衆議院

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第7号 令和6年2月9日(金曜日)

会議録本文へ
令和六年二月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小田原 潔君

      越智 隆雄君    奥野 信亮君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      後藤 茂之君    佐々木 紀君

      笹川 博義君    田中 和徳君

      平  将明君    塚田 一郎君

      平沢 勝栄君    藤井比早之君

      藤丸  敏君    古屋 圭司君

      牧原 秀樹君    宮路 拓馬君

      山田 賢司君    山本 有二君

      若林 健太君    渡辺 博道君

      井坂 信彦君    石川 香織君

      梅谷  守君    大西 健介君

      小山 展弘君    神津たけし君

      階   猛君    野間  健君

      馬場 雄基君    藤岡 隆雄君

      太  栄志君    山岸 一生君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      渡辺  創君    一谷勇一郎君

      小野 泰輔君    奥下 剛光君

      沢田  良君    杉本 和巳君

      徳永 久志君    林  佑美君

      藤巻 健太君    美延 映夫君

      守島  正君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君    福重 隆浩君

      山崎 正恭君    吉田久美子君

      高橋千鶴子君    宮本  徹君

      鈴木 義弘君    田中  健君

      長友 慎治君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣         加藤 鮎子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣         高市 早苗君

   国務大臣

   (国際博覧会担当)    自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  萬浪  学君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部国内調整統括官)  武藤 功哉君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理)    茂木  正君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   坂本 里和君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         中村 広樹君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室長)           畠山陽二郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幸宏君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  檜垣 重臣君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   御巫 智洋君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 森川 善樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           荒井 勝喜君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橋本 真吾君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西村 秀隆君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           田中 利則君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月九日

 辞任         補欠選任

  金田 勝年君     藤丸  敏君

  亀岡 偉民君     笹川 博義君

  牧原 秀樹君     藤井比早之君

  山本 有二君     佐々木 紀君

  若林 健太君     山田 賢司君

  石川 香織君     馬場 雄基君

  梅谷  守君     野間  健君

  山岸 一生君     太  栄志君

  米山 隆一君     神津たけし君

  早稲田ゆき君     藤岡 隆雄君

  奥下 剛光君     一谷勇一郎君

  林  佑美君     徳永 久志君

  守島  正君     美延 映夫君

  赤羽 一嘉君     福重 隆浩君

  宮本  徹君     高橋千鶴子君

  田中  健君     鈴木 義弘君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     小田原 潔君

  笹川 博義君     亀岡 偉民君

  藤井比早之君     牧原 秀樹君

  藤丸  敏君     金田 勝年君

  山田 賢司君     若林 健太君

  神津たけし君     米山 隆一君

  野間  健君     梅谷  守君

  馬場 雄基君     石川 香織君

  藤岡 隆雄君     早稲田ゆき君

  太  栄志君     渡辺  創君

  一谷勇一郎君     杉本 和巳君

  徳永 久志君     小野 泰輔君

  美延 映夫君     沢田  良君

  福重 隆浩君     山崎 正恭君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

  鈴木 義弘君     長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     山本 有二君

  渡辺  創君     山岸 一生君

  小野 泰輔君     藤巻 健太君

  沢田  良君     守島  正君

  杉本 和巳君     奥下 剛光君

  山崎 正恭君     吉田久美子君

  長友 慎治君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  藤巻 健太君     林  佑美君

  吉田久美子君     赤羽 一嘉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官萬浪学君、内閣官房TPP等政府対策本部国内調整統括官武藤功哉君、内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理茂木正君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長坂本里和君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官中村広樹君、内閣官房GX実行推進室長畠山陽二郎君、内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、内閣府政策統括官林幸宏君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府大臣官房審議官彦谷直克君、警察庁生活安全局長檜垣重臣君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、こども家庭庁支援局長吉住啓作君、総務省自治行政局公務員部長小池信之君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、総務省自治財政局長大沢博君、外務省大臣官房参事官門脇仁一君、外務省欧州局長中込正志君、外務省中東アフリカ局長安藤俊英君、外務省国際法局長御巫智洋君、外務省領事局長岩本桂一君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省高等教育局長池田貴城君、文部科学省科学技術・学術政策局長柿田恭良君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省政策統括官鹿沼均君、厚生労働省政策統括官森川善樹君、農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官松尾浩則君、農林水産省消費・安全局長安岡澄人君、農林水産省農産局長平形雄策君、農林水産省畜産局長渡邉洋一君、農林水産省経営局長村井正親君、農林水産省農村振興局長長井俊彦君、水産庁長官森健君、経済産業省大臣官房審議官井上誠一郎君、経済産業省大臣官房審議官荒井勝喜君、経済産業省大臣官房審議官橋本真吾君、経済産業省大臣官房審議官西村秀隆君、国土交通省都市局長天河宏文君、国土交通省水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、防衛省統合幕僚監部総括官田中利則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。一谷勇一郎君。

一谷委員 皆さん、おはようございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。

 本日は、子供、子育て、それに関わるダブルケアや産後ケア、介護の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 私も、現在、十四歳の娘と六歳の息子を育てながら、妻も大学で仕事をさせていただきながら子育てをしています。実際、私の子供の年齢差、約九歳ありますが、これは、まず第一子の子供が生まれたときに、うちの妻がやはり産後のうつに少しなり、二子目を産むのに非常に時間がかかったということもあります。そして、私も四十九歳で、もうすぐうちの母親の介護も始まるのではないかというところで、まさに問題を身にしみながら本日の質疑をさせていただきたいと思っております。

 まず、先日、NHKのニュースウェブ版の記事に、少子化対策支援金制度、現役世代を含む七十四歳以下が九割余りを負担、政府は検討を進めた結果、当初二年間は、事業主負担も含め、全体の九二%の負担を求める方針で調整を進めているというふうに記事がありました。七十五歳以上の後期高齢者医療制度の加入者に求める負担は八%になります。

 二〇二五年、団塊の世代の方、約八百万人の方が後期高齢に突入していくことを考えれば、やはり不公平感は更に募ってしまうのではないかというふうに私は感じます。

 今回、社会で子育てをするという意識を高めていくというふうなことが大事になってくると思うんですけれども、そういったところを、世代間の格差を生んでしまうのではないかというのを問題視しています。

 そこで、加藤大臣に御質問したいんですけれども、少子化対策の財源確保のために公的医療保険を通じて集める支援金ですが、集まるまで財源不足は特例公債発行とのことです。社会保障の抑制と賃金アップで財政を確保するということですが、もしこれができなかった場合、私も自ら零細企業をしていますが、賃金アップは本当になかなか難しいのではないかなというところを感じているんですが、これができなかった場合、集まるまでの二〇二八年の特例公債の発行を更に延ばしていくということがあるのかどうか、対応はどうするのかということを御質問させていただきます。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度につきましては、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険負担軽減、すなわち、社会保障負担率の抑制の効果を生じさせ、その範囲内で構築していくことにより、全体として実質的に負担が生じないとしております。

 社会保障負担率の上昇を確実に抑制していくため、支援金見合いの負担軽減の効果は、まずは徹底した歳出改革により確保していくことが基本となります。

 あわせて、政府が政策を総動員して行っている賃上げの取組によっても実質的な社会保険負担軽減の効果が生じることから、その効果も活用しながら支援金制度を導入してまいります。

 その上で、こども・子育て支援特例公債は、昨年末に閣議決定されたこども未来戦略に記載されているとおり、二〇二八年度にかけて安定財源を確保するまでの間に財源不足が生じないよう、必要に応じ、つなぎとして発行するものであり、御指摘のように、公債の発行を続けることは考えておりません。

一谷委員 閣議決定されたことは非常に重いと思いますので、よほどのことがない限りは延期はないのだと思います。

 続けて、特例公債の償還期間が二〇五一年ということになっておりますが、これも、引き延ばすとか期間が変わるということがないのか、加藤大臣にお答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 償還期間を引き延ばすことはないのかという御質問であります。

 お答え申し上げます。

 昨年十二月に策定をされたこども未来戦略におきましては、加速化プランの実施が完了する二〇二八年度までに、既定予算の最大限の活用や歳出改革による公費節減及び支援金制度の構築により、三・六兆円程度の安定財源を確保することとしております。

 それまでの間のつなぎとして発行するこども・子育て支援特例公債につきましては、利払い、償還に係る負担を将来世代に極力先送りしないようにする観点から、支援金制度の構築を開始する二〇二六年度から二十五年で償還することとしております。

 歳出改革と賃上げにしっかりと取り組み、支援金制度を着実に構築することで、二〇五一年度までの償還を実現できるようにしてまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 それでは、次の質問は厚労大臣にさせていただきたいと思います。

 社会保障費の歳出改革で一・一兆円程度の捻出をするということをお聞きしております。社会保障の歳出改革、抑制については、具体的な内容はどのようなもので、今までの効果はどうかということをお聞きしたいと思いますし、あわせて、改革工程として挙げられた歳出削減効果には、医療、介護での利用者負担の拡充や生活援助サービスの見直しといった項目が並ぶが、具体的に何で幾ら捻出するのかということもお聞きしたいと思います。

 不透明な項目は、従来も検討課題になりながら、生活への影響の大きさから進まなかったものばかりです。これも私も医療や介護の現場にいながら非常に感じています。こういった中で、本当に予定どおり捻出できるのかということについてお伺いをいたします。

武見国務大臣 社会保障関係費全体として、これまで、薬価の改定や医療保険、介護保険制度の見直しといった制度改革によりまして、令和五年度は約一千五百億円、それから令和六年度予算案では約一千四百億円の削減効果を生じさせるなど、その実質的な伸びを高齢化による増加分に収める方針、実は達成しております。

 それから、昨年末に閣議決定された改革工程におきまして、将来にわたり社会保障制度を持続させる観点や、必要な保障がバランスよく提供されることを目指す観点から、これまで実現に至らなかったものも含めて、社会保障制度改革等の取組を幅広く盛り込んでおります。

 こども未来戦略に記載された歳出改革では、この改革工程の内容に取り組むこととされておりまして、必要な公費の削減額を達成できるよう、二〇二八年度までの五年間、この各年度の予算編成過程において実施すべき施策をしっかり検討をし、策定をしていきたいと思います。

 なお、介護保険二割負担の在り方につきましては、改革工程に沿って、第十期介護保険事業計画期間を開始する二〇二七年度前までに、介護は医療サービスと利用実態が異なることなどを考慮しながら、丁寧に、この点、検討していきたいと思います。

一谷委員 今、社会全体として抑制していくというふうに御説明をいただきました。

 本日は図をお配りしていますけれども、高齢者の方の数の伸びと、医療費、介護費に係る社会保障の伸びの抑制をできた年というのは令和二年しかないように思います。

 そうなってくると、今の御説明ですと、なかなか抑制ができていないのではないかというふうに思いますし、これを全世代で抑制をしているというふうに考えれば、ここはやはり若者に、若い世代に負担のしわ寄せが行っているのではないかというふうに考えます。

 そして、今日は実は、我々日本維新の会と教育無償化を実現する会は、こういった点について朝の八時から勉強会をしていたんですが、その中で、二〇二三年の負担軽減効果というのは、ほとんど薬価改定の一千五百億というふうになっています。これを三年続けて一兆円の歳出削減をするというのであれば、この図をぱっと見たら、薬価改定の削減を三回続けていくのかというふうに取られるのではないか。これは教育無償化を実現する会の前原さんから出た意見で、私も、さすがだな、そうなんだなというふうに感じました。

 政府からは、いや、そんなことはないというふうな答弁もあったんですが、この図だけ、説明だけ聞くと、そういったふうに感じることです。

 ですので、ここはもう少し具体的な内容を示していっていかれることが重要だというふうに考えます。

 続けて厚労大臣に質問を続けていきたいんですが、本当に医療費、介護費の伸びを高齢化率に抑えていくというのであれば、私は、これは大変反発もあると思いますが、医療や介護のサービス提供の内容をある程度絞っていくということも重要ではないかなというふうに思います。

 実は、私が政治家を目指した理由は、二〇一八年のトリプル改定、今年の前の改定で、要介護一、二の方の総合事業への移行、これが見送られました。やはり、総合事業に行くと費用の上限がありますので、その中で何とかサービスを提供して、シニアの方にケアやリハビリをしていくというふうになると思うんですが、これを見送られて、これは私は若い世代へのツケ回しが更に増えるなという思いで今ここに来させていただいているんです。

 本当に抑制をしていくのであれば、こういった思い切った、サービス提供を絞っていくということをしないといけないと思うんですが、これについて御意見をお伺いいたします。

武見国務大臣 御指摘のとおり、質を下げずに、しかも量的な必要性に対応しながら介護の提供体制を削減させていくというのは、極めて難しい課題であることは御存じのとおりであります。

 その中で、改革工程では、御指摘の要介護一及び二の者、軽度者ですね、ここへの生活援助サービスなどに関する給付の在り方を含めて、まず、能力に応じた全世代の支え合いの実現に向けた医療保険、介護保険制度の見直し、それから、サービス提供側の質の向上と効率化、これは例えば、医療提供体制の効率化や介護分野におけるICT化の活用など、これを積極的に活用して、実際に適正化を図るということを確実に進めていきたいというふうに思っております。

 これらの取組については、各年度の予算編成過程においてしっかりと検討していくことで、これから生まれる若い将来の世代を含む全ての世代にとって安心できる持続可能な社会保障制度にしていきたいと考えています。

一谷委員 私は医療や介護の現場によく自らも行かせていただきますが、本当に、シニアの方の御意見を聞くと、若い世代へ何とか頑張ってほしいという御意見もよく聞きます。ですので、思い切ったシニアの方への対策を取ってもそんなに反発を受けるものではないのではないかなというふうに日を追うごとに感じていますので、今大臣笑われていますけれども、そんなことはないという感じだと思いますけれども、ここは思い切って、これは政治の力でしかできませんので、やっていっていただきたいと思いますし、歳出削減の工程表をしっかり進めていっていただきたいというふうに思います。

 では、次の質問を加藤大臣にさせていただきたいんですが、医療保険の種類や所得によって変化ありとあります一人五百円弱の財源確保について、今後変更はないのか、これは本当に財源をちゃんと確保されていくのかという視点での質問なんですが、少し我々、政治家というのは選挙もありますので、どうしてもシニアの方、多いですから、寄りの政策になっていくような気もするんですけれども、ここについては、しっかり将来世代のために財源を確保していくということを明言をしていただきたいなと思うんですが、お願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今般、子供、子育て政策の抜本的強化を支える安定財源の一つとして導入される支援金制度は、児童手当の高校生年代への拡充や、妊娠、出産後の十万円給付を始めとした今般の加速化プランで新設、拡充する施策に充て、切れ目のない支援を実現していくものであります。

 御指摘の、医療保険の加入者一人当たり平均月五百円弱という額につきましては、現時点で正確な額をお示しすることが困難である中、支援金の総額が一兆円となる二〇二八年度の段階の拠出額について、粗い試算としてお示ししたものであります。なお、支援金制度は二〇二六年度から段階的に構築することとしており、二〇二六年度や二〇二七年度の拠出額はより低い額となります。

 いずれにいたしましても、支援金制度は、こども未来戦略に記載のとおり、二〇二八年度に一兆円程度の確保を図るものであり、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で構築をすることとしております。

 また、支援金制度は、将来を担う子供たちや子育て世帯を、高齢者を含む全世代、企業を含む全経済主体で支える仕組みでありまして、こうした考えの下、法案の成案化に向けて引き続き精査をしてまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 次は、厚労大臣と加藤大臣にもお答えをいただきたいんですが、介護と子供、子育てについてのダブルケアの問題について質問をさせていただきます。

 今回の改定で、訪問介護については処遇改善加算は非常に高い率にしていただきました。これで求人倍率十六倍というかなり厳しい状況の中が改善されていくことを願います。

 また、介護の訪問事業所は、数にすると増えてきていますけれども、倒産件数や、もう倒産する前に事業をやめるという数も約六百件あったということで、表面に出ているだけでですね、ですから、事業所も増えるけれども撤退していくところも多いというような、大変不安定な事業になっています。

 また、数が増えていくといっても、都心部ではいいと思いますけれども、やはり地域によっては全くサービスが足りないという問題もあります。

 その中で、このダブルケアの問題なんですけれども、やはり介護保険の改定というのは、もちろん、今までは、介護離職をやはり防がないといけないというようなニュアンスもかなり高かったと思います。ただ、今後は、子育てをしている家族を支えるという視点も非常に重要になってくるのではないかなというふうに思うんですね。

 厚生労働大臣にお聞きしたいのは、介護報酬改定の中にこういった子育ての家族を支えるというふうな視点も入っているのかについてお伺いをしたいと思います。

武見国務大臣 私どもも、ダブルケアラーに関わる認識は非常に深刻に受け止めておりまして、その対応策、まさにこれから具体的に進めてまいります。

 今般の介護報酬改定で、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に進める観点から、訪問介護について、まず、介護全体の賃上げというものを実行するための財源配分という観点もございまして、基本報酬の見直しを行いつつ、処遇改善加算についてはそのほかの介護サービスと比べて非常に高い加算率をつけました。そしてまた、特定の事業所加算や認知症に関連する加算を更に充実することによって、訪問介護は、改定全体としては実はこれはプラス改定となっております。

 ケアに関わる家族などを支えながら住み慣れた地域で暮らすことができる訪問介護はもとより、様々な在宅のサービスを整備していくという、その基本的な方向性は変わりません。

 その上で、御指摘のダブルケアラーに関してでありますけれども、ダブルケアラーを行う方について、家族介護者本人に着目した支援として、市町村が設置する地域包括支援センター、ここにおきまして、家族介護者に対する総合相談支援を行う取組を推進しております。これはケアマネが非常に重要なつなぎ役を期待されることになります。

 介護以外の他の制度の理解を深める研修などへの参加を特定事業所加算の要件に追加するなど、介護現場での多様化、複雑化するダブルケアラーなどのような問題などに対応するための取組を促進する観点から、こうしたケアマネの活用等に関わる必要な措置を講じていこうと考えています。

 こうした取組を通じて、誰もが住み慣れた地域で必要な介護サービスを引き続き安心して受けられるように措置していきたいと思います。

一谷委員 厚労大臣の御意見、理解をしました。

 そこで、今のお話も踏まえて、こども家庭庁の大臣として、介護ヘルパーさんが両親の介護をして何とか子育てが両立できているという状況についてどうお考えになるのか、加藤大臣にお伺いをいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子育て家庭の置かれた状況、ニーズは多様であり、複合的な課題を抱える家庭もあるため、支援を行うに当たっては、教育、保育、子育て支援のみではなく、医療、保健などの支援や地域の関係づくりなども含め、様々な支援が一体的、包括的に提供される必要があると考えております。

 このため、こども家庭庁としましては、家庭全体を支援する観点から、様々な子供、子育ての支援策に加えて、ダブルケアの課題を抱える方であっても適切に支援ができるよう、厚生労働省と連携し、属性を問わない相談支援などを行う重層的支援体制整備事業を推進しているほか、妊産婦の方々に対する伴走型の相談支援や、地域で気軽に子育ての悩みを相談できる拠点の設置等により、支援が必要な家庭を適切な支援先につなげるなど、介護の問題も含め、複雑化、複合化した課題をお持ちの子育て家庭に対する必要な支援に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携し、それぞれの御家庭に寄り添った支援ができるよう、対応の充実に努めてまいります。

一谷委員 医療は二年に一回の改定ですけれども、介護は三年に一回の改定ですので、この改定が終わって、本当に、訪問介護事業が継続をして、そしてこのダブルケアの方に対してもしっかりと支援ができるのかというところは、こども家庭庁が、分かれましたけれども、そこの弊害が生まれないように是非していただきたいですし、少しそこの視点を強めていただくことを希望いたします。

 続きましては、ヤングケアラーについてお伺いをします。

 ヤングケアラーについても今国会で議論されると聞いています。私は、介護現場で実際にお宅へ訪問したときに、ああ、この子はヤングケアラーじゃないかなというふうに出くわすことは過去何度もありました。ただ、そこを、どこに相談していったらいいかというところがなかなか決まっていずに、たらい回しになってしまうということも経験をしています。

 こういった問題から今国会で議論されるというふうに認識をしているんですけれども、実は、神戸市は、子供ケアラー世帯への一定期間の訪問支援のヘルパー事業であるとか、子供、若者ケアラー世帯への配食支援モデルというのを先駆けてやらせていただいております。これは神戸市で痛ましい事件が起きたということもあるんですけれども。何とか、親の介護をヘルパーさんがやっていることで、ヤングケアラーの方が深刻化せずに済んでいるということを私は感じています。

 ですので、ここで加藤大臣にお聞きしたいんですが、このヤングケアラーのことと訪問介護のこと、そしてヘルパーさんのことについて、何か御意見がありましたらお願いをいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 ヤングケアラーの中には祖父母の介護を担っている子供もおり、ヤングケアラーが自身の時間が持てないこと等によって学校活動や交友関係等に支障が生じることのないよう、しっかりと支援をしていく必要があると考えております。

 訪問介護事業所のホームヘルパーがヤングケアラーの祖父母等の身体介護や生活援助を行うことは、ヤングケアラー自身の勉強や部活動等の子供としての時間を確保する上で重要であると認識をしております。

 こども家庭庁におきましては、今国会に子ども・若者育成支援推進法を改正するための法案を提出をし、ヤングケアラーを国及び地方公共団体等による支援の対象として明記することにより、自治体間の取組格差の是正や、十八歳前後での切れ目のない支援につなげてまいります。

 引き続き、ヤングケアラーを早期に発見し、介護保険サービスを含め、必要な支援につなげる取組を推進をしてまいります。

一谷委員 今の御回答いただいたことを踏まえて厚労大臣にお伺いしたいんですけれども、訪問ヘルパーの方が、介護ヘルパーの方が、シニアの方の、サービスを受けておられる方の食事や掃除を行われる、その際にヤングケアラーの家庭の方の掃除や食事を一体的にやることに対しては、私は、介護事業所の、もしこれが点数がつけば、収入のアップにもつながるというふうに思います。

 実は、先ほどの神戸のモデルは、三か月間は無料なんですが、そこから先は何か公的な、ほかのサービスにつないでいかないといけないというルールになっています。その際に、訪問ヘルパー、介護保険の中ですけれども、一体的にヤングケアラーの方の家庭に対してサービスを提供していくということについて、どこから財源を出すかという問題もあると思うんですが、これから働き手の足らない状態の中、少しお考えをお聞かせいただけたらと思います。

武見国務大臣 この点は、まさに、こども家庭庁と緊密に連携を取りながら対応していかなければならない課題だというふうに思います。

 その上で、こども家庭庁さんは、ヤングケアラーなどがいる家庭を含む、支援を要する家庭に対して、訪問による家事、育児支援を行う子育て世帯訪問支援事業を創設をして、それから、先駆的に取り組む自治体を更に支援するというふうに承知をしております。

 この事業に限らず、一般論として申し上げると、訪問介護のヘルパーが利用者本人に加えて家族の方にサービスを提供するということは、介護保険のサービスと明確に区分した上で、いわゆる保険外のサービスとして実施することは可能ではあります。

 その上で、家庭が抱える課題が多様化する中で、ヤングケアラーなどを含め、家族介護者を社会全体で支えていくという点で、先ほど申し上げた形での、こども家庭庁さんとの連携が非常に重要になってくるわけです。

 この家族介護者に対する、地域包括支援センター、ここによります総合相談支援のほかに、介護保険法上の任意事業として、家族介護者を対象とした、介護の知識や技術の研修、それから介護者同士の交流会を開催するといった、こうした自治体の先駆的取組、これを推進しております。

 これに引き続き、こども家庭庁などとも連携しながら、ヤングケアラーを含む家族介護者へのこうした包括的な支援の構築を組み立てていきたいと思います。

一谷委員 今のは可能だというお話だったんです。もちろん、介護の分野では混合介護ができて自費のサービスをするということは十分理解しているんですが、実際的には、やはり保険のサービスと自費のサービスを分けるために、一回事業所に帰ってくださいとか、服を着替えてくださいとか、そういった変な、本当に効率的なのかというようなローカルルールもたくさん存在しますので、そういった問題を払拭しながら、これは国のリーダーシップを取っていただいて払拭しながら、是非このヤングケアラーの問題にも当たっていきたいと思いますし、本当に垣根を越えてやっていかないと解決しない問題だというふうに、私は現場にいながらそういうふうに思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 都道府県の事業に産後ケア事業の計画的提供体制の整備が追加されると聞いております。現状、産前産後ケアは市区町村事業です。自治体によれば、産前産後事業所が少なく、自治体間の連携を都道府県が先導することを期待できるということがあります。しかし、都道府県に財源や職員の余裕があるとは考えられません。計画を製作して製本して本棚に入れて終わりということにならないように、国から財政や職員の補填があるのかということをお聞きしたいと思います。

 また、妊産婦のメンタルヘルスケアに関するネットワーク構築事業ですが、協議体を新たにつくり運営していくとのことですが、どれだけの都道府県が手を挙げるとお考えか。都道府県の母子保健課が、これは市区町村事業ですので弱体化しているという現状を考えて、実行部隊の担い手がいない中で、職員の担い手をあらかじめ増やしていくということも考えなければなりませんが、この点について加藤大臣に答弁を求めます。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 市町村事業である産後ケア事業につきましては、昨年十二月に閣議決定したこども未来戦略におきまして地域子ども・子育て支援事業として位置づける方針を打ち出しており、同事業に位置づけられた場合には、都道府県においても産後ケア事業に関する支援事業計画を策定いただくこととなります。

 産後ケア事業は、実施できる医療機関等について地域偏在があると指摘されていることから、都道府県において広域的な調整を行うことが重要と考えており、都道府県において実施体制の整備などを検討するため、地域の産科医療機関や助産師会等をメンバーとする協議会の設置を進めることで広域的な取組を推進していく必要があると考えております。

 また、都道府県における妊産婦のメンタルヘルスに関するネットワーク体制の構築事業についても、都道府県において精神科医療機関などの関係者による協議会の設置を進め、産後ケア事業と同様に、広域的な取組を推進していく必要がございます。

 これらの事業を全ての都道府県で取り組んでいただくため、いずれの協議会におきましても都道府県に対する国庫補助による支援を行っており、その中で、協議会の設置、運営に必要な人件費などについても補助を行っているほか、協議会の運営を地域の中核となる医療機関などに委託して実施することを認めるとともに、関係者による既存の会議体がある場合には、これを活用することも認めるなど、都道府県が地域の実情に応じて柔軟に実施できることとしています。

 あわせて、先行する都道府県の取組事例について、横展開を図ってまいります。

 全ての都道府県が取組を進めていけるよう、今後もしっかりと支援を行ってまいります。

一谷委員 なかなか精神科の機関と連携をするというのが産前産後ケアのメンタルヘルスの中で非常に難しいという声をずっとお聞きをしておりますし、産前産後ケア単体で黒字になっている事業所を、私は今まで一件も見たことがありません。実際、他の医療機関の附属として何とか赤字を補填しているというのが現状だと思うんですね。

 そういったところを踏まえて、妊産婦のメンタルヘルスケアの予防の観点からも重要と考えますので、是非お願いをしっかりしたいと思います。

 ここで、次の質問をさせていただきます。

 子供を産まない理由として、産前産後の担い手がいないということで妊婦さんの負担が大きいということもありますが、費用面を含めて、教育費、次に来る出産費用、産前の妊産婦の健診に費用が必要で、自治体ごとに負担の違いもあります。

 出産一時金を増額し、保険適用を検討されておりますが、改めて、保険適用ということについてお伺いを大臣にしたいと思います。厚労大臣、お願いします。

小野寺委員長 厚労大臣武見敬三君、約束の時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

武見国務大臣 昨年四月から、出産一時金を四十二万から五十万に大幅に引き上げました。また、今年春を目途に出産費用の見える化を本格的に稼働いたしまして、医療機関等ごとのサービス内容や出産費用の状況などを公表することとしております。

 そして、出産の保険適用については、こうした取組を進めて、その効果の検証を行った次の段階として、現状も踏まえながら、二〇二六年度を目途に検討を進めます。その際の保険適用は、サービスの質が確保されるというメリットがある一方で、全国一律の診療報酬が評価されることで、かえって妊婦の選択肢の幅を狭めるということになってはいけないという課題もございます。この双方の考え方を踏まえて検討していくことになります。

 その観点と関連しますけれども、自己負担の問題。

 今回の出産一時金の引上げは、平均的な標準費用について妊婦に自己負担が生じないようにしたものでございまして、保険適用の検討に当たっても、こうした基本的な考え方は踏襲していきたい、こう考えております。

一谷委員 是非、産前産後ケアを抱えている助産院のことも考えていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 済みません、これで質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて一谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、徳永久志君。

徳永委員 おはようございます。教育無償化を実現する会の徳永久志です。

 統一会派を組ませていただいております日本維新の会の皆様方の御配慮をいただきまして質問をさせていただくこと、感謝を申し上げます。

 それでは、私の方から、本日は、日本の最大の戦略課題である人口減少の問題に絞って質問をさせていただくことといたします。

 現在、一億二千四百万人の日本の総人口、このまま推移をいたしますと、年間八十万人から百万人の規模で減っていくことになります。僅か七十六年後の二一〇〇年には、六千三百万人、半減をするというふうに推計をされているところであります。

 では、こうした流れの中で、私たちは何もやってこなかったのかというと決してそれはそうではないんだろうと思います。政府もそれから地方自治体も、懸命に知恵を絞って、少子化対策、子育て支援、やってきました。しかしながら、なぜ、それなのに、人口減少が止まらないんだろう、もっと加速をしているんだろう、そういったところを是非真剣に考えていかなければならないと思っています。

 そのときに、私は、やはりこれまでの取組の中にどちらかというと欠けていた視点といったものがあるのではないか、そういったところを指摘をさせていただきながら、質問をしたいというふうに思います。

 その前に、やはり是非ここは共有をしていただきたいなと思うのは、人口減少の社会に入っていって、来るべき人口減少の社会はどのような形になるんだろうかということについて、もっと幅広く国民の間で共有をされるべきだろうというふうに思っています。

 先ほど、二一〇〇年には人口六千三百万人と推計をされるというふうに申し上げましたけれども、この六千三百万人という人口は、ちょうど一九三〇年頃の人口とほぼほぼ一緒ということになります。こういうことを申し上げると、ああそうか、一九三〇年ぐらいに戻るのかなというぐらいのイメージしか持たれない方も結構おられるということでありますので、ここは、いたずらに危機感をあおり立てるということではありませんけれども、データに基づいた予見可能な未来像というものはしっかりと示せるんだろうというふうに思います。

 したがって、急激な人口減少によって日本社会がどのような影響を受け、どのような事態に陥ってしまうのかという点について、厚生労働大臣に伺いたいと存じます。

武見国務大臣 委員御指摘のとおり、人口の急激な減少という課題は、これは我が国が抱える最も深刻な課題の一つであることは間違いありません。また、同時に考えなければならないことは、高齢者人口が引き続き、二〇四〇年までは同時に増加していく。この両方に対応しつつ、我が国が国際社会でも十分通用する社会のダイナミズムをいかにして再構築していくのかという総合的な視点が非常に重要になってくる、こういう点は、委員と私、全く同一であります。

 具体的には、我が国の人口は二〇二二年に八十万人減少して、今後も百万人の大都市が毎年一つ消滅するというスピードで人口減少が進むことが予想されておりまして、急速な少子高齢化、人口減少局面に直面をしております。この急速な人口減少に歯止めをかけなければ、例えば社会保障制度においてサービス提供の担い手確保の課題が生じるなど、我が国の経済社会システムの維持に様々な困難が生じる可能性がございます。また、人口減少が続けば国全体の経済規模の拡大も難しくなりまして、国際社会における存在感、間違いなく日本は縮小してまいります。

 その意味で、人口減少問題、日本社会最大の戦略課題であるというふうに考えておりまして、この点については、民間有志による人口戦略会議の提言でも深刻な危機感を示されておられます。

 このため、まずは、少子化、人口減少の流れに歯止めをかけるべく、昨年末に閣議決定されましたこども未来戦略の加速化プランを着実に実行していくことが重要であって、厚労省も含め、これについては政府一丸となって取り組まなければいけないと思っております。

徳永委員 続いて、急激な人口減少がもたらす事態の中で、国家財政に与える影響はどのようなものがあるというふうに予測されますでしょうか。財務大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 人口減少が国家財政に与える影響ということでございますが、今、厚労大臣からもお話がございましたけれども、我が国の人口減少は、生産年齢人口の割合の減少、それと高齢者人口の割合の拡大という人口構成の変化を伴って進行しておりまして、このことが日本の経済、財政にも深刻な影響を与えていると認識をいたしております。

 例えば、人口減少によりまして、労働投入の減少に伴う潜在成長率の低下あるいは需要の低下をもたらして、我が国の経済力を一層低下させかねないこと、また、高齢化による社会保障給付費の増加が見込まれる一方で、その支え手の減少に伴う財源の減少等により受益と負担のバランスが不均衡になること、また、道路等のインフラの維持管理につきましても既存の仕組みのままでは人口一人当たりのコストの増加が見込まれることなど、様々な経路を通じまして大きな影響があると認識をいたしております。

徳永委員 二一〇〇年に六千三百万人になる。これは同じ六千三百万人でも、一九三〇年のときの六千三百万人と二一〇〇年の六千三百万人というのは全く中身が違ってくるということをおっしゃったんだと思います。まさに一九三〇年のときの六千三百万人は、若い世代がいっぱいいて、お年寄りが少なかった。逆に、二一〇〇年の六千三百万人というのは、高齢の方がいっぱいおられて、若い世代が少ない。

 そういった状況になってきますと、例えば、地域の担い手である警察とか消防とか、あるいは学校の教師、あるいは介護職員などなど、知力を含めて体力も必要になってくる、そういった担い手の方々がいなくなってしまうというようなことも予見されるわけであります。

 加えて、そうなってくると、それぞれの地域や村落で長年続いてきたお祭り、みこしを担ぐ人がいなくなってくる、山車を回す人がいなくなってくる、じゃ、もうお祭りもやめてしまおうかといった形で伝統文化の消滅といったことにもつながってくるし、それは、加えて、日本の伝統文化に対する大きな悪い影響を与えてしまうということでもあります。

 また、国家財政についても大変甚大な影響を及ぼすということでありますから、私はこれを有事と言わずして何と言うのだというふうに思うわけであります。したがいまして、これにしっかりと今から対応していかなければならないということを申し上げておきたいと思います。

 その前に、是非もう一度共有をさせていただきたいことがあります。

 では、人口減少を考えるときに、どうしても結婚あるいは子供を持つといった部分が議論をされるわけですけれども、結婚や子供を持つということは、これはあくまでも個人の選択であって価値観の問題である、その自由な意思というものは尊重されなければならないということであります。

 ただ、結婚や子供を持つことに対して希望を持っている若い世代に対しては、その希望が実現できるように社会全体で後押しをしてあげること、子供を産み育てたいんだけれども様々な課題や障壁があってなかなか踏み切ることができないという御夫婦がおられるのならば、そういった課題となっているものを取り除いてさしあげること、こういったことが我々政治の役割だというふうに思います。

 間違っても、結婚することがお国のためになるのだという結婚報国や、産めよ増やせよであっては決していけないということでありますので、まず、その辺りの考え方、加藤大臣、共有をしていただけますでしょうか。

加藤国務大臣 まさに結婚、妊娠、出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、個人の決定に対し特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはならないと考えております。

 このため、こども大綱におきましては、多様な価値観、考え方を尊重することを大前提とし、その上で、若い世代の意見に真摯に耳を傾け、その視点に立って、若い世代が、自らの主体的な選択により、結婚し、子供を産み育てたいと望んだ場合には、それぞれの希望に応じて社会全体で若い世代を支えていくことを少子化対策の基本としております。

 また、こども未来戦略におきましても、個人の幸福追求を支援することで結果として少子化のトレンドを反転させることを目指すこととしております。加速化プランの実行により、子供一人当たりの家族関係支出はGDP比でOECDトップのスウェーデンの水準に達し、画期的に前進することとなります。

 若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てできる社会を目指し、スピード感を持って実行に移してまいります。

徳永委員 問題意識は共有できたということでありますので、具体的にお話をさせていただきたいと思います。

 まず、人口減少あるいは出生数の関係でいきますと、重要な指標としては合計特殊出生率というものが挙げられます。二・〇七あれば人口が維持できるということでありますけれども、結構この指標について誤解をされている方も多いということを私は感じております。

 そこで、おさらいの意味を込めまして、合計特殊出生率の定義そして算出方法について、簡単に御説明を、厚生労働省の方、お願いします。

森川政府参考人 お答えいたします。

 合計特殊出生率は、一人の女性が一生の間に生む子供の数に相当いたします。

 厚生労働省の人口動態統計調査における合計特殊出生率の算出方法は、十五歳から四十九歳までの女性について一歳刻みで年齢別出生率を算出し、これらを合計したものになります。ここで言う年齢別出生率は、ある年齢の女性の方々が一年間に生む子供の数を、未婚の女性も含めたその年齢の女性全体の人口で除して算出いたします。

徳永委員 世間では夫婦が持つ子供の数というふうに理解をしている、誤解をされている方もおられることを気づきましたので、あえてこうした質問をさせていただきます。

 それでは、資料の一を御覧ください。

 ですから、合計特殊出生率というのは、十五歳から四十九歳の全ての女性の数が分母となって、そして生まれた子供の数が分子になるということであります。全ての女性の方ですから、これは、分けると、未婚、結婚をしておられない女性の方と既に結婚をされている女性の方を足し合わせた数字になるというのは当然のことであります。

 そこで、いびつな黒の分数になっておるわけですけれども、日本では婚外子の割合が約二%と低いわけでありますので、これは計算上はゼロとカウントしても差し支えないということのようであります。したがって、既婚女性の方から生まれるそれぞれの子供の数というふうに視点を向けるということで可能だということであります。

