、国の活力を失わせることになるというふうに思います。

 改めて、児童手当を上げるときにも社会保険料に頼るということでは、実質、お金をもらっても、また取られる分も増えてしまう方がたくさんいるということである、これも言わなければなりません。

 そして、総理、一点確認したいんです。

 これだけ、私、冒頭に、実質賃金が十二か月連続で下がっているという話をした。まさに九月に電力料金の補助が切れるというタイミングが来ますね。これは総理、そのまま終えるんですか、それとも継続をしますか。

岸田内閣総理大臣 まずは、電気料金の負担抑制の観点から、値引き支援を需要家に確実にお届けできるよう、予算執行に取り組むことが重要であります。

 そして、御質問は、十月以降どうするかということでありますが、当然、これは今後の物価の状況、経済の状況、今の時点で確たることを申し上げることができませんので、何ら決まっているものではありません。国際的な燃料価格の動向等、これを注視した上で、政府として柔軟に対応を考えていきたいと思っています。

泉委員 継続もあり得るということを私は答弁として受け止めました。

 そして、私は、最後に総理にお話をしたいと思いますが、やはり今、賃上げが物価に追いついていないという状況。では、賃上げをするにはどうしたらいいのかというのはいつも言われる、そのときには、生産性の向上だと言われるわけです。であるならば、だからこそ、教育やリスキリング、こういうスキルアップのための投資を増やさなきゃいけない、立憲民主党はそう考えます。防衛費ばかり増えていては駄目なんですよ。だから、もっともっと教育、子育て、こういったスキルアップに力を入れなきゃいけない。

 私は、この日本という国は、今まさに人に投資をすべきであって、そして、大学教育の無償化、これは是非、立憲民主党はやりたい。そして、政府に一緒に取り組んでいただきたい。

 大学教育の無償化は、まさに今、金はと言った。だから、その金を、防衛費よりも、ちゃんと回すのが政治じゃないですか。それを是非やっていただきたいんですよ。それをやらないのであれば、やはり我々は議席をしっかり増やして、もっともっとその声を高めていかなきゃいけない。

 このことをお伝えして、質問を終わります。

根本委員長 この際、西村智奈美君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 総理、まずG7サミット、お疲れさまでございました。評価できる部分と評価できない部分と、いろいろありますけれども、総理が議長としてお取りまとめになった首脳コミュニケの中に、今回、私がこの国会でずっと総理にただしてまいりましたLGBT、いわゆる性的少数者の課題についての記述がきちんと含まれているということについて、これは高く評価したいと思っております。

 その該当部分、読み上げさせていただきます。「あらゆる人々が性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、暴力や差別を受けることなく生き生きとした人生を享受することができる社会を実現する。」

 大変意義ある記述だというふうに思うんですけれども、議長としてこのコミュニケをまとめた総理は、この記述と同じ認識、当然だと思うんですけれども、当然同じ認識だというふうに確認させていただいてよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のコミュニケ、議長国である我が国を含むG7諸国の間で調整、交渉した結果、作成したものであります。こうした認識は、我が国も同意して、一致しております。

西村(智)委員 何かちょっと二人羽織的な答弁に聞こえたんですけれども、総理御自身も当然同じ認識だということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 私が議長であります。同じ認識であります。

西村(智)委員 ここで少し気になることがございます。

 G7サミットに合わせて、自民党はようやく、いわゆるLGBTの理解増進法案を提出しました。ところが、この法案は、二年前に、自民党の当時の骨子案をベースにして、当時自民党の稲田朋美議員と私とが双方歩み寄って、どちらかというと野党側が譲った部分が大変大きかったわけなんですけれども、そうして作った案、これがありますが、ここから幾つか、今出されている自民党の提案、法案が後退している部分があります。

 コミュニケでも使われている性自認という言葉、これが法案の中では性同一性という言葉に置き換えられています。また、コミュニケの中では差別を受けることなくとありますし、当初の合意案では、差別は許されないという文言だったんですが、これが、不当な差別はあってはならないというふうに後退しているんです。

 自民党案が広島サミットのコミュニケの文言から見ても後退をしているわけですが、この理由は何でしょうか。自民党総裁として答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、政府としては、このG7広島サミットのコミュニケ、これも踏まえて、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかり取り組んでまいります。

 そして、御質問は、議員立法の中身、文言について、これはどうして変わったのか、後退したのか、こういった御質問でありました。これは議員立法でありますので、これから国会で審議される前の議員立法に対して、政府が何か申し上げること、これは控えなければなりません。

 総裁としてということでありますが、私は、内閣総理大臣の立場で今日、答弁に立っております。その立場でこの議員立法の中身について具体的に評価する、触れる、これは控えなければならないと考えております。

西村(智)委員 非常に残念な答弁ですね。

 我々は、性自認という文言を用い、また差別は許されないという文言を用い、つまり、広島サミットで合意された精神に基づく対案を提出いたしております。

 是非こちらを成立させるべきだと考えるんですけれども、コミュニケをまとめられた議長として、自民党総裁として、総理のお考えはいかがですか。

岸田内閣総理大臣 御党が議員立法として提出された法案について何かコメントする、それは、先ほど申し上げた、与党案に対して私がコメントを控えなければならない、同じ理由でコメントは控えさせていただきます。

西村(智)委員 G7の議長国、議長は総理でいらっしゃったわけです。総理がまとめられたそのコミュニケの文言から見ても、置き換わっていたり後退していたりするという案が、今まさに自民党案として国会に提出されている、これは他国にどういうふうに説明されるのか、大変疑問なんですね。

 もう一つ、私、ちょっと懸念がございます。

 我々は、我々が提出している法案を通したいというふうに思っておりますけれども、後退した自民党案でさえ、自民党の中では、六月二十一日の会期までの時間を稼いで廃案にしたらいいんじゃないか、そういう動きがあるというふうに報じられております。

 サミットの前にほかの国の目だけを気にして法案を形だけ提出して、そしてこの国会で成立をさせないというようなことになれば、非常にこれはこそくなことだと思いますし、議長国として大変問題だと思うんですけれども、総理、この国会の中で法案は成立をさせる、その決意をお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 議員立法の取扱いについて私の立場で何か申し上げることは控えますが、自民党としても、与党としても、手続を踏み提出した法案については、国会において審議が、議論が進むことを期待する、これは当然のことだと思っております。

西村(智)委員 やはり形だけだったのかなと、大変大きな失望を今いたしております。

 この法案が提出されるときは、総理の指示があって、自民党の中で法案が提出されることになったというふうにも報道されています。ですから、議長としてやはり、形だけに終わらせないというために、成立についても党内に指示を出していただきたい、このことは強く申し上げておきたいと思います。

 次に、同じくG7のコミュニケに関連して、拉致問題について伺いたいと思います。

 コミュニケの中にも、北朝鮮に対し、途中略しますが、拉致問題を即時に解決するよう求めるという文言が含まれました。

 我々は、横田めぐみさんなどを始めとして、全ての拉致被害者の帰国を求めております。その中で、今日は、私は、田中実さん、そして金田龍光さん、このお二人の問題について伺いたいと思います。

 二〇一八年、今から五年前ですね、共同通信が報道いたしました。内容は、日本政府が拉致被害者に認定している元ラーメン店員の田中実さんについて、そしてさらに、政府が拉致の可能性を排除できないとしている、田中さんと同じラーメン店の店員だった金田龍光さんについて、北朝鮮の方から、二〇一四年に、日本側との接触で、入国していたと伝えていたということを日本政府関係者が明らかにした、こういう報道が二〇一八年、今から五年前、共同通信でありました。

 共同通信は、その後、このお二人の生存情報を非公表にすると決めたのは、当時の安倍総理も了承していたというふうに報じています。また、当時の菅官房長官は、今後の対応に支障を来すおそれがあることから具体的内容について答えることは差し控えるとコメントしたというふうにも報じています。

 この件は、国会で実は何度も質問が行われてきました。しかし、その都度、政府は、今後に差し障りがあるというような答弁を十七回も繰り返して、事実関係については何も語ってこなかったんです。

 ところが、当時の拉致担当大臣であった古屋圭司元大臣が二〇二一年の八月、そして斎木元外務事務次官が二〇二二年の九月に、それぞれ朝日新聞のインタビューに答えて、北朝鮮が日本政府に田中さん、金田さんの生存情報を伝えたことを認めています。該当部分を読み上げます。

 斎木さん、北朝鮮からの調査報告の中にそうした情報が入っていたというのはそのとおりです。

 古屋圭司元拉致問題担当大臣、今このお部屋にもいらっしゃると思います。質問はこうでした。「北朝鮮は非公式協議で、行方不明になった神戸市出身の田中実さんと、知人の金田龍光さんの生存を明かしたとされていますが、日本政府は報告を受け取りませんでした。なぜでしょうか。」古屋元大臣の答えはこうです。「過去の教訓から、報告書を受け取れば北朝鮮のペースになるとの懸念がありました。小泉訪朝で五人を帰して幕引きを図ろうとしたからです。今回もこの二人で、となれば、同じことになると考えるのは当然です。分析結果をつぶさに話すことはできませんが、当時、拉致対策室であらゆる手段を通じて情報をとり、客観的に分析しましたから。」ということでありました。

 総理は、この情報が含まれた報告書が、受け取りはしなかったけれども、存在していたということを知っていますか。また、斎木さん、古屋元大臣がインタビューで話している内容は、政府として、事実でしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど委員の方からも紹介がありましたが、政府のスタンスは、こうした指摘に対して発言することは控える、お答えするのは控える、こうしたものでありますが、こうしたスタンス、対応は維持しなければならないと考えております。

 当然のことながら、政府としましては、あらゆるチャンスを物にしなければならない、様々な働きかけを続けております。この働きかけを続ける中にあって、その過程において報じられた様々な報道、あるいは具体的な内容について政府がコメントすること、これは今後の様々な働きかけに影響を及ぼすことは当然考えられます。

 こうした情報が政府から正式に出るということになりますと、今後の働きかけに北朝鮮がちゅうちょするなど様々な影響が生じる、これは当然のことであります。一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現するためにあらゆるチャンスを逃すことなく取り組んでいく、その過程においては、引き続き、政府として具体的な内容や報道の一つ一つについてお答えすることは控えなければならない、この立場は維持すべきものであると考えております。

西村(智)委員 差し控える理由は何ですか。北朝鮮との交渉で悪影響があるからということですか。

 であるとすれば、古屋元大臣や斎木元事務次官の発言というものは、今後の交渉に悪影響を与えるものだったんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 様々な報道、インタビューはあるのだと思いますが、政府として正式に、何か具体的な事実に触れる、お答えする、これは控えなければならない。

 なぜならば、先ほど申し上げました、具体的なやり取り等詳細を明らかにするということになりますと、今後、北朝鮮側が日本側とのやり取りをちゅうちょするなど意図しない影響が出る可能性、これは排除されないと考えております。

西村(智)委員 インタビューに答えているということは、私は、お二人は悪影響がないと思ったから発言をしたんじゃないかというふうに思うんですよ。それを、政府が正式に認めると今後の交渉に差し障りがあるというのは、ちょっと矛盾しているというふうに思うんです。

 受け取りはしなかったけれども、その報告書が存在をしていたということは、総理はお認めになりますか。

岸田内閣総理大臣 責任を持って北朝鮮側と様々な接触を行い、働きかけを行っている、これは政府であります。政府において具体的な内容や報道についてコメントすることは今後の働きかけに影響が出てくる、先ほど申し上げたとおりであります。

 その上で申し上げれば、ストックホルム合意以降、北朝鮮の特別委員会による調査などについて、北朝鮮側から調査結果の通報はなく、報告書も提出されていない、これは事実であります。

西村(智)委員 今後の働きかけに影響があると言われても、このお二人の件については、じゃ、何か働きかけをされたんですか。御本人に、例えば一時帰国の意思があるというふうに伝えられた、そのことについて確認をしようとか、そういったことを日本政府はされたんですか、そのときに。していないから、お二人はこういうふうにインタビューに答え、そして、受け取らないという判断を当時の政府は行った。

 そのときの外務大臣は、岸田総理、あなたです。岸田外務大臣は、当時、この判断に関わっておられたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政府として、国内外において最大限の働きかけ、活動は今後とも続けていきたいと思います。その過程において、具体的な内容や報道について一つ一つ申し上げること、これは控えなければならない、先ほど申し上げたとおりであります。

