衆議院

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第8号 令和6年2月13日(火曜日)

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令和六年二月十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    越智 隆雄君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤 茂之君

      田中 和徳君    平  将明君

      塚田 一郎君    中曽根康隆君

      永岡 桂子君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    山本 有二君

      若林 健太君    渡辺 博道君

      井坂 信彦君    石川 香織君

      梅谷  守君   おおつき紅葉君

      大西 健介君    小山 展弘君

      階   猛君    道下 大樹君

      森田 俊和君    森山 浩行君

      山岸 一生君    米山 隆一君

      早稲田ゆき君    池下  卓君

      奥下 剛光君    中嶋 秀樹君

      林  佑美君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      穀田 恵二君    宮本  徹君

      田中  健君    緒方林太郎君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣         新藤 義孝君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 自見はなこ君

   内閣官房副長官      村井 英樹君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  林   学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門前 浩司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松浦 哲哉君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  加野 幸司君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           田中 利則君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十三日

 辞任         補欠選任

  金田 勝年君     永岡 桂子君

  宮路 拓馬君     中曽根康隆君

  石川 香織君     おおつき紅葉君

  梅谷  守君     森山 浩行君

  米山 隆一君     森田 俊和君

  林  佑美君     中嶋 秀樹君

  守島  正君     池下  卓君

  赤羽 一嘉君     中野 洋昌君

  宮本  徹君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     宮路 拓馬君

  永岡 桂子君     金田 勝年君

  おおつき紅葉君    石川 香織君

  森田 俊和君     米山 隆一君

  森山 浩行君     道下 大樹君

  池下  卓君     守島  正君

  中嶋 秀樹君     林  佑美君

  中野 洋昌君     赤羽 一嘉君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  道下 大樹君     梅谷  守君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官林学君、内閣官房内閣審議官門前浩司君、内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、内閣府政策統括官高橋謙司君、警察庁刑事局長渡邊国佳君、総務省自治行政局公務員部長小池信之君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省刑事局長松下裕子君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省総合教育政策局長望月禎君、文部科学省初等中等教育局長矢野和彦君、厚生労働省職業安定局長山田雅彦君、厚生労働省社会・援護局長朝川知昭君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、厚生労働省老健局長間隆一郎君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、中小企業庁経営支援部長松浦哲哉君、国土交通省国土政策局長黒田昌義君、国土交通省不動産・建設経済局長塩見英之君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、国土交通省航空局長平岡成哲君、防衛省防衛政策局長加野幸司君、防衛省整備計画局長青柳肇君、防衛省統合幕僚監部総括官田中利則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中曽根康隆君。

中曽根委員 自由民主党の中曽根康隆でございます。

 本日は、貴重な質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 二十五分しかありませんが、ちょっと欲張って多くの大臣に御臨席賜りましたので、早速質疑に入りたいというふうに思います。

 まず、新藤大臣にお伺いをしたいと思います。

 今まさに国民を苦しめている物価高、パンデミックや戦争など外的な影響で物の値段が上がっている、そして、インフレが起きて国民生活を直撃をしているわけであります。一方で、この一年半、三割の物は価格が動いていません。これはなぜか。コストは上がっても価格転嫁ができない、日本経済のあしき慣習がまだ残っている、又は、安ければよいという長期のデフレでしみついた消費者のマインド、こういったものが理由であると思います。

 要するに、物価高とはいいながらも、慢性的なデフレはまだ進行中でありまして、今の日本というのは、急性のインフレとそして慢性のデフレ、この二つが同時にある意味起きている状態だとも言えるというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いします。

 慢性デフレを治せないうちに海外から急性のインフレがやってきました。この二つの病気を同時に治すのは当然大変なわけであります。目の前の物価高をしっかりと抑えた上でデフレを脱却していく、大臣の具体的な解決策をお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 今最も国にとって重要な質問だ、このように思います。

 そして、何よりも私たちは、大前提として、三十年ぶりのこの国の経済を転換できる最大のチャンスを迎えている。賃金が上がり、そして投資水準が百兆円に達する、そして株価も上がっている。しかし、一方で、今委員が御指摘のように、物価が上がって、それを上回る賃金水準になっていない。したがって、可処分所得がずっと下がる。ここのところを改善する、これが重要なことはみんなが分かっているわけです。

 ですから、どうやって、物価が安定的に上昇するという経済が伸びていく状況の中で、それを上回る給与水準をつくっていくか。それは、給与を上げるということは、支払う側からすれば、企業の業績が拡大しなければ、これは給料を上げられないわけです。幾ら物価が上がっても、自分の会社の事業が拡大していなければ、その余地、余力がなくなります。

 だから、私たちは、賃上げをするとともに、企業の稼ぐ力を高めなきゃならない。そのためには、今人手不足と言われている企業ほど省力化投資が遅れている、こういう実情もあります。だから、カタログ式の、IoTだとかロボットだとかを使った、そういう新しい施設を入れたときには簡単に補助ができる、カタログ式補助金というのもつくりました。

 そして、その上で、大事なことは、給料は一律上がる、まずは水準を上げていくことですけれども、加えて、働き方によって、そして自分の能力によって給料が上がっていく、だから、ジョブ型、働き方改革も一緒に進めていこうと。そして、企業が更に業績を高めるためには、大規模な投資が必要です。その投資を回して、それぞれを政策連携させながら、日本の国を新しい次の経済のステージに上げていきたい。

 それができれば、デフレからの脱却というのも、デフレの心理を、ここを脱却して、そして、みんなが、国がうまく回っていく、そういう循環をつくりたい、このように思っているわけであります。

中曽根委員 ありがとうございます。

 物価も賃金も動かない、まさに据置経済が三十年続いている。こういう状況の中では、当然イノベーションも生まれないですし、成長もなかなかないわけであります。ただ、昨今、政府、そして大臣のリーダーシップもあり、また産業界の理解もあって、賃金も上がってくる機運が高まった、価格転嫁もできそうになっている。まさに大臣がおっしゃった、ピンチをチャンスに変えていくためにも、しっかりと政府として引き続きバックアップをしていただきたいというふうに思います。

 今の関連で、今度は齋藤大臣にお伺いをしたいと思います。

 ここで忘れてはいけないのが、やはり大企業と中小・小規模事業者では全然状況が違うということでございます。体力のある大企業は、意思、決断さえすれば、賃金の上昇、賃金を上げることはできるかもしれませんけれども、地方の中小・小規模事業者はそういうわけにはいきません。

 今年四月から賃上げを実施する方針の中小企業は全体の六割強と言われておりますけれども、まさに今、新藤大臣のお話にもありましたが、実は、その賃上げすると言っている企業の六割は業績の改善を伴っていない状態であります。要するに、労働力の確保のためには望まない賃上げをせざるを得ない状況に追い込まれているという事実が出てきます。

 こういうがんじがらめの状況で頑張っている企業、中小企業がたくさんあるということをまず認識をしていただいた上で、大臣にお伺いしますけれども、この地方の中小・小規模事業者の皆さんに向けて、現状を政府としてどのように捉えているか、そして、具体的かつ前向きな対策を、メッセージを是非ともお出しいただきたいというふうに思います。

齋藤(健)国務大臣 中小企業の業況判断DIは全産業で約三十年ぶりの高水準を記録しているなど、経済の状況は全体としては改善しているんですが、各地域の中小企業は深刻な人手不足に直面をしています。人材確保のために賃上げを迫られる一方で、中小企業においては、特に労務費について十分に価格転嫁できていない、委員御指摘のとおりの状況にあります。

 そのため、価格転嫁の促進に向けまして、毎年三月と九月の価格交渉促進月間に基づいて、発注企業ごとの価格交渉、転嫁の状況を公表しておりまして、今年の一月にも、二百二十社の社名を公表したほか、状況の芳しくない約二十社の発注企業の経営トップへの指導助言も実施をしています。さらに、昨年十一月に内閣官房と公正取引委員会が公表した労務費の指針が遵守されるよう、公表の翌日に、経済産業省が所管する約九百の業界団体に周知し、自主行動計画への反映についても各団体に要請をしています。

 また、中小企業向けの賃上げ促進税制については、前例のない長期となる五年間の繰越措置の創設によりまして、赤字でも人材確保のために賃上げに挑戦する中小企業の後押しとなるように抜本強化をするということも行います。加えて、中小企業が構造的な人手不足を乗り越え、生産性を向上し、収益、売上げを拡大するため、新藤大臣からもお話がありましたが、カタログから選ぶような、簡易で即効性のある省力化投資や新商品、サービスの開発に向けた設備投資等を支援することにしています。

 これらの取組によりまして、引き続き、地方を含めた中小企業の賃上げをしっかりと後押しをしていきたいと考えています。

中曽根委員 ありがとうございます。

 政府は地方創生とうたっておりますけれども、地方の中小企業の活力なくして地方創生はあり得ないと思いますので、是非とも力を入れていただきたいと思います。

 どうしても、サプライチェーンの中の力関係で価格転嫁したくてもできない中小企業というのはたくさんあるというふうに思いますので、政府として、彼らがしっかりと稼げる状況をつくっていく、しっかりと価格転嫁できる、特に、なかなか進まない労務費の転嫁を強く推し進めていただいて、賃金を上げられる環境整備に尽力をしていただきたいというふうに思います。

 そして、これは質問ではないんですけれども、私、強く思うのは、やはり今の状況、安い国日本を脱却しなきゃいけないというふうに思っております。よい物が高い国日本にならなくてはいけない。現状は、値段が安い、しかも、為替も相まって、外国人からすれば日本は大バーゲンセール中であります。これから更にインバウンドが増えてくる中で、やはり日本の価値ある物が必要以上に安く買われない状況、これは非常に悔しい状況ですので、何とかしたいと思います。

 高いけれども質がよいから買う、さすが日本は物やサービスがいいなと言われるような、そういう国になるためには、まずは国内のデフレ脱却に全力を注いで、賃金と物価の好循環を生み出していただきたいなというふうに思います。

 それでは、新藤大臣、齋藤大臣、お忙しい中ありがとうございました。以上で御退席いただいて結構です。

小野寺委員長 それでは、新藤大臣、齋藤大臣は御退出いただいて結構です。

中曽根委員 これまで議論してきた企業による経済活動だったり、又は国民の生活、こういったものは平和が大前提となっております。しかし、今、その当たり前の前提、平和が脅かされていて、我が国が直面している三正面は大変厳しい情勢にあるというふうに思っております。

 長く続いた基盤的防衛力構想、いわゆる受け身の状態からやっと脱却をしてきて、主体性のある動的防衛力を持つ、自分の国を自分で守るという当たり前のことがようやくできつつある今の日本において、安全保障的な自立というのは極めて重要、これができて初めて同盟国、同志国と対等な立場で連携も取れるというふうに考えております。

 私自身、防衛大臣政務官を務めさせていただいた中で、多くの喫緊の課題を痛感いたしましたけれども、本日は、国民保護、そして、それを行うための鍵となる武力攻撃予測事態についてお伺いをしたいというふうに思います。

 国民の命を守るときに最も具体的な、また必須となる行動が国民保護であります。御案内のとおり二〇〇四年に国民保護法が成立したわけでありますけれども、いざというときの国民の避難は、この武力攻撃事態等の認定を前提としておりまして、武力攻撃予測事態の段階で避難は完了していることが想定をされております。

 ここで、木原大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 まだ実際に我が国を脅かす武力攻撃が起きていない、しかし、いよいよ迫ってきている、このある意味グレーな、主観によって判断が変わってくる難しい状況において、予測事態認定のタイミングというのが極めて重要になってくるというふうに思います。

 そして、この予測事態認定がない限り、自衛隊も動けないし、国民の避難も実行には移せません。我が国のインテリジェンス能力を最大限フル活用するのは当然のこととした上で、ここはまさに政府の覚悟と決断が問われる場面であるというふうに思います。

 この緊迫したぎりぎりの状況において、防衛大臣として予測事態認定のタイミングをどのようにお考えか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

木原国務大臣 防衛政務官を経験された中曽根委員から、事態認定のタイミングという非常に重要なテーマの御質問をいただきました。

 武力攻撃予測事態などの一連の事態認定を果断に行うということは、我が国の安全を確保し、国民の生命身体を守り抜くための政府としての最大の責務の遂行であるというふうに考えております。

 とりわけ、事態が緊迫し、時間的な制約がある状況において、我が国として、法律に定められた手続に従いつつ、必要な措置を的確に実施するためには、事態対処法制が適用される武力攻撃予測事態を極力早期に認定することが特に重要であるというふうに認識をしております。

 武力攻撃予測事態の認定は、我が国として、抑止のための態勢を構築し、もって武力攻撃の発生という最悪の事態を抑止しようという意思決定にほかならず、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府として、その持ち得る全ての情報を総合し、ちゅうちょなく認定すべきものであるというふうに考えております。

 政府としては、平素から、武力攻撃事態等を含む様々な事態への対応を想定し、各種の検討、訓練等を行っているところであり、今後とも、不断にそういった検討、訓練等を行い、対処に万全を期してまいります。

中曽根委員 木原大臣、大変力強いお言葉をありがとうございました。

 これは、いざそういう状況になると物すごくしびれる状況だというふうに思います。だからこそ、日頃からの情報収集や心構え、もろもろの準備というものが大事になってくるというふうに思います。

 この予測事態の認定というのは、あくまでも国内の管轄事項でありますので、国民の命を守るために必要だと考えれば、他国の思惑等は気にせずに断行していただきたいというふうに思いますし、これはタイミングを逸すれば、戦わずして負けるようなことにもなりかねませんので、是非とも、総理はもちろんのこと、大臣にも必要なときには英断を下していただきたいというふうに考えております。

 また、この際の輸送には、自衛隊のみならず、当然民間の力も必要になってきますので、日頃から官民共同の仕組みを計画して実効性を高めておくことも是非ともよろしくお願いをいたします。

 続いて、関連して、林官房長官にシェルターについてお伺いをしたいというふうに思います。

 有事の際に、まさに今の話、いざ国民を避難させるとなると、国民をどこにどれだけ避難させるのかということが重要となります。そこで一つのポイントとなるのが、シェルターであるというふうに考えております。

 先日、小池東京都知事が、麻布十番駅にシェルター設置の調査を行う方針を表明いたしました。我が国のシェルター設置率は極めて低い。一説によると〇・〇二%だとも言われておりますけれども、やはり、日本は島国であって、陸路でどこか横の国に逃げることもできないといった中で、シェルター整備は必至だというふうに思っております。

 昨年一月に、まさにシェルター普及率八七%のフィンランドに視察に行ってまいりました。そこで公共シェルターを視察した際に、その用意周到さ、そして有事を見据えた設備、これに驚きました。

 例えば、六千人が同時に入って眠れる三段ベッドがしっかり用意してあるとか、また、電源を供給する巨大なディーゼルエンジンがちゃんとある。又は、衝撃波に耐えられるように設計された配電盤とか、物すごい分厚いドアが二重になってあるとか、また、放射能を浴びた体を洗い流すシャワー施設がちゃんと完備してあるとか。

 しかも、この地下空間というのは、日頃は子供たちがバスケットボールとかをする遊ぶ空間にもなっていて、また、大人が汗を流すジムにもなっているわけです。市民の日常生活の中にシェルターがもう組み込まれていることで、有事の際にいつでも駆け込めるような状態となっています。さらに、一定以上の床面積の建物を建てるときには、法律によってシェルターの設置が義務づけられているということもある。

 ここで、林官房長官にお伺いをしたいというふうに思います。

 今の例のように、シェルターといっても、ただ地下に穴を掘るだけじゃ駄目で、有事を想定した極めてプラグマティックな施設があって初めて国民の命を救えるものというふうに言えると思います。

 我が国のシェルター整備をまずどのようにお考えか。そして、麻布十番の調査費用というのは東京都の予算でありますけれども、今後、必要に応じて全国各地にシェルターを設置すると仮定すると、これは自治体任せではなく、政府が責任を持って整備するべきだと私は考えますけれども、いかがお考えか。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 武力攻撃を想定した避難施設でございますが、政府として、緊急一時避難施設について、地下施設を始めとした既存施設の指定促進などに取り組んでおります。

 今、中曽根委員から御指摘がありましたいわゆるシェルター、一定期間滞在可能で堅牢な避難施設につきましては、今フィンランドのお話も聞かせていただきましたが、諸外国の調査も行うなどして検討を進めてきております。

 昨年十一月には、整備に向けた設計の支援等に必要な予算、これは国費として令和五年度の補正予算で確保いたしました。今後、今年三月末を目途に、シェルターを整備する地域等に係る基本的な考え方を取りまとめまして、シェルターが備えるべき構造、設備等に係る設計ガイドラインを策定する予定であります。

