衆議院

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第7号 令和5年11月24日(金曜日)

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令和五年十一月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 越智 隆雄君

   理事 加藤 勝信君 理事 島尻安伊子君

   理事 牧島かれん君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤 茂之君

      下村 博文君    杉田 水脈君

      田中 和徳君    平  将明君

      塚田 一郎君    橋本  岳君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧原 秀樹君    宮路 拓馬君

      山本 有二君    若林 健太君

      渡辺 博道君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    近藤 和也君

      堤 かなめ君    西村智奈美君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    山岸 一生君

      吉田はるみ君    渡辺  創君

      足立 康史君    奥下 剛光君

      林  佑美君    守島  正君

      赤羽 一嘉君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君  斎藤アレックス君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      吉良 州司君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         鈴木 淳司君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       宮下 一郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)    自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)          佐々木正士郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 高橋美佐子君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十四日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     杉田 水脈君

  藤岡 隆雄君     山岸 一生君

  渡辺  創君     堤 かなめ君

  林  佑美君     足立 康史君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     奥野 信亮君

  堤 かなめ君     渡辺  創君

  山岸 一生君     藤岡 隆雄君

  足立 康史君     林  佑美君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和五年度一般会計補正予算(第1号)

 令和五年度特別会計補正予算(特第1号)


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和五年度一般会計補正予算(第1号)、令和五年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室次長佐々木正士郎君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、総務省情報流通行政局長小笠原陽一君、外務省大臣官房参事官高橋美佐子君、外務省欧州局長中込正志君、厚生労働省保険局長伊原和人君、厚生労働省政策統括官鹿沼均君、林野庁長官青山豊久君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、国土交通省水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、国土交通省物流・自動車局長鶴田浩久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。上野賢一郎君。

上野委員 自由民主党の上野賢一郎でございます。

 本日は、質疑の機会をお与えをいただきまして、どうもありがとうございます。十分しかありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 本年の経済状況ですが、総理が度々御説明されていらっしゃいますように、株価高、三十年ぶりの賃上げ、GDPギャップの解消、また、それらに加えて、自動車などの供給制約の解消やインバウンド消費の回復など、好材料が多く出ております。デフレ完全脱却の好機だと考えます。

 一方、先般公表されましたOECDレポートによっては、二〇二四年、来年ですが、中国の過剰債務問題や欧米での金融引締め効果、世界情勢の緊迫化などで、相当程度の景気の、経済の減速が懸念をされる状況でもあります。国内でも景気の押し上げ要因が減少することが想定をされます。こうした観点からは、今年から来年にかけての、中期的な観点に立っての切れ目のない経済政策が必要だと考えます。

 今回の経済対策では、低所得者層への速やかな給付、春闘等における賃上げ、来年六月の減税、段階を追って必要な対策を波状的に実施をされる方針でありますが、こうした経済状況も踏まえて、デフレ完全脱却の道筋を、是非分かりやすく、もう一度御説明をお願いをしたいと思います。

 もう一点でございますが、減税についてであります。

 昨年の税制改正で、総理のリーダーシップの下で、NISA制度の大幅な拡充が実現をします。年明けから新制度がスタートをして、一人当たり一千八百万まで非課税となりますので、富裕層を除けば、ほぼ全ての世帯で配当や譲渡益が非課税となります。分厚い中間層の形成を標榜する新しい資本主義に沿ったものと言えると思いますが、今回の所得税減税も、こうした観点から、政権としての大きな減税第二弾と言えると思います。

 ただ、残念ながら、国民の中には厳しい意見があるのも事実でありますので、可処分所得の引上げ、これを主なターゲットとされているということでありますが、その対策の効果をどの程度見込むのか、これも併せて御説明をお願いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 我が国経済、長年にわたって、賃金が上がらない、物価が上がらない、あるいは投資が進まない、デフレの悪循環と言われる状況が続いてきたわけですが、委員御指摘のように、賃金を上げよう、また、成長と分配の好循環を回していこう、こういった努力を続けてきた結果、ようやく明るい兆しが出てきた、こういった状況にあります。

 大事なのは、これを来年以降も続けることができるか、つなげることができるか、これであると思っています。

 現状は、外生的な物価上昇、これが急激に発生しています。物価上昇に賃金がなかなか追いつかない、こういった状況の中にあります。その中にあっても、来年に向けて、民間に協力をいただきながら、賃上げはしっかり盛り上げていかなければならないと思います。

 そして、それと併せて、政府、官の覚悟として、所得税減税等も用意をし、御指摘があったNISAの改革などを用意し、民間の可処分所得、これをしっかり支えて、そして、消費を腰折れさせることなく、今の流れを来年、そして再来年へとつなげていく、こうした取組が重要だと考えています。

 もちろん、目の前の物価高騰にも、最も苦しんでおられる低所得者の方々に寄り添った対応が必要です。よって、エネルギーにおける激変緩和措置は引き続き継続をいたします。また、低所得者の方々には、まずスピード感を持って、給付、これを実行いたします。

 こういった体制を持って、今の物価高を乗り越え、来年に向けてデフレ脱却の流れを確実なものとし、日本の経済、新しいステージに持っていきたいと考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 賃上げ、また可処分所得、そうしたものを今年から来年にかけてしっかりと引き上げていく、今年から来年にしっかりつなぐというお話がございました。我々としてもしっかり応援をしていきたいというふうに思います。

 賃上げは内閣の最優先課題だと、これまで度々表明をされております。大企業そして中小企業に対しても強力な対策の実施を明言されているわけでありますが、一方、そのはざまで、労働需給が逼迫をしてもなかなか賃金が上がりにくい分野があるのも事実であります。

 例えば、荷主との関係によって正当な収益の確保が難しいトラックの現場。あるいは、これは公明党、伊佐議員からも御指摘がありましたが、公的な価格であるがゆえに賃上げの制約を受ける医療、介護等の現場。こうした分野で頑張っていらっしゃる皆さんに対しても、やはり可処分所得の引上げというのをやっていく必要があるというふうに思っております。

 物価水準を上回る可処分所得の伸びを目指す、そうした観点から、トラック業界や医療、介護等の分野で、賃上げに向けた総理の骨太の決意、これを是非お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先週十五日に政労使の意見交換の場において、民間経済界の皆様方に、来年に向けて賃上げ、今年以上の賃上げをお願いしたところですが、民間に任せるだけではなくして、官も強い覚悟で、所得税、住民税減税を始め、あらゆる政策を動員して、官民力を合わせてこのデフレ脱却の流れを確実なものにしたいと申し上げているわけですが、その中にあっても、委員御指摘のように、トラック業界ですとか、あるいは医療、介護の分野における賃上げ、これも重要な取組であります。分野によって、業界によって事情は様々でありますが、その中にあっても、トラック業界、医療、介護の分野における賃上げ、重要だという御指摘、委員会の中でも度々いただいてきたわけであります。

 トラック運送業については、標準的な運賃の引上げ、トラックGメンによる悪質荷主の監視指導、あるいは、賃上げ原資となる適正運賃の収受を図る措置の法制化、こうしたものを個別に用意をして、賃上げ、盛り上げていきたいと思っております。

 また、医療や介護、この分野においても、これまでも公的価格の見直し、行ってきたわけですが、引き続き、今回の経済対策、また令和六年度の診療報酬、介護報酬等の同時改定など、こういった政策を通じて、処遇改善に向けて取り組んでいきたいと思います。

 こうした具体的な個別の対策も併せて、全体として持続的で構造的な賃上げ実現に向けて努力をしていきたいと考えております。

上野委員 ありがとうございます。年末に向けて期待をしたいと思います。

 最後になりますが、日中関係についてでありますが、先般の日中首脳会談において、総理からは、正当なビジネス活動を保障されるビジネス環境を確保した上で、日中経済交流の活性化を後押ししたい、そうした旨の発言があったと伺っておりますが、正当なビジネス活動を阻害をしている要因の一つに、邦人、日本人の拘束の問題があります。

 中国においては、スパイ防止法の制定後、二〇一五年以降、十七名の邦人が拘束をされ、うち十名は有罪、現在でも五名が拘束中であります。

 このスパイ防止法では、そもそも何がスパイ行為に当たるかが曖昧でありますし、裁判の過程もなかなか公表されない、公開されないという問題があります。

 政府として、邦人の早期解放や、法律執行、裁判の透明性の確保を中国政府に引き続き厳しく折衝すべきだと思いますし、我が国現地法人に対してどのような支援を行っているのかも含め、お伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 中国における邦人拘束事案については、今回の一年ぶりの日中首脳会談においても、私から直接、邦人の早期解放、これを求めたところです。

 政府としては、これまでも様々なレベルを通じて、拘束された邦人の早期解放、あるいは司法プロセスにおける透明性の確保、こうした働きかけを行ってきましたが、こうした働きかけを継続しなければなりません。

 外務省においては、海外安全ホームページ、あるいは在中国の大使館、総領事館を通じて反スパイ法に関する注意喚起を呼びかけているわけですが、海外に渡航する、そして滞在する邦人の保護、これは政府の最も重要な責務であり、情報発信、注意喚起を通じて、邦人の安全確保に努めていきたいと思います。

 そして、拘束された邦人については、領事面会、関係者との連絡など、できるだけの支援を行っていかなければなりません。あわせて、中国側に対して、早期解放、そして司法プロセスにおける透明性の確保、こうしたものを強く働きかけてまいりたいと考えております。

上野委員 終わります。

小野寺委員長 これにて上野君の質疑は終了いたしました。

 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、定額減税、低所得者支援のうち、住民税非課税世帯への七万円の上乗せ支援について。

 デフレからの完全な脱却を図る、中でも物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者の不安に配慮して、寄り添った対応を図るためにも、迅速な支給が求められます。

 そのためにも補正予算の早期の成立が不可欠だというわけでございますけれども、実際に事務を担う市町村が速やかに予算を組んで、対象となる方々に迅速に支給を行っていくためにも、基準日、事務費等を速やかに示す必要があります。また、給付の申請受付、審査、支給等の事務負担が軽減できる特定公的給付の指定など、今後の具体的なスケジュールについて伺いたいと思います。

 あわせて、年末までに検討するとされている、定額減税の恩恵を十分受けられないと見込まれる所得水準の方々への重点支援地方交付金の支給の迅速化、自治体の事務負担軽減のためにも、ここはプッシュ型で行えるようにすべきであると考えますが、この点についても御答弁ください。

岸田内閣総理大臣 重点支援地方交付金を追加的に拡大して実施することとしております、住民税非課税世帯一世帯当たり七万円の追加給付については、既に地方公共団体に対しまして必要な情報提供を行い、質問や相談にも丁寧に対応しているところです。地方公共団体において年内の予算化がなされるよう、前倒しでお伝えできる情報を順次お伝えするなど、細かくサポートを行ってまいります。

 そして、御指摘があった特定公的給付制度ですが、迅速な給付に向けて特定公的給付制度を活用すること、これは重要な論点です。一々対象者の方からの申請を経ずに支給できるようにする、これは大変有効なことであります。今般の七万円の追加給付においても、地方公共団体が特定公的給付制度を利用して速やかに事業が開始できるよう措置をし、その活用について改めて周知徹底したところであります。

 そして、御指摘の、定額減税の恩恵を十分受けられないと見込まれる方々も含めて、定額減税と住民税非課税世帯への支援の間にある方々への支援についても、自治体の事務負担に配慮することは重要であり、簡素かつ公的な給付事務を実現できるように、年末までに成案を得ていきたいと考えております。

 このように、低所得者の方々に支援をお届けするために、地方自治体と緊密に連携し、政府一体となって取組を進めてまいります。

角田委員 今回、減税と給付で組み合わせて行うということですけれども、減税の方は、要らないと思っている方にも一律にお戻しをする。減税してほしいかどうか一々聞かないわけですね。その一方で、セットで行う給付の方は、要りますかと聞くのは、これは素朴に変だと思います。分かりにくい。地方自治体の事務負担を極力軽減するためにも、簡素な仕組みを是非考えていただきたいと要望させていただきます。

 続いて、防災、減災について、特に頻発する水害、治水対策について質問します。

 近年、自然災害が頻発、激甚化する状況の中、私の地元千葉県では、令和元年の台風十五号、それに続く集中豪雨で、かつてないほどの甚大な被害が発生をいたしました。今年も、台風十三号に伴う記録的な豪雨により、一宮川水系を始め、各地で河川の越水、内水氾濫が発生し、広い範囲で浸水などの被害が発生をいたしました。

 千葉県は地形的に中小の二級河川が多数走っております。令和元年の水害を契機に、各流域で河川整備を始め排水対策、雨水貯留など総合的な流域治水対策を計画に進めている中で、今年の水害が発生をしたのですが、建設中ながらも暫定的に供用していた調節池で水を受けられたなど、詳細な効果の検証はこれからとのことですが、被害の拡大を食い止めたという点で一定の効果が見られました。

 住民が安心して暮らせる町づくりのためにも、早期の完成、そのための国の予算の確保が望まれますが、一方で、昨今の資材価格高騰や人件費の上昇などで、全国的に公共事業の進捗に影響が出ております。

 災害に備える事前防災の重要性に鑑み、計画の、事業の進捗に支障を来すことのないよう、必要な予算の確保、とりわけ治水対策は用地取得も伴うことから、年度当初でしっかりと予算を確保していただきたいと思いますが、この点について御答弁いただきたいと思います。

斉藤国務大臣 委員御指摘の千葉県一宮川では、令和元年の水害を契機として、堤防、調節池、貯留施設の整備など流域治水の取組を進めてまいりました。

 これによりまして、本年九月の台風第十三号による大雨の際には、令和元年に比べて倍近い雨量があったわけですけれども、浸水戸数が大幅に軽減されるなど一定の効果が見られたものの、なお浸水被害が発生しており、対策を加速化する必要がございます。

 全国各地でこのような対策が必要な箇所が数多く残っており、令和五年度補正予算案においては、資材価格の近年見られないような高騰なども踏まえて、必要な治水予算を計上したところです。

 防災・減災、国土強靱化については継続的、安定的な取組が必要であり、令和六年度当初予算においても、引き続き必要な予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

角田委員 治水対策に関して、もう一点質問したいと思います。

 今年の台風十三号に伴う豪雨の被災地を訪れた際、上流からの大量の流木が川をせき止めて、そこから越流した現場を見ました。流域治水の効果を最大限発揮するためには、最上流部の森林管理と一体的に進める必要があるとの思いを強くいたしております。

 流木、土砂による下流域の災害を防止するために、間伐、造林、それと、これは特に令和元年の台風災害のときに痛感をしたことですが、長期にわたる広域停電の復旧が遅れた一因として、倒木によって山間部の現場までたどり着くのに時間を要したということがありました。重要インフラを災害から守るためにも、路網の整備も含めた効果的な対策を積極的に推進していただきたいと考えますが、この点について御答弁いただきたいと思います。

宮下国務大臣 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、台風等に伴う土砂流出、流木、倒木による下流域の道路等の重要インフラ施設への被害を防止するためには、間伐等の森林整備を推進することが大変重要であると考えております。

 このため、農林水産省としましては、国及び都道府県が進めております流域治水プロジェクトの一環として、氾濫リスクの大きい河川の上流域や重要インフラ施設周辺における間伐、再造林等の森林整備や、災害時の代替路ともなり得る強靱な林道の開設、改良等の取組を支援しているところであります。

 今後とも、防災の観点からも、森林整備を着実に実施してまいりたいと考えております。

角田委員 ありがとうございます。

 限られた予算で最大限の効果を発揮するためにも、関係機関の連携強化を更に進めていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて角田君の質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行です。

 補正予算案の審議ということで、まずは全体の枠組みのお話からいきたいと思いますが、まずは、時期が遅いという部分、これについては、先ほどの基準日の話がありました。自治体には、予算審議の前に、十二月一日を基準日として用意をするようにというような通達が総務省から行っています。中身が決まっていないのに、これを通達をしなきゃいけない。また、自治体の議会も開かれなきゃいけない話ですけれども、これも飛ばさなきゃいけないかもしれない。こんな日程感でやるということ自身については、大いに反省をしていただきたいと思います。

 この臨時国会を開いてから一か月間も、この予算案が出るまでに時間がかかってしまいました。こういった部分については大いに反省をいただきたいという部分。

 そして、補正予算というのは、財政法二十九条でありますけれども、緊要性というのが大事だとされています。今、四月には分からなかったものについて、プラスアルファでやらなきゃいけないという部分についてやるべきものであるにもかかわらず、一つは、基金に積む、つまり年度を越えて使う基金に積む部分が、十三兆円の補正のうちの四・三兆円。しかも、GIGAスクール、それから宇宙戦略基金という新しい基金をつくるというような部分にもお金をつけていくというようなことは論理的に合わないという部分、これは大いに反省をしていただかなければならないと思います。

 特に、私は災害をこの間担当していますけれども、流域治水やあるいは線状降水帯の研究など、切れ目ない研究やあるいは工事をやらなきゃいけない、これは理解をしています。そして、政府でも、国土強靱化については五か年計画という形でやっているわけですね。五か年の計画がある、そして今年は四か年目であるという状況であるにもかかわらず、この国土強靱化予算を補正予算に入れるというようなことというのは、これも論理が合わないというふうに感じております。

 補正予算案の在り方について、総理、いかがお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、補正予算について緊要性が求められるという御指摘、これはそのとおりであります。

 そして、例として挙げられた防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策ですが、この対策においても、この関連予算、今後の災害の発生状況や事業の進捗状況、また経済情勢、財政事情等を踏まえて、機動的に、弾力的に対応する、このようにされております。

