衆議院

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第4号 令和6年2月6日(火曜日)

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令和六年二月六日(火曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    井原  巧君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      越智 隆雄君    大岡 敏孝君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    菅家 一郎君

      後藤 茂之君    杉田 水脈君

      田中 和徳君    平  将明君

      塚田 一郎君    冨樫 博之君

      平沢 勝栄君    藤丸  敏君

      古川  康君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    宮下 一郎君

      山本 有二君    若林 健太君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      石川 香織君    梅谷  守君

      おおつき紅葉君    大西 健介君

      神谷  裕君    小山 展弘君

      階   猛君    長妻  昭君

      藤岡 隆雄君    太  栄志君

      山岸 一生君    山崎  誠君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      阿部 弘樹君    青柳 仁士君

      遠藤 良太君    奥下 剛光君

      鈴木  敦君    林  佑美君

      前原 誠司君    岬  麻紀君

      山本 剛正君    赤羽 一嘉君

      金城 泰邦君    角田 秀穂君

      宮本  徹君    田中  健君

      玉木雄一郎君    緒方林太郎君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)

   (国際博覧会担当)    自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     長崎 敏志君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        安楽岡 武君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月六日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     冨樫 博之君

  岩屋  毅君     古川  康君

  奥野 信亮君     井原  巧君

  金田 勝年君     宮下 一郎君

  亀岡 偉民君     大岡 敏孝君

  山本 有二君     藤丸  敏君

  若林 健太君     杉田 水脈君

  梅谷  守君     山崎  誠君

  山岸 一生君     長妻  昭君

  奥下 剛光君     遠藤 良太君

  林  佑美君     阿部 弘樹君

  守島  正君     岬  麻紀君

  田中  健君     玉木雄一郎君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     奥野 信亮君

  大岡 敏孝君     菅家 一郎君

  杉田 水脈君     若林 健太君

  冨樫 博之君     石破  茂君

  藤丸  敏君     山本 有二君

  古川  康君     岩屋  毅君

  宮下 一郎君     金田 勝年君

  長妻  昭君     山岸 一生君

  山崎  誠君     おおつき紅葉君

  阿部 弘樹君     前原 誠司君

  遠藤 良太君     鈴木  敦君

  岬  麻紀君     山本 剛正君

  玉木雄一郎君     田中  健君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     亀岡 偉民君

  おおつき紅葉君    太  栄志君

  鈴木  敦君     青柳 仁士君

  前原 誠司君     林  佑美君

  山本 剛正君     守島  正君

同日

 辞任         補欠選任

  太  栄志君     藤岡 隆雄君

  青柳 仁士君     奥下 剛光君

同日

 辞任         補欠選任

  藤岡 隆雄君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  裕君     梅谷  守君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長長崎敏志君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府地方創生推進事務局審議官安楽岡武君、総務省自治税務局長池田達雄君、法務省民事局長竹内努君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省初等中等教育局長矢野和彦君、厚生労働省医政局長浅沼一成君、厚生労働省老健局長間隆一郎君、厚生労働省保険局長伊原和人君、農林水産省農産局長平形雄策君、農林水産省経営局長村井正親君、国土交通省住宅局長石坂聡君、国土交通省物流・自動車局長鶴田浩久君、国土交通省航空局長平岡成哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 昨日の岡田克也君の質疑に関連し、長妻昭君から質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。立憲民主党の長妻昭でございます。

 山積する国政上の課題を質問したいんですが、政治の信頼が失われている今、本日は、政治の根幹に関わる点を質問いたします。

 まず、旧統一教会系団体と盛山文科大臣との関係でございます。

 前回の総選挙で、推薦状を受け取って選挙応援を受けたということはございますか。

盛山国務大臣 先生も御案内のとおり、選挙の際には、選挙区内各地で様々な集会があり、あらかじめ御案内を受けるものに加えて、当日に伺うものも多数あり、全ての詳細を把握できているわけでもなく、お尋ねの集会の詳細についても事務所の資料で確認できませんでしたが、新聞で報道されているような写真があるのであれば、そのような推薦状を受け取ったのではないかと思いますが、今回、報道機関からの御質問を受けて改めて確認しましたところ、過去の衆議院選挙に際して、当該団体に選挙支援を依頼した事実はなく、事務所に活動報告があったことも確認できませんでした。

 いずれにしても、私自身、旧統一教会との関係を絶っており、引き続き解散命令請求の対応等に取り組んでまいりたいと考えております。

長妻委員 盛山大臣は、何度も統一教会との関係に関して聞かれて、二〇二二年三月に関連団体の行事に一度出席しただけの関係で、ほかはありませんというのを何度も何度も言われておられるんですね。旧統一教会、宗教法人を管轄する、主管する大臣だから、事実だとしたら、これはとんでもないことだ。

 そうすると、新聞に出ている推薦状を持っている写真というのはフェイク写真ですか。

盛山国務大臣 はっきりした記憶はございませんが、ああいう写真があるのであれば、頂戴したのかと思います。

 ただ、記憶があればちゃんと報告はしていたわけでございますし、記憶がなかったので、これまで自民党に対しても報告をしていなかったということでございます。

長妻委員 これは前回の総選挙ですよ、何十年前じゃなくて前回の総選挙のときの話ということでございまして、報道によると、教団信者である世界平和連合の会員が連日電話作戦をしたというふうにございますが、この事実も全く知らない、こういうことでございますか。

盛山国務大臣 前回とおっしゃいますけれども、覚えておりません。

 我々の方から当該団体に対して選挙活動の依頼をしたということもございませんし、私としては、選挙区の方から集会をするので来いと言われて伺った、そういう認識でございました。

長妻委員 今日も同僚議員が追加の質問をいたしますけれども、前回の総選挙ですから、記憶にないということは通用しないというふうに思います。

 ほかの閣僚も大丈夫かなと思うんですね。この中で、旧統一教会系団体から推薦をもらった、あるいは応援をもらった方は手を挙げて答弁いただきたいと思うんです。ほかの閣僚の方でいらっしゃったらお願いします。

小野寺委員長 長妻君に申し上げます。

 もしそういう方が対象でいるのであれば、大臣を指名して質問していただければと思います。

長妻委員 それでは、総理にお願いしたいんですが、国会の多くの時間を使って盛山大臣に旧統一教会系との関係について過去何度も質問があったわけですね。ない、ない、ない、一回だけの会合だということで、今回、そうではないような写真も出て報道がされているので、総理、閣僚の皆さんに再確認していただきたいんですね。応援とか推薦とかそういうものは本当にないんだなと再確認をして、あしたの予算委員会までに御報告いただきたい。官房長官に指示してそういうような確認をしていただきたい。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 自民党においては、旧統一教会及び関連団体との関係、過去を点検し、それぞれ接点があった場合には説明責任を果たす、そして、その後追加で指摘をされたことについては説明責任を尽くしていく、そして、未来に向けて関係を絶っていくことを徹底していく、これが基本的な考え方であります。

 今申し上げた方針を、自民党としても、そして内閣としても徹底してまいります。いま一度、今の方針を徹底、確認いたします。(長妻委員「再確認するんですか」と呼ぶ)今申し上げた方針を閣僚に対してもいま一度確認いたします。

長妻委員 後で山岸議員が詰めると思います。

 それで、私は、今年こそ金に汚い政治を終わらせる、今年こそ金に汚い政治に決着をつける、これを是非やりたいんですね。

 首相の本気度をお伺いしたいんですけれども、本会議で先週の御答弁を聞いておりますと、何か評論家みたいに、政治の信頼が揺らいでいます、こういうような話に終始されて、本当に本気で命懸けで実態解明と対策を自分でやるんだ、自分が先頭に立って本気でやるんだ、こういうような決意をまず述べていただきたいんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 決意ということにつきましては、度々申し上げておりますが、今回、政治と金の問題に関して自民党に対して厳しい目が注がれていることに強い危機感を感じ、誠に遺憾に思い、心からおわびを申し上げております。

 そして、これも再三申し上げておりますが、私自身が先頭に立って、信頼回復に向けて強い覚悟を持って臨んでいきたいと考えております。改めてその思いを申し上げ、全身全霊、信頼回復に取り組んでいきたいと考えております。

長妻委員 先頭に立ってとおっしゃるので、岸田派について聞きます。

 昨日も井坂議員から宿題が投げられて、今日までに回答ということでございまして、岸田派の不正というのは、三年分は公開されていますが、それ以前を含めて新たな事実というのはございましたか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、三年分については不適切な事務処理等で、修正を行いました。そして、その後の二年分を含めて五年分について収支報告を確認したということであります。

 五年分については確認しておりますが、それ以前、二〇一七年以前の資料については、資料が確認できないということで、御指摘の点について確認することはできませんでした。

長妻委員 岸田首相は、国会の答弁で、残高については全て銀行口座に置いてあります、残高は変わっていないということをおっしゃっているんですが、預金通帳は過去何年分あるんですか。

岸田内閣総理大臣 政治資金パーティーの資金については決められた銀行口座に振り込まれている、こういったことを申し上げさせていただきました。

 そして、その上で、今回修正を行ったところでありますが、政治資金規正法に基づいて、公開すべきことについては全て公開しております。それ以上の点についてはお答えするのは控えます。

長妻委員 さっき先頭に立つとおっしゃったのに、総理御自身が、残高については全て銀行口座にある、残高は変わっていないと言うんですが、変わっていないというのは、いつから変わっていないんですか。十年前ですか。どのぐらいからちゃんと突合できて、問題ないというふうに確認したのかということも言えない。

 そして、もっと端的に聞くと、いつから不正はあったんですか。

岸田内閣総理大臣 会計知識の不足から事務的に不適切な対応を行っていた、これについては、二〇一八年、二〇一九年、二〇二〇年、この三年において確認されているということを申し上げております。それ以前については資料が残されておりません。確認できないという報告を受けております。

長妻委員 収支報告書は普通は保管していると思うんですね、それ以前も。あるいは、銀行口座について国会でも何度も答弁されているので、預金通帳は過去のものもあるわけですから、過去のものも是非出していただきたいということを強くお願いいたします。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政治資金規正法に基づいて、公開すべきものは全て公開いたします。しかし、それ以上のことについてはお答えは差し控えます。

長妻委員 先頭に立ってとおっしゃっているんですよ。岸田派ですよ。岸田さんがついこの前まで派閥の会長だったんですよ。監督責任がありますよ。道義的、政治的責任がありますよ。きちっと全容解明する、先頭に立つとおっしゃっているのに、何ですか、今の答弁は。

 委員長に、今私が申し上げたことをきちっと出すように理事会で諮っていただきたい。お願いします。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

長妻委員 そして、今回の一連の裏金の捜査は大山鳴動してネズミ一匹というふうに感じる方も多いと思うんですが、法務大臣にお伺いしますけれども、今回の捜査について、非公式、公式を問わず、何らかの報告が上がっていたということはありますか。

小泉国務大臣 お尋ねは、個別事件に関わる事柄であり、また、法務省内部におけるやり取りではありますが、検察当局の捜査活動の公平公正に疑念を抱かれることがあってはならないという観点から申し上げますと、法務大臣の職責上承知しておくべき事柄については、適時適切に報告を受けております。

 今回の事案に関して申し上げますと、検察当局から法務当局を通じ、起訴ないし不起訴の処分の実施の前に適時適切に報告を受けております。

長妻委員 裏金騒動、裏金疑惑が起こった後、二階さんと何か話したことはありますか。

小泉国務大臣 昨年の十二月二十日に私は志帥会から退会いたしましたが、その前に、退会の前に、志帥会会長である二階俊博議員に対して、国民の誤解を招くことがないよう志帥会を退会したい旨を伝え、二階議員から了承を得たものであります。

長妻委員 役所から、検察というか法務省から上がってきた捜査の、非公式、公式を問わず、報告に対して何らかの感想めいたことはおっしゃったことがありますか。

小泉国務大臣 十二月二十日に私が志帥会から退会する前の二階会長との会話の中では、退会させていただきたい、了承します、職務にしっかり専念してもらいたいというお言葉がありました。それ以外の会話はしておりません。

長妻委員 役所に対して、報告が上がってきたときに何らかの感想めいたことはおっしゃいましたか。

小泉国務大臣 報告を受けただけです。私からは何も申し上げておりません。

長妻委員 私は、この捜査について、非常に不可解な形で終わったと思っておりますので、これらについても更に解明を深めていきたいというふうに思います。

 そして、配付資料の一番最後のページでございますが、これは全議員にアンケート調査をされた、昨日配付されたアンケート用紙でございますけれども、まず、いろんな問題があると思うんですが、総理にお伺いしますが、派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査、派閥によるという限定がついているんですね。

 でも、政治資金パーティーで裏金をつくった薗浦健太郎さんの事件も、個人での開催のパーティーで裏金ということがあったわけですよね。そして、自民党の県連でもパーティーによる裏金疑惑というのが出ているわけでありまして、派閥による政治資金パーティー、つまり、無派閥の方は調査対象ではなくなっちゃうじゃないですか。

 こういう限定というのはやめていただきたいと思うんですが、なぜこんなに狭く狭く限定したんですか、先頭に立つとおっしゃっているのに。

岸田内閣総理大臣 政治と金をめぐりましては、過去に様々な事件、事案がありますが、今回大きな問題になっているのは、派閥による政治資金パーティーを舞台として行われた様々なやり取りであります。よって、今回最も焦点となっている派閥の政治資金パーティーについてアンケート調査を行いました。もちろん、併せて、党幹部による関係者への聞き取り、外部の弁護士も加わってもらいながら聞き取り調査を行っております。これと併せることによって党としての実態を解明していきたいと考えております。

長妻委員 総理は、今回、全容解明をしてうみを一気に出し切る、こういう思いを持っておられると思うんですね。なぜ限定をして、しかも質問項目も非常に少ない形でこういう調査をされるのかということで、私は、この派閥によるという限定をやめていただきたいというふうに強く申し上げておきます。

 そして、この裏金について、出し手側と受け手側があると思うんですね。受け手側の議員の政治団体の収支報告の訂正というのがいろいろ出てきております。それを拝見しますと、非常におやっと思う修正がいろいろ多いんですね。この修正も仮に虚偽であれば二重三重の罪がかぶってくると思うのでございますが、ちょっと気になるものを申し上げますと、配付資料で配っておりますが、四人の自民党の国会議員の収支報告書の抜粋を配付資料で配っております。

 初めのお二人については、両者とも安倍派の方でございますが、今回の裏金の問題を受けて訂正しているんですね。どういうふうに訂正しているかといいますと、それぞれ自民党の総支部にその議員が個人で寄附をしている、そういう収支報告書だったのが、その個人の寄附額を減額して、それと同じ金額が実は清和会から総支部に直接入った、こういうふうに訂正しているんですね。つまり、一旦裏金が議員個人に渡って自分の所得になって、そして自分が代表の総支部に寄附をする、元々そういうことだったんです。これは、一旦自分がもらったということで、所得になるんじゃないでしょうか。

 実は、そういうふうに一旦はしたけれども、今回また変えたというのは一体どういうことなのか。初めが正しくて、変えた後が虚偽であれば、罪は大きいわけでございます。

 今までは、不記載というものを記載する訂正、これも多いんですが、初めが虚偽記載で、次に訂正したのが虚偽なのかどうか分からない、こういうようなパターンが一つある。

 もう一つは、後者のお二人についての収支報告書、これも抜粋をつけておりますけれども、これも自民党の国会議員でございますが、お一人が安倍派の参議院議員、お一人が二階派の参議院議員でございますが、これは個人でやっているパーティーを収支報告書に書いているんですね。個人でやっているパーティーの収入が訂正後に減っているんですよ。その差額分を派閥からの寄附としているんですね。つまり、下村発言と合致するんですよね。

 下村さんが記者会見で発言された内容はどういうことかというと、幹部の打合せで、ある人から、ある人というのはある議員だと思いますが、幹部だと思いますが、還付については個人の資金集めパーティーのところに上乗せして、収支報告書で合法的な形で出すということもあるのではないかという案もあったと。これは合法的じゃないと思うんですけれどもね、虚偽だから。案もあったというか、それを実践している安倍派の議員が既にいるわけですよ。自分の個人のパーティーに上乗せしたというふうに推察されますけれども、減額した同じ金額が、訂正後、安倍派からその金額が寄附をされる。

 こういうような非常に不可解な訂正があるんですが、これは総理は御存じでしたか。

岸田内閣総理大臣 今までのところ、政治資金パーティーに関連して派閥が支出した資金を議員個人が受領した例は把握しておりませんが、今、先ほども申し上げたように、党として、外部の弁護士も交えて関係者への聞き取りを進めています。アンケート調査の結果と併せて、実態把握を党としても進めていきたいと考えております。

長妻委員 今申し上げたことも徹底的に調査をしていただきたいし、多くの方は、基本的には裏金を収入としてもらったということで、訂正後に増額しているんですね。収入が増えている。その増えた分は何に使ったのかと見ると、全額を翌年に繰り越す、こういう方が非常に多いんですよ。本当に裏金をそのまま保管を毎年毎年するんでしょうか。そういうようなことも含めて徹底的に調査をしていただきたいということをお願い申し上げますが、こういうお金の使い方、裏金がいかに使われたのかということも徹底的にしていただきたいというふうに思います。

 そしてもう一つは、三十五年前に作られた自民党の政治改革大綱というのは今も有効だというふうに考えていいんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 平成元年の政治改革大綱は中選挙区制度の下での政治改革の議論でありますが、政治改革大綱自体は現在も生きているものだと認識しております。

長妻委員 今も生きているということで、この一九八九年に作られた政治改革大綱の中にはこういうことが書かれているんですね。総裁、副総裁、幹事長などは、その地位にあるときには一旦派閥を離脱するということも書いてあるわけでございます。

 ということは、岸田首相は派閥を離脱せずに首相になられた、これは大綱違反だと思いますが、今、派閥のトップに幹事長、副総裁はいないのかというと、茂木さんと麻生さんが該当する。派閥を離脱していないわけですね。この大綱は生きているということであれば、お二人に、派閥を離れてくれという勧告というか、そういう指示はしませんか。

岸田内閣総理大臣 平成元年の政治改革大綱ですが、当時最大の焦点であった中選挙区制度の弊害にどう取り組むかという観点から、様々な課題について取組を取りまとめたものであります。当時、派閥についても、中選挙区制の下で派閥単位の選挙が行われている、こうした弊害をいかに除去するか、これを最大の眼目として議論されたと承知をしております。

 そして、その後、小選挙区制度の導入等、具体的な制度改正が実現した。そして、派閥についても選挙制度の改正とともに対応がなされたわけですが、しかし、結果として、派閥解消のための取組が徹底されず今日に至った、今日の不祥事につながった。このことについては率直に認め、反省しなければならないと思います。

 そして、それだからこそ、この間の中間取りまとめにおいて、派閥から金と人事を切り離すことによって、いわゆる派閥が解消することになった。いわゆる派閥が完全解消すれば、党役員あるいは閣僚の派閥離脱は事実上達成できているものであると認識しています。

 いわゆる派閥が、金と人事から切り離すことによって、解消するということであるならば、人事における御指摘の点につきましても事実上達成している、このように認識しています。

 そして、それを確実にするためにこそ、中間取りまとめの、金と人事を派閥から切り離す、これを実際に実行する、このことが大事であると思います。このことについて誠心誠意努力いたしますと申し上げております。

長妻委員 いや、あきれました。今の派閥から一夜にして政策集団に生まれ変わり、派閥ではなくなりました、だからオーケーです、そんなばかな話はないじゃないですか。また復活しますよ、そうしたら。全然懲りていないですね。

 次の質問に行きます。

小野寺委員長 長妻君、今答弁を求めておりますが。

長妻委員 時間がないので、さっき長々と答弁して私の質疑時間を非常に侵害しているわけですから、次に行きます。

 それで、政治改革について我が党としては四つの法案を国会に既に提出しております。

 企業・団体献金を禁止する法案、パーティー券も含めてですね。そして、収支報告書のネット公開法案。デジタル化、名寄せして、複数の政治団体を持っている議員がいますけれども、一発で分かる。そして、旧文通費の改革法案、旧文通費、全額使途を公開して、余ったものは返還するという法案。そして、政治資金世襲禁止法案ということで、親から政治資金、政治団体を引き継ぐときに相続税がかからず無税で引き継いでいるお子さんがおられるということで、発射台が非常に不公平なんですね。私も二世ではありませんから、相手がそういう方だと、資金面、かばんが相当差があるということで、これを禁止する法案を既に出しておりまして、是非速やかに審議していただきたいということなんです。

 これに加えてもう一つ、我が党の案として更に上乗せをした対策を出しておりまして、これを法律化して国会にいずれ出そうと思っておりますので、是非今国会で成立させたいと思うんですね。

 一つは、我々の本気の政治改革実現に向けてということで、政治と金の問題に対する立憲民主党の考え方。

 まず、政治家本人の処罰強化ということで、連座制を導入する。そして、政治資金隠匿罪を新設する。

 二番目は、政治資金の透明性の確保。収支報告書のデジタル化、政治資金の外部監査を強化。今、政党に外部監査は義務づけられていないんですね。とんでもないことです。我が党は自主的にやっていますが。そして、政策活動費は廃止する。

 そして、三番目としては、政治資金パーティー及び企業・団体献金の禁止。企業、団体からの寄附を禁止、政治資金パーティーは全面禁止、個人の寄附への税額控除を抜本拡充。

 こういうことなんですね。是非、総理、自民党が了解すれば法律が通るわけですので、本気でということであれば是非お願いしたいんです。

 その中で、総理に企業・団体献金についての見解を議論したいんですね。

 企業・団体献金について、総理は八幡製鉄の最高裁の判決を引用されて、裁判所も企業・団体献金を認めているんだから、どんどんやったらいいんじゃないかみたいな趣旨の御答弁がありましたが、別に、その判決というのは、企業・団体献金自体は違憲ではないということの判決だけで、企業・団体献金を法律で禁止することまでを憲法違反だと言っているわけじゃないんですね。それはその見解でいいですか。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほど来の法改正につきましては、自民党としても、政治の信頼回復のために真摯に議論に向き合う所存です。自民党としても、自民党内のルールについては早速改正できるものは改正しましたが、各党共通のルールについても改めるという議論につきましても、法改正を要する制度改革につきましても、自民党として真摯に向き合ってまいります。

 それから、今御質問の最高裁の判決についてですが、この判決については、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を有する、こういった意味の判決であると我々は理解しております。

長妻委員 だから、別に法律で禁止することまで憲法違反という判決ではないわけですよね。

 一つ、私が今回の政治と金の問題でずうっと当選以来感じていますことは、先進七か国で日本の企業・団体献金の規制等が一番緩いということなんですね。フランスもアメリカもカナダも企業・団体献金は禁止、イギリスは一定以上の金額の企業献金は株主総会の議決が要るということなんです。

 私は、日本の停滞の大きな原因の一つは、金の力で政治がゆがめられている、ここにあるというふうに本当に常日頃思っているんですね。

 つまり、簡単に言うと、パーティー券が売れない分野とか金が集まらない分野は予算が後回しになる、法律の手当てが後回しになる。少子化対策が何十年間も重要、重要と言って全然予算がつかなかったじゃないですか。我々立憲民主党は子ども手当を入れたけれども、自民党が否定したじゃないですか。

 そして、我々は、今の最大の問題の一つは、若者を含めて、中高年の皆さんを含めて、非正規雇用の問題ですよ。非正規雇用や格差問題はいまだに全然手つかずじゃないですか。金が集まらないんですよ、この分野は。パーティー券も売れない、なかなか献金も集まりにくい、そういうところは法律の手当てとか予算とかが後回しになってしまう。

 あるいは、新しい産業分野。日本は本当に大切ですよね、新しい産業分野。でも、新しい産業分野というのはなかなか育っていないからパーティー券はそんなに売れませんよ。あるいは、企業献金だってそんなにウン千万も入ってきませんよ。

 日本は教育の自己負担もばか高いじゃないですか。その背後に、多くの企業・団体献金が集まらない分野はいつもほったらかしになる。私は、これが日本の非常におかしな政治、金に汚い政治の弊害の本質だと思うんですね。

 我々は、真っ当な政治を目指すということで取り組んでいるわけでございまして、例えば、ランキングがあるんですね、報道でもありますが、自民党の国民政治協会に二千万円を超える献金をした企業、団体ということなんですね。見ていただければ、ここに今私が申し上げたような分野というのはなかなかないわけですね。

 本当に日本が必要なところに予算、法律の手当てをつけるということではなくて、巨大な業界団体、巨大な企業というのがメジロ押しなわけですよ。こういうところの意見というのは、お金をいっぱいもらっているということで、人情というか、よく聞くと思うんですよね。コミュニケーションも取るというふうに思うんですけれども、そうでないところは後回しになるというふうに私は議員になってずうっと思っていることでございまして、ここで、企業献金の弊害というのを総理に語っていただいて、これを何とか解決するということで一歩踏み出しませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 企業献金を行わない関係者の政策が後回しになっているという御指摘でありますが、それは当たらないと思っております。

 こうした様々な団体あるいは関係者の意見を聞く、これは大事なことでありますが、それと併せて、様々な政策調査を始め、有識者の話を聞くことによって取組を行っている。だからこそ、今の内閣においても、子供、子育て政策、認知症対策、スタートアップ支援、あるいは外国人労働者の問題についてもしっかりと取り組んでいるわけであります。これは、献金とそうした政策が直結しているかのような言い方は当たらないと申し上げています。

 その上で、企業・団体献金ということにつきましては、これは長年の議論を経て各党の合意の下に現在の姿になっていると承知しております。

 こうした中で、企業・団体献金が政策に直結していることを否定した上で、是非各党とともにこの在り方について議論をしたい、このように申し上げております。

 企業・団体献金については、献金する側の政治に対する関与の自由、こういった意味があるということを申し上げております。こうした様々な点も含めて、この問題について各党で議論をすることが重要だと申し上げております。

長妻委員 総理は一生懸命やっているとおっしゃいましたけれども、ほかの国との比較なんですよ。ほかの国と比べると、日本は私がさっき申し上げた分野というのは非常に遅れているんですね、いまだに。

 総理は弊害について全然おっしゃらないんですけれども、経団連の一つ前の団体、旧経団連からも、実は一九九三年にこういう提言が出ているんですね。企業献金については、公的助成や個人献金の定着を促進しつつ、一定期間の後、廃止を含めて見直すべきであると。経団連の前身からもこういうふうに出ているし、当時、亀井さんという住友電工会長からも、企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格を持っていると。企業団体の長老ですよ。そして、経済同友会の代表幹事の石原さんは当時こういうことをおっしゃっている。企業が議員に何のために金を出すのか。投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する。こういうふうに言っているんですよ、総理。

 私は、政治は、こういう強い者というか、お金がいっぱいあるところ、これももちろん大切にしなきゃいけないけれども、より光を当てるのは、お金もなかなかない、組織力もない、本当にお困りのそういうお一人お一人、あるいは中間層の方々じゃないでしょうか。

 こういうようなことで、総理に最後に一言だけ聞きたいんです。このまま終わっちゃうと、総理は、企業・団体献金は全く一点の曇りもない、企業・団体献金はどんどんどんどん増やせばいいんだというふうに私には聞こえたんですね。ですから、その誤解を解くためにも、企業・団体献金の弊害もあるということもちゃんと語ってほしいんですよ。どうですか。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金について様々な議論があり、弊害についての御指摘がある、それは、今委員がまさに紹介した意見を始め、意見があるということも十分承知しております。

 しかし、それとともに、政治活動の自由との観点においてこれをどう考えるか、民主主義のコストをどう幅広く社会として維持していくのか、こういった観点からも議論をし、そして、今日の姿は、決して自民党だけではなくして、各党の議論の積み重ねの下に今日があると申し上げております。

 ですから、そうした御指摘の弊害の部分も含めてこれを議論することは重要であるということを申し上げております。自民党につきましても、こうした議論について、真摯にこの議論に貢献したいと考えます。

長妻委員 一国の総理ではなくて評論家だと言わざるを得ません。

 質問を終わります。

小野寺委員長 この際、早稲田ゆきさんから関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。早稲田ゆきさん。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。

 それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。

 総理、詳細に通告をさせていただいておりますので、どうぞ総理だけお答えをいただきたいと思います。

 今の長妻議員の質疑を伺っていても、本当に大企業にばかり、さっきの企業献金を大企業がやっていて、そこの政策ばかりが取り上げられているということをおっしゃいました。私もそのとおりだと思っていまして、今日は子育て支援金のことを言いますけれども、これは今、総理、少子化対策も、もちろん未来戦略でやるとおっしゃいましたけれども、これは今までやってこなかったから、やり方が手薄だったから、こういうふうに一・二六の最低の出生率、そしてまた、八十万人を超える、赤ちゃんが生まれた、七十七万人というふうになっています。

 こうしたことも、やはり保育業界、幼稚園、そしてまた、そういう子育て支援の団体、企業献金をやるような力はないんですよ。だから、これまでこうしてやるべき政策が全然進んでこなかった、自民党政権において、私はそう思います。

 未来戦略の中に、三、四歳児の保育士の配置基準をようやく増やしていただくことになりました。でも、これも加算です。そして、これは何年ぶりだと思いますか。七十五年ぶりです、皆さん。保育の皆さんが本当に、これじゃ震災のときにどうやって抱えて逃げるんですかというふうにおっしゃって、涙ながらに私の事務所にもいらっしゃいました。そういう政策が後回しになってきたということなんです。

 それなのに、裏金を自民党議員は懐に入れ、それも、脱税疑惑もある、追徴課税もない中で、国民はインボイスで一円から税金を支払う。そして、更に言えば、この子育て支援金のまやかし、これも分かりにくくしているけれども、負担ゼロなんということはあり得ません。それをこうやって、言葉のトリックで、数字のトリックでやっているということは大変不誠実です。総理にはそのことについてしっかり伺ってまいります。

 まず、子育て支援金について見ていただきますと、これは全体で財源確保三・六兆円ですけれども、既定予算の組替え、医療、介護分野の歳出抑制。これ、一番と二番を見るだけでも、一・五兆円の既定予算の組替えにはインボイスがいつの間にか入りました。これは増税じゃないですか、結局。それから、医療、介護分野の歳出抑制、一・一兆円、これでどれだけ困っている方がいらっしゃるか。

 薬価も引き下げました。その中で、もう供給不足で、コロナになってもインフルエンザになっても解熱剤をもらえない、お医者さんが出してくれない。医者の方からいえば出したいんですよ。だけれども、ないんです。だから、ドラッグストアで買ってというような、もう本末転倒な話になってしまう。こうしたことが、結局、国民に巡り巡って負担になっている。不利益を被っているのは国民ですから。そして、数字のトリックで、こうやって一・五兆、一・一兆円とやっています。

 そして、一番最後の三番。賃上げと制度改革で社会保険料負担を実質的に軽減とおっしゃいますけれども、これ、報道ベースでは、後で皆さん見てください、六ページからの資料。五百円、五百円という数字がずっと出ています。でも、これもよく分からない数字です。

 これは……(発言する者あり)いや、正式に出さないといっても、説明責任があるじゃないですか。これから負担増を国民の皆さんにお願いするんです。それなのに、分からないという議論は成り立ちません。

 そして、この中で実際に今言われているのは、医療保険に上乗せすると言われています。保険料が増加しますよね、当然。当然増加します。それなのに、ここに書かれているのを御覧ください。三千三百億円の軽減効果、そしてまた、そこに、賃上げ分などは負担にカウントせずと。誰が考えたんでしょうか、こんなこと、本当に。賃上げをしていただくための医療報酬、介護報酬、これが上がりました、だけれども、それをカウントしないなんということはあり得ないわけです。

 実際は負担を、そのために国民の皆さんにお願いするということですから。それなのに、これもまやかしで、こうやって賃上げ分はカウントしないから、当然下がってきますね、数字が。そのトリックによって、この五百円だか七百円だか分からないけれども、それを国民の皆さんから、医療保険に上乗せして、負担増ですよ。だけれども、それを上げても実際プラス・マイナス・ゼロですよというようなことがおっしゃりたいんでしょうけれども、全くまやかしです。

 それについてですが、政府が試算をしていると報道をされているこの支援金、一人五百円。これについてですが、一人月額五百円、そういうふうに政府は見込んでいる、試算をしているのでしょうか、していないのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭、先ほど、自民党あるいは自公政権において、子供、子育て政策、全く放置されてきたとおっしゃったことにつきまして、それは全く事実は当たっていないと申し上げております。保育や教育の無償化ですとか待機児童対策を始め、子供、子育て政策、この間においても何倍にも膨れ上がっている、こういった実態があることは是非念頭に置いていただきたいと思います。

 そして、その上で、今の御質問についてですが、この支援金につきまして、支援金の一人当たりの拠出額は、実際の賦課時点の医療保険の加入者数等によるため、現時点で正確にお示しすることは困難ですが、粗い試算として申し上げれば、支援金の総額を一兆円と想定する二〇二八年度の拠出額は、加入者一人当たり月平均五百円弱となると見込まれています。これについて、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせて、その範囲で構築をしていく、実質的な負担を生じないという中で、こうした支援金を見込んでいるところであります。

早稲田委員 では、五百円は、政府がその二〇二八年の加入者等も加味した形で、これは試算をして見込んだという数字でよろしいんですね。今まではっきりとそれはおっしゃったことは一度もなかったので。五百円弱ということは、ここで明らかになったということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 医療保険の加入者数等、賦課時点での数字、不確定な部分がありますが、粗い試算として、今申し上げました、月平均一人当たり五百円弱という見込みを申し上げております。

早稲田委員 それは、初めてはっきり総理の口から言っていただきましたので。

 粗い試算で五百円弱と今おっしゃいましたけれども、パネルを御覧ください。五百円とおっしゃいますけれども、これは年額でいえば六千円ですね。そして、世帯でいえば、共働きだったら一万二千円程度になる。これは五百円で計算してもですよ。

 そして、こちらに青の方のグラフで書かせていただいているのは、日本総研、西沢先生の試算であります。これについては、全然金額が違うんです。月額六百三十八円で計算すれば七千六百五十六円、これは協会けんぽ。健康保険組合、これで計算すると、八百五十一円で一万二百十二円。共済組合、公務員などでいえば、一年は一万七百七十六円。そして、市町村の国民健康保険でいえば八千九百五十二円という数字が出ておりますが、今総理がおっしゃったのは最低の平均ラインということになりませんか。

 こんなにも加入している組合によっても違うということがこれで明らかになると思いますが、総理は、保険の種類によってこの支援金の負担が変わるということは、当然そうだというふうに言っていただけると思うし、所得によっても違う。だから、あくまでも五百円というのは最低ラインの数字で、粗く試算はしているけれども、それよりも国民負担は上がるんだということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 個々人の拠出額は、おっしゃるように、加入する医療保険制度や所得によって異なるものであります。

 逆に、先ほど、二〇二六年度から拠出金について月平均五百円弱となると見込まれると申し上げましたが、二〇二六年度からこれを段階的に導入するということになっておりますので、二〇二六年度の拠出は逆により低くなる、こうしたことも想定されます。

 こうしたことも含めて、法案の成案化を進め、更に金額を精査させたいと考えます。

早稲田委員 これは段階的とおっしゃいますけれども、最終は結局この数字になっていくわけで、そういうことをおっしゃると、いかにも安いところで始めますよみたいな話ですけれども、そうではなくて、やはり負担をきちんと、こういうふうに一万円以上の負担になる、もっともっとかもしれない。だって、これは二世帯でしたら二万円ですから。

 事業主負担ということも考えれば、事業主負担は、やはりそれも全体で考えれば国民負担ですから。その分お給料は上がらないわけですから、賃上げにならないわけですから。だから、事業主負担であるからいいんだということでは全くありません。

 そのためにも、私は、今、事業主負担はあるということも言っていただきましたし、所得によってももっと金額は上がりますね、組合によっても上がりますということを確認をここでさせていただきました。

 それでは……

小野寺委員長 今、総理から答弁があります。よろしいですか。

早稲田委員 じゃ、簡潔にお願いします。

岸田内閣総理大臣 事業主の負担がある、そのとおりでありますが、その中で、今示されたパネルについて、これは初めて拝見したので、その評価は控えさせていただきますが、少なくとも、政府としては、加入者一人当たりの拠出額は五百円弱であるということ、これをこの委員会の場で申し上げている次第であります。