 引き続き、関係省庁が連携しながら、シェルター整備に向けた取組につきまして責任を持って進めてまいりたいと考えております。

中曽根委員 ありがとうございます。

 財政面はもちろんのこと、設置場所とか設置の在り方など、やはり国が主体となって責任を持って整備をするべきだというふうに思います。

 自治体と連携して、有事は本当にいつ起こるか分かりませんので、とにかく国家事業としてスピード感を持って進めていただきたいと思いますし、また、当たり前のことですけれども、施設を造って終わりでは意味がありませんので、有事の際に国民の避難がスムーズに行えるよう、日頃から自治体との共同訓練なども含めて徹底していただきたいというふうに思います。

 それでは、木原大臣、そして林官房長官、お忙しい中、お時間ありがとうございました。

小野寺委員長 それでは、林官房長官、木原大臣、御退出いただいて結構です。

中曽根委員 続いて、教育、子育て支援政策について加藤大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 私自身、子供というのはすごくいいものだなというふうに思っています。親を幸せにしてくれるし、親の人生を豊かにしてくれる、そういう存在だというふうに思っています。だからこそ、もちろん、子を持つ持たないは個々人の自由でありますけれども、持ちたいと望む方が皆持てる環境整備というのは、政府として責任を持ってやっていくべきだというふうに考えております。

 そして、そのためには、社会全体で子育てを支えていくんだという国民の意識、そして、しっかりとした仕組み、制度がなくてはいけないというふうに思います。

 そういった意味で、今回新たに創設される支援金制度は国民から広く財源を集める仕組みとなりますけれども、国民は、この支援金がどのように使われるのか、しっかりとした効果を生むのか注視をしているというふうに思います。政府として、国民の実感と納得のある形にしていただきたいというふうに、これはお願いをさせていただきます。

 ここで本題に入りますけれども、私自身、三歳の双子を育てる子育て当事者として、現在の日本の子育て環境、政策にはいろいろな疑問もございます。

 その中の一つに、子供の預け先をどう確保するかという問題があります。語弊を恐れずに言えば、働いている親も、働いていない親も、やはり自分の時間というのは絶対に必要だというふうに思いますし、これがあることで、物理的にも、そして精神的にも大分楽になるということがあると思います。

 昨今、政府の支援もあって待機児童数が過去最少になっている一方で、隠れ待機児童はまだ七万人弱で高止まりをしている状況であります。やはりこの子供の預け先というのが一つ大事になってくると思うんですが、個人的には論点が四つあると思います。

 一つは、まず、十分な数の預け先があるか。二つ目は、預ける際の経済的負担をしっかりと減らせているか。三つ目は、子供を預けるとき、又は迎えに行くとき、これが自由な時間にできるか。すなわち、企業側から柔軟な労働環境、働き方がちゃんと提供されているか。そして四つ目は、子育ては親がやるものなど、預けることに後ろめたさを感じる風潮が日本に残っていないか。

 こういった点を解決することで、預け先の問題はかなり私は前に進むんじゃないかというふうに思っております。同時に、保育現場の負担軽減又は処遇の改善、そして、より使いやすいシッター制度、そういったものの確立の取組も不可欠であるというふうに考えております。

 ここで、大臣にお伺いします。

 岸田政権が掲げる異次元の少子化対策がこの預け先問題にもしっかりと反映され、世の中のお父さん、お母さんの負担を減らすことにつながるのか、大臣の子育て支援への覚悟とともに伺いたいというふうに思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、子育て世帯の負担を軽減し、多様な働き方やライフスタイルを可能とする支援を行うことは大変重要であると考えております。そのことは、双子のお子さんをお育て真っ最中であられる委員も痛感されているところではないかと思います。

 これまでも、新子育て安心プランに基づき、令和三年度から令和六年度末までの四年間に約十四万人分の保育の受皿整備を行うこととしており、令和五年度における待機児童は二千六百八十人と、ピーク時の十分の一まで解消されましたが、引き続き保育の受皿の整備に取り組んでまいります。

 また、全ての子育て世帯への支援を強化するとともに、子供の育ちを応援するため、財源として子供、子育て支援金も活用して、こども誰でも通園制度を創設することとしております。

 具体的には、令和七年度から、法律上の制度として位置づけ、実施自治体数を拡充し、令和八年度からは、法律に基づく新たな給付として全国の自治体で実施をすることとしており、法案提出に向けた最終調整を行っているところでございます。

 こうした取組を通じて、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援をし、子育て世帯の負担軽減を図るなど、皆様の声もしっかり受け止めながら、子供を育てながら働き続けられる社会の実現に向けて取り組んでまいります。

中曽根委員 子育てをしながら大臣の要職を務めている加藤大臣の言葉だからこそ説得力がありますし、世の中は大いに期待をしていると思います。世の中のお父さん、お母さんのために、是非とも引き続き頑張っていただきたいというふうに思います。

 加藤大臣はこれで結構です。お忙しい中、ありがとうございました。

小野寺委員長 加藤大臣、御退出していただいて結構です。

中曽根委員 最後に、教育について盛山大臣にお伺いをしたいと思います。

 国づくりは人づくりでありまして、教育こそが我が国の未来であることは疑う余地がありません。そして、今後の世界はより複雑化し、予測不可能になるという中で、やはり生き抜く力が必要不可欠となってくると思います。自ら問いを立てて、その解を見つけて、それに向けて行動を移せる、そういった人材をつくっていかなきゃいけない。そういったときに、私の問題意識としては、地方の大学も重要な人材育成の場所だというふうに考えております。

 地方大学において質の高い教育が提供され、地域を担う人材が育つということは、我が国にとって非常に重要ですし、ただ、その地方大学が今非常に厳しい状況に置かれているというふうに認識しています。全私立大学の半数以上が定員割れの状態。特に、地方大学の定員充足率は非常に低くなっております。このまま何もしなければ、地方からどんどん大学がなくなってしまう。

 地方の大学というのは、様々な理由で都市部への進学ができない若者の進学需要というのを支えているわけでありまして、なくなれば、その地域の子供たちが通える大学がなくなってしまうことにもつながります。また、地方大学は、保育職、看護職、また教員など、その地域に必要なエッセンシャルな人材、職業人材を育成しているという側面もあって、そういった人材の供給ができなくなるということも大きな問題であります。また、地方大学というのは、地元への就職を支えているわけで、若者の地元定着に大きく貢献して、地方創生の要にもなっています。

 ここで大臣に伺います。

 この地方大学の存在意義について大臣の見解をお伺いしたいとともに、やはり個々の大学だけでは、もう自助努力だけではなかなか難しくなる局面を迎える中で、地方大学をどのように支援していくのか、お尋ねしたいと思います。

盛山国務大臣 中曽根議員がおっしゃったとおり、地方大学は、その地域における教育研究のみならず、地方創生を担う人材の育成や地域産業の活性化の観点からも重要であり、各大学が強みと特色を生かした教育研究の充実や、地域との連携に取り組むことが必要です。

 こうした観点から、当省におきましては、基盤的経費による支援のほか、地域社会と大学間の連携を通じて地域を牽引する人材育成を実施する地域活性化人材育成事業、そして、地域の高等教育機関や地方公共団体、産業界が地域の将来ビジョン等を恒常的に議論する地域連携プラットフォームの構築の促進などを通じて、地方大学の振興を図ってまいりました。

 加えて、昨年九月に中央教育審議会に対して、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について諮問を行い、高等教育全体の適正な規模を視野に入れた、地域における質の高い高等教育へのアクセス確保の在り方について御議論いただいているところでございます。

 引き続き、地方の高等教育機関が果たす多面的な役割も十分考慮しつつ、質の高い地方大学支援にしっかり取り組んでまいりたいと考えています。

中曽根委員 時間となりましたので、終わります。

 盛山大臣、ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて中曽根君の質疑は終了いたしました。

 次に、金城泰邦君。

金城委員 おはようございます。公明党会派、金城泰邦でございます。

 予算委員会での初めての質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭、能登半島地震においてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。

 初めに、私からは、能登半島地震被災者の避難支援についてお伺いいたします。

 能登半島地震で大きな被害を受けた地域におきましては、住宅の全壊、半壊だけでなく、生活に必要不可欠な水道などのライフラインの復旧が長期化していることもあり、地元を離れ、石川県内外のホテルや旅館に避難されている方が五千名を超えているという現状を伺っております。

 現時点で被災者受入れを表明している自治体はどのくらいの数があるのでしょうか、また、受入れ表明自治体と被災者双方のマッチングの状況はいかがでしょうか、御説明をお願いいたします。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の震災に際しましては、御指摘のとおり、被災者の命と健康を守るために、二次避難の取組を進めているところでございます。現在、五千名を超える方々が二次避難をされておられます。

 石川県外におきましては、避難者の方々の要望や事情に合致した富山県、福井県、岐阜県、愛知県の四県の合計二十八の施設に約四百人が滞在されておられます。

 マッチングにつきましては、まず、石川県が旅行会社に委託をいたしまして、コールセンターを設置しているところでございます。また、発災当初からすれば電話を増設いたしまして、多様なニーズにお応えし、被災者の方々の御希望を確認しながらマッチングを行っているところでございます。

 あわせて、二次避難の移送につきましても、このコールセンターが貸切りバスの手配を行うなど、移動手段の確保も行っております。

 引き続き、県とも緊密に連携を取りながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。退席されても大丈夫ですので、よろしくお願いいたします。

 沖縄県でも、自発的に被災者受入れの取組を実施しております。こちらの被災者受入れ支援では、往復分の航空券と一日三食つきの宿泊施設のメニューとなっておりますが、一県の自発的な取組ということもあり、航空券以外の交通費は支援の対象外になります。可能な限り避難される被災者の皆様の負担を軽減したいと考えているのですが、国の支援による交通費補助が可能となる条件について御説明をお願いいたします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 救助の実施の要請に基づき行われる二次避難につきましては、二次避難先への往復の移動費用を含め、災害救助法の国庫負担の対象となるところでございます。

 具体的には、県外の旅館、ホテルで二次避難される被災者の受入れにつきまして、被災県である石川県の要請を受けた場合には、災害救助法の規定により、救助につき行った応援として支弁した費用を石川県に対して求償することができることとされております。また、国は、石川県が支出した救助費に対しまして支援することとされているところでございます。

小野寺委員長 松村大臣は御退出していただいて結構です。

金城委員 御答弁ありがとうございました。被災地の方々の受入れをしっかりとスムーズに進めていければと思っております。よろしくお願いします。

 次に、岸田総理の施政方針演説にもありました基地負担軽減、普天間飛行場の一日も早い全面返還の取組についてお伺いいたします。

 二〇〇四年八月十三日、米軍普天間基地を飛び立った大型ヘリコプターが訓練中にコントロールを失い、沖縄国際大学一号館に接触し、大学の構内に墜落、炎上するという事故がありました。この沖縄国際大学は私の母校でもありまして、当時、白保台一衆議院議員の秘書をしていた私も、事故発生後すぐに白保議員とともに現場に駆けつけたのでありました。

 この事故により乗員三名が負傷し、幸いにも一号館内にいた大学職員二十数名やほかの民間人に負傷者は出なかったということでありますが、当時、墜落によって折れたヘリのプロペラが付近の住宅の壁を突き破り、道を渡って向かい側のアパートのガラスを割り、そして、そこにいた授乳をしていた母子、乳飲み子の世話をしていた母親の頭上数十センチ上をかすめ飛んで、そして隣の部屋の壁にまで突き刺さっていた、そういう現場を私も見せていただきました。

 そのときに、このようなことは二度と起こってはいけないということを強く感じまして、一日も早い普天間飛行場の移設を実現しなければいけないと決意したものでありました。

 現在、普天間飛行場の返還については、辺野古代替施設への移設が唯一の解決策とされておりますが、依然として沖縄県内ではこの点についての理解が十分に得られていない状況だと私は思っております。

 一九九五年に在沖米軍兵による少女暴行事件が発生し、当時、普天間基地の移設や米軍基地の整理縮小、また日米地位協定の改定など、要求が高まりました。そして、一九九七年、名護市辺野古に移設が固まった。そして、二〇〇四年に沖国大に米軍ヘリの墜落事故が起きました。この際に、二〇〇六年に、二〇一四年までには移転をするというロードマップも決定しております。

 しかしながら、その後、二〇〇九年、鳩山内閣が発足し、第四十五回の衆議院選で最低でも県外と訴えていた総理が誕生し、沖縄県民も多くの期待を持っておりました。しかしながら、その翌年、二〇一〇年、再度、その鳩山政権が発足した民主党の政権で、再び辺野古移設に帰結したという経緯であります。

 改めまして防衛大臣から、唯一の解決策という結論に至った経緯と理由、それぞれについて御答弁をいただきたいと思います。

木原国務大臣 経緯と理由ということでございますが、普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点は、市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の危険性を一日も早く除去することであります。

 一九九六年、平成八年四月、沖縄の皆様の強い要望を踏まえて、当時の橋本龍太郎総理大臣とモンデール駐日米国大使との間で、沖縄県内に代替施設を建設することを前提に全面返還することに合意し、その後、当時の稲嶺沖縄県知事と岸本名護市長の同意を経て、一九九九年、平成十一年十二月、辺野古への移設を閣議決定したところです。

 また、二〇〇六年、平成十八年には、地元の要請を受け、離陸、着陸のいずれの飛行経路も海上になるよう、滑走路の形をV字型とすることで沖縄県、名護市と合意をいたしました。

 なお、二〇〇九年から二〇一〇年にかけては、委員の御指摘があったように、民主党政権において沖縄県外を移設先とする様々な案が検証されたものの、今申し上げたプロセスを経て長年にわたり調整されてきた辺野古への移設が唯一の有効な解決策であるとの認識が再確認されたものと承知しております。

 以上です。

金城委員 その再確認されたということについてですが、なぜ普天間飛行場の辺野古への移設が唯一の解決策なのか、普天間飛行場が果たしてきた役割のうち沖縄以外に移転できるものとできないものもある、そういったものも含めて、誰もが理解できるような分かりやすい説明をお願いしたいと思います。

木原国務大臣 普天間飛行場は主要な三つの機能がございます。一つ目は空中給油機の運用機能、二つ目は緊急時における航空機の受入れ機能、そして三つ目がオスプレイなどの運用機能、この三つと言われております。

 この主要な三つの機能のうち、一つ目の空中給油機の運用機能については、二〇一四年、平成二十六年に、空中給油機十五機全機を山口県の岩国基地へ移駐することができました。また、二つ目の緊急時における航空機の受入れ機能は、福岡県の築城基地と宮崎県の新田原基地へ移すこととしております。その上で、残りの三つ目のオスプレイなどの運用機能、この三つ目の機能のみを辺野古の代替施設に移設することとしております。

 このオスプレイなどの運用機能は米海兵隊の航空部隊に関する機能ですが、米海兵隊が司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性と即応性を有する上でなくてはならないものであります。

 また、沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという利点を有しております。また、南西諸島のほぼ中央にあり、我が国のシーレーンに近いなど、安全保障上極めて重要な位置にございます。

 こうした安全保障上極めて重要な位置にある沖縄を拠点に、優れた機動性や即応性により幅広い任務に対応可能な米海兵隊がそのプレゼンスを維持し、あらゆる事態に対して迅速かつ柔軟な対応を可能とする、このことが日米同盟の抑止力を構成する重要な要素となっています。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえると、沖縄を始め自国を守るためには、日米同盟の抑止力を強化することは喫緊の課題であり、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素である在沖縄海兵隊を含め、在日米軍全体のプレゼンスや抑止力を低下させることはできません。

 このような認識の下で、日米同盟の抑止力と普天間飛行場の危険性を考え合わせ、検討を重ねた結果が、普天間飛行場の主要な三つの機能のうち二つを県外へ、残る一つを辺野古に移し、普天間飛行場を全面返還するという現在の方針でございます。

 政府としては、引き続き、地元の皆様に丁寧な説明を行いながら、辺野古移設に向けた工事を着実に進め、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現してまいります。

 以上です。

金城委員 御説明ありがとうございました。既に訓練機能は移転を始めている、また、今後もその移転を順次進めていく、しかしながら、プレゼンスまた日米同盟の要であるという部分はここに残るという御説明でありました。

 この名護市辺野古の代替施設の建設工事について次にお伺いしたいと思います。

 現在着々と進行している大浦湾一帯の工事に対し、一部の県民から不安の声が上がっております。今後始まる地盤改良工事についても、既にその工法についての説明は尽くされ、過去に同様な工事実績もあると伺っておりますが、改めて、県民の不安を払拭するために、その工事の実行可能性と周辺海域における自然環境の保護、再生のための取組、工期内の工事完了について説明をお願いしたいと思います。

木原国務大臣 普天間飛行場代替施設建設事業におきましては、東京国際空港、羽田や、那覇空港の第二滑走路増設事業など、沖縄県内でも使用されている一般的で施工実績が豊富な工法によって地盤改良工事を行うこととしております。これによって護岸等の十分な安定性を確保することが可能であることを、部外の有識者で構成される技術検討会において確認いただいております。