 したがいまして、出生率を上げようといった場合には、未婚女性の数が問題なのか、あるいは既婚女性数当たりの女性の出生数が問題なのかといったところにスポットライトが浴びるんだろうというふうに思っております。したがいまして、未婚女性の数が多ければ多いほど既婚女性の出生数の部分を押し上げますので、全体として出生率は低く算定をされていってしまうということがこの分数式で分かるということであります。

 それでは、ちょっと時間がありませんので、資料二は飛ばしまして、資料三の方を御覧をいただきたいと思います。それでは、既婚女性当たりの出生数、そしてあるいは未婚女性、その部分についてのポイントがどうなのかといった部分であります。

 これは、国立社会保障・人口問題研究所が実施している出生動向基本調査の完結出生児数であります。これは、結婚持続期間が十五年から十九年の夫婦の平均子供数ということになります。これが青であります。オレンジが合計特殊出生率になります。

 合計特殊出生率については、これは年々下落傾向であるわけでありますけれども、完結出生児数については、これは一九七〇年以上、ほぼほぼ横ばいでありまして、ちょっと二〇〇〇年前半から下がっておりますけれども、それでも全体としては、一九七〇年に比べれば八割の水準を維持しているということが言えると思います。出生数は既に四割、一九七〇年に比べて四割の水準にまで落ち込んでおりますけれども、完結出生児数、すなわち御夫婦が産み育てた子供の数というものについては、ほぼほぼ何とか一九七〇年、五十年前の八〇%ぐらいの水準を保てているということが読み取れるわけであります。

 したがって、ある意味、私たちが今までやってきた結婚をされているカップルに対しての子育て支援策というのが何とか功を奏しているからこの水準にとどまっているんだということは、これは言えるんだろうと思います。したがって、ここで手を緩めることなく、政府がおっしゃっている加速化プランをやっていただくことによって、この八〇%をもっと上の水準にまで持っていくような取組、これは絶対的に必要であります。

 しかしながら、一方で、未婚者の方々につきましてはどうなんだろうかという部分についての分析も一方で必要だと思います。

 こういう言い方をすると、今の若い者は自分のライフスタイルに閉じこもってしまって結婚は望まないんじゃないか、価値観が変わってきたのではないかといって、若い世代のせいにしてしまいがちなんですけれども、本当にそうなのかということでもあります。

 もちろん、一生独身でいたいという人も一定いることは事実でありますけれども、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によりますと、いずれは結婚したいと考える未婚者の割合、男性で八五・七%、女性で八九・三%といずれも高い水準にあるということは、これは現実であります。

 したがって、もうお分かりいただいていると思いますけれども、結婚したいと思う人が結婚できる環境を整えていくということが、人口減少対策について今までちょっと、どちらかというと欠けていたのではないかということを思うところでもあります。

 結婚したいけれどもできない、そうした未婚の方が増えている要因をどのように分析をされて、そして、その分析を踏まえて、今回の子供、子育て加速化プランにはどのような対応策を盛り込んでおられるのか、加藤大臣にお伺いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 未婚者が増加をしている背景には、個々人の結婚の希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられますが、適当な相手に巡り合わない、結婚資金が足りないなどの理由で、その希望がかなえられていない状況にあると承知をしております。

 このため、こども未来戦略におきましては、若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てできる社会を目指し、若い世代の所得を増やすことを基本理念の一つとして掲げております。

 また、こども家庭庁では、出会いの機会、場の提供などの地方自治体が行う取組を、地域少子化対策重点推進交付金により支援をしております。

 結婚は個人の自由な意思決定に基づくものであることを十分踏まえながら、引き続き、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるよう、しっかりと取り組んでまいります。

徳永委員 大臣が言われますように、経済をよくして賃上げにつなげて若い世代の人たちの収入を上げていくということは、確かにそのとおりだと思います。そうした人たちの経済力を上げていくということは結婚をしたいなと思っている人たちの背中を押すことにつながることは、私も認めるところであります。

 しかし、経済というのは水ものじゃないですか。一生懸命政府がおやりになって、うまくいきそうだなと思っても、外的な要因によって、例えば何とかショック、あるいは戦争、あるいはコロナのような形で経済活動が制限をされてしまう、そういった状況になって、経済が上向きませんでした、賃上げができませんでした、ごめんなさいでは、若い世代は絶望感しかないと思うんですよね。

 ですから、そうしたことじゃなくて、若い世代が自分を取り巻く環境といったものが好転するのではないかと思ってもらえるような、若い人たちの生活実感に寄り添った形の個別具体の政策メニューをパッケージとして提示をして、そして、ああ、こういうことだったら自分ももっと前を向いて頑張っていけるよねと思っていただけるようなメッセージを強く発信をしていくべきだというふうに思うんですけれども、加藤大臣、その点いかがでしょうか。

加藤国務大臣 こども未来戦略には、切れ目のない支援ですとか所得をしっかり支えていくですとか、子育て世帯の支援についてしっかりと書き込まれております。この中身もしっかりと子育て世帯に届くように発信をしながら、若い世代の方々が未来に対して希望を持っていけるように努めてまいりたいと思います。

徳永委員 ですから、若い世代の方々の心に刺さるメッセージを是非お願いをしたいということであります。

 岸田総理も、今国会の施政方針演説において、今、政府ができることは全てやるとの構えで全力を挙げると力説をされています。

 したがいまして、今、政府がやれることを私なりに考えた点、何点か申し上げておきたいと思います。

 一つ目は、非正規社員として働く人たちのことであります。

 雇用形態別に見ますと、男性の二十五歳から二十九歳で二七・四%の方が結婚しておられます。三十から三十四歳で五六・二%となります。対して、非正規の方の割合は、それぞれ九・六、二〇・〇となっています。非正規の中でもパート、アルバイトに限ってみれば、六・二、一三・〇にまで落ち込むわけであります。

 今、働く人の四割が非正規という立場で働いておられます。非正規では雇用も収入も不安定で、結婚など思いもつかない、夢のまた夢だというのが本音だと思います。

 現状では、非正規から正社員へと変われる率というのは全体の二〇%とも言われています。ならば、政策的に、この非正規社員を、増やすプランというものを若者向けに掲げていくということが必要だと私は思っております。

 非正規で働く人を正規社員にする企業の社会保険料の負担を軽くする策を講じることによって、非正規の方々に正規社員になれる可能性が大きくなったと感じてもらうことが重要だと思うんですけれども、厚生労働大臣、御見解をお願いします。

武見国務大臣 社会保険料の事業主負担に関する課題でありますけれども、医療や年金の給付を保障することで働く人が安心して就労できる基盤を整備することが事業主の責任でもございます。それから、働く人の健康の保持や労働生産性の増進を通じて事業主の利益にも資するということから事業主に保険料を負担してもらう、こういう考え方になっているわけでありまして、その減免についてはなかなかちょっと難しいなというふうに正直思います。

 ただ、先生御指摘のとおり、厚生労働省としては、非正規雇用労働者について、希望する方の正社員への転換支援の処遇改善というのは極めて重要な課題だと思っておりますので、これは引き続き、これを加速化させるために努力を続けていきたいというふうに思っております。

 こうした取組によって、若い世代の経済的基盤の安定化を図って、そして、結婚や子育ての将来展望を描けるような社会を実現するということが我々の役割と思っております。

徳永委員 社会保険料の事業主負担の部分については、大臣のおっしゃるとおりの制度設計になっているんだろうというふうに思います。それについて異を唱えるものではありません。ただ、事業主ではなくて、非正規から正社員へと変わる可能性が出てくるよねということに対して、若者が前を向くことができるのではないか、そういうメッセージを是非国として出してほしいというふうに思っているんです。

 今度は、今朝の新聞にもありました、子供、子育て支援金で、医療保険料に合わせて、例えば中小企業の協会けんぽでは五百円とおっしゃっていたけれども、ある試算では六百三十何円とかいうふうにまで跳ね上がるというふうにも報道されております。

 こうなってくると、中小企業の負担というのはまたまた増えてきて、非正規がまた増えるんじゃないかというようなことは推測をされるわけであります。子育てのためにお金が必要です。そのお金を徴収するやり方で非正規が増えている。これはちょっと悪循環と言わざるを得ないと思うんですね。

 私が先ほど来申し上げている、非正規で将来展望が持てない若い世代の方々に結婚を後押しする、子育てを後押しする、そういった施策をやってくださいという思いで先ほど来申し上げておるんですけれども、大臣、もう一度御答弁ください。

武見国務大臣 非正規労働の皆さん方に関しても、同一労働同一賃金ということで、所得の確保ということを原則として正社員と同等になるようにするという方針は、一つ明確に掲げております。

 それから、キャリアアップ助成金によって、事業主に対して、正社員化させてキャリアアップさせるための支援金というのも現実に具体的にやっております。ただ、まだまだこれが実際に十分に普及をしないで、キャリアアップにまだまだつながっていないという御意見もありますので、しっかり周知徹底して、事業主に実現してもらうように努力しなければいけないと思っております。

 それから、働き方改革推進支援センターによりましてきめ細かな相談体制も取っておりまして、これによって実際に希望する方は正社員に転換をするための技術を新たに身につけるとか、そういったことに関わる支援も実際に私どもやらせていただいているわけでありまして、こうしたことを一つ一つきめ細かに確実に実行していくことで、こうした正社員化というものを実現していくと同時に、非正規社員であったとしても、所得の確保、そして賃上げの対象になるというふうに私ども組み立てていきたいと思っております。

徳永委員 なかなかかみ合いませんので、次に行きます。

 奨学金を利用している若者たちについてであります。

 労働者福祉中央協議会が二〇二〇年に実施した調査によりますと、大学に進学した人のうち返済が必要となる奨学金制度を活用した方が二人に一人となっています。その返還額でありますけれども、一人当たり平均して三百十二万九千円、何と、これは平均して十四年間払い続けるということになります。

 奨学金返還についての生活への影響を尋ねた調査では、一番影響があるのは結婚だという答えで三一・六%です。中でも、いわゆる返済総額二百万円以上の方で非正規の人は、五割を超えて結婚にちゅうちょするという答えがあるわけであります。

 ですから、ここは、彼らの実態を考えるときに、例えば非正規の方々の年収というのは大体二百万から三百万円の間。そこに二百万円以上の借金を、年収同等の借金を背負わされて、社会に飛び立ったときに、結婚って、本当に夢を見ることができるんだろうか、子供を育てて、家庭を持って云々ということを描くことができるんだろうかといったら、ここは本当に絶望的な気になるんだろうと思います。

 したがいまして、奨学金の返済を免除することを行うことによって、背中にしょった重い荷物を取り除いてあげて、そして、彼らに強力な、将来展望が描けますよというメッセージを発出するべきだというふうに思うんですけれども、文部科学大臣の御所見を賜ります。

盛山国務大臣 日本学生支援機構の奨学金の返還につきましては、これまでも、返還の猶予や毎月の返還額を減額する制度等により負担軽減を図ってまいりました。

 さらに、昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略に基づきまして、奨学金の返還が負担となって、先生御指摘のように、結婚、出産、子育てをためらうことがないよう、毎月の返還額を減額する制度について、令和六年度から、利用可能な年収上限を三百二十五万円から四百万円に引き上げるとともに、子育て時期の経済的負担に配慮する観点から、子供二人の世帯は五百万円、子供三人以上の世帯は六百万円まで更に引き上げるなど、返還負担の更なる軽減を進めていくこととしております。

 その上で、御指摘の奨学金の返還を免除にすることにつきましては、貸与型奨学金事業が貸与した学生等からの返還金が次の世代の学生等への奨学金の原資となっていることや、既に返還を完了した方との公平性の観点などから、慎重な検討が必要と考えております。

 いずれにせよ、文部科学省としては、こども未来戦略に基づきまして、高等教育費の負担軽減を着実に進めてまいりたいと考えております。

徳永委員 いろいろと対策を講じていただいて、奨学金返済の猶予とか、あるいは返済額を、毎月の額を減らしていくとかいう措置は講じていただいておりますけれども、総額二百万、三百万の借金を背負っていることには変わりないわけです。その借金を背負っている中で、しかも収入や雇用が安定しない中で、結婚してください、あるいは子育てしてくださいというのは、かなりしんどいということは是非御理解をいただいておきたいと思うんです。

 確かに、既に奨学金を返済された方との不公平感が出てくるということは、それはそれで分かります。しかし、ここはちょっと視点を変えていただいて、奨学金返済免除によって若い世代が希望を持つことができて、それがひいては、家庭を持ち、そして子供を育て、そしてそれが人口減少に歯止めになるんですよというような説得を、理解を求めていくというのも、またこれ政治の役割だというふうに思いますので、是非御留意をいただきたいというふうに思っているところでございます。

 今日、なかなかうまく質問できませんですけれども、今まで、どちらかというと、結婚したカップルというものが出発点となって、そこから様々な施策が発想されているという点はあったと思います。結婚した夫婦の前段階で、結婚を望むけれどもできないでいる若い世代の背中を押す施策というものをしっかりとそろえていくことが、これからの、私は、人口減少に歯止めをかける一つの大きな視点になろうかということを申し上げさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて徳永君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会、そして教育無償化を実現する会、統一会派の杉本和巳でございます。

 まずもって、皆さんおっしゃっていますけれども、能登半島地震の犠牲になられた方々の御冥福をお祈りし、かつ、今なお避難されている方々にお見舞いを申し上げます。

 消防団の方で、一度家族を避難させて、そして、自分の消防団の仕事につくために、消防団の制服に着替えるために家に戻り、そして本震を浴びてしまって亡くなったという方がいらっしゃいました。本当に、消防団の方を始め多くの方々が御尽力いただいていることに重ねて敬意と感謝を申し上げたいですし、今なお一万三千名以上の方が避難所にいらっしゃり、そしてかつ、県外避難の方、あるいは外国人の技能実習生で仕事を失った方々、そういった方々が、本当に長い道のりですが、日常を取り戻していただくために、我々国会としても、東北の震災、そして熊本の地震とありましたけれども、同じようにしっかり寄り添って御支援させていただきたいと申し上げさせていただきます。

 さて、いろいろと、国会の方は本当に残念極まりなく、後ろ向きの質問を立憲さんがしてくださったりというような状況の中で、私としては、恐縮なんですけれども、前に向かってこの国会で質疑させていただくということでお願いしたいと思っています。今日の私は、国民の皆様の命を守るんだ、そして未来を守るんだという前向きなことで質疑をさせていただきたいと思いますし、今日は日銀総裁にもお運びいただいておりますので、出口戦略等についてもお言葉をいただければというふうに思っております。

 さて、もう早速質問に入らせていただきますが、今回の震災、広範に液状化が起きていますけれども、家が倒壊するといったところはかなり局地的であり、津波も局地的だった、東北に比べてですけれども、そうは感じておるんですけれども。

 木原防衛大臣に伺いますけれども、東日本大震災のときは、発災の三年前にみちのくALERT二〇〇八というのがあって、遠野市長さんが音頭を取って、当時の東北方面の総監が呼応されてというようなこととか、消防団とか警察とか各組織あるいは地方自治体、協力して三年前に備えをしていて、自衛隊の方は、かなりきめ細かく、部隊をどこにどう張りつくんだというようなシミュレーションをしてくださっていたというのが東日本大震災で言われていたことで、多くの議員の方々も御存じのことかもしれないんですけれども。

 あのみちのくALERTをやはり我々は今後の備えとしてしっかり参考にする必要があるのではないかというふうに思っていますけれども、まず木原防衛大臣に伺いたいのは、このみちのくALERT二〇〇八という三年前の準備について、自衛隊サイドとして、どういう効果があったとか、どういう評価をされておられるか、教えていただきたいと思います。

木原国務大臣 委員お尋ねのみちのくALERT二〇〇八でございますが、宮城県沖を震源とするマグニチュード八・〇の地震が発生し、仙台市等で震度六強を観測、三陸沿岸部にかけて津波が来襲することを想定した訓練でありまして、東北地方の自治体や関係機関と連携強化を図ることを目的に、二〇二〇年、二〇〇八年に陸上自衛隊の東北方面総監が主催して実施した訓練であります。

 大規模な自然災害においては、自治体と警察、消防、あるいは海上保安庁等を始めとした関係機関の密接な連携が何よりも重要であるために、このような訓練は、相互連携の強化や広域応援体制の確立等に寄与することに加えて、個々の隊員の災害対処能力及び指揮官の指揮統制能力を向上させることができ、御指摘のように、東日本大震災における部隊運用にも有用な訓練であった、そのように評価をしておるところでございます。

杉本委員 御評価ありがとうございます。

 じゃ、次に、今回の能登半島地震に対してどうだったのかというお伺いなんですけれども、自衛隊の方々は本当によくやってくださっていて、山の中を歩いて被災地に向かっていくとか、そういうニュースもたくさん拝見していますけれども、今回の能登半島というのか北陸地方というのか、そちらに対してこのみちのくALERTのような事前訓練、準備、シミュレーションはなされていたのかどうかを確認させていただければと思います。

木原国務大臣 今般の能登半島地震においては、陸上自衛隊の中部方面隊が中心となり、対応しているところであります。

 現在も災害派遣中でありますが、中部方面隊の各部隊は、平素から、今般の被災地域である石川県内での防災訓練に参加をし、災害に備えるとともに、地元行事等を通じて、地元自治体や関係機関、住民の方々との交流を深め、被災地域の地理や情勢に精通をしております。

 また、防衛省・自衛隊としては、平素から様々な想定の下で災害派遣に関する訓練等を行っており、例えば、令和五年度の自衛隊統合防災演習においては、南海トラフ地震を想定し、孤立地域が発生した状況において、その孤立地域への部隊、装備品等の緊急輸送、沿岸部の孤立した被災地域への物資輸送等に係る訓練を実施し、対応方針を検証する等備えてまいりました。

 防衛省・自衛隊としては、このような訓練等を通じて、自治体及び関係機関との連携を図りつつ、自衛隊による災害対処の実効性を向上させて、大規模災害発災時等において迅速かつ適切な活動ができるように努めてまいる所存です。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 南海トラフの地震についても、昨年、統合防災演習というのをしてくださっていたという御答弁を頂戴しました。

 私の地元の愛知、東海地方でも、やはりこの南海トラフの地震については、本当に、今回の北陸の方々を拝見しながら、自分たちの方については大丈夫なのかという質問を結構頂戴しておりますので、今日改めて確認をさせていただいていますけれども。

 南海トラフについては、今の総合防災演習、引き続き、この令和六年の予算もちゃんと確保されてやっていっていただけるのかどうか、あるいは、ちょっとお言葉がなかったんですけれども、首都直下もやはり危惧されて、どういう形で本当に災害が発生して、どういうところに被災された方々が出てしまうかということはいろいろなシミュレーションをしないと難しいかと思うんですけれども、南海トラフ、首都直下を含めて、今年度予算についても十分な予算が確保されて、かつ十分な訓練、準備、シミュレーションをしていただけるという確認をしておきたいんですけれども、お願いできますでしょうか。

木原国務大臣 防衛省・自衛隊は、甚大な被害が想定されている、先ほど申し上げた南海トラフ地震や首都直下地震、こちらの発生にも備えた対処計画を既に策定をしておりまして、これらの計画に基づく訓練を実施することで災害対処能力の向上を図っているところであります。

 具体的には、自治体や関係機関の参加も得て、陸海空各自衛隊部隊が参加し、全国規模で行われる、先ほど申し上げた、自衛隊統合防災演習においては、南海トラフ地震を想定し訓練を実施し、対応方針等を検証しております。

 また、各自治体が計画しております防災訓練にも積極的に参加するなど、自治体や関係機関との密接な協力関係を日頃から確立し、さらに、各地域の地理的特性、こちらを把握することで平素から大規模災害に備えております。

 このような訓練をやはり継続することが大事だと考えておりまして、令和六年度予算案においても、昨年度と同様に、全国規模で行われる自衛隊統合防災演習に係る経費など、政府予算案に大規模災害等に備える必要な経費を計上しておりまして、防衛省・自衛隊としては、今後とも、迅速かつ適切な活動ができるように努めてまいる所存です。

杉本委員 ありがとうございます。防災の備えという点では来年度も準備いただいているということで確認いたしました。

 領土、領海、領空を徹底的に守り抜いていただくという意味でも、本来の自衛隊の職能というか、そこの部分ももちろんなんですけれども、この防災の方も引き続きお願いして、木原大臣に対してはもう、お忙しいでしょうからこれで質問を終わらせていただきます。どうも御答弁ありがとうございました。

小野寺委員長 防衛大臣は退出して結構です。

杉本委員 次に、前向きな、何か中国が元気がなくなってきたら日本が元気になってきたんじゃないかなというようなニュースが、最近、齋藤大臣がニュースで登場する機会が非常に多くて、昨日も、タイとEVなどの分野でサプライチェーン構築で覚書ということで、タイのピムパッタラー工業相と覚書を交わされたというニュースがございました。

 先週、今週と立て続けにまたニュースを拝見していまして、総理はスタートアップ育成五か年計画という言葉を言われていましたけれども、先週末の金曜日のニュースは、日の丸生成AIの支援ということで、六のベンチャーとそれから一つの大学、東大だったかな、などなどの分野に支援をしていくというようなことで、グーグルのGPUのリソースの確保で八十四億円を投下したというようなニュースがありましたし、ちょっとまとめて質問させていただいちゃって恐縮なんですが、記憶型半導体のキオクシアに対しては、従前、これまでの最初のプロジェクトで九百二十九億、今次ニュースになった二つ目のプロジェクトへの補助が千五百億、合わせておよそ二千四百億円の補助をするということでございますが。

 私が危惧しているのは日本の財政でございまして、それは特に、経常収支が昨日のニュースとかで黒で大丈夫だったみたいなニュースになっているんですけれども、長い目で見て本当に黒字が続くのかという懸念を抱いております。

 そんな意味で、昔、私が三十年ぐらい前に金融機関におりまして、当時はMITIといって、通産省の略がMITIで、MITIがあるから日本は大丈夫なんだと言われて、その後、時間を経るに従ってMITIという言葉が消えてしまって、経産省になってMETIになったわけですけれども、METIが全然元気がないなという感じがしていたのが、ここ最近、METIが、エモーショナルな、いい意味も含めて、METIらしくというかMITIの焼き直しという感じで頑張ってくださっているというふうに思っていますので、そういった意味で、外貨を稼ぐ力という評価点から、経常収支への貢献、あるいは貿易収支なのかもしれませんが、生成AIの支援であるとか、あるいは半導体の分野、この分野についての投資効果とか、それによるところの貿易効果みたいなところを併せて、ちょっと二つまとめて御答弁いただければと思います。齋藤大臣、お願いします。

齋藤(健)国務大臣 まず、御質問の背景にあります杉本委員の問題意識には強く共感をするところであります。私もMITIを懐かしく感じている一人であります。

 まず、足下の日本経済は大きな潮目の変化の中にあると思っていますので、この潮目の変化を確実なものとしていくために今大胆に様々な経済産業政策を展開しているということであります。

 一つ一つお話しすると長くかかってしまうんですけれども、一つはGXです。GXについても、脱炭素と産業競争力強化、経済成長の両立ということで、両立を重要なテーマとして取り組んでいるということであります。このため、脱炭素効果の高い技術開発などに国として二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行って、今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資、これを官民協調の下で実現をして、そしてそれを世界に展開していきたいと思っています。

 DXについても同様で、世界的に全ての産業、社会でのデジタル化が加速度的に進展している中で、ここでも、負けるわけにはいかないということで、AI開発に不可欠な計算資源の整備ですとか次世代半導体の研究開発、これをやっているわけであります。

 御指摘のスタートアップや中堅企業などについても、経済社会システムの組替え、いわばOSの組替えも重要だと思っていますので、ここでも、税や予算などの施策を総動員して、成長志向型の中小企業支援やスタートアップ支援に積極的に取り組んでいるわけであります。

 じゃ、こういったことが実際に経常収支にどういう効果を及ぼすのかということでありますが、直接評価をすることは難しいわけでありますが、ただ、社会課題の解決分野に着目した大胆な産業政策によりまして、付加価値の高い製品の輸出増加あるいはエネルギーを中心とした輸入額の抑制、こういったことによって貿易収支の改善にはつながっていくだろうと思っていますし、また、デジタルでは今赤字なんですが、このデジタル分野での赤字の抑制を通じてサービス収支の悪化の抑制が行われるということでありますので、結果として経常収支の黒字構造の維持につながるものというふうに認識をしていますし、それに向かって力強く進んでいかなくちゃいけないと思っています。

 半導体についての御質問もありましたが、半導体は、デジタル化ですとか脱炭素化の実現に不可欠なキーテクノロジーであります。また、経済安全保障の観点からも重要な、日本の産業競争力全体を左右する戦略物資だと考えていますので、御指摘のキオクシアや熊本のTSMC、JASMの新工場建設を始めとして複数の大規模な国内投資を実現をしてきたというところであります。こうした取組の結果、熊本では、製造業の設備投資が昨年度よりも二倍以上計画されているとか、賃金が上昇するとか、大きな経済波及効果があるわけであります。

 それで、こういった個々のプロジェクトが経常収支のまた改善にどうつながるかということでありますが、これも具体的に特定をするのは難しいわけですが、例えば、現在、海外への依存度が高い先端半導体、これの国内生産能力を確保することは、輸入量の低減を通じた我が国の経常収支の改善につながるということが期待されるわけであります。

 いずれにしても、こうした大きな波及効果、経済収支の改善も含めまして、こういったことを維持拡大するために、先般の令和五年度補正予算で措置した合計約二兆円規模の大胆な支援策などを通じて、今後、半導体産業に対する支援を積極的に行っていきたいと考えています。

杉本委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってきてしまったのでまた短くお願いをしたいんですが、まとめてですが、裾野が広い産業というのは自動車産業がありますけれども、航空機も多分そうなんじゃないかなと思っていて、ただ、地元愛知では、トヨタは最高益を出していますけれどもMRJは失敗したというようなことがありますが、調べてみると、ホンダジェットは、アメリカでは最高の販売を示していて、ただ、それでも赤字だ、そのためにはメンテナンス費用等で黒字化していくというようなことがホンダジェットなんかは必要だということなんですけれども。

 これも、経常収支という意味では、海外に工場があっても私はいいと思っていますし、そういった投資のニュースも最近もトヨタが出していたりしていますけれども、そういった意味で、裾野の広い自動車産業あるいは航空機産業等の分野については、余りもうかっている会社に支援をする必要はないと思うんですけれども、RアンドDとかそういう分野では、やはり力を入れてもらうために、旧MITIというか、経済産業省の、生まれ変わった経産省というか、本当に活躍し出した経産省が、今の政治情勢でいくと民主導だけではやっていけない国際情勢でもあると思いますので、そういった意味で、自動車産業、航空機産業についてはどんな感じかというのを端的にお答えいただければありがたいです。

齋藤(健)国務大臣 端的にお答えします。

 自動車産業は雇用の約一割、輸出の約二割を支える基幹産業でありますので、GX、DXの大変革の中でも、何としても国際競争に勝ち抜かなければならないというふうに考えています。

 自動車分野におきましては、EVやハイブリッドなどの電動車、水素、合成燃料の多様な選択肢、これを追求していくことが基本方針だと考えておりますので、この方針に基づきまして、引き続きグローバル市場をリードできるように、官民一体で自動車産業の振興に取り組んでいきたいということが一つであります。

 航空機産業につきましては、これは中長期的に持続的な成長が期待できる産業分野でありますので、我々にとっても極めて重要な産業分野だというふうに考えています。

 そして、現在、航空機の生産におきましては、脱炭素化やデジタル化といったゲームチェンジが起こってきつつある、そういうタイミングでありますので、これをチャンスと捉えて、日本の優位性を強化をしていきたいというふうに考えています。

 いろいろ申し上げたいことがあるんですが、質問時間を取ってはいけないので。

 今後、次世代の航空機の開発ということで産業構造審議会でも議論を継続してきましたが、この春にも新たな航空機産業戦略を策定する予定でありますので、期待をしておいていただけたらと思います。

杉本委員 ありがとうございます。端的にお答えいただき、ありがとうございます。

 日米自動車交渉で、事務方で御苦労されたことも存じ上げていますし、昨日のタイのニュースもありましたけれども、日本製鉄がUSスチールを買うと。トランプさんが、があっとか言っているとかいうことなんですが。

 バイであってもマルチであっても、やはり交渉は理詰めで行っていただきたいというふうに思っていますので、日本製鉄に対しても、齋藤さん始め経産省のお力で、やはり大いなる支援をしていただきたいということをちょっと結びに申し上げまして、お呼び立てして恐縮ですけれども、以上で、経産省に頑張っていただくということを日本のためにお願いして、質問を終わりたいと思います。

 齋藤さんはこれでお席を外していただいて結構です。

小野寺委員長 経産大臣は退出して結構です。

杉本委員 次に、日銀総裁、お忙しい中、お運びいただいて恐縮でございます。

 昨日、ニュースになっていますけれども、内田副総裁が発言をされました。それで、マイナス金利政策を解除しても緩和的金融環境維持という発言をされて、百四十八円が百四十九円台になったという為替の状況でございますけれども。

 為替の方は直接的に携わっていらっしゃるわけではなくて、経済、物価への影響という形で為替を見ていらっしゃるかなというふうに拝察するんですけれども、まずもって、総裁に伺いたいのは、昨日の内田副総裁の発言、金融政策決定会合は合議制でありますので、一人の意見ということではないと思いますし、総裁の御意見がどうのということでもないと拝察しておりますけれども、この内田副総裁の発言は方向感として否定するものではないということを、お言葉をいただければありがたいんですが、また何かありましたら、お言葉をお願いします。

植田参考人 お答えいたします。

 私ども、二%のインフレ目標の持続的、安定的な実現が見通せる状況になれば、マイナス金利を含む様々な大規模緩和策の継続の是非を検討するというふうに考えております。

 その具体的な内容は、その時点での経済、物価、金融情勢次第でございますが、現時点で見えている将来の経済、物価の動きを前提といたしますと、先行き、マイナス金利の解除を実施したといたしましても、緩和的な金融環境が当面続く可能性は高いというふうに考えております。

杉本委員 ありがとうございます。重たいお立場の重たい発言を賜ったというふうに理解させていただきます。

 ちょっと質問を一つ、経常収支論については飛ばさせていただきまして、次に、日銀の体質ということで質問をさせていただきたいんですけれども。

 藤巻参議院議員が参議院の方に戻ってきまして、私も仲間が増えてよかったと思うんです、余談ですが。

 日本国債の、今、日銀の保有残高というのは、昨年の九末で五百八十六兆円という状況にありますけれども、これは健全と考えていいのか。私が理解する各中央銀行のバランスシートとの比較感でいくと、体質改善を必要としているのではないかというふうに思うんですけれども、この保有残高五百八十六兆円というものに対する、健全、不健全という評価は難しいと思うんですけれども、今の日銀の、これに対する、このバランスシートに対する理解なりはどんな状況なのか、総裁からお言葉をいただきたいと思います。

植田参考人 私ども、先ほど申し上げました物価安定の目標を達成するために、金融緩和の一環として国債等の買入れを行ってきております。

 先ほども申し上げましたが、経済情勢次第ですが、こうした大規模金融緩和策からの出口に差しかかる、出口に入っていくという場合に、一時的に財務等の悪化が生じる、発生する可能性はあると考えています。ただ、そうした事態に対する対応という意味で、財務の健全性確保の観点から、様々な引当金や準備金の積立て等によって自己資本の充実に努めてきております。

 日本銀行としては、財務の健全性にも留意しつつ、適切な政策運営に努めていきたいと考えております。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 ちょっと、行ったり来たり、恐縮なんですけれども、そうですね、物価安定目標、経済情勢次第、ただ、財政の悪化というのは避けなきゃいけないので、健全性に向けて引当準備金をされているというふうに伺いました。

 昨年、実は御就任の前に、ここに岸田総理がいらしたときに、ちょっと奇策なんですけれども、日銀さんとか財務省さんのレクというか問取りでは私はあえて言わなくて、岸田総理にぶつけさせていただいた質問がありまして、二月十五日の予算委員会なんですけれども、国債保有が多過ぎるという点に対して、日銀の持っている日本国債と政府が持っている米国債を、全部ないし一部、資産交換、スワップをしてはいかがかということで、岸田総理に、事前通告していないので答弁は結構です、ちょっと考えていただきたいということで、御理解いただいたという認識は持っているんです。見合いのお金が、政府短期証券だとかいろいろ、そういう技術的な事情があるのは分かっているんですけれども、絵に描いた餅の財政健全化とか言っているよりは、具体的に動くことが政府サイドは必要なのではないかというふうに申し上げたんですけれども。

 日銀サイドも、出口戦略に向けて、余り極端な動きをすると急に円高に振れたりするかもしれませんけれども、為替の安定も必要だと思いつつ、ちょっと奇策と言うかもしれないですけれども、日本国債と米国債を交換することによって日銀の保有する国債数を減らす、保有残を減らすという考えについては、お考えを教えていただければありがたく存じます。

植田参考人 大変興味深い御提案でございますが、外為特会の運営については、やはり政府の責任において行われるものというふうに承知しておりますので、私どもの方から具体的にコメントを差し上げるのは差し控えさせていただければと思います。

 繰り返しになりますが、財務の健全性に配慮しつつ、適切な政策運営に心がけたいと思います。

杉本委員 ありがとうございます。興味深い提案と言っていただいて、ありがとうございます。

 アコードという言葉がありますが、アコードが死んでいる言葉では意味がなくて、総理も理解されていたと思いますし、外為特会の問題があるかもしれないので財務大臣の御納得も必要かもしれないですが、日本は、大変な、ある意味で経産省は頑張って前向きにもうけてくれている方向があると思うんですけれども、一方で、やはり、内の守りというか内助の功というか、そういう意味では、内側も少し健全化していく実行をしないと、世界から、為替介入、一緒につき合ってよといったって、単独介入で焼け石に水をやっていても仕方がなくて、欧州中銀だとかFRBだとかの協力を得て為替を止めるとか、そういうことをしていただくためには、政府、日銀がアコードをしっかりやって、協力的で、いやあ、彼ら、やるじゃないかというような意味からは、是非、奇策かもしれないんですけれども、アコードという点でよく話合いをしていただきたいとお願いを申し上げます。

 以上で、日銀総裁、お忙しいところ、ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

 続いて、財務大臣に質問をさせていただきたいと思います。

小野寺委員長 日銀総裁は御退出していただいて結構です。

杉本委員 総理の施政方針の中で、前向きな、財政健全化に向けてのコメントがかなり前向きな話があったやに記憶していまして。ただ、よく調べると二つの条件がつけられていて、成長実現のケースで、かつ、歳出効率化努力を継続した場合に、二〇二五年度のPB黒字化が視野に入る、こういうことを言われているんです。このまさしく二つの好条件があって初めて黒字化が視野に入るんですけれども、実際は赤字は残るという状況です。公債等残高対GDP比で見ると、ベースラインケースだとすると二〇二〇年代後半には上昇に転じるということで。

 このPB黒字化という目標の設定が、これは新藤大臣御担当なので、政府全体に申し上げておきたいと思います。これは財務大臣に御答弁は求めませんけれども。

 骨太の方針をもう次は見直した方が、正直な政治、誠実な政治というのは今自民党が一番遠いところですけれども、そこの部分では、お財布のところでは誠実になってきたぞ、真面目に本音を言ってくれているぞと言わないと、いつまでたっても絵に描いた餅を、いや、大丈夫なんですよと、もう直近に迫っているのに同じことを言い続けているというのでは、まあ、いろいろな問題が今起きていますけれども。

 そういった意味で、私の一方的なお願いとしては、骨太の方針の見直しをして、PB黒字化というのはもうちょっと先の目標に変えるということが、この極端ないいケースを、二つ好条件をつけて、かつ、赤字が残っているのに黒字が視野に入るみたいな、こういう言葉のレトリックは、少子化問題の財源問題も含めてですけれども、もうそういう政治をやめないと。この国の政治というのは、悪いことは悪過ぎますけれども、前に向かっていることでも、言葉のレトリックで調整する政治をやめないといかぬというふうに申し上げたいと思います。

 ということですが、ちょっと具体的な、技術的な話だけ最後に質問したいんですが、二つだけ伺います。

 一つは、国債費が三年間で七兆円増という後年度影響試算が出ましたけれども、金利上昇によって、やはり引き続きこの国債費というのは膨らんでいくリスクがあるんじゃないかと思いますが、その点について財務大臣の御答弁をいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 今後のことについて、後年度影響試算もお示しをして国会に提出をさせていただいたところでございますが、御承知のとおり、日本の財政状況、債務残高対GDP比、これはもう残念ながら世界最悪の水準になっているわけでありまして、加えまして、最近のコロナ対応あるいは物価高騰対応などに対します累次の補正予算の編成によりまして、足下、更に厳しさが増している状況にございます。

 このような中で、債務残高の規模が著しく増加している。そして、金利が上昇するということになりますと、利払い費がより大きく増加することになりますので、財政硬直化や、国債や通貨の信認の低下を招くおそれが高まるために、大変望ましくない状況になってしまう、こういうふうに認識をしております。

 こうした観点から、財政の持続可能性を確保するためには、累積する債務残高を中長期的に減少させていくことが重要であります。経済あっての財政という方針の下で、杉本先生からは、何か、絵に描いた餅だという御指摘を今いただいたところでありますが、まずは、国、地方のプライマリーバランスを二〇二五年度に黒字化をすること、これによって債務残高対GDP比を安定的に引き下げるという政府の目標の達成に向けて、歳出歳入両面の改革を着実に推進していかなければならないと思っております。

 二〇二五年度プライマリーバランスの黒字化、確かに大変厳しい道のりでありますが、厳しいからといって財政再建の旗を降ろしてはならない、厳しいからこそ、しっかりとそれに向けた努力を高めていくということが重要だと考えています。

