衆議院

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第2号 令和5年10月27日(金曜日)

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令和五年十月二十七日(金曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 越智 隆雄君

   理事 加藤 勝信君 理事 島尻安伊子君

   理事 牧島かれん君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      赤澤 亮正君    井野 俊郎君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      池田 佳隆君    石破  茂君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      大岡 敏孝君    大串 正樹君

      大西 英男君    奥野 信亮君

      金田 勝年君    木村 次郎君

      小泉進次郎君    小寺 裕雄君

      後藤 茂之君    佐々木 紀君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      杉田 水脈君    鈴木 隼人君

      田中 和徳君    田村 憲久君

      平  将明君    塚田 一郎君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      西田 昭二君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    橋本  岳君

      平沢 勝栄君    藤丸  敏君

      古川  康君    古屋 圭司君

      細野 豪志君    堀内 詔子君

      牧原 秀樹君    宮路 拓馬君

      山本 有二君    義家 弘介君

      若林 健太君    渡辺 博道君

      荒井  優君    石川 香織君

      梅谷  守君   おおつき紅葉君

      大西 健介君    源馬謙太郎君

      神津たけし君    長妻  昭君

      西村智奈美君    藤岡 隆雄君

      本庄 知史君    森山 浩行君

      山岸 一生君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      渡辺  創君    奥下 剛光君

      林  佑美君    守島  正君

      赤羽 一嘉君    金城 泰邦君

      國重  徹君    高木 陽介君

      角田 秀穂君    中川 宏昌君

      鰐淵 洋子君  斎藤アレックス君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         鈴木 淳司君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       宮下 一郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (女性活躍担当)     加藤 鮎子君

   国務大臣

   (新しい資本主義担当)

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)

   (国際博覧会担当)    自見はなこ君

   財務副大臣        神田 憲次君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小杉 裕一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   坂本 里和君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   片桐 一幸君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    太刀川浩一君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            今川 拓郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            塩見みづ枝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小林  出君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            松尾 剛彦君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  三貝  哲君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    深澤 雅貴君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  伊東 良孝君     小寺 裕雄君

  今村 雅弘君     細野 豪志君

  奥野 信亮君     杉田 水脈君

  亀岡 偉民君     堀内 詔子君

  下村 博文君     義家 弘介君

  平  将明君     佐々木 紀君

  平沢 勝栄君     櫻田 義孝君

  宮路 拓馬君     木村 次郎君

  山本 有二君     藤丸  敏君

  若林 健太君     萩生田光一君

  渡辺 博道君     井野 俊郎君

  大西 健介君     神津たけし君

  近藤 和也君     山田 勝彦君

  藤岡 隆雄君     長妻  昭君

  本庄 知史君     山岸 一生君

  渡辺  創君     石川 香織君

  赤羽 一嘉君     高木 陽介君

  金城 泰邦君     中川 宏昌君

  角田 秀穂君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     渡辺 博道君

  木村 次郎君     小泉進次郎君

  小寺 裕雄君     伊東 良孝君

  佐々木 紀君     大西 英男君

  櫻田 義孝君     平沢 勝栄君

  杉田 水脈君     奥野 信亮君

  萩生田光一君     葉梨 康弘君

  藤丸  敏君     山本 有二君

  細野 豪志君     古川  康君

  堀内 詔子君     中山 展宏君

  義家 弘介君     下村 博文君

  石川 香織君     おおつき紅葉君

  神津たけし君     大西 健介君

  長妻  昭君     米山 隆一君

  山岸 一生君     荒井  優君

  山田 勝彦君     近藤 和也君

  國重  徹君     角田 秀穂君

  高木 陽介君     鰐淵 洋子君

  中川 宏昌君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     平  将明君

  小泉進次郎君     西田 昭二君

  中山 展宏君     中村 裕之君

  葉梨 康弘君     田村 憲久君

  古川  康君     赤澤 亮正君

  荒井  優君     梅谷  守君

  おおつき紅葉君    渡辺  創君

  米山 隆一君     藤岡 隆雄君

  鰐淵 洋子君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     大岡 敏孝君

  田村 憲久君     若林 健太君

  中村 裕之君     池田 佳隆君

  西田 昭二君     鈴木 隼人君

  梅谷  守君     本庄 知史君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     大串 正樹君

  大岡 敏孝君     今村 雅弘君

  鈴木 隼人君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     亀岡 偉民君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小杉裕一君、内閣官房内閣審議官廣瀬健司君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長坂本里和君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長片桐一幸君、警察庁交通局長太刀川浩一君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、総務省自治行政局長山野謙君、総務省総合通信基盤局長今川拓郎君、文部科学省高等教育局長池田貴城君、文部科学省科学技術・学術政策局長柿田恭良君、文部科学省研究振興局長塩見みづ枝君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、厚生労働省雇用環境・均等局長堀井奈津子君、厚生労働省保険局長伊原和人君、厚生労働省年金局長橋本泰宏君、農林水産省畜産局長渡邉洋一君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、経済産業省大臣官房審議官田中哲也君、経済産業省大臣官房審議官小林出君、経済産業省通商政策局長松尾剛彦君、国土交通省不動産・建設経済局長塩見英之君、国土交通省住宅局長石坂聡君、国土交通省物流・自動車局長鶴田浩久君、防衛省人事教育局長三貝哲君、防衛装備庁長官深澤雅貴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 基本的質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。萩生田光一君。

萩生田委員 おはようございます。自由民主党政調会長の萩生田光一です。

 岸田政権が発足し、二年がたちました。この間、総理は、少子化対策、防衛力の強化、原発再稼働を始めとするエネルギー政策といったまさに先送りできない難題に正面から取り組み、次々と結果を出してこられました。

 私は、岸田政権の最初の一年間、経産大臣として、コロナ禍に傷んだサプライチェーンの国内回帰の必要性に直面したことから、国産半導体の復活戦略策定や蓄電池普及に向けた取組、ワクチン製造のデュアルユースなど、日本として必要かつ勝ち筋となる分野に的を絞り、政府として大胆な投資を行うことで民間投資を呼び込む、まさに新しい資本主義の実現に力を注いできたつもりです。

 昨年からは政調会長を御指名いただき、より俯瞰した立場から、いわば閣僚時代に生んだ政策を大きな幹に育てるため、補正予算や本予算編成の過程でしっかりとした道筋をつけてきたつもりです。

 世界的大競争が繰り広げられる中、こうした成長分野への投資は途中でやめるわけにはいきません。政府がより一歩前に出る姿勢を明確にすることが新しい資本主義の本質であり、今後とも、この方針に沿って、ぶれずに進めていくことが重要です。

 党も全力でバックアップします。総理にはぶれずに思い切って政策を実行に移していただきたい、このことをまずお願い申し上げて、質問に入ります。

 まずは、経済対策の考え方についてです。

 日本経済は今、歴史的転換点を迎えています。この三十年、コストカット型のデフレ型経済構造から、三十年ぶりの高水準の賃上げ、名目百兆円の設備投資、GDPギャップの改善など、経済の変化の胎動を見せ始めています。今こそ経済構造を新たなステージに移行していく千載一遇のチャンスでもあります。このチャンスを捉え、国内投資の拡大による供給力の拡大、構造的な賃上げなどの政策を集中的に強化することで、日本経済を成長軌道に乗せ、成長と分配の好循環を実現させる必要があります。

 しかし、足下では物価高に多くの国民が苦しんでいます。

 消費者物価上昇率は、食料品等の上昇に伴い、本年も三%と高止まりしています。物価上昇率は経済の体温計であり、この上昇は経済が好循環の道をたどる一つの道筋ではありますが、電気、ガス、ガソリン、食料品など身近な品目の物価上昇が大きく、賃金は名目で上昇しているものの、実質賃金は、足下はマイナス二・五%と減少しております。まだまだ回復が実感しにくい状況です。

 足下の物価高による生活圧迫は消費を抑制し、景気を下振れさせるリスクになります。リスクが顕在化すれば、動き始めた経済の好循環が後戻りしかねません。まずは、上がり始めた物価が景気の腰折れにつながらないよう、そして、次の経済の好循環に移行していけるよう、しっかりとした対策を講じていく必要があります。

 この際、重要なことは、地方自治体とも連携しながら、年末、年度末に向けて迅速に実行し、国民の皆様に効果を実感していただくことであります。

 昨日、政府与党政策懇談会の場で、総理から、所得税の減税を含む国民の皆様への還元策について党内で具体的に検討するよう指示がありました。

 その考え方は、本格的な賃上げにつなげていくまでの間、近年の税収増等の果実をしっかりと国民の皆様、特に扶養親族にも目配りして還元されるものと承知しており、加えて、所得税減税の恩恵が行き渡らない世帯には追加給付を行うということですが、住民税非課税世帯の方々より少し上の所得の方々に対しても今回はしっかりと目配りをしていかなくてはなりません。

 制度設計は大変でありますが、党内では様々な意見を聞きながら、国民の暮らしや家計に配慮した還元策になるように、党内でしっかり議論をしてまいりたいと思いますし、税制調査会にも今日から議論を始めるよう指示をしたところです。

 こうした還元策を予定する一方で、防衛力強化のための財源確保策については、その開始時期、既に党として、政府に対し、決算剰余金の活用や税外収入の積み上げなどの様々な手段を講じ、来年度以降のしかるべき時期に行うよう提言していますが、これから減税策を考えるというときに来年から防衛増税というのは、国民にとっては分かりづらいことです。当然のことながら、今回の還元策の指示は、来年は防衛増税はやらないという判断だと私は受け止めています。

 こうした還元措置は永続的にできることではありません。しっかりと物価高から国民生活を守りながら、同時に我が国の成長力を高める投資を進めることが本筋です。

 国民生活を徹底的に守り抜くためには、日本経済の成長を引き上げる供給力強化や構造的な賃上げなど、予算、税、制度改革をパッケージで行う大胆な経済対策が不可欠です。

 今回の経済対策策定に向けた総理の基本認識と、なぜ減税に踏み切るのか、なぜ給付では駄目なのか、どうして所得税なのか、財政が心配だという人たちにどのように説明をするのか。改めて、昨日の所得税、個人住民税減税の指示の狙い、そして考え方について、国民の皆様に分かりやすく説明していただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 経済対策について、ポイントを随分たくさん御質問いただきました。

 少しお時間をいただきますが、まず冒頭、委員がおっしゃったように、日本の経済、長年にわたってデフレで苦しんできました。その間、リーマン・ショックを始め様々な経済危機にも見舞われ、賃金が上がらない、物価が上がらない、投資が伸びない、こうしたデフレの悪循環に悩んできた、こうした日本経済でありました。

 だからこそ、アベノミクスによってデフレ脱却を目指し、また、ここ二年間は、官民の協力によって、賃上げ、そして投資、この部分に力を入れてきた、こうした取組を続けてきました。そして、おっしゃるように、ようやく明るい兆しが見えてきた。三十年ぶりの賃上げの動き、三十年ぶりの株価の水準、また、今年は民間で百兆円を超える史上最高の投資の動きが示されている、こういった明るい兆しが出てきたわけです。

 しかし、大事なのは、これを来年以降にも続けられるか、一過性に終わらせてはならない、こういったことだと思っています。ですから、こうした明るい兆しを来年にもつなげていくために、改めて、日本の経済の生産性を上げなければいけない、供給力の強化ということで、経済対策の中で重要な要素として取り上げなければいけないと思います。

 そして、来年につなげなければいけない大事なこのときに、世界的なエネルギー危機を始めとする外生的な影響もあって、今、日本国民は物価高騰に悩んでいる、苦しんでいる、こういった状況にあります。

 賃金は引き続き上げていかなければならないわけですが、賃金を上げていくスピードがまだ今現在では物価高騰に追いついていない現状でありますので、今この大事なときは、やはり国が国民の生活を支えなければならない。是非、デフレに後戻りしないためにも、国民生活を支えなければいけない、これが国民への還元と申し上げている部分であります。

 幸い、企業の賃上げ意欲、これは大変強いものがあると考えています。ここ二、三年が勝負だと思っています。しかし、賃上げが物価高に追いついていない現状においては、政府が不退転の決意で後押しして、デフレ完全脱却、これを確実なものにする必要があります。

 こういった考え方によって、供給力の強化と、そして国民への還元、この二つを車の両輪として経済政策をしっかり用意していきたい、これが私の基本的な認識であります。

 その上で、供給力の強化、国民への還元、これを両方そろえなければいけないわけですが、今委員の質問の中で、何で減税なのか、そして給付ではないのか、さらには所得減税なのか、そういった御質問がありました。

 今申し上げたように、経済のデフレからの脱却、千載一遇のチャンスを今物にしなければならないということで、国民生活をしっかり支えていこうとしているわけですが、それに当たって、ここ二年間、国民の皆さんの協力もあって、税収は伸びてきました。この税収の伸びの中で、個人の国民の皆さんからいただいた所得税、住民税、この部分については、この二年間で三兆円を超える、こうした増収が示されています。

 この部分は、是非国民の皆さんに、今、物価高の中で頑張っていただくために、分かりやすく所得税、住民税という形でお返しする、これが国民生活を支える上で重要だということを考えました。

 そして、ただ、所得税、住民税を支払っておられない方、より厳しい状況の中で苦しんでおられる方に対しては、所得税でお返しするということができないわけですし、そして、より厳しいわけですから、スピード感を持って支援をしなければいけない、この部分については給付という形で支援をさせていただく、こうした考え方に立って、国民への還元、これを考えた次第であります。

 この給付の部分は、例えばコロナの時代において、大変緊急の、そして国民生活が非常な状況にあるときには広く給付を行うことを考えた、これはあるべき姿だと思いますが、より平時に戻す際にあっては、より困っている方々に的確に給付を支給する、こういった考え方も重要だと思います。

 こういった考え方も併せて、先ほど申し上げたように、所得税、住民税を基本としながら、その対象にならない方にはスピード感を持って給付を行う。こうした組合せで、国民生活を支えていく、国民への還元を考えていく、こうした考え方が重要だと思います。

 そして、財政に対する不安もあるではないか、こういった御指摘がありました。

 この部分については、まさに、デフレから脱却することができたならば、国の債務の実質的な負担の軽減やら増収やら様々なことを考えても、デフレの脱却こそ国の財政再建にとって最も重要なことであるということを是非説明しなければならないと思います。

 デフレからの脱却を確実なものにするためには、所得税減税という手段を使っても、何としてもデフレからの脱却を完成させなければならない、こうしたことで今回の措置をお願いしているということであります。

 デフレからの脱却が国の財政にとってもプラスになる、この点もしっかり説明しながら経済政策を進めていくことが重要であると思っております。

萩生田委員 最終目標はデフレ脱却、そして賃金をしっかり上げていく、このモメンタムを底上げをしていく。

 そして、御家庭の事情は様々ですから、今頑張って胆力のある皆さんには、来年、御家族も含めた減税という形でお返しをする。しかし、経済的に困難にある皆さんに対しては、スピード感を持って給付をする。

 幾つかのメニューを、最終目標は一緒ですけれども、登り口をいろいろ変えてきめ細かくやろうという、これが総理のお考えだというふうに受け止めさせていただきました。

 我々も、今回、今までのような非課税世帯という簡単な線引きじゃなくて、また、その上で少し、頑張っているんだけれども、払われる税が少ないために減税ではなかなか恩恵が受けられない、こういう人たちに対してもその給付制度を広げていこうと思っていまして、きめの細かい制度設計をやって、総理の思いというものをしっかり受け止め、制度としてお返しをしていきたい、こんなふうに思っております。

 総理は就任当初から、新しい資本主義を経済再生の要に掲げ、政権運営を行っています。本年最初の施政方針においても、新しい資本主義は、世界共通の問題意識に基づくもので、官民が連携し、社会課題を成長のエンジンとし、社会課題の解決と経済成長を同時に実現し、持続可能で包摂的な経済社会をつくり上げていくと述べられております。私もこの考えに大いに賛同いたします。

 そして、成功例も出てまいりました。その一つが半導体政策です。

 経産大臣時代に、諸外国がしのぎを削り、大規模な支援を行っていることを踏まえ、5G促進法を改正して大型の支援に取り組みました。また、文科大臣の経験も生かして、単なる企業支援に終わらせず、大学や高専も含めた産学官連携のコンソーシアムを地域ごとに立ち上げ、人材育成にも取り組んでまいりました。まさに地域全体での底上げ、そして、中小企業も含む人材育成も巻き込んだ九州シリコンアイランドの復活を目指したわけですが、その結果、工場建設に伴う関連投資の拡大や新卒初任給も上昇するなど、経済全体への波及効果は非常に大きく、地方創生の大きな推進力ともなっております。

 ある試算によりますと、JASM等による熊本、九州への投資効果として、既に一兆円を超える投資が始まっていますが、二〇二二年からの十年間の経済波及効果が約七兆円、雇用創出効果が約一万人と試算されています。また、実際、今年度の製造業の設備投資計画は、全国平均が昨年度より一・三倍増であるのに対して、九州七県では約二倍増となっております。

 こうした戦略的な投資は半導体に限りません。経済安全保障やGXの観点からも、蓄電池、洋上風力発電、バイオなど、日本に産業としてしっかり残し、そして競争力を高めていく必要がある分野について、まず、国が前面に出て大胆に投資することで民間の長期の投資へとつなげていく、そして、物への投資だけではなく、人への投資にもつなげていく、これが重要だと思っています。

 社会課題の解決が未来の成長の種になる時代です。総理が掲げる新しい資本主義を我が国が新しい経済モデルとしていくためには、勝ち筋を見極め、官民一体で、大規模、長期継続的に投資していくことが重要です。

 半導体や蓄電池を含めた成長投資の継続支援について、総理の御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 委員も経済産業大臣として御努力をいただきました。また、この二年間、国も前面に出て様々な支援を行いました。その結果として、御指摘のように、半導体、さらには蓄電池などの分野で国内投資の好事例が生まれつつある、こうした状況にあります。この流れを是非しっかりつかみ取って、経済の新しいステージへと動かしていかなければならないと考えています。このためにも、今の経済対策において、半導体や蓄電池を始めとした戦略分野における大胆な投資支援を行っていきたいと考えています。

 具体的には、半導体あるいは蓄電池等の大型投資や、次世代半導体開発に対する支援を行うですとか、あるいは戦略物資について、国が様々な支援を考えてきたときに、ややもしますと、初期投資だけ投資をしてあとはお任せというケースも多かったわけですが、そうなりますと、予見可能性がなかなか確保できない、見通せない、こういった指摘もありました。

 よって、戦略物資については、初期投資だけではなくして、投資全体の予見可能性を向上させる、要は、初期投資以降も国としてしっかりと支援をしていく、こういった予見可能性を向上させる過去に例を見ない投資減税、こういった措置を講じていきたいと思っています。

 このように、予算、税制のみならず、規制などを含めて、あらゆる面で世界に伍して競争できる投資支援パッケージ、これを年内にまとめたいと思っています。

萩生田委員 私も5G法で、個社に多額のお金を出していいのかと随分批判もあったんです。しかし、私がそのときから申し上げていたのは、これは投資でありまして、そしてリターンがあるんだと。さっき申し上げたように、それはもう一兆円以上の投資が地域で始まっていまして、税収増が地方でも国でも目に見える形になってきました。総理の今の予見性というお言葉をかりれば、既に回収する予見は可能になってきました。

 私は、この分野は、財政当局と話をすると、要求した金額はちょっと無理なんだけれども、この下のこのくらいでという、よくこういうやり取りがあるんですけれども、こうなるとゼロと同じなんですよ。やはり勝負するときは勝負しておかなきゃいけないんだと私は思いますので、今御答弁いただいたような、継続的な伴走を込めた大胆な支援というものをお願いしたいと思います。

 そして、様々な化学反応が出ていまして、こういう企業が来ますと、外国人技術者が家族を帯同して日本に来たい、その場合、英語で授業をやってくれるインターナショナルスクールが欲しいと言うんですね。

 私は、文科大臣経験者として、学習指導要領にのっとっていないインターナショナルスクールを誘致するというわけにいきません。いろいろ考えた結果、熊本大学の附属小学校では、インターナショナルスクールというのを試験的にやることにしました。日本の学習指導要領で全ての授業をやってみる、これは画期的な試みだと思います。

 この試みがうまくいけば、国内でグローバル人材を育てる。日本の学生さん、児童さんにも是非来てもらいたいと思っていまして、こういったこともこの経済政策の中から新たに出てきた大きな政策の一つだと思っていまして、是非これは横展開をいろいろしていきたいなと思っております。

 AIについてお伺いしたいと思います。

 昨年末に登場したチャットGPTは、人間のように言葉を生成し、世界中に大きな衝撃を与え、様々な分野で活用が試されています。AIの技術革新は速く、従来のホワイトカラーの分野を中心に様々な分野の業務をAIによって自動化できるとの見通しがあります。あらゆるデータを瞬時に読み込み、最適解を出していく。引き続き最終的な判断は人がしなくてはなりませんが、人手不足の対応が求められている我が国においても、AIを恐れずに上手に活用していくべき時期が来ていると思います。

 AIが多くの産業で活用されるためには、我が国としてのAIモデルそのものの開発力を独自に持つこと、そしてその開発力を支える資源、計算資源、いわゆるスパコンなどのインフラをつくっていくことが重要です。今、AIの世界では、インターネット上のたくさんの文章を読み込むなどして、大規模言語モデル、LLMを開発する動きが盛んになっています。これには同時並行的な計算処理をするための大量のGPUと言われる半導体を活用した計算資源が必要になるとされております。

 非常に残念なことですが、日本が得意としてきた国立研究機関や大学が保有するスパコンは、CPUと呼ばれる幅広い用途で計算速度が速い半導体を多く使っていますが、同時並行的に処理する必要があるAIの計算処理には、現時点では実は有効活用ができていないんです。現時点で日本でAIのモデル開発をしようとすると、まずはアメリカの計算資源を借りて開発しなくてはならず、これを借りるのに多額のお金を払わなくてはなりません。長く日本の貿易赤字を占めてきたのは海外からのエネルギーの輸入でしたが、近年はこうした米国からのデジタル関係のサービスが多くを占めるようになってきています。

 ならば、日本がAIのモデル開発でも自国の技術を磨いていくためには、国内の計算資源をまずしっかりと構築していくことが不可欠だと思います。さらに、国立の研究機関や大学が保有する計算資源をAIにも有効活用できるようにすべきです。「富岳」などの既に多くの計算資源があるわけですから、これをうまく生成AIの計算資源として使えるよう、技術開発をしていく必要がございます。

 また、計算資源の中核を成すのは半導体です。先ほど質問をしましたが、国家の産業基盤を成す半導体支援や生成AIの計算資源の基盤は、一時的な支援では駄目です。新たなAIモデルを国内の計算資源で開発していくことがまず最優先ですが、さらに、その国内資源の基盤を成す半導体も国内で作っていけるように将来的にはできるようにすべきだと思います。

 総理に伺います。

 国の新たな産業競争力を決める可能性のあるAIのイノベーションを進めていくために、計算資源の新たな確保や国内の既にある計算資源の有効活用、さらにはそれを支える国内半導体支援など、総合的な政策パッケージが不可欠ではないでしょうか。生成AI開発支援の総理の見解をお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のように、生成AIは、我が国の経済成長ですとかあるいは社会課題の解決を担う可能性のある重要な技術であると認識をしています。様々な分野でイノベーションを加速させる可能性がある技術だと認識をしています。

 そして、この生成AIの国際競争力を考えた場合に大切なもの、もちろん人材育成とか、あるいはスタートアップの育成とか、環境整備は重要ですが、その中で特に大事なのは、まさに委員御指摘のように、一つは、開発に不可欠な計算資源、これを確保すること、そしてもう一つは、半導体の安定的な確保、この二つが重要なポイントであると認識をしています。

 計算資源については、官民による新たな施設整備や、「富岳」、産総研のABCIといった既存の計算資源の有効活用に向けた能力増強ですとか、AI開発に適用するための必要なソフトウェアの開発、こういったものを進めていきますし、半導体についても、国内で研究、生産が安定的に行えるような大胆な投資支援、これを引き続き行ってまいります。

 そして、御指摘のように、研究資源については様々な更なる工夫が必要だと思っています。大学の研究者やスタートアップが共同で利用できるような取組ですとか、様々な用途ごとに特化したAIを開発する際にも、共通的な基盤となるモデルを開発することで多様なスタートアップ開発に挑戦しやすい環境をつくる、こういったことも考えていかなければならない。総合的に計算資源のバージョンアップを図っていくことは重要であると考えます。

 こうした取組を官民で、オール・ジャパンで盛り上げることによって、世界をリードできるようなAIの事業や研究を日本から輩出すべく、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えます。

萩生田委員 私、詳しくなかったので、なぜ世界最速の計算速度のコンピューターを造れる国がAIに対応できないんだろうなというのは、素人ながらに不思議だったんですけれども、計算の仕方が違うんですね。松尾さんたちと話しますと、やはりこれは、今あるものでも、外にソフトを組み込むことによって利活用も可能だということなんです。

 私は、ここは日本がやはり技術で勝負できる分野だと思いますので、軒先をずっと借り続けてAI政策をやるなんというのは、これは格好悪い話です。やはり、メイド・イン・ジャパンも少しこだわって、国内のホストがどんどんどんどん知識を蓄えていけば国内の課題解決にも使えると思いますので、ここはちょっと頑張ってやってみたいと思っているところでございます。

 年収の壁についてお伺いします。

 この問題は、通常国会で質問させていただいて、そして先般、政府から、百六万、百三十万の壁への対応策として、キャリアアップ助成金の拡充など、政策パッケージが年末を待たずに迅速に出されたこと、これは大いに評価したいと思います。本当に結果を出していただきました。

 一方で、これはあくまで暫定的な手当てでございまして、支援パッケージは、実際に就業調整を解消できるのか、どれだけ多くの国民、事業者の皆様に支援を知っていただいて使っていただけるかにかかっていると思います。

 そもそも年収の壁は、制度自体が非常に複雑ですので、今般の支援強化パッケージも複雑な印象をどうしても受けます。壁を意識せず安心して働いてもらうため、支援の中身や活用方法、メリットなど、国民、事業者に対してしっかりと周知するとともに、多くの中小企業にも支援を活用していただけるよう、計画策定などの事業者の事務負担や、助成金の支給が毎年半年ごとであるといったこの支援の使いづらさ、こういったものも対処すべきだと思います。

 さらに、今回の対策はあくまで一時的なものでありますので、この二年間に、社会保障制度による制度的対応として、壁の解消に向けた抜本的な見直しをするべきだと思います。

 私、報道を聞いていましたら、何となく企業側のメリットばかりが主張されるんですけれども、そうじゃなくて、働く人たちのメリット、可処分所得を増やすことができるわけです。そして、将来的に社会保険に入るということが、何か罰かのように報道もされているんです。そうじゃなくて、個々が社会保険に入るメリットというものも、この機会に私はしっかり政府が説明する必要があると思います。

 何より、社会保険制度に加入をしていただくことで、年金受給、医療保険の給付の充実なども含めて大きなメリットがあること、これをしっかりと周知をするべきではないかと思いますが、厚労大臣に答弁をお願いします。

武見国務大臣 年収の壁のパッケージと抜本的な見直しについて、まず御質問をいただきました。

 今般、当面の対応策として、年収の壁・支援強化パッケージ、御指摘のとおり、取りまとめたところでございます。

 年収の壁に関する制度の見直しにつきましては、次期年金制度改正に向けて、社会保障審議会年金部会においてちょうど議論を開始したところでございまして、今後とも、この関係者の意見を伺いながら、こうした制度の見直しについて丁寧にしっかりと議論をしていきたいと考えております。

 また、本パッケージ、労働者が年収の壁を意識せずに働ける環境づくりに資するものとともに、労働者の所得増加を後押しするものである、こうしたメリットについては、事業主の皆様の理解を得ながら、労働者の皆様へ周知をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。

 そして、この年収の壁についての、労働者が壁を意識せずに働くことが可能となるよう、これまでも短時間労働者への被用者保険への適用拡大にはしっかりと実は取り組んでまいりました。

 短時間労働者が被用者保険に加入した場合のメリットなんですけれども、これによって、将来、基礎年金に加えて、厚生年金による報酬比例部分が上乗せされるわけですから、その分収入が増える形になります。それから、医療保険からは、出産手当金であるとか傷病手当金が支給されるという大きなメリットがございます。

 こうしたメリットを分かりやすく説明をして、理解を得ていくことが非常に重要である、そう考えております。

萩生田委員 冒頭の税の還付の議論でも申し上げましたけれども、今までの線引きのところじゃなくて、今お話ししたように、例えば、パート、アルバイトなどで一生懸命自立をしようとされている人たちには、なかなか今まで光が当たらなかった。還付策はやろうということです。まさに、この壁を乗り越えていくのも同じ政策だと思います。二年間で将来が見渡せるような制度設計にしっかりブラッシュアップしていただくことをお願いしたいと思います。

 次に、外交、防衛に移りたいと思います。

 日本は、アジアで唯一のG7メンバーです。前回も申し上げましたが、よくこれは枕言葉で使いますけれども、じゃ、アジアの人たちが、日本は我々の代表でG7に行っているんだと言ってくれるかというと、なかなかそういう雰囲気でもない。アジアの皆さんが、自分たちの仲間である日本は、どちらかというと優等生で、西側に渡ってしまって、自分たちは置いていかれてしまったのではないか、こういう心配をしているんじゃないかということを通常国会でも指摘をさせていただきました。

 そして、今年は、G7の議長国、G20、インド、そして年末の日・ASEANに、これは一気通貫でこの思いをつないで、やはりアジアの中の日本だということをしっかり皆さんに知っていただく、再認識していただくことが大事だということを提案したつもりでございます。

 おかげさまで、G7、総理、本当に頑張っていただいて、大きな成果を残したと思います。そして、そのレガシーをG20にしっかりつないでいただいたと思います。今度は、日・ASEAN、年末だと思います。是非、今年の外交戦略を、しっかり有終の美を飾っていただく、そんな日・ASEAN五十周年を迎えていただきたいなと思っております。

 私自身も、お許しいただいて、ASEANの国々を回って、直接要人の皆さんと様々なお話をしてまいりました。インド太平洋地域の平和と安定、発展と繁栄に向けたハイレベルな交流を積み重ねてきたつもりでございます。

 前回提案しましたけれども、ASEANの若い官僚の皆さん、そういった人たちを、エキスポ、まさに大阪万博、関西万博の組織委員会のスタッフとして受け入れて研修をしたらどうか、今その準備を年末に向けてしていただいていると聞いて、大変うれしく思います。それは、将来、ASEANの国々が同じような世界博覧会やスポーツイベントができるような国に共に成長してもらう、そのための日本としての大きな支援になると思っています。

 私がこの話を説明しますと、向こうの大臣たちが物すごく関心を持って、ベトナムなんかでは、俺じゃ駄目なのかと言われて、そんな人は使いづらいからやめてください、もっと若い人にしてください、こうお断りをしたぐらいでございまして、もう皆さん人選をしてスタンバイしていると思います。

 是非、二〇二五年の万博は、日本の万博、関西の万博であると同時に、ASEANの仲間とともに実現をする万博だ、こういう位置づけを持っていただいたら本当にありがたいなと思っているところでございます。

 そして、いろいろな、今、予算のことで指摘されていますけれども、要は、入場者に多く来ていただいてしっかり回収することが大事だと思っています。

 黙っていても来てくれるASEANの仲間はいると思います。しかし、そういうスタッフが内側にいて、どうしたら自国から観光客を是非呼んでくれるかということを一緒に考えてもらえばいいと思うんです。

 そして、私は、その人たち、研修生たちは、週末はそれぞれの都道府県の観光協会にお呼びがあれば行ってもらって、それぞれの地方のいい観光地を自分の足でちゃんと見てもらう。そして、自国に対して、日本の観光ルートを、雑誌やテレビじゃなくて自分たちの手でつくり上げて、日本に来るんだったらこうした方がいいよということを提案してもらうことで、滞在日数を増やしたり来日観光客を増やすことができるんじゃないかと思っていまして、こんな試みも是非やってもらおうと思っています。

 ラオス政府からは既に熊本に飛行機を飛ばしたいという要請も来ておりまして、こういったものを一つ一つ積み上げていくことが、まさにグローバルサウス、ASEANの皆さんとの協調、大事なことだと思っております。

 グローバルサウスとの関与強化は、三つの視点で重要です。

 まず、グローバルサウスと言われる国々は、GDPの成長率一〇%前後の国が多くあって、それらを合わせると、二〇五〇年には中国を超える経済規模になります。こうした経済成長を我が国にもしっかりと取り込み、一緒になって成長していくことが重要です。

 また、経済安全保障の観点からも、重要鉱物の供給拠点として、一国に依存しない関係を構築していく必要があるということ、さらには、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的な価値を共有し、国際場裏における影響力を増大することで国際秩序を形成する観点からも重要だと考えております。

 この一年、様々な声をいただいてきましたが、皆さんがおっしゃるのは、一つは、支援の継続を願っています。

 今までやってこなかったのかといえば、そうじゃなくて、日本はそれぞれの国にいろいろな支援を、ODA、円借款、やってきました。しかし、一過性で忘れ去られてしまう。足下の協力関係が多い方が現地では感謝されるのは当然ですので、昔の、井戸を掘った人のことをしっかりと覚えてもらうためにも継続的な支援が必要です。

 そして、我が国としても、目に見えるPRを行うことが大切だと思います。

 やはり、日本の国柄といいますか、日本人の、何といいますか、何か恩着せがましく、こんなふうにしたとか、うちがやったとかといつまでも言うという国民性じゃないものですから、そのときはすごく感謝されるんですけれども、その後、忘れられちゃうんですね。したがって、最近は、例えば、日本が造ったODAの空港は、空港ゲートを出たところに記念碑をちゃんと作ってもらうようにしました。日の丸と相手国の国旗を飾って、この空港は日本のODA事業で造りましたというのが、ゲートから出たら必ず見えるようにする。

 あるいは、カンボジアやラオスは、お札に日本のODA事業の橋や道路をちゃんと造ってくれていますよ。ついでに申し上げれば、このお札そのものを日本で刷ってあげたらいいんですよ。

 造幣局は、外国からの依頼があってそれをやっているんですけれども、日本の技術というのは、偽造防止技術が物すごく高いので、高いんですよ、一枚一枚が。したがって、言うならば、グローバルサウスの国で偽造されないお札を造りたいと思って日本に相談しても、高くて結局諦めちゃうんです。私は、これもODAでいいんじゃないんですか、日本で造った偽造されないお札をその国の国民が全員が使うって、こんないいODAはないんじゃないかと思っていまして、今までとは違った視点で、このグローバルサウスの皆さんとしっかりおつき合いをしたらどうかと思います。

 二つ目の声は、単なるインフラ支援やサプライチェーン協力の経済支援のみならず、日本とASEAN双方に真に利益となるGXの協力や、次世代自動車、航空機、宇宙など、新たな新産業創出のプロジェクトを一緒になって進めたいというものでした。

 例えば、タイでは、具体的な協力として、総理も御視察いただきましたが、日本の高等専門学校のシステムを輸出し、タイの高専をつくりました。物づくり人材だけではなくてDX人材の育成も行っており、アジア全体の新たな産業基盤を支える物づくりとDXを融合した人材育成が始まっています。

 もっとびっくりするのは、授業がタイ語、日本語、英語ですから、これは英語圏でも働ける、日本に来て働くこともできる、日本の現地法人でも働けるという、まさにそういったマルチ人材育成というのをやっております。

 党においても、日・グローバルサウス連携本部を設置し、今後、アジアやグローバルサウスなど、現地の課題解決を通じて新たな産業を共に育成していきたいと考えています。

 そこで、総理にお伺いします。

 ASEANとは、これまでもAZEC、アジア・ゼロエミッション共同体構想を進めてきましたが、これを更に加速化させていく必要があります。十二月に東京で開催される日・ASEANサミットの場で、ASEANを含めたグローバルサウスの皆さんと一緒になって新たな未来産業を創出していくことを大きく発信をしていくべきではないでしょうか。

 また、それを推し進めるためには、ASEAN全体を巻き込んだ様々なプロジェクトを現地でつくっていく必要があります。そのためには、日本がこれまで主導的に育ててきた、東南アジアにおけるシンクタンクであるERIAの更なる強化を進めていくべきだと考えますが、この夏にはデジタルセンターも開設をさせてもらいました。昨年の補正予算を使って、インドネシアですけれども、このERIAのデジタルセンター、大変大きく広いものができました。

 ここにアジア中の研究者が集まって、まさにスタートアップの拠点にもしていこうということを今考えておりますので、この点、経産大臣に改めて、この必要性についてお伺いしたいと思います。

西村国務大臣 お答えをいたします。

 まさに御指摘のように、日本とASEAN、共に未来を担う産業を育て、イノベーションを起こしていく、そのために、御指摘のERIA、これは日本とASEANが協力して、日本が主導してASEANとつくった経済研究センターでありますが、このシンクタンク、ERIAの役割は非常に大きいものがあるというふうに考えております。

 そうした中で、当然、今の喫緊の課題であるエネルギー分野の協力は当然なんですけれども、手短に三点、幅広い役割の中から申し上げたいと思います。

 一つは、様々な社会的課題を解決していく、そのためのイノベーションを起こしていくという中で、サーキュラーエコノミーであったりヘルスケア、こういったもののハブとなる、そうした取組を強化をしております。

 そして、その際に、まさに今御指摘のあった、データを使っていこうということで、データセンターを設立をしました。御指摘のとおりであります。このデータを共有し、連携をし、例えば、日・ASEANで、様々な産業のサプライチェーンもあります、この中でデータを連携して、更にそれを高度化していく、こうした取組を強化をしていきたいというふうに考えております。

 そして三点目に、まさに萩生田委員が取り組まれている人材育成、人的な基盤を強化をしていこうということで、公共政策に関する人材育成であったり、また、工科系の大学との人的ネットワークの形成であったり、スタートアップを起こすような、そうした産学官の連携、そうした若い人材の育成、こうした機能を、まさにプラットフォームとしての機能を強化していきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、日本とASEANで、未来を担うこうした産業、人材を育てていく、その中核的な機関として、ERIAの役割、大いに期待をしたいと思いますし、しっかりと拡充し、役割を果たしてもらいたいというふうに考えております。