 本事業の工期につきましては、沖縄防衛局において、技術検討会の助言を得つつ工事計画についてしっかりと検討を行い、地盤改良工事の追加などの見直しを踏まえ、変更後の計画に基づく工事に着手してから工事完了までに九年三か月とお示ししております。

 また、本事業においては、環境保全図書に基づき、部外の有識者から成る環境監視等委員会の指導助言を踏まえつつ様々な環境保全対策を適切に実施しており、例えば、埋立区域内に生息する移植対象サンゴ類を工事施工区域外に移植するとともに、陸上施設で育てたサンゴ類を大浦湾周辺海域に移植するための取組を行っているほか、工事に伴う水の濁りを低減するため、汚濁防止膜を設置するとともに、海中に投入する石材については事前に採石場で洗浄されたものを使用する、そういった対策を実施していると承知しております。

 普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、そして基地負担の軽減を図るために、自然環境や住民の生活環境にも十分に配慮しつつ、辺野古への移設工事について、工事計画の下、全力で取り組んでまいります。

金城委員 続きまして、工法や工期の計画については過去の実績に基づいて定められていることと理解いたしました。県民からは、米軍が普天間飛行場を返還する気はないのではないかという懸念の声も上がっております。

 そこで、改めて確認いたします。普天間飛行場は間違いなく返還されるということでよろしいですね。大臣、御答弁をお願いします。

木原国務大臣 普天間飛行場の返還につきましては、平成二十五年に日米両政府が作成した沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画においても明記されているものであり、普天間飛行場の固定化を避けるために辺野古移設が唯一の解決策である点についても、米側との間で累次にわたり確認をしてきております。

 また、辺野古という移設先も含め、普天間飛行場代替施設に係る現行の計画は、在日米軍の運用をしっかりと踏まえた上で日米両政府間で合意され、現在も実現に向けて綿密に協力しているものであります。

 私も、昨年十月に訪米してオースティン国防長官と日米防衛相会談を行いまして、その際にも、普天間飛行場の辺野古移設を含む米軍再編計画において、今後の着実な進展のため、引き続き日米で緊密に協力していくことを確認してきたところであります。

 防衛省として、辺野古への移設完了後も普天間飛行場が返還されないという状況は全く想定しておりません。引き続き、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、基地負担の軽減を図るために全力で取り組んでまいります。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。大臣はここで御退席されて構いません。

小野寺委員長 木原大臣は御退出いただいて結構です。

金城委員 続きまして、基地負担軽減、普天間飛行場の一日も早い返還に向けては、県民の皆様の理解と協力が重要となります。そのためには、県民の皆様に負担軽減策や移設計画を可能な限り示していただき、それらが確実に遂行されているという実感を持っていただくことが必要であります。特に、県民が期待感や高揚感を持てる普天間飛行場の返還跡地利用の青写真を可能な限り早く示すべきだと考えております。

 普天間飛行場の負担軽減とは、基地機能の移転、縮小だけではなく、跡地利用という未来への希望によって県民の心の負担を軽減する取組と併せて推進されるべきではないでしょうか。普天間飛行場の跡地利用計画策定の進捗状況について御答弁をお願いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 駐留軍用地の跡地利用の促進は、沖縄の振興にとって極めて重要な課題であると認識してございます。

 例えば、経済効果を例に挙げれば、普天間飛行場については、返還後は返還前の約三十二倍となる年間三千八百六十億円もの経済効果が試算されておりまして、大変大きな期待が寄せられているところであります。これは地元の試算で、平成二十七年の試算でございます。

 私自身も、平成二十七年に返還された西普天間住宅地区の跡地を沖縄健康医療拠点として整備している現場を実際に視察をさせていただきましたが、まさに今後の跡地利用のモデルケースとなるようなすばらしい取組でありまして、経済効果はもちろんのこと、地域の医療水準の向上や国際保健への貢献など、多岐にわたる効果を期待できると感じているところであります。

 その上で、お尋ねの普天間飛行場の跡地利用につきましては、昨年度に、沖縄県と宜野湾市におきまして、跡地利用計画の策定に向けた全体計画の中間取りまとめ、第二回が策定されたものと承知しております。大変魅力的な、充実した内容になっている、委員も御言及いただいているとおりであります。

 今後も地元自治体によって跡地利用に向けた検討が進められるものと伺ってございまして、金城委員御指摘のとおり、跡地の有効利用によりまして県民の皆様の豊かな生活環境が創造されるよう、引き続き地元の検討をしっかりと支援するとともに、こうした検討の結果も踏まえまして、さらに必要な支援をしっかりと検討してまいりたいと思います。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。ここで退席されて大丈夫です。

小野寺委員長 自見大臣は御退出いただいて結構です。

金城委員 次に、施政方針演説でも触れられた沖縄経済の強化についてお伺いします。

 岸田政権の最大の使命としている経済の再生、その要となる物価高に負けない賃上げを国民生活において実感してもらうためには、サプライチェーンの裾野が広く、地方での従事者が多い建設業の賃上げ原資の確保が重要だと考えております。

 しかしながら、労務費の原資になる公共工事予定価格の一般管理費等の水準について定める中央公契連モデルの最新版を採用している市区町村は全国で約半数にとどまっております。多くの地方自治体が最新のモデルを採用できていない理由として、逼迫する財政状況に加え、モデル更新に対応する人材不足や、知識、ノウハウの不足などが挙げられると伺っております。

 このままでは、地方の基幹産業でもある建設業の担い手が不足し、地方経済の衰退を招きかねません。賃上げ原資の確保や地方の企業活性化のためにも、是非、国によるオンライン講習会や合同研修会の実施、相談窓口の設置など、市区町村の最新の公契連モデルへの更新を支援する踏み込んだ取組を実施していただけないでしょうか。御答弁をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 適正な施工が通常見込まれないような低価格で公共工事を発注した場合、現場技能者の賃金原資が適正に確保されず、結果として担い手確保が困難になるなど、様々な問題が生ずることとなります。そのため、国土交通省から全国の自治体に対し、入札時に応札者を排除するか否かを判断する基準となる価格について、その算定式を国が作成した最新モデルを踏まえて随時適切に見直すよう繰り返し求めてまいりました。

 しかしながら、市町村によってこうした見直しの徹底の度合いに差が生じており、最新モデルを採用している市町村の割合は、全国では約半数であるのに対し、沖縄県では二割に満たない状況となっております。

 未対応の市町村からは、その理由として、多忙であること、そもそも最新モデルを知らないといった声があることから、国土交通省としては、最新モデルへの改定に関する市町村からの相談窓口を設置するとともに、沖縄県主催の市町村向け研修会に職員を派遣し、最新情報の提供などを行っております。

 今後とも、沖縄県内の市町村が抱える課題に寄り添って、県とも連携しながら、支援を充実させてまいります。

金城委員 ありがとうございます。しっかりと経済の復興に向けて頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、昨年十二月に七十周年を迎えた奄美群島の自立的な発展に向けた奄美群島振興開発特別措置法改正についてお伺いいたします。

 我が党は、平成十四年に奄美ティダ委員会を立ち上げ、これまで、地元の首長の方々との意見交換や現地調査を重ねながら、振興法の延長や改正に群島民の声を反映させてまいりました。国交省を始めとする政府の皆様に御尽力をいただき、ほぼ全ての項目について令和六年の予算案に盛り込んでいただきました。誠にありがとうございます。

 その上で、是非検討していただきたいのが、沖縄、奄美の世界自然遺産を巡るエコ修学旅行プログラムの導入であります。

 令和三年七月には、奄美と徳之島が、絶滅危惧種を含め固有の動植物が多いということで、沖縄県とともに世界自然遺産に登録されました。児童生徒の皆様が、植物多様性が高い奄美、沖縄の自然を肌で感じ、生き物や自然の貴さを体感できるような修学旅行プログラムを検討していただきたいと思っております。

 あわせて、奄美は関空や成田から直行便があると伺っておりますので、この直行便を運航しているLCCと連携し、移住、定住促進を視野に入れた奄美群島観光キャンペーンを展開してはいかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 金城委員御提案のとおり、令和三年に世界自然遺産に登録された奄美と沖縄県を周遊し、自然のすばらしさを体感できる修学旅行は、児童生徒の教育体験のみならず、観光需要の創出や地域活性化、交流の促進など、様々な点において大変意義深いものと考えております。

 国土交通省では、沖縄振興を所管する内閣府とともに、これまで、周遊モデルコースの作成やそのプロモーション、運賃の軽減による支援を行っているところですが、引き続き、地元自治体などの意向も踏まえ、修学旅行も含めたより効果的な支援策の検討を進めてまいります。

 また、奄美群島への移住を促進するためには、委員御提案のLCCと連携した観光キャンペーンも非常に効果的な取組であると考えております。

 国土交通省としては、奄美群島振興交付金を活用し、鹿児島県におけるLCCの運航会社と連携した様々な観光プロモーションへの支援を行っているところですが、引き続き、移住希望者にターゲットを置いたキャンペーンの展開も含め、鹿児島県と検討を進めてまいります。

金城委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて金城君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 まず最初に、内閣官房機密費について質問したいと思います。

 自民党安倍派のパーティーをめぐる事件で裏金づくりが発覚した安倍派五人衆の一人、松野前官房長官が、事実上更迭されるまでの二週間に内閣官房機密費四千六百六十万円を自身に支出していたことを日本共産党のしんぶん赤旗は報道しました。

 これは事実ですか。

村井内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 内閣官房報償費は、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきており、その個別具体的な使途に関するお尋ねについては、お答えを一切差し控えているところであります。

 その上で、お尋ねの支出については、松野前官房長官の判断と責任の下、適正な執行が行われているものと認識をしております。

穀田委員 あれこれ聞いているんじゃないんですよ。事実かと聞いてんねや。

 それじゃ、もう一遍聞きましょう。支出は何にしたか、明らかにできないのか、聞いている。

村井内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますけれども、内閣官房報償費は、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきており、その個別具体的な使途に関するお尋ねについては、お答えを一切差し控えているところであります。

穀田委員 まさに闇金、こういうことを平気でやっている。しかも、事実上更迭されたその後に、まさに追い銭というんですか、そういった形、悪いけれども、事実上そんなのをやっているということでいうと、私はやはり、領収書が不要で、内閣の闇金というものがあるということについて改めて明らかにし、日本共産党はこの問題について一貫して追及してまいりましたが、この問題について取扱いを任せてきた岸田総理大臣の責任も厳しく問われる、このことを言っておきたいと思います。

 次に、陸上自衛隊の幹部による靖国神社への集団参拝について質問します。

 この問題をめぐっては、先月九日、陸上幕僚監部の小林副長ら航空事故調査委員会の所属の幹部が集団で靖国神社を参拝していたことが、翌日の十日付のしんぶん赤旗の報道で明らかになり、防衛省は、宗教施設への部隊参拝を禁じた一九七四年の事務次官通達に違反する疑いがあるとして、木原防衛大臣の指示で事実関係の調査を始めました。

 ところが、防衛省が先月二十六日に公表した調査結果は、参拝を行った二十二名全員が休暇を取得し、玉串料も私費で支払った自由意思に基づく私的参拝だったとし、部隊参拝を禁じた事務次官通達に違反していないと結論づけ、公用車の使用のみを不適切とするものでした。

 そこで、木原大臣の責任の下に公表された調査結果が本当に厳正な調査を経て出されたものか、伺っていきたいと思います。

 小林副長らの参拝は事前に実施計画を作成した上で行われ、それを行政文書として保存していたことが判明しています。皆さんのお手元にこれをお配りしています。私の資料要求に対して防衛省が提出した実施計画のうち、一部です。

 資料の一枚目から三枚目は、実施計画の内容を事前に陸幕長に報告するために出された。昨年の十一月二十八日付及び二十九日付の事前呈覧です。これを見ると、参拝は例年行われ、その目的は、航空事故調査委員会として、陸上自衛隊の航空安全を祈願し、航空事故・不安全事項等の絶無に向けた意識を高揚させるためだとある。つまり、参拝は、委員会の組織として、所属委員の意識を高揚させることに置かれているわけであります。

 資料の四枚目から五枚目、事前呈覧に添付された、今年一月十日付の実施計画の本文の一部であります。これを見ると、参拝の当日、勤務員は〇七四〇に集合完了して幹部を出迎え、全般配置図に従って案内、誘導を行うことなど、事細かに行動が定められています。

 木原大臣、小林副長らの参拝が自由意思で、休暇を取り、玉串料も私費で払ったというけれども、こんな実施計画、これほどの実施計画、見たらもう一目瞭然ですわな。一斉に行動していた事実を見れば、部隊参拝以外の何物でもないじゃありませんか。

木原国務大臣 本年一月九日に、御指摘のように、陸上自衛隊航空事故調査委員長である陸上幕僚副長等が、作成された計画に基づき、公用車を使用して靖国神社を参拝しました。その後の、私の指示の下で調査の結果、今般の参拝については、参加者全員が各々の自由意思に基づく私的参拝と認識した上で、休暇を取得し、玉串料を私費で支払った私的参拝であったということが判明したわけであります。

 陸上幕僚副長等による靖国神社への参拝につきましては、私人としての行動である旨を明示して、航空安全祈願の参拝案内を四十一人に対して行いまして、そのうち二十二名が参加したものです。十九名は不参加の意思表示をしたということであります。参加者は、各々の自由意思に基づく私的参拝と認識した上で、休暇を取得して、玉串料も私費で払っているということです。

穀田委員 要するに、私的参拝だということを何回も強調しているだけですわな。

 それで、航空事故調査委員会という同じ部署に所属するメンバーが示し合わせて集団で参拝した事実を見れば、組織性は否定できません。この文書を見たらよう分かりませんか、誰かて。

 木原大臣は、今、明示しているとか、参拝に十九名が参加しなかったことを自由意思の裏づけのように言われる。それでは聞きますけれども、参拝が行われた当時、自衛隊では非常勤務態勢が発令されていたのではありませんか。

木原国務大臣 陸上幕僚監部等の参拝ということで、もちろん能登半島地震における災害派遣の状況ではありましたが、陸上自衛隊というのはフォースプロバイダーでありまして、いわば今回は統幕が中心となって、JTFという統合任務部隊で組織されておりました。

 その中において、今回の陸海空、それぞれ幕僚監部というものは、まさしくその統合任務部隊に対してフォースプロバイダーとして人員を、自衛官を供給する、そういう役割を果たしていたわけでありまして、実際の司令部というのは統合幕僚監部ということになります。

穀田委員 いろいろ言っているけれども、自衛隊は、当時、能登半島地震の対応で非常勤務態勢が発令されていたわけですやんか。十九名が参加しなかったのはそのためなんですよ。小林副長ら幹部は、そうした非常事態の最中にもかかわらずその参拝を行った。つまり、震災対応より靖国参拝を優先させたということが大事なんですよ。

 防衛省の調査結果は、実施計画について、参拝の案内を目的とする私的文書として作成されたと。さっき、明示とかいう話がありましたよ。しかし、ところが、この事前呈覧を見ると、このどこにも実施計画が私的文書として作成されたとは説明されていないんじゃありませんか。その事実をお認めになりますか。

木原国務大臣 今回の参拝の実施計画でございますけれども、部隊参拝の計画を作成し、その承認を得るためのものというよりも、参拝案内を目的とする私的文書として作成をされたものであります。

 爾後、危機管理のために、参加者の所在場所等を共有する、そういう目的で陸上幕僚監部内に共有されたものであって、その点が、ある意味当該文書は行政文書であるけれども、これが公的なものであったというふうに評価をされるものではありません。

 ちなみに、例えば私が休日に休むということにも、行き先等は、必ずそれは共有することであって、隊員などが例えば旅行、新婚旅行などに行くときも、旅行先などは、しっかりとそこは報告を、そして行政文書の中でそれは管理をするということになっているところであります。(発言する者あり)

穀田委員 分かりやすいなんて、よう言うわ、これを見てそんなこと言えるかいな、案内を目的とするという文書か、これが。冗談じゃないよ。

 今ありましたけれども、陸幕長への報告の目的が参加者の所在場所を共有するためと言うけれども、じゃ、事前呈覧を行う趣旨、そこには、令和六年の、そういう航空安全祈願の実施計画について事前呈覧するものとなっているじゃないですか。だから、木原大臣が言うように、計画の目的が参加者の所在場所等を共有するためというのであれば、趣旨にはそのことが明示されていなければならないんじゃないですか。

木原国務大臣 休暇を取って、そして私的に参拝するといえども、その間、相当な、何人かの方が部署を抜けるわけですから、そういう意味で、申請書にそういったことを添付して、そして行政文書として陸上幕僚監部内で共有するということは、これはある意味自然、我々がいつもやっている危機管理の一環であります。