西村(智)委員 差し控えますばかりで、本当にこれでは話が進みません。もちろん、北朝鮮によるいろいろな陰謀、謀略、あるいはうそをつかれること、こういった可能性はあるというふうに私も思います。とはいえ、この件については、北朝鮮の方から日本政府にそういった話があり、一時帰国の意思があると言われていたにもかかわらず、それを当時の政治判断で一方的に封じたということなんですよ。これが本当に事実だとすれば、余りに冷酷な判断だと言わざるを得ない。人道的にも許されることではないと思います。

 まして、お二人には日本に身寄りがおられない。そのことが判断の背景にあるとすれば、言語道断だと思います。一時帰国がこの拉致問題に、幕引きに手をかすなんということは、私はこれっぽっちも考えたことはありません。

 横田めぐみさんを含む全ての拉致被害者を帰国させる、それは国民の思いです。この一時帰国で幕引きを許すなんて、国民がするわけはありません。

 私は、田中実さん、金田龍光さんを見捨てたという判断が正しいのであれば、総理、堂々とそう言うべきじゃないですか。そうでないというのであれば、やるべきことは決まっていますよね。どうですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の田中さんや金田さんを始め、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保、即時帰国、真相究明を目指す、これが政府の考え方です。田中さんや金田さんを見捨てるとか、その対応が冷たいとか、こういった指摘は当たりません。全ての皆さん、田中さん、金田さんを含めて、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、政府として、安全確保、即時帰国、真相究明を目指してまいります。

 そして、先ほど来申し上げているように、政府として、全ての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現するべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で果断に取り組んでいます。その取組において、悪影響が出ないような配慮、これは政府として当然やるべき配慮であると考えています。

西村(智)委員 お二人の人権問題であることは当然なんですけれども、拉致問題全体、ここまで膠着している以上、どんな糸口でも見つけて交渉のきっかけにする、当然のことですよね。それを、ここまで、元拉致担当大臣とそして元事務次官、このお二人がインタビューで認めている。共同通信の報道がある時点では、私も、正直言うと、一〇〇%のものだというふうには思っていなかったかもしれません。だけれども、お二人のインタビューが出てきて、そして、交渉への影響を言い訳にしてこの二人を見捨てた判断、これを、批判されていることを恐れているだけというふうにしか私には見えません。

 是非、このお二人の意思確認、生存確認、これに向けて早急に交渉すべきだというふうに思いますけれども、この点については、総理、答えてください。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げたように、政府として、全ての拉致被害者の一日も早い帰国、これを実現するべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で果断に取り組んでまいります。

 今現在も、様々な働きかけを続けています。是非、一日も早い帰国に結びつけられるように、政府として全力で取り組んでまいります。

西村(智)委員 非常に残念です。私は、この日をきっかけに、政府からお二人に関する生存情報の確認と意思確認を是非やっていただきたい、そのことを強く訴えます。

 次に、子供、子育てに関連して伺いたいと思います。

 静岡県の裾野市の保育所で起きた暴行事件をきっかけとして、保育所等における不適切保育に関する実態調査というのが行われて、今月十二日に結果が公表されました。昨年の四月から十二月を対象に行われた調査によりますと、市町村が確認した不適切な保育は認可保育所で九百十四件、うち虐待は九十件というふうに確認をされております。

 総理、子供の保育施設でこれだけのことが起こっているということ、総理はどういうふうに受け止めていますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、昨年末の静岡県裾野市の保育所での事案など不適切事案が相次いだことを受けて、先日、こども家庭庁、文部科学省において、保育所等における不適切事案について、昨年十二月から二月にかけて実施した実態調査結果が公表されました。そして、内容として、御指摘のように、不適切な保育の事実を確認したのが九百十四件、市町村が虐待と確認したのが九十件でありました。

 これは、全体を考えた場合、大半の保育所においては、保育士の方々が子供の日々の成長に真摯に寄り添い、適切に保育を担っていただいていると承知しておりますが、子供の安全、安心が最も配慮されるべき保育所において、御指摘のような虐待等があったということ、これはあってはならないことであると受け止めております。

 調査を踏まえて、ガイドラインの策定、あるいは児童福祉法の改正による制度的対応の検討ですとか、それから保育現場の負担軽減と巡回支援の強化、こうした三点の施策をまとめているところであります。

西村(智)委員 保育の量と質の拡充というのは非常に重要だということだと私は思います。

 二〇一二年の三党合意で、三千億円の追加財源によって、主には職員の処遇改善、それから保育士の配置基準の見直し、これを行うとされたんですけれども、今年度の予算では、配置基準の見直しの予算措置がされていないんです。私たち、この予算委員会で何度もやってくれと質問をしました。だけれども、今年の予算では措置されていません。

 十年前の約束ですけれども、やはりこれは子供の命や健康に直結する問題だというふうに思うんです。総理にはそういう意識はおありですか。また、十年間この問題をほったらかしにしてきた、たなざらしにしてきた、この責任を総理はどういうふうに受け止めているんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 保育士の配置基準の改善については、これまで様々な議論が行われてきましたが、今般取りまとめたたたき台においては、長年の課題を解決する施策として、公的価格の改善について見える化を図るとともに、社会保障と税の一体改革の際、積み残された一歳児及び四歳児の職員配置基準について、一歳児は六対一から五対一へ、四歳児、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善する、このようにたたき台の中に明記したところであります。

 今後、こども未来戦略会議の議論を経て、御指摘の配置基準の改善を実現してまいりたいと考えます。

西村(智)委員 十年待たされていますから一日も早く実行してほしいんですけれども、問題は恐らく財源なんでしょう。

 二〇一二年当時、一歳児の配置基準の見直しで六百七十億、四、五歳児の配置基準の見直しで五百九十一億というふうに当時は予算が見込まれていました。来年の四月から確実に予算措置されますよね。総理、確認をしたいんです。

岸田内閣総理大臣 先ほども答弁の中で申し上げましたが、今、こども未来戦略会議の中で、必要な政策の強化の内容、予算、財源について議論を深めているところです。六月の骨太方針までに結論を出すわけでありますが、今の段階で議長である私が結論を申し上げることは控えなければなりません。

 しかし、いずれにせよ、先ほど申し上げたように、御指摘の配置基準、結果を出す、実現する、そうした方向で議論を進めていきたいと考えております。

西村(智)委員 議長を務めておられるのであれば、ここで、昨年度の予算委員会からずっと、もっと言えば十年前から問題になっていることですから、なぜ今言えないのか。このうやむや答弁、大変な課題を先送りしてきているということについては、私は本当に問題だというふうに思います。

 最後に一つ、旧統一教会の解散命令請求について伺います。

 昨年の十月五日に、私は総理に対して、旧統一教会に対して解散命令請求を行うべきだと本会議で質問しました。

 解散命令といいましても、宗教団体として解散をさせるのではなくて、あくまでも税制優遇などを受けられる法律上の宗教法人格を剥奪するものであって、団体そのものの解体ではありません。ですから、信教の自由を阻害するものではありません。

 十月十七日に、総理は、文科大臣に対して質問権の行使をするようにと指示をしました。十一月二十二日に第一回目の質問権が行使をされていて、十二月の本会議では、今後もスピード感を持って適切に対応すると答弁をしています。

 でも、半年たちました。解散命令請求は出されていません。統一自治体選挙が終わって、もういいんじゃないかとか、あるいは、やめちゃったんじゃないかとか、ポーズで終わるんじゃないかとか、与党関係者の中から、このまま終わらせた方がいいとか、そういう声が報道で五月に入ってどんどん聞こえてくるんです。

 これだけの被害実態が明らかになっている旧統一教会です。総理指示で質問権も行使されています。このまま終わるということは、総理、ありませんよね。確実に質問権を行使し、そして解散命令請求につながるというふうに、確認をさせていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まさに本日、宗教法人審議会を開催をし、六回目の報告徴収、質問権を行使するところであると承知をしております。

 解散命令請求の適否を判断するためにも、報告徴収、質問権を効果的に行使するとともに、弁護士の団体や被害者の方々などから丁寧に情報収集すること等を通じて、具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにし、そして報告にのっとり、必要な対応を行ってまいります。

 時間がかかるのではないかというふうにおっしゃいますが、全国に多数おられる被害者については、長期間被害を受けられている場合、また御自身の気持ちの整理に丁寧に向き合う必要がある場合など様々な事情があることから、その心情も配慮しながら丁寧に情報をお伺いしている、こうした作業も並行して行っているところです。

 是非、こうした作業、丁寧ながらもスピード感はしっかり持ちながら、取組を進めていきたいと思います。必要な対応を行ってまいります。

西村(智)委員 このまま大事な課題についてうやむやに終わらせるのかどうかということについて、私たちは、これからもきちんと、行政監視、やらせていただきたいと思います。

 終わります。

根本委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 通告と少し順番を変えまして、マイナンバーカードをめぐる、マイナンバーをめぐるトラブルについて質問をしたいというふうに思います。

 マイナンバーカードについては、コンビニで住民票や戸籍に関する証明書を受け取るサービスで誤った交付が相次いだり、マイナ保険証に他人の情報がひもづけされていて赤の他人が情報を閲覧できるような、そういうことが生じています。また、昨日は、公金受取口座について他人の口座を過って登録した事例が報告をされています。一時的に人の口座が見れるようになっていた。デジタル社会のインフラになるべきマイナンバー制度の信頼を揺るがすゆゆしき事態が起きているということであります。

 ところが、松本大臣であったりあるいは加藤大臣は、健保組合やシステム会社に責任を押しつけるかのような無責任な発言を繰り返しています。

 そもそも当初から国民の間には、個人情報が流出するんじゃないかということを懸念する声が強くありました。それを、大丈夫だと言ってきたのは政府なんです。

 これを見ていただきたいんですけれども、これは熊本市の二〇二二年の十二月号の「市政だより」でありますけれども、大西市長が河野デジタル大臣に聞く、「マイナンバーカードのセキュリティって大丈夫なの?」、こういう記事が載っています。

 一番下の質問を見ていただきたいんですけれども、マイナンバーカードから、マイナンバーにひもづけされた自分の個人情報が流出するおそれはないですか、こういう質問に対して、河野大臣は、ありませんと断言しているんですね。

 しかし、現実にそれが起きちゃっているんですよ。また熊本市では、三件の印鑑登録証明書の誤交付というのも起きています。

 ポイント付与のあめと、それから紙の保険証を廃止するぞというむちで、まさにこのマイナンバーカードの取得を急がせてきたのは政府自身じゃないですか。それを他人に責任を転嫁するような発言を繰り返している。私は、もっと責任を重く受け止めて、そして強い危機感を持つべきだと思います。

 一旦立ち止まってこの進め方を見直すことが必要じゃないかというふうに思いますけれども、総理の考えをお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、マイナンバーについては、我が国がデジタル社会を進める上において基盤となる重要なインフラであると認識をしております。だからこそ、こうしたスピード感を持ってデジタル社会に対応するべく、こうしたマイナンバーカードの普及をお願いしているところでありますが、委員御指摘のように、これは信頼というものがあってこそのマイナンバーカードであると思います。国民がこの信頼に対して不安を感じるような案件が指摘をされている、これはおっしゃるように重く受け止めなければなりません。

 是非、再発防止を始め、信頼回復に向けて政府一丸となって対応すべき課題であると認識をいたします。

大西(健)委員 私が総理に聞いたのは、まさに、デジタル庁の相談ダイヤルにかけてもたらい回しにされる、あるいは、河野大臣だって、それは厚労省に聞いてくださいとか、あるいは、健保組合が入力ミスをしたんだとか、システム会社が悪いんだと、みんな責任転嫁しているんですよ。ですから、それは、さっきから言っているように、こんなことは起こらないんだと言ってきたのが起きちゃっているんですから。

 今、この国会に法律も出ていますけれども、これはやはり一回立ち止まった方がいいんじゃないですか。このまま進めていくんですか、本当に。やはり、非常に国民の皆さん、不安を覚えていますよ。

 それが何で起きているか。いろいろな問題があると思うけれども、さっき言ったように、あめとむちで、たくさんの予算を使ってポイントをつけたり、あるいは、紙の保険証はもうなくなるんだといって脅して、どんどんどんどん急がせてこういう結果になっちゃっているわけですから。これはやり方を見直すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、芸能事務所の創業者による児童への性加害が告発をされて大きな問題になっています。経済的、社会的に強い立場にある大人から、弱い立場にある児童に対して性被害が行われた場合、たとえ刑法や児童福祉法の処罰の対象であるとしても、児童が自分だけの力で助けを求めることは難しく、被害が発見されづらい傾向があります。