早稲田委員 それは、頭割りで、総人口で割った場合のですから。そこから、組合によって又は組合の種類によって、それから所得によってもどんどん上がっていくということをきちんとおっしゃらないと。それが不誠実だというふうに申し上げて、いや、結構でございます。

 それから、高齢者の負担もありますか。高齢者の負担、例えば七十五歳以上の方、じゃ、百歳の方はどうでしょうか。

岸田内閣総理大臣 高齢者につきましても、支援金制度、これは後期高齢者医療制度等を通じて拠出いただく、こういったことは想定しております。ただ、各医療保険間の支援金の按分ルールは、今、法案提出に向けて最終調整をしているところであります。加入者数等について仮定を置く必要がある、こういったことで、後期高齢者の拠出等についても、どのようなお示しの仕方ができるのかを検討いたします。

 しかし、いずれにせよ、先ほど来申し上げておりますように、支援金制度は、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせた中で、こういった制度を構築いたします。実質的な負担は全体として生じないということを申し上げているわけであります。

早稲田委員 総理のお話は総体的にという言い方ですよね、日本国全体で。だけれども、国民一人一人の負担の金額というものは、やはり実感するものというのは違いますから。金額が、社会保険料が上がれば上がるんですよ、給与明細から多くなるわけですから。そのことはしっかりと申し上げておきます。

 それから、高齢者の負担もあるということ。七十五歳以上、百歳の方も負担をしていただく、その按分はあるけれどもというお話でしたが、これも確認をいたしました。

 そうしますと、これは医療保険に上乗せするんですよね。それなのに、給付と負担の関係が明らかであるのが医療負担なのに、全く目的外になってしまいます。そして、それの言い訳として全世代でやるというふうにおっしゃいますけれども、百歳の方に負担していただくのには、給付と負担の関係がもうぐちゃぐちゃになってしまう。これは本当によくないやり方だと私は思っています。

 国民に負担をお願いするんだったらきちんと説明をしてやればいいのに、取れるところから取るという発想です。これもよくないと思います。指摘をしておきます。

 それから、じゃ、子育て世帯の負担の割合、これはどのくらいなんでしょうか、総理に伺います。

加藤国務大臣 子育て世帯につきましては、まず、今回の子供、子育て政策の抜本的強化により、全体として大きな給付を受けるものでございます。

 実際の拠出額は医療保険制度や被保険者の所得や世帯の状況によって異なることから、支援金の中で子育て世帯が拠出する割合を算出することは困難と考えております。

 なお、支援金制度につきましては、子供の数が増えることに伴い拠出が増えるような仕組みとはならないよう検討をしております。

早稲田委員 全くお答えになっていらっしゃいません。負担が分からないということをおっしゃっただけなんだと思いますけれども。

 この子育て世帯、現役世代、実質賃金が二十か月以上下がり続けているわけです。その中で、そしてまた、先ほど申し上げた高齢者の方もそうです、年金が上がったって物価高に追いついていないんですから。そして、医療の窓口負担、それからまた介護の利用料負担も上げようとしています。

 そういうことをしていれば、どんどんダブルパンチでこういうものが利いてくるわけなんです。だから、早く試算をして、皆さんにお示しをして理解をしていただくのが政治としてのあるべき姿ではないかということを私は申し上げています。

 実質賃金が下がっている中で、これはまさに、子育て支援金、それでたくさん給付になるからというお話を今大臣されましたけれども、そうではなくて、この部分について、増税隠しですよ。実質の国民負担ゼロどころか、事実上の子育て増税です。これはしっかりと言わせていただきます。

 そして、その上で、給付がこのくらい増えるというお話をされるのなら、それは子育て増税の中でこういう財源をいただいてやるんだということをきちんと説明されればいいと思います。それなのに、まやかしでやっているから、こうやって分かりにくい。

 そして、じゃ、伺いますが、支援金の一兆円、医療保険に上乗せするということですが、保険料ですか、税ですか。

岸田内閣総理大臣 まず、支援金制度については、先ほど来申し上げておりますように、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で構築していくということであります。これは実質的な負担は生じないということですから、事実上の子育て増税だという御指摘は当たらないと申し上げます。

 その上で、御質問ですが、社会保険制度は社会連帯の理念を基盤として共に支え合う仕組みです。支援金は医療保険料と併せて拠出いただくものでありますが、これも、こうした連帯によって、将来を担う子供たちや子育て世帯を全世代、全経済主体で支える仕組みとして検討中であり、支援金は保険料として整理されるものであると考えています。

早稲田委員 これも、はっきりと今、保険料としてとおっしゃいました。

 今まで、これは税でもない、保険料でもない新たな制度です、でも徴収の仕組みだけ医療保険でやりますということが、ずっと当局がおっしゃっていたことですけれども、保険料なんですね。保険料なのに、給付と負担の関係がこれでは明らかになっていないということです。

 全世代と言えば、全部、全世代ですから、それはいい言葉ですけれども、これは結局は第二、第三の税なんですよ。事実上、増税なんです。それについて保険料でやるということは、本当は保険料というのは、もう今更ですけれども、例えばけがをした、病気をした、だからその間働けないところの生活を支えるということを、みんなで、地域で、あるいは組合で支えていくという制度です。それなのに、この子育て支援金を乗せる、そしてそれも保険料だとおっしゃるなら、これは本当に、そもそもの社会保険というその制度が、非常に持続可能性が危うくなります。

 今までもいろいろな部分で、後期高齢者、それから介護などについても、このものに入れてきた。そして、その中で、社会保険料というのが第二の財布、第二の税と言われてきたわけです。それに更に上乗せをするということ。それも、今はっきりと保険料だということが分かりましたので、ここで確認をさせていただきましたが、私は、制度の趣旨からいっておかしいと思っています。

 その上でですけれども、取りやすいところから取る、そして、国民負担増のゼロということで、国民の負担率は上がらないとおっしゃっています、総理は。でも、この国民の負担率というのは、国民の総所得が分母ですから、そしてそれが上がっていくという前提、希望的観測の下で、分子の方は税と保険料。だから、非常にパイが大きいので、一兆円とかそういうものをしても、そこではぼんと率は上がりませんよ、当然。

 上がらないけれども一人一人の負担は重くなる、それを国民の皆さんにきちんと教えていただきたい、伝えていただきたい。そして、今聞いていらっしゃる方々は、じゃ、実際、この支援金の国民負担の中身、子育て世帯で、高齢者世帯で、それからまた社会保険の種類、所得別でどのくらいになるのかということ。

 どのくらい負担をする目安なのかというのは、さっきの五百円ではなくて、こういう段階を追った形、年数万円の可能性があるということでありますけれども、これをしっかりと、早く、いつまでに出していただけますか。

岸田内閣総理大臣 加入する医療保険制度や所得に応じて異なるという点についてはおっしゃるとおりだと思いますが、その中で、まずは粗い計算として五百円弱という月額を申し上げさせていただきました。そして、その上で制度設計を進めているところでありますが、少なくともこの法案審議に間に合う形で具体的な制度設計を進めていきたいと考えております。

早稲田委員 それはおかしいですよね。もちろん、法案の審議をするんですけれども、これは予算の質疑ですから、そういうところも踏まえて議論をしていかなければ深まりません。

 そして、来週閣議決定、十五日にもと、この件は言われています。なので、是非今週中に、大枠で結構ですけれども、所得別、組合別、そして子育て、高齢者、そういうところを、大枠でいいので、大まかな試算でいいので、出していただけませんか、今週中。お願いします、総理。

岸田内閣総理大臣 今、精査を進めています。そして、今申し上げたように、法案審議に間に合う形で具体的な制度をお示ししたいと考えています。

早稲田委員 閣議決定が来週ということなのに、総理が今精査中だから知らないとおっしゃるのも、大変不誠実だと思います。だって、国民に一番注目をされている支援金です、負担増ですから。そして、これは子育て増税に……(岸田内閣総理大臣「増税じゃない」と呼ぶ)事実上のです、事実上の。これをきちんと説明するというのは、早め早めにやっていただかないと理解を得られません。

 そして、申し訳ないけれども、自民党議員の皆さんは、ある意味、こうして裏金を懐に入れ、領収書も添付しない形でこれを使い、追徴課税もしないというようなことに、国民の皆さんは怒っています。総理、お分かりでしょうけれども。地元に行ったら、私たち、その話題ばかりです。あなた違うの、キックバックないの、そればかりです。本当に大迷惑です。

 そういう中で、私たちは全て収支報告に記載をしていますということを申し上げ、そして変えていきますということをしっかり国民の皆さんにはお伝えをしているけれども、やはり、その中で、政治家特権じゃないかと言われている。だって、数千億円のお金は収支報告に書かなくていいとされちゃっているんだから。(発言する者あり)数千万円、ごめんなさい。数千万円。だけれども、政策活動費でいえば五十億円という話もありました。

 そういうことについても国民の皆さんは怒っているのに、国民に負担増をお願いする。それが五百円なのか千円なのか、そして年間だったら六千円、いや、一万円かもしれない。二人だったら二万円かもしれない。更に事業主の皆さんにもこれをお願いするわけですよ。そういうことをしっかりと示さないということに、もう怒りが骨頂だと私は思いますよ。

 これが国民の信頼を失っているということなんです。それをやめてほしい、だから、せめて国民の皆さんにお願いをする、それは早く説明をしていただきたいと再度お願いをしたいと思います。今週中、いかがですか。

 そして、国民負担ゼロという言葉、これは絶対そうなりませんから。総理は国民負担率ゼロというふうにもおっしゃっているので、だから、是非、増税なんですから、これについては、国民負担ゼロ、それから負担率が増にはならないという言葉を撤回していただきたい。皆さんにお願いしたいと。お願いします。

岸田内閣総理大臣 全体として実質的な負担は生じないということ、これを申し上げております。

 先ほど申し上げたように、賃上げと歳出改革によって社会保険負担の軽減を生じさせ、その範囲内で支援金制度を用意いたします。よって、実質的な負担は全体として生じないと再三申し上げております。実質的な増税ではないかという御指摘は当たらないということを申し上げます。その上で、この制度設計の具体化を急いでいきたいと考えます。

早稲田委員 何度も繰り返されておりますけれども、私も何度も繰り返しますが、一人当たりの負担感というのは必ず増えます。これは社会保険料に上乗せするわけですから、たとえそれが五百円であっても。五百円じゃないんですよ、本当は。これは五百円という言葉だけが非常に流布されているような感がございますが、それよりも増える、場合によっては、所得によっては、企業によっては、組合によっては、年齢によっては。そして、年額では万単位になる可能性はもう大です。

 だから、そうやって増えるわけですから、そのことを皆さんにきちんとお示しをしていただきたいということを再度申し上げます。

 そして、国民の理解が得られないと私は思っていますが、本当に、異次元の少子化対策とおっしゃっていながら、非常にこれも危うい感じがいたします。

 私、さきの臨時国会の予算委員会質問で、児童手当の拡充、そして扶養控除廃止は絶対しないでくださいというお願いを、質問をいたしました。そうしたら、そのときに総理が何とお答えになったか、十月。児童手当を高校生まで拡充するから、それによって扶養控除廃止を前提には検討しない、そのようにおっしゃいました。でも、蓋を開けてみたら、削減、縮小なんですね、この扶養控除が。

 そして、これを見てください。受益が十二万円、高校生が一万円増えることになって。私たちももう十年来言っています。私たちは一万五千円で児童手当を拡充しましょうという政策も法律も出しております。でも、やっと今回一万円が高校生にも児童手当として出される。だけれども、これが出される方は本当に僅かなんです。

 そして、扶養控除が縮減されること、削減されることによって、増税ですね、これも。だって、実入りが少なくなるわけですから。十二万円で控除がなくなると、これは政府が出しているシミュレーションですから。そうすると、とにかく、九・二万円、八万円とどんどん下がっていくわけです。

 これも子育て世帯からお声が届いています。結局、総理は、異次元の少子化対策と言ったって、私たちが一生懸命共働きで働く、そして頑張っても、ちょっと収入が高くなるとこうやってどんどん減らしていくんだ。これが子育て異次元ですか。とにかく子育て増税にならないようにしていただきたい。今、異次元と言っているんだったら、こういうことをやめていただきたいということを申し上げます。

小野寺委員長 約束の時間が参っておりますので、まとめていただきたいと思います。

早稲田委員 はい。

 それでは、私は、この子育ての関係についても扶養控除縮小をなさらないでいただきたいということを強く申し上げ、そしてまた、子育て罰にならないように政策を前に進めていただくことを強く要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、山岸一生君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山岸一生君。

山岸委員 東京都練馬区から参りました、立憲民主党の山岸一生です。

 まず、盛山大臣の問題についてお伺いしていきます。

 既に新聞でも報道されておりますけれども、統一教会関係の団体から推薦状を受け取り、選挙の支援をもらっていたということです。先ほど長妻議員からの質問でもありましたけれども、これ自体がもちろんとんでもない話なんですが、これから盛山大臣は、裁判を抱えているわけですよね、統一教会との間で解散命令請求を争っていく文科省の責任者として。こういう負い目があったら、公正な裁判を闘えないじゃないですか。

 任にあらず。自ら辞任をするお考えはありませんか。

盛山国務大臣 まず、選挙支援について、こちらからお願いをした覚えはございません。そして、旧統一教会につきまして十月十三日に解散命令請求を出したところでございますし、そういった私の行動を見ていただければと思います。

 私としましては、職務をしっかり果たしていく所存です。

山岸委員 お願いしなかったとしても、やってもらったわけじゃないですか。同じことですよ。

 総理、このような大臣の下で、解散命令請求、今後の裁判、政権として責任を持って進めていけるのか。ここは、大臣が続投しますとおっしゃっていますので、総理、更迭をなさるべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど、自民党の方針、過去について説明をし、未来に向けて関係を絶つという方針について申し上げました。

 したがって、盛山大臣を含めた各閣僚においては、過去の関係いかんにかかわらず、現在は当該団体との関係を一切有していない、このことを前提として任命を行っております。

 盛山大臣においても、自ら説明責任は果たしていただきたいと思いますが、引き続き職責を果たしてもらいたいと考えております。

山岸委員 今総理は任命の前提をおっしゃったけれども、その前提が崩れているんじゃありませんかということを申し上げています。過去の関係を偽っていた、隠していたのであれば、それは総理がおっしゃった任命の前提が崩れているわけだから、罷免すべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 自民党の基本的な方針として、旧統一教会及び関係団体との関係、過去を点検し、そしてそれについて説明責任を果たし、そしてそれに加えて、指摘をされたことについては説明責任を尽くすというものであります。そして、未来に向けて関係を完全に絶つということを徹底する、これが基本的な方針であります。

 この方針に基づいて、過去の関係いかんにかかわらず、現在は当該団体との関係を一切有していない、これを前提として大臣の任命を行っております。よって、引き続き職責を果たしてもらいたいと考えております。

山岸委員 総理、今、点検をしたとおっしゃっていますけれども、この点検から漏れていたのが今回の盛山大臣のケースじゃないんですか。

 自民党の調査、二年前にされましたけれども、あの質問では八項目あったわけなんだけれども、そのうち一つに、支援の依頼がありましたか、こういうふうな質問をしているわけですよね。盛山氏が言っている、推薦状をもらいましたというだけであったら、自分から支援をお願いしていないから、このアンケートでは漏れてしまっている。この調査がそもそも不十分だから今のような事態になっているんじゃないか。

 総理、これはおっしゃっている前提が崩れている、総理の任命の前提が崩れている。もう一回調べ直すべきじゃありませんか。少なくとも今座っていらっしゃる閣僚全員については、自分からお願いしたかどうかにかかわらず、選挙の際に何らかの関係があったのか、推薦状をもらっていたのか、支援を受けたことがあるのか、もう一回調べ直すべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、旧統一教会及び関係団体との関係については、点検をし、そして説明を尽くすこと、これがまず基本でありますが、その後、指摘をされたことがあったならば、それについても説明責任を果たしていく、これが過去への対応であります。そして、未来に向けて関係を完全に絶つ、これを徹底するというのが自民党の基本的な方針であります。

 この方針に基づいて、閣僚においても対応してもらわなければなりません。この方針については、改めて、各閣僚につきましてもいま一度確認をしたいと思います。

山岸委員 総理のおっしゃる確認とは何をおっしゃっているんですか。今、全部の閣僚にもう一回聞き取りをして、あしたの委員会に報告いただけるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた自民党の方針をいま一度確認するということであります。

山岸委員 その確認した内容を当委員会にあした御報告いただけますね。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました旧統一教会及び関連団体との関係について、過去を点検をし、説明責任を尽くしたとしても、その後、もし指摘をされたら、それについても説明責任を果たしていく、こうした過去の対応と併せて、未来に向けては関係を完全に絶つ、これを徹底する、この方針について、いま一度、各閣僚、この方針に基づいて対応しているということについては確認いたします。

山岸委員 大変長い御説明なんだけれども、要するに、新たな事実が明らかになったらそのことはもう一度報告をしてくださいねということを今総理おっしゃってもらったと僕は理解したんだけれども。

 つまり、少なくとも盛山大臣を含めて全ての閣僚の皆さんに、あのアンケート、自民党の調査の以降に新たに発覚をした、指摘を受けた、あるいは思い出した、こうしたことがあれば、あしたの委員会までに調べて御報告いただける、よろしいですか。

岸田内閣総理大臣 アンケート後、新たに指摘されたことがあれば、その都度、説明責任を果たすというのが基本的な考え方です。指摘をされたら説明責任を果たす、これは今後とも自民党の方針でありますので、その方針を徹底するということであります。

山岸委員 今日の時点では、盛山大臣は十分な説明を果たしているとは到底申し上げることができません。先ほどの委員会の質問でも、はっきりした記憶がない、こういう答弁に終始しているわけであります。

 ですから、総理から官房長官を通じて指示をして、盛山大臣を含めた全ての閣僚に、新たな接点はないのかということを確認をして、当委員会にあした御報告をいただけますか。

岸田内閣総理大臣 指摘をされたならば説明責任を尽くす、それを党の方針としております。その方針を閣僚においても徹底すると申し上げております。

山岸委員 指摘されたならばきちんと調べて報告するということが方針で、今回既に指摘をされています。仮定の話ではありません。

 指摘をされた以上、確認をして、あした当委員会に御報告をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 盛山大臣については、指摘をされた、これについて説明責任を尽くしてもらわなければならないと考えております。

 各大臣も、今後、もし指摘をされるようなことがあれば、これは説明責任を尽くしてもらう、このことについて確認をいたします。

山岸委員 総理、同じような答弁しかされないので聞き方を変えたいんですけれども、盛山大臣、文部科学大臣、先ほど申し上げたように、統一教会との裁判を抱えているという側面もありますが、教育を所管する大臣でいらっしゃいます。その文科大臣がうそをついている、しかも隠した者勝ちだと。

 これは、今回、今ばれただけであって、御自分からおっしゃっていないわけですよね。こうした方が文科行政のトップにいるということは、私は国の教育に対して決してプラスにならないと。ここは、総理御自身が決断をして、日本の教育のために更迭をされるべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほどの盛山大臣の答弁、少なくとも隠したとかうそをついたという説明ではなかったと承知をしています。

 いずれにせよ、説明責任を丁寧に尽くしていくことが重要だと申し上げております。

山岸委員 推薦状を受け取り、会合に出席をし、共に、頑張ろう三唱でしょうかね、腕を突き上げている写真まで載っております。これらがフェイクとはおっしゃらなかった、大臣は。であれば、これは外形的には、ばれるまで隠していました、こう見られても仕方ないと思います。

 文科大臣、もちろん閣僚の皆さんはそれぞれ高い職責を求められるべきだけれども、特に、子供たちにうそつきは泥棒の始まりと教えている立場である文科行政のトップとしてはふさわしくない。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 うそとか隠したという説明ではなかったと受け止めていますが、いずれにせよ、説明責任は果たしてもらわなければならないと思います。

山岸委員 総理、この間、安倍派の閣僚の皆さんを更迭されました。岸田総理の更迭基準というのがどこにあるのかなと。非常に下がっているんだろうなということは間違いないと思うんですね。

 安倍派の裏金の問題と統一教会との接点の問題、これを簡単に同一基準で比べるのは難しいとは思いますが、しかし、国民感覚で申し上げれば、どちらも真っ黒じゃないか。

 あれだけ簡単に閣僚の首を切る総理ですから、この盛山大臣、特に岸田派の議員でもいらっしゃいます、身内にもしっかり厳しく決断をするんだ、公平に処分をするんだ、そういう姿勢を示す意味において、盛山大臣、あえて、派閥は既に解散を表明されていますけれども、派閥の前会長としては責任を持って更迭すべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 十二月の閣僚交代については、当時、政治と金の問題をめぐって様々な報道がなされる中にあって、閣僚、副大臣等が、自らの判断で、この年末、重要な時期、政府の取組に支障が生じないという観点から、自らの判断で職を辞す、こういったことを確認したものであります。

 今の盛山大臣の件につきましては、先ほど来申し上げておりますように、党の方針に基づいて説明責任を尽くしてもらわなければならないと考えています。

山岸委員 説明責任を尽くしてもらう、総理、そこまでおっしゃる以上、今、この委員会におけるここまでの盛山大臣の御説明が十分だと、総理、お考えでしょうか。

 覚えていない。記憶がない。もう一回、事務所の記録を捜してください、面談記録はありませんか、推薦状は残っていませんか、写真はありませんか、こういったことを確認というんだと思います。

 総理の指示で、盛山大臣に委員会に報告をするように指示してもらえませんか。

岸田内閣総理大臣 十分かどうか、それは受け止める方が判断するわけでありますので、説明する側は、そうした疑問に対して答えていかなければならない、こういった立場だと思います。十分でないということであるならば、更なる説明責任、努力をしなければならないと考えます。

山岸委員 少なくとも、あしたの委員会までに確認はいただけますか。

 新たな指摘がされた方、盛山先生はされています。あるいは、ひょっとしたら、ほかの閣僚も、こうしたことを、例えば取材を受けているとか、あるいは、統一教会側から、いや、実はこういうおつき合いがありましたよね、こんなふうな連絡をもらっている方もいるかも分かりません。この報道が出ているということは、これは当然ですけれども、統一教会側がこういう資料を持っているということになるわけですから。こうしたことをベースにして、閣僚の皆さんにひょっとしたら何らかの働きかけをしたり連絡をしたり、こういうことが足下で起こっているかもしれません。そうしたことをもう一回調べて、報告してもらえませんかということが僕らのお願いなんです。

 総理も、こうした新聞記事が出ているということは、当然、旧統一教会側は、様々な集会を持ったり接点を持つたびに、しっかり記録を取っているんだということが明らかなわけですよね。今回、盛山大臣、表に出ましたけれども、ほかの方もいるかもしれない。一人いれば二人いる、二人いれば三人いる、そういうリスクがあるわけであって、だったら、それを調べて、この委員会に報告してもらえませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、自民党の方針に従って説明責任を尽くしていかなければなりません。そして、盛山大臣には、引き続き説明責任を尽くしてもらわなければならないと考えます。

 そして、今の時点で、説明責任を果たす必要があるかないか、要は、そういった指摘があるかないか、その点は確認できると思います。ですから、今の段階では、説明責任を果たさなければならないような事態にはないということを確認する、これはできるんだと思います。

山岸委員 明確に答弁をいただきました。今の時点で新しい指摘が来ていないか、ほかに新しいことはないのかということは確認して、この委員会に報告をいただける、よろしいですか。

岸田内閣総理大臣 今の時点で、説明責任を尽くさなければいけない状態があるかどうか、これについて確認をする、これはできると思います。

山岸委員 明快な御答弁をありがとうございました。

 あしたの朝の理事会に御報告をいただきたいと思います。委員長、お取扱いをお願いします。

小野寺委員長 理事会で協議させていただきます。

山岸委員 続けて、裏金の問題に入ります。

 総理と今、十分少々議論させてもらって、本当に明快な答弁をつくづくされないなと思うんですけれども、この裏金の問題も、総理は実は、裏金という言葉を本当にお使いにならないですよね。何を伺っても、総理は必ず、自民党の政策集団の政治資金の不記載の問題、非常に長い言葉をおっしゃる。

 派閥の裏金、僕らが議論しているのは派閥の裏金問題ですよね。総理、よろしいですか。

岸田内閣総理大臣 裏金という言葉については、文脈によって、また人によって裏金の意味、内容が異なり得る、こういった実情であるからして、私として、平素から客観的に分かりやすい言葉を使っているということであります。

 裏金という言葉については、その意味、文脈を通じて意味、内容が異なり得るものであると認識をしております。

山岸委員 裏金の方がよっぽど分かりやすい言葉だと思います。

 辞書を調べてみました。パネルを御覧ください。おなじみ広辞苑でございます。裏金、何ですかと。「3.取引などを有利に取り運ぶため、正式の金額とは別に陰で相手につかませる金銭。4.公式の帳簿に記載しない、自由に使えるように不正に蓄えた金銭。」このままじゃないですか。

 今回の派閥の裏金というのは、まさに辞書で言う定義そのもの、裏金のお手本、ザ・裏金、これが裏金じゃなければ世の中におよそ裏金というものは存在しないんじゃないかというぐらい明快な裏金だと思います。

 総理、文脈云々じゃなくて、総理御自身として、今回起こった安倍派、二階派の問題は裏金問題だ、こういう認識をお持ちですか。

岸田内閣総理大臣 委員がお示しになった裏金の意味、こういった意味を含めて、今回の事態が裏金問題だと指摘されていることについては深刻に受け止めなければならないと思います。

 ただ、裏金ということについては、法律的な意味合いも含めて、文脈において、何を裏金と称するのか、これは様々な意味で使われている、異なり得る、このことも事実であると思います。

 よって、私自身としては先ほど御指摘のような言葉を使っている、こういったことであります。

山岸委員 総理はずっと、評論家的な言い方で、御指摘を受けているという、こういう言い方ばかりされるんだけれども、総理御自身の認識です、裏金問題だと。

 なぜこれにこだわるかというと、今、自民党の皆さんが、野党とかメディアが裏金と言うと、違う、違う、違うと抗議をしてくるんですよね。一体どういう認識なのかと思うんだけれども、これは総理がはっきりおっしゃらないことも一因だと思います。

 ここで明快に言ってもらえませんか、今起こっている問題は裏金問題だと。総理御自身の認識をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 これはさっきから何度も繰り返しますが、実際問題として、裏金という言葉について、人によって、また文脈によって意味が変わっている、こういったことは間違いないと思います。より実際的に、法律的な責任、政治的な責任、こういったことについて説明責任を果たす上で、的確に表現することが重要だと考えております。

 よって、私としては、先ほど来申し上げておりますように、政治資金パーティーをめぐる問題であるということを申し上げている次第であります。

山岸委員 総理、お伺いしますが、今、百名近くの方の不記載が、裏金が表に出ていますけれども、この方々は世間一般では裏金議員と呼ばれているんですけれども、裏金議員は、総理の定義だと自民党にはいないということになるんですか。裏金議員、いないんですか。

岸田内閣総理大臣 裏金という言葉については、人によって、文脈によって異なり得るということを申し上げております。ですから、その定義によって、裏金議員かどうか、これが決まるということだと思います。

 だからこそ、裏金議員がいないとは申しませんが、これは、裏金という言葉の定義が文脈によって変わり得るということから、より的確な言葉を使うことが重要だと申し上げております。

山岸委員 裏金議員がいることはいるとお認めになるわけですね。

 そうしたら、総理、処分が必要じゃないでしょうか。総理自ら、この人は裏金議員だなとおっしゃるのであれば、明快な処分が私は必要じゃないかと思います。

 総理はずっと、実態解明と反省と再発防止と三つおっしゃるんだけれども、世の中一般では普通、実態解明と再発防止はそうだけれども、真ん中に来るのは処分だと思います。この処分がなかなか見えない。

 実は、練馬で、四年前に政治と金の問題で自民党の議員が辞職をしました。この方、今では何事もなかったかのように政治活動を再開しています。今、自民党の今回の裏金議員の皆さんも、今は大変だけれども、そのうちほとぼりが冷めればまた元どおりだ、こんなふうに思っていらっしゃる議員も多くいらっしゃるんじゃないか。だから、それを許さないために、総理御自身が裏金議員を一掃する、腐敗した議員はもう要らない、これをおっしゃる必要があるんだろうと思うんですが、この裏金議員、少なくとも次の総選挙では公認をしない、これぐらいの厳しい処分が必要ではありませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 裏金という言葉は文脈によって異なるからして、その人の言っている裏金という意味に該当する自民党の国会議員がいないとは申しませんと先ほど申し上げました。ですから、ただ、その意味は様々ですので、文脈によって変わりますので、的確な言葉を使うことが重要だと申し上げております。

 その上で、処分ということにつきましては、まさに、実態を把握した上で、説明責任を果たし、そして政治責任について考える、処分について考える、こういった手順を踏まなければならないということで、今、アンケートとともに、関係者の聞き取りを党幹部、外部の弁護士とともに行っている、こういったことであります。

 党としても、実態把握をした上で、しかるべき手順を踏んだ上で、対応、処分等についても考えてまいります。

山岸委員 結局、強く、はっきりと決めることができない。それが実は、総理御自身にも弱みがあるからじゃないかということを指摘したいと思います。

 それが総理の祝う会の問題、またの名を闇パーティー疑惑、こういうふうにも言われております。報道等でも、これは週刊ポストが先発しましたけれども、一般紙でも報道されております。大学の先生も、これは脱法的じゃないか、こういう指摘もあります。

 簡単に説明しますけれども、これは、総理の地元広島の政財界の方が総理就任を祝う会を開いた、会費一万円で一千百人集まって、そのうちの利益になった三百二十万円を総理の政治団体に寄附をした、こういう話でございます。

 これは脱法的じゃないか。これが許されたら、派閥パーティーの禁止も何の意味もない、つまり政治団体でやる必要もないんです。誰か友達にお願いしてパーティーを開いてもらって利ざやを政治家に寄附をすれば、政治資金パーティーとしての縛りも受けなければ、その団体は企業でもないから税金もかからない、丸もうけだ。非常にこれは巧妙な錬金術になってしまうわけなんです。

 それで、前回の質疑で総理に求めました。このパーティーの開催には、岸田事務所が実は関わっていました。御答弁いただきました。

 そこで、具体的にお聞きいたします。

 岸田事務所に確認してくださいとお願いしてあります、この会の案内状や支出の明細、収入、こういったデータ、資料をお送りいただけませんか。お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の会ですが、これは、地元の政財界の皆様が発起人となり、また、それらの皆様が結成した政治団体と異なる任意団体において開催いただいた、こうした純粋な祝賀会であると認識をしています。

 その中で、振り込み先の口座開設など手続等について不慣れであるという相談を受けて、こういった手続をお手伝いしたということについては報告を受けております。

 また、延期の案内については、これは一旦、急遽延期するという事態が生じました。これについて、急遽であり人手が足りないという相談を受けて手伝いをした、こういった手伝いをしたことは報告を受けております。

 そして、いずれにせよ、これは私の事務所が主催したものではありません。お尋ねの会費の収入、支出等、明細等につきましても、私の事務所からこれを提出するという立場にはないと考えます。

山岸委員 主催じゃないと言っても、事実上の主催、控えめに見ても共催、これがせいぜいなところじゃないですか。

 総理、これはせめて、もうやりませんということぐらいははっきり言ってもらえませんか。これはやはり、脱法的なものが横行してしまうと、多分これから、皆さん、派閥パーティーはできないけれども、これをやればいいんだな、岸田方式をやればいいんだなと広まってしまいますよ、総理。

 ここは、総理自身が政治改革の先頭に立つとおっしゃっている以上、今、先頭に立って抜け穴をつくっているわけですから、ここはその抜け穴を塞ぐ。少なくとも、岸田事務所が関わる形ではもうやりませんと言ってもらえませんか。

岸田内閣総理大臣 要は、私自身とは異なる、任意団体が開催した会ということでありますので、この任意団体がもうやらないかどうかということについて、私が申し上げる立場にはないと思います。

 ただ、そういった御指摘を受けているということについては、私自身、しっかりと考えていかなければならないことであると思っております。

山岸委員 本当に決断いただけないですね。

 私、岸田三Kと呼んでいるんですけれども、総理がおっしゃる決意、覚悟、検討、この三つのKだけは本当によくおっしゃる。でも、一番国民が求めているのは行動なんです。実際に行うことなんです。そして結果を出す、そしてけじめをつける。

 けじめ、結果、行動、こっちこそが本来総理がやるべき三Kであって、少なくとも、この祝う会については、事務所が関わる形ではもうやりません、それは言ってもらえませんか。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 はい。

 今申し上げたように、この任意団体、地元の政財界が中心になってつくって、祝賀会をやっていただきました。それについて手伝いをした、これは御指摘のとおりであります。しかし、主催をした等は全く事実ではないということを申し上げます。

 こういった点について、任意団体が今後どうするかということについて申し上げる立場にはありませんが、こういった指摘を受けていること、私自身としてしっかり受け止めて、今後を考えたいと思います。

山岸委員 終わります。

小野寺委員長 この際、米山隆一君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。

 今ほどの山岸委員の質問に対する総理の御答弁に、私、もうちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。

 もう言うまでもないことでございますが、憲法第七十二条、「総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」とございます。

 総理が、いや、その団体は任意団体だから知りませんとおっしゃるのは、それは個人としてはいいですよ。でも、総理大臣ですから、そういう行為が許されるのか許されないのか、それは総理として、行政庁に対してちゃんと言わなきゃいけないわけです。

 総理大臣が、いや、それは知りません、いいんです、任意団体がやって収益を上げて寄附する、それは全然報告しなくてもいい、総理大臣たる人がそれを受け取っていい、そうおっしゃるんでしたら、あしたから私もやりますよ。いいですよね。だって、私じゃなくて友達にやってくださいねと言えばいいんだもの。そうでしょう。

 主催じゃないです、でも、皆さん、仕事は慣れていないし、うちの事務所がみんなサポートしますから大丈夫です、主催はあなたたちね、あくまで主催はあなたと。僕に収益を下さい、それでもう僕は全然税金も払わないでいいです、そういうことを総理大臣としていいとおっしゃったに等しいんですよ。総理大臣として、そのような行為はしていいか悪いか、それはきちんと言ってください。

 あらゆる法律は、ちゃんと、脱法というのはあり得るんです。こういうふうに解釈すればそうも取れるじゃないという、脱法の方法というのは幾らでもあり得るんですよ。でも、そういう脱法は駄目ですよというのを取り締まるのが行政庁です。その行政庁の長が、総理大臣、岸田さん、岸田総理、あなたなんですよ。

 総理として、こういうことはしてはいけませんと言ってください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の会については、任意団体として、法律に従って開催されたと認識をしております。先ほど来申し上げているとおりであります。

 ただ、一方で、こうして指摘を受けていることについては、私自身受け止め、今後について考えたいと思います。

米山委員 岸田さんの個人としての見解は聞いていないんです。総理大臣として聞いているんです。

 しかも、今おっしゃられたのは、これは合法だとおっしゃったんです。つまり、ここにいるみんながあしたから同じことをしていいと、総理大臣としておっしゃったんですよ。それだったら、もう政治資金規正法なんて無意味じゃないですか。ありとあらゆる任意団体がやって収益を寄附したら、それでよくなっちゃうんです。これは駄目でしょう。

 こういう脱法行為はちゃんと行政府が取り締まりますよ、それを行政府の長としておっしゃられるのかおっしゃられないのか、いいのか悪いのか、イエスかノーかで答えてください。

松本国務大臣 政治資金規正法を担当する総務大臣として申し上げますが、現行の制度は、政治活動の自由と政治の透明性とのバランスを考えて、各党各会派の議論に基づいて成立をしているものと考えております。

 政治資金規正法の個別の解釈についてこの場で答弁をすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、政治資金規正法に基づいて適宜適切にそれぞれ皆さんが政治活動をされることが、政治資金規正法が期待しているところというふうに考えているところでございます。

 個別の事案の方の捜査等については、私どももそのような立場にございませんが、政治資金規正法を担当する大臣として今御答弁を申し上げたところでございます。

米山委員 別に答弁は求めていないんですけれども。

 いずれにせよ、答弁したのでちょっと突っ込ませていただきますけれども、今の御答弁で、私は政治資金規正法を所轄しております、しかしながら、その解釈に関しては一切何も言いません、規正法に基づいて全員が自分で好きなようにやってください、そうおっしゃったわけですよね。それは大臣として意味ないでしょう。

