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第5号 令和6年2月7日(水曜日)

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令和六年二月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      あかま二郎君    井出 庸生君

      井上 貴博君    伊東 良孝君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    小林 史明君

      後藤 茂之君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    平  将明君

      塚田 一郎君    中川 郁子君

      中村 裕之君    永岡 桂子君

      葉梨 康弘君    平口  洋君

      平沢 勝栄君    藤井比早之君

      古川  康君    古屋 圭司君

      細田 健一君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    山本 有二君

      若林 健太君    渡辺 博道君

      井坂 信彦君    石川 香織君

      梅谷  守君    大西 健介君

      小山 展弘君    後藤 祐一君

      坂本祐之輔君    階   猛君

      堤 かなめ君    西村智奈美君

      山岸 一生君    湯原 俊二君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      市村浩一郎君    奥下 剛光君

      斎藤アレックス君    林  佑美君

      堀場 幸子君    赤羽 一嘉君

      大口 善徳君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君    笠井  亮君

      宮本  徹君    田中  健君

      緒方林太郎君    吉良 州司君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル行財政改革担当)

   (デジタル田園都市国家構想担当)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (スタートアップ担当)

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)    自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   最高裁判所事務総局家庭局長            馬渡 直史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         大森 一顕君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡田 恵子君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         上村 昌博君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           田中 利則君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月七日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     葉梨 康弘君

  越智 隆雄君     中川 郁子君

  田中 和徳君     あかま二郎君

  宮路 拓馬君     永岡 桂子君

  山本 有二君     中村 裕之君

  若林 健太君     小林 史明君

  石川 香織君     坂本祐之輔君

  大西 健介君     湯原 俊二君

  階   猛君     堤 かなめ君

  山岸 一生君     西村智奈美君

  米山 隆一君     後藤 祐一君

  奥下 剛光君     堀場 幸子君

  林  佑美君     斎藤アレックス君

  赤羽 一嘉君     大口 善徳君

  宮本  徹君     笠井  亮君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     井上 貴博君

  小林 史明君     若林 健太君

  中川 郁子君     小田原 潔君

  中村 裕之君     細田 健一君

  永岡 桂子君     宮路 拓馬君

  葉梨 康弘君     古川  康君

  後藤 祐一君     米山 隆一君

  坂本祐之輔君     石川 香織君

  堤 かなめ君     階   猛君

  西村智奈美君     山岸 一生君

  湯原 俊二君     大西 健介君

  斎藤アレックス君   林  佑美君

  堀場 幸子君     市村浩一郎君

  大口 善徳君     赤羽 一嘉君

  笠井  亮君     宮本  徹君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     田中 和徳君

  小田原 潔君     藤井比早之君

  古川  康君     平口  洋君

  細田 健一君     田所 嘉徳君

  市村浩一郎君     奥下 剛光君

同日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     山本 有二君

  平口  洋君     伊藤 達也君

  藤井比早之君     越智 隆雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中溝和孝君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官大森一顕君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府男女共同参画局長岡田恵子君、警察庁刑事局長渡邊国佳君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁支援局長吉住啓作君、総務省自治行政局長山野謙君、法務省民事局長竹内努君、法務省刑事局長松下裕子君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省初等中等教育局長矢野和彦君、文部科学省高等教育局長池田貴城君、文化庁次長合田哲雄君、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上村昌博君、国土交通省水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、防衛省統合幕僚監部総括官田中利則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局家庭局長馬渡直史君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。永岡桂子さん。

永岡委員 おはようございます。自由民主党、茨城七区の永岡桂子でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして誠にありがとうございます。それでは、よろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、能登半島地震で亡くなった皆様方にお悔やみを申し上げまして、そして、被災をされた全ての方にお見舞いを申し上げます。

 昨年五月のG7の富山・金沢教育大臣会合では、富山県の新田知事、そして石川県の馳知事に大変私もお世話になりまして、心を痛めております。被災地のために全力を尽くしたい、そういう私の思いがございますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、私は、お母さんの底力をモットーに政治活動に取り組んでまいりました。子供たちのために何ができるかを常々考えてまいりました。今回の質疑では、そんな困難な状況にあります子供たち、子育て世帯について質問してまいりたいと思っております。

 まず、今、能登半島地震の被災地の子供たちは大変困難な状況に置かれております。

 私の地元の話になりますけれども、茨城県西部地区は九年前の関東・東北豪雨にて被害を受けました。決壊をした鬼怒川の濁流が足下に迫る中、ヘリコプターで救出をされた方も多くいらっしゃいました。あの災害の際、被害を受けた学校園の再開には時間がかかりました。地元の常総市では、小中学校全ての再開には二週間、十四日ほどかかりました。そして、被害の大きかった小学校では、ほかの学校に間借りをして再開をしたというのが現状でございました。久しぶりに登校して、友達にそして学校の先生に会った子供たちというのには笑顔がありました。

 一方、今回の地震におきましては、集団避難のほか、順次登校を開始していらっしゃいます。昨日、輪島市の小中学校七校が輪島高校をお借りして新たに登校を開始したと伺っております。子供たちの学びを止めないために全力を尽くしている関係者の皆様に心より敬意を表します。特に、御自身も被災されていながら、子供たちのために尽力されている現地の学校関係者の皆様、本当にありがたいと思います。

 まだ完全な授業再開とはいかないまでも、子供たちにとって、クラスメートと会うこと、また先生と話ができることというのは、非日常であります災害から日常の生活に戻るための大事なステップだと考えます。

 それでは、お伺いいたします。

 被災地の学校、幼稚園、保育園の現状、課題、子供の居場所も含めまして、精神的ケアも大事でございます。政府の取組はどのように進んでいらっしゃいますでしょうか。盛山大臣、加藤大臣、それぞれお答えをお願いいたします。

盛山国務大臣 前文部科学大臣としていろいろ御配慮いただいていることに、まず心から感謝申し上げます。

 今般の能登半島地震によりまして、現時点で、石川県内の公立学校施設のうち約三百校から被害報告を受けております。現在、これらの学校も含め、石川県内の全ての学校で一定の教育活動を再開しているものの、短縮授業やオンライン学習の実施にとどまるなど、本格的な再開に至っていない学校もいまだございます。

 文部科学省では、これらの学校の本格的な再開に向けて、学校施設の早期復旧を図りつつ、子供の環境に応じた学びの継続を図るため、心のケアなどに必要なスクールカウンセラーの追加派遣のほか、学習指導や生活指導等に必要な教職員の派遣支援や、一人一台端末等の無償貸与や教科書の無償給与への支援、スクールバスによる通学支援、二次避難を検討される保護者への情報提供など、様々な支援を行っているところでございます。

 先ほど議員からも御指摘がありましたように、私も、先日、白山市の白嶺中学校というところへ伺ってまいりましたが、そこで、そこへ集団的に移ってこられている輪島中学校の校長先生から、輪島にいるときにはにこりともしなかった子供たちが、こちらに来ると笑顔が出るようになって大変ありがたい、そういうふうにおっしゃっておられました。やはりお子さんにとっても大変厳しい環境なんだろうと思います。

 そういった言葉を含めて、被災自治体の声を聞きながら、こうした支援に取り組むとともに、子供たちの学習機会の提供支援に向けた取組なども含め、それぞれの環境に応じたきめ細やかな支援を行い、被災地の子供たちを全力で支えてまいりたいと考えております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、保育所、認定こども園についてでございます。

 奥能登地域の四市町の保育所、認定こども園につきましては、現在、いずれの市町でも一部施設が開園し、子供の受入れが少しずつ開始されてきている状況です。

 これまで、こども家庭庁におきましては、奥能登地域に残る方への対応として、休園中の保育所等への財政支援を行うとともに、避難する方への対応として、避難先で転園手続なく利用できることを保護者向けにパンフレットで周知するほか、他の自治体の保育所等への被災した子供たちの受入れ要請や、受け入れた保育所等への財政支援等の取組を進めてきたところでございます。

 さらに、現在は、石川県庁とこども家庭庁共同で、被災した子供の受入れ状況等について実態調査を行っており、この調査の状況も踏まえて、必要な対応を検討してまいります。

 続きまして、居場所づくりや心のケアについてお答えいたします。

 議員御指摘の居場所づくりや心のケアも重要と考えております。このため、居場所づくりの既存事業を活用して、被災した子供の居場所づくりに当たっておられる民間団体に対する支援を行うほか、心のケアにつきましては、被災時の子供の心のケアに関する冊子の周知を関係自治体や関係団体向けに行うとともに、市町村、保育所、学校等と連携しつつ、児童相談所の児童心理司等による子供の心のケアのための専門的な相談支援なども実施しているところでございます。

 引き続き、被災された子供や支援を必要とされる子育て家庭が少しでも不安のない生活を送ることができるよう、被災自治体、関係省庁等と連携して、必要な対応に努めてまいります。

永岡委員 ありがとうございます。

 学校は保育の場ではないものの、子供たちを昼間見てくれるところがあれば、親たちは復旧復興のための作業ですとか仕事に専念できます。是非早期に進めていっていただければと思います。特に、一人親ですとか、障害を抱える親御さんあるいはお子さんなどの場合は、子供のケアに時間が取られてしまうと復旧復興のための作業の面ではやはり不利になります。こちらの御配慮というのも是非よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、学校の校舎についてお聞きいたします。

 災害の被害を受けた被災地は、やはり学校の修復が遅れることがあるという話を聞いております。現場の皆さん方は、目の前の課題として被災者への対応ですとか子供たちの登校再開に注力することで、復旧等に必要な計画の策定にはなかなか時間が割けないのだと思っております。今回も、能登地域の自治体は様々な対応に忙殺されております。

 学校の修復、再建に向けた政府の支援状況はどうなっていらっしゃいますでしょうか。盛山大臣にお聞きいたします。

盛山国務大臣 今般の地震による被害を受けた学校施設の災害復旧につきましては、先月二十五日に被災地を訪問した際、馳知事を始め、被災自治体の皆様の切実な声を直接お伺いしております。

 能登半島地震につきましては、先月十一日付で激甚災害に指定し、復旧に係る補助率のかさ上げを可能としているところですが、あわせて、自治体の負担軽減を図るため、事業申請に係る手続を簡素化するなど、通常より手厚い支援を行っていくこととしております。

 また、技術的な支援を行うため、これまで、応急危険度判定士の派遣や市町とのホットライン窓口の開設等を実施してきたところですが、これらに加えて、今後、学校施設の建て替えの要否を判断する被災度区分判定を行う専門家の派遣等を実施する予定としております。

 今後とも、学校施設の早期復旧を実現するため、自治体の求めに応じた制度説明会、相談会の開催など、被災地に寄り添った支援を行ってまいります。

永岡委員 ありがとうございます。

 自治体からの連絡を待つのではなく、一緒になって取り組んでいるとのことでございます。

 ほかの施設を間借りするということは緊急的な対応としていいと思いますけれども、自分の母校、その思いというのも子供たちにはあるかと思います。通学のしやすさなどもあると思います。子供たちの学びが正常に戻ることができますように、引き続きまして、被災地の子供たちに寄り添った対応をお願いしたいと思っております。

 次の質問に移ります。

 前回、私の国会での質問というのは、一昨年の四月になります、内閣委員会での質問でございました。こども家庭庁設置法案の質疑であったと思っております。自民党の母子寡婦議連、略称ひとり親家庭議連の会長を務めていることもありまして、やはり私は、困難な状況にある子供たちへの支援、すなわち支援部門を中心に、当時の野田大臣に質疑をさせていただいております。

 今無事にこども家庭庁が発足いたしまして、子供、子育て関係政策がどんどんと前へ進んでいる状況がございます。ただ、そういった中だからこそ、特に、困難な状況にある子供、子育て世帯にきちんと支援策を届けなくてはいけないと思います。支援策が適切に御家庭に届いているのかという問題意識を強く持っております。

 例えば、一人親世帯は、仕事をしなければいけない、育児もしなければいけない、家事もしっかりやらなければいけないという、本当に多忙であります。情報へ自らアクセス、そういう時間がもう時間的にないし、また、疲れ果てて、そういう情報にアクセスする気力もなかなかないということもあります。

 そういった御家庭が、子供が高校に入るから様々なお金が必要だけれども、お金の用立てができない、何とかしなきゃと考えるものでございます。時間ばかり過ぎまして、簡単に利用できるものの利息の高い消費者金融、キャッシングですとかカードローンを活用するなどのケースもあると伺っております。

 私の大臣在任中も高等教育の修学支援の多子世帯等への拡充などに取り組んでまいりましたけれども、文科省では、これまで、教育費の負担軽減を切れ目なく実施をし、充実を図ってまいりました。こちらの更なる拡充と併せまして、支援を必要とする方に情報を確実に届けることが重要と考えております。高校はもとより、子供の進路選択が始まります中学校の段階におきまして、給付型奨学金などの経済支援策について、教職員などがしっかり認識する機会が担保されている必要があると思っております。

 そこで、お伺いいたします。

 生活保護世帯など経済的な困難を抱える子供、その保護者、学校の先生などに対しまして、進学のための経済支援策について周知するべきと考えますが、盛山大臣のお考えをお願い申し上げます。

盛山国務大臣 平素より、委員におかれては、いろいろと困難な家庭のお子さん方に対して御配慮いただいていることに心から感謝申し上げます。

 前大臣として御案内のとおりかと思いますが、文部科学省では、義務教育段階修了後も家庭の経済状況にかかわらず安心して教育を受けることができるよう、高校段階やその後の高等教育段階の教育費負担の軽減のための取組を実施しております。

 これらの支援策を十分認識した上で、生徒等が経済的な理由により進学を断念することなく、希望する進路選択ができるよう、高校段階や高等教育段階の修学支援制度について、教育委員会等の関係者に対して周知、広報用の資料を提供しつつ、義務教育段階から丁寧な周知を行うことや、保護者や生徒等と関わることの多い教職員に対しても十分に周知を行い、経済的な支援を必要とする生徒等に助言できる体制を構築することなど、きめ細やかな情報提供に努めていただくよう依頼しているところでございます。

 しかしながら、十分にそういった情報が伝わっていないという御指摘がございます。我々もそれに対しまして十分に対応すべく、引き続き、支援を必要とする方に情報が届くよう積極的な情報発信に努めてまいる所存です。

永岡委員 ありがとうございます。

 文部科学省、そして各自治体で努力をされているということでございますので、引き続きまして、支援が必要な方に届くようしっかりと取組を続けていただければと思っております。

 今は進学のための支援策の話でございましたけれども、我が国の政策の中で、特に子供、子育て政策では、支援策を利用できるかどうかというのがその後の子供たちの人生に大きな影響を与えると思います。そういった重要な転換点が、親、保護者がその情報を知っているかどうかに委ねられてしまうことに私は大変な危機感を感じております。

 デジタル庁から業務を移管されまして、こども家庭庁では、プッシュ型で支援を届けるための実証事業を実施をされていると聞いております。妊婦健診や学校健診、出席状況など様々なデータを連携させまして、この子はどういった支援が必要だとか、この家庭はこういった支援が必要なのではないかとなれば、プッシュ型で支援を届けるということになっております。その経験を踏まえて、ガイドラインを作成し、そして将来に横展開をしていくと伺っております。

 是非これは進めなければいけないと思います。そして、様々な情報を連携させて、危機にある子供たちを見つけて助けるとてもいい取組だと思っております。この事業を踏まえまして、こども家庭庁、プッシュ型で子供、子育て世帯に支援を届けることに関しての説明をお伺いしたいと思います。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 支援が必要な子供や家庭ほどSOSを発すること自体が難しい、また相談支援の情報を知ることも難しい、さらには、知っていたとしても申請が複雑で難しいといった課題がございまして、プッシュ型、さらにはアウトリーチ型の支援が必要であるということは、こども家庭庁といたしましても十分認識をしてございます。

 このため、こども家庭庁におきましては、地方公共団体におきまして、教育や福祉等のデータを分野を超えて連携させ、支援が必要な子供や家庭を早期に把握し、その後のプッシュ型、アウトリーチ型の支援につなげる、そのようなことを狙いとした、こどもデータ連携事業に取り組んでおります。

 具体的には、例えば、兵庫県尼崎市を始め全国十四自治体に御協力をいただきながら、こどもデータ連携について、利用するデータ項目の選定や個人情報の適正な取扱いの在り方、支援への接続方法等に関する課題を洗い出すための実証事業を進めております。また、この実証事業で得られた知見等を基に、今後、ガイドラインを作成し、全国の地方公共団体が参考にできるようにしてまいりたいと考えてございます。

 こども家庭庁といたしましては、プッシュ型、アウトリーチ型支援の強化につながるよう、今後とも、こどもデータ連携の取組を推進してまいります。

永岡委員 ありがとうございます。

 プッシュ型支援は、やはりデジタル化やデータ連携、標準化など様々な課題がございます。それぞれにきちんと対処しなければならず、一朝一夕に実現するようなものではないとは思います。まずは、様々な手続を一本化することによりまして利便性を向上させるということも必要だと思います。

 例えば、死亡届など、亡くなった方の手続の話でございますが、私の地元の茨城県古河市では、令和三年四月からおくやみサポートコーナーというものを設置をいたしまして、関係の手続を一つの窓口で一気通貫に終わらせることができるようになりました。全国の自治体でも同様の取組を進めていると伺っております。

 大事な方を亡くしたときに、つらい気持ちの中で、あの手続はここ、この手続はあそこの窓口、次はどうしようと役所の中をあちこち回るのはやはり大変なことでございます。利用者の皆さんからは、一つの窓口で全て終わり、とても助かったという話も聞こえております。

 子供関係の手続というのは、例えば子供が生まれ、出生届に来た方は、子供の医療ですとか児童手当等、幾つかの手続というものがありまして、その都度申請書に住所や名前を繰り返し書かなくてはなりません。産後すぐで体調が優れないとか、育児、仕事で本当に忙しいという方、又は一人親であったりする方などもいらっしゃいます。そういう場合は、必要な手続の関係で役所に行く時間を捻出できないということもあると思います。

 河野大臣にお伺いいたします。ワンストップ型で行政手続を完結できる自治体窓口DXのような取組の重要性、そして今後どのように広めていくか、お考えをお尋ねいたします。

河野国務大臣 自治体にはもう住民の皆様の様々なデータがございますので、手続のたびに申請書を書いていただくというのは行政側の怠慢と言わざるを得ないんだと思います。

 行政の中のデータをしっかり連携させることで、一々申請書類を書かずとも、本人確認の上で、一つの窓口で手続が完結できる、窓口DXというサービスを、ガバメントクラウド上にデジタル庁として今載せております。これを御利用いただくときには、SaaSを導入する前に自治体の業務の見直しをしていただく必要がございますので、まずは、こうした窓口SaaSを導入をしたいという自治体にアドバイザーを派遣をして、業務の見直しをやっていただいた上でSaaSを導入していただくということをやっております。

 今年一月には、和歌山県の紀の川市、神奈川県茅ケ崎市が導入、書かない窓口、活用を始めました。年度内に十七の自治体が導入し、今、業務見直しのアドバイザー、約九十を超える自治体に派遣をしておりますので、来年度はかなりの数の自治体で導入ができると思いますし、また、デジ田の交付金をこの横展開にも使っていきたいというふうに思っております。

 書かない窓口、全国にしっかり展開できるように頑張ってまいりたいと思っております。

永岡委員 ありがとうございます。

 河野大臣からお答えがありましたワンストップ型、そしてこども家庭庁からお答えのありましたプッシュ型、それぞれの取組を一層進めまして、今年よりも来年、来年よりも再来年と、しっかり進めていただければと思います。特に、子供たち、子育て世帯が必要な支援に簡単にアクセスできるように、いち早く全国の自治体でこれが完了できるように、よろしくお願い申し上げます。

 次に、一人親家庭、低所得子育て世帯など、経済的に困窮する子供たちの生活、学習支援を、こども家庭庁、厚生労働省で実施をしていらっしゃいます。こども家庭庁の政策では、大学受験料、模擬試験受験料を支援をしてくださるとのことで、すばらしいと思っております。

 ただ、こちらの関係とこども家庭庁の政策は全ての自治体での実施という状況ではございません。首長の方や自治体執行部の方に、支援策を実施しても利用者が少ないのではないかという考えも背景にあるのではないでしょうか。

 子供食堂の取組もそうでございましたが、利用する方が引け目や負い目を感じることがあれば問題なのではないかと思っております。困窮や貧困、要支援というような形で周りに周知をされてしまうと、レッテルを貼られてしまうことを懸念をいたしまして、やはり利用しにくくなるということがあると思います。

 私が文部科学大臣でありました当時、担当の児童生徒課の伊藤課長を始め、みんなで相談いたしまして、公募の中から、不登校特例校という名称を学びの多様化学校という名前に変えました。様々な支援策を利用しやすくなるように、制度の周知をしていくことが必要だろうと思っております。

 ここは是非、支援施策を利用しやすくなりますような制度の周知の在り方について、総理、お聞きをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、子どもの学習・生活支援事業等について、必要な方が利用しやすくなるよう周知を行う、こうした努力は重要であると考えます。

 そのため、各自治体において、事業の対象世帯を明示せずに広く周知した上で、支援が必要な生活困窮世帯等に対して、学校等の関係者とも連携しながら、戸別の訪問等のアウトリーチにより利用勧奨する、こういった工夫をしていると承知をしております。

 国としても、地方自治体に対し、事業の周知方法の好事例を共有する、またアウトリーチの促進等を行う、こういったことを通じて、引き続き、支援を利用しやすくするよう取組を進めていきたいと考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 総理におかれましては、引き続きまして、多様な立場にあります方々に寄り添って政策を進めていただくようお願い申し上げます。

 次に、一人親の養育費確保についてお聞きをしたいと思います。

 一人親世帯の相対的貧困率でございますが、二〇二二年調査で四四・五%、一人親の半分近くが相対的貧困となっております。離婚時に発生します養育費の受給に関して言えば、二〇二一年度の調査では、母子家庭は七割の世帯、父子家庭は九割の世帯でもらえていないというのが現状でございます。

 自民党の母子寡婦議連でも養育費問題のPTを設置をいたしまして進めてまいりましたが、法務省では、法テラスを活用して養育費を請求する際の費用の償還免除をこの予算案で実現すると伺っております。こども家庭庁でも、離婚前後の親支援モデル事業におきまして、養育費の受け取りに係る弁護士の成功報酬を一年間負担する取組をすると伺っております。

 離婚前後で様々な葛藤があると思いますけれども、養育費というのは子供の命でございます。子供たちの食費、教育費等、子供が生活するのに当然必要なお金であるわけでございます。養育費確保に向けました強い決意を小泉法務大臣から伺いたいと思います。

小泉国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、養育費の履行確保は子供の健やかな成長のために非常に重要な課題であると考えております。

 お尋ねの民法改正については、法制審議会で現在審議中でありますけれども、同審議会においても、この養育費履行確保の問題は非常に重要なテーマとして熱心な御議論をいただいております。

 その途中経過でありますけれども、同審議会家族法制部会で取りまとめられました要綱案には、養育費に係る債権の履行確保に向けた重要な改正項目が含まれております。具体的には、先取特権の付与、法定養育費の導入、そして、そもそも子供の養育は親の責務だという基本原則も改めて織り込もうとしているところでございます。

 この審議会でこの要綱が採択されまして、答申を受けた場合には、所要の法案を提出するべく速やかに準備を進めていきたいと考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 今国会で民法改正に向けた法律案の提出があると伺っておりますので、いろいろな課題がございますが、何とぞ養育費の確保に向けた政策を法務省を筆頭に、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、一人親の関係でございます。私が取り組んでおります一人親家庭への支援、就業支援につきましてお尋ねいたします。

 一人親世帯の就業状況というのは年々改善傾向にございます。二〇二一年の調査では、母子家庭では八六・三%の家庭で働いていらっしゃる。そして、正規としての就業もおよそ五割に届いております。

 だんだんと要件が緩和されまして、利用しやすくなりました高等職業訓練促進給付金、自立支援教育訓練給付金などを活用いたしまして、仕事に就ける方が増えていると承知をしております。

 しかしながら、それらの制度を利用できる自治体が一〇〇%になっていないというのが問題なのではないかと思っております。なぜうちの自治体では使えないのかということを私も聞かれたことがあるんですね。そのときの市長さんが私は知り合いでございましたので、市長さんに直接頼んで執行してもらったという過去がございます。

 このような課題を解決するため、一人親家庭への就業支援に今後どう取り組んでいくかにつきまして、こども家庭庁に御説明をお願いいたします。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 自立支援教育訓練給付金や高等職業訓練給付金を支給する事業につきましては、九割を超える自治体で実施していただいておりますが、御指摘のとおり、一部の自治体では実施していただけないところです。

 これらの給付金事業は、一人親の方々の資格取得を促進することにより安定した就業につなげる非常に有効な制度です。こども家庭庁としては、四分の三の国庫補助率により自治体における事業の実施を支援しており、また、その内容面についても、来年度予算案において、自立支援教育訓練給付金の給付率の拡充、高等職業訓練促進給付金の対象資格の拡大、児童扶養手当の受給と連動した対象者要件の緩和等を盛り込んでいるところです。

 今般の拡充に当たっても、自治体に対して事業の積極的な活用をお願いする中で、未実施自治体に実施を促してまいります。

永岡委員 ありがとうございます。

 一人親で働きながら子育てをするというのは本当に大変です。どんな状況であっても希望を持って子育てができるようにしなければならない、そういうふうに思っております。本当にこれからも一人親家庭への支援に取り組んでいただければと思っております。

 次に、子供ホスピスの増設について伺いたいと思います。

 超党派のホスピス議連というのがございまして、私は、数年前にその発起人、そして今現在、副会長を務めさせていただいております。

 子供ホスピスは、病気の子供と家族に寄り添いまして、様々な支援、心理的なケアなどを通して、子供たちそしてその家族の居場所となる重要な施設であります。

 利用しようとしましても、所在地が遠くにあるなどで、なかなか、利用したいという方がしにくいという話があります。子供ホスピスの増設に向けました加藤大臣の思いをお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 いわゆる子供ホスピスにつきましては、現在、日本における定義は定まっておらず、その実態やニーズも十分に明らかとなっておりません。また、医療や障害福祉といった既存のサービスとの関連についても整理が必要であると考えております。

 このため、こども家庭庁では、子供ホスピスに関する調査研究を行い、実態把握を進めるとともに、子供の居場所づくりモデル事業の中で、子供ホスピスの取組についても支援をしているところでございます。

 昨年十二月に策定したこども大綱におきましても、子供ホスピスの全国普及に向けた取組を進めることとされており、引き続き、厚生労働省、文部科学省などの関係省庁と緊密に連携をするとともに、当事者や関係団体の御意見を丁寧に伺いながら、子供の視点に立った支援が推進されるよう取り組んでまいります。

永岡委員 ありがとうございます。

 子供ホスピスというものがどういうものかというところからのスタートということで、なかなか先は大変と思いますが、是非御尽力いただければと思います。

 一方で、そもそも治療薬について、小児がんを対象にしたものはなかなかアクセスしにくいというのがあります。ドラッグラグですとかドラッグロスという話がございます。大変進行の早い小児がんなどの病気では、ほかの国では薬が使えるのに日本では使えなくて、海外に渡航したりして使うということもあるようでございます。一日も早い治療薬へのアクセスを期待しております。

 小児がんの患者さん、御家族に届くように、武見厚労大臣のお考えをお願いいたします。

武見国務大臣 この小児がん等の治療薬を含め、ドラッグロスの問題、極めて重要な課題であります。

 具体的に、小児用医薬品の開発を促進し、迅速に薬事承認を行うことがまずもって重要となります。このため、成人用の医薬品の開発時に併せて、企業が小児用の開発計画を策定した場合には、これらの計画をPMDA、薬事承認機構でありますが、が確認する仕組みの構築に取り組むとともに、薬価上の優遇措置を令和六年度から講じることとさせていただいております。

 それから、令和六年度薬価改定で、小児用医薬品を含めて、革新的な医薬品のイノベーションを評価することとしておりまして、その医薬品開発を促進をしてまいります。

 さらに、小児がん等の治療薬の患者のアクセス改善も重要でございますので、国内で未承認の小児がん等の治療薬について、保険外の併用療法の仕組みであります患者申出療養制度の活用が可能となっております。

 具体的には、国立がん研究センターにおいて、小児がん治療薬へのアクセスの改善を目的として、患者申出療養制度を活用して、小児やAYA世代のがん患者に対して未承認薬を投与し、安全性や有効性を評価する臨床研究を本年一月から開始しているところでございます。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 積極的な取組をしていただきますことに感謝を申し上げ、ますます頑張っていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて永岡さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 まず冒頭、能登半島地震でお亡くなりになられた方、御遺族の方に哀悼の意を表させていただきます。そして、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。また、被災者に寄り添い、復旧復興に本当に御尽力していただいている全ての皆様に心から敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。

 元旦、公明党も、党本部、そしてまた石川県、新潟県、富山県、福井県に現地対策本部を設置をさせていただきました。地元の議員さんたちがもう連日のごとく、そしてまた国会議員も現地にお伺いさせていただきまして、様々なお話をお伺いさせていただきました。また、現地とのオンライン会議、あるいは様々、全国からも情報が寄せられまして、そういうことを基に、とにかく被災者の尊厳、そして被災地の復旧復興に全力を公明党としても注いでまいりたい、こういう決意でございます。

 そういう中で、一月の十二日、また二十三日、そのような現場の声を林内閣官房長官にもお届けさせていただきまして、そして、生活となりわいの支援パッケージにも盛り込んでいただいたところでございます。

 二月二日の北国新聞のアンケート調査を拝見いたしますと、二百二十五人の方からのアンケートでございますけれども、五十一名の方、二二・六%の方が、情報不足だということで、きめ細かく情報がお一人お一人に伝わっていないことがやはり避難所において困っていることだということでございますし、また、被災前の生活に戻れるか、これが一番不安だということが、五六%の方がそういう方々でございます。そういう点で、本当に、お一人お一人の人間の尊厳、これをどう確保していくのか、全力を挙げてまいりたいと思う次第でございます。

 そういう中で、発災から五週間以上がたちました。そして、被災されながらも、なりわいの再興に向けて、明日への希望につなげるよう、事業者の方々も動き始めているわけでございます。やはり、なりわいの基盤とも言える、例えば水産業の場合は、地盤が隆起し、また、漁港の損壊によって水揚げが全くできない。あるいは伝統産業では、お店や工房が損壊し、職人の確保等の課題も抱えている。観光業では、能登地域でホテル、旅館が甚大な被害を受け、そして営業できない状況がある。被災自治体も、基盤産業の存続に危機感を持っています。

 皆さん口々に、明確な支援策が分かれば少しでも前進できるとおっしゃっておりまして、一月二十五日、政府が非常災害対策本部で、被災者の生活となりわい支援のためのパッケージについて発表されました。被災四県と連携を密にして、農林水産業、伝統産業、観光業など各種の業種ごとに、また、本当に中小企業や小規模事業者等にもきめ細かく、詳細な支援の内容や申請受付期間などの今後の工程表を明らかにして、被災事業者のニーズに的確に対応できる相談実施体制を構築し、安心してなりわいの再建に挑めるようにすべきだと考えますが、どのように実施するのか、総理にお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の農林水産業、伝統産業、さらには観光業などの地場産業を支える方々に、支援パッケージで掲げたなりわい再建に向けた支援策の情報、これをしっかり届けて、そして活用していただく、これは重要な課題であると認識をいたします。

 早速、各省庁において、被災自治体ですとか関係団体に対して、申請受付期間等の予定も含め、支援策について、被災地やオンラインでの説明会の開催、また相談窓口の開設、こうした取組を行ってもらっています。

 そして、今後、インフラ、ライフラインの復旧が進んでいきますと、まさに生活やなりわいの再建、これが最重要課題となってまいります。被災地、被災者の目線に立って、関係省庁連携をして、被災自治体と密接に協力をしながら、なりわい再建に関する支援策の丁寧な情報発信、そして相談、さらには具体的な受付、こうしたものを行ってまいりたいと考えております。

大口委員 次に、政府が二月一日に令和六年能登半島地震復旧・復興支援本部を立ち上げられて、そして能登地域六市町、珠洲市、能登町、輪島市、穴水町、志賀町、七尾市を中心に、住宅半壊以上の被災をした高齢者、障害者のいる世帯に対し、家財等の再建支援に最大百万円、住宅の再建支援に最大二百万円、合計最大三百万円を目安に給付を行うために、石川県に対する新たな交付金制度を創設すると発表されました。これは、これまでにない施策であると認識をしております。

 この制度については、詳細が明らかになっておりません。六市町の近隣自治体からも、当該自治体が該当するかどうかとか、様々な声が実は上がっております。そこで、以下述べる点について、まず早急に明らかにすべきだと考えております。

 一つは、被災者生活再建支援金の趣旨、目的とどう違うのか。また、地方負担については、現在国負担二分の一となっている被災者生活再建支援制度よりも高い、例えば国負担を五分の四とし、特別交付税措置を行うなど、可能な限り自治体負担を軽減すべきであると考えますが、どうか。そしてまた、対象となる石川県内の六市町と類似の事情の判断基準をどう考えるのか。

 また、半壊であっても、住宅の補修による自力再建が可能となるような十分な支給額を確保すべきではないかと考えておりますが、これについて、総理の見解をお伺いします。

武見国務大臣 所轄ですので、お答えさせていただきます。

 被災者生活再建支援金、これは見舞金の性格であるということが、まず第一に御指摘させていただきます。

 一方で、今般の新たな交付金制度、これは、高齢化が著しく進み、半島という地理的制約から地域コミュニティーの再生が乗り越えるべき課題となります能登地域六市町を中心に、地域の実情に応じた支援を可能とし、地域の福祉の向上に資するよう、高齢者等のいる世帯を対象に最大三百万円を目安とした給付を行うものでございます。

 この対象となる地域につきましては、石川の能登地域六市町、これは、高齢化率が著しく高いこと、それから、半島という地理的な制約があって住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方も多いなど、地域コミュニティーの再生に向けて大変大きな課題があるという実情、特徴に鑑みて対象としているところでございます。石川県内で類似の事情があると認められる地域も、国と県の協議で対象とすることができる制度ということを予定しております。

 また、被災者生活再建支援制度は、国からの補助率が今議員御指摘のとおり二分の一なんですけれども、新たな交付金制度については、委員の御指摘も踏まえまして、可能な限り自治体負担で軽減できるよう、方策について検討してまいりたいと思います。

大口委員 さらに、半壊であっても、住宅の補修による自力再建が可能となるような十分な支給額を確保すべきではないか、この質問をさせていただいていますが、よろしくお願いします。

武見国務大臣 失礼いたしました。

 被災者生活再建支援制度において対象外となっております住宅半壊の被災をした世帯が住宅を補修する場合であっても、自力再建が可能となる水準の支給を受けられるよう、引き続き検討を進めます。

大口委員 このほか、制度の詳細について早急に決定し、発表すべきだと考えます。

 まず、円滑かつ迅速な給付が行われるよう、相談、受付、給付のしっかりとした実施体制を構築すること。また、申請手続については、被災者生活再建支援制度との関係で、できる限り簡素、簡便な方法でやること。また、申請期間を被災者生活再建支援制度と同じにすること、家財等と住宅で同じにすること、分かりやすくすること。また、非課税とすること。また、家財等と自家用車の購入だけでなく、補修や賃借も支援を受けられるようにすること。自家用車は、新車だけでなく中古車も対象とすること。

 対象となっている高齢者、障害者の認定基準日については、今回の震災で障害となった方々も当然含まれると思いますけれども、この障害と災害の因果関係等も丁寧に広く考えること。また、高齢者、障害者がいる世帯について、高齢者、障害者が世帯主である必要はなく、高齢者、障害者と同居している世帯とすること。また、住宅の建設、購入等の名義人や自動車の購入名義人について、高齢者、障害者でなくてもよいとすること。

 こういうことについてお伺いをしたいと思います。

武見国務大臣 新たな交付金制度につきましては、現在、制度の詳細についての検討に着手しているところでございますけれども、委員御指摘のとおり、申請をワンストップで行うということが、窓口対応の工夫なども含めて、極めて重要でございます。被災者の目線に立って、簡便かつ迅速な手続で必要な支援が受けられるようにしたいと考えております。

 また、御指摘いただいた点のうち、自動車の購入については、被災者の実情を踏まえまして、中古車であっても支援の対象とする方向で検討しております。

 このほか、住宅を新築する場合等の名義人の取扱いなど、御指摘いただいた内容、これをしっかりと受け止めまして、早急に制度設計に向けた検討、調整を進めてまいりたいと思います。

