衆議院

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第3号 令和5年10月30日(月曜日)

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令和五年十月三十日(月曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 越智 隆雄君

   理事 加藤 勝信君 理事 島尻安伊子君

   理事 牧島かれん君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      後藤 茂之君    下村 博文君

      田中 和徳君    平  将明君

      塚田 一郎君    橋本  岳君

      平沢 勝栄君    古川  康君

      古屋 圭司君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    山本 有二君

      若林 健太君    渡辺 博道君

      井坂 信彦君   おおつき紅葉君

      大西 健介君    岡本あき子君

      源馬謙太郎君    神津たけし君

      近藤 和也君    鈴木 庸介君

      堤 かなめ君    西村智奈美君

      馬場 雄基君    藤岡 隆雄君

      本庄 知史君    森山 浩行君

      山田 勝彦君    吉田はるみ君

      早稲田ゆき君    渡辺  創君

      阿部 弘樹君    一谷勇一郎君

      奥下 剛光君    金村 龍那君

      林  佑美君    藤田 文武君

      守島  正君    和田有一朗君

      金城 泰邦君    角田 秀穂君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      斎藤アレックス君    鈴木  敦君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      吉良 州司君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         鈴木 淳司君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       宮下 一郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル行財政改革担当)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)    自見はなこ君

   財務副大臣        神田 憲次君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  溝口  洋君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   馬場  健君

   政府参考人

   (内閣官房全世代型社会保障構築本部事務局審議官) 竹林 悟史君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  木村 陽一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 阿久澤 孝君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府経済財政国際室長)            松多 秀一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        安楽岡 武君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西村 秀隆君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     古川  康君

  藤岡 隆雄君     井坂 信彦君

  本庄 知史君     馬場 雄基君

  森山 浩行君     おおつき紅葉君

  渡辺  創君     早稲田ゆき君

  奥下 剛光君     和田有一朗君

  林  佑美君     阿部 弘樹君

  守島  正君     一谷勇一郎君

  赤羽 一嘉君     福重 隆浩君

  斎藤アレックス君   浅野  哲君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     今村 雅弘君

  井坂 信彦君     藤岡 隆雄君

  おおつき紅葉君    森山 浩行君

  馬場 雄基君     鈴木 庸介君

  早稲田ゆき君     岡本あき子君

  阿部 弘樹君     金村 龍那君

  一谷勇一郎君     藤田 文武君

  和田有一朗君     奥下 剛光君

  福重 隆浩君     赤羽 一嘉君

  浅野  哲君     鈴木  敦君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本あき子君     渡辺  創君

  鈴木 庸介君     堤 かなめ君

  金村 龍那君     林  佑美君

  藤田 文武君     守島  正君

  鈴木  敦君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  堤 かなめ君     神津たけし君

同日

 辞任         補欠選任

  神津たけし君     山田 勝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 勝彦君     本庄 知史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官溝口洋君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健君、内閣官房全世代型社会保障構築本部事務局審議官竹林悟史君、内閣法制局第一部長木村陽一君、内閣府大臣官房審議官阿久澤孝君、内閣府政策統括官林伴子君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府経済財政国際室長松多秀一君、内閣府地方創生推進事務局審議官安楽岡武君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、総務省大臣官房地域力創造審議官山越伸子君、総務省自治行政局長山野謙君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、総務省自治税務局長池田達雄君、外務省大臣官房審議官池上正喜君、文部科学省初等中等教育局長矢野和彦君、文部科学省高等教育局長池田貴城君、文部科学省高等教育局私学部長寺門成真君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、厚生労働省医政局長浅沼一成君、厚生労働省保険局長伊原和人君、水産庁長官森健君、経済産業省大臣官房審議官田中一成君、経済産業省大臣官房審議官西村秀隆君、資源エネルギー庁次長松山泰浩君、国土交通省大臣官房長寺田吉道君、国土交通省国土政策局長黒田昌義君、国土交通省物流・自動車局長鶴田浩久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 基本的質疑を行います。

 この際、去る二十七日の石川香織さんの質疑に関連し、逢坂誠二君から質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 総理、おはようございます。今日はよろしくお願いします。

 まず冒頭、一点、ALPS処理水の放出の関係で、漁師さん、水産事業者の皆さん、大変苦慮されております。販路や輸出先の拡大、あるいは加工技術の向上など、政府としてがっちりこれを支援すべきではないかというふうに思います。

 もう一点。東電が補償をするということになっておりますけれども、この補償も迅速かつ確実に行われるように政府から指導すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まずALPS処理水については、風評払拭という点について、科学的見地に基づいて引き続き丁寧に発信をしなければならないと思います。それに加えて、今委員御指摘のように、一千七億の政策パッケージを用意をして、国内での消費拡大、海外への販路拡大、そして国内の様々な設備の充実、こうした水産業を支援する対策をしっかり進めてまいります。

 そして、東電がもし必要になった場合には最終的にしっかりと補償するという体制で臨みますが、国としましても、こうした全体の枠組みをしっかり進めることによって、水産業を始め、関係者の不安払拭に全力で取り組んでいきたいと考えております。

逢坂委員 総理、是非よろしくお願いします。

 そこでなんですが、週末、地元を歩きました。総理、今回、減税を発表したわけでありますけれども、本来、減税は、国民の皆さん、おお、よかった、うれしい、そう言うはずなんですが、今回はどうも評判が余りよろしくない。

 これは、今回、物価高対策、それは困っている方に的を絞ってやるべきだ、選挙目当ての減税はやるべきではない、こういった声も地元で聞かれました。

 それから、増税眼鏡という言葉がありますけれども、そういう批判に対するために総理がもし減税なんかをやったとするのであれば、そんな批判なんか無視すればいい、こういう声もありました。

 それから、国民は、防衛の財源も少子化の財源も足りていない、そういうことが分かっている、なのに減税するというのは、やはり、逢坂さん、おかしいんじゃない、そういう声もありました。

 それから、これは少し専門的なんですが、給付と減税を組み合わせた、そのことによって、自治体の職員の給付作業が極めて複雑になり、長期間を要する、その可能性がある、こんなんじゃやっていられないよという自治体職員の声もありました。

 それから、政府の物価高対策は対症療法ばかりだ、原因療法をやっていないだろう。例えば、政府は円安を放置しているのではないか、円安、百五十円、これが更に上がるようなことになれば、事業が立ち行かない、こういう声もあるんですね。

 だから、本来多くの国民が喜ぶはずの減税が、殊のほか評判が悪い。

 そこで、改めて、総理、今仕掛かりになっている防衛と少子化予算について少し議論させてください。

 私どもは、今の時代に合う形での防衛力、これを整備するというのは非常に大事なことだと思っています。だから、防衛予算を点検して、その結果、これが必要である、そういうものを積み上げて今よりも防衛費が増えていく、そういうことは当然あり得ると思っています。しかし、そうはいうものの、五年で四十三兆円というのはいかにも多過ぎだ、これは中身がはっきりしていないので、四十三兆と言われても、これは過大だと指摘せざるを得ません。

 そこでなんですが、総理、少子化対策とか防衛のように継続して行うようなものの財源、これは恒久的なものであり、安定的なものである必要があるというふうに考えますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、防衛力強化は、国民の命や暮らしを守り続けるための対策であり、子供、子育ては、我が国が人口減少という不安の中にある、将来を開いていくために大切な政策であります。これは恒久的な対応が必要なものであります。

 そして、今の経済対策について、その経済対策の中で二つ柱を挙げている。その一つとして、国民への還元ということを申し上げているわけですが、こちらの方は、賃上げが物価高騰に追いつくまでの間、国民生活を支えなければならない、一時的な対応であると説明をさせていただいています。供給力の強化という中長期的な取組と併せて、こうした一時的な取組も組み合わせて経済対策を行う。

 恒久的か一時的かということについては、そのように整理をしております。

逢坂委員 総理、答弁はなるべく、聞かれたことを簡潔に答えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 防衛も少子化も恒久的で安定的な財源が必要だということは総理もお認めになるというふうに思います。

 今回のこの防衛財源、最終年で三・七兆円増えるわけですが、そのうちの約一兆、これは増税です。所得増税、法人増税、たばこ増税。これは恒久的、安定的財源と言えると思います。

 ただし、所得増税に関して言うと、東日本の復興特別所得税の制度をそのまま利用するもので、これは筋が悪い。私は、こういうことはやるべきではない。やるのなら、改めて、増税しますよということをやらなきゃいけないのに、これをやったのは私は筋が悪いと思っている。

 だけれども、いずれにしても、増税部分については、これは安定的な財源だということは私も認めます。

 ただ、今回のこの防衛財源の中には、国有資産の売却とか基金の活用ということが入っているんですね。これはまさに一時的なものであり、売り払うべき国有財産がなければ、それ以上財源は出ないわけですよ。

 これは、総理、安定的な恒久財源と言えるんですか、国有資産の売却や基金の活用。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 国有財産の売却、基金の活用、もちろん、これも政府として取り組まなければならない課題ですが、一方、我が国の予算の現状を考えますときに、様々な効率化の努力、行政改革等、行える余地はまだあると考えています。そういったことも併せた上で、四十三兆円の財源についてお示しをさせていただいています。こうしたものも併せて、恒久的にこの予算を維持できるように、四十三兆円という数をはじき出しております。

逢坂委員 総理はお答えになりませんでしたけれども、国有財産の売却は、国有財産に限りがありますので、恒久的安定財源とは言えない。これは常識ですよ。

 だから、こういうものを入れて自転車操業をしている。それは私も理解しますよ、いろいろ予算が足りないんだから。でも、これは恒久的、安定的財源ではないということを指摘をさせていただきます。

 それから、決算剰余金。これも、毎年これは変動します。決算剰余金を財源に使うなとは言いませんが、最初から決算剰余金を財源に見込むというのは、これは財政の王道からいって常識外れです。これは恒久的、安定的財源とは言えないと思いますよ。

 総理、いかがですか、決算剰余金。

鈴木(俊)国務大臣 決算剰余金につきましては、過去十年間の平均を取りまして、一・四兆円程度出ている。そのうち、国債の償還に充てる分、半分ということで、残りの〇・七兆円を、これは安定的に過去の平均からも見込めるものだ、そういうような理解の下で考えているところであります。

逢坂委員 過去十年間の平均一・四兆円を私も理解していますし、そのうちの半分の七千億を使うということも理解はしていますけれども、ここに自治体議員を経験された方も多いと思いますが、自治体予算で当初予算に決算剰余金を最初から盛り込んでいる予算なんて出している自治体、ありますか。多分ないですよ。そんなことをやるんだったら、前年の予算の編成が甘い、だからそれは駄目だ、そんな予算は認められないというのが多分自治体予算の常識なんですね。

 自治体で決算剰余金を使うときはどういう場面かというと、夏に交付税が決まる、十二月には、人事院勧告が決まって、また新たな支出が出る、そのときに、財源の調整をしながら、決算剰余金、去年のもあるからこれは財源として充当しよう、こういうやり方なんですよ。当初予算に最初から決算剰余金を見込むなんというのは財政の常識外れですよ。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 決算剰余金については、様々な変動要素があるという御指摘はそのとおりだと思います。だからこそ、今財務大臣から答弁させていただきましたように、この十年間の平均を取って、安定した数字として掲げさせていただいているということであります。

 先ほどの、様々な国の資産を売り払うということは一時的なものではないかという御指摘もありましたが、あれにつきましても、四分の三は行財政改革で安定的な資金を確保するということであります。あわせて、今の決算剰余金についても十年間の平均ということで、安定した数字を掲げさせていただいております。

逢坂委員 これはやはり相当、財源としてはあやふやですよ。財政の常識からすれば、安定的恒久財源でないものをそういうふうに言い募っているようにしか見えないんですね。

 それで、今回のこの中に、また歳出改革という項目が入っています。歳出改革というのは、何か具体的な事業、これこれこれを廃止します、だからこれを財源として充てますというならまだ財源としての見込みはあるんですね。でも、今回の歳出改革というのはそういう性質のものではないですね。歳出改革なるものが財源たり得るんですか、総理。これは財源になるんですか。具体的に、どの事業を廃止して、どうこれに充てるんだと決まっているんですか。決まっていないでしょう、今回は。

鈴木(俊)国務大臣 先生ももうこの仕組みは御存じと思いますが、従来、骨太の方針で、三か年で一千億の伸びしか認めない、社会保障費については高齢化の枠内に抑える、こういうことでありました。骨太の方針に決めたときから、今考えています、物価が上昇しておりますので、三年間で一千億ですから、三百三十億、それに物価上昇率を掛けますと、約一千五百億円になります。一千五百億円の枠内で今後抑えていく。

 さらに、私どもといたしましては、更に六百億円深掘りをいたしまして、二千百億円、この歳出改革の中で出していくということで、これはきちっとこれからもやっていきたい、そういうふうに思っているところであります。

逢坂委員 皆さん、今の財務大臣の説明は分かりましたか。何を言っているか全く分からないんですよ。

 というのは、本来伸びるであろう予算を伸びないように抑え込んだ、だからそれが財源だと言っているんですよ。こんなもの、財源じゃないじゃないですか。何か具体的に仕事をやめた、だからその財源を振り向けるというなら、これは財源ですよ。本来伸びるであろうはずの予算を伸びないように抑えたからそれが財源になる、こんなの詭弁ですよ。

 だから、私は、防衛費三・七兆円増やす、五年間で四十三兆、恒久的安定財源は増税だけ、所得税増税、たばこ税、法人税を増税する、これは恒久的安定財源、その他は全く安定的な財源ではない、一時的な財源、そう言わざるを得ない。こんな状況の中で総理が減税、減税と言うから、国民の皆さんは、そんなこと、大丈夫なのか、そう思うんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 歳出改革についても、令和五年度の予算編成で達成した二千百億円という数字、これを五年間引き伸ばしての数字ということで、実績を踏まえた数字を用意して、こうした財源についても考えています。

 そして、今、こうした状況で減税をするから国民から批判を受けるという御指摘がありました。もちろん、国民の様々な御指摘については謙虚に受け止めるべきだと思いますが、今、一時的に、政府として、賃上げが物価高に追いつくまでの間、国民生活を支えるために用意をする国民への還元という部分については、これは、経済政策としてデフレからの脱却を完成させるためにどうしても必要である、デフレから脱却するためには減税してでもこの取組を進めなければいけない、供給力を強化して賃上げ等を来年につなげなければならない、こういった趣旨で減税をお願いしているわけであります。

 防衛力の強化と、そして経済を来年につなげていく好循環を完成させる、これは共に重要な議論だと思っています。そして、デフレから完全に脱却することが、日本の財政にとっても、これはプラスに働くものであると考えています。

 こうした経済政策と防衛力の強化、これはそれぞれ重要な課題であり、そして防衛力の強化も、その中身について、経済、あるいは賃金、物価等に最大限配慮した上で実施の時期等も決めるなど、経済に最大限配慮した形で行うということでありますので、この両者は矛盾するものではないと考えています。

逢坂委員 総理の今の説明からは、減税で今のデフレからの脱却や経済の向上に資するという理由がよく分かりません。それは給付ではなぜ駄目なのか。給付なら素早くできますし、減税と給付を組み合わせるから、給付が複雑になって、自治体の現場も混乱するわけですよ。私は、完全に今回の減税は間違いだと思いますよ。

 それで、少子化の財源についても議論させてください。

 少子化の財源については、政府は今年の六月、こういう内容を発表しているわけです。一々細かいところは説明しませんが、今回の少子化対策についても歳出改革が盛り込まれています。

 私は、歳出改革、防衛にもあるし、少子化対策にもあるし、歳出改革というのは、これは振れば出てくる打ち出の小づちなんですか。こっちにも歳出改革がある、防衛にも歳出改革がある。これは、単なる覚悟としての枕言葉ですか。要するに、予算をちゃんと使いましょう、歳出改革に努めて適切に予算を使いましょうという枕言葉なんですか。この歳出改革によってどれぐらい財源が出てくるんですか。

岸田内閣総理大臣 これは、防衛力の議論の際に申し上げたように、防衛力強化における歳出改革、これは社会保障費以外の部分での歳出改革であります。子供、子育て政策、これは当然、社会保障に関わる部分がありますので、その部分の歳出改革ということであります。これは両方、枕言葉のように使っているとおっしゃいましたが、別々のものであるということを申し上げさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いいたします。

逢坂委員 それによって幾ら予算が出るんだというやじが飛んでいますけれども、少し具体性に乏しいというふうに思います。

 それからもう一つ。この中に、既定予算の最大限の活用ということが書いてあります。ということは、何かの事業をやめて異次元の少子化対策に振り替えるという意味ですか、これは。既定予算の活用というのはそういうふうに理解されるんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 これは振り替えるということではありません。全世代型社会保障の理念として、これは、あらゆる世代を通じてバランスよくこうした様々な支援を考えていくということでありますので、今現在取り組んでいる様々な支援、取組、これは引き続き維持していかなければならない、このように思っています。

 様々な取組、決して何かを削るというだけではなくして、こうした、例えば介護等における様々なIT、デジタル機器を使った効率化を始め、医療等において様々な効率化、削減、これは用意を当然していくことになると思います。こういったことを含めて様々な財源について考えていく、これが基本的な考え方であります。

逢坂委員 既定予算の最大限の活用と言っていながら、予算を削減するものではない。事業を振り替えないと既定予算の最大限の活用なんかできないんじゃないですか。私は詭弁だと思いますよ。

 それと、今回のこの中で、増税はしないということを宣言しました。それから、実質的に追加負担をしないということを宣言しました。追加負担しない、増税しないということは、国民の負担は一円たりとも増やさないという意味でしょうか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 この少子化対策の財源については、六月にこども未来戦略方針、これを確定いたしましたが、その際に、徹底した歳出改革等を行った上で、その効果を見ながら、国民に実質的な負担を生じさせないことを目指す、これも明記しております。

 この方針に従って、財源を年末に向けて考えてまいります。

逢坂委員 増税しない、国民の負担を、実質的に追加負担をしないと言っていて、それじゃ、一円も国民の負担を増やさないのかということには真正面から答えられないんですか。

 だって、増税しない、実質的に追加負担しないと言っているんですから、じゃ、国民の皆さん、ああ、だったら我々の負担、一円も増えないんだなと、普通はそう思いませんか。一円も増えないんですね。増えるんですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 社会保障改革については、これは未来に向けて様々な議論があり、そして、その負担についても見通しが示されています。そうした見通しの中で、実質的な追加負担は生じさせない、これを目指していくというのをこども未来戦略方針の中に示しているところです。

 これに従ってこの財源についても考えてまいります。

逢坂委員 非常に苦しい答弁で、増税しない、追加負担しないと言って、一円も増やさないということは言えないって、不思議な答弁だと思います。

 加えて、この中に、企業も含め全員が広く負担するということも書いてあるんですね。負担を増やさないと言っていながら、広く負担すると。これは完全に矛盾しているというふうに一般的には思われますよ。

 異次元の少子化対策、私は待ったなしだと思います。大至急やらなきゃいけないことだと思うんですが、この財源すらこんなあやふやな状態なんですよ。こんなあやふやな状態で減税だと言うことはやはりおかしいと、常識的な人なら私はそう思うと思いますよ。私は、極めて無責任だ、そのことを指摘して、この問題、終わりたいと思います。

小野寺委員長 内閣総理大臣から答弁がありますが、よろしいですか。

逢坂委員 いやいや、後で、それじゃ、あれば言ってください。もう同じような答弁を何度されても、財源があやふやだということだけは皆さん認識いただけるんじゃないですか。

 じゃ、次、総理、少子化、これは本当に深刻です。総理、少子化の要因は何というふうに考えているでしょうか。少子化の要因です。

岸田内閣総理大臣 少子化の要因については、これは要因を一つに絞るということはあり得ません。我々の社会に関わる様々な要因が絡み合って少子化ということにつながっていると考えます。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛に願います。

岸田内閣総理大臣 家族観、あるいは経済的な状況等、様々な要素がありますが、最も大きなものは、子供、子育て世帯、若者層の所得を将来的に安定させることができるか、これが大きな要素になると考えております。

逢坂委員 政府では、日本の少子化の要因の一つとして、未婚化、晩婚化ということを挙げています。日本では、婚姻したカップルに限って言えば、この五十年間、大体お二人お子さんをもうけるんですね。

 ところが、五十年前、日本では年間百万組が結婚されておられました。ところが、今は、これは約五十万組、半分ぐらいなんですね。婚姻率も、五十年前は一〇%、今は五%を切っています。だから、なかなか結婚しづらい社会になっているというところが私は少子化の一つの要因だというふうに、これは政府もいろいろな文書の中で言っているところです。

 じゃ、なぜ結婚しづらいのか、それがこのグラフです。要するに、働き方の形態によって婚姻率が違う。正職員の方が婚姻率が高くて、非正規、アルバイトとなるに従って婚姻率が下がっていくわけです。だから、総理の言うとおり、賃金を上げる、あるいは職を安定化させる、こういうことが実は少子化の解決には一つの手法だと私は思っています。

 ただ、賃金を上げる上げるというんですが、総理、これはなかなか簡単にできないんです。なぜか。三十年間、日本は賃金が上がってきませんでした。だから、社会、会社の仕組みも、賃金が上がらない中で何とか切り盛りをするという仕組みになっていますから、賃金を上げようと思ってもなかなか上げにくい状況であることは確かなんですね。

 特に、中小企業。大企業の労働分配率、これは大体五割程度です。もうけの中から人件費に回している割合は五割程度。これが、中小企業、零細企業になると、労働分配率は八割、相当高い割合になるわけです。こういう状況を考えると、総理、中小企業を含めて全ての事業所が賃金を上げるというのは簡単ではないと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、賃金を上げること、それは簡単なことではない、そのとおりであります。だからこそ、この賃上げ、そして投資など、官民協力をして盛り上げることによって経済の好循環を回復しなければ持続的に賃上げを維持していくことはできない、こういった考え方に基づいて様々な経済政策を進めてきました。結果として、賃上げ、そして投資等に盛り上がりが見えてきた、新しい兆しが見えてきた、これをどう維持するのか、これが問われています。

 そして、その際に、おっしゃるように、中小企業において賃上げを維持していかなければならない。その際に、中小企業独自の取組として、省力化対策ですとか、生産性の向上ですとか、それから価格転嫁を円滑に行うですとか、こういった点が特に中小企業においては重要なポイントになると思います。

 こういった点をしっかり支援していくことが、中小企業がこうした賃上げの大きな流れの中において後れを取らないように、共に経済の好循環の中に参加してもらうために重要な課題ではないかと考えます。

逢坂委員 総理も今の冒頭の答弁で、賃上げはなかなか簡単なことではないという答弁をされまして、それでいろいろな対策を講じて何とか賃上げに向けていこうという話をされたんだと思うんですが、賃上げはなかなか簡単でないことは、これは事実なんですね。しかし、今こういう状況があります。なかなか所得が伸びない、あるいは職が不安定だということがありますので、それを賃上げによらずやれる方法が私はあると思うんです。

 それが、私は教育の無償化だと思うんですよ。教育の無償化をすれば、子育て世代の皆さんの自由に使えるお金、可処分所得が増えます。だから、教育の無償化をすることによって、少子化対策にもプラスになるでしょうし、それから、子育て世代の皆さんって、増えたお金を消費に回しやすいんですね。限界消費性向が高いという言い方をしますけれども、だから、教育を無償化して、自由に使えるお金は、今度、経済に回っていく、経済に回っていけば、それは最終的に社会保険料の増にもつながるというところにもなっていくわけですよ。

 だから、とにかく教育の無償化をやることが、単に教育だけの問題ではなくて、社会全体の問題をひもとく、私は、スイッチ、入口だと思うんですね。だから、総理、教育の無償化、これにがっちり取り組みませんか。いかがですか。

小野寺委員長 文部科学大臣盛山正仁君。(逢坂委員「いやいや、総理、総理。もう時間がない」と呼ぶ)まず端的に答えていただいて、その後に総理にお願いいたします。

盛山国務大臣 子供たちの誰もが、家庭の経済事情にかかわらず、質の高い教育を受けられるチャンスが平等に与えられ、個性や能力を最大限伸ばせるようにすることが重要です。また、先生御指摘のとおり、少子化対策の観点からも、教育に係る経済的負担を軽減することが重要だと考えております。

 このため、当省では、これまで、幼児教育、保育の無償化、高等学校における授業料支援、高等教育の修学支援新制度など、安定財源を確保しつつ、学校段階全体を通じた教育の無償化、負担軽減に取り組んでまいりました。

 今後とも、教育に係る経済的な負担軽減の取組を通じ、教育の機会均等に努めてまいります。

 以上です。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君。(逢坂委員「委員長、よろしいです」と呼ぶ)よろしいですか。

 では、逢坂誠二君。

逢坂委員 総理も多分同じ答弁をされると思うので。

 それで、今やじが飛びました。給食の無償化をまずやろう、そういう話がありました。

 ただ、総理は、この給食の無償化について、今全国調査をしているんだという話をされていたかと記憶しております。全国調査した結果、給食の無償化、何かやりにくい、隘路が出た場合、給食の無償化はやらないんですか。それを乗り越えるための努力はするんですか。給食の無償化は本当にやるのかやらないのか、それはどうですか。

小野寺委員長 文部科学大臣盛山正仁君。(発言する者あり)今、担当、所管でありますので。

 端的にお願いいたします。

盛山国務大臣 簡潔にお答えいたします。

 現在、給食の無償化につきましても、必要な調査その他を行っているところでございまして、今年の、六年度に、そのような調査をスタートしたところでございまして、こういった調査、つまり、各自治体でどういうふうにやっているのか、現状、そういうことを含めた上で結論をまとめていきたい、そんなふうに考えております。

 以上です。

逢坂委員 総理、こういうことだから駄目なんですよ。

 例えば、こういう問題について、総理が、給食の無償化はやるんだ、全国調査をした結果、何か隘路があっても、それを乗り越える方策をみんな考えろ、そういう指示をするのがリーダーの役割なんですよ。総理にはその明確さがないんですよ。だから、御党の中からも、総理の発信力に問題があるみたいな質問が本会議場で出るわけですよ。

 リーダーは、明確に方針を指し示して、課題があるのならそれを乗り越えよう、こういうことを言わなきゃいけないんですが、その歯切れのよさが私には感じられない。

 さて、そこで、次に人手不足。時間がもうないので、人手不足に行きます。大臣が答えるからこういうことになるんですよ。

 じゃ、引き続き行きます。

 今、日本では、ありとあらゆる分野で人手不足です。これはもう本当に全ての分野、これは日銀の調査ですけれども、宿泊、対個人サービス、事業所サービスも、卸、小売も、何もかにも人手不足なんです。

 そこで、斉藤大臣、ライドシェアの話をちょっと聞かせてもらいたいんですが、例えば、過疎地でタクシー的なサービスがないとか、観光地でタクシーが足りていない、こういうところの対策をすることは、私は非常に大事なことだと思うんです。

 ただし、その前にしっかり確認しておかなきゃいけないことがあると思うんですね。

 仮にそこでサービスをするにしても、一つは、お客さんの安全を確保すること、それから、運転手さんの質、これをしっかり確保して、お酒を飲んで運転していないよなとかということがチェックできること、あるいは、車両がきちんと整備されているかどうか、あるいは、事故が起きたときにきちんと個人任せにしないで対応できるかどうか、こういうことをきちっとやった上で、確認した上で、過疎地だとか観光地のタクシー不足を解消しなきゃいけないと思うんですが、大臣、いかがですか。

斉藤国務大臣 逢坂委員おっしゃるとおりだと思います。

 自動車の安全、運転手の安全、事故が起きたときの責任、これを明確にして、現在、デジタル行財政改革会議で、その上で人手不足をどう解決していくかという議論を総理の指示の下でさせていただいております。

逢坂委員 人手不足の問題をもっとやりたかったんですが、時間が来ましたのでこれで最後にします。

 総理、あと二十二年たつと二〇四五年なんですね、二〇四五年。二〇四五年といえば、戦後百年です。戦後百年なんですね。この戦後百年を総理はどんな気持ちで迎えようとしているのか、どんな気持ちで戦後百年を迎える気持ちで今総理の任に就いているのか、その感想をちょっとお伺いしたいんです。

 私は、日本がやはり真の独立国、真の主権国家、そうなるべきだと常々ずっと思っています。もちろん、アメリカと日本の関係は大事ですよ。これは切っても切れない重要な関係であることは事実なんですけれども、今、仮に官邸の前の道路に米軍のヘリが墜落しても、日本の警察はそこへ行って現場検証や捜査ができないんですね。でも、これは、ほかにもたくさん、そういうことがいっぱいあるんです。

 私は、本当の意味での主権国家になるんだ、独立国としてしっかり自立をするんだ、そういう気概でこの国の政治をやっていきたいと思っているんですが、二〇四五年、戦後百年を総理はどんな気持ちで迎えるつもりで今総理の仕事をされておられますか。

岸田内閣総理大臣 二〇四五年をどういった気持ちで迎えるかということで、逢坂委員の方からは、今、国としての独立、気概をしっかり持った国というお話がありましたが、私自身の目指す国家像としては、今現在、日本の国においては、各地において様々な立場で老若男女が生活をされているわけですが、やはり、全ての人が生きがいを感じられる包摂的な社会を目指さなければならないと思っていますが、そのために、今、日本は国の内外で大きな変化に見舞われています、この変化に臆することなく、逆に変化を力に変えるようなしたたかさを持って将来の国づくりを考えていかなければならない。

 更に言うと、この変化を力に変えると同時に、明日は必ず今日よりよくなると希望を持てる国をつくっていかなければならない、このように思っています。

 そのために、この変化に対応すると同時に、防衛力だけではなくして、社会の変化、そして経済の変化、こうしたものについてもしっかりと向き合っていく、先送りできない課題に一つ一つ向き合っていく必要があると考えて政治に臨んでいるところであります。

逢坂委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、総理、また議論させてください。よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

小野寺委員長 この際、早稲田ゆきさんから関連質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。早稲田ゆきさん。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。

 本日は、総理にのみ質問通告をさせていただいておりますので、総理のみ、是非御答弁をよろしくお願いいたします。

 それで、先ほど来も御議論がありました防衛財源についてでありますけれども、抜本的に強化される防衛力は将来にわたって維持強化していかなければならず、安定的にするために毎年度四兆円規模のしっかりとした財源が必要で、その四分の一については、つまり一兆円については、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきものだと、総理は、この防衛増税、一兆円の防衛増税について何度も、この前の通常国会でも答弁をされております。

 その一方で、少子化対策、異次元の少子化対策と言われながら、なかなか財源論も見えてまいりません。これはずっと言われておりますけれども、この少子化加速化三年プラン、これももう一年がたとうとしています。そんな中で、財源論が見えないけれども、少子化の、児童手当を高校生まで拡充をするというようなことだけが言われておりますが、その中身、何からもっと始めていくのかということも、順番さえもよく分からない、そんなことがずっと続いております。

 その中でありますけれども、減税ということが、防衛増税の直後に、数か月後に、この減税、所得減税ということが出てまいりました。

 最新の世論調査です。所得減税など定額で四万円減税をすることを軸に検討、この政策をどう評価しますか、これについては、評価しないが五六、そして、評価するの三一の二倍近くとなっております。じゃ、評価しない理由は、政権の人気取りだと思うから、これが四一であります。

 これについて、総理、どのようにお考えですか。

岸田内閣総理大臣 国民の声、これは謙虚に受け止めなければならないと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、防衛力の強化あるいは子供、子育て政策、そして一方、今、経済対策を通じて所得税減税等を考える、これはそれぞれ別の目的の重要な課題であると認識をしています。

 今は経済対策、しっかりと進めなければいけない。三十年続いたデフレから脱却できるかどうか、正念場を迎えている。そこに当たって、国民への還元、しっかり考えていかなければならないということで、所得税減税等を御提案させていただいている、こういったことであります。

 共に重要な課題でありますが、少なくとも、防衛力の強化の議論も子供、子育ての議論も、経済との関係において最大限配慮をしながら進めていく、こういった考え方は明らかにさせていただいております。両者は矛盾するものではありませんし、これは共に進めなければいけない重要な課題であると思います。タイミング等もしっかり考えながら、両者を進めていきたいと考えています。

早稲田委員 評価しないという点について、国民の声について私は伺っているので、端的に、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 そして、この反対の方が多い減税、これは偽装減税だからじゃないですか。そして、この内閣の支持率も過去最低となりました。そして、支持をしないという方は五一・八。プラス三・八%。

 これは、減税をする、所得減税をするとまで言ったのになぜなんだというような、ぼやいていらっしゃるという総理のニュースもございます。そういうネットニュース、減税まで言ってやったのにというようなことが流れておりますが、これだけ減税をすると言いながら、評価がされない。これはやはり、国民の皆さんが、選挙目当て、一時的な減税、そして、その陰には、これからの国民負担増がどんどん増えるということが分かっている。

 こういうことを、だまさずに、国民の皆さんにしっかりと説明をすべきではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 経済対策については、これからも丁寧に説明を続けていかなければならないと思います。何で所得減税等を考えなければならないのか、これは、三十年続いたデフレから完全脱却を果たす、今、千載一遇のチャンスを得ている、このチャンスをしっかり物にしていくためにこうした減税等も考えていく、こうした考え方を説明させていただいています。

 三十年間、デフレの悪循環が続いた中にあって、官民で協力をして、この二年間、様々な努力をすることによって、賃上げ、三十年ぶりの盛り上がりを見せてきました。百兆円を超える民間投資が示されています。明るい兆しが見えてきました。

 これを来年につなげられるかどうか。賃上げ、これをより盛り上げて、実質賃金においてもプラスの状況をつくっていかなければならない。今、まさにその正念場を迎えているときに、物価高騰で国民が苦しんでいる。よって、賃金が物価高騰に追いつくまでは一時的に国民生活を支えなければならないということで、所得減税等、国民への還元、これを考えたということであります。

 経済政策を前に進める、長年の念願であるデフレからの脱却を考える、これが今回の経済対策であります。防衛力の強化、そして子供、子育て政策、これも大切な政策でありますが、これは税のプラスかマイナスかで論ずる話ではなくして、共に前に進めていく重要な課題であると考えています。

早稲田委員 そういうお話ではないと思います。逃げないでいただきたい。増税か減税か、国民の皆さんには分からないから、これだけ下がっているのではないんですか。偽装減税という言葉を使わせていただくしかないと私は思います。

 一枚目のパネルでありますけれども、この負担議論が先送りされているというのが、まさにそのとおりです。少子化対策についても、ここに書かれているとおり、高齢化による社会保険料の伸びを社会保障の歳出削減で抑制すると一つは言っていらっしゃる。そして、社会保険料の上乗せに新たな支援金制度を加えるとおっしゃっています。

 来年は、医療、介護、障害福祉サービスの報酬改定、トリプル改定の年でありますが、社会保障の歳出削減とは何をなさるおつもりですか。

岸田内閣総理大臣 サービス提供側の質の向上あるいは効率化、例えば、医療提供体制の効率化や介護分野におけるITの活用など、これは幅広い取組が考えられます。こうした様々な改革の努力を年末までに策定をし、お示しをした上で、二〇二八年度までの毎年度の予算編成過程において実施して積み上げていきたいと考えています。

早稲田委員 社会保険料は上がるんですか、下がるんですか。

小野寺委員長 それでは、まず加藤鮎子さんからお話をしていただきます、担当大臣ですから。手短にお願いいたします。続いて、総理、お願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず少子化対策の財源につきましては、六月のこども未来戦略方針におきまして、まずは徹底した歳出改革等を行い、その効果を活用しながら、国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指すという基本骨格を示しております。

 その際、構築する支援金制度は、企業を含め社会経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で広く負担をしていく新たな枠組みとされており、関係省庁と連携しつつ、具体的な制度設計を速やかに進めてまいります。

岸田内閣総理大臣 国民に実質的な負担を生じさせないことを目指す、このように申し上げておりますが、要は、所得を増やす中にあって、その負担の率は決して増えることがないよう、この制度を構築していきたいと考えています。

早稲田委員 総理だけに質問通告をしております。総理だけお答えください。大臣、立たないでいただきたいと思います。この予算委員会では総理としか質問ができませんので。

 今お答えになっていません、総理も。歳出削減は何かと私は伺って、社会保険料は上がるのか下がるのかという質問をしているわけです。

 その中で、この今のパネルですけれども、これを見れば分かるように、歳出削減で削減をするとおっしゃいますけれども、それでは、この子育て支援金を除いたら保険料を下げるということになります。保険料が下がるなら、それは給付カット、介護やそれから障害福祉、こうしたことの給付カットに直結をいたします。給付カットということは、もう賃金が上がらない、これだけ苦しんでいらっしゃる皆さんの賃金が上がらないということになって、これは本当に、今のパネルのことは絵に描いた餅なんです。