 法律は、それは解釈の幅はありますよ。でも、その法律をどう運用するかは、行政府が運用するわけでしょう。行政府の解釈基準を示してくれなかったら、どうやっていいか分からないじゃないですか。もう自由にやっていいんですか。そう言っておきながら、自由にやったら怒られたりする。ある人は捕まって、ある人は捕まらないでしょう。それは困るじゃないですか。だから、ちゃんと行政府として統一的な見解を示してくださいと言っているんです。

 そして、行政府として、こういうふうに任意団体がやって、でも、実質上の事務は全部政治家がやって、それで寄附して、それは、では、行政府としていいんですね。

 いいのか悪いのか、松本大臣に聞きますから。松本大臣、それは総務省としていいのか悪いのか、ちゃんと答えてください。

松本国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、国民それぞれに政治活動の自由がある中であろうかと思いますが、後段の、今委員がおっしゃった、事実の認定の上に立った個別の事案の理解については、私としてはこの場で申し上げる立場にはないというふうに申し上げました。

 法の解釈については、これまでも、御照会をいただいたことについて、私どもとして、法の解釈として申し上げられることは申し上げてきて、政治資金規正法を担当する所管省庁として責務を果たしてきたものというふうに考えております。

米山委員 もう押し問答ですからいいですけれども。

 つまり、この二つの回答から出てきたことは、総理大臣も総務大臣も解釈基準を示さない。これは行政府として機能していないでしょう。法律はどうぞ国会で作ってください、解釈はどうぞ自分たちでやってください、どんなふうに運用するかは知りません、総理大臣が脱法的行為をしても、それがいいか悪いか言いません、今後も何も言いません。これは、日本政府、機能していないですよ。そんな在り方では駄目でしょう。

 今まではっきりしていなかった、こういう脱法的な行為が許されるか許されないか分からなかったから岸田さんはやっちゃいました、それはいいですよ、そういうことはありますからね。でも、少なくとも今後は、これはいいのか悪いのか、きちんとした解釈基準を示すというのは行政府として当然のことだし、そういう基準のない行政というのが日本の経済力をいかに弱めているか、日本の国力をいかに弱めているか。そこに、大臣席に座っている皆さん、ちゃんと考えてくださいよ。そういう基準を示すことが行政ですから。そして、きちんとルールにのっとってみんなが競い合っていくこと、それが民主主義ですから。それを破壊するような行政運営に対しては、強く抗議を申し上げます。

 それと関連して、今ほど来話題になっている政策活動費についてお伺いいたします。

 政策活動費、これは明確な法的定義は実はございません。だから、どこにも定義がない中で議論しているんですけれども、いろいろな専門家の解説を見ますと、一応これは、政治資金規正法二十一条の二、「何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない。」ただし、二項、「前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない。」と書いてあるから、これは政党から個人に対する寄附として許されているものだというふうにみんな考えているわけです。

 そして、自民党、例えば二階元幹事長に、幹事長時代の二〇一六年八月から二〇二一年九月の五年間、これで約四十七億四千万円、さらに、全部通算すると、五十億六千万円ほど支払っております。

 こちらは二〇二〇年度の自民党の政治資金収支報告書でございますが、表紙がこれで、次の個別の項目に行きますと、一月十六日に三千万円、二月七日に三千万円、三月十七日に三千万円、五月十二日に六千万円、六月三日に五千万円と、この後もどんどん続いていくんですけれども、ともかく、この年だけで二階幹事長は六億三千二十万円の政策活動費を得ております。さらに、この年には岸田総理も政策活動費を九百五十万円ほどお受け取りになっておられます。また、岸田総理が総理となられた二〇二一年度においても、二階元幹事長に四億三千九百十万円ほどの政策活動費が支出されております。

 さらに、パネル十四を見ていただきますと、これは二階幹事長が受け取った金額を棒グラフにしてみたんですけれども、二〇一六年は五億二百五十万円、衆議院選挙があった二〇一七年には何と十三億八千二百九十万円、二〇一八年には八億三千二百七十万円、参議院選挙がありますと今度はまた跳ね上がりまして、二〇一九年に十億三千七百十万円になっております。

 これらの政策活動費は、先ほど申しました政治資金規正法二十一条の二の第二項に基づいてというか、これがあるから、自由民主党から二階元幹事長、及び、岸田総理も九百五十万もらっていますから、岸田総理の政治活動に対して寄附された、こういうふうに理解しているんですけれども、それでよろしいですか。

松本国務大臣 法律の御専門家でもいらっしゃる委員に申し上げることになることは大変あれでございますけれども、委員がお話がございましたように、政治資金規正法二十一条の二についても、今お話があったとおりでございます。その上で、政治資金規正法上、政策活動費について特段の規定が設けられていないことも、今委員からお話があったとおりでございます。

 先ほどの議論でもそうでありますが、解釈について、私どもも、御照会をいただくなりした上で、申し上げられることは申し上げてきてございますが、個別の適用ということであればということで先ほども御答弁させていただきましたが、解釈について申し上げれば、政治資金規正法において寄附とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものとされております。その支出が債務の履行としてされるもの以外のものであれば寄附に該当をいたしますし、一方、債務の履行としてされるもので……(米山委員「条文は読まなくていいです、知っていますから」と呼ぶ)

小野寺委員長 大臣、的確に答弁をお願いいたします。

松本国務大臣 はい。

 債務の履行としてされるものであれば、寄附には該当をしません。

 これが、解釈として申し上げましたが、個別の支出が政治活動に関する寄附に該当するか否かの適用については具体的な事実に即して判断されるべきものであると考えておりますので、今このように御答弁させていただきました。

米山委員 本当に今のは時間から外してほしいんですけれども。私は聞いていないし、しかも答弁を求めていないし、条文を読まなくていいですから。私、知っていますから。

 私は岸田総理に聞いたんです。だって、岸田総理、今ほど長々と僕が説明したみたいに、岸田総理が、自民党総裁として二階幹事長に政策活動費を支出しているんですよ。していますよね。それはどういうつもりで支出したんですかという質問なんです。何も総務省の見解なんか聞いていません。自民党総裁として、どういうつもりで二階幹事長にこれだけのお金を支出したんですか、四億円。寄附としてですか。

 単に政策活動費としてじゃなくていいですよ。政策活動費という訳の分からない言葉で、それは定義はどこにもないんだから、それじゃ分からないですから。二階幹事長が好きに使っていいお金として支出したんですねと聞いているんです。イエスかノーかでお答えください。

岸田内閣総理大臣 政策活動費は、党勢拡大、政策立案、調査研究、こういったことのために、党役職者の職責に応じて支出しているものであると考えます。

 そして、寄附かという御質問でありましたが、寄附と支出の違い、これは先ほど総務大臣からも説明がありましたが、簡単に言うならば、寄附というのは、あなたのために使ってくださいです。支出するというのは、党のために使ってくださいということ。支出と寄附の違いはそこにあると考えます。

米山委員 いや、能登半島地震への寄附というのは、能登半島地震のために使ってくださいというので寄附ですよね。別に、目的をある程度限定したって、使途を、細かいところを自由にできます。それは寄附ですよ。まあ、それは別にいいんですけれどもね、そんなものは言葉の定義にすぎないので。

 いずれにせよ、では、それは党のために使ってくださいだけれども、使用の仕方は二階幹事長にお任せしますよということでいいわけですよね、そういうふうにおっしゃられたと思いますので。通常の日本語では、それは寄附というんです。

 岸田総理は先ほど来、日本語の定義をいろいろ変えていらっしゃいますけれども、通常、日本語ではそれは寄附です。だって、能登半島地震への寄附だってそうですから、寄附ですからね。(発言する者あり)寄附ですよ、何も違わないです。では、能登半島地震への寄附は寄附じゃないんですか。寄附でしょう。口を挟むのはやめてもらえますか。

 では、続けますけれども、パネル二十四を御覧ください。

 ところで、二階幹事長は、自由に使っていいとして、自由に使っていい、それはいいですよ、政党のために使うとして。政党のために使うなりに、その細目は自由だとして、でも、ほかの人に寄附はできないんです。できないというのは、正確には三千万円までしかできないんです、総量規制がございますから。政治資金規正法二十一条の三の総量規制がありますので、二階幹事長がほかの政党、政治団体若しくは個人に対してできる寄附は三千万円までです。

 そうしますと、一年間十億円のうち、残りの九億七千万円に関しては二階幹事長が自分で使わなきゃいけないわけなんですよ。逆に言うと、二階幹事長は、本当に総量規制に反する不正な寄附等を、ほかの政党、政治団体、自分の政党、政治団体、個人に使っていないんですね。

 これを通告しております。二階幹事長に聞き取りしてちゃんと確認してくださいねと総理に通告しましたので、聞き取りを行ったかどうかを含めてお答えください。

岸田内閣総理大臣 政策活動費を支出しているのか、寄附しているのかということについて……(米山委員「それは聞いていないです、今」と呼ぶ)いや、先ほど申し上げた、そこがポイントになるんだと思います。寄附であるならば、委員御指摘のように、総量規制等、様々な制限がかかるということであります。しかし、これは支出していると申し上げています。

 これは、党のために使ってくださいといって渡すのは支出であります。あなたのためにお渡ししますというのが寄附であります。そして、寄附については総量規制がかかっているということであります。

 政策活動費については、党勢拡大、政策立案、調査研究、党のために使うということで支出をする、これが政策活動費であるということを申し上げております。

米山委員 それは違う。寄附というのは、個人から寄附するときにということでございまして、さらに、支出というのは、他人に対して支出するもの、交付するものなんですね。そんなことを細々言うのもなんなんですけれども。

 例えば、党の宣伝活動費、例えば電通さんに、個人名を出して恐縮ですけれども、○○会社、広告会社さんに一億円払ってください、二階さん、振り込んでおいてと。これは支出と言いません。それは単なる事務員がやるわけですから、それは支出じゃないです。支出というのは、相手にもうお金が移転しているんです。もういいですよ、支出で、支出だとしても、それは相手にお金が移転するものを支出というんです。それは政治資金規正法に書いてありますから。ちゃんと四条で定義されていますからね。

 移転している以上、逆に、それも二階さんに移転していない、もう政党として使途を決めているんだというなら、その使途を書かなきゃ駄目ですよ。それは虚偽記載ですからね。これは支出の相手方が二階さんですから。本当は電通にやるのに、二階さんが振り込んだだけなのに二階さんと書いたら、それは虚偽記載ですから。違いますよ。ちゃんと通告しているんですから、それはレクしておいてくださいよ、皆さん。さすがに、総理大臣がこんなことを言っちゃ困るでしょう。

 その上で、二階さんから、これは三千万しか行けないんです。別にいいですよ、支出だろうが寄附だろうが。いずれにせよ、二階さんから人には三千万以上渡せないので、九億七千万円を自分で使わなきゃいけないんです、自分で。いいですよ、自民党のためでもいいですよ。でも、いずれにせよ、人には寄附できないんです。

 なので、それでいいんですね。ともかく、では、自民党のためでも二階さんのためでもいいから、九億七千万円、毎年使っていたんですね。それも確認されたんですね。イエスかノーかで答えてください。

岸田内閣総理大臣 政策活動費については、使用方法、これは各政党、団体共通のルールに基づいて明らかにするものでありますが、いずれにせよ、政治資金が法令に基づき適正に取り扱われるべきこと、これは当然のことであり、二階幹事長においても、政策活動費、党のために、党勢拡張等のために使用しているものと当然認識をしております。

米山委員 つまり、確認しなかったわけですよね。認識しているけれども、確認していない。

 私が自民党の党則を言うのもなんですけれども、自民党党則第四条第二項、「総裁は、党の最高責任者であって、党を代表し、党務を総理する。」党務を総理するわけですよ。十億円も支出しておいて、いや、その使途について何にも確認もしておりません、きっとちゃんと使ってくれると思います、それはどうなんですか。それは他党のことですけれどもね。

 昨日の質疑で長島委員から、自民党の政策活動費は政党交付金じゃないんだ、自分たちで集めた寄附だからいいんだと言いましたけれども、それは、お金に色はついていませんから、こっちで使えばこっちで使えるということですからね。結局、これは政党交付金、国民の税金を無駄にしていることにもなるわけですよ。それはちゃんとやらなきゃ、確認しなきゃいかぬでしょう。

 だって、一年間で十億円というのは余りにも多額だからちょっとぴんときませんけれども、一日二百六十一万円、一時間十万九千円ですよ。そうすると、二階幹事長は、五年間、三百六十五日、二十四時間、雨の日も晴れの日も、寝ているときも起きているときも、一時間ごとに十万円、ひたすら政治のためにお金を支出し続けた。あり得ますか。あり得ないですよ。

 通常、これは誰がどう常識的に考えても、相当額が残余として残っています。これが残余として残っている場合には、これは昨日の井坂委員からの質問に対する御答弁でもありました、それは雑所得となるというふうに御答弁いただいたかと思いますが、国税当局の御担当者の方、御確認をお願いいたします。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づき、課税上の取扱いを判断することとしております。

 その上で、一般論として申し上げますと、政治家個人が政党から政治資金の提供を受けた場合には、所得税の課税上、雑所得の収入金額として取り扱っているところでございます。

 政治資金の雑所得の金額は、一年間の政治資金の総額から必要経費として政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税対象となり、残額がない場合には課税関係は生じないこととなります。

 仮に、その全額を政治活動のために支出していなかった場合には、必要経費として全額を差し引くことができず、残額については課税関係が生じるということでございます。

米山委員 そうなんですよ、課税対象なんです。これは申告、納税の義務があるはずなんですよ、もし残っているのならね。だから、ちゃんと、残っていますかぐらい聞くべきなんですよ。

 だって、先ほど言ったとおり、五年間、一年三百六十五日、二十四時間、一時間十万円ですよ、使えっこないでしょう。それは残っていますよ、通常、考えて。通常、考えて、そういう状況だったら、本当ですね、そう確認するのが、それは総理たるもの、総裁たるものの責務でしょう。そして、私、通告したんですから、国会の一員としても、それは確認するのが責務ですよ。

 ちゃんと二階さんは全額使ったのか使っていないのか、確認したのかしていないかを含めてお答えください。そして、それが残っていたら脱税になるかならないかもお答えください。

岸田内閣総理大臣 先ほど政府委員から、政策活動費の取扱い、確定申告が必要かどうかの判断について説明がありました。

 そして、申告すべきものがあれば、これは適切に申告されているものであると認識をしています。

 そして、政策活動費については、全額を政治活動のために支出していれば、申告の必要はないと承知をしております。全額、政治活動のために支出しているものと認識をいたします。

米山委員 つまり、総理は今、自民党総裁としても、総理大臣としても二階さんには確認しておりませんとおっしゃられたわけです。

 まあ、いいですよ、それは。だって、総理はきっと二階さんと友達なんでしょう。でも、我々国民にはそれは通用しないわけですよね。いや、米山さんはきちんと納税していると思いますといって、税務署が来ないということはないわけですよ、それは。

 例えば、僕が十億円もらったら、それは税務署は来ますよ、何に使ったんですか、あんたと。それは来るでしょう。だから、みんな同じでしょう。二階さんだって、それは、友達の岸田総理は確認しないかもしれない。しかし、税務署は、行政として、そういう疑いがあるならば、ちゃんと税務調査しなきゃいけないわけでしょう。ほかの国民にはみんなしているわけでしょう。

 税務当局にお伺いいたします。

 個別の案件はお答えいただけないでしょうから、個別の案件ではなく、あくまで一般論として、しかし、事例として、二階幹事長のように、一年間十億円ももらって到底使えないという状況があり、非常に残額が大きいと疑われるような状況において、税務調査はすべきですか。少なくとも、することを考慮すべきですか。税務当局としての御見解を伺います。

星屋政府参考人 個別の納税者に関する対応については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 国税当局におきましては、様々な機会を捉えて各種資料情報の収集に努めておりまして、政治資金収支報告書の記載状況等についても承知しているところでございます。

 一般論として申し上げますと、こうして収集した情報と提出された申告書とを精査した上で、仮に、政治家個人に帰属する政治資金について適切な申告が行われておらず、課税上問題があると認められる場合には的確に税務調査を行うなど、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

米山委員 真っ当な答弁です。

 これを受けて、二階さんのお友達としての岸田総理ではなく、行政府の長としての岸田総理にお伺いいたします。

 行政府の長ですからね。行政府の長として、このように多額の脱税が疑われる事案に対して税務調査をすべきだと、財務省に、国税局にちゃんと指示すべきだと思いますが、総理の御見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、政策活動費を始めとする政治資金については、政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中で議論が行われ、各党との議論を重ねた上で、現在の状況になっていると判断いたします。

 よって、その中身を明らかにするとか変更するということにつきましては、各党各会派による議論を通じて、共通のルールの下に明らかにすることが重要であると思います。

 その上で、税務調査について御指摘がありました。

 税務当局の方からは、各種資料情報の収集に努めて、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公正な課税の実現に努めている、一般論としてお話がありました。

 個別具体的な案件ではなくして、一般論としてそういった取組を行っていると認識しておりますが、個別の事案について、税務行政の中立性を確保する観点を踏まえて、財務大臣であっても国税庁に対して指示等を行うことは控えている、ましてや、総理大臣においてもこういった指示は控えなければならないと認識をいたします。

米山委員 結構ですよ。先ほど来、政策活動費の定義をいろいろおっしゃいましたが、今はその質問じゃないです。それは後で議論していただければいい。でも、今のルールにのっとっても、多額の脱税が疑われる案件があるならば、それは税務調査すべきですよねと言っているわけです。

 しかも、それに対して、大変結構な御答弁で、すべきだと岸田総理はおっしゃられたんだと思います。別に個別の案件についてではありません。一般論として、非常に多額の脱税が疑われる、常識的に考えて、そういう案件に関しては、今、岸田総理がオーケーとおっしゃいました、やるべきだとおっしゃいましたから、公平性の観点から。

 是非、税務当局におかれましては、公平に……(発言する者あり)いや、言っていますよ。何で笑うのか分からないです。だって、本当に、これは常識的に考えておかしいです。それを確認しないなんというのは不公平ですから。これはみんな、全員同じように、きちんと確認してください。

 それでは、この質問はここまでにさせていただきます。これからちゃんと調査が起こることを私は期待しておりますので。

 最後に一つだけ。私、能登半島を視察してまいりまして、切実な声を伺いましたので、これは申し上げさせていただきたいと思います。

 新しい交付金、これは高齢者が対象になっているということでございましたが、この左上の方、この方は四十代の方で、穴水町でバーを営みながら、しかし、地元の地域活性化にも非常に尽力されている。そして、発災の翌日からもう炊き出しをしていた、もちろんおうちも壊れている。こういう方々は、地域を支えて、しかも避難のときにも中心になっているんですよ。

 総理、昨日の梅谷議員への答弁で、高齢の方が大変だと。それは大変ですよ、分かります、高齢の方はもちろん助けるべきです。ですけれども、幾ら地域で高齢者が多いからといって、こういう若い方々が地域からいなくなったら地域はもたないんですよ。

 こういう方々、この下のお子さん、このお子さんは別の方のお子さんですけれども、そのお母さんも、いや、三百万と六百万では全然違う、三百万では本当に当座のもので全部消える、でも六百万もらえたら生活再建できる、商売できる、そう言っているんです。

 そういう方々もちゃんと対象にすべきじゃないですか。是非、新しい交付金、年齢制限を外して、こういう方々にもきちんと対応すると今お約束してください。お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 新しい交付金制度、これは高齢者等のいる世帯についてと申し上げておりましたが、この等という部分については、要は長期の借入れに対応することができない方、これを全部含むという意味であります。

 ですから、若い世代であっても、所得等においてそれに対応できない方も含めて、こうした新しい制度を適用することによって支援を行うということを申し上げております。こうした借入れに対して対応できる方については利子援助等を考えるということは申し上げておりますが、まずもって、こうした借入れに対応できない方については、高齢者のみならず、若い世代も含めて、新しい制度でできるだけ支援を行える制度設計を行ってまいります。

米山委員 時間がちょっと過ぎていますが、一言でもう終わりにしますから。答弁は求めません。

 借入れ、それはいいんですよ。借入れの支援もしてください、あらゆる支援が増えた方がいいですから。でも、三百万ではなくて六百万交付してほしいんです。生活の再建には必要なんですよ、特に若い方々が。むしろ、借入れはできるけれども、もっと必要なんです。お子さんもいるから、いっぱい生きなきゃいけないから、地域を再建しなきゃいけないからです。

 そういう方々に、三百万じゃない、六百万、返さなくていい、そういう制度をつくっていただけることを心よりお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、小山展弘君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小山展弘君。

小山委員 立憲民主党の小山展弘です。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、今、米山議員のお話にもございました、この政治と金の問題。

 いろいろな裏金疑惑、あるいは二階幹事長の政策活動費の問題、五十億です。一年間に五億あるいはそれ以上の金額が、二階幹事長が使ったというようなお話もございますけれども、何に使われたか分からない。こういったことに対して、非常に農家の方々からも政治不信の声が上がっております。

 是非、今のこの質疑を受けて、岸田総理にお伺いしますけれども、二階議員に対して国税庁から調査をさせる、そういう指示を出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げました、個別の事案について、財務大臣であっても、中立性の立場から具体的な指示を出すのは控えなければならないと申し上げています。総理大臣も同様であります。

 そもそも、税務当局において、資料に基づき、必要であるならば税務調査を行うなど、公正な税務行政を行っていると承知をしております。そうした税務当局の対応をしっかりと尊重することは大事であると思います。

小山委員 是非、今インボイス制度も導入されて、また、少しでも、交際費に使った、使わないということで、多くの国民は追徴課税があったり、あるいは税務調査に入られたりいたします。こういった国民の側に、まさに総理の施政方針演説にもありましたけれども、寄り添う姿勢で、是非内閣全体でも御検討いただきたいと思います。

 それでは、酪農のことからお尋ねしていきたいと思います。

 今、酪農では、配合飼料価格の高騰とか、あるいは燃料代、資材高、コスト高、こういったものが経営を圧迫しております。一方で、乳価の方は少し持ち直しが見られるとはいうものの、まだまだ価格転嫁が十分ではない、そういう状況でございまして、依然として厳しい。廃業者、離農者も後を絶たず、中には、自ら命を絶つ、自殺された方もいらっしゃると伺っております。

 このフリップを御覧ください。

 二〇二三年の統計はまだ出ておりませんが、酪農家の戸数は低下の一途をたどっております。こちらの緑の方のグラフです。一方で、この赤の方、これは離脱戸数、離農者の数ですけれども、二〇二二年、まだ二三年の数値が出ておりませんけれども、七百九十五戸にも上ります。五年間で約二割の酪農家が減少したということになります。

 今年は食料・農業・農村基本法の改正も行い、総理は、施政方針演説の中でも、農政を抜本的に見直すというお言葉もありましたが、これまでの酪農家に対する政府の支援は十分だとお考えでしょうか。

坂本国務大臣 酪農のことに関することですので、私の方からお答えさせていただきます。

 委員おっしゃるように、飼料の高騰それから新型コロナによります需給の緩和、こういったことによりまして、非常に酪農が厳しい情勢にあるということは十分承知をしております。離農も相次いでおります。

 このため、農林水産省としては、飼料あるいはその他の高騰に対する補填策、これを五百四億円、令和四年にはやったところであります。そういった補填策をやってきております。加えて、金融対策、そういったものもしてきているところでございます。

 一方の方で、やはりコスト上昇をできるだけ反映できるように、コスト上昇を抑えられるような、そういう努力もしているところでございます。

 農家戸数は減っておりますけれども、酪農の乳牛の頭数は百四十万頭台を維持しているところでございますので、今後も、需要に応じた生産を推進することによりまして、供給と経営の安定というものを図ってまいりたいというふうに思っております。

小山委員 農水省の政策が全くやっていないというわけではないですし、また、私は個人的には坂本先生を大変尊敬しておりまして、そのことは恐縮ですけれども、しかし、今伺ったのは、これまでの数年間の農政がどういう農政であったのか、それは今までの政策が酪農家にとって十分だったかどうかという、農政の評価を岸田総理に求めているんです。是非、通告をしておりますので、岸田総理に答弁をさせていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、私も、酪農経営について、飼料その他の生産コストの上昇などにより大変厳しい環境にあること、これを認識しております。昨年秋ですが、私も栃木県に訪問させていただいて、車座対話、酪農の関係者の皆さんとお話をさせていただきました。厳しい状況を改めてお伺いし、国産飼料の生産と利用の拡大等の重要性、様々な指摘もいただいてきました。

 政府としては、これまで、配合飼料価格安定制度における異常補填基金の積み増しなど、累次にわたって配合飼料コストの抑制策等を機動的に講じるとともに、昨年秋の経済対策においても、飼料の国産化、輸出の取組の強化、こうした支援策を盛り込んで、実行してまいりました。また、余剰乳製品の在庫削減対策も講じて需給改善を図ってきたところ、これを受けて累次にわたる乳価引上げがなされている、こうしたことも承知をしております。

 ただ、冒頭申し上げたように、厳しい今の現状を考えますときに、物価等々の厳しい条件を考えますときに、引き続き、酪農関係者の皆さんに寄り添い、需要に応じた生産の後押しを行うことなどにより、需給の安定、経営の安定、こうしたものを図ってまいりたいと考えます。

小山委員 総理からも、また坂本農相からもお話がございまして、政府が何もやっていないというわけではないんですけれども、これだけ農家戸数が減っている、あるいは離脱戸数が増えているということは、政府の政策、対策、コロナ禍があったとはいえ、そのコロナ禍に対応できなかった、不十分だったとやはり言わざるを得ないんではないでしょうか。

 そして、もう一つ、これは総理に伺いたいんですけれども、これだけ、自殺者も出ている中で、先ほども申し上げましたが、二階さんは政策活動費五十億円、あるいは様々な不透明な裏金のお金がある。こういった酪農家の方々、あるいは農家の方々に対して申し訳ないと思いませんか。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 自民党の政治と金の問題をめぐって、国民の皆さんに政治に対する不信の思いを抱かせていることについては、酪農関係者を含めて、国民の皆様方におわびを申し上げなければならないと考えます。

小山委員 資料二を御覧いただきたいと思います。この日刊酪農乳業速報には、乳業協会本郷秀毅常務のインタビュー記事で、バターは既に不足ぎみで、来年度、二四年度ですね、追加輸入も検討しなければならなくなるおそれがあるということが書かれております。東京大学の矢坂雅充元准教授のように、乳牛の頭数が減少しているため、数年後には確実にバター不足となると懸念する意見もございます。

 また、昨年は猛暑で乳量が少なくなったということも影響しておりますけれども、カレントアクセス輸入のバター輸入数量枠を八千トンから一万三百二十トンに増やし、脱脂粉乳の枠から振り替えました。このことについて、東京大学の鈴木宣弘教授は、事実上バターを緊急輸入したようなものだ、こういう表現をしております。ヨーグルトなんかに使われる脱脂粉乳の需要が少なかったからよかったようなものの、生産供給体制が不安定になっているということは言わざるを得ないんじゃないでしょうか。

 農水省は、このバターの問題について、価格転嫁の影響でこれからも飲用牛乳の需要が減少するんじゃないかとか、バターの在庫はまだそれなりにあるとか、一頭当たりの乳量を増やして搾乳する牛の年齢を三年から四年に延ばすとか、あるいは今申し上げたカレントアクセスの枠をバターに振り替えればいいじゃないかとか、そういうことをおっしゃっております。

 これは、今の現状認識としてはそういう側面もあろうかと思いますけれども、しかし、去年のような猛暑になれば、また乳量は減るかもしれないですね。あるいは、繰り返しになりますが、カレントアクセスの脱脂粉乳の需要なんかも増えたりすれば、再びバター不足になることも懸念される状況ではないでしょうか。

 ここで申し上げたいのは、バター不足になるかならないかということではなくて、こういったようなことがないように、酪農には残念ながら、畜産で言うところのマルキンであるとか経営安定対策とか、あるいは他の諸外国でやっているような供給がだぶついたときに乳製品を買い取っていく、国が買い取る、こういうような制度というのが日本は残念ながらないんですね。こういったようなものを導入して、供給過剰のときにも対応できる、そしてこういうコロナがあってもここまで農家の戸数が減らないというような、もっと諸外国並みの農業政策を導入すべきと考えますけれども、総理の認識はいかがでしょうか。

坂本国務大臣 酪農につきましては、畜産経営安定法に基づきまして、相対的に乳価の低い加工原料乳に対しましては、加工原料乳生産者補給金を交付しております。加工原料乳の再生産を確保することによりまして、牛乳向けも含めた乳価の安定というものを図っているところでございます。

 このような制度の中で、やはりウクライナ問題等もありまして、急激に飼料の高騰、こういったものがございました。それに対しては、先ほど言いましたように、配合飼料等への対策をしているところでございます。

 それから、酪農版マルキンはどうかというようなことでありました。牛の場合には、市場原理で、それぞれが競りで価格が決められます。しかし、酪農の場合には、生産者とメーカーの間で価格が決められます、市場原理じゃありません、一定程度価格が決まっております。そういうことで、マルキンということではなくて、そのほかの様々な飼料対策あるいは物財費対策、こういったもので生産者の皆さん方の所得をしっかりと守っていきたいというふうに思っております。

小山委員 諸外国では、これに加えて、供給過剰のときには乳製品を買い取っていくという制度もあるんですね。そういう諸外国と日本の農家は競争しているということですから、是非、もう一歩、これからの抜本的な農政の改革というところで、そういった諸外国並みの農政というものをやはり求めていきたいということ。

 もう一つ、指摘だけさせていただきたいんですが、生乳換算で十三・七万トンのカレントアクセス輸入が継続されたままでした。これだけ農家の数が減っている、だけれども、カレントアクセス乳製品の量は変わっていないんですね。ということは、日本の農家を犠牲にしてカレントアクセスを守った、結果的にそういうことになりはしないでしょうか。是非、この後、ミニマムアクセス米のことも議論したいと思いますが、御検討いただいて、カレントアクセス乳製品の量を減らしていくということもやはりこれから考えていっていただきたいと思います。

 それと、次の、元々予定しておりました質問は昨日の石川議員とかなり重なる部分もございますので、ちょっと順番を入れ替えさせていただきまして、農業予算のお話をさせていただきたいと思います。

 資料五を御覧いただきたいと思います。

 二〇一九年からの総予算に占める農水予算の比率をグラフにいたしたものですけれども、岸田総理が就任した二〇二一年以降、ほぼ横ばいで推移をいたしております。決して比率が上昇しているわけではありません。一方で、防衛費が右肩上がりに増加をいたしております。これから五年間で四十三兆円防衛費を使うということは、単年度に平均すれば大体一年八・六兆円。今の防衛予算は二〇二三年と比べて約一兆円増加ですから、大体平均すると毎年一兆円増加ぐらいなのかなと思っております。

 安全保障も食料安全保障も、どちらも国民の命を守るという点では変わりないはずです。二〇二四年の農水の当初予算は、僅か三億円の増加でしかありません。もちろん、全体の総予算が二兆三千億も削減される中での増額ということは、多分、農水省の担当の職員の皆さんが頑張ったんだと思います。だけれども、物価上昇分も増加していないですよ。余り嫌みっぽいことばかり言いたくないですけれども、二階さんが一年間で使った五億円とか五十億と比べたって、僅か三億ですよ。こういうことで、抜本的な農政の見直しというのはできるんですか。

 それから、こちらのフリップを御覧いただければと思うんですけれども、財政支出に占める農水予算の比率は、直近の二〇二三年は、補正と当初予算、合わせて僅か二・四二%でございました。民主党政権時は、二〇一〇年、この年はちょっと特別下がっていますけれども、それでも二・七%。平均すれば三%ですから、民主党政権のときの比率よりも少ないんです。一九七〇年と比較すると更に歴然です。総予算は物価の影響、財政支出の拡大もあって十五・五倍になっていますけれども、農水予算は僅か三・一倍、防衛予算は十二・九倍、また厚労予算は二十七・九倍となっております。

 抜本的な農政改革をするというのであれば、もう少し農水予算の比率を増やすということを御検討いただけないでしょうか。総理にお尋ねします。

岸田内閣総理大臣 農水予算について御質問をいただきました。

 予算につきましては、例えば、昨年の経済対策及び補正予算において物価高騰対策も行いましたが、それに加えて、人口減少に備えたスマート農業技術の開発、農林水産物の輸出促進対策、食料安全保障の強化に向けた構造転換対策、みどりの食料システム戦略緊急対策等の事業に重点的に予算の措置をいたしました。合わせて八千百九十二億円、措置をしております。その上で、今年の六年度予算があります。

 増えているのは三億円だけではないかという御指摘でありましたが、これは構造転換対策等に必要な経費を措置したものであると認識をしています。ですから、六年度予算、三億円しか増えていないという御指摘に対して、昨年の経済対策、補正予算において八千百九十二億円、これを措置したということは申し上げておかなければならないと思います。

 いずれにせよ、こうした農水予算の充実、今、食料・農業・農村基本法の改正とともに様々な関連法案の改正を行う、こうした抜本的な取組を進めるのと併せて、こうした農業予算の充実についても、これからも引き続きしっかりと心を砕いていきたいと考えます。

小山委員 もちろん全く政府が何もやっていないというわけではありません。しかし、例えば、今度は、食料・農業・農村基本法、これを改正するに当たって、また、食料安全保障の新しい部署をつくる、室をつくる、そこの人件費なんかもどうなるんだろうかと。あるいは、農水省の現場でも統計の職員が足りなかったり、あるいは、林野庁の、かつては営林署があって多くの職員がいた、ところが、今、職員の数も減っている、こういった人件費は足りているんだろうかとか、様々な現場の悲鳴の声も伺っております。

 また、先ほど、昨日の質問にもありましたが、所得補償であるとか。今、農水にある政策というのは収入保険であったり、これは、収入というとあたかも所得のように聞こえますが、収益、売上げの保険なんですね、事実上。そうではなくて、やはりコスト高に対応できないですから、私たちの、所得を補償するというような、もっと踏み込んだ対策、そういうような、農家に寄り添うような、離農者が出ないような対策をつくって、そのための農業予算、是非、現場からの発想で補正予算あるいは来年度の予算、本当は、今年、今予算審議ですから増額していただきたいところですけれども、今後、御検討を是非お願いしたいと思います。

 時間がだんだん迫ってまいりましたので、本当はミニマムアクセス米のことも伺いたかったのですが、どうしてもこれは前向きな答弁を一個お願いしたいんですが、来年は国際協同組合年という年になります。これは二〇一二年に引き続いて二度目の協同組合年ですけれども、これは、それだけ、協同組合、リーマン・ショックからの経済の回復に果たした協同組合金融の役割、これは国連からも評価をされております。この協同組合、新自由主義の、競争ありき、今だけ、金だけ、自分だけではなくて、助け合いの組織といったものをもっと世界的にも向上させていこう、それが世界経済、社会の安定にもつながるんだ、こういう発想で、国連が再び二〇二五年を協同組合年と定めました。

 ところが、JCA、日本協同組合連携機構が協同組合年であったりあるいは協同組合共通の政策について政府に相談をしようと思っても、部署がないんです。どこの省庁へ行っても、それはうちのではありません、こうやって言われてしまう。

 是非、これは総理にしか聞けない質問なんです。私も今までもずっと、二期目、それから三期目、当選してからこのことを質問していますけれども、だんだん、室がなくなっちゃったりとかしております。

 是非、今回の協同組合年のことはさることながら、永続的に協同組合共通政策について窓口となっていただける部署を是非つくっていただきたい。どうですか。

岸田内閣総理大臣 まず、協同組合、これはNPOなどと並び、非営利セクターの一つとして、様々な社会課題等に対応するための共助社会を構築する上で重要なプレーヤーであると認識をいたします。

 そして、一口に協同組合と言っても、農業協同組合、消費生活協同組合、信用金庫、信用組合など、これは分野ごとに様々であると承知しております。例えば、企業についても、経済産業省を中心に、鉄道会社を所管する国交省、通信会社を所管する総務省など、それぞれが担当が分かれている、こういった現状にありますが、協同組合についても、それぞれの抱える課題にきめ細やかに対応するため、個別の法律において規定をし、所管する省庁においてそれぞれ対応する、これが現実であります。

 そこで、委員の方からは、これを一つの組織でしっかりと見ていく、こういった対応が考えられないだろうか、今こういった御質問だったと理解いたしますが、分野横断的に取り組むべき政策課題があるのであれば、それらに基づく提言や振興策について、共同社会づくりの推進を担当する、これは内閣府でありますので、内閣府を中心に関係省庁と連携の下で、政府としてしっかり対応してまいりたいと思います。

