衆議院

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第6号 令和6年2月8日(木曜日)

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令和六年二月八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    井野 俊郎君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      越智 隆雄君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    奥野 信亮君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      城内  実君    後藤 茂之君

      田中 和徳君    平  将明君

      塚田 一郎君    平沢 勝栄君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      古屋 圭司君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    山本 有二君

      若林 健太君    渡辺 博道君

      阿部 知子君    荒井  優君

      井坂 信彦君    石川 香織君

      梅谷  守君    大西 健介君

      神谷  裕君    源馬謙太郎君

      小山 展弘君    階   猛君

      篠原  豪君    鈴木 庸介君

      中島 克仁君    藤岡 隆雄君

      屋良 朝博君    山岸 一生君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      阿部  司君    青柳 仁士君

      浅川 義治君    池下  卓君

      奥下 剛光君    中司  宏君

      林  佑美君    吉田とも代君

      赤羽 一嘉君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君    福重 隆浩君

      宮本 岳志君    宮本  徹君

      田中  健君    緒方林太郎君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (防災担当)       松村 祥史君

   国務大臣         新藤 義孝君

   内閣府副大臣       石川 昭政君

   外務副大臣        辻  清人君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   最高裁判所事務総局刑事局長            吉崎 佳弥君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 信也君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  萬浪  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門前 浩司君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      七條 浩二君

   政府参考人

   (内閣官房健康・医療戦略室次長)         中石 斉孝君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   馬場  健君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  松本 敦司君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       玉田 康人君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    茂里  毅君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    清水 幹治君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  海谷 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 田中 由紀君

   参考人

   (日本銀行理事)     清水 誠一君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月八日

 辞任         補欠選任

  金田 勝年君     井野 俊郎君

  亀岡 偉民君     大串 正樹君

  後藤 茂之君     藤丸  敏君

  古屋 圭司君     大岡 敏孝君

  宮路 拓馬君     城内  実君

  石川 香織君     近藤 和也君

  梅谷  守君     神谷  裕君

  山岸 一生君     藤岡 隆雄君

  米山 隆一君     山田 勝彦君

  奥下 剛光君     浅川 義治君

  林  佑美君     阿部  司君

  守島  正君     中司  宏君

  赤羽 一嘉君     福重 隆浩君

  宮本  徹君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     金田 勝年君

  大岡 敏孝君     古屋 圭司君

  大串 正樹君     藤井比早之君

  城内  実君     宮路 拓馬君

  藤丸  敏君     後藤 茂之君

  神谷  裕君     阿部 知子君

  近藤 和也君     石川 香織君

  藤岡 隆雄君     源馬謙太郎君

  山田 勝彦君     米山 隆一君

  阿部  司君     林  佑美君

  浅川 義治君     奥下 剛光君

  中司  宏君     池下  卓君

  福重 隆浩君     赤羽 一嘉君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     亀岡 偉民君

  阿部 知子君     屋良 朝博君

  源馬謙太郎君     中島 克仁君

  池下  卓君     青柳 仁士君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  中島 克仁君     鈴木 庸介君

  屋良 朝博君     篠原  豪君

  青柳 仁士君     吉田とも代君

同日

 辞任         補欠選任

  篠原  豪君     梅谷  守君

  鈴木 庸介君     荒井  優君

  吉田とも代君     守島  正君

同日

 辞任         補欠選任

  荒井  優君     山岸 一生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 三案審査の参考に資するため、来る十六日金曜日、石川県及び長崎県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 これより一般的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木信也君、内閣官房内閣審議官萬浪学君、内閣官房内閣審議官門前浩司君、内閣官房行政改革推進本部事務局次長七條浩二君、内閣官房健康・医療戦略室次長中石斉孝君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健君、内閣府政策統括官林伴子君、内閣府政策統括官高橋謙司君、総務省行政管理局長松本敦司君、総務省情報流通行政局長小笠原陽一君、総務省情報流通行政局郵政行政部長玉田康人君、法務省刑事局長松下裕子君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省研究開発局長千原由幸君、スポーツ庁次長茂里毅君、厚生労働省労働基準局長鈴木英二郎君、厚生労働省社会・援護局長朝川知昭君、水産庁長官森健君、特許庁総務部長清水幹治君、国土交通省鉄道局長村田茂樹君、国土交通省物流・自動車局長鶴田浩久君、国土交通省海事局長海谷厚志君、国土交通省国際統括官田中由紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局刑事局長吉崎佳弥君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。城内実君。

城内委員 自由民主党の城内実です。

 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、令和六年能登半島地震でお亡くなりになられました皆様方に哀悼の誠をささげますとともに、御遺族の皆様にお悔やみ申し上げます。そしてまた、被災されました皆様、そして今も避難生活を余儀なくされている皆様には、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、能登半島地震の災害対応に関連した質問をさせていただきたいと思いますが、初めに、被災地における自治体職員に焦点を当てました質問をいたします。

 今回の地震もそうでありますが、災害発生時、一番最初に対応に当たるのは、最先着の地元の消防団員です。このことは、あちらに座っていらっしゃる、我が党の災害対策のプロである赤澤亮正財務副大臣がいつも強調されており、また、私の後ろに座っていらっしゃる、我が党の消防議連の古屋会長もおっしゃっておりますが、その次に対応に当たるのは、当然、市町村の役場、常備消防、警察職員といった自治体職員の皆様であります。自治体職員の皆様は、総動員、二十四時間体制で災害対策に関わっております。そして、復旧復興が完了するまで携わるのも自治体職員の皆様であります。

 忘れてはならないのは、彼らも被災者となり得ることであります。震災対応の中で通常業務をこなしていかなければならない状態であり、自治体職員は過重労働を強いられております。長期的な復旧復興作業が予想される中で過重労働状態が続くことは、効率的な災害支援活動にも悪影響を及ぼすと思います。

 もちろん、今回も全国から自治体職員が派遣されております。私の地元、浜松市、湖西市からも派遣がなされております。しかしながら、このような災害発生時には、必ず根本的な現場の公務員の人員不足が浮き彫りになります。

 我が国では、地方行政改革の名の下で公務員の削減が行われてきました。効率化、AI、ロボティクスの活用、行政手続のオンライン化など、このような取組ももちろん重要でありますが、公務員を削減した結果、災害のような有事にマンパワーが不足する事態に幾度も直面しております。また、新型コロナウイルス感染拡大時におきましても、保健所の職員不足などが大きな大きな問題となりました。

 我が国の公務員数を国際比較いたしましても、非常に少ない実態がございます。内閣人事局の資料によりますと、人口千人当たりの公的部門における職員数をアメリカ、英国、フランス、ドイツの四か国と比較しますと、フランスでは八十九・二、イギリス六十八・一人、アメリカの六十四・一人、ドイツ五十九・三人とする中で、我が国は三十六・四人と極めて低い水準となっております。アメリカの約半分、フランスの約三分の一であります。

 今後、我が国におきましては、高齢化に伴い社会保障分野や保健分野での行政ニーズが高まると同時に、人口が減少しようとも、道路など住民の生活に欠かせない社会資本の維持管理は引き続き求められます。さらには、災害が頻発化、激甚化する中で、住民の生活と命を守る公務員を今後も削減していくという緊縮的な選択肢はあり得ないのではないかと思います。

 必要な行政サービスを維持するため、有事において住民の生活と命を守るためにも、公務員の増員を行っていくべきだと私は考えております。こうした観点からも、行政改革推進法では行政機構の整理及び合理化などの理念がうたわれておりますが、見直しも含めて検討すべきと私は考えますが、政府の考え方をお伺いしたいと思います。

石川副大臣 城内委員にお答えいたします。

 平成十八年に成立いたしましたいわゆる行政改革推進法におきまして、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革を推進することとされており、政府において、これに基づいて改革を進めてきたところでございます。

 他方で、委員御指摘のとおり、近年の社会情勢や感染症、災害対応等様々な情勢の変化によりまして、公務員が対応すべき行政ニーズは多様化しているものと認識しております。

 そのため、行政改革の観点からは、委員御指摘のとおり、単純に全ての行政分野において一律にリソースを削減するということではなく、重点的に対応すべき分野には必要な体制整備を行うなど、めり張りの利いたリソース配分をすることなどにより、行政の機能や政策効果を最大限発揮できるよう不断の見直しを行っていくことが法の理念に沿うものであり、重要であると考えております。

 まずは、現行の枠組みの下において行政の機能や政策効果を最大限発揮できるよう、着実に取組を進めてまいりたいと考えております。

城内委員 私の承知している限りでは、先進国でいまだに何かスクラップ・アンド・ビルド的なことをやっているのは日本だけだと思いますので、是非、私が申し上げたことをしっかり踏まえて対応していただきたいと思います。

 次に、災害時におけるキャンピングカーの活用につきまして御提案を申し上げたいと思います。

 能登半島地震の災害支援におきまして、今、キャンピングカーが宿泊施設として活用されております。一般社団法人日本RV協会は、能登半島地震発生の直後から、珠洲市と輪島市に合わせて五十台のキャンピングカーを投入し、被災地の復興の中心となる自治体職員と全国から応援に駆けつけた自治体職員向けの宿泊場所として、全国自治体職員宿泊場所設置プロジェクトを行っております。

 キャンピングカーは、家と同じように水、電気、ベッド、トイレ、暖房などを備え、身の安全を守り、落ち着いて衛生的に過ごすことができる生活環境を提供し、電力確保や通信手段の維持も可能であります。また、現地到着後すぐに利用可能であり、急な避難や立ち退きにも迅速に対応が可能であります。

 米国では、政府がキャンピングカーを災害時に活用しております。災害対応する政府組織であるアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁、FEMAは、FEMAトレーラーと呼ばれるキャンピングトレーラーを被災者に提供しております。被災者が自分の家を修復又は再建することができるまで、災害後の住宅所有者のための仮設住宅として提供しているのであります。

 既に、我が国の各自治体の中でも日本RV協会や会員企業との災害協定の締結が進んでおり、昨年十二月末時点で全国二十三件と、キャンピングカーを通じた災害対策の展開は広がっております。

 日本国内のキャンピングカー保有台数はまだまだ少なく、大量にそろえることはできず、仮に製造できたとしても、米国と違って大量に備蓄することが難しいなどの課題はありますが、被災地の復旧復興支援を行う際の職員の宿泊先確保と移動手段の確保を両立するキャンピングカーの活用は、極めて有意義と考えます。

 是非とも、政府におきましては、災害時におけるキャンピングカーの活用を積極的に考えていただきたいと考えますが、松村防災担当大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 城内議員におかれては、党でのキャンピングカーの普及の議連の事務局長、また、RV協会には既にいろいろな御協力をいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、貴重な御提言をいただいたと思っております。

 御指摘のとおり、今回、応援職員の宿泊場所としてキャンピングカーを活用させていただいております。また、過去の東日本大震災であるとか熊本地震のときにも、被災者の方々の一時的な避難場所として活用させていただいたところでもございました。また、このキャンピングカーの活用につきましては、自治体と民間事業者の方々との応援協定を結んでいる例があるほか、今回も、災害発生時に活用する際には、地方財政措置などによる支援策も行っているところでございます。

 今後でございますけれども、復旧復興を進めていく中で、応援職員に加えまして、工事関係者、ボランティアの方々の宿泊場所の確保、これが少し課題になっておりますので、今石川県といろいろなお話をさせていただいているところでございます。キャンピングカーの活用についても、含めまして検討してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、今後、防災、減災の対策についても、今回のキャンピングカーの活用を含めた経験を生かして対策を練ってまいりたいと考えております。

城内委員 是非とも、今いらっしゃる松本総務大臣とも協議をしていただいて、できましたら全国一律な努力目標というかガイドラインを設けていただいて、何か災害があったら他の都道府県からキャンピングカーがばっと一か所に集まってくるような、そういう、アメリカ型に限りなく近づけていただければ幸いでございます。

 それでは次に、ライドシェアについて質問させていただきます。

 我が国のタクシー事業は、国民に安全かつ安心な輸送サービスを提供する地域公共交通機関として、二種免許制度や車両の運行整備管理、アルコールチェック、労働時間管理、社会保険など、多大なコストを払っております。事故防止、安全輸送が確保されている背景にはどのような努力、制度があるかということは、改めて私たちは認識しておかなければならないと思います。

 タクシー事業者を取り巻く環境は大変厳しく、令和二年春からの新型コロナウイルス感染拡大による人の移動の激減に伴い、営業収入は大幅に激減しました。また、昨今の燃料価格の高騰によって大きな打撃を受けております。コロナ禍に受けた融資の返済が資金繰りに悪影響を与えるなど、タクシー事業者は今なお厳しい経営状況にございます。こうした中におきましても、タクシー事業者は、国民生活に不可欠な地域公共交通機関としての社会的責任を果たすため、努力を続けていただいております。

 他方で、地域の移動手段としてのタクシー不足が指摘され、昨年からライドシェアが大きな議論となっております。タクシー乗務員の皆さんの不足は喫緊の課題であり、どのように確保していくか、これはしっかり考えていかなければなりません。しかし、注意すべきは、安易な参入障壁の引下げ、新規参入の増加は、かえって安全、安心な地域公共交通機関としてのタクシーサービスを毀損しかねないということであります。

 タクシーの需給にまつわる規制・制度改革の過去を振り返りますと、平成十四年に改正道路運送法が施行され、タクシー事業の需給調整規制が廃止されました。これにより新規参入事業者が増加し、一台当たりの売上げが急減するとともに、運転者の年間所得も減少しました。賃金低下が乗務員の長時間労働を引き起こし、過労から事故が増え、運転中の急性死も増加いたしました。サービス向上や利便性、利用運賃低下が期待されて需給調整規制が廃止されましたが、結果は、利用者サービスの低下、道路混雑等の交通問題、運転者の労働条件悪化、これらが招かれたわけであります。

 これを受けて、平成二十一年にタクシー事業適正化・活性化特別措置法が施行されて需給調整が行われ、改善が図られました。

 タクシーの供給不足は対応しなければならない課題ではありますが、同時に、事故防止や安全性の確保もしっかりと維持していかなければならないと思います。これを両立するためには、指摘されているタクシーの供給不足が、どこの地域で、どの時期、どの時間帯にどれくらい不足しているのか、具体的かつ明確なデータ、根拠に基づいた上で対策を行っていくことが必要不可欠と考えております。

 規制改革推進会議におきまして、タクシー不足を課題として、ライドシェアについて議論がされていたわけでありますが、タクシーの供給不足について、現在把握しているデータや根拠につきまして、河野太郎規制改革担当大臣にお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 タクシーの供給不足につきましては、国土交通省が取りまとめた輸送実績報告書によると、担い手であるタクシー運転手が十五年間で四〇%以上減少しているというデータがあり、活力ある地方を創る首長の会アンケートでは、百名以上の首長が回答し、住民及び観光客等は現在の地域公共交通サービスに不満を感じていると回答した首長の割合が全体の約九五%、また、規制改革推進会議のワーキンググループにおいて自治体の首長から話を伺ったところ、タクシーの供給不足について相次いで指摘を受けました。

 今、日本全体で、人間が移動できない、交通手段が制約されている。非常に重要な問題であり、病院に行かなければならない御高齢の方が病院に行けなかったり、そういう方を病院に送っていくために、働いている方が会社を休んで行かなければならない、あるいは日々の買物にも問題が生じている、そうしたことが指摘されている地域が、日本全体の中で非常に多く広がっております。

 この人間の移動が制約されているという状況は非常に重要な問題であり、これを一刻も早く解消しなければならないというのが、今回の、総理以下、政府の方針でございます。

城内委員 今、河野太郎大臣から、病院に行かなければならない人、人間の移動の制約はあってはならないと。私も全くそのとおりだと思いますが、いずれにしましても、タクシーの供給が需要に追いつかないエリア、時間帯については、やはりしっかり検証と分析を行うことが必要だと思いますので、改めて強調させていただきたいと思います。

 その上で、政府は、四月以降、タクシーが不足している地域や期間、時間帯に限定して、タクシー会社の管理の下、一般ドライバーが自家用車を使って有償の旅客運送を行うサービスを導入すべく検討中と承知しております。

 タクシー会社がドライバーの教育や運行管理、車両整備管理等の安全確保を行い、運賃もタクシーに準じ、運送責任もタクシー会社が負う形であれば、事故防止や安全性も一定程度担保されると考えます。これによりタクシー不足が改善されるとともに、一般ドライバーの二種免許取得、タクシー運転手の増加につながることが期待されます。

 他方で、重要なことが、タクシー不足という課題を踏まえて導入されるこの新たな日本型のライドシェアが、どのような効果、結果を社会に今後もたらすかをしっかりと検証、分析することであります。

 タクシー会社が管理するとはいえ、ドライバーは二種免許を持たず、自家用車を使ってサービスを行います。全国のタクシー運転手や利用者はもちろん、タクシー以外の地域公共交通機関、交通問題など、様々なところに影響を及ぼす可能性もあります。

 二月五日の衆議院予算委員会での公明党の高木陽介先生の御質問にもありましたが、四月に開始する日本型ライドシェアの効果をしっかりと検証し、時間をかけてその効果を見極めることが必要という御指摘は、私もまさにそのとおりと考えております。時間をかけなければ検証は困難であるということは言うまでもありません。

 私が懸念しているのは、四月以降の新たな日本版ライドシェア導入の後、六月に向けてタクシー事業者以外の者によるライドシェア事業のための法律制度の議論を行うということであります。

 タクシー会社が管理する一般ドライバーの自家用車を使った有償の旅客運送と、タクシー事業者以外の者によるライドシェアは全く異なるものであります。タクシー事業者以外の者によるライドシェアはまさに白タク行為であり、運行管理や車両整備管理についての民事、刑事上の法的な責任問題や、ドライバー、乗客の安全性、タクシーを含めた既存の公共交通機関との過当競争や交通渋滞を招く危険性など、重大かつ新たな問題を多くはらんでおります。

 まずは、四月以降の導入が検討されている日本版ライドシェアの効果をしっかりと検証することが何よりも重要であり、六月に向けてタクシー事業者以外の者によるライドシェア事業のための法律制度の議論を行うということは、拙速以外の何物でもないと私は思います。日本版ライドシェアの効果を十分に検証せず、安易に議論を進めて結論を急げば、それこそ安全確保やドライバーの労働環境破壊にもつながりかねません。

 四月以降の新たな日本版ライドシェア導入の後、しっかりとその効果を検証し、タクシー事業者以外の者によるライドシェア事業のための法律制度の議論は、その結果が出た後に、例えば一年、二年後とかですね、行うべきと考えますが、斉藤鉄夫国土交通大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 地域交通の担い手の不足、また移動の足の不足といった社会問題の解決に向けまして、タクシー事業の規制緩和、例えば地図試験を廃止いたしました、このような規制緩和や、自家用有償旅客運送制度、これは今でもございます、この改革に加え、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車や地域の一般ドライバーを活用した新たな運送サービスが四月から実装されるよう、制度の具体化や支援を進めてまいります。

 委員御指摘のとおり、ライドシェア事業に係る法制度については、これらの施策の実施効果をしっかり検証した上で、六月に向けて議論をしたいと考えております。

 地域の自家用車、ドライバーの活用に当たっては、車やドライバーの安全性、事故が起こった際の責任、そして適切な労働条件の三点が大変重要であると考えておりまして、こうした観点から慎重に検討、議論する必要があると考えております。

城内委員 繰り返しますが、国民にとりまして安全かつ安心な輸送サービスを維持するためにも、結論ありきのような拙速な議論の進め方を決して行わないようにしていただきたいと思います。

 もう一点、ライドシェアがもたらす過当競争による利用運賃低下について質問させていただきます。

 タクシーの運賃は、適正な原価に適正な利潤を加えたものであり、不当に差別的な取扱いや不当な競争を引き起こすことがないように法令でしっかりと定められております。タクシー事業者の管理によらないライドシェア導入は、過当競争を招き、タクシー事業者の売上げ急減、賃金低下によって、乗務員の方の長時間労働、過労による事故増加にもつながりかねないと懸念しております。タクシードライバー、乗務員の皆様の確保が求められている中、職業の魅力を高めるために、タクシー事業者はもちろん、国土交通省も様々な努力、支援を行っているというふうに伺っておりますが、こうした動きに逆行することになりかねません。

 また、政府は、物価高を上回る所得の増加に向け、政策を総動員しているところであります。タクシードライバーの賃下げを加速し、働き方改革を逆行させかねないライドシェアの導入であれば、政府の方針とも全く矛盾するものではないかと考えますが、斉藤大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 地域の足を確保するため、その担い手であるタクシードライバーの確保が喫緊の課題となっております。

 そのため、国土交通省として、タクシーの運賃改定申請に迅速に対応するなど、ドライバーの早期の賃上げを促進し、処遇の改善に取り組んでいるところです。

 先ほど申し上げましたとおり、ライドシェア事業に係る法制度については、四月から実施する新制度の実施効果を検証した上で慎重に議論していく必要があると考えております。その議論に当たっては、委員御指摘のとおり、政府の掲げる賃上げの方針と矛盾することがないよう、ドライバーの処遇にどのような影響があるのかについて十分な検討が必要であると考えております。

城内委員 ありがとうございます。

 Eコマース、電子商取引に関する市場調査の結果が、経産省の調査の結果がございますが、アマゾンが圧倒的な市場シェアを占めております。

 こういったことを考えますと、何かおいしいところだけ海外に利益が奪われるということになりかねないように、どこの会社とは言いませんけれども、こうした外資がおいしいところだけを海外に持っていくことのないように、そういうことも含めて、アマゾンの事例も踏まえて、是非しっかり規制すべきことは規制していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 郵政問題でありますが、日本郵政グループは、令和三年、二〇二一年に創業百五十周年を迎えました。その際、我々が思い起こさなければならないのは、日本近代郵便の父とたたえられた前島密翁を始め、郵政に携わってこられた先人たちの並々ならぬ御努力により、世界一とも言える郵便事業が構築され、それが長い間維持されていたという歴史的事実であります。

 ところが、現在はどうでしょうか。郵政事業を取り巻く経営環境は大変厳しい状況にあります。昨年末、郵便料金の引上げが発表されました。ところが、郵便料金の見直しを行ったとしても、令和七年度、二〇二五年の単年度のみ黒字化が達成するのみで、その翌年度から再び赤字に転落する可能性もあり、再度郵便料金の引上げをせざるを得ないことになりかねないとも言われております。郵政三事業の一体的な運営についても、日本郵政のゆうちょやかんぽに対する持ち株比率が低下し続けるなど、大変心もとない状況が続いておりました。

 こうした状況の中で、郵政三事業の堅持、郵便局ネットワークの維持を図るため、現在、我々自民党の郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟、いわゆる郵活連におきましては、今次通常国会に、議員立法として、郵政民営化法などの改正案が検討されているところであります。

 改正民営化法で全株処分の期限が外され、一応努力目標になってはおりますが、全株処分はそのままになっております。ある程度株を売却すると、いわゆる物言う大株主が出てくることが当然予想されるところであります。彼らは、もうからない郵便局は閉鎖しろと言ってきたり、自分たちの利益のためだけに様々な注文をつけてきて、郵政グループ組織のガバナンスが全く利かなくなることになりかねません。

 また、経済安全保障の観点からも、全国あまねく存在する約二万四千局の郵便局ネットワーク、これは、我が国、我が国民にとってかけがえのない財産、公共財であります。もうけることしか考えない利益至上主義の外国のファンドや、隣の某大国、中国とあえて言っちゃいましょう、中国資本が、仮に一〇%でも株を持たれ、物言う株主になったら、組織のガバナンスどころか、安全保障上、国益上、大変危機的な状況になりかねません。したがいまして、改正民営化法には外資規制を設けるべきだと私は考えております。

 人口減少の著しい過疎地等の郵便局は、もはや三事業だけでは成り立たなくなっているというのは言うまでもありません。より収益を上げるためにも、ゆうちょ銀行限度額撤廃を始めとする金融二社の新規業務届出に係る上乗せ規制を緩和するとともに、より収益の上がる第四事業として、公共サービスを適正な対価でお客様に提供できるようにすべきであると思います。

 いずれにしましても、こうした一連の課題につきましては、私は、総務省内の、地方自治を担当している旧自治省系と、情報通信を担当している旧郵政省系が、縦割りのままではなく、もっと緊密に連携して、松本大臣の強いリーダーシップの下で対処していただきたいと考えますが、お考えをお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 まず、委員からも御指摘がございましたが、三事業一体での経営などの観点から、議連におきましても様々な御議論がなされていることと承知をしておりまして、政府としても、そのような御意見を踏まえつつ、郵政事業の安定的かつ継続的な提供を確保することに努めてまいりたいと思っておりますし、また、国際社会、世界経済の情勢から経済安全保障の視点は大変重要であり、政府としても様々な取組をさせていただいているところでございます。

 私どもとしても、安定的な経営の確保のために努めてまいりたいと思っておりまして、総務省としては、現行法で定められた権限の中でも適切な運用に努めてまいりたいと思っております。

 御質問の公共サービスでございますが、日本の地域社会において人口減少が進む中で、地方をしっかりと支えて活力を取り戻すことは大変大切でありまして、全国二万四千局のネットワークを持つ郵便局は、地域の重要な生活インフラとして、その役割は大変大切であると考えております。

 これまでも、歴史的な背景から公的使命を理解されている郵便局の皆様には公的役割を担っていただいておりまして、総務省としても、郵便局の強みを生かした地方活性化の一層の促進に向けて取り組んでいるところでございまして、一昨年からは省内に部局横断的なプロジェクトチームを設置をいたしております。

 郵便局での自治体窓口業務等の取扱いや、災害対応、生活支援などで郵便局の職員やスペースを活用したこのような公的な役割は、ここのところ拡大をさせていただいているところでございます。昨年六月には、郵便局事務取扱法改正によりまして、マイナンバーカードの交付申請事務が新たに郵便局において可能となっておりまして、自治体や郵便局にその旨周知をさせていただいております。

 このような取組を受けて、自治体と郵便局の関係は自治体窓口業務の委託などを通じて深まっておりまして、昨年十一月末時点で四百十六の自治体が五千八百九十九の郵便局に対して事務委託を行っています。

 実際の事務委託に当たっては、令和三年に委託に係るコストを回収できるよう手数料を見直すなど、総務省関係部局、関係自治体、日本郵便が緊密に連携して、適正な対価により委託が行われるように努めてまいりたいと考えております。

 総務省としても、郵便局が住民に身近な存在として地域を支え、課題解決に貢献する役割を果たせるよう、しっかりと進めてまいりたいと思います。

城内委員 民主党政権下の改正郵政民営化法の見直しについては、中身も含めてまだ何も決まっておりませんけれども、もし仮に議員立法ということになりましたら、是非野党の皆さんの御協力もお願いしたいというふうに思っております。

 それでは、次の問題に移りたいと思います。

 超電導リニア中央新幹線について質問させていただきます。

 私は、自民党のリニア特命委員会の幹事長を務めております。そしてまた、小さい声で言いますが、静岡県出身の衆議院議員でございます。

 岸田総理の施政方針に関する演説では、戦略的なインフラ整備の重点的な推進の一つとして、リニア中央新幹線の整備に向けた環境を整えるという御発言がございました。

 リニア中央新幹線は、我が国の国土の構造を大きく変革し、日本経済全体の発展に寄与する極めて重要な国家的プロジェクトであります。

 全線開業により三大都市圏が一時間で結ばれ、人口七千万人の世界最大の都市圏が形成されます。国際競争力の向上、地域の活性化、そして地方創生、さらには南海トラフ地震などの大規模災害に対する抜本的な備えとして、大動脈輸送を二重系化する防災など、多様な意義を有しております。

 私の地元の静岡県におきましても、リニア中央新幹線への輸送需要の移転に伴う東海道新幹線の静岡県内停車本数の増加など、静岡県の発展に資する交通利便性の向上や地域活性化の効果なども見込まれております。

 昨年十月、国土交通省が公表いたしました調査結果によりますと、リニアが大阪まで開業されることで、静岡県内の駅における東海道新幹線の停車回数は約一・五倍に増加し、沿線地域の経済波及効果が十年で一千六百七十九億円、雇用効果は十年で一万五千六百人が見込まれております。

 また、このリニア中央新幹線自身が大きな観光資源になります。昨年七月、山梨リニア実験センターで、改良型試験車に私自身試乗しました。磁石の力で浮かせて走るリニアの最高速度時速五百キロを体感いたしましたが、そんなスピードが出ているとは全く分からないほどの静けさと乗り心地でありました。営業を開始しますと、日本だけが持つ技術である超電導リニアを体験するために、世界中の人々がインバウンドで来日するのではないかと思います。

 未着工の静岡工区におきましては、水資源と環境保全の問題が大きな課題でありましたが、これも関係者の皆様の努力で解決に進んでおります。

 環境保全につきましても、昨年十二月、国の有識者会議が南アルプスの生態系などの環境保全について取りまとめ、論点ごとに影響の予測、評価を踏まえた対策が整理され、JR東海の進め方が適切であると判断がなされました。斉藤鉄夫国土交通大臣からJR東海に対しまして、報告書に基づいて対策を行うよう要請いただいたところでもあります。

 そして、昨年末、十二月二十八日、品川―名古屋間の開業に必要な全ての工事実施計画が認可されたところであります。

 関係者の皆様の御努力で、早期開業に向けた環境はしっかりと整ってきていると考えております。国土交通省におきましては、引き続き、JR東海に対しまして対策等の実行の徹底を指導し、また、地域の皆様の御理解と協力が得られるよう環境の醸成に取り組み、国家的プロジェクトであるリニア中央新幹線の早期開業に向けて全力を尽くしていただきたいと思います。

 岸田総理からは、戦略的なインフラ整備の重点的な推進の一つとして、リニア中央新幹線の整備に向けた環境を整えるという御発言、繰り返しになりますがございましたが、改めて、国土交通省に対しまして、今後の決意をお伺いしたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線につきましては、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一つの圏域といたします日本中央回廊を形成して日本経済を牽引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図るものであり、国土形成計画、国土強靱化基本計画にも位置づけられた、国家的見地に立ったプロジェクトでございます。

 未着工の静岡工区につきましては、委員御指摘のとおり、国土交通省が設置した有識者会議におきまして、令和三年十二月に大井川の水資源への影響に関する報告書を取りまとめました。さらに、昨年十二月には南アルプスの生態系などの環境保全に関する報告書を取りまとめ、十二月八日に、斉藤国土交通大臣よりJR東海に対しまして、この報告書に基づいて対策を講じるよう求めたところでございます。

 また、リニア中央新幹線の開業に伴います東海道新幹線の利便性向上や経済波及効果等についても調査を行い、その結果を昨年十月に公表しております。委員御指摘のとおり、この調査によれば、静岡県全体にとっても大きな効果をもたらすことが期待されております。

 さらに、リニア中央新幹線品川―名古屋間の工事実施計画につきましては、JR東海より、駅や車両基地等の工事を追加することを内容といたします変更認可の申請があり、昨年十二月二十八日に認可いたしました。これによりまして、品川―名古屋間の開業に必要な工事実施計画が全て認可されたことになり、開業に向けたプロセスが一歩進んだものと認識しております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、関係者の皆様にこれらの取組状況を丁寧に説明するとともに、必要な対策が着実に実行されているか継続的に確認していくなど、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整え、一日も早い開業に向けて、関係自治体やJR東海と連携して取り組んでまいります。

城内委員 ありがとうございます。私自身も、何ができるか分かりませんが、しっかり対応していきたいと思います。

 いずれにしましても、まずは我が国でリニア中央新幹線を全線開業することが何よりも重要であります。そして同時に、世界でも、特に、とりわけ隣の大国に負けないように、日本の独自の技術を活用していただきたいと考えております。国土交通省におきましても、リニア技術の海外展開を含めて積極的な取組をお願いしたいと思います。

 そして、次の質問に移らせていただきたいと思いますが、済みません、ちょっと外交実施体制は飛ばさせていただきまして、時間が余りございませんので、金融政策についての質問に移らせていただきます。

 まずは、岸田総理が施政方針演説におきまして、経済の再生が岸田政権の最大の使命である、そして、経済、とりわけ賃上げが喫緊の課題として求められていると発言されました。そしてまた、昨年十二月十二日の記者会見で総理は、日銀には引き続き、政府の様々な政策、デフレ完全脱却、あるいは賃上げ、そして成長と分配の好循環、持続的な賃上げがリードする形でコストカット型経済からの脱却、こうした経済政策をしっかり念頭に置いていただきながら、政府と連携をしていただきたいと期待している、そういった発言をされておられます。

 日本銀行におきましては、デフレ完全脱却、賃上げを目指す政府の経済政策と整合性を取り、緊密に連携を取りながら、マイナス金利政策を含む粘り強い金融緩和の継続によって、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定目標を持続的、安定的に実現することをこれまで目指してきました。

 マスメディア、マーケットから、マイナス金利政策を見直し、金利がある経済を求める声もありますが、いまだに個人消費は弱く、デフレ脱却の確信が持てない段階でもし引締め的な金融政策に転向すれば、これは私は大問題であると思いますし、岸田総理、政府が示す政策に全く矛盾すると指摘せざるを得ません。

 いまだ内外の経済や金融市場をめぐる不確実性が極めて高い状況の中では、引き続き粘り強く金融緩和を継続すべきだと私個人は考えておりますが、この点について、日本銀行の認識をお伺いしたいと思います。

清水参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行は、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定の目標を持続的、安定的に実現することを目指しております。

 これまでの物価上昇は既往の輸入物価上昇というコストプッシュによるところが大きいと見ておりますが、日本銀行としましては、物価安定の目標が持続的、安定的に実現していくためには、賃金と物価の好循環が強まり、基調的な物価上昇率が高まっていくことが重要と考えてございます。この先、丹念にいろいろデータ等を確認してまいりますけれども、賃金と物価の好循環を確認し、物価安定の目標の持続的、安定的な実現が見通せる状況に至りますと、マイナス金利を含む大規模な緩和策の継続の是非を検討していくことになります。

 もとより、政策修正の具体的な内容は、その時点の経済、物価、金融情勢次第ではございますが、現時点での経済、物価見通しを前提といたしますと、先行き、マイナス金利の解除等を実現したとしても、緩和的な金融環境は当面続くというふうに考えてございます。

城内委員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、いろいろな、様々な見解がありますけれども、やはり、拙速にこの金融緩和路線を、いろいろな声があるからといって、私は転換すべきではないというふうに思っております。

 まだ時間がございますので、最後に、外交実施体制について質問させていただきます。

 外交、安全保障環境が激化する中で、我が国の国益を守るためには、外交実施体制の強化が不可欠であります。在外公館数や外務省の人員、定員純増を行うとともに、また、勤務環境の改善や財政基盤の整備、DX、働き方改革などを行っていくべきと考えております。また、既存の在外公館の強靱化、更なる活用についても積極的に取り組むべきであります。老朽化し、日本国内の基準であれば建て替え基準にある在外公館も多いと承知しております。海外展開拠点となる在外公館の整備もしっかりと行っていくべきだというふうに考えております。

 大使、総領事公邸などは、国有化しているものもあれば借家もあると承知しておりますが、長期的に見れば、国有化の方が借用よりもコストが低い場合もあります。また、国有化の上、接宴等に活用した方がよほど国益に資することもあると考えますが、大使館員の増強と在外公館の強靱化について、外務省の見解をお伺いしたいと思います。

辻副大臣 城内委員にお答えします。

 極めて重要な御指摘、ありがとうございます。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に我が国が直面する中、主導的かつ積極的な外交を展開するためには、外交・領事実施体制の強化が不可欠でございます。こうした観点から、今、外交実施体制の強化に向けて、在外公館の数の増加や人員の拡充などに努めてきています。

 令和六年度予算案を国会でお認めいただければ、在外公館について、来年度はエリトリア大使館の実館化及びナイロビの国際機関政府代表部の新設を予定しておりまして、在外公館数は十年前の二百七公館から二百三十四公館となる見込みであります。また、外務省の定員数についても、七十名純増の六千六百七十四名、うち在外公館は三千七百十八名となる予定でございまして、また、これから、老朽化している施設への対策はもとより、経済性も考慮の上、適切な形で強靱化を進めていく予定でございます。

城内委員 時間が来ましたので、これで質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて城内君の質疑は終了いたしました。

 次に、橋本岳君。

橋本委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会の橋本岳でございます。

 今日は二つのテーマで質問したいと思っておりますが、ちょっと順番を入れ替えたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 まず最初に、私、趣味で海釣りをするんです。釣り、魚釣り、それはいいんですけれども。そうすると、ネットとかツイッターとかでその関係のコミュニティーとかを見ていますと、昨年からちょっと大問題になった問題があるので、それを取り上げたいと思っております。

 一昨年四月、北海道知床におきまして小型旅客船が沈没しまして、二十六名の方が死亡、行方不明となる痛ましい事故が発生をいたしました。この事故を契機といたしまして、国土交通省で知床遊覧船事故対策検討委員会というものが開催をされまして、同年十二月二十二日に旅客船の総合的な安全・安心対策というものが取りまとめられております。この報告に基づきまして、昨年の常会で法改正も行われました。

 ところが、昨年秋になって、これの対象が、旅客船のみならず、いわゆる釣り船とかいそ渡しをするような遊漁船に対しても安全対策の一部がかかる、義務化をされるということが急にみんなが知るところになりまして、びっくりして、問題になったということでありまして、特に釣り船なんて小さい船が多いので、そこに大きな救命いかだを載せるのを義務づけるんだということが急に、そうだったのみたいな話になって、当然ながら、定員も少ないところ、一メートルぐらいとかありますから、そういうものを載せると定員も減らさなきゃいけないかもしれない、そうすると経営上の問題になりかねない、そういうようなことが懸念をされているわけであります。

 実際に、昨年十二月十九日に、公益財団法人日本釣振興会を始め十四団体連名で斉藤国土交通大臣宛てに、安全対策設備設置の義務化を外すよう要望書も出ているわけであります。

 確かに、遊漁船の事故、死傷者数というのはだんだん増加傾向でもありますので、何か考えなきゃいけないんだろうということは理解をしますけれども、一方で、安全対策のために業として成り立たなくなるみたいな話になったら、それは本末転倒なのでありまして、私が釣りをするのはただの趣味ですけれども、遊漁船をなりわいとしてやっている方からすれば、それは死活問題なのでありまして、雑に扱っていい問題だとは思いません。

 そうした、まず検討プロセスがどうだったかということをお伺いしたいと思いますが、これは国土交通省政府参考人にお尋ねをします。旅客船の総合的な安全・安心対策という報告書、それのどこに遊漁船と書いてありますか。

