衆議院

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第9号 令和6年2月14日(水曜日)

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令和六年二月十四日(水曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    小島 敏文君

      小寺 裕雄君    後藤 茂之君

      田中 和徳君    平  将明君

      武井 俊輔君    塚田 一郎君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧原 秀樹君    宮路 拓馬君

      山本 有二君    若林 健太君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      石川 香織君    梅谷  守君

      おおつき紅葉君    大西 健介君

      落合 貴之君    小山 展弘君

      櫻井  周君    階   猛君

      白石 洋一君    堤 かなめ君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      山岸 一生君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      伊東 信久君    岩谷 良平君

      奥下 剛光君  斎藤アレックス君

      中司  宏君    林  佑美君

      堀場 幸子君    美延 映夫君

      守島  正君    吉田とも代君

      赤羽 一嘉君    金城 泰邦君

      國重  徹君    角田 秀穂君

      塩川 鉄也君    宮本  徹君

      田中  健君    古川 元久君

      緒方林太郎君    福島 伸享君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           湯本 博信君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    平光 信隆君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     武井 俊輔君

  亀岡 偉民君     小島 敏文君

  田中 和徳君     小森 卓郎君

  宮路 拓馬君     小倉 將信君

  若林 健太君     小寺 裕雄君

  梅谷  守君     藤岡 隆雄君

  山岸 一生君     白石 洋一君

  米山 隆一君     本庄 知史君

  奥下 剛光君     岩谷 良平君

  林  佑美君     伊東 信久君

  守島  正君     斎藤アレックス君

  金城 泰邦君     國重  徹君

  宮本  徹君     塩川 鉄也君

  田中  健君     古川 元久君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     宮路 拓馬君

  小島 敏文君     亀岡 偉民君

  小寺 裕雄君     若林 健太君

  小森 卓郎君     田中 和徳君

  武井 俊輔君     小田原 潔君

  白石 洋一君     吉田はるみ君

  藤岡 隆雄君     梅谷  守君

  本庄 知史君     米山 隆一君

  伊東 信久君     林  佑美君

  岩谷 良平君     美延 映夫君

  斎藤アレックス君   吉田とも代君

  國重  徹君     金城 泰邦君

  塩川 鉄也君     宮本  徹君

  古川 元久君     田中  健君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     岩屋  毅君

  吉田はるみ君     おおつき紅葉君

  美延 映夫君     奥下 剛光君

  吉田とも代君     堀場 幸子君

同日

 辞任         補欠選任

  おおつき紅葉君    櫻井  周君

  堀場 幸子君     中司  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  櫻井  周君     堤 かなめ君

  中司  宏君     守島  正君

同日

 辞任         補欠選任

  堤 かなめ君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  落合 貴之君     山岸 一生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、総務省大臣官房総括審議官湯本博信君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省刑事局長松下裕子君、公安調査庁次長平光信隆君、国税庁次長星屋和彦君、国土交通省住宅局長石坂聡君、国土交通省物流・自動車局長鶴田浩久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 本日は、政治資金問題等についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小倉將信君。

小倉委員 自由民主党の小倉將信です。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、政治資金問題等に関する質疑に移りたいというふうに思います。

 本年は、世界で二十億人の人が国政選挙の有権者になる年というふうに言われております。一月には台湾の総統選挙がございました。秋にはアメリカの大統領選挙も控えております。本年は、我が国をめぐる国際情勢が大きく変化をし得る年だというふうにも言えると思います。

 年初には、能登半島で地震が発災をいたしました。一刻も早い復旧復興に向けて、引き続き全力で取り組まなければなりません。

 そしてまた、国内問題に目を転じれば、三十年ぶりのデフレ脱却、これを何としてもやり遂げねばなりませんし、静かなる我が国の有事であります少子化対策、これも粘り強く続けなければなりません。今年ほど、国内における政治の安定力、推進力、これが求められている年はないというふうに思います。

 ただし、政治は信なくば立たずであります。政策の推進力を失わないためにも、一刻も早く我が党に対する国民の信頼を回復する、この取組を進めていかなければならないと思います。

 こうした危機的な状況を総理も認識をされているからこそ、一月の十日に政治刷新本部の本部長として自らが本部を立ち上げられ、そして、国会の開会に間に合うように、二週間余りで中間取りまとめをおまとめになったんだと思います。

 私も、その本部の事務局長として、全ての会議に参加をさせていただきました。延べ百五十人近い我が党の議員が、それぞれ意見を述べておりました。どの意見も、我が党の国民の皆さんからの信頼が著しく毀損をしている、何とかしなければいけない、そういう意見であったと思います。総理も、何時間もお座りになられ、全ての議員の意見、一人一人に丁寧に耳を傾けていらっしゃいました。総理も、今の政治資金問題に関する危機的な状況、そして何としてもやらなければいけないという覚悟を深められておられると思います。

 今回の中間取りまとめ、例えば民間企業であるならば、何をやらなければいけないのか。民間で不祥事が起きた場合にやらなければいけないのは、起きた事案の原因、これを徹底的に解明をして特定をし、今後二度とこういう事象が発生をしないように、再発防止策を丁寧に講じていくことであります。

 今、専門の弁護士が百名近い議員のヒアリングを重ねて、第三者の立場から報告書をまとめておられるところだと思います。その報告書に基づいても、更に我が党としては取り組まなければいけない点が出てくるとは思いますけれども、政治刷新本部としても、外部有識者の方の意見にも耳を傾けながら、我々なりにしっかりと原因を解明をし、そして、それに対するそれぞれの再発防止策、これを中間取りまとめでまとめたものだ、このように思っております。

 国民の皆さんもテレビで見ていらっしゃいますので、分かりやすくパネルで整理をさせていただきました。

 まず、今回の事案、全ての舞台は、政策集団、なかんずく政策集団による政治資金パーティーであります。だからこそ、その大本を断つために、まずは政策集団による政治資金パーティー、これを全面禁止をさせていただきました。

 そして、2に書いてありますように、政治刷新本部でも多くの方から出た意見というのは、法令の不備や欠缺ではなくて、そもそも既存の法令を守ることができない、そういう議員や団体が出てきてしまったということであります。まさに、法令遵守の徹底、コンプライアンスの徹底こそが求められているということであります。

 それに対する対応策といたしましては、研修の強化、これはもちろんのことでありますけれども、何かこのような事案が起きたときに、党としても厳しく処分をしていく、対応していく、こういったことをすることを中間取りまとめで決めさせていただきました。

 説明の中には、秘書や事務所、会計責任者任せにしてしまった、議員本人は知らなかった、このような説明が国民の皆さんの更なる怒りを呼んでいるのも事実であります。

 だからこそ、中間取りまとめでは、このような弁明が今後行われないように、国会議員の研修強化をするだけではなくて、きちんと報告書の作成の経緯をまとめて、そして保存をしていく、こういったことも決めさせていただきましたし、党として、議員本人だけじゃなくて、会計責任者が何か問題を起こしたときにもその議員に対する責任を問えるような、そういう党のルールにすることも決めさせていただきました。

 国会でも議論がありますように、当然、政治資金規正法を改正をして、そして議員本人の責任をより厳格化していく、こういった議論にも我が党として真摯に応じることを中間取りまとめでも記させていただいております。

 3であります。今回の問題、政策集団の支出の不記載が原因の一つであります。だからこそ、我が党として、中間取りまとめで、政策集団に対しても党による外部監査、これを率先して行うことを決めさせていただきました。

 私は、もう一つ踏み込んでもらいたいと思います。

 なぜならば、政治資金規正法上、この政策集団たる政策研究団体というのは、仮に国会議員が代表者であっても国会議員関係政治団体とはみなされません。したがいまして、政策研究団体というのは、これまで、法律上、外部監査が義務づけられておりませんでした。

 私は、実はこの政策研究団体というのは、我が党だけではなくて、政策研究団体とみなされる団体は他党にも存在します。だからこそ、今後国会の場で、この政策研究団体も、政治資金規正法上、外部監査を義務づける、この法改正を我が党として率先してリードすべきだというふうに思いますけれども、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 政治資金規正法上の政治資金監査制度ですが、これは、外部性を有する第三者が国会議員関係政治団体の全ての支出をチェックすることで、政治団体内部のみで処理されることによって生じ得る誤りを防ぐことなどを目的としていると承知をしております。

 そして、その国会議員関係政治団体の範囲については、平成十九年の法改正に向けた六党間の協議の中で実務者協議において議論が重ねられ、その結果、御指摘のように、いわゆる政策研究団体、自民党で言うところの派閥でありますが、これは国会議員関係政治団体の範囲には含まれない、このようになったと承知をしております。

 他方で、適正な会計処理、報告を通じて政治資金の運用に対する国民の信頼を高めること、これは言うまでもなく重要なことであり、委員も御指摘になられたように、自民党としての中間取りまとめの中でも、自民党独自の運用として、政策集団、すなわち政策研究団体の収支報告書の提出に当たり外部監査を義務づける、これを先行して確認をしたところであります。

 ですから、委員がおっしゃる政策研究団体を国会議員関係政治団体に含まれるということにする、すなわち、外部監査を各政治団体共通のルールとして法定化する、こういったことについては、国民の信頼性を高めるという観点からは意味があることであると認識をいたします。

 その上で、この点について、自民党としてもしっかり考え方をまとめて、各党とも真摯に協議を行いたいと思っています。

小倉委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。

 既に我が党では、政治刷新本部の下で、政治資金規正法等に関する見直し、法整備の検討ワーキンググループが立ち上がって議論を進めております。是非、この点におきましても、総理・総裁のリーダーシップを発揮をしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、パネルの四番を御覧をいただきたいと思います。

 先ほど、今回の問題の元は政策集団の支出の不記載ということを申し上げました。他方で、それを受け取る側の国会議員団体における収入の不記載も発生をしてしまいました。だからこそ、現金による不明朗なやり取りをなくすべく、中間取りまとめにおきましては、議員側の収入に関しましても、原則として銀行振り込みを行うことを決めさせていただきました。

 ただ、私は、この収入の面でも、先ほど申し上げたように、外部監査、これをやることによって、議員本人がコンプライアンスを徹底するだけではなくて、第三者によるチェック、これを行うことによって、より再発防止につながるというふうに考えております。

 当然、党として自主的に外部監査をすべきという意見もあるかもしれませんけれども、ただ、政治資金規正法上、現行は、収入の監査というのは行われておりません。二〇〇〇年代前半に政治資金規正法の改正の議論になったときに争点になったのは、事務所費ですとか光熱費、こういった支出面での問題でありました。だからこそ、一円単位の領収書の保存を始め、外部監査を始め、支出面には相当な規制が政治資金規正法の改正によって課された一方で、収入面に関しては宿題となっているわけであります。

 だから、我が党として率先をして外部監査に委託しようとしても、委託をされる弁護士や会計士、税理士にとってみれば、政治団体の収入面、例えば通帳もございますけれども、どういった材料に基づいてどのように監査をすれば、まあ、ルールが決まっていない、そういうルールが決まっていないというのが現状であります。

 だからこそ、これを機に、政治資金規正法の改正の議論、これは立民の岡田さんもおっしゃっていたかもしれませんけれども、収入面での監査も政治資金規正法上義務づける。義務づける中で、他党やあるいは専門家とも協議を重ねて、どのように収入面で監査をしていくか、こういうルールも詰めていく必要があろうかと思います。