 国民にそこを正直に説明をしないから減税が評価されない、偽装減税なんです。私はそのことを、社会保障費をカットする、それから社会保険料はどんどん上がっていくということを、絶対にこれはしていただきたくないからこのことを申し上げています。

 二番です。介助の人手が足りないということです。これについては、介助、介護の人手が足りない、全国団体のきょうされんの方の、東京でやりました調査です。正規職員の充足率は五割にしか満たない。つまり、十人必要なところ、五人しかいらっしゃらないということです。

 これでは、私も、週末、障害福祉の秋祭りを歩かせていただきました。本当に、今、きめ細かいサービスをしようと思っても、どんどん報酬が削られている。もちろん報酬だけでは人件費を賄えないから自分たちで持ち出しをしているけれども、それでもどんどん辞めていってしまう、こういう深刻な声を大臣は聞いていらっしゃいますか。総理の眼鏡の向こうにあるのは経団連、経済界だけで、国民のこの物価高で苦しむ窮状、これを見られていない、私にはそれしか思えません。この介護の問題、しっかりとやっていただきたい。

 利用者の負担増、そして、どんどん国民負担は上がるけれども、減税だけをおっしゃっている、そういう偽装減税をやめていただきたいと私は思います。介護事業者、そして障害福祉の現場も大変きゅうきゅうとしておりますので、これを更に迫るようなことがないような報酬改定にしていただきたいということを強く要望させていただきます。

 そして、その上で、介護職員の六千円の賃上げということも出てまいりました。

 一億円の人にも四万円の減税、一億円の所得の方の家庭にも、四人家族で四、四、十六万円、これが減税されるに当たって、三年に一度のこの報酬の改定においては、介護、六千円ですか。おかしいじゃないですか、これ、どう考えても。

 総理はずっと再分配ということをおっしゃっていらしたのに、再分配が進むどころか、貧困が加速をしている、格差が拡大をしている。こういう矛盾をする、社会保障費カットをごまかすために、一回きりのこの四万円の減税でごまかしていただきたくない。これについて、偽装減税、増税隠し減税、選挙対策減税であると私は思います。だから、これが、先ほどの所得税減税でも、四万円減税することを軸に検討しても評価しないという方が圧倒的という数字になっていると言わざるを得ません。

 選挙前だけの一回きりの減税ではない、そこに総理の信頼が得られないのは、ずっとこれから続く、恒久的な、永遠に続いていく国民の負担増、それから、言うなれば増税、これを隠していらっしゃるからです。ずっと続くんですから。一回きりの四万円の減税は五兆円規模だけれども、もっともっと国民負担増が何十年も続けば、当然私たちの負担は重くなるよねと、国民の皆さんは誰もが分かっていらっしゃる。だから評価をされていないのではないですか。これを是非説明していただきたい。国民の皆さんは分からない、私も分からないからです。

 物が違うとおっしゃっても、一回きりの減税とずっと続く国民負担では、全然、負担が重くなるのは明らかです。説明してください。

岸田内閣総理大臣 まず、介護報酬については、今策定している経済対策の中でこの介護報酬についても考えていきたいと思いますが、御指摘の六千円という数字でありますが、この中身については何もまだ確定をしておりません。そして、併せて、年末の介護報酬改定の中でこの報酬についても考えていく、こうした取組を進めていきたいと思います。是非、介護職員の報酬についてしっかり考えていきたいと思います。

 そして、防衛あるいは子育て、こうした恒久的な負担が先に待っているのではないかという指摘がありましたが、これは、だからこそ、今、経済のデフレからの脱却、これを完全なものにしていかなければならないということで、今、経済対策、これを用意させていただいています。

 賃上げが重要であるということ、これは与野党を問わず、多くの議員が賛同されるところだと思います。この賃上げ、これを来年に向けて持続することができるか、さらには、投資等も含めて経済の好循環を持続することができるか、これが今問われている。だから、このときに、供給力の強化と併せて、国民生活に大きな影響を与えている物価高にもしっかりと対応しなければならない、国民への還元も併せて用意する、こういった経済対策を進めています。

 経済対策を進めて、賃金、所得が増えることをもって、防衛ですとか子育てですとか、我が国が国を維持する上において、国の安全を維持する上においてしっかりとした取組を進める際に、国民の皆さんにも一定の負担をお願いしていける、こうした体制をつくっていくことが重要であると考えています。

早稲田委員 実質賃金はずっと、十数か月下がっています。それでデフレ脱却と言われても、足下のこの物価高、これにどう対応するかということで、来年の六月に減税などという悠長なことをおっしゃっていてはとんでもないことです。今必要なことだからこそ、私たちは給付金という形で年末までにということを申し上げております。それについてもお答えがございませんでした。

 今までの三つをまとめますと……

小野寺委員長 今、総理から答弁が求められていますが。

早稲田委員 いえいえ、聞いておりませんので。聞いていません。ごめんなさい。

 防衛増税、これについてはしっかりと決まっています。一兆円です。これが来年度、再来年度に先送りしたとしても、これは決まっています。決定を、決断をされました。

 そしてまた、社会保険料に少子化対策の、少子化対策はもちろん、私たちはずっと言っております、重要なことです。だけれども、支援金を上乗せすることでも負担が増えないなどというまやかしを言っては困ります。国民の皆さんはきちんと見ている。そして、これが負担増の二。

 それから、最後、これは今時間がないので質問しませんけれども、扶養控除の廃止について。これも、代表質問では、扶養控除の廃止についても、その前提とした議論は検討していないというふうにおっしゃっていますが、それも非常に曖昧な議論であります。

 じゃ、総理に一つ伺います。この扶養控除の廃止、高校生まで児童手当を拡充すると引換えにこの扶養控除の廃止をしたら、結局は増税と同じことになります。これも絶対にしていただきたくない。子育て狙い撃ち、子育て世帯狙い撃ちの負担増を、増税を、こどもまんなか社会と言いながらなさるのは筋違いです。これはしないと約束していただけますか。

岸田内閣総理大臣 この点につきましては、高校生の扶養控除、中学生までの取扱いとのバランス等を踏まえて整理をするということを申し上げているわけですが、その際に、高校生の扶養控除の排除等を前提として議論している、こういった事実は全くありませんし、それから、金曜日のこの議論の中にもありましたが、結果として負担が増えるというようなことでは本末転倒だという御指摘がありました。それも踏まえて整理を進めていきたいと考えています。

 そして、先ほど来なかなかお答えさせていただけなかったので一言申し上げますが、先ほど御発言があったので、賃金について一言だけ申し上げますと、今年七月時点で公表した内閣府年央試算では、一定の想定の下、来年度中には名目賃金の伸びが消費者物価の伸びに追いつく、こういった試算があります。また、民間エコノミストの見方は、実質賃金がプラスに転じるのは二〇二四年度から二〇二五年度、こういった見方があります。この大事な時期だからこそ、是非、デフレ脱却のために、賃金が物価高騰に追いつくまでの間、一時的な支援をさせていただき、このデフレ脱却の流れを確実にしたいと申し上げているところであります。

 こういった点も踏まえて、今回の所得減税、国民への還元、考えていくべきであると考えています。

早稲田委員 社会保険料がどんどん上がっているということで、この二十年間、OECD諸国と比べると、韓国でも、二十年前を一〇〇とすると、これが一六〇に実質賃金が上がっています。日本だけが九〇台、九六に下がっているわけです。これを見ても、全然実質賃金が長期にわたって上がっていないということが分かるはずです。だから、私たちは、これ以上、社会保障をカットしたり、それと同時に社会保険料をどんどん上げていくということはやめていただきたい。

 そして、質問、次ですけれども、特に子供の貧困対策の柱である児童扶養手当の拡充について申し上げます。

 今日の朝日新聞神奈川版、浜銀総研の研究員の方が赤ちゃん物価指数というのを出されました。消費者物価指数が三・二に対して、赤ちゃん物価指数、つまり、おむつやミルクやそうしたもの、これは六・九であります。倍近い。倍以上です。そういうような大変な暮らしを、今、子育て世帯は真っ最中でやっている。その中で……(発言する者あり)そうですね、明石市もありますけれども、五つのゼロということをやっている。

 そういうこともある中で、なかなかこの少子化対策が、具体策が見えてこない、財源論も見えないのが、この国の今の状況であります。

 それを見ても、私は、高所得者にも減税するならば、そして五兆円もの減税の予算をつけるならば、とにかく、今困っている方たち、一人親、そして所得の低所得の方たちにこそ、貧困対策として児童手当の増額、これをしていただきたい、一万円、まずですね。

 そして、私たちは、十月二十三日に衆議院に児童扶養手当増額法案を出しております。そして、自民党、公明党の皆様も政府に要望していると聞いています。是非やっていただきたい。

 これは、子供の貧困対策、まだ〇・五兆円、年末までにやらなければならないものが残っていて、そのメニューが出てきておりません。一番貧困対策の柱になるではないですか。一時的な減税よりも、こういう恒久的な社会保障の安心、これを今こそ、この物価高だからこそやらなければならないんです。

 一つ申し上げます。相対的貧困率、日本は一五・四、これは前回より比べて〇・三ポイント下がりましたけれども、OECD、先進諸国で見ると、米国が一五・一、韓国が一五・三。つまり、日本だけが最悪の数字になっているんです。

 今、日本は、総理がおっしゃるように格差是正じゃなくて、貧困大国になろうとしている、なりそうな可能性、危険性があるんです。だからこそ、私は、この恒久的な児童扶養手当の一万円の増額を皆さん一緒に、与党の皆さんにも賛成をしていただいているわけですから、これを今国会で絶対にやっていく、十二月までに決めていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、議員立法の議論につきましては、国会での取扱いをお決めいただくことになると承知しておりますが、子供の貧困、貧困世帯に対する支援の重要性、これは言うまでもないと考えています。

 政府においても、児童扶養手当を始めとする経済的な支援と併せて、就労支援など、様々な支援を行っていかなければならない、このように思っておりますし、そして、だからこそ、今般の経済対策においても、重点支援地方交付金における低所得世帯支援枠、既にこれを使って今年の夏から三万円の給付を始めているわけですが、これに上乗せをすることによって、合計十万円の給付を早急に行うべきであるということで取組を進めてまいります。そして、今行っている支給に上乗せするのが最もスピード感として速いという観点からも、こういった取組を用意したわけであります。

 子供の貧困対策、貧困世帯に対する支援、政府としてもしっかりと用意をしたいと思います。

早稲田委員 私は、恒久的な児童扶養手当の増額ということを申し上げているわけです。

 確かに給付に上乗せということはありますけれども、今必要なのは、やはり、どんどん一人親の方たちが、半分以上、大変な苦しい生活をされているというデータが出ておりますから、今総理がおっしゃった、就労支援ということをおっしゃいました。就労支援とか、それから養育費の確保の支援とかおっしゃいますけれども、これは、メニューとしては自助の部類に入ります。それから、骨太の方針に入っている子供食堂それからフードバンク、これも共助の仕組みです。政府の責任として公助の取組をどうするかということがこの貧困対策に今一番求められているんです。

 だから、児童扶養手当の増額、これを是非お考えをいただきたい、この〇・五兆円に入れていただきたいということを、もう一度おっしゃってください、お示しください。考え、方向性、お願いします。

岸田内閣総理大臣 先ほども触れました児童扶養手当の拡充、これは重要であると考えており、こども大綱の策定に向けて具体化してまいります。

早稲田委員 具体化していただくということですので、偽装減税だけではなく、恒久的な、ずっと続く社会保障の安心を国民の皆様に享受していただけるような政策を前に進めていただくことを強く要望して、終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、藤岡隆雄君から関連質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。藤岡隆雄君。

藤岡委員 イチゴ王国の栃木県第四区から参りました、立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 まず、本日も、地元栃木県第四区の皆様に心から感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださいました先輩、また関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず初めに、総理、基金の問題について議論をさせていただきたいと思います。

 今テレビを御覧の皆様も、基金というと、何だろうというふうに多分、恐らく思われる方もいらっしゃると思います。あくまで、国民の皆様の税金の使い道というのは、事前に国会の議決を得る、そして、その年度内に消化をするというのが当然の大原則でございます。

 ただ、例外的に、単年度主義の弊害を是正する、駆け込みでばっとまた最後に執行しちゃうとか、いろいろな単年度主義の弊害を是正するために、複数年度で弾力的に支出をするということの基金ということで、国の方で予算を措置して、基金ということでお金をある社団法人や何かに一旦ためておいて、機構なりにためておいて、それでお金を執行していく、複数年というふうな、基金という枠組みがございます。

 一方で、この基金は、弾力的に支出できるメリットがある一方で、一度基金としてお金がためられてしまうと、その後、本当に使い道のチェックが、国会の監視が利かなくなる。あるいは、役所の方ではまた、執行がその裁量でできるようになってしまう。ある意味で、国会のチェックが利かなくなってしまうという大きな問題がございます。

 したがって、本来、基金の造成に当たっては抑制的でなければいけない。しかしながら、このところ、近年、余りにもたがが外れて、非常に多くの基金がつくられております。本当に、この数年だけでも、十・七兆、そして五・二兆、そして十・一兆。非常に、このところ、岸田政権になっても十六・九兆円の基金が造成され、しかも、それが補正予算で造成をされるというふうなことも起きてしまっております。

 こういう中で、基金の問題を一つ一つ今日は議論させていただきたいと思うんですけれども、まず、総理、経産省関係でも基金がたくさんございます、多くございます。

 今日、資料を配付させていただいております。令和三年度、四年度の中で、この基金事業の中において、令和三年度に支出がいわゆる人件費だけの、管理費だけになっている事業というのが約十七事業ということがございます。これを例えば休眠というのであれば、これは休眠基金ということも言えると思います。休眠基金、つまり、管理費、人件費だけが使われていて、また、もちろんいろいろなパターンがあります、その先の執行がなかなか思うようにいかなくてということもあって、管理費だけになっているということもあると思います。これは総理、やはり基金、管理費、人件費などの垂れ流しだけでは駄目なんじゃないんですか。

 それで、特に、例えば円高、エネルギー対策の基金というのもあるんですけれども、今、この時代に円高の基金があるということも何となく、大変な違和感も感じますけれども、このお配りしている資料の中で、令和三年度、四年度、事業費の執行がない中で、管理費だけが二億円以上流れているものもございます。

 これは総理、休眠基金、しっかり点検をして、そして、一回、例えば新規の受付を停止している基金などは一旦戻した上で、また毎年度、その管理費について、どうしても予算が必要だったら改めて計上していくというやり方をやはり取るべきだと思うんですね。基金のまま残しておいて管理費だけを垂れ流すという仕組み、新規の受付、事業も停止している、これをやはり基金として続けていくのは、チェックして正していかないといけないと思うんですが、総理の見解をお伺いいたします。

 総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 基金については、まず、適切な執行管理に努めて、不断の適正化に取り組んでいかなければならない、これは当然、御指摘のとおりであります。

 そして、単年度で見れば管理費のみの支出となっている基金が存在する、これは御指摘のとおりだと思います。その点、例えば、災害への備えとして保険的に設置された基金もあり、管理費のみの支出になっていることをもって直ちに問題があるということではないとは思いますが、事業者等への補助金交付が既に終了し、そして事業のモニタリングなどの管理業務も終了した基金など、これはもう速やかに廃止をし、基金残高の国庫返納、これが行われるべきであると考えます。

 そして、行政レビューの枠組みの下、各省庁が執行状況を継続的に把握をし適正化に取り組むということで、令和五年度も基金から三千百五億円の国庫返納、これが見込まれるところであり、今後とも、こうした適正な運営について、政府として不断の管理を続けていくことは重要であると考えています。

藤岡委員 そうしますと、総理、例えば新規の受付を停止していてモニタリングだけになっている事業、例えば円高、エネルギー制約対策のための基金等もありますけれども、こういうものは、もう実際、基金としては一旦終了し、毎年度の予算措置でやっていくということでよろしいですね。

西村国務大臣 今、御質問は、円高、エネルギー制約のための基金のお話でありますので、私からお答えさせていただきます。

 今総理からありましたとおり、事業自体はもう平成二十八年度に終了しております。ただ、その後も、事業者からの報告書の受取があったり、あるいは補助対象事業の財産処分の対応があったり、それから、不正受給がもしあった場合の対応などのために残していますが、今お話のありましたとおり、しっかり確認をしながらやっておりまして、この事業については令和六年度末には事業を終了する予定としておりますので、一つ一つ、基金について、その後の事業が本当に必要なものかどうか、そして、不必要なものがあれば、国庫返納などの対応をしているところでございます。

藤岡委員 大事なところは、もう既に複数年度で弾力的に支出するという必要性がなくなっているわけですよね。だって、そうじゃないですか、もう新規の受付を停止しているんですよ。それが八年間も実際たなざらしにされているということになってしまっているわけですよね、今のお話を聞いていますと。

 そういうことが、一度基金をつくったら後はもう知らぬ存ぜぬじゃいけないんです。これは、複数年度、弾力的に支出する目的が薄れたんだったら、もうそれは基金としては止めて、毎年度の予算計上を、ちゃんと国会のチェックを受けていただかなければ困るんです。総理、よろしいですね。

岸田内閣総理大臣 具体的な基金についてはそれぞれの所管大臣がしっかりとチェックをしなければならないと思いますが、おっしゃるように、事業者等への補助金交付が既に終了し、事業のモニタリングなどの管理業務も終了した基金などは、速やかに廃止をし、そして、基金残高の国庫返納は行われるべきものであると考えます。

 そういった考え方に基づいて、具体的な基金についてそれぞれの所管大臣が判断すべきものであると考えます。

藤岡委員 基金というのは、本当に、一度造成されたら、ためておいてその後使うというのは、国会のチェックが利かないわけですよね。

 モニタリング業務になってしまったら、それは基金として続ける必要はあるんですか。今、総理、モニタリングの、基金としてやっていく枠組みをおっしゃいましたけれども、モニタリングの段階になったら、これは毎年度の国会のチェックを受けていただくのは当然じゃないですか。

 総理、見直して、もう一回、答弁修正していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 政策課題によって、そして中身によって、モニタリングの意味は異なります。モニタリングといって、一概にモニタリングを否定するものではありません。

 しかし、モニタリングの内容等もしっかり判断した上で、これが意味があるものなのか、これを丁寧に判断し、そして、適正に国庫返納等を考える、これはあるべき姿だと思います。

藤岡委員 残念な答弁ですね。これだと歳出改革はおぼつきませんね、なかなか。やはり増税が待っているなということが、私は強く今の御答弁で感じられました。

 続きまして、この基金の話でございますが、先日、朝日新聞の報道でもございました。

 今日もちょっと資料を配付させていただいております。皆様にお配りしている中ですと十ページ目、右上のページ番号で十番目ですかね。

 事前に申し上げておきたいと思いますが、これは再委託の話ですが、ここに関係している社団法人や民間企業が悪いとか、そういうことを言っているわけでは全くございません。丁寧に申し上げたいと思いますが、あくまで基金の枠組みについての検証をさせていただいているということは、最初に申し上げておきたいと思います。

 この基金事業につきまして、近年、これも経産省所管の基金という関係になってきますけれども、一旦基金を造成する、これは資料には名前を入れておりますけれども、あえてこの場では名前は申し上げませんが、ある社団法人に基金が造成される。そして、それがまた再委託をされて、民間企業の方に補助金審査まで含めて委ねられてしまう。

 総理、私、これはいろいろな、今、自治体の事業もそうなんですけれども、基金も額ありきでたくさんの基金をつくっていらっしゃいますけれども、今はお金をつけるだけだとなかなか難しいと思うんです。その後の、執行するとか人の体制だとか、それをしっかり、運営体制をちゃんと考えてから基金をつくらないと、お金をつけてもなかなか回らないということがやはり起きてしまうと思うんですね。

 そういう中で、この基金がつくられてくる。いきなり、何か額ありきで、一兆が二兆になった、突然四兆円予算が増えたといって、役所の方も、突然それは来られても、なかなか執行する方も困って、いやいや、受けるところはなかなかないよねという話に多分なってしまうと思うんですね。だから、まず、お金だけつければいいという発想をちょっと改めてほしいと思うんですね。

 その中で、こうして経産省関係の基金が社団法人にされて、その後、さらに再委託をされてということで、もしこれは再委託をされていなかったら、例えば八億円ぐらい、これまででも、管理費を使わなくてもよかった可能性だってあるわけです。そういうふうな、やはり再委託をされているということ、そして、社団法人から民間に委ねられる。民間に委ねられるものは民間でという発想はもちろん理解します。しかし、補助金審査など公正性が求められるものにつきまして、例えば守秘義務や公務員に適用される収賄などの規定とか、こういう適用もないわけですね。だから、本当にその後、将来にわたって補助金審査が適切に行われていくかということの担保も足りないと思っています。

 これはちょっと、総理、再委託をされるこの基金の運用の在り方、しっかり点検して、これだけ多額になっているので、見直しをするべきじゃないですか。

西村国務大臣 経産省の事業がほとんどなものですから、私から答弁させていただきます。

 まず、基金の造成は会計上収益とみなされますので、いきなり民間事業に行きますと、これに税金がかかってしまいます。ですので、いわゆる社団法人的、非営利の法人に、まずそこに、基金の管理としてそこに渡す。ところが、実際にやるのは、御指摘のように、事務局が審査をしたり、あるいは、いろいろな問合せに対してコールセンターで受け付けたり、一定のノウハウも必要になってきますし、人的な資源も必要になってまいりますので、そういうノウハウのある事務局をまた公募をする。これもきちんと公募の中で選んでいるわけです。

 その上で、当初の、一般社団法人の最初の基金を造成するところから、事務局経費については一定の枠をはめております。通常数%ぐらいの、これまでのいろいろな事業のことから大体なっていると思いますが、事業によって若干違いますけれども。

 ですので、全体として事務局経費については枠をはめた上で、再委託するときにも一般競争入札に付しておりますし、更に言えば、この事務局経費についても精算払いをしておりますので、最初から幾らでも使っていいということではなく、枠をはめた上でさらに精算払いをしているということで、不用な額があれば国庫返納も実施をしている。

 こうした枠組みで、まずは事業をしっかり執行していきますが、税金でありますので、無駄遣いがないように徹底して執行していきたいというふうに考えております。

藤岡委員 はっきり言って、例えば税金などの問題があるんだったら、特別立法をちゃんと組んで、基金の運用の在り方をきちっと正していくのが筋なんじゃないんですか、税金がかかるとか。

 その上で、例えば、民間に委託をされた、では、収賄などの規定が適用されないとか、守秘義務の規定や情報公開とか、こういうルールはどうなるんですか。そういうところが未整備な中で進んでいるということも問題だと私は思いますよ。今具体的に生じていなくても、今後、将来にわたって基金の運営、管理となったらきちっと考えていかなくちゃいけない課題だと私は思います。

 その中で、やはり、この再委託の中で、間に入らなければかからなくていいお金だってあるわけだと思うんです。総理、トンネルとして、トンネル団体という形になって再委託される仕組みというのを、やはりこれは見直すべきだと思いませんか。

岸田内閣総理大臣 今の経産大臣の答弁、要は、基金設置法人と事務局の役割分担ということで説明があったと思います。

 そうした仕分をすることの意味があるという説明だったわけでありますが、いずれにしろ、そういった仕組みにつきましても、透明性を確保し、絶えずチェックをしていく。こういったことは、国民の税金を用いた事業であるからして、これは当然必要なことだと思います。

 こうした基金のありようについて、理由があるとするならば、それについての説明も含めて、国民に対する説明努力、これは続けていくことは重要であると考えます。

藤岡委員 結局、そのまま再委託のこの方式、トンネル是認というふうにしか思えないような答弁でございました。

 次に、この基金事業につきまして、昨日の日経の報道でもございましたが、終了見込みがないというものもたくさんございます。例えば、これもまた例示ですから、これは総理、お答えくださいね。

 経産省関係の事業でいっても二十二事業ぐらいですかね、あるというふうに思われますが、この終了見込みがないという基金の事業。こうなってくると、また管理費の垂れ流しとか、こういう話が起きてきます。

 改めて、やはり、せめて終了見込みはきちっと書いてもらう、基金シートにも。これは必要なんじゃないですか、総理。

西村国務大臣 確かに、おっしゃるように、期限の定めのないものはございます。例えばGI基金のように、一応十年としておりますけれども、研究開発の動向によってどうなるかまだ分からないものがあったり、人材育成、リスキリングの基金も、今始まったばかりで、どのぐらい増えてくるか、どういうリスキリングに対して関心を持って動くか、この辺りのことを見極めながら、現時点では定めはないですけれども、これは見極めた上で設定をしていくという方針でありますので、流れを見ながら考えていきたいというふうに思います。

藤岡委員 リスキリングも、賃上げが起こりやすい経済になる上でやっていらっしゃるということもあると思いますが、終了見込みがないということは、永遠にやるということは、全く短期間でやろうという危機感がないということですかね。

 総理、これは終了見込みをきちっと、基金事業、しっかり書くように対応してください。

岸田内閣総理大臣 基金については、行政事業レビューの枠組みの下、執行状況、これを継続的に把握していかなければならないと思っています。

 今後とも、行政改革推進会議の下、基金については厳しく点検をし、使用見込みのない資金は速やかに国庫への返納を求める、十分な効果を上げていない基金についてはその在り方を見直す。委員御指摘の終了見込みも含めて、基金については、その在り方、見直しを継続してまいりたいと考えます。

藤岡委員 またはっきりとした御答弁が得られませんでした。

 今、基金からの支出と見通しということで、令和三年度も、また令和四年度も、当初の支出見通しと実績の乖離というのが非常に多く出ております。

 実際、基金が一度つくられますと、先ほども終了見込みを原則はやはり書いてほしいと申し上げましたのも、何にもコストがかからないというふうに受け止められているような誤解もあるのではないかと思うんです。基金というのは、一度つくられますと、当然、金利の負担もかかるわけでございます。

 今日、資料をお配りしておりますけれども、例えば基金に予算を措置した後、右上の八番目の資料でございますが、公債依存度、そして普通国債の利率の加重平均等を用いたとしても、基金を措置したら、金利の負担は、例えば、あくまで一つの試算ですから、全てこれが厳密ということは申し上げませんが、三百六十億円ぐらい令和四年度でも金利の負担がかかるということもあります。だからこそ、延々とまた基金をやっていったら、金利の負担もかかりますし、支出見通しと実績がずれれば、遅れれば遅れるほど金利の負担もかかってくるということにもなってくると思います。

 そして、あくまで原則は、きちっとある程度の支出見通しを持って、これだけ実績の乖離が相次ぐというのも、ちょっとこれは事前の査定がしっかり機能していないのかなというふうにも私は感じます。

 総理、あくまで、これだけ支出の見通しと実績が乖離をされている。例えば今後、令和六年度の支出見通しまで含めて、諮問会議の有識者の委員からも、もっと先、一年後までも支出見通しも書くべきだというふうな話も、ちゃんと意見としても出ていると思います。

 こうして、やはりもうちょっとしっかり、支出見通しと実績、乖離が出ないように、この運営、執行管理、さらには査定のところ、しっかりやるべきじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 管理の過程において透明性を確保する、そして、予見可能性についてもより確定したものをしっかり示していく、こういった姿勢は、当然、国民の税金に関わる基金でありますので、これは重要なことだと思います。是非、そうした努力はより進めていかなければならないと認識をいたします。

藤岡委員 ほとんど具体的な御答弁がなく、やはり歳出改革はおぼつかない、防衛増税はまたどかんと来るということしか思えないなということを感じました。

 今、歳出改革が、余り、ほとんど見込みが少ないんだなということを感じましたので、ちょっと防衛増税のことで一つ確認させてください。

 今、総理、税収増等の還元等、いろいろな話を総理はされておりますが、二十七日の予算委員会で、総理は税制措置と言いますけれども、いわゆる増税措置につきまして、令和六年度はなかなか難しいだろうということをおっしゃいました。

 これは、総理、イメージ図、防衛財源の議論をしているときにイメージ図がよく議論がありましたけれども、これを見ていただきますと、決算剰余金、そして歳出改革、さらには税外収入ということがありますが、税制措置の部分、ちょうどこの赤いところなんですね、赤いところ。

 赤いところにつきまして、これは一体幾らぐらいのイメージになっているかというと、約三・五兆円ぐらい赤いところがあるわけなんですね。総理は、一兆円強を恒久的な財源で確保するということで、一兆円強を令和九年度まで段階的に、閣議決定の枠組みの下で講じていくということをおっしゃっています。

 これは、そうしたら、歳出改革もなかなかおぼつかない、その中で、令和六年度が、実際そこは難しい。ということは、もはや段階的にというのは難しいということですね。三兆円ぐらいを三年間で確保するという枠組みになっていますから、三から三・五兆円。もう段階的には難しくて、どかんと増税が来るということで、総理、そういうことなんですね。

岸田内閣総理大臣 どかんと増税が来るかということですが、これは再三申し上げているように、令和九年度まで複数年度をかけて段階的に実施する、この方針は閣議決定しておりますので、そのとおり行ってまいります。

 そして、歳出改革、行財政改革、十分できないという御指摘でありますが、これは全体を見ながら、防衛力強化に向けての税制措置との兼ね合いにおいて、歳出改革、行財政改革、しっかり進めてまいります。

藤岡委員 この表を見ますと、三年間で三から三・五兆円なんですよね、税制措置の部分。これは総理、本当に、今のお答えじゃ不十分だと思いますよ。どうするんですか。

岸田内閣総理大臣 税制措置については今申し上げたとおりであります。歳出改革、行財政改革と併せて、財源確保に努めてまいります。

藤岡委員 なかなか非常に厳しいことになっているなということを感じました。国民は、本当に、減税を総理がされた後、どかんと増税が来る可能性があるということを考えておかなくちゃいけないのかなということを感じました。

 続きまして、時間も迫ってまいりましたので、加藤大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 加藤大臣の資金管理団体である地域政策研究会の事務所費についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 これは、あえてパネル上はAさん、Bさんということでお名前を出させてはいただいていないんですけれども、加藤大臣の資金管理団体から、実のお父様、敬意を表し、哀悼の誠を表させていただきますが、加藤紘一先生、そしてお母様に対して、合計一千四百四十万円の家賃が支払われていたということでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 収支報告書に記載のとおりでございまして、事実でございます。

藤岡委員 寺田元大臣や秋葉大臣のときもございましたが、お母様はこの家賃収入について確定申告をされているんでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 地域政策研究会の事務所につきましては、実母による固定資産税の支払いや家賃収入に係る確定申告など、税務処理は適切に行われていると承知をしております。

藤岡委員 では、その申告をされた証明をする書類を予算委員会に提出をお願いしたいと思うんですが、よろしいでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 一私人の税務資料を公開することは差し控えたいと考えております。

藤岡委員 額その他のところは黒塗りで結構でございますので、寺田元大臣も何らか証明する書類の方は提出をされていたと思います。これは黒塗りで結構でございますので、証明する書類の御提出をお願いしたいと思うんですが、よろしいですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 別人格である実母の個人情報である資料を提供することは、慎重に考える必要があると考えております。

 繰り返しになりますが、税務等の処理等は適正に行われていると承知しております。

藤岡委員 申告したことのやはり証明ということがないと、政治資金でお支払いをしていて、それがどういうふうに適切にされているか。近い御親族の方でございますので、極端なことを言えば、それは裏金になっている可能性すら否定できないということだってあると思います。あくまで可能性です。

 そういう可能性をしっかりこれは断ち切っていただくためにも、予算委員会の方に提出をお願いしたいと思うんですが、よろしいですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 繰り返しになりますが、別人格である実母の個人情報でありますので、資料を提供することは慎重に考える必要があると考えております。国会の御判断に従って対応させていただきたいと考えます。

藤岡委員 委員長、理事会での御協議をお願いしたい、提出をお願いしたいと思います。

小野寺委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

藤岡委員 では、次に武見大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 先日、後藤先輩議員からの質疑の中で、タクシーの借り上げという話がございました。

 全て事務所のスタッフということでございますが、例えば同じ日に、五月十九日、八月四日にそれぞれ三台、四台出たりもされていることもあると思うんですが、事務所のスタッフだったということを確認する意味も含めて、何時にどこを出発し、何時にどこで帰着したのかということを教えていただけないでしょうか。

武見国務大臣 御指摘の件ですけれども、収支報告書における日付はタクシー費用について振り込みにより支払いを行った日付であって、乗車した日は異なります。

 乗車したのはいずれも事務所のスタッフです。一日借り上げて、朝、議員事務所を出発をし、都内の支援者十数か所を訪問し、夕方、最終訪問地の最寄りの駅まで乗車したものでございます。

 なお、令和三年五月十九日の支払い分は三日分、四月二十八日、三十日、五月の六日、それから、八月四日支払い分は四日分、七月十五日、十六日、二十日、二十一日でございます。

藤岡委員 引き続き、この政治資金の話については説明責任を果たしていただくということをお願いいたしまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、岡本あき子さんから関連質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 仙台の宮城第一区で、委員長と同じ宮城県でございます。最初に東日本大震災からの復興について伺いますので、是非、小野寺委員長、被災地に寄り添った形で、進行、お取り計らいいただければと思います。

 先週、東京電力の福島第一原発で残念な事故が起きました。済みません、ちょっと質問の順番を変えております。ALPS処理で、配管洗浄の五人の作業員のうち、全身に廃液を浴びるなど、二人が汚染レベルの基準を超え入院、ほかに二人、身体汚染があったと東京電力から公表がありました。現在は退院して経過観察中と伺っておりますが、改めて体と心の回復を願うばかりでございます。

 あってはならないことが起きたと思っています。改めて、現場で処理の仕事に頑張ってくださっている方々、この方々の現場でなぜこんなことが起きたのか、この原因について、まず求めたいと思います。

西村国務大臣 御指摘の事案の件ですけれども、十月二十五日に福島第一原発のALPS建屋で、浄化、ALPSの処理をする前の、いわゆる汚染水ですね、これを移管する配管の清掃、洗浄作業中に、その洗っておった洗浄水が、いわゆるホースが暴れたような状況になって浴びたということで報告を受けております。

 そして、いわゆるタイベックというスーツは着ていたんですけれども、これはしみ込むものですから、本当はかっぱのようなものを着ていなきゃいけなかったのが着ていなかったということで、何か法令に違反しているわけではないんですが、洗浄作業の計画の中ではかっぱを着るということになっておったのが着ていなかったということで報告を受けております。

 このため、しみ込んだことによって被曝をしたということで、その後、二人の方は、第一原発から出る基準を超えていたものですから、移送されて入院をしましたけれども、現時点で、そして、浴びた四人の方、全体で四人の方がおられますが、いずれも健康状態に何か今の時点で特段の異常はないという報告を受けております。

 ただ、こうしたことが起きましたので、再発防止に向けて、経産省から東京電力に対しては、作業員の安全も含めて廃炉作業における安全確保に万全を期すように指導したところであります。

 IAEAのチェックも随時受けておりまして、ちょうどレビューのために調査団が来ておりましたので、IAEAにも報告をし、そして、今後も、しっかりとレビュー、いわゆるチェックを受けながら、安全確保に万全を期していきたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 ちょっと通告をしていないんですが、復興大臣にもお聞きをしたいと思います。

 土屋復興大臣、この情報を知ったのはいつでしょうか。もし分かりましたらお答えください。

土屋国務大臣 その件につきましては、報道で知った次第でございます。

岡本(あ)委員 私もずっと復興特別委員会に所属しておりますが、復興庁の役割というのが、ちょっと、非常に年が重なるにつれて曖昧になってきていると思うんです。

 ALPS処理水の、安全に処理する、これは復興の大きなテーマなんです。これを復興庁が直接経産省から聞くこともなく、東電から聞くこともなく、報道で知るというこの仕組み自体非常に問題だと思うんですが、総理、これはどうお考えになりますか。

岸田内閣総理大臣 私自身は秘書官からこの事案、報告を受けましたが、おっしゃるように、関係省庁の連携、意思疎通、これは重要なことです。御指摘の点がないかどうか、いま一度よく点検をさせたいと思います。

岡本(あ)委員 是非お願いしたいと思います。

 是非、復興大臣、十月七日に福島第一原発、視察をされていらっしゃいますよね。まさにそれの二週間後というか、半月後にこの事故が起きております。視察をされた際には、安全の確実性を、説明を受けて御納得されていらっしゃるんですよね、記者会見を拝見しますと。この半月後に起きているのは非常に遺憾だということは、本当は復興庁挙げて、復興大臣がまず発信をしていただきたいと思うんです。