海谷政府参考人 お答え申し上げます。

 若干、検討経緯も含めてお答え申し上げます。

 一昨年、令和四年の四月に設置されました知床遊覧船事故対策検討委員会、これには水産庁にもオブザーバーとして参加いただきまして、検討を進めてまいりました。

 同年五月の第三回委員会におきましては、乗客が低水温の水中ではなく水上で救助を待つことができる救命設備が必要だ、こういう考え方に立ちまして、いかだ等の搭載を義務づける方向性が示されました。

 また、同年七月の中間取りまとめにおきまして、海上運送法の事業の用に供する小型旅客船あるいは当該船舶を運航する事業者以外の船舶、事業者への適用についても検討を行う必要があるとされました。

 これを踏まえまして、同年十月の第八回委員会におきまして、遊漁船も義務化の対象船舶に含まれることを明示いたしました。その資料を基に、水温の低さ、航行区域、船舶の構造に応じたリスクの程度を踏まえつつ、一定の船舶に対しまして、改良型救命いかだ等の搭載義務化を行うことで御了解いただきました。

 これらの委員会での資料は全て公開されておりますが、これを踏まえまして、令和四年十二月に旅客船の総合的な安全・安心対策の取りまとめが行われたところでございます。

 この取りまとめの中では、委員会での議論を前提といたしまして、旅客船事業者に適用があるもの、それから小型旅客船事業者に適用があるもの、そうではなくてそれ以外にも適用があるものという三つの分類に分けまして、他の項目については旅客船事業者あるいは小型旅客船事業者に適用がある、こういった旨を明記いたしました上で、船舶の安全基準の強化については、その旨の限定がないということで、旅客を搭載する遊漁船も対象とする旨をお示ししたものでございます。

橋本委員 今、資料とかに遊漁船という文字が書いてあった、それはそうだと思います。たくさんある資料の中の一枚ですよ。

 その最後の報告書には「対象:水温の低さ、航行区域、船舶の構造に応じたリスクの程度を踏まえて適用」と書いてあって、それは旅客船という限定はされていないけれども、遊漁船を含むとは読めますかという話なんです。はい、読めないと思います。

 水産庁に聞きます。

 この検討会の検討過程におきまして、オブザーバーで参加していたということですが、遊漁船の関係者等にお知らせをしたり、あるいは意見交換をして、水産庁として国土交通省に意見を出す、そんなことをされましたか。

森政府参考人 お答えいたします。

 水産庁では、知床遊覧船事故対策検討委員会の中間取りまとめにおきまして改良型救命いかだ等の積付けの義務化が明記をされ、これが遊漁船業にも適用されるということについては、令和四年十月に水産庁が遊漁船業の在り方に関する検討会というのを開催をいたしました、この資料に盛り込んでおります。その旨は、各都道府県の担当部局に対しても情報提供を行っております。

 また、遊漁船業者を含め広く周知をするという観点から、水産庁ホームページにおいても同資料等の公表を行ったところでございますが、例えば意見聴取といったような機会は設けておりませんでした。

橋本委員 だから、隠してはいなかったんだとは思いますが、ただ資料に載せています、しかも参考資料の最後の方ですよ、ホームページに載せました。一々そんな、検討会の資料をみんながみんな逐一見ていない。最終報告しか読まないですよ、そんなもの。という中で、みんながだまし討ちだみたいな言い方をされるのは、私は仕方ないんだと思います。

 という中で、結局、安全対策というのはもちろんしなきゃいけないし、それはハード、ソフト相まって検討されるべきだと思いますが、基本的に旅客船の検討をしているという文脈の中で、船というのは同じだから遊漁船も一緒にした方がよかろうみたいに、その部分だけ共通して義務化をするみたいな形になっていて、私は、それはやはり乱暴で雑という批判は免れないんだと思います。

 釣り船ですから、風や波がすごく高かったりして釣りができなかったら、そもそも出ないんですよ、運ぶだけじゃないので。だから、そういうことも含めて、ハード、ソフト合わせて、出航基準と設備の基準を組み合わせて考えるとか、そういうことを私はもう一回考え直してほしいと思っているのです。

 国交大臣に、斉藤大臣に伺いますが、この義務づけというのは、今、延期をやはり一遍して、きちんと遊漁船について、国交省、水産庁連携をして、そうした救難いかだ搭載義務化とかということからどういうことが考えられるのか、もう一回検討を行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 改良型救命いかだ等の搭載義務化につきましては、一昨年発生した知床遊覧船事故を踏まえ、事故時に乗客を低水温の水中でなく水上で救助することを目的として、当初、遊漁船には令和七年四月から適用する方向で準備を進めておりました。

 一方、改良型救命いかだ等の開発が遅れたこと、小さい船にも載るような、そしてコンパクトに開く、こういう開発が必要だったんですが、その開発が遅れたこと、そして、パブリックコメントなどにおいて、事業者への義務化に係る周知が不十分、搭載免除の特例について業務実態を踏まえた追加の検討が必要など、様々な御意見をいただいたことを踏まえまして、遊漁船を含む旅客船についての搭載義務化を当面の間延期することといたしました。

 その上で、遊漁船への搭載免除の特例については、安全の確保を大前提として、遊漁船の業務実態なども踏まえ、どのような対応が可能か、追加の検討を行いたいと考えております。現在、遊漁船事業者を含む有識者等から成る検討会を立ち上げるべく、水産庁と協力し準備を進めているところです。

 引き続き、水産庁とも連携し、遊漁船事業者からの声もよく伺いつつ、できる限り早期に結論が得られるよう取組を進めてまいりたいと思います。

橋本委員 追加の検討をしていただけるということで、それはよかったなと思って、歓迎をしたいと思います。

 お話ありましたけれども、やはり御関係の方々が知らないところで勝手に決まっていたというのが一番今回ひっかかっていること、かつ業としてきちんと成り立ち得るような安全対策じゃないと意味がないと思いますので、是非、御関係の方々の意見をしっかり聞かれて検討していただきたいということで、お願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、次のテーマに参ります。医薬品行政についてということでお伺いをします。

 まず一つ、後発医薬品等の供給不足につきまして、これはもう昨年から問題とされておりまして、私、昨年秋から厚労委員会の筆頭理事をさせていただいておりますが、いきなり武見大臣の所信質疑でも結構、何人かの方が質問されておりました。そのときに、供給状況の可視化とか、メーカーに増産要請をするとか、それで増産もしていただいているとは思います、薬事手続の合理化とか、産業構造の見直しを考えなきゃいけないとか、いろいろなお話をしていただいております。

 それから何か月かたって、年が明けました。今、その後発品の供給状況について政府はどのように認識をしておられるか。

 それから、先の対策というのは必ずしもすぐできるというものばかりではないと思いますので、業界再編なんてね。そういうものについてやはり今後引き続き取り組み続ける必要があると思いますが、この供給品不足、これは国民生活に物すごく切実に関心があるところだし、災害対策、今回の能登の災害のDMATに行くドクターの方が持っていく薬がないんだみたいな話をされておられて、やはり切実な問題ですから、ここについての武見大臣の決意を伺いたいと思います。

武見国務大臣 御指摘のように、去年の九月ぐらいからこの冬場にかけて、改めて、せき止め等、これが不足してくることが予見されて、多くの御質問を受けておりました。したがって、去年の九月頃より各ジェネリックの業界の皆さん方に緊急の増産をお願いをして、そして、九月末時点と比較してみても、年末までに一割以上の供給増ということを実現いたしました。

 実際にそれでも足りなくなるということも予見されておりましたので、令和五年度の補正予算を確保していただいて、そして、製薬メーカーにおいて更なる増産投資をしていただくための緊急的な補助事業を設けました。

 この補助事業は、新たに生産ラインを設けていただくときに必要となる人件費などについても対応できるような仕組みにしてありまして、多くの企業の方々からもう既に申請をいただいております。したがって、今役所の中でこれを早く審議、採択をして執行するという段階に来ておりますので、これをとにかく省内で超特急で今やらせているところであります。

 それから、後発品の医薬品に関わる安全性の確保ということも大変重要なテーマでありますので、薬価制度の中でこうした安全性、質の担保ということを考えて対応していきたいと考えております。

 それから、少量多品目生産といった非効率な製造が行われている中小企業というのが大変多い業界であるものでありますから、ここを、どうこれから業界を再編していくかという大きな課題が中長期的にはございます。

 この点に関しましては、企業間の連携協力の推進ということになりますと、企業間での品目の統合であるとか生産調整、それからコンソーシアム的な共同経営だとかMアンドAの推進に当たりまして、実は独禁法との調整が非常に難しい課題として今ございます。やはり医薬品の安定供給というものの重要性に鑑みて、独禁法の適用というものと調整するための省庁間調整というものを今やっておりまして、これもなるべく早くやって、適正なる業界の再編につなげていくということをやっていきたいと思っております。

橋本委員 おっしゃるように、この供給不足の問題というのは、単に足りなくなったという話ではなくて、その背景にある、これまでいろいろな方ができるだけジェネリックに、作るメーカーとして参画してほしいということで、かなりお尻をたたいてそういう方向に持っていったという経緯があって、その結果として少量多品種生産みたいなものになっているという背景がありますから、そう簡単に進まないというのも分かりますし、まさに業界の構造、在り方にも踏み込まなきゃいけないというのはそのとおりだと思います。

 ただ、現実に、今もう足りなくなったりということが起こっているわけですから、できるだけ急いで、様々な課題がある中だと思いますが、取り組んでいただくべく、引き続き大臣にもお力をいただきたいと思っております。

 もう一つ、昨日もお話ありましたけれども、ドラッグロスという話がございます。私も、これは昨年、私の方から大臣の所信質疑で質問させていただきましたので、これは繰り返しませんが、大臣からも、しっかりと創薬の研究環境整備の実現に取り組む、こういうお言葉もいただいたところであります。

 また、診療報酬改定の中で、今年、薬価改定もありますが、イノベーションの更なる評価というようなことを項目を立てておっしゃっていただけた、これもよかったなと思っております。今年は今年で中間年改定をどうするかというような大きな問題がありますから、しっかり見ていかなければなりませんが、今、せっかく、イノベーション、新薬の方を重視していくんだ、新薬作りを応援していくんだという方向に動いたものは、是非、今年もその方向で続けていっていただきたいということはお願いをしたいと思います。

 その上で、年末、内閣官房におきまして、医薬品へのアクセスの強化とか創薬力の強化に向けた検討を行うということで、村井英樹内閣官房副長官を座長とする、創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議というものが開催をされておりまして、今日たまたま第二回目というふうに伺っております。ここで、日本の創薬力をやはりちゃんと抜本的に強化していくんだということを議論していただいて、例えば今年の骨太の方針に載せるんだとか、そういうめどを立てて議論を進めていただきたい、こういうふうに思っております。

 一つ先にお願いをしたいんですけれども、単に研究開発をどうするという話だけじゃなくて、医薬品エコシステム全体、ちゃんと患者に届いて、保険償還されて、それが再投資される、そこまで含んだ議論をしていただきたいということをお願いしたいと思うんですが、この構想会議、いつまでにどんな検討をしていくのか、今後の見通しを是非教えてください。

小野寺委員長 内閣官房健康・医療戦略室次長中石斉孝君、答弁の時間が迫っておりますので、簡潔にお願いします。

中石政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、創薬力の強化という話がございます。そのような課題を解決するために、御指摘の、創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議を立ち上げました。

 この会議では、シーズの開発から医薬品が国民の手に渡るため、日本全体で一気通貫した創薬のエコシステムの構築を考えています。産業政策の観点も含めまして、研究から開発、製品製造のグローバルなエコシステム、AI創薬のエコシステムの支援ですとか、あるいはドラッグラグ、ドラッグロスの問題も議論をしてまいります。この議論を踏まえて、春から夏頃を目途に中間取りまとめを行うことを考えております。

橋本委員 終わります。

小野寺委員長 これにて橋本君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 本日も、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 では、まず、盛山文部科学大臣にお聞きしたいと思います。

 昨日、通告をさせていただきました。いわゆる統一教会、旧統一教会の関係者からの電話作戦での支援を受けていたというふうな報道が朝日新聞の報道等でされております。

 この電話かけの支援、これを受けていたということを確認していただいたと思うんですけれども、確認結果はいかがでしょうか。

盛山国務大臣 こちらの方から、今御指摘の団体の関係の方に対して、電話かけ、その他の選挙の支援をお願いしたということはございません。

藤岡委員 大臣サイドから支援の依頼をしたかどうかということを聞いているわけでは今ございません。あくまで電話かけの支援を受けていた事実があるかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

盛山国務大臣 繰り返しになりますけれども……(発言する者あり)繰り返しになりますけれども、過去の衆議院議員総選挙に際して、当該団体に選挙支援を依頼した事実はなく、事務所等で旧統一教会の関係者が電話していたという事実は確認されておりません。

藤岡委員 今の御答弁、大変限定されているわけですね。まず、事実があったかなかったかではなくて、確認できていなかったという、まず一点、その御答弁。それから、事務所でというお話がございました。私はあくまで、事務所またあるいはその他の場所で、それを確認をして御答弁をお願いをしたいということを昨日通告もさせていただきました。

 事務所またその他の場所で、あったかどうかということを確認した結果について御答弁をお願いいたします。

盛山国務大臣 事務所以外の場所で、電話かけ、その他をお願いをしたというような事実はございません。そして、それ以外のところでそういうことがあったかどうかについては、事務所とも確認をしたところでございますが、そういった事実は確認されませんでした。

藤岡委員 今資料をお配りさせていただいておりますけれども、まず、一ページ目のこの朝日新聞の報道がございます。「「もう二万五千件は電話をかけました」。時折、世界平和連合側は盛山氏側に状況を報告していた、と別の関係者は話す。」そして、その次のページの資料を御覧ください。朝日新聞のこの報道でもございますが、「世界平和連合の地元幹部が支援の状況を盛山氏の事務所に報告もしていたという。」、電話での投票呼びかけということでございますが。

 そうすると、この報道が誤報だということをおっしゃっているんでしょうか。

盛山国務大臣 再度、事務所、地元の事務所とも確認いたしましたが、過去の衆議院議員総選挙に際して、当該団体に選挙支援を依頼した事実はなく、事務所に活動報告があったことも確認できておりません。

藤岡委員 確認できていないという話なんですけれども、電話かけの支援を受けていた、その事実がある可能性はあるということでよろしいですか。

盛山国務大臣 私どもとしては、そういうような依頼をした覚えがありませんし、私どもに対してそういうような報告を含めて選挙支援をしていただいたというようなことは、全く我々の関知しないというか、我々が確認できていない、知り得ないことでございます。

藤岡委員 報道でありましたけれども、推薦確認書をしっかり交わされているというふうなのが出ている中で、また、自民党の恐らく調査の中でもこうしたことの報告があるという中でも、きちっとしたそういう報告あるいはアンケート調査、各種報告もされていないということが次から次へと明らかになってきているわけですけれども、だからこそ、きちっとしっかりした調査をしていただかなければいけないと思うんですが。

 事務所の関係者に確認をしていただいたとあるんですけれども、事務所のスタッフ全員に確認をしていただいたということなんでしょうか。

盛山国務大臣 まず、ちょっと御訂正をお願いしたいのは、昨日来答弁しておりますが、確認書ですか、これについては、ひょっとすると、そういうことが報道で書いてありますので、サインをしたのかもしれませんが、私は記憶にございませんということを昨日来答弁しております。

 そして、今の御指摘でございますけれども、私の今の秘書、そして当時選挙を手伝ってくれておりました当時の秘書にも確認済みでございます。

藤岡委員 そうすると、電話の支援を受けていたという、その事実の可能性は否定できないということでよろしいですか。

盛山国務大臣 私どもが関与していないことについては、分からないとしか答えようがございません。

藤岡委員 今お配りしている資料の中で、少し読み上げさせていただきたいと思うんですが、皆様の声をどう代弁するか、全ては総選挙を勝ち抜いてから、どうか力をかしてほしいというふうに盛山大臣は訴えられたということの、まさに統一教会の思いを代弁するということをおっしゃっている。これは本当に、旧統一教会代弁大臣と言われても仕方ないと思いますよ。そういう中において、力をかしてほしいと。さらには、その下の、二段落下がりまして、盛山氏とはこれまで十回以上会い、私のことは分かっている、あんなに応援したのにというふうに出ているわけでもございます。

 こうした、皆さんの声をどう代弁するか、この代弁するというふうなことを、大臣は、この選挙の際、選挙の前でも訴えられたんでしょうか。

盛山国務大臣 一般論として、私がいわゆるミニ集会ですとか関係者の会合に出たときに、そういった場で伺った方のお声をできるだけ実現したいと思いますとどこへ行っても申し上げておりますと言っているわけでございまして、それ以上のものではありません。

 そして、これも昨日来御答弁申し上げているとおり、旧統一教会関係の団体の会合とは全く認識せず、地元の有権者の方からの会合ということで伺ったということでございます。

 それから、こういうふうに、十回以上と言われておりますけれども、ひょっとしたらこうおっしゃっている方にお目にかかっているのかもしれませんが、それは地元の有権者ということでお目にかかったのであり、こういう団体の方というような認識は私にはございませんでした。

藤岡委員 今、一般論としてとおっしゃって、常にそういうふうなことをおっしゃっているということで、代弁をすると。

 そうすると、この旧統一教会の関係者が集まった集会において代弁するということをおっしゃったということでよろしいですか。

盛山国務大臣 そもそも、報道が出るまで、こういった会合に出ていたかどうかも記憶にございませんとこれまで言ってきたところでございます。

 そして、そこの場でどういうふうなことを言われたのか、そういうことも全く記憶しておりませんので、先ほど来、いろいろな会合に出ればそういうふうなことを私は申し上げているということを御答弁したところでございます。

藤岡委員 昨日来もそうなんですが、会合に出たかどうかの記憶は定かでない、記憶はないというふうな話をおっしゃるんですけれども、この統一教会関係者が集まっている、頑張ろうをやっていらっしゃる配付資料の一ページ目のこの写真、こういう集会に、地元有権者からの話だったということだけはなぜかはっきりと、記憶が鮮明なんですよね。

 だからこそ、こうした、代弁をする、この集会の中で、地元有権者からの話だったんでしょう、それに合わせて、当然大臣だって、政治家として、こういう集会だということが分かって、それに合わせた当然お訴えをされていくんだというふうに普通には思いますよね。ところが、十回会って全く全て記憶にない。明らかに不自然としか言いようがないというふうに私は思います。

 改めてお伺いをしたいと思いますが、代弁すると言った可能性は否定できないということでよろしいんでしょうか。

盛山国務大臣 そもそもはっきり覚えていないということをまず申し上げた上で、それで、こういうような報道が出ておりますので、ああ、そういえば出たのかなというふうに思ったということでございます。

 それから、十回以上会ったということも、私は全くよく分かりません。

 そして、代弁という言葉がどうなのかということかもしれませんが、我々衆議院議員は、代議士という言葉も言われるように、国民の皆様のお声を、間接民主主義でございますので、お伝えをする、そしてそれを国会の場で議論をする、そういう意味で代弁をするということで申し上げただけでございまして、その内容、どういうふうなことを、先方からお話があって、そしてそれに対して代弁をすると申し上げたのか、全然記憶にございません。

藤岡委員 ということは、否定できないというふうに捉えるしかないなというふうに思います。

 その中で、大臣は答弁でも、先ほど推薦確認書の件でもいろいろるるおっしゃいましたけれども、昨日も、写真を見て、薄々思い出してきたというふうに、そう答弁をされる。さらに、写真を見ていると、サインをしていたかもしれないが、よく覚えていない。さらには、軽率にサインしたことについては、おっしゃるとおりというところまでおっしゃっているんですけれども。

 改めて、これだけなっている推薦確認書について、これは当然サインしていたというふうに見るしかないと思うんです。今るる答弁されましたけれども、この推薦確認書について、当然、こういうふうにサインをしていたというふうに、まさにこういう写真も出ている、一緒に撮って写真も出ている。

 大臣はきちっと、破棄をした、破棄をするということを連絡されたのでしょうか。

盛山国務大臣 それはちょっと訂正をさせてほしいんですけれども、推薦書というものが推薦確認書にサインをした上で出る、だからサインしたんでしょうという御質問に対して、そういうことであればサインをしたのかもしれませんと申し上げただけで、私は、その推薦確認書なるものにサインをしたかどうか、正直覚えておりません。

 そして、破棄をしたというのは、こういった推薦書、確認書ではなく推薦書、これは二百通を超えるものを頂戴しておりますので、選挙が終わった後、全て破棄をしたということでございます。

藤岡委員 サインをしていたということは否定できないということでよろしいですね。

盛山国務大臣 サインをしたかどうかの記憶がありませんということでありまして、それは可能性はゼロとは言い難いわけでございますが、サインをしたということを申し上げているわけではございません。

藤岡委員 今、声も上がりましたけれども、分からない、記憶にないという段階で、相手サイドには大臣がサインしたものが残っている当然可能性があるわけでございます。その残っているものについて、大臣が幾ら関係を絶ったと言ったとしても、先方は、いやいや、大臣にはこうしてサインをしてもらっているものがある、そんなことが当然、先方は話をできるということがあります。

 改めて、記憶がない、曖昧であれば、せめて破棄をするということをきちっと言うべきではないですか。

盛山国務大臣 サインをしたかどうか分からないものに対して、破棄をする、こちらから破棄をすると言うのは、ちょっと論理的におかしいと思います。

 いずれにせよ、既に関係を絶つということは、これは私だけではなく、自民党の議員はそういうことを申し上げているわけでございますし、そしてまた、私自身が昨年の十月、解散命令請求を行っているということを含めて、私の行動が、私自身は私の行動が何らそういったものに影響されていないということを御理解いただけるのではないかと思います。

藤岡委員 大臣、では、サインしていたかどうか、これはむしろ旧統一教会にきちんと確認して、十一時十分から源馬謙太郎先輩議員が質疑に立ちますので、その際に、サインをしていたかどうか確認して御答弁いただきたいと思いますが、よろしいですか。

盛山国務大臣 既に関係を絶っているというふうに申し上げておりますので、こちらの方から連絡をするつもりはございません。

藤岡委員 関係をきちんと絶てているかどうかということが重要じゃないですか。

 大臣、むしろ推薦確認書に署名されていたとしたら、岸田総理は大臣に任命されたと思いますか。

盛山国務大臣 この報道があるまで、こういった会合に出たということを失念していたということでございまして、私自身が二〇二二年九月の自民党の調査に対して意図的に虚偽報告をしたということではありません。

 その上で、岸田総理がどう判断されるのか、それは岸田総理の御判断ということではないかと思います。

藤岡委員 本当に、記憶にないということが連発をされるわけなんですけれども、写真まで出ていて、それでここまで報道が出ていて、大臣は本当に、じゃ、報道が完全に誤報だということをおっしゃるんですか。

盛山国務大臣 どう表現するかは別でございますけれども、私にはサインその他については身に覚えがありませんし、選挙支援その他についても、我々の方は全く、そういうことをお願いした、あるいはやっていただいたというつもりはございません。

藤岡委員 今のずっと御答弁を聞いていまして、電話かけの支援についても、受けていたこと、お願いをしたことじゃない、受けていたことについて全く否定をできない。さらには、推薦確認書についても当然否定をできない。何かあれば全て、覚えていない。これだけ新聞報道に出て、写真まで出て、それでもまだまだ記憶がないというふうに居直るという姿勢は、到底、私は大臣として適格性を欠いているというふうに思います。

 旧統一教会のまさに代弁をするというところ、これについても、一般論を用いながら、旧統一教会の思いを代弁していたということを全く否定をできない。まさに旧統一教会の代弁大臣たる盛山大臣が、解散命令請求の裁判を私はリードできないというふうに思います。

 改めて、大臣は事の重要性を大分軽く思われていると思います。改めて、自ら私は身を引かれるべきだと思いますけれども、大臣、御決断をしていただきたいと思います。

盛山国務大臣 全く一方的に決めつけられるということについては申し上げたいところがございます。そしてまた、旧統一教会との関係につきましては、粛々としっかり対応してきたつもりでございます。

 今後とも、私の職責をしっかり果たしていきたいと考えております。

藤岡委員 本当に、改めてきちっと統一教会にも確認して、ちゃんとこの委員会にも御報告をしていただくということを、源馬謙太郎議員が確認をしますので、それまでに確認をして答弁を求めたいということを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、林官房長官にお聞きをしたいと思います。

 今、本当に、文部科学大臣、旧統一教会の解散命令請求を所管している大臣、選挙の支援を受けていたということが全く否定をできていない。統一教会代弁大臣とも本当に言うしかないような状況だと私は思っております。

 そういう中で、官房長官にこういう状況をお聞きしようと思ったんですけれども、官房長官自身も統一教会との接点があるということをお認めに昨日もなられていると思います。

 官房長官、当初は、一切統一教会との関係はないということを最初にはおっしゃっておられた。その後に、また今度は、点検をしたら、取材を受けていたということが分かったと。最初は、関係がない。それから、取材を受けていた。そして今回、いわゆる千羽鶴の支援を受けた統一教会の関係者と会われていた。

 少なくとも、当初言われていることからも随分二転三転をして変わって、今、旧統一教会との接点が明らかになっているということ、これは大変大きな私は問題として認識をするべきだと思いますけれども、官房長官の御認識をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 二〇二一年九月に旧統一教会関連団体の関係者と面会したものと思われます。

 具体的には、地元政界関係者の調整で面会をすることになったものであり、今回、週刊誌の取材を受けて、改めて、調整に当たった地元政界関係者に確認をいたしましたところ、二〇二一年九月に地元山口の私の事務所で面会した相手が旧統一教会関連団体の関係者と思われることが分かったところでございます。

 多数ある面会の一つでございまして、相手方がどういう方でどのような話をしたのかなど、現時点からは定かではございませんが、当該面会を調整した地元政界関係者は、御支援をいただいた方から、林先生と面談する日程の調整をしてほしいと要望があり、林事務所と日時、場所の調整をしたものと述べていると承知をしております。

 今、令和四年の八月に、外務大臣の記者会見におきまして、旧統一教会及び関連団体から献金や選挙運動の支援を受けたことがないため、今回点検を行った限り、御指摘の団体から献金や選挙活動の支援を受けたことはないと記者会見で述べた、おっしゃられたとおりでございます。

 関係者との面会につきましても、今回週刊誌の取材を受けて改めて確認したところ、当時面会した相手が旧統一教会関連団体の関係者と思われることが分かったところでございます。

藤岡委員 後からそう発覚して分かったということ、旧統一教会の関係者と、千羽鶴を受けていたということ、これは問題だということは思わないということですね、今の御答弁だと。

林国務大臣 認識ということですが、当時、先ほど申し上げましたように、多数ある面会の一つであり、相手方がどういう方でどのような話をしたのかなど、現時点からは定かではありませんがというふうに申し上げました。

 当時そういう認識があれば、当然、こういう問題が起こる前の状況で我が党の方針も定まらないところでありましたが、今同じような面会の要請があれば、当然お断りをするということでございます。

藤岡委員 今、そういう当時のことについても問題だったということがはっきりおっしゃられない。さらには、十年前の取材を受けていたという事実については一時期確認をしながら、千羽鶴の激励については、また週刊誌の取材を受けてからある意味分かるというふうな形になっていて、非常に、盛山大臣をめぐる質疑もそうなんですけれども、何か後から、分からなければいいんだというふうな形で非常に進んでいるとしか思えません。

 改めて、この旧統一教会をめぐる問題に対する向き合う姿勢として、私は極めて不十分な認識ではないかなということだけは指摘をして、この後、盛山大臣には、源馬謙太郎議員、また午後の鈴木庸介議員に引き継いで、質疑を続けたいと思います。

 盛山大臣におかれては、御退席いただいて結構でございます。

 続きまして、いわゆる自民党の派閥をめぐる政治資金パーティーをめぐる問題、また政策活動費をめぐる問題の方に移らせていただきたいと思います。

 資料の十五ページをちょっと御覧をいただきたいというふうに思います。

 これは、大金ほどごまかせる、また、確定申告者の怒りが爆発、火勢強まる政治不信ということでの記事が出ております。

 今、私も地元を本当に回っておりますと、とにかく、この裏金問題で起訴をされた方が三名だけでいいの、この怒り、それから、やはり、懐に入れてお金を使っていたとしか見て取れないこの事案について、脱税じゃないか、雑所得として計上してやるべきじゃないか、脱税ではないか、何ということが起きているんだ、非常にこの二つの大きな怒りというのを私も肌で感じ、また、本当に、政治に携わる者として、非常にこれを正していかなければいけないということを思っております。

 この記事、今の記事ではなくて、これは三十一年前、三十二年前ということの記事なんですね。これは何かといいますと、いわゆる金丸信元自民党副総裁の当時の事件に関しての国民の怒りが爆発しているということの記事でございます。

 本当に、当時も、いわゆる最初は、政治資金規正法の違反で闇献金五億円、五億円の闇献金、これがいわゆる事情聴取もされずに逮捕もされずに、罰金二十万円で終わってしまったことに対して国民の怒りが沸騰をする。そして半年後には、脱税で国税また検察の連携ということで逮捕に至り、そして脱税が認定をされる。

 今も、政治資金規正法の不記載の関係で、まず、三名だということで、国民の皆さんも当然怒りが沸騰をされる。そして今、更に脱税という問題が、まだ疑われる問題が残っている。本当に今、三十一年前、三十二年前の金丸信元副総裁の事案と本当に類似するようなことが今私は起きているというふうに思います。

 その意味では、政治の失われた三十年ということも言えるかもしれませんし、政治に携わる者として、何としてでもこの全容解明と、正していかないといけないということを強く感じております。

 まず、この脱税という問題でございますが、林官房長官にも通告をさせていただいておりますが、今、自民党の二月五日に公表された、いわゆる裏金議員リストというふうに言わせていただきますけれども、この中で、自ら確定申告の修正申告をしてきちっと税金を納めたという方はいらっしゃるんでしょうか。

林国務大臣 官房長官として、個々の議員の税務申告について確認する立場になく、お尋ねの修正申告の有無についてもお答えする立場にはないと考えております。

藤岡委員 これだけ大きな本当に事案でございますし、国民の大きな関心事が集まっていることでございます。

 委員長、改めて、修正申告をした議員があるかどうかをきちっと予算委員会に報告をしていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

藤岡委員 続きまして、その次のページの、資料の十六ページを御覧いただきたいと思います。

 金丸信元副総裁の闇献金事案について、「検察やっと動いた」ということが出て、「列島の声」が出ております。非常に、何にもなくて悔しい思いをした、政治家だけが非常に、これは不公平じゃないか、一体何なんだ。その声に対して、検察がやっと動いたということが、一九九三年の三月七日の朝日新聞の報道で出ております。

 改めて、「検察やっと動いた」ということでありますが、本当に、今回の事案も、検察当局として、今回の裏金問題、当然、公訴時効ということもございます、まだ完全に終結はしていないということでよろしいですよね。

小泉国務大臣 捜査機関の活動内容に関わる事柄でありますので、基本的にはお答えを差し控えたいと思いますが、今般の事案に関し、検察当局自身は、法と証拠に基づき適正に処分を決したこと、現時点で処理すべきものは処理したことなどを表明しております。

 その上で、あくまで一般論として申し上げますと、検察当局は、法令上、個別の事案に関し、公訴時効が完成するまでの間は、捜査を遂げた上で、起訴すべきものがあれば公訴を提起できるものと承知しております。

藤岡委員 そうすると、完全にまだ捜査は終結していないというふうに理解してよろしいですね。

小泉国務大臣 それは個別の捜査内容に関わる事柄でございますので、法務大臣として答弁は差し控えたいと思います。

藤岡委員 これ以上やっても押し問答ですから、先ほどの御答弁でそういうふうに受け止めさせていただきたいと思いますが。

 資料は、その次のページを御覧いただきたいと思います。これも三十一年、二年前の記事でございますが、「検察、威信を回復」というふうに出ております。当時、本当に、国民の皆さんの怒りが当然検察当局にも向かわれ、その中で、やっと動き、検察が威信を回復したということが出ております。

 例えば、ちょっと読み上げさせていただきますけれども、「五億円事件では、検察はかつてない批判を浴びた。事情聴取抜きの上申書決着が「特別扱い」との国民の怒りは、三万件を超える告発となって表れた。」。

 現在も、この三名だけ、この特別扱いについて国民の怒りが今沸騰していると私は思います。

 そして、更に読み上げさせていただきますが、表向きには事実上の終結をほのめかしたと、検察幹部は。しかし、特捜部は再び極秘に再捜査を開始、脱税の容疑を固めた。どうだい、今度は違うだろうと、ある検察幹部は胸を張ってみせたというふうな報道がなされております。

 お聞きをしたいと思いますが、かつてのかの金丸信元副総裁の事件は、政治資金規正法違反に関して逮捕せずに罰金二十万円の略式命令で終わったところでありますが、その後に、脱税によって逮捕、起訴された。この判断は検察と国税庁で判断をされたということで、法務大臣、財務大臣、よろしいでしょうか。

鈴木国務大臣 国税の個別案件につきましては、この処理は一義的に国税庁長官に委ねておりますので、財務大臣としてお答えすることは控えますけれども、一般論といたしましては、国税当局において、特に悪質な脱税者については、刑事責任を追及するため検察官への告発を行っているものと承知をしております。

藤岡委員 今回も、大変悪質なケース、事務所に保管をしていた、ただその受け取った裏金について使わずに事務所に保管していたとすれば、当然、それは税金を納めなくちゃいけないという類いのものになると思います。

 そして、政策活動費もそうです。

 今日ちょっと資料を用意していて、ちょっと時間もあれですからあれですけれども、いわゆる二階元幹事長に支払われた政策活動費についても、十一月、十二月というふうな段階で支払われているものが約十億円ぐらいこの近年あるということでございました。十一月、十二月から年内に向けて消化するといったら大変なことでございますし、当然、国税当局としてもこのお金の流れを解明していかないといけないと思います。

 これは国税庁の次長でも結構でございますから、当然、これは解明していくということでよろしいですか。今回も同じだと思います、三十年前と。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別にわたる事柄についてはお答えすることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、様々な機会を捉えて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書とを分析いたしまして、課税上問題があると認められるような場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

藤岡委員 本当にこれはきちっと厳正に対応していただきたいということを思います。

 法務省にもお伺いしたいと思いますが、検察当局としても、政策活動費や派閥のパーティーをめぐる裏金の脱税問題についても、三十一年前、三十二年前と、かの金丸信元副総裁の事案と同様に、きちっと脱税の問題から捜査を行うべきだと思いますけれども、法務省の見解をお伺いしたいと思います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねは捜査機関の活動内容に関わる事柄でございまして、お答えは差し控えたいと存じます。

 なお、あくまでも一般論として申し上げれば、検察当局は、事件の捜査及び処理に当たりましては、捜査を尽くした上で、法と証拠に基づいて取り上げるべきものは取り上げた上で、当該事案の内容を適切に評価できる罰条の適用を検討するものと承知をしております。

藤岡委員 厳正にきちっと、当時の三十一年前、三十二年前の金丸信元副総裁の事案と同様に、検察当局、国税当局には厳正な対応をお願いをしたいと思います。

 続きまして、次の質疑に移りたいと思いますが、収支報告書の資料を今日添付をさせていただきました。

 五ページ目以降なんですけれども、今回の裏金の問題に関して収支報告書の訂正が当然相次いでおるということでございますけれども、本当に信じられないような訂正も幾つもあるわけですね。その中で一つ疑問に思ったことについて、官房長官にお伺いをしたいと思いますけれども。

 二階元幹事長の代表を務める政治団体の収支報告書、資料でいうと五ページ目以降でございますが、新政経研究会の報告書から資料を用意させていただいておりますけれども、今回、収入の訂正と併せて、支出面で、調査研究費、書籍代というのが、何と三年間で約三千五百万円も書籍代の追加がなされているところでございます。家一軒建つぐらいの書籍代に支出をされたということが、三千五百万ですから、一体何万冊を購入されたのか、非常に、大変この使途について説明が私は求められると思います。

 特に、裏金見合いのお金ということも当然考えられるわけでございますから、当然、この三千五百万円の書籍代について、これは、どういう理由でこういうふうに訂正をされて、一体どういう書籍を購入されてということについて、通告をさせていただいておりましたので、官房長官にお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 官房長官といたしまして、個々の政治団体の収支報告書の内容について確認を求める立場になく、御指摘の内容についてお答えをする立場にないと考えております。

藤岡委員 これは、今、我が党の方からも政倫審出席等を求めているところだと思いますので、そうした場を通じて、これは今後明らかに当然していくべき話だと思います。

 そして、資料の十四ページ目ですね、また二階元幹事長の政策活動費の資料を用意させていただきました。

 先ほどちょっと申し上げたんですけれども、いわゆる、当然、税の問題でいえば、十二月までの、年内の状況で当然課税をやっていくということだと思いますけれども、この二階元幹事長の政策活動費について、十一月、十二月で約十億円の支出というのが過去五年間で見られるわけでございます。これだけ年末近くになって政策活動費を受け取られていて、本当に使い残していないのかなということが当然考えられるわけでございます。

 先ほどの書籍代のことを含めて、様々な裏金の流れ、政策活動費のこのお金の流れ、当然口座も確認できる、当然、財務省、国税当局として、この問題についてきちっと対応するべきだと思いますけれども、使い残していたかどうかを含めて、やはり、脱税の疑いについて、財務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 国税の個別案件についてでありますが、税務行政の中立性を確保する観点を踏まえまして、財務大臣として国税庁に指示を行うことは、これは控えております。これは、歴代の政権、民主党政権も含めまして、いわば不文律であります。つまりは、税務調査をするべきだとか、その税務調査はやめろとか、そういうことを財務大臣として指示することはしない、こういうことでございます。

 ただ、税務調査につきましては、一般論でありますけれども、国税庁において、様々な機会を捉えて課税上有効な資料情報の収集、分析を行う中で、課税上問題があると認められる場合に行われるものでありまして、適正、公平な課税の実現のために実施されているものと承知をしております。

藤岡委員 国税庁次長に、星屋次長にお伺いをしたいと思いますけれども、この政策活動費、十一月、十二月でこれだけ支出がされていて、約十億、当然使い残している可能性というのが十分考えられるわけでございます。さらに、裏金の話でいえば、この三千五百万円の書籍代、一体こういうお金の流れというのが本当にあったのかどうか。これについても、脱税という疑いも懸念されるところでございます。