 この点についてどのようにお考えになっているか、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほども少し触れましたが、国会議員関係政治団体に関する監査の在り方については、平成十九年の法改正に向けた六党間の協議において、現在のような形、すなわち支出のみを監査する形になっているものと承知をしています。

 その上で、御指摘のとおり、適正な会計処理、報告を通じて政治資金に対する国民の信頼を高めること、これは重要であり、不断の努力を行っていくことが必要であると考えます。

 そして、その検討に当たっては、現実問題、業務量がどれぐらい増加するのか、監査人等が現実問題対応できるのか、団体の数はかなりの数に上ることになります。現実において業務量が対応できるかなど、現場の士業者団体等の意見もよく聞いた上で現実的な対応を考えていくことが重要であると認識をいたします。

小倉委員 総理御指摘のとおり、やはり専門家がどのように対応できるかというのが非常に重要な点でありますので、是非各党の皆さんにも御協力をいただきながら、丁寧に、どのように実現をすべきか、これから議論する必要があるのではないかというふうに思います。

 パネルの五番目であります。

 左側を御覧いただければ分かりますように、今回の原因の一つは、政策集団という非常に大きな力を持つ団体であるにもかかわらず、我が党にとって中間組織であって、党として十分に、政策集団内で起きていることに対して把握をし、そして必要であれば改善を促すことができなかったという点にあります。

 したがいまして、今回の中間取りまとめにおきましては、問題が発生をしたときに、政策集団に対して、党として説明を求め、そして解散も含む厳しい処分を下せるということを決めさせていただきました。

 このパネルの赤字で書いてあるところでありますけれども、今まで申し上げた点、我が党だけで、法改正を待たずにできる点もたくさんあるというふうに思います。ただ、我が党も、単に総裁がやるというふうに宣言をするだけではなくて、公党でありますので、ルール化しなければなりません。党則や党規律規約あるいはガバナンスコード、こういったものをきちんと改正をして、党として、決して後戻りをしない、こうした姿勢を示すことが重要ではないかというふうに思います。

 党則の改正という意味では、来月の十七日に党大会が迫っております。まさに一か月ぐらいしかないわけですけれども、しかし、国民の信頼を一刻も早く回復するためにこそ、三月十七日の党大会に間に合うように、今申し上げた点、党則を含めてしっかりルール化すべきだと思いますけれども、この点について総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。

 あわせて、5でありますけれども、新たな提案として、内部通報窓口を設けてはどうかということであります。もちろん、不正を発生させないということは重要でありますけれども、仮に不正の芽が内部に生じたとしても、それを早期に探知をして是正を促す、こういったことが非常に重要であります。

 民間企業であれば、内部通報窓口を設けて、そして、通報者に対して聞く側が守秘義務を課されるとともに、通報者に対して不利益取扱いをしないことを約束をして、安心をして内部で通報してもらえるような取組をしております。

 我が党としても、恐らく政党として初めてになるとは思いますけれども、この内部通報窓口、これをしっかり設けるべきだというふうに思いますけれども、この点について総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず一点目の、党則やガバナンスコードの改定についてでありますが、党の政治刷新本部の中間取りまとめにおいては、政治資金規正法違反が問題とされた党所属議員や政策集団につき、党として速やかな説明責任を尽くし必要な政治責任を果たすことを求めるといった、党規約及びガバナンスコードにこれらを明記するということ、そして、会計責任者が逮捕、起訴等の事態に至った場合、その団体の代表を務める議員も事案の内容に応じて党規約等において処分できるようにするための党則改正を行う、こうした再発防止のための取組を党則等で具体的にルール化していく、こういった方針を明記をしています。そして、それを具体化するためのワーキングチームもスタートいたしました。是非、三月の党大会でこうした党則等を改正するべく、議論を加速させたいと考えます。

 そして、もう一点の、内部通報の方の質問についてですが、今回の一連の問題のそもそもの原因は、現行の法律ですら遵守が徹底されていなかったということ、コンプライアンスの欠如が大きな原因であると考えます。コンプライアンスの強化について、自民党独自でも対応可能なものとして、速やかに、先ほど中間取りまとめでまとめたことも踏まえて、実行に移していかなければならないと思いますが、その中で、いわゆる内部通報ということについては、組織が自浄作用を発揮し、法令遵守を徹底する上でも意義あるものとして、民間でも必要な体制の整備が進められてきたところであると承知しております。コンプライアンスの徹底を図り、党のガバナンスを強化するという観点から、こうした内部通報ということも一つの参考になると考えます。

小倉委員 ありがとうございます。是非、この中間取りまとめで様々提議されている点、総裁としてリーダーシップを発揮をしていただいて、実現をしていただきたいと思いますし、中間取りまとめであります、総理も政治改革に終わりはないということをかねてよりおっしゃっておいでです。国民の信頼を回復をするために、これ以外の政治改革、政治資金の様々な論点、あるいは国会改革、あるいは選挙制度改革、あるいは政と官との関係、政と民との関係、こういった点についても、是非、不断の令和の改革努力、これを進めていただきたいというふうに思います。

 国民の信頼を回復するためには、この政治資金の問題を一刻も早く正していかなければいけないと同時に、政策をしっかり実現をしていくということも重要であります。

 冒頭申し上げたように、異次元の少子化対策、これも貫徹をしなければなりません。着々と政府の取組は進んでございます。昨年の年末には、こども未来戦略方針が出され、そして、三年間で三・六兆円、子供政策、少子化対策を充実をする、この具体的なパッケージが取りまとめられ、そして、今国会にもそれを実施をするための法案が提出をされる予定と聞いております。

 この議論を聞いて、私も前大臣としていろいろなところに講演に行くと、少子化というのは、婚姻数の減少と結婚をしているカップルの子供を持つ数の減少、この二つであって、むしろ結婚支援が重要なんだという点であります。

 パネルに書いてありますように、婚姻数の減少、これは何が原因かというと、明らかであります。左側に年収ごとの未婚率を並べてございますけれども、特に男性のところ、年収が増えれば増えるほど未婚率は減少しております。若い人の立場に立って考えたときに、自らの生活が安定しないのに、結婚したり子供を持ったりして新たな責任を持つということは到底考えられないというのは当たり前だというふうに思います。

 だからこそ、こども未来戦略の基本理念の、三つある、読みますけれども、その第一に、若い世代の所得を向上させる、増やすというふうに書いてあるんですけれども、なかなか、この経済対策について、まだまだ国民の皆さん方の認知度が高まっていないのかなという気がいたしております。

 そこで、加藤大臣に、若い世代の所得を増やし、そして結婚や子供を持つことに対して後押しをしていく、こういったことに向けてどのように具体的に進めていくか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 少子化対策の当面の集中的な取組である加速化プランにおきましては、若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てできる社会を目指し、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援することに加え、若い世代の所得を増やし、学びや就職、結婚、出産、子育てなど様々なライフイベントが重なる時期において、現在の所得や将来の見通しを持てるようにすることといった理念の実現を図ることとしております。

 具体的には、若い世代の所得の向上に向けては、構造的な賃上げ、三位一体の労働市場改革、個人の主体的なリスキリングへの直接支援などに取り組んでまいります。

小倉委員 ありがとうございます。

 このパネルの右側に示しておりますように、まず、我が国の場合、非正規の方の未婚率は正規の三倍にも上ります。正規化も進めなければなりません。それと同時に、正規で雇用されている方々の所得を見ても、ドイツやイギリスと違って、我が国の場合は、十五年から二十年以上働き続けないと給料は目に見えてアップをしないということであります。

 やはり重要なのは、働き方改革をする、そしてリスキリングをしていく、そして、生産性に見合った評価がなされ、それに見合った給料が払われるような、そういうことをしていって、二十代、三十代であっても、きちんと、スキルがあれば、それに見合った所得を得られるような、そういう経済対策をしていくということが私は重要だというふうに思います。

 総理は、何が次元の異なる少子化対策かと聞かれたときに、常々、今回の少子化対策は、子育て支援策にとどまらず、広く経済社会政策の一環としてこれを行うということを何度もおっしゃっておいでです。経済対策も、今申し上げたように、やらねばなりません。

 もう一つ、このパネルの左側をもう一度御覧いただきたいと思います。

 これは未婚率ですけれども、男性は所得が増えるほど未婚率は下がりますけれども、女性は所得が上がっても未婚率が下がらないということなんです。これは何を意味しているかというと、女性が働けば働くほど、仕事と育児の両立ができないからこそ、子供を持つ希望を持っている人も子供を持つことができないということであります。

 我が国は、女性が男性の五・五倍、育児、家事負担を負っています。ですから、キャリアを持つ女性が育児をしながら男性社員と同じぐらい会社でパフォーマンスを上げるのは至難の業であります。だから、女性が安心をして、男性もそうでありますけれども、育児とそして仕事を両立する環境を整える、そういう社会構造改革を行うことこそが少子化対策につながると私は考えますけれども、では、これを具体的にどう実現をしていくか、加藤大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 加速化プランにおきましては、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援することに加え、社会全体の構造や意識を変え、夫婦が相互に協力をしながら子育てをし、それを職場が応援し、地域社会全体で支援する社会をつくることといった理念の実現をも図ることとしております。

 また、具体的には、共働き、共育ての実現に向けましては、両親が共に育休を取得した場合の最大二十八日間の育児休業給付の手取り十割相当への引上げ、育休を支える体制整備を行う企業への助成措置の大幅強化などに取り組んでまいります。

小倉委員 加藤大臣は男女共同参画担当大臣でもあられます。ジェンダー平等なくして少子化対策はありません。ジェンダー平等は少子化対策のためにあるわけではありませんけれども、少子化対策のためには、ジェンダー平等を実現をすることが不可欠であります。是非、加藤大臣にはその音頭を取っていただきたいと思います。

 先ほど、経済対策、結婚支援の方が子育て支援よりも重要だ、そういう意見があるということを御紹介をいただきました。では、子育て支援が重要でないかというと、そうではございません。

 このパネルを御覧ください。

 完結出生児数というデータがございます。結婚して十五年以上たつカップルの子供の数であります。これは、高度成長期でがくっと下がって二・二ぐらいになりました。この二・二という数字が二〇〇二年ぐらいまで三十年間変わってきませんでしたけれども、この二十年間で実はこの完結出生児数も減少しております。

 右に書いてありますように、多子世帯の数が減っているからであります。だからこそ、子育て、もう既に子供がいる世帯への支援も引き続きやっていかなければいけないということで、こども未来戦略方針におきましては、妊娠から出産、就学前の支援から就学後の支援、大学の教育の負担軽減まで、まさに切れ目のない、ライフステージに応じたそれぞれの支援策を拡充をしていく。だからこそ、三・六兆円かかるわけであります。

 何が異次元かというと、この三年間で三・六兆円をやるという規模とスピード感だと思っておりますが、ただ、この三・六兆円でおしまいではないということが、こども未来戦略方針にも書いてあります。二〇三〇年代初頭までに子供予算というのを更に倍増させていくとなると、今から三年後、更に数兆円増やす、何をどう増やすかという議論も始めなければなりません。