 これは経産省の問題とか、あるいは、昨日、G7で、貿易大臣会合で、中国の輸入規制を受けての、是非これを撤廃するようにという強い意思もせっかく出しているのに、この復興に関わる作業の安全性がちょっとでも揺らいだら、やはり復興に大きな影響を与える。この点は、やはりほかの省庁からしても、復興庁がひとつ全体を見渡す仕事をするべきだと思うんです。

 改めて、安全性を確認された二週間後に起きてしまったこの事実に対して、是非、復興大臣から一言いただければと思います。

土屋国務大臣 お答えいたします。

 視察に行ってALPS処理の状況をしっかり見極めまして、大変きめ細かく安全対策を行っているということを確認した次第でございますけれども、その二週間後、私はその報道を見まして大変ショックを受けました。

 そして、私ども復興庁は司令塔でございますので、復興庁の中でしっかりとこういう情報はいろいろな省庁と連携をしながら行くべきだということで反省をしたところでございまして、これからしっかりと司令塔としての機能を果たしていきたいと思っております。

岡本(あ)委員 復興庁が司令塔だということを改めて共有をさせていただければと思います。

 やはり、ちょっと残念ながら、復興大臣、大臣に就任される前までは被災地に足を運ばれる機会は余りなかったようにお聞きをしておりますので、是非頻繁に被災地に足を運んでいただきたいと思いますし、やはり、説明を受けたから安全だとか確実だということではなく、リアルタイムの情報をしっかり共有をしていただきたいと思います。

 重ねてになりますが、やはり、この事故の問題がまず省庁の中で共有をされることなく報道から入る。しかも、今回、報道に載ったのは、マスコミに公表されたのは、事故が起きてから多分九時間後ぐらいなんですね。救急車が敷地から外に出て初めてマスコミ等にお知らせすると、二十七日の東電の記者会見で東電がおっしゃっておりました。この在り方も非常に問題だと言わざるを得ません。

 汚染レベルの基準値を超えた事故が起きている。しかも、二〇一三年にも同じように、防護服というのは放射性粉じんの防護はするけれども防水ではないという基本的なところから、やはり防水対策を講じていなかった方が放射能を浴びて搬送されるという事故が起きていて、再発防止じゃなくて、もう二回起きているということは、改めて、総理も、復興大臣も、そして関係省庁も、復興庁が司令塔なんだという位置づけを改めて確認していただければと思います。

 さて、処理水の海洋放出が始まってから、輸入規制、中国、香港、マカオ、そして今回ロシア。昨日は、G7で、貿易大臣会合で明確な共同声明が出されたこと、これは大変評価をしたいと思います。

 ただ一方で、タイやマレーシアも、処理水放出を決めた後、要は、検査をするよという体制に変わっております。処理水排出前の対応で十分できるんだという発信は是非していただきたいと思います。この点をお答えください。

西村国務大臣 対外的にも、様々なツールを使いながら、丁寧に安全性については説明をしてきておりますし、これこそ関係省庁、特に農水省、宮下大臣とも連携しながら、海外のそうした対応についても、丁寧に説明し、安全性が確保されているということを今後もしっかりと説明してまいりたい。

 そして、まさに今回も、必要以上の規制は撤廃を求めるということでG7でも合意がなされておりますので、そうした姿勢で関係各国の協力も得ながら対応を進めていきたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 よろしくお願いいたします。

 次に、私は立憲民主党の子ども・若者応援本部の事務局長を務めております。子供、若者政策について伺います。

 私自身は、ずっとチルドレンファースト、子供、若者政策をライフワークにして、子供、若者が明日に希望が持てる社会をつくるために政治に取り組ませていただいております。

 二〇二二年生まれは七十七万七百四十七人、合計特殊出生率は一・二六で、七年連続で最低を記録しております。これは、カップルになり、あるいは結婚して子供を持つこと自体を拒否しているような社会になってきたのではないかという危機感を私は持っています。子育て罰という言葉があるように、日本で安心して結婚、子育てできると思えない意思が表れているんじゃないかと思います。

 パネル、それから資料を御覧ください。

 重要な一つが、実質賃金と婚姻率、これを資料でグラフ化させていただきました。実質賃金が下がると婚姻率が見事に下がっていく、相関関係が明確に表れているんです。実質賃金はどうなっているかといいますと、もう一つのパネルでいきますと、ずっと実質賃金指数は下がっております。なので、これがやはり喫緊の課題だと私は考えています。

 総理、次元の異なる少子化対策とおっしゃっていました、今年の一月の施政方針です。最近この言葉が消えております。あるいは、令和版所得倍増ということも総裁選含めてありましたが、これが消えております。

 総理自身、子供、子育て政策は待ったなし、先送りが許されないとおっしゃっていた。しかも、二〇三〇年までがラストチャンス、だからこそ特に三か年が重要なんだとおっしゃっていたと思います。

 この三か年の一番が、実は児童手当給付、若者の所得を増やすプランなんですね。児童手当を増やすよと言っているんですけれども、前倒ししても来年の暮れだと。加速化三か年と言っている割に、やはり遅いんじゃないでしょうか。

 私たち立憲民主党は、緊急前倒しプランとして既に提言をしています。児童手当の拡充、それから給食費の無償化、奨学金の返済、今まで各委員が予算委員会でずっと指摘をしております。また、非正規の賃金格差、それから障害、介護、こういうエッセンシャルワークの処遇改善、これもずっと私たち一貫して予算委員会で求めております。

 年内からでもやるべきことをやるべきだと思いますが、何で児童手当、前倒して来年の暮れなんでしょうか。遅過ぎませんか。

岸田内閣総理大臣 若年人口が、急増する二〇三〇年代までが少子化傾向を反転させるラストチャンスであると申し上げてきました。

 スピード感について御指摘がありましたが、児童手当の抜本的拡充については、来年十月から実施し、再来年二月の支払い開始を念頭に検討を進めていたところでしたが、児童手当の支払い月を隔月の年六回とする法改正を併せて行い、拡充後の初回支給を来年十二月に前倒しする、こうしたことを今般の総合経済対策に盛り込むことといたしました。

 それが遅いという御指摘があったわけですが、今般行うこととした定額減税は、高校生や児童手当制度の現行の所得制限外の子供も含めて行われることになります。これは、実質的に児童手当の抜本的拡充を更に前倒しする効果も持つものであると考えています。

 それと併せて、子供政策については、こども誰でも通園制度に向けた試行的事業の前倒し、また、子供の貧困対策、虐待防止に向けた対応、こうしたものの前倒しなど、可能な限り取組を前倒しで行っていきたいと考えております。

岡本(あ)委員 総理の加速化プランの一番最初に載っているのが児童手当なんです。再来年やるよと言っているのを来年の暮れには振り込めるようにする。これは、三か年の加速化プラン、一月に異次元の、次元の異なる少子化対策とおっしゃってから、三か年考えると、もう十か月過ぎちゃっているんです。そこからまた更に一年。これは三か年の加速と言えますか。

 私たちは優先順位はそこじゃないと言っている所得税の減税、これは来年の六月にやれるようなお話をされていますよね。なぜ児童手当は一年もかけなきゃいけないんですか。私は、少なくとも年内、あるいは来年の四月にはやっていただきたいと思います。是非お答えください。

小野寺委員長 国務大臣加藤鮎子さん。(岡本(あ)委員「総理、お答えください」と呼ぶ)所管大臣ですから、まずお答えさせます。まず所管大臣に、短く。

加藤国務大臣 今般の児童手当の抜本的拡充に向けましては、来年の通常国会に改正法案を提出できるよう、現在、地方自治体の御意見を伺いながら実務の詳細を整理しているところであること、また、自治体ごとの支給システムを改修する必要があり、開発から導入までに、自治体にもよりますが、一般的には九か月程度要すると見込まれていることから、拡充分の支給を更に早期にすることは困難であると考えております。

岡本(あ)委員 先ほど逢坂委員は、減税のシステム、自治体も大混乱、こんな中でやるのかという質問をされました。今回、自治体が大変だからやれないという答弁です。総理、おかしくないですか。

 もう一つ。給付と組み合わせて複雑なシステムにしているからこそ、かえってシステムが難しくなるんだと思うんです。立憲民主党は、一万五千円、全員にという、ごくごくシンプルな中身です。こちらの方が早くやれると思いませんか。この早さというところにこだわることこそ、先ほどの実質賃金と婚姻率じゃないですけれども、今危機的な状況になっている、ここに決断、実行が必要なんじゃないでしょうか。総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 児童手当については、今、加藤大臣から答弁がありましたように、法改正、そしてシステムの改修等の手続からして、できるだけ前倒しにしようとしておりますが、御指摘のスタート時期になるということであります。

 だからこそ、先ほど申し上げたように、今回の定額減税、高校生や児童手当制度の現行の所得制限外の子供も含めて行われるということから、実質的に児童手当の抜本的拡充を更に前倒しする効果もある、こういったことから、こうした所得減税の取組も進めていきたい、このように思っています。

 そして、スピード感ということをおっしゃいましたが、スピード感ということにおいては、最も厳しい状況に置かれている低所得者層の方々に対して、今年の夏から既に重点支援地方交付金の低所得世帯枠を利用して給付を始めております。その今行っている給付に上乗せするというのが最もスピード感のある対応であるという判断に基づいて、給付を用意しているところであります。

 それと併せて、先ほど申し上げました、児童手当に対する実質的な前倒し効果もある定額減税、実行していきたいと考えております。

岡本(あ)委員 今年の一月には、もう異次元の少子化対策をとおっしゃっていました。児童手当も、もう六月のときには未来戦略方針で出ております。なぜ今から一年もかかるのか、そこが私には全く分かりません。減税の仕組みは半年でできるとおっしゃるんですよね、システム。私は、この減税に関しても、増税隠しじゃないかと言わざるを得ないところがあります。そのためにもうすぐにでもとおっしゃるんですが、子供に関してはすぐにできないというこのお答えには納得できません。

 次に、マイナンバーカードについて伺います。

 マイナンバーカード、総点検をされるとおっしゃっていますが、実は千七百超えの自治体のうち四、五百しか調べていないんじゃないかという報道がありますが、これは総点検なんでしょうか。デジタル大臣、お答えください。

河野国務大臣 マイナンバーをひもづけをしている全ての機関について実態を調査しております。

 マイナンバーをひもづける際にマイナンバーと確認書類を提出をしていただいている、あるいは、マイナンバーが提出されなかったときに、住所、氏名、生年月日、性別、四情報を確実に当てている、こういうところは、ひもづけ誤りが起こる余地がございませんから、対象から外しております。その結果、三百三十二の自治体と一つの労基署がデータの確認対象ということになりました。

 また同時に、各省庁の省令を変更していただいて、今後、マイナンバーをひもづける際にはマイナンバーを確実に提出をしていただく、何らかの理由でマイナンバーの提出がなかった場合には、氏名、住所、生年月日、性別、四情報を確実に当てる、それができない場合には本人を確認するまでひもづけをしないというルールにいたしましたので、今後ひもづけの誤りが起きる可能性というのは劇的に減少することになります。

岡本(あ)委員 これはやはり総点検とは言わないと思います。しかも、保険の窓口負担、自己負担率、九月末で五千六百九十五件、この負担率が間違っていたということも新たに出てきております。今回で終わりではなくて、しっかりと最後まで点検をしていくんだ、この姿勢を示すべきだと思います。

 もう一つ。これは総務ですね、マイナポイントですが、結局、九月末で申請は終わりましたけれども、七千五百五十六万人申請で、保険証、公金口座の受取は伸び悩み、総人口でいくと半分ぐらいにとどまっております。結局、一・八兆円用意したんですが、相当余るんじゃないでしょうか。この金額をお示しください、総務大臣。

鈴木(淳)国務大臣 マイナポイントの申込みを行わなかった人数を、申込みの手続上、直接集計することはできませんけれども、概算で推計しますと、およそ千五百万人程度と考えられます。

 また、不用額は今後の補助事業者の実績報告と精算を経て確定しますけれども、申込期限までの各施策のポイント申込人数に基づき、一定の仮定の下で試算しますと、不用額はおよそ五千億円と見込まれます。

 なお、この予算は、マイナポイント事業を実施することを目的として令和三年度補正予算を令和五年度に繰り越しておりますので、制度上、目的以外の事業のためには執行できないことになっております。

 以上です。

岡本(あ)委員 総務省の予算ですので目的外使用はできないというのは分かりますけれども、これは二年繰り越しているんです。二年、一・八兆円の大方をずっと寝かせておいて、結果、五千億円余す。本来だったら、私、これは子供、若者予算にしっかり使えるお金だったんじゃないかと思わざるを得ません。こういう点も、お金でカードの申請を釣るようなやり方には賛同できません。

 本来であれば、マイナ保険証のメリットというのをもっと患者さんが享受できる仕組みになるべきだと思いますが、今現在、マイナ保険証を使っているのが五%弱で、クリニックで、マイナ保険証の下、使っているクリニックというのが逆にまだまだ少ないんじゃないかと思いますが、これの件数、分かったらお示しください。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生の御質問は、クリニックでどのくらい使っているかということだと思います。

 この四月にオンライン資格確認を保険医療機関に義務化いたしまして、九月の末までに頑張ってやっていただくということで、たしかもう九〇%台後半まで運用を開始しているというふうに承知してございます。

岡本(あ)委員 ちょっとレクでヒアリングをしたときは、運用は開始しているけれども実際に使って診療しているのは三%程度だと私は聞いている。もし間違っていたら後ほど訂正をさせていただきます。

 結局、医療がそういう、よりよい医療を提供できない状態で、保険証だけ使えというのは無理があるということを強く指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、井坂信彦君から関連質疑の申出があります。石川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。井坂信彦君。

井坂委員 兵庫県神戸から参りました井坂信彦です。

 立憲民主党のラストバッターとして、本日は全て総理のみと質疑をさせていただきます。

 今日議論したいテーマは、マイナ保険証、それからAIとクリエーター、介護、福祉、保育の給料アップ、そして認知症についてであります。

 まず最初の議題は、マイナンバーカードと健康保険証を合体させたマイナ保険証についてです。

 私は今、党のデジタル政策チームの事務局長をしております。政府のデジタル化や医療のデジタル化は必要と考えており、明確に推進の立場です。また、私は、過去二回落選、浪人したときに、ネット上で複数のサービスを立ち上げ、そのシステムやインターフェースも自分で設計をしてきました。そんなデジタル大推進の私から見ても、マイナ保険証は相当心配な状況であります。

 まず、パネルの一番を御覧ください。

 この青い棒グラフは、オンライン資格確認の回数です。患者さんがどの医療保険に加入をしているか、最新の情報をオンラインで確認する仕組みが今年四月から原則義務化をされています。オンライン資格確認は順調に増えており、九月には一億六千万回も行われています。一方、オレンジの棒グラフ、下の方に僅かにありますが、そのうちマイナ保険証を使った回数で、九月は僅か七百三十六万回。結果、赤い折れ線グラフ、マイナ保険証の利用率は、九月は、一億六千万分の七百三十六万で、僅か四・五四%にとどまっています。

 私が驚いたのは、この利用率のとてつもない低さだけではありません。今年四月にオンライン資格確認が義務化されてから、マイナ保険証の利用率は、増えて当然なのに、五か月連続で減り続けているわけであります。

 まず、これは総理に伺いますが、オンライン資格確認におけるマイナ保険証の利用率が四月の六・三%から九月には四・五四%まで五か月連続で減っている、この赤い折れ線グラフを見て、まず、総理、どう思うか、何でこうなったのか、お伺いします。

岸田内閣総理大臣 マイナ保険証の利用率の減少について御指摘がありましたが、まずは、これは、ひもづけ誤り等に対する、国民の皆様が不安を感じておられる、これが一つあると思います。その上で、マイナ保険証について、薬剤情報等のデータを活用したよりよい医療を受けることができる、こうしたメリットについて十分浸透していない、これがあるんだと思います。

 だからこそ、今、ひもづけの総点検、国民の皆様の不安払拭のための措置、これを着実に進めていかなければならないと強く感じております。あわせて、メリットについても積極的に発信していく、これに今は努めなければならない、このように感じております。

井坂委員 総理のおっしゃるとおり、マイナ保険証の利用率がここまで低迷する理由の一つは、国民の不安だと思います。そんな中、政府は、来年の秋に今の紙の保険証を廃止をしようとしている。

 先週の本会議で、健康保険証の廃止を延期すべきと求めた立憲民主党の泉健太代表に対して、総理はこう答えています。健康保険証の廃止は、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提だ、ひもづけの総点検とその後の修正作業も見て、更なる期間が必要と判断したら必要な対応を行う、このように総理はおっしゃっています。

 保険証廃止の延期に含みを持たせた重要な答弁であり、正しい御判断だと思います。政府が不安払拭の措置を完了したつもりでも、国民の側に不安が残っていれば利用率は上がりません。

 総理に重ねて伺いますが、仮に、総点検が終わっても、マイナ保険証の利用率が五%や一〇%で低迷をしている状況で、総理は国民の不安が払拭されたと胸を張って言えますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 医療保険の加入者データの登録については、新規のひもづけ誤りを防止するための措置を講じた上で、全保険者による自主点検をほぼ完了し、さらに、入念な取組として、登録済みのデータ全体について、住民基本台帳の情報との照合、これを行うなどの対応を今行っているところです。

 加えて、システムの不具合という指摘もあります。この点についても一つ一つ解決し、マイナ保険証の信頼回復に向けた取組、これを進めております。

 この取組をしっかり進めていくことによって、国民の皆さんの不安払拭、これを果たしたいと思っています。

 そして、その上で、今委員の方から御指摘がありましたように、総点検について、そしてその後の修正作業の状況、これも見極めた上で、更なる期間が必要とされる場合には必要な対応を行う、このように申し上げている次第であります。

井坂委員 マイナンバーカードを既に八割の人が持っていて、マイナ保険証も既に六割の人が持っているわけです。そういう意味では、無理に紙の保険証を廃止しなくても、既に結構皆さんが持っておられるにもかかわらず、今四・五%の人しか使わないというのは、これはよほど不安や問題がある証拠だというふうに私は思います。

 政府は、今総理は不安払拭で追加の措置とおっしゃいましたけれども、それはやることはやっていただきたいんですが、やったからといって不安が払拭されたわけではないんです。

 例えれば、マイナ保険証利用率、五%でも一〇%でもいいというのは、これは、百点満点のテストで五点、十点しか取れていないのに、もう宿題を全部やったからこれ以上勉強しなくていいんだと言っているようなもので、やはり結果が大事なんですよ。みんな持っているのに四、五%しか使っていないというのは、これは国民が不安だと言っていることにほかならない。

 こういう当たり前の認識、答弁、総理、できませんか。

岸田内閣総理大臣 国民の皆さんの不安払拭が大事だと思うからこそ、今、総点検、そして修正作業、これを進めているわけです。十一月末をめどにこの作業を進めて国民の皆さんの不安払拭につなげたいと、今、関係機関とも協力しながら、全力で取り組んでいるところです。是非、この結果をしっかり確認した上で必要な対応を考えていく。今は、まずは総点検と修正作業、この二つに全力を挙げるべき段階であると考えています。

井坂委員 総理、結果を確認してとおっしゃいましたけれども、それはやることは全力でやっていただきたいんですよ。全力でやり切った上に、なお十一月末になっても利用率が五パー、一〇パーだったら、これは、やることをやったつもりだけれども、国民の皆さんはまだ不安を払拭できていないなと、そこの数字も確認してくださいよ。

岸田内閣総理大臣 ですから、不安払拭のために、今、十一月末をめどに総点検、修正作業、これに全力を挙げているところであります。今の段階で、作業をしている段階で、もうその結果を踏まえて対応を申し上げるということはおかしなことだと思います。まずは総点検、そして修正作業、これに全力を挙げたいと思っています。

井坂委員 では、その不安払拭をできたかできなかったかというのは、総理、何で最後は判断されるんですか。

岸田内閣総理大臣 もちろん、総点検、そして修正作業の進み具合、これらを総合的に判断するということであります。

井坂委員 やることをやったら払拭できるだろうというのはこれは一方的な考えで、やはり、国民の皆さんが、政府がやることをやったと言ったって、まだまだ問題がある、不安があると言っている間は利用率はいつまでたっても上がらないと思いますよ。

 私は、利用率が五%以下に低迷しているのは国民の不安以外にも理由があると思います。

 パネルの二番目を御覧ください。

 一言でまとめると、マイナ保険証は思ったほど便利ではないということです。

 マイナンバーカードと保険証が合わさって一枚で済むかと思いきや、資格情報のお知らせという別な紙も、厳密な義務ではないけれども、携帯しなきゃいけない。保険証を発行するコストが減るんだけれども、代わりに別の書類を発行するコストがかかってしまうとか、あるいは、会社が替わってずっと同じマイナ保険証を使えるのかと思ったら、五年に一度役所に行って電子証明書を更新しなきゃいけないとか、あるいは、最大のメリットである最新の医療情報が反映されないとか、あるいは、現在五九%の患者さんが紙の保険証を使っているのに、来年秋にそれが廃止されると、全員ではないけれども、大量の患者さんがぶっつけ本番でマイナ保険証を利用して病院の窓口が大混乱に陥るとか、いろいろと不便さがあるわけであります。

 便利でないだけでなく、カードリーダーや顔認証が読み取れなかったり、画面の操作が分かりにくかったり、画面表示にミスがあったり、不便なことが多くて、トラブルのたびに病院の窓口に行列ができてしまうので、今、患者さんが病院の窓口でマイナ保険証を出しても、病院側が、紙の保険証も出してくださいと、こういうケースが多発しているわけであります。

 NHKや共同通信の世論調査でも、高齢者の八割、若者でも六割が保険証廃止の延期や撤回を求めています。お医者さんや介護施設の六割が保険証廃止に反対し、市区町村長も四割以上が延期すべきと答えて、予定どおりの廃止を求めた市区町村長は三割未満であります。

 マイナ保険証のメリットが伝わっていないのではなくて、患者も病院も使ってみたけれども不便だったので使わないようになっているんじゃないでしょうか。だから利用率は、義務化された四月以降、五か月連続で下がっているのではないでしょうか。この状況で来年の秋までにマイナ保険証の利用率が大幅に上がるとは考えられません。

 総理に、これは総理しか御決断できないので伺いますが、来年秋にマイナ保険証の利用率が仮に五〇%を超えるようなめども立たないのであれば、紙の保険証はさすがに廃止を延期すべきではないですか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のこの資料、マイナ保険証の理想と現実という紙を見ておりましても、改めて国民の皆さんにマイナ保険証のメリットを丁寧に説明しなければならない、こういったことを感じております。

 この表でいきますと、資格情報のお知らせも携帯とありますが、これは携帯しなくてもよいということだと思いますし、それから、要するにコストがかかるということでありますが、全体としてコスト減となる、これは厚生労働省の試算としてお示ししていると思っておりますし、そして三番目の、五年に一度役所に行って云々ですが、これは延長について今検討しているところでありますし、それから四番目の、最大一か月半は情報が反映されない、これは、電子処方箋自体が普及されますと改善される、これは当然のことだと思っております。それから、最後の部分についても、これはプッシュ型で資格確認書を交付いたします。

 こういった辺りを丁寧に説明する必要があると思います。信頼回復と併せて、こうした利便性、これをしっかり示していくことが重要であると思います。

 いずれにせよ、現時点で、今こういった取組を進めている時点で健康保険証の廃止時期の見直しありきではないということを申し上げております。

井坂委員 私は、別に、紙の保険証を永久に残してと言っているわけでは全くないんですよ。

 この夏、私は、党のデジタル政策チームで、デンマークとかスウェーデンとか韓国とか、デジタル化に成功した先進国の担当者の方に次々来ていただいて、どういう進め方をしたらうまくいくのかと、シリーズで勉強会を開きました。どの国の担当者も、日本が一年後にアナログ手段、紙の保険証を廃止すると言ったら、目を真ん丸にしてびっくりしていますよ。

 デンマークは今、デジタル化ランキング世界一ですけれども、そんな国でも、高齢者や障害者のために、今でも各種のアナログ手段は残しています。考えてみれば、電車の改札だって、今ICカードでピッピ、ピッピ、みんな通っていますけれども、でも、いまだに紙の切符も同時並行で使えるようにしているわけであります。

 総理に伺いますが、もちろん、今、延期ありきなんて答弁は求めません。ただ、どれだけ利用率が低くても来年秋に紙の保険証を廃止するなどと意地にならずに、マイナ保険証の利用率も見ながら、更なる期間が必要と判断したら必要な対応を行うというぐらい含みを持たせた答弁をした方がよいのではないですか。

岸田内閣総理大臣 まさに委員がおっしゃったようなことを答弁として私は申し上げております。総点検をやります、国民の信頼回復に努めます、あわせて、そのメリット、これをしっかり説明してまいります、今はそういう段階ですので、そこに専念しますということを申し上げております。

 その上で、十一月末をめどにこういった作業を進めておりますので、その結果をしっかり見た上で、この期間の延長など、様々な対応について適切に判断をいたしますと申し上げております。

井坂委員 その結果を見ながらとおっしゃった中に、私は当然利用率も見るべきだと。誰も使っていないのに来年廃止なんかできないですよ、こんなもの。そこもちゃんと見るべきだと言っているんですよ。そこだけお願いします。

岸田内閣総理大臣 総点検及びメリットの説明、そして修正作業、こうしたものをしっかり見た上で適切に判断いたします。

井坂委員 総理、そんなに意地になることじゃないと思いますよ、本当に。当たり前のことじゃないですか。利用率が五%とか一〇%だったら、これはさすがに延期ですよ、普通。当たり前の判断だと思いますよ。

 マイナ保険証には、情報システムの専門家からも今やり直しが提案されています。情報システム学会という、これは昨日今日できたマイナ保険証反対の団体ではなくて、もう十年以上前から情報システムや社会のデジタル化について前向きな提言をしている、企業や学者から成る専門家集団です。

 配付資料の三番を御覧いただきたいんですけれども、そもそも、先進七か国、G7で健康保険証と国民番号カードを一体化させている国はありません。この情報システム学会がどういうことを言っているかというと、マイナの制度設計には根本的な問題がある、身元確認とか当人確認、それから真正性確認の三種類の確認機能を分離した形で再設計した方がいいんじゃないか、現在のマイナンバーカードは廃棄すべきとまでまとめに書かれてしまっていて、さらには、カードにこだわらずほかの手段もやるべきだ、こういう至極真っ当な提言であります。

 これも総理にしか決断できないので伺いますが、こういうシステムな、技術的な見直しも含めて、利用率が来月大幅に上がらない限り、これはさすがに紙の保険証の廃止を延期するか、最終判断をすべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の資料については、行政のデジタル化など基本的な方向については賛同いただいているものであると理解をいたします。

 その手法等についてですが、先ほど、その前の御指摘で、各国ともアナログの手段は残しているということでありますが、政府としても、資格確認書、これはしっかりとプッシュ型で国民の皆さんに送らせていただく、こういったことも用意をしております。

 日本として、今現状において、できるだけ丁寧に作業を進めていきたい、こういったことは考えていきたいと思います。

 いずれにせよ、この総点検、そして再発防止、修正、こういったことについて作業を進めていく、十一月末に向けて全力で取り組んでいきたいと思っています。

井坂委員 根本的にお考え違いがあったらあれなので申し上げますが、アナログ手段を廃止することがデジタル化ではないですよ。皆が安心して便利に使えるデジタル手段を提供することがデジタル化であります。

 そういう意味では、オンライン資格確認はもう既に義務化されて、八割以上の医療機関で実施されていて、あとは、窓口で提示するのがマイナ保険証なのか紙の保険証なのか、これは実はほとんど今大差がない状況です。だから、そういう意味では、目的としたデジタル化は進んでいて、今から無理に保険証を廃止する理由は実はもう余りないんですよ。

 まして、このまま一年後に紙の保険証を廃止して、国民みんなにマイナ保険証を持たせても、政府は二年後にまた新しいマイナンバーカードを導入する予定なんでしょう。また、そもそも先進国はカードなんか使っていなくて、みんなスマホですよ。こういう状況で、何で無理やり、来年、紙の保険証を廃止して、無理やり、今の古いマイナンバーカード、マイナ保険証をみんなに持たせるのか。

 私、本当に、最初申し上げましたけれども、デジタル化は大推進です、私は。今のようなむちゃくちゃなやり方をやっていたら、これは日本のデジタル化、医療のデジタル化がまたあと三年、五年遅れるから、そこを本当に心配していますよ。反対のための反対ではなくて、デジタル化推進のために、保険証の来年無理やりの廃止はやめてくれ、これだけのことですから、是非これはお考えをいただきたいと思います。

 もう一つ、デジタルについて伺いたいんですが、コンテンツ産業やクリエーターの育成に関するAIルールを伺います。

 総理は、今年五月の広島サミットで、広島AIプロセスというものを立ち上げました。AIに関する先進国の共通指針を策定しようとしている。私もAI推進の立場で、実際、スマホにチャットGPTとかも常に持っています。

 ただ、新しい技術には、よい面と同時に課題もあるものです。その一つが、文化やコンテンツ産業、あるいは、それを作る画家や芸術家などのクリエーターに悪影響があるのではないかということであります。

 最近は、生成AIという絵を描くAIが普及していますが、もちろん、AIに本当に知能や絵のセンスがあるわけではありません。世界中の絵をAIが無断で大量に読み込んで、そこから組み合わせて絵を出力しているわけであります。画家が人生を懸けて生み出した作品や作風が、AIにコピーされて大量に世の中に出回ってしまっている。

 この問題に対して、アメリカでは大量の訴訟が起こされ、ヨーロッパはAIを規制するルールを作っています。そして日本は、いまだAI学習天国と呼ばれており、AIがこうした画像を無断で取り込むことにまともな規制がありません。

 総理に伺いますが、これはデジタルと経済と文化にまたがる国家戦略の問題です。AIの推進も大切ですが、ずっと日本がやってきたコンテンツ産業、クリエーターの育成にもプラスになるAIの国内ルールが必要ではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 昨今のAIをめぐる最新の技術は、生産性の向上ですとか人手不足への対応などのメリットがある一方で、まさに御指摘のように、著作権侵害の問題、さらには偽情報の拡散など、リスクがあるということ、これが世界的に今指摘をされているところです。

 そして、国際的には、委員の方から御指摘がありましたように、G7広島サミットにおいて、G7広島AIプロセス、こうしたものを取りまとめ、リスクに対処しつつ、そして利益を享受できる、信頼できるAI、こうしたものを実現しなければいけない、こういった方向性を示し、今、年末に向けて議論が続いている、こうしたところです。

 そして一方、国内のコンテンツ産業という御指摘がありました。これについては、日本の制度に関するクリエーターの懸念の払拭、また、AIの利活用に係る侵害リスクを最小化する、こうした対応策について検討をしているところです。

 国際的には今申し上げた議論を進めながら、国内においては、政府におけるAI戦略会議などの有識者の意見、こうしたものも踏まえながら、AIの開発者、提供者、利用者、各主体が取り組むべき課題について整理を進めていきたいと考えております。

井坂委員 是非、国民のための、国民が豊かになるデジタル化、またAIの活用をお願いをしたいと思います。

 最後に、介護、福祉、保育の賃金アップについて伺います。

 物価が大きく上がっています。物価には追いつかないが、民間企業の給料も上がっています。唯一、人手不足なのに給料が上がらないのが、介護、福祉、保育など、国が実質的に給料を決めているエッセンシャルワーカーであります。

 私は、十年前に山井議員や大西議員と一緒に介護、福祉の給料アップ法案を出して、そして、与党の皆様にもお認めいただいて、国会を通しました。その後、三回にわたって介護、福祉の給料は上がりましたが、現状はどうか。

 パネルの四を御覧をいただきたいと思います。

 介護の給料、直近もう少し上がっているようでありますが、一方で全産業平均の給料も直近また上がっていますので、結局、全産業平均と介護の給料の差は、いまだ約七万円の開きがあります。そして、求人倍率は大幅に悪化をし、また、国が決めた職員数、二百三十三万人にすべきところ、いまだ二百十五万人と全く計画どおり増えておらず、介護サービスが提供し切れないのか、介護離職ゼロといった国家目標も、ゼロどころか、当時より増えてしまっている状況であります。

 こんな中で、総理は、介護、福祉の給料アップを六千円と決めたわけではないと答弁をしています。これは当たり前の話で、六千円なんかだったら、この春の民間給与の、この春だけの伸びにぎりぎり追いつくだけで、民間給与との差は全く縮まりません。しかも、民間は毎年給料が上がりますが、介護、福祉、保育、三年に一度しか給料を上げられないんですから、三年間で民間との差は、六千円ぐらいだったら更に開いてしまいます。

 総理に伺いますが、介護、福祉、保育の賃金について、月六千円の処遇改善などでは全産業平均との差が更に広がるという紛れもない事実を認識しておられるか、最後に伺います。

岸田内閣総理大臣 岸田政権においても、公的価格の見直しということで、累次の処遇改善、介護、福祉においても行ってきているところですが、御指摘のように、今回の経済対策への対応、六千円等の具体的な対応、何も決まっているものではない、これは現実を見ながらしっかり考えていくべき課題であると思っております。

 加えて、年末の同時改定に向けて、必要な処遇改善の水準を考えていかなければならない。そして、数字だけではなくして、こうした現場の方々の処遇改善に構造的につながる、数字がしっかりと届く、こうした仕組みも考えていかなければならないと考えています。

 是非、年末の同時改定に向けても、こうした検討を続けていきたいと思っています。

井坂委員 総理のまともな御決断を期待して、終わります。ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて石川さん、長妻君、西村さん、後藤君、おおつきさん、米山君、逢坂君、早稲田さん、藤岡君、岡本さん、井坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間譲司です。

 日本維新の会は、今臨時国会で、経済対策として、高校授業料の無償化を恒久化も見据えて提案させていただいております。そして、私自身、衆議員になる前は、十年間、大阪府議会議員として、大阪で私学、私立高校の授業料無償化、これを進めてまいりました。

 その上で、今回、何点か、高校の授業料無償化に絞ってお聞きさせていただきたいと思います。

 パネルを見ていただきたいんですけれども、これは、今年四月の統一地方選挙の大阪府、大阪市、我が党の公約であります。

 この公約のとおり、特にこの公約の五番と六番のところ、大阪府では所得制限なしの授業料無償化、これを実行予定であります。大阪府の地方政府において、収入の範囲で予算を組む財政規律を維持させながら、増税と借金なしに改革で財源を生み出して、これを実行していく。来年度から所得制限なしの無償化、実行していく予定であります。

 これを実行するに当たって、様々な問題点も指摘、言われております。例えば、大阪から他の都道府県の私立高校に通う子供はどうするの、他の都道府県から大阪の私立高校に通う子供はどうするの、そういった問題点も指摘されているところでありますが、そもそも、本来、この無償化は国全体で進めることが必要だと思っております。

 国の修学支援制度について、所得制限を撤廃し、国の責任において教育の無償化を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 委員の御指摘のように、国民に広く無償化というか、誰にとっても教育を受けられるようにする、しかもそれを、都道府県ですとか市町村ですとか、そういう地域の差別なくやっていく方向である、そういう点については私も同じように考えております。

 その上で、国における高校生等の修学支援につきましては、まず、平成二十六年度に、所得制限を設けることで、それまではなかった、それを設けることで捻出した財源を有効活用することによりまして、私立高校等へ通う生徒への就学支援金の加算の拡充、そして授業料以外の教育費の支援である高校生等奨学給付金の創設等の見直しを行いました。

 そして、令和二年度には、私立高校等に通う年収約五百九十万円未満の世帯への支援額を更に拡充したところでございます。

 これらにより、低所得者世帯等への支援を拡充することで、より教育の機会均等に資する制度になっているものと考えておりますが、高校生等の修学支援は、基盤となる国の制度と、各地域における私立学校に通う生徒の数、割合、学費等の様々な実情を踏まえた地方自治体による支援が相まって行われることが重要と考えております。

 ということで、大阪府さんだけではなく、そのほかの都道府県、あるいは関係者ともよく御相談をしながら、教育費負担の軽減に取り組んでいきたいと考えております。

漆間委員 これからも取り組んでいく、拡大していくことになっていくのかなと思いますけれども、この無償化を全国で進めることについて、本当にこれが重要だということ、これからたくさん私も実情を踏まえてお話しさせていただきたいと思います。

