衆議院

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第6号 令和5年11月22日(水曜日)

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令和五年十一月二十二日(水曜日)

    午前九時四十八分開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 越智 隆雄君

   理事 加藤 勝信君 理事 島尻安伊子君

   理事 牧島かれん君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤 茂之君

      下村 博文君    杉田 水脈君

      田中 和徳君    平  将明君

      塚田 一郎君    中山 展宏君

      橋本  岳君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    山本 有二君

      若林 健太君    渡辺 博道君

      青山 大人君    梅谷  守君

      大西 健介君    岡田 克也君

      神谷  裕君    源馬謙太郎君

      神津たけし君    近藤 和也君

      櫻井  周君    中谷 一馬君

      西村智奈美君    野田 佳彦君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    山岡 達丸君

      吉田はるみ君    渡辺  創君

      青柳 仁士君    赤木 正幸君

      浅川 義治君    池畑浩太朗君

      岩谷 良平君    小野 泰輔君

      奥下 剛光君    住吉 寛紀君

      林  佑美君    三木 圭恵君

      吉田とも代君    赤羽 一嘉君

      金城 泰邦君    角田 秀穂君

      福重 隆浩君  斎藤アレックス君

      田中  健君    玉木雄一郎君

      赤嶺 政賢君    宮本  徹君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         鈴木 淳司君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       宮下 一郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)    自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   衆議院法制局長      橘  幸信君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (内閣官房アイヌ総合政策室長)          松浦 克巳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          七澤  淳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  鎌田 隆志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 欣幸君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十二日

 辞任         補欠選任

  下村 博文君     杉田 水脈君

  田中 和徳君     中山 展宏君

  源馬謙太郎君     岡田 克也君

  藤岡 隆雄君     神谷  裕君

  本庄 知史君     野田 佳彦君

  吉田はるみ君     梅谷  守君

  奥下 剛光君     住吉 寛紀君

  林  佑美君     吉田とも代君

  守島  正君     池畑浩太朗君

  赤羽 一嘉君     福重 隆浩君

  斎藤アレックス君   玉木雄一郎君

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     下村 博文君

  中山 展宏君     田中 和徳君

  梅谷  守君     吉田はるみ君

  岡田 克也君     源馬謙太郎君

  神谷  裕君     中谷 一馬君

  野田 佳彦君     山岡 達丸君

  池畑浩太朗君     小野 泰輔君

  住吉 寛紀君     奥下 剛光君

  吉田とも代君     三木 圭恵君

  福重 隆浩君     赤羽 一嘉君

  玉木雄一郎君     田中  健君

  赤嶺 政賢君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 一馬君     櫻井  周君

  山岡 達丸君     本庄 知史君

  小野 泰輔君     赤木 正幸君

  三木 圭恵君     林  佑美君

  田中  健君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  櫻井  周君     青山 大人君

  赤木 正幸君     岩谷 良平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 大人君     神津たけし君

  岩谷 良平君     青柳 仁士君

同日

 辞任         補欠選任

  神津たけし君     藤岡 隆雄君

  青柳 仁士君     浅川 義治君

同日

 辞任         補欠選任

  浅川 義治君     守島  正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計補正予算(第1号)

 令和五年度特別会計補正予算(特第1号)


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計補正予算(第1号)、令和五年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房アイヌ総合政策室長松浦克巳君、内閣官房内閣審議官平井康夫君、内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長井上学君、内閣官房内閣情報調査室次長七澤淳君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省人権擁護局長鎌田隆志君、外務省大臣官房参事官山田欣幸君、国税庁次長星屋和彦君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省保険局長伊原和人君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官松尾浩則君、農林水産省消費・安全局長安岡澄人君、農林水産省畜産局長渡邉洋一君、林野庁長官青山豊久君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、経済産業省大臣官房審議官田中哲也君、国土交通省物流・自動車局長鶴田浩久君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長宮川尚博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 この際、岸田内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣岸田文雄君。

岸田内閣総理大臣 自由民主党の各派閥の関係政治団体において、政治資金パーティーに関し政治資金収支報告書の訂正があったなどの報道があったと承知をしております。

 今回の御指摘の件については、各政治団体において政治資金収支報告書について所要の訂正を行っているものと聞いております。各政治団体がそれぞれの責任において、今後このようなことがないよう、必要な対応を行うべきものと認識をしております。

 私からは、具体的な訂正内容等について、各政治団体において適切に説明をできるだけ速やかに行ってもらうよう、幹事長に指示をいたしました。

 党としても、国民から疑念を持たれることのないよう努めてまいります。

小野寺委員長 昨日の泉健太君の質疑に関連し、岡田克也君から質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。

岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。

 まず、今の総理の発言について、幹事長に指示を出されたということでありますが、各政治団体において適切かつ速やかな対応がなされるよう、責任を持って対応していただきたいというふうに思います。

 それから、北朝鮮のミサイル発射について一言申し上げておきたいと思います。

 北朝鮮のミサイル発射は、我が国及び我が国民の重大な脅威であります。かつ、国連決議違反。しかも、今回はあらかじめ通告された時間の前に発射がなされたということで、非常に懸念をしているところであります。

 内閣としては、政府としては、万全の対応をお願いしておきたいと思います。

 さて、ちょっと順番を変えて、私の方は、まず所得減税から質疑に入りたいというふうに思います。

 まず総理にお聞きしたいんですけれども、総理は、満を持して大型の所得減税を打ち出されたと思いますが、各紙の報道によりますと、それを評価しないという声が圧倒的でありますし、内閣支持率も、それをきっかけに落ちた、かなり落ちたということであります。このことを率直に総理としてはどう受け止めておられますか。

岸田内閣総理大臣 今般の所得税、住民税の減税、これは、デフレに後戻りしないための一時的な措置として国民の可処分所得を下支えするものです。消費を落ち込ませず、成長と分配の好循環を軌道に乗せたい、こういった思いでこういった政策を用意いたしました。

 委員御指摘のように、この定額減税の趣旨を含めて、経済対策への理解が広がっていないという御指摘については、これは真摯に受け止めなければならないと思っています。引き続き、丁寧に説明を尽くしていきたいと考えております。

岡田委員 国民はやはり、総理は選挙が近いのでばらまき的にやったというふうに見透かしていると思うんですね。

 私は、この話を見て少し安心したところもあるんですよ。本来やはり、大きな減税をされれば喜ぶというふうに考えがちですが、国民はもっと冷静に見ている。やはりこの今の状況を見て、ばらまき的なそういう対応はよくないというふうに判断している国民が多いということは、私は、一つの救いだというふうに思っております。

 是非、総理も、民意を読み違えることのないように、説明もいいんですけれども、もう少し深く考えられた方がいいのではないかというふうに思っております。

 そこで、その説明なんですが、総理はこういうふうにも例えば十一月二日の記者会見で言っておられます。来年夏の段階で、賃上げと所得減税を合わせることで、国民所得の伸びが物価上昇を上回る、そういった状態を確実につくり出したいと思います、そうすればデフレ脱却が見えてきます、こういう話をしておられます。

 私は、二つ大きな疑問があるんですね。

 一つは、今、民間に対して、来年の春闘で物価を上回る賃上げ、これは至上命題じゃないですか。それを政府としても強く言いながら、いや、賃上げだけでは物価上昇を上回らないんだ、だから減税が必要だと、最初から物価上昇を上回る賃上げに白旗を掲げてしまっている、そういうふうに受け取られかねない問題だと思うんですね。

 そしてもう一つは、一年きりの減税で、それでデフレ脱却になるのか。継続的に減税するなら別ですよ、それがいいか悪いかは別にして。一年だけ減税するからといって、それでデフレ脱却と国民が思うか、そこも大きな疑問ですね。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 現在の物価高に対応し、そしてデフレから脱却するために何よりも重要な政策は賃上げ、構造的、持続的な賃上げを実現するものであると考えております。

 だからこそ、先日、十五日の日に行いました政労使の意見交換の場においても、今年を上回る水準の賃上げを経済界にお願いしたところです。

 そして、民間だけではなくして、官民連携の下で、来年に向けて、賃金、そして所得税、住民税の定額減税を含めた、可処分所得が物価を超えて伸びていくよう取り組んでいきたいと思います。

 最初から白旗を上げているのではないかという御指摘がありましたが、賃上げは、来年、再来年と持続して構造的に引き上げていく、こうした循環をつくっていかなければならないと思います。

 来年は、賃上げ、引上げのまだ道半ばの時点であります。物価の高騰、これも決して甘く見てはならない。これは、やはり、賃上げが物価高騰をはるかに上回るという水準まで可処分所得を維持しないと、消費を落ち込ませて、せっかくの循環を来年でしぼませてしまう、こういったこともありますので、来年においては、一時的な措置として所得税、住民税の定額減税を行って、可処分所得を下支えする、これを来年用意することが必要だと考えています。

 そして、再来年、更に賃上げの流れを盛り上げることによって、本格的な賃上げ、物価に負けない賃上げを実現して、そして、経済の好循環、自律的な好循環、これを回復する流れをつくっていきたいと考えています。

岡田委員 今、来年は道半ばだと言われました。デフレ脱却、もし、来年道半ばで、再来年も見通しが十分につかないということになると、そうすると、再来年もこの減税が続く可能性があるということですか。論理的にはそういうことになりますよね。

 しかも、来年、再来年、再来年というと参議院選挙もあります。一旦大幅な減税をして、それを元に戻すということは増税になります。選挙の年に本当に増税はできるんですか。

 私は、だらだらと、結局、この減税が続いてしまうということになりかねないと懸念しているんですね。一年限りなら一年限りと断言してもらえませんか。

岸田内閣総理大臣 基本的に、重要な政策は、構造的、持続的な賃上げを実現するということであります。来年は可処分所得の下支えを用意したいと思いますが、再来年に向けて、本格的な循環をしっかりとつくり上げていきたいと思います。

 来年、再来年と続くのではないかという御指摘でありますが、来年、可処分所得の下支え、所得税そして住民税の定額減税でしっかり行った上で、再来年は、間違いなく、構造的、持続的な賃上げ、これを実現するように取り組んでまいります。

 来年、再来年、そういった道筋をしっかり明らかにする、そういった方針を明らかにして政策を動員しているところであります。

岡田委員 来年は減税がなければできない、再来年はできる。でも、経済って生き物ですよね。賃上げの状況も、もちろんそれを目指さなきゃいけないけれども、できないかもしれない。ですから、総理の説明を聞いていると、やはり一年限りじゃないということですね、減税は。

 はっきり言ってもらえませんか。一年限りでやめるんですか。

岸田内閣総理大臣 来年は、可処分所得、これをしっかり下支えしないと、来年の時点で消費を落ち込ませてしまいます。そのことが成長と分配の好循環、これを途中で止めてしまうことになってしまう、だから来年は下支えが必要だと申し上げています。そして、再来年に向けては、この構造的、持続的な賃上げを実現していく、こういった考えに基づいて経済政策、総合的な経済対策を用意した、こういった説明をさせていただいています。

 この経済政策の狙い、目的、考え方、こういったものを説明しながら、これからも丁寧に国民の皆さんの理解を得ていきたいと思っています。

岡田委員 ですから、再来年も下支えが必要な状況というのはあり得ると思うんですが、そのときは減税を続けるということですか。

岸田内閣総理大臣 今用意している総合経済対策は、先ほど申し上げたように、来年しっかり下支えをし、この好循環を止めてはならないということで用意したものであります。そして、再来年に向けて構造的、持続的な賃上げを実現する、こういった狙いを経済政策の中で申し上げております。それを実現するための政策を今回の経済政策の中に用意した、こういった説明をさせていただいております。

岡田委員 説明はいいんですけれども、ですから、そういう目指すものがあったとしても、それが実現しなかったときは減税は続けるのかどうかということを聞いても、お答えがないですよね。結局、だらだらとそれを続けることになる可能性があるということですね。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 ですから、このデフレ脱却の流れを止めてはならないので、一時的な措置として所得税、住民税の定額減税を用意したと説明をさせていただいています。本筋は、再来年に向けて構造的、持続的な賃上げを実現する、そのための総合経済対策であるということを説明させていただいております。

岡田委員 やはり、所得減税ありきで、それが先にあって理屈が後からついてくるから、結局そういう苦しい説明になってくるんですよ。

 今本当に物価が上がって生活に苦しんでいる人たちに対して対応するということにすれば、それはやはり給付金。減税ということにはならないんですよ。給付金の範囲をどうするか、もっと広げる、私たちは全世帯の六割ということを言っているんですけれども、ですから、今からでも遅くないから、もう減税はやめて、全部給付金にしませんか。

岸田内閣総理大臣 経済のこれからを考えた場合に、三十年間続いたデフレの悪循環を断ち切って経済の好循環を実現する、こういった流れをつくることが重要だと申し上げています。

 そして、御指摘のように、物価高で苦しんでいる方々についてはスピード感を持って対応しなければいけないということで、給付金、今回の総合経済対策の中でも上乗せ、これをしっかりと用意させていただいています。

 住民税非課税世帯に対しましては、既に今年の夏から三万円の給付が始まっておりますが、これを上乗せして給付を行う、こういった対策もしっかり用意をしています。そして、その住民税非課税世帯の少し上の所得の方々に対しても、重点支援地方交付金等を活用して同等の給付を行う、支援を行う、こういった政策も用意しています。特に困っている方々には給付金をしっかり用意する、今の政府の対策の中にもしっかり盛り込んでいます。

 しかし、そうした支援を行いながらも、中長期的に、デフレからの脱却、こういった流れをつくっていくことが日本のこれからの経済にとって大事であるということで、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力、供給力の強化、これについてもしっかりと政策を用意した、これがこの総合経済対策の基本的な考え方です。

岡田委員 私は別に、総合経済対策の基本的考え方を聞いているわけじゃないんです。やはり、相当無理に無理をして、そして減税ということを大前提にするから、政策として一貫性のないものになっているというふうに言わざるを得ないと私は思います。

 一年限りかどうかについても御返事がありませんでした。非常にだらだらと続いてしまうんじゃないかということは懸念するところであります。

 さて、次に、子供政策の財源について、少し時間をかけて議論したいと思います。

 お示ししたこのパネルですけれども、これは政府の方で第七回こども未来戦略会議の資料として配付をされたものです。話がちょっと複雑なので、この絵を見ながら質問したいというふうに思います。

 ここで、加速化プラン、三兆円半ばというふうに言われていますが、この加速化プランの財源として三つ挙げているわけですね。既定予算の最大限の活用、歳出改革の徹底、そして支援金という三つを挙げておられます。

 総理にお聞きしたいんですけれども、三・五兆円、まあ三兆円半ばですけれども、財源として、この三つ、それぞれ幾らぐらいを想定しているんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 図を御示しいただいたので、それをちょっと利用させていただきますが、その図の上の部分にありますように、加速化プランの財源については、既定予算の最大限の活用、そして歳出改革の徹底、そして支援金という部分がありますが、これについては、賃上げとそして歳出改革によって国民の負担を低減させる、その範囲内でこの支援金を用意するという考え方で、この三本立てで加速化プランの財源を考えています。

 そして、御指摘のように、これはトータルで三兆円半ばを用意するということでありますが、その三つの内訳、この具体的な数字については、これは年末に向けて精査、検討しているところです。この三本を合わせて三兆円半ば、用意したいと思いますが、それを維持するために、この三本の中身につきまして、年末に向けて精査、検討をしたいと考えております。

岡田委員 この中の既定予算の最大限の活用というのは、既定予算というのはそれに見合う歳出ももう既にくっついているわけですから、余り多くを私は想定できないんじゃないかというふうに思っているわけですね。三・五兆円の内訳としては余り多くを期待できない、もう既に、歳出歳入、両方立っているわけですから。

 そうすると、歳出改革の徹底と支援金、これで恐らく三・五兆円の大部分を賄うことになるのではないかというふうに私は思いますが、総理がおっしゃったように、支援金というのは、歳出改革をした結果、保険料が下がる、その範囲で支援金というふうに言っておられますから、結局、一番まず大事なのは歳出改革の徹底ということになります。

 まず、確認ですが、この歳出改革の対象というのは医療とか介護ということが想定されるんですが、年金や障害者福祉というのもその改革の対象なんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 既定予算の活用部分は余り期待できないのではないかという御指摘ですが、これについては、従来からも子供、子育て政策というのは存在いたしますので、それを支える財源としてこの部分をしっかりカウントする、これは大事な柱になると思っています。

 その上で、歳出改革についてどういったことを考えているのかということでありますが、これは、具体的な内容としては、サービスの提供側の質の向上あるいは効率化、こういったことを考えています。例えば、医療提供体制の効率化、地域医療構想における様々な効率化ですとか、あるいは介護分野におけるICTの活用など、これは幅広い分野で効率の可能性はあると考えています。

 精いっぱい、こういった効率化、歳出削減、こういった改革の取組は進めて、しっかり実を上げた上で、この部分についてもしっかりと財源を考えていきたいと思っております。

岡田委員 三兆円台半ばというのは新たな政策ですから、既定予算の最大限の活用というのは、余りそこは、新たな財源としては期待しにくいというふうに私は思っていますが、今、その議論をするつもりはありません。

 先ほど、私の質問に答えていただいていないんですが、年金や障害者福祉の改革というのもこの歳出改革の徹底というところに、対象になっているんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、全世代型社会保障改革、これは、絶えず持続可能性ということで検討を続けていかなければならない課題として挙げられている課題であると思っています。その全世代型社会保障制度を維持するために、御指摘の点についてはずっと改革を続けていかなければならない、こういったことであります。

 そして、こっちの子供、子育ての部分については、先ほど申し上げたような、医療ですとか介護ですとか、こういった部分の生産性の向上や効率化、こういった改革を進めることをイメージしているところであります。

岡田委員 質問にお答えいただいていないんですが、年金は、これは改革の対象なんですか、財源を期待しての。障害者福祉はどうなんですか。介護と医療だけなんですか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 年金等は、先ほど申し上げたように、全世代型社会保障制度、これを維持するために絶えず見直し、検討していく課題であると思いますが、これはもう制度として独立しているものでありますから、今回のこの歳出改革、これには当てはまらないと考えております。

岡田委員 そうすると、介護と医療が中心だというふうに私は理解しますが、今ちょっと具体的に、総理、いろいろ言われたんですが、かなりの金額、これは改革しないと、財源は出てこないですよね、全体で三・五兆円なんですから。

 私の見立てだと、支援金の話は後でしますが、支援金は改革の枠の中で、保険料が下がった分だけということであれば、ほかに税も投入されているし、自己負担もあるわけですから、やはり中心はこの改革による財源ということになります。

 それが本当に、二〇二八年までに具体化する、そのための改革工程表を年末に、この年末ですよ、作るとおっしゃっているんです。それにしてはちょっと、もう少し具体的に言っていただけませんか。例えば、医療についてどういう改革をされる予定ですか。介護はどうですか。もうかなり煮詰まっているはずですから、あと一か月ですから、年末は。もう少し具体的に言っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほども少し触れさせていただきましたが、介護におけるICT改革、効率化、こういったこともありますし、地域医療構想における様々な改革も今進められています。そういった取組における効率化、これも大きなものがあると思っております。こういったものを積み重ねることによって、サービス提供側の質の向上と効率化を図る、こういったことで歳出改革を進めたい、こういった議論を進めているところであります。

岡田委員 介護におけるICT改革というのは、具体的にもうちょっとお話しいただけますか。

岸田内閣総理大臣 介護におけるICTの活用、これは従来から大きな課題であります。こうしたことによって、人手不足等が言われる中にあって効率化を図る、これは介護の現場においても大変重要な課題であると認識をしております。

岡田委員 ですから、具体的に何をやるのか、お答えください。

新藤国務大臣 歳出改革の具体的な内容につきましては、全世代型社会保障構築会議の有識者とともに現在検討し、この工程表を年末までにまとめるということになっているわけであります。

 その中で、工程表の中で項目を掲げながら、それを、まずすぐにやるものと、それから少し時間をかけてやるものと、そういうふうに分かれてまいりますが、例えば、この医療、介護制度の改革につきましては、早急に検討を進めるべき項目として、かかりつけ医機能の制度整備の実施に向けた具体化、それから、総理が言いました地域医療構想の実現、そして医療、介護のDX、これによって事務の改善、合理化を図るということでございます。さらには、介護職員の働く環境の改善、そして次期介護保険事業計画に向けた具体的な改革、これが早急に検討を進めるべき項目です。

 それから、二〇二五年度までに取り組むべき項目については、医療保険及び介護保険における負担能力に応じた負担と給付の内容の見直し、人口減少期に向けた地域医療整備の見直し、そして地域包括ケアの実現に向けた提供体制の整備と効率化、連携化。

 こういったことで、まず工程を定めて、それに必要に応じて年次を切って改革を進めていく、そして、その具体的な数字はそれぞれの年度の予算において明示されていく、こういうふうになっているわけであります。

岡田委員 総理が、介護における、DXでもICTでもいいんですが、それによる改革ということを言われたので、それは具体的にどういうことを考えておられるかということを私は聞いているんです。新藤大臣は全体の話をされましたが、私は全体の話を聞いているんじゃないです、具体的な話を聞いているんです。具体的にお答えいただけませんか。介護の現場でどういうふうに。

武見国務大臣 具体的なお話なので、私の方からお話をさせていただきますけれども。

 実は、徘徊をする方とか、そういう施設でのこうした管理を受ける方々を、今デジタル化で、確実に捕捉をして、失踪をすることを、確保するというようなこともやっているんですね。こうしたことのほかに、さらには、皆さん方も御存じのとおり、介護の現場のロボットの活用ということで、実際に腰痛で大変大きな負担を被る方がたくさんいらっしゃるものですから、そういう方々の支援というのを確実に行うという形で、こういうIT化とかロボットは、今、介護の中で必須な課題になっていることは皆様方御存じのとおりです。

 これが人員の削減にも確実に効果をもたらして、それが実質的な財源の確保につながってくる、こういう考え方であります。

岸田内閣総理大臣 介護のICTの活用、これについては今厚労大臣から申し上げたとおりでありますし、先ほど新藤大臣の方から様々な歳出改革のメニューを説明させていただきました。

 こういった全体を進めることによって歳出改革を進めていく、こういった作業を今検討、調整しているところです。年末に向けて、この歳出改革、どれだけの財源を用意するのか、これを明らかにしたいと思っております。

岡田委員 今まで御答弁いただいた抽象的な話は前から言われていることで、あと一か月で具体的な工程表を出すと言っている割には議論が全然進んでいないんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけであります。

 じゃ、総理、これだけはちょっと確認しておきたいんですが、そういう改革、介護とか医療で改革をしていくという中で、私も当然、高齢者、例えば、あと二年後で団塊世代の全員が七十五歳を超えます。その後も、私たちの世代も含めて人間の数は多いですから、人数が増える分だけ介護費も医療費も膨れ上がっていく、それをいろいろな改革をして抑えていかなきゃいけないというのは私も分かります。

 そのときに、やはり高齢者というのは所得が二極分化していますから、所得が現役並みにある方に自己負担とか保険料の形でお願いすることは、私は基本的には必要だと思いますが、だけれども、ぎりぎりの生活をしておられる方もたくさんいるんですよ、国民年金を十分にもらっていない人とか。そういう人に対して過度の負担になるようなことはしない、そのことはきちっとここで述べていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 高齢者の方々の中でも様々な事情がある、これは御指摘のとおりであります。ですから、全世代型社会保障制度の基本的な考え方としても、世代を超えて、能力に応じてこの制度を支えていく、こうした考え方に立っていると思っています。

 是非、負担能力に応じて公平に支え合う仕組み、こういった考え方を徹底していきたいと思います。過度な負担になるようなことはあってはならないと思っています。

岡田委員 この改革工程表、今のままいくと、また国会が終わってから閣議決定するのかな、総理お得意のパターンかなというふうにも思われます。

 しかし、もう一か月ですから、是非、概略でいいですから、この予算委員会に改革工程表の概略を提出していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほどの歳出改革を含めた子供、子育て対策の加速化プランの財源については、これは再三申し上げているように、年末に向けて具体的な改革工程表、これを作っていくこととしております。その上で、二〇二八年度までの毎年の予算編成の中で、その工程表に従って実施をしていくということを説明させていただいております。

 国会が閉まってまた出すのではないか、こういった御指摘がありましたが、これは改革工程表を示した上で、毎年、二〇二八年度までの予算編成過程で実施していくわけですから、毎年度の予算の一部として国会でもしっかり審議いただけるものであると考えております。

岡田委員 概略でいいですから、改革工程表をこの予算委員会に出してください。

小野寺委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

岡田委員 時間も限られています、支援金制度。私は、これは本当に悪手、悪い手だなというふうに思うんですね。

 社会保険、これは社会保険料なんですか、支援金は。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 支援金について、社会保険なのかという御質問ですが、要は、社会保険なのか税なのか、性格を明らかにしろという御質問かと思いますが、社会保障制度、運営に当たって、どのような制度をつくっていくのか。これは、現行においても、個別の法律において、税や社会保険料、様々な形式があると承知をしています。

 ですから、制度設計を今こども家庭庁で行っているわけですが、個別の法律に基づき、税や保険など様々な形式があるわけですし、また、給付と負担の対応関係にも強弱があります。これは、どういった制度をつくっていくかということによって性格も決まってくるということでありますので、まずはこの制度設計、こども家庭庁でしっかり進めていきたいと考えています。

岡田委員 私が聞きたいのは、税か税でないのかということです。

 憲法八十四条、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」これは、基本的な、国民あるいは国会と政府との関係を規定する重要な条項だと私は思うんですね。勝手に政府にお金を取られない。そもそも、議会というのは、ヨーロッパでそこから始まっているわけです。その基本的な規定、その規定の適用がある税なのか、それともそうじゃないのかということを確認したいんです。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、支援金制度、制度設計についてはこども家庭庁において検討しているわけですが、来年、通常国会での法案提出に向けて検討を進めていくこととなります。

 そして、当然、法律は憲法の範囲内で制定する必要があり、御指摘の租税法律主義との関係も含めて検討してまいります。

岡田委員 総理は、こういうふうにも答弁しているんですね。支援金について、社会経済の参加者全員が連帯して、広く負担するものだというふうに言っておられるんですね。つまり、少子化というのは、言ってしまうと社会保障全体が壊れる、だから、社会保障が壊れないために、全体で、つまり、事業者も個人も含めて幅広く、医療保険制度の活用をしながらということだと思うんですけれども。

 でも、それは、私、明らかに社会保険じゃないと思いますよ。やはり、給付と負担が、バランスまでしていなくても、基本的な考え方としてお互いリスクを分かち合う、これが社会保険ですから、これを全体が負担するというのなら、これは税そのものじゃないですか。だから、税としてやはり組み立てないと、訳の分からない支援金などという名称を使って組み立てるのは、私は非常に問題があると思います。

岸田内閣総理大臣 まず、支援金については、賃上げとそして歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせて、その範囲内で制度を構築する、国民に実質的な追加負担は生じさせないこととする、こうした制度をつくっていきたいと思います。

 そして、子供、子育て政策の基本的な考え方として、子供、子育て政策は決して子育て世帯、若い世帯のものだけではない、やはり、我が国の少子化そして人口減少等を考えますと、社会や経済やコミュニティーを維持するために重要な政策である。高齢者あるいは独身者も含めて、全て国民が我が事として考えるべき課題であるということを再三申し上げています。そういった意識改革が重要だということを申し上げています。

 税か保険かということにつきましても、従来の制度においても、こうした給付と負担の関係の強弱、様々であります。そういった中で、今、こども家庭庁において制度設計を行っているということであります。そして、来年の通常国会において法律を提出できるように今準備を進めていると申し上げております。

岡田委員 総理は多分、子ども・子育て拠出金制度というのが前例としてあるじゃないかと言いたいんでしょうが、これは事業主だけの負担。しかも、これも、児童手当をつくったときに、ごく僅かそこから出しなさいといったのが、いつの間にか範囲が次々に拡大して、今や相当な負担になっていますよね。しかも、今回は、事業主だけじゃなくて、国民全体にかかるということですよ。だから、やはり税なんですよ。

 もし、これを税でない形で構成するとすると、結局、上限か何かを法律に書かれるんだろうと思いますが、その上限の範囲内で政府が勝手に上げられるということになります。つまり、消費税は上げにくいので、そういう形で政府が自由に上げられるような、第二消費税のような形でつくられてしまう。どんどんどんどん、総理は子供政策倍増と言っておられますから、この三・五兆円の先もあるんですね。

 そういうものをこの仕組みでやっていったら、これは何兆円もの負担が国民にかかってくるということになりますよ。それも、国会でそれをチェックできないということになるんですよ。だからこれは問題なんですよ。もう一回考え直してもらえませんか。

岸田内閣総理大臣 国民の負担、これからどんどんと増えるのではないかという御指摘でありますが、先ほどから申し上げているように、賃上げとそして歳出改革によって国民負担を軽減させる効果、これを生じさせた上で、その範囲内でしか、支援金は準備することは考えておりません。実質的な負担追加、これは生じないということを再三申し上げています。

 その支援金制度をしっかり用意した上で、先ほど申し上げました三本立てで、加速化プラン三兆円台半ば、これを用意したいと申し上げています。

 こうした子供、子育て政策、負担と給付の関係を考えましても、これは国民にとって重要な取組であると認識をしております。負担と給付、この両方において国民の理解を得られるような制度をつくってまいります。

岡田委員 今の総理の説明は、医療や介護で改革によって保険料が減る、その範囲で支援金をやるので負担は増えない。だけれども、改革はいいんですけれども、ほっておいてもやはり高齢者の人数は増えていくから、その分はカウントしていないわけですよ。

 だから、これから、医療保険制度にしても、介護保険制度にしても、対象となる方の数が増えていきますから、それはどんどんどんどん給付の額が増えていく。だから、保険料が上がっていくんですよ。

 いろいろな改革をして、保険料がなるべく上がらないようにしなきゃいけないんだけれども、改革した結果を全部子供対策に回してしまったら、それは逆に、介護保険や高齢者医療制度が、保険料がどんどん上がるか、あるいは若い世代の拠出が増えるだけじゃないですか。だから、結局まやかしなんですよ、総理が言っておられるのは。

小野寺委員長 申合せの時間が来ておりますので、手短にお願いします。

岸田内閣総理大臣 その図の中にありますように、歳出改革とそして賃上げ、これによって国民負担を軽減させる、その範囲内で支援金を用意するということを申し上げております。

 そして、そうした負担だけをおっしゃいますが、給付、これは、国民の若い世代、そして子育て世帯、この改革によってどれだけのサービスの向上を享受できるか、こういったことと併せてこの制度を考えなければなりません。

 こうした子供、子育て世帯、若い世代の裨益、これも考えた上で、この制度の意味を国民全体で考えていくことが重要だと考えております。

岡田委員 もう時間ですから終わりますけれども、結局、子供政策に改革の成果を持っていけば、高齢者医療とか介護に、その改革の成果の持っていかれた分、保険料を上げるなり税を入れるなりして、結局ぐるぐる回っているだけなんですよ。若い世代の負担は増えてしまうんですよ。

小野寺委員長 申合せの時間が参っております。

岡田委員 そのことを御指摘申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。

小野寺委員長 この際、野田佳彦君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。野田佳彦君。

野田(佳)委員 立憲民主党の野田佳彦でございます。

 持ち時間三十三分ということでございますので、早速質問に入りたいというふうに思います。

 私と岸田総理は、昭和三十二年生まれ、一九五七年生まれ。政治的に言うと、五五年体制が始まった頃に生まれました。

 五五年体制というと、政権党は常に自民党、万年与党。野党は、日本社会党ほかいろいろあったけれども、万年野党。その硬直した体制がずっと続いて、そして、我々が衆議院に初当選をしたのが九三年、五五年体制が壊れたときなんですよね。

 まさに同世代として、政治改革の歩みもその後見てきました。九三年から九四年にかけて、政治改革が最大の争点であり、国会でも最重要課題として熱く議論をされました。選挙制度だけではなくて、政党助成金も導入され、それだけではなくて、腐敗防止の観点からも様々な法改正が行われて、政治資金の透明化も行われたんですね。

 これでかなり日本の政治はよくなるかなと私は一年生ながら高揚感を持っていたんですけれども、残念ながら、今、一強多弱という政治状況の中で、多弱というのは野党の責任もあると思うんですけれども、一党のおごり、ゆがみが出てきて、そこで、私は、残念なことですけれども、政治と金の不祥事が多発してきている、そこに危機感を持たなければいけないと思うんです。

 ところが、昨日の我が党の議員の、いわゆる自民党の五派閥の政治資金の不透明な動き、不記載の問題などについて、私は総理からは危機感を感じられませんでした。

 適切に対応するという言葉は言うんだけれども、それは各政治団体に任せると。適切な対応の内容は、要は、ミスをしたならばそれを修正すればいいという、うっかりミスが続いているかのような言い方なんですね。

 でも、やはり、今年、千葉五区で衆議院の補欠選挙があったのも、これは同じような不記載の問題でしたね。これは、たまたま偶然こういうことが起こったのかなと、不思議なことがあるなと私は思っていましたけれども、自民党の主要の派閥、五つの派閥で同じことが起こっていた。今回告発されているのは二〇一八年から二〇二一年ですけれども、これは氷山の一角じゃないか。もっと遡れば、継続的に構造的に行われてきた可能性があるんですね。

 だとするならば、政治に対する信頼を取り戻すために、党の総裁として、もっとリーダーシップを振るって、どぶさらいをしなければいけないと私は思うんです。その覚悟が昨日までなかったんですね。

 今日、御発言で、党の総裁として幹事長には指示を出すというところまで前進をされましたけれども、私はまだまだ危機感が足りないと思うんです。

 速やかにというといいけれども、国会審議に供することがなかったならば意味がないんですね。そこはよく自覚をして、そして、なぜこんなことが起こっているのかということ、それを解明するところまでが調査だと思いますよ。そこまでちゃんと責任を持ってやり切るということを、改めて覚悟として示してください。

岸田内閣総理大臣 まず、政治と金の問題をめぐりまして、国民の信頼という観点から重大な危機感を持たなければならない、これはおっしゃるとおりだと思います。国民の信頼あってこその政治というこの考え方、これを改めて強くし、危機感を持たねばならないと思っています。

 その上で、政治と金の問題についても様々な課題があります。そして、今回御指摘いただいているのは、政府とも違う、自民党とも別の政治団体、それぞれにおける様々な政治と金の問題、これについて御指摘があります。

 しかしながら、党と政治団体、派閥、これは人間が重なっているわけですから、これに対して幹事長としてしっかりと説明を尽くすようにということを伝える、こういったことを総裁として指示をしたわけであります。

 それぞれのケースに応じて、それぞれの立場から信頼回復に向けて努力していく、こういったことは大事だと思います。今回については、御指摘のような対応をした次第であります。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いいたします。

野田(佳)委員 かなり派閥を意識されている、何となく遠慮した発言なんですけれども。

 今日の御発言の最後に、党としても、国民から疑念を持たれることのないように努めてまいると言っているんです。党としてですよ。派閥にはいろいろあるかもしれないけれども、それを束ねて自民党になっているわけでしょう。

 党の総裁として、国民から疑念が持たれないように、改めて覚悟を持って対応すると言っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 党としても、国民から疑念が持たれないようにしなければならない、先ほど発言をさせていただきました。だから、私自身、党の総裁として幹事長に指示を出したわけであります。

 是非、御指摘の点についても、説明責任、適切に説明が行われること、これを徹底したいと思っております。

野田(佳)委員 じゃ、その説明をちょっと待ちたいと思いますけれども、次の問題に入りたいと思うんです。

 いわゆる副大臣、政務官の辞任、ドミノのように続いたことについては、これまでも委員会でも質問があったと思います。適材適所という言葉が、残念ながらこれほどおとしめられた事態はないというふうに思います。私も適材適所って言葉をよく使いましたけれども、言うはやすく行うは難しという気持ちはよく分かりますけれども、余りにも今回は真逆過ぎたと思います。