大口委員 しっかり現場の声も聞いていただきたいと思います。

 総理にお伺いします。

 新たな交付金制度において、資金の借入れや返済が容易でないと見込まれる高齢者等のいない世帯、若者、子育て世帯についても、高齢者等のいる世帯と同様に当該交付金制度の対象として検討するということでございますけれども、具体的にどういう世帯を想定しているのか。

 また、制度設計に当たって、被災者の置かれている状況を十分に踏まえ、可能な限り幅広く対象とするよう工夫することとともに、柔軟かつ弾力的に運用していただきたいと思いますが、どうでしょうか。

岸田内閣総理大臣 新たな交付金制度の対象世帯ですが、高齢者等のいる世帯のみならず、資金の借入れや返済が容易でないと見込まれるという点で同様の事情を有する高齢者等のいない世帯が、若者、子育て世帯を含めて幅広く含まれるよう、制度設計を進めてまいります。

 新たな交付金制度の対象とならない、資金の借入れが可能な世帯についても、足下の物価、金利情勢を踏まえた住宅融資の金利負担助成など、地域の実情を踏まえたきめ細かな事業を行うことが可能となるよう、その方策について、今、石川県と調整を進めているところであります。

 これらの取組を組み合わせることで、資金の借入れが可能な世帯もそうでない世帯も遜色のない対応を図り、支援が必要な、住宅に被害を被った被災者世帯で取り残される世帯がないように取り組んでいきたいと考えております。

 御指摘のように、地域の実情をしっかり踏まえて、きめ細かな事業が可能となるよう、調整を進めてまいります。

大口委員 総理、幅広くお願いをしたいと思います。やはり若者や子育て世帯の方も、地元離れを防いでコミュニティーの再生をしていかなきゃいけない。そういう点で、思い切って、ここは総理、御決断をいただきたいと思う次第でございます。

 次に、被災地は、今なお三万八千百三十戸の断水が、昨日の段階の数字でございますが、続いております。

 そういう中で、断水の復旧の見込みというものも発表をされております。それこそ点検、補修が進捗した結果、二十九日に七尾市の藤橋供給点まで送水が開始されたということでありますが、三日、我が党の赤羽災害対策総合本部長代理と懇談した茶谷市長が、七尾市内の断水状況については、一月末までに約三三%を通水し、二月末までに八割から九割の復旧を目指す、こうおっしゃっております。

 この七尾市は、やはり奥能登の復旧の支援拠点となるところでございます。そういうことで、本当に、全ての今断水しているところについて、一日も早い復旧を政府を挙げてお願いをしたいと思います。

 そして、やはり上水道が復旧しても、トイレ、風呂、台所、洗面、また洗濯などの汚水を流すために必要な下水関係、また汚水処理の施設について、上水道の復旧状況に遅れることがないように、上下水道一体となった早期復旧が極めて重要でございます。

 この汚水処理施設の早期復旧の取組について、斉藤国交大臣にお伺いをいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 健全な生活環境を取り戻すためには、上水道とともに、下水道を始めとする汚水処理施設の一刻も早い復旧が重要、このように考えております。

 このため、国土交通省では、発災当初から現地に職員を派遣いたしまして、全国の自治体からの応援技術者、日本下水道事業団、管路管理業者などと連携して、関係者一丸となって下水道施設の早期復旧に取り組んでいるところです。

 今後、全国の自治体からの応援技術者の増員や工事従事者の増員など、現地の支援体制の強化を関係団体と連携して更に進めるなど、技術的支援や財政面の支援を行っていくこととしております。

 引き続き、集落排水を所管する農林水産省、浄化槽を所管する環境省と連携しながら、汚水処理施設の早期復旧に向けて、全力を挙げて取り組んでまいります。

大口委員 上下水道一体で復旧をしていくということが極めて大事でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 能登地域六市町の浄化槽は約二万基、合併処理浄化槽の人口普及率は一五・四から二九・七%、平均で一九・九%、これは全国平均の九・五%を大きく上回ります。

 被災した浄化槽の早期復旧を支援するため、財政支援措置により、市町村設置型か個人設置型かにかかわらず、地方負担を最小限にし、自己負担がないよう措置すべきと考えますが、伊藤環境大臣にお伺いします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 浄化槽の復旧については、環境省では、二月中旬にコールセンターを設置し、各家庭からの問合せの受付を一元化してございます。コールセンターから得られる情報のほか、各市町が把握している情報等も集約し、被害の実態把握を整理しつつ、戦略的に復旧を進めてまいりたいと思います。

 環境省では、能登半島地震により被害を受けた浄化槽について、市町村による復旧事業を支援することとしておりまして、国の負担率としては、市町村設置型浄化槽の復旧については、国庫補助率を十分の八にかさ上げしてございます。また、個人設置型浄化槽の復旧については、国庫補助率を三分の一とし、残りの部分についても、地方負担分の最大八〇%までを地方交付税で措置してございます。

 こうした補助メニューによって、市町村設置型の浄化槽のみならず、個人設置型の浄化槽についても、市町村の補助事業と組み合わせることで、個人負担が発生しないよう財政措置を講じているところでございます。

 被災地の健全な生活環境を取り戻すためには、上水道の復旧スケジュールを踏まえて、市町村設置型か個人設置型かにかかわらず、早期の浄化槽復旧が実現できるように、関係省庁とも連携して、今後の具体的な復旧方針について各市町と調整を進めてまいりたい、そういうふうに考えます。

大口委員 次に、被災地では、高齢化率が高く、介護を要する高齢者の方々の避難所等での避難生活が長期化しています。二次避難先や応急仮設住宅等で高齢者が安心して生活ができるよう、福祉ニーズを把握し、必要な支援につなげる取組が重要であります。例えば、東日本大震災の際に導入された福祉仮設住宅などの取組を国として早急に検討すべきと考えます。

 また、介護を要する方を、被災地に支援することと併せて、被災地以外へ移送する広域避難の仕組みも整えなければなりません。そのためには、これまで公明党が要請してきました県外の避難先である介護福祉施設への移送についても、災害救助法の対象として支援すべきと考えます。政府としてどのように対応していくのか。

 また、その際に、災害救助法を担当する県の防災部局と避難先の確保を行う県の福祉部局が緊密に連携をして対応する必要がございます。県への働きかけを行うべきと考えますが、いかがでございましょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、避難生活が長引くことが見込まれる中、被災された高齢者の安心した日常生活を支えるために、支援ニーズに応じた支援体制を整備すること、これは重要な観点です。

 例えば、東日本大震災の際には、応急仮設住宅団地に、高齢者等に対する総合相談やデイサービス機能など、総合的な機能を有するサポート拠点等の設置を促進し、被災地域のニーズに応じた支援の確保、これを図ったところですが、今般の能登半島地震においても、御指摘のような福祉仮設住宅の整備や仮設住宅の建設に併せたサポート拠点等の設置、これを促進してまいります。

 そして、被災された高齢者の方々が一日も早く平穏な生活を取り戻すことができるように、引き続き、自治体や関係省庁が連携して、地域の実情に合った支援に全力で取り組んでまいります。

 そしてもう一つ、介護福祉施設への移送にも御質問が及んだと思います。

 避難生活が長引くことが見込まれる中、被災者の命と健康を守り、災害関連死を防ぐことが特に重要であり、高齢者等の要配慮者に県内外の高齢者施設等へ避難していただく取組、これを進めているわけですが、その際に、県内外への一・五次避難や二次避難によって、介護を要する方が避難先である高齢者施設等に移動する場合においても、当該移動に係る費用が災害救助法上の国庫負担の対象であること、これを明確化したところであります。

 御指摘のとおり、高齢者施設等への移送を円滑に進めるため、災害救助法を担当する県の防災部局と受入先の確保や調整を担う福祉部局が緊密に連携すること、これは重要なポイントであります。引き続き、県と緊密に連携しながら、先ほど申し上げた災害救助法上の国庫負担の取扱いの周知も始め、対応を進めてまいります。

大口委員 文科大臣にお伺いします。

 今、やはり避難所で長い生活が続いている多くの子供たちがいらっしゃいます。今、NPOが現地に入って、安心、安全な子供の居場所づくりに取り組んでおります。こども家庭庁でもやっていただいています。

 そういう中で、文科省が地方公共団体に学校内外の学習支援や体験活動の機会を提供する取組をしています。ただ、被災自治体は、やはり学校の再開でありますとか二次避難の対応で注力されています。また、輪島市におきましては、それこそ昨日、輪島高校に七つの小中学校が再開したわけでありますが、まだ地震前の二割しか来られていないということで、いろいろな様々な対応もしていかなければなりません。

 そういう中で、子供たちに対する学習支援や様々な体験活動の機会を提供する環境を整備することについて、やはり被災自治体の事務負担を軽減するために、国が被災自治体を介さずにNPO等へ直接財政支援をすることによって、被災自治体を支援したり、NPOを含めた多様な主体が参画できるようにしたりすべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。

盛山国務大臣 文部科学省では、これまでもいろいろな支援を行っているところでございますが、現在の大変厳しい環境、通常ではないということを考えますと、被災地の子供たちに対する緊急的な支援の必要性というものは大変高まっているということで、大口議員と認識を同じくするところでございます。

 議員御提案の、被災自治体の事務負担の軽減の観点や石川県からの要望等も含め、必要な環境整備に向けてしっかりと検討を進めていきたいと考えております。

大口委員 被災地は、地域の誇りとなる文化財も多数被害を受けています。輪島市においては、北前船の船主の居住地として栄えた重要伝統的建造物群保存地区や、地区を象徴する重要文化財が被害を受けています。国の重要無形文化財である輪島塗についても、工房、工具に多大な被害が出ていると伺っております。

 文化財は、石川県の伝統産業や観光産業のなりわいを支える文化資源であり、また、富山、新潟などにおいても、重要文化財に指定されている建造物を始めとして、文化財が被害を受けております。そういう点で、被害を受けた有形無形の文化財への支援をしっかりお願いしたいと思います。これは要望です。

 そしてまた、我が党の緊急要望でもございますけれども、やはり、今回につきましても、創造的復興に、文化芸術や地域伝統行事を含む創造的復興に取り組むべきである、こう申し上げております。被災地の復興のためにコミュニティーの団結ときずなが重要であり、その支えとなるよう、文化芸術の力が必要不可欠です。

 有形無形の文化財はもちろん、地域で大事にされてきた伝統的なお祭りへの支援も、被災地の方々が心を一つにして復興に進んでいくため、大変重要でございます。キリコ祭りは日本遺産でもあり、江戸時代から連綿と続いている能登地方のお祭りでございます。

 こういう人々の希望となる文化芸術や伝統行事を生かした地域の創造的な復興について、総理の御決意をお願いいたします。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、時間が過ぎております。簡潔に答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、今回、地震で甚大な被害を受けた地域においては、すばらしい文化財があり、そして、キリコ祭りを始め、すばらしい文化があります。こうした文化財の創造的復興に向けて、支援パッケージに基づいて、文化財の専門職員を派遣し、被害状況の把握や緊急保全の実施を行うとともに、有形無形の文化財について、被災状況に応じた財政支援など、文化財の災害復旧支援事業、これを行ってまいります。

 あわせて、このような文化財の復旧等に向けて、各県の被災状況を踏まえ、復興基金の必要も含めて適切に判断をし、地方の負担に十分配慮してまいります。

大口委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

小野寺委員長 これにて大口君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美さん。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 先日、大変な事実、報道がありました。現在、旧統一教会に対しては、文部科学大臣が解散命令請求を行い、解散命令請求に関するプロセスが今進んでいるところでございます。その盛山大臣が旧統一教会から、関連団体から選挙の応援を受けていたのではないかということでありました。本当にとんでもないことで、これが事実であれば、総理の任命責任ということにもなってくると思います。

 まず、大臣、お伺いいたします。

 資料をおつけしておりますけれども、パネルでも御覧いただいていますが、今の時点で、この一枚目と二枚目の写真を御覧になっても、まだ全く覚えていないというふうにおっしゃいますか。それとも、記憶が少しはよみがえってきたでしょうか。

盛山国務大臣 報道があるまでは、正直、覚えておりませんでした。しかしながら、今、西村議員からの写真を見て、ああ、こういうことがあったのかなというふうに薄々思い出してきたということでございます。

西村(智)委員 薄々思い出してきたって、なかなかはっきりおっしゃらないというのは本当に潔くないなと思うんですよね。

 今日、また新たな報道がありました。推薦確認書を締結をしていたのではないか。関係者によりますと、盛山大臣がその場で、当時は盛山衆議院議員ですか、解散したのでもうあれですけれども、盛山氏がその場で署名し、その後、推薦状を渡した、推薦確認書の署名が推薦状の条件になっていたというふうに関係者は語っておられます。今日の報道です。

 この推薦確認書の件も盛山大臣は記憶がないんでしょうか。

盛山国務大臣 こうやって推薦状を頂戴している写真があるところを見ると、サインをしていたのかもしれませんが、よく覚えておりません。

西村(智)委員 あれもこれも覚えていないということは、私は、大臣以前の問題として、政治家として、しかも人として、大変適格性に欠けるんじゃないかというふうに思うんですよね。

 普通、私たちも例えば推薦をいただくに当たって政策協定書などにサインをすることは、委員長もありますよね、中身を確認をさせていただいて。そのときのやり取りの前提としては、当選したら、その後の任期中はこの政策協定に書かれていた政策の実現のために努力をしますということを考えながら書面にサインをするということだと思うんですよ。

 大臣、今日のまた報道に、大臣の事務所の回答が掲載をされております。こういうことでした。内容をよく確認せずに推薦確認書に署名したのではないかと思うと。あり得ないと思うんですよね。秘書が勝手にやったとしても、そういったことを確認をできない。政治家として、私は、不適切であり、不誠実だというふうに思っております。

 大臣は、この政策協定書、恐らく、LGBT問題は慎重にという内容もあったというふうに書かれておりますけれども、LGBTに関して文科省はいじめや差別を防止しようということで旗を振っていただいている組織ですけれども、そういった内容を賛同した上で、理解した上で署名をしたんでしょうか。

 あるいは、万が一大臣が、私は記憶が曖昧、していないということであるとしても、政策協定書そのものは、先ほど申し上げたとおり、私たち当選した後でこの実現に努めますという前提でありますから、今も社会的には中身は有効だというふうに思うんですよね。統一教会の側から見たら、はっきりそういうふうに恐らくおっしゃるんだと思います。

 その点については、大臣はどうお考えですか。

盛山国務大臣 地元の有権者の方から、集会をするので来てくれと言われて行ったと覚えております。

 そして、そこで、多分最後の方だと思うんですが、急にその推薦書の話が出て、そこで、これにサインをしてくれと言われたのかもしれません。

 ただ、十分に把握をすることなく、もう実質的に選挙戦に入っているところで、一つの会場からまた次の会場へと行っていたような、そういう時期であったものですから、十分に内容をよく読むことなくサインをしたのかもしれません。

 いずれにせよ、先生がおっしゃるとおり、そういう内容に軽率にサインをしたということについては、おっしゃるとおりかと思います。

西村(智)委員 今の答弁、大問題だと思うんですよね。

 中身をよく見ないでサインをした。確かに、時間が、選挙の公示ちょっと前ですから大変お忙しかったとは思いますけれども、やはり、そういったことであっては、私たち全員がそういうふうだと思われちゃいますよ。政策協定にそんな軽い気持ちで、中身もちゃんと見ないでサインしたのかと。旧統一教会の側からしたって、そういうふうに見られるというふうに思いますよ。

 総理、この政策協定書、私は今でも有効だと考えるのが社会的な常識だと考えますけれども、そのとおりでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 政策協定書、どういった内容で、そしてどういった表現になっているか、私は承知しておりません。

 しかし、いずれにせよ、自民党の方針として、過去の統一教会あるいは関係団体との関係については点検、報告をするとともに、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的に説明責任を果たし、未来に向けては関係を絶つことを徹底する、これが自民党の方針であります。

 今現在、未来に向けて、盛山大臣も含めて自民党の国会議員、統一教会及び関係団体との関係は絶っている、そしてそれを徹底しているものと認識をしております。

西村(智)委員 政策協定書について伺っております。今でも社会的に有効だというふうに、これは普通に考えるのが社会的な常識だと考えますけれども、総理はどう考えますか。

岸田内閣総理大臣 政策協定書、内容について御指摘がありましたが、それについて、どう表現しているのか、その表現の仕方、内容について確認しなければ、私としてその文書の意味をお答えすることは難しいと先ほど申し上げました。

 その上で、今現在は、盛山大臣も含めて自民党の国会議員は関係を絶っている、これを徹底している、こういった状況について申し上げました。

西村(智)委員 中身も確認していないのに、どうして今関係を絶っているというふうに確認できるんですか。答弁してください。

岸田内閣総理大臣 政策協定文書の中身については、私自身承知していないと申し上げました。文書自体はどうであっても、今現在は関係を絶っている、これが自民党の方針であると申し上げております。

西村(智)委員 では、自民党の候補者の皆さんは片っ端からどんな政策協定書にもサインをして、サインをしたら、もうその政策協定書は知らぬ存ぜぬ、こういうことですか。

岸田内閣総理大臣 旧統一教会及び関係団体との関係について申し上げております。

西村(智)委員 社会的な常識として、私、政策協定書というのはやはり、ずっと今でも有効なんですよ。大臣が記憶がないとしても、それはおっしゃっていましたよね、サインしたのかもしれないと。サインしたのかもしれないということですから、盛山大臣にとっては今もその政策協定書は有効なんですよね。もちろん、旧統一教会の側にとってもそうです。関係、絶てていないじゃないですか。どうやって関係を絶ったと確認ができるのか。

 では、総理。昨日、長妻委員、山岸委員から、閣僚に対してほかにこういったことがないのかどうか確認をしてほしいという質疑がありました。それについてお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 二月六日の審議を受けて、林官房長官に指示を出し、各閣僚に対して、旧統一教会及び関係団体との関係を点検し、接点があった場合には説明責任を果たし、未来に向けて関係を絶っていくことを徹底する、こうした岸田内閣の方針、これを再確認いたしました。

 また、各閣僚に対し、旧統一教会及び関係団体から選挙における推薦、寄附、その他何らかの支援を受けた事実について新たに発覚したものがないか確認したところ、該当するものはありませんでした。

 その上で、参考として申し上げれば、旧統一教会及び関係団体からの支援には該当しませんが、林官房長官が先日週刊誌の取材を受けて改めて確認したところ、旧統一教会関係者と面会したことがあるということは聞いております。

西村(智)委員 林官房長官のその面会については、今回は選挙応援とは異なる種類の問題だということで、今日はお伺いはしませんけれども。

 やはり、選挙の応援を受けていたということについて、盛山大臣、隠して閣僚におなりになったんですよ。これは大問題だと思うんですよね。しかも、今、利害関係者として旧統一教会への解散命令請求についていろいろなやり取りをしておられる、その責任者ですよね。やはり、このままではいけないというふうに思います。

 大臣、もう一回伺います。

 盛山大臣はこちらからの推薦依頼はしていないというふうにお答えになっておられますね。サインしたかもしれない、あるいは推薦状を受け取ったかもしれない、この辺の記憶は非常に曖昧なんですけれども、推薦依頼をこちらからしていないというふうに回答した、言い切った、そのことについてはどうやって確認をされたんですか。

盛山国務大臣 選挙のときには、ふだんいろいろおつき合いをしているような組織、団体、こういったところに対して推薦状のお願いをいたしております、私の場合には。そして、どこに出すのかというのを、大体、毎回というとなんでございますけれども、同じようなところに出しているわけでございますが、そういったところにこの当該団体は記載されていなかった。我々としても、そういうところへお願いをするというようなことは一切考えておらなかったということです。

 なお、選挙依頼自体をこちらの方から推薦状とは別にお願いをしたということも、これも地元の事務所とも確認をしましたけれども、そういうことをした覚えはないということでございます。

西村(智)委員 ちょっとおかしいと思うんですよね。お願いをしたのではないけれども、そこのところは確認はなかなかできない、それも事務所の記憶ということですよね。何か都合のいいことはちゃんと確認できるんだけれども、都合の悪いことは確認できないというふうに、すごく曖昧な答弁だったと思います。やはり、選挙前に各種団体に推薦依頼を出すとか、あるいはもしかしたら秘書が、知らないうちに依頼状を出していた、そういう可能性も私はあるというふうに思います。

 大臣は、このパネルの二〇二一年十月十七日の国政報告会、これに出席しているというのが今回の報道だったんですね。頑張ろうまでやっていますね。なんですけれども、この会合への世界平和連合、旧統一教会の関係団体からの出席の依頼というのはどういうふうになされたのか、文書なのか、メールなのか、それとも秘書などへの電話なのか、お答えいただけますか。

盛山国務大臣 地元の有権者の方から、ミニ集会を開くので是非、選挙前にですね、開くので来てくれというふうに電話で依頼があったものだと承知しております。

西村(智)委員 この日の日程表には、どういうふうに出席に関して記載をされているんでしょうか。

盛山国務大臣 地元の事務所と確認をしましたけれども、もう実質選挙戦に入っている、ばたばたでございましたので、残念ながらそういう記録はございません。

西村(智)委員 おかしいですね。それの割には、割ときちんとした横断幕が作られていますよね。これは何日か前からきちんと世界平和連合側と出席しますというようなやり取りがなければ、こういった準備などはできなかったんじゃないですか。

盛山国務大臣 地元の事務所にも確認しましたけれども、そういう団体の会合ということは我々は承知しておりませんでした。我々の地元の選挙区の方から御連絡を受けて伺ったということです。

西村(智)委員 だとしたら、大変不思議なんですけれども、大臣はこの集会のことは自民党の点検については報告をしていないんですよ、報告をしていないんです。この集会は確認できなかったということで報告はしていない。

 だけれども、自民党の点検で、二〇二二年三月の集会については出席をしているということで、自己点検による報告をしています。

 こちらの集会の方は、昨年の十月の私への答弁で、後から判明したということで報告をされているんですけれども、これはどういうふうに思い出したんでしょうか。

盛山国務大臣 これは、二〇二二年、令和四年の九月八日の自民党の旧統一教会との関係に対する調査結果の公表、これに向けて調べたということでございます。

 そして、そのときに、その年でございますが三月に関連団体の会合に行っているということを、当日の日誌、簡単な日誌をつけておりますので、地元の方で、その日報から把握することができたということでございます。

西村(智)委員 では、なぜ二〇二一年のこの集会は確認できなかったんですか。記録が残っていた、当日の日誌があったということは、当日の日程表もあったり、あるいは、私への回答では、調査当時の記憶、地元の事務所の資料や記録に照らして、旧統一教会関係団体の会合であったということが判明したというふうに答えておられるんですけれども、じゃ、二〇二一年の集会はどうして確認できなかったんでしょうか。

盛山国務大臣 二〇二二年のものにつきましては、平時という表現がいいかどうか分かりませんが、選挙戦ではない、そういう時期だったものですから、事務所の方で日報、日誌をつけたということでございます。

 他方、二〇二一年の十月十七日のものについては、もう実質的に選挙戦に入っていた時期でございまして、私の事務所も小さい事務所でありまして、とてもそんな、日報なんかをつけている余裕はないというような状況の中で走り回っておりました。

 そういうような状況の中で、そういう会合自体に出席したということを私も忘れておりましたし、うちの秘書の方も、全く関係ない、地元の方からのお声がかりの会合がありましたっけね、そういうようなことでありましたので、二〇二二年の三月、こちらについては、自民党の調査のときに、それまでの活動などをチェックをして、これはそうかもしれないということで調べて出した、こういうことでございます。

西村(智)委員 ですから、日程表に、予定表にどう書かれているのかなんですよ。二〇二一年の十月の十七日、ここに少なくとも、例えば時間と場所は書いてあったわけですよね、時間と場所は。だって、決められた時刻に行って、そして、このような立派な看板ができていたということですから、それは事前に伺うということになっていた。これは日程表にどう記載されているのか、もう一回答えていただけませんか、大臣。

 あるいは、今手元にない。私、実は通告しているんですよ、既に、日程表にどう書かれているのか教えてくださいと。通告しているのに、今日きちんと話していただけないということであれば、明日の委員会までにきちんと提出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 二〇二一年のものについては、先ほどお話ししたとおり、秘書に対して地元の方から連絡があって、それで、じゃ、行こうということで行ったということしか残念ながら残っていないということでございます。もう実質選挙戦に入っておりますので、それ以降のものとはちょっと違う状況であったということを是非御理解賜りたいと思います。

西村(智)委員 とはいえ、やはり、作るんですよね、予定表、普通。やはり残っていないというのはおかしいと思います。

 是非、理事会の方に提出していただきたいと思いますけれども、御協議お願いいたします。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

西村(智)委員 大臣、もう一回探してみていただいて、提出をしていただきたいと思います。その努力はしていただけますか。

盛山国務大臣 もちろん努力はさせていただきます。

西村(智)委員 私は、やはり大臣は知っていた上で行ったんじゃないかと。しかも、こうやって看板がついているところに、ちゃんと出席をして、これ以外にも今日の報道ですとお話をしている写真もあったり、そして、一緒に頑張ろう三唱、三唱していたのかどうか分かりませんが、頑張ろうもしているわけですよ。

 こういった事実があったということで、大臣として、少なくとも自民党の点検に対して回答しなかった、回答漏れがあったということは謝罪をすべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

盛山国務大臣 何度も申し上げておりますが、記憶になかったもので、今回の報道があるまで全くそういったことを認識しておりませんでした。

 ただ、自民党の二二年の九月の報告の際に漏れていたということは事実でございますので、今回、追加の報告ということはさせていただくつもりです。

西村(智)委員 大臣、自分が所管官庁の大臣だという責任感が余りにも薄いですよ。

 少なくとも、自民党の点検への回答漏れがあった。もちろん、マスコミへの回答、アンケートへの漏れもあったし、私の質問に対しても大変不誠実なはぐらかしの答弁をしているわけですけれども。少なくとも、そのことはおわびしたらどうですか。これまで、だって、分からないで、大臣はこのことを伏せたままで文部科学大臣として任命されているわけですよ。

 総理、どう思いますか。本当にこの状態で盛山大臣を文科大臣として、旧統一教会の解散命令請求とまさに真っ正面からがっぷり四つでやる、この大臣がい続けるということは、私は今後行われるいろいろな裁判などにやはり悪影響が出てくると思います。

 そういった懸念をなくすためにも、ここは、盛山大臣、記憶がなかったかもしれない、だけれども事実としてこういうことがあったということであれば、そのことをもって私は更迭をすべきではないかと思います。どうでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど、自民党の方針について申し上げました。過去の関係、旧統一教会及び関係団体との過去の関係について点検をし、報告をするとともに、新たな接点が判明した場合にはその都度説明責任を果たす、未来に向けては関係を絶つ、これを徹底する、こういった方針を申し上げましたが、盛山大臣については、過去の関係にかかわらず、現在は当該団体との関係を一切有していない、このことを前提として任命を行っております。

 そして、旧統一教会の活動に関しましては、実態が報告徴収、質問権の行使などによって十分明らかになったことから、解散命令事由に該当するものと判断されたため、昨年十月に所轄庁である盛山文部科学大臣により解散命令請求が行われたものであります。

 本請求を受けて、現在、裁判所において審理が進められています。裁判所においての審理、この審理の判断が適切に行われるよう、政府として適切に対応しているところであります。

西村(智)委員 全く適切ではありません。政策協定書は今も有効です。

 総理はいつも呪文のように同じことを答弁されるけれども、やはりこのままだと、きちんと旧統一教会と関係を絶てないですよ。そういうふうに見えないんです。利害関係者である大臣が、政策協定にサインをした大臣が解散請求のまさに政府側の責任者だなんて、どこの世界の笑い話ですか。本当におかしいと思います。すぐさまの罷免を求めます。

 あるいは、盛山大臣御自身が、自民党の点検にすら回答していなかった、そのことについておわびをしつつ、そして、今自分が関わることは適切でないという判断の下での辞任を求めたいと思います。

 時間が大変なくなってしまいまして、次に、能登半島地震のことについて伺いたいと思います。

 まずは、今回お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表し、心からお見舞いを申し上げます。また、救助、救援活動、復旧活動に昼夜を分かたず献身的に取り組んでこられた全ての方々に心から敬意と感謝を申し上げます。

 私は、地震発生当時、新潟県内におりまして、電車の中でした。揺れて、二時間降りられませんで、やっとその日の夜に帰宅することができたので、翌日の朝から県内の被災現場を回らせていただきましたけれども、液状化の被害が非常に大きいです。

 新潟大学災害・復興科学研究所は、実は、六十年前に新潟地震が発生しているんですけれども、そのときに液状化した地域と今回液状化した地域が重なっているというふうに指摘をし、二度あることは三度あるという警告も発した上で、街区単位での地盤改良などの対策が必要だというふうに言っております。

 新潟県内の被害状況は、今このような状況です。家屋などの被害が一万五千を超えるものとなっております。もちろん、能登半島は、二百名を超える方々がお亡くなりになって、今なお行方不明の方々がいらっしゃって、本当に圧倒的な被害が出ておりますが、他方で、被災して、今後どうやって暮らしていったらいいのかと途方に暮れる被災者にとっては、やはり政府からの支援策というのは本当に大事だし、公平にあってほしいというふうに私は思うんですね。

 一つは、昨日あるいはおとといの梅谷議員、米山委員の質問にもありました、例の新たな交付金についてです。

 石川県内の六市町で、高齢化が著しく高いことからそれだけにしたということなんですけれども、高齢者がいる世帯あるいは障害者がいる世帯ということで限定すると、これは与党の方からも御質問が出ていましたけれども、やはりそういう人たちが見捨てられるんじゃないかということは指摘せざるを得ないんですよ。

 そういった方々について、総理は本当に、石川県以外の、例えば富山県や新潟県、昨日、一昨日ですか、対象としないという答弁をばしっとされましたけれども、大変冷たいと思います。

 どうでしょうか、検討していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 被災された方に対して幅広く支援を届ける、こうした考え方は重要であると思います。

 そして、御指摘の新たな交付金制度ですが、対象世帯が高齢者世帯等に絞られているというような御指摘でありますが、そのようなものではなくして、高齢者のいる世帯のみならず、資金の借入れや返済が容易でないと見込まれるという点において同様の事情を有する高齢者等のいない世帯、若者、子育て世帯も含めて、幅広く対象になるよう制度設計を進めてまいります。

 そして、資金の借入れが可能な世帯についても対応を用意するということで、石川県と今調整を進めているところです。

 そして、地域につきましても、能登地域六市町を対象ということで申し上げておりますが、それ以外の石川県の市町につきましても、今、類似の事情が認められる地域についても、石川県と対象市町にすることについて協議をしています。

 そして、さらにその上で、対象とならない地域につきましても、被災者生活再建支援金、これは当然あるわけでありますし、また、それ以外にも災害復興住宅融資、災害援護資金貸付け、あるいは災害救助法に基づく被災住宅の応急修理、さらには生活福祉資金貸付け、応急仮設住宅等々、様々な支援を用意して、必要な支援を届けるよう政府として全力で取り組んでまいります。

西村(智)委員 先ほど、被災者生活再建支援金を倍増するということについては、与党の方からも御質問がありました。是非、私たちの法案には賛同してもらいたいと思います。

 総理、ほかの都道府県にきちんと支援策を講じるということであれば、復興基金、これは是非決断をしてもらいたいと思いますが、いつまでに判断をされるのか。

 また、もう一つ、おとといの梅谷委員の質問に対して、液状化に合わせた判定基準にしてほしいという話がありました。総理は、柔軟な対応がどこまでできるのか確認するというふうに答弁をしていたんですけれども、これは確認していただけましたか。

岸田内閣総理大臣 まずは復興基金の方ですが、復興基金に対する財政措置については、毎年度の措置では対応が難しい例外的な措置を実施する、こういったことに対して復興基金を用意するということですので、復興基金というものは、まずは国が地元に対してできる限りの支援を行って、その上で、その隙間の部分を地元においてしっかり行う、こういった対応のために存在するものであります。

 よって、まず今の段階では、国として行うべき支援、これを具体的に、そしてスピード感を持って行っていく、これがまず第一、重要であるという認識の下に対応を行っております。その上で、この隙間の部分に対して県や地元が対応できるために復興基金が必要なのかどうか、これを判断しなければなりません。ですから、熊本地震においても、四月十六日に発災し、復興基金の設置のための補正予算が成立したのは十月の十一日であります。

 まずは、今、能登半島地震においても、国としてやるべきことに専念をし、その上で復興基金の必要性について考えます。

 そして、もう一点の質問について、液状化についてもエリア判定をすべきだという御指摘があり、そのとき私は、液状化においてはそういった制度は存在しないけれども何ができるか考えたいということを申し上げました。要は、液状化に対応しても、できるだけスムーズに支援を行うことが重要だと考えます。

 そこで、液状化被害を受けた住家に対しては詳細調査をするのが基本ではありますが、これに対して簡素化するマニュアル、これは存在いたしました。是非、このマニュアルを最大限活用することによって液状化調査を迅速化させる、こうした取組を進めてまいります。

 こうした柔軟な対応をすることによって、罹災証明書の迅速な交付に向けて、現場において柔軟な被害認定調査ができるよう、国としても積極的に助言を行ってまいります。

西村(智)委員 全く答えていただいていません。答弁もはぐらかしです。

 液状化について、私、そして梅谷委員が質問したのは、液状化に合わせた判定基準にしてほしいということなんですよ。迅速にということもそうですけれども、やはり傾いたりしないと駄目なんですよね。だけれども、ずんと下がったりするというところもある、ほかの敷地が上がったり下がったりというところもある、そういったところも対象にしてくださいということも言いましたし。

 あと、復興基金なんですけれども、まずやることをやってからというのであれば、まず新たな交付金について全ての被災地を対象にすべきじゃないですか。おかしいですよ、やることをやらないで。

 そしてあとは、自治体に対する、例えばいろいろな公共施設への支援だと。それは公共施設への支援、大事です、是非やっていただきたいです。県や市からもいろいろ要望が出ています。だけれども、そういったことをやらないで、あとはやってみてからといったって、やることをやっていないじゃないですか。大変おかしいと思います。

 あと、ほかに質問もたくさんありましたが、以上で終わります。

小野寺委員長 これにて西村さんの質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 裏金問題について今日は行いたいと思いますが、まずパネルを御覧ください。

 これは、萩生田光一議員の二月二日に訂正された自民党支部の令和二年の収支報告書の総括表部分なんですが、収入総額、前年からの繰越額、支出総額、翌年への繰越額、全てが不明と訂正されています。配付資料の令和三年、四年も全く同じです。

 パネルの二枚目を御覧ください。

 これは、令和三年の収支報告書の支出のうち、交際費の部分なんですが、支出の目的、金額、年月日、支出を受けた者の氏名、住所、全てが不明とする訂正がなされています。

 総務大臣に伺いますが、このような訂正は政治資金規正法上認められるんですか。

松本国務大臣 政治資金規正法上、収支報告書の訂正について特段の定めは明記されておりませんが、収支報告書の内容は事実に基づき記載されるべきものであることから、政治団体において訂正を申し出た者から事実に基づいての訂正であるとの申出があった場合には、訂正を認める扱いといたしております。

 今、不明ということについての御指摘であったかと思いますが、過去にも、領収書などが災害などによって滅失した場合など、政治団体側で収支報告書を正確に記載することが不可能な場合に、記載できない項目については不明と記載をし、確認できた範囲内で……(発言する者あり)

小野寺委員長 どうぞ答弁を継続してください。

松本国務大臣 災害などにより領収書などが滅失した場合などというふうに申し上げさせていただきました。政治団体側で収支報告書を正確に記載することが不可能な場合に、記載できない項目については不明と記載をし、確認できた範囲内で収支報告書を記載して提出された事例はあるというふうに承知をいたしております。

 その上で、総務省としては、個別の事案について具体的な事実関係を承知する立場にはございませんが、個別の事案についてはお答えをいたしかねるところでありますが、事実に即して訂正されるべきものと認識しております。

 なお、不明という訂正についてでありますが、これについては、今回も、不明の訂正をするに当たって、宣誓書を末尾に付していただき、収支の一部に記載項目が不明なものがありますが、判明次第訂正いたしますというふうに記載がございました。