杉本委員 時間となりました。

 やはり、努力をしていただくのはいいんですけれども、目標が高過ぎて届きませんので、目標を変える必要があるということです。

 あと、新紙幣の流通が七月三日からありますけれども、現行の、今後将来の旧紙幣になるお金が流通期限がないということを、ちょっとうなずいていただくだけで結構なんですけれども、これは別に、新紙幣が出てもお金は使えるよということで庶民は理解しておいていいでしょうか。はい、ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて杉本君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 元日の能登半島地震で被災された皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 先週、被害の大きかった珠洲市、並びに液状化被害のあった内灘町、かほく市に伺いました。自治体からは、最大の課題は水と住まいだとお話がありました。復興は息の長い取組になりますが、水と住まいは、生き抜くためには一刻も早く確保しなければなりません。全国から水道部の職員が連日数百人単位で応援に入っております。仮復旧でつないだ水道管も見ました。本当に頭が下がります。

 そこで、まず国交大臣に伺いますが、上水道は四月から国交省の所管になります。公共事業として補助率が上がり、それを四月を待たずに前倒しして対応しているということは承知をしております。上下水道は一体として事業を進める必要があると思いますが、国はどう支援していくのか伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 高橋委員御指摘のとおり、被災地の皆様にこれまでどおり水を使っていただけるようになるには、水道と下水道の両方が使用可能となることが必要です。そのため、上下水道一体となった一刻も早い復旧が重要と考えております。

 今回の災害対応に当たっては、従来の自治体の相互支援の枠組みに加え、国土交通省、厚生労働省からも現地に職員を派遣し、石川県、市町、日本下水道事業団、日本水道協会とも連携して、関係者一丸となって復旧に取り組んでいるところであり、例えば、水道と下水道の復旧工程を共有して、効率的な進捗を図るなどの取組を行っております。

 また、財政面では、厚生労働省において、本年四月以降とされていた水道の災害復旧事業に対する補助率かさ上げにつき前倒しで適用することとされたと承知しております。

 上下水道一体となった早期復旧に向けて、今後、全国の自治体からの応援技術者の増員や工事従事者の増員に向けた関係団体への協力依頼等、現地の支援体制の強化を更に進めるなど、技術面、財政面の支援に全力を挙げて取り組んでまいります。

 下水道を通さないと上水道を通しても水が流せないという話を今厚生労働大臣からも聞いたところでございまして、しっかり頑張っていきたいと思っております。

高橋(千)委員 ここは一体となっているというところに大変力を込めていただきましたので、ありがとうございます。上水と下水で県と市というふうに分かれている場合もあるので、それも含めて必ず連携がつながるようにお願いしたいと思います。

 それで、水道管の耐震化なんですが、これはずっと叫ばれていたんですが、全国平均がまだ四一・二%に対し、石川県は三六・八%にとどまっています。被災した水道管の本格復旧においては、当然耐震化も必要だと思う、そのための改良復旧になると思いますが、厚労大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 被災した水道管を耐震化して復旧することにつきましては、これまでも、上水道施設災害復旧費及び簡易水道施設災害復旧費補助金におきまして、構造物の耐震性を確保することによる復旧等についても対象にしております。

 今般の能登半島地震による水道施設の災害復旧においても、これまでと同様に取り扱うことになっております。

高橋(千)委員 しっかりとお願いしたいと思います。

 二日付の日経新聞によれば、熊本地震が震源から約四十キロ先で液状化が起きたのに対し、今回の地震は、石川県だけでなく、震源から百六十キロも離れた福井、新潟など広範囲にわたっております。二日の国交大臣の会見では、液状化により一万件を超える甚大な宅地被害が発生したとおっしゃっています。

 熊本モデルでやるという話が現地で聞こえておりましたが、液状化対策は公共事業として復旧すること、熊本では被災者負担がなかったと聞いておりますが、確認したいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 平成二十八年熊本地震では、液状化による宅地被害が発生した地域におきまして、地方公共団体が実施する、液状化による被害が再び生じないようにするための公共施設と隣地宅地等の一体的な液状化対策、宅地と公共施設を一体としてやる、こういう考え方に基づいて、防災・安全交付金による支援を行ったところでございます。

 この液状化対策に要する事業費の負担の在り方については、地域住民の方へ負担を求める場合も含め、地方公共団体において判断されるものと認識しておりますが、熊本地震における液状化対策については地域住民の方へ負担を求めない形で実施されたものと承知しております。

 この度の能登半島地震により液状化被害を受けた地域についても、先般決定した被災者の生活となりわい支援のためのパッケージにおきまして、宅地等の復旧に引き続き、地方公共団体が行う公共施設と隣地宅地等の一体的な液状化対策を支援することとしております。

 被災した方々が安全に安心して住み続けられるよう、熊本地震における取組も踏まえ、地方公共団体が実施する液状化に関する住民への情報提供や液状化対策への支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 液状化は、既にTEC―FORCEなどの調査が入り、七年かかると言われたと自治体は途方に暮れていました。だから、見通しを示すということがとても大事だと思っております。また、熊本を踏まえとおっしゃっていただきましたので、限りなく被災者の負担がなくなるように、一体でということがメッセージとして大事だというふうに思ったんですね。

 時間はある程度かかります。合意形成の難しさもあります。七日付の毎日新聞には、内灘町でこの家は捨てますという七十代の男性の声を伝えていました。確かに、あの何もかも傾き、ゆがんだ町、ゆがんだ状態を見て、あるいは幾重にもひび割れた家屋を見ると、復旧した姿がイメージできないかもしれないんです。

 だけれども、地盤は公共で住民負担なくやれること、家屋はもちろん公費解体をするわけですから、あとは上物をどうすれば、そこだけなんだ、公営住宅も含めた住宅再建の選択肢もあるんだということが大事だと思います。私自身、二十年前は、中越沖地震で出会った被災者たちが何度も話合いを重ね、かつ、復興基金によって自己負担を減らし団地の再生を果たした、そうした方たちにも会っています。

 もう一度言いたいと思います。戻りたい人が戻る道があるんだ、それを政府としても全力で応援するということを大臣におっしゃっていただきたいです。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたとおり、しっかりと、これまでの例も踏まえながら、地域社会が復活するように、我々も、防災・安全交付金を使った形、しかし最終的には合意形成も含めて地方公共団体が決断される、その決断がしやすいような環境を我々つくり出していきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 金沢市も、液状化などの被害はあるものの、中心部の被害が少ないということから、二次避難を含め、多くの避難者の受入れをしています。ここで表面化しているのが、医療機関が、一次避難所などから救急搬送された、そういう被災者の退院後の行き先なんです。

 一月三十日付北国新聞は、南加賀を中心に二十八日までに延べ二千八百三十七人受け入れたんだけれども、そのうち六割が高齢者で、退院先が決まらないと報じました。また、同日の北陸中日新聞では、病院が介護施設化している、こういう関係者の声を報じました。本当に胸が潰れる思いです。

 私も、医療調整会議をやって本当に緊迫していた病院の方たちの意見を聞くことができましたが、救急搬送された被災者に退院後に必要なのは介護ということなんです。

 金沢市は、二日現在、我が党市議の調べによると、特養や老健などの施設、六十一あるうち五十一施設が受け入れているんですが、既にキャパを一〇六%と超えて受け入れております。一日一日逼迫している状況、待ったなしです。

 政府が一・五次の避難所や福祉避難所、介護施設への福祉人材の派遣要請を全国に行っていることは承知しています。しかし、定員緩和が先に来て人が配置されないことはあってはなりません。人材確保に特別な手だて、財源も含めて、厚労大臣に伺います。

武見国務大臣 避難生活が長引くことが見込まれる中で、被災者の命と健康を守り災害関連死を防ぐことは特に重要な課題であります。

 病院から退院される方も含めて、高齢者などの要配慮者に県内外の高齢者施設への避難をしていただく取組を進めております。

 県内の受入先確保のために、高齢者施設における避難者の受入れに当たりましては、日常サービスの提供に著しい支障がない範囲で、定員を超過して受け入れても差し支えないということにしております。おおよそ、目安一〇%ほどではないかと思います。石川県の近隣県においても、更に協力を要請をしております。

 また、厚生労働省におきましては、避難してきた高齢者等を受け入れている施設やそれから一・五次避難所において不足する介護職員等のニーズを丁寧に把握した上で、関係団体と連携をしまして、全国からの応援職員の派遣を実際に実行しております。

 御指摘の、介護職員等の派遣に係る人件費、旅費、宿泊費等の諸費用につきましては、基本的には、これは災害救助費等の弁済対象となるわけでございまして、厚生労働省のホームページの中でもこれは周知させております。

 引き続き、県や関係団体と緊密に連携をして、被災者の命と健康を守るための必要な人材の確保、施設の復旧復興の支援を含め、現場のニーズに即して対応していきたいと思います。

高橋(千)委員 こうしたときに、介護報酬の引下げの報道というのは現場を大変落胆をさせていると思うんですね。

 介護の派遣を要請する中で、離職者の方たちも、今回、本当に現場に行ってくださればいいなと思うし、今回の応援を通して介護職に復帰してくれればいいな、そう思うんです。そのためにはやはり本格的な処遇改善をやっていかなければならない、このことを強く求めたいと思います。

 今朝の読売新聞は、自ら被災しながら懸命に対応してきた看護師さんたちが辞めたいとおっしゃっている、かなりの方がもう既に意向を示しているということであります。

 本当に、こんなことがあってはならないし、先ほど、大臣、一一〇%までは何とかとおっしゃっていましたが、繰り返しますが、枠を広げて職員がいないということだけは絶対に避けていただきたい。そのために、特別なやはり財政支援も、災害救助で出すのは当然だけれども、それだけでは足りないと私は思うので、重ねて指摘をしたいと思います。

 最後に、政府がパッケージを出して、これまで、災害が続く中で様々に積み上げてきた支援策がまとまっているんだと思います。

 これまではプッシュ型で、初動はプッシュ型でやったけれども、これからは被災地のニーズに基づくプル型にしていくんだ、これは大事なことだと思います。

 問題は、誰がそのニーズをつかむのかということなんですね。県庁の六階に現地対策本部はあるんだけれども、あれせい、これせい、あれどうなっている、もうこればっかりだ、もっと現場に任せてほしいという自治体の声もありました。あるいは、パッケージ、こういうのもありますよとお勧めしてみたんですが、それはいいかもしれないけれども、それを被災者に紹介し、こんな支援策があるよとマッチングしてくれる、あるいはこれを町の事業として成り立たせる、そういう人がいないのだと言われました。

 総理が先月の当委員会で、現地にミニ霞が関をつくると話していました。指示するだけなら、現地に行かなくてもできるんです。本当に、一緒に苦労しながら、知恵も出すし、すぐ答えてくれる職員を送り出すことこそ、必要な国の役割ではないでしょうか。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、支援パッケージでございますが、国から押しつけたものではなく、あれをつくるに当たりましては、現場のニーズを捉まえて、また過去の経験も生かしながら、今回の支援パッケージを取りまとめたところでございます。

 御指摘のように、被災地の職員の方々も被災をなさっておられます。大変疲弊をしているとも伺っております。その上で、全国からの、県、市町村の職員の皆さん方にも、過去の経験のある方や、いろいろな知見のある方を派遣をしていただいて、もちろん国もそういう形でございますけれども、いろいろな相談に乗りながら、現在対応をさせていただいているところでございます。

 また、それぞれの支援パッケージの中では、各省庁においては、既に、オンライン、また被災地での説明会、相談窓口の設置、こういったものも、やはりきめ細やかな対応を進めていただいているところでございます。

 このフェーズでやはり必要なのは、先生御指摘のように、伴走支援のできる方々、こういう方々が必要だと思っております。

 例えば、中小企業庁が行いますなりわい再建支援、こういったものは、制度は分かったけれどもどう進めていいのか分からないと、それぞれの方々がお悩みになります。既に、全国商工会連合会であるとか会議所の方にお願いをいたしまして、こういう方々、東日本であったり熊本地震であったり、こういうところでの経験のある方々の派遣もお願いできないかということで、二週間ほど前にはお願いをしておるところでございます。

 引き続き、丁寧な対応をやってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 大臣、誤解なさらないように。押しつけたと言ったのは、パッケージのことじゃないんですよ。パッケージはいいけれども、それをちゃんと形にできるためには、やはり今おっしゃったような伴走支援が絶対必要だという意味ですので、是非よろしくお願いします。

 終わります。

小野寺委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 早速質問に入りたいと思います。

 世界はリベラル化、知識社会化、グローバル化の巨大な潮流の中にあると言われています。ある識者は、資本主義は、自分らしく生きたい、より幸せ、豊かになりたいという夢を効率的にかなえる経済制度として瞬く間に世界中に広がった。だが、資本主義がある種の機能不全を起こしているのは確かだろう。だが、資本主義を脱却した後は、より効率的に夢をかなえる未来がやってくるだけだ。なぜなら、社会経済制度がどのように変わろうとも、人の脳に埋め込まれた欲望のプログラムは変わらないから。私たちは、物心ついてから死ぬまで、自分らしく生きるという呪縛にとらわれ、あがくしかないんだと。

 あなたが今の生活に満足しているとしたらすばらしいことだが、その幸運は、自分らしく生きる特権を奪われた人たちの犠牲の上に成り立っている。人々が自分らしく生きたいと思い、ばらばらになっていけば、あちこちで利害が衝突し、社会はとてつもなく複雑になっていく。これによって政治は渋滞し、利害調整で行政システムが肥大化し、人々を抑圧する。リベラル化が引き起こした問題をリベラルな政策によって解決することはできない。全ての不都合な事実は、リベラルな社会を目指すほど生きづらさが増していくことを示しているというふうに、この方は述べております。

 私も一部同感する一人であります。時代の潮流にあらがうことは並大抵ではないと思います。総理が掲げた新しい資本主義は、様々な問題を克服して、国民に夢を届けることができるのか、まずお尋ねしたいと思います。

新藤国務大臣 まさに、国民に夢を届けるために、私たちは必死の努力をしなければならない。そして、委員も始め、国会で国民の代表としてその議論をしているわけであります。

 私たちの次の目指す目標というのは、まずは、十年ちょっと前、我が国は極めて厳しい経済状況の中でデフレの究極に陥りました。何もが伸びない、この状態を克服するためのアベノミクス、一定の効果はあったと思います。しかし、それを土台にして、今度は新しい成長のエンジンをつくらなければならない。それは、社会的課題、教育の格差とか医療の格差、それから貧富の差、さらには過疎、都市の問題、そして、何よりも地球的な課題である環境の問題をどう克服していくか、こういう社会的課題、これも経済の中に組み込めないかというのが今回私たちが考えていることです。

 ですから、その中で、市場競争原理に任せるだけではなくて、みんなのために解決すること、これも経済の成長の中に入れ込もうという中で、我々は、私は今、経済財政とともに、全世代社会保障、こども未来戦略、そしてデジタル田園都市、それから教育DX、医療DX、そしてスタートアップ、様々な政策を総合的に連携させて、そして国民に夢を届けられる、総理がよく言う、あしたは今日より必ずよくなる、こういう社会をつくるために努力してまいりたい、このように考えております。

鈴木(義)委員 今御質問したことをベースにして、幾つかまた例示を挙げてお尋ねしたいと思います。

 今大臣から答弁がありました、十年間、三本の矢で金融緩和、財政出動、規制緩和の経済対策を取ってきたんですね。その結果、個人金融資産が、平成二十四年で一千四百兆あったものが、この十年間で二千兆を超えた。去年の九月には日銀がそれを発表していたと思います。

 これは、持てる者と持たざる者の格差が拡大したというふうに私は思います。自由で開かれた貿易秩序という言葉を何回も何回も繰り返して、自由貿易、自由貿易をずっと提唱してきたんですけれども、さもそれが正しいこと、すばらしいことと国民に植え付けてきたのではないかということですね。果たしてそれが正しい政策だったのか、正しい方向だったのか。十年前に声高に叫んでいたリフレ派と言われる方々の影は潜め、三本の矢の経済対策の検証すら聞こえてこないんです。

 これから先も同じ考えで政策を進めていくのか、再度お尋ねしたいと思います。

新藤国務大臣 この金融資産の拡大が持たざる者と持てる者との差を広げた、こういう側面はあるのかもしれません。一方で、持たざる者だった方が持てる者になった、こういう方もとても多いと思います。全体として底上げ、上がったんですから。そして、何よりも、あのアベノミクスの前、株価は八千円でございました。今朝、三万七千円を超えたわけでございます。そして、企業の投資も百兆円になりました。

 ですから、そういう全体を底上げしていく中で、まさに今度は、社会的な課題としての格差が出るならば、それをどうやって埋めるか、かつ、どういうような方であっても満足できる暮らしを実現するために、それは、可処分所得を増やしながら、そして厳しい人たちに手厚い社会保障をしながら、でも、一方できちんと国全体の維持もできる、こういうことを我々は答えを見つけていかなければいけない。ゼロ、一〇〇ではなくて、一つ一つの政策に基づいて様々な分析を加え、そして正しい方向に向けてみんなで努力をしていく、その国民の合意を得るための丁寧な説明が必要だ、このように思っているわけであります。

鈴木(義)委員 例えば、二千兆円の個人金融資産を持っているうちの、年齢別で見れば、六十五歳以上の人が半数以上持っているんですよね。だから、この十年間で、お金を持っている人が財テクをして、株も上がったのも一つの指標でしょう、でも、国民全員が株をやっているわけじゃないんですよね。だから検証した方がいいんじゃないかという考え方なんです。

 私の地元で、今やじが飛びましたけれども、不動産の価格が上がっているというのは本当ですよ、四年前から見ると三倍ぐらいになっている。サラリーマンを普通にやっていたら買えないですよ。共働きでやっと買える値段。うちの地元の、私は埼玉の三郷というところですけれども、大体、建て売りが五千万から六千万、普通のサラリーマンじゃ買えない金額になってきちゃっている。それでも、持っている人から見れば資産が増えたという。

 実態とちょっとかけ離れたところがこの十年間、だから検証したらどうでしょうかというふうにお尋ねしているんですけれども、もう一回御答弁いただきたいと思います。

新藤国務大臣 今のお話を聞いていると、それでは、不動産価格は上がらない方がいい、ということは、それは経済が伸びないということですよね。

 今、厳しくなった人たちに、どうやってその人たちの所得を増やしてもらうかということは重要です。それから、賃金を上げるためには実質賃金を上げる、それはまず給料のレベルを上げることが重要です。加えて、能力を高めて、若しくは、その人の能力にふさわしい賃金が得られるような、そういうジョブ型の仕組みも入れなければ駄目だ。リスキリングもやろう。一律に、何か一つの政策で全てのことが解決するわけじゃないわけです。

 ですから、今委員が言われた国民の不安とか不満、これはどこにでも常にあると思います。こういったものを受け止めながら、全体としてどのように経済が上向いていくのか。そして、私たちは、この人口減少化、少子高齢化、都市部においては厳しいサービスの需要があって行政が逼迫する、一方で、地方はもう行政が維持できない、こういう状態を克服しながら、それでも全体として皆さんが豊かさを実感できる、そういう仕組みをつくるために我々は努力をしているということなので、委員の御指摘の、一部分の、そこの問題が出ることは、それは分かります。だから、それも含めてどう解決するかを、全体としての解をつくっていかなきゃいけないんじゃないか、このように考えているわけです。

鈴木(義)委員 今御答弁いただいたんですけれども、一つ一つのパーツを私は申し上げているわけじゃなくて、トータルとしてどういうふうにやってきたかというのを考えていかなくちゃいけないんじゃないかということです。

 だから、そこのところを、もう一点、違う視点で御質問したいんですけれども、フランスの歴史家で人類学者であるエマニュエル・トッド氏が訴える保護貿易という記事を目にしました。自由貿易は民主主義を滅ぼすというものなんですね。えっと思って読んだんですけれども。

 トッド氏は、自由貿易の考え方にも利点がある、ある国が、何かの生産に特化し、経済的なスケールメリットを得る、そして、国同士が協力し合う、これは全くもって合理的だ、しかし、問題は、完全な自由貿易は国内で格差を拡大させることで、エリート主義、ポピュリズムによる衝突も引き起こします、自由貿易に賛成するか反対するかではなく、どの程度の自由貿易なら社会が許容できるかという話なんだというふうに述べているんです。

 今年の十一月、アメリカの大統領選挙が行われ、バイデン大統領とトランプ前大統領の戦いになるのではないかと連日のように報じられています。しかし、どの候補が大統領に就任しても、アメリカがより保護主義に向かっていくのではないかというふうに指摘もされています。近年言われている、グローバリゼーションが進み過ぎたのではないかと警鐘を鳴らす方もおられます。自由貿易は社会や国家を壊す、自由貿易はナショナリズムを生み出すとも言われているというふうに指摘しているんです。

 この行き過ぎた自由貿易はどのような状態だと考えるのか、現時点でまだ足りないというふうに考えて、もっと推し進めようとするのか、行き過ぎており、ちょっと違う考え方で修正を加えてやった方がいいのか、どうお考えになっているか、まずお尋ねしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 大変重要な問題提起だと思います。

 自由貿易は、基本的には、消費者にとっては購買力の向上につながりますし、生産者にとっては生産性の向上をもたらして経済成長につながるということで、資源に乏しい我が国は、エネルギー、原材料、食料を輸入する一方、ルールベースの多角的自由貿易体制の下で、貿易立国として戦後の経済成長を実現をしてきたという経緯があります。

 ただ、一方で、自由貿易の促進に当たり影響を受ける方々がいるのも事実であります。私も、農林副大臣、大臣とやってまいりましたので、その辺は常に頭を悩ませてまいりました。

 我が省の点で申し上げますと、中小企業が自由貿易の恩恵を最大限受けられるように、販路開拓等の伴走支援を始めとして、様々な支援措置をやはり同時に講じていかなくちゃいけないし、講じているところであります。

 また、自由貿易が広がった結果、サプライチェーンがグローバルに形成されることになりました。しかし、近年は、自然災害や新型コロナウイルス感染拡大等の経験を通じまして、海外のサプライチェーン途絶により日本の経済社会も大きな影響を受け得るということが明らかになってまいりました。

 こうしたリスクにもしっかり対応できるよう、サプライチェーンの強靱化など必要な措置を継続的に講じてまいりますが、いずれにしても、多角的に考えていくことが必要なんだろうというふうに考えています。

鈴木(義)委員 じゃ、次のところでまたお尋ねするんですけれども、日本でも過去にTPPに参加するしないで国論を二分したというのが起こりました。最終的にアメリカが離脱して、日本が主導していたTPP11になり、条約に批准して三年ぐらいが過ぎたと思います。

 これによって日本にメリットがどのぐらいあったのか、デメリットがあったのか、余り聞こえてこない。最初に、私の記憶が間違っていなければ、九年ぐらい前だったですかね、TPPに参加するといったときに、農水省が最初に出した数字で、デメリットが三兆円あるというふうに言われて、当時、プラスのメリットが三・二兆円あるからTPPに参加するんだというのが政府の、内閣府としての公式な話だったと思います。

 先日、農水省の方で、どのぐらいのデメリットがあったのと言ったら、検証の結果、九百億から千五百億ぐらいのデメリットがあった。十分の一ぐらい、もっと小さい金額で、よく頑張ったなというふうに思うんですけれども、じゃ、片やプラスメリットはどのぐらいあったのか。内閣府に照会をかけてデータを出してくださいと言っても、なかなか、今、検討中とか研究中というので、数字が出てこないんですね。

 こういうことをずっと、検証もできないで、昨年は条約、私も賛成した一人ですけれども、イギリスが入ってきます、今度は台湾です、韓国です、中国です、どこの国です、入りたいと言ってきたときに、日本にとってどこがメリットでどこがデメリットなのか。先ほど大臣が答弁されましたけれども、自由貿易、ワン・バイ・ワンでやるというふうにやるのも大事なんだと。多角的にやっていくのはいいんですけれども、そのときに、多角的にやらざるを得ないときに、次の数字も出していきますけれども、まず最初に、TPPの検証をいつまでにやろうとするのか。そうしないと、次から次にもし入りたいよと言ってきたときに、どこでジャッジ、プラスがあるのかマイナスがあるのか、そこのところの考えを私たちもやはり共有できないと、賛成、反対というふうにはできないんじゃないかと思うんですけれども、もう一度答弁していただきたいと思います。

新藤国務大臣 CPTPPはハイスタンダード、そしてバランスの取れた最も新しい経済連携協定だ、このように思っております。そして、それは、世界的な経済の発展とともに、やはり価値観を共有する方々との強固な連携というのは、これは様々な要因、安全保障も含めて、いろいろな要因が向上されるのではないかな、このように考えているわけであります。

 そして、今、アジア太平洋地域、加えて今回イギリスが入るわけですけれども、CPTPP、人口五億人、そしてGDPが十二兆ドル、貿易総額八兆ドル、こういう大きなものになりました。そして、効果でございますけれども、私が承知している範囲でいうと、少なくとも日本とCPTPP締約国との貿易額、これは発効時の二〇一八年から二〇二二年にかけて一・五倍に増加しています。それから、農産品のCPTPP締約国への輸出、これは一・八倍に増加しているということでございます。

 一方で、TPPを、GDPでどのぐらい寄与しているのか、これをきちんと検証することは重要だと思っておりますが、しかし、GDPの増大は、例えば、CPTPP以外の要因というのも様々あるので、TPPに限っての効果を定量的に抽出することがなかなか難しいということで、今、トライをしている最中であります。内閣府の経済社会総合研究所が、研究者と連携して、現在、様々な試みをやっているということでございまして、その成果による論文が出されるのではないかなと期待をしております。

 いずれにしても、日本は貿易立国でございます。ですから、貿易を有効に拡大させていくこと、これは、TPPだけじゃなくてバイやマルチも入れて、EPA、FTA、様々な経済ネットワークを組んで、貿易を拡大また発展させようとしているわけでございます。

鈴木(義)委員 そうすると、最初に私が申し上げた三兆円マイナス、三・二兆円のプラスというのが、政府が公式に見解を出していたにもかかわらず、十年たって、批准して三年たつんですけれども、まず数字が出てこない。

 何倍になりましたというのは聞こえがいいんですけれども、実際、元の数字、例えば農産物一つ取っても、輸出を、四千億だったものを一兆円にしましょうといって、農水省がそれを掲げて数字を出したんですけれども、実際の、青果物と言われている生の野菜ですよね、米とか、それは八十億しか輸出していないんですよ。それを百二十億にしましょう、これだって数字上でいったら一・五倍になるわけ。

 だから、元の分母が四千億のうちの八十億しかないにもかかわらず、青果物として出していくのは一・五倍になりましたというふうに言われても、全体の割合からいったら本当のごく少数。それが現実です。

 だから、数字を出すときに、そこの、元の数字をやはりきちっと国民に示して出してもらうというのが大事なんだと思います。それを繰り返さないこと。

 じゃ、例えば、次の質問のところで、財務省統計によると、二〇二〇年の日本の貿易相手国上位五か国というのがあって、国と地域とASEAN、EUの一覧表を見ると、輸出で、一位が中国で、一千四百四十六億四千七百万ドル、構成比率として一九・四%。二位がアメリカで、千三百八十五億四千八百万ドルで、構成比率一八・五%。三位が韓国で、五百四十二億三千五百万ドルで、構成比率七・三%。もっとずらずらっとあるんですけれども。一方、輸入では、一位が中国で、一千八百七十七億七百万ドルで、構成比率二一%。二位がアメリカで、八百九十一億一千二百万ドル、構成比率九・九%。第三位がオーストラリアで、八百七十六億三千万ドル、構成比率九・八%となっているんです。時間がないので省略します。

 このように、中国依存度が群を抜いちゃっているんですね。輸出と輸入の差で日本がもうけさせてもらっているのは、アメリカ、韓国、台湾、香港。ASEANは、先ほど新藤大臣から答弁もあったんですけれども、逆に、日本から輸出するよりもASEANから輸入している額の方が多くて、収支はマイナスなんです。

 日本の貿易相手国によって、中国依存度がどんどん高くなっちゃっているんですけれども、中国は輸出入構成比率で二〇%前後、今示したとおりです。

 中国の国内の状況が日本へ及ぼす影響も大きいと思うんですね。いろいろなことが言われています。恒大という不動産も破綻したとか、何がどうだという話を漏れ聞くんですけれども、中国の経済がおかしくなれば、その影響をもろにかぶってくるのは、今の数字を見ればやはり日本なんだと思うんです。一国の依存度が高くなり過ぎてしまうと、それはやはりリスクも大きくなるということですね。もうこれは論をまたないと思うんです。

 相手の経済状況がもし、天災だとか、パンデミックみたいな感染症ばかりじゃなくて、経済がおかしくなったときに、日本だってリーマン・ショックのときにあたふたしたじゃないですか、それと同じようなことが起きたときに対応できるのかどうか、そこをまずお尋ねしたいと思います。

高市国務大臣 今、鈴木委員がおっしゃっていただいたとおり、過去五年を見ましても、輸入相手国は一位はずっと中国でございます。

 中国に限らず、やはり供給国の方から見たら、各国とも、もしも、自然災害ですとか感染症ですとか、今おっしゃったような経済的な危機が起きたときに、自国民の物資の確保を優先するのであろうと考えられます。実際に、世界各国で、中国に依存している、物資によって違いますが、そういう国も非常に多く、やはり他国依存に伴う供給リスクの高まりというのは物すごく顕在化してきていると思います。

 それで、日本としては、経済安全保障推進法に基づきまして、国民の生存ですとか国民生活、経済活動、これにとって重要な物資について、外部依存性、また供給途絶リスクがあるものを特定重要物資に指定して、安定供給確保を図る取組を続けております。

 これまでも、例えば、相手国の法制度の変更ですとか、また、物流不全、物流機能が不全に陥るケースとか、いろいろなケースが考えられますので、重要な物資が抱えるリスクの把握と評価を実施した上で十二の物資を特定重要物資に指定して、現在、事業者が提出していただいた七十二件の安定供給確保計画について、物資所管大臣がこの認定を行って、支援を進めております。新たなリスクの分析も含めて、安定供給確保の取組をしっかり進めてまいります。

鈴木(義)委員 例えば、日本が使っている原油はほとんど、中東から八割輸入しているわけですね。イスラエルが戦火を拡大していく方向で、報道で見るんですけれども、もし本当に中東が、第何次か分かりませんけれども戦争が起きるようなことが起きたときに、石油が止まりますよね。そのときにどう対応するのか。

 今、おととしだったと思うんですけれども、国が持っている備蓄二百四十日分、民間が六十日、残りの百八十日が国が管理しているんですけれども、それを、二百四十日分を放出してしまったら、何もない。じゃ、どうするか。それはあらゆる品物に波及する話だと思います。

 だから、安全保障の観点から、必要な物資は指定していってそれを分散化させるというのはいいんですけれども、それは全体の何千、何万ある品目のうちの本当の一部なんでしょうね。だから、そこはやはり国が管理していかないと、例えば、レアメタルは管理するけれどもベースメタルは管理しないというのも、これは無理な話だと思います。日本経済を支えているのは、レアメタルも大事なんでしょうけれども、ベースメタルだって、入ってこない現状が実際あるわけですね。じゃ、それを誰がストックするかという話です。民間が持つのか、国が持つのか。国が持てばコストが上がるし、民間は持ち切れない。そういうことがいろいろな品目で起きてくる状況になっているということですね。

 それで、片や、経済安保を言ってみたり、食料安保を言ったりするんですけれども、食料安保と一言言ったって、農家がもうやめていっている時代なんですよ。誰が作るんだというふうになっているのに、抽象的な答えしか今のところできないと思うんですけれども、やはり、半官半民じゃないけれども、国と民間でお互いに持ってもらうような仕組みをつくらないと、有事が起きたときには対応できないんじゃないかなというふうに思うんです。

 もう一度、再答弁いただければ。

高市国務大臣 経済安全保障推進法の対象は、この法律でしか対応できないもの、例えば、食料安全保障でしたら農林水産省所管の食糧法で対応するというようなことで、ほかの法令で対応できないものを対象にいたしております。

 ただ、御承知のとおり、二月施行で、一月末に閣議決定をして、新たに特定重要物資を追加させていただきました。この法律で対応できるところは不断に見直しを行い、また予算もしっかりとつけていただいておりますので、各所管大臣にしっかりと事業者の供給確保計画を支援する対応を続けていただくべく頑張ってまいります。

鈴木(義)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年に続いて今年も賃上げを目指す大合唱になっているし、好循環につなげたいと考える一人です。

 財務省が出している国民負担率の推移の一覧表を見ると、五十年前の昭和四十八年では二七・四%であったものが、令和五年では四六・八%に上昇している。倍まではいかないんですけれども。さらに、潜在的国民負担率では、令和二年に六二・九%になっているんですね。手元に残るお金が三七・一%では生活が苦しくなる一方で、賃金が上がっても負担率が上がれば手取りが増えないんですよ。誰だって差引きすれば分かりますよね。

 私は、地元回りをするのが大好きで、いろいろなお仕事をしている人に、もうかっていますか、もうかっていませんか、どうですかというのを聞くんですけれども、事業者の方々から、大手さんはほとんどないので中小零細、個人なんですけれども、口々に出るのは、社会保険料が重い、原料費は値上げを認めてくれるんだけれども工賃だとか人件費はいまだに認めてくれない、そういう話ばかりです。

 賃上げを目指すと同時に国民負担率を下げるような策を行わないと、生活が苦しくなっていくんじゃないか。例えば、大手企業さんが賃上げをしたら必ず価格転嫁しますから、価格転嫁を誰にするかといったら一般のユーザーです、消費者にする。でも、自分が下請、孫請、ひ孫、そこの賃金を上げてあげられないような状況でいけば、物価がまた上がっていって、自分たちは細っていくだけ、負担率は上がっていく。それでは、せっかく賃上げをするんだというふうに総理が旗を振っていても、負担率が下がらないとやはりなかなか実感が湧かないし、それで好循環をしていくんだ、要するに、余分に使えるお金がなければ消費には回らないということですね。

 そこのところをどう考えるか、お尋ねしたいと思います。

新藤国務大臣 まさに、個人の所得においては可処分所得を増やす。それから、企業の業績においては、企業業績を上げなければ保険料負担のみが重くなっていく。社会保険料の負担が重いという声は切実だと思います。それは、業績が上がらないから。業績が上がらないのは、単価が上がらないから。単価を上げられないのは、結局、下請のときの受発注金額が上がらないから。ここのところをどう崩していくか、改善させるか、これが重要だと思っておりますし、今般の賃上げにおいて実質賃金を上げるためには、賃金だけではなくて、やはり企業と企業の間の取引価格、これをきちんと物価に見合うものにしていかなければならないだろう。ここがとても重要なことで、注力していきたい、このように考えます。

鈴木(義)委員 過去の経産委員会でお尋ねしたら、できませんと答弁されたんですけれども、ある一定期間、一年なのか二年なのか三年なのか、価格転嫁カルテルを認めるというぐらいの思い切ったことをやらない限り、重層構造で仕事をやっている製造業だとか運送業だとか、建築、土木もそうですけれども、直接元請じゃなくて、その下の下にいるところは、やはり、上で認めてくれても、下まで来たときにはもう本当に薄利になっちゃう。そこが一番苦しんでいるんですね。だから、そのためには、下をみんな上げて、上もしようがないねと上げていかない限り、上だけ上がったからといったって下まで来ない、これが現実だと思います。

 だから思い切った政策が必要だと思うんですけれども、もう一度御答弁いただきたいと思います。

新藤国務大臣 どこの構造にあってもきちんと物価高が反映される、これが実現できれば日本経済は変わると思いますよね。ですから、よくよく工夫をしていきたいと思います。

 硬軟取り交ぜ、北風と太陽ではありませんが、やはり大事なことは、物価に合わせて賃金やそれから製品価格は変わっていくんだ、こういう社会通念をみんなで共有すること、そういったことが重要ではないかな、このように考えております。

鈴木(義)委員 私のところも、三十年ぶりに運賃を上げさせてもらったんですけれども、お客さんは離れていきましたよ。現実の話です。何とか給料を上げたいと思って、取引の、運賃を上げさせてくれと言ったら離れていく。それがみんな怖いんです。だから上げられない。あしたからもうあんたのところは要らないよ、それが重層構造でやっているところの現実の話です。そこを、きれいごとだけ言うんじゃなくて、やはり国が主導して思い切った政策を打たない限り、上がらないと思います。

 最後に一つだけ、あともう時間がないので。

 賃上げのしやすい環境を整備するのが政治の役割、論をまたないと思うんです。初めに、令和六年度の税制改正大綱のうち、何点かお尋ねします。

 賃上げ促進税制の強化のうち、中小企業の六割が欠損法人、赤字ということですね、控除できなかった分を五年間繰り越すことができるようになった、これはいいんだと思うんです。ただし、繰越控除する年度によって、全雇用者の給与等支払い額が対応年度から増加していることが要件だ、全体で上がっていないと駄目なんですよということなんですよね。

 でも、繰越控除ができる要件として全雇用者という点が非現実的で実効性に乏しい。それは、大臣が御答弁いただいたように、全体がすっと上がっていけばいいんですけれども、企業によってはこうなります。そうなったときに、やはり、上げられない、認められない、こういうことが起こり得るわけですね。何となく全体をカバーしているように見えるんだけれども、ちょっと条件が厳し過ぎるんじゃないかというのが一点。

 それと、毎年度、検討するというふうに言われている個人所得課税について、扶養者控除の見直しや所得控除の見直し、給与所得控除、公的年金等の控除、基礎控除の一体的な見直しを実施するというふうに毎年毎年何か言っているんですけれども、いつやるのかなということです。

 だから、百三万円の壁とか百三十万の壁、一律にはいかないんですけれども、なぜ基礎控除が六十五万、扶養控除が三十八万、その金額はどこからきたのかということですね。今の時代に合っていないだろう。そういうことを見直ししない限り、国民負担率は下がらないという考え方です。御答弁いただきたいと思います。