穀田委員 だから、皆さんにお配りしている文書の中に、趣旨もある、目的もある、そこに何にも書いていないじゃないですか、そんなことを。

 では、伺いたい。

 事前呈覧の一枚目を見ると、令和五年十一月二十八日とある、ここですよね、ここの日付の下の欄が黒塗りされている。同じく、二枚目の書類ですね、令和五年十一月二十九日とある日付の下も黒塗りとなっている。さらに、四枚目の実施計画の表紙に令和六年一月十日とある日付の下の箇所も黒塗りされ、隠されている。この三つの箇所を黒塗りした理由は一体何か。

木原国務大臣 本件は、私的参拝というあくまでも隊員個人の信教の自由に基づく行動に関わるものであるところ、その隊員が何を、どの宗教を信じているかということが特定され得る情報につきましては、憲法第二十条第一項により隊員個人に保障されている信教の自由を侵害するおそれがあることから、こういったことは極めて慎重に取り扱うべきだというふうに考えております。

 このため、資料の提出に当たっては、記載内容を精査した上で、資料を作成した者の所属部署など、参拝した隊員が特定され得るおそれがある情報などを不開示とさせていただいたところであります。

穀田委員 一部報道によれば、実施計画は陸上幕僚監部の装備計画部が関わって作成されたとあります。黒塗りされた三つの箇所には装備計画部といった部署名が記されているのではありませんか。

 黒塗りされた三つの箇所に装備計画部といった部署の名前が記されているとすれば、実施計画は私的文書として作成されたものではなく、航空事故調査委員会の庶務を担当する部署が公務として作成していたことになります。

 木原大臣は黒塗りが外れたものを御覧になっているはずですよね。ですから、そうした記述があるのかないのか、明確に答弁すべきだと思いますが、どうですか。

木原国務大臣 隊員それぞれにも信教の自由があります。したがって、隊員が特定され得る情報につきましては、その信教の自由を侵害するおそれがあることから、極めて慎重に取り扱うべきだ、これが私どもの考えであります。

 その上で、陸上幕僚副長等による参拝については、私人においての行動である旨をもう最初から明示しているわけであります。そして、四十一人に対して案内し、二十二名が参加したと。まさしく各々の自由意思に基づいているということでございますので、今回は適切な判断だったと思っております。

穀田委員 お聞きのとおり、何回も同じことを繰り返していること、分かりますやろ。四十一名の云々かんぬんとかね。部隊名、装備計画部なんか明らかになったからって個人のことが分かるなんということはあり得ないですよ、そんなこと。

 事は、実施計画を私的文書として作成されたとする調査結果の根本に関わる問題であります。黒塗りされた箇所には装備計画部といった部署名が記されているとすれば、小林副長らの参拝は、私的参拝ではなく、まさに航空事故調査委員会の組織として行われたものであり、事務次官通達で禁じた部隊参拝だったことになります。

 しかも、木原大臣は、そのことを知った上で、見てはるのやから、私的参拝だとする調査結果を公表したことになる。防衛大臣としての責任が厳しく問われる問題であります。

 小野寺委員長、私が指摘した三つの箇所の黒塗りを外したものを本委員会に直ちに提出するよう求めます。理事会での協議をお願いします。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

穀田委員 木原大臣は、先月三十日の記者会見で、部隊参拝を禁じた一九七四年の事務次官通達が五十年前の非常に古いものだと強調し、必要に応じて改正を行うべきだと、通達を見直す考えを示された。一体、何をどう見直すというのか。通達の廃止を念頭に置いたものですか。端的にお答えください。

木原国務大臣 今般の陸上幕僚副長等の参拝に関しては、宗教的活動に関する事務次官通達に違反する行為はなかったということを踏まえて、現時点では同通達の改正は行っておりません。

 他方で、宗教的活動に関する事務次官通達というものは、御指摘のように、昭和四十九年に発簡された古いものでありまして、それ以降、最高裁の判決の中で、信教の自由であるとかあるいは政教分離に対して判決が出ております。津の地鎮祭訴訟などもございます。目的効果基準などもそこで示されたものであります。

 そういったこと、判例の積み重ねもあることから、同通達については、その内容を不断に検討し、必要に応じて改正を行うべきものというふうに考えているところであります。

穀田委員 事務次官通達は、当時、自衛隊の靖国や護国神社への公式参拝、殉職者の合祀を自衛隊員の士気にとって不可欠とする動きがある中で、自衛官の合祀拒否訴訟や我が党の東中光雄議員の衆議院内閣委員会での追及を機に出されたものであります。この通達によって、当時の防衛庁・自衛隊は、靖国や護国神社との関係を強化するもくろみを公式には断念せざるを得なかったのであります。こうした歴史的経緯があること、中身を後退させることは断じて許されません。

 元陸幕長の火箱芳文氏は、靖国神社の月刊誌で、将来、国土を守るために戦死する自衛官が生起するかもしれないなどと述べ、「国家の慰霊追悼施設としての靖国神社の復活を願う」という論文を寄稿しています。

 小林副長らの参拝は、こうした戦前回帰を求める動きの中で、靖国神社との関係を組織的に強めようとするものだと言わなければなりません。このような行為を容認した木原大臣の責任は極めて重大だと私は思います。

 そのことを指摘して、終わります。

小野寺委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。

 次に、山岸一生君。

山岸委員 東京都練馬区から参りました、立憲民主党の山岸一生です。

 早速質問に入ってまいります。

 官房長官、今ほどの穀田議員の質問、官房副長官への質疑でございましたけれども、明確な答弁がありませんでした。改めて、林長官、お越しいただいていますので、お聞きをしたいと思います。

 いわゆる官房機密費に関して、松野前長官が、安倍派の裏金問題で更迭をされる直前の時期に、五千万円近くを自らに支出をしていた。先ほど村井副長官からは、その事実関係自体御答弁がありませんでしたが、十二月十四日までの二週間の間に、松野前長官が自らに対して四千六百六十万円を支出をした、これは、長官、お間違いありませんか。

林国務大臣 内閣官房報償費のうち、施策の円滑かつ効果的な推進のため、官房長官の判断により、機動的に使用することが必要な経費である政策推進費は、支出先が一律に官房長官となるものでございまして、昨年十二月、私に引き継がれるまでの間に、四千六百六十万円が使用されたことは事実であります。

山岸委員 その支出、林長官はおかしいとは思わなかったですか。もちろん、これまでも同じようなペースで払っているという話なんだと思うんだけれども、もう裏金問題で渦中の人である松野前長官が、辞めるまでの短期間に、それまでと同じようなペースでお金を使っていく。本来であれば、これは自粛をして、後任に委ねる、こういう判断も当然あるわけで、しかも、年末年始、当然いろいろ物入りだと思うんですよね。

 なぜ、本来、もう足下がたがたな松野長官が同じようなペースでお金を使っていたのか、このことを林長官はおかしいと思いませんか、いかがですか。

林国務大臣 内閣官房報償費でございますが、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきております。その個別具体的な使途に関するお尋ねについては、お答えを一切差し控えてきているところでございます。

山岸委員 紋切り型の答弁ばかりなので聞き方を変えますけれども、林長官、就任されて、金庫を開けてみたら五千万しかなかった。十二月分、一億円ぐらいあるはずなのにな、何でこんなことになっているんだ、おかしいと林長官は思わなかったですか。感想をお聞きしています。

林国務大臣 先ほどの繰り返しになりますが、報償費は、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきておりまして、その個別具体的な使途に関するお尋ねについては、お答えを一切差し控えております。

 仮に、報道が、松野前官房長官個人に支出したかのように受け取られているとすれば、そうした事実はないというふうに申し上げておきたいと思います。

山岸委員 大変残念な御答弁だと思います。

 いわゆる使途が明らかにされないお金に対して国民の非常に厳しい目が注がれている中で、新たに、渦中の人物である松野前長官が、辞任直前に多額の現金を引き出している、そのことに対して後任の林長官も問題意識を持たれていない、このことが今の政権の体質を表しているんじゃないか、このことを指摘をさせていただきたいと思います。

 このことはまた聞いていきますので。ただ、今日は時間がありませんから、次の問題へ入ってまいります。

 まず、自民党の裏金調査。今日、当委員会にお示しをいただけると伺っておりましたけれども、残念ながら、朝の段階では出てまいりませんでした。聞くところでは、お昼になるということで。

 全議員アンケート、八日の木曜日が締切りだったはずですよね。八日に集めたものが、金、土、日、月、火、五日たっても出てこない。これ自体が、私は、もうガバナンスとして大丈夫なのかと指摘をせざるを得ないんだけれども、その上で、これから出てくるこのアンケート自体も、私は非常に内容不十分なのではないかということを指摘をしたいと思います。

 そもそも、質問項目が二つしかないわけです。不記載があったかなかったか、あったとすれば、五年分幾らですか、この二項目だけです。これはもう既に各派閥が公表している数字であって、今国民が知りたいのは、そのことに加えて、じゃ、その裏金を何に使ったのという使い道であって、あるいは、いや、使っていません、残していますというのであれば、それは脱税じゃないのということを国民が知りたいわけであって、使い道や残額、こうしたことを知りたいのに、全く答えていないのがアンケート調査であります。

 官房長官、このアンケート、そもそも内容が不十分ではありませんか、いかがですか。

林国務大臣 官房長官として、自民党によるアンケート調査の手法等についてお答えする立場にはないものと認識をしております。

 その上で申し上げますと、自民党においては、所属全議員を対象としたアンケート調査と並行いたしまして、外部の弁護士も交えた党幹部による関係者への聞き取りを行い、参加いただいた弁護士の先生方による取りまとめを予定しているものと承知をしておりまして、取りまとめが終わりますと、適切に説明されるものと考えております。

山岸委員 今日は総理がいらっしゃらないので、まさに総理の代弁者である官房長官にお聞きをしているわけであります。是非とも、そこは当事者意識を持って御答弁をお願いしたい。

 その上で、幹部の聞き取りの件は後で聞きますので、まず、今、このアンケートについて。このアンケートは、正確に報告をしなかった方には何かペナルティーがあるんでしょうか、ないんでしょうか。

 というのが、この後お聞きしますけれども、今、盛山文科大臣にお越しいただいています。二年前の旧統一教会との関係のアンケートに対して正確にお答えをされなかった、その結果として、今大臣に任命をされて仕事をしている、だったら、アンケートなんて正確に答えない方がいいじゃないか、正直者がばかを見るじゃないか、こういうふうに思う議員がいてもおかしくないわけであって、長官、このアンケートには、何らか不正確な報告をした場合のペナルティーというものはあるんでしょうか。教えてください。

林国務大臣 先ほどの繰り返しになって恐縮でございますが、私の立場、政府の立場として、自民党によるアンケート調査の手法等についてお答えをする立場にはないものと認識をしております。

山岸委員 本当に当事者意識に欠けている姿勢だと残念に思います。

 つまり、ペナルティーはない。ないんですよね。これであれば、議員の皆さんからすれば、正直に答えても損をするだけだから黙っておこう、ばれなきゃいいやと。こういう態度を容認していると言わざるを得ないと思います。

 それをカバーするのが、党幹部の聞き取りをしていますからということを今おっしゃったので、そのこともお聞きしたいんですけれども、第三者が入っていますよ、この聞き取りについては、だから客観性を担保していますよとおっしゃっているんだけれども、本当でしょうか。

 この聞き取り、確認したいんですけれども、じゃ、事務局はどこにあるんですか、弁護士というのはどういう立場の方ですか、政治家は同席しているんですか。これは明確に第三者による調査と、長官、言い切れるんでしょうか。この党幹部による第三者を交えた調査というものの実態を教えてもらえませんか。

林国務大臣 重ねてのお尋ねでございますが、官房長官として、自民党によるアンケート調査の手法等についてはお答えする立場にはないものと認識をしております。

山岸委員 なぜこのことをお聞きしているかと申しますと、第三者委員会、これはやはり非常に厳密な定義があるわけなんですね。単に、打合せの場に弁護士がいればいい、参加していればいいというものではありません。

 日弁連が二〇一〇年にガイドラインを作っております。例えば、企業等と利害関係を有する者は第三者委員会の委員になることができない、こうした決まりがあります。だから、例えば、今長官がおっしゃったような、第三者が入っていますといっても、その弁護士さんが自民党の顧問弁護士ですとか、そういう方であれば、これは第三者委員会としては成立をしない。そういう厳しい決まりがある中にあって、果たしてその基準にかなうものになっているかどうかということをお聞きをしています。

 この後第三者が取りまとめられるというこの報告、それは、きちんとした第三者委員会としての基準に沿ったものになっているのかどうなのか、長官、教えてください。

林国務大臣 同じ答弁になって恐縮でございますが、官房長官としては、自民党によるアンケート調査の手法等についてお答えする立場にはないものと認識をしております。

山岸委員 官房長官には全くお答えいただけないということがはっきりしましたので、総理にしっかりお聞きしていきたいと思います。

 次のテーマに移ります。旧統一教会との関係でございます。

 パネルを御覧ください。

 盛山大臣、この三連休の間に新しい報道がなされました。TBSの報道によると、盛山大臣を支援した旧統一教会の関係者の方が取材に応じていらっしゃって、この間の大臣の発言に、本当に憤りといいますか、そういう感情が湧いてきたのが事実です、この会合の場で、向こうは、向こうはというのは盛山大臣のことですね、お世話になっていますとハグまでしてきましたからねと。

 盛山大臣、この集会の場で統一教会の関係の方とハグをした、これは事実ですか。

盛山国務大臣 これまでに何度も御答弁しているとおり、その会合自体をはっきり覚えておりませんでした。ですから、虚偽の自民党への報告をしたのではないかということについても、虚偽の報告ではありませんし、また、私は昭和二十年代の最後の方の生まれでもございますので、私どもの年代でハグをするというのは、そういうことはまず普通はあり得ない。そしてまた、その方とハグをした、そういうことも私としては全く記憶にありませんし、そういうことをするということ自体が考えられません。

山岸委員 この当時はコロナ禍でございました。大臣もマスクを手に持っていらっしゃる状況です。私も経験いたしましたので、なので、やはりこの頃の身体接触はすごく気を遣ったんですよね、握手をしていいものか、グータッチなのかどうなのか。だから、ハグであれば、それはかなり記憶に残ると思うんですね。ないとはっきり言えますか。

盛山国務大臣 今、山岸委員がおっしゃったとおり、コロナの感染している時期でございましたので、おっしゃるとおり、マスクをちょうど外した写真のようでございますけれども、グータッチや何やを含めて、接触をできるだけ避けていた時期でございます。

 ですから、先ほど私の年代の者が普通ハグをするということはないですよということを申し上げた上で、さらに、そういう時期でもございますので、ハグをした覚えはございません。

山岸委員 大臣、大変よく覚えていらっしゃるじゃないですか、この会合のことを。ハグしたと証言があったけれども、それはしていませんと明快に言えるわけですよね。じゃ、なぜ推薦状のことだけ記憶から抜け落ちてしまうのか。これは本当に、私は、不自然であると言わざるを得ないと思います。

 もう一点。大臣、当委員会において、推薦状、推薦確認書のことは後から否定されているんだけれども、一点、答弁ではっきりおっしゃっていることが実はあるんですね。二月七日、西村智奈美委員との議論でこうおっしゃっています。この集会に出て、そこで、多分最後の方だと思うんですが、急に推薦書の話が出て、そこで、それにサインをしてくれと言われたのかもしれません、こう答弁されています。

 これは、二つのことをおっしゃっています。集会の終わり頃に推薦書の話が出ましたということと、ただ、サインしたかどうかはちょっと自信がないという二つのことをおっしゃっているわけなんだけれども、後半は、後で大臣は全く記憶にないと言い続けていらっしゃいますが、この前半、集会の終わり頃に推薦状の話題が出た、このことは今でも記憶ははっきりしていますか、教えてください。

盛山国務大臣 これまでも御答弁申し上げているとおり、そういう団体の集会ということは存じませんでした。

 地元の方から、集会をするので来てくれと言われて行ったということ。そして、その写真を当日、二月の七日でしたですかね、提示をされましたので、推薦状をもらったのかもしれませんと。そして、そのときに、その協定書ですか、サインをしたのではないかと言われましたので、それはそうだったのかもしれませんが覚えておりませんということは明確に申し上げているつもりでございますので、答弁が曖昧である、ぶれているということではないと思います。

 いずれにせよ、その集会に行ったことすら記憶になかった、写真を見せられて初めて、ああ、そういうこともあったのかもしれませんねというふうに申し上げたということです。

山岸委員 大臣、聞いているのはそこじゃありません。集会の終わり頃にこういう話題が出ましたというその段取り、集会の流れを大臣は明確に答弁されているので、そこの会の終わり頃に推薦書の話があった、そういう段取りであった、流れであったということは今でも記憶ははっきりしていますかとお伺いしています。