岸田内閣総理大臣 ASEANとの関係ですが、委員も御指摘されましたアジア・ゼロエミッション構想ですが、これは、ASEAN各国の実情に応じた多様な道筋によって、経済成長を損なうことなくエネルギー移行を目指す、要は、一方的にこうしたエネルギー移行を押しつけるのではなくして、アジア各国それぞれ事情がある、それにしっかり寄り添いながら、このゼロエミッションを進めていく、こういった点で、これは高く評価されている構想だと受け止めています。

 こうしたAZECにつきましても、この十二月、日・ASEAN特別首脳会議、日本とASEANとの関係五十周年を記念して、東京で開催することを予定していますが、これと併せて、アジア・ゼロエミッション共同体首脳会合、これも開催し、そして、御指摘の東アジア・ASEAN経済研究センターへ、アジア・ゼロエミッションセンターを設置をしていく、こうしたことを考えていきたいと思います。

 このセンターを政策プラットフォームとして、ASEANとともにネットゼロに向けたビジョンをつくり、政策協調を進めていくことを考えているわけですが、今回の経済対策においても、こうしたASEANとの協調プロジェクト、これを具体化し、ビジョンを実現していく、そのために必要な施策を盛り込んでいきたいと考えています。

萩生田委員 今後のNTT法の在り方についてお尋ねをします。

 日本電信電話株式会社等に関する法律、いわゆるNTT法の在り方について、自民党政調会の中に私自身が責任者となるプロジェクトチームを立ち上げて、今、精力的に検討しています。この議論のきっかけは防衛費の財源の議論だったことから、防衛費のために国の貴重な資産を売るのかといった大いなる誤解が生まれています。これは全く違います。

 我々が議論しているのは、通信をめぐる技術や市場が大きく変わったにもかかわらず、旧態依然とした法体系がいまだ温存されている、これをどうやって時代に追いつき、更に先取りしていくかという観点に立って、世界に勝てる我が国の情報通信産業の育成、経済安全保障の確保、そして公正かつ公平な競争環境の確保、何よりも全国あまねく通信が提供されることなどを様々な角度から検討しているところでございます。

 まず一番目の、その財源については、これは、政府が持っている株を突然市場に出したら大混乱するに決まっているわけですから、仮に売却するとしても少しずつということになります。例えば、現在の持ち株を二千億ずつ売却をすると、二十五年、時間をかけて売ることができます。それだったら市場に影響を与えることはありません。外資に買われるんじゃないか。いやいや、国の株は直接NTTに売れば外資が介入する余地はないわけですから、そういう心配は全くないと思っています。

 それより、この法律ができたのは昭和五十九年で、当時は独占状況だったわけですから、少し規制をかけて新しい競争を生もうということは当然国も考えたわけですから、あれから長い年月がたって、おかげさまで新しいキャリアも出てきました。こういう人たちと公平公正な競争環境をしっかり残しながら、NTTとして今不具合があるとすれば、例えば、研究成果の公表、普及、これは、今、IOWNなどのような新しい技術の研究を始めましたけれども、出てきたものは全部公開しろといったら、これは何のために国費を投じて研究しているのか分からないじゃないですか。したがって、やはり時代に合っていないものについてはきちんと変えていこうというのが、今、我々のマインドであります。

 また、この売却益は、当初は防衛費を前提に考えたんですけれども、NTTの株ですから、やはり我が国の情報通信の研究開発に使うべきだという部分も多分にあるべきだと思います。あるいは、今後議論になりますけれども、ユニバーサルサービス、今のようなメタル電話を国のどこまでも引くというのはもう限界があります。衛星を使ったり、様々なツールを使いながらユニバーサルは確保していかなきゃなりませんし、もっと言えば、これからはまさにブロードバンドの世界ですから、ブロードバンドのユニバーサルについては、これはきちんと担保していこうと思っていますので、心配されることはちゃんと手当てしながら議論をしているつもりでおります。

 売却益の一部は、例えば、後ほど触れたいと思うんですけれども、デジタル社会のまさに川上にいるのは子供たちです、学校のタブレットを更新できるのかできないのか不安に思っている、こういうところにも使っていってもいいんじゃないかと思いますし、同じ防衛費でもサイバーセキュリティーなどの研究にこの費用を使っていくことも私は可能ではないかと思っておりますので、ここは幅広に考えていきたいなと思っております。

 そこで、間もなく党としても提言を取りまとめて、提言を踏まえてNTT法のあるべき姿について政府内で議論を加速していただきたいと思っています。

 改めて、私どもが取組をしておりますこのNTT法の改正、見直し、総理のリーダーシップで、世界に打ちかつ情報通信産業として育成すること、そして防衛財源も含めた税外収入の確保という難しい二つの課題を達成していくべきだと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、急速な技術革新によって情報通信の市場環境は大きく変化しており、NTTを含めた情報通信産業が一層発展するように、時代に即した規制に、規制を抜本的に見直す必要がある、この基本的な委員の認識に全く同感いたします。

 総務省の情報通信審議会においては、NTTが担う責務、そして株の政府保有義務の在り方、また外資規制の在り方など、様々な問題を検討した上で、関係事業者団体の意見を聞きつつ、多様な観点から議論が行われているところですが、是非、党においても議論を集約して提言を取りまとめていただきたいと思います。政府として、その提言を十分踏まえた上で、NTTの在り方に関する検討を加速させていきたいと考えます。

萩生田委員 これは待ったなしで頑張るべきだと思っております。是非、近いうちに提言をお出ししたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ちょっと時間がなくなってきちゃいましたので、防衛産業の件についてお尋ねしたいと思います。

 ざっくりお話ししますけれども、四十三兆円、今まで持ったことがない予算を持って防衛省は今頑張っています。頑張っていますけれども、私がずっと申し上げてきたのは、とにかく安全保障環境がこれまでになく厳しくなる中で、例えば無人機の活用、ハイブリッド戦など新しい戦い方がどんどん生まれる時代に、サイバー、宇宙、AI、量子、半導体など、民間の先端技術を積極的に取り組んでいくことが不可欠だということを申し上げてきました。

 そして、イノベーションを新たに生み出していくのはスタートアップです。自前主義じゃなくて、既に多くの予算が、実は、やはり安心感からですかね、大手の国内企業や海外企業のみに流れているのではないかという指摘もあります。安定した大企業や実績のある海外企業から物を買うことは理解します。しかし、果たしてそれだけで新たな戦い方や装備品にイノベーションを起こせるんでしょうか。防衛産業に新たな国内のプレーヤーが参入して装備を国産化していくという視点も非常に重要ではないかと思います。

 これは三回目の提案になりますけれども、国防総省、米国がやっているDIU、これは、スタートアップ専門の組織をつくって、スタートアップから民間技術を積極的に取り組もうとしています。日本は、早期装備化にこだわる余り、大企業や海外企業の調達を優先し、スタートアップからのイノベーションを取り組むことにちゅうちょしているのではないかというふうに思います。

 是非、この日本版DIUの必要性について、もうしつこいほど言ってきていますけれども、新大臣の下で決断をしていただきたいと思います。

 自衛隊装備や新たな戦い方にスタートアップの技術を取り組んでいくことは、装備の国産化の観点からも重要です。

 そこで、防衛省で思い切って、スタートアップを優遇する調達制度や、先端技術がどう活用できるか、スタートアップと伴走して技術開発を支援する枠組みを設けてはどうでしょうか。また、そうした枠組みを、スタートアップ支援のネットワークを持つ経産省を始め各省庁とも連携して、多くのスタートアップを巻き込んで実行に移すべきだと思いますが、防衛大臣の見解をお示しください。

木原国務大臣 委員から、防衛省とスタートアップとの関わりについて御質問いただきました。

 防衛省では、スタートアップ企業等と連携し、企業が有する先端技術を装備品に積極的に取り組むことで、新しい戦い方に必要な装備品の取得を進めているところであります。

 その一環として、防衛省は、経済産業省と連携し、本年六月に、防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会を設置することにより、防衛省のニーズとスタートアップ企業等とのマッチングを図るとともに、企業が有する先端技術の活用、育成について意見交換を行っています。今後、具体的なマッチングや支援策の取組の構築に取り組んでまいります。

 また、来年度に創設を予定している、いわゆる新たな研究機関においても、スタートアップ企業を含めた外部からのアイデアや、これまで装備品等として活用実績のない技術も積極的に取り入れていくことを検討しています。

 調達制度についても、技術力のあるスタートアップ企業を含む中小企業者等に対し、入札条件を一部緩和して参入促進に努めているところであり、今後も、政府全体の取組の中で、関係省庁と連携して積極的な取組を進めてまいります。

 先端技術を防衛目的で活用することが死活的に重要になっていることを踏まえ、スタートアップ企業等の有する先端技術を積極的かつ迅速に活用していくため、御指摘のように、あらゆる取組を進めてまいります。

萩生田委員 よろしくお願いします。

 日本の文化芸術、コンテンツ分野は、アニメや実写などの映像コンテンツや漫画、ゲームを始めとして、海外で高い人気を誇っています。日本経済を牽引する一つの成長分野として期待をされています。

 一方、足下の状況を見ますと、世界市場で第三位における日本コンテンツの存在感は、その他の国々の成長に押されつつあります。

 特に、近年、韓国コンテンツの成長は著しく、今年三月には、Kコンテンツ輸出活性化戦略を公表し、二〇二七年までに輸出額二百五十億ドルを目指すという方針を聞いています。韓国は、文化、コンテンツ分野を基幹産業の一つとして位置づけ、約二十年にわたって国家的支援を継続してきており、我が国としても、こうした事例を参考に、世界から評価される質の高いコンテンツを持続的に生み出すとともに、高付加価値、高収益のビジネスモデルとして所得の維持向上にもつなげるような戦略的な集中的支援、関係省庁を挙げての取組が必要だと思います。

 総理、韓国ドラマは見ますかね。出来がいいですよね。まあ、脚本ももちろんなんですけれども、非常に出来がいい。それはなぜかというと、やはり映像文化に対する国の姿勢が違うんですよ。

 例えば、日本のテレビ局や映画会社が空港で撮影をしたいといって空港会社に、国交大臣、申請をしますと、国交省にお伺いを立てるんですよ。そして、そのうち、脚本を見せろと言われるわけですよ。恋愛物で、恋人が別れて涙ながらにゲートを過ぎていく、こういうシーンはすぐ許可が出るんです。だけれども、殺人事件やテロはお断りなんですよ。

 私は、文化というのは、中身を精査するんじゃなくて、映像を作るということにやはり応援をしてあげなきゃいけないと思うんです。すなわち、日本では空港のシーンは撮れないよねとみんな思っているわけですよ。

 私が副長官で官邸にいたときに、ハリウッドの超有名な映画の第三作目の撮影の便宜供与依頼というのが来まして、関係省庁と話合いをしました。向こうから、ハリウッド側からの要請は、様々な税の優遇ですとか滞在期間中の便宜供与だったんですが、ゼロ回答でお返ししましたよ。それは、第三作目として日本で撮るはずの脚本をタイに変えて、そして興行収益百三十億ドルみたいな物すごい収益を上げ、そして、その撮影場所に多くの人たちが観光地として出かけるようになっているんです。

 あのとき、ちょっとばかりの税金を、うちはできないといって断ったために大きなビジネスチャンスを失った、収益を失ったと思っていまして、これは概念を変えていかなきゃいけないと思っています。

 例えば、韓国のドラマを見ていますと、公的機関を貸すんですね、空いているところは。申請はもちろんしてもらうそうなんですけれども、非常に短期間で貸すか貸さないかの判断をしてくれるので。そうすると、日本は、同じシーンを撮りたかったらセットを造らなきゃならない。なかなか役所の施設なんて貸してくれませんからね。そうすると、費用はかかって、しょぼい映像になって、なおかつ時間がかかるという、この状況から抜け出していかなきゃいけないと思います。本物を使わせることでリアリティーも出るし、国が主導してこのような様々な壁を取り除いた結果、成功を手に入れているのが韓国ではないかと思います。

 優良なコンテンツは、インバウンドによる地方誘客やソフトパワーによる外交の展開において強力な武器となります。日本への関心、日本文化への理解を醸成し、国家のイメージを形成し得る大きな力を有します。

 本年三月、岸田総理から、新たな資本主義の下、広い意味での日本の誇るべきクリエーターへの支援を検討するということについて表明をされました。

 党としても、今般の経済対策の提言に、次代を担うクリエーター、アーティストの育成や、文化施設の次世代型機能強化、複数年にわたり基金で支援する仕組みなど、コンテンツ産業等の海外展開やロケ誘致の推進を盛り込ませてもらいました。

 コンテンツ産業の振興に向けた総理の決意をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、コンテンツ産業、我が国の成長を牽引する存在であると思いますし、日本が誇るソフトパワーの海外への発信ですとか、インバウンド、さらには地方活性化などにもつながる重要施策であると認識をしています。

 そして、委員御指摘のように、自民党からも提言をいただいています。複数年にわたる支援、こうした点が重要であるという御指摘をしっかり受け止めて、クリエーター、アーティストの育成についても、複数年、弾力的に支援できるよう、基金も含め、支援制度を考えてまいりたいと思います。

 あわせて、文化施設の機能強化、文化芸術、そしてコンテンツの海外展開支援、そして大型海外映像作品のロケ誘致、こうしたものについても、政府を挙げて、関係省庁、連携しながら取り組んでいきたいと考えます。

萩生田委員 ありがとうございます。

 これ、やってみましょうよ、総理。できますよ、絶対に。

 最後、時間がなくなっちゃったので言いっ放しになるかもしれませんが、教育人材の確保でありまして、これは、本当に今現場で大きな問題になっています教員のなり手不足、こういったことも解消しなくちゃなりません。

 私の下で特命委員会をつくって、小学校高学年の教科担任制の強化、それから教員業務支援員、これはスクールサポーターです、これを全国の小中学校に配置しよう、そして副校長、教頭の支援員をつくろうということをお願いしています。

 確実に令和六年度予算で措置をすべきだと思っていまして、この三点を含め、特命委員会の提言を政府としてしっかり受け止め、実現をしていただきたいと思いますけれども、総理、最後に決意をお知らせください。

岸田内閣総理大臣 教師という存在、学校教育の充実発展に向けて欠かせない存在である、一方で、厳しい勤務実態の中にある、環境は大変厳しい、こうした認識の下に様々な取組を進めていかなければならない。

 党としても、様々な御提言をいただいていることをしっかり受け止めながら、我が国の教育の質の向上という観点から、是非、予算、あるいは働き方改革、処遇の改善、また学校の指導、運営体制の充実、さらには育成支援、様々な切り口から政府一体となって取り組んでいきたいと考えます。

萩生田委員 終わります。

小野寺委員長 この際、牧島かれんさんから関連質疑の申出があります。萩生田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。牧島かれんさん。

牧島委員 自民党の牧島かれんです。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 総理は、所信表明演説におきまして、変化の流れをつかみ取るということをおっしゃいました。まさに今、人口減少局面に入っています。生産年齢人口も減っている。私たちの毎日の生活の中でも、人手不足だなと感じる場面が増えてきました。デジタル化、やらなければならない。デジタルのツール、使いこなしていただきたい。ただデジタル化をするだけではなくて、DX、デジタルトランスフォーメーション、新たな価値を生み出していくということを意識しながら、デジタルに関連する質問から始めたいと思います。

 河野大臣は防災担当大臣もなさっておりました。そのとき、私、内閣府大臣政務官として、熊本地震で、短期間ではありましたけれども、政府現地対策本部長も務めました。

 熊本地震といって思い出すのは、やはり、本震だと思っていたものが余震だったというように、揺れが長く続いたこと、そして、高齢化率が高く、避難所の運営をたくさんのボランティアの方に助けていただいたこと、車中泊が多かったこと、指定された避難所ではなく自主的に避難された方も多かったので、全体の把握が難しかったことにありました。

 一方で、小さな村ながら、デジタルのツールを活用して、罹災証明書をいち早く住民の皆さんに届けようとしたところもありましたし、タブレットを避難所に配った最初の大きな災害だったと記憶しています。これにより、それぞれの避難所のニーズをきめ細かに聞き取ることができました。完全形ではありませんでしたが、防災・減災、災害対応掛けるデジタル、防災DXが重要であるということを私も痛感してきました。まさに、実証実験から、今、実装の段階に入ろうとしています。

 今週の月曜日、小田原で、避難所の運営にどのようにデジタルが貢献できるかという実験が行われました。午前中は今までのとおりのアナログのやり方で、午後はデジタルツールを活用する。両方、避難所運営をやってみて、どんな違いがあるのかというのも検証しています。

 避難所に入るときの入口で、今、通常、アナログで行われていますので、受付で紙とペンを渡されて、住所や名前と電話番号、連絡先を書くようにと言われることが多いです。お薬の名前を書いてくださいと言われますが、ふだん飲んでいるお薬の名前を覚えて書ける方はほとんどおられません。

 デジタルになるとどうなるのか。マイナンバーカードを持ってきていただいて、入口でピッとかざすだけになります。ふだんからお財布にマイナンバーカードを入れておいていただければ、四桁の暗証番号で本人確認はいたしますけれども、一人当たり、入所にかかった時間は二十五秒でした。紙、アナログを使っていたときの十分の一まで時間が圧縮されています。

 災害が起きたとき、被災された方は不安な気持ちで避難所に入られる。避難所運営に関わっておられる自治体の職員の方もまた被災者です。双方の負担を軽減するためにデジタル、テクノロジーを使いこなしていただくことが大事だ、そのように私自身は考えているんですが、まず河野大臣の御見解をお聞かせください。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 熊本の地震のときには、牧島さんに現地対策本部長として行っていただいたり、いろいろありがとうございました。

 今回、小田原で、神奈川県小田原市の協力をいただいて、実験を行いました。

 マイナンバーカードを使うことで、入所の登録も早くできますし、それと連携するアプリで、例えば様々なアレルギーであったり、薬を飲んでいるときにどういう薬を飲んでいるか、いち早く情報を収集することができます。また、それを災害対策本部その他と共有することができるということで、本当に、発災直後、様々なものを速やかに対応しなければいけないときに、デジタル技術を使うことで、対応を早く、そして情報を必要なところと共有することができる。そして、そういう医療情報を基にお医者さんの診察を受けていただくことで、安心感を得ることができたという実験の参加者、非常に多くなっております。

 デジタル庁としては、今、多くの自治体が様々なデジタルのアプリを独自に開発をしていただいておりますけれども、それを取りまとめてカタログとして提示をして、発災の前から、災害が起きたとき、直後、復旧復興の段階、それぞれ使えるデジタル技術、アプリというものをカタログにして提示をして、自治体が、抜けているところ、自分たちにとって必要なもの、これを選べるようにしていきたいと思っております。

 また、行く行くは、デジタルマーケットプレースのように、入札をしなくても必要なものが自治体にとってすぐ手に入るような、そんなシステムの構築もしていきたいというふうに思っております。

 マイナンバーカードを常に持っていただくことで、常時、自治体のいろいろなサービス、国のサービスを受けられるだけでなく、災害が発生したというような緊急時にも非常に有効に使うことができる、そういうことが確認できた実験だというふうに思っております。

牧島委員 ありがとうございます。

 デジタルマーケットプレースというキーフレーズも出てきましたが、カタログがあることによって、そこから自治体が必要なものを使えるようになっていく、その世界観、お示しできたのではないかと思います。

 また、データの移行というお話もありました。

 このシミュレーションでは、巨大地震の後に富士山が噴火するというシナリオがありまして、溶岩流が流れ着く可能性のある避難所というのが出てきます。この避難所に避難をされている住民の方はほかの避難所に移らなければならなくなるんですが、この被災された方の名簿もワンクリックで次の避難所に移行することができました。フェーズによって人は動いていきます。データも一緒に動かしていくということも大事になるということが確認されたと思います。

 また、医療のお話もありました。

 火山灰を吸ってしまって喉が痛くなってしまった患者さんがいるというシナリオに基づき、アプリで体調が悪いということを伝えていますので、ドクターが回診に来られます。そのドクターは、まず、患者さんに、お具合はどうですかと聞かれた後、マイナンバーカードをお持ちですかと尋ねています。御本人の同意に基づいてではありますが、マイナポータルにアクセスをすることで、御本人が持っている診療情報、薬剤履歴、特定健診のデータをドクターに見ていただくことができるようになります。これは、被災者であっても避難所であっても可能。

 もちろん、有事だけではなく平時であっても、患者さんが、国民の皆さんが自らの医療のデータをドクターや薬剤師といった医療従事者の方に見ていただくことができるようになったんだということが大事だと思っておりますが、厚生労働省の取組を武見大臣から御答弁いただきたいと思います。

武見国務大臣 マイナ保険証というのは、まさにアナログの社会からデジタルの社会に入るパスポートだろうというふうに考えております。マイナンバーカードを活用したマイナ保険証は、実際に、今御指摘のとおりの質の高い持続可能な医療の実現に、これから間違いなく不可欠になってまいります。

 マイナ保険証は、御指摘の、患者本人の薬剤情報や特定健診情報などをしっかりと活用して、他の医療機関や他の薬局でその情報をきちんと確認することによって、重複投与であるとかあるいは併用禁忌といったようなものを確実に回避することができるようになります。

 また同時に、昨今は医療技術が非常に進歩してきて、特に抗がん剤治療などは、外来で行われるようになりますと、一回の外来で既に高額療養費をはるかに超えてしまいます。そういうときに、高額療養費に関わる限度額認定証をわざわざ持っていかなくても、マイナンバーカードがあれば、それで実際に支払い免除額が免除された金額だけを払えばよいというふうになりますので、極めて重要なメリットがそこに見出すことができると思います。

 こうしたメリットをより多く国民の皆様に実感をしていただいて、とにかくマイナ保険証を一回使ってみませんかというキャンペーンをやって、そして、多くの医療関係団体の人たちにも、あるいは保険者の皆さんにも御協力をいただいて、幅広く、まずは一回使ってみて実感を持っていただくということがとても必要だ、そのまず第一歩を我々としてはしっかりと踏み込んでいきたいと考えているところでございます。

牧島委員 今、一度使ってみませんか、マイナ保険証というキャンペーンを厚生労働省さんの方で進めておられると御説明がありました。使っていただけば、自分の医療の質を高めるために、健康につながるんだという実感を持っていただけると思います。

 医療機関、診療所、クリニックなどで、マイナンバーカードのカードリーダーがあるのにもかかわらず、受付で紙やプラスチックの保険証をお持ちですかと聞かれる場面があります。もったいない、そのように感じています。是非、引き続きのキャンペーン、多くの方に知っていただきたい。お願いを申し上げます。

 次の質問は、総理にお尋ねをいたします。

 いよいよデジタル行財政改革がスタートいたしました。デジタルで機動的な行政を行っていく、財政改革にもつながるデジタル行財政改革ですが、新しいコンセプトなので、まだイメージがつかみにくいという方もいらっしゃるのではないかと思います。

 私自身は、このデジタル行財政改革の肝は、国と地方の関係が変わってくるということにあると思っています。もちろん、地方自治や地方創生はとても大事なことです。一方で、デジタルの文脈で申し上げれば、それぞれの地方自治体にデジタルの専門家はそんなにたくさんおられません。そういう中で、調達を考える、契約をする、そして仕様書も書かなければならない、見直しをしなければならない、大変な御苦労が生じています。

 であるならば、千七百四十一の自治体がそれぞれゼロからつくるのではなくて、いいものを、質の高いものをみんなで使っていく。それによって、住民の皆さんにはより早くサービスをお届けすることができる、そしてコストも下げることができる。ここがデジタル行財政改革の中の目指す一つの柱になっていると思うのですが、総理の御見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 私も、今年の夏、群馬県、それから福岡県、視察をさせていただき、車座対話をさせていただきました。その際に、高齢化や人手不足で悩む中にあっても、デジタルの力を使って行政サービスの質を高める取組、そして、利用者の方々にも直接お話を聞かせてもらいました。

 教育や交通、さらには介護など、様々な分野でデジタルの力を活用し、利用者起点で行財政の在り方を見直す、これは、人口減少が進んでいると指摘をされている我が国にとって、子供、子育て政策と併せて、デジタルを使ってこうした課題に取り組んでいく姿勢、これは何といっても大事な取組であると考えます。

 その際に、規制や制度の改革、あるいはEBPMを活用した予算事業の見える化等を考えていくわけですが、その中で大変重要なポイントとして、国と地方の役割分担ですとか、あるいは地方においても、共同調達ですとかシステムの共通化ですとか、やれる可能性のあることがたくさんあるんだということも痛感しています。

 是非、令和版の新しい行財政改革ということで、デジタルを使って、スピード感を持ってこうした取組を進めていきたいと考えています。

牧島委員 ローカルルールというものがあることによって、事業者の方々がそれぞれの自治体に違うフォーマットで提出をしなければならない、書類をそれぞれの自治体に向けて作らなければならないといったような負担も生じていますので、それも全廃する方向で御議論いただきたいというふうに思っています。

 カタログがあって、そのカタログからそれぞれの自治体の人口規模や住民のニーズによって一番いいサービスを、質の高いものを選ぶことができるという基盤が整いつつあります。既にデジタル庁ではテクノロジーマップというものも作りました。アナログ規制をテクノロジーに置き換えていく法律も成立をしています。

 今まで、アナログの時代ですと、目視をしなければならない、常駐である必要がある、対面でなければならない、そうした規制があったわけですが、私たちの国、日本にはいろいろな技術がある、テクノロジーがある、これを使えば置き換えることができます。目視点検は、AI、ドローン、カメラ、センサーに置き換えられる。

 この将来像を示すことによって、スタートアップの支援にもつながっています。人口が減っていく中、人手不足に苦しんでおられる現場がある、その現場の負担の軽減にもつながる。これによって経済的な効果も、プラス、出てきていますし、さらにはGDPに対して、市場拡大によってのプラスの効果もある、ダブルの経済効果が出てきているはずです。

 ここは河野大臣に、どれぐらいの金額で経済効果、プラス、出てきているのか、額でお示しをいただきたいと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 アナログ規制を見直すことで、コスト削減額、およそ二兆九千億と推計されております。また、GDPはこれによって三兆六千億増えるだろうという推計になっております。

牧島委員 足し合わせれば六・五兆円ぐらいの規模の大きなインパクトが、アナログからデジタルに、テクノロジーに置き換えることによって出てきたというふうに考えられています。

 デジタルを使えば便利になるということは分かったけれども、サイバー攻撃が心配だという不安の声も同時に上がってきています。だからこそ、サイバー空間のレジリエンス、強靱化というものが大事であるというふうに考えます。

 サイバーセキュリティーで大事になってくるのは、私は三点あると思っています。平時と有事の境目がないということ、そして、一つの国では守り切れませんので国際連携が大事になってくるということ、民間の知見も取り入れていく。こうした三点を重視して、日本でも取組を強化していただきたい。もちろん、セキュリティークリアランスの法案の成立など、併せて行わなければならないこともつけ加えておきたいと思います。

 アメリカでの事例を一つ御紹介申し上げます。アメリカには、CISAという、サイバーセキュリティー社会基盤安全保障庁という組織があり、ここでサイバーセキュリティー全般を見ていますが、そこでJCDCというプログラムを持っています。ジョイント・サイバー・ディフェンス・コラボラティブ、ジョイントで、官民連携で力を合わせてサイバーセキュリティーを考えていくというプログラムです。

 これはアメリカのプログラムではありますが、日本の企業も参加をしています。本来は、これに倣って、日本でもグローバル企業の知見を生かしていく、国際連携を強化していくということが重要だと思っていますが、河野大臣の御所見をお聞かせください。

河野国務大臣 JCDCの取組、非常に重要だと思います。日本でも、サイバーセキュリティ基本法に基づきまして、二〇一九年四月からサイバーセキュリティ協議会というものを立ち上げて、官民のインフラを守っていくため、官民の間での情報連携、情報の共有というのをやっております。この中で、サイバー攻撃に関する情報をしっかりシェアをしたり、その防御に必要な情報の共有というのを図っているところでございます。

 また、NISCの方では、各国のサイバーセキュリティーに関する関係当局との国際的な連携を深めているところでございまして、NISCの努力、それから、サイバーセキュリティ協議会に、これは官民で情報を共有しながら、しっかりと日本の重要インフラの防御をやってまいりたいというふうに思っております。

牧島委員 ありがとうございます。

 今まさに拡大NISCと言われているものの議論が進められているところだというふうに理解していますが、NISCにはレガシーがあります。それは、官民の連携、プライベートセクター、民間セクターからの信頼も寄せられてきた組織であるということ、そして、国際連携の歴史も持っているということ。このNISCのレガシーを是非生かしていただきたいということも併せてお願いを申し上げます。

 続いて、官房長官にお尋ねをいたします。情報戦についてです。

 私たちは、情報戦、認知領域というものに対しての備えを強化していかなければならない時代に入りました。ディスインフォメーション、意図的に虚偽の情報を流布するようなものに対して対策を取らなければならない、警戒をしなければならない。国際的にもそのような体制を今つくられているところになります。

 フェイクニュース対策やディスインフォメーション対策というのは官邸国際広報室が担っておられるというふうに理解しておりますが、どのような取組を進められているのか、対策についてお聞かせください。

松野国務大臣 牧島先生にお答えをさせていただきます。

 偽情報の拡散は、普遍的価値に対する脅威であるのみならず、安全保障上も悪影響をもたらし得るものと認識をしております。

 昨年十二月に策定された国家安全保障戦略を踏まえ、四月に私から発表をしたとおり、外国による偽情報等の拡散への対処能力を強化するための体制を内閣官房に整備することとしました。

 この体制において、官邸国際広報室は、内閣広報官の下で、国家安全保障局、外務省、防衛省を含む関係省庁と連携して、内閣情報官の下で収集、集約、分析される外国からの偽情報等に対する正確な情報発信等を実施します。

 内閣官房としては、官邸ホームページ、SNS等を通じた正確な情報発信に努めてきており、そうした取組を強化していく考えであります。

牧島委員 今、官房長官から取組を強化していくという御答弁がありました。引き続き、更なる対策を進めていただきたいとお願い申し上げます。

 次は、加藤大臣にお尋ねをいたします。

 こども家庭庁、次元の異なる子供、若者真ん中政策を進めていくということで、大きな期待が集まっています。今まさにこども大綱の準備に入られているところだと思いますが、子供たちの声、若者の思い、どのようにこの大綱に組み入れていくのか、施策をお話しいただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども大綱は、本年四月に施行されたこども基本法に基づく我が国初の大綱であり、岸田総理を長とするこども政策推進会議で案を作成した上で、年内をめどに策定することとしております。現在、岸田総理からの諮問を受け、こども家庭審議会で調査審議が進められており、九月末には答申の中間整理が公表をされました。これを基に、子供、若者、子育て当事者の意見を聞く取組が行われております。

 具体的に申し上げますと、小学生から二十代までの子供、若者から政策に対する意見を聞く枠組みである「こども若者★いけんぷらす」、それを活用した対面、オンライン、チャットでの意見聴取や、障害児支援施設、児童養護施設などに出向いての意見聴取、さらには、子供、若者向け、子育て当事者向けの公聴会、子供、若者を対象としたパブリックコメント、子供、若者団体からのヒアリング、十六歳から四十九歳までの一万名以上を対象としたインターネットを通じたアンケート、これまでにない様々な方法で意見聴取が行われております。

 それらの取組の中でいただいた御意見につきましては、こども家庭審議会の答申に適切に反映するとともに、その内容を子供、若者や子育て当事者の皆さんにフィードバックをすることとしております。

 子供や若者、子育て当事者の目線に立ったこども大綱を子供、若者、子育て当事者の皆さんとともに作ってまいりたいと思います。

牧島委員 大きな期待が寄せられていると思います。

 いろいろなツールを使って、対面だけではなくオンラインでも子供たち、若者の声を聞く、そして、児童養護施設のようなところには赴いて丁寧に声を聞き取っていく。是非、一人一人の声が反映されるこども大綱になるように期待しています。

 あわせて、一人親家庭のお子さん、低所得世帯のお子さんの学びの継続ということもサポートする必要があると考えています。

 特に、進学の環境を整えていくために、既にこども家庭庁でも取組の議論が始められているというふうには報道も見ているところではありますが、加藤大臣の思いを込めて、この施策はどのような意義があるのか、改めて御説明をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、家庭の経済状況が理由で学校生活が制約されたり進路が狭まったりすることなく、全ての子供が夢や希望を持ち、挑戦できるような環境を整えていくことは大変重要だと考えております。

 このため、こども家庭庁におきましても、こどもの生活・学習支援事業の推進などに取り組んできたところでありまして、とりわけ、貧困の連鎖を防止する観点からは、学習支援を行う中で、進学を目指す子供の挑戦をしっかり後押しすることが重要であると考えております。

 今回の経済対策に向けて、ただいまいただいたような御提言も踏まえまして、御党から学習等の支援強化についても御提言をいただいておりますので、これらを踏まえて、具体的な対応を引き続き検討してまいります。

牧島委員 どのような環境下にあっても学びを止めない、進学をしたいという希望をかなえていく、夢を持つことができるように、引き続きの取組の強化をお願いしたいと思います。

 最後の質問を総理にさせていただきます。

 女性活躍についてです。

 自民党の党改革実行本部においても、女性議員の育成、登用プロジェクトチームを立ち上げて基本計画を作ることになりました。

 ジェンダーギャップ指数がなかなか日本が上がらない。その理由の一つは、政治の現場における女性の割合が低いことにある。自分たち事として私たちも捉えています。私たちの現場も努力をいたします。

 既に女性版骨太方針も出されておりますので、総理の女性活躍にかける思いをお聞かせいただきたいと存じます。

岸田内閣総理大臣 女性の方々の活躍を通じて、多様性を確保し、また、イノベーションを進めるなどを通じて、包摂的な社会をつくっていく、さらには、新しい資本主義、経済も成長させていく、こうした取組は大変重要であると思っています。

 先ほどデジタルの部分で車座の話をさせていただきましたが、それ以外にも、製造業ですとか酪農、あるいはサーキュラーエコノミー、介護、物流、さらにはスーパーなど、様々なテーマを通じて全国を回り、車座対話等を行わせていただきましたが、どこへ行っても生き生きと働く女性の皆さんにお会いし、大変刺激を受けた、こういった経験をさせていただきました。

 そして、委員御指摘のように、女性版骨太の方針二〇二三、これに基づいて、多様な働き方や女性デジタル人材育成などのリスキリングの推進、また、様々なニーズに即した形で所得向上、経済的自立に向けて取り組んでいく。また、十月からスタートした年収の壁・支援強化パッケージの着実な実施、また、プライム市場上場企業においては、ルール化された、二〇三〇年までに女性役員比率を三〇%以上にする、この目標実現に向けた取組のフォローアップをすることによって、女性登用の加速化を進める。

 こういった取組、是非、政府一丸となって、経済成長の好循環も含めて、日本の活力を盛り上げるためにも、取組を実現していきたいと考えております。

牧島委員 多くの場面で女性の皆様の声を総理が聞かれてきたということが御紹介がありました。一人一人が持っている潜在力、能力が存分に発揮できる社会構築に向けて、引き続きよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

小野寺委員長 この際、小泉進次郎君から関連質疑の申出があります。萩生田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 おはようございます。小泉進次郎でございます。

 今日はまず、通告は、一点目はないんですけれども、改革ということについて一言触れたいと思います。

 今回、代表質問を聞いていまして、立憲民主党の泉健太代表が、国会改革を進めましょう、そういう提言をされました。総理は、変化の流れをつかみ取ると。この改革の種類の中にある、野党の皆さんが言い出さなければ大きな流れは生まれないのが国会改革です。

 その中で、私は、今国会で国会改革を是非前に進めていただくためにも、これは総理の立場だとなかなか国会との関係は難しいですけれども、総裁の立場として、幹事長、そして国対委員長、今回、国会改革をせっかく野党第一党の泉代表が言ってくれたわけですから、是非進めていただけたらと思っています。

 ちなみに、私は閉会中に野党の方の本を読みました、若手の議員の方々が書いた本。質問時間があなたはあと何分です、あと五分で終わります、この紙出しの方々が前にいます。こういうこともやめたらいいんじゃないですかということは野党の方は言っていました。

 確かにそのとおりですよね。私の前に二つ時計。あそこ、ここ、そしてこっち。委員長の前、速記の方のところ。こんなに時計があるんですから。河野大臣が、デジタル改革、行財政改革、それで紙ですか。(発言する者あり)ちっちゃいことですけれども、野党の方が言っているから。それも一つのことだなと思いますね。

 そして、今日、私、この質問に立つ前に、パネルをあなたは使いますかということを、国対、委員部、何とうちの事務所に五回確認の電話がありました。こういう働き方を強いているのが国会なんです。

 今日、後ろに並んでいる国家公務員の皆さん、官僚の皆さん、とてつもない作業をして今日臨んでいます。そういったことを含めたら、我々国会から見せていくところはいっぱいあると思います。

 上川大臣、今日、質問ゼロです、今のところ。イスラエルの問題、ロシア、ウクライナの問題、グローバルサウス。先ほどNHKが流しましたけれども、中国が、李克強前首相が亡くなられたと。今いろいろな国際情勢が本当に不透明な中で、九時から一時間半、ずっと座っている必要はあるんでしょうか。

 そういったことも含めて、我々の中から見せていかなければ、国民の皆さんに、働き方改革、DX。

 そして、私は、国会の車だって、近所しか行かないわけですから全部EVでいいじゃないですか、走行距離は長くなくていいんですから。

 そういったことを、野党の皆さん、国会改革を言っていただいているので、是非変化の流れをつかみ取っていただきたいと思います。

 もし一言あれば、総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 変化ということについての御指摘、全く共感を持ちながら話を聞かせていただきました。

 本当に、世界も日本も大きな変化にありますが、考えてみると、私たちの身の回りにおいても、これは変化しなければならないと誰が考えても思うことはいっぱいあるんだなということだと思います。野党の皆さんだけではなくして、与野党問わず、やはり、それぞれが思うことを国会運営の中でも変化につなげていく、こういった姿勢は大事だと思います。