 時間がないので手短に紹介をさせていただきたいと思いますが、大学の無償化、これも二千六百億円ぐらいの予算をかけて大学の授業料無償化を決めました。このパネルの上に書いてありますように、この無償化というのはかなり思い切ったもので、現行制度に比べると、この赤枠でありますけれども、かなり授業料無償化の範囲が広がってございます。

 他方で、余り評価が芳しくないのは多子世帯のカウントの仕方でありまして、今後国会でも議論がありますけれども、上の子が社会人になると下の子が授業料が無償化でなくなってしまうということであります。これは親の目線から見ると、同時に子供が大学に在籍をしているときの授業料の負担が一番重いわけですから、極論、大学一年から四年まで年子で全員大学生であっても、全員の授業料が無償化をされるということですから、親の目線からすると、これはすごくありがたい制度だと思いますが、他方で、子供の目線からすると、上の子が進学をするか就職するかで自分の授業料が変わってしまう、無償化でなくなってしまう、若干違和感のある制度となっております。

 先ほど申し上げたように、これからも更に少子化対策、子供政策の充実の議論は進めてまいります。こども家庭庁として、大きな方向性としては、多子世帯であれ、一子、二子世帯であれ、あるいは所得の多寡にかかわらず、子供が子供である以上、しっかりひとしく支援をしていく、こういう方向性でこども家庭庁の下で議論を進めているというふうに思っておりますけれども、その点について、最後、加藤大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 こども大綱におきましては、子供、若者の今とこれからの最善の利益を図ること、良好な成育環境を確保し、貧困と格差の解消を図り、全ての子供、若者が幸せな状態で成長できるようにすることなどを、子供施策に関する基本的な方針として掲げてございます。

 また、加速化プランを含む具体的施策のPDCAにつきましても、こども大綱の下で進めていくこととしており、今後、加速化プランの効果の検証を行いながら、政策、内容、予算を更に検討し、こども家庭庁予算で見て、二〇三〇年代初頭までに、国の予算又は子供一人当たりで見た国の予算の倍増を目指してまいります。

小倉委員 以上です。ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、上野賢一郎君から関連質疑の申出があります。小倉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上野賢一郎君。

上野委員 自由民主党・無所属の会の上野賢一郎でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、今日はありがとうございます。

 今般の政治資金パーティーをめぐる不透明な資金問題、言うまでもなく、国民の皆さんの信頼を大きく損ね、厳しい批判にさらされております。選挙区を回っておりましても、政治と金の問題についての厳しい御意見、たくさん頂戴をいたします。とりわけ、確定申告を目前に控えた中小企業や小規模事業者の方から大変厳しい御意見をいただいているところであります。改めて、自民党の一員としておわびを申し上げたいと思います。

 本委員会におきましても、再発防止に向けた政治資金規正法の改正、政策活動費に関する疑念、そもそも実態解明が不十分ではないかなどの様々な厳しい御意見や御指摘を頂戴をしております。

 政治と金の問題につきましては、直近の世論調査でも、自民党の中間報告、これでは自民党は信頼回復できないとの声が九割に上るなど、自民党は自浄能力を発揮できないと国民から見られております。体感としては、政権から陥落をしました二〇〇九年の状況に近づいているのではないかと思います。

 まず求められるべきは、今回の不祥事の真相解明です。現在、党幹部によるヒアリング結果を踏まえた取りまとめが行われております。収支報告書に未記載であった資金については、当然、その使い道について議員本人に説明責任があります。仮に、個人的に使われていたような場合、あるいは支出の事実が確認されないような場合、それは個人の所得として課税をされるべきものであります。ヒアリング結果によって個人所得とみなされる場合には、我が党としても、早急な修正申告を指示し、納税をさせるなどの対応が必要だと考えます。

 並行して、今回の不正事案のようなことが今後決して生じないように、政治資金規正法などの制度改正をどのように進めていくか、これが非常に大切になります。

 政治資金規正法は、昭和二十年代、戦後初めての総選挙が終わった後に、余りにも多くの政治腐敗案件が起きました。それをきっかけに制定をされたものであります。

 法律名称の規正、これは、物事を制限する規制ではなくて、正しいという字を用いて、悪い点を正し、改めるという意味であります。

 「国民の不断の監視と批判」、「国民の疑惑を招くことのないように、」などの国民の視点に立ったこの法律の第一条や第二条の理念規定、目的規定、これが整備をされましたのは、昭和四十九年の参議院選挙の後であります。大量の選挙違反で、検挙された方が千人を超えました。いわゆる金権選挙、これへの大きな批判が生じたことをきっかけに、国民の視点に立った大きな改正が行われております。以後、ロッキード事件やリクルート事件など、数々の不祥事とその都度の批判、反省を経て現在の形となっております。民主政治の基盤を支える重要な法律であります。

 国民の間には、お金の問題をきれいにできない現実、昭和の時代のような金にまつわるような政治風土、そして自民党への深い憤り、これがあります。自浄能力を発揮をし、あくまで法の理念や目的に規定をされている国民の視点に立った政治改革を実行していくためには、総理の強いリーダーシップが不可欠だと思います。

 先ほどの納税の問題なども含め、これまでの国会の議論を踏まえた政治改革への決意、これを改めて総理からお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、政治資金というものは、民主主義にとって大変重要な構成要素です。この政治資金の運用に疑義が生じ、国民の信頼が失われるということになれば、民主主義の基盤が揺らぐということになります。このことを深刻に受け止めて、今回の事案の発生については、自民党として謙虚に反省し、そして国民の皆さんにおわびを申し上げなければならないと思います。

 そして、信なくば立たずといいますが、国民の信頼なくして政治の安定はないし、政治の安定なくして政策の推進もない、このことを肝に銘じて、我が党は、解体的な出直しを図り、信頼回復に努めなければならないと強く感じています。

 さきの国会の会期末に、私自身、国民の信頼回復のために火の玉となって先頭に立って取り組んでいくと申し上げましたが、その強い思い、これはいささかも変わりがないと思っております。

 そして、そうした思いで、委員が御指摘になられたように、まずは実態把握、しっかり努めなければならない。本人の説明責任、これは第一でありますが、党としても、聞き取り調査等、実態把握に努め、そして、政治責任についても考えていかなければならない、対応を考えていかなければならないわけです。

 そして、こうした政治資金をめぐる様々なルールや制度についても、さきの中間取りまとめにおいて、まず、自民党として自らできることについては、いわゆる派閥の政治資金パーティーの禁止を始め、様々な取組を行う。そして、制度面、御指摘の政治資金規正法を始めとする法改正を伴う制度面についても、自民党として、政治資金の透明性あるいは公開性の向上、そして責任体制の厳格化、こういった点を通じてルール作りにしっかりと貢献していく、こういったことを確認いたしました。

 これをまず実行する。何よりも実行することが政治の信頼回復に向けての第一歩だと肝に銘じて、先頭に立って実行に努めてまいりたいと考えます。

上野委員 今、各党が制度改正に関して様々な意見を表明しておられます。自民党の中間報告を踏まえますと、現段階では、監査制度の強化などによる透明性の確保、政治家の責任の明確化、この二点につきましては、おおむね方向性が一致しているのではないかと考えます。このうち、政治家の責任に関する連座制の強化につきましては、友党の公明党からも強い要請があります。

 現在は、選挙違反に関して、運動の責任者等が買収などの罪を犯した場合に議員本人も失職をするというものでありますが、これを政治資金に関しても拡大すべきだと考えます。不祥事があっても政治家が一切責任を問われないという点について、強い批判があります。職を失うかもしれないという強い強いプレッシャーを政治家にかけなければ、今回のような問題は一向に解決をされないおそれがございます。

 連座制を規定する場合、法制的には、紛れがないように対象を明確化する必要があるのはもちろんでありますが、少なくとも、いわゆる派閥であったり国会議員関係政治団体などは国会議員自らが責任を取るべきだという大きな方針を掲げて臨むべきだというふうに考えますが、総理の見解をお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 政治資金が政治資金規正法にのっとって適正に扱われる、これは当然のことであり、違反した場合に厳正な対応を行うことを可能とし、違反の抑止力を高める、こういった問題意識は私も強く感じています。

 そして、自民党としても、独自の運用として、会計責任者が逮捕、起訴等の事態になった場合、この団体の代表を務める議員も事案の内容に応じて党規約等において処分できる党則改正を行うこととしていますが、これを各政治団体共通のルールとして、法律において共通のルールとして在り方を議論する、このことは大きな意義があると思っています。この点についても、先ほどの中間取りまとめにおいて、より厳正な責任体制の確立、厳正化を含めて協議を行っていく方針、これを確認をしているところであります。

 そして、この厳正な責任体制を確立するための方策として、御指摘のように、連座制の議論等があるわけでありますが、この連座制の中身について、仮に、公職選挙法で言う連座制、あれと同様な制度ということになった場合に、対象とする政治団体の範囲ですとか、対象とする違反の種類ですとか、それから、公職選挙法の連座制は、すなわち、法律違反に直接関わっていない場合でも失職するという法のたてつけになっているわけですが、法律違反に直接何ら関わっていない場合にあっても失職するなどの制裁を科す理由において、政治資金規正法においてどう定義するかとか、それから、おとりなどによる制度の悪用防止、こういった点においての議論が必要であるということは認識をしております。

 いずれにせよ、政治資金規正法改正に向けて、党として考え方をまとめた上で議論を行ってまいりたいと考えます。

上野委員 総理は先週、自民党の政治刷新本部の下に設置しました三つの作業部会の座長に具体的な検討を指示したというふうにお伺いしておりますので、そこで、その問題も含め、具体的な検討を早期にスタートをさせていただきたいと思います。

 やはり、第一党である自民党が具体的な政治資金規正法等の改正案を出さなければ、国会での議論は進みません。いつまでに自民党としての案を取りまとめるお考えか、一定のめどを示すべきではないでしょうか。

 その上で、いつ頃をめどに各党協議に入るのか、今国会中の法律の改正の実現は不退転の決意で行うのかなども含めまして、今後のスケジュールについて総理にお伺いをいたします。

岸田内閣総理大臣 党としては、先ほどの中間取りまとめにおいて、より厳格な責任体制の確立、厳格化など、真摯な協議を行っていく方針を確認し、そして、御指摘のように、先週ワーキングチームを立ち上げたということですが、是非、党としての考え方をできるだけ早く取りまとめた上で、今国会での法改正を目指して議論を進めていきたいと考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 委員会におきましても各党から様々な資料が提示されておりまして、収支報告書を一枚一枚見ながら集計を行っていただいています。私どもも同様に、紙をめくりながら、その数字が合っているかというのをチェックしております。

 国会審議のみならず、マスコミの皆さんが報道される場合や、あるいは研究者が分析する場合、あるいは国民の皆さんが関心を持って政治資金について調べようとする場合に、紙ベースの集計では大きな困難が生じますので、デジタル化、これを進めれば、こうした課題は一気に解決をすると思います。国民の不断の監視ということが標榜されている政治資金報告書でありますので、デジタル化を早急に進める必要があることを申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、支援金制度につきましても、国会で大きな議論があります。