 そこで、虐待の未然防止、早期発見につなげるために、虐待の主体を保護者に限定をしている児童虐待防止法、これを改正して、第三者による性暴力やわいせつ行為を通告義務の対象とする議員立法を私ども立憲民主党から提案をさせていただいておりますけれども、今、実務者協議を呼びかけていますが、まだ与党からお返事をいただいておりません。

 立憲民主党のヒアリングに出席した元ジャニーズジュニアの二人からも、被害者が今後生まれないための法整備を強く願う、当事者の方がこう言っているんです。

 何としても今国会中に法案を成立させるために、自民党総裁でもある総理にも御協力をお願いしたいというふうに思いますけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、性犯罪、性暴力は、子供の心身に有害な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではない、このように認識をいたします。

 そこで、政府としては、性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針や子供の性被害防止プラン二〇二二に基づいて、子供やその保護者を含め、被害申告や相談しやすい環境の整備、同意のない性的な行為は性暴力、被害者は悪くないという社会全体への啓発により、被害者が声を上げやすくする施策の推進などを進めているところでありますが、被害に遭っても声を上げにくい当事者の心情にいかに寄り添うかといった課題も指摘されており、小倉大臣を中心に、関係府省が連携して必要な対応を今講じてまいるところであります。

 そして、御質問の、法改正によって通報義務を課すなど、この御党の考えについては、今後、政党間で議論がなされるものと認識をしており、今の段階で政府から具体的に申し上げることは控えますが、政府においては、今申し上げた施策を始め、子供に対する性被害防止に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。その上で、是非、こうした議員立法等につきましても政党間での議論を深めていただければと考えております。

大西(健)委員 今、総理の答弁の中でも、声を上げにくいのを上げられるような環境、あるいは発見されるようなという話がありましたけれども、もしそういう通告義務があれば、例えば事務所関係者とかが言っていたかもしれないですよね。

 ですから、私は、これは、もちろん通告義務に罰則は正直ありません。ありませんけれども、例えば、普通の虐待も、かつてはやはりなかなか発見されなかったんです。例えば隣の家で夜中にぎゃあと泣き声が聞こえるけれども、黙っていたんですよ。でも、通告義務が課せられて、やはり言わなきゃいけないということで認知件数は増えているんです。ですから、これは発見しやすくなりますから、是非協力をしていただきたいというふうに思います。

 次に、かつての民主党政権は、税金を食い散らすシロアリを退治して、天下りを根絶するということを掲げていましたけれども、これは道半ばで終わりました。ところが、今、自民党政権に戻って、実は天下り天国が復活しています。物価高、電気料金の値上げで年金生活者は厳しい生活を強いられているけれども、上級国民の高級官僚たちは天下りライフを満喫しています。今、先ほど来お話があった防衛増税とか社会保険料の上乗せとか、国民の負担を増やす議論が進んでいる中で、私たちはいま一度、このシロアリ退治、天下り根絶に取り組まなきゃいけないというふうに思っています。

 その天下り天国復活の象徴が、空港施設株式会社に対する国交省OBによる人事介入です。

 こちらにパネルを用意しましたけれども、テレビを御覧の方の中には、どういうことか御存じない方があると思うので、簡単に説明させていただきます。

 まず、この空港施設という会社ですけれども、これは、空港及び周辺のビルの賃貸事業であったりとか、あるいは給排水、それから冷暖房の供給とかを行っている会社です。

 最初に、この会社に、山口さんという元国交省の東京航空局長ですけれども、この人が再就職をしていました。そして、この山口さんが、二〇二一年の五月に、自分を副社長にしろというふうに要求をします。

 これは企業による検証委員会の報告書というのが出ていますけれども、その際、山口氏は、当社は国有地を借りており、国が現物出資しているような関係にある、エアライン二社の羽田の発着枠問題や、空港周辺土地のかさ上げ問題について、航空局との関係が悪化するおそれがある、自分が代表取締役副社長に就くことが航空局から見れば協力のあかしになると、他の取締役を威圧するような発言を行ったというふうに報告書に書かれています。

 さらに、今度は、二〇二二年の十二月、こちらの方ですけれども、国土交通省の元事務次官で東京メトロの会長を務めている本田勝氏が、空港施設の会長、社長と面会をして、山口を六月に社長に昇進させろ、そして、この会社は元々国交省が社長をずっと務めていたんですけれども、そういう国交省出身者が社長をする体制に戻せ、こういうふうに要求をしました。その際、小幡政人事務次官の名前も出しながら、自分は有力なOBの名代、国交省としてあらゆる形でサポートすると述べたそうです。ちなみに、山口氏は十一月に本田氏との面談のために東京メトロを訪れているということも分かっています。

 まず、端的に総理に伺いたいと思います。

 官僚OBが民間企業に対して自分のバックをちらつかせながらポストを要求するという、まさにやくざ顔負けのこの行状を、総理、御覧になって、問題ないというふうに思われますか。どう思われますか。

岸田内閣総理大臣 本件については、国土交通省において、斉藤大臣の主導の下、対応が行われています。

 そして、私の方への報告としては、現状において、再就職等規制違反の行為が行われた疑いがあると思料すべき事実、これは確認されていない、このように聞いているところであります。

 それ以上の詳細につきましては、斉藤大臣から答弁をさせたいと思います。

大西(健)委員 これは国土交通委員会で我が党の城井崇議員がずっと質問していますけれども、まさにその大臣の答弁じゃ駄目だから今日ここで取り上げさせていただいているんです。それこそこれは昭和そのものじゃないですか。時代錯誤ですよ。いまだこんなことが行われていたのかと私も驚きました。

 我が党は、先ほど言ったように、これが発覚して以来、城井議員が何度も取り上げてきました。そして、城井議員は最初の段階から客観的な全省庁調査をやるべきだということを何度も斉藤大臣に言ってきたんですけれども、斉藤大臣は何と答弁してきたか。現役職員が関与しているという疑いは全くございませんと言って、一か月以上にわたって何度も何度も国土交通委員会でやっているんですけれども、その調査を拒否して、この上級国民の官僚OBをかばい続けてきたんですよ。今日も私、参考人出席を要求しましたけれども、自民党が拒否をして、東京メトロの本田会長に来ていただけないんですよ。

 しかし、先ほども言いましたけれども、企業の方が、独立検証委員会、まさに第三者委員会をつくって、デジタルフォレンジックという、メールとかを復元して調べた結果、山口氏と本田氏及び小幡氏との関わりを示すメールであったりとか、また、現役国交省職員とのやり取り、さらには発表前や未公表の人事情報まで受け取っていたことが明らかになっています。挙げ句の果てには、この人事介入を行った元次官の本田氏と現職の航空局長、後ほど聞きますけれども、航空局長が、この報道が最初に出た直前に会食をしていたということまで明らかになっているんです。

 人のよい斉藤大臣は、聞き取り調査に対する彼らのうそを信じてしまったのかもしれませんけれども、結果として、城井議員に対して虚偽答弁を行って、この一か月間、委員会の貴重な審議時間が無駄になったんですよ。上級国民の官僚側に立ち、彼らをかばい続けた、私は、斉藤大臣の責任は極めて重いと思いますけれども、総理、どう思われますか。

斉藤(鉄)国務大臣 委員長の御指名ですので、私の方から答弁をさせていただきます。

 まず、先ほど御指摘のあったOBのそのような発言、行動につきましては、あたかも自分が今も国土交通省の権限を持っているかのように、また、国土交通省が関与しているかのごとき誤解を与えかねない発言であり甚だ遺憾であると、私の方から、猛省を、そして自覚していただきたいということを申し上げたところでございます。

 そして、その報道があった段階、また先ほどの報告書が出た段階で、私は私の主導で調査をいたしました。その結果、現在の法律におきまして、現役が関与していたということについて、これを疑うものは出てこなかったということで、そのような答弁をしてきたところでございます。

 しかしながら、今回、現役の航空局長が報道の前に元次官と会ったという事実、これは私が調査した中では出てこなかった事実でございます。

 このように、この面会について私に報告がなかったことから、これまで自分の命じた調査の信頼性に関わることを重く受け止め、事実関係の再確認を行う必要があると考えております。

 その再確認に当たっては、第三者性や厳格性を確保すべきと判断し、念のため、極めて異例のことではありますが、再就職等監視委員会事務局に対しても情報提供し、適切に対応いただくことをお願いしたものでございます。

 さらに、国土交通省においても、これまでの事実関係の調査等の再点検を行うこととしております。

大西(健)委員 今言ったように、最初から、じゃ、そうやってくださいよ。この一か月間、城井さんは何回質問したんですか。質問時間を返してくださいよ。

 斉藤大臣は、今言ったように、私が主導して聞き取り調査を行っており、客観的な全省庁調査を行う必要はない、こう大見えを切っていました。しかし、その聞き取りに対して、久保田航空局長も本田元次官もうそをついていたんです。

 本日、元次官の本田東京メトロ会長の参考人出席を求めましたけれども、自民党が拒否しましたので、そこで久保田航空局長に確認したいと思います。

 久保田航空局長、三月二十八日、本田元次官と会食をして何を話したんですか。本田氏は人事介入疑惑について二十日と二十三日に取材を受けているんです。そして、会食が行われたのは二十八日、報道が出たのは三十日です。空港施設の社長人事も当然話題になったと思いますけれども、いかがですか。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 三月二十八日の会合につきましては、本田氏の友人でセメント等の建設資材の販売などを営む会社の経営者の方が、地域の経済事情でありますとか地域の航空事情について意見交換を行いたい、そういった目的でもって本田氏が私に連絡をしてこられ、本年一月にその会合はセットされたものでございます。

 当日の会合におきましては、今申し上げました地域の経済事情、それから地域の観光事情、そして地域の航空事情などにつきまして、加えて、その方々の大学時代の話でありますとか就職の話でありますとか、会社を上げた、そういう話がございました。

 人事の話、空港施設の話、そして、こういった一連の取材等々の話については、話は出なかったと記憶をしておるところでございます。

大西(健)委員 セメント会社の社長とは一次会に行っているんですけれども、二次会に行っているんですよ、二次会に。そして、二次会は、本田さんと航空ネットワーク部長と久保田局長、この三人で行っているんですね。

 しかも、実際、国家公務員倫理規程では、利害関係者との会食には届出が必要ですけれども、届出していないですよね。これは、何かやましいことがあったから隠していたんじゃないですか。むしろ、三人で行った二次会で、あっせんの証拠隠滅や口裏合わせを行った疑いがあるというふうに思いますけれども、いかがですか。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 三月二十八日、一連の会合の関係につきまして、私と本田氏、そして会社経営者、その時点におきましては利害関係ではないと考えておったところでございます。したがいまして、事前の手続については取っていなかったというものでございます。

 それから、二次会におきましてどんな話があったのかということにつきましては、ちょうど、二〇〇二年、国が観光立国というのに取り組んだとき同じ仕事をしていたところであります。そういった話を含めたもの、当時の、現職のときの話、そういったものが大半でございました。

 この空港施設、そして働きかけ、それから記事の取材、そういった話については出なかったというふうに記憶してございます。

大西(健)委員 久保田局長、あなたは、斉藤大臣にうその報告をしていましたよね。残念ながら、そのあなたの言うことを私は信じることはできません。

 国交省の権限をちらつかせポストを要求した山口元東京航空局長、山口氏を社長にするように空港施設に働きかけた本田東京メトロ会長、本田氏が有力なOBとして名前を挙げた二名の元事務次官、小幡政人氏と安富正文氏の参考人招致を求めたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

大西(健)委員 本件は氷山の一角にすぎず、特に、現行の国家公務員の再就職規制では、離職から二年を経過した後は再就職の届出に関する規制がないために、実態が明らかになっていません。

 そこで、立憲民主党は、国会に予備的調査の要請を行い、各省庁に対して次官級以上の経験者を対象に、再就職の状況を国会に報告するように求めています。

 この国会の会期末は六月二十一日ですけれども、会期中のできるだけ早い時期に調査結果を取りまとめ、報告ができるよう、各省に対して岸田総理から協力を指示していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 政府としては、職員OBの、既に公務を離れた、予算や権限を有していない民間としての活動に関して調査を実施することは極めて慎重であるべきだと考えますが、他方で、今般の国土交通省の事案を受けて、再就職等規制の遵守徹底を図る観点から、河野大臣が内閣人事局に対して、各府省幹部による再就職のあっせんがなかったかどうか、及び報道発表前の人事情報を政府外に提供していないかについて、各府省に確認させるよう指示をしたと承知をしております。

 こうした取組を通じて、公務の公正性また国民の信頼、これを確保してまいりたいと考えます。

大西(健)委員 予備的調査は必ず国会が閉じる前に出していただいて、出てきたら是非予算委員会で集中審議をお願いしたいと思いますけれども、委員長、お取り計らいをお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