 その上、副大臣、政務官はおいておいて、ここに閣僚が並んでいます。適材適所で選んだと思います。でも、半分が、ほぼほぼ、お父さんの顔が浮かぶ、義理のお父さんの顔が浮かぶ、おじいちゃんの顔も浮かぶ人もいます。私は世襲が多過ぎるんじゃないかと思います。閣僚のほぼ半分、総理も含めてですよ、総理も含めて適材が世襲ばかりというのは、私は異常な事態ではないかと思う。

 例えば、さっき九三年にお互い初当選したと言いました。この三十年間で自民党出身の総理大臣で世襲ではないというのは、菅前総理だけですよ。総理になる人もみんな世襲なんです。これは本当に民主主義の国と言えるのかどうか。もちろん、有権者が選んでいると言うかもしれない。けれども、事態としては、私は本当にこれでいいのかと思うんですよ。

 例えば、総理は三世ですよね。ジュニアに委ねると四世でしょう、今度。ルパンだって三世までですよ。歌舞伎役者じゃないんだから。岸田家以外にも、広島一区では、国家を考え、アイデアを持ち、志を持っている有為な人材がいるかもしれない。でも、地盤、看板、かばんを考えると、はじかれるんですよ。それが本当にいいことなのか。

 我が党は世襲制限する法案をこの国会に提出をしましたけれども、そろそろ、この問題について、自民党も向き合っていかなければいけないんじゃないでしょうか。私は令和の最大の政治改革だと思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の国会議員の世襲の問題、これは、基本的には、政治家として有能かつふさわしい人間を国民が広く選べる仕組みをつくっていかなければならない、こういった問題であると認識をしております。そういった問題意識を持つことは重要であると思っています。

 委員の方から、御党においては法律を用意したという話がありましたが、自民党においても、議員の候補者選定において、民意を酌み取る仕組み、公募、予備選挙、様々な取組を今日まで続けてきました。引き続き、人材を広く募集する、発掘する、こうした取組は続けていかなければならないと考えています。

 その一方で、閣僚人事について御指摘がありましたが、閣僚ということについては、まさに人格識見をもって人選しなければならない、こうしたものであると思っています。

 いずれにせよ、世襲の問題、国民が幅広く有能なふさわしい人材を選べる、こうした制度や仕組みをつくっていく努力は絶えずこれからも行っていかなければならない、このように認識をいたします。

野田(佳)委員 さっき、冒頭、政治資金のお話からしましたけれども、政治資金のまず入口のところに不透明な動きがある。出の方も、本当は、贈答品だとか買って、宛先が分からない、不透明な動きがある。政治資金が不透明になってきて、国民は不審に思っている。そして、顔ぶれを見てみると、世襲がどんどん増えてきている。今たまたま閣僚で言いましたけれども、議員全体でも御党の中では比重が増えてきているということで、この不透明なお金の流れにいる、身を置く特定の家系の人ばかりということが、私は不審の原因になっていると思います。そこを断ち切っていくような改革を、今日は頭出しですけれども、申し上げさせていただきたいと思います。

 もう一つ、今日、総理の政治姿勢についてお尋ねしたいのは、今日、北朝鮮は、軍事偵察衛星と称するものを、いわゆる弾道ミサイルの技術を使って発射をいたしました。これが成功したのかどうかまだ分かりませんけれども。

 この軍事偵察衛星、これまで二回失敗していて、ずっと発射の可能性があるということで、防衛大臣が破壊措置命令をずっと出していました。これからもまだ出すのか分かりませんけれども、破壊措置命令を受けて自衛隊は厳戒態勢にありました。

 そういうときに、政治空白をつくるかもしれない解散風が、六月の通常国会の会期末に、そしてついこの間まで吹いていました。

 私は、こんなことでいいのかなと思うんですね。国民の生命と財産を守るのが一番の大きなまさに総理の責任だと思います。そして、二十四万人の自衛官を率いる、束ねる自衛隊の最高指揮官。御本人が解散云々言ったかは分からないけれども、周辺からそんな風が吹いてくること自体が私は不謹慎だとずっと思っていました。

 政局より危機管理の方が大事なことは明らかなのに、何でこんな話がどんどん飛び交ったのかということは疑問です。私は、それは総理、脇が甘過ぎたと思いますよ。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 北朝鮮の軍事偵察衛星の発射予告との関係で、政治空白を生じさせるような状況を感じさせることは問題であるという御指摘だったと思います。

 振り返りまして、六月の通常国会会期末、私は度々解散についてマスコミ等から問われました。その際、再三申し上げてきたのは、先送りされてきた課題に答えを出していくとの岸田内閣の基本姿勢に照らして判断していく、これをずっと一貫してお答えしてきました。

 そして、この国会が始まる前からも解散について聞かれることが度々ありました。国会が始まってからもありました。そのたびにお答えしているのが、物価高騰対策、経済対策を始め先送りできない課題に一つ一つ取り組んでいく、一意専心取り組んでいく、それ以外のことは考えておりません、これを再三繰り返してきました。私自身そういった発言をずっと繰り返してきた、これが実際であります。

 こういった、周りから風が吹いた、脇が甘いのではないかという御指摘があります。これについては改めて我が身を振り返ってみたいと思いますが、私自身は一貫して、解散を問われた場合に、今申し上げたことを、六月においてもまた今月においてもずっと発言し続けている、これだけは説明をさせていただきたいと思います。

野田(佳)委員 自民党の中でも随分、解散前提で動いていらっしゃる若い人たちもいらっしゃいましたから、それは、そういう弁解はされましたけれども、間違いなく風は吹いていましたよね。風は吹いていた。誰が吹かせたか、それは分かりませんけれども。

 なぜこんなことが起こるかというと、そもそも二年前の十月、総理は解散をして、そして、総選挙が始まる公示の日でしたね、十月の十四日だったかな、二十一日だったかな、忘れましたが、日付は。そのときに、総理は福島に遊説に、官房長官は、今いなくなりましたけれども、官房長官は地元に行っていて、その午前中に北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に向けて二発撃ったじゃないですか。そのときにNSCが開けなかったですよね、なかなか、国家安全保障会議。二人とも、鍵を握る人が、司令塔が遊説に行っちゃっているんだから。

 というように、過去に危機管理よりも政局を優先したことがあるから、みんなそう思ったんですよ。私は反省すべきだと思いますよ、そう見られていること自体。そもそも初動がそうですよ、総理になったとき。だって、間違い、思い出してください。北朝鮮、二発ミサイルを撃ったでしょう、あの公示の日に。いなかったでしょう、二人とも。対応が遅れたでしょう。

 今頃思い出しているんですけれども、そういうことの私は積み重ねだと思いますよ。いかがでしょう。

岸田内閣総理大臣 二年前の選挙の公示日に北朝鮮がミサイルを撃った、これは確かに私も記憶をしています。総選挙の公示日、出陣式の当日であります。選挙に対応していた、これは御指摘のとおりだと思います。

 そして、その後の対応も含めて、対応が甘かったのではないかという御指摘については改めて振り返らなければならないとは思いますが、これは、政治、絶えず動いている、特に、御指摘のときは、総選挙が始まったときであります。そのときに政権としてどう対応するべきなのか、しっかり振り返り、危機管理という面において、当時の対応は最善の対応をしたと信じておりますが、今後の対応についても、しっかり振り返り、参考にしなければならないと考えます。

野田(佳)委員 最善の対応じゃなくて最悪の対応だったということを申し上げておきたいと思いますし、やはり危機管理よりも政局を優先してきていたと私は思いますね。残念なことであります。

 ほかのテーマに行きますけれども、物価高の問題であります。

 内閣府が十五日にGDPの速報値、七月から九月、七―九の速報値を出しました。前期比でマイナス〇・五%、年率換算でマイナス二・一%と、残念ながらマイナス成長になったんですね。この原因は、やはり物価高によって節約志向になって、残念ながらGDPの大宗を占める個人消費が不振だったということが多分一番の原因だと私は思うんです。

 その七月―九月、マイナス成長になっているときに、国会は七、八、九と長い夏休みなんですよ。長い夏休み、何の対策も講じなかった。そして、十月には、四千七百品目もの飲物、食べ物が値上げされた。値上げラッシュになっていたんです。ずっと手をこまねいて、九月の末に総理は経済対策をつくるように指示をし、そして、十月二十日に国会を召集されたけれども、すぐ補正予算が出てくるわけではなくて、ようやく今週から経済対策、補正予算の審議が始まった。

 遅過ぎると思いませんか。トゥーレートですよ。遅過ぎるというのは政策遂行する上で致命的だと思いますが、いかがでしょう。

岸田内閣総理大臣 委員の話を聞いておりますと、今回の経済対策を検討するまで政府が何にもしていなかったというような誤解を与えるのではないかと感じています。

 物価高、経済対策という意味では、昨年の春から政府としては様々な対策をきめ細かく継続して行っています。エネルギー、食料品、こうしたものを中心とした様々な対策、燃料油や電気、ガスの激変緩和措置ですとか、肥料高騰対策ですとか、低所得世帯に対する重層的な支援、これを継続してきめ細かく行ってまいりました。

 そして、今現在も、この夏から低所得者世帯には給付金を支給しております。ガソリン、そして電力、ガス、こうしたエネルギーに対する激変緩和措置、これは継続しておりますし、来年の春まで継続すると経済対策の中でも盛り込んでいるところであります。

 こういった対策をずっと続けている中にあって、さらに、今の時点で用意しなければならない対策、例えば、今の日本の経済、供給ということを考えましても、ずっとコストカット型経済が続いてきた中にあって、潜在成長率ゼロ%半ば、まだまだ供給力を上げなければいけない、こういった指摘があります。そして、需要の方につきましても、物価高に賃上げが追いついていない、こういった指摘があります。

 こういった状況の中で、さらに、経済対策に何が必要なのかということで、今回、総合経済対策、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力をしっかりと支えるための供給力強化と、そして経済の好循環を中折れさせないための可処分所得の下支え、この二つをしっかり柱とした経済対策を用意したということであります。

 昨年来ずっと続けてきた経済対策の一環として、今回、より未来を見据えた対策を用意したということであります。

野田(佳)委員 いろいろ御説明されましたけれども、ずっといろいろやってきているということを言いたいんですよね。

 でも、政治は結果責任でしょう。七月―九月はマイナス成長であることは間違いないじゃないですか。七―九月のこの間に危機感を持って下支えをするということをなぜやらなかったかということを私は申し上げているんですよ。ずっとやってきた、でも効果がなかったからマイナス成長でしょう。ということです。結果があるじゃないですか。

小野寺委員長 答弁を求められています。

野田(佳)委員 要らないですよ。また同じような話をするでしょう。要らない。

 もっと次のテーマがあるんですよ、次のテーマ。

 物価高対策、一生懸命、遅ればせながらこれから、私はそう思っていますよ、遅いんですよ。加えて、でも日銀は金融緩和を続けているわけじゃないですか。緩和というのは物価を上げる政策でしょう。日銀は物価を上げる政策、政府は慌てて物価高対策。これはちぐはぐですよ。しかも、政府の対策の中でも公共事業は四兆円以上でしょう。これは、需給がバランスに乗っているときにはむしろ物価を上げる可能性もあるんですよね。などなど、物価を上げたいのか下げたいのか分からないんです、今。

 分かりやすく説明してくれますか。

岸田内閣総理大臣 一連のこの政府の対策、要は、七―九月期、対応を何もしていなかったという御指摘がありましたが、これは、対応をやっていなかったのではなくして、対応を続けていたけれども、まだ十分でなかったので、今回更なる経済対策を用意した、こういったことであると思っています。

 そして、これは先ほど申し上げたように、供給面、潜在成長率がゼロ%半ば、需要面では賃上げが物価に追いついていない、こういった中で政府として経済対策を用意しました。政府としては、インフレを加速させることなく、賃金が上がり、そして家計の購買力が上がることで消費が増えて、物価が適度に上昇する、こうした循環をつくっていきたいということで政策を用意いたしました。

 そして、日銀の御指摘がありましたが、具体的な金融政策はこれは日銀に任せなければならない、これは基本的な考え方ではありますが、政府と日銀、これは緊密に連携をしています。連携をした上で、物価あるいは経済情勢に応じて機動的に政策を進めなければいけない。構造的な賃上げを伴う経済成長と、物価安定の目標を持続、安定的に実現する、こういった目標においては、政府そして日銀、これは意思疎通を図っておりますし、そして、両者の対応は矛盾するものではないと考えています。

野田(佳)委員 どう見ても矛盾しているように感じます。だから、お互いの効果を相殺させてしまっているのではないかと私は思うんですけれども。

 同じように矛盾しているのは、増税と減税が一体となって語られていることなんですね。

 まず減税の方からお聞きしたいと思うんですけれども、私も税はいろいろと改正しようとしまして、社会保障と税の一体改革、あるいは復興増税など、国民に理解を求めるのは物すごい大変でした。苦労しました。でも、一方で、減税をやるのにこんな苦労するとは、私は不思議なことなんですよ。

 これはやはり、ちゃんと説明できていないからと、それから、やはり、国民が、先ほど岡田さんの質問にもありましたけれども、本当に減税でいいのかと思っているからではないですか。

 総理は、多分、御説明で、要は、可処分所得が増えるように下支えをしていくことの大切さを説いていますよね。そうなれば消費に回るだろうということなんだろうと思います。

 でも、これは、そろばん勘定としてはそうなんだけれども、だけれども、間違いなく防衛増税は控えているし、少子化対策の負担増も確実視されているという方向性が間近な日程であるわけじゃないですか、将来に。それを控えているならば、それならば、減税されても、そのお金は消費ではなくて貯金に回そう、貯蓄に回そうというのが国民感情じゃないですか。そろばん勘定と国民感情がずれているんです。

 私は、その人情の機微が総理は分かっていないんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

岸田内閣総理大臣 政策を結果に結びつけるためにこそ、政策の狙い、目標、これをしっかり説明することが大事だと思っています。これは減税そのものが目的ではありません。デフレからの脱却、そして経済の好循環、これを中折れさせない、こういった経済をつくっていく、こういったことのために用意したものであります。

 そして、減税、増税、両方あるから国民は財布のひもが固くなってしまう、そういった御指摘がありましたが、この増税、防衛力強化の増税を御指摘になっているんだと思いますが、この中身についても、御案内のとおり、所得税に関しましては実質の家計の負担は生じないという中身になっています。そして、法人税、九四%の法人は対象外とさせていただいています。今回の所得税減税と決して相反するものではない、矛盾するものではないと考えておりますし、子供、子育て世帯の財源についても、先ほど岡田委員とも議論をさせていただきましたが、国民負担が増えない形でこの財源を考えていく、こうしたことを申し上げております。

 子供、子育て政策、そして防衛力の強化、これはそれぞれ国民の安心、安全のために大事な課題であります。これもしっかり進めてまいります。しかし、その大前提は経済だと申し上げております。三十年来の目標であったデフレ脱却、チャンスを物にしたい、こういった思いで経済政策を用意したこと、これを是非、国民の皆さんに丁寧に説明を続けていきたいと考えています。

野田(佳)委員 私は、防衛費の増額については一定の理解をしているつもりです。防衛装備の充実あるいは待遇改善などに、やはり一定の増額は必要だと思います。だったら、それを、どうやって財源をつくるのかということは早く、重要な政策であるだけに、決めていくべきだと思うんです。少子化対策、子育て支援も大事だと思います。これはむしろ、異次元なんて言っているのは、ずっとやってこなかったからですよ。それもきちっと財源を手当てをしながら前に進めていくべきであるという立場なんです。

 だけれども、いつまでたってもその負担がどれくらいか分からない。これは国民にとってはすごく居心地が悪いですよ。例えば、岸田屋という飲食店に入った、いろいろメニューが出ている、金額はどれぐらいかなと見たら、みんな時価としか書いていない。これは不安になりますよ、みんな、消費者は。そういう状況の総理の財政運営があるから、減税と言ったって響かないんですよ、みんなに。そこの根本的なところを押さえなければ私はいけないのではないかと思います。

 本当は、だから、こども家庭庁を中心に子育て支援をやっていく、三・五兆円お金が必要だと。防衛費だって五年間で四十三兆円必要だと。兆単位の財源づくりが必要なんです。だけれども、どう見ても、兆単位の財源づくりを先送りし過ぎて、国民を不安にしているだけなんです。

 兆という漢字を思い浮かべてください。しんにょうというつくりを入れると、逃げる。兆という漢字にてへんをつけてください、挑む。挑むか逃げるかは、我が国にとって決定的な今違いなんです。逃げよう、逃げよう、先送り、先送り、それが岸田総理の政治姿勢として国民に映っていると私は思います。

 適材適所とするならば、総理として適材として見ていないように国民がなっていると私は思います。いかがでしょう。

岸田内閣総理大臣 岸田食堂に入ったらメニューが時価としか書いていないとおっしゃいましたが、防衛力の強化、おっしゃる防衛増税の部分についても、それから、子供、子育て政策の財源についても、これは政府として明らかにさせていただいております。

 防衛力強化の税制措置につきましても、昨年の閣議決定において、全体の四分の三は社会保障費以外の歳出改革を徹底することによって捻出いたします、ただ、四分の一だけは未来の世代に対する責任として国民の皆さんにお願いしたいということを、四分の一お願いしたい、これを明らかにしております。そして、時期についても、令和九年度まで複数年をかけてこの四分の一を確保する道筋を考えていく。その際に、賃上げ、景気にもしっかり配慮して、この実施時期についても考えていく。

 このように、内容においても、そして時期においても、こうした負担にならない、こうした形を用意しています。所得税やあるいは法人税への影響も先ほど申し上げたとおりであります。

 子供、子育て政策についても、先ほど申し上げました加速化プラン、三兆円半ば、これを三本柱によってしっかり賄っていく、これを二〇二八年まで毎年の予算編成の中で今度積み上げていく、こういった具体的な数字を示させていただいております。

 時価でこういった問題を片づけているというのは当たらないと考えております。

野田(佳)委員 るる言いましたけれども、歳出改革も中身、決まっていないじゃないですか。結局、金額、決まっていないんでしょう、負担とね。

 もう時間がなくなりました。いっぱい反論したいんですけれども、終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、渡辺創君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。

 昨日に続き、そして先ほどの野田総理に続き、自民党の主要五派閥の政治資金パーティーに関する政治資金収支報告書の不記載の問題について質問させていただきます。

 まず、総理の冒頭にありました発言について、一点、確認をさせていただきたいと思います。

 発言の中で、適切な説明という文言がございました。訂正した事実、収支報告書を訂正したということだけをもって、それを説明というわけではないですよね。

 なぜ確認をするかというと、昨日の新藤大臣の御答弁の中には、訂正をもって説明をしていることになるというふうに聞こえるような御答弁もありましたので、確認をしておきたいというふうに思いますが、訂正内容等について適切に説明するというふうにおっしゃっていますので、これは国会での説明なのか、会見なのか、文書なのか分かりませんけれども、きちんとした形で各派閥から説明がなされると理解をしてよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、各政治団体において、訂正を行った、その訂正について説明を行う、それぞれ、やり方については、その説明、実質的な説明ができるように工夫をする、こういったことであると考えております。

渡辺(創)委員 分かりました。まず、きちんと、訂正だけではなくて、訂正のことについて、しかも訂正等についてというふうにありますので、様々な世の中の指摘について、社会からの指摘を受け止めて、きちんと御説明していただきたいというふうに思っております。

 私は、元々新聞記者をしていましたので、国民が今何を求めているのかについて常に気を配らなければならないというふうに、特に政治家になってから自らの戒めにしているところであります。

 昨日の質疑では、政府、閣僚の立場からは答弁を控える、答弁をしないという旨の内容が続きましたけれども、状況認識は的確でありましょうか。国民から今向けられている政治と金をめぐる不信や疑い、これにきちんと応えることも私たち政治家が問われている極めて重要な命題だというふうに思います。

 むしろ、もう具体的なことは繰り返したくないので言及は避けますが、政治と金の問題が続く今の国政の状況を考慮すれば、立場を踏み越えてでも説明をさせてほしいというふうに求める姿こそが、与党内で一定以上の立場にあるからこそ、議院内閣制の国家において、与党から閣僚に登用された国会議員に求められていることではないだろうかというふうに思うところです。

 そして、まして、与党の持ち時間でやってくれと言っているわけではありません。我が会派の時間を使って質疑をしようと言っているところですので、どうぞ遠慮は要りませんので、しっかりと御説明をいただきたいというふうに思います。そのことがこの国の政治への信頼を回復するすべだというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。

 質問に入りますが、昨日、我が会派の大西委員、本庄委員の質問に残念ながら余り向き合っていただけなかったという印象のあった平成研究会事務総長も兼ねていらっしゃる新藤大臣にお伺いをしたいと思いますが、昨日両委員から繰り返されましたけれども、今日はまたそして総理の指示もございました。平成研究会の代表者らが刑事告発されている内容について、改めて何か、昨日の補足も含めて、御説明なさることはありませんでしょうか。

新藤国務大臣 まず、平成研究会、政治団体として、御指摘があったこと、御質問があれば、それには適切に答えられる、答えるというふうに考えております。

 ただ、私は、今、閣僚の立場にあって、内閣として、今この状況において、政府にある立場としての私からのお答えを差し控えさせていただくと言ったのであって、私どもの政治団体がお答えをしないと言っているわけではありませんし、既にそれは説明をさせていただいているというふうに思っています。

 それで、もう既に、それは、御質問があればそれに対して対応されているというふうに聞いております。そのことも含めて、私がそれを……(発言する者あり)質問してくれますか。

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

新藤国務大臣 私が申し上げられるのはこの立場におけることでありますから、ここは、今日総理からもお話がございました、政治団体において適切な説明を速やかに行うように幹事長に御指示があったわけですから、その中で行われるというふうに思います。

 ただ、私の方は、昨日からいろいろ御指摘がございました。ですから、政治団体としての平成研の事務方に確認をしたところ、政治資金パーティーの対価の二十万円を超えた支払いにつきましては、支払い者の名称の記載が一部漏れていたことが判明をいたしました。そのために、政治資金収支報告書についての所要の訂正を行ったというふうなことを報告を受けました。そして、収入の総額については変わりはございませんということでございます。

渡辺(創)委員 昨日そのぐらい御答弁いただけたらありがたかったかなというふうに思うところでありますけれども、今、これからも新たな疑念というか疑問も出てくる可能性があります。もう既に総理から幹事長に出されている指示は、出されているわけでありますので、順を追って各派閥にも行くんだろうと思います。訂正にとどまらず、きちんと説明を派閥のしかるべき立場の方にやっていただきたいことを、まず念押しをしておきたいと思います。

 そして、一般論で結構でございますから、平成研究会でいえば、大臣、事務総長の立場におありですね。今、総理が幹事長に指示をして各派閥がきちんと説明をすることと言う以上は、社会に対して、世の中に対して、派閥で誰がどのような形で説明をなさるのが適切な説明だというふうにお考えでしょうか。一般論で結構です。

新藤国務大臣 一般論でございますけれども、政治団体としての平成研究会には、会計責任者、これが政治団体届出の中で置かれております。その会計責任者において政治資金の取扱いがなされておりますから、それに基づいて御説明があるのではないかな、このように考えております。

渡辺(創)委員 これは各派閥共通だと思いますが、政治団体の会計責任者、派閥の場合、一般的には事務方、どういう立場にその派閥の中であるのかは分かりませんけれども、事務方の方であって、議員ではないということが多いと思います。その方だけの説明というので果たして国民の疑念に応えられるかどうか。それは派閥の代表なのか、事務総長なのか、肩書はいろいろあるかもしれませんけれども、きちんとそういう政治家も少なくとも同席をして国民の疑念に応えるというのが信頼される派閥、政治団体の役割ではないかと思いますので、是非その点をしっかり五派閥とも踏まえていただいて御対応いただきたいというふうに思います。

 次の質問に移っていきたいと思いますが、私は、昨日の質疑を聞いていてもう一つ気になったことがあります。それは、派閥はその他の政治団体だから政党とは直接関係ないという主張がありました。これは余りにも形式的にすぎませんでしょうか。国民にとっては極めて白々しい発言にしか聞こえないというふうに思います。

 選挙の結果から多数派を形成した与党が組閣をして内閣をつくるのがこの国のシステムです。そして、その与党の位置に長くあるのが自民党の皆さんであります。その自民党の皆さんで形成をしている派閥というのは、位置づけ的にはその他の政治団体かもしれませんが、小さな規模で地道に政治活動を続けているその他の団体と同じように語るのは無理があるというふうに思うわけです。

 私も実は新聞記者の時代に自民党の派閥担当をした時代がありますけれども、派閥というのは、同じ政策的方向性を共有し、自民党の理念、政策をその方向に向けていこうという思いを旗にして集って活動しているグループですよね。ただの気の合う仲よしグループということではないというふうに思います。当然ながら、政権与党である自民党に大きな影響を与え、政府にも影響を与えようとする集団と解するのが自然です。

 だからこそ、その存在と理念を評価して、多くの個人や企業、団体などがパーティー券を購入しているわけじゃないでしょうか。その収入は、コロナ禍の近年でも、一億円を超えて、一億五千万とか二億に迫ろうというふうなところもあるわけであります。これは、やはり自民党という巨大な権力組織の中に含有されたシステムだと理解をするのが国民の至極自然な理解だというふうに思いますので、このことは議論をするつもりはありませんが、その立場に立って私の質疑は進めてまいりますので、是非そう御理解をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、まず、この問題がどのような話であったかということをおさらいしておきたいというふうに思います。

 政治資金規正法は、同一の者から政治資金パーティーの対価の支払いの合計額が二十万円を超える場合には、氏名、住所、金額、年月日等を収支報告書に記載するように義務づけています。ところが、二〇一八年から二一年の各派閥の収支報告書を確認したところ、実際には二十万円超のパーティー券購入であるにもかかわらず不記載になっているものが多数あるということが分かりました。

 パネルを御覧いただきたいと思います。これは昨日の大西委員のパネルと同じでございますが、主要派閥の刑事告発の対象となっている政治資金パーティー収入の不記載分をまとめています。四年間の合計でございますが、清和政策研究会が千九百四十六万円、志帥会が九百七十四万円、平成研究会が六百二十万円、志公会が四百十万円、宏池政策研究会が二百十二万円、総額四千百六十二万円というふうになっております。

 この件については、既に政治資金規正法違反で東京地検に告発状が提出をされております。新聞各紙でも報道されておりますし、先週は週刊新潮も大きく報じておりました。さらに、真偽のほどは分かりませんけれども、派閥の事務担当者の方、関係者の方が事情聴取を受けているとの報道もありました。今週に入り、国会でも質疑が続いているというところであります。

 まず、被告発人になっていらっしゃいます岸田総理にお伺いをしたいと思います。宏池会のことについて御答弁いただければ結構でございますので、その認識でお願いします。

 昨日の質疑の中で、指摘を受け所要の訂正を行ったという報告を受けておりますというふうに御答弁をなさいましたが、どの時点で報告を受けたのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点について、告発を受けた、さらには、令和四年十一月六日のしんぶん赤旗において記載漏れが報道された、こういったことを受けて、宏池政策研究会の会計責任者がこういった指摘を受けて政治資金収支報告書の記載を点検したところ、一部の記載漏れが判明した、所要の訂正を行った、こういった報告を私も会長として受けました。(発言する者あり)ですから、令和四年の十一月頃報道されたと承知しておりますので、一年ほど前であったと思いますが、具体的な日にちまでは記憶しておりません。

渡辺(創)委員 修正の日にちを見ると、恐らく、報道があってからではなくて、取材を受けた段階で訂正を宏池会はしているというふうに思いますけれども、おおむね去年の十一月に聞いているということですね。つまり、今回の新潮の報道等を受けて最近知った、報告を受けたではなくて、去年の秋の段階からこの指摘がなされていることを総理は御認識をなさっていたということが今確認できました。

 次のパネルを御覧いただきたいと思いますが、このパネルは、二〇二〇年の宏池政策研究会の収支報告書から関係する部分を抜き出したものでございます。二〇二〇年十月五日に開催された宏池政策研究会のパーティー、宏池会と語る会についてお伺いをしたいというふうに思います。

 二〇二〇年分の同会政治収支報告書は、二〇二二年十月二十八日に、収支報告書のページを指す意味でありますが、様式その十一というところについて訂正が行われています。

 総理に伺いたいんですが、どのような事実がどのような経緯で判明し、どのような訂正を行ったのでしょうか。これは事前に一言一句たがえずに通告していますので、御説明をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、一年ほど前、この指摘を受けて、会計責任者が確認したところ、訂正の必要があるということで訂正を行う、こうしたことを報告を受けたわけでありますが、御指摘の二〇二〇年、令和二年の政治資金収支報告書につきましては、令和四年十月二十八日に、三つの政治団体からの七件、計八十万円分の政治資金パーティーの対価に係る収入について支払い者の名称の記載が漏れている、それを訂正したという報告を受けております。

 先ほど委員が説明していただきましたように、パーティー券を購入してもらった場合には、二十万円を超えた場合、名称を記載しなければなりません。しかし、派閥の政治資金パーティー、これは、多くの議員がそれぞれ購入をお願いする、複数回購入するということで、集めてみたところ、最終的に支払い額が二十万円を超えていた、こういった事例が生じてしまっている。よって、支払い者の名称を記載しなければいけなかったところが記載されていなかった、こういったことについて、これを訂正の必要があると判断して訂正した、このように会計責任者から報告を受けております。

渡辺(創)委員 それでは、確認ですが、今、これでも分かるように、総理がおっしゃったように、たくさん議員がいらっしゃるから、それぞれ政治団体の方にお願いをした、そうしたら分割してというか分散して購入がなされたから、名寄せすれば分かるわけでありますが、その作業を行わなかったので、二十万円以下のそれぞれの購入であるというふうに理解をしたというふうに思います。

 確認です。それは、同一の団体ということが分かっていなかった、つまり、全く別々の団体だという理解で二十万円以下のところで計上していた。なぜなら、帳簿には全ての収入を記載しなければならないということになっていますから、それぞれの収入が明確に出ていたはずです。購入者の名前も書いてあって、金額も書いてある。当然、名寄せをすれば同じ団体と分かるわけですが、それをしなかったからこそ、つまり、別々の団体と理解をしていたから、こういう小口の形になってしまって、二十万のところに書かなかったということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたような報告を会計責任者から受けております。ちょっと、それ以上につきましては、私自身、承知をしておりません。

渡辺(創)委員 それでは、次の質問を聞きますが、これの上部にあります、上の方の赤い枠囲みのところを御覧ください。ここは様式その十というふうに言いますけれども、パーティー券の収入総額を記載するところです。一億五千五百三十二万七千四百七十円の売上げがあったというふうになっております。

 二十万円超のパーティー券購入については、先ほど総理も御説明なさったように、全部合わせて八十万円分を新たに追加をした、下の方に書いてある中身でありますけれども、ということで訂正をされておりますけれども、パーティーの売上総額のところは訂正がありません。訂正がない理由を、なぜか、御説明をいただきたいと思います。これもきちんと通告しておりますので、よろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、支払い者の名称の記載がなかったということについて訂正したと報告を受けております。ですから、総額、これは変わるものではないと聞いております。私自身、そのような報告を受けております。

渡辺(創)委員 先ほどと同じですが、改めて確認したいんですが、総理がおっしゃられたように、収入総額に変わりがないということは、ここで今回追加のあった件については、新たに分かったわけではない、元々ちゃんと売れていたことが帳簿上確認されているということに理屈上はなるはずですね。

 明細には、全ての帳簿、保管しておかなきゃいけないんですよ。政治資金規正法では、全ての収入を会計帳簿に記載をして保管しておかなきゃいけないんです。当然その帳簿に全て記載されているはずですから、今の総理の質問に立って聞けば、それぞれの団体は二十万円以下の額だったので個別にそこに計上されていた、だから、名寄せをされることがなくて、二十万円超の特出しして載せなきゃいけないところに載せなかったという理屈以外に、総理が言っているのは考えられないんですけれども、その理解でよろしいですよね。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、私は、会計責任者から、先ほど申し上げたように報告を受けています。

 具体的にどのような対応をしていたか、これは責任者でなければ分からないと思います。だから、各派閥とも、会計のやり方、責任者が様々でありますので、しかるべき人間がそれぞれ説明することが必要なのではないか、そういったことで私も幹事長に指示をしたということであります。

渡辺(創)委員 分かりました。

 論理的に考えて、私が指摘したような中身じゃないと、総理が事務担当の方に確認をしていなかったというのも、それはそれで仕方がないと思いますので、総理、国民の疑問にはしっかりお答えになるということなので、今のことも含めてきちんと説明できるように対応していただきたいと思います。

 今、私が述べ、また総理の答弁から推察されることを考えれば、二十万円以下の収入で分かれていたのでそれぞれ別の購入者だというふうに形式的には理解をした、だから気づかなかった、結果的に、指摘を受けて調べて名寄せをしてみたところ、この人たちは二十万円を超えているのでまとめて特出しして出さなきゃいけないから今回のような訂正をしたというのが常識的な理屈になるはずです。

 その前提で考えて総理に伺いたいんですが、同じパネルの上のところ、赤囲みの右横に「対価の支払をした者の数」という欄があります。総理、ここは何を記載するところか御存じでしょうか。

岸田内閣総理大臣 済みません、ちょっと、その書類の様式と、その意味や使い方、私は、正直、詳細は承知しておりません。

渡辺(創)委員 総務省に聞きます。ここは何を記載する欄ですか。

笠置政府参考人 お答えいたします。

 この欄につきましては、政治資金規正法におきましては、特定パーティー、収入額が一千万円以上のものでございますが、特定パーティーにつきましては、そのパーティーごとに、その名称、開催年月日、開催場所及び対価に係る収入の金額、対価の支払いをした者の数を記載する……(渡辺(創)委員「違います、違います。僕が聞いたところだけ答えてください」と呼ぶ)はい。

 これは、「対価の支払をした者の数」というのは、いわゆるパーティー券の購入枚数等ではございませんで、実際に対価の支払いをした者の数ということでございます。

渡辺(創)委員 今の総務省の御説明でいえば、つまり、パーティー券を一枚買った方も一つとカウントされるし、百枚買っている方も一つとカウントされるわけです。

 今総理がずっとなさってきた説明で考えれば、二十万円以下のところに分散していたものをまとめて、これは二十万を超えている購入団体だということになれば、一つにまとめるわけですから、少なくとも、収支報告書上、ここの部分が修正をされなければおかしいという理屈になります。

 二〇二〇年の宏池政策研究会の場合、今まで、総理の説明等を基に考えれば、既に行われている修正を踏まえたときに、この二千二百十八というところは、少なくとも四減って二千二百十四に訂正しなければならないということでありますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点、私は、会計責任者から報告を受けているのは、先ほど答弁させていただいた内容だけであります。ちょっと、御指摘の点も含めて、詳細を説明する能力がありません。

 だからこそ、先ほど申し上げましたように、各派閥とも適切な説明を説明者が行うということが大事だということで幹事長に指示を出させていただいた、こういったことであります。

渡辺(創)委員 僕は、笑っている場合ではなくて、これだけ大きな売上げのある政治団体が国民の皆さんに的確にきちんと報告しているかという問題ですから、大事な問題だと思いますよ。各派閥の収支報告書の信頼性がこれでも改めて揺らぐわけですから。

 しかも、宏池会のこの部分のことだけを言っているのではなくて、調べてみたんです。二〇一九年と二〇年の二か年しか調べませんでしたけれども、同じ構造で同じところが不記載になっている可能性が、各派閥で既に訂正を行っているものを基にして試算をした結果でありますけれども、少なく見積もって、宏池会で、二〇一九年がマイナス四、二〇二〇年がマイナス四、平成研究会が、二〇一九年、マイナス八、二〇二〇年がマイナス十三、清和政策研究会が、二〇一九年、マイナス五十六、二〇二〇年がマイナス五十三、志帥会が、二〇一九年、マイナス十四、二〇二〇年、マイナス十六、志公会が、二〇一九年、マイナス十一、二〇二〇年、マイナス十四、修正が必要なはずです。

 つまり、宏池会だけではなくて、今の指摘が、きちんと確認させていただければ、改めて全部の派閥が収支報告書の修正が必要な中身です。訂正が必要な中身だというふうに思います。