 政府は、歳出改革と賃上げによって社会保険の負担軽減を行い、その隙間で支援金制度をつくるので実質的な負担が生じないという説明をしておりますが、正直、分かりにくいと思います。令和十年度の支援金の加入者一人当たりの拠出額は平均で月五百円弱との答弁がありました。これらはどういう関係にあるのでしょうか。

 実質的な負担が生じないということにつきまして、分かりやすい説明を総理からお願いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、私自身、かねてより、新しい政策を掲げてそのための歳出を増やす場合、まずは既存の歳出の改革が重要であるということを申し上げてきました。歳出改革とは、既存の歳出を削る一方で、削減した歳出の範囲内で新たな政策の支出を図る、こういった考え方、すなわち国民の新たな負担を求めないという考え方、こういった考え方は重要だということを申し上げてきました。

 そして、今回の子供、子育て予算の財源確保、これはまさに今申し上げました歳出改革の基本的な考え方に基づいた取組であり、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で子供、子育てに要する支出の財源をいただく、こういった基本的な考え方に立っています。

 重要なのは社会保障負担率ということを再三申し上げています。社会保障負担率、これは、分子が保険料負担であります。そして、分母が国民の所得ということになります。

 そして、分子の保険料負担については、今申し上げましたように、歳出改革等を通じて社会保険の負担の軽減措置を生じさせて、その範囲で新しい支援金を構築するということを申し上げているわけですから、分子の部分は、これは全体として増えるものではありません。そして、分母の賃上げについて、今まさに、政府を挙げて雇用者報酬の伸びを高める努力をしています。

 このように、分子、分母両面で確実に社会保障負担率を軽減していく、こういった取組を進めていくことによって、実質的な負担は生じない、こういったことを申し上げています。

 五百円弱との関係についてどうかという御質問がありましたが、今言った考え方に具体的に実際の数字を当てはめてみますと、令和五年そして令和六年度、五年、六年の予算編成では、歳出改革によって、医療、介護の保険料で合計三千三百億円の軽減効果を生じています。これは加入者一人当たりで月額約百五十円の軽減効果を生じたということになるわけですが、これを令和十年度まで継続すると、保険料負担で約一・〇兆円の軽減、加入者一人当たり月五百円弱の軽減効果が生じる、こういった計算になります。

 ですから、この範囲内、すなわち加入者一人当たり月五百円弱の支援金の拠出にとどめていただくならば、加入者一人当たりの平均で見て、支援金制度の導入によって差引きで負担が生じることにはならない、全体としても、支援金制度の導入のために社会保障負担率が上昇することにはならない、こういったことを御説明しているところであります。

 そして、今後、賃上げについてはますます伸ばしていかなければならないということですから、分母の方はこれから更に伸ばしていくということによって、実質的な負担は生じないということをより確実なものにしていく、こうした努力をしていきたいということを申し上げさせていただいております。

 こういった歳出改革を進めることによって、その削減した歳出の範囲内で新しい政策に対する拠出も考えるという考え方、もしこの考え方を取らないとしたならば、増税をするか、あるいは国債に頼るかということになってしまうと考えますが、選択肢として、岸田政権としては、増税や国債発行ではなくして、今言った歳出改革の考え方に基づいて子供支援金を考えていきたい、こういったことを説明させていただいている次第であります。

上野委員 ありがとうございました。

 加藤大臣、一問だけお願いしたいと思います。

 民間の研究者の方が一人当たり支援金額を試算されておりますが、政府の試算月五百円弱よりも相当高い数字が出ております。これは、事業主負担が入っていない、あるいは公費負担が考慮されていない等があるのではないかと思いますが、それについて簡潔に御説明をお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供、子育て政策の抜本的強化を支える安定財源の一つとして導入をされる支援金制度は、児童手当の抜本的拡充など、加速化プランで新設、拡充する施策に充て、切れ目のない支援を実現していくためのものであります。

 現在、今通常国会への法案提出に向けた最終調整を行っているところであり、お尋ねの拠出についてもイメージとしてお示しすることになりますが、医療保険の加入者一人当たりで月平均五百円弱というのは、支援金の総額を一兆円程度と想定する二〇二八年度の拠出額の見込みでございます。また、支援金は二〇二六年度から段階的に構築することとしておりまして、総額が六千億円程度である二〇二六年度は三百円弱、八千億円程度である二〇二七年度は四百円弱という粗い試算をしてございます。

 その上で、医療保険制度ごとに支援金を算出するためには、被用者保険については事業主負担を見込んで労使折半とすることや、国民健康保険や後期高齢者医療制度については一定の公費負担を組み込んで低所得者軽減等を図ることも考慮に入れることが必要でございまして、そうした点が影響した結果、一部報道で言及されている金額等との差が生じているものと考えております。

 引き続き、こうしたことを踏まえて、一人当たりの拠出額についてどのようなお示しの仕方ができるか精査を進めてまいります。

上野委員 様々な試算が出ておりますが、数字については国民の皆さんも関心を持たれておりますので、また今後とも分かりやすく、また丁寧な説明、具体的な説明をお願いしたいと思います。

 時間の関係がございます。ドラッグロスについて一点だけお伺いをいたします。

 この問題、厚労省もあるいは内閣官房も積極的に取り組んでいただいておりまして、感謝を申し上げたいと思いますが、将来的なことはともかく、もちろん大事ではありますが、それと同時に、今直面しているドラッグロス、先日もALS患者の皆さんと一緒に新薬トフェルセンの早期承認の要望を行いましたが、今直面をしているドラッグロスの問題、あるいは近い将来必ず直面をするドラッグロスの問題にどのように対応するのか、厚労大臣の所見をお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 世界で開発されている新薬三百品目の中で、日本で薬事申請がされていないのはそのうちの七割近くを占めるというのがいわゆるドラッグロスであって、この状況が続くと、日本が先進国としての臨床レベルからもう確実に後退するという非常に深刻な事態にあると思います。その中の一例だと思いますが。

 したがって、昨年六月に厚生労働省としては報告書を取りまとめました。その政策に基づきまして委員御指摘の医薬品のアクセス改善がありまして、例えば小児がん治療薬の未承認薬について、国立がんセンターが実施するAMED研究事業において、患者申出療養などを活用し、その安全性や有効性を評価しながら使用する臨床研究を本年一月から開始をいたしました。また、委員御指摘のALSの治療薬トフェルセンにつきましては、昨年四月に米国で迅速承認されたと承知しており、現在、国内企業が日本での薬事申請に向けてPMDAと相談を行っていると承知をしております。トフェルセンについては、企業から承認申請がなされた場合には、PMDAにおいて迅速に審査を進め、有効性、安全性が確認されれば速やかに承認してまいりたいと思います。

 このドラッグロスの解消のためには我が国独自の医薬品の開発も極めて重要でございますので、ベンチャー、アカデミア、製薬企業などが相互に協力して創薬に取り組むエコシステムを構築して創薬基盤を再構築することで、ドラッグロスの解消に国を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

上野委員 ありがとうございます。是非お願いをしたいと思います。

 最後に、国交大臣、わざわざおいでいただきまして、ありがとうございます。

 二〇二四年問題、もう四月から現実的な課題となります。様々な政策に取り組んでいただいておりまして感謝を申し上げたいと思いますが、この四月からその政策の効果をしっかり見極めてもらうことと、そして、流通の実態がどうなっているか、これについてもしっかり見ていただく必要があると思いますので、その点だけお答えをお願いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 二〇二四年問題を解決してドライバーの賃上げを図る、そのためには荷主企業の方に協力していただかねば問題は解決しないということでございます。

 今回、法律を国会に提出いたしました。この状況を四月からどのように見ていくかということでございますが、これまで様々な取組をやっておりますが、その取組をしっかり国交省としても見て、この法律の効果も見ながら、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

上野委員 ありがとうございました。終わります。

小野寺委員長 これにて小倉君、上野君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる収支報告書不記載、裏金問題。総理、これは法律がなかったから起きた問題じゃありません。法律があったのにそれを守らなかった、ここが今回の問題の核心です。

 政治資金の収支を報告書にきちんと記載をして明らかにする、これは我々政治家にとって、イロハのイ、基本中の基本です。しかも、政治資金規正法は議員立法で制定をされて、その改正も基本的には議員立法です。つまり、我々政治家が自らの手で作り上げてきた法律、それが政治資金規正法です。にもかかわらず、この法律を守らなかった、破った。それはなぜなのか。

 今回の問題の本質的な要因、これをどのように考えているのか、自民党のトップである総理にお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、今回の事件については、様々な問題はあるとは思いますが、やはり最も重要な、そして大きな原因、これは、現行の法律すら遵守が徹底されていなかった、すなわちコンプライアンスの欠如である、これが最も大きな問題であると認識をいたします。

 そのために、法律そのものについて議論することは当然必要なことでありますが、これに違反した場合の対応を厳格化するなど、抑止力を強めるなど、コンプライアンスの強化をしていく、こうしたことが重要であると思います。

 自民党としても、今回の事案を受けて、会計責任者の逮捕、起訴等の事態になった場合に、その団体の代表を務める議員も事案の内容に応じて党規約等において処分できるようにする、こうしたコンプライアンスの強化を定めて、これを実行してまいりますが、法改正の議論においてもそういった点が重要なポイントになると認識をいたします。

國重委員 遵法意識の低さ。要は、法律を、そして国民をなめていた。甘さやおごり、これが本質的な要因じゃないか、私はそう思います。ここと真正面から向き合わない限り、幾ら制度を改正したとしても、政治と金の問題、これはまた繰り返されると思います。

 今回の問題、政治資金規正法に抵触をする問題ですけれども、そもそも、政治資金規正法という法律、これは、国家権力が一律に政治資金の使い道のよしあしの基準を作って、その基準に違反した政治家を処罰する、こういった法律ではありません。政治資金の収支をそのまま報告させる、そしてそれを国民の前に明らかにして国民の監視と批判を仰ぐ、そういうスキームで作られた法律です。だからこそ、政治資金収支報告書への不記載や虚偽記載、これらには重い刑罰が定められています。

 その上で、国民から疑念を持たれた場合にはしっかりと説明責任を果たす、国民の納得が得られないものについては自らが是正していく、こういった国民との対話、やり取りを通じた見直しをしていくことによって健全な民主政治を実現する、そのための法律が政治資金規正法です。つまり、説明責任を果たす、これが一番重要になるわけです。

 そして、その説明する相手というのは、税務署でもなく、捜査機関でもなく、本来、国民じゃなきゃいけないんです。だけれども、現在示されているものだけでは、全く、ほとんど、具体的な使い道等、明らかになっておりません。もっと踏み込んだ説明をしないと、国民の疑念、これは到底払拭できません。

 そこで、岸田総理、自民党の総裁として、疑念を持たれている議員に対して、真摯に、より踏み込んだ説明を尽くすよう強く指示をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、説明責任を尽くさなければならないという点、これは御指摘のとおりだと認識をいたします。

 今、今回の事件等を通じて、関係者による政治資金収支報告書の訂正、これが順次行われているわけですが、これに対して、まずは、この事情を最もよく知る関係者本人が説明責任を尽くすことが重要であるということを申し上げ、党としても説明責任を尽くすよう促しておりますし、これからも促していかなければならないと思います。

 そして、説明責任ということについては、こうした関係者の説明責任の状況をしっかりと把握しながら、自民党、党としても実態把握に努めなければならないということで、聞き取り等を行ってきたところであります。