 是非、そういった声をどうやって酌み取るのか。これは、みんな思っているけれどもなかなか酌み取られてこない、何十年も続いてきた慣行というのはいっぱいあるわけです。ですから、そういった声をどう酌み取るのか。これを、議運なのか、どこなのか、こういった具体的な仕掛けを考えていただくことも大事なのではないか、こんなことも感じながら聞いておりました。

小泉(進)委員 ありがとうございます。是非、そんな仕掛けを党の執行部の方にもお伝えいただけたらと思います。

 改革の一つで、今日まず取り上げたいのは、今、世の中の皆さんは移動に困っている。タクシーが足りない、バスが減便、若しくは大阪などでも今年中に廃止。そういった地域がいっぱい出てきている中で、まずはタクシーに対する不足感をいかに解消していくかということで、改革の一つを今日の委員会の質疑の中でも前に進められればと思います。

 今、総理は、まだタクシー、もう乗られないと思いますけれども、東京のタクシーは、実は、二種免許を持っているだけではドライバーさんは営業運行できません。実は、地理試験という、あなたは地理に詳しいですか、紙の試験で、どこからどこに行くまでのルートはどうですか、この地理試験を合格、八十点以上取らなければ、東京のタクシー運転手としてドライバーは握れません。そして大阪も同じです。そして神奈川県の、私の地元でいえば横須賀、三浦、横浜、川崎、この四市。この地区は、全国の中で、東京、大阪、神奈川、ここだけに地理試験という二重規制がかかっているわけです。タクシーが足りないと言っているのに。しかも、今の時代、我々タクシーを利用させていただく側が、運転手さんに、スマホでここまで行ってくださいというふうに、我々が運転手さんを御案内するような機会が増えているにもかかわらず、地理試験、本当にこれからもやり続けるんでしょうか。

 そんな思いを持っているタクシーの業界の皆さんと、先日、一緒に国交省に要望に行きました。タクシーの、ハイヤー連合会の会長、川鍋会長とともに、斉藤国交大臣のところに、この地理試験の廃止を要望に行かせていただいたんです。

 私の地元横須賀でも、タクシー会社に聞いたら、地理試験に受からずにドライバーになれないのが二人いると。全国でも一回目で受からない方は結構いるそうです。今すぐ廃止したらどうですか。そうしたら、あしたから少なくとも二人は増えますよ。国交大臣、いかがですか。

斉藤国務大臣 昭和四十五年にできた法律に基づいて、地理試験、全国で、東京、大阪など十三か所で行っております。

 しかし、現在、地図アプリとかカーナビとか非常に発達した時代でございます。時代に合ったやり方を、地理試験の在り方について、限定せず、廃止も含めて、早急に検討させていただきたいと思います。

小泉(進)委員 廃止も含めてということで、大変前向きな御答弁をいただきました。

 松村国家公安委員長にもあります。

 この地理試験の廃止にとどまらず、二種免許の改革も不可欠です。

 二種免許を取っている方は、実は国会議員の中でもいるんですね。それで、二種免許の今の現状を聞いてみますと、八日間の講習が定められているんですけれども、八日間どんな講習をやっているのかを見ると、八日間やることが目的化していて、短縮しようと思ったらできる中身になっているんですよ。にもかかわらず、タクシードライバーさんになるために八日間を費やすというこの負担があります。

 この短縮化。そして更なる、二種免許で、時代に合った、テクノロジーに合った形での合理化。今すぐやれば、法改正も必要ないですから、地理試験の廃止と同じように、タクシーの供給力を迅速に増やすような改革につながりますが、これは警察が動かなければできません。国家公安委員長、いかがですか。

松村国務大臣 お答えをいたします。

 指定の自動車教習所における技能教習に係る一日の教習時間につきましては、教習生の疲労度や教習内容が定着しているかについてアンケートを行うなど、実践教習を伴う調査研究を行った上で定めているところでもあります。

 一日当たりの教習時間の拡大を検討することは否定するものではありませんが、その場合は、改めて教習の効果への影響を把握するために必要な調査分析を行った上で判断することになると考えております。

 ただ、委員御指摘の部分というのは検討の余地があると私も考えております。

小泉(進)委員 国交大臣の答弁に比べると比較的慎重だなという感じはしましたけれども、これは是非、国家公安委員長、事務方だけではなく、実際に受けている方の話を聞いてください。

 一日にこれ以上ドライブをしたら疲れますから、講習は、ドライブをするのは三時間だけですとか、そういうようないろいろなことを言っているんですけれども、実際、タクシーの運転手さんになったら三時間どころじゃないんですから。本当に非合理的な理屈がいっぱいありますよ。これは誰を守ろうとしているのか。

 私は、よく、しっかり話を聞いていただいて、二種免許の改革も前向きに、次世代の人たちに向けて取り組んでいただきたいと思います。これは年内にすぐできると思います。よろしくお願いしたいと思います。

 このようにタクシーの過剰な規制を改革をすると同時に、今、話題となっているライドシェア。これも今日、せっかく土俵に上げてくれた、総理の決断によって上がったわけですから。渡辺博道先生もいらっしゃることですし、タクシー議連の皆さん。そしてまた、ライドシェアを誤解をしている方々。そして、白タクとライドシェアって何が違うのか。いろいろなことを、前向きに一致点が見つかるような時間にもなればなと思っているんです。

 それでは、まず総理に確認をしたいのは、総理が今回テレビ番組にも出られて、ライドシェアの議論を早急に進めてもらいたいというお話をされています。

 まず、早急にということで、一つの、中間報告なのか出口なのか、スケジュールはどのような感覚でいらっしゃいますでしょうか。もしこれが河野大臣だったら河野大臣でも結構ですけれども、スケジュール感、教えていただければと思います。

岸田内閣総理大臣 ライドシェアの問題については、まず、世界各国でライドシェアと称して様々な制度があります。ただ、その中にあって、少なくとも我が国は、各国と比較して、制度自体、先進的かと言われると、これはかなり限定された条件の中で限定した地域において行っている、こうした状況にあるからして、今の様々なニーズを考えると、これを本格的に制度を考えなければいけないということで、改めて議論を指示したということです。

 まず、私の方からこの議論を指示させていただき、今月十一日にデジタル行財政改革会議を立ち上げた際に、この議論を指示し、そして、早速十六日から議論がスタートしたという状況であります。これを河野大臣に頼んだということです。

 十六日から始まって、ここから先については担当大臣の方からつけ加えてもらいたいと思います。

河野国務大臣 今、総理からもお話がありましたように、十六日から議論をスタートさせております。

 自動運転、タクシーの規制改革、ライドシェア、この三点で地域の足を確保していきたいと思っておりますので、まず、年内に御報告できるところまで何かしら取りまとめをしたいというふうに思っております。

小泉(進)委員 年内に御報告ということでした。

 まず、年内に、やはり、双方、慎重になっている立場の方も推進すべきだという立場の、私もそうですけれども、やはり同じ、共有する認識というのがまず必要だと思うんですね、土台が。

 ライドシェアってそもそも何なんだということで、ライドシェアの定義なんですが、国交大臣。

 実は、国交大臣が四月に、これは国交委員会でライドシェアの定義についてこう述べています。いわゆるライドシェアにつきましては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としている。

 つまり、今そんなライドシェアがないんですよ。ここがまず認識を合わせることなんですよ。国交省が言っているライドシェアの定義、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないまま、自家用車のドライバーが運送責任を負っている形態のライドシェアは、いわゆる初期のライドシェアなんです。

 そして今、海外で走っているライドシェアは、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置いて、自家用車のドライバーが走っている。

 そしてかつ、これも私もいろいろな方と議論をして思ったことは、国会と霞が関の中でライドシェアを使ったことがある人が本当に少ないです。使ったことのある人と使ったことのない人で、認識が全然違います。

 驚いたのは、ライドシェアはドライバーが誰か分からないと思い込んでいる方が結構多いということです。とんでもないですね。誰が運転しているか、何回運行しているか、それも全部分かります。

 そして、ライドシェアイコール安全じゃない、これも私は違うと思います。なぜなら、タクシーは、酔っ払いとか暴行とか暴言を吐く人とか、嫌なお客さんがいたら拒否できますか。タクシーはできませんよね。ライドシェアはできますから。お客さんのことを評価できますから。

 そういったことも含めて、認識がずれているところを、まず共有する土台をつくって、さあ制度設計をどうしようか、こういったことをやっていく。ライドシェアの是非というところから、岸田総理の発言によって、ライドシェアの安全な運行ができる形の、日本のライドシェアをどういうふうに制度設計をするかということの早急な検討の指示が河野大臣に下りたというのが今なんです。

 なので、このライドシェアの定義、これは改めて国交大臣からもお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 前国会での私の発言は、あの発言の後に、責任を持たない、そういうものをライドシェアというのであれば安全、安心上の課題があります、このように最後まで続いているわけでございます。

 ライドシェアの問題は、一点は自動車が安全であること、運転手が安全であること、事故が起きたときにちゃんと責任が取れること、この三点が非常に重要だ、このように思っております。

 ライドシェアの定義ですけれども、一般的に、アプリ等で自家用車、ドライバーと利用者をマッチングさせ輸送サービスを提供するものであると考えておりますが、決まった定義はなく、海外では様々な形態で運営されているものと認識しております。

 この三点についての安心、安全、これがポイントだと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 なので、先ほどの私が紹介した斉藤大臣の発言の後に、今こういう発言が、それがライドシェアならばということがあるんだという話でしたけれども、つまり、安全な運行管理責任を負わないままに、主体を置かないままに運行しているというのであれば、それは駄目だけれども、そうでなければ、それは、ライドシェアと呼ぶかどうかは別として、前向きに進められるということだと思います。

 このライドシェアの議論で私が大事だと思っていることは、これは単純に、世の中に出回っている公共交通などの数が足りないから、足りない部分をやるんだという発想ではないということが大事だと思います。

 私はオーストラリアでライドシェアを利用しました。そのときに、改めて、車種も自分で選べること、そして評価もできること、また評価もされること、いろいろ自分が使うと分かります。

 そして、せっかくですから、乗ったときにドライバーさんにいろいろお話を聞きました。一人の方は六十代の男性の方で、六年間ライドシェアのドライバーをやっていますと。では、その前は何をやっていたんですかと聞いたら、七つのレストランを経営していた。だけれども、全部それを売っ払って、引退生活に入って、もう悠々自適だということを考えてその生活をしてみたら、こんなに人生がつまらないとは思わなかった。やることがない、テレビを見ている、人とも話さない。それで、自分が六十歳を超えて何ができるのかなと思ってみたら、ライドシェアのドライバーだったらできる。それで始めてみたら、手取りは五〇パーぐらいだけれども、ダイナミックプライシングですから、観光で人が来るシーズンは結構稼げるし、お客さんとも話せるし、これはいいなと思ってやっていると。

 私は、この経験をしまして、日本にないのはこういう選択肢だなと思いました。つまり、人生百年時代、例えば六十代で勤めを終えて、日本でお勤めしている方が自分で稼げる選択肢、そして、自分が空いている時間を自由に、何時間やるかは自分が決めた上で働ける選択肢が日本には余りにも少ないと私は思いました。

 それを導入する一つが、よく言われるシェアリングエコノミーがそうなんですけれども、その新しい経済社会をつくるという一つの発想と、今までのタクシー行政のように需要と供給を見極めてタクシーの台数を入れる入れないという発想ではなく、新たな需要を創出をするというその観点がなければ、私はなかなかこれは成功しないというふうに思います。

 なので、こういう認識を基に、まさに岸田総理が言っている新しい資本主義の一つの形、これがこの議論の大事なところなので、今日はこういうある意味基本的なところで、これからの具体的な制度設計、まさに保険をどうするのか、ドライブレコーダーの義務をどうするのか、そしてまた車検を、海外のライドシェアは車検を毎年やっています。同じようにやればいいと思います。だから、どういう形だったらいいのか、これを、建設的な議論が進んでいくことを期待をして、今日はライドシェアについてはこれで終えておきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 総理、昨日、トヨタの豊田章男会長とお会いされたと思います。ニュースを見ましたら、電気自動車についても日本がどのように勝つかを考える、そういう話にも発展したという豊田会長のコメントが報じられていました。私はそれを見てうれしかったです。そこまで前向きに、これから日本の自動車産業の電動化、構造改革、産業構造転換、これが進んでいく可能性が出てきたなと。

 ただ、そのためには、今続けているガソリン補助金、総理は春までというふうに言いましたが、私は、明確に出口戦略を語ることが結果として脱炭素に対する本気の投資を呼び込むと思いますし、企業の行動が加速度を持って進むためには、春までというのが、当然の解釈なんですけれども、五月以降は同じ形では続けない、そういうことだと改めて世の中に示した方がいいと思っています。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、EV車、電気自動車ですが、これについての発言に委員の方から触れていただきましたが、日本の自動車産業において、やはり、あらゆる選択肢をしっかり確保した上で自動車産業について考えていく、こういった基本的な姿勢は、私は、G7のサミット等においてしっかり確認した上で、その中で、EVについても日本は決して負けない、そうした体制を官民でつくっていこう、こうしたことを確認した次第です。

 そして、ガソリンのみならず燃料油の激変緩和措置について、来年春まで続けるということについて御指摘がありました。

 まず、先ほど萩生田政調会長とのやり取りの中でも申し上げましたが、これは、これから日本の社会を完全にデフレから脱却させて好循環を実現していく中にあって、物価に負けない支援をしなければいけない、こういった取組の一つとして用意をしています。ですから、経済を新しいステージに押し上げるために、今、国民生活を守るための支援の一つとして用意しているわけです。

 ただ、それがおっしゃるように脱炭素等に影響する部分がある、こういった御指摘は従来から受けてきました。まずは国民生活を物価高騰から守るために、要は、物価高騰に負けない賃上げが実現するために様々な手段を用意しなければいけない、その一つとしてこれは大事だと思っておりますが、従来からこの脱炭素の関係の指摘はあります。

 ですから、状況をしっかり見た上で、そして何よりも賃上げ、より一層の賃上げを実現することによって、こういった下支えの出口戦略をしっかり考えていかなければならないと思います。

 是非、来年に向けて賃上げや投資、こうしたものを一段と押し上げていく、好循環が実現する、そして新しいステージに日本の経済を押し上げることによって、御指摘の点についても出口戦略を明らかにしたいと思っています。

小泉(進)委員 今、イスラエルの問題もいろいろありますから、来年若しくは年内にもそうかもしれませんが、更なる石油、燃油市場の様々な変動という可能性は決して否定できない状況にあると思います。なので、来年、何が何でも絶対やめるんだということを必要とは私は言っていないんです。

 ただ、今のレベルのガソリンに対する支援というのは、同じ形でやる必要はないんじゃないですか。仮に、来年の春のときに、いろいろな国際情勢のときに何かが必要であれば、対象を絞った形で、新しい形でやることを考えるということも一つだと思うんです。要は、脱炭素に対する明確なコミットメントを早く示さないと、なかなか産業は動かないと思います。

 現実に、最近、私は、日本の中で会社としてEVを最も多く保有をしている会社の一つ、アストラゼネカに話を聞きました。今、一千台、会社の車として保有しています、EVを。ハイブリッドをEVに替えたそうです。それで、燃料費がどれぐらい会社のコストとして下がったかと聞いたんです。一台当たり四千三百八十円、月当たり。一千台ですから、四百三十八万円、月。年間約五千万円コストが下がっています。

 そして、日本の中で一番EVを保有している会社はどこかというふうに調べたら、日本郵政です。約千六百台。その次がNTTで、大体千二百台ぐらい。そういう企業がそのような企業行動を取る、そのインセンティブの一つは、ガソリンが高いからです。

 日本は、オイルショックのときも、ガソリンが高くなって、これだけ原油市場に左右されるような日本の経済構造を変えなければ立っていられないということで、オイルショックから、燃費のいい車を造って、自動車産業は頑張りましたよね。

 だとしたら、世界の中でこれからガソリン車の需要は今ほどはなくなるのは明確なんですから、産業構造の転換が、トヨタも日産もその他メーカーも含めて、日本の雇用を守るということに四苦八苦しながらやっているのが苦しいとしたら、TSMCとラピダスに合わせて一・五兆円投じているわけですから、ガソリン補助金に六兆円投じることを考えたら、その三分の一でも自動車業界の構造転換に、下支えとなるようなことに投じた方が私はよっぽど次の世代につながることだと思っていますので、是非、四月までで、状況を見る、そういうメッセージよりも、もう五月以降は新しい形で仮に続けるとしたらやるので、今のままは四月までだということを明確にした方が世の中は動き出すというふうに思います。これは私の意見として申し上げておきます。

 もう時間も最後ですから、私は今、衆議院の安全保障委員会の筆頭理事をやっていますので、最後、外交、安保、一言だけ触れておきたいと思います。

 総理は参議院の本会議で、今年の十二月八日、九日で、平和賢人会議ですか、国際賢人会議、これを開催される、核の保有国と非保有国で共にこれからの核なき世界を考えると。

 そういった中で、私は、広島選出の岸田総理ならではで、これから、特にグローバルサウス、G20の議長国、そしてまた世界で最も人口が多い国としてのインドとのつながりを、私は、岸田総理ならではのことが、より両国の国民間で友好親善を深めることで発信できることはまだいっぱいあるんじゃないかと思っています。

 その一つが、私、五年前にインドの下院議会にインド政府の招待で行ったときに、何で行ったかというと、八月の六日の広島の原爆投下の追悼の日に、インドの下院議会は、インドの下院議員皆さん全員が黙祷をささげていただいているんです、議場で。私が確認する限り、世界でそのようなことをやってくれている世界の議会はインドだけだと思います。ほとんどの国民は知らないと思います。

 是非、こういったことについても、岸田総理だからこそ取り上げ、説得力のある言葉をもって、広島の思い、日本の思いを、インドに対する感謝とともに、両国の友好親善を国民同士でも、また議会同士でも広げていけるチャンスがあると思いますので、是非お願いしたいと思います。

 そして、最後にもう一つですが、四月に私は本会議の登壇で、戦略三文書について総理に御質問させていただきました。あの戦略三文書の実行、実装、是非お願いします。

 特に、私の地元の横須賀には日本で唯一の自衛隊の高校があります。これから前線に行くような、そういう若き学生たちが、今サイバーの専門のコース、そしていろいろな訓練や勉学をやっていて、これからは男女共学化、そして陸海空の共同化に向けて取り組んでいますので、政府を挙げた支援をお願いを申し上げて、私からは終わりたいと思います。

 もし一言あれば、お願いします。

小野寺委員長 岸田内閣総理大臣、手短にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、インドについての思い、全く同感であります。被爆地として、インドのそうした取組、承知しておりますが、モディ首相との今年三度の首脳会談等を通じて、未来に向けてしっかり発展していきたいと思っています。

 そして、今の、お地元にあります学校、陸上自衛隊高等工科学校だと承知していますが、この課題につきましては、国家防衛戦略の中にあっても、やはり防衛力の中核、これは自衛隊員、人であると思っています。その人材をいかに養成していくのか、これはこの国際状況、安全保障環境が変化している中だからこそ、より重要になってくる。こういった認識を持って、人材の育成、人的基盤の強化、こうしたものについて、しっかり、具体的に取組をしていきたいと存じます。

 高等工科学校につきましても、是非、こうした学校、男女共学化、あるいは各自衛隊の共同化、こうした取組の一環として、様々な変化の取組を行っています。こういった取組を後押ししていきたいと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございました。終わります。

小野寺委員長 この際、田村憲久君から関連質疑の申出があります。萩生田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村憲久でございます。

 久々の予算委員会の質問で、いささか緊張いたしております。ちょっと質問を作り過ぎちゃいまして、もしかしたら時間オーバーで、通告した大臣に行かないかも分かりませんが、お許しをいただきたいと思います。

 さて、経済対策、いよいよ予算を審議してという話になってくるんですが、やはり今般、これだけエネルギー、ガソリンもそうでありますし、物価全般が高騰してきておりますから、こういうものに対してしっかりと対応をしていかなきゃならぬということでありまして、その対応も、国民の皆様方、期待をされておられると思います。

 日本の消費者物価、九月の数字なんですが、CPI、総合物価指数は三%プラスという数字が出てまいりました。

 ところが、アメリカの数字を見ると三・七%、ヨーロッパは欧州委員会統計局が出した数字が四・三%という数字でありまして、大分下がったんですよ、これ実は。去年は本当に九%、八%というところにいっていましたから、かなり下がってきたんですが、それでも実は日本よりも高いんです。日本は円安ですから、本来はその国々よりも高くなければならないんですが、普通の経済ならですよ、でも低いんですね。

 問題は、だからいいという話じゃなくて、アメリカもヨーロッパも、賃金は物価より高いんです。日本は物価よりも賃金が低いから実質賃金はマイナス、こういう状況で、これを何とかしなきゃならぬというのが岸田総理の思い、そのように受け止めさせていただいております。

 そのような意味で、いろいろと経済、成長した、その言うなれば恩恵といいますか、それによって増えた税収、そういうものを国民の皆様方にお返しするというのが一つ大きなポイントになってくるんだと思うんですね。

 昨年度が、当初予算よりも決算での税収の上振れ、よく六兆円ぐらいあったと言われますが、その前の年は、実は十兆円近く上振れしているんです。安倍総理に政権交代して戻ってから、マイナスのときもあるんですよ、消費税を上げたときは、実は四兆円下振れしています。コロナの一年目は三兆円下振れしています。そんなので九兆円ぐらい下振れしているんですが、実は、累計しても二十一兆円上振れなんですよ、足していくと。

 それぐらい税収は増えているということで、これを国民の皆様方にはいろいろな形でお返しをしながら、次の経済成長につなげて、また税収を増やしていく、それが財政再建の道のりであるというふうに総理はお考えになられているというふうに思います。

 そのような意味で、どうやって国民の皆様の所得を増やしていくかということなんですが、見ていただければ分かると思うんですが、社会保障は大変でございまして、そもそも、医療、介護、福祉って、全産業の平均所得よりもほぼ皆さんが低いんです。お医者様がよく言われますが、医者は、高いんですけれども、三十万人しかいませんからね。他の産業、全体で九百万人ぐらい雇用労働者はいますから、ほとんどが全産業平均よりも低い方々が多い、こういう状況で、ここを上げなきゃならぬのですが、これを見ていただくと、例えば、看護補助者、一番低いですね、それから介護従事者、その次にあります。

 こんな状況でありまして、これを早急に引き上げなきゃならぬということでありますから、多分、この経済対策で、ここをピンポイントでいろいろな形で対応いただけるというふうに我々は期待をいたしております。

 しかし、それだけじゃ足らないんです。実は、私、今日ここに来るのに、自民党の政調全体会議でいろいろな御議論をいただいてまいりました。私の個人の意見というよりかは、そこで多くいただいた御議論をさせていただきたいというふうに思います。

 何を申し上げたいかといいますと、今も言ったように、総理は、賃金を上げるべきだ、三%から四%ぐらい上げるべきだとおっしゃっておられるんです。そのとおりです。しかし、まず隗より始めろで、民間は取引業者と話し合って、要するに、取引価格を上げてもらって、賃金を上乗せした金額で取引してもらって、それで賃金が上がる原資が生まれるわけですね、下請事業者は。こういう状況になります。だから、それがおかしいんじゃないかといろいろな御議論がある中で、中小企業、下請Gメンなるものもつくっていただきながら対応いただいている。

 しかし、この九百万人、雇用労働者の一四%ぐらいいるんですね、ここは公定価格でやっているんです。診療報酬、介護報酬、障害福祉サービスの報酬、こういうものでやっているんです。介護報酬は三年に一回しか改定はありません。診療報酬は二年に一回、障害福祉も三年に一回です。ですから、賃金を上げるために価格交渉しようと思っても値段が上げられないというのがこの世界なんですよ。

 コストカット型の経済を改めていかなきゃならない、総理は所信方針でこうおっしゃられました。まさに社会保障が実はコストカット型になっているんですね。

 なぜかというと、社会保障の伸びというのは、いつも高齢者の伸びの範囲で抑えてくださいというルールの下でやってきました。高齢者が増えれば社会保障は増えるよねという話なんですが、数だけじゃ実はない。なぜかというと、賃金も上がりますし、科学技術の進展によって、いろいろな新しい技術、薬、こういうものも出てきますから、こういうものも実は伸びなきゃいけないのを、高齢者の伸びだけで抑えてください、まさにコストカット型をやった結果が、本当に介護施設も非常に厳しい状況に、この間も、総理、お会いになられたと思いますが、なっております。

 お話をお聞きすると、どうやら、目の前で見ていると、新しく入った方よりも離職する人の方が増えてきている、こんな状況で、一番いい、十年ぐらいたって、これから一番いろいろなことを覚えて、中心になって施設で頑張ってもらわなきゃいけない、こういう人たちが辞めていくというんですよ、給料が上がらないから。こういう話があります。

 医療も実は、いろいろな数字を見てくると分かるんですが、決して、病院がもうかっているかといったら、もうかっていないんですね。

 これは、実調、医療の経済実態調査なんですが、令和元年、コロナ前、この時点で、損益差額は全体で、病院、マイナス三・一%なんですよ。民間病院、医療法人だけ見ても一・八%しか収益がない。これがコロナでもっと毀損をしまして、収益、差額が六・九、全体でマイナスです。補助金がありましたから、これを入れて若干プラスに、〇・四%ぐらいになっていますが、病院も非常に厳しい状況ですから、賃金が上げられない。

 だから、このような形で、看護補助者というのは看護師の方々のいろいろな補助をされる職種の方々なんですけれども、一番低いようなところに今給与水準があるということでありまして、これを何とかしなきゃなりませんから、まずはやはりしっかりと、今回、こういう方々に対して一時的な給付を、診療報酬改定、介護報酬改定は来年の四月以降ですから、やらなきゃならない。

 そして、来年の報酬改定、三報酬改定は、本当に、今までにないぐらいの報酬改定をしなければ、この方々の賃金は上がりません。仮に三%上げようと思うと、介護は三年ですから、三年、三年、三年、複利だと九%以上上がっちゃうんですよ。医療だって、複利だと六%以上上がりますよね。だから、それに堪えられるような報酬改定をしなきゃいけません。

 ちなみに、病院で大体人件費率が五五%、介護施設は六六、七%だと思います。それぐらいの人件費率なんです。非常に労働集約性の高い、そういうような産業といいますか職種なんですね。

 だから、そういうことを考えて、是非とも今度の改定は大幅の改定をしなければどうしようもない、成り立たない、地域の医療や介護は壊れてしまう、こういう声を自民党の政調の全体会議でもたくさんいただきましたが、これに対しては、まず決意を武見厚労大臣からいただきたいというふうに思います。

武見国務大臣 ただいま田村先生御指摘になられましたように、昨今の高水準となる賃上げの動向であるとか、さらには人手不足、これらを踏まえれば、介護、医療分野における賃上げを始めとする人材の確保の対応というのは本当に重要な喫緊の課題である、そういう認識を私も持っております。

 このために、今年六月、二〇二四年度の介護、診療報酬同時改定を見据えまして、こうした喫緊の課題に対応するために、総合経済対策においても、人材確保に向けて賃上げに必要な対応を、委員の御指摘も踏まえてしっかりと検討していきたいというふうに思っております。

田村(憲)委員 厚労省だけでやれる話じゃなくて、政府全体でそういう思いを持っていただかないと、何分財源がかかる話であります。

 財源は、先ほど言いましたように、かなり税収は上振れを続けておりますから、ここにお金が回ると、先ほども言いましたとおり、全産業よりも比較的、残念ながら低い所得の方々が多いわけですから、ここに所得を上げる効果があれば、必ずやこれは生活に使っていただける、経済にそれは還元される、そういうような方々でありますので、是非とも、総理からもこれに関して決意をいただければありがたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、令和六年度は、診療報酬、介護報酬、そして障害者福祉サービス等報酬、この三つの報酬同時改定が行われる大変大きな節目の年ということになるわけです。

 そして、委員御指摘のように、政府としては、産業全体の賃上げを進める中で、医療や介護、障害福祉分野で働く方々の賃上げ、これも当然、大変重要な課題であると認識をしております。

 同時改定については、まずは今回の経済対策において、物価高騰や賃金上昇へどのような対応を用意できるのか、これをしっかりとこれから詰めていくわけですが、その中身もしっかり見た上で、必要な処遇改善の水準を検討していかなければならないと思います。

 当然のことながら、今具体的な数字を申し上げることはできませんが、やはり、産業全体の賃上げを考えていくという中で、御指摘の医療、介護、障害福祉分野での賃上げはどうあるべきなのか、真剣に考えたいと思います。

田村(憲)委員 ありがとうございます。

 これは要するに、介護施設、医療施設等々が、今閉鎖に追い込まれているところもちょこちょこ出だしました。これが崩壊すると何が起こるか。これは国民が困るわけでありまして、しかも、親の介護は子育ての晩年に、今出産が遅れてきておりますから、関わってくるんですよね。これは関わってきますから、高齢者、自分の親のいろいろな介護や医療の世話をしなきゃならないという話になると、子供の面倒が見れなくなる、子育てができなくなる。だから、これは少子化にも実はつながってくる話でありますので、是非ともよろしくお願いいたしたいと思います。

 今総理から、物価高騰に対して、いろいろな対応をこの経済対策でもやるというお話がありました。実は、その使い方というのが、地方創生臨時交付金というものを使ってやっていただいております。

 これが実は使い勝手が悪くて、ちょっとパネルをお出ししますけれども、自治体によって、例えば電気代だとか、ガス代だとか、食料品だとか、こういうものの値段が上がっているということで自治体から給付されているんですが、こんなに違うんですよ。A自治体、電力等光熱費等の支援内容、一床当たり十万円、一時金で交付というところから、B自治体は一・二万円、十倍近い開きがあるんです。これは医療機関だけじゃなくて、介護施設も同じような状況があります。

 さらに、食費なんかも上がっておりますから、こういう食費なんかにも出せるんですが、四自治体しか出していないんですよね、これは。

 今回、この病院の入院時の食事、食事療養費という言い方をよくするんですけれども、病院なんかは、食事は実は選べません、自分で。当たり前です、これは療養の一環ですから。そういう意味で病院が提供するんですが、この基準額といいますか金額が、実は一九九八年ぐらいから上がっていませんでして、ずっと上がり続けていない。

 だから、ありましたよね、給食が、価格交渉ができなくて急にお店を閉めちゃって、各自治体や子供の施設なんかに出せなくなっちゃったというのがありましたけれども、あれと同じようなことが起こりつつあるというのがここなんですよね。

 ですから、こう考えたときに、これを何とかしなきゃいけない。実はこれも、今回、地方創生臨時交付金でこういうものも取りあえずは対応しようというようなお考えを、考えておられるというのをちょっとお聞きしているんですが、地方がそれぞれ自らの意思でやるものですから、このような形でばらつきが出ちゃって、どこの施設も、どこの病院もやはり物件費は上がっている、電気代は上がっているのに、こんなに差があるものでありますから、自治体によってかなり厳しさが違う、運営の、こういう状況になるんです。

 ですから、必要なものは最低限度、最小限度、ちゃんと行くようにしてもらわなきゃいけない。これはなかなか、地方創生臨時交付金というやり方をやっているので難しいのは分かるんですけれども、また同じようなことをやられちゃいますと、本当に、報酬改定まで、報酬改定もそれなりに上げてもらわなきゃいけないんですが、それまでつながらないと大変なことになってしまうということがございますので、これに関しては、担当する、これは自見大臣ですか、自見大臣、お願いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 物価高対策のための重点支援地方交付金につきましては、地方公共団体におきまして、地域の実情に応じてきめ細かく必要な支援を実施する取組に御活用いただけますように、医療、介護、福祉分野への支援についても、推奨メニューの中でしっかりと分かりやすくお示しした上で予算措置をしてきたところでもございます。

 一方で、入院中の食事療養費は一日につき千九百二十円で、約三十年間据置きをされており、もはや経営努力のみでは食事提供、食事療養の提供が極めて困難な状況だという悲痛な声も現場からいただいているところでもございます。

 また、実際に、地方公共団体ごとに本交付金を充当する分野に偏りが生じ、そして特定の分野に支援が行き届かないということも認識をしているところでもございます。

 こういった物価高により厳しい状況にある生活者、事業者にしっかりと支援が行き届くよう、重点支援地方交付金を追加するとともに、執行に当たりましては、医療、介護を始め各行政分野を所管する各省庁から地方公共団体に対し、優良な活用事例等の必要な情報を積極的に提供することに加え、活用状況を丁寧にフォローアップするなど、きめ細やかな対応が非常に重要だと考えております。

 田村委員の問題意識も十分に踏まえまして、武見厚生労働大臣を始め各大臣ともしっかりと連携をして対応してまいりたいと思います。

田村(憲)委員 これは、自見大臣が大臣になられる前に同じ問題意識でいろいろな議論をしておりましたので、十分分かっていただいていると思いますので、いい仕組みを是非ともつくっていただきたいというふうに思います。

 もう一点、実は診療報酬に関わるんですが、薬価の問題をやらせていただきます。

 薬価は、実勢価とそれから公定価格の間で乖離が生まれてきます。これは資本主義だから仕方がないんですね。当然、病院等々は収入にしたいですから、安く買って、その分を、差額を収入にしている。これが薬価差益というやつでありまして、病院は、医療行為、診療報酬とこの薬価差益で主に収入を得て運営をしている。それでさっき言ったようなマイナス運営というふうな形になっているんですが、これは、毎年薬価改定等々をやって、毎年下げてまいりました。

 結果、何が起こっているかというと、実は、これで見ていただいたら分かるとおり、まず、八十六品目、これは今年の一月なんですが、日本では、海外で申請されて承認されているのに、日本には申請もしてこない。申請もしてこないということは、使えないんですね、これは。今審査しているんじゃないんです、申請してこないんです、向こうが。

 理由はいろいろあります。例えば、日本の保険制度を知らないというのもあります。ただ、一方で、日本でこれを、上市というんですが、要するに保険収載したとしても利益が出ない。余りにも新薬を抑え過ぎられる。しかも、新薬を出したら、また薬価、差益が下がっていく。予見ができない、利益が出ない、だから日本に出すのはやめよう。八十六品目、実は総理、あるんです。そのうち四七%がオーファンドラッグ、これは希少疾患です。それからあと小児、これが三七%。だから非常に困っておられるんですね。世界に冠たる日本の医療保険制度といいながら、実はこんなことがもう起こり出してきている。

 あわせて、今、いろいろな薬が欠品、供給が不安定になっています。これは、一部ジェネリックの会社が、大手も含めていろいろな不祥事をやっている、こういう問題もありますから、そこは戒めていただかなきゃならぬというふうに思います。

 ただ、やはり薬価がどんどんどんどん下がっていくという。必ずそれは下がりますよね、下がるような仕組みなんですから。だって、薬価を決めたら、次のときにはそれより安く仕入れるわけですから。その仕入れた金額は実勢価ですからね。下がった金額でまた次、下げるんですから。どんどん下がっていくんです。そういう仕組みなんですね、これは。

 そうなってくると、どうなったかというと、実は、今年の四月、一千百品目、不採算定のものを採算が合うところまで戻すということをやりました。何とかそれで一息ついているんですが、ただ、その間にも、この二年間、また上がりますからね、物価は。上がります。一年かかって、毎年薬価改定ですからね、上がりますから、対応できなくなっちゃう。こういうことを考えると、やはり今まで薬価を抑えて、そこから診療報酬に回していたという、そういう今までの改定をちょっと見直していかなきゃならぬところに来ていると思います。

 日本国民が薬にアクセスできないような状況が起こっているということ、これに対して、武見大臣、どのような形で対応いただけるんでしょうか。

武見国務大臣 今委員御指摘のように、医薬品の安定供給というのは、国民の健康を守る上において極めて重要な課題であるというふうに考えております。

 今般の経済対策の中でも、医薬品メーカーにおける増産に向けた投資に対する支援を講ずる方向で既に検討を進めております。

 それから、その上で、現行の薬価制度において、医療上の必要性の高い医薬品の薬価を下支えする観点から、医療上の位置づけが確立し、広く臨床現場で使用されている基礎的医薬品について、一定の要件の下、薬価を維持することとしております。その上で、今委員御指摘の不採算品再算定、これをまた確実に今行ってきているところでもございます。

 これらの仕組みを活用して、令和六年度薬価改定に向けての議論をしていきたいというふうに思っております。

 さらに、委員御指摘のドラッグロスの解消も含め、薬価制度において、イノベーションを推進する観点から、新薬創出加算により薬価の引下げを緩和する仕組みなどを現実に設けております。

 令和六年度薬価改定においては、これらの課題を解決すべく、薬価制度の見直しを含めて検討を進めております。

 このように、国民が必要な医薬品を使用できるよう、国民皆保険制度の持続性とイノベーションの推進の両立が重要との認識の下で、引き続き、中央保険医療協議会、中医協において必要な議論を行ってまいりたいと考えております。

田村(憲)委員 今おっしゃられた新薬創出加算という、新薬が初め値段が決まったときから、なかなか薬価が下がっても落ちないようにするという、それが実は、どんどん制度を変えて使いづらくなった結果、非常に評判が悪くなっているという現状があります。

 やはり、それなりに投資をして作った国民のための薬でありますから、それがちゃんとある程度利益が出ないと次の新薬開発につながっていかない、これはもう大臣よくお分かりでございますので、是非とも、自民党のこの声をしっかりとお聞きをいただき、制度を見直していただければというふうに思います。

 さて、財源を更に増やしていかなきゃなりません。経済を成長していかなきゃならない。そのためには、もちろん少子化、総理はよく、次元の違う少子化対策、これを言われて、進んでまいられました。これは非常に大きいことだというふうに思いますが、ただ、残念ながら、どれだけやったって、これから急激に生産年齢人口は減ってまいります。