盛山国務大臣 それは、ミニ集会を行うので来てくれということで、私の方から簡単な資料を配ってというのは、その資料の写真がほかのパネルであったかと思いますが、それで国政報告をいたしました。それで、帰ろうとしたときにそういうふうになったのではないかと思われるということです。

 とにかく、集会をしてくれ、ミニ集会をしてくれということしか私は言われて、ミニ集会をするから来てくれということで行ったとしか理解しておりません。

山岸委員 大臣、記憶、明快じゃないですか。資料を配って、国政報告をして、帰り際にそういう話が出たかもしれないけれども、どうしたかは覚えていない。これは、大臣、さすがに無理が出てきていると思いますよ。

 大臣は、今朝の閣議後会見で、私の方から選挙応援の依頼をしたという事実はございませんとおっしゃっています。大臣、この際、依頼をしたのがどっちか、言い出したのがどっちかというのは問題じゃないんです。がっつり合意をして応援をもらっていれば、言い出したのが旧統一教会側であろうが大臣からお願いしたのであろうが、それは外形的には同じなんです。

 旧統一教会側から応援を受けて選挙を戦った、この事実をもうそろそろお認めになるべきではありませんか。いかがですか。

盛山国務大臣 何度も申し上げているとおり、選挙の時期に、急に地元の有権者から、集会をするから来るようにと言われて伺ったということだけでありまして、旧統一教会の方に対して、何をしてくれということをこちらの方から言ったことはございません。

 それで、その場で申し上げたのは、これも申し上げているとおり、どういう会合に行きましても、皆様の御意見はしっかり受け止めましたということ、そして私もしっかり頑張りますということを申し上げているだけでございまして、私自身が昨年十月十三日に旧統一教会の解散命令請求を行っているわけでございますので、そういうことをしていないというのは明白でありますし、そしてまた、旧統一教会の被害者の救済法その他についてしっかり粛々と対応し、被害者の救済をしていることが明確ではないかと思います。

山岸委員 盛山大臣がそこまで自信を持っておっしゃるので、この解散命令請求のことをお聞きしたいと思います。

 解散命令請求は、昨年十月十二日に決定し、十三日に請求しました。一方、盛山大臣の就任は九月の十三日、ちょうど一か月前ですね。その前任の永岡大臣の下で様々な作業が進んだかとは思うんですけれども、九月に就任して間もない盛山大臣が一体どの程度胸を張って言えるほどの意思決定に関わっていたのか。

 大臣、この解散命令請求に関わるレクというのは何回、何月何日に受けましたか、教えてください。

盛山国務大臣 個別具体の回数等は控えさせていただきますが、そういう時期でございました。九月の十三日に私は内閣改造で就任をいたしましたので、その直後より、文化庁より解散命令請求に関しまして連日のように説明を受けていたと記憶しております。

山岸委員 大臣はそのレクにおいてどのようなコメントをしたか、御記憶はありますか。進めるべきだ、あるいは、ここをもう一回調べ直した方がいい、どういうふうなコメントをされましたか。

盛山国務大臣 行政内部の意思形成過程に係るものであるから、明確なお答えは差し控えるべきだと考えますけれども、一般論として申しますと、文化庁に対しましては、旧統一教会の活動に係る十分な実態把握、そして具体的な証拠の積み上げ、そして関係法令に基づく適切な対応を行う、こういった三点について文化庁とやり取りをしたと記憶しております。

山岸委員 私は驚きました。実は、盛山大臣から、いや、実は最終的に報告をもらって判こを押しただけですという答えだったらまだいいと思っていたんです、関わっていないから、実態的に。でも、連日のように報告を受けてコメントをしていた。統一教会系から応援をもらっていた大臣が意思決定に関与をしていたとなれば、そこにどのような配慮があったか、忖度があったか、手心があったか、これこそが私は政策をゆがめた可能性が極めて強いと言わざるを得ない。

 むしろ、今の御答弁で、大臣がこの問題にこれ以上関わり続けることの危険性が明らかになった。改めて辞任を求めたいと思います。

 長官と大臣、こちらまでで結構です。ありがとうございます。

小野寺委員長 林長官、盛山大臣はここで御退出していただいて結構です。

山岸委員 続けて、残った時間で、少し総務大臣と政治資金規正法の解釈に関して議論をさせていただきたいと思います。

 規正法の十七条二項に、こういう規定があります。政治資金収支報告書を二年以上連続して提出をしない政治団体は、もうそれ以降、寄附や支出ができない、つまりお金を伴う活動ができない、こういう規定がございます。

 この間議論してきているように、この裏金問題で報告書を訂正したという政治団体、もう不明、不明、不明、不明のオンパレード、こういうことをこの間議論をしてきております。私の問題意識は、この全額不明になっている報告書を出している団体というのは、事実上、この十七条二項が当てはまるような状況にあるんじゃないだろうかということを考えているんです。

 まず、総務大臣、報告書を二年以上提出しない、提出をしないということの定義の中にこういうものは含まれるのか。全額不明で出しています、中身は全く分かりませんけれども一応報告書は出しています、こういう団体も報告書を提出しないというふうにみなすことができるんじゃないかと思うんですけれども、この解釈、いかがですか。

松本国務大臣 委員御指摘のとおり、政治資金規正法第十七条二項の規定におきましては、収支報告書を提出期限までに提出せず、かつ当該提出期限までに前年分の収支報告書をも提出していない場合には、当該提出期限を経過した日以降は政治団体の設立届けをしていないものとみなされ、政治活動のために、いかなる名義をもってするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができないこととなると規定をされているところでございます。

 委員も御案内のとおりかと思いますが、政治活動の自由ということの重要性に鑑みれば、政治活動、政治資金に関する取扱いについて、制度において行政府の権限に裁量をどのぐらい認めるかという点で慎重であるべきとの考え方が、立憲国家、民主主義国家、法治国家の基本理念にかなうものではないかというふうに理解をいたしているところでございます。

 そのような考え方に基づいて私どもとしても解釈をしていかなければならないと思っておりますが、その意味では、提出しないというのは、届けが提出されているか、いないかという文字どおりの意味でございます。

 何らかの事情によりまして正確に記載することが政治団体側でできない場合に、記載できない項目について不明と記載された収支報告書の提出や修正、訂正があったとしても、そのような場合に収支報告書を提出しないこととする旨の規定がございませんので、そのような提出や訂正があった場合に実務上受け付けない取扱いとはしていないというところでございます。

 その上で、御案内のとおり、収支報告書に故意又は重過失によって不記載、虚偽の記載があった場合は罰則規定があることも御案内のとおりでございまして、当初の報告書、そしてまた修正又は訂正による報告で記載されたものも報告書でございますので、私どもとしては、事実に基づいての報告、修正を受け付けているというふうに理解をいたしております。

 先ほど申しましたように、政治資金規正法上、総務大臣また都道府県の選挙管理委員会に与えられている権限がいわゆる形式的審査権のみとなっているということを、今御説明申し上げたとおりでございます。

山岸委員 今、コメンタールを読んでもらっただけなんですけれども、その法の趣旨、立法の趣旨を私はお聞きしたいんです。

 この十七条二項の趣旨というのは、二年以上にわたってお金の報告を適正にできない団体というのは政治資金を扱わせる資格がない、だから、もうそれ以上支出も寄附も受けてはいけない、こういう規定なわけです。

 この法の趣旨に鑑みれば、二年も三年も平気で不明、不明、不明、もう収入も支出も分からない、繰越金も分からない、こういうふうに報告をしている団体というのは、もう政治団体としての活動を、いわゆる特権を与えるべきではないというのが法の趣旨ではないんですか。

 この趣旨に鑑みれば、少なくとも、現時点、全額不明で出しているような団体というのは、今度、期限が、五月三十一日が提出期限になりますよね、このときまでに訂正されていなければ、少なくともこの六月一日からは政治団体としての支出や寄附を受けることができない団体としてみなす、それこそがこの法の求める趣旨ではないかと思いますけれども、大臣の見解を求めます。

松本国務大臣 先ほど申し上げましたように、私どもとしては、政治資金規正法上の規定に基づいて解釈をさせていただき、これを運用させていただくのが務めであり、また、政治資金規正法の趣旨としましては、それぞれの政治団体側において報告をいただいたものを公開をすることで国民の監視下に置く、このようなことが私どもの役割であるというふうに理解をしているところでございます。

 今お話がありましたように、政治資金収支報告書の内容をもってどのように解するかということについて、規定がないところに関して私どもが解釈をするものではないというふうに理解をしていることを、先ほど行政府の立場で申し上げさせていただきました。

山岸委員 時間ですけれども、政治資金のこの裏金隠蔽団体に政治活動の資格なしということを申し上げて、終わります。

 松村大臣、失礼しました。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて山岸君の質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党、森山浩行でございます。

 この予算委員会、権不十年という言葉があります。権力は十年たつと腐敗するということで、自公政権ができてから十二年目でございます。本当に、政治と金の問題でこのような時間を費やさなければならない、また、問われていることに答えないというような状況については、猛烈に反省をしていただきたいと思いますし、この時間を返していただきたいというふうにも思っています。

 私の方からは、まずは能登半島地震の震災対策についてお伺いいたします。

 まずは、亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、被災者の皆様にお見舞いを申し上げ、また、警察、消防、自衛隊、水道、下水道、罹災証明や避難所運営のための自治体の職員の皆さん、インフラ復旧あるいは避難所運営をされている官民またNPOの皆さん、被災者に加えて復興に携わっていらっしゃる皆様にも感謝を申し上げたいと思いますし、政府からも、この間、いろいろなところで言っていただいていますけれども、この感謝を、抜けているところがないように、しっかりとお伝えいただければというふうに思います。

 さて、私自身も、一日十六時十五分、党の災害・緊急事態局長という役職をしておりますので、すぐに党本部に参りまして、内閣府防災と連携しながら災害対策本部の立ち上げに携わりました。そこから三日間東京におったわけですけれども、二日の官房長官の記者会見の中で、危機管理監が入院されている、不在だということに関して答えを濁される場面がありました。後ほど入院の事実が伝えられたわけでありますけれども、そういう重要な情報について、当然、各省庁の防災担当部門、危機管理担当部門の皆さんにはお伝えしなきゃいけないし、また、マスコミに聞かれたときに濁すということで、意思決定がそれまでにできていなかったのではないかというふうにも感じたわけですけれども、長官、これはどのような形で情報共有をされておりましたか。

林国務大臣 村田内閣危機管理監でございますが、体調不良のため昨年十二月二十六日から入院しておりましたが、総理や私にはその旨が報告をされていたところでございます。

 村田内閣危機管理監の入院につきましては、個人の疾病に関わることでプライバシーに配慮する必要があったこと、入院中の事態発生に備えてあらかじめ事態対処・危機管理担当の鈴木副長官補が万全の態勢で準備をしていたこと、そして、事態発生時には、事態に応じ官邸対策室等を設置し、関係省庁からの情報を集約する体制が確立されていることから、関係省庁の危機管理担当には伝達していなかったところでありまして、今般の令和六年能登半島地震に際し、政府の危機管理体制に問題があったとは考えておらないところでございます。

森山(浩)委員 問題があったかなかったかというところでいうと、たまたま非常に大きな地震であったので危機管理室に皆さんが集まったわけですね。だから、もしもう少し小さい地震の場合には危機管理監が指揮をしなきゃいけないんだけれども、そこに情報を集めるということを各省庁が知らなければ探さなきゃいけない。副長官補だよということを知らない状態でいた。官房長官は知っておられたということですけれども、各担当に、あるいはマスコミの取材なんかも含めて、危機管理監はいないよという状況が明らかではなかったということは問題ではないかと思いますが、その辺りは今後改めるべきではありませんか。

林国務大臣 村田内閣危機管理監が体調不良のため入院したと入院直後に報告を受けておりました。先ほども申し上げましたが、入院中の事態発生に備えまして事態対処・危機管理担当の鈴木副長官補が万全の態勢で準備するというふうになっておりましたので、問題があったとは考えておらない。先ほど御答弁したとおりでございます。

森山(浩)委員 それで、マスコミに聞かれたときに言葉を濁すということになると、一体何があったのか、突然何かあったんじゃないのかというようなことに、一瞬ざわめく場面もありました。国民の皆さんの安心をしっかり確保するという立場から、少なくとも、事態が起こったときには、速やかにその内容を、何の病気であるかというのは別にいいのかもしれないけれども、こういう状況にあるよということが伝わるようにしていただきたいと思います。

 さらに、正月三が日であったということで、私自身も各所に連絡をする中で、民間の団体なので正月三が日は連絡がつかないんですというところも少なくありませんでした。阪神大震災以来、我が国の防災体制は非常に整ってきておるんですけれども、正月にこのような地震が起こるということに関しては、いわゆる官の部分に関しては担当者が詰めていただくことが随分できているわけですけれども、社会全体というところでいくと、もう少し皆さんに意識していただく必要があるのではないかなと感じた次第です。

 長官自身は、何か感じられたり、あるいは今後呼びかけていこうというお考えはありますか。

林国務大臣 今の御質問にお答えする前に、先ほどの御指摘はしっかり受け止めて、今後の対応に生かしてまいりたいと思っております。

 今お話がありましたように、元日の発災であるがゆえに、被災者の皆さんが直面した困難には様々なものがあったのではないかと思っております。例えば、冬休みですので、能登地方に帰省されていて被災された方々もいらっしゃったと聞いておりまして、例えば備蓄品の在り方ですとか被災者の把握方法にも課題があることが明らかになった、こういうふうに認識しております。

 また、企業の防災、事業継続能力の向上は大変重要であると認識しております。こうした震災の経験も踏まえて、企業の防災、事業継続能力の向上に向けて経済団体、業界団体等とも連携してまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 本当に各省でいろいろなことがあったかと思います。しっかり聞き取りをしていただいて、特に正月三が日というような特殊な事情でありましたので、今後に生かしていただきたい初動についての部分でございました。

 さらに、外国からの支援のお申出を断りながらという形で、在日米軍については派遣のお願いをしたということでありますけれども、在日米軍の災害派遣の根拠、それから今回の実態についてお知らせ願います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍による今般の支援でございますが、一月十七日、それから十九日に、回転翼機によりまして、航空自衛隊小松基地から能登空港の間で、食料や飲料、それから生活用品等の被災者支援物資の輸送を実施いたしました。

 当時、自衛隊につきましては、主に回転翼機による二次避難者の輸送に全力を挙げておりまして、この任務における自衛隊の所要というものが大幅に増加していたことから、自衛隊が実施してきたこうした輸送を滞りなく継続するため、我が国が在日米軍に対して輸送支援を要請したところでございます。

 御指摘の根拠でございますけれども、基本的には、我が国におきましては、日米防衛協力のための指針においても、米国は日本の災害救援活動に対する適切な支援を行うこととされておりまして、日米両政府はこれまでも災害発生時に緊密に協力している、こういったことでございます。

森山(浩)委員 法的というよりは、ガイドライン級の中での具体的な話ということでございます。

 日本も、いろいろな災害があったときには派遣しています。たくさんのお申出があったという中で今回はお断りが多かったわけですけれども、せっかくのお申出ですから、できるだけ受けるというような形で、お互いの協力というのが有事のときには大事だと思うんですが、長官、その辺は工夫していただけますか。

林国務大臣 御通告がなかった御質問ですが、なるべく、そうした行為、ほかの国でいろいろな災害があったときはこちらも支援をするし、先方からお申出があったときはありがたく支援を受けるということは大事なことであると思います。

 今回も、初動においては、たしか、支援金についてはお受けしていこう、こういうことであったと思いますが、実際に何か活動していただくということになりますと、ああいう状況で、中に入っていくところは、まずは初動は自衛隊等を中心にということでございましたので、そういう時期があってくればという思いもあって今回のような対応になった、こういうふうに思い出しております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 さて、災害関連死についてです。

 温かい御飯、お風呂、そして寝床、これを被災者全員に行き届かせるまでは緊急事態が継続していると私は認識しています。薬不足による持病の悪化、あるいは、空調の利かない体育館の寒い中での風邪や肺炎の悪化、また、感染症、コロナやインフルエンザといったリスク、また、体育館の床に寝て、エコノミー症候群を始めとする血栓のリスクなどもあります。

 熊本地震では直接死の四倍の皆さんが亡くなったということでありますけれども、発災一か月後の熊本と能登半島の直接死と災害関連死の疑い、この人数についてお知らせください。

松村国務大臣 まず、平成二十八年の熊本地震におきましては、熊本県内の死者二百七十三名のうち、約八割に当たる二百十八名が災害関連死でお亡くなりになられております。このうち、百二十四名の方が一か月以内に亡くなっておられます。今回の能登半島地震では、石川県によれば、災害関連死と思われる死者数は、発災後一か月の二月一日時点で、死者二百四十名のうち十五名ということでございます。

 私どもも、災害関連死を防止するために、これまで、段ボールベッド、仮設トイレ、暖房器具、車中泊が予測されましたので弾性ストッキングなど、避難所の良好な生活環境の確保と避難者の健康を守るために、機材、物資等をプッシュ型で支援してきたところでございます。