 こうしたことを踏まえて、党としての説明責任も果たしていきたいと考えております。

國重委員 まずは今回の問題に関する説明責任をしっかりと果たす、まずはこれが何よりも大事であります。その上で、覚悟を持って制度改革も進めていかないといけません。

 我が党は、本年を令和の政治改革元年と定めまして、他党に先駆けて、一月十八日、公明党政治改革ビジョンを発表いたしました。柱は大きく二つ。一つは、政治資金の入りと出の透明性の強化、もう一つが、不正の抑止力を高める議員本人に対する罰則の強化です。

 この具体的な内容につきましては、これまでの予算委員会でも強く訴えてきました。総理も、今国会で政治資金規正法を始めとする法改正を実現していく、そうおっしゃっております。ただ、会期末から逆算しますと、非常に幅広い議論が必要になりますので、そんなに時間があるわけではありません。

 総理、自民党の制度改革の具体案、ここまでやるという内容をできるだけ速やかに明確に示す、そして与野党協議の場を早期に設置をする、自民党総裁として党内に強く指示していただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 自民党としても、政治刷新本部の中間取りまとめとして、政治資金規正法改正などの制度面について、政治資金の透明化、公開性の向上、より厳格な責任体制の確立、厳格化等について党として協議を行っていく方針を確認しており、その上で、ワーキングチーム、政治資金に関する法整備の在り方に関するワーキングチームを含めて立ち上げて、今議論を進めているところです。

 そして、この議論の場の進め方等については、これは当然国会の場でお決めいただくことではありますが、自民党としても、今国会での法改正を目指して、党としての考え方、可能な限り早急に取りまとめてまいりたいと考えています。

國重委員 国民の皆様の信頼を回復をする、そのために議員の緊張感を生み出す、制度改革を必ず今国会で成し遂げないといけません。

 その上で、罰則を強化しないと法律を守れないというのでは、これは法律を作る国会議員として余りに情けないと思います。政治家としての矜持を持たないといけない。法律を守る、これは当たり前の大前提であって、政治と金の問題を今議論しておりますけれども、これによって国民生活がよくなるわけではありません。こういったことに時間を費やさないといけないことになっていること自体、本来恥ずべきことです。

 週末、地域を一軒一軒回りながら、厳しい御意見とともに、ほかにも大事な問題あるんやからそうした議論もきちんとやってほしい、責任感を持って自分たちの前に見せてほしい、こういったお声も、これもたくさんいただきました。

 日本の本質的な課題、これは少子化、それに伴う人口減少です。少子化の影響は全世代に波及をします。持続可能な社会をつくれるかどうか、日本全体の未来に関わる課題です。そして、少子化の根本的な要因が未婚化、晩婚化にあることはデータ上明らかです。それぞれの価値観は尊重した上で、結婚したいと思う人たちが結婚しやすい環境をつくっていかないといけません。

 未婚化の要因、これは複合的ですが、とりわけ男性の場合、一定の所得ラインで結婚割合が大きく変わっています。これは、非正規だけが未婚率が高いわけじゃなくて、正社員の低所得の人も未婚率は高いんです。

 これを踏まえて、若者、とりわけ未婚の若者の所得向上に向けた取組が重要になります。政府は、リスキリング、職務給、労働移動などに力を入れようとしています。大事なことだとは思いますけれども、これまでの施策の延長のように感じます。児童手当の拡充などの子育て支援策と比べて、具体策への踏み込みがいま一歩足りません。今、政府が取り組もうとしている施策、賃上げ、こういったこととともに、若い世代、とりわけ未婚の若者への住宅支援など、思い切った、若者のニーズに沿った、より強力な支援策を検討していただきたいと思います。

 総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 若者の未婚化が進む背景、これは様々な要因が複雑に絡み合っていると感じておりますが、ただ、その中にあっても、若い世代の所得向上、これは大変重要なポイントであると認識をいたします。

 そういったことから、若い世代の所得向上について、最重要課題である賃上げ、社会全体の賃上げ、これに取り組むとともに、三位一体の労働市場改革を進め、また正社員への転換に取り組む事業主への支援、あるいはハローワークにおけるきめ細かな就職支援、こういったことに取り組んでいるわけですが、それと併せて、御指摘がありました住居の支援、これについてですが、若い世代への住居支援として、若年夫婦や子育て世帯を対象に全期間固定金利の住宅ローンの金利の引下げなどの措置、また、賃貸住宅に関しても、公営住宅において入居条件を緩和するなどの見直しを行う、また、新婚世帯への住宅費用の支援、出会いの支援や場の提供、こうした地方公共団体の取組を支援していく、こうしたことも政府として実施をしているところです。

 是非、こうした支援に加えて、引き続き、子供、若者世代のニーズあるいは意見、こうしたものを反映しながら、子供、若者の視点に立った支援、政府としても拡充していきたいと考えています。

國重委員 今の答弁を聞いていましても、やはり結婚した後の、子育て世帯に対する支援はあるんですけれども、未婚の若者への支援がやはり弱いと思います。引き続きと今言われましたけれども、私は、引き続きというよりも、二〇三〇年までがラストチャンスと言っているわけですから、やはりこれはより一層の支援をやっていくべきだと思います。収入を増やして必要経費を減らす、両側面から政策を考える必要があります。

 さらに、時代の流れとともに、お見合い結婚や職場結婚が減る一方で、出会いの場も少ない、これも様々な調査で明らかになっているとおり、多くの若者の声です。こうしたことも踏まえ、また、若者の声を、意見を更に丁寧に聞きながら、私もいろいろなことを聞いた上で今日の質問をしています、丁寧に聞きながら、若者の皆さんが、こういう政策だったら希望を持てる、このような支援策を、総理、是非よろしくお願いいたします。

 若い女性の皆さんと話をしますと、勤務先の子育て中の女性が仕事や家事、育児、この両立に苦労している姿を見て結婚にちゅうちょしてしまう、こういった声もよく聞きます。このような中で、政府は、共働き、共育てに向けて男性育休の取得率を拡充していく方針です。

 現在の男性育休の取得率は約一七%。この取得率が低い大きな要因は、育休制度を利用しづらい職場環境、職場の雰囲気にあります。これは経営者が悪いとか職場の周囲の人たちが必ずしも悪いということではなくて、育休で人が欠けることによってその分の仕事のしわ寄せがほかの従業員に行ってしまう、そういったことへの負担感、またそれが適正に評価されないことへの不満、このようなことが背景にあると考えられます。

 人手不足で悩んでいる経営者は多くいらっしゃいますし、会社の規模が小さいほど、ほかの従業員への負担もより大きくなって、代替要員も見つからず大変だという話もよく聞きます。だからこそ、企業や周りの従業員に対する支援が重要になります。

 人手不足に拍車がかかる中で、どのように企業や周囲の従業員を支援をして男性育休の理解を広げてその取得を促進していくのか、武見厚労大臣に伺います。

武見国務大臣 御指摘のとおり、男性の育休、休業取得を促進していくために、育児休業中の業務を代替する体制整備への支援が非常に重要な課題だということは認識を十分にしております。

 このため、令和六年一月から、両立支援等助成金に育休中等業務代替支援コースを新設をいたしまして、育児休業中の労働者の業務を代替する周囲の労働者に対して事業主が手当を支給する場合などの助成措置を大幅に強化をいたしました。

 また、中小企業におきましては、育休中の労働者の代替要員を確保することが難しい場合には、労務管理の専門家から、周囲の労働者への業務の振り分け、外部化に関する個別の相談支援など、無料で受けられる事業も実施しているところでございます。

 育児休業を取得しやすい職場づくりというのは極めて重要でございますので、企業や周囲の労働者の支援、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

國重委員 日本の育休制度というのは世界でトップレベルです。一方で、制度を利用しづらい職場環境が課題である以上、今答弁された、業務を代替した場合の手当、こういった支援などは非常に重要になります。

 ただ、その活用は法律上義務ではありません。企業の自主的な取組が期待されるわけですけれども、これをどう実効性あるものにしていくのか、また制度をどう周知していくのか、お伺いします。

武見国務大臣 御指摘のとおり、こうした男性に関わる育休ということに関する、職場における理解とこうした代替制度を実際に運用していただくための周知の徹底、これを私ども確実にしていかなければいけない、こう考えております。

 このため、厚生労働省では、男性の育児休業取得に積極的に取り組む企業の好事例の周知広報、それから、人事担当者や管理者に向けたセミナーの実施などにより育児休業制度の理解促進や機運醸成が図られるよう取り組んでいるところです。

 さらに、企業の自主的な行動を促すために、こども未来戦略におきまして、育児休業取得率の開示制度の拡充や、企業が自社の仕事と育児の両立支援のために策定する行動計画について、数値目標の設定や、PDCAサイクルの確立を法律上の仕組みとすることなどが盛り込まれておりまして、今国会に所要の法案を提出することといたしております。

 こうした取組により、男性が育児休業を取得しやすい環境づくり、着実に進めていきたいと思います。

國重委員 今国会での関連法律の成立を始め、頑張る企業を応援して、男性の育休が取りやすい職場環境づくり、しっかりと進めていただきたいと思います。

 その上で、男性育休が、短くても取ればそれでいい、こういった単なる見せかけ、アリバイづくりに終わっては、これは意味がありません。また、育休というのはあくまで産後の一時的なものです。真に女性の負担軽減につなげるのであれば、むしろ、女性が仕事に復帰した後にどうすれば男女が共に家事、育児に当たれる体制をつくれるのか、ここが肝になります。

 子供の熱が出て保育園にお迎えに行く、送り迎えのために時短勤務をする、こういった負担が男女共に分かち合えるような環境づくり、これを進めるために、施策の利用状況、効果の検証とともに、特に中小・小規模企業へのヒアリングをしっかりやっていただいて、現場のニーズに合致をした支援策を更に練り上げていっていただきたいと思います。

 そして、民間に対してこのような環境整備を強く求めるのであれば、それ以上に、我々政治家の共働き、共育てに対する意識改革、環境づくり、これもしっかりと進めないといけません。育児をしている議員が安心して国会で活躍できるようにするための様々な仕組みづくり、それぞれの状況に合った選択ができるような環境を整えていく必要があります。育児中であったり障害があったり、様々な事情を抱えている人たちが国会でより活躍できるよう、例えばオンライン審議とか、委員会におけるデジタル改革も進めていくべきと考えます。

 制度設計は議院運営委員会を中心に国会でやるとして、こういった国会におけるデジタル改革を始め、様々な立場の人がより活躍しやすい環境づくり、働き方改革について、自民党総裁である総理の思いをお伺いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の国会におけるデジタル化、これは既に検討が始まっていると承知しておりますが、政府としてもこれは協力をさせていただかなければならないと考えます。

 例えば、各省庁から国会議員への説明をオンラインで行わせていただくこと、これも増えていると承知をしております。業務の効率化が進んでいると認識をしています。デジタルをうまく活用することにより、議員御指摘のように、多様な人材が国会において働きやすくなる効果、これは期待できると考えます。