 二〇二〇年から二〇四〇年まで、十五歳以上六十五歳未満、生産年齢人口が約二割弱減ります。高齢者は三百万人ぐらい増えます。これが現状で、仮に今の少子化対策が成功したって、それは子供が、出生率が三や四になれば別ですけれども、二に戻るぐらいでは人口が急激に増えることはなくて、今総理がやっておられることは多分、日本が二〇七〇年とか八〇年にしっかりと国家を維持できるための人口を確保するために、子供が生まれる、子供を産み育てられる環境を整備しよう、そういうことだと思いますので、これはこれで重要なことだと思います。

 ただ、その間に急激に現役世代が減っていく中において、どうやって物流を維持するんだだとか、医療や介護、これはやはりマンパワーが必要ですから、維持するんだだとか、こういう言うなれば社会モデル、これを新たにつくっていかなければ、日本の国はもたないんですね。

 しかも、それができないことには経済成長もできません。経済成長の三要素は、技術革新と資本と、それから労働力ですからね。労働力が急激に減っていくわけですから、そう簡単には成長できないんです。ここも、実は異次元の経済成長モデルというものを考えなければならないということになってくるわけなんです。

 いや、大丈夫かな、日本、そんな心配が国民の皆さんにあるから、いろいろな子育て政策、総理は打たれていますけれども、やはり将来、日本は経済が駄目になっちゃうんじゃないか、社会が維持できないんじゃないかと思うから、子供を産みたいけれども産むのをちょっとちゅうちょするな、こんな話になってくる。これは一つの要素だと思うんですね。

 ですから、しっかりと日本は未来に向かって経済成長も、社会も発展できますよというモデルをお示しをしていただかなきゃなりません。

 まあ一つ、日本は三十年、残念ながら経済成長をほとんどしなかったものでありますから、時間当たりの労働生産性、アメリカの六割しかありません。四割伸び代がありますから。人口は確かに二割減っていきますけれども、ここに四割の伸び代があるので、AIだとかロボティックだとかいろいろなものを進めて、もちろん外国人労働者の方々にもお力をおかしをいただかなきゃならないかも分かりませんが、そういうことをやっていけば、必ず私は、成長し、社会を維持できるというふうに思っています。

 そのためには、日本のいろいろな知識、知恵を集めなきゃなりません。国民の皆様方のいろいろな御意見をいただかなきゃなりません。どうか、そのための国民会議的なものを政府におつくりをいただいて、日本の将来、大丈夫なんだよというビジョンを岸田プランとしてお打ち出しをいただきたいな、そんなことをお願いしたいんですが、いかがでありましょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、中長期的な人口減少、そして、とりわけ生産年齢人口の減少、これに対して、我が国の未来を考えた場合にどう対応していくのか、まさに国家的な課題だと認識をしています。

 そして、その中にあって、委員も一部触れられましたが、今、AIを始めとするデジタルの進化、これは逆に、日本の人手不足等の現状等も考え合わせますときに、このデジタルの力によって、こうした人口減少、これを補って余りあるだけの成長力、生産性の向上、これを実現できるという考え方、これが政府の中でも強く強調されています。

 ですから、こうした中長期的な人口減少、生産年齢人口の減少に対して、委員御指摘のように、少子化対策、もちろん大事でありますが、併せてデジタル化、この二本の柱をしっかり進めることによって、日本はこれからも将来に向けて成長し続ける国であるべきだと思っています。

 そして、それに向けて、まずはデフレからの脱却ということで、今、経済政策を考えているわけでありますが、未来の社会モデルということを考えますと、新しい資本主義実現会議ですとか、こども未来戦略会議ですとか、デジタル行財政改革会議、これらは皆、今の課題において、かつ重なる部分があります。是非、この会議体をつくって、日本の未来の経済社会モデル、これをしっかり描いていく、そのことによって具体的な個別の政策を進めていく、こうした取組、政府が主導していきたいと思っています。

田村(憲)委員 子供の貧困対策もお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

小野寺委員長 これにて萩生田君、牧島君、小泉君、田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、経済対策、また、中小企業の賃上げ、少子化、子育て支援について総理にお伺いをいたしますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 総理は、先月の二十六日、現下の経済情勢を鑑みまして、各閣僚に経済対策の指示を出されました。一方、前日に、私と自民党の萩生田政調会長に、与党としてそれぞれ検討して提言を出すように求められました。

 公明党としては、党内議論を重ねまして、十月の十七日、総理に公明党の経済対策の提言をお渡ししたところです。

 今回の経済対策を策定するに当たりまして、総理は所信表明演説におきまして、三十年来続いてきたコストカット経済から変化が起こりつつあります、この変化をつかみ取るために、持続的な賃上げを実現するとともに、官民連携による投資を積極化させていく、経済、経済、経済、私は何よりも経済に重点を置いてまいりますと述べられました。

 現在の物価高で家計を圧迫する状況が続く中、何より重要なのは、家計の所得向上、これによりまして物価を乗り越えて、日々の暮らしを守ることだと思います。

 家計の所得向上は、物価高を克服する持続的な賃上げによって成し遂げるべきものですが、今年の春闘、三十年ぶりの三・五八%の賃上げとなりました。物価高に追いつかず、実質賃金は依然としてマイナスの状況であります。この賃上げの流れが国民に幅広く波及するまでは、なお一定の時間が必要になると思います。

 総理は、現世代の国民の努力によってもたらされた成長による税収の増収分の一部を公正かつ適正に還元し、物価高による国民の御負担を緩和しますとおっしゃいました。

 そこで、公明党は、経済対策の提言に、家計所得向上を実感できる三つの還元策を提言をさせていただきました。資料、パネルを御覧いただきたいと思います。

 まず、還元策の一番目、これは昨日の政府与党政策懇談会でも提示されましたけれども、現役世代、中間所得層への支援、所得税の減税の実施。二つ目は、低所得世帯などの迅速な支援へ、給付金の支給です。三つ目は、自治体ごとに、地域の実情に応じて、買物の際のポイント還元また給食費の負担軽減など、きめ細やかな支援ができる重点支援地方交付金の増額と、電気、都市ガス料金、ガソリン、灯油代等への補助を来春まで延長するというものです。

 そこで、まず、所得税減税について、昨日の政府与党政策懇談会におきまして、所得税、個人住民税の定額減税を総理は指示をされました。具体的な仕組みはこれから与党の税制調査会を中心に詰めてまいりますけれども、この定額減税についての総理の考えについて改めて伺いたいと思いますし、もう一つ、防衛の問題ですね。防衛増税を決めたではないか、矛盾するのではないか、様々な意見もありますけれども、そういった指摘にもどう答えるのか、併せて伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、今回の経済政策の基本的な考え方ですが、デフレで苦しんでいた日本経済、ようやく明るい兆しが出てきた。大事なのは、この兆しを来年にしっかりと引き継ぐことができるか、つなげていくことができるか、大変重要な時期を今迎えているということで、供給力の強化という生産性向上の部分をしっかり経済政策の中に盛り込んでいるわけですが、ただ、賃上げ、これからも盛り上げていかなければいけませんが、今現在では、外生的な物価高騰に対してまだ追いついていないからして、今この時点においては一時的に国がしっかり支援を、国民生活を支えるための努力をしなければいけない。この部分が御指摘の所得税、住民税の減税という部分であります。

 ここ二年間を取ってみても、国民の皆さんの協力もあって、我が国の税収、これは増えました。そして、その中で、特に、国民の皆さん一人一人からいただいた所得税と住民税、この部分は三兆円余りの増収となっています。今、物価高に負けないために国が国民生活を支えるという中で、国民の皆さんが納税していただいた所得税と住民税を分かりやすい形で、住民税という形で、お返しする、これが基本的な考え方ではないか、これが先ほどお示しいただいた三つの取組の一番上の部分であります。

 そして、そうした取組の外にある方、住民税、所得税等を納入されていない方に対しては、給付金をしっかり用意する。

 そして、あわせて、エネルギー価格の高騰、これは世界的なエネルギー危機を背景とするものでありますし、様々な物価高騰において大変重要なポイントになりますので、併せて激変緩和措置ということで、用意された措置を来年春まで延長する、こういった体制を考えたということであります。

 そして、御質問のもう一つは防衛力強化の租税措置についてでありますが、この部分については、まず、今回、今申し上げた形で所得税そして住民税の減税を考えているわけですが、これはあくまでも、日本の経済をデフレから完全に脱却させる、新しいステージに押し上げるために今の物価高騰にしっかり対応していかなければいけない、こういった考え方に基づいてやる部分でありますし、防衛力の部分については、言うまでもなく、国民の命や暮らしを守る、そして経済そのものも守る、こういった重要な課題であります。

 それぞれ重要な課題であると認識をしておりますし、防衛力における様々な措置、財源確保のための税制措置については、例えば、所得税の部分においても、現下の家計の負担にならない仕組みとしており、これは増税ではありませんので、定額減税との整合性の問題は生じないと思っていますし、また、法人税の部分においても、全法人の九四%を対象外にするなど、こういった配慮が行われています。

 こうした内容においてもこうした政策は矛盾しないと思っていますし、何よりも、実施時期については、昨年末閣議決定した実施時期、令和九年度に向けて複数年かけて段階的に実施するという枠組み、この枠組みの下で、景気や賃上げの動向等を踏まえて判断するということになっています。

 よって、令和六年度から実施するという環境にはなく、定額減税と同時にこれを実施するということにはならないと考えております。

高木(陽)委員 今の防衛の問題、税の問題でございますが、同時にやらないということ、つまり、来年は絶対にやらないということですね。これを確認したいと思います。

 その上で、総理、今ずっとお話をいただきまして、公明党のこの提言、ほぼ満額回答という形で受け止めていただいて、それを今、最終的に、来週、経済対策として決定していただくということで、大変感謝を申し上げたいと思いますが、この還元策の二つ目、これについて伺いたいと思います。

 総理の今の御答弁にもありましたけれども、減税によって現役世代、中間所得層は還元されますけれども、非課税世帯の低所得者の方々、これは恩恵は受けない。物価高で苦しんでいるのは、この方々が最も苦しんでいるだろうと。

 この春以降も、交付金を使って低所得の方々に三万円給付金、これを実施しましたが、昨日、更に追加というか、七万円の給付、これを打ち出されました。

 もう一つは、非課税ではありませんけれども、定額減税の恩恵を十分に受けられない方々、ちょっと上の方ですね、この方々も苦しんでいるわけです。そういった意味では、このはざまの方々にもしっかりと給付で対応するという話がありました。

 ただ、この枠組みについては、このはざまの方々については、いわゆる年末の税制改正でこの仕組みをしっかりと成案を得るというふうに昨日は言っておられましたので、この給付、これは早急にやった方がいいと思うんです。

 減税は、法改正を含めて、来年の六月ということをめどにしておられるようですけれども、このはざまの方々の給付、いわゆる非課税の方々は、これは補正予算ですぐさまできると思います。しかし、このはざまの、ここも困っている方ですから、ここは、予備費等もあるでしょうし、様々な形で成案を得たら速やかにやる、こういうふうに考えておりますが、この給付についての考え方をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、定額減税については先ほど申し上げました。

 そして、そこで対象とならない特に困っておられる方々に対しては、給付という形で迅速にこの支援を行う、こうしたことを考えているわけですが、その両者の間におられる方にもしっかりと配慮しなければならないと思っています。

 それに向けて、重点支援地方交付金を始め、様々な支援の仕方を検討していくことになるわけでありますが、これを年末に向けて是非確定してもらいたい、こういったことをお願いしている次第です。

 いずれにせよ、できるだけ早く結論を出した上で実行に移していく、たちまち困っておられる方に給付を支給する、これはまず第一でありますが、その次の、間にあられる方への支援もできるだけ急いでいきたいと考えています。

高木(陽)委員 今、そのはざまの方々、これも急いでいきたいという総理の御答弁がありましたので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 還元策の三つ目の柱でございますが、これは、重点支援地方交付金、この増額でございます。

 これは、長引く物価高対策として、公明党はこれまでも何度もこの交付金について強く訴えて、総理も対応していただきました。

 地域の実情に応じてきめ細やかな施策が講じられておりますが、具体的に、給食費、この保護者の負担軽減、買物時のポイント還元、商品券。

 このポイント還元も、例えば東京の二十三区内では様々なことをやっておりまして、世田谷ペイだとか、港区ペイだとか、渋谷は、ハチペイ、ハチ公のハチペイですね、こういう形で還元をしている。こういうような以外にも、中小企業又は医療、介護、保育、学校施設などのエネルギー、食料品価格高騰への支援、様々な形でやっておりました。地域によって重点とすべき内容は大きく異なる部分がございますので、中には、自治体によっては交付金の予算が枯渇をして存分に対策を打てなかった、こういうところもありました。

 国が実施する還元策とともに、国民が幅広く恩恵を感じられるよう、この交付金を積み増す、総理はそういうことも言われておりますので、改めて、総理のお考え、よろしくお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 物価高に対して、それぞれの地域の実情に応じて様々な取組を支援していく、こうした考え方は大事だと思っています。

 そして、これまで委員御指摘のように様々な支援がありました。生活者支援としては、学校給食費の負担軽減ですとか、プレミアム商品券等による消費下支えもありましたし、事業者支援としては、医療や介護や保育や学校、あるいは中小企業、農林漁業者への支援、こういったものもありました。

 これらを重点支援地方交付金で措置してきたわけですが、今後も地方自治体がそれぞれの事情に応じてきめ細かく生活者あるいは事業者、これを支援できるように、今般の総合経済対策には、先ほど申し上げた低所得者世帯支援枠以外の枠組みの重点支援地方交付金、これも追加、盛り込みたいと思います。

高木(陽)委員 この交付金、よろしくお願いしたいと思います。

 還元策の三つ目のポイント、これは電気、ガス、ガソリンの負担軽減。

 生活に欠かせない電気、都市ガス、またガソリン、灯油、このエネルギー関係の料金を抑える、前例にない思い切った支援策。これは、昨年の臨時国会で私が総理に申し上げて、総理が前例にないということで決断をしていただきました。

 その上で、さらに、この八月、ガソリン代が過去最高値というような状況になるところで、我が党からも提言をさせていただいて、これも総理の御決断で年末までの負担軽減策が講じられた。

 一方で、国民への還元策を講じながら、このエネルギーの負担軽減策が打ち切られると、それが、こちらは負担増になってしまいますので、この感覚を多くの国民が抱きます。

 特に、暖房需要が高まる冬を迎えるに当たって、これは来年の春、四月までということで、総理もいろいろと発言もされる中で、継続するべきと考えておりますけれども、改めて総理の御見解を伺いたいのと、もう一つ、このガス料金というのは都市ガスということで国が支援しておりますが、いわゆる国民の半分はLPガスですね、プロパン、これは地方自治体で交付金を使ってやってきました。ですから、併せてこのLPガスに対する手もしっかり打っていただきたいと思いますので、併せて伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、国際的なエネルギー価格、依然として不透明感がありますが、その中で、足下ではガソリン価格が実勢で全国平均でリッター二百十円程度のところ、まさに委員からも御提言をいただいて、九月に補助を拡大した燃料油激変緩和事業によって、リッター、今、約百七十三円に抑えることができている、こうした状況です。

 物価高騰に苦しむ国民生活や事業者を守り抜く、御党の提言もしっかり受け止め、冬場に備えるという観点からも、また、自動車が生活の足となっている地方や中小企業のなりわいを守るという観点からも、是非、電気、都市ガス料金の激変緩和措置と併せて、来年春まで補助を延長することとしたいと思っています。

 そして、御指摘のLPガスですが、これについては重点支援地方交付金を活用して家計の負担を軽減してきました。これについても、自治体と連携したきめ細かな支援、これを継続していきたいと思います。

高木(陽)委員 これまで国民への還元策について質問をさせていただきましたけれども、国民生活が希望と安心を抱くためには所得の向上、そのためには賃上げ、これをどう持続的にしていくか、その鍵は中小企業にあります。御存じのように、雇用の七割を占める中小企業で持続的、安定的な賃上げができなければ、総理が所信で訴えた、変化の流れを逃がさない、つかみ取ることはできないと思います。

 春闘における中小企業の賃上げ率三・二三%、しかし、労働組合のない企業を含めた従業員が五人から二十人の企業ではプラス一・五%と厳しい状況です。六月の月例経済報告の中では、中小企業の賃上げの理由で、一定の価格転嫁ができたからと答えたのは僅かに一一・五%。つまり、価格転嫁できない中で中小企業は無理して賃上げ、これに努力しているという実態です。

 今年三月の中企庁の価格転嫁調査でも、価格交渉の環境は全体として進む一方、一六%は交渉できていません。価格転嫁率も四七・六%と前回より微増したものの、中には、全く転嫁できない、減額された、そういった企業も増加して二三・五%。つまり、四社に一社は価格転嫁はできない、賃上げどころではないわけですね。

 そこで、公明党は十月十三日に、中小企業等の賃上げ応援トータルプランを取りまとめて、官房長官にお渡しをさせていただきました。

 パネルにも掲げさせていただきましたが、このプランは、適正な価格転嫁・取引環境の改善が一つ目、二つ目は生産性向上、三つ目が資金繰り、この三本柱で二十項目にわたる具体策を提言しました。

 このプランを速やかに実施していく中小企業を支えていただきたいと思いますが、その中で幾つか紹介しながら御質問したいと思います。

 まず、中小企業の賃上げの原資を確保するためには、労務費を含めた適切な価格転嫁、これが重要です。

 トータルプランの二つ目の項目ですけれども、業界ごとの労務費に係る実態を調査、把握するとともに、値上げの要請のタイミング、また考え方、労務費転嫁に係る定期的な協議の場の設置、受注側の根拠資料、発注側の対応、つまり、労務費の転嫁の在り方についての指針ですね、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針として策定をして、公表、徹底することが重要であると思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 我が国の雇用の七割を占める中小企業の持続的で構造的な賃上げを実現していくこと、これは重要な課題である、言うまでもありません。

 これまで、物価高が進む中、価格転嫁対策とそして生産性の向上、この二つを重視して様々な取組を用意してきました。そして、その中にあっても、委員御指摘のように、中小企業の賃上げの実現には、価格転嫁率が低く、特に課題のある労務費をいかに転嫁できるか、これが大きな課題となってきました。

 このため、業界ごとの労務費に係る実態を調査、把握した上で、年内に、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針、これを策定いたします。

 具体的には、取引適正化に向けて、発注側のあるべき対応や、地元の最低賃金の上昇率や春闘の妥結額を基礎に価格交渉を行うことなど、分かりやすいものとして策定し、公表し、周知徹底に努めていきたいと考えております。

 このほか、公正取引委員会による優越的地位の濫用に関する調査、下請Gメンによるヒアリング、こうしたものを踏まえながら、労務費も含めて、原材料価格、エネルギーコストを適切に転嫁できるよう取り組んでいきたいと考えます。

高木(陽)委員 この指針を作っていただくということで、是非とも、しっかりしたものを作っていただいて、中小企業が、その取引先、いわゆる元請ですとか、そういうことを交渉するときにしっかりと言えるような、こういうルールにしていただきたいと思います。

 また、価格転嫁については、発注元、元請企業がしっかりと交渉しなければいけないという今のお話でもありますけれども、そのためには、国、地方自治体、官公需におきましても、率先して適正な価格確保に努めなければいけない。

 まず、国、地方自治体等が発注する公共工事の設計労務単価、これは、政権交代、二〇一二年以来、毎年毎年ずっと上げ続けております。同時に、資材、エネルギー価格の実勢価格を適切に反映することが重要だと思います。

 しっかり国の発注は対応しているんですけれども、問題は、中小企業は、国の仕事を受注するというよりも地方自治体が大半です。そうなりますと、地方自治体がしっかり対応しなければいけないんですけれども、なかなか対応していないという実態がある。

 これは、国がしっかりと適切に指導していくべきと考えますが、政府としての考えを伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 国発注の工事につきましては、新たに工事が始まるときのその価格、それから、途中で価格が上がったときのスライド条項等、しっかり対応をしております。

 問題はそれが地方自治体で実践されていないということでございますが、このため、これまでも、地方公共団体に対し、総務省とも連携し、取り組むべき適正な価格転嫁方策を具体的に周知して、これに基づき適切に対応するよう要請しております。

 適正な価格転嫁に向けた取組を更に強力に進めるため、地方公共団体における実態をよく把握した上で、市町村を含む地方公共団体に対して個別に直接働きかけを行うなど、国土交通省としても全力を挙げていきたいと思っております。

高木(陽)委員 国交大臣は御存じだと思うんですけれども、国の場合は、公共事業をやる場合に技官の方々がいらっしゃるんですね。道路局だとか、水局ですとか、港湾局ですとか。四十七の都道府県、しっかりしたところは技官の方が全部仕切っている。ところが、千七百の市町村というのは大半がそういう専門家がいない。そうなりますと、なかなか分からない。ある意味では、文系の、文官の方ですね、課長が二年で交代する。そうなると、そういうのが分からないまま行っているという実態があるんですね。だから、ここのところも含めて、しっかりと国の方が見ていただきたいなと思います。

 一方、物品調達又はサービスにおきましても、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の実勢価格を適切に反映するとともに、年度途中で最低賃金の変更等が生じた場合の契約金額の変更、これも適切に対応することが大切だと思います。この場合も、国は閣議決定等でやっておられると思うんですが、自治体がまた問題。地方の中小企業に影響を与えますので、この対応について伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の物品・サービスの調達の部分ですが、これは、中小企業の受注の機会を確保する観点から、官公需法に基づいて毎年閣議決定している国等の契約の基本的な方針において、原材料費等の上昇や最低賃金額の改定等があった場合に、契約金額の変更の検討など適切に対応する旨が定められています。これを国の機関や地方自治体に対し適切に周知していくことを考えていきたいと思います。

 そして、この間、具体的な例として、学校給食の話を関係者から直接聞きました。これは、現下の事業者の厳しい状況を踏まえて、今般の経済対策の中で、物価高を踏まえた契約金額の見直しや、価格以外の要素を加味した入札方法の導入、そして、自治体にこうした対応を示して、中期的な、安定的な給食の確保が重要だという御指摘を受けて、対応を考えてまいります。

 現実問題、三年、五年契約で契約したものが、昨今の急激な物価高騰に追いつけないことによって、学校給食、さらには医療、福祉などの給食にも大きな影響が出ている。実際、全国的なニュースにもなりましたが、特定の業者がこういった契約において対応することができなくなって破綻してしまった、こういった指摘があります。こういった例も見ながら、現実的な対応を考えていくことは重要であると考えます。

高木(陽)委員 午前中最後の質問をさせていただきます。

 中小企業を応援する、これは総理を含めて政府を挙げてやっていただいているんですけれども、特に、各業界、業種ごと、様々な取引の仕方があるので、基本的には各業界ごとでいろいろなそういう指導をしたりする。例えば、国交省は建設関係、運輸関係、経産省が大半の製造業等とサービス業を持っているんですけれども、一方で、そこのはざまの業種というのはたくさんありまして、サービス業、今、いろいろなサービス業が増えている中で、どこに相談したらいいかというのが分からない、そういった業界もあります。

 そうなると、やはり中小企業を応援するために、司令塔となる組織、関係省庁が連携した会議体を設置するべきと公明党は提案をしておりますけれども、この会議体、司令塔に関して、総理のお考えを最後にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 いただいた提言、まず、しっかり受け止めた上で、価格転嫁対策、そして生産性向上支援、さらには資金繰り支援、こうしたことに政府を挙げて取り組んでいきたいと思います。

 司令塔という御指摘でありますが、まずは、中小企業の課題ですので、現場に近い中小企業庁を司令塔にして、関係省庁一丸となってこれらの施策を着実に進めていきたいと思いますし、各省庁の間に落ちてしまう取組、こういったことがないように、よく実情を確認して対応していくことが重要であると考えます。

高木(陽)委員 しっかりと中小企業を応援するということを是非ともお願い申し上げまして、午前中の質問はこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 以上で午前中の質問は終了いたします。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高木陽介君。

高木(陽)委員 午前中に引き続きまして、質問させていただきたいと思います。

 私の質問は十分まででございますけれども、最後のテーマは、少子化対策、そして子育て支援について伺いたいと思います。

 公明党は昨年の十二月に、子育て応援トータルプラン、これを発表いたしました。政府も今年に入りまして、総理主導の下に、次元の異なる子供、子育て政策を打ち出し、そして、こども未来戦略方針を閣議決定しました。特に、三か年の加速化プラン、これを示しました。

 しかし、三か年で終わりではないと思うんです。今子育てをしておられる方々、また、これから子供を産み育てる、その若い世代の方々が安心できるようにしなければならないと思います。

 今回の三か年の加速化の課題以外にも、私ども公明党は、大学等高等教育の無償化も目指していくこと、これが必要である、このように考えております。

 そういった中にあって、言うまでもなく、少子化対策、子育て支援というのは、子供の幸せを最優先にする社会をつくり、子供の可能性を最大限に開くためのものでなくてはなりません。と同時に、この問題というのは、子育て世代だけではなくて私たち国民全員の問題、こういうふうに認識を持たなくてはならないと思います。

 ただ、これは通常国会の予算委員会でも私は質問で、この子育ての問題で、総理も三人のお子さんを育てられ、私も三人子供を育てたんですけれども、実際、余り携わっていない、ほとんど妻がやっていたなと。特に、今笑われた方々は大半が自ら子育てをしていない、そういう人たちがこの政治の場にいて子育て支援を語る、だからこそ、もっと真剣に、もっと現場を見ながら考えていかなければいけないのではないか、こういうふうに思うんです。

 そういった社会全体の問題、国民全体の問題というときに、特に、この日本社会を持続可能なものにし、とりわけ安心の高齢社会、高齢化社会を築くためには、社会保障を支えていただくこれからの子供たち、これを応援することが、かえって私たち、これからの高齢者にも返ってくるんだろう、そういう認識を持たなければいけないと思います。

 今回の加速化プランの中で、児童手当について伺いたいと思います。

 まず、中学校三年までの手当を高校三年までに引き上げること、これは大変評価したいと思います。しかしながら、この引上げに際しまして、扶養控除の見直し、こういったことが言われております。

 まず、何のために高校まで引き上げるのか。今の子育ての現状の中で、高校生になって家計負担というのは更に重くなっている、厳しい、そういうために児童手当を引き上げるんですが、控除をなくしてしまったら、その収入世帯によってはかえって負担が増える場合もある、全く意味がなくなる。

 異次元の少子化対策というなら、この扶養控除廃止、これはしてはならないのではないか、このように私どもは考えておりますけれども、総理の御見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 児童手当については、次代を担う全ての子供の育ちを支える基礎的な経済的支援として位置づけを明確化するために、今般、支給期間を高校生年代まで延長するなどの拡充、これを行うこととしているわけですが、このこども未来戦略方針では、児童手当の支給期間の高校生年代までの延長に際して、「中学生までの取扱いとのバランス等を踏まえ、高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理する。」とされています。

 ただ、これは高校生の扶養控除の廃止を前提として議論、検討している事実はありません。その上で、控除をなくすと負担がかえって増える場合もある、こうした御懸念、これはしっかり受け止めたいと思います。

 今後、整理を進める上にあっても、今の御指摘を踏まえながら結論を出していきたいと思っております。

高木(陽)委員 しっかりと現実を見ながら御検討いただきたいなと思います。

 もう一つ、児童手当の拡充の問題。第三子の手当の倍増というのがあります。第三子に、倍増、月額三万円の手当、これは本当に助かると思うんですね、三人以上の多子世帯におきましては。しかし、上の子が高校を卒業すると、三番目の子は第三子として扱われない、第二子になっちゃうんですね。この制度って、ちょっとどうなんだろうと。

 今、大学全入時代になってまいりました。大学が、先ほど冒頭に申し上げました、無償化であればまだ考えられるかもしれませんが、余計にお金がかかるわけです。それで、高校を卒業しちゃったからあなたはもう三番目の子じゃないよ、これは本当におかしな話じゃないかなと。

 ということで、上の子が高校を出たら三番目の子は第三子ではないとする考え、この今の時代に合っていない。まさに異次元の少子化をやるなら、この第三子の問題について、これをしっかりと維持していく、このことをお願いを申し上げたいと思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 こども未来戦略方針に基づいてお示ししている加速化プランにおいては、児童手当について、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化策の一環として、第三子以降の支給額を三万円とすることとしています。そして、今御指摘の多子のカウント方法、これについては、今、現段階で具体的な制度設計は固まってはおりません。

 そして、今回の方針の基本的な趣旨は、ライフステージを通じて切れ目なく支援するということでありますので、そういった趣旨や今の御指摘もしっかり受け止めた上で制度設計を具体化いたします。その上で、次期通常国会に法案を提出する準備をしてまいります。

高木(陽)委員 今総理から、まだ決めていません、そして切れ目のなくという話がありましたので、その言葉、これは大変重い言葉だと思いますので、これをしっかりと検討する中で生かしていただきたいなと思います。

 先ほど、社会全体で支えるというお話をしました。一つの例だけ挙げたいと思うんです。特に、高齢者の皆様方にとって子育て支援というのは自分の問題なんだと。この人生百年時代、年金、介護、医療、これが持続可能でなければいけないというのは誰もが思っています。二〇四〇年問題もあります。そういった中にあって、例えば、誰がその高齢者の皆様方の社会保障を支えているか。

 一つの例、後期高齢者医療制度。これは、毎月保険料を払う、そして、窓口に行って、お医者さんにかかったら、お金を払う。大変だなと思われている高齢者の皆様方は多いと思うんですが、実は、後期高齢者医療の医療費、これは毎年増えている中で、そのうち、当事者の七十五歳以上の方々が負担をしているのはたったの一割。九割は誰が支えているか。四割は現役の健康保険です、五割は税金を投入している。そうなりますと、全体として若い世代、現役世代が高齢者を支えている、こういう実態というのは余り知られていない。

 この現役世代が今少なくなってきている、こういう現実の中にあって、この若い世代を、そして、これからの子供たちを育てることは、これはまさに、今の高齢者だけではありません、これから高齢者になられる方々も含めて、この日本を支えるんですよ、こういう認識を全国民が持って、みんなで支えようじゃないか、こういう流れをつくるのがやはり政府の大切な発信ではないかなと思うので、その点もよろしくお願い申し上げたいと思います。

 もう一つ、さっきの扶養控除の問題。もう一つは、第三子の問題もそうなんですが、財政の角度からいったら、なかなか、理論としては、これはなくなるよ、お金の話からいきますとそうなってしまう。そうじゃない。本当に、今の子供たちが、子育てをしているそういう親御さんたちが今どうなっているのかという点で、必要なものはやる、そういう発想の中で異次元の少子化という対策を打たなければいけないということを主張しまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、國重徹君から関連質疑の申出があります。高木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

 経済対策、とりわけ働いている皆さんの賃上げ、そのための環境整備、これを力強く進めていかなければなりません。そして、持続的な賃上げ、これを実現するためには労働生産性の向上が不可欠です。

 この点、日本経済全体の生産性の向上を支えるために、そのしわ寄せが行っているのが物流、運送業界であります。必要なものを必要なときに必要なだけつくる、今、企業はこうやって在庫管理のコストを削減しようとしております。その結果、小口の商品を頻繁に配送することが増えまして、ドライバーの負担が重くなっています。また、トラック業界には、荷物の積卸しのためにドライバーが何時間も待機するといった不合理な商慣行もあります。こうしたことから、全産業と比較をしますと、トラックドライバーの年間労働時間は約二割長い。過酷な労働環境の中、健康被害や過労死も起きています。にもかかわらず、年間の所得額は約一割低い。

 こうした中、来年、二〇二四年四月から、物流業界においても時間外労働の上限規制などの働き方改革が始まります。ドライバーの安全と健康は何よりも大事であります。働き方改革、これは避けて通ることはできません。

 一方で、民間のシンクタンクの調査によりますと、何も対策を打たなければ二〇二四年度には輸送能力が一四%不足をする、つまり、荷物の七つに一つが運べなくなる、そういう可能性があると指摘をされております。

 この物流の停滞、いわゆる二〇二四年問題、これにどう対応をしていくのか。物流は日本の産業を支える経済の血流であります。国を挙げてこの対策に本気で取り組まないと大変なことになります。運送業界における生産性の向上、長時間労働の是正、そしてトラックドライバーの賃上げが、これは何より重要であります。

 そして、トラックドライバーの賃上げを実現するためには、その原資となる適正な運賃の確保、これが不可欠であります。まずは、荷主と元請との間で、適正な運賃の目安とされている標準的な運賃の見直し、これをしっかりと進めていく必要があります。特に、トラック業界には運送を請け負った業者がドライバーとか車が足りなくて更に下請に出すといった多重下請構造があります。この現状を踏まえて、ドライバーに仕事に見合った賃金がきちんと支払われるように、荷主と元請との間だけじゃなくて、一次下請、二次下請、こういった間でも適正な賃金が支払われるような仕組みが是非とも必要であります。

 物流の二〇二四年問題の解決に向けたドライバーの賃上げ、そのための適正な賃金の確保、これを実現するための今後の取組について総理にお伺いをいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の物流二〇二四年問題に向けては、本年六月に物流革新に向けた政策パッケージ、これを策定し、このうち特に緊急的に取り組む対策について、今月六日の日に物流革新緊急パッケージとして取りまとめ、これから策定する経済対策の中に盛り込む、こうしたことを考えております。

 そして、その中で、賃上げと適正な運賃収受に向けた取組として、まず、即効性のある対策としては、委員も指摘されました貨物自動車運送事業法上の標準的な運賃について、現下の物価動向を反映させる、また、これまで十分に収受できていなかった荷待ち、荷役の対価等を新たに加算できるよう見直していく、その引上げ幅を公表する、こうした取組を進めてまいります。

 その一方で、構造的な対策として、御指摘があった多重下請構造是正のための運送体制の可視化の義務づけなど、適正な運賃収受を図る措置や、荷主に荷待ち時間削減等の取組を義務づけ、労働時間短縮と実質賃金増加を図る措置の導入に向けて、次期通常国会での法制化、これに取り組んでまいります。

 こうした対策を含めて、物流革新に向けて政府全体で産業界と連携しながら、持続可能な物流、これを実現するために全力を尽くしてまいりたいと考えます。

國重委員 経済を支える血流である物流、これが改善されれば、その果実は多くの企業、また個人に還元をされます。今総理が答弁されました、即効的な対策、また抜本的な、構造的な対策、是非ともしっかりと着実に進めていただきたいと思います。

 一方で、経済を一瞬にして破壊をし停滞をさせてしまうもの、これが災害であります。

 公明党は、防災、減災を政治、社会の主流にということで、様々な対策に取り組んでまいりました。また、私自身、これまでの予算委員会でも繰り返し防災、減災をテーマに取り上げてまいりました。三か年緊急対策、五か年加速化対策、こうした一連の対策の効果が今実際に出始めております。

 今年の六月、七月の大雨の際には、これまでの河川整備の結果、過去に同じ規模の雨が降ったときと比べまして、浸水戸数が大幅に減少しました。例えば、大分県の日田市の花月川では、平成二十四年の豪雨で七百二十戸の浸水被害が出ました。その後河川改修をしたことで、今年七月、同規模の大雨による浸水戸数は十一戸と、約九九%減少しております。着実に対策を進めていくことがいかに大事なのかということが改めて浮き彫りになりました。

 災害は必ず起こります。南海トラフ巨大地震も、いつか分かりませんけれども、必ず起こります。だからこそ、自然からの防衛ともいうべき防災、減災、非常に大事な分野であります。

 しかし、この対策を進めて、インフラ整備を現場で担う建設業の方も、今深刻な人手不足に悩まれております。様々な要因がありますけれども、運送業と同様、繁忙期と閑散期があって、繁忙に合わせて社員を抱えることが難しい、こういったことで、根深い多重下請構造があります。これによって現場まで適正に賃金が行き渡らない現状があります。これに資材価格の高騰、こういったことも相まって、ますますこれが厳しい状況になっております。現場で働く技能者の皆さんの適正な賃金が確保できなければ、担い手も確保できません。

 そこで、斉藤国交大臣に伺います。

 公共工事の設計労務単価について、これまでずっと引き上げてきましたけれども、今後も適切に引き上げていく、これとともに、建設業の方たちに対して資材価格の高騰などを反映した適正な賃上げが行われて、多重下請構造の中であったとしてもきちんと現場まで賃金が行き渡るような仕組み、これを、単に口頭で働きかけるだけじゃなくて制度としてつくって、しっかりと進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 防災、減災を担う建設業、その建設業に若い人たちが集う、そのためには現場を担っていただいている技能者の賃金が、優れた技能や厳しい労働環境にふさわしい水準に引き上げられることが重要でございます。

 公共工事設計労務単価は十一年連続の上昇となり、特に本年は、前年度比プラス五・二%と、物価上昇を上回る大幅な引上げとなりました。

 これを踏まえ、私から建設業界に対して、おおむね五%の賃金引上げを各社で実現するよう働きかけを行いました。これにより、技能者の賃金上昇が次なる設計労務単価の上昇につながる好循環を持続させてまいりたいと考えております。

 その上で、技能者へ支払われる賃金の原資が、発注者から元請、そして下請となる専門工事業者まで適切に支払われるよう、制度的に対応することも必要であると考えます。

 具体的には、国が適正な労務費の目安をあらかじめ示した上で、個々の工事においてこれに沿った積算見積りや下請契約が行われるよう強く促す新たな仕組みを検討してまいりたい、このように思っております。

 今後も、持続可能な、若い人たちが集ってくる建設業の実現に向けて、継続的な賃上げにしっかりと取り組んでまいります。

國重委員 建設業にこれまでなかった適正な労務費の目安、これを国が新たに示していく、現場にまで賃金がきちんと行き渡るように制度をつくっていく、制度として対応していく、こういった答弁でありました。大きな前進だと思います。このテレビを見ている現場の建設業の皆さんも期待をされていると思いますので、是非しっかりと進めていただきたいと思います。

 この夏は異常な暑さでした。改めて地球温暖化というのを身近に感じた方も多かったんじゃないかなというふうに思います。

 日本は、二〇二〇年十月に、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを宣言をしました。この達成を目指すに当たって、住宅分野の脱炭素化が鍵を握る、こう言っても過言ではありません。