小野寺委員長 財務大臣鈴木俊一君、申合せの時間が来ておりますので、端的にお願いいたします。

鈴木国務大臣 二点御質問があったと思っております。

 一つは、令和六年度税制改正において、これまで賃上げ促進税制が活用できなかった赤字の中小企業に対しても、賃上げを後押しするという観点から、新たな繰越控除制度を創設をし、賃上げを実施した年度に控除し切れなかった金額を五年間にわたって繰り越すことができることといたします。

 御指摘のとおり、実際に税額から控除する年度については、全雇用者の給与総額が前年度から増加していることを要件としておりますが、この要件は、持続的な賃上げを実現する観点から、税控除できる額を得た年度だけではなく、黒字化し、法人税額が発生している年度においても賃上げを行っていることが望ましいという観点から設けられるものであり、必要かつ現実的な要件と考えております。

 また、この税制については全雇用者の給与総額の増加を要件としておりますが、その意味するところは、雇用の維持拡大に積極的に取り組む企業を後押ししつつ、申告の事務負担を考慮する観点から設けられているものであります。適切なものであると考えているところでございます。

 また、二つ目の、所得税の基礎控除等の引上げにつきましては、ブラケットクリープとよく呼ばれているものであると思いますが、物価上昇と同率で収入が増加した場合、実質的な収入が増えていない一方で、所得税の負担が累進的に増加することにより実質的な税負担率が上昇する事象を指しているわけでありますが、いわゆるこのブラケットクリープといった事象への対応といたしましては、各種控除の見直し等も検討課題になり得る、そのように考えられますけれども、日本においては、物価上昇率が足下を除く三十年近くにわたって低位で推移したことに加えまして、大変厳しい財政状況であるということを踏まえる必要がある、慎重な検討を要するのではないかと考えております。

鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 午前中、最後三十分、よろしくお願いいたします。

 まず、質疑に入る前に、ここまでの質疑について少し感想めいたものを述べさせていただきたいと思います。

 少子化対策プランについて、岸田総理は実質的な負担増はないと言っています。しかし、負担増はあるんですね。言っているのは、負担率が上がらないようにしたいということだけです。しかも、支援金に関する昨日の阿部司議員への新藤大臣の答弁は、岸田総理の答弁とちょっと理屈が違ったんですね。理屈が小難しいので、閣内ですらその理屈が共有されていないということなんだろうと思います。正直なところ、国民を何とかたばかろうとするような意図を感じるんですね。もっと国民に正直になるべきだというふうに思います。

 その一方で、野党の一部には負担増そのものを批判する向きがあるんですが、その野党が提案しているものの財源は全額国債であるというふうに理解をしています。全額国債であれば何とでも言えるんです。

 国民をたばかろうとする姿勢と全額国債の間に、真っ当な議論は私は成立しないと思います。危機感を共有させていただいた上で、質疑に入りたいと思います。

 政治資金についてお伺いいたします。

 政治資金規正法第一条の目的には何と書いてあるかというと、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主主義の健全な発達に寄与することを目的とすると、崇高なことが書いてございます。

 しかしながら、政策活動費について、岸田総理は一切の公開性を否定しておられます。政治資金規正法の目的に反してまで公開を拒むだけの正当事由は何ですか。岸田総理は、営業秘密や個人のプライバシーを侵害するとか、運営方針が他の政治勢力や諸外国に明らかになり不都合が生じると言っていますが、それは政治資金規正法の目的をも凌駕するほどの法益でしょうか。総務大臣。

松本国務大臣 委員御指摘のとおり、政治資金規正法の目的については、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の収支の公開及び政治資金の授受の規正等の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とすると定められておりまして、この目的に即して同法に講じられた具体的な政治資金の収支の公開及び政治資金の授受の規正に係る制度に従って、現行法にのっとって政党、政治団体は政治資金の収支の公開や政治資金の授受を行っているものと認識をしております。

 具体的な制度の内容については、政治資金に対する規制によって生じる政治活動の自由に密接に関連するもので、諸要素を総合的に勘案して策定されたものと理解をしております。

 御案内のとおり、政治資金規正法上、いわゆる政治活動費について特段の規定は設けられておりませんが、新たにいわゆる政治活動費について使途の公開などをルールとして定めることについては、政党、政治団体の政治活動の自由と密接に関連するものであり、その規制は立法府において御議論をいただくべきものだと考えております。

緒方委員 公開する必要がない政治資金があるということですか。総務大臣。

松本国務大臣 申しましたように、政治資金の収支の公開、政治資金の授受の規正等の具体的な措置は政治資金規正法で定められており、政党や政治団体は現行法にのっとって収支の公開、政治資金の授受を行っていると理解しております。

緒方委員 もうその答弁しか返ってこないので、また皆さん、追っていただきたいですが。

 じゃ、その公開されない政治資金というのは、財務大臣にお伺いしたいと思います、その公開されない資金というのは、所得税法上の必要経費として認められることがあり得るということですか。財務大臣。

鈴木国務大臣 いわゆる政策活動費につきましては、これは全て政治活動に使われれば、それは必要経費とみなされるわけであります。

 もちろん、政治活動で使い切れなかった分につきましては、これは課税の対象になるということでございます。

緒方委員 もう一度お伺いします。

 公開されない政治資金でも、それは認められるということですね。財務大臣。

鈴木国務大臣 政策活動費については、先ほど私が申し上げたとおりであります。

緒方委員 私、政治資金規正法の目的に鑑みれば、我々に与えられている選択肢というのは、公開するか、所得税を支払うか、どちらかだと思うんですけれども、大臣、いかがお考えですか。

鈴木国務大臣 政治資金を例えば私がいただいたとして、それは個人に帰属するものか、あるいは政党に帰属するものかで、その扱いは変わってくるわけであります。

 個人に帰属するものは、これは基本的には雑所得であります。控除をできるものは控除するわけでありますが、政治資金でありますから、それは政治活動であります。政治活動に使い切れなかった分については、これには課税がされる、こういう理解です。

緒方委員 何か理屈として合っていないような気がするんですが、この件、また今後やっていきたいと思いますが。

 少しコメントさせていただくと、岸田総理は、この件について、全党共通のルールということをよく言っておられます。これを正しく翻訳すると、私の理解では、野党だってやっているんだろう、出せないだろう、そう言っているんだと思います。足下を見る姿勢だと思います。

 そして、野党はこれに対する有効な打ち返しができていません。本当に改革する気があるのであればこのデッドロックを破らないといけないというふうに思います。そうでなければ、このやり取りは全てどたばた劇で終わるというふうに思います。二階氏の政策活動費の公開を求めるのであれば、野党側も所得税の時効が切れていない過去五年間の政策活動費の使途について公開することを強くお勧めしたいというふうに思います。

 質疑を移したいと思います。

 二ポツの、全くタイプの違う質問ですが、日本の資格における中国と台湾の表記ということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 医師法を例に取り上げさせていただきたいと思いますが、医師法では、台湾の方が免許の申請をする際は、施行規則に基づいて、国籍等を記載する書類を提出することになると書いてあります。住民基本台帳に基づく国籍等を記載するということなので、台湾と書いてある書類を提出いたします。しかしながら、もらう免許には、医師法施行令によって、登録事項が国籍というふうになっているため、中国と書かれた免許をいただくことになります。

 まず、外務大臣にお伺いしたいと思います。

 例えば、こういったところ、免許の国籍欄のところを国籍等とすることによって、そこに台湾というふうに書くことは、日中間で過去に交わした四文書との関係で何らかの問題を惹起するというふうに思われますか。外務大臣。

上川国務大臣 ただいまの台湾との関係につきまして、委員御指摘になりました日中間の四つの基本文書、これはその一つでございます、一九七二年の日中共同声明を踏まえまして、非政府間の実務関係として維持していくというのが日本政府の基本的な立場でございます。

 その上で、医師免許の登録事項につきましては厚生労働省が所管をします医師法施行令によるものと承知をしておりまして、医師免許証の記載事項の詳細につきまして外務省としてお答えすることはなかなか困難であるということでございます。

緒方委員 特に問題があるという答弁ではなかったわけでありますが、私、過去にこの件を内閣委員会で取り上げたときに、官房長官から、問題意識は各省庁に伝えるという答弁がございました。その後、何の動きもないんですね。

 特に何の問題もないのであれば変更してはどうかと思いますが、厚生労働大臣、いかがですか。

武見国務大臣 医師免許の登録事項につきましては、医師法施行令上、本籍地を登録することとしておりまして、そして、日本の国籍を有しない者については国籍を登録するものと定められております。このため、台湾の方の医師免許証の国籍については、議員の御指摘のとおり、中国と表記の上、登録と発行を行っているところです。

 御指摘の点については、歴史的な経緯から見ると、日中共同声明、一九七二年、このとき以前から一貫して台湾ではなく中国と国籍を表記することとしてきておりまして、こうしたことを踏まえた対応を現在やっているわけであります。

緒方委員 反論になっておりませんで、だから変えてはいかがですかというふうに聞いております。厚生労働大臣。

武見国務大臣 したがって、そういう歴史的経緯を踏まえて現在も対応させていただいているというのが答えであります。

緒方委員 この件は、今日、予算委員として後ろにおられます古屋圭司先生も御関心が高いと思いますし、医師法のみならず、分野横断的に多分この手の話はあると思うんですね。なので、皆様方に申し上げたいのは、分野横断的に洗って、やはり、台湾って書類を出して中国って戻ってくるというのはよくないと思うんですよね。政府の方がそういうことであれば、是非、議員側で取組を進めてはいかがかというふうに思います。

 続きまして、非常にテクニカルなんだけれども、難しいテーマなんだけれども、最後、重要なテーマとして、日本と韓国との間の海の問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 実は、この図を作るだけでも物すごい時間がかかったんです。役所はやってくれないので、一生懸命、夜な夜な経度と緯度をグーグルに打ち込んで自分で作ったんですけれども。

 これは非常に難しいテーマで、テクニカルですけれども、最後、とても重要なことを言いますので、ついてきてください。お願いいたします。

 一九七四年に合意して一九七八年に発効した日韓大陸棚の南部協定、一枚目の資料であります。済州島と五島列島、男女群島との間で中間線を引いて、そしてその日本側だけに共同開発鉱区を置いています。

 これは、当時の大陸棚に関する国際法の通説が自然延長論だったということがございます。

 済みません。総務大臣と厚生労働大臣、もうこちらで大丈夫であります。結構であります。ありがとうございました。

小野寺委員長 総務大臣、厚生労働大臣は御退出していただいて結構です。

緒方委員 そのため、中間線から日本側だけに、沖縄トラフまでのところだけに共同開発鉱区をつくっているんですが、これは、先ほど申し上げた国際法の通説が自然延長論だったということにあると理解してよろしいでしょうか。外務省。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 日韓大陸棚南部共同開発協定では、当時、大陸棚に関する主張が平行線をたどる中、日韓それぞれの境界画定に関する立場を害しないことを前提に、共同開発区域を定めたものでございます。

 協定二十八条にも明確に規定されておるとおりでございますが、この協定を締結したことをもって韓国の自然延長論を認めたわけではございません。

 委員御指摘のいわゆる自然延長論は、一九六〇年代に、隣り合う大陸棚の境界画定に関する判例で用いられるなど、過去の国際法において取られていた考え方でございました。

 他方で、一九八二年に採択された国連海洋法条約の関連規定、その後の国際判例に基づけば、向かい合う国の距離が四百海里未満の水域において境界を画定するに当たっては、自然延長論が認められる余地はございません。

緒方委員 つまり、この条約を締結したときは、国際法のスタンダードは自然延長論だったんですね。なので、中間線から日本側だけに共同開発鉱区をつくったという歴史があります。

 一枚おめくりいただいて、次はお魚さんの話でありまして、漁業協定であります。

 一九九八年に合意し一九九九年に発効した日韓漁業協定においては、北部と南部に暫定水域を設けています。これは何かというと、両国の漁業関係者が相互乗り入れをする海域となっています。北部の方は竹島の周辺の地域ですので、何となくそこに暫定水域を設けるのは分からぬではないなという気がするんですが、今日は南部暫定水域について取り上げたいと思います。

 何でこんな長崎と済州島のところに暫定水域を設けたのかと外務省に聞いたところ、済州島南部にある暫定水域については、境界線に関する双方の主張が異なることから、双方の主張を勘案しつつ暫定水域を設定したという答弁でございました。

 これらの水域の日本側の基点は、肥前鳥島という島を始めとする男女群島であります。つまり、男女群島を基点として海を分けることについて日韓で一致しなかったという理解でよろしいですか。外務省。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 済州島南部にある暫定水域については、境界線に関する双方の主張が異なることから、双方の主張を勘案しつつ暫定水域を設定いたしました。

 これ以上の詳細については、外交上のやり取りであり、また相手国の関係もあることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

緒方委員 つまり、双方の主張が異なるということは、日本側が、男女群島、そしてその一番先にある肥前鳥島という島を中心として、そこから主張しようとしたら、それが向こうからけちをつけられたので暫定水域になったということだと思うんですね。そういうことじゃないんですかね。外務大臣。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 境界線を引くための基点の取り方等について日韓間の立場に相違がありましたが、その詳細についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

緒方委員 つまり、男女群島、肥前鳥島について、向こうがうんと言わなかったということを示唆しているんだと思いますね。

 そうすると、ここで、今日、海洋政策担当相にお伺いさせていただきたいと思いますが、肥前鳥島を始めとする男女群島は、日本の排他的経済水域、そして大陸棚の基点となる領土ということで間違いないですね。大臣。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 国連海洋法条約第百二十一条1には「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」と規定されておりまして、政府としましては、肥前鳥島は国連海洋法条約第百二十一条1の島に該当すると認識をいたしております。

緒方委員 非常に力強い答弁、ありがとうございました。

 この後、少し質問を進めたいんですが、恐らく俺に一言言わせろと思っておられる方がこの議場の中に一人おられるはずでありまして、この肥前鳥島に行ったことがある議員というのは、恐らく私が知る限りお一人だけではないかと思います。新藤大臣。

新藤国務大臣 完全に所管外でございますが。確かに、その島に訪問したのはファーストでオンリーということだと私も承知をしております。

 ここは紛れもない日本の領土でございます。そして、当時、やはり、この周辺で中国のサンゴの密漁が発生しました。ですから、ここをきちんと主権を維持し、また我々の権利を保持するためにも現状必要だと思って、視察した状態です。

緒方委員 三枚目の資料を是非見ていただきたいと思うんですが、一枚目の資料と二枚目の資料を重ねているんですね。

 これを見ていただくと分かるんですけれども、漁業協定の暫定水域って、基本的に中間線から日本側が大半なんですね。中間線から韓国側というのは本当に薄いところだけであって、その暫定水域の、日本側のところばかりなんですね。

 ここで私はやはり懸念を持つわけですよ。肥前鳥島がしっかりとした領土であるということなんだけれども、そこにけちがついて、そして、じゃ、暫定水域を設けましょうと言った結果として何が起こったかというと、中間線から、日本側だけじゃないですけれども、ほぼ九割以上日本側の方だけを譲って暫定水域をつくったことは、これは問題だというふうに思いませんか。外務大臣。

上川国務大臣 まず、一九八二年に国連の海洋法条約が採択をされたところでございますが、様々な境界の規定に関して、それこそ、考え方に基づいて変遷をしてきているというふうに認識をしております。

 国連の海洋法条約におきましては、向かい合っている海岸を有する国の間における大陸棚等の境界画定につきましては、衡平な解決、これを達成するために、合意により行うことが規定されているということでございます。

 その意味で、合意によってその当時の決定がなされてきたというふうに思っております。

緒方委員 実は、ここまでが事前の情報共有なんです。ここからが本題なんです。

 もう一回、一枚目に戻っていただきたい。日韓大陸棚の、ここまでは歴史の話です、日韓大陸棚南部協定というのは、中間線から日本側を譲るだけなので、当時の国会でもさすがに問題になっています。先ほど私、申し上げました。一九七四年に合意をして、成立したのは七八年です。それは何かというと、継続審議、継続審議、廃案と、やはり当時の日本の国会においても中間線から日本側だけを譲っているということについて激しい議論があったことをうかがわせます。

 その上で、この協定は、こういう不利にできている協定なので、実は期限があります。発効してから五十年です。そして、効力が終わる三年前から再交渉を申し入れることができるようになっています。五十年というのはいつかというと、二〇二八年六月二十二日であります。その三年前ということは、二〇二五年六月、来年であります。実は来年から再交渉可能な協定なんですね。

 現在の大陸棚南部協定は、恐らく当時の国際法の通説であった自然延長論をベースに作られているんですが、先ほど外務大臣の答弁がありましたとおり、国際法の通説はその後変わりまして、現在は衡平の原則がベースになっていると理解しています。そして、日本は、この衡平の原則を適用する際に中間線を基本とするということだというふうに私は理解しておりますが、外務大臣、いかがですか。

御巫政府参考人 お答え申し上げます。

 一九八二年の海洋法条約では、向かい合っている海岸を有する国の間における大陸棚の境界画定は、衡平な解決を達成するために、合意によって行うと規定されております。

 海洋法条約上、衡平な解決の定義は規定されておりませんが、向かい合う国の間の距離が四百海里未満の海域におきましては、海洋法条約の関連規定及び国際判例に照らしまして、一般的に中間線を基に境界を画定することが衡平な解決になるとされております。

 実際、一九八〇年代以降の境界画定に関する国際判例の主要な傾向といたしまして、まず暫定的な中間線を引きまして、関連事情を考慮し修正して、著しく不均衡な結果になっていないかを判断するという方法が確立しております。

 以上でございます。

緒方委員 そのとおりなんですね。

 先ほど申し上げましたとおり、来年の六月の二十二、三ぐらいの日から、実は協定の終了を通告した上で再交渉を申し出ることができるというのが、これは別に私が作ったものでも何でもなく、南部協定の最後にそう書いてあるわけでありまして。そして、今、これまでの質疑で確認できたのは、中間線がベースであるということ、そしてその基点となる肥前鳥島は間違いなく日本の確固たる領土であり、そしてここをベースとして交渉すべきだというふうに私は思います。

 外務大臣にお伺いしたいと思います。来年六月二十二日以降ではありますけれども、再交渉を言った上で、今言った中間線をベースに、そして肥前鳥島が領土であること、そして島を排他的経済水域や大陸棚を有する領土であるということを、一歩も動くことなく、しっかりとやるべきではないかと思いますが、外務大臣、いかがですか。

上川国務大臣 今委員から様々な歴史的な経緯、さらには、国際法に基づく境界の画定につきましては、考え方の違いも含めまして、この間、大きな変遷を遂げてきたと認識をしております。

 御指摘の点でございますが、諸般の事情を総合的に判断をいたしまして適切に対処してまいりたいと考えております。

緒方委員 少し長く複雑な話をしたので分かりにくかったかもしれませんが、私がやはり不安に思っているのは、今から二十数年前の日韓漁業協定を交渉したときに、これは大陸棚じゃないですけれども、漁業協定を交渉したときに、肥前鳥島そして男女群島が基点となることについて恐らく異論が出たんだと思います。そして、その結果として、中間線よりもその大宗が日本側のところで南部暫定水域を漁業協定で置いたということ、ここにやはり懸念を持つわけですね。今後交渉するときにこのときの考え方をもう一度適用してしまうとちょっとおかしなことになるのではないかと思ったので、この問題を提起させていただきました。

 外務大臣、今いろいろ答弁がありましたが、もう一回だけ確認させてください。中間線がベースであること、そして、肥前鳥島はその中間線を測るときの紛れもない基点であること。交渉に実際に乗り出すかどうかというのは、総合的に勘案するということで、それで結構でありますが、日本の大陸棚の考え方として、中間線がベースであり、その基点となるのは間違いなく肥前鳥島であるということを確約いただきたいと思います。外務大臣。

上川国務大臣 再交渉を行うことも含めまして、今申し上げたとおりでございますが、諸般の事情を総合的に判断して適切に対応していく考えでありまして、仮定の御質問に予断を持ってお答えすることについては差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、既に述べたとおりでございますが、国連の海洋法条約上、衡平な解決の定義、これは規定をされておりませんが、向かい合う国の間の距離が四百海里未満の海域においては、国連海洋法条約の関連規定及び先ほど答弁しました国際判例、これに照らしまして、一般的に中間線を基に境界を画定するということが衡平な解決になるとされているところでございます。

緒方委員 前半はお答えをいただきました。

 もう一個だけ、あと一分しかないので。

 実際交渉するかどうかというのはこれからの外交判断だと思いますし、いろいろな日程感があると思いますが、その基点となるのは紛れもなく肥前鳥島であるということは、大臣の口からも一言言っていただきたいと思います。外務大臣。

上川国務大臣 ただいまの御質問は、再交渉に係る御質問に係るということでございますので、先ほど申し上げたように、仮定の御質問にお答えすることにつきましては差し控えさせていただきます。

緒方委員 では、聞き方を変えます。

 先ほど松村大臣の方から、肥前鳥島は国連海洋法条約第百二十一条第一項にある大陸棚を有することができる島であるということは松村大臣の方から答弁がありました。それは外務大臣も共有されるということでよろしいですね。外務大臣。

上川国務大臣 今、先ほどの答弁のとおりだというふうに理解をしております。(緒方委員「先ほどというのは」と呼ぶ)松村大臣の答弁というふうに理解をしております。

緒方委員 終わります。

小野寺委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより外交、農業等についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊東良孝君。

伊東(良)委員 自由民主党・無所属の会代表の伊東良孝でございます。

 今日は、食料・農業・農村基本法の改定について、総理並びに坂本農水大臣にお伺いをいたしたい、こう思います。

 まず、元日に起きました能登半島地震においてお亡くなりになられた方々、心からお悔やみを申し上げる次第であります。

 また、被災された皆様方にも、心からの敬意、感謝、そしてお見舞いを申し上げたいと思う次第でございます。

 たくさんのボランティアの皆様方あるいは近隣町村の皆様を始め、本当に多くの皆さんの力をかりて平常の生活を取り戻そうとしている能登地方の皆様に、本当に心からお見舞いを申し上げ、全力を挙げて私どももこの復旧復興に力を尽くしていきたい、こう思う次第であります。

 まず、今回の地震、津波によりまして、地盤の大きな隆起やあるいは液状化、また山崩れ、崖崩れ等が起きたわけでございますけれども、この復旧につきまして、見通しにつきまして、総理にその御決意を是非お聞かせいただきたいと思う次第であります。

岸田内閣総理大臣 今回の地震による農林水産業に係る被害状況は、現時点で、農地や水路等の損壊が三千八百か所以上、畜舎の損壊等が四十五件以上、山地災害が三百六十か所以上、漁船の転覆、沈没、座礁が二百五十九隻以上、漁港の損壊が七十三漁港以上と報告を受けており、基幹産業である農林水産業に甚大な被害が発生しています。特に漁港については、海底地盤が隆起するなど、前例のない深刻な被害が生じています。

 こうした被害からの復旧、再生に向けて、先月二十五日に取りまとめた被災者の生活となりわい支援のためのパッケージに基づき、漁港など生産インフラの復旧や機械等の再建、金融支援等の各種支援を重層的に講じてまいります。これらの支援策については、実際に活用いただけるよう、被災地での説明会や相談窓口の開設などを行っているところです。

 今後、農林水産業の復旧復興に向けて、地域の将来ビジョンに基づくインフラの復旧復興を着実に行っていかなければなりません。あわせて、農林漁業者の一日でも早いなりわい再建のために、被災自治体とも密接に協力しながら、支援策の着実な情報発信、相談、受付も含めて対応してまいります。

伊東(良)委員 是非、地域の皆様方また被災された皆様方に総理からの強烈なメッセージ、こう受け止めておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思う次第であります。

 それでは、食料・農業・農村基本法について伺いたいと思います。

 制定時と比較して、異常気象などによる食料生産の不安定化、国際紛争による食料の価格変動幅の増大、また地政学リスクの高まり、また、食料自給率の向上にも大変、この上にも重要であると思いますが、それだけではやはり対応し切れない、感染症による物流途絶のリスクなど、環境、情勢が当時と比べて大幅に変化をしております。

 このことを踏まえ、食料安全保障の抜本的な強化、また、環境と調和の取れた産業への転換、人口減少下における労働力不足のカバー、生産水準の維持発展と地域コミュニティーの維持の観点から、本法案の改正となりますが、総理の基本的な改正への考え方をお聞かせをいただきたいというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 我が国の農業は、食料等の世界的な需給変動、そして環境問題、また国内の急激な人口減少と担い手不足、こうした深刻な社会課題に直面をしています。こうした国内外の社会課題に官民連携で正面から取り組み、これらの課題克服を地域の成長へつなげていくべく、農政を抜本的に見直すこととし、食料・農業・農村基本法の改正法案を今国会に提出しております。

 基本法改正を通じて、農政を再構築し、食品へのアクセスなど国民一人一人の食料安全保障の確立や、輸入依存度の高い麦、大豆、飼料等の国内生産の拡大を図るとともに、化学肥料や農薬の使用低減など、環境と調和した持続可能な農業、こうしたものの転換も進めてまいります。

 さらには、人口減少下でも持続可能な食料供給基盤を確立するため、市場拡大に向けて輸出を促進するとともに、担い手の育成、確保、スマート技術の導入、こうしたことを通じて、生産性の向上、これを進める必要があります。あわせて、農泊や六次産業化などの仕事づくり等により、所得の向上と地域コミュニティーの維持、これを図ってまいりたいと考えております。

伊東(良)委員 この委員会でも何名かの委員から質問が出ました。食料自給率三八%、この向上が長年の大きなテーマになっております。私が議員に初当選した十五年前から同様のことがずっと言われてきているわけでありますけれども、抜本的な改革を含めて、この三八%のアップ、これは必要であろうというふうに思います。

 また、非常時又は不測時の食料安全保障の強化、あるいは持続可能な農業の確立に向け、平時からの食料安全保障の確立に取り組むことが非常に重要であります。主要作物の備蓄管理や在庫管理、また輸入を含む緊急調達等について、再構築、強化すべきと思いますが、総理はどのようにお考えか、お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、最初の食料自給率についてですが、今申し上げたような取組を講じながら、海外依存度の高い品目の国産化を進めていく、さらには、需要に応じた生産を行う農業構造へ転換をしていく、こういった取組を進めていかなければと思っておりますが、いずれにせよ、基本法、もし成立することができたならば、基本計画、これを作っていかなければなりません。その中でこの自給率についてもより議論を深めていく、こうした取組を進めなければと思っております。

 そして、もう一点、平時からの取組について御指摘がありました。

 我が国の食料安全保障上のリスク、これは今、高まっています。食料供給が減少し、国民生活、国民経済に影響が生じる事態に備えて、御指摘のように、平時からの対応に始まり、影響の程度に応じて早期から必要な措置を実施するための法案、これを今国会に提出することとしています。

 主要食糧である米、小麦については、引き続き、政府による備蓄や民間備蓄の支援を適切に行っていきます。新たな法律に基づく措置として、米、麦以外の重要な食料についても、事業者の営業上の秘密等に十分配慮しつつ、在庫情報を把握できるようにする、こういったことを今検討しています。

 また、平時から安定的な輸入に努める、これはもちろん大事なことでありますが、それだけではなくして、不測時の緊急調達のためにも輸入先国の多角化等を図っていく、こういったことが重要であると認識をいたします。

 こうした対応も、これまで以上に進めてまいりたいと思います。

伊東(良)委員 食料安全保障の強化には、農地の適正な利用の強化、集約化、あるいは、基盤整備により農地を余すことなく最大限活用して食料、飼料生産を行うことが不可欠であることから、農地の適正な利用について基本法に明記するとともに、林野あるいは雑種地も含め、農業生産に供する土地を最大限有効活用するための施策を講ずるべきだと思いますが、農地の在り方について、この問題に非常に昔から詳しい坂本農水大臣に是非考え方をお聞かせいただきたいと思います。

坂本国務大臣 農地は、食料安全保障の根幹であります。先生御指摘のとおり、農地の集団化、適正利用、そして農業生産基盤の整備、さらには、その保全を推進すること、これが一番重要であるというふうに考えております。

 基本法には、現在でも、農地の確保と有効利用、そして基盤整備についての規定がありますけれども、昨年十二月に食料安定供給・農林水産業基盤強化本部で取りまとめました「食料・農業・農村基本法の改正の方向性について」を踏まえまして、農地の適正利用につきましても位置づけを検討しております。

 あわせて、確保した農地の適正かつ有効な利用を図るため、人と農地に関しましても、法制上の措置や関連法案、これを出して、所要の法案についても今国会に提出をする予定にしております。

伊東(良)委員 次に、農業所得についてお伺いしたいと思います。

 農業所得につきましては、足下では、畜産の配合飼料やあるいは輸入粗飼料を始めとした生産資材の物価高によるコスト高が主要因で、所得が低下しているわけであります。

 こうした状況の中、農業所得に対する認識を伺うとともに、スマート農業の導入といった農業所得向上への取組に対する支援やあるいは経営の安定化を図ることが重要と考えますが、坂本大臣の御見解を伺います。

坂本国務大臣 農業所得につきましては、足下では物価高の影響を受けまして厳しい状況にありますけれども、中長期的に見ますと、平成三十年以前と令和元年以降で統計の取り方に少し変更がありますが、統計が非連続とはなっているものの、主として農業で生計を立てている経営体、いわゆる主業経営体の農業所得につきましては、平成二十五年の五百五万円が平成三十年には六百六十二万円、それから、経費等を削減して統計を取るようになりました令和元年からは、令和元年の四百十九万が令和三年には四百三十四万円と上昇傾向にあります。

 農業所得の向上を図るためには、収益性の高い経営を実現することが重要でありまして、需要に応じた生産を推進しつつ、農業経営管理能力の向上、そして農産物のブランド化による付加価値向上や輸出による販路拡大を通じまして、収入の増加、さらには農地の集積や集約、さらにスマート技術の開発、実用化の加速等による生産性の向上、こういったところを推奨、推進しているところであります。

 一方、昨今の著しい資材高や飼料等の価格高騰が経営に与える影響に対しましては、累次にわたりまして、飼料コストや肥料コストの抑制策など、各種の影響緩和対策を重層的に講じてきたところでございます。

 今後も、我が国の農業の課題に的確に対応する取組によりまして、収益性の高い農業経営の育成を図ってまいりたいというふうに思っております。

伊東(良)委員 農業と同様、これは漁業、漁村も大変に縮小、疲弊しているところであります。

 この農業、農村振興という観点とまさにイコールで水産業あるいは漁業、漁村が衰退をしているということを考えますと、これは農村だけではなく、やはり漁業、漁村も同時に力を入れて整備をしていかなければならぬと思うわけであります。

 水産業の振興につきまして、大臣の方で一言あれば、お聞かせいただきたいと思います。

坂本国務大臣 委員御指摘のとおり、漁業、漁村につきましては、海水温の上昇を始めとする海洋環境の変化、そして漁村の人口減少や高齢化などの課題に対応し、若者にとって魅力ある産業としての漁業の持続的発展や漁村の活性化を図っていくことが重要であります。

 具体的には、海洋環境の変化について、昨年六月の、海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討会における取りまとめにおきましても、適切な漁業経営や操業の在り方に関しまして、漁法や漁獲対象魚種の複合化・転換、そして加工・流通における魚種の変更への対応、そういったものを進めていくべき旨の御指摘をいただきました。

 農林水産省といたしましては、本取りまとめを踏まえまして、漁法、魚種の複合化等の実証的取組を支援するなど、海洋環境の変化に対応した持続的な経営体の育成、構築を目指してまいります。

伊東(良)委員 農林水産に関する集中審議ということでありまして、有害鳥獣被害対策の観点から質問をさせていただきます。

 警察庁からの説明では、銃刀法改正案が今検討されているところでもありますけれども、ハーフライフルという銃の所持をめぐって、今、これを厳しくしたらどうかというようなことがあります。

 ハーフライフルというのは、ライフル銃の銃身の中にらせんを切っているわけでありますけれども、これが二分の一以下のものをハーフライフルといいまして、散弾銃に比べて直進性があり、遠くまで弾が飛ぶ、あるいは威力が強いということもありまして、狩猟などにこれは用いられるわけでありますけれども、この所持権限が、所持歴、ライフル銃の十年間、いわゆる散弾銃からライフルに切り替えるためには、銃歴十年以上がなければライフルに変えることができません。

 それで、そのらせんを切っているのが短い、半分以下であるハーフライフルというものが今許可になっているわけでありますから、これを用いて狩猟など、あるいは害獣駆除などが行われるわけでありますけれども、これを、所持期間を十年という、一般ライフル並みの所持期限にしたいという改正が今行われようとしているわけでありまして、こうなりますと、一般の人が鉄砲を持つ許可が厳しくなるものでありますから、相当これは、狩猟の、被害が大きい北海道あるいは東北にとりましては、大変に影響があるものであります。

 北海道でエゾシカが二〇二二年度で七十二万頭、農業被害額が四十八億円に上っているわけでもありますし、また、ヒグマは、二三年の目撃件数が、過去最多の四千五十五件もヒグマが目撃されております。日本全国では、熊と人間がぶつかる被害が二百十八件発生しておりまして、そのうち六名が亡くなっているという状況であります。

 散弾銃では熊を殺すことはできません。また、鹿を撃っても、鹿に、ばらばらになった弾が体中に入るものですから、ジビエではありませんけれども、食用には全く使えなくなってしまう。こうしたことがあるものでありますから、北海道中の市町村、あるいは猟友会、並びに北海道庁からも、是非、銃の所持規制を強化しないで、もう少し別のやり方がないか、そういった要望が強く出されているところであります。

 是非、このハーフライフル銃の所持免許につきまして、警察庁の、あるいは公安委員長の理解ある政策、御答弁、あるいは法案の在り方、御検討いただければと思います。

小野寺委員長 国家公安委員長松村祥史君、時間が参っておりますので、端的にお答えをお願いいたします。

松村国務大臣 御指摘のように、現在、警察庁におきましては、銃刀法の改正を検討いたしているところでございます。

 その中で、委員から御指摘のございましたハーフライフル銃の所持の許可基準の厳格化も検討しておりますが、これによって獣類による被害の防止に支障が生じることがないよう、被害を及ぼす獣類の捕獲にハーフライフル銃を必要とする方々については、適切に所持許可を受けることができる運用をすることといたしております。また、こういうことをしっかりと関係者の皆さん方に今御説明をして回っているところでもございます。

 引き続き、運用が着実に進められるように、警察庁を指導してまいりたいと考えております。

伊東(良)委員 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、山田賢司君から関連質疑の申出があります。伊東君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田賢司君。

山田(賢)委員 自由民主党の山田賢司でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭に、私からも、元旦に発生いたしました能登半島地震で被災された皆様方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 阪神・淡路大震災の被災地であります兵庫県西宮市、芦屋市選出の議員としまして、政府のみならず、地元自治体とも連携し、また、国会においても党派を超えて協力し、全力で被災地の支援に努めてまいりたいと考えております。

 さて、二十分と限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 まずは、政権の最重要課題とされている拉致問題の解決についてであります。

 日本国憲法十三条では、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とするとされています。また、持続可能な開発目標、SDGsでも、誰一人取り残さない社会がスローガンとして挙げられています。

 翻って、五十年近くも自由を奪われ、生命の危険にさらされ、幸福を追求する権利を奪われ、過去の話ではなく、今この瞬間も自由を奪われ続けている日本人が多数取り残されている、このことこそ国政の最重要課題であると考えます。

 総理は、施政方針演説において、岸田政権の最重要課題と位置づけた上で、金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルでの協議を進めてまいりますと述べられておりますが、今までの協議とどこがどう違うのか、どのようなものを想定されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、北朝鮮との間の諸懸案の解決に向け、金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルの協議を進めていく考え、これは累次申し上げているところですが、この私直轄のハイレベルの協議については、昨今の日朝関係の現状に照らし、大胆に現状を変えていかなければならない、この必要性を強く感ずる中で、そのために、私自身が主体的に動いて、そしてトップ同士の関係を構築していくこと、このことが極めて重要だと考えます。その上で、私自ら必要な判断、各種判断を行っていく、こういった決意を改めて申し上げたところであります。

 その思いで、今、具体的に様々な働きかけを行っている、こういった現状であります。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 事の性質上、つまびらかにできないところが、これがかえって国民の皆様方から、どこまで進んでいるのか、何が行われているのか、ひょっとしたら何も進んでいないんじゃないかといったもどかしさがあるところを是非御理解いただきたいと思っております。

 我が国においては、政府はもちろん、超党派の議員連盟、あるいは家族会等の支援団体が連携して、オール・ジャパンで拉致問題の啓発あるいは国際社会に対して理解を求め、国連決議の採択、そして、国連制裁に加えて、我が国独自の制裁も科していることは承知いたしております。

 しかし、一刻の猶予もない、一日も早い帰国実現と言い続けて、二〇〇二年、五名の方が御帰国なされて以降、一人も取り返せておりません。幾ら北朝鮮を非難しようが、帰せと言い続けても、帰すどころか、問題を解決済みにして取りつく島がない、こういった国を相手に、どうやって取り返していくのか。

 これは、例えて言うのもどうかとは思いますが、中東情勢、これにおいては、後ほど取り上げますけれども、例えばイスラエルは、テロの首謀者であるハマスの掃討もいとわずに行動をいたしております。停戦交渉の中で人質の返還を引き出しております。

 もちろん、ガザ地区の子供を含む民間人の命を奪うということは、あってはならないことであります。しかしながら、長年にわたって我が国の同胞である拉致被害者の帰国が実現できていない、この現実を踏まえて、被害者の奪還策について根本的に見直していただきたいと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 我が国の一貫した方針は、日朝平壌宣言に基づき、諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指す、こういったものであるということ、これは再三申し上げているところですが、その中で、とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題、これは、ひとときもゆるがせにできない人道問題であると考えます。

 そして、現在の状況が長引くほど、日朝が新しい関係を築こうとしても、その実現は困難なものになってしまいかねない、こういった問題であると考えますし、一瞬たりとも無駄にせず、今こそ大胆に現状を変えていかなければならない、こういった思いから、先ほど申し上げたように、諸懸案解決に向け、金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルの協議を進めていくと申し上げているところであります。