後藤(祐)委員 八王子で大地震でもあったんですか、雪は降っていたけれども。

 災害の場合は分かりますよ。だけれども、萩生田議員は、何らかの理由でそれを出したくなかった、あるいはなくしてしまった、そんな単純な理由で不明ということにしていいんですか、災害でなくとも。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、過去の事例ということで災害などと例を挙げさせていただきましたけれども、政治団体側で収支報告書を正確に記載することができない場合に、記載できない項目については不明と記載をし、確認ができた範囲内で収支報告書を記載して提出された事例があるということを申し上げたところでございます。

 その上で、これも先ほど申し上げましたけれども、収支の一部に記載項目が不明なものがありますが、判明次第訂正いたしますと政治団体側から宣誓書に記載をして提出をされているというふうに理解をしております。

後藤(祐)委員 こんなのを認めちゃうんですね、総務省は、あるいは県の選管は。何でもありじゃないですか、こんなことを言ったら。

 じゃ、これの税との関係を、国税庁次長、お越しいただいておりますけれども、聞きたいと思います。

 この収支報告書の訂正前は、萩生田議員個人の収入とみなしていたんでしょうね。それを、この収支報告書を訂正することで、政治団体、この場合は自民党の支部の収入ということにして、そうなると、その途端に非課税になっちゃうということですか。収入額も収入のあった日も何も不明という収入を形だけ収支報告書に載っけてしまえば、税法上も全て免税になっちゃうんですか。

 それとも、たとえこういった収支報告書が訂正されたとしても、総務省なり県の選管が認めたとしても、税法上の判断は全く別であって、個人としての収入、雑収入だと思いますが、個人としての収入だと認められる可能性があるということですか。

 国税庁からの見解をお願いします。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の政治資金につきましては、それが政治団体に帰属するのか政治家個人に帰属するのかによって課税関係が異なるということでございますが、これにつきましては、事実関係に即して個別に判断するということでございます。

 その判断に当たりましては、収支状況の報告書、状況のみならず、その管理の状況とか、あるいは支出がどうなったかとか、それらを総合的に判断するということでございます。

後藤(祐)委員 次長、もう一度はっきりお答えいただきたいんですが、収支報告書の訂正が認められたから税法上も非課税になるということは、イコールということではないということでいいですね。あくまで、訂正がなされたということとは関係なく、具体的な事実でもって、免税になるかどうか、政治資金として認められるかどうかが判断されるということでよろしいですね。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 所得税につきましては、実質所得課税の原則ということでございますので、事実関係に基づいて判断するということでございます。

後藤(祐)委員 その事実関係というのは、収支報告書がこのように訂正され、県の選管がそれを認めたという事実関係ではなくて、萩生田さんなりそれぞれの政治家が、どういう収入が実際にあって、あるいは、それを何に使っていてという事実関係だということでよろしいですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 実質課税と今申し上げましたが、実質的にその資金が誰が管理をしていたのか、実態に即して判断をするということでございます。

後藤(祐)委員 実態ということは、この収支報告書の書き方ということではなくて、お金の実態がどうなっていたかということに基づいて判断されるということですから、萩生田さんは脱税の疑いがあるということなんじゃないですか。

 総理、こんな不明、不明、不明、不明なんという収支報告書の訂正、実務としては県の選管とか総務省は受け付けるかもしれないけれども、こんなの、脱税の疑いのあるマネーロンダリングじゃないですか。総理、どう思いますか。

小野寺委員長 総務大臣松本剛明君。(後藤(祐)委員「総理ですよ。総理の見解を聞いているんですよ」と呼ぶ)まず所掌から。

松本国務大臣 政治資金規正法上も、事実に基づいて報告をし、事実に基づいての修正をしていただくものでございまして、罰則の適用については行為時の行為が法的に評価されるべきもので、後日、収支報告書の訂正をしても事実関係は変わらないものと思いますし、収支報告書の訂正につきましても、事実と異なる記載があった場合において、故意又は重大な過失があれば罰則の対象となると理解をしております。

岸田内閣総理大臣 政治資金収支報告書については事実に即して記載されるべきものであり、訂正についても事実に即して記載されるべきであると認識しておりますが、今、総務大臣からありましたように、不明等については、その後、事実が確認された場合にはそれを記載するということであるという説明がありました。そういうものであると私も認識しております。

 また、国税についての判断についても先ほど答弁がありました。国税が事実に基づいて判断されるものであるという説明だったと考えます。そのとおりであると考えます。

後藤(祐)委員 こんな不明、不明、不明なんていう収支報告書の訂正、マネーロンダリングだと思いませんか。こんなことで二月十六日からの確定申告、真面目にやる気がしないですよ、国民は。

 総理、これはマネーロンダリングじゃないですか。これで国民が真面目に納税すると思いますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど総務大臣からありましたように、不明についても、事実が確認されたならばそれを記載するということについて説明があったと聞いておりました。

 いずれにせよ、総務大臣、そして国税当局の答弁のとおりであると私も認識をいたします。

後藤(祐)委員 この脱税国会の中で、脱税を総理が認めているような答弁をしているようでは、この国の国民の納税意識はどうなっちゃうんですか。もうちょっと真面目にやっていただけないですかね。

 配付資料五ページ目ですが、萩生田議員は一月二十七日の記者会見で、初当選後、一期生が集まる会合等で、当時の事務局より、毎年、派閥のパーティーを開催すると当選回数や役職に応じたノルマが発生する、しかし、ノルマを超過した部分については活動費としてお戻しするとの話があったと記憶しておりますと答えています。

 一期生の頃からノルマ超過分を政策活動費として戻されていたと萩生田議員は認識していたんですか。総理が萩生田議員に確認した上でお答えいただくよう通告しています。お願いします。

岸田内閣総理大臣 関係議員については、不記載に至った経緯ですとか使途について、党の幹部が外部の弁護士も交えて聞き取りを今続けております。関係議員の今の発言等についても、まずは自分自身が、実情を最もよく知る関係者として説明責任を果たすことが第一であると思いますが、併せて、党としても聞き取りを開始しております。

 可能な限り、今週中をめどに聞き取り作業を終えて、その後、外部の第三者に取りまとめをお願いすることを予定しております。

後藤(祐)委員 これはちゃんと一言一句通告しているんですよ。確認して、これだけでも答えてくださいよ。全部答えてくれというんじゃないんですから。これは答弁拒否ですよ。

 もう一つ、その五ページ目の下のところに、ノルマ分のみ振り込んでくださいと事務局から指示があったとのことです、ノルマ分だけの振り込み期間は令和二年から四年までの三年間と承知しておりますと答えていますが、令和二年から四年の萩生田議員のノルマ超過分は清和会に払っていないということでよろしいでしょうか。だとすると、どこで管理していたんですか。机の引き出しだとかというような話もありますけれども、手元でプールしていて、全額使い切っていないということであれば、これは雑所得として申告する必要があるんじゃないですか。これも全部通告して聞いております。確認の上、お答えください。

岸田内閣総理大臣 それもまさに、経緯ですとか使途についても含めて、関係者の今聞き取りを行っているところであります。まずは自身が説明責任を果たす、これが第一であり、これをこれからも促していきたいと思いますが、併せて、党としても、外部の弁護士にも関わってもらいながら、聞き取りを続けてまいります。

後藤(祐)委員 明確に通告して、お答えしない。ひどいですね、これは。

 この不明、不明、不明という収支報告書、政策活動費の使い残しがあったんじゃないか。あるいは、ノルマ超過分はプールして、使い残しがあったんじゃないか。これら全て、政治資金規正法違反だけではなくて、脱税の疑いもある。しかも、具体的な事実ですよ。

 だけれども、これは具体的に全部、皆さんのお手元にもあると思いますけれども、個別に通告しているのに、総理に確認して答弁してくれと言っても答弁していただけない。そうなると、萩生田光一議員に直接お話ししていただくしかありません。

 萩生田議員本人に、田中和徳政治倫理審査会会長さん、いらっしゃいますけれども、さっき寝ておられましたが、聞いていましたか。

 政治倫理審査会の場で、萩生田議員本人に来ていただいて、オープンな場で質疑をして、説明していただく必要があると思いますが、総理、これは賛成いただけますね。

岸田内閣総理大臣 説明責任を果たすことは重要ですが、国会においてどのような形で説明を聞くのか等については、国会の判断にお任せいたします。

後藤(祐)委員 今朝、高木毅前自民党国対委員長についても、令和三年、四年の収支報告書の総括表、全く同じなんですね。収入総額、前年からの繰越額、支出総額、翌年への繰越額、全て不明になっている。同じですよ。

 この高木毅議員も含めて、萩生田議員と併せて政倫審で説明をしていただき、オープンな形で質疑をしていただくことを議論していただくよう求めます。委員長。

小野寺委員長 政倫審の場のことに関しては、私どもは予算委員会でありますので、所掌ではありません。

後藤(祐)委員 委員長から政倫審に対してお伝えいただいて、議論していただくよう、そういう話があったとお伝えください。

小野寺委員長 今日、委員長もいらっしゃいますので、十分伝わっているかと思います。

後藤(祐)委員 二階俊博議員について伺いますが、二階議員については、秘書が一月十九日に収支報告書不記載で略式起訴されていますが、二階議員本人は立件されていません。

 二階議員の政治団体、新政経研究会を含む関係政治団体の不記載額は、平成三十年から令和四年の五年間で幾らになりますでしょうか。

 これは、配付資料の六番を御覧ください。

 この新政経研究会の不記載額は、令和二年、三年、四年の合計で千七百六十八万円なんですけれども、令和元年から二年に向けての繰越額は四千百七万円あって、これは単純に合計すると五千八百七十五万円になる可能性があるんですね。なので、これは相当大きな額なものですから、正確にお答えください。通告しています。

岸田内閣総理大臣 政治資金については、政治資金規正法の定めに従い、訂正の必要が生じた場合の訂正も含めて、公開すべきものは公開されていると承知をしております。すなわち、法律に基づいて公開すべきものは全て公開されていると承知をしております。それを確認していただくということになると思います。

後藤(祐)委員 明確に通告しているのに、ちゃんと確認して答えてくださいよ。

 じゃ、二階議員の政策活動費について伺いたいと思いますが、これはそうすると、自民党から二階議員に払われた政策活動費が、少なくとも二〇一三年まで遡ると、各年ごとの額及び合計額は幾らになりますか。これも二階議員に確認した上で総理にお答えいただくようお願いしています。

岸田内閣総理大臣 政策活動費でありますが、現在公開されている自民党本部の政治資金収支報告書の範囲でお答えするならば、令和二年が六億三千二十万円、令和三年が四億三千九百十万円を党本部から二階当時の幹事長に支出しているところであり、これらの合計は十億六千九百三十万円と承知いたします。なお、令和四年は支出しておりません。

後藤(祐)委員 それより前、自民党の収支報告書ですよ、自民党総裁でありますよね、当然それは取ってあるんじゃないんですか。昨日も五十億じゃないかという話があったんですけれども、はっきりしたところが分からないので聞いているわけですけれども、こんなつまらないところを隠蔽するから、やる気がないと言われるんですよ。

 自民党から二階議員に支払われた政策活動費ですけれども、これは何に使ったんですかね、二階幹事長は。二階議員から、自民党のほかの国会議員、あるいは地方議員、あるいは新人の候補者も含めて、選挙の直前、衆議院であれば衆議院選挙になる解散の後だとか、あるいは参議院選挙とか地方選挙であれば告示の一か月前ぐらいだとか、そういった直前期、あるいは選挙の本番期間に、二階氏から国あるいは地方の議員、あるいはその候補者に対して支払ったことはあるんですか、ないんですか。

 もしあるんだとすれば、配付資料の七番目ですけれども、政策活動費の使途として、雑所得の控除として認められる費用というのは七つに限定されていますが、この国税庁の「政治資金に係る「雑所得」の計算等の概要」の中の一から七のどれに該当するんですか。二階議員に確認の上、総理にお答えを求めます。

岸田内閣総理大臣 これは、予算委員会でも度々答弁させていただいておりますように、政策活動費の使途を明らかにする場合には、各政治団体共通のルールに基づいて行うべきであると考えております。よって、政策活動費の使用方法についてお答えすることは差し控えます。

 そして、控除が認められるか否かについては、個別具体の事実関係に即して判断されるべきであり、これは一概にお答えすることは困難でありますが、政治資金が法令に基づき適切に取り扱われるべきである、これは当然のことであり、二階元幹事長も、法令に従って適切に使用されているものと認識をしております。

後藤(祐)委員 その性善説じゃ駄目だって、おととい井坂さんが言ったじゃないですか。その経験を踏まえて、総理が二階元幹事長に確認してお答えしてくださいというのに、その答弁を拒否したわけですね。差し控えると言ったわけですよ。これじゃ、予算委員会でこの政策活動費がきちんと脱税でない形で使われているかどうか、これ以上聞きようがないじゃないですか。

 そうすると、やはり二階俊博元幹事長に対しても、政倫審に来ていただいてお話しいただく、オープンな場で質疑をしていただくしかないと思います。

 委員長、政倫審に、政倫審会長、よろしいですか、政倫審にお伝えください。

 政倫審会長はあそこで聞いておられましたから、今度は起きていらっしゃいますから大丈夫だと思いますが。是非政倫審で御議論いただければと思います。

 池田佳隆議員でございますけれども、これはテレビでも報道されているんですが、池田佳隆議員は、まだ逮捕とかされる前ですね、党から同会、清和会を経て支払われる政策活動費と認識して記載しなかった、こういうふうに説明しています。

 一方で、配付資料の十番目ですが、この池田議員の政治団体、池田黎明会の令和四年の収支報告書を見ますと、清和会から五百万円の寄附があって、支出は増えていません。つまり、全部繰越金が増えるという形になっています。

 こうなると、政策活動費として池田議員は認識していたのに、全額使わないで繰越しをしていたということですから、これは、雑収入があったのに支出がない、つまり、雑所得が発生していたので申告する義務があったんじゃないんですか。国税庁次長、お答えください。

星屋政府参考人 個別の事柄につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、政治資金が具体的に政治家個人に帰属するのか、政治家の関連団体に帰属するのか、これにつきましては、個々の事実関係を精査して判断することとしております。

後藤(祐)委員 個別のことについてお答えしにくいのは分かるんですけれども、政策活動費だと認識していて、それをそのまま使わずに繰越金にしていた、こういう場合には、これは雑所得が発生して、申告の義務があるということでいいですね。

星屋政府参考人 個別のことはお答えを差し控えさせていただきますが、政治家個人に帰属する政治資金が、仮にそれが政治活動に使われず残額がある場合には、その分につきましては雑所得として課税関係が生じるということでございます。

後藤(祐)委員 自分で政策活動費だと言っているんですから。これは配付資料にしてくれというのに、何か理事会で蹴られたみたいですけれども、池田佳隆事務所から各報道機関に対して文書がちゃんと渡されて、その中にちゃんと書いてあるんですよ。

 是非、国税庁としてこれは調べるべきだと思うんですけれども、その前に、池田議員については、逮捕して、ガサ入れして、いろいろな証拠があったはずなんですよ。

 法務大臣に伺いますけれども、東京地検は、政治資金規正法違反で池田議員を捜査している中で、所得税法違反を知り得たんじゃないんですか。もし脱税の疑いが出てきた場合には、東京地検から税務当局に対して課税通報すべきだったんじゃないんですか。法務大臣。

小泉国務大臣 個別の事案について申し上げることは控えますけれども、あくまで一般論として申し上げれば、検察当局は、必要に応じ、国税当局との間で適時適切に情報共有その他の協力を行っているものと承知しております。

後藤(祐)委員 課税通報はすることはあるんですか。要は、脱税違反ではない、別の、今回でいえば政治資金規正法違反ですけれども、捜査の過程で所得税法違反の疑いが出てきた場合には、課税通報をするということもあるということでよろしいですか。

小泉国務大臣 課税通報という言葉、用語は、法令上の用語ではありませんけれども、あくまで一般論ですけれども、検察当局は、国税当局との間で、捜査に関わる情報その他は必要に応じ共有をする、そして協力をする、こういうふうに我々は承知しております。

後藤(祐)委員 課税通報というのは、今までのルールであるんですね。

 配付資料の十二ページ、十三ページを御覧いただきたいんですが、二〇〇二年、鈴木宗男議員のあっせん収賄事件のときに共犯として起訴されていた政策秘書が七千万円余りを不正蓄財していることが明らかになって、東京地検特捜部は国税当局に課税通報したとされています。

 また、資料十三にあるように、二〇〇四年、日歯連による橋本派への一億円献金事件というのがあって、その捜査の過程で事情聴取を受けた日歯連の元事務局長が東京地検から東京国税局に課税通報されていた。

 この二件、課税通報、あったんですか。これは通告しています。法務大臣。

小泉国務大臣 これもまさに一般論として申し上げるしかありませんけれども、必要に応じ、検察当局は、国税当局との間で、適時適切に情報共有、そしてその他の協力を行っております。

 課税通報制度という用語は、警察庁の通達に基づく制度として、国税当局と警察庁の間で情報をやり取りするときの呼称として使われているわけでありますけれども、検察当局においては、情報共有という形で税務当局との情報の共有を図っている、協力をする、そういう形で運用しているわけでございます。

後藤(祐)委員 二階俊博議員も秘書が挙げられているわけですよね。東京地検はいろいろな情報を持っていますよね。二階俊博議員について国税当局に情報共有をしているんですかね。

 二階派の小泉法務大臣、何か余計なことをしていないでしょうね。二階さんに直接というとあれだから、そこに及ぶのもあれだから、今回の収支報告書不記載の話は、国税に対しての情報提供だとかそういったことは、止めているかどうかはともかく、それをもし見つけた場合には国税に情報共有したらどうかとか、そういった積極的な指示だとか、何にもしていないんじゃないんですか。あるいは、止めたりしていますか。

 今回の収支報告書不記載事案に関して、大臣は、検察当局から何らか報告なりを受けて、あるいは何らか議論をされていますか。

小泉国務大臣 日頃の法務行政の執行において、必要な事情、情報については、検察当局から刑事局を通じ一定の報告はいただいておりますが、個別の問題について私が関与するということはあり得ません。また、そういう事実もございません。しっかりと捜査当局と国税は情報共有をしていると理解をしております。

後藤(祐)委員 こういうことが疑われちゃうから、総理、去年の十二月にこの裏金事件が出てきたときに、大臣を四人も辞めさせたのに二階派の小泉法務大臣を更迭しなかったのが、こういうところで疑いを持って見られちゃうわけですよ。法と証拠に基づいてやっていると、それは言葉で言われたって、二階派なんだもの。

 検察が積極的に国税に協力しているかどうかよく分からないんだとすると、これも国税で頑張ってもらうしかないですね。

 国税庁次長、お伺いしますが、先ほどの池田佳隆議員のケースなんかは、これは政策活動費だと思っていたともう文書で明らかになっていて、それは使っていませんと、繰越金で収支報告書上明らかになっているわけで、もうこれはそろっているじゃないですか。脱税、所得税法違反、もうそろっているじゃないですか。国税として、これは調査に入るべきではないですか。税務調査が入る程度の疑わしさはあるんじゃないですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別にわたる事柄につきましては、お答えすることは差し控えさせていただきます。

 一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、様々な機会を捉えて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書とを分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

 今後とも、このような考え方に基づき、適切に対処してまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 是非、検察も協力してあげてください。そして、もし検察がなかなか協力できないということであれば、国税、頑張ってください。国民は期待していますよ、今こそ国税に。

 最後の時間で、安倍派と二階派の、何で不記載を決めちゃったのかという、この話は今まで余りやっていないので、これをやりたいと思いますが、資料の十四は西村康稔議員のオフィシャルサイトのものでございますけれども、西村議員は、「令和四年の還付金については、安倍会長の意向を踏まえ、幹部の間で、還付を行わない方向で話し合いが行われていたものの、結果的には、一部の所属議員に、現金での還付が行われたようです。」と記載していますね。かつ、その上で、「私自身、清和会幹部の一人として」と言っていますから、幹部であると自分で認識しています。

 この安倍派各議員のノルマ超過分を各議員個人のパーティー収入につけ替えてはどうかというふうに、これはある幹部がそういう提案をしたと下村さんは言っていたようですが、これは西村康稔議員が提案したんじゃないんですか。そして、西村さんが大臣になった後、高木毅議員が事務総長になりましたけれども、その後、還付継続ということになりましたが、この安倍派のノルマ超過分の還付の継続を決定したのは高木毅議員ですか。

 ここは、事実関係はいろいろな方に聞かなきゃ分からないでしょうから、西村議員、高木毅議員、松野議員、塩谷議員、萩生田議員、下村議員にも確認の上、総理、お答えいただけますか。通告しています。

岸田内閣総理大臣 それはまさに、御指摘の議員も含めて、党の幹部として、外部の弁護士にも関与していただき、聞き取り調査を行っているところであります。その中で、これまでの経緯あるいは使い道等について聞き取りを行って、これを党として取りまとめていきたいと考えています。

後藤(祐)委員 これら幹部には総理として聞いたんですか。通告しておりますけれども。

岸田内閣総理大臣 党として、今申し上げた形を取って、責任を持って聞き取りを行っております。

後藤(祐)委員 少なくとも、このノルマ超過分をつけ替えてはどうかとか、やはり還付を続けようとか、そこの事情はきちんと聞き取りをして明らかになるということを、今、総理のお答えから、いただいたと思っています。

 これは二階派も同じですね。二階派パーティー収入の不記載、これは誰が決めたんですか。二階議員ですか、あるいは側近と言われる林幹雄議員ですか、あるいは事務総長の武田良太議員ですか。これも確認の上、お答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 志帥会の政治資金パーティーの収入及び支出の虚偽記入の事実については、本年一月十九日、東京地検が当時の代表者兼会計責任者を政治資金規正法違反の罪で東京地方裁判所に公判請求したと承知しておりますが、その際に、東京地検の会見において、証拠上、収支報告書の作成は代表者兼会計責任者を含む会派事務局が専ら行っており、派閥の幹部において、収支報告書の作成自体への関与はもとより、記載内容、どのように記載していたかまで把握していたとも認められず、虚偽記入の共謀があったと認めるのは困難であると判断した、この旨、会見において東京地検の方から発表していると承知をしております。

後藤(祐)委員 二階派でも、キックバックがあって不記載だった人がいるじゃないですか。それは、何でそうなってしまったのか、真相を調べないんですか、自民党として。そこも調べるべきだと思いますよ。

 西村康稔議員、高木毅議員、松野議員、塩谷議員、萩生田議員、下村議員、そして二階議員、林幹雄議員、武田良太議員に政倫審に来ていただいて説明いただき、オープンな場で質疑をしていただくことを求めます。

 よろしいですね、政倫審会長。

 委員長。

 最後、十五ページですが、西村康稔議員については、今申し上げた、安倍派のパーティー券の収入を自分のパーティー券の収入につけ替えているんですね。つけ替えているということは、派閥の方には入金していないということですか、総理。これも確認して答えるようにお願いしています。

岸田内閣総理大臣 それについても、先ほど来申し上げておりますように、今、党として聞き取りを行っております。本人の説明責任、これがまず第一でありますが、併せて、党としても事実の把握に努めるため、聞き取りを行っております。

後藤(祐)委員 これは全部、一言一句通告しているんですよ。それでこの答えですから、政倫審をやるしかないじゃないですか。

 そのことを強く求めて、終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 総理、まるで人ごとのようにおっしゃっているんですよね。今日のこの不明の記載についても、税務当局が調べればいいんだ、そして、税務当局で調べて何か確認されればそれは脱税に当たる、こういうロジックですよ。自分は関係ないと言わんばかりのお話であります。今日の、今の後藤委員の質疑も、事前に通告してあるにもかかわらず、ほぼゼロ回答、一切お答えになられていないんですよ。

 総理の立場だと確かに税務当局に指示しづらい場合があるのかもしれませんが、もう一つ立場がおありですよね。党の政治刷新本部の本部長じゃありませんか、総理は。その立場としてきちんと解明すべきじゃありませんか、こういう使途についても。使い分けはよくないと思うんですよ。

 本部長として、きちんとこれを解明していく、本部長として、今要求があった、二階さんを始め対象者に対して政倫審への出席を求めていく、それが総理の、いや、本部長である総理・総裁の役目だと思うんですが、なぜそれをされないんですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず検察等において法的な責任を判断する、そして国税において納税の必要性について判断する、これは、それぞれの立場で法と証拠に基づいて対応すべきものであると思います。そして、政治刷新本部の本部長としては、その上で、説明責任とそして政治責任について考えていかなければならないと考えます。

 だからこそ、まずは、この関係を最もよく知る関係者本人が説明責任を尽くすべく、これを促しているところでありますが、党としてもこれと併せて事実を把握しなければならないということで、既に先週から、外部の弁護士にも関与してもらいながら、党の幹部として聞き取りを行っているということであります。こうした事実を把握した上で政治責任も考えていく。

 党としてのこの問題に対する対応として、今申し上げた取組に併せて、アンケート調査など様々な取組を進めている次第であります。

奥野(総)委員 今、まず検察なり国税が先にやるべきだ、その上でとおっしゃっていますが、そうなんですかね。火の玉になってやられるわけですよね。

 だって、民間企業でこういう不祥事が起きたときは、まず第三者委員会が立ち上がるわけですよ。経営陣は入れません。なぜならお手盛りのおそれがあるからね。きちんと弁護士とか専門家を入れてやっているわけですよ。この間の自動車整備工場、自動車の関係の保険金の問題だって、きちんと第三者委員会が入って明らかにするわけですよ。彼らは別に捜査の進展を待っていません。彼らなりにきちんと社会的責任があるから、きちんと第三者を入れて先にやるわけですよ。

 自民党という組織だって社会的な存在ですから、その総裁である総理がきちんと第三者委員会を立ち上げて、究明すべきじゃありませんか。なぜやられないんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げているように、外部の弁護士にも関与していただき、聞き取りを行い、そして、それを第三者にまとめていただくべく、対応を進めてまいります。こういった形で党としての実態把握に努めたいと申し上げております。

 その一方で、内閣総理大臣として、検察あるいは国税の対応について、これは中立性の観点から指示等は行うべきではない、これは当然のことであると考えています。

奥野(総)委員 それは確かに総理がいろいろな人に恣意的に税務調査を命じるというのは違うと思いますが、しかし、命じなくても、まず自分で調査をされる、第三者委員会を設けて、自分できちんと調査をして、それを国税当局に示せばいいじゃないですか。

 だから、二つ立場があって、総理の立場はそうかもしれないけれども、総裁であり、政治刷新本部長である岸田さん、岸田総裁、第三者委員会を設けた場合には、逆に話を聞かれる側に回るはずなんですよ。どの企業だって、経営陣は入れない。弁護士なり会計士なり、専門家が入って、きちんとして、その社の幹部あるいは対象者に対してヒアリングをするのが今の世の中の常識ですよ。

 だから、総理も、失礼ですが、本来は話を聞かれる側でなければいけない、そういう立場のはずなんですね。なぜそういうふうにされないんですか。もし潔白だと言うんだったら、きちんとそうやってやればいいじゃないですか。そして、もしそういう不適切な事実が出たら、それを税務当局に提供して、税務調査を入れればいいじゃないですか。なぜやられないんですか。

岸田内閣総理大臣 第三者委員会が必要だとおっしゃいますが、先ほど来申し上げているように、外部の弁護士にも関与してもらい、聞き取りを行い、その取りまとめを第三者にお願いする、こういった取組を進めています。そして、聞き取りの範囲等についても、聞き取りを進めながら必要な範囲について判断する、こういったことで、今、聞き取りを進めているところであります。

 自民党としては、こういった方針で事実を把握した上で、説明責任、政治責任について考えてまいります。

奥野(総)委員 例えば、二階さんについて事前に通告をして政治活動費の使途を確認してくださいと総理に申し上げても、確認するまでもなく適切に使用されているものと認識していると連発しているわけですよ。電話もしない、電話もかけない、聞き取りもできないわけですね。

 だから、刷新本部のトップがそういう姿勢で、聞き取りがちゃんとできるんですかね。弁護士だけでやっているわけではありませんよね。本部員である政治家の皆さんが入って聞き取りをしているわけですから。もし中立を期するんであれば、弁護士だけでやればいいわけですよ。民間は多分そうしているはずですよね。

 だから、本当に聞き取りができるんですか。二階さんに向かって、使途を話してください、萩生田さんに向かって、これ、不明と書いてありますけれども、何ですかと言えるんですかね。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、政治活動費について使途を明らかにする際には、共通のルールである法律に基づいて明らかにする、共通のルールに基づいて明らかにするべきである、このように申し上げているわけであります。

 ですから、こうした使途について申し上げることは控えますと申し上げております。

 これは、こうした現状に至るまで、様々な積み重ねでそういった取扱いがあるわけでありますから、それに基づいて行うということを申し上げております。これはヒアリングにおける事実の把握とは全く別の話であると考えます。

奥野(総)委員 やはり、総理の姿勢を見ていると、じゃ、本当に二階さんに、例えば、名前を出してあれですけれども、聞けるのかなと思うんですよ。忖度をして、そんなことを聞けるのかなと思うわけですよ。

 まず、きちんとそういったことは聞いておられるんだということと、間もなく取りまとめを行ってということなんですが、きちんとしたものがいつ出てくるんですかね、このヒアリングについて。アンケートは来週いただけると伺っていますが、ヒアリング、ここまでおっしゃったんだから、きちんとみんなが納得するような、第三者委員会並みのが出てくるということをお約束いただけますか。

岸田内閣総理大臣 取りまとめについては第三者にお願いすると承知しております。そのように取り計らいます。

奥野(総)委員 これはいつまでですかね。予算審議も限りがありますから、もうそろそろ、真ん中ぐらいまで差しかかってくるわけですから、早く出してくださいよ。

岸田内閣総理大臣 これも、従来から申し上げておりますように、今週いっぱいをめどに聞き取りを行います。その上で、第三者に取りまとめを委ねます。その結果を待ちたいと思います。

奥野(総)委員 もう一回聞きますが、いつまでに出されますか。

岸田内閣総理大臣 我々としては、聞き取りを今週末をめどに進めてまいります。その上で、第三者に委ねます。

奥野(総)委員 公表はいつなんでしょうか。もう一度。

岸田内閣総理大臣 第三者の方の作業、判断によりますが、できるだけ急ぐように、党としてもお願いいたします。

奥野(総)委員 これ以上やっても、ほかに聞くことがありますから。

 本部長なんですから、そこはしっかりお願いしたいというふうに思います。

 間もなく、確定申告が十六日から始まるんですけれども、やはりこういう姿を国民に見せるのは、私はいいことだとは思えないんですよね。こういうのがオーケーだという話になると、不明がオーケーだということになったときに、じゃ、確定申告で、領収書はありませんと言ったら、それで済んでしまうと国民が思うかもしれないじゃないですか。税を取る側の政治家がそういうことをやっているんだから、我々だってそんなに真面目に領収書を出す必要はないと国民が思うかもしれないじゃないですか。だからこそ、ちゃんとやっていただきたいんですね。

 次の話になりますが、今、これから負担がどんどん、総理は負担は増えないとおっしゃるかもしれないが、増えていくわけですよ。昨日、早稲田議員とのやり取りで、一人最低でも月五百円、年間六千円、世帯で見ればもっと、一万円を超すというような支援金の話が出ましたけれども、これは子育て増税じゃないんですか。国民に負担を求める子育て増税ではありませんか。

岸田内閣総理大臣 昨日も御説明させていただきましたが、賃上げと歳出改革によって社会保険負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金の制度を構築いたします。全体として実質的な負担は生じないということを申し上げております。これは増税ではありません。

奥野(総)委員 総理のロジックというのは、まず、これは税じゃありません、保険料です、それから、実質的な負担が増えません、だから増税じゃありません、こういうロジックなんですが、昨日は社会保険料だとおっしゃいましたけれども、これを余り長くやってもあれなんですけれども。

 十二ページに資料をつけていますが、税というのは強制的に徴収をする金銭で、特定の役務の、サービスの対価じゃなくて、国や地方公共団体が強制的に徴収する金銭と言っているわけですよ。これはまさに支援金もそうですよね。保険に加入しない自由はほとんどないわけですから、事実上取られるし、国に納めなきゃいけないということは、これは税なんですよ、何と言おうと。事実上の税ですよね。まず、それは税。支援金は税じゃないから増税じゃないというロジックは明らかに当たりません。

 その上で、歳出改革と賃上げによって社会保障負担軽減の効果を生じさせると言っていますが、資料が、これは九ですか、昨日、今日、今朝の朝刊にも出ていますが、実質賃金が下がっているんですよね。九〇年以降で最低水準だと。しかも、家計調によれば消費も減っているんですよ。去年は賃金も上がってよかった、こういう話だったんだけれども、物価に追いついていないわけですね。総理は物価に負けない賃上げを実現することだと言っていますが、負けているわけですよ。

 こんなので本当に実質的な社会負担軽減の効果が生じるんですか。それを実現するだけの賃上げが今年行われるんでしょうか。

新藤国務大臣 とても重要な御指摘だと思うんです。国民の皆さんが御心配されていることです。

 ですから、ここは是非御理解いただきたいと思うんですけれども、奥野委員の資料の六、今回の加速化プランの財源の骨格の中で、今御心配されている新しい支援金、この右端にある一兆円というやつです。この一兆円は、原資として、歳出改革によってもたらされた保険料の削減効果、この枠の中で捻出しますので、賃金が上がる、上がらないとは別次元の話、社会保障の歳出改革ができれば、その枠の中に収まった中で支援金を維持するということです。

 それから、今の、賃金を上げるんですかというのは、これは上げなければならない、何としても上げるための様々な工夫をしていきたいということでございまして、その御心配はしっかりと受け止めながらやっていきたい、このように思っています。

奥野(総)委員 総理は、先日、井坂委員かな、答弁の中で、二〇二四年にも、今年度中にも実質賃金がプラスになる、そういう見通しもあるとおっしゃっていますが、そこは今も変わりませんか。総理。

岸田内閣総理大臣 民間も含めて、二四年度末までには、物価高に負けない賃上げ、これを実現することができる、そういった見通しが多く示されているということは答弁させていただきました。

奥野(総)委員 もう一度聞きますが、来年度中に実質賃金はプラスになるんですかというのが問いです。

岸田内閣総理大臣 来年度につきましては、賃金の引上げと所得税減税等を通じて可処分所得が物価を上回る、こういった状況をつくり上げたいということを申し上げています。そのことが、次の年に向けて、持続的な、構造的な賃上げにつながるということを申し上げております。

奥野(総)委員 なかなかここで、公約だ、実質賃金がプラスになるとは、この数字を見ては言えないと思うんですよね。だから、そうすると、賃上げと物価上昇の好循環と言っていますが、そこは崩れるわけですよ。

 新藤大臣は歳出改革一・一兆と言っていますが、その横にちゃんと書いてあるのが、一兆円の負担増が書いてあるわけです。実際、国民から一兆円、政府の方に、懐にお金が移転するわけですから、これはもう事実上、お金は、国民の手取りが減るわけですよ。これは子育て増税以外の何物でもないんじゃないですか。

 本当に、じゃ、実質的な社会保障負担の軽減が起きるのかということなんですが、それで、もう一点、今大臣がおっしゃった、その一・一兆の削減効果というんですけれども、その昔、小泉内閣のときに、社会保障、これもたしか一・一兆だったと思うんですが、削減して、救急車のたらい回しが起きたことがあったんですね。医療崩壊があったんですよ。これをまた想起するわけですよ。

 子育てにお金をかけることを私は否定はしませんが、だからといって、既存の社会保障を削ってというのはどうなんですかね。そういう問題はないんですか。いかがですか、総理。

新藤国務大臣 これもまた、とても重要です。

 この一・一兆円の根拠というのは、これから頑張りますではなくて、元々、二〇一三年から二〇二二年の九年間で毎年毎年歳出改革をやってきたその平均、これを前提にしているんです。ですから、この今までも行ってきた歳出改革、これは高齢化の伸びの範囲で何とか工夫をしようという、その中で、今、現行の社会保障制度を充実させてきました。その枠の中でこの歳出改革を行っていくということです。

 それから、今委員がおっしゃった、歳出改革で一・一兆円削りますよねというのは、これは公費の問題。そして、支援金の方は、社会保険料の負担の、本来、減になるところを、そこの社会保険料の縮減見合いのところを支援金に回すということですから、これは公費と保険料を二つ合わせたそれぞれの財源をつくっている、このように御理解いただきたいと思います。