 これは国税庁として、厳正に調査、対応をするべきではないでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただきますが、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして各種資料情報の収集を行っておりまして、いわゆる政策活動費等につきましても、その資料情報の一つとして認識をしてございます。

 こうした情報の活用に当たりましては、単に支給された政策活動費の金額が多いという事実のみならず、様々な情報を総合勘案いたしまして、政治資金を私的に使用しているなど非違が想定される場合には、税務調査を実施することといたしております。

藤岡委員 本当に厳正な対応を期待したいというふうに思います。

 改めて、この日本を脱税大国にしてはいけません。そして、この二階俊博元幹事長の案件は、第二の金丸事件になるのではないかということも指摘をさせていただきまして、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて藤岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日、予算委員会の質疑の場に立たせていただきました。本当に仲間の皆様には感謝を申し上げたいと思います。

 私は、どちらかというと政策論議、農林水産の課題について確認というか、お伺いをさせていただきたい、このように思います。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきたいと思います。

 二十年前なんですが、私、漁協の職員をやっておりました。その際には、石川県の方にも入らせていただいて、石川の漁協、本当にすばらしい、豊かな海でございました。そして、なりわいもすばらしいものがございました。

 今回、そういったところが大きな被災に遭われた。本当に胸が痛む思いでございますし、心からのお見舞いを申し上げたい、このように思います。

 だとするならば、やはり、こういったところをしっかりと復旧していただかなきゃいけないだろうと思うわけでございます。特にこの能登地域、水産が大事な地域でございますが、もう映像等を御覧になっていると思いますけれども、多くの、たくさんの港に影響が出ております。漁港に影響が出ております。まずは漁港なりの復旧復興にも全力を挙げていっていただきたいと思っているんですけれども、まず、こういった見通しについてもなるべく早くメッセージを発信していただきたいと思っています。

 また、復旧までの間、身動きができなくなっている漁船、これは相当数あると聞いております。中には、現場で分散の受入れみたいなことが協議されているというふうに聞いております。輪島港を中心に二百五十隻というようなお話も聞いているところでございますが、避難港が決まっても、簡単に、漁場への距離が遠くなるであるとか、あるいは、実際毎日通うとなると大変でもございますし、そういったかかり増し経費を含めて、なりわいの復旧という意味ではかなり細かく見ていかなければいけないんだろう、このように思います。

 そしてまた、発災前、元々この地域、大変高齢化も進んでおりました。漁業においても例外ではございません。そういった意味においても、この地域の再生というのか復興、これはかなりしっかりと練らなければいけないだろうと思うんです。早めにやるということは、すなわち、そういうことでもございまして、やめないようにというか、一回やめてしまうとなかなか復活させることも難しいということでございますので、まずはこういったところの見通しというか、それがどれだけ今あるのか、あるいはこういった細かい支援について、まずは農林水産大臣、お答えください。

坂本国務大臣 私も、今週の日曜日、四日の日に現地に行ってまいりました。そして、馳知事を含めて、地元市長も含めて、地元の漁協の関係者と意見交換をしてまいりました。

 その中で出た意見というのは、漁業をとにかく一日も早く再開できるようにしてほしい、それから、避難している若手漁業者等のためにもスピード感を持った復旧復興をお願いしたいというような意見が大半でございました。

 とにかく隆起による被害が非常に大きいということで、今後、県や市とも連携しながら、まず調査をして、そして、隆起によって動けなくなった漁船の移動について早急に支援を行いたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、そのためには、地元の皆様との対話が重要でありまして、漁業関係者の皆様の意向を尊重しながら、丁寧に、きめ細かく、スピード感を持ってやっていきたいというふうに思っております。

神谷委員 先ほども申しましたように、ここは結構高齢化が進んでおりまして、実際にこれが完全に修理が相なって、復旧復興が相なった後、ちゃんと利用していただけるのかということもしっかり考えなきゃいけないだろう、どれくらいの漁船が入るのか、そういったことも考えなきゃいけないだろうと実は思っております。そういった意味において、復旧相なった後のビジョンというのをしっかりつくっていかなければいけないんじゃないかな、このように思うんです。

 ですので、そういった意味においても、残念ながら、恐らく漁港の修復は相当時間がかかるんじゃないかと、状況を見ていると思うわけです。その間、先ほども申し上げましたけれども、避難港から漁場に行く、これについての細かな支援もそうですし、また、その後、実際に修復相なる、そのビジョンについて、特にその後利用するであろう若者の皆さん、あるいは全ての漁業者の皆さん、その意向というのをしっかり確認をしていただきたい、このように思うわけです。その上でしっかりビジョンをつくっていく、このことが何よりも重要だと思いますので、この点は指摘をさせていただきたいと思います。

 そしてまた、漁村というのは、浜というか、一体化しているわけでございます。漁業はもちろん中心産業ではあるわけでございますが、漁業だけで成り立っているわけではありません。当然、魚を捕ってくる、その値段をつけるのは加工屋さんだったり地元の皆さんだったりするわけです。ということは、漁業だけが復活しても、その地域、再生はいたしません。船一隻出すにしても、餌も必要でしょう、あるいは漁具も必要でしょう、燃料も必要でしょう。そういった意味において、面的にしっかりと整備をしていかなければいけない、復旧をしていかなきゃいけない、このように考えるわけでございます。

 ただ、ここで若干心配なのは、漁業というのは、農林水産省、水産庁さんが主体的にいろいろ関わっておられるかと思うんですけれども、逆に後ろの、氷屋さんであるとか加工屋さんであるとか、あるいは漁具、資材、あるいは燃油、こういったところは他省庁に関わってくるような部分も相当あるんだと思うんです。中小企業という意味では経産省になるかもしれません。そういった意味において、必ずしもきっちり浜という単位で復旧復興という絵が描けるのか、私はこの辺がすごく心配なんです。

 そういった意味において、浜全体、漁業だけじゃないんだよ、浜全体についての復旧がしっかりできるようにという意味で、この辺について、大臣、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

坂本国務大臣 浜一体となっての復旧と復興、本当に大事なことであるというふうに思っております。

 そのために、二十五日に政府の方で、私たちも、パッケージによる支援策というものを発表させていただきました。その中では、産地市場や製氷施設、それから共同利用施設の復旧への支援、それから水産加工業者によります加工原料の確保、こういった様々な水産に関わる課題に対しての取組をやはり支援していくことにしたわけです。そして、里海資源を生かした漁業全体の振興というものをこれから行っていかなければいけないというようなことを掲げております。

 そのためにはやはり、委員おっしゃいますように、ビジョンが必要でもございますので、今後とも、地元の自治体や浜の関係者、そして漁協、市場、そういった方々と連携を取りながら、今後のビジョンを描いて、それに向けての創造的な復興というのを果たしてまいりたいというふうに思っております。

神谷委員 本当にこれは大事な話でございまして、復旧復興、やはり未来がちゃんと描けないと人間って前に進めないですから、今大臣からも、ビジョンをしっかりつくっていただけるというお話がありました。ここについて、本当になるべく早くというか、少なくとも、復旧復興には時間がかかるんですけれども、ビジョンはなるべく早くつくっていただいた方がいいのかな、このように思うわけでございます。本当にお願いをしたい、このように思います。

 ちょっと話題は変わりますけれども、昨年、気温が大変上昇いたしました。そんなこともあって、宮城では、高温でギンザケの稚魚に大変な死滅被害が出ております。この死滅被害、本年の予想生産量が前年より三千六百トン減の予想となっています。陸奥湾のホタテについても大量のへい死があったと聞いております。

 やはり、実は、暑いということ、この高温というのは、農業だけじゃなくて海の方、水産の方にも相当影響があったということ、これは間違いないんだろう、このように思うわけでございます。やはり、こういった栽培漁業や養殖漁業にも異常気温の影響が相当出ているということでございます。

 これについての対策をまず伺いたいのと、昨年は特に高温の年でございました。高温の年でございましたけれども、それ以前に、元々、海の資源、これが非常に、今どうなっているのというような状況になっていまして、例えばイカ、スルメイカについても、先般、二〇二四年度の、管理年度におけるTAC案が示されましたけれども、当初の配分比では、現行より五八%減の二・九万トン、相当落ち込んでいるという数字になっています。また、北海道の昨年の漁業生産速報、ちょっと出ましたけれども、やはり相当な減少という結果になっています。海の資源そのものがかなり厳しくなっていると思うんです。

 昨年の高温、これによる被害もそうですし、あるいはこれまでのそういった資源の問題、これは非常に大事な問題だと思うんですけれども、これについての分析とか対策とか、そういったことについてお話を伺わせていただきたいと思います。大臣、いかがでしょう。

坂本国務大臣 気象庁によりますと、特に日本海では、令和五年春以降に記録的な高い海面の水温が続いております。そういうことで、今委員言われましたように、宮城県における養殖ギンザケの池入れの時期の遅れ、あるいは、せんだって、陸奥湾の漁業関係者の方も、養殖ホタテの被害、こういったもので陳情に私の部屋に参られました。

 こうした被害に対しましては、まずは、農業共済、それから積立ぷらすによります減収補填、そういったものを行いまして、長期の低利の運転資金でございます農林漁業セーフティネット資金等を措置しているところでございます。

 中長期的には、やはり養殖密度の見直しというものをやっていかなければいけないと思います。それから、赤潮や、急激に海温が上昇した場合の避難区域の確保、こういったものも進めていく必要があるというふうに思います。

 全体的な、こういった海温上昇、そして漁業資源の減少に対しまして、昨年の六月に、海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討委員会というものを学識経験者を中心に設置をいたしました。その検討委員会の中からは、漁法や漁獲対象魚の複合化や転換、それから加工、流通における魚種の変更への対応、こういったことを進めていくべきだという指摘をいただきました。

 しかし、それにはやはり、漁法を転換するにしても、加工に関する様々な変更をするにしても、お金が要ることでありますので、実証の取組に対して予算措置をして支援をするなど、海洋の環境変化に対応した措置を今後やっていかなければいけないというふうに思っております。

 持続的な経営体の育成、構築をしっかりと目指してまいりたいというふうに思っております。

神谷委員 大臣、本当に大事なお話なんですけれども、昨年の高温、単年度であるならば、来年はどうか、再来年はどうかみたいなところで、積ぷらだったり様々な共済だったり、そういう制度はいいんだろうとは思うんですけれども、残念ながら、この異常気象というのはこれから先どんどん続くんじゃないかというふうにも思っているわけです。そういった意味では、単年度の経営対策だけではなくて、もっと長期的な経営対策というのが必要なんじゃないかなと思うわけです。

 それから、資源評価の話も大事なんだろうと思っています。特に、漁業法改正になりました。漁業法改正になって、資源管理、進むんですけれども、資源の評価はどうしていくのか、これは非常に、かえって重きが置かれるようになりました。その結果としてTACの配分みたいな形になってくるので、漁業者にとって、資源の評価って生き死にの問題にもなってきているわけです。

 そういった意味で、この海洋環境の変化、もちろん捕り過ぎだなんという声も以前はありましたけれども、必ずしも今現在そういうわけではないと私は思っていますし、この漁業資源の評価、これにもっとお金をつけていかなきゃいけないんじゃないかと実は思っています。

 もう大臣もお分かりだと思うんですけれども、実は、漁業者の方は科学的評価は余り信じていません。目の前の海の、自分たちの感覚と横浜の研究所の感覚がちょっと違うんじゃないかなと思うことは間々あるところでございますが、ただ、もう一方でいうと、科学的なそういった評価というのか、これをしっかりやっていかないということにもならないんだと思うんです。

 だとするならば、この資源評価あるいは科学的調査、これはもっとやっていかなきゃいけないんじゃないんでしょうか。もっとしっかりと、お金もかけて、精度も上げていって、なるほどと思わせるようなことでないと、当然、漁業者は納得しないですよ。

 この辺の資源の評価あるいは調査、こういったところに対しての予算をもっと増やしていく、いかがですか。

坂本国務大臣 私も以前、天草で三年間勤務をしておりました。漁業の町でございました。牛深というところでございました。

 漁業者の皆さんたちのやはり長年の勘とか、海を見る目とか、漁場を見る目とか、これは非常に鋭いものがあります。科学的なものよりもはるかに優れている部分もあります。

 しかし、今委員言われましたように、科学的な調査研究、こういったものを進めながら、漁業者の皆さんたちが納得していただけるような、そういう対策をしていかなければいけないというふうに思います。

 そこは、これからしっかり予算も獲得する努力をしながら、調査研究を進め、そして、そのことをしっかり漁業者の皆さん方と話し合いながら、今後の日本の漁業資源の在り方、こういったものを考えてまいりたいというふうに思っております。

 それから、先ほど日本海と言いましたけれども、日本近海、太平洋も含めたところでございますので、訂正させていただきます。

神谷委員 本当にここが一番今落ちている部分じゃないかなと実は思っていまして、漁業法改正になりました、ただ、その科学的な研究調査を漁業者が信じられない、これは非常に不幸なことだと思うんです。ということは、やはり精度を上げていくための努力をしていかなきゃいけないだろうと思うんです。

 MSY、いろいろな尺度はありますけれども、今のまま、このままでやっていくと、かなりミスマッチが起こるんじゃないかと思っていますし、何より、目の前の海で働いているというか、漁業者の皆さんの感覚をどれだけ研究施設に反映できるかというのは、これは本当に重要なことだと思いますので、この研究予算、なるべくつけるように、もっと増やせるように、努力を是非いただきたいと思います。

 話題はちょっと農業の方に変えさせていただきます。

 今年、御案内のとおり、食料・農業・農村基本法が改正になるという御準備をいただいている年だと思います。

 この食料・農業・農村基本法、平成十年ですか、二十年ぶりの改正になる、非常に大きな課題だと思うんですけれども、私自身、現行の基本法を読んでいましても、これは非常にいいものだなと思っているんですが、ただ、実際に現行基本法がスタートをして、今日、様々な施策を打っていただいたかもしれませんが、必ずしも成果が上がっていない部分がたくさんあるんじゃないか。

 まずその一つとしては、現行基本法でも食料自給率のことが言われているわけでございますけれども、実際には、自給率、低迷をしております。これについて、何で実行できなかったのか、ここについて伺いたいと思います。

坂本国務大臣 自給率がなかなか上がりません。

 それは、まず一つは、自給率ほぼ一〇〇%の米をやはり食べなくなったこと、これが第一の原因であります。

 それから、輸入依存度の高い飼料を多く使用いたします畜産、こういった畜産物の消費が増加しているというようなことが、食料自給率の減少の要因になっているというふうに分析しております。

神谷委員 それでは、農地の維持、これがやはりうたわれておりますけれども、これは何で目標にたがわれて実際には減少しているのか、これについてはどうですか。

坂本国務大臣 平成十一年と令和五年を比べますと、農地が大体一二%ほど減っております。

 その原因といたしましては、宅地や工場等の建設に伴う農地転用、それから、高齢化や労働力不足によります荒廃農地の発生、こういったもので年間それぞれ三万ヘクタールずつ減少しているというのが実情でございます。

神谷委員 これまた大事な話なんですが、農業者、これについても、育成、確保というふうにうたわれておりますけれども、実際には減少しています。これは何でですか。

坂本国務大臣 委員おっしゃるとおり、この二十年間でおおむね半減をいたしております。基幹的農業従事者の平均年齢がもう六十八・四歳でございます。高齢化が進展して、リタイアされる方が多いということが一番の大きな要因です。

 ただ、法人とその他の農業団体の経営体、これは、法人は増えておりまして、農業の総産出額の九兆円というのはほぼ維持しているというような状況であります。

神谷委員 基本法では、御案内のとおり、自給率をやはり上げなきゃいかぬ、あるいは、農地をしっかり維持していきましょう、増やしていきましょう、あるいは、農業者、これも育成、確保していきましょうと書かれているわけです。

 この間、今般、基本法改正になるわけですけれども、なぜこれができなかったのか。今、るるいろいろな御説明をいただきましたけれども、本気でやる気があったのか、そこになってくるんじゃないかと思うんです。要は、本来、こう書かれているわけですから、やっていかなきゃいけなかったんですよ。でも、このままで同じように改正したとしても、同じ結果しか出ないんじゃないんですか。二十年先、仮にこの基本法を変えたとして、同じように、自給率、上がりますか。あるいは農地減少、止まりますか。あるいは農業者確保、増えますか。私は、この基本法改正に当たって、やはりそこが一番気になるんです。要は、本気度が問われているというか、目標を掲げた、目標で終わるんならいい、ただ、目標じゃないんです、これはやはりやっていかなきゃいけないことだと思うんです。

 食料自給率、いろいろな言い方をされています。生産額の話も今されました。でも、今度は食料自給率、もう上げないということにならないんですよ。というのは、食料安全保障の話をするわけですから。食料安全保障の話をするということは、カロリーベースで考えなきゃいけないんでしょう、最後は。だとするならば、いつまでも、できなかった、できなかった、できなかった、その理由はこうですというわけにもいかないと思うんです。

 自給率、今、四五%が目標です。でも、この四五%、確かに、食の事情が変わった、米を食べなくなったと言われるかもしれないけれども、基本計画で見れば、今、現行基本計画は四五%を目指していますけれども、これは令和二年度に作られた基本計画です。その中の、この五年間の中でさえ四五%を目指しましょうとうたっているわけで、ということは、一番最初の基本法ができた頃からの、今日から比較して、食事情が変わりましたから上がりませんでしたは通るんですが、この五年間で見た際に、それが理由となるとは私には思えないんです。だとするならば、やはり、こういった自給率も上げていかなきゃいけない、農地もしっかり維持していかなきゃいけない、あるいは農業者、こういったところはやはりしっかり、今の施策ではちょっと厳しいんじゃないかと思うわけです。

 今回の基本法、変えるだけではなくて、そうだとすると、当然打ち返しもあるでしょう、様々な政策の変更もあると思うんですけれども、ただ、これまで同様の政策をそのまま続けていたとしたら、この下がるベクトルは変わらないんじゃないかと思うんです。だとするならば、やはり、何で上昇できなかったか、この辺の検証というのをしっかりやらなきゃいけないんじゃないか。何が足りなかったのか、あるいは、もっと抜本的に変えていかなきゃいけないんじゃないか。図らずも、会計検査院から、政策効果の検証が不十分だという話も出ておりました。

 今回、あるいは先ほど食料安全保障の話もしましたけれども、食料安全保障の根幹は、御案内のとおり、この国の農業の基盤です。農業の基盤とは何か、すなわち農地と農業者です。ということは、自給率もやはりしっかりやらなきゃいけない、農地も維持しなきゃいけない、農業者も、これはもう自明の理です。

 という中で、今までかけ声だけで結果的に結果が出ていなかった、このことについては本気で農水省は考えなきゃいけないし、是非、坂本大臣の手で、これでは駄目だと、しっかりと、この基本法を変えたからには、ここを、もうベクトルを変えていくんだ、そういった検証あるいは施策がなされないといけないと思うんです。大臣、いかがですか。

坂本国務大臣 世界の食料の事情が、状況が大きく変わっております。

 一つは異常気象。そして、日本は人口減少ですけれども、インドやアフリカ等においては人口増で争奪戦が行われています。そして、やはり世界各地で起きます紛争。ウクライナの紛争、ロシアの侵略によりまして、私たちは改めてその紛争の影響などもあって学習したことですけれども、自給率と同時に、やはり、土づくりのための肥料をどうするのか、それから燃油をどうするのか、やはり全体的な食料をどう安定的に確保するか、こういう考え方にシフトをしていかなければいけないということを私たちは学びました。

 そういうことで、今回の食料・農業・農村基本法の改正におきましても、国民一人一人の食の安全保障を確立しましょう、それから農地の確保と適正・有効利用をしましょう、さらには、農業者が減少する中で、新たないろいろな担い手をつくりましょうということで、農地農振法やあるいはスマート農業法も含めて関連の六法案を出して、そして、これからの、食料安全保障の元年として新たな事態に備えるというような気持ちでおります。

 そして、もし食料・農業・農村基本法改正をさせていただきましたならば、その後作成いたします基本計画の中で、しっかりとした検証体制、調査体制、こういったものをその中に書き込んで実施をしていきたいというふうに思っております。

神谷委員 今の答弁だと、正直、心もとないです。

 今回、またいろいろな法案が出てくると思いますし、その中にはこの基本法関連と称されているものがあるやに承知をしておりますけれども、やはり抜本的に考えていかなきゃいけないんじゃないでしょうか、変えていくということを。今のままでは、今の既存の考え方のままでは、残念ながら、この食料自給率が下がっていくという現象というのは止められないように思うんです。あるいは、農地だってそうですよ、農業者だってそうですよ。だとするならば、ここで本気で変えるということが必要なんじゃないでしょうか。

 そういう意味において、我々、かつて戸別所得補償というものを提案させていただいています。こういったところもいろいろな意味で検討していただけないでしょうか。

 もちろん、いろいろな対策、政策はあると思います。しかし、ヨーロッパにおいてももはや標準となっている、あるいは、フランスあたり、エガリム法もありますけれども、今回、基本法の中では適正価格ということが言われているところでございます。でも、本当にこの適正価格が実現するのかどうか。

 もちろん、いろいろな手法はあると思います。かつて、確かに適正価格が実現したときがありました。それは食管制度です。今更、食管制度に戻すということには当然ならないんじゃないでしょうか。

 ましてや、これだけ消費者の皆さん方が物価高で困っている際に適正価格と言ったところで、なかなか難しいと思うわけでございます。まして、農家にとっての適正価格か、流通の方にとっての適正価格か、それぞれ一つ一つ皆さんが思っている適正価格は違うんじゃないでしょうか。

 もちろん、農業者あるいは生産者の方々にとって再生産が可能となる、そういった価格をつけていただくこと、これは本当に大事なことだと思うし、できれば実現をしたい。ただ、現状でいうと、これで何とかなるとは思えないんです。

 だとするならば、先ほどの話に、問いに返るんですけれども、その目標、基本的な目標です。食料安全保障の話もしましたけれども、何回も言いますけれども、一人一日三千円分の食料が確保されればいいという話ではないですよね。千五百キロカロリーなのか千八百キロカロリーなのか、これを確保しましょうという話なんです。だとするならば、やはりカロリーベースで考えなきゃいけないし、農業基盤をしっかりするという意味では、農地と農業者をしっかりしなきゃいけないという話なんです。

 先ほど出てきた、幾つか法案を挙げていただきましたけれども、それでこれが変わるとは思えない。まして、今の既存の農水の施策で十分担保できているんだったら、これはもう既に、農業者も農地も増えているんですよ。でも、できなかったんでしょう。

 だったら、この際、いろいろなことを考えたらいいんじゃないんですか。大臣、もう一回お話しください。

坂本国務大臣 委員言われるように、抜本的な考え方、改正、これが必要だというふうに思います。

 であるからこそ、例えばカロリーベースで考えた場合には、千九百キロカロリー以下になったときどうするのかという、不測の事態に関する法律を出す予定にしております。それから、農地につきましても、農地農振法、これは国が少し関与をするような形でしっかり農地を守ろうというような関連法も提出させていただくことにしております。

 ですから、食料・農業・農村基本法を中心として、それに関わる関連法を一体としてやはり協議をしながら、審議をしながら、これからの食料体制に、世界の食料体制の中の日本の食料の安全保障ということに備えてまいりたいというふうに思っております。

神谷委員 大臣、本気度が問われていると思います。

 今まで、基本法、もう二十年、その前の基本法から考えればもっと長い間です。この間ずっと、自給率を上げていきましょう、あるいは農地、農業者、言ってきました。いずれもまだ実現していません。そろそろ本気で考えなきゃいけない、そういう時期じゃないでしょうか。もう、かけ声だけでは駄目なんです。しっかりやらなきゃ駄目なんです。だから、本気でやるための施策をつくっていこうじゃありませんか。どうかそのことを申し上げさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 本日はどうもありがとうございました。

小野寺委員長 これにて神谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。今日もどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、盛山大臣に伺いたいと思います。

 先ほど藤岡議員の方から、三十分以上時間があるので、再度、この前の選挙の際に旧統一教会関係者の皆さんが電話かけをしたということはあったかどうか事務所に確認してくださいということがありましたけれども、確認していただけましたか。

盛山国務大臣 地元の事務所、そして議員会館の事務所、これも聞いておりますけれども、そういった事実は確認できておりません。

源馬委員 先ほどと一緒の答弁だと思いますが、大臣は度々これまで、選挙依頼をしたことはない、そういう事実はないと断言をされ、一方で、電話かけとか選挙の応援をしてもらったという事実は確認できなかったという御答弁、一貫されていると思うんですよね。だから、自らがお願いをした事実はない、これはだから事実がないわけですよね。

 だけれども、選挙を応援してくれたか、電話かけしてくれたかということは、確認できなかったという趣旨なわけですよね。ということは、例えば、確認できていない範囲で電話かけをしてくれていたりとか、こちらからお願いしていないけれどもしてくれていたりとか、そういうことはあり得るということですね。

盛山国務大臣 それは、私どもの把握している範囲外でいろいろな方がいろいろな活動をしてくださっているのかもしれませんが、それについては分からないとしか答弁できません。

源馬委員 ですから、電話かけをしていたということがあって、そういう報道があって、そういう事実はうちとしては確認はできなかったけれども可能性は否定できない、こういうことでよろしいですね。

盛山国務大臣 こちらが確認できないことを否定しろと言われましても、ちょっとこれは、私どもにはできないとしか答えようがありません。

源馬委員 いろいろなことがそうだと思うんですけれども、そういう場合は可能性は否定できないということだと思うんですよ。それでよろしいですね。

盛山国務大臣 そのように決めつけられるということに対しては正直いかがなものかと思いますが、我々としては、私たちが分かり得る範囲では調べましたけれども、そういったことについては分かりません。

源馬委員 例えば、いろいろな方が選挙に応援に来てくださると思うんですよ。その中にボランティアとして電話かけをしていた方が旧統一教会関係の方もいらっしゃったという可能性はあるということですよね。それまで全部調べて、いや、なかったと言い切るのか、それとも、ボランティアの人、応援に来てくれていた人の中にはその関係者の方がいて、やってくれたかもしれない、そういうことじゃないですか。

盛山国務大臣 これは、先生の事務所でもある程度そうじゃないかと思いますけれども、選挙のときに限らず、いろいろな方がお見えになります。そういった方に、あなたはどういう団体に所属をしている方ですかと一々お伺いするというのは失礼なことではないかと思いますので、どういう方が、選挙の期間に限らず、私どもの地元事務所あるいは議員会館の事務所にお越しになっているのか、それを詳細に把握するということは、これは不可能でございます。

源馬委員 詳細に把握するのは不可能であるから、そういう可能性はあるということだと思います。

 我々が何でこれを度々聞くかというと、当初、大臣は、会合にも一回しか出ていなかったというふうに言って、報道が出てくると、写真があるならそうだったかもしれないと言って、その次は、記憶になかったけれども薄々記憶が出てきたみたいな話をされるので、本当にどうなっているのか分からないから断言をできないのではないかということなんですよね。だから、可能性はあるということだと今、御答弁でも思いました。

 ちなみに、記憶がなかったりする大臣ですけれども、旧統一教会とこれから対峙していく際に、記憶が途中でなくなってしまうようなことはないと断言できますか。

盛山国務大臣 今後、精いっぱい努力をしていくつもりでございます。

源馬委員 努力をしても、何かすぽっと途中だけ記憶がなくなる大臣のようですので、そういうことをもっても、旧統一教会と対峙していくのは大臣では難しいんじゃないかと思います。

 これまでも、推薦、例の集会ですね、写真が出ている、地元の有権者から案内があったというふうに御答弁されていますが、この地元の有権者というのは旧統一教会の関係者ですか。

盛山国務大臣 私どもの方ではそういう認識はございませんでした。ただ単に、これまで何回か会っている地元の有権者という意識でしかございませんでした。

源馬委員 お配りした資料の四ページ目、四枚目、確認書を持って大臣が写真を撮られているんですが、大臣の左側の方ですか。

盛山国務大臣 この四枚目のことですか。

 顔をぼかしておられますので、ちょっとよく分かりませんとしか答えられません。

源馬委員 では、ちょっと確認していただけますか。秘書の方にその地元の有権者の方が電話をしてきて言ったんですよね。だから、それが誰からの電話かというのは分かっているわけですよね。この写真を見せて、その方かどうか確認していただけますか。

盛山国務大臣 このぼかした写真だけで確認しろと言われても、ちょっとそれは、うちの秘書もよく分からないと答えてくると思います。

源馬委員 大体、でも、知っている方なら分かると思うんですよね。一応確認してみてください。午後に鈴木庸介議員がまた質問に立ちますので、それまでに確認してみてください。この方は週刊新潮に名前が載っている方ですので、どなたかちゃんと確認をしていただきたいと思います。

 さらに、五ページ目、頑張ろうをされている写真。ここに写っている方、ぼかしは入っていますが、どなたか分かる方はいらっしゃいますか。

盛山国務大臣 マスクをしているのが私だろうと思いますが、そのほかの人については分かりません。

源馬委員 マスキングをしていても知り合いなら分かると思うんですよね。

 私、ちなみに、大臣の地元の方に確認をしました。この五ページ目の、頑張ろうをしている一番右側の黒いスーツの方、市議会議員ではないかと、地元のですね。隣のグレーの方が県議ではないかというお話でした。これも確認していただけますか、昼までに。

盛山国務大臣 これだけで分かるかどうかは分かりませんけれども、地元の秘書に確認いたします。

源馬委員 この市議会議員ではないかという方は、二二年の五月に、こういうニュースがあったんです、神戸市の職員が旧統一教会関係の式典に出たと。この市議会議員が頼んで、この市の職員に、出席をしてもらったと。これはニュースになりました。ですから、もう関係が深い市議会議員なんでしょうね、大臣の御地元で。その方ではないかということでした。

 そうだとすると、こんな、県議と市議と一緒に並んで、しかも市の職員まで誘ってしまうような旧統一教会と深い関係の方と、しかも垂れ幕には世界平和連合とも書いてある、こういう深い関係、総支部を挙げて深い関係を持っていたということになりますので、御本人に直接確認してもいいんじゃないですか、地元の秘書だけではなくて、御本人に。分かりますよね、どなたのことか、ニュースになっていますので、実名も出ていますので。その市議会議員の方に、これはあなたですかと聞いて確認をしてください。それで、午後二時二十分から鈴木議員が質疑しますので、その際に答弁をよろしくお願いいたします。

盛山国務大臣 そのように努力いたします。

源馬委員 では、そうしてください。

 さすがに会場費を大臣が払っているということはないと思いますが、念のため、神戸市に、勤労会館ですね、利用の状況を情報開示請求をしておきましたので、そのことを伝えておきたいと思います。

 それから、政策協定にもいろいろお話がありました。破棄はしていないということです。

 さっきの御答弁で、全ての団体からの推薦状とかはもう全て破棄しちゃった、そういうことでよろしいですか。

盛山国務大臣 それほど大きな事務所じゃないものですから、三月ぐらい置いておいて、その後、全て処分したものと思います。

源馬委員 選挙のときというのは本当に推薦していただくのはありがたいのに、それをすぐ捨てちゃうという。ちょっと薄情だなというふうに思いますが。

 ちなみに、どのぐらいの団体から推薦を受けたんですか、前回の選挙では。

盛山国務大臣 大体、毎回でございますけれども、二百を超える団体、あるいは個人もいたかもしれませんが、そういうようなところから頂戴したのではないかと思います。

源馬委員 そうした団体の政策協定書とか推薦確認書も、適当に、中を見ずにサインするんですか。

盛山国務大臣 それはケース・バイ・ケースでございまして、前広に十分、アポが入るというか、お時間を頂戴して、そういう団体の幹部の人が持ってきてという場合、そういったものを拝見した上で政策協定に署名をしたりしております。また、内容によっては、これは私にはできませんということでお断りしたこともございます。

源馬委員 自分にはできないと思ったときは断るということでしたけれども、旧統一教会関係の推薦確認書は、じゃ、断らなかったということなんですね。

盛山国務大臣 それは、先ほど来御答弁しているところでございますが、まず、サインをしたかどうかについては全く記憶がございません。(発言する者あり)記憶がございません。

 そして、その上で、昨日でしたですかね、推薦状の条件として、協定ですか、これにサインをしたのではないか、そういうふうなお問合せでございましたので、そうだったのかもしれないと申し上げたわけでございます。

源馬委員 それは是非、分からないなら確認していただいた方がいいと思いますね。

 ほかの団体と、場合によっては断るケースもあるというサイン、政策協定書、これは選挙のとき推薦をもらうためだけなのか、今もやはりそれはちゃんと守っていこうということを、まあ、これはほかの、その推薦した団体も見ていると思いますけれども、ということでよろしいですか。つまり、それは生きているということでよろしいですか。

盛山国務大臣 推薦状をいただくところ全てとこういう政策協定書を結ぶわけではありませんので、限られたところだと思いますが、そういうところは、中身を見て、そして、自分にできる、できない、そういったことを考えた上で努力をしております。

 ただ、本件の場合には、これも先日来御答弁申し上げているとおり、既に旧統一教会関係とは関係を絶っておりますので、もうそれについては一切、こちらの方でどうのこうのするということではございません。

源馬委員 ほかの団体と、応援をしてくれている団体と、何とか業界とかいろいろ団体があると思います、そこと結んだ政策協定書は生きているわけですよね。大臣はそれを守ろうと今も思っているわけですよね。そういうことでよろしいですか。

盛山国務大臣 それは、おっしゃるとおり、自分でサインをしているところについては、やはり、契約でございますので、守るというのが当然のことだろうと思います。

源馬委員 今大臣がまさに御答弁したように、これは契約なんですよね、合意してサインするわけですから。それは、ほかの団体であっても、少なくとも次の選挙の応援のときまでは生きているわけですよ。そういう認識だということでした。

 だったら、御自分でサインした旧統一教会との政策協定書、推薦確認書、これも当然生きているんじゃないですか。

盛山国務大臣 何度も申し上げますけれども、協定書なるものにサインをしたかどうかは記憶がございません。

 そして、先ほど来申し上げましたとおり、既に我々自民党の議員は関係を絶つということでございますので、そういう点では、もう関係を絶って、守ることはないということでございます。

源馬委員 普通に何か契約するときに、何か買物でもいいですよ、そのとき、契約したけれども、もう関係を絶つからといって、それがなしになるなんてことはあり得ないんですよ。

 本当に関係を絶つなら、ちゃんとそれを破棄してくださいよ。サインしたのかどうか確認して、そして、それを、仮にしていたんだったら、関係を絶つなら、破棄すると。それをやはりやらないと、契約しているんですから、大臣がさっきおっしゃったように。

 それを午後の二時二十分までにやってください。お願いします。

盛山国務大臣 先方がどう思われるかどうかは別にして、契約をこちらの方から一方的に破棄したということではないかと思います。

 そして、確認しろということでございますけれども、既に私は当該関係団体と関係を絶っているということ、さらに、現在、旧統一教会の解散請求を行っている当事者でございますので、そのような関係団体と連絡を取ることは控えるべきであると考え、連絡を取るつもりはございません。

源馬委員 だから、その任にないということなんですよ。もう契約しちゃっている大臣ですから。統一教会の代弁だけじゃなくて契約までしちゃっている大臣が、なぜ解散命令請求、その後、対峙していけるんですか。しっかり断ち切らないとそれはできないと思いますよ、どう考えても。

 二時二十分までにやってください。それで答弁してください。

 そして、さらに、ほかに推薦を受けた団体とか、さっきもちょっと答弁がありましたが、是非、皆様の声を代弁しますといつも言うとおっしゃいましたよね、お力をかしてくださいと。それは私も分かりますよ、皆さんそうだと思います。それは、心のこもっている度合いがどうか分かりませんが、きっと言うんでしょう、大臣はそうおっしゃいましたから。

 だから、写真に載っているこの会合のときも、報道はありましたけれども、そういった可能性まで否定できないわけですよね。それでよろしいですか。

盛山国務大臣 ちょっと質問の御趣旨がよく把握できなかったかもしれませんが、お目にかかった方々の御要望、こういったものをできる限り、一つ一つでも実現するよう努力するというのが我々議員の務めではないか、そんなふうに考えております。

 しかしながら、旧統一教会の関係につきましては、既に関係を絶ったということは先ほど来申し上げているとおりです。

 そしてまた、昨年の十月十三日に解散命令請求という行為を行っているわけでございますので、そういう点で、旧統一教会側に対して、何らか、向こうの御要望に少しでも沿うような行動をしているということではないというのは、そういった事実行為を見ていただければ御理解いただけるのではないかと思います。

源馬委員 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。実際に報道で、皆さんの声をどう代弁するか、そういうふうに言っているわけですから。しかも、大臣は記憶が時々なくなっちゃうわけですから。それで、ほかの団体のときにはいつも言っている、代弁します、力をかしてくださいと。だから、このときだけ絶対言っていないなんて否定できますか。

盛山国務大臣 それは、先生御指摘のとおり、一般的に、いつもそういうようなことでお願いをしますので、ここでそういうふうに、皆さん方のお声を代弁しますということを言っている可能性はあると思いますが、繰り返しになりますけれども、政策協定を結んだかどうか、こういったことについては全く記憶がございません。

源馬委員 だから、言った可能性はあるわけですよね。せめて、代弁すると言った可能性はあるわけですよ。それも、じゃ、確認してください、地元の有権者に。その方も言っているわけですから。自分がそういうことを一切言わなかったかどうか確認してください、二時までに。答弁は求めていません、それは確認してください。

 それで、被害者救済のために統一教会と対峙すべき大臣じゃないですか、お立場は。代弁をしたり契約したりする大臣ですけれども。その大臣が、この前、被害者の方にお会いしましてお話を聞きました、がっかりしたと。解散命令請求を出してくれたところまでは信じたいと思っていたけれども、今回の件を見て本当にがっかりしたというふうに言っています。疑問や不安の声もたくさん聞いています。これに応えられるんでしょうか。

 例えば、何かの事件の被害者の方が弁護士を雇って、信じたい、戦ってくれと思っていたけれども、やはりこの人を信じられなくなった、何かその相手方と結びついていたことが分かって。ちょっともう辞めてほしいとなったら、弁護士は、いやいや、自分がやりますよと言えないじゃないですか。

 大臣だってその立場にあるわけですよね。自分がやりたくても、被害者の方たちが、もう辞めてくれ、勘弁してくれと言っているわけですよ。どう思われますか、それは。

盛山国務大臣 それは、先ほども申し上げましたが、昨年十月十三日の解散命令請求を行ったということを始めとして、私がどういうふうに今回の旧統一教会関係のものに対して対応してきたのか、そういったことを御覧いただければ御理解いただけるのではないかと思います。