 今回の補正予算にあっても、災害における頻発化、激甚化、こうしたどんどんと気候変動を背景として変化する災害の状況、これに緊要性の高い政策として、国民の安全、安心の確保という観点から項目を盛り込まれた次第であります。五か年加速化対策関連予算としても約一・五兆円計上したものであり、これをしっかり活用していかなければならないと考えております。

森山(浩)委員 必要性を聞いているんじゃないんですね。四月の段階で分からなかったけれども、それ以上に、じゃ、深刻化したのかということになると、そうではない。この間、五年間の計画どおりにやっているじゃないですか。四年目でありますから、やはり真面目に当初予算で盛り込みましょうよ。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 当初予算、もちろん大事であります。

 しかし、先ほど申し上げたように、こうした災害の状況、防災の状況、これは大きく変化していますし、様々な技術の進歩の中で、効果的な対策、これも次々と指摘をされています。そして、その結果も逐次出てきています。

 この変化もしっかり踏まえながら、国民の安心、安全、これは、経済活動を始め様々な活動の基盤であります。そういった観点から、今回の補正予算の五つの柱のうちの一つとして、国民の安心、安全という項目を立てました。その中で内容を吟味した上で、補正予算、項目を盛り込んだ次第であります。

森山(浩)委員 流域治水や線状降水帯の話なんというのは、もっと前からありましたよ。見通しが悪いんじゃないかと思います。しっかりこれは取り組んでいっていただかないとならないと思います。

 さて、関西・大阪万博なんですけれども、この間、何でやるのかというところ、いわゆる千八百五十億が二千三百五十億に予算が大きく上振れをするという中で、共同通信の十一月の世論調査では、六八・六%がついに万博自体が不要だというような形で世論が高まってしまっています。

 今まで余りにもずさんな計画であったのだということであると思いますけれども、これ以上増えない、増やさないというような御決意をこの予算委員会でも述べられていますけれども、総理、どうしてもやるというのであるならば、上振れを更に精査をして、予算を抑えることが最低限必要なんじゃないでしょうか。更に予算を削るんだ、そういう努力をするんだという決意はありますか。

岸田内閣総理大臣 万博の事業実施主体である博覧会協会の管理監督、これは、協会を所管する経済産業大臣によって適切に行わなければならないと考えております。

 引き続き、万博の開催、そして会場建設費等の費用の抑制、これに向けて、政府として管理監督責任を果たしていきたいと思います。万全を期してまいります。

森山(浩)委員 抑制という言葉が出ています。これをしっかりと抑えていかないことには、とても世論の理解を得ることはできないと感じておりますので、まずは、じゃ、数字の確認をします。

 来場者数二千八百二十万人、これは想定と書いていますけれども、これを目標にする、あるいは、経済効果二兆円、この辺りはこの数字でよろしいですか。

西村国務大臣 想定の来場者数、二千八百二十万人を見込んでおります。それから、経済波及効果については、経済産業省におきまして、二〇一七年三月、この時点では会場建設費はまだ千二百五十億を前提にして試算を行って、産業連関表に基づいて試算を行った結果、約二兆円というふうに見込んでおります。

森山(浩)委員 これは目標ですか。

西村国務大臣 まず、来場者数、想定二千八百二十万人を見込んでいるということであります。それから、経済効果は、二〇一七年の時点で、様々な建設費あるいは消費支出などを見込んで、産業連関表を用いて試算を行った結果、約二兆円の経済効果ということでありますが、これはあくまでも試算であります。

森山(浩)委員 あくまでも試算で、目標ではない。数千億使ってやる事業に対して目標値がないということでいいんですか。

西村国務大臣 二〇一七年の時点でこのぐらいの経済効果はあるという試算をしているわけであります。

森山(浩)委員 なので、政府としてそれに向けて努力をする、目標であるということではないのですね。

西村国務大臣 当然、二千八百二十万人を見込んでおりますので、それをできれば上回るような人に来ていただきたいと思いますし、そうした魅力ある万博となるように全力を尽くしていく。もちろん、国民に無用な負担をかけないように、コスト削減には不断の努力を続けていくということであります。

森山(浩)委員 海外からの来場者数は一割ということですけれども、これも目標ですか。

西村国務大臣 過去のこうしたイベント、万博などの数字を参考にしながら、外国人の来訪者は三百五十万人というふうに見込んでおります。

森山(浩)委員 見込んでいる、見込んでいるということですけれども、これは数千億円もかけてやる事業ですよ。そして、どんどん予算が上振れをしている。これ以上上振れしないといっても、前回も上振れしないと言ったのが、更に二回目の上振れをしたわけです。今までの計画がずさんであったことは明らかで、それに対して目標値がないという状況でこのまま突き進んでいいんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 様々な今御指摘があった数値については、経済産業大臣からお答えさせていただきましたように、その試算を行う時点での見込み、これを示させていただきました。その後の状況の変化もしっかり踏まえながら、より国民の皆さんにこの効果を実感してもらえるように努力を続けていくことが重要であると考えています。

 是非、管理監督等を通じて、万博自体の効果拡大に向けて努力を続けていきたいと考えます。

森山(浩)委員 二〇一七年時点ということです。

 では、現在の時点を踏まえて、今後、目標値を設定するということでいいですか。

西村国務大臣 二〇一七年時点よりも、当然、物価が上昇して、その分を、今回、増額をやむを得ず認めたわけでありますけれども、建設費も上振れしていることなど、変化が生じておりますので、どういったことができるのかは考えたいと思いますが、いずれにしても、その時点で約二兆円。

 さらに、もう一言言えば、周辺の事業、地下鉄とか高速道路など、周辺のインフラも含めた試算も二〇一八年に行っておりまして、これは約五・八兆円の経済効果があるということで試算を公表しているところであります。

森山(浩)委員 これは、しっかり目標を立てて説明をしないと、とても理解なんか得られないですよ。これはしっかりやってください。

 先日のこの委員会ですけれども、梅谷委員の質問に対して、これは西村大臣の回答ですけれども、執行済みの三百四十七億円について、府市からの、自治体からの発注したものということで、ここの数字は府市の方から出てきているということでありますという答弁があります。

 府市から出てきたのはそうですけれども、これは、協会からの発注部分、つまり、府市だけの分じゃなくて、全体ということでいいですね。

西村国務大臣 少し時間がなかったこともあって、簡潔にしゃべってしまったんですけれども、まず、二千三百五十億円のうち、今年の九月までに契約済みとなっている一千四百六十四億円についての問合せがありまして、これについては、出来高払いですので、全体の執行額、本年九月までは出ておりません。他方、昨年度末の分は執行済みでありまして、合計六十五億円。これは、国、府市、経済界で三分の一ずつ負担ということでありますが、府市に申請を行って、府市から金額としてあった金額を三倍した六十五億円を計上しているという趣旨で申し上げたわけでありまして、六十五億円というのが全体としての執行済額であります。

森山(浩)委員 これは誤解のないように。府市だけじゃなくて、全体の分が昨年度末でということだということです。

 さて、万博会場、そもそも夢洲にしなければ、こんなに大きな金額はかからなかったのではないかという思い、これは大阪の多くの人たちも思っているところだと思います。

 この経緯について、二〇一四年、二〇一五年に基礎調査というのを大阪府は行っています。そこで、二〇一四年の調査の結果では、夢洲だけがバツとなって、ほかの候補地六か所、これが丸や三角になっている。そして、二〇一五年、二十七年度の重ねての調査においては、夢洲の調査自体が落ちています、バツになっていましたから。

 二〇一六年、その次の年、七月二十二日の万博基本構想検討会議、この第一回の整備部会の議事録において、夢洲というのが何で出てきたんだという議論になっています。夢洲は、要は知事の試案ということで、知事の思いということで、この場所でできないかということでお示しをした場所でございますという議論になっています。

 これは何の根拠もなく知事が出したというようなことで、この経緯はいいですか。

西村国務大臣 二〇一六年に設置されました、大阪府市、経産省、経済団体、そして有識者により構成されます二〇二五年万博基本構想検討会議におきまして、夢洲を含む七か所を候補地として議論が行われております。

 その検討会議においては、周辺地域にライフサイエンスの先進地域があるということとか、将来の町づくりとの関係とか、既存の都市機能を利用できる立地条件、あるいは会場アクセスなど、様々、総合的に勘案、考慮をし、最終的に夢洲が選定されたというふうに承知をしております。

森山(浩)委員 二〇一四年、一五年の調査結果は、大臣、知っていましたか。

西村国務大臣 途中経過について、様々な論点から議論がなされたことは承知をしておりますが、最終的に、二〇一六年、七か所を候補地として検討が開始されて、その結果、夢洲になったものというふうに承知をしております。

森山(浩)委員 二〇一六年の議事録であるように、最終的に、総合的に、知事の思いというようなことが議事録に残っております。

 管理監督責任を果たすんだということですけれども、これは管理監督責任を果たしていましたか。

西村国務大臣 途中経過についてはいろいろな議論があったと承知をしております。ただ、最終的に、今申し上げたような、周辺地域の関係を含めて七か所について検討がなされ、その中で夢洲に決定されたということであります。

森山(浩)委員 会議録、公開されているんですよ。よく読んでください。客観的な調査をやった上で、それを無視して決めているというようなことについては、管理監督責任の不足だと思いますよ。

 二〇二四年に開業すると言ったIRの開業が遅れた。これは、IR、カジノについては、私たちは反対でありますけれども、少なくとも、IR業者がインフラ等を整備するんだ、全部建ててくれるんだ、だから、この万博というのはそのインフラの上で成り立つのだということでスタートをしていたはずですけれども、逆に、IRの事業者は、全部建ててくれたら来てやるよというようなことになった時点で、場所を変更するべきだったんじゃないですか。

西村国務大臣 まず、先ほどの経緯についても、二〇一六年に国が入った検討会議が設置をされ、そこで七か所について様々な議論が行われた。二〇一四年、一五年段階は、府市が様々な議論を行っておりますので、そういう意味では、我々、承知はしておりますが、具体的にどのような検討を行ったかという詳細については承知をしていないということであります。

 その上で、これまでも政府から国会でも説明をしておりますとおり、大阪万博とIRは全く別のプロジェクトということであります。二〇一七年九月に博覧会国際事務局、BIEに提出をした万博立候補申請文書におきましても、本万博とIRは全く別のプロジェクトであり、この点は両プロジェクトを推進する地元自治体も同様の認識であるというふうに記載をしております。このことに尽きるものというふうに認識しています。

森山(浩)委員 二〇一六年以前のことは知事が悪いということだということですけれども、じゃ、日本建設業連合会、二二年九月に、パビリオンが間に合わないという懸念を伝えたけれども、七月までの十か月間放置というような報道がされています。放置していたんですか。

西村国務大臣 この間、協会において様々な努力がなされておりました。そして、年明け以降、特に、入札の不落、落札できない状態が幾つも続いてきましたので、年明け以降、何度か私も報告を受け、特に春以降、これは何とかしなきゃいけないということで、私自身も国交省と働きかけをし、状況を確認しながら、そして、最終的に今のような状況になっているということであります。

森山(浩)委員 二〇一六年以前のことについては、国は、経産省は知らない、そして、この七月までの十か月についての放置についても十分な管理監督責任を負えていないということでしたけれども、それ以前のことは知らないということでいいんですか。

西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、様々な議論が行われていることは承知をしていました。ただ、府と市でいろいろな議論を、中でどういう具体的な議論をしていたのかという内容については、詳細は承知をしておりません。

森山(浩)委員 ということは、府と市の責任だということですよね。

西村国務大臣 二〇一六年の段階で、国、経産省と府市、そして経済界、有識者も入って検討会議がそこで設置をされましたので、それ以降については、もちろん万博の責任は国にありますので、国としてしっかり責任を持って地元自治体と調整をそこで行い始めたということであります。

森山(浩)委員 万博は国の事業だと言いながら、最初からコミットしてきたわけではない。そして、これまでは管理監督責任も不十分であったということが明らかになってきているわけなんですけれども、この夏から秋にかけて、経産省を中心に、中央官庁から万博協会に応援の異動、異例の異動というような形で随分人が入っていると思いますけれども、何人入っていますか。

西村国務大臣 人数については通告がありませんでしたので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

森山(浩)委員 管理監督責任を負うのだというようなことで、二回目の上振れがあって、これは何とかしなきゃなといって、ようやく本腰を入れているように見えます。

 皆さんは、政府は、これまで管理監督責任を果たしてきたんだけれども、もっとやらないとこれはまずいぞということで体制を強化しているのか、今までどおりにやるのか、どっちですか。

西村国務大臣 二つ申し上げたいと思いますが、一つは、建設費が、物価高騰、人件費の高騰によって上振れするということ、そうした状況。そして、それも踏まえながら、不落、なかなか建設事業者が対応できないというような事情、それが関連しています。

 更に言うと、各国の対応が、ドバイでの万博が一年遅れたこともあって、少し悠長に構えている国々もありましたので、そうした全体状況の中で、しっかりと万博を二〇二五年に迎えるために体制を強化しなきゃいけないという判断をしたところであります。

森山(浩)委員 総理、今までの管理監督責任の在り方というのでは、これは国民は到底納得できないし、信頼できないと思います。

 もっと強化しなきゃいけないと思いますけれども、ここをきっしょに強化するんだということでいいですか。

岸田内閣総理大臣 国として、管理監督責任を果たしていかなければなりません。

 そして、今日までも、今御指摘がありましたように、博覧会協会の陣容を拡充するなど、より管理監督の体制を強化したわけですが、今後とも、この状況をしっかり把握しながら、必要に応じて管理監督の強化を考えていく、こういった姿勢は重要であると考えます。

森山(浩)委員 管理監督を強化するということですから、年末、年度末、きっしょきっしょで、これだけ削減しましたよというような報告をいただきたいと期待をします。

 リングの問題、三百四十四億円という数字が出てきています。東京ドームの建設費が三百五十億円、東京スカイツリーが四百億円、総事業費六百五十というのはビルも合わせるとということになっていますけれども、そんな中で、三百四十四億円の建物ということですけれども、世界最大の日よけと言われていましたね。

 日本の伝統工法だと言われていますが、これは、くぎは使っていないけれども、ボルトやナットを使ったりしていますね。

茂木政府参考人 日本の伝統的な貫工法という方法を使いますが、これは一部、くぎも、それからボルト等も活用はいたします。

森山(浩)委員 伝統工法を模したものという判断であります。鉄を使ったりボルトやナットを使ったものは伝統工法と言いません。

 さて、二〇年十二月に設計変更をしました。これが前回の上振れの大きな原因になっていますが、批判が高まると、移設というような話もされています。

 これは、土台部分、海にせり出していますから、海底までの土台をどんと入れなきゃいけない。かなりのお金がかかると思いますけれども、土台部分と上物、木の部分、この予算の割合はどんなものですか。

西村国務大臣 リングの土台部分と構造物部分にかかる費用割合、これは共通的な経費も含まれているということで、正確な金額をお示しすることは難しいんですけれども、おおむね土台部分と構造物部分は二対八程度であると博覧会協会から報告を受けております。

森山(浩)委員 土台が二ですか。

西村国務大臣 土台が二で、構造物が八ということであります。

森山(浩)委員 移設をするとなると、移設費というのがかかるわけですけれども、移設に関してはどのぐらいかかると見込まれますか。

西村国務大臣 移設をしたいという声がございますが、具体的にどのように進めていくのか、そもそも移設をするのかどうかも含めて、博覧会協会において検討がなされているところであります。

森山(浩)委員 移設という話が出る、移設も検討しなきゃいけないなんというようなことも答弁の中でもあったんじゃないですか。

 つまり、中身も精査をしないままにそのようなことを言う、そして、やはりできなかったという話になる。空飛ぶ車もそう、リングもそう、全体の計画もそう。経済効果については、六兆というような数字が出たり二兆になったり、これでは、信頼しろと言われる方が無理です。きちんと精査をし、そして予算を縮減した上で、これでどうですかというような案を、年末、年度末、しっかりと精査をしていただきたいと思います。

 子供、子育て、教育予算について、倍増するんだというのが総理の公約でした。二年たちました。

 先日、明石市の泉房穂前市長と対談する機会がございまして、五つの無料化というものを軸に、子供に優しい町という発信をすることによって、九年連続、人口が増加をしています。子供医療費、第二子以降の保育料、ゼロ歳児見守り訪問のおむつ定期便、中学校給食費、公共施設の入場料。それぞれがむちゃくちゃお金がかかる話ではありません。でも、子供のために一生懸命頑張るんだという意思が伝わって、子育て世代が集まってきている、あるいは子供を産もうという気になる。

 これは、総理、やはり額を増やすのは大事です。その上で、どう伝えるかというのが大事だと思いますけれども、子供、子育て、そして教育も含めてですが、予算倍増について、どうしますか。

岸田内閣総理大臣 六月に取りまとめたこども未来戦略方針において、三つの柱を掲げております。一つは、若い世代の所得を増やすこと。二つ目として、社会全体の構造、意識を変えること。そして、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援すること。この三点を柱に政策を進めてまいります。経済的支援につきましても、OECD諸国の中でトップレベルの充実まで拡大していきたいと考えております。それと併せて、社会の意識を変えていく。

 委員の方から地方自治体の例を挙げられましたが、その際に、地域の事情、これは様々でありますので、そういった事情にも配慮しながら、今申し上げた三つの柱、経済的な支援だけではなくして、社会の意識を変えていく、なおかつ切れ目のない対策を講じていく、こうしたことで、結婚や、子供を産み、そして育てたい、こうした世代の希望の実現に向けて、障壁を一つ一つ取り除いていきたいと考えております。