 また、被災者の命と健康を守るために、DHEAT、保健師の皆さん方、またDMAT等が連携いたしまして避難所の衛生管理や避難者の健康管理等にも取り組んでいるほか、地域外の環境の整った旅館、ホテルへの二次避難の取組も進めておりまして、現在、五千名を超える方々に利用していただいております。

 加えて、被災地におきまして、自宅などの避難所以外で避難をなさっておられる方々については、自治体の職員や保健師、NPO等の様々な主体が訪問いたしまして、健康状態の把握など、また、こちらの情報提供などに努めているところでございます。

 引き続き、関連死を防ぐための取組を全力でやってまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 いまだに一万三千人余りの皆さんが避難中という状況にあります。自宅にいたけれども二次避難所に行かれている方もいるというような状況です。何とか一刻も早く暖かい場所へ移っていただくために、感情的なものも含めて、障害となっているものを取り除いていくことに全力を挙げていただきたいと思います。

 インフラ再建です。

 国からの応急復旧それから本格復旧における今回の権限代行のスタートについてお尋ねします。

斉藤(鉄)国務大臣 権限代行についての御質問でございます。

 まず、緊急を要する道路について、これを例にしてお話しさせていただきたいと思います。

 今回の場合、発災直後から幹線道路について国が自治体に代わって緊急復旧作業を行い、発災翌日には七尾市から輪島市、珠洲市などへの通行を確保し、約二週間後の一月十五日時点では約九割の緊急復旧が完了し、当面の輸送ルートを確保したところです。緊急復旧については国も県もない、全力でやるということでございます。

 これらの緊急復旧は、甚大な被害がある中、障害物除去や段差解消など、まず最低限の通行の確保を優先するものであり、その後決定した委員御指摘の権限代行は、この緊急復旧の次の段階、本格復旧を国が自治体に代わって行うものでございます。

 道路の権限代行については、石川県知事からの一月十七日の要望を踏まえ、能越自動車道の石川県管理区間などについて、所要の手続を経て一月二十三日に決定したものです。

 国土交通省としましては、新たに設置する能登復興事務所を中心に、県などと連携しながら、道路に限らず、被災地のインフラの早期復旧復興に向けて、権限代行などを行いながら全力で取り組んでいきたいと思います。

森山(浩)委員 直後から、地元の市長さん、町長さん、いわゆる自治体の長さんの方からは、権限代行をやってくれるんだろうかという不安があって、どこまでの復旧をやったらいいのかなという声もありました。県がまとめてということで十七日、二十三日という数字になっていますので、これは早めに、権限代行をやるよという安心感を得てもらうような形で今後取り組んでいただければと思います。

 さらに、今回の罹災では、全国の自治体から消防、警察、水道などの現場の作業に当たる専門職員が集結していただいています。特に、今回は水道の被害が大きくて、派遣元の自治体の現場の人員が逼迫するというような状況も仄聞しています。あるいは、罹災証明や避難所運営などに当たる事務職員の応援についても今後の長期化が予測されるところでもあります。

 以前、大阪北部地震において、大都市間の通勤途上の、京都と大阪の間の小規模自治体、いわゆる島本町であるとか大山崎町という町が間に挟まっているわけですけれども、避難計画では、町民のための施設はある、町民のための計画はあるんだけれども、電車一本分の人が泊まることは前提とされていなかったということがありました。

 行政改革でどんどん自治体職員数を削減する中で、悪影響がないようにしていただきたいと思いますが、総務大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 委員御案内のとおり、大規模な災害では、大量の災害対応業務が発生いたしますので、被災した自治体単独での対応はなかなか難しく、多くの応援職員が被災団体に入って対応しておりまして、これまでの災害でも、全国の自治体間のいわば助け合いという形で被災自治体への応援が進められてきておるわけですけれども、総務省でも、これまでも携わってまいりましたけれども、御承知のとおり、平成三十年に応援対策職員派遣制度というのを構築してさせていただいております。今回の能登半島地震におきましても、発災直後から、災害マネジメントを支援する総括支援チームを先駆けに、現在、千二百名程度の応援職員に現地で活動していただいております。

 委員からもございましたが、元旦ということで、私もあれでしたが、元旦当日から、現地に赴こうと動き出すことも含め、総務省の職員も使命感を持って対応してくれたことは大変心強く思っておるところでございます。

 今、自治体の職員のいわば人数のお話であったかと思います。過去三十年ということでは、自治体の職員は減ってきて、平成六年をピークに減少してきているところでありますけれども、直近は事務職員も増加してきているところであります。

 自治体の職員の定数ということでは、自治体としては、住民の方々に行政サービスを適切、十分に届けることが使命でございまして、それに必要な公務員の定員を、お世話いただく公務員の定員を確保しなければならないところでありますが、公務員の処遇などの財政も住民の負担になることから、各自治体において定員は適切に管理をいただいているものと思っております。

 そういった中で、これまで職員数が抑制されてきたときでも、例えば防災対策に関わる職員などは大幅に増加してきておりまして、行政需要の変化に対応した必要な人員配置は行っておられるというふうに思っております。

 これまでも、様々、私どもとしても、自治体の職員の処遇そして待遇に関しては、適正な処遇の確保、改善などを措置させていただいてきておりまして、自治体の定員に関しても、自治体の皆様のニーズに応えて、自治体の行財政運営をサポートする立場からしっかりお支えしていきたいと思っております。

森山(浩)委員 ですから、ふだんの行政に必要な十分な人数だけでは足りないのだという意識を持っていただきたい。特に、南海トラフという話になると、太平洋岸が全部いかれるかもしれないような状況です。大都市が軒並みやられることも含めて考えると、自分のところだけでいいのだということではない。人員管理については工夫をいただきたいと思います。

 ボランティアセンターです。

 先週の段階で石川県のボランティアセンターに二万人以上の登録があるけれども、一%の人たちも現地に派遣できていない。このままだと、いわゆるボランティア足止めセンターになるのではないかという悲鳴に近いようなお話もありました。この週末は随分入っていただいたような報道にもなっていますけれども、現在の状況及び今後の体制についてお知らせください。

松村国務大臣 先生御指摘のとおり、ボランティアの活動は、一般ボランティアの方々が、交通あるいは地形的な問題で、それぞれの自治体に入るのが少し遅れていると認識いたしております。

 その上で、今回の地震については、豊富な経験を有する百十を超える専門ボランティアの団体が発災直後から現地に入っていただきまして活動いただいております。

 また、こういったものを調整いただくために、一月二日にJVOADという中間支援組織の方々にも県に入っていただいて調整係をやっていただき、国と県とボランティアの方々との連携の窓口として活躍いただいているところでございます。

 また、一般ボランティアに関しましては、石川県は既に二万三千人が登録されておりまして、一月二十七日から奥能登地域への派遣が順次開始されております。現在までに約千二百名の方に災害ごみの片づけや運搬、物資の仕分等の作業を行っていただいているところでございます。

 一方で、特に輪島市におきましては二月十日にようやくボランティアの受入れが始まったところであり、各市町においてニーズ調査の状況を踏まえながら徐々に受け入れているものと承知しているところでございます。

 私も土曜日にまた現場に入ってまいりまして知事とも打合せをしてまいりましたが、今回の地形的な問題を考えると、支援者の方々の宿泊拠点、こういったものを検討する必要があるというようなことを打合せをしてきたところでございます。

 更に復旧が加速しますように、全力で取り組んでまいります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 自立型のボランティアの組織もある、また、最初に来るなというような余りにも強い発信があったことがこれにつながっているかと思います。また、今もありましたボランティアセンターに登録の方の一割にも満たない方しか現地に入れていないという状況ですので、是非頑張っていただきたいと思います。

 なりわい再建支援事業については、十五億までということであります。歴史的な木造や石造りの建造物、登録文化財などを使った商売、商店を営んでこられたケースもあります。半分壊れているんだけれども、壊してしまうのがいいのか、それとも、この木材なり石をもう一回使うのかということで非常に困っておられました。早めにこれを対応していただけるように、まずお知らせをいただくようにお願いしたいと思います。

 さて、大阪・関西万博です。

 二〇〇五年の愛知万博につきましては、一千八百億に膨れ上がった予算を一千二百億までに縮小した上で開催し、全体として、最終、できることができました。

 身を切る改革の何倍もの無駄遣いになるということで、十二月六日、私が筆頭者として提出した万博予算の全体像を求める予備的調査は、震災を理由に開会に間に合わずに、十日遅れて二月六日に回答がありました。その間に地震がありました。万博より被災地という世論が高まっています。

 これについては、人、物、金をしっかりと被災地に送ることがまず先であろうということでありますけれども、今の段階で今後どうすればいいのかということで、もちろん、大幅な予算の縮小というような形、元の形に戻していくというようなことはひとつ提案をいただきたいと思うわけですけれども、本当にこれでできるのかどうかというところでいうと、中止あるいは延期の場合にBIEに手続が要ると思うんです、あるいは違約金のようなものが要るのではないかと思いますが、これについて、一年前である四月の前後に分けて御説明ください。

齋藤(健)国務大臣 まず、政府としては、能登半島地震への対応は最優先で取り組むということであります。この点は強調しておきたいと思います。

 手続についての御質問ですが、まず、中止につきましては、特段定められたものはありませんが、恐らく、一定の場合を除いて補償を要することにはなるんだろうというふうに思います。また、延期ですとか期間の縮小につきましては、国際博覧会条約によりますと、万博の開催期間の変更に関しましてはBIEの同意を得る必要がありまして、具体的には、BIE総会におきまして、出席しかつ投票権を有する代表団の三分の二以上の多数による議決により承認される必要があるということであります。

森山(浩)委員 数字への言及がありませんでした。

 予備的調査において、とにかく全体像を示せという部分が、令和六年度分が入っていないなどの、まだ十分ではない資料しか出てきていません。ちょっと驚くべきことですけれども、全体像はまだ見えていません。さらに、出た直後に二億円の上振れが発表されています。こういったことも含めて、やはりきちんと提案をし直していただきたいと思います。

 以上で終わります。

小野寺委員長 これにて森山君の質疑は終了いたしました。

 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田でございます。よろしくお願いいたします。

 まず最初にお断りしておきたいと思うんですが、たまにちょっとせき込むことがあるんですが、季節のものですので、陰性確認は取っておりますので、周辺の皆様、よろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきますが、教育と介護の問題について議論を進めさせていただければなというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 いろいろと日本を取り巻く経済的なニュースを見ておりますと、なかなか明るい気持ちになれないニュースが多くございまして、一つの象徴的な例としては、GDPの大きさが世界の第四番目に転落してしまう、こういう数字もありますし、また、ほかの指標を取ってみても、かつてバブルの頃は一人当たりのGDPも世界の第二位であった我が国でございますけれども、これが三十位に転落し、また、競争力もかつて一位だったものが三十五位に転落してしまう、こういうことがございます。

 直近でやれることは本当にいろいろ政府の方でも考えていただいて手を尽くしている、あるいはこれからやろうとしていることはたくさんあると思いますけれども、中長期で考えますと、私たちの国の現状をいかにして前に強力に進めていけるか、しかも明るい未来を私たち自身の手で切り開いていけるかということを考えますと、人材をどうやって育てていくかということが非常に重要なテーマになっていくんだろうというふうに考えております。

 一つはこういった経済的な背景もあり、もう一つの負の面を考えますと、今、不登校の方が全国で三十万人いるということも出てきております。不登校からの延長という考え方もできると思いますが、いわゆる引きこもりと言われている方、くくられている方が推計ですけれども百五十万人ぐらいいらっしゃるということで、こういった方たちがいかに表に出て、表に出なくてもいいですが、とにかく持っている力を発揮してそれぞれの力を世の中のために生かしていただく、誰かのためにその力を使っていただくことができれば、今、人口が減る、子供が減ると言われている中でも、まだまだ私たちがやれることはたくさんあるんじゃないかなということを思っているわけでございます。

 そもそも、振り返って考えてみますと、明治のときに、いわゆる近代国家を建設していこうという中で、近代教育というものを組み立てる。そこで要請されているのは、画一的な、均一な労働力、ある程度の力を持った、能力を備えた労働力をいかにして世に送り出していけるかというのが近代国家の中での要請であったということが言えますが、例えば、五十年後、私たちの国がどういう主要産業で成り立っているのか。農業とか製造業はある程度動かせない部分もあるとは思いますけれども、例えば、五十年前に主要産業で就職ランキングの上の方に出ていた会社がどういう業種だったかといえば、ちょっと前は、戦後間もなくであれば鉄鋼とか造船とか、こういうことだったかもしれないし、そのちょっと後にいけば化学とか、こういったもうちょっと工業化が進んだ段階での業種だったかもしれないし、今はITとか、こういったとにかく先の読めないことがたくさんある中で、私たちが人材に将来を託して、どの分野が生きるか分からないけれども、あなたたちの力を是非この世の中のために、日本のために使ってください、生かしてくださいと言えるような教育をいかにして実現できるかというのは非常に大事なことだと思っています。

 大臣は教育の分野に関しても非常に強い信念をお持ちだと思いますので、盛山大臣から、広く捉えた中での教育の在り方というものを是非披露していただければと思います。大臣、よろしくお願いします。

盛山国務大臣 森田委員の問題意識に基づいた御質問、誠にありがとうございます。

 すぐに役に立つことはすぐに役に立たなくなるという言葉もございます。先ほど委員がおっしゃったように、五十年前に一番の人気だったところは今は見る影もなくなっている、こういうものなのかもしれませんが、これが時代の流れ、そのときの勢いの変化ということじゃないかと思います。そういうことも踏まえて、教育というのは国家や社会の礎、そして発展の原動力でございます。先生がおっしゃるとおり、まさに我が国の将来を見据えた国家百年の計ということになるのではないかと思います。

 そして、教育の発展には、いわゆる不易流行という言葉がございますけれども、不易と流行の両方が大事だと思います。つまり、教育基本法の理念などの教育の不易、これを普遍的な使命としつつ、社会や時代の変化も踏まえた流行、こういったものに対応していくことが重要だと考えます。

 他方、昨年六月でございますが、閣議決定をいたしました第四期教育振興基本計画では、二〇四〇年以降の社会を見据えた持続可能な社会のつくり手の育成を掲げております。グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成、そして、誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進、そして、教育DXの推進、こういったことを基本的な方針とし、社会の変化等に対応して必要な施策を着実に推進していくこととしております。

 文部科学省としては、子供たちが今後の社会の変化を乗り越え、そして豊かな人生を切り開くことができるよう、引き続き教育施策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

森田委員 例えば、経済のために教育をするわけではないんですけれども、経済も非常に大事な指標にはなってくると思っています。

 そういう中で、御自身で会社を経営されて、大谷さんという、タカラ物流システムというところの元社長さんがこんな例えを言っていました。

 自分で思いを持って仕事を一生懸命やってやろうという人間は普通の人間の一・二倍の働きをする。逆に、やったふりというか、言われたことだけやっている人間は、大体〇・七、三割減の働きしかしないということになってくる。これを三百人の企業に例えてみると、一生懸命やる社員がそろっている会社は三百六十人ぐらいの労働力に相当し、適当にやっている方たちがそろっている企業は二百十人ぐらい。この差引きを見ると、それだけでも百五十人ぐらいの差が出てくるということであります。

 これは一つの例えですから、これが全てではありませんが、要するに、先ほど、意欲を持ってというお話も出していただきましたが、勉強も、自分で意欲を持ってやろうというときと、適当にやっておけという勉強では、全く質も違うし、学べる量も違ってくるんだろうと思います。

 そういうことを考えますと、私たち人間というのは、一人一人違った個性を持って、特性を持ってこの世の中に生まれてきているわけでございまして、その特性をいかに見出して伸ばしていけるかということを考えるのが私たちのこれからの教育のすごく大事な部分ではないかなと思っております。

 どちらかというと、これまでは均一の中で、いわゆる八十点主義みたいな形で、ちょっと脇にそれよう、あるいは抜けようと思えば、そこを抑えてきた、あるいは、どちらかというと排除してきた、こういうこともあったと思うんですが、これを、一人一人どんな能力が生かせるか分からないという世の中の中で、私たちがいかに子供たちの特性を見極められるかということが一つの鍵になってくると思っております。

 と考えますと、今の教育の仕組みでいいのかどうかというところが非常に大きな問題になってくるわけでございまして、例えば、うちらの頃は四十五人学級とかだったんですけれども、今でいう三十五人学級だったとしても、先生が三十五人を見て、おまえはこれ、おまえはこれ、おまえはこれということがちゃんと丁寧にやれるかどうかというと、なかなかこれは難しい。難しさを私は感じております。例えば、カリキュラム上の余裕がないんだ、あるいは、十五人学級にしたとして、先生はどこから持ってくるんだみたいな、いろいろな制約があるということも理解しております。