 私の地元で甲子園の常連の私立高校があるんですけれども、そこは、実は通いの高校であります。甲子園常連の高校といえば、大体、全国から野球エリートを集めて全寮制でやっているところが多いと思うんですけれども、その私立高校は、通い、地元から通える子供たちだけで何と甲子園に出場して、そういった全寮制の学校と戦い合っている、そういう高校があるんですけれども、あるとき、その私立高校の野球部の監督さんと私、お話をする機会がございました。

 どうして通いの学校なのに全寮制と対等に戦うことができるんですかと聞いたところ、監督さんは、何と、それは大阪の私立高校授業料無償化のおかげですわとおっしゃっていただきました。ちょっと笑われましたが。もちろんこれは、私に気を遣って言っていただいた分も多くあるとは思いますけれども、この無償化をすることによって、総理も、そして大臣も日頃からおっしゃられている機会の均等、これが図られて、そして能力ややる気、才能のある子供がそれをしっかりと大阪では生かすことができているという点を少しアピールさせていただきました。

 次に、この所得制限の考え方についてなんですけれども、最近ちょっと報道で目にしたんですけれども、岸田総理は、今経済対策の減税の所得制限について、子育て世代の分断を招くようなことはあってはならないという発言をされたということであります。

 まさに、私も、これまで大阪では、私立高校の授業料無償化、所得制限がある中で、様々な声をいただいておりました。住民の方から、うちは実は年収一千万円あります、でも子供三人育てていると本当に厳しいんです、所得制限、大阪府では多子世帯も含めて九百十万円まであるんですが、これ外してもらえないですかという声、たくさんたくさんいただいております。世帯収入が高い方が多く住まわれる地域で私学無償化の街頭演説などをしますと、漆間、何言ってんねん、俺払ってるでと多くの怒りに満ちた声を浴びたりとか、そういったこともあるところなんですけれども。

 そういった声も踏まえて、大阪では、今回、所得制限なしの無償化を行っているところなんですけれども、これはどこまでが高所得者なんだというところが結構難しいと思っております。

 所得を、対象をどんどんどんどん拡大していくと、結局、例えば、一千五百万円以上の年収の方は日本国でも僅か三%程度しかいない。その三%ぐらいの人のために、わざわざそのラインを引くことによる事務コストだとかそういったコストも結構かかってくるということで、大阪では、今回、所得制限なしの無償化を進めているところであります。

 改めて、ここで、国の修学支援制度について所得制限を撤廃することについて、所得制限の設け方の考え方も含めてお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 先ほど申しましたように、高等学校等就学支援金は、高校等の授業料を支援することにより、教育に係る経済的負担の軽減を図り、教育の機会均等に資することを目的としているということです。ここのところは多分、意見に相違はないと思います。

 ただ、その財源の捻出ということで、我々は、所得制限を設けることで捻出した財源、これを有効活用して、低所得者世帯への支援を拡充するなど、世帯の所得に応じた支援を行うということをしているということでございます。

 それから、先ほど委員の方から事務費のお話もちょっと出てまいりました。三%の人のためにというようなこともございましたけれども、本制度実施のために事務費は確かに計上されておりますけれども、これは本制度の全体の予算の一%に満たないもので、大きいものではないということを御理解賜りたいと思います。

漆間委員 拡充していくと、本当に数%の人のためにやってしまう、そのラインはどうなんだという問題はあると思いますので、是非、拡充していく上で、もし可能であれば所得制限なしでお願いしたいと思います。

 これまでの無償化の議論を見ますと、教育の機会均等、これが主に無償化の議論として、大きな目的として挙げられておるところであります。

 一方で、これまでの大阪の私学の無償化では、学校ではなく、学校を選ぶ生徒や家庭にお金を渡すことで、生徒や家庭に選ばれるために学校間での切磋琢磨が起こって、それがひいては高校全体の教育力の向上につながっている部分があると思っております。

 これは、パネルを見ていただくと、進学率がばあっと向上して、私学の無償化が始まった、私立高校の進学率の推移とあるんですけれども、私の地元の私立高校でも、私学の授業料無償化が始まってから、これまで学校には垂れ幕が掲げてあるんですけれども、どこどこ大学合格とか、これまで見なかったような垂れ幕がばあっと出たり、スポーツでも全国大会優勝みたいなところが出てきたりとか、私学が生徒さんに選ばれるようにするために、どんどんどんどん切磋琢磨していくという側面が無償化の効果として見られております。

 これは、国会の議事録、無償化の議事録をいろいろ見させていただいたんですけれども、大体、教育の機会均等の議論ばかりで、この選ばれることによる切磋琢磨で教育力が向上していくということについては、議論されておりません。このメリットについて、どう把握されているか、どう思うか、認識を総理にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 高校に通う生徒さんへ授業料等を支援するということ、これは、委員御指摘のように、機会均等の観点からも、さらには子供、子育て政策としても、これは大変重要な視点であると認識をいたします。

 ただ、詳細は文部科学大臣からお答えできればと思いますが、その支援と教育の質が結びついているということについては、今、一概に把握することは難しい。こういった具体的な論拠があるということまでは承知をしておりません。

 そういった点も注視する必要はあると思いますが、今現在、授業料支援と教育の質が結びつくということについては把握できていないと承知をしております。

盛山国務大臣 総理の御答弁、若干補わせていただきますが、委員がおっしゃったように、垂れ幕かどうか分かりませんですけれども、それぞれの学校間で競争するというのは、別に私立だけではなく、私の地元の公立の学校でも、やはり、こういう成果があるということはPRをされているのではないかと思います。

 いずれにせよ、私立は私立で、それぞれの設置者がどういうようなことにポイントを置いてその学校を建学したのか、そして何を教えるのか、そういうことを外に発表されて、それで、そういうことに賛同される親御さんに生徒さんを通わせてもらう、こういうことではないかと思います。

 国公私立を問わず、高校その他のレベルを上げる、教育の質の向上を図るということは大変重要だと考えておりますけれども、先生御指摘のような、授業料の支援とそれから高校教育の質との関係について、我々の方では、まだ残念ながら把握できるものはございません。

 以上です。

漆間委員 大阪では、私学の無償化が始まって、私学が公立と変わらずに安く行ける、お金がかからずに行けるということで、普通ですと、全国平均ですと、大体、公立に行く子供が七〇%、私立に行く子供が三〇%なんですけれども、大阪ではこれが、私学無償化が始まってこの十年間でシフトが起こっております。私学に行く子供が四〇%になって、公立に行く子供が六〇%。これはまさに、学校間の切磋琢磨が起こって生徒間の移動が行われているというところの証明になると思います。これは、パネルは公私間の移動のところでもあるんですけれども。是非、そういったところも注目していただいて、この効果について、国の方でもしっかり見ていただきたいと思います。

 この私学の無償化に関してなんですけれども、授業料を大阪府が全部払ってくれるんだったら、私学としては、それだったら、うちの高校、授業料を年間百万にしたろうとか二百万にしたろうとか、そういうことが起こってしまいます。そうならないように、大阪府では、授業料の上限ですね、キャップ制というんですけれども、これを六十万円。この六十万円の設定は、当時の私立高校の授業料の平均がちょうど六十万円だったので、上限六十万円ということで設定をいたしました。

 じゃ、授業料六十五万円のところはどうなるんだ。授業料六十五万円のところは、その六十万円から六十五万円の差額五万円分については学校側で負担してくださいという厳しいルールでありました。これは私学からすごくすごく不満のあるところであったんですけれども、不満なく多くの私学が参入してくれた、この私学無償化の制度に入ってくれたその理由は、所得制限がこれまであったからです。

 大体、授業料が高いところというのは世帯収入の多い家庭が行くことが多いので、所得制限にひっかかって、みんな授業料をしっかり払ってくれる、だから何とか私学もやっていけていたという側面がございます。

 今回は所得制限なしで無償化をやるということで、学校側の負担が物すごく、特に授業料は、キャップ制より上の学校については物すごく増えてしまいます。これを解消するために、大阪府は、私学側と話し合って、キャップ制を今回上げるということと併せて、学校側に補助金を配る、この二点で、とにかく学校が赤字にならないようにということで制度設計をしております。

 でも、やはり、高いお金を払ってもらって質の高い教育をしたい、そういう私学だったり、私学の自由が失われるのではないか、そういう懸念もあることから、大阪府では、今回、ふるさと納税制度を活用した、母校応援プランといいまして、これまでも学校の寄附制度はあったんですけれども、ここにふるさと納税を活用することで、税額控除が物すごく上がる。

 これまでですと、例えばこのパネル、年収六百万円の方が学校に五万円寄附した場合、四千八百円しか所得控除されなかったんですけれども、ふるさと納税制度を活用すれば、五万円のうち、ほぼ一〇〇%に近い四万八千円の税額控除がなされる。

 学校側がお金を集める手段として本当にこれは有効だと考えているところなんですけれども、一方で、泉佐野市などに代表されるように、ふるさと納税制度については、いろいろ自治体が考えたとしても、それがふるさと納税制度の趣旨に合わなければ国が急にルールを変えるといったことがこれまであるところなんですけれども、これは、大阪府でこれからやろうとしているんですけれども、大丈夫でしょうか。急にルールを変えたりとか、ないでしょうか。

 総務大臣にお伺いしたいです。よろしくお願いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 委員御承知のとおり、ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものでありまして、そのために創設された制度であります。

 大阪府が高等学校の授業料無償化の財源を確保するためにふるさと納税の募集を行っていることは承知をしております。ふるさと納税により受けられた寄附金の使途につきましては、本制度の趣旨を踏まえ、各地方団体において適切に判断いただくものと考えております。

盛山国務大臣 委員の御指摘の就学支援金について、私の理解が間違っていたら申し訳ないんですけれども、大阪府さんが合意をされた金額は、六十万円ではなく、多分六十三万円ではないかと思うんですね、学校の年間の授業料。それで大阪府の私学の高校と合意をされたというふうに私どもは承知しております。六十万円ではなくて、ちょっと上げられてですね。

 それで、他の都道府県のというんですか、そういうような私学の協会からちょっとそれに対する御異論も出ているというふうに承知しております。

 私どもの理解では、その六十三万円を超える授業料の学校の場合、年間ですね、それは、それよりも上の部分は、もちろん学校側がどうやって負担をするかということになるわけなんですが、それとは別に、大阪府さんは所得制限を撤廃をされてということになるんですけれども、我々国の高等学校就学支援金は、所得制限つきで、段階の助成を、支援金を出しているわけなんですが、大阪府さんが本来負担をされるであろうところについては、六十三万円を超える学校が制度に参画しない場合については一切なされなくなるというふうに我々は承知しているところでございまして、そこがほかの私学の団体さんとの大きな、ちょっとギャップがあるところではないかと思いますので、これは大阪府の知事にも先日申し上げましたけれども、ほかの都道府県あるいは私学関係の団体さんと、更に制度設計、もっとうまく御説明を、御協議をお願いしたいと申し上げたところです。

 それからもう一点、ふるさと納税の件でございますけれども、我々文部科学省としましても、ふるさと納税の仕組みを活用した学校法人に対する寄附の取組事例をまとめ、令和四年十二月に事例集としてお示しをしております。令和四年度にふるさと納税制度を活用して寄附を集めた大学等でございますが、を設置する学校法人は二十三法人であります。今後こうした取組が更に進むよう、学校法人と地方公共団体との連携の促進に努めてまいりたいと考えております。

漆間委員 ちょっとさっき私学のお話がありましたけれども、大体私が申し上げたとおりだと思っておるんですけれども、認識が違っていたら、また後ほどお願いいたします。

 ふるさと納税制度、これは結構お金が集まると思います。是非、文科省でもこれは取組を進めているということですので、総務省も、推奨といいますか、後でルールを変えることなく、進めることに対して支援いただきたいと思います。

 続きまして、憲法改正についてお伺いしたいと思います。

 経済対策にスポットが当たる今国会は、憲法国会でもあります。岸田総理が公言する来年九月の自民党総裁任期までの憲法改正を実現するためには、国会発議後、国民投票までの期間を考慮すると、来年の通常国会終盤までには発議が必要であり、今国会において憲法審での改正案の取りまとめに着手しなければ間に合いません。

 我が党は、このパネルのとおり、憲法改正を掲げているところであります。

 以下、総理に自民党総裁としての答弁を求めたいと思います。

 自民党の萩生田政調会長は、令和五年九月二十七日、産経新聞のインタビューで、首相は自分の任期中に憲法改正発議を目指す考えを話していた、任期中とは、自分が首相でいる間にということだろうということを述べておられますが、これはちょっと確認したいんですけれども、総理が任期中に目指すのは、発議ではなく、正しくは憲法改正でないかということがまず一点。そして、任期中というのは、自身が総理でいる間にということだろうと書いておりますけれども、これは、今任期、来年九月までの党総裁任期ということで間違いないでしょうか。総理、お伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、お尋ねの記事等について、内閣総理大臣の立場でコメントすることは控えなければならないとは思いますが、自民党総裁としての私の真意についてのお尋ねでありますので、あえてお答えするとしたならば、一昨年の自民党総裁選挙において、総裁任期中、憲法改正を実現したい旨申し上げたこと、この思いはいささかも変わりはありません。そして、総裁任期中と申し上げているのは、目の前の任期中に憲法を改正できるよう最大限努力するという思いを申し上げさせていただきました。

漆間委員 はっきりとおっしゃっていただきました。

 そうであるのであれば、このスケジュール感についてお伺いしたいのでありますけれども、国会発議後、周知期間、国民投票実施までには六十日から百八十日必要である、これを考えますと、最短でも、この臨時国会で憲法改正原案の取りまとめに着手しないと間に合わないのではないか、本当に今回が、今臨時国会がまとめるラストチャンスではないかと思うんですが、総理のスケジュール感についてお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 先ほど自民党総裁としての思いは申し上げさせていただきましたが、さすがに、内閣総理大臣の立場でここに立っておりますので、具体的な議論の進め方など、直接何か申し上げることまでは控えなければならないと思っております。

 憲法改正、これは最終的には国民の皆様による御判断が必要です。その発議に向けて積極的な議論が行われることは心から期待したいと思っております。

漆間委員 総理大臣としての発言は控えなければならないということでありまして、一方で、国会での議論なんですけれども、このように、この緊急事態条項に関しては、各党、この緑の部分がまとまっているところで、白の部分がまとまっていないところなんですけれども、緊急事態条項についてはほぼまとまっているような状況であります。

 このような国会の議論について、岸田総理の御認識をお伺いいたします。自民党総裁としての認識をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 基本的には、内閣総理大臣としてこの場に立っておりますので、具体的にその議論の進め方等について直接申し上げるのは控えなければならないと思っています。

 しかし、御指摘のような活発な議論が行われていること、このことは歓迎したいと思っております。

漆間委員 あわせて、維新の会、国民民主、有志の会の三党派は、六月、独自に緊急事態条項の条文案で合意をいたしました。これは憲政史上初めてのことでありますが、これはどのように総理は評価されますか。自民党がこの三党派案をたたき台として憲法審で議論していく考えはありますでしょうか。自民党総裁として、お伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 繰り返しになりますが、具体的な中身ですとか日程について私の立場から申し上げるのは控えなければならないと思っておりますが、御指摘のような、改憲案を示し、建設的な議論を呼びかけておられること、このことについては敬意を表したいと思います。

漆間委員 ちょっと繰り返しになるんですけれども、改憲実現を党是と、自民党総裁選でも総理は掲げられておられましたし、そして、直近の参議院選挙でもマニフェストで改憲実現を掲げていた。自民党の総裁として、自らの決断と強いリーダーシップがこれから求められていくと思います。この臨時国会が本当にラストチャンスでありますが、決意と覚悟をもう一度お伺いすることはできますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 私の立場からは、直接、具体的な日程あるいは中身について申し上げることは控えなければならないと思っております。

 ただ、自民党総裁としては、党内の議論が加速するよう責任を持って取り組んでいく、こうしたことは大事であると考えております。

漆間委員 今臨時国会、ラストチャンスであります。どうぞよろしくお願いいたします。

小野寺委員長 以上で午前中の質疑は終了いたします。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間譲司です。

 午前に引き続き質問をさせていただきます。

 今日は十月の三十日、あしたは三十一日、そして、あさっては十一月の一日であります。三年前の十一月の一日、ちょうど大阪都構想の住民投票の日でありました。維新の会は、大阪都構想を一丁目一番地の政策として掲げておりました。

 大阪都構想の目的の一つは、大き過ぎる大阪市の様々な非効率や弊害をなくしていくこと、これが一つの目的でありました。大阪市の人口、二百七十万人ございます。これを一人の市長で見ていくのはなかなか大変なことでございます。

 かつて、大阪市長の吉村洋文さんは、なかなか上がらない子供の学力テストの成績、これを上げるために、学力テストの結果を先生の給与に反映させる、こういう提案をしました。皆さんも覚えておられるかと思いますけれども、大きな反発といいますか、いろいろな声をいただいて、これは駄目だったんですけれども。

 これは、例えば人口二十万人ぐらいの首長さんとか市長さんであれば、自分の市にある小学校や中学校を一つ一つ見に行って、その地域や学校に応じたそれぞれの政策をやろうと思うと思います。でも、大阪市は、実は大阪市内に三百近い小学校があります。百五十近い中学校があります。合わせて四百五十の小中学校があって、一人の市長では当然見切れないような状態でありました。

 このようなきめ細やかな施策を、大き過ぎる役所の中で首長がなかなか実行できない、この弊害を解決することが大阪都構想の一つの目的でありました。

 もう一つ、市長、人口二百七十万人の基礎自治体であります。人口二十万人の市長さんの大体十三人分ぐらいの仕事。プラスアルファで、政令市でありますので、広域自治体、大阪府知事、知事の仕事も一人の市長が全てやっているような状態です。

 市長の下には本当にたくさんの仕事、市長、これはどうですか、これはどうですかといろいろな仕事が舞い込んできて、市長はそれを見切ることができません。

 その中で、役所は、何でも通ってしまう市長の下で、元々は、もちろん役人の方は、国民のため、市民のために頑張るんですけれども、勤めていくと、生活設計、人生設計もありますので、どんどんどんどん役所の利権みたいなものを増やしていって、役人天国のような状態が大阪市では起こっておりました。

 闇年金、闇専従、空残業。そして、よく例として挙げられるのが大阪市営バスのバスレーン監視員の方。これは、交通が渋滞しそうなときに、バスレーンに車が通っていたり、あと車が駐車したりしてバスが止まれなくなる、それで、そこ、駐車したらあかんよと注意するバスレーン監視員。渋滞時、実働大体五時間ぐらいなんですが、年収が一千万円超と、こういう役人天国のような状態が大阪市では行われておりました。

 こういったことを解決するために、我々は、大阪市を、小さ過ぎず大き過ぎない、ちょうどいい特別区に大阪市を分割しようと、統治機構改革をやろうとしておったわけであります。

 翻って、国はどうか。総理は、全国津々浦々の車座対話を六十回以上重ねられてまいりました。そして、掲げるデジタル田園都市国家構想により、地方創生、地方分権も進んでいると思います。でも、やはりこの国の組織や仕事量は大き過ぎる。たくさんあり過ぎて、きめ細やかにできていない。政治家が大き過ぎる組織を見切れずに、役人天国になっているのではと思うところでありますが、いかがでしょうか。

 総理は、所信表明で、現場を全力で支えていくということをおっしゃっておられました。現場を全力で支えていくには、国の大き過ぎる役所組織や仕事を分けて、より現場に近いところに置いていく、いわゆる道州制などの統治機構改革が必要なのかと思いますが、いかがでしょうか。総理の認識をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的に、地方の活性化、これを進めることによって日本の再生のエンジンとしたい、地方こそ日本の宝であり底力であるということで、地方から成長を目指すデジタル田園都市国家構想等の取組を進めてきました。

 その中で、地方分権、これは、地域が自らの発想、アイデア、創意工夫によって課題解決を図り、質の高い行政サービスを実現するための基盤だと思います。それぞれの役割分担が大事だということで、国、地方等のデジタル基盤の統一化であったり共通化も進めながら、現場の負担の軽減を、減らしていく。こういったことで、デジタル行財政改革、これを進めていこうという取組を今進めています。これは、自治体が低コストで多様なサービスを提供することができるなど、それぞれの役割分担をしっかり進めるということで、意義ある取組であると思います。

 その役割分担の中で、国全体として、どのように、この令和の時代、国民のニーズも多様化している、大きな変化も目の前にしている、その中にあっても国全体としての公共サービスの質を落とさない、こういった全体像を維持していく、こういった考え方に基づいて取り組んでいます。

 是非、国としてどういった役割を果たすのか、一方で、地方が魅力ある地方づくりに創意工夫をできるためにはどうあるべきなのか、それの役割分担を、デジタル等の切り口を通じて、デジタル行財政改革をしっかり進めていきたいと考えております。

漆間委員 地方分権に関しては進めていきたいということで、答弁で理解しておりますけれども、統治機構改革ですね、そもそも。国の役所を分割していって統治機構を変えていくことに関しては、総理はどんな御認識でいらっしゃいますか。

 あと、国は役人天国になっていないかという指摘に関してもどう思われているか、再度お伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 統治機構改革、先ほど言いました、大きな国としての構造、役割分担、こういったものを目指しながらも、機構として、効率化、あるいは不採算性に対する様々な指摘、こういったものについて絶えず注意を払いながら、自らどうあるべきなのか、こうした検討は絶えず続けていかなければならないと思います。

 役人天国などと言われることがあってはならない。これは当然、公務員として、国民からいただいた税金に基づいて公共サービス、奉仕を行う、こうした重大な責任を担っているわけでありますから、間違っても、役人天国などというやゆをされる、こんなことはあってはならないわけです。この辺りも、その自らのありようをできるだけ透明感を持って示していくことをもって、国民の厳しい目にも耐えながら自らのありようを考えていく、こういった姿勢は大事だと考えます。

漆間委員 総理が注意してありようを考えていく、頑張るというところはもちろん必要だと思いますが、これは総理によらず、そもそも役所の仕組みを変えれば、総理が頑張らなくても、地方分権、そういったものは進んでいくか、そう思って、統治機構改革が我々は必要なのではないかと掲げているところではあるんですが、なかなかこれを進めていくのは難しいと思っております。

 我が党で今はやりの言葉が、センターピンという言葉であります。ボウリングでピンが十本立っていて、この真ん中の一本ですね、これをセンターピンというんですが、これをごろごろと倒せば、あとのやつが全部ばあっと倒れていく。いろいろな政策を実現するその第一歩として重要なものがセンターピンという意味で使っているんですけれども、我が党は、統治機構改革のセンターピンとして、副首都法案を今年提案させていただきました。

 この副首都法案の内容については、もう総理にお伺いしているところですので、これをセンターピンとして我々が掲げていることについて総理はどう思うか、お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の副首都に関する法律案につきましては、議員立法ですし、これから国会で御議論いただくものだと思いますので、今の時点で私から何か申し上げるのは控えなければならないと思いますが、おっしゃるように、地方分権や統治機構改革、こういったものを進める際に、どこをまず最初に手をつけなければいけないのか、そういった発想でセンターピンということを言っておられるんだと思います。

 具体的に改革を進める上の手順として、手がかりとしてどこから始めるのか、それを現実的に考えていく、そういった発想は、この取組を進める上で大切な発想ではないかと考えます。

漆間委員 ありがとうございます。

 以上で終わらせていただきます。

小野寺委員長 この際、一谷勇一郎君から関連質疑の申出があります。漆間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私からは、ライドシェア、そして選挙制度について、課題を議論させていただきたいと思います。今国会で我々は選挙等改革の推進に関する法律案を提出させていただく予定ですが、なぜ提出を行うのか、国民の皆様に質疑を通じて知っていただきたいと思います。宗教法人法についても質疑をいたします。

 今年三月、本会議の場でライドシェアについて質疑をさせていただきましたが、そのときとは状況が変わっていると感じます。我が党は従来から一貫してライドシェアの導入を訴えてきました。

 総理は所信表明演説で、地域の交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組んでまいりますとおっしゃいました。報道でも、ライドシェア導入を検討と、連日大きく取り上げられています。社会的関心の高さを感じるところです。

 そこで、まず総理にお伺いをさせていただきます。

 所信表明演説でおっしゃった、ライドシェアの課題に取り組むという表現です。通常は、ライドシェアの導入を検討すると言うと思われますが、そうは言っておられません。聞いていてひっかかったのですが、総理、ライドシェアの課題に取り組むと、ライドシェアの導入を検討するに、何か意味の違いはありますか。つまり、ライドシェアの課題に取り組んだ結果、ライドシェアを導入しないということもあり得るのでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 御指摘のような表現を使ったということについては、御案内のとおり、ライドシェアに関しましては、世界各国、各国とも事情は様々であり、結果としてライドシェアの定義というのは定まっていないというのが現実だと思います。ライドシェアという言葉の定義が定まっていないことから、御指摘のように、ライドシェアの課題に取り組んでいく、こういった表現を使ったということであります。

 ただ、今後、自家用車の有償利用の在り方について、諸外国の先進的な取組、これを参考にしながら検討していく、こういったことについては変わりはない。要は、表現がそうであっても、今申し上げた取組を進めていく、これは全く変わりはないと認識をしております。

 是非、ライドシェアについては、我が国の中で、各地域において担い手不足あるいは足不足、こういった深刻な状況が指摘をされています。そして、地方それから都市部、また観光地など、それぞれの地域において、関心が寄せられ、指摘されている課題も異なっています。こうした辺りを丁寧に踏まえながら議論を進めていきたいと思っています。

 今から具体的な結論を予断して申し上げることはできませんが、是非、こうした事情にしっかりと応えられる結論を出していきたいと考えています。

一谷委員 確かに、ライドシェアという定義が決まっていないというところですので、この質疑を通じて、少し定義をしっかりしていきたいというふうに思います。

 総理はライドシェアをデジタル行政改革推進会議で議論するよう河野大臣に指示され、現在、課題の洗い出しをされているようですが、河野大臣、ライドシェアに関して洗い出しをしている課題は、どういう観点からの課題なんでしょうか。地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった課題に限定して検討しているのか、あるいは、新しいフロンティアイノベーション、つまり、新しい産業の領域につなげる課題についても検討しているのでしょうか。お答えください。

河野国務大臣 今、日本の様々な地域で、公共交通機関がなかなか人手不足ということもあって動いていない、地域の足が足らなくなっているということがございます。これが一つ大きな視点でございます。

 それからもう一つ、人口減少というようなこともある中で、地域で様々なリソースが足らなくなっているということから、シェアリングエコノミーという観点も非常に重要な視点だというふうに思っておりますので、その両サイドからしっかり検討していきたいと思います。

一谷委員 今、シェアリングエコノミーという言葉が出ましたので、質疑をさせていただきたいと思います。

 経産大臣にもお伺いをさせていただきたいと思います。

 経産省では、長年、シェアリングエコノミーに関する調査、提言を行ってきていて、ライドシェアもシェアリングエコノミーの一つとして取り扱ってきていると認識しています。経産省は、シェアリングエコノミーの推進の観点から、ライドシェア導入を推進していくという立場であるということでよろしいんでしょうか。

西村国務大臣 まさにシェアリングエコノミーは、デジタルの様々な技術を活用して新たなビジネスを生んできております。そうした中で、全体として、経産省として、こうした新しいビジネスを支援するということで、電動キックボードなども、サンドボックスという規制改革の挑戦をする、そういう仕組みがありますので、そういったものも活用しながら支援をしてきたところであります。

 そうした中で、ライドシェアもその一つの形態であるということだと思いますが、まさに今、総理、河野大臣から答弁ありましたとおり、地域での移動の手段がない、あるいは担い手不足、こういった観点からニーズがあるということだと思いますが、一方で、安全性とか信頼性とかの課題もありますので、デジタル行財政改革会議において検討が進められていくということで、経産省としてもしっかりとそれに対して対応していきたいというふうに考えております。

一谷委員 新たなプラットフォーマーの参画ということが必要だと思います。経産省のシェアリングエコノミーというのは、やはり、新しいプラットフォーマーの参画、これはITを基にして産業を興していくというふうに考えておりますので、今のシェアリングエコノミーの概念の中にIT技術を使うということは必要ではないかと思います。

 そこで、国交大臣にお尋ねをいたします。ここまでの議論をお聞きしていただいた上で答弁をお願いいたします。

 我が党としては反対ではありますが、仮に、安易に、タクシー運転手の年齢上限を七十五歳から八十歳に引き上げる、外国人労働者にも広げるといった対応で、地域の担い手不足や移動の足の不足、つまり、就業の問題が解決できたとしても、そうした場合でも、新しいフロンティアやシェアリングエコノミーの推進の視点から、つまり、タクシー以外の新たな旅客輸送サービスの構築という視点から、ライドシェア導入の検討が続くという認識でよろしいでしょうか。旅客輸送を担当する国交大臣にお答えを求めます。

斉藤国務大臣 地方部や観光地において需要に供給が追いつかない地域が生じていること、これは解決すべき喫緊の課題である、このように考えております。

 総理からは地域の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応するよう御指示を受けたところであり、こうした観点から、安全、安心を大前提に、利用者の移動需要に交通サービスがしっかりと応えられるよう、デジタル技術の活用も含め様々な方策を検討してまいりたい、このように考えております。

一谷委員 今の国交大臣の、質問をちょっと受けてなんですが、総理は所信表明演説で、地域の担い手不足の課題に取り組むとおっしゃったのでしょうか、それともライドシェアの課題に取り組むということでしょうか、総理、いかがでしょうか。今の質問に対する総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 所信表明演説において私は、地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組んでいく、このように表明いたしました。ですから、自動運転も含めて、デジタル技術を活用した新たな交通サービスという観点も排除するものではないと考えています。

 是非、人口減少の下でも、これまで以上に質の高い公共サービスを提供し、何よりも利用者起点で社会変革を促していく、まさにデジタル行財政改革のこういった趣旨をしっかりと担って、河野大臣の下で議論を進めてもらいたいと考えています。

一谷委員 自動運転も重要な技術だと思いますが、やはりライドシェアのその先に自動運転があるのではないかというふうに考えますので、これは、やはりライドシェアを導入するということで進めていっていただきたいというふうに思います。

 先週の本委員会で国交大臣は、ライドシェア導入の検討に当たっては、自動車の安全、運転手の安全、事故の際の責任の三点がポイントだと答弁をされました。そのとおりだと思います。

 それに加えて、新規事業者の参入促進、外国人労働者や高齢者の参入に関わる慎重な検討、ドライバーの性犯罪リスクへの対応、ドライバーとお客の相互評価といった面も重要な視点かと考えます。

 今後、規制改革推進会議のワーキンググループで検討されると思いますが、基本的な考えの部分ですので、総理の認識を確認しておきたいと思います。答弁をお願いいたします。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、自動車の安全、運転手の信頼、そして事故時の対応といったことが最大の課題、つまり利用者の安全、安心ということが大前提になります。

 その上で、デジタル技術の活用を含め、この解決すべき喫緊の課題、運転手不足、また足、特に地方の足不足ということに対してどのような課題が考えられるのかということについて、国土交通省としても、デジタル行財政改革会議とも連携しながら、丁寧に議論をしてまいりたいと思っております。

岸田内閣総理大臣 御指摘の安全確保も含めて、この課題となるテーマについてしっかり規制改革推進会議の地域産業活性化ワーキング・グループで議論を行っていきたいと思います。十一月上旬にこのワーキンググループでの議論をスタートさせます。

一谷委員 安心、安全のところに、やはりドライバーの性犯罪のリスクというところがありますが、海外のライドシェアアプリでは、ドライバーとお客が双方に評価し合うことにより、ドライバーもお客も評価を見て判断できるなどといった機能があります。また、アメリカのリフトというアプリは女性やLGBTQのお客さんがドライバーを選択できる機能もあり、是非そうした事例を参考に議論を進めていただけたらというふうに思います。これで犯罪というのが比較的低くなるのではないかというふうな考えを私は持っております。

 それでは、時間の都合もありますので、次の質問に行かせていただきます。

 今後、規制改革推進会議において様々な検討がなされると思いますが、是非、タクシー不足や交通不足で悩んでいる全国の首長の声、これは過疎地もあれば、観光地、都市部と状況が全部違うわけです。そうしたことを、首長の意見を丁寧に聞く機会を設けていただければと思いますが、総理のお考えをお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げた、各地で生じている担い手不足あるいは移動の足不足、こうした深刻な社会課題にまさに直面しているのが全国の首長の皆さんであると認識をしています。そして、先ほども申し上げましたが、地方において、また都市部において、また観光地において、この問題に対する関心やニーズ、これはまた様々なものがあります。ですから、そういった現場により近い首長の皆様方の声を聞く、これも大切な姿勢であると認識をいたします。

 是非、首長の皆さんの声を聞きながら、地域の実情を踏まえた議論を進めていかなければならないと思います。是非声を聞かせていただきたいと思います。

一谷委員 河野大臣、手を挙げていただいたので、もし発言いただけたらと思います。

河野国務大臣 もう何人もの首長さんとは、直接話をお伺いをしております。また、規制改革推進会議において十一月六日にワーキンググループを開催いたしますが、そこにお招きをしてお話を聞こうと思っております。

一谷委員 是非スピード感を持ってやっていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 大阪万博まで一年と五か月となりました。二千八百万人が訪れることが予想される万博では、大きな交通空白が大阪に生まれると考えています。

 それまでにライドシェアを制度として全国的に導入するのが難しいとした場合、今パネルをお示しいたしますが、例えば、地域限定、期間限定の、道路運送法七十八条三号に定めのある公共の福祉による輸送を適用していただければと考えますが、総理のお考えを伺います。是非前向きな答弁をお願いいたします。

斉藤国務大臣 大阪・関西万博に際しまして、国内外から多くの方が訪問されることが想定されております。現在、国際博覧会協会を始め地元自治体や経済界などの関係者間で検討を行っているところであり、国土交通省としてもこれに協力してまいります。

 万博開催に伴う交通対策については、このような検討の場での議論も踏まえつつ、地元の声をよく聞きながら適切に対応してまいりたいと思っております。

一谷委員 七十八条の三号、どうぞよろしくお願いいたします。新たなフロンティアイノベーション、つまり新しい産業の領域について、利用者の選択肢を増やす新しい旅客輸送サービス、産業の創出の観点から、是非ライドシェア導入に向けた検討を加速していただければと思います。

 続きまして、選挙制度についてお伺いをいたします。

 国民の皆様が政治に期待を持っていただくことが大切であり、政治に期待がない、政治に参加するべきだと思っていただけないのなら、それは我々政治家の責任です。

 それを大前提として、投票しやすい環境、投票したくなる仕組みをつくるのも我々政治家の仕事です。民意を国、地方の政策に適切に反映させる制度により充実させることが重要であると考えますが、そのためには、まず、投票率を上げることが肝要かと思います。

 総理は、投票率を上げていくべきであるとお考えになられますか。

岸田内閣総理大臣 投票というもの、国民主権の下で最も重要な、そして基本的な権利の一つであります。こうした投票権の行使、これをできるだけ多くの方に行使していただく、投票していただく、これは極めて重要なことであると認識をいたします。

一谷委員 それでは、インターネットでの投票ができるようになったら、投票率は上がると総理はお考えでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 投票率は、選挙の争点等、様々な事情が影響して上下するものでありまして、一概に申し上げることはできませんけれども、インターネット投票は、導入するに当たっての様々な課題はあるものの、有権者の利便性の向上に資するものと認識しております。

一谷委員 総理も同じ考えということでいいですか。はい。

 我が党はこれまでにも国会にインターネット投票案を提出してきましたが、総務省は毎回、なかなか難しいとの答弁を繰り返されます。

 これまで総務省が言っている論点を簡単にパネルにしました。大きく言えばこの三点です。本人確認がきちんとできるか、セキュリティー対策などシステムに関わる技術上の課題、そして、選挙管理人や立会人がいない場合における他人からの干渉、強要に投票がゆがめられるのではないか、主にこの三点です。

 まず、本人確認について言えば、マイナンバーカードを持っている人に限定してネット投票を解禁すれば問題ないと思われます。システムは、技術上の課題なので解決していくことが可能ということを考えれば、残りは、他人からの干渉、強要という問題になります。

 そこで、総理にお尋ねをいたします。

 現在、投票所に行けない重度障害者の方や要介護五の方には郵便投票制度があるわけですが、普通に考えれば、そうした方の方がより他人の干渉や強要を受けやすい環境にあると思います。そうした方に郵便投票を認めておいて、一方で、投票所に足を運べる方に干渉の論点を持ち出すというのは少し理解ができないのですが、総理のお考えをお尋ねいたします。