奥野(総)委員 それは理解しているんですが、無理やり財源をひねり出すために、一方は増税をし、一方は社会保障の質を落とすんじゃないですかと私は申し上げているわけですよ。ごまかして、実質的な社会負担の増は起きないからいいんだと言っていますが、しわ寄せが来るのは国民ですからね。これは実質的には子育て増税ですよ。

 総理、もう一点。

 国民負担率の問題ですが、これを上げないと言っていますが、資料が、これはグラフがありまして、資料五ですね。これは、ずっと上がってきて、ちょっと下がっているように見えるんですが、これはコロナで国民所得が減ったので一時的にぼんと上がったんですね。それが平時に回復して少しずつ減っているんですが、トレンドで見ると、明らかに右肩上がりなんですよ。

 総理がおっしゃっているのは、これは私は公約と捉えているんですが、国民所得はもうここからほぼ横ばいだと考えていいんですかね。これは令和の五公五民なんて言われているんですが、それが六公四民とか、そういうふうになったりしないということでいいんですね。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、支援金制度と国民負担率の関係については、高齢化等に伴い医療、介護の給付は伸びていきますが、歳出改革と賃上げによって社会保障に係る国民負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することで、実質的な負担は生じないことといたします。

 すなわち、先ほど総理からもお話がありましたように、支援金制度を導入しても、全体の取組を通じて見れば、それによって、社会保障負担率、すなわち社会保障に係る国民負担率が上昇しないこととするものと理解をしております。

奥野(総)委員 総理に伺っているのは、ずっとおっしゃっている、上がらないんですねという、そこを確認しているんです。

岸田内閣総理大臣 まず、今、加藤大臣からありましたように、支援金制度を導入しても、全体の取組を通じれば、それによって、社会保障負担率、すなわち社会保障に係る国民負担率は上昇しないということでありますが、一方で、経済財政運営全体の負担率ということにつきましても、岸田政権の経済財政運営全体として、歳出改革を継続しながら、賃上げの取組を通じて所得の増加を先行させ、デフレからの完全脱却を果たすことで、高齢化等による国民負担率の上昇を抑制してまいります。

奥野(総)委員 最後のところで、上昇抑制ということは、上昇するわけですよね。だから、これ以上上がらないと言っているわけではないんですね。それはそうだと思うんですよ。

 私が気になっているのは、総理のロジックとして、実質的な社会保障負担は軽減しますとか、国民負担は上げない、こういう言葉を言うことによって、国民は誤解するんじゃないか。実質的には増税が行われて、負担もこれから増えていくのは間違いないのに、それがないんじゃないか、そういう誤解を与えるような言葉だと私は思うんですよ。

 昨日も誰かが質問していましたが、賃金が上がらないと負担は軽減されないわけですよね。じゃ、負担を軽減するだけの実質賃金の増というのはどこまでですかというのはよく分からないわけです。今の話だと、実質賃金も当面上昇は見込めない、確約できない、国民負担もこれから増えていく、それも否定できないということじゃないですか。総理はやはりそこをしっかり私は国民に言うべきだと思うんですよ。

 子育ての支援は必要です。必要であれば、きちんと、これは増税です、皆さん負担してくださいとはっきり言えばいいじゃないですか。その代わり、サービスの質は落としませんと。さっき、一・一兆を無理やり削ってと言って、そうじゃなくて、きちんとみんなに負担を求めれば、そういうところも削らなくていいかもしれないじゃないですか。

 総理、それが私は総理のお仕事だと思うんですが、いかがですか。総理に聞いています。総理、総理しか答えられないでしょう。

岸田内閣総理大臣 まず、国民負担率ですが、おっしゃるように、コロナ禍で国民負担率は高止まりしましたが、成長の成果もあって、低下する見込みであると考えています。そして、その低下を確かなものとして、そして国民負担率をコロナ禍の水準に後戻りさせることなく、高齢化等による上昇に歯止めをかけるということを申し上げております。そのためにも、所得の増加を先行させ、税の負担や社会保障負担を抑制することに重きを置いて経済財政運営を行っていく、このように申し上げております。

 そして、どれだけの賃上げが必要なのかという御質問でありますが、昨年決定したこども未来戦略においては、令和五年度、令和六年度の歳出改革及び賃上げによって実質的な社会保険負担軽減効果について合計〇・三三兆円程度としており、今後、二〇二八年度までに一兆円程度の確保、これは十分視野に入っていると考えます。

 ですから、令和七年度以降、一定の賃上げ等の見通し、これを当てにしているということではなくして、仮に賃上げによる寄与が全くないとしても実質的に負担がないという状況を実現できるよう、徹底的な歳出改革、これに取り組んでまいります。

奥野(総)委員 だけれども、歳出改革の中身がこれまた分からないわけですよね。さっきも私は不安を申し上げましたけれども、変な削り方をしたら、医療の現場、介護の現場にしわ寄せが来かねないわけですよ。だったら、きちんと、私は、負担を国民に正直に求めたらどうですか、へ理屈を言わないで、負担が上がるわけだからと申し上げているわけです。

岸田内閣総理大臣 これまでも、高齢化による増加分に収めるといった目安で、歳出改革によって年平均〇・一八兆円程度の増加、これを実現させてきました。こういった実績も踏まえて、二〇二八年度までに一・一兆円確保する、これが可能であるということを申し上げています。

 一方、委員の方からは、これはサービスが低下するのではないかという指摘があるわけでありますが、これは昨年末に閣議決定した改革工程表でお示ししているように、人口減少に対応していく観点や、一人一人のニーズに的確に対応して必要なサービスを受けることができる体制を確保していく、こういった観点から、サービス提供側の質の向上と効率化、例えば、医療提供体制の効率化、あるいは介護分野におけるICTの活用、こういった幅広い取組、これを視野に入れて取り組んでまいります。サービスの低下ということにならないよう、最大限の努力を続けてまいります。

奥野(総)委員 それは当然のことなんですけれども、ここばかりやっていてもあれなので、次に行きます。

 もう一つ増税の話があって、防衛増税ですけれども、これは、やることは税制改正大綱で決まっているんですが、時期は決まっていません。これは、今年中に時期は決定するんでしょうか、総理。

岸田内閣総理大臣 防衛力の抜本的強化における税制措置については、令和九年度に向けて複数年かけて段階的に実施する、こうした一昨年末の閣議決定の枠組み、これを実施してまいります。実施時期について、この枠組みで判断をいたします。

奥野(総)委員 資料の四に書いていますが、宮沢税調会長、これは去年ですけれども、二五年か二六年から防衛増税はとおっしゃっている。たばこ農家とかもあるので、予見可能性を持ってということで早めにと言っていますし、今、複数年かけてと言っていますが、二四年度はできないわけだから、二五、二六、二七と、あと三年度しかないんですね。

 そうしたら、もう今年中に決めなきゃいけないんじゃないですか。やるんだったら早めにだし、いや、もうやらないというなら、それでいいんですよ。どうですか。

岸田内閣総理大臣 もちろんやります。そして、先ほど申し上げたように、令和九年度に向けて複数年かけて段階的に実施する、これを実行してまいります。

奥野(総)委員 二七年度まではそうなんですが、二七年度以降も、この八・九兆円という水準が多分、政府としては続けなきゃいけないはずなんですよね。そうしたときに、これだけで足りるんですかね。今言っている税だけで、たばこ税と法人税、所得税の増税だけで足りるんですかね。いろいろな、税外収入とかを当てにしているようですが、いかがですか。

 もう一点、必ず二七年度以降はもうこれ以上税を上げないということを約束してください。

岸田内閣総理大臣 防衛力強化の財源については、これまでも申し上げてきたように、四分の三については、社会保障分野を除く分野における徹底的な歳出改革によって実現する、このように申し上げています。そして、残り四分の一については、未来の世代に対する責任として、今の世代で歳出について税制措置を考えていく、このように申し上げています。

 今申し上げているこの税制措置によって、未来に向けてこの体制を維持いたします。

奥野(総)委員 もう一回聞きますが、二七年度以降は防衛増税はない、これ以上上げないということでいいんですねというのが問いです。

岸田内閣総理大臣 今申し上げております税制措置によって、未来に向けて財源を維持してまいります。

奥野(総)委員 財源を維持するというところがポイントなんですね。だから、明確に否定はされていないわけですよ。

 だったら、全体でもう一回、税制を見直せばいいと思うんですね。金融所得課税とか、税制全体を見直して、負担の在り方を、子育ても含めて、考えるべきじゃないですか。そもそも復興税を削るなんというのはおかしいと思っていますから、もう一度きちんと、私は、やり直すべきだと思います。

 時間がなくなってきたので、定額減税の話をしようと思ったんですが、これは、申し上げておくと、定額減税は一回だけやっても消費に回らない、こう言われています。きちんと可処分所得が長期にわたって増えるような施策をしなきゃいけないと思います。それだけ申し上げておきます。

 それで、今まで申し上げてきたんですが、結局、負担がどんどん増えていく、こういうことなんですよ。防衛費だって、これから防衛増税は必ずやるとおっしゃったわけですね。子育て増税も一兆円あるわけですよ。それから、いろいろな削減効果も考えたら、サービス低下なんかも考えたら、国民の負担はもっと大きくなるかもしれないということですね。賃金の上昇もなかなか見込めない、国民負担率もこれ以上増やさないともなかなか言えない中で、結局、国民に負担を強いるということになります。

 だから、政治と金の問題が大事なんですね。国民に負担をお願いしなきゃいけない、どうしたってお願いしなきゃいけないその政府が、政治家が、きちんとお金の説明責任を果たしていく。国民には確定申告で一円単位で領収書を求めているのに政治家は不明でいいんだ、これじゃ通らないと思いますよ。

 総理、もう一回聞きますけれども、きちんと、自民党総裁として事を解明していただきたい。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政治資金が政治資金規正法にのっとって取り扱われるべきである、これは当然のことであり、今回の一連の事態が生じたこと、自民党として真摯に反省し、そして国民の皆さんにおわびを申し上げなければならないと思います。

 そして、先ほど申し上げた、聞き取り等を通じて、可能な限り事実関係の把握を行った上で、必要な説明責任を果たしてまいります。

 信なくば立たず。国民の信頼なくして政治の安定も政策の推進もない、この強い覚悟で信頼回復に向けて取り組んでまいります。

奥野(総)委員 さっきお約束いただいた、早期に出すという聞き取り調査の結果、これを楽しみに、内容を楽しみにしていますから、是非きちんと解明していただきたいと思います。

 最後に、今日は北方領土の日でありまして、これから総理も返還要求大会に御出席されるというふうに伺っています。我が党の泉代表も出席の予定でありますが、我々も、北方領土問題の早期解決に向けて、元居住者や支援者の皆様とともに、返還運動に全力で取り組んでいるところでございます。

 総理は、先日の施政方針演説の中で、領土問題の解決と日ロ間の平和条約の締結の方針を堅持するとおっしゃっていますが、これは資料の一ですが、ロシア側は極めてつれない対応です。メドベージェフなんというのは、領土問題を抜きにしてやればいいじゃないか、こういうことを言っていますし、そもそもロシア政府は、平和条約なんて、交渉は無理なんて言っているわけですよね。非常に冷たい対応であります。

 だから、私は、はっきり総理に言っていただきたいんですね。これは、二ページ目、去年の大会のときの北海道新聞の記事ですが、「対ロ戦略 曖昧な首相」とか、「墓参望む声に「ゼロ回答」」、こういう記事が載ってしまっているわけです。だから、私は、総理に、北方四島は我が国固有の領土ですから、不法占拠が続く北方四島を取り戻すと内外にはっきり言っていただきたいんですよね。

 それから、島民のお気持ちにもきちんと報いるために、四島への元島民の墓参もロシアに強く働きかけていただきたいんですよ。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、北方領土、これは我が国が主権を有する島々であり、我が国固有の領土です。政府としてこの立場に変わりはありません。平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題である、これは我が国の一貫した立場であります。政府として、四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結する、この方針、堅持をいたします。

 そして、北方墓参についてですが、北方墓参を始めとする四島交流事業の再開、これは日ロ関係における最優先事項の一つであると考えます。政府としては、様々なレベルでロシア側への働きかけを続けていますが、残念ながら、ロシア側から再開に向けた肯定的な反応は得られていません。

 しかしながら、高齢となられた元島民の方々の切実なる気持ちに応えなければならない。特に、北方墓参については重点を置いて再開を求めてまいります。

奥野(総)委員 はっきり四島と今おっしゃいました。毅然としてロシア政府に臨んでいただきたい、墓参の方も是非お願いしたいと思います。

 憲法と思いましたが、一言だけ。

 この状況で、なかなか、信なくば立たずとおっしゃっていましたが、憲法改正は、私は発議というのは難しいと思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、これで終わりたいと思います。以上です。

小野寺委員長 これにて奥野君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小林史明君。

小林(史)委員 自由民主党の小林史明です。

 今日は、この予算委員会の場で質問の機会を与えていただき、関係者の皆さん、本当にありがとうございます。

 今日は、人口減少社会における国家運営をテーマに質問をさせていただきたいと思っています。

 今、少子化対策、非常に重要だということで議論がなされていますけれども、これはもちろんやらなきゃいかぬ。ただ、これは、いかに頑張っても、二〇六〇年以降に人口がどれぐらいで踏みとどまれるかという勝負をやっているわけでありまして、その間の約四十年間、五十年間は、やはり、人口減少社会の中でも十分に持続可能な国家の姿ということを早く示していく必要があると思っています。

 その問題意識はどういうことかといいますと、同年代及び年下のメンバーと話をしていても、将来、日本の人口は減少していくので、何か新しい行動を起こそうとしてもいつか負担は大きくなっていく、国内に設備投資しても経済は成長しないんじゃないか、将来の負担が大きくなるんだったら出産とか子育ては難しいんじゃないか、この何とも言えない強い不安が、個人も企業も団体も、新たな一歩を阻害しているものだと私は感じています。

 だからこそ、希望の提示もやらなきゃいけませんが、まず不安の払拭をやる必要がある。その一番の不安払拭というのは、やはり、人口が減少しても十分に持続性がある国家運営は可能であって、かつ、人口が減っても成長し続ける国であるという未来を示すことが重要だと考えているんですね。

 そのためには、古い制度をしっかり見直して、経済、社会はもちろんですが、行政でも、徹底的にテクノロジーを実装して生産性を高めるとともに、大きな人員や予算を持たずとも効率的に運営できる方法にこの国の仕組みを変えていく必要があるということだと考えています。

 人々の生活を支える水道や道路のようなインフラも、都市部では更新が進んでいますが、地方では人手不足や老朽化で運用に影響が出ています。また、社会全体のインフラとも言える制度、アセット、そしてこの国の運営のガバナンス、この三つも今を生きる私たちにとって時代に合わないものになっているということだと考えていますので、これを新しいテクノロジーや様々な人々の価値観に合わせてつくり直す必要があるということで、その問題意識を基に、新しい国の形をどうつくるか、質疑で問うていきたいと考えています。

 その上で、まず、デジタル行財政改革担当大臣として河野大臣に伺いたいと思っています。

 先ほどのような問題意識の中で、一番のまず解決しなきゃいけない問題は、やはりガバナンスだと思います。余りにも国と地方がばらばらに仕事をやり過ぎている。これから人口減少する中で、どう考えても公務員の数だって自然と少なくなっていくわけですから、やはり少ない人数で回せる国家運営を考えていかなきゃいけないわけです。

 それを整理するために、自治体ごとにばらばらにやっているけれども実はほとんど同じ仕事というものはもう共通化してしまって、国と自治体で一緒にサービスを提供しようということを考える必要があるし、その代表格として、自治体が構築しているシステムの話を今、標準化法にのっとって標準化、二十業務をやっていますけれども、本当に標準化でいいのかしらと。正直、自治体を見ていくと、小さな自治体では、一人情シス問題と言われていて、自治体職員で情報システムを担当しているのが一人だけ、こういうふうになっているんですが、それでも、この共通システム、ガバメントクラウドの上にシステムを調達していくというのは相当困難だと思います。

 であるならば、例えば、小規模自治体向け、そして中核市向け、政令市はちょっと別途考えるとしても、せめて二種類ぐらいは、国と自治体で一緒につくった共通システムにみんな乗っていただく、そうすると、業務のやり方もきちっと、国と自治体で一緒に決めてしまう、これぐらい踏み込んだ対応がそろそろ必要なんじゃないかと思いますが、行財政改革会議における議論、意気込みをお答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 地方分権という中でやはり大事なのは、それぞれの政策は地方が自ら適したものを選ぶということだと思いますが、そこに至るまでの手続ですとか様式ですとかあるいは仕事の流れというのは、これは同じ方が効率がいいというのはそのとおりだと思います。

 今委員がおっしゃいましたように、最終的には、同じ業務なら同じシステムというところまで踏み込むのがこれはいいんだろうと思います。中には、ガバクラの上で別のシステムを使うというところがあるのかもしれませんけれども、そこはもう同じものは同じシステムでやってもらうというのがこれはいいと思います。

 今、二十業務の標準化、そしてガバクラへの移行というのを第一ステップでやっておりますが、これが完成した暁には、その次に踏み込むということも十分に考えられるというふうに思っておりますし、やはり一人情シスの問題、小さい自治体で情報システムの専門家を育て、またその人たちのキャリアパスをつくっていくというのもなかなか大変なことですから、そこはもう少し広い中でどういうふうにやっていくかということを考えていく必要はあるだろうと思っております。

小林(史)委員 その方向で、決して踏み込みが甘くならないように是非やっていただきたいと思いますし、総務大臣と連携して、これは別に地方分権とぶつかるものではないということだという整理をしていただいて、進めていただきたいと思います。

 一点、それに加えて付言をしますと、今までの話というのはちょっと中の業務の効率化の話で、国民にとっても利便性が上がらなきゃいけない話をしなきゃいけないと思っていますので、それも並行して進めていただきたいと思っていまして、一番自治体の仕事を圧迫をしているし、国民も迷っているのは、やはり結構自治体への問合せなんですよね。どこの窓口に問合せをしていいか分からないと。でも、これは金融機関だと、どの支店に電話するかと悩まないわけですね。一つのコールセンター窓口に電話をすれば全て対応してくれる、内の仕組みでデータが共有されているということですので。

 国民にとって、千七百四十一のデジタルガバメントができるのではなく、一つのデジタルガバメントとして、窓口も一つにしていく、そこでAIを活用していく、そのような方向で是非進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 その上で、これまでの問題意識を踏まえて、国土交通大臣に伺いたいと思います。

 テーマは水道事業なんですね。

 今お手元にお配りしている配付資料は、厚生労働省が二〇六〇年までの水道料金がどうなっていくかということを、今のままいくとどうなるかというのを推計しているんですね。何と二倍以上に料金を値上げしなきゃいけないという話が書いてある。それぐらい逼迫をしているということであります。

 にもかかわらず、今、水道事業は自治体ごとにやっていて、少し集約されていますが、千四百事業体でやっている。これはそんなに多くの事業体でやる必要があるのかなと。できる限りこれは広域化を進めて、管理部門を圧縮し、そして現場の人材に手当を増やしたりとか人を増やしていくということがやはり効率的なんだろうと思うんですね。なので、いつまでもこれを自治体業務ということで自治体だけに任せているのではなく、より共通化を図っていくべきだと思っています。

 実際に、厚生労働省と経産省が、数年間、水道情報活用システムという水道管の管理の仕組みというのを開発してきていまして、これは、実は、全事業体が共通で使うと、何とこの管理だけで一千億円以上の費用が浮くということになっていまして、それ以外の波及効果を考えると相当なんですね。

 あわせて、今、スタートアップ事業者が、衛星からの情報や様々な漏水情報をAIで分析することで漏水の予測ができるということもやっています。でも、これはスタートアップが、今のままだと千四百事業体に営業しなきゃいけないんですね。これは非常に非効率でありますので、国交省に移管するタイミングで、より共通化そして広域化する取組が必要だと思いますが、斉藤大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 水道事業の広域化、そして、今それぞれの自治体がそれぞれ自前のシステムでやっている、こういう状況の中で、広域化と情報システムの共通化は必要です。

 現在は、厚生労働省において進められております。

 まず、広域化について、具体的には、平成三十年の水道法改正におきまして、都道府県が水道事業者の広域的な連携を推進するよう努めなければならないこととされるとともに、市町村を越えて事業の統合や経営の一体化を行う水道事業者を財政的に支援する取組などを推進していると承知しております。

 そして、この四月から、この水道行政が国土交通省に移管されます。

 済みません、その前に。情報システムにつきましては、異なる水道事業者のシステム間においても、相互に情報を活用できる共通システムの導入支援が進められていると承知しております。

 四月から移管される国土交通省といたしましても、このような取組は、水道事業の運営基盤の強化や効率化等の観点から非常に重要であると考えております。

 厚生労働省と課題の共有を図っているところでございますが、今後、例えば、これまで所管しておりました下水道についてはかなり広域化を進めてまいりました、そして、システムの共通化も進めてまいりました、これらの知見なども十分踏まえ、取組を着実に進めていきたいと思っております。

小林(史)委員 斉藤大臣、宇宙工学も御専門で大変お詳しいということで、様々な技術にもお詳しいと思いますので、やはり、新しい技術を使うときに、実装先が複数あるのか、一定の規模感で大きく導入することができるのか、全然効率が変わってきますし、社会的なインパクトも変わってくる。

 今のお話でいくと、やはり促していっているんですよね、広域化を。でも、やはり、将来どれぐらいの数の事業体の規模が必要なのかということを是非国交省の方で、上下水道、併せて五か年計画とかを示していただいて。人口が多いうちにやらないと、実は、システムの更新とか業務のやり方を変えるというのは追加の業務なので、人が少なくなってきてから集約すると大変なんですね。だから、人が多いうちにやる。効率化して浮いた分をお給料に回したり別のところに回すということで、早めの取組を是非お願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、アセットの更新の話に行きたいと思います。

 今、全国の地域でデジタル田園都市交付金を使って様々な取組が出てくる。地方創生というのも十数年前からやってきた。私も、地元で活動してきてみて思うのは、三つのDというキーワードが重要だなと思っています。一つ目はデジタル、二つ目はデザイン、三つ目がダイバーシティー。特にこのダイバーシティーのあるコミュニティーが地域に形成されるかどうかというのは、地域活性化の上では非常に重要だと思っています。

 そのときに、実は、これまでいい効果を出してきたアセットというのがなかなか忘れられているなと思うのが、地域にある公民館とか交流館。今、都市部ではコミュニティーセンターと言われているところです。

 ただ、残念ながら、昭和の建物のままで、鍵は、実際の鍵を日中に借りに行かないと夜開けられないとか、ネットで予約できないとか、大変使いづらい状態なんですね。災害時に使おうと思ったら鍵が開いていないということが起こるわけです。

 うちの地元は、先にやろうよということで、実は、全ての公民館、交流館にスマートロックをつけます。そうすると、スマホでネット予約して鍵が開けられるし、災害時には自治体がボタン一つ押せば全て鍵を解錠することができる。履歴も確認できますから、利用状況とか、何の習い事が人気なのかというのも分かっていくわけですね。

 この地域のコミュニティーをつくっていく公民館、交流館をやはりもう一度再生をして新たにつくり直すというのは、私はすごく効果があると思っているんですね。

 今、皆さんのお手元にお配りをしている、このデジタルライフライン全国総合整備計画というのがあります。単純にコミュニティー形成だけではなくて、もっと使い道があるよねということで、これは経産省の皆さんと一緒に作ったんですが、自動運転とかドローン配送をやるよね、でも、全て個別の住宅に届けるというのは相当技術的に難しくなる。でも、それまで何もやらないかというと、そうはいかないということで、ハブになる拠点をつくっていこう、それを全国に整備していこうという計画でありまして、その中に、二枚目にあるんですが、左上、コミュニティセンター二・〇、ターミナル二・〇ということで、道の駅や公民館、交流館、そして郵便局みたいなところですね、そういった、物流が届く、そして自動運転が周遊する、そんな拠点にしようという考え方があります。

 これはどうやって整備していくかというと、デジタル田園都市交付金でやりましょうということにしているんですが、今までのこの交付金の配り方だと、ばらばらの仕様ででき上がって、ある地域では使えるけれども、別の地域に持っていくと自動運転が使えないということになりますから、先ほどのガバナンスの話とつながるんですが、国が、ドローンポートの在り方とか自動運転の充電施設とか、仕様や規格を決めて、この仕様や規格にのっとった場合に交付金が出るというふうにしないと、また実証実験ばかりになってしまうと思います。

 ここは、河野大臣、リーダーシップを発揮いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 ドローンやら何やら、仕様、規格がばらばらで、千七百四十一、全然違いますということでは、これは役に立ちませんので、補正予算から、デジ庁で定めた仕様に基づいているところは加点をするということにしておりますが、やはり仕様、規格、きっちり決めていかないといけないというふうに思っております。

 なるべく早く自治体にはこういうふうにしてくださいということをお伝えをし、そのうち、これでやったら交付金が出ますよというようなきちっとしたものを作って出したいというふうに思います。

小林(史)委員 是非お願いしたいと思います。

 なお、交付金の性格上、自治体に余り細かい指示はできないというのが今までの考え方だと。かつ、手を早く挙げてもらわなきゃいけないので、今時点で仕様、規格が決まっていないと来年度の二〇二四年度予算には対応できないという話が聞こえてきています。

 であったとしても、途中で仕様、規格が決まるんだったら、それにのっとっていただく、やはり事前に周知をしたりとか、仕様、規格を配付して説明しておくというのは重要だと思うんですが、どうも前例だとそれすら許されないという話になっているようなんですね。ここはやはりちょっと変なガバナンスなんじゃないかなと思っていまして、ここも是非乗り越えていただきたいと思いますが、河野さん、いかがですか。

河野国務大臣 これを逃すと一年遅れることになりますので、そうならないように、前例を余り気にせず、しっかりやりたいと思います。

小林(史)委員 ありがとうございます。どんどん踏み込んで、整理をして、仕切っていただきたいと思います。

 次に、制度の話に行きたいと思っていまして、二〇二〇年、我々がコロナに、国民の皆さんが苦しんだときに明らかになったのは、出社しないでください、オンラインでと言っていたけれども、判こを押さなきゃいけないので出社せざるを得ないという人がたくさんいたということが判明しました。それを機に、押印の廃止をやろうということで調べてみると、この国の四十八本の法律に押印という言葉が書いてあった。

 このように、アナログな手段に限定したルールというのが、この国で住まう人たちや、企業、団体の自由を奪っているということが判明したので、同様に、一括改正、一括見直しができる仕組みはないかということで、アナログ規制改革というのを、当時、デジタル臨時行政調査会というのを立ち上げてスタートをしました。

 調べてみて分かったのは、この国の四万のルールの中に、約一万条項のアナログなルールがあるということが分かりました。

 例えば、目視点検。建設現場、多いわけですね。でも、目視がなくなれば、全国に十二万キロ走る河川を、今、堤防を軽トラで走って目視点検しているんですが、これが全部ドローンで点検できるようになる。人手不足解消にもなりますし、そこで生まれた仕組みは、ドローン点検産業として新たな産業になる。さらに、それを海外に展開することができるということを考えると、人手不足に利き、スタートアップ振興になり、そして経済成長を生み出すという、三方よしの改革ができると思っています。

 去年、そして今年でこの一万条項をやり切るという前提で準備をしておりましたが、こちらの進捗、及び、さらに、スタートアップの調達につながるようなテクノロジーマップということで、どの分野、どの課題に、何の技術をどの事業者が持っているのかということを公表する仕組みを準備していますが、その辺りの進捗を教えてください。

河野国務大臣 約一万のうち、六千四百残っておりましたが、そのうちの四分の一については代替できるということで、今年の六月末までには、百ぐらいを残して、アナログ規制を一掃できるというふうに思っております。

 それぞれ、いろんな分野でのテクノロジーマップを整備をし、それを達成するための技術の公募をしながら、技術カタログというのを順次作っております。もう既に最初の版が出ているところでございますので、これはもう、大企業から中小企業まで、技術を持っているところが手を挙げてくれて、それを検証して、よろしいものは全部このカタログに掲載をして、これを見ていただければ、今までアナログでやっていたものをデジタルでやれるようになりますので、それをしっかり参照していただいて、どんどん進めていただきたいというふうに思っております。

 残る百についても、しっかり対応してまいります。

小林(史)委員 このように、前向きな規制改革が進んでいます。

 やはり、ここで私たちが国民の皆さんと共有したいのは、何かこの国は変わらないんじゃないかとやはり諦めさせてきたのが政治、行政の反省点だと私は思っていまして、その点を、去年、今年で約一万の規制改革を達成する、これは、歴代政権の中でも、岸田政権は史上最高の数の規制改革を実現するわけです。

 それは、ただそれを誇るわけではなくて、国民の皆さんと共有しなきゃいけないのは、時代の変革に合わせて我々は変わる、だから、皆さんも変われると。仕事のやり方とかキャリアの考え方とか、頑張れば変わることができるんだということを共有することに意義があると思っていますので、是非、これは全省庁に横断するので、それぞれの大臣の皆さんから、何が変わるのかというのを様々な場面でメッセージをしていただいて、むしろ、もっと新しい技術や新しい提案があったらどんどん省庁に出してほしい、こういう声かけもいただきたいと思います。

 その上で、政府全体でやはりスタートアップを育成しようということで、スタートアップ五か年計画というのを岸田政権の下で作ってまいりました。これはもう革新的なパッケージになっていまして、圧倒的にスタートアップ政策が進んでいくんですけれども、ちょっと残っている課題が、政府の公共調達におけるスタートアップの調達率が非常に低いんですね。これをどう増やしていくのかということを、スタートアップ担当大臣、新藤大臣に伺いたいと思います。

 その際に、一つ御提案は、各省は既にちょっとずつやっていると聞いていますが、デジタル庁では、これまでの慣例で、システム調達のときには一次請の企業しか実は政府調達先として公表されていなかったんですが、その二次、三次のところにスタートアップとか実力ある中堅・中小企業があるので、それも全てちゃんと分かりやすく公開するということをやりました。結果、取引実績としてアピールして、ベンチャーキャピタル等の投資とか金融機関からの融資も受けやすくなったという効果があるので、できれば全省庁統一のフォーマットでしっかり公開をしていくという取組も必要なんじゃないかと思いますが、併せて、新藤大臣、お願いします。

新藤国務大臣 先ほどから、気持ちいい質問をやっていただいていると思います。

 今まさに、日本は変わらなければならない。そして、委員が指摘した、人口減少、少子高齢でも成長していく、新しい経済のステージをつくろう、これが岸田内閣の、そしてまた国の目標だと思っていますから、今のような話をどんどん、やはり、たくさんの国民の皆さんに、今国は変わっているよということを知らせていかなきゃいけないなと思います。

 そして、今年度の補正と、それから来年度の新年度予算、今御審議をいただくわけでありますけれども、経済対策においては、三十六項目の規制改革。これは、二〇一三年、安倍第二次内閣ができて以来作ってきた成長戦略の中で、最も最多の改革項目を入れています。税制も六つ、新しい税制を、今までにないものを入れました。でも、残念ながら、そこのところはほとんど話題にならない。私も一時間説明しても、全くそれが一文字も記事にならないという残念な結果がございます。まあ、私たちの力が足りないなと思っているんですけれども。

 そういう意味で、何よりも一丁目一番地は、規制を改革して、そして新しいステージをつくる、その鍵を握るのはデジタルだと。そして、デジタルを推進していく上で、スタートアップという新しい企業、既存ではない、それは、研究の中で埋もれていたもの、それから、事業の中で次のもう一つ工夫ができるでしょう、こういうものを、スタートアップというのを大きな柱につないでいかなきゃいけない。私はその担当大臣も兼務しているわけでありますけれども。

 是非、そのスタートアップの中で、最もキーワードになるのが公共調達。スタートアップの人たちは、補助金が欲しい、補助金を少しもらったぐらいで収まるような仕事ではないんですね。もっと大きな企業に育たなきゃならない。それには仕事が欲しい。ですから、いいアイデアでそれが実現可能であれば、それはまず政府が率先して調達していくよ、こういう流れをつくることが、いや、政府が調達して仕事がそうやって採用されているのならばというのが信用になって、次の大きなビジネスにつながっていく。それは国内だけでなくて、世界のネットワークをつくっていかなきゃいけない。このように思っていますので、その意味でも、まずは私たちの、政府の中の調達に、今御提案があったようなことも含めて、更に工夫していきたい、このように考えています。

小林(史)委員 ありがとうございます。前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 今、新藤大臣から、補助金じゃ全然追いつかないし、余り意味がないんじゃないか、こういう御指摘がありました。私、この考えはすごい大事だと思っていまして、今回、去年、一年半前からスタートアップ五か年計画を作ってみて思ったんですけれども、この国の政策のつくり方というのは少し考え直す必要があるんじゃないかと思っていまして、いわゆるエコシステムと言われますけれども、一度政策を投入すると、それが循環をして大きくなって、その後は余り補助金を入れなくても自立していく、こういう政策体系を目指すべきだと思うんですね。

 これはスタートアップ五か年計画をやってみて思ったんですが、安倍政権から十年でスタートアップへの投資額というのは十倍に増えて、これはすばらしい成果だと思います。ただ、やはり、スタートアップ自体の数を増やす政策はできていたけれども、その後、人材を獲得するためのストックオプション制度、これは会社法が関わっているとか、あと、株式を売却した後に再投資をして次のスタートアップを育てる制度、これは税制ですから財務省や国税庁が関わってくる。省庁が横断した瞬間に、実は議論されていなくて、このエコシステム、循環を遮る目詰まりがずっと残っていたんですね。

 今回のスタートアップ五か年計画というのは、この循環をちゃんとつくるためにフルパッケージでやったので、社会、世の中からも評価され、海外からも非常に投資家が増えているという状況がありますので、それ以外の分野においても、やはり、補助金をとにかく投入するのではなくて、制度と慣習を変える中で循環が大きくなっていくという政策づくりに転換していくことが重要ではないかなということを共有させていただきたいと思います。

 その上で、このスタートアップ政策を進める中で分かってきたのは、やはり、個人として挑戦をしたいといったときに、それ相応のリスクを負うわけですけれども、技術の進展によって余計なリスクが増えているなということが分かったわけです。それは何かというと、会社登記で、法人の代表になると、住所の最後の番地まで簡単にインターネットで検索できる。これは一定規模の企業になったりとか、そうでなくても、何か、ストーカーに遭うとか、脅迫の手紙が届くとか、場合によっては様々な金融の商品の売り込みがあるとか、プライバシーをちょっと侵害しているような実は影響が出ているということが分かりました。

 このスタートアップ五か年計画の中で、これは何とか整理をしようということで、訴訟等になったときには必要な対応が取れることを前提に、住所の一部を表示しないようにしようということを法務省の皆さんにも御協力をいただいて進めることになっています。これは本当にすばらしいことだと思うんですね。

 なんですが、これはスタートアップの観点でやっていたので、ほかのNPOとか、一般社団法人とか、あと合同会社、これはDAOとかで注目されているんですけれども、これが議論として抜けているんですね。もちろん、これも同様に、プライバシーの保護という観点で、先ほどの企業の法人と同じような取扱いをすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 商業登記制度における代表者住所の公開の在り方の見直し、一部非表示とする点でございますけれども、これまでの法制審議会の附帯決議あるいは政府方針において、まずは株式会社についてやろうということで今準備を進めておりますが、その過程でパブリックコメントを実施しました。今年の一月までやったわけでありますけれども、その中で、やはり、委員御指摘のとおり、対象を株式会社以外の会社や法人にも拡大するべきだという御意見も寄せられております。

 法務省として、こうした点を踏まえて、まずはニーズの強い株式会社での対応を目指しながら、一方で、パブリックコメントに寄せられた御意見も踏まえて、対象の拡大についてもしっかり検討していきたいと思います。

小林(史)委員 大臣の表情からも前向きなということが伝わってきましたので、是非、なるべく余り時差なく追っかけていただくようにお願いしたいと思います。

 その上で、先ほど私は、岸田政権は歴代政権の中で最も最多の規制改革を実現する政権だと申し上げました。今後も規制改革を前向きに進めていただきたいと思いますが、その改革をする上での考え方についてやはり基本的に共有しておく必要があるので、それについて二問したいと思っていまして、一問目は武見厚生労働大臣に質問させていただきます。