 総理、先ほどの指示を超えて、しっかり、指摘された問題だけではなく、報道で指摘された問題だけではなくて、収支報告書の総点検を、力を、全力を注いでやる必要があるというふうに思いませんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 派閥として、外部から指摘を受けた政治団体については訂正を行ったと承知をしております。

 指摘されたことについては、しっかりと確認をし、お答えしていかなければならない、説明していかなければならない、このように認識をいたします。

渡辺(創)委員 今私が申し上げたことは、各派閥、報道を基に、報道された、若しくは取材を受けた、又は告発をされた、その中身だけを、ちょちょっととは言いませんが、訂正をしておいて、もっと全体に関わることをきちんとチェックをする、若しくは、自らが訂正をした内容に関わる部分なのに、そこのチェックも行わずに来たという、いかに訂正の作業がこれまでずさんだったかということを示しているんじゃないでしょうか。

 そのことをきちんと踏まえれば、もっときちんと収支報告書全体を、さらには、先ほど総理は総収入は変わらないというふうに言われましたけれども、報道や、もしかしたら捜査機関等々は、その総収入が変わらないのかどうかというところに対しても、そのままおっしゃることを受け止められるのかどうかというところに疑義を持っているのかもしれません。

 帳簿を見れば、しっかりいろいろな事実が分かると思うんですよ。少なくとも、まず自浄作用を働かせてもらって、しっかり会計帳簿を点検して、さらには、これは政治団体ですから、対となる収支報告書があるのでまだ発覚したものがありますが、個人や企業が購入したものは全く明らかになる材料がないんです。信じられるのは各派閥がお持ちの会計帳簿だけのはずです。

 そこをしっかり整理をして、ほかにも修正すべき点があるのであればきちんと修正する、そのぐらいの本気の取組をやらないと、国民の皆さんの信頼を回復することができないのではないかと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 私は派閥の会長でありますので、報告を受けたことについて御質問を受けた場合にお答えした次第であります。

 ただ、委員の御指摘の点も含めて、詳細はやはり実際会計に関わった人間でなければ分からない部分があるんだと思います。だからこそ、各派閥、政治団体においては、会計を行う体制、これは様々でありますので、それぞれの実態に応じて修正等について説明を行うことが大事だと考えて、幹事長に指示をした次第であります。

渡辺(創)委員 総理が全ての事務を分かっているとは私も思っていません。だからこそ、しっかり総理が強い指示をなさることが大事じゃないかというふうに思っています。

 もう一つ新たな問題を指摘したいと思いますので、次のパネルを御覧いただきたいと思います。

 これは、清和政策研究会の二〇一九年の収支報告書に関する資料です。

 上は、パーティー券を購入した大阪府医師政治連盟の同じ年の収支報告書です。そして、下の方は清和政策研究会の関係するところとなりますが、清和政策研究会の同報告書では、報告書提出段階では一切記載のなかった大阪府医師政治連盟からの収入金額を報告書その十一の部分に、1五十六万円、これは五月十六日、2十万円、五月二十一日、3十万円、これは五月二十九日の三回に分けて追加訂正をしています。訂正日はちなみに二〇二二年の十一月八日です。

 一方、大阪府医師政治連盟の同年の政治資金収支報告書では、1に該当する支払いと推測できる支出が三十万円、十万円、六万円、十万円の四回に分けて記載をされています。2、3については清和政策研究会の訂正記載の内容と一致をしていますけれども、つまり、訂正で清和会が出した五十六万円というのは、実質は四回に分けて振り込まれていたということになるというふうに思います。

 何が言いたいのかというと、この訂正には、そもそも最初の段階から、一回で二十万円を超える、三十万円の支払いがありますので、支払いがあります。収入があります。これは、当初の段階からすぐに二十万円超のものだというふうに分かるもののはずなんです。つまり、修正する云々ではなくて、当初の報告の段階から容易に気づくはずの収入であるわけなんですが、なぜ載っていないんでしょうかね、元々。

 つまり、派閥は違いますからこれは総理に聞くのは酷だと思いますけれども、総理が今日も答弁をなされ、昨日も答弁されていたように、派閥のメンバーで手分けしてお願いしてきて、団体としては複数回購入したから、結果として、集めたら二十万円超になっていたのを気づかなかったという説明は、これには全く当てはまりません。

 もちろん、見落とすこともあるとは思います。ただ、各派閥が行った訂正を、これも二〇一九年と二〇二〇年分だけ先方の政治団体と全部突き合わせて調べてみましたが、同じケースが、平成研究会で二〇一九年、一団体、二〇二〇年、三団体、清和政策研究会が二〇一九年、四団体、二〇二〇年、三団体、志帥会が二〇一九年、三団体、二〇二〇年、二団体、志公会が二〇一九年、二団体、二〇二〇年、一団体の計十九団体、少なくともありました。そして、宏池政策研究会はございませんでした。

 この件、今ここには、この期間に清和政策研究会の事務総長の立場にあった松野官房長官と西村経産大臣がいらっしゃいます。それぞれ通告しておりますので、これについて何らか御説明できることはありますでしょうか。

松野国務大臣 渡辺先生にお答えをさせていただきます。

 まず、個々の政治団体に関するお尋ねにつきましては、政府にある立場としてお答えすることは差し控えさせていただきます。

 その上で、先ほど、総理の御指示を受け、各政治団体において説明がなされていくものと考えております。

渡辺(創)委員 昨日があって、今朝のことがあって、総理の発言も今日はあったわけですから、もう少し、通告もしっかりしておりましたし、せめて、言い訳とは言いませんが、エクスキューズぐらいは聞きたいというふうに思っておりますけれども、もう一回お伺いしたいと思うんですね。いかがでしょうか。

松野国務大臣 先ほど答えたことの繰り返しになりますけれども、まず、個々の政治団体に関するお尋ねにつきましては、政府の立場としてお答えすることは差し控えさせていただきます。

 先ほど、総理の御指示を受け、各政治団体の方で適切に説明をという御指示がございましたので、その御指示にのっとって説明がなされるものと承知をしております。(発言する者あり)

小野寺委員長 渡辺創君、もう一度質問をお願いいたします。渡辺創君、もう一度質問をお願いできますか。(渡辺(創)委員「二回同じことを質問しました。時間がなくなるだけですので止めてください」と呼ぶ)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

小野寺委員長 速記を起こしてください。

 内閣官房長官松野博一君。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、先ほども申し上げましたけれども、個々の政治団体に関するお尋ねについて、政府にある立場としてお答えすることは差し控えます。

 あわせて、私も今、派閥を代表して説明する立場にもございません。(発言する者あり)

小野寺委員長 渡辺創君、もう一度質問をお願いいたします。(発言する者あり)

 内閣官房長官松野博一君。

松野国務大臣 先ほど答弁したとおりでございます。

 派閥の説明に関しましては、派閥が適切に説明することとなると思います。

渡辺(創)委員 残念な答弁であったとしか言いようがないので、それで進めたいと思います。

 総理、私は今日、少なくとも新たに二つ、二種類の新たな疑念を指摘をいたしました。一つ目は、対価の支払いを受けた者の数の訂正が各派閥ともに全くないこと、二つ目は、そもそも最初から二十万円超の収入だと容易に分かるものまで不記載だった件が多数に上ること。

 今日指摘した二つのことは全くまだ説明がなされていない新しい話でございますので、今日、それぞれ、総理から指示があったように、きちんと適切な説明がなされるように、改めて指示をしていただきたいというふうに思います。

 私は、今回指摘したのは、野田総理もおっしゃっていましたが、氷山の一角なのではないかというふうに思っています。ただ、今表に出ているものだけでも派閥の収支報告書の信頼性は十分がたがたになっておりませんでしょうか。政治の信頼回復、自民党の信頼回復のためにも、新たな指摘をしましたので、総理のリーダーシップできちんと再点検をしていただきたい。

 今日は二十二日でありますけれども、今月の二十四日には二〇二二年分の収支報告書が公開をされます。まさかとは思いますが、同じような事態が発覚するような可能性はないか。総理、大丈夫でしょうか。認識をお伺いしたいと思います。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、予定の時間が迫っておりますので、端的にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 はい。

 それぞれの政治団体において責任を持って対応することではありますが、宏池会においては、先ほど来御指摘があるように、昨年御指摘をいただいて修正を行ったという報告を受けております。御指摘をしっかり踏まえて、その後の会計報告について正しく記載するように努めたはずであります。二十四日にそれが明らかになるということであります。対応を信じたいと思います。

渡辺(創)委員 私は、別の党でありますが、この国の総理を尊敬できる存在として見詰めたいというふうに思っています。

 私は「岸田ビジョン」をよく読むんですが、「岸田ビジョン」の前のところには、信頼を得るためにきちんと徹底した説明を行うということが書いてあります、国民の疑念に対して。是非、それを今実践するときだと思いますので、そのことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、梅谷守君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 冒頭、今ほど政府答弁をめぐって紛糾されていました。私はいかがなものかなと思いました。もし、初当選をされて、その直後にタイムスリップをして、この瞬間、あの答弁を御覧になったらどういう思いをされるのか、私はそんなふうに想像しました。是非、政治の信頼回復のためにも、今後、より誠実な、真っ当な答弁を求めますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、私からは、まず万博についてお尋ねをさせていただきます。そして、これは私自身、できるだけ方向性とか方針などについて議論をさせていただきますので、是非、全て総理から御答弁をいただきますようによろしくお願いをいたします。

 これを御覧の方々は、もちろん、田中角栄先生、御存じかと思います。先生はこう言っています。政治は夢を実現するものと口癖のように言っていたそうです。その言葉どおり、自らの夢や希望を語り、その実現のために決断し実行するための多くの議員立法を手がけ、どこに財源を求めるかについても常に考えを巡らせていたといいます。

 株価がバブル後最高値をつけ、そして税収も過去最高だといいます。しかし、私が地元の方々と接していくと、とてもそんな感覚は受けられません。どころか、生活がじわりじわりと削り取られていくような、苦しい、切ない、そんな生活の声が寄せられるばかりです。

 景気の気は気持ちの気、国民の気持ちがまだまだ盛り上がり切れない中で、この万博、起爆剤として何とか盛り上げていきたい、それを期待される国民は多いかと思います。たくさんいるでしょう。しかし、それが国民にそぐわない、国民の意に沿わない、そういうもので、そこに多額の税金が注がれるとするならば、国民は怒るんじゃないですか。まさに今がその状況ではないかと私は受け止めております。

 万博の目玉の一つに、空飛ぶ車がございます。吉村知事や万博協会は、一般客を乗せた商用運航をやると言っていました。ところが、最近になって、どうも間に合わないと言われております。空飛ぶ車、私は期待しております。期待する方は非常に多いと思います。期待しない人はいないんじゃないかというぐらいじゃないですか。

 ですが、政治が、ないしは政治家が大風呂敷を広げ過ぎている側面があるんじゃないでしょうか。何とか実現できるよう、うそにならないよう、細かいことは置いておいて、総理、是非、この実現に向けた決意をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 空飛ぶ車ですが、大阪・関西万博のコンセプトであります未来社会の実験場を体現する重要なプロジェクトの一つであると承知をしています。

 そして、空飛ぶ車の運航が万博に間に合わないのではないか、こういった一部報道があります。これについては、万博において飛行を目指す四者については、いずれも、進捗はまちまちであるものの、万博期間内の飛行を目指しており、万博開始のタイミングで有人の二地点間飛行を目指すスケジュールで着実に取組を進めている者もあると聞いております。

 こうした空飛ぶ車、万博において、遊覧飛行や二地点間移動など、空飛ぶ車の活用と実用化を目指しており、本年六月に取りまとめたアクションプランにおいてもこれは明記をされています。

 是非、この空飛ぶ車をアピールできるよう、官民一体で、運航管理技術の開発とか機体安全性の確保、あるいは関連制度の整備、これらは官民で協力しなければならない部分です。是非、官民一体で取組を進めていきたいと考えています。

梅谷委員 私は決意を伺ったんですが、ほとんど官僚が作ったペーパーを読んでいましたね。だから、私は、本当にもっと熱のある答弁を期待したんですが、ちょっと残念です。これは万博に対する、この空飛ぶ車が思ったようにいっていないのではないかと、国民の失望を買う一因になっているのではないかと思っています。これ以上失望を買わない、不信を買わないような目配りを是非総理からもお願いをいたします。

 二千三百五十億円にまで膨れ上がった建築費の増額についても、大風呂敷を広げたことが要因の一つではないかと私は考えています。七割前後の国民が納得できないと言い、中止や延期を求めている。国民の多くが約束が違うと怒っている。総理、この上、三度目の増額は絶対あってはなりません。

 しかし、総理は、先日の本会議でも、想定していないと答弁。これだと、想定外と言って、幾らでも増額の余地があるじゃないですか。想定外を想定しているということなんでしょうか。御答弁ください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の会場建設費については、資材費あるいは人件費、こうした諸経費の高騰を受けて、工事内容の見直しなど合理化努力ももちろん行った上で、最大二千三百五十億円に見直す、こうした博覧会協会の説明がありました。

 この内容について、国、大阪府市、さらには経済界においてそれぞれ精査を行いました。今後の様々な流動的な要素も加味した数字である等々、しっかり確認をした上で、受け入れることといたしました。

 しかし、今後とも、会場建設費の執行について、厳格に管理監督、これは西村経産大臣、自見万博大臣の下で、国民負担を生じさせないよう、不断の見直しを行う努力を続けてまいります。

梅谷委員 質問に対する答弁になっていないので非常にまた残念なんですが、総理、断言してください、これ以上国民の負担は増やさないと。是非それをお願いいたします。

 ここではっきりと国民に対して約束すべきと思いますが、もう一度、簡潔にお願いします。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、西村大臣、自見大臣の下で、会場建設費の執行を厳格に監督してまいります。

 私としては、更なる増額、認めるつもりはありません。

梅谷委員 承知しました。

 次に、二千三百五十億円からどれだけ削減が可能なのかという議論をさせていただきたいと思います。

 これはもちろん国際的な信用問題ですから、そう簡単に中止などというわけにはいきません。それは私ももちろん理解をしております。しかし、そもそも工期に本当に間に合うかが懸念され、そして課題も山積み、何よりも国民の七割前後が反対している現状を考えれば、やはりこの万博全体をいま一度見詰め直す必要があるのではないかなと思っています。

 そこで、総理、会場建設費のうち、既に契約済みの金額は幾らで、そのうち既に使ったお金は幾らなのか、お答えください。

西村国務大臣 契約済みの金額は、会場建設費のうち、契約済みは一千四百六十四億円であります。

梅谷委員 執行済みは幾らでしょうか。

西村国務大臣 確定しておりません。

梅谷委員 なぜ答えられないんですか。何か都合が悪いことがあるのではないかと私は受け止めます。

 パネルを御覧ください。

 これは、大阪府市の万博推進本部に今月ぽんと出てきた資料です。赤枠を見てください。補助金交付のベースになった、これまでの会場建設費の執行実績と今後の予定が出ています。

 これを見ると、二〇一九年度から二〇二三年、今年度末まで含めると、足していくと、事業執行額は三百四十七億円にとどまっていることが分かります。契約の違約金などを考えても、いろいろなことがまだ後戻りできる段階なんです。なぜ政府は数字を出さないんでしょうか。

 総理、こんな数字くらい正直に出さなければ、国民から見て、うそはついていないとしても、隠すことで無駄の温存に協力しているようにしか見えないと私は思うんですが、いかがですか、総理。

西村国務大臣 まず、全体のうちの、さっき申し上げた一千四百六十四億円ですが、これは出来高払いとなっていますので、現時点でまだ確定をしていないということであります。

 それから、この赤のところは、府市からの、自治体からの発注したものということで、ここの数字は府市の方から出てきているということであります。

梅谷委員 いずれにしても、今後、総理、いろいろな情報、要求した情報は誠実にきちんと出すように、総理からも是非指示をしていただくことを強く要望します。

 それでは次、時間もないので、大屋根のリングについて質問したいと思います。

 これも言うまでもございませんが、三百五十億円かけて建設する、万博の象徴とも言える木造の建築物、いわゆるリングです。これは三百六十度。そして、約三百五十億円に対して、三百六十億円と見たときに、傾き一度につき約一億円、こういう金額に納得する国民は少ないと私は思っています。見直すべきというのが私の考えです。

 リングの建設費は、二〇二〇年に見積もった際は三百五十億円。今回、全体の建設費は、そのときの一千八百五十億から二千三百五十億円へと増額されました。その主な理由は物価高と人件費です。これらはリングにも当然かかると思うんですが、リングの建設費は三百五十億円から幾らになったんでしょうか。お答えください。

西村国務大臣 会場内を三つの工区に分けて、リングも三つに分かれて発注をされています。そして、その三つの工区の全体が約七百十六億円なんですが、その中からリングだけを切り出して足し合わせますと、実はリング個別の契約額はないんですけれども、その金額を切り出して足し上げますと約三百四十四億円になるというふうに博覧会協会から報告を受けております。

 その上で、リングを建設するに当たって必要な百四十二億円分の資材については、既に全て発注済みであります。それから、基礎工事も全て着手済みであります。全体として三五%進捗しているということで、現時点で三百四十四億円でできるものというふうに聞いております。

梅谷委員 時間がないので、ちょっと質問をざっと飛ばさせていただきますが、これまで申し上げてきた、空飛ぶ車、そして建設費の度重なる増額、リング、どれも私から見て、大風呂敷を掲げて、そして無駄遣いの温床になっていると思います。いわば、無駄にまみれた大風呂敷万博。

 政治家が夢を語るのは大事ですが、総理も万博の責任は国にあると明言されていますよね。万博は国際的信用に関わり、国民負担にも直結します。協会や地元の大風呂敷をそのまま認めるばかりでは、一国の総理たるものがリーダーシップを疑われるんじゃないでしょうか。是非、政府としても、より厳しい目で注意を払っていただき、国民の気持ちに寄り添って、身の丈に合った現実的な万博に立ち戻るべきということを申し上げて、次の質問に移ります。

 次は、エホバの証人の二世、三世への虐待の問題について。

 フリップを御覧ください。

 こちらを御覧になると、見出しから、「各地で虐待 数十年」。そして、むち打ちされたことがあるか、はいが九二%。教理を理由に特定の授業や特定の学校行事に参加できなかったことがあるか、はいが九六%。そして、これが最も私は重い数字だと思っているんですが、輸血拒否カード又は身元証明書を持っていたことがあるか、はいが八一%です。

 昨日、私は、御縁をいただいて、三世の方とお会いをさせていただきました。彼の切実な声を是非、皆さん、聞いていただきたいと思います。

 エホバの証人の子供の本当の事実が全く知られていないので、とにかく実態を知ってほしい。自分については子供の頃の全てを奪われる状況でしたし、そういう子供がほとんどです。自分を長年苦しめた輸血拒否は教団が強制したものだと絶対に言い切れます。このことは一生忘れません。教団にはこの間違いを認めてほしい、謝ってほしい。

 自分はまだ二十歳になったばかり。手術は二〇二一年、つまり、今も、この時代に、助けが必要なのに隠されている人が必ずたくさんいます。エホバの証人の子供や若者は、教団の中に閉じ込められ、逃げ場がない状態にある。少なくとも自分は児童相談所に助けてもらうような発想にすらならなかった、そのようなことを思いつく状況にすらない。自分としては、助けという言葉が存在しない世界があの教団だと言い切れる。未成年を害する宗教の教えは必ず存在することを自分は実感しているので、せめて未成年に関してはそういう教えを強制されない仕組みを社会は考えてほしい。

 これが彼の、青年の訴えです。

 この三世の青年のように、輸血がかなわず、手術ができない子供や亡くなっている子供など、被害者が出ていることをどう思うのか。総理の課題認識をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のような児童虐待、宗教の信仰といった背景があったとしても、これは決して許されるものではない、このように認識をいたします。

 そして、こうした宗教に関わる課題について、政府として、これまでも、昨年十二月に、宗教の信仰等に関する児童虐待等への対応に関するQアンドA、これにおいて、具体的にどのような行為が児童虐待に該当し得るか、これを明示した上で、児童相談所、学校の関係者に周知する、こういった取組を進めてきたところでありますが、これに加えて、今年の十月より、こうした宗教の信仰を背景とする児童虐待の実態把握のために、当事者のほか、児童相談所、医療機関等の関係機関における具体的な事例、対応上の課題等の調査、これを開始したところであります。この調査結果を踏まえて、今後の対応を検討したいと考えます。

梅谷委員 総理、子供が死んでいるんです。それを知って様子見は許されないので、是非よろしくお願いをいたします。

 厚労省が虐待事例としてのQアンドAを定義し、今年の三月に教団に対し申入れをしました、虐待を容認しないようにと。そして、実態として、エホバの証人には、結果、大きな改善がなく、逆に組織内の締めつけを更に強くしているということが、私はそう受け止めております。

 実は、これは内部の文書なんですが、こういうふうに書かれております。資料としてはお出しできませんが、教団の内部資料があります。今年の八月のものです。

 三月の先ほど申し上げた厚労省からの要請がありながら、例えば、ここには、親は血を避けることを固く決意し、子供のために輸血を拒否しなければなりません、こうはっきり書いてあります。明らかに厚労省の言う医療ネグレクトを指示しているんです。

 そこでお尋ねします。国として、エホバの証人に対して、もう一度より強く申入れをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 輸血を含め医師が必要と判断した治療行為を子供に行わせないことはネグレクトとして児童虐待に該当する旨、昨年十二月にお示しした宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQAにおいても明示をしております。委員御指摘のとおりでございます。

 こうした輸血等の治療拒否を含め、本年十月に開始した調査研究事業において、全国の児童相談所や救急救命センターを設置する医療機関に対し、虐待の具体的な事例や対応上の課題等についての調査を開始しております。今年度中に調査結果を取りまとめ、今後どのような対応ができるかについての検討につなげてまいります。

 なお、虐待につきましては、個別の事案ごとに判断するものであることから、必要に応じて、児童相談所による対応が事案ごとに行われることになると考えます。

梅谷委員 調査が途中だとかそういうことでなくて、三月に申入れをされた、でも、そのとき、五月には教団もそういうような周知を一旦されたように見えたけれども、内部文書を見れば、八月にはやはり組織内の引締めを強くしているんですよ。だから総理に伺っているんですよ。もう一度、もっと強く申入れをしてほしい。

 総理、お答えできないですか。

岸田内閣総理大臣 三月に申入れをしたという御指摘でありますが、その申入れはもちろん必要な、重要な申入れであったと思いますが、その申入れの結果、私、詳細は承知しておりません。更なる申入れがどのような形で求められるのか、これを、今後はこども家庭庁を中心に、政府として対応を考えてまいります。

梅谷委員 是非よろしくお願いをいたします。

 総理、これは基本的に、親は子供のためを思っているんですよ。親が悪いのではなく、教団がそうさせているんです。だから、教団による信者へのコントロールを何とか変えないといけないんですよ。

 この問題の根本は、やはり法的根拠がないことだと思います。総理指示による政府の申入れも聞かないのであれば、これから様子を見られるという話でしたけれども、子供を死なせるような医療ネグレクトを組織的に親に唆す団体を取り締まることができるように、児童虐待法を改正するなどの法的な整備も検討すべきだと考えますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほども答弁させていただきましたが、どういったケースが宗教において児童虐待に該当するか、これを明示することを政府としては行いました。その上で、今年十月より、実態把握のための調査を開始したところであります。

 こうした調査を踏まえた上で、法的な対応等、何が必要なのか、政府として判断をしてまいります。

梅谷委員 何度も言いますが、日々、子供の人生が踏みにじられています。そのことに思いを致し、与野党力を合わせて、超えて、法改正に協力をお願いさせていただきたいですし、今ほど総理からおっしゃっていただきましたように、是非よろしくお願いをいたします。

 続いて、マイナ保険証についてお尋ねをしたいと思います。

 これは、まず、一番上の青いラインがオンライン資格確認参加率、そして真ん中の緑がマイナ保険証利用登録率、そして一番下が、赤いラインがマイナ保険証利用率です。この一番下のマイナ保険証の利用率がずっと低迷しており、令和五年の四月には若干上がったものの、そこから、御案内のとおり、六か月連続で下落し続けています。

 総理、こうした中で、紙の保険証を秋に廃止する可能性をにじませておりますけれども、まず、この利用率の推移についての受け止めと、今、総点検中でしたよね。十一月末頃までにというふうにおっしゃっていましたが、もうあと僅か。この総点検の中での判断する材料に、やはり利用率を含むべきなんじゃないですか。そして、その上で紙の保険証の秋廃止を検討すべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

 利用率を含んで検討されるべきと私は考えますが、是非、総理の明快な御答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 我が国として医療DXを進め、患者本人の健康医療情報に基づくよりよい医療を実現するために、マイナ保険証、これは重要であると認識をしています。

 そして、利用率について御指摘がありましたが、マイナ保険証の利用件数、これは直近十月ですが、約七百七十九万件、前月に比べて四十三万件、件数は増加しております。再び増加傾向にあります。

 ただ、御指摘のように、これは率が下がっているではないか、このことについては、オンラインの資格確認、これがまず順調に伸びている一方で、御指摘のように、ひもづけ誤り等により国民の皆様が不安を感じられている、こういった事情が背景にあると認識をしています。

 これは、医療DX、便利じゃないという声がありましたが、メリットということを考えましても、医療情報等の健康医療データの閲覧件数、これは直近十月で、薬剤情報が約三百二十五万件、診療情報が二百九十一万件、特定健診等情報は二百一万件、前月に比べていずれも増加をしています。

 こういったメリットを踏まえれば、まずはマイナ保険証を利用いただくことが重要であるということで、今回の補正予算においても、利用促進、予算を計上した次第であります。

 マイナ保険証というか、健康保険証の廃止について御指摘がありました。

 これは、国民の不安払拭のための措置を完了する、これが大前提であります。ひもづけの総点検とその後の修正作業も見極めた上で、更なる期間が必要と判断される場合には、必要な対応、これを行うと申し上げてまいりました。そのようにしたいと思っております。利用率だけでこれを判断するということではないと思います。

 是非、安全、要は不安払拭、これに向けて、ひもづけの総点検と修正作業の状況、これら全体をしっかり見定めた上で判断をしたいと考えます。

梅谷委員 利用率だけで判断してくださいなんて言っていないです、私は。利用率も含めて、是非、判断すべきじゃないかと申し上げました。

 時間がないので、最後に。

 私、今の、数字上でつらつらと述べられる総理を見ていて、私は、現場の、特に東京都市部と地方の、血の通った感覚はどうなんだろうと思って、私自身も含めて、街頭アンケートをやってまいりました。新橋駅のSL広場前で百人に聞きました。そして私の地元でも、三か所で聞いてまいりました。

 質疑時間が終わりました。以上で終わりにさせていただきます。

 総理、現場の声、血の通った現場の声、お茶の間の声を、是非、耳を傾けていただいて、お願いします。

 以上です。ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、山岡達丸君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山岡達丸君。

山岡委員 補正予算の審議が行われておりますけれども、政治とお金の関係というのは、国民の皆様からいただいている税金をどのように使っていくと明瞭にしていかなきゃいけない問題だと思っておりますので、私から、まず、その話から入らせていただきたいと思います。

 馳浩石川県知事が東京都内で講演をした際に、東京オリンピック・パラリンピックの招致に関して、官房機密費を使って一冊二十万円のアルバムを作り、IOCの関係者に贈答品を贈っていた、そのような発言をしたということが報じられています。

 昨日の委員会で松野官房長官は、本人が発言を撤回しているということで、事実上答弁を避けられたという状況でございましたけれども、知事本人が発言を撤回しても、それが事実じゃないということではないと思うんです。

 皆様に資料をお配りしておりますが、馳浩さんが、私が確認した限りにおいては、おとといの段階でも更新しておりました御本人のブログ、この内容に、二〇一三年四月一日の記録に、このように残っております。

 皆様、お手元に配っておるものの二ページ目を御覧いただきたいんですが、その後段に、十五時二十分、官邸へ。菅官房長官に五輪招致本部の活動方針を報告し、御理解いただく。その活動方針がつらつら書かれているんですが、駐日大使館御挨拶訪問、国際会議出席、国際的なロビー活動、友達作戦、思い出アルバム作戦。この下に、安倍総理も強く望んでいることだから、政府と党が連携して、しっかりと招致をかち取れるようにお願いしますとハッパをかけられたというお話が書かれています。

 この冒頭にありますけれども、一ページ目にありますが、実は、九時過ぎのことからも書かれています。

 党本部の五階に、五輪招致本部長室に入った。秘書と一緒に、あれやこれやと海外出張の準備をした。IOC委員への直接的な働きかけは、IOC憲章によりできない。できないけれども、間接的な働きかけは、東京開催の意義を伝播させるためのロビー活動で、これから海外出張なんだということが書かれています。

 この後、民間企業と、この写真のやり取りのことも記述をされておりますけれども、この日が二〇一三年の四月でありますが、二〇一三年の九月に東京のオリンピックが決定しているところであります。

 まさに、この時系列を見ますと、馳知事が取り消したとされるこの内容、思い出アルバム作戦、御本人のブログとして、この委員会が始まる前も掲載されていることを確認しておりますけれども、これは、IOCの倫理規程違反が疑われる行為でもあります。そこに官房機密費が使われていたとすれば大変な話であります。

 この件は松野官房長官よりも前の時代のことでありますけれども、このブログによれば、官邸に説明に行っている。その記録は残っているはずです。是非調査をしていただきたいと思いますが、松野官房長官に御答弁をお願いします。

松野国務大臣 山岡先生に答弁させていただきます。

 まず、お尋ねの馳知事の発言につきましては、誤解を与えかねない不適切な発言であり、全面的に撤回するとして、知事が発言そのものを撤回されているものと承知をしております。

 また、今、党の活動に関しての御指摘がありましたけれども、政府の立場で党の活動に関してコメントすることは差し控えさせていただきます。

 その上で、いずれにせよ、内閣官房報償費は、取扱責任者である官房長官の判断と責任を基に厳正で効果的な執行を行っているところであり、国民の不信を招くことがないよう、適正な執行に努めているところであります。

山岡委員 発言は撤回されていますけれども、このブログは撤回されていないんですよ。本人の当時書いた記録として残っている。これは調査すべきだと思います。

 委員長にお取り計らい願いたいんですけれども、東京オリンピック・パラリンピックをめぐっては、スポンサー契約などをめぐって、汚職事件で、大会組織委員会の高橋元理事長も逮捕されるという事件もございました。オリンピックとお金をめぐる問題というのが、隠し立てをするような、そういう状況があるのであれば、国際的な信用をますます失うことにつながると思います。

 委員会を通じて是非これは調査をしていただきたいと思います。お取り計らいください。

小野寺委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

山岡委員 旧統一教会の財産保全法についても、今日は質問させていただきたいと思います。

 旧統一教会の被害者救済に向けた立法が、この国会で成立に向けて動き出しているという状況であります。この中で、いわゆる団体の財産保全については憲法に適合するような形になるようにしなければならない、そうした提起が昨日の質疑でも行われていました。

 今日は、参考人として衆議院法制局に出席をいただいております。委員の皆様御存じのとおりでありますが、衆議院法制局は、私たち国会議員が議員立法をするに当たって、憲法への適合性も含めて様々な整理をしていただいて、そして議員立法の形にしていただく、私たちにとって欠かせない役割を担っていただいております。

 局長に伺いますけれども、今回、衆議院法制局を通じて作成し、立憲民主党と維新の会が共同提出した、いわゆる旧統一教会の財産保全法案、この議員立法の内容は憲法に適合するものとして作成をいただいているものでしょうか、お答えください。

橘法制局長 山岡先生にお答え申し上げます。

 私ども衆議院法制局は、与党、野党を問わずに、先生方から頂戴した御依頼につきまして、徹頭徹尾それぞれの会派の先生方のお立場に寄り添って可能な法解釈を提示し、それを前提とした立法政策の条文化を行う国会の立法補佐機関でございます。

 法制専門職として、御依頼を受けた立法政策の憲法適合性についてアドバイスすることは当然でございますけれども、あくまでも各会派のお立場に立った上でのものでございます。大変に僭越ですが、まずこの点について御理解賜りたいと思います。

 このような立場から、今回の宗教法人に関する法規制につきまして、一般論を申し上げますと、まず、宗教活動を行うには当然に財産的な裏づけが必要であり、特に財産保全処分のように包括的な財産規制となり得る制度については、憲法の保障する信教の自由に鑑みて、慎重な上にも慎重な検討が必要であると考えられます。

 他方、公益侵害その他著しく問題のある団体については、それがたとえ宗教法人であるとしても、専ら宗教法人の世俗的側面を対象とし、かつ専ら世俗的目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的、宗教的側面に容喙する、すなわち介入する、そのような意図によるものでない限りは、これに対する財産規制も現行憲法の許容するところであり、問題はその具体的な要件化にあると考えます。

 このような観点から、御指摘の法案について、その立案を補佐した立場から申し上げれば、一つ、世俗的目的によるものであることが明らかであること、二つ、対象法人の限定や財産保全処分の要件の絞り込みなどがなされていること、三つ、近年の宗教法人をめぐる社会状況に鑑みた措置として、二年間の時限立法とされていることなど、提出議員におかれては慎重な御判断がなされたものと拝察いたしております。

 もちろん、立法政策としての適否や、特にその実効性の有無など、各党各会派におかれましては様々な御議論があるところかとは存じますけれども、御指摘の憲法適合性に関して、これをお手伝いした立場から申し上げれば、十分に説明可能な立論となっているのではないかと思料するところです。

 以上でございます。

山岡委員 今、衆議院法制局から明快な御答弁をいただきました。

 一年かけてこの議員立法、議論を重ねているところであります。これから与野党の間で修正協議、成立に向けた協議も行われると聞いております。与党の皆様、どうか御安心をください。私たちが提出をさせていただいているこの財産保全法案は、憲法に適合する形で出させていただいているということをこの議会の場でも説明をさせていただきました。

 一千億円とも言われる財産が、被害者のために保全をされるのか、それとも散逸させられてしまうのか、この国会の議論が岐路になると思います。私たち政治家が被害者の方々の期待に本気で応えていくために、是非、財産保全を含めたこの立法、これを実現していただきたい、そのことを私からも強く申し上げます。

 総理にお伺いさせていただきますけれども、是非総理のリーダーシップをもって、この旧統一教会、被害に遭われた方々は大変心苦しい思いをして今日まで過ごされておられます。間違いのない、完全なる補償が実現できるような、その立法を目指してリーダーシップを図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 財産の散逸に対する懸念がある、これは私も十分承知をしております。その上で、与野党ともこの問題に関して議論を積み上げ、そして今、国会に既に議員立法が提出されていると承知をしています。

 提出された議員立法について政府として何か申し上げることは控えなければなりませんが、この議論の行方をしっかり注視し、そして、この議員立法をめぐる議論の結果に対して、政府として適切に対応してまいります。

山岡委員 総理は総裁のお立場も持っておられますので、自民党の皆様に対して是非リーダーシップを図っていただきたいと思います。

 今、問題意識としては持っていただいているというお話でございました。仄聞するところによりますと、与党の皆様が御提出された法案には、この財産保全の規定が書かれていないということを聞いておるところであります。私たち立憲民主党と、そして維新の会が共同提出していた法案と両立するものでもありますし、この財産保全、是非入れていただく方向でこれは議論を進めていただきたい。国民の皆様が注目している議論だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 補正予算の話に移らせていただきたいと思いますが、私からは、多くの事業者、恐らく委員の皆様が大変全国でお話を聞いておられるだろう人手不足のことについて少し質問をさせていただきたいと思います。

 こちらのパネルは、帝国データバンクさんが各企業の意見を聞いて集約したものでありますけれども、人手不足を感じているかというような調査の中で、コロナ禍は一時的に下がりましたが、今また急激に人手不足という状況が広がっているという状況でございます。

 この中で、最近気になる報道がございました。今年二月にNHKの「クローズアップ現代」というところで放送された中身に、「安いニッポンから海外出稼ぎへ 稼げる国を目指す若者たち」という、そうした少し衝撃的なタイトルで放送されました。