大西(健)委員 今、総理の答弁にもありましたけれども、まさにOBが規制の対象になっていないということは後ほどやりますけれども、今回、もう一つ問題だったのは、この未公表の人事情報、線引きと呼ばれる部内情報がOBに渡されていたんです。

 ちょっとこれを見ていただきたいんですけれども、これは国交省から出てきた線引きのイメージです。氏名、入省年次、現職及び異動先の記載、そして前任と後任を線でつないで、異動全体の流れが分かるようにした部内資料で、退職予定者も含まれています。これが少なくとも二十五名のOBを含む外部の者にメールで送られていました。

 そして、信じ難いことに、メールの送付先には、今朝の午前中の国交委員会で答弁していましたけれども、誰か送付先が分からない人が三件もまだ含まれていると。誰に送っているか分からないんですよ、すごいことですよね。

 斉藤大臣に聞きますけれども、私がこの線引きを下さいと言ったら、もらえますか。イエスかノーかで答えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 この線引きは、省内の若手有志が異動を円滑に進めるために作っている私的なものでございます。したがいまして、お示しすることは困難かと思います。

大西(健)委員 組織として使っているものですから、これは行政文書だと思いますし、私たちがもらえないのに、ではなぜ上級国民の官僚OBだけが、この国民の知らない情報を手に入れることができるんですか。

 前任、後任、いつ退職するか、職員の職歴を追えるこの資料は、まさに天下りあっせん支援資料と言っても過言ではないというふうに思います。

 線引き以外にも、棒引きとか、トロッコとか、いろんな呼び方を省庁によってはされているらしいんですけれども、同様の資料は他の省庁でも作成されていると聞いています。

 元次官は、取材に対して、昔は現役が全部やっていたが、法律上できなくなり、OBがやらざるを得ないと話しています。

 退職するときに人事課から、いろいろアイデアを出してくれると思うので、OBの○○さんのところに必ず挨拶に行きなさいと言われるんですね。そして、そのOBを訪ねると、実はこんな話があるんだよと、任期が切れるポストの後釜にどうかという天下り先を紹介してもらえる。こういうことが今行われているんですよ。

 ですから、先ほど総理、答弁していただきましたけれども、是非、河野大臣からは指示をしているということですけれども、国交省だけじゃなくて全ての省庁について、こういう棒引き、線引きみたいな資料が外部のOBに渡されていないか、また、それを使って、まあ、使ってかどうか分かりませんけれども、OBを介した再就職あっせんというのが、私は、広く行われている疑いがある、だからそれをしっかり調査をしていただきたいということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 そして、まさに先ほど答弁にもありましたけれども、OBが再就職あっせん規制の対象になっていないのが問題なんですよ。

 斉藤大臣は、そういう答弁を繰り返しています。OBは再就職のあっせん規制の対象外であり、OBが行う知人への仕事の紹介などは、既に公務を離れた、予算や権限を有していない民間人としての活動であり、政府として調査する立場になく、また権限も有していないと。再三にわたり、こういう答弁を言っています。

 しかし、本件を見れば、有力OBは単なる民間人なんかではありませんよ。現職に対して強い影響力を有していることは明らかですよ。

 だから、OBによる再就職のあっせんをちゃんと禁止しないとこれは抜け道になるよというのは、実は二〇〇七年の現行規制の立法当時から、例えば当時の民主党の小川敏夫参議院議員なんかも何度も質問しているんです。

 そして、そうした意見は、我々野党だけじゃなくて、与党側からもそういう意見は出ています。

 これを御覧いただきたいんですけれども、これは河野大臣が、二〇一七年の一月、この予算委員会です、この予算委員会で二〇一七年の一月にこういう質問をしています。役人OBのあっせんは禁止されていない、脱法行為の抜け道になっているという批判もございます、この際、役人OBのあっせんを禁止する、そういった措置を取る必要があるのではないかと言っているんですよ。

 当時の大臣が何と言っているか。必要なことは何でもやるとの考えで国民の信頼を取り戻していきたいと答弁していますよ。

 河野大臣、所管外じゃなくて、あなたが今決断すればできるんです。これは一緒にやりましょうよ。我々、今、OBの再就職あっせんを禁止する議員立法を用意しておりますので、一緒にやりませんか。いかがですか。

河野国務大臣 内閣人事局に対して、各府省で現在の再就職に関するルールを逸脱している例がないかどうか、あるいは人事情報が事前に外へ漏らされていることがないか、まず調査を命じているところでございます。その結果を見ながら判断をしてまいりたいというふうに思っております。

 他方、OBが、予算や権限を背景とせずに、その人の能力、見識を買われて民間企業で仕事をする、これは当然のことだと思いますので、そこの境目というのは慎重に見極める必要があるというのは、そのとおりだろうと思います。

大西(健)委員 さっき私がこの空港施設で出したように、まさに言っているじゃないですか、これが本省の意向だとか、バックに、元有力なOBの自分は名代に来ているとか、あるいは羽田の発着枠の話を持ち出したりとか、そういうことをやっているじゃないですか。

 だから、こういうことがやられるから、OBによるあっせんが抜け道になるから、それは塞がなきゃいけないとあなたが言っていたんですよ。今あなたはその権限を持っているんですから、やればいいじゃないですか。何で上級国民の官僚をかばうんですか。

 河野大臣がやらないんだったら、総理、指示でやらせてくださいよ、OBを介したあっせんを禁止する。防衛増税の前にやることがあるでしょう。是非やってください。

岸田内閣総理大臣 先ほど河野大臣自身答弁していたように、今、内閣人事局に対して、各府省幹部による再就職のあっせんがなかったか、報道前の人事情報を政府外に提供していなかったか、各府省に確認させるよう指示を出したところであります。そして、それを踏まえて対応を考えるという答弁がさっきあったと思います。

 河野大臣に、こうした調査、確認をした上での対応を検討してもらいたいと思います。

大西(健)委員 他省庁でも私は行われている可能性が高いと思いますが、少なくともこの空港施設の例を見れば、OBを介したあっせん行為が行われていた疑いが強まっているというふうに思いますので、さっきも言いましたけれども、私たちは今議員立法を用意しようとしています、OBを介したあっせんも禁止する。さっきも言いましたけれども、防衛増税だとか社会保険料の上乗せとかやる前に、ちゃんとこういうことをやめさせないと、国民の理解なんか得られないですよ。是非やりましょう。

 それから、本件で、昨日ですか、政府は、今日さっきから私が参考人に呼んだ本田氏が東京メトロの会長を退任する人事を閣議了解しました。

 この東京メトロというのは、株式を国と東京都で半分ずつ持っている会社なんですね。

 本田氏から六月の任期満了をもって退任したいとの申出があったということですけれども、任期満了の退任で責任を取ったことになるんですか。総理、そう思われますか。

 また、後任に今度就く川澄副会長というのは、都庁OBの天下りなんです。会長の年収は約二千万円に近いというふうに思いますけれども、国民の目からどう映ると総理は思われますか。

斉藤(鉄)国務大臣 東京メトロの代表取締役会長の本田勝氏が本年六月二十七日の任期満了をもって退任し、現在代表取締役副会長の川澄俊文氏が代表取締役会長に就任することにつきまして、閣議において了解されたところでございます。

 本田勝氏につきましては、まさに先ほど委員からお話がございましたように、本人からの申出でございます。

 また、川澄氏は、これまでの実績と経験、手腕が評価され、代表取締役会長として適任であると判断されたものと承知しております。

大西(健)委員 まさに、このまま任期満了をもって辞めさせる、そしてそれを了解する、そして今日は参考人も拒否する。隠しているじゃないですか。そういうことをしていちゃ駄目なんです。

 立憲民主党は、真面目に働く国民の納めた税金をシロアリ官僚にちゅうちゅうさせることは許さない、増税よりも天下り根絶、これをしっかりやっていくということを訴えて、私の質問を終わります。

根本委員長 これにて泉君、西村君、大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬場伸幸君。

馬場(伸)委員 お疲れさまです。日本維新の会の馬場伸幸でございます。

 岸田総理、ゴールデンウィーク前からいろいろなところに外遊に、お出かけになられ、そしてまた先週はG7サミットということで、大変にお疲れさまでございます。もう東奔西走の日々を送っておられて、今日もかなり何かお疲れの様子でございますが、いましばらく頑張っていただきたいというふうに思います。

 まず、G7サミットでございますが、余り今日は細かいことをいろいろ申し上げませんが、総合的に言って、私はよかったんじゃないかなというふうに思います。

 特に、これまで、サミット並びに国際会議というものは、やはり、官僚の皆さん方が事前にいろいろな調整をして、予定調和の中で物事が進んでいくということが多々見受けられてきたと思います。今回も、もちろん、官僚の皆さん方がいろいろな調整をしていただいて、土俵をつくった上で当日をお迎えになられたわけですけれども、私は、岸田総理が、こういった予定調和路線じゃなしに政治家として政治判断をする、また、覚悟を持ってきちっと自分の考えていることを打ち出す、こういうことが画面を通しても全世界に伝わったのではないかというふうに思っておりまして、やはり、政治や政治家についてはそういう部分が一番大事ではないかなというふうに感じたところでございます。

 そういった意味で、覚悟を持って決断をされてこられた岸田総理、今日のこの予算委員会の質問も、是非、政治家としての御答弁、すなわち、よくお答えになられます、国会の話をすれば、国会でそれは議論してくださいとか国会で決めてくださいとか、そういうことではなしに、岸田総理もこの立法府の一員でもあるわけであります。衆議院議員として、また自民党総裁として、御自身のお言葉で御自身のお考えをお答えをいただきますように、まずお約束をしていただきたいんですが、よろしいですか。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 政治家として責任を持って答弁をしろということであります。

 ただ、国会の議論というのは、秩序とルールに基づいて行われるべきものであります。内閣総理大臣としてここに立っている以上、その立場において適切な答弁をしなければならない、このように感じております。

馬場(伸)委員 そうお答えになられると思っていましたが、できるだけそういう国会の皆さん方に委ねるというような御答弁は、国民が聞いていても何か摩訶不思議だなというふうに思われると思いますので、是非、今日は真剣勝負でお願いを申し上げたいと思います。

 G7については、二点御質問させていただきたいと思います。

 やはり、広島出身の岸田総理、核なき世界というものを以前から標榜をされておられます。以前、去年だったと思いますが、テレビの討論番組で岸田総理と御一緒をさせていただいた際に、この日本という国が現実的には核の傘で守られている、これは現状、どうしても受け入れざるを得ないということをおっしゃいました。そして、御自身は、いつになるかは分からないけれども、核なき世界というものを必ず実現していきたいと。そして、この相矛盾するような二つのポイントをつなぐロードマップを私は描いていくというお話をされておられました。

 それが今回のこのヒロシマ・アクション・プランということで、総理のお考えが前面に出た、そういうアクションプランだというふうに思いますが、総理の考えが全世界に広がって、各国のトップリーダーたちも、改めて、核というものの恐ろしさ、そして、やはり核がない方がいいに決まっているという考えに立ち返ったというふうには思うんですけれども、これを提唱された岸田総理からされますと、やはり次の一手ですね、核なき世界のために次はどういうことを、アクションを起こしていくのか。そして、核の傘ということについて、防衛費の増強問題等にもリンクをしてくると思いますが、この核の傘というものに対して、国民に対してこれからどういう理解を深めていくのか。

 今現在、核の傘に守られているといっても、日本国民は、いつどういうふうなことが起これば核が使われるのか、そして自分たちはどういうふうに行動すればいいのか、そういうことは全く知らされていません。恐らく国の方でも、そういうことを想定して、いろいろな国民に対するPR、広報、こういうものがなかなかできない状況ではないかなと思いますが、この核なき世界と核の傘に守られているということを、同時並行、パラレルで処理していくということについて、次の一手を岸田総理のお考えでお答えをいただきたいと思います。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境や、現実に核兵器が存在している、このことを踏まえれば、我が国の現在の安全保障にとって、核抑止力を含む米国の拡大抑止、これは不可欠であると認識をしています。そのために、拡大抑止の信頼性それから強靱性の確保、向上、また、こうしたことのために、日米2プラス2や拡大抑止協議を含めて、日米間の一層の緊密な連携、これを進めていかなければならないと思います。

 そして、委員の御指摘の、この厳しい現実と核兵器のない世界という理想、これをどう結びつけるのか、こういったことでありますが、そのために、私が申し上げているのは、昨年八月に、五年に一度のNPT運用検討会議、日本の総理大臣として初めて出席をし、総会においてスピーチをさせていただきました。その場で公表させていただきましたヒロシマ・アクション・プラン、五項目、これが現実的な取組であるという議論を行い、今回のサミットにおいて、各国からそういった取組について賛同を得たということでありました。