小山委員 それぞれの所管省庁がありますので、共通する部分についての窓口ということで、是非お願いいたします。

 最後に、ちょっと、大変時間が短くなってしまったんですが、外交、安全保障について伺いたいと思います。

 沖縄タイムスの資料を御覧いただきたいと思いますけれども、これは、武力攻撃予測事態ということを想定して、避難に関する、住民避難の図上訓練を県庁で行った、六日間かけて十二万人の避難についてシミュレートをしたということでございます。

 一方で、内閣官房国家安全保障局提出資料によれば、安全保障環境の変化と防衛力強化の必要性、ウクライナ侵略のような事態が将来インド太平洋地域においても発生し得ると、事実上、これは台湾有事が起こる可能性について言及しています。

 仮に、日本においてウクライナ侵略のような事態、いわば奇襲攻撃的な事態が発生する場合、六日間も待ってはもらえません。また、図上訓練で想定したとおりにミサイルが六日間も撃たれないということもありません。

 奇襲攻撃が行われる可能性がある、その際の民間人の被害はどのぐらいになると想定していますか。

岸田内閣総理大臣 まず、台湾有事といった仮定の質問に答えるのは控えなければなりませんが、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、対話によって平和的に解決されるのを期待する、これが我が国の一貫した立場です。

 そして、沖縄県の住民避難に関しては、離島からの避難のみならず、避難先地域における収容施設の確保、生活支援も重要な検討事項であることから、九州各県等の地方自治体と緊密に連携し、避難住民の受入れに係る検討に取り組んでいるところです。

 そして、石垣市などの先島諸島は、沖縄本島や本土から遠距離である離島であり、避難の困難性が高いと考えられることから、沖縄県及び関係市町村と協議をし、まずは当該地域の避難について優先的に検討、訓練を行うとともに、鹿児島県において、先月、離島避難に係る検討、訓練を実施いたしました。

 今後、これらの成果を他の地域に横展開することにより、南西地域における避難に関する計画の策定を促進していきたいと思います。

 どれぐらいの人数を想定しているかということでありますが、これは、政府として、計画の策定は促していきたいと思いますが、事柄の性格上、具体的な数字等を詳細に申し上げることは控えなければならない部分があると思います。

 しかし、こういった取組に理解をいただかなければなりません。政府の基本的な考え方等、できる限り政府の方針についても国民の皆さんに説明をしながら、共にこうした事態に協力していただける、こうした体制や雰囲気をつくっていくことは重要であると考えます。

小山委員 被害の死者数、死者の予測ということが今もできていないということなんですね。

 ですけれども、南海トラフ地震なんかでもいろいろな場合が想定されます。台湾有事の場合にもいろいろな場合が想定される。だから、それに応じて、これだけが被害者の数ということではなくても、やはり被害者の数というのは幾つかシミュレートしていく必要というのはあるんじゃないでしょうか。普通に考えれば、十二万人の避難というのはかなり難しい。まして、南西諸島全域ということになれば、もっと多くの方々が避難する必要があるだろうし、避難ができなければ、これは亡くなる方も出てくるわけです。

 こういう数字があぶり出されてくると、台湾有事なんか絶対起こしちゃいけないんです。そして、そのために日本は……

小野寺委員長 申合せの時間が過ぎております。

小山委員 はい、分かっております。

 緊張緩和、米中の緊張緩和あるいは台湾海峡の緊張緩和に向けて外交的努力をもっと行っていく、そのことを是非、外交の岸田ですから、対米従属と言われることなく、日本外交を進めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

小野寺委員長 これにて岡田君、井坂君、梅谷君、石川さん、長妻君、早稲田さん、山岸君、米山君、小山君の質疑は終了いたしました。

 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の漆間譲司です。

 まずは、教育無償化についてお伺いさせていただきます。

 このパネルは、昨年四月の日本維新の会、我が党の大阪府、大阪市における統一地方選の公約であります。

 早速、今年四月から、所得制限のない大阪の高校授業料無償化が始まります。大阪府においては、収入の範囲で予算を組む財政規律を維持しながら、増税と借金なしで改革で財源を生み出して、これを実現してまいります。

 これを国の責任においても進めるべきだという質疑を昨年の十月三十日、まさにこの場で質問させていただきました。

 そして、何と、その二か月後、十二月、東京都においても、所得制限なしの無償化が始まることが発表されました。

 東京と大阪、突出した都道府県がこういう無償化を進める、突出した都道府県がどんどん出てくると、その進めている周りの都道府県との差が激しくなって、分断や不満、不公平の差が更に激化すると思います。そして、このことが、国の修学支援制度について、所得制限を撤廃し、国の責任において教育の無償化を全国で進める根拠をより強めることになっていると思いますが、いかがでしょうか。

 岸田総理は、十二月に東京都が大阪に続いて突出した無償化を始めたことで、より全国で無償化を始めなければというプレッシャーを感じられたのか、岸田総理にお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、国による高校生等の修学支援、これは、限られた財源を有効活用する観点から、これまでに所得制限を設けることで捻出した財源により低所得世帯への支援を拡充するなど、より教育の機会均等に資する、こういった制度になっていると認識をしています。

 そして、高校生等の修学支援は、基盤となる国の制度と、委員の方から御紹介があった大阪や東京の、各地域における私立学校に通う生徒数、割合、学費等の様々な実情を踏まえた地方自治体による上乗せして取り組まれる支援、国の支援とこうした各地域における支援、これが一体となって行われることが重要であると認識をいたします。

 ですから、今後とも、都道府県と連携して国としても教育負担の軽減に取り組んでいく、こういった方針で臨んでいきたいと考えます。

漆間委員 ちょっと私が後段で申し上げました、実際に大阪に続いて東京が始めたことで、あっ、これはやはり全国でやらなければならないなと。本来、教育の無償化というのは、教育の機会均等が念頭にあります。その点でいえば、あっ、東京も始めたんやったらやはり全国で始めなきゃならないなと岸田総理はプレッシャーを感じられたのかどうか、それについて明快な答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 それぞれの自治体の努力、これは評価すべきものだと思いますが、だからこそ、基盤となる制度、国が全国の基盤となる制度をしっかり用意することが重要であり、その上にそれぞれの地域の工夫が乗っかる、こういったことで全体の底上げを考えていく、こうしたことが大事だと認識をしております。

 そういった意味で、それぞれの地域の取組は評価すべきものであると思いますし、国としても、全国の基盤となる制度の充実に一層努めていかなければならない、このように考えます。

漆間委員 プレッシャーを感じたかどうかということで、国の基盤となる制度をより充実させなきゃならないと思ったということで理解しましたけれども、それでいいんですよね。要は、プレッシャーを感じた、プレッシャーを感じて、より国の基盤を充実させなきゃなと思ったということでよろしいんですね。

岸田内閣総理大臣 プレッシャーという言葉が適切かどうか分かりませんが、国として、全国の基盤となる制度の充実に努める、こうしたことを進めていくこと、これは、教育の充実という観点から絶えず追求しなければならない課題であると認識をいたします。

漆間委員 岸田総理から、子供の教育への投資や子育て世代の負担の軽減は、本来、国全体で進めることが必要であり、国の責任において支援制度の拡充等が実施されるべきだと思いますけれども、そのように先ほど岸田総理はおっしゃっていただいたという理解でよろしいですよね。

岸田内閣総理大臣 国の基盤となる取組と各自治体のそれぞれの地域の事情に応じた取組、これが一体となって国民の教育の充実につながる、こういった結果につなげていかなければならないと申し上げております。

漆間委員 分かりました。

 我々は政権与党ではもちろんありませんので、こうやって地方からどんどんと政策を突き上げていって、教育の無償化に限らず、国を動かしてまいりたいと思います。

 続いての質問なんですけれども、同じく昨年の十月なんですが、大阪府の私立高校授業料無償化、これを実現したことで、公立高校と私立高校、これが同じステージに上がって、公立高校と私立高校が互いに切磋琢磨をすることで実は大阪の教育の質全体が向上したということを、私が様々なグラフをお示しして、そういったことを、教育の無償化を進める上で、機会均等のほかに、そういう教育の質向上、そういった効果、目的もあるんだよということを私が岸田総理にお伺いしたところ、岸田総理は、このとおり、今現在、授業料の支援と教育の質が結びつくということについては把握できていないと承知しておりますという、こういったお答えをされておりました。

 そして、盛山文科大臣も同じく、教育の質向上と授業料の無償化、このつながりについては把握していないと。いわゆる全否定をされた。私もちょっとびっくりしました。

 大阪府の……(発言する者あり)実はそうなんですよ、全否定、実はしていなかったんです。答弁をよく読みますと、「そういった点も注視する必要はあると思いますが、今現在、授業料支援と教育の質が結びつくということについては把握できていないと承知をしております。」と。岸田総理は、そういった点も注視する必要があるということをおっしゃっていただいています。

 これはちょっと日本語の問題になるんですけれども、改めて、このそういった点というのは、教育の授業料無償化とそして教育の質が結びついているという点も注視する必要はあると思いますということでよろしいのかということを一点。そしてもう一点、今もそういった点を注視する必要があると岸田総理はお思いになられているのか。この二点をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 教育の無償化と教育の質の向上、この関係については、これまで把握している限りでは、所得制限のない無償化が教育の質に直接効果があるということを一概に申し上げることは難しいと申し上げております。

 そして、御指摘の答弁についてですが、これは具体的な論拠について注視すると答弁したものですが、これは、政策におけるEBPMの推進が重要であるという基本的な認識を申し述べたものであります。よって、教育費の負担軽減の推進に当たっても、国内外の事例等を把握するとともに、エビデンスに基づく政策立案、実践を行ってまいりたいと考えております。

漆間委員 これは、今もそう思っているというふうな理解でおります。

 昨年十月の三十日に岸田総理が、そういった点も注視する必要はありますという答弁、これをしてから、これは政府参考人の、文科省の方でいいんですけれども、こういった授業料無償化が教育の質の向上をもたらすということについて、何か調査されたりしたことはあったんでしょうか、お伺いいたします。これは通告はないですけれども。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 これはちょっと古い調査になりますが、教育バウチャーに関する文献調査というものを平成二十七年の二月に行っておりまして、アメリカ合衆国、スウェーデン等の事例を調査したところ、例えば、バウチャーを利用した私立学校の生徒は、公立学校の生徒と比べ成績がよい場合と悪い場合がある。あるいは、四年制大学に入学する割合が三%高かった。

 一方で、ウィスコンシン州は、教育無償化のために補助金を減額したというような、そういう事例も報告されているところでございまして、無償化の効果というものは、先ほどから総理がお答えになっていますとおり、つまびらかではないというのが結論でございます。

漆間委員 パネルを御覧いただきたいんですけれども、授業料無償化によって教育の質が向上した例ということで、国立国会図書館に資料を取り寄せますと、様々な効果があるという先例が示されております。

 かつ、そもそもの、大阪府の第二次大阪府教育振興基本計画、ここに、これは府民向けの報告書なんですけれども、授業料無償化制度を実施して以降、私立高校を専願で受験する者の割合及び府内公立中学から私立高校に入学した者の割合が年々高まっている、また、全国を上回る大学進学率、全国より低い中退率となっているほか、高校選択時に決め手となった項目が三年間の高校生活において期待どおりと肯定的な回答をした保護者が八五%を超えるなど、授業料無償化制度が、公私の切磋琢磨を通して私立高校の特色、魅力づくりを促し、教育力の向上にも寄与していると考えられる、こうはっきりと書いてあるんです。こういったことも含めて、国は教育の質向上についてもっとしっかり調査するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 これは総理にお伺いしたいんですけれども、国は、無償化による教育の質向上について、外国を含めた先行事例の調査をしっかりとこれからもやっていくべきではないかと思うんですが、岸田総理、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 先ほど総理からも答弁があり、また、今、初等中等局長から御紹介もあったところでございますけれども、今までのところでは、我々のところでは効果についてははっきり分からないということではございますが、先生からの御指摘もございますので、今後、様々な観点から、教育政策の立案に関する状況の把握に、諸外国の状況等も含め把握に努めて、教育の質向上、そして教育費負担の軽減、こういったものに取り組んでいきたいと考えております。

漆間委員 これからもしっかりやっていただけるということで、教育の無償化を進める上で、機会均等だけでなく教育の質向上も新たな目的として加えられることで、教育の無償化が国において更に加速化される、進められることを期待いたします。

 続きましての質問なんですが、教育の無償化を進める一方で、制度があっても高校にも大学にも行けずに、働く子供も一方でおります。大学卒業時まで通じて二百万円から大体五百万円ぐらい、税金で無償化の恩恵にあずかる子供がいる一方で、働く子供は働いて納税をしております。この不公平感を解消するために、少なくとも、十代の働く子供は無税、例えば所得税ゼロ、免除にするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 特に住民税については、一般には所得三十五万円以下が非課税のところ、未成年者については、そもそも生活基盤が安定しないと考えられていることから所得百二十五万円以下は非課税とされております。

 大学、高等教育の無償化に合わせ、実質的に、現状の住民非課税制度と併せて国が支援制度を拡大することになると思います。

 さらには、大阪府が私学を無償化したことで公私間の切磋琢磨が起こって教育の質向上につながったように、働くことが無税になることで、働くことと大学や高等教育を受けることのどちらが社会に貢献できるか、自己実現に満足を与えられるかということについて切磋琢磨が起こり、互いの質向上も図られると思うんですけれども、いかがでしょうか。

 現状、特に大学については、大学が単なる卒業資格を得るためのものであり、大学に通学することの意味について多くの方が疑問を持っておられるところであり、その声にもお応えするものであると思いますが、いかがでしょうか。総理、お願いいたします。

鈴木国務大臣 先生の御指摘のとおり、個人住民税につきましては、一定以下の未成年者のほかに、生活扶助を受けている人、あるいは一定所得以下の障害や一人親等については非課税となっているということでございます。

 一方で、御指摘の所得税でありますが、所得税は税を負担する能力を納税者の個々の事情に応じて調整した上で税負担を求めるものであることから、年齢により一律に税負担を免除することにつきましては、公平性の観点などを踏まえ、慎重な検討が必要であると考えているところであります。

漆間委員 総理からも答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 今財務大臣からありましたように、高等教育の完全無償化を実現した場合に、十代で学校に行かずに働いている方には所得税課税をしないという御提案につきましては、年代により所得税を課税しないということは、中立性、公平性の観点を踏まえ、慎重な検討が必要であると申し上げたところであり、そして、高等教育の完全無償化と御提案の所得税免除の双方が実現した場合の教育の質に与える影響を一概に申し上げること、これも困難であると考えます。

 そして、教育の質の向上が政策目的であるのであれば、我が国の教育研究力の抜本強化に向けて、基盤的経費の措置や、世界最高水準の研究大学、地域の中核大学等への支援、こうしたものに取り組んでいくことがより重要であると認識をいたします。

漆間委員 もう時間が参りましたが、無償化制度、我々が進めている一つの原因は、無償化を通じて切磋琢磨が起こる、切磋琢磨によって、いわゆる競争原理で教育の質が、国がぎゃあぎゃあ言わなくても、政府がぎゃあぎゃあ言わなくても実質的に競争原理で向上していく、各学校が社会のニーズを酌み取って向上していく、この効果が重要であると思っております。

 そういう意味からも、やはり働く人をゼロにすれば、本当に大学と働くことで競争が起こって互いの質向上に、国がわあわあ言わなくてもつながっていくんじゃないかと思います。

 時間が来ましたので、前半はこれで終わります。後半また、昼休み、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。漆間譲司君。

漆間委員 午前に引き続き質問させていただきます。

 ライドシェアについてお伺いいたします。

 河野大臣におかれましては、規制会議など国のフルオープンの会議で、ライドシェアを利用してきた海外の方々の御意見をたくさん聞かれていることかと思います。私も拝見いたしました。海外で利用されている方の声も、圧倒的に、安全で安心で便利だという声があったと認識しているんですけれども、河野大臣は、そういった利用者の、海外で既に利用されている方の声を聞いて率直にどう思われたか、まずお伺いいたします。

河野国務大臣 この間オンラインで利用者の方々の声も聞かせていただきましたが、私自身、いろいろなところで乗って、非常に便利なサービスというふうに思っております。海外ではもうこうしたサービスが随分前から導入されていて、日本では革新的技術みたいなことで御紹介をしておりますが、ちょっと恥ずかしいなと、そういう気もあります。

漆間委員 もう海外では既に始まっているのに、ちょっと革新的なように紹介されていることが恥ずかしいということで、言っていただきました。

 次、総理にお伺いしたいんですけれども、このように、海外では当たり前で、便利で、国民の皆さんの生活を豊かにするような政策が日本で遅れている理由についてどう考えているかということについては、我が党の小野泰輔議員が十一月にも聞いたところなんですが、いろいろ総理おっしゃっていただいていましたけれども、私は、既存のタクシー事業者の経営への悪影響を懸念し過ぎたこと、そして、既存のタクシー事業者が政治力を持って影響を与え過ぎていたことが一つこれは原因かと思っておるんですけれども、岸田総理の御所見をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 ライドシェアの課題については、地域の自家用車や一般ドライバーを活用した新たな運送サービスが四月から実装されるよう、制度の具体化を図るとともに、導入支援を実施いたします。あわせて、これらの施策の実施効果を検証しつつ、タクシー事業者以外の者が行うライドシェアの事業に係る法律制度について、六月に向けて議論を進めます。

 その際に、既得権ということではなくして、デジタル技術を活用した新たな交通サービスといった観点や、安全の確保、労働条件に係る課題、こうした観点からしっかり議論をしてまいりたいと考えています。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 議事の途中ではございますが、ただいまスウェーデン王国アンドレアス・ノレーン国会議長御一行が傍聴にお見えになっております。この際、御紹介を申し上げます。

    〔起立、拍手〕

小野寺委員長 ありがとうございました。御着席ください。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 それでは、議事を続行します。漆間譲司君。

漆間委員 スウェーデンの方々、ようこそ。ヘッラーでよろしいんでしょうか。ようこそです。

 質問させていただきます。

 昨年末の国の案では、現行法の範囲での様々な規制緩和が提案されましたが、方針では、タクシー会社の運行管理の下、車両不足が深刻な地域や時間帯などが絞られ、限定的なものと理解しております。とはいえ、一月二十九日の規制改革会議では、河野大臣から、昨年末、国で出している案があるが、最終案ではないため、今後は様々な意見を聞いて進めていきたいという発言もあったところでございます。

 そこで、国は、今後、制度の具体化と制度設計を進める上で、法改正を待たずに現行法の範囲で、今から申し上げる五点、一点目、地域を絞らない、二点目、時間帯を絞らない、三点目、多くの需要があるときには一定の金額は高くなる、それに応じて働き手も参入するダイナミックプライシングを可能とする、四点目、雇用に限らず、業務委託など、自由でストレスフリーな働き方ができる、五点目、タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行う新規参入、この五点が可能となるように、制度の具体化と制度設計を是非進めていただきたいと思っておりますが、そういう理解でよろしいでしょうか。斉藤国土交通大臣にお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の議論の始まりは、一部地域で、また一部時間帯で、また、ある特殊な条件の下で、大変タクシー等が不足をし、地域の足が不足している、これをどう解決するか、こういうところからスタートいたしました。

 先ほどお話もございましたけれども、やはり、その議論をするのは、三点大事だと思います。一点は、車が安心なこと、ドライバーが安心なこと、そして雇用の問題、働き方に大きく関わってきます。この三つの課題をしっかり解決していかなければならない。しかし、現行法の中でもしっかりそれらに対応してできるのではないかということで、規制改革会議等の議論を経まして、この四月から試行を開始してまいります。

 先ほどの、現行の仕組みでできるのではないかということも含めまして、この四月から、実際に一般のドライバーの方が自家用車を使って、しかし、先ほどの三点の安心を確保する意味で、タクシー会社が、これまでございます、制度があります、それらを利用して試行をし、その結果をよく見た上で、どういうことが可能か、そして、先ほどの三点をしっかり議論してからやらなければならないと思いますし、現行法でできるかどうかも含めて議論をしていく必要があるかと思っております。

漆間委員 是非よろしくお願いいたします。

 このパネルは、今年一月の十日に、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会が発表した資料です。この資料によると、国がこれから二月中旬に行われる、四月からの運行形態詳細の中間報告、これを待たずして、運行形態や運行方法、ドライバー条件など、まるで既に決まっているかのように記載しているんですけれども、これは今後発表される国の案ではないということについて、一点ちょっと確認させていただきたいんですが、よろしいでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 東京ハイヤー・タクシー協会が先月、御指摘のガイドライン案を公表したことは承知しておりますが、その内容について、国土交通省と事前調整したものではございません。

 先ほど申し上げましたように、十二月に国土交通省として、まず、今の制度の中で何ができるか、これを四月から試行しましょうと。そのときに、雇用の安定や、車、運転手の安全性を確かなものにするために、こういう制度でやっていきましょうということを十二月に国土交通省が発表しました。その発表に基づいて、東京ハイヤー・タクシー協会において検討されたものと思っております。これからやってみよう、試用してみようというものの案だと思います。

漆間委員 国の二月中旬の国土交通案とは関係がないということで認識いたしました。

 先ほどから、私も、タクシー業界が政治力を持って影響を与えているんじゃないかということをちょっと言わせていただいているんですけれども、一方で、地域交通の担い手、あるいは移動の足の不足に対応するために、個人タクシーの年齢上限を七十五歳から八十歳とする、そういった高齢者の活用だったり、特定技能の対象に自動車運送を追加する、外国人ドライバーの活用など、国はこれを進めようとしておりますが、これこそ、安全、安心という観点からも、物すごくハードルが高いことだと思っております。これは、やはり、既存のタクシー事業者に寄り過ぎた悪い政策だと思うんですけれども、総理、もう一度お伺いしますが、どう思われますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、各地で生じているタクシー不足といった現状に対して緊急に講ずることができる措置として、昨年来、タクシードライバーの年齢上限の見直しや地理試験の廃止など、現行タクシー制度の規制緩和に着手をしたところです。

 地域交通の担い手や移動の足の不足、これは深刻な社会問題です。この社会課題の解決に向けて、デジタル技術を活用して、これまで以上に質の高いサービスを提供し、利用者起点で社会変革を実現していく、こうした必要があると考えています。このために、ライドシェアの課題にも正面から取り組んでまいります。

 それ以外にも様々な技術を活用するということで、自動運転の社会実装に向けて、本年度、一般道での通年運行事業を二十か所以上に倍増する、全ての都道府県で計画、運行を目指す、こういった取組も進めてまいります。

漆間委員 是非、いずれにせよ、私が先ほどちょっと五点申し上げた、時間帯を絞らない、地域を絞らない、ダイナミックプライシングを可能とする、雇用に限らず、業務委託など、自由でストレスフリーな働き方ができる、タクシー事業者以外の者がライドシェアを行う新規参入を可能とする、これをしっかりと進めていただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、遠藤良太君から関連質疑の申出があります。漆間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の遠藤良太でございます。

 まず初めに、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、一九九五年一月十七日、阪神・淡路大震災がありまして、これは二十九年目になりました。神戸では復旧もして、復興をしてきましたけれども、インターネットが当時は普及していたかというと、そこまで普及していなかった。これはウィンドウズ95が発売する前だったという状況なんですけれども、今、オンラインがどんどん普及をして、オンライン診療もできるような時代になってきたと思います。

 今回、この能登半島地震において、研修を受講していない医師がオンライン診療もできるということになったんですが、実際、総理にお尋ねしたいんですけれども、この状況、またこの問題点についてお尋ねをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 オンライン診療ですが、能登半島地震においては、避難所などにおいて、避難者の方と能登のかかりつけの医療機関との間でオンライン診療が行われております。被災地における医療の確保に大きく貢献していると承知をしています。

 一方で、従来オンライン診療を行っていない医療機関においては、オンライン診療を導入する際に、実施に際して留意が必要な事項の確認、あるいは情報通信機器の取扱い等について課題があると認識をしております。プライバシーが確保される場でオンライン診療を実施するなどのプライバシーの確保等についても、課題、留意事項が指摘されています。

 政府としては、幅広く適正にオンライン診療が普及するように、医療機関が参考にできる事例集あるいは手引書、これを作成し、国民への周知広報資料の作成等も行っており、さらに、今申し上げた課題等も踏まえて取組を推進してまいりたいと考えます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。推進をしていただけるというところなんですけれども。

 厚労大臣にお尋ねをしたいと思います。

 今回、一月十六日に医政局が通知を出しています。ここで、僻地に限らず都市部を含め、オンライン診療のための医師が常駐しない診療所の開設ができるようになると。つまり、オンライン診療のための診療所、これは医者が常駐しなくても開設ができるということになっています。

 一方で、この中に書いているんですが、特例的であってという言葉があります。ここの特例的というところに関して、厚労大臣に、どういう点で特例になっているのかをお尋ねしたいと思います。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、一月十六日の、僻地等に限定せずということで、医師が常駐しない形での開設を可能としております。

 この中で、特例的に認めるに当たって、医師が常駐しない中においても患者に安全で安心な医療が提供されるよう、その通知の中には、開設の必要性や、オンライン診療の適切な実施に関する指針を遵守可能かどうか、それから自治体が確認すること、それから、患者の急変時にも確実に対応できるよう、あらかじめ対応する医療機関を定め、連携体制を取ることなどが求められております。

 開設の必要性の確認に当たりましては、診療所に対して、この特例を使う必要性として、現状では住民の受診機会が不十分であるとか、それから最低限の理由の提出のみを求めておりまして、負担を特に強いるものではないというふうに考えております。

 また、急変時の対応についても、医師が常駐しない中での患者の安全、安心を守るため、最低限やはりこれは必要であろうというふうに考えて、その方針を設定させていただいておるという状況にございます。

 いずれにせよ、こうしたオンライン診療というものについては、今、私どもで準備し進めております医療のDX、これで全国的なプラットフォームがきちんとできて、そして、国民一人一人の健康情報というものが、病診連携等、患者を含めて共有できるというシステムができますと、その中で、間違いなく、かかりつけ医機能というものを補完する、その重要な役割をオンライン診療が担ってくるようになることは、これはもう火を見るよりも明らかであって、こうした将来像をしっかりと据えながら、こうしたオンライン診療の在り方というものを考えていきたいと思います。

遠藤(良)委員 大臣、ありがとうございます。

 我が党も、このオンライン診療については、前に、全面的に進めていく、こういう思いを持っているんですけれども、今大臣おっしゃられていただきました、過疎地域や被災地でこそ、こういうオンライン診療については非常に必要なものだと思うんですが、一方で、先ほどもありましたけれども、地域の医師会であったり有識者団体と連携をしていかないといけない。これは、ある意味では地域の既得権を守ることにつながるんじゃないかなというふうに感じます。

 その中で、実際、このオンライン診療を、先ほどもお話ししましたけれども、医師が常駐しないオンライン診療所を開設する要件をより緩和していくべきだというふうに思うんですが、総理にお答えいただきたいんです。この辺り、いかがでしょうか。

武見国務大臣 今委員御指摘のように、オンライン診療は、やはり、特に医療の資源が少ない地域においては医療へのアクセスを確保するために極めて有用でありまして、今回の震災対応でも大変大きく実は貢献してくれています。

 このため、適正なオンライン診療の普及に向けて、オンライン診療の適切な実施に関する指針を策定し、昨年六月には、国、自治体、医療機関などが普及に向けて取り組むべき方向も示しました基本方針を策定をして、事例集や手引集の作成など、関係者が一丸となってこれを推進する取組を始めております。

 オンライン診療を実施している保険医療機関数は、令和四年七月には僅か実は約五千五百医療機関だったんですけれども、これが令和五年十月には約二倍の約一万医療機関へと増加を続けております。

 今後とも、必要に応じて、こうした指針や基本方針の見直し等をちゃんと行っていきながら、適正なオンライン診療の普及というものに努めていきたいと思っております。

遠藤(良)委員 厚労省の資料ですけれども、ここに書いています、オンライン診療の本指針の適用のところに全面適用と書いていますけれども、オンライン診療では、指針では、全面適用ができるということになっています。原則、先ほども武見大臣からありましたけれども、かかりつけ医がいる場合は、初診はかかりつけ医の医師が行うことが望ましい、かかりつけ医がいない場合は、診療前相談ということが必要であるということです。

 これは、郡部でもそうですけれども、過疎地域と言われる地域では、やはり医師不足というのは非常に深刻になっています。私の地元でもそうですけれども、都心部から一時間もかけて飛行機に乗って自分の診療所に行く先生がいたりとか、七十五歳ぐらいの高齢の方が車を運転して自分の病院に通う、一時間も、高齢者の方が、病院に通う、こういう状況が今あるわけです。

 先ほど武見大臣、二万件ということをおっしゃられていましたけれども……(発言する者あり)一万件、失礼しました。一万件ということなんですけれども、実際、調べてみると、これはコロナがあったと思います。コロナ時期に、診療、外来も含めて、オンラインのところは増えてきたというところだと思います。ガイドライン上では、全面的にオンラインは進んでいるんだということなんですけれども、極めて限定的なオンライン診療になっているんじゃないかなというふうに思うんです。

 東京であったりとか大阪であったりとか、都心部であれば、余りそういう医者不足であったりとか医療が不足しているような感じはないですけれども、一方で、地方を見てみると、本当に、病院も、僅かな病院の中で、先生との関係もあったりとか、違う病院に行きたいけれども行けないとか、こういう状況があると思います。

 そういう中で、例えば東京の先生に診てもらいたいとか、例えば違う地域の、東京にいながら沖縄の先生に診てもらいたいとか、こういうことが全面的に解禁される、これがオンライン診療だということだと思います。

 是非総理に、この辺り、オンライン診療はもう全面的に国としてやっていくんだということを、決意をお伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど厚労大臣の方から、オンライン診療を実施している保険医療機関数、令和四年七月の約五千五百医療機関から、令和五年十月には約二倍の約一万医療機関へ増加を続けている、この数字を紹介させていただきましたが、これに際しましては、策定したオンライン診療の適切な実施に関する指針ですとか、昨年六月の国、自治体、医療機関等が普及に向けて取り組むべき方向性を示した基本方針、こうしたものを適切に見直しを行う、こういった取組も進めながら、適正なオンライン診療の普及に努めてまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 今総理からおっしゃられていただきましたけれども、是非国としても全面的に、我々維新としてもバックアップして協力させていただきたいと思いますので、是非お願いをしたいと思います。

 引き続いて、私が、被災の方々で、介護の仕事で行かれた、厚労省から要請があって、介護ボランティアとして被災地に行かれた方々にお話を聞きました。

 そこで、発災当時だったと思いますので、なかなか混乱の状況もあったと思いますけれども、その中でお伺いしたのが、行ってみると、一・五次避難所だったということなんですけれども、高齢者の方が六十名ぐらいいらっしゃって、トイレが二つしかなかったという状況だった。これは、本当に衛生的にも、当初から言われていましたけれども、衛生の課題、本当にあったと思います。

 そういう方々が行かれたときに、トイレが二つであったりとか、体に褥瘡ができている方も同じ病棟に入っていたりとか、褥瘡を持っている方はやはり清潔保持が最も重要なことでありますから、同じようにケアをするというのは、本当に環境としては非常に厳しい状況だったんだなと思うんですが。

 これは是非防災担当大臣にお尋ねしたいんですが、衛生面の今後のこういった課題を是非生かしていただきたいというふうに思っています。例えば、携帯用のトイレであったりとか簡易トイレの備蓄、これを増やしていくとか、こういう対策を是非していただきたいと思うんですけれども、この辺り、いかがでしょうか。

松村国務大臣 遠藤委員の御質問にお答え申し上げます。

 まず、御指摘をいただいた一・五次避難所でございますが、昨日、武見大臣からも御答弁がございましたけれども、一次避難、一・五次避難所、それから二次避難所、避難所外避難をなさっている方々、こういった方々への健康と命を守るための支援というのは、厚労省と連携をいたしまして日々改善また拡充をやっておるところでございます。

 御指摘の一・五次避難所につきましても、武見大臣に御視察をいただいて、診療所の設置もいただいているところでございます。

 その上で、内閣府におきましては、平時から、避難所におけるガイドラインを作成をいたしまして、自治体に周知をしておるところでございます。その中で、仮設トイレを確保することでありますとか、携帯トイレの備蓄、マンホールトイレの整備、また要介護者や高齢者、また要配慮者の方々に対する必要な福祉サービスの提供を図ることを促して、連携を図っているところでもございます。

 また、こういった方々を現場で支えていただく方の人材育成が必要でございますので、担い手として、地域ボランティアの人材の育成、こういったものを、研修を通しまして令和四年度から実施をしているところでございます。

 発災当初から、私からも内閣府の幹部に対して、復旧をやりつつ、それぞれに起きた事案についてのメモを取って、しかるべきときに一回総括をし、その後の対応に生かすようにということで、考えております。

 御指摘を踏まえまして、更に充実ができるようにやってまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 テーマは少し変わりまして、農産物に関して、食料に関してお話ししたいと思います。

 今年、この通常国会で食料・農業・農村基本法が二十五年ぶりに改正されるということなんですけれども、そのうち、円安の伸びもあってか、二〇二二年度では農産物の輸出が一兆四千億円だった、そのうちお米の輸出額というのが七十四億円だったということなんです。これは、額としては非常に少ないと思います。

 こういう開拓をしていくには、やはり農協であったりとか商社の役割は非常に重要だと思いますけれども、さらに、加工米で電子レンジでチンしたりするパック米とか、あれは結構海外で売れているんですけれども、純粋なお米はなかなかそう多くないということなんです。

 これは、政府としてどういったプロモーションで支援を、このお米の輸出についてどういった支援をされていくのか、この辺りを農水大臣にお尋ねしたいと思います。

坂本国務大臣 米の輸出拡大を図っていくためには、国際競争力と農家の実質的手取りというものを両立させることが大事です。そのためには、まず、生産段階で大ロットそして低コスト生産の取組が必要です。もう一つは、プロモーション段階ではマーケットインの発想に基づく取組が必要です。

 その二つの要因をやはり持っているのがJAグループだというふうに思っております。といいますのは、やはり、JAの場合には、米輸出のモデル産地の過半を占めまして、低コスト、大ロットの生産を推進ができるということであります。

 それから、プロモーション段階でも、大ロットの強みを生かした販売や、ネットワークを生かして多様な産地銘柄の品ぞろえによる現地へのPR、こういったものができるというふうに考えておりますので、現地のニーズに応える形での生産や販路開拓というのが非常に期待できるというふうに思っております。

 先月、一月ですけれども、農林水産省もJAグループと輸出関係連絡協議会というものを設立をいたしました。JAを核とした輸出産地の形成、そして効率的な輸出物流の構築、輸出人材の育成などの課題について協議をしていくことにしております。

 JAグループと緊密に連携を取りながら、これから輸出の拡大を進めてまいりたいと思います。大変期待しているところであります。

遠藤(良)委員 その中で、今、農業者の数というのは、高齢化もしていますし、人口が非常に減っているということが危惧されます。輸出ももちろん重要なんですけれども、自国の食料需給というものが非常に重要だというところで、働き手が減少している中で、お尋ねしたいんですけれども、今回、法改正の中で、緩和はされるんですが、農地所有適格法人のところです。出資ができる法人については、食品事業者であって、地域で実績のある者に限られるということになっています。これは、食品事業者に限られるということになれば、合理性はないと思います。

 これは、今回、是非、食品事業者に限らず、広く株式会社にもしっかり出資を認めていくということが必要だと思うんですが、この辺り、総理の方からお答えいただきたいと思います。

坂本国務大臣 農地を所有できる農地所有適格法人につきましては、人口減少や高齢化が進行する中で人と農地の受皿として重要となってきていることから、国によります審査や農地転用の制限等の、農村現場の懸念に対応した措置を講じた上で、法人の農業経営基盤強化の措置をする必要があるというふうに思います。

 そういうことで、今回、農外資本を活用している法人の約半数が食品事業者を選択するというような事態を踏まえまして、まずは食品事業者を対象にするということで法案を提出したいというふうに思っているところであります。

遠藤(良)委員 ということなんですけれども。

 兵庫県の養父市です。兵庫県の養父市のホームページなんですけれども、兵庫県の養父市は、御承知のとおり、国家戦略特区でありました。昨年の九月に構造改革特区に格下げになったということです。