 オーストラリアのシドニーの郊外で日本人二十人ほどが共同生活をしていて、元の仕事はサラリーマンの方もおられたし、自衛官の方とか教師の方とか理学療法士、美容師の方とか、様々な方が集まっておられて、そこでブルーベリー摘みをする。一日六時間ブルーベリー摘みをするだけで、未経験の方でも月に五十万円稼げるんだと。オーストラリアでも人手不足の介護業界で、日本の看護師の方が、女性でしたけれども、月八十万の収入を得ているんだと。日本のすし職人の方が、海外ですし職人をした方が何千万も稼げるとか、あるいは、居酒屋のアルバイトでも時給三千円を超える。もちろん物価も違うわけですけれども、食品などの税金が安いということもあって、アルバイトでも月二十万円ぐらいたまるんだと。

 それぞれ若い人たちには事情がありますから、奨学金も多数抱えている方もいらっしゃると思います。将来のことも考えて貯金をしたいということも、そういう思いでやっているんだという報道がございました。

 この話が私は極めてショックで深刻だと思うのは、これまで海外に出ていく人というのは、いわゆる理系人材、もっとハイレベルな研究の場所を求めてとか、もちろん、もっと高額の報酬を求めてとか、そういう方々が多数おられたと思うんですけれども、ごく一般の日本の若い働き手の方が、お金を理由に海外、NHKの報道の名前をかりれば、出稼ぎに行っているという状況が伝えられています。こうした動きは、最近はSNSで若い人たちも情報共有していますから、動画等を含めてこれから一気に広がっていくと思います。

 今、この人手不足を解消するために、外国人の方を日本で働いていただいてはどうかというような議論がずっと行われてきましたけれども、日本人ですら労働市場として選ばないこの日本を、外国の方がどうして選んでくれるのかということにもなってまいります。

 今回、人手不足、省力化という様々な措置を行っておりますけれども、私は、これは円安が最大の原因だと思います。千五百円という最低賃金を目指すということになっておりますが、千五百円が高いか安いかも為替で決まります。人手不足の問題から考えても、この円安の状況は是正すべきだと思いますが、総理、お考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、人口減少が継続する中にあって、国内における労働力確保のためにも、国際的にも競争力のある労働市場、これをつくっていくことは重要な課題であると考えています。

 だからこそ、政府としましても、まずは持続的な賃上げが重要である、そして、そのためにも、三位一体の労働市場の改革、働き方改革、省人化投資、こうした対策が必要だと申し上げています。

 そして、御指摘の為替、金融政策でありますが、これは、日銀に具体的な金融政策は委ねなければなりませんが、この金融政策は、為替誘導、これを目的としたものではありません。これは、経済、物価情勢、これをしっかりと見た上で運営をしていかなければならない、こうした課題であると思います。

 ただ、日銀には引き続き、政府との連携、経済や物価や金融情勢についてしっかりと意識を、認識を共有しながら適切な金融政策運営を行っていく、こうした姿勢を期待しなければならないと考えます。

山岡委員 若い人たちがどんどん出ていく現状を私はお伝えしたんですけれども、そうしたことに為替を、私は十分そこも考慮に入れなきゃいけないと思うんですけれども、明快な答弁じゃなかったのが残念ではあります。

 賃上げ促進税制についてもお伺いしたいと思います。

 これは法人税の減税です。賃上げ促進税制を更に拡大というお話もあるようでありますけれども、こうした海外の状況を考えますと、余力のある、利益の上げられる企業は自然体でも人件費を上げていかざるを得ない状況になります。一番の問題は、利益が大きく出ていない、そうした中小企業が賃上げができない。その中にあって、賃上げ促進税制は、いろいろ御議論はあるようですが、五千億円かけて十分な効果が出ていないという議論もあるようであります。

 私たち、ここで是非御提案させていただきたいのは、中小企業事業者の皆様が大変困っているのは、社会保険料事業者負担分の負担であります。人件費を上げると同時にこの社会保険料の負担も上がる、これがあるから非常に賃上げが厳しい。そして、社会保険料の負担は利益にかかわらずかかってまいります。

 私たちも議員立法も提出させていただいておりますが、是非総理に、賃上げのために、事業者の皆様の社会保険料の負担を軽減する、減免する、こうした大胆な措置、もちろん賃上げをした事業者に対してということになりますが、こうした措置を進めませんか。御答弁願います。

岸田内閣総理大臣 まず、社会保険料につきましては、これは事業主負担をお願いしているわけですが、そもそも、医療や年金の給付を保障することで働く人が安心して就労できる、これは事業主の責任であります。そして、健康保持や労働生産性の増進を通じて事業主の利益にも資する、こういったことから事業主に求められているわけです。

 ですから、これを直接減免するということについては慎重でなければならないと思いますが、ただ、加入者の多くが中小零細企業の労働者とその家族である協会けんぽについては、健保組合、共済組合に比べて財政基盤が弱いことから、医療給付費等について、一六・四%、国庫補助を行っています。これは、実質的には保険料負担の軽減を図っているものであると認識をしています。

 こういった形で、中小企業に対する社会保険料の負担軽減、こうした結果につなげていかなければならないと考えます。

山岡委員 総理は賃上げを何としても実現するんだというお話があります。真っ正面からの大胆な制度の変更じゃなければ、私は、今厳しい思いをしている中小事業者の皆様が賃上げを一生懸命やってくださる環境にないと思います。

 今日は、申合せの中で、今、質疑時間はここまでで一回休憩ということになっておりますので、残りの質問は午後にさせていただきたいと思いますので、お昼までの質問はここで終わらせていただきたいと思います。

小野寺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山岡達丸君。

山岡委員 休憩を挟みまして、引き続き質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、いわゆる人手不足、もう日本全体で人がいなくてというお話、今お見せしておりますグラフは、帝国データバンクさんのデータで、五〇%以上の企業が本当に人が足りないと言っている状況を指しているところであります。

 そして、ここまでの質問では、円安の中で、若い人たちが、日本人が海外に出ていってしまう、これは本当に危機を持たなきゃいけないんじゃないかということを質問させていただきました。

 今回の補正予算の一つの大きな目玉として、次世代半導体、かつては、半導体が日本は世界で席巻しておりましたけれども、産業力を取り戻すということで二兆円という規模の予算が積まれて、そして、北海道で次世代半導体工場としてのラピダスが、いわゆる工場の建設と様々な取組、今進めているところであります。

 このラピダスの経済効果について、昨日、北海道の経済団体が試算したところ、最大十八・八兆円も出るのではないかというお話もあり、当然、地域に大きな期待もあります。

 しかし、このラピダスの近隣の事業者、特に立地自治体である千歳とか、あるいは苫小牧市、室蘭市など、そうした近いエリアの皆さんは、今、前向きな話ばかりでなかなか声が出せないんですが、しかし一方で、ラピダスという巨大な企業が来ることによって、地域にいる働き手が全てそこに取られてしまうのではないか、そうした懸念を持っています。

 なかなか声に出せないんですけれども、そうした不安が広がる中で、既に熊本のTSMCの進出によって、地域の平均的な賃金よりも五万円高いお金で人を集めているというお話も、これは伝えられているところでありますけれども、明るい話ではありますが、人手不足の文脈からいくと、本当にこの状況に対してどう応えていくかということを考えなければなりません。

 そして、この次世代半導体のプロジェクトは、やはり地域全体に、地元地域に支持されるプロジェクトじゃなきゃいけないと思うんですけれども、総理にお伺いいたしますけれども、このラピダスの計画、中小企業のこうした不安にどうお応えしていくか、御答弁を願いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、半導体は、デジタル化、脱炭素化、また経済安全保障、こうした観点から重要な戦略物資であると認識をしています。

 次世代半導体の生産技術を日本国内で確立しようとするラピダス社の挑戦、これは我が国の半導体戦略の中核を成すプロジェクトであると認識をしています。

 そして、委員御指摘のように、この成功に向けては、地元の住民の皆さんや自治体、企業の皆さんの理解と協力、これは不可欠であり、北海道全体が裨益するようなプロジェクトにしなければならないと考えます。

 地域における雇用創出のよい機会である、こういった前向きな期待がある一方で、周辺の中小企業における人材確保に対する懸念、こういった指摘がある、これらに向き合っていかなければなりません。

 具体的には、北海道で立ち上げている、産官学連携の半導体人材の育成等に関する協議会、この協議会を通じて、地域の皆さんや大学の皆さんとも連携しながら、半導体人材の育成、確保を推進していく、要は、人材のパイ自体、これを拡大していく、こういった取組が重要だと認識をしています。

 それに加えて、これは中小企業一般に、人手不足で苦しんでいます。省力化支援ですとか経営課題への相談体制の充実ですとか、中小企業に対する支援、これも北海道においてしっかりと展開をしていく、こういった支援も重要であると認識をしています。

山岡委員 今、総理から、雇用者全体のパイを広げていくんだというお話がありました。

 ラピダスの計画を成功させていくには、外国から、例えば二十代、三十代、四十代の高度IT人材と言われている皆さんも、これは家族も含めて居住していただいて、そして、そこで働いていただくということを考えていかなければなりません。人材確保というのは、まさに経済産業政策のみならず、そうした人たちの居住環境を始めとする様々な施策が必要になると思います。

 例えば、御家族のための教育機関、インターナショナルスクールとか、そうした状況も、自然に任せるのではなくて、このプロジェクトを成功させるために国としてきちんと計画を立てていかなければならないと思いますが、こうした居住環境の考え方について総理から御答弁をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 高度な人材を呼び込む、そのための環境が重要だという御指摘でありますが、環境の中でも特に子弟の教育環境、これを整備していく、これは高度人材を呼び込む上で重要なポイントであります。委員の方から熊本の話も出ましたが、熊本においてはインターナショナルスクールの整備等が進んでいるという話も聞いております。

 ですから、ラピダス社の成功に向けても、インターナショナルスクールの情報を海外発信しているほか、地域の学校において、外国人の子供の母語が話せる支援員、また日本語指導の補助者の配置、国際的な中等教育機関の整備推進、運営支援、こうした取組を通じて、学習環境整備、これを進めていきたいと考えております。

 こういった取組を通じて、日本の教育のグローバル化、これを進めるとともに、高度外国人人材にとって地元が魅力ある地域、環境であるよう整備を行っていきたいと考えております。

山岡委員 御答弁ありがとうございます。

 このラピダスの計画は経済産業省が中心に進めているものでもありますので、ほかの省庁の皆様の、まだまだ力の結集というのがなかなか見えてこないという気持ちもありました。総理から今お話がありましたけれども、全体を成功させるためには、質問はいたしませんが、例えば国交大臣にもインフラ整備を含めた様々な施策をお願いしていただきたいし、それが日本の半導体の最終的な力をつけていくという結果につながるということも申し上げさせていただきたいと思います。

 あわせて、最初の質問にもつながるんですけれども、日本の働く場所が外国人にとっても日本人にとっても魅力のある場所だ、そうでなければならないと思ったときに、様々、目の前の施策だけじゃなくて総合的な施策が必要だということを申し上げさせていただきまして、もう時間が参りますので、質問はここまでとさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて泉君、大西君、金子さん、本庄君、近藤君、岡田君、野田君、渡辺君、梅谷君、山岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会、小野泰輔でございます。よろしくお願いいたします。

 今日はちょっと時間割りが変更になっておりますので、質問の順番も変えさせていただきたいと思います。

 イノベーション政策ということで二問用意しておりますが、まず第一に、ガソリン補助金とイノベーションの関係について質問させていただきたいと思います。

 ガソリン補助金、もうやがて二年続くような形で、長く補助金が投入をされているということでございます。ガソリン、石油の元売各社に対しまして補助金を入れて、その分、国民のレベルの、小売価格を下げていくということでやってきたわけでございますが、これはもちろん、国民の側にすれば、日常的に車を利用されている方、あるいは運送業の方々は非常に恩恵を受けているというふうには思うんですが、ただ、やはり弊害もある。これは西村大臣もいろいろなところでおっしゃっていることでもありますが、私も、これは世界各国との比較を考えても、そろそろやはり考えなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思うんですね。

 このパネルを御覧いただきますと、ほかの主要各国、確かに、二年前の燃油高騰のときに、それぞれ、今我が国がやっているような補助策、減税ということもありますけれども、取られてきましたが、ただ、ほとんどの国は一年以内で終わっているんですね。あくまでも激変緩和措置、そして緊急的な救済策ということでやってきたわけでありますけれども、我が国は、岸田総理、いろいろ御尽力をされて、財源も工面されてきたというふうに思いますが、この年末を迎えますと丸二年になりますし、そして、政府の方では、来年の四月末までこの補助金を継続するということも既に方針として決められているということでございます。

 そこで、私がやはり問題だなと思うのは、西村大臣も、先ほど私も指摘をしたとおり、イノベーションを阻害するようなことにもなるんじゃないかということをやはり考えなければいけないんじゃないかというふうに思っているんですね。

 私は、一九七〇年代のオイルショックのときには子供でしたから、そのときの生活実感というのはないんですが、そのときは、私の親とかいろいろな先輩方にも聞いても、非常に、皆さん、ガソリンの価格が高くなる中で必死の努力をした、そして、一生懸命イノベーションをする、省エネをするということで、日本は、資源がない国の中で世界一の省エネ大国になったということでございます。

 我々、この補助金政策をずっと長くやっていると、だんだんだんだんほかの国が補助金政策を打ち切って、そして石油価格が高い中でどのように社会構造の方を適用させていくのかということをやっているのに対して、我々が大きく後れを取ることになるんじゃないのかなというふうに思うんですね。

 この間、予算委員会で、国民民主党の浅野議員が、当分の間税率の廃止とか、そういったことについても詳しく議論をしていました。

 今日は、その中身に入っちゃうと同じ議論になりますし、その議論だけでもすごく長いので、私は、イノベーションのことについて議論していきたいというふうに思っています。

 私も、熊本で行政をやっていたとき、先ほどTSMCの話もありましたが、熊本は日本一のハウス園芸、この面積を誇っているところでもあります。

 ちょうど私が熊本に行ったとき、二〇〇八年に、平成二十年に、やはり同じように燃油高騰があって、そのときは、燃油高騰対策ということで補助金は入っていませんでした。松村先生も覚えていらっしゃると思いますけれども、あのときに、農業者の方々は本当に悲鳴を上げて、つまり、トマトの生産業とかスイカの生産業、ナンバーワンなので、ハウスの農業をやるわけですね。重油をたいて暖房を取る。そのときに何をしたのかというと、プチプチシートというのがあります。プチプチシートをハウスの中に敷き詰めて、そして断熱性を上げて、重油を大体一〇パーから二〇パーぐらい節減できる効果があるということで、熊本の農家はプチプチシートをめちゃくちゃハウスの中に張ったわけですね。

 そういった努力をして何とか資源価格、燃油高騰対策をしたということで、やはり、私は、価格を政府がマーケットに手を突っ込んでずっと維持し続けるということをやっていれば、そういったイノベーションは生まれないと思いますし、そして、世界各国で、先ほども申し上げたように、既に石油価格が高い中でどうやるかということを考えている中で、日本がこういった対策をずっとやっていると、我々の脱炭素、あるいは、できるだけ石油を使わないようにしようというような取組が遅れてしまうというふうに思うんですが、この点、ガソリン価格を維持することがイノベーションの足かせになるんじゃないかということについて、総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の問題意識を共有します。

 ただ、当面、今、ロシア・ウクライナ情勢ですとか緊迫する中東情勢によってエネルギー価格が世界的に高騰する中にあって、我が国の国民にも深刻な影響を与える、この現状においては、今の段階では、激変緩和対策による負担軽減、これを当分の間継続している必要があると考えております。

 他方で、これは緊急避難的な措置であるということ、国際情勢、経済やエネルギーをめぐる動向等も踏まえながら、出口も見据えた上で柔軟かつ機動的に実施していく、こういった考え方も重要だと思いますし、委員おっしゃるように、中長期的には、エネルギーコスト上昇に強い経済構造への転換を我が国の経済も進めていかなければならない、結果として、脱炭素と産業競争力の向上、これを両立することができる経済を目指していかなければならない、こうした考え方も政府の経済対策の中に盛り込んでいます。

 このため、成長志向型カーボンプライシング構想、これを進めて、GXに向けた十年で百五十兆円超の官民投資、これを引き出していきたいと思いますし、暮らし関連分野においても、GXにつながるように、電気自動車の普及ですとかあるいは省エネ投資の支援、こうした取組も着実に進めていく。こういったことによって、中長期的に、エネルギーコスト上昇に強い経済社会をつくる、構造をつくっていく、こうした取組を進めていきたいと考えております。

小野委員 御答弁いただいた内容は本当にそのとおりだと思うんですが、ただ、六・二兆円ものお金がガソリンの価格を維持するために使われているということで、これが本当に日本の構造を変える、もっともっとエネルギーを、例えば省エネができるとか、あるいは総理がおっしゃった電気自動車の普及、これもかなり中国とかアメリカとかヨーロッパに比べて遅れているわけですが、こういったところにもっともっとお金をつぎ込んだら、やはり将来に全然違う影響をもたらすんじゃないのかというふうに思うんですね。

 例えば、令和四年度の補正予算と今年度の当初予算で措置されているEVの充電器の補助金というのは、これは百七十五億円なんですよね。かなりこれは引き合いがあってもう足りなくなっているんですが、ただ、六・二兆円も今までつぎ込んできたんだったら、もっともっと大胆にEVを導入できるような補助をやった方が実はいいんじゃないかという判断だって、私は思うんですね。

 例えば、東京の中でEVというのはなかなか普及しないんですが、政府の方では一生懸命公共の急速充電器とかそういうのを普及させようということで補助金を配っていますが、私は、日本においてEVがなかなか導入が進まないのは、それは自宅とかマンションとかになかなか進まないからだと思うんです。

 例えば、私も一時期、県庁にいるときに、公用車が、PHVといって、プラグインハイブリッドだったんですが、それで毎日通勤していると、ほとんどガソリンを使わないんですね。そういう社会にどんどん移行していくためには、通勤で例えば二十キロぐらい運転する人だったらPHVのバッテリーで十分足ります。

 それは、自分の自宅で充電ができるということの方が、出かけた先で公共の充電器があるよりもよっぽど効果があるわけで、そういった政策を本当はしなければいけないと思うんですけれども、僅か百七十五億円じゃなくて、六・二兆円もガソリンの価格を維持するために使ったんだったら、もっともっと将来に生きるような金の使い方をしなければいけない。

 今総理がまさにおっしゃった答弁の内容は本当に方向としては正しいと思うんですが、それに数字がついてきていないんじゃないかというふうに思います。

 是非、これからの話、ガソリンの補助金を、じゃ、いつまで続けるのか。私はもうずっと前から、例えば九月末とか今年の末とかで終わった方がいいとずっと言い続けてきましたが、残念ながら、来年の、もちろんいろいろな必要性があることは分かっていますが、ただ、政府が、そういった将来展望を見据えて、四月末で終わるということをやはり言った方がいいんじゃないかというふうに思いますが、どういう基準でいつまで続けるのかということについて、西村大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

西村国務大臣 これまでも小野議員とは何度も議論をさせていただきました。思いは共通している部分もかなりあります。

 ただ、国民の負担がかなり高い中で、負担軽減、緩和はやはり一定程度行っていかなきゃいけないという思いがあります。

 実は、もう御案内のとおりでありますが、燃料油の激変緩和措置ですが、最大四十一円程度の支援を行った時期がありました。出口を常に見据えながらでありますので、本年六月からは補助率を下げて、一時期八円程度まで下げた時期もありました。しかしながら、原油価格が上がり、また為替が大きく円安に振れた、こういったこともあってガソリン価格は過去最高水準ということになりましたので、国民の負担軽減の観点から、足下では二十五円から三十円程度の支援を行っているという状況であります。

 常に出口のことは頭に置きながらこうした取組を進めておりますが、先ほど総理からありましたように、まさに緊迫する国際情勢の中で、エネルギー価格の動向を見ながら、柔軟かつ機動的に対応していきたいというふうに考えております。

 一方で、この機会に、この間に、クリーンエネルギーの構造あるいは省エネ型の構造に変えていくということも重要でありまして、御指摘のクリーンエネルギー自動車の購入支援、そして充填インフラの整備についても、今回、一千七百億円、整備に予算を計上しております。また、工場等の省エネ設備に約七千億円の省エネ補助金、さらには、家庭の断熱窓、高効率給湯器、これも、以前も議論させていただきました、補助率も拡充しながら、今回、約四千二百億円の支援の用意をしております。

 一定程度負担軽減をしながら、御指摘のように、いつまでも続けられるものじゃありませんので、この間に、とにかくエネルギー危機に強い省エネ型の構造、そしてクリーンエネルギーの構造にしっかりと転換していきたいというふうに考えております。

小野委員 四月末が一つまたポイントになってくると思うんですね。その先もやはり同じようにずっと補助金を入れ続けるのかどうかというと、国民でそれで助かる方はもちろん多いと思いますが、ただ、それをずっと続けていることが本当に我が国にとっていいのかどうかということは、これは是非、総理もしっかり国民に対してメッセージを発していただいて、先ほどのようなプチプチシートみたいな涙ぐましい努力をして、みんながありとあらゆる知恵を使って、より燃油高騰価格に対しても強い社会をつくっていくんだというようなことを、やはりこれは総理が率いていただく必要があるんじゃないかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、もう一つ、イノベーション促進政策ということで、ライドシェアの話をこれから議論していきたいというふうに思います。

 実は、今日の午前中には、超党派のライドシェア勉強会ということで、多くの国会議員、そして今日は首長の皆さんもお越しいただいて、記者の方も、本当に今、物すごい国民の関心事であるので、狭い部屋が本当にめちゃくちゃ密になっていて大変だなというぐらいにぎわっておりましたが、そのライドシェアについて、私が最近すごく悶々としていることがあるんです。

 このパネル、立憲民主党の辻元参議院議員が質問主意書を先月出されておりまして、ライドシェアについて質問されています。

 その中で、ライドシェアが禁止されていないところはどこなのかということをお尋ねになられていて、それで、政府の答弁書の方で、「「OECD加盟国でライドシェアを禁止していない国」については、政府として現時点で把握している限りでは、米国において一部の地域で禁止されておらず、」というふうにありまして、これはちょっと分かりにくい表現なので整理しますと、OECD加盟国でライドシェアを禁止していないのは、政府が把握する限り、米国における一部の地域であるというふうに答弁をしているんですね。

 つまり、ライドシェアをオーケーですよと言っているのは米国の一部の地域しかないというふうに言っているんですが、裏返せば、ライドシェアは、米国の一部の地域を除いて、OECD加盟国では禁止されているというようなことを答弁でおっしゃっているということで、ただ、これは我々の常識から照らせばちょっと変だなという答弁だと思うんです。私は何でこんな答弁になるのかなとずっと思っていたんです。

 実際のところ、これはこの間の規制改革推進会議の中で資料として事業者が出されたものですけれども、実際に、じゃ、米国の一部の地域以外にライドシェアをやっているところはないのかといえば、あります。ここでは英国のものを出しておりますけれども、それ以外にも豪州とか、今日の新聞にも書いてありましたけれども、都市のレベルでいえば、数からいえば一万都市以上がライドシェアが導入されているということなんですけれども、この政府の答弁ですと、米国の一部の地域しかライドシェアをやっていないみたいなことになって、非常に議論が分かりにくいなと。

 最近よくライドシェアの議論をされるときに、ライドシェアの定義そのものについて、これが明確じゃないよねということが言われておりまして、今日も、午前中の国会議員の勉強会でもそういった議論が出ておりました。

 何でこんなことになっているのかというと、これは辻元議員が質問された際にも引用されているんですけれども、牧山参議院議員が平成三十年にライドシェアについて質問をされた際に、政府の答えが、ライドシェアってこういうものでしょうというような答えがあるんです。

 ちょっとそこを読み上げますけれども、「自家用自動車ライドシェアは、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用自動車の運転者のみが運送責任を負う形態を前提としており、」「安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があると考えている。」というのが政府答弁なんですね。これは、今のこの時代にはちょっと合っていないんじゃないかと。

 先ほどのパネルにちょっと戻っていただきたいんですけれども、責任を負わないとか、そういったことを前提にして運行されているライドシェアが今この世の中にあるのかというと、ないわけですね。

 例えば、先ほどのロンドンの例をお示ししますと、例えば運転手の管理の在り方ですとか、あるいは車両整備、これも届出を行うとか、あるいは車検合格が必要とか、そういった形でちゃんと対策を事業者にも求めているということでございます。

 これも同じように、英国のライドシェアの仕組みについて記述がありますけれども、こちらの方では、よく言われる、例えば保険がないまま運行したら危ないじゃないか、被害者の保護はどうするんだというようなことがありますけれども、こういった保険をちゃんと付保するということについても、義務づけをするというようなことがライドシェアで行われているということになっているわけなんですね。

 そういう中で、私は、国交省さんがこういった答弁を過去の委員会でもされたりしているんですけれども、このライドシェアという言葉の使い方、確かに我が国ではまだ、これはいろいろな方がおっしゃっていますが、固定化されていないんですが、ただ、少なくとも、私が今御紹介したような国のライドシェアに対する捉え方、こういったものが、自家用車の運転手のみが運送責任を負う形態を前提としてというような捉え方、このこと自体が、やはりライドシェアの議論を非常に混乱させているんじゃないかというふうに思いますが、斉藤大臣、この点についてどうお考えでしょうか。

斉藤国務大臣 ライドシェアは、一般的に、アプリ等で自家用車、ドライバーと利用者をマッチングさせ、輸送サービスを提供するものであると考えておりますが、決まった定義はなく、海外では様々な形態で運営されているものと認識しております。

 御指摘の、辻元議員から提出された質問主意書では、ライドシェアについて、まず、辻元議員がこのように定義されているんです。「運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かずに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で、Uber、Lyft、DiDiなどのプラットフォーム事業者が配車を行う」ものという定義を置いて質問があったことから、この形態を前提として答弁したものでございます。

 今、小野委員おっしゃるように、ライドシェアという言葉を用いる際には、決まった定義がないため、議論の内容に応じて、必要な場合には説明を加えて、我々も説明しているところでございます。

 牧山委員については、六年前の質問主意書です。当時は、ライドシェアについては、あたかも日本の白タクであるかのような、そういう社会の認識だった、このように思っております。

小野委員 そうおっしゃるだろうと思ったんですね。平成三十年というのは大分前の話であります。

 ただ、同じ、辻元参議院議員の質問主意書の中に、今年の四月二十日、四月二十日は私の誕生日なんですが、この日に、同じような、ライドシェアは問題だという答弁が、これは大臣御自身がされているんです。

 そして、私は、この間、国土交通委員会の差し替えでちょっと国交委員会の様子を聞いていたんですが、そこで斉藤大臣は、小宮山委員の答弁に対しても、こうおっしゃっているんですね。「ライドシェアとは、一般的に、アプリ等で自家用車、ドライバーと利用者をマッチングさせ、輸送サービスを提供するものであると考えていますが、決まった定義はなく、海外では様々な形態で運営されているものと認識しております。」さっきおっしゃったとおりです。

 その後に、「いずれにいたしましても、国土交通省としては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で、有償で旅客輸送サービスを提供することは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、認められない、このように認識しております。」と。

 これは結構あざとくて、「いずれにいたしましても、」というふうに書いてあるので、ライドシェアというものは認められないとは言っていないんですが、ただ、同じようなことを国交省はずっと言い続けている。

 そして、そういった、責任をちゃんと取らないようなものは認められないというようなことは、今、世界中のどのライドシェアサービスでも行われていないわけですから、これをずっと使い続けるというのは、いたずらに国民の正しい理解を妨げると。先ほど逢坂さんもおっしゃいましたけれども、やはり定義をちゃんとしないと、我々がどういう議論をして、どういう公共交通サービスをちゃんと再構築しようかというような議論ができないわけですね。

 だから、やはり、最初のウーバーが出始めた頃というのは、もちろんそういった問題があったり、本当に、取りあえずアプリだけができて、あとは好き勝手に運転者がやってくれというようなことがあったというのはありますが、ただ、その答弁を今も維持しているというのは、私は非常に、これは、国民の皆さんも、毎日毎日、足をどうやって確保するのかということについて、本当に困っていらっしゃるわけですね。ですから、国交省のこのかたくなな態度というのは、やはり、私は、改めないとまともな議論はできないんじゃないかと。

 私は、先週、福岡に出張してビジネスホテルに泊まりましたが、本当はその写真をここでパネルでお示しした方がよかったかなと思いますが、そこのホテルは、我がホテルでは、当ホテルでは配車の取次ぎはやりません、自分でかけてくださいといって、十社ぐらいの福岡市内のタクシー会社の電話番号が書いてあって、それぐらい取れないので、我々もそういうサービスはもうできませんよと言っているわけですね。

 こういったことをやはり真摯に受け止めて、どうやって、これからの時代、テクノロジーを使いながら、公共交通サービスが、今、人手不足、そしてインバウンドも増加している、コロナも明けたということで、再構築していくのかということをもっと真摯に考えるべきじゃないのかというふうに思います。

 総理にお尋ねしたいんですけれども、ウーバーが、まあウーバーじゃなくてもいいんですけれども、ライドシェアサービスというものが、大体、始まってからもう十二年以上たっているんですね。私は、ライドシェアサービスという新しいイノベーションを取り入れましょうなんということを言っていること自体が、我々、恥ずかしいことだと思います。十二年もたっているのに、まだ、ライドシェアというのはどういうものかということについても正しくちゃんとみんなで議論する前提ができていなくて、そして、とにかく不安です、不安ですというようなことが繰り返されている。

 私は、やはり、日本が今、失われた二十年とか言われているのは、こういったイノベーションをちゃんと適宜適切に我々が、いろいろな不安はありますよ、ですけれども、ほかの国がやっているように、挑戦していって、そして、今の社会的課題の解決をデジタル化も使いながらやっていくということを積極的にやるべきじゃないかと思うんですが、総理はこの十二年間のブランクということをどのようにお感じになっていますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、ライドシェアについては、委員の方から話がありましたように、各国の事情は様々です。

 その中で、日本においては十二年間余り導入されずに経過している、これについてどう思うかという御質問でありますが、その間、日本では、かなり限定された地域、また厳しい条件で自家用車の有償利用を認めてきましたが、今、地域交通の担い手あるいは移動の足、こういったものが不足している、深刻な社会課題、社会問題、これが現実に各地で生じています。これにしっかり向き合っていかなければならないと思っています。

 そのために、デジタル行財政改革の中でライドシェアの問題に取り組むことといたしました。ちょうど本日ですが、予算委員会の後に開催されるデジタル行財政改革会議、この会議においても議論を行うことを予定しております。デジタル技術を活用した新たな交通サービスという観点も排除せず、諸外国の先進的な事例も勘案し、年内をめどに方向性を出してまいります。そして、できるものから速やかに実行してまいりたいと考えています。

小野委員 是非頑張っていただきたいと思うんですね。

 もう周回遅れどころじゃないところまで来ていますし、相当、我々がいろいろ聞くような不安というのは、テクノロジーですとか、あるいは先ほどイギリスの例もお示ししましたが、ライドシェアの法制度ということでもちゃんと手当てがされているということでございますので、様々な不安をいろいろな立場の方がおっしゃるのはそのとおりだと思うんですけれども、ただ、それはある程度、私は、テクノロジーやらあるいは制度の設計ということで乗り越えられるというふうに思っています。

 今日の首長さんがいらっしゃった超党派の勉強会、本当に物すごい熱気で、そして、やはり地域の交通をどうするかということを、まさに住民の負託を受けて責任を持ってやらなければいけない立場の首長さん、本当に物すごい、ひしひしとその緊張感が伝わってきました。

 そして、これは別府の市長さんがおっしゃっていましたが、我々はやはり結論を出さなきゃいけないんだ、先延ばしは許されないんだというようなことでございましたので、是非、年内にということでございましたので、そこは河野大臣のリーダーシップも含めて、しっかりとやっていただきたい。

 そして、あと、できるところからやっていくというような総理のお言葉がありましたが、二つあると思うんですね。できるところからやっていけるところはあると思います。それは、地域の合意がちゃんと、例えば地域公共交通の会議で、その場で合意できるようなものについてはそれでやればいいと思いますけれども、ただ、やはりそれではなかなか話が進まないんだ、合意形成、全てのステークホルダーがちゃんとやっていかないと物事は進まないというところで、今まで道路運送法の七十八条の二号だと壁があったということを皆さんおっしゃいますので、そうではなく、やはり七十八条の三号とか、あるいは、もうちょっと時間はかかるかもしれませんが、法整備をやって、ちゃんとライドシェアというものを位置づけるというようなこともやっていただきたいというふうに思うんです。

 これは斉藤大臣にお伺いしたいというふうに思いますけれども、様々な御不安の声、いろいろあるわけですね。例えば犯罪に巻き込まれるんじゃないかとか、それからさっきの、保険に入っていなかったらどうするんだとか、あとは車両の運行安全、車両の整備、こういったものが不安だというようなお声がありますが、これは私、相当、海外の事例も調べたり、あるいはデジタルの力を使えば解決できることがかなりあるんじゃないかというふうに思うんですが、どのようにお考えですか。

斉藤国務大臣 我々も、総理の指示を受けまして、非常に今、各地でいろいろな、運転手不足、タクシー不足というような課題が起きております、それをどのように解決していくかということで真剣に議論をしているところでございまして、行財政改革会議と連携しながらやっております。

 例えば、自家用有償利用、デジタル技術を活用しながら自家用車の有償利用が各国で進められていると認識しております。例えばドライブレコーダーの設置によって車内での犯罪抑止などが期待されますが、ライドシェアに係る課題はそれらにとどまらず、規制改革推進会議のワーキンググループでは、安全、安心の観点に加え、既存のタクシー事業者の経営への悪影響やワーキングプア増加の懸念などが指摘されているところです。

 国土交通省としては、こうした点も含め、安全、安心を大前提に、利用者の移動需要に交通サービスがしっかりと応えられるよう、デジタル行財政改革会議などとも連携しながら方策を検討してまいります。そのときに、まさに技術、イノベーションということが一つのキーになると思いますので、しっかり行っていきたいと思います。

小野委員 ワーキングプアという話も、そういった論者の方もいらっしゃいますけれども、ただ、全ての人がライドシェアをやればワーキングプアになるみたいな議論はやめていただきたいんですよね。

 例えば、もう本当に、私も熊本の物すごい僻地のところで、これは午前中も議論があったんですけれども、オンデマンドバスなんて走らせるような財政的な余裕も全然ないし、人材も全然いない。しかも、そういうところに今、国交省は、個人タクシーの運転手さんを一人でも開業できるようにしようというふうにしています。

 ただ、本当にそういうところで効果があるのかということも考えなければいけませんし、地域で、例えば民宿をやっている方とか、あるいは介護の送迎をやっている方々が有償で、逆にお金をもらいながら続けられるということになれば、逆にワーキングプアは防げるんじゃないですか。そして、介護報酬がなかなか伸びないという中で、そういったハイブリッドな、まさに現代版のお百姓さんみたいな形で、いろいろな地域課題を解決するような形でライドシェアをちゃんとやれるようにするということの方が全然いいじゃないか。

 ですから、私は、何かいろいろ反対する人はワーキングプアを招くとかと言うんですが、そんなに雑な議論をしていただきたくないというふうに思うんですね。地域によってやはりそれが本当に、交通課題にとどまらず、この地域でちゃんと生き続けられるというようなことを保障することにだってなるわけですから。ですから、余りレッテルを貼らずに、ちゃんと真面目に議論するということをやっていただきたいというふうに思うんです。

 時間が本当になくなっちゃって、河野大臣、本当に一生懸命これから、本気で十二月の中で何とかやっていこうというようなことも規制改革推進会議の中でもおっしゃっていました。私はそれに大いに期待しているんですが、今までの議論をお聞きになって、あるいは大阪万博でも、それはなかなか新法だと間に合わないので七十八条の三号でやっていこうじゃないかというような要望も大阪の吉村知事もやっていますが、どのように進めていかれるかということ、それから、先ほどちょっと一緒に聞こうとしたんですが、ライドシェアの定義とか議論の進め方についてお感じになったことがあれば、御答弁いただければと思います。