鈴木(淳)国務大臣 選挙の公正確保の観点から、投票は立会人の下で行うことが原則でありますが、選挙人の投票機会の確保の観点から、例外として、国内の郵便投票等については、重度障害者や要介護五の方などに限って認めております。

 インターネット投票を全面的に導入する場合には、立会人不在の投票を一般的な制度とすることになりまして、選挙制度の根幹に関わることでありますので、選挙の公正確保の観点も含めて各党会派で御議論賜りたいと思います。

 なお、総務省におきましては、現在、郵便による投票が広く認められております在外選挙におきまして、在外選挙人の利便性向上の観点から、インターネット投票について調査研究を行っております。

 また、インターネット投票におきましての在外の調査研究でありますが、導入に当たりましては、システムのセキュリティー対策のほか、確実な本人確認や投票の秘密保持、選挙人の自由意思で投票できる環境の確保といった、選挙特有の課題に対応する必要があります。限られた選挙期間で投開票が適切に行われる必要があるほか、仮に不具合があってもやり直しができないために、システムのトラブル時の対応などについても十分な検討が必要であります。

 国内のインターネット投票につきましては、これらに加えまして、投票管理者や立会人の下で行うことが原則である選挙の投票について、特段の要件なくこれらの者が不在の中で認めることをどう考えるか、有権者の規模が大きいために一斉アクセスなどに対応できる大容量のシステムの整備が必要になるといった課題があります。

 インターネット投票という新たな投票方法を導入することは選挙制度の根幹に関わることでありますので、各党会派で十分御議論賜りたいと思います。

 以上です。

一谷委員 今、各党会派で議論をという話がありましたので、次の質問をさせていただきます。

 各党会派でということなんですが、さきの通常国会の倫理選挙制度特別委員会において、委員として公職選挙法の改正案を取りまとめるところまで行ったんですが、ところが、その案を各党に持ち帰ったところ、我が党はそれで党として賛成と取りまとめましたが、他党は党内でまとめることができずに、法案提出に至りませんでした。項目はこのボードに書いてあります。

 総理、少なくとも、委員会での自由討議という場で発言をする場合には、個人の意見ではなく、党を代表しての見解として発言していただかないと議論も進まないと思うのですが、ここは自民党総裁として党に徹底していただけないでしょうか。御答弁を求めます。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的に、委員会での議論について、そして委員が御指摘のような合意が得られなかったことについて、内閣総理大臣の立場からそれについてコメントすることは控えなければならないと思います。

 選挙制度に関する議論ですので、議会政治の根幹に関わるものであり、与野党そして各会派、しっかり議論をいただくべき課題である、これは言うまでもないところであります。

 そして、その上で、委員会での発言に関する意見、これは委員会の運営そのものに関わる話でありますので、これは委員会で御議論をいただき、各会派でどのような準備をして委員会に臨むのか等、それは委員会の中でしっかり確認をした上で議論を進めていただく、こういった委員会運営の話ではないかと思います。

 ということで、直接触れることは控えさせていただきますが、是非御議論をして進めていただくことは重要なことであると考えます。

一谷委員 やはり、結果を出すことが政治ですので、議論、議論ということで進まないということはよくないと思います。

 時間もありますので、次の質問をさせていただきます。

 私は、長らく、介護事業所に二十年間関わってきておりまして、今も経営を行っておりますが、今や要介護三や四の方でも車椅子を使用されていることがもう実情です。この際、郵便投票の対象について、要介護三や四の方も対象にしていただく、投票所に行くのが困難である産前産後の方や、また認知症の方も対象にしていくということが必要だと考えますが、総理のお考えをお願いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 郵便等投票につきましては、疾病等のため歩行が著しく困難な方の投票機会を確保するために戦後導入をされたものの、不正が横行したことを背景に一旦廃止され、その後、物理的に投票所まで行くことが困難な重度障害者や要介護五の方に限定して認められてきたという経緯がございます。

 選挙権は国民の重要な権利でありまして、これを的確に行使できる環境を整えることが重要であると認識しております。

 総務省では、投票環境の向上方策等に関する研究会におきまして、郵便等投票につきまして、要介護四及び三の方を対象とすべきとの提言をいただいたところでございます。このことにつきましては、現在、各党会派において御議論いただいていることと承知しております。

 また、一昨年、新型コロナウイルスの感染症の患者等につきましては、議員立法により……

小野寺委員長 大臣、もうちょっと明確に御答弁をお願いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 はい。

 議員立法により郵便等投票が可能となったところでございます。

 郵便等投票の対象者の拡大につきましては、このような経緯や議論、選挙の公正確保の観点も含め、各党会派において十分に御議論いただきたいと思っております。

一谷委員 ここでも各党会派の議論ということがありましたので、やはりそこに出席していただく議員は責任を持って発言をして、必ず結果を出すというふうにしていただきたいと思います。

 世襲に関してお尋ねいたします。

 多様な方が立候補できるということからすれば、世襲の方の立候補を制限するということは適切ではないと考えますが、一方で、そうした世襲の方が後援会をそのまま引き継ぐとか政治団体の資金を引き継ぐことにより、ほかの方がなかなかその選挙区で立候補しづらくなるというのは、これは現実ではないかというふうに考えます。

 多様な人材を増やすために、候補者等が代表である政治団体について、その代表者が親族に変更すること、親族に対して寄附をすることについて一定の制限をしていくことが、分かりやすく言えば、地盤、看板、かばんに対して一定の規制をかけていく必要があると思いますが、総理に認識をお尋ねします。

 一般のところであれば、資産を受け継げばもちろん税を払わないといけないわけですから、そういった視点からもお願いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 政治資金規正法上、政治団体の代表者等の役員や構成員につきましては、その選任要件や資格に関する規制は設けられておりません。政治家が引退するときなどに政治団体を存続させるのか、政治団体が存続する場合に誰が代表者になるのかは当該政治団体内部の問題でありまして、親族間で政治団体を引き継ぐかどうかを含め、役員その他の関係者が相談して決めることと認識しております。

 政治団体の代表者や政治団体が行う寄附の在り方につきましては、政治団体の政治活動の自由と密接に関連しておりますことから、各党会派におきまして御議論いただくべき問題と考えております。

一谷委員 我が党は、これまで数多くの公選、選挙法、政治資金規正法の改善案を国会に提出してきましたが、国会で議論が進まない実態に風穴を空けるべく、我が党の考えを取りまとめた選挙等改革の推進に関する法律案を今国会に提出する予定です。国会で実のある議論がなされることを期待しています。

 最後の質問をさせていただきます。旧統一教会に解散命令請求が出されたことに関してお尋ねいたします。

 我が党は、宗教法人に関して解散命令請求があった場合に、その決定があるまでの間、宗教法人の財産に関して、管理人による管理を命ずる処分その他の必要な保全処分を命ずることができることとする宗教法人法改善法案を先日国会に提出しました。内容的には、会社法第八百二十五条を宗教法人に準用するというものですから、会社法がある以上、宗教法人に適用しても憲法上の財産権の侵害に当たることとは考えていません。また、あくまで解散命令請求があった場合に限定した措置であり、解散命令請求そのものが現行の宗教法人法に規定されているわけですから、法律上の信仰の自由にも抵触しないと考えます。

 総理はこうした我々の認識に対して、いかがお考えですか。答弁をお願いいたします。

小野寺委員長 文部科学大臣盛山正仁君、申合せの時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

盛山国務大臣 財産の保全につきましては、まず民事保全の手続により個々の被害者が主体的に債権を確定させ、請求や保全の手続に入ることが必要でございます。

 そして、今おっしゃったことにつきましては、議会の中でお進めのことでございますから、我々が余りコメントすべきことではないかもしれませんけれども、宗教法人法の位置づけその他から考えまして、今議員が御提案をされました趣旨での法整備を行うことには大変慎重な検討が必要であるのではないか、このように考えております。

 以上です。

一谷委員 全ての議題についてスピード感を持って取り組んでいけたらと思います。論戦、しっかり闘います。どうぞよろしくお願いします。

 本日は誠にありがとうございました。

小野寺委員長 この際、和田有一朗君から関連質疑の申出があります。漆間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。和田有一朗君。

和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 最初に、私、総理にお伺いしたいことがございます。

 それは、私が大学に入ったとき、実は総理と同じ、同窓なんですけれども、大学に入ったときに、ある先輩から誘われて勉強会に出ました。そのときに使った書籍というのがございまして、それが何かといいましたら、長富祐一郎さんという方がお書きになった「近代を超えて」という本でございます。上下二巻の分厚い本でした。

 これは何かといいましたら、総理の宏池会の大先輩に当たる大平元総理が総理になったときに、長富さんが、多分大蔵省から来た補佐官か何かだったんだと思いますが、取りまとめをしながら研究会を立ち上げて、田園都市構想であったり、あるいは環太平洋構想という政策をつくっていかれた。その経緯とか、あるいは理念とか哲理とか、そういったものを後にまとめられた本だったのであります。

 私、毎週その勉強会に行っては発表をして勉強したんですけれども、なかなかすごいなと思って、実は感動したのを覚えております。

 この際、私、国会議員になってきたら、総理が新しい資本主義という言葉をお使いになって、あれ、ひょっとしたらこういうものも、脈々と、そういうものはどこかでつながっているのかな、こういうふうに思いまして、一度、もしお読みになったことがあるならば、あるいは、そういったことについて何か御感想があるならお聞きしたいと思いまして、お伺いします。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘の大平正芳総理は、昭和五十四年の自らの所信表明演説の中で、近代化の時代から近代を超える時代にという演説を行われました。日本が将来目指すべき国家像について語るとともに、これを九冊の報告書に取りまとめた、こういった経緯を承知しています。委員の御指摘の御本がその報告書と同じなのかどうか、ちょっとそれは定かではありませんが、報告書等を通じて、私もそういった思いを承知しているところであります。

 その中で、田園都市国家構想ですとか環太平洋構想、こういったビジョンを打ち出された。先見の明のあるビジョンであるということで参考にさせていただいた、これはそのとおりであります。

 ただ、そういったビジョンを参考にしながらも、時代は今大きく変化をしています。デジタル化を始めとする社会の環境、基盤も大きく変化をしています。この変化もしっかり取り入れた上でこうした大きなビジョンを参考にさせていただくことが大事だということで、新しい資本主義ですとかデジタル田園都市国家構想ですとか、こうした考え方を打ち出させていただいている、こうしたことであります。

 是非、こうした先人のすばらしい知恵や先を読む力、こうしたものを参考にさせていただきながら、今の時代に生きる我々として未来を見詰めていきたいと考えております。

和田(有)委員 今の時代を生きる我々は参考にしたい、こういうふうに言われました。

 そういう中で、私が見る中では、何か私が見ている未来と総理の見る未来がちょっとずれて、違ってきているような感じもしないわけではないので、そこら辺を基にしながら、今から次の質問に入っていきたいと思います。

 まずは、我々日本維新の会が一丁目一番地と捉える身を切る改革ということであります。

 これは、異次元の歳出改革を求めてということを我々は言うんですけれども、その中で、いわゆる旧文通費のことについてお伺いをしていきたいと思います。

 もちろん、これは立法府の話でありますから、こういうふうに言われるかも分かりません。総理は当然、行政府の長でありますから、立法府の中でやってくださいと言われるかも分かりませんが、しかし、現実には自由民主党という政党のリーダーであって、総裁であって、そういう立場から物は処せられると私は思いますので、お伺いします。

 この旧文通費に関して、私どもの同期の者がなったときに、一日か二日しか国会議員をやっていないのに一か月分、我々は百万円を支給されることになっているんですけれども、いただくのはおかしいんじゃないか、ちょっとどうなっているんだというところから改革ののろしが上がりました。この話が議論になっていきました。

 しかし、途中、いろいろな議論をする中で、我々の主張の中で、日割りは決まりました。ところが、あと、我々はまだ幾つか提案をさせていただいています。我々にとってみて、使途公開をして、余ったら国庫に返納する、こういうことをやるべきだと御提案しているんですが、全くこれは実現しない。なぜだろうか。

 これは前の国会のときに、自由民主党の方からもなかなか積極的なような反応もあったんですが、いつの間にか、たなざらしで終わってしまった。これはやはり総裁たる、リーダーたる岸田総裁が、自由民主党に対して、維新から出ている提案をしっかり受け止めて改革をやろうやという姿勢を出していただく、指示をしていただく、こういうことがあってでき上がるんだと私は思うんです。自民党さんが協力してくれればできる話です。

 いかがでしょうか。その点、お伺いしたいんです。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、議会活動、議員活動の基本に関わる問題であるということで、各党各会派間の議論が進んでいると承知をしております。

 その中にあって、日割り支給について一つ結論は出たけれども、そこから先、進んでいないということについて御指摘がありました。これは是非、引き続き、議員活動に関わる課題として、議論を続けていくべき課題であると認識をいたします。

 その中にあって、自民党としてもこういった議論に貢献していくべく努力をしていく、これは当然のことだと思います。

 私の立場からは直接申し上げることは控えますが、是非、自民党としてもこういった議論に引き続き貢献していくべきであるという考え方はしっかり示していきたいと思います。

和田(有)委員 自民党としてもこの議論に貢献していくと言われるんですが、なぜ止まってしまうんですかね。自民党の中で、なぜこの議論が前に進んでいかないんでしょうかね。

 そこら辺について、総理、どうお考えになりますか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、行政府の長として中身について申し上げるのは控えますが、議員活動そのものに関わる課題であるからして、様々な意見の集約に時間がかかっていると想像いたします。

 しかし、国民の関心の高い課題でもあります。引き続きこういった議論を続けていくことは重要であると思いますし、自民党もこの議論に貢献すべきであると考えます。

和田(有)委員 議論に貢献をすると。やると言っているわけではないので、しっかりやっていただきたいんですけれども。

 ならば、総理も一国会議員です。当然、文通費を支給されていると思います。これを総理が、我々は公開しています、使途を公開しています、私たちは。同じように、まず公開なさってはいかがでしょうか。そうしたら、恐らく、自由民主党の、改革、そういう熱意のある若手の例えば国会議員の皆さんも、ああ、総裁がやるんだったら俺たちもやろうかと公開をして、それが燎原の火のごとく広がって、改革ののろしというものが上がっていくと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の議論については、各党会派で議論を続けてきた、この積み重ねの上にあります。

 その中で、私の立場から何か、今委員が紹介されたような行動を取るということは、ある意味で私が意思表示をするということになります。各党会派の議論に影響を与える、これは当然のことだと思います。

 ただ、議員活動の根本に関わる問題であるからこそ、この議論を積み重ねてきた。こうした議論は尊重しなければならないと思いますし、議会の議論を尊重するという意味からも、こうした議論の積み重ねを尊重することは重要であると考えます。

和田(有)委員 意思表示をしていただきたいがゆえに、今お話ししたところでございます。しっかりと、よもや、解散をして、解散したらこの話は終わりよということではないように、これはちゃんと、この直近の国会でやるんだというふうにしていただきたいと思います。

 次に、もう一つ国会改革の話で触れるんですが、議員の海外視察についてです。

 私は、何も議員が海外に行くなと言っているのではありません。やはり、しっかりと、行って先進事例を学んできて、この国の新しい時代のために使っていくという姿勢は必要だと思います。

 ただ、特に常任委員会や特別委員会を中心とする公務の視察というのは、何も我々、ポケットマネーで観光旅行に行っているのではありませんから、これは税金を使っているわけですから、やはり国民の皆さんが見て納得ができる制度にしなきゃならないと私は思います。

 そのために、私たちは、三点セット、行程表をちゃんと作って見せて、旅費の領収書を添付して、そして、終わったら事後報告書、きちんとしたものを提出する。こんなのは当たり前のことです。これをやろうというふうに私たちは提案しているんですが、これもなかなか前に進まない。

 これはコロナで一回止まっていましたけれども、コロナの前、令和元年なんかは百十五人の衆議院議員が海外に、特別委員会、常任委員会を中心とする公務の視察で行っている。そのときの予算が、予算としては二億七千万ぐらい、実際に執行されたのが、一億八千万円ぐらい使っております。

 この点も踏まえて、今のこれも、いや、それは立法府の話ですからとなりますが、しかし、何度も言いますように、立法府の院の最大構成をする自由民主党のリーダーなんですから、その立場からどのようにお考えになるか、お聞きします。

岸田内閣総理大臣 国会議員の海外視察が適切に行われるべきである、国民から見て透明性の高い形で行われるべきである、これは当然のことだと思います。

 そして、委員の今の御指摘について、私も今まで幾つかの委員会の海外視察に参加した経験がありますが、たしかあれは報告書は作成していたと思います。ですから、報告書の中に何を盛り込むかということなんだと思います。

 こういった点について、是非、自民党においてもこういった検討はしたいと思いますが、国会においてどういった報告書を作るのか、透明性を高めるためにはどうあるべきなのか、議論を深めていただくことは大事だと思います。

和田(有)委員 やはり、国民の政治に対する目というのは非常に厳しいものが最近つとにある。それを、払拭するというのは変ですけれども、越えていくためには、やはり急いでこういうことをやらなきゃいけませんので、党内において議論を加速させていただきたい、このように思います。

 次に、質問の順番をちょっと通告から変えまして、先にマイナ保険証についてお伺いをしたいと思うんです。

 私、マイナ保険証への切替えというのは、我が国のDX化のためには、やっとスタートラインにつくものだと思うんです。今日も今朝からずっといろいろ御議論がございました。いろいろな角度から向いて議論はあるんですが、やはりこれすらできないようでは、我が国のDX化、IT化、eガバメントだったりそういったものというのは始まらないだろうと私は思っています。

 ですから、我が党の考え方としても、とにかく速やかに予定どおりにマイナ保険証に切り替えていく、こういうことだと私たちは思って、我が党の馬場代表も本会議でお聞きしました。そうしたら、ちゃんと予定どおりやりますかとお聞きしたら、何とお答えになったか。国民の不安に対する措置が完了することを前提にしますと。たらればですよね。完了したらやりますわ、これができたらやりますわと、たらればなんですよ。条件付みたいに聞こえる。これではやはり心もとないと私は思うんです。

 やはり、そうなると、国民の不安に対する措置が完了するとは、何をもって完了したと判断なさるんだろうか。どの時点で、何をもって完了した、だから踏み切れるんだとなるのか、その点をまずお聞きしたいと思います。

武見国務大臣 和田議員の御指摘にお答えさせていただきたいと思います。

 現行の健康保険証の廃止、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提との方針にのっとり、ひもづけの総点検とその後の修正作業の状況も見定めた上で、更なる期間が必要と判断される場合は必要な対応を行うというふうにしております。

 そこで、実際に保険者を通じたこうした点検をやりました。それからまた、同時に、既に登録済みのものについても全てこれを総点検するという作業をやっております。おおよそ七十一万人ほどのまだ調査が完了していないものがありまして、これらを見ていった中で、どれだけ実際にそこにまたそごが生じているかどうか、そして、そごが生じているということになりますと、今度、それをきちんと改善していかなきゃなりません。したがって、その見通しというのがきちんと確認できるようにならないとならないということが一つあるわけであります。

 これらの作業を着実に進めていくというのが、まず国民の信頼回復のためには非常に重要です。しかし、これらの作業の進捗状況を踏まえた上で、自治体等の保険者において、来年度当初予算の審議などの準備に支障が生じないよう判断する必要があると考えております。

和田(有)委員 総理の御決断を私は伺いたかったんです。御決意というか覚悟を聞きたかったんですが、極めてテクニカルな話になってしまいました。

 総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 マイナ保険証については、これは従来から申し上げておりますように、国民に対してよりよい医療を提供するために、また、医療DXを進める上での基盤としても大変重要なものであると認識をしております。

 そうしたことで取組を進めてきたところでありますが、御案内のとおり、マイナ保険証について国民の皆さんの中から不安、懸念が示されている、こうした現状でありますので、この不安払拭が大前提でありますということは改めて申し上げているところであります。

 十一月末をめどに、総点検と、そして修正作業、これをしっかり進めてまいります。そして、その時点で状況を見た上で判断をしなければいけない。こうしたらどうするというのを今の段階で申し上げることはできません。十一月末で明らかになった実態を踏まえて、修正作業の見通し等も踏まえて、必要であれば、この期限等についても適切に対応することも考えていく。こうした国民の皆さんの思いに寄り添った対応を申し上げています。

 是非、十一月末に向けては、まずは総点検と、そして修正作業、関係機関、自治体とも連携しながら、全力で取り組んでいきたいと思っています。

和田(有)委員 もちろん、現実的にそういう作業が要るというのは分かります。

 ただ、これは例えが、言ってみれば入学試験と一緒なんですね。学習の習熟度がここまで来たら入学試験を受けますわ、一か月待ってくださいというわけにはいかないですね。早稲田大学でも慶応義塾でも、入学試験日というのは決まっているわけです。それまでに自分で学習の習熟度を上げなきゃいけない、その努力をするわけですよ。

 それと一緒で、十一月に、あるいは来年の秋にとか決めれば、そこまでに何としてでもやり切るんだという、やはり固い覚悟というか決意がないと私は駄目だと思います。やってみて無理だったらちょっと延ばそうか、それなら、また無理だったらちょっと延ばそうか、そんなことをやっていたら、マイナ保険証というのはいつまでたっても手元に、使えるようなものになってこないと思うんです。ですから、しっかりと、ここは覚悟を決めて、いつまでにやるんだというふうにやっていただくことを申し上げておきます。

 そして、今日午前中も議論がありましたけれども、何で皆さんが使うようになるのかというと、便利だからこういうものを使うんですよね。この便利だというのは、何で便利か。

 例えば、今日午前中に例え話も出ました。今、電車に乗るとき、紙の切符を券売機で買う人は随分減りましたよ。何を使うかといったら、ピッというのを使いますね。僕らは関西の人間ですけれども、JRだったらICOCAを使いますわ。こっちの人だったらSuicaですか、JRだったら使います。何で使うか、これは便利だから。

 便利なように初めからできていたかといったら、できていないんです。やはり事業者の方が、こうやったら使ってくれるかな、こうやったら便利になるかなと試行錯誤を積み重ねて、皆さんが、便利だね、これなら使っていいやと思うようになったからできたんです。やはりそういうふうにしていく必要がある。

 例えばの話、これは例えですよ、技術的なことを聞くんじゃないですよ、私。今、病院というのは何に時間がかかっているかというと、会計に時間がかかるんですよね。この会計に、マイナ保険証がクレジットカードとひっついていて簡単にできるとか、そんなことができたら、やはり皆さん大いに、これは便利だと使うようになると思うんです、私は。

 そういうことも考えながら、期日を区切って、ここまでに頑張るという姿勢を見せていただきたいんですが、もう一回、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 マイナ保険証についての意義は、先ほど申し上げたとおりであります。これは我が国のデジタル化あるいは医療DXにとって重要な課題であり、是非進めたいと思います。ただ、これは国民の皆さんの信頼、不安払拭、これが大前提だと申し上げています。

 ですから、そのためにも、まずは十一月末を目指して、不安払拭のためにも、そして委員がおっしゃったような利便性の御理解についても全力で取り組む、これが今の政府の置かれた立場だと思っています。

 十一月末に向けて、強い覚悟を持って、国民の信頼のために、総点検と、そして修正作業を進めていく、これを改めて申し上げさせていただきます。

和田(有)委員 分かりました。覚悟を持って進めてください。

 では、次に参ります。予備費です。

 予備費なんですが、これは見てのとおり、コロナのときにどんと増えました。もう水膨れです、これも。それが終わってちょっと下がったんですけれども、巨大化すると、やはり予備費というのは、後で、後でといっても時間がないですからちょっとはしょりますけれども、予備費というのは、中身を我々が事前にこの予算委員会とかで議論することはできないわけです、ある意味で。そういうふうに考えると、誰かがどこかで何かいいことをやっているんだろうみたいに、どうしても国民感覚としては見てしまうわけですよね。

 そう考えると、やはりこの予備費は、財政規律を考えても、一旦減額して、必要だったら補正予算で改めて計上するという姿勢が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

鈴木(俊)国務大臣 和田先生御承知のとおりに、予備費は予見し難い予算の不足に充てるために設けられている制度であります。

 令和二年度補正予算以降、先生御指摘のとおり、これまでにない規模で予備費を計上してきた、これは事実でありますが、新型コロナ感染拡大や原油、物価高騰への対応といった予算編成時点においては必要な経費の見積りが困難な事柄に対し、コロナ、物価予備費を適切に活用してきたことで、国民の命と暮らしを守ることができたのではないか、そのように考えております。

 その上で、御指摘のとおり、予算編成時において予見可能な経費については、予備費を前提とするのではなくて、補正予算で措置するべきものは補正予算で対応する、これは当然の御指摘であると考えておりまして、今後とも、予算編成時点において見込める経費につきましては、適切に予算に計上してまいりたいと考えております。

和田(有)委員 適切に補正予算でというふうに御答弁がございました。やはり予備費に関しては非常にいろいろな指摘があって、会計検査院からも指摘がされています。

 例えばの話、令和二年度なんか、八日間しか使わないものを、見積りというのは十二か月で取っている。これはどこかで何かいっぱい余らせて、何かに使うんじゃないのというような、そういう疑念も生みかねない。あるいは、不用額が非常にたくさん出てくる。こういうことも、何でこんなことになっちゃったのという話になりかねない。そういうことをやはり重く受け止めていただきたいと思うんです。そのことを馬場代表も御指摘いたしました。

 総理は、深く受け止めて頑張ると言うんですが、そこら辺、もう一回、何かありましたら。

岸田内閣総理大臣 コロナ関係予備費に関する会計検査院の検査報告については、コロナ関係予備費の執行状況に関して透明性を高め、そして国民への説明責任を果たす観点から所見が示されたものであると認識をしております。これは、当然のことながら、政府全体として重く受け止めなければならない、このように思っております。

 会計検査院からの指摘を踏まえ、政府全体として、引き続き、執行状況等の公表の在り方について検討し、適切な情報提供、これを行ってまいりたいと思います。

和田(有)委員 そうするためには、プロセスというのをやはりしっかりもう一回さらっていく必要もあるだろう。

 予備費を使うときは、最終的に、財務省から内閣に予備費使用書というのを上げるんですね、いわゆる予算書みたいなものです。ところが、これは国会で議論するものではないんです。内部資料みたいなものです。これをやはりつまびらかに、公にして、そこで議論をするという必要が私はあると思うんですが、いかがでしょうか。

鈴木(俊)国務大臣 予備費の透明性についてのお話であるとお伺いいたしました。

 予備費につきましては、予算の一部として国会で御審議いただくとともに、実際に使用するに当たりましては、憲法、財政法の規定に従いまして、予備費使用に係る調書、先生が今御指摘になりました、それらを国会に提出の上、事後に国会の承諾を得る必要があると承知をしております。

 その上で、御指摘のとおり、国会への説明責任を果たしていくことは重要であると考えておりまして、これまでも、国会における審議等を通じて、必要に応じて予備費の使用の内容等について説明を行ってきたところであり、特にコロナ、物価予備費の使用については、国会の御判断を踏まえまして、予算委員会の理事懇談会等で報告を行うとともに、その使用状況を随時公表してきたところであります。

 今後とも、予備費の執行状況に係る透明性の在り方については不断に検討を進めてまいりたいと考えております。

和田(有)委員 これは、やはり予備費の使用書を、今は理事懇で簡単なものは出たりするみたいですけれども、きちっと出して、議論できる場を設けていく必要があるだろうと思いますので、その検討も今後お願いしたい、このように思います。

 もう一問、どうしても最後にお聞きしたいことがあります。セキュリティークリアランスのことです。

 経済安全保障推進法ができて、できたのはできたんですが、一種ざる法みたいなものだと私は思います。やはりきちっとセキュリティークリアランスの制度があって、それを補完するものがないと、作ったはいいけれども有効性が少ないということになりかねません。

 高市大臣はこれを次の通常国会でちゃんと出します、法案を出しますとおっしゃっているんですが、その点について、総理の口から出すと明言していただきたいのですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、セキュリティークリアランスについては、高市経済安全保障担当大臣に担当してもらい、本年二月には有識者会議を設置して、制度設計について議論をいただきました。同会議での議論を踏まえ、次期通常国会における法案の提出に向けて準備を進めてまいります。

和田(有)委員 しっかりと出してください。

 もう一点、セキュリティークリアランスの制度を整備して経済安全保障推進法というのができても、やはりまだ足りないものがいっぱいあると思います。

 特秘をかけて、特定秘密保護法ができました。小野寺会長と僕はメンバーで、情報審査会でも二年間勉強させてもらいました。

 その上で、この法案を新たに作っても、まだ必要。いわゆる一般的に言うスパイ防止法というものがないと、日本の情報というのは、やはりなかなか、守り切れたり、国益を守り切ることが難しいと思うんですが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 政府としては、我が国において外国情報機関による情報収集活動等が行われているとの認識に立って、カウンターインテリジェンスに関する取組を強化するなど、必要な対策を講じているところであります。

 いわゆるスパイ防止法の必要性等については様々な御議論があると承知していますが、国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要であり、引き続き必要な取組の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

和田(有)委員 最後に総理にお伺いします。

 今こういう状況で、情報の問題もきっちり我々はしなきゃいけない。そういう中で、中東は非常に緊張を持っている、ウクライナも戦争が続いている。そういう中で、アメリカはどうしてもそちらに目が行ってしまう。そんな中で、この極東アジアに向けた目というものが低下をする可能性もゼロではない。そんな中で、やはり日米同盟を基軸にしながら、自分の国は自分で守るという強い決意が私たちには必要だと思います。

 総理のその御覚悟を最後に言ってください。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、今の国際秩序、次々に重大な挑戦にさらされていると認識をしています。なおかつ、分断と協調が複雑に絡み合う、こうした、時代が移り変わりつつある、新しい時代に入りつつある、こんな強い認識も感じています。その中にあって、我が国周辺においても、大変厳しい安全保障をめぐる状況が指摘をされています。

 その中にあって、我が国として、まずは国家安全保障に関する三文書の改定等を行い、自らの防衛力、これをしっかり強化していかなければならない。しかし、自らの防衛力の強化と併せて、米国を始めとする同盟国、同志国との連携、これも充実させていかなければならない。

 こうした自らの防衛力の強化と同盟国、同志国との連携、この両方が重要だということを確認するとともに、これを背景として、我が国にとって好ましい国際環境を実現するべく力強い外交を進めていかなければならない、これが基本的な考え方だと思っています。

 是非、こうした考え方に基づいて外交、安全保障政策を進め、結果として国民の命、暮らしを守る、安心、安全につなげる。そして、それを背景として、思い切った経済活動を始め、未来に向けて活動ができる国をつくっていかなければならないと考えています。

和田(有)委員 覚悟を持って進んでください。

 終わります。

小野寺委員長 この際、藤田文武君から関連質疑の申出があります。漆間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 総理、どうぞよろしくお願いします。

 今日は、経済対策、それから社会保障、これについてメインでやりたいと思いますが、冒頭、皇室、皇位継承について一問だけさせていただきたいと思います。

 二〇二一年の十二月の二十二日、有識者会議の最終報告書が出ました。そこからもうすぐ二年という形で、この二年はほとんど各党議論が進まず、政府の方も党にお任せという形で続いてきましたが、これを徹底的に批判しようかと思いましたら、週末、ニュース、報道を見まして、自民党も総裁直属の新たな組織を立ち上げる、麻生副総裁がその取り仕切りをするという報道が出まして、それについては私は歓迎したいというふうに思います。なぜならば、この二年間ほとんど進んできませんでしたから、それを総理・総裁の旗振りでしようというところについては歓迎をします。

 ちょっと時系列を確認すると、平成二十九年の六月、天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議が出て、速やかに検討して国会に報告するように政府に対して求めました。

 その後、令和三年三月から十二月の合計十三回にわたりまして有識者会議が行われ、そして十二月に有識者会議の報告書が取りまとめられた。これは、私は、非常に良質な、バランスの取れた報告書であったというふうに思います。

 その後、翌、明けて令和四年一月の十八日に、その検討結果の報告が各党代表者を集められてなされました。それで宿題をいただいたわけです、各党議論してくださいねということで。私たちは、それを真摯に受け止めまして、皇室制度調査会というのを党内で立ち上げ、六回にわたって調査会を実施して党内の意見集約をし、そして、四月の十四日衆議院、そして十五日には参議院の議長に意見書を提出しました。

 それ以降は各党動きがほとんどありません。それで週末のニュースにつながるというわけでありますが、もうすぐ二年でありますから、この間、ほとんど動きのないまま、議論さえ進まなかったという状況について、総理、どう考えておられるかということと、それから、各党任せではなくて、何か、例えば超党派で議論できる枠組みは構築すべきだと私も思いますし、又は政府として何らかアクションする、そういう必要性があるのではないかというふうにも思いますが、総理の御見解を聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 天皇の退位に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議で示された課題について、委員の方から今御紹介がありましたように、政府としては、令和三年十二月に取りまとめられた有識者会議の報告書を尊重するとともに、昨年一月、私から衆参両院議長に報告を行ったところです。

 当然、国会において議論が進むことを期待したわけですが、御指摘のように、その後、議論が進んでこなかった。それに対して、自民党としても、このテーマは喫緊の重要な課題であるということから、議論に貢献をすることを形として示すためにも、党内に総裁直属のこうした会議体を設けたということであります。

 是非、各党とも、喫緊の課題であるという強い認識を持って議論に参加していただきたいと思いますし、自民党も貢献をしていきたいと強く思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 今日は総理大臣としての答弁でありますから、総裁としての詳細はなかなかおっしゃりにくいところがあるかと思いますが、是非、総理・総裁の覚悟でどれだけ進むか決まると思いますので、お願いしたいと思います。

 それでは、緊急経済対策について質疑したいと思います。

 緊急経済対策は、昨日から他党の皆さんもおっしゃられているように、すこぶる評判が悪いですね。その詳細について今日はちょっとやりたいんですけれども、その前に、具体的な対策に入っていく前に、課題意識の前提をちょっとそろえたいなと思いまして、日本経済の現状認識について一つ問いたいというふうに思います。

 これは直近のニュースでありますけれども、名目GDPがドイツに抜かれて四位に転落するというIMFの最新予測が公表されました。これについて、まずその原因の認識、為替の影響が言われていますけれども、一過性のものなのかという指摘もありまして、ここについての御見解をまずいただけたらと思います。

新藤国務大臣 御指摘いただきましたとおり、IMFが公表した世界経済見通しで、二〇二三年の名目GDP、日本はドイツに次いで四位になる、こういう見込みだと承知をしております。

 これの中身を少し見ますと、二〇二三年にドイツが日本を上回る見通しになりましたのは、まず、実質成長率の見通しがドイツはマイナス〇・五なんですね。でも、日本はプラス二・〇です。ドイツを上回っておりますけれども、しかし、ドイツの物価上昇率が日本を上回っていること、それから、今委員もおっしゃった、為替レートがドルに対してユーロ高、円安の傾向にある、こういうことで、ドルベースのGDPの増減が為替レートの動向に大きな影響を受けている、こういったことも踏まえての四位になった、こういうことでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたのは、為替の影響はあるよ、でも、直近で見ると実質GDPは日本の方がちょっと上だったよという話なんですが、直近でいうと、コロナが結構あって、様々、いろいろなところで財政出動もされている。だから、短期的には数字は暴れるんですよ。だから、やはりトレンドはもう少し長く見て、今後どうなっていくかというところをどう捉えて、我が国の経済状況というのをどういうふうに対処していくかというふうに考えるのが当然のことだと思うんですね。

 それで、もう一個見てみると、これは一人当たりに置き直したものですね。これでいくと、さっき四位だったものが、これは上位九つまで並べていますけれども、七位ということで、一人当たりのGDP、つまり生産性が低いというトレンドが続いているわけなんですね。なおかつ、直近の、さっきあった実質GDP成長率でいいますと、直近二十年で見ると、ドイツはプラス一・二、日本はプラス〇・七という形で、直近二十年のトレンドで見ると、それさえ下回っていて、今後為替が平準化されたとしてもやはり抜かれていくんじゃないか、こういうことが言えると思うんですけれども、このトレンドをどう見ておられますか。

新藤国務大臣 まさに、私たちは、為替ではなくて、自分たちの力で経済を押し上げていかなければいけない。そういう意味において、総理が何度も申し上げておりますけれども、今、三十年ぶりの賃金上昇や、株価も、それから投資も大きな水準にあります。ですから、新しい経済移行に対する兆しが見えている、そこのところで、根本的に、まずは物価上昇をきちっと上回る構造的な賃上げ、これを実現することで、その上で、投資、これを力強いものにしながら日本経済全体を大きく回していこう、こういうことでしっかりと取り組んでいきたい、このように考えています。