源馬委員 これから戦っていかなきゃいけないんですよ。その大臣が、救済してほしいと願っている被害者の皆さんから信頼されていない。そして、時々記憶もなくなっちゃって、統一教会の代弁をすると約束する。選挙の応援をされていた可能性もある。そして、契約もしたと御自身でおっしゃった。そういう大臣には務まらないと思います。

 しかも、この御答弁は、多分、文科省の職員の皆さんに作ってもらったんじゃないですか。その職員の皆さんだって、やっていられないと思いますよ。これから旧統一教会問題に取り組む職員の皆さんが、何で大臣のこんな答弁を作らなきゃいけないんだと。これも全く影響なく仕事ができると思いますか。

 しかも、記憶があればちゃんと報告をしていたわけです、記憶がなかったので、これまで自民党に対しても報告していなかったと大臣は答弁していますが、そんなのが通ったら、今やっている裏金問題のアンケートも全く意味がないことになります。そのとき知らなかったと言えば済むということになっちゃうんですよ。だから、大臣がここで責任を取るか取らないかは大事なことなんです、この裏金問題のその後についても。書かない人が増えちゃいますよ、これでは。

 責任をどう感じますか、大臣。

盛山国務大臣 何度も御答弁を申し上げているとおり、二〇二二年九月の自民党の調査に対しては、当時判明していた、同年、二〇二二年三月の会合をちゃんと報告をしました。残念ながら、実質選挙戦に入っている二〇二一年十月のものについては、私も地元事務所の者も全く記憶がなく、それで報告をしていなかったということでありまして、私どもは作為的にこれを隠したということでは決してありません。

 そしてまた、その後は、少なくとも、昨年九月、今のポストに就きましてからは、旧統一教会に対してしっかりとした対応をしてきていると私は自負しております。

 そしてまた、ほかの、例えば、今おっしゃっておられる金の話でしょうけれども、そういうものに対しての影響というものについては、これは私がお答えできる立場ではありません。

 それから最後に、サインをしたというふうにおっしゃいましたけれども、そこにつきましては、サインをしたかどうか記憶にございませんということを再度繰り返させていただきます。

源馬委員 だから、大臣がここで辞めないということは、本当に大きな、裏金問題にもつながっていくということを御認識いただきたい。そして、被害者も皆さん、辞めてもらいたいと思っているということです。

 先ほど何点か二時までに確認してくださいと申し上げましたので、それについては真摯に確認をして、後ほど答弁してください。

 林官房長官に来ていただきましたが、新潮で報じられた、先ほど質疑もありました、これまでの説明と違いますが、もうこれ以上ないということでよろしいですか。

林国務大臣 先ほど確認をいたしたところ、記事のようなことがあったということはもう報告したとおりでございますが、それ以外のことは確認をできておりません。

 いずれにいたしましても、旧統一教会及び関連団体から選挙活動の支援や寄附は受けていないということでございますが、今後、仮に何か御指摘があれば、その都度、適切に説明はしてまいりたいと思っております。

源馬委員 まだありそうですね。

 だから、確認はできていないという、さっきの文科大臣と同じお言葉でしたけれども、ということは、可能性があるということなんですよ。大臣の先ほどのこともそうだったと思います。

 上川大臣はないですね、アンケートに答えられた以外の旧統一教会との関係は。

上川国務大臣 ございません。

源馬委員 今日ちょっと配付しようと思った資料で、旧統一教会の元二世信者の方からいただいた、選挙のときにどういう応援をしているかという、LINEグループのスクリーンショット、今日、自民党に拒否されましたけれども、そういうのが残っているそうなんですよ、みんな、応援している議員の、写真も含めて。そういうのがあるので、今後出てきたら、上川大臣も含めて、大変だと思います。

 では、盛山大臣と官房長官はこれで結構です。

小野寺委員長 それでは、文科大臣と官房長官は御退出して結構です。

源馬委員 済みません、先に法務大臣に伺います。ちょっと時間が延びてしまいました。

 まさに上川大臣が法務大臣だった頃に、日本の刑務所で女性の被収容者が出産するときに手錠をつけたまま出産させられているということが分かったということで、当時、上川大臣は、即座にそれは、分娩室では手錠を外すようにと通達をしたそうですが、その二〇一四年の通達以前に、どのぐらいのケースで手錠をつけたまま出産させていたんですか。

小泉国務大臣 平成二十六年の通知以前は、出産時の手錠の使用については各刑事施設の判断に委ねられておりました。したがって、法務省全体として網羅的にそれを把握するということができておりませんでした。言い換えれば、事例においてはばらばらでありまして、実際に出産時に手錠が使用されていた例もあったと思われます。その現状を踏まえて。

源馬委員 事前にレクを受けましたが、この通達を出した後も、依然、手錠をつけたまま出産させられているケースがあったというふうに聞いています。これはヒューマン・ライツ・ウォッチの皆さんもレポートで出しています。これはやめた方がいいんじゃないですか。

 通達は、分娩室の中では手錠の使用を控えるということですけれども、病院への移送中、搬送中や、陣痛室、あるいは出産を終えて分娩室を出た直後から、それはもうその通達の範囲外なので、通常は手錠をつけているということでした。

 これは世界的に見ても人権意識が低いと言わざるを得ないんですが、これを、例えば、搬送時や分娩室に入る前後は手錠を使用しないという通達に変えたらどうですか。

小泉国務大臣 平成二十六年通知の後も追跡的に調査を続けておりました。その結果、令和四年末までの間で六件、通達に違反をして手錠を使用してしまったケースがありました。

 それを踏まえて、令和四年に、この趣旨を、二十六年通知をもう一度徹底する。それから、範囲を広げまして、分娩室の外においても、子供と接する場合は、だっこしたり、沐浴したり、おむつを替えたり、授乳する、そういう場合は手錠を使用しないことというのを入れまして、令和四年から、今実施しているところでございます。

 そうすると、隙間ができますよね、子供に接していない分娩室の外あるいは直近で、でも子供には接していない、そこに隙間ができる。おっしゃるとおりだと思います。そこは、まず刑事施設の基本的な責務をベースに置きながら、先生の御指摘もありますので、適切な対応というものを考えていきたいというふうに思っております。

源馬委員 通常、法律によると、手錠することができるということは、逃走する可能性がある、自傷又は他人に危害を加える可能性がある、あるいは設備や器具を損壊する可能性があるときに限られているわけですね、日本の法律でも。

 出産直後、出産して直後に手錠をかけたり、あるいは陣痛が始まっているのに手錠をかけたりするのは、これは国際基準から見てもおかしいので、是非、通達を出し直していただいて、人権に配慮した対応をしていただきたいというふうに思います。

 法務大臣もこれで結構です。ありがとうございます。

小野寺委員長 では、法務大臣、退出して結構です。

源馬委員 最後に、外務大臣に伺いたいと思います。

 ちょっと、最初、幾つか飛ばしまして、配付資料の九という数字が書いてあるページですが、直近二回のカンボジアの国民議会選挙の結果を書いています。

 御存じのとおり、前々回の二〇一八年の選挙のときには、与党が野党を解体して、実質、与党しかいない状況で選挙をやって、全議席を独占した。去年行われた前回の選挙も、事実上、最大野党を解体させ、選挙に参加できないようにして、五議席だけ野党は取りましたが、あとは与党が独占するという状況になりました。

 これを受けて、アメリカやヨーロッパなんかは非難しているわけですよ、これは民主化に逆行すると。例えば、アメリカは、選挙は自由でも公正でもなかったというふうにして、民主主義を弱体化させた人物へのビザの発給を停止したりしています。

 日本はこれまで、この二〇二三年の選挙について何の声明も出しておりませんが、大臣の御認識を伺いたいと思います。

上川国務大臣 健全な民主主義社会の構築におきましては、国民が多様な意見、これを表明し得る環境が重要であるというふうに考えております。

 そうした観点から、二〇一八年及び二〇二三年、お示しいただいたカンボジアにおきましての総選挙、この環境が十分なものであったということについては言い難く、残念であったというふうに考えているところでございます。

源馬委員 それは国際的にやはり発信した方がいいと思います。

 日本はこれまで、これも事前に教えていただきましたが、一九九〇年代からカンボジアの民主化支援のためにおよそ三十六億円を投じてきたわけですよ、ODAで。今も本当に国民生活が大変な中で、でもやはり世界の民主化を応援していこうということで、これだけの額を払ってきた。それが今現在こういう結果になってしまっているわけです。

 今年は国際協力七十周年で、大臣も外交演説の中でいろいろおっしゃっていました。ちょっと在り方を見直すべきだと思いますが、いかがですか。

上川国務大臣 どのように日本の意見あるいは評価を表明するかということについては、その時々の外交的な判断になるというふうに考えております。

 先生の今の御指摘については、そのような視点ということについても、その中の一つであるというふうに認識をしております。

源馬委員 分かりました。

 二月五日の新聞報道、これはちょっと違う問題ですけれども、新聞報道で、二〇二〇年に外務省の公電が漏えいしていたのではないかということを米側から警告をされたという記事がありました。これは事実ですか。

上川国務大臣 今のその御指摘の報道については承知をしているところでございますが、案件が情報セキュリティーに関する事案ということでございますので、その性質上、それ以上の回答につきましては差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 その上でということでありますが、サイバー安全保障分野での対応能力の向上、これは政府として大変重要な課題であると認識をしているところでございます。

 また、情報セキュリティーにつきましては、米国を始めとする関係国との情報共有を進めまして、連携を強化していく上でも極めて重要な基盤であるというふうに思っているところでございます。

 外務省といたしましても、関連省庁、緊密に連携しながら、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

源馬委員 漏えいしていたということが報道されたわけですが、これは、いつ日本政府は知った、把握したんですか。

上川国務大臣 サイバー攻撃によりまして外務省が保有する秘密情報が漏えいした等の事実は、確認されておりません。

源馬委員 秘密情報ではない公電は漏えいしたんですか。

上川国務大臣 事柄の性質上でございますが、情報セキュリティーに関する御質問でございまして、今、ここの場におきまして、これ以上の回答につきましては差し控えさせていただきたいというふうに思います。

源馬委員 今のでもう明らかじゃないですか。秘密情報は漏えいしていないと断言して、それ以外の公電は漏えいしていたんですかと聞いたら、いや、それ以上は答えませんと。漏えいしていたんじゃないですか、きっと。

 大臣は、外交演説の中でも、国民に理解し、国民に知ってもらう、そういう外交をしていきたいとおっしゃっていましたけれども、国会でもそれすら答えられないということは、情報をこれから守っていけないと思いますよ。

 じゃ、記事は誤報というふうに大臣は認識されているんですか。

上川国務大臣 御指摘の報道につきましては承知をしているところでございますが、情報セキュリティーに関する事案についてでございます。その性質上、回答につきましては差し控えさせていただきたいと申し上げたところでございます。

源馬委員 これから、サイバーセキュリティーについていろいろ国会でも議論していくわけですよね。その土台として、事実があったかどうかぐらいはやはり国会には明らかにしてくれないと、これから議論できないじゃないですか。

 秘密情報はなかったということなので、秘密情報じゃなかった公電が漏えいした事実はあったということですね。

上川国務大臣 事柄の性質上でございますので、先ほど申し上げたとおり、御指摘の報道については承知をしておりますけれども、情報セキュリティーに関する事案については、その性質上、回答を差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 もちろん、サイバー安全保障の分野での対応能力の向上は、様々な、政府としての大変重要な課題であると認識をしているところでございます。また、先ほど申し上げましたとおり、米国を始めとする関係国との情報共有また連携強化、この上でも、情報セキュリティーは基盤であると認識をしているところでございます。その意味で、重要な課題ということで認識をしているところであります。

源馬委員 これから能動的サイバー防御とかも議論していきたいわけですよね。何があったか、今どういう状況なのか、そういうことを国会にも言わないということは、これは議論をしていくことができないと思いますよ。

 そこをしっかり念頭に置いていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

小野寺委員長 これにて源馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 そして、武見厚労大臣、多分、この時間の割合でいくと、御質問は午後になると思いますので、恐縮ですが、また午後、よろしくお願いいたします。ごめんなさい。

 まず、上川大臣にお伺いいたします。日本の果たすべき人権あるいは人道外交というものの先頭に、是非上川大臣に立っていただきたいと思う観点から御質問をいたします。

 まず一点目は、ジェノサイド条約についてでございます。

 これは、ここ数年、ロシアのウクライナ侵攻あるいは現下のパレスチナとイスラエルの戦闘等々で、いわゆる戦闘員以外の大量の殺害が行われて、その状況がジェノサイドと言って差し支えないような現状にあるということは上川大臣も御承知だと思います。

 ところが、このジェノサイド条約、実は、一九四八年に戦後初めて人道上のこうした条約ということを世界が取り決めたときに、いまだ、七十年以上たちましたが、日本が批准も加盟もしておらない。

 この状況について上川大臣はどう思われるか、また、これからどうしていかれるのか。まず一点目、お願いいたします。

上川国務大臣 我が国は、委員御指摘のように、ジェノサイドのような、国際社会全体の関心事であります最も重大な犯罪を犯した者が処罰をされずに済まされてはならないと考えているところでございます。こうした犯罪の撲滅と予防に貢献するという考えの下、ICCによるジェノサイドの訴追、処罰におきましては、ICCのローマ規程に規定している協力義務に基づきまして、加盟国として義務を誠実に履行することとしているところであります。

 ジェノサイド条約でございますが、締約国に対しまして、集団殺害の行為等を国内法により犯罪化する義務を課しているものでございます。ジェノサイド条約を締結するためには、条約上の義務と、また国内法制との関係、これを整理する必要があると考えているところであります。同条約の締結に向けまして真剣な検討を進めるべく、関係省庁との協議、これを深めているところでございます。

阿部(知)委員 さはさりながら、国会の質疑の中でも、平成二十五年にも同じような質疑があって、そのときも検討中。それから、昨年の十一月でしたでしょうか、人間の安全保障人権議連、そこからも、このジェノサイド条約について日本が批准すべきであると、超党派ですね、声が上がっております。

 私は、もう七十年ですから、ずっとずっとずっと検討というわけにもいかず、今、とりわけ人道状況は極めて危ういところに立っておりますので、大臣の任期中に是非この条約の締結ということを実現していただきたいと強く申し上げます。

 そして二点目は、それとの関係で、この間、ICJ、国際司法裁判所に南アフリカが、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区での無差別大量殺りくに及んで、ジェノサイドという形を取り得るということで、これに対する防止ということを命令をいたしました。一月二十六日であります。いわゆるジェノサイド防止命令と言われておりますが、これについて上川大臣の御所見と、私、とりわけ伺いたいんですけれども、イスラエルに対してどのような働きかけ、これは、イスラエルがそれをきちんと国際法にのっとって履行していただくというところで、国際社会も私たちもしっかりと人権、人道を守っていけるわけであります。

 上川大臣には、このICJの採択というか判定、それから、イスラエルに対してはどのような働きかけを、例えばお電話で直接お話しされたとか、何かあればお教えください。

上川国務大臣 御指摘いただきましたICJの暫定措置命令でございますが、これは、イスラエルのジェノサイド条約違反の有無を現時点で判断したものではありませんが、イスラエルに対しまして、ジェノサイド及びその扇動を防ぐための措置、また人道支援を供給することを可能とする措置、これを取ること等を命じるものでございます。

 本件に関しましては、私から談話を発表いたしまして、国連の主要な、ICJの暫定措置命令は、当事国を法的に拘束するものであり、誠実に履行されるべきものであるということで強調したところでございます。

 また、ICJは、国際人道法の遵守と人質の解放にも言及しておりまして、私自身、この点につきましては特に、イスラエルを訪問した機会を含めまして既に累次の機会にわたりまして、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難し、人質の解放を求めるとともに、イスラエルに対し、国際人道法を含みます国際法の遵守を求め続けてきているところでございます。

 暫定措置命令が発出されて以降でありますが、現時点で私自身がイスラエル政府側と直接会談を行ったわけではございませんが、外務大臣の談話として、さきに述べた我が国の立場を表明した旨を、既にイスラエル政府に対しましては直接伝達をしている状況でございます。

 我が国といたしましては、引き続き、イスラエルを含みます全ての当事者に、あらゆるレベルで、国際人道法を含みます国際法の遵守、また国連の関連する安保理決議等に基づきまして誠実に行動することを求め、人質の即時解放、また人道状況の改善、そして早期の事態鎮静化に向けまして外交努力を粘り強く積極的に続けているところでございます。

阿部(知)委員 中東情勢に対して中立的に行動できるという日本のある意味の歴史的な、また現在もそうあってほしいと思いますが、アドバンテージがあると思います。

 今大臣るる御答弁でありましたが、実はこのICJへの提訴は、ジェノサイド条約の二条並びに三条に基づいて南アフリカが、それもアパルトヘイトの歴史のある南アが提訴をしたわけです。やはり、世界で人権、人道がどう考えられるべきか。南アの代表はおっしゃっていました、この問題が今パレスチナできちんと解決されない限り、逆に南アフリカのアパルトヘイトの問題も本当には解決をしないのだと。それほど重要なところであると思います。

 そして、おっしゃっていただいたように、例えばハマスが人質を取っている、これも極めて人道上に問題がございます。今、アメリカのブリンケン国務長官がこうした人質の交換に向けても働きかけをされていることは存じております。

 加えて、是非日本から、イスラエルの状況もある意味共感を持った上で、しかし、今の無差別、子供たちが殺りくされていくことを何としてでも止めてほしいと、もう是非上川大臣から、麻生さんがおっしゃいましたけれども、英語でも直接相手とコンタクトできる優れた女性であると言われておる折から是非お願いしたいと思いますが、最後に御答弁お願いします。

上川国務大臣 ハマスによるテロ攻撃以来、国際的な状況の中で、大変このガザ地区の情勢は深刻の度を極めている状況であります。その意味で、特にガザ地区におきましての子供たち、また女性たちの悲惨な状況を鑑みますと、これについてはもう一日も早く、一刻も早くこれを中止し、二国家解決に向けましての努力をしていく必要があろうということを強く認識しているところであります。

 そういう中での日本の役割というものも大変大きなものがございますし、昨年はG7の議長国であったということもありまして、大変そのことにつきましては、より国際社会の連携とそして協調を得られるように働きかけを強くしてきたところであります。

 引き続き、そうした姿勢で臨んでまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 是非リーダーシップを取っていただきたいと思います。

 残余の質問については、午後またお願いいたします。

 ありがとうございます。

小野寺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子さん。

阿部(知)委員 午前中に引き続いて、外交問題についてお尋ねをいたします。

 午前中は主にジェノサイド条約の我が国の対応についてお尋ねをいたしましたが、ICJでイスラエルに対してのジェノサイド防止命令が出された同時期に、一月二十六から二十七にかけて、いわゆるUNRWA、パレスチナの難民救済事業機関のメンバーがハマスの十月七日のイスラエルに対しての急襲に加わったのではないかという疑義が持たれて、今、UNRWA内でも調査、また、別途、第三者機関による調査も続いておるところかと思います。

 そもそもUNRWAは、ちょうど昨年七十周年を迎えたと思いますが、難民支援の中では、UNHCRがパレスチナ以外の問題、そして、ほとんどパレスチナ関連はUNRWAが戦後一貫して担ってまいりました。

 まず、上川大臣に冒頭お伺いいたしますが、幾つかの国が支援を停止する一方、幾つかの国は補強をして今の人道状況に対応しようとしている中ですが、日本は一旦停止ということを決められました。これまでのUNRWAの仕事、その活動について、まず大臣にはどのような御認識があるか、また、それを停止した場合にどんな危機的な状況が懸念されるか、二点についてお願いいたします。

上川国務大臣 UNRWAでございますが、数百万人ものパレスチナ難民を対象に、保健、医療、また教育、福祉などの不可欠なサービスを提供している組織でございまして、その意味で、大変重要な役割を果たしてきました。特に、人道状況が深刻化の一途をたどっていますガザ地区におきまして、UNRWAは、住民のお一人お一人に必要な人道支援を届けるという不可欠な役割を担っていると認識をしております。

 我が国は、こうした重要な役割を担うUNRWAを、主要ドナー国の一つとして、長年にわたり支援をしてきたところでございます。

阿部(知)委員 その支援が急激に途絶える、二月には資金が枯渇するかもしれない懸念も伝えられておりますが、そうした状況に我が国としてどう向き合っていくかについてもお願いします。

上川国務大臣 そこで、今回の事態の中で、御質問がございましたけれども、我が国といたしましては、今般のUNRWA職員への疑義、疑惑を極めて憂慮をしているところでございます。

 御指摘のとおり、本件に関しましては、国連による調査が行われ、対応策が検討されるため、当面の間、UNRWAへの追加的な資金拠出を一時停止せざるを得ないという判断に至っている状況であります。

 多くのUNRWAの職員の皆さんは、ガザへの人道支援におきまして、献身的に人道支援活動に従事しておりまして、UNRWAは、パレスチナ難民を対象とした、先ほど申し上げたように、保健、医療や教育、福祉などの大変基礎的なサービスを提供している状況であります。

 UNRWAがまさにこうした本来の役割をしっかりと果たせるよう、国連やUNRWA、関係国と緊密にコミュニケーションを取りつつ、UNRWAのガバナンス強化を含めまして、適切な対応を取ることを強く求め、この調査に積極的に協力してまいりたいと思っております。

 同時に、我が国といたしましては、世界食糧計画、国際赤十字・赤新月社連盟といった他の国際機関への支援等を通じまして、引き続き、ガザ地区を含む地域のパレスチナ人への人道支援に積極的に、継続的に取り組んでまいります。

阿部(知)委員 WFP等々は食糧支援であります。また、赤十字は医療支援ということで、共に大事な国際支援機関であると思います。

 今大臣もおっしゃったように、このUNRWAの一つの特徴は、学校の運営とか、あるいは難民キャンプで保健センターを運営するなど、インフラストラクチャーといいますか、支援のためのベースになっているということで、ここの持続可能性が問われるところと思います。

 後ほど具体的なことをまたお尋ねいたしますが、今日は林官房長官にお越しいただいていますので、外務省がこの支援をある意味迅速に、一月二十六、国際的な指摘がされて、一月二十八日には支援の停止となっておりますが、果たして、我が国政府全体といたしましてこのことにどのくらいお話が及んでいるのか。

 例えば、経済産業省などもパレスチナでプロジェクトを組んでおりまして、茂木大臣あるいは西村大臣なども出かけておられた。ついおととし、昨年のことであります。

 結局、人道支援のところが大きく落ち込むと、全体の情勢の不穏とか、生活が支えられないとか、全般に及ぶことになると思うんです。林官房長官としては、政府をおまとめの立場で、果たして、この援助の停止の及ぼし得る影響などについて政府の中ではどのようにお話をされましたでしょう。

林国務大臣 先ほど外務大臣からも御答弁がありましたが、この十月七日のイスラエルへのテロ攻撃にUNRWA職員が関与したとの疑惑、極めて憂慮されるものだと考えております。

 この疑惑を受けまして、国連及びUNRWAが当該職員の契約を直ちに解除して調査を開始したことから、また、多くの国において、先ほどもお話がありましたが、UNRWAへの拠出の一時停止等の措置が取られる中で、我が国としても、外務省を中心に早急に対応を検討した結果、国連における調査が行われ、対応策が検討される当面の間、UNRWAへの追加的な資金拠出を一時停止せざるを得ないとの判断に至ったところでございます。

 UNRWAは、数百万人ものパレスチナ難民を対象に、保健、医療、教育、福祉等の不可欠なサービスを提供する重要な役割を果たしているということは事実であります。私も外務大臣時代には訪れて意見交換させていただいたわけでございますが、そういうことも事実でありますから、我が国として、UNRWAが本来の役割を果たせるように、本件疑惑に係る調査を迅速かつ完全な形で実施をして、ガバナンスの強化を含め、適切な対応を取るということを強く求めております。

 同時に、今お話がありましたように、他の国際機関への支援等を通じて、ガザ地区の人道状況の改善及び事態の早期鎮静化に向けた外交努力、これを粘り強く積極的に続けてまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 林官房長官には古い昔のことにて恐縮ですが、田中角栄さんが総理大臣だった頃に二階堂さんが官房長官でいらして、この中東問題、当時、第四次になろうかと思います中東問題について、コメント、声明を出しておられます。予告しないで失礼ですが、林さんはもうキャリアも古いのできっと御存じかと思いますが、いかがでしょうか、御存じでありましょうか。

林国務大臣 私も二十九年目になりますが、今御質問のありました田中角栄先生、二階堂先生の時代ではございませんので、なかなか、本で読んだ記憶ぐらいはございますが、今、詳細にお答えするものを持ち合わせておりません。

阿部(知)委員 この官房長官談話は一九七三年のものでございますが、先ほど申し上げた第四次中東戦争、日本は中東に対して常に石油の問題がございまして、エネルギーをどう確保するか等々ある中で、ある意味、日本は米国とは独自の路線を取ってきたということでございます。

 この、ニカイさんじゃなくて二階堂さんなんですけれども、四点申し上げますが、このときの諸原則というのは、「武力による領土の獲得及び占領の許されざること。」「一九六七年戦争の全占領地からのイスラエル兵力の撤退が行なわれること。」三番目が、「域内のすべての国の領土の保全と安全が尊重されねばならず、このための保障措置がとられるべきこと。」四点目が、「中東における公正、かつ、永続的平和実現に当つてパレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利が承認され、尊重されること。」。

 私が拝聴した限り、外務省は基本的にこのときの一九七三年の表明ということにのっとって今外交をやっておられる、だがしかし、今回のハマスのいわゆるイスラエルへの急襲問題があって、それについてどうしていくかが国際的にも問題になっている中での暫定的な措置であるというふうには理解いたします。

 ただしかし、この根幹、国としての根幹を過つことのないようによろしく、是非、官房長官にお願いをしたいと思います。

 そして、私は、特に小児科医でありますので、上川大臣に伺いますが、日本とパレスチナの関係で申しませば、JICAという組織が、UNRWAと協力して、この十五年以上、中東地区、特にパレスチナ、難民になり、親とばらばらになり、自分の出自が分からなくなってしまう子供たちに対して、母子手帳の普及活動というものを極めて熱心にやってまいりました。

 また、オンライン化して、データも保健センターから地域の病院につなげる、ある意味、日本よりも先を行っているところまで私はJICAが活動してくれたと思います。そして、それにもUNRWAという窓口がございました。

 先ほど大臣は、手錠をしての出産ということの非人間性をおっしゃいましたが、やはり、妊娠して赤ちゃんを産む女性たち、その生まれ出る赤ちゃんに対しての支援は、私は人道のスタートだと思います。

 こうしたJICAの一連のこれまでの実績について御存じでありましょうか。

上川国務大臣 御質問の母子手帳を中心とした支援ということでございますが、私も、その国際援助は非常に重要な日本の財産として、母子手帳という大変ユニークな取組を国際的に展開をしていくということにつきましては、側面的ではありますが、全力で心を砕いて取り組んできたところでもございます。

 今回、JICAとの関係ということでありますが、パレスチナに対しまして、一九九三年以降、経済、社会の自立化促進による平和構築、これを目的として、民生安定、向上、行財政能力の強化、持続的経済成長の促進、各種の支援、これを実施してきておりまして、その意味では大変多くの資金を提供してきたところでございます。

 国際機関を通じた無償資金協力等の支援、また様々な二国間無償資金協力、様々な取組がありますが、その中でも、JICAを通じた支援、この一環として、二〇〇五年からは世界初のアラビア語版の母子手帳の開発を行ってきたこと、また、二〇〇八年からは、パレスチナ自治区の全公立医療機関、UNRWAやNGOが運営する医療施設に母子手帳を配付し、普及をするなど、大変地道な活動をされてこられました。

 その後、この母子手帳でありますが、委員御指摘のとおり、ヨルダン、シリア、レバノンのパレスチナ難民キャンプ、この診療所でも活用されまして、さらに、オンライン化、JICAとUNRWAの連携の下でパレスチナ難民向けの母子手帳のスマートフォンアプリ、この開発を通じまして、受診記録を母親が閲覧をすることができる、こうしたシステムを提供したところでございます。二〇二二年には母子手帳の改訂版を作成し、また、配付をしている状況であります。

 こうしてUNRWAと連携した日本の母子手帳の普及につきましては、継続的な形でパレスチナの母子保健に大きな貢献をしてきたものと極めて誇りに思うところでもございます。こうした取組を更に持続できるようにしていくということは極めて重要であると認識をしております。

阿部(知)委員 是非よろしくお願いいたします。

 今、パレスチナでは、孤児世代と呼ばれる世代が多くなりました。戦争で親を失い、自分の出自が分からなくなっていく、人間のアイデンティティーにとって極めて深刻ですので、今、UNRWAをめぐる世界の様々な疑義はありますけれども、その中でも、日本はきちんと対面でやってきたということもございますので、やれる支援はできるだけ継続をしていただきたい。

 そして、武見厚労大臣、お待たせいたしました。

 今日、今のUNRWAとJICAの母子手帳の資料は六ページに写真でお示ししてありますが、ガザの子供たちやお母さんと日本の子供たちやお母さんがZoomで会議をした去年のことでございます。

 もう一つ、この間の戦闘の激化の中で、実は、WHOの緊急医療支援調整ユニットというものがございまして、ここにもJICAが協力をして、パレスチナとエジプトの国境での、逃れてくる、特に赤ちゃん、子供たちについてエジプト内の病院で受け入れているわけですが、どんな医療ニーズがあるかなどを、JICAも調査に人を派遣して、そしてWHOとの協力の下、やっておられます。

 是非、武見大臣は国際的にも御活躍でありますので、こうした活動も力強くサポートしていただきたいですが、いかがでしょう。

武見国務大臣 先生御案内のように、UNRWAの保健長官をしているのは清田明宏さんで、日本人であります。彼が帰国するたびに、超党派で我々と意見交換をして、そして様々な難民に関わる課題、これをいかに解決するかということを常に継続して議論をしてきました。また、その中で、私どもの基本理念は、人間の安全保障という考え方を基本にしております。そして、さらに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、誰一人も残さず、負担可能なコストで予防を含む適切な医療にアクセスすることができるという考え方を基本に、こうした国際保健の問題に私どもは一貫して取り組んできているわけであります。

 したがって、WHOにおきましても、昨年十二月十日に、パレスチナ自治区における健康状況に関する執行理事会特別会合が開催されて、現下のパレスチナ情勢を踏まえ、国際人道法を遵守し、医療品等の補給の確保を求めることなどを内容とする決議が採択されております。そして、その上で、WHOは、パレスチナにおける保健状況の悪化に対して、医療機関の稼働に必要な燃料であるとか、それから医療に不可欠な医療物資の運搬などの緊急医療支援を実施してきているところであります。

 この五月下旬にはWHO総会も開かれますので、こうした状況下においてパレスチナの保健状況が改善されていくよう、我が国としても積極的に働きかけをするということを考えております。

 以上です。

阿部(知)委員 今、武見大臣から御紹介のあった清田さんはお医者さんでもありますが、もう十年以上、UNRWAの医療部門の総括、統括をやってくださっています。そのことによって、保健センター内の医療や地域の基幹病院との医療もつながっている。

 今、もう大変、本当に大変落ち込んでおられます。どうやっても、目前で、薬はない、麻酔薬がないから足を麻酔なく切らなきゃいけない子供たち。私たち日本ができる最大の支援は、何といっても人道支援であり、特に健康とか母子の分野でありますので、外務大臣とお力を合わせて、是非よろしくお願いしたいと思います。

 そして、今日、お手元に、八枚目の資料でつけさせていただきましたが、今、このUNRWAへの支援が停止されることに対して、各所から懸念の声、国連グテーレス事務総長、WHOテドロス事務局長、EUボレル外交安全保障上級代表、そして、実は、ブリンケン国務長官からも、今すぐUNRWAの活動が、ほかに代わって果たせるものがないのではないか、短期的には誰もいないとして、UNRWAが役割を果たし続けることが必要だというふうに、これはBBC、インタビューでお答えになりました。

 私は、政治的な主張、対立はあったとしても、とにかく、未来である子供たちを殺させない、そのために日本が全力を尽くした、女性と子供のためにというのが日本の姿になります。

 最後に、上川大臣、所信の表明のときにも女性と子供たち支援のことをお話しになりましたので、御決意のほど、お願いいたします。

上川国務大臣 まさに、今のガザ地区を中心とした人道状況は危機的な状況にあると強く認識しているところであります。それゆえに、国際的な人道支援の重要性ということについても論をまたないというふうに思っております。

 今、様々な、国連事務総長を始めとして、資金拠出の再開ということを呼びかけているところでございます。皆さんが、本来の役割をUNRWAにしっかり果たしていただきたいと。これはやはり、機関のガバナンスの信頼、このことが重要である、これが前提でございますので、何としても本来の役割を果たすことができるように、国連、UNRWA、そして関係国と緊密にコミュニケーションを取りつつ、ガバナンス強化を含めまして、適切な対応を取ることを強く求めて、また、調査にも積極的に協力してまいりたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 上川大臣が、所信の演説でWPSのことをお触れになりました。平和、女性、そして、これから私たちがそれを世界で広げていくこと、是非御尽力いただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

小野寺委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、中島克仁君。

中島(克)委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 貴重な時間をいただきましたので、私からも質問させていただきたいと思います。

 私からは、まず、発災から一か月がたちました能登半島地震災害について、関連して、主に松村担当大臣にお尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 能登半島地震、発災から一か月以上がたちました。私は、医師として、医者でありまして、発災から六日目の一月七日、被災地能登、輪島に医療支援に入らせていただきました。能登空港に避難をされている方々、直接依頼を受けまして、要請を受けて現地に入った。そして、能登空港のみならず、近隣の公民館またビニールハウスを避難所にされている方々の診療に当たらせていただいた。いわゆる視察ではなくて、現場の人間として入らせていただいた。

 そこで改めて強く感じたことは、これは報道でも言われておりましたが、現地に行って、予想以上の、想像以上の交通アクセスの悪さ、そして厳しい寒さ、加えて高齢化率が高い地域、また人口減少によって人手不足、そこでの災害。さらに、避難所において、既にコロナ、インフル、ノロウイルス、感染症も拡大していた。この状況から、私は、被災地、発災から六日目でありましたが、複合災害の様相を呈しておる、そのように強く認識をいたしました。

 松村担当大臣にお尋ねをしたいのですが、政府として、今回の能登半島地震の最大の特徴は複合災害である、そのように認識されておるか、お尋ねしたいと思います。

松村国務大臣 中島先生には、発災当初、初動から、今お話を聞いて、またブログでも拝見をいたしましたが、医師として現場で御活躍をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 私も、拙い経験で、熊本で水害、地震を経験をいたしましたけれども、一つの事象でいろいろなことが複合的に、いろいろな関連が出てくるということは経験をいたしました。

 その上で、今回、一月一日に発災をした後に、すぐ官邸に入りまして、情報を取るにつれて、やはり、三方が海に囲まれていること、それから半島という地形的に非常に厳しい状況があること、厳冬期、それから高齢率が高いこと、加えて、被災者の方々の中に支援者の方がたくさんいらっしゃる、医療関係者も含めて、役場の方もそうでありましょう、こういった非常に厳しい条件が重なっているなというふうに思っておりました。

 加えて、土砂災害であるとか津波、それから液状化現象、複合的に発生をしておりましたし、家屋の倒壊、道路の寸断、水道も止まっておりましたし、こういったことを考えますと、様々な被害が生じた災害であるという認識を私は持っております。

中島(克)委員 これは総理も施政方針演説で、様々な要因が重なった困難な状況というふうにおっしゃっているんですが、私が先ほども言ったように、発災一週間目に行って、もう既にそういう状況だということ、すぐ分かりました。

 なぜそのことを申し上げるかというと、一般に複合災害は、同程度の災害が重なる、そのことによって事態はより深刻になり、復旧には時間を要する、この認識を持って取り組んでいくことが非常に重要だと感じたわけです。

 これは改めてですが、政府は、先ほど、時間の変遷の中で様々な要因が重なったとおっしゃいましたが、複合災害ということを認識したのはいつですか。

松村国務大臣 認識したのがいつかと言われますと、発災後、四時三十七分に官邸に入りまして、それから三十分の間にいろいろな情報が上がってまいりました。先ほど申し上げたような状況を判断する中で、私自身は、やはり、災害関連死も含めていろいろなことが今後起こり得るというふうに認識をいたしておりました。

中島(克)委員 様々な情報をということで、発災直後からということでよろしいですか。うなずいていただければいいです。はい。

 資料の一枚目、これは復興に向けたタイムライン、ちょっと分かりやすく簡略化したものをイメージ図にしましたが、赤の緊急対応、これは大体一般的に一週間ぐらい、その後、オレンジの復旧のステージとなって、約一か月で復興計画実行に移るというのが過去の災害のタイムライン、そしてなりわい再建と、復興のステージに入るんですが、今回の能登半島地震、現在に至るまでの状況は、一か月以上たった現在でも、もちろん、仮設住宅建設には移行はされていますが、いまだに、やはり、避難所での体制整備、また、ボランティアの受入れも、一月末、また二月に入ってからようやく受け入れられる、こういう状況に陥っている。

 これは私、決して、担当大臣含め、また地元の石川県の行政がしっかりやっていないというわけではなくて、先ほど、一般的に複合災害は、事態がより深刻になって、そして復旧には長時間、時間を要する、こういうことで、今、ステージがなかなか進んでいかないんだということを、被災地の皆様、そして国民の皆様、何よりも政府が強く認識することが、今後、この後話をしますが、災害関連死、三か月、やはりリスクが高まるという状況の中で、その認識を強く持っていただく。

 今回は、令和六年能登半島地震。私は、より明確に今の状況を伝えるなら、令和六年能登半島地震複合災害、複合大災害という命名でもいいと思うぐらいの、今、複合要因が重なり合った、非常に、今後、次のフェーズに移るまで関連死を増やさない、その必要があると思いますが、再度認識を確認。

松村国務大臣 熊本地震も、実は、亡くなった方々の八割は災害関連死でございました。そのうち六割が一か月以内にお亡くなりになった方々でございました。

 ですから、私は、この職に就いた時点から、地震であったり水害であったり、いろいろな想定できるものに関しては、災害関連死をどう防ぐか、避難所運営をどうするか、それぞれの災害によって違うとは思うんですが、そういうことはイメージをして取り組んできたつもりでございます。