 これは、先ほどおっしゃられましたけれども、国家戦略特区のときは、株式会社が農地を取得できる、そういうものを対策としてされていたと思います。国家戦略特区は岩盤規制を突破していくものである。ただ、一方で、これは格下げになってしまっているんです。

 実際、こういった株式会社が、全く違う、例えば、ここに書いていますけれども、成功している会社があります。ナカバヤシさんという会社なんですけれども、ここなんかは卒業アルバムとかを作っている会社なんですね。ここが今、ニンニクとかを作っています。全く食品事業者じゃないですよね。これは実際成功していまして、こういう事例が実際あるわけです。

 要は、個人で農業をしていく担い手がどんどん減っていく、こういう中で、一方で、組織として農業を展開していく、こういう形が見えていたと思います。これはなぜ構造改革特区に格下げになったのか、お尋ねしたいと思います。

坂本国務大臣 株式会社等の企業は、担い手不足が進行する地域や遊休農地が著しく増加する地域におきまして、その農業参入を進めることも重要であるというふうに考えております。

 企業の農業参入につきましては、平成二十一年の農地法改正で、農地リース方式での参入を完全に自由化したところです。現に、法改正以前の約五倍のペースで参入が進んでおり、これを更に今推進していきたいというふうに思っております。

 なお、企業の農地の取得につきましては、農業から撤退した場合どうなるのか、あるいは農地転用の問題、そして、地域との調和に対する生産現場の懸念がまだまだ存在することも事実であります。

 このため、農地法では農地の所有を農地所有適格法人に限っているところであり、一般企業の農地取得については引き続き慎重に検討をしていく必要があるというふうに考えております。

 構造改革特区というのは、格下げではなくて、これは、地域が、首長さんが、自治体が希望すれば、そこのどぶろく特区と同じようにやはり特区になるということでありますので、国家戦略特区と構造改革特区というのは大体並立のものであるというふうに思っております。

自見国務大臣 お答えいたします。

 国家戦略特区制度の下で特定の自治体で実施してまいりました法人農地取得事業につきましては、市町村等に対する調査や国家戦略特区諮問会議等の議論を踏まえまして、格下げということではなく、特定の自治体だけでなく全国の自治体からの申請が可能となるよう、御党にも御賛同いただきまして、令和五年四月の法改正により、構造改革特区法に基づく事業に移行したところであります。

 これら二つの制度は、前者では特定の自治体で緩和するか、また、後者では希望する自治体の提案で緩和するかなど、性格が異なるものではございますが、御指摘のような格下げではないということでございます。

 また、内閣府といたしましては、構造改革特区制度への移行が円滑に進むことが非常に重要だと考えておりまして、より多くの自治体から申請が進みますよう申請マニュアルの作成などにも取り組んできたところでございまして、法施行の後も、内閣府のホームページや地方創生ホットライン、各種会議を通じて地方公共団体に周知を図ってきたところでございます。

 今後とも、全国の自治体への周知や意向の把握に取り組み、地方公共団体からの相談や申請があった場合には丁寧に対応するなど、しっかりと進めてまいります。

遠藤(良)委員 今、格下げじゃないということだったんですけれども、こう書いています、内閣府のホームページで。これは地域を限定して改革するということなんです。構造改革特区の場合は、国の規制が民間企業の経営活動や地方公共団体の事業を妨げることがあると。これは地域限定にするわけです。本来は、国家戦略特区は全国展開していくものだと思うんですけれども、これは明らかに地域を限定して、格下げと言わざるを得ないと思いますよ。

 総理に最後お答えいただきたいんですけれども、国家戦略特区として、せっかくここまで事業実績も出てきたし、成功事例も出てきた中で、ここで諦めるというよりも、是非、株式会社として全面的に国としても取得できるようにお願いをしたいんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 農水大臣、自見大臣から今答弁がありましたように、国家戦略特区と構造改革特区、この制度の違いは、前者が特定の自治体で緩和するか、後者が希望する自治体の提案で緩和するか、こうした性格の違いであると認識をしています。両大臣からありましたように、格下げというものではないと思います。

 その上で、構造改革特区制度への移行が円滑に進むよう対応していきたいと思っておりますし、株式会社による農業参入については、特区を用いた法人農地取得事業のほか、リース方式や農地所有適格法人制度の下でも進んでいるものと承知をしており、これらの取組も進めていきたいと考えます。

遠藤(良)委員 外国資本が土地を買ったりとか外国人の土地取得の制限、こういったものももちろん必要ですし、自治体の買戻し、こういったものも必要だと思います。その上で、株式会社としてこれを全面的に許可していくということは国としても是非やっていただきたいというふうに思います。

 最後に移りたいんですけれども、子供加速化プランのところです。

 これはこども家庭庁の資料なんですけれども、今現在、保育所の定数が三百万人である、今実際利用されているのは二百七十万人ということなんですけれども、これは保育士の方々の待遇であったりとか、そういった課題は改善しないといけないと思うんですけれども、一方で、子育ての出産育児一時金というところです。これは四月に四十三万円から五十万円に引き上がりましたけれども、一方で、やはり子供を出産するためには保険適用をして、手出しの分はバウチャーで補完をして無償化をしていく、これは政府として是非やっていただきたいんですけれども、総理の答弁をお願いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 出産の保険適用については、今委員の方から紹介があった出産育児一時金の拡充等の取組を進めて、その効果の検証を行った次の段階として、現状も踏まえながら、二〇二六年度をめどに検討を行ってまいります。

 その際に、保険適用はサービスの質が確保されるというメリットがある一方、全国一律の診療報酬で評価されるということで、かえって妊婦の選択の幅を狭めることになってはいけない、こういった課題もあり、双方の考え方を踏まえて検討していく必要があると考えています。

 なお、自己負担ということで申し上げるならば、今回の出産育児一時金の引上げは、平均的な標準費用について妊婦に自己負担が生じないようにしたものでありますので、保険適用の検討に当たっても、こういった基本的な考え方は踏襲したいと考えます。

遠藤(良)委員 是非これは総理の任期中に明言していただいて、それだけで今の内閣は本当に評価が変わると思いますので、是非とも思い切った決断をしていただきたいというふうに申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申出があります。漆間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 教育無償化を実現する会の前原でございます。

 統一会派を組む維新の皆様方に時間の配分をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 まず、総理にお伺いしたいと思います。

 昨年十二月十二日に政府が発表したこども未来戦略、これですね、この副題には、次元の異なる少子化対策の実現に向けてと記されております。そして、その中身を見ますと、少子化への危機感に満ちあふれております。

 一部紹介をさせていただきます。若年人口が急激に減少する二〇三〇年までに少子化トレンドを反転できなければ、我が国は、人口減少を食い止められなくなり、持続的な経済成長の達成も困難となる、二〇三〇年までがラストチャンスであり、我が国の持てる力を総動員し、少子化対策と経済成長実現に不退転の決意で取り組まなければならない、こう書いてあります。

 では、総理に伺いますけれども、今回のこども未来戦略の中に、多子世帯、つまり扶養される子供が三人以上の世帯に対して、大学等授業料、入学金の無償化が盛り込まれています。端的に伺いますけれども、子供さん一人目から無償化するのと三人以上で無償化するのとでは、どちらが少子化対策として効果があると考えますか。

岸田内閣総理大臣 少子化対策を考える場合に、経済的な負担と、そして理想……(前原委員「質問に答えてください」と呼ぶ)だから、今答えます。負担と、理想とする子供の数をかなえる、この両方において最も効果的な対策を用意するということで、令和七年度以降、大学等の授業料の無償化において、三人の子供を持つ家庭にとって最も経済的に厳しい状況にあるのが三人同時に扶養している時期であるということ、そして、理想の子供の数を持てない状況は三人以上を理想とする夫婦で特に顕著である、この二つの観点から、七年度以降、三人の子供を持つ家庭にとって大学等の授業料等の無償化の対応を用意した、加速化プランの中でこの施策を示した、こういったことであります。

前原委員 今の答弁は、本会議でも何度も聞いております。

 私が聞いているのは、一人目から無償化するのと三人目以上で無償化するのは、どちらが少子化対策として効果があるかという質問をしています。

岸田内閣総理大臣 大学の授業料の無償化、これはこれからも進めていかなければなりません。その中で、六年度において中間層の支援の拡大、そして令和七年度において御指摘の大学授業料の無償化、これに取り組むということで、その七年度の対策において、先ほど申し上げました二つの理由において、三人の扶養に当たらなければいけない家庭に支援をしたということであります。

 これは、これで終わったということではありません。引き続き、次の段階で、大学の授業料無償化についてどう考えるのか、これは引き続き考えていかなければならない議論であると考えます。

前原委員 事前に文科省からもヒアリングをしまして、同じ答弁を、答えをされています。つまり、これから進めていくということなんですね。

 つまりは、先ほど私が紹介した言葉とは中身が違うんですよ。ラストチャンスであり、そして、何と書いてあるかというと、我が国の持てる力を総動員すると書いてあるんです。不退転の決意で取り組むと言っているんです。だったら、今からすぐ、一人目から無償化するのが当然じゃないですか。三人目からやってみて、そしてこの次はまた次考えます、そういったことを続けているからどんどんどんどん、少子化というのは昔から言われ続けてきて、だけれども、それが結局実を結ばずに合計特殊出生率が下がり続けているのが我が国の姿じゃないですか。やるんだったら今すぐ一人目からやるというのがこの決意の、不退転の決意の表れじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど御紹介いただいた中身にありましたように、二〇三〇年代、少子化のスピードは格段と加速化される、こういった問題意識を持っております。ですから、それまでが正念場だということであります。それまでの間に、できるだけの施策を動員していかなければなりません。

 御案内のとおり、高等教育の無償化だけではなくして、児童手当を始め様々な施策を用意する、そのトータルにおいて、OECDのトップクラスのスウェーデン並みに一人当たりの支出も引き上げていこう、こういった全体を示しているわけであります。

 二〇三〇年代に入る前の正念場、是非、この期間において政策を動員していかなければいけない、その中で、まずは三年間の加速化プランを用意した、今回の加速化プランはそういった位置づけであると認識をいたします。

前原委員 やはりこの人に任せたら駄目だなと、私は今、答弁を聞いていて思いました。

 このこども未来戦略には、二〇三〇年までが勝負だと書いてある。今、答弁は二〇三〇年代とおっしゃいましたよね。そんな悠長なことで少子化対策、止められるんですか。(岸田内閣総理大臣「三〇年代が加速化される」と呼ぶ)いや、今やらないと駄目でしょう。やるのは今でしょう、誰かの言葉じゃないけれども。今やらないといけないことについて、何で、三人以上からまずやって、それから次考えるという答弁になるんですか。やれることを不退転の決意で総動員するんだったら、ほかの施策をやっておられることについて私は否定しているわけじゃないんですよ。とにかく、大学まで無償化をするということが極めて有効である。

 ちょっと資料を御覧ください。これは政府から出されている資料でありますけれども、先ほど御答弁されたのは、確かに、子育てや教育にお金がかかり過ぎているからということについて、三人以上の方々については、親御さんについては五九・三%なんですよ。じゃ、二人以上は何%ありますか。見られましたか。二人以上も五〇%ぐらいいるんですよ。二人以上でも持てないのが五〇%で、何でそこで、結局三人目以上で線を引くんですか。二人目以上でなくて、一人目からじゃなくて、何で三人以上なんですか。本気で少子化を取り組もうとしていない証拠じゃないですか。

 先ほど申し上げたように、トータルパッケージについて文句を言っているんじゃない。この大学の無償化について、政府が出している資料ですよ、三人以上は五九・三%、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから。でも、二人以上でも、持てないという人、結局一人という人は半分ぐらいいるんですよ。その人たちにはこの政府の施策というのは届きませんよね。だったら少子化対策にならないじゃないですか。歯止めはかからないじゃないですか。

 なぜ思い切ったことを、総動員で、ラストチャンスと大見えを切るんだったら、一人からやらないのかということを聞いています。

 もう一度御答弁ください。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほどの答弁について、二〇三〇年代からが加速化、スピードが高まると申し上げました。その前が重要だということを申し上げました。

 その中で施策を行うということでありますが、加速化プランの中に、令和六年度、令和七年度、それぞれ高等教育の取組を用意いたしました。それ以外にも高等教育に向けて様々な施策を用意していく、それを順番に進めていくということを示しているわけであります。順番にその政策を進め、二〇三〇年代に入る前にこうした政策を充実していく、これは高等教育支援を充実させる上で大変重要であると思います。

 それと併せて様々な支援が、二人世帯においても一人世帯においても様々に用意される、中間層への様々な支援の拡大を始め様々な施策が用意されるわけですから、この全体の中で高等教育の支援を充実させていく、こういった考え方を進めてまいります。

前原委員 繰り返しになりますけれども、様々なトータルパッケージを否定しているわけじゃないんです。一番少子化に対して利くのは、私は、大学まで無償化することが一番利くと。でも、何で三人以上子供がいないと駄目なんですか。しかも、一人扶養から外れると、結局無償にならないでしょう、三人子供がいても。残りの二人はならないんでしょう。大風呂敷を広げるという言葉は聞いたことがあるけれども、一人目からやらなくて三人目以上です、そして、三人いても一人が扶養から外れたら残りの二人は無償になりません、こんなひどい話がありますか、政策で。

 ほかの政策について私は批判をしているわけじゃないんです。政府の出しているこども未来戦略において、ラストチャンスである、不退転の決意である、総動員をするというのであれば、少子化対策に最も利くのは一人から大学無償化をすることではないですかということを聞いているんですよ。それをなぜ、ほかのパッケージのトータルの中で、はぐらかしの答弁を続けるんですか。

岸田内閣総理大臣 大学教育の支援については、従来から、子供が一人又は二人の家庭に対しては給付型奨学金等による所得に応じた支援、これは行ってきたところであります。そして、令和六年度から、これらの奨学金の更なる充実を実施するために政策を用意しているということです。一人の子供、二人の子供を持つ家庭に対する支援がないということではありません。これはやはりそれぞれ用意することが重要である。

 そして、その中で、子供三人については、子育てあるいは教育にお金がかかり過ぎるという懸念、これが三人以上の子供を理想とする夫婦において最も顕著であるから、この部分が障壁にならないように施策を用意した、こういったことであります。子供が一人、二人の家庭をないがしろにしているというものではありません。

前原委員 これ、答弁を聞いている人はみんな笑って聞いていますよ。だって、今まで少子化対策と称してやってきたことは効果がありますか。今、合計特殊出生率は幾つですか。幾つですか、合計特殊出生率は。一・二六じゃないですか。過去最低ですよ。希望子供数は何人ですか。持ちたいと思っている子供数は、親御さんたち、何人だと思われますか。二・二五ですよ。一違うじゃないですか。

 持ちたい子供を持てるような環境をつくるというのが政治の役割じゃないですか。そして、今やっている、やっていると言うけれども、効果がないものをやっていると言って、やったふりをするのはやめてください。

 そして、何度も申し上げるけれども、これがラストチャンスであり、総動員をする、不退転の決意と大見えを切っているんだったら、何で一人からじゃないんだということを聞いているんです。そのことだけに答えてください。

岸田内閣総理大臣 大学教育に対する支援については、先ほど来申し上げたとおりであります。そして、トータルのプランが大事だということについては、委員からも同意をいただきました。賛同いただきました。(前原委員「中身は別ですよ」と呼ぶ)賛同いただきました。

 そして、今回の対策、今まで効果がなかったではないかという観点から、三つの理念を重視してこのプラン全体を考えています。一つは、子育て世代、若い世代の所得を引き上げるということ、二つ目として、こうした給付、制度の充実、もちろん大事でありますが、これを活用するためには意識や社会自体が変わらなければならないという点、そして、これらの政策を切れ目なく続けることが大事である。

 効果が出ないとおっしゃいましたが、今までの政策、それぞれにおいていろいろな努力はされてこられましたが、これらを今申し上げた三点においてつなぎ合わせることによって、今回の対策、結果につなげようというのが基本的な考え方であります。

前原委員 全然分からない。しかも答弁、まともに答えていない。

 三人以上と一人から、大学の無償化をするのはどちらが効果があるかということについては、もう十分以上たっているけれども全然答えていない。逃げに回っているんだよ。(岸田内閣総理大臣「両方用意しているんです」と呼ぶ)いやいや、駄目駄目。これは財源はどのぐらいだと思いますか。私の質問が理解できていないんだったら、総理としてちょっと問題ですよ、大分問題ですよ。

 それでは、財源論でいきましょうか。

 やはり財源で効果があるじゃないですか。三人以上で無償化をするのに幾らかかるんですか。そして、私が申し上げるように、一人以上で無償化するんだったら幾らかかるんですか。

 聞いていますよ、お答えください。

小野寺委員長 文部科学大臣盛山正仁君。

前原委員 違う、違う、違う、総理に聞いているんだよ。

小野寺委員長 所管の大臣でございますので、まず答えていただきます。

前原委員 ちょっと小野寺さん、さっきから俺もずっと見ていましたけれども、あなたが勝手に差配し過ぎますよ。ちゃんと質問通告をしているんだから。

小野寺委員長 私は委員長です。委員長です。まず、所掌の大臣にお答えいただきます。

盛山国務大臣 令和七年度以降の多子世帯における大学等の授業料等無償化の所要額は、約二千六百円程度を見込んでおります。(発言する者あり)二千六百億円。

 また、大学の学生等の全員を対象に授業料の無償化を行う場合について、現行の高等教育の修学支援新制度において設定している授業料単価に学生数を掛けて試算すると、約二兆円になると考えております。

前原委員 そのとおりなんですよ。三人以上だと、無償化は二千六百億円なんです、財源。一人から無償化にすると、私が一番初めに聞いたのは二・一兆円だった。今、二兆円と答えられた、二兆円。全然違う、財政規模。

 結局、財務省にやられているんですよ。財務省にここを絞られて、一人から無償化すると、結局、お金がかかり過ぎる、財源がありませんと。そういうことの中で、結局、三人目以上でお茶を濁しているのがこの仕組みなんですよ。効果はないですよね、財源が来ていないんだから。

 今日は質問しませんけれども、例えば、これは第三子以上を無償化するといって、控除を外すでしょう。ブレーキとアクセルを両方踏んでいるんですよ、財源を生むために。こんなでたらめなことをしちゃ駄目ですよ。

 つまりは、これも財務省から言われて、結局、三人目以上を無償化にします、三人以上いる方々については無償化します。そうしたら、今度は、十六歳から十八歳の、言ってみれば、控除については外しますということで増税するんですよ。そういうような、アクセルとブレーキを両方踏むようなことをやっているんですよ。

 じゃ、二千六百億円と二兆円と、どちらが効果を少子化で生むと思われますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来から、大学教育への支援についていろいろ御指摘がありましたが、まず、財務省に押し切られているという指摘について、これは当たってはおりません。今回、この子育て支援について、GDPの一六%に匹敵する、OECDトップクラスの水準まで一人当たりの家庭関係支出を引き上げる、こういった施策を用意しております。財務省に押し切られているというものではないとまず申し上げます。

 その上で、効果ということを先ほどからおっしゃいますが、この一つの政策だけで効果が出るのかどうか、それが懸念される問題であるということで、先ほど申し上げました三つの理念で政策を結びつけること、トータルでこの政策を考えなきゃいけないということの重要性を申し上げているところであります。

 二千六百億円と二兆円、どっちが効果があるかということでありますが、この政策一つだけ取れば、これは二兆円かけた方が効果がある、そういうことでしょう。しかし、今申し上げました、全体の中で、そして、各施策が有機的に機能することによって、結果につながるかということを考えた場合にどちらが意味があるのか、これを考えることが必要だと思います。

前原委員 ようやくちゃんと答弁してもらえました、二十分ぐらいたって。効果があるとおっしゃった。効果があるんですよ。それは二千六百億円よりも二兆円使った方が効果があるんですよ。

 だったら、ほかのこともやって、別にここは減らせと言っていないでしょう。こちらを減らせといつ言いましたか。こちらが二千六百億円のやつを二兆円にしたらいいと言っているんですよ。それで、もっと予算を増やして、そして、思い切った、ラストチャンスだと言うのであれば、思い切ったことをやったらどうですかということを申し上げているんですよ。

 いい、いい。だって、先ほど、もう効果があるとおっしゃったんだから。

小野寺委員長 総理から答弁を求められておりますが。

前原委員 いや、いいです。私が質問していますから。

 二枚目のパネルを御覧ください。これも文部科学省からいただいたものでありますけれども。

 総理は先ほど、お金をかけた方が効果があるということをようやくおっしゃった。それはそうなんです。実際問題、これは文科省から出された資料ですけれども、大卒者、院卒者一人当たりの、お金をかけたらどれだけ便益があるかというようなこと、こういったことですよね。

 つまりは、余り目先のお金にとらわれて、そして小ぢんまりとした政策をやるんじゃなくて、思い切ったことを今やらないと、本当に少子化が止まらないということを私は申し上げている。つまりは、この図を見ていただいているように、繰り返し申し上げますけれども、これは政府から出されたものであります。一人にお金をかけたら二・四倍の効果があるということじゃないですか。

 子供さんお一人お一人は、御家庭にとって、お父さん、お母さん方にとっては宝です、御家庭にとって。でも、国家としても宝なんですよ。この宝の子供さんをどのように教育をするかということが大事なことだと思うんですね。

 三枚目。

 我々は、少子化対策になるというのは総理がおっしゃっていることでありますし、そして三番目、一人一人の能力を伸ばすことによって、国全体の底上げ、国際競争力の回復につながる。そして四番目が、これはリカレント教育ですね、つまりは、大人の学び直しをやることによって賃金が上がる環境ができるということ。

 私、総理、二が一番実は大切だと思っているんですね。親の所得によって子供の学ぶチャンスが変わる社会というのは、私はよくないと思うんです。親の所得が一千万以上だったら、子供の四年制大学進学率は六二・四%なんです。親が四百万以下の所得だったら、子供の四年制大学の進学率は三一・四%なんです。半分違うんです。

 私は、大学に行くことが全てだと申し上げません。高校を出られて、あるいは中学を出られて、手に職を、専門性を身につけられて立派にやっている方々はたくさんおられる。大学に行くことが全てだということは全く思わない。だけれども、結果として、四年制大学に行った子供の方が生涯年収は高くなっているんですよ。

 ということは、親の年収の高い方が子供には教育機会がより与えられて、与えられた子供の方がより生涯年収が高くなるということは、これはまさに格差の連鎖がこの社会は、日本という社会はつながっているということになるんじゃないですか。だから、私は、この教育の無償化ということについてこだわりを持っているんですよ。

 先ほど総理がおっしゃっているような、ほかの政策、OECDの上位並みにお金を使いますということについて、何も否定していることじゃない。国柄として、国として、親の所得に関係なく全ての子供にチャンスを与えられる、そういう社会をつくれるのが教育の無償化じゃないか、だから一人からやるべきじゃないかということを申し上げているんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほどのやり取りの最後の部分、要は、同じ政策においては、当然のことながら、たくさんのお金をかけた方が効果が出る、これは当然のことだということを私は申し上げたわけであります。その上で、その政策を実行することによって結果にどうつながるか、これが大事だということも申し上げました。

 そして、委員の方から、この結果を導く際に、教育格差の是正、これが重要だという御指摘がありました。これも、御指摘の点、大変重要な点だと思います。

 しかし、全体としてどういう効果、成果につなげるかということを考えますときに、教育の効果ということを考えた場合に、無償化、もちろん今言った点で重要だと思いますが、その無償化だけではなくして、教育の質の向上を始め、様々な政策を組み合わせることによって結果につながる、これが現実だと思います。

 子供、子育て政策についても、様々な政策を組み合わせる、なおかつ、制度を使う社会の意識自体が変わらないと制度は生かされない、結果につながらない、この組合せ等が大事だということも併せて申し上げているところであります。

前原委員 それは否定していません、何も。

 教育の無償化は我々は必要条件だと言っていて、十分条件はほかにいろいろやっていかなきゃいけない。

 でも、何度も答弁されていますけれども、お金をかけた方が効果があるのは当たり前だということをおっしゃった。だったら……(岸田内閣総理大臣「同じ政策」と呼ぶ)同じ政策ね。だから、一人から大学無償化をした方が効果があるということを認めておられるんでしょう、それは。認めているんでしょう、だって、お金をかけた方がというのは。まあ、いいです、そこは。もう答弁されたから、もうそれはいい。

 それで、もう一つ教育について申し上げておきたいのが、教育の無償化をやっていく中で一対で考えなきゃいけない問題があるんですね、それは奨学金の問題なんです。

 奨学金、これは、三人か一人か、ちょっと意見は違っても大学無償化をやっていきますということなんですけれども、今、総理、四年制大学に行っている子供さんで、返さなきゃいけない奨学金をもらっているお子さんというのはどのぐらいだと思いますか。二人に一人なんですよ。二人に一人が返さなきゃいけない奨学金を借りておられる。そして、返さなきゃいけない平均金額はどのぐらいだと思いますか。約三百十万円なんですね。三百十万円の借金を持って新成人になる、社会人になる、これが今の日本の現実なんですね。

 しかし、あるときに無償化になりました。無償化の制度を取り入れるというのは、年度ですから、あるときから大学授業料無償化になりました。その前の年までは授業料を払わなきゃいけない。そして、その人たちは、二人に一人は奨学金を払って、平均三百十万円の借金を持たなきゃいけない。これは、何か不公平だと思われませんか。

 つまりは、あるところで線が引かれて、そして、そこから先は無償ですよ。あるところで線を引かれて、それから前については授業料はかかりました、奨学金も借りました、払わなければいけない。こういった不公平を、大学の無償化ということを進めるのであれば、奨学金の返済免除も一対にして何らかの対応策を考えなければいけないと思われませんか。

岸田内閣総理大臣 奨学金の返済については、これまでも、政府として返還の猶予や毎月の返還額を減額するなどの制度を使って負担軽減を図ってきました。そして、奨学金の返還が負担になっている、結婚や出産、子育てをためらうなどということがないように、令和六年度から、減額返還制度の収入要件を緩和する、こういった拡充をすることとしております。

 しかし、委員御指摘のように、免除するということになった場合には、公平性の観点から検討を要することになってしまう、これは御指摘のとおりだと思います。

前原委員 是非御検討ください。

 大学の無償化に踏み切るわけです。今日は時間が限られていますので、所得制限ありなし、何でここだけ所得制限なしなのかがよく分からないんですけれども、それは次回議論することができればさせていただきたいと思いますけれども。

 大学の無償化、私は、小ぢんまりとしていて、二千六百億とは何だということは申し上げましたけれども、それでも、大学の無償化に踏み切られる。そうすると、今まで奨学金を受けて、返さなきゃいけない人たちというのは、すごく不公平感が出ると思うんですね。

 だから、その点について、今、検討が必要だということを、前向きな答弁をおっしゃったんですよね。前向きな答弁でおっしゃったんですね、はい。是非そのことも、これからまた前向きな議論の中でさせていただきたいというふうに思います。

 さて、大学ファンドのことは、時間があれば後でさせていただきます。

 外交、安全保障の問題に移らせていただきます。

 私は、教育と並んで、人づくりと並んで大事なことは、政策課題は安全保障だと思うんですね。やはり、自分の国を自分で守るということは極めて私は大事なことだと思っています。防衛のことだけじゃありません。食料、エネルギー、我々が生きていく上で、電気、ガス、そして食べ物、こういったものがなければ、幾ら防衛がしっかりしていても、特に我々は島国です、成り立っていかないということであり、自分の国は自分で守るということについては、そういった大きな意味での安全保障という観点で取り上げなければいけないというふうに思っています。

 しかし、防衛をアメリカに依存し、そして、食料やエネルギーは海外に依存する。エネルギー自給率は二割以下ですよね。食料自給率も四割をカロリーベースで切るぐらいですよね。

 おととしの年末、防衛の考え方をまとめられました、あのとき、私は違う政党に所属をし、安全保障調査会長として総理に提言をさせていただきました。覚えておられますね。覚えていない。覚えておいてくださいね。提言をさせてもらいました。

 私は、方向性としてはやるべきだと思っているんですよ。つまりは、アメリカとの同盟関係は大事だけれども、過度にアメリカに依存しているのはいけないということですよね。しっかりと自分の足で立った防衛にもしていくということが大事であると。

 私は、なぜ日米安保が大事かということの理由として、いつも四つ挙げるんですよ。一つは、核を含めた抑止力。そして二つ目は、情報収集能力。そして三つ目は、これは敵基地攻撃能力ですよ、やられたらやり返す能力、今はありませんよね。そして四番目、これは装備です。日本の主要装備はほとんどアメリカ製ですよ、アメリカから買っている。

 そういう意味において、私は、自分の国で自分の装備を造っていくことの大事さ、そして、アメリカに頼り過ぎないような状況をつくることの大切さ、こういったことを考えながら国会議員として仕事をしてきたつもりです。

 民主党政権のときに、私、実は二度、宇宙担当大臣をさせていただきました。国交大臣のときと経済財政担当大臣のときと。そのときにやらせてもらったのが、準天頂衛星「みちびき」ですよね、測位衛星。七基体制というものを決めさせてもらいました。

 GPSというのは、これはアメリカの軍事から汎用化されたもの。でも、あくまでもアメリカの傘の中のGPS。そんなことはないかもしれないけれども、アメリカとの関係が悪くなってGPSを止められたら、これはたまったものじゃないということの中で、他の国もガリレオとかいろいろな自前の測位衛星、そういうものを持っているということの中でこの「みちびき」七基体制というものを決めさせていただいたのが、私が宇宙担当大臣をさせていただいたときでした。

 そして、野田政権のときの政調会長のときに、武器輸出三原則から共同開発、共同生産は除外しませんかといったことを私は提言をし、野田総理もそれについて非常に前向きなお考えで、そして、平成二十三年に、この共同開発、共同生産というものについて、武器輸出三原則のいわゆる例外扱いにするということを決めたんです。これは民主党政権のときに決めたんです。その後、いろいろ、安倍政権のときにも更にそれを加えられておりますけれども。

 つまり、何が申し上げたいかというと、今のトレンドは共同開発、共同生産なんです。多くの国々が、自分たちの得意分野の技術を持ち寄っていいものを造り、お金と技術と、そして共同生産をして、他国へ売る。そうすると、他国へ売った機数だけ、頭割りで研究開発費のコストが安くなる。そして、日本も共同開発、共同生産ということになるわけですから、どんどんどんどんアメリカの武器ばかり買って駄目になってきた防衛産業というものを復活させるんだということが、この共同開発、共同生産に込められたものだったんです。

 でも、今、与党の間で、これについて、第三国への、言ってみれば輸出について疑義がある、こういうような話を聞いております。

 私は、この点はやはりしっかりと、日本は、自分の国を自分で守るという観点の中で、防衛基盤をしっかりと整備するという中で、共同開発、共同生産というものの道を開いてきた。ようやくF2の後継機の中でこういった取組が行われるようになってきた。これについてしっかりとした対応をしないと、二度とほかの国は日本と共同開発、共同生産しないということになりますよ。つまりは、日本というのは面倒くさい、いろいろな条件をつけられてややこしい、であれば日本を除外してやろうということになりますよね。

 私は、この点については、それは連立与党は大事かもしれないけれども、国益を優先して、ここについては絶対に、それこそ不退転の決意で臨むんだということで御答弁いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、防衛装備品が高度化し高額化する中にあって、委員御指摘のように、パートナー国が資金や技術を持ち寄って共同開発をしていく、こうした考え方は極めて有効な考え方であり、特に戦闘機の分野においては、それがまさに常識となっています。

 その中で、国際共同開発、これは規模が大きくなるほど調達価格が低下するということでありますから、それに参加した国がその完成品を調達するだけではなくして、第三国に対してこうした移転を考えていく、このことが共同開発を円滑化する、あるいは効率化する上で大変重要であると考えます。こうした考え方は、御指摘の国家安全保障戦略の中においても、装備品の重要性ということで、力による一方的な現状変更の試みを抑制する、さらには、日本にとって好ましい安全保障環境をつくっていく、こうした装備品の考え方、目的にも合致するものであり、こうした考え方は重要であると思っています。

 そして、今具体的に日英伊三か国によるGCAPという取組、昨日もまさに、イタリアの首相が訪日して、今日まで日本にいるわけでありますが、これも議論になったところでありますが、このGCAPという取組、今申し上げた様々な観点から重要であると認識をしております。このためにも、こうした共同開発に向けて日本として取り組むべく努力を続けることは重要であると考えます。

前原委員 連立も大切でしょうけれども、国益も大切ですよね。しっかり国益に立って、これについては総理がやはり御判断いただくということが私は大事だと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 連立と国益、これはそれぞれ大事な取組であります。今申し上げたその共同開発の重要性は、まさに国益の議論であります。この重要性を丁寧に説明していくことによってこの問題に取り組んでいく、これは政府として大事な取組だと思います。

前原委員 是非それについてはぶれずにやっていただきたいというふうに思います。

 円安による防衛装備への影響について触れたいというふうに思います。

 日本銀行の異次元の金融緩和政策によって円安が進んでおりまして、防衛装備購入に支障が生じるのではないかということが言われています。五年で四十三兆円の防衛力整備計画は、一体幾らで為替、円・ドルで換算されたかというと、一ドル百八円なんですね。今日は百四十八円ぐらいだと思います。一兆円以上の超過額になっているのではないかというふうに思います。四十三兆円の一兆円の超過額ですから、先般、防衛省の事務方の方にお話を聞いたところ、発注をまとめてやるとかそういったことの中で何とか対応したい、こういうことでありました。

 日銀の植田総裁、お越しになっておりますけれども、まず伺いたいのは、日銀が、異次元の金融緩和の政策の一環として、ETFを今まで買ってまいりました。この簿価が三十七兆円で、時価は六十・七兆円と、二十三・七兆円もの評価益が出ているということであります。

 これは実は、国庫にも非常にプラスになっているんですね、鈴木大臣、そうですよね。国庫にも非常にプラスになっていまして、このETFの分配金、いわゆる配当ですね、二〇二三年三月期決算で一兆千四十四億円、保有する国債の利息が一兆三千三百十九億円ですから、日銀だけで二〇二二年度の国庫納付額は約二兆円です、二兆円。半分が国債整理基金、半分が国庫に入るということですね。決算剰余金として国庫に入るということでありまして。

 五年間で四十三兆円の防衛費の中のいわゆる防衛力強化資金というものの財源については決算剰余金が充てられていて、これは財金委で去年何度かやらせていただきましたけれども、想定している平均は〇・七兆円と大臣はおっしゃっていましたよね。ということですね。つまりは、このETFというものと、国債もそうですけれども、これがかなりの国庫に対する言ってみれば貢献になっている、こういうことであります。

 そこで、日銀総裁に伺いたいんですけれども、先月二十三日の記者会見で、マイナス金利を解除するということになったとしても、極めて緩和的な金融環境が当面続くと言及されています。これは、当面、保有するETFは売却しないということでいいのか。私は元々、日銀がETFを購入することには反対でありましたけれども、もう今持っています。マイナス金利の見直しの時期にはETFの購入も凍結すべきだと表明すべきだと考えますけれども、この二点についてお答えをいただけますか。

植田参考人 お答えいたします。

 ETFの買入れについてでございますけれども、まず、フローで買い入れている分についてでございますけれども、これについては、今、前原委員がおっしゃいましたように、記者会見で申し上げましたように、現在の大規模金融緩和、これを見直してもいい時期、すなわち二%の物価目標が持続的、安定的に見通せるようになったときに、ほかの手段も含めて、継続することがよいかどうかを検討するというふうに考えております。

 それから、既に買い入れた、残高として持っているETFでございますけれども、これの処分をどうするかという問題でございますけれども、これについては、もう少し先で考えるという時間的余裕があるのかなというふうに思っております。

前原委員 総理に伺います。

 今、日銀総裁の御答弁を聞かれていたと思うんですけれども、ETFは売却することはもっと先のことであると考えているということでありました。これはある意味で、金融緩和政策で得た果実が国庫にそれだけ入ってきているということの中で、防衛費、円安になってかなり厳しくなっているとはいえ、なかなか、このことについてはしっかりやらなきゃいけない問題だと思います。