 まずは、今、ロシアによる核の威嚇が懸念される中にあって、核不使用の歴史、これを継続しなければならないということ。

 それから、核兵器の数を減らすということについて、実際これまで、戦後長きにわたって先人たちはいろいろな具体的な努力をしてきました。CTBT、FMCT、こういった具体的な議論が行われていた。昨今はこれはもう忘れ去られたような機運の後退を感じています。これを改めて確認をし、CTBTについても、昨年九月に改めて首脳級のフレンズ会合を行いましたが、今年はFMCT国連決議がなされてから三十年という節目でありますので、これを具体的に議論を進めようではないか、こういったことも申し上げましたし、そして、その基盤となるのが透明性の問題です。米、英、仏、これは自らの透明性をしっかりと明らかにしていく、こういったことで同意をしていますが、これをいかに広げていくのか、こういった取組。

 さらには、今般、被爆の実相に触れてもらいたいということで世界のリーダーたちに働きかけましたが、若い世代にも被爆の実相に触れてもらわなければならない、そういった、被爆地に次の世代の若者たちを呼び入れるための基金を立ち上げる、こうした取組など、具体的な取組をヒロシマ・アクション・プランの中にまとめました。

 今回、G7の多くの国々から賛同を得たこのプランを是非具体化することで、先ほど言いました、現実と理想を結びつけていく、このロードマップを築いていきたいと考えております。

馬場(伸)委員 総理の御答弁の中にもございましたが、やはり、このプランの中に言及しております包括的核実験禁止条約、CTBT、これはアメリカもまだ批准していないんですね。ですから、G7の中で核保有国であるアメリカ、イギリス、フランス、こういったところには、やはり、実際に核を持っておられるわけですから、どんどんどんどんと、いろいろな今おっしゃっていただいたようなツールを使って、核をなくしていく、核を減らしていくということを是非お願いを申し上げたいと思います。

 また、核の傘で守られているということは否めない事実であるということの御答弁もいただきました。

 やはり、先ほど私が申し上げましたように、実際どういうケースになれば核が使われるのか、そして、国民の皆さん方がどう対応すればいいのか、全く分かりません。

 亡くなられた安倍元総理は、そういったことも踏まえながら、核の共有議論をやるべきであるということをおっしゃっておられまして、我々日本維新の会も、そういった包括的な核共有の議論というものもやっていかなければならない時期がやってきているというふうに考えておりますので、引き続き、岸田総理のこのヒロシマ・アクション・プランが現実のものとなるように、是非御努力をお願いを申し上げたいと思います。

 続いて、台湾問題です。

 今回、台湾海峡の平和と安定の重要性という文言が共同声明に入りました。G7各国は、中国の主張する一つの中国という見解を外交上認めています。かつて日中共同宣言の中にも、一つの中国という言葉ではありませんが、そういった意味合いのことが入っています。

 台湾有事は、あるかないかという時代を過ぎて、いつ起こるか起こらないかという状況まで緊張感が高まっていると言われていますが、もし中国が武力による現状の変更ということをアクションを起こした場合、このことについて日本がいろいろな干渉若しくは交渉などをすれば、一つの中国ということになれば内政干渉になると思いますが、それでもやはり、この中国と台湾の武力闘争が起これば、日本が自ら何らかのアクションを起こせるのかどうか、岸田総理の見解をお尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、台湾有事という仮定の質問に具体的にお答えすることは、これは控えなければなりませんが、いずれにせよ、台湾海峡の平和と安定、これは我が国はもとより、国際社会全体の安定にとって重要であると考えます。

 台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待する、これが従来から一貫した我が国の立場ですが、今回のG7サミットにおいても、この点、G7各国との間で再確認をし、そして首脳コミュニケにおいても明示をした、こういったことでありました。

 今後、我が国としても、こうした立場、中国側に首脳レベルを含めしっかり伝えることも大事でありますし、同盟国、同志国、こうしたG7を始めとする関係国とも連携しながら、共通の立場、これを明確に発信していく、こうした努力が重要であり、こういった外交努力が続けられることがまずは重要であると認識をしております。

馬場(伸)委員 そのことは十分分かった上で御質問させていただいています。

 台湾有事は、ウクライナとロシアの戦争とは違って、我が日本の国のお隣の出来事でありますから、余り悠長なことは言っていられないと思いますので、是非、その辺の考え方の整理をしておかないと、これは大変な国際問題に発展する可能性もあります。

 ですから、今日、私がこの台湾問題について申し上げた、一つの中国ということであれば内政干渉になる、しかし、黙って見ているわけにはいかない立場にあるのが我が国日本ということですので、これも相矛盾するような問題を内包していると思いますので、是非、今後もありとあらゆる機会を通じて、各国と協議、対話をお願いを申し上げたいと思います。

 そして、次に参ります。

 G7サミット、私は、この日本が世界の大国と肩を並べて、岸田総理、特にお得意の外交部門で、肩を並べて堂々と議論されたということについては評価をいたしておりますが、やはり中身ですね、内容。

 我々の日本は、さきの大戦で敗戦をいたしました。国連の中ではまだ敵国条項というものがあって、敵国という扱いをされている結果、国連の常任理事国にはなれないという状況が続いています。

 また、国内の中では、先ほど申し上げた核の議論もまだまだタブー視をされて、核共有の議論はまかりならぬというような状態でありますし、自衛隊は軍隊ではないということが通説になっています。

 憲法九条自体も、私も憲法審査会に入っていますけれども、この憲法九条の議論もようやくスタートラインを切ったというところで、なかなか改正の議論も進まない。

 大国が大人とすれば、私が持っている印象は、日本はまだまだ子供の状態ではないか。いろいろな意味でフルスペックで全ての機能を備えている先進国と、日本もその仲間入りをしているわけですが、なかなか中身についてはまだまだ追いついていないのではないかなというふうに感じるところであります。

 このやはり根本的な部分を解決していくためには、憲法改正を行って、今の時代に合う、そして今の世界情勢に合う、そういった憲法を我々の手でもう一度練り上げていく、こういうことが必要だというふうに思います。

 総理も、総裁任期中に、すなわち来年の九月までに憲法改正をやるということを再三再四明言をされておられます。ゴールデンウィーク前にも自民党の憲法改正実現本部に出席をされて、憲法改正に対する意気込みを語られたという報道もございました。

 実務的な話として、来年の九月までに憲法改正の国民投票をやるということになりますと、これは国会発議してから運動期間が六十日から百八十日要ることになります。したがって、九月までに国民投票をやるという逆算をしていけば、遅くとも来年三月から来年の七月までに発議は行わなければ国民投票ができないということになるわけですけれども、このタイムスケジュールで憲法改正議論、進めろという、岸田総理、意気込みはございますか。

岸田内閣総理大臣 まず、私自身、自民党の総裁選挙を通じて、任期中に憲法改正を実現したいということを申し上げてきました。憲法改正は先送りできない課題であり、こうした考え方、これはいささかも変わりはないということは申し上げさせていただきます。

 そして、今、憲法改正については、衆参両院の憲法審査会において議論を深めていただいている、このことは、活発な議論、大いに歓迎したいと思うところです。

 ただ、それ以上、具体的なスケジュール、日程等において内閣総理大臣の立場で申し上げるということは、これは国会の立場、秩序の関係から、控えなければならないものであると考えております。

 最終的には国民の皆さんに御判断される、こうした課題であります。その発議に向けて、与野党の枠を超えて積極的に議論が進む、行動がなされる、こうしたことを心から期待したいと思っています。

馬場(伸)委員 日本国憲法というのは、釈迦に説法ですが、国民主権というものをうたっています。この国民主権をうたっている日本国憲法が一度も国民投票を経ていないということは、私は、何かブラックジョークだというふうに思わざるを得ません。もう長年、自民党が政権政党に復帰をして、そして、長らく憲法発議ができる衆参両院で三分の二以上の改憲派というものを有しているわけですから、もう総理も、はっきりと来年の九月までに憲法改正を成し遂げるとおっしゃっているわけですし、実務的にもタイムスケジュールはこの範囲でしかあり得ませんから、総理として、この場で言っていただかなくても結構ですけれども、自民党の中でやれと言っていただかないと、国民投票を待ち焦がれている国民の皆さん方というのは大勢いらっしゃいますから、自分たちの手で日本国憲法に携わりたい、自分たちの主権の息吹を吹き込みたい、そういう国民の皆様方の思いに応えるべく、是非総理の決断をお願いを申し上げたいと思います。

 次に参ります。

 後半国会の重要法案になってまいりましたLGBTの法案であります。これは、もう経過は詳しく言いませんが、二年前に法案の提出というところまで行きましたが、自民党さんの都合でこれが取り下げられるということになりました。今回、G7サミットの関係があるかないか、私にはよく分かりませんけれども、今回の国会でLGBT法案が再び提案をされるということでございます。

 日本維新の会は、女性局、青年局というような性に伴うセクションというものを数年前に廃止をいたしまして、ダイバーシティ推進局というものを設置をいたしております。

 したがいまして、もちろん、少数派の権利を尊重して、誰も取り残さない、そして誰もが生きやすい社会をつくっていくということには大賛成であります。しかし、この間の自民党さんの動きによって、私は、マイノリティー、少数派の皆さん方と、マジョリティー、多数派の皆さん方の間に大きな亀裂が入ってしまったのではないかなと思います。

 我が党の所属議員の中にも、LGBTの当事者の人間も在籍をいたしております。そういったメンバーの話を聞くと、やはり、そういったことを政局のネタに取り上げられて、何かじゃんじゃんじゃんじゃんと、いわゆる左だ、右だというような議論を聞いているのは非常に不快であるという御意見も承っているわけでございます。

 したがって、今回、自民党が十八日の日に法案を提出をされました。立憲民主党の皆さん方も、二年前の法案そのままで、この国会に法案提出をされました。我々は、この間のタイムラグを考えて、この間に起きてしまったいろいろな問題点、これをやはり的確に捉まえて、新しい法案の姿に変えていく、若しくは国会の議論を通じて賛否を明らかにしていくという方針を立てておりましたが、国民民主党の皆様方と先日来議論をいたしまして、四項目にわたって今協議をしております。この四項目、国民民主党と日本維新の会が合意をいたしましたら、独自の案として早急に国会に提出をするということも考えているわけでございます。

 是非、これだけこじれてしまったLGBT法案、今国会で、多くのマイノリティーの皆さん方もマジョリティーの皆さん方も納得のいく方向性で私は結論を出すべきだと思います。

 是非、岸田総理におかれましては、そういった指導的なお立場で決断をしていただいて、我が党の案は非常にすばらしいと思いますから、この法案の成立に向けて、しっかりとした御指示を出していただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。

 恐らく、一両日中には国民民主党さんとの協議が終わりまして、具体的なアクションを我が党としても起こさせていただくということもつけ加えて申し上げておきたいと思います。

 続きまして、少子化対策に参ります。

 この少子化対策、静かなる有事ということが言われまして、どんどんどんどんと、言葉どおり、文字どおり、静かなる有事が進んでいっているということは万人が認めているところだと思います。

 我々日本維新の会は、またかと言われるか分かりませんが、大阪で生まれた政党で、少子化対策については、最も力を入れてまいりました政策の一つであります。

 パネルを御覧いただきたいと思います。

 我々が、十数年間にわたって教育無償化を練り上げてまいりました。今日は、今どういう状況まで来ているかということを是非皆様方にも御覧をいただいて、御議論をいただければと思います。

 我々は、教育無償化モデル、八つの無償化プラスワンということで、まず一つ目、保育の無償化。これは第一子から保育の無償化をやっていく。幼児教育の無償化については、これはどんどん広がってきている。国での制度も実現をいたしました。三つ目、小学校、中学校の給食の無償化。これも所得制限なしで、間もなく始まろうとしています。

 そして、大阪市に限定されていますが、塾代助成ということで、月一万円のバウチャー券をお渡しをして、塾代、お稽古事、習い事にこのバウチャー券を使っていただく。これはプラスワンという位置づけになっていますが、こういうことも実際に実現を、実行をしています。

 そして、私立高校の授業料の無償化。これは国制度もありますけれども、これに上乗せをして、今どんどんと拡大をしていっています。これは吉村知事の今回の選挙の公約でもありましたが、所得制限も撤廃をしていく、段階的に撤廃をしていくということになっています。