中島(克)委員 今、災害関連死で、私も現地に行って、先ほど言った高齢化も含めてですが、輪島市も能登町も珠洲市も、それぞれの地域で事情が随分異なるなと。今なお全体の状況が網羅的に、把握はしていても、リソース、いまだに人材不足が続いておる。

 こういう状況の中で、重要なことは、今もお話しされましたが、避難所、在宅、施設、避難されている方々が平時と同様の医療、福祉を受けられる環境整備。その体制整備は、私、先ほども認識を何度も確認しておりますが、この体制整備、人材の投入も含め、これはやはり政治の責任だと。

 災害関連死、熊本の話も出ましたけれども、熊本の場合は、災害関連死は直接死の四倍。この三か月以内、先ほど言った複合的な要素を、一つ一つといってもなかなか難しいですが、そのための対策を取るのが私は政治の責任だと思います。

 そのことは先ほど答弁いただきましたのでお聞きしませんが、この災害関連死を防ぐ上で、今回、複合災害と言いましたが、輪島の輪島高校の避難所に行ったときには、教室をコロナ部屋、インフル部屋、ノロ部屋というふうにある程度ゾーニングされていたんですが、しかし、それを見ている看護師は民間のボランティアナース一人だけですよ。認知症の方や徘徊している方もおられました。

 そういう状況の中で、私は、この複合災害の中で、感染症災害、それに交通災害や寒冷災害まで加わったという状況だったと思いますが、災害発生時の感染症対策について、被災した高齢者等の健康管理の重要性と、より迅速な広域避難、二次避難ともいいますが、また、昨年九月に発足した感染症危機管理統括庁、これは目的が違うのは十分承知しておりますが、災害時に機能させる必要がある、そのための法改正も検討したらいいのではないかと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 先生と同じ認識を共有しているつもりでもございます。また、初動から、御指摘の点ではマンパワーが不足していた状態も分かっておりましたので、できるだけの対応をやってきたつもりでもございます。

 災害関連死を防ぐためにも、やはり高齢者などの要配慮者の方々の支援は重要でございますし、そのため、DMATや保健師による健康管理、また避難所へのDWATの派遣、一・五次避難所への介護職員などの応援派遣、また、在宅、いわゆる避難所外の避難していらっしゃる方々に対しては、厚労省とも連携をいたしまして、関連団体の連携の下でケアマネジャーなどの派遣を今進めているところでもございます。

 こういった支援で、できる限りの関連死を防ぐ対策を今やらせていただいているところでございます。

 また、お尋ねの内閣感染症危機管理統括局についてでございますが、これは令和五年九月に新設をされた組織でございます。パンデミック等の感染症危機に対応する役割を有しております。

 災害時におきましては、感染症危機と自然災害が複合的に発生した場合、迅速的確に対応できるよう、統括庁を担当する国務大臣、新藤大臣でございますが、新藤大臣にも、非常災害対策本部の本部員として、席を同じくして情報を共有し、対応いただいているところでもございます。

 引き続き、感染症対策については万全を尽くしてまいりたいと考えております。

中島(克)委員 私、聞きたかったのは、統括庁がこのような複合災害、いつ何どき、これは、コロナのパンデミック、昨年五月に五類に移行されましたが、あのパンデミックのときに災害が起きたら、それこそ大変な状況になる。こういったことについて、危機管理統括庁が、先ほど言ったように、DMATは人命救助ですから、もちろん感染症もやりますけれども、より専門的な、ゾーニングがしづらいところで感染症の専門がやはりコミットしていく、そのための、その先には日本版CDCということを目指しているわけですが、あえて今日、厚生労働大臣ではなくて防災担当大臣に聞いているのは、是非そのリーダーシップを、どっちがどうということではなく、横串を刺して対応していただきたいとお願いをしたいと思います。

 加えて、資料の二枚目でございますが、「福祉避難所 想定の二割」という見出しになっています。福祉避難所の稼働が二割にとどまっている、この現状、広報の課題も含めて、この二割にとどまる現状について、大臣の見解を伺いたいと思います。

松村国務大臣 被害が大きかった七つの市町につきましては、災害発生前に福祉避難所として指定又は協定を締結した施設は八十三施設でございました。二月七日現在におきましては、福祉避難所として開設されている施設は二十五施設でございまして、二百十一人の方がここで避難をしていただいております。

 福祉避難所となる福祉施設も実は大きな被害を受けたほか、やはり担い手となる福祉施設の職員も被災をなさっている、こういった理由から、予定していた福祉避難所の開設が困難なケースもあったと承知をいたしております。

 政府におきましては、関係団体と連携をいたしまして、被災による、従業員の方が不足する施設や、避難所、受け入れる施設等へ介護職員等の応援派遣を進めておりまして、避難所においてDWATの派遣による支援を行ってきているところでございます。

中島(克)委員 今大臣お答えいただいた課題と現状の様子ですけれども、これはもうずっと繰り返されているんですよ。熊本のときもそうです。小野寺委員長、私、気仙沼にも一年間通いましたけれども、福祉避難所の今の状況、課題ですね、当然なんです。

 避難所、福祉避難所、協定、指定されている場所は当然被災地にあります。そこで多くは、例えば、平時、五十人で協定を結びました、五十人受け入れるといっても、そもそも介護施設、私も行ったとき、一月一日の発災以来、一週間ずっと介護職員が支援に当たっている。こういう状況の中で、配慮が必要な方を、その協定を結んでいる福祉避難所が受け入れられるかと言われれば、そんなことは当然無理なわけです。だから、今回もまた二割にとどまっておるという状況だと。そして、介護施設、これは管轄は厚生労働省ということになるのかもしれませんが、運用は内閣府。

 そして、もう一点は在宅ですね。在宅におられる方が、今数字では三千五百人、石川県で三千五百人とも言われていますが、その方々が、先ほど災害関連死を防ぐためにと言いましたが、一体どういう状況に陥っているのか、これがなかなか把握できていない。

 私は、今回、政府が、一・五次避難所、最初聞いたとき、何のこっちゃかと思ったんですが、いわゆる複合災害だということを認識して、二次避難を円滑にするために一・五次避難所を設置したことは、私、大変評価したいと思うんです。ただ、そこへの移行がなかなか進んでいないですよね。これは分かるんです。地元の方、盗難のこととか、住み慣れた地域を離れづらい。

 だけれども、今回、繰り返しになりますが、複合災害で、より事態は深刻化して、復旧には時間が要するということを被災地の皆さん、国民の皆さんと共有をして、やはり人材をだあんと投入していくか、福祉、医療、保健に特化した方々、こういう方を特化して投入するか。

 それか、私、輪島の市長が避難所に行って、皆さん、環境のいいところに一回避難してくださいと皆さんにお願いしている姿を見て、それはやはり政府が、今回の災害の特徴はこうなんです、ですから、リスクの高い方はやはり国が責任を持ちます、必ずその間に、一刻も早く、できるだけ早く復旧させます、そして戻ってこられます、このことをもっとしっかりアナウンスしないと災害関連死は防げないのではないか、そのように思いますが、大臣、いかがですか。

松村国務大臣 確かに、今回は、自治体の皆さん方、苦渋の決断の中で、二次避難という選択もつくっていただきました。これは、私も県と連携をしながら、自治体ともいろいろなお話をしてこういう形を取らせていただいたんですが、熊本地震の経験や水害を経験したときに、国から命令されてやるというのは、私はあのときは現場におりましたけれども、そうじゃない、国が何と言おうと自分たちがどう考えるかだ、こういう考え方も持っておりましたので、大変時間がかかりましたけれども、輪島市長を始め連携をしながら、二次避難所という形の体制を取って、そのことによって、避難所の運営も、マンパワーが不足している中でいろいろな形で健全にできないかというような形で、とにかく命を守る方法論の中でこういうことができたんだろうと思っております。

 そういう意味では、国が先なのか自治体が先なのかという問題ではなく、一緒になってこういう形で命を守る選択をやってきたつもりでございます。

中島(克)委員 是非、先ほど冒頭にも言ったように、今回の能登半島地震の特徴は、これは災害発生時から複合災害なんです。そのことをもって、国が先か自治体が先かというよりは、そのことを的確に判断して、少しやったら様子を見る、こういう姿勢は、やはり今後の災害も含めて対応をより強化していただきたいと思います。

 ちょっと一問飛ばして、私、先ほど、発災から六日目に能登に行かせていただいた経緯は、日本航空学園、山梨校と能登校があります、日本航空学園石川校、梅沢理事長に発災直後からその様子を、情報を入れていただいていました。

 冬休みだったこともあって、ほとんどの方が、学生は寮生活でありましたが、一方で、隣接する能登空港で避難されている方がたくさんいるということで、私は依頼を受け、要請を受けて行った。

 そして、航空学園は、能登校は、私が行ったときも今現在もそうですが、自衛隊の三部隊、そして自治体職員、ボランティア、ボランティアセンターにもなっていくということで、私、あの場所は拠点になっていて、航空学園がなかったらより深刻な事態になっていただろうなというふうに思うわけです。

 学生たちは幸い直接の被害は免れたんですけれども、一方で、航空学園は政府の要請を受けて様々な拠点になっている一方、学生は、山梨また北海道、分散をして避難生活を送っている状況です。航空学園石川は春の選抜甲子園出場が決まって、その活躍、本当に被災地の方には勇気になると思います。しかし一方で、その先ですね、しっかり、災害を機会に十分な教育が受けられないとか、その先には就職ということも出てきます。もちろん被災地の他の学校もそうですが、特に航空学園は私学でもあります。私財をなげうって、今、仮設の寮や教室、学校を確保しようとしています。

 是非、これは、政府として、そういった教育をしっかり継続できるように、その先も含めて最大限のバックアップをしていただきたいと思いますが、政府の方針として、林官房長官にお尋ねしたいと思います。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、今般の能登半島地震によりまして、石川県を始め被災地の多くの学校が被害を受けたわけですが、被災自治体、また教職員の皆さん始め関係者の御尽力によりまして、短縮授業やオンライン学習の実施、こうしたことも含めて、現在は、被災地の全ての学校で子供たちの学びの継続の取組が行われていると承知をしております。

 一方で、輪島市等の中学生の県内施設への集団避難とか、今お話のありました、御指摘の高校の一部生徒の系列高校への避難、これは続いておりまして、また、二次避難先で学校に通う子供さん方や、自宅や避難所等にとどまってオンライン学習を続ける、そういう子供さん方もいらっしゃると承知をしております。一日も早く子供たちが先生や友達とともに学校で学べるようにする、これが喫緊の課題であると認識をしております。

 政府におきましては、学校施設の災害復旧事業における補助率のかさ上げ等によって早期復旧を図るとともに、教職員を派遣する、また、スクールカウンセラーを追加配置する、教科書を提供する、そして一人一台端末の無償貸与をする、こういうことや、修学支援について、被災により家計が急変した家庭の子供も対象にする等の対応を行っているところでございます。

 引き続き、石川県を始め被災自治体と緊密に連携を取りながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

中島(克)委員 時間の関係で、一問はちょっと指摘だけにとどめますが、今回、被災地の方から、何人かから言われました。今回の地震で倒壊した家屋の多くが耐震化が不十分だった、政府は防衛費を五年で四十三兆円と大幅に増額する方針だけれども、能登地域、過去も災害、地震は頻発している、過去の災害を教訓に、国民の生命財産を守るためには、耐震化とか、先ほど来出ている人材確保、ここにより予算を割くべきだという意見、何人もの方から聞きましたので、政府としてしっかり受け止めていただきたい。

 そして、最後に、資料の三枚目ですね。これは政治と金に関係する話でありますが、自民党派閥による政治と金の問題、いわゆる組織的な脱税疑惑、これに関連して、資料の三枚目、取り上げておられるのは多くの国会議員でありますが、かつて国会議員であった、また現在知事をやっている、例えば山梨県知事。山梨県知事は、自民党籍を持って、二階派の参与、そして自民党山梨県連の顧問も務めておる。

 これは、中央政治における政治と金の問題が地方に波及している、その疑い、政治と金、これは国会議員だけではなくて、地方の首長、また党籍を持つ地方議員にも速やかに調査を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 官房長官として、各政党が行う調査についてお答えする立場にはないということでございますが、一般論で申し上げますと、政治資金の取扱いに疑義が生じた場合には、国民に対して丁寧な説明を行うことが重要であると認識をしております。

 総理は、自民党の政策集団の政治資金の一連の問題に関しては、自民党総裁として述べられておられますが、まずは関係者が明確な説明責任を果たすことが重要であるが、党としても、外部の弁護士も交え、順次、党幹部による関係者への聞き取りを開始するなど、可能な限りの事実関係の把握に努めている、そして、聞き取りの範囲などについては、事実関係の把握の状況等を踏まえて、適切に判断していく、こういうふうに述べられているものと承知をしております。

中島(克)委員 例えばの例で山梨県知事の話をしましたが、この山梨県知事、不記載だった理由を、派閥からの預り金という認識で、収支報告書に預り金という記載項目がなかったので記載しなかったと説明されておられます。これが事実なら、派閥の裏金を知事が預かるという構図で、自民党派閥には裏金を分散管理する仕組みがあるのかと疑わざるを得ないんです。

 岸田派の座長を務めた林官房長官でありますから、岸田派にはそのようなシステムがあったのか、預り金というのは自民党では一般的なのか、林官房長官にお尋ねしたいと思います。

林国務大臣 長崎山梨県知事の御発言については報道で承知をしておりますが、お尋ねについて、官房長官としてお答えする立場にはないと申し上げておきたいと思います。

 一般論として申し上げますと、政治資金の取扱いに疑義が生じた場合、国民に対して丁寧な説明を行うことが重要であると認識をしております。

 後段のお尋ねで、宏池会、既に解散を決定しておりますが、私が座長をしていた間に今おっしゃったようなことは見聞きしたことはないというふうに認識をしております。

中島(克)委員 預り金というのがまかり通ってしまったら、また今度、新たな言い訳をされる方が出てきてしまうんじゃないか。こういうことをしっかり、今、大事な予算案、予算委員会でありますから、国民の皆様に、この災害対策もそうでありますけれども、平時では少子高齢化、人口減少、様々な課題がある中で、改めて、この使途がどうだったのか、一体どこまで浸透、侵食してしまっているのか、これは自民党、政府としてしっかり対応していただくことを改めてお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、屋良朝博君。

屋良委員 立憲民主党の屋良朝博でございます。

 林官房長官、防衛大臣、国交大臣、よろしくお願いいたします。

 今日は、沖縄県名護市の辺野古で進められている埋立工事について質問させていただきたいと思います。

 これまでいろいろありまして、最高裁の判決が出たり、判決が出てもなお沖縄県が抵抗しているのは違法行為だというふうに考えていらっしゃる方も多くおられます。

 そこで、これまでの経緯と現状を再確認するために、ちょっと例え話をさせていただきたいと思っておるんですけれども。

 ある資産家が、海岸沿いに別荘を建てて外国の友人を住まわそうと考えました。工事を請け負った建設会社は、軟弱な地盤はあるけれども大丈夫です、地盤の強さを示すN値は十一と推定され、比較的固いから一般的な工法で十分いけますよ、総工費は三千五百万円、五年で完成します、そのように提案しました。地主は五年ならいいかなと契約書にサインをしました。

 建設会社は、埋立工事を始めた後になってから、なぜかボーリング調査を実施し、あれは駄目です、N値がゼロのマヨネーズ状でした、地盤改良工事が必要になりましたと言い出した。七万本の砂ぐいを打ち込みます、あと十二年はかかります、工費は六千万円増しの九千三百万円になりますと再契約を迫ってきました。

 地主はさすがに、これは契約違反じゃないですかと反発します。すると、建設会社は東京本社の社長に電話をします。地主が言うことを聞きませんと泣きつきます。本社の社長は、それはけしからぬな、俺が勧告、指示を出すと手続を強引に進めた。

 地主は裁判に訴え、指示なんてあり得ませんよと主張した。ところが、裁判所は、勧告、指示の手続のみを審査し、軟弱地盤の問題など工事の中身は一切審議しない。裁判所は、手続は適正であり、地主の拒否は無効ですよ、それが不服審査申立ての仕組みなんですと訴えを退けた。地主は上告したけれども、最高裁も同じだった。ただ、判決に意見を添えて、地主の言い分も聞いてあげなさいよと建設会社に求めた。建設会社の社長は、地主に代わって設計変更書に自らサインできる代執行という禁じ手を使ってしまった。

 そんな騒動の末、別荘に入る予定の外人さんは、最近、間取りが狭くて嫌だなと言い始めているというのが現状でございます。

 そうした経緯を踏まえた上で、地方自治体に対する国の代執行は、日本初の強権発動となります。

 こうした現状の中で工事は進められておりますけれども、資料一で示しているとおり、もう既に五年がたった今、この図の下側にある工区、埋立て済みと書かれた工区だけが完成しており、土砂投入量で見ると全体の僅か一六%。

 これから軟弱地盤がある海域に進みます。地盤改良工事を進めて、土砂の投入量で見ると、残り八四%の工事を今後八年間で終わらせるというふうに防衛省は説明しておりますけれども、その根拠を、大臣、御説明ください。

木原国務大臣 普天間飛行場代替施設建設事業の工期についてお尋ねでございますが、変更後の計画に基づく工事に着手してから、埋立工事に要する期間として八年、工事完了までに九年三か月を要する旨御説明をしてきておりまして、変更後の計画に基づく工事については、本年一月十日に着手したところでございます。これが起点となるわけであります。

 この工期については、沖縄防衛局において、有識者の助言を得て工事計画についてしっかりと検討をし、護岸や埋立て等の施工順序の工夫などを行いつつ、国土交通省が監修する一般的な作業能力や作業時間に係る基準を参考にしながら見直したものであると承知しております。

 防衛省としては、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、そして基地負担の軽減を図っていくため、辺野古への移設工事に全力で取り組んでまいります。

屋良委員 続きまして、資料二を説明させていただきたいと思いますけれども、これまでの工事は、水深が一メートルから三メートル、五年でこれは全体の一六%なので、このままのペースで進めば、このままのペースですよ、それでも三十年先になります、完了は。ただ単純な計算なんですけれども。

 これから、水深九十メートルを含む海域で七万本もの砂ぐいを打ち込む非常に難しい難工事に入る。当然、工事のペースはダウンしていくと考えるのが自然ではないでしょうか。防衛省は、現在の三倍も早いペースで工事を進めるというふうに言っている。もしかしたら、これはペースダウンすると、半世紀もかかるようなモンスター事業になるかもしれないという指摘もあります。

 現計画、十二年も長過ぎるんですよ。歴代の総理、官房長官、外務、防衛の閣僚経験者、みんな口をそろえて一日も早くと言ってきました、委員長もその中のお一人でございますけれども。本当に、こんな長い間かかってしまったら、みんな生きていますかね。これは責任取れますか。

 また、工費も青天井になってしまうというふうな指摘もあります。当初計画では三千五百億円で完成する見積りでしたが、現在は約三倍の九千三百億円。しかも、一六%しか進んでいないのに、既に四千三百十二億円を支出しております。沖縄県の試算では二兆五千億円。当初予算の七倍にも膨張するという計算もあります。あの大阪万博の一・九倍、二千三百五十億円がかすんで見える。かの八ツ場ダムでも五千三百二十億円で、当初計画の二・五倍。東京湾アクアラインで、一・二五倍の一兆四千四百億円です。

 途中、計画を変更すれば、どんな無謀な公共工事でも許されてしまう、そんなことなんでしょうか。このようなモンスター事業を代執行で強行する正当性について、斉藤大臣、御説明ください。

斉藤(鉄)国務大臣 御質問の工費に係る事項につきましては、普天間飛行場代替施設建設事業を所管する防衛省に御質問いただきたいと思います。

屋良委員 それでは、改めて伺います。

 代執行の正当性を御説明ください。

斉藤(鉄)国務大臣 沖縄防衛局からの埋立変更承認申請につきましては、二〇二二年四月二十八日付で、承認するよう、公有水面埋立法の所管大臣として、沖縄県に対し、是正の指示をしております。この是正の指示につきましては、昨年九月四日の最高裁判所の判決において、その適法性が確定しているところです。

 しかしながら、その後も知事が承認しなかったため、地方自治法に基づく代執行を念頭に勧告をし、その後、指示を行いました。それでもなお、引き続き知事は承認しなかったため、昨年十月一日付で、地方自治法に基づき、代執行訴訟を提起しました。その後、十二月二十日に、福岡高裁那覇支部において、知事に対し、十二月二十五日までに承認するよう命じる旨の判決が言い渡されました。

 しかし、知事はこの判決に従わず、期限までに承認しませんでしたので、公有水面埋立法の所管大臣として、地方自治法の規定に基づき、沖縄県知事に代わって、十二月二十八日付で沖縄防衛局からの埋立変更承認申請を承認したものでございます。

 失礼しました。先ほど、昨年十月五日付で、地方自治法に基づき、代執行訴訟を提起いたしました。十月五日付でございます。失礼しました。

屋良委員 勧告、指示の行政手続の御説明、どうもありがとうございました。

 しかし、それであれば、どの省庁からも、行政不服審査申立てをして、そして、その手続が正しければ、全国でも、同じような手法で、中身など関係なくて、どんな公共工事でもできるということになってしまいませんか。大臣、そのような御認識でしょうか。もう一度お答えいただくことはできますか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回は、公有水面埋立法の所管大臣として、地方自治法の規定に基づき、この代執行を行ったものでございます。

 また、そのプロセスについては、各段階の裁判所において、その正当性が認められております。

屋良委員 もうこれは堂々巡りになるのでここでおいておきますけれども、米軍にはどのように説明しているかというのが気になるところです。

 八年で終わりますよと言っていて、返還合意からもう既に二十八年、約三十年経過しています。その間ずっと、いろいろな計画が出ては消え、出ては消え、そして今、八年で終わりますよと言っている。これまでのペースの三倍で進むことが本当に可能なのかということは、ちょっと疑わしいところが私はあると思うんですけれども、防衛大臣、アメリカ側にはどのような説明をなさっているんでしょうか。

木原国務大臣 日米間におきましては、日頃から現地間も含めて様々な実務レベルで協議、そして調整を行っているところであります。

 普天間飛行場代替施設建設事業の工期につきましては、変更後の計画に基づく工事に着手してから、先ほど申し上げたように、工事完了までに九年三か月、そして、部隊移転の前に行われることになります提供手続の完了までに十二年を要する計画である旨、米側に対して説明をしてきております。

 提供手続完了後、早期に普天間飛行場の全面返還が実現できるよう、引き続き米国と緊密に連携してまいりますけれども、そこにはしっかりと合意ができているということでございます。

屋良委員 ありがとうございます。

 斉藤大臣、大臣への質問はここまでなので、もしよろしければ御退席いただいても構いませんので、よろしくお願いします。

小野寺委員長 どうぞ、斉藤大臣、御退出ください。

屋良委員 防衛省は、二〇〇七年の音波探査で軟弱地盤の存在を確認していた事実が昨年十一月の報道で明らかになっています。二〇〇七年といえば、沖縄県に埋立許可申請をする六年も前のことであります。

 資料三を御覧ください。これが新聞報道でございます。それを基に、大臣に以下質問させていただきますが。

 その二〇〇七年の報告書の四十七ページ、この報告書ですけれども、四十七ページに、軟弱な沖積層が広く、厚く分布する、設計、施工するに当たっては、これらの分布状況の精度を向上させることと性状を確認することが必要である、そのためには、ボーリング調査を実施し、地盤の固さを調べた上で、設計、施工に必要な基礎資料を提供する必要があるというふうに明記されております。

 この報告書は、沖縄防衛局と調査会社の連名で作成されております。つまり、設計、施工にはボーリング調査が必要であることを防衛省自身が認めていたということになっているわけですね。

 ところが、防衛省は、ボーリング調査を行わないまま沖縄県へ埋立承認申請の願書を提出し、それには、軟弱地盤は比較的固いというふうに書いてあります。

 木原大臣、これは申請書の虚偽、偽造、そんな申請じゃなかったんでしょうか。

木原国務大臣 御指摘の土質調査の報告書につきましては、沖縄防衛局が、御指摘があったように、二〇〇七年、平成十九年に地質調査業務の受注者から提出を受けた報告書であるというふうに承知をしております。

 この報告書にあります軟弱な沖積層との記載につきましては、これは一般的に沖積層が他の地層と比較して軟らかい場合があることというのを表現しているものであり、地盤改良工事が必要となる地層であることを意味するものではないというふうに承知をしております。

 その上で、平成十九年、二〇〇七年までに実施した土質調査の結果、計画地で確認された沖積層の土質については粘性土ではなく砂れき等であったことから、埋立承認申請を行う前の設計段階では更なる土質調査を実施しなかったところであります。

屋良委員 その見積りというか推定が全く間違っていたから、今回の大規模な設計変更につながったんじゃないですか。ちゃんとボーリング調査をやっていれば、今のような設計変更は要らなかった、必要なかったかもしれない。

 大臣、この海域というのは、もうずっと前から軟弱地盤が指摘されている。一九六〇年代に、ベトナム戦争のときに、アメリカ海軍がここで飛行場を造ろうとしてマスタープランを作っているんですよ。ところが、軟弱地盤があるので計画を断念したという経緯があったことが分かっております。

 そういった経緯も無視し、二〇〇七年の防衛省が行った調査も無視して、ボーリング調査を行わないまま、真実をゆがめた内容で沖縄県への埋立承認願書が出されたと思われても仕方ないじゃないですか。ちゃんとボーリング調査をやっていれば、地盤の固さが確定されて、そしてしっかりとした計画が作れる、それが必要ですよというふうに二〇〇七年の調査結果で出ている。にもかかわらず、防衛省はそれを無視してきた。

 しかも、この調査は、沖縄防衛局と調査会社の連名でやられているわけです。先ほど大臣は調査会社ということで説明されましたけれども、この報告書のかがみの部分に沖縄防衛局調達部というふうに明記されているんですね。防衛局も防衛省も責任を負っているということです、この検査の結果には。

 にもかかわらず、ボーリング調査をせずに沖縄県に埋立申請を行ったことは虚偽じゃないかというふうに私は受け止めているんですけれども、大臣、もう一度、そこのところを御説明いただけますでしょうか。

木原国務大臣 埋立承認願書の作成についての御質問でありますけれども、沖縄防衛局においては、設計の段階で必要な調査を行い、御指摘の沖積層についても認識した上で検討を行ったものであります。

 沖縄防衛局は、この地層の存在も含めて、平成二十五年、二〇一三年の埋立承認願書に記載するとともに、その審査過程において施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県にも説明をした上で、沖縄県知事から埋立承認を得たものというふうに承知をしております。

 その後、施工段階で必要な調査検討を行った結果、地盤改良工事が必要であるということが判明をし、同工事の追加などを行うこととしたものであります。

 このように、それぞれの段階、設計の段階あるいは施工の段階、それぞれの段階において必要な調査検討を行ってきたものでありまして、このような対応には問題がなかったものというふうに考えております。

屋良委員 沖縄県への説明の中で、長期にわたり沈下する軟弱層は確認されていないというふうに言っております。そのことについて、なぜそういうような説明をしたのかお伺いしたいということと、また、承認申請後の二〇一四年にボーリング調査を行った目的は一体何だったんでしょうか。

 二〇〇七年の報告書では、設計、施工の前にボーリング調査をやって、地盤の強さを確定しなさい、その方がいいですよというふうに提案を受けているんですよ。なぜそれを無視したんでしょうか、改めて伺います。

木原国務大臣 事実関係から申し上げますと、まず、二〇〇七年に、設計段階の音波探査等の報告書を受領ということであります。このときに、軟弱な沖積層というのが記載をされたということであります。

 それから、平成二十五年、二〇一三年に埋立承認願書を提出。これが同年十二月に承認をされたということであります。この段階で、これは沖縄防衛局から沖縄県に申請書が出されたわけですが、審査過程において、計画地の直下には、圧密沈下を生じるような粘性土層は確認されていないというふうに回答をしているところです。

 その後、平成二十六年、二〇一四年の八月に施工段階のボーリング調査を開始というのは、そういうクロノロジーがございまして、そういう過程の中で、それぞれの段階において必要な調査検討を行ってきた、そういう経緯がございます。

屋良委員 今、現段階の計画内容を見てみると、完成してもなお、その後二十年間は、地盤のゆがみで滑走路が不同沈下する、そのためにジャッキアップなどで平たんを維持する作業が続くことになっていますね。その都度、滑走路の使用が制限されるようになるということですよ。

 こういう滑走路を提供して本当に大丈夫なんですか。二〇〇七年の報告書を受けてちゃんと調査をしていれば、五年で完成するなどという見通しは、もしかしたら立たなかったのかもしれません。十年以上となると、沖縄県が埋立許可にちゅうちょしたかもしれない。なぜなら、一日も早くという政治目標が実現しないからです。沖縄県をだまして許可を取り付けたと言われても仕方ないんじゃないですか、大臣。

 これは、この工事自体が後先逆になっている。ちゃんとボーリング調査をして、地盤の固さを確定した上で、それを基に設計図を作って、何年かかりますよとちゃんと沖縄県に説明していないと、沖縄県が承認許可をする判断材料には全くならないということですよ。判断材料自体が軟弱だったということですよ。

 そんなことで、今、ずっと進んでいって、最高裁まで行って、沖縄県が今なお反対していることに対して、沖縄県自身が違法行為をしているというふうなレッテル貼りがすごいんですね。本当にこれは終わるのかどうか、全く見通しが立たないという状況の中、そして今、滑走路が短いということで、アメリカ側がいろいろ言ってきている。オスプレイも運用に支障を来すんじゃないかと言われている千二百メートルの滑走路。この滑走路は十分な所要を満たすことができるんでしょうか、大臣。

木原国務大臣 まず、前段についてですけれども、いわゆる海上の埋立空港の問題ですけれども、これは軍用に限らず民間の空港もそうなんですが、長い年月を経て沈下が起こるということは、これは埋立空港においては一般的でありまして、これについて、設計、施工、維持管理の各段階で沈下対策というのを行っていくことにより、十分対応可能なものであります。民間でも、関西空港であるとか、羽田空港もしかりでございます。

 このために、普天間飛行場代替施設の滑走路についても、同様の対応によって、飛行場としては問題なく運用可能であるというふうに考えております。

 そういう中で、今度は滑走路の長さの問題でありますけれども、滑走路長につきましては、この点、日米両政府で、こちらも合意をされているものです。

 滑走路長については、現在の普天間飛行場に配備されている連絡機というのはC12及びC35になるわけですが、これらを安全に運用する観点から、米軍の安全性基準というものを考慮しまして、滑走路長は千二百メートル、オーバーラン対策として各三百メートルとしたところであります。

 なお、普天間飛行場代替施設に移転するのは、これまでの普天間飛行場が有してきた機能のうち、オスプレイ等の運用機能のみでありまして、いわゆる大型の固定翼機の運用を前提としていないことから、現在の普天間飛行場の滑走路長に比べると大幅に短縮をしたということになります。

屋良委員 資料四でお示ししたのは、沖縄のアメリカ海兵隊幹部が、この滑走路の長さでは軍事的な制約を受けると指摘しているというふうな記事でございます。これは二〇一七年にもそうだったんですけれども、アメリカ会計検査院、GAOがレポートの中で、辺野古の滑走路が千二百メートルでは短くて問題を引き起こす、緊急事態には使えないと厳しく指摘しています。

 何も、滑走路はオスプレイだけに使うか。それはそうじゃないでしょう。例えば嘉手納が使えない場合は、ダイバートといって別の航空機が使う場合もあるということを想定するのは、これも一つの緊急事態ですよ。有事ばかりが緊急事態じゃない。そういった緊急事態に対応できないような代物を造ってしまうということなんですね、これは。

 私は、この辺野古は本当に不良品、欠陥品。それを米側へ押しつけて、これが唯一の選択肢と言っている。本当に大丈夫ですか、日米関係というふうな心配をしているということなんですけれども、この計画を進めて底なし沼にはまるほど、日米間の約束が崩れて、信頼関係が毀損されていくと私は心配している。

 辺野古の埋立ては安全保障マターと思われて、沖縄の反発も分かるけれども、仕方ないことだと思っている人が余りにも多い。しかし、後出し増額の恐ろしい無駄遣いを代執行でやってしまう。さらに、飛行場を使う米軍も嫌がっているというんですから、一体誰のための埋立工事なんでしょう。

 今、裏金問題で明らかになった自民党と業者のなれ合い、癒着構造が、辺野古に凝縮されているというふうに思われても仕方がない。防衛費倍増によって、全国で拡大している防衛関連公共工事が新たな利権の温床にならないよう、襟を正していただきたいと思います。

 日米同盟の隠れみので、米軍も喜ばない滑走路建設に巨額の税金を投入しようとしている。これは沖縄の問題ではなくて、全国の納税者に対する背任行為だと思いますけれども、このような滑走路を提供して、そして、八年、九年で終わりますよとアメリカに説明し、途中で設計変更があったら、また工期を延ばしていく。このような対応で本当に日米関係の信頼というのは維持できるのかどうか。私はそのように心配しているんですけれども、大臣、もし御所見がありましたらお聞かせください。

木原国務大臣 配付資料でいただいたこの報道については承知をしておりますが、一米軍関係者による発言ということでございますので、そこに逐一コメントするということは差し控えたいと思いますが。

 普天間飛行場代替施設に係る現行の計画でございますが、辺野古という移設先や滑走路の長さも含めまして、先ほど説明申し上げました点も含めて、在日米軍の運用というものをしっかりと踏まえた上で、これまで累次にわたって日米間で確認をしつつ進めてきておるものでありまして、日米両政府間で合意をされ、そして、私も昨年の十月、訪米の際には、オースティン長官ともこの話題についてはしっかりと確認し、合意をした上で、現在も実現に向けて緊密に協力をしているものであります。

 引き続き、何よりも普天間飛行場の一日も早い全面返還というものを実現し、そして、基地負担軽減を図るために全力で取り組んでいく所存でございます。

屋良委員 最後になりますけれども、官房長官、沖縄の基地負担軽減を担当されている官房長官に伺います。

 沖縄の米軍基地……

小野寺委員長 既に予定の時間が経過しておりますが。

屋良委員 分かりました。じゃ、一つだけ、本当に。

 沖縄県には、〇・六%でしかない、米軍基地があって、七〇%の基地が集中していることについて、本土移転を玉城デニー知事は求めているんですけれども、米軍部隊の本土移転も含めて、真の負担軽減を考える、あるいは行っていく覚悟が官房長官おありかどうか、最後に質問させていただきます。

小野寺委員長 内閣官房長官林芳正君、端的にお願いします。

林国務大臣 沖縄県には多くの米軍施設・区域が集中しておりまして、沖縄の皆様に大きな基地負担を担っていただいていること、これを政府は重く受け止めております。

 こうした考え方の下で、政府として、空中給油機の本土への移転や、緊急時の航空機の受入れ機能の移転、オスプレイ訓練の県外移転等を着実に進めてきておるところでございます。

屋良委員 質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて屋良君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。よろしくお願い申し上げます。

 盛山大臣から伺います。

 まず、午前中に四点伺っていた質問の回答からお願いしたいんですが、一つ目と二つ目は、写真に写っている方がどなたなのかという確認なんですが、やっていただけましたでしょうか。

盛山国務大臣 この推薦状を受け取ったと思われる一つ目の、写真というんですかね、そちらの方でございますが、地元の事務所に、秘書に確認いたしましたけれども、これについて、この写真では判断がつかないという答えでありました。

 そして、もう一つ、頑張ろうの方の写真でございますね。これにつきましても、事務所に確認しましたけれども、この写真では判断がつかないという返事でありました。

鈴木(庸)委員 念入りに確認していただければと思います。この問題は、明日もやりますし、来週も道下議員とか山岸議員がやると思いますので、確認できない、確認できないで終わる話ではないと思っておりますので、是非、丁寧な御確認を改めてお願いを申し上げます。

 次に、旧統一教会の協定についても、御記憶が定かでない中で、仮に結んでいたとしても破棄したという認識でいらしたと思うんですが、そのとおりでよろしいでしょうか。

盛山国務大臣 破棄したというのは、推薦書を頂戴していたとしたらそれは破棄したということでございまして、確認書については、サインしたかどうかも覚えていないと申し上げましたけれども、それ自体を頂戴していないのではないかと思います。

鈴木(庸)委員 頂戴していないのに破棄したという認識ということなんですか。それは具体的に御説明いただきたいんですけれども。

盛山国務大臣 先日来御答弁申し上げているのは、推薦状その他については破棄しましたと申し上げました。しかしながら、確認書そのものについては、サインをしたかどうかを含めて、よく記憶にない。つまり、我々の手元にはそもそもなかったのではないかと考えております。

鈴木(庸)委員 選挙のときに、推薦団体とか等、リストも作らない事務所ということなんでしょうか。現物がないとおっしゃっていても、そのリストぐらいもないんですか。

盛山国務大臣 ごめんなさい、ちょっとよく聞こえなかったんですが、何がないとおっしゃった。(鈴木(庸)委員「リスト」と呼ぶ)リスト。

 頂戴したリストというのは、もう選挙の最中でばたばたしておりますので、うちの事務所ではとても作る余裕がなく、いただいたものについてのリストは残念ながらございません。

鈴木(庸)委員 リストもないということなんですね。分かりました。前提はいただきました。

 では、文部科学大臣にまたお聞きしたいんですが、そもそも、旧統一教会に対して解散命令請求を出した理由は何でしょうか。

盛山国務大臣 それは、内容が大変悪質であるということ、それから組織的にこういう行為をしているということ、そしてまた長期にわたってこういう行動がされている、そういうことから、当該団体については、宗教法人法に言う宗教法人として解散すべきであるということで、我々の方から東京地方裁判所に対しまして解散命令請求を出したということでございます。

鈴木(庸)委員 そうですね。

 十月十二日に、解散請求に際しての記者会見でも大臣は、相手方の正常な判断が妨げられる状態で献金や物品の購入をさせ、多くの方々に多額の被害を被らせ、親族を含む多くの方々の生活の平穏を害する行為を行ったとおっしゃっています。さらに、旧統一教会の行為は、財産的利得を目的として献金の獲得や物品販売に当たり、多くの方々を不安や混乱に陥れ、その親族を含む多くの方々に財産的、精神的犠牲を余儀なくさせて、その生活の平穏を害するものでしたともおっしゃっております。