 総理については二点確認させていただきたいと思いますけれども、この為替の変動によって、四十三兆円の防衛力整備、これはやはり、私は穴が空いてはいけないと。それについてはしっかりとやり切るんだということ、それをまず御表明いただきたいことと、そして、日銀の金融政策によって、国庫に入るお金というのが増減、減る可能性があります。その意味においては、二〇一三年にアコードを結ばれて以来、そういった形式的なものは結ばれていませんが、頻繁に政府と日銀の間でしっかりとした政策協調をされていると思いますけれども、そういう協調をしていく用意があるということについて、二点お答えをいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、一点目の防衛力の強化の方ですが、為替の影響について御指摘をいただいていますが、防衛力全体のうち、例年八割から九割は、人件費や国内生産、調達あるいは基地対策、こうした、為替の影響を直接受けるわけではないという現実があります。

 そして、為替の変動に直接影響をする、FMSや一般輸入など、一割から二割こういった部分があります。この部分については政府としてしっかり責任を持って対応しなければいけないということで、先ほど委員も御紹介がありましたが、一括調達ですとか、長期契約ですとか、成果保証契約ですとか、民生品の活用、民間委託による部外力の活用、こうした努力をしていかなければならないと思います。

 ですから、この一割から二割の部分については、毎年の予算等を通じて、様々な合理化、効率化努力をしていく。結果として、四十三兆円の規模、これは維持したいと思います。

 そして、二点目……(前原委員「中身ですね、規模じゃなくて防衛力整備の中身」と呼ぶ)中身、もちろんです。四十三兆円、示した規模と内容と、これを維持いたします。

 そして、もう一点の日銀の金融政策ですが、もちろん具体的な日銀金融政策は日銀に任せなければならないと承知をしておりますが、アコードについて御紹介がありました。

 政府と日銀は絶えずしっかりと意思疎通を図っていかなければならない立場にあり、政府として、今、デフレからの脱却ということで、新しい資本主義を進めて、構造的な、安定的な賃上げ、これを目指していく、そして緩やかな物価高騰の下に経済の好循環を取り戻そうという政策を進めているわけですから、こういった政府の経済政策に対して日銀もしっかり理解をしてもらった上で日銀独自の金融政策を判断していただく、これがあるべき姿であると考えます。

前原委員 残りが少なくなりましたので、問題提起をして終わらせていただきたいと思いますけれども。

 大学ファンド、十兆円の大学ファンド、これで、令和八年度からは、卓越した大学に対して上限三千億円でお金を出していく、こういうことなんですね。

 このグラフを見ていただきたいんですけれども、上は年金です、GPIF。下が大学ファンド、JSTです。

 大学ファンドは、運用が始まったばかりですから仕方がないとはいえ、GPIFと比べると極めて見劣りするんですね。これは、専門家の人に言わせると、この大学ファンドの運用は失敗しているということを言われるわけです。二〇二二年度だと一・五とマイナス二・二。二〇二三年度、GPIF、年金は四月から十二月で一二%ですよ、年率。これはすごい回し方。二〇二〇年から二二年度だと一〇・二二で回している。大学ファンド、上半期、これは公表しておりませんけれども、二・八じゃないんですよ。一・五五なんですよ。これは、二・八と書いてありますけれども、速報値は一・五五なんです。更に下方修正しなきゃいけないということなんですね。

 時間が限られておりますので、一問だけ総理に質問をして終わりたいと思いますけれども。

 私は、この大学ファンド、これで、駄目じゃないかということを言うつもりはありません。アメリカのハーバード大学とかそれからイエール大学なんというのは日本の大学の二桁違うぐらいの規模のファンドを持って、そして、ハーバードなんかは一一%、イエールなんかは一三・四%、この五十年間で運用しているんですよ。どんどんどんどん彼我の差がついていっているんです。そういう意味では、大学ファンドは、失敗できずに、一つで終わらせずに、幾つかこれをつくっていき、そしてアメリカと肩を並べるようなものにしていかなきゃいけないんですね。

 そのために、二つ御答弁いただきたいのは、大学ファンドはGPIFの運用のノウハウを学んだ方がいいんじゃないかなと。これをちゃんと、やはり政府として私は主導すべきだと思う。これが一つ。

 二つ目、そういったことをベースに、大学ファンドはこれで終わらないんだ、これをしっかりと多くの大学に、言ってみれば、しっかりとした果実を届けられるように、ここからスタートさせて、そして複数つくっていくんだ。

 この二つについて御答弁いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 大学ファンドを運営するJSTとGPIFの違いについて御指摘がありましたが、そもそも、JSTの運用する大学ファンドについては、これはGPIFと比べて長期的、安定的にこうしたファンドの運用を行っていかなければならない、また、運用元本の約九割が財政融資資金である、リスクを抑えて運用することが求められる等、違いがあるのは事実ですが、おっしゃるように、GPIFを参考にする取組について、そのノウハウを参考にしていく、こういったことは重要であると思っています。

 そして、二点目、対象を増やしていく、こうした考え方は重要であると考えます。

前原委員 終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、青柳仁士君から関連質疑の申出があります。漆間君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 教育無償化を実現する会との共同会派を代表して質問させていただきます。

 まず、今回の自民党の派閥による裏金づくり。

 昨日から裏金議員のリストが出てきたところだと思いますけれども、このパネルにあるように、三人の方が立件されて、一人が逮捕、そして百人以上の方が関わっていたという、まさに組織的な犯罪行為でないかと言わざるを得ないということを本会議で我が党の馬場代表から申し上げたところ、それについて自民党の方から何か議事録の削除要請があったということも聞いているんですけれども、実際に組織全体でこういった違法の行為を犯していた、こういうことが事実であろうと思っております。

 また、これを見ていただくと、上位三人だけが立件されているんですけれども、三千五百二十六万円の二階議員が無実の罪で、三位の谷川議員が四千三百五十五万円で逮捕という、これもまた検察の捜査として、国民が納得できるような捜査の結果であるかなというのは非常に疑問に思うところであります。

 一方で、これに関して、本会議の中で、岸田総理は、自民党として真摯に反省し、国民の皆様におわびを申し上げるということをおっしゃっております。

 率直に、総理、今、何を反省し、何についておわびをされているんですか。何が今回の問題だったと思われますか。

岸田内閣総理大臣 今回の事態を招いて、要するに、政治と金の問題を通じて政治に対する信頼を失わせることになってしまったこと、これは最も深刻なことだと思います。あわせて、今回は、既にある法律すら守ることができなかったというガバナンスの欠如が指摘をされている、この点が大きな、重要な指摘であると認識をいたします。この二つが、多くの課題の中にあっても特に重要なポイントであると認識をいたします。

青柳(仁)委員 まさに今おっしゃったとおりで、政治の信頼を国民から失ってしまったということ、これが極めて大きいのではないかと思います。ガバナンスの問題も重要だと思います。おっしゃるとおりだと思います。

 一方で、自民党の方で出してきている中間取りまとめは、まさに今総理がおっしゃったような、政治の信頼を取り戻すために、政治資金の透明性の徹底というふうにうたってはおりますが、中身をちゃんと読んでみると、今からやろうとしていることは、派閥政治資金パーティーの禁止。これは派閥だけです。派閥だけの政治資金パーティーの禁止、それから、何か銀行振り込みとか、それから収支報告書のオンライン提出だとか、議員の研修だとか、こんなことをやっても意味ありますかと一般的に思えるようなことしか書いてありません。

 一方で、野党側は、ほとんどが、企業・団体献金、政治資金パーティーの廃止、政策活動費の廃止、連座制の導入といった、まさに政治の信頼を取り戻すための不透明な金の流れを一掃するということをテーマにしております。

 ですので、今、この中間取りまとめの論点は、何か法律違反を犯したことについてだけちょこっと直そうとしているようにしか見えないんですけれども、今まさにおっしゃったとおり、これから、前の本会議の議論でも、総理が、政治は国民のものとの自民党立党の原点に立ち返り、私が先頭に立って、国民の信頼回復に向けた取組を進めてまいりますとおっしゃっております。それから、この中間取りまとめに関しても、運用面から自民党独自で対応可能なもののみを速やかに決定しただけであって、これから各党各会派で議論が必要な制度的な対応については党として真摯に議論に臨むとおっしゃっております。

 ですので、単に派閥が問題だとか、これは議論のすり替えだと思うんです。派閥が問題だとか、今回の裏金だけが問題だではなくて、国民が求めているのは信頼回復です。不透明な金の流れを一掃してもらいたいと思っているわけです。ですから、これから始まるであろう政治資金規正法の改正の与野党協議、やると思いますけれども、これはやはり野党の側が求めているような、企業・団体献金、政治資金パーティー、政策活動費、連座制、こういった、もう根本的な政治と金の流れを変えていく、こういう姿勢で是非、生産的な議論そして結論を導き出していただきたいと思うんですけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の自民党の中間取りまとめですが、おっしゃるように、まずは自民党独自でできることは迅速に改革するということで、派閥の政治資金パーティーの禁止ですとか、振り込みですとか、オンライン化ですとか、あるいは外部監査の導入ですとか、こうしたものを実行いたします。

 これは、今回も、政治と金の問題、派閥を舞台に生じてしまいました。だからこそ、金と人事、これを派閥から切り離すことが重要であるということでこういった対策を取りました。今までも、派閥の弊害は言われながらも派閥の復活が度々行われてきた、これは、解散しても縛るルールがなかったという点が大きなポイントだと理解しておりますので、今回は、金と人事を切り離した後、今度、ルールを決めて、再び金と人事の場などと見られるような集団にならないためのルールを作った、これが一つ大きなポイントであります。しかし、これはあくまでもおっしゃるように自民党の中での対応であります。

 そして、あわせて、制度面、法律改正を必要とする制度面についても、自民党として、政治資金の透明化、公開性の向上、そしてそれぞれの責任体制の厳格化、こういった三点を中心に、制度改正、法律改正にも自民党としてしっかり取り組んでいく、こういったことを内容として明らかにしました。

 政治資金規正法の改正等も、是非、今国会において改正を行うべく、自民党としても議論に貢献いたします。

青柳(仁)委員 今おっしゃったとおり、まず、しっかりと、これからの政治資金規正法改正をもっと踏み込んだ形でやっていく、これを是非お願いしたいと思います。今の中間取りまとめは、私の目から見ると零点です。こんなものでこれから国民が納得するともし自民党が思っているんだとしたら、これは国民の感覚とかけ離れた政権であると言わざるを得ないと思います。

 今回、ですから、合法かどうかを問うているわけではないです。検察は合法かどうかを問うています。しかし、我々は国会議員ですから、その法律が国民の目から見て正しいかどうか、この国を律するに当たって正しいかどうかを今議論して、これから作ろうとしているわけですから、そういった視点で是非考えていただきたいと思います。

 その上で、政治資金パーティーの話をお伺いしたいんですが、今、裏金づくりが非常に問題になっています。これはこれで、当然問題です。きちんと検察で罰を受けていただきたいと思いますが、一方で、西村前経済大臣が昨年の十二月十四日にお辞めになりました。それは辞表を提出されたんですが、その原因となったのは、スポンサー企業にパーティー券を複数枚一括で購入してもらった、ところが、その企業の方々は実際にはパーティーには来られていないんですけれども、小規模な会議室に数名の経済産業省職員を集めて、そしてパーティーをやったように見せかけた。いわゆるこれは架空パーティーと言われているものなんですけれども、こういうことが報道されているわけなんです。

 この報道が事実だったとして、ある程度事実が含まれているから辞表を出されたんだと思うんですが、総理として、これは何が問題だと思われますか。それから、もし問題でないと思われるのであれば、なぜ辞表を出されたときに慰留しなかったのかということについて、教えていただけますか。

松本国務大臣 委員も御案内のとおり、政治資金パーティーは、参加の対価でパーティーの支払いをしていただいて、その収支の差額を政治資金に充てるものでありまして、催物を行い、これに参加をしていただくということを前提に開催をされる催物があるということかと思いますが、同日、実際に参加を予定した方が全て参加されたかどうかというのは、多様なケースがあることもあり得るとは承知をしておりますけれども、今お話があったような報道の内容が同法に反するものであるかどうか、個別の適用については、私どもからのお答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

 その上で、やはり、政治資金に係るものであれば、政治資金規正法に基づいて、事実に基づいて収入、支出を報告をいただくことが政治資金規正法が求めていることだ、これにかなった形で政治活動も行われなければならないものというふうに考えております。

青柳(仁)委員 今のお答えを簡単に言うと、要するに、法律の趣旨には反している、しかし、違法ではないということだと思うんです。正確には、法律の適否については言わないということでしたけれども、実際には、それを違法とまでは言い切れないと思うんですね。

 なぜかというと、政治資金規正法上で、政治資金パーティーというのは、そもそも、対価を徴収して行われる催物、イベントですね、収入から経費を差し引いた残額を政治活動に支出するものという定義なんです。つまり、利ざやを出すのは前提なんです。より多く利ざやを出して、そしてそれを政治活動に使うというのが政治資金規正法に書いてある定義なんです。

 ですから、利ざやを最大化しようと思えば、パーティー券を買わせるだけで実際は参加してもらわない人を増やしたり、あるいは、売ったパーティー券分だけの会場のキャパシティーを用意しないだとか、あるいは、チケットの単価を高くしたり、チケットを上限百五十万円まで一人の人に複数枚売ったりとか、あるいは、年間に何回も開催するとか、こういうことによってたくさんのお金を、利ざやを出すことができます。

 それから、もっと言うと、自民党の安倍派がやられていたんだと思うんですけれども、一人当たり二十万円以下であれば名前を公表しなくていいわけですから、じゃ、派閥のパーティーをやります、九十九人が参加します、ある一つの企業が九十九人に二十万円ずつ買えば、誰がお金を出したか分からない状態で二千万円ほどお金を渡すことができますね。これが政治資金パーティーですよ。それで、その誰か分からないというのは、別に統一教会でも中国企業でも何でもいいわけです。何とでもなるわけです。

 こういうものを考えていけば、じゃ、利ざやを最大化しようと思えば、行き着く先は、報道が事実であれば、西村大臣の架空パーティーなんですよ。これを違法とまでは言えないんです、実は。それが今の政治資金規正法なんですよ。

 だから、今我々が議論しなければいけないのは、合法かどうかじゃないんです。それは検察が考えることです。これが本当に国民の目から見て正しいのか、納得感があるのか、我々が政治をやる上でこれでいいのか、正しいのかということを議論しなきゃいけない。この視点を持って、是非、これからの与野党協議、政治資金規正法の改正に臨んでいただきたいと思います。

 日本維新の会は、企業・団体献金の完全廃止というものを今回打ち出しました。その中には、政治資金パーティーの企業、団体売りも含まれております。また、我が党は、言ったことは野党であってもやるという政党ですから、ただ単に言いっ放しではなくて、これから内規を作って、今からそれを実行しようということをやっております。有言実行という形でやっていくことで、先日、党内の方で決定がされました。

 今申し上げたような政治資金パーティー、これもおかしいんですけれども、大本はやはり企業・団体献金なんです。

 午前中の議論でもありましたけれども、今、企業・団体献金を受け取っていること自体がそもそもおかしい。なぜなら、一九九四年に政党助成金が導入されたときに、これは、政党助成金を導入する代わりに企業・団体献金を受け取らないようにしようと。リクルート事件だとか様々な汚職事件が起きたことを受けて、こういう政治と金のつながりが政策をゆがませる、汚職が起きる、だからそれをやめるために政党助成金をもらおう、その代わり、企業・団体献金を廃止しようと。

 ところが、これを見ていただくと分かるんですが、結局、禁止されたのは、企業、団体から資金管理団体とその他の政治団体に対するものだけで、いわゆる政党支部に対する寄附はまた残ったんです。また、その他の政治団体、ある企業が政治団体をつくってそこから寄附すれば、これもまた抜け穴になっています。

 当時の立法の趣旨とは極めてかけ離れた状態になっていると思うんですけれども、やはり、政党助成金制度が導入されて久しくたっている今現在、またこういう事件を自民党が起こしてしまった以上、一度原点に立ち返って、企業・団体献金を完全廃止するという方向にすべきだと思いますが、総理のお考えをお伺いできますか。

岸田内閣総理大臣 政党助成金が導入された当時も、民主主義のコストをどう広く負担するのかという議論の中で、政党助成金と個人の献金と企業・団体献金と、この三つのバランスが大事だという、こういった議論が行われていたと記憶をしています。そういった議論を経て今日に至っている、その間も様々な各党間の議論が行われて、政治資金のありようについて、政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中でこういった議論が行われ、今日に至っている、このように承知をしています。

 今回、企業・団体献金を含め、政治資金について、是非、先ほど言った政党助成金の導入等の経緯もしっかりと振り返りながら、どうあるべきなのか、これを各党各会派で共通のルールとして決めていくことは重要であると考えます。

青柳(仁)委員 もし、今おっしゃったとおり、これまでいろいろな議論の経緯を経て今の形があるというのであれば、今こそ議論すべきときですよね、これだけの大きな事件を自民党が起こしてしまったんですから。ここでしっかりと変えていく、まさにタイミングじゃないですか。ここで今までどおりいくなんということはあり得ないと思っておりますので、その点はお願いしたいと思います。

 それから、今、いろいろな議論のある中で、今の形が何か正しいみたいな言い方をされていましたけれども、衆議院事務局がまとめた正副議長経験者に対するオーラル・ヒストリー事業というのがあります。これは、第七十一代、第七十二代の、当時自民党の衆議院議長だった河野洋平さんのインタビューがあるんです。ここには、河野洋平さん、こんなことをおっしゃっています。

 政党助成金の制度は、企業献金を廃止するから、一方で公費助成をするというトレードオフの関係なのに、終わってみたら、こっちは取ってあっちはそのままになってしまった。公費助成が実現したら企業献金は本当は廃止しなきゃ絶対におかしい、しかも、激変緩和のため五年後に見直すと法律の附則に書いたのにスルーしている。さらには、政党から政党の支部への寄附が認められているのはおかしい、あの抜け穴くらいはせめて潰さなければならない。

 当時、まさにこの一九九四年に改革に関わった当事者の方がこうおっしゃっているわけなんですが、岸田総理は、じゃ、公費助成によって企業・団体献金を禁止しようとしたこの一九九四年の立法、あるいはその中での国会の議論、もっと言えば、この河野洋平元議長の認識は間違っている、そういうふうにおっしゃるんですか。

岸田内閣総理大臣 河野洋平元議長の発言については、河野洋平議長の考え方を示されたものであると思います。

 そして、企業・団体献金については、先ほど申し上げました、個人献金と政党助成金、これらのバランスが大事だという議論が行われていたと私は記憶をしております。いずれにせよ、こういった議論が積み重なった上で今日に至っている。

 しかし、委員おっしゃるように、今回こうした大きな事件が起こったわけですから、これについて、いま一度各党各会派で共通のルールを考え直す、こういったことは当然あるべきことであると思います。

青柳(仁)委員 当時改革に携わった当事者の言葉を、何かある一人の人が言っているだけの意見みたいに言うのはどうかなと思うんですけれども、実態的には、ほぼ、ここにいるほとんどの方が本当はそう思っているんじゃないですか。この政党支部に対する企業・団体献金からの寄附が認められているというのは抜け穴だし、本来、その企業・団体献金、だって、企業、団体からお金をもらわない、そういうしがらみで政策をゆがませないために政党助成金は入ったんですよね。政党助成金を受け取りながら企業、団体からもお金をもらうんだったら、これは二重取りじゃないですか。民主主義のコストが倍になっているじゃないですか。これはやはりおかしいと思うんです。

 なぜ、こういうふうに、岸田総理がこういうことを言うのか。岸田総理だけじゃないと思いますよ、これは自民党全体の問題だと思いますけれども、今、時の総理なだけで。自民党がそういうふうに言うのかというと、要するに、自分の懐にお金を入れたい、今入っているお金を手放したくない、そういうことなんだと思うんですよ。

 これはちょっと見ていただくと分かるんですが、今、岸田総理が代表を務めている政治団体へのパーティー券購入額、企業・団体献金額というところを見てみますと、非常に、実に様々なところからお金をもらって、総額、毎年二億円ほど企業・団体献金が入っております。要するに、この企業・団体献金二億円を失いたくない、そういうロジックをつくっている、そういう法律をずっと生き長らえさせたい、これはほかの議員さんも一緒だと思うんですけれども、そういうことだと思います。

 もう一つ問題なのは、この赤字のところを見ていただくと分かるんですけれども、同じようなところからばかりもらっているんですよ。

 民主主義のコストというんだったら、この国の皆さんがそれぞれの立場から平等に、公平にやらないとおかしいじゃないですか。午前中の議論でも、じゃ、お金をいっぱい出す人の言うことばかり聞いているんですかという話があったと思います。

 これを見てください。例えば、令和三年、岸田総理が、企業・団体献金一千百五十万円、これは日本医師連盟から、パーティー券百五十万円買ってもらっています。そして、日本眼科医連盟から一千万円、日本歯科医師連盟から二百万円、日本薬剤師連盟から百万円、それから、広島歯科医師連盟から百万円、日本柔道整復師連盟から百万円と、医療関係者ですね、医師会を中心とした医療業界から余りにも偏った献金がたくさん入っている、総額で二億円になっている、こういう状況がまずはあるわけです。

 それからもう一つ。この医師会関係の献金というのは、岸田総理だけじゃないんです。自民党全体に入っていまして、総理もいっぱいもらっていますけれども、武見敬三大臣も、今担当大臣ですよね、去年でいえば一千百万円、今年は四百万円、毎年毎年こういう形でもらっております。

 自見大臣は、医師会のお抱えの議員のように言われていますけれども……(発言する者あり)組織内候補ですね、ありがとうございます。組織内候補ということだそうですので、自民党の方からお言葉をいただきました。自見はなこさんが一億円以上もらっている。じゃ、こういうことをやりながら、民主主義のコストをこの医師関係だけが出すのが、それが本当に民主主義なんですかね。

 今年、診療報酬が〇・八八%上がりましたね。いろいろなところで、これは非常に、与党のおかげだとか、与党議員の方は一生懸命宣伝されていますけれども、こうやってたくさんお金をもらいながらもし要望を聞いていたとしたら、これは大問題ですね。まさにお金を出す人のための民主主義になっちゃいますね。

 医師会から診療報酬の増額について要望はありましたか、去年。

岸田内閣総理大臣 政策決定に当たっては、関係者の要望をもちろん承りますが、あくまでもデータ等のエビデンスを含めて総合的に判断するものであると考えています。

 その上で、要望を受けたかということでありますが、令和六年度診療報酬改定については、昨年十一月に、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、連名で要望を受けております。物価高騰、技術革新への対応等について要望をいただいております。

 しかし、医療、介護報酬改定については、委員会の場で度々申し上げておりますように、雇用報酬の全体の引上げ、賃上げ、こういった一貫した取組において合理的な取扱いを行ったということでありまして、これは要望を受けての対応ではないということは申し上げなければなりません。

 是非、こうした賃上げを始め全体の政策の一貫性を維持するために、政策は続けていかなければならないと思っています。

青柳(仁)委員 要望を受けたものではないかどうかなんというのは誰にも分からないんですけれども、少なくとも、要望した側は、要望をしたことによってこれが起きているというふうに認識をしています。

 日本医師連盟ニュース、二〇二三年十二月二十五日のものです。これを見ていただくと、「全国の医師連盟の結束でプラス改定を勝ち取る」と書いてあります、「診療報酬本体部分 プラス〇・八八%が実現」。その下に、日本医師会、日本歯科医師会、お名前は伏せますけれども、とともに、武見敬三厚生労働大臣、また自民党麻生太郎副総裁等々の方々を始め国会議員に、診療報酬のプラス改定の必要性を地道に説明してきました。そして、日本医師会の会長は厚生労働省を訪れて、武見敬三厚生労働大臣に要望書を手交し、適切な財源の確保を求めた。こういうことがこのプラス改定につながったと、少なくとも出し手側は考えているわけです。当たり前ですよね。ただでお金をくれる人はいないですよ。

 民主主義のコスト、コストと言うんですけれども、民主主義のコストを幅広く公平に集めるために政党助成金制度を考えたんじゃないんですか。だったら、もうそれはやめて、企業・団体献金だけにすればいいじゃないですか。両方もらうのはまずおかしいし、それから、企業・団体献金をやるにしても、こうやって特定のところからお金をもらい、要望を受け、どう見たってこれは、この要望があったから通ったとしか思えないんですけれども。

 それから、もう一つ申し上げたいのは、介護報酬と診療報酬、これは国民の社会保険料でできております。これは厚生労働省からいただいた資料ですので間違いありませんが、介護報酬というのは、税と社会保険料で半々です。税というのは消費税ですよ。それから、診療報酬というのは、二対一の割合で一般の国民が負担しているんです。医療従事者の給与は上がったかもしれませんが、一般の国民の社会保険料負担も増えているんです。

 じゃ、総理、一般の国民で国民負担を下げてくれという要望をどこかから受けたことはありますか。また、そこの受けたところから献金をどれぐらい受け取っていらっしゃいますか。

岸田内閣総理大臣 国民負担率を下げてくれという要望を受けたかということですが、これは、国民負担率が上がることに対する問題意識は広く存在すると思います。負担率を下げるべく、すなわち、賃上げ、構造改革等を進めるということについては、多くの関係者が要望している点であると認識をいたします。

青柳(仁)委員 ですから、今のこの表の中にそういうのはまず出てこない。これは高い、たくさん献金をもらっている方から順番に書いているわけなんですけれども。

 要するに……(発言する者あり)何かすごくうるさいですね、何か横から自民党が。自民党が、自分らが裏金づくりの犯罪を犯しておきながら、それを今この国会の場で話をするときに、横から何かつまらないやじをずっとする。

小野寺委員長 青柳君、質問を続行してください。

青柳(仁)委員 やじをやめてください、そうしたら、委員長。おかしいでしょう、これ。

 もう一つ申し上げたいんですけれども、要するに、献金がたくさんもらえるところ、もらえないところ、ここでやはり、要望をする、しない、あるわけですよ。それで、広く一般の国民でお金を徴収されている人たちは要望なんてなかなかできないですし、そこの要望をお金にするような機会も団体もないわけです。

 ですから、そういう、医師会だとか、たくさんお金を集められるところ、献金ができるところの声ばかりを聞くというのは、これは民主主義とコストの負担の在り方として決して正しくないと思いますけれども、その点をまず申し上げて、ちょっと具体的な政策の議論に入っていきたいと思います。

 子供、子育て支援金、こども未来戦略の中で、前回の予算委員会で私の方から総理に御質問させていただいたときに、総理からは、国民に実質的な追加負担が生じない形で財源をつくる、こう明確に、議事録にも残っていますが、おっしゃっておりました。

 ところが、今の計画を聞いてみると、国民から一兆円の財源を徴収するわけですね。二〇二六年四月から社会保険料を上げる、二〇二八年度までに一兆円にする。

 国民にこれは実質的な負担が生じていると思うんですけれども、何か、なぜここで言葉を転換されたんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の説明については、賃上げとそして構造改革、これによって実質的な保険負担軽減効果が生じることから、その範囲内で支援金制度を構築することで、全体として実質的な負担が生じないこととする、こういった説明は今日の午前中も繰り返しております。

青柳(仁)委員 主語が変わっているんですよ。主語というか目的語ですかね、国民に実質的な負担が生じない形で財源をつくると、以前の予算委員会では御答弁いただきました。今おっしゃっているのは、国から見たときの話をしているんですよ。

 ですから、国民から見たら、社会保険料、だって、上がるわけですよね、二〇二六年。これは国民から見たら負担になっていると思うんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 賃上げと歳出改革によって、社会保険負担、すなわち医療保険や介護保険、この上昇を抑える、そのことによって、その範囲内で支援金制度を構築する、国民にとって実質的な負担が生じない、全体としてこういった効果を生じることになる、こういった説明をさせていただいております。

 主語が外れたということですが、この実質的な負担が生じない、当然、国民が主語であります。

青柳(仁)委員 ですから、国民の側から見たらですよ、だって、二〇二六年から保険料は上がるじゃないですか。この上がった保険料はどういうことなんですか。これは負担じゃない。

 ちょっと済みません、同じ話をしてもしようがないので。これは前回もこのパネルで御説明したんですけれども、結局、支援金と、こども・子育て支援加速化プランの財源をどうつくっていくかといったときに、こういうような内容になっているわけですよ。二〇二八年度までは、歳出改革と既定予算の最大限の活用で、そこで出てこない分を支援金でやりますと。この黄色い部分というのは、社会保険料を集めるという話ですよね。こども特例公債というのがそれが入る前までは入ります、こういう財源になっているわけなんですけれども。

 これは、そもそも、だから、本当に国民負担をしないのであれば、この支援金の部分をゼロにしなきゃいけないと思うんですけれども。一体、この支援金の部分は、だって、歳出改革でもないし、既定予算の最大活用でもなくて、一兆円集めるわけですよね。それは負担じゃないですか。どういう理屈なんですか。この支援金の部分は、じゃ、一体どうやって、この支援金という、この黄色い部分は国民から集める社会保険料ですよ、間違いなく。これは、じゃ、どう相殺されるかをちょっと御説明いただけますか。

岸田内閣総理大臣 その部分を確保するために、まさに、構造改革等を通じて医療保険そして介護保険の保険負担を抑制し、そして一方で若い世代の所得、賃上げを実現していく、この両方で隙間をつくってこの支援金制度を構築する。結果として、全体として国民の負担は生じない、実質的な負担は生じない、こういった制度をつくるということを説明させていただいています。

 その隙間をつくるために、構造改革が重要であり、医療保険や介護保険の上昇を抑えること、そして一方で賃上げを実現すること、この両方が重要だと申し上げています。

青柳(仁)委員 ですので、今の説明だと、なぜこの支援金のところが相殺されるか全然分からないわけです。

 これは、同じ説明を私も厚労省といろいろ議論させていただきました。恐らく完璧に私は理解していると思いますけれども、要するに、総理自身が御理解されていないんじゃないかと思うんですよ。

 これは、今おっしゃっていた改革というのは、じゃ、例えば歳出改革のこととかですよね。それから、既定予算の最大限の活用といいますけれども、じゃ、今、この既定予算の最大限の活用、内容を御存じですか。子ども・子育て拠出金が〇・六兆円、社会保障と税の一体改革における社会保障充実枠の執行残が〇・六兆円、育児休業給付のための雇用保険料が〇・三兆円、これは全部国民から徴収した税金ですよ。だって、子ども・子育て拠出金というのは、我々は今既に抜かれているじゃないですか、給料から。税と社会保障の一体改革における社会保障充実枠、これは消費税じゃないですか、元々。育児休業給付の雇用保険料、これは雇用保険料じゃないですか。一般の勤め人の方々がふだんから働いているお給料から引かれているものから寄せ集めているじゃないですか。これは、どこが何の改革をしているんですか。

 それから、歳出改革に関しても、これは、歳出改革をやると言っているんですけれども、今、結局これは〇・二兆円ぐらい分しかやっていないわけですよ。これから増やしますみたいな話をしている。だから、実際は今やっていない。でも、なぜか支援金一兆円だけは決まっている。

 これが相殺されるみたいな理屈なんですけれども、今の御説明を聞いても、一体何がどう相殺されるのか全然分からないんですけれども、どうやって相殺するんですか。国民はこれは払うわけですよね。だって、一兆円集めるんだから。これから、二〇二六年からお金を払うんですよ、これは。皆さんの所得が減るんですよ。可処分所得が減るんです。どうやって相殺するんですか。もう一回教えていただけますか。

岸田内閣総理大臣 毎年、国の予算においては、歳出改革を行うことによって社会保障負担の増加を抑えている、こうした取組を続けています。これをこれからも続けてまいります。その一方で、賃上げの効果を上乗せすることによってそのスペースをつくる、そこに支援金を構築する、こういった説明をさせていただいています。

 結果として、全体として実質的な負担は増加にならない、こういった説明をしております。

青柳(仁)委員 ですから、違うんですよ。それが、厚労省の作っている、今おっしゃっていた、毎年毎年節減していますというのは、これは歳出改革の方に入っている話なんですよ。〇・一八兆円ですよね。その話をされているんですよね。だから、そのお金は、この下の青い部分の話なんです。黄色い部分は、これはちゃんとこれから集めるわけなんですよ。

 今総理が言っていた中で、国民から見たときの支援金の負担というのをもしも相殺できるとしたら、その要素は恐らく賃上げだろうとは思うんです。ところが、賃上げ、今年の数字を見てみると、何か賃上げの率が今年二・五%になるとかいうすごい大きな見込みをしているんですけれども、ただ、去年からの試算で見ると、インフレ率が二・四%というふうになっていますから、ほとんどインフレで相殺されるわけですよ。そうすると、国民の生活は豊かにならない。つまり、賃金の額は上がるけれども、物の値段も上がるわけだから、国民の生活は豊かにならないですよね。

 だから、ほぼそこを相殺されていて、支援金の部分が負担にならないということはまずないし、それから、何か今年から物すごい賃金が上がっていくみたいな説明を繰り返し繰り返しされているんですけれども、これは見て分かるとおり、日本の賃金というのは三十年ぐらい上がっていないんですよ。何でこれが急に、これから三%とか五%へどんどん上がっていくという予測が立てられるのか、これがよく分からないです。

 それから、国民の可処分所得はずっと下がっているんです、三十年ぐらいです、トレンドで見ると。さらには、平均所得も賃金が上がらないから下がっているんですけれども、可処分所得が更に下がっている。これはどういう意味かというと、国民負担が増えているからですよね。保険料がまさに増えている。税が増えている。だから、可処分所得が上がらない。国民の負担ですよ、これ。国民の負担がどんどん増えている。

 この中で、賃上げの要素で相殺はできない、インフレのこともあるし、長期のトレンドでそんなに急に上がらないとなると、さっきの質問にもう一回戻るんですけれども、どうやってこの一兆円の、集める、これから、二〇二六年から国民に負担をお願いする、それを相殺できるんですか。

岸田内閣総理大臣 昨年、賃上げについても三十年ぶりの高い数字を示しました。この流れを決して止めることはしないということで、様々な政策を動員してきました。

 この賃上げ、まずは民間が主体となる、当然のことでありますので、政労使の意見交換等を通じて民間への協力を要請し、そして、それの手応えを今感じているところですが、こうした民間の取組と併せて政策を総動員するということで、賃上げ税制の拡充ですとか、労務費転嫁の指針の徹底ですとか、あるいは省力化支援ですとか、様々な政策を用意する。そして、それを来年につなげていくためにも、人への投資ですとか稼ぐ力を確保するための様々な投資優遇税制、こういったものも用意して、政策によって賃上げを下支えしていく、こういったことを申し上げています。

 そして、民間のエコノミスト、そして政府の見通しについても、今年末あるいは今年度末までには物価を乗り越える賃上げが実現できる、こういった見通しが示されています。今年が正念場だということで、これらに加えて所得税減税等も用意することによって、所得を確実に物価を上回る水準まで持っていく、こういった対策を用意しています。

 是非、今年も賃上げ、去年以上の盛り上げを実現いたしますが、来年に向けてこの流れを確実にすることによって、賃上げと歳出改革との隙間によってこの支援金制度を維持していく、こういった取組を実現していきたいと考えています。

青柳(仁)委員 ですから、結局、その一兆円を国民からこれから集めます。二〇二六年から国民の皆さんに毎月払っていただきます。それが、国民の側から見てどうやって相殺されるのかが全然分からなかったんです。

 いろいろな意気込みを語っていただいているんですけれども、それはそれでいいと思うんですが、長期のトレンドを見たら賃金は上がっていませんし、それから、さっきインフレを超える賃上げと言いましたけれども、それはだから、さっき私が申し上げた話ですよね、二・五%の賃上げというのを見込んでいて、二・四%がインフレ率だから、上がるという。でも、それは二・四%まで相殺されるという意味でもありますから、それをもってこれからの負担が相殺されることにはならないんですよ。これはどう考えても、国民から見たら負担でしかない。国民に負担をお願いしているということははっきりとおっしゃった方がいいんじゃないかと思うんです。何でそれを隠して、国民の実質的な負担はないとか言いながら、こういうよく分からない政策を進めるのか。

 その上で、しかも、私は、歳出改革をもっとちゃんとやれば国民負担をお願いする必要もないと思うんです。

 歳出改革のところで一つ非常に疑問なのが、これは代表質問のときも我が党から出させていただきましたけれども、国会閉会後に急に与党が、自民党が言い出したのは、医療従事者の賃上げ分というのは社会保険負担に入らない、つまり、さっきの、ここで言うところと、歳出改革には入らないんですよ。だから、例えば医療保険、診療報酬、介護報酬が上がろうと下がろうと、そこを下げたって別に歳出改革には入らないということです。