 ここで重要になるのが、断熱性能の高い窓や断熱材を使うことで高い省エネ性能を持つ、いわゆるZEH住宅であります。

 この住宅、環境に優しい、光熱費の節約など経済面でもメリットがあります。それだけじゃありません。また、健康面でもメリットがあります。断熱性能を高めることによって、夏は涼しい、冬は暖かい、快適な生活が送れるようになります。室温が保たれることで、熱中症予防になることはもちろんですけれども、高血圧の防止、急激な温度変化による心筋梗塞の防止など、様々な効果があります。さらに、災害への対応という観点からは、災害が発生して停電した場合にも、太陽光発電とかあるいは蓄電池、これを活用することによって電気を使える場合もありまして、こういう面でも安心であります。

 こうした多くのメリットがあるZEH住宅、二〇三〇年度以降、新築住宅へのこのZEHの義務化が決まっております。これを見据えて、中小工務店の皆さんを含めて、この技術を広く普及をしていく必要があります。

 こういった観点からも、ZEH住宅を新たに建てる、また、省エネリフォームをする場合に補助をする、こどもエコすまい支援事業が今年実施をされました。非常にこれは人気でして、既に九月末に申請受付終了をしております。

 この支援もあって、ZEHの技術が、今、中小の工務店にまで広がり始めております。ZEHを大きく進めていくためには、今この勢いがついているところでもう一段の支援を行って全体的な底上げを図っていくこと、予算を措置をして、こどもエコすまい支援事業を引き続き取り組んでいくことが大事だと考えます。

 これについて、斉藤大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには住宅の省エネ化を促進することが重要であり、子育て世帯によるZEH住宅の取得などを支援することを目的として、こどもエコすまい支援事業を実施してまいりましたが、先ほど御指摘のありましたように、九月に予算上限に達して終了いたしました。

 この事業を通じて約十三万五千戸のZEH住宅への支援を行いましたが、これによって、今回非常に特徴的なのは、多くの地方の事業者がZEH住宅の建築を行うようになり、地域の中小工務店など、ZEH住宅に対応できる事業者の裾野が大幅に拡大しつつある、これを実感しております。

 こうした状況を踏まえ、国土交通省としても、カーボンニュートラルの実現に資する住宅の省エネ化の促進に向けた有効な支援策について、こどもエコすまい支援事業の再開など、積極的に検討を進めてまいりたいと思っております。

國重委員 斉藤大臣、積極的な検討を是非よろしくお願いいたします。

 介護を理由に仕事を辞める介護離職、これが今増えております。去年、十万人を突破しました。政府は二〇一五年に介護離職ゼロの目標を掲げて介護と仕事の両立支援に様々取り組んできましたけれども、五年前に比べて介護離職は七千人増えています。介護離職に伴う労働損失で、二〇三〇年には経済的損失が年間約九兆円に上る、これは今年公表した経産省の試算になります。

 介護と仕事の両立支援、これを更に強化していかないといけません。いろいろと課題はありますが、今日、時間の関係で、大きく二点指摘をします。

 まず一点目として、仕事を休んでケアマネジャーさんに相談をしたり介護施設を探したりする、介護と仕事を両立する体制を整えるための準備期間であるための介護休業制度、これがほとんど利用されておりません。約三か月間、賃金のおよそ三分の二の給付金を受けながら休業する制度なんですけれども、去年の利用者は、家族などを介護している人の中で、僅かに一・六%。

 調査の結果、介護休業制度が労働者の権利であることが十分に知られていない。別に会社に制度がなくたって、労働者の権利なわけであります。これが知られていない。また、制度を知っていたとしても、職場に介護休業を取得しづらい雰囲気があったこと、こういったことが主な要因として国の調査結果で明らかとなっております。周知広報、また会社のカバー体制、これを整えるための支援が必要であります。

 二点目として、突然介護というのはやってきます。突然介護に直面した際、どこに相談したらいいか分からない。地域包括支援センターに相談したらいいんですけれども、その情報が行き届いていない。相談すれば落ち着いていろいろな手を打つことができますが、これが十分にできていない現状があります。

 望まない介護離職は、御本人にとっても、また日本の社会経済にとっても大きな痛手であります。これを何としても防がないといけません。情報の周知啓発という観点、また企業に対する支援という観点で、現場の課題を踏まえて、これまで以上の取組を進めていっていただきたいというふうに強く思います。

 武見厚労大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、介護離職を防止するためには、家族の介護に直面した方が介護サービスや介護休業制度等を活用しやすくすることが極めて重要だという共通認識を持っております。

 このため、地域の皆様が介護に関する様々な情報につながることができるように、御指摘の地域包括支援センター、これはおおむね中学校区に一つあって、今、全国に約五千四百か所ありますけれども、これを通じて、やはり、リーフレット等、周知徹底させて、こうした仕組みを使いやすくさせる、これをとにかく徹底してやるということを申し上げておきたいと思います。

 それから、介護休業等を取得しやすい職場環境にすることが重要であって、今年度より、介護休業取得者の業務代替体制の構築に取り組む中小企業事業主への助成を行っております。加えて、中小企業における代替要員確保等のノウハウを持つ、仕事と家庭の両立支援プランナーの派遣による支援も行っております。

 さらに、現在、仕事と介護の両立支援の在り方について労働政策審議会でも御議論をいただいておりまして、その中の論点の一つとして、社内制度等について労働者への周知を強化するものもその中に含まれております。それから、先ほどの、企業への支援の活用状況などについても今後の検討にしっかりと生かしていきたいと思っております。

 いずれにせよ、介護で離職することなく仕事を継続できる社会の実現を目指して、御指摘を踏まえながら、仕事と介護の両立支援にしっかりと取り組んでいく所存でございます。

國重委員 是非よろしくお願いします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて高木君、國重君の質疑は終了いたしました。

 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。

 岸田総理、よろしくお願いいたします。

 十一月が近づきまして、物価高の厳しい冬がこれからやってまいります。スーパーに行きますと、値上がりをした商品だけではなくて、ステルス値上げといって、値段を変えずに容量が減るといった商品も多くあるということに気づきます。今まで五個買えていたパンが四個になっているということがあるわけです。五人家族でいいますと一人食べられなくなるわけですので、食卓には大きな影響だと思っております。

 先日、岸田総理はスーパーに視察に行かれました。二十三日の所信表明演説の中でも、変化の流れをつかみ取るということをおっしゃっておりましたが、果たして、今頃ぞろぞろと大名行列でスーパーに行くことが、変化の流れをつかんでいると言えるのでしょうか。確かに高いと言われても、そんなことは前から分かっていることであります。

 既に様々なところで深刻な物価高の影響が及んでいます。例えば、総理の地元の広島市で、先月、給食を提供する会社が倒産をしまして、全国に給食が行き渡らなくなるといったことが起きました。今、給食事業者の六割以上が業績が悪化しているということです。そして、一人親家庭の多くが、子供の食費を捻出するために親自身の食事の回数とかおかずを減らしているということで、介護業界では、電気代などが高騰してもなかなか価格転嫁ができず、非常に経営が苦しいということです。

 生産現場も同じです。燃料や肥料や飼料、機械など生産資材が高騰しても、なかなか生産者が自分で価格を決めることができず、農林水産業は価格転嫁がなかなか進まない業界の一つです。農作物を作っても、経費がかかって利益が少ない。燃油代をかけて魚を捕りに行っても、魚がいない。ただ真面目に仕事をしているだけなのにどうしてこんなに厳しいんですかと畑作農家の方はおっしゃっておりました。

 酪農現場の現状を、先日、岸田総理も御覧になったと思います。酪農の分野は、十年たたないうちに増産から減産ということで、最も自民党農政に振り回された業界の一つだと思っております。

 昨年、牛を処分すると十五万円の奨励金が出るという事業がありました。実質、生産基盤の弱体化を後押しする予算だったんですが、この事業に関しては、道内有数の酪農地帯でさえ申請件数が二件とか、非常に申請件数が少ないということで、つまり、困っている生産者が本当に求める施策ではなかったという証明だと思います。今、酪農家が求めているのは、抑制や減産ではなく、一体いつになればこの状況から抜け出せるのかということです。

 二〇一二年も、今のように生産を抑制していることがありました。その後起こったのが、バター不足という混乱です。その教訓を生かしつつ、先々の予測をして方向性を示していくというのは、これは営農を続けていく上で非常に重要で、国の責務だと思っております。

 安定供給の話ですので、是非総理に伺いたいと思います。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭、委員のお話を聞いておりまして、スーパーに行ったという話、あれは、スーパーの現場で車座で御意見を聞くために足を運び、併せて視察もさせていただいた、こういったことであり、あの時点で初めて現場を見たというものではないということを申し上げるのと、それから、ちょうどその車座で、学校給食の業者の方も参加しておられました。委員おっしゃるように、学校給食、契約自体が三年、四年、長期なのに、その間に物価がどんどん変動してしまう、それを吸収する場がない、大変だという話、こういった話も聞き、こういった契約の在り方についても考えさせていただきました。

 そして、その上で、今、酪農についてお話がありました。

 酪農経営については、飼料その他の生産コストの上昇など厳しい状況になっている、そして離農も進んでいる厳しい状況にある、このように認識をしております。また、生乳需給は現在も緩和基調であり、生産者団体において需給に応じた生産の観点から生産抑制に取り組まれている、こうした現実があると承知をしています。

 私自身、酪農に関しては、先月上旬に栃木県に足を運ばせていただきまして、車座対話で酪農関係者の皆さんから厳しい現状をお聞きいたしました。国産飼料の生産と利用の拡大、牛乳、そして乳製品の輸出増加に向けた取組の重要性を改めて認識をしたところでした。

 政府として、これまで、累次にわたる配合飼料コストの抑制策等を機動的に講じ、経営環境の改善あるいは安定、これを図ってきたところでありますが、さらに、今般の経済対策において、飼料の国産化、輸出の取組の強化等を盛り込んで、持続可能な酪農経営、これを実現するべく、現場の皆さんの声も聞きながら、具体的な対策を盛り込んでいきたいと考えております。

石川(香)委員 厳しい状況がいつ頃終わるのかという全体の見通しをお伺いしたかったんですが、厳しい状況は認識している、これはもう当たり前だと思います。ただ、全体の見通しがある程度分からないと、当然、いつまで体力を温存すればいいのか、投資も含めて、営農計画というのが立てられないわけです。いつまでか分かりませんが我慢してくださいというのは、これはもうもちません。余りにもこれは食料安全保障の軽視ではないかと思います。やはりある程度の目安を示さなきゃいけないと思っております。

 宮下大臣にもお伺いをさせていただきます。

 経費を圧迫する肥料や飼料の高騰対策、これは全国の農家が求めております。先日、宮下大臣は、生産資材高騰の国際相場について、足下では落ち着いてきていると発言されました。しかし、円安で輸入コストが増大している今、現場は決してそのような認識ではありません。

 その上で、国や生産者、メーカーで拠出をしている配合飼料の基金、これは大事なセーフティーネットです。ただし、今のように価格が高止まりをしてしまいますと、制度上、補填が発動しなくなっております。価格高騰が長期化する今、今年十二月までの特別措置を延長するということになるんでしょうか。

宮下国務大臣 配合飼料価格安定制度につきましては、令和五年度以降、二年連続で補填が続いた後に飼料価格が高止まりした場合においても補填が出やすくなる新たな特例を設けて、生産者の皆様に補填金を交付しております。この特例は、従来の仕組みでは補填が出なくなってもなお価格が高い場合に、生産者負担の急増を抑制する措置として設けたものでありまして、これはその期間を三四半期までとしておりますので、一応今年末までという制度になっています。

 ただ、配合飼料原料については、国際相場自体は落ち着いてきております。現時点では配合飼料価格に大きな変動はないと見込まれる状況ですけれども、御指摘のように、足下の円安基調もありますので、引き続き動向はしっかり注視してまいりたいと考えております。その上で、来年の一月以降は、従来の補填の仕組みで適切に支援をしていくという方針であります。

 また同時に、今後、国際情勢の変動の影響を受けにくい構造への転換のために、耕畜連携とか飼料生産組織の強化、こうした取組を進めると同時に、国産飼料の生産、利用の拡大を加速して体質を強化していく、その支援に全力を挙げていこうと考えております。

石川(香)委員 なかなか延長しないということでありますし、粗飼料も含めて、餌全体の高騰対策というのを求めたいと思います。

 農家にとっては、耐えに耐えたこの冬が本当に正念場だと思っております。果たして農家を一戸たりともなくさないという気概が政府にあるのか、なかなか伝わってきません。牛乳や乳製品が足りなくなる、肉や魚が足りなくなる、野菜が足りなくなる、農家がいなくなる、その前に予測をして回避するのが食料安全保障じゃないですか。

 また、伸び代のある分野を応援するのも重要です。

 例えば、ロングライフ牛乳といって、常温で九十日間保存できる牛乳は、アジアを中心に毎年輸出を伸ばしておりまして、非常に人気です。国産の粉ミルクは、原材料のほとんどを輸入の脱脂粉乳を使っておりますので、こういった部分は、価格や販売先の開拓など、国がもっと前面に押し出して、後押しするということが大事だと思います。

 この問題に党派は全く関係ありません。総理、生産現場が奮い立つようなリーダーシップ、是非お願いいたします。

 続いて、少子化も止まりません。

小野寺委員長 質問を、求められますか。

石川(香)委員 では、一言お願いします。

岸田内閣総理大臣 人口減少が続く中にあって、拡大が続く海外食市場、これを獲得することがますます重要になっており、御指摘のLL牛乳を始め、牛乳・乳製品についても、こうした考えで輸出の取組を後押しをしてまいります。

 そのために、輸出向けの施設整備など、様々な支援を用意いたしますが、その中にあっても、LL牛乳、これは常温でも長期の保存が可能であることから、輸入に当たっても、大きな期待が持てるものであると認識をしております。

 是非、このLL牛乳を含めて、海外需要を開拓しながら、そして我が国の酪農が発展していけるように、政府としても全力で取り組んでいきたいと考えております。

石川(香)委員 前面的に立って、御支援をよろしくお願いいたします。

 少子化も止まりません。

 異次元の少子化対策を掲げる自民党ですが、先日の埼玉県の虐待防止条例では、小学校三年生以下の子供が、子供同士で公園で遊んだり、子供だけで留守番をさせることが放置、つまり虐待に当たる内容が、世間の猛反発を受けました。

 結果的に提出を撤回したからこれにて一件落着ということではなく、現実と余りにもかけ離れている発想が私は問題だと思っております。

 岸田総理、これに関しては、地方議会における条例案という理由で直接コメントされてこなかったと思いますが、そもそも、条例は法律の範囲内で制定しなければなりません。

 一般論として、地方議会が勝手に条例において法律の中身を個別具体的に決めてしまうことがそもそもおかしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 基本的に、地方議会の条例案について政府として直接コメントすることは控えなければならないと思っております。

 その上で申し上げるならば、子育てを取り巻く環境としては、仕事と子育ての両立の難しさ、また家事、育児の負担が依然として女性に偏っている状況、また子育ての孤立感や負担感等があり、こうした課題について一つ一つ解決していかなければならない。こうした基本的な考え方に立って、政府としては、六月にこども未来戦略方針を決定し、実行を図っていく。これが政府の方針であります。

 政府の方針、これはしっかりと示しながら、地方においても条例についてそれぞれ考えていただく、こうしたことが重要であると思っています。

石川(香)委員 私がお伺いしたかったのは法律と条例の話でありまして、法律と条例は基本的に同じ定義にしておかないと、運用上混乱してしまうわけですね。

 自民党の県議の方、内容自体は瑕疵がないという発言をしております。埼玉県議会の自民党では、こどもまんなか政策と連動した、こどもまんなかプロジェクトチームというのをつくっているということでしたので、自民党のこどもまんなか政策の一環なのかなというふうに捉えてしまいます。

 これは埼玉県のイメージにも関わる問題ですので、はっきり、やはりこれは違うとか違わないということは言った方がいいと思うんですが、もう一度、よろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政府の考え方、そして政府は何を大事にしているのか、こうしたポイントについては、子供、子育て政策を議論する中で様々な場で繰り返して説明をしておりますし、六月にその方針を確定した後も、実行に向けて、こういった考え方は丁寧に説明していかなければならないと思います。

 こうした政府の考え方を明らかにすることで、それぞれ地方においても子供、子育てについてあるべき姿を考えていただく、こうしたことは大事であると思っています。

石川(香)委員 では、ちょっとここは加藤大臣にもお伺いしたいんですが、加藤大臣は、十日の閣議後の記者会見でも、この条例案の賛否については、県議会で議論をしている最中なのでコメントを控えるという発言をされておられました。

 今回、提出を撤回するという結論が一応出たということで、改めてどうお感じになっているか、お伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 同じく、地方議会における条例案そのものにつきましては、政府としては、また大臣としてコメントすることは控えますが、一人の母としては、かなり難しいものを求めている条例だったというふうには申し上げたいと思っております。

 また、条例に関して申し上げれば、こども基本法におきまして、子供の声や当事者の声をきちんと聞きながら議会等で議論をしてほしいという方針もありますので、そのことの周知を今後こども家庭庁としてしっかり進めていかなければならない、このように考えております。

石川(香)委員 九歳以下の子供を一人で登校させたことがあると大臣もおっしゃっておりましたが、当然私もありますし、普通あると思います。やはり、だからおかしいんですね、この内容は。駄目なものはしっかり駄目と言わないといけないと思います。

 駄目なものをしっかり駄目だと言うという点に関しては、今入院されていますけれども、細田前議長のセクハラにまつわる発言だってそうだったと思います。

 この問題については、いつも総理は、一般論と前置きをされてから、名のり出る人がいなければセクハラはないという考え方は適切ではないとおっしゃっております。この内容には私も賛同いたしますが、一般論とか、相手が衆議院議長だとか総理大臣とかは別として、やはり駄目なものは駄目なんじゃないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の細田議長の発言については、当時衆議院議長でいらした細田議長が発言されたものであり、ですから、内閣総理大臣として直接それについて申し上げるのは控えると申し上げたわけであります。ですから、一般論としてということで、私の考え方を申し述べさせていただきました。

 セクシュアルハラスメントを受けたとしても、様々な事情によりそれを言い出せない方がいらっしゃる、こうしたことを考えなければならない、こうした思いについて私は申し上げたつもりであります。

石川(香)委員 なかなかはっきりおっしゃられないんですが、自民党かいわいでは、最近、こういう政策とか発言の中で、世の中との感覚とか実態とのずれというのが非常に多いのではないかなと思います。

 次は、上限を撤廃した企業型ベビーシッター割引券について伺います。

 子育ては社会全体でするものという考えの下で、関わる人が一人でも多くと私も思いますので、その点でいえば、ベビーシッターの利用というのは非常に有効な手段だと思います。ただし、利用できればの話です。

 この企業主導型ベビーシッター券は、全国の企業からの拠出金が原資でありまして、その財源を基に、拠出した企業の従業員がベビーシッターの割引券を使えるというもので、意外にも三十年前からあるそうです。ただし、厚生年金に加入する会社しかそもそも参加できないということで、その割合は、厚生年金に加入している会社のうち〇・一六%にとどまる。さらに、ほとんどが東京の利用となっていまして、東京だけで五六%を占めており、首都圏を中心に大都市で使われているのが実態です。

 ちなみに、私の選挙区の北海道での実績は〇・五%、加藤大臣の地元の山形県に至っては実績なしだそうです。

 地方の会社も拠出したお金で結局首都圏ばかりに使われているというのは問題だと思いますが、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 お尋ねの企業主導型ベビーシッター利用支援事業、これは、福利厚生として従業員のベビーシッター利用援助に取り組む企業の方々を支援するものであります。

 したがいまして、本事業は厚生年金適用事業主が負担する事業主拠出金のみを財源としており、各企業は、割引券を管理する団体に申込みを行った上で、子育て中の従業員に割引券を交付する仕組みとなっております。

 本事業は首都圏を中心に大都市での利用が多くなっているということは御指摘のとおりと承知してございます。これは、厚生年金適用事業主が大都市に多いことなどを反映しているものと考えられます。他方で、年々、中小企業を含めた利用企業数ですとか利用される地域も拡大をしているという傾向があります。裾野が広がってきているなということを認識しております。

 多様な働き方をしている従業員の方々のニーズに応じて、できるだけ多くの企業で幅広く御活用いただきたいと考えております。

 以上でございます。

石川(香)委員 地域が偏って幅広く使われていない制度であるということと、偏りといえば、そもそも、御説明にもあったように、厚生年金に加入している人のみが利用対象ということですので、つまり、フリーランスや厚生年金に未加入のパートタイマー、公務員、議員などは利用することができません。サポートを必要とする人はこういった方々の中にもいらっしゃると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 フリーランス等の働き方をされている方々につきましては、保育の必要性の認定を受けた上で保育所等を利用することが可能であるほか、ファミリー・サポート・センター事業や一時預かり事業などの子育て支援メニューを組み合わせて利用していただくことが可能であります。

 働く子育て世帯の皆さんが仕事と子育てを両立し、働き続けられる環境を整えてまいりたいと考えております。

石川(香)委員 やはり、こういう制度は、仕事の内容とか住まいとか生活環境によって子育てにハンデが出ないようにするというのが大事だと思いますし、それが政治だと思います。企業の拠出金が原資ということなんですが、国も世の中のニーズにしっかり目を配りながら、どの人にとってもいい制度であるように制度設計をお願いしたいと思います。

 次に、迫りくる物流の二〇二四年問題について伺います。

 来年四月から、働き方改革によりまして、残業時間を年間九百六十時間に収めるという新しいルールが始まります。過労死をするような働き方は絶対是正しなければなりません。

 一方、ドライバーが少ない中で、仕事は増え、当然物流に影響が出るということは先ほどの質問にもありました。ずっと懸念をされておりました。

 そこで、どのようにこの問題をクリアするかという案の一つに、高速道路における大型トラックの制限速度を上げるというものがあります。既に政府もその方向で調整をしております。(発言する者あり)そうなんです。これは、雪の降る地域もあるにもかかわらず、ドライバーの安全を二の次にしたような非常に無理のある話だと思っております。

 先ほど総理は、持続可能な物流を目指すとおっしゃっておりましたが、とてもこれでは持続可能な物流は目指せないと思いますが、いかがでしょうか。

松村国務大臣 委員御指摘の物流二〇二四年問題でございますが、この解決に向けては、既に閣僚会議におきまして政策パッケージが取りまとめられたところでございます。その一つの施策として、高速道路のトラック速度規制の引上げが盛り込まれたところでございます。

 これを受けまして、警察庁におきましては、学識経験者や運送事業者団体等の方々を構成員とする有識者会議を立ち上げまして、開催をさせていただいております。現在、二回ほど開催をさせていただきまして、十二月には三回目を開催する予定でございます。

 速度規制の引上げを検討するに当たっては、道路交通の安全の確保は大変重要な課題であると認識をしております。この検討会におきましては、交通事故の発生状況、車両の安全に係る新技術の状況のほか、運送事業者の方々へのヒアリングを通じまして、トラックドライバーの精神的負担の観点からも検討が進められていると報告を受けております。

 どのような速度規制の在り方が望ましいかについて、国土交通省を始めとする関係府省とも緊密に連携をしながら、精力的に検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、御指摘の、降雪がある地域での速度規制の引上げは危険ではないかという御懸念があるかと思いますが、これについては、高速道路における規制速度につきましては、例えば、降雪時には一時的に規制速度を下げるなど、都道府県警察においてきめ細かな速度規制を実施しているものと承知をしております。

石川(香)委員 これはそもそも、荷主から、早く仕事をしてくださいねという圧力にもなりかねないわけです。

 今説明がありました有識者会議、十二月をめどに提言がまとめられた後は、特にこの決定には国会の審議は必要としません。新たな制度がスタートする四月を前に、安全性の検証などは十分にできるのか、非常に疑問です。今、規制速度を季節とか地域で変えることができると言いますけれども、大筋の方向性はもう速度を上げるということを言っているわけですので、働き方改革といいながら、非常に本末転倒だと思っております。

 そもそもトラックには、リミッターといって、あえてスピードを出さないようにする機能が内蔵されております。この制限が現在九十キロということなんですが、このリミッターがついてから事故は四割減少しまして、業界全体で安全運転に努めてきた努力の結果だと言えると思います。

 私は、スピードを上げるかどうかの議論の前に、やはりやることがあると思うんですね。例えば、荷待ちといって、荷物を受け取りに行ったら何時間も待たされるですとか、本来の契約に入っていない荷降ろしとか商品の陳列もドライバーがしていたりする実態をまず点検をして、トラックの運行に専念できるようにするべきだと思いますが、国交大臣、よろしくお願いします。

斉藤国務大臣 この六月に全体の政策パッケージをつくりました。その中に速度の話も出ていたわけですけれども、その六月につくった全体のパッケージの中から、すぐできること、すぐにやらなきゃいけないことということで、先日、緊急パッケージというものを、これはすぐ実行するということで、総理の下、発表させてもらいました。それは、デジタルの活用や自動化、機械化による生産性向上、荷主に荷待ち、荷役時間の削減等の取組を義務づける措置の法制化などを進めるということでございます。

 また、本年十一月、十二月の二か月間をトラックGメンによる集中監視月間とし、関係省庁と連携して、悪質な荷主に対して要請、勧告、公表を行うなど、指導を強化することとしております。

 できることをしっかりやってまいります。

石川(香)委員 全体の話の中でということだったんですが、速度のところだけこうやって有識者会議をしているわけなんですよね。既に導入している企業もありますけれども、荷受けの予約システムの導入であったり、いまだに伝票を使っていることが多いということでしたので、電子化を後押しすることも大変重要だと思います。

 まず、スピードを上げるよりもトラックの運行の効率を上げること、それから、運賃の交渉、これもなかなかうまくいっていません。処遇の改善、これが何よりも重要です。結論ありきでは絶対いけないと思います。

 最後に、薬不足についても伺いたいと思います。

 現在、日本国内では深刻な薬不足に陥っております。特に、抗生物質、去たん薬、せき止めなど、これから本格的な冬を前に、必要な薬が多く含まれております。

 国はようやく、せき止めや去たん薬、この増産に向けて、メーカー八社に要請をいたしました。ただし、中身は、メーカーの在庫の放出であったり、より優先度の高い薬のために生産ラインを融通するとか、もう既にやれるのならやっているのではないかと思われるものばかりで、この対策で本当にこの冬の薬不足を乗り切れるのかどうなのか。武見大臣に伺います。

武見国務大臣 御指摘の、せき止めだとかたんを切る薬について、一部の対症療法薬について、厚生労働省から主に八つのメーカーに対して、他の医薬品の生産ラインからの緊急融通やメーカー在庫の放出など、供給増加に向けたあらゆる手段による対応を要請したところでございます。

 この結果、これらの社による年内の供給量は九月末時点よりも更に一割以上増えるということになっておりますので、大分この需給は緩和をするというふうになります。

 ただ、感染状況によって薬の需要というのはその時々に変わってくるものでありますから、その時点において完全に、では供給は十分かというのは、今の時点からはまだ予見ができません。

 それから、年明けに更にこれは増産をしなければならないと考えておりまして、二十四時間の生産体制への移行など、これまで増産要請に対応してきたメーカーに更に増産に向けた投資を行っていただくための支援を講じる方向で、今も更に検討を進めているところでございます。

 これらの医薬品に対する需要は感染症の流行状況などにより左右されることから、今見通しを立てることは難しいのでありますけれども、国民に必要な医薬品を確実に届けるよう、あらゆる手だてで努力するつもりです。

石川(香)委員 様々なこともありますので予見できないとおっしゃっておりましたが、しっかり乗り越えられるようにするのが国の役割だと思います。

 先ほど話にもあった、来年からは二十四時間生産体制にすることに向けて、その人員確保などに関わる投資をした企業に支援をするとかいろいろ言っておりましたが、なかなか人員を確保するというのも容易ではありません。

 そもそも、何でこんなことになってしまったのか。薬の値段である薬価は毎年の改定で下がり続けているということ、今や駄菓子よりも安い薬が多いと言われております。作っても作っても不採算になるということで、メーカーが作りたくても作れなかった背景、度重なるメーカーの行政処分なども重なって、今回の供給不足に陥ったと考えられます。

 薬の安定供給や新薬の開発のためにも、引き上げる基準を明らかにした上で、薬価を上げることが非常に重要ですが、この点についても伺います。

武見国務大臣 議員御承知のとおりと思いますけれども、既に、医薬品の安定供給の確保は、医療上の位置づけが確立をし、広く臨床現場で使用されていることが明らかである基礎的医薬品、これは中医協で、そこで合意をもって確定をいたします。その下で、一定の要件の下で薬価を維持することとしております。

 それから、保険医療上の必要性が高い医薬品のうちに、薬価が著しく低額であるために供給継続が困難になってしまったものについては、薬価を維持又は引き上げる不採算品再算定、これは各企業ごとに申請をしていただいておりまして、個別に判断をしております。

 これらの仕組み等を活用して安定供給のための手だてを進めているわけでありますけれども、令和六年度の薬価改定においては、こうした取組も活用しつつ、国民が必要な医薬品を使用できるようにしていきたいと考えておりまして、中医協において、そのための必要な議論は確実に実行するつもりでおります。

石川(香)委員 不採算品の再算定、これも非常に、メーカーからしますとなかなか、どういう基準なのかという声が上がっておるようです。

 もう一つ、最後になるかもしれませんが、薬と患者をつなぐのは薬局です。薬局でも、度重なる欠品であったり、ジェネリックに変えたことによる患者への説明、それから謝罪なども含めて、こういったことで時間が取られてしまっている。また、出せなかった薬を後日郵送する手間であったり、送る手間、経費、これは全て薬局の自己負担になっております。

 今回、グループ以外での薬局での薬の融通に関しては加算の特例がつきましたが、足りない薬がどこの薬局も同じということがありますので、なかなか活用できていないのが実態だそうです。

 地域を支えてきた薬局への支援もセットで考えるべきだと思いますが、この点について、いかがでしょうか。

武見国務大臣 御指摘のように、それぞれの地域の中で、薬局間での医薬品の融通、そして医薬品の安定供給に資するという取組は、現状で確実に行っております。それから、令和五年四月から、そのために診療報酬上の特例措置というのもつけているということは御案内のとおりであります。

 今後、更に医薬品供給の状況と医療の現場への影響などを注視しつつ、さらに、必要に応じて、中医協でこの点に関わる議論も進めることになっております。

石川(香)委員 是非、この薬不足、非常に大きな問題ですので、しっかり取り組んでいただきたいと思いますし、総理も、たくさん質問させていただきましたが、国民が今求めている対策の実現を是非お願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭と申します。

 総理と質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、経済対策について、一昨日、自民党の世耕参議院幹事長が、本会議の場で、総理が何をやろうとしているのか全く伝わりません、こういう話があって、自民党内にも伝わらなかったら、国民に伝わるわけないじゃないですか。

 総理は、経済、経済、経済というふうに所信で連呼されましたが、非常に抽象的過ぎるんですね。やはり一時的な経済対策、これは重要です。もちろんこれはやらなきゃいけない。しかし、今一番日本で大切な経済対策というのは、物価を上回る賃上げ、賃上げ、賃上げ、賃上げ、賃上げなんじゃないでしょうか。

 御存じのように、このパネルを見ていただくと、これはおなじみの表なんですけれども、日本が先進国でこの三十年間、実質賃金が上がっていないんですね。これはもうよく国民の皆さんも御存じだと思うんですけれども。これを根本的に直さなければならないということが最大の課題なんですよ。

 これについて、私は、ちょっと今日、二つテーマを挙げさせていただきたいと思うんですが、一つは、やはり労働生産性を上げるということなんですね。

 これは、一つは、人への投資が圧倒的に少ないです、日本は。職業訓練への公的支出、GDP比でいうと、フランスの三十四分の一、ドイツの十八分の一、イタリアの十五分の一、アメリカの三分の一なんですね。アメリカは企業がどんどん投資しますから、人への投資。公的な職業訓練、リスキリング、リカレント教育が圧倒的に不足しています。これを本当に異次元でやっていただきたい。これが足りないところです。

 もう一つは、生産性を上げるために、デジタル化の遅れなんですよ。これは官民のデジタル化を徹底的に進めなきゃいけない。

 我々もデジタル化は徹底的に進めなきゃいけないという立場なんですが、例えばマイナ保険証、この後質問がありますけれども、ああいう無理に保険証を廃止してデジタル化を進めるという乱暴なやり方というのは、これは逆行するんですね、総理。

 イギリスで、御存じのように、二〇〇六年、IDカード法というのが、国民の反対があるのに強行して、四年後に政権が替わって、IDカードは廃止になっちゃったんですよ。

 ですから、是非、無理のないデジタル化を適切に進めるというところも非常に不足をしております。これが労働生産性を上げる。

 それ以外にもいろいろありますけれども、もう一つは、適切な分配ということなんですよ。ここも大きく足りないんですね。

 次のパネルを見ていただきますと、これは非常に問題のデータではあると思うんです。

 これは厚生労働省、そして厚生労働省の外郭団体のJILPTというところが作ったものでございますけれども、日本、アメリカ、ユーロ圏、見ていただきますと、オレンジ色が労働生産性の上昇なんですね、総理、資料にも配っておりますけれども。そうすると、アメリカもユーロ圏も、この三十年間、労働生産性が上がると同時に賃金もこれはついていっているんですよ。雇用者報酬も、実質の賃金がついていっているんですね。

 ところが、日本は、労働生産性が上がらないから賃金が上がらないというふうによく言われているんですが、確かにほかの国よりは上がっていませんが、ただ、一定の労働生産性の向上というのはあるんですね。あるけれども、賃金は微動だにしない。つまり、付加価値は上がっているのに賃金に回っていないんですよ、これは。ここが最大の問題なんですね。

 私は、初めは総理、期待していましたよ、新しい資本主義。これが、この差をなくすのが新しい資本主義なんですよ、皆さん。これは公益資本主義というふうにも言えると思うんです。

 一つは、やはり自社株買い、そして配当、これが、日経新聞の調査でありますと、併せて過去最高水準になります、来年の三月期でですね、見込み、予想で。非常に、この自社株買い、配当がどんどんどんどん伸びている、その一方で賃金が追いついていないということなんです。

 まず、自社株買いからちょっと質問いたしますけれども、米国は最近、自社株買いに対して税金をかけました。そして、バイデン大統領は更にその税金を四倍に増やすと言っております。なぜならば、短期の株価ではなくて賃金などに回してほしいと。つまり、会社が利益を得たら、それを自分の会社の株を上げるために自社株を買う、そういうところにお金をつぎ込んでいくとなかなか賃金が上がらないということで、四倍に税を増やすということをバイデン大統領は表明をしております。

 ヨーロッパ諸国は、御存じのように、自社株買いは原則禁止になっているんですね。当然、例外もありますけれども。日本は、もちろん一定の要件はありますが、基本的にはフリーで自社株買いができる。これは大変重要なポイントなんですよ。

 実は、我が党の落合議員が二〇二一年の十二月十四日の予算委員会で自社株買いの規制について質問しているんですね。そうしましたら、総理が答弁されて、確かに、新しい資本主義を実現するためにも、御指摘の点は重要なポイントだ、ガイドラインとか何かそういったことは考えられないのかということで検討を示唆されたわけでございますが、その後、検討は進みましたか。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的な認識として、自社株買い、自己株式の取得については、それぞれの企業が企業環境ですとかあるいは事業計画を踏まえて経営判断をする、そういうものであると考えておりますので、画一的な規制は慎重に検討する必要があるという認識の下で、何かできないか、そういったことを申し上げました。

 新しい資本主義の考え方においても、要は、多様なステークホルダーを重視して、賃上げやリスキリング、人への投資、これを含む企業価値の向上、これを進めることが重要だということで、そういった取組を進めてきました。企業価値の向上が大事だということで、コーポレートガバナンス改革あるいは非財務情報の公開ルール、こういったものを進めてきた。そのために、企業価値の向上のためにこういったことをやることが、やはり画一的に自社株買いを規制するというのではなくして、有効な手段であるということで取組を進めてきました。

 実際、東京証券取引所等においても、今年の三月に、関係企業への働きかけで、自社株買いや増配のみの対応や一過性の対応を期待するのではなくして、資本コストを上回る資本収益を達成し、持続的な成長を果たすことを期待する。民間においてもこういった考え方を進めていくことが重要だということが、新しい資本主義における考え方、取組だと思っております。

長妻委員 役所に確認をしたら、ガイドラインとか一切検討はしていないということでございましたので。ヨーロッパ、アメリカは、もう新しい資本主義がどんどん進んでいるんですよ。日本だけ古い資本主義じゃないですか。これはやはり、総理の錦の御旗がもう色あせているわけで、こういうところを注力していただかなければ困ると思います。

 そして、配当でありますけれども、配当につきましても、これもすごい伸びですよね。一九九〇年から賃金は上がらない、しかし配当は七倍、八倍ぐらい伸びているということでございまして、これも分配が非常に進んでいないんですよ。

 そういうところについて、一つは、配当の、ある意味では果実といいますか、ものを税収に結びつけるということも必要なんじゃないか、財源を出すためにもと我々考えておりまして、一つは、例の総理がよくおっしゃっている一億円の壁、あれはどうしちゃったんですか。一億円の壁というのが、総理、総裁選のときもおっしゃって、日本は所得が一億円を超えると所得税率が安くなる、こういう珍現象が起こるわけですね。これは何とかしなきゃいけないということで、総理も総裁選のときにもおっしゃいました。一億円の壁は考え直す、成長の果実の分配や国民の一体感を取り戻すという点から、一億円の壁を考え直すと明確におっしゃっておられるわけです。

 そういう意味では、金融所得課税の中で配当の課税という税率があるんですが、これは財務省の資料に基づいて作ったものでございますけれども、日本の最高税率、金融所得課税ですね、二〇%少し。金融所得課税の中の配当課税ですね、配当部分、利子じゃなくてですね。アメリカ三四パー、英国三九パー、ドイツ二六、フランス三〇ということで、フランスは総合課税もありますので。