 昨年、大阪府立大学と大阪市立大学が経営統合しまして、大阪公立大学という大学が誕生いたしました。これについても、三年間大阪に住んでいた子供は入学金、授業料無償ということで、これも既にスタートをいたしております。大学院も同じように無償化をする。

 そして、繰り返しになりますが、全ての項目で所得制限を撤廃をしようじゃないかということで、先日、吉村知事の方からロードマップも発表されたところであります。

 非常にこのことについては、手前みそですけれども、好評をいただいていると思いますし、私たちが想像している以上に、経済的な理由で進学を諦めている子供たちは今どんどんと増加をしています。やる気があるのに学問を修められない子供たちを日本からはゼロにしようという大きな目標を持っておりますが、あわせて、子育て世代の家計費をサポートしていく。私も大学一年生の息子を育てていますけれども、教育費は我々の時代と違って非常に大きく増大をしているということは、もう皆さんお分かりのとおりです。

 したがって、こういった教育費を無償化する、子育て世代の家計をサポートするということによって、経済的にも大きなメリットが出てきます。日本の経済、GDPの六割は個人消費が支えていると言われていますから、個人消費が伸びていく、教育費が助かれば、外食、旅行、買物、そういうものにどんどん使っていただけると思いますので、こういったことをやれば経済が短期的に順調に膨らんでいく。そうすると税収が増えていきます。税収が増えれば、また新しい行政サービスに投資をしていくということができる。これは一石二鳥、三鳥という大きな効果があるのではないかなと考えているところであります。

 岸田総理におかれましても、今年の一月の年初の会見におかれまして、異次元の少子化対策をする、子供への投資を倍増させるという表明をなされたわけであります。

 したがって、我々もこの異次元の少子化対策、どういうものがあるのか拝見をさせていただいておりますが、非常に申し訳ございませんが、今あるいろいろな制度をただ単に拡充をしていく、そういう基本方針でやられているのではないかな、到底異次元の少子化対策とは私は言えないというふうに思います。

 大阪で進めている教育費の無償化、これは大阪でできたわけです。地方自治体ですから、通貨発行権も何もないです。そして、大阪では住民の皆さん方に、増税をしたり、新たな負担を求めたり、そして借金をするということは一切やっていません。今ある財布の中からやりくりをしてこういうことをやっているわけですから、私は、これは国では簡単にできるんじゃないかな、総理のそれこそ決断次第でできるんじゃないかなというふうに思います。

 それならどれぐらいお金がかかるのかということでありますが、このパネルを御覧いただきますと、保育の無償化、また小学校、中学校給食の無償化、高校の授業料無償化。最初は公立大学の無償化、これは永続的に行って、将来的には私立大学にも適用していくべきだと思いますが、プラスワンの塾代助成、月一万円のバウチャー券をお渡しをする。こういうことを国として取り上げて、全国一律でこういう無償化モデルというものを展開すると、我々の試算では約二兆円でできることになります。

 子供に対する投資倍増というと、恐らく私の試算では、金額ベースに直すと四兆円程度ではないかなと思いますが、その半分を投じれば全ての教育を無償にするということができるというふうに思うんですが、これを御覧いただいて、総理、いかにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 大阪での取組について御紹介をいただきました。

 こうした保育、教育の無償化という考え方、これはこれまでも、政府においても重要な課題であるということで、幼児教育、保育の無償化、高校等の授業料支援、高等教育の無償化、様々な負担軽減を行ってきました。

 そして、御質問は、これからの対策において、政府として、大阪でやったことができるのではないか、そういった御指摘でありますが、今、政府においても、今日まで取り組んできた様々な負担軽減策に加えて、社会経済情勢が大きく変化するとともに、取り組むべき子育て政策の内容、これも変化していることから、二〇三〇年までがラストチャンスであり、第一には若い世代の所得を増やすこと、第二に社会全体の構造や意識を変えること、第三として全ての子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること、この三つの基本理念に沿って議論を進めています。

 六月の骨太方針に向けて、こども未来戦略会議で内容、予算、財源について検討を深めているところですが、是非、この六月の骨太方針までに、どのような内容を盛り込むのか、大阪での取組、これも参考にさせていただきながら、将来的な子供予算倍増に向けた大枠、これを示したいと思っています。

馬場(伸)委員 人の一生を考えますと、生まれてから亡くなるまで、一番お金のかかる時期はいつですかと問われれば、やはり、結婚して子供が生まれる、その子供がどんどん大きくなって進学をしていく、その期間が一番お金がかかるんですね。ですから、総理もそれは御経験されておられると思いますから、よくお分かりだと思いますので、やはり、日本の経済を短期的にできるだけ成長させようと思えば、そのお金がかかる世代を経済的にサポートするというのが、これが一番即効性がありますし、効率的になると思いますので、異次元の少子化対策とうたっておられるわけですから、是非、なるほど、こんなことは今まで日本では考えられなかったねと国民の皆さん方からおっしゃっていただけるように、英断をお願いを申し上げたいと思います。

 そして、もちろん、これには財源が要ります。今、政府・自民党さんがやっていること、そして我々日本維新の会がやってきたこと、これはもう全く真逆です。

 政府・自民党が今やられていることは、この国会でもずっと議論になっていますが、防衛費の増額、財源の捻出についても、増税ということであります。子供に対する投資は、何と社会保険料を増額しようじゃないかという声も届いています。そして、後期高齢者の皆様方、この国会で健康保険法の改正が通りました。来年、再来年にかけて、七十五歳以上の後期高齢者の皆様方の医療保険料も値上がりをしていくということで、これは、何か新しい行政サービスをするとか新しい施策をするときに、増税をするとか借金をするとか国民の皆さん方に負担を押しつけるとか、そういうことは、私は、昨年八月に代表に就任させていただいて、全国キャラバンということで全国を回ってきましたけれども、そういうことに対する不平、不満というものは非常に大きいものがあるのではないかなと思っています。

 今も申し上げましたが、この直近の国民負担の増加というのは、今年の春、国民健康保険料の上限額が上がったり、電気代が上がったり、そして相続前贈与の加算期間が延長されたり、来年は、法人税、たばこ税、所得税と、どんどんどんどん大増税ということでありますし、この国会でも問題になりました復興特別所得税の期間延長、これは、二〇三七年で終わる予定が二〇五〇年まで、何と十三年間延長されるということも決まっています。

 こういうようなことで国民負担がどんどんどんどん上がっていった結果、国民負担率約四七%というふうになっています。これは何と、一番端の目盛りが昭和五十年ですから、約五十年間で倍増近く国民負担率が上がっているということが現状であります。

 人口が減っていく中ではいろいろな御負担をいただかなければならないということは避けては通れないと思いますけれども、例えば、身を切る改革、国会では全く進みません。旧文通費の改革、我が党が提言をして、かなり国民の皆様方からも御注目がされました。我々は、日割り支給と使途公開、そして残金の返金というものを提案させていただいております。

 昨年の国会中に、これは総理、結論を得るとなっていたんです。ところが、自民党がほごにしたんですよ、これは。自民党がやらないということになった。だから、国民は忘れていませんから、この国会、この秋に予想される臨時国会で、是非成案を作っていただきたいというふうに思います。

 私が仄聞したところによりますと、自民党の中には既にこの改革案というものがまとまっているというふうに聞いていますので、是非、一日も早くこの国会中に各党に提案をしていただいて、そして結論を得る努力をせよということを、総裁の方から指示を出していただきたいというふうに思います。

 最後になりますが、総理にお尋ねさせていただきたいんですが、二〇一二年十一月十四日というのは、この我々の日本の近代政治において非常に大きな節目の日になったと思います。何が起こったか、御記憶があればお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 二〇一二年の十一月十四日。それは政権交代前ですので、ちょっと具体的な日にちまでは覚えておりませんが、今、室内からも声がかかっていましたが、党首討論等の様々な動きがあった頃ではないかと考えます。

馬場(伸)委員 この国会の中で党首討論が行われまして、当時、民主党の野田総理、そして亡くなられた自民党総裁安倍晋三さん、このお二人が議論をして、そして、この直前に、税と社会保障の一体改革が三党合意で成立をいたしました。その結果、やはり身を切る改革を行って、そして国民に理解を得よう、そして解散もしようということが合意をされた日です。

 その翌々日、十六日に衆議院が解散をされるということになりましたが、このときの議事録を読み返してみますと、このお二人の議論の中で、国会議員の定数の大幅削減をやろうじゃないか。あのとき、〇増十減とか、自民党の細田さんの私案で三十議席ぐらい減らそうじゃないかとか、いろいろな選挙制度を改革、改正することによって議席数を減らすという話がありました。これは、野田総理からも、安倍当時総裁からも、十や十五では駄目だ、三十、四十、五十とそれぐらいの削減をしなければ、なかなか国民の皆さん方は納得してもらえませんよね、やりましょう、約束ですよ、この有名な言葉がこの記録に残っているわけでございます。

 ですから、総理、今この衆議院の解散云々と言われています。私は、いつ解散するんだというようなやぼなことは言いません。ただ、遅くとも、近々解散がされるのであれば、私は今、野党第二党の党首でありますが、内閣総理大臣、与党の党首として、この選挙で国会の大改革をやる、国会議員の定数を削減する、いろいろな遅れた前例、慣例で運営されている国会を大改革しましょうという約束をしていただいて解散をしていただければと思いますが、総理の意気込みはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政治として国民の信頼をしっかりと確保するために様々な取組を行わなければならない、こういった御指摘はしっかり受け止めます。

 ただ、再三申し上げているように、今の時点、今は重要な政策課題に結果を出す、これに専念すべきときであり、私自身、今、解散等については考えてはおりません。

馬場(伸)委員 次の衆議院選挙で野党第一党の議席を目指して頑張ってまいります日本維新の会、これからも与党自民党とちょうちょうはっしの議論をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて馬場君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスです。

 総理、G7広島サミット、大変お疲れさまでございました。

 時間も限られていますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、こちらのパネルを見ていただければと思います。

 これは、G7諸国の過去三十年間の賃金の推移となっています。既に多くの国民の皆様が御認識をされていることでありますけれども、日本は先進主要国の中で唯一、この三十年間賃金が上がらなかった国でございます。

 名目賃金で見ますと、このグラフですけれども、アメリカ、イギリスではこの三十年間で二・五倍程度まで賃金が上がっている。その他の国も、G7の国々は二倍程度賃金が増えているのに、日本だけが三十年間賃金が上がっていないということです。

 実質賃金で見たとしても、G7諸国の中でこの三十年間賃金が上がっていないのは、日本のほかにはイタリアしかありません。イタリアも実質賃金は増えていませんけれども、名目賃金は二倍程度に増えているということは先ほど申し上げました。

 日本だけが、実質賃金はおろか、名目賃金も上がらない国になってしまったせいで、将来の経済環境や、また、働くこと、そして結婚、子育てに対する安心感がなくなってしまって、そして経済、投資、消費にすごい悪影響が及ぶ、そういった三十年間が生まれてしまいました。様々な観点から、G7諸国の中で唯一賃金が上がらない国になってしまったという状況を生み出してしまった、これまで三十年間の政治の経済財政運営の責任は極めて大きいというふうに私は考えております。

 当たり前のことを申し上げて大変恐縮ですけれども、問題解決は、問題の所在を認識してから始まります。問題があるということを認めなければ、問題はそもそも解決できないということでございます。

 その点で一つお伺いをしたいのが、三月の五日、NHKの「日曜討論」で、ある自民党の幹部がこういったことをおっしゃっていました。アベノミクスは失敗ではありません、もし失敗して経済が悪くなっているんだったら、我々はとっくに選挙に大敗して政権を失っていますと。

 総理にちょっとお考えを伺いたいんですけれども、経済政策の成功や失敗は、選挙の結果で評価するのが正しいのでしょうか。普通に考えれば、賃金の指数や、日銀短観や、銀行の貸出残高や、国際競争ランキングや、そういった経済指標で測るというのが私は当然のことだと思うんですけれども、こういった、選挙で勝っているんだから経済政策が成功している、そういった認識に総理も立たれるのか、教えていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 選挙においても経済政策の効果が国民から評価される、これは当然あることだとは思いますが、経済政策の効果ということを考えた場合に、様々な経済指標に基づいて分析を行う、こういった姿勢は大事であり、そういった姿勢を大事にしながら次の経済政策を考えていく、こういった取組は政府として重要であると考えています。