 論点は、オーバードーズ問題であります。

 昨今、若者を中心に、一般用医薬品、特に風邪薬とかをたくさん飲むことで、少しメンタルが落ち着くとか、一方で健康的な被害が出るということが起こっていまして、それに対して早々に厚生労働省としてちゃんと検討会を開いていただいたというのは、私はすごく重要なことだと思っています。

 ただ、その中の取りまとめで、インターネット販売をより厳しくする方向の議論が今出てきております。特に、二十歳未満への販売とか、二十歳以上への複数個、大容量の医薬品の販売については、今までの対面販売又は映像と音声によるオンライン販売に限定するという案が出てきていまして、これは非常に利便性が下がる話になります。

 なので、薬が必要な人にとっても、利便性が下がっては元も子もないですし、この対策についても、若者の支援団体から、乱用者を見抜くことは実際は難しいとか、実際の店舗でも買い回りされたら防ぎようがないということで、もうちょっと実際に利く対策が必要なのではないかと指摘をされています。

 なので、この辺り、それぞれの販売方法に沿ったやはり対策や根本的なサポート等で対応するべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 一般用の医薬品の乱用という、このオーバードーズというのはもう今非常に若い人たちを中心に社会問題になってきていて、これは、本質をどう解決するかというのは、そういう若者が孤立感に陥ったり、孤独で実際にこうした大量の薬剤に頼るという社会現象そのものがやはり大きな課題で、それをどう解決するかという本質的な取組がまず第一前提として求められるということをまず申し上げておきたいと思います。

 ただ、一般用の医薬品の乱用を防止するためには、やはり、医薬品を販売する供給側の対策も現状では残念ながら必要になってきています。

 このために、厚生労働省の検討会で、今年一月に、乱用目的の多量や頻回購入を防止する方策として、薬剤師などが販売時に購入者の状況確認や、必要な情報提供を行うために、対面又は映像、音声によるオンライン通話での販売を求めることということについて取りまとめをしたところなんです。

 今後は、この検討会の取りまとめを基に、医薬品へのアクセスを阻害しないという観点を踏まえつつ、こうした医薬品販売制度についてオーバードーズにつながらないようにする、その課題をもきちんと解決していくということを両立させる方法を常に考えながら審議を進めていただきたいと私は思っています。

 医薬品の乱用対策について、やはり、国民への周知啓発、それから乱用している者に対する相談対応などの支援という、その本質的なところをまず徹底的にやるというのが、社会問題としてのオーバードーズの問題に取り組むまず一番基本的な課題だろうと思っています。

小林(史)委員 本質論からお話をいただいて、本当にありがとうございました。

 医療DXの政策、武見大臣の下で私も党で一緒にやらせていただいて、大臣になってから、オンライン診療、先ほどの話題になった公民館や例えば学校等でも可能にするということで拡大をしていただいたり、今回の震災の支援でもこれは活用いただいています。ドローンで物資を運ぶ、こういう新しい技術が人の命を救うという実用例が出てきていますので、十分にこの技術を活用できるように、その中で、人の命を守るためにどうするかというルールをデザインいただけるようにお願いしたいと思いますし、これは、規制改革担当大臣、河野大臣も一緒に議論されると思いますので、それを前提に議論をいただきたいと思います。

 最後に、総理に質問をしたいと思います。

 先ほどからありましたとおり、今、規制改革がどんどん進んでいます。これを進めていただいているのは、やはり、各省、少数精鋭でやられている官僚の皆さんの本当に頑張りだと思っています。なので、その官僚の皆さんの頑張りに迷いが生じないように、どういう判断基準でルールを見直していったらいいのか、やはりリーダーが示していく必要があると思うんですね。かつ、規制改革というのは、やはり、誰からか言われたからやるものではなくて、本来、自分たちで自分たちの省庁のルールをあるべき姿に見直すというのが重要だと思うんですね。

 そのときの指針というのが私は重要だと思っているんですが、総理の施政方針で、利用者起点で発掘した課題を踏まえ、デジタルと規制改革を組み合わせて解決していく方策を実行していくというふうにおっしゃられました。是非その方向で進めていただきたいと思うんですが、そのときにみんなが目指すべき指針、判断軸として私はいいんじゃないかなと思っているのは、当時、デジタル臨時行政調査会のときに決定をしているデジタル原則というのが、今皆さんのお手元にお配りしている資料でもあります。これにのっとって規制を見直すということになれば、先ほどのようなオーバードーズの話も、そして、今、医薬品をコンビニ等でも売れるようにするかどうかみたいなときに、なぜかオンライン上にいる管理者が管理できる店舗は数店舗みたいな、よく分からない規制の議論にはならないと思うんです。

 なので、やはり、この原則に従って皆さん議論していただくんだよねということが私は重要だと思っていまして、改めてちょっとそこを総理に確認をしたいと思います。お願いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のデジタル原則ですが、岸田政権になってからはデジタル臨調で検討を進めて、デジタル改革、規制改革、それから行政改革、こうした全体を通じて基本方針とするということで、二〇二一年十二月に決定をいたしました。

 そして、内容につきましては、まさに資料に示していただきましたが、旧来の書面、目視あるいは常駐、こうした義務づけられていた制度のデジタル処理での完結、機械での自動化を求めるデジタル完結・自動化原則、また、一律かつ硬直的な事前規制ではなく、リスクベースでの性能等を規定することや、データを活用して政策の点検と見直しを繰り返すことなどを求める機動的で柔軟なガバナンスの原則、そして、認証の仕組みや基本的なデータなどについては、独自仕様のシステム構築ではなく共通基盤を利用することを求める共通基盤利用原則、資料に示していただいたとおりであります。

 これまで、このデジタル原則を踏まえて、センサーやAIを活用した設備の監視や検査、また情報提供や申請などの行政手続のデジタル化など、アナログ規制の総点検、見直しを精力に進めてきました。引き続き、デジタル原則、あらゆる改革に通じる基本方針、このように位置づけて、利用者起点での社会改革をしっかり進めていきたいと考えております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 改めて総理から方針を示していただいたのは私はすごく大きいと思っていまして、今後の規制改革の議論のときにもこの原則にのっとって、大丈夫かということをしっかり河野大臣からもチェックをいただいて、各省の議論も担当大臣の皆さんには見ていただいて、そこを進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 少し時間があるので、ちょっと総理、細かい話なんですけれども、一点だけ確認したいことがありまして、これも施政方針でお話をされていて、デジタル行財政改革のくだりなんですね。

 デジタル行政改革が求められています、デジタルの力を生かして、人手不足が深刻化する中、公務員の数を増やさずに行政サービスを維持できる環境をつくります、こういうことをおっしゃっていて、実は、前回のときから結構いろんな会議でこの文言が入っているんですけれども、年末、いろんな予算折衝を役所がやっているときに問題になったのは、この言葉をかりて、財政当局がもう定員を増やすことは全くまかりならぬみたいなことをおっしゃっている場合があるということになっていまして。

 でも、これは先ほど総理が戻られる前の質疑でちょっとやったんですが、やはり、改革を進めるとかデジタル化を進めるというのは追加業務ですから、一時的に人が必要になる場合はあるわけですね。だから、一時的に増えるけれども、二〇六〇年に向かっては人口は減っていくわけだから、少なくなる中でも回せる行政組織をつくる、こういう前提での多分発言だと思うんですね。

 ちょっと、そこの意図を改めて、そんな意図はないよと言っていただけるといいかなと思っているんですが、いかがでしょうか。済みません。全然通告していなくて申し訳ありません。

岸田内閣総理大臣 基本的に、全体として増やすことは考えないということではありますが、おっしゃるように、これはまさにめり張りを利かさなければいけない。デジタル化を思い切って進めるということであるならば、デジタル庁始め必要な部署には人をしっかりと張りつけていく、そして全体を、この全国的な人手不足等の時代において人数を抑えていく方向を目指していく、こうした考え方が重要だと申し上げています。

 必要な部署に一時的でも人数を増やすことはまかりならぬなどということは決して申しておりません。全体の流れを維持するためにめり張りの利いた人事を考えるべきだと申し上げております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 この言葉もとても大きいと思っていますので、是非、各省の皆さん、本当に今までいろいろな仕事をやってきましたが、どの省庁の皆さんも本当に一生懸命働いていて能力も高い。その人たちが十分に発揮できる環境をつくることが、政治の大事なリーダーシップだと思っています。是非皆さん方からも激励をいただきつつ、我々も応援しながら、一丸となって、この国が三十年ぶりに大きく変わるチャンスをつかみ取れるように共に頑張っていきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

小野寺委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。

 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 まず、この度の能登半島地震でお亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げる次第でございます。

 発言通告、順番が変わりますけれども、よろしくお願いいたします。

 まず、盛山文部科学大臣の世界平和統一家庭連合との、旧統一教会との関係について質問をさせていただきます。

 本日の朝日新聞で、盛山大臣と世界平和統一家庭連合側とで事実上の政策協定である推薦確認書に署名をしていたと報じられております。また、その記事の中には、選挙期間中は、教団信者でもある世界平和連合の会員十人から二十人が連日、盛山氏の事務所で有権者に電話で投票を呼びかけたと関係者は話すとあります。

 また、昨日の朝日新聞での記事では、選挙支援の主な内容は支持者獲得を狙う電話作戦だったという、世界平和連合幹部の指示を受けた信者十名から二十名が、電話帳の一覧を基に毎朝八時から夜八時まで電話をかけ、是非、盛山を応援してくださいなどと呼びかけた、信者たちは、個人の携帯電話の契約をかけ放題に自腹で変更して、一人当たり一日数百件の電話をかけたという、もう二万五千件は電話をかけました、時折、世界平和連合側は盛山氏側に状況を報告していたと別の関係者は話すと報じられています。

 ここで大臣にお伺いをいたします。この電話作戦には、盛山事務所において、世界平和連合側からの選挙支援として行われたのは事実でしょうか。お答えください。

盛山国務大臣 今日の朝、御答弁したものの繰り返しになりますけれども、過去の衆議院選挙に際して当該団体に選挙支援を依頼した事実はありません。そして、事務所で旧統一教会の関係者が電話をしていたという事実は確認されておりません。

坂本(祐)委員 事実がないということでございますけれども、基本的に私ども、選挙運動を行うときには、こうやって一生懸命に応援してくださる方、たとえ十人でも五人でも二十人でも、一生懸命かけていただいた、応援をしていた方々のことを忘れることはできないのではないでしょうか。

 盛山文科大臣は、世界平和統一家庭連合の集会に参加したのは一回と記者会見でおっしゃっておられましたけれども、お伺いいたします。二回以上参加していたということはないでしょうか。

盛山国務大臣 二〇二二年の九月の自民党の調査の段階におきまして、よく調べましたところ、当該年、二〇二二年の三月の関係の団体の会合に出ていたということが判明したので、その旨、自民党に対して報告をいたしました。

 しかしながら、今回報道で出ているようなものについては全く記憶がなかった。そしてまた、その会合が、我々の方からすると、地元の方からのお呼びかけでありまして、そういうような団体の会合であるという認識は全くありませんでした。ですから、二〇二二年九月の自民党の報告に対しては、その春、三月の一回しか報告をしなかったということでございます。

坂本(祐)委員 一般的には、選挙で立候補される方、どのような小さな会合でも、やはり、ありがたく支援をしていただいた方のところに行く、このことは忘れることはできません。そういった積み重ねこそが、今の私たち、国会に送っている、応援をしてくださる多くの方たちに、そのお声をしっかりと届けることになるのではないでしょうか。記憶にない、このような答弁でこれは解決するものではないというふうに考えております。

 それでは、盛山大臣、世界平和統一家庭連合の集会に二回以上参加していたことが明らかになった場合あるいは証拠が出てきた場合には、文部科学大臣の職を辞任されますでしょうか。

盛山国務大臣 先ほど来御答弁いたしましているとおり、二〇二二年の春と、そして御指摘のものを私は当該団体のものとは認識しておりませんでしたが、二〇二一年の十月、出たという、その二回しかないというふうに承知をしておりますが、いずれにせよ、これまでも御答弁申し上げましているとおり、旧統一教会側とは関係を全て絶っております。

 そしてまた、昨年十月には解散命令請求を行った、私が当事者でもございます。しっかりと職責を果たしていきたい、そのように考えております。

坂本(祐)委員 今の大臣の答弁では、二回出席をされたということでよろしいわけですね。

盛山国務大臣 記憶になかったわけでございますけれども、報道のとおり、旧統一教会の関係の方ということであれば、二回になります。

 ただ、我々の認識としましては、選挙区の方からの御紹介で、集会をするから来いということで出ていった、そんなふうに記憶しております。

坂本(祐)委員 それでは、総理にお伺いをいたしますけれども、盛山文科大臣が世界平和統一家庭連合の集会にこれ以上参加をされていたということが明らかになった場合又は証拠が出てきた場合には、大臣を更迭されますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 午前中にも自民党の方針について申し上げました。旧統一教会及び関係団体との関係を、過去の関係を点検、報告した上で、新たな接点が判明した場合には、その都度、追加的に説明責任を果たし、未来に向けて関係を絶つ、これを徹底するというものであります。この方針に従ってもらわなければなりません。

 大臣につきましても、過去の関係いかんにかかわらず、現在は当該団体との関係を一切有していないということを前提として任命を行っているところであります。

坂本(祐)委員 文部科学大臣たる方は、我が国の文部科学、学校教育、子供たちの、範を示さなければならない人格を有するものだというふうに私は考えております。そしてまた、文科省ばかりではなくスポーツ庁も所管をする。全てのスポーツマン、こういった方たちから見ても、やはり文部科学大臣は、スポーツマンシップを持って、自分がしっかりとこの問題解決について説明責任を果たすべきではないか。私どもは、こういった方を文部科学大臣として認めることができない、更迭をするべきではないか、このように考えております。盛山大臣がお辞めにならない、このことが、今後の国会運営や日程にも支障が出てしまうのではないかと懸念をしているものでございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 メジャーリーガーの大谷選手を始め、野球、サッカー、ラグビー、バスケットボールなどで多くのスポーツ選手がすばらしい活躍をしております。日本国民に元気を与え、子供たちに夢や希望を与えています。また、この度の能登半島地震でも、被災地域への多額の寄附をされるスポーツ選手もおり、その姿勢に心から敬意を表するものであります。

 私は、以前、日本スポーツ協会の理事や日本スポーツ少年団の本部長を務めてまいりました。日々の活動においても、フェアプレー精神とスポーツマンシップ、これに基づいて活動しているつもりであります。そして、有権者の皆様に対し常に公平、クリーンであり、しがらみをつくらないためにも、国会議員当選以来、企業・団体献金は一切受けず、政治資金パーティーも行わず、政治活動を続けてまいりました。

 しかしながら、今回の自民党の裏金問題で、オリンピアンでもある橋本聖子参議院議員と堀井学衆議院議員が裏金を得ていたというのは非常に残念なことであり、また憤りを覚えております。

 さらに、日本テレビの取材によりますと、資料一を御覧になっていただければ分かりますけれども、堀井議員は二千百九十六万円、橋本議員は二千五十七万円と、自民党の裏金トップテンに入るような状況であります。

 国民や子供たちに夢や希望を与えるべき立場であるオリンピアンの国会議員が裏金にまみれていた、そして、国民を裏切るだけでなく、オリンピアンの名をも汚すことにもなってしまいました。大変に遺憾なことであります。

 このオリンピアンでもある自民党の国会議員が多額の裏金を得ていたことについて、岸田総理はどのようにお考えになりますか。また、自民党の国会議員が日本のスポーツを牽引すべきオリンピアンの名を汚すことになったことに対してどのようにお考えになるか、答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の橋本議員そして堀井議員、オリンピック選手として我々にもたらしてくれた夢や希望、これは決して色あせることはありませんが、政治資金が法令に基づき適切に取り扱われるべきこと、これは当然であって、元オリンピック選手であるか否かにかかわらず、収支報告書の訂正に至ったことについては、これは真摯に反省をし、適切に説明責任を果たさなければならないと思います。

 党としても、関係者に対して明確な説明責任を促しているところであり、現在、順次説明の場が設けられていると承知しております。適切に対応していただくことを強く期待いたします。

坂本(祐)委員 ただいま申し上げたお二人につきましては、議員である、あるいはオリンピアンにかかわらずというふうに総理もおっしゃっておられましたけれども、しかし、全国には何千万人ものスポーツを愛好する方たちがいらっしゃいます。私は、オリンピアンらしく、正々堂々と事実を説明するべきであると考えています。

 この件に関しては、岸田総理からも、自民党総裁として、事実をしっかりと説明していただくように指示をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 お二人の活躍によって夢や希望を与えられた国民の皆さんも大勢おられるということを考えますときに、改めて、二人には、説明責任をしっかり果たしてもらうよう、党としても促していきたいと思います。説明責任を果たすことの重要性、お二人にもしっかりとかみしめていただきたいと思います。

坂本(祐)委員 党としてしっかりと説明責任を促していただくということでございますから、当然、総裁からもそのような指示があるものと私は考えております。まずは、正々堂々と説明責任を果たしていただきたいと願っております。

 それでは、次の質問でございますけれども、マイナ保険証の問題と現行の健康保険証の廃止延期について、総理に質問をいたします。

 マイナ保険証については、これまで、通信障害や停電などのトラブルが発生したときの問題について指摘されてきたことであります。この度の能登半島地震において、電気や通信が停止したことで、懸念されていたことが実際に起きてしまいました。このような震災で通信手段が失われたときこそ、現行の健康保険証の方が現場においては取り扱いしやすいということが改めて分かりました。

 また、二月四日の朝日新聞の記事で、「マイナ保険証、国家公務員も利用低迷 昨年十一月は四・三六%」という記事が出ました。

 この件に関して、昨日のTBSのニュース番組の中で国家公務員にインタビューをしていましたが、インタビューでは、マイナ保険証のメリットがあんまり、保険証を出すだけで終わってしまうのでもうこれでいいのかな、使える設備が設置されている病院とそうでない病院があるので面倒くさい、いつもの保険証を提出したら事足りるのが大きい、病院が嫌がるのもある、ネット環境が悪いからちょっと、接続が悪いから嫌ですという病院もあるらしいとの回答がありました。これが実際の声なんですね。やはり現行の健康保険証は残すべきではないでしょうか。

 我々立憲民主党は、昨年の臨時国会で衆議院に保険証廃止延期法案を提出しています。現行の健康保険証の廃止は延期させるべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今回、能登半島地震において、通信手段が失われた場合も含めて、これまでも、災害が生じた場合には、健康保険証を紛失したり、着のみ着のまま避難を余儀なくされる場合も多いことから、患者が健康保険証を提示できなくても受診を可能とする取扱いを行っております。むしろ、今回の震災においては、避難先において、健康保険証などがなくても、オンライン資格確認システムの活用によって本人の服薬履歴等の確認が行われるなど、医療DXが災害対応にも大いに役立っていると認識をしています。

 こうした医療DXを進める上で、マイナ保険証はその基盤であります。そのメリットを早期に最大限発揮するため、現行の健康保険証の発行を本年十二月二日に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することとしております。マイナ保険証への移行に際しては、デジタルとアナログの併用期間、これをしっかり設けて、全ての方が安心して確実に保険診療を受けていただける環境整備に取り組むとともに、医療機関や保険者等と連携して、その利用促進の取組を積極的に図ってまいります。

坂本(祐)委員 メリットを生かしてこれからも利用を深めていくと総理はおっしゃっておられましたけれども、利便性がないから国家公務員の方々もその利用率が低いわけで、私も地元の多くの方たちに足を運んでいろいろなことをお伺いいたしますけれども、まずは、この保険証を、現行の保険証は引き続き使えるようにしてください、このように頼まれることがたくさんあります。是非、このことを総理もお考えになっていただいて、現行の保険証の存続を実施していただければと強く要請をいたします。

 続きまして、地方分権に逆行する総理の対応について質問をさせていただきます。

 総理は、昨年のマイナンバーの総点検について、その作業を地方自治体に押しつける形で実施をいたしました。今般の総理の肝煎りの定額減税やそれに係る非課税世帯への給付対応についても、地方自治体が事務を担うことになっておりますけれども、私の地元の自治体からも負担を増やされることへの不満がたくさん出ております。

 市長経験者としてこれまで総理のやり方を見てまいりましたけれども、総理には地方自治体への配慮が全く感じられないと私は思います。余りこのようなことは申し上げたくありませんけれども、正直、地方を何だと思っているんだという憤りを感じることすらあります。地方は政府の下請機関ではありません。地方と政府は対等の関係であります。

 地方分権が叫ばれて三十年を過ぎました。まさに、この地方分権に逆行するような自治体いじめはしないでいただきたい。総理の認識をお伺いいたします。

松本国務大臣 坂本委員におかれては、御自身もおっしゃっておられたように自治体の長もお務めでございますので、よく御案内かと思いますが、自治体の皆様には、法律で定められてお願いをしている事務もございますし、もちろん自治体でお決めになってお進めになっていただいている事務があるわけですが、国と自治体については、今これもお話がありましたが、対等な立場で相互に協力する関係にあるとの認識の下で地方分権改革を進めてきており、岸田総理の下、私どももその考え方に基づいて政策を推進をしていると考えております。

 御指摘があったマイナンバーの総点検については、総務省は、国と自治体との連絡調整を担う立場から、専属幹部を通じた自治体との連絡体制を整備し、現場の声や課題について丁寧に把握に努めながら取り組み、関係省庁とも連携しまして、データ抽出作業に必要な経費に係る財政支援や、作業に当たっての課題に関して自治体へ助言を行って、自治体の点検作業が円滑に進むように努めてまいりまして、昨年末には全ての自治体で点検を終えていただいたところです。

 言及がございました個人住民税の定額減税につきましても、自治体の課税実務やシステム対応等を踏まえ、自治体の負担にも配慮した制度設計としておると考えております。

坂本(祐)委員 総務大臣から御答弁をいただきましたけれども、丁寧に把握をしているということをおっしゃっておられました。

 今回の非課税世帯への給付対応あるいは定額減税、このことについても、発言通告にはありませんけれども是非お答えいただきたいと思いますが、地方自治体の声、例えば市町村長始め職員の皆さんの声、総理がなかなか現場でその声を聞き取ることができないということであれば、せめて、総務省、総務大臣、そういう声をお聞きになっていらっしゃるのでしょうか。

新藤国務大臣 地方自治体の事務負担をできるだけ軽減する、そしてまた、この給付のスピードを速めていく、簡易なシステムにする、これが今回の私たちの命題です。

 これは事実関係として御承知おきいただきたいんですけれども、現状において、今、非課税世帯向けの一世帯当たりの七万円の給付、三万円払っていない場合は十万円、これは既に九八%の自治体が予算化をして、給付に向けた準備に入っている、もう既に送付書は出されている、こういう状態でございます。

 それから、事務の工夫は、これは是非、先生、御存じというか、また皆さんに知らせてもらいたいんですけれども……(坂本(祐)委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい、分かりました。推計所得税額算定ツールというのを国が開発して、全自治体に提供しました。これによって、給付額が簡易に算定できるシステムを、デジタルの仕組みを全自治体に配付しています。

 それから、定額減税の中身は一万円単位にしました。

 それから、特定公的給付といいまして、これは、自治体の税務情報以外に今回の定額の給付金の金を決めるためには別途手続が必要だったんですけれども、全自治体に一括で包括した許可を与えることになりましたから、そういったことも全部大丈夫です。

 それから……(発言する者あり)はい。でも大事なことなので。子供加算の給付も、新年度の税額を決めていると遅れちゃうので、これは前年度の額によって……

小野寺委員長 答弁は端的にお願いします。

新藤国務大臣 それによって前倒し給付ができるようにということで、速やかになった、こういうことです。

坂本(祐)委員 私が申し上げたかったのは、こういった地方を大切にしていただきたい。地方創生の観点からも申し上げたいことはたくさんありますけれども、それは、総理が現場に足を運ぶことが困難なのであれば、それぞれの大臣が現場に足を運ぶことも必要、職員の方が足を運ぶことも必要、地域の声をしっかりと聞いていただきたい。特に、今回のこの対応は、自治体は泣いています。聞いてもらえば分かります。全く間違いないと思います。このことを申し上げて、是非、地方自治体に対しては丁寧な、私は政策を実現していただきたいというふうに思います。

 それでは次に、教育無償化の推進と子育て政策の充実について質問いたします。

 まず、学校給食の無償化についてでありますけれども、資料二にあるように、我々立憲民主党は、日本維新の会とともに、昨年の通常国会において衆議院に学校給食無償化法案を提出をいたしました。先般の代表質問でも、泉代表から、学校給食の無償化について総理に質問をしております。

 学校給食は、子供たちの成長に重要なものであることは言うまでもありません。そして、食育といった観点からも大切な教育活動の一環でもあります。しかしながら、近年の物価の高騰等によって、学校給食費の家庭における負担感が増しています。また、学校給食費につきましては、給食費の徴収が教職員の負担になっていること、あるいは給食費の未納による子供への精神的影響等、課題もあります。全ての子供たちが安心しておいしい給食を食べられるようにするためにも、給食費は無償にするべきであると私は考えます。

 資料三を御覧ください。

 日本農業新聞の昨年二月二十二日の記事によれば、全国約一千六百市区町村の三割が二〇二二年度に給食費を無償化したとのことです。しかしながら、逆に無償化されていない自治体も七割ほどあり、無償化している自治体でもおよそ六割は地方創生臨時交付金を使って実施しており、そのような自治体は、交付期限後は未定又は徴収再開予定となっているとのことであります。自治体によって公教育における給食費の負担に差があるのは問題があります。

 私の地元の埼玉県滑川町では以前から無償化を実施しており、坂戸市でも今年度から無償化を始めましたが、無償化されていない地域の保護者からは国に対して疑問や不満の声が聞かれます。

 子育て家庭の負担を軽減し、子育てしやすい環境をつくっていくためにも、そして、全ての子供たちが安心しておいしい給食を食べられるようにするためにも、早急に給食費を無償化するべきと考えますが、いかがでしょうか。また、最速でいつから実現できるのか、総理にお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 学校給食については、委員から今紹介がありましたように、これまで重点支援地方交付金の活用等を通じて保護者の負担軽減に努めてきたところでありますが、学校給食費の無償化の検討に当たっては、一部の自治体や学校において学校給食が実施されていない状況もあるため、児童生徒間の公平性等の観点から、実態を把握した上で課題を整理する必要があると考え、時期については、全国ベースの実態調査を行い、その調査結果の公表を今年六月までに行います。その上で、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等を含めた課題を整理し、結論を出します。

坂本(祐)委員 それでは、実態調査を六月までというふうに総理はおっしゃいましたけれども、資料四を御覧ください。

 この資料にもあるように、小学校では九九%、中学校では九一・五%で学校給食が実施されています。総理は、給食費の無償化を実施できない理由として、一部の学校給食が実施されていない自治体や学校のことを取り上げて、児童生徒間の公平性等の観点からということでそのできない理由を説明されておられますけれども、私は、給食が行われていない学校でもお弁当は持っていきますので、給食が実施されるまでは給食費相当額を支給することで公平性は保たれるのではないかと考えております。

 少子化対策や子育て支援の推進を言うのであれば、やらない理由を探すのではなくて、できる方法を考えるべきではないでしょうか。このような観点から、すぐにでも給食費を無償化するべきと考えますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政府としては、学校給食費の負担軽減ということで、重点支援地方交付金等の活用等で取り組んでまいりました。その上で、今申し上げたように、全国ベースの実態調査を行って、公表を六月までに行います。そして、その上で課題を整理して結論を出していく、この方針で進めていきたいと考えています。

坂本(祐)委員 公表されるとおっしゃいましたけれども、今、調べた、調査をした、そのことをもっていつ頃までに給食費を無償化するか、そのことはお考えになっていらっしゃるでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げているように、政府として確定しておりますのは、全国調査、六月までに行い、公表する。その上で課題を整理する、その上で結論を出す、こうした日程を申し上げています。この日程に従って取組を進めてまいります。

坂本(祐)委員 ある程度の課題それから実態というのはもう分かっているんです。そして、多くの学校がその自治体によって給食費の無償化を進めています。通りを一つ隔てた隣の町の子は有料で、こちらが無償だ、こういうことがないように、やはり、公教育としての学校給食の無償化は六月の調査が終わった段階で速やかに実施していただきたいと思います。

 私は、市長職を十六年間務めさせていただきましたが、政治の基本とは、やはり、そこに生活を営む、市長であれば市民の皆様、その市民の皆様の悲しみや喜びや憤りや憂いや、その思いを政策にしっかりと実現をすることではないかと考えています。是非、総理には、国民のお一人お一人の大切な声をこれからもしっかりと生かしながら、実現に向けて努力を重ねていただきたいと願います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて坂本君の質疑は終了いたしました。

 次に、湯原俊二君。

湯原委員 立憲民主党の湯原俊二です。よろしくお願いします。

 まずもって、能登半島地震で亡くなられた方に哀悼の意を表し、御遺族の方にお悔やみを申し上げ、そして、被災された方にお見舞いを申し上げ、一刻でも早く元の生活へ戻れるように、私も政治の場に身を置く者として尽力してまいりたいと思いますし、人命救助、復旧復興のために、警察、消防、自衛官、行政関係者、あるいは、インフラ復旧のために様々な方が御尽力いただいていますことに改めて敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、質問に入りますけれども、冒頭、この問題は、地方創生、地方創生と、この十数年間、自民党政権はおっしゃっておられましたけれども、果たして日本の地方はよくなったのかどうか。岸田総理は施政方針演説で、地方の活性化、創生なくして日本の発展はないというふうに表明しておられますけれども、その大本の地方がよくなってきたのかどうかを問いたいと思っています。

 実は私、学校を出た後、鳥取県から出ていました自民党の相沢英之事務所に入りました。旧会館では第一議員会館七階、七二一号室という角部屋でありまして、隣が、先日まで農林水産大臣をやっておられた宮下さんのお父様、宮下創平さんが隣の部屋でした。宮下創平さんは長野出身でありますし、その先は新潟から出ておられる渡辺秀央さんで、その先が広島から出ておられる岸田文武さんという先生がおられました。今から四十年ほど前の話でありますけれども。

 御批判いただくかもしれませんけれども、当時の自民党は、やはり中選挙区制ということもあったせいもありますけれども、競い合ったように、地方あるいは国民の暮らし、第一次産業、我々同僚議員が昨日来質問しておりますけれども、農林水産業の問題、中小零細企業の問題、これらを競い合うかのようにエネルギッシュに議論をし、そして、今に比べればはるかに、国土の均衡ある発展、産業間の格差がない社会をつくっていたんじゃないか、私はそういう認識を持っております。

 その上で、地方創生とこの十数年間おっしゃっていた結果がどうかということを申し上げたいと思います。

 まず、一枚目のパネル、資料を御覧いただきたいと思いますけれども、これは、佐藤栄作内閣のときに過疎法ができまして、名称は様々、要件は変わっておりますけれども、それ以降、過疎地域が指定になってきております。

 以前の民主党政権時代と比べると、過疎地域、全国に占める割合がこの数字でありました。全国における五七・ちょっとの数字でありますけれども、過疎地域が指定になっていた、五七・三%であります。ところが、地方創生、地方創生と言いながら、実際、今、岸田政権になっては六三・二%、過疎地域は拡大をしてきている、こういうものであります。

 二枚目のパネル。

 東京一極集中でありますけれども、これは人口であります。二〇二二年と二三年、いずれも東京に一極集中が進んでいる。特に二三年の方が増えていっている。つまり、東京一極集中が加速をしながら、片一方で地方から人口が減少してきている、こういうグラフであるわけであります。

 そして、その上で、私、実は九年間落選をしておりまして、九年間、鳥取の地元をずうっと歩いていろいろな方々の声を聞いてまいりました。今日まで同僚議員が発言をしておりますけれども、重ねてで申し上げます。

 まずは、日銀の金融政策の結果でもありますけれども、円安、物価高で生活が苦しくなってきたという声を非常に聞いております。そしてまた、地域において、特に中山間地域でありますけれども、若者が流出をしていっている。生活が厳しくなっていますから、人口減少、空き家が増えていっている、地域が崩壊しかねない、こういう状況も聞いております。

 あるいは、これは涙ながらに私におっしゃったんですけれども、米価が下がって、稲作に年金をつぎ込まなければ米が作れないんだ、湯原さん、それで、コンバイン、稲刈り機です、壊れたらもう稲作は廃業しなきゃいけないんだ、こういう声も聞いております。

 同僚議員が言っておりました、飼料、餌代あるいは農業資材が上がって、畜産、酪農家は廃業せざるを得ない状況も出てきていると。あるいは、中小零細企業では、原材料、資材が上がって、価格転嫁ができずに大変経営が圧迫されている、こういう状況もあるわけであります。

 あるいは、マイナス金利政策の結果でありますけれども、地方銀行が体力を消耗して、支店の統廃合が起きてきている。年金を引き出したくても、支店が、窓口がどんどんと撤退して離れていっている。これは農協も一緒ではないかというふうに思うわけであります。

 あるいは、どこの中山間地域でもそうであろうかと思います、小売店がなくなって、なかなか品物を買うことができない、あるいは、バスの運転手さんがいなくなって減便になって移動すら難しい。あるいは、高齢化率が高い地域であっても、医師の偏在があって医療にアクセスができなくなりつつある。特に、高齢になると整形外科が必要でありますけれども、腰とか膝などの整形外科、この専門医の偏在があってアクセスできないんだということを言われています。

 そしてもう一つ。昔はそうではなかったけれども、今、地方で共稼ぎで一生懸命夫婦で働いても、子供を県外の大学に進学させることができないんだ、奨学金を平均で三百万も借りなければ、借金させなければ地方からは進学させることができないんだ、こういう声を聞いているわけであります。

 言葉だけで地方創生、地方創生と言っても、実際の地方の実態はこういう状況ではないか。御認識をいただきたいというふうに思っております。お願いしたいと思います。

 そして、あわせて、この原因が何かというと、私は、小泉政権から三位一体の改革が始まりましたけれども、新自由主義的な国づくりが結果として地方を切り捨て、国民の生活を危うくしている、こう考えるわけでありますけれども、この点について御認識をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御質問の三位一体改革ですが、この改革自体は、国から地方への税源移譲の実現、あるいは国庫補助金改革、こうした取組を進めました。地方の自立や地方分権の進展に取り組む改革であったと思いますが、他方で、地方交付税の急激な削減など、財政力の弱い自治体にとっては厳しいものになった、こういった指摘があると承知をしています。

 その中で、人口減少が著しく、特に財政力が弱い過疎地域に対しては、これまで五次にわたり過疎法を議員立法により制定し、地域間格差の是正という基本的な考え方に基づいて、過疎債や補助率のかさ上げなど、支援措置を講じてきました。

 産業の振興、交通、生活環境、福祉等の施設整備など、一定の成果は上がっているとは思いますが、過疎地域においては、人口減少あるいは少子高齢化、これは一段と進んでいます。こういった厳しい現実の中で、担い手、移動手段の確保、あるいは集落の維持、活性化、こうした課題も大きくなっている、こうした現状にあると認識をいたします。

湯原委員 ありがとうございます。

 過疎化、人口減少は、地方によっては進んでいるという認識を持っておられるといった答弁だったと思います。

 私は、先ほど来申し上げたように、その原因の一つが、やはり新自由主義的な日本の国づくり、自民党政権がこの十数年間やってきた新自由主義的な国づくりが結果としてそれに拍車をかけているのではないか、こう考えるわけであります。

 本会議場で総理は、コストカット経済からの脱却というふうにおっしゃっております。二年前は、施政方針演説において、新しい資本主義、こうおっしゃっているわけでありまして、ここの下には、やはり新自由主義的な国づくり、もっと言うと、イコールかどうかは分かりません、アベノミクス的な考え方が地方の疲弊に拍車をかけてきている、だから脱却をしなきゃいけないんじゃないか、こういう考えをお持ちではないか。つまりは、その上で、軌道修正する意味で、新しい資本主義という言葉を二年前に出されたのではないか、こう考えるわけですけれども、答弁を求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 アベノミクスですが、デフレでない状況をつくり、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加をもたらした、さらには、全都道府県で有効求人倍率は一倍を超えた、農林水産物、食品輸出額は倍増した、訪日外国人、旅行消費者は五倍になった。様々な成果はもたらしたと思います。

 岸田政権としては、こうした成果の上に、新たな経済モデルである新しい資本主義、成長と分配の好循環、これを実現する、これを申し上げております。新しい資本主義の肝である、官民が連携して社会課題を成長のエンジンに転換する、こういった考え方は、人口減少、少子高齢化、人手不足など、社会課題が凝縮する地方経済の活性化にこそ有効であると考えております。