森山(浩)委員 財源についても、まだ十分な説明がなされていません。きちんと伝わるように、そして子育て世代が安心できるように説明をしながら取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。

小野寺委員長 これにて森山君の質疑は終了いたしました。

 次に、堤かなめさん。

堤委員 立憲民主党の堤かなめです。

 悪質ホストクラブ被害について、通告どおり、全て総理御答弁でよろしくお願いします。

 松村国家公安委員長は、十一月九日の塩村あやか議員の質問に対して、返済困難な売り掛けをさせることは常識的に考えて問題ではないかと答弁をされました。

 多額の売掛金により風俗や売春を強いられているという悪質ホストクラブ被害について、岸田総理は、問題とは思われませんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 いわゆるホストクラブの利用客が、高額な利用料金の売り掛けによる借金を背負い、その返済のために売春をするなどの事例がある、こうしたこと、承知をしております。

 そして、松村国家公安委員長が常識的に考えて問題ではないかと答弁したという御指摘でありますが、私も同じように感じております。

堤委員 時間がございませんので、二、三、併せてお聞きします。セットでお答えください。

 露木警察庁長官は、悪質ホストクラブの背後で匿名・流動型犯罪グループが不当な利益を得ている可能性があると十一月十六日の会見で語られました。実際、ナチュラルという日本最大のスカウト幹部が逮捕され、風俗などに違法に女性をあっせんしている疑いが持たれています。

 悪質ホストや悪質ホストクラブの背後には犯罪グループが存在する可能性があるのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 警察では、現在、治安対策上問題のある犯罪グループの取締りを強化していると承知をしており、御指摘の悪質ホストクラブについても、こうした犯罪グループが背後で不当に利益を得ている可能性も視野に入れて対策を進めているものと承知をしております。

堤委員 私たち立憲民主党のヒアリングでも、悪質ホストの被害者の方から、売掛金を払えないなら海外で風俗の仕事をしないかと誘われたとの話を聞きました。ホスト売掛金の多数の被害女性が海外で売春を強いられていると言われています。

 このような悪質ホスト売掛金被害女性の海外への出稼ぎ売春について、現状を把握しておられますでしょうか。また、どう取り締まるのでしょうか。岸田総理、お答えください。

小野寺委員長 国務大臣松村……(発言する者あり)それでは、内閣総理大臣岸田文雄君。

岸田内閣総理大臣 いわゆるホストクラブの利用客が高額な利用料金の売り掛けによる借金を背負い、その返済のために海外での売春を勧められるような事例がある、そのように承知をしております。

 このような事例においても、ホストクラブやその従業員に違法行為がある場合、これは捜査機関において法と証拠に基づき厳正な取締りが行われるものと考えております。

堤委員 今、悪質ホストクラブ被害が社会問題化しています。本日の、今朝の読売新聞の社説でも、「悪質なホストの営業を許すな」という記事が掲載されていました。御本人や保護者からの相談が多数来ておりまして、皆さん、どこに相談するのか困っておられます。

 ついては、相談窓口が多数あるのは分かりますけれども、まず、岸田総理の口から、悪質ホストクラブ被害の被害者や保護者はここに相談すればよい、メールやLINEをすればよいという連絡先をこの場で、複数ではなく、電話とSNS、一つずつお答えください。お願いします。

小野寺委員長 厚生労働大臣武見敬三君。(発言する者あり)細かい内容ですから、まず武見大臣にお願いします。

武見国務大臣 まず、被害の窓口の一本化というお話がありまして、それを担当しておるものでありますから。

 御存じのように、売春防止法等に基づく相談窓口は婦人相談所になっております。各地方公共団体の中に、こうした婦人相談所というものと婦人相談員がおります。ここを、窓口を一本化をいたしまして、そして、そこから御趣旨のような各関係部門の方に連携を取るという形で、万全の体制で、この窓口を一本化した上で体制を整えるということを、厚生労働省の中で私も指示を出しました。

堤委員 万全の体制で相談窓口、対応をお願いいたします。

 深刻な被害が急増しているため、私たち立憲民主党は、今、悪質ホストクラブ被害対策推進法案を作成しておりまして、十二月一日に国会へ提出の予定です。現行法を最大限活用されることにより、悪質ホストクラブ被害の対策を推進する法案となっております。

 超党派でこの臨時国会中に成立させるべきと考えますが、岸田総理の見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 議員立法については、まずは国会において御議論いただくべきものだと考えますが、政府としても、関係省庁が一層緊密に連携をし、ホストクラブ従業員による売春防止法違反、職業安定法違反等の違法行為の取締り、また、風俗適正法に基づくホストクラブへの立入り、指導、また、消費者契約法等の関連法令の周知、さらには相談体制の強化、これは先ほど厚生労働大臣からありました。こうした対策を行ってまいります。

堤委員 若い人たちを救うために、超党派の皆さんの御協力でこの臨時国会中に何としてもこの法案を成立させていただきたいとお願いいたします。

 被害者は法外な額の売り掛けを取り消せる可能性があることを知らない、若い男性ホストは資力を超えた売り掛けをさせることが違法である可能性を知らない、どちらも相談できるところがあることを知らない。法律ができ、報道され、各省庁の対策が強化されることで救われる若い命があります。若い人たちの人生が懸かっているのです。是非、法案の成立、今国会中にお願いいたします。

 次に、性別変更に関する最高裁決定について質問いたします。

 日本の最高裁判所は、先月十月二十五日、戸籍上の性別を正式に変更する国民に対し、生殖機能能力を失わせる手術を受けることを義務づけること、いわゆる四号規定は違憲だとする決定を出しました。生殖機能をなくす手術は強度な身体的侵襲と指摘し、医学の進展や社会情勢の変化により、規定は憲法十三条に違反するとしたものです。最高裁大法廷は、欧米諸国を中心に、生殖能力の喪失を要件としない国が増え、相当数に及んでいるとも言及しています。

 そこで、まず、この決定を受け、法改正など必要な措置を行うことになろうかと思いますが、いつ、どのように行うのか、お聞きいたします。

小泉国務大臣 御指摘の性同一性障害特例法に関する最高裁判所の違憲決定については、これを厳粛に受け止める必要があると考えております。

 政府といたしましても、立法府の皆様とも十分に連携して、立法府にも様々な御意見があると承知しております、立法府の皆様とも十分に連携して、適切に対応してまいる所存でございます。

堤委員 法務委員会でも是非御議論をお願いいたします。

 そこで、まず、資料を御覧ください。性同一性障害特例法に基づく法的性別変更手続の流れでございます。

 心で思っただけで簡単に性別変更ができるわけではございません。まず、二名以上の医師による診断書が必要となります。その際、医師は、可能な範囲で、本人だけでなく、家族や親族に、服装、言動、人間関係など、普段の生活様式の聞き取りを行います。さらに、戸籍謄本など必要な書類を準備して家庭裁判所に申立てをするといった、かなり厳格な手続が必要になっていると思いますが、総理はどのような見解をお持ちでしょうか。

小泉国務大臣 性同一性障害者の性別の取扱いの変更のための要件等について規定する性同一性障害特例法第二条は、性同一性障害者について、心理的には生物学的な性別と別の性別であるとの持続的な確信を持つこと等を要件としております。その上で、この要件について、診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の診断の一致が求められております。

 家庭裁判所において、これらの要件を踏まえ、個別の事案ごとに適切に判断されているものと承知をしております。

堤委員 今の質問、もう一度、総理にもお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 性同一性障害特例法第二条において、性同一性障害者について、心理的には生物学的な性別と別の性別であるとの持続的な確信を持つこと、これが要件とされていると承知をしています。そして、この要件について、診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の診断が一致すること、これが求められているというのが現状であります。

 家庭裁判所において、個別事案ごとにこうした考え方に基づいて適切に判断されているものであると認識をしております。

堤委員 最高裁の裁判官の個別意見では、単に自称すれば女性用の公衆浴場等を利用することが許されるわけではない、その規範に全く変わりがない中で、不正な行為があるとすれば、これまでと同様に、全ての利用者にとって重要な問題として適切に対処すべきであるが、そのことが性同一性障害者の権利の制約と合理的関係性を有しないことは明らかであると記されています。つまり、特例法の性別変更要件と施設利用は合理的関連がないということかと思います。

 このことを申し添え、質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて堤さんの質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 総理、よろしくお願いします。

 今日は、締めくくり質疑でありますので、総括的な話を聞かせていただきたいと思っています。

 岸田総理、就任されてもう二年が経過いたしました。それで、今国会、この予算委員会でもいろいろな方とやり取りを総理はしているわけですが、大変残念ながら、私は、総理からやはり国家観というのが見えてこないんですね。それから、総理が具体的に何をしたいのかというところが見えてこない、私にはそう感じられるんです。

 新しい資本主義、あるいは所得倍増、それがいつの間にか資産所得倍増に変わったり、異次元の少子化、さらにまた、減税、増税、いろいろなことを総理はおっしゃっておられるんですが、その中から、本当に総理が何をしたいのかというのが見えないんですよ。今回の国会の冒頭でも、総理は、経済、経済、経済と連呼しました。だけれども、総理のその答弁を聞いていると、それほど経済に執着しているようにも私には感じられないんですね。

 そこで、今回、防衛費、五年間で四十三兆円、こういうふうに防衛費を増やすということを決断されて、今もうそのプロセスに入っています。この防衛費四十三兆円、総理、どういう国家にしたいと思って四十三兆にするのか。

 例えば、今回、トマホーク四百発入っています。そのうちの半分は型落ち、二十年ぐらい前の古いものを今回買うことにしたんだということのようでありますけれども、そういったことも含めて、この四十三兆、どんな国家観の下に、どんな国にしたいからこうするんだという、その考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 どんな国にしたいかという質問でありますが、これは所信表明の中でも申し上げておりますが、私は、明日は必ず今日よりよくなると感じられる日本をつくりたいということを申し上げています。

 今、日本は大きな変化の中にあります。厳しい安全保障環境、国際秩序も今、分裂や対立が強調される、こういった難しい状況の中にあります。また、少子化も、二〇三〇年代には急速に加速化していってしまう、今が正念場だと言われています。エネルギーにおいても、今、世界的な初めてのエネルギー危機の中で、日本のエネルギーをどう調達していくのか。そして、経済においても、デフレが続いてきた、これをどう脱却するのか、こうした変化が求められています。

 過去、日本の国において大きな変化が指摘された時代、よく、明治維新ですとか、戦後の復興期ですとか、高度成長期、こういった時期が挙げられますが、そういった変化の中にあって、かつての日本人は、変化を力にして、明日は必ず今日よりよくなると信じて前向きに生きてきた、こういった歴史を私は振り返っています。

 今、やはり大きな変化の中にあるのであるならば、この変化を力にしなければいけないということで、外交、安全保障においても、防衛力の抜本的な強化、そして外交における首脳外交の重要性、こういったことを強調しているわけでありますし、少子化においても、正念場であるからして、異次元の子供、子育て政策、これを用意しなければならないと申し上げているわけでありますし、世界的なエネルギー危機であるからこそ、日本はエネルギー政策においても思い切った転換をしなければならないと申し上げているわけでありますし、世界的な経済の変化の中にあって、日本はデフレが続いてきた、是非新しいステージに経済を持っていかなければいけないということで、総合経済対策も用意をしたということであります。

 委員の方から、防衛力強化、どんな思いでこういった政策を用意した等、御指摘がありましたが、日本を、是非、変化を力に変えて、明日は今日よりよくなると感じられる日本、特に、最近の若い人たちはこういった実感を経験していないという御指摘があります。だからこそ、今の変化を力に変えるために、先ほど申し上げました、防衛力の強化や、子供、子育て政策や、エネルギー政策の転換や、そして経済政策を進めていく、こういった取組を進めていきたいと考え、政策を用意している次第であります。

逢坂委員 総理が長くしゃべればしゃべるほど、何か私は、総理の目指す国家像がぼけてくるような気がして仕方がありません。明日は今日よりももっとよい日本にしたいという思いは、それは私どもも一緒でありますけれども、もう少し総理の信念みたいなものが私は必要ではないかと思っています。

 私が懸念するのは、明確な国家像がない、そういう中で防衛費を増加させるというのは極めて危ういと思っています。どういう国にしたいのかの理念がない中で、防衛費をとにかく増やすんだということは、将来を誤る可能性があるというふうに私には感じられるんですね。

 私は、以前もお話ししましたけれども、日本の国は、もっと自立した国になるべきだ、真の主権国家、真の独立国家になるべきだというふうに思っています。さらに、国の基、それは教育である、教育が基盤にある、そういう国にしたいと思っています。更に加えて、国民の命と暮らしを守るためには、食料の自立、エネルギーの自立、そして今は情報の自立、これがなければ国民の命と暮らしは守れないというふうに思うんですね。さらに、日本の文化や伝統を踏まえて、個々人の尊厳が大切にされて、私自身は、そういう中で誇りある日本人でありたい、そう思っています。私はこんな思いで政治に今取り組んでいます。

 その中で、今、たくさん武器をそろえても、サイバーだとか情報分野をやられちゃったら全く機能しなくなるんですね。二〇一四年のクリミア半島がまさにそうだったと承知をしております。あのときロシアが攻め込んだ、ウクライナのサイバー、情報空間がロシアに牛耳られて、最終的にはクリミア半島を取られてしまうというようなことがあるわけであります。だから、情報やサイバーは極めて今大事だと私は思っています。

 私は、自衛隊員の皆さんの処遇を改善して、自衛隊員の皆さんが活躍できる環境、これを高めていくことは非常に大事だと思います。更に加えて、今言ったように、情報やサイバーの分野、ここをしっかりしなければ、どんなに武器をそろえてもそれは機能しないということになるわけです。しかも、情報やサイバーの分野は外国の方に任せるわけにはいきません。ここはまさに日本人がやらなければならないところでありますので、今回の防衛費、仮に強化するにしても、情報やサイバーの分野の人材育成、さらに、日本が主権国家として自立をきちんとできるようになるために進化をしていく、そういう防衛予算であるべきだというのが私の思いなんですね。

 ところが、総理の口からは、どうも、そういう明確な、こういう思いで四十三兆にするんだというのが残念ながら聞こえてこない。そこは極めて残念なことだ、私はそう感じています。

 そこで、私たちが将来を描いていくためには、過去に学ぶということが非常に大事だと思っています。残念ながら、日本はそこが余り得意ではないように私には感じられます。第二次世界大戦についてきちんとした検証がされているかどうか、あるいは、二十年前のイラク戦争、これについても十分な検証を日本でされているでしょうか。私は、これは不十分、うやむやになってしまったと思うんです。だから、将来を描くためには、やはり過去にしっかり学ぶということが大事だと思っています。

 最近の例で言えば、先日、私どもの山岡議員が、東京オリンピック、五輪について検証すべきではないか、こういう話をしました。残念ながら、総理からは余り明確な答弁はございませんでした。更に加えて、アベノミクス、これもしっかり検証しなければ、私は、将来大きな誤りを残してしまうというふうに思っています。

 総理、そこで、東京オリンピックですとかアベノミクス、これについて政府の中に専門家などを設けてしっかり検証する、そういう作業をやられた方がいいんじゃないですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から幾つか御指摘がありました。

 教育等が大事だという指摘がありました。全くそのとおりだと思います。それも含めて、明日は今日よりよくなると感じられる日本をつくりたいと思っています。

 防衛力の強化、サイバー、重要である、これもそのとおりであります。防衛力強化と申し上げましたが、時代の変化をしっかり踏まえた強化をしなければならない。今、一国だけでは自分の国は守れない、これが国際的な常識になっている中にあって、同盟国との、同志国との協力と併せて自らの責任を果たしていく、その際に、サイバーあるいは宇宙を始め新しい変化にしっかり対応していかなければならない、そのとおりであります。

 そして、加えて、検証について御指摘がありました。

 この検証、アベノミクスについても検証するべきである、これは、政府としては、基本的に経済財政諮問会議、こうした枠組みの中で、有識者の参加を得て絶えず経済について議論を続けているわけですが、その中において、アベノミクスの今日までのありよう、そして、その後、アベノミクス後何が求められているのか等も含めて、こうしたアベノミクスについても考え続けていく、こういった姿勢は重要であると考えます。

逢坂委員 オリンピックもアベノミクスも、これは、しっかり私は専門家を配して、もちろん政府の方も入って、どういうところにプラスがあったのか、マイナスがあったのかというのをしっかり検証して、だから今度はこうしなければならないんだということを私はやらなければならない、そう思いますよ。今の総理の答弁からは、そういう意気込み、具体性、残念ながら感じることはできませんでした。

 私は、アベノミクス、いろいろなことを言っている方がいますが、結果的に見ると、日本人の個人の懐は潤いませんでした。個人消費は伸びておりません。

 それから、私は最もアベノミクスがやってはいけないことをやってしまったと思うのは、日銀の財務、これが最悪の状態になってしまった。世界の中央銀行、先進国の中でも最悪の水準です。これがアベノミクスが将来にもたらした大きな大きな負の遺産だというふうに思っています。

 そこで、総理、お手元にちょっとグラフを用意しました。簡単に見ていただきたいんですが、長くは説明するつもりはありません。

 1のグラフ、三十年間日本のGDPは伸びませんでした。個人消費も伸びませんでした。

 2のグラフ、この間、日本の国はたくさんの借金をしょいながら予算編成しました。だけれども、個人消費は伸びませんでした。

 三番目のグラフ、異次元の金融改革、マネタリーベース、通貨の供給量、本当に異次元に増やしました。六百五十三兆まで増やしました。だけれども、結果として日本人の個人消費は伸びませんでした。懐は潤っていないわけであります。