 この認識は今も変わらないということでよろしいでしょうか。

盛山国務大臣 それは、おっしゃるとおり、そういう認識は全く変わっておりません。

鈴木(庸)委員 安心しました。

 では、こちらの写真なんですけれども、こちらは、先ほどの源馬議員の質疑でもあったんですけれども、この写真に写っている方、これは盛山さん本人でよろしいですよね。

盛山国務大臣 この写真でございますね。はい、私だろうと思います。

鈴木(庸)委員 この上に、主催、世界平和連合と書かれているのは読み込めますでしょうか。

盛山国務大臣 はい、この写真からそのように理解できます。

鈴木(庸)委員 となると、盛山大臣が、この世界平和連合、旧統一教会に個人演説会を開いてもらい、そこにいたということまではお認めいただけますね。

盛山国務大臣 それについては、これまで御答弁申し上げたとおりでございますが、選挙区の有権者の方から、ミニ集会を開くので是非来てくれ、そういうようなお声がけがあったものですから伺いました。こういう団体のこういう会であるという認識はございませんでした。

鈴木(庸)委員 選挙依頼はしていないと繰り返しおっしゃっているんですけれども、この場で大臣が力をかしてくれとおっしゃっていたという証言がいろいろなメディアで出ているのは御案内のとおりかと思います。

 でも、依頼もしないのに自主的に、二万五千件もの電話番号を用意して、自分の携帯電話のプランを変更してまで電話かけをやってくれたということなんですかね。お願いはされていないんですか。

盛山国務大臣 こちらから、選挙の応援依頼、電話かけ、そういったことをお願いしたということはございません。

鈴木(庸)委員 大変御記憶が曖昧ということなので、一般論として伺わせてください。

 こうした団体と協力、協定を結んでいる政治家、そして、この団体の信者が多数集まる国政報告会で、皆さんの声を国に届けたいから力をかしてほしいと拳を突き上げている政治家がいたとしたら、一般論として、大臣はどう思われますでしょうか。

盛山国務大臣 この写真を見る限りでは、関係者であるように一般の方からは見えるのではないかと思われます。

 ただ、繰り返し申しますが、私は、そういう団体であるということを全く知らずに、あるいは知らされずに、そこへ伺ったということでございます。

鈴木(庸)委員 また知らずという話が出てきたんですけれども、博士号を二つお持ちで、本当に多くの著作のある盛山大臣、国会議員、本当に多くいますけれども、本当に頭脳明晰な方の一人だなと、私は個人的に本当に感銘を受けておりました。そういう方が、二百近くの協定を結んで、どれがどんな政策で、どれに署名したかもよく分からない。さらに、皆さんの声を国政に届けたいから力をかしてほしいと言ったか言っていないかも分からないし、どの団体で言ったのかも覚えていない。となると、旧統一教会以外で盛山さんを応援していた皆さんはどう思われますかね。

盛山国務大臣 私のことをよく知っていらっしゃる支援者の方は、私のことを信じてくださるものと考えております。

鈴木(庸)委員 この協定の話があったら、さすがに文部科学大臣には指名されていないと思うんですけれども。

 率直に伺います。大臣はうそをついていたんですか。

盛山国務大臣 先ほど御指摘の二百を超える協定を結んだということは、決してそうではないと思います。二百以上のところから推薦状はもらいましたが、協定はそれほど多くなかったと思います。それから、協定そのもの自体を結んだかどうか、残念ながら覚えていないということでございます。

 それで、うそをついていたのではないかというお問合せに対しましては、先日来御答弁申し上げておりますとおり、二〇二二年九月、自民党に報告をした段階では、こういった会合に出たことすら全く記憶にありませんでしたし、選挙戦のばたばただったということもあって、当然、私だけではなく地元の事務所その他ともチェックをして、二〇二二年九月に自民党に報告したわけでございますけれども、そのときに把握できたのは二〇二二年の三月のもの一件だったということでございまして、虚偽の報告をしようという作為的な思いは一切ございませんでした。

鈴木(庸)委員 本当に覚えていないなら、大臣の重責を担えるのかという疑問も生じるんですけれども。

 さらに、教団側が推進している家庭教育支援法とか青少年健全育成基本法の制定に取り組むとの約束もこの協定の中にはあったと言われております。今は関係ないと強弁しても、これからまた我々が知らないことが出てくると、教育行政のトップとして、どこまで団体の意見に考えを引っ張られているのかという大変不安なところもございます。

 その上で、もう一度聞かせてください。御記憶がないということなので、一般論として伺います。

 ある政治家が旧統一教会と協定を結んで、彼らが開いた演説会で皆さんの声を国政にと拳を突き上げて協力を約束、その一方で、団体に解散請求をするという方が文部科学大臣の任にふさわしいと思いますでしょうか。

盛山国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、私が伺った段階では、地元の有権者の方からのお声がけでそういう会合に伺ったということでございます。そしてまた、何度も申し上げましているとおり、既に教団側とは関係を絶つということをはっきり明らかにしております。

 そしてまた、大臣就任以来、特に解散命令請求を始め旧統一教会関係のものについてはしっかりと対応をしてきたつもりでございますので、そういうような姿を御覧いただきたいと私は考えております。

鈴木(庸)委員 世論の動き等々もあると思いますけれども、大臣御自身も、是非記憶を思い起こしていただいて、御自身の出処進退について適切な判断をされていただきたいと思います。

 林官房長官にも伺わせてください。

 今は、正直、黙った者勝ちになっているような感じがするんですね。新たな関係が判明したらその都度対応するということでは、言い方を変えれば、新たな関係が判明しなければ黙っていた者勝ちになってしまう。

 午前中の質疑で藤岡議員も指摘していたんですけれども、林官房長官も何ら関わりがないとおっしゃっていたんですけれども、今回判明してしまった。災害や緊急対応では、やはり官房長官の発する情報、言葉が国民にとって最も信用に値する情報と考えております。そのときに、林官房長官のこの対応では、国民は何を信用すればいいのか、信頼すればいいのか。

 今後、林官房長官と教団とのつながりが新たに判明したときにはどのような対応を取られるんでしょうか。また忘れていましたで済ませるんでしょうか。

林国務大臣 まず、前段のところでございます。

 外務大臣の当時の令和四年八月の記者会見において、二〇一二年に旧統一教会関連団体から取材を受けたことが確認された旨を明らかにした上で、旧統一教会関連団体に関して、今回点検を行った限り、御指摘の団体から献金や選挙活動の支援を受けたことはない、こういうふうに説明をしておったところでございます。

 また、午前中の質疑でも申し上げましたように、いずれにいたしましても、旧統一教会及び関連団体から選挙の活動の支援や寄附を受けていないと申し上げたとおりでありますが、仮に何らかの接点について御指摘があれば、基本方針に基づいて、その都度、適切に説明をしていきたいと考えております。

鈴木(庸)委員 おととし十二月二十三日の岸田派のパーティーで、林官房長官が、泥をかぶることがリーダーの大事な資質だ、まさに岸田首相はそれをおやりになっている、仲間はどうするか、一緒になって泥をかぶろうじゃないかと。個人的には好きなお言葉なんですけれども、泥をかぶる仲間意識を共有する前に、お互いに汚くなっているなら、是非身ぎれいにしていただきたいと思います。

 では、官房長官、盛山大臣、御退出いただいて結構です。ありがとうございました。

小野寺委員長 それでは、盛山大臣、林大臣、御退出されて結構です。

鈴木(庸)委員 続いて、外務大臣に伺います。

 UNRWAを含む国際機関への拠出金の在り方について教えてください。

 私、去年十一月の衆議院外務委員会で、上川大臣は、UNRWAの本部へ直接行って、実態について把握できて、大変大切な情報を得たと答弁していらっしゃいます。

 具体的に、何を見て、何が大切な情報だったんでしょうか。

上川国務大臣 私は、委員御指摘のとおり、昨年十一月でありますが、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンを訪問をいたしました。

 ヨルダンにはUNRWAの本部がございます。ラザリーニ事務局長を始め職員の皆様も御参加の下で、ガザ地区の人道状況、またUNRWAの活動につきまして説明を受けるとともに、テロ攻撃が発生したことによりまして故郷でありますガザ地区に帰ることができなくなった子供たちと再会をいたしました。こうした子供たちの未来、これを実現する政治の役割、また各国の指導者の役割につきまして適切に感じたところであります。

 その上で、憎しみや悲しみの連鎖、これを断ち切ること、そして、共に生きる二国家解決の未来への支援、これにつきましては、イスラエル、パレスチナ双方と良好な関係にある日本だからこその役割であるということを認識したところでございます。

鈴木(庸)委員 外務委員会で十一月に、私は、UNRWA自体が、幹部の汚職や暴力、テロを推奨する活動に資金を提供するために欧州援助基金を使用していることとか、また、継続的にソーシャルメディアでテロをサポートしているような情報をアップしている人たちを教員として採用していること、多くの問題点がある組織だと指摘をさせていただきました。

 しかし、百億円拠出するということになりました。しかし、その百億円の積算根拠は、当時、明示をされませんでした。

 重ねて伺います。この百億円の積算根拠は何なんでしょうか。

上川国務大臣 ガザ地区におきましては、極めて深刻な人道状況が発生しているというふうに考えておりまして、とりわけ、未来のある子供たち、また、女性、高齢者が被害に遭っていることを踏まえまして、ガザ地区の人々一人一人に一日も早く必要な支援を届けることが優先課題である、こうした認識を強くしたところであります。

 その上で、パレスチナに対しまして、令和五年度補正予算等におきまして、総額約六千五百万ドルの追加的な人道支援を決定したところであります。

 このうち、この令和五年度の補正予算でございますが、これは、関係する国際機関からのニーズ、これを確認し、また精査した上で、母子保健、医療サービス等の分野における人道支援として、国連パレスチナ難民救済事業機関でありますUNRWA、また世界食糧計画でありますWFP、また国際赤十字・赤新月社連盟に対しまして、こうした機関に対しまして六千万ドルの支援を決定しているところでございます。

 なお、UNRWAへの拠出につきましては、今般のUNRWA職員への疑惑を受けまして、当面の間、令和五年度補正予算に基づく追加的な資金拠出につきまして、一時停止をしているところでございます。

 そのほかでありますが、当初予算といたしましては、日本のNGOによる協力といたしまして、ジャパン・プラットフォームを通じまして、食料、生活物資、保健、医療、水、衛生などの分野につきまして、約四百四十万ドルの支援を実施している状況でございます。

鈴木(庸)委員 後づけでいろいろ理由はできると思うんですが、正直、当時は、百億のつかみ金だったと私は思っているんですが、百億円について、なぜ、例えば、万博で三百五十億円のリングが造られるとなったら、世論は大きく反発をいたしました。しかし、百億円については全くそういった声が聞こえてこないのは、絶望的な状況に置かれている人たちが、少しでも希望を持っていただきたいという日本人の優しさだと思うんですね。

 ですから、そういった心に真摯に対応していただきたいと思うんですが、正直、ちょっとばたばた感が否めないなと。多くの国際機関から問題が指摘されている組織に、大臣自ら確認してきたから百億円拠出する、しかし、今度は問題が起きたからやはりやめる。

 例えば、ノルウェーとかEUとかは、ぶつぶつ言いながらも支援を継続する方針であるんですけれども、UNRWAへのサービスが滞るということは、シリア、ヨルダン、レバノンに在住するパレスチナ難民の生活水準にも大変な影響を与えてくるわけでございます。

 さらに、アラブ諸国の世論を中心に、資金拠出の停止は、パレスチナ難民に余りにもひどく、アラブ諸国の対日感情にも少なからず影響を与えるとともに、一部の専門家は、停止による影響を考えると、やはり支援するなら一貫性と中立性、そして、人道的支援から、慎重に、かつ大胆にやるものだという御意見もございます。

 ですから、是非、一貫性を持った支援をお願いしたいと思うんですけれども、日本には独自の基準があるんでしょうか、こういった停止するときに。それとも、アメリカやカナダ、イギリスがやったから右に倣えということになってくるんでしょうか。

上川国務大臣 まず、国連、国際機関への拠出金の一時停止でございますが、一時停止の全般につきましては、日本政府としての独自の基準をあらかじめ設けておらないわけでございまして、個別の事情に応じまして判断を随時行っているところでございます。

 ドナー国がございます。それぞれの異なるお立場に置かれておりまして、緊密にコミュニケーションを取るものの、各国は、各国のそれぞれの判断で国際機関への拠出の停止や再開につきまして判断をしているものというふうに考えております。

 UNRWAについて申し上げるところでございますが、当該機関の職員が昨年十月七日のテロ攻撃に関与したとの疑惑を踏まえまして、国連による調査が行われ、対応策が検討されるまでの当面の間、UNRWAへの資金拠出を一時停止したところでございます。

 UNRWAにおきましては、本来の役割をしっかりと果たしていただきたいと願っておりますので、国連やまたUNRWA、関係国と緊密にコミュニケーションを取りながら、UNRWAのガバナンス、この強化を含めまして、適切な対応を取ることを強く求めつつ、また、調査に積極的に協力してまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 全面的に一時停止するのではなくて、是非、細目に分けて、人道的なものについては出すとか、柔軟な対応をお願いできればと思います。

 アメリカでも、ウクライナへの巨額の支援の慎重論を説き続ける共和党に配慮して、ウクライナ国内でアメリカの支援が適正に使われているかどうかを調べる検証チームが派遣をされております。

 昨日のニュースでは、国連もUNRWAを検証する独立調査団の立ち上げを発表しているんですけれども、日本でも、つかみ金を渡して、あとは相手任せといった雰囲気のある諸外国への支援について、是非、我々国民の税金がきちんと現地の人々のために使われて将来的な国益に資するといったことをプロジェクトごとに調べる検証チームのようなものが必要かと考えるんですが、そうしたチームの発足について御検討いただくことはできないでしょうか。

上川国務大臣 委員からも、さきの委員会におきまして、このUNRWAにつきまして非常に厳しいお声もいただきましたし、また、適正にこれを運用していくことの重要性ということについては、極めて重要であるということを私自身も肝に銘じながら、UNRWAとの関わりの中で、この間、努力してきたところであります。

 改めて、UNRWAが対ウクライナ支援にとりまして様々な人道支援を行ってきたというこれまでの成果、実績の上で、しっかりとしたガバナンスの下で、自信を持って取り組んでいただくことができるように、この調査につきましては見守っていくと同時に、この調査にも協力してまいりたいというふうに思っております。

 我が国におきまして同じような検証チームをつくるかどうかということにつきましては、これについて今検討はしておりませんけれども、いずれにいたしましても、しっかり検証した上で、そしてガバナンスの強化を含めました取組をしっかりと提示していただく中で、UNRWAの活動が再開できるような方向に向けて私どもも努力してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。チームなり、検討を是非よろしくお願い申し上げます。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 お手元に配付しているグラフを御覧いただきたいんですが、これは東京新聞の記事で、財務省の資料を分析して、租税特別措置の恩恵をどの業界が受けているのかというものを示したものです。

 自民党が政権復帰後の一三年度以降、一九年度までの租税特別措置による政策減税の減税額は六・八兆円に上りまして、業界別では、自動車など輸送用機械器具製造業が一・四兆円、これに八千七百億円の化学工業、五千三百億円の電気器具製造業などとなっております。

 これは、右の側のグラフと比較してみると、やはり自民党の政治献金の受皿団体、国民政治協会への業界別献金額でも輸送用機械器具製造業がトップで、二番目は電気機械器具製造業ということで、比例しているのではないかと推察できるんですが、まず、この比例関係について、財務大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

鈴木国務大臣 結論から申し上げますと、政治献金と租税特別措置の相関関係はございません。

 先日、予算委員会におきまして岸田総理も御質問に対する答弁をしたわけでありますが、総理も、献金と政策が直結しているかのような言い方は当たらないと答弁をされました。

 租税特別措置につきましても、政治献金の有無ではなくて、あくまで政策的な必要性等に基づき講じられるものでありまして、献金とそれから租税特別措置は直結するものではないと考えております。

鈴木(庸)委員 でも、GDPにおける第三次産業は約七割ですけれども、サービス業は、賃上げ税制などは使えますけれども、租税特別措置の六割を占める研究開発減税というのは大変使いにくい減税となっています。

 こうした日本の産業構造に即していない減税体系になっていることについて、改めて、これは献金が原因でないならば、何でこうなってしまっているんでしょうか。

鈴木国務大臣 そもそも租税特別措置は、特定の業界を優遇することを目的とするものではなくて、研究開発投資や賃上げの促進など、特定の政策目的を達成することを目指して講じられるものであります。

 各措置の適用を受ける対象者につきましては、業種別に一定程度の集中が生じる場合もあります。これは事実でありますが、これは、研究開発投資や賃上げの促進といった政策目的の性質や、各租税特別措置の適用要件を満たす取組を各企業がどの程度行ったかなどにより、結果として生じるものであります。繰り返しになりますが、特定業種を優遇することを目的としてこうした措置を講じているものではございません。

 例えば、賃上げ促進税制につきましては、サービス業を含め、業種にとらわれず幅広く活用されておりまして、今回の改正においても、賃上げの裾野を広げ、物価高に負けない賃上げを実現するため、本税制を強化することといたしているところでございます。

鈴木(庸)委員 そうおっしゃるんですが、経団連は、代々会長が、政治献金は民主政治を維持するためのコストとして、社会貢献をするのは企業の責任と言っていますけれども、神戸学院大学の上脇教授なんかは、企業・団体献金の問題点として、企業が株主から金を集めるのは経済活動のためなのに、その資金の一部を政治献金に充てるのは、日本中の株主が自民党を支持しているわけじゃないですから、献金先の政党を支持しない株主の思想、良心の自由を侵害しているという指摘もございます。

 この指摘について、総務大臣、どのように思われますでしょうか。

松本国務大臣 委員からの御質問がございました企業・団体献金につきまして、株式会社について規定していた当時の商法、現在の会社法に関する判決で、これについては、その後の判決でも引用されているものでございますが、会社の権利能力に関しまして、企業は、憲法上の政治活動の自由の一環として、政治資金の寄附の自由を有するとの昭和四十五年の最高裁の判決がございます。

 当該判決では、会社が、その社会的役割を果たすために出捐をすることは、社会通念上、会社としてむしろ当然のことに属する、これらの行為が会社の権利能力の範囲内にあると解しても、何ら株主等の利益を害するおそれはない、以上のことわりは、会社が政党に政治資金を寄附する場合においても同様とされていると承知をしております。

鈴木(庸)委員 終わります。

 厚生労働大臣、せっかくお越しいただいたのに、質問の時間がなく、大変失礼をいたしました。申し訳ありませんでした。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 立憲民主党の篠原豪でございます。

 質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、外交、安保について主に聞かせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 まず、ウクライナ情勢とアメリカの大統領選挙をめぐる政治的対立の影響についてお伺いさせていただきます。

 今、鈴木委員からもありましたけれども、アメリカのウクライナ予算がかなりの数の下院共和党の議員の反対で執行ができないという状況が懸念されていまして、これは、もう毎日、今でもニュースになっているところでございます。

 一方の欧州のNATOの諸国を見てみますと、緊張感が高まる状況にありまして、大規模な軍事演習を今実施をしています。これはなぜかといえば、仮にロシアの侵攻が、これが、戦争でウクライナを獲得した結果を認めることになれば、近い将来、プーチン大統領が再びウクライナを実質的な支配下に置くという行動に出ることが避けられないわけです。そういった状況がある以上、近隣のNATO諸国の懸念は今物すごく強くなっていまして、これはもう、もはや続けるわけにいかないので、どのような形で戦争を終わらせるのかということが問われるフェーズに入ってきているんだと思います。

 ただ、今、停戦交渉に入ると、ゼレンスキー大統領が主張するロシア軍の撤退や領土の一体性、そして戦争犯罪の追及は、かなり曖昧なものにならざるを得ない。

 これは、資料の一枚目ですけれども、林外務大臣の御答弁を御覧いただければと思います。資料の一の二枚目なんですけれども、上の部分ですけれども。

 端的に言いますと、マーカーしているところの必要なところだけ読みますけれども、国際社会は、ロシアの侵略により、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないと考えています、我が国は、G7各国、国際社会とともに、ロシアに対して強い制裁権限を取っていきますということでございまして、これは認められない、今回のロシアによるウクライナの侵略は、力による一方的な現状変更の試みであるから、国際秩序の根幹を揺るがす明白な国際法違反であるというふうに言っています。

 ただ、常任理事国によるウクライナ侵攻は、国連憲章を中核とする国際秩序を揺るがすもので、絶対に容認できないとしてきた日本政府の立場は分かりますけれども、今のこの状況を迎えてきた中で、現状を考えて、政府はどのように今の時点で停戦について考えているのかということをまずお伺いしたいと思います。

上川国務大臣 ロシアのウクライナ侵略でございますが、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でありまして、ウクライナの主権及び領土一体性を侵害し、国連憲章を始めとする国際法の諸原則に違反するものであります。

 ロシアによるウクライナ侵略の開始以来、日本は、G7、これを始めとする同志国と連携をし、力による一方的な現状変更の試みを許さず、ロシアの侵略を止め、一日も早く公正かつ永続的な平和をウクライナに実現するため、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進していくという立場で一致しているところであります。

 委員御指摘のとおり、ロシアはウクライナに対する攻撃を続けておりまして、プーチン大統領も、併合したウクライナの一部地域は交渉の対象ではない、こうした趣旨の発言を繰り返すなど、ロシアが和平に向けて歩み寄ろうとする兆しは一切見られないという状況でございます。

 こうした中におきまして、ウクライナが懸命に祖国を守る努力を続ける中で、あり得べき停戦交渉の在り方等、ウクライナの将来を決める交渉につきましてどう臨むのかにつきましては、まずもってウクライナの人々の意思によるものでなければならないと考えているところでございます。

 その意味で、我が国の責務でありますが、国際社会が結束してウクライナに寄り添った対応を続けていく、この努力につきましては継続をしてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 その基本的な立場は今までと変わらないということなんですが、停戦を、どういうふうに、なった場合に、我が国としてウクライナを支援していくのか、ロシアによる再侵略を二度と起こせない保証を取るということも考えなければいけないんだと思います。

 私は、そういった場合においては、保証とは、ウクライナのNATO加盟をロシアが承認することであるというふうに考えているんですけれども、このことについては政府はどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。短めに。

上川国務大臣 平和の状態に持っていくための様々な努力につきましては、今先生が御指摘にあったようなお考え方もあるだろうし、今申し上げたように、対ロ制裁を厳しくして、そしてウクライナの支援については、これを継続していくという揺るぎない支援ということについての立場をしっかりと表明していくということも大事かと思います。

 いろいろなアプローチがあろうかと思います。委員の様々な御指摘につきましても、その一つであると認識しております。

篠原(豪)委員 確かに、今、停戦交渉が俎上に上っているわけでは実際にないので。

 ただ、その先を考えなければいけない。クリミアの侵攻を主導したプーチン大統領という存在が元々あって、安倍総理の地元に呼んで、事実上侵攻を認めるような対ロ外交をこれまで進めてきたというのが日本だと思います。

 それを、林外務大臣になって、これは何度も答弁されていますけれども、ウクライナ侵攻をはっきりと断罪しているわけです。そして、国際秩序を守ることが、法の支配に基づいてやっていくことが日本外交の基本であるということは画期的なことだと思いますし、これはしっかりと上川外務大臣にも引き継いでいっていただきたいと思うんです。

 一つ端的に教えていただきたいんですけれども、ウクライナのNATO加盟を日本は応援しているんでしょうか。

上川国務大臣 これは、ウクライナの意思、そして同時にNATO諸国の意思ということになりますので、そこの当事者の意思というものを尊重するというのが基本であると考えております。

篠原(豪)委員 ウクライナはそういった意思を示していますので、そういうことだということで、分かりました。

 トランプさんが今度大統領選挙に出るんじゃないか、そして力頼みの秩序が、これは私は力頼みの秩序の到来の時代と思っているんですが、加速するかもしれないと言われています。

 資料の二枚目を御覧ください。

 フランシス・フクヤマ氏、この方の、米大統領選が世界秩序の未来を左右するとの論説があります。仮に、自国第一主義を唱えるトランプさんが大統領に返り咲いた場合には、これまでトランプさんはNATO脱退の意向を明白にしているんですよね、そういった方が、協調よりも力が物を言う競争と対立に満ちた弱肉強食の世界が現実になる可能性をつくっていくんじゃないかということが、参考資料に書かせていただいているように、二枚目です、資料の二です、フランシス・フクヤマさんの評価ですけれども、可能性が高い。そうすると、ロシアや中国の影響で国際社会が権威主義や覇権主義の傾向を強めていくということになると思われます。

 こうした予測困難で力頼みの秩序の到来を防ぐにはどのようにすべきか、政府としてはどのようにトランプさんのことも含めて考えているかということをお伺いしたいんですが、その中で、四月に予定されている総理の国賓訪米は、広くアメリカの政界に接して日本の立場を直接説明する機会にもなると思いますので、今お伺いしたことについて、アメリカでも説明するということも含めて、どのように生かすかということの展望までお聞かせいただければと思います。

上川国務大臣 本年は、まさに御指摘のアメリカの大統領選挙を始めといたしまして、多くの国で重要な選挙が控えている状況であります。そんな中にありまして、ウクライナ、中東を始めとした国際社会が大きな局面を迎えていると認識をしております。日本外交にとりましても正念場であるというふうに考えております。

 しかしながら、それらの選挙の結果がいかなるものとなろうとも、私は、国際社会を分断や対立ではなく協調に導くとの姿勢、これは堅持をし、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化を強く世界に訴えるとともに、人間の尊厳を中心に据えた外交を積極的に展開していく、この姿勢については揺るぎないもので臨む必要があると考えております。

 その際、基本的価値を共有する我が国唯一の同盟国である米国との連携は不可欠でありまして、引き続き、その一層の強化に努める所存でございます。

 四月に予定されております岸田総理大臣の公式訪米につきましては、この日米両国の緊密な連携を一層深め、強固な日米同盟を世界に示す上で大変有意義なものになるというふうに考えております。

篠原(豪)委員 アメリカに行っていただいてお話ししていただきたいのは、やはり、国際安全保障に対するアメリカの積極的な関与が選挙結果次第によっては得られなくなるんじゃないかという懸念が、これは広く国際的にも共有されていますので、ここのところは非常に大事なので、今おっしゃったお話をしっかりと日本の立場としても広めて、いろいろな方々にお伝えしていただいて、それをまたその後の日本の外交、どんな選挙結果になろうとも、貫いていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、ガザの情勢についてお伺いいたします。

 これも大変悲惨な状況でございまして、今日も質疑の中で幾つかあったと思いますけれども、やはりこれは、和平交渉の最大の障害は、ハマスがイスラエルの存在を認めていないこと。

 参考資料の三番をつけさせていただいているんですけれども、イスラエルの侵攻は国際人道法に反している。ハマスの大規模攻撃が国際法違反であるにせよ、これは自衛権の範囲を大きく逸脱をしているのではないかということで、これを指摘したところで、ネタニヤフ首相は、イスラエルの軍事攻撃をやめるように説得するのは難しい、今、こういう状態でございます。

 この中で、最終和平を迎えるためには、やはりハマスとイスラエル双方に二国家共存を認めさせることが条件なんじゃないかというふうに考えます。バイデン大統領も、実際にネタニヤフ首相と電話協議で、パレスチナ国家の樹立を前提とする二国家解決が実現可能だと説得しています。ですので、日本としても、二国家解決の支援に努めるため、イスラエル、パレスチナ双方に寄り添う外交をどのように進めていくのかが問われていると思います。

 このことについて、今、この二国家で共存を認めるのか認めないのか、日本としては、アメリカのバイデンさんもそのようなことをネタニヤフさんに言っていますので、これについて、日本の外交の立場として今どういうふうな考えをお持ちなのかをお伺いします。

上川国務大臣 まず、二〇〇七年の六月にハマスが武力により実効支配を開始するまでは、ガザ地区はパレスチナ自治政府による統治が行われてきているところでございまして、日本政府といたしましては、このガザ地区におけるパレスチナ自治政府の実効的な統治の確立を通じた同地区の安定化が重要という立場でこの間進めてまいりました。

 今般、ハマスによりますテロ攻撃を断固として反対、非難しているところでございます。その上で、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家がまさに平和かつ安全に共存する二国家解決を一貫して支持してきておりまして、今後もこのような立場に基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 二国家共存を認めさせることが最終的な和平の条件であるということはもう皆さん分かっていらっしゃることだと思いますので、ここを日本がしっかりと、両方とも話ができる、そういった国としてやはり押していくということは大事なので、是非、上川大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、台湾情勢についてお伺いをいたします。

 台湾で一月に総統選挙がありました。親米の民進党政権が継続することになったわけですが、中国による台湾の統一政策が、引き続き、台湾のみならず日米の大きな脅威になっている。これはもう国民の皆さんも非常に心配されているところだと思います。

 既に今、台湾で何が起きているかというと、議会の多数派を民進党は失いましたので、親中派の議長の誕生を受け入れざるを得なかったということになっています。

 それで、中国は今、資料の四枚目なんですけれども、御覧いただければと思いますが、これは東京大学の松田教授の分析でございます。マーカーを引かせていただいているところでございます、二枚目の左側のところですけれども、中国は、弱い民進党政権の誕生を見て、次期二〇二八年の総統選挙で民進党政権を引きずり降ろすために、これは松田さんが書いていることですね、外交的、経済的、軍事的威圧が継続される可能性が極めて高いと考えているということでございます。

 これに対しまして、日本は、日本政府として、この総統選挙を受けて、今の現状をどういうふうに把握しているかということをお伺いをします。

上川国務大臣 この両岸の関係についてでございますが、まさに経済分野を中心に深い結びつきを有している一方で、二〇二二年の八月には中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を実施するなど、不安定な情勢が続いている状況でございます。

 この台湾海峡の平和と安定につきましては、極めて、日本の安全保障はもとよりでありますが、国際社会全体の安定にとりましても重要であると認識をしているところであります。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待をするというのが、従来からの一貫した日本の立場でございます。

 我が国といたしましても、今後も両岸関係の推移をしっかりと注視をしてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 私の質問は、弱い民進党ができたということで考えている中国が、二〇二八年のときに、どういうふうに民進党政権に対してこれから行動していくのか、四年間。その観点は物すごい重要なんです。

 例えば、二〇二一年に、アメリカのインド太平洋司令官のデービッドソンさんが、これは防衛大臣はよく御存じだと思いますけれども、六年以内に、二〇二七年までに中国による軍事侵攻があると指摘したことで、我が国の体制も、これを使って、防衛費を上げて、スタンドオフミサイルを造って、いろいろ対処をするためにやってきているわけですね。

 ただ、国際情勢というのは変わってきますから、その中でどういうふうに物事を進めていくのかということはやはり検討してどんどんやっていかないといけないということでございますので、お伺いをしたまででございます。一般論しかお答えされていないので、今日は時間がないのでここまでにさせていただきます。

 日本として重要なことは、やはり、台湾の野党、中国と対話を進めている側との緊張緩和も同時に進めることなんじゃないかというふうに考えます。予算や法案の審議を行う立法院で多数を持つのが野党ですから、そうなると、対話を進めることを考えるためには、やはりこれは外務省としても努力を、国としても努力をしなければいけない。もちろん、国民の皆さんとの相互関係、相互の交流というのも大事でしょう。それだけじゃなくて、やはり政府全体としてどのようにやっていくのかということがあります。

 他方、台湾についてどういうふうに考えているのかという話と、もう一つお伺いしたいのは、中国に対しても、アメリカは今、商務長官を訪中させるなど、中国との対話強化も進めているんです。これはアメリカがやっていることですけれども、日本も、アメリカ同様、中国との交渉チャンネルを確立して緊張緩和に努める必要があるかどうか、どういうふうに考えているかということをお伺いさせていただきたいと思います。その見通しまでお願いします。

上川国務大臣 先ほど答弁申し上げたところでございますが、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であると考えております。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、我が国の従来からの一貫した立場でございます。

 我が国といたしましては、こうした立場を中国側に直接伝えるとともに、関係各国の共通の立場として明確に発信してまいりました。この点、昨年十一月に、日中外相会談におきましても、私から王毅外交部長に対しまして、台湾海峡の平和と安定の重要性、これについて強調してきたところであります。

 同時に、台湾は、我が国にとりまして、基本的価値を共有し、また、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであります。そして、大切な友人であります。政府といたしましては、従来からの基本的立場を踏まえ、日台間の各界におきましての協力、また交流の深化、これを図ってまいりたいと考えております。

 我が国といたしましても、両岸の関係の推移をしっかりと注視して外交努力を重ねていくということが基本であるというふうに思っております。

 中国との間でございますが、昨年の日中外相会談におきましても、中国との間におきましては、戦略的互恵関係、この包括的な推進ということについて、また、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含めまして対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、こうした建設的な、かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていく、これが我が国の一貫した方針でございます。

 引き続き、委員の御指摘のとおり、本件も含め、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図ってまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 両方ありますのでね。

 だから、大事なのは、やはり、台湾有事において、自衛隊、何でこの話をしているかというと、日本の領土防衛、これを日本は第一義にしているわけで、台湾有事というものについて、もし何かあった場合にどうしたらいいかとやはり考えなきゃいけない中で、交渉というのも、今本当に、両方きちっと国民の皆さんに分かっていただかないと、何かすごく心配される声が多いので、今お話をさせていただいています。

 もちろん、中国が武力を用いた現状変更の誘惑を感じないように、抑止体制を維持することは重要です。そして、万が一台湾有事になったときにどうするかということを考えていくことが、日本は大事なんだと思います。

 アメリカは、恐らく中国に対する勝利というものを最優先に考えるのではないかと思います。自衛隊は、あくまでも日本の領土防衛を最重要課題としていますので、なので、これは、できるだけ中国との衝突を避けて、不測の事態が起きた場合でも、全面戦争への拡大を防ぐことが日本の場合は基本で、日米の立場というものは、目的がどこに設定されるかということで根本的に異なっていく可能性があるわけです。

 このことについて、どういうふうに今、政府は評価しているのか、どういうふうに考えているかということを防衛大臣に確認させていただきたいと思います。

木原国務大臣 まず、台湾有事という、そういった仮定の質問については、この場でお答えすることは差し控えます。委員は御理解いただけると思いますが。

 その上で、先ほど外務大臣からも答弁がありましたが、台湾海峡の平和と安定というものは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとって重要と考えておりまして、台湾をめぐる問題が対話によって平和的に解決されることを期待するというのが、防衛省を含めた政府としての従来からの一貫した立場であります。

 また、日米関係におきましては、昨年十月の、私、訪米して、オースティン長官と日米防衛大臣会談を行いましたが、そういった累次の機会を捉えて、台湾海峡の平和と安定の重要性について、こちらは一致してきているところであります。

 いずれにしても、政府として、いかなる事態に対しても対応できるように、引き続き、日米間で緊密に連携し、同盟の抑止力、対処力というものを強化してまいる所存です。

篠原(豪)委員 今のお話は一般的にはそうなんだと思いますけれども、一部の政治家や論者が、台湾有事は即日本の有事になるというようなことを言っていることがあるわけですよ。実際には憲法九条というものがあって、その憲法解釈の歴史に照らして、政府はそこら辺のことについてどういうふうに認識を共有しているのかということを、これは外務大臣にお伺いしたいんです。

 台湾侵攻で何が、もし仮にあった場合に、これは、もし一度起きてしまえば、例えば、台湾侵攻をした側が、侵攻が大失敗に終わって多くの戦死者が出れば、これはもう共産党政権の危機にも発展しかねないので、これは、中国はそこで諦めることはなく、ここをスタートに、その後何年も、軍事力を回復させて、再び統一を試みる可能性が極めて高いというふうに思います。

 ですので、この中で、中国の侵攻に伴う台湾有事は長い危機の始まりにすぎないので、絶対、台湾有事は避けなければいけないわけです。

 したがって、まず、日米としては、中国の侵攻を阻止できる能力と意思を示して、中国に台湾侵攻は無謀だと思わせる状況を維持するのが肝要でありますし、日米の抑止力の現状をやはりこれはしっかり考えなければいけないんですけれども、これは、憲法九条に関する憲法解釈の歴史に照らして、今言ったような整理というのは、政府はどういう認識を持っているのかということを、外務省としてお伺いさせていただきます。

上川国務大臣 台湾有事という仮定の御質問につきましては、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 その上で申し上げるところでございますが、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとりましても重要でございますので、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、従来からの一貫した立場を取っているものでございます。その上で、先ほど防衛大臣の方からも答弁をしたところでございます。

篠原(豪)委員 このことについては、また引き続き議論させていただきたいと思います。

 もう時間もないので、最後に日米韓連携について伺います。

 八月の十八日にキャンプ・デービッド会談で、これまで日米、米韓といったものが、日米韓のこれからの協力ということで、内容は、首相、外相、防衛相、安保担当の高官が毎年定期協議を行うとか、あるいは日米韓の共同演習、例えば対潜訓練、ミサイル防衛等を定例化するなど、そしてまた、北朝鮮のミサイルの探知の、情報のリアルタイム共有も年内に開始することであったというふうに記憶しています。実際にこれは行われていまして、例えば、韓国空軍と初めての合同空中演習の訓練がありました。

 この中で、ミサイル情報即時共有システムの問題点を一つ、これは今の問題なので取り上げさせていただきますけれども、このミサイル情報即時共有システムは、昨年の十二月に運用が始まりまして、先月の一月十四日の北朝鮮ミサイルの発射が初めての適用事態になりました。これは、米軍の早期警戒衛星が発射を探知をして、次いで、韓国軍のレーダーが上昇するミサイルを捉え、その情報がアメリカ軍を介して自衛隊と共有された結果、自衛隊レーダーも早期の追尾が可能になったということなんです。また、自衛隊が取得した情報も即時に韓国側に提供されたと言われています。

 しかし、今回、問題は、北朝鮮のミサイルの飛行距離については、日本側が少なくとも五百キロ、韓国側が千キロと発表して、大きく食い違っています。仮に千キロ飛行したとすれば、日本が射程に入り、我が国の安全が大きく損なわれるという事態になります。つまり、即時共有した情報でありながら、脅威認識が大きく異なるということで、日韓の対応が、いざという場合、そごを来して、トラブルの元になるんじゃないかと危惧をしています。

 こうした事態を政府としてどのように認識しているのか、また、問題があるとすれば、これはどのように解決されていこうとしているのか、防衛大臣にお伺いします。

木原国務大臣 御指摘のように、日米韓三か国というものは、昨年十二月にリアルタイム共有のメカニズムというものの運用が始まったわけであります。それ以降、メカニズムに基づいて、北朝鮮によるミサイル発射の情報について、適時適切にリアルタイム共有を行っているところであります。