 是非、こうした考え方に基づいて、デジタル田園都市国家構想を始め地方の中堅・中小企業の支援、そして、農林水産業を始め地方を支える産業、これを支えていきたいと考えています。

湯原委員 いいことばかり、そうやってアベノミクスの効果、新自由主義的な国づくりのことをおっしゃっておりますけれども、先ほど来申し上げたように、地方は疲弊してきているのは間違いないということ、総理自身が、進んできているというふうに最初の質問でおっしゃっているわけであります。

 アベノミクスの功の部分を先ほど来おっしゃっておりますけれども、罪、マイナスになった部分を、特に地方において、第一次産業において、中小零細企業において、あるいは年齢が高い高齢者においては、負の部分が非常に大きくなってきているんじゃないか、こう私は考えるわけであります。

 そういう意味で、ですから、新自由主義的な国づくりから、新しい資本主義、コストカット経済からの脱却という、御自身で、逆に言うと、これはある意味で軌道修正をおっしゃっている、私はそう言わざるを得ません。

 これは、昨年十二月に国立の社会保障・人口問題研究所が公表した地域別の人口の将来推計であります。これを私見たとき、非常に危機感を持っています。

 先ほども、地方が疲弊してきている、大変厳しい状況だということを申し上げました。

 ところが、ここに示されているのは、このままでいくと、二〇四〇年代から五〇年代、今から考えると大体二十年後において、都道府県でいうと、六十五歳以上の割合が四〇%超の県が、今ゼロ県から二十五道県になる。七十五歳以上の割合が二〇%超のところが、今ゼロ道府県であるのが四十六、ほとんどと言っていい状況になります。二〇二〇年と比べて総人口が三割以上減少するのが十一県ということであります。

 市区町村でいうと、二〇二〇年と比べて総人口が半減する、半分ですよ、半減するところが、全国の市区町村の二割になる。二〇二〇年と比べて十五歳から六十四歳、生産年齢人口ですね、これが半減する、半分になるのが四〇%超の市区町村になる。最後、七十五歳以上の割合が三割以上が、三%であるのが四六%。

 こういう危機的状況が、何もしないと二十年先、三十年先にはなるということを示しております。

 まさに、こうなってくると、人手不足、経済は減少していきますし、次の資料を出していただければ分かると思いますけれども、これは、これに基づいてリクルートワークスが書いたものを朝日新聞が上げたものでありますけれども、これを見ると、公共交通機関等がサービスが激減してくる、医療、介護を始めとしたセーフティーネットが破れてくる、老朽化した施設、道路や橋が修繕できなくなってくる、こういうことが推測されるということでありますけれども、いかに対応していくかということを、地方創生担当大臣にまず御答弁願いたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 委員も資料でお示しいただきました地域別将来推計人口は、大変厳しい見通しだというふうに我々も認識してございます。このため、湯原委員も問題意識を上げていただきましたが、やはり、若年層を中心に、地方に対してしっかりと人口を取り戻していくということが非常に重要であると考えてございます。

 従前より四つの柱に取り組んでおりますが、やはり、地域において仕事をちゃんとつくっていって所得を上げていくということ、あるいは人の流れをつくるということ、あるいは結婚、出産、子育ての希望をしっかりとかなえるということ、そして魅力的な地域づくり、ここには、お示しいただきました医療、介護、交通といったものも入ってきます。

 この四つの柱に沿いまして従前より地方創生に取り組んでいるところでございますが、更にこうした取組を加速させる必要があると考えてございまして、今後、地方拠点強化税制につきまして、令和六年度の税制改正で、制度の対象となる部門の拡充や子育て施設の対象を追加をさせていただきました。

 また、地方創生移住支援事業でございますが、令和六年度から、これまでは対象としておりませんでしたが、大学を卒業した後に地方に戻ってくる、移住する学生への支援の強化を加えました。

 加えまして、子育て環境整備に向けた国民各層に対します情報発信や、あるいは買物支援も非常に重要なテーマだと思ってございます。こういったものも、デジタルを活用しながら取り組んでまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、引き続き、厳しい地方の現状、そういった声を十分に伺いながら、総合的に政策を推進してまいりたいと存じます。

湯原委員 いろいろ政策をやっていきますよという御答弁だったと思いますが、しかし、今日までの、地方創生、地方創生と言って十数年間やってきて、結果が今でありますし、人口問題研究所の推計も、このままだと二十年、三十年先こういう危機的状況になるというふうに推測しているわけでありますが、私は、もっと抜本的に国づくりの在り方を変えるべきだと思っています。

 諸外国を見ると、先ほど税制の話も若干おっしゃったんですけれども、過疎地域地方と標準的なところと大都市部と、様々な税制、一律的、画一的なものではなく、もうダブルスタンダード、トリプルスタンダードぐらいに税制も変えていく。あるいは、診療報酬、これはドイツなどがやっておりますけれども、先ほど医師不足の話をしましたけれども、過疎地域に診療所を開く、診療報酬を上げていく、医師に新規参入していただく、あるいは都市部では抑制傾向を図っていくとか、一律にシステムをつくるのではなく、過疎地域と標準的なところと大都市圏と、トリプルスタンダードぐらいにおいて大胆に国づくりを変えていく、このことが必要ではないかというふうに思っています。

 そしてもう一つ。先ほど、新自由主義的な国づくりが地方を疲弊させたのではないか、こう申し上げたわけでありますけれども、東京一極集中を加速させているのは、やはり中央集権的な国づくりが日本の一極集中を、東京一極集中を加速している、私はそう見ております。

 やはり、地域に権限と財源を大胆に移譲していって、地方分散型、こういう国づくりに変えていくことが、是正する、国づくりを大きく転換する、そのことにつながっていく、こう考えるわけでありますけれども、御答弁願いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、思い切った国づくりを進めなければならないということで、委員の方から、地方にインセンティブを与えて都市部を抑制する、こういったことも考えるべきだという御指摘がありました。

 ただ、基本的には、私自身の、東京圏への過度な一極集中については、地方への人の流れ、これをより力強いものにして、東京圏と地方と、これはやはりウィン・ウィンの関係をまずは目指すべきであると考えています。

 今進めているデジタル田園都市国家構想、これは人の流れをつくるということを重要な政策の柱に掲げていますが、地方移住あるいは企業の地方移転の推進、デジタル田園都市交付金を活用した地方創生に資するリモートワークや転職なき移住、こういったものを進めるという考え方の下にウィン・ウィンの関係を模索する、これを基本に置いております。

 そして、その上で、個々の政策において、地方にインセンティブを与え、そして都市部を抑制するという考え方、これは一つの考え方だと思いますが、これはやはり政策課題にもよるんだと思います。

 例えば、東京圏を、金融等において、国際競争力の観点から、国際競争においてしっかりと押し上げるという観点でいうのであるならば、東京都に対して容積率の緩和等、こうした政策を行う、こういったこともあり得るんだと思います。

 いずれにせよ、政策課題において、都市部とそして地方に対してどのような対策を講じるのか、これは現実的に課題ごとに考えていく、こうした課題ではないかと思います。先ほど申しました基本的な考え方に基づいて、それぞれの課題等においてあるべき政策を進めてまいります。

湯原委員 岸田総理おっしゃったわけでありますけれども、施政方針でもおっしゃっているように、地方の創生、活性化なくして日本の発展はないと。つまり、地方がいかに大切かということで、ウィン・ウィンの状況にしていかなきゃいけないとおっしゃいますけれども、今日までウィン・ウィンじゃないから、地方が過疎地域がどんどんと進んで、東京一極集中が進んできた。ウィン・ウィンじゃない結果が今のようになっているんじゃないか。

 申し訳ないですけれども、残念ながら、広島の選挙区で岸田総理は出ておられますけれども、地方にはちょっと冷たいんじゃないかな、私はそう思うわけであります。

 この原因は何かというと、やはり、今の自民党の衆議院議員の皆さん方は、三親等以内、親御さんから家業のように国会議員の議席をもらっているに近い、こういう世襲議員の方が非常に増えていっているんじゃないかな、こういうふうに思うわけであります。

 今、大体二百六十名ぐらい自民党の衆議院議員さんはおられますけれども、九十名ぐらいはこうした三親等以内、親御さんから引き継いでいらっしゃる。現閣僚、ここにおられますけれども、半分近い、半分ぐらいの方がそういう方であります。

 歴代の二十五年間を申し上げると、橋本政権から二十五年間ぐらいを言うと、橋本政権、小渕、森、小泉、安倍、福田、麻生、安倍、菅政権だけ違いますけれども、現在の岸田政権。ほとんどが世襲の衆議院議員が総理大臣になっている。こういうことでありまして、選挙区は地方なんでありますけれども、実際は東京で生まれ育っていらっしゃる。この肌感覚が分からないんじゃないかなというふうに思うわけでありまして、我々、政治資金のことも踏まえて法案を出しております。

 政治資金世襲禁止法案、これを是非、国会で審議していただいて、政治資金の在り方も議論をさせていただきたいと思いますけれども、この点についてどのようにお考えか、求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 政治資金世襲禁止法案、提出されたということでありますが、政治資金については、当然のことながら、これは相続とは異なり、親族に対して当然に引き継がれるというような類いのものではない、これは当然のことであると思います。解散するか、存続させるか、あるいは誰を代表にするのか、個々の政治団体において判断するべきことであると思います。

 その上で、政治資金の問題については、各政治団体の政治活動の自由にも配慮することを念頭に置きながら、この問題について議論すべきだと考えます。

 ただ、御指摘の点、法律、議員立法でありますので、これは国会においてまず御議論いただくべきことであると認識をいたします。

湯原委員 最終的には有権者が決めて国会議員が出ていくことでありますが、やはり、こうした三親等以内のいわゆる世襲議員の方々の政治家、先ほど来答弁いただくように、地方から選挙区はあって出ていらっしゃるけれども、地方に、ある意味で、私から申し上げれば、冷たいんじゃないかと。もっともっと、世襲議員の弊害ということを克服するためにも、様々な政策展開が必要なんじゃないかなと。その一環で、我々が出した法案に対してのことを申し上げました。

 最後に、今日質問したのは、我が国がこれから先憂えるものとして、新自由主義的な国づくりが地方を疲弊させていっている、あるいは中央集権的な国づくりが地方を疲弊させていって、最終的には、施政方針演説であるように、地方の活性化が国の発展ということであれば、その地方、大本のところが疲弊していっているんじゃないか、こういうことを申し上げているわけでありますけれども、もう一つ憂う状況があります。

 文科大臣に質問しますけれども、岸田総理、後でコメントがあればおっしゃっていただきたいんですが、これは、日本財団が定期的に若者の意識調査をしております。各国と比較しております。赤枠を御覧いただければ分かると思いますけれども、自分の行動で国や社会を変えられると思うかという、こういうアンケートであります。

 世界各国を見ると、変えられるという答えが、アメリカでは五八・五%、イギリスでは五〇・六%、中国では七〇・九%、韓国では六一・五%、インドでは七八・九%。若者が、自分たちの力とか考えとかいろいろあると思いますけれども、国や社会を変えられるというモチベーションを持っているんですね、各国は。一方、日本はどうかというと、二六・九%。

 私は、先ほど言ったように、地方が元気じゃないと国は発展しない、もう一つは、若者が社会や国に力強くアプローチできる、そういうモチベーションを持っていないと先々日本は危うくなるというふうに思っております。

 そういう意味で、教育において、シチズンシップ教育というのを世界各国やっております。社会性を高める、社会に対して関心を持ってアプローチするような、そういうシチズンシップ教育をやっておりますけれども、日本も幾分狭い意味での主権者教育というのをやっておりますけれども、予算もたかだか一億円ちょっとであります。

 是非、これを最大限拡充していって、このモチベーションが上がるような、若者のモチベーションが上がるような教育をしていくべきと考えますけれども、その点、大臣、お願いします。

盛山国務大臣 主権者として社会の中で自立し、他者と連携、協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を育む主権者教育は、大変重要だと考えます。

 このため、例えば、初等中等教育段階では、令和二年度から順次実施されている学習指導要領において、高等学校に、自立して社会に参画する力を育むことを狙いとした新たな必修科目、公共を設けるなど、主権者教育に関連する内容の充実を図っており、各学校において指導が進められているところです。

 また、各学校における取組を支援するため、総務省と連携して、全ての高校生に対して政治や選挙等に関する副教材を配付するほか、令和六年度予算案において、指導の充実に関する実践研究に必要な経費を計上しております。

 いずれにせよ、今後とも、総務省ほか関係省庁等と連携しながら、必要な予算の確保も含め、主権者教育の取組を推進してまいります。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、端的に御答弁お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 若い人たちが社会を変えられるという思いを持つことの大切さ、御指摘ありましたが、今、私自身、多くの若い人たちと接する中で、また、例えば、スポーツの世界における大谷翔平選手だとか、あるいはスタートアップの世界における若い経営者ですとか、こういった人たちを見ておりますと、日本を変えるどころか、自分こそが世界水準だという志を持って行動、取り組んでいる、こういった一時代前より一歩進んだ若者たちも大勢出てきている、こういった現実も目の当たりにします。

 しかし、その一方で、委員御指摘のように、統計を取ってみますと、多くの若い人たちが、変えられると思うということについて消極的な答えを出している。

 この格差みたいなものを改めて感じます。

 いずれにせよ、日本全体に、こうした自分たちが変えられるという思いを、志を持ってもらう、こういった雰囲気を広げることは大事だと思います。

 今言ったような格差も念頭に置きながら、こうした、みんなが元気になる雰囲気をどうやってつくっていくのか、政治の立場から考えていくこと、これは是非考えたいと思いますし、大事なことだと思います。

湯原委員 終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて湯原君の質疑は終了いたしました。

 次に、堀場幸子さん。

堀場委員 日本維新の会の堀場幸子です。

 日本維新の会そして教育無償化を実現する会の会派を代表して質問をさせていただきます。

 総理、昨日から、漆間代議士そして前原代議士と、我が会派は本当に教育無償化についてずっと議論をさせていただいているんですけれども、なぜこれだけずっと教育無償化についてやり続けるか。それは、私たちは、教育というのは未来の日本の国力だと思っているからなんですね。

 今回、私たち、大阪で高校の無償化に踏み切りました。それについては漆間議員がやられていたかと思うんですけれども、これを大阪モデルと呼ばせていただく。これは、キャップ制ですね、キャップがついているという形において特殊性があります。

 そして同様に、東京都の方でも教育の無償化に取り組むということが発表されました。こちらは実質無償化ということで、大阪は完全無償化、そして東京は実質無償化というところだと承知をしております。

 一方で、子供の方からこの無償化について見たときに、子供というのは結構親のことをよく見ていて、うちの親はちょっとね、給料が若干よくて所得制限がひっかかっちゃう、所得制限の上を行ってしまうので、私は二人目だから私立は行けないかな、そういったふうに進路を考える中学校三年生は結構たくさんいらっしゃいます。ということは、子供たちの進路選択において、学校が無償かどうかというのは結構大きな問題になっていると思います。

 ここで、私たちは、完全無償化を実現するためには国でやるべきではないかということを申し上げておりますし、吉村知事や、また、オザワさん、ごめんなさい、東京都からもそういった、国でやっていく方がいいんじゃないかという要望が出ております。(発言する者あり)済みません、小池さんです。ごめんなさい、間違えました。

小野寺委員長 どうぞ続けてください。

堀場委員 済みません、大変失礼いたしました。

 そして、こういった違いがあるんですけれども、この違いについて総理はどのようにお感じになられているか、教えてください。

岸田内閣総理大臣 委員の方から、大阪モデル、東京モデル、こういった地方自治体の取組について紹介がありましたが、おっしゃるように、各地域において、私立学校に通う生徒数とか割合とか学費とか、その実情に合わせて様々な取組を行う、これは国の支援に上乗せして各自治体が努力をしている、こういった独自の支援は、これは評価すべきことだと思います。要は、国と地方それぞれの取組、これが一体となって教育の環境をよくしていく、こういった取組が重要だと基本的に考えています。

 こうした、国と地方が一体となって教育費負担の軽減が図られる、こういった結果につながる、これは望ましいものであると考えます。

堀場委員 ありがとうございます。

 望ましいんです。だから進めたいとは思うんですけれども、地方の格差というのは結構出ておりまして、私は京都に住んでいるんですけれども、大阪が無償化をすると京都の人はざわざわするんですよね、何で京都はならないんだと。それは本当に多くのお声を、私は日本維新の会の議員ですので頂戴しているんですけれども、こういった地域の格差が出ている、教育の格差が出ているということについて総理はどのようにお感じか、教えてください。

盛山国務大臣 堀場議員御指摘のとおり、私立高校の授業料の平均額や、私立高校に進学する生徒数やその割合が地域によって大きく異なることは我々も承知をしております。その地域の実情を踏まえ、大阪府やそして東京都においては、国の支援に上乗せして独自の支援が行われているものであると承知をしております。

 文部科学省としては、教育の機会均衡を図るために、基盤として行う国の支援と、それに上乗せして取り組まれる地方自治体の独自支援が一体となって教育費負担の軽減が図られることが望ましいと考えており、具体的なその内容については今後とも検討を進めていきたい、そんなふうに考えております。

堀場委員 ありがとうございます。総理にお尋ねしていたのでちょっと驚いたんですけれども。

 基盤は国がしています。だから、その上に、地方自治体の思いによって、様々な、ほかの施策とのバランスによって、若しくはお金によって、そういったものによって、地方の特色の一部でありますよというような形だと思うんです。

 でも、教育というのは、国力になる、国の力になるという観点から考えると、やはり教育機会というのは均等にあるべきだというふうに思いますし、基盤は国がされている、その基盤を増やすという概念があればできることなんじゃないかなと思っておりますので、これについては引き続き頑張ってやっていきたいなと思っています。

 次に、大学の無償化について御質問させていただきます。

 こども未来戦略に示されている三人目の無償化というのは二十年後も維持されるのかなというのが私の質問です。

 というのは、これは少子化対策でやります。なぜやるんですかと聞いたら、いや、アンケートをしたら、三人欲しいなと思っている人が産めない理由は教育費なんだ、まあ、多分そうでしょう、だから、大学、三人目の人は漏れなく、一番上が無償になりますという仕組みです。

 私は今、子供が二人います。うわあ、大学が一人無償になるんだったらもう一人つくろうかなとは思わないです。それで恩恵を受けられるのは一番上の子なんですよね。もっと言うと、今結婚しようかなと考えている人が、よし、じゃ、大学、三人産んだら一人無料になるんだったら、頑張って産もう、三人産もうという、何か、モチベーションになるのかなと思うんですね。

 なぜかというと、この制度が、この子たちが大人になっても続くのかなと思うんです。それを、私たち日本維新の会、教育無償化を憲法に書き込みたいと言っているのは、どんな政権になっても、しっかりと教育の、この約束したことを守られるようにやっていきたいと思って主張しているところなんですが、この大学の三人目の無償化というものが二十年後も続くものなのかどうか、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の、こども未来戦略の加速化プラン、この施策を実現するに当たって、これも午前中から何度か説明させていただいておりますが、安定的な財源を確保して、これを実現いたします。この安定的財源に基づいて高等教育費の負担軽減を進めるということでありますから、これは今後、更に充実するということは当然考えていかなければなりませんが、現状より後退するということはあってはならないと考えます。

 こういった考え方に基づいて、安定財源をしっかり確保して政策を持続してまいります。

堀場委員 では、一番最初に生まれた子供は大学に、若しくはほかの学校に、選択権があって行くことができる。でも、うちの親はちょっとね、子供にお金を使うのは余り好きじゃないんだよね、二人目、三人目は余り使いたくないから、行けなくて、断念しなきゃいけないという家庭もあるかもしれないですよね。

 ということは、一番上の子だけがそのメリットを享受。私は妹なので言わせていただくと……(発言する者あり)ありがとうございます、一番上の子だけが行ける、選択権があるというのにちょっと妹としては納得がいかないところがあるんですが、それについて、教育機会の均等という観点からの総理の御所見をお願いします。

岸田内閣総理大臣 教育機会の均等ということですが、委員おっしゃるような思いを持たれる方もおられるかとは思いますが、今用意している支援策は、一番上の方を優遇するとか二番目を優遇するではなくて、同じ家計の中から子供さんたち三人は学費が出ているわけであります。その家計全体をいかに支援をして、そして子供たちの教育につなげていくか、こういった発想で用意をしているところであります。そういった発想を持った中で、この政策、どのように考えるか、考えるべきではないかと思います。

 政府としては、今申し上げた考え方に基づいて政策を考えております。

堀場委員 それはすごく、総理が思うその家族像というのはめちゃくちゃいい御家庭だと思うんですよね。本当に、いや、うちは子供には余り、教育に興味がないので……(発言する者あり)そうです、そうです。お母さんとかお父さんとか、保護者の皆さんの考え方一つで子供の未来が変わっちゃうんじゃないかなということを懸念しているんですね。

 だったら、やはり全員無償化にするという方向を一歩ずつ進めていただければいいんじゃないかな。これはもしかしたら第一歩かもしれないですけれども、高等教育を無償化していく、私たちも当然それは後押しさせていただきたいと思っていますし、そっちをどうにか目指していただいて、教育機会の均等というのは一人一人の子供にとってとても重要なんだということを是非お伝えをさせていただきたいなと思います。

 そして、このまま、こども未来戦略について質問させていただきます。

 高校生の児童手当、高校生を児童手当にするということは、扶養控除というのがどういうふうになるのかという御説明を総理の方からお願いします。

岸田内閣総理大臣 高校生の扶養控除については、昨年末の与党税制調査会において、高校生を持つ世帯では中学までの子供を持つ世帯と比べて教育費等の負担が重い状況がある、その一方、例えば習い事や塾のような補習教育については高所得者ほど多くの金額を費やしている、こういった状況が見られる、こういったことが議論されました。

 こうした議論を踏まえて、政府としては、高校生の扶養控除について、高校生時代に支給される児童手当と合わせて、全ての子育て世帯に対する実質的な支援、これは拡充をいたします。その上で、低所得者、高所得者に対する支援の差が大きくならないように、所得階層間の支援の平準化を図るように見直す方針を税制改正大綱においてお示しをし、令和七年度税制改正において、最終的な結論、これを得てまいりたいと思います。

堀場委員 控除が縮小するというのは、本当に、増税というか、税金、払うものが増えるということもありますし、払って、そして何かくれるということをやる、回転をさせるということだと思うんですけれども、であるならば、私は扶養控除という仕組みはいい仕組みだなとちょっと思っているので、これについては令和七年に結論が出るということなので、引き続き議論の方をさせていただきたいなと思っています。まあ、縮小の方向ということで、お話をさせていただきました。

 男性育休についてもやりたかったんですけれども、ちょっとそれを飛ばさせていただきまして、WPSについてやらせていただきたいなと思います。

 これは、G7の広島サミットの中で、WPS的な視点を盛り込んでやられていくという方向を岸田総理がしっかりと示してくださっていると思っているんですが、そのWPS的な視点というものはどのようにお考えか、お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 WPS、女性・平和・安全保障、いわゆるこのWPSは、女性を重要な施策の担い手として位置づける、平和や安全保障における女性の役割を能動的に捉える、こうした考え方であると承知していますが、昨年のG7広島サミットの首脳コミュニケにおいても、WPSアジェンダの前進、実施そして強化、これをコミットいたしました。

 更に言うと、我が国が重視する防災分野、ここにおいてもWPSの適用、G7首脳コミュニケにおいて初めて言及された、これも特筆すべきことであります。

 我が国として、国際的な協力、地球規模の課題に対する取組、こうした取組の中で重視すべき一つの大きな理念であると認識をしております。

堀場委員 では、なぜ女性というカテゴリーに所属をしていると、平和を目指したり、安全保障上、今と違う、男性と違うふうな目線を持つことができるというふうに考えているのか、教えてください。

岸田内閣総理大臣 そもそも、従来、安全保障の分野等においては女性の参画、これが遅れていた、こういったことがあります。そして、そのことによって、女性の視点あるいは平和における女性的な感覚、こういったものが十分反映されてこなかった、こういったことがあったと思います。

 先ほど、我が国においては防災においても、重要な分野であると申し上げましたが、防災、まさに今、能登半島地震の避難所においても、女性の視点が十分か、これについて改めて指摘がされて、政府においてもアンケート等を通じて環境整備に努めている、こういったことであったと思います。

 従来の状況をより前進させなければならない、これが、平和、安全保障、さらには防災、こういった分野においてWPSは重要だとされるゆえんであると考えます。

堀場委員 私は一応、多分女性というカテゴリーに所属しているんですけれども、女性の敵は女性なんじゃないかなと思うときがあるんですね。WPSの女性の視点とか、女性が持つ何か固有の視点というものが、私は、実はそんなに、女性だから持っているというものはないんじゃないかなというふうに思うんです。どうぞ。

岸田内閣総理大臣 そうそう、多くなかったんじゃないかという委員の意見を聞いて思い出しましたが、要は、この分野においては、特に女性が弱い立場であり、被害者の立場に立つことが従来は多かった、こういった分野であるからこそ、このWPS、こういった分野において重要だ、こういった議論もあったと記憶しております。

堀場委員 それです、それが欲しかったんです。

 被害者の方に立つ、被害者側が多いということですね。戦争被害は、女性であったり子供というのは、どうしても被害者が多い。その被害者側の視点から見なきゃいけないんじゃないかなというのがWPSの最初だったというふうに理解をしています。

 この間のサミットのときに、男女共同参画の担当大臣が小倉大臣で、男性でした。そのときに世界各国の多くの女性の方々から批判を受けたと思います。なぜ日本は女性ではなくて男性なんだ、女性活躍というのは女性じゃないのかということを御批判を受けたと思うんですが、私はそのときに、小倉大臣に質疑でも言いました。WPS的な視点を持っている、男性であっても、リーダーがちゃんとそういう視点を持っていればいいんじゃないかと私は思っているので、しっかりと女性のことを理解して、しんどい人の方に立った政治をやってくださいというようなことを言わせていただいたんですけれども。

 今までの、女性だから政治家は何人つくらなきゃいけないとかということではなくて、女性独自の視点とかという、何か、生まれ持った母性とか、そういうものではなくて、被害に遭っている人が多くいるので、そういった視点でやれるんじゃないかということだと理解をしています。

 では、上川大臣にお尋ねします。

 WPS的な視点で日本の外交というものを変えていかれるというふうに承知をしているんですけれども、一体、上川外交では何が変わるのか、教えてください。

上川国務大臣 WPSにつきまして大変熱心に御議論いただき、本当にありがとうございます。

 今日でありますが、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が重大な挑戦にさらされている中であります。全ての人が平和と安定、繁栄を享受できるように、我が国は、人間の安全保障など人間中心の外交を進めているところであります。その中におきまして、この女性と平和そして安全保障、いわゆるWPSの位置づけというものをしっかりと定めて外交努力をしていく必要があるというふうに考えているところであります。

 今のお話にちょっとプラスさせていただきたいと思いますが、いわゆるWPSは、これまで女性や女児の保護や救済というところに焦点を当てて取り組んできた今までの時代の流れに加えて、女性自身が自ら指導的立場に立って、そして、こうした紛争の予防や、また復興、平和構築に参画をする、この要素が併せ持たれているところがポイントであるというふうに思います。より持続可能な平和を実現するために、女性も、また男性も、様々な視点で、多様性を持って、包摂性のある社会を実現していくための極めて重要なツールではないか。

 これは、二〇〇〇年に国連の安保理におきましてこのWPSが決議されて以来、十本の決議が束になって、今、WPSアジェンダという形で進行しているわけでありますが、そうした姿勢に御理解をいただく皆様に広く参加をしていただきながら、この実現に向けて外交の中でも運動をしていきたい、こんな思いで今活動しているところであります。

 私自身、九月の就任以来、バイ、マルチを問わず、様々な機会にWPSの重要性につきまして発信をしてまいりました。また、「WPS+イノベーション」と称しまして、様々なステークホルダーとの対話を重ねてまいりました。これには、女性の視点も男性の視点もの中での捉え方ということについても議論をしているところであります。

 年初には欧州訪問をいたしまして、ウクライナにおきましては、女性と子供たちへの、脆弱な立場にある子供たち、支援の現場を視察をいたしまして、現地のニーズについても意見交換もしてきたところであります。こうした、WPSを柱の一つに組み込んだ北欧外交イニシアティブ、これも発表をさせていただきました。

 米国訪問におきましても、米議連関係者、また専門家、また国務省関係者等と意見交換をいたしまして、両国の間でも連携をしていくということについて確認をしたところでございます。

 改めて、様々なバイの会談、マルチの会談を通しまして、WPSの推進の重要性ということを確認してきているところでございます。

 一月二十九日に、外務省におきまして、分野横断的な連携をしようということで、省内にWPSタスクフォース、これを立ち上げさせていただきました。中におきましてもいろいろな取組をしておりますが、横串でしっかりと取り組んでいかないと、ばらばらな施策では力のある成果が上がらない、こう考えて、今、精力的に取り組んでいるところであります。

 そして、そういう中におきまして、例えば国際機関等を通じまして、例えば中東や、あるいはアフリカ諸国、アジア等の紛争影響国におきましては性的暴力の被害者の保護において、また、女性のエンパワーメントに資する支援をもう既に実施をしている。それをこのWPSという大きなプラットフォームの中でしっかりと位置づけながら、更にその力を発揮していくことが必要ではないか。また、タスクフォースを活用しながら、緊急支援から復興に至る全てのフェーズにおきましてWPSの考え方を積極的に取り入れるべく、外交活動及び支援を強化していくところであります。

 その際、日本としては、防災や災害対応、こうした分野についての知見をしっかりと踏まえ、このWPSの強化そして主流化に向けて、人間中心の外交の柱の一つとして推進してまいりたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 熱い思いを持ってこのWPSに取り組んでいただいているというのはよく分かったんですけれども、やはり一番重要なことは横串なんだということだと思います。

 だから、私たちは、日本の政治の中でも、こういった視点を取り入れた、横串的な政策をやってほしいなと思っているところなんですね。なので、私は何度も何度も、男女共同参画局の担当大臣の皆様に、大臣所信をされるたびに質問をしているんですけれども、そういった視点というものをどのように持っていくのか。政治に向かう姿勢の変化だと思いますので、そういったものをしっかりと日本の国内の政治においても実現するべきじゃないかなと思っています。

 確かに、日本の国内は紛争地帯ではないので、小さな子供たちが目の前で殺されてしまうとか、そういった非常に心が痛ましい事件というのは少ないですけれども、それでも、やはり性被害であったりDVであったり、様々な分野において、WPS的な考え方、そして、困っている、先ほど総理がおっしゃっていた能登半島の地震の災害救援所もそうですけれども、様々なところでこの視点というものを持つんだ、これは男性も女性も問わないで持つんだということだと思うんですね。

 加藤大臣にお尋ねしたいと思います。

 今までの女性版骨太の方針、これに、WPSについては二〇二三年でも三行しか書かれていないんですね。これだけ、今までのフェミニズムとは違う、女性が、自分たちが権利を主張して、外見について何か言われたら、それを何で文句を言わないんだと、女性が女性をディスるというか、そういった女性同士の戦いではなくて、もっと違う、女性が、もっと真っすぐ自分の生きたい道を生きることができるんだよねというものにしてほしいんですけれども、今までとの視点というものが違うと思います。

 これが変わればどういうふうに骨太の方針というのが変わっていくのか、そういった思いについてお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 骨太の方針自体がどのように変わっていくのかということを具体的に申し上げることは今控えさせていただきますけれども、先ほど来の答弁にもございますように、女性ならではとか女性であるからこそということだけではなくて、それまで経験していること、また、女性のそれまで生きてきた社会のコンテクストとか、そういったものから経験したことをしっかり生かしながら、弱者であったり、また、被害に遭った方々に対して、共感であったり理解を示していきながら政策に当たっていくということが重要だと思っております。

 その目線でいえば、そういった経験を持っている当事者たる女性が多く意思決定の場面に参画するということも非常に大事であって、これは、政治の世界であったり、また、民間、あらゆる分野において女性の参画が進んでいくということが重要であるというふうに考えております。

堀場委員 女性版骨太の方針には特に影響がないというお答えでいいですか。

加藤国務大臣 女性活躍や男女共同参画をしっかり進めている岸田内閣にあっては、女性版骨太にもしっかりとその目線を入れ込んでいくということが肝要だと思っており、積極的に進めていきたいというふうに思っております。

堀場委員 国の政治の中にWPS的な視点を、女性だから活躍するんだよという簡単な枠組みではなくて、しっかりと、傷ついたりしんどい思いをした、そちら側の視点でやるんだよということだと私は思うんですね。

 さっき私は、教育の無償化の話をしたときも、中学校三年生から見たときには無償化というものが結構大きなものなんだよということをお話ししました。

 自分の人生を選択する上で、いや、親がお金、微妙なところでひっかかっちゃって、うちは学費がかかっちゃうんだよねとか、例えば、実質無償化で何十万か親の負担があるんだよね、それに対してちょっと心を痛めて進路を変えるとかということがないように私たちは無償化を進めたいと思っていますし、子供側の目線であったり、しんどい思いをした人の目線というものを政治の中にしっかりと取り込んで我々は政治を進めていかなきゃいけない時代になっているんじゃないですかということを思っています。

 そして、私は常に、今回、我々日本維新の会が政治改革についていろいろ議論をしているときも、女性の衆議院議員は非常に少ないですけれども、なぜ参加できないかといったときに、選挙制度の改革は必須ですよねということも言わせていただいております。

 政治活動というものが、本当に今、今まで多様に権利として認められていたパーティーが、裏金づくりになっちゃったから何となくちょっとみたいな、これは、パーティーが本当に悪いのかという議論からしなきゃいけないと思いますけれども、女性が、私のように一人親で普通に生きていた人が衆議院議員になろうと思ったときに、本当にたくさんのハードルがあるんだ、だから、選挙制度から変わらないと政治家も増えないし、こういった目線を持っている人たちも、WPS的な視点を持っている人たちも増えないんじゃないかなというふうにも思っているんですね。

 なので、私は今回、政治と金ばかりやっているこの予算委員会ですけれども、そういった政治の価値観の変容の一つになる大きな機会になってほしいと思います。

 なので、岸田総理に是非、これは変えるんだという強い思いを持って、政治の価値観から変えるような、そんな改革をしていただきたいなと思います。

 終わらせていただきます。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて堀場さんの質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 教育無償化を実現する会の斎藤アレックスでございます。

 日本維新の会との統一会派を代表して、本日質問をさせていただきます。お時間を割いていただきました会派の皆様に感謝を申し上げます。

 今日は、外交、安全保障政策、そして教育政策、また最後に、日本の伝統文化である和装に関して質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず最初に、我々、教育無償化を実現する会からも政治と金の問題に関する質問をさせていただきたいと思います。

 これは、本国会冒頭から集中審議が開かれて、様々な論点が既に出尽くした感はあるかと思います。パーティーを、政治資金パーティーだといってチケットを売っていたけれども、収支報告書に載せずに、裏金というか、言ったら自分の所得にしていたわけですから、脱税の問題であったり、収支報告に載せていない不記載の問題であったり、そもそも詐欺ではないのか、そういった訴えをされる方もいますけれども、こういった問題がもう把握をされていて、それに関する問題点、論点というのは各党指摘をされているところでございます。

 次に行うべきことというか、早くしていただかなければならないことは明確でございまして、全容解明をまずしていただいて、その上でこの問題の所在に基づいて改革を行っていく、この二点が、今、自民党の中の議論では全く私は不十分だと感じております。

 特に、アンケートを実施するということで、アンケートの文面を見ましたけれども、まさにお手盛りで全く意味のないアンケートだと言わざるを得ないと思います。あれをやって何か解明がされるかといえば全くされないと思いますし、逆に、アンケートをしました、調査をしましたと言われたら、それはたまったものではありませんので、しっかりと第三者を入れるなどして、第三者委員会などを立ち上げて、外部の目で厳しく全容解明をしていただかなければこれは話が前に進みませんので、そのことはまずお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、我々、教育無償化を実現する会も、政治資金規正に関する改革案を取りまとめをさせていただきました。大きな項目に関しては、各野党、おおむね差異がないと思いますし、中身に関して少し差異がありますけれども、我々の、この野党側の思いというのはある程度まとまっているかと思います。