 政府としても、国会におけるデジタル化にしっかり対応し、そして協力をしていきたいと考えます。

國重委員 総理は行政府の長であるとともに自民党総裁でもありますので、是非よろしくお願いします。

 今日は少子化対策も取り上げましたけれども、現実には、出産適齢時期の女性の人数自体が減ってきますので、様々な取組をやったとしても人口減自体は不可避です。その上で、その減少スピードを遅らせるだけでも今の日本には大きな意味があります。まずはこれをしっかりとやっていく。さらに、少子化、人口減少を前提にした社会の制度設計もしっかりやっていかないといけません。

 例えば、人口減を見据えた住宅政策。人口減、高齢化の中、新築をどんどん造り続けていけば、空き家問題がますます深刻化します。だからこそ、既存住宅の市場の活性化、これが必要になります。現状、国内の住宅市場に占める既存住宅の割合は約一五%。約八〇%から九〇%の欧米と大きな差があります。

 この点でポイントになるのが、既存住宅の質を適正に評価をする仕組みづくりです。日本の戸建て住宅は高品質で寿命の長いものが増えてきておりますが、リフォームによって質が向上したとしても、戸建ての担保価値の評価、これについては、金融機関の多くが質ではなくて築年数で判断をしています。これでは、市場の流通という観点では、維持管理、リフォームを行うインセンティブが働きません。数年前から、この課題について、国交省、金融庁と私はやり取りをしてまいりました。

 斉藤国交大臣、良質な既存住宅を適正に評価することの重要性の認識、また適正な評価に向けた今後の取組について伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 日本の既存住宅の不動産というのは欧米に比べてその活性化が大きく遅れている、御指摘のとおりでございます。

 この既存住宅の流通の活性化をいかに図っていくか。この推進に当たっては、リフォームを行っても売買時などに価格として十分に反映されず、住宅の価格が築年数に応じて一律で減価されるという課題があると認識しております。このため、リフォームや維持管理による住宅性能の向上が適正に評価されるということが重要でございます。

 国土交通省では、リフォームや維持管理による住宅性能の向上が適正に評価されるように、既存の戸建て住宅の評価についての指針を策定し、住宅の基礎、躯体部分と内外装、設備部分をそれぞれ評価、合算することなどの基本的な考え方を示すとともに、売買時の価格評価や金融機関による担保評価などにおいて、リフォームなどの価値を適切に反映する先行的な取組を支援することなどを行っております。

 こうした取組の成果について、金融庁とも共有して連携を図りつつ、既存住宅の価値が適正に評価される市場環境の整備に取り組んでまいりたいと思っております。

國重委員 是非よろしくお願いします。

 最後の質問になります。

 昨年、チャットGPT、生成AI、社会に広く普及をしました。これは国民の利便性が非常に増すものでありますけれども、一方で、AI技術の進展、普及は、本物と見分けがつかない動画や画像、音声などを作り出すディープフェイク、この増加にもつながっております。現に、最近でも、能登半島地震の津波と称したフェイク動画が、地震発生後、瞬く間に世界各地に広がりました。

 真偽の見分けが困難なディープフェイク、偽・誤情報、こういったものが手軽に作られ、それが拡散されることによって、個人のプライバシーや社会の安定、さらには民主主義、国家の安全保障までが脅かされる危険があります。我が国としても、このフェイクニュース、偽・誤情報に適切に対応していく必要があります。

 新たに出てきたディープフェイクなどへの対策も含め、松本総務大臣に今後の取組について伺います。

松本国務大臣 國重委員から御指摘がございましたように、令和六年能登半島地震においても、残念ながら、円滑な復旧復興活動を妨げるような偽・誤情報が流通をしたと指摘されておりますし、通信の復旧に当たる事業者も偽・誤情報に巻き込まれたといった報告もございまして、深刻に受け止めております。

 総務省におきましては、SNSなどのプラットフォーム事業者に対して、利用規約などを踏まえた適正な対応を要請するとともに、対応状況のフォローアップを継続的に実施をしているところでございます。

 今、これも委員からお触れになられました、いわゆるディープフェイク技術によって著名人や公人があたかも正式に発言したかのような動画が生成をされ、ネット上に発信、拡散される事例が起こっているということも認識をいたしております。このような状況は、これも御指摘ありましたとおり、国民生活に対するリスクと捉え、技術の更なる精緻化、巧妙化に備えることも必要と考えております。

 総務省におきましては、令和五年度補正予算を活用して、ネット上に流通するディープフェイク動画を判別するための対策技術の開発、実証を行うなど、検知する技術なども含めて、技術面からの対策にも取り組むこととしております。

 また、国際的な動向も踏まえて、偽・誤情報の流通、拡散への対応と表現の自由、これをしっかりと両方を見つつ、制度面を含めた総合的な対策の検討も進めてまいりたいと考えております。

 また、デジタル空間における情報流通の健全性確保のために、総務省においても、有識者の先生方に御議論いただいているところでございますが、取り上げられているものでもございますが、リテラシーの向上、また、情報空間が大変拡大をする中で、発信者の実在性、信頼性に係る発信者情報を……

小野寺委員長 総務大臣、時間が参っております。端的にお願いします。

松本国務大臣 はい。

 発信者情報に係る技術の開発、標準化なども課題として取り組んでまいります。

國重委員 是非よろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて國重君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井委員 二十五分間、質問をさせていただきます。

 私、今までの自民党議員と公明党の議員の方々の質問をお聞きして、質問自体は、的確な質問を政治と金についてされているなというふうに感じました。自民党議員からは、個人所得と認定されたら、裏金は脱税の疑いがある、だから、岸田総理は自民党の議員に対して、自主申告をし納税させるべきじゃないですかと。全く同感です。公明党議員からも、自ら説明責任を自民党議員に果たさせるように、岸田総理、取り組むべきじゃないかと。おっしゃるとおりです。同感です。

 しかし、残念ながら、岸田総理は、ほぼゼロ回答ではないかというぐらいの、前向きな答弁がありませんでした。

 昨日、私たち野党が共同して要求しておりました自民党のアンケート調査が出てまいりました。国民の皆様も大変失望されたと思います。なぜならば、裏金額しか聞いていないんですね。肝腎の使い道、なぜそういう裏金をつくったのか、肝腎のところは全く分からないままです。

 ここにフリップを出します。これは三枚あるんですけれども、こういうふうに、八十五名の自民党議員、元職の方々のデータが発表をされました。三枚あるんですが、これが二枚目、そして三枚目。合計八十五人ですね。そして、ラストのところに書いてありますけれども、総額は五億八千万円ですね。大変な額です、八十五人の方々。

 このような問題に対して、なぜこのような裏金をつくったのかも、そして何に使ったのかも、かつ、個人所得だったら納税しないと駄目なわけですからね、全く分からないんです。説明責任を果たしているとは全く言えません。これを見ても分からない。

 そこで、岸田総理にお伺いをします。

 これだけでは全く裏金の実態は分かりません。安倍派の幹部や二階議員を政倫審に出席させて説明をさせるべきではないでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のアンケートについてですが、党としては、こうしたアンケートと併せて、党幹部による聞き取り調査を行ってまいりました。そうした様々な手段を通じて実態把握に努めている、こうしたことであります。その上で、党としての説明責任を果たしたいと申し上げています。

 そして、政倫審を始め、説明責任を尽くすべきではないか、こういった御指摘ですが、従来から申し上げておりますように、関係者、最も実態をよく知る本人を始めとする関係者が説明責任を尽くしていく、これは重要なことであり、実態把握に努めるためにも、説明責任を果たすよう党として促してきているところであります。そして、これからも説明責任を尽くすよう促していきたいと思います。

 ただ、政倫審、具体的な国会での議論のありようについては、これは国会においてお決めいただくことであると考えております。

山井委員 国会においてお決めいただくことって、何か人ごとみたいなことをおっしゃっていますね。

 野党は昨日、共同して、政倫審を開いて二階議員や安倍派の幹部に説明をさせるように申入れをしました。決断をしていないのは自民党ですよ。その自民党の総裁は、岸田総理、あなたじゃないですか。岸田総理が決断しない限り、野党は要望しているんですよ、止めているのは岸田総理なんです。そうじゃないというんだったら、この場で、自民党として安倍派幹部や二階議員には政倫審に出席するように促すということを、岸田総理、総裁として明言してください。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、説明責任を果たすよう、尽くすよう、党として促してまいりましたし、これからも促してまいります。

 ただ、政倫審の仕組み等については、委員も御案内のとおり、本人の意向等様々な観点から国会として御判断いただくべきものであると申し上げております。

 いずれにせよ、様々な手段を通じて説明責任を尽くすことを党としても促していきたいと考えます。

山井委員 ごまかさないでいただきたい。国会でお決めになると言うけれども、野党は要望しているんですよ。自民党が反対しているんですよ。反対している自民党の責任者は岸田総裁ではないですか。そういうことでしょう。

 違うとおっしゃるんだったら、この場で、自民党総裁として、政倫審の出席、自分もそうすべきだと思うということをはっきりと明言してください。

岸田内閣総理大臣 政倫審について、政倫審への出席、これは本人の意向等も踏まえた上で国会として御判断いただく、こういったことであると私は認識をしております。

 そして、説明責任を尽くすことは大事だ、こうしたことを本人に促していく、これは党としても今後ともしっかりと促してまいりますと申し上げている次第であります。

山井委員 やる気ゼロですね。

 私、岸田総理が政治改革の先頭に立つ、火の玉になって戦うとおっしゃったから、リーダーシップを取ってくださるというふうに今でも期待しています。

 促して、促してと。じゃ、促して、一週間たっても二週間たっても、促して、相手がオーケーと言われなかったら、説明責任を果たさなくていいというふうに岸田総理は思っておられるんですか。

岸田内閣総理大臣 説明責任を果たすことは大事だと申し上げております。そして、記者会見を始め様々な手段で説明責任を果たすべく、党としてもしっかり促してまいります。

 ただ、制度として、政倫審については、御案内のように、本人の意向を始め諸点を勘案した上で国会で御判断いただく、こういった仕組みになっているということを申し上げております。

 いずれにせよ、説明責任を尽くすよう促していく、これは当然のことであると考えています。

山井委員 私、別に国会審議で政倫審の制度の説明を聞きたいと思っているんじゃないんですよ。岸田総理の決断を聞きたいんです。

 繰り返し言いますけれども、国会で協議すると言っているけれども、反対しているのは自民党なんですよ。その責任者は岸田総裁じゃないですか。

 今、反対していないという声が出ました。岸田総理、はっきりしてください。今、安倍派幹部、二階議員に、政倫審に出席するように岸田総理からも促しているんですか。

岸田内閣総理大臣 説明責任を尽くすように党として促しております。

 政倫審の仕組みについては、先ほど来申し上げているとおりであります。

 いずれにせよ、様々な手段を通じて説明責任を尽くす、これを党として促してまいります。

山井委員 何か、やる気が全く感じられないんですよね。全然火の玉になっていないじゃないですか。

 具体的にお答えください。岸田総裁から、二階議員、安倍派幹部に直接、政倫審に出て説明責任を果たすべきだということは促しておられるんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げているとおりであります。説明責任を尽くすよう促しております。