 そうした思いで、様々なルートを通じて働きかけ、これは絶えず行っております。詳細は控えなければなりませんが、先ほど申し上げました基本的な覚悟と併せて、具体的な働きかけ、結果につなげるよう、最大限努力をしていきたいと思います。

 特に、御家族の差し迫った思い、これをしっかりと受け止め、また共有しながら、一日も早い全ての拉致被害者の方々の帰国に向けて、果断に取り組んでいきたいと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。政府の取組を我々もしっかりと応援していきたいと思います。

 続いて、中東情勢についてお伺いをしたいと思っております。

 上川大臣は、外交演説の中で、ハマス等によるテロ行為を断固非難するとされる一方で、イスラエルのガザ攻撃に対しては、主体を明示せず、ガザ地区の人道状況を深刻に懸念していると懸念を示されたのみであります。

 私自身も、十月七日にハマス等の武装勢力がイベント会場を襲撃して民間人を殺害、連れ去り、人質としていることは、テロ行為として許されないことだと考えております。

 他方で、人質の救出やテロを行う武装勢力を掃討する目的はあったとしても、テロ掃討の名の下に女性や子供を含む多くの民間人の命を奪っていることに対して、主体も明示せず、懸念ではなく、非難をしないのはなぜなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

上川国務大臣 昨年十月のハマス等によりますテロ攻撃、これは、多数の一般市民を標的とした殺害や誘拐を行う残虐な無差別攻撃でございます。いかなる理由でも正当化することはできず、我が国として、これを断固として非難をしております。

 我が国といたしましては、イスラエルが、こうしたハマス等によるテロ攻撃を受け、国際法に基づきまして自国及び自国民を守る権利を有すると認識をしているところであります。同時に、全ての行動は国際法に基づいて行わなければならず、いかなる場合におきましても、国際人道法の基本的な規範、これは守らなければならない。イスラエルに対しましても、岸田総理や私から、一般市民の保護の重要性、また、国際人道法を含みます国際法に従った対応等を直接要請をしてまいりました。

 戦闘が長引く中にありまして、連日、多数の子供たち、また、女性や高齢者を含みます死傷者が発生するなど、現地の人道状況は更に厳しい状況となっております。民間人の犠牲者がますます増加している中にありまして、この軍事行動が全体として、国際法上、正当化されるかどうかについて、当事者による一層の説明が求められるような状況となっているということについては確かであると認識をしております。

 我が国といたしましては、引き続き、人質の即時解放、そして人道状況の改善、そして事態の早期鎮静化、また地域への波及防止に向けました外交努力を粘り強く積極的に行ってまいります。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 この問題は、欧米かアラブかという対立ではないというふうに考えております。テロ行為は許されないという米国や、イスラエル国内にあってさえ、民間人の命を奪うべきではないという声が上がっております。これは、日本においても、是非そのことを声に出して発言していっていただきたいというふうに思います。

 パレスチナのガザ地区、それから西岸地区を含めて、パレスチナ難民を支援している国連パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAの職員にハマスの構成員が数多く紛れ込んでいるという指摘があり、十月七日のハマスのテロ攻撃にも参加していた職員がいたとUNRWAのラザリーニ事務局長自身も認めておられます。このことを受けて、ドナー国の中には、UNRWAへの資金拠出を停止、また我が国も資金拠出を停止すると発表しております。

 もちろん、日本の支援がハマス等の武装勢力に流れてテロ行為に使われることは、あってはならないというふうに考えております。

 その点で事実解明は重要でありますが、他方で、UNRWAは、ガザ地区を含め、パレスチナにおける医療や教育、生活支援等を行ってきた団体でもあり、日本人の職員も働いておられます。ただでさえ、病院や学校、インフラが破壊される中にあって、UNRWAの支援活動が停止することで、ガザ地区の人道状況が更に悪化することを懸念しております。

 UNRWAを長年にわたり支援してきた我が国として、この活動をどのように評価されているか、外務大臣の御見解をお聞かせください。

上川国務大臣 我が国といたしましては、今般のUNRWA職員への疑惑、これを極めて憂慮をしている状況であります。

 本件に関しましては、国連による調査が行われ、また対応策が検討されるため、当面の間、UNRWAへの令和五年度補正予算の拠出を一時停止せざるを得ない、こうした判断に至ったところであります。

 多くのUNRWA職員は、献身的にガザの厳しい状況の中で人道支援活動に従事をしているところであります。また、UNRWAは、パレスチナ難民を対象とした、まさにおっしゃったとおり、保健、医療、教育、さらには福祉等のサービスの提供など、不可欠の役割も担っていると認識をしております。

 UNRWAがこうした本来の役割を果たすためには、同機関のガバナンスが信頼の置けるものであるということが前提であるということでございます。

 我が国としては、国連やUNRWA、また関係国と密接にコミュニケーションを取りながら、UNRWAのガバナンス強化を含めまして、適切な対応が取られることを強く求め、国連による調査や、また、コロンナ前フランス外相が主導する独立した評価グループによる取組に積極的に協力してまいりたいというふうに考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私自身、これは双方の話を聞かないといけないと思いまして、パレスチナの代表部の大使、そしてイスラエルの大使にもお話を伺い、昨日は、第三国であるエジプトの大使からも話を聞いてまいりました。

 日本という国は、イスラエルや欧米とも親しく話ができる、またパレスチナを始めとしたアラブ諸国とも対話ができる、そして、なおかつ日本というのは信頼されている、こういった独自の立ち位置、この日本こそが、停戦、和平実現に向けてイニシアチブを発揮していただきたいと思っております。

 時間がないので、次の議題に移らせていただきます。

 サイバーセキュリティーの問題でございます。

 中国のサイバー攻撃を受けて日本の公電情報が漏えいしていると米国から警告があったという報道がありました。この事実関係におきましては、外務大臣も官房長官も、事柄の性質上明らかにできないということでおっしゃっておられるので、これ以上の答弁はできないんだろうと思うんですが、外交機密を扱う公電というのは最も高いセキュリティーレベルを誇っているはずなんです。これが破られるようであっては、相手の侵入能力は更に高いと考えなければなりません。

 また、昨年の夏には、宇宙航空研究開発機構、JAXAもサイバー攻撃を受けたという報道もありました。宇宙開発という安全保障にも関わるような最先端の研究開発を行う機関、あるいは在外公館という外交機密を扱う公電のシステムが容易に侵入されるようであっては困ります。

 現在、政府においては、経済安保に係る重要情報の保全と共有を可能にするためセキュリティークリアランスの制度創設を進めておられると伺っておりますが、個人や企業がどれだけ情報を守っていたとしても、システムの脆弱性があって、サイバーセキュリティーが成っていなければ情報を保全することはできません。

 政府のサイバーセキュリティー対策について、河野大臣からお聞かせいただけますでしょうか。

河野国務大臣 今、政府としましては、GSOCによる政府機関を始めとする二十四時間の継続的な監視を行っているところでございます。ただ、どれだけ努力をいたしましても、未知の脆弱性をつくゼロデイ攻撃のようなものは、これはなかなか防ぎようがないというのが正直なところでございまして、ゼロリスクというものがないというのが現実のところでございます。

 ただ、その中でも、安全保障戦略の中に記載しているように、欧米主要国と同等あるいはそれ以上の水準をきちんと誇れるような、そういうものを目指して努力を続けてまいりたいというふうに思っております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 もちろん、完璧を求めても必ずイタチごっこで、技術と、侵入する方、侵入される側、イタチごっこになるとは思いますけれども、是非、セキュリティーレベルを高めていっていただきたいと思っております。

 外務省が保有する秘密情報が漏えいしたという事実は確認されていないものということで言われているんですが、これは重要情報が出ていないということではなくて、重要情報が漏えいしたという事実が確認できなかっただけで、ひょっとしたら漏えいしているかもしれない、こういったことも含めてセキュリティーレベルを高めていただきたいと思っております。

 続いて、ウクライナ支援について御質問させていただきたいと思います。

 ウクライナの紛争の、まだ継続中ではありますけれども、復旧復興に向けて、官民一体の取組を政府において進められていると承知いたしております。昨年十一月の経済ミッションの成果及び今月開催予定の日・ウクライナ経済復興推進会議でどのような成果を考えておられるのか。また、今、戦闘が継続中で、ウクライナ全土にレベル4、退避勧告が出ている中で、民間企業がどのように活動ができるのか、外務大臣にお伺いしたいと思います。

上川国務大臣 ロシアによりますウクライナ侵略開始から間もなく二年を迎えるところでございます。力による一方的な現状変更の試み、これを許さず、ロシアの侵略を止め、一日も早く公正かつ永続的な平和をウクライナに実現するために、対ロ制裁とそしてウクライナ支援、これを強力に推進していくということが重要であると認識をしております。

 こうした観点から、昨年の九月には前林外務大臣が日本企業の同行を得て、また、十一月には辻外務副大臣そして岩田経済産業副大臣が日本企業とともに経済ミッションとしてウクライナを訪問し、また、私も一月にはウクライナを訪問し、ウクライナ側の関係者と意見交換をしてきたところであります。

 今月十九日開催の日・ウクライナ経済復興推進会議でありますが、まさに、民間企業の御協力も得る形で、官民一体となった復旧復興の取組、これを力強く推進する契機といたしたいと考えております。

 また、私が重視しております女性・平和・安全保障、WPSの視点も、ウクライナ復興に向けたあらゆるフェーズの取組におきまして実践していくということにつきましても、発信してまいりたいと思っておるところであります。

 同時に、ウクライナ支援に係る国際的機運を盛り上げる機会とすべく、ポーランドを始めとする関係国、国際機関、両国の関連企業も招待をしていることでありますので、成功に向けましての最終調整をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

 その状況の上で、退避勧告等が出ている状況の中でということでありますが、危険情報の認定は、渡航、滞在に当たって特に注意が必要とされる国・地域におきまして、邦人の生命身体に対する脅威を考慮して、治安情勢等を総合的に判断して発出するものでございます。現在は、引き続きでありますが、全土にレベル4の危険情報を発出しているところでございます。

 様々な御意見も頂戴しながら、官民連携の取組ということでありますので、そういった状況の中での最善の環境整備に当たってまいりたいと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので、終わらせていただきます。これで失礼します。

小野寺委員長 これにて伊東君、山田君の質疑は終了いたしました。

 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まずは、令和六年能登半島地震で犠牲になられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、発災以降、現地で被災者の救援、また復旧復興に力を尽くしてくださっている全ての関係者の方々に、感謝申し上げたいと思います。公明党も、一人一人に寄り添った支援、一日も早い復興復旧のために、全力を尽くしてまいります。

 能登半島地震への対応では、農水省からも、昨日までに延べ三千五百人を超える職員が被災地に派遣をされていると伺っております。

 農林水産関係の被害については、道路の寸断や降雪等によって被害の全体像把握までにはなお時間を要することと思いますが、被災した農業者が困難を乗り越えて頑張っていこうと思えるような支援策を手厚く講じることが、今、何よりも求められています。

 今国会で、食料安全保障の確保、農業の持続的な発展を図るため、食料・農業・農村基本法の改正が議論をされる予定ですが、食料安全保障、持続可能な農業の鍵は、何といっても担い手です。自然災害は避けることはできませんが、災害が発生するたびに心が折れて離農する人が多数出ていては、農業の持続可能性も確保できません。その意味からも、能登半島地震に対しても、何よりも現場の声をしっかりと受け止めて、再開までの見通しが持てる支援策を講じていただきたいと考えます。

 具体的に、能登半島の主要な産物である米について、今年の作付の準備が迫っています。早急な被害把握と、今後に希望が持てるよう、被災農家に対する迅速な支援が不可欠です。水稲の作付ができない水田は現状どれだけあるのか。また、被災して作付ができなければ、今年の収入は得られず、再開までの見通しも持てません。

 作付を断念せざるを得ない農家が、大豆、ソバなど、他の作物に転換する場合は、水田活用直接交付金、畑作物の直接支払交付金、いわゆるゲタの対象となりますが、被災農家の再建支援のため、これらを手厚くすることも含め、地域特性に合った希望が持てる支援施策を講ずるべきと考えますが、農林水産大臣の見解をお伺いいたします。

坂本国務大臣 今般の地震によります作付不能地域、一部の報道では千ヘクタールというようなことも言われておりますが、現在、農林水産省としては把握に努めているところでございます。水稲の作付に必要な農地、農業用施設、それから共同利用施設等に相当の被害が生じているというふうに考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、被災者の生活となりわい支援のパッケージを取りまとめました。農地、農業用施設等の応急復旧をまずやっていきます。同時に、作業委託、農業機械の再取得、レンタル、土づくりへの支援をやってまいります。

 そのほか、水稲作付を委員言われましたように断念せざるを得ない場合でも、大豆、ソバの他作物への転換に際しての種子、種苗の提供の支援、さらには、作物転換に対する水田活用の直接支払交付金の活用、こういったものを併せて実施することというふうなこととし、被災された農業者の皆さんたちが営農再開を図れるよう、全力で取り組んでいく覚悟でございます。

角田委員 早急な被害の把握、そして、迅速な、寄り添った支援を是非ともお願いをしたいと思います。

 将来を見通せるということに関して、令和六年度末を目指して、現在、全国で策定が進められている地域計画について、被災地域においても、策定済み、あるいは策定中の地域があると思いますが、地震災害を踏まえて見直し等が必要になる地域も出てくると考えます。

 地域計画は、関係者が自分たちの地域をどのようにしていくのか話合いを通じて将来のビジョンを描く、いわば日本の農業の将来像の基本となる重要な計画です。

 公明党は、この重要な地域計画について、農業者、自治体など多様な主体が参画する地域計画の策定を支援するため、コーディネートを担う専門家の派遣など、強力に後押しをすべきだと求めていますが、特に、被災地域の方々には親身に寄り添った対応をすべきと考えますが、この点について農林水産大臣の見解を伺います。

坂本国務大臣 地域計画は、市町村や農業委員会が中心となりまして、地域の将来の農業の在り方や農地の利用の姿を明確にする地域農業の設計図として、委員言われましたように、非常に重要なものであるというふうに認識をいたしております。それは、能登半島地震の被災市町村の農業振興を今後図る上でも重要なものであるというふうに考えております。

 現在、被災市町村が厳しい状況にある中で、地域計画作りを進めていただくためには、農林水産省におきましては、令和六年度予算案に計上をしております、協議を円滑に進めます専門家の活用や農業委員会の活動経費の支援のための予算の活用や、それから、県段階や市町村段階の農協系統組織や土地改良関係機関など地域の農業関係の機関が一体となって、市町村そして農業委員会をバックアップしていただけるよう働きかけるなどの取組を支援していく考えであります。

 また、一部の被災市町村からは、令和七年三月までという地域計画の期限につきまして、柔軟な運用を求める声も聞いておりまして、そういった被災市町村につきましては、よく話をお伺いしながら相談に乗ってまいりたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、地域計画の策定主体であります市町村を始めとする関係機関のお声を十分に踏まえながら、現場のお取組を親身になって後押しをしてまいる所存でございます。

角田委員 是非とも、この点についても親身になった支援をお願いしたいと思っております。

 続きまして、農業人材の確保について質問をいたします。

 食料安全保障確保の基は、何といっても、農地と担い手、人です。

 特に、担い手は、高齢化等によって基幹的農業従事者が今後二十年で約百二十万人から四分の一程度の三十万人へと急減すると見込まれており、担い手の減少に対して、農業生産を維持するために、農地の大規模化、ロボット農機などスマート技術の導入の促進、農業法人の経営基盤強化などの取組の強化が打ち出されておりますが、農業に従事する人の減少に少しでも歯止めをかける取組も不可欠です。

 食料・農業・農村基本法改正に当たって、公明党は、トレーニングファームの拡大や、農業経営・就農支援センターの機能強化、設備、資金支援等を通じた付加価値向上への施策の強化など、各種の施策を総合的に推進することを提言しており、農水省としてもしっかり取り組んでもらいたいと思っております。

 その上で、何といっても、十分な所得が得られなければ、担い手の減少に歯止めをかけることはできません。足下では、物価高騰によるコストの増嵩で農業所得は低下をしております。このような状況を打破して農業所得の向上を図ることは急務だと考えますが、農業所得向上への取組について農林水産大臣にお伺いをいたします。

坂本国務大臣 農業所得につきましては、足下では、委員おっしゃいましたように物価高の影響を受けまして厳しい状況にありますけれども、中長期的に見ますと、平成三十年以前と令和元年以降では統計の取り方が少し違いますけれども、主として農業で生計を立てている経営体、いわゆる主業経営体の農業所得につきましては、平成二十五年が五百五万に対しまして、先ほども言いましたけれども、平成三十年が六百六十二万円、統計の取り方が変わりました令和元年の四百十九万円に比べまして令和三年は四百三十四万円と、上昇傾向にあると言えます。

 所得の向上を図るためには、収益性の高い経営を実現することが重要であるし、需要に応じた生産を推進しながら、農業経営管理能力の向上、それから農産物のブランド化による付加価値向上や輸出による販路拡大を通じた収入の増加、そして農地の集約、集積、さらにはスマート技術の開発、実用化、こういったものを推進していかなければいけないというふうに思っております。

 一方、昨今の著しい資材高や、あるいは飼料等の価格高騰が経営に与える影響に対しましては、影響緩和対策を逐次講じているところでございます。

 今後も、我が国の農業の課題に的確に対応する取組によりまして、収益性の高い農業経営の育成というものを図ってまいります。

角田委員 今後、人口全体が減少をして人材獲得競争の激化が見込まれる状況の中で、農業に魅力を感じてもらい、職業として選んでもらうための環境の整備、これはやはり農水省単独だけではなかなか難しい課題であるとも考えます。食料安全保障確保の観点からも、これは政府を挙げて取り組まなければならない課題と考えます。

 例えば、この通常国会に国土交通省が提出を予定をしている、二地域居住を促進して地方への人の流れを拡大しようとする広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律改正についても、農業に携わる人の流れができて拡大するように、農水省もしっかりと連携をして制度の活用促進に取り組んでもらいたいと思います。

 地域で暮らしてもらうために必要なこととして、住まい、なりわい、コミュニティーが挙げられますが、これらはもちろん大事なことですが、これに加えて、特に若い世代にとっては、子育てする環境が整っているのかどうか、質の高い教育が受けられるのか、さらには小児科など医療へのアクセスが確保できているのかということは、その地域で暮らすことを決める上で極めて重要な要素と考えます。

 ただ一方で、既に、特に地方では公務員のなり手不足が深刻化しており、教員も例外ではなく、令和五年度に採用された公立学校の教員の採用倍率は過去最低、中でも、小学校は五年連続で過去最低、医師も全国的に不足、偏在化しており、特に地方部では地域医療の崩壊の危機が叫ばれております。

 こうした人口減少下の困難な課題を乗り越えて、食料安全保障確保のための人材の確保、そのための環境整備、これは国土の保全という面からも極めて重要です。ここを目指して、現在進めているDXも進められなければならないと考えております。

 デジタル技術の活用により、地域の個性を生かしながら、地方の社会課題の解決、魅力向上のブレークスルーを実現し、地方活性化を加速する、これは総理が掲げるデジタル田園都市構想の説明ですが、まさに、デジタル田園都市国家構想はこの課題を乗り越えることを目指していると言えます。

 生きていく上で欠かせない食料、国民の命を守る食料安全保障の確保、そのための環境整備のために総理が一層のリーダーシップを発揮して取組を加速していただきたいと考えますが、総理の決意を伺います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、農林水産業、さらには食品産業の担い手の減少、高齢化、労働力不足に対応していくために、デジタルの力を活用して暮らしやすい地域づくりを進めていくことが重要となります。

 地域の基幹産業として、女性や若者も含めた様々な人材が活躍できるスマート農林水産業、食品産業の実現に向けて、農林水産物、食品の輸出拡大や農林水産業のグリーン化、ドローンやAI、ロボット等の活用による生産性の向上、さらには流通のデジタル化の促進、こうした取組を進めています。

 こうした方向性はデジタル田園都市国家構想総合戦略にもしっかりと位置づけられており、スマート農業の振興のための法律案を今国会に提出することを予定しております。

 そして、こういった取組と併せて、そもそも、地域におけるデジタルインフラを整備するとか、デジタル人材を育成していくとか、こうした取組を併せて行うことで、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会、これを目指していく、こういったことを申し上げております。

 地方が支える農業、これは言うまでもなく国の基であります。食料安全保障を担う地域が持続的なものとなるよう、私自身、先頭に立って、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた政府の取組を加速していきたいと考えております。

角田委員 農業を守るということは、国土を守ることということに通じます。是非とも総理の強力なリーダーシップをお願いしたいと思います。

 続いて、みどりの食料システム戦略について質問をいたします。

 食料・農業・農村基本法の改正に当たって、公明党は、環境を政策の柱に位置づけるべきとの考えから、化学肥料、農薬等の使用量低減を通じた環境負荷低減や有機農業取組面積の拡大に向けた施策の強化を提言をしております。

 有機農業については、取組面積を、二〇二一年時点での耕地面積の〇・六%を、二〇五〇年までに二五%、百万ヘクタールに拡大する意欲的な目標が掲げられておりますが、そのためには従来以上の取組の強化が求められます。

 地元の自治体の首長からも、オーガニックビレッジなど、有機農業の拡大に取り組みたいと思っているが、そのメリットを現場にどう伝えればよいのかといった声を伺います。

 農家が従来の慣れ親しんだやり方から有機に切り替えることをちゅうちょさせる要因は、一つには手間がかかること、そして、売れるのか、消費者が選んでくれるのかということです。このために、省力化の技術開発、消費拡大のための事業者と連携した国内需要喚起、海外市場の開拓支援とともに、特に学校給食での有機農産物の利用拡大について、是非強力に進めていただきたいと考えております。

 これは、地元での需要の開拓と併せて、食育として有機農産物について理解を深めることで、将来的にも確実に有機農業の需要を拡大していく要因にもなると思っておりますので、この点、是非推進をしていただきたいと考えますが、農林水産大臣の見解をお伺いをいたします。

坂本国務大臣 有機農業を大幅に拡大する目標の達成に向けましては、昨年末、御党からいただきました提言のとおり、有機農産物の消費拡大が重要であるというふうに考えております。

 その中で、特に有機農産物の学校給食への活用は、安定した消費の確保に加えまして、子供たちの食育、そして地域住民の方々により身近に実感を持って有機農業への理解を深めていただくことができ、本当に、委員言われましたように、食育の観点からも有意義なものであるというふうに思っております。

 このため、農林水産省といたしましては、地域ぐるみで有機農業に取り組みます先進的な産地であるオーガニックビレッジの取組への支援の中で、学校給食への導入段階における課題を解決するための支援、これを行っております。そして、令和五年までにオーガニックビレッジの取組を開始いたしました九十二の市町村のうち、七十六の市町村におきまして学校給食の取組が行われるということになっております。

 具体的には、例えば私の地元、阿蘇郡の南阿蘇村でも学校給食での有機農産物の活用のほか、茨城のいすみ市、こういったところでも行われております。

 消費者を招いた有機米の田植や稲刈り体験の取組なども行っているところもありまして、引き続き、こうした地域の取組、そして学校の取組というものを支援してまいりたいというふうに思っております。

角田委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて角田君の質疑は終了いたしました。

 次に、太栄志君。

太委員 太栄志でございます。

 岸田総理は、戦後最長となる四年八か月間、我が国の外務大臣を務められました。本日は、その外交について、総理に、いかにして我が国の国益を最大化するか、そして日本と世界の平和と繁栄を確保していくのか、その視点からの質疑をいたします。

 国会議員になる前、私は、オバマ政権のときに、アメリカのワシントンとボストンのシンクタンクと大学の研究所で、五年間、東アジアの外交、安全保障の問題に取り組んでまいりました。ちょうどその頃というのは、まさに日本は、GDPで中国に抜かれ、そして、同盟国アメリカの中だけでなく、まさに世界の中でどんどんプレゼンスが低下をしていく、そんな中、我が国の将来に危機感を抱き、日本外交を立て直したいとの強い思いでこれまで活動してまいりました。

 それでは、早速総理に伺います。

 総理は、就任直後に、岸田政権の外交戦略の看板として新時代リアリズム外交を打ち出されました。私も、まさに世界情勢が激変していく中で、リアリズムに徹したそういった外交は大事だと思っておりますが、しかし、総理、なぜか、就任当初は掲げていたこの新時代リアリズム外交、昨年の通常国会の施政方針演説、二〇二三年一月を最後にして、一年以上、総理は国会でこの言葉を用いられておりません。その理由を教えてください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の新時代リアリズム外交ですが、政権発足時に、外交政策の進め方の基本的なアプローチについて、私の考え方を一言で表すとしたならば新時代リアリズム外交だということで使わせていただきました。

 その後、御案内のとおり、ロシアによるウクライナ侵略など、目まぐるしい動きが国際社会で見られています。ですから、その時々の状況に応じて的確かつ分かりやすい言葉で外交の在り方を説明する、発信する、こういった工夫をしてきました。ですから、法の支配による自由で開かれた国際秩序を維持し、そして強化するですとか、力による一方的な現状変更は認めないですとか、こういった、よりその場面場面において的確な言葉を発信するよう努めてきました。

 しかしながら、その根源的な姿勢、すなわち、現実的な視点から国際社会の実情を捉え、そして、何よりも日本、そして日本国民の安全や暮らしを守り抜くために最善を尽くす、また、分断、対立ではなく協調を目指す、こうしたところに意を用いながら首脳外交を進めていくといった基本的な考え方、これは、政権発足以来、今日まで一貫していると考えております。

太委員 総理、確認です。

 それでは、このリアリズム外交、リアリズムに徹して行っていくというその点は変わりはないということで、その点を確認させてください。お願いします。

岸田内閣総理大臣 ますます複雑化していく国際情勢の中で、リアリズム、現実をしっかり見据えた外交を進めなければならない、こういった思いは今でも変わっておりません。

太委員 総理、是非とも、場当たり的にならずに、まさにリアリズム外交でこれからも進んでいただきたいと思っております。

 それでは、最初に伺いたいと思いますが、今、この中東情勢、四か月経過いたしました、紛争が起こってから。そういった中で、まず総理にお伺いしたいのが、総理は、御著書「岸田ビジョン」の中で、日米同盟を基軸としながらも、他方で我が国は独自外交を展開することも忘れてはなりません、例えば対イラン外交ですというふうに述べられております。

 それでは、総理、今回の中東紛争において、総理はどのような日本の独自性を発揮して外交を展開してきたのか、その点をお答えください。

岸田内閣総理大臣 中東は、言うまでもなく、我が国にとってエネルギー資源の宝庫である重要な場所でありますし、シーレーンの要衝でもあります。日本のエネルギー安全保障や国際貿易あるいは物流の観点からも極めて重要であると考えています。

 その中にあって、こうした中東の主要国とは、委員御案内のとおり、日本は欧米諸国とは違う立場で長年にわたって独自の信頼関係を築き上げてきました。御指摘のイランとの間においても伝統的な友好関係を維持してきたなど、欧米諸国とは違う、外交の資産というべき関係国との様々な関係を積み上げてきた、こういったことであります。

 こういった外交資産と言っていい関係を、今回のこの中東の動きの中でも、これを最大限活用していくことを考えなければならない。よって、この主要国に対して、今言った日本の外交資産をしっかりと活用して、首脳レベル等を中心にしっかり働きかけを行うことによって、人質の解放ですとか、あるいは事態の早期鎮静化ですとか、それから人道状況の改善ですとか、こういった目的のために日本は汗をかかなければならないということで、総理また外務大臣を中心に各国との外交を展開している、これが日本の今の立ち位置であると考えています。

太委員 総理、私は、今どういった独自性を発揮しているかと聞いたんですが。

 もちろん、総理を始め上川大臣そして外務省は、相当バランス感覚を持ちながら一つ一つ対処されているというのは私も見えてきます。ですけれども、その中でどう独自性を出すのか。そこは、総理が今おっしゃったように、まさに我が国の資産をどう活用していくのか。紛争から四か月、もちろん簡単なことではないです。ですけれども、まさに総理はどう出すかというところですね。

 例えば、一月三十日でした、あのイギリスのキャメロン外相が、軍事衝突に終止符を打って、そして中東和平プロセスを進展させるために、パレスチナの国家承認の前倒しを検討する考えを表明されました。

 そこで、総理、今のガザの現状を見て、中東紛争の停戦を促して長期的な和平を実現するために、私は、今こそ我が国もパレスチナ国家承認の前倒しをしていく段階にあるのではないかと思うんですが、御見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 今、パレスチナの国家承認について御指摘がありましたが、日本は、そもそも、イスラエル・パレスチナ紛争の二国家解決及びパレスチナの独立国家樹立の権利を含む民族自決権、これを一貫して支持をしています。長きにわたりパレスチナ人を政治経済面から支援をしてきた、こういった歴史があります。

 こういった考え方に基づいて、先ほど申し上げた外交的な資産を活用して、イスラエルのネタニヤフ首相を始め首脳にも直接働きかけを行い、イランの大統領にも直接会い、話ができる。やはり、外交において、人と人とのつながり、これは大きな資産だと思います。そして、利害の異なる国々に対して直接対話ができる、これは大きな財産であると思います。

 こういった財産を使って、今申し上げましたパレスチナの独立国家樹立の権利を含む民族自決権を支持しているという立場に立って、事態の鎮静化を働きかけています。

 国家承認ということになりますと、これはプロセスですので、今言った考え方に基づいて働きかけを行いながら、これは事態の変化の中でそうしたプロセスをいかに進展していくのか、これは事態の具体的な推移の中で考えるべき課題であると思います。

太委員 総理が、まさに各国の当事者に、様々首脳会談を行っていることは存じております。しかし、私が指摘したいのは、やはりなかなか顔が見えてこないんですよね、独自性が。総理はおっしゃっているじゃないですか。

 今、どんどんガザの状況は悪くなっていくばかりですよね。しかも、我々にとって大事なアメリカ、同盟国も孤立しかねない。こんな状況だからこそ、私は、何とか、まさにこのパレスチナ国家承認、我が国の方向性としては合致していますし、一度しか使えないカードでありますので、このタイミングというのはしっかりと見極めなければならない、それは当然のことではありますが、どうしても、総理、何らかのアクションをしっかりと起こしていただかなければならないと思っております。

 総理、冒頭おっしゃいました、エネルギー安保のためにも大事だし、物流のためにも大事だと。今、相当中東の状況は変わってきていますよね。日本の顔は見えないけれども、アメリカの顔もどんどん見えなくなっていくけれども、中国はまさにイランとサウジアラビアとの仲介役になったり。アメリカは、イラク戦争、またアフガン戦争もうまくいかなかったです。そして、シェール革命もありました。

 そういった意味で、どんどんアメリカが関与できなくなっていく中だからこそ、我が国として、何らかの、まさにカタールみたいな形の仲介役だってあるわけですよね、そういったことを是非とも総理には踏み込んで進めていただきたいと思っております。

 それでは、ちょっと次に移りたいと思いますが、先ほども議論がなされていました国連パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAに関してでございます。

 UNRWAは、複数の現地職員が、昨年十月のまさにハマスのイスラエルへの攻撃に加担した疑いが持たれて、日本を含めG7はUNRWAへの資金拠出を停止しました。このパネルにあるとおりです。日本は六番目でしたね、これまで。

 しかも、日本は、戦後、独立直後、一九五四年でしたかね、五四年以降、ずっとこのUNRWAへの資金拠出を行っていたという長い歴史もありましたが、今の状況だと、UNRWAはまさに今月末にも活動停止せざるを得ないという状況。ただ、今、百五十か所以上の避難所をUNRWAが運営をしている、百万人以上に支援を行っている、まさに、パレスチナ支援の中核を担っている、ガザの命綱です。

 まさに、総理、ずっとおっしゃっている人間の安全保障の視点からも、人道支援をどう行っていくか。実際、そこにもありますね、黄色で示していますが、拠出の高いEU、ノルウェー、サウジアラビア、トルコ、そういった国は継続しているんですよ。スペインもまた追加でやっていくということですよね。

 そういった状況なんですが、もちろん、先ほど上川大臣おっしゃっていたように、この国際機関、国連機関のガバナンスとか透明性、公平性、これは物すごい大事です。ですが、その透明性がある程度、この問題、今、国連の独立調査機関が四月下旬に最終報告書を出すということで動いておりますが、例えば、三月下旬に中間報告を出すという流れですよね、そういった中で、その時点で、三月下旬の時点でもし問題がなければ我が国としては資金拠出を再開していく、そういった判断を総理にしていただく必要があるんじゃないかと私は思っているんですが、総理、御見解を教えてください。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国は、UNRWA職員が十月七日のテロ攻撃に関与したという疑惑について極めて憂慮しています。

 その上で、委員も触れられた、先ほども外務大臣の答弁があるわけでありますが、国連による調査が行われ対応策が検討されるため、各国もこうした拠出を一時的に停止せざるを得ない、こういった判断に至っているわけですが、おっしゃるように、多くのUNRWA職員、これは献身的にガザで人道支援活動に従事していますし、人間の尊厳の実現に大きな役割を担っています。

 UNRWAがこうした本来の役割を果たすためにも、我が国の対UNRWA拠出金の用途も含め、同機関のガバナンスが信頼の置けるものであることを確認することは重要であると思います。適切な対応を取られることを強く求めて、調査に積極的に協力をしていきたいと思います。

 そして判断をするわけですが、ただ、一つ申し上げたいのは、我が国はUNRWAを通じて様々な支援を行ってきましたが、それだけが現地に対する支援ではありません。WFPもあれば、国際赤十字もあれば、他の国際機関を通じて日本は引き続きガザ地区を含む地域のパレスチナ人への人道支援、これは今日までもやってきましたし、これからもこうした他の国際機関を通じての人道支援は積極的に取り組んでまいります。

太委員 総理、分かりました。

 UNRWAのことに関しては、是非ともタイミングを見計らって資金拠出を検討していただきたいと思っておりますし、まさに今総理が御指摘されたほかの機関、WFPなども含めて、ほかのNGOも含めて、そういった形で、総理がおっしゃった人間の尊厳、そこをしっかりとサポートしていただきたいと思っていますし、アメリカもそういった形で国務省からも報道されています。WFPやユニセフなどに対する人道支援を行うということで、是非とも展開していただきたいと思っております。

 それでは、次に移ります。次は対中外交。

 私は、南西諸島の鹿児島県の沖永良部島で生まれ育ちました。まさに中国の海洋進出の最前線の勢いを感じながら、我が事として中国の問題というのは受け止めているところであります。だからこそ、今、日中の間で懸案となっています尖閣諸島問題、また邦人拘束などのまさに中国の現状、破壊的な行動に対しては強く抗議をいたします。

 そして、私は、この一年半ほどで二回アメリカに行ってまいりました。その中で、特にトランプ政権以降のアメリカというのは本当に大きく変わったなというふうに思っております。それは、アメリカは今政治の分断が叫ばれておりますが、唯一、唯一というか、超党派的な合意ができているのがまさに対中国への強硬姿勢ということで、あと、社会全体、アカデミックも含めて、本当に感情的に、中国に対して敵対的な雰囲気は本当に強く感じましたし、それというのは、一九八〇年代のジャパン・バッシングの、それ以上に感情的になっているんじゃないかと危うさを感じているところであります。

 我が国とアメリカというのは同盟国ですが、もちろん中国は最大の貿易相手国。アメリカと日本は地理的な状況、置かれた状況が違っています。安全保障に関してはもちろん共通の核心的な利益を持っていると思っていますが、一方で、経済に関しては、やはりそこは必ずしも全て一致するわけでないというのが現状です。

 だからこそ、私が思っているのは、日本は主体的に、中国に対して、どう中国を国際社会の中に一員として組み込んでいくのか、既存の国際秩序の中に組み入れていくかというのが、アジアとそして日本の平和のため、国益のためにとっても、そして日中が共存していく道だというふうに私は考えております。

 そこで、じゃ、どういうふうに中国を私たちがうまくこちら側に組み込んでいくかということを、私もずっと、じっくりと考えてきました。

 そこで、本日総理とお話しさせていただきたいのが、TPP、今はCPTPPと言われております、その点に関して伺いたいと思っております。

 二〇二一年の九月に、中国が自らCPTPPに対して加盟申請を行いました。私は、この中国のアクションというのは、中国をまさに責任ある大国に誘導していく、国際社会の一員としていく、その大きなチャンスだと思っておりますし、それは同時に中国にとっても、今経済が少し落ち込んできています、中国国内の改革を、自己改革をしっかりと進めてもらう、そのためにもメリットがあるんじゃないかというふうに思っております。

 そこで、総理にお伺いしたいのが、もちろん、加入する上での条件、CPTPPの売りというのはやはり高い自由貿易の水準ですので、この条件は決して妥協しちゃいけないと思っています。その大前提の下で、中国を、我が国こそがしっかりと、TPPに加盟するように後押しをすべきだと思いますが、総理の御見解、お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 CPTPPですが、参加国間の貿易・投資を始めとする経済連携関係を深める機能とともに、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に示し、広めていく、こうした意義を有していると思います。

 そして、委員おっしゃるように、加盟に当たって、これは中国を始め、加盟申請を行うエコノミーは、この高いレベルを完全に満たすこと、これは当然その条件を満たしてもらわなければならないと思いますが、加入後の履行においてもそれを満たし続ける意図と能力があるかどうか、これも併せて見極める必要があります。

 この点、中国の貿易慣行とかビジネス環境については様々な意見があります。厳しい目が注がれている部分もあります。こういった中で、加入申請したエコノミーの扱いについて、他の加盟国ともよく相談をしながら、さらには、我が国として、戦略的観点や国民の理解、こういったものも踏まえながら対応を判断していく、これが日本としての基本的な考え方であります。

太委員 総理、まさに御指摘のとおり、元々TPPというのは、中国に対してどうアメリカ主導で対峙していくかという発想からできたものですし、特に国営企業に対する条件とかあるいは知的財産権、それは大変厳しいです。ですから、だからこそ、私先ほど言ったように、中国の改革派の人たちはやはりどうこれから技術革新やあるいは生産性を向上させるかと考えていますし、そこを何とか働きかけをしていくということが条件だと思っております。