藤田委員 認識は同じです。だから、簡潔に言うと、実体経済は大事だよということですよね。

 じゃ、所信表明の中で総理がおっしゃられた、三十年来続いてきたコストカット型の経済からの変化が起こりつつあるということをおっしゃられました。この変化というのは何を指しているのか。そして、あと、そもそもコストカット型、コストカット型というモデルがあったのか分かりませんけれども、コストカット型の経済というのは何を指していて、それがなぜ起こっているのかというのはどのような認識か、お答え願います。

新藤国務大臣 コスト型の経済というのは、一九九〇年代のバブルの崩壊以降の長引くデフレ、そして、企業は足下の収益確保のために賃金や成長の源泉である投資を抑えた、そして、結果が、消費の停滞、また経済の体温であります物価の低迷、そして成長の抑制、こういう悪循環に陥って、結果としてのコストカット型、コストカット型を目指したわけではなくて、結果としてそうせざるを得なかったということだと私は承知しています。

 そして、こうした経済から、賃金と物価が好循環する中で消費とそれから投資が力強く拡大する、こういう新しい、成長と分配の好循環をつくる経済、これをつくりたい、こういうことでございまして、そのためには、やはりまずは物価高対策、そして、減税措置による、国民の負担を少しでも軽減をするということをやりながら、構造的賃上げとそれから供給力強化のための国内投資の拡大、こうしたものを、一連のものを今回の経済対策に織り込みたい、このように考えているわけです。

藤田委員 それでは、確認なんですが、今おっしゃっていただいたのは、コストカット型経済というのは、別にそういうモデルがあるわけじゃなくて、過去の現象と今のトレンドを説明している言葉なんだという話でしたね。

 つまり、投資や消費が起こらなくて賃金もなかなか上がらなくてデフレが続いてきたということをコストカット型経済と呼んでいて、それがちょっと上向いているよ、ここから抜け出せるんじゃないかとおっしゃられているんですが、総理は、ずっと新しい資本主義、つまり新しいモデルに転換していこうというように私は受け止めているんですけれども、例えばこれまでの経済対策、つまり直近の安倍政権、菅政権の経済対策との違いというのはあるんですかね。

岸田内閣総理大臣 御指摘のコストカット型経済、デフレの悪循環が続いてしまった、これで日本経済は苦しんできた、こういったことでありますが、それに対して、経済の好循環を取り戻さなきゃいけないということで、この二年間、賃上げと投資の部分に官民での協力、力を結集してきた。こういった新しい資本主義の考え方に基づく経済政策を進めることによって、ようやく賃上げについても三十年ぶりの動きが見えてきた、民間においても百兆円の過去最高の民間投資が見込まれている、三十年ぶりの株価、また五十兆円に上るGDPギャップも今解消しつつある、こういった傾向が出てきたと思っています。

 ですから、今回の経済対策が過去の経済対策とどこが違うのかという御質問ですが、まずは、今のこの経済の状況を来年に向けてしっかり持続させなければならない。だから、供給力の強化が重要だということを一つ申し上げると同時に、今、世界的なエネルギー危機を背景とする物価高に国民が苦しんでいる。今の現段階では、賃上げの明るい兆しが見えたといいながら、まだ物価高に賃上げが追いついていないからして、この時点においては、一時的に国民生活を支える支援策を国として用意しなければいけない。この二つがポイントということになっています。

 かつての経済政策、コロナの時代においては、大きなGDPギャップを埋めるという意味で、経済対策の主眼はそちらに置かれていたこと等々も比較して、今回の経済対策は大きくポイント、目的が違っていると考えます。

藤田委員 何か余り違いがよく僕は分からなかったんですけれども、分かりましたか、皆さん。余り分からなかったんですけれども。

 アベノミクスと銘打たれていろいろやられていましたけれども、金融緩和で指標を整えて、財政出動で背中を押して、成長戦略をいっぱいやっていこう、そして、構造改革を頑張っていこう、こういう話だったと思うんですね。幸か不幸か、やはり財政出動が相当この近年ありましたから、少し指標がよくなっているというところで、今の話を総合すると、やはり、政府が、ある種かなり大きな政府的な発想でいろいろなところにばらまいていこう、投資を官が中心となってやっていこうというようにやはり何か聞こえるんですが、ちょっと次の質問に行きたいんです。

 税収増、しましたね。税収増について、それを還元しようという、還元という言葉を使われました。じゃ、この税収増の主な原因というのは何と認識されているか、お答え願います。

鈴木(俊)国務大臣 近年の税収増の主な原因でありますが、令和二年度決算から令和四年度決算にかけて、一般会計税収全体で六十・八兆円から七十一・一兆円へと十・三兆円増加しております。

 増加した十・三兆円の主な要因でありますが、雇用、賃金や配当の増加等による所得税の増加によって三・三兆円、好調な企業収益等による法人税の増加によって三・七兆円、消費の拡大等による消費税の増加で二・一兆円となっております。

 近年の税収増は、何か特定の要因によるものではなくて、全体的な経済成長によるものだと考えているところであります。

藤田委員 消費税も法人税も所得税も増えたという話だと思うんですね。

 ちょっと見てみると、さっきちょっと御案内いただいたみたいに、もう一回おさらいすると、令和二年から三年で六・二兆円、決算税収が増えているんですね。令和三年から四年で四・一兆円が増えている。

 この令和三年までに増えるに当たっては、令和二年の経済対策が恐らく利いてくるわけなんです。そうすると、令和二年はかなり財政出動しました。一次、二次、三次で約七十兆円以上ですね。それから、令和三年の分が四年の税収に利いてきますから、令和三年は三十兆円強という形で、その次も約三十兆円という形なんです。合計百五十兆ぐらい使っているわけなんです。

 ちょっと見ていただいたらいいと思うんですが、これは補正予算と予備費のグラフなんですけれども、これはちょっと形が違うと思うんですね。

 つまり、マクロ経済に対してのインパクトというのはめちゃめちゃ大きいはずなんです、これは。簡単に言うと、ちょっと内閣府の試算とかをいろいろ見ていますと、そもそも、経済対策を打つと、これは、経済対策を効果的にしないといけないから、どれぐらい例えばGDPの押し上げ効果があるかというのは元々試算されていて、出ているんですよ。GDPの押し上げ効果、そこから、GDPが増えたら、税収弾性値に沿って大体税収がこれぐらい返ってくるよというのは予測できます。

 そうすると、内閣府の試算ですよ、内閣府の試算で係数を入れて簡単に計算すると、令和二年から三年で、大体予測で五兆から六兆円ぐらい税収が増えるだろうというのは、既にこれは計算したら出るわけですね。それから、令和三年から四年でいうと三兆から四兆ぐらい増えるというのは、これは明らかなんです。これが増えなかったとしたら、最初に言っていた経済対策が間違っているということなので、恐らくこれは合っているんですよ。

 ほかにももちろん様々な要因はありますよ。ありますが、これだけインパクトが大きくて、百五十兆ぐらい配って十兆ぐらい増えたというのが、私は一番影響が大きいんじゃないかと思うんですね。

 これは、コロナで相当へこんだ経済を、ダメージを最小化するために、私は、全否定はしないし、よかったと思います。ただし、そうやって、本来だったら予測されているものが、これが、税収が皆さんのおかげで増えた、それを還元しますといって安易に減税する又は給付するということが、中長期の経済政策として合っているのかどうかという疑問に私たちは答えないといけないと思うんですね。

 つまり、国民への還元と言うが、赤字国債をばらまいて、一部返ってきて、それをまたばらまく、こういう何か安易な政治になっているんじゃないか、それを見透かしていて、国民の皆さんは、政府が考える経済対策、減税されるんだから本来皆さん喜ぶはずなのに、これは反対ですよ、おかしいんじゃないかという声がこれだけあるんじゃないですかね。どうですか、その辺りの認識をいただけますか。

岸田内閣総理大臣 過去の経済対策によって、かつて五十兆円あったGDPギャップ、これを埋める、こういった取組は進みました。

 そして今、GDPギャップ、ほぼ解消できたという状況の中で、まずは、基本は供給力の強化であるということを申し上げています。

 すなわち、日本の経済、生産性を更に高めることによって、賃金上昇も持続可能なものにするために経済を成長させなければならない、この力点はそっちに移ったということを基本に申し上げています。ただ、その際に、物価高騰にまだ賃金が追いついていない現状においては一時的な国民への還元が必要だということを申し上げています。

 過去の経済対策とは、基本、力点の置きどころが違っている、これをまず説明した上で、これを来年につなげられるかどうかが大事だということをしっかり訴えていきたいと思っています。

藤田委員 では、次につなげていこう、来年以降につなげていこうということですが、補正予算の考え方について少し質疑したいと思います。

 補正予算は、財政法二十九条で、当初予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった、緊急性かつ必要性がある、そういうものに限られる、そういうものに適用しましょうというルールがあるんですね。

 総理は、答弁の中で、GDPギャップが解消されつつある、供給力を強化しないといけない、中長期的なインフレ圧力に強い経済体質をつくる必要がある、だから将来の投資に資する分野に厳選して対応するというような趣旨をお答えされています。それから、様々な社会課題が深刻化される中で、デジタル、自然災害云々、いろんな対策をやっていきますよ、国民にとって真に必要で効果の高い具体的な政策を積み上げる中で、歳出構造の平時化を図るというふうに言っているんですが、私には、つまり何でもありかなというふうに聞こえるんですよね。

 例えば、十月十七日に自民党の政調会の提言がありました。部会からたくさん提言が出ていまして、それは数字は入っていないですけれども、様々な分野に、ここにお金をつけた方がいいよというペーパーが出てきまして、十五部会ですか、それから各省庁の予算の取り合いなのかなというふうに見ざるを得ない。自民党のそのペーパーにはこう書いてあります。「必要な施策・予算は、躊躇なく積み上げる」と書いてあるんですね。

 でも、この原理原則に基づくならば、総理が出された五要件ですね、五つの対策、物価高、持続的な賃上げ、国内の投資促進、人口減少を乗り越える社会変革、それから国民の安心、安全の確保、ここには国土強靱化、外交、安保、食料安全保障、不登校、いじめ、孤独・孤立対策まで含まれているわけです。これは、私は、どう考えても補正予算ありきで、還元しようという、減税は少しやりながらも、ここの補正予算はもうゆるゆるなわけですよ。省庁からしたら、当初予算はなかなか通りにくいから補正予算でがっぽり取ろうという形で、とにかくいろんな陳情を盛り込むということが常態化していませんかということを私は問いたいんですね。

 だから、何でもありになっていないかということでありますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 補正予算であるから喫緊性が大事だという委員の御指摘、それはそのとおりだと思います。

 だからこそ、こうした項目についても、物価高騰への対応、そして賃上げの継続、拡大への対応、こうしたものが早急に求められるということを申し上げているわけでありますし、GDPギャップが解消される中にあって、供給力を強化しなければならない、インフレ圧力に強い経済をつくっていくこと、これも緊要な課題であるということを申し上げているわけでありますし、デジタル技術等を通じた社会的な変革、そして、自然災害に対する対応、安心、安全、これはもういつの時代も喫緊の課題であります。こうした項目を挙げて、なおかつ、その中で、経済対策としての緊要性、これをしっかりと加味した項目は何なのか、これを今、厳選しているところです。

 是非、十一月二日に向けて、経済対策、しっかり取りまとめていきたいと考えています。

藤田委員 つまり、何か、森羅万象、喫緊の課題であるというふうに受け取らざるを得ないような形で。

 これは、お聞きしたいんですけれども、では、それが部会で上がってきました、いろんな項目が書いてあります、それにバツをつける、そういう取捨選択する仕組みはあるんですか。

岸田内閣総理大臣 政府・与党連携して、最終的に経済対策を取りまとめなければなりません。全部政府が受け入れるなどということはあり得ません。

 経済対策の規模を含めて、経済に対する影響等もしっかりと考えた上で、その中に何を入れるのか、最終的に国民の皆さんの理解も得なければなりません。そういった観点から厳選してまいります。

藤田委員 厳選すべきだと思います。

 そこで、我々も経済対策案を出しました、対案として。インフレ局面に少し入りつつあって、景気回復フェーズとも呼べるかもしれない。物価高に賃金が追いついていない、つまり、少しインフレが上がっている中に、お給料がなかなか伸びるのが、これは遅行指数ですからしようがないんですよ。だから、これを埋めていこうというところに、私は、そこに集中してこの補正予算、経済対策をやるというのが一番選択と集中でよいんだというふうに思うんですね。

 加えて、賃金の問題は構造的な問題でありますから、今日はちょっとやりませんけれども、やはり、この労働者不足の時代に、労働移動を活性化させる、それから持続的な賃上げをするチャンスでもあるわけなんです。だから、労働市場の流動化のための労働法制、それからセーフティーネットの再構築というのはやるべきなんです。

 そこで、政府の対策案で賃金についての手当てをやろうということも盛り込まれていますから、その中で、所信表明では、現役世代の国民の努力によってもたらされた成長による税収の増収分の一部を公正かつ適正に還元し、物価高による国民の負担を緩和いたしますというふうに言っているわけなんですけれども、公正かつ適正な還元というのは、これは多分この給付又は減税を考える上で大事なコンセプトだと思うんですが、これはどういう考え方か、お示しいただけますか。

岸田内閣総理大臣 公正かつ適正にと申し上げたのは、まずは、過去二年間の増収分の一部について、できるだけ分かりやすくお返しすることによって国民の皆さんの可処分所得をしっかり確保することが物価高対策として重要だという考え方に基づいて、国民の皆さんからいただいた所得税、住民税、約三・五兆円の増加したものを同じ所得税、住民税で分かりやすくお返しするということ、さらには、これは住民税のみを負担されている方も一定程度おられますから、そういった方にも令和六年度から減税の効果をお届けするべく、住民税の減税も組み込んでいくということですとか、それから、給付と定額減税との間には実施のタイミング等が異なるなど隙間が存在いたしますので、両支援の間におられる方々についてもしっかり丁寧に対応するということ、こういった取組について公正かつ適正にという表現をさせていただいた、こういった次第であります。

藤田委員 僕の頭が悪いのか、余りちょっと分からなかったんですが、多分、これはコロナ中もずっと私は指摘してきたんですが、日本の政府というのは誰がどの程度お困りになっているかというのを把握できないんですよ。この人に素早く何か給付を例えばお届けしようというときに、すぐにやるということが、そういうインフラがないんですよね。だから、それを私たちはやはりちゃんと構築した方がいいんじゃないかと。

 じゃないと、どこに何をばらまこうかということが経済対策又は何か危機があったときにずっと議論されていて、そして、起こる声というのが、これはコロナのときもそうでしたが、多い少ないよりも、不公平だ、何であいつがもらえて俺がもらえないんだという声が一番やはり国民の分断を生み、不満感につながるということなんですね。だから、そこについてはやはり考えないといけないと思うんです、中長期的なインフラをどうつくっていくかということで。

 その前に、じゃ、その公平公正なというところで、住民税非課税世帯への給付というのがいつも出てきます。これは、住民税非課税世帯は、よく言われますけれども、高齢者が非常に多い。六、七割ですね。それから、資産を持っている方も非常に多いということで、資産リッチの方にも配ってしまう、そういうデメリットがあります。これは公正かつ適正に当たるんですか。

新藤国務大臣 今回の国民への還元の狙い、これは、デフレ完全脱却のための正念場にあって、賃金上昇をいかに物価高に追いつけるように、しっかりとした国民の可処分所得を増やせるようにお手伝いするかだということだと思います。

 その物価高に最も苦しんでいらっしゃるのは低所得者層の方々ですから、そこに速やかに支援を届けさせていただくということで、これは、まずは、既に措置をしております一世帯当たりの三万円、これを目安にして、地方創生臨時交付金で住民税非課税世帯に対して、これを三万円に加えて一世帯当たり七万円を配ろうと。この方たちは大体約千五百万世帯、二千五百万人です。ここには速やかにまず対応しようじゃないかということでございます。

 それから、成長の果実としての減税、これを、少しでもいっとき定額減税をして、そして、これも可処分所得に充てていただこう。これは、税金の、ある程度、課税の水準が決まりますのが来年の六月ということで、そこから、源泉徴収を始めとして素早くやっていく。これが大体約九千万人です。ここは、お一人ずつになりますから、九千万人がやります。

 今お話がありました所得税の非課税なんですけれども、住民税が均等割のみ課税されている方がいらっしゃいます。それから、住民税と所得税を四万円負担されていない方たちがいる。この方たちを、どうやって公平感を持ってもらって皆さんにこれを措置するか、ここがポイントになってきまして、ここに約九百万人ぐらいいらっしゃいます。

 ですから、ここのところをしっかりと措置したいということでございまして、今委員がおっしゃったように、住民税の課税の有無を基準にすると資産の多寡が考慮されないということになるんですが、でも、非課税世帯、また税の負担の少ない方たちというのは、やはり物価高の影響を大きく受けているという意味では同様のものがあるということで、しっかりとした対処をしていきたい、このように考えているわけです。

藤田委員 つまり、非課税世帯の中で苦しんでおられる方がいらっしゃるから、そこに配るということを優先して、資産を多く持たれている方、本来は多分要らないと思うんですけれども、そこに配るというのはしようがないねと。それはだって、そういう仕組み、幾つかの仕組みの中からチョイスして配るわけですから。

 だから、最初の議論に戻るんですけれども、資産や所得をちゃんと捕捉して、どの人がどの程度お困りになっているかというのを把握するというインフラをやはり国家としてつくらないといけないという問題意識に戻るんですね。

 その中で、我々も提案しています。我々の提案は、メインは、社会保険料を減免したらどうかというのがメインで言わせてもらっております。

 国民に還元するとするのであれば幾つかしか手法はなくて、例えば一律、一律か、どこか選んで、給付する、所得税を下げる、消費税を下げる、それから社会保険料を下げる。

 それぞれこれは特徴がありまして、逆進性というのがよく消費税は言われますけれども、最も逆進性が強いのは社会保険料なんです。この社会保険料は、現役世代、特に低所得者の現役世代にダイレクトにアプローチできるので、非常にこれができたら合理的だと思うんですね。

 ただし、それを本会議で馬場代表から質疑させていただいたら、割とネガティブな御答弁でありましたが、これについての御見解をいただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、経済対策として、困っている方々の可処分所得をしっかり確保しようという考え方においては、委員の今の考え方と、また我々が今考えている方策、これは同じ方向性であるとは考えますが、ただ、その手法が違うということであります。

 我々としては、所得減税等を通じて分かりやすく直接国民の皆さんに対する支援を一時的に行う、そして、その対象にならない方については給付等を考える、こうした方策を考えている。

 委員の方は、御党の方は、要は社会保障費の削減で考えるということですが、この社会保険料の削減ということを考えますと、やはり保険制度でありますから、給付と負担のバランスをよりゆがめるということから、これを一時的に引き下げるというのは、制度の持続可能性として問題があるのではないかと我々は考えています。

 そういった観点から、社会保険料の削減ではなくして、今申し上げているような、減税と給付の組合せが現実的であると考えております。

藤田委員 可処分所得というのは、平たく言うと、お給料から税金と社会保険料を引いたものですね、手残りですよね。だから、税金がどれぐらい取られているかと社会保険料がどれぐらい取られているかということが影響するんですよ。

 総理がおっしゃっていただいたみたいに、方向性は同じじゃないかというお答えをいただきましたが、社会保険料が政策手段として不可能な理由は、給付と負担の対応関係をゆがめる、バランスをゆがめるという話なんですね。

 そこで、今、給付と負担の対応関係というのはどうなのかというのをちょっと議論したいと思います。

 金曜日に最新が出たんですが、社会保障審議会の医療保険部会で、ちょうど先週の金曜日に最新版が出ているんですけれども、ここで非常にいい資料が出ているんです。これは毎年出ているんですが、医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化というものについてなんですが、その前にちょっと一問だけ、その議論に入る前に一問だけ。

 これを見ていただきたいんですが、社会保障給付費は二〇二三年の予算ベースで百三十四・三兆円、非常に大きい額なんですよね。そのうち、年金が六十兆、医療が四十兆、その他が三十二兆ですけれども、これは介護の十三・五兆も含まれると。これは、つまり、保険数理、保険の原理を使って給付と負担を明確にしようというのが確かに盛り込まれているはずなんですけれども、よくよく見ると、保険料は六割、四割は公費、つまり税金なんですよね。だから、給付と負担の対応関係というのは既に半分ぐらい崩れ去っているというのが、これが実情なんですよ。

 じゃ、財源確保における保険、それから税の機能の違いについて、特に保険というのはどういう機能を持っているのか、これを確認したいと思います。保険原理は適切に働いていますか。

武見国務大臣 委員御指摘の、給付と負担の相関関係がどういうものであるのかという点でありますけれども、給付は、御存じのように、年金と医療、それから介護に対して給付として行われていて、これに対して、現行制度でも、所得に応じて保険料を、負担を軽減する仕組みというのはつくっているわけです。

 社会保険制度の仕組みというのは、このように、低所得者の負担、これを配慮しながら、相互扶助の考え方を基盤として必要な保険料を御負担いただくことを基本とするというふうになっているのが基本原理です。したがって、低所得者の負担をどう価値として考えるかというのが非常に重要なポイントになってまいります。

 その中で、現役世代には一定の社会保険料を負担いただいているところ、御提案のように、可処分所得の向上のために幅広い人を対象に保険料の減免を行ってしまいますと、給付と負担の対応関係がゆがめられてしまいます。それぞれの社会保険制度に与える影響が非常に大きくなってしまいますので、保険者の実務上の負担など課題の多いところから、これについては私どもは非常に慎重に検討しているということを申し上げておきたいと思います。

藤田委員 今、後半は、社会保険料の減免というのを経済対策にするということについて、非常に難しいよという趣旨とも取れたんですね。それは確かにそうなんです。それは分かっています、分かって言っているので。

 それは、先ほど言った、逆進性を考えたときに、我々が考えるターゲットに一番合理的に、不公平じゃないようにお配りできる、お配りというか恩恵を与えられるんじゃないかという思想と、もう一つは、今からの議論で、実際に給付と負担の対応関係というものをちゃんと見直しながらこれからの現役世代の負担というものを考えないと、現役世代が無限に、要するに負担をしていけるという元気さがあるのであれば、私はいいと思うんです。ただし、今、現役世代が負担する社会保険料というのは、賃金の上昇を上回るペースで上昇し続けているわけなんです。

 だから、世代間の公平性をどうしていくかという議論や、又は、現役世代の負担をいかに抑制して可処分所得を上げ、消費に回してもらい、その人たちが支え手になるかという構造を考えないといけないんですね。

 そこで、見ていただきたいのが、これは国民の皆さんにもやはり知ってもらった方がいいと思うので、公開データが出ているので再度御説明させていただきますが、さっきは年金も含めて話をしましたが、年金もいろいろ私もずっと取り組んできたので、また次回以降やりますけれども、医療についてちょっと見ていきたいと思います。

 医療費は約四十兆円ですね。そこで公費と保険料というのがあって、ここにも三割ぐらい公費が入っているということなんですが、後期高齢者というのは相当公費で賄われているということなんです。

 これは年齢別で見ると、確かにこれを見ると、この緑の部分が自己負担と保険料なので、下の部分ですね、つまり、現役世代は緑の方が多いので払っている方が多い、だから保険原理が割と働いていると言えるんですが、そこからばあっと増えてきて、高齢者の医療はどう考えても現役世代が負担を支えているというような構造なんですね。

 次に行くと、これはやはり考えないといけないことで、協会けんぽ、組合健保、市町村の国保、ここは現役世代です。これから後期高齢者の医療制度というのが別出しにされていて、ここに後期支援金という、つまり、ほかの保険者さんが実際に集めている中からかなり大きな額、保険料は協会けんぽで八兆円ですけれども、後期支援金二兆円、四分の一は後期高齢者に回るわけなんですね。

 これは、既に、じゃ、この後期高齢者を見た場合に、給付とそれから負担の対応関係というのはありますかね。私はないと思うんですよ。だから、ここをどう考えていくか。つまり、これを許容して保険料を上げるという政策しかできなければ、現役世代の負担は、なぜなら人口が少ないですから、そして高齢者の医療は増えていきますよね、そうしたら、必ず現役世代の負担というのは増え続けるということなんですよ。

 だから、私たちがこの問題意識について、今医療制度改革のタスクフォースを立ち上げて、一つは、こういう給付と負担の対応関係をもう一回見直して、本当に御納得いただける又は持続可能なものをつくれるかどうかという問題意識を持って今から解を出そうとしています。もう一つは産業論で、この給付を抑えるための、例えば医療のDXとか、重複投薬をやめようとか、そういう方につながっていくんですが、まず、この構造、現役世代の負担が恐らくずっと増え続けていくであろうというこういう構造に問題意識はありますでしょうか。

武見国務大臣 先生と私どもはほぼ共通の認識を持っております。

 やはり、後期高齢者の医療制度、圧倒的に七十五歳を過ぎると医療費が集中的にかかってきてしまいますので、その分、こうした他の若い現役世代の方の御負担と御協力によってそれを支える。また、一般の保険者の中を見ても、高齢者の多い保険者というのは、こうした後期高齢者医療制度を使って現役からの御支援を四割いただいて、それから公的なお金を五割いただくという形で、かなり大きく、通常の負担の仕方とは違う形になっています。

 その中で、実際に協力金というのが現役の人たちからこの構造でいくとどんどんどんどん増えていってしまうということは私どもも懸念していて、したがって、令和六年の四月から後期高齢者一人当たりの保険料と現役世代一人当たりの後期高齢者の支援金の伸び率が同じとなるような見直しを行っております。これによって、必要以上にこの両者の格差が広がっていかないように、そして過重に若い世代に負担が広がっていかないようにするという仕組みは一応つくっております。

藤田委員 一応というのが気になるみたいですけれども。

 もう一回言わせてもらうと、要するに保険料や自己負担の部分をちょっと増やそうかという話で、これは焼け石に水になっている感じがあるんですよね。我々は、後期高齢者を支えていかないといけませんから、どう支えていくか、又は、この後期高齢者に提供している医療についての例えば保険点数をどうするかというところまで突っ込んで、この構造自体を私は変えた方がいいと思うんです。

 だから、同じ問題意識とおっしゃっていただいたので、これについては引き続き議論をしたいですが、問題意識はあるというふうにおっしゃっていただいたので、まずは今日はここまでにしたいと思います。

 それから、社会保険料について関連するところで、今日も午前中、他党の議員からもありましたけれども、子供、子育て政策の強化、加速化プランの財源についてであります。

 実際に示されているこども未来戦略会議の資料を持ってきました。ここについては、異次元の子育て政策をやるよ、ここには三兆円半ば、つまり約三・五兆円ぐらいやりますよと。これを、財源はどうするかというと、歳出改革を徹底しましょうと。ただし、ここに「支援金(仮称)」というのがありまして、この「支援金(仮称)」というのは、つまるところ、歳出改革だけで生み出せなかったら社会保険料を上げますよという意味でいいんですよね。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 少子化対策の財源につきましては、委員御指摘のとおり、六月のこども未来戦略方針におきまして、まずは徹底した歳出改革等を行い、その効果を活用しながら、国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指すという基本骨格を示しております。

 その際、構築する支援金制度は、企業を含め、社会経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で広く負担していく新たな枠組みであること、また、社会保険の賦課徴収ルートを活用することとされており、関係省庁と連携をしつつ、具体的な制度設計を速やかに進めてまいります。

藤田委員 今のお話は、つまり、社会保険の賦課徴収ルートを使って新たにお金を取るよという話になるんですよ。だから、実質、社会保険料を上げるのと何が違うんですかね。どう違うんですか。それをおっしゃっていただいていいですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、少子化対策の財源について、まずは徹底した歳出改革等を行って、その効果を活用する中で、新たな支援金制度を構築し、全体として国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指すということとしておりまして、引き続き、年末に向けて支援金制度の具体的制度設計を進めてまいります。

藤田委員 ここの財源は、歳出改革、社会保障の分野での歳出改革をやりましょうということなんですよね。それが駄目だったら支援金という、(仮称)ですけれどもつくろうと。その支援金は、すごく、何か分かりにくく書いていて、税はやらないよ、もう方針が出ていますから、だから新たな制度を使うと。そのルートは、社会保険のルート、つまり社会保険料を払っている人たちを対象に、幾らもらうかを、定額なのか、定率なのか、社会保険料に上増しするのか分からないけれども、これは、実質的に言うと社会保険料を上げるということじゃないんですか。

 だから、私は、別にそれを悪と言っているんじゃなくて、そう言ったらいいと思うんですよ。歳出改革を徹底的にやる、無理なら社会保険料を上げる、だから歳出改革は徹底的にやりましょうと。防衛増税のときも一緒だったんですけれども、結局、歳出改革をやる、でも一兆円ぐらいは別で税金を使いますよと決めてかかっているようにしか見えなかった。だから、これは、支援金(仮称)といってごまかさずに、徹底的に歳出改革をやります、それで賄うんだと。

 だって、今日、負担率は増えないと言っていますよね。それって詭弁なんですか。要するに、決められた、違う枠組みで取るからここの負担率は増えないんだと言い切るんですかね。

 いや、同じことですよね。だから、負担は増えるかもしれない、だから、徹底的にやる、構造改革をやる、業界団体とかが嫌がることでも徹底的にやるんだというふうにやると、私は気持ちいいと思いますけれども、なぜ支援金という、ちょっと分からないような、何かいろいろな人から公平公正にもらい、賦課徴収ルートは社会保険料、つまりそこの枠組みで幾らかもらうんだと。それって実質的に社会保険料の増額じゃないですか。これはどうですか。

新藤国務大臣 少し総括的に……(発言する者あり)私の方が全世代型社会保障担当大臣でございますので、御理解いただきたいんですが。

 とにかく、何度も申し上げておりますように、従来から行っている歳出改革を徹底して行う、これがまず一つです。それから、既定予算の効果というのは、別に、やはりそれぞれ予算には多少の不用がございます、ですから、そういうものも有効に活用できるようにしようじゃないかということが一つでございます。そして、この公費の節減の効果、それから社会保険の負担軽減効果、こういったものを活用する、これが今先生御指摘のところなんですけれども、それは、支援金の総額を歳出改革等による社会保険負担の軽減効果と同規模にするということで、本来この負担をいただいている部分の規模で支援金をつくらせてくれ、こういう話をお願いしているわけであります。

 これに加えて、大事なことは、経済の活性化と経済成長の取組、これをやることで更に財政を強化する、これも重要だと思います。

 そういう中で、全世代型社会保障というのは、今の私たち、そして高齢者の皆さん、それから、将来生まれてくる、そういう世代の皆さんのためにも、やはり全ての世代が負担をうまく工夫しながら社会保障を維持できる、こういう仕組みをつくることが今私たちのこの国の人口構造においてはとても重要だということでございますから、この具体的な中身につきましては年末までにしっかり作業していきたい、このように考えているわけです。

藤田委員 今、経済成長の果実も回していきたいというお話があったんですけれども、何か、私、それだったら、別に悪意があって言っているわけじゃないんですけれども、今回、税収が増えましたよね、これを守っていくんだ、増えた分をここに充てたらいいんじゃないですかね。分かりやすいと思うんですよ。

 だから、何か、ずるいことをしないでほしいというのが僕らの意見で、要するに、ここにお金がかかるんだ、いや、それをなくして歳出改革だけ徹底してやるんだということをやるというのは、それが気持ちいいと思うんです。

 ただ、何か、すごく分かりにくく枠組みをつくって、負担は増えないんだというようなことを言いながら、でも数年先には増えていってしまう、そうやってきたこの三十年でいわゆる国民負担率というのがずっと上昇トレンドを止めることができなかったということを、やめないといけないと思うんですね。

 だから、私たちは、現役世代の負担をいかに下げるか、そのために、いわゆる人口動態が過去のものをベースにつくられた制度、仕組みというので、不具合があるところは英断して変えていこうということこそが構造改革だと思うんです。お金をばらまくことだけじゃないと思うんですね。新藤大臣、お願いします。

新藤国務大臣 今のポイントはとても重要だと思うんですけれども、しかし、なぜ今回、この給付金と減税をやるか。

 それは、まず、物価高に苦しむ、特に、生活に影響が大きな低所得者の皆様方には、これは給付金で素早く出す。それから、今度の減税というのは、四月に賃金上昇のまた新しい流れができます。それが実施を、六月以降、四月からずっと、順次始まっていくことになります。そのときに、可処分所得を増やすことによって、そこで減税の効果を出すことによって、結果的には賃金の上昇を応援する、こういうことにも使いたいということで、総理の方は、まずは給付とそれから減税のタイミング、こういったものを設定したということでございまして、このことで、まずは構造的な賃上げを実現させて、日本の経済の構造改革を進めながら、それとまたもう一つ、社会保障を全世代型の対応にする、これはやはり一つ一つ切り分けて考えていかなきゃならない、このように考えているわけです。

藤田委員 減税も期間限定で、しかも遅い。それは賃上げの効果はあるだろうというお話だったと思うんですよね。

 結局、限定的な期間でやるということであったら、さっきおっしゃられた、社会保険料の減免の方が逆進性があって合理的だよという議論にまた戻るんですけれどもね。それで、いや、給付と負担の対照関係がゆがめられるから。それで、私は議論させてもらいました、給付と負担の対照関係は完璧なのかというと、もうずたぼろなわけですよ。

 そこで、最後に一問やりたいんですが、結局、個人から見ると、社会保険料というのは税金とほとんど同じです、強制的に取られるので。そして、実態で給付も税金が半分入っている。だから、強制的に取られ、しかも逆進性が強い、ここの負担をどうするかという議論から我々は避けて通れないんですよ。

 そのときに一番大事なのは、個人で税を幾ら払い、そして社会保険料を幾ら払い、そして資産が幾らあってということをやはり一元的に管理して、そして本当に必要な人がどこにいるのかということを見極め、そして素早く、給付だったら給付する、減税だったら減税する。いわゆる、減税し、給付するというのは、給付つき税額控除と一緒ですよね、結局。だから、そういう、本当に必要な、そんな、短期的にどこに配るかだけの議論をずっとやっているわけです、この三年間。じゃなくて、そういうことが適正に行われる国家のインフラをつくろうよというのが僕らの意見なんですよ。

 だから、最後の質問は、そういう、デジタル歳入庁と僕は言ったんですが、ちょっと時間がなかったらもう端的に、一元管理をやはりやるべきだと思います、税も社会保障も。これはいかがですか。

小野寺委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、議論の整理としては、国民の可処分所得を増やすための手法として社会保険料を引き下げるということについては、我々はさっき問題点があると申し上げました。その手法は、我々としては、減税と給付金、これを使いたいということを申し上げさせていただきました。

 そして、その上で、今の委員の提案につきましては、要は、一元的に管理する、こういった組織が必要なのではないか。

 これは、組織はともかくとして、社会のデジタル化、デジタル行財政改革、こういったことを進めることによって、より一元的に近い形でこうしたものを情報共有できる、こういったシステムができ上がるのだと思います。

 いきなり組織をつくるというのではなくして、デジタル化を進める中で、あるべき歳出歳入について国としてどう管理していくのか、これが現実的に実現できる体制ができていく、そのためにもデジタル化は進めなければいけない、このように考えています。

藤田委員 時間なので終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて漆間君、一谷君、和田君、藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 まず冒頭、今回の質疑に当たりましては野党各会派から質疑時間の点で多くの御配慮をいただいたことを、まずは御礼を申し上げたいというふうに思います。

 時間に限りがありますので早速質問に入っていきたいと思いますが、まず、先ほど藤田委員との質疑の中でも我が国のGDPの現状について議論がありましたので、私も、冒頭、そちらを取り上げさせていただきたいと思います。

 パネル一を、皆様はお手元の資料一を御覧いただければと思います。

 こちらは世界のGDPシェアの推移というものを表したグラフになるんですけれども、赤い線が日本のものになります。日本のGDPは、一九五〇年には三%、そして八八年には一六%、九四年にはピークとなる一七・九%に達し、それ以降は減少を続け、現在は四・二%まで後退をしている状況にあります。この間、アメリカは一貫して二五%以上のシェア、西欧地域は二〇%以上のシェアというものを維持してきております。

 そして、先ほどもありましたように、先日、IMFの発表によれば、二〇二三年の日本のGDPは、ドイツに抜かれ、世界四位になる見通しであるということも発表がされました。