 政倫審については、御案内のとおり、制度として、本人の意向等を確認した上で国会で御判断いただく、こうしたものであると認識をしております。

 いずれにせよ、説明責任を尽くすことをこれからも促してまいります。

山井委員 貴重な予算委員会の時間で、私も社会保障とか子供の貧困とかいろいろ質問したいことがあるんですよ。同じ答弁を繰り返さないでください。単純なことを聞いているんです。

 同じ質問をします。二階議員、安倍派幹部に岸田総理から、政倫審に出席して説明するように促しておられますか。

岸田内閣総理大臣 説明責任を尽くすよう、様々な手段を考えていただくよう、説明していただくよう促しております。

 政倫審については、先ほど来申し上げているとおりであります。

山井委員 もし促されたのであれば、返事は、二階議員、安倍派幹部からはどういう返事が今来ているんですか。

岸田内閣総理大臣 説明責任を尽くすよう促しております。そして、具体的な手段につきましては、それぞれの手段で説明責任を果たしていただいていると思います。しかし、まだまだ不十分だという御指摘に対して、より一層、説明責任を尽くしてもらうよう促しているところであります。

 政倫審については、先ほど来申し上げているとおりであります。

山井委員 では、さっきのリストのこのまま、単に、五億八千万の裏金、額を出しただけで、もう御本人は説明しないでいいということですか。

 萩生田議員の政治資金収支報告書、これもここにありますように、萩生田議員、収入総額不明、前年からの繰越金不明、支出の総額不明、翌年への繰越額不明、政治活動費不明。不明、不明、不明、不明、不明。

 岸田総理、これで国民が納得すると思いますか。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほどの自民党のアンケートについては、アンケートは一つの実態把握の手段ではありますが、併せて聞き取り等を行い、党として全体像を把握するべく努力をした上で、党としての説明責任を果たしていきたいと思います。

 そして、御指摘の収支報告書、東京都二十四区の収支報告書については、これはこれまでも予算委員会の議論に出ておりましたが、収支報告書の一部に不明とされている部分については、判明次第追記する旨の記載があったと承知をしております。実態を確認し、事実を確認した上でその不明の部分についても追記する、そういった趣旨の記載が報告書の中にあったということも聞いております。

山井委員 一部じゃないじゃないですか。収入の総額が不明だったら、全部不明なんじゃないですか、結局。翌年への繰越額も不明、政治活動費も不明。

 今、確定申告の時期、またインボイスで、納税のために国民の皆さんは本当に困っておられるんです。だから、国民の皆さんからの怒りは、裏金問題かつ自民党の議員は納税の義務を果たせということ、そういう声が出ているんですよ。

 岸田総理、では改めてお聞きしますが、二階議員、安倍派幹部からは、出ないと言っているんですか、どうなっているんですか。

 国民や私たちからすると、促している、促しているといって、何にも進んでいないじゃないですか。そして、こういう不明、不明の政治資金の報告書を出されても困るわけですよ。

 繰り返しお聞きしますが、二階議員や安倍派幹部は、岸田総理に対して、政倫審に出ると言っているんですか、出る気がないと言っているんですか。回答はどうなんですか。

岸田内閣総理大臣 党幹部として関係者に対して、説明責任を尽くすよう働きかけを行い、そして促し続けております。

 そして、具体的な、政倫審については、扱いは先ほど来申し上げたとおりであります。

 いずれにせよ、どんな手段を取るにせよ、説明責任を尽くしてもらうことは重要であるということは引き続き促してまいります。

山井委員 これから確定申告や納税の時期で、裏金というのは脱税の疑いもあるんですよ。せめて説明責任を果たさせるのは当然じゃないですか。説明責任なくして再発防止もできません。

 私、何度も岸田総理の答弁を聞いて怪しいなと思うのは、説明責任を尽くすようには促しているけれども、政倫審を促しているとは絶対言わないんですよね。ということは、岸田総理は、これだけ大問題になっているのに、二階議員や安倍派幹部には、説明責任を尽くせというのは、これは一般論ですよね、こんなのは。尽くしていますよと言ったらそれで終わりなわけですから。具体的に、政倫審に出て説明を尽くすべきじゃないかということを、二階議員や安倍派幹部には政倫審に出てということは促しておられるんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げているように、様々な説明の手段を講ずる必要があるということは申し上げております。説明責任を尽くす、国会の場においても説明責任を尽くす、このことは大事だと申し上げております。

 具体的な、政倫審を始めとする国会の在り方、運び方については国会において御判断いただくことと申し上げております。

山井委員 本当に、私も国対を長くやってきましたけれども、今の説明は虚偽ですよ。国会においてお決めいただきたいと言うけれども、自民党が反対しているんですから。その責任者は岸田総裁じゃないですか。自民党が、一方ではブレーキをかけて止めておいて、反対、反対、反対と言いながら、国会で決めてくださいと言ったって、決まるはずないじゃないですか。

 岸田総理、ということは、いや、私、繰り返し言いますよ。火の玉になって先頭に立って政治改革をするとおっしゃったから私は言っているのであって、今日の質疑を聞いていると、岸田総理はそもそも、二階議員や安倍派幹部には、政倫審に出るようにという促しすらされていないということですか。私は、これは国民に対する背信行為じゃないかと思いますよ。説明責任を様々な方法で尽くしてください、そんな一般論、総裁じゃなくても誰でも言えますよ。

 岸田総理の責任は、今、総裁なんですから、総裁だったら、これだけ納税の義務、裏金の疑惑という中になって、今、この疑惑を払拭する責任があると思うんです。

 私、なぜ強く言っているかというと、先ほども言ったように、多くの自民党の議員の方々や公明党の議員の方々、与党、野党、これは関係ないんですよ、みんな怒っているんです、この問題。何のために岸田総理は総裁をやっておられるんですか。私、極端な言い方をしたら、こういうときに決断できないんだったら、自民党総裁、総理大臣の役割を果たしていないと思います。

小野寺委員長 山井委員、総理から答弁を求められております。

山井委員 いや、残念ながら、総理から答弁といったって、同じことしか言わないじゃないですか。ゼロ回答の連発じゃないですか。

 ですから、改めて言います。様々な説明責任じゃなくて、せめて直接、二階議員、安倍派幹部に政倫審に出席するように総理から促してください。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 説明責任を尽くすよう促してまいりましたし、これからも促してまいります。

 しかし、具体的な制度に基づいてどうするかということについては国会で御判断いただかねばならない、これは当然のこととして申し上げております。

 様々な取組、手段を通じて説明責任を果たしてもらいたいと私も強く思っております。

山井委員 私も様々な政策の議論も今日もしたいけれども、先に進まないわけですけれどもね。

 私たちはなぜ言っているのかというと、政倫審に出てこないんだったら、この予算委員会の参考人招致、それに出てこないんだったら証人喚問、そういうことになるんですけれども、被災者の支援もある、社会保障の議論もある、貴重な予算委員会の時間をそういうことに使いたくないわけですよ。政倫審に自民党から自主的に出てきていただいたら、予算委員会と切り離すことができるんですよ。予算の審議もできるんですよ。

 岸田総理、ということは、岸田総理は、火の玉になると言いながら、二階議員や安倍派幹部には政倫審への出席を促す気はないということですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 説明責任を尽くすよう働きかけております。是非、説明責任を果たしてもらいたいと思いますし、そのために様々な手段があるということ、これは党としても考えておりますし、関係者と意見交換をしておるところであります。

山井委員 これは、岸田総理、総裁選挙のことを考えておられるんですか。ここで二階議員や安倍派の幹部に言ったら、今年九月の総裁選挙、安倍派、応援してくれないかな、二階派、敵に回すと総裁続投無理かなと。脱派閥とおっしゃっている岸田総理が一番派閥の論理で今動いているんじゃないんですか。そうとしか思えないじゃないですか。

 岸田総理、派閥にとらわれていないというのであれば、この場で、二階議員や安倍派幹部に政倫審への出席を促すと。別に、オープンな場で言えと言っているんじゃないですよ。自主的に出てきましたという形にすればいいわけですからね。促すということを言うべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 自民党として、いわゆる派閥を解消しなければならないということで、旧安倍派、二階派、今は存在をいたしません。

 そして、派閥の論理で政倫審への対応を考えているのではないか、これは全く当たりません。今、御指摘のような派閥は存在しない。その中で、自民党自身が今問われている、自民党としてどう説明責任を果たすか、これが問われているという中で、党として説明責任を果たすことが大事だと、それぞれの関係者に働きかけているところであります。

 ただ、具体的な国会での議論の在り方については国会の御判断を仰がなければならない、このように申し上げております。

 いずれにせよ、様々な手段を通じて説明責任、十分な説明責任を関係者に果たしてもらえるよう、党としてしっかりと促していきたいと考えています。

山井委員 社会保障の議論とかいろいろしたかったですが、質問時間が終了しました。

 岸田総理、最後に申し上げます。問われているのは、自民党の判断じゃないんです。岸田総理の判断が問われているんです。国会でお決めくださいと永遠におっしゃっても、野党が要求しているのに、止めているのは自民党であり、その総裁の岸田総裁がこれを止めているんです。そのことは強く申し上げたいと思います。

小野寺委員長 この際、井坂信彦君から関連質疑の申出があります。山井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、政治と金の集中審議ということで、ちょっと質問の通告の順番を変えまして、まず、甘利前幹事長の政策活動費についてお伺いをいたします。

 パネルの五番を御覧ください。

 これまで、二階元幹事長の年間十億円の政策活動費について、予算委員会で使い道や脱税の可能性などを議論してまいりました。しかし、自民党の甘利前幹事長は、何と幹事長在任中の僅か三十五日間で三億八千万円もの政策活動費を受け取っておられます。米山さん風に言うと、寝ている間も含めて、二十四時間、時速四十五万円でお金を使い続けなければいけない、まさに巨額の政策活動費です。

 総理に伺いますが、幹事長の在任期間中にこれを全て使い切ったのか。また、せめて脱税とならないように、年末までにこれを使い切ったのか。事前に甘利前幹事長に確認をして答弁いただきたいと通告をしております。確認の結果はいかがでしたでしょうか。

岸田内閣総理大臣 いわゆる政策活動費については、党勢拡大、政策立案、そして調査研究等に、党役職者の職責に応じて支出している、こういったものであります。政策活動費について、全額を政治活動のために支出していれば、納税の申告の必要はない。そして、仮に納税を申告すべきものがあれば、これは当然、甘利幹事長において申告をされているものと認識をしております。

 政策活動費についてはそういう扱いになると認識しておりますし、その内容については、これは従来から申し上げておりますように、政治活動費、個人のプライバシー、あるいは企業の営業の自由、さらには、政策が、外部の政治勢力やあるいは外国勢力に政治の方向性が確認されるなど、こういった点を勘案して現状の取扱いになっていると認識をしております。

井坂委員 総理、二階さんのときと違って、甘利さんの政策活動費を払ったのは、当時自民党の総裁だった岸田総理御本人であります。自分が支払った政策活動費が適正に使われたのか、確認をする義務があるのではないですか。

岸田内閣総理大臣 ですから、適正に処理されていると認識をしております。

井坂委員 前回と同じ。これは本当に珍答弁というか、失言だと思いますけれども、認識しております、確認するまでもなく適正に使われているものと思っておりますという、こんな答弁、ないと思いますよ。