 私が言いたいのは、総理、いろいろと検討されていくことだと思っておりますが、総理が主導して、国家安全保障戦略、防衛関係の三文書ですね、安保関係の、一昨年改定されました。外交についてもちゃんと触れています。ですけれども、私は、一番問題だったのは、残念ながら、中国とどう具体的に向き合っていくのか、そこが見えてこなかったんですよ。

 そういった意味で、是非とも総理、しっかりと我が国として戦略を持って対峙していく、そのために、やはりTPP、もちろんこれはアメリカにも戻ってきてもらう。台湾も申請しています、台湾も入ってもらう。そういったことを含めて、私は、大きな、これは長期的な発想ですよ、やっていかなきゃいけないと思っています。

 総理、もちろん覚えていらっしゃると思います、総理の御著書「岸田ビジョン」で総理は書いていますね。米中の対立は一層先鋭化していく、そういった中、中国に対して、独自の対中外交を展開しなければなりません、一つの考え方として、我が国は、TPP協定といった枠組みを主導することで中国を含めた大きな輪をつくって、そこに時間をかけてアメリカを巻き込んでいくというくらいの大きな時間軸で考える方がいいのかもしれませんと、総理は明確に言っているんですよ。まさに私はここは合致すると思っています。

 そういった意味で、総理、もう一歩踏み込んで進めて主導してください、総理、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 委員が引用されたのは、アメリカをTPPの枠組みに戻して再びインド太平洋に関与する、関心を持ってもらう、こうした取組が重要だという文脈の中で申し上げたものであり、あれはたしか、TPPだけじゃなくてRCEPも含めて、こういった協定を活用するべきではないか、こういったことを申し上げたと思います。

 そういう文脈で申し上げましたが、中国との関係については、先ほど申し上げました、TPPのハイレベルの維持と、そしてTPPを今後とも維持していく能力や意思があるかどうか、こういった観点、そして日本の戦略的観点から、関係国ともよく意思疎通を図っていきたいと考えております。

太委員 是非とも、総理、この対中国、どう我が国として共存していくのか、そこをしっかりと長期的ビジョンを持ちながら、是非ともリアリズム外交で進めていただきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 次、あと五分になりましたが、それでは、持続可能な日米関係をどう構築していくのか。やはり我が国にとって一番死活的に大事なのがアメリカとの関係だと思っています。

 私の選挙区に米軍の厚木基地、またキャンプ座間、旧上瀬谷通信施設があって、まさに米軍の基地と日々向き合いながら生活している市民の声を私もずっと聞きながら政治活動しておりますが、本日のこの質問のベースにもなっております。

 それで、環境分野での日米協力について。

 今、これに掲げましたPFAS、有機フッ素化合物、このPFASの検出が国内各地の河川や水道水から高濃度で相次いでいます。これは発がん性などの可能性が指摘されており、主に泡消火剤に使用されているということで、PFAS、これはまさに沖縄だけの問題じゃないんですよ、東京多摩地区でも、また私の地元神奈川、あるいは青森でも、まさに全国の米軍基地の近くで報告されているというのが現実ですね。

 そういった中、今、私の地元の神奈川県綾瀬市の厚木基地のすぐ近くの本蓼川のところだと、例えばこれは環境省の暫定目標値の五十二倍ですよ、異常な数値です。こういったのが出てきている。もちろん、その後、厚木基地には立入検査はされていますが。

 ここで問題なのは、一つ、総理が外務大臣時代に環境補足協定が締結されました。総理、御存じですね。しかし、残念ながら、この環境補足協定によって、日米の環境問題に対する対応は、私は、期待していた以上には進まなかった、逆に後退したんじゃないかというふうに思っております。というのは、やはりこのPFASの問題、ずっと指摘されていますけれども、全然解決していないですよね。そこは本当に相当深刻ですよ。一番問題なのは、まさに、いまだに汚染源の調査すら行われていない。ということは、原因の特定がなされていないという、こんな状況です。

 これは何も米軍だけに責任があると私は思っていないです。やはり日本政府がどう動くかというのが一番大事だと思っておりまして、アメリカでもこれは国内で問題になっています。それを受けてアメリカ政府は、ちゃんとこれを規制強化したりとか、大規模に予算を、対策費を取ったりとかしていますよ。しかも、海外でも、ドイツあるいはベルギー、韓国、いろいろな汚染の調査や浄化作業、アメリカの米軍のお金でやったりとかして対応しています。

 ですから、やはり日本国内でしっかりと総理がリーダーシップを発揮してこの問題に当たってもらわなきゃ、これをずっと放置してしまうのは相当深刻です。

 総理、私はやはり、基地周辺の住民の犠牲の上に日米関係、日米同盟というのはあってはならない。そんな同盟というのは、これは持続可能じゃないです。大切なときにもたないですよ、日米同盟。ですから、総理、この問題、科学的な見地から環境分野での日米協力を進めていく、具体的に言うと、しっかりと調査できるようにしていただけるかどうか、総理の御見解を聞かせてください。

岸田内閣総理大臣 まず、PFASについては、それぞれの地元の皆様方にとりまして、大きな不安を与えている、大変大きな問題であるということは十分承知しております。

 そして、委員が紹介されたように、米国内においてもPFASの規制に関して様々な議論、取組が行われています。

 日本国内においても、これは関係省庁において対応の在り方を検討しているところでありますが、これまでも、米国環境保護庁や米国務省を含め様々なレベルで米側とこの問題についてやり取りを行ってきています。昨年の日米2プラス2においても、環境に係る協力強化を要請し、日米間で環境に係る協力を強化する、こういった確認をしております。

 政府としては、米軍施設・区域内外の環境対策が実効的なものになるよう、関係省庁を挙げて取り組んでまいります。

太委員 総理、今、先ほど御指摘された昨年の2プラス2からそういう指摘があるのは分かっていますが、日米で協議したのは。それから一年たって、何も進展がないです、総理。

 ですから、ここは是非とも総理のリーダーシップで、外務大臣、また防衛大臣と、あと環境大臣も本日いらっしゃいますが、どうかこの問題、前へと進めていただきたいと思っております。

 時間になりました。私は、外交、安全保障、まさにこれというのは、与党、野党、党利党略関係なくオール・ジャパンで取り組む問題だと思っていますし、まさにリアリズム外交で今のこの我が国の難局を何としても乗り越えていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間になりました。ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、野間健君から関連質疑の申出があります。太君の持ち時間の範囲内でこれを許します。野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 今日は、農業の問題、そして、今、能登半島の被災地で自らも被災しながら心身を砕いて頑張っている自治体の職員の皆さんが抱えている問題を、感謝を込めて質問させていただきたいと思います。

 私ども立憲民主党は、今国会のこの予算委員会で、農業について絞って、私含めて四人、質問しております。石川香織議員、小山展弘議員、そして神谷裕議員、そして私。

 私たちは、常に地域を回って、農家の皆さん、畜産農家の皆さんや、また漁業者の皆さんの声を聞いて、こういう問題がある、こういう課題があるということを、常に耳を傾けて、政府、農水省に提言をしたり、課題の解決を求めております。そういった意味で、我々は非常に一次産業については深く取り組んでいるということを御理解いただきたいと思います。

 まず、総理に、これは本当に言わずもがななんですが、お尋ねをしたいと思います。

 政治の最も基本的な使命、これはやはり、国民に、それぞれにきちっと食べ物、食料を確保して、そして、国民を絶対に飢えさせない、これが基本的な使命だと思うんですが、総理、どうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 政治あるいは国にとって最も大切な役割、これは国民の命や暮らしを守ることであります。そして、その中にあって、農業というのは国の基であると認識をいたします。

野間委員 そうですね。

 総理、世の中にいろいろな産業があります。栄枯盛衰を繰り返します。かつて、石炭業なんかがありました。あるいは生糸とか、我々、養蚕業、これも物すごい輸出の花形でありましたけれども、今、残念ながら、そういう産業はなくなっています。

 しかし、農業については、もうからないからやめるとか、あるいは、よその国の競争相手があるからやめるとか、そういう問題ではないと思います。総理もそうお考えだと思います。

 ということは、農業を含む一次産業、これはやはり政治、政府が、先ほどお話がありましたように、基本的な使命として、何としても守り抜くんだ、何としても維持するんだ、これが当然のことだと思うんですけれども、そのためには、やはり内閣を挙げて、国を挙げて、これを守るために、政策、財源、全部動員してもやるんだということ、これは当然だと思うんですけれども、総理、御見解はいかがですか。

岸田内閣総理大臣 私も、将来にわたって国民に食料を安定的に供給すること、これは国家の基本的な役割だと思っておりますし、食料の生産、供給を行う農業について、持続的な発展を図っていく、これを持続して維持していかなければならない、これは国にとって大変重要な責務であると思います。

 そして、あわせて、今、食料安全保障のリスクが高まっているなど、国際的な変化の中にありますが、引き続き、食料の安定供給の確保につなげ、そのためにも地域の成長を支えていく、政府としてその責任を果たしていかなければならないと強く思っています。

野間委員 ということで、今年は食料・農業・農村基本法の二十五年ぶりの改正があります。今総理がおっしゃったように、食料の安全保障、なかんずく、やはり我々の食べ物を外国に依存してはいけないということで、現在三八%の自給率、これの向上も大きな課題だと思います。

 ただ、今、一番目の配付資料を御覧いただければお分かりかと思うんですが、残念ながら、過去三十年、このグラフを見ていただければ、これは実は、昨年の十一月、予算委員会で、今石川県の七尾市で一生懸命頑張っている近藤和也議員が心血込めて作ってくれた非常に分かりやすいグラフなんですが、農林水産関係の予算、食料自給率、農業者や漁業者の人口、耕地面積、こういったものが全部下がっているのは事実ですね。そして、上がっているのは、黄色の、政府の予算だけは倍になっているんですね。ですから、こう言ったら申し訳ないですけれども、農業が国の中で軽視されてきた、重く見られていなかったと言われてもおかしくないのが、このデータが表しているところだと思います。

 そして、今回の基本法改正の中で、政府の、農水省の方からいろいろ出ているデータはあるんですけれども、先ほども質問でありました、これから二十年後には、現在百二十万のいわゆる農業の基幹従事者の人たちが、四分の一、三十万になるんだということですね。

 これは、しらっと書いていますけれども、三十万人になる、九十万も減るということは、もう北海道、九州の農家が全部なくなるということなんですよ。そんなことを前提にしてこれから計画を立てようと。これはもう農家の皆さんも、怒りを通り越して、諦めになるぐらいの数字だと思います。

 グラフの二番ですね。これは、各国の食料の自給率や、それから、ちょっと上の、見にくいですけれども、どれぐらい一次産業に従事している人がいるか。例えばフランスですと、自給率一一七%で六十七万人従事者がいます。ドイツは、自給率八四%で五十一万人。日本は、これは少し古いデータですけれども、一次産業、漁業も含めて全体で約二百万人で三八%の自給率を何とか維持しているところなんです。

 ですから、これは逆に言うと、いや、フランスとかヨーロッパの農業みたいにすれば少ない人数で自給率を稼げるんじゃないかと。これは逆なんです。日本は、本当に手のかかる、自然の、山間部が多い、平野が少ない、そういう中で何とか二百万人でこれだけを維持しているわけですね。外国は、平野も広いし、いろいろな自然条件が違います、気候も違います、そういう中でこういう人数で維持している。ですから、これが三十万人になんかなったら、もうとてもじゃないですけれども、自給率の維持どころではない話なんですね。

 それと、今、令和六年度の予算が出ていますけれども、この中で本当に自給率の向上や食料安全保障に向けているのは、私の計算ですと大体一四%ぐらいしかありません。農業の公共事業の約半分ぐらいですね。こういうのを見ますと、本当に政府が、自給率を上げる、国民の食を確保していくという本気度が試されていると言わざるを得ないわけであります。

 それと、配付資料三番のグラフ、これはお米の生産コストなんですけれども、これは農水省さんが出しているんですね。六十キロ当たり大体一万五千円ぐらいです。これもずっとそれぐらいの数字です。

 実際、これは幾らで買ってくれるのか、売れるのか。大体一万二千円ぐらいなんですね。これは農家のアンケートでも、一万八千円ぐらいないと赤字なんです。現実に、今もうやっていけないんですね。

 私も、田植や稲刈り、地元でそのまねごと、お手伝いをしていますけれども、そういった農家に聞いて、皆さん、手元にお金残りますかと。とてもじゃないけれども残りませんよ、化学肥料も高い、石油代も上がってトラクターやいろいろなものでお金がかかる、赤字ですよと。手元に残らないわけですね。

 なぜ、では、やっているんですかと。それは、先祖伝来の田んぼをやぼにしてはいけない、そしてまた、自分の作ったお米を友人や知人に上げたら喜んでくれる、おいしいと言ってくれる、そういう半分ボランティア精神で何とか食料生産を維持されているのが現実ですね。

 ですから、こういう意味で、本当に政府が、総理が農業は国の基であるとおっしゃった以上は、残念ながらこれで次の展望、本当に国民の皆さんに安心して食を確保できるという姿が見えないのが現実でありますけれども、総理はどうお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今回の食料・農業・農村基本法の改正ですが、委員御指摘のように、農業をめぐる環境は大変厳しいものがある、それに加えて、昨今、世界的な食料危機等を踏まえて食料安全保障のリスクもますます高まっている、そして急激に人口が減少していく中で担い手も急速に今減少している、こういった状況を前にして、すなわち、法律が制定された当時とは状況が大きく今変化している、こういったことであるからして制定以来初の本格的な改正を行うということになった、こういった問題意識を持って改正に取り組むということであります。

 そして、この改正によって農政を再構築していかなければならないわけですが、その中にあって、人口減少であっても持続可能な食料供給基盤をしっかり確立しなければならない、担い手の育成、確保、スマート技術の導入等による生産性の向上、また、稲作経営についても、小麦や大豆や野菜など、需要が見込まれる品目への転換、さらには農地の集積、集約による効率化等、こういったものを後押しして、農業所得の向上、経営の改善、これを進めていかなければならないと思います。

 要は、今申し上げた形で、農政を再構築して需要に応じた生産を行う農業構造への転換、そして、ひいては食料自給率についてもこれをしっかりと支えていかなければならない、こういった取組を進めていく、こういったことを、法改正を行い、その後、様々な、基本計画の作成の中で具体化していく。今はそういった大きな転換を迫られている重要な時期だという問題意識で取り組んでまいります。

 是非、そうした現場の声もしっかり聞きながら、こうした農業の、農政の再構築に向けて思い切った取組を進めたいと考えます。

野間委員 総理からやはり抜本的に変えていくんだということもお聞きしまして、それは本当に我々も望んでいるところであります。

 それで、確かにこういう問題があるんですけれども、我々としても是非御提案したいことがあります。

 それは、過去、民主党政権時代、戸別所得補償制度を入れたわけであります。これは確かに、三年間しかできなかったので成果というほどのデータが出ているわけではありませんけれども、配付資料四にあるように、最初の、初年度から比べますと、例えば、農業生産者の受取価格というのが、二〇一〇年を一〇〇とすれば一一四%に上がっています。それから、農業所得も、水田で当初の一〇〇から一四六%になっている、経営体の全体で見ても一五%ぐらい収入等がアップしているという結果が実際出ております。

 私も地元で農家を回ると、自分は余り民主党は好きじゃなかったけれども、あの戸別所得補償制度だけはよかった、復活させてほしいという声を聞きます。御存じかどうかあれですけれども、この十年間、政権が替わって十年間、国会に、衆参合わせて、戸別所得補償制度を復活させてほしいという請願が二百四十七件出ているんですよ、各地から。それぐらい、あの制度はよかった、あれだけはやってほしいという声を今でも私は聞きますし、恐らく与党の議員の皆さんも、あれはよかったよという声は聞いていると思います。

 そういった意味で、是非、戸別所得補償制度もやはりその基本計画の中に入れるべきじゃないか。

 それと、もう一つ続けて申し上げますが、やはり農業人口維持ですね、三十万になってしまう。そういう中で、先ほどの最初のお話に戻りますけれども、これは公的な関与を相当していかなきゃいけないと思います。

 そのためには、国立の農業公社のようなものをつくって、特に条件の不利な地域で、一般の会社員と同じような給料をもらって、きちっと五年先、十年先勤められる、それで農業をする、これは管理するとかじゃなくて実際に農業をする、そういう仕組みをつくって農業者の確保を図るべきだということも思いますけれども、そういう御提案をさせていただきたいので、御見解をお聞きしたい。

坂本国務大臣 旧戸別所得補償制度と現在の政策の最も大きな違いは、全ての主食用米の販売農家を対象に交付金を支払うもの、これが戸別所得補償制度でございました。

 この制度のように、米の助成を基本にするのであれば、需要のある作物への転換がなかなか進まないというようなことになってまいります。そして、米の生産数量目標を個々の農家に割り当てるのであれば、自らの経営判断による需要に応じた生産が行われなくなると考えております。また、米というのは十分な国境措置があります。その国境措置がある米に助成をすることについて、他の農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得難いというふうにも考えております。

 このため、米につきまして、需要に応じた生産、販売を推進をするとともに、麦や大豆、野菜などの需要のある作物への転換に取り組む産地を支援するということが大事であるというふうに思っております。

 さらに、農地バンクによる農地集積や輸出促進などの施策を着実に進め、強い農林水産業をやはり構築していくこと、これがまず大事であるというふうに思っております。特にこれからの時代は大事であるというふうに思っております。

 それから、御提案がありました国立の農業公社というべきものの立ち上げにつきましては、人材を採用するということに当たりまして、財政的それから組織的な観点など様々な課題があるというふうに考えられますが、農業が将来にわたり食料の安定供給や国土保全等の役割を果たしていくためには、国も含め、現場の農業関係機関が連携をして農業の担い手を育成、確保していく必要があると考えております。

 そのため、農林水産省では、新規就農者確保のための対策につきましては、研修資金、経営開始資金、雇用就農の促進のための資金の交付、さらには経営発展のための機械、施設等の導入、さらには研修農場の整備、また先輩農業者による技術指導など地域におけるサポート体制を充実させる、さらには農業大学校、農業高校等におきます農業教育の高度化等の取組を支援をしているところでございます。

 加えて、農業経営の支援を行いますサービス事業体というのがありますけれども、サービス事業体につきましても、担い手を育成、確保していく上で今後非常に重要であるというふうに考えております。これらの事業体の事業活動の促進にも努めていきたいと思っております。

野間委員 あくまでこれは従来の延長線上の発想であると思います。そこを抜本的に転換しないとこの危機は乗り越えられない。

 また、それからちょっと、先ほど戸別所得補償制度、米だけということをよく誤解されるんですけれども、これも当時から、ソバとか菜種とか麦、大豆、そういったものに対してもきちんと価格補償がされていたということは申し上げておきます。

 そして、もう一つ、私どもも地元で、肉用牛のクラスター事業ということを国が推進して、三十万トン作るんだということで百五十億もの資金を投じてやりましたけれども、残念ながら、今、餌代の高騰、また、なかなか子牛も売れない状況。

 これは、はっきり言いまして、農水省が中国の市場に、富裕層に高い肉を売っていくんだということで始まった話なんですが、こう言ったらあれですけれども、非常に見通しが甘くて、こういうのが売れなくなってしまった。在庫が残って、皆さん、塗炭の苦しみを味わっています。クラスター事業でいろいろな畜舎を造ったり牛を飼ったりして、借金がすごいんですね。これを何とか猶予してくれないかと。

 確かに、一年間猶予しなさいということを、通知は出していただいているようですけれども、金融機関にすれば、猶予してあげます、その代わりあなたには今後事業資金を出せませんよ、こういうことも言われて、本当に生産者は困っています。その辺どういうふうに、責任はあると思うんです、農水省さんに。いかがでしょうか。

坂本国務大臣 これまで、牛肉の旺盛な国内需要、それから輸出の拡大に対応するため、委員おっしゃいますように、繁殖雌牛の増頭を図ってきました。

 一方で、大きな需要が期待されました中国向けの輸出がまだ再開に至っておりません。消費者の生活防衛意識の高まりを背景に、比較的高価な、高い和牛肉の消費、Aの4とかAの5とか、こういった消費が伸び悩んでおります。

 それから、今委員御指摘のように、借入金の返済に苦労されている生産者もおられるものと、それは十分承知をしております。

 このような状況を踏まえまして、牛マルキンや肉用子牛への補給金などの経営安定対策に加えまして、既往債務の返済猶予の条件変更等につきまして、繰り返し繰り返し金融機関に対して要請を行っております。

 それから、国内外の和牛肉の需要拡大を図りますとともに、高齢の繁殖雌牛から若い繁殖雌牛への切替え、これを支援いたしまして、成長がよく、肉質に優れた肉用子牛の生産を推進するなど、各種の対応策を取っているところでございます。

野間委員 とにかく、そういった様々な猶予の問題等、周知徹底をしていただきたいと思います。

 それでは、総理に。

 能登半島の地震の中で、地方自治体の、市町村の職員の皆さんが、我が身も被災をしながら仕事を続けて、何とかこの緊急時の対応に当たっています。しかし、私も、実際働いている役場の職員の皆さん、あるいは公立病院で働いている看護師さんなどからお話を聞くと、これはもう報道もされていますけれども、とても人手が足りない、自分たちも寝ずに避難所の管理をしたりいろいろなことをやっている、とても人が足りない。もちろん、これは県外から多くの、全国から応援の方々も入っています。

 しかし、御承知のとおり、この図にありますけれども、過去三十年で地方公務員の皆さんというのは四十八万人も削減されているんですね。これは、小泉政権以来、地方の予算をどんどんどんどん削って、選択と集中、トップランナー方式とか、二〇四〇年の自治体戦略ということで、スマート化を進めれば半分の職員でいいんだということで、どんどんどんどん減りました。そして、今、大体どこの自治体の職員さんも四割ぐらいは非正規です。会計年度任用職員ということで非正規なんですね。

 ですから、この方々が、今、この非常時、地震の中で、自分たちは非正規だけれどもどこまで責任を持って仕事をしたらいいんだろうか、手伝いたいんだけれども、上司から、いや、今日は五時だから、あなたは非正規だから帰ってください、しかし、こんなに皆さんが混乱しているのに、手伝いたいと言っても、やはりそういう壁があってできないというようなことで非常に困っている。

 やはりこれは、こういった、地方自治体の職員を削減していく、最近ちょっと増えていますけれども、大きな政府の流れ。とりわけ、現業職員という、道路の維持あるいは清掃というものは、もうほとんど、今、自治体はゼロです、全く採用もしておりません。今、災害のごみが六十年分たまっているといいますけれども、こういったものを専門的に処理してくれる人も、企業に頼まないとやってくれないんですね。ですから、そういう、今まで地方をある意味軽視して、削減をしてきた弊害が出ています。

 総理、これをどう思われますか。やはり正規の職員を増やして、地方にきちっと余裕を持たせるということが必要じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 地方公共団体の総職員数、委員から今お示しがありました。平成六年をピークとして、平成二十八年まで一貫して減少したというところですが、その後、増加傾向となり、直近の六年間で約六・六万人の増加になっていると承知をしています。

 そして、全体の人数については今申し上げたところですが、簡素で効率的な行政を実現しなければならないという観点から、職員数を抑制した中においても、例えば、児童相談所等の職員、防災対策に関わる職員、こうした職員は増加させるなど、地方公共団体において、それぞれの行政需要の変化に対応して人員配置を行っている、これが現状であると思います。

 そして、地方公共団体の運営、これは任期の定めのない常勤職員を中心とすることが原則ではありますが、ただ、複雑多様化する行政需要に対応するため、常勤職員に加えて、非常勤職員が地方行政の重要な担い手になっている、こういった指摘があります。

 ですから、国においても、勤勉手当の支給を可能とするなどの法改正を行う等、適正な処遇の確保、改善、これにも取り組まなければならないと考えています。

 いずれにせよ、地方公共団体において、効率的で質の高い行政の実現に向けて、定員管理に取り組んでいかなければなりません。

 そして、委員の方から、今回、能登半島の地震においても大変な状況だったという御指摘がありました。

 おっしゃるとおり、現地は大変厳しい状況にあると認識しておりますが、そして、被災した地方公共団体単独での対応、これは困難であったと認識をしますが、総務省の応急対策職員派遣制度、こういった制度もあります。こういった制度等を使って、全国の地方公共団体から多くの応援職員が現地入りしている、約千二百名、今現地に入っていただいています。

 こういった制度も活用しながら、非常時においては適切なマンパワーを投入していかなければならない、このように考えます。

野間委員 是非、有事にも余裕のある体制を取れるようにお願いしたいと思います。

 それと、もう少し具体的なことになりますけれども、被災地の自治体職員の皆さんから、こういった非常時には災害応急作業等の手当というのも出るのではないか、なかなかこれが、あるんでしょうけれども、役所の方からは知らされていない、自分たちは本当に自腹で、別にそれを苦にしているとかということではないけれども、そういうものはないんだろうか。また、例えば、車で、看護師さんが、どこどこに行ってくださいと、自家用車で行くわけですね。公用車が使えない。しかし、こういった場合、もし途中で事故が起きたらどうしようか、こういう心配もあります。

 とにかく、現場も、こういう非常に混乱した現場の状況ではあると思いますけれども、非常勤の方も含めて、安心して、いろいろあったらちゃんと行政が面倒を見てくれるんだという思いで働けるように、災害対応に当たれるようにしていただくのが役割だと思いますけれども、総務大臣、いかがですか。

松本国務大臣 私からも、被災地の自治体の職員の方々、自らも被災されている中でも使命感を持ってお取り組みをいただいていること、また、応援に行っていただいている、志を持って御尽力いただいている自治体の職員の皆さんには、心から敬意と感謝を申し上げたいと思っております。

 非常勤の職員、会計年度任用職員については、先ほど総理から申し上げたとおり、勤勉手当の支給を可能とする法律改正を行うなど、一般財源総額を確保しまして、ただいま審議中の予算の中にも交付税を計上させていただいているところで、処遇の改善には取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 また、民間への委託ということで、官民の連携で復旧復興を急がなければいけないということで、被災地の自治体を支援すべく、本日も、特別交付税の繰上げ交付を決定いたしたところでございます。

 その上で、自治体の職員の皆さんが安心してというお話でございました。本当に大切なことだというふうに考えておりまして、今、これも委員からもお話がございましたが、被災地の地方公共団体の職員が災害に係る業務に従事した際には災害応急作業等手当を支給できることとなっているところでありますが、この手当の支給については、地方公共団体によって運用が異なる状況がございましたので、適切に取り扱うように地方公共団体に対してお願いをいたしました。

 今例示をされました、公務において自家用車を使用した場合、その費用については旅費が支給されます。万が一公務中に事故に遭って負傷された場合には公務災害の対象となるところでございまして、国としても、しかるべく制度そして財政の面から対応させていただいて、被災自治体の職員の働く環境の改善に向け、また、この度の復旧復興に当たっては、支援される方の支援というのも大切なテーマだと思っておりまして、そういった面からは、応援をされる自治体の皆さんへの支援にも努めてまいりたいと考えております。

野間委員 万全の体制の支援をよろしくお願いいたします。

 時間となりましたので終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、渡辺創君から関連質疑の申出があります。太君の持ち時間の範囲内でこれを許します。渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。

 まず、旧統一教会の問題、盛山大臣にお伺いをいたします。

 この間、大臣の答弁、迷走しております。朝日新聞や週刊新潮で指摘されている二〇二一年十月の旧統一教会関係団体主催の会合、予算委員会での答弁は、覚えていないが薄々思い出してきたになり、今度は、正直覚えていないと変遷をしています。本当はどうなのでしょうか。正直覚えていないが本当なら、薄々思い出してきたというおとといの答弁は虚偽だったのでしょうか。まさかとは思いますが、本当は最初から、出席も覚えているし、この国政報告会が旧統一教会の関連団体ということも分かっていたなどということはないですかね。また、推薦書を取り交わしたことについての認識もいかがでしょうか。お伺いします。

盛山国務大臣 はっきり覚えていないというのが私の今の認識でございます。おととい、写真が提示されまして、そうだったかもしれませんというふうには申し上げましたけれども、明確に覚えているものではありません。

 そして、今おっしゃられた、御指摘を受けました協定書ですか、これについて、サインをしたということについても覚えておりません。推薦書をもらう前提として協定書にサインをしているはずではないかと言われましたので、ひょっとするとそうかもしれませんが、覚えておりません、そう申し上げたつもりでございます。

渡辺(創)委員 今の答弁を聞いていますと、正直、覚えていないというのは事実と違うようですよね。うっすら覚えているぐらいというのが正しい認識のように聞こえました。

 この間、ずっと気になっているんですが、盛山大臣、この件について、災難に見舞われたみたいな空気感を醸して御答弁をずっとされていますけれども、災難なのは国民ですよ。これから文科大臣が先頭に立って、解散請求をめぐって旧統一教会と対峙しなければならない、そういう時期に、その大臣の正当性に疑義が生じているんですから。災難、迷惑を被っているのは国民ですから、そこは是非、勘違いをされないでいただきたいというふうに思います。

 総理に伺います。

 今回、盛山大臣は、旧統一教会の関係団体と政策協定のようなものを結び、推薦書を受け取っていたこと、その可能性があります。少なくとも、その状況を否定できないという状態にあります。

 推薦書を交わすという関係がどのようなことかというのを少し客観的に考えたいと思うんですが、朝日新聞の二〇二二年十月の報道によると、旧統一教会関係団体から推薦確認書を求められた議員というのが、朝日新聞の取材によると、衆参で五人確認されたというふうに報道されています。自民党の議員の皆さんは衆参で約三百七十人を超えるわけですから、その中でたった数人というような状況の話であります。これは極めて特異で、極めて特別な関係というふうに言えるのではないかというふうに思います。

 総理は、推薦書を交わしたという経緯があったということを、盛山大臣がそういう経緯があったということを当時御存じであったら、つまり、盛山大臣がきちんと自民党の調査でこのことを明らかにしていた場合でも、総理は、よりにもよって文部科学大臣に盛山正仁氏を任命されたのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 旧統一教会及び関係団体との関係については、過去においての関係を点検、報告した上で、新たな接点が判明した場合にはその都度説明責任を果たす、そして、未来に向けて関係を絶つ、これを徹底するというのが自民党の基本的な考え方です。

 この方針について、大臣に任命するそのときに、この方針を確認し、その時点で当該団体と関係を一切持っていない、これを前提として任命をした、こういったことであります。

 ですから、その時点、今申し上げたルールに従って、過去については新しい点が指摘をされたならばその都度説明をする、そのルールに従って対応していただくのが前提であると考えております。

渡辺(創)委員 聞いたことに答えていただければと思います。今のは経緯であって、知っていたらどうだったのかということです。

 推薦書をもらうというのは、普通の関係よりも深い関係ということなわけです。そのことを総理は、結果として、この間の報道が出るまで知らなかったわけでしょう。言ってみれば、悪意があったかどうかは分かりませんが、だまされていて任命をしたのと同じ状況にあるということですよ。結果から見ればそういうことになるわけです。

 だから、今の岸田総理の反応であれば、自民党の皆さん、違うと声が出ていますが、じゃ、言わなければ、正直者がばかを見るみたいな状況で大臣の選任が行われる可能性もあったということではありませんか。

 まさかとは思いますが、盛山大臣は岸田派に所属をされていらっしゃいましたよね、だから守るなどということはないというふうに信じたいというふうに思いますが。総理は、金とポスト、これが派閥の問題だから、派閥政治から脱却するとおっしゃっているわけですよね。同じ派閥にいらっしゃった盛山大臣だから守るような対応を今なさっているということはありませんか。

岸田内閣総理大臣 同じ派閥だったから守るなどということは全く考えておりません。

 先ほど申し上げたルールは、自民党として、自民党の所属国会議員全体に当てはまるルールとして確定したものであります。そのルールについて、全ての国会議員に当てはめ、そして大臣の任命に当たってもこの点を確認し、そして任命の時点で関係はない、絶っているということを前提に任命をしたわけであります。

 そして、先ほど申しましたルールに従って言うならば、その後、新しい接点が指摘をされたならば、それに向けてその都度説明をしていく、こういった説明責任を果たしてもらうということが重要であると考えています。

渡辺(創)委員 ルールに沿って対応しても、結果、真相が分かっていなかったということを国民の皆さんがどう判断されるかという問題だと思いますので、岸田総理が、ルールに沿っているから構わないんだと言うならば、それは国民の皆さんに判断していただくしかないだろうというふうに思います。

 質問に行きますが、盛山大臣は、旧統一教会の関係団体から推薦を受け、旧統一教会と連動する政策的、社会思想的方向性を代弁するという立場を取られた可能性があるわけですね。非常に、ちまたでは、統一教会代弁大臣などという残念な言葉もあるというふうに聞きましたけれども、本当に残念だというふうに思います。少なくとも、その疑いを今、盛山大臣は自ら払拭することができないという状況に陥っているわけです。

 総理、今月二十二日には、旧統一教会の解散命令請求の手続の一環で、東京地裁において国、教団双方の審問が始まります。解散請求において盛山大臣は申立人の立場にあるはずです。申立人というのは、国の立場、利益に、一点の曇りもなく国の立場、利益を代表しなければならないという立場です。その立場の方が相手の支援を受けていたというようなことは絶対にあってはならないことだというふうに思います。そのおそれ、可能性があるのであれば申立人から排除しておくというのが、どう考えても賢明な選択だというふうに思います。これは訴訟の関係でいえば、弁護士倫理規程で言うところの利益相反の考え方と同じではないでしょうか。

 総理、盛山大臣は、旧統一教会との関係を、関係があった可能性を客観的に今否定し切れないという状態に陥っています。政権にとっても、解散請求にとっても、国民にとってもリスクでしかありません。現時点で更迭すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 過去について様々な指摘を受けているということでありますが、少なくとも、任命時点から現在、そして未来に向けて関係は一切絶っているということが大前提であるということを申し上げています。過去そういった接点があったとしても、今は完全に関係が絶たれている、これが前提だと申し上げています。

 解散命令請求については、昨年十月、まさに盛山文科大臣によって請求が行われました。手続が大きく進みました。そして、裁判所における審理への対応について所管の省庁が対応しているわけでありますが、解散請求に対する審理、これは提出された資料に基づいて裁判所が行うものであり、裁判所において適切に行われるものであると認識をしております。

渡辺(創)委員 推薦をもらったかどうかもよく覚えていないというようなことしか説明できない状態の大臣なんですよ。大臣が申立てを行ったということを総理、強調されますが、その時点で今出ている事実は、総理、御存じじゃなかったじゃないですか。それも分からないような状態の方が申立人になっているこの国の状況が問題じゃないかと申し上げているわけです。

 それで、総理は、閣僚の不祥事や辞任があるたびに、任命責任を重く受け止めると繰り返し、政治は結果責任だといつもおっしゃいます。

 今年は予算審議も日程が例年より苦しいです。旧統一教会の問題の裁判所での審問も動き出す状況です。こんな時期に政治的混乱を長引かせて、国会審議を空転させるようなことがあれば目も当てられません。早急に判断すべきではないですか。これ以上混乱を長引かせることは総理の責任ですよ。決断の時期ではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 過去について御指摘をいただいているわけですが、任命時から今の時点、未来にかけて、盛山文科大臣は、統一教会及び関連団体の関係は完全に絶たれている、遮断されている、これが前提であります。過去に接点があったとしたならば、それについては説明責任をしっかり果たしてもらう、これは当然のことだと思いますが、今の職務に関しては今申し上げた整理をしています。

 盛山大臣、解散命令請求、これを自ら昨年十月行ったわけでありますし、是非、裁判所においてこの審理が進むよう、政府を挙げてこうした取組に協力してまいります。

渡辺(創)委員 過去の清算をしっかり説明し切らない大臣に、未来云々という話を今総理おっしゃられても、誰も国民の皆さんは信じないですよ。推薦をもらったかどうかも知らない、会合に出たかも分からない、それが今国民の皆さんが受け止めている実態ですから。それを踏まえて対応するようにしてください。この写真、何ですか。

 次の質問に移りたいと思います。自民党派閥のいわゆる裏金問題について伺います。

 派閥からパーティー券を販売した資金のキックバック又は中抜きをしていた疑いを持たれている議員の皆さんの収支報告書の訂正が相次いでいます。七日の予算委員会で我が党の後藤祐一議員が指摘をしましたが、改めて確認したい問題があります。

 パネルを御覧ください。このパネルは、自民党の前政調会長、安倍派所属の萩生田光一議員が代表を務める自由民主党東京都第二十四選挙区支部の令和四年分の収支報告書を抜粋したものです。時間がないので詳細な説明は省きますが、収入の部の、収入の総括表部分、収入総額も不明、前年度繰越しも不明、支出総額も不明、翌年への繰越額も不明です。さらに、支出額を示すページにも、不明、不明、不明のオンパレードです。ちなみに、令和二年分から四年分の間、ほぼ同様の訂正がなされています。

 これは衝撃的な中身です。こんな記載が許されるのであれば、政治資金収支報告書は何でもありという話になってしまいます。

 総理、いかがですか。こんな収支報告は通用するんですか。政治資金規正法の目的をしっかり果たしていると言えますか。

岸田内閣総理大臣 政治資金収支報告書の記載については、たしか、この予算委員会の審議の中で総務大臣から答弁があったと思います。修正するに当たって正確な数字を記載しなければいけない、これは当然のことでありますが、数字が確定するまでの間、不明という形で訂正をすることはあり得るという説明が、たしか総務大臣からあったと思います。そして、後日、そうした数字が確定したならば、その数字を記載することはあり得る。これが基本的な、一般的な考え方であるという説明が総務大臣からあったと記憶しております。

渡辺(創)委員 申し訳ないですが、私どもが例えば記者会見で説明をされた中身等を聞いている限り、確定することが無理なような状況をつくり出したからこんなことになっているんですよね。