 日本のGDPが伸び悩み、徐々に国際順位も下落している原因というのは、激しい市場競争の中で企業が中長期的な視点での研究投資、人材投資に資本を投入できなかったことは否定しませんが、一方、日本政府のこれまでの支援が果たして十分だったのか、政府として自国産業を育成するための支援に戦略性があったと感じているのか、総理の御認識を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、三十年来デフレに苦しんできたということを申し上げておりますが、これは、デフレの中で、それぞれ民間企業が苦労し、努力をし、そして賃金、投資すら削って懸命になって生きてきた、こういったことだったと思います。そして、それに加えて、リーマン・ショックを始め外生的な危機もあった、その中で懸命に生きてきた結果であると思っています。

 そして、そのデフレの悪循環、これを脱することが大変重要だということで、賃上げと、そして投資の好循環を実現しようということで、官民挙げて努力してきた二年間であったと思います。そして、今、明るい兆しが出てきた、こういったことでありました。

 デフレ時代において政府の政策も十分だったのか、こういった御指摘でありました。これは、政府の対策も含めて、デフレの中でどう生きるべきなのか、懸命な模索が続いた上での結果だと理解しております。

 基本的には今申し上げたような流れでありますが、その中で、この三十年の長い歴史の中であった様々な対策について検証していく、こういった姿勢は大事ではないかと思います。

 是非、その上で、未来に向けて、いま一度、デフレ脱却を確実なものとして、経済の好循環を実現するために、今正念場を迎えている、是非、こうした中で、しっかりとした議論を深めて、来年に成果をつなげていきたいと考えています。

浅野委員 検証をしていくことは私も大事だと思います。是非伺いたかったのは、現時点で、十分だったのか、それともそう考えていないのかというところなんですが、是非その検証をして、政府として、また総理としても、何らかの反省点、今後に向けた改善点、こういったものが明確になった時点で、また是非そこは教えていただきたいと思います。

 次の質問です。

 総理は、そうした御認識の下でだと思いますが、所信演説の中で、低物価、低賃金、低成長のコストカット型経済から、持続的な賃上げや活発な投資が牽引する成長型経済への変革ということをおっしゃっていました。

 私自身は、その言葉を聞く限り、その方針には賛成をしたいと思います。ただ、先ほどの議論ですと、コストカット型経済というのは、これまでの歴史的経緯を見た中で、その時期、これまでの期間がコストカット型だとみなせるからそういうふうに表現した、そんなやり取りが先ほどもありましたけれども、岸田総理自身、いつ頃からそういった問題意識を持ち始めたのかというところはお聞かせいただきたいと思います。

 また、当初通告をしていた質問ですが、コストカット型経済からの完全脱却に向けて総理が必要だとしているものが、供給力の強化だというふうにおっしゃっているんですが、コストカット型経済を脱して、持続的な賃上げや活発な投資が牽引する成長型経済に変えていくために必要なのが供給力の強化である。この論理が我々にはすっと腹落ちしないんですね、論理の飛躍があるのではないか、その間に総理の、総理自身の様々なお考えがあるのではないかというふうに思いますので、是非その論理をしっかりとつなげるための補足的な説明をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 コストカット型経済という部分、デフレの悪循環という部分につきましては、私も総理になる前の段階において、やはり経済の好循環を取り戻さないと経済は持続可能なものにならないという観点から、やはり、賃金が引き上がることによって消費が拡大し、消費が拡大することによって企業収益が拡大し、企業収益が拡大することによって投資や賃上げの原資となり、それが賃上げ、消費にまたつながっていく、この好循環をしっかりと完成させないと、コストカット型だけでは経済が持続可能なものにならない、こういった問題意識を持っておりました。そういったことから、新しい資本主義という考え方を申し上げ、成長と分配の好循環ということを訴えてきました。

 そして、好循環を実現する上において、特に賃上げの部分とそして賃上げの原資となる成長の部分、この部分に官民で力を結集して盛り上げを行うことによって循環を完成させるきっかけにしなければいけない、こういったことで二年間、賃上げと成長、この部分に特に力を入れて経済政策を進めてきたということであります。是非、この好循環を持続させることが、日本の経済再生にとって、デフレ脱却にとって大切であると考えています。

 そして、委員の方からもう一つ、供給力の強化、これは論理の飛躍があるのではないか、よく分からないということでありますが、好循環を実現する上で、供給力の強化、すなわち日本の経済の生産性の向上こそが賃金の引上げにつながると考えています。

 好循環を実現する上において、今、需給ギャップがほぼ埋まったと言われています。生産性を高めることによって、その原資でもって賃上げを持続可能なものにしていく、そして先ほど言いました好循環を持続可能なものにしていく。そのチャンスを今ようやく得ようとしている、明るい兆しが見えてきている。これを確実なものにするために、供給力の強化を図り、生産性を高め、そして賃金を引き上げる、この動きを持続させていきたいと強く思っております。

浅野委員 少し私もまだ理解がしっかりできていないかもしれませんが、今の最後の総理の答弁を聞く限り、供給力の強化という言葉には生産性の向上という概念が含まれるということであれば、私自身は、生産性の向上自体はこれまでも重要だというふうに議論がされてまいりましたし、確かに私自身もそこが大事だと思っております。

 ただ、供給力の強化とだけ表現をしますと、あたかもサプライチェーン上の生産能力の拡大、確保ですね。直近ですと半導体の品薄の問題などもありました。こういった経緯からも、我々が想像しているのは生産能力の確保であって、生産性の向上というものを意味しているとはなかなか取りづらかったわけですので、是非そこは今後の説明も改善していただきたいと思いますが、何か総理、あれば。

岸田内閣総理大臣 生産性の向上の部分は、言葉を換えて言うならば、企業の稼ぐ力だと思っています。ここを引き上げることによって賃上げにつなげていく、こうした考え方が重要だということで、供給力の強化というふうに申し上げています。

 我が国の経済、コストカット型経済の結果として、潜在成長率ゼロ%前半という状況にある、ゼロ%半ばという状況にあると認識をしております。これを向上させる、潜在成長力を向上させる、企業の稼ぐ力を向上させないと賃金は上がらないということになりますし、賃金が上がらなければ、物価高騰に弱い、すなわちインフレに弱い経済体質を残すことになってしまいます。

 是非、物価上昇に負けない賃上げを実現するために、そしてこれを先ほど申し上げた経済の好循環によって維持するために、今、供給力の強化が必要であるということを申し上げております。

浅野委員 供給力の強化という言葉、生産性の向上という言葉、そして企業が稼ぐ力という考え方、これはしっかり、今後説明するときに、特に産業界、供給力の強化とだけ言われてしまうと、あたかもラインの増強だとか生産能力の拡大、確保というふうに捉えられがちですので、そこは是非、今後説明の際に言葉をしっかり伝えていただきたいと思うんですが、議論全体としてはだんだん整理ができてきたように思います。

 私が今日お伝えしたかったのは、GDPだけではなくて、やはり企業が供給力を強化するだけだと、つまり、私の言い方で言えば生産能力を確保するだけだと、やはり、作ったら売れればいいんですが、売れなければしようがないんですね。

 今の日本企業の時価総額を世界のそれと比べてみますと、やはり日本の時価総額は、今、全企業合計で七百三十兆円程度というふうに言われています。これは平成の三十年間で一・二倍になっているんですね。最初は一だったものが一・二になって、七百三十兆円くらいになった。

 一方で、アメリカを見てみますと、増える割合でいいますと十二倍に時価総額が増えている。GAFAMの五社だけでももう日本企業の時価総額を既に超えておりますし、また、ほかの国、例えば、日本を間もなくGDPで抜こうとしているドイツも、GDPそのもの自体は日本よりも規模が少ないですが、企業の時価総額でいうと六倍に伸びているんですね。

 ですので、時価総額というのはマーケットの企業に対する期待値を表すものだと思いますけれども、それだけ企業がどういった投資を、積極的に投資をしているか、そして新しい価値をマーケットに提供しようとしているのかというものが株価や時価総額に反映されるものだと思いますので、私は、もし総理が供給力の強化という言葉を生産能力の確保として捉えていらっしゃるとするならば、そのときは是非、生産能力のみならず、先ほど総理がおっしゃっていた生産性であったり企業が稼ぐ力とか、あるいは先々に備えた研究開発投資とか、そういったところにしっかりと国のリソースを充てていただきたいということをまずはお伝えしたいというふうに思います。

 新藤大臣、何か先ほどから手を挙げられていますので。

新藤国務大臣 これはとても重要なポイントだと思うんですけれども、まず企業の稼ぐ力を強化する、それは生産性の向上が必要だ、それには投資の拡大と三位一体の労働市場改革、こういったものが必要になってきます。

 ですから、今回私たちが総合経済対策に盛り込もうとしておりますのが、リスキリングによって、まずは雇用者の皆さんの力を蓄えてもらうこと、それから、ジョブ型の職務給の導入によって働きやすい職場をつくっていく、それから、成長分野に労働力を移動してもらう、円滑化をする、こういったことを考えているわけであります。

 そして、大本にあるのは、さっき総理が申しました、潜在成長率〇・五%です。ですから、これを上げるためには、この潜在成長率は、労働投入と資本投入と生産性の向上、この三つです。ですから、それぞれを刺激するために、労働投入であれば年収の壁とか非正規雇用の転換、それから資本投入については国内投資の拡大、そして生産性の向上は科学技術への投資とかスタートアップ、こういうものを組み合わせて総合経済対策を打とうということ、これが総理がおっしゃっていることなんでございまして、用語のことがありましたので少し補足させていただいたわけであります。

浅野委員 ありがとうございました。まあ、でも、非常に大事なことをおっしゃっていただいたと思うんです。ありがとうございます。

 続いて、この供給力に関して、まず最初、一問だけ総理に要望を伝えたいんですが、今、半導体・デジタル産業戦略でも、半導体とかデジタル産業の初期投資支援のみならず、ランニングコスト支援も検討していくことが必要だというふうに書かれてありますが、産業界からの要望として、重要物資である半導体や蓄電池などのサプライチェーンを対象とした初期投資支援というのは今政府の方でも検討していただいているんですが、ランニングコストをできるだけ抑えるための支援税制の創設というのが望まれていますので、これに関する総理の見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘の半導体や蓄電池に関しては、世界各国で立地競争が行われ、大変な国際競争が行われている、我が国としてもサプライチェーンの強靱化に向けて政策を強化していかなければいけない、こういったことですが、その具体策として、大型投資や次世代半導体に対する支援、これはもちろん重要ですが、それと併せて、委員御指摘の、従来の初期投資だけに支援をして、あとはそれぞれの企業の自助努力に任せるという支援だけではなくして、予見可能性を高める観点から、初期投資を行った後、それをビジネスを回していく中にあってもしっかりとした支援を行う。今までこういった税制というのはなかったわけですが、こうした過去に例のない投資減税、こういった措置も用意することによって国際競争力を高めていかなければいけない、こうしたことであると考えております。

 御指摘の取組、予算や税制、さらには規制改革等も含めて、あらゆる面で世界に伍して競争ができる政策パッケージを年内に取りまとめていきたいと考えています。

浅野委員 まず、その際には、先ほども申し上げましたが、重要物資に指定されている半導体や蓄電池等の供給力を確保するための設備に対する支援も是非検討いただきたいということを申し上げたいと思います。

 次は、経産大臣にお伺いしたいと思いますが、現在、電気自動車を対象とした充電、充填インフラ等導入促進補助金というものがあるんですけれども、今年度は、令和四年度の補正予算、そして令和五年度の当初予算から百七十五億円が措置されていますが、ほぼ全て既に今の時点で申請枠が埋まったというふうに聞いております。

 やはり、これからそういった半導体や蓄電池や、あるいはカーボンニュートラルの時代を見据えたときに、この事業というのは大変な今需要がある状況だと思っておりますので、是非、補正予算編成に当たっては追加の措置が産業界から強く要望されているとともに、来年度予算でもより大規模な予算編成、予算確保というものを望まれております。

 このことをお伝えした上で、大臣の現時点での考え方、お考えを伺いたいと思います。

西村国務大臣 まさに自動車分野のカーボンニュートラルを進めていく上で、我々、多様な道筋ということでマルチパスウェーという言い方をしていますが、EVも水素も合成燃料もやる。これは、EVは確かに世界は今物すごく市場が伸びておりますけれども、その電力が石炭とかに頼っていれば何のためのEVなのか分かりませんので、総合的に脱炭素化を進める、いろいろな道筋があるということであります。

 しかし、これだけ市場が大きくなっていますから、EVでも勝つという戦略で、やはりEV自動車の開発、それから、御指摘のあった充電インフラ、これについてもしっかり支援をしていこうということで、まさに車の両輪でありまして、二〇三〇年に三十万口まで充電インフラを増やそうということで取り組んでおります。

 百七十五億円の今手当てしておる予算は、もうこれを超える応募がありますので、投資意欲は非常に高いということであります。今回の経済対策において、こうした対応を更に拡充していくことを今検討しております。

 まさにこうした分野の投資を増やすことが日本の成長につながるということでありまして、GDP上は、何でも投資すればその分はカウントされます。公共事業も一緒ですよね。何でもやれば増えますが、穴を掘って埋める公共事業は全く意味がないわけですね。

 ですから、おっしゃったように、勝てる分野の投資を増やしていく。それがその分野の開発であり、その分野の生産能力を増やすことで世界の市場を取っていく、リードしていくということだと思いますので、意味のある投資、戦略的な投資を、民間投資を促すための予算、補正予算の中でしっかり検討していきたいというふうに考えております。

浅野委員 是非よろしくお願いいたします。

 今大臣も少しおっしゃられていましたけれども、本当に投資意欲を事業者の皆様、あるいは国民の皆様に認知していただいて、積極的に産業転換というものを進めていくというのは大変重要だと思いますし、車体そのものの電動化にばかり注目が集まりがちなんですが、実はこの充電インフラというものが、もしかしたら今後日本社会を動かす情報インフラの一つになるかもしれない、あるいは本当に重要インフラの一つになるかもしれないというふうに言われております。

 接続された車体からの様々な情報、そしてそれらを駆使した国土全体のエネルギーマネジメント、こういった新しい可能性が今次々研究をされておりますので、ただただ電動車の利便性を高めるために充電器を増やすんだだけではなく、今後のこのインフラを活用した新しい産業の創造、その可能性、こういったものを国にも是非検討していただき、情報発信していただきながら、参画する企業の数をもっと増やしたりだとか、国民の注目を集めていただきたいというふうに思います。これはちょっと要望としてとどめさせていただきます。

 次の質問なんですが、こちらもまた今後重要なインフラになっていく可能性があるヒートポンプについて、少し御要望を兼ねて質問させていただきたいと思います。

 今、パネル二を御覧いただきたいんですけれども、こちらはヒートポンプ機器を導入する際に各国がどのような支援をしているかというのを少しまとめた資料になっております。

 大気熱を取り込んで冷暖房や給湯に利用するヒートポンプ機器の普及というのは、今、日本でも補助金が措置されているんですが、執行率がまだ芳しくないことと、あとは、海外に比べると、補助額が一台五万円しか出ないんですね。

 ヒートポンプというもの自体は、市販で購入すると一台百万円程度するものもあるそうなんですが、それに対して一台五万円だと、正直、消費者からすると、それだけではちょっと手が届かないな、そういう、購入意欲が湧かない程度の水準にしかなっておりませんので、ヒートポンプの補助の拡充、そして執行率を改善させるための認定基準の見直し、これを是非、経産省としても検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

西村国務大臣 御指摘のように、ヒートポンプ、省エネを進めていく上、脱炭素化を進めていく上で非常に重要な技術だと思っておりますし、日本は非常に強みも持っております。まさに家庭部門での給湯器の高効率化なんかに使われるわけでありまして、非常に意義があると思っております。

 既に日本は七十万台のヒートポンプ給湯器が販売されておりまして、これは、イギリスでいいますと約十倍日本の方が普及しておりますので、世界的に見ても、技術もそして普及も含めて先進国だというふうに言えると思います。

 この普及を促進するために昨年度の補正予算で補助を新設したところでありますけれども、要件については、省エネ法でトップランナー方式というのを取っておりまして、やはり目標の基準の高いものを応援をするということに絞っております。給湯器メーカーも、より効率のいいものに替えていこうという動きも出てきております。

 他方で、手頃な価格で入手できるようにするのも大事でありまして、ほかの国といろいろ我々も比較しておりますけれども、ちょっと対象が、何か大きな暖房器具を支援するような仕組みもあったりして、一概には比較できないんですけれども。しかし、おっしゃったように、より使っていただく、手頃な価格で導入して、それが脱炭素化につながっていくという視点から、この補助額の拡充を行うことも含めて、今検討、調整を進めているところであります。

浅野委員 是非、拡充を含めた検討を前進させていただきますようにお願いを申し上げます。

 続いては、ガソリンの価格高騰対策について財務大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 パネルの三を御覧いただきたいと思いますが、こちら、今日用意したパネル、資料の右側は、今のガソリンの価格を構成する本体価格や税金の内訳を記載しております。右側には、暫定税率、今は当分の間税率と呼ばれておりますが、これが導入されてから現在までの経緯を整理をいたしました。

 こちらをちょっと御覧いただきたいんですけれども、ガソリン税の上乗せ分、二十五・一円分ですが、これは一九七四年に暫定税率が上乗せされました。そして、来年で五十年が経過する、非常に長い間課税され続けている暫定税率項目になります。

 二〇〇九年には、ガソリン税は、道路整備や維持管理にしか使えない道路特定財源だったものから、何にでも使える一般財源にその使途が拡大をされまして、そのタイミングで、暫定税率と呼ばれていたものは当分の間税率として残されることになりました。

 ただ、そのとき、ガソリン税が国民生活を圧迫しないためのいわゆる安全装置として、三か月連続で平均小売価格が一リットル百六十円を超えた場合に当分の間税率の適用を停止するトリガー条項が創設をされました。国民生活を圧迫しないようにですね。

 その後に発生した東日本大震災の復旧復興のために一時このトリガー条項が凍結されたわけですけれども、全国民で協力して復興財源を確保しようということで凍結されたんですけれども、今なお、この凍結が解除されない状況で今に至っているということなわけです。

 東北地方の復旧復興作業は、御存じのとおり、着実に前進をしておりますし、道路インフラ等に関してはかなり現地は整備が進められてきました。一方、今、現下、国民にとっては、暫定税率が創設された当時は存在しなかった消費税が新たに設けられ、そして昨今の国際情勢も踏まえてガソリン価格が非常に高騰して、国民生活が現に苦しい状態に陥っています。

 このトリガー条項の創設経緯、やはり国民生活を圧迫しないように安全装置としてつけられたという経緯。また、この復旧復興の作業が一定程度進んでいるという現状。そして、国民生活が非常に苦しいとされている今の、現下の状況を考えると、なぜトリガー条項の凍結解除ができないのか。激変緩和の必要性があるというのも分かるんですが、そもそもこの制度は国民生活を圧迫させないように設けられた安全装置なわけです。それが凍結された理由も今かなりなくなってきています。むしろ発動させる必要性の方が増えてきている。

 なぜ凍結を解除できないのか、財務大臣に説明を求めたいと思います。

鈴木(俊)国務大臣 浅野先生から、トリガー条項についての今までの経緯でありますとか、その意味合いについてもお話をいただいたところでございますが、政府といたしましては、トリガー条項の発動は見送るという立場でございます。

 同じ答弁になって恐縮でございますけれども、今、ガソリン価格の状況、これまで燃料油激変緩和事業によりまして、原油価格高騰による国民生活や経済活動への影響を緩和してきておりまして、今般策定をいたします経済対策におきましてもこの措置を来年春まで継続することといたしております。

 その上で、トリガー条項でありますけれども、国民民主党を含めた昨年四月の三党検討チームにおきまして検討が行われ、補助金と異なり、揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税がかかっていない重油、灯油について対応することができない、発動、終了時の大幅な価格変動により需要が大きく変動して、それに伴う配送の乱れや品不足といった流通や販売の現場に与える影響が大きい、ガソリンスタンドと元売の顧客対応を含めた事務負担が大きいなどの課題というものが存在をし、発動に際して解決するための具体的な方策について結論を見出すに至っていなかった、そのように承知をしているところでございます。

 こうした課題が解決されればいいわけでありますが、解決されないという以上、政府としてはトリガー条項の発動を見送るという方針でいるわけであります。

浅野委員 ただ、このトリガー条項、国民生活がやはり現に苦しいという状況になっている中で、トリガー条項を発動したときの現場の混乱というのは当初から指摘がされて懸念がされてきたことではあるんですけれども、これは、トリガー条項が、その解除の仕方を工夫すれば十分に回避可能ではないかという意見もあります。段階的に移行するだとか、そういった点も是非今後しっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。

 やはり、来年の春まで今の補助金政策を継続するということだそうですが、じゃ、その後、もしそのときまた同じ状況だったらどうするのか。いつまでもいつまでも我々の国は補助金による価格抑制策を続けていけるのか。ほかの国に目を向けてみますと、やはり、補助金ではなく、国民全体で、あるいは政府も一緒になって負担を分かち合っている国もあります。我々は、トリガー条項の解除以外に、元々あるこのガソリン税の上乗せ分、暫定税率、当分の間税率を廃止すべきという主張もしておりますけれども、その決断をするべきではないかということも併せて申し上げたいと思います。

 ちょっと次のパネルを御覧ください。

 トリガー条項の解除も当面の間税率の廃止も、効果としては同じ効果をもたらすものでありますが、こちらの資料を見ていただくと、黒い線はレギュラーガソリンの、補助金が入る前の実際の価格だということです。そして、政府の補助金が入ることによって赤い線になっておりまして、さらに、我々が提案するトリガー条項を解除、若しくは当分の間税率を廃止して二重課税も解消するとすれば、この青い線のようになります。

 確かに浮き沈みは激しいです。マーケットの取引価格に応じて価格が変動しますので、変動幅は大きくなるわけですが、平均値としては下がります。やはり、会社の経営とか個人の生活を考えたときに、毎日毎日幾らで買うかよりも、一年間通して使ったときにどれだけ安く使えたのかという方が大事だと我々は考えております。

 この廃止をすれば、今、現に、政府のガソリン税の税収、石油石炭税合わせて大体三兆円ですけれども、その代わり六・二兆の補助金が出ていますので、収支としてはマイナス三兆円。一方で、税金を取らなければ、廃止すれば、税収は約二兆円まで減りますが、支出は大幅に抑制することができます。具体的には、地方財政支援の五千億円程度を見積もれば、それでもプラス収支。にもかかわらず国民の負担はこれだけ下がるというやり方ですので、是非、政府には、当分の間税率の廃止、二重課税の廃止、これを早期に決断していただきたいと思うんですが、政府の見解を伺いたいと思います。

鈴木(俊)国務大臣 浅野先生から、当分の間税率、これを元に戻す、それによって補助金も廃止することができるのではないか、こういうようなお話だったとお聞きいたしました。

 当分の間税率と補助金の両方を廃止するとのことにつきましては、国の財政事情を御勘案いただいたものであると考えておりますけれども、双方を廃止した場合には、補助金の国費負担が軽減されるのは事実でありますけれども、その場合、足下の燃料価格や補助金の支給水準を前提に機械的に計算をしてみますと、ガソリンは一リットル当たり現在の百七十三円から百八十三円へ、軽油は百五十三円から百七十一円へ、灯油は百十六円から百五十一円へと大幅に上昇することが機械的な計算からは出てくることになるわけでして、こうしたことを申し上げなければならないと思います。

 政府といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、当面、現行の燃油高騰対策は継続する必要があると考えておりますが、あわせて、出口戦略を描くこともこれは重要であると考えております。原油価格の動向等を注視しつつ、関係省庁と連携をして必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

浅野委員 このガソリン対策の議論はまだまだやりたいんですけれども、ちょっとほかのテーマもやりたいので、また今後改めて議論をさせていただきたいと思います。

 次の質問ですが、資料の五番を御覧ください。次は、電気料金に対する支援の話になります。

 現在、電気代についても全国で補助金、補助が出ておりますけれども、これは問題と、前回も私、一月にも指摘をさせていただきましたが、指摘をしたいのは、全国統一で支援をされているんですけれども、電気代の上がり幅というのは地域の電力会社によって異なるという問題です。

 つまりは、上がり幅が少ない地域でも大きな支援額を受けておりますし、上がり幅がとても大きな地域ではそれを十分に吸収できるほどの支援に至っていない、地域に応じた支援をすべきじゃないかというふうに前回も御指摘をさせていただきましたが、そのとき大臣は、迅速に対応するために、迅速性を重視して今回は全国一律とするという答弁をされました。

 もうそれから十か月、そして、来年の春までこの支援は継続をされる見通しだそうですけれども、改めて、地域に応じた支援とすべきではないでしょうか。

西村国務大臣 御指摘のとおり、これまで何度かやり取りもさせていただきまして、私から、迅速にということと、それから公平にということもたしか申し上げたかと思います。全国一律の値引き支援としております。

 関連でいえば、全国、電力の自由化に伴って、規制料金だけではなくて、自由な、七百社を超える新電力、何社か供給できなくなっているところも出ましたけれども、自由料金もある中で、様々選択はできるというふうになってきております。

 そうした中で、迅速性、公平性の観点から、そうした新電力も含めて、今、全国一律に支援をしているところでありますけれども、あわせて、地域ごとの差があるという点については、まさに電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、これが活用できることになっておりますので、特に、地域の事情に応じて、高いところについてはこの交付金を活用して、特に電力多消費の産業であるとか、そうした支援が各地で行われているものというふうに承知をしております。

 いずれにしましても、この交付金につきましても、先般総理から表明がありましたとおり、今回の経済対策において追加をするということで調整がなされておりますので、いずれにしても、地域の皆さんに、できる限り負担が下がるような、そして公平な仕組みとなるように対応していきたいというふうに考えております。

浅野委員 今、国としては全国一律に、そして、地域の情勢に応じて自治体による支援をということで、大臣、答弁されましたが、実際には、それが本当にできればいいんです。ただ、私が現場で聞いておりますのは、やはり、自治体が地元の事業者等に支援をする金額の規模、これがとても小さいので、もう焼け石に水で、全くその地域事情を吸収し切れていないという現状なんですね。

 ですので、是非、今後、経産委員会等でも議論できればと思いますが、地方自治体が支援をする分の交付金の増額、あるいはその内容の拡充を含めて、是非検討いただきたいということを申し上げたいと思います。

 残り時間が僅かになってきましたので、最後になるかと思いますが、現在、医薬品の流通品薄問題が顕著になっておりますので、この点について厚労大臣に伺いたいと思います。

 深刻化している医薬品等の供給不安問題、そして、治療薬やワクチンの研究開発の遅れ、これは、中間年改定を始めとする度重なる価格引下げによる産業全体の体力低下が大きな要因であるということが長らく指摘をされてまいりました。

 我が国におけるイノベーション創出環境を取り戻し、かつ、国民生活に必要不可欠である医療品等の安定供給を取り戻すためにも、中間年薬価改定の廃止を含めた薬価制度の抜本的見直し、これをやはり政府としても本腰を入れるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

武見国務大臣 薬価制度における御指摘のイノベーションの推進と医薬品の安定供給の確保は、共に極めて重要な課題だと考えております。

 これまで、イノベーションを推進する観点から、新薬創出等加算により薬価の引下げを緩和する仕組み等を設けてきております。それから、安定供給の確保の点からは、基礎的医薬品や不採算品再算定により、医療上必要な医薬品の薬価を維持又は引き上げるといった対応もさせていただいておるところであります。

 令和六年度薬価改定においては、これらの点を含めて検討することとしております。国民皆保険の持続性とイノベーションの推進を両立するとともに、安定供給の確保を図る上で、国民が必要な医薬品を使用できるよう、引き続き中医協において必要な議論を行ってまいります。

 なお、中間年改定については、市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するという役割があります。平成二十八年の四大臣会合、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針に基づきまして、令和三年度から実施しているものでございます。例えば、令和五年度の中間年改定におきましては、あわせて、安定供給への対応やイノベーションへの配慮といった観点から、臨時特例的な措置も講じております。

 今後とも、国民皆保険制度の持続性とイノベーションの推進の、この二つの観点から、薬価改定の在り方を検討していくことが極めて重要だと認識しております。

浅野委員 政府としてはいろいろと考えておられるようですけれども、やはり、国民負担を抑えるのは確かに我々も大事だと思います。ただ、現実問題、製薬業界、医薬品を製造している業界からすると、本当にこの毎年改定が予見可能性を低下させている、投資インセンティブを喪失させている。その中で、彼らは今も日本人の健康、生命を守るために活動を続けてくれているわけです。

 是非そのことを十分に踏まえた上で、迅速な検討、結論をお出しいただきますようお願い申し上げて、その他、今日は防災担当大臣、また、こども政策担当大臣にも質問を用意しておりましたが、質問ができませんでしたことをおわび申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて浅野君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 総理、まず、ガザ・イスラエル紛争についてお伺いいたしたいと思います。

 多くの命が奪われ続けております。ガザは壊滅的な人道状況であります。世界中で停戦を求める声が上がっております。

 国連安保理が機能不全の中、国連総会で、即時かつ持続的な人道的停戦を呼びかける決議が採択されました。イスラエル、ハマス、全ての当事者がこの決議に従うべきです。そして、国際社会はこの決議履行に最大の努力をすべきです。

 ところが、この決議に日本政府は棄権をいたしました。総理、なぜ棄権したんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の決議についてですが、同決議は、ハマス等によるテロ攻撃への強い非難や、全ての国連加盟国が国際法に従って自国及び自国民を守る権利の重要性に関する言及がないなど、全体として内容面でバランスを欠いているとしたために、我が国として総合的に判断し、棄権をした次第です。

 しかしながら、同決議に含まれている人道アクセスなど、ガザの人道状況に対処するための重要かつ前向きな要素については、我が国として支持できる内容であり、この点、本決議に対してカナダから提出された修正案、これについては、ハマスによるテロ攻撃及び人質拘束を明確に非難する旨、追加する趣旨がありました。このカナダからの修正案については、我が国として賛成をした次第であります。

宮本(徹)委員 ちょっと説明になっていないと思うんですよね。

 ハマスの三文字は入っていないかも分からないですけれども、この決議の中では、パレスチナとイスラエルの市民を狙ったテロ行為、無差別攻撃を含むあらゆる暴力行為を非難すると書いているわけじゃないですか。人質の解放も入っているわけですよ。ハマスの三文字がないだけで賛成しないというのは、こんなおかしな話はないんですよね。

 総理、今一番大事なことは、今起きている殺りくを止めるために、国際社会が結束して停戦を働きかけることじゃないですか。もしかして、アメリカが反対しているから、アメリカが反対しているものには賛成するわけにはいかない、こんなことで棄権に回ったんじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、ハマスへの、攻撃、そして人質拘束、こういったものについて明確に非難する趣旨、これがカナダ案には盛り込まれていました。こういったことから、カナダ案に我が国として賛成をしたということであります。

 このバランス、今回の中東情勢につきましては、大変微妙なバランスの中に存在いたします。こういった視点も含めて、この決議の内容、この全体のバランスがどうなっているのか、これを総合的に判断することが重要であると認識をしております。

宮本(徹)委員 ハマスの三文字がないからといって、フランスも同じようなことを言っていますけれども、フランスも名指しの非難があった方がいいという立場だけれども、フランスは決議には賛成していますよ。スペインも賛成していますよ。ノルウェーも賛成していますよ。ベルギーも賛成していますよ。結局、アメリカの顔色をうかがっている、こういうことなんじゃないんですか。

 パレスチナ、イスラエル双方との独自の関係を築いてきた日本の立場を生かして、暴力を止め、命を守るために力を尽くすべきだ、そのことを強く指摘しておきたいと思います。

 続きまして、経済対策についてお伺いしたいと思います。

 岸田総理は、コストカット型の経済から三十年ぶりに歴史的転換を図る、こうおっしゃいました。総理、この三十年、一番何がコストカットされてきたという認識ですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたが、デフレの悪循環の中で、賃金、投資、消費、物価、成長、こうしたものがカットされることによって悪循環に陥っていたと認識をしています。是非、この悪循環を断ち切って、成長と分配の好循環に移行していくことが重要であると認識をしております。

宮本(徹)委員 一番初めに賃金を挙げられたように、賃金が一番カットされてきたわけですよね。日本はこの三十年間、先進国で唯一賃金が上がらない国になってしまいました。ここを変えなければなりません。

 どうやって賃金のコストカットが進められてきたのか。リストラであり、非正規雇用の拡大なわけであります。非正規雇用は、雇用者全体の三七%にもなっております。これを後押ししてきたのが歴代の自民党政権です。労働者派遣の自由化など、労働法制の規制緩和を行って非正規雇用を広げてきました。総理、反省が必要です。

 総理、コストカット型経済の転換のためには、非正規雇用を広げてきた政策を抜本的に転換する必要がある、この自覚はおありですか。

岸田内閣総理大臣 デフレの悪循環が続いたその背景として、リーマン・ショックを始め様々な経済危機に見舞われた、その中で、民間企業を含めて、それぞれが生き残るために苦労した、こうしたデフレの悪循環が続いてきた時代が続いたと認識をしています。

 だからこそ、アベノミクスにおいて、デフレではない状況をつくり出そうということで、GDPを高め、雇用を拡大する努力を続けました。女性や高齢者の就労参加、こういったものも進めてきました。そして、岸田政権に入ってから、同一労働同一賃金の遵守徹底、あるいは非正規雇用労働者の正社員化、雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保する観点からも進めてきた、こうしたことであります。

 是非、今回の経済対策においても、こうした同一労働同一賃金の更なる遵守、そして、在職中の非正規雇用労働者に対するリスキリング支援の創設、あるいは正社員化に取り組む事業主を支援する、こうした具体的な政策を盛り込んでいきたいと考えております。

宮本(徹)委員 反省が一言も語られないんですね。

 何か自然現象のようにデフレが続いたわけじゃなくて、デフレを促進するような雇用政策をやってきたんじゃないのか、それを転換する必要があるんじゃないのかということを私は申し上げているわけです。

 正社員化はしなきゃいけない、その認識は総理、お持ちだと思うんですけれども、では、具体的にただしていきたいと思います。

 この間、有期契約の出口規制として、無期転換ルールができました。有期契約が更新されて通算五年を超えたら、労働者の申込みによって、期間の定めのない雇用に転換ができます。

 無期転換ルールがスタートして、有期雇用の比率は、パネルにありますように、若干、三%ちょっと下がりました。ところが、この二年は二五%前後で下げ止まっている状況なわけですね。依然として雇い止めが多く、相談件数も減っておりません。企業の中には、無期転換ルールが適用されないように雇用上限を五年までにしている、こういうところも少なくなく、あるわけですね。

 一方、ヨーロッパの多くの国では、有期雇用については入口規制をやっています。有期雇用は合理的な理由がある場合に限定して、臨時的な仕事などに限っております。常時ある仕事は、正規雇用、無期雇用を原則にしております。

 総理、ここはやはり、歴史的転換と言っているんですから、日本でも有期雇用の入口規制を行うべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 有期労働契約については、二〇一一年に、労働契約法の改正内容について労働政策審議会で検討を行いました。その際に、合理的な理由がない有期労働契約の締結を禁止するいわゆる入口規制の導入、これも議論を行いました。そして、雇用機会の減少などの懸念があることを踏まえて、導入すべきとの結論に至らなかった、こういった経緯がありました。

 他方、公労使の三者で丁寧な議論を行った結果として現行の無期転換ルールが定められており、引き続き、こうしたルールが適切に運用されるよう取り組むとともに、希望する方が正社員として就労することができるよう、正社員化に取り組む事業主への支援、これを講じていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 今のルールを幾ら適切に運用しても、そもそも、そのルールを、適用から逃れる運用をしている企業があるわけですから、どうにもならないじゃないですか。だから入口規制が必要じゃないかということを私は申し上げているわけですね。

 従来どおりの答弁をさっきされたわけですけれども、せっかくコストカット型経済から歴史的転換をするというんだから、どうやったら二五%で下げ止まっている非正規の有期契約の皆さんが正社員になれるようになるのか、もっと法改正も含めて私は考えるべきだと思いますよ。大変消極的ですよ。

 この間、このグラフを見てもはっきりしているのは、出口規制だけでは有期雇用はなかなか減っていかない。やはり入口規制をして、有期契約の濫用を抑制していく必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 加えて、もう一点お伺いしたいと思います。

 これはパネルを御覧いただきたいと思いますけれども、配偶者のいない非正規雇用労働者の所得分布でございます。女性では年収二百万円未満が約六割を占め、三百万円未満が九割以上となります。男性でも年収三百万円未満が八割。今、物価高で大変厳しい生活になっています。