 あとは、繰り返しになりますけれども、全容解明をしっかりとしていただいて、どのような改革が必要なのか、そういった議論を与野党でしっかりと進めていくこと、このことを強く求めたいと思います。

 我々は、いわゆる連座制ですね、政治家本人もしっかりと処罰を受けるようにして抑止力を働かせる、企業献金の禁止、また、いわゆる政策活動費に関して廃止をしていく、制限をかけていく、こういったことを提案をさせていただいていて、これはおおむねほかの野党もおっしゃっていることでございますけれども。

 まず一問目、総理大臣にお伺いしますけれども、このような改革、是非前向きに、これをやらなければ国民も納得しないし、我々の国会の権威にも関わる問題だと思いますので、必ず議論に参加をしていただき、前向きに対応いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政治資金規正法の改革を始めとする制度的な改革については、我が党の中間取りまとめの中においても、政治資金の透明性向上、そして公開性を向上させること、さらには、責任体制、委員のおっしゃった抑止力の部分ですが、これについても厳格化を行う、こういった三点を重視しながらこうした法改正に臨むということを確認しております。

 政治資金規正法の改正の議論等にも、党として真摯に参加をして、議論を深めてまいります。

斎藤(ア)委員 では、まず最初に、先ほど申し上げた全容解明の部分についてはどのように今考えていらっしゃるか。党の総裁として、今行われている調査で全容解明がなされて、それに基づいてしっかりとした改革案がつくれるような調査になると総理はお考えなのか、ちょっと併せてこの点も教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今回の事件については、まず、政治資金収支報告書の修正が順次行われております。これについては、最も事情をよく知る関係者本人が説明責任を尽くすことがまず第一であると思います。党としても、その説明責任を尽くすことを促していかなければならないと思います。

 ただ、党としては、その状況もしっかり把握した上で、自ら事情の把握に努めなければならないということで、申し上げておりますように、党の役員で、外部の弁護士にも参加してもらった上で聞き取り調査を今行っております。そして、これを行った上で、外部の関係者にその調査の結果を取りまとめてもらう、第三者に取りまとめをお願いする、こうした取組を進めていきたいと思います。

 こうした取組、先ほど不十分だというアンケートもありましたが、こういった取組を進めながら、党として、まず実態把握をし、説明責任、そしてさらには政治的な責任について適切に対応していきたいと考えます。

斎藤(ア)委員 これは、今国会、繰り返し野党からも言っていることですけれども、この問題のせいで国民の政治に対する不信が高まっているのが最大の問題ですけれども、プラス、審議の時間が奪われてしまったり政策議論の時間が奪われてしまっているということは、これは間違いなく国益に反する状況を今この自民党議員の皆様の裏金問題がつくり出しているということでございます。そのことに関しては深く、しっかりと責任を痛感していただいて、全て全容を解明して、そして対策を講じない限り、前になかなか進まないということになってしまえば、これは間違いなく自民党の皆様の責任でございますので、しっかりとその責任を痛感していただいて取り組んでいただくことを強く求めまして、引き続きのお取組、そして議論を続けさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、政策の議論に入らせていただきたいと思います。

 まず、外交、安全保障政策についてお話をさせていただきたいと思います。

 この委員会室にいらっしゃる方で、御覧になった方がいらっしゃるか、「終わらない週末」という映画を、昨年末に配信が開始された映画なんですけれども、御覧になった方がいるかどうか。ジュリア・ロバーツさんの主演の映画で、オバマ元大統領夫妻が製作総指揮を務めている映画なんですけれども、いわゆるディザスタームービーという終末物、世界の終わりを描いている種類のジャンルになるんですけれども。

 通常、終末物といったら、何かゾンビが出てきたりとか、パンデミックになったりとか、宇宙人が襲来してきたりとかするんですけれども、この映画の特徴的なのは、サイバーアタックとディスインフォメーションでアメリカ国家が崩壊する状況を舞台にしているという映画になります。これがネットフリックスの配信で年末にアメリカで一位になったということなんですけれども、この映画監督は、サイバーアタックに対する危機感がまだ共有されていないので、そのことを訴えたかったということでこの映画を作ったということでございます。

 日本でも、政府の方でも、自衛隊の方でも、防衛関係者の間でも、このサイバーセキュリティーに関する問題意識はかなり高まっていると思いますし、対応していかなければならないということで、二〇二二年の安保三文書では、アクティブサイバーディフェンスを可能とする法律を作って能動的サイバー防御を行うということが盛り込まれたわけでございます。そのことは必ず実現をしていかなければならないと思っております。

 サイバーセキュリティーに関しては、攻撃側が圧倒的に有利になるということで、能動的に攻撃側に対処をしていく、情報収集をしていく、そのアクティブな、能動的な動きが必要になるということで、この法制度なり体制整備が重要になるということなんですけれども、この能動的サイバー防御を可能とする法律案、この国会で提出をされて、そして審議をされるものだと期待をしていたんですけれども、その状況は分からなくなってしまっている、提出をされるのか、されないのか。

 報道によれば、見送るというような報道もされていますけれども、まず、この大変重要な能動的サイバー防御を可能とする法案の提出時期に関しては、総理、今のところ、どのように考えていらっしゃるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のサイバー対応能力を向上させる、これは、我が国の安全保障を考えた上でも、この必要性はますます高まっていると考えます。

 そして、この問題について、法律の提出でありますが、これについては、決して御指摘のような先送りではなくして、可能な限り早期に法案をお示しできるよう検討を加速している、これが政府の現状であります。

斎藤(ア)委員 この法案を作るに当たっては、様々なポイントで検討が難しいところもあるんだというふうに推察をいたしますけれども、今、遅れているわけではないというお話かもしれないですけれども、どういったところがポイントとなって、またどういったところの検討を加速させる必要があるという状況なのか、その辺りも是非教えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 憲法を含め、現行法令との関係、こうした点など、様々な角度から検討を要する事項、今現在は多岐にわたっていると報告を受けております。

斎藤(ア)委員 安全保障委員会も今後開かれていくことになると思いますので、より詳細な議論をした報告をいただければと思うんですけれども。

 やはり専守防衛との関係であったりとか、あと憲法の通信の自由との関係というところが大きなテーマになると考えておりまして、この点に関しては、やはり国会の方で国民の代表者たる国会議員がしっかりと議論を行って、それで方向性を示していくことが重要だと考えておりまして、我々、日本維新の会とそして教育無償化を実現する会の統一会派でも、改めて今検討を進めていまして、何らかの提言などをさせていただけるのかということを、取組を行っているところでございますので、是非、そういったことも含めて受け止めていただいて、我々は、前向きに、そして、日本の安全保障に資するという意味では、能動的サイバー防御は実現をしなければならないテーマだと考えておりますので、是非、その点もまた詳しく議論に応じていただきますよう、各部局に総理からも御指示をいただけると幸いでございます。

 そして、二点目に安全保障関係で御質問させていただきたいのが尖閣についてでございます。

 報道によりますと、本年に入ってから、尖閣諸島周辺の我が国の領空を飛行する自衛隊機に対して、中国海警局の艦船が、中国の領空を侵犯するおそれがあるから退去するように無線で通達をするようになってきたという報道がありました。

 当然ながら、日本の固有の領土、領空、領海でございますので、こういったことは断固として抗議をするということだと思うんですけれども、まず、この事実があったかどうかというのは国民の皆様には教えていただけるのでしょうか。その点、まずよろしくお願いします。

木原国務大臣 委員御指摘の報道については承知をしております。

 まず、尖閣諸島は、歴史的にもあるいは国際法上も疑いのない我が国固有の領土であります。現に、我が国はこれを有効に支配しております。

 尖閣諸島を含む海域では平素より艦艇、航空機による警戒監視を行っていますが、現場における個別具体的な事象については、我が方の警戒監視体制やあるいは情報収集能力を明らかにするおそれがあることから、公表の可否については慎重に判断をしているところです。今回の案件、事実であるかどうかも含めて、お答えすることは差し控えたいというふうに思っています。

 また、一般論として申し上げれば、中国側が尖閣諸島に関する独自の主張を行う場合には、我が国として厳重に抗議を行っているところであります。

 いずれにしても、防衛省・自衛隊としましては、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空、これを断固として守るという方針の下、引き続き、緊張感を持って、各省庁間で連携をしながら、尖閣諸島周辺を含む我が国周辺空海域において警戒監視等の対応に万全を期してまいります。

斎藤(ア)委員 もし事実であれば、国民に知らせないというのは、私は民主主義国家としておかしいというふうに思います。

 海警局はこれまで、中国は、尖閣諸島で、我が国の領海に侵入したり、接続水域航行を繰り返したり、あと日本の漁船を追尾したり、こういった行動に出ているわけですけれども、中国の領空だから出ていくようにというようなことになれば、これは明らかに向こう側がエスカレーションをさせている、テンションがその部分で上がっているということになりまして、そのことは間違いなく日本の外交、安全保障政策にも影響するし、それは当然、この民主主義国家である日本においては国民が知るべきことだと思います。

 これは我が方の情報収集能力をさらすという話ではないですよね、通信してきて出ていけと言っているわけですから。そういう話でこれは明かせないということではなくて、やはり国民にしっかりと今の安全保障環境を知っていただく。皆さん、その安全保障環境の上に、今から防衛力を整備しようだとか、外交努力を強化をしようということを、我々、政府として、国としてやらないといけないときに、国民がそのことを理解していただかないとそれが進めなくなってしまいます。納税者が理解しないといけないわけですから。

 そういった意味では、今、今回こういった事象がこの一月から起きているかについてはお答えいただけないということでしたけれども、仮にこのような尖閣での新たな事態が生じた場合には、私は国民が知る権利があると思いますけれども、総理はそのようには思われませんか。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事案については、先ほど防衛大臣が答えたとおりであります。しかし、今後、我が国をめぐる安全保障環境、戦後最も厳しいと言われている安全保障環境の中で様々な事態が起こること、これは当然想定をされます。

 そういった中にあって、先ほど防衛大臣も答えた、警戒監視体制、情報収集体制、こういった体制をさらすことがないようにという配慮、これももちろん大事でありますが、おっしゃるように、国としてこういった厳しい安全保障環境にどう向き合っていくのか、国会においても厳しい議論を行わなければなりませんが、こういった議論が行われることに対する国民の理解ということを考えた場合に、実態をできる限り国民の皆さんに適切に伝えて知ってもらう、こういった考え方も大事だと思います。この二つのバランスの中で、政府として、あるべき情報提供を考えてまいります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 日本の安全保障環境が大変厳しい、特に尖閣諸島周辺で緊張を高めるような行動を中国が取っているという中でございますので、これまで以上に、外交努力は前提としつつ、抑止力を強化をするということが重要になってくると思います。偶発的な衝突を起こそうという気に向こうをさせないような抑止力の強化が必要だと考えていて、そのためには、やはり納税者の皆様、有権者の皆様の御理解がなくして進めることはできませんので、適切な情報公開、その上での政策の説明、是非とも真摯にお願いをしたいというふうに考えております。

 それでは、またテーマを変えまして、教育政策の方に話を移させていただきたいと思います。

 教育無償化を実現する会ということで、本日も堀場代議士からも質問がありましたし、昨日は、我が党の代表である前原誠司代議士からも、この点、力を入れて質問をさせていただきました。本日は、こういった教育政策を拡充する上で欠かせない人材の確保に関して御質問をさせていただきたいと思います。

 教職員の人数が確保できないとか志望者が減っているというニュースは、この何年間もうずっと報道され続けていまして、教育現場も大変疲弊をしている状況でございます。本来であれば、教育の質を高めるためには、一クラス当たりの子供の数を減らしていって、それでより質の高い教育、これまでの一斉講義型ではなくて、個別最適化と言われるような双方向の授業を行ったり、そうでなくても、タブレットを使ったりとか新しい取組を先生方がしないといけなくて大変な状況ですから、教職員の数を増やすということは必要なことであるというふうに考えております。

 今、三十五人学級になったりしていますけれども、欧米では二十五人学級というところが多いようですので、まだまだ日本の一クラス当たりの子供の数が多い。もっと絞っていくためには、教職員の数を増やしていかなければならないということでございます。

 まず、ちょっと教職員の配置に関してなんですけれども、増員を図っていく、加えて、スクールカウンセラーであったり、法律関係の相談に乗っていただける、親の関係あるいは子供の関係で難しい案件に対応していただける専門の職員を学校に増やしていかなければ、現場も疲弊しますし、新しい教職員も入らなくなってしまいますし、退職者も増えてしまう、それでいて教育の質は更に下がっていくということになってしまいますので、教職員の数の確保、プラス、その周辺でしっかりとサポートをいただけるスクールカウンセラーなどのサポートスタッフの増員、これは抜本的に拡充していくべきだと考えておりますけれども、今の政府の方針を教えていただきたいと思います。

盛山国務大臣 先生御指摘のとおり、どのように教育の質を高めていくのか、これは我々にとっても課題でございます。

 教職員の人数、例えば、教科担任制もそうでありますし、そしてカウンセラーもそうですし、いろいろなところをこれまでも手当てをしてきているところでございます。

 これから、いろいろ話題になりますのは、給特法という法律もあるわけでございますけれども、教師は、その自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことから、どこまでが職務であるのか切り分け難い、そういう職務の特殊性から、時間外勤務手当ではなく、勤務時間の内外を包括的に評価するものとしての教職調整額を支給しておりますが、その在り方についても、現在、中央教育審議会において総合的に御検討を進めていただいているところでございます。

 引き続き、教育の質の向上に向けて、学校における働き方の改革、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 ちょっと、余りこういうことは申し上げたくないんですけれども、おととい通告をして、昨日、文科省さんから出してきた答弁者のところに最初、文科大臣が入っていたのに、後から、何も言っていないのに、文科大臣を外してもう一回文科省さんが送ってきた。私としては、総理に答えていただければいいので、別に気にしていなかったんですけれども。

 今日も様々な質疑がありますけれども、今の状態で、大臣の人格を否定するわけでは全くありませんけれども、通常であれば審議が止まっているような状況だと思います。その状況下で、わざわざ手を挙げて、答弁登録をされていないのに答えていただくというのは、私としてはちょっと違和感があります。しっかりと説明責任を果たしていただいて、今後どうするのかも総理としっかりと話していただいた上で、この予算審議をあたかも普通に行っていくというのはちょっと異常だと思いますので、その点は申し上げておきたいというふうに思います。

 おっしゃったことはおっしゃったことで、そのとおりでございます。その上で、やはりまだまだ足りないというふうに思います。三十五人でもやはりクラスの数は多いので、それにプラスをして更に加配をしていく。その上で、やはり給特法、さっき大臣もおっしゃっていただきましたけれども、給特法に関しては、残業代がつかないというこのイメージだけでも、若い方が働きたくなくなる職場になってしまっています。そもそも、働き方改革を進めているこの世の中で、残業代がつかないというのはやはり異常だと思われても仕方ないと思いますので、そういったところも含めて法改正をしっかりとしていただく。

 それを、我々、教育無償化を実現するというだけではなくて、それだけでは日本の教育はよくなるとは思っていません。それプラス、教育の質を上げていけるような、教職員の方々の処遇も含めた施策に関して、引き続き、日本維新の会の皆様とともに提案をさせていただきたいと考えておりますので、是非とも前向きにまた取組をいただければというふうに考えております。

 それでは、最後に、和装文化に関して質問を本日させていただきたいと思います。

 着物、和服、和装、これは日本の伝統文化の一つの根幹を成しているものですけれども、私もなかなか着る機会がありません。

 まず、ちょっと総理にお伺いしたいんですけれども、最近、着物を着た、和装をした、和服を着たというのはいつ頃になるか覚えていらっしゃいますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 少なくとも総理大臣になってからはありません。それ以前に、和装、浴衣も含めて、何回か着用した記憶があります。

斎藤(ア)委員 本当に、私は致し方ないことだと。やはり洋服文化になってしまっています。仕事の場面でもやはり洋服を着るということでございますので、それが一般的な状況かと思うんですけれども。

 ただ、御承知のように、和服がなくなればなくなってしまう日本の文化というのは、ほぼありとあらゆるものと言っても過言ではないかなと思います。茶道、華道、能とか文楽とか歌舞伎といった芸道は、本物の着物がなくなれば、本物の芸道の継承もできなくなるということでもありますので。

 そもそも、着物、和服だけでも日本の誇るすばらしい文化なわけでございますけれども、これが最近、今大変な危機に瀕している。ピーク時に比べて市場規模が七分の一程度になっていて、全国での市場規模が二千億円ちょっととなってしまっていて、業界存続が大変危ぶまれる状態になっております。

 政府としてもお取組はしていただいていると思いますけれども、まず、日本国の内閣総理大臣、岸田さんに、是非とも、この着物業界、着物業界というか、和装文化を維持していく、残していくための取組、国としてやっていかなければならない、そういう御認識があるのかどうか、もしあるのであればその意気込みを是非ともお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、和装というもの、我が国において伝承されてきた大切な文化であると認識をしています。ただ、生活様式の変化あるいは担い手の減少、今後も安定的な継承ができるかということにつきましては、決して油断はできない、真剣に考えなければならない、こうした課題であると思います。

 このため、文化庁においては、伝統文化の次世代への着実な継承を図るために、子供たちに和装を含む伝統文化等を体験、習得する機会を提供していると承知をしており、このような和装の機会をきっかけにして関連産業の振興にもつながっていく、こうしたよい循環が起こるよう、この取組を進めていくことは重要であると認識をいたします。

斎藤(ア)委員 和装文化を残していくための取組が重要であるというお話は、今、和装業界で頑張っていらっしゃる皆様にも勇気を与える話だと思いますし、それ以上に、更に具体的な施策をしていかなければならない。今おっしゃっていただいた、学校現場での和服に触れる機会をつくるということ、これは非常に重要だと考えております。

 今、学校現場でどのように和装文化に触れる機会がつくられているのかというと、確かに中学校で必修になっているんですけれども、教科書で学ぶだけでももちろん修了したことになりますけれども、本来であれば、実際に和服、和装に触れる機会をつくるということが、私は、実際に着てみるとか、着たことがなかったら、着ようとなかなか思わないと思います。難しそうだと思うかもしれない。

 実際に着てみる機会を設けることが、これはかなり重要だと思うんですけれども、そのことに関する政府側の御認識であったり今後の取組についてお伺いをできれば。私は進めていくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今委員御指摘されましたが、和装、和服について、学習指導要領の記述を充実し、日本の伝統的な衣服であることについて全ての中学生が学習する、このようになっております。ただ、おっしゃるように、これは、実際に着用する機会、これを持つことが重要であるというのはそのとおりであります。

 政府においては、地域で子供たちが和装を含む伝統文化を体験、習得する機会への支援を行う、また学校へ芸術家等を派遣する、こういった取組がありますが、その中で、和装文化を教える専門講師を派遣する、こうした機会を増やしていく、こうした取組を行っていると承知をしております。

 このように、学校の内外を問わず、和服の着装の機会を得られる取組、これを支援していく、こういったことで、初等中等教育段階における和装文化の継承に努めてまいりたいと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 私もいろいろ聞いていると、やはり各市町の予算の制限もあって、なかなか和装に実際に触れていただくところまで学校でできていないところがほぼ全てになってしまっているようでございますので、ここは、何らかの政府からの支援がないとそういった取組も進まないし、ひいては、本当に、このまま続いてしまうと、よく業界の方がおっしゃるのが、作り手が本当にいない、後継者がいないと。それは、業界がなくなってしまうというところに、作り手がいないので、もう全部インクジェットで印刷しないといけなくなってしまうんです。本物の着物だと言えなくなってしまう。それで本当に日本の伝統文化を支える着物というものと言えるのだろうかということで、大変な危機意識を持たれていますので、是非とも、その危機意識、日本政府の皆様にも共有をいただいて、取組を進めていただきたいと思います。

 それでは、本日、質問をありがとうございました。以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。よろしくお願いします。

 早速ですが、総理、サイバーセキュリティーで何を守るんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 何といっても情報であると思います。

市村委員 そうです、情報です。外交、防衛、そして産業界における機密情報。

 では、総理はサイバーセキュリティーを強化するということをおっしゃっていますが、サイバーセキュリティーの強化で機密情報を、本当に必要な守るべき情報を守り切れるとお思いでしょうか。

河野国務大臣 政府としても、しっかり日本の情報、データ、システムを守ろうと努力しておりますけれども、未知の脆弱性をつくゼロデイのような攻撃からはなかなかそうしたものを守り切ることは困難でございますから、完全にリスクをゼロにするというわけにはいかないのも事実でございます。

市村委員 そうですね。今デジタル大臣がおっしゃったように、サイバー空間を守り切ることはできないというのが世界の常識だというふうに考えなければならないと思います。すなわち、サイバーセキュリティー強化では情報は守り切れない。

 今、高市大臣の肝煎りでセキュリティークリアランスをおっしゃっています。もちろん、幾らサイバー空間を守っても、それを担う人がスパイであったりすれば、それはもうどうにもならないわけですから、セキュリティークリアランスが大変重要だと私は思います。

 ならば、このセキュリティークリアランスという言葉をおかりすると、このサイバー空間は、セキュリティークリアランスにかなう、それに耐えられるものなんでしょうか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、サイバー空間においてリスクが高まっている、それに対して、今、河野大臣から答弁があったように、完全にリスクをゼロにするということは難しい、こういった現実があります。

 ですから、これにどう対応していくかということでありますから、これは、情報の中身ですとか様々な状況の変化ですとか、それぞれのリスクに応じてどういった対応を行うのか、必要な対策をそのリスクごとに判断していく、こういったことを考えていくことになると考えます。

市村委員 リスクごとと今おっしゃいましたが、なかなかそれも多分できないんだろう。つまり、サイバー空間は守り切れない。ゼロトラストという言葉があるようでございます、若しくはノートラストという言葉があるようでございますが、そもそも、先ほども申し上げましたが、サイバー空間は守り切れないということを前提に政策を構築しなければならないと思います。

 ですので、結局、サイバーセキュリティーの上位概念というのは情報セキュリティーなんです。すなわち、守るべき情報を特定して情報を守るということが情報セキュリティーでありますから、そういう観点で、そういう発想で政策を練り直していく必要があると思います。

 特に、今はまだ、スパコンの時代は何とか守り切れる可能性があるということは言われているんですが、これから要するに量子コンピューターの世界になってまいります。量子コンピューターの世界がまだはるか遠くの世界だったら、しばらくは大丈夫かなということで安穏としていられるかもしれませんけれども、意外と量子コンピューターの汎用化は早いのではないかと言われています。

 そうなると、耐量子という考え方が必要になってきます。つまり、量子コンピューターが登場しても情報を守るということを考えていかなければならないということが大切なんですね。

 そのためには何が必要かというと、完全暗号、暗号技術が必要なんです。完全暗号、絶対に破られないという暗号技術、暗号鍵ですね、鍵が必要なんです。鍵をかけて情報を送る。しかし、今の状況では、その鍵を一緒に送っている、公開鍵方式ということで今はやっているものですから、その鍵が奪われるということを前提にしておかなくちゃいけないわけでありまして、結局、サイバー空間は、バックドアの問題もあったりして、守り切れないということになっています。

 ですので、耐量子の時代、量子コンピューターにも耐えられるようにするためには完全暗号が不可欠なんです。これまでは、いや、そんなものはないよということでしたから、今のようなサイバー空間をできるだけ守っていこうということでやってきたのかもしれませんが、実は、日本人が二〇〇五年に完全暗号の技術を完成させているというふうに言われているんですね。これを使いますと、耐量子の時代にも耐えられるというふうに言われています。

 耐量子がどうなのかというと、例えば、日本で最速のスパコンは「富岳」でありますが、今の「富岳」が一兆年かかる計算を〇・〇〇〇〇三一五秒で解くというように量子の世界は言われています。

 もはや、どんな暗号技術でも、基本的に、鍵を公開してしまえば守られないということを前提にしなければならない。しかし、これを公開ではない方式で鍵をかけるということ、今日は時間もないので説明しませんが、そういう発想から完全暗号を完成させているわけです。だから、この完全暗号をしっかりと日本で認証していくということが私は必要ではないかと思っています。

 そこで、話を聞いていますと、経産省さん、そして総務省さん、デジタル庁が共管で暗号技術検討会というのをやっておられる。CRYPTRECということでありますが、ここで、二〇〇五年に完成されたとされている完全暗号技術をしっかり早急に検討していただいて、そして認証して、耐量子の時代にも使える技術を日本に普及させていく必要があると思うんですが、この点に関して経産大臣にお願いいたします。

齋藤(健)国務大臣 先生御指摘のとおり、量子技術については急速な技術発展が見られるところであります。今後、量子コンピューターの活用が広がっていくのに伴いまして、現在使用されている既存の暗号が安全でなくなるリスク、こういったものに適切に対応することが重要になってきます。

 御指摘のように、今、デジタル庁、総務省及び経済産業省では、政府において活用が推奨される暗号の選定等を実施するCRYPTRECというプロジェクトを実施しておりまして、量子技術も含め、技術の進展に合わせて、推奨暗号についても不断の見直しが必要だ、そして行っているところであります。

 一方で、推奨暗号につきましては、大学や民間企業等の専門家から構成される検討会での議論を踏まえて選定することとしております。具体的には、当該暗号技術の安全性や製品システムに実装するに当たって問題がないかについて論文で確認するとともに、国際標準や利用実績等も踏まえた上で選定することとしておりまして、恐らく、今委員が想定されている技術につきましても、まずはこうした実態を確認する必要があると思います。

 なお、経済産業省としても、例えば、量子計算機に対応可能な暗号関連技術の開発ですとか、強固な鍵管理によるデータセキュリティー技術の開発などに取り組む民間企業や大学等を支援することとしています。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、委員と同様に、国内外の最新の技術動向をしっかり注視して対応していきたいと考えています。

市村委員 是非とも検討していただきたいと今私もお願いしているわけでありまして、せっかくそういう場があるのであれば早急に検討していただいて、この技術を認証していただきたいというふうに私は思っています。

 それで、認証してからそれを使うとなっても、国の政府とか産業界の全てのシステムをつくっていかなくちゃいけないわけですから、一年、二年でできるものではありません。やはり最低でも十年ぐらいかかるだろうと言われています、入れ替えようとしていけば。だから、量子の時代が間近に迫っているのであれば、日本はいち早くこの技術をしっかり検証していただいて使っていただきたいと私は政府の皆さんにお願いしたいと思いますが、この点について最後に総理から思いを一言いただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員の方からサイバーセキュリティーに関して一連の御質問をいただきました。

 要は、情報を守るために、今の技術においては完全にリスクをゼロにすることはできない、ですから、そのリスクに応じて対応しなければならないわけですが、要は、守るべき情報についても、たちまちは暗号化を進めていくことになるわけですが、それとて量子コンピューターが発達すると十分ではなくなってしまう、だから完全暗号が必要だ、こういう話をしていただいた、こういったことだと思います。

 完全暗号について、よりしっかりとした技術を確認した上で、サイバーセキュリティーが重要視される時代にしっかり臨んでいきたいと思います。

市村委員 ありがとうございます。サイバーセキュリティーといっても、情報セキュリティーと言った方が正しいと思いますので、総理にお願いします。

 では、話題を変えまして、これは、今早急に、こういう実態があるということを総理始め内閣の皆様、そして全国の皆さんに知っていただきたいという思いでございます。それは何かといいますと、でっち上げによる実子連れ去りの実態があるということなんですね。

 どういうことなのかといいますと、例えばDV、それから児童虐待、ストーカー等々のことに対しまして、そういうことに苦しんでいることに対しまして、これを守っていくという制度が今いろいろできてきています。それは、無論、そういう制度をつくって守っていかなければならないというのは当たり前の話なんですが、そのためにつくられた例えば相談制度とか支援制度を悪用して濫用している人たちがいるということなんですね。そして、ビジネスモデルをつくり上げて、それをお金にしているというような実態があるということなんです。

 そのことによりまして、本来は被害者である方が加害者とされて、そして子供に会わせてもらえなくなる。ある日突然子供が消えるわけです、配偶者と一緒に。そして、これは男性の場合もあれば女性の場合もあります。あなたはDVである、あなたは児童虐待であるというような、そのような汚名をでっち上げて着せて、出ていく。そして、子供と会えなくなる。そういうことに遭うと人は心を病むわけでありまして、心を病んで、中には自殺、自死を選ぶ人もいるという実態があるんです。

 総理、こういう実態があるのは今まで御存じでしたでしょうか。

岸田内閣総理大臣 そもそも、父母の別居後や離婚後における子の養育に関する事案に様々なものがあり、父母の一方が子を連れて別居するケース一つ取ってみても、不当な子の連れ去りという見方もあれば、DVや虐待からの避難という見方もある、まずこのように思いますが、その中で、裁判手続において、当事者の一方が自己の立場を有利にする目的でDV等支援措置制度の申請を行うなど、DVを受けたかのように偽装して主張する場合もある、そして、これを批判する意見がある、こうした実態があるという報告は受けました。

市村委員 ありがとうございます。私が後ほど申し上げたいことも含めて総理には御答弁を賜ったと思います。まさに、これは知れば知るほど、何ということだと思うことになるんです。

 といいますのも、これを指南する、でっち上げを指南する人がいるんです。先ほどもビジネスモデルと言いましたけれども、結局、法制度を悪用、濫用するわけです。

 実際、相談窓口に来られた方のうちの、いわゆる本当にDVとか児童虐待とかストーカーがあったと認定された件数は、令和四年度で千百十一件なんです。これはこれで多いと思いますが、しかし、相談に来た件数は、実はこの百倍と言ってもいいぐらい。つまり、百件に一件ぐらいしかいわゆる保護措置まで行ったケースはないんですね。ということは、中には、いやいや、この相談のうちの九九%はでっち上げに使われるために行かれているものではないかというふうに指摘される専門家の方もいらっしゃる。九九%ですよ。ほぼ相談はでっち上げであると。つまり、そういう事実をでっち上げて取りあえず窓口に行きなさいというふうに指南している人がいるのではないかと。

 実際にユーチューブでそういう指南をしている声が出ているんですね。誰が指南しているか。何と弁護士さんなんです、弁護士さんの一部の方。

 私は弁護士の友達もたくさんいますし、私の周りは立派な弁護士、敬愛する弁護士さんばかりです。しかし、中には、そういうことをでっち上げればいいのよという形で、そういう音声が残っているんです。でっち上げなさい、わざと相手を怒らせて、声を荒げさせて、それを録音しなさいとか、とにかく相手が嫌がることをして、ちょっとでも押されたら強く転んだふりをしなさいとか、そういうことを指南して、そして、そういう事実を積み重ねる。例えば、相談窓口に行きなさい、一回じゃない、二、三回行きなさい、警察にも行きなさい、そして、そういう積み上げででっち上げていくわけですね。

 実際は、本当は、その連れ去られた方が例えば暴力を受けていた。最近は、女性だけじゃなくて男性も暴力を受けているケースが実は多いということもNPOの調査によって分かってきています。なかなか男は暴力を受けたことを余り言わないということでありますけれども。そういう形で、本来は被害者なのにもかかわらず、突然子供を連れ去られて出ていかれて、そして、いつの間にか加害者にされてしまうという現実が、実態があるんです。何度も繰り返しますが、それによって心を病み、自殺を選んでいる人もいるということなんです。

 この実態を早くなくさなくちゃいけない、こういう実態を改善していくといいますか、改めていくというか、やめさせるというか、そういうことが私は必要だというふうに思います。

 ここで、今日は国家公安委員長もこの場にいらっしゃるわけですが、このでっち上げによる実子連れ去りというのは、これは実子誘拐と言ってもいいのでしょうか。委員長の御答弁をいただきたいと思います。

松村国務大臣 お尋ねのような案件につきましては、重大な被害に発展する可能性もございますので、警察にお届けをいただければ、関係する方々からしっかりまずお話を聞いて、その上で、具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づいて適切に対応することといたしておりますので、その過程でしっかりとした形が出るかというふうに思います。

市村委員 私は、刑法二百二十五条には営利目的での誘拐ということが書かれているというふうに聞いておりますけれども、結局、そういうことを、でっち上げを指南して、子供を連れて出ていけば親権を得られるからとにかく早く出ていきなさいと、去年の十一月だったか、ある自治体では、自治体主催のそういうセミナーがあって、そこで弁護士が登場されて、そして、早く子供を連れて出なさい、そうするといいというようなことを、離婚を奨励し、そして、そのための手ほどきをしているセミナーがあったと聞いていますが、私は本当に悲しくなります。

 昔から、夫婦げんかは犬も食わないと言っていた時代で、隣近所のおばちゃん、おじちゃんたちがまあまあと言ってなだめていた時代から、今や、自分たちの利得のために離婚を推奨して、そして、そのためにでっち上げさせる、そのために保護措置制度や相談窓口、相談制度を悪用する、濫用する人がいる。

 しかも、弁護士さんのバッジというのは、我々は菊ですけれども、あれは周りはヒマワリらしいんですが、ヒマワリというのは正義の象徴なんですね、正義の象徴。一体どこに、こんな指南をして自分の利得にするのが正義だと、本当に一部だと思いますが、そういう専門家がいる、弁護士がいるというのは私は本当におかしい、こう思いますが、今日は法務大臣もお越しですが、どう思われますか。

小泉国務大臣 離婚などの裁判手続等において、当事者の一方の立場を有利にする目的で、DVを受けたかのように偽装して主張することを弁護士が促して報酬を得ている場合もあるとして、これを批判する御意見があることはよく承知をしております。

 なお、裁判手続等における弁護士の活動の当否については、各個別の事件を担当する裁判所において法と証拠に基づいて判断されるべきものであるため、コメントは控えたいと思いますが、あくまで一般論として申し上げれば、裁判手続の当事者は、信義に従い誠実にその手続を遂行するべきであると考えます。

市村委員 ありがとうございます。

 国家公安委員長、もしこれを実子誘拐とした場合は、それを指南した弁護士は幇助罪に当たるということも考えられなくはないと思いますが、いかがでしょうか。

松村国務大臣 刑法の解釈については法務省からお答えがあるかと思いますけれども、警察については、お届けがあれば、しっかりと法と証拠に基づいて捜査をやるということになります。

市村委員 ありがとうございます。

 ここで、今日は最高裁の局長がいらっしゃっていますが、結局、悪用していますから加害者にされている、今は改められましたが、支援措置制度を悪用して加害者にされてしまうということがあって、裁判の場では非常に不利なんですね。本来の被害者が加害者にされて裁判になるわけで、全然聞いてもらえないわけです。

 今こういう実態があるということを改めて認識していただいて、ほぼでっち上げであることを前提として裁判に当たっていただきたいと思いますが、最高裁局長、どうでしょうか、最高裁の見解を聞かせてください。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 最高裁家庭局といたしまして、個別の事案における審理や判断の在り方について申し上げることは差し控えますが、一般論として申し上げれば、家庭裁判所の手続におきましては、例えば、調停手続では、中立公正な立場から当事者双方の言い分を丁寧に聴取しながら手続を進めており、また、審判手続におきましても、一方当事者の主張、立証に対して相手方に反論や反証の機会が保障され、こちらも公平中立な立場から証拠資料に基づく認定、判断が行われているものと認識しております。

 今後とも、公平中立な立場で適切な審理が尽くされるよう、最高裁家庭局としても各家庭裁判所に対する支援を進めてまいりたいと考えております。

市村委員 最後に、総理、こういうことを改めるのは国権の最高機関である国会しかこれはできません。今日こういう実態があるということを総理がお聞きになられて、最後にいま一度、総理のこういう実態に対する思いを聞かせていただければと存じます。

岸田内閣総理大臣 個別具体的な当事者の方の主張の当否ですとか弁護士の活動の当否についてコメントは控えますが、御指摘のDV等支援措置制度を含めて、やはり、支援を必要とされる方のところに必要な支援が届く、この基本をしっかり守って、それぞれの部署においてこの制度が従来の目的のために活用されるべく努力をしていくことは重要であると考えます。

市村委員 終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて市村君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 二〇二一年の衆議院総選挙に際して、盛山文部科学大臣が統一協会関連団体の推薦確認書に署名をして推薦状を受け取っていたことは極めて重大であります。

 岸田総理は、この事実を知った上で文科大臣に任命されたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 自民党としての基本的な方針、これは度々申し上げております。その基本方針、申し上げていますが、それを確認した上で、要は、盛山大臣を始め、大臣については、過去の関係いかんにかかわらず、現在は当該団体との関係を一切有していない、これを前提として任命いたしました。