 それから最後、株価。株価が上がりました。黄色いところ、株の時価総額です。時価総額がどんどんどんどん上がっても、過去もそうです、株価が上がっても、実は日本人の個人消費は伸びていないんですよ。

 このグラフはエコノミストの藻谷浩介さんが作ったグラフですが、御本人の了解を得て、今日紹介させてもらっています。

 すなわち、私が言いたいのは、この間、借金して予算編成した、アベノミクスもやった、でも結果的に個人消費には何の影響もなかったということなんですね。

 更に加えて、この間、アベノミクスが意図したかどうかは別として、円安が進んでいます。

 五枚目のグラフを見てください。五枚目のグラフを見ると、5のグラフです。GDPが過去最高、ドルベースで換算すると、世界のGDPはみんなドルで比較していますから、これが世界の人が見ている日本のGDPなんですよね。一番GDPが高かったのは二〇一二年。この年、六・三兆ドルです。それで、昨年のGDP、ドルベースに換算すると四・二兆ドルです。があんとGDPが下がっている。三分の二なんですよ。

 結果的に、アベノミクスというのは、円安を意図したかどうかはともかくとして、こんな結果を日本にもたらしてしまったということだと私は理解するんですよ。加えて、日銀の財務の状況が世界の先進国の中央銀行の中で最悪の状態になっているんですね。

 そこで、私、地元を歩いていまして、先日、地元の豆腐屋さんに言われました。逢坂さん、本当に円安を何とかしてほしい、大豆を買うお金がどんどんどんどん増えていく、ところが、一方で、豆腐の値段を高くすると豆腐が売れなくなる、だから収益は出ない、かといって豆腐の値段を据え置いたら赤字だ、どうしようもない、こういうことを言われるんです。

 そこで、総理にお伺いしたいんですけれども、アベノミクス全体の総括はともかくとして、円安による悪影響、これはこのまま放置できると思いますか。さらにまた、円安の要因、これは何だというふうに総理は考えていますか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 いろいろ資料をお示しいただきました。最後の5、ドルベースで凋落する日本という資料もいただきました。

 GDPに関しては、ドルベースで国際比較をする、こういったことになっておりますが、ドルベースのGDPの増減を評価する際には注意が必要だということも感じております。

 ドルベースで換算するからして、例えば、この資料でいきますと、リーマン・ショックあるいは東日本大震災、こういった時点、日本の経済、大変苦しかったわけですが、GDP、ドル換算しますと大変高くなっている、これがこの資料の示すところでもあります。やはり、自らの、自国建てのGDP、これをいかに拡大していくのか、これが重要であると考えています。

 そして、円安の原因は何かという御指摘がありました。

 円安については、経済のファンダメンタルズを始め様々な要素が絡んでおりますので、一概にこれが原因だということは申し上げることを控えなければならないと思いますが、その中で、日銀の金融政策が盛んに議論の中に挙げられます。金融政策の具体的な手法については日銀に委ねなければならないと思いますが、政府と日銀が安定的な物価上昇あるいは安定的な賃金の拡大等を目指しながら連携していくことは重要であると思います。

 その中で、政府としては、こうした円安のプラス面をいかに拡大し、マイナス面をいかに抑制していくか、こういった個別の政策が求められるということで、政府として様々な政策を用意させていただいています。インバウンド、観光の拡大ですとか輸入の拡大、これはプラス面の拡大であります。マイナス面の抑制ということで、様々な物価高騰対策、エネルギーや食料を中心とする対策、これを用意させていただきました。その上で、日銀としては、経済あるいは物価等、全体を見ながら適切な金融政策を判断していく、こういったことを期待するところであります。

 いずれにせよ、政府の政策と日銀の政策、しっかりと連携をしながら、先ほど申し上げました、物価安定あるいは構造的な賃上げをもたらす経済成長に向けて協力をしていかなければならないと考えています。

逢坂委員 今、後ろからやじが飛んだんですけれども、小声のやじですけれども、答弁が長いばかりで中身がないというやじですけれども、私もそう感じられます。

 確かに、自国通貨でGDPを伸ばしていく、これは大事なことです。ドルに換算したときに課題があるのも、それは事実。でも、これはうそではない。数字です。数字が如実に示している。六・三兆ドルあったGDPが、今、四・二兆ドルになっている。事実上円が下がっているのも、これも事実であります。

 それから、円安の原因、これはやはり日米の金利差が大きい、これは衆目の一致するところではないでしょうか。私たちも、金利の安い銀行に預けるよりも、金利の高い銀行にお金を預けたいと思うのは当たり前であります。この日米の金利差をどうするかということが一つ非常に大きなポイントだというふうに思います。

 もちろん、金融政策は日銀がやるということは、それは誰しもが知っています。だけれども、今の日銀の状況の中で、それじゃ、金利を上げられるのかということなんですよ。

 例えば、今、日銀、保有国債五百八十兆円、発行残高一千九十兆円のうちの五三・二%が日銀が抱えている。あるいは、日銀のETF、株保有額五十三・一兆円。異次元の額ですよ。この状況の中で金利が上げられるのか、上げられないのか。この状況の中で金利を上げたら大変なことになるんじゃないでしょうか。

 私は、これはアベノミクスの完全な負の遺産だと思いますよ。総理、この点、どうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 委員まさにおっしゃるように、日銀の金融政策は日銀が具体的なものを判断しなければならないと思います。御指摘の点について、政府から直接触れることは避けなければならないとは思いますが、政府としては、こうした金利との関係について御指摘がありましたが、やはり経済をデフレから脱却させること、これが財政においてもプラスになるという考えを取っています。

 経済あっての財政であるからして、要は、金利負担が国の財政に大きな影響を与えることがないように、今のデフレ状況から完全に脱却することによって経済の好循環を回し、そしてそのことが増収等によって財政の健全化にもつながっていく、こういった考え方に基づいて財政を考えていくことが重要であると考えます。

逢坂委員 総理が常にデフレからの脱却、脱却というふうに言っているんですけれども、そこについても私はもう少し慎重な言い回しが必要だと思っています。この間やはり物価も上がり続けていますし、本当に総理の認識が正しいのかどうかということはもっと丁寧に点検をした方がいいと私は思います。

 それから、私は、日銀の金融政策をどうこうしろということを総理に答えてもらいたいわけではありません。アベノミクスによってこれほど積み上がった日銀の悪い財政、国債をこんなに抱えてしまった、ETF、株をこんなに抱えてしまった、この状況の中で金利、金融政策をやれるんだろうか、そこのところの総理の認識、それを聞きたかったんです。ところが、総理からは何の話もございませんでした。

 これは極めて危機的な状況ですよ。日本は金融政策を他国のように機敏に、柔軟に取り得ない、そういう状況になってしまったんじゃないでしょうか。大変な状況ですよ、これは。その認識を総理には強く持っていただきたいと思います。危機ですよ、危機。今日よりもあしたがもっとよくなる日本をつくりたいのであれば、何でこんな状況にしたんだ、私はそう思いますよ。

 そこで、今回、予算委員会で、この二日間、やり取りをいろいろ各委員の方と総理がしている姿を見て、何度聞いても分からない。何で今回減税なんだというところなんですよ。何回聞いても分からないんだ。

 可処分所得を増やしたいということは分かる。私も可処分所得を増やしたいんだ。だけれども、可処分所得を高める方法ってほかにもいっぱいあるんですよ。給付をするとか、あるいは国民が負担しているお金を減らしてあげるとか、そうすることで可処分所得は増える。もちろん、賃金を上げるのも可処分所得を増やす方法ですよ。幾らでも可処分所得を増やす方法があるのに、手法としては最も難しい、法律も改正しなきゃならないし、それから、タイミングも遅れるし、機動性にも欠けるし、何でここであえて、あえて、あえて減税という手法を取るんですか。

 可処分所得を増やしたいんだったらもっと方法があるんじゃないですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今回の総合経済対策では、給付と所得減税、これを両方用意をしております。そして、御指摘の可処分所得を盛り上げる、支えるために最も大事なことは、何といっても賃上げだということを再三申し上げています。

 十五日の政労使意見交換においても、民間に対して、来年は今年以上の賃上げを是非お願いしたい、お願いをしたわけですが、これは民間だけに任せるわけにはいきません。来年の賃上げとともに、可処分所得を支えるためには、民間だけではなくして、政府も強い覚悟を示さなければなりません。

 来年に向けて、賃上げと、政府としても、御指摘のように大変重たい政策である所得税、住民税の定額減税という政策を用意をし、そして、それ以外の様々な政策も用意し、官民協力をして可処分所得を盛り上げる、こういった姿勢を示させていただいています。賃上げと所得減税を始めとする政策の組合せ、官民の連携の強い覚悟を示す上で重要だということを申し上げております。

 そして、ただ、この物価高騰、外生的な大変な物価高騰に最も苦しんでおられる低所得者の方々には迅速に給付を支給する、増額する、そして、エネルギー激変緩和措置は継続する、こういったことで生活を支えていく、この組合せが大事だということを申し上げております。

逢坂委員 官民の覚悟を示す、組合せが大事だ、でも、なぜ減税と組み合わせるのかの説明は、私には、一切なかったというふうに思いますよ。理解できましたかね、多くの国民の皆さん。私だけが理解できないのかもしれませんが、それじゃ国民の皆さんは本当に理解できたのかどうか、後でこれは検証されるでしょう。

 私は、減税というのは別に政策としてあり得ると思いますよ。ただし、やはり、税制全体を見る、あるいは社会保障の仕組み全体を見た上で、本当に所得の再配分がうまくいっているのか、あるいはまた、国民の皆さんの税や社会保険料を支払う能力、担税力と言ってもよいかもしれません、担税力の観点から見て適切な税制や社会保険の仕組みになっているのかどうか、そういう大局的な観点からこれを見て、だったらここは減税だ、将来はこういう税体系、社会保険の体系にしなければならない、だから税制を直しましょうということが私は王道だと思いますよ。選挙や国民の皆さんのちょっとの歓心を買うために減税するなんというのは邪道ですよ。私はそう思います。

 総理はそう思っていないのであれば、これからも是非、減税が、どうやって正しいのか、給付と組み合わせることでどういう効果が出るのか、徹底的に国民の皆さんに向かって説明していただきたいと思います。

 それと、先ほど来、与党の議員の皆さんからも、給付と減税を組み合わせたことで自治体の現場の事務量が大変だという話が出ています。これは本当に深刻ですよ。こんなの簡単にできません。私も自治の現場にいましたから。減税と組み合わせたことによって給付が複雑になって、しかも、減税は来年だけで終わらない、再来年も続く、こういうことをやってしまった。これから制度設計されるんでしょうけれども、相当困難があるというふうに私は思います。

 そこで、総理、今回の減税で可処分所得が増えるというふうに総理は言うんですが、可処分所得というのは単に増えただけでは意味がないんですよ。それが消費に回ることが大事なんですね。これは、今回の減税で、可処分所得、お一人四万円増やすと言いますが、消費にどのぐらい回るとお考えですか。

岸田内閣総理大臣 当然のことながら、経済は生き物ですから、定量的に消費にどれだけ回るかということは申し上げることはできません。

 しかしながら、賃上げが盛り上がっていく途上である来年においては、物価をはるかに上回る可処分所得を確保するためには、賃上げだけでは十分とは言えない、政府もしっかりと強い覚悟でもって可処分所得を盛り上げる政策を用意しなければいけない、この合わせ技が重要である。

 消費に回るためには、物価を十分に上回るだけの可処分所得がなければなかなか消費に回らない、これは委員御指摘のとおりであります。ですから、この賃上げ、道半ばである来年において可処分所得が消費に回るだけのしっかりとした余裕を確保するためにも、民間の努力と併せて政府の努力が必要である。そのことによって、十分に物価を上回る可処分所得を用意して消費につなげ、そしてその消費が企業の収益につながり、そしてそれが次の賃上げにつながる。この好循環を維持することが大事だと申し上げています。

 来年の段階で消費が中折れしてしまうと、この循環が再来年につながらない、デフレから脱却できない、こういったことにはしてはならない。こういった覚悟をこの経済政策の中で申し上げております。

逢坂委員 総理が言う、物価を上回るレベルで可処分所得を増やしていくということは、それは大事なことだと私も思います。しかし、その可処分所得、増えた分がどの程度消費に回るかということは確定的なことは言えないという総理の答弁がありました。そんなあやふやなことで、この減税、四兆円近いものをやるんですか。私には理解できない。

 減税の後に増税が来ることは、国民の皆さん、承知しています。社会保険料も増えるのではないかというようなこともありそうです。これはまだ確定的ではありません。となれば、今回、可処分所得が増えた分、貯蓄に回す方も私は多いのではないかというふうに思います。

 私は、だから、同じ可処分所得を増やすのであっても、やはり、消費に回るような可処分所得の増やし方をすべきだということを前も提案させていただきました。それが教育の無償化なんですよ。

 教育の無償化は、実は、子育て世代の皆さんや若い世代の皆さん、総理も御承知だと思います、限界消費性向が高い、要するに増えた分の所得を消費に回しやすい世代なんですよ。そういう方々の可処分所得を増やしてあげる、給食を無償化する、授業料を無償化する、大学の奨学金も返済不要のものにする、最終的には大学の授業料も無償化する、そういうことでそのお金は消費に回るんですよ。

 しかも、この規模は年間三兆から四兆です。今回の減税の額と同じぐらいなんですよ。となれば、消費に回る可能性が高い、しかも、将来、今日よりもあしたの日本がよくなる可能性が高い教育に投資をする、これこそが、私は今やるべきことだと思いますよ。

 減税で四兆円ばらまくよりも、教育の無償化を行って、その方が可処分所得も増え、日本の将来にもプラスになる。

 総理、答弁、反論ありますか。反論ありましたら、どうぞ。短くお願いします。

岸田内閣総理大臣 いや、反論ではありません。

 委員がおっしゃるように、教育、これは、消費の拡大等においても教育費を考えること、大変重要だということ、私も認識をしております。

 この経済対策と併せて、今年、もう年初から議論しております子供、子育て政策の中で、そして特に加速化プランの中で、しっかり財源を確保して、教育を含めて子供、子育て政策を進めていこう、これを並行して進めているわけであります。こうした教育における負担軽減、これも消費との関係においても重要だということ、私も認識しているからこそ、こういった政策を並行して進めているわけであります。

 全体として国民の安心につながって、結果として消費が拡大する、こうした社会経済をつくっていかなければならないと考えております。

逢坂委員 もし総理がそう考えているのであれば、政策の優先順位が違いますよ。もっと精査をされた方がいいと私は思います。

 総理、お手元のこのグラフを見ていただけますか。6のページになります。これは、先日、私どもの近藤和也議員が示したグラフです。

 これは、何のことはない、今まで発表されている数字をグラフ上にプロットしたものです。何の新しいデータでも何でもありません。しかし、こうやって可視化されると、日本の一次産業がいかに先細っているか、どんどんどんどん縮小されてきているかということが一目瞭然に分かるグラフです。本当に大変な状況ですよ。このグラフを示されて、先日、近藤和也議員の質問に総理が余り危機感を感じていなかったのは、私は非常に残念でした。

 それで、御承知のとおり、日本の食料自給率は三八%です。その三八%の食料を支えている化学肥料、これはほぼ一〇〇%輸入です。そうなれば、日本を懲らしめるためには、武器で懲らしめる必要はないんですよ。化学肥料の輸出を止める、食料の輸出を止める、そうすれば日本は大混乱に陥るんですね。こういう危機的な状況にあるんですよ、総理。

 このグラフから、これまでの農業政策、一次産業政策によって日本が随分と先細ってきた、そして今、危機的な状況にある、これに対する総理の御認識はいかがですか。

岸田内閣総理大臣 農林水産予算についての資料の提示、御指摘、まず、それはそのとおりであります。

 そして、中身を考えた場合に、日本の財政は、社会保障費、社会保障関係予算、これが年々増大し、財政が厳しくなる中にあって、農林水産関係予算については公共事業を中心に抑制をしてきた、こういった経過をたどってきました。その経過の中で、担い手への農地集積、あるいは輸出促進、こうした農業の所得確保、こうしたものに努めてきた、これが農林水産予算のありようでありました。

 引き続き、食料安全保障の観点からも、国内生産の拡大など、予算をいかに効果的に使っていくのか、これを政府としても関係者とともに考えていかなければならないと考えております。

逢坂委員 総理、この場を取り繕うためだけの、官僚から出されたメモを見るような答弁だから駄目なんですよ。

 確かに、農業基盤整備の予算は減ってきていますよ。だから、全体の予算が減っているのはその影響もあるでしょう。

 しかし、よくグラフを見てくださいよ。農地面積は減り続け、農業や漁業に従事する人は減り続け、自給率は減り続け、漁業の養殖の生産量も横ばいから減り、実態がそうなっているじゃないですか。農業の公共事業を減らしたからこうなんだということではないんですよ。だからもっと危機感を持つべきだというのが私の思いです。

 食料を確保するというのは、自立した国のためには必須です。これからここについては私もまなじりを決して取り組んでいきたい、そう思っております。

 さてそこで、次ですが、先般、政治資金の問題についていろいろ取り沙汰されました。あのときに私は本当に耳を疑ったんです。この委員会でもそうですし、それから理事会でもそうです。自民党の派閥と自民党は別なんだという話が何度も何度も出てくるんですよ。