 ですから、これについて、一億円を超えると税金が、税率が安くなるというのは、どう考えてもおかしいんじゃないですか、総理。今回、所得税も減税されるわけですけれども、これは、一億円以上の方はちゃんとほかの国並みに税金をやはり取って。所得再分配機能はアメリカより弱いんですね、日本は。

 もう総理、やる気ないんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の一億円の壁の話につきましても、高額の所得者から少しずつ議論が進み、結果を出してきた、こういった取組は進めてきました。そして、これは基本的に配当……(発言する者あり)そういった取組、是非、税制改正大綱を見ていただければ。それを段階を踏んで進めています。

 そこで、今御質問にありました配当所得課税というのは、これはそもそも配当を受ける方に注目して課税を行うということでありますので、配当を制限するために課すものではない、こういったものであります。

 ですから、配当所得を含む金融所得の課税の在り方についてこれを議論していくにしても、これは配当を受ける側に対する課税でありますので、他の所得との課税のバランスとか、金融所得に係る税負担の増加が経済や市場にどのような影響を与えるか、これを考えながら少しずつ考えていくものであると思っています。

 これは、取組を忘れたということではありません。今言った配慮の下に議論を続けている、こういったものであります。

長妻委員 新しい資本主義というのが今回の所信表明演説に入っていないんですね、一言も。これまでずっと入っていたんですよ。もうやめちゃったんですかね。

 今さっき総理がちょっと何かやっているみたいな話をされましたけれども、これは調べてみると、一年間の所得が三十億円を超える方だけにちょっと税金を増やした。これは人数を調べましたら、二百人。三十億円増収だそうです。これでアリバイですか。これはおかしいですよ、日本は、皆さん。閣僚の皆さんも聞いておられると思いますけれども。

 つまり、むき出しの資本主義にどんどん日本はなっていて、ほかの国は、昔はそうでしたけれども、アメリカもEUも、やはり公益資本主義というところで分配をどんどんどんどん加速しているんですよ。日本だけが、そのままの新自由主義的な古い資本主義が続いている。総理、いい線いっていたんですよ、一番初めのお話は、最初は。全然これは話にならないというふうに思います。

 そしてもう一つ、次の表を見ていただきますと、非正規雇用の問題ですね、これも手つかずなんですよ。

 これは少子化にも影響するんですが、これを御覧いただきますと、正社員と非正規雇用の方々の結婚率、これは最新の数字でありますけれども、倍違うんですね。今、少子化の最大の原因は、結婚したくても結婚できないというところが最大の要因になっているわけですよ。賃金の格差が激し過ぎる。

 EUでは、先日、EU指令が新たに変わりました。EUの報告書を読むと、男女の賃金格差が一三%も開いているので、これは何とかしなきゃいかぬと。日本は一三パーどころじゃないですよ、もっと開いていますけれども、一三%開いているからEU指令を出して各国に公表を義務化する、そして賃金の格差を是正する、それを勧告するような法的措置をつくれ、こういうような指示が出ているんですね。日本は、本当に羨ましい話でありますけれども、全然追いついていない。

 そこで、本当に総理に提案するんですが、得点要素法というものがありまして、ヨーロッパで使われているようなもので、我々、同一価値労働同一賃金という法律を国会に出しているんですね。全然審議していただけません、自公が。

 これは、得点要素法というのを入れて、同じ仕事というのはないんですよ、世の中。だから、それを千点満点で点数をつけて、それで同じ点数がつく、同じ価値、お金を扱う仕事とか対人の仕事とか、そういうものについては差をなくす。これを義務化するということで、ヨーロッパは、雇用形態にかかわらず賃金が合わさってきているわけです。

 こういうようなことを是非前向きに検討していただけませんか。前向きに検討するというふうにおっしゃっていただきたいんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほどの金融所得に対する課税、これは一言だけ言わせていただきますが、先ほど申し上げたように、この課題については、他の所得に対する課税とのバランスとか、経済あるいは市場との関係も考えながら議論を続けております。忘れたというものではないということを申し上げますし、それから、新しい資本主義、これはこの取組で官民挙げて賃上げに努力をしてきた、投資に努力をしてきた。だからこそ、今三十年ぶりの様々な動きが出てきていると認識をしています。

 新しい資本主義を忘れたということについては当たらないということをまず申し上げた上で、新しい資本主義に基づいての取組が今の明るい兆しにつながっている、それを持続させようというのが所信の趣旨であります。

 そして、それを申し上げた上で、雇用形態や性別にかかわらず公正な待遇を受ける、これは大変重要な課題であると我々も認識をしています。

 正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消について、これはパートタイム・有期雇用労働法等に基づいて、同一労働同一賃金、この徹底を図っているということでありますし、その際に、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差を客観的に確認をし、均等、均衡の取れた待遇を確保する観点から、厚生労働省において、職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル、これを作成して支援を行っている、こうしたことであります。

 こうした問題意識を持ち、そしてそういった取組を進めていく、これからも問題意識を持ちながら、雇用形態や性別にかかわらず公正な待遇が受けられる、そういった労働市場をしっかり考えていきたいと思います。

長妻委員 これだけ大切な問題、原稿棒読みですか。得点要素法という千点満点の方法を入れれば、相当改善しますよ。

 これは、私がはっきり言いたいのは、非正規雇用、雇用者の今四割じゃないですか。これは、一九九〇年代に経団連の前身の経済団体が提案して、自民党が飛びついて、どんどんどんどん労働法制を緩和して、ここまでの労働の状況にしたのは、これは自民党なんですよ。派遣を全面解禁して、どんどんどんどん非正規雇用を増やして、いつでも解雇できる、景気がよくなったらすぐ雇える、国際競争力が強くなる、こういうことをおっしゃって、これは反省がないんですよ、自民党は。これは本当に反省して、私らの提案を真摯に受け止めていただきたいということを強くお願いを申し上げます。

 そして、本当に、賃金、上げていただきたい、今申し上げた政策をやっていただきたいんですが、次に、対策の方ですね、一時的な対策について議論しますが、ちょっと一回総理に聞きたかったんですけれども、総理、増税眼鏡という言葉は気になりますか。

岸田内閣総理大臣 いろいろな呼び方はあるものだなと思っております。

長妻委員 まあ、私も眼鏡なのでね。

 ただこれは、増税眼鏡ということを気にする余り、減税に走ったというふうに言われておりますから、まさかそんなことないと思いますけれども。

 これは、二つの制度が混在するわけですね、減税と給付、二つが。それで、給付は世帯なんですよ。減税は個人なんですよ。だから不公平が出てくるんです、どうしても。例えば、世帯は七万円、非課税世帯。じゃ、一人の世帯だったら一人七万円。四万円ですよね、所得税の減税は。そうしたら一人四万円。じゃ、五人世帯だったら、七万円は一世帯五人でも七万円、非課税世帯は。五人だったら、四、五、二十万円。

 こういう、つまり、両方の制度が混在して、手間もかかるし、不公平もある。なぜ給付だけにしないのかなと、迅速だし。これは本当に疑問なんですね。

 ちょっと総理に聞きますけれども、具体的に聞きます。例えば、四人家族で十六万円、所得税を払っている人は減税になりますよね。じゃ、その四人家族の方が、例えば一万円しか所得税を払っていない、給与が低くて。その場合は引き切れないじゃないですか。十六万円以上の所得税を払っていれば、もちろん十六万円引かれますけれどもね。そうすると、例えば一万円しか所得税を払っていない方は、将来的に十六万円きっちりと給付と減税で渡るようにするということですか。

岸田内閣総理大臣 まず、申し上げているように、所得税、住民税の減税によって、二年間の税収の所得税、住民税部分を還元することでこの物価高に対して支援を行う、こういったことを基本にしていますが、低所得者については給付で迅速に対応する。

 おっしゃるのは、言ってみるなれば、その間の部分において、所得税の支払いが多くない方には返し切れないのではないか、そういった点。それから、先ほど、その前は、要は、世帯ごとと人数であるから不公平が生じるではないか。この二点、指摘があったわけですが、まず一点目、この間の部分については、重点支援地方交付金等を使って、この間の部分はしっかりと対応を考えていきたい、そういった仕組みをつくってまいります。

 そして、給付とそして減税との間、世帯と人数との間の不公平については、給付の部分に必ず何らかの上乗せをすることによって、逆転あるいは不公平、こういったことが生じないような工夫をする、こういった取組を指示しているところであります。

長妻委員 きちっと、世帯と個人ですから、それは、平等というか不公平感が払拭はできません。はっきり言っておきますけれども、できません、それは、制度的に。

 もう一つ、増税なんですけれども、実は防衛増税が来年以降控えている。これは、総理は午前中、来年はしないとおっしゃいました。じゃ、再来年以降というふうに言い直しましょう。そして、異次元の少子化対策で保険料の負担増ですね、これは医療保険と言われております。支援金制度というのが政府の文章に書いておりますが、これが、スタートが来年度から二〇二八年度までの間に保険料を値上げする、こういうのが控えているわけでございますが、これは二年後両方がスタートするということもあり得るんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、防衛の方で申し上げるならば、開始時期については、令和九年度に向けて複数年をかけて引き上げていく、こうした方針を閣議決定しています。そしてその際に、賃金ですとか景気、こうした状況に対する政府の対応、こうしたものをしっかり配慮した上で開始時期を考えるということを申し上げています。

 こうした、まず今は、この経済、デフレから完全脱却するために大変重要な時期だと申し上げております。賃金がまだ物価高に追いついていない中、まずは国民への還元という形で支援しなければいけない、こういった経済対策を今お願いしています。しっかりこの経済対策を実行した上で、今申し上げた方針に基づいて、防衛についても考えていかなければならない、子供、子育てについても考えていく、こうしたことであります。

 いずれにせよ、これはそれぞれ重要な政策課題であります。しかし、その政策課題、子供、防衛等の課題においても、経済に対するしっかりとした配慮の下に行う、こうしたことをしっかり明記しております。整合性は取れていると考えています。

長妻委員 保険料の来年度から、そして防衛増税は再来年度からという増税、負担増を否定はしませんでした。

 本当に苦しんでいる物価高の方々と、私も地元の方を含めて意見交換しますと、やはり一時的な対応、対策、これは必要です。

 ただ、皆さん結構おっしゃるのは、その後増税とか負担増が控えているんだったら、そっちの方を和らげてもらうような配慮もしてほしいよねと、そういうふうに強くおっしゃっておられるんですよ。ここでどんと大盤振る舞いして、選挙するのかどうか分かりませんけれども、それでその後負担増や増税が待っているというのは、これはおかしな話だというふうに思うんですね。

 そして、今回の物価高というのを、何か自然現象と思ってはおられないと思いますけれども、一体何のツケを払わされているのか。アベノミクスのツケを我々は払わされているんだと思うんですね。

 これは、アベノミクス、異次元の金融緩和によって、市場で日銀が国債をどんどこどんどこ買う、そうすると国債の価格がどんどん上がる。国債の価格、バブルですよ。それで、金利をちょっとでも上げると国債の価格が暴落しかねないというので、にっちもさっちも動かなくなる。金利は低く抑えざるを得ない、マイナス金利政策。日米の金利差がどんどんどんどん開いて、そして円安が加速するということで、これは人災なんじゃないですか。そういう認識をちゃんと持っていただきたい。

 その中で、冒頭もちょっと申し上げましたけれども、自民党の世耕参議院幹事長が、総理が何をやろうとしているのか全く伝わらないとおっしゃっているんですが、この問いにはどういうふうに答えますか。

岸田内閣総理大臣 この物価高の背景には、今、世界的なエネルギー危機や食料危機、世界中の国々が物価高で苦しんでいます。それが基本であると思っています。

 それから、今、だから、何をしているのか、何をしようとしているか分からないということに対してどう答えるかということにつきまして、これは、まさに今やろうとしていること、様々な努力によって、賃上げについても投資についても、三十年来の高まり、百兆円の民間投資、こうした明るい兆しが出てきている、これを来年につなげていく、これがデフレからの完全脱却に大事である。

 大事な時期を迎えているから、是非、ここでしっかりとした生産性や供給力の強化をやりましょうという経済対策と、そして、その大事なときに御指摘の物価高騰が襲ってきている、これに対して、国民の皆さんに、納めた所得税、住民税をその同じ形でお返しする、分かりやすい形でお返しする、こういった支えを国が責任を持って行う、この二つをこの経済対策の中でやろう、これを申し上げているわけであります。

長妻委員 これは総理の認識をちょっと変えてほしいんですけれども、世界の原油あるいは食料の原材料価格というのは一定程度落ち着きを取り戻しているんですよ。円安なんですよ、円安。最大の要因の一つは円安なんですよ。だから、そこについて日銀とよく話し合っていただきたいということもお願いを申し上げます。

 そして、我が党も経済対策を出しておりまして、その一といたしましては、これは今月からスタートさせるということで、家計への直接支援ということであります。

 まずはベーシック支援ということで、中間層を含む全世帯の六割にインフレ手当三万円を即座に支給をする。トリガー条項の発動ということで、ガソリン代一リットル、マイナス二十五円。そして、地方独自の上乗せ手当。これは臨時交付金を相当変えまして、上乗せ手当が地方独自にできるようにいたします。そして、児童扶養手当の基準世帯の子供一人当たり五万円。これは二人親を含むということで、これは一時的なものでありますが。

 加えて、以下、恒久措置。我々が掲げる政策を前倒しをして、財源も確保した上で、これはずっとやる政策を十月以降からスタートさせるということで、高校生まで一人当たり毎月一・五万円。これは今の児童手当を拡充するということで、高校生には今払われていませんから丸々追加、中学生以下は原則一万円ですから、今払われているのが、五千円プラスになる。所得制限は入れません。給食代も十月から全国無償化をスタートさせます。そして、奨学金返済利子の無償化、返済額の所得控除化、これも実行いたします。介護士、保育士等の月給を一万円上乗せ、これもスタートいたします。

 その二といたしましては、事業者への直接支援と省エネ、再エネ大胆投資ということでございます。

 これは、事業者への直接支援、電気料金支援、コロナのゼロゼロ融資の減免、これは今以上にやるということです。インボイス制度の廃止、これは事実上の減税になります。下請いじめの撲滅、これも今以上の対応を取る。観光業の人手不足の支援、物流輸送費軽減、これも今以上の対応です。地域公共交通支援、第一次産業支援の強化、肥料、飼料高騰対策、鳥獣被害対策、農作物の高温障害対策、これも今以上にやる。

 そして、エネルギーが、価格を抑えますと使用が増えては困りますので、省エネ、再エネへ大胆投資ということで、電動車への買換え。もちろん、電動車はEV、ハイブリッド、燃料電池車が入っておりますけれども、電動車の充電設備普及支援、インフラですね。住宅の断熱化、省エネ家電買換え緊急支援、中小企業の省エネ、再エネ推進ということを強力にやる。全部トータルで七・六兆円ということにしております。

 これは財源規模を、気をつけておりますのは、自民党、与党、これよりも多くなるのかどうか、そういうふうに二十兆という声も出ていますけれども、よく注意した方がいいと思うんですね。公共事業も与党・政府の案の中には入っていますけれども、がんがん過度に財政出動をすると、今、需給ギャップがほとんど解消されているときに、下手するとインフレの呼び水になりかねないというようなことがございますので、私どもはこういうような対応を取っているところでございます。

 是非これを参考にしていただきたい。つまり、一時的な対応もこれはありますけれども、ずっと続く対応もここの中に入れている。

 政府も、今日質問すると言いましたら、来年の十二月からですか、児童手当の前倒しをされるということで、高校生、中学生、ただ高校生は一万円ということで、我々より五千円少ないわけでございますけれども、もうちょっとやっていただきたいというふうに思います。

 次に、政治と金の話をいたしますと、この後も後藤委員の方からいろいろなお金の問題、閣僚のお金の問題などが質問があるというふうに思いますが、合法的なものについても、相当、いろいろ調べますと、やはり、これは合法的ですから、私が今質問する話は。ただ、日本のこの企業・団体献金、パーティー券の規制というのは、先進国の中で非常に弱いので、合法的といえども、いろいろ問題があるんじゃないか。

 例えば、最近ある大臣は、退任直後三か月で、所管業界から、いろいろな業界から少なくとも三千五百万円、献金だけでもらっている、たった三か月で。これは違法じゃないんですよ。違法じゃないので名前は言いませんけれども、ただ、こういうのが散見されるわけで、今は法律にのっとってはいますけれども、果たして大丈夫なのかなということなんです。

 私も大臣をさせていただいていましたけれども、本当に強く感じますのは、日本の予算のゆがみというのは、企業・団体献金やパーティー券の規制の弱さに引きずられているんじゃないかという問題意識をずっと持っているんですよ。

 これは例えば、少子化対策はなかなか予算が増えないじゃないですか。あるいは、非正規雇用対策はなかなか進まないじゃないですか、みんな言っているのに。やはり、例えば、非正規雇用の方々とか少子化対策のお父さん、お母さん方というのは、百万、二百万献金できないし、一枚二万円のパーティー券を二十枚買えないし、つまり、献金力がある分野というのはどんどんどんどん予算がつくんですよ、日本は。法律の手当ても手厚いんですよ。それで、本当に必要なところでも、献金力が薄いところはいつも後回しになる。こういうふうに私は強く感じるわけですね。

 政治と金の問題ももう年中行事みたいにありますから、これは今、ほかの国でも企業・団体献金禁止という国もたくさんありますし、例えばイギリスは、一定額を超える企業献金は株主総会の議決が必要だ、こういうような厳しい国もありますから。我が党も、昨年六月、企業・団体献金禁止法案というのを国会に出しましたが、自公は一切審議拒否、全然審議しません。

 是非、総理、少しは、もうちょっと、所管業界から大臣が献金とかパーティー券と名前を変えれば幾らでももらえる、こういう状況というのはちょっと変えた方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 一言だけ、先ほどの経済対策について、言わせていただけないので、ちょっと言います。

 先ほどの経済対策、ですから、供給力強化と国民への還元、この二本立てという構成については、これは共通する部分があると思います。国民への還元の手法は違いますが、今の物価高に負けない、国民生活を支える、こうした部分があり、そして、未来に向けた供給力の強化、日本の生産性を高めなければいけない、この二部構成になっているという基本は同じだと思います。

 ただ、規模がインフレ圧力になるのではないかとおっしゃいました。この供給力強化の部分は来年以降につながる部分ですので、たちまち目の前の物価高騰に、需要増をもたらすものではないということも考えながら、トータルとして幾らになるのか、しっかり政策を積み上げたいと思います。

 その上で、政治献金について、企業・団体献金について御指摘がありました。

 この議論は、日本の政治において、長年にわたって、何十年にわたって、私の当選前からずっと続いてきた議論であります。要は、民主主義のコストをどう支払うか、どう支えるか、こういった議論を何十年にわたって議論をした結果、今、政党や政治資金団体のみが献金を受けられる、こういったところにたどり着いているということであります。こうした議論を引き続き続けていくこと、民主主義のコストをどう払っていくのか、こういった議論を続けていくことは重要であると思います。

 引き続き、こうした議論を国民とともに続けていくことは重要であると考えます。

長妻委員 巨額の金が政治に流れて、本当に予算がゆがめられていると思うんですね。これはもう国会全体の、政治全体の話だと思います。

 最後に、イスラエルとパレスチナの問題でございますけれども、我々も、このハマスの行為は決して許されるものではない、強く非難をして、即時の人質解放を求める、こういう立場、当然であります。ただ、同時に、民間人の犠牲を、一人でもこれを抑えなければいけない。本当に、テレビ画面から悲惨な状況が連日飛び込んできております。

 総理に二点だけお伺いするんですが、一点は、日本は今理事国ですよね。決議案を出せる立場になっているんですね、安保理に。そういう意味では、幾多の米ロの対立というのがこれはいろいろあって、なかなか決議案が通らないわけで、やはり日本に対する期待というのは高まっています。両方に一定のパイプがあるということで、特にアラブにあるということで、日本が決議案を汗をかいて提出して成立に尽くしていこう、こういうような御意思というのはありますか。

岸田内閣総理大臣 日本も、非常任理事国の一国として、この中東情勢について貢献をするべく汗をかく、これは当然のことだと思っています。

 今まで、中東においてイスラエルとパレスチナの事態が発生してから後、安保理においては四つ決議案が採決されています。結果としてどれも日の目を見なかった、こういったことですが、要は、これは安保理としての意思表示ができない状況が続いていることが問題だと思います。

 日本が決議案を提案しないかということでありますが、安保理がこうした意思表示をするために日本はどういった役割を果たすのか、これは、意思表示をするために、是非、日本の役割について、同志国ともしっかりと連携しながら考えていくことが大事だと思います。

 そのために何をやるのか、決議を提出するのがいいのか、それとも、同志と諮って決議案をまとめて共に通すのがいいのか、是非、意思表示をするための役割を日本も安保理においてしっかり果たしていきたいと思っています。

長妻委員 最後の質問ですけれども、二点まとめていたします。

 一つは、ガザ地区に日本人がおられるということで、それらの方々の今の状況と、一体どういうふうに脱出をさせるのかというのが一点であります。もう一点目は、岸田首相からも直接イスラエルの首相に、人道回廊の設置、安全な避難、人道支援のための経路をきちっとやはり設けてほしいというのを総理からイスラエルの首相に直接お伝えをする、この二点についてまとめてお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、ガザ地区には、正確な人数は申しませんが、日本人の方はおられます。そして、全ての方と連絡は取れています。しかし、ガザ地区からの外部への脱出については、御案内のように、ゲートの封鎖等があり、物理的にまだ実現できていない、こういった状況にあります。

 引き続き、エジプトを始め関係国としっかり連携をしながら、邦人の安全確保を図っていかなければならない、このように思っています。

 それから、イスラエルへの働きかけ、これは当然、日本の立場からも、イスラエル、パレスチナ両方に働きかけをしていかなければならないということであります。

 イスラエルについては、外相レベルでの意見交換、そして副大臣から在京大使への働きかけなど度々行っておりますが、トップレベルにおいても意思疎通を図っていく、こうしたことは当然考えていきたいと思います。

 ただ、イスラエルの状況、かなり混乱しているようであります。日本としてどのように具体的に働きかけるのか、引き続き働きかけを続けていきたいと思っています。

長妻委員 本当に、物価高で苦しんでおられる方々はたくさんおられます。世界の状況も混沌としております。

 いずれにしても、スピーディーに、何しろスピーディーに、メンツにこだわらず経済対策などを打っていただきたいということをお願いを申し上げます。よろしくお願いします。

小野寺委員長 この際、西村智奈美さんから関連質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。西村智奈美さん。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 今日、我が会派は男女同数で質問をさせていただいております。私が三番手。この後も、女、男、女、男というふうに参りますので、よろしくお願いを申し上げます。

 さて、私からは、旧統一教会の被害救済に関連して伺いたいと思っております。

 十月十三日に、やっと、文科省が裁判所に対しまして、旧統一教会の解散命令を請求されました。大変長くかかりましたけれども、私たちもずっと求めてきた解散命令請求でございますし、解散命令とはいっても、税制上の優遇措置を受けることがなくなる、法人格がなくなるというだけでありまして、団体としてはその後も存続をしていくわけであります。

 この請求については評価をしつつ、しかし、まだ残された課題として、今後は、被害者の皆さんが被害を回復するときのための財産の保全ということがあるというふうに考えております。

 解散命令が裁判所から出されましたときには、裁判所が指名する管理する者が団体の財産を管理することになりますけれども、解散命令請求が出てから解散命令が出されるまでの間は何の取決めもありません。この間に財産が散逸してしまったらもう被害がなかなか回復できないということで、その間の手だてが必要ではないかということがずっと指摘をされてまいりました。

 解散命令請求が出されたということで、この後、被害を回復しようとする、新たに名のり出る被害者の方が増えることも予想されてまいります。そのときのためにも、財産の散逸を防ぐ必要があるというふうに思っております。

 本来であれば、このことについては文科省が法的な手当てを取るべきだったというふうに考えておりますけれども、なぜか政府が全く動かなかったので、私たち、臨時国会冒頭に、旧統一教会、解散命令請求が出された団体に対する財産保全をするための特別措置法ということで提出をさせていただきました。これについて本会議で我が党泉代表からも質問がありましたけれども、総理からの答弁は、残念ながら極めて後ろ向きでありました。

 総理は、財産保全のための法律がなぜ不要だというふうに考えておられるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 旧統一教会に対する解散命令請求を行った後の対応として、政府としては、被害者の方々に対して相談支援、こういった取組と併せて、外為法を始めあらゆる法律を駆使しながら、財産の状況も含めて注視をしている、こういった状況でありますが、今議論の、委員御指摘のように、御党もそうですが、自民党を始め各党において、それに加えて財産保全の必要性があるのではないか、議論が始まっているところであります。是非、その議論の状況をしっかりと見ていくことが大事だ、本会議場でもそういったことを申し上げた次第であります。

 是非、こうした各党の議論も注視しながら、政府のありようを考えていきたいと思います。

西村(智)委員 与党PTがつくられたということなんですけれども、報道によりますと、与党の方からは、財産保全はやらなくていいとか、あるいは、財産上の権限に触ることになるのでこれは財産権に反するんだというような声が与党から聞こえてくるんですよね。これは幾つかの報道でもなされておりますので、恐らくどなたかがそういうふうにおっしゃっているんだろうというふうに思います。

 何でそんな声が出てくるんだろうかと私は本当に不思議でした。どうしてそんなにやる気がないのかということがとても不思議でした。

 それで、このパネルを御覧いただきたいんですけれども、これは二十五日にテレビ局の方が報道したニュースでありました。

 旧統一教会が自民党の複数の議員に、財産保全のための法案を提出しないでほしいとの文書がファクスで届いたというふうに報じた、その内容がこれでございます。皆さんのところには、お手元に資料として配付をいたしております。これが事実だとすれば、私は本当に、驚き以外の何物でもありません。

 ニュース、報道の中では、配られたとされる、届けられたとされるファクスの文面も一部さっと流して映していまして、その中には、同法案を国会に提出することは厳に控えていただきますようお願い申し上げますですとか、それから、野党が提出した法案は違憲、違法などと記載されていた、そういったところが映し出されているんですよね。これが私は本当に深刻な問題だと思っております。

 そこで、総理に伺います。

 萩生田政調会長、あるいは特に与党のPT、その中でも自民党のメンバーの方々に、もしかしたらこのペーパーが届いているのではありませんか。これは調べていただくとすれば、自民党総裁の岸田総理以外にいらっしゃらないというふうに思いまして、昨日、私、お願いをしておりました。調べていただけましたでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の報道、承知しております。

 国会議員のところには、日頃から意見、要望、苦情など様々なものが寄せられています。そして、確認して、御指摘のような文書をファクスで私の事務所にも一方的に送られております。これはどの国会議員にも一方的にファクスが流されているということであります。一方的に流されているものを調べろということでありますが、これは確認する必要があるとは考えておりません。

 いずれにせよ、旧統一教会の意図、これは全く分かりませんが、我が党として、旧統一教会との関係を絶つ、これはもう方針を確認しており、不当な影響を受けるということは金輪際ないと確信をしています。

 この文書が送られたことをもって関係があるのではないかということにはならないということを、改めて確認をしておきたいと思います。

西村(智)委員 常日頃、やはり私たちも議員ですから、いろいろな御要望ですとかそういったものを受け取ることはあります。ただ、受け取ってどうするかということが、特にこの問題については私は問われているというふうに思うんですね。

 総理は今、御自身のところに届いているというふうにお認めくださいました。

 では、その文書をまず御提供いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 ファクスが届いたということを事務所から報告を受けております。

 文書を提出するかどうかということにおいては、委員会の理事会等において御判断されることではないかと思います。

西村(智)委員 今、提供するというふうに言っていただければ、それで終わったんですけれども。

 理事会で御協議いただけませんでしょうか、委員長。

小野寺委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

西村(智)委員 よろしくお願いいたします。

 萩生田政調会長あるいは与党PTの自民党のメンバーの方々に届いていたかどうか、それは御確認いただけたでしょうか。

岸田内閣総理大臣 一方的に文書が送られていると認識をしています。確認する必要はないと思っています。

西村(智)委員 私は、そういったことが、総理が、総理御自身は未来に向けて関係を絶つというふうにおっしゃっておられましたけれども、自民党の個々の議員の皆さん、特に政調会長や、財産保全の法案に関してまさに今メンバーとして議論をしておられる与党PTの皆さんのところに届いているのかどうか、そこを明らかにしてもらって、だけれども、やはり立法に向けての、あるいは財産保全に向けての取組をやっていくんだというふうに宣明をしていただくということが、本当の意味での旧統一教会との関係を絶つということになるんだというふうに思っております。

 そこのところをうやむやのままですと、先ほど申し上げましたけれども、財産保全はやらなくてもいいとか、何か憲法上の財産権に反するですとか、与党から出てくる意見は、ここに書かれているものと内容が非常に、申し訳ないですけれども、似通っているんですよ。やはり影響を受けているんじゃないか、そういうふうに思わざるを得ません。

 もう一回調べていただくというふうに約束していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、自民党として、この財産保全の問題の重要性に鑑みているからこそ、与党PTという形でこの問題を議論しようということを始めているわけです。是非、その結論をしっかり確認してもらいたいと思います。

 そして、委員の方から、自民党の中でこういう声がある、ああいう声があるとおっしゃいますが、もしあるんでしたら、しっかりと具体的に言っていただかないと、何かそういう話があるというだけで委員会においてそういった話を披露されるということは、誤解にもつながりかねません。

 いずれにせよ、これは一方的にファクスで各議員に送りつけられているものであります。これを確認する必要があるとは思っておりません。

 いずれにせよ、政策に影響がないということが重要であり、是非、与党の取組についてもしっかり御確認をいただきたいと思います。

西村(智)委員 実はこのペーパーはなかなかに幅広く出回っているようでございまして、私の手元にも今、一部ございます。

 ここに、こういうふうにも書かれていました。このような法案が間違っても国会で制定されることがないように、間違ってもこの国会で制定されることがないようにしてほしいというふうにも書かれているんですよね。

 私、是非総理から、ここはきちんとリーダーシップを発揮していただいて、自民党の方に指示を明確にしていただきたいと思っております。私たち、既に法案は提出をいたしました。

 今日は傍聴席に、母親が一億円の献金被害を受けて、今、旧統一教会と返金交渉している被害者の方が、財産保全法の成立を願って、傍聴にお越しになっておられます。

 総理、是非、財産保全の法律を、私たちも協力いたしますので、この国会で成立をさせませんか。よろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、与党PTを立ち上げ、自民党もこの財産保全の問題について方針をしっかりと明らかにしたいと思っています。その議論の結果、これを是非注視していただきたいと思っております。

 いずれにせよ、毎日のようにいろいろな文書が送りつけられてくる国会議員の事務所において、一方的に送られてきた文書をもって何か関係が続いているかのように言うことは誤解を招くことになるのではないか、このように思います。

西村(智)委員 私は何も誤解しておりませんし、一方的に送られてきたものがあるということは、それはもう、ある意味しようがないというふうに思うんですよ。だから、それを認めていただいて、誰のところに届いたかということを明らかにしていただければ、いろいろな心配がなくなるということを申し上げているんですけれども、今日は期限も示されませんでしたし、PTの方の議論を見ていてくれということで、何か、またこの国会、時間稼ぎに使われるのかなというふうに考えまして、本当に残念でございます。

 ところで、今回の内閣改造によって、旧統一教会と関係のあったと言われる閣僚として新たに入られた方は、自民党調査とマスコミのアンケートによりますと五名だというふうに思います。お一人ずつ、どのような関係であったか、明らかにしていただきたいと思っております。

 まずは木原防衛大臣、関連団体の会合に出席して講演したというふうに自民党の調査で回答しておられます。講演までするということは、ほかの会合にも複数回出ておられるのではないかというふうに思うんですけれども、どの団体で、何回ぐらいの講演を、どのようなテーマで行われたのか。

 それから、ジャーナリストの方による調査では、ピースロードという旧統一教会の関連団体の自転車、サイクリングをするというイベントのようなんですけれども、それの実行委員になっていたという情報もありますが、これは事実でしょうか。何回ぐらい実行委員になっておられるでしょうか。

 このピースロードに関しては、お地元の熊本県が二〇二二年に後援を取り消しておりますけれども、関連団体が旧統一教会だと認識していたのか、また、関連は今申し上げたこと以外には存在をしないか、確認をさせてください。

木原国務大臣 お答えします。

 旧統一教会関連団体との関わりについてでございますけれども、具体的には、会合への祝電送付が一件。そして会合への出席が三件、うち本人が一件、秘書が二件。関連団体に対する会費の支出が一件。関連団体からの寄附受けが一件。そして、関連団体が実施したイベント、先ほどのピースロードに対して、実行委員として名義を貸したことがありました。これらの関わりについては、当時、旧統一教会関連団体によるものとは認識していませんでした。

 少し詳しく申し上げますと、先ほどの講演についてですけれども、講演は、私が会合へ出席した三件のうち本人が一件になりまして、これは、具体的には、熊本県平和大使協議会において、講演というか国政報告を頼まれて、私が国政報告をした。内容は、その当時の、これは令和三年の七月十一日ですけれども、その当時の国政の報告。内容は、ちょっと詳しく覚えておりませんが、私は、何分ぐらいでしたかね、数分間の国政報告をして、私だけではなくて、何人か入れ替わり立ち替わり報告をしたというふうに記憶をしております。

 それから、ピースロードにつきましては、ピースロード・イン・クマモトというイベントに対しまして、実行委員として名義をお願いされたのが二〇一八年でありました。それから、名義をお願いされたのは一回でしたけれども、二〇一八年から二〇二二年までの間、実行委員としてイベントが開催されるたびに名前が載っていたということであります。

 今御指摘のとおり、そこは熊本県のほか、自治体が協賛していたり、あるいは各種マスコミなども後援、協賛などをしていたスポーツイベントというふうに承知をしていたところであります。

 以上です。

西村(智)委員 大変関わりがいろいろおありだった方なんですよね、木原大臣は。それなのに、旧統一教会と認識していなかったというのは、いささかちょっと腑に落ちないところでございます。

 次に、伊藤大臣、お伺いをいたします。

 自民党の調査で、会費類の支出があったというふうに回答しておられますけれども、何の会費を何回ぐらい支出しておられるんでしょうか。また、旧統一教会関連であるという認識はおありだったでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御質問の件ですけれども、これは昨年十月、自民党内の点検調査の際、事務所内で確認したところ、二〇一八年十月に都内で開催された会合への案内があり、事務所が会費を支出していたことが分かりました。秘書も私も会合には出席しておりません。

 岸田内閣、また自民党の方針に従い、統一教会とは今後も一切関係を持たないということを徹底してまいります。

西村(智)委員 それ以外にはおありになりませんね。

伊藤国務大臣 統一教会が主催していると認識した会合に出席したことはございません。

西村(智)委員 あとお三方おられますけれども、ちょっと時間の関係でまとめて質問をさせていただきます。

 鈴木総務大臣、新聞社のアンケートで、教団側のイベントに会費を支出して、祝電を送っていたと回答しておられます。何のイベントに何回会費を出し、何回祝電を送っていたのか。

 また、松村国家公安委員長、通信社の調査に、接点があったと回答しておられます。それ以外が分かっておりません。どのような接点なのか、お伺いをいたします。

 また、盛山文科大臣、自民党の調査で、関連団体の会合に本人が出席して挨拶したというふうに回答しておられます。どのような会合に何回出席して挨拶したのか、お伺いをいたします。

鈴木(淳)国務大臣 お尋ねの件につきまして、既に自民党の調査に回答しましたとおりでありまして、また、これまでも閣議後会見でも説明しているところであります。

 関連団体の会合に私が一回、秘書が三回出席しております。また、私も秘書も会合にあえて出席せずに済ませるために祝電を三回打ったことも回答しております。

 また、関連団体に対する会費類でありますが、四件回答しておりまして、うち三件は秘書が出席をした会合でありまして、会費がある会合でありました。一件は私が出た会合でありまして、ある参議院候補の応援の会に呼ばれて行ったものでありまして、そのときは回ってきたマイクで挨拶した程度であります。

 私自身は非常に警戒していましたので、一部の支援者から強い御要請を賜りました場合にやむを得ず対応を行ったことはありますけれども、私から積極的に関係を持ったことはありません。

西村(智)委員 ということは、鈴木大臣は、旧統一教会の関係であったという認識はおありになったということでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 おぼろげながらそういう団体ということは分かっておりましたが、がゆえに、極めて慎重に、関係を持たないようにしておりましたので、そういう状況でございました。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 私の場合は、過去に当該団体と知らずにイベントに五回ほど電報を送ったことがございます。複数年でございますので、計五回ということでございます。ただ、内容については、一般的な社交辞令の電報を送らせていただいただけでございます。

盛山国務大臣 お尋ねの件でございますが、既に自民党による調査で御報告申し上げているとおりです。

 報告した会合につきましては、一度、旧統一教会関連団体によるものだとは認識せずに参加しておりました。後日、関連団体のイベントであることが判明し、そのことは党の調査にも回答しているところです。

 今後も、当該団体との関係を持たないことを引き続き徹底してまいります。

 以上です。

西村(智)委員 鈴木大臣は認識しておられたというふうに丁寧にお答えくださいましたけれども、あとの方々が認識していなかった、しかも、たくさん関わっているのに認識がなかったというのは、ちょっといささか不可解だというふうに思っております。やはり、こういうふうに明らかにしていただいた上で、しかし次に向けて関係を絶つというふうに言っていただくことは、とても大事なことだというふうに思います。

 さて、次に、昨年から私が追及を続けております、旧統一教会によって政治がゆがめられた疑いのある名称変更の問題について伺いたいと思います。

 霊感商法などの悪評を覆い隠して、新たな被害を生んだと私は考えております。

 申請が一度出されれば受理せざるを得ず、一度受理すれば、要件さえ備えていれば認証されるという手続については、永岡大臣から何回もお伺いしておりますので、この手続についてはもうお聞きしません。盛山大臣、このことについてはもう聞きませんので、答弁を繰り返さないでください。