 今の政府においても、経済財政諮問会議を中心に、経済指標等をしっかりと踏まえて経済政策を評価し、そして次の政策を考えていく、こういった取組を続けております。

斎藤(ア)委員 私は、こういったふうに、個別政策の評価と直接関係ない、選挙の結果を引っ張り出して議論を終わらせる、論破するみたいな感じですけれども、そういった形で自分たちの政治がうまくいっているんだと強弁するような、そういった議論の在り方、政治姿勢が、問題解決を行えない政府をつくり出したり、日本の経済の長期低迷を招いたり、また、究極的には、国民が政治に期待しない、政治不信だ、そういった状況を生み出してしまっているというふうに考えておりまして、私たち国民民主党は、こういった不毛な議論、不毛な政治のサイクルから脱却をしたいという思いで集まって活動させていただいている党でございまして、何とか常識ある政治の姿に立ち返って、日本の方向性をしっかりと、希望のある姿に立ち直らせていきたいというふうに考えています。

 特に、経済財政運営に関しては、過去の三十年間の失敗を認め、国民に謝罪して、その上で、この部分がうまくいっていないからここを変えるんだとか、こういったふうに対処をしていくんだということを真摯に議論していくことが必要だというふうに考えています。

 是非、総理にも、政治の風潮を変えるような、そういった議論の仕方に応じていただきたいと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、これまでの経済政策をしっかり振り返りながら、これからの経済政策について議論を活性化していく、こうした取組は重要であると思います。

 委員の先ほど来の指摘を聞いておりましても、この三十年間、日本においては、バブル崩壊によってデフレ状態を生じた、デフレによって、企業の投資や人への投資、これが低迷してしまった。そのことによって、次の消費、あるいは次への投資、これが十分に行われなかった。結果としてデフレが続く、こうした負のスパイラル、こういったものが続いてきた。こういった辺りが賃金が引き上がらなかった一つの要因であるという指摘があります。

 こういった指摘についても謙虚に受け止めた上で、この循環を好循環に変えなければいけないということで、今の政権の新しい資本主義においても、まずは賃上げだということで、今、賃上げ、民間にも協力していただきながら取り組んでいる。今年は三十年ぶりの盛り上がりを見せておりますが、これをどう持続させるのか、これが成長と分配の好循環を実現するために重要だということで、過去三十年を振り返りながら、好循環を実現するために何が必要なのか、こういった観点から政策を進めています。

 是非、野党の皆様方、国会においても有意義な議論を深めることによって、こういった政策をより充実していきたい、このように思っております。

斎藤(ア)委員 これから日本は労働人口が激減することになりますけれども、しっかりと、これまでの政治の在り方ではなくて、問題を解決していくことを行っていけば、人口は減っても、経済が成長して、そして国民の生活が豊かになる、強い日本経済をつくることは十分に可能だと考えておりますので、私たち国民民主党は、引き続き、そういった観点で、特に賃上げ、そして人づくり政策について提案をしていきたいと思っております。

 時間がないので、本日は、それぞれについて一点ずつ、少し改めてお聞きをしたいと思うんです。

 繰り返しになりますけれども、人口が減るんだから、一人当たりの賃金、稼ぐお金を増やすしかないわけでございます。どれだけ少子化対策を行っても、急に出生率が二とか三とか四とかに増えるわけではありませんので、給料を増やすしかありません。

 今、やっと三十年ぶりの賃上げということで、賃上げの機運が高まってきていると思いますけれども、これをやはり、先ほど総理がおっしゃったように、持続させていくことが重要でございます。

 先ほどお示しした、G7諸国の賃金が三十年間で二〇〇%とか三〇〇%近くに上がっているというお話も、数年間でやったわけではなくて、三十年間、毎年毎年二%、三%、四%という数字を積み重ねてきていますので、今年実現できたような賃上げを、来年以降も、二十年、三十年と続けていくことが重要でございます。

 その上で、特にポイントになるのが、やはり中小企業、そして、その中でも特にサービス業であると思いますし、また、非正規雇用で働いている方々にも収入アップを実現してもらうこと、このことが持続可能な賃上げのために必要不可欠でございます。

 それぞれに関してどういった取組をしていくかということで、我々国民民主党からは、例えば、非正規雇用の方に関しては、社会保険の年収の壁問題を乗り越える給付を行った上で速やかに社会保険改革を行うとか、最低賃金を更に引き上げてくださいとか、そういったことも提案をさせていただいてきましたけれども、中小企業、非正規雇用の方、サービス業といった、こういった賃金が今上がっていないところに対してどのように賃上げを波及させていくのか、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 中小企業等、賃上げの波が波及していない部分についてどう対応するのか、こういった御質問だったと思いますが、ただ、今年の賃上げについては、全体で三・六七%、中小組合も三・三五%ですので、結果的には、中小企業においてもこういった取組に御協力いただいていると承知をしています。ただ、その背景には人手不足等の条件もあり、この辺は丁寧に見た上で今後を考えなければならないと思っています。

 ですから、やはりこうした中小企業においては、何といっても下請取引の適正化、労務費を含めた価格転嫁、これが大変重要なポイントになります。また、中小企業の成長をいかに後押ししていくのか、様々な補助金等によって中小零細企業をいかに後押ししていくか、これも大変重要なポイントになると思います。

 そして、中小企業の明日を考えた場合に、人材育成、人への投資、こうした部分においても、中小企業が決して後れを取らないような体制をつくっていく、こういったことも重要であると思います。

 こうしたことを組み合わせて、大企業のみならず、中小企業、特に地方の中小企業が、こうした賃上げの流れの中で、持続可能であるように政策を進めていく、こういった観点は重要であると考えております。

斎藤(ア)委員 我々は、予見可能性を高めるためにも、具体的な目標を定めて、何年後に賃金を倍にするだとか、あるいは最低賃金についても、何年後にこれまでにするとかといったことを示すことが必要だと考えておりますし、また様々な政策パッケージにしてお示しをしたいと思っていますので、是非また議論に乗っていただければというふうに思います。

 最後に、教育国債について少しお伺いをしたいと思います。

 今朝の読売新聞で、政府の方でも子供公債というものの発行を検討して、一時的に、国債の形で、借金の形で教育予算を賄うということが検討されているということがありまして、これは国民民主党がずっと提案をしてきた教育国債の考えを一部受け入れていただいたことかなと期待もしているんですけれども、まだ中身が見えませんので何とも言えないんですけれども、報道の政府の子供公債について、今お示しいただけることはありますでしょうか。総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、こども未来戦略会議の下で内容、予算、財源について検討を深めているところですが、二十二日の会議において、財源について、徹底した歳出改革等により国民の実質的な負担を最大限抑制することなど、四つの方向性を示したところです。

 要は、財源の議論ももちろん大事ですが、実際に行う政策、これについてもスピード感を大事にして取り組む、こういった考え方も示させていただきました。その点をマスコミ的にいろいろと報じているんだとは思いますが、いずれにせよ、安定財源、これを最終的には確保しなければなりません。

 御指摘の教育国債については、これまでも申し上げておりますが、安定財源の確保という点、あるいは財政の信認確保という観点、こういった観点から慎重に検討する必要がある、このように政府としては考えているところであります。

 いずれにしましても、六月の骨太方針に向けて、将来的な子供予算倍増に向けた大枠をお示ししてまいります。

斎藤(ア)委員 人への投資はコストではないということでございますので、しっかりと大胆な財源を確保していく、教育国債も是非検討をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今回の人類初の被爆地広島でのG7サミットは、核兵器廃絶への前向きメッセージが期待をされておりました。ところが、核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンはその願いを真っ向から裏切るものと、被爆者や二世、三世、市民社会から失望と怒りの声が広がっております。

 岸田総理、広島ビジョンが、核兵器のない世界と言葉では言いながら、究極の目標に先送りし、核兵器は防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、戦争と威圧を防止すべきとしたことは、核兵器を使う宣言にほかなりません。こうした立場をあろうことか被爆地広島から発信など、被爆者と被爆地を愚弄するものではないか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今回、G7としては初めての独立文書であるG7首脳広島ビジョンをまとめたわけでありますが、基本的な考え方として、厳しい安全保障環境の中で、今、現実、それぞれの国の国民を守るためにどうあるべきなのか、こうした考え方を示した上で、そこから核兵器のない世界という理想にどう結びつけていくのか、こうした考え方を示したものであると考えています。

 この厳しい現実にどう対応するかという部分について、核抑止等について触れている、こういったことについて様々な意見や指摘があるということは十分承知していますが、厳しいからこそ、理想についてしっかり語ること、そして、何よりも具体的にどうつなげていくのか、これを政治が語ることが大事であると思います。

 そもそも、昨年のNPT運用検討会議を挙げるまでもなく、今、世界的に核兵器のない世界を目指すという取組の機運が低調であると言われている中にあって、今回、G7各国は核兵器のない世界を目指す理想で一致をしたということは、再び機運を盛り上げる上で一つのきっかけになると思います。これから具体的にどういった取組を進めるか、ここが評価において大事であると考えております。

笠井委員 総理は、抑止力という言い方で言われました。先ほども、命と暮らしを守るために拡大抑止が前提と、そこまで言われたわけです。そこが問題なわけですね。

 核抑止力は、いざというときは核兵器を使用して、広島、長崎のような非人道的惨禍を引き起こすことをためらわないという議論であります。それを公然とうたうビジョンに、何のために広島で開いたのか、広島の名前をつけてほしくないという声が上がるのは当然であります。七十八年前にあの生き地獄を広島で目の当たりにした被爆者の母の体験を受け継ぐ被爆二世の私も、全く同じ思いであります。

 そこで、総理に伺いたい。

 昨年十一月のインドネシア・バリでの主要二十か国・地域、G20首脳宣言に、すっきりと、核兵器の使用又はその威嚇は許されないと明確に盛り込まれました。総理は、十一月二十一日の本会議でも、私自身、強く働きかけを行い発出することができた、G7広島サミットにつながる大きな一歩になったというふうに言われました。

 当時賛成したG7の首脳の面々が合意できるのに、なぜ今回は、あのバリ宣言のとおり、すっきりと盛り込まなかったんですか。

岸田内閣総理大臣 G7首脳広島ビジョンでは、御指摘の文言を記載したG20バリ首脳宣言について、我々はG20首脳によるバリにおける声明を想起すると記載をしており、G20バリ首脳宣言を明確に確認をしています。

 その上で、今回のビジョンにおいては、ロシアのウクライナ侵略の文脈における、ロシアによる核兵器の威嚇、ましてやロシアによる核兵器のいかなる使用も許されないとの我々の立場を改めて表明すると、より具体的にこの部分について明記をしております。これは後退という指摘は当たらないと考えています。

笠井委員 G20を想起するとあると言われていまして、ただ、バリ宣言は、ロシアに限定せずに、核兵器の使用又はその威嚇は許されないと、すっきりと、テーゼとして明言しているわけですね。ビジョンはそうなっていない。

 総理は、現地の当時の会見で、G7議長国として議論をリードしていきたいと言われていました。では、努力したけれどもバリ首脳宣言のようにならなかったということなのか。前日の日米首脳会談ではバイデン大統領にも提起したのか。何かそこで言われたんですか、ロシアの関係。ロシアはけしからぬですよ、そういう言動をすることは。だけれども、それにとどまらず、すっきりと、核兵器の使用又はその威嚇は許されない、こう書くべきだったんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、G20バリ首脳宣言を明確に確認しています。広島ビジョンにおいてそれを確認しています。さらに、全体として、G7、アメリカ、英国、フランスも含めて、核兵器のない世界を目指す、こうしたコンセンサス、これを確認しているということであります。この意味は決して軽くないと考えております。

笠井委員 首脳宣言を想起しながら、結局のところ、今回のビジョンではロシアに限定している。ロシアによるものが断じて許されないのは当然であります。その一方で、G7の側が、核抑止という核の威嚇で相手を抑えると宣言した。核兵器の防衛目的のための役割とは、使用が前提であります。日本が米国の核の傘に守られながら、侵略を抑止し、戦争と威圧を防止するというのは、大いなる矛盾だと思うんです。

 カナダ在住の被爆者のサーロー節子さんは、核抑止とは、我々はいつでも核兵器のボタンを押せて何百万、何千万もの人間を殺せる状態にあるんだぞと威嚇して自分たちを守ること、絶対に許せませんと。広島ビジョンについて、自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されないと喝破されているわけでありますが、まさにそのとおりだと思います。

 総理、核兵器をめぐっては、総理も私も出席しました昨年八月のNPT第十回運用検討会議、再検討会議の到達点があります。ロシアを除く全ての締約国、アメリカ、イギリス、フランスを始めG7参加国も異議を唱えなかった最終文書案であります。総理自身が、昨年十月二十日の参議院予算委員会で、今後の議論の土台となる、そこまで明確に答弁されたわけですよね。