 確かに法律上は別でしょう。法律上はその他の政治団体、自民党は政党です。だけれども、そんな別だなんという話を国民の誰が真に受けますか。そんなに別だ別だと言うのなら、みんな分党して、それぞれ別の党になればいいじゃないですか。違いますよね。だからそれは、それはまた違うと言うんだったら、何であんな答弁をするんですか。

 そこで、総理、ちょっと細かいお願いなんですけれども、岸田派についてちょっとお願いがあります。

 総理から先日、各派閥、幹事長を通して、この政治資金収支報告書の問題をきちんと説明するようにという話がありました。

 一つ、説明のタイミング。次の集中審議、十二月の四の週にもあるというふうに言われていますので、次の集中審議に間に合うまでにこれはきちんと整理をして説明をしていただきたい。

 それからもう一つ、この説明の仕方です。単に収支報告書を直しましたよという説明ではなくて、きちんと受け答えのできる、そういう説明の仕方をしていただきたい。

 それから、最後、今回の記載漏れは主に政治団体です。業界ごとの政治団体、医療に関する政治団体とかいろいろな政治団体なんですけれども、個人とか一般の企業で二十万円以上の記載漏れがなかったのかどうか、これもしっかり確認をしていただきたい。

 以上、お願いを申し上げます。岸田派についてです。

岸田内閣総理大臣 まず、党とそれぞれの政治団体は一緒ではないかという御指摘でありますが、これは、言うまでもなく、法的に、そして収支の手続も別であります。事実、私自身、ほかの派閥の収支について、内容は全く承知しておりません。

 しかしながら、この委員会でも御指摘がありましたように、国民はどう見ているか、こういった指摘がありました。そういった指摘も受けて、私としては、幹事長に対して、各政治団体に対して説明を尽くすようにということをしっかりと伝える、こういった指示を私から行った、こういったことであります。

 そして、時期、内容、これについて御指摘がありました。

 内容については、私の派閥につきましても事務担当者がこの実務を担っているわけですので、今、内容についてもいろいろな御指摘がありました。それに答えるために、しっかり精査をさせたいと思います。

 そして、できるだけ早く、準備ができ次第説明をする、これはしっかり指示をしたいと思いますが、何日までにこれを終えろということについては、私自身、この場で申し上げることは難しいと考えております。

 御指摘の内容とそしてタイミング、これもしっかり念頭に置きながら、できるだけ速やかに対応をさせたいと考えております。

逢坂委員 終わります。ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 本日は、締めくくり質疑ということでございますので、総括的に質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっと入る前に、西村大臣、また自見大臣、是非、万博、しっかり私たちも頑張りますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今日も何か立憲の大阪の議員、あるいは一昨日も立憲民主党の議員がこんなことをおっしゃっていました、無駄にまみれた大風呂敷万博。無駄にまみれた大風呂敷万博、こういうのを下品なレッテル貼りというんです。いわゆる万年野党の定番の芸風です。

 総理、こういう、事実はしっかりチェックしたらいいですよ。しかし、かつて、最近自民党もやられませんが、労働市場改革をやるときに、何か首切り法案だとか残業代ゼロ法案だとか、それで国会がぐちゃぐちゃするということが続きました。ああいう事実に基づかない下品なレッテル貼りは、私は、やはりちゃんと反論していく。この国会からそうしたことは排除、まあ、排除しなくてもいいので、言論の自由だから自由ですけれども、そういうレッテル貼りに負けずにしっかりやり遂げていく。

 そういう万年野党の下品なレッテル貼りはけしからぬと、ちょっと、総理。

岸田内閣総理大臣 政策について議論する際にどう表現するか、これは国会における闊達な議論を促進するという意味で、決して、こういったものはいけないとか、制限することは控えなければならないと思いますが、国会の議論の場は国民の皆さんが見ておられるわけでありますから、やはり、国会において、しっかり品位を保ち、信頼を保つ議論を行っていくことは重要であると考えます。

足立委員 私はこの四、五年は上品にやっておりますので、御理解を賜りたいと思います。

 さて、総理、今回の補正予算については賛否が割れます。報道によると、我が党以外にも、報道はちょっとよく分からないけれども、いろいろ仄聞するところによると、立憲、共産は反対だということを聞いています。

 今回の補正予算の賛否は、私は、いわゆるこの国会で、様々な政党が参加をしているわけですけれども、いわゆるマクロ経済、デフレからの脱却、マクロ経済に深い理解がある政党と、マクロ経済が分かっていない政党が線引きされる賛否だと思うんですね。

 やはり三十年ぶりのデフレからの脱却を成し遂げるということがいかに重要か、今、その正念場にあるんだということを総理は再三おっしゃっているわけであります。もし岸田内閣においてデフレからの完全脱却を成し遂げることができれば、まさに岸田総理は、三十年、五十年に一度の、一人の名宰相として歴史に名を残すと私は思います。

 是非、デフレからの脱却、やり遂げるという決意を、一言で結構です、お願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 三十年近くにわたって、賃金が上がらない、物価が上がらない、また投資も進まない、こうしたデフレの悪循環と言われる状況が続いてきました。今、ようやく明るい兆しが出てきた。これを来年、再来年にしっかり続けていくことが、日本の経済を新しいステージに押し上げることになります。デフレを脱却し、そして成長と分配の好循環が機能する経済を実現したいと強く願っております。

 そのために、政府としましても、民間に協力はお願いしますが、自らも最大限の政策を総動員して、官民挙げてデフレからの脱却、実現したいと考えています。

足立委員 是非、私たちも、補正予算も含めてしっかり協力を、そこは、その点はしていくということであります。

 ただ、まさに補正予算は解熱剤というか対症療法というか、今まさに、物価高と賃金、その間を埋める対症療法ですから、やはりその先に大事なのは、私たちは、構造改革、まさに現役世代の可処分所得をしっかりと確保していくための構造改革だと思うんですね。

 これはちょっと私の方で作らせていただきましたが、世帯の収入階級別の税、社会保険料負担の負担率のグラフであります。

 一人世帯やいわゆる無職の世帯も入ったグラフは恐らく本邦初公開でありまして、厚労大臣、これは委員会でもやらせていただいて、あの後、大臣の御指導の下、実は厚労省、財務省の監修も得まして、決定版として今日初公開をさせていただきましたが、ちょっと武見大臣、これはなかなかよくできているんだと、一言お願いします。

武見国務大臣 私としても、社会保険の給付や負担の仕組みについて国民の皆様方にしっかり御理解いただくために、やはり統計学的に様々な仮説に基づいてデータを集めて、そしてエビデンスに基づく政策決定をするというときに、委員御指摘の資料というものについて、改めて私どもの方も御指導いただきながら整理をして、その結果として今回のこのデータができ上がったと承知をしております。

 したがいまして、こうした社会保険の負担構造について、現在入手し得る統計データに基づいて、一定の仮定を置いた上で推計した一つの形として、私は大変評価をさせていただいております。

足立委員 御評価をいただきまして、ありがとうございます。

 是非、国民の皆様も、あるいは同僚議員の皆様も、これは足立事務所作成でありますが、著作権は主張しませんので、拡散をしていただきたいと思います。

 このグラフで私が何を言いたいかというと、やはり社会保険料の厚さというか大きさですよ。これがやはり構造的な可処分所得の圧迫材料になっている。

 今回、オレンジと黄色のところが社会保険料です。上の、累進性の高い所得税、その一番上が住民税、こうなっているわけでございますが、まさにこの上に、今回、少子化対策で実は支援金が乗ってくるんですね。枠内とかいろいろな議論があるのは承知していますが、私たちは、やはり社会保険料はもう限界だ、現役世代にとって。

 皆さん、このグラフ、黄色いところが、ちょっと右の方が下がっているでしょう。なぜ強い逆進性が、消費税以上の逆進性が社会保険料について発生しているかというと、上限が設定されているんです。賦課限度額が設定されております。なぜ社会保険において賦課限度額が設定されているかといえば、そうしておかないと納付意欲がそがれるからです、国民の。給付、受益と負担の関係もあります。

 ところが、これがどんと膨らんでいるのは、今日資料でもお配りしていますが、例えば、後期高齢者への支援金が莫大なものですから、それがここを膨らませているということもあるわけですね。

 私たちは、このカーブにおける黄色いところ、オレンジのところ、社会保険料の本人負担分と雇用主負担分の規模は、もう現役世代にとっては限界だと思いますが、総理、いかがですか。

武見国務大臣 御案内のとおり、全世代型の社会保障の中で、後期高齢者を含めて、応能負担という形で、こうした所得の再分配、さらに給付と負担の在り方というものも、今まさに整理をしているところでございます。

 この考え方に基づきまして、実際に、現役世代の負担というものがこうした高齢者に関わる負担を超えることがないように、一定の歯止めをする法律は策定をして、そして、そこの限度に関する一つの形は確立をさせていただきました。

 その上で、実際に、後期高齢者の中でも、所得の高い方と低い方との間での所得の再分配の仕組みも改めてつくるということを今現在検討をして、その中で、持続可能性の高い仕組みに確実にしていくということをやっているところだということを御理解をいただきたいと思います。

 したがって、その中で、是非、委員にも、こうした全世代型の形の中での応能負担の制度の設計というものについての御理解をいただきたいと思います。

足立委員 今、武見大臣が答弁に立たれました。これはまさに、今、社会保険の枠内で応能負担ということを入れていく、そういう議論だと思います。

 先ほど、このグラフを見ていただいても、やはりこれは、私たちは、社会保険と税、税を封印するんじゃなくて、社会保険と税。かつて、社会保障と税の一体改革ということがありました。私は、改めて社会保険と税の一体改革、私たちは税と社会保障と労働市場の三位一体改革と申し上げていますが、改めて社会保障と税の一体改革に取り組んでいく必要があると考えますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の社会保障と税の一体改革ですが、そもそもこの改革は、社会保険料負担の増大、あるいは財政状況の悪化等を踏まえて、少子高齢化などの社会課題に対応した社会保障の充実について、安定財源を確保しつつ、受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度、これを確立するための取組であると認識をしています。

 岸田政権においては、少子化対策の当面の集中的な取組に際しても、歳出改革を複数年にわたって継続することによって、これによって得られる公費の削減等の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないこととしております。これは、一体改革と考え方の基礎を同じくするものであると考えています。

 社会保障と税の一体改革については、持続可能な社会保障制度を確立するための継続的な取組であると思っています。これからも、年金、医療、介護、あるいは少子化対策、こうした制度あるいは政策、これが十分機能し、結果として国民の安心につながっていく、こうした取組を進めていきたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。まさに私が総理に確認をしたかったことが確認をできました。

 社会保障と税の一体改革、我が党は税と社会保障と労働市場の一体改革、これでまたプランを競い合ってまいりたい、こう思います。

 今日、社会保険の話をしましたが、この社会保険料、一番圧迫しているのは、年金はマクロ経済スライドということが入っていますので、医療であります。

 私たちは、特に後期高齢者医療制度、後期高齢者にふさわしい診療報酬体系の導入とか窓口負担改革とか、あるいは、所得だけではなくて資産ベースを重視した給付と負担の改革といった医療構造改革を断行していくべきと考えますが、総理の見解をお願いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の医療の構造改革に取り組むことで、税負担あるいは社会保障負担、これを抑制し、現役世代の可処分所得を向上させ、そして経済の好循環につなげていく、これが重要であると考えています。

 このため、岸田政権においては、少子化対策の当面の集中的な取組についても、先ほど申し上げましたように、実質的な追加負担を生じさせない、こういった工夫を行ってまいります。こうした努力は、安倍政権以来継続している、医療、介護の効率化や負担の適正化を通じた全世代型の社会保障制度構築に向けた構造改革の取組を継続、そして強化するものであると考えています。

 御指摘の医療構造改革について、高齢者にふさわしい診療報酬体系や資産を重視した負担といった点については、アウトカムに基づく診療報酬の支払いの導入等の推進、あるいは資産の保有状況を適切に評価した負担の検討、これらについても、既に改革工程表二〇二二で取り組む方針を示しております。窓口負担改革については、昨年、後期高齢者の負担割合の見直し、これを実施しております。

 引き続き、給付と負担の改革についても、聖域を設けることなく、全世代型の社会保障の実現に努めてまいりたいと考えます。

足立委員 聖域を設けることなくと御答弁をいただきました。ありがとうございます。しっかりそれを注視していくし、私たちも積極的にプランを提言していきたい、こう思います。

 間もなく時間になりますが、ちょっと一つ気になっていることがありまして、一昨日、国民民主党の玉木代表と総理の間で、トリガーの何か検討ということになります。私、反対じゃないんですよ。これは実現できるならどんどんやったらいいと思うんですけれども、総理は、出口戦略を考える中でとおっしゃいましたね。

 それは、かつて、例えば昨年の春までずっとトリガー凍結解除を自民、公明、国民で検討してきたけれども、これからも継続して検討しようねみたいなことで、むにゃむにゃむにゃと来ているわけです。

 もう何回もトリガーというのはニュースになるんですね。私も、やるならやったらいいんですけれども、やらないんだったら、一々もう紙面を取らないでほしいんですよ。だって、トリガーの紙面が出ることによって、より本質的、構造的な社会保険料のニュースの紙面が減るんですよ。

 去年、おととしやってきたトリガーの検討とおとつい御指示されたトリガーの検討、何か違うんですか。

岸田内閣総理大臣 今回の総合経済対策の中で、エネルギーの激変緩和措置については来年の四月末まで延長し、五月以降縮小していく、こうした方針を示しています。この方針はしっかりと実行してまいりたいと思っています。

 しかし、この激変緩和措置についても様々な評価があります。その先についてどうあるべきなのか、これについて、トリガーも含めて、与党とそして国民民主の政策責任者の間で議論をする、検討をする、こうしたことは有意義であると申し上げたところであります。

足立委員 僕、多分できないと思いますよ。だって、トリガーというのは、入って出るわけでしょう。出口戦略にならないんですよ。例えば、二十五円以上の補助金がある中で、補助金と暫定税率、当分の間税率を入れ替えて、それで暫定税率、当分の間税率を廃止するんだったら出口戦略になりますよ。でも、トリガーをそのまま発動したら、入口でまた、入口というのは、そのトリガーの入口と出口が発生しちゃうから、全然出口戦略にならないんですよ。

 だから、出口戦略でガソリン税の話を議論するんだったら、それは民主党政権の出来の悪いトリガー条項じゃなくて、暫定税率、当分の間税率の廃止でなければならないと思うんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今のエネルギーの激変緩和措置についても、物価対策としての意味、一方で脱炭素との関係など、様々な議論があります。そして、そういった議論の中で、来年四月末まではこれは間違いなく継続するとお約束をしたいと思います。その後、縮小を考えていくということを申し上げています。

 その先において、今言った論点等も含めた様々な議論の中で、具体的にどうしていくのか、こういった議論を行うことは有意義であると思っております。是非、委員会で、与党と国民民主の間で議論を、政策責任者の間で議論をする、これは有意義だと申し上げました。議論が行われ、そして国民の生活を支える結果につながることを期待しております。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、ガソリン税について来年度何かそうやって措置するのであれば、法律も改正しなければならないし、それから、この年末の税制改正大綱で決めなあきませんね。だから、何か昨日かおとついか指示されて、自公国で検討するんだと言っているけれども、もう来月しかありませんよ。

 しっかりと、やるならやる、やらないなら、何かそういうおためごかしの、何となく国会の茶番みたいなことは、紙面を取りますので、そういうことはもう控えていただいて、本質的な対論をしていけるように我が党も頑張ってまいりたいと思います。

 本日は、大変ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて足立君の質疑は終了いたしました。

 次に、守島正君。

守島委員 維新の会の守島です。

 締めくくり質疑ということで、まずは総理に内閣の根幹である人事に関して伺います。

 現状、副大臣辞任が続いている中でも、総理は適材適所で閣僚人事を行っているとされています。

 優れた方がたくさんいらっしゃる自民党において、僕のような一期生が閣僚人事が適切かどうかということの判断はしかねますし、議員それぞれの身辺調査までできない中で、総理の任命責任をここで云々言うつもりはありません。

 とはいえ、総理の人事を見ると明らかに適材配置していないと感じるところがあります。それは、任期途中で辞めた閣僚の後任を、一年未満の短い期間で、すぐ替えることです。

 今、参考資料を配付させていただいておりますが、それを見てほしいんですけれども。資料に配付しております四つの大臣ポストは、この一年で辞任された四人の大臣がいたポストになりますが、私が指摘したいのは、この四人の大臣を継いだ閣僚で今回の内閣改造後に残った人がいないということです。

 総理は、途中で辞任された閣僚の後任人事をどのような観点で決めていますか。お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 仮に大臣が辞任した場合、まずは考えなければいけないのは、行政の停滞を招くことはあってはならない、速やかに後任人事を決定しなければならないということであります。

 その際に、当然、一般論ではありますが、当該大臣の所管分野の状況ですとか、あるいは、本人の経験、手腕、その他の候補との比較、こうしたことを考えながら任免するということであると考えております。

 いずれにせよ、長い短いと、何か月であれば長いか、何か月未満は駄目だというものではないとは思いますが、その当時の状況、さらには、その時点で重要視される課題との関係において、候補者の経験や手腕等をしっかり念頭に置いて、そして、冒頭申し上げた政策の継続性が確保されるよう人選を行う、これが重要であると考えています。

守島委員 速やかな後任人事ということは、その後すぐまた替えられるということは、暫定大臣のような形で任命しているという理解でもいいですか。

岸田内閣総理大臣 決してそういう意味ではありません。速やかに経験等を踏まえて人選を行う、そして職責を果たしてもらう。そして、次また人事の時期においては、政策課題の変化等もしっかり踏まえて考えていくということであります。必ず替えるというものではなくして、政策課題を踏まえながら、候補者の経験とか手腕をしっかり判断したいと考えております。