 他方で、発射事案についての公表の内容や公表を行うタイミング、時期については、日本及び韓国、それぞれの総合的な判断においてなされるものと考えております。

 防衛省としても、それまでに自衛隊が得た情報、そして、同盟国等、これは米国も含む同盟国等から得た情報を慎重に精査しつつ、発射が我が国の安全保障に及ぼす影響などを総合的に勘案した上で公表してきているところであります。

 したがって、日本及び韓国の公表内容というものは、委員御指摘のように、必ずしも同一のものになるわけではない、それぞれの国が評価をいたします、分析、評価をしておりますので、同一のものとなるわけではないと認識しておりまして、問題があるということは考えておりません。

 いずれにしましても、防衛省としては、国民の生命財産を守り抜くために、引き続き、米国や韓国等とも緊密に連携して、必要な情報の収集、分析を行うとともに、警戒監視に万全を期してまいります。

篠原(豪)委員 問題がないということじゃなくて、やはり、少なくとも約五百キロと日本側が言って、韓国側は千キロと発表している。倍違うわけです。大きく食い違っているわけですね。これはやはり、どういうふうに評価していくのかというところが、これだけ違えば何なんだという話に、普通、聞いていればなるわけなので、ここはやはりしっかりやっていただきたいと思います。

 やはり、三か国で連携をすることによって、これまで日米とか米韓の二か国の同盟関係が軸とされてきた有事対応が、三か国に広がる可能性が出てきているわけです、今。

 今日は台湾の話をしましたけれども、時間がないのでいたしませんが、これは質問通告もしていませんけれども、これから日米韓の三か国は、日米連携の大きな意味は対北朝鮮対応であるということだけであれば、またそれはそうなんでしょうけれども、もし台湾と朝鮮半島に同時対処することになれば、これは韓国軍が台湾有事の対処にも関与するかどうかといったような議論も出てくると思います。

 このことはまだ始まったばかりなので、やはりしっかりと国民の皆さんに説明をして、我が国がどういうふうにかじを変えていって、そしてどういうふうに国民の皆様を守っていくのかということをやはり明らかにしていかなければいけないですし、建設的議論をさせていただきたいと思いますので、引き続き議論をさせていただきます。

 今日はありがとうございました。

小野寺委員長 これにて篠原君の質疑は終了いたしました。

 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。

 済みません、たくさんの大臣を呼ばせていただきましたので、よろしくお願いいたします。

 昨年来から自民党の裏金の報道がたくさんあるわけですけれども、この報道に接していながらずっと感じているのが、なぜ第三者委員会を設置して、これは自民党がですけれども、それをちゃんと調べないのかというのを一国民としてもずっと思っておりました。

 つい先日、先週末ですかね、弁護士も一部入って調査をしたという報道がありますけれども、ただ、これは第三者委員会ではなくて、あくまで内部調査というやり方であり、これは日弁連が発表している第三者委員会のガイドラインにまさに明確に書いてあるわけです。こういう報道に接していると、この政治の世界では第三者委員会というものが、余り皆さん理解していないんじゃないかというふうに思うんです。

 そこで、官房長官にお伺いしたいんですが、政府においてはこの第三者委員会というものをどのように設置してきたのか。例えば、今の岸田政権においては、政府の不祥事が起きたときに第三者委員会を設置した経緯があるのかどうか、教えてください。

林国務大臣 今、荒井委員から御指摘のありました、政府が不祥事を起こした場合に第三者委員会を設置して対応した事例について、明確な定義もないため、網羅的に件数を把握することは困難でございますが、例えば、国土交通省におきまして、建設工事受注動態統計調査、これにおいて不適切な処理がなされたことを受けて、令和三年十二月に検証委員会が開催された事例があると承知をしております。

 また、監督官庁が事業者に対して第三者委員会の開催を求めた事例についても網羅的に件数を把握することは困難でございますが、一般的には、不祥事を起こした事業者において第三者委員会を開催することもあるものというふうに考えております。

荒井委員 昨日、内閣官房の方と、レクを受けているときに、まさに内閣官房にはそういうふうに、第三者委員会がどれだけ設置されたかというのをカウントする機能はないんだということを教えていただいたわけですけれども。政府における不祥事みたいなものは政府にとって非常に重要なことだと思うんですが、そういったものをカウントするみたいなことが、各省に聞いてくださいという話で言われましたが、内閣官房長官のところでそれを押さえていないんだなというのはちょっと個人的にびっくりしました。是非、政府のガバナンスとしては、官房長官のところでそういった数が数えられるようにあっていただきたいなというふうに思っております。

 資料にも、まさに今、官房長官からお話しいただきました、二〇二一年ですね、国土交通省におけるまさにこの不祥事において、総理が予算委員会の最中に第三者委員会を設置するというお話をし、斉藤大臣もまさに第三者委員会を設置するということをそこで明言されているわけですね。

 ちなみに、このとき総理は、大変遺憾だ、経緯や原因を検証して再発防止を行い、信頼回復につなげなければいけないということを明言されていて、まさに第三者委員会、つまり自分たちではなくて外の人たちにちゃんと調査をしてもらうことが信頼回復につながるということを、総理も、また大臣も、そして政府全体でも共有されているんだというふうに思います。

 先ほど官房長官は、この設置の基準というのは明確ではないというふうにお話がありましたけれども、この第三者委員会の設置というものは、どういうふうに意思決定をしてなされるものなんでしょうか。これは総理がやるものなんですか、それとも各省の大臣が決めれば行えるものなんでしょうか。教えてください。

林国務大臣 一般論として、不祥事が生じた場合には、その原因の調査や再発防止策を講じることが重要であると考えております。

 一方で、不祥事の内容とか性質が様々でもございますので、どのような場合に第三者委員会を設置すべきかについて政府として一律の基準を設けること、これは難しいのではないかと考えておりますが、個別具体の事案の内容等に応じて原因究明、再発防止策を適切に講じること等によって適正な行政運営に努めてまいりたいと思っております。

 先ほど委員からは、総理がここで表明されたというお話がございましたが、総理が御決定されなくても、各省において大臣が決定されるということもあり得るのではないかと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 昨年、世の中を大きく騒がせた事件で、ビッグモーター、ジャニーズ事務所、宝塚問題、いろいろあったかと思いますけれども、全て最初は内部調査から始めていて、いろいろ、第三者委員会は設置しない等、話があったんですが、世論の喚起もあったかと思います、ただ内部調査だけではなくて、結果的には全て第三者委員会を設置して、それを報告し、それによってそれぞれの信頼回復に努めているという事例がございます。

 僕は、是非与党、特に、公明党の皆さんも含めてですけれども、与党の皆さんにお願いしたいのは、特に、自民党はガバナンスコードを昨年作られたと思うんです。これは大変先進的なことだと思うんですが、ただ、こういった不祥事が起きたときに、自分たちで、内部調査ではなく、第三者委員会を設置してでも自分たちの範を正すということをやはりやれるような与党でなければいけないんじゃないかというふうに思っております。

 今は、企業もガバナンスコード、企業だってガバナンスコードを一生懸命作って守っているわけですから、まさに国を統治する、国のナショナルガバナンスというのは本当にもっと厳しくあるべきものだと思いますので、どうぞ自民党そして公明党の皆さんの与党に、本当に自らを律することをお願いしたいというふうに思っております。

 ちなみに、先ほどうちの鈴木庸介議員も、経団連のお話がありましたけれども、まさに経団連の企業だって、ガバナンスコードを設置した上で、毎年二十四億円ですか、自民党に献金していると思うんですが、でも、これもまた献金先の、つまり寄附先だと思いますが、その政党がしっかりとしたガバナンスをしていなければ、寄附する側の責任も問われてしかるべきだと思うんですね。

 やはり、経団連、企業、経団連の十倉さんは、まさに社会貢献の一つであり、何が問題なのか分からない、そういう言い方を経団連の記者会見でおっしゃっていますけれども、まさに経団連すら、しっかりやってほしい、そして献金先の自民党に、ガバナンスコードを守っている企業として、そういう、言葉をちゃんと説明してもいいんじゃないかというふうに思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 部活における事故のことになります。

 僕はずっと文部科学委員会におりましたので、盛山大臣の就任以降、ずっと文科委員会でこうしてお話をさせていただいております。昨年の九月の十四日に盛山さんは大臣になられて、その後、一か月後の十月十三日に解散命令請求を出しましたので、まさに大変な仕事をされるというふうに僕も思っていましたが、だからこそ、今日のこの議論を含めて、午前中を含めて、大変残念でもありますし、是非大臣には自らをしっかりと処していただきたいというふうに思いながらも、今日は文部科学の質問についてさせていただきたいと思いますので、御答弁いただきたいと思います。

 資料を添付させていただいております。二ページ目ですね。

 僕は高校の校長をしていましたが、その高校で昨年の五月に大きな事故がございました。部活の間に、女子硬式野球部の子が野球ネットのゲージの下敷きになってしまうということで、大変大きなニュースにもなりました。

 そして三ページ目には、第三者委員会をつくった、その報告書を報告したときのことがそこに書かれているかと思います。

 こういう小さな学校でも、第三者委員会を設置して、調査、原因と、そしてそのための改善をやっているということは是非議員の先生方にも知っていただきたいと思っておりますが、今日問題にしたいのは、この二ページ目の記事の真ん中ぐらいにありますけれども、北海道で、札幌以外の市町村でも、年間に全治三週間のけがが百四十四件あるということが書いてあります。これは、概算すると、多分、日本全国では六千件ぐらい、小中学校で体育の活動中に全治三週間以上の事故があるんじゃないかというふうに推測されます。

 これだけの事故が起きたときにどのように対応していくのかというのは本当に大変なことでもありますが、日本スポーツ振興センターによれば、学校管理下による災害というものは、年間で、例えば中学校であれば二十五万件あり、そのうちの半分は部活動のときに起きている。つまり、部活動というのは大変事故が起きやすいものなわけですね。

 今、その中で、文部科学省としては、部活の地域移行という形で、地域の皆さんに指導を行っていただくように進めてきているわけです。それはやはり、指導者不足だったり学校の役割を再定義していく中で当然の行いではあるんですが、事故が起きたときにどうするかという議論は、どちらかというと二の次になっている議論なのではないかと、僕自身も大変反省しながら感じております。

 部活の地域移行によった活動によってもしも事故が生じた場合に、事故の責任はどういうふうに取るのか、文部科学大臣、教えてください。

盛山国務大臣 荒井先生御指摘のとおり、今、学校の部活動から地域クラブ活動に、これは教師の働き方改革、その他も含めまして今移行している最中でございますが、事故の防止を徹底して安全に実施するとともに、そして、万一事故が発生したときの責任の所在を明確化していくことが必要である、重要であると認識しております。

 これに関しまして、スポーツ庁、文化庁が示しているガイドラインでは、地域クラブ活動の運営団体、実施主体が事故防止を徹底することとしており、事故発生時には、一般的には適切な指導の実施の観点から責任を負うことになります。また、活動場所の施設設備に起因する事故については、態様にもよりますが、一般的には施設設備の管理者の責任において適切に対応いただくものと考えております。

 なお、このガイドライン策定時に通知を出しておりますが、この通知におきましては、けが等を補償する保険や個人賠償責任保険への加入を求めているところでもございます。

 文部科学省としては、子供たちがニーズに応じてスポーツ、文化芸術活動を安全、安心に実施できるよう、そのための環境整備に今後とも取り組んでまいる所存です。

荒井委員 この新聞記事にも書いてあるんですけれども、文科省は二〇一六年に、死亡、重篤事故のうち、教育活動に要因があると考えられるなど、学校側が判断した場合には外部専門家による調査委員会を設置するようということを指針として出しています。まさに第三者委員会ですね。

 ただ、実際の設置件数は昨年度末までに二十五件にとどまっている。いろいろな要因はあると思います。例えば、私立の学校であれば、これを設置する主体は学校になりますので、そのためのお金だったりとか、そういったこともあると思います。

 今日は答弁を求めませんが、是非こういったものの設置をしやすいような環境づくりを、文部科学省には、まさに第三者委員会をしっかりつくるんだということを進めていただきたいと思いますので、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、今日は金融担当大臣にもお越しいただいておりますが、こういうふうに、事故が起きた場合に賠償金の問題にも発展する可能性が当然あるわけですが、その中で、今回僕も調べてきて少し驚いているのが、逸失利益というものが出てくることがございます。

 つまり、これは、事故によって、その子供若しくはその被害者の方が、将来、本来だったら受け取るべき収入を計算して、それを補償するという形になるわけですが、ちょうど今、もう大阪でこれにおける裁判が起きていますけれども、障害を持っている子供が交通事故で亡くなりましたが、その場合に、健常者の八五%分の補償しかしない、まさに障害分を割り引くみたいな形の裁判の結果が出て、保護者の方は、大変、本当にこれは何とかならないのかという苦しい思いを述べているわけです。これは交通事故の話ですが。

 もしもこれを、学校でこういう事故が起きたときに、学校の設置者、先生、そして保護者の方、当事者の方でこういう逸失利益を争った裁判が起こるとすると、本当に学校というものの存在意義が崩れてしまうんじゃないかというふうに思っています。

 世界では、この逸失利益に関して、様々な補償の仕方を工夫したものが、商品もあるというふうに聞いておりますが、是非、こういった商品を作るように、これは政府がやるというよりも民間の保険会社だと思いますが、そういうふうに大臣からも一言いただけないかと思って、今日お声がけさせていただいています。お願いします。

鈴木国務大臣 学校の部活が地域移行されるという中で、その地域移行の活動の中で事故が起きたときの備えということで、御指摘のガイドラインが策定をされました。これが策定されたときの通知におきまして、地域クラブ活動の運営団体等が、指導者また生徒等に対して、民間損害保険会社の保険への加入を求めている、そのように承知をしております。

 当該保険の補償内容につきましては、いろいろ保険の種類があると思いますが、例えば、代表的な商品であります、公益法人スポーツ安全協会が加入の取りまとめを行っておりますスポーツ安全保険におきましては、クラブ活動中の生徒が事故によって死亡又は後遺障害等を負った場合におけるクラブ活動の運営団体の損害賠償責任につきまして、当該生徒が将来得られたであろう逸失利益も含めて損害賠償金を補償する商品設計になっている、そのように承知をしております。

 金融庁といたしましては、損害保険会社による適時適切な保険金の支払いが行われますように、先生の御指摘の問題意識も踏まえて、しっかりと監督をしてまいりたいと思っています。

荒井委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 これで文科大臣と金融担当大臣はお帰りいただいて結構でございます。

小野寺委員長 どうぞ文科大臣は御退出してください。財務大臣は、済みません、そのままお願いいたします。

荒井委員 そうですね。失礼しました。

 続きまして、能登半島地震における支援金の、新たな交付金について、武見厚労大臣にお伺いしたいというふうに思っております。

 本日もたくさんのこの件の議論が予算委員会でも行われてまいりました。そもそも内閣府における被災者生活支援金で三百万円出しているところに、総理からも、それに上乗せで新しい交付制度をつくるということで、厚労省が担当することになったと思います。今これを、我々としては、これは野党みんなで法案も提出して、是非そのプラス三百万円というのを、できるだけ制限のない形で多くの方にという思いでずっと質問させていただいているわけですが、大臣、今の検討状況について教えていただけますでしょうか。

武見国務大臣 新たな交付金制度の対象世帯についてです。

 高齢者等のいる世帯のみならず、資金の借入や返済が容易でないと見込まれるという点で同様の事情を有する高齢者等のいない世帯が、若者や子育て世帯を含めて幅広く含まれるように制度設計をしたい、これはまず基本的な考え方です。

 御指摘の、資金の借入や返済が容易でないと見込まれる世帯の判断については、実際に住宅ローンを借りられなかったことを逐一確認するのではなく、例えば若者、子育て世帯を含めた世帯について、住民税の非課税世帯、さらには震災の影響を受け家計が急変した世帯、ローンの一定以上の借入れが残高としてある世帯といったような類型に該当するかどうかで簡潔に判断ができるような仕組みというものを考えております。

 具体的な対象世帯の判断の方法であるとか申請に対する手続、詳細の制度設計については、今後、関係各省庁とそれから県の方と調整しながら最終的に決めていくことになりますが、いずれにせよ、簡潔な仕組みにしていこうと思っています。

荒井委員 大臣、僕は、今回資料で、例えばこういうような申請書だったらどうでしょうかという、そういったものも作ってまいりました。もちろん、たたき台ですから、これでというわけではないんです。ただ、できるだけ簡潔にという、本当にその思いでございます。

 というのも、実は、東日本大震災、もう十三年前になりますけれども、そのときに復興支援の仕事をしていました。公益財団を運営していましたけれども、五十兆円ぐらいのお金を使って、どうやって被災者の人を助けようかと思っていたときに、子供たちの支援の中で、実は、それこそ大船渡の、僕たちの仲間が大船渡でいろいろとヒアリングをすると、一番大事なのは、あのときは三月でしたから、実は、中学生たちが、進学を諦めている子たちが物すごくいる、そういう話だったんですね。つまり、お父さん、お母さんがお金がなくなってしまって、これから家の再建、仕事の再建をしていく中で、本当に、だったら自分が高校に行かないことを選択するという子供たちがとても増えている、それで中学校の先生たちも大変困っているという話が、多分財務大臣はよく御存じだと思いますけれども、そういう声がたくさんありました。

 今回、今ちょうど二月ですので、これから三月に卒業式を迎え、四月から新年度が始まるわけですが、今だって、石川の被災地にいらっしゃる中学生とか若しくは高校生たちは、やはり家のお金の問題で、本当に進学していいのか、働いた方がいいんじゃないかと思っている子たちはたくさんいると思うんですね。東北だってそうだったわけです。

 ですから、武見大臣、どうぞ、もちろん簡便な仕組みは本当にお願いしたいんです。ですけれども、できるだけ幅を広げて多くの子供たちに、心配しなくてもいいよ、そういうふうに言える仕組みに、制度設計にしていただきたいというふうに思って、今日は切にお願いに上がりましたが、大臣、もう一言だけいただけませんでしょうか。お願いします。

武見国務大臣 お気持ちはもう全く我々と同じです。したがって、できるだけの対応を簡便、簡潔に。それから、非常に参考になる資料も作っていただいて、感謝申し上げます。

 この点に関しては、とにかく、できるだけ被災者の方々の立場に立って、私どもとしてもできるだけのことを迅速、簡潔にやろう、こういう考え方でございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 立憲民主党の泉代表からも、震災の復興に関しては与野党の別なくしっかりやろうというふうに声をかけてもらっていますので、もしも必要であれば資料をお使いいただくなり、一生懸命僕もお手伝いしたいというふうに思います。

 これで武見大臣には御退席いただいて結構でございます。

小野寺委員長 では、武見大臣、どうぞ御退出していただいてよろしいです。

荒井委員 続きまして、シェルターの整備に地下鉄を活用するという件に関して御質問させてください。

 ちょうど、二〇一七年ですから六年ほど前ですかね、学校の校長をしていたときに、八月二十九日の朝六時二分にJアラートが鳴ったんですね。まさにそれで、北海道の上空を北朝鮮のミサイルが飛んでいきますということが、Jアラートが鳴りました。歯磨きをしている最中だったので、手がすごく震えたのを今でもよく覚えているわけですが。

 ちょうど六時といいますと、高校生たちも、遠い高校生は本当に通学をしているときに、まさにそのときにJアラートで、ミサイル発射、ミサイル発射、北朝鮮からミサイルが発射された模様です、建物の中、又は地下に避難してくださいと。本当にこれは、都会であればできるかもしれませんけれども、なかなか田舎の方では、堅牢な建物であったり地下があるということは本当に少なくて、一体これをどういうふうに生徒たちにこの緊急時に伝えればいいんだろう、非常にそれを悩んだり苦しんだ思いがあるのをよく覚えています。

 この年は二回、Jアラートが発射されています。そのときに、やはり、僕の出身は札幌ですので、札幌は地下鉄がありますから、確かに地下鉄にいる生徒は大丈夫だな、そんなことが頭もよぎりました。

 そういう中、先日、ニュースでもありましたが、東京都は大江戸線をまさにシェルター機能として活用するという話がありました。今回、シェルター機能としてどのように地下鉄駅というものを今政府として評価しているのか、ちょっと時間がなくなりましたので、官房長官から教えていただければと思います。

林国務大臣 政府といたしましては、弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するために、コンクリート造り等の堅牢な建物、さらにはより安全性が高いと考えられる地下駅舎等の地下施設に一時的に避難することが有効であると認識しておりまして、それらの施設を都道府県等が緊急一時避難施設に指定しております。

 この緊急一時避難施設は、令和五年四月一日現在、全国において、地下駅舎五百六十か所を含めて地下施設三千三百三十六か所が指定をされております。

 政府といたしましては、緊急一時避難施設の指定促進のために、令和三年度からの五年間を集中取組期間に設定しまして都道府県等への働きかけを強めているところでございますので、今後とも、地下駅舎を含む地下施設の指定促進に努めてまいりたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 最後の資料を御覧いただきたいと思うんですが、まさに、札幌市も地下鉄を避難所として指定もしたわけですね。二〇二二年八月に指定はしているわけですが、まさにこうやって地下鉄というものを避難所にするというのがだんだん流れとしてあるわけです。

 ただ、今、人口減少社会の中で、地下鉄をこれから更に延ばしていくということは、大変、経済性では難しいという状況もあるわけですけれども、今の、現状としての地下鉄というものをシェルターや避難所として活用することを広げていくという発想については国交省としてどのようにお考えなのか、大臣にお伺いできればと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、政府におきましては、先ほど官房長官から御答弁がありましたように、国民保護法に基づいて、都道府県知事等による指定を促進しているところです。

 こういう政府の方針の下、国土交通省としても、鉄道事業者に対して、緊急一時避難施設の指定の促進に向けた協力の呼びかけを行っておりまして、現在、御指摘の札幌市営地下鉄を含む全国各地の地下駅舎が指定されております。

 今後も、地下駅舎が新設される場合には、国民の安全、安心を確保するため、引き続き、指定の促進に向けた協力の呼びかけを積極的に行い、関係省庁と連携して避難施設の確保に努めてまいりたいと思っております。

荒井委員 国民保護の観点が本当にどんどん強くなってきているわけです。

 国交省として、こうやって地下鉄を仮に新設するときに、補助を含めてその支援をするという考えは今のところあるんでしょうか。教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、今ある地下鉄、そしてこれから造る地下鉄について、しっかり、国民保護法制に基づいて、協力するようにというふうに鉄道事業者に呼びかけてまいりますが、そのことを前提にして、例えば、地下鉄を造ってください、施設を造ってくださいという制度はありません。

荒井委員 今後もJアラートが飛んだりするわけですが、本当に、Jアラートというのは、東京で受けていてもなかなか感じないわけですが、北海道に住んでいると、まさに上空を飛ぶことが多く、一番最初にあったときも襟裳岬の先の海洋に落ちましたという報がありましたが、ただ、住んでいる我々にとっては、もしもそれが、何かの間違いで破片でも落ちてきたら一体どうなるんだろうとか、間違って着弾したらどうするんだろう、そんなおそれだってあるわけです。

 先ほどお渡しした資料のところにも、札幌市も今回、地下鉄を指定するに当たって、北朝鮮のミサイルだけではなく、ウクライナに侵攻するロシアからの武力侵攻に備えるため、そういうことも書かれてはいるわけですね。

 ですから、本当に、地下鉄の機能というものが今非常に求められていくという時代に入っているんじゃないかというふうに思いますので、大臣に是非、もう一声、地下鉄をどんどん広げていくみたいなことも国防上必要なんだということを一言いただければと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、シェルター機能を考えた今後の地下鉄の建設という視点は今のところありませんけれども、今委員御指摘の点も含めて、今後この地下施設がどうあるべきかということについては、国土交通省としても考えていきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。是非検討いただきたいというふうに思っております。

 現実的にJアラートが今後飛ぶ中で、Jアラートで言っていることと現実で対応しなければいけないことが乖離しているということを、学校の施設管理者であったり様々な会社の責任者であったり、いろいろ悩みながら進めているということを、是非、御検討いただきながら、様々な施策に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 以上、終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて荒井君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 各地で水の高濃度汚染が問題になっている有機フッ素化合物、PFOAについてお尋ねをいたします。

 事前に伊藤大臣に「ダーク・ウォーターズ」という映画を御覧になっていただきたいとお願いをしておりました。大臣は、御自身も映画監督でございますし、超党派映画議員連盟で御一緒もさせていただいております。

 映画「ダーク・ウォーターズ」は、一九九八年、アメリカ・ウェストバージニア州の農場が、大手化学メーカー、デュポン社が出したPFOAという化学物質によって土地が汚されて、百九十頭もの牛が病死した、こういう事件を題材にしたものであります。主人公の弁護士であるロバート・ビロットの調査によって、デュポン社が発がん性のある有害物質の危険性を四十年間も隠蔽して、その物質を大気中に又は土壌に垂れ流し続けてきたという疑いが判明し、七万人の住民を原告団とする集団訴訟で追い詰め、この闘いによって、デュポンからの金で七万人の血液検査を行って、そして健康調査もやられて、その結果、二〇一二年には、PFOAと妊娠高血圧症や精巣がん、腎細胞がん、甲状腺疾患や潰瘍性大腸炎など六つの症状との関連性が確認をされたわけですね。

 大臣は、まず、この映画に描かれたこれらの歴史的事実を御存じでございますね。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 映画は拝見いたしました。この映画は、ドキュメンタリーではありませんけれども、実際に起きた事件をモデルとして、脚本家が本を書いた劇映画だと思います。

 今委員御説明のとおり、環境中に排出したPFAS、これに関わって訴訟を提起した主人公、弁護士、これを主人公とする、ある意味で数十年にわたるいろいろな展開、これが描かれた映画だと思います。

 ここは映画評論の場所ではないので、映画そのものに対する私のコメントは差し控えたいと思いますけれども、非常に興味深い作品だと思います。

宮本(岳)委員 ところが、昨年十月、岡山県吉備中央町で、驚くべき濃度のPFOAが水道水から検出されました。吉備中央町の円城浄水場からの水道水には、二〇二〇年度から二二年度までの何と三年間にわたって、一リットル中に八百ナノグラムから千四百ナノグラムというような極めて高濃度のPFOAが検出されておりました。ちなみに、ナノグラムとは十億分の一グラムのことであります。政府が定めた水道水の暫定基準値は五十ナノグラム・パー・リットルですから、その十六倍から二十八倍もの値となります。

 PFOAという化学物質は、代表的なものは、焦げつかないフライパンのフッ素コーティングやあるいは撥水スプレーなどに使われてまいりました。しかし、吉備中央町には、PFOAを作る工場もない、フライパン工場もありません。早速、私は、岡山県吉備中央町の現場に行って調査をしてまいりました。

 配付資料一を見ていただきたい。

 岡山県が私に提出した「公共用水域等の調査地点及び結果(その一)」という資料であります。

 赤い丸で囲ってある河平ダムが水道の水源だった場所ですけれども、上流に遡って調査をすると、その二と書かれた緑色の枠の中、西側沢F1が最も高濃度でありました。

 その二を大きくしたものが資料二であります。

 西側沢F1と書かれた赤丸で示した地点の湧き水から、六万二千ナノグラム・パー・リットルという恐るべき濃度のPFOAが検出されました。

 さらに、岡山県が汚染源を調査したところ、奥吉備街道と書かれた広域農道沿いの資材置場、ここは満栄工業という活性炭の製造や処理を行う会社の資材置場でありますけれども、そこにはフレコンバッグに入れられた使用済活性炭が山積みにされておりました。

 この使用済活性炭を調べたところ、資料四を見てください、二十七という番号が割り振られた採取地点の活性炭から、実に四百五十五万ナノグラム・パー・リットルという桁外れのPFOAが検出されました。

 今では活性炭は撤去されて倉庫で管理されているということですけれども、撤去後の表層土壌五センチを取って調べたところ、七十五万ナノグラム・パー・リットル、暫定基準値の一万五千倍のPFOAが検出されております。

 大臣、基準値の九万一千倍とか一万五千倍とか、こんなことがあってよいのか、大臣の所感をお伺いしたい。

伊藤国務大臣 基準値を大幅に上回るPFOAが検出されたことは大変遺憾だと思います。

宮本(岳)委員 それはもう当然大変なことなんですけれどもね。これをこのまま放置するわけにいきませんね。

 このことを見たときに、岡山県任せで済むような問題ではないんです。

 この吉備中央町のPFOA汚染は、五百二十二世帯、一千人もの住民が国の暫定基準値の二十倍もの水道水を、分かっているだけで三年間、知らずに飲んできた。岡山県は私に、このフレコンバッグ、活性炭、十五年ほど前からこの資材置場に置かれてきた、こう語りましたから、そうならば、十年以上にわたって国の暫定基準値の二十倍もの水道水を知らずに飲まされ続けてきたという大事件です。

 その結果、この水道水を飲んできた住民二十七人の血液検査を行ったところ、百ナノグラム・パー・ミリリットル、血液ですから今度はミリリットルですけれども、これを超える血中濃度の方が確認されております。この百ナノグラム・パー・ミリリットルという血中濃度は、米国アカデミーが定めた二十ナノグラム・パー・ミリリットルの実に五倍。

 大臣、この結果は極めて重大で、とんでもないことが起こっているという認識はお持ちですか、環境大臣。

伊藤国務大臣 今るる御説明で数字もお伺いしたところでございますけれども、現時点では、国際的に見ても、PFASの血中濃度と健康影響の関係を評価するための科学的知見は十分ではないというふうに承知しております。

 そのため、環境省では、全国十万組の親子の協力を得て実施しているエコチル調査等を通じて、引き続き科学的知見の収集に努めてまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 そんなことを言っている場合じゃないんですよ。アメリカのアカデミアが既に定めている基準、その五倍という数が出ているわけですよね。

 では、この高濃度に汚染された活性炭、汚染源ですけれども、岡山県もこの活性炭が原因であろうとおっしゃっているわけですけれども、これは一体どこから来たものなのか、環境省はつかんでおられますか。

伊藤国務大臣 御指摘のように、昨年十月、吉備中央町の円城浄水場で暫定目標値を超えるPFOS、PFOAが令和二年度から検出されたことが吉備中央町から発表されております。

 これを受けて岡山県が調査を行ったところ、円城浄水場の水道の水源である河平ダムの上流の河川から暫定目標値を超えたPFOS、PFOAが検出されたほか、ダムの上流域にある資材置場の土壌や置かれていた活性炭からPFOS及びPFOAが検出されたと承知されております。

 御指摘の活性炭については、岡山県からはその出どころは不明だと聞いております。

 環境省としては、引き続き、岡山県と連携しながら、情報の収集を努めてまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 当然、不明で済みませんよね。しっかりとこれは突き止める必要があると思うんですけれども。

 そもそも、PFOAは、先ほどの映画に描かれたデュポンが生産をしてまいりました。日本ではダイキン工業などが生産をしてまいりました。

 ここに持ってきたこの本は、ダイキン工業自身が二〇一五年に出版した、「拓く」と題された、ダイキン工業九十年史であります。

 ここにはこう書いてあります。ダイキンは、一九五一年十月に、デュポンが開発した名刺大のフッ素樹脂を入手するや、三か月後には弗素化学研究委員会を設置、直ちにPFOAの開発に着手、そして一九五九年には、デュポン社のテフロンに全く遜色のない、世界最高の分子量を持つポリフロンM11の開発を見たと、自画自賛しているわけでありますけれども。

 経済産業大臣に来ていただいております。

 日本でPFOAを生産してきた企業は何社ですか。また、そのシェアはどういう比率になっておりますか、齋藤大臣。

齋藤(健)国務大臣 PFOAは、二〇二一年に第一種特定化学物質として指定される以前には化審法上の一般化学物質に位置づけられておりまして、製造、輸入を行う場合には、同法に基づく製造・輸入数量の届出が義務づけられております。

 その届出によれば、この届出制度が導入された二〇一〇年度以降最も届出が多かった同年におきまして、四社から製造、輸入の届出が行われたものと承知をしています。

宮本(岳)委員 その四社、お名前、出ますか。

齋藤(健)国務大臣 化審法の届出により把握している化学物質の製造・輸入業者名及び生産シェアにつきましては、事業者の競争上の地位を損なうおそれがあるため、公表はしておりません。

宮本(岳)委員 そうなんです、公表していないんですね。

 このPFOAという物質は、お話があったように、ストックホルム条約では附属書A、つまり廃絶と定められております。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法、こちらでも、分解せず、高い蓄積性があり、かつ人に対して長期的な毒性があるとして、第一種特定化学物質に指定をされて、製造も駄目、輸入も駄目、使用も禁止された化学物質になっております。環境中に放出されてはならない、管理が必要な化学物質ですね。

 そういいながら、どこにどれだけあったのか公表もしないというのがあなた方の立場なんですね。でも、自ら明らかにしている、今のダイキンは作っていたことを明らかにしております。旭硝子、AGC、三井・ケマーズフロロプロダクツ、この三社は自ら作ってきたということを明らかにしているんですけれども、なぜこれを明らかにせずに、この後、管理できるのかということが問われてくると思うんですよ。

 資料五を見ていただきたい。

 産経新聞二〇〇七年五月二十二日付でありますけれども、京都大学大学院医学研究科の小泉昭夫教授らのグループが、二〇〇七年当時、既に、PFOA、京阪神で水質汚染と指摘をしておりました。

 資料六は、私が情報公開請求により大阪府から入手したものでありますけれども、先ほどの産経報道の一か月後、二〇〇七年六月二十二日午前十時から十二時に、大阪府の担当者が摂津市のダイキン工業淀川製作所内で、ダイキン工業の化学事業部研究開発技師長らからヒアリングを行ったペーパーであります。

 この資料六によると、ダイキンは、二〇〇四年にPFOA排出処理のために活性炭吸着塔二基を設置し、PFOA除去率は九五%以上と語り、破過、つまりそれ以上吸着しなくなることですけれども、そうなれば、活性炭メーカーが引き取って再生してくれると書いてあります。

 既にダイキン工業は二〇〇〇年頃から、含フッ素界面活性剤の回収方法、すなわちPFOAの除去法の特許取得を目指して、活性炭吸着法を研究をしてまいりました。そして、ダイキン工業は、二〇一三年、東京都江東区のオルガノ株式会社と共同で、有機フッ素界面活性剤含有排水の処理方法および処理装置という特許を出願をし、二〇一五年には特許を取得しております。内容は、有機フッ素界面活性剤含有排水をリン酸のカルシウム塩と接触させ、接触された接触処理水を活性炭で処理するというものであります。

 特許庁に確認しますけれども、公開特許公報で特開二〇一五―五八三九八と言われる、発明の名称、有機フッ素界面活性剤含有排水の処理方法および処理装置は二〇一五年三月三十日に公開されておりますね、特許庁。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御認識のとおり、御指摘の発明については、ダイキン工業株式会社及びオルガノ株式会社により二〇一三年九月に特許出願され、二〇一五年三月に公開公報が発行されました。その後、二〇一六年六月に審査請求がなされまして、その後に審査を行い、二〇一七年十一月に特許として登録をされてございます。

宮本(岳)委員 確認されました。

 このように見てくると、吉備中央町のフレコンバッグに入った四百五十万ナノグラム・パー・リットルという国の基準の九万一千倍ものPFOAを吸着させた活性炭が一体どこで発生したのか、どこから運ばれたのか、一定の類推はできます。しかし、確かに証拠はありません。これは国の責任で調べる必要があると思うんですね、これがどこから来たのか。

 私は、これを保管していた満栄工業株式会社やダイキン工業に説明責任を果たさせる必要があると思いますが、環境大臣、そう思いませんか。

伊藤国務大臣 この吉備中央町におけるPFOS、PFOAの検出事案については、地元地方公共団体において原因究明の取組が進められているところと承知しております。

 環境省としては、まずはこのような地元自治体による原因究明の取組が重要だと考えてございますが、引き続き、連携して情報を収集するとともに、必要に応じて技術的助言などを行ってまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 大臣、映画と一緒ですよ。今度はあなたが先頭に立って、国がこの原因究明を行って、その原因企業に責任を取らせ、原状回復させ、結果に責任を取らせるために頑張らなければならないと思うんですね。

 大阪府摂津市にあるダイキン工業淀川工場の周辺地域も、この間、深刻なPFOA汚染が報告されております。私も現場を見てきました。摂津市のダイキン隣接地の畑の農業用井戸からは、暫定基準値の四百四十倍、二万二千ナノグラム・パー・リットルというPFOAが検出をされ、摂津市に隣接する大阪市内でも、四十倍、二千ナノグラム・パー・リットルを超えるような濃度が報告をされております。

 また、この地域でも血液検査が市民団体によって行われておりますけれども、現在、百三十余りのサンプルで、既に百三十ナノグラム・パー・ミリリットル、米国アカデミーの基準の六倍以上という結果が報告されております。

 ダイキン工業淀川工場のある摂津市の森山一正市長が、昨日、環境省を訪れ、環境管理課長と面会されたということも聞いております。

 摂津市議会は、PFOA等についての健康基準を速やかに定めるとともに健康影響調査及び疫学調査を求める意見書というのを全会一致で採択をしておりまして、やはり、敷地内の地下水のPFOA調査を行って公表する、この必要があると思うんですけれども、環境大臣の御所見を聞きたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のように、昨日、摂津市長が環境省を訪問され、担当者が面会したところでございます。

 環境省からは、二つの専門家会議において、PFASに対する総合的な戦略、PFOS、PFOAに係る水環境等の目標値等の取扱い等について検討していること、それから、これまでに専門家会議で取りまとめられた今後の対応の方向性及びPFOS、PFOAに関するQアンドA集について説明したと承知しております。担当者が説明した環境省の取組について、引き続きしっかり進めてほしいと御要望もいただいたとも聞いております。

 摂津市長とも今後も綿密に協議して、この問題の解決のために環境省も努力したいと思います。

宮本(岳)委員 もっと国が乗り出して、責任を持ってやる必要があると思うんですね。

 ダイキン工業は、我が党を始め自民、公明、大阪維新なども含む超党派の摂津市議団がダイキンに責任を持って汚染を除去するよう求めたのに対して、PFOAによる健康被害が発生する状況とは認識していませんので、現時点では対応する考えはありませんなどと回答いたしました。それどころか、敷地内のPFOA濃度の公表さえ企業秘密、こういうことで拒否しております。