 その一つが、核兵器使用の非人道的な結末への深刻な懸念であります。

 G7広島サミットを前に、昨年十二月八日の国連総会で採択された日本提案の核兵器廃絶決議でも、このことを改めて表明して、指導者や若者などが広島と長崎を訪問することを歓迎する、こうされています。採択されました。この決議には、核保有国のアメリカ、イギリス、フランスも賛成しているわけです。

 ところが、今回の広島ビジョンには、広島、長崎が非人間的な苦難を経験したという歴史的な事実の言及はありますが、核兵器が非人道的な兵器だという批判や告発は一言もありません。

 この点は、総理、明らかに後退ではありませんか。NPTの到達点を盛り込むようにちゃんとG7でも提起したんでしょうか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 幾つか文書の御指摘がありましたが、文書作成、発出に係る経緯等が異なりますので、単純に文言を比較することは適当ではありませんが、G7首脳広島ビジョンにおいては、原爆投下によって広島及び長崎の人々が経験したかつてない破壊と極めて甚大な非人間的な苦痛、こうした文言を使っています。

 御指摘の核兵器使用の非人道的結末への深刻な懸念という文言の比較でありますが、これは参加した国々との調整の結果であり、結果としてこれが後退したという指摘は当たらないと考えております。

笠井委員 参加した国々も、私が申し上げたように、核兵器使用の非人道的な結末への深刻な懸念ということについては、国連総会でもNPTの運用検討会議でも、それでいいと言っていたわけですよ。協議した結果、何で後退するのか。誰がそれを後退させたのかという問題になってきます。唯一の戦争被爆国のG7議長国として、提起もしていないのか、ちゃんとやろうと。広島ビジョンには、被爆者という言葉すらありません。

 最後に伺いますが、昨年のNPT再検討会議の最終文書ではまた、NPT第六条の下で合意されている核兵器の全廃を達成するという核兵器国の明確な約束の再確認が明記をされて、核兵器禁止条約の発効と第一回締約国会議の開催を認識すると明記しております。

 これを受けた国連総会の日本決議では、NPT第六条を含む条約の完全かつ継続的な履行の重要性を再確認し、核兵器禁止条約の採択を認識し、条約の発効、第一回締約国会議開催に留意する、ここまで書いているわけですね。ところが、広島ビジョンにはいずれも言及すらない。

 禁止条約は核兵器のない世界を目指す上で出口に当たる重要な条約と総理は繰り返し、今日も強調されましたが、では、一体、この禁止条約について、これまでNPTの再検討会議や日本決議の中で国連でも合意したような、そうしたものについて、G7でも一致しているんだから言及しようじゃないかという提起はやったんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の核兵器を全廃するという表現と核兵器のない世界を目指すという表現、これはどこに違いがあるのか。これは、私自身は、同じ大きな理想について掲げているんだと思っています。

 そして、先ほど申し上げたように、核兵器禁止条約、核兵器国は一か国も参加していません。核兵器国を出口であります核兵器禁止条約にどう近づけていくのか、これが唯一の戦争被爆国の責任だと思っています。そのための現実的な、具体的な取組をこの広島ビジョンにおいても示したと考えています。

 是非、自らが核兵器禁止条約に参加するだけではなくして、核兵器国を核兵器禁止条約にどう近づけていくのか、唯一の戦争被爆国として責任を果たしていきたいと考えております。

笠井委員 私がG7で言及を提起したのかと言ったのをお答えにならない。自らが参加するだけではなくと言われましたが、だったら、参加したらいいじゃないか。

 その中で、被爆地広島から……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、おまとめください。

笠井委員 核兵器にしがみつく宣言を行ったことは、歴史的どころか、歴史に汚点を残す恥ずべきことであります。議長国日本の岸田首相の責任が厳しく問われる。

 日本政府は、核抑止力論と決別をして、核兵器禁止条約に参加するように強く求めて、質問を終わります。

根本委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 岸田総理、G7サミット、お疲れさまでありました。

 私がG7サミットを見ておりまして感じたのは、よかったなと思うところもたくさんあるんですが、あの場を整えるために幾つかのことを犠牲にしたというふうに見えることがございます。

 その一つ、まず、今日の報告を聞いていても思ったんですが、民主主義という概念を犠牲にしているのではないかと思います。ほとんど出てこないんですね。

 今日の報告でもそうでしたが、法の支配という言葉に全て代替をされています。恐らく、民主主義なんということを言うと来なくなる国がいるんじゃないかとかいうことで、その価値観を下げたのではないかというふうに思いますが、岸田総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今、ロシアによるウクライナ侵略によって国際秩序が揺るがされています。その際に、どれだけ多くの国が一致協力をして平和に向けて努力ができるかどうか、これが問われているんだと思います。

 そして、グローバルサウスと言われている中間国においては、何で今ウクライナだけなんだという議論があります。アフリカにおいても、そして中東においても大変非人道的な行為が行われている、何でウクライナだけなのかという議論があるのも事実であります。

 しかし、こういった国々に対して、是非協力を、共に行動することを求める際に、やはり欧米諸国のような、価値観を押しつけるということではなかなか一致することができないのも厳しい現実であります。

 アジアにおいて、アフリカにおいて、民主主義の程度は様々であります。そうした、民主主義だけでは協力することができない、これはもちろん、こうした自由や民主主義や法の支配、人権、こういった価値はもちろん大事でありますが、少なくとも、多くの国々において、法の支配に基づく国際秩序、力による一方的な現状変更は許さない、領土や主権の一体性を守る国連憲章、これを基に協力をしていく、こういったことにおいては一致できるでしょう、是非、最低限ここにおいて一致しようではないか。こうした国際秩序が問われているときにあって、今言った点については一致しよう、こういった呼びかけを行うことは重要であり、こういったことについては多くの国々が、招待国も含めて賛同してくれたと感じております。

緒方委員 正直な答弁、ありがとうございました。

 もう一つ、広島ビジョンで出てこないものとして、インドに対する言及がないんですね。

 今回、恐らくインドへの参加を確保するためにあえて言及をしていないんだと思います。しかしながら、これがどう見えるかというと、民主主義国における核保有は、非民主主義国による保有よりも許容されるというようなメッセージを発しているように見えるわけでありますが、岸田総理、一般論ではなく、インドの核保有についてどう思うかということを含めて答弁いただければと思います。

岸田内閣総理大臣 我が国としては、国際的な核軍縮・不拡散体制を強化していく上で、NPTの枠外にとどまる国への対応、これが重要であると考えており、これらの国々が非核兵器国としてNPTに加入すること、これを追求しております。こういった考えについては、インドに対しても、首脳レベルを始め様々な機会に累次働きかけを行っているところであります。

 ただ、今回のG7首脳広島ビジョンにおいても、例えば、CTBTの関連で、早期発効の重要性を強調しつつ、それまでの間、全ての国に対して核実験モラトリアムの宣言や維持を求めている。ここで言う全ての国には、当然インドも含まれていると考えております。

緒方委員 続きまして、ウクライナ情勢についてお伺いしたいと思います。

 今回、首脳声明も全部読ませていただきましたが、G7議長として、ウクライナがこれから行う反転大攻勢と国際社会による制裁継続によって、いずれかの段階でプーチン大統領が折れて、そして停戦、平和が達成できるという世界観で今進めておられるということでしょうか、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 今後の戦況の推移、これは予断を持ってお答えすることは難しいことですし、私の立場からそれを申し上げるのは控えなければならないと思います。

 その中で、ロシアについては、攻撃を続けているなど、歩み寄ろうという兆しは一切見られません。そして、どのようなタイミングで外交停戦のフレーズに入るべきかということについては、ウクライナの将来を決めることになる交渉でありますからして、これは、まず第一に、ウクライナの人々の考え方、これがどうであるのか、ウクライナの人々の考え方を尊重した取組を進めなければいけない。更に言うと、ウクライナの人々が決める問題であるということについては、多くの賛同を得られるのではないかと考えております。

緒方委員 最後に一問。

 プーチン大統領の暴挙に理はない、それはもう誰もが共有していることです。一方、ウクライナの反転大攻勢でロシア軍が全て撤退するまで押し込めるかというと、それもかなりハードルが高いと思います。ましてや、クリミア奪還については、政治的、軍事的に極めてハードルが高いです。そのような中、遠からず外交による停戦、和平の機運をもたらすべきなのではないかという思いを私自身は持っています。

 解散・総選挙について、私個人についてはどんと来いという思いでやっていますが、ただ、解散すると、最長七十日間にわたる政治的空白をつくることがあります。G7議長国としての活動が制約を受けることについても問題意識を持ちます。

 今、解散は考えていないといった主観の話ではなくて、政治的空白をつくるということについて、岸田総理、どうお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、重要政策課題に結果を出すことが最優先であると考えております。そして、委員が言うように、いろいろな視点から考えなければならないとは思いますが、いずれにせよ、今、解散・総選挙については考えていない、この結論は変わりません。

緒方委員 終わります。

根本委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 総理、G7首脳がそろって原爆資料館を訪ね、被爆者と面会し、慰霊碑に献花をされたことは、歴史的な一歩であったと素直に思います。私自身、政治家になる前、NGOで長年核廃絶の問題に取り組んでまいりました。核保有国で原爆展を開いたり、被爆者の苦しみを海外で知っていただくことがどれほど困難であるか、それを知っているつもりです。

 しかし、それだけに、G7文書で核兵器が防衛のために役割を果たすと核抑止力がアピールされたことは極めて問題であり、それは被爆地への冒涜、核廃絶に真っ向から反するものです。核兵器禁止条約と被爆者の文字もなく、このことは、総理、理想とか出口とかという問題ではないと思いますよ。核兵器禁止条約は、核廃絶に向けた出口ではなくて入口なんですよ。その認識を改めていただきたい。

 また、文書には、ロシアによる核兵器の使用も威嚇も許さないとあり、つまり、自分たちの核兵器はよいけれども、ロシアは許さない、相手の核兵器は許さないと言っているわけで、これは地域の分断を深めかねず、東アジアにおける緊張を高めるものではありませんか。

 欧米に追随し、国内の軍需産業を強化するのはやめてください。アメリカから言い値で武器を買い、増税を国民に押しつけるのはやめてください。G7にかける熱意の一ミリでも、国内で苦しむ人々に振り向けてほしいんです。

 総理、これを見てください。パネル一です。

 G7の一人当たり名目GDPの推移。一九九三年の東京サミット、二〇〇〇年の沖縄サミット、このとき日本は、G7でトップ、最も豊かな国でした。しかし、今回の広島サミットでは最も貧しい国になっています。どの国も伸びているんですが、日本だけ三十年間不況が続き、コロナ、そして物価高の三重苦の中、国民生活は逼迫し続けているのが数字でも分かります。

 コロナの前から、生活が苦しいと答える世帯は五四%、母子世帯では八六%。子供の七人に一人は貧困、G7ではアメリカに次いでワーストツーです。

 その上、少子化対策といって社会保険料の負担を増やし、昨日衆議院を通過した防衛財源確保法案は特に悪質です。増税で武器を買う、日本を戦争経済でぼろぼろにさせる。絶対にやってはいけないものであります。

 れいわ新選組は、改めて、人々の経済状況を無視した増税や負担増に対して、諦めずに最後まで行動していくことを国民の皆さんに誓います。闘う野党の復活、これ以外に政治の暴走を止める手段はありません。

 総理、G7で三十年間成長せず、賃金が下がり続ける日本、この流れを反転させるには、積極財政で、増税ではなく、消費税、インボイスは廃止、最低でも減税、保険料負担増ではなく減免、悪い物価高が収まるまで季節ごとの現金給付がすぐにでも必要です。

 以上、消費税、保険料、現金給付について、総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 G7について冒頭御指摘がありました。

 私は、米国も英国もフランスも含めて、G7がそろって、核兵器のない世界に向けてコミットメントで一致した、このことの意味は軽くはないと思います。

 そして、国内についての御指摘がありました。

 三十年間デフレで苦しんだ日本の経済を振り返りながら、今、コロナ禍を乗り越えた先の経済再生を考えています。成長と、そしてそのために、委員の方から幾つかやるべきことの指摘がありましたが、今の私の政府においては、やはり成長と分配の好循環、これを実現するために、賃上げに最重点項目として取り組まなければならない、このように思っています。それを構造的な賃上げにすることによって、成長と分配の好循環を実現する日本の経済再生に努めたいと考えております。

櫛渕委員 最優先の課題は、国民経済の復活と人間の尊厳を守ることです。れいわ新選組は、その先頭に立って闘っていきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて櫛渕君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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