笠井委員 知っていたかどうか、それを端的にお答えください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事実について、私自身は承知しておりません。

 その上で、先ほどの方針で任命をしております。

笠井委員 今、総理は現在はと言われたけれども、現在はというんじゃないんですよ。総理が文科大臣に任命されたときに、御本人が国民に対しては隠していたということが問題です。

 統一協会関連団体の推薦確認書に署名していたことを隠して、そして統一協会の解散問題を担当する文部科学大臣の任に就いている、こんなことは許されないんじゃないんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 だから、先ほども自民党の基本的な方針について申し上げたいと申し上げました。

 旧統一教会との関係、過去の関係を点検そして報告するとともに、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的に説明責任を果たす、これが自民党の基本的な方針であると申し上げております。

 これに照らして、そして、先ほど現在と言いましたが、任命した当時において、私は、盛山大臣が現在は当該団体との関係を一切有していない、これを前提として任命をいたしました。

笠井委員 推薦確認書に署名していたわけですよ。そして推薦を受けていたわけですから。今の答えじゃ駄目です。

 統一協会の解散命令を担当している担当大臣が統一協会と深い関係にあった、国民は絶対にこれを許さないですよ。

 総理は即刻、盛山文部科学大臣を罷免すべきだと強く要求したいと思います。

 その上で、能登半島地震から五週間がたちました。依然として一万四千人余りの方々が避難をされていて、甚大な被害に見舞われていらっしゃる。復旧復興、そして被災者支援に政府は全力を挙げるように強く求めたいと思います。

 そこで、東京電力福島第一原発事故から十三年目の、その元日にあった地震、誰もがそのときに、志賀原発のこと、大丈夫だろうかと頭をよぎったわけです。

 そこで、総理に質問します。

 パネル一、資料では一ですけれども、御覧いただきたい。

 志賀原発三十キロ圏円でありますけれども、その重点区域の通行止めというのは、ここにバツの印がありますけれども、十六路線、そして三十か所にも及んでおります。避難道路の過半が寸断をした。原発が重大事故だったら逃げようにも逃げられないという現実があります。

 そして、この半島の更に北東部の方の輪島市とかあるいは珠洲市を始めとして、そうした地域の住民の皆さんは、結局、事故があったら三十キロ圏に入れませんから、地震、津波があっても南の方に避難ができないということになるんじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 志賀地域における緊急時対応については、既に、自然災害と原子力災害との複合災害を想定して緊急時対応の取りまとめに向けて取り組んでいるところであり、今回の地震の被災状況を検証しつつ、避難経路、避難手段などを検討し、地元の声をしっかり聞いて取りまとめてまいります。

笠井委員 総理は今いろいろ言われますけれども、原発から五キロ圏、PAZの方では、志賀原発、例えば二キロの集落、道路が寸断して不安だという声が上がっている。実際に家屋被害と断水に見舞われている。避難先の半島北東部の能登町も被災をして、いらっしゃる方は金沢の方が近いのにというふうなことも言われている。

 三十キロ圏、UPZの、十五万人いらっしゃいますけれども、そのうち三万人は、今回被害が大きかった珠洲市、輪島市、そして能登町に避難する計画になっておりますけれども、今回は輪島市などで道路が寸断をされるということがあったために、八日間も孤立した集落があったような状況でした。

 どこが被災をして、そして避難ルートがどこが使えるか分からないのに避難先が指定をされているというのが今の計画です。そのルートが駄目だったらどうやって、総理、避難するというふうになるんでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほどの総理の答弁と多少重なるところはありますけれども……(笠井委員「重なることはいいですよ。時間がないんだから」と呼ぶ)はい。

 避難道路を複数経路設定するとともに、必要な代替道路を設けて、陸路が制限される場合には、道路啓開に着手せず、海路避難、空路避難、又は必要に応じて屋内避難をすることで住民の安全を尽くしてまいりたいと思います。

笠井委員 今、海路、空路ということを言われましたが、津波が来たら海上避難は不可能です。今回、港の八割が損壊をした状況でした。じゃ、空路はどうかといえば、使えたのが、ようやく、能登空港は、自衛隊が降り立つことができたのが十日後になっているわけですよね。しかも天候に左右される。大雪のときには道路は渋滞もあるわけですから、代替道路といったって、それが使えるかどうか分からないということになります。

 およそ避難するなんというのは無理だったんじゃないですか、総理。今度は総理。

岸田内閣総理大臣 委員の方から様々な御指摘がありました。

 御指摘のような点を含めて、今回の地震の被災状況を検証して、避難経路、避難手段などを検討し、地元の声をしっかり聞いて避難時対応を取りまとめていく、こうした取りまとめを行っていくものと認識をしております。

笠井委員 代替と言われるけれども、それができないということを今言ったわけですよ。検討したって、どうするかということになる。

 それから、屋内退避と、避難先ということでもありましたが、その点でいいますと、家屋の倒壊などで住宅被害は五万五千棟になっています。そして、そこは停電だったり断水がある、食料も調達できないという現実があるわけですよ。これは使えないんじゃないですか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 安全確保のために市町にて開設する近隣の指定避難所等への避難を実施することも考えております。また、余震等が発生し、既に避難している近隣の避難所等への被害が更に厳しくなる場合には、人命の安全確保の観点から、地震に対する避難行動を最優先し、あらかじめ定めている広域の避難先に速やかに避難することを実施することとしております。

 また、国及び自治体は、住民等の避難を円滑に実施するために、避難経路や避難手段等について確認、調整等を実施することとしております。

笠井委員 あらゆることを考えるというけれども、できなかったのが今回の現実なんですよ。今回も、これからも、どんなふうなところで、どこが震源地となって、どんな地震になって、どういう状況になるか、これがないのに、どうやって、計画を立てたって、全部それがやれるかどうか分からないということになります。

 今回、石川県が設置したモニタリングポストというのがありますが、そのうち十八台も測定値が確認できませんでした。こうなると、どこに避難すべきかも分からないということになるんじゃないですか。

伊藤国務大臣 今回の地震で得た教訓を踏まえ、原子力防災体制の充実強化を図ってまいりたいと思います。

笠井委員 充実強化をどうやって図るかという問題ですよ。

 代替手段だって、とにかく、この間、説明を聞くと、政府は、自動車、モニタリングカーがあるとか、航空機、ドローンを使うというようなことを言ったりするけれども、代替手段も、モニタリングポストの測定値が確認できなかったときからでは、時差が出るわけですよ。道路寸断や気象条件悪化によってそれも使えない。リアルタイムで計測値が伝わらなければ避難に役立たない、住民を被曝させることになるじゃないか、こういう問題です。

 そこで、総理に伺いますが、避難計画など、今やり取りしましたが、絵に描いた餅で、机上の空論だった。今回は重大事故には至らなかったですけれども、はっきりしたのは、志賀原発で重大事故が起これば避難などできない。これを認めるべきじゃないか。

 原発事故が起きれば住民は放射性物質が漂う屋外で被曝を強いられる、これは脱原発弁護団の意見書でも出されておりますけれども、総理、それでも、今回の震災後も再稼働を進める方針は全く変わらないというふうにされていますけれども、事故が起こって避難ができなくても原発の再稼働を認めるということなんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来、今般の地震で得られた教訓をしっかり踏まえて緊急時対応を取りまとめていくと申し上げております。委員の方から、それはできないではないかということでありますが、しっかりした緊急時対応がない中で原発の再稼働が実態として進むことはないと考えております。

 それから、モニタリングポストについても、これは石川県及び富山県にはモニタリングポスト百十六局が設置されておりますが、地震後に一時、最大で十八か所のモニタリングポストにおいて測定ができない状態となったと聞いておりますが、発電所から十五キロ圏内のモニタリングポストは全て継続的に稼働し続けており、現在は全ての箇所において測定が行える体制に復帰していると承知しておりますし、測定が確認できなくなっている地域についても、持ち運び可能なモニタリングポストの設置を行うとともに、必要が生じれば航空機で測定する準備なども整っていた、こういった報告を受けております。

笠井委員 ですから、それはそのときにちゃんと伝わらなきゃ意味がないんですよ、どこまで広がったかということについては。

 避難計画に実効性がなくても原発を動かしていいということになったら、まさに住民は被曝しても構わないということになりますから、断じてそれは認められないと思います。

 じゃ、志賀原発そのものはどうか。

 総理は、原子力施設の安全機能に異常はないと承知していると言われました。そして、一、二号機とも運転していないと繰り返して言われてきたわけですが、私は最悪事態を想定すべきだと思います。

 今回の地震で、変圧器の破損あるいは油漏れ、外部電源も一部使えないという、想定外といったようなトラブルが続出をしました。

 総理に伺いますが、今回よりも強い地震で、震源地が原発立地の直下か近傍、また、原発が運転していた場合、福島のような過酷事故にならない、はっきりとそのことを言えますか。

岸田内閣総理大臣 福島の事故後に、原子力規制委員会において新規制基準、これが設定をされました。これに基づいて、原発の敷地及び敷地周辺の断層について、科学的知見に基づいて詳細な調査の下に活断層を抽出し、地震動評価を行った上で、原子炉建屋等の重要な建物の構築物の安全機能を損なわないものであること、これを原子力規制委員会の審査で確認することとなっております。

 何よりも大事なことは、今より強い震動があった場合どうかという御指摘でありますが、高い独立性を有する規制委員会が新規制基準に適合すると認めない限り原子力の再稼働が認められることはない、この方針は変わらないということであります。

 この新基準につきましては、諸外国の規制基準も確認し、万が一過酷な事故が発生した場合への対応、これも含まれているわけでありますが、この基準がクリアされているかどうかによって再稼働を認めるかどうか、これをクリアしない限り認めない、この方針をしっかり堅持することが、委員の御指摘について答えることになると思います。

笠井委員 私が質問したことに対して、強い地震で直下か近傍のときに福島のような過酷事故にならないと断言できるかというふうに申し上げたんですが、そのことに対してはお答えがないんですよ。

 山中規制委員長、原子力規制委員会の委員長に伺いたいと思います。

 原子炉が稼働していなくても、使用済燃料の問題があります。電源を失った場合、失えばプールの水が冷却できなくなる。そして、プールの水がなくなれば、ジルコニウム火災を起こして大量の放射性物質が飛散をする。原発が動いていれば、最悪の場合に、原子炉の核燃料がメルトダウンして使用済核燃料は火災を起こしてしまうおそれがある。これは科学的な問題ですから、そういう可能性があるということはお認めになりますね。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉がどれだけ停止しているかによって違いはございますけれども、一般論として、原子力発電所の運転中か停止中かにかかわらず、電源喪失や冷却機能の喪失が長時間継続した場合には、炉心損傷や使用済燃料の損傷に至る可能性は否定すべきではないと思います。

 このため、新規制基準では、事故の可能性をゼロと考えるのではなく、事故が起こり得るという前提の下で、重大事故の防止とその影響を緩和するための手段や、大規模損壊による影響を緩和するための手段を求めております。

笠井委員 可能性は認められました。

 福島第一原発事故の際に、当時の近藤駿介原子力委員会委員長が示した最悪のシナリオは、四号機使用済燃料プールからの放射性物質の大量放出以降も事態を収束させられず、原子炉や燃料プールから放出が続けば、最終的には、二百五十キロ圏、北は盛岡市、西は新潟市、南は東京を越えて横浜市まで移住が必要になるような状況になる、汚染の自然消滅に数十年かかる、東日本壊滅ともいうべき被害が見積もられていたわけです。地震や津波の場所、規模によっては最悪の過酷事故になるおそれが十分にある。福島事故の再来など、絶対にあってはならないと思います。

 そこで、総理、志賀原発は立地に根本的な問題があることが明らかになった。今回の震源域は、東西百五十キロ。九十六キロの想定範囲を超えて活動をして、隣接の断層が連動と見られます。志賀町の原発近く、富来川南岸断層と見られる地表のずれやたわみが、長さ三キロ以上と判明をした。北陸電力はこの活断層の存在を否定をしておりましたが、二〇二一年五月に規制委員会に修正申告した。活動性が否定できないとして長さ九キロの活断層としていますが、それが今回、実際に動いていたということであります。

 こんなリスクの高いところに原発など、あり得ないんじゃないですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、志賀原発については、現在運転を停止しております。原子力規制委員会が新規制基準への適合性審査を行っております。

 そして、敷地及び敷地内の断層の活動性評価については、今般の地震による知見も追加的に考慮して、規制委員会によって厳正に審査が行われることになると聞いております。

 その上で、独立した原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めない限り、志賀原発の再稼働は許可されることはないと認識しております。

笠井委員 影響調査と言われましたけれども、年単位かかるというのが規制委員会のお話なんですよ。その間に断層が動いて、地震、津波が来ない保証はない。今回の震源地近くに珠洲原発建設計画がありました。もし原発があったらぞっとする、住民の反対で止めてよかった、これが地元の声であります。

 建設予定地だった高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れて、陸路も海路も閉ざされて孤立状態で、海岸線は数メートル隆起した。そこに原発があったら大変なことになった。まさにそれでも大丈夫だというんだったら、原発に一〇〇%安全はない、事故は起きる、最悪の事態の想定が前提であって、そういうことでも大丈夫ということで審査して、大丈夫だというんだったら、まさに新たな安全神話そのものであります。

 総理は施政方針演説で、原発は安全最優先で引き続き活用を進めると述べましたけれども、電源喪失、新たな活断層隆起の危険があり、避難計画もできない。ならば、志賀原発も、使用済燃料プールから大量の水があふれ出た柏崎刈羽原発も、廃炉しかないんじゃないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先般の原子力規制委員会において、志賀原発については原子力施設の安全機能に異常はなく、その他の原発についても安全確保に影響のある問題は生じていないとされたと承知をしております。

 高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めない限り、原発の再稼働が認められることはないというのが政府の方針であり、この方針は変わりません。

 その上で、個別の原子力発電所を廃炉するかどうか。これは、それぞれの事業者が判断するものであります。

笠井委員 こんな事態になって現実に直面しても、大丈夫だと言わんばかりの話をされる。

 地震、津波は止められないけれども、原発は止められます。これが被災者の声です、なぜ廃炉にしないのかと。事業者に物も言えないのかと。

 パネルをもう一枚御覧ください。

 原子力産業協会から自民党の国民政治協会への献金額は、政権復帰した第二次安倍政権の二〇一三年以降、この十年間で七十億円超にもなっています。原産協会は、原発の早期再稼働、新増設、革新炉開発などを要求しています。自民党への多額献金は、原発政策の金による売買であって、政策に反映させて政治をゆがめている。原発ゼロの世論を踏みにじって、原発回帰の要求を丸のみして、国民の命と健康、財産よりも原発優先など、断じて許されません。

 そこで、総理に伺いますが、この七十億円以外にも裏金が自民党に流れていないか。原産協会会員企業は、三井物産、三菱商事などの商社、三菱重工業や日立製作所など原発メーカー、日本製鉄など鉄鋼会社、大林、鹿島、清水、大成建設、竹中工務店などゼネコン、みずほ、三井住友などの銀行を始め、四百社前後もあります。そのうち、二〇一三年から二二年の間に、自民党派閥と議員の政治資金パーティー券を購入したのは何社で、幾らでしょうか。

岸田内閣総理大臣 お尋ねのような事柄について整理した資料は保有しておりません。よって、お答えすることは困難であります。

 政治資金については、政治資金規正法の定めに従い、公開すべきものは公開しております。御確認をいただきたいと思います。

笠井委員 では、これは大事なことですから、調査して当委員会に報告されたいと思いますが、委員長、理事会で諮ってください。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

笠井委員 企業・団体献金、政治資金パーティーを含めて、全面禁止こそ今必要だ。

 地震、津波国の日本で、原発稼働は極めて危険と現実が示しました。東京電力福島第一原発事故はなお続いていて、今も数万人の方々が避難を余儀なくされている。収束の見通しも立たない。

 原発ゼロこそ決断すべきだ、このことを強く求めて、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 まず、政治資金問題について伺いたいと思います。

 私たちは、政治資金規正法に基づいて収支報告に入りと出をしっかりと記載、また報告することで、税を免除されています。

 しかしながら、今回、収支報告書の訂正一覧、また裏金リストが発表されましたが、午前中も、不明、不明と。あれは論外でありますけれども、裏金の処理は、本人からの寄附や、また貸付け、その額を減らして、その額をそのまま派閥の寄附に置き換えている例が散見をされました。つまり、本来は個人の収入であるものが、政治団体への寄附につけ替えられたというわけです。

 そして、三千万円以下は起訴されないということが分かったからこそ一斉に訂正をしたんだと、みんな思っています。

 総理が言うのは、やはり、収支報告の訂正ではなくて、修正申告を促して、そして納税すべきではないんですか。裏金を、二重線を引いて、そして訂正して、課税を逃れて終わりでは、国民は納得しません。是非、総理からは、納税をするように、税金を納めるように指示をしていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政治資金収支報告書、これは事実に基づき記載すべきである、これは当然のことであります。

 そして、関係者においては、最終的に実態として政治団体から政治団体への寄附であったと判断したからこそ、それぞれ事実に基づき政治資金収支報告書の訂正が行われているものと認識をしております。

 そして、まずは関係者が明確な説明責任を果たすことが重要であると考えます。その上で、党としても、外部の弁護士を交えて、順次、党幹部による関係者の聞き取りを開始しております。個人の議員の説明を踏まえて、今後の対応、説明責任等を考えてまいります。

田中(健)委員 裏金にしていた額はみんな収支報告を訂正して、そしてそれが適正に使われていたと、誰もそんなことを信じるはずがありません。来週からは確定申告が始まります。国民は見ておりますので、是非これは総理のリーダーシップで、国民に政治家が脱税しているわけじゃないということを明確にしていただきたいと思っています。お願いいたします。

 また、検察当局が捜査をし、法と証拠に基づいた法的な責任が追及され、果たされたと総理から発言がありました。それでは、聞き取りやアンケート、これは何のためにやるのか改めてお聞きをしたいと思います。裏金の有無が分かりましたらその額を発表するだけでは今と何ら変わりがありません。説明責任にもなりません。あわせて、どのように政治責任も果たしていくのか、総理から伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 関係者に対する聞き取りについては、聞き取りを行った後、第三者による取りまとめをお願いすることを予定しております。それによって説明責任、まずは本人の説明が第一ではありますし、それを促してまいりますが、党としても、こうした聞き取りを通じて、そしてその取りまとめを通じて説明責任を果たさなければならないと思います。そして、その手順を踏んだ上で、政治責任等についても党としてどう対応するか、これを判断いたします。

田中(健)委員 今のところ、どういう意図で裏金がつくられたのか、その経緯は、そして誰が指示したのか、そして、やはり一番の注目は何に使われたのか、何ら解明がされていません。今、総理からは、本人の申告だけでなくて、しっかりと聞き取りとアンケートで更にそれを確認するということでありますので、是非全容解明に、総理が先頭になって果たしていただきたいと思っています。

 また、制度面についても伺いますが、制度面については各党の共通ルールを出して真摯に議論すべきと発言がありました。自民党の案がまだ出てきていません。刷新会議の中間取りまとめからも時間がたっています。最終報告ないしは改正案、野党からは全て出そろっていますので、是非改正案を出していただきたいと思いますが、いつ出されるんでしょうか、伺います。

岸田内閣総理大臣 政治資金規正法等の法改正を伴う制度改革についても、自民党として、政治資金の透明性、そして公開性の向上、そして厳格な責任体制の強化、この三点を通じて議論を進めるということを確認しております。

 是非、党として考えをまとめた上で、各党各会派と政治資金規正法の改正についても真摯に議論を深めてまいります。

田中(健)委員 真摯に議論を深めるためには、材料がないと議論ができませんので、刷新会議は総理が議長でありますから、トップでございますので、早くこの案を出していただきまして、そして、私たち政治がしっかりと取り組むんだという姿勢を皆で示していきたいと思っています。

 さらに、政策活動費についても伺います。

 政策活動費について、総理は、政治活動の自由と知る権利のバランスで今の制度となっている、また、長年の議論で現在の法律ができていると言われてきました。

 しかし、長年の議論はどこで行われたんでしょうか。本会議や委員会等、調べられる限りの議事録を探してみましたが、この政策活動費については議論は形跡がありません。唯一出てきたのは、昨年末の予算委員会で緒方委員が質問した、この一点でありますが、これについては、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 お尋ねの発言ですが、これは、政策活動費の使途公開などの制度論が議論される中にあって、政策活動費を含む政治資金の議論が今日までどんな議論を経てきたか、こういったことについて私の考えを申し上げたものであります。

 こういった趣旨で、今日までの議論を振り返って、そしてその中で、政治活動の自由と知る権利とのバランス、さらには、政治活動についても、政党等の政治活動の自由だけではなくして、企業等の政治に対する様々な関与の自由、こういった自由も含めて、バランスをめぐって議論が行われてきた、こういったことを申し上げた次第であります。

田中(健)委員 政治資金については議論をしてきたということですが、それでは、政治活動費については議論は今までなかったということでよろしいんですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費を含めて、政治資金について今申し上げたような議論が行われてきた、こうしたことを申し上げてまいりました。

田中(健)委員 政策活動費も含まれていたかのような発言なんですが、政策活動費という、出てこないんですよ、今まで議論で。ですから、それがそのまま何か含まれているとなると、何かみんなが議論して、同意の下やっているかのような、ミスリードの議論となってしまいますので、そこははっきりとしていただければと思います。

岸田内閣総理大臣 政策活動費を含めて政治資金について議論が行われたことによって、そして、政治資金の公開の在り方、使途等をどのように公にするのか、こういったことのルールができ上がってきたということを申し上げました。

 政策活動費についてもこうした議論の中にあって今日があるわけですから、共通のルールに基づいて、透明性についてより深めるのであるならば、ルールに基づいて判断することが必要である、このように申し上げております。

田中(健)委員 ちょっと余計分からなくなったんですけれども。議論していなければしていないで、しっかりと政策活動費、議論しましょうという今この議論になっているわけですけれども。かつて、過去はなかったんですね、議事録にも、私の調べた限りですけれども。

 じゃ、ほかのどこかで総理はこの政策活動費を議論して、皆さんで同意をしたことがあるということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費を始め様々な政治資金が今回議論されています。その議論は、政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中で議論が行われてきた、それを申し上げました。それで今日に至っていると申し上げました。

 これを、その内容について使途を明らかにする等々の方法等を行うのであるならば、共通のルールについて是非議論を行う必要がある、そのように申し上げております。

田中(健)委員 もちろん、政治資金の在り方についてはこれまでも何度も国会で議論されてきましたが、事政策活動費、特に今回これは大きな課題、また問題となっていますので、それがどうだったかと私は聞いておりまして、何度聞いても同じ答弁なんですが。政治活動費は私が調べた限りなかったわけですね、このワードの、この使い道については。

 ですから、しっかりと議論しよう、今国会では、そしてルールを決めようということを私たちは言っていると思っておりますので、是非、この政策活動費の在り方についても、この国会で、予算委員会で議論を進めていただければと思います。総理は真摯な議論と言っていただいておりますから、真摯な議論をしていただいて、説明責任、また政治責任、しっかりと取っていただきたいと思っています。

 引き続き、能登半島の地震を受けて、伺いたいと思います。

 今回の震災発生直後に起きたのは、食料不足でありました。道路が寸断されて、食べ物はあるんだけれども届けられないというようなことが起きました。

 東日本大震災の教訓の一つには、食料をできるだけ身近なところに備蓄しよう、つまり、家庭でも最低三日間備蓄しようということで、これは政府も力強く広報をし、私もそれで備蓄していますし、多くの皆さんに浸透しています。また、地域の防災計画の中でも、自治体においても道路が使えない状況を想定し、今回の石川県でも道の駅などへの備蓄拠点を設けていました。

 しかし、それでもなお現実に、今回は食料が行き渡らなかったということです。総理の言うプッシュ型の供給だけでは限界があるということが分かりました。

 家庭備蓄を含めた分散型の備蓄というのを、個人や自治体任せにせず、国が責任を持って、さらに、食料安全保障の観点からも、国策として是非明確に位置づけ、対策を取っていただきたいと思いますが、総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 災害時の食料の備蓄については、東日本大震災の教訓なども踏まえて、国民の皆さんに最低三日間、奨励一週間の必要物資の備蓄を呼びかけるとともに、避難所の位置を勘案した分散備蓄も含め、地方公共団体による十分な備蓄を行うことを防災基本計画に定め、これを促しています。

 その上で、発災当初は国の役割としてプッシュ型支援により物資を供給することとしており、実際に今回の地震でも、陸路、海路のアクセスが寸断された中で、あらゆる手段を活用し、プッシュ型で必要な物資を届けたところです。こうした多重な備えを構築していくことが大事だと思っています。

 是非、こうした備えを構築しながら、今回の災害の様々な教訓も踏まえて、今後の防災・減災対策に生かしてまいりたいと思います。

田中(健)委員 是非早急に進めていただきたいと思います。

 今回の能登地震において、やはり高齢化が大きなテーマとなっておりまして、高齢者はなかなかスーパーも行けない、車がなければ動けないという中で、なかなか自助に頼るというのは限界があると思いますし、これは能登半島に限ったことではなく、全国の自治体でも共通する課題であります。国が先導して、備蓄というものにも対策を取っていただきたいと思います。

 引き続きまして、ライドシェアの議論をしたいと思います。

 高齢化や人口減少が進み、住民の移動手段が確保できない地域が続出をしています。さらに、インバウンドの回復で、都市部また観光地でタクシーの不足が課題となっています。

 そんな中でありますが、四月に、タクシーが不足する地域や時期や時間帯に限ってライドシェアを解禁するとのことであります。新技術の活用や社会の変化に応じた規制の見直しというのは大変重要だと思っていますが、一方、働き手にしわ寄せが寄ってしまったらならないと思っています。

 昨日、国交大臣、この件について、大事なことが三点ある、その一つは雇用だということを挙げられていました。政府は、運転者の働き方について雇用に限らず検討ということを掲げていますが、日本のハイヤーやタクシーの産業というのは、正社員化を進め、そして、これまで主流になってきています。今回、その正社員化にくぎを刺さないような不安定な働き方である業務委託への転換ということが明記をされていますが、ドライバーの全体の雇用の劣化を招きかねないという懸念も、声も上がっているのも事実です。

 ライドシェアにおける働き方というのを総理はどのように考えているのか、伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 ライドシェアの課題については、四月から実装されるよう制度の具体化を図るとともに導入支援を実施するとされているわけですが、あわせて、施策の実施効果を検証しつつ、この法律の制度について六月に向けて議論を進めるとしています。

 この検討に際しましては、御指摘の労働条件に係る課題、これも重要な課題となります。あわせて、安全確保といった課題、また、デジタル技術を活用した新たな交通システムといった課題、こうした課題と併せて、諸外国の取組も参考にしながら議論をする必要があると考えます。

田中(健)委員 これは、労働者でなければ労働関係法令が適用されず、ドライバーが劣悪な環境で就労が強いられる懸念というのも拭えません。宅配サービスなどでは、働き手の権利の保護が後手に回ってしまったという事実もあります。健康診断などの健康管理や、副業、兼業も含めた過重労働の防止などの取組も一緒に進めていかなければならないと思っています。そうでなければ、働き手に過重な負担がかかり、結果、それが、今安全ということ、総理から発言がありましたけれども、安全を脅かすような影響も懸念もされているのも事実です。

 この件についての、もう一度、安全という意味、また利用者についての立場からの総理の考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 地方交通の担い手ですとか移動の足、これが不足している、これが深刻な社会課題となっています。

 この解決に向けて、デジタル行財政改革の中で、デジタル技術を活用してこれまで以上に質の高いサービスを提供し、利用者起点で社会変革を実現していく必要があると考え、このライドシェアの課題に正面から取り組んでいる、こういったことでありますが、御指摘のあったドライバーの働き方が安全に影響を及ぼす可能性、これについても、新しいデジタル技術を活用した新たな交通サービスといった課題と併せて、諸外国の取組も参考にしながら、しっかりと議論する必要があると認識をしております。

田中(健)委員 是非、利便性と安全性をどう確保しながら、持続可能な地域の交通網づくりを進めていくのかということですね。

 単に、今回のライドシェアをめぐる議論というのは、タクシーの不足や、また観光対応だけでなく、総理からもまさに発言がありました、地域に住む住民の視点というのも大変重要になってくると思っています。あらゆる交通手段を総動員して、この対策に臨んでもらいたいと思っています。

 最後は、日本経済について伺います。

 一月十五日、日経新聞に、「デジタル小作人、米に貢ぐ五兆円」というタイトルで記事がありました。デジタル分野での日本のルールメイキングや産業支援の遅れが貿易赤字にまで発展しているという記事であります。

 スマホを使ったモバイルのOS、アプリストアの支配力が強まっています。これはアップル税とまで言われるようになっておりまして、売上げから直接三〇%徴収をするので、法人税よりも多く納めているという企業もあるようであります。

 そんな中、一月二十五日に、アップルが、EUの新法の対応のために、EU圏内だけでありますが、決済の開放やアプリストアの手数料の引下げを含めた対応案を発表しました。

 是非この動きをしっかりと国も理解してもらいたいと思いますし、さらに、政府もEUと同様の規制も検討しているという一部報告も受けています。

 是非、日本国の問題でもあります、法人税が徴収できないということでございますから、国益に関することでもありますから、規制法案を一刻も早く議論の俎上に上げてもらい、また、EUに負けないルールづくりを先導すべきだと考えますが、総理の見解、最後に伺います。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、約束の時間が過ぎておりますので、端的にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 欧州は三月から、競争的で公正なデジタル市場を確保することを目的とした新たな規制を本格的に運用開始することとなっている、このように承知しております。

 ただ、この規制の運用はまだ開始されておりません。アップル等企業による対応、またそれに対する欧州当局の対応についても、まだ全容が明らかになっておりません。

 よって、現時点で予断を持って評価することは控えますが、日本政府としてこうした動向については注視をしております。

田中(健)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

小野寺委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 最初に取り上げる政治と金問題については、昨日、維新の青柳議員がすばらしい質問をしていて、その論点、問題意識、そして解決の方向性については、私の考えとほぼ同じであります。それゆえ、重複をできるだけ避けながら、まず持論展開の上、最後に総理の見解を求めたいと思います。

 昨日、我が派の中道左派を自認する北神圭朗議員が信号機の例を引いたように、総理が打ち出している派閥解消、これは論理のすり替えにすぎません。加えて、透明性を高める、そして罰則を強化するなどの方策も、私に言わせれば小手先方策であって、根本解決たり得ません。根本解決策は、パーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止以外にありません。

 自民党政権は、業界からお金と票を出してもらい、その見返りとして業界が要望する予算を配分し、業界が要望する法律を制定する、このような政権です。このお金で結ばれた利権構造である業界主権政治こそが、日本政治をゆがめる、私に言わせれば悪の権化であり、この悪の権化を追放しない限り、日本の再生はあり得ません。

 派閥解消など何の意味もなく、いずれ形骸化します。なぜなら、自民党政権下では、自民党総裁が総理大臣になります。ですから、自分が敬愛する派閥の領袖を総理にして、自分もその政権において重要な役割を担い、国家のために働きたい、貢献したいという思いを持つのは極めて自然です。

 派閥は残しても構いませんけれども、パーティー券購入を含む企業・団体献金は全面禁止する。制度化すべきです。

 岸田総理は民主主義のコスト云々という答弁を繰り返されておりますけれども、それは、何が何でも企業・団体献金だけは残したいというがための理屈でしかなく、野党に対しても国民に対しても、全く説得力がありません。

 さて、よく、政治には金がかかると言う議員、学者、評論家がいます。しかし、政策立案、識者、官僚との議論、そして国会、党内での議論、意見交換、これら政治家の本来任務にお金はかかりません。次回の選挙の当選確率を高めるためにお金をかけているだけの話です。

 私は、初当選から二十年、議員在籍十八年になりますけれども、一度も政治資金パーティーをやったことはありません。十周年パーティーなどもやっていません。そもそも、私自身も、秘書も、事務所としても、お金集めの営業活動をしたことが一度もありません。今、無所属ですので、政党助成金にもありつけません。立法事務費の一部、そして旧文通費だけで日常活動を行い、選挙を戦っています。

 自民党的感覚からすると、絶滅危惧種のような議員だと思います。だからこそ、政治にお金はかからないという私の説明には、自分で言うのもなんですけれども、説得力があります。

 私のみならず多くの野党議員は、このように、竹やりでF35と戦っています。一般国民も、収入の範囲で、歯を食いしばりながら生活しています。

 この自慢のような自虐のような話をしたのは、我が国が真の民主主義たり得るのかと甚だ疑問を持っているからです。

 国民にとって、そして政治にとって、そして政策立案の際に最も重視されるべきことは、公平性の担保です。しかし、国家制度の根幹である日本の民主主義は、公平性からほど遠いものであると思っています。イコールフッティングという、競争の同等条件という言葉がありますけれども、民主主義下の日常活動と選挙において、与野党間の競争の同等条件でこれほど大きな違いがある国はありません。

 まず、得られるお金の額が、二桁、三桁違います。この違いは地元秘書の数に直結します。そして、業界挙げて、業界総動員での自民党支援、また、自民党に有利なタイミングで実施される総選挙。さらには、百メートル走でいえば、最初から五十メートル先、八十メートル先からスタートする世襲議員だらけの現職議員と候補者などなど、競争の同等条件、公平性からこれほど大きく逸脱、乖離している国はありません。自民党が批判する強権国家以外には、こういう国はありません。ロシア大統領選挙を笑えないと思います。

 我が国を公平性が担保された真の民主主義国家にして、さらには、失われた三十年、長期にわたる国力の低迷から反転攻勢して国力を再生させる、そのためには、業界主権政治を生活者主権政治に大変革する必要があります。その第一歩が、パーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止です。

 時間の関係で、生活者主権の政治の詳細を語れないのは残念でありますけれども、この業界主権政治から生活者主権への大転換、そして第一歩としての企業・団体献金の全面禁止について、イコールフッティング、そして公平性の観点から、総理の見解を求めます。

岸田内閣総理大臣 御指摘の企業・団体献金の在り方については、民主主義コストを社会全体でどのように負担していくのか、こうした観点を踏まえつつ、各党各会派における真摯な議論を経て結論を得ていく問題であると考えます。

 自民党においても、真摯に議論に貢献いたします。

吉良委員 総理、先ほど私、自分の持論展開の中でも言いましたけれども、民主主義のコストという論理は、何が何でも企業・団体献金を手放さないという論理にすぎません。これは、先ほども言いました、野党に対しても国民に対しても全く説得力がありませんよ。

 言っていることは、繰り返しますけれども、俺はこの企業・団体献金は絶対手放さない、ほかはどんなことを譲ってもいいけれども、これだけは譲らないんだ、こういうことでしかないですよ。それでもなお、今言った、民主主義のコスト云々と言いますか。

 民主主義のコストという論理でも、じゃ、次の、公平性という観点から答弁してください。

岸田内閣総理大臣 民主主義のコストというのは、委員がおっしゃった、選挙に金がかかるか、かからないか、これも含めてコストと申し上げています。

 これについても、企業献金についても、民主主義のコストということについて議論をする、このことは各党会派で議論するということで、重要であると申し上げております。

吉良委員 次に移りたいんですけれども、これはもう一回食い下がります。

 総理、さっき私が後段で言った公平性の観点ということは何もお答えされていないんですよ。

 全然説得力ないですよ。説得力ありますか。(発言する者あり)

小野寺委員長 質問を続けてください。

吉良委員 これで食い下がりたいんですが、一点だけ。

 総理は、アベノミクスを評価していますか。新しい資本主義はアベノミクスを継承の上で打ち出されたものですか。短く、単語だけで分かりますので、今言った、評価と、継承しているか否かについてお答えください、短く。

岸田内閣総理大臣 アベノミクス、デフレでない状況をつくり、GDPを拡大し、企業収益を拡大し、そして雇用を増進したと認識しています。

 それを、私の政権において、新しい資本主義ということで、より経済を活性化する方向に効果を拡大していきたいと思っています。

吉良委員 時間が終わりましたので、総理、お配りした資料を是非見てください。

 アベノミクスは、日本経済、日本の国力に何のメリットももたらしていません。逆に、過度な円安を誘発して、それこそ前国会のように、物価高を招き、国民の生活を苦しめている。何のメリットもなかったんです。これを継承するのでは、新しい資本主義も全く説得力がないということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明八日午前九時から委員会を開会し、一般的質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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