守島委員 総理はそう言うんですけれども、後任として充てられた大臣が特段の瑕疵もないのに一年もたたずに交代させられる現状、僕、本当に適材適所なのかなということは疑問が湧いています。今回の初入閣十一人のうち九名の方々がいわゆる待機組ということで入閣されておりまして、やはり派閥順送り人事というのがなされているんじゃないかなというふうに、外形的に見て取れるかなというふうに思っていて。

 私はこの臨時国会までは総務委員会の理事をやっていたので、総務大臣を例に挙げますが、僕が議員になってこの二年で、金子大臣、寺田大臣、松本大臣、鈴木大臣と、もう四人目です。

 この間、総務委員会で、私も四つの議員立法を作成、提出して、質疑等を通じて大臣に要望とか議論をしてきたつもりです。

 例えば、地方議会のオンライン化とかは、松本大臣の下で総務省の通達を、善処してもらえるようなことがありまして、一定の質疑を通した進展も見て取れたかなというふうに思っているんですが。

 もちろん、僕自身も松本大臣を暫定と思って質問したことはありませんし、都度真摯に質問に対応してくれたというふうに思っています。

 こうした大臣との積み上げとかでよりよい制度というのをつくっていくことが建設的な国会質疑と思っているんですが、このようにすぐ大臣が替わってしまうと、議論の継続性、さっき総理も継続性を言われましたけれども、そこに支障が出ると思っていて。幾らこっちが建設的な質疑をしても、大臣がころころ替わってばかりでは、事業の方向性も定まらないし、スケジュール管理もおざなりになるんじゃないかというふうに危惧しています。

 この二年間、いろいろな議論を大臣としてきましたが、例えば総務省でいうとインターネット投票なんかは、国内投票は政府は及び腰なのは認識していますが、在外投票については導入に前向きだったと思います。

 実際に、五年前の二〇一八年に、総務省の有識者会議で、在外投票に関しては一定対応策を講じることでインターネット投票におけるハードルはクリアできるという報告書を取りまとめられたことを受けまして、二〇一九年から今に至るまで、総務省は実証実験であったり検証を繰り返してきました。

 その後、林大臣であったり河野大臣らは次の国政選挙で実施をするという示唆をしていたにもかかわらず、さきの通常国会にも本国会にも法案も上がらず、最近は具体的な進捗すら見えてきません。

 そもそも、政府は、在外邦人の国民審査の裁判のときに、郵送とかに時間がかかって技術的に不可能というような訴えをしていたように、誰よりも在外投票における郵送上の問題とかネット活用の必要性というのを認識しているはずなんです。

 にもかかわらず、遅々として具体的なフェーズに移行されない状況を見るに、やはり、先ほど申し上げたように、一年スパンというか、一年に満たないスパンで大臣が替わってしまい省庁のトップが定まらないことが、組織の動きを鈍化させますし、役所もどこを向いていいか分からない、業務マネジメントに支障を来しているんじゃないかなというふうに感じてしまうんですね。

 あくまで総務大臣に関してですが、安倍総理の時代は、野田大臣、今日いらっしゃいますが高市大臣とか、複数年務めている方が多かったように記憶しています。

 これから更に、あってはならないことですけれども、大臣が辞任されること、閣僚が辞められることがあるかもしれませんが、組織がトップの指揮系統の下で機能的に動くには、やはり継続性も含めた人事というのが僕は大事だというふうに思っていますし、一年未満で適材適所というのは無理があると思いますし、各省庁のパフォーマンスを考えれば、やはり中長期の人事ビジョンを持つべきというふうに思っていますので、このことは、前向きに、総理の人事の範疇でできることだと思いますので、今後の閣僚人事の方針を総理に聞かせていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の、松本大臣、十か月の在任期間、これが長いか短いかは申し上げませんが、先ほど申し上げましたように、後任人事を考える際に、本人の経験や手腕と併せて、内閣全体のバランスですとか、さらには、やはり、新たな経験や手腕を持つ人材にも活躍してもらう、こういった観点も求められると思います。

 ただ、いずれにせよ、委員御指摘のように、継続性に問題があるというような指摘を受けることはあってはならないと思います。人事については今申し上げたとおりですが、政策の継続性、こういった点について指摘を受けることがないようにそれぞれの大臣が努めなければならない、こうした点は謙虚に受け止めたいと思います。

守島委員 ありがとうございます。

 ここにいる各委員、それぞれの大臣に、真摯に前向きに自分の提案を取り入れてほしいというふうに、議論していて、それが、都度ころころ大臣が替わってしまうということに関しては僕たちも残念に思っていますし、派閥順送り政治は組織内の統治ロジックでは大事かもしれませんが、国民にとっては結構どうでもいいことなので、内閣の支持率が低い今だからこそ、やはり適材適所ということを総理には優先して人事を決めていただきたいというふうに進言申し上げます。

 加えて、在外ネット投票の話をしたので、大臣によって温度感も違いますし、大臣も替わってきたこともありますので、総理がリーダーシップを取って、内閣一致して、一丸となって進めてほしいと思います。

 時間がないので、次に移らせていただきます。放送関連について伺います。

 ジャニー喜多川氏による性犯罪について、この問題を黙殺してきた新聞、テレビなどマスコミの姿勢が今問われているんですけれども、裁判で同氏が有罪となり性犯罪の事実認定がなされたことすら当時ほとんど報道がされず、この性犯罪をマスコミが黙殺してきたことは、被害が拡大してきた要因になっていると感じています。

 そもそも、スポンサーや所属事務所等への配慮により、あえて放送事業者が放送しないということが、これは放送法に抵触することはないのか、総務大臣の認識を聞かせてください。

鈴木(淳)国務大臣 お答えします。

 放送法は、放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっておりまして、放送事業者は、放送番組の編集に当たりましては、報道は事実を曲げないでするほか、報道番組を含めて、その放送番組の編集の基準を定め、それに従って自らの責任において放送番組の編集を行うものとするとなっております。

 こうした枠組みの中で、個別の放送番組の編集につきましては、例えば報道内容についての自主的な検証を実施するなど、それぞれの放送事業者において適切に対応されているものと考えております。

守島委員 放送事業者において適切にということで、スポンサー等の干渉ということは明言はされなかったんですけれども。

 例えば、放送事業者が自発的に配慮して報道しなければ、結局報道されない結果になりますし、それは国民の知る権利を脅かしていることになるんじゃないかなというふうに思っています。

 例えば、あるメーカーが重大な事故を起こして、それがスポンサーになっているからということでニュース番組で一切報道しないということが起こり得てしまいますし、一般論で言うと、大きな事故というのは報道されるべきで、十分に報道を提供するということもプレスが負うべき責務であるはずですし、業界全体で情報提供をしないということはあってはならないことです。

 今回のように各社が一斉に芸能事務所に配慮した結果、新聞でもテレビでも性犯罪がほとんど取り上げられず、こうした配慮が業界とか系列に広がっていたことは、新聞社が放送局の親会社であるというゆがんだ資本関係にあることとか、放送業界が新陳代謝の進まない、特定プレーヤーで構成され続けているということがその要因になっていると考えますが、最後に、時間なのでお伺いします。

 実態として骨抜きになっているマスメディア集中排除原則を見直してマスコミのクロスオーナーシップを今以上に規制することとか、電波オークション制度の導入を放送分野へも拡大し新規参入を促進すべきと考えますが、総理の見解をお伺いします。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、申合せの時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 クロスオーナーシップ等について御質問がありました。

 新規参入という問題意識かと思いますが、現行の資本規制あるいは周波数の割当て方式でも、大半の地域で複数の民放が視聴可能となっていることなど、多元性、多様性、地域性は確保されていると承知はしておりますが、時代の変化に応じて変革が必要という認識の下、引き続き見直しには努めていかなければならないと思います。

 新規参入のニーズが実際にあるかどうか、こういったことを把握することも含めて、必要な制度整備等の検討を不断に進めてまいりたいと考えます。

守島委員 ありがとうございました。共に具体的な変革を目指していきましょう。

 以上で終わります。失礼します。

小野寺委員長 これにて守島君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 会派を代表いたしまして、質問をさせていただきます。

 まず一点目、中東情勢に関して、総理大臣にお話を伺いたいことがあります。

 本日の日本時間の午後二時から一時的な四日間の停戦が始まるということでございまして、その点に関しては一歩前進したかと思いますけれども、今回のイスラエルとハマスの間の戦闘によって、本当に多くの民間人が双方で亡くなっています。そして、特に人数が多くなってしまっているのが、パレスチナ側、ガザ地区でのパレスチナ人の方々の犠牲でございます。これは同時に、国連職員であったりプレスの方も亡くなっていますので、大変凄惨な状況になっているわけでございます。

 テロ行為が許されないのは、これは当然のことでございますけれども、それと同様に、民間人を巻き添えにして軍事攻撃、武力行使を行う、このことも私は許されないことだと思います。

 法的な見地に関しての答弁は求めませんので、総理大臣に伺いたいこと、それは、日本の総理大臣として、日本はそんなに遠くない過去に国土が焦土と化して、大都市は焼け野原となりました。そして、広島と長崎には二発の原子爆弾が投下をされて、本当に多くの民間人の犠牲を第二次世界大戦で経験したわけでございます。その経験も踏まえて、やはり日本国の総理大臣として、G7の議長国でありますので、影響力が特に今年はあると思います。

 こういった攻撃に関して、民間人に被害が生まれてしまっていることに関して、私は、総理大臣のお気持ち、どういうふうに捉えているのか、どう考えているのかということを是非とも発信をしていただきたい。イスラエルには民間人を巻き添えにした攻撃をやめていただきたいし、そのことが中東平和の第一歩になるとも思いますので、是非とも総理大臣のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、ガザ地区においては、子供、女性、高齢者を含む死傷者が多数発生しており、私自身も深刻な懸念を持ちます。

 そして、イスラエルに対しては、これまで、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難する、これは伝えた上で、一般市民の保護の重要性、国際人道法を含む国際法に従った対応、人道的休止、そして人道支援活動を可能とする環境の確保、これを要請してきたところです。

 そして、委員御指摘のように、イスラエルとハマスの間で、日本時間二十四日十四時から戦闘を休止し、同日の二十三時頃、日本時間ですが、五十名の人質のうち、第一弾として、女性及び子供を含む十三名の解放、これが実施されると承知しております。これは、人道状況の改善に向けた重要な動きであると歓迎いたしますが、引き続き、着実に実施されることを期待したいと思います。

 いずれにせよ、全ての当事者に、国際法の遵守、そして、我が国も賛成して採択された安保理決議、これを誠実に実施し行動する、これを求めていかないとと思います。その上で、人質の即時解放、人道状況の改善、事態の鎮静化に向けて、我が国としての外交努力を積極的に続けていきたいと考えます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 懸念を抱いているということをおっしゃっていただきましたけれども、やはりできるだけ強く働きかけを、当然パレスチナ側のハマスの取締りは必要だけれども、イスラエルにも働きかけていただきたいというふうに考えております。

 一万数千人の犠牲者がパレスチナ側で出ていて、その四割は子供というふうにも報じられています。こういった攻撃を止めるということが、私は、日本国民の願いであり、良心であると思いますので、他国で起こっていることだから関係ないと思われる方はいらっしゃらないと思います。是非ともそういった思いも受け止めていただいて、日本の外交、平和を実現するためにも引き続き取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、補正予算に関連をした質問に移らせていただきたいと思います。時間もありませんので、財政運営に関してのみお伺いをしたいと思います。

 今回の令和五年度補正予算案の財源の約七割は新たな国債発行で賄われる、約九兆円ということになります。

 今年の七月二十五日の経済財政諮問会議で示された内閣府の試算では、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化、この目標が今堅持されているわけですけれども、この試算でも、成長ケース、楽観ケースでも、PBの黒字化は二〇二五年度にはできないという試算になっているわけでございまして、これに加えて、今回、更に国債を発行して財政状況が厳しくなるわけでございますけれども、その二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化の目標というのは、これは引き続き堅持をされるということで、総理、よろしいのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、結論から申し上げますと、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、こうした財政健全化目標、引き続き維持をいたします。

 私の経済政策の基本は、従来から申し上げておりますように、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして財政健全化に取り組んでまいります。

 今回の経済対策においても最優先にしていることは、デフレからの脱却であり、経済成長を成長軌道に乗せるということであり、経済が成長してこそ税収も増えて、そして財政健全化につながる、こうした考え方に立っています。

 だからこそ、合わせて五兆円となる特定目的予備費を半減し、これも財源に使う。さらには、令和四年度第二次補正予算より着実に、国債発行による公債金収入、これを抑制するなど、平時の歳出に向けた道筋を示しているところであります。年末までの予算編成過程でも、更なる歳出構造の平時化を検討してまいりたいと考えています。

斎藤(ア)委員 デフレ脱却、賃上げ、経済の再生、これはもちろん重要なことでございまして、我々も大賛成でございますけれども、そうではなくて、政府が示している目標が、これは絶対実現できないだろうとみんなが思っているのに、目標は堅持されてしまう。それで、財政が今後どうなるのか国民も分からないということで、私は不信が高まっているんだというふうに思います。

 先ほども少し申し上げましたけれども、この内閣府の試算、二〇二五年度は黒字だという試算ですね、楽観ケースでも赤字なわけでございます。この楽観ケースに関しては、企業のイノベーションとかを反映した全要素生産性の数字がバブル期並みの極めてバラ色の試算になっているのに、それを使っているのに、それでも二〇二五年度のPBは赤字だと試算をされているわけですね。それなのに、いまだに、黒字化をする、目標を堅持するということは、これは市場関係者もとても無理だろうと思っているのに、そうすると更に不信感が高まっていくと考えていますので、こういった建前と本音が何か分裂しているような言い方を続けるのは、私は本当によくないと思っています。

 十一月二十日の財政制度審議会の建議、これは様々な物議を醸していますけれども、この中で一つ言われていることでこれは当たっているというのは、やはり、日銀のイールドカーブコントロールの柔軟化によって、今後、金利が上がっていくだろうと。

 そうすると、国債の利払い費が増えていく、そして、国債の価格が下がると日銀の含み損が生まれて、日銀が債務超過になるかもしれない、それの補填はまた政府が税金でするのかとか、大変厳しい財政運営がこれから行われることが想定される中で、国民の不安が高まっている。それなのに、減税をするだとか、あるいは増税をするだとか、もう何がどうなっているか分からない。

 そういう状況で減税を言われても、誰も信用できない、安心して減税された分を使うことも難しいと思いますので、これはやはり、正面から真摯に財政状況を説明して、この状況をどう切り抜けていくのかということを示していかないと、何をしても不信感というのは高まっていくと思うんですけれども、総理、これからどうやってこの財政を切り抜けていくおつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、内閣府の試算においても、歳出改革、構造改革、今まで続けている構造改革をしっかり続けていけば、成長ケースにおいては黒字化は可能だという資料であると我々は認識しております。ですからこそ、努力が必要だということを申し上げています。

 経済と財政の関係については、先ほど申し上げたとおりであります。デフレ脱却を完全に行うことによって、財政健全化にも資すると考えています。

 御指摘のように、金利が上昇するということになれば、利払い費の増加により財政に影響が出てくるおそれがある、これは御指摘のとおりであります。しかし、経済を優先して、そして財政についても考えていく、そういった取組の中で、金利についてもしっかり状況を把握した上で、そういったリスクもしっかり把握しながら適切なかじ取りを行う。結果として、マーケットですとか、あるいは国際社会の信認、我が国の財政の中長期的な信認を維持することが重要であると思います。

 大変厳しい条件の中ではありますが、今申し上げましたように、経済あっての財政だという姿勢で経済政策に取り組みながら、財政健全化に向けて努力を続け、そして、結果として、国際社会の、マーケットの信認を維持する、そうした財政運営が求められていると認識をしており、そういった考え方に基づいて、丁寧な、緻密な政策を積み上げていかなければならないと考えています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 もう既に国債市場の信用が相当下がってきているのが通貨に表れていると私は感じております。そういったことを国民も感じていると思います。GDPの二倍以上の国債発行残高があって、その半分は日銀が保有している。他国から見ても異常な状況になっているわけでございます。

 故安倍総理は、生前、幾ら借金を発行しても、全部日銀が刷ればいいんだということをおっしゃっていて、そういう立場に立たれるのであればこういった財政運営をしていることも理解できるんですけれども、恐らく、岸田総理はそうではないと思います。やはり、健全な財政を実現しなければならないと言っているのに、やっていることが真逆になってしまっていて、支離滅裂になって、何をしているか国民が分からなくなっている。

 私は、もうちょっと正直に、お気持ちをというか、考えをお示しをいただきたいと思いますし、ごまかすことなく、しっかりとこの財政についても向き合って財政運営の説明をしていただきたいと思いますので、時間になりましたので、これは意見として申し上げますけれども、是非今後ともよろしくお願いいたします。

 以上で終わらせていただきます。

小野寺委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 自民党の主要五派閥がパーティー券収入を政治資金収支報告書に不記載にして、裏金をつくっていたのではないかと刑事告発されております。

 配付資料にありますように、赤旗記者の取材に、複数の政治団体が、政治資金収支報告書の提出に当たって、派閥の側とパーティー券の金額について確認を行っていると答えております。政治団体の側から派閥の側に確認するケースもあれば、派閥の側からパーティー券を購入した団体側に幾らだよねと確認が来る場合もあるとのことであります。