河野国務大臣 今、日本各地で個人の移動の自由が制約されているというのは、これはもう喫緊の今の課題でございますから、数年先にどこか特定の地域で何とかということではなく、今できるものからどんどんやっていかなければいけないものだと思っておりますので、自動運転と、タクシー二種免許の規制緩和、それといわゆるライドシェアの導入、これは三本柱、セットでやってまいりたいと思います。

 また、ライドシェアについて決まった定義が日本にはないというのはそのとおりでございますが、これまで国交省が申し上げてきましたライドシェアの例でございますけれども、今そういう例はほとんどなくなってきておりますので、国交省に対して規制改革推進会議から各国の状況をきちんと調べるようにということを求めておりますので、近日中にそこは改善されることになると思っております。

小野委員 河野大臣、ありがとうございます。そこをしっかりしていただくと。

 先ほど斉藤大臣が平成三十年の答弁だとおっしゃいましたが、最近でもそういうふうにいろいろまだ残っているわけですね。そういう状況から脱して、ちゃんと、みんなが共通認識を持った上で議論していくというような環境をまずつくることが何よりも実現のために大事だというふうに思いますので、是非、河野大臣のリーダーシップも発揮していただき、そして、国交省の皆さんも、やはりシフトチェンジするということが大事だというふうに思いますので、是非それを実現させていただきたいというふうに思います。

 残りの時間はもうなくなりました。

 宗教法人の解散命令請求が出たところに対して財産保全をすべきじゃないかということを、私たち、立憲民主党さんと昨日、合同で法案を出し直したということでございますので、これについて、最後、総理に一言、個々に、与党案の方では、請求をして、それを法的に支え……

小野寺委員長 申合せの時間が来ておりますので、御協力をお願いいたします。

小野委員 ということでございます。

 そういうことで、それで本当に救済になるのかということについて、一言お答えいただければと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、昨日、被害者救済に関し、自民、公明、国民の三党、そして立憲、維新の両党、それぞれ一本化した法案が提出されたと承知をしております。

 議員立法、既に提出されておりますので、この段階で政府としてその内容について申し上げることは控えますが、真に実効的な被害救済、これは時代の要請です。是非しっかりと議論をしていただきたいと思いますし、政府としては、その結果をしっかり踏まえて、適切な救済が図られるよう、法令に基づき最大限努力したいと考えます。

小野委員 ありがとうございました。しっかり救済を図っていただきたいと思います。

 終わります。

小野寺委員長 この際、三木圭恵さんから関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。三木圭恵さん。

三木委員 それでは、私の方は、まず初めに岸田総理に、自民党総裁として、憲法改正、自民党総裁の任期の間中に取り組んでいく、憲法の改正を発議をしていくというような力強いお言葉、各代表質問の、馬場代表質問の答弁にもありました。先日の予算委員会で、我が党の漆間委員の質問にも、目の前の任期中にこれをやっていくんだ、強い決意は変わらないというお言葉をいただいております。

 それで、はっきりと教えていただきたいのですが、総理が憲法改正を目指すとおっしゃっているのは、目の前の総裁任期というのは、来年の、二四年九月三十日ということでよろしいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 私自身、一昨年の自民党総裁選挙において、総裁任期中に憲法改正を実現したいと申し上げました。その強い思い、いささかも変わりがありません。そして、総裁任期については、目の前の任期中に憲法改正できるように最大限努力するという思い、これはそのとおりであります。

三木委員 ありがとうございます。

 ただ、その目の前の任期中ということは、常識的に考えれば、来年九月、総裁選がございますので、それまでの間というふうに理解できるんですけれども、はっきり、来年の九月までというふうにおっしゃっていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 私の総裁任期、来年九月までという区切りがあります。その目の前の任期において最大限努力すると申し上げております。おっしゃるとおりであります。

三木委員 ありがとうございます。

 今、おっしゃるとおりでありますという御答弁をいただきました。

 ということは、目の前の任期というのは来年の九月の末までということで、今御確認をしたということでよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 再三そのように申し上げております。

三木委員 ありがとうございます。

 なぜ私がこのように確認をさせていただいているかと申し上げますと、衆議院の憲法審査会で、私が六月の十五日に、その当時、自由討議ですので、自民党の幹事の上川幹事に御質問をしました。

 そのときは、六月十五日、総裁の任期というのは、しっかりとしていかなければ間に合わないんじゃないかということを御質問したわけですけれども、そのときの上川幹事、今の外務大臣ですね、自民党の当時の上川幹事は、ここで言う任期というのは、具体的に来年の九月を想定したものではなく、具体的な任期は今後の党運営の中で決まっていくものでございます。したがって、具体的なスケジュールを念頭に置いての作業を行っている状況ではございません。衆議院の憲法審査会で、自民党の幹事がこのようにお答えになっておられます。

 上川大臣、今いらっしゃいます。この御発言に間違いないでしょうか。

上川国務大臣 お答えをいたしますが、当時ということでございますので、その限りということでございますが、今委員が読み上げた内容について、その旨、私から発言をいたしました。

三木委員 それで、先日の衆議院の憲法審査会でも、我が党の岩谷委員の問いに対して、自民党の中谷元筆頭幹事が、総裁の任期について、来年の九月末でいいんですかということをお伺いしたところ、任期につきましては、いろいろな考え方があろうかと思いますけれども、私は、総裁としての立場、身分を持っているうちにという意味でありまして、確かに九月で任期切れの総裁選はありますが、再選されましたら引き続き総裁として仕事をされるわけでありますので、そういう可能性もあるということで、総裁としてのうちでやりたいという意味と捉えておりますというふうにお答えされているんですね。

 ということは、衆議院の憲法審査会の中では、自民党の幹事の方々、自民党の委員の方々というのは、岸田さんが自民党総裁として来年の九月までに、今私が何度も念を押したのは、来年の九月までですかということを、再三、来年の九月までにやるんですよねということを衆議院憲法審査会の中で確認をしても、いや、総裁の任期というのは、目の前の任期と言ったけれども、その職にある間が任期中なんだ、だから、来年の九月をお尻で考えているわけじゃないんだという答弁が何回も何回も繰り返されて出てくるわけなんですね。これは非常に私は問題だと思うんです。

 自民党の中でもこういったスケジュールに関して一致をしていないということであれば、私たち、憲法審査会の中でいろいろと案を考えて、例えば、岸田総裁の一期目の任期の九月末に憲法改正、発議をしようとすればこうだというスケジュールを立てているんですけれども、そのスケジュールが立たないんですね。

 このことに関して、自民党内できっちりと、来年の九月までに、憲法改正の発議をするんだということで、総裁の思いと自民党の憲法審査会の委員の皆さんの思いをそろえていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的に、内閣総理大臣の立場から、憲法改正について、議論の進め方について具体的に直接申し上げることは控えなければならないと思っておりますが、しかし、御質問で、自民党総裁としての思いのお尋ねがありましたので、私の思いを申し上げました。

 いろいろな議論が憲法審査会等であるのかもしれませんが、私自身の思いとして、目の前の任期中に憲法改正ができるよう最大限努力するという思い、これを再三申し上げているところであります。私の思いは、今申し上げたとおりであります。

三木委員 やはり総裁の思いというのは自民党の方針に大きく関わると思いますので、是非とも自民党の中で、しっかりと自民党内をまとめていただくということが、私は、憲法改正に自民党総裁として取り組んでいく、それが必要だと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 今、衆議院の憲法審査会の中では、緊急事態条項のうち、五つの党派で、緊急事態のときに、例えば緊急事態が起きて、自然災害が起きたときなどに衆議院の任期満了を迎えるであるとか、例えば解散を宣言した後に緊急事態、南海トラフのような大きな地震が起きたときに衆議院が国会議員の身分を失っているというようなときに、この議員の任期を延長できるというところだけを取り出した、緊急事態条項の議員の任期延長ということを議論させていただいております。

 そして、今パネルに出させていただきましたけれども、維新、国民、有志の会、自民、公明と、この緑色の部分が一致しているところでございます。あとは、ほぼほぼ詰めていくだけというような状況になってきているんですけれども。そして、六月末に通常国会が終わって、その間に、私たち日本維新の会と国民民主党と有志の会で、議員の任期延長における憲法改正原案というものをまとめさせていただきました。

 岸田さんは、この原案をたたき台にして憲法改正議論を進めるということに関して、どのようにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 憲法改正については先送りできない重要な課題であると認識をしておりますが、その中で、日本維新の会が国民民主党、有志の会と連携して具体的な憲法案を示し、建設的な議論を呼びかけておられること、このことは意義あることですし、敬意を表し申し上げたいと思います。ただ、それ以上、内閣総理大臣の立場から憲法改正について議論の進め方等を直接申し上げるのは、やはり控えなければならないと思っています。

 ただ、これまで以上に積極的な議論が行われること、これを期待しております。自民党総裁としても、党としての議論を活発化させていきたいと思っております。

三木委員 私は、二〇一四年に落選してから、この間、二〇二一年に当選するまで七年間、浪人をしてきました。そのときに、つらいときとかに、なぜ自分は国会議員をもう一度再選して目指していくのかということは、やはり憲法改正をしたい、この国の憲法を、戦後一度も変わっていない憲法を改正していきたい、その強い思いで、歯を食いしばって浪人時代を頑張って耐えてまいりました。

 そして、岸田総理が総裁の任期中に憲法改正、発議をしたいとおっしゃったときに、やはり私たちも頑張って、これは一緒に力を合わせて憲法改正をやっていくんだ、国民投票をやっていくんだという思いを強くいたしました。

 そして、私たち、馬場代表を始め、憲法改正に前向きな改憲勢力として頑張っているわけでございますけれども、自民党総裁として御自分の任期中に、来年の九月までに憲法改正、発議を成し遂げようとすればどういったスケジュール感になるかということを私はちょっと考えて、これも衆議院の憲法審査会で発言をさせていただきました。

 来年の九月が岸田総理の総裁の任期ということで、来年の九月までに憲法改正をしようとすれば、逆算すると、国民投票の日を九月と設定する、少なくとも二か月の広報期間が必要になってきます。

 これは下から順番に上がっていって見ていただいたらいいと思うんですけれども、七月には憲法改正の発議をしなければ間に合わないということになります。七月に憲法改正の発議をしようとすれば、衆議院での審議、採決、参議院での審議、採決は何月までにしなければならないのかと逆算すると、各院での審議にはかなりの日数が必要になり、仮に衆議院での審議が二か月、参議院での審議が二か月かかり、各院で三分の二で可決できたと計算すると、三月には憲法改正原案ができていないといけないことになるという形になってくるんですね。

 ですから、通常国会が始まれば、どのような項目で憲法改正を発議するのか、まず項目を決めなければならない。本当は、この臨時国会でその項目を決めて、そのスタートとなるような大切な臨時国会であるはずだったんですが、このスケジュール感でいくと、来年の一月の通常国会が始まったときには、どの憲法改正項目で発議をしていくのかということを決めなければならないんですね。ですから、私は何度も何度も、来年の九月で大丈夫ですか、来年の九月ということで総理は総裁として思っていらっしゃいますかということを確認させていただきました。

 今、このスケジュール感を見て、総理、いかが思われますか。

岸田内閣総理大臣 これも再三申し上げておりますが、内閣総理大臣として、具体的な憲法改正の中身とか日程について直接触れることは控えなければならないと思っております。

 自民党総裁としての思いは、先ほど申し上げたとおりであります。

三木委員 ありがとうございます。

 それで、もう一点。

 私は、衆議院の憲法審査会でこれだけのことをやっているんですけれども、参議院の憲法審査会が全く、合区の問題をしたりとかそういった形で、緊急事態条項の議員の任期延長に関しての議論というのがなかなか進んでいかないんですね。もしもこの憲法改正原案で進んでいくとすれば、ちょっと衆議院と参議院での、自民党の中での熱量もかなり違うんじゃないかなというふうに思います。

 それで、私が自民党総裁である岸田さんにお願いしたいのは、自民党の中でスケジュールのお尻を決めていただくということと、自民党の中で衆議院と参議院の熱量を合わせていただいて、憲法改正に向けて進んでいただきたいということでございます。この要望について、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 これは当然ながら、繰り返しになります。内閣総理大臣として、具体的なスケジュール、憲法の内容について直接触れることは控えます。

 自民党として、議論を活性化する、こういった努力は続けていきたいと考えています。

三木委員 やはり自民党の党是ですから。自民党の党是ですよね、憲法改正というのは。それに、憲法改正をするという看板を掲げていらっしゃいます、自民党の方々は。新藤前筆頭幹事もここにいらっしゃいます。やはり憲法改正をやっていかなければ、今の日本の国の現状に憲法が合っていないというところも多々あります。

 これは一例で、今すぐにでも急いでやらなければならない、緊急事態が起きたときにどうするのかという大切な原案なんですね。是非とも、自民党の中でも、総裁の思いに応えるために、応えるように、憲法改正の議論、前に進めていただくことを要望といたしまして、次の質問に移らせていただきます。

 次の質問です。

 次は、物流の二〇二四年問題についてお伺いをいたします。

 まず、この表を見ていただきたいんですけれども、これは、二〇二四年問題に対して、物流革新に向けた政策パッケージの中の十三ページの表でございます。

 ここの十二ページのところに書いてあるんですけれども、このまま推移すると輸送力が二〇二四年度には一四%、トラックドライバー十四万人相当、二〇三〇年度には三四%、トラックドライバー三十四万人相当不足し、今のように運べなくなる可能性がある。これを補う方策を因数分解して原単位を分析すると、輸送力不足を一ポイント、輸送力一ポイントはトラックドライバー一万人相当といって、改善するために、いろいろ、荷待ち、荷役の削減であるとか、積載率の向上であるとか、モーダルシフトとか、再配達削減ということを考えていらっしゃるということでございます。

 これは、まず、一四%はどういうふうに計算したんですかと聞くと、この一四%は、残業代、働き方改革によって残業ができなくなる分の時間数、今働いている時間数から引いたら、一四%足りなくなりますよということなんですね。

 私が分からないのは、輸送量は一トンのトン数だ、その一トンのトン数を、一%を一万人になぜするんですかという質問をしましたら、ここでいきなり宅配の話が出てくるんですね。宅配の六%が六万人だから、これは一%が一万人なんだという話が突然出てくるんですけれども、この四・五ポイントとか六・三ポイントとか〇・五ポイント、三ポイントというのは、何か、最終的に、国交省の方に聞くと、イメージだと言うんですよ。

 この表でちゃんと、きっちり削減とか効果が認められるんですかね。ちょっと国交大臣、お願いいたします。

斉藤国務大臣 トラック運送業につきましては、来年四月から時間外労働規制が適用される一方、何も対策を取らない場合、輸送力は二〇二四年度には一四%不足する可能性があると推計されています。

 このため、今年の六月に関係閣僚会議で取りまとめた政策パッケージでは、荷待ち、荷役時間の削減による物流負荷の軽減や、トラック輸送の積載率向上による輸送効率の向上などの対策を盛り込んで、不足する輸送力を補うこととしております。

 その表でございますけれども、例えばトラックの荷待ち、荷役時間を、全体で三割の部分を、現状の三時間、待ち時間があるんですが、これを二時間に縮減する。これらは荷主の協力が必要です。それらをしっかりやっていきたいと思います。それから、積載率については、全体の二割で現状の三八%から五〇%に向上させる。それから、モーダルシフトで現状の三・五億トンから三・六億トンに増加させる。再配達を現行の一二%から六%に半減させる。これらは、運転手、また荷物量等を総合的に計算して、削減量を算出したものでございます。

三木委員 新しいパネルなんですけれども、トラックドライバーの賃金と労働、労働時間、年間所得についての表でございます。

 年間所得額は、標準的な運賃というものを定めて、若干ですけれども上がっているかなというふうに思うんですけれども、労働時間というのはやはり高止まりしているんですよね。全産業平均と比べても高い。

 本当はもっと働きたいと言っている人が四二・五%います。これをやはりきっちりとやっていかないと、残業を規制はしたけれども、自分の収入が減ってしまうということで、トラックドライバーの方々が非常に不安に思っている。

 多重構造の下請、孫請、そういったものも、きっちりと基準簿を作ってやっていくということは聞いているんですけれども、私は、やはりこれは心もとないなと。残業代が稼げなくなった分、ほかでアルバイトをしたりパートに入ったりとか、若しくは、もう一番最悪の場合は、闇のトラック業者のようなところにドライバーが流れて、生活を維持するためにトラックを運転するというような状況が、私は二〇二四年の四月以降起きてくるんじゃないかなと思うんですね。

 なぜかというと、やはり対策が遅いんですよ。二〇二四年四月からこの問題が起きると分かっているのに、五年間猶予があったのに、やっと動き出したのが今という感じじゃないですか。だから、あと半年間でどれぐらいできるのかというのは私は非常に疑問に思っていて、これをもっと加速させていただかないと、きっちりとトラックドライバーの方々の収入確保ということにもつながらないんじゃないかと思います。

 こちらの点をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 これまでも標準的な運賃を提示したり一生懸命努力してきたわけですが、今、三木委員御指摘のように、いよいよ加速させなければいけないと思っております。

 その際、トラックドライバーの賃上げと、その原資となる適正運賃を収受できる環境の整備を進めていくことが必要です。このため、国土交通省では、トラックの標準的な運賃について、第一に、燃料高騰分なども踏まえて運賃水準の引上げ幅を示すこと、第二に、新たに荷待ち、荷役などの対価について標準的な水準を示すこと、第三に、下請手数料という加算項目を追加することなどについて、年内の公表を目指して検討を進めております。

 また、今月と来月をトラックGメンによる集中監視月間といたしまして、厚生労働省の労働基準部局や中小企業庁などと連携して、悪質な荷主への指導を強化することとしております。

 加えて、一つに、荷待ち、荷役時間の短縮に向けた計画作成を荷主等に義務づけること、第二に、トラック運送業における多重下請構造の是正を図ることなどの法制化を進めてまいります。

 これらの総合的な施策によって、ドライバーの賃上げと適正運賃の収受に向けて取り組んでまいります。

三木委員 ありがとうございます。

 しっかり取り組んでいただきたいと思います。もう半年しか残っておりませんので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に行かせていただきます。

 年収の壁でございます。

 これは、もう本当に時間がありませんのでちょっと駆け足で言いますけれども、過去十年間で、パート、アルバイトの方々の最低賃金というのは約三割上昇をしています。加えて、物価というのは、九月に、今年は前年度比三・四%上昇で、去年は二%ぐらいは上昇しているということになっております。政府の方は、やはり賃金を上げていきましょう、賃金を上げていきましょう、これはお願いしますよということで、賃金ベースを上げるということをお願いしています。

 そして、今、四種類の年収の壁というものがございます。百三万、百六万、百三十万、百五十万という壁があります。賃金は三割上がっているけれども、この年収の壁の額が動いていないことによって、働き控えが今起こっているというのが現状なんですね。

 私は、これは政策ではないと思っています。維新は第三号被保険者の抜本的な改革が必要との立場ですし、政府も様々、この壁に対応するために政策を打ち出してきていらっしゃると思います。ただ、その政策が実現するまでの間、この壁、この数値を三割ぐらいやはり上げないと、最低賃金が三割上がっているのに、働き控えというものが起きてきてしまうんじゃないかという懸念があります。懸念じゃなくて、実際に起こっています。

 実際に、私の知り合いのところでも、飲食店を経営されていて、業績がいいからパートさんの時給を上げたら、十二月の半ばぐらいから労働時間を短縮して、働かないんですね。要するに、壁を超えたくないから働かないという状況が起きてきています。

 また、知り合いの方のところでは、業績がいいからパートさんやアルバイトさんにも冬のボーナスを支給しようかなといって、二十万円ぐらい要りますか、ボーナス支給しますよと言ったら、要らないと言われるんですよ。

 これはやはり、扶養控除にひっかかるとか配偶者の特別控除にひっかかるとかいろいろなことがあると思うんですけれども、単純に、パートで働く人は約六割、六一・九%が就業調整をしているんですね。これは野村総合研究所の結果なんですけれども、時給が上がったことによって更に就業調整をしなければならない、五九・四%もそういう人がいるんです。

 だから、労働時間は短縮された、だけれども世帯全体の収入が変わっていないということが起こり得て、今、社会現象として多々起こっていて、働き手不足ということも起きてきているので、こういったことを考えると、この壁の数値を単純にやはり三割ぐらい上げなきゃいけないんじゃないかなと思いますが、総理のお考えをお願いします。

岸田内閣総理大臣 年収の壁について、御指摘のように引き上げる、基準を引き上げてしまうということになりますと、労働者の所得等の状況によっては、希望していながら被用者保険に加入できなくなる者が増えることも想定されます。これは現実を見て、慎重に検討しなければならないと思います。

 そこで、政府としては、むしろ労働者が壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大に取り組むことが重要であるということで、取組を進めてきました。

 しかし、これも喫緊の課題でもあります。ですから、当面の対応策として、この度、年収の壁・支援強化パッケージ、これを取りまとめました。その上で、制度の見直しを、次期年金制度改正に向けて議論を進めているところです。

 世代間の所得、若い世代の所得向上ですとか、人手不足の解消から、この問題は喫緊の課題であるということで、たちまち当面の対応策を用意するとともに、制度改革の議論も引き続き行う、こういったことでこの問題について対応しようとしているのが政府の対応であります。

 そして、委員の方から、幾つか壁がありましたが、百三万円とか百五十万円、税制の方でありますが、税制上の年収の壁というのは制度上は解消しているということであります。ただ、民間においてその影響が残っているという点については、民間の協力を得ていかなければならない課題だと思っております。

三木委員 今、税制の方は大丈夫だというふうなお答えだったと思うんですけれども、税制の方も、世帯の手取り収入というのは減少しない、逆転しないというふうになっているんですけれども、世帯の収入が増えないと駄目なんですよ。今、世帯の収入が増えるためにやはりやっていかないといけないので、そこは私はちゃんと対応していただきたいなと思います。

 そして、今、岸田総理がおっしゃったのは、やはり政策の部分なんですね。でも、政策の部分じゃなくて、もう単純に数値を上げなければ、金額を上げなければ今の社会現象に追いついていかないということですので、これは要望でお願いをいたします。

 それから、もう時間がございませんので、尖閣のブイについてお伺いいたします。

 日中中間線から五百メートル日本側に中国が置いたブイについてなんですけれども、この写真で、十メートル近い大きなもの、尖閣設置のものと同一かどうかは未確認なんですけれども、これはきっちりと対処をした方が私はいいと思います。

 習近平国家主席とお話をされたということで、準備段階に入ったというような御答弁を、先日、立憲民主党の泉代表の、委員の中での御答弁で、私もそれは拝見をいたしました。

 しかしながら、私がこれを思い出したのは、気球の問題がありましたよね、気球。これは書いていません、気球の問題がありました。アメリカの上空に気球が飛んで、アメリカが爆破した。日本の自衛隊は、この気球の存在も知っていたけれども、これはお答えできませんというようなお答えだったんですね、いつも常任委員会の中で。だけれども、やはり、アメリカの毅然とした態度というのは爆破なんですよ、気球の爆破なんですよ。

 そこまで私は、これをやれとは思いませんけれども、しっかりとした毅然とした態度で挑むというのであれば、やはり期間を区切って、中国が撤去しないのであれば、日本が回収をしてその中身を調べるということをした方がいいと思います。

 端的に、時間がございませんので、首相、よろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、約一年ぶりに開催されました日中首脳会談において、私から、御指摘の点、習近平国家主席に指摘をし、ブイの即時撤去、これを直接求めました。今後とも、主張すべきことは主張し、対話を重ねていきたいと思います。

 やり取りを踏まえて、ブイの即時撤去を求めていくわけですが、具体的に、我が国の毅然とした対応、これについて、国連海洋法条約上、ブイの撤去等については、これを許容する規定も禁止する規定も明文では存在しないところですので、我が国としては、このブイの撤去も含めて、当該海域における関係国が有する権利及び義務、また、我が国の国内法令、また、当該ブイが船舶交通や我が国漁業活動へ与え得る影響等も踏まえ、可能かつ有効な対応、これを関係省庁で連携して検討してまいります。

三木委員 是非毅然とした態度で挑んでいただきたいと思います。

 最後に、拉致問題でございます。

 横田めぐみさんが拉致されてから四十六年が経過をいたしました。

 産経新聞に対して、「めぐみへの手紙」ということで、横田早紀江さんがお手紙を書いていらっしゃいます。

 三年前、あなたのお父さんが天に召されました。大切な仲間、友人は次々と旅立っていきます。お母さんも八十七歳になり、気力はあっても、体の衰えを痛感します。今年二月、お母さんは自宅で倒れてしまいました。神様、どうかあと二年、生かしてください。もう少し、闘うための時間を下さい。一目だけでも、めぐみの姿を見たい。声だけでも、聞きたい。老いた母の切実な願いです。

 これは、ずっと二ページにわたって早紀江さんのお手紙が掲載されております。

 このところの日本政府の動静を見るにつけ、本当に解決する気概はあるのか。不安や不信ばかりが募ります。明々白々な主権侵害を受け、半世紀にわたり同胞を救えないありようは、日本国の恥そのものではないでしょうか。岸田文雄首相にも、日朝首脳会談の一刻も早い実現へ、御尽力をお願いしました。歴代首相の方々にお送りしたのと同じように、思いを込めて、お手紙をお送りしました。政治家や官僚は世論を受け止め、戦略を練り、一刻も早く、具体的な行動に移してください。

 というふうな掲載がされております。

 是非、岸田総理の覚悟と決意を示していただき、そして、韓国がこの拉致問題に取り組むというふうになっております。日米韓でどのように連携されていくのか。

小野寺委員長 申合せの時間が過ぎております。

三木委員 はい。

 そして最後、「めぐみへの誓い」というものがございます。

 こちらの方、外務省が非常に協力的に行っていただいているといいますので、これの支援を引き続きお願いしたいと思います。御答弁をお願いいたします。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、簡潔にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 横田めぐみさんを始め、いまだ多くの拉致被害者の方々が北朝鮮に取り残されていること、これは痛恨の極みであり、誠に申し訳ないことだと思っております。

 思いをということでありますので、私自身、再三申し上げておりますように、金正恩委員長と直接向き合う覚悟で、様々な働きかけを今続けております。結果を出すよう、全力で果断に取り組んでいきたいと思います。

三木委員 質問時間が過ぎてしまいました。

 御答弁ありがとうございました。終わらせていただきます。

小野寺委員長 この際、奥下剛光君から関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下剛光です。

 今日の質疑の時間の多くを万博の質疑をさせていただきたいと思っているんですが、その質疑をさせていただく前に、今日の午前中もそうですし、昨日もそう、各委員会で万博の質疑、全部見られているわけじゃないですけれども、ちょっとやはり、後ろ向きな、失敗ありきみたいなことで、これはマスコミを含めてですけれども、議論されている方が多いんじゃないかなというふうに感じております。せっかく超党派で、万博を成功させる議員連盟、これを立ち上げたわけですから、今日から万博、残すところ五百八日、全力で、成功するためにはどうするのかという観点で議論を皆様にもお願いできたらなというふうに思っております。

 では、質疑に入らせていただきます。

 大阪府は二〇一六年十一月に万博の基本構想を国に提出しました。当時の安倍首相は、各地を訪れる観光客が増大し、地域経済を活性化する起爆剤になることが期待されるとおっしゃっていただき、関係省庁に積極的に協力、検討するよう指示を出していただきました。

 このとき既に二〇二〇年の東京オリンピックの開催も決まっており、更に万博という大型イベントを開催することで、海外からの観客が増える契機になるとのことで動き出しました。

 今、なぜ大阪・関西万博を行うのか、その意義は何なのか、西村大臣にお尋ねします。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博、まさにコロナを経験し、そして、今、世界で様々な国際情勢、ウクライナ情勢、中東情勢、緊迫化が続いております。そうした中で、命の重みについてまさに強く意識されているところであります。

 そうした中で、今回のテーマ、世界の平和と繁栄につながるようにということで、「いのち輝く未来社会のデザイン」ということでテーマを掲げ、まさに世界の人々の英知も集め、そして、技術、新たなイノベーション、こうしたものも集め、我々が今直面している課題をイノベーション、未来の姿を示すことによって、みんなで挑戦して切り開いていこう、こんな万博にしていきたいという思いであります。

 これができるのは、まさに平和国家として歩んできた日本、そしてイノベーションの力がある日本ということで、先般も、百五十か国、七国際機関が集まって参加国会議が開かれました。多くの国々から、日本への期待、そして、まさに、すばらしい万博にしていこう、未来社会の実験場としてのイノベーションを示す、そうした機会にしていこうという強い意欲が示された、共有されたところであります。

 資料にも明示されておられますけれども、まさに、アンドロイドが命について語りかける、あるいは、iPS細胞の心筋シート、心臓の細胞がどくどくと動く姿、空飛ぶ車、これも実現をしたいと思いますし……(発言する者あり)大丈夫です。多言語翻訳技術の活用など、未来につながるイノベーションを展示をして、多くの人が、未来に向かって、今の直面する課題を乗り越えて、平和と繁栄のために乗り越えていこう、結束してやっていこう、こんな思いを描き得る万博にしていきたいというふうに考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 まさに、私の選挙区は大阪七区で、吹田市というところ、七〇年代、大阪万博があったところでございまして、本当に地域には七〇年の万博に参加された方が数多くいらっしゃいます。僕は当時生まれておりませんでしたからあれですけれども、当時の資料館も地元にも残っておって、本当に、たまたまかもしれませんけれども、期待する声を私は多く聞いております。

 次の質問に入りたいと思います。

 海外パビリオンの遅れが大きく報じられておりますけれども、当初の目標は百五十か国と承知しておりますが、現在の参加国数や万博全体の進行状況、準備の状況はいかがなんでしょうか。西村大臣、お願いいたします。

西村国務大臣 まず、会場建設については、博覧会協会が発注する土地造成など土木工事はおおむね完了しております。そして、各種催事場、迎賓館、大屋根、リングなど、既に建設事業者が決定し、順次着工しております。十三の民間出展者についても、既にコンセプトが発表され、建築事業者も決まり、また、大阪館や関西広域パビリオンについても順次着工が進んでおります。

 そして、海外パビリオンですが、合計百六十か国のうち、百か国以上が入るタイプB、タイプC、これは博覧会協会が建設するものでありまして、建設事業者も決まり、既に着工済みであります。

 参加国が自ら建設する約五十のタイプAのパビリオンについては、いずれもまだ着工しておりませんけれども、そのうちの約半分、二十四か国が既に建設事業者を決定をしております。残りの参加国についても、開幕に間に合うように、今、各国マンツーマンで伴走型の支援をして、建設事業者とのアレンジ、あるいは施工環境の改善といったことも含めて、関係者一丸となって準備を進めているところであります。

奥下委員 ある国の万博の代表者の方ともお話しする機会があるんですけれども、なかなか彼らの認識の甘いところも正直あるなというふうには感じております。そこを今すごい手厚くサポートしていただいているという声も聞いておりますので、是非間に合わせていただいて、今、百六十か国ということで、上海万博に次いで二番目の参加国予定となっておりますので、是非、こちらも頑張ってやって進めていただけたらなというふうに思います。

 次の質問に入ります。

 命がテーマの今回の万博ですが、テーマプロデューサーには名立たる人物が集まっておりますが、企業館も様々な企業が参画されております。

 どのようなことが体験できるのか、現段階で言える範囲で結構ですので、自見大臣に御教示いただけたらと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 大阪・関西万博では、日本を代表する企業、プロデューサーがパビリオンを出展していただくこととなってございます。私自身も、十月四日と十八日と二回にわたり開催されました民間パビリオンの構想発表会にも参加をさせていただきました。

 また、委員お示しいただきましたが、それぞれのテーマ、シグネチャーパビリオンともいいますが、出展していただきます八人のプロデューサーと現在、順次意見交換をさせていただいているところであります。皆様、創意工夫にあふれた展示ですとか、あるいは万博に向けた熱意があふれております。特に、子供たちや若者たちにも夢を、あるいは希望を与えられるような万博にしてほしい、したいという思いを聞いておりまして、私もそうなると日々確信を強めているところでございます。

 例えば、石黒浩プロデューサーは、五十年後の未来のシーンを表現すべく、協賛企業と二年以上議論をして、アンドロイドロボットが命について語りかける交流体験を企画していると伺っております。また、小山薫堂プロデューサーは、食をテーマに、食べ物から命を、食物連鎖等で、そういったもので意識をしていただくような企画、これをスーパーマーケット等で、人間が一生涯で食べる食べ物を、動物とか卵とかそういったものも含めて、分かりやすく展示をして、感謝の気持ち、いただきますという言葉が自然に出るような、そういうような思いを抱いていただけるようなパビリオンにしたいということもおっしゃってくださっていました。

 また、民間パビリオンでは、パソナグループが、人とテクノロジーの共生の象徴であります鉄腕アトムを起用し、先進的な再生医療の技術を紹介するということであります。また、息をのむ美しさでございましたが、飯田グループホールディングスは、直径二十四メーター、高さ十三メーターのドームを西陣織で覆うパビリオンを予定しているということでございまして、各パビリオンの外観も非常にこだわっておられまして、散策をすると思うと私もわくわくしております。

 今後、万博の開催に向けて具体的な出展内容が順次発表されていくことになりますが、政府といたしましても、こうした魅力的なコンテンツをしっかりと発信し、機運醸成を進めてまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 こうやって見ていただいても、民間パビリオン、次々と発表されているわけですけれども、先ほど申し上げたように地元の方々の期待も当然ですけれども、本当に万博以上に人、物そしてお金を呼び込めるコンテンツはないというふうに思っておりますので、是非成功に向けて共に頑張っていきたいと思います。

 そして、関連しまして、命というテーマに関して、健康寿命と医療費の関連についてお尋ねします。

 内閣府の資料によりますと、健康寿命が一年長い都道府県では一人当たり医療費が約三万一千円低いという関係が見られております。今回のテーマの一つでもあるアンチエイジングにより、健康寿命を延ばしていくことにより医療費の削減にも寄与するのではないかと考えますが、総理の御見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 健康寿命の延伸と、そして医療費の削減、この両者の関係についてはいろいろな議論があり、様々な研究があります。ですから、今現在、必ずしも確立した評価が得られているものではありませんが。

 政府としては、国民健康づくり運動であります健康日本21において、食生活、運動を始めとする生活習慣の改善など、ライフステージに応じた健康づくりの取組を総合的に推進してきております。

 ただ、この健康寿命の延伸は、国民のQOL、要するに生活の質、これを高めていく、これにつながるんだということは間違いないと認識しており、今後とも健康寿命の延伸には政府として積極的に取り組んでいきたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 是非、確かなエビデンスはないと思いますけれども、今は女性だけじゃなくて男性も美容にこだわる時代ですので、是非どんどん進めていっていただけたらなというふうに思います。

 次の質問なんですけれども、先ほどちょっと触れられておりましたが、リングですね、やはり避けて通れないと思いますので、このリングの意義と現在の建築状況、これを西村大臣に御説明いただけたらというふうに思います。

西村国務大臣 御指摘の、万博で建設予定の木造建築物の大屋根、リングでありますけれども、コロナ禍でありました二〇二〇年に博覧会協会の理事会で決定した基本計画に位置づけられております。まさに、コロナ禍の中で、分断を超えたつながりというものを体験する、「多様でありながら、ひとつ」という大阪・関西万博の理念を表すシンボルとして当時決定されたものと承知をしております。その決定の際には、理事となっています府市、経済界を含めた協会内はもちろんのこと、国におきましても、管理監督を行う経済産業省を中心に検討が行われ、その中で決定されたものと承知をしております。

 まさに、コロナ禍にあって、「多様でありながら、ひとつ」という万博の理念を示すシンボルとして決定されたものであるということが一つ。それから、木造で、再利用することを想定をしております。まさにサステーナビリティー、サーキュラーエコノミーの象徴でもあるというふうに認識をされておりまして、現に、終了後は利用したいという方も現れてきております。