 総理、それを総務大臣がおっしゃったからと言うのであれば、総理、きちんと自民党の中に指示をして、いつまでに、不明などという記載は残さないように、きちんと訂正を、再訂正を行えという指示をはっきり出すべきじゃないですか。今約束してください。

岸田内閣総理大臣 それは本人が修正した報告書であります。これは本人の責任で、いつ、その不明を訂正するのか、それは判断する、これは当然のことであると考えます。

渡辺(創)委員 だから、本人の責任でしっかりやれというふうに自民党総裁として指示をされるべきじゃないですか。これは少なくとも自民党の支部の収支報告書ですよ。

岸田内閣総理大臣 既に、修正をした人間については、本人が事態を最もよく知る関係者として説明責任を果たすべく、党としても促しております。説明責任を果たすべく努力をしなければならないと考えます。

渡辺(創)委員 総理、同じようなレベルでの収支報告書の訂正をしている方はほかにもいるんですね。

 次のパネルですけれども、御覧ください。同じく安倍派五人衆と呼ばれていた高木前国対委員長が代表を務める政治団体、二十一世紀政策研究会の令和四年分の収支報告書の訂正を抜粋しました。細かいことは言いませんが、こちらも、不明、不明、不明のオンパレードです。

 お二人とも、ついこの間まで自民党の幹部だった方々ですよね。政調会長として、国対委員長として、岸田総理・総裁を支えてきた方々だと思います。不明を恥じるべきなのは誰ですか。

 重ねて聞きますが、総理、これが、国民の疑問に答え、総理の言うところの丁寧な説明を果たし、政治的な責任を取ろうとする姿勢、そしてその取り組んだ結果だと言えますか。

岸田内閣総理大臣 政治資金収支報告書については、今、順次修正が行われています。

 そして、基本的には、先ほど申し上げました、その修正をした本人が説明を尽くすこと、これを党として促しているわけですが、党としてもそういった形で実態を把握するとともに、党自体もこの実態を把握しなければならないということで、党の幹部が外部の弁護士とともに聞き取り調査を行っている、こうした取組を進めています。

 こういったことも併せて実態把握に努め、説明責任を党としても果たしていきたいと考えています。

渡辺(創)委員 こんな主要部分を不明、不明、不明と書かざるを得ないという状態が、正直なところ、もう単純なミスとは言えない状態ですよね。

 裏金問題をめぐるそれぞれの方々の説明は、幾ら詭弁を重ねてみても、保管すべき書類や、支出の記録、収入の記録、重ねて残っていなくて、誤った対応を意図的に繰り返してきた結果なわけですから、これはある意味では重過失と言えるんじゃないんですか。その結果としてまともな収支報告書が作れないというのが今の状況だというのを、きちんとお認めになるべきだというふうに思います。

 こんな状態なら、そもそも派閥から受け取っていた資金を政治活動に使ってきたと幾ら言ってみても、裏打ちする、証明する証拠書類が何もないわけですよ。政治活動に使っていたという証明には全くなりません。証明できない以上は、派閥から受け取っていた資金を個人の雑所得としてきちんと申告して税務処理するのが、責任の取り方としては妥当ではないですか。総理、そういう対応を指示すべきではないですか。こんな収支報告書の訂正でオーケーであれば、今後何でもありということになりますよ。

 国民から、国民は増税、自民は脱税などとやゆされるような状況を是正すべきです。その先頭に総理が立つべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました政治資金収支報告書における不明等の取扱いについては、総務大臣から説明があったと記憶しております。そして、本人が説明責任を果たす、これは第一ではありますが、党としても実態把握に努めて、党としての説明責任を果たしていきたいと思います。

 そして、納税の必要等につきましては、これは国税が必要に応じて調査等対応を行われるものであると、一般論としては再三この委員会でも答弁があったと記憶しております。

渡辺(創)委員 一般論としてでも、今みたいな状況が必要な事態に陥っているということを、ある意味、総理、お認めになったんだというふうに思います。

 続いて、宏池政策研究会の政治資金収支報告書の修正についてお伺いします。

 私は、昨年十一月二十二日の予算委員会で、宏池会の政治資金パーティーに関する収支報告書の疑義を指摘しました。総理、覚えていらっしゃるでしょうか。その際、総理は、パーティーの収入総額が異なる可能性があるのではないかという指摘に対して、派閥パーティーの収入金額総額は変更されることはないと何度も繰り返し御答弁をされました。

 しかし、実際は、このパネルを御覧いただきたいんですが、先月十八日に収支報告書の訂正を行って、令和二年度分を例にすれば、令和二年十月五日開催の宏池会と語る会は、一億五千五百三十二万七千四百七十円だった売上げを、一億六千四百二十八万七千四百七十円に訂正しています。つまり、八百九十六万円収入が増えた形です。

 本当は、当時から、こういうことが実態になっているということが分かっていたんじゃないですか。事実と異なる答弁をこの予算委員会でしたことの責任を総理はどうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 宏池会の政治資金収支報告書の訂正については、全てのパーティー関連収入は決められた銀行口座に入金されていた一方で、不確かな会計知識に基づいて、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には、判明するまで収支報告書への記載を保留していたことから、この不記載が生じたということであります。

 御指摘の八百九十六万円の増加については、今言った経緯で増加したものであります。総額については、全て決められた口座に存在いたしますので、変わっておりません。

渡辺(創)委員 引き続きパネルを御覧ください。

 この収支報告書、訂正によって、さっき言いましたように、収入総額が八百九十六万円増えました。にもかかわらず、対価の支払いをした者の数は二千二百十八のままです。今、総理の御説明でも合致しませんよ。どっちかでうそをついていたということが明らかになりますよ。

 前回の予算委員会でも指摘しましたが、十一月の時点で既に名寄せでミスがあったこともはっきりしています。その分の修正は少なくともあるべきだと思いますし、今回の修正でも、販売収入が九百万弱も増えているのに、対価の支払いを受けた者の数が全く変動していないのは、確率論的にもほぼあり得ないと思いますが。

岸田内閣総理大臣 御指摘の人数につきましては、これも委員会で何度か答弁させていただいておりますが、今精査を行っているということであります。

渡辺(創)委員 さっき御答弁なさった理屈でいえば、精査している途中なら不明と書くべきじゃないですか。修正したのに、事実と違うというのが分かっている数字を残しているということでしょう。整合性が取れていませんよ、総理。

岸田内閣総理大臣 修正の仕方でありますが、宏池会としては、今申し上げた理由で、修正するべき数字が確定してから修正を行う、こうした方針で修正を行っております。

渡辺(創)委員 もう次に進みます、水かけ論になるので。

 実は、安倍派は、大きく売上げを修正した後に、不明と直したんですよ。総理が言うように、考え方の違いというならば、もうそれで、これ以上詰めませんが、ちゃんと確認をして、正しいことを改めて修正報告すべきじゃないですか。そのことをここで約束してください、総理。

岸田内閣総理大臣 御指摘の安倍派の収支報告書について詳細は承知しておりませんが、先ほど申し上げたように、収支報告書の修正が順次行われています。まずは自ら説明責任を果たすべきでありますが、党としてもそれと併せて聞き取りを今進めています。党としても実態把握に努めてまいります。

渡辺(創)委員 岸田派のことを聞いているんです。総理が言ったように、今確認しているから変えられなかったとおっしゃったじゃないですか。だから、確認して正しいことが分かったらちゃんと岸田派の収支報告書を修正すると、ここで約束してくださいと申し上げているんです。

岸田内閣総理大臣 実態の把握に努めてまいります。そして、実際の数字が確定したならば修正する、これは当然のことであります。

渡辺(創)委員 是非よろしくお願いします。

 次に移ります。

 自民党の所属議員のアンケート、聞き取り調査について伺います。アンケートについては回収日が昨日ということになっていましたけれども、調査結果を御説明いただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、政治資金パーティーに関連した収支報告書の不記載がないかどうか、ですから、派閥の政治資金パーティーに関連した収支報告書の不記載がないか、こういったアンケート、調査を行い、そして所属全議員を対象として、昨日を締切りとしたところであります。これは、週末にかけて内容等について整理、精査した上で、来週早々にも取りまとめることを予定しております。

渡辺(創)委員 早々に取りまとめたら、我々野党や国会に対してもきちんと報告を出していただけますか。約束してください。

岸田内閣総理大臣 当然、説明責任を果たすということの中で、アンケートの結果についても取りまとめを行い、それを明らかにしたいと思います。

渡辺(創)委員 来週早々ということですから、国会の議論に資するためには、火曜日の朝一にでも是非出していただきたい。そのことを、総理、お願いいたします。

 聞き取り調査の方も昨日で終わったということになっております。これも早期に、国会の議論に資するように、是非、内容を報告いただきたいと思います。

 次の質問に移ってまいりますが、政策活動費に関してお伺いをします。

 総理が、平成二十九年以降、令和二年までの間に、このパネルに出ていますけれども、四年間で八千三百八十万円の政策活動費を受け取っていらっしゃったというふうに収支報告から分かりますが、誤りはございませんか。

岸田内閣総理大臣 今、公開されている範囲でお答えすれば、令和二年、令和三年、そして令和四年、この三年間については確認をしております。それ以前については、ちょっと手元に資料がありません。

渡辺(創)委員 自分がもらわれた額の話ですから、公開されている資料云々ではなくて、そもそも管理がどうなっていたのかという問題になるかと思いますが、先に行きます。

 自民党の政策活動費の仕組みについて総理に教えていただきたいんですが、政策活動費の支出の決定権は誰にあるのでしょうか。また、普通の会社だったり組織、立憲民主党もそうですが、お金が必要になったときには、済みませんが、この分の支出をお願いしますというふうに、請求の手続等を組織の中の仕組みに沿って行って、出してくださいといって手続をするのが普通です。ところが、その手続がまず自民党さんの中では必要なのか、それとも、そういう手続、お金が必要だという申出はなくても一方的に配られるようなものなんでしょうか。御説明ください。

岸田内閣総理大臣 政策活動費については、党勢拡大、政策立案、調査研究などのために使うわけでありますが、その今の手続等につきましては、党の内規及び慣行によって定められております。その中身に応じて、内規、慣行を当てはめて判断することになります。

渡辺(創)委員 それを教えてくださいと質問しているんです。通告もしていますよ。なぜ、この手続も出せないんですか。理解されますか、国民の皆さんに。手続を聞いているだけですよ。

岸田内閣総理大臣 政策活動費の内容に応じて、内規、慣行が定められています。その内部の運営の仕方、手続については、申し上げることは控えます。

渡辺(創)委員 控えなくていいですよ、国民の皆さんの疑問にきちんと答えようとしているんだから。総理が言うように、何に使ったかとか、そういうことを言えと言っているんじゃないんですよ。仕組みを聞いているんですよ。

岸田内閣総理大臣 それは、内容によって、内規や慣行が定まっています。そして、内容については、この委員会において再三申し上げましたが……(渡辺(創)委員「内容は聞いていません」と呼ぶ)内容に関わるということを申し上げています。

 ですから、それを明らかにすることについては、従来から申し上げているように、プライバシーとの関係、あるいは企業の企業秘密、さらには、党としての方針が他の政策集団やあるいは外国に対して推察されることになってしまう、こういったことから、これは控えなければなりませんし、もし明らかにするのであるならば、各党共通のルールに基づいて明らかにするべきであると申し上げております。

渡辺(創)委員 重ねて、もう一度だけ聞きます。支出をする権限は誰にあるんですか。

岸田内閣総理大臣 これは内容によって、内規や慣行が定まっています。

渡辺(創)委員 何も分かりませんでした。国民の皆さんが見ていらっしゃってどう思うかという問題だと思います。

 次のパネルを御覧ください。これは、二階俊博前自民党幹事長が幹事長の間に支出を受けていた政策活動費をまとめてみました。こうして一覧表にすると、なかなかの迫力であります。

 時間がないので年度ごとの説明は省きますが、六年間で計百六十二回、総計四十七億九千四百五十万円の支出を受けていらっしゃるということになります。一回当たりの支出は三十万円から七千二百十万円までということになります。

 これだけのお金の話なので、国民の皆さんも、もちろん野党も含めてかもしれませんが、疑義があるから、国民の皆さんも思っているので、最大政党である自民党さんの仕組みを聞きたかったわけですが、分からないままでありました。仕方ありません。

 では、次のパネルを見てください。これは同じ二階幹事長が支出を受けた年別の推移であります。

 また細かく見ていきたいと思います。次のパネルを御覧ください。これは月ごとの支出額の変化を棒グラフにまとめたものであります。選挙に近い時期、また年末の三か月、特に十二月の支出が極めて高いというのが特徴であります。これは昨日、我が党の藤岡議員が指摘したように、これだけ高額を年内に使い切ることが果たしてできたのか、十二月の支出に関して、率直に疑問が残るところであります。

 総理は、自らが使った政策活動費については税務当局等から聞かれたならば説明できるようにしてあると答弁をこれまでもされていらっしゃいますが、その認識に変わりはありませんか。また、政策活動費の支出を受ける立場の人間、偉い方々ですね、自民党政党の中で。その方々は総理と同様の対応をしておくこと、これは当然のことだというふうに党総裁として総理はお考えになりますか。

岸田内閣総理大臣 税務当局等から聞かれた場合に答えられるようにしておく、これは当然のことだと思います。私以外の役員についても同様であると認識をいたします。

渡辺(創)委員 それであれば、先ほど来資料を示したように、客観的に見て、年内に使い切れるような額かも含めて、疑義が二階幹事長に対してあるわけですよ。そうであれば、やはり、二階元幹事長に、支出された金額は適正に使われたのか、まさかとは思うが個人的な蓄財や選挙買収の原資になるようなことはなかったかと確認をしておくのが自民党として健全性を証明する上で必要なことではないですか。確認されたらどうですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費については、党勢拡大を始め、定められた目的のために使われているものであります。その認識に変わりはありません。

 そして、それについて確認しろということについては、内容を明らかにすることについては、先ほど申し上げた点において考えなければならない点がある、よって、共通のルールで明らかにするべきであると申し上げております。

渡辺(創)委員 私は、二階さんから聞き取って、ここで説明してくれと言っているんじゃないんです。自民党総裁として、適切になされているのかということを二階さんに聞くという作業をされた方がいいんじゃないかと言っているんですよ。それもできないという話なんですか。

 総理、総理は、火の玉になってこの問題解決に当たるとか、政治資金と金の問題、また、改革の先頭に立つというふうにずっと繰り返されていますけれども、言葉は勇ましいが実態が伴っていませんよ。

 多くの国民が見ていますよ。被災地の方々も、医療の最前線で、コロナやインフルエンザの最前線でやっている医療関係者の方々も、子育て中の親御さんたちも、地方で一生懸命生きている方々も、そして、一生懸命働いて納税している皆さんたちも見ていますよ、この国会審議。

 その国民に対して、これぐらいのこと、岸田総理が火の玉になって、二階元幹事長に、前幹事長に、きちんとなされていますねということを一言言うということすらできないんですか。そんなことでこの国の難局を、リーダーシップを持ってやっていけるんですか。

岸田内閣総理大臣 今回、派閥の政治資金パーティーを通じて、こうした国民の皆さんの不信を買っていること、厳しい目が注がれているということ、このことについては反省し、おわびを申し上げております。そして、その経緯については実態把握に努めてまいります。

 そして、それと併せて、今、様々な課題について御指摘があります。政策活動費もその一つなのかとは思いますが、これについては、従来のルールに基づいて行われているわけでありますから、ルールを変えるというのであるならば、是非、各党各会派が共通のルールを定めるということで議論をするべきだと申し上げております。

 今回の不祥事における実態把握と、再発防止のためにどう対応するのか。政治資金規正法等の改正については自民党としても真摯に対応してまいります。それと併せて、他の部分につきましては、共通のルールを改めて議論するということであるならば、それは議論すべき課題であると思います。

渡辺(創)委員 私は、聞けないんですか、確認されたらどうですか、自民党の中のガバナンスの問題を考えてもと言っただけです。残念な答弁なので、もうこれ以上やりません。

 少し長いですが、ある発言を読み上げます。

 法の下の平等に照らし、政治家に対する措置は甘いのではないかという国民の批判が高まっています。また、何らかの理由で捜査が不十分で、資金の流れの徹底解明が十分に行われてこなかったのではないかなど、今回の事件に対する検察の対応に対しては、多くの国民が疑問を持ち、批判が出ています。検察庁幹部からも、検察官が格段の理由なしに、国民が知りたい、聞きたいと思っていることについて尋問しないというのは、重大な任務違反になるとの指摘があるほどです。検察、司法に対する信頼に関わる問題だけに深刻であります。これらの点を明らかにしない限り、国民は納得できないと思います。

 まさに今の国民の気持ちを代弁しているような発言ですが、これは今から三十一年前、平成四年十一月四日の衆議院本会議の議事録です。発言者は公明党の委員長であられた石田幸四郎議員です。

 代表質問において、東京佐川急便事件に端を発した金丸事件が国民の批判を買っていることを大変厳しく危惧していらっしゃる演説で、さらに、今国会では、全議員が粛然として襟を正し、この腐敗事件の真相究明を行い、政治改革を何としても果たさなければならないと強く決意を語っています。

 総理は九三年の選挙初当選でいらっしゃいますから、金丸事件のことは説明不要だと思いますが、政治資金規正法として事件が十分に成り立たず、その後、脱税が発覚して、その間は国民の怒りが大きく上がってきました。これは当時の新聞記事のパネルを並べたところでありますけれども、是非、世論がこんな流れになるような不幸なことにはしないでいただきたいと思います。

 総理は本気で真相解明のためにできる全ての努力をし、捜査当局や税務当局もきちんと国民の抱える怒りを受け止めるのが今重要なことだと思います。

 国民は増税、自民は脱税というような国民の不安の声が渦巻くことがないように、岸田総理は考えられる全ての措置、対応をすべきではないかというふうに思いますが、総理の姿勢をお伺いしたいというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 今回の事態について改めておわびを申し上げるとともに、法的責任、もちろん、当然、関係者は果たさなければいけませんが、それだけではなくして、政治の立場から説明責任と、そして政治責任について考えていかなければなりません。本人の説明責任を果たす、これはもう基本ではありますが、党としても実態把握に努め、そして説明責任、政治責任について党としても対応を行ってまいります。

渡辺(創)委員 総理が火の玉になると自らおっしゃった本気度を是非十分に示して、対応いただきたいと思います。

 以上で終わります。

小野寺委員長 これにて太君、野間君、渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の小野泰輔でございます。

 まず、今日は坂本農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。

 冒頭に、この年の初めに起きました能登半島地震でお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、今も非常に寒い中で避難生活を送っていらっしゃる被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 では、最初のパネルをお願いしたいと思います。この棚田、非常に美しいんですけれども、非常に有名でございまして、これを見たことがある方も多いと思います。白米千枚田というものでして、本当に千四枚の棚田があるということで、先祖代々、先人の方々がこの棚田を守ってきたということでございますが、もう一枚お願いいたします。これはニュースでもありましたが、大変な被害がありまして、あぜの方は崩れていないというような報道もありましたが、もう亀裂が入って作付もできないというようなことになって、この復興というものをどうやっていくのかというのは非常に大変な問題だろうというふうに思います。

 そういう中で、坂本大臣、私も熊本で副知事をやっていたときに熊本地震が発災いたしまして、坂本大臣の御地元の益城町あるいは阿蘇、こういったところが大きな被害を受けられました。この千枚田のように、もっと、阿蘇の場合には火山灰が積もっているところなので、もうのり面とか山ごと崩壊するみたいなことがありました。

 そういう中で、当時の森山農水大臣、今、総務会長を自民党でおやりになっていますが、そのときに県庁に森山大臣が農水大臣としてすぐ来られたんですね。そのときに、私は本当に感動して今でも覚えているんですけれども、全てやります、熊本県さん、熊本県民が必要だと思うことは全てやりますから、何でもおっしゃってくださいということでやってくださいました。そして、今、熊本の方も、当時の安倍政権の対応、非常に評価が高いというふうに思っておりますけれども、今回、私は、坂本大臣が大臣であって、農林水産業を立て直すというポジションにいらっしゃることは、非常にタイミングがいいというか、まさにうってつけの配置だったなというふうに思っているんですね。

 そこで、最初に坂本大臣にお伺いしたいんですが、この地震はマグニチュード七・六ということで、熊本地震の七・三よりも大きい。僅か〇・三のマグニチュードの差なんですが、エネルギーは二・八倍ぐらいあるというふうに言われていまして、非常に大きな地震でした。そして、阿蘇とは違って、陸地だけではなくて漁港の被害も大きいということで、私はいろいろな震災を体験しておりますが、それぞれの震災で対応すべき重点というのは違うだろうというふうに思いますので、まず、大臣が、この能登地震の現場、状況を把握されて、一体、今回の農林水産業の被害状況、どのような特徴があって、どういうふうに対応していったらいいかということをお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 まず、八年近く前に起きました熊本地震では、熊本県の副知事として委員に陣頭指揮を執っていただきました。心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、今回、私は二回これまで現地を訪れましたけれども、やはり熊本地震と能登半島地震の違いというのは、半島という地域がゆえの地形の特色、それから、熊本も過疎地が多いわけですけれども、それ以上に非常に狭隘な道路、あるいは集落、中山間地、こういったところが多い。それは、白米千枚田にも代表されるような、そういう地域であるということであります。

 最初に訪れましたときに、馳知事の方から、農林水産業の復旧なくして能登の創造的復興はないというふうに言っていただきました。重く受け止めたいというふうに思います。その当時、蒲島知事、委員が訴えておられましたのは熊本の創造的復興でございますので、しっかりとそれを受け止めなければいけないというふうに思います。

 やはり、漁港の被害、これは隆起がありますので、まだ船が動けない状態であります。港も使えない状態であります。こういったものに対しての復旧と復興の手順を示していかなければなりません。

 それから、この白米千枚田も含めて、農業は、インフラも含め、さらには農業機器、あるいは各団体の所有物である様々な倉庫、こういったものも使用できないというような状況でございますので、こういうものを一つ一つ、やはり順次復旧作業をしていかなければいけない。その中で、解体等も加わると思いますけれども、熊本地震のときの経験を生かしながら、段階的に進めていきたい。特に、農林水産業につきましては、漁業、農業、そして山地の崩壊、こういったものに早急に対応策を取ってまいりたいというふうに思っております。

小野委員 大臣、ありがとうございます。

 もう大体、熊本地震の御経験から、どういったところが違って、どういうところを今回の能登半島の地震で、復旧復興を重点的にやっていけばいいかということは大体お分かりだというふうに思うんですね。

 私も、改めて、熊本地震の際に被災した農家さんに、この質問に当たって、振り返りの意味でちょっと聞いてみたんですね。そのときにやはり、先ほど冒頭で申し上げた、森山農水大臣も本当に力を入れてやっていただいたということで、農地とか、それから今大臣がおっしゃった漁港とか、こういった基盤のところはかなり今回も力を入れて、もう九割以上、九割八分とか、非常に大きな補助率で立て直しがなされるだろうというふうに思っています。

 そういう中で、今、総合支援策ということで政府の方でも出ておりますが、個人が使っていらっしゃる漁船とかあるいは農機具とか、こういったものが、今回の能登地震の場合には、先ほど申し上げたようにマグニチュードが非常に大きかったということで、法人経営のところであれば農機具の倉庫とか格納庫というのは割ともつようになっているんですけれども、やはり古い納屋の下に入っていたものについては結構激しく壊れちゃっているというような事情もお聞きをしています。

 ですから、阿蘇の方に聞いたら、農機具も熊本地震のときには九割補助というのもあったんだというようなこともおっしゃっていて、この辺はもう大臣御存じだと思いますので、熊本地震からもう八年もたっているので、営農されている方々の高齢化もより進んでいて、これから復旧復興したところで次につなげていく担い手がいるのかということも不安になりながらやっていらっしゃるので、是非ここは、本当に思い切った、もうとにかくやれることは何でもやりますというふうに是非大臣におっしゃっていただいて、そして、今一生懸命農地を復旧させようとしている方々の心まで支えるということをやっていただきたいなというふうに思います。

 この点、例えば私がさっき申し上げた農機具とかあるいは漁船とか、そういった個人が持っていらっしゃるところも含めて、今後更に支援を拡大していくというところについてお答えをいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 農機具、納屋、畜舎、そういったもの、熊本地震のときは、当時の副知事の英断もありまして、熊本は九割。ただ、九割でありますけれども、国の補助は二分の一でございます、あとは県とそれから市町村で負担をするというような構図になっておりますので。

 今回につきましても、今後、石川県、そしてそれぞれの市町村長さんたちと話をしながら、できれば熊本地震並み、あるいはそれ以上のことができるのかできないか、この辺は非常に微妙なところでありますけれども、しっかりやれるところまで全力でやるというようなことはお答えしたいというふうに思っております。

小野委員 ありがとうございます。

 被災地の皆さんも、大臣がどういうお答えをされるかということで、これからどれだけ頑張っていけるのかという、その気持ちの部分、非常に影響するところは大きいと思いますので。

 先ほど大臣がおっしゃった、国の方が半分であったとしても、これは総理にもお願いしておきたいんですが、熊本地震のときに充実していたのは復興基金でした。復興基金を自由に自治体が使えることによって、先ほど坂本大臣がおっしゃったように、足りない部分をしっかり補っていく。

 そして、今回の場合ですと、やはり半島部分の本当に甚大な被害に対して、どこを重点的に国のものを補っていけばいいのかということを、これは自治体がしっかり独自に判断して柔軟にやっていくということで、手厚い、能登半島地震ならではの強化策みたいなことはできると思いますので、是非、十分で、かつ柔軟な復興基金というものをお願いしたい。これが結構私は、自分の実感としては復興のスピードにかなり関わってくるかなというふうに思いますので、この点は、答弁は、まあ通告もしていないのであれですけれども、総理には是非お願いしたいというふうに思っています。大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次は、政治資金の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 国会が始まってから、岸田総理も、何度となく、我が党の青柳議員始め企業・団体献金のことについて質問させていただいておりますけれども、私が聞いていて、あと大部分の国民の皆さんもそうだと思うんですが、総理の企業・団体献金に関する答弁がどうも私はしっくりこない。余り説得力がないんじゃないかというふうに思うんですね。

 今パネルをお示ししておりますが、これは我が党の馬場代表に対する答弁ということで、企業・団体献金の在り方については、民主主義のコストを社会全体でどのように負担していくかという観点も踏まえつつ結論を得ていくべきであるという御答弁をいろいろなところでされているんですけれども、私は、この民主主義のコストというのは一体何を指しているのかということをやはり、これだけ言ってもなかなか説得力がないと思うので、岸田総理に是非御説明をしていただきたいと思うんですが、よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 議会制民主政治の下で、政治活動というのは、政党等が政策の目的あるいは政治目標、こういったことについて実現を目指す、その際に、国民に対して政治目標ですとか政策について説明をし、そして、普及宣伝をしていかなければならない、こうした取組が必要となります。さらには、理解を深め、そしてそれに賛同してもらう、こういった働きかけを行っていかなければなりません。

 そして、最終的には、選挙を通じて国民の支持を獲得して、先ほど言った政治目標や政策を実現していく、こういった取組が行われることになります。

 こうした目標を掲げ、そして国民の皆さんに働きかけ、賛同を得て、選挙において結果を出し、そして当初の目的や政策を実現していく、こうした活動、これを支えることが重要であると思います。

 民主主義のコストとは何かということでありますが、その活動を支える、そうした政治活動に充てられる政治資金、これが民主主義のコストだと思っています。それを社会全体でどう負担するのか。これは、ひとつ自民党のために考えることではなくして、各党各会派、皆縛られるルールを考えるということでありますので、是非、このルールについて真摯な議論が必要である、自民党もその議論に真摯に貢献いたしますということを申し上げている次第であります。

小野委員 非常に長い御答弁をいただきました。おっしゃっていらっしゃることは全然間違いじゃないと思うんですが、もうちょっと簡潔にしていただくとありがたいなと思います。

 私は、民主主義のコストというのは、総理がおっしゃった、いろいろな政策とか我が国がどういう方向にあるべきかということをみんなで議論する、そして、政治家もそれを、考えたことを国民の皆さんにも知っていただく、それにはやはりコストが必要で、お金がかかるというのは当然のことだと思うんですね。

 今、経団連のパネルを出しているんですけれども、経団連さんも、政治のコスト、民主主義のコストということをおっしゃっていて、ちょっと御紹介しますと、最初の方は、岸田政権、非常に評価をされているんですね。我が国の積年の課題に真正面から精力的に取り組んでいて、政権運営は高く評価できるということなんです。その後に出てくるのが、政治寄附に関しては、経団連はかねてより、民主主義を適切に維持していくためには相応のコストが不可欠であり、企業の政治寄附は、企業の社会貢献の一環として重要性を有するということで、最後に、日本経済の次なる成長のステージに向けた政策を進める政党への政治寄附を実施するよう呼びかけるというふうにおっしゃっているんですね。

 そこで、次のパネルをちょっとお願いしたいんですが、では、民主主義のコストと言われて、企業、団体が一体どこに、どのコストを埋めるために、賄うためにお金を出しているのかというと、これは朝日新聞の記事に載っていたんですが、なかなか調査も難しいので、まずは政党支部を政党別に分けて、どの政党が企業、団体から寄附金を受けているのかというものですが、自民党が圧倒的に、三十一億ということで、九割なんですね。

 ですから、この国の企業、団体が民主主義のコストをちゃんと負担するんだ、そして、経団連さんはそれが社会貢献とまでおっしゃっているんですけれども、それはほとんど自民党のコストなんじゃないですかということを、私は、岸田総理はこのことはお分かりになっていていろいろな答弁をされていると思うんですが、政治家、各党全体で議論してルールを決めましょうとおっしゃっていますが、既にもうこの国会で、我々野党は企業・団体献金はやめた方がいいというふうに言っているわけですね。

 ですから、もう議論の余地はなくて、企業・団体献金はやはりやめていく方向で考えなきゃいけないんじゃないのかということをもうちょっと認識していただく必要があるんじゃないかというふうに思うんです。

 でも、私も非常にこれは葛藤があって、もちろん、論者によっては、企業・団体献金、これは企業も民主主義の一人のプレーヤーなので、ちゃんとそこにお金を出す、個人と一緒にお金を出すということだってあっていいだろうというような意見も、私もいろいろな人と意見交換をしていただきましたし、そして、うちの党の中でもそういった激しい議論があったということも事実なんですね。

 でも、令和臨調で今、大島理森先生がずっと講話をシリーズでされていますが、大島先生もおっしゃっていました、でも、やはり企業献金というのは薄く広く取るべきじゃないのかということをおっしゃっていて。そういったことを、リクルート事件、様々な企業・団体献金の問題というのが明らかになって、やはりこれは自民党さんもそうなんですけれども国民の皆さんとしての総意もそういう方向に持っていかないと、我々の政治はよくなっていかないんじゃないのかというふうに思うんですね。

 ですから、私は、今日は余り岸田総理に答弁をいただこうとは思っていないんです。今までと同じような答弁をされるから、多分そうだなと思っていて、余り聞くつもりはないんですが、今このテレビを見ておられる企業の方ですよ、経団連さんとか、あるいはほかの経済団体もいらっしゃいます。後で我が党の守島委員が企業・団体献金の様々な具体例について触れさせていただく予定でありますけれども、やはり、企業・団体献金、例えばGX、私も法案の修正にも関わりましたGX推進の二十兆円の基金、これは大分、調べてみるとかなりの大企業が自民党に献金をしているんですね。

 パーティー券は、私も岸田総理の一億五千万円のパーティー券の内訳を全部調べてみましたけれども、でも、うまくできていて、二十万円を超えない範囲で買っているので、一体誰が買っているんだか全く分からない。でも、これは実際に、五万円までは非公開だけれどもそれ以上は公開するというような制度になれば、恐らくごろごろ出てくるというふうに思うんですね。

 企業の皆さんに私がお伝えをしたいのは、先ほど社会貢献だというふうに経団連の文書にも書いてありましたけれども、本当に自民党に献金することが、これが健全な民主主義として我が国が発展するために社会貢献になるのかということを、企業の皆さんに考えていただきたいというふうに思うんですね。

 これは、今日は総理にはもうお伺いはしませんけれども、そのことをやはり国民全体で考える場がなければ、この国の政治はよくならない。私は、自民党の個々の議員の方を批判しているわけじゃなくて、自民党のシステムそのものが我が国の政治をゆがめているというふうに思いますから、志のある自民党の議員の方々にもそのことをやはり真剣に考えていただきたいというふうに思うんですね。今、総理は首をひねっていらっしゃるけれども、本当にそのままでいいのかということは国民も見ているというふうに思いますので、是非よろしくお願いします。

 あと残り五分ですので、文通費。

 私も国会議員になってこの文通費の問題をやらせていただきましたが、何度となく私も、そしてうちの議員も質問させていただいていますが、この領収書公開の問題が全然前に行かないわけですね。まあ、やはりいろいろ、そこをつつかれると、明らかにすると大変だなというようなことを思っていらっしゃる議員さんがいらっしゃるんじゃないのかというふうに思うんですね。

 例えば、裏金問題とか、それから今の政策活動費の問題で余り明らかになっていないんですけれども、お辞めになった薗浦議員、御党の議員さんが取調べの調書の中で、刑事確定記録の中で、文通費の百万円を、自宅のマンションの家賃とか、それから御自身の国民健康保険料とか国民年金の保険料、こういう公租公課にも使っていたというようなことがありました。

 こういったことがもう明らかになった以上は、私は、今、裏金問題についてアンケートを一生懸命取っておられますが、文通費について、本当に自分のプライベートのお金として使っていないのかどうかということも自民党は調べるべきじゃないのかというように思うんですが、この点、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 自民党として、今回の事態を重く受け止めて、自ら変わらなければならないということで中間取りまとめを行いましたが、その中で、まず自分自身がやらなければならないこと、運営面で派閥の政治資金パーティーを今後やらないとか監査を入れるとか、こういった自らやるべきことと併せて、ルールを変えるという形で、制度面についても透明性の向上等、そして責任体制の厳格化等、取り組まなきゃいけない、こういった取りまとめを行いました。

 旧文書交通費、これはまさに各党、全党共通のルールに基づいて対応すべき課題であります。自民党として、当然、この課題にも引き続き真摯に臨みたい、議論に貢献したいと思っております。

 このルールに基づいて内容について明らかにする等、国民の信頼回復のためにどうあるべきなのか、議論に参加いたします。

小野委員 時間が近いので、もうこれ以上同じことは繰り返しませんが、毎回原稿を読まずに同じ答弁をされているな、それは本当にすごいことだなと思うんですが、逆に、全く進んでいないんだなというふうに思います。議論に参加してまいりますではないと思うんですね、薗浦さんのこういう問題が具体的に出たわけですので。

 これは、国民の税金から毎回、我々は毎月百万円をいただいて、そして国会議員の活動として支払いを許されているお金なわけですから、そこの使い道について、別に、私たちは、維新の会は、もうずっと前から領収書は全部公開しています、そして、その使い方についても批判を受けています。ですから、これは全議員に全然やってもらったっていいんですよ。

 そして、今、野党の皆さんはこれに反対しているところはいないので、是非、これは、もう自民党さんが、参加してまいりますではなく、やりますというふうに総裁が言ってくだされば、あっという間にできるんですね。このことをやはり、なぜ自民党の方は分かっていないのかなというふうに思うんですね。そこには大きな国民とのずれがあるということを、是非分かっていただきたいというふうに思うんですね。

 政治の金の問題というのは、ずっと繰り返されましたけれども、でも、やはりこの辺で終わりにしなきゃいけないんじゃないのかと私は思うんです。

 昨日の吉良議員の質問は、すばらしい、魂のこもった質問だなというふうに私は聞いておりました。まさに、竹やりとそして戦闘機で戦っているようなものですよ。

 私とそして岸田総理の間には、一億五千万の政治資金を毎年稼いでいらっしゃる、私なんかはもうゼロですよ。こういう中でも民主主義を戦うというのは、これは国民の皆さんも見て、おかしいんじゃないかというふうにやはり感じなきゃいけないというふうに思いますから。

 それをやはり、皆さんが永遠に政権につきたいから、先ほどのような、民主主義のコストだと言って自民党のコストを、それを企業・団体献金の形で自民党が九割持っていくというようなことはやはりもう改める、そうでなければいい政治はできない、お互いに切磋琢磨して同じ条件の中で戦うということがなければ、私はこの国はよくならないというふうに最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、守島正君から関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。守島正君。

守島委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の守島です。

 早速、質問に入ります。

 予算審議に当たり、まず、私は経産委ですので、その分野の歳出を確認させていただいたんですが、先ほど小野議員からもありましたが、政府は、GX移行債という新しい国債を今後十年で二十兆円規模を集めて、脱炭素技術を開発する企業の後押しをするとしています。もちろん、国内企業のイノベーション誘発のために政府は協力していくべきだと思っているんですが、先日、日経新聞にGX移行債による主な支援先の一覧が書かれていまして、感じるところがありましたので、参考資料を作らせていただきました。

 この表は、GX移行債で想定される支援先と自民党に対する団体献金の中で、政治団体とか、あと宗教団体ですね、これを除く業界団体に絞って献金額を順に並べたものになります。もちろん、これ以外に各企業や個人からも自民党に対する献金はありますし、さっき小野議員が言及した経団連なんかは、毎年二十四億円、自民党に寄附していますので、非常に、見えているのはごく一部なんですが。

 このパネルで何が言いたいのかというと、おおむね、自民党へ団体献金をしている業界にGX支援というのがなされているんじゃないかということです。一位の日本自動車工業会、二位、電機工業会、そして鉄鋼連盟と、支援措置が、研究開発、生産拡大共に大きいところが、そういう業界が献金の上位を占めています。