 茂木派の事務総長である新藤大臣に伺います。

 平成研の収支報告書で不記載になっていた、全国介護福祉政治連盟、それと整形外科医政協議会、この団体は、政治資金収支報告書の作成の際に、派閥の側にパーティー券の金額の確認の問合せをしていると聞いております。平成研とパーティー券を購入した政治団体との間では、幾ら購入したのか確認のやり取りがあるんじゃありませんか。

新藤国務大臣 まず、個々の政治団体に関するお尋ねについて、政府にある立場としてお答えすることは差し控えさせていただく、これは、ほかの閣僚の方も含めて、そのように申し上げているわけであります。

 そして、政治資金の収支報告の関係につきましては、おとといの委員会の冒頭で、総理の方から、こうした適切な説明を各政治団体において行うように幹事長に指示がされて、それを踏まえて、幹事長が即日記者会見を行って説明をしていると承知をしております。ですから、事務方において平成研の政治資金の処理は適切に行われているというふうに承知をしております。

 その上で、私も、御質問をいただきましたので、茂木会長の会見を踏まえて事務方に確認したところでは、連絡を取ることはあるが、調整をしている、そういうようなことはない、このように聞いております。

宮本(徹)委員 連絡はされているわけですよね。

 この二つの団体は、ちゃんと茂木派、平成研とやり取りをしたということになっているわけですよね。お互い金額を確認しているので、当然、平成研の側にも、記載が必要な二十万円以上だ、こういう団体であるという認識はあるわけですよ。にもかかわらず、不記載なんですね。これは単純なミスではなくて、意図的な不記載なんじゃないですか。

新藤国務大臣 詳細については、政治団体の方で適切な対応をされ、そしてまた、お尋ねがあればお答えできるというふうに思います。

 ですから、確認をいただきたいんですが、私、ここについての、個々の一つ一つについて承知をしておりませんが、恐らく、分からなかったから、指摘をいただいて、確認した上で修正をしたということであって、あらかじめ承知をして、意図的にそれを伏せたということではないというふうに私は想定をしております。

宮本(徹)委員 想定で答えられたら困るんですよね。

 私たちは、ちゃんと、我が党の機関紙の取材に基づいて指摘をさせていただいているわけですよ。この二つの政治団体は、ちゃんと平成研とパーティー券の金額の確認の問合せをしているとおっしゃっているわけですよ。にもかかわらず、載せていない。これは意図的な不記載の可能性というのが極めて高いんじゃないかと私は言わざるを得ないと思います。これはちゃんと説明責任を果たしてもらわなきゃ困りますね。

 総理にもお伺いしたいと思います。

 ある政治団体は、清和会、志帥会及び宏池会から、パーティー券をどれだけ購入したのかの確認があったと述べております。

 宏池会は、政治資金収支報告書の記載に当たっては、パーティー券を購入した団体との間で、幾ら購入したのか、この確認のやり取りがあるのではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 常識的に見ても、様々な指摘を受けて、政治資金パーティー券の購入数の確認等を含めて、事務連絡のために会計担当者が政治団体側に連絡を取るということはあるんだと思います。

 これは別に何か調整しているというものではなくして、改めて事実を確認するということはあり得るのではないかと考えます。

宮本(徹)委員 私たちが指摘した後の確認をするのは当たり前の話だと思うんですけれども、指摘の前ですよね。

 政治資金収支報告書を作成する際に、ある政治団体は、清和会、志帥会及び宏池会からは、パーティー券をどれだけ購入したのかの確認があったと。これは指摘の前ですよ。初めに提出をする、それぞれの団体が政治資金収支報告書を出しますよね、その際に確認、やり取りをしているという話を聞いているんですけれども、そうじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 指摘の前であっても、事務連絡という形で事実を確認するということはあり得るんだと考えます。

宮本(徹)委員 あり得るじゃなくて、やっているというふうに答えているわけですよね。

 そうすると、政治団体の側が問合せをされているわけですから、清和会、志帥会及び宏池会というのはちゃんとその団体の金額を把握しているわけですから、間違いなく初めから政治資金収支報告書に金額が載せられなきゃおかしいわけですよ。

 ちなみに、宏池会は、確認しているので、この団体については初めから載っています。しかし、清和会と志帥会は、確認していたにもかかわらず、当初、政治資金収支報告書には記載がされていないわけですよね。わざわざ相手の団体に改めてパーティー券の購入金額を確認しておきながら、当初、不記載にしていた。極めて不可解と言わなければならないと思います。

 これは意図的な不記載があった、こうしか考えられないんですが、総理はどうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 宏池会については、確認して、記載しているという御指摘がありました。ただ、それ以外の政策集団、政治団体の収支については、私は詳細を承知しておりません。だからこそ、幹事長に、各派閥にその説明をするように、してもらいたい、こういった連絡を取るよう指示をした次第であります。

宮本(徹)委員 各派閥からのこの間の説明では、私が今指摘したような問題については何一つ答えていないわけですよ。これは配付資料を配っていますけれども、一年前の赤旗の指摘ですよ。にもかかわらず、その点について説明されていないんですね。こうした、お互い、政治資金収支報告書を出すに当たって、パーティー券の購入金額が幾らなのかと確認し合っているのにもかかわらず、なぜ不記載になったのか、裏金づくりではないのか、こういう疑念が指摘されているわけですよ。

 これはなぜ不記載になってしまったのか、国民に説明できるような説明が求められるんじゃないかと思いますが、ちゃんと私のこの指摘に対しても説明できるように、各派閥に指示していただけますか。

岸田内閣総理大臣 購入金額が二十万円を超えた場合に支払い人の名称を記載しなければいけない、こういった規定にかかわらず、名称が不記載であったという点について御指摘を受けています。それは直接は裏金云々という話ではないと考えております。

 いずれにせよ、国民の政治資金に対する信頼という観点から、各政策集団、政治団体において適切に説明を行うことは重要であると考えます。

宮本(徹)委員 裏金づくりじゃないんだというんだったら、なぜ、こうした経過をたどったにもかかわらず不記載だったのかということの説明が求められますので、しっかり説明していただきたいと思います。

 加えて、総理にお伺いしますけれども、宏池政策研究会は昨年二度、政治資金収支報告書を訂正しております。

 昨年十月二十七日、赤旗記者は、五団体、百七十二万円分の不記載について文書で質問し、その翌日に、指摘の箇所だけ訂正されました。その後、赤旗記者の調査で新たな不記載が判明し、十一月七日、一団体、四十万円の不記載について文書で質問しました。その日に、その指摘の箇所だけ訂正をされました。

 総理は、一年ほど前に報告を受けたと答弁されておられましたけれども、これは一度目の訂正の際なんでしょうか、二度目の訂正の際なんでしょうか。それとも、二回報告を受けたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のとおり、宏池政策研究会の政治資金収支報告書については、令和四年十月二十八日と同年十一月七日に、政治資金パーティーの対価に係る収入について支払い者の名称の記載漏れの訂正を行っており、私も、訂正を行った旨の報告を受けました。

 そして、その報告を受けたタイミングですが、宏池政策研究会の会計責任者に確認したところによれば、十一月七日の訂正の後にまとめて報告を行ったということでありました。

宮本(徹)委員 一回目のときに報告をされていないというのも、団体の在り方としてどうなのかと思いますけれども。

 普通、不記載が指摘をされたら、政治資金収支報告書にほかに間違いはないのか、もう一度全体を確認するというのが当たり前の姿だと思うんですよね。ところが、一回目の訂正を行う際に、赤旗記者が指摘したところ以外直っていない。これは、それ以外のところは確認しなかったということですか、総理。

岸田内閣総理大臣 御指摘を受けて確認をし、訂正を行い、そして、それ以外について、その後の確認の上で、十一月七日の訂正を行ったということだと報告を受けております。

宮本(徹)委員 二回とも、いずれも赤旗が指摘した範囲でしか訂正していないんですよ。ですから、一昨日、立憲民主党の議員から、ほかに違うところがあるじゃないか、こういう指摘が出るわけですよね。

 政治資金規正法は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、収支の状況を明らかにすることで、政治活動の公明と公正を確保することを目的としております。

 一度指摘されたのに、報告を訂正するに当たって、改めて全体の確認もしようとしない。これは、政治資金規正法の趣旨にもとる意図的な不記載、こう言われても仕方がないんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 いずれにせよ、指摘を受けた点については訂正を行い、そして、各政治団体において訂正を行ったことについて説明することは重要であると考えて、党の幹事長から各政治団体に対して、説明をするよう連絡をした次第であります。私もそういった指示を出した次第であります。

宮本(徹)委員 政治資金規正法の趣旨をやはりみんなちゃんと理解して活動しなきゃいけないんじゃないですか。これは宏池会だけじゃないんですね。他の派閥も含めて、指摘されたところだけ、ちょこちょこっと直している。

小野寺委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、御協力をお願いいたします。

宮本(徹)委員 単なるミスという言い訳は、これは国民に全く通用しませんよ。

 本当に、パーティー券の問題は闇が多過ぎますので、これからも私たちは追及していくことを申し上げまして、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 現在議論されている所得減税も給付も、時間差を経て必ず国民負担となります。ならば、将来にわたって国民負担なしか負担の少ない政策を追求すべきです。

 財政演説の中で、鈴木財務大臣は、物価高の原因は輸入物価の上昇だと明言しています。ならば、物価高の根本原因である輸入物価抑制、その具体策となる行き過ぎた円安の是正が本筋です。

 行き過ぎた円安が日本経済にどれだけマイナスの影響を与えるか、データで確認したいと思います。

 資料一ページは、交易条件と景気との関係を示した図です。

 日本経済の体質とも言えますが、輸出に対する輸入比率が上昇し、交易条件が悪化すると不景気になります。グラフでは、一九七九年の、第一次石油ショック直後が典型です。

 現在のように世界物価高騰と円安がダブルで襲ってくると、不景気下における物価上昇、すなわちスタグフレーションになるリスクが高くなります。そうなると、賃金上昇と景気回復、経済成長という好循環、これは夢のまた夢となってしまいます。

 資料二ページの上段の表、これは貿易取引の決済通貨を表したものです。

 輸出総額に占める米ドル比率は約五〇%で、円建て比率が三六%もあります。これは、輸出企業の血のにじむような努力による現地生産及び世界的サプライチェーン構築による親子間での円建て決済、また、高い競争力を持つオンリーワン企業による強気の円建て契約など、円高耐性、円高に耐え得る力を備えているあかしです。

 一方、輸入総額に占める米ドル比率は約七〇%あり、原油などは円建てでは売ってくれませんので、企業努力ではいかんともし難く、米ドル決済を受けるしかありません。

 このように、輸入分、二〇%分だけ米ドル決済が多くなりますので、この分だけ見ても円高がいいのですが、現状は、この分が円売り・ドル買いになるので、円安要因になります。

 あと一点、注意を要するのは、経常収支の現状です。

 下の資料二の枠の中を見てください。貿易・サービス収支の赤字二十一兆円を第一次所得収支三十五兆円で補い、何とか経常収支を黒字にしています。ここで問題なのは、第一次所得収支の配当や金利収益は、連結決算上、利益認識できますが、キャッシュフロー的には日本に還流していない可能性が高いのです。昨年は全体の六四%相当が還流していないとの試算があります。

 つまり、昨年の第一次所得収支三十五兆円のうち二十二兆円は海外で再投資されており、キャッシュフロー上は国内への還流がないため、経常収支も十兆円を超える赤字である可能性が高いのです。企業でいえば黒字倒産です。通常、経常収支の黒字は円高要因でありますけれども、実態は円安要因である可能性が高いのです。

 資料の一番下の補足を見てください。電気代、ガス代の高騰要因である原油、石炭、天然ガスの前年比輸入増加分、この合計十五・四兆円、この増加分だけでGDP三%弱に相当するお金が対外支払いに使われ、国内循環しないのですから、景気がよくなるはずがありません。

 総理は、政府と日銀は緊密に連携していると答弁していますので、政府、日銀一体となって、行き過ぎた円安の是正に注力すべきです。為替レートが一割高の百三十五円になるだけで、国民負担なしで補正予算の物価高対策費二・七兆円を大きく上回る国民の裨益があります。

 また、各地の戦争終結は、これ以上罪のない人々の犠牲をなくすことに加え、石油など我が国輸入物資の価格抑制につながります。

 しかし、現在の日本の国力、外交力、当事国への影響力を考えると、とても我が国単独で停戦の仲介役ができるとは思っていません。それでも、私は、G7広島サミットをウクライナ戦争停戦に向けた第一歩にすべきだと主張してきました。残されたG7議長国一か月、ウクライナ戦争、中東戦争の停戦に向けた旗振り役を本気でやってもらいたいと思います。

 為替は生き物なので、円安是正といっても、そう簡単でないことは承知しています。しかし、異次元金融緩和を見直すことにより行き過ぎた円安を是正すること、さらには、停戦に向けて本気で旗を振ることにつき、総理の見解を求めます。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御質問いただきました。一つは外交努力が重要だ、もう一つは金融政策について考えるべきだ、ポイントは二点あったと思います。

 外交努力については、ロシアによるウクライナ侵略に関しては、おっしゃるように、G7広島サミットにおいて重要な議論を行ったと思っています。そして、ゼレンスキー大統領が提唱する平和フォーミュラについて議論を進めるべく、グローバルサウスも含めて、国家安全保障担当補佐官会議、これを三回、今、開催をしています。G7の議長国として、こうした議論をリードしていきたいと思います。

 そして、中東への対応につきましては、先ほど来何度か答弁をさせていただきました。外交努力を続けるべきだ、これはおっしゃるとおりであります。

 そして、金融政策ですが、具体的な金融政策について述べることは控えますが、日銀と政府が連携して、一体となってこの問題に立ち向かうべきだ、これはそのとおりだと思います。金融政策は為替誘導を目的とするものではありませんが、それにしても、政府と日銀が、物価安定目標達成、あるいは賃上げを伴う経済成長を目標として連携をしていくことは重要であると考えます。政府においても、その中で、円安のプラス面を生かし、マイナス面を抑制する、こういった政策を進めながら、日銀との連携を続けていきたいと考えております。

吉良委員 もう終わらなきゃいけませんが、一言だけ。

 円安が国益というのは発展途上国時代の話です。先進国になれば、自国通貨が強い方が、国民生活、生活者主権に立ったら必ずそちらの方がいいということを申し上げて、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして令和五年度補正予算両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 ただいままでに、立憲民主党・無所属藤岡隆雄君から、また国民民主党・無所属クラブ斎藤アレックス君から、それぞれ、令和五年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、両動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。藤岡隆雄君。

    ―――――――――――――

 令和五年度一般会計補正予算(第1号)及び令和五年度特別会計補正予算(特第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和五年度補正予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まず、編成替えを求める理由を申し述べます。

 本補正予算において、物価高対策は必要であるものの、それ以外の水膨れしたばらまき財政出動を実施することは、更なる物価高を助長し、国民生活を一層圧迫することになりかねません。今必要なのは、ばらまきではなく、真に支援を必要とする家計、事業者への直接的、重点的支援です。

 こうした認識の下、我々は、さきに立憲民主党が取りまとめた物価高を克服するための緊急経済対策に基づき、令和五年度補正予算の編成替えを提案いたします。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一の柱として、家計への直接支援に三兆円を措置いたします。中間層を含む約六割の世帯に対して三万円のインフレ手当を迅速に給付するとともに、現下喫緊の課題である子供、子育て支援並びに実質賃金の上昇を実現するため、来年度からの本格実施に向け、児童手当の拡充、給食費の無償化、正規、非正規間の賃金格差是正、介護、障害福祉職員、保育士等の処遇改善などを緊急実施いたします。

 第二の柱として、事業者への直接支援に一・六兆円を措置いたします。電気料金高騰対策、中小企業のコロナ債務の一定範囲内での減免、第一次産業に対する緊急支援などにより、この間の物価高で厳しい環境にある事業者を直接支援することで、雇用となりわいを守り抜きます。

 第三の柱として、省エネ、再エネへの大胆投資に二・一兆円を措置いたします。電気料金やガソリン代などの高騰により負担増を実感している今こそ、ピンチをチャンスに変えて、エネルギー価格の高騰に強い社会経済構造への転換に向け、大胆な投資を実施いたします。

 なお、第一の柱関係としてトリガー条項の発動、第二の柱関係としてインボイス制度の廃止による税収減を併せて見込んでおります。

 これらの財源は、大阪万博に係る経費を含む経済対策関係経費の削減並びに新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費、マイナポイント事業費などの既定経費の減額を図るとともに、日本銀行保有ETFの分配金収入の活用、基金の余剰金の国庫返納などに取り組むことで確保いたします。

 また、本補正予算で追加発行を予定している約八・九兆円の赤字国債、建設国債については、その全額について発行を取りやめることができ、本編成替えにより、追加の国債発行なしで補正予算を組むことができるものであります。

 以上が、立憲民主党・無所属の編成替え動議の概要であります。

 委員各位に本動議への賛成を強くお願い申し上げ、趣旨の説明といたします。(拍手)

小野寺委員長 次に、斎藤アレックス君。

    ―――――――――――――

 令和五年度一般会計補正予算(第1号)及び令和五年度特別会計補正予算(特第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斎藤(ア)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出の令和五年度補正予算二案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まずは、編成替えを求める理由を申し述べます。

 長期にわたり停滞する経済、止まらない少子化傾向、このような問題も、結局は、手元に残るはずの可処分所得が少なくなっていることにより引き起こされています。これらを改善、解決するためには、給料が上がる経済に寄与する予算、人づくりに寄与する子供、子育て政策関連の予算を編成しなければなりません。