 ただ、そういう中でも、主体性を育む、自分の興味、関心ですとか特性ですとか、こういうものを生かして、こういうものを勉強していきたいんだ、こういうことに一生懸命頑張っていきたいんだということを伸ばせる教育というのが必要じゃないかなと思うんです。

 この主体性を育むということをこれからどういうふうに、想定すると、小中学校の辺り、若いうちから私はやるべきだと思うんですが、小中学校の辺りの範囲に特化して聞いてみたいと思いますが、大臣のこの辺りの御見解をお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 今、森田委員の方から、主体性を持って、興味、関心を持ってというようなお言葉がございました。

 私は、中学校の恩師から言われたことで、今でも大事だと思い、そして、今私が生徒さんに言っていることは、好奇心を持ちなさいと言われたことでございます。中学校の一年生の担任の先生に言われたことでありますが、自分で好奇心を持つということ。なぜなんだろう、どうしたらどうなるんだろうか、そういうふうなことを自分で思うようになれば、自分で勉強するというか学んでいく。そういうことですね。つまり、押しつけられるのではなく。こういったことが大事ではないかなと思います。

 実は、私が大学で教えていた時期もあるんですけれども、大学生の人に質問をしても、なかなか答えがうまく戻ってくることが少なかったです。分かりませんという答えの人が多いんですね。それで、皆さん、もう少し脳みそに汗をかいてください、自分の頭で考えてください、ただ単に分からないと言って逃げるのではなく、考えるようにしましょうよというようなことを申し上げたわけでございます。

 とにかく、先ほど来の先生の御指摘のように、変化が激しくて予測困難な社会でございます。そんな中で、子供たちが変化を前向きに受け止めて、自らが社会のつくり手として豊かな人生を送っていくためにも、一人一人に応じた教育を進めていくこと、全ての子供たちが主体性を持って学んでいくことが重要であると考えています。

 現行の学習指導要領でも、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業への改善を求めておりますし、それぞれの現場の先生方あるいは教育委員会で、個別最適な学び、協働的な学び、こういうことを進めていただいているわけでございますけれども、こういったことを学校現場においてより実現しやすくするため、様々な実践事例を紹介しつつ、そのための環境整備に向けて、先生御指摘のような、例えば、小学校における三十五人学級の計画的整備、あるいは、高学年の教科担任制の推進等の教職員定数の改善、支援スタッフの充実、あるいは、この数年進めております一人一台端末の整備などのGIGAスクール構想の更なる推進、こういったことに取り組んでおりますので、先生の負担を減らすところは減らしつつ、そして、先生が生徒にしっかり向き合ってもらえるような取組を進めていきたいと考えています。

森田委員 ありがとうございました。

 さっき好奇心のお話が出てきましたけれども、好奇心を持つためには、黒板の板書で先生がかちかちと書いているだけではなかなか好奇心が湧かないわけでございまして、いろいろ現場を体験したり経験したりということも必要になってくる。ということになると、やはり、三十五人であってもなかなかそれが実現できないということもあろうかなと思っているんです。

 今、不易流行というお話がありました。不易の部分については、明治以来の教育の蓄積というのが市町村、都道府県にもございますので、ある程度国が全部音頭取りをして、ああしてください、こうしてくださいと、いろいろな教育の多様性を認めるとはいいながらも、ある程度、教育指導要領だとかいろいろな法律、規則の制度の中でやらざるを得ないという部分もある。どういうことかというと、流行の部分を積極果敢に取り入れていこうという動きに対して、なかなか、現場が動こうと思っても、あるいは動く頭を持つことがそもそもできていないということになっているんだと思います。

 この前、私学の校長先生をやった先生と話していて、こんな話が出てきました。今の教育はどうしても授業に時間を取られ過ぎている、決まったプログラムをやるためだけに、さっき言った板書で書いたり、かちかちかちかちやって、あるいは教科書を解説して終わっていると。

 さっき先生の人手が足りないんじゃないかという話もありましたけれども、例えば、ある程度の知識を詰め込むようなところであれば、さっきGIGAスクールの話も出ました、アプリと端末である程度のところは自分でやっていく。どうしてもそこから学び取れない部分については、補助的な教員なり、あるいは、この辺も一つの問題になってくると思うんですが、教員じゃなくても、例えば、小学校のアプリのいろいろな補助であれば、あるいは足し算、引き算とかの補助であれば、何も、教員免許状を持っている人間だけじゃなくて、例えば、私は教員免許を持っていないですけれども、私が仕事を終えた後に学校に行って、アプリをやっている教室の生徒の質問に答えることだってできるかもしれない。

 いろいろなカリキュラム上のことですとか、あるいは教職員の立場のことですとか、こういったことも含めて、抜本的ないろいろな取組、抜本的じゃないんですけれども、今の教育の制度からいうと抜本的と捉えられてしまうようなことを市町村がどんどんやれるような、市町村だけじゃなくて私学も含めてだと思いますけれども、そういったいろいろな教育者、教育関係の方たちが積極的にいろいろなことを試行錯誤でやってみよう、それをいいものは取り上げて全国展開していけばいいと思うんですが、今の仕組みではなかなかこれができないということもあります。

 是非、こういうことを実現するためには、思い切った地方分権、今までのいろいろな蓄積もありますから、都道府県、市町村に任せてみるという部分をどんどんつくっていくべきじゃないかと思いますが、盛山大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 御指摘の状況にあるということは我々も十分承知しております。

 基本は、国は、基本的な制度の枠組みを定めるということ、そして、学習指導要領等の全国的な基準を定めるということ、そして、地方の教育条件整備に対する財源保障を行う、これが国の役割だと思います。他方、地方自治体は、地域の実情に応じて学校を自ら設置、管理し、実際に教育を実施する役割と責任を負っているということで、国と地方の適切な役割分担と相互協力、これが大事なことであると思います。

 我々としては、今先生がおっしゃったようないろいろな御指摘に対して、地方自治体による取組を一層積極的に支援しようとしているわけでございますが、残念ながらまだ十分によく御理解していただいていないところもあるようでございますので、昨年の七月ですが、特色ある取組を実際に行うこととなる教育委員会の体制の充実に向けて、その機能強化や活性化に向けた方策等を始め、全国の優れた取組を収集、整理して示しておりますいわゆるグッドプラクティス、こういったものを示しておりますので、各教育委員会がそういったことを参考として取組を促しております。

 重ねまして、先生からの御指摘もございますので、各自治体に応じて、地域の実情に応じて創意工夫に基づく特色ある取組が一層展開されるよう、我々としても引き続き必要な支援を行っていきたい、そのように考えております。

森田委員 是非、これは五十年、百年という中での話ですので、積極的にこの部分については取り組んでいただきたいことを重ねてお願い申し上げます。

 盛山大臣についての部分はこれで終わりでございますので、どうぞ御退出ください。

小野寺委員長 盛山大臣は御退出いただいて結構です。

森田委員 それでは、続いて、介護の話をさせていただきたいと思っております。

 二類から五類にコロナが変更になったとはいいながらも、私は介護の事業にも携わっておるんですけれども、つい先月末から今月の初頭にかけて、一月二十五日から二月六日までという期間を一応うちの施設の中では設定したんですけれども、コロナの陽性者の方が複数人発生するというような状況になりました。

 業種としてはデイサービスとショートステイ、ショートの方を中心に感染者の方が出たんですけれども、簡単に言うと、陽性者の方が出ると、居宅のサービスでもあるものですから、お帰りになれる方についてはショートの方はお帰りいただいたということがありました。ただ、いろいろな事情で引き続き施設の中でケアを続けるという方も一定数いらっしゃいましたので、ざっと言うと、期間中を通して御利用率としては半分、定員に対する半分の利用率になってしまいました。

 それで、人件費がどれだけ削れるかといったら、昼間のところは、確かに御利用されている方の人数が減りますので、二、三割は減らすことができます。ただ、看護師を置いたり相談員を置いたりというのは普通と変わりません。夜勤については、ユニットを二つ置いておりますので、ユニットを分けて、ゾーニング等のこともありますので、今までは一人夜勤でやっている、普通は一人夜勤でやっているものを、一、一で配置して二名体制の夜勤にせざるを得ない。結局、人件費についてはほぼ変わらない人件費になってしまうということの中で御利用率が半分になる。簡単に言うとそんな状況です。

 二類が五類になったからいいだろうということではない。リスクの高い方をお預かりしている立場でございますので、これは簡単にいかないわけでございます。引き続き金銭的な支援というものを介護施設に対してはお願いしていきたいなと思っておりますが、大臣、いかがでございますか。

武見国務大臣 感染症が発生した場合であっても、感染拡大防止を徹底しながら必要な介護サービスが安定的、継続的に提供されるよう支援を行うことは重要であるということは委員御指摘のとおりであります。

 新型コロナウイルス感染症への対応としては、発生時の緊急的な人材確保や消毒、清掃に要する費用等への補助、それから、通所介護等において利用者が一定以上減少した場合に特例的に加算を行うなどの取組を実施してきております。

 今般、令和六年の介護報酬改定におきましては、この特例的な加算を、三%でございますけれども、これを恒久化することといたしました。それから、今後の新興感染症の発生時に施設内療養を行う高齢者施設などを評価する加算も新たに創設いたします。こうした形を通じて今後の新興感染症発生に備えた対応を行おうと考えております。

 こうした制度の内容については、これからも丁寧に周知徹底をして、事業者の皆さんを支援する取組を進めていきたいと思っております。

森田委員 是非お願いします。

 介護報酬の改定についてです。一・五九%という数字がございました。

 例えば、連合が出している要求の中で、五%以上の賃上げが他業種ですけれどもございます。一方で、介護が必要とされているということで、介護のために職を離れる介護離職も問題になっている中で、介護の現場を守っていくということは非常に大事な一方で、例えば、物価上昇率は二〇二三年を考えると三・一%、それで、今回の一・五九%、この数字だけ見ても、物価上昇に対する備え、人件費に対する必要な備えが一・五九%で本当にできるのかなというふうに疑問に思っているんですが、この辺りの受け止めについて厚労大臣からお考えをお聞かせいただきたいと思います。

武見国務大臣 昨今の賃上げの動向とか人手不足を踏まえますと、介護における賃上げを始めとする人材確保の対応は喫緊の課題だと思います。そのために、今般の介護報酬改定で全体で御指摘のプラス一・五九%の改定率を確保して、そして、サービスごとの経営状況の違いも踏まえためり張りのある対応を行い、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行うこととしております。

 その中で、政府経済見通しで令和六年度の全産業平均一人当たりの雇用者報酬の伸びが二・五%、物価上昇率と同水準と見込まれている中、こうした見込みと整合的にベースアップを求めているところであります。今般の介護報酬改定により、こうした物価高に負けない賃上げを実現して、地域で必要な介護サービスが安心して受けられる体制を整備していくつもりでございます。

 なお、物価高騰への対応としては、令和五年度の補正予算におきまして重点支援地方交付金を追加、これは約五千億円でありますが、介護分野での重点的な活用を推奨しておりまして、ほぼ全ての都道府県で支援を実施する見込みでありますので、引き続き都道府県と連携して進めていきたいと思っております。

森田委員 人材を募集しても、五年、十年前ぐらいですと、ハローワークに広告を出しておくと何人かは募集があったという時期もありました。しかし、申し訳ないですけれども、今はハローワークの求人はほとんど当てにならない状況で、仕方なく人材紹介会社にいって、人材紹介会社も紹介はしてくれるんですけれども、ひどい場合には、二、三日働いて辞めてしまって紹介料だけ取られてしまう、こういう例も出てきたりしております。

 非常に厳しい中で介護事業者は今サービスを運営せざるを得ない状況でございますので、これは要望だけにとどめておきますけれども、是非、この人材を取り巻く状況はこの一・五九%だけではなかなかカバーし切れないというふうに思っておりますので、引き続きこの部分を丁寧に、かつ積極的に手当てをしていただくことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて森田君の質疑は終了いたしました。

 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、能登半島地震被災者支援について伺いたいと思います。

 私の先祖も能登半島、石川県出身で北海道に入植したというものでございまして、非常に私も人ごととは思えない。また、輪島市の門前町、總持寺祖院というのがありますが、そのすぐそばに道下と書いてトウゲという地名もありまして、非常に、私もできる限りの支援は今のところさせていただいておりますが、しっかりと政府も、これまでの支援策がどうだったのか、また、今後どういうふうな支援が必要なのかということをちょっと質問させていただきますが、まず、内閣府松村防災担当大臣に伺いたいと思います。

 政府は、被災者再建支援金三百万円に加えて、高齢者、障害者等に三百万円給付する新制度の創設を表明しましたけれども、その対象とはならない被災地から批判的な意見が多数寄せられているのは御存じだと思います。同じ被災の程度でも地域によって差が生じ、被災者間に不公平感を生んでしまっているわけであります。また、被災地のみならず首都圏の知事からも、今回の新制度について、過去の被災者との支援の差を指摘し、政府から十分な説明がないという批判的な御意見が出ております。岸田総理は、震災の程度に応じて個別に対応すると答弁されておりますけれども、それでは、私は、被災者も国民も納得できないのではないかというふうに思います。

 立憲民主党は、一月二十六日、被災者生活再建支援金の倍増などを含む被災者生活再建支援法改正案を日本維新の会、国民民主党と共同で衆議院に提出しました。現在の物価等に見合っていなかったり、支援金や給付金を受けるための条件が細か過ぎて使い勝手が悪かったり、政府の時々の思いつきの支援策では、被災者のみならず国民を混乱させるだけであります。

 国会で支援規模の整合性や公平性をきちんと議論して、速やかにこれを成立させて、誰もが理解し納得できる支援金を被災者にお届けすべきと考えますが、松村内閣府担当大臣、いかがでしょうか。

松村国務大臣 まず、議員立法につきましては、国会において御議論いただくべきものと考えております。

 その上で申し上げれば、被災者生活再建支援金は、災害による財産の損失を補填するものとしてではなく、いわゆる見舞金的な性格のものとして被災者を側面的に支援するものと位置づけられていることに留意が必要であると考えております。

 内閣府といたしましては、生活再建支援金につきましてはまず迅速に支給することとした上で、災害復興住宅融資の活用や、石川県の状況を踏まえた木造仮設住宅の建設など、支援策と併せ、被災者の住まいを確保してまいりたいと思っております。

 また、新たな交付金制度については、これは厚労省の管轄で、今検討中でございますので、お尋ねをいただければと思います。

道下委員 これまでの制度を利活用することはいいと思います。また、今の制度が不十分である点は、それは、それを改善する。だから、我々は議員立法で新たな支援法改正案を出しているわけです。だから、国会で議論しましょう、与党の皆さんも。是非よろしくお願いします。

 それから、今度、厚生労働大臣に伺いたいと思います。被災した障害者の方々に対しての支援です。

 障害があるために、ふだんと異なる環境で過ごすことが難しく、避難所に行けない方たちの中には、支援の手が届きにくく、孤立している人がいらっしゃいます。また、たとえ避難所に行っても、障害への理解や支援が得られず困難な状況に置かれるのでちゅうちょして、被災した自宅に戻って、もう倒壊しているんですよ、断水しているんですよ、電気が通っていなかったりしている、そうした自宅に戻って暮らし続けざるを得ない障害者も現にいらっしゃいました。

 こうした被災した障害者には、障害の程度や状況に応じて、私はきめ細やかな支援が必要と考えますが、厚生労働大臣の見解を伺います。

武見国務大臣 被災した障害者が地域で安心して暮らし続けられるよう支援することが重要であるという点は、議員御指摘のとおりであります。

 現在、障害者の相談支援を担う団体の協力を得ておりまして、被災した障害者について戸別訪問などによる早期の状況把握、これを行うとともに、被災者に寄り添った見守りや相談支援をした上で、福祉サービスを始めとする必要な支援へのつなぎ等を進めているところです。

 また、被災地において介護を担う職員に不足が生じている状況を改善するために、厚生労働省が関係団体と連携をいたしまして、被災により従業員が不足する施設などへの介護職員等の応援派遣を進めているところであります。

 引き続き、県や関係団体と緊密に連携をし、被災した障害者の状況やニーズを踏まえつつ、安心して生活できる、必要な支援に取り組んでまいりたいと思います。

道下委員 障害のある方々はなかなか自ら声を出せない、出しづらい方が多くいらっしゃいます。そうした方々の声なき声をしっかりと聞いていただいて、そうした介護スタッフの派遣、応援など、こうしたものも十分な手当てをしながら行っていただきたいと思いますし、病院の看護師さんも被災して、約四分の一が、もう自分の職場で働けない、病院をやめざるを得ないという方もいらっしゃいますので、医療的な支援も是非よろしくお願いしたいと思います。