 以上のことから、リングは、これまでの経緯を見ても、今回の大阪・関西万博の理念、そしてプロセスを見ても、この万博会場に欠かせない建築物として認識をされているところであります。

 その建築状況でありますけれども、まず、先ほども少し申し上げましたが、リングを建設するに当たって必要な資材は既に全てもう発注済みでありまして、物価上昇も込みで、見越して発注済みということであります。そして、基礎工事も全て着手済みでありまして、木造構造体の組立ても約三五%進捗しているというふうに承知をしております。

奥下委員 ありがとうございます。

 このシンボルが決まったのがコロナ禍ということで、当時のテーマが、非中心、離散というのがテーマでつくられたというふうに理解しております。先ほどもおっしゃっていただいたように、多様性の時代の中、円の中心で、個人が中心に輝けるような社会をつくっていこうというテーマをつくられたので、よくこの議論が、半分にしたらいいんじゃないかとかありますけれども、それで建設費が半分になるんじゃないかとか、そんな単純な話では正直ないと思っておりまして、テーマもやはり大事ですので、こういったことをどんどん発信していっていただけたらなというふうに思います。

 次の質問に入ります。

 先日、大阪でIPMが開催され、諸外国が集まって議論が行われたと承知しておりますが、報道では撤退が大きく報じられておりますが、IPMの場ではどのような議論がなされ、どのようなメッセージが出されたか、御紹介いただけないでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 十一月十四日から十五日まで、大阪でIPM、国際参加者会議が開催をされました。約百五十か国、そして七国際機関から約五百名が参加をいたしました。

 IPMでは、博覧会協会から、会場整備、そして催事の計画、国際パビリオンの建設、展示、また運営計画など様々な分野に関わる説明を行ったほか、参加国からの実務的な問合せを受け付ける窓口としてワンストップショップを設置をいたしました。六百件以上の各国からの相談に丁寧に対応させていただきました。IPMに参加をした国々からは、こうした実務面への関心が強く寄せられ、活発な意見交換が行われたと聞いてございます。

 また、日本に対しては、ホスト国としての世界への発信や、あるいは万博のテーマに沿った各国の出展への後押しについて強い期待が寄せられたとも聞いてございます。

 会場は一体感でいっぱいだったと聞いております。例えば、IPM一日目の参加者代表による集合写真においても、参加国からの発案で、二〇二五年四月に会いましょうというバナーを掲げまして、本当に一体感となって、そして実際に一体となってメッセージを世界に発信したところでもございます。

 また、私自身は日程の都合でIPMには参加はできませんでしたが、各国の大使や政府代表と現在意見交換も行っておりまして、皆様の万博に対する熱意を感じているところでおります。

 引き続き、オール・ジャパンで、万博の開催に向けた準備をしっかりと進めてまいりたいと存じます。

奥下委員 ありがとうございます。

 先日、オーストラリア大使なんかは、オーストラリアでも独自の万博のマスコットを作るとかおっしゃっておりまして、海外の代表の方とか、聞いていたら、本当に目を輝かせながら、あれやるんだ、これやるんだみたいな、前向きな話しか聞こえてきていないので、是非、受皿として、きちんとここはサポートしてやっていっていただけたらなというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 今、SNSで、脱北した家族とか韓国のカップルが日本に旅行をしてきて、日本の文化に触れ、そういった動画がよく発信されているんですけれども、そういった方々が、我々の国で日本に対する教育は何だったのか、全然違うじゃないか、こういったことを言われているんですね。多くの同郷の人たちにこの日本のよさを知ってもらえたらということをおっしゃっておられます。

 二五年の後の万博を釜山が誘致で動いていることから、二五年の万博には韓国から多くの方が来られることが予想されます。また、今、参加国にはパレスチナも参加予定ということで、大使なんかは、むしろこういうときだからこそという強い思いがあるというふうに発言されて、撤退を否定されておりますが、これは外交的にも大いに大切な場で、機会になるかと思うんですけれども、上川大臣のお考えをお聞かせください。

上川国務大臣 委員御指摘のとおり、大阪・関西万博は、日本の魅力、これを国際社会に広く発信する大変絶好の機会であると考えております。外交的にも極めて重要な国家的な行事と認識をしております。

 日本の魅力発信に加えまして、今回のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」ということでありますが、二〇三〇年までのSDGs達成への重要な通過点として、国際社会の取組をアピールをし、そして加速する、そうした面での機会としても活用してまいりたいと考えております。

 万博の開催は日韓間の交流にも大きく資するものと期待をされるところであります。先週、APECの外相会議におきましても、朴振韓国外交部長官との間で、民間の様々な対話、また交流の動きを引き続き後押しをしていくということにつきまして一致をしたところであります。

 世界の各国の皆様をお迎えすべく、外務省といたしましても全力を挙げて準備に当たってまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 建設費の値上がりばかりが注目されて言われているわけですけれども、このようにきちんと見直すところは見直してやっているということは承知しておりますが、経済効果の数字が取り上げられることがちょっと少ないかなというふうに感じております。

 今現在の経済効果の試算はどうなっているのでしょうか。西村大臣にお尋ねします。

西村国務大臣 大阪・関西万博の経済波及効果についてでありますが、経産省におきましては、平成二十八年、少し前になりますが、万博により増加する支出を基に、産業連関表、マクロモデルを用いて試算を行っております。約二兆円の経済効果を見込んでおります。

 その内訳は、建設費〇・四兆円、運営費〇・五兆円、消費支出一・一兆円ということで、建設費以外にも、運営、イベントに係るものであるとか、あるいは来場者の消費、こういった費用、こういった効果を波及効果として生むものというふうに見込んでおります。

 また、国が行った試算以外にも、大阪府あるいは民間企業など、幾つかの主体がこの大阪・関西万博の経済波及効果の試算を行っておりまして、経産省の数字よりも大きくなるものもありますし、直近では、建設費が伸びている分、通常であればその分は更に大きくなっていくものと思いますが、いずれにしても、しっかりとすばらしい万博にして、多くの人に来てもらって、大きな経済効果があるようにしていきたいというふうに考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 試算したのがちょっと前のことではありますので、物価高騰とか資材高騰により建設費が上がっている、ただ、経済効果の方にはそれが今試算されていないということなので、これは当然上がっているはずなので、それでも二兆を超えるであろうというところが、いろいろ数字が出ております。当然、万博を中止せよとかいう話もありますけれども、この経済効果と、我々は今投資と呼んでいますけれども、効果を呼び込むための投資、これがやはり差があって、これを利益と呼ぶ言い方がいいのかは別として、そこがある以上は、まだそういった、簡単に中止を検討するような段階ではないというふうに考えております。

 次の質問に入ります。

 万博のインバウンド効果は、大阪のみならず、当然地方にもメリットがあると思いますが、どのような見込みで、どのように最大化していく予定か、自見大臣にお尋ねいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 大阪・関西万博には、海外から三百五十万人の来場者を見込んでおります。世界中から万博に訪れる多くの方々に、是非日本各地を訪問していただき、日本の魅力を体験してもらえる絶好の機会にしたいと考えております。

 万博がもたらすメリットを日本全国が享受できるよう、全国の交流人口の拡大を目指します万博交流イニシアチブを打ち出しておりまして、万博を契機に全国の地域の活性化につなげていく取組を進めているところでございます。

 具体的には、開催中、各国のナショナルデーというものがございますので、そのナショナルデーなどに海外の姉妹都市を持つ自治体が参加をするなど、全国の自治体と参加国との交流の機会の創出ですとか、あるいは、二〇二五年には、同じ時期になりますが、瀬戸内国際芸術祭を始めとして各地で開催される芸術祭やスポーツイベントなどもございますので、そういったものとの連携も予定をしているところでございます。

 さらに、今般の補正予算におきましては、万博を契機として、開催後も地域活性化につながる取組を全国で一層進めていくため、四つを掲げてございます。一つが、全国の子供たちの、万博の学習機会への活用につながる出前授業等の実施、もう一つが、全国の自治体と万博参加国の交流の促進、そして、自治体が万博の機運醸成のために地域の文化資源を活用して実施する文化芸術活動への支援、そしてさらに、最後になりますが、万博を契機として都道府県において新たに実施する地方創生に資する取組への支援でございます。

 これら各府省庁との連携をいたしまして、合計約三十億円を計上しているところでございます。

 これらの取組も通じまして、全国の自治体としっかりと協力をしながら、各地で行うイベントとの連携や、外国人観光客に全国の日本のすばらしい魅力、観光地を訪問してもらえるような取組を進めてまいりたいと考えてございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がないので、ぱっと行かせていただきます。

 万博の意義、体験できる内容をもっと積極的に発信していくべきにもかかわらず、全国的に十分に発信されておりません。ネガティブな報道が多いのも万博のプロモーションがうまくいっていないのが要因の一つと考えますが、今後のプロモーションや全国的な機運醸成にどのように取り組んでいく予定でしょうか。自見大臣にお尋ねいたします。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 十一月三十日にはチケットも前売り販売を開始されますが、今後は、参加、体験、そして行動する万博への変化といった、万博の意義が変わってきたということに加えまして、ちょうど昨日でありますが、日本財団が公表した、十八歳の意識調査が公表されております。十八歳の意識調査では、万博の開催に六八・一%が賛成するという結果もございました。

 若者からの期待があるということをしっかりと認識しつつ、万博に行けばどのようなものが見られるか、どのようなことが体験できるのか、こういった万博の中身をしっかりと発信していくことが非常に重要だと考えてございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 今、今月中に発表されると思いますけれども、ある世界大会を大阪に誘致することができまして、来年からやっていくんですけれども、その大会も、開催国全てにおいて万博のPRのPVを流していただけるとか、そういったことも我々も取り組んでいっておりますので、是非そちらもまた共有していきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、一問飛ばさせていただきます。

 今まで行われてきた万博もきちんと検証されてきたと思うんですが、今回の万博は何をもって成功とするのか、総理にお尋ねいたします。

岸田内閣総理大臣 何をもって成功とするかですが、この万博というもの、世界中から人々が対面で集まり、未来について思いを巡らす、そして未来について考え行動する、こういった貴重な機会であるとされています。

 世界と交流を深め、日本の魅力を世界に向けて発信する絶好の機会になると位置づけられているわけですが、特に、大阪・関西万博については、実質的に、コロナ後初の万博となります。そして、今、ロシアによるウクライナ侵略、緊迫する中東情勢など、世界が対立や分断している、こうした現状を考えましたときに、世界が内向きになっているというときに、世界から日本に集まって人類の未来を考える機会、これは大変大きな意義があると思います。

 我が国も例外ではなくして、コロナや激動する世界情勢の中で次々に大きな出来事が起こり、ややもすれば内向きになりがちな中、ここ日本で万博が開催される。こうした万博ですので、人々が体験、交流し、未来について考える機会、そして日本の魅力を発信する機会、こういったことを実感することができれば、これは万博が成功したという評価につながるものだと考えております。

 是非、多くの人たちに、今申し上げた意義を実感できるような万博を目指して、オール・ジャパンで取り組んでいきたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。まさに総理のおっしゃるとおりだというふうに我々も考えております。

 いろいろな立場があるので、いろいろな評価の仕方は当然あるんですけれども、当然、税金ですから、やはり無駄遣いというところはきちんと気をつけていかないととは思いますけれども、先ほどおっしゃるように、意義、これがやはり一番大事かなというふうに思っております。本当に、我が国の経済的、技術的発展のためにもそういう万博があるんだというふうに考えております。

 我々日本維新の会は、大阪・関西万博は、まさに我が国の輝かしい未来に向けた先行投資であり、次の時代を切り開く新たなイノベーションの原動力となると信じております。国を先頭に、大阪府市、万博協会、経済界一丸となり、必ずや万博を成功させるという揺るぎない信念の下、全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、青柳仁士君から関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 今、今回の補正予算による総合経済対策ですけれども、岸田総理の打ち出した減税、これが、ここにいる国会の我々にも、そして国民にも、何のためにやるのかさっぱり分からない、こういう指摘が何度もなされております。

 一方で、総理は、これは国民の可処分所得を上げるためにやるんだ、こういうことを繰り返しおっしゃっていますね。

 なぜ可処分所得を上げる必要があるのか。政府の立場に立って簡単に言えば、何度も答弁されていることを代わって言えば、今経済は少しずついい方向に向かってきている、そして、従来見られなかった企業の設備投資であるとか、経済、税収の伸びであるとか、そういったものも確認される、そういった中で、デフレを脱却するために、これから一般の皆さんの可処分所得を増やして需要を喚起する、それで需要が大きくなっていく、それとともに供給サイドに今回補正予算でお金を配る、それで供給力を増すことによって経済成長しよう、こういう話ですね。ただ、インフレが残っているので、物価高よりも賃上げが上がっていけば可処分所得が増える、こういう理屈なんであります。

 しかし、国民の可処分所得、これは今どういう状況か。ちょっと今パネルで見ていただきたいんです。

 三十年前の一九九五年あたりから、国民の一世帯当たりの平均所得、これは賃金ですね、その下が可処分所得です、これはずっと下がり続けています。

 可処分所得を上げると言ったのは、岸田総理が初めてではもちろんありません。歴代の総理も一生懸命上げようとしたんですけれども、上げられなかったんです。ずっと下がってきた。

 そして、更によくないのは、この一番右端の拡大と書いてあるところ、平均所得と可処分所得の間に差があるということです。可処分所得というのは、平たい言葉で言えば、手取りの話ですね。サラリーマンでいえば、お給料から税金と社会保険料を除いた金額です。つまり、税金と社会保険料の額が上がってきているから、この上と下の差というのがどんどん広がってきているわけです。

 先ほど申し上げたとおり、総理のおっしゃっている総合経済対策や減税というのは、可処分所得が上がらなければ、絵に描いた餅なわけです、意味がない。ですが、可処分所得を上げるには、単に賃上げを行うだけじゃ駄目なんです。今ずっと増え続けている税と社会保障の負担、これを下げていかなかったら、可処分所得は増えないと思うんです。こういう負担を下げていくことが必要なのではないかと思いますが、その点についてお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のように、租税負担そして社会保障負担、これが上昇すれば、可処分所得の伸びは抑制されます。したがって、租税負担、社会保障負担、これを合わせたいわゆる国民負担、これを抑制していくこと、これは日本経済を持続的で競争力あるものにしていくために重要な課題であると思います。

 ですから、今申し上げているのは、まずは、そうはいっても、賃金が上がること、これがまず基本であるということです。賃金を持続的に、そして構造的に上げていく、この循環をしっかりと維持していくことが大事だということを申し上げた上で、ただ、賃金が今伸びていく途上でありますので、今、外生的な要因、海外のエネルギー危機あるいは為替等の外生的な要因で物価高騰が大変深刻な状況になっている。この今の時点、特に来年にかけてのこの時点で賃上げが物価に負けないようにしっかりと下支えしなければいけないということで、所得税、住民税の定額減税、これも用意をし、官民協力して可処分所得を引き上げていく、こういった取組が、特に来年、正念場として重要だということを申し上げております。

 一方で、委員御指摘のように、税負担そして社会保障費の負担、国民負担を抑制する努力も並行して行いながら、可処分所得を拡大していきたいと考えています。

青柳(仁)委員 今、賃上げが重要であると繰り返しおっしゃっておりますが、やはり国民負担、税負担と社会保障負担、これを下げていかなかったら可処分所得は上がらないわけですから、その点についてはお認めいただいたんじゃないかと思います。それについてはしっかりと取り組んでいく必要があるということも今おっしゃっていただきました。

 繰り返しになりますが、可処分所得が増えなければ需要は増えませんから、国民生活も豊かにはなりませんから、当然、今回書かれている総合経済対策の趣旨というのは、本当に絵に描いた餅になるということなんです。可処分所得は、税負担、国民負担をどう減らしていけるか、ここが重要だと思っているんです。

 その一方で、総理の減税が分かりにくいのはなぜかというと、さっきおっしゃった、国民負担がどんどんどんどん中長期で見ると増えているんですよ。なのに、この一年だけ減税しますとか言うから分からないんです。

 国民負担はなぜ増えるか。それは、これを見てください。やはり、ほとんどが社会保障費です。社会保障費は、消費税、これがどんどん増税されていますけれども、財務省の理屈では、これは社会保障費に使っていますということになっています。それから、社会保障費もどんどん伸びていますが、これも基本的にはこのために使っています。

 これを見ていただくと分かるんですが、例えば、七十歳以上の高齢者一人を何人の現役世代が支えているかという図でいうと、最初、一九五〇年あたりは十八人で支えていたんですよ。それが、最近は二人です。最近、二〇二〇年あたりを見てください、二人、七十歳以上だと三人ですね。それから、これが大体二〇六〇年になると一・六人となっていく。

 ですから、十八人で一人を支える時代から、二人で一人を支える時代、一人が一人を支える時代にどんどんどんどんなっていっているんです。だから、社会保障費が増えている。だから、税負担が増えている。特に増えているのが、やはり現役世代の社会保険料なんです。見てください、どんどんどんどん増えていて、さっきの表を見たら、これからもどんどん上がりますよ。

 国民の皆さんは、お給料から天引きされるこの社会保険料、これは一応、自動計算みたいな形でどんどんどんどん増えていきます。これからも増えていきます、自民党政権である以上。ずっと増えていきます。私も地元なんかでいろいろなお話を聞いていると、もう既に高過ぎるんじゃないかという声が多い。そして、この引上げはもう限界だ、こういう切実な現役世代の声、これを総理はどのように受け止めておられますか。まだまだ限界じゃない、引き上げられるんだ、そういうふうにお考えですか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のように、現状において、少子高齢化の進展などによって社会経済構造が大きく変化する中にあって、社会保障給付の水準が増大し、所得に占める社会保険料負担の割合が増加傾向になる、こういった御指摘、私も認識をしております。

 まずは、社会保険制度については、能力に応じて皆で支え合う全世代型の社会保障、こういった、所得に応じて保険料負担を軽減する仕組み等を設けた上で、今度、相互扶助の基盤としていかなければならないと思います。

 ただ、こういった全世代型の社会保障改革はこれからも進めていかなければなりませんが、やはり、所得の増加、まずはこれを先行させることによって、そしてその上で社会保障負担を抑制することによって経済財政運営を行っていく、こういった考え方が重要であると考えます。賃上げと併せて、社会保障改革についても取り組んでまいります。

青柳(仁)委員 なので、賃上げが行われても国民負担が増えたら可処分所得が増えないので、今回の政府の言っている総合経済対策は絵に描いた餅ですよねという話をしているんです。

 ですから、賃上げもやるしこれもやるし、まあ、やるのはいいんです、やるのはいいんですけれども、現役世代の負担はこれ以上上げないということ、これは実は、十一月一日の参議院予算委員会の我が党の質疑の中で、岸田総理は、若い世代を中心に国民負担率をこれ以上上がらないようにしていく努力は必要だと思いますし、全体像を考える中で、この世代の中にあってはより負担率を下げていく取組は当然あっていい努力であるというふうにおっしゃっているわけです。

 ですから、この部分、下げていこうという意思はあるということでよろしいですよね。これは答弁は求めませんが、もう既にいただいていますので。

 そんな中で、さっきもお話ありましたが、全世代で負担をしていこうという話が今あるわけです。その中で、これも十一月一日の参議院の予算委員会の中で、武見大臣が、二〇二五年を過ぎて団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者になると、明らかに医療費が急激に、急速に増大するとおっしゃっているわけです。

 先ほど私がお見せしたグラフを見ても、一人が一人を支える時代になっていけば、これは当然増大すると思うんですが、これは当たり前のことで、ちょっと確認だけ、短くお答えいただきたいんですが、医療費が増大するというのは、要するに、日本の社会保障制度をこれから持続可能にしていくためには、現状、国民から徴収している負担額というのを総量として増やしていく必要がある、こういうことを政府として考えている、総理として考えているということでよろしいですよね。

武見国務大臣 私の発言でしたので、お答えさせていただきたいと思います。

 高齢化が進む中で、現役世代の人口は減少しますから、人口構造がこうして変化する中で、全ての国民が、年齢にかかわりなく、その能力に応じて社会保障制度、これを公平に支え合うということで、制度の持続可能性を高めていくというのが今最も重要な課題であります。

 そこで、生涯を通じて見た場合でも、七十五歳以上の後期高齢者の方々に医療費の支出が集中してくる傾向がございます。

 したがって、高齢者の中で所得の高い方、その方々には改めてまた負担をお願いをする一方、その分を、今度は、高齢者で低所得者の方々にその負担を改めて再配分する形を通じてその持続可能性を高めるといったようなことも、今現在、審議会等で検討中でございますので、こうした思考を今しているところであることを申し上げておきたいと思います。

青柳(仁)委員 はっきりお答えいただきたかったんですけれども。

 総量として増えていく必要があるという前提のお話だったと思いますので、当たり前のことなんですが、これから社会保険料負担というのは、それは全世代で支えるのであれ、高齢者であれ、若者世代であれ、関係なく、総量としては増えていくという前提のお話だったと思います。

 その上で、今おっしゃっていました、支払い能力のある高齢者の方からは徴収をより多くしていくというお話が今ありましたよね。ですから、そういうことですよねということが言いたいんです。全世代型の、応能負担だとか能力に応じた負担だとかいろいろな言い方をされていますけれども、要するに、総量として国民負担は増えていくわけです。

 それを、今、若者世代、現役世代というのはもういっぱいなので、これは下げていくと言っている以上、当然高齢者の方に徴収をお願いしていこう、こういう前提で考えているわけですし、それから、今御答弁の中にもありましたよね、負担能力のある高齢者の方から負担いただくことになると明確な答弁がありましたけれども、そういうことだと。

 これは私、はっきり言った方がいいと思うんですよ。何かこの話は、誰に給付するとか誰は徴収しないとか、そういう話ばかり政府は言うんですけれども、今の話を考えれば、高齢者の負担を上げますよと言っているわけですから、そういう話をしっかり言った方がいいというふうに思います。

 その上で、武見大臣も、この応能負担の具体策として、能力のある方というのは、前回の参議院の答弁の中で、後期高齢者医療制度は、三割負担が七%、二割負担が二〇%、残り七三%が一割負担であるということを、ちょっと言葉は違いますけれども、おっしゃっておりました。

 ですから、今のお話でいうと、この三割負担の方が増えていくか、二割負担、一割負担の今の方が三割負担になっていくか、あるいは、その三割負担そのものが四割負担とかに増えていくか、そういうお話であるというふうに理解いたします。今の話だとそういうふうにしか理解できないということです。違うんですか。

 ちょっと時間の関係もあるので、先に行かせてください。

小野寺委員長 答弁、いかがですか。

青柳(仁)委員 じゃ、短くお願いできますか。

武見国務大臣 今申し上げたことに加えて、また同時に、一定以上の所得がある後期高齢者の窓口負担の割合の二割への引上げの実施であるとか、それから、さきの通常国会における改正の中で、後期高齢者一人当たりの保険料と現役世代一人当たりの後期高齢者支援金の伸び率が同じになるという見直しを図っております。

 したがって、その形で、後期高齢者に係る拠出金に係る若い世代の負担というものをしっかりと抑えていくという基本原則は、ここで私は確立していると思います。

青柳(仁)委員 ですから、それを申し上げているんです。

 前の参議院予算委員会での答弁で、武見大臣がおっしゃっていた、応能負担の例を二つ挙げているんですね。それが、繰り返しませんが、今、答弁であったその二つです。そして、そのうちの一つが三割負担の話なわけですけれども、その答弁の中でも武見大臣は、これから、そういった応能負担の形を今回つくったけれども、今後不断の見直しが必要だと言っているんですよ。

 最初の私の質問は、総量としてこれから増えていくんですよね。増えていく中で現役世代の負担を下げていくんだとさっき総理はおっしゃいましたけれども、おっしゃっていない、まあ、そういう旨をお伝えいただきましたけれども、であれば、高齢者の負担は増えるんです。今の状態でそのまま推移はしないんですよ。そういうことをやはりしっかり言うべきだと思うんです。

 ですから、この中で、高齢世帯も現役世帯もこれから負担が増えていきますよという中で、さらに、今政府が言っているのは、こども未来戦略方針の中で、支援金制度というのをつくろうとしています。これは、子供、子育ての加速化プランの中では、これはそのままこども未来戦略方針の中の文章でいうと、三兆円半ばの予算が必要というふうになっています。そして、その財源を得るために、二〇二八年までに歳出改革と既存予算の活用に加えて、社会保険の賦課、徴収ルートを活用した支援金制度を構築するとあります。大事なところなのでもう一回読みますが、社会保険の賦課、徴収ルートを活用した支援金制度を構築すると書いてあります。

 これは、要するに、国民の皆さんの毎月のお給料から引かれている社会保険料というものを徴収する形で支援金というものを構築するという意味でよろしいですよね。

岸田内閣総理大臣 徴収のルートについては、そこに、今御紹介いただいたような記述になっておりますが、要は、負担ということで申し上げるならば、これは、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援制度を構築するという仕組みを考えております。

 こうして、国民に実質的な追加負担が生じない、こういった形で、既存予算の最大限の活用と歳出改革と、そして支援金制度、この三つを用意することによって加速化プランの財源としたいと考えております。

青柳(仁)委員 ですから、負担の話は聞いていないんですね。そうじゃなくて、ここに書いてあることをもう一回読みますね。社会保険の賦課、徴収ルートを活用した支援金制度を構築するわけですから、この規模が一兆円なのか二兆円なのか知りませんが、その金額に関しては、今国民の皆さんに納めていただいている、というよりも、多くの方にとっては給与から天引きされている社会保険料から徴収されることになるんですよ。だって、そう書いてあるんですから。徴収ルートを活用した支援金制度を構築って書いてあるのは、そういうことなんです。

 国民に実質的な負担を生じさせないというふうにおっしゃるんですけれども、実際に天引きの額は増えますよね。これは国民から見たら、実質的に負担しているじゃないですか。

 これは、何でこれが実質的な負担が生じないということになるのか。国民から見てください。お給料を、徴収されている側から見ていただきたいんですね、制度がどうこうではなくて。

岸田内閣総理大臣 賃上げと歳出改革を進めることによって、実質的な国民負担の軽減を図ります、その範囲内で支援金制度を構築すると申し上げています。結果として、実質的な追加負担は生じないということであります。

 そして、具体的な設計については、これは今、こども家庭庁において検討を進めています。具体的な制度については、こども家庭庁の検討の結果を待って構築を進めていきたいと考えています。

青柳(仁)委員 だから、今朝からいろいろな質疑があって、全部お答えいただいていても、よく分からないじゃないですか、これは聞いても。なので、私、自分で図を作ってみました。

 要するに、こういうことなんです。これは、こども未来戦略方針に書かれている、あるいはその説明資料からしか作っていませんし、ここに載せているというのは、皆さん御存じのとおり、この予算委員会の理事会で承認されていますので、事実であるということで作っている。これは私が作った図であります。少なくとも、イメージとして見ていただきたい。じゃ、これは何が違うか、指摘していただきたい。いいですか。

 これは、二〇二八年までに三兆円半ばの毎年予算を取るということを言っています。それまで、二〇二三年度から徐々に歳出改革と既定予算の最大限の活用ということを積み上げていって、最後足りない部分を支援金で賄う、こういうことを言っているわけなんです。

 でも、これは、歳出改革はやらなきゃ駄目ですよ、当然。これは後で話をします。ただ、既定予算の最大限の活用とあるんですけれども、これが、もし今どこかについている予算をこっちに持ってきますよという話だとしたら、元々ついていた事業をやめるか何かしなきゃいけないわけですから、これは結局、歳出改革なんですよ。

 それか、今ある事業をそのままここに入れるということは、そもそも、子供、子育て加速化プランは三兆円半ばの規模はないということなんです。ではなくて、その部分は既存の予算の看板をつけ替えたというだけなんです。ですから、いずれにしても、この青い部分は、歳出改革、又はないか、どっちかなんです。

 その上で、足りない部分というのを支援金。問題は、この支援金です。支援金の黄色いところは、これは社会保険料で徴収するということでよろしいですよね。ちょっと、短くお答えいただきたいんですけれども。

岸田内閣総理大臣 支援金の部分ですが、要は、社会保険料財源、これを、社会保障改革を徹底することによって負担を軽減する効果を生じさせます、その部分を充てます、そういう説明をさせていただいております。

青柳(仁)委員 ですから、最初に私は申し上げました。今、一人が一人を支える時代に向かって、社会保険料がどんどん伸びていっているわけです。現役世代も高齢世代も負担が上がっていっているわけです。これを抑制しないと可処分所得が増えないんだから、今回の経済対策は絵に描いた餅ですよねと話をしたじゃないですか。それを下げる努力をします、歳出改革で、でも、その下がった分は全部この支援金の中に入ります、そういう話じゃないですか。ここに支援金、入れるんだったら、じゃ、最初の、負担をこれ以上上げませんというところの原資はどこへ行っちゃうんですか。これは二重計上なんですよ。一つのことを二つに言っている。

 その上で、こども特例公債というのは、支援金ができるまでの間、国債を発行しますよという話ですから、別に余り意味がない話なんですが、この支援金の額というのは、全体で三兆円半ばと言っていますけれども、どれぐらいを想定されているんですか、国民に負担を、しない範囲というのは。

新藤国務大臣 ちょっとここ、非常に重要なポイントだと思うんですけれども。

 まず、委員、社会保障経費の削減をいたします。ですから、そこにおいて財源が出てくるわけです。本来、社会保障経費をそのまま削減しなければ、負担していただく社会保険料の負担額がございます。だけれども、社会保障経費を下げますので、その下げた分で、本来ならば社会保険料が下がるところ、そこのところを今度の支援金としていただく、徴収をさせてもらう、こういうことですから、お金は増えないんです。本来、従前負担していた範囲でもってそれを支援金として活用させてもらう、こういうふうに考えてもらいたいと思います。

青柳(仁)委員 ですから、同じ話ですけれども。

 じゃ、その場合、今の話は、歳出改革とか政府の努力で、あるいは徴収のやり方を変えることによって、現役世代、高齢世代両方の、今払っている社会保険料の伸びを抑えるという話ですよね。

 その伸びを抑えるための努力というのを全部ここに、財源にしてしまったら、そもそも伸びているものを抑制するという最初の話はどうなるんですかと聞いているんです。その辺、いかがですか。

新藤国務大臣 委員のお話の大前提は、国民総所得が伸びていない、その中で負担を増やすならば財源が足りなくなるじゃないかというふうに私は聞こえるんです。

 そうではなくて、そもそもこの大前提は、歳出改革努力とともに、経済を活性化させて、国民の総所得を増やしていく、分母を増やしていく。ですから、国民負担が仮に総額が増えたとしても、負担率は抑制させていく。そういう枠の中で財源をうまく捻出して、そして、将来世代も含めた全世代型社会保障を構築する、こういう設計をしている。総理が申し上げているのはそういうことでございます。

青柳(仁)委員 ですから、総理にしても、大臣にしても、言っていることが全部絵に描いた餅なんですよ。

 賃上げをするかどうかは不確定ですよね。じゃ、来年必ず賃上げすると言えますか。それから、国民所得が伸びると言いましたけれども、ここ三十年間、ずっと日本のGDP成長率は世界最悪ですよ、先進国の中で。ですから、経済が伸びる前提でお話しされていますね、賃金が上がる前提でお話ししていますけれども、でも、それって物すごく不確定なわけです。

 一方で、国民負担が上がっていくという話は確定していますよね。ですから、確定している話に対して、いや、こうなるんです、ああなるんですと言っても、それは分からないじゃないですか。

 私が聞いているのはそもそもそういう話ではなくて、ここで言う、支援金というのをつくるわけですけれども、歳出改革をするというのは分かりました。全部歳出改革で三・五兆円、三兆円半ばが来れば別に問題ないというのもよく分かりますが、そうならないからこういう話になっていると思うんですけれども。じゃ、この支援金というのはどれぐらいの規模を想定しているんですか、一兆円ですか、二兆円ですかという質問なんです。それをお答えいただけませんか。

岸田内閣総理大臣 規模については、先ほど申し上げているように、既存の予算の活用と歳出改革と支援金、この三つで三兆円半ばと申し上げています。それぞれの割り振りについては、年末に向けて、今、制度を検討している、こういった状況にあります。

 そして、先ほど来議論の中にありましたように、歳出改革等で国民負担を下げた部分をこういった支援金に充てると申し上げているわけですが、先ほど来申し上げておりますように、賃上げと歳出改革、この両方で国民の負担を下げていくと申し上げています。負担の部分は確定しているとおっしゃいましたが、この賃上げの部分をやるというのが今回の経済対策の柱だと思っています。

 賃上げの原資として、稼ぐ力、供給力の充実、これをしっかりと経済政策に位置づけて、なおかつ賃上げについても経済界に協力をいただきながら官民でしっかり盛り上げていく。負担の部分については先ほど申し上げたわけですが、賃上げの部分についてもしっかり実現する、結果として国民負担率は下がると思っています。

青柳(仁)委員 本当に今日のこの質疑がテレビが入っていてよかったなと思うのは、多分、今の説明で分かる方は誰もいないと思うんですよ。

 いずれにしても、この支援金の黄色い部分は、国民の皆さんからの新たな社会保険料負担で、社会保険料の徴収でつくるんですよ。だって、そうじゃないですか。これは否定できませんよ、絶対に。絶対に否定できません、これは。

 それから、申し上げている、これが幾らになるかなんですけれども、国民に実質的な負担を生じさせないという考え方。これは財務省の去年の予算要求の資料なんですけれども、財務省はよく、こういうことを各省はやるんです。令和四年の予算は、これは国費だけなんですけれども、社会保障関係費三十六・三兆円のものが、本来であればここまで増えますみたいな話、そこから、頑張ったので、これだけ下げたので、最後、ここで予算を下さいみたいな、これはよくある霞が関のやり方ですね。そのときの財務省の試算、三十六・三兆円だったこの社会保障関係費が、およそ自然増で二・一%ぐらい伸びる、こういう話なんです。

 この数字が、これは国費ですけれども、こっちは社会保険料ですけれども、ただ、母数は一緒ですので、この二・一というものが一緒だったとした場合に、じゃ、大体社会保険の方でどれぐらい伸びるかというと、これは一・六兆円なんです。ですから、自然増というのは大体一・六兆円ぐらいと言えなくもない。

 そうすると、結局、これはどういう計算をするか知りませんよ、でも、財務省的な考え方でいくと、この支援金というのは一・六兆円ぐらい積めますねという計算をすることができます。正しいとは言いませんけれども、することができます、財務省的な計算で。

 これは、さっき、ちょっとそちらから声がありましたけれども、デジャビュなんですよ。去年の国会で全く同じことをやっている。防衛費増額のための増税のときと同じ理屈ですよ。一兆円の増税ありき。一兆円の増税をするという目標に向かって、その後の後づけの理屈がどんどんつくられた。

 今回、一・六兆なのか一兆なのか知りませんけれども、支援金を皆さんの社会保険料から集めて財源化するということがまずありきです。その後、ほかの話、こういう仕組みをしてつくっている。そして、非常に分かりにくい仕組みだから、テレビを見ている皆さんも多分理解できません。さっきの答弁は誰も分からないと思いますよ。そういう中で、結局、国民負担は上がっていく、こういうことが行われているわけなんです。これは、これから詳細化するということなので、徹底的にこの国会で議論をしていきたいと思っております。

 ちょっと時間の関係もありますので、次の質問にさせていただきますが、この中で我々が期待しているのは、やはり歳出改革なんですよ。歳出の改革をしていただければ、これはどんどん減っていくわけです。

 これに関しても、こども未来戦略方針の中には、この歳出改革とは何なのかといったら、サービス提供側の質の向上と効率化、例えば、医療提供体制の効率化や介護分野におけるITの活用ということが書いてあります。午前中の質疑で、新藤大臣も様々その他のこともお答えいただいていました。

 でも、もし支援金が一・六兆円か一兆円ぐらいだったとすると、これはその他のものを全部歳出改革で出そうと思うと、毎年二兆円規模の歳出改革が必要なんですよ。二兆円というのはどれぐらいかというと、民主党政権のときに事業仕分をやったと思うんですけれども、あれは三兆円が目標だったんですけれども、実際出てきたのは一・六兆円。政府の事業全てにレビューして、特別会計まで見て、そして一・六兆しか出てこなかったんです。社会保障関係費の中だけを見て二兆円出すというのは、これは相当難しいことですよ。それをやるのであれば、ITの事務効率化とか、そんな生ぬるいことを言っていたら駄目だと思うんです。