 やはり医療報酬の改定のときにも、医師会など自民党に多額の献金をしているところの影響が強いんじゃないかという指摘を、総理、されていましたが、企業支援予算に関しても自民党の献金額というのは影響しているんじゃないでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 御指摘のGX経済移行債ですが、これは、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業を対象とし、産業競争力強化と排出削減の両方を実現していく、こういった趣旨の制度であります。

 そして、こうしたGX経済移行債を始めとする予算編成の作業ですが、これは、毎年、まずは関係省庁による概算要求から始まって、各省庁の関係審議会等の有識者の議論があり、そして、様々な立場の関係者の声を部会等で吸収し、そして、政策課題について要求省庁と財政当局が議論を行った上で形になるというプロセスを取るわけでありますので、委員御指摘のように、献金額がGX移行債を始めとする予算に直結するということは当たらないと考えています。

守島委員 総理、直結はしないとおっしゃっていたんですが、もちろん概算要求からのプロセスは私も認識しています。実際、私は、この表にある会社の元従業員ということもありまして、もちろん古巣に対して成長を期待しているのは期待しているんですけれども、今言った予算策定に加えて、これから法案でも、低炭素を実現する鉄鋼会社とか自動車会社に対する助成というのをこれからやるように聞いていますし、法案が出てくるというふうにも聞いています。

 これは、ある種、脱炭素の名の下に、市場での競争原理というのを度外視して、総理は事業と言いましたけれども、一定、特定企業を優遇することにつながってくるんですよ。なので、政府による行き過ぎた介入にならないためにも、難しい判断が必要になってくるような予算だと思うんですね。

 だからこそ、自民党への献金額の多寡というフィルターを通っているのか通っていないのかというのは、僕は予算編成とか予算賛否に影響を与えると思っています。献金が政策に影響していない、直結していないと総理は言っていましたが、むしろ、そういうそしりを受けないためにも、先ほど来あるように、自民党、与党こそ団体献金を禁止にするべき、そういうふうに強く改めて私からも申し上げたいと思います。

 こういうふうに、予算審査に当たっても、やはり献金とか団体の意向というのがちらつくので、まずここをフラットにするために、政治と金の実態把握であったり、総理を中心とした改革にまず邁進しないと、なかなかフラットな審議というのは進まないというふうに思っておりますので。

 続いて、少し自民党の政治とお金の話をしたいと思うんですけれども、裏金の実態把握の自民党内部調査の範囲に関して、派閥を超えた全議員対象にアンケートを広げられましたが、それに加えて、元職として議員経験がある方、中でも、次の国政選挙で、国政復帰に向けて継続的に現在も自民党支部長として活動されている方に関しては、内部調査の対象にすべきだと思うんですが、総理、どう考えますか。

岸田内閣総理大臣 結論から申し上げますと、元職であり、そして現支部長を務めている人間、これも調査の対象といたします。

 先ほど来申し上げているように、本人の説明責任が第一でありますが、党としても、外部の弁護士にも加わってもらって聞き取り調査を行っていますが、その対象として、元職の現支部長を含めます。

 また、一方、アンケート調査についても元職の現支部長を含めた党所属議員を対象として行っております。

守島委員 ありがとうございます。

 公表も対象にされますか。調査と公表はセットでやられますか。

岸田内閣総理大臣 元職の現支部長を含めて聞き取りあるいはアンケートを行い、それを整理した上で取りまとめを行い、それをもって党として説明責任を果たすべく努めたいと思います。

守島委員 ありがとうございます、ここまでよき回答をもらえると思っていなかったので。

 まず、僕が何でそういう元職も対象にすべきというふうに思ったかというと、さっき小野さんからもありましたけれども、やはり我々野党の現職の国会議員より、恐らく自民党の元職の支部長であったりそういう方の方が、党本部からの寄附金であったり扱っている政治資金の規模というのは大きくて、党の看板の下で政治活動を現職と遜色なくしていると思うんです。

 大阪でも清和会の元国会議員かつ現支部長がおられますので、その方を例に挙げて、どれくらいの差なのかというのを具体的に示したいと思います。私と同じ選挙区の方ではありません。

 このパネルは、その方が代表をする選挙区支部と政治資金管理団体の収支報告書で、選管を通じて公開されている直近の令和三年、四年のものになります。手書きなのは、その方が清和会なので、後づけで修正しているということで御理解いただきたいと思いますが、令和三年は、総選挙があったので、途中で現職ではなくなった切り替わりの年です。令和三年、支部会計でおよそ九千二百万円、政治資金管理団体の収入は約五千六百万円で、合わせて一億六千万円近い会計規模。令和四年は、支部で五千三百万円、資金管理団体で約四千九百万円と、現職期間でなくても合計一億円を超える規模となっています。

 ちなみに、アンフェアなので、私のも見せます。令和三年の支部収入で八百六十万円、資金管理団体で四百三十万円、合わせて千三百万円。同年の自民党支部長の十二分の一以下です。令和四年の支部収入で約一千万円、資金管理団体の収入で八百七十万円と、二千万円弱。少ないという声を伺っておりますが、実際そうなんですね。完全に、自民党支部長が元職で、私が現職の一年でも、五分の一以下の予算でやりくりをしております。

 このように、現職じゃなくても自民党の支部長というのは多額の活動費を党本部から受けたりもするし、この方も裏金の当事者でありましたように、御自身にお金を集める力もある。それは政治家として非常に有力だとは思うんですけれども、この規模の活動を前提とすると、総理は対象とすると言ってくれたんですが、やはり現職と同様の扱いを僕自身はするべきと思いますし、旧統一教会の話でも、事後で、例えば国会議員がまた復帰して現職になったとしたら、事後で物事が分かったら、こういうふうに審議の遅滞であったり大きな問題になるので、この時点でしっかりと全部オープンにしていくというのが重要だというふうに思っていますので、是非しっかり調査と公表というのをしていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、派閥と人事について伺います。

 昨年末、臨時国会で、僕は総理に閣僚人事についてのお考えを直接問わせていただきました。その時点では派閥と金の問題は取り沙汰されていなくて、閣僚の辞任が続いてきたことで、総理の人事に対する考え方というのを確認させていただいた次第です。

 岸田総理は、当時、適材適所という言葉を使われていましたが、実際には非常に内向きで、派閥順送りの人事を行っているんじゃないかと疑念を伝えました。具体的には、内閣改造で新たに就任した大臣のうち、大半は大臣未経験のベテラン議員、いわゆる待機組という人たちから選んでいたことや、任期途中で大臣に替わった、大臣が辞任して後任に大臣になった方が一年未満で全員替わったことなどを踏まえて、人事を動かし過ぎだなというふうに思ったからです。

 ここに参考資料として、総務大臣を中心に、近年の大臣の変遷を書いていますが、ほぼ一年で、民間では考えられない在任のスパンの短さで大臣が替わっているんですが、総務大臣においては、岸田総理になってまだ二年半ですのに、既にもう五人目となりました。

 当時、私、松本総務大臣は在任中特段の問題とか瑕疵がなかったのになぜすぐ替えたのかというのを聞きました。それが十一月末の話です。そのとき適材とされました鈴木大臣は、質問の二週間後、辞任され、松本大臣が復帰いたしました。もちろん、鈴木前大臣が清和会なので、理由は言わずもがなですが、結果として、私が懸念したとおり、大臣の継続性というのを認識していれば、三か月で二回のトップの入替えというのは存在しなかったわけなんですね。

 ちなみに、昨年十月三日の北国新聞によると、森元総理が安倍派五人衆と言われる派閥幹部に対して、派内から二人の初入閣を希望している旨を岸田総理に伝えるよう指示したというふうにここに書いているんですけれども、結果として、森元総理の希望どおり、鈴木総務大臣と宮下農水大臣が初入閣を当時されたわけです。

 実際に、内閣改造において、安倍派幹部から待機組二人の入閣要請をされたり、それが森元総理の意向として伝えられたことは、総理、ありますか。

岸田内閣総理大臣 今の点については、人事をやりますと、結果を見てから、それについていろいろと評価されたり、自分の思いをおっしゃる方がおられる。これはもう人事の常であります。

 それについて具体的に申し上げることは控えますが、人事については、所管分野の状況、本人の経験、また他の候補との比較、こういった点を考慮する、また、さっき鈴木総務大臣の話をされましたが、専門分野ももちろんですが、やはり、新しい人間にこうした活躍の場を得ていただく、こういった観点も踏まえて、私自身が判断をする、責任を持って判断をしたものであると思います。

 これは、私自身が決断したものであるということは間違いないということだけは申し上げます。

守島委員 私、結果論で言っているわけじゃなくて、鈴木大臣が辞められる前に、大臣が替わり過ぎと言っていたんですよ。事実、数か月で替わっていたらよくないと言って、そのとき総理は弁明されて、その後、結果論ですけれども、鈴木大臣は辞められた。

 さっきの参考資料を見ていただいたら分かるように、一年未満で替わるのが長いのか短いのかという答弁を前回もされていたんですけれども、やはり、一年未満で基本替えているから短いし、大臣辞任が起こったときに本当にもう皆さん数か月で替わってしまうようなことが起こるので、少なくとも、省庁のこととかその部下のことを、役所のことを考えたら、もうちょっと長期スパンで人事を見るのが当たり前じゃないかというふうに思っているので、私はあえて言わせていただいたわけです。

 総理、森さんの影響があったのか、派閥の影響があったのかということに関しては言及なされませんでしたので、回答には、答えていただけなかったんですけれども、各種報道とかを見ると、やはり派閥の意向は聞いているというのは前提だと思いますし、今回、裏金の話に端を発する派閥の問題になると、総理自身が、今、決断で決めたとおっしゃっていたんですけれども、総理がその派閥と人事の影響というのを御自身で発信されて、派閥を解散させると決めたんじゃないですか。

 これは、やはり、派閥と人事を結びつけるのはこれまで自民党の内部のロジックとしてあったかもしれないですけれども、総理自身、そこを意識しているから派閥を解散させたんですよね。そこを関係なく総理が単独で、私の決断でやりましたと言うのであれば、派閥を解消する必要はなかったじゃないですか。だから、これは、僕は目くらましと言われてもしかるべきだと思っています。

 私、さっきも、答弁は求めていないですけれども、組織内統治のロジックとしては、派閥を意識するというか、党内の仲間を意識するというのは理解すると思っていますし、当時もそういう話をしました。しかし、役所の負担も大臣が替われば増えるし、僕たち議員も真摯に大臣と各委員会で議論を積み上げているので、大臣がころころ替わったらその積み上げも毀損されるし、そういう意味でやはり継続性は重要で、内閣支持率とか、こういう危機だからこそ、余り身内向きじゃなくて生産性の高いというか、能力をフル発揮できる陣営にした方がいいというのを、建設的な意味で、進言として総理にお伝えをしているわけなんですね。

 だから、今後、総理の下で内閣改造がまたされるかもしれませんし、その可能性もしっかり踏まえて、そうした、内部に向いたり派閥の重鎮に向いたり、派閥がなくなったとしても、もし森さんの意向を聞いていたんだとしたら、森さんはもう現職の議員でもないし、派閥の代表でもなく、結局自民党の重鎮の影響を受けていたということになるので、派閥の有無は関係ないんですよ。

 だから、総理自身がしっかり、そうした内部の圧力に屈しず、ちゃんとした人事を行っていくという姿勢を今後も出してほしいということをお願いいたします。

小野寺委員長 総理からの答弁は。

守島委員 答弁は大丈夫です。済みません。思いです、進言でございますので。よろしくお願いします。

 続いても、昨年、通常国会において具体的に提案させてもらったうちの一つなんですが、公設秘書の親族採用に関してです。

 当時、総理秘書官の地位に翔太郎さんがある中で、総理に対して、これも、公私の線引きが困難じゃないかと指摘し、結果として、そうした問題が引き金になって翔太郎さんは秘書官を退任されることになりました。

 総理自身も御子息に対して厳しい決断をなされましたが、全国会議員に関係する公設秘書においても親族の採用により公私の線引きが曖昧になっています。現状、公設秘書は、多額の給与や公的な権限を得ながら選挙活動もできるため、実態として世襲を容易にするための仕組みとして活用されています。

 私自身、これは政治の公平性に大きな疑義を生むので、親族採用はある程度規制すべきと提案したところ、総理は、国民の感覚から見てどうなのかという観点で国会において議論する課題だと回答されました。

 その回答を受けて、昨年の通常国会中に公設秘書の採用制限を、親族の採用制限をする法案を作成し、衆議院に提出させていただきました。可決に至っていない状況なんですが、維新らしく、一親等の親族の公設秘書採用を禁止する内規を整備して、これは維新の全員が、今それを守っております。

 これこそ総理が決断すればできることで、法案も既に提出済みなので、これを一緒にやらないでしょうか、お願いします。

岸田内閣総理大臣 今の法律においては、国会議員の秘書の給与等に関する法律において、六十五歳以上の者や国会議員の配偶者を公設秘書に採用することはできない、このように定められています。

 そして、委員の方から、近親者の公設秘書への採用について、より禁止の幅を広げるなり、より制限する必要があるのではないか、こういった御指摘がありました。

 これも、さきにも答弁させていただいたように、国民の見る目等もしっかりと考えた上で、各党各会派で議論していただくべきものである、そのように申し上げましたが、まさにそういった議論であると認識をしております。

守島委員 そうなんですよ。政治とお金の問題もそうですし、公設秘書の親族採用もそうで、議論と言いますが、これは実際には決断でかなり変えられること、まだまだ本当にたくさんあるので、国民感覚に照らすと総理がおっしゃっていただきましたので、国民感覚に照らして考えれば、おのずと道は決まると思いますので、是非真摯に御検討ください。

 ちなみに、昨年のやり取りのときに、自民党には、自分の御子息二人を公設秘書にしている人がいるという指摘をさせていただいたんですが、それは二階議員のことでして、その公設秘書の息子さん、今問題となっている二階議員の政治資金管理団体の会計責任者でもあります。この件に関しては、時間の都合もあり、今後の審議にちょっと委ねようと思っております。

 最後に、外務大臣に一問。

 二月七日、おとといは北方領土の日でした。政府は、引き続き、北方領土の帰属問題を解決して、ロシアと平和条約締結をするという対ロの外交方針を維持されています。

 しかし、ロシアは、ウクライナ侵攻後、平和条約締結に向けた交渉を打ち切っておりまして、先日、メドベージェフ前大統領がSNSで、北方領土について、日本国民の感情は知ったことではない、ロシア領だと投稿し、領土問題は永久に解決済みとの考え方を示しました。その上で、悲しむ侍は切腹すればよいとまであおっていたようですが、前大統領にここまで言われて、外務省はどのようなリアクションをしたんでしょうか。また、今後も対ロの外交方針というのは維持し続けるんでしょうか。お答えください。

上川国務大臣 委員御指摘いただきました、メドベージェフ・ロシア安全保障会議副書記のSNS投稿についてでありますが、ロシア側に対しまして速やかに、北方領土問題に関する我が国の立場と相入れず、受け入れられないという旨の抗議を行いました。

 北方領土は、我が国が主権を有する島々であります。我が国固有の領土であります。政府としてこの立場に変わりはなく、領土問題があるからこそ、これまで日ロ間では平和条約交渉が行われてきたのでありまして、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが我が国の一貫した立場でございます。

 ロシアによるウクライナ侵略によりまして、日ロ関係は厳しい状況にあり、残念ながら、現在、平和条約交渉につきまして、何か具体的に申し上げられる状況にはございませんが、政府としては、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持してまいります。

守島委員 時間なので終わりますが、二国間の交渉がもう頓挫している状況とおっしゃっているので、そうであれば、私は、各国と連携して、領土問題を国際世論に訴えていく方向に向かってほしいと思います。

 以上で終わります。

小野寺委員長 これにて小野君、守島君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 元日に起きた能登半島地震において犠牲になられた皆様に心から哀悼の意を表するとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 自らも被災しながら使命感を持って奔走する自治体職員の皆さん、また悪条件の中で駆けつけてくださっている全国の職員始め全ての関係者の皆さんに、心から感謝と敬意を表したいと思います。

 私も先週、珠洲市まで行きまして、被害の大きさと、また地理的条件による特別な困難さを実感せざるを得ませんでした。阪神・淡路大震災から来年で三十年、東日本大震災や熊本地震など、これまで甚大な災害が繰り返し起きてきましたが、被災者は同じように長い苦難の道のりを歩まなきゃいけないではなく、これまで災害で乗り越えてきたことがいっぱいあるんだから今度はもっとうまく乗り越えられるはず、そういう思いで質問したいと思います。

 まず、住まいの確保についてです。

 石川県は、三月末までに、公営住宅や賃貸等、みなしも含め、応急仮設住宅約一万五千戸を確保するとしています。ホテルなどの二次避難所に滞在している方が約五千人、自宅避難、子供や親戚を頼った人たちなどの全体像はまだつかみ切れていません。

 その中で、二次避難所になったホテルでの相談会が始まっていますが、実際には、今月中か来月には契約を解消するというところが多いです。背景には、三月十六日の北陸新幹線延伸、そして政府の北陸応援割があるのではないでしょうか。事実上の被災者の追い出しになるのではないか。総理に伺います。

岸田内閣総理大臣 今般の能登半島地震により、北陸地方においては、通常どおり営業が可能な地域でも予約のキャンセルが相次ぐ宿泊施設が多数存在するなど、観光業界は大きな打撃を受けています。こうした状況を踏まえて北陸応援割を実施することとしておりますが、実施に際しては、二次避難に支障が生じないよう、参加する宿泊施設に対して、実施前も含め、二次避難への協力を呼びかけています。

 そして、この北陸応援割ですが、現時点では三月、四月の実施を念頭に置いていますが、具体的な開始時期については、二次避難の状況や住まいの提供状況を踏まえて、地域ごとに柔軟に対応してまいりたいと思います。

 そして、何よりも、被災自治体においては、二次避難されている方々に対して、仮設住宅、公営住宅、民間賃貸住宅の空き室などの情報、これを丁寧に提供しているところであり、政府としても、被災者が一日も早く安定的な住まいを確保できるよう、住まいについてしっかりと支援を行ってまいりたいと思います。

高橋(千)委員 最初に、キャンセルが相次いでいるお話がありました。よくその事情は分かるんです。最初はやはり、被害がひど過ぎて、石川県に来ないでというメッセージもあったわけです。でも、これからは、ちゃんと行けるよ、行けるところがあるよ、それと、応援の職員の皆さんやボランティアの皆さんも駆けつけることができる。そうしたら、十分そこに対応することができるじゃありませんか。今までと同じように、キャンセルがあるからわざわざ応援割でやらなきゃいけない、そういうことではないと思います。

 三・一一のときに、発災から一月足らずでしたが、体育館形式の一次避難所に身を寄せていた福島県の被災者の皆さんは、最初は親戚の元を頼るんですが、すぐに、家族でも気を遣うという経験をしながら、もう何か所も、一月でですよ、何か所も転々として今ここにいると口々に言われたことを思い出します。同じことにならないようにお願いしたいんです。

 どうしても間に合わないというんだったら、北陸応援割で政府は二万円も旅行支援するんですよね、被災者応援割として、現行基準を上乗せすることがあってもちゃんと対応する、絶対に追い出ししない、一言お願いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点についてもしっかり考慮しなければならないわけですから、先ほど申し上げましたように、二次避難に支障が生じないよう柔軟に対応してまいります。

 そして、何よりも、仮設住宅、公営住宅、民間賃貸住宅、こうした二次避難されている方々が地元に戻れるような支援を充実させていくことが重要であると考えます。

高橋(千)委員 戻れるような支援をするのは当然ですから、絶対に追い出ししないという一言がなかったことが非常に残念であります。

 そうした中で、高齢者等のいる世帯の住宅再建に最大三百万円補助するということが突然浮上しました。なぜ六市町に限るのか。なぜ高齢者や所得の低い人に限るのか。そもそも、全壊世帯には最大三百万円という被災者生活再建支援法について、金額や、半壊以上でもいいんじゃないかとか、ずっと議論してきたのに、唐突に官邸から、今回の地震だけ法改正ではなく予備費で措置するという決め方もおかしいと思います。

 現行の被災者生活再建支援法は、二〇〇七年、ちょうど能登地震があった年に改正され、見舞金という位置づけながらも、被災した個人の住宅再建にも使える制度になりました。当時野党だった松本剛明総務大臣が与野党協議の調整役として汗をかいていただきました。

 あのとき、私の質問に対して、提出者である公明党の赤羽議員が、今回御指摘のありました、所得はあっても支出の多い子育ての家庭とか、できるだけ対象になるように配慮したと答え、政府参考人も、趣旨は同じですと答えたんです。ですから、目的規定にあった「生活基盤に著しい被害を受けた者であって経済的理由等によって自立して生活を再建することが困難なもの」、この経済的理由によってを削除したんですね。

 総理、この経過を御存じでしょうか。なぜ、今、高齢者や所得の低い人に絞るなどと、また所得制限のようなことを言うんでしょうか。時代を逆行させることになりませんか。

岸田内閣総理大臣 被災者生活再建支援法の議員立法としての議論、委員からも御指摘がありましたが、この平成十九年の議論、これは、支給要件の複雑さ等による支給率の低迷を改善するために、所得制限の撤廃に加えて、対象経費をあらかじめ定め実費を積み上げて支給する方式から、使途の限定をせず定額を渡し切る方式への転換、これが主な内容であったと承知をしています。

 そして、さらに、その後の経緯を申し上げますと、全国知事会が平成三十年にまとめた報告書で、支給限度額は現行の最大三百万円から引き上げる根拠がない、支給対象は大規模半壊から拡大することとされており、その結果、令和二年に法改正が行われ、支給限度額は据え置きつつ支給対象の拡大を行った、こうした経緯があります。

 被災者生活再建支援金、この財源は半分は都道府県の拠出でありますので、こうした全国知事会の意見等も踏まえる必要があると考えています。

 こういった経緯もありますので、今回は、別途、新たな交付金制度を創設することといたしました。資金の借入れ、返済が容易でない方、これはできるだけ幅広くこの新たな交付金の制度で対応できるよう、制度設計をこれからしっかり行っていきたいと考えています。

高橋(千)委員 所得制限を取り払っただけではなく、年齢制限も取り払ったわけですよね。本当にそのことは、やはり知事会の要望を得ながら改正をしてきたという経過があるんですので。今、またいろいろ指摘をされたので、若い世代の皆さんに金利補助なども言っていますよね。でも、金利補助というのは昔やっていた制度なんですよ、二〇〇七年に改正される前に。先祖返りでは駄目なんです。

 本当に今こそ思い切った法改正をするべきだと、これは時間の関係で要望にとどめたいと思います。

 ある米作り農家さんが、崩れた裏山を杉林がブロックしているような形で何とか建っているんですね、完全に傾いておりますが、ここを出ていくつもりはない、そうおっしゃっておりました。水稲が四十町歩のうち三十九町歩は人から預かった田んぼです。ということは、この方が再建を諦めてしまえば地域の農業はどうなるのかと思いました。

 農水大臣に伺います。石川県の担い手農家への農地集積率はどのくらいか。政府は、規模拡大と担い手農家への農地集積を進めてきましたが、逆に、こうした災害で担い手農家が離農すれば、一遍に地域の農業が危機に瀕してしまいます。こうした問題意識があるのか、伺います。

坂本国務大臣 令和四年度末時点で、担い手への農地集積率は全国で五九・四%、石川は六四・二%です。ただし、能登地域は五七・八%、加賀地域が七〇・一%です。特に、輪島市は三五・二%と集積率が非常に低くなっております。

 一般論として言いますと、やはり担い手も含め農業者の高齢化、減少に伴いまして離農農地が多く生じることが懸念されている中で、今後は、農地の集積、こういったことは必要であるというふうに考えております。

 そして、離農者が出た場合には、意向が示された場合には、農業委員会や農地バンクがその仲介をして、そして、地域の内外を問わず次の受け手を掘り起こす、あるいは新たな農業者の確保をする、そういうようなことを今後更にしていかなければいけないというふうに思っております。

 そしてもう一つは、農地所有適格法人というのがありますけれども、これは農業者が五一%の出資をしていなければいけませんけれども、多様な農業者がもう少しそれに参入できるような、そういうことができればというふうにも思っております。今後、出資要件その他についても法案の中で審議をされていくものというふうに思っております。

高橋(千)委員 聞いたことには直接答えていないと思うんですよね。

 災害でこうした担い手が離農したらどうなるのか、問題意識を持っているのかと伺ったわけです。でも、更に集積が進む、集積の必要性ということをおっしゃいました。

 農業基本法に向けた検証部会の地方の意見交換会でも、北陸からも東北からも、ずっと担い手に集積してきたけれども限界だ、これ以上は限界、もう後継者はいない、そういう声が出ているじゃありませんか。それなのに、集積を進めるだけの話では全く理解にならないと思います。

 そこで、次に提案したいと思うんですね。

 今回の地震で被災した自治体は、応急仮設住宅について、一律に抽せんではなく、なるべく地域のコミュニティーを維持しながら仮設住宅をまとめていきたいとの意向を聞いています。大事なことだと思うんですね。地域のコミュニティーを守ることは、地域の農業を守り、ひいては地域そのものを守ることにつながると思います。

 農家さんは、当然、土地も広いです。一方、行政は、仮設住宅を建設する土地がなくて苦労しています。農家さんの土地にコンテナハウスのような仮設住宅を建設することもできるのではないか、そう思いますが、大臣に伺います。防災大臣。

松村国務大臣 被災された方々への住まいの提供というのは、これは大変重要な課題であると考えております。また、応急仮設住宅を迅速に建設できるように、現在、用地の確保を進めているところでもございます。

 建設用地につきましては、まず公有地を利用することが原則としております。また、適当な公有地を利用することが困難な場合には民間の用地を利用することも実は可能としております。

 先ほど、事前にいただいたやつでは、委員からの御指摘がございましたからお答え申し上げますが、ですから、広い土地を所有している方の土地の一部を活用することも手法の一つとして可能でございます。

 その際には、被災自治体の負担を軽減する観点から、公租公課等の免除を前提に、無償で提供を受けられる土地を優先して活用する必要があるところでございます。また、土地を所有されている方の協力が得られるということが必要であろうと考えます。

 引き続き丁寧に説明していく必要があると認識をいたしております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 御本人が、生産者御本人が是非建ててほしいとおっしゃっていますので、それが、農業を続けられるし、地域のコミュニティーを守るということにもなると思うので、是非具体例をつくりたいと思って提案をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

 これで終わります。

小野寺委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 まずは、全国的な子牛の価格低迷について質問をしたいと思います。

 私の地元宮崎県、それから坂本大臣の地元熊本、また、二〇二二年に和牛のオリンピックがありました鹿児島県、先ほど、肉用牛のクラスター事業について、畜産農家の方が多額の借入金を抱えていて救済が必要だという話を野間議員がされましたけれども、野間さんも鹿児島の御出身であります。

 この南九州の地域はまさに肉用子牛の供給基地なわけでございますが、今、黒毛和種の子牛一頭の売買価格が五十万円を切るというような家畜市場もある状況です。八年前の二〇一六年は一頭当たりの平均価格が八十万円を上回っていましたので、ピーク時からすると三十万円近く安くなっているということになります。

 物価高で、比較的安価な鳥肉、豚肉などへと消費の流れが変わりまして、和牛肉の価格が上がりにくくなっているほか、輸入飼料の価格がコロナ前の二倍近くに跳ね上がったまま最高値の水準で推移しているので、繁殖農家から子牛を購入して育てる肥育農家も経営難に陥っています。その影響で、繁殖農家が供給する子牛の価格も上がらず、大変厳しい状況が続いています。坂本大臣も、地元の競り市場等で、足を運ばれまして、そのような声はたくさん聞かれていると思いますが。

 そこで伺います。これまで政府が取ってきた支援策は十分と言えるのか、大臣の見解を伺います。

坂本国務大臣 黒毛和種の子牛の価格につきましては、委員おっしゃいましたように、八十万円のときもありました。全国平均で六十万円を上回る価格で大体推移をしてきたというふうに思います。昨年五月にこの六十万円を割り込みました。その後も低下傾向で推移をしまして、十月には五十万円台まで下落をした。しかし、直近の一月は五十五万円となっております。

 この価格下落に対する繁殖農家への支援といたしましては、法律に基づきます肉用子牛生産者補給金に加えまして、現下の畜産を取り巻く厳しい経営環境を踏まえ、黒毛和種につきましては、四半期ごとのブロック別平均価格が六十万円を下回った場合に、その差額の四分の三を支援するというような臨時対策を取っております。昨年八月には補助対象額の拡充も行ったところであります。これら補給金と臨時対策によりまして、令和五年度の第二・四半期及び第三・四半期におきましては、九州・沖縄ブロックでは子牛一頭当たり八万円を上回る支援が発動しているということであります。

 また、子牛の購買者でございます、委員言われました肥育農家への支援といたしましては、肥育牛の販売価格が生産コストを下回った場合には、その差額の九割を支援するという牛マルキンを措置しているところでございます。

 これらの経営安定対策の適切な運用によりまして、繁殖農家の方も、そして肥育農家の方もしっかり経営が持続できる、そういう体制を更に取ってまいりたいというふうに思っております。

長友委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣からは、補給金制度、また牛マルキンの制度等を駆使しまして一頭当たり八万円を上回る補助もしているという御答弁をいただきました。

 ですが、大臣、実際に地元を回られて、それで十分と生産者の方は感じられていらっしゃいますでしょうか。私のところに聞こえてくる声は、それでも大変厳しいという声ばかりです。このままではもう離農しなければならないという声が大変強く聞こえてきます。畜産農家の皆様が今の大臣の御説明で納得されるのかどうかということは分かりませんが、私は更なる支援が必要なんじゃないかというふうに感じています。

 大臣は、これまでの支援について御説明をしていただきました。では、今行っていただいている事業というものは今年の三月までの事業というふうに理解をしているんですけれども、これから更なる支援というものはどのように考えていらっしゃるのか、お話を伺いたいと思います。

坂本国務大臣 私も、市場等に行きまして、あるいは肥育農家、繁殖農家と接するときに、なかなか厳しいというような声も聞いております。しかし、その一方で、やはり八万円の上乗せはありがたいというような繁殖農家からの声も聞いております。そういうことをしっかりと措置していかなければいけないというふうに思います。

 肉用子牛生産者補給金につきましては、黒毛和種の場合には保証基準価格を令和六年度に八千円引き上げまして、五十六万四千円。それから、臨時対策につきましては、令和五年十二月までの措置としていたところを、今言われました令和六年の三月まで延長をいたします。四月からは、ブロック別平均価格が六十万円を下回った場合には、飼養管理向上を図る取組に対しまして発動基準に応じた定額の奨励金を交付する、そして優良和子牛生産推進緊急支援事業を措置することというふうにしております。

 さらに、和牛肉の底堅い需要が肥育経営ひいては繁殖経営を支えるということから、引き続き輸出促進に取り組みたいと思います。そして、令和五年度の補正予算で新たに措置しました和牛肉の需要拡大緊急対策事業によりまして、国内においても、和牛肉の新規需要開拓、さらには消費拡大やインバウンド需要の喚起を支援することで、国内外の和牛肉の需要拡大を図ってまいります。

長友委員 和牛肉の需要拡大を図っていただけるということで、ありがとうございます。

 今、物価が高騰しているために、消費者が高級品のイメージの強い牛肉を買い控えするということが起きております。現場では今、言わずもがなですが、餌代は上がっていて、枝肉の価格は下がっているから、国産和牛の需要が高まらず肉用牛の価格が下落する、餌や燃料などの高騰もあり肥育農家の採算が取れないことから、子牛の値下がりが止まらない、下げ止まらないという負のスパイラルを早く解消してほしい、そんな強い、むしろ悲痛な声をやはり地元では聞きますので、是非これは、賃上げをして国民の可処分所得を上げて、物価上昇以上の賃金上昇を実現する一方で、繁殖農家、肥育農家への支援を続けていく必要がありますから、現場の繁殖農家、肥育農家が納得する支援を引き続き実施いただきたいことをお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。

 国産和牛の消費拡大の話もいただきましたけれども、我が国ではほかにも消費拡大が望まれる品目がたくさんあります。とりわけ米、魚、牛乳の日本人の消費の落ち込みが顕著だというふうに感じています。

 例えば、お米の消費量は一貫して減少傾向にありまして、一人当たり米の消費量はピーク時から半減しています。そしてまた、日本人の魚離れも二〇〇〇年代に入り急速に進んでいます。年間一人当たりの消費量はピーク時の六割以下に減少。さらに、牛乳の消費量も減少傾向で推移しています。

 これら米、魚、牛乳の消費拡大についてはどのように取り組むのか、坂本大臣に伺います。

坂本国務大臣 肉類だけではなくて、委員御指摘の米、それから水産物、さらには牛乳の消費拡大、大変大事なことだというふうに思っております。

 お尋ねの品目に係る消費拡大の取組でありますけれども、米につきましては、企業と連携した「やっぱりごはんでしょ!」という運動の推進、それからSNSなどを通じた情報発信、こういったことで消費拡大に努めております。

 さらには、水産物につきましては、令和四年十月に、毎月三日から七日までをさかなの日、三と七でありますので、さかなの日として制定するなど、官民協力によりまして水産物の消費拡大に向けて様々なプロジェクトを行っているところであります。

 牛乳につきましては、これも、官民連携をいたしまして、牛乳でスマイルプロジェクトによるキャンペーンや商品開発の促進に取り組んでいるところであります。

 引き続きこれらの消費拡大に努めてまいります。

長友委員 大臣から様々な取組を説明いただきましたけれども、正直、今日テレビを御覧の国民の皆様は、初めて聞いたとか知らなかったという取組がほとんどなんじゃないかと思います。私も二年間農林水産委員をやっていましたけれども、説明は受けます、国民運動としてフードシフト、国民運動をしていきたい、ニッポンフードシフトを展開してですね、なんですが、それがやはり国民には全然成果が見えていないというのが、私はそういう状況だと考えています。

 私、地元の栄養士会の会長さんと意見交換をするときがありました。会長さんがおっしゃったのは、何で私たち栄養士や管理栄養士を活用してくれないのかと。客観的なデータを示して、そして、米の消費拡大、魚の消費拡大、牛乳の消費拡大に活用していただければお役に立てるのに、そういう言葉を現場からいただいていますので、是非、管理栄養士や栄養士会の皆様とも連携していただきたいと思いますし、農水省には料理マスターズという制度がございますよね、全国各地に優秀な料理人の皆様、百人ほど今いらっしゃると思いますが、その方々も是非巻き込んでいただきたいと思いますし、私は実は調理師の資格も持っていますが、調理師会にも声をかけていただきたいと思います。

 また、フードアナリスト協会というのもあります。そのようなところも巻き込んで、国民運動とするというのであれば、様々な方々を巻き込んでいかなければ、農水省の職員の皆さんで一生懸命やっていますというだけでは消費拡大につながっていかないと思いますので、その点、お願いをしておきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 大阪・関西万博についてなんですけれども、大阪・関西万博、日本各地の生産者から見れば、それぞれの農林水産物をアピールする絶好の機会だと私は思うんです。万博に訪れる海外からの訪問客、また日本各地からの訪問客が集まる場での消費、販売の機会を得ることができれば、これは大きなビジネスチャンスだというふうに捉えております。

 そこで、総理、お伺いしたいんですけれども、来年の四月十三日から十月十三日までの半年間、万博期間中の訪問客の見込みはどのくらいなのか、また、会場内のレストランではどのくらいの食事が必要と試算をしているのか、伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、来年開催される大阪・関西万博、これは、関西にとどまらず、我が国の各地方が誇る安全、安心な農林水産物や食文化を国の内外に対してPRする絶好の機会だと認識をしています。

 大阪・関西万博の来場者数は、万博協会によれば、約二千八百二十万人を想定していると承知をしています。

 また、飲食施設については、現時点で六十三店舗が公募により設置されるほか、企業のパビリオン等においても出店が検討されていると承知をしております。

長友委員 総理、ありがとうございます。

 半年で約二千八百二十万人、そのうち三百五十万人が海外から訪れる。会場のレストランでは大体一日最大二十三万人が食事をする。これは、約一日二十万人掛ける百八十日とすれば、三千六百万人の方が食事をする。非常に大きなチャンスだと思うんですね。

 そこで、担当大臣に伺いたいと思います。

 この万博のレストランの食材として、全国の生産者の皆様が農林水産物を使ってもらう、そのような支援をするべきだと思いますが、それぞれの担当大臣の見解を伺います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 大阪・関西万博は日本の魅力を世界に発信する絶好の機会であると考えてございます。

 農林水産物につきましては、日本食の提供などを通じて、多様な地域の食やそれを支える農林水産業などを発信することとしておりまして、本年一月に公表いたしました二〇二五年大阪・関西万博アクションプランのバージョン5にも明記をしているところであります。

 先ほど御説明をさせていただきました飲食店舗、六十三店舗でございますが、を含めまして、会場内の営業施設につきましては、コンセプトの一つとして国産の食材を使用した食品の活用、販売を掲げており、募集を進めているところでございます。国産食材の使用を選定の考慮要件としております。

 さらにでありますが、物販の販売の店舗につきましては、日本各地の地域性を生かしながら地産品を楽しんでいただくJAPANマルシェを八店舗用意する予定としております。

 こうした取組を通じまして、農林水産物につきましても日本の魅力をしっかりと発信できるよう、万博の準備を進めてまいりたいと思います。

坂本国務大臣 万博の中で、食と暮らしの未来ウィークというのがあります。それに合わせまして、日本食、それから日本の農林水産物、そして日本の農村の魅力、こういったものをしっかりアピールしてまいりたいというふうに思っております。

長友委員 もう時間ですので、最後、一言ですが、日本人の胃袋がもう大きくなることはないから消費拡大は難しい、そういうことを言う方もいるんですが、万博では海外からの訪問客もありますし、海外輸出のきっかけになる可能性も大いにありますので、和牛も米も魚も牛乳も、この万博を消費拡大の大きなチャンスと捉えて、生産者に積極的に働きかけてもらうことをお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて長友君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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