 これはなぜそういう理屈が成り立つんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の医療、介護報酬改定における賃上げ加算部分は、それ自体は社会保険負担の増加要因でありますが、これは医療、介護の従事者を含む全体の賃上げによって雇用者報酬が増加することで実質的な社会保険負担軽減の効果によって打ち消されることになる、よって、実質的な負担にはならない、こうしたものであると認識をいたします。

青柳(仁)委員 ちょっと違うと思うんですよね。

 これって何か不思議な計算式を、ちょっと今日、計算式をパネルで持ってきませんでしたけれども、厚労省から示されたんですけれども、雇用者全体の賃上げがあるからそれが何か相殺されるという理屈なんですけれども、医療従事者というのは雇用者全体の一四%なわけです。ということは、雇用者全体の賃上げの八六%というのは医療従事者と関係ない一般労働者なんです。その人たちの負担で打ち消しているということじゃないですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、医療、介護の関係者以外に多くの雇用者がいます。その賃金を、先ほど申し上げました、全体として盛り上げていく、今年はこの正念場だということで政策を用意している、こういった説明をさせていただいております。

 是非、全体の賃上げ、これを来年に向けて確かなものにしていく、今年はその正念場として、用意した政策、総動員をしていきたいと考えています。

 その上で、所得税減税、これも大きな役割を果たしていくと考えております。

青柳(仁)委員 ですから、総理がおっしゃっているのは全部意気込みなんですよ、これからこうしたいです、こうやりますと。私が見せているのはデータなんです。これまで賃金は上がっていないし、これからインフレ率を、二・四%ですよ、それから、それを、そういうトレンドをこれからこうします、ああします、だから国民負担は上がらないんです。

 さっきの話も、私はこれはもう何度も検証していますから間違いありませんけれども、雇用者全体の賃上げで相殺するというのは、それは医療従事者はいいですけれども、そうでない八六%の一般の労働者は、ただ単に負担するだけなんですよ。そこに賃上げが起きますからと言う。でも起きるかどうかは不確定なんです。賃上げが起きるかどうかは不確定。でも、社会保険の負担が増えていく、支援金でお金を徴収されていることは確定しているんです。確定している話に対して、不確定な理屈でもって国民負担はないと言っているのが今の政府の説明なんですよ。今の岸田総理の説明なんです。これはやはり私は非常におかしいと思います。

 なぜこういうロジックになるのかというと、結局は、一兆円を国民からどうやったら集められるか、増税と言って批判されずに、負担増と言われずにそういうふうにできたらいいか、だからこういう複雑な説明になっていくわけです。

 それから、医療報酬、介護報酬が上がることは、それを下げたりすることは、そもそも歳出改革には含まれない、こういうロジックも、岸田総理がたくさん献金をもらっているからじゃないかなとやはり思っちゃうわけですよ。たくさんのお金をもらって、毎年毎年要望を受けて、診療報酬の改定をかち取った、こういうことを毎年やっていれば、それは当然こういう、年末に急に、国会が終わった後にこういう理屈が出てくるって、非常におかしいなというふうに思います。

 それで、今回の裏金問題もそうなんですけれども、今申し上げたとおり、結局、この一件を見ても、企業、団体からのお金で政策はゆがんでいるんですよ、実際に。それは以前からずっとみんな分かっていたから、一九九四年に政党助成金の制度を入れたんじゃないですか。先ほど話がありましたけれども、それは河野洋平さんの個人的な見解だみたいなことは、やはりおかしいと思いますよ。

 それからもう一つ、これは裏金問題もそうなんですが、どうしてそんなにお金が必要なのかということなんですよ。ここをやはり考えなきゃいけない。これは、裏金って何に使っているんですか。あるいは、こんなに集めた二億円のお金って、総理はいろいろ立場もあるでしょうから、いろいろ使い道があるんでしょうけれども、普通の、もっと集めている方々で、何に使っているんですかと。

 これは、二〇二三年十二月二十二日の毎日新聞の夕刊に、自民党の元外相を務めていた田中真紀子さんのインタビューが載っておりました。これは個人的見解ですけれども、裏金の使途の実態というのは、自民党の河井元法相が自身の選挙違反事件の公判で語ったように、選挙区の地元議員らに現金を配ることで人間関係を強め、支持基盤を固めるための、地方議員や後援会幹部を集めて飲食させる費用、私設秘書を何人も雇う費用ではないかと。

 昨年十二月の二十八日には、自民党の柿沢未途衆議院議員、これはみんな自民党ですね、それから、江東区区長選挙で、秘書らを通じて区議らに現金を配った公職選挙法違反の選挙買収容疑で逮捕されていますね。

 田中真紀子さんはこんなことを言っています。父の田中角栄元首相が病に倒れたとき、東京目白の自宅で地方議員に金を要求された、新潟から来た県議らが、おやじは出しましたと金をたかられた、父は県議、市町村長、後援会の支部長らに配っていたと。さらには、自民党衆議院議員だった頃に、党から盆暮れに氷代、餅代と称する現金を渡されていた。政治家による地元への利益誘導に関して、就職あっせん、裏口入学の相談、結婚式の出席依頼、陳情は田中派の議員を通じて全国から大量に持ち込まれていた、父の事務所には、公共事業担当の秘書、就職の世話を担当する秘書らがいて、分野別に要望をさばいていました。

 ほとんど違法の行為なんですけれども、だから裏金が必要なんですよね。違法行為にお金を使うために裏金が必要になる。

 違法行為を違法行為にさせないために、政治資金規正法にたくさんの抜け穴をつくる。こういう政治が行われていた元凶には、こういう金のかかる政治、よく意味の分からないことに金がかかってしまう政治があるから、その金を集めるために裏金が必要になり、企業・団体献金をいつまでもやめられず、今回の見直しも、何か抜け穴をつけようという、そういう話になっていくんじゃないですか。

 金のかからない政治というのをまずはつくっていくことが大事だと思うんですけれども、この点について、総理のお考えをお聞かせ願えますか。

岸田内閣総理大臣 今回、政治に対する信頼が失われた、信頼回復に努めなければならない、そのための大きな取組として、政治資金の透明性を高めていく、そして、金のかからない政治を実現していく、この二点が重要であるという点については私も同感であります。

青柳(仁)委員 是非、これからの与野党協議の中で、政治資金規正法改正、しっかりと国民の信頼を取り戻すということを念頭に置いた、踏み込んだ議論と、結論を出していただければと思います。

 維新の会は、言ったことは実行するということで、これからも有言実行の政治を行ってまいりたいと思いますので、引き続き、この与野党協議、真剣に取り組んでまいりたいと思います。

 以上で終わります。

小野寺委員長 これにて漆間君、遠藤君、前原君、青柳君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、能登半島地震の被災者支援です。

 住まいとなりわいの再建へ、希望が持てる支援が必要です。商工会の方に伺うと、断水もあり、事業が再開できるまで長期間かかり、雇用の維持、従業員の確保で苦境に陥っています。助成金だけでは給料を賄えない、人材が流出したら事業が再開できなくなるので、休業補償を一〇〇%しているという事業所もあります。

 パネルを御覧いただきたいと思います。

 雇用調整助成金、今回はコロナのときより大変貧弱です。上限額は、コロナのときは一日一万五千円、今回は八千四百九十円。助成率も、コロナのときは最大十分の十、今回は中小企業でも最大五分の四。

 総理は、異例の措置もためらわずに実行するとおっしゃいました。総理、雇用を守り、人材を流出させないことは、なりわいの再建の大前提だと思います。コロナ並みに日額上限や助成率を引き上げるべきなのではありませんか。

岸田内閣総理大臣 被災地において今後の復旧復興に取り組んでいくためにも、雇用の維持、従業員の確保、これは重要な課題であり、雇用調整助成金について助成率や支給日数を引き上げるなどの特例措置、これは講じたところです。

 そして、委員の方から、コロナの特例措置との比較について御指摘がありましたが、お尋ねのコロナの特例措置については、コロナ流行下において国から事業者や国民に対し感染防止対策への強い要請を行う中で実施したものです。

 具体的には、日額上限の特例については、休業手当が支払われることを前提とした雇用調整助成金とは別に、休業手当が支払われない場合でも労働者に適切な支援が行われるよう新型コロナウイルス感染症対応休業支援金という特別な仕組みを創設した際に、休業を余儀なくされている労働者の雇用維持を支える両制度のバランスを確保する観点から、雇用調整助成金の日額上限、これを引き上げた、こういった経緯をたどりました。

 また、助成金の特例については、企業が休業手当を十分に支払える状況にしなければ労働者が安心して行動抑制をすることが困難であるということから、感染防止対策として、趣旨を踏まえて、特例的な助成率の引上げ、こういったことを行った次第であります。

 こうしたコロナ特有の事情において、御指摘の助成率、日額上限、こういったことの引上げが行われた、こういったことであります。

 同一に災害対応として論ずることはできませんが、今回においても様々な支援を行っている、細かい配慮を行っている、このことについては強調しておきたいと思います。長いと言うのでここで止めますが、こういった配慮も行っているということを申し上げた上で、コロナ対応との違いについて申し上げさせていただきました。

宮本(徹)委員 コロナのときよりも、はっきり言って被災者の皆さんは大変じゃないですか。建物も機械も損傷して、ある意味、コロナよりも大変なんですよ。その大変さが全然総理は理解されていない。昨日、与党の被災地の議員からも同じ要望が出ていたじゃないですか。党派を超えて当然やるべきことだということで、やらなきゃいけないと思いますよ。

 コロナのときだって、いろいろなことがありましたけれども、先ほど言ったような話で引き上げたんじゃないですよ。私、この予算委員会でずっと議論を聞いていましたけれども、コロナのときに引き上げたのは、イギリスが休業補償を上限三十万やっているのに比べて低い、こういう指摘ががんがんやられて、当時の安倍首相も決断して引き上げたんですよ。

 全然経過も違うことを述べられて、やらない理由ばかり述べるのはやめてください。被災地の皆さんにちゃんと寄り添ってください。

岸田内閣総理大臣 今回の特例措置においては、過去の災害の対応を参考としつつ、現地での休業による雇用維持だけではなくして従業員が二次避難を行っている場合等の出向を活用した雇用維持の助成も対象とする、また、被災企業がより制度を活用しやすいように休業等の規模が小さい場合でも助成の対象とする、こうした要件緩和も行っています。こうした、今回の災害の現地の事情にも細かく配慮した制度を用意しているということであります。

 先ほどのコロナの経緯については、先ほど説明したとおりであると私は認識しております。

宮本(徹)委員 細かい配慮なんて、なっていないわけですよ。全然足りない。本当に、雇用の維持ができなかったら、人材が流出していったら、今、人手不足の時代なんですから、人材が流出したら事業を再建しようと思ってもできないですよ。是非、もっと被災地の皆さんのお話を聞いていただきたいと思います。

 今度の予算を見て驚いたことがあるんですよね。コロナのときに、雇用調整助成金のために労働保険特別会計に繰り入れておりましたが、今回、一千九百六十四億円を一般会計に戻すと。

 財務大臣、これは戻して何に使うんですか。

鈴木国務大臣 ただいま御指摘のありました雇用調整助成金のコロナ特例に伴う一般会計負担分の返納金につきましては、令和六年度予算では、労働保険特別会計からの受入金として、防衛力整備計画対象経費の増額に充てる財源に活用することとしております。

宮本(徹)委員 つまり、雇用調整助成金を引き揚げて、被災地のために使うんじゃなくて、防衛省予算の倍増のために使うという話ですよ。心を寄せるところが違うんじゃないですか。優先すべきところが違いますよ。そのことを厳しく指摘しておきたいと思います。

 次に、医療、介護、障害福祉の分野の賃上げについてお伺いしたいと思います。

 先日、地元で障害福祉の関係者の集いがありましたけれども、本当に人手不足、人材流出、深刻です。背景に、全産業平均より七万円も低い賃金があります。

 昨年の消費者物価は実質賃金に使う指数でプラス三・八%、二四年度の政府の物価見通しはプラス二・五%。少なくとも昨年、今年で六・三%上げないと物価には追いつかない。

 一方、昨年の春闘では、医療、介護、福祉の分野は置き去りになりました。介護分野ではベア〇・五%台、三分の二の事業所はベアはありませんでした。関係者の批判の中、来年度予算案で出てきたのはベア二・五%分ということでございます。

 総理、二・五%程度のベースアップ、賃上げでは、この間の物価にも追いつかず、人材確保の危機は解決できないんじゃないですか。全産業平均並みに引き上げるべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 介護、障害福祉、医療分野における賃上げを始めとする人材確保への対応については重要な課題であり、岸田政権としても、公定価格の見直しを掲げて、これまで累次の処遇改善を講じています。

 今般の介護、障害福祉、医療分野の報酬改定では、政府経済見通しで令和六年度の全産業平均の一人当たりの雇用報酬の伸びが二・五%と物価上昇率と同水準で見込まれる中、こうした見込みと整合的にベースアップを求めているところであります。令和七年度分を前倒しして賃上げいただくことも可能な上、ベースアップ分以外の賃金の伸びもあり得ますが、まずは、物価高に負けない賃上げとして、令和六年度、二・五%のベースアップ、これを実現してまいります。

宮本(徹)委員 全産業平均が二・五%だから、介護、福祉も二・五だというんですけれども、去年は全然上げられなかったわけですよ。介護報酬も、診療報酬も、障害福祉の報酬の改定もなかったわけですから。その分を補わなければ人材流出が続くじゃないですか。その危機感が総理になさ過ぎると言わなければならないと思います。全産業平均へ引き上げることを重ねて求めておきたいと思います。

 加えて、重大なのは、今度の介護報酬の改定で訪問介護の基本報酬がマイナス改定になっている。

 パネルは、全国ホームヘルパー協議会、日本ホームヘルパー協会の政府宛ての抗議文であります。読みます。「訪問介護の現場従事者を代表して強く抗議します。」「もともと報酬単位が小さい訪問介護系サービスのみが引き下げられたことは、私たちの誇りを傷つけ、更なる人材不足を招くことは明らかで、」「このままでは、訪問介護サービスが受けられない地域が広がりかねません。」

 厚労省の調査でも訪問介護事業所の三六・一%が赤字なんですよ。この上、基本報酬を減らしたら、撤退する事業所が広がりますよ。

 総理、この訪問介護の基本報酬のマイナス改定は撤回すべきじゃありませんか。総理が手を挙げています。

武見国務大臣 今般の介護報酬改定におきまして、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に進める観点から、訪問介護につきまして、基本報酬の見直しを行いつつ、処遇改善加算については他の介護サービスと比べて高い加算率を設定することとしております。

 また、特定事業所加算や認知症に関する加算を充実することなどにより、訪問介護は改定全体としてプラス改定としたところでございまして、住み慣れた地域でできる限り暮らしていただくために在宅サービスを整備していくという基本的な方針には変わりはございません。

 その上で、訪問介護を始めとした現場において、加算未取得の事業所は加算を取得し、既に取得している事業所は新たな処遇改善加算の体系に早期に移行していただくことで、介護職員の賃上げを実現できるよう、必要な対応を講じることとしております。

 また、加算の取得要件のうち、賃金体系の整備など導入に時間がかかるものについては、導入の好事例を分かりやすくお示しするなどして、早期の加算取得を支援する観点から、配慮措置を早急に検討していきたいと考えております。

 こうした取組などを通じて人材確保を進めて、誰もが住み慣れた地域で必要な介護サービスが安心して受けられる体制を引き続き整備していくというのが私どもの考えであります。

宮本(徹)委員 小さい事業所ほど処遇改善加算も取れていないんですよね。いろんな加算をつくったって、それが取れない事業所からしたら、本当に事業所の経営は赤字が更に拡大する。去年、訪問介護事業所の倒産、過去最高ですよ。この上、基本報酬を減らしていくというのはあり得ない判断ですよ。今、国民に向かっても意見を求めるパブリックコメントの期間中ですから、是非、総理もこれは見直すという方向で決断をしていただきたいということを強く求めておきたいというふうに思います。

 先日、毎日新聞がダブルケアの初めての調査というのを発表しておりましたけれども、ダブルケア、子育てしながら親の介護をしている方が二十九万人もいらっしゃる。この上、ケアワーカーが更に不足して事業所が閉鎖していくということになったら、現役世代も介護離職が一層進んでいく。さらに、国民の皆さんの尊厳ある暮らしが維持できなくなる。本当にしっかり考え直していただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 続きまして、自民党の裏金事件について聞きます。

 金権腐敗を一掃する大前提は裏金事件の全容解明であります。いつから、幾ら裏金をつくり、どう管理し、何に使ったのか、全貌を明らかにしなければなりません。

 パネルにありますように、自民党が全議員アンケートを開始しましたけれども、項目は、不記載の有無と、過去五年分の不記載額だけなんですね。これだけですよ。まるで、全議員調査した、こういうアリバイづくりのためのようなアンケートにも映ります。

 私たち何度も指摘しましたけれども、しんぶん赤旗の報道では、五年より前に、麻生派が為公会の時代に裏金をキックバックしていた、こういう証言も報じてきたわけですね。にもかかわらず、なぜ、総理、これは五年分しか聞いていないんですか。

岸田内閣総理大臣 お尋ねのアンケート調査については、刑事責任の有無に関わる過去五年分について調査することとした次第であります。

 そして、今、これで不十分だという御指摘がありました。これは、アンケートと並行して、党役員、外部の弁護士にも参加してもらって、聞き取り調査を進めてまいります。その中で、今日までの経緯と、そして使い道等についてもヒアリングを行いたいと思います。そのことによって全体の実態把握を行ってまいります。

宮本(徹)委員 聞き取りは、安倍派、二階派の方々ですよね。麻生派は聞き取りの対象になっていません。私たちが何度も、証言もあるんじゃないかということをこの場でも指摘をしてまいりました。対象外になっちゃうじゃないですか、麻生派の過去の、裏金をつくってきたんじゃないかという疑惑は、今回のこのアンケートと今の聞き取り調査だけでは。どうされるんですか。

岸田内閣総理大臣 刑事責任の有無に関わる五年間について調査を行っております。こうした具体的な書類の存在等を考えますときに、五年間においてまずは確認をした上で実態を把握していく、これがまず大事であると考えております。

宮本(徹)委員 それは検察は、捜査機関ですから、公訴時効との関係で五年ですよ。しかし、政治的には、別に五年に限る必然性はどこにもないんですよ。書類の保存期間は三年ですからね。五年というのは、どこから来た五年なのかという話なんですよね。政治的な責任を取るというんだったら、五年よりも遡って調べるべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 まさに委員おっしゃった刑事責任の有無、そして書類の保存期間との関係等を踏まえて、五年という年月にわたりまして調査を行っているところであります。

宮本(徹)委員 こういう、五年だけに限って、私たちが指摘した疑惑についても調べようともしない。これだと、幕引きを図るためのアンケートになっているじゃないですか。ちゃんと調べてくださいよ。

 もう一点、今度、聞き取りの問題についても聞きますけれども。

 安倍派議員らへの聞き取り調査についてでございますが、萩生田さんによると、二〇〇四年には裏金システムはあったそうでございます。

 いつ、誰が、何の目的で裏金システムをつくったのか、総額幾ら裏金をつくったのか、これは調べようとしているんでしょうか。これは会長案件だということを安倍派の幹部の皆さんおっしゃっている。今御存命の会長というのは森元首相ということになりますので、森元首相からも調査する必要があると思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました党幹部による聞き取り調査、外部の弁護士にも参加してもらって行っている聞き取り調査については、違法性の認識を含む不記載に至った経緯、また使途等についても確認を行っているところであります。

 派閥の幹部について聞き取りを行っていく予定ですが、聞き取りの範囲については、事実関係の把握の状況を踏まえて、適切に範囲を判断してまいります。

宮本(徹)委員 昨日、立憲民主党の岡田幹事長からも同じ提起があったと思うんですよね。会長案件なんですから、森元首相に聞かなければ、真実は分からないはずです。

 なぜ昨日言われたのに、今日も全く同じ答弁をされるんですか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、聞き取り調査を進めてまいります。そして、その必要に応じて、そして事実関係の把握に応じて、必要な範囲に、聞き取りの範囲を判断してまいります。

宮本(徹)委員 会長案件だと言われているわけですよ。必要な範囲に森元首相が現時点で入っていないこと自体がおかしいんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 今、聞き取りを進めています。そして、聞き取りを行っている外部の弁護士を始め関係者、党の役員を始め、参加している関係者において、聞き取りの対象については判断をしております。必要に応じて対象範囲、判断してまいります。

宮本(徹)委員 だって、今週で聞き取りするわけですよね。あと数日しかないのに、早く連絡を取らないと、今週終わっちゃうじゃないですか。聞き取りもせずに、また中途半端なまとめが出てくるということになるんですか。そういうことになったら、まともな予算委員会の審議にならないですよ。そこをちゃんと自覚しておいていただきたいと思いますね。

 委員長、裏金事件の全容解明のために、森元首相の証人喚問を求めます。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

宮本(徹)委員 下村議員が記者会見で、安倍元総理が亡くなった翌月、還付について幹部で協議し、そこで、還付については個人の資金集めパーティーのところに上乗せして、収支報告書で合法的な形で出すということもあるのではないかという案があったと述べておられます。

 合法的な形で出すという発言は、この発言した本人に裏金の違法性の認識があった、そして、その場に同席された皆さんも違法性の認識があったということになると思います。

 自民党の聞き取り調査では、下村議員、安倍派座長の塩谷議員、そしていわゆる安倍派五人衆への聞き取りというのはもう行ったんでしょうか。そして、その際、違法性の認識については聴取されたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 実際、聞き取り調査、誰を対象にして、どこまで進んでいるか、私は承知しておりませんが、使途ですとか経緯ですとか、全体を把握する上で必要な対象に対して聞き取りを行い、今申し上げた点について確認を行うものと承知をしております。

宮本(徹)委員 今申し上げた点について確認を行うというのは、私が指摘した下村さんの記者会見での発言について、その場にいられた皆さんの違法性の認識があったかどうかについても確認をするということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 個別の事項については申し上げませんが、お金の使い道、そしてこういった事態に至った経緯、こういったことについて聞き取りを行うということを、党役員、関係者としては考えております。

宮本(徹)委員 違法性の認識について言明されないのはなぜですか。

岸田内閣総理大臣 違法性の認識等も経緯という中に含まれると考えます。

宮本(徹)委員 では、しっかりと聞き取りをしていただきたいと思います。

 加えて、解明が必要なのは裏金の使途ということになります。

 安倍派は、二〇一九年、二〇二二年の参院選の年は、改選となる参議院議員に集めた全額を裏金としてキックバックしていたとされます。これは、選挙で表に出せない金として使えということなんじゃないでしょうか。

 朝日新聞の報道では、ある安倍派の参院議員は、裏金を自らの選挙に使った、自民党の地方議員について、ぐれん隊みたいな人ばかり、お金がないと動いてくれない、こう述べている。買収も疑われる発言だと思います。

 この聞き取りの中では、使途、選挙に使ったのか、公選法違反はないのかというのは当然聞かれているということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 使途についても聞き取ると報告を受けています。

宮本(徹)委員 ですから、具体的な証言が朝日新聞で報道されているわけですよ。ただ、名前が出ていないんですね、安倍派の中堅の参議院議員としか書いていません。ただ、選挙で使った、ここまでは書いてあるわけですよ。

 裏金を選挙で使うといったら、それは当然、表に出せない使い方をしたということでしょう。これは、政治資金規正法違反だけじゃなくて公選法違反にも問われる事態なんですよ。

 そういうことも含めて、うみを出す調査をやろうとされているのかというのをお伺いしているんです。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたアンケートと併せて、外部の弁護士にも参加をしてもらい、聞き取りを行っております。そして、その上で、聞き取りを行った上で、第三者によって取りまとめを行ってもらう、こうした取組を今予定しております。

宮本(徹)委員 お答えになっていないんですけれども。

 具体的な証言が新聞報道にも出ているわけですから、参議院議員、二〇一九年、二〇二二年、どちらの改選組か分かりませんけれども、選挙に使った、こういう証言があるんですから。そういう可能性がある方々については、しっかりと、選挙に使ったのか、何に使ったんだと具体的にただす必要があるのではないかと申し上げています。

 使途を聞くというのは、ちゃんともっと、ずばっと差し込む形で、選挙に使っていないのかというのをちゃんとただすということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 使途についても確認すると申し上げております。御指摘の点も含めて、使途ということについて聞き取りを行います。

宮本(徹)委員 選挙に使ったかどうかという点も含めて聞き取りを行うということであります。

 この間、地方議員に現金をばらまいた選挙買収事件として、二〇一九年、参院選における河井克行元法務大臣夫妻の事件がありました。このときは、地方議員ら百人に選挙運動の現金として計二千八百七十一万円渡っております。この選挙では河井陣営には様々なお金が、裏金的なものじゃないかというのも含めて渡っているという報道もなされてきたわけですね。

 そうすると、私、公選法違反の疑い、裏金の使い道ということを考えたときに、それぞれ議員に聞くと同時に、もらった側ですね、地方議員はお金がないと動いてくれないという証言もあるんですから、地方議員の側にも、この際、調査する必要があるんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 今、党として、関係議員に対してヒアリングを行っております。実態を把握するための範囲については、この聞き取りの進捗状況を見ながら判断をいたします。

宮本(徹)委員 本当に、選挙に使われたんじゃないかということも調べられるということをおっしゃったわけですから、配った側は違法性の告白はなかなかしづらいかも分からない、もらった側も違法性の告白はしづらいかも分からないですけれども、全てのうみを出し切るという立場でやらないと、信頼回復できないですよ、たくさんの証言がこの間報道されているわけですから。その証言が本当なのかどうなのかというのも含めて調べないと駄目だということを厳しく申し上げておきたいというふうに思います。

 次ですけれども、この裏金の原資となったパーティー券を誰が買っているのかということになります。

 いろいろな政治資金パーティーを見ても、二十万円以下は記載義務がないので全く不透明ということになっております。

 ただ、派閥の政治団体も、国会議員の政治団体も、政治資金規正法ではその他の政治団体となっていますから、企業・団体献金はそもそも禁止されているわけですね。

 そこで、お伺いしたいと思います。

 岸田派の宏池政策研究会は、二〇二二年に開催した政治資金パーティーで一億八千三百二十八万円の収入を得ているわけです。このパーティー券の収入金額のうち、個人による購入の合計額、そして企業、団体、この団体には業界の政治団体も入れてほしいですけれども、企業、団体による購入の合計額、それぞれ幾らでしょうか。五日前に通告しておりますので、計算できていると思います。

岸田内閣総理大臣 宏池会における政治資金については、政治資金規正法の定めに従い、公開すべきものは全て公開しております。それ以上の事柄についてお答えは控えます。

宮本(徹)委員 驚きの答弁ですね。私、時間がなくて間に合わないという答弁が返ってきたらまずいと思って五日前に通告したのに、調べようともしない。

 大体、自民党の政治刷新本部で、これから各党と協議して制度面も改善しよう、公開性を高めていこう、こういうことを皆さん出されているじゃないですか。率先してまず公開性を高めたらいいじゃないですか。別に個別の企業名を出せなんて言っているわけじゃないですよ。個人がどれぐらいなのか、企業、団体がどれぐらいなのか、これぐらいの数字もなぜ言えないんですか。

岸田内閣総理大臣 政治資金に関しましては、政治活動の自由と透明性の確保、この両立の中で議論が行われ、今日法律ができている、それに基づいて各党そして各政治団体も政治資金について公開をしている、こういったことであります。これまでの議論の積み重ねである共通のルールに基づいて公開すべきものであると考えます。公開すべきものについては、法律に基づいて公開をしております。

宮本(徹)委員 これだとこの先の議論が思いやられますね。各党と協議して政治資金規正法を改正していく、公開性を高めていくと。今以上公開する気がない方々と議論して、何か政治資金規正法は前に進むんですか。まず自ら率先して公開していく姿勢に立つべきじゃないですか。

 ちなみに、かつて稲田朋美議員がパーティーを中止したことがございます。その際、パーティー券代を返金したことが収支報告書に記載されています。返金額は一千五百万円余り、このうち企業、団体、業界の政治団体は一千二百万円以上、八割近くということなんですね。恐らく岸田さんの宏池会のパーティーもそうなんじゃないですかね。

 パーティーを開いているのは派閥だけじゃないですよね。二〇二二年の自民党の六派閥の政治資金パーティーの収入は十億円余りですけれども、二〇二二年の全国の政治資金パーティーの収入総額は百八十一億円ですから、圧倒的に国会議員や政治家個人の政治団体のパーティーの方が多いわけであります。

 パネルは、岸田総理の政治団体である新政治経済研究会のパーティー券の売上収入の推移でございます。二〇一四年は六千八百四十八万円だったのが、どんどんどんどん増えて、二〇二二年は一億五千五百九万円、倍増以上に増えているんですよ。誰が買ってくれているんですかね。

 もう一度お伺いしますよ。今度は宏池会じゃないですから、岸田総理の政治団体ですから、岸田総理御自身の判断でこれは公開できるはずです。二〇二二年に開催した政治資金パーティーのパーティー券の収入金額のうち、企業、団体による購入の合計額、これは幾らですか。これは総理の決断で出せるはずです。

岸田内閣総理大臣 政治資金については、共通のルールに基づいて、透明性を図っていかなければなりません。政治資金規正法の定めに従い、御指摘のパーティーについても公開すべきものは公開しております。それ以上の事柄についてはお答えを控えます。

宮本(徹)委員 たくさんたくさん増えた中身が企業や団体からのパーティー券の購入だとばれることがそんなに怖いことなんですか。

岸田内閣総理大臣 政治資金をめぐる議論については、政治活動の自由と透明性の確保の両立の中で議論が進められ、各党が参加した上で各党共通のルールが定められています。そのルールに従って公開することが重要であるということを申し上げております。

宮本(徹)委員 初めに申し上げましたけれども、政治資金規正法で企業や団体が献金できるのは、政党と政党支部、そして政党の政治資金団体だけであって、派閥の政治団体や議員の政治団体は企業・団体献金は受けられないんですよ。

 ところが、パーティー券を買っているのは企業、団体が多数だと。これは、事実上、企業・団体献金の抜け穴に政治資金パーティーがなっているということなんじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金と政治資金パーティー、これは、そもそも献金とそして事業収入の違いはあります。しかし、それも含めて、企業、団体からのお金についてどのようなルールを作るのか、こういった議論は行われるべきであると考えます。

宮本(徹)委員 事実上の企業・団体献金の抜け穴に政治資金パーティーがなっているのははっきりしていると思います。パーティー券の購入も含めて企業・団体献金を禁止すべきだと私たちは申し上げておりますけれども、それを厳しく求めていきたいと思います。

 二月四日付の赤旗日曜版によりますと、記者の取材に対して、ゼネコン関係者がこう証言しています。岸田さんがパーティーを開く際、岸田事務所の、Y秘書にしておきます、新聞報道は実名が出ておりますが。Y秘書が、ゼネコン各社の担当部署を訪れ、多いところで二万円のパーティー券を三十から四十枚置いていくと聞いている。ゼネコン本社は大口購入者として公表されない二十万円分を買い、残りは関連会社が買うようにしている。

 総理、これは事実でしょうか。

岸田内閣総理大臣 そのような、報道のような事実はないと報告を受けております。

宮本(徹)委員 それでは、これはゼネコン関係者が虚偽の証言をしたという理解ですね。

岸田内閣総理大臣 報道の中身については申し上げません。しかし、御指摘のような事実はないという報告を受けております。

宮本(徹)委員 じゃ、売り方については聞きませんが、ゼネコン各社に回ってパーティー券をお願いしているというのは事実なんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 どなたにパーティー券を買っていただいたか、これについては、政治資金規正法に従って、公開すべきものは公開しております。

宮本(徹)委員 ゼネコン各社にたくさん買ってもらっているかどうかについても、お答えを避けようとされる。何かやましいことがあるんですか、隠さなきゃいけないような関係が。

 日本建設業協会九十三社の国からの受注は、二〇二二年、二兆五千六百億円、二〇二三年は二兆九千八百億円ですよ。公共事業の受注の見返りとしてパーティー券を売りつける、献金を求める、まさに利権政治だと言わなければなりません。こうした癒着構造があるから、人口減少社会なのに浪費型の大型開発が止まらないんじゃないかと言わざるを得ないと思うんですね。

 そもそも、今日午前中からの議論もありますが、企業・団体献金というのは本質的に賄賂性を持っております。

 衆議院が年末に河野洋平元議長のオーラルヒストリーを公表されました。河野元議長は、三十年前、自民党総裁で、政治改革のいわゆる総総合意の当事者です。こう言っているわけですね。この頃は、企業献金が多いから税制を始めとしていろいろな政策がゆがんでいる、庶民から企業の方へ政策のウェートがかかって、企業献金が政策のゆがみを引き起こしているから、それをやめろということだったのに、それが今またああいうふうになっているというのは、本当におかしいと思いますね。こうおっしゃっておられます。

 河野元議長のおっしゃるとおりじゃないですか。消費税増税のたびに法人税減税が繰り返されました。そして、今度の予算の税制改正も、自民党自身が、法人税減税はもう賃上げに回らない、失敗だと総括しながら、法人税減税の大盤振る舞いが続いている。

 総理、企業・団体献金、企業、団体によるパーティー券の大量購入が、お金の力で政治をゆがめているんじゃありませんか。企業・団体献金はパーティー券の購入も含めて全面禁止すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、河野元衆議院議長の発言については、御自身のお考え、政治経験を述べられたものと考えますが、詳細について承知しておりません。お答えは控えます。

 その上で、政党助成制度は、政党が民主主義の重要な担い手であることに鑑みて、その費用を国民全体で負担するために導入された。そして、それと併せて、企業・団体献金の在り方については、各党間で議論をし、合意に至らなかったものであると承知をしております。

 そして、今、企業・団体献金について、また大きな指摘を受けている。各党共通のルールとして、この問題についても議論をする、このことについて自民党として貢献をすることは考えてまいります。

宮本(徹)委員 企業・団体献金がお金の力で政治をゆがめている、これが河野元議長の指摘の中心点ですよ。その認識、総理にございますか。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金については、政党等の政治団体の自由の問題と、そして企業等の政治に対する働きかけ、あるいは寄附、こうしたことに関する自由の問題、こうしたものが絡んでいると思います。いずれにせよ、今日までの議論の中で今日の姿があります。引き続きこの問題について議論を行うこと、これは政治の立場から重要であると考えます。

宮本(徹)委員 企業・団体献金は、やはり見返りを求めて企業が出すわけですよね。パーティー券を何で山のように買うのか、それは当然、見返りを求めて買うわけですよ。今日、私、総理のパーティー券の収入、政権復帰後しか書いていないですけれども、野党時代のパーティー券の収入、もっと少なかったですよね。政権に就いていなかったから、見返りがないから、パーティー券もたくさん企業、団体に買ってもらえなかった。やはり企業は見返りを求めて企業・団体献金をするし、皆さんのパーティー券を山のように買うんですよ。だから政治をゆがめる。

 エネルギー政策だってそうじゃないですか。気候変動の問題、この間、COP28がありましたよ。化石燃料から脱却しよう、こういうことが確認されたのにもかかわらず、化石燃料、石炭火力発電、日本はやめようとしない。そういう背景に、関連企業からの献金やパーティー券の購入があるんじゃないですか。だから、企業・団体献金は駄目なんだということを私たちは申し上げているわけです。

 最後に聞きますけれども、河野洋平元議長はこうも言っているわけですね。トップ会談で決めたのは企業献金をやめること。企業献金の廃止は、個人献金に振り替えろという話はなかなか難しいだろうから、企業献金をやめて公費助成にしようということでした。だから、公費助成が実現したら企業献金は本当は廃止しなきゃ絶対におかしいんですよと。

 この三十年、政党助成金と企業・団体献金の二重取りがずっと続いてきました。歴史的経過からいっても、これ以上二重取りを続けることは許されないんじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 民主主義のコストをどのように支えていくのか、負担していくのか、こういった議論の中で、かつて政党助成金が導入された当時も、個人献金と企業・団体献金と政党助成金、この三つのバランスが重要であるという議論が行われていたことを私は記憶をしております。そういった議論も含めて、様々な議論が行われ、今日の制度、法律に至っていると認識をしています。