 私たち日本共産党は、最低賃金について、時給千五百円ということをかなり前から申し上げてまいりました。時給千五百円にすれば、フルタイムで年収三百万円になるわけですよ。底上げがどんと図れる状況になります。月でいえば手取り二十万円ぐらいになるわけですね。

 総理も、この夏、ようやく、最低賃金時給千五百円を目指していくということをおっしゃいました。ところが、二〇三〇年代半ばというんですよね。余りにも遅過ぎますよ。

 物価高で国民は本当に大変なんですよ。何で二〇三〇年代半ばなんですか。

岸田内閣総理大臣 最低賃金につきましては、最低賃金法に基づいて、労働者の生計費等を考慮しつつ、着実な引上げを行っていく、こういったために、公労使三者構成の最低賃金審議会の議論が存在いたします。この審議会で毎年賃上げ額について議論をしていただく、この積み重ねによって、二〇三〇年代半ばに全国加重平均が千五百円となるよう目指していきたいと考えております。

 こうした議論の中で、最低賃金のありよう、公労使それぞれの立場から、どうあるべきなのか、これを議論していくことが重要であると思っています。

 そして、政府としては、その環境整備として、三位一体の労働市場改革、あるいは中小企業の省力化投資など、生産性を上げる構造的な改革や価格転嫁対策、これを進めていきたいと考えております。

 最低賃金について、こうしたそれぞれの立場の中で議論が積み上がっていくこと、これを目指していかなければならないと考えています。

宮本(徹)委員 何か公労使の議論に委ねるかのような発言で、総理が指導力を発揮して何かやっていくという姿勢が全然見えないんですよね、もちろん公労使の議論は大事ですけれども。

 今年、四・三%最賃を引き上げましたよね。毎年四・三%引き上げたら、二〇三〇年代半ばよりももうちょっと早く実は千五百円になるんですよね。ということは、今年の最賃引上げペースよりも落とすということを、この二〇三〇年代半ばというのは、総理、言っていることになるんですよ。本当に最賃引上げに後ろ向きと言わなければならないと思います。

 大体、総理は本会議で、国民民主党の玉木さんの質問の答弁でこう言っていたんですよね、賃上げにあらゆる政策手段を集中的に講じていきたいと。二〇三〇年代半ばに千五百円というのは全然集中的じゃないですよ。海外の最低賃金を見てくださいよ。フランス、イギリス、ドイツ、ニュージーランド、オーストラリア、最低賃金、時給二千円前後、こういうところまでなっているわけですよね。こういうところまですぐにやれとは言いませんけれども、千五百円ぐらいは速やかにやらなきゃいけないと思うんですね。

 これは、働いている側の立場からしたら、当然の、必要な金額だと思います。ただ、その際には、事業者は支援が必要になります。事業者は最賃引上げの直接的な支援を求めております。

 今年の中央最低賃金審議会の公益委員見解にこうあります。赤字法人においても賃上げを促進するため、更なる施策を検討することも必要である、更なる施策を検討せよと。地方最低賃金審議会の答申でも、四十一都道府県が中小企業への支援策を求めています。そして、二十五県が税、社会保険料の減免を求め、昨年よりもこの数は大きく増えております。

 総理、賃上げにあらゆる政策手段を講じていくんだ、集中的に講じていくんだというんですから、最低賃金引上げについてもこれまでにない大規模な支援をどんと行って、思い切って最低賃金を引き上げる、ここに踏み出すべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 まさに委員御自身が御指摘されたように、この最低賃金の議論においては、働く方々、労働者の立場もありますが、地方の多くの中小零細企業を始め、事業者の立場にもしっかりと議論を広げていかなければならないと考えています。ですから、公労使三者の議論が大事だと申し上げています。

 そして、事業者の立場ということで、先ほど申し上げました、政府の対策として、中小企業の省力化投資支援ですとかあるいは価格転嫁対策、こうしたものをしっかりと環境整備として進めていく、そういったことによって、事業者の立場からも、最低賃金、この引上げに向けてしっかりと対応できる環境整備を進めていくことが重要であると考えています。

宮本(徹)委員 だから、価格転嫁対策は大事ですよ。もちろんそれは大事ですよ。省力化投資も大事ですけれども、もっと大胆な、大規模な支援が必要じゃないかというのが、最低賃金審議会で中央からも地方からも上がっているじゃないですか。なぜ、あらゆる政策手段を集中すると言いながら、そんなしょぼしょぼの支援しか出てこないんですか。

 私は、毎年二兆円規模、五年間で十兆円の、最賃引上げに当たっての事業者への支援をやろうということを何度も提案していますよ。そういう規模での支援をやって、事業者の皆さんも働く側も、どっちもウィン・ウィンの形で最低賃金を引き上げていく、これを目指すべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 事業者の立場にも配慮して環境整備に努めなければならない、これは御指摘のとおりであります。だから、今回の経済対策においても、供給力の強化、すなわち企業の稼ぐ力、これを伸ばさなければならないということで、様々な政策を用意して経済政策の中に盛り込んでいく、こういったことを申し上げております。

 そして、その中にあっても特に中小零細企業に対する様々な支援が必要であるということで、省力化対策ですとかあるいは価格転嫁対策ですとか、こうした対策が重要であるということを申し上げています。

 是非、経済対策全体の中で、事業者に対する支援もしっかり用意することによって、結果として賃金が引き上がる、こうした目標に向けて前進できるよう努力をいたします。

宮本(徹)委員 ですから、省力化対策だとか価格転嫁対策だって大事だとは認めますよ。でも、その程度の支援では、最低賃金を思い切って上げられないじゃないですか。

 もう本気で、やはり、あらゆる政策手段を集中的に講じていくというんだから、本気で最賃引上げ、賃金引上げ、そのための事業者への支援も含めてやっていただきたいと思いますよ。コストカット型経済から歴史的転換をするんでしょう。歴史的転換じゃないですよ、総理の言っている中身は。従来の延長ですよ、はっきり言って。

 何かいろいろ言っていますけれども、次に行きます。

 もっとひどいコストカットは、公務労働でございます。

 地方自治体では、正規職員が十五年間で二十八万人減りました。非正規職員は二十四万人増えました。賃金総額は二兆円以上カットということになっております。市区町村では非正規職員が四割を超えております。

 総理、民間には非正規労働者の正社員化を求めながら、政府、自治体が非正規雇用を広げるというのは、これは筋が通らないと思うんですね。

 時給で比べると、非正規は正規の四三%、これは民間以上の格差があります。昇給には上限が設けられて、大体数年で頭打ち。四人に三人が年収二百五十万円以下となっています。そして、任用は会計年度単位。自分の就いているポストが、毎年、三年ごとなどに公募にかけられます。現職が公募に応じても任用される保証はなくて、雇い止めの不安を持ちながら働いている。はむねっとという団体の調査では、長く勤めてきた人ほど雇い止めになる傾向があると表れております。

 これはメディアでも報じられましたけれども、今年三月末で二十二年勤めてきた図書館の司書が雇い止めになりました。毎年新たに出版される児童書数千冊を読んで、学校に推薦リストを提案してきた。経験も積んで、専門性を持った方です。こういう方が雇い止めになるというのは、子供にとっても市民にとっても本当に損失だと思うんですね。

 総理、コストカット型経済から転換するんだ、そう言うのであれば、非正規公務員も、正規化、待遇の抜本的改善、これに戦略方針を持って政府として取り組んでいく必要があると思うんですが、いかがですか。

武見国務大臣 恐らく同じ趣旨の話だと思いますけれども。

 公務員の中で、実際に非正規職員を、どのように増やしていくかという御質問の中で、具体的事例として、ハローワークの件を御説明しようと思っているんです。(発言する者あり)

小野寺委員長 大臣、今の質問に対して御答弁できますか。今の、御答弁できますか。

 それでは、総務大臣鈴木淳司君。

鈴木(淳)国務大臣 地方自治体の運営は任期の定めのない常勤職員を中心とすることが原則でありますが、多様化する行政需要に対応するため、各団体におきましては、常勤職員に加え、非常勤である会計年度任用職員等が地方行政の重要な担い手となっていることを認識しております。

 会計年度任用職員の給与につきましては、令和二年度の制度導入時から、期末手当を支給できることとしております。本年五月の地方自治法の一部改正によりまして、令和六年度から勤勉手当を支給することができるなど、適正な処遇の確保、改善に取り組んできたところであります。

 いずれにしましても、女性が多くの割合を占める会計年度任用職員の任用の適正化や処遇の改善については、今後ともしっかりと対応してまいります。

宮本(徹)委員 勤勉手当を出すのも大事ですけれども、勤勉手当を出したからといって、基本給のところでの巨大な格差は残ったままなんですよね。賃金が途中から上がっていかないわけですよ、会計年度任用職員の皆さんは。ですから、ここを私は変えていかなければならないということを先ほど申し上げたわけですよ。これは、総務大臣がそういう姿勢ですからね。

 でも、総務大臣は、常時ある仕事は常勤だという話をされましたよね。常時ある仕事が会計年度任用職員になっているんですよ、様々な仕事が。これはちゃんと総理がイニシアチブを発揮してやらないと直らないですよ。

 総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今総務大臣から答弁させていただきましたように、会計年度任用職員については、制度がスタートした段階から期末手当の支給を可能とし、勤勉手当についても令和六年度から支給できるよう法改正を行うなど、改善に取り組んできたところであります。

 地方自治体において、常勤職員に加えて、非常勤である会計年度任用職員などが地方行政の重要な担い手となっている、こういった状況もしっかり念頭に置きながら、会計年度任用職員の処遇の改善に努めなければならない、このように思っています。

 そして、女性が多くの割合を占める非常勤職員の任用の適正化、そして処遇の改善、今後とも対応してまいります。

宮本(徹)委員 処遇の改善ということを言われるわけですけれども、私は、やはり基本は、常時ある仕事は正規にすべきだというふうに思うんですね。

 非正規の割合を見ると、保育士でいうと五六%、図書館職員は七三%、スクールソーシャルワーカーでいうと九四%。会計年度任用職員の皆さんが担っている職種は、専門性や継続性が求められる職種も多いわけですよ。例えば、引きこもり支援の職員に、自分は翌年度は関われないかもしれない、こんなことを思わせながら働かせるというのは、私は間違っていると思いますよ。

 国会でも決議が上がっているんですね。例えば、消費生活センターの消費生活相談員、二〇〇九年の国会の附帯決議にこう書いていますよ。正職員化を含め雇用の安定を促進するための措置を早急に講じること、こう決議があるんですけれども、その後も非正規は増え続けて、消費生活相談員の八三%が今非常勤ですよ。

 総理、国会決議にも背く事態で非正規がどんどんどんどん広がっている。やはり国として、財源の手当ても含めて、ちゃんと正規雇用の責任を果たすべきじゃありませんか。

自見国務大臣 消費生活相談員は、地方消費者行政の立場で消費者からの直接の相談に対応するなど、重要な役割を担ってくださっております。

 消費生活相談は自治事務でございまして、消費生活相談員の任用は、地方公務員法等に基づき、各自治体で検討されるものではございますが、その職務と能力に見合った処遇となることが非常に重要でございます。

 そのため、消費者庁といたしましても、御指摘の平成二十一年の附帯決議も受けまして、平成二十六年に消費者安全法の改正を行いまして、消費生活相談員の職が専門職であることを法律で明確に位置づけをさせていただいたところでもございます。この改正を踏まえ、その職務と能力に見合った適切な処遇を講じていただけること等を、地方公共団体に対し、繰り返し働きかけを行ってきたところでございます。

 消費者庁といたしましては、相談員の処遇改善に向けて、引き続き、粘り強く自治体への働きかけも行うこととともに、地方消費者行政強化交付金を通じた支援などもしっかりと行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 やはりちゃんと、これは正規の職ですということで、地方交付税で対応を取って正規化を進めるというのはやらなきゃ駄目ですよ。進まないですよ、その程度では。

 加えて、自治体で非正規公務員の四人に三人は女性でございます。女性が多くを占める専門的な資格職ほど非正規化が進んでおります。これは間接的な男女賃金差別と言っていいと思うんですね。

 国家公務員についても今日はパネルを作ってきました。省庁ごとの男女賃金格差です。非正規の女性が多い省庁ほど、男女の賃金格差が大きい。

 外務省がよく見えるけれども、これは何か数字が間違っていて訂正発表があったそうなので、八二・何%が正しいという数字だそうです。

 典型的なのは厚生労働省ですよね。ハローワークの職員が非常勤が大変多い。三年に一度、自分のポストが公募に出される。ハローワーク職員が不安定雇用というのはブラックジョークにもならないですよ。

 総理、男女賃金格差の是正の観点からも、非正規公務員の正規化を思い切って進める必要がある、このことを強く求めておきたいと思います。

 時間との関係で、次に進ませていただきたいと思います。

 パネルを御覧いただきたいと思いますが、加えて、これは民間の企業の男女の賃金格差。経団連役員企業を見ても、女性の賃金が男性の四割、五割のところも少なくありません。そして、赤いアンダーラインを引いているところが賃金格差の要因を説明していない企業なわけですけれども、そういうところも多数あるわけです。

 私たち日本共産党の提案に応じていただいて、男女の賃金格差の公表が始まったのは非常に大事な取組だと思います。

 次のステップとして、総理、対象企業を拡大することと併せて、企業に、男女の賃金格差の要因を分析すること、そして格差是正の計画を持つこと、これを義務づけるべきじゃないかと思うんですけれども、総理のイニシアチブで取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、昨年七月、女性活躍推進法に基づいて、従業員が三百一人以上の企業を対象に男女間賃金格差の公表、これを義務化したところです。今後、その施行状況をフォローアップし、開示義務の対象拡大の要否、これを検討することとしております。

 これに加えて、厚生労働省において、公表義務の対象となる各企業に対して、男女間賃金格差の要因分析、そして改善に向けたアドバイスなどのコンサルティング、これを実施していると承知をしています。

 これらの取組を通じて、男女間賃金格差の是正を図り、女性の所得向上、経済的自立、これを図ってまいります。

宮本(徹)委員 厚生労働省がお手伝いするのも大事ですけれども、やはりちゃんと法的枠組みをつくって、賃金格差是正自体そのものを進める実効ある仕組みを設けていただきたいということを思います。

 加えて、男女の賃金格差の要因は、先ほど来議論してきた、女性に非正規雇用が多い。それから、管理職比率が女性は低い。コース別採用の問題もあります。背景には、家事、育児という無償労働の女性への偏りという問題もあります。これを一つ一つ是正していくのが大事です。

 あわせて、日本は説明のできない男女賃金格差が大きい国だと指摘されております。

 メルカリという会社が自社の賃金を重回帰分析したら、客観的要因が特定できない説明のできない格差が七%あったというんですね。そこで、報酬調整を実施して、二・五%にまで格差を縮めたということがありました。

 海外では、スイスが、勤続年数や職種などが同じなのに男女賃金格差がないか、企業が自己診断できる計算ツールを提供しているんですね。ドイツなどにもこういう取組が広がっております。

 総理、男女賃金格差を自己診断できる計算ツールを提供して、格差を是正する取組を政府として進めるべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 男女の賃金格差については、先ほど申し上げた公表義務化を行った上で、その対象拡大を検討している、こういったことでありますし、厚生労働省において、各企業に対して、要因分析ですとかコンサルティングを行っている、こうしたことであります。このように、男女の賃金格差について是正を図るべく環境整備を行っているということであります。

 今委員の方から、ツールを使ったらどうかという御提案でありますが、より男女賃金格差是正を図る上でどんな取組が効果的なのか、こうした議論は政府としても検討を続けていきたいと思います。

宮本(徹)委員 具体的な提案をさせていただきましたので、しっかり検討していただきたいと思います。

 次のテーマに行きます。もう一つコストカットされてきたのが社会保障であります。

 今、介護、障害者福祉、保育、あるいは医療、人手不足が極めて深刻です。今年の春闘も医療や介護の分野は置いてきぼりで、介護職の賃金は全産業平均よりも七万円低い状況です。ヘルパーの有効求人倍率は十五倍ということです。

 地元の訪問介護事業所でも、若い人はもう入ってこないわけですね。平均年齢六十三歳、上は八十歳、下は四十九歳、体力の要る身体介護ができる人が減ってしまって、もう介護ニーズに応え切れないと悲鳴が上がる状況でございます。私は、これは賃金を全産業平均並みに速やかに引き上げる必要があると思います。

 ところが、来年度の介護職等の賃上げはたった六千円と報道されたわけですね。公務員の初任給は今度一万二千円引き上げるんですよ。何で半分なんですか。

 総理、ケアワーカーの人材確保のためには賃金を全産業平均並みに引き上げる必要がある、この認識はございますか。

岸田内閣総理大臣 医療、介護、障害福祉、保育分野における賃上げ、そして人材確保、これは重要な課題であり、岸田政権としても、公的価格の見直しを掲げ、そして累次の処遇改善を講じてきました。

 引き続き、ICT機器活用による生産性向上、あるいは経営の協働化を通じた職場環境改善、こうした取組に加えて、令和六年度同時改定に向けても、必要な処遇改善の水準を検討していきたいと考えております。

 加えて、数字だけではなくして、そうした処遇改善が現場の方々に構造的につながる仕組みも構築していかなければならない。こうした取組を続けることによって、介護を始め現場で働く方々の処遇改善を考えていきたいと思っています。

宮本(徹)委員 聞いたことにお答えになっていないんですけれども、全産業平均並みに引き上げる必要があるのではないかと言っているんですけれども、そこを目指すという立場に総理は立たれないんですか、立っているんですか。

岸田内閣総理大臣 具体的な数字は厚労大臣から答弁させていただきますが、こうした公的価格と呼ばれる処遇改善についても、社会を支える上で大変重要な賃上げであると認識をしています。他の全体の賃上げ状況も念頭に置きながら、こうした賃上げも考えてまいります。

宮本(徹)委員 全産業平均並みに引き上げる必要があるという認識を示されないのは極めて残念ですね。そこまで引き上げないと人材流出は止まらないですよ、人の確保はできないですよ。真剣に考えていただきたいと思います。やはりそういう分野の方々の人材をしっかり確保するというのは、高齢者や障害者の皆さんの尊厳ある暮らしを支える上で不可欠なんですよ。そこの認識を持っていただきたいと思います。

 加えて、物価高騰などによる事業者の経営悪化も深刻であります。特養ホームも六割が赤字で、私の地元を回っていましても、修繕の積立てもできない、こういう状況であります。

 一方、介護や障害者福祉の報酬改定は三年に一度、診療報酬の改定は二年に一度ということになっているわけですね。その間に物価が上がる、最低賃金が上がる、経営が悪化する、賃上げは置いてきぼりになるということになっているわけですね。

 私は、今までのこの三年、二年というやり方でいいのかと思うんですね。インフレ局面ですから、物価高騰や最賃引上げだとか、こういうものを踏まえてしっかりと毎年基本報酬を引き上げていく、こういう改定方法を考える必要があるんじゃないかと思いますが、総理、いかがですか。

武見国務大臣 御質問の件でありますけれども、実際に、今回、補正の中で、改めて総合経済対策の中で、こうした介護労働者等に関わる処遇については、重要な柱としてその中に組み込まれておりまして、これをまず補正で進めることを通じて、その後の同時改定の中における改定結果と結びつけて、こうした介護労働者に関わる処遇というものをより安定した形で確保するという考え方でございます。

宮本(徹)委員 補正で対応するのは当然必要ですよ、早急に。今、賃上げもできない状況で、本当に経営がピンチなんですから。

 それで、同時改定で対応するのも当然ですけれども、インフレ局面なんですから、今後の改定の在り方として、三年に一回、二年に一回というのでいいのかということ自体を考え直す必要があるんじゃないかということを言っているんですよ。これは総理に。

岸田内閣総理大臣 まず、たちまちは介護人材等に対する処遇改善、今、厚労大臣の答弁にありましたような対策で臨んでいきたいと存じます。

 そして、今後に向けて、同時改定の在り方、要は、診療改定の間隔の問題、これについて御提案でありますが、今インフレ局面に入ったとおっしゃいましたが、今まさに、デフレ脱却に向けて総力を挙げて経済対策を用意しなければいけない、こういった局面であります。まずはそこに専念をした上で、将来についても考えていくべきではないかと考えます。

宮本(徹)委員 これは是非真剣に考えていただきたいと思います。

 その上で、最後のテーマに入っていきますけれども、本来、賃上げで予算をたくさん確保しなければいけない医療や介護、福祉の分野ですけれども、総理は、少子化対策の財源として、この分野を名指しして歳出カットをしようとしているわけであります。とりわけ、介護保険の利用料の二割負担の対象拡大というのが検討が進んでおります。

 パネルを御覧いただきたいと思います。

 これは、年金生活者の実質可処分所得の推移なんですね。この間、年金削減、それから社会保険料の引上げ、消費税の二度の増税、物価高騰で、年金の実質的な価値というのはもう本当に大きく目減りしている状況です。二〇一一年、年金が百八十万円あった方、当時は、可処分所得は社会保険料を引いた百六十九万五千円だったわけですね。これが、実質化したら二〇二三年は百四十六万円の価値しかない。二十三万円も目減りしているという状況なんですね。

 こういう状況の上に、介護保険の負担を二倍化したら、必要なサービスを我慢せざるを得ない、あるいは配偶者が困窮する、高齢者の尊厳が守れない、こういう事態になると思うんですね。これは、総理、やめるべきじゃありませんか。

武見国務大臣 今の御質問です。

 高齢化と人口減少という大きな社会の変化を迎えている中で、介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるよう、サービスの質を確保しつつ、制度の持続可能性を維持することは重要な課題であるという認識をまず述べておきます。

 こうした観点から、介護保険における利用者負担の在り方については、骨太の方針二〇二三において年末までに結論を得ることとしておりまして、社会保障審議会介護保険部会において昨年秋から丁寧に議論を重ねています。これまでも、生活への影響を踏まえて慎重に検討すべきことであり、負担能力のある方には適切な負担を求めることも重要といった様々な御意見をいただいております。

 引き続き、利用者が必要なサービスを受けられるよう、様々な御意見をしっかりと聞きながら、丁寧に検討を進めたいと思います。

宮本(徹)委員 もう一つのパネルを御覧いただきたいと思うんですけれども、昨年十月から、七十五歳以上の医療費の窓口負担、年収二百万円以上の方が二倍になったんですね。これは厚労省が調べたら、くっきり受診抑制が起きているんですね。収入が多いはずの二割負担の人の方が、去年の十月を境に一割負担の人よりも受診が少なくなっているわけですね。

 これは、私、この場でも当時質問したことがありますけれども、当時、年金年収二百万円の人は余裕があるといって、高齢者の医療費の窓口の二倍化をやったわけですよ。しかし、余裕などなかったというのは明白だと思いますよ。年金年収二百万円だとか、こういう方に余裕がないのははっきりしているんじゃないですか。

 介護保険の利用料の二割負担はやめるべきだと思いますが、総理は、年金年収二百万円の方々に余裕があるとお思いですか。総理の基本的な認識をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 介護保険制度の議論においては、サービスの質の確保と、そして制度の持続可能性を維持すること、これが重要な課題であると思います。その議論の結果、御指摘のような対応を考えたということであります。それぞれ厳しい環境の中にあるわけでありますが、サービスの質の確保、そして制度の持続可能性、これを維持することが制度の利用者にとっても大切であると考えております。

 利用者負担の在り方については、今後とも、骨太の方針二〇二三において年末までに結論を得るということにしております。是非、必要なサービスの維持のためにどうあるべきか、議論したいと思います。

宮本(徹)委員 余裕があるというお答えはさすがにできないわけですよね。制度の持続可能性と言いますけれども、こういう事態ですから、暮らしの持続可能性こそ、私は総理が考えなきゃいけないことだと思います。

 社会保障コストカットは転換すべきだ、年金は増える年金に改革すべきだ、介護保険は利用料を引き上げるんじゃなくて国庫負担を引き上げるべきだ、このことを強く求めて、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 まず、質問時間に配慮をいただいた立憲民主党に感謝をいたします。

 それでも、時間はトータル二十分と短いので、いつもながらでありますけれども、代表質問的なやり方、つまり、私の方で最初に問題意識、それから提言をさせていただいた上で答弁をいただく、こういう形式について、委員の皆さんの御理解、また総理を始め閣僚の皆さんの御理解をいただければと思っています。

 これに加えて、今日私が質問しようとしている内容は、場合によってはかなり批判にさらされる可能性があると思っています。それゆえ、私自身は有志の会代表ではあるんですけれども、私の今日の発言は、あくまでも私、吉良州司個人の発言であるということをあらかじめお断りした上で、質問をさせていただきたいと思います。

 それから、あと一点。私自身は、今回の内閣改造で外務大臣に就任された上川外務大臣を大変尊敬しておりまして、過去には、余りにも見識が高いということに感動して、上川事務所を訪れ、御指導いただきたいということをお願いに上がったこともあるぐらいでありますけれども、私、実は外務委員でありまして、上川大臣とは外務委員会において胸をかりながらいろいろと議論ができると思っていますので、今日は質問通告の中で、要求大臣としては岸田総理ということで要求しています。

 とはいえ、内閣全体で岸田総理よりも上川外務大臣の方が答弁がよりうまいと言うと、総理に、じゃないですけれども、内閣全体として外務大臣に答弁させるのが的確だというような判断があれば、そのときは小野寺委員長の差配に従いたいと思っております。

 さて、最近、衝撃的なニュースが二つ入ってきています。一つ目は、言うまでもなく、ハマスによる大規模なイスラエル攻撃、そして、イスラエルによるこれまた報復攻撃。そして二つ目は、先ほど来議論になっていますけれども、日本の名目GDPが、今年はドイツに抜かれて四位になる。この衝撃的な二つのニュースが入ってきています。

 本来であれば、我が国はもちろん、世界の政治経済に多大な影響を与えているこのハマス・イスラエル紛争、そして、この一年八か月、もう既に世界政治経済に大きな影響を与え続けているウクライナ戦争、この両方を取り上げたいところではありますけれども、先ほど言いました、時間も制約があり、二正面作戦というのは非常に厳しいので、質問通告にあります、ウクライナ戦争停戦に向けて日本外交はどうあるべきかということを中心に議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 そして、時間があれば、これまたこの予算委員会で議論になっています物価高。この物価高の最大の原因は、失われた三十年の結果であるということ、これに加えて、アベノミクス以来続く、強引とも言える金融緩和、それに伴う行き過ぎた円安、これらが物価高の最大の根本原因であるということについて、時間があれば議論をしたいというふうに思っています。

 失われた三十年が物価高の原因であるということについては、ここにいらっしゃる閣僚の皆さん、委員の皆さんは、皆さん、釈迦に説法でありますけれども、この三十年間、ほかの先進国、また新興国等は、賃金上昇を伴いながら経済成長を続けてきた。米国はほぼ三倍、オーストラリアは五倍、欧州諸国も二倍台。ところが、日本だけは、賃金上昇は全くせず、そして成長もしていない。したがって、相対的に日本だけが貧しくなっていて、ほかの国は賃金が上がり、成長していますので、物価が上がっても、余裕を持ってとまでは言いませんけれども、買える。ところが、全く賃金も上がっていなくて成長もしていない日本だけは高く感じる、いわゆる買い負けている、これが最大の原因であるということを指摘しておきたいと思います。

 さて、本題のウクライナ戦争の停戦に向けてであります。

 まず、パネルをお示ししたいと思います。

 このパネル一は、実は、見てお分かりいただけるとおり、二〇二二年二月十四日に作成して、二月十六日の予算委員会外務分科会に向けての質問通告の抜粋であります。つまり、軍事侵攻の前であります。

 私自身は、何らかの形で妥協して、双方、ロシアもウクライナも、またウクライナを支援する西側も歩み寄らなければ軍事侵攻が起こると思っていました。だからこそ、何としてもそれを阻止しなければいけないという思いで、すがるような思いで、何とか軍事侵攻を止める、その役割を日本政府としても果たしてくれという思いで質問をしました。

 まず一番目、ウクライナ問題への対応次第で得られる国益、失うおそれのある国益、これも後で時間があれば詳しくやりたいと思っていますけれども、身近なところでの失うおそれのある国益。

 私は、エッフェル塔には行きませんでしたけれども、先日、ヨーロッパを旅行してまいりました。旅行じゃない、失礼、出張してまいりました。

 御承知のとおり、ロシア領空は通れないので、大きく迂回して、四時間余計にかかりました。帰りもロシアの南の国境線を、その縁を通って帰りますので、やはり四時間余計にかかってしまう。ビジネスマンは大変です。

 そして、御承知のとおり、今、JAL、ANA、これらの航空会社は、SAFという、食料で余った油、捨てるべき油なんかをジェット燃料に変えようという動きもしておりまして、少しでも地球環境に優しい、そういう環境をつくろうというふうに頑張っている。けれども、ロシアを迂回するということで、四〇%も余計に燃料を使っているわけですよね。そういう地道な努力が本当に水の泡になってしまっている。こういうようなことも、小さな国益ですけれども、あります。

 二番目が重要なんですけれども、ウクライナのNATO加盟を当面凍結するか、同国に中立国となってもらうことの妥協案、これは軍事侵攻させないという事態鎮静化に有効と考えるかという質問をしています。ノーと言うのであれば、ここに書いている、妥協案は二〇一四年のクリミア併合や武力による威嚇を容認したと受け止められて、力による現状変更又はその試みを容認することになって、許されないと考えるのか。

 私の答えは明らかであります。ここはNATO加盟を思いとどまることによって事態の鎮静化を図るべきだという思いで、この質問通告をしています。

 そして、これも後で言いますけれども、強権国家、独裁国家の主張は常に間違っているのかという問いです。多くの政治家も国民も、事相手が中国、ロシアとなると、極端に言ったら、もう全て間違っているという論調になりがちであります。けれども、一方で、これが正論であれば、正論といいますか、相手の立場に立ったときには、それは一理あるなということはあるんです。軍事侵攻してしまった後は何を言っても駄目です。けれども、私が言っているのは、軍事侵攻する前でありますから。

 そして、四番目。ウクライナ情勢の緊迫化、その後は戦争になってしまいましたけれども、世界の天然ガス市場や穀物市場の需給逼迫、これによって、多くの、特に貧しい国の人たちが困る。我が国の物価高、電気代それからガス代の高騰というのもこれであります。こういうことが起こることが予見されていながら、日本も、そして西側諸国も、軍事侵攻になる前に本気でそれに取り組まなかったのか、私は残念でなりません。

 そして、これは質問通告に伴う議事録。全部読むと時間がなくなりますので。

 一つは、二番のところに、ウクライナ問題の対応いかんによって、ロシアと決定的な関係悪化を招いてはならない。これは、私ども民主党政権のときに二二大綱を作成しましたけれども、当時の状況でいえば、ソ連時代に北を脅威と考えた、そのロシアの脅威はだんだん薄れてきている。問題は中国を意識した南西諸島であり、東シナ海だ、そちらに重要な安全保障資源を振り向けるんだ、こういう思いで二二大綱を作りました。

 四十三兆円、五年間。ここにも書いていますけれども、中ロの更なる接近についても備えなければならなくなる。東に備えるということに注力できるはずだったのに、また北にも備えなければいけない。これによって、言い方はあれですけれども、ここで鎮静化していれば増やす必要もなかった防衛力まで増やさなければいけない、こういうような問題意識を持っています。

 そして、ロシアの言い分というのは二つあります、まあ一理あるというのは。

 一つは、御承知のとおり、東西ドイツ統一のときに、時の米国国務長官のベーカー氏が、東西ドイツを当時のソ連に認めてもらうために、NATOを一インチたりとも東には動かさないということを確約しています。それに続いて、当時の西ドイツのコール首相もそのことを言っています。

 そして二番目、ケネディ大統領の一九六二年のキューバ危機。アメリカの喉元にミサイル基地を造られて、ワシントン、そしてニューヨークにミサイルを向けられたらたまったものじゃないということで、第三次世界大戦があるリスクもありながら、海上封鎖してまでそれを阻止しようとしました。時のフルシチョフは、妥協して、基地建設をやめました。

 ロシアからしてみると、同胞であってソ連時代仲間であったウクライナが、自分を仮想敵国として、ミサイルをモスクワ、サンクトペテルブルクに向ける、これは勘弁してくれと。繰り返しますけれども、軍事侵攻前の話です。これは一理あると私は思っています。

 そして、最後になりますけれども、早期の停戦をお願いしたいこと、それは私たちがさきの大戦末期で経験したことです。

 このままウクライナ戦争が継続したときに、特にウクライナが善戦し続ければし続けるほど、ロシアが核を使用しないと誰が保証できるのか。使われてからでは遅い。

 私たちは、過去の経験として、あと半年終戦が早ければ、沖縄戦もなかった、そして東京大空襲もなかった、シベリア抑留もなかった、そして何よりも広島、長崎もなかった、北方領土もなかった、これを考えたときに、日本の経験として、ウクライナに対して、また西側諸国に対して、一刻も早く停戦すべきだと、これは私は言うべきだと思っています。

 もう残り五分になりましたので。

 私のこのような思いを受けて、総理、本来なら広島サミットで、原爆が投下された広島でのサミットにおいて、その経験を踏まえて、一刻も早く停戦する、G7が結束して、ロシアの経済制裁を強化するとか、そしてウクライナを支援するとかではなくて、どうやったら停戦に持ち込めるか、それを真剣に議論するべきではなかったのかと思います。

 総理、停戦に向けての覚悟、今、G7の議長国として旗振り役をやれます。総理の見解を問います。

岸田内閣総理大臣 ロシアのウクライナ侵略については、軍事侵攻が行われる前の段階において、各国において様々なロシアへの働きかけが行われました。私も、侵攻が行われる直前、昨年の二月の十七日だったと思いますが、プーチン大統領と日ロ首脳電話会談を行いました。その中にあって、力による一方的な現状変更ではなくして、受け入れられる解決策を追求するべきだなど、働きかけを行ったところであります。しかし、結果として侵攻は行われてしまいました。

 国連の安保理常任理事国という世界の平和と安定に責任を持つ大国が隣国を侵略するという事態に対して、こういった事態を許してはならない、世界のどこであっても力による一方的な現状変更は許してはならない、こういった思いをしっかりと示すことが国際秩序において重要であるということから、ウクライナ支援とロシア制裁、こういった対ロ外交政策の転換を行った、こういった次第であります。

 そして、その後の外交的な働きかけということで申し上げるならば、こうした、ロシアが他国を侵略している、このことに対して、やはり、侵略を受けているウクライナの国民の皆さんの思いに沿った形で停戦を考えるというのがあるべき姿だと考えています。

 一方、ロシアは、ウクライナの一部地域は交渉の対象ではないと強硬な態度を続けています。こういった中で、どの立場に立って停戦について働きかけるのか、これは日本も含めて国際社会がしっかり考えていかなければならないと思います。

 ただ、引き続き、様々な条件がある中にあって、様々な意思疎通を図っていくことは重要であるということで、今申し上げた様々な働きかけを続けていかなければなりません。

 しかし、どちらにせよ、我が国としての立場、これがぶれてはならないということを改めて強く感じております。

吉良委員 時間がないんですが。

 電話会談したとか、本当につかみかかるぐらいの迫力で、やめろと。

 その際に、さっき言いました、物事って一〇〇対ゼロはないんですよ。繰り返しますけれども、私が言っていたのは侵攻前です。侵攻前なんです。侵攻した後は、こんな侵略国家の言うことなんて一切耳を傾けないというのは、それは当たり前のことです。だからそれを起こしちゃいけないんです。その前の妥協というのは、ロシアの言い分も聞かなきゃいけないんです。

 私は、その第一歩、入口というのは、NATOに入ることをやめる、中立国化してもらうということを、日本が音頭を取って、日本は、実は説得力はないかもしれませんけれども、少なくとも、G7を巻き込んで、NATOへの加盟を当面、当面です、人には寿命がありますから、何を言いたいか分かると思いますけれども。そこまでは、ある意味では臥薪嘗胆して、もう私はここでずっと質問でも言っていますけれども……

小野寺委員長 吉良委員、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

吉良委員 はい。

 何の罪もないウクライナの人たちが、映像で見て分かるとおり、犠牲になるんです。そして、それは私たち日本にも、電気代、ガス代、物価高、食料代、これが跳ね上がるということで、全部跳ね返ってきているんです。

 それを考えたら、もう本当につかみかかるぐらいの勢いでそもそも軍事侵攻を思いとどまらせる、そのための妥協をすべきだったと思うし、今、軍事侵攻した後でも……

小野寺委員長 吉良委員、申合せの時間が過ぎておりますので。

吉良委員 停戦に向けて本気で取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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