 何の効率化をするんですか、午前中の議論で医療と介護ですという話がありました。医療分野と介護分野の改革でいうのであれば、既存の医師とか医療機関の収入が減るということにつながるような改革でもやっていかないと、これは絶対に二兆円の規模の改革なんかできません。

 例えば、診療報酬のマイナス改定、これは財務省が今出していますけれども、これは二%下げると一兆円出てくるんですね、だとか。それから、医師、看護師、薬剤師の職能の再編、例えばコロナワクチンの注射なんというのは、アメリカでは薬局で薬剤師さんが診療なしで打てるわけですよ、こういうことだったり。それから、DXといっても、オンライン診療であるとかAI診断、あるいは治療アプリといった新しい医療の方法に対して、きちっとスタートアップ企業がビジネスにできるような、診療報酬点数をアップしていくとか。こういう今までにないような、既得権に、これは当然、既存の医師とか医療機関の収入を減らすことになると思いますよ。

 でも、そういうところにも改革をしていかないと、これは二兆円なんか出るわけないと思うんですけれども、この改革を行っていく覚悟は総理にあるか。これは総理から伺いたいんです、やはりこれは総理からお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 二兆円、二兆円とおっしゃいますが、まだその二兆円、三兆円半ばをどうこの三つの柱で賄っていくか、これは確定したものはありません。

 例えば、既存予算の最大限の活用も、子供、子育て政策、今までの政策に上乗せするという形で拡充する政策もいっぱいあるわけですから、従来の予算でも活用できる部分、これはたくさんあるんだと思います。だから、こういった既存の予算の最大限の活用、こういった部分も含めて三兆円半ば、こういった財源を確保していきたいと思っております。それに加えて、様々な歳出改革、これも取り組んでまいります。そして、賃上げ等によって国民負担を下げる効果も合わせてこうした支援金も用意していく、こういった全体像を考えていきたいと思っています。

青柳(仁)委員 何か今の御答弁を聞いていると、歳出改革をやる気がないというふうにしか聞こえてこないんですけれども、もう一回これ、いいですか。

 既存予算を活用する部分もあると冒頭おっしゃいましたけれども、さっきも言ったので、時間をこれに何回も使いたくないんですけれども、既存予算の活用というのは、もう既に予算が何らかの事業についているということですよね。ということは、それをこっちに持ってくるというのは、ただの看板のかけ替えじゃないですか。

 そうすると、これは三兆円半ばあるんじゃなくて、三兆円半ばに今ある事業を入れるというだけの話ですね。そうじゃないとしたら、今ある事業を歳出改革するということじゃないですか。改革して、そこをゼロにしてこっちに持ってくる。どっちかしかないじゃないですか。

 どっちかだとしたら、今の話というのは……(発言する者あり)あるって、一体何があるんですか。それはないじゃないですか。ありますか。

 じゃ、私が言った今の二択以外にこの既定予算をここに持ってくる方法というのはあるんですか。どうぞ。

新藤国務大臣 今日はテレビが入ってよかったと思います。こういう議論をきちんとすることが重要だと思うんです。

 その上で、まずはこども未来戦略会議の中で財源フレームを決めて、そして、全世代型社会構築会議、工程表、そして、経済財政諮問会議、工程表、こういう中で年末までに決めてまいります。

 今さっき委員が示していただいた資料の中で、社会保障経費の自然増が七千八百億とありましたけれども、それはその中に年金スライド分が入っていますから、それを除くと、これは自然増が五千六百億程度なんです。その中から、今年度は千五百億円程度の削減をいたしました。掛ける五年、考えていただきたいと思います。

 そして、この既定予算の最大限の活用というのは、様々な工夫をしていくわけですけれども、それはまた、詳細は今後、近々にお示しすることになりますけれども、今、何かありますかとおっしゃいました。

 例えばですけれども、子ども・子育て拠出金、これの積立残高というのは現時点で五千四百億円ございます。全部使うわけじゃありません。様々なそういった関連経費の中で、活用できるものを工夫しながら積み上げていく。そして、最終的に、歳出改革によって、本来であれば社会保険料も下がる部分、そこの部分を支援金に充てるということで、この全体のバランスを取る、これを説明させていただいているわけでございます。

 そして、最後に、デフレから脱却しなきゃならないでしょう。

小野寺委員長 大臣、簡潔にお願いいたします。

新藤国務大臣 経済成長させなきゃならないんですよ。それだけです。

青柳(仁)委員 ちょっと、私の質問には余り答えていないと思いますけれども、一か所だけ答えていただきました。

 既定予算の最大限の活用というのは、予算の流用というのもあるという話ですよね。子供、子育ての余っている予算が、五千四百億円でしたか、ある、余っているというか、積立てがある。でも、それは、要するに一回使ったら終わりじゃないですか。

 前回の防衛増税の話のときもそうでしたけれども、恒久予算だから恒久財源が必要という話だったじゃないですか。今回も恒久予算だから、年間何兆円か分かりませんが、こういう制度をつくろうという話なので、今こういうのがちょっと余っていますとかというのは、ほとんど本質的な議論になっていないんですよ。

 ですから、この問題はこれからもしっかりとやはり議論していかなきゃいけないですし、国民に追加的な負担を生じさせないなんという生易しい言葉がこども未来戦略会議の中に書いてあるんですけれども、実際に、高齢世代の方も現役世代の方も社会保険料負担が上がっていくという話ですから、そういう話はやはりしっかりしていかなきゃいけないと思います。

 それから、もう一つ、さっきから歳出改革を全然やる気が感じられないんですけれども、これは医療と介護分野でやるんですけれども、二〇二一年に、医師会の政治団体である日本医師連盟から政治家への献金先、寄附、陣中見舞い、パーティー券と見てみますと、上位二位と三位が誰か分かりますか。これは岸田総理と武見大臣なんです。合わせて、千四百万円と一千百万円です。こういう政治献金を医師会から受け取っていたら、さっき私、医師とか医療業界の嫌がるような改革、収入が減るような改革もやらないといけないんじゃないかと申し上げましたけれども、そういう政策はやはり実行できないんじゃないですか。

 その点についてのお考えと、あと、総理、今後はやはりこういう、だって、医療の歳出改革をして、それがもっと積み上がれば支援金だって額を減らせる、国民の負担を減らせるわけですから、歳出改革を増やすほどに。それだけ全力で取り組むのであれば、もう総理は、これから日本医師連盟からの献金というのは受け取らないとこの場でおっしゃっていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 献金については、民主主義のコストをどのように賄うかという議論の中で法律が定められて、その法律の中でこうした献金についても取扱いをしております。しかし、献金によって政策が変わるということはあってはならないと思っています。

 子供、子育て政策、これは、日本の社会や経済、あるいはコミュニティーの存続に関わる重要な課題だと思っています。その財源をしっかり確保する、その際に、国民負担率を上げないために、賃上げと歳出改革、これを併せてしっかり進めていくと申し上げています。その範囲内でこういった支援金を考えていく、こうした枠組みを申し上げています。これを年末までにしっかりと工程表を作ることによって、二〇二八年末まで、毎年、予算編成の中で三兆円半ばの金額を積み上げていきたいと考えています。

青柳(仁)委員 余り聞いていないことをいろいろお話しされて時間を使われたくないんですけれども、要するに、そういう宣言はできないということですよね。

 民主主義のコストとおっしゃいますけれども、じゃ、これは医師会の方とかもちゃんと聞いた方がいいです、今の答弁。献金しても別に政策に何の影響もありません。じゃ、出す側は何で出すんだと思いますか、これは聞きませんけれども。それは、政策に影響できると思って出しているわけじゃないですか。実際、一千四百万円と一千百万円、これを受け取っているわけですから。

 あと、再三言われていますけれども、宏池政策研究会を含む自民党五派閥、政治資金パーティー収支四千万円の収支未記載、これは東京地検特捜部から事情聴取を受けていますよね。こういう金権体質みたいな、こういう自民党全体の体質の中で、本当にそういう既得権に切り込めるような改革が行えるのか。今回の場合、そこに切り込む改革をすれば国民負担を下げられるという話ですから、これは是非やっていただきたいと思うんです。

 もう最後、時間がなくなりましたので、まとめますけれども、国民負担の上昇、税と社会保険料負担を下げなければ可処分所得は上がらないわけですから、総理の言っている今回の補正予算の総合経済対策というのは完全に絵に描いた餅になるんです。その抑制のための改革には既得権に切り込む改革をすればいいのに、献金とかをもらっていたり、そういう金権政治をやっている以上は切り込めないわけですよ。

 こういう構造の中でがんじがらめだから、こういう複雑な制度をつくり出して、国民の皆さんから聞いたときに分からないような、そういう状態になっている。でも、我々が直面しているこの問題というのは、本当にもう未曽有の危機なんですよ。一人が一人を支えなきゃいけない時代になってきている。

 ですから、そういうところに行くときには、やはりありのままをしっかり国民に説明をして、そして正々堂々と正しい方向に長期的に向かっていく、こういう政治をしていかなかったら、こんな難局、乗り切れるわけがないと思うんです。一時的な減税がどうのとか、そういう局面じゃないと思うんです。

小野寺委員長 申合せの時間が過ぎましたので、御協力をお願いいたします。

青柳(仁)委員 はい。

 維新はしっかりとその方向で進めていきたいと思います。

 質疑を終わります。

小野寺委員長 これにて小野君、三木さん、奥下君、青柳君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 総理、日経平均株価は、バブル後最高値を先日記録しました。三十年ぶりの賃上げ、そして、今年の名目GDPの成長率は三十二年ぶりの高水準です。これは安倍総理も菅総理も達成できなかったことです。客観的に見ると、経済指標を見るとすばらしい実績だと思います。

 なのに、何でこんな支持率が低いんですか。どうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 経済は、おっしゃるように、三十年ぶりの明るい兆し、様々な場面で見ることができます。しかし、それで何で支持率が低いのか。経済の動きと支持率、これは直接結びついているものではないと思っています。

 これからの経済についても、様々な方策を用意し、政策を実行していく、より経済を盛り上げていく政治の努力、これをしっかり見てもらうことによって評価にもつながっていくと考えております。

玉木委員 私、一つ、何で低いのかなという中で、もちろん政治と金の問題とか、いろいろあります。副大臣、政務官が辞められた、大きな要素だと思いますが、ただ、この間の総理の経済政策、私、評価するところも多々あると思っているんですが、インフレなのかデフレなのか、税収増があるのかないのか、増税なのか減税なのか、政府・与党から伝わってくるメッセージがばらばらなんですね。そこの統一したメッセージ、方向性ということが定まっていないので、国民の皆さんも混乱しているんだと思います。

 まず伺うのは、税収増の還元について問題になっていますので、ちょっと税収について伺いたいと思うんですが、これは財務大臣で結構です。昨年度の税収の実績と今年度の見込みを教えてください。また、新藤大臣で結構ですので、今年の名目GDPの成長率は政府として幾らを見ているのか、教えてください。

鈴木(俊)国務大臣 名目GDPの成長率、今年度、内閣府では四・四%と予測していると承知をしております。

 そして、税収でありますが、令和五年度補正予算案におきます一般会計税収、これは令和四年度決算において、昨年度ですね、税収が上振れました。それによって、足下までの還付を含む課税実績、これが増えてしまったわけでありますが、そういうものや企業業績の見通しなどを反映をいたしまして、令和五年度当初予算、これが六十九・四兆円でございましたが、それから〇・二兆円増額して、六十九・六兆円となっているところであります。(玉木委員「昨年度の実績」と呼ぶ)昨年度は六十九・四兆円です。

 失礼いたしました。昨年度は七十一・一兆円です。

玉木委員 成長率も財務大臣から答えていただいたので、新藤大臣、結構です。

 ちょっとパネル一を御覧いただきたいんですが、今整理したのはこういうことなんですね。去年の、昨年度の税収の、これは実績値です。実際これだけ税収がありましたというのは、七十一・一兆です。今回、補正、もちろん歳出の補正もしていますけれども、歳入の補正もしていて、税収は約千七百億円増えるということで、ちょっとだけ増えて六十九・六兆円なんですね。

 ただ、先ほど財務大臣から同じくありましたが、今年の名目の経済成長率、GDP成長率は四・四%です。

 これを見ていただくと分かるんですが、去年の実績が七十一・一兆円で、三十二年ぶりの四・四%成長するのに、なぜか税収が減る。去年の同じ頃作った昨年度の二次補正では、去年は二%の名目成長率でした。そのときに、同じ頃に組んだ昨年度の二次補正は、三・一兆円の税収の増額補正をしています。これは冷静に考えるとおかしくないですか。もうちょっと今年出るんじゃないですか。

 鈴木大臣は、一昨年そして昨年度の税収増は使ってしまったので、もうないということを答弁されました。ただ、岸田総理、所得税の減税は、いろいろ批判はありますけれども、来年度やるので、その来年度の所得税減税の原資は、今年度の税収増がどうなるかに懸かっているんですよ。そのとおりでしょう。

 なので、今年度の税収がどれぐらい上振れるかというのは、岸田内閣の経済政策、とりわけ所得税減税を実現するかどうかに極めて重要なんです。その見積りがおかしいんじゃないかと思っているんですよ、私は。おかしくないですか、総理。

鈴木(俊)国務大臣 先ほど申し上げました今年度六十九・六兆円の見通しでございますが、この水準につきましては、令和四年度決算における一般会計税収、先ほど申し上げました七十一・一兆円を下回るものとなっておりますけれども、これは、企業収益や雇用・所得環境は緩やかに改善はしているものの、一方で、制度的要因、これは還付のことでありますが、足下までの還付額が令和四年度の実績に比べて大きく増加していることなどを踏まえたことによるものであります。見積りの内容は適切なものだと考えております。

玉木委員 総理、四・四%成長する、税収弾性値という言葉があるんですよ。これは、成長率が一%増えたときに税収が何%増えるかということで、財務省は大体一・一の数字を使っています。実は、一九九七年以降の平均値でいうと、これは二・七四ぐらいで、結構高いんですね。去年は三ぐらいでした。

 それに基づいて、四・四%の前提で計算すると、財務省がよく使っている一・一で見ても、今年度の税収は七十四・五兆円になって、五・一兆円上振れるはずです。ここ数年の平均値である二・七二を使えば七十九・七兆円の税収になって、十・三兆円の上振れが見込まれます。幅がありますから、五兆円から十兆円ぐらいの上振れは今年度出る可能性は十分あると思います。

 還付、もちろん還付があるんでしょうけれども、還付といったって、法人税とか所得税の還付ですけれども、後で言いますけれども、所得税の還付というのはそんなにありますか。源泉所得税と、そして、これだけ株価もいいので、金融所得に対する課税、税収はかなり増えていると思いますね。

 それも含めて、本当にこんなにしょぼい税収に今年はなっちゃうんですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 さっき財務大臣から答弁がありましたように、令和四年度の決算に比べると税収は下回っている、そこに御指摘いただいたとおりでありますが、それについて、制度的要因で足下での還付額が大きく増加した、こういった特殊要因があるという説明をさせていただいたわけですが、特殊要因として、足下までの還付増、令和四年度実績で全体として二・七兆円、こうした還付増が指摘をされています。

 こういった要因もあり、令和四年度決算を下回ったと認識をしております。

玉木委員 総理、これは、私はある種、応援で言っているんですよ。無理、いや、ない、ないと言われたら、総理、総理がおっしゃっている来年度の所得税の原資が出てこないですよ。

 だから、これは多分、問題なのは、最後の決算が確定するのが来年の七月なんですよ。その頃は所得税の減税は終わっているんですよね、六月にやるんでしょう。しょぼい減税をして、しょぼいって申し訳ないですけれども、ちょっとしょぼい減税をして、でも、蓋を開けて決算し終わったら、税収が例えば七兆円ありました、九兆円ありましたということにならないように、よく見ておいてくださいということなんです。

 だから、今はあれですけれども、ただ、これまでのあれですから、まだ年度後半がありますし、やはり、どういう税収になってくるのか。普通に考えると伸びます、かなり。そのことをどう正確に把握するかというのは、だって、三年連続外しまくっているんですから、税収見積り。二年前は十兆円上振れて、去年は六兆円上振れて、今年も私の計算だと五兆から九兆上振れますから。主税局もしっかりそこは試算しているんでしょうけれども、さすがに数年間にわたって五兆円以上ぶれまくっているのは、もう少し経済の変化を踏まえた税収弾性値とか、そういったことをやらないと、経済政策、全部ゆがみますよ。

 これはしっかり、総理、検証とチェックを常にやってもらいたい。これはもう岸田内閣の経済政策の根幹に関わる話ですから、まずこのことを申し上げたいと思います。

 次に、所得税減税について、今日もいろいろな議論がありました。

 所得税減税については、国民民主党は賛成です。これは、何でこれがこんなに批判ばかり受けているのかがよく分からないんですが、それも、岸田総理が出しているメッセージが、哲学と理念がないからなんですよ。

 私、一番決定的だったと思ったのは、ちょっと個人名を出して申し訳ないんですが、やはり宮沢税調会長が、総理がせっかく所得税減税と言ったときに、いきなり一年ぽっきりだと言ったので、あれで国民はさあっと引いたんですよ。私、給付の七万円、今年の三万円で十万円と、一人四万円の減税で、例えば三人家族で十二万円だったら、うわっと思いましたよ、最初。でも、一年で、それも何かしょぼしょぼという感じだったので、急速に私自身の期待も縮んだんですね。

 ちょっとこれはパネルを見ていただきたいんですけれども、そもそもの今の現状認識を少し共有したいなと思っているのは、今、そもそも、インフレと賃上げで、分かりやすい言葉で言うとステルス増税状態なんですよ。

 物価が上がるということは、例えば消費税で見ると分かりやすいんですが、千円のものが二千円になったら、税率を変えなくても、そこから生じる税収は百円から二百円に増えるんです。だから、緩やかな物価の上昇というのは、何もしなくても税収の増加要因になります。

 もう一つには、賃上げで労使が頑張って上げた結果、賃上げになって所得が上がると、いわゆるブラケットといって、税率区分が全員ちょっとずつ右に移っていくんですよ。五%であった税率の人が一〇パーになったり、一〇パーが二二パーになったり三二パーになったりして、ここに書いているのがそうなんですが、総雇用者報酬の伸びが、この間、例えば二年間で、二〇二〇年を一〇〇としたときに一〇四に伸びているんですね、プラス。でも、税収はそれ以上の率で伸びているので、このギャップが実質負担の増加なんです。だから、所得税の減税というよりも、所得税のインフレ調整をしないと手取りが減る一方なんですよ。

 このことは実はアメリカでもオーストラリアでもやっていまして、このギャップが生じる現象をブラケットクリープ現象といいます。これを、例えば先週、アメリカの歳入庁、IRSは、インフレ調整で標準控除、日本でいう基礎控除、これを引き上げる、そしてブラケットを少しずらしていく、そういう所得税の調整を発表しています。これは、来年度こうします、二〇二五年度こうしますということを今年、今発表しているんですよ。だから、別に来年のことを今言ってもおかしくないんです。

 私は、国民民主党は、経済対策をまとめたときに、日本でもこれをやれと言っている。特に、基礎控除を引き上げろということをまず提案しているんです。基礎控除というのは、皆さん、生きていくために最低限必要なコストを賄う所得には課税しないという原則です。これは、憲法二十五条の最低限の生活は保障するというところから出てきているんですね。

 ただ、次のパネルを見てください。

 では、この基礎控除に、プラス、給与所得控除を加えた額というのはこの間どうなっているかというと、実は一九七〇年代、八〇年代というのは、物価の上昇に合わせてこの基礎控除は引き上げてきました。生きるコストが上がっているから、物価上昇で。だって、ガソリン代が高くなる、野菜も高くなる、あらゆるものが高くなるので、生きていくコストは上がるんですね。それに合わせて基礎控除を上げてきました。それが、一九九五年を最後に一円も上がっていません。この高さが、いわゆる百三万の壁です。

 なぜかというと、この間ずっとデフレが続いてきましたから、上げなくてよかったか、上げる必要もなかったんだけれども、総理がおっしゃるとおり、経済のステージが変わって、デフレからインフレに変わっていくということであれば、生きるコストは今上がっているんですよ。

 だから、今やるべき所得税の改革というのは、二万円だ、四万円だとか、一年こっきりでどうかじゃなくて、この経済変化に合わせた本質的な所得税改革をやるべきなんですよ。これをやれば、これに加えて、では、ほかをもう少し累進を高めましょうと、全部整合するんです。配るか配らないか、一年でやめるかやめないか、そういう表層的な所得税の減税の議論になっているから受けないんですよ。

 だから、是非、総理、今申し上げたような、インフレ時代に適応した、インフレ調整としての本質的な、筋の通った所得税改革をやるという意味での減税、これをやるべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、米国あるいは豪州のように、物価についても、何年も物価上昇が続いていく、また、構造的な賃上げが続いている、こういった状況になったならば、御指摘のブラケットクリープの見直し、こういったことも必要だということなんだと思います。

 よって、我が国においてもこれは今後検討課題となり得る議論ではあるとは思いますが、ただ、現状の認識においては、まだ我が国として、持続的な賃上げ、そして物価上昇も、緩やかな物価上昇が続いていく、こういった状況には完全にはなっていない、これは当然、皆感じているところです。だから、来年が大事だということを申し上げています。

 是非、来年、緩やかな物価上昇が続き、そして構造的な、持続的な賃上げ、これが実現できる、こういった好循環にたどり着くように経済対策を用意しなければならないというのが政府の問題意識です。そして、こうした状況が続いたならば、御指摘のような対策も、我が国においても検討課題となり得る課題であると考えます。

玉木委員 総理、ここはちょっと認識を、さっきの、元のパネルをちょっと見ていただきたいんですが、これからインフレになってきて、そういうことが定着してきたらやりますということなんですが、もう既に国民生活はしんどくなってきているのは、確かに賃金も上がっているし、総雇用者報酬も上がっているんですが、やはり先ほど言った税制のそれこそ構造上の問題で、国民の懐が暖かくなる比率以上に政府の懐が暖かくなるようになっているんですよ。だから、税収の上振れが数年間連続して起こっているんです。

 これは、だから、そういう制度、例えば累進課税を取っているとか、名目で利いてくるとか、まさに税の構造上、国民の皆さんの懐が暖かくなる比率以上に政府がうはうはになるという率の方が高いんですね。

 だから、数年待ってからやるんじゃなくて、もうやらないと生活が苦しくなっているということについては、総理、是非認識をいただきたいし、これからの与党の税調でも御議論いただくときには、このステルス増税対策というか、つまり、デフレ対策としての所得税減税ではなくて、まさにインフレファイターとして、インフレ対策としての所得税減税をどうやっていくのかという発想で是非御議論をいただきたいというふうに思います。

 次に、ガソリン減税について伺います。

 全国を回っていますと、やはり中小企業はなかなか賃上げできないという声は、本当に皆さんも聞いていると思いますし、私もいっぱい聞かされます。うちの従業員、頑張っているから給料を上げてあげたい、でも、これだけガソリンや電気代、いろいろなものが高いと、払う原資が残らないというんですね。ですから、やはりガソリン価格を抑えるということが大事です。

 二年前に、衆議院選挙のとき、我々は、トリガー条項凍結解除による旧暫定税率分、リッター二十五円十銭の減税によるガソリン値下げということを選挙でも訴えて、そして、自民党、公明党さんと三党で協議をして、残念ながら、補助金という形で今日まで来ています。

 先ほど西村大臣からもあったように、リッター二十五円から三十円ぐらいの補助が今出ていて、それなりの効果を上げていると思いますが、一方で、副作用も出てきていると思います。その一つが、税金の無駄遣いですね。

 これは他党の先生方からも既に指摘がありましたけれども、下がったかどうか、この政策の効果があるかどうかを、全国のガソリンスタンドに、二万以上、三万ぐらいのガソリンスタンドを調べるということに、六十二億円使ってやっているということであります。補助金を受けた天下り団体が博報堂に委託をして、さらに、博報堂が子会社に再委託してやっているということなんですが、このガソリン価格を調べるという調査が、資源エネルギー庁が既にやっている、二千ぐらいを対象としたいわゆる本庁調査というものとダブっているし、今回、六十二億円かけてやった調査結果は非公表、さらに、価格抑制ということに調査することがどのように寄与しているのかは、そもそもエネ庁は分析さえしていないということを会計検査院に指摘をされております。

 検査院に伺います。

 この激変緩和措置に伴って行っている価格調査、これは価格の抑制に効果があったと言えますか。このままこの事業を継続してもいいと考えるか、率直にお答えください。

宮川会計検査院当局者 お答えいたします。

 燃料油価格激変緩和対策事業における電話調査及び現地調査につきましては、小売価格の把握に加えて、小売事業者に対して心理的に小売価格の抑制を促すという事実上の効果があると思料されるものの、資源エネルギー庁は、小売価格の上昇が適切に抑制されているかなどについて両調査の結果に基づく分析を行っておらず、両調査の実施がどのように小売価格の抑制に寄与しているかなどについては不明な状況となっておりました。

 このため、令和四年度決算検査報告では、燃料油価格激変緩和対策事業を継続して実施する場合等には、事業実施期間中においても、随時、電話調査及び現地調査の必要性も含めて、その実施内容や実施方法、報告内容等について十分に検討するよう、会計検査院の所見を述べているところでございます。

玉木委員 今、すごい答弁なんですね。六十二億円かけて、価格抑制に寄与しているかどうか不明。やはり不明の政策は続けない方がいいと思います、総理。

 それで、電話調査とか現地調査の必要性も含めてやはり見直したらいいという今の御指摘なので、これはもうやめた方がいいんじゃないですかね。いかがですか。

 つまり、検査院の指摘は必ずしも正しくないということですか。

西村国務大臣 まず、現実に価格が、今、百七十五円程度だと思いますが、にしっかりと抑えられていますので、私どもとして、適正にこれは価格抑制の効果があると思っております、現に。

 その上で、私どもの取った仕組みは、トリガーの凍結を解除するか、私どものような元売経由でやるか、それから、直接消費者に給付をするか、様々案を考えましたが、迅速に公平に的確にやっていくのが、元売に事後精算の形で、卸値を下げてもらって、下げたものを確認して給付を行うということで行っております。

 その結果、小売で、実態としては下がっていますが、確実に着実に下がっているかということを全数調査を行ってまいりました、二万八千件。ただし、御指摘のように、二千件はもう既に市況調査を行っていますので、それを省いて調査を行ってきました。

 ただ、これも検査院から無駄があるんじゃないかという御指摘をいただいていますので、私どもとして、もう少し効率的に調査ができないかということを今考えているところでございます。

玉木委員 我々も、この補助金制度を始めるときには三党で協議して関わったので、責任を感じているんですね。

 西村大臣おっしゃったとおり、下げる効果はあったんですが、言われているのは、調査をすることが抑制にどういうふうに寄与したのかの分析が甘いし、よく分からないということを検査院から言われているんですよ。

 何が本質的な問題かというと、わざわざ調査しないと下がったかどうか分からないような制度は、そろそろやめた方がいいんじゃないかということです。つまり、減税すれば一発で、調べなくても下がります。

 もう一つ、これはちょっと整理したんですけれども、当時、ガソリンと軽油を対象にトリガー条項を発動した際に、地方の減収分なんかも補わなきゃいけないので、月に一千三百億円ぐらいかかるというふうに言われていました。今回、補助金でこれまでやってきたことを少し整理すると、ガソリンと軽油に関しては月一千六百億円ということですから、高くついている。

 さっき言ったような、やはり取って配るので、その間でどうしても無駄が生じるということ。減税だと最初から取らないのでそういうことがそもそも生じないということと、あと、結構大きいのは、カーボンニュートラルということも考えていったときに、補助というのはやはりやめにくいですよね。夏場にちょっと減らしていってやろうとしたら、やはりどうしても必要で、今まで継続されている。

 私は、やはり終了条件が明確な制度に、そろそろ出口戦略として変えていったらどうかなという思いもあるんです。だから、トリガーに変わると、発動するときも明確ですし、やめるときも法律上明確なので、こういう制度になっていますからやめますということが非常に透明性も高いということですね。

 ただ、二つトリガーは問題があると言われてなかなか難しかったのは、一つは、いわゆる買い控えとか駆け込みがあるんじゃないかという流通への影響です。

 ただ、これは幸か不幸か、補助金を入れましたので、どんと下げるときに緩やかに下げたりとか、どんと上げるときに緩やかに上げるとかということは、補助と組み合わせながらやったらうまくいくと思うんですね。石油にかかっている、原油にかかっている税というのは庫出税なので、元々高い税がかかった持っているものを安く売れといったら、その分、損が生じる。ここをうまく補助を使いながら緩やかに下げていけばできるので、そうなると買い控え、駆け込みも防げると思います。

 あと、言われたのは、対象油種がガソリンと軽油だけだというふうに言われたんですが、今回補助を入れたので、灯油や重油や航空機燃料税も対応可能です。ただ、もう量としては圧倒的に、ガソリンと軽油が七三%ぐらいですから、やはりこの一番大きなものを、そろそろ補助から減税という形、トリガー条項の発動という形に変えることが、出口戦略としても、総理、必要だと思うので。

 年度が替わるぐらいまでは今の補助でやるというのは我々も賛成していますけれども、来年の春以降やるときに、年末の税制改正で、このトリガーへの移行というか発動について、来年の春以降の対策として、そろそろトリガー、来年の春以降はやるんだということを、総理、是非御決断いただけませんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、今の激変緩和措置については、先ほど経産大臣から申し上げたように、国民生活を守るためにこれは意義ある対策であると政府は思っております。そして、この激変緩和措置、今回の経済対策に先駆けて延長し、今般、来年四月まで継続することとし、補正予算にも所要の予算を計上しました。

 政府としては、今回の措置、適切だと考えておりますが、緊急対応として四月までの激変緩和措置、これは続けたいと思いますが、おっしゃるように、出口戦略、その後のエネルギー情勢への対応、その後の対応措置、これについては様々な手法があると思います。

 以前も、エネルギー政策について与党と国民民主党の協議の場がありました。トリガー条項の凍結解除についても、与党と国民民主党の政策責任者の下で、国際エネルギー情勢、内外経済の見通し、脱炭素に向けた国際的な潮流、激変緩和措置との連続性、こういったことを総合的に勘案して検討していただくこと、これは有意義なことであると考えます。

玉木委員 かつて、トリガーをやるということで協議をする、それで我々は予算案に賛成して相当たたかれましたけれども、ただ、国民にとって、国にとって必要な政策は協力してやろうという気持ちは今も変わりません。

 ただ、そうはいっても、トリガーは結局あのときは実現できず、補助金という形になり、そしてしばらくやって、一定の副作用というかマイナス面も出てきている以上、あのときこの制度に関わった立場として、やはり、本来は減税でやるべきだった、トリガーの発動でやるべきだったという思いは今も変わらず持ち続けています。

 なので、総理、一定程度やってきたので、繰り返しになりますけれども、これまでやってきたことも評価しますし、当面、来年の春まで続けるのも、これは同意をします。そこから先は何も決まっていないので、それをやはり今からきちんと議論して、その先は、出口戦略の一環としても、取って配って無駄が生じる補助金ではなくて、最初から取らないという減税のスタイルに移行していくということを是非御決断いただけませんか。

 私も、ある種、政治生命を懸けていろいろなことをやってきていますので。総理が本当に御決断いただけるんだったら、いろいろこれも問題はありますよ、でも、今回の補正予算、賛成してもいいと思っています。それぐらい、私、懸けています。いや、党内に物すごい反対はありますよ。私が見たっておかしなものはいっぱいあるけれども、ただ、小さな我々が何か政策を実現していくのは、覚悟を持って臨まなきゃいけないと思っています。

 その意味で、総理が来年の春以降トリガーでやるんだということを今明言していただければ、我々としてもそれにしっかりと応えていきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 出口戦略の考え方、この重要性、これは委員と思いを共有いたします。

 そして、その出口戦略の議論の中で、トリガー条項の凍結解除についても、与党と国民民主党の政策責任者の下で総合的に勘案して検討を進める、このことは有意義だと思っております。検討を進めることは意義あることであると思っています。

玉木委員 私も結構思いを込めて今申し上げているんです。

 有意義ですよ、やはり協議するのは。無駄な協議はしませんから、我々は。(岸田内閣総理大臣「だから、やりましょう」と呼ぶ)だから、やりますよ。前回も、やった結果、補助金になったりして、いや、だまされたとは言いません、我々もいいアイデアが出せなかったから。現場の事務の負担を改善するような方法を示し得なかったことは、我々も責任を感じております。

 ただ、もちろん、いろいろな技術的なことはこれから議論する必要があるんですが、やはり一国の総理として、今何も決まっていない来年五月以降については、補助の延長ではなくて、やめる、やめないがしっかり法定されているトリガーの発動、トリガーという言葉がもし嫌なら、こういった減税を組み合わせてやるやり方について、やるんだということを総理に御決断いただきたいと思うんです。

 有意義な協議はします、決して無駄な協議はしませんけれども。やはり総理として、総裁として、その先の姿の大きな方向を御決断いただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 出口戦略を考える上で、与党と国民民主党との間で検討をしたいと思います。

玉木委員 総理に御決断をいただきたいんですね。

 また、税調、大変だと思います、それは。ただ、今、党税調、さっきも申し上げましたけれども、党税調というか増税調になっていて、増税はしっかり検討されるんですけれども、減税については厳しいですよね。

 だから、ここはやはり総理大臣が信念を持って決めるということを是非やっていただきたいなと思っているんですが、検討は、是非、我々も積極的な貢献はしていきたいなと思っていますが、総理、いかがですか。もう来年の春からはトリガーの発動、ここで決断できませんか。

岸田内閣総理大臣 来年の春以降の出口戦略について、トリガー条項の凍結解除も含めて、是非、与党と国民民主党で検討したいと思います。検討いたします。

玉木委員 トリガーも含めてとなると、またいろいろなことが出てくるので……(発言する者あり)加藤先輩からもそう言われたので幅広く議論しますが、ただ、これはもう政治家としての思いなんですよ。なので、そこは分かりました、今の総理のお気持ちはそういうことだということで。

 では、最後、一問伺いますが、薬価についてです。

 昨日もパーキンソン病の患者の団体からお話を伺いました。いい遺伝子治療のが出てきているんですが、治験が止まっている、お金がないと。

 今、いわゆるドラッグロスという言葉があります。これは、海外で既に使われている治療薬が、日本では開発すら行われなくて、日本で使うことができない。これがあれば命が救えるのに、日本だとそういうものが使えない。その原因の一つに、この間下げ続けた薬価があると思います。

 中間年改定についてはいろいろな評価があると思いますが、私は、やはりイノベーティブな新薬の開発を阻害している。海外からもいろいろな、武見大臣のところにも来ていると思いますが、もう日本では上市しない、こんなマーケットが縮んでいくような市場では新しい薬なんか出してもしようがないというのが世界の製薬業界の見方ですよね、日本マーケットの。ただ、一方で、現役世代の社会保険料負担をこれ以上増やすことはできないというのも私は分かります。

 なので、一つのルールとして、薬剤費の給付総額の伸び率を経済成長率の伸び率とリンクさせて、その程度まではプラスにする、その中で、成熟医薬品については少しマイナスで見ていくけれども、その分の財源をイノベーティブな新薬、薬価にきちんとつけていく。とにかく本体のプラスを出すために、たたいてたたいて、薬価ばかりたたくということはもう限界だと思います。

 同時に、そういうことをやった上で、今度は医療費全体も、結局、社会保険料とか税収が財源になっているわけですから、さっき見せた総雇用者報酬の伸びや経済成長率の伸びに医療費全体の伸びもリンクさせていくというような管理の手法がやはり必要になってくるのではないかなと思います。