 また、ガソリン、軽油価格、電気料金等の高騰に伴い物価も上がっています。これにより国民生活は大きな影響を受けているため、国民生活を支える予算編成が必要です。

 そこで、国民民主党・無所属クラブは、給料が上がらない我が国の経済、いまだ脆弱な少子化、子育て支援策、農林水産業への支援、ガソリン等の物価高騰に対処し、真に国民生活を支える内容に令和五年度補正予算を変えるため、減税を含む予算の編成替え動議を提案いたします。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、所得税減税を実施します。政府案に連動した税制の見直しのうち、所得税減税に関しては、物価上昇率や名目賃金上昇率等を考慮し、基礎控除、給与所得控除等の額を引き上げるなど、国民民主党案に修正します。

 第二に、ガソリン減税を実施します。トリガー条項の凍結を解除し、いわゆる暫定税率、二重課税を廃止することで、ガソリンや軽油価格の大幅な値下げを実現します。

 第三に、消費税の減税を行います。安定的に賃金上昇率が物価上昇率より二%上回る状況の実現、維持に向けて、当分の間の措置として消費税率を一〇%から単一税率の五%へ引き下げつつ、これに伴いインボイス制度も廃止します。

 第四に、法人の投資に係る税の減税を行います。投資額以上の償却を認めるハイパー償却税制の導入や、少額減価償却資産特例の上限額の引上げを行います。

 第五に、賃上げ減税の拡充を行います。税額控除額の引上げや価格転嫁等の取引条件を改善した企業等への適用拡大、赤字法人も対象となるよう、減税項目を法人事業税、固定資産税、消費税に拡大します。

 第六に、農林水産業への多角的な支援を行います。農林水産関連の物価高騰対策、それに伴う適正な価格転嫁支援や所得補償を行います。

 第七に、年少扶養控除を復活し、所得制限を撤廃します。子育てに係る経済的負担を改善するためにも、各種子育て支援制度の所得制限撤廃と拡充、年少扶養控除の復活を行います。

 第八に、介護、看護、保育従事者等のケア労働者の賃上げです。政府は生産性向上による介護事業者の経営効率化によって処遇改善につなげるとしていますが、生産性向上の効果を待つ余地はありません。介護人材等の賃上げが適切な水準となるよう、早急に予算措置を講じるべきです。

 以上が、国民民主党・無所属クラブの編成替え動議の概要であります。

 委員の皆様におかれましては、真に国民生活を支える本動議に賛成していただくことをお願いしまして、提案理由説明といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺委員長 これにて両動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 これより討論に入ります。

 令和五年度補正予算両案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議二件を一括して討論に付します。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道です。

 自民党、公明党を代表して、令和五年度補正予算案について、賛成の立場から討論をします。

 賛成理由の第一は、長引く物価高から国民生活を守り抜く予算だからです。

 燃料油価格の激変緩和措置は来年四月末まで、電気代、ガス代の負担軽減策は来年の五月末まで、それぞれ継続されます。

 さらに、地方自治体が実施しているLPガスの負担軽減策や学校給食、教材費の抑制など、各地の実情に応じたきめ細かな対策を継続するとともに、物価高の負担感が特に大きい低所得世帯に対する七万円の給付金を支援するため、重点支援地方交付金を一・六兆円追加交付いたします。補正予算成立後、支援が一日も早く皆様方に届けられるよう、迅速かつ実施に万全を期していただきたいと思います。

 賛成理由の第二は、真に物価高を乗り越え、日本経済が成長型経済へ転換するためには、物価高を上回る賃上げ、所得向上の流れをつくることが最も重要であります。そのための施策が数多く盛り込まれているからであります。

 中小企業の生産性向上を通じた賃上げを後押しするため、中小企業省力化投資補助事業を新たに立ち上げ、既存基金の活用と併せ、五千億円規模の支援を行います。省力化に効果がある汎用製品をカタログから選ぶ方式のため、小規模事業者にも活用していただけるものと期待をしております。このほか、最低賃金の引上げを支援する業務改善助成金など、数々の補助制度が盛り込まれているほか、中小企業の適切な価格転嫁を促進するため、価格交渉や取引の実態調査を行う予算も計上されております。

 また、公定価格で運営されている医療、介護、障害福祉分野の処遇の改善については、次期報酬改定前の来年二月に実施をされます。さらに、保育士等についても、本年四月に遡って処遇改善をされます。

 第三の賛成理由は、国民の安全、安心を確保する予算だからであります。

 防災・減災、国土強靱化対策に約一・三兆円、自衛隊の自然災害への対処能力の強化や防衛力の強化に約八千億円を計上し、予期せぬ事態から国民の命と暮らしを守る予算となっております。

 このほか、公明党が推進してきた女性特有の健康問題に関する研究、治療の司令塔となる女性の健康ナショナルセンターの創設も盛り込まれました。

 以上、国民生活を守り、経済再生へのスタートダッシュを切る本補正予算案の早期成立と迅速な執行を求め、賛成討論を終わります。(拍手)

小野寺委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党・無所属の源馬謙太郎です。

 私は、会派を代表して、令和五年度補正予算並びに他会派提出の編成替え動議については反対、我々の会派が提出した編成替え動機については賛成の立場から討論いたします。

 この間の予算審議では、岸田内閣の問題点が数多く明らかとなりました。相次ぐ副大臣、政務官の不祥事と辞任。岸田内閣を支える与党自民党で発覚した五派閥の政治団体による合計四千万円にも及ぶ収支報告書不記載問題。そして、物価高にあえぐ国民を横目に自らの給与引上げを断行した一方で、まともに精査することなく万博予算の増加を認め、国民に追加負担を押しつける。これまでかたくなに税制措置だと言い張ってきた国民への負担も、ついに防衛増税と認めました。自民党として旧統一教会の被害拡大に加担しておきながら、被害者が求める財産保全は見送り。税収増の還元といいながら、その実態は赤字国債発行による将来世代への負担の先送りだった。などなど、政治に対する信頼を失墜させる事態が相次いだことは誠に残念でなりませんし、今まさに物価高で苦しい状況にある国民の暮らしを踏まえれば、到底許せるものではありません。

 改めて、岸田内閣には、これらの異次元の失態を総括し、国民の視点に立った責任ある対応をなされることを強く求めます。

 さて、肝腎の補正予算についても課題が山積していますが、最大の問題は、国民生活を無視したばらまき予算であることです。

 本補正予算において、物価高対策は必要であるものの、それ以外の水膨れしたばらまき財政出動を実施することは、更なる物価高騰を助長し、国民生活を一層圧迫することになりかねません。しかも、補正予算の編成に当たっては、財政法第二十九条で緊要性の要件が求められているにもかかわらず、来年度の概算要求から横滑りした予算など、明らかに緊要性を欠くものも散見され、予算全体の膨張につながっています。また、三月までに使い切る前提の予備費も、コロナ禍が終わったにもかかわらず、相変わらずたがが外れたままです。

 今必要なのは、ばらまきではなく、真に支援を必要とする家計、事業者への直接的、重点的支援であり、それを実現するのが我々の会派が提出した編成替え動議です。

 以上、申し上げたとおり、予算の提出者たる岸田内閣、そして予算そのものについても看過し難い問題が存在することから、我々は、令和五年度補正予算に断固として反対、そして、他会派提出の編成替え動議についても、我々と見解を異にすることから反対いたします。

 最後に、我々の会派が提出した編成替え動議の実現こそが、現下の物価高を克服し、日本経済を再生するために必要であるということを強くお訴え申し上げ、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会、守島正です。

 私は、ただいま議論となりました令和五年度一般会計補正予算及び特別会計補正予算の両案について、会派を代表して、賛成の立場から討論をいたします。

 まず初めに、今般の補正予算案について、財政法上の緊要性の判断基準や多額の基金の積み増し、長期的な効果が薄く、ばらまき色が濃い所得減税、事業者への巨額の補助金等、我が党の考えからすると承服し難い点があることをあらかじめ指摘させていただきます。

 一方で、政府の主張する経済対策の必要性自体を否定することはできません。総理は、足下の経済状況について、明るい兆しが見られ、デフレ脱却の千載一遇のチャンスを迎えていると述べられています。

 この時局認識については我が党も軌を一にするところでありまして、政府と手法に隔たりがあるものの、経済対策の総論的な方向性としては、物価高対策に加え、国民の可処分所得を向上させ、需要を向上させるという点で、同じ方角を指していると言えます。

 また、供給力の強化について、看板政策の名をかりたばらまきでは供給力を強化し得ないと考えておりますが、今般の経済対策では、従前よりも規制改革に力点を置いた記載が見られています。我が党の観点からは踏み込み不足であるものの、ライドシェアについて総理から、観光地や都市部を排除することなく、デジタル技術を活用した新たな交通サービスという観点も排除せずという踏み込んだ発言をいただけるなど、前進した点が多く見られます。政府はこれを嚆矢として規制改革に邁進することを期待しております。

 大阪・関西万博についても、その開催意義や百六十もの参加国のパビリオンの着工状況、全国的な機運醸成の方向性等を丁寧に御説明いただきました。今後も、国を先頭に、大阪府市、博覧会協会、経済界が一丸となって、必ずや成功に導くべき事業であると考えております。

 るる述べたとおり、政府の経済対策は、まずは可処分所得を増やすという方針や規制改革への認識等、我が党と立場を共有しており、取組自体は甘いものの、進路は同じ方向を向いております。

 政府には、今後も、我が党と正面から改革推進の議論を行い、岩盤規制を打破すべきことを要望し、本予算の賛成討論とさせていただきます。(拍手)

小野寺委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスです。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の令和五年度補正予算二案について賛成、国民民主党・無所属クラブ提出の編成替えを求めるの動議に賛成の立場から討論を行います。

 我が国では、記録的な円安の影響で、急激な物価高が進行しており、物価高対策は国民生活と国内経済のコロナ禍からの回復を促進する上で必要不可欠です。また、物価高の影響も重なり、実質賃金の低下が更に深刻となる中、賃上げに資する政策を総動員する必要性もますます高まっています。

 このような認識の下、国民民主党・無所属クラブは、給料が上がらない我が国の経済、いまだ脆弱な少子化、子育て支援策、農林水産業への支援、ガソリン等の物価高騰に対処し、真に国民生活を支える内容に令和五年度補正予算を変える編成替え動議を本委員会に提出しました。委員の皆様には是非とも御賛同いただくことを重ねてお願い申し上げます。

 政府提出の令和五年度補正予算二案については、昨年の補正予算同様、緊要性があるとはとても考えられない基金、ファンドの組成や積み増し、予備費が依然として多額に計上されているなど、問題も多く存在しています。政府には、国民民主党も含めて、野党から指摘されたこれらの問題に関して、真摯にそれを受け止め、そして改善することを強く求めます。

 一方で、先日の衆議院予算委員会において、岸田総理は、トリガー条項の凍結解除に関し、与党と国民民主党との間で検討する考えを表明しました。国民民主党は、今行われている補助金を用いたガソリン価格対策よりも、トリガー条項発動の方が無駄がなく、そして出口戦略としてもふさわしいと考えており、トリガー条項の凍結解除は国民生活に資する必要な政策であると、国民民主党は強くこれまでも実現を訴えてきました。

 このトリガー条項の凍結解除の実現を期して、つまり、より効果的な物価高対策を更に前に進めていくことを今後一層政府に強く求めていくために、我が党の編成替え動議が否決された場合でも、政府提出の補正予算には賛成をさせていただきます。

 国民民主党は、対決よりも解決、あくまで政策本位で行動し、国民のためになる政策を実現するとの姿勢を一貫して取ってきました。今後も、改革中道の立場から、国民のための政策を積極的に提案し、政府・与党に実現を迫っていくことを国民の皆様にお誓い申し、私からの討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党を代表しまして、補正予算案に反対の討論を行います。

 第一に、この補正予算案では、物価高騰に苦しむ国民の暮らしを守れません。一回こっきり、遅過ぎる、不公平な増税隠し減税は、国民から選挙目当てと見透かされております。

 世論調査でも、国民が求める物価対策は、圧倒的に消費税減税です。物価高騰の中、食料品の消費が減り、GDPがマイナスとなりました。食品の高騰でエンゲル係数はこの四十年で最高の水準です。食べるものを減らさざるを得ない深刻な生活苦が広がっております。物価を引き下げる消費税減税に踏み切るべきであります。

 何よりも重要なのは物価を上回る賃上げです。ところが、人手不足が深刻な介護、障害福祉分野で働く職員の処遇改善は、僅か月六千円、一桁足りません。中小企業、小規模事業者の賃上げの支援策も全く不十分です。

 第二に、本補正予算案は、物価対策とは全く無縁な、民意に反する税金の無駄遣いがてんこ盛りです。

 万博会場建設費等に七百五十億円、万博の機運醸成に十億円が計上されていますが、国民世論は建設費倍増の万博を全く認めておりません。

 保険証を廃止し、マイナ保険証を推進するために、利用率が上がった医療機関への支援金や広告費、システムの改修などに八百八十七億円も計上されています。今ある保険証を残し、税金の浪費はやめるべきです。

 また、補正予算には、半導体企業など特定企業への巨額の助成を始め多数の基金が盛り込まれております。これらは、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出」とは到底言えず、補正予算に計上することは財政法の趣旨に反します。

 第三に、憲法違反の長射程ミサイルの大量取得を始め、八千百三十億円もの巨額の軍事費を盛り込んでいることであります。

 補正後の今年度の防衛省予算は七兆六千億円、民主党政権時から約三兆円増にもなります。沖縄県民の民意を無視して、米軍基地の苦しみをたらい回しにする辺野古新基地建設を始め、米軍再編経費は際限なく膨張し続けています。国民の暮らしそっちのけで、軍拡競争に血道を上げ、緊張を高め合うのは亡国の道です。

 世界の現状は、絶対に戦争にしない平和外交こそ何よりも重要であることを示しています。今必要なことは、軍拡ではなく、暮らしの支援です。

 以上、指摘し、反対討論といたします。

小野寺委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 採決に際して、反対の立場から討論いたします。

 まず、先般の質疑で時間配分を誤り、六分残して終わってしまいました。種々御配慮いただいた立憲民主党、日本維新の会におわびを申し上げます。

 さて、今週号の英語誌、ジ・エコノミストには、日本の経済について、膨らんだ希望という題で記事がありました。日本経済の将来に幾ばくかの期待感が述べられておりました。過去十年繰り広げられたアベノミクスという誤った政策から決別しようとしているとき、外からはこういうふうに見えるのだなと思いました。であるがゆえに、今回の補正予算はとても残念です。

 質疑では取り上げませんでしたが、今の経済政策は、物価を上げること、下げること、いずれを志向しているのかが審議を経てもついぞ分かりませんでした。公債を九兆円も発行して緊要性に欠ける事業に注ぎ込めば、物価は上がります。それをあたかも物価が下がるかのような説明をしているのは滑稽にしか映りませんでした。

 また、現在の円安から来る日本経済の苦境の理由を探っていけば、公的債務が積み上がっていることにあります。しかし、今回の補正予算をよく見てみると、経済対策部分の財源は公債と予備費の減額です。つまり、全て公債が原資と言っていいでしょう。以前、当会派の福島伸享議員が、決算剰余金を全て防衛財源に振ったため余裕がなくなり、今後の補正は公債頼みになるのではと指摘しましたが、まさにその状況が顕在化しています。未来に幾ばくかの希望が見えている中、基本コンセプトがぶれている予算が出てくるのは最悪です。

 岸田政権については、長期的な方向性がそれほど悪いわけではないのに、短期的な政策のところで小手先であること、そして、パンとサーカスを提供していれば支持率は上がるだろうという、国民の思いを値踏みするかのような浅薄な考えが見え隠れすること、これらが支持率の下がる原因となっています。国民はよく見ています。そのような思いが透けて見えた瞬間、拒否をされるのです。

 また、岸田総理は、ここまで、衆議院解散と減税というカードを弄んできました。これらのカードを弄んだ為政者に明るい未来が到来することはありません。

 今後、少子化対策の政策が固まってくるでしょう。支援金制度では、子育て世帯に手厚く対応し、それ以外の方に御負担をお願いするという形になりそうです。これは、社会全体で子供を支えるという理念そのものであり、もっと言えば、昨年の今頃はやったフランスのN分のN乗税制に似ています。支援金制度を社会保障に上乗せして実施しようとしていることには疑問がありますが、大きな政策の方向性としてはこれ以外に考えられないでしょう。少なくとも、少子化対策の財源を全額公債とする提案をしている政党よりははるかに誠実です。

 だからこそ、国民に真正面から向き合い、御負担をもきちんと頭を下げてお願いする胆力が必要です。今、政権から聞こえてくるのは、実質的に負担増とならないといった技術的なレトリックで何とかごまかそうとする姿勢です。それが国民に嫌われているのだということを理解し、増税何とかとか批判されることにびくびくせず、威風堂々とした姿勢に転換されんことを期待し、反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 これより採決に入ります。

 まず、斎藤アレックス君提出の令和五年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小野寺委員長 起立少数。よって、斎藤アレックス君提出の動議は否決されました。

 次に、藤岡隆雄君提出の令和五年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小野寺委員長 起立少数。よって、藤岡隆雄君提出の動議は否決されました。

 次に、令和五年度一般会計補正予算(第1号)、令和五年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して採決いたします。

 両案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小野寺委員長 起立多数。よって、令和五年度補正予算両案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました令和五年度補正予算両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小野寺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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