 資料七を見ていただきたい。資料六と同じ大阪府の開示資料です。

 二〇〇七年十一月二十七日の、PFOA削減の取組に関するヒアリング結果という文書。下線部一を見ると、排出量を府に報告としつつ、ただし、企業秘密として公表はしないとなっています。下線部二、共産党大阪府議会議員団の視察では、受け入れることは了承しつつ、ただし、視察時に府の同席を希望するとあり、御丁寧にも録音についてはお断りしたいとあります。

 つまり、大臣、これは、ダイキンの企業秘密という言い分に従って、住民の命と健康のために企業を規制するのではなくて、住民から企業の利益を守ってやってきたということではありませんか。結局、大阪府などの行政も、国の環境行政も、大企業の利益を守ってやっているだけ、こう言われても仕方がないと思いますが、違いますか、大臣。

伊藤国務大臣 PFOS及びPFOAについては、環境省としては、関係省庁と連携しつつ、製造、輸入等の原則禁止、安全側に立った水環境の暫定目標値の設定、自治体と連携した環境モニタリング、暫定目標値を超えた場合の暴露防止に関する助言などの対応を進め、安全、安心の確保に努めてきたところでございます。

 また、今御説明申し上げましたが、二つの専門家会議を設置し、PFOS等に関する総合的な戦略等や、PFOS、PFOAに係る水環境の目標値等の取扱いについて、最新の科学的な知見等を踏まえて御議論をいただいているところでございます。

 昨年七月、専門家会議において、PFASに関する今後の対応の方向性が取りまとめられ、環境省としては、これを踏まえて、国民の安全、安心のための取組を更に進めているところでございます。

 このように、PFOS及びPFOAについては必要な取組を進めておりまして、特定の企業の利益を守るために環境行政が遅れたという御指摘は当たらないと認識してございます。

宮本(岳)委員 そうは言えないんですね。時間が参りましたからまとめて聞きますけれども、同じような資料をその後にも紹介しております。資料八でありますけれども。

 この資料八、二〇一九年十二月二十五日の神崎川水域PFOA対策連絡会議第十八回の議事録です。化審法に基づいて第一種特定化学物質にPFOAが指定される前夜のものですね。

 第一種に指定されれば製造販売が禁止されることに触れて、昨日、経済産業省から連絡があり、諸般の理由で半年以上延びることや、令和二年十月以降の規制となる見込み、一月十六日の審議会でスケジュールの引き直しがある、こう述べております。

 このときに実際そういうことがやられたのかと調べてみたら、明確に、この翌年の一月十六日の審議会で、延期されることが、スケジュールの変更が報告をされております。

 私どもが一番重大だと思うのは、審議会を開く前にですよ、一月十六日の、これは十二月二十五日、しかも昨日と言っていますから、十二月二十四日に経産省から電話を入れて、延びることになりましたよ、御安心くださいと語ったということがこの文書から分かるんですね。

 齋藤大臣、これは本当に適切な、まともな行政だと言えるんですか。

齋藤(健)国務大臣 まず、御安心くださいなんということは言っていないということであります。

 それから、化審法に基づく規制の実施については、環境省、厚労省、経産省の三省合同の審議会にお諮りして意見を伺った上で行う、こういうたてつけになっています。

 委員御指摘のダイキンの発言があった二〇一九年十二月は、PFOAの第一種特定化学物質への指定について、審議会の意見を踏まえてパブリックコメントが終わった時期に当たります。パブリックコメントの実施に至る過程においては、事業者とやり取りがあることは当然であります。

 特に、ダイキンが経産省から伝えられたと発言している規制見直しのスケジュールについては、パブリックコメントの結果を踏まえまして、実は、必要不可欠な用途を検討せざるを得ないことになりまして、必然的に生じた、あくまでもスケジュールの遅れについての事実関係でありまして、スケジュール自身については審議会にお諮りした上で決定する事項ではありません。

 そのため、審議会への報告の前に事業者に伝達したことが不適切だったとは考えていません。あくまでもスケジュールだけお伝えをしたということであります。

宮本(岳)委員 そう言い逃れをしますけれども、実際には前もってダイキンにそのスケジュールが伝わっているわけですよね。

 なぜそういうことがあるのか。最後の資料を紹介だけしておきますけれども、資料九につけましたが、ダイキンから自民党の政治資金団体、国民政治協会への献金額、二〇〇六年から二〇二二年までの足かけ十七年間で合計八千四百万円ですよ。二〇〇八年以降は、定期会費のように、年二回、五百二十万円を献金しております。結局、こういうお金の関係が大企業のそういう規制についても手心を加えてやった結果になっているのではないか、国民がそう疑っても仕方がありません。

 この際、企業・団体献金はきっぱりと禁止するということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会の浅川義治です。

 まず最初に、再審制度についてお伺いします。

 さきの参議院の本会議で、我が党の浅田参議院議員の質問に首相の答弁がありましたが、全く不十分と言わざるを得ないので、再度、ここでただしたいと思います。

 今日は、最高裁からもお越しいただいているかと思います。先に最高裁の方にお伺いしますが、死刑等の重大犯罪の再審請求、これを請求から再審開始決定までどれくらいの時間がかかっているか、最高でどれくらいの時間がかかっているのか。また、その長くなる理由について最高裁ではどのように考えているのか。教えてください。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、お尋ねの最長の期間に関しましては、資料がございませんため明確なお答えは困難でございますけれども、平均審理期間に関しましては、再審請求事件の平均審理期間が、地裁ではおおむね十か月程度でございます。他方で、事件によって期間は区々でございまして、再審請求から判断が出るまでに三年を超える事件も毎年複数ございます。

 さらに、可能な範囲で確認をさせていただいたところ、死刑判決ではございませんけれども、無期懲役の判決で再審開始をした事件として、再審請求からそれに対する判断が出されるまでに約七年二か月を要した事件もあったところでございます。

 続きまして、時間がかかる要因についてお尋ねと承知しました。

 再審請求事件の内容が様々であることを前提に、各裁判体において個々の事案ごとに実情に応じた適切な運用がされているものと承知しております。その上で、一般論として申し上げれば、再審請求事件の内容につきましては、確定事件の記録の審査のほかに事実の取調べをするものもございまして、その審理に一定の期間を要するものと承知しております。

浅川委員 まあ、絶妙な答弁だと思いますけれども、袴田事件のように何十年とかかっているのがあるわけですよ。

 ようやく国会での審議にもなってきたと思いますけれども、大臣、どうしてこういうふうに長期化しているか。大臣は、その感想について、どう思われますか。

小泉国務大臣 個々の再審請求事件における審理期間でございますけれども、これは長いじゃないかという御指摘ではありますけれども、個別具体的な事案の内容、あるいは訴訟関係者から提出をされる主張及び証拠の内容や量、それらの提出時期などによって事件ごとに事情が異なるものでございまして、手続に要した時間、長い短いに対する評価を一概にお答えすることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。

浅川委員 大臣の感想を求めたんですけれども、長いと思いませんか。人生の大半を失っている方もいるんですよ。しかも、それが後で無罪になっているケースもある。これは法制度の欠陥だと思いませんか。

 今の刑訴法の第一条は、基本的人権を保護するためにもあると書かれています。戦前の訳の分からない国家警察の過ちを改めて、この刑事訴訟法が制定されているわけです。基本的人権に重点を置いたならば、この再審制度についても改めて改正していくべきだと思います。

 そして、具体的には、四百五十条、再審決定に対する即時抗告、検察官の即時抗告を削除する。弁護側が裁判所に再審請求して、再審決定すると裁判所が決めたことに対して、検察が、いや、ちょっと待ってくれ。何でそんなこと言うんですか。裁判所の判断を尊重すべきじゃないですか。それを浅田議員も質問にしているわけですけれども、首相答弁はそうではなかった。

 今こそ、この四百五十条の改正をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 再審に関する裁判手続は、裁判のやり直しをするという部分の手続と、やり直した裁判においてもう一度公判を完結させるという二つの段階があるわけですね。

 そして、まず、確定判決があるにもかかわらず、もう一度裁判をやり直すんだというその部分について、再審開始事由というのが定められております。これをしかと裁判所が踏まえているのかいないのか、これを誰が判断するか、公益です、その公益を担うのが検察官であります。

浅川委員 それを判断するのは裁判所です。裁判所が、正しいかどうか公平に見るんですよ。何で検察が、法務省が判断するんですか。戦前の国家警察と同じじゃないですか、それは。

 そして、もう一つ言います。

 冤罪、この冤罪を防止するために、第一審の段階から、捜査情報、捜査で得られた情報、証拠で使うもの、それを全て検察が裁判所に提出する、そして、裁判所は当然それを開示して、被告の弁護側にもその証拠を出させる。有罪を立証するための都合のいい情報だけを裁判所に出すのではなくて、検察にとっては不利になるかもしれないけれども、公正な、事実が何であるか、それを判断するためには、検察にとって不利であっても、証拠を提出することが重要だと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

小泉国務大臣 御指摘のような形で検察官の手持ち証拠の全てを被告人又は弁護人に開示することにつきましては、関係者の名誉、プライバシーの侵害、罪証隠滅、証人威迫等の弊害が生じるおそれがあり、ひいては国民一般から捜査への協力を得ることが困難になるおそれがあるなどの問題があって、慎重に検討するべき問題だと思います。

浅川委員 これについては、我々日本維新の会が政権を取った際に、法改正について挑んでいきたいと思います。

 もう法務大臣は席の方は結構でございます。

小野寺委員長 それでは、法務大臣、御退出されて結構です。

浅川委員 続いて、ネーミングライツについて、文科大臣にお伺いします。

 このネーミングライツ、何を取り上げるかというと、今年の、今年は年頭からいろいろありましたけれども、大臣もいろいろあると思いますけれども、月の着陸、日本初の探査機が、一月の十九日ですね、夜中、時間でいうと二十日になりますけれども、到着しました。これはすばらしいことで、何か控えめに六〇%の出来とかとJAXAの方は言っていますけれども、全くそんなことはなくて。ただ、問題は、カメラが搭載されていても中継されていなかった。私もずっとインターネット中継を見ていましたけれども、パソコンの画面なんですね。

 なおかつ、これについてお金をかけるべきじゃないかとJAXAの方とお話ししたら、やはりお金はかけられないと言うんですよ。ところが、この打ち上げ、探査機を造って打ち上げ費用は百四十九億かかっているということなんですけれども。ほぼ未来永久に、月にこの探査機はありますよね。これは、ネーミングライツにしたらどうかと思うんですね。この探査機は三菱電機が造っています。

 今、資料をつけさせていただきました横浜での取組、もう二十年以上前ですけれども、日産スタジアムというのができています。実は、このネーミングライツの提案をしたのは、私と一緒に当選した古川直季代議士なんですね。当時、横浜市会議員でこの提案をして、二〇〇二年に提案をして、二〇〇四年に実現した。あっ、古川さん、いたんですね。当初難しいというふうに答弁があったんですけれども、実現したんですよ。

 探査機に、文化的な遺産になるかもしれないものにネーミングライツをつけるのはどうかという議論はこれからしていただいて、もしJAXAが、ネーミングライツ、未来永劫といったら、文科省として許容していただきたいと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

盛山国務大臣 御提案をまずありがとうございます。

 一般論としまして、独立行政法人等が設置法に規定される業務と離れて収益事業を実施することは想定されていない一方、設置法に規定される業務を行う中で、結果として収益を伴うことまで否定されているものではございません。一定の留意の下で、ネーミングライツの活用が妨げられるものではないと理解しております。

 その上で、これまで、文部科学省所管の独立行政法人等においても、利用者が想定されるような施設設備に対するネーミングライツの活用事例がございます。

 一方、JAXAによりますと、主な国内外の宇宙機関において、宇宙関連プロジェクトに対するネーミングライツの活用事例は確認できておりません。

 SLIMにつきましては、JAXAが今後、運用再開を試みることになります、今度、月がもう一回昼間になったときですね。運用終了後においては、成果を踏まえた上で、JAXAにおいて適切に検討していただきたいと考えております。

 なお、文部科学省所管の他の研究開発法人につきましては、各法人の本来業務に支障を来さないことを前提として、必要に応じて各法人で検討いただくことは可能であると考えております。

 当省としては、各研究開発法人において、研究開発成果の最大化に向けてしっかりと取り組んでいただくことを期待しております。

浅川委員 ありがとうございました。

 多分、月では最近地震もあって、月がどんどん縮んでいるということなんですね、震度五ぐらいの地震があると。その震度五でこの探査機が壊れるということはないと思うので、将来、五十年か百年後ぐらいには、多分、月面旅行できるようになると思うんですね。そのときの観光地として、日本人が将来月に観光に行くような、もしかしたら五百年後かもしれませんけれども、そのときまでネーミングライツが生きる、つまり百科事典とかインターネットとかで残るとしたら、これは百四十九億丸々出してもらったとしても安いんじゃないかと思うんですね。もちろん、一気に出してもらわなくてもいいんですけれども、最近、日本を代表するような企業は、何か営業利益だか経常利益が四兆円という企業もあるそうなので、これぐらい出してもいい企業があると思いますので、是非そういう企業にも検討してもらいたいと思います。

 このネーミングライツについては、文科省だけじゃなくて、日本の政府の入りというふうな大きな視点で考えたときに、財務大臣、どうでしょう、税収だけじゃなくて、いろいろネーミングライツで収益を上げていくということをもうちょっと積極的に考えられてもいいんじゃないかと思うんです。

 古川直季当時の市議は非常に積極的に議会で発言をされていたんですけれども、ここは私もちょっとまねをさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 国有財産に係るネーミングライツのお話でございますが、これについては、考えられる候補は、道路あるいは公園といった広く一般公衆の利用に供する目的で保有している行政財産が候補としては考えられるわけでありますが、その導入に当たりましては、公共性が損なわれることがないか、政策目的を達成する上で支障とならないかといった観点からその適否が検討されるべきものである、そういうふうに考えます。

 財務省といたしましても、いずれにせよ、ネーミングライツの活用などの新たな手法の検討も含めて、引き続き、国有財産の有効活用に取り組んでまいりたいと思います。

浅川委員 ありがとうございます。

 我々維新は、減税と規制改革ですので、増税しないように財政再建を図っていくのが至上だと思っております。

 官房長官が到着されたので、一応、文科のJAXAのところはここまでで結構でございます。大臣、どうもありがとうございました。

小野寺委員長 文科大臣は御退出されて結構です。

浅川委員 お体、気をつけてください。

 それでは、官房長官、今日の最後なんですけれども、実は、長官、外務大臣のときに、安保委員会で国家機密を明かしていただきました。ちょっとそれに今日絡めて、まあ、多くの方は分かっていないかもしれないですけれども、「イマジン」を弾き語りをしたとき歌ったかどうかというのが国家機密だったということで、それが実は弾き語りで、歌いもされていたと。ビートルズ博物館ですね。

 今日は、実は、もう長官御存じだと思いますけれども、ジョン・レノンの「ノーバディー・トールド・ミー」という曲、「アウト・ザ・ブルー」という、ビートルズが解散してからの曲なんですけれども、この曲の中の歌詞にジョン・レノンが体験したことが書かれているんですね。これについては、資料も添付していませんので、後で何かというのは明かしたいと思いますけれども。

 今日、このUAP、資料をここにつけさせていただきました。防衛省さんの方でようやく、アメリカの国防総省が何百億という予算を使って、いわゆる昔UFOと言われたものが国防上の脅威として認識されて、研究、そして日本と情報共有していると。その情報共有しているのがホームページにも出ていまして、日本の西日本で多数のUFOが、いわゆるUAPが出ているというのが、安保委員会でもやったんですけれども、公表されているんですね。

 これについて、松野官房長官に内閣委員会でお伺いしたり、記者会見でも言われているのは、日米で緊密に情報共有をして、分析をしているというんですね。そうしたら、やはり日本側の窓口が必要でしょう。

 もし、今この国会の上に、西日本ではなくて国会の上にUAPが現れたら。既に、中国の偵察気球が青森とか仙台の上空にあったときに、何の手出しもしなかったという事実があるわけです。もしも判別不能物体がこの国会の上空に現れたときにどういうふうな対処をするかというのを、危機管理の観点から、何か対応されていますでしょうか。

林国務大臣 まず、お答えする前に、ジョン・レノンの「ノーバディー・ラブズ・ユー ホエン・ユーアー・ダウン・アンド・アウト」という歌だったと思います、ソロのアルバムに入っていて。ただ、今おっしゃったようなことは、ちょっと私、承知していなかったので、早速聞き直してみたいと思います。

 そして、UAP、未確認異常現象でございますが、私も御質問を受けて、UFO、UFOと思っていましたら、アンアイデンティファイド・エアリアル・フェノミナ、さらには、これがアンアイデンティファイド・アノマラス・フェノミナに変更されたということで、委員のおかげで新しくこのUAPという言葉をインプットさせていただいたわけですが。

 この未確認異常現象による緊急事態、これは仮定の御質問でございますので、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、あくまで一般論として申し上げますと、政府として、緊急事態の発生時は、事態に応じて官邸対策室、官邸連絡室等を設置して、関係省庁からの情報集約や、対処に係る総合調整等の初動対応を行うこととしております。

 政府として、省庁横断的に、政府一体となってあらゆる緊急事態に対応できるように、引き続き、危機管理体制の確保に努めてまいりたいと思っております。

浅川委員 私は、これを国会質問で続けたために、メキシコの議会から呼ばれて、去年の九月に議会の公聴会でいろいろ話してきたんですね。多分、公聴会で日本の国会議員がメキシコに行ってしゃべったというのは初めてだと思うんですけれども。実は、この国会中も今回呼ばれたんですけれども、今回は行けませんと断ったんですね。

 アメリカでは、私、実際に空母ニミッツのパイロットだった人がこのUAPとすれ違う、しかも、空母ニミッツの乗員が、何百人という人が見ているということも発表されているんですよ。これは絵空事とか笑い話じゃなくて、現実の危機としてアメリカはやっているんですね。だから何百億というお金を出しているんですよ。

 日本の防衛省の中でも、多分もう認識が変わってきていると思いますので、是非国として、この点について積極的に取り組んでいただきたいと思いますけれども、再度御答弁いただけますでしょうか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたが、仮定の質問に対して予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、政府としては、発生した事態に応じて適切に対応することとしておるところでございます。

浅川委員 委員長も、防衛大臣ももちろんお務めになられていましたので、御関心があるかと思いますけれども、この問題は、今、予算がもったいない、無駄だという声も後ろから聞こえましたけれども、全くそうではなくて、これは人権問題でもあるんですね。こういう話をすると、おまえは変わっているといって、のけものにされる。実際に航空機のパイロットはそれで地上職勤務になっている、そういう話もあるんですよ。

 ですので、この話が、浅川は変わっている、まあ、私は確かに変わっているんですよ、古川さんも御存じ、もういなくなっちゃいましたけれども。私も横浜銀行に勤めていたときに、さんざん変わっていると言われましたけれども、市会議員時代も言われました。でも、この話自体は正真正銘の、アメリカの政府がこれだけの発表をしていることですので、真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 最後に要望をさせていただきまして、終わりとします。どうもありがとうございました。

小野寺委員長 これにて浅川君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、阿部司でございます。

 早速ですが、まず、NHKのネット事業について御質問させていただきたいと思います。

 今国会で放送法改正案が提出される見込みですので、そこで主要な議論はさせていただきたいと思いますが、前提として幾つか確認をさせてください。

 一部報道によりますと、今般の法改正に伴い、NHKはテキストによるニュースのネット配信を縮小する可能性があるとのことです。

 私は、放送とインターネットのサービス内容が同等である必要はなく、NHKのネットニュース配信は公共放送事業者としての重要な役割を担っており、そのリソースを活用することは非常に価値があると考えております。したがって、現在のネットニュース事業を縮小することは、情報の多様性、そしてアクセシビリティーの観点から見ても望ましくないと強く主張したいと思います。

 この点、放送法改正によってNHKのインターネットによるテキストニュース配信が実際に縮小される見込みなのかどうか、大臣、お伺いをいたします。

松本国務大臣 委員御案内のとおりかと思いますが、視聴者の多くがインターネットを主な情報入手手段として利用しつつあることを踏まえまして、総務省の有識者会議で、インターネットを通じた場合であっても視聴者が継続的、安定的に放送番組を視聴できる制度に変更していくべきであるとの取りまとめがなされ、提言をいただいているところでございます。

 これを踏まえて、ただいまお話がございましたが、総務省においても放送法の改正案を今国会に提出する予定であり、これによりインターネット活用業務をNHKの必須業務とする場合には、テキスト情報等の配信を含めて、NHKの放送番組の内容が視聴環境に適した形態で継続的かつ安定的に提供される点において、NHKのインターネット活用業務が特に縮小されるとは考えておりません。

 その上で、必須業務として提供することとなるテキスト情報等の範囲につきましては、総務省の有識者会議の提言を踏まえて、放送の二元体制を含むメディアの多元性を確保するため、放送番組と同一の内容を基本としつつ、放送法で外延を画定し、競争評価のプロセスで具体的な範囲を定める制度としたいと考えております。

阿部(司)委員 縮小しない方向であると理解をいたしました。

 昨今、御案内のとおり、情報を得る手段としてインターネットニュースの重要性が高まっておりまして、特に若い方を中心に利用が広がっております。このような状況下でNHKのネットニュース事業を縮小することは、情報の多様性、先ほど申し上げましたが、アクセシビリティーの観点からしても、そうしたことを損なうことにつながりかねないと考えております。

 放送にひもづいていないものについても、価値のあるニュースなど、これまでもありましたので、どうか公共放送としての責務を果たす上でも、時代に逆行しないよう御留意をいただきたいと思います。

 その上で、NHKのネット事業が民業圧迫に当たるという指摘もあると聞いております。

 公共放送のネット事業がメディア企業に与える影響について、政府や関係機関が具体的なエビデンスを持ってこの問題を分析しているのか、その結果について、大臣、お伺いをいたします。

松本国務大臣 NHKのインターネット活用業務に関しては、総務省の有識者会議において、具体的なエビデンスが示されたわけではないものの、民間報道機関の経営に悪影響を及ぼしているのではないかとの指摘があったところでございます。

 このような指摘に対しまして、有識者会議においては、民間報道機関の経営が実際にどの程度の悪影響を受けているのかについてはエビデンスベースで検証していくべきであること、NHKが必須業務として提供するテキスト情報等の具体的な範囲を、民間放送事業者、新聞社、通信社等の関係者の参加を得た競争評価のプロセスを経て定める制度とすべきであることなどを提言いただいたところでございます。

 総務省としては、この提言を踏まえまして、放送法の改正案を今国会に提出する予定であること、先ほど申し上げたとおりですが、テキスト情報等の提供について、NHKが、業務の実施に関する規程を策定することや、その実施状況を定期的に評価することにより、公正な競争の確保に支障を生じない仕組みとし、その際には、民間報道機関の経営に与える影響をエビデンスベースで検証していきたいと考えております。

 また、このような競争評価のプロセスについて検討するため、現在、関係者の参加を得て準備会合を開催しており、総務省としてしかるべく対応してまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 NHKのネット事業による民業圧迫の根拠は明確でないことが確認できたと思います。それを踏まえますと、NHKのネット事業の縮小を進めるべきではないという私の考えは更に強まりました。

 現代社会において、インターネットは情報の主要な源泉となっておりまして、特に、先ほど申し上げましたが、若年層にとって重要性は計り知れないと考えております。この公共放送のネット事業の役割は今後も増していくと思いますので、私たちは、NHKの肥大化を望んでいるわけではありませんが、公共放送が持つリソースを最大限に活用して質の高いネットコンテンツの提供を目指すべきであると強く信じております。

 そして、我が党は、NHKを将来的に分割をして、一部民営化するという構想を持っております。ネット事業はその中で非常に有力なコンテンツとなると考えておりますが、現に受信料を国民からいただいている以上、ネット事業におけるコンテンツの充実を図って国民に還元していくことが公共放送の使命であると考えますけれども、ネット事業のコンテンツ充実に向けた政府の御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 私どもとしては、放送番組をインターネットを通じて提供することを今回の法改正においても検討を進めてきて、このように考えているところでありまして、放送は、御案内のとおり、公共放送と民間放送の二元体制の下でお互いが切磋琢磨することで発展をしてきたものでありますが、インターネットによって大変拡大をしてきた情報空間の中で、放送が国民の皆様に提供する情報というのは大変大切であるということで考えておりまして、放送番組をインターネットを通じてでも提供すること、これを安定的、継続的にという、先ほど申しましたように、有識者の皆さんの見解でございます。

 コンテンツの展開につきましては、我が国のコンテンツは大変産業としても重要であるというふうに考えているところで、様々、放送事業者だけではなくて、コンテンツを制作する方々も含めた支援についても、総務省としても、情報の流通を担当する部署としては、これまでも様々施策を進めてきたところでございますが、そういったものを活用しつつ、大変期待されるコンテンツへの将来の方向性というものに私どもも政策としての支援を考えていきたいと思っております。

阿部(司)委員 私は総務委員会のメンバーでもありますので、引き続き、このNHKの議論を進めてまいりたいと思います。

 こちらでNHKに関する質問は以上ですので、総務大臣、御退出いただいて結構でございます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 では、総務大臣、御退出いただいて結構です。

阿部(司)委員 続きまして、政治資金問題と政治改革について官房長官にお伺いをしてまいりたいと思います。

 日本の成長を妨げているのが参入障壁であると私は考えております。今の日本の停滞は、既得権の維持によりまして、各分野における新たな挑戦のハードルが高まっていることにあると思います。停滞を打破し、そして持続的な成長に結びつけていくためには、新たな挑戦者が様々な分野に飛び込むことを後押ししなければならないと思います。そうした観点から質問をしてまいりたいと思います。

 自民党のいわゆる裏金問題において、そもそも個々の議員にノルマを課してまで多額の金を集めていたこと、そして組織的に裏金づくりをしていたことについて、その動機、誘因は、依然として選挙に金がかかることなのではないかなと思っております。官房長官の御認識をお伺いいたしたいと思います。

林国務大臣 現在、関係者におきまして政治資金収支報告書の訂正作業が順次行われているところでありまして、自民党としても、これらの状況を把握するとともに、外部の弁護士も交えて、順次、不記載に至った経緯、使途等も含めて、党幹部による関係者への聞き取り、これを開始しているところと承知しております。

 総理もおっしゃっておられますように、今回の問題の最大の原因はコンプライアンスの欠如にあるというふうに述べられておりますが、官房長官の立場としてこれ以上申し上げることは差し控えたいと思います。

阿部(司)委員 平成元年、政治改革大綱では、問題の一つとして、政治活動や選挙運動に多額の金が必要とされることが指摘され、制度改革に至りましたが、官房長官として、金のかからない政治活動、選挙運動は実現されたと考えていらっしゃいますでしょうか。御認識をお伺いいたします。

林国務大臣 これまで、金のかからない選挙の実現や選挙の公正確保等の観点から、国会における審議や各党間の議論等を経まして、選挙運動や政治活動について現行のルールが設けられてきたとともに、選挙公営制度が拡充されてきたと承知をしております。

 政治資金に係るルールや選挙制度については、引き続き、その評価も含めて、各党各会派において御議論いただくことが重要であると認識をしております。

阿部(司)委員 政治活動、選挙運動には依然として金がかかっていると思っております。金がかかる選挙が、今回の不正を含めた政治資金集めの大きな誘因になると同時に、政界への参入障壁を高めております。

 参入障壁を高めている要因の一つに、私は、引退する政治家がその地盤を政治団体ごと身内に継承させる、いわゆる世襲があると思っております。

 世襲の中にも、もちろん優秀な方もいらっしゃいますし、全てが悪いとは思いませんけれども、戦後の首相経験者で約七五%が世襲、時事通信の調査によりますと、自民党国会議員においては約三割が世襲と言われております。これが正しい民主主義の在り方と言えるんでしょうか。

 世襲の議員は、選挙に必要な地盤、看板、かばんを全てそろえており、選挙そのものや政党の公認時に有利だと言われております。そのため、新人は新規参入が非常に難しい。だから金集めが必要になりますし、当選後もそれは続きます。誰であっても自由に立候補する権利は憲法の保障するところでありますが、不公平だと思わないでしょうか。官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 国政を目指す動機や背景は人それぞれであるものと考えますが、政治家の親族だからということで議員の席が当然のごとく譲り受けられるというのであれば、それは問題であると考えます。

 世襲に関する議論については、基本的には、政治家として有能かつふさわしい人、これを国民が広く選べるような仕組みをどのようにつくるかということが重要であると考えます。

阿部(司)委員 特に問題だと思っておりますのが、政治団体の政治資金は非課税で親族に相続をされる、世襲議員が金の面で非常に有利になっている、この点であります。

 我が党も維新版政治改革大綱の中で提言させていただいておりますが、資金の継承について規制をして、競争条件をより公平なものとするべきではないかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 政治資金規正法上、政治団体の代表者について、その選任要件や資格に関する規制は設けられていないところでございます。

 総理もおっしゃっておられますように、政治資金については、当然のことながら、これは相続と異なり、親族に対して当然に引き継がれるというような類いのものではない、私もそのように思っております。

 政治家が引退したときなどに政治団体を存続させるのかどうか、政治団体が存続する場合に誰が代表者になるのかは、当該政治団体において判断することと認識をしております。

 以上です。

阿部(司)委員 今、官房長官、当該政治団体において判断することと認識しているとおっしゃられましたけれども、林官房長官、この点、いかがでしょうか。御自身の政治団体は御親族に継がせるつもりはあるのかないのか、ちょっとお答えいただけますでしょうか。

林国務大臣 今の委員の御質問は、私が引退をするという前提でお聞きになっているわけでございますが、まだこの年でございますので、しばらくは頑張らせていただきたいと思っております。

阿部(司)委員 有権者が政治に失望する原因の中の一つに世襲があるのではないかなと思っております。選択肢が絞られてしまう、自分が立候補してみようかなという機運自体が高まらない、結果的に、政治は変革が起こらず停滞をする。

 政治資金集めを抑制して政界の新陳代謝を進め、有権者により幅広い選択肢を提供するために、過去に自民党がマニフェストで掲げたように、世襲制限の政策をもう一度検討すべきだと思うんですが、御見解はいかがでしょうか。また、少なくとも、立候補は自らの親族の地盤以外で行うようにするなど、新規参入者により公平な制度を目指すべきではないでしょうか。官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 官房長官の立場で自民党の施策について申し上げることは差し控えさせていただきますが、自民党においても、公募、予備選挙等の積極的な活用を通じ、有為な人材を広く募集、発掘することに努めているものと承知をしております。

 いわゆる世襲につきましては、国会議員の身分に関することでございますので、議会政治の根幹に関わる重要な問題であることから、各党各会派において御議論いただくべき問題と考えております。

阿部(司)委員 議員立法は提出させていただきますけれども、やる気になりさえすれば、自民党の中でも内規を作ることは可能だと思います。是非、党内でも御議論いただきたいと思います。

 官房長官、以上で終わりますので、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

小野寺委員長 それでは、官房長官、御退出いただいて結構です。

阿部(司)委員 次に、経済政策についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 新藤大臣、時間の都合上、最初の質問はちょっとスキップをさせていただきます。

 先日、厚生労働省の毎月勤労統計調査で、二〇二三年の実質賃金が二年連続マイナス、物価高もあり二・五%マイナスだったと報道されました。岸田総理は施政方針演説で物価高に負けない賃上げを目指すと強調されましたが、物価高に負けない賃上げを目指しても、国民の手取りの所得が増えなければ生活はよくなりません。

 名目上の賃上げ率や所得増加率と、手取りの増加と、どちらが実質的に国民にとって必要と考えているのか、新藤大臣、お伺いいたします。

新藤国務大臣 物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現する、これが私たちの至上命題だと思っています。それは、結局、実質賃金の上昇、それから、国民の可処分所得を増加する、このことをもたらしたいと思っているわけです。

 ですから、今委員が手取りというお話をされましたけれども、それが可処分所得という意味とするならば、それは、結局、できる限り所得を上げ、そして、物価が上がってもそれを上回る賃金を常に実現できる、その形をつくる中で手取り収入というのを増やすことができるのではないか、このように考えるわけです。

阿部(司)委員 今、可処分所得の伸びが物価高を上回る状態をつくり上げることが重要だと大臣おっしゃいました。

 先日、総理答弁で、子供政策の支援金の国民負担が国民一人当たり五百円弱であることが明らかになりました。さらに、現役世代を含めて、七十四歳以下の医療保険加入者に対して全体の九〇%余りの負担を求めて、二〇二六年度には六千億円、その翌年は八千億円、その翌年は一兆円集めると聞いております。

 社会保険料の負担が増えると手取りの所得は減りますけれども、この負担増を織り込んでも手取りの増加は達成できるんでしょうか。大臣、お伺いいたします。

新藤国務大臣 これはとても重要な指摘で、しかも、皆さんが心配されているところだと思うので、皆さん、是非、私は、議論しながら共有すべきだと思っているんですね。

 今回のいわゆる新しくお願いしている支援金制度というのは、枠組みとして、そもそもが、歳出改革を行う。そうすると、そこで公費の部分が浮いてきますよね。それから、歳出改革を行ったということは、それによって社会保険料の負担も減るわけです。ですから、この公費と社会保険料の負担のはざまの部分を使って、それと同等の支援金をお願いするということですから、新たに追加負担をするわけではないので、総理が何度も申し上げているように、そこは負担の増加にはならないんだと。

 第一、そもそも、今回一兆円の支援金制度ということになっているんですけれども、この一兆円の支援金制度を実現するためには、まだこの支援金の行われていない二〇二三年度と二〇二四年度で、それぞれ、二か年で三千三百億の歳出削減をしているわけです。そうすると、それが二年ですから、今回六年間でこの財源をつくろうとしているわけですから、そうすると、三千三百の掛ける三倍、おおむね一兆円。ですから、そこには、支援金による新たな負担増というのを入れずにこういったことができている。是非、この構造は理解していただきたいと思っています。

阿部(司)委員 それでは、幾ら賃上げをしたら、賃上げ率を上げたら、この負担分は吸収できるんでしょうか。

新藤国務大臣 それは、賃上げではなくて、歳出改革を徹底する。その中で、歳出改革を徹底した中で生み出した財源と、それから歳出改革によってもたらされる社会保険料の減額分、この部分を加えて支援金にするという構造ですから、賃上げをした分で、増えた分から、そこから御負担をいただくという設計にはなっていないということなんです。

阿部(司)委員 二年間、実質賃金のマイナスが続いている中、支援金制度、今の御説明、ちょっと国民の皆さんは納得できないと思うんですけれども、負担を増やしながら本当に可処分所得の伸びというのを担保できるのかという話なんです。要は、アクセルとブレーキを両方踏むような話だと思うんです。

 少子化対策の財源を現役世代に負担させる理屈について、これは、SNSでも全く、納得しているという意見はありませんよ。

 先日、大学生の二割は子供を望まないと日経新聞の記事でもありましたが、その理由の一つは経済的な不安なんですね。要は、手取りが重要なんです。手取りです。国民の手取りの所得が増えなければ経済再生も出生率アップも実現できないと思うんですが、手取りの所得をそれでは幾ら向上させようと考えていらっしゃるんでしょうか。

 また、経済再生、国民生活の向上を目指すということであれば、企業の賃上げ率、そして、所得増加率ではなくて、国民の手取りの所得をKPIに置いたらいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まず、幾ら上げるかというのは、物価が幾ら上昇していくかということに密接に関係しますよね。ですから、冒頭から申し上げておりますように、物価の上昇率を超える賃金上昇率をキープする。今それができていないから実質賃金が下がっちゃっているわけです。だから、目標は、インフレがどのように、物価上昇がどうあろうと、それを上回る賃金というものを常に実現できる、そういう社会にしなければならないということがあるわけです。

 その上で、賃金は、ただ上げるだけではなくて、その率以前に、賃金を上げるためには、企業の業績が上がらなければなりません。企業の業績を上げるためには、生産性を向上させなければならない。そうすると、省力化の投資も必要だし、イノベーションも必要だし、そういう、単に賃金のことだけでなくて、経済全体を力強くしていく中で結果的に賃金が上がる。

 それから、もう一つ大事なことは、じゃ、一律に、今置かれている賃金が同じレベルでみんな上げていくのかと。それは基本なんですけれども、大事なことは、能力に応じて、努力した人間がきちんとした賃金を得られる、それから職務に応じた賃金体系にする、そのためにリスキリングも五年間で一兆円支援している。こういうものを活用して、御自身がより望まれる、また、高度な仕事をすることによって今の体系から賃金をもっと上げる、これを全体として底上げをする中で可処分所得の向上をもたらそう、こういうことを私たちは、ですから、総合的な政策連携をさせる中で国民の最も根本である賃上げを実現したい、このように思っているということです。

阿部(司)委員 税負担ですとか社会保険料の負担を下げないと、抑制しないと、手取りは増えないと思います。そこの改革を徹底的に行うこと。そして、おっしゃられましたけれども、確かに三位一体の労働市場改革とかというのをおっしゃっていますけれども、これも踏み込まないと、私は全く賃金は上がっていかないと思いますよ。

 ということで、トータルでの手取りを増やす改革を是非進めていっていただきたいと思います。

 ちょっと残り時間があと僅かなんですが、四万円の定額減税、こちらが実施されます。この減税政策は、国民の手取りの所得を増やすという意味で一時的に効果があると考えておりますが、この減税を継続して行っていけば持続的な賃上げと近い効果が生まれると思いますが、財務大臣、継続しないんですか。

鈴木国務大臣 御指摘の持続的な賃上げに向けては、単に減税でありますとか財政出動によって所得を支え続けるのではなくて、むしろ、こうした取組を契機とした経済の好循環による自律的な成長の中で実現していく必要がある、これが基本であると考えております。

 今回の定額減税の目的の一つ、これは、賃金上昇と相まって国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくることによって、日本経済に長年の間しみついてきたデフレマインドを払拭できるきっかけとするために実施をするものでありまして、国民の皆様による思い切った消費、さらには企業の投資につながり、新たな賃上げを生み出すという経済の好循環を実現していきたいと考えております。

 したがいまして、定額減税を複数年度にわたって実施することは考えておりません。

阿部(司)委員 武見大臣、質問を一つ残してしまいました。申し訳ございません。

 もう終わりますが、中期的には負担減、そして、長期的には抜本的な構造改革が必要だと思います。引き続き御議論させていただければと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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