 私がお伺いしたいのは、文科省が行政上の措置として、統一教会に申請を出させないよう十八年間努力をしてきました。二〇一五年、下村文科大臣の時期にこの努力をやめた理由、その判断をした責任者、これが誰かというのを知りたいと思います。

 実は、二〇一五年の六月に申請書が出される以前、三月に、全国霊感商法弁護士連絡会の皆さんから、統一教会が名称変更の方針を決めたという重要な情報提供がありました。約二か月間、文科省の中で、この十八年間のように申請を出させない努力をするのかしないのか、対応が協議されたのではないかというふうに思っております。

 これだけ大きな、しかも政治的な判断ですから、私が官僚であれば当然大臣まで報告、相談するというふうに思いますが、こうした報告が大臣にあったのかどうか、相談が大臣にあったのかどうか、大臣、お答えください。

盛山国務大臣 お尋ねの件でございますが、前永岡大臣のときに、ある程度西村先生とやり取りをしております。

 ということで、その前段の部分は省略をいたしますが、平成二十七年の旧統一教会からの名称変更の申請については、それまでと異なり、文化庁からの申請の取下げの行政指導には従わないという明確な意思表示がありました。

 宗教法人法上、形式上の要件を備えた申請は所轄庁において受理される必要があり、所轄庁は、申請を受理した場合、要件を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行う必要があります。

 ということで、旧統一教会の名称変更については、宗教法人法の規定に従って手続を行い、その審査の過程において法的な検討を重ねた結果として、本件は認証すべき案件であると事務的に判断したものであります。

 そして、誰がというようなことがございましたけれども、この申請に当たりましては、文化庁の当時の組織においては、担当の部長が専決で決裁をするということになっているところでございますということでございます。

西村(智)委員 十八年間行政的な手続で止めてきたものを、十八年たって受理するということは、これはこれで大変大きな方針転換だというふうに思うんです。

 こうした重要な方針転換を大臣への報告ないしは相談抜きに行われたとしたら、盛山大臣は容認できますか。

盛山国務大臣 仮定の話として私のときにどうなったかというのはちょっと何とも言えませんけれども、先ほど申しましたとおり、法律の手続にのっとると、羈束裁量ということで受理をせざるを得ないということであれば、それはそれで致し方なかったのではないかと思われます。

 以上です。

西村(智)委員 ただ、大臣がもしその場にいたら、私はもしかしたら違う判断もあったんじゃないかというふうに思いますし、やはり、本当に大臣抜きで判断していたんだとしたら、これはこれで大問題だというふうに思います。誰が大臣抜きで最終判断をしたのか、是非調査をお願いしたい。

 また、下村大臣は、文部科学大臣室で関連会社、関連新聞のインタビューを受けるなど、旧統一教会との深い関係を隠そうともしていませんでした。こうした下村大臣に官僚が忖度していたとしたら、それはそれで大問題だというふうに思います。

 新しい大臣になったのですから、是非、対応しなかった判断の経緯について、改めて省内を調べていただけませんでしょうか。

 また、三月の二十六日から六月三日、申入れが弁連から出されてから認可申請がされるまでの二か月の間で、統一教会に関する省内の記録があると思いますが、それを全て理事会に御提出いただきたいと思います。

盛山国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、この決裁は、当時の文化庁の担当部長が専決決裁をするということになっております。

 それから、先ほど来、西村先生からお尋ねがあるところでございますが、本件の処理に当たりましては、私であっても誰であっても認証がなされていたであろうというような事案であると思います。そして、そういう点で、したがって、大臣への報告を必ずしも必要とするものではないと考えます。

 それから、平成二十七年の三月から六月までの二か月間の統一教会に関する省内の記録、こういうお尋ねでございますけれども、旧統一教会の名称変更につきましては、宗教法人法の規定に従って手続を行い、その審査の過程において法的な検討を重ねた結果として、本件は認証すべき案件であると事務的に判断したものであり、その判断の経緯に問題があったとは考えておりません。したがって、改めて調査をする必要があるとは考えておりません。

 いずれにしても、御指摘の名称変更の認証の判断の経緯に関する文書は、全体として行政内部の意思形成に関するものであることから、不開示情報に該当すると考えております。

 以上です。

西村(智)委員 極めて残念な答弁ですね。

 盛山大臣は官僚の御出身でもあられるんですけれども、行政で行ってきたことが、本当に大臣にお伺いを立てずに変えるのかというのは、これはかなり大きな判断だと思うんです。

 それは今お認めにならなかったんですけれども、これはもう一回、やはり理事会に資料提出をお願いをしたいと思いますが、御検討ください。

小野寺委員長 先ほど文科大臣の方から不開示情報ということの発言がありましたが、不開示情報でありますので、その取扱いを含めて、理事会で協議をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)ですから、理事会で協議をいたしますというお話をさせていただきました。

西村(智)委員 是非協議をお願いいたします。

 時間の関係で、最後になるかと思います。園バスの問題です。

 おととし七月に、福岡県の保育園で、五歳の男の子が送迎バスの中に残され、炎天下、九時間近く取り残されて熱中症で亡くなるという事件がありました。しかし、このとき国の対応は十分ではなく、二〇二二年の九月、去年の九月にはまた、静岡県で、認定こども園ですけれども、三歳の女の子が駐車場の通園バスにおよそ五時間放置されて熱中症で亡くなるという、本当に痛ましい事件が二件起きてしまいました。本当に痛ましい限りです。

 このような事故が相次いだことから政治が動くということになって、政府は緊急対策を取りまとめ、私たち立憲民主党としても緊急対策法案を提出いたしました。

 政府は、安全装置、車の後ろの方まで行かないと例えばエンジンが切れないとか、そういった装置の整備を今年の四月に義務化をして、六月の三十日、本当に暑くなってくる時期の六月三十日までに装備するようにということで求めたんですけれども、今現在、この装備率はどのくらいでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の安全装置の装備の義務づけ対象となっている施設の送迎用バスにつきまして、安全装置の装備状況を本年六月、調査をいたしましたところ、約五五・一%が、その調査をした月、六月末までに装備を完了する予定であるとの結果でございました。

 その後、装備の進捗状況の全国調査は行ってはおりませんが、この年末までに二度目の調査を行う予定でございます。

西村(智)委員 時間が来たので終わりますが、つまり、半分ぐらいしかまだ装備されていないんですよね。七月、八月、本当に今年の夏は酷暑と言われるぐらい暑かったのに、まだ半分ぐらいしか装備をされていなかった。

 いつまでに一〇〇%になるのか是非お答えをいただきたいところですけれども、自治体任せにせずに、こども家庭庁が主導して、まさに異次元の少子化対策というのであれば、こういったところをしっかりやっていただきたい。

 そのことを申し上げて、終わります。

小野寺委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 まず、所得減税の件で、先ほど長妻委員が使った、所得減税四万円が四人家族の場合と、所得が少ない方の場合は四人家族でも一世帯で七万円しかもらえないじゃないかという話がありました。

 これは昨日の政府与党政策懇談会で配られた資料なんですが、世帯が一人の場合はこんな感じになりますよね。こっち側の七万円に対して、一人だったら四万円だけれども、四人家族だったらこっち側がすごく高くなるわけですよ。これだけで不公平ですよね。

 総理は先ほど、何らかの上乗せだとか、逆転、不公平が生じない工夫をするということですが、だったら、最初から一人四万円ですと、本来だったら一人四万円の給付で全部というのが一番単純だと思いますが、せめてこの一世帯七万円というのをやめて、一人四万円の給付にしたらどうですか、総理。

岸田内閣総理大臣 低所得者世帯支援枠によって、今年の夏から既に三万円の支給を開始しています。その枠を拡大する形で合計十万円にするということで、スピード感を持って支給を行うことから、こういった手法を取りました。

 不公平だということでありますが、この資料、ちょっと薄くなっておりますが、この交付金の上の部分に、低所得者の子育て世帯と書いてある部分に一つ枠があります。これは、不公平にならないために、重点支援地方交付金等を使って不公平感を払拭するための仕組みをつくっていく、ここにそういう仕掛けを行うんだということもこのペーパーの中に設けています。

 スピード感を持って、今実行している制度を使うということでこうした仕組みといたしましたが、不公平感を払拭するための仕組みもしっかりつくってまいります。

後藤(祐)委員 この緑色の上のすごい細いところが、四人家族だったら七万円に更に九万円乗せる、これは九万円分だ、そういうことなんですね。分かりにくいですね、総理。

 あと、もう一つ、さっきあった、はざまに落ちる方、つまり、所得税をちょっと納めています、例えば、四人家族で、所得税減税、本当は十六万もらえるんだけれども、一万円しか、所得税減税、納めていないという方は、はざまにおっこっちゃう方なんですけれども、この方は十五万円ちゃんと別途給付が来るというような工夫を当然していただかなきゃいけないんですが、これは大変ですよ、総理。各市町村は、それぞれの世帯ごとにどれだけ所得税を納めているかというのを数えて、全部世帯ごとに給付する額が違っている、どえらい作業になってくるわけですよ。

 最初から一人四万円給付するという形にしたらどうですか、両方まとめて、総理。

岸田内閣総理大臣 これもこのイメージ図に書いてありますが、重点支援地方交付金による対応を今検討し、財務省と総務省でその調整を行っているところです。

 現実的な埋め合わせの手法について決定をし、年末までにその方針を明らかにした上で実行してまいります。

後藤(祐)委員 これは市町村も大変ですし、所得減税も、総理のところもそうだと思いますけれども、我々はみんな中小零細事業者じゃないですか。働いていらっしゃる秘書の方々の所得税の計算とかをするわけですよ。この方は何月に幾ら、所得減税、もう返した、この方は何月に幾ら、何月に幾ら、全部やっておかなきゃいけないんですよ。ただでさえインボイスだとか電帳法で大変なところに更にこんなのを、民間事業者にツケを押しつけるんですよ。もう一律四万円給付にしましょうよ、総理。

 それと、今回、経済対策を十一月二日に、参議院の予算委員会まで終わってから指示するそうなんですが、そもそも経済対策というのはどういったときに必要になるかというそもそも論をちょっとやりたいと思うんです。

 これは、上が消費者物価指数、生鮮食品除きです。下が四半期ごとのGDPギャップ。つまり、これだけ生産能力があるけれども、需要がこれだけしかないので、例えば、この一番左側のところは、二〇二一年の十月から十二月というのは一・六%需要が足りない。こういったときは、この需要分をかなり大きな額の経済対策を打ってということが正当化されると思うんですけれども、直近で見ますと、今年の四月―六月のGDPギャップはもうなくなっているんですね、プラスになっているんですね。

 ですから、巨額な経済対策で需要をつくり出す必要というのはないという理解でよろしいですか。むしろ、今、経済対策として必要なのはやはり物価対策であって、これに本当は賃金がどれだけになっているかというのも併せて見た方がいいんですが、賃金が物価に追いついていない分を埋める、これは経済対策が必要だと思います。ですが、賃金が物価に追いついていないところの経済対策をするのであって、GDPギャップが足りない分を補う膨大な額の経済対策ではない、こういうことでよろしいですか、総理。

岸田内閣総理大臣 ですから、先ほど来説明しておるように、経済対策、供給力の強化の部分と国民への還元の部分、この二つを二本柱にしなければならないということで、経済対策を用意しようと思っております。

 需給ギャップは埋まっているのではないか、数字的にそういった数字が出ているということを承知しているからこそ、今回の経済対策の柱としては、供給力を強化する、生産性を高めることによって、未来に向けて更に経済の生産性を高める。こうした取組をしっかり行っていく、これを来年につなげていくためにしっかりと対策を講ずる、これが基本でありますが、委員御指摘のように、今、物価高騰の中で国民が苦しんでいる、ここをしっかりと支えなければ、せっかく明るい兆しが出て、来年につなげるかどうか大事なときに来ているのに、またデフレに逆戻りしてしまっては元も子もない。

 ですから、国民生活を支えるために、所得税減税、こうしたこともしっかりと辞さずして行うことによって、国民生活を支えながら、この基本であります供給力の強化、これを来年にしっかりつなげていきたい、このように思っております。

後藤(祐)委員 供給力の強化に当たるのであれば、需要を物すごく増やすということもあり得る、こういうことですね。そうすると、インフレに火をつけちゃって、むしろ物価高対策としては逆効果になっちゃう可能性があるんじゃないですか。

小野寺委員長 今、内閣総理大臣から答弁が。

後藤(祐)委員 いや、いいです、そこは求めていませんから。

 むしろ、今、所得減税の話がありましたけれども、昨日の政府・与党の政策懇談会では、所得減税は来年六月から、こういうことを総理の方からおっしゃったようですけれども、これは遅過ぎじゃないですか、所得減税、来年六月からって。物価高で困っているのは今ですよ。野菜が高くて、トマトが高くて、電気代が高くて、ガソリンが高い。ガソリンはかなりやっていることを認めますけれども、今、物価高対策が必要なのであって、来年六月って遅過ぎじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 所得税を払っている方々に対しては、まず燃料油対策、これは引き続き継続するわけでありますし、そもそも所得を引き上げる、こうした取組を来年につなげていこうという大きな政策を進めているわけであります。これらの合わせ技でしっかりとこの物価高に対応していただきたいと思っています。

 しかし、その中にあっても、低所得者の方、これは目の前が大変苦しい状況にあるからして、是非スピード感を持って給付で対応することを考えたい。この二本立てで経済対策を考えていくことが大事だ、このように申し上げております。

 先ほど来出ているその間の部分についても、しっかりと重点支援地方交付金を使って埋めていく。そういったことで全体の物価高への対応を用意していきたいと考えております。

後藤(祐)委員 だったらなおさら、全員一律給付すればすぐできるじゃないですか。今年度中にできるじゃないですか。所得減税にこだわり過ぎちゃうから、来年六月なんて時系列がずれたことになっちゃうわけですよ。

小野寺委員長 後藤祐一君、総理大臣から。

後藤(祐)委員 質問していませんから。(発言する者あり)一言ぐらい言わせてよって、二回連続で。私の質問が終わったところで言ってください。

 総理、所得減税が始まるのが来年六月というのも遅過ぎるんですけれども、そもそも経済対策を考えるのが遅過ぎですよ。ガソリンの話は夏からやっていたことを認めますよ。だけれども、夏にガソリンが百八十円を超えて、電気代は高いし、野菜だってこの日照りで高くなっちゃって、もう夏から大変だったんですよ。もっと言うと、物価高はもっと前から大変だったんですよ。何で、もっと早く経済対策の検討を指示しなかったんですか。

 例えば、消費者物価指数、がくっと下がっているところがありますでしょう。これは電気代の値下げが、お金が入ったからなんですけれども、これはちょっと十月分はさすがに、まだ今日は十月なので入っていないんですけれども、今日、東京都の速報の十月中旬の消費者物価指数というのが出て、これは三・三に上がっているんです。〇・五プラスになっているんです。

 これは何でかというと、十月支払い分の電気代って一割ぐらい上がっているんですよ。これは多分全国でも同じですから、来ますよ。夏に、七月とか、あるいはせいぜいお盆明けに決めていれば、この十月支払い分の電気代の一割アップは止めることができたんじゃないんですか。ここが一番、物価高で困っているのはガソリンと電気なんですよ、一番大きいのは。

 十一月に更に一割電気代が上がっちゃう分は、これは抑えるということでここにお金を使う、これは理解します。ですが、十月に一割上がって、十一月にもう一割上がるという予定になっていたのを、最初の方は見逃しちゃっているんですよ。七月、八月ぐらいに景気対策、経済対策をきちっと決めて、十月に電気代が上がっちゃう分を抑えれば、この次これが、青いのがぐっと上がるのを止められたんじゃないんですか。景気対策、経済対策を検討するのが遅過ぎじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 経済対策は、昨年来、順次行ってまいりました。この夏からも、エネルギーだけではなくして、低所得者に対する重点支援地方交付金による支援枠、これを設けて支給をもう始めております。決して、これから初めて経済対策を行う、こういったものではないということを申し上げたいと思います。

 そして、様々な指摘はあるかと思いますが、そうした様々な対策を重層的に講じることによって様々な立場の方々に対する支援を行っていく、これが基本的な考え方だと思っています。

後藤(祐)委員 今回の所得減税ですとか給付金だとかという話は、夏には全然考えておられなかったんじゃないんですか。

 実際、九月二十五日に物すごい格好いいしつらえで記者会見されて、賃上げ税制ですとか企業税制の説明を非常に丁寧にされて、こういう経済対策を指示すると言って、九月二十六日に、自民党、公明党の政調会長ですかに対して指示したというときがありましたけれども、あの時点で所得減税については考えておられたんですか、総理。あのときは企業関係の税制ばっかりでしたよ、ストックオプションとか特許所得とか。その九月二十五日の記者会見の段階で所得減税を考えていたんですか。

 また、その後、十月十七日には、自民党と公明党が、両党が岸田総理に経済対策、提言をしていますけれども、その中には所得減税は盛り込まれていませんでした。ですが、両政調会長が出てきたら、所得減税の話をすぐしちゃった。この段階では、まあ、考えておられたんでしょう。

 九月二十五日の段階では所得減税はまだ考えていなかったということでいいですか。十月十七日の段階ではもう既に考えておられたということでよろしいですか。所得減税はいつ検討を始めたんですか、総理の頭の中で。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、経済対策については、供給力の強化と国民への還元、この二本立てで用意しなければいけない、これは、かなり前からこうした考え方は用意しておりました。

 国民の還元の仕方をどうするかということについては、関係者で議論を続けてきたわけであります。その議論の中で、最終的には今御指摘があったようなスケジュールの中で明らかにしてきた、こういったことであります。基本は、かなり前から、供給力の強化と物価高に負けない対策を講じなければならない、こういった考え方を持っておりました。

後藤(祐)委員 九月二十五日の段階では企業税制の話しかしていないんですよ。それはまさに両方に関わりますよね、供給力の強化にも関わる。物価高はガソリンと電気をやったからいいか、こんな感じだったんじゃないんですか。じゃ、九月二十五日の記者会見の段階で所得減税を考えておられましたか。今、答えていませんよ。

岸田内閣総理大臣 国民への還元ということで、様々なメニューを念頭に検討を続けておりました。そうしたメニューの中に減税も含めて様々なメニューがあったというのは間違いないことであります。

後藤(祐)委員 企業税制は、特許所得に対する減税制度とかストックオプションの減税措置とか、物すごい細かいのを指示していて、所得減税については全然触れていなくて、それで何だか、減税と言うけれども、ちょうどこの頃ですよ、増税眼鏡の話が出てきたのは。

 それで、減税が、何だ企業減税だけかと批判されて、やばい、これは国民に対しての直接の所得減税もやらなきゃみたいな話になって、勝てると思っていた衆参の補欠選挙がどうも危ない、十月五日が参議院の方の告示日で、その頃になって、これは所得減税をやらないと選挙で負けてしまうかもしれないという中で出てきたんじゃないんですか。選挙目当てなんじゃないんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 御指摘の賃上げ減税ですとか、さらには投資減税、また戦略物資に対する例のない減税措置など、こういったことについては、早い段階から、新しい資本主義実現会議等、有識者の会議の中からメニューとして随分出ておりました。こういったものが既に会議の中で明らかになり、公表されておりましたので、それを是非採用したいということで、先行してこういった減税のメニューを明らかにした、こういったことであります。

 ただ、それと並行して、それらは全て供給力の強化の部分でありますから、物価高に対する対応、これは別途用意しなければいけない。そして、事実、エネルギーを始め、こういった対策について検討してきたわけであります。そして、それらをある程度そろえた上で与党に対して指示を行った、こうしたことであります。慌てて所得減税等を用意したというのは現実ではないと思っております。

後藤(祐)委員 言い繕っているなという感じですが。

 総理の新しい資本主義というのが、総裁選のときは分配をするという話でしたよね、さっき長妻さんがやっていた。ところが、今日の朝の萩生田政調会長の質問、新しい資本主義は半導体への投資であると。

 それはそれで大事なことですよ。要は、サプライサイドの方にどんどん寄っていっちゃっているじゃないですか。だから、減税の話は企業税制になって、あっ、しまった、国民の方を見るのを忘れていたというところじゃないですか。何を慌てふためいているんですか、総理。

小野寺委員長 後藤委員、総理から答弁を要求されていますが。

後藤(祐)委員 もういいですよ、何遍も聞いておりますから。

 次に行きたいと思いますが、防衛費の増について伺いたいと思います。

 これはちょっとパネルはないんですが、皆様のお手元に、防衛費四十三兆円、五年でというお話がもう残念ながら決まってしまっておりますが、昨年末決まった防衛力装備計画では、この四十三兆円で何を買うかというのがリストアップされているんですけれども、このリストアップされた装備計画に書いてある装備品を買おうとすると、円安と、元々のいろいろな資材が高くなっているというのと、アメリカからある意味高値で買えと言われてしまっている、いろいろな要因があって、現時点で少なくとも、このままいくと、予定されたものを全部買うと八千五百億円、既にオーバーするのではないかという記事がこの前出ておりましたけれども。

 これは防衛大臣に伺いたいと思いますが、これは八千五百億円、このまま同じように、予定どおり買い続けるとオーバーするということで間違いないですか。

木原国務大臣 お答えします。

 昨年来、円安を伴う為替レートの変動であるとか、あるいは国内外の全般的な物価上昇というのは継続しておりまして、厳しい状況にあるということは御指摘のとおりであります。

 防衛力整備計画の四十三兆円程度という規模でありますけれども、これは、防衛力の抜本的強化が達成できて、そして防衛省・自衛隊として役割をしっかりと果たすことができる水準としてお示ししたものであり、閣議決定された金額であります。

 そして、新聞の記事は私も承知しているところ、八千五百億という数字は拝見させていただいたところですが、装備品の価格というのは様々な要因から決定をされるものでありまして、為替相場の変動、先ほどの物価の高騰の影響だけを切り取ってお伝えするということはなかなか困難でありまして、そういう中で、この定められた金額の範囲内において必要な防衛力の強化を着実に行っていくことが防衛省の役割であるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 そうしますと、昨年末の防衛力装備計画にリストアップしているものであっても、物が高くなったから一機減らすとか、そういった工夫をして、全体として四十三兆は超えないということでよろしいですか、防衛大臣。

木原国務大臣 防衛力整備計画において、装備品ごとの、様々な方法で価格の見積りをしておりまして、防衛省としても、その価格の様々な縮減努力を行っているところであります。

 そういった意味で、例えば、様々な、防衛力整備の一層の効率化また合理化を徹底するであるとか、あるいは、経費の精査をしていくということ、そして、まとめ買いを更に促進していくこと、また、長期契約によるスケールメリットを生かして価格低減策等の取組を行いつつ、閣議決定された防衛力整備計画等に基づいて、防衛力の抜本的強化を達成すべく努めてまいります。

後藤(祐)委員 四十三兆は超えないとはっきり言いませんよね。いろいろな努力はして、経費節減には努めるけれども、努力したけれども超えちゃいましたを否定していないですよね。どこかの万博と同じじゃないですか、これ。万博も、これだけだと言っていたら、どうしても、努力しているんですと言いながら、また五百億膨らんで。この後、米山さんがやりますけれども。

 総理、これは、ただでさえ四十三兆というのはべらぼうに多過ぎる額なんですよ。せめて、そこに書いてあるものを全部買ったらちょっと増えちゃいましたというのは、どんな努力をしようが駄目ですよ。結果として四十三兆は超えないと約束いただけますか、総理。

木原国務大臣 この定められた金額の範囲内において必要な防衛力の強化を着実に行っていくことが防衛省の役割であると考えており、この金額を超過することは考えておりません。

岸田内閣総理大臣 結論から言いますと、四十三兆円の規模を超えることは考えておりません。

後藤(祐)委員 これは極めて重要な答弁だと思います。ただ、四十三兆、多過ぎですから。

 そもそも、この防衛増税、総理、いつ決めるんですか。一兆円超、所得税と法人税とたばこ税。これ、今年の十二月、あるいは来年十二月に、防衛増税、決めるということですか。

岸田内閣総理大臣 防衛力強化に向けての租税措置については、再三申し上げておりますように、昨年閣議決定をした方針、すなわち令和九年度まで複数年かけて実施をするということ、そして、その際に、様々な行財政改革を前提としながら、景気や賃上げ等の動向、そして政府のそれへの対応等を踏まえて時期を決定するということを申し上げています。

 その上で、今は経済対策、これが重要である、大変重要なことである、再三申し上げているとおりであります。現状を考えますと、令和六年度から引上げを始めるということはないと考えております。

後藤(祐)委員 防衛というところで増税って言い損なっちゃっていますけれども、もうはっきり、別にそんな言葉をよけていてもしようがないじゃないですか。今日、萩生田政調会長も高木公明党政調会長も、防衛増税という言葉は二人とも使っていましたよ。もう逃げるのはやめてくださいよ、もうこれはこれで閣議決定されているんですから。

 ただ、復興特別所得税のところについては、あれは一月から始まるので、どんなに遅くても来年の十二月には決めなきゃいけないと思いますが、来年十二月には遅くとも防衛増税を決定するということでいいですね。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた閣議決定の方針を堅持いたします。

後藤(祐)委員 この議論はこれからも続けさせていただきたいと思いますが。

 武見大臣、武見大臣の政治資金についてお伺いしたいと思いますが、こちらのパネルに、医師、歯科医師、薬剤師、製薬メーカー、こういったいろいろな団体から、二〇一九年から二〇二一年の三年間で、かなりの額の献金、パーティー券収入がございます。

 もちろん、武見先生はこういった医療業界の専門家でおられますし、これ自体は決して法律に反するものでも何でもないわけでございますが、かなり額は大きいわけであります。

 ただ、現在は厚生労働大臣になられているわけでありまして、厚生労働大臣としてこういった献金ですとかパーティー券収入というと、これはちょっといかがなものかなというふうに思うわけでありまして、今年九月十五日の、厚生労働大臣に就任後は、こういった医療関係ですとか薬の関係の団体から献金やパーティー券収入はないということでよろしいですか。

武見国務大臣 御指摘の、九月十三日の大臣就任後、献金は全くございません。

 それから、大臣就任以前より、今年九月二十五日に、私の政治資金パーティーであります敬人会勉強会を開催いたしました。ただ、これも、八月中旬に、大臣に就任する前に案内状を発送しておりました。パーティー券の購入が大臣就任後のものもいらっしゃいます。パーティー券の購入は大体が例年の参加者中心でございまして、その中にはお医者さんなどのこうした医療関係者もいらっしゃいました。

 現在、これらについては、政治資金収支報告書の作成に向けて整理をしている段階でございます。

後藤(祐)委員 そうしますと、大臣就任後の九月二十五日に開かれたパーティーで、医療ですとか薬の関係ですとか、こういった団体からのパーティー券収入があったと今お認めになったわけですけれども、これはお返しすべきじゃないですか、大臣。

武見国務大臣 これは、実際に、就任する前から既に予定されていたものでございまして、それを予定どおりさせていただき、また、全てこれは法に基づいた形で、私、やらせていただいております。

後藤(祐)委員 お返しするつもりはないということですか。

武見国務大臣 大切に使わせていただこうと思っております。

後藤(祐)委員 大臣でなければ、先生みたいな医療の専門家というのはそんなにいらっしゃいませんし、それはそれで一つのやり方だと思うんですけれども、今年は、診療報酬改定があり、薬価改定があり、極めて重要な年になっているわけですね。

 この診療報酬とか薬価改定というのは、当然、中医協、中央社会保険医療協議会、こういった手続で公正に客観的に決められるというような話は先ほどもされておられましたけれども、大事に使わせていただきますと言う大臣が実質的に決定されてしまうということになりますと、当然、医療業界の方々ですとかから、医療の現場からして、この診療報酬は何とか上げてほしいとか、この薬は、今、薬が足りないとかいろいろなことがありますから、当然、現場の声を聞くべきなんですよ。おつき合いはあっていいんですよ。ですが、やはり実質決定者である大臣がお金をもらっていると、せっかく公正な手続でやっていても、国民はそう見れなくなっちゃうんですよ、大臣。

 ここはお返しすべきじゃないですか。特に今年は診療報酬改定で大変なんですから。どれだけ客観的、公正にやったといっても、お金をもらっていたら、それがパアになっちゃうわけですよ。いろいろな御苦労があるのは分かります。でも、ここは、大臣、終わってからまたもらえばいいじゃないですか。まあ、それはそれで、額によりますけれどもね、さっき長妻さんがやっていましたけれども。

 大臣就任中はお返ししましょうよ。それによって正々堂々と診療報酬を決めてくださいよ。その方が気持ちよく業界の皆様だってお話がしやすいし、何の、李下に冠を正さずとできるじゃないですか。お返ししましょうよ、大臣。堂々と診療報酬を決めましょうよ。

武見国務大臣 私、厚生労働省はまさに国民の生活を生涯にわたって支えるという使命を担っていて、その所轄大臣として、そして、国民の皆様の立場に立ってどのような政策を実現するかを考えていくのか、これが私の一貫した立場で、私は、別に、特定の医療団体の代弁者であるということは全くありません。

 したがって、そういう立場の上で、診療報酬改定というのは、予算の編成過程を通じて内閣が改定率を決定し、社会保障審議会において策定された診療報酬改定の基本方針に基づいて、これは中医協において具体的な診療報酬点数の設定等に係る審議を行うといった、こうした公的なプロセスを経て決定しているところでありまして、私も、こうした仕組みの中で、厚生労働大臣として、公平かつ適切にその役割を果たしていきたい、こう考えているわけであります。

後藤(祐)委員 大臣になる前にパーティーを決めちゃっていて、それでパーティー券、もう収入いただいちゃっているから返せないと。

 これはやはり、総理、そういう方は大臣にしちゃいけないということなんじゃないんですか。大臣の外側でいろいろな御意見を言うのはいいと思うんですよ、それなりに。だから、これは総理の任命責任だと思いますよ。

 やはり、そこまで所管業界の方から多額の寄附というかパーティー券収入をいただいている方についてはその所管の大臣には据えない、それが公正な行政の在り方じゃないですか。これはやはり総理の任命責任が問われるんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 まず、政治資金については、政治資金規正法に基づいて適正に処理されなければなりません。そして、大臣として公平中立な立場でその仕事を行う、これは当然のことであります。そして、それに対して何か指摘があれば、これは政治家としてそうした疑念を払拭する、説明責任を果たしていく、これがあるべき姿だと考えます。

後藤(祐)委員 たくさん業界からお金をもらっている方でも所管大臣にしていいという、今答弁ですよね。残念ですよ。そういうところはやはりけじめをつけてやっていただきたいんですが。

 ところで、この寄附の毎年の推移を見ますと、二〇一九年はすごく額が大きいんですね。更に言うと、この前の年の二〇一八年もすごく大きいんです。遡ると、そこから前は毎年二千万ぐらいしかなくて、二〇一三年というのもすごく大きいんです。二〇一三年と一八、一九年が多いんです。

 武見大臣、何でこの年が多いんですか。これは、武見大臣が参議院選挙だったからじゃないんですか。二〇一三年と一九年、参議院選挙だったわけですけれども、参議院選挙の年、一八年はその前の年から活動していたということだと思いますけれども、そこでお金がたくさん必要だったということじゃないんですか。

武見国務大臣 御指摘のとおりであります。

後藤(祐)委員 武見大臣、正直でいいかなと思いますけれども。

 じゃ、続いて正直にお答えいただきたいんですが、自民党の東京都参議院選挙区第三支部、武見大臣の支部ですけれども、この二〇一九年、選挙のあった年ですね、の支払いの方を見ますと、一万円を超える寄附というのが百六十九人に千五百四十四万円ということなんですが、これはどういった方に寄附したんですか。支払いの方です。

武見国務大臣 実際、東京都の中の各自民党の支部にそれぞれ寄附したものと思います。

後藤(祐)委員 そのとおりですね。百六十九人の東京都の地方議員の支部、あるいはその政治団体の場合もありますが、私の調べた限り、全て東京都の地方議員のようです。

 参議院選挙の協力をお願いしたんじゃないんですか。

武見国務大臣 正直に申し上げて、これは、それぞれの政治活動を共に行うために実際に御支援させていただいたものであります。

後藤(祐)委員 選挙の年だけですか。選挙以外の年もずっとやっているんだったら今の言葉も分からなくはないけれども、さっき、正直に申し上げて選挙の年にたくさんお金が要ると。それで、そのお金をどう使っているか調べていくと、東京都の地方議員にたくさん寄附をしている。これじゃ、広島で起きた事件と同じ構図じゃないですか。

 更に言いましょう。

 タクシー代。武見大臣の資金管理団体、敬人会というものの令和三年の収支報告書によると、タクシー代とハイヤー代が、一万円を超えるものだけで三十四件で百万円ぐらいあります。このタクシー代は、武見大臣御自身ですとかあるいは事務所スタッフが乗るために使ったものですか。それとも、有権者である東京都民に対して、タクシーの移動、タクシーチケットを渡すとかで支払ったということですか。

武見国務大臣 これは全く、一部私個人が使って、あと大部分は事務所のスタッフが利用したものでございまして、実際に事務所のスタッフにも確認をいたしましたけれども、タクシーを借り上げて支援者の訪問に利用したということであります。

後藤(祐)委員 全てそうですか。これは通告しておりますけれども、武見大臣あるいは事務所スタッフだったらそれは法的には問題ありませんが、それ以外の、東京都民の方のタクシー代を支払っているのは一つもありませんか。

武見国務大臣 ございません。

後藤(祐)委員 会合費というのもあります。

 打合せ会議費というのが一万円超のものだけで六百万円とかあるんですけれども、これも武見大臣と事務所スタッフの分だったら問題ないんですが、東京都民の方の飲食代を払ったというものはありますか。

武見国務大臣 これも、議員本人及び事務所のスタッフ、政治活動を行う中で様々な打合せ会合を行うための経費であり、会場費や議員本人、事務所スタッフの飲食費であります。

 あわせて、その時々の国の政治課題についての情報収集もここで行っております。その中には、実は海外からも相当多くの方がいらしておりまして、そうした海外の有識者の方とのこうした会食というのも大変多うございました。

 全体として、そうした政治課題に関わる情報収集のために使わせていただいたというのが全く正直なところでございます。

後藤(祐)委員 情報収集ということは、東京都民の飲食代を支払ったということもあるということですか。

武見国務大臣 情報収集のために、こうした打合せ会合というものを使わせていただいております。したがって、その中に、実際に住所が都内にあった方がいたかどうかというのは、ちょっと確認できません。

後藤(祐)委員 ということは、東京都民の方の飲食を提供した可能性はあるということをお認めになったわけであります。

 ちょっと時間が足りなくなっておりますが、新藤大臣、新藤大臣の資金管理団体、政経アクセスというところは、令和元年、令和二年と総会というのを開いていて、例えば、令和二年二月に開いた総会は、会費一人八千円で五十九万二千円の収入があるんですが、支出の方は少なく見積もっても八十七万円。つまり、かなり足が出ていて、一人当たり三千七百円ぐらいは差額補填を行っているわけでありますが、これは事実でいらっしゃいますか。

新藤国務大臣 ここの収支報告書に書いてあるとおりでございます。

後藤(祐)委員 ですから、事実でありますか。私は収支報告書に基づいて聞いています。

新藤国務大臣 ですから、この収支報告書に書いてあるとおりだというふうに申し上げているわけであります。

後藤(祐)委員 だから、差額補填を行っているというのは事実ですか。

 つまり、令和二年二月の総会は、収入は五十九万二千円、支出は、ちょっとどっちに入るか分からないのがあるんですが、少なくとも約八十七万円は支出になっておりますので、差額補填を行っているのは間違いありませんか。

新藤国務大臣 これは差額補填ではなくて、この当該行事に必要な経費を、この会の運営として、私の資金管理団体の総会に対する会の運営費は支出で払いました。それから、当日の会費をいただいたのはここに書いてある金額だ、こういうことでございます。

後藤(祐)委員 支出分でも収入が全然足りないわけですよね。大体一・五倍ぐらい払っているわけですよ。

 しかも、その足りない分の余計なところに何に使っているかというと、接客という名目で十万円以上の支出があるんですよ。これは、ある週刊誌によれば、コンパニオンを多数呼んでいるんじゃないかと。その会社は、コンパニオンを紹介する会社というのもあるわけですね。

 収支相償であればそういうやり方もあると思いますよ。ですが、払った額よりもかかったお金の方が多くて、その差額にコンパニオン代が入っているというのは、それは今、大臣、おっしゃったような立派な目的と言えないんじゃないですか。

新藤国務大臣 コンパニオンと言われておりますけれども、これは、総会の際に、給仕のお手伝いをする、配膳のお手伝いをする皆さんです。

 それで、令和二年でありますと、七十四人の会合をサポートするために九名がお手伝いをしてくれたのであって、何かちょっと、報道ではコンパニオンという、それは、少し何か偏見を持たれたらいけないと思うんですけれども、配膳をするお手伝いをする方々のことでございますよ。

後藤(祐)委員 配膳をするお手伝いの方をわざわざ三社とかに会社を分けてそれぞれお願いしているんですけれども、配膳以外にどんなことをしているかなんて聞きませんが、何でそれを別に十万円もかけてそういう方をお願いするんですかね。そういうのをコンパニオンと言うんですよ、世の中では。

 ただ、コンパニオンはともかく、支出の方が多いわけですから、これはやはり問題じゃないですか。

新藤国務大臣 私の資金団体、先生の団体もそうかもしれませんよ、これは、私の政治活動に対する支援や会員相互の親睦を行うということの会を運営しております。ですから、その中で必要な経費は、会の運営費から払っております。ただ、当日のその会の性質に鑑みて、当日の会費をいただくこともありますし、でも、会の行事そのものは会の運営でやっているわけでありますから、何にも、何か問題があるというふうには私は考えておりません。