 そのまず第一歩として、とにかく削り続けている薬価を、少しプラスの希望と、何より、イノベーティブな新薬に対して日本はちゃんと見ているんだぞというメッセージを出さないと、もう日本市場に近寄らないですよ。結果、国民の命が守れないんです。いかがですか。

武見国務大臣 今委員からの御指摘がありました、我が国におけるドラッグロスと言われる状況は、やはり極めて深刻な事態であるというふうに受け止めております。

 ただ、薬価制度を考えたときに、やはりこうした経済成長率だけを基準として考えるという形ではなかなか対応できない要素が実はたくさんあります。したがって、市場実勢価格の状況であるとか、革新的医薬品の開発状況とか、医薬品の供給状況とか、それから、今回経験したような感染症の新たな感染の状況とか、そういった様々な要素をその時々にきちんと判断しながら、薬価というものを総合的に最終判断するという形になります。

 ただ、その中で、イノベーションというものを今後どのように配慮していくのかというのは、これは極めて重要な課題であって、そのイノベーションについては、薬価制度だけでは解決はしません。やはり、我が国のエッセンスとなる創薬に関わるシーズの、アカデミアの研究開発能力の強化とか、そのためのエコシステムをつくるとか、そういったことも考えながら我が国のイノベーションについて考えるという考え方を持ちたいと思います。

玉木委員 政治なので、大きな枠組みを決めることが大事だと思うんですよ、総理。個別にいろいろな事情があるからとやってきたのが今まででしょう。薬価の場合は、個別にやるからと何かつけたら、後から値段を下げたり、共連れで、同じようなものがあるからと一緒に下げたり、予測可能性が全くないんですよ。

 だから、多少プラスになっても、これぐらいのプラスがあるんだよということを見せて市場の予測可能性を高めるということは、イノベーティブな新薬の開発には不可欠だと思うんですが、最後、もう時間がないので、総理がお答えください。これは是非やるべきだと思いますよ。

岸田内閣総理大臣 総合的に判断しなければならないという厚労大臣の答弁はそのとおりだと思いますが、一方で、薬価に対する予見可能性等のありようについて、国際社会からの理解を得ながら日本の薬価について考えていく、こういった姿勢は、日本の薬剤産業を維持発展させる上でも大事なことではないかと思います。

 こうした問題意識は、これからも持っていきたいと思います。

玉木委員 総理の強いリーダーシップと決断力を求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 名護市辺野古への米軍新基地建設について質問をします。

 建設費用の問題から伺いますが、防衛省は、二〇一九年十二月、軟弱地盤の改良工事に伴い、新たな経費の見積りを公表しました。それまでの三千五百億円を九千三百億円、二・七倍に引き上げました。パネルを用意してきましたが、環境保全措置が七百億円、埋立工事の関連で仮設工事が二千億円、護岸工事が千五百億円、埋立工事そのものが三千六百億円、附帯工事が百二十五億円、飛行場施設の整備が六百二十五億円、キャンプ・シュワブ再編成の工事が七百五十億円、合計で九千三百億円となっています。

 まず、防衛大臣に伺いますが、この計画に基づいてこれまでにどれだけの予算を支出してきているのか、総額、内訳を示していただけますか。

木原国務大臣 総額と内訳ということでございます。

 普天間飛行場代替施設建設事業等に係る二〇〇六年度、平成十八年度から二〇二二年度、令和四年度までの支出済額は約四千三百十二億円となっております。

 その内訳でございますが、環境影響評価等に要する経費、すなわち環境影響評価、環境現況調査及び環境保全措置等に係る経費として三百六十六億円、埋立工事に要する経費、すなわち仮設工事、護岸工事、埋立工事及び附帯工事に係る経費として三千百五十九億円、飛行場施設整備に要する経費として約一億円、キャンプ・シュワブ再編成工事に要する経費、すなわち陸上部における施設を再配置するための経費として約七百八十六億円となっております。

赤嶺委員 二〇二二年度までの支出総額が四千三百十二億円という説明でありました。既に全体の四六%を支出していることになります。

 具体的に聞きますが、埋立工事は全体で三千百五十九億円を支出しているとの説明でした。仮設工事や護岸工事を除いた埋立工事そのものについてどれだけ支出しているか、説明していただけますか。

木原国務大臣 お答えします。

 埋立工事そのものの支出額ということでございますが、普天間飛行場代替施設建設事業等の支出済額については、環境影響評価等に要する経費、埋立工事に要する経費、飛行場施設整備に要する経費、キャンプ・シュワブ再編成工事に要する経費に区分してそれぞれ先ほどお示ししたところでありますが、このうち、埋立工事に要する経費については、埋立工事そのものの経費のほかに、仮設工事や護岸工事、附帯工事という区分の経費が含まれているところであります。

 その上で、工事契約については、同一契約の中に複数の区分の工事が含まれていることがありますが、そのような契約についても、通常、区分ごとに支払いを行うのではなく、契約額の総額を支払っているところです。

 このため、支出済額については、埋立工事に要する経費全体として整理されてきておりまして、お尋ねの、仮設工事や護岸工事、附帯工事を除いた埋立工事の支出済額というものを正確にお示しすることは困難であるということを御理解いただければと思います。

赤嶺委員 私たちは、この質問を準備する前に、契約の一覧表を求めました。それには予算総額も書いております。

 既に埋立経費として二二年度までに十四件契約しておりますが、その合計で、防衛大臣、幾らですか。分かるはずですよ。

木原国務大臣 いわゆる契約件名に埋立工事との記載のある工事の支出総額を合計すると、これは足し算ですので、約一千七百四億円になるわけでございます。

 しかしながら、先般、委員から御依頼いただいて提出した資料……(赤嶺委員「委員長」と呼ぶ)いや、まだ途中でございまして。済みません。(赤嶺委員「いやいや、千七百四億円と言ったじゃない」と呼ぶ)足し算をするとそうなりますが、正確に説明をさせていただきますと、契約件名に埋立工事と記載がある工事の中には、埋立工事のほかに仮設工事などが含まれているものもあるんです。

 一方で、同じく委員から御依頼で提出した資料の中に記載しているように、契約件名に埋立工事と記載がない工事にも、実際には埋立工事も含むものも、これは技術的にそういうものが含まれているものがあります。

 こうしたことから、契約件名に埋立工事と記載されている工事の支出済額を足し合わせても、単純に足し算をしても、仮設工事や護岸工事、附帯工事を除いた埋立工事の支出済額にはならないということであります。

 お尋ねの、埋立工事の支出済額のみを区分して正確にお示しすることは物理的に困難であるということで御理解いただけたらと思います。

赤嶺委員 埋立工事契約という、ちゃんと防衛省の中の資料があるんです。そこにいろいろなものが含まれているから物理的に困難だといって、そんな、自分たちの使った予算も説明できない省庁というのはあるんですか。それ自体がおかしいですよ。

 私たちが取った資料の十四件のうち、さっき防衛大臣は、足し算すると千七百四億円と言いました。埋立工事そのものは、さっきのパネルにも示しましたが、三千六百億円の見積りでしたが、既に、説明がありましたように、千七百億円余りを出しています。四七%です。

 ところが、その間に、実際に今埋め立てたのは、全体の土量の一四%にすぎません。一四%で千七百億円ですから、一〇〇%全て完了するには一兆二千二百億円かかる計算になります。当初の三千六百億円で収まるはずがありません。政府が見積りを示してから二二年度末までに僅か三年です。

 総理、なぜこんなことになっているんですか。当初の説明が事実と違っていたのではありませんか。

木原国務大臣 辺野古移設の工事を進めていくに当たって必要となる経費につきましては、令和元年の十二月に、地盤改良工事の追加に伴う施工計画の見直しの結果や、また当時の工事の進捗状況等を踏まえ、約九千三百億円とお示ししたところであります。

 そのうち、先ほど御指摘のあった約三千六百円につきましては、埋立工事に要する経費のうち、仮設工事、護岸工事及び附帯工事を除いた埋立工事そのものの経費でありまして、地盤改良工事の追加に係る費用や、また、令和元年、二〇一九年当時の埋立材や、また人件費の単価などの要素を踏まえて、沖縄防衛局において見積もられたものとなるわけであります。

赤嶺委員 埋立材が上がっているわけはないんですよ。岩ズリの値段は上がっていませんよ。資材というのは岩ズリですよね、埋立材は。上がっていませんよ。人件費と言うけれども、設計労務単価そのものも、上がっているのは僅か八%ですよ。こんなに予算規模が膨らむはずがないんです。

 実際には間違った説明をしていたことになると思いますが、総理、いかがですか。

小野寺委員長 防衛大臣木原稔君。(赤嶺委員「防衛大臣だったらいいです。またさっきと同じ説明だから」と呼ぶ)具体的な内容ですので、大臣に説明をさせます。

木原国務大臣 一般的に、建設業界、防衛施設だけではなくて建設業界においては、令和元年の当時から人件費や資材価格が上昇傾向にあるということを承知しております。

 その上で、普天間飛行場代替施設建設事業等における人件費や、また資材価格の上昇率については、それぞれの業務や、また資材により異なることから、一概にお答えすることはなかなか難しいのではないかなと思います。

赤嶺委員 それじゃ、私たちが調べたら、埋立資材価格、岩ズリですよ、上がっていませんよ。上がったと言うなら、その根拠をちゃんと資料として出してください。

 人件費は一般に上がっています。しかし、ダンプで岩ズリを運ぶ運転手の設計労務単価もほとんど上がっていないですよ。それもきちんと説明をする資料を出してください。

 今は埋立工事を申し上げましたけれども、今度は埋立工事だけではありません。オレンジ色のマークがもう一つついていると思うんですが、キャンプ・シュワブ再編成工事は七百八十六億円を支出しております。既に当初の七百五十億円を超えているんですね。

 防衛大臣、キャンプ・シュワブ再編成工事、これはどのような工事なのか、なぜ僅か三年で当初の見積りを超えたのか、明確にしていただけますか。

木原国務大臣 キャンプ・シュワブ再編成の工事に要する経費につきましては、令和元年十二月に、経費の概略として、委員御指摘の約七百五十億円とお示しをしておりますが、令和四年度、二〇二二年度までの支出済額の総額については約七百八十六億円というふうになっております。

 キャンプ・シュワブ再編工事については、個々の施設ごとに日米間で具体的な検討を行った上で、合意したものから工事を進めていくこととしているわけですが、個々の施設整備に係る所要額を計上してきた結果、当時の見積りを上回ったということになるわけであります。

 防衛省としては、引き続き、経費の抑制に努めつつ、キャンプ・シュワブ再編工事を着実に進めてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 当初予算をはるかに超えたのは、個々の施設の工事について個々にアメリカと相談しながらやってきた、今そういう答弁でしたけれども、普通は予算の範囲内でということになりますよね。予算がこれだけだからということになりますよね。予算を超えてアメリカが、米軍が要求してきたら、いやいや、これは予算を超えますからと、そういう説明になりますよね、普通は。

 基地の完成というのは、沖縄県から軟弱地盤の承認を得てから、少なくともこれから十二年はかかるというのが政府の説明でした。それとセットで示した経費の見積りが僅か三年で超えてしまうというのは、これはどう考えても納得できるものではありません。

 最初の七百五十億円の積算根拠、これと、現在の、個々の施設について米軍と相談して決めてきたこと、ありましたが、このキャンプ・シュワブ再編成工事というのは終わったわけじゃなくて、今後も施設の整備は続きますよね。どれだけの施設整備を予定しているんですか。

木原国務大臣 お答えします。

 キャンプ・シュワブ再編成工事に要する経費につきましては、平成二十一年、ですから二〇〇九年当時に、当時は大まかな見積りとして、普天間飛行場及びキャンプ・シュワブに所在する施設の規模等を踏まえて、約六百億円とお示しをしてきたものであります。

 その上で、令和元年、十年後、だから二〇一九年の十二月に経費の概略としてお示しした約七百五十億円につきましては、これは平成二十一年から令和元年までの人件費や資材の物価上昇分を反映した見積りであります。

 キャンプ・シュワブ再編成工事につきましては、先ほど申し上げましたが、個々の施設ごとに日米間で必要な調整を経た上で、日米合意したものから工事を進めていくということとしておりまして、その結果として今のような状況というふうになっているわけでございます。

 日米間で合意した施設整備の計画について、引き続きこれは適切に公表してまいりたいというふうに思っております。

赤嶺委員 まだこれからも施設整備が続くわけですね。既に当初の見積りは超えているわけです。しかも、僅か三年で見積りの予算が超えてしまうというのは、これは納税をしている国民としては絶対に納得できるものではないんじゃないですか。

 一体どういう積算根拠、七百五十億円という数字を出してきたのか。これは、さっきの、アメリカとの個々の調整でということですから、そういうものを、再編成工事でこれからも既に超えて予算を支出していくということになると思います。

 それで、総理にこの件で伺いますけれども、二〇一九年の見積りは、実際は、埋立土量、岩ズリの埋立ての費用や、今のキャンプ・シュワブ再編成事業、これらも二〇一九年の見積りは実際よりも小さく見せかけるものだったという可能性、疑いを持っております。

 さっきも求めましたけれども、総理にも二点求めたいと思います。

 一つは、二〇一九年の見積りが一体どういう根拠によるものだったのか、これを調査し、報告すること。

 もう一つは、現時点での正確な見積り。あと十二年かかりますから、総理。今後の正確な、あとどのぐらいかかるのかという正確な見積り、これを示すことは政府の最低限の責任だと思います。

 そういう根拠を、総理、示していただけますか。約束してくれますか。

木原国務大臣 辺野古移設の工事を進めていくに当たりましては、その経費につきましては、令和元年十二月に地盤改良工事の追加に伴う施工計画の見直しを行いまして、その結果、その当時の進捗状況を踏まえて約九千三百億円とお示ししたところであります。

 そういう、三千六百円ということを冒頭御指摘をいただいておりますけれども、地盤改良工事の追加に係る費用であるとか、あるいは、令和元年、二〇一九年、つまり、十年後の、そのときの埋立材あるいは人件費の単価、そういった様々な要素を踏まえまして、これは沖縄防衛局において見積もられるということになるわけであります。

赤嶺委員 これは、今の答弁を聞いていても、辺野古の新基地建設の予算はあってないようなものです。

 アメリカとの交渉でどんどんどんどん上がっていく。あと十二年かかるんですよ。もう既に予算はなくなりつつあるんですよ。それに対して根拠を示すのは、政府として最低限の責任だと思います。

 予算委員会への資料の提出を求めたいと思います。

小野寺委員長 後刻、理事会で協議いたします。

赤嶺委員 政府は、これまで、普天間基地の一日も早い危険性除去のために、辺野古に代替施設を造ると強調してきました。

 そもそも、普天間基地がどのようにして現在のような危険な基地になったか、総理はどのように認識しておられますか。

岸田内閣総理大臣 普天間飛行場の場所、私も沖縄担当大臣を務めたことがありますが、その当時から歴史について様々な方から伺ってきました。

 戦前、普天間飛行場の場所、役場や国民学校、郵便局、病院などが所在した、街道が通っていた、さらには、集落が所在する、田畑が広がっていた、こういった話を聞きました。そして、戦時中、昭和二十年四月、米軍が上陸した後、土地を接収し、普天間飛行場が建設された、こういった歴史をたどったと承知をしております。

赤嶺委員 今の閣僚の中に、普天間基地は何もなかったサトウキビ畑の真ん中に造ったという認識をお持ちの方もいらっしゃいますので、今の総理の話をきちんと受け止めていただきたいと思います。どなたとは、あえて名前は言いません。

 そもそも、普天間基地は、沖縄戦で住民が収容所に入れられている間に、米軍が住民の土地を一方的に囲い込んで建設したものです。米軍の許可が下りて自分たちの家に戻ろうとしたら、集落丸ごと基地に変えられていたのです。住民は、米軍から割り当てられた周辺の狭い土地に住むしかありませんでした。

 総理、それでも、一九七二年の本土復帰の頃までは、今のような基地の運用はされていませんでした。当初は、滑走路も使われずに放置され、住民の出入りも耕作も可能でした。

 ところが、一九七四年に、米軍の那覇飛行場、現在の那覇空港ですが、この返還のためとして、そこに配備されていたP3C哨戒機を嘉手納基地に移駐して、訓練は普天間基地で行うことになりました。そのために、日本政府が普天間基地の滑走路を整備し直しました。突然、騒音の激しい基地に変わったわけですね。

 さらに、一九七八年には、北谷町にあったハンビー飛行場の返還に伴い、格納庫や駐機場を整備しました。当時、沖縄県は、保守、革新を問わず、普天間基地の強化に反対し、返還を求めてきましたが、日米両政府は見向きもしませんでした。

 それどころか、一九七六年には、岩国基地から千人規模の第一海兵航空団が県内に配備されました。そして、一九九二年には、ハワイからCH46Eヘリ十二機が配備されました。

 総理、普天間基地を現在のような危険な基地にしたのは日米両政府自身であります。基地のたらい回しでは同じ過ちを繰り返すことになるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、昭和四十九年の米海軍P3Cの嘉手納飛行場への移駐、また昭和五十三年のハンビー飛行場の返還、さらには岩国基地からの移転など、今、様々な御紹介がありました。こういった経緯を経て現在のような運用が行われるようになった、このように承知をしております。

 形成過程については様々な議論があると承知をしておりますが、いずれにせよ、世界一危険と言われる普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないと考えております。

 沖縄の基地負担の軽減のために全力を尽くしてまいります。

赤嶺委員 要するに、いろいろな基地をたらい回しした結果、今のような危険な基地になったわけです。それをやったのは日米両政府です。

 いずれにしても、普天間基地を解消しなければならないといって辺野古に基地を造ろうとする。同じたらい回しじゃないですか。危険な基地を造るようなものじゃないですか。問題の解決にはならないと思いますよ。

 普天間基地を世界一危険な基地にした失敗をまた繰り返そうとしているのではありませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、沖縄の米軍施設・区域の形成過程につきましては様々議論があると承知をしております。

 ただ、普天間飛行場の固定化、世界で最も危険だと言われている普天間飛行場の固定化、これは絶対避けなければならない、これは県民の皆さんと思いを共有していると考えております。そのために努力をいたします。

赤嶺委員 さっきの、普天間基地が危険になった過程は、議論じゃないんですよ、記録が残っているんですよ。政府にも残っているわけですよね。

 だから、同じことを、基地のたらい回しの結果、あの静かでのどかな基地だった、のどかと言うのはあれかもしれませんが、基地の出入りもできた、そういう普天間基地が今のような危険な基地になったのは、たらい回しの結果なんですよ。それを今度は、また辺野古にたらい回しをしようとしている。それはやめるべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 形成過程について、様々な評価があると考えています。

 しかし、いずれにせよ、普天間飛行場の固定化は避けなければならない、そして、そのための唯一の方法が辺野古への移転だと考えて取組を進めております。取組を進めてまいります。

赤嶺委員 それじゃ、辺野古では基地を造ったら危険な基地にならないのか、この点について。

 辺野古の集落では、二〇一八年の八月から防衛省が航空機の騒音測定調査を行っています。この騒音測定調査、これが、防衛大臣、どういう経過で調査することになったのか、どれだけの騒音の発生が確認されているのか、説明していただけますか。

木原国務大臣 赤嶺委員に、冒頭、私の先ほどの答弁の中で一か所、三千六百億円と言うところを、億が抜けていたので、済みません、そこは訂正いたします。

 その中で、航空機の騒音測定に関する防衛省の取組ということでありますが、御指摘の名護市の辺野古区は、米軍のキャンプ・シュワブに隣接する地域でありまして、キャンプ・シュワブの訓練場に米軍ヘリが飛来する際には、その飛行経路の下に入ることがございます。そのため、辺野古区においては飛来するヘリの騒音が発生してきているものと承知しております。

 こうした航空機の騒音については、地元住民の皆様方からの苦情のほかに、名護の市議会からも累次の要請をいただいていたことを踏まえて、防衛省においては、平成三十年、二〇一八年の八月から、辺野古区での航空機騒音測定を開始したところであります。

 具体的にどれぐらいかという御指摘もありましたので申し上げると、航空機の騒音測定を開始して以降、騒音状況の把握に努めてきた結果、これまで六十デシベル以上の騒音レベルが発生した回数について申し上げると、平成三十年の八月から令和五年の九月までの五年間の合計で一万六百三十回、一年当たりで言うと約二千百三十回の騒音が発生したことを確認しているところです。

 米軍による航空機の運用に当たっては、公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことであります。防衛省としては、米側に対し地元への配慮を求めるとともに、引き続き、米側とは密接に連携を図りながら、地元に与える影響が最小限にとどまるよう適切に今後も対応してまいります。

赤嶺委員 総理、もう基地を移す前から今の防衛大臣のような説明の騒音が起こっているんですよ。着陸帯があるものですからね。

 そして、夜の十時から翌朝七時までの騒音も年間で五百七十七回。これは公共の安全に配慮した飛び方ですか、こんなのが、米軍に対して。こういうのが起きているわけですよ。

 だから、辺野古に新しい基地ができたら、住民が一層激しい騒音に悩まされると思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 こうした施設の運営には、地元の理解は欠かせません。地元の皆さんの負担軽減に向けて日米で努力をすることは重要であると思います。日本側として、米軍の協力を求めていきたいと考えます。

赤嶺委員 今の総理の答弁は、現に基地の被害に直面している私たちにとって、非常にうつろに響いてまいります。米軍に対して何もできない日本政府、それが、騒音被害を抑える、こういうことなどできるはずがないと思います。これは日米地位協定があるからだという主張は、総理もよく理解できると思います。

 普天間に与那城千恵美さんという方がいらっしゃいます。二〇一七年十二月、米軍ヘリの部品が保育園に落下してきたときに、子供さんを預けていたお母さんの一人です。あの事故から、仲間たちと一緒に、子供たちに安全な空をと活動を続けています。

 政府が先月、代執行訴訟を提起したとき、玉城デニー知事を激励する集会が県庁前の広場で開かれました。そこで与那城さんは次のように訴えています。普天間基地がなくなればと本当に思うけれども、その負担を名護市民に移すのは、普天間の危険を知る私だからこそできない、県民が今こそ辺野古の新基地建設阻止をめぐって踏ん張るときです。このように訴えました。

 総理、現に基地の被害を受けている住民にこういう苦しい思いをさせていることについて、どのように思われますか。あの基地の苦しみは、移すのではなく、苦しみをなくすべき、そして、痛みの移転ではなくて、痛みをなくすべきと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 沖縄県の皆様方には多くの米軍施設・区域が集中することによって大きな基地負担を担っていただいていること、これを重く受け止めています。具体的に苦しみに遭われた方々の思い、これは大事にしていかなければならないと思います。

 そういった思いを胸に、沖縄の基地負担軽減、これは政権の最重要課題です。一つ一つ成果を着実に積み上げたいと考えます。

赤嶺委員 今、沖縄は、負担の軽減どころか、安保三文書によって、自衛隊のミサイル基地が強化をされ、民間空港、港湾まで軍事利用され、そして、アメリカの海兵隊が離島にまで展開する。負担の軽減どころか、今、現状は負担の強化ですよ。それを平気で、負担の軽減で努力するという総理の発言は、とても受け入れられるものではありません。

 ちょっと時間がありませんので、イスラエル・パレスチナ紛争について伺います。

 カタール政府は、イスラエルとハマスが、五十人の人質の解放と引換えに四日間の戦闘休止に合意したことを明らかにしました。大事なことは、これを恒久的な停戦につなげることであります。イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスを壊滅するまで戦争を続けると明言をしております。住民が避難したガザ地区南部への地上戦の拡大も取り沙汰されております。そのようなことになれば、重大な事態になることは明らかです。

 これまで日本政府は、一時的な戦闘休止を求めても、停戦には固く口を閉ざしてきました。今回の合意を恒久的な停戦につなげるために、まず日本政府自身が即時停戦を求める立場に立つべきではありませんか。

上川国務大臣 お答えをいたします。

 ガザ地区の状況は深刻化の一途をたどっていることに加えまして、地域に飛び火をして情勢が不安定化することに、日本としても深刻な懸念を持っております。事態が早期に鎮静化され、地域にテロと暴力のない平和と安定が実現することを強く望んでおります。

 こうした中におきまして、今我々がすべきことは、人道目的の戦闘休止及び人道支援活動が可能な環境の確保、これをイスラエル側に求め、その実現に向け尽力することであります。このことこそが、現地で今苦しんでいる多数の子供たち、女性、高齢者を含む一般市民の惨状を少しでも和らげるために最優先であると考えております。

 そうした中で、日本時間二十二日でありますが、カタール政府の発表によりますと、イスラエルとハマスの間で、四日間戦闘を休止をし、少なくとも五十名の人質の解放、イスラエルにより拘束されているパレスチナ人の釈放及び人道支援物資のガザ地区への搬入増大を行うことで合意をし、また、それに先立ち、イスラエル政府も、人質の解放と引換えに戦闘休止を行う旨発表したと承知をしております。

 人質の解放と人道状況の改善に向けた重要な動きとして歓迎するとともに、関係国による努力に敬意を表したいと考えております。この合意が着実に実施されることを期待をしております。

 今後も刻一刻と現地情勢が動いております。関係国等との間で意思疎通をしっかりと行い、児童を含む人道状況の更なる悪化を早急に防ぐため、先般我が国も賛成して採択されました安保理決議も踏まえた上で、人道状況の改善及びそれに資する人道的休止、さらに、事態の早期鎮静化に向けまして、外交努力を粘り強く積極的に続けてまいります。

赤嶺委員 人質の解放の措置を取られるということは、これは別に、いいことですよ。

 ただ、私が求めたのは、日本政府は今こそ、そういうことをきっかけに停戦をイスラエル政府に求めるべきじゃないかと。ネタニヤフ首相は、これが終わったらまた戦闘を開始すると発言しているわけですね。またあの悲劇が続くわけですよ。私たちの目の前で幼い赤ちゃんが爆撃によって殺される、こんなのは本当に想像するのも恐ろしい話ではありませんか。

 これまでは、日本政府は双方の立場に立って停戦を求めてきたはずであります。是非、恒久的な停戦につなげるように、日本政府自身が即時停戦を求めていく、こういう立場を総理に求めたいんですが、いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、ガザにおける状況については、深刻化の一途をたどっており、これは国際社会全体として深刻な懸念を持って状況を注視しています。

 平和と安定が実現すること、テロと暴力のない地域を取り戻すこと、これは関係者、関係国が強く望んでいるところですが、しかしながら、委員も御案内のとおり、中東の今回の事案に至るまでの歴史的な経緯ですとか複雑な背景事情を鑑みると、停戦が一朝一夕に成るとは残念ながら期待できない、これが現実であるとも受け止めております。だからこそ、こうした中で、今、我々がなすべきことは、人道目的の戦闘休止及び人道支援活動が可能な環境の確保、これをイスラエル側に求めて、その実現につなげていくということであります。

 今回の休止の動き、これは人質の解放と人道状況の改善に向けた重要な動きであると認識をしています。是非、こうした具体的な取組をこれからも日本として進めるべく貢献していきたいと考えています。

赤嶺委員 イスラエルは、ハマスを壊滅するまで戦争を続けると言っています。イスラエルの国連憲章違反から、そういう歴史的背景から今回の問題が起こっております。もちろん、ハマスの、人質を拉致するようなことも許されません。

 しかし、日本政府は、アメリカの顔色をうかがうのではなくて、しっかり停戦を求めることを強く要求しまして、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、二十分、よろしくお願いいたします。

 かなり押し出されてしまいましたが、立憲民主党からは、五分、NHK用に残しておいたのでというありがたい言葉をいただきました。感謝を申し上げたいというふうに思います。

 それでは、まず最初に、危険運転致死傷罪について総理にお伺いしたいと思います。

 この罪は、一九九九年、東名高速道路飲酒事件をきっかけとして、悪質な危険運転の故意犯を切り出して作ったものです。

 しかしながら、これまでの判例を見ていると、正常な運転が困難な状態とか、進行を制御することが困難な高速度とか、進行を制御する技能を有しないといった法の規定が不明確なんですね。判例でも、一般道を百五十キロを超えるスピードで爆走して起こした死亡事故とか、無免許、飲酒、当て逃げ後の逆走、無灯火、無車検、無保険で起こした死亡事故であっても適用がないというような、一般国民の理解を超えた状況にございます。

 私、この件をずっと国会で取り上げておりまして、この見直しについて、現在、今日後ろで座っておられます平沢勝栄先生をトップとする与党のPTでも検討がなされていると聞いております。

 これまで私が法務省から得ている答弁は、十分な検討とか慎重な検討とか、そういった表現でありました。

 岸田総理、かねてから、検討し、検討しと言われておりますが、今日はもう、ただただ、検討するとだけ言っていただきたいと思いますが、総理大臣、この要件の見直しについて答弁いただければと思います。

岸田内閣総理大臣 危険運転致死傷罪につきましては、委員御指摘のように、構成要件が不明確である、適切にこの法律が適用されない、こうした様々な意見がある、指摘がある、承知をしております。

 その上で、御指摘のように、自民党においても交通安全対策特別委員会にプロジェクトチームを設置し、議論を行っている次第であります。

 所管の法務省の対応として、これを検討をするということを申し上げております。適正に対応するものと考えております。

緒方委員 それだけでもかなりの前進でありまして、小泉法務大臣、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 この問いは、検討していただくということを言ってもらうことを目的としておりましたので、テーマを移したいと思います。

 今国会、閣僚の給料ということについてかなり議論がありました。

 まず、岸田総理大臣にすごく一般的なことをお伺いしたいと思います。総理は、総理大臣の給与、そして国会議員の歳費に対して所得税を支払っておられますか、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 改めて聞かれましたのでちょっと考えましたが、当然、所得に対しては所得税を払っております。

緒方委員 そうなんですね。

 ここからが重要でありまして、ただ、岸田総理の所得というのは、実は、総理大臣の給与、そして議員としての歳費だけじゃないんですね。

 これは政党が、政策活動費、そして組織対策費の名目で、政党幹部個人に対して資金を振り出しています。比較的自由民主党で広く行われているんですが、事前の財務省に対するレクで、これらは所得税法上の雑所得に当たるという説明を受けています。

 財務省に答弁を求めたいと思います。この理解でよろしいですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、政治家個人が政党から政治資金の提供を受けた場合には、所得税の課税上、雑所得の収入金額となるということでございます。政治資金に係る雑所得の金額は一年間の総収入金額から必要経費の総額を差し引いて計算することとされておりますことから、この総収入金額から必要経費といたしまして政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税の対象となるということでございます。したがいまして、残額がない場合には課税関係は生じないこととなるということでございます。

 いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らし適正に取り扱うこととしております。

緒方委員 広島県にお住まいの岸田文雄さんという方、自由民主党から、令和元年に二千百五十万円、そして令和二年に九百五十万円の支出がございます。これは雑所得ですね。

 ちなみに、お隣にお座りの鈴木財務大臣、令和元年、五百二十万円、そして令和二年、八百二十万円ということで支出がございます。なお、小野寺委員長も、そして加藤筆頭も、そして高市大臣も、河野太郎大臣も、それぞれ支出がございました。

 代表して、岸田文雄さんにお伺いしたいと思います。この雑所得に対して所得税を支払っておられますか、総理大臣。

岸田内閣総理大臣 政策活動費、党に代わって党勢拡大、政策立案、調査研究、これを行うための経費であります。私に支給された政策活動費、今申し上げました目的に沿って、全て政治活動に必要な経費に充てております。よって、課税関係は生じないということになっております。

緒方委員 私のこの次の質問も少しお答えをいただいたんですが、雑所得の必要経費として、一定の要件の下、政治活動に使っているのであれば、それを所得税法第三十七条における必要経費として控除することができるという仕組みがあるのは、それはそのとおりです。

 ただ、我々政治家は、まず、政治団体というのが法人税を払っていないということ、そして、さらにそこの、政党もですね、そして、そこからお金を出したときも一定の要件が備われば所得税を払う必要がないということになっているんですが、ここは、我々は高い説明責任が求められると思います。言い値で、ただ使っていますということではなくて、しっかりと国民に説明をした上でないといけないと思うんですね。

 総理、この政治活動費、何にお使いになられましたか、岸田総理大臣。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、党勢拡大、政策立案、様々な調査研究、そういった活動に使っております。政策活動費、全て私の場合はこうした活動に使っているということであります。

緒方委員 鈴木財務大臣、いかがですか。

鈴木(俊)国務大臣 私に党の方から支払われました政策活動費でございますけれども、これは目的が、先ほど総理からお話がございましたとおり、政治活動に必要な経費に使うものでございますので、全て政治活動に必要な経費に充てたところであります。

緒方委員 しかし、所得税法における必要経費、つまり、雑所得の必要経費って、私も判例を山のように見ましたけれども、そんなに簡単には認めてもらえないわけですよ。そんな簡単じゃないです。山のように判例を見ましたけれども、こんなものが可能で、これが駄目なんだなというのは、すごい見たんですけれども。少なくとも、本人の言い値で、私が政治活動に使いましたという言い値で、そんなもので雑所得の必要経費が認められるなんということはないんですよね。

 それはその理解でよろしいですか。所得税の必要経費というのは、本人の言い値で認められるわけではないということでよろしいですか、財務大臣。

鈴木(俊)国務大臣 何が必要経費に該当するかということについては納税者の一存に委ねられているものではなくて、国税庁においては、課税上問題があると認められた場合には税務調査を行うなどいたしまして、適正、公平な課税を実現するために努めている、そのように承知をしております。

緒方委員 しかし、今、岸田文雄氏、そして鈴木俊一氏と言いましたが、例えば、令和元年、和歌山県にお住まいの二階俊博氏、十億円を超えているんですね。そして、令和二年でも六億円を超えているんです。本当に全部、政治活動費に使っているのかどうかということについて、私は甚だ疑問が残るし、そして、それだけの所得を本来控除できないのであれば、二階俊博さん、超高額納税者ですよ。

 この件は、実はここまで与党にだけ厳しく言いましたけれども、実はここにいる政党の中でこの慣行をやっていないのは公明党と共産党だけであります。それ以外の政党は、ここにいる政党は、こういった慣行が一定程度行われております。なので、実はパーティー券の……(発言する者あり)もらっていないですか。ああ、名前ありませんでした。

 これは、先ほどの派閥のパーティー券の裏金よりも、もっともっと裾野も広いし、そして額もでかいんです。

 個人で、とある政党の幹事長などは、表に出せない金があると言っているんですね、この政策活動費で。しかし、皆さん、考えていただきたい。国民の皆様方の理解を得ながら、政策活動費については必要経費として税控除している、しかし、それが表に出せない金があると。表に出せない金で税控除をするなんということは、これは国民の理解が絶対に得られないんですね。

 財務大臣にお伺いしたい。表に出せない金で税控除をすることはあってはならないというふうに思いますが、財務大臣、いかがですか。

鈴木(俊)国務大臣 表に出せない金というのが政治活動の上であるのかどうか、それは私には分かりません。

緒方委員 そういう答弁なのかと、今少しびっくりいたしましたが。

 この件、実は政治資金規正法の最後のブラックボックスというふうに言われております。いろいろな方のところに支出がなされておりまして、幹事長が替わると新しい幹事長のところに億単位でお金が行くんだなというのは、見ていて数字でよく分かったんですけれども。

 こういったことに対して、今、民間の目線でいろいろなことをやるべきだということを主張される政党の方がおられるんですが、これはまさに身を削る改革でも何でもなくて、一般の国民は、何かで雑所得を得たときには、必ずその必要経費を認めてもらうために山のように書類を出して、控除してもらって、税金を払わないということを、何とか少しでもそういうふうにしようと思っているわけですが、政治の世界だけが言い値で、私は政治活動に使いましたという言い値で所得税の支払いを逃れていることは、これは絶対にあってはならない、私はそう思っております。

 なぜ私がこの質問をすることができるかというと、二〇一七年、落選いたしまして、その後六年間ずっと無所属でありまして、所得税の時効は五年であります、仮に私が過去に何かそういうことに恩恵を、受けた記憶はないんですけれども、受けていたとしても、もう既にそれは全て時効になっているということなので、無所属だからこそできる質問だったということでございます。

 その点も述べさせていただきまして、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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