 そして、今改めてその問題について議論が沸き起こっている。この問題について、改めて政治活動の自由と透明性の確保の関係でどうあるべきなのか、これをしっかり考えていくことは重要であると思います。

宮本(徹)委員 どうあるべきかというのは、当然経過からいえば二重取りはやめなきゃいけない。民主主義のコストとかなんとかと言いますけれども、政治資金収支報告書を訂正したのを見ても、スナック代だとか居酒屋代だとか、そういうのがいっぱい並んでいるじゃないですか。それが民主主義のコストですか。あるいはお土産代だとか、それが民主主義のコストですか。十万円のすし屋もあったという声もかかりましたけれども。およそ国民は、皆さんの政治資金収支報告書やその訂正内容を見て、これがまともな政治活動のお金なのかな、疑問に思っているわけですよ。それを民主主義のコストだなんといって、政党助成金と企業・団体献金の二重取りを続ける口実にされては困るんですね。

 私たちは、企業・団体献金も政党助成金も受け取らずに活動しております。個人の浄財で、政党はできるんですよ。少なくとも二重取りは直ちにやめなきゃいけない、政治をお金の力でゆがめる企業・団体献金は直ちにやめなきゃいけないというふうに思います。

 世界を見ても、政党への企業献金を禁止している国、フランス、カナダ、韓国、ベルギー、スペイン、ポーランド、ギリシャ、ハンガリー、ルクセンブルク、チリ、エストニア、イスラエル、メキシコ、スロベニア、コスタリカ、ラトビア、リトアニア、アメリカ。OECD諸国でこれだけあるわけですよね。国会図書館に調べていただきました。

 政党への企業献金、禁止しましょうよ。総理、これ以上二重取りを続けるのはやめましょうよ。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金について、これを議論しなければならない、これは委員御指摘のとおりだと思いますが、あわせて、機関紙の購入を始め、様々な政治に関わるお金についてもこれはやはり議論をしていかなければなりません。

 是非、改めて、政治の信頼という観点から、この議論を進めることは重要であると考えます。

宮本(徹)委員 時間になりましたけれども、終わりますけれども、企業・団体献金禁止、政党助成金廃止法案を私たち国会に出しておりますので、各党の皆さんにも是非賛成していただきたい。そのことを申し上げまして、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 まず、能登半島地震の被災者支援から伺います。

 一月五日に総理と与野党党首会談で会ったときから、被災者生活再建支援金を倍増してほしいということを申し上げてきました。総理からは、一日に、新たな交付金制度をつくって、高齢者等のいる世帯については三百万を上乗せする、なので上限六百万になるということを決められたそうですけれども、これはやはり対象を限定すべきではないと思います。

 昨日も、今日もそうですかね、話があったと思いますけれども、元々、阪神・淡路大震災が起こったことをきっかけにつくられた被災者生活再建支援金自身、最初は年齢制限、所得制限が入っていたんですよ。これがやはり分断を生むということもあって、与野党の協議の中で、今はそういった制限が外されるという経緯があります。

 それにさらに、今回、物価高もあるので支援を拡充しようというときに、高齢者や障害者のいる世帯に、そういったところを支援するのは大事ですよ、ただ、やはり限定をかけるべきではなくて、今、内閣総理大臣として、政治リーダーとして被災地の皆さんに届けるメッセージは、助ける人と助けない人がいますよというメッセージではなくて、全ての被災者を助けますよというメッセージなんですよ。

 ですから、是非これは、対象を限定することなく、シンプルに、現状の被災者生活再建支援制度を拡充する、倍増する、そのことで対応していただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の被災者生活再建支援金の財源、これは半分は都道府県が拠出する基金で賄うとしておりますが、全国知事会が平成三十年にまとめた報告書では、支給限度額は現行の最大三百万円から引き上げる根拠がない、支給対象は大規模半壊から拡大することなどとされています。

 こうした中で、政府としては、令和二年に法改正を行い、支給限度額は据え置きつつ、支給対象の拡大を図った、こういった経緯がありました。

 この被災者生活再建支援金については、見舞金的な性格、あるいは側面支援的な性格、こういったこともあるからして、政府としては、まず、迅速にこの支援金は支給をいたします。その上で、新たな交付金制度を創設すると申し上げています。

 その際に、今申し上げました知事会を始め、関係者との意思疎通を図りながら、この制度について議論を進めてまいりますし、そして、この交付金について、支援される方とされない方、これは分断を招くという御指摘がありますが、その発想ではなくして、長期の借入金に対応できない方については、高齢者等と示しておりますが、その対応できない方については、若い方であってもこの支援金制度にできるだけ幅広く取り込む、こういった制度設計を行っていきたいと思います。ですから、この制度の外側にある方は、借入金にも堪えられる方々、こういったことであります。

 分断を招かないように、結果として全ての方に支援が行き届くように制度設計を行ってまいります。

玉木委員 総理、口で言うのは簡単なんですけれども、それをやると遅くなるんですよ。

 何でかというと、例えば子育て世代でも、借入れができる資力のある人、財力のある人、ない人がいて、それを、じゃ、所得でやろうとしたら、今の制度は所得は過年度所得でしか把握できないので、去年の所得が多いか少ないかで、今年被害があったかどうか関係なく、去年多かったから受けられないとか、そういうことになるんです。

 でも、ひとしく被害を受けているので、そこは支援を平等にしないと、かえって遅くなるし、スピーディーに支援が届かないです。この借り入れる力があるかないかということをぎりぎり詰めていけば、高齢者の中にも借り入れることができる資力のある人はいるんです。そうすると、じゃ、高齢者の中でも分けましょうかみたいな話になってきて、何が何だか分からないんですよ。

 共通していることはたった一つです。被災されたかどうかです。このことに着目して、あまねく支援をするというメッセージは、やはり総理、出すべきだと思います。これは立憲民主党の梅谷さんも言っていましたけれども、若者流出策になってしまいますよ。

 だから、ここは総理、大事な局面なんですよ。是非これは、あまねく被災をされた方については被害状況に応じて支援する、倍増するということを是非決断してください。

岸田内閣総理大臣 今、石川県とも調整を行っているところですが、基本的に、こうした長期の借入れ等に対応できない方はこの新しい支援金制度にできるだけ幅広く取り込む、こうした制度を構築していきたいと考えます。そのことによって、必要な支援が全ての方に行き渡る、こうした組合せをつくっていきたいと考えます。

玉木委員 ただ、総理、大きな被害を受けている方に、借入れできる能力があるんですか、ないんですかと面接して決めるんですかね。酷だと思いますよ。だから、やはり被害状況に応じてきちんと支援する。それは見舞金的な性格があるからこそ、全ての人に資力関係なく支援する。

 万博の建設費、資材高騰で一・九倍にしたじゃないですか。だったら、個人の方が家を建て直す、そういった費用も、二倍ぐらいになっているのであれば、二十年変わらないこの上限三百万というのは、ひとしく六百万にすべきだと思います。これは改めてお願いしたいと思います。

 もう一つは、地域も限定をかけていますね。石川県内の三市三町を中心だということになっていますが、私も行きましたが、内灘町とか、かほく市とか、非常に液状化がひどい、家が本当にひっくり返っているところもあります。お隣の新潟県や富山県でも何千何百と全壊、半壊がありますから。そこについては支援しないんですか。

岸田内閣総理大臣 今回の災害を受けて、石川県の能登地域六市町については、高齢化率が著しく高いこと、半島という地理的な制約があって、住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方も多いなど、地域コミュニティーの再生に向けて乗り越えるべき大きな課題があるという実情あるいは特徴があります。

 今般、こうした能登地域の実情、特徴に鑑みて、能登地域六市町を中心に新たな交付金制度を設けることとしましたが、石川県内のその他の類似の事情があると認められる地域も、国と県の協議において対象とすることができる制度とする予定にしております。具体的な石川県内の対象市町については、今後、協議をしてまいります。

 そして、それ以外の地域についても、様々な支援、応急仮設住宅や災害公営住宅の整備ですとか、被災者生活再建支援金の支給、これは当然あります。また、社会福祉協議会による生活福祉資金貸付けの特例措置、こういった支援、必要な支援を行ってまいりたいと考えます。

玉木委員 総理、石川県内についてはほかも話し合ってということだったんですが、新潟県、富山県も対象になり得るということですか。ここは明確にお答えください。

岸田内閣総理大臣 現状、石川県と協議を行っております。

玉木委員 石川県のことを聞いていなくて、新潟県と富山県のことを聞いているので。支援対象になりますか、プラス三百万。

岸田内閣総理大臣 新潟県、富山県については、先ほど申し上げたように、この支援金の対象とならないということで、別途様々な支援を用意していきたいと考えています。

玉木委員 冷たいですよ、それは。

 ある行政区画の人はやるけれども、隣の県で同じように被害を受けていますよね、全壊、その人は支援しないという理由が分かりません。それはやはり、被害を受けた人に着目して、寄り添って支援をすべきではないですか。

 今、しないという答弁をいただきましたけれども、そこは改めて、総理、考え直していただくことを強く求めたいと思います。

 次に、トリガー条項発動によるガソリン減税について伺います。

 先週の二月二日も実務者協議があって、その場で自民党の協議担当者の方から、能登半島地震があったのでトリガーの発動ができないような趣旨の発言があったと聞いておりますが、私、これはへ理屈だと思います。できない理由に被災地を利用しないでもらいたいと思います。

 被災地は車を使う方もたくさんいらっしゃるので、むしろ、被災地は時限的にガソリンを無料にするぐらいの政治的判断を私はすべきではないかと思います。

 そもそも、このトリガーの協議ですけれども、総理、覚えていらっしゃると思います。去年の十一月二十二日にこの場で総理と、協議をし、再びトリガーの発動に向けた協議を三党でやろうということで、総理からも、政策担当者である政調会長に、あの十一月二十二日のうちに、当時の萩生田政調会長に指示を出していただきました。

 ですから、私は、今回はできると思いましたし、この協議に期待しておったんですけれども、しかし、今日も話題となっている裏金問題で萩生田さんは辞任をして、後任もなかなか決まらないで、正直、二か月、時間を浪費したと思っています。

 四月末で、この石油元売各社に対して補助を出してガソリンを引き下げるという今のやり方は終わることになっていますね。五月一日以降は何もないんですよ。今のままいくと、ガソリンは上がりますよ、ないですから。何もないんですよ。

 だから、出口戦略の一環としても、この会計検査院や財務省にも指摘をされた補助金による値下げではなくて、シンプルに、一〇〇%その恩恵がユーザーに行く減税措置に移行すべきではないかということで、我々もトリガーの発動ということを提案をしてきたわけであります。

 法律の改正が必要になりますから、今月中に法律を出して、年度内に通して、周知期間を置いてやっと五月一日に間に合うので、もう今日にも総理が政治判断をしていただかないと間に合わないんですね。

 改めて、この暫定税率、当分の間税率の話をしますと、ガソリンは高いんですが、ガソリンが高いんじゃなくて、ガソリンにかかっている税金が高いんですね。そのうち暫定税率というのは、今レギュラーガソリン、二十五円十銭ですけれども、これは元々、昨日NHKで田中角栄さんをやっていましたが、最初、二年間だけ、道路を整備するために特定財源として入れられたんですが、今年で見事五十周年ですよ。

 そもそも、こういうごまかしごまかしでやってきたことをもう変えるときに来ているということと、やはり、ガソリンが高いということについて、シンプルに減税をしていくということが必要なのではないかということで、もうずっとこれは求めてきたわけであります。

 総理、改めて伺います。

 五月からトリガーに移行していくということであれば、もう今日にも総理の判断が必要だと思いますが、このトリガーの発動、やりませんか。

岸田内閣総理大臣 中小企業や地方における賃上げや、被災地における生活、なりわい再生のためにも燃油価格の安定が不可欠、こういった考え方については御党と共有できていると認識をいたしております。この激変緩和措置の出口戦略について、結論を三党の検討チームにおいて出していきたいと考えております。

 何か資料をいただきました。これは今までの提案とまた違う数字が入っているような気がいたしますが、こういった提案をいただいたのであるならば、三党の検討チームにおいて是非検討をさせたいと考えます。

玉木委員 総理、ずっとやってきた一つのネックは、ガソリンスタンドとか石油元売各社の実務面で難しいのでできないということが実務者協議でも言われていますが、これは、大塚政調会長が実務者でやってきたときから、一定の我々としては考え方を示しているんですね。

 どういうことかということで、ちょっと簡単に言いますけれども、三番目を見ていただきたいんですが、ちょっと特徴的な税金になっていまして、石油元売各社がガソリンスタンドに出荷する時点で課税して出すので、税金の乗っかった高い仕入れをするんです。それが、例えばある時期を起点にして減税しますとなったら、高く仕入れたやつを安く売らなきゃいけないので損が生じる、この損が生じる部分について税務署に還付申請できる、こういう実は法制度、現行、法制度があるわけです。その仕組みが凍結されているということなので、凍結を解除しましょう。

 これがなかなか難しいんじゃないかというんですが、かつては確かにそうでした。ただ、今は、四番目を見ていただきたいんですが、補助金制度が入っていますので、この二十五円十銭分の損はもうないんですね。

 というか、元々、元売各社が補助金を受けて安くなったものを卸しているので、その二十五円十銭分の損が、仮に発動しても生じなくて、今だと二十一円四十銭の補助が出ているので、減税した場合の二十五円十銭とは三円七十銭の差しかないんです。だから、がたんと下がらないし、損も少ないので、いわゆる流通への影響もそもそもないということと、仮に、この三円七十銭、約四円分を税務署に還付申請するのが面倒くさいということであれば、この四円分の還付申請を追加の補助金の交付に代えると法律に一本読替規定を入れれば、今の補助金の仕組みを使って全部できます。だから、新たな事務負担は、少なくともガソリンスタンドには生じません。

 だから、何が言いたいかというと、いろいろなやり方がほかにもあります。現場の実務上の問題点をクリアする方法は、補助金を組み合わせたりしたら幾らでもあります。要はやるかやらないかなんです、総理。やるかやらないかということを決めれば、実務的には、それこそ頭のいい財務省がいろいろ考えてくれますから。心配ないんです。

 ただ、私は、このままいくと、まず、五月一日以降は何もなくなって、どんとガソリンが上がっていいのかということと、結局、補助金を延長するということになると、検査院や財務省から指摘されているような税金の無駄遣いがまた生じてしまう、また、カーボンニュートラルの観点からも補助金を続けるのはどうなんだと。トリガーのいいところは、やめる基準が明確に法定されているから、政治的な恣意性によって、選挙が近いから続けるとかそういうことじゃなくて、やめるときはやめるというのがルール化されているので、こちらに移行した方がいいんじゃないかということを申し上げているんです。

 総理、改めて伺います。

 もうこれは、総理がやると決めれば、事務手続についての問題はクリアできます。必要なのは総理の政治決断なんです。派閥の解消の決断はできたんですから、国民のためのトリガー発動の決断を今日ここで総理に求めたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 燃油価格の安定が重要だという点、これは御指摘のとおりであります。

 そして、今、御提案、これは新たな御提案だと理解いたします。これについて協議をいたします。

玉木委員 総理、私はこれを一つの例として示したので、やり方はいっぱいあるんですけれども、大事なことは、やるかやらないかを決めることなんですよ。そうなんですよ、総理。

 五月からトリガーが実施のめどが立たないということであれば、私はもうこれ以上協議しても意味がないと思っています。国民民主党としても協議の離脱を決断せざるを得ないと思っています。

 私は、いろいろあっても自民党という政党は公党間の約束は守る政党だと思っています。我々もいろいろあったけれども、補正予算も賛成しました。一つ一つの信頼の中でこれまでやってきたと思っていますし、総理が当日に萩生田政調会長に指示を出したことを私は高く評価しました。総理も本気だと思いましたから。

 その中で、ただ、いろいろなことがこの二か月あって、進まなくなってしまったことは残念です。裏金問題で政策どころではなくなっているのは極めて残念だし、悔しいです、正直申し上げて。もっといろいろな議論ができたはずだし、もっと膝詰めで具体的な案も検討できたはずなんですが、この二か月、正直、総理の頭の中は裏金問題でいっぱいだったと思います。ただ、五月一日という、四月で終わってしまうという期限が迫っているので、これはやはり政治が決めなきゃいけないんですね。

 だから、改めて、これは今日、総理、五月一日以降、五月以降ですね、トリガー発動による減税で補助金に代えて対応するということを是非御決断いただけませんか。改めてお願いします。

岸田内閣総理大臣 五月以降の燃油価格の安定、重要である、同感であります。そのために今日も新しい御提案をいただきました。これは、事務処理は大丈夫だとおっしゃいますが、今までの議論を振り返りますと、事務的な対応が可能かというのも大きな論点であったのも事実であります。

 しかし、新しい提案をいただいたわけですから、至急検討いたします。

玉木委員 我々国民民主党は、政策本位で、対決より解決です。これはこれからも変わりません。ただ、その前提は、正直な政治がきちんと担保されていることなんですね。今、その前提が残念ながら大きく揺らいでいるし、信頼なくして政策の推進はできないと私は思います。今回の裏金問題はその意味でも極めて残念、このことは改めて申し上げたいと思います。

 その上で、総理にこの裏金問題について伺いますが、今回、自民党が出したあのアンケート、あれは何なんですかね。二問だけ聞いて、裏金があるかないか、幾らかということだけ聞いても真相解明にならないですよ。つまり、使い道は何にしたのか、どういう経緯で裏金をつくるようになったか、多分、国民の多くも知りたいのはそこなんですが、あのアンケートを幾ら積み重ねても答えは出てこないと思います。

 ちょっとパネルを見てもらいたい。

 アメリカは、有名なウォーターゲート事件の後、第三者機関を立ち上げて、連邦選挙委員会、これは、常時政治家の収支報告書を監視していて、会計監査や刑事告発の権限も持っています。

 やはり、自分で調査してもお手盛りだし、現に甘いんですよ。政治刷新本部が出した中間取りまとめも生ぬるいですよね。だから、我が国でも、調査権やあるいは制度改正についての提案権を持った第三者機関を設置すべきではないですか、総理。もう自民党の調査には限界があると思います。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 我が国の政治資金規正に関する仕組みは、総務省及び都道府県の選挙管理委員会において、政治団体から政治資金収支報告書の提出を受け、形式審査を行った上で毎年公表する、こういった仕組みになっています。

 御指摘の米国では、アメリカ連邦選挙委員会において、収支報告の公開や法令遵守の確保等の総括を行っており、収支報告書に問題を発見した場合には会計監査や現地調査などの実質的調査権を有している、このように理解をしています。こうした独立した機関を設置する、これは、まさに政治活動の自由との関連において、各党各派において議論を行っていく課題であると思います。

 自民党も、こうした提案を受けてどう考えるのか、議論に貢献をしてまいります。

玉木委員 野党各党からも、また令和臨調からも、この第三者機関の設置は提言が出ていますので、これは自民党も是非、今回、前向きに考えてください。是非これはやりましょう。このことを申し上げたいと思います。

 最後に、正直な政治を貫くという観点からいうと不正直なことがあるので伺いますが、子育て支援のための一兆円の支援金制度であります。

 これは、総理、端的にお答えいただきたいんですが、実質的な負担が生じないということについていろいろ質疑がありますが、一人当たり五百円弱ということなんですが、これは国民一人当たりの話は余り意味がないんですよ。被保険者として負担している人が実際どれだけ増えるのか、これが知りたいんです。

 例えば、たばこ税を増税するといったときに、その増税負担が国民一人当たり幾らですかと聞かれても意味がないんですよ。たばこを吸っている人の負担を聞きたいから。

 だから、被保険者、特に、これは保険料を負担する被保険者一人当たりの負担額を、協会けんぽ、組合健保、市町村国保、保険者ごとにちゃんと説明してください。それを国民にちゃんと明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 加入者一人当たり平均月五百円弱を見込んでいるという粗い試算について、今日明らかにさせていただきました。そして、委員おっしゃるように、保険の種類あるいは収入によってこの影響は様々だという点、これは御指摘のとおりだと思います。

 ですから、粗い試算は今日明らかにいたしましたが、具体的な制度については、法案の審議までに政府としても整理をした上で議論に供したいということを申し上げております。

玉木委員 これは速やかに出してください。

 日本総研の西沢理事が出している試算だと、協会けんぽで年一万二千三百円、健保組合で一万七千六百六十四円、共済組合で一万九千六百四十四円と、二万円弱、一万円から二万円ぐらい、年間の負担なので、これは結構大きいですよ。

 総理、これは、実質的な負担がなくなる、一人当たり年間何万円も増えて実質的負担がなくなるというのは、意味が分からないんですよね。これを、一つは、賃上げがあるので分母が増えるので率は変わらないというんですけれども、こういった負担が実質負担にならないための賃上げは、一体どれぐらいを見越しているんですか。

岸田内閣総理大臣 今紹介された金額については、これは今、数字をいきなり言われて、その根拠等、確認するすべはありませんが、政府としての考え方は今日の朝から申し上げております。一人当たり約五百円弱という数字を申し上げております。これを基礎としながら具体的な制度設計を進めてまいります。

玉木委員 賃上げがどれぐらいあったら実質負担が減るのか。逆に言うと、賃上げがなければ実質負担があるということですよね。それは間違いないですよね。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、賃上げと歳出改革、この両方を活用することによって社会保険負担の軽減の効果を起こし、その部分で支援金の措置を準備する、こういった形で全体として実質的な負担を生じさせない、このように説明しております。

玉木委員 だから、実質的な負担が生じない賃上げ率は幾らかと聞いているんですよ。だって、それがなければ、これは絵に描いた餅ですよ、文字どおり。絵に描いた賃上げになるんですよ。だから、それを知りたいんですよ。そこが達成できないと実質増えるなと思うので、これは、総理、実質増税と言ってもいいような内容なので、きちんと丁寧に説明すべきです。

 ですから、さっきの保険者ごとの負担と、それと、必要とされる賃上げ率を是非委員会に提出を求めたいと思います。

 最後に。

 そもそも、今の保険料負担というのは、普通なら、入っている人たちの病気やけがのためにみんな保険料を払うんですが、他の保険者の、例えば前期医療制度の調整金であるとか後期高齢者医療制度のために払っているんですよ。ある種、目的外使用が蔓延している中で、更に新たな目的外使用の社会保険料アップは、これは反対です。これ以上、現役世代の社会保険料負担を上げてしまうと、明らかに少子化にマイナスになってしまいますから、こういうごまかしは是非やめていただきたい。

 最後に、時間をいただいた立憲民主党さんにも感謝を申し上げまして、そして、誠実な、正直な政治を貫いていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

小野寺委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 立憲民主党さんにお時間を譲っていただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、我が会派としても、能登半島の地震で亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げ、被災者の皆様には心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 大変な状況だと思いますので、政府に対しましては、早急に復旧を遂げられるよう支援を強く求めたいというふうに思います。

 それで、一言、いわゆる裏金問題についても言及せざるを得ないんですが、議論が、派閥の話とか政治資金規正法の改正とか、いろいろ拡散をしておりますけれども、これは、政治資金規正法にはっきりと不記載は罪だと書いてあるんですよ。これを守らない議員がいることが問題なんですよ。赤信号を渡った人が悪いのであって、信号が悪いわけじゃないんです。

 だから、皆さん、恥ずかしい話ですよ、法律でがんじがらめにしなければ守れないという話は。しかし、あえて抑止効果を高めるのであれば、罰則強化とか連座制とか、こういうことを検討せざるを得ないというふうに思います。

 いずれにせよ、有志の会としても、各党と連携をして政治不信の払拭に奮闘してまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 質問に入りますけれども、総理、昨年もこの委員会でお話ししましたけれども、我が国の国土が中国勢によって静かに侵食されています。

 最初の一ページ目の資料を御覧いただきますと、私、去年は知らなかったんですが、中国との投資条約でRCEPというのがありますが、ここにはっきりと書いてあります。我が国の土地の取得又は賃貸借を禁止し、又は制限することができると。これは中国も認めているわけですよ。その根拠法として外国人土地法というものがあると。

 ですから、総理、問題は、肝腎の外国人土地法というのが整備されていなくて、全く使い物にならないんです。これはやはり、日本の国として、中国に対して意思表示を明確にしているわけですよ、場合によっては土地規制しまっせと。ところが、実際のその法律というのは、運用できないような、しかも改正もしようとしていないような状況なので、総理、やはりこれは全面改正を含めて実効あらしめるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 RCEPの留保の根拠法であります外国人土地法、これを改正すべきだという御指摘でありますが、この外国人土地法は、大正十四年に大日本帝国憲法下で制定された法律であり、一定の場合に外国人の土地取得等を政令で制限できる、これを規定しています。

 他方で、同法では、外国人の土地取得等に対する制限を政令に包括的、白紙的に委任しており、憲法に違反するおそれがあること等を指摘されているため、その政令を制定することは困難である、このように考えられています。

 一般論として、法令で、特定の行政目的に基づき一定の範囲で外国人の土地取得等を制限すること、これは考え得ることでありますが、必要かどうかを含め、まず実情を把握したいと考えます。

北神委員 古いのは重々知っていますし、憲法七十三条六号にも抵触する可能性があるということも分かります。しかし、このRCEPで、少なくとも、これは二〇二〇年だったと思いますけれども、意思表示をしているわけですよ、土地規制をやることもありますよと。しかし、それをやれない、空鉄砲なわけですよ。

 だから、別に政令を制定しろと言っているわけじゃないので、全面改正なり、何らかの工夫をしないと、中国に対しては、ある意味では、宣告しておきながら、自分たちはその裏づけというものに対して何の準備もしていないという状況なので、何らかの形でやはり土地規制ができるようにすべきではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 問題意識は共有いたします。そのためにどういった対応が必要なのか、これを考える意味で、実情把握を行ってまいります。

北神委員 昨年も検討するというふうにおっしゃっていただいたので、もう一年たちますし、二〇二〇年の頃からもう四年たっているわけですから、本当に、早く具体的に検討するよう、強く要請したいというふうに思います。

 法律は、もちろん憲法との整合性というのは大事です。それから、もちろんWTOのGATSとの整合性というのもあると思いますけれども、一点だけ皆さんに御紹介したいのは、資料の二ですけれども、GATSの方では内外無差別で留保していない、だから今まで役所は何も制限できないという話だったんですが、調べると、シンガポールとかインド、これは全く留保をつけていないんです。日本と同じように内外無差別なんです。ところが、シンガポールなんかは、土地付一戸建て、バツ、コンドミニアムしか外国資本は買えない、しかも、コンドミニアムは、一般のシンガポールの国民と違って、購入価格の六割という加算印紙税というのを外国人のみに課している。インドの方は、非居住者は禁止、居住者でも投資目的は禁止。

 これはどういうことかというと、日本は、我々は真面目なんです、四角四面に法律を読んだり条約を読んだりして。だから、こんな条文に反するようなことはできない。しかし、これらの国は、場合によっては、WTOで提訴をされたときに、GATSの条約には例外規定、一般例外規定とか安全保障の例外規定というのがあるので、こういうことを根拠に闘うんだと。多分、日本の政府は、特に外務省さんなんかは、訴訟されること自体がかなわぬということだと思います。

 しかし、そんなことを臆する必要はないんです。中国は我々に対して何をしてきたんですか。そうでしょう。無実の日本人が中国でどんどん反スパイ法で勝手に監禁されたり。だから、分かりますよ、戦略的互恵関係、それはそれですばらしいことです。しかし、ちゃんと中国とも闘うところは闘わないといけないということを申し上げたいというふうに思います。

 次の質問に入りたいというふうに思いますけれども、規制以前の問題として、外国人がどのぐらい日本の不動産を買っているのか全く把握していないんです。

 今、京都とか東京の不動産価格が高騰している。これは私の推測ですよ、推測ですけれども、これは恐らく中国人の爆買いというものも影響しているのではないかというふうに思います。ところが、国土交通省に、数字を見せてくれ、どのぐらい外国人は日本の不動産を買っているのかというのを聞くと、いや、そんな数字はないということを言うんです。

 しかし、韓国もイギリスもカナダも、諸外国はみんな外国人のそういうデータというのは持っているんです。だから、少なくとも、分かりませんよ、私は推測で語っていますけれども、この不動産価格の高騰にもしつながっているのであれば、やはりこれは日本の国民の住宅確保を優先すべきではないでしょうか。

 そういう意味では、その分析をするための数字というものを、総理、やはりこれを調査して出すべきではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のとおり、近年、マンション価格が上昇傾向にありますが、その背景には、建設資材費、労務費等の上昇による建設コストの高騰など、様々な要因があると認識しています。

 住まいは生活の基盤であり、購入者が日本人か外国人かにかかわらず、投機的な取引は好ましくなく、住宅政策として、本邦居住者の実需に基づく様々なニーズに応えた施策を推進すること、これは必要なことであります。

 いずれにせよ、住宅ローン控除や長期固定型の住宅ローンの提供等による住宅取得負担の軽減を通じて、人々が安心して住宅を確保できる環境整備に取り組んでまいります。

 御指摘のように、外国人による不動産等の購入実態の把握については、国際法上の内外無差別の原則等に照らして慎重であるべきだとは考えますが、まずは、重要土地等調査法に基づく重要施設周辺の土地等の把握、これを適切に進めたいと考えます。

北神委員 いろいろな論点がありますけれども、まず、重要土地等調査法、別にこれを否定するつもりはございません。しかし、これは取引規制ではなく利用規制です。だから、例えば、今、高市大臣が頑張っていろいろなところを指定していますけれども、防衛施設の周りとか離島とか国境とか、そういったところしか指定できないわけですよね。そういう意味で、例えば、去年なんかでも、夏頃だったと思いますけれども、宮崎県で東京ドーム百五十個分ぐらいの山林が中国資本に買われています。こういうことは止められないわけです、重要土地等調査法では。

 だから、それが大したことないという判断であればいいんですよ、別に。買われている水源があるけれども、まあいいやん、中国人もいい人たちやという考えだったらいいんですよ。でも、先ほどおっしゃったように、危機感、問題意識を共有していただけるのであれば、やはりこれはきちっと土地規制というものをやるべきだというふうに思います。

 外国人の不動産実態を把握しているというのは、内外無差別と私は恐らく関係ないと思います。イギリスもやっていますし、韓国もやっていますし、カナダもやっていますしね。みんなやっていますよ。それは情報を把握するだけの話なので、何もそれで差別するとかそんな話じゃないので、全然問題ないというふうに思います。

 もっと言うと、外国人は、非居住者だったらパスポートを出さないといけないですよね、買うときに。だから把握できます。居住者は住民票というものを提出しないといけない。ここにちゃんと国籍というものがあるんです。だから、国土交通省は、大変な作業だとは思いますけれども、事の重要性に鑑みて、やはりちゃんと統計を整備するべきだというふうに思います。

 もう時間がないですから、総理からも、是非そういう思いでやっていただければというふうに思っています。

 マンションの資材価格の高騰という話がありましたが、この資料三で分かるように、例えば、京都なんかは一五%、伸び率が直近の数字で上がっています。これは、今まで高いので、更に一五%上がっているということで、京都の若い人たちが、もう不動産を買えない、ほかの自治体に流出して、人口流出の現象が発生しています。

 東京二十三区、資材価格の高騰で何で二十三区だけがこんなに伸び率が高いのかということが問題なんですよ。首都圏の神奈川も埼玉も大して上がっていません。近畿圏もたったの〇・七%です。みんな資材価格の高騰の影響を受けているはずですよ。

 恐らく、これも推測ですよ、数字を出してくれないから分かりませんけれども、東京二十三区における中国人の在留人口数が急増しています。一番マンションの多い江東区なんかでは今、一万五千人います。ここ港区、港区では、前年比で三一%、中国人は増えています。千代田区では二七%増えています。だから、分かりませんよ、でも、相関関係がある可能性はあるというふうに思います。

 だから、そういうことをやはり調査すべきではないでしょうか。これを強く申し上げたいというふうに思います。

 最後の質問ですけれども……(発言する者あり)中古マンションにも波及してくるんです、こういうのは。だから今、もちろん、タワーマンションだから庶民に関係ないとかいう議論がありますけれども、これはいずれ波及してきますから。今、実質賃金がどんどん下がっていって、一般的な物価が上がっている中で、衣食住の住ですから、これは。単なる商品じゃないんですよ。だから、そういう意味では、国としてやはり国民を優先すべきだというふうに思います。

 最後に、経営・管理ビザ。

 これは、何で中国人が増えているのかということなんですが、経営・管理ビザの取得状況を見ますと、累積でいうと、上のところですけれども、大体半分ぐらいなんですね。下の表ですけれども、最初の頃は半分ぐらい取得者が新規で入ってきたんですが、最近の数字で見ると七割ぐらい中国人になっているというふうに思います。

 この経営・管理ビザを、次の資料を見ていただきますと、取得条件が各国に比べて甘い。日本なんかは、取得条件、一番右の方ですけれども、五百万円以上、見せ金を出したら、ビザを取得して、家族も子供さんもみんな日本に住むことができる。アメリカなんかは、類似の投資駐在員ビザなんかを見ますと、三千万円から四千四百万円。オーストラリアの事業ビザを見ますと、千九百四十万円から四千八百五十万円。シンガポール、これは投資ですけれども、十一億円。ちょっと緩いんじゃないかというふうに思います。

 当初の目的はよく分かります、外国の人材を入れたいと。しかし、もし仮に不動産価格が高騰しているのが中国人の爆買いによるという分析ができるのであれば、一つの方法として、これを厳格化するということを申し上げたいというふうに思います。

 総理、もう時間がないので答弁は結構ですけれども、これについては。

 ただ、申し上げたいのは、いろいろな方法があると思います。クオータ制というか、ある程度、国籍によって均衡を保っていくというビザの出し方というのもあるというふうに思います。

 問題は、何でこの話をしているかというと、カナダなんかは二年前に、バンクーバーとかトロントとか、同じように中国の不動産投資によって地元のカナダの人たちが住めなくなったんですね。カナダの政府は、国民を優先して、法律で二年、暫定的ですけれども、二年間は外国人には売ってはいけない、取得禁止という法律を出しています。

 日本は法律がないんだから、皆さんが作ってくれないから。だから、一つの方法としては、いわゆる経営・管理ビザの条件の厳格化という方法がある、そういう提案を申し上げるということでございます。

 最後になりますけれども、総理、いろいろ言いましたけれども、私の問題意識は二つございます。

 一つは、住宅政策で、外国人も結構ですけれども、やはり、国民の住宅の確保というものを優先してほしい。

 もう一つは、国家安全保障の話で、私も、政治家としては中道やや左ぐらいの議員ですよ。だから、私は別に、中国人一人一人が悪意を持っているとは思いません。思いませんけれども、独裁国家の下で、民間人といえども中国共産党の手先にいつ何どきでもなり得るんです。そういう人たちが我が国の国土を大量に買ったりマンションを大量に買っていることが安全保障上大丈夫なのかという、それを申し上げたいというふうに思います。

 もう一つ、たしか国土利用計画法という法律があります。これは、土地規制なんかを通じて国土を計画的、総合的に、いかに利用していくべきかということを定めている法律です。

 その第二条にこう書いてあるんです。国土の利用は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であるとともに、生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることに鑑み、公共の福祉を優先させると基本理念は言っているんです。

 しかし、総理、日本は現状そうなっていますか。そうでしょう。国民のための限られた資源であるという認識は共有されているんでしょうか。それを強く申し上げたいというふうに思います。

 私が何か、深夜、パソコンの青白い光を浴びながら、SNSで何か想像力をたくましくしているように思われるかもしれませんけれども、これはイギリスの議会でもはっきり、また見せますよ、中国に警鐘を鳴らす報告書を発表しています。

 それを読み上げますと、中国共産党は、あらゆる国家機関、日本でいうと行政機関ですね、あらゆる企業、あらゆる市民を組み入れている、あるいは組み込んでいるということを再度強調しています。国家ぐるみのアプローチということも表現として使っています。だから決して私の妄想ではない。イギリスの議会でも、こういう委員会ですよ、国家情報安全保障委員会というところですから、だからそういうこともあるということです。

 もう時間ですか。

小野寺委員長 もう過ぎました。

北神委員 過ぎた。ごめん。

 そうしたら、最後に、国家というのは、国民、政府、国土によって、この三つの要素で成り立っているんです。その大事な国土を守るために、国家安全保障の観点、そして国民の住宅を確保する観点から、土地規制を早く実行していただくよう強く要求して、質問を終わります。失礼しました。

小野寺委員長 これにて北神君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明七日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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