 ここで厚労大臣と内閣府松村担当大臣、御退席いただいて結構です。

小野寺委員長 武見大臣、松村大臣は御退出いただいて結構です。

道下委員 次に、自民党の裏金問題について伺いたいと思います。

 先ほど、共産党の穀田委員と我が会派の山岸委員が質問いたしましたけれども、林官房長官と国税庁次長に伺いたいと思いますが、前松野官房長官が、裏金問題が明るみになってから自ら辞任というか更迭されるまでの二週間の間に内閣官房機密費を四千六百六十万円持ち出したということでありますけれども、改めて、これについて、事実かどうか、その認識を伺いたいと思います。

林国務大臣 先ほども山岸委員にもお答えしたところでございますが、内閣官房報償費のうち、施策の円滑かつ効果的な推進のために官房長官の判断によりまして機動的に使用することが必要な経費である政策推進費、これは支出先が一律に官房長官となるものでございまして、昨年十二月、私に引き継がれるまでの間に四千六百六十万円が使用されたということは事実でございます。

 いずれにいたしましても、内閣官房報償費は、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきておりまして、その個別具体的な使途に関するお尋ねについては、お答えを一切差し控えております。

 他方、仮に報道が松野前官房長官個人に支出したかのように受け取られているとすれば、そうした事実はないということでございます。

道下委員 今おっしゃった、松野官房長官自身で使ったわけではないというふうにおっしゃいましたけれども、それをどのように証明されるんでしょうか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、内閣官房報償費、これは、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきており、その個別具体的な使途に関するお尋ねについては、お答えを一切差し控えております。

 先ほど冒頭に申し上げましたように、政策推進費、これは支出先が一律に官房長官となるということで、先ほどのような御答弁を申し上げました。

道下委員 何に使ったのか証明できないんですよ、これ。しかも、自らがもう辞めるというこの二週間の間に四千六百六十万円、一日にすると三百三十万円余りです。こういうものが全く何に使ったのか証明しなくていい、公表しなくていい、私はこれは問題であるというふうに思います。

 国税庁次長に伺いたいと思います。

 もし、仮にこれが、松野官房長官が自分の懐に入れて、これを使わずにずっとため込んでいたということになれば、これは私は課税対象になると思いますけれども、お答えいただけますでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 お答えの資金は、国の歳出として支出されるものと承知しておりますので、基本的にはそういうものとして理解をしてございます。

道下委員 国の支出だけれども、受け取った人がどのように使ったのかということはまた別じゃないですか。そうした点では、私は、これはもし調べることがあったら調べていただきたいと思いますし、それによって、これは自らのもので使っている、若しくはずっとため込んでいたということになれば、雑所得になって課税対象になると思いますが、いかがでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮でございますが、お答えの支出につきましては、国の支出として行われているものと理解してございますので、そのように理解してございます。

道下委員 しっかりとした答弁が残念ながらいただけませんが、これは徹底的にこれからも追及していきたいと思います。

 それから、今日の朝の段階で出るはずであった、自民党が実施した派閥の政治資金パーティー裏金問題に関する全議員アンケート、官房長官、これは答えられましたね。

林国務大臣 これもちょっと、先ほどお答えしたこと……(道下委員「いや、御自身がこれに答えたかどうか」と呼ぶ)私が。はい、お答えさせていただきました。

道下委員 ありがとうございます。

 官房長官は、先ほど、自民党の調査なので答弁を差し控えるということでありましたけれども、官房長官のお気持ちを伺いたい。

 記載漏れの有無と記載漏れの金額を問う内容では、これは国民は納得しないんじゃないか、不十分ではないかというふうにお感じになられませんでしたか。

林国務大臣 私は、官房長官として、自民党によるアンケート調査の手法等についてお答えする立場にはないと認識しているというふうに御答弁したとおりでございます。

道下委員 これは、記載漏れした金額を記入した議員に対して、もし使っていたら、何に使ったか、これぐらいは書かなきゃいけないよねということは思いませんでしたか。

林国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、官房長官として、自民党によるアンケート調査の手法等についてお答えする立場にはないものと認識をしております。

道下委員 これは、官房長官という立場でもありますけれども、自民党の議員でいらっしゃいますし、岸田総理を支える官房長官、そして岸田派の座長という立場でもあったわけであります。

 今回、岸田派、そして二階派、安倍派、こうした派閥の方々も、今回の全議員アンケート調査とともに、それぞれこれは調査されたわけですよね。だから、その調査を受ける立場でもあるんじゃないですか。

林国務大臣 一議員としてアンケートにお答えしたということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 先ほどと同趣旨になってしまいますが、党務に関する事柄でございます。私は、党における立場というものはございませんので、お答えする立場にはないと申し上げたところでございます。

道下委員 それぞれ立場を分けて答弁して、非常にこれは不誠実だと私は思います。

 今回の自民党の全議員調査、結果はこのお昼に出てくると伺っておりますけれども、実態解明にはほど遠い内容であり、我々国民も、全く納得できない、信用できないと思います。非常に身内に甘い調査だというふうに指摘をしておきたいと思います。

 今回、この自民党裏金問題で、収支報告書を訂正をしている議員が多数出ています。

 総務大臣に伺いたいと思います。

 この度の自民党の裏金問題に関係する国会議員の収支報告書、この申告において、ちょっと今日皆様に資料をお配りしておりますが、一ページ目、これは二十一世紀政策研究会というところです。

 一ページ目を見ていただきますと、収入、また繰越額が不明、不明です。二ページ目のところには、清和政策研究会から、これは後で、令和六年二月六日に訂正のところで、百十万円寄附を受けたけれども期日は不明と書いております。三ページ目、これは支出の部ですけれども、組織活動費のところが不明になりました。そして四ページ目のところに、政治活動費の内訳、組織活動費、カニ代、贈答用ネクタイ代、商品券代の下にお品代とありまして、これが新たに訂正で追記されたんですけれども、しかし、金額は不明、日付が不明、支出を受けた者の氏名も不明ということで、不明ばかりであります。そして、これも一回なのか複数回なのか分かりません。こうして訂正されました。

 これは、令和五年五月二十二日の段階で、四ページにあるとおり、宣誓書が出されて、その次の資料五ページ目、登録政治資金監査人によって監査報告書が出されましたけれども、私は、県の選挙管理委員会のホームページを見たんですけれども、令和六年二月六日に訂正された後の登録政治資金監査人の監査報告は見つけられませんでした。

 総務大臣、このように、ちゃんと訂正後に登録政治資金監査人の監査を通しているのか否かを確認しましたでしょうか。

松本国務大臣 委員御案内のとおり、政治資金規正法上、国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書を提出するときは、登録政治資金監査人による政治資金監査を受け、同監査人が作成した政治資金監査報告書を収支報告書に併せて提出することと規定をされているところでございます。

 一方、収支報告書の修正、訂正については、同法上、特段の定めは規定されておりませんで、訂正、修正する際の政治資金監査に関する規定も設けられていないところでございます。

 政治資金規正法の対応に当たっては、先ほど山岸委員の御質問にもお答えをさせていただいたところでございますけれども、政治活動の自由の重みに鑑みれば、政治活動、政治資金に係る規制に関して行政府の権限に裁量をどのぐらい認めるかという点では、民主的、自由な国家においては慎重であるべきというのが基本的な考え方であると理解をしておりまして、私どもとしては、法にのっとって運用させていただいております。

道下委員 今、総務大臣、慎重にとおっしゃっていましたけれども、実は、総務省の政治資金適正化委員会、皆様の資料七ページなんですけれども、政治資金監査を受けた収支報告書の訂正、こうしたことについて、つまり、今回のように、五月末で締めて、それには監査人の監査報告がついて、でも、その後に訂正した場合どうするのかという扱いについての考え方と、今後どのようにすべきかというものが記載されているんですね。

 このときには、ちゃんと監査した後、訂正されたものがそのまま宙ぶらりんになっている、このままではこれは国民の理解は得られませんよね、このまま公開されたら。そういうふうになっているんですよ。

 そして、ここの資料には入れていませんけれども、実は、その後、例えば平成二十二年十二月八日に開催したその委員会では、そうした監査人の確認を受けていない支出の存在がそのまま国民の目に明らかにされないこととなったり、収支報告書の対応関係の明確性、これにそごを生じるということで、ちゃんとその後に、これは訂正後の監査報告もちゃんとした方がいいですよ、そして、その取扱いについて総務省自治行政局選挙部においては、各都道府県選挙管理委員会にも、そういうふうに、訂正後にはちゃんと監査人に報告して、でき得れば、訂正後の監査もちゃんとやって、それの監査をしたよという報告書もつけてくださいねという周知を図られたいというふうに書いてあるんですね。

 私、これはちゃんと通知したと聞いたんですけれども、通知したんですよね。

松本国務大臣 御指摘の政治資金適正化委員会による取りまとめが行われたこと、御議論については私も承知をいたしているところでございますが、その上で、総務省からはどのような取扱いをさせていただくかという意味では、先ほど、慎重にというのは、行政府が政治活動の規制にどのように関わるかということについて、民主的で自由な国家では慎重であるべきというのが基本的な考え方ではないかということで慎重にという言葉を使わせていただいたわけでございますけれども、その意味では、政治資金に係る新たな制度を設ける場合は、これまでも政党間や各会派の協議に委ねて御議論いただいておりまして、立法府においての御議論が必要ではないかと思っております。

 政治資金適正化委員会においては、政治資金監査マニュアルの改定は行ったというふうに承知をしておりまして、私どもとしても、その連絡をする役割は果たしてきたものというふうに考えております。

道下委員 この時点で、平成二十二年の十二月八日に行った適正委員会がこのように、「政治資金監査を受けた収支報告書の訂正について」という文書を出して、そのときに、通知されたいと。「総務省自治行政局選挙部においては、各都道府県選挙管理委員会にも周知を図られたい。」と書いてあるんですよ。

 通知しましたよね、これは。やっていないんですか。

松本国務大臣 平成二十二年十二月二十日付の事務連絡で、各都道府県選挙管理委員会に、「政治資金監査を受けた収支報告書の訂正について」ということで、決定を通知をしているというふうに承知をしております。

道下委員 そうなんですよ。ちゃんと政治資金適正化委員会のこういう、収支報告を出した後、訂正したものに対してもちゃんと登録監査人の監査をつけるのが、これがいい、よりいいというか、そうした方がいいということを各選挙管理委員会に言ってくださいねということで通知したんですよ、総務省も。でも、その後、何も総務省はこの点について手をつけていないんですよ。

 先ほど、立法府で御議論いただきたいと。いや、もちろん私たちはやりますよ、しっかりと訂正後も監査してほしいと。ということなんだけれども、総務省の中で、この議論がその後、私は、頓挫している、止まっているんじゃないかというふうに思います。これは後で、私、総務委員会に所属していますので、これはもっと深く質問していきたいというふうに思います。

 今回の自民党の収支報告書の、八十名以上ですか、百名近くが訂正している、これについて、登録政治資金監査人の監査を受けずに訂正したままで、そして三年間を過ぎたらもう公開されない、そのまま、訂正のままで、監査人が見ていない中でずっと、次の年、次の年に収支報告書が受け継がれていくことは、私は国民の理解は得られないと思いますよ。これの問題を総務省としてどのように解決するのか、しっかりと考えていただきたいというふうに思います。

 時間がありませんので、次に質問させていただきたいと思います。

 総務大臣は退席されて結構でございます。

小野寺委員長 松本大臣は御退出いただいて結構です。

道下委員 次に、羽田空港航空機衝突事故について、国土交通大臣に伺いたいと思います。

 資料も八ページ目と九ページ目につけさせていただいていますが、国土交通労働組合が、二月五日それから二月六日にそれぞれ声明と発表を公表されました。これについて読まれたかということと、私は、国土交通労働組合が指摘されるように、やはり管制官の方々は非常にメンタルケアが必要であるということと、やはり、少しずつ増えてきたといえども、まだその仕事量から考えたら管制官の数が少ないということ、それから、これは今、司法当局の捜査が行われていますが、発言によって個人の過失が追及されるということは、これは国際民間航空条約第十三の附属書からも逸脱しているという指摘があるわけですね。

 私もよく飛行機を利用しますけれども、やはり安心、安全のためには、このような現場で働いている方々の意見をしっかりと尊重して、このような決議、それから声明に沿った航空管制官の大幅な増員などを行っていくべきだと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 二月五日の特別決議、それから六日の声明、拝読をいたしました。

 今般の事故のような痛ましい事故が二度と発生しないよう、そして世界中の皆様に安心して航空機に乗って日本を訪れていただけるよう、公共交通機関としての航空の信頼回復を図ることは、私の大きな使命の一つと考えております。

 管制官の配置について、また特別決議等で御提言いただきました。これまでも、航空機の増便等に応じて管制官を増員するなど、必要な体制の強化を図ってきたところです。

 今後も、航空需要の動向や管制官の業務負担の状況を注視するとともに、先月設置した外部有識者による羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会における議論も踏まえ、体制強化の必要性についても判断してまいりたいと思っております。

道下委員 これは国土交通労働組合の決議や声明文でもあるように、航空管制官のみならず、そういった国土交通省や他の中央省庁を含めて、私はやはり、政府が進めてきた総定員法、定員合理化計画というものが、必要なところに必要な人材を集めて増やすことができないという、ちょっと足かせになっているんじゃないかなというふうに思うんです。

 来年度でこれは一応計画が終わるということだと伺っていますけれども、私は、これはもうやめて、もう来年度で終えて、そしてこれからはしっかりと公務員を増やす、私は地方もそうだと思います。そして、安心、安全な社会、そうしたものを築き上げていくための流れを大きく変えていくべきだと、時期だと、私はそのように思いますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 国土交通大臣と官房長官と国税庁次長、退席していただいて結構です。

小野寺委員長 それでは、官房長官、国土交通大臣は御退出していただいて結構です。

道下委員 最後に、残りの時間、恐縮でございます、旧統一教会問題について盛山文科大臣に伺いたいと思います。

 先ほど来、私どもの同僚議員も質問しておりますが、この新聞報道された写真、いろいろと答弁が変わってこられました。この両隣にいらっしゃる方も覚えていらっしゃいませんか。

盛山国務大臣 これまでも御答弁申し上げているとおりで、ぶれているとは思わないんですが、今御掲示されたパネルの両側の方、ちょっと私はどなたか分かりません。

道下委員 昨日のTBSのニュース番組では、こちらの方が十回以上お会いしていると、先ほども山岸議員が言いましたけれども、ハグしていた。ハグというのはどれぐらいのものか分かりませんけれども、それぐらいして、私は、覚えていないというのは非常に、これはその方だけのみならず、ちょっと普通は考えられないんじゃないかなというふうに思うんです。

 もう一つは、令和五年の予算委員会で、去年の十月二十七日の予算委員会で、西村智奈美委員が質問したときに、盛山大臣が、「一度、旧統一教会関連団体によるものだとは認識せずに参加しておりました。後日、関連団体のイベントであることが判明し、そのことは党の調査にも回答しているところです。」というふうに答弁されたんですけれども、答弁されたこのイベントというのはどういったものでしょうか。

盛山国務大臣 ハグをしたということについては、先ほども御答弁しましたが、コロナの時期でもあり、昭和二十年代生まれの私どもでは、余りハグをするというようなことは普通ではありません。そして、そういうことは全く記憶にありません。

 そして、今御指摘の二〇二二年三月のものにつきましては、日報を見てそういうような集会に伺ったということが判明したものですから、その旨、自民党の調査に対して報告をしたということでございます。

道下委員 もう時間が来ましたけれども、自民党に報告したイベントは、UPF、天宙平和連合、兵庫県平和大使協議会主催の記念講演会で登壇したということだと思います。そこに、それは先ほど申し上げたとおり、平和大使協議会、そして、こちらで選挙前に推薦確認書を取り交わしたという人がそこのメンバーなんですよ。

 選挙前に会って、そして選挙で勝って、そのお礼のために二〇二二年三月二十七日のこの記念講演会に登壇したというのが私は普通に考えられるんですよ。どう思われますか、それについては。

小野寺委員長 文部科学大臣盛山正仁君、時間が過ぎておりますので、端的にお願いいたします。

盛山国務大臣 地元の事務所、秘書とも確認をしましたけれども、二〇二一年の会合にお声をかけてきた人と、そして二〇二二年の春の会合にお声をかけてきた人、別の人ではないか。

 いずれにせよ、二〇二一年の選挙戦のことを全く記憶にございませんでしたので、二〇二二年の三月は、お礼だとかそういうつもりで出ていったということではございません。

道下委員 記憶が曖昧なのになぜそこまで答えられるんでしょうか。

 本当に、そういう方に文科大臣は任せられない、そして、うそつきと国民の皆さんに思われている人が文科大臣となって教育をつかさどる、そのまま続けさせるわけにはいかないというふうに思います。

 質問を終わります。

小野寺委員長 これにて道下君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十四日午前八時五十五分から委員会を開会し、集中審議を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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