後藤(祐)委員 当日の会費で賄わなきゃ駄目でしょう。元々たまり金があるからそれを充てましたというのは、それは駄目だと思いますよ。総務大臣経験者じゃないですか。

 もう時間になったので、最後に聞きます。

 この疑惑以外に、ほかにはもう政治資金に関する疑惑はないということでいいですね、大臣。

新藤国務大臣 元々これが疑惑だと思っておりませんので。私は、法律に基づいて、この収支報告のとおりに運営しております。

後藤(祐)委員 答えていません。

 これ以外に政治資金上おかしいと思われるようなものはないということでよろしいですね。

新藤国務大臣 何か具体的なことがない限りお答えしようがないわけで、私ども、これは収支報告をきちんとしておりますから、この会の目的に沿って運営をさせていただいております。

後藤(祐)委員 総務大臣経験者ですよ、政治資金規正法、公職選挙法を所管する。

 去年の秋もそんなことがありましたけれども、政治資金、きちっとやっていただきたいということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、おおつき紅葉さんから関連質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 今日は、二人の子供を持つ母親として、子供を性加害から守るという点で質問に立たせていただきます。

 さて、皆さん、今年の最大のニュースの一つに、日本からジャニーズが消えた、これがニュースの一つにあるんじゃないかなと思います。日本の子供の性被害は、総理、非常に深刻になっています。残念ながらジャニーズでは四百七十八人もの方から既に性被害のお申出がありまして、国際的にも日本が一番性加害に対する対策が緩いからではないかとも言われています。

 総理、早速お伺いします。

 二十四日の代表質問で吉田はるみ議員に対して行った答弁で、長期間、広範に繰り返されたとされる御指摘の事案というのは、これはジャニーズの性加害についてということでよろしいでしょうか。また、多くの被害者が出ていることを聞いて、感想としてどう感じられましたか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の発言については、御認識のとおり、旧ジャニーズ事務所で起こったとされる性加害についてのことであります。御指摘の答弁の前に、旧ジャニーズ事務所における性加害問題についてお尋ねがありましたと申し上げた上で御指摘の発言をしております。御認識のとおりであります。

 そして、それについてどう考えるかということでありますが、これは、まず、旧ジャニーズ事務所自体が長期間にわたる性加害があったこと、これを認めております。詳細についてはこれから更に明らかになっていくものと思いますが、いずれにせよ、性暴力、これは個人の尊厳を著しく踏みにじる重大な人権侵害であって、たとえ被害者が一人であっても、これは許されるものではありません。ましてや、この事案につきましては、長期間にわたって広範に繰り返されていた事案だと認識をしております。決してあってはならない事件である、こういった認識を強く持っております。

おおつき委員 国会で初めて総理がジャニーズについてお答えになられたということだと思います。

 本日は、ジャニーズの被害者のお二人が傍聴席にもいらっしゃっております。そして、これまでも勇気を出して発言してくださった被害者の方々、このおかげで四百七十八人もの方々が今名のりを上げて、声を上げていない方も入れれば、これは千人から二千人規模ではないかとも言われております。世界最大規模の性加害問題が明らかとなり、これは今、日本の性加害の再発防止の大きなきっかけとなりつつあります、総理。

 既にこれはジャニーズや芸能界の問題だけではなく、スポーツ界など日本の様々な分野で子供を性被害から守るという点で、今、日本がどう乗り出すべきかの分岐点に来ているんです。今後子供たちを性被害から守るために、再発防止のために今必要なこと、私たちが国会議員としてできること、それが法整備なんです。そのためにも、質問も今日はしっかりと通告しておりますので、是非答弁は総理のみでお答えいただきたいと思います。

 この件は国連も動き出しています。国連の人権理事会の作業部会も日本に来て調査をしておりますし、また、日本は今、人権理事会理事国選挙に立候補をして、先日、十月十日に選出されました。来年の一月からは日本は人権理事国なんです。その国連が八月の会見で、政府が責任を持って被害者を救済すべきと話しています。だからこそ、総理、政府の対応が今求められているんです。

 そして、こちらのファイルを御覧ください。これは、再発防止に向けてジャニーズの被害者の方々が集めた三万九千筆以上の児童虐待防止法改正案成立を求めた署名になります。

 立憲民主党は、さきの通常国会で、議員立法で児童虐待防止法改正案を提出いたしました。しかし、協議に応じなかったのは自民党の皆さんです。総理、是非、与野党で協議をして、成立させましょう。

 そして、政府としてやるべきことは、日本版DBS法案、これの成立が必要です。DBSというのは、子供に接する仕事に就く人に性犯罪歴がないことを確認できるようにする、そういう法律です。

 しかし、子供を性被害から守って、ジャニーズのような性加害の再発を防止するためには、この中にも二つの条件が必要となります。

 一つ目。総理、資料を御覧ください。有識者会議の報告書によりますと、DBS法案の対象事業に、技芸等を身につけさせる養成所とあります。

 総理にお伺いします。この法案の対象に、ジャニーズ事務所のような、子供が通う養成所又は芸能事務所も入れるべきではありませんか。

小野寺委員長 国務大臣加藤鮎子さん。(おおつき委員「総理に聞いたんですけれども」と呼ぶ)今まず、担当大臣でありますので。

 国務大臣加藤鮎子さん。短めに答弁をお願いします。指名をしております。

加藤国務大臣 委員御指摘のとおり、九月に取りまとめられました有識者会議の報告書におきまして、対象事業の範囲について記述されております。

 一般的に、従事者と子供の間に性被害を生じさせるような関係が生じるか、また、事業の性質に鑑み、事業者が一般的に子供の安全を確保すべき立場にあるか、子供との関係性が継続的なものかなどの観点から、技芸等を身につけさせる養成所を含めて対象事業の例として示されております。

 この内容をしっかりと踏まえまして、子供の安全、安心を確保するためにより実効的な制度となるよう、制度の詳細についての検討を進めてまいります。

おおつき委員 大臣の答弁ですと、やはり総理が指示しなきゃいけないと思うんですね、子供のタレント事務所も対象になるように、できるようにしましょうと。これは再発防止には必要なことだと思います。

 もう一つ。二つ目。DBS法案に向けた報告書の中では、性犯罪歴は有罪判決を前提として前科のみを対象としているんです。でも、前科のみだと、総理、対象が狭過ぎるんです。再発防止のためには、民事訴訟で子供への性加害の不法行為が確定した者も対象に広げるべきなんです。

 その理由として、二〇〇四年、最高裁における民事裁判の中で、ジャニー喜多川氏によるセクハラ被害が実は認定されているんです。にもかかわらず、二〇〇四年以降も性加害の被害が出続けてしまったじゃないですか。今回の法案の対象を民事訴訟における性加害の認定に広げることによって、ジャニーズ性加害同様の被害がもし起こったとしても、これからは再発防止することができるようになるんです。

 総理、対象を民事性加害の認定者まで広げるべきではないでしょうか。

小野寺委員長 国務大臣加藤鮎子さん。(おおつき委員「総理に伺ったんですけれども」と呼ぶ)担当大臣ですから、まずお答えいただきます。(おおつき委員「じゃ、端的に」と呼ぶ)端的にお願いいたします。

加藤国務大臣 九月に取りまとめた、さきの報告書においては、対象につきましては、一定の性犯罪歴を有する者が特定の業務に従事することを事実上制限することになるため、その根拠は正確な事実でなければならず、厳格な手続に基づき、裁判所が事実認定をした前科を対象とすべきとされております。まず報告書においては。

 お尋ねの民事裁判につきましては、刑事裁判とは事実認定の仕組みが異なることなど、両者の相違点を踏まえる必要がございます。御指摘の趣旨は理解はさせていただきますものの、制度設計上、この違いを踏まえる必要があるということであります。

 性犯罪歴等確認の仕組みにつきましては、その対象を含め、有識者会議の報告書を踏まえつつ必要な検討を進めてまいります。

おおつき委員 総理、前向きに検討しませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の民事裁判については、刑事裁判とは事実認定の仕組みが異なる、これは今大臣から申し上げたとおりであります。そういった違いはしっかりと踏まえなければなりませんが、結果として子供の安全、安心を確保するためにより実効的な制度となるように、性犯罪歴等確認の仕組みの詳細について、今後、この検討を早急に進めなければならないと思います。

 民事裁判と刑事裁判の違いも念頭に、しかし、結果として子供の安心、安全を確保するための仕組み、どうあるべきかを至急詰めてもらいたいと考えます。

おおつき委員 至急詰めてもらいたいという指示も出ておりますので、早急に進めなければいけない問題だと、是非、皆さんも認識を持って進めていただきたいと思います。大臣もお願いいたします。

 次に、総理、この再発防止の機会をやはり逃しちゃいけないと思うんです。DBS法案の成立は今臨時国会では見送られましたね。そして、総理は代表質問の答弁で来年の通常国会以降と述べています。総理、これは遅過ぎませんか。

 今国会での法案提出が見送られたと報道をされた九月以降も、子供の性被害が後を絶っていません。東京、埼玉、愛知、広島、鳥取などで、わいせつな行為や盗撮などで逮捕者が出ているんです、総理。性犯罪は起きてからじゃ遅いんです。子供への性犯罪の再犯率は非常に高いのを、総理、御存じですよね。八五%もあるんです。だから、こういったことは早く進めなくちゃいけないんです。

 ジャニーズの性加害の再発防止にも資するDBS法案を、来年の通常国会以降とおっしゃっていますが、総理、次の通常国会で提出していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 有識者会議においても、先ほど御指摘があった点を含めて議論が続いています。要は、法律を作ること、もちろん大事なことでありますが、これが実効的なものでなければならない。実効的なものにするために議論や作業がまだ続いているということであります。来年、通常国会以降と申し上げましたが、その範囲内においても、できるだけ早く法案を提出するよう努力するべきだと思います。

おおつき委員 答弁が全く実は変わっていないんですよね。うなずいて安心しないでください。変わっていないということは、どういうことか。

 次の通常国会以降だと、来年の通常国会でもしやらないということは、次の臨時国会になるということになりますよね、皆さん。次の臨時国会、今、臨時国会が開かれているんですから、考えてみてください、一年後に議論が始まるということになるんですよ。一年後。こんなに今、一年も放置している場合なんでしょうか、この問題を。

 今日もあしたも子供への性被害は、皆さん、増え続けているんです。一年も先まで先送りしちゃいけないんですよ、総理。やはり、決められない政治って、だから言われちゃうんですよ、総理。これは、来年の通常国会以降じゃなくて、来年の通常国会と言い切ってしまえば、総理、いいじゃないですか。これは待てません。

 私も二人の子供を育てる親として、これだけは譲れません。総理、次の通常国会、是非提出してください。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げております、法律を早期に提出すること、これはもちろん大事でありますが、実効性のある中身にしなければなりません。その作業を急がせます。

おおつき委員 急がせますということですね。是非、通常国会に間に合うようにしなくちゃいけない。この方針を総理が示さないで誰が示すのですか。有識者会議に任せている場合じゃないんです。

 総理、とにかく急ぎますと、今日指示して、改めて指示をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 法律の中身、重要です。是非、実効的な中身にしたいと思います。そのために、できるだけ急ぐように改めて私の方からも関係者に指示をいたします。

おおつき委員 総理、それは通常国会に間に合うように指示をしたという理解でよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げております、中身が大事です。中身をしっかりと用意するべく急がせます。

おおつき委員 先ほど申し上げたように、一月からは国連の人権理事国になるんですよね。

 先ほどの作業部会の報告書、これ、最終報告書も六月に出るんです。この中で、日本が性被害への再発防止に対して十分な取組をしていたか、していないかの判断が問われるんです、総理。

 子供を守るという点で、つまり、セーフの国かアウトの国か、瀬戸際に立っているのが、このジャニーズ性加害問題への再発防止の対応なんじゃないでしょうか、総理。

 遅れている場合じゃないんです。次の通常国会への提出に向けて、是非急いでいただきたいと思います。

 さて、総理、これまでの経緯を踏まえると、この実効性のあるDBS法案を作成して、再発防止をするためにも、岸田総理などがジャニーズ事務所の性被害者の方々に会って、やはり話を聞くべきじゃないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 被害者当事者や支援者の方々の声をお聞きすることを通じて被害実態の把握に努めること、これは重要であると考えています。

 これまでも、関係府省において様々な被害当事者や支援者等から直接お話を伺い、子供の性被害の特徴などを十分に踏まえた上で、緊急対策を立案し、実施してきた、こういった取組を続けてきました。

 法制度の検討に当たっても、どのような形で更に被害実態を把握していくか、これは関係府省において適切に判断していくべきものであると考えます。

おおつき委員 では、総理、加藤大臣に会うように御指示いただけますか。

岸田内閣総理大臣 実態把握の方法については、関係省庁が適切に判断すべきだと考えます。

おおつき委員 総理、会わない理由はあるんでしょうか。

 先ほどおっしゃった、関係府省が声を聞いているというのは、ジャニーズ性加害の被害者ではないんです。ジャニーズ性加害の被害者、これは四百七十八人が名のり出ているんです。

 世界的にも、実は、大きな、子供に対する性加害の問題というのは、イギリスの人気司会者が、七十二人に性被害が、行ったという例があるんですけれども、そんな事例とは比べ物にならない人数の方々が、今、名のり出ているんです。世界最大規模の性加害国と世界から見られる、そんなおそれがあるんです。

 だから、総理、やはり政府として実効性のある政策をつくっていくためにも、法整備をするためにも、是非、被害者の方から声を聞いていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、政府としては、本年七月に策定した、こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ、これに基づく取組、これは加速させていきます。

 その上で、法整備については、先ほど来申し上げているとおりであります。法整備に向けて実態把握をどのように行うか、これは関係省庁において適切に判断すべきものだと考えています。

おおつき委員 総理が判断しないで誰が判断するんですか。今議論をしてきたじゃないですか、総理。

 また、政府として、旧ジャニーズ事務所の例えば会社側にはお話を聞く考えはありますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 全ての子供が性被害に遭うことなく安心して過ごすことができる社会の実現に取り組むことが大変重要でありまして、その際、被害実態の把握に努めることは大切なことと認識をいたしてございます。

 その上で、今後の取組の中で、どのような方から、会社も含め、どのような形でお話を伺うかは、今後適切に判断をしてまいりたいと思います。

おおつき委員 大臣、それでは、ジャニーズ性加害の被害者の方からお話を伺う考えもあるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 繰り返しになりますが、どのような方からどのような形でお話を伺うかは、今後適切に判断をしてまいりたいと思います。

おおつき委員 時間が来ました。

 子供を性加害から守れるのは、私たち大人の責任です。そして、国会議員しか法整備ができません。このジャニーズ性加害の再発防止という実効性のあるDBS法案が来年の通常国会に必ず提出されることを強く強く要望いたしまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、米山隆一君から関連質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。米山隆一君。

米山委員 それでは、立憲民主党、米山隆一から御質問させていただきます。

 まず、大阪万博についてお尋ねいたします。

 今まで、大阪万博、これは、大阪府、そして大阪市、また日本維新の会によって非常に喧伝されてまいりました。

 二〇二二年一月二十日の衆議院本会議において、日本維新の会の馬場伸幸代表は、誇らしげに「二〇二五年に開催される大阪・関西万博は、世界がコロナ禍を乗り越え、新しい時代を展望するとともに、日本の魅力を世界に発信する絶好の機会です。」「日本維新の会は、地元自治体や経済界などと手を携え、大阪・関西万博の成功に向けて全力で取り組んでいくことをお誓いし、質問を終わります。」とおっしゃられましたし、また、開幕二年前に当たる本年四月十三日には、大阪府の吉村知事がテレビ番組で、僕は誘致のときから携わってきていましたので、ちょうど大阪市長のときでしたから、なので、そういった意味では最後まで責任を持ってこのすばらしい万博をやりたいなと思っていますというようなことをおっしゃられました。

 この頃まで、このお二人からも、またそのほかのところからでも、万博の運営に問題があるというようなことは一切言われておりませんでしたので、多くの国民が、これは大阪府市が主導して行うイベントで、特に問題なく進んでいるんだなと思っていたと思います。

 ところが、今年の六月末からにわかに各国のパビリオンの工事が遅れているという報道がなされ、どうなるのかと思っていたら、七月ぐらいから、既に一度、千二百五十億円から千八百五十億円に上がっていた経費が、更に二千三百五十億円に五百億円も上昇するとの報道がなされました。

 すると、八月三十日には、日本維新の会馬場代表は手のひらを返したように、万博というのは国の行事、国のイベントなので、遅れが大阪の責任とかそういうことではなしに、国を挙げてやっているとおっしゃり、また、九月二十六日には、大阪府の大阪維新の会大阪府議団が工事費の増額分を国に負担してもらうように吉村府知事に要請し、にもかかわらずといいますか、そうだからこそといいますか、この二十五日の本会議における馬場代表の代表質問では、一年半前とは打って変わって、万博について一言も言及しないという事態になっております。

 そこで、改めまして、BIE、博覧会国際事務局への申請書や大阪万博特措法を確認いたしますと、大阪万博は公益社団法人二〇二五年日本国際博覧会協会が開催者であり、日本国政府は、開催者に対して経費の補助や国の職員の派遣等の必要な支援を行うとともに、経済産業大臣が開催者を監督するというふうに書いてありまして、そうしますと、大阪府市、いわんや日本維新の会は、申請時に開催地を夢洲にするなど誘致を主導し大きく関わってきましたけれども、その言とは異なり、そもそも、その開催誘致が決定後の運営については、直接大阪万博を主導する立場でもなかったし、実際何にもしてこなかった、それによってこの五百億円の増額になったというふうに認識しているんですけれども、これはよろしいでしょうか。

西村国務大臣 まず、事務的なことは抜かさせていただきますが、まさにおっしゃられたように、この間の十月二十日のときですけれども、博覧会協会から必要額について説明を受けました。その中で、資材の価格、それから労務単価、こうしたものの高騰の影響によって、五百二十七億円の増額が全体の増額の主な要因になっていると。そして一方で、工事内容も見直しを行って百五十七億合理化をして、さらに、大体、通常、民間の工事でもこの程度のパーセントで予備費を置くようですけれども、百三十億円の予備費を措置するということで、合わせて五百億円増となるという報告を受けたところであります。

 これに対して、私ども政府としては、私と自見大臣を中心に、その内容が適切なものであるかどうか精査を行っているという状況でありますので、まずはその精査をしっかり行いたいというふうに考えております。

米山委員 冒頭の事務内容に関してはもう認めてくださったということかと思いますので。そうしますと、それは、じゃ、結構です、政府の責任ということがあるんだ、政府の責任ということで、政府の責任をしっかりと果たしていただかなきゃならないし、今までのところに間違いがあるなら、それはきちんと認めていただかなければならないと思います。

 西村大臣、今ほど、資料、これは私たち立憲民主党もヒアリングで聞いたんですけれども、建設業協会の資料によりますと、資材費が二八%上昇しました、だから千八百五十億円で、工費は五百二十七億円上がりましたと。これはちょうど二八・四%なんです。だから、まさにぴったりですねという感じの数字が出ているんですが、よく考えるとおかしいでしょうと。だって、そもそもこれは、二〇二一年から二〇二三年の三月までの話ですから、二〇二一年の時点で既にある程度の契約はされているはずなんですよ。この数字がぴったり合うということは、これは千八百五十億円が全部未契約で、全部資材費ですということにならないとおかしくて、そもそも資材費は一部でしょう、そもそも未契約の部分だって一部でしょう、そうしたらそんなに増えないはずじゃないですかとなるわけなんです。

 ヒアリングの中では、二〇二一年一月時点で既に三分の二の千三百億円程度が既契約であったということなんです。そうしますと、それは物価スライド条項とかあるかもしれませんが、単純に計算したら百五十億円ぐらいしか上がらないんじゃないですかとなるわけなんです。話が合わぬということになります。

 そうしたら、一体全体、この二〇二一年一月時点で未契約部分はどのぐらいあったのか、また、既契約部分で資材費、物価スライド条項に係る分はどのぐらいあったのか、把握しているところを教えていただけますか。

西村国務大臣 私どもが聴取をした内容は、契約時から現在の工事終了までの物価上昇、それから、これから契約する工事については開始予定時期から終了時期までの物価上昇を推計したものでありまして、各工事ごとに物価上昇の影響を積み上げたものであるというふうに聞いております。

 この内容について私どもも今精査を行っているということでございます。

米山委員 それは我が党がヒアリングで聞いたそのままの内容で、要するに、全部足した数字しか知らない。それは、我が党と一緒に、監督するはずの経済産業省、どうやら当初から国のプロジェクトで、当初から国が監督すると決められていたのに、経済産業省も我が党も今年の九月になってからやっとその総額を知りましたということだと思うんですが、それはそもそもおかしくないですか。それはそもそも監督責任を問われませんか。

 今のお話だと、どうやら経済産業省も九月に知りましたということだと思うんですけれども、物価上昇というのは、そもそも二〇二一年九月にはもう物価というのはプラスに転じているんですよ。二〇二二年の四月にはもう二%に達しているんです。そこからもう一年半たっているので、大体一年前には、二〇二二年の六月とか七月ぐらいにはとっくに、この物価上昇によって資材費が上がってとても間に合いませんと分かるはずなんですよ。

 何でそれが分からなかったのか、何でその報告がなかったのか。その報告を、西村大臣、今おっしゃられたとおり、把握していなかったということですから、それを何で把握していなかったのか、その理由を教えてもらえますか。

西村国務大臣 まず、物価上昇については、当然、近年、この一、二年、上がってきているわけでありますから、私も、就任後、この状況については、高騰している状況については当然認識をしております。

 一方で、博覧会協会の方も、そうしたコスト上昇分を何とか吸収しようとする努力もしてきているものというふうに思います。

 そうした中で、この千八百五十億に収めるべく努力を進めてきたけれども、これまでの工事の落札状況、つまり入札が落ちないわけですね、不調に終わるというような状況を踏まえて、本年八月三十一日に、博覧会協会に対して、今後の工事予定なども踏まえた会場建設に必要な金額の精査を指示したところであります。

 したがって、もちろん、私ども、いろいろなやり取りをしておりますし、九月まで把握をしていなかったということではありません、やり取りをする中で、博覧会協会も努力をし、その上で、なかなか入札が落ちないということもあって、このような指示をしたところであります。

米山委員 そうしますと、もう去年ぐらいには把握しておりましたと。去年ですよ。いや、我々、誰も知らないですよ。

 だって、資材はどんどん上がっているわけですよ。それはいろいろな努力をしていったって、それはだって、そもそも御党が、御党の政府が二%の物価上昇を安定的にするようにするわけでしょう、しているわけですよね、アベノミクスで。それは物価上昇が終わるわけないわけですよ。今二%上がったら、これからもずっと上がるわけでしょう。

 去年の時点でそれは分かっていたなら、去年の時点でちゃんと手を打って、それこそ国会に報告して、どうするかやるのが筋じゃないですか。それを何で一年間黙っていたんですか。理由を教えてもらえますか。

西村国務大臣 当然、様々なコストが上がっているということは認識をしておりましたが、博覧会協会は博覧会協会で、コストの削減のためにいろいろな努力を重ねてきております。その分を私ども見守ってきたところでありまして、ただ、入札が不調に終わるということが続いてくる中で、このままではやはり無理だということで、改めて、大丈夫かということで、金額を精査せよということで指示を出したところであります。

米山委員 それは、これが一回目なら分かるんですよ。それはまあ、あるところまでは、頑張りまっせと一生懸命やって、ちょっと、いよいよ言えなくなって、最後まで言わないよりましですからね、そろそろ言いましょうかとなったのは分かりますけれども、これはそもそも、二〇一九年二月八日の閣議決定の段階では千二百五十億円と見込まれていたのが、二〇二〇年十二月十一日に、一・五倍、千八百五十億円に膨らんで、もう既に一回膨らんでいるんです。その後更に五百億円膨らんでいるのに、それは、いや、いいんですよ、努力するのは、努力したっていいけれども、ちゃんと時々で言わなきゃいけないじゃないですか。

 毎回毎回こうやって、五百億とか六百億とか、えっという額になってから言われちゃったら、もうどうにもこうにも軌道修正できません、どうもしようがないからこれは負担するしかありません、そうなっちゃうわけです。

 これは西村大臣のお金じゃないですからね、自民党の先生方のお金でもないですから。国民のお金ですよ。五百億円というのは、一人五百円ですから。すごい額をどうにもならなくなってから言うというのを二回、三回と繰り返しているわけなんです。

 これはもう何度言っても同じでしょうからこれ以上言いませんけれども、それは余りにもずさんな運営だと。しかもそれは、どうやら大阪府市や日本維新の会は関係ないらしいので、関係ないんだったら、それは自民党さんの責任だ、政府・自民党の責任だということになろうかと思います。

 ちなみに、じゃ、それはもう責任があるなりに、起こったことは起こったとしましょうや。起こったは起こったで、じゃ、この五百億円、どうするんですかということで、これはヒアリングなどを聞いてみますと、二〇一七年四月十一日の閣議決定で定めているとおり、国は、政府は、国三分の一、大阪府市三分の一、経済界三分の一という負担割合の予定であり、また、ついせんだって、渋っていた大阪財界といいますか関西財界も、この三分の一、まあ負担しましょう、百六十七億円負担しましょうとおっしゃられたというふうに報道されております。

 ところが、今までさんざんさんざん喧伝してきておきながら、八月三十日に、手のひらを返された大阪維新の会の府議団は、国に全額の負担を求めているんですね。今現在求めているはずです、撤回していませんから。

 これは、幾ら何でもそれはないでしょうと。国としては、私はそもそもこの増額分を払うこと自体に反対ですけれども、そもそも増額しないでやるべきだと思いますけれども、百歩譲って増額するとして、それはちゃんと、最初の閣議決定のとおり、大阪府市、ちゃんと三分の一払うんですよね、これを御確認させていただきたいと思います。総理大臣、お願いいたします。

西村国務大臣 まず、この万博は国が責任を持って行うということであります。ただ、当然、大阪府、大阪市の協力を得て工事を、建設事業者も資材置場を設けたり、様々な協力を得ながら、これは協力して成功を目指して取り組んでいるものであります。

 その上で、この会場建設費の負担割合につきましては、まさに私ども、まだ精査を行っているところでありますし、府市においても精査を行っているところだと認識をしておりますが、私から大阪府知事、吉村府知事、それから横山大阪市長に対しまして、三分の一ずつ負担の大原則は堅持することを前提に検討していくということをお伝えをしております。

 現在、それぞれ精査をした上で、最終的に確認をしていきたいというふうに思います。

米山委員 じゃ、岸田総理にお伺いしますけれども、原則でしかないわけですか。岸田総理としては、精査次第によっては大阪府市が負担すべき三分の一を国が負担する、それは国民全体がその分だけ負担が増えるということなんですけれども、そういうことも考えているということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 今経産大臣から説明がありましたように、この閣議了解において、国、府市、そして経済界、三分の一ずつの負担になっております。

 そして、見直し金額について精査を進めているということでありますが、三分の一ずつ負担とする閣議了解に沿って対応する、この基本は堅持することとしております。これについては、今経産大臣からありましたように、府知事そして大阪市長に改めて伝達もしておりますし、それを前提に見直し金額の確認が進められていると承知をしております。

米山委員 結構な御答弁で。そうしますと、閣議決定は守られるということでございます。

 そうしますと、この閣議決定の中にもう一つ文章があるんです。「会場運営費は適正な入場料の設定等により賄うものとし、国庫による負担や助成は行わないこと。」これが閣議決定されております。

 ところが、警備費二百億円というものは、普通、警備費というのは会場運営費だと思うんですよ。この二百億円はなぜか国が払うということになっているということなんですけれども、これはおかしくないですか。何でこちらの閣議決定の方はいきなり覆されているんでしょうか。御答弁をお願いいたします。

西村国務大臣 警備費、警備につきましては、御指摘のように、当初、運営主体であります博覧会協会が実施をするということを計画していたものであります。

 他方、この万博の成功に向けて最も重要なことと言ってもいいと思いますけれども、安全確保について、このことについて、近年の警備事案、事故などを踏まえて万博誘致当初よりも高い水準が求められているという中で、万全を期す必要があるというふうに認識をしております。

 こうした状況を踏まえて、まさに万博の安全な運営、実施に不可欠な会場内の警備について、その強化の方向性を国が指示する形で行うことを想定をしておりまして、博覧会協会が行う事業である運営費を補填するのではなく、私どもが責任を持って実施をするということで、この閣議了解に反するものではないというふうに認識をしております。

米山委員 これはまたすばらしい理屈を考えつかれましたね。さすが、官僚というのはすばらしい理屈を考えるなと。

 要は、通常はそれはどう考えたって警備費は運営費に入っているんだけれども、より一層安全に警備するのは運営費じゃないというか警備費じゃないというか、そういう理屈を今おっしゃられたわけです。通常は、答弁は求めませんけれども、それをへ理屈というわけですよ。そういうへ理屈でどんどんどんどんと運営費を国庫負担にしていく、それは無責任体制そのものじゃないですか。

 そして、巷間言われているところなんですけれども、この工期、非常に迫っている。その工期が迫っているのを間に合わせるために、御党の、自民党の足立敏之議員が超法規的措置を求めるというふうな発言もされたというふうに伺っているんですが、今ほど、大臣、安全を確保するのは非常に重要だとおっしゃられました。それは、入場者だけではなくて、工事をする人の安全だって重要なはずです。ですので、これは、工事をする方、建設業の方の残業規制、これは外さないということは確約していただけますか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 海外パビリオンなどの建設に関わります時間外労働の上限規制につきましては、その適用除外の要請を受けて政府として検討しているという事実は、まず、ございません。

 また、御指摘の、工期を間に合わせるという目的で時間外労働の上限規制につきまして適用除外をするということは、「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマと相入れないと考えております。総合調整をつかさどる私の立場としては、御指摘のことは考えておりません。

米山委員 これも結構な御答弁をありがとうございます。

 ちなみになんですけれども、先ほど、すばらしいへ理屈で警備費を動かす理屈を考えられたんですけれども、結局赤字で終わるということはあり得るわけですね。その運営費を賄えなくて赤字で終わる。赤字で終わった場合の補填といいますか、その処理はどうされるんですか。これはやはり決めておかなきゃいけないでしょう。だって、どんどんどんどん資材費が上がったり経費が上がったりして賄えなくなっているんだから、それは赤字で終わることだって当然考えなきゃいけないと思うんですけれども、それはどうするのか。決めておかなかったら、誰か補填するか、さもなくば万博協会が破産しますとかということをしなきゃいかぬわけです。これは一体、赤字をどうされるのか、御答弁をお願いいたします。

西村国務大臣 この大阪・関西万博の運営につきましては、一義的に博覧会協会が担っております。協会においてこの万博の最終的な損益が赤字にならないように取り組まれているというふうに承知をしております。

 経産省としては、協会を監督する立場から適正な業務運営の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

 御案内だと思いますけれども、前売り券などで、お子さん千円とか千二百円とか、大人でも四千円とか五千円とか、様々なタイプの入場券も用意をして、十一月末から販売が始まります。是非、多くの方に見ていただけるような万博にしていきたいと思いますが、仮に、最終的な責任、これは、実施主体が博覧会協会でありますので、業務執行責任は協会が負うということになります。国が法的弁済責任を負うものではなく、補填することはないというふうに承知をしています。

米山委員 今ほど、赤字にならないようにきちんと指導するとおっしゃられました。それも結構な御答弁で。

 なら、もう赤字にならないのはかなり無理だと思うんです。さらに、工期を間に合わせるのもほとんど無理でしょう、誰がどう考えたって無理でしょうという状況しか伝わってこないわけです。

 そこにおいて指導すべき立場としてやるべきこと、それは、ちゃんと間に合うように開催日を延期することです。そうすれば、工費も増えないんです、赤字にならないんです。ちゃんと運営できるように、期限を延期するなり、何なら中止するなり、そういう決断をするお考えはありますでしょうか。総理大臣にお伺いいたします。

西村国務大臣 延期をすることは全く考えておりません。

 博覧会事務局、BIEのケルケンツェス事務局長、九月に来日をされましたけれども、その際、事務局長は、全体の状況をヒアリングされ、現地も見られ、海外パビリオンの建設が遅れているのは事実でありますけれども、これについても、予定より早くもないし、遅れてもおらず、開催に支障のある状況だとは考えていないという御指摘もいただいております。

 私どもとしては、海外の国々にそれぞれ事情があって、なかなか決め切れない国もあるわけですけれども、マンツーマンで対応しながら、また、建設業者とのマッチングなどもやりながら、しっかりとした開催になるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

米山委員 総理に最後にお伺いしたいんですけれども、それは全部うまくいけばそれにこしたことはないわけですよ。でも、現実に、もう二回も工費が増えちゃっているじゃないですか。全部を間に合わせられないですよ。これを間に合わせようとすればお金が増える、お金を何とか間に合わせようとしたら誰かが負担する、最後は赤字になるかもしれない。全部間に合わせられるなら、それはそれでいいですけれども、ほとんどできないときには、だって、赤字にしないということが絶対ならば、それは延期だって中止だって選択肢になると思うんです。

 総理、そういう選択をする、全くできない、できるならいいですよ、それができないとき、赤字が明らかになったとき、これ以上の公費負担が必要になったとき、そして間に合わないとき、そういうときにはきちんとそれに対応して、延期するなり中止にするなりするお考えはあるでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、建設費については、先ほど来、大臣から説明させていただいておりますように、これは、ずるずると予算を拡大する、こういったことがないようにしっかり確認した上で、大阪府市、そして経済界とも対応を協議していく、この方針に従って今取組を進めているところです。

 その上で、計画変更、延期についての御指摘でありますが、工事の遅れについては、先ほど大臣からもありましたように、参加国への個別伴走支援、あるいは施工環境の改善といったことで対応をしていく、こういったことであり、我が国として万博の開催を延期することは考えておるものではないということであります。

米山委員 それでは、そうであるなら、ほかの部分をもっと、愛知万博等は小さくしてちゃんと経費を落としたんですから、ほかの部分できちんと責任ある対応を持っていただけることを御期待いたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 これは皆さんも御承知かもしれません。非常にショッキングな、ネイチャーという非常に有名な科学雑誌に、わざわざ日本のことを「ジャパニーズ・リサーチ・イズ・ノー・ロンガー・ワールドクラス」、日本の研究はもはやワールドクラスではない、そんな記事が出されました。

 論文数、これはトップ一〇の論文ですけれども、もうつるべ落としです。この赤い線ですけれども、つるべ落としです。かつては三位、四位だったのが、今や十三位。ちなみに十二位はイランです。別にイランが悪いというんじゃないですよ。でも、もはや十三位です。

 しかも、この論文数を見ますと、よりはっきりいたします。中国のトップ一〇論文数は五万を超えているんですけれども、日本は四千を割り込んでいる。物すごい勢いで日本は研究の分野でその存在感を失っております。

 時間がないので簡略に説明いたしますけれども、その原因、相当程度に、これだろうと言われているものがあるんですね。はっきりしているんです。それは、大学の出すトップ一〇論文数のシェアが落ちている。しかも、それは二〇〇四年の国立大学独法化以来落ちている。その大きな理由は、大学交付金、それがどんどん減っている。

 ちなみに、そこはフェアにということで、実は大学に対する予算全体が減っているわけじゃないんです。それは科研費というものがちゃんと払われていて、実は大学予算全体は増えている。

 じゃ、何でこんなことが起こるかというと、政府が選択と集中という方針を取って、ごく一部の研究者、一部の大学に全部資金を集めて、そちらではむしろだぶついている。もうしようがないからちょっとあの機械を買えとか、そんなことを言う事態になっている。ところが、ない方では本当になくて、コピーもできない、学会にも行けない、もちろん常勤の研究者を雇うこともできない。だから、研究者になろうという若者が、余りにも常勤の職がなくて、生活が不安定で、研究者なんかできないという事態になっているわけなんです。

 これをどうお考えですか。総理、これからの日本をつくっていく、そしてイノベーションを起こすと言っていますけれども、イノベーションの基は研究、大学じゃないですか。それをこうやって失わせて、今後、イノベーションができるんですか。

 しかも、その原因は、かなりの確度で、それこそ政府・自民党が進めてきた選択と集中にあると言われているんです。それを改めて、きちんと元のように大学交付金をいろいろな大学にもう少し平等に払って、もう少し多くの大学が平等に研究できるようにしたらいいと思いませんか。

 御所見を伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国の注目度の高い論文数の順位が低下しているということ、これは深刻に受け止めなければならないと思います。

 そして、委員の方から、今、その背景には、運営交付金の伸び悩み等、財政的な、予算的な原因があるという御指摘がありました。

 これについては、この研究開発費について、第六期科学技術・イノベーション基本計画においては、二〇二五年度までに、第五期から四兆円の増額となる、五年間で三十兆円を目標として施策を進めており、また、国立大学法人運営費交付金、これは平成二十七年度からは前年度同額程度を確保している、こういった現状にあります。

 そして、その上で、研究力向上のために、科研費の充実により多様な分野の研究者の支援を行う。また、十兆円規模の大学ファンドを創設して、世界に伍するトップレベルの研究大学を長期安定的に支援する。また、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学を支援する基金を創設した。こういった取組を進めているところであります。

 いずれにせよ、大学の研究力の抜本強化を図るという観点から、基本的経費である運営費交付金についても必要な額の確保に努めてまいりたいと考えます。

米山委員 結局、今の答弁は、選択と集中は変えないとおっしゃられたわけですね、総枠は確保するけれども。

 それでは駄目だという結果が、もう二十年、出ているんですよ。それはきちんと改めていただきたい。それは日本の未来ですから。日本の未来を損なってはいけないでしょう。

 最後に、我が長岡が生んだ小林虎三郎さんの有名な米百俵の逸話を言わせていただきます。

 戊辰戦争に敗れて困っているときに、友藩から百俵の米が送られてきた。それはみんな食べられると思ったと。でも、小林虎三郎さんは、百俵の米も皆で食らえばたちまちなくなるが、教育に充てれば明日の一万俵、百万俵となる、こう言って学校を造ったんです。

 今、日本はどうですか。百俵の米どころじゃありませんよ。一兆円、十兆円のお金を皆で食らっている。未来を食い潰しているんです。ちゃんと教育に、研究にお金を使って、そして、本当に、十年後、二十年後でいい、そのためにお金を使って、日本の未来をつくっていただきたいと思います。

 政策を改めることを心より切望して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 次回は、来る三十日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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