 もう一度パネルの五番を御覧いただきたいというふうに思います。

 これは時系列で、二〇二一年の十月一日に甘利さんが幹事長に就任されて、十月四日に岸田内閣が発足をしました。十月五日から、いきなり三千万円。十月七日、五千万円。その後は三日に一遍のペースで、五千万円、五千万円、五千万円、五千万円、五千万円、五千万円、五千万円と、七回五千万円が振り込まれて、十月十四日、その間に岸田総理は衆議院を解散されて、そして、十月十九日から衆議院選挙が始まり、十月三十一日に衆議院選挙の投票日を迎えたわけであります。

 つまり、この三億八千万円もの政策活動費を配った期間は、二〇二一年の十月五日から十月二十五日までの二十日間。選挙の直前と選挙期間中に、総理は政策活動費を甘利前幹事長に支払っています。

 伺いますが、選挙期間中の政策活動費というのは、一般的に、どのような使い道を期待して政党から支払われるものですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費については、支給する時期にかかわらず、党勢拡大、政策立案、そして調査研究等に使われているものと認識をしております。

井坂委員 選挙中なんですよ。党勢拡大とか政策立案とか、そんなことをやっている暇があるんですか。

 選挙中に、選挙以外に一体何にお金を使うと思って配ったんですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 選挙が近い、選挙の最中、そういった時期だからこそ、党勢拡大に向けて政策をしっかりとアピールするなど、党として努力しなければならない課題はたくさんあると認識をしております。

井坂委員 選挙中にお金をばんばん使って政策のアピールなんて、甘利さん個人ではできませんよ。法律上、そんなことは許されておりません。

 どうやってやるんですか。政策活動費は甘利さん個人に支給されたお金ですから、政党が使うお金とは全く違うんです。どうやってやるんですか。

岸田内閣総理大臣 幹事長の立場から、党勢拡大等、党としての活動を行う、これは当然あると思います。そうしたものに使ったと認識をしております。

井坂委員 ちょうど今朝の中国新聞に記事が出ておりました。読み上げます。甘利氏、全国に裏金か、こういう大きな見出し、これが一面に出ております。

 記事のトップには、二〇一九年の参院選で自民党の選挙対策委員長だった甘利明衆議院議員が、宮城選挙区の同党公認候補の後援会幹部に現金百万円を渡していた。甘利氏は、同じ参院選の広島選挙区で大規模買収事件を起こした河井克行元法務大臣にも現金百万円を提供。自民党の資金を使って全国各地の同党公認候補側に陣中見舞いとして百万円を配ったと、中国新聞の取材に甘利氏が説明をしていた。

 記事を更に読みますね。甘利氏は参院選前の一月から六月に合計八千六十万円の政策活動費を党から受け取っている。事実上の裏金と指摘される自民党の政策活動費を使い、陣中見舞いとして裏金を全国で配り回っていた可能性がある。こういうふうに中国新聞の一面で報道をされています。

 繰り返しますが、政策活動費というのは、自民党から甘利議員個人に支払われたお金です。甘利議員個人がもしほかの候補者にお金を渡すとしたら、渡せる金額というのは法律で上限が決められています。総量規制、合わせて三千万円までしか配れませんので、百万円を全員に均等に配ったとしてですよ、この記事に、御本人はそういうふうに取材に答えたとおっしゃっていますが、三十人より多くの候補者に百万円ずつ配ると、これは違法のおそれがあります。

 総理、伺いますが、同じように、二〇二一年の衆議院選挙、ここのパネルに書いてある、合計三億八千万円の政策活動費を総理が甘利当時の幹事長に支払った、衆議院選挙で違法な裏金としてこのお金が配られたのではないか、これは確認していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費の使途については、先ほど申し上げました理由に基づいて、これを明らかにするのであるならば、各党共通のルールに基づいて明らかにすべきものであると考えています。

 そして、お金が、今言ったような様々な点、総量規制等で不都合があるのではないか、こういった御指摘がありましたが、選挙におけるお金、これは御案内のとおり、金のかからない選挙の実現、選挙の公正の確保等から、選挙運動について、支出金額の制限ですとか、一定の選挙運動に要する費用を公費で負担する選挙公営制度、これはルールが設けられていますので、受け取る側においてもこれは全て明らかにしなければならない、こういった法律になっています。

 こうしたことで、受け取る側においても金額を透明化する、こういった制度になっておりますので、そのルール全体の中で、このお金がどういったものであるのか判断されるべきであると考えます。

井坂委員 大量の自民党の議員がまさにルールを守らなくて、今、予算委員会がここまで紛糾をしているわけですよ。

 選挙のときの使えるお金の上限もルールにありますよ。でも、だからこそ、裏金として幹事長がお金を陣中見舞いで渡して、それを裏金のまま、表に出さない使い方をしている可能性は十分にあるんじゃないですか。まさにそのための裏金を配る、そして、そのために党から、総理御本人が政策活動費を甘利幹事長に渡したのではないですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申しましたように、政策活動費ということで御質問を受けているのであるならば、これは党勢拡大のために当時の幹事長が使ったという認識をしております。その内容については明らかにすることは難しいということ、先ほど御説明したとおりであります。

井坂委員 これは、選挙買収の、違法の可能性があるので、しかも、総理御本人が出した政策活動費ですから、違法な使い方をしていないかどうか、甘利前幹事長に確認をして、ここで報告をしてください。

岸田内閣総理大臣 違法な使い方をしているのではないかとおっしゃるわけでありますが、私は、違法な使い方はされていないと認識をしていると申し上げております。これは逆に、違法な使い方をしているというのであるならば、より具体的な指摘の上で考えなければならないと思います。

 私は、政策活動費、適正に使われていると申し上げております。

井坂委員 そのおそれを、まさに今朝の新聞の一面で、裏金を全国に配ったんじゃないか、選挙のときにと、見出しで書かれているんですよ。指摘してくださいじゃないんですよ。指摘されているんですよ。

 確認して、どう答えるんですか。総務大臣は関係ないと思います。総理、どう答えるんですか。

岸田内閣総理大臣 報道については承知しておりません。

 報道について、何を指摘されているのか、それは確認してみなければならないと思いますが、政策活動費については適正に使われていると認識をしております。

井坂委員 これは総理の地元の新聞ですよ。しかも一面ですよ。御自身の政策活動費を渡した人の名前が、裏金かと、はっきり大見出しで書かれている事件ですよ。

 確認してください。確認をせずに、適正に使われていると思っていると。そんな答弁、通用すると思っているんですか。

岸田内閣総理大臣 報道の中身については承知しておりません。

 その上で、政策活動費については先ほど認識を申し上げたとおりであります。

井坂委員 委員長、今の答弁、いいんですか、予算委員会として。

小野寺委員長 もう一度総理に質問をしてください。

井坂委員 このような、要は、確認もせずに大丈夫だと思いますという答弁が通るなら、この予算委員会は、こうした政治と金の問題には用を成さなくなってくると思いますよ。

 委員長、いかがですか。

小野寺委員長 井坂信彦君、もう一度質問をお願いいたします。

井坂委員 今、委員長にも申し上げましたが、要は、確認をしてください、違法な裏金、ばらまきをしていないかどうか確認をしてくださいと申し上げています。答弁してください。

岸田内閣総理大臣 政策活動費の中身について、明らかにすることは控えます。

 しかし、法律に触れているかどうかということについて確認しろということでありますが、これは触れていないと認識をしておりますし、それは、改めて確認をする、私が総裁のときの話でありますので、その点について確認するということについては、確認をいたします。

井坂委員 委員長、御差配ありがとうございます。

 この問題は、甘利前幹事長、政策活動費三億八千万円を、当時、ほかの候補者に配っただけではなくて、御自身の選挙に使った可能性もあると思っています。

 なぜなら、当時、甘利前幹事長の選挙区は大接戦が予想されていました。立憲民主党の大型新人、太栄志候補が猛烈に追い上げておりまして、この巨額の政策活動費を自分の選挙にも使わなきゃ危ないと思われた可能性も、私は十分あると思っています。それはそれでまた別の問題があるんです。

 資料の六番を御覧ください。

 これは総務省のホームページです。選挙の基本として、さっき総理も少し先回りで答弁されましたが、選挙公営制度というものがあります。お金のかからない選挙のため、また、候補者間の選挙運動の機会均等を図るため、選挙公営制度が設けられています。これは何かというと、ポスターであったり、新聞折り込みの選挙公報であったり、あるいは選挙はがきであったり、ビラであったり、こういうものにかかるお金を税金で負担していただけるという制度です。

 なぜこれがあるのかというと、お金がある人もない人も同じだけのビラを配り、同じだけのはがきが送れるように、公平な選挙、お金がかからない選挙のために、わざわざ国がこういう制度を設けてくださっているんです。

 先ほどの甘利前幹事長の話に戻りますと、要は、巨額の政策活動費、これを人に配っていたら総量規制で違法になりますから、では、御自身でもし使っていたとすれば、これはまさに候補者間の選挙運動の機会均等を図るための選挙公営制度の根本に反した、著しく不公平な選挙になってしまうのではないでしょうか。通告どおりです。

岸田内閣総理大臣 先ほども一部触れましたが、選挙にどれだけお金がかかったか、支出金額の制限等、ルールが設けられています。ルールに基づいて費用等を明らかにする、こういったことで報告が求められている、こういったものでありますから、このルールに従って選挙運動を行うということですので、著しく不公平な選挙になっている、こういったことはないと考えております。

井坂委員 パネルの七番を御覧ください。

 先週と今週、様々議論してまいりましたように、政策活動費それ自体に、様々な、本当に問題があります。そもそも個人に払われるので、お金を余らせたりとか、あと、プライベートな、自分のことに使ったら、これは脱税になってしまいます。また、政党から議員個人に支払ったら使い道の記録が不要というのは、これは法律の穴そのものであります。

 パネルを御覧いただきたいんですけれども、政策活動費について、各党が改革案を出しています。

 立憲民主党は、政策活動費をもう禁止すべきだ、日本維新の会も共産党も、政策活動費は禁止だというふうに言っています。国民民主党と公明党は、政策活動費の使い道を公開すべきだ、これを義務づけるべきだというふうに、もう改革案は出そろっております。

 一番上を御覧いただきたいんですが、自由民主党だけ記載なしというふうになってしまっています。政策活動費をどうしたいのか、自由民主党は全く何も改革案を出しておりません。

 総理に伺いますが、まさか総理は、政策活動費を今後も温存して、そして、使い道なども公開をせず、また、選挙で裏金として配られるような状況をこのまま続けたい、そういうふうに考えておられるんですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費について、国会でも大きな議論になっています。これについて、今、政治資金の信頼性が問われているわけですから、こうした議論について、自民党としても議論に真摯に向き合わなければならない、このように考えております。

 ただ、その際に幾つか留意しなければいけない点があるということも申し上げております。政治活動の自由という点、個人のプライバシー、営業の自由、あるいは、政党の政策の方向性について、外国勢力等からこれがかいま見られることになるのではないか等、こうした点も考えながら、政策活動費について、ありようを各党と議論をしますということは申し上げております。

井坂委員 いや、各党と議論しますではなくて、もうほかの党はみんな、廃止、又は使い道の公開ということで意見がそろっているんです。自民党だけが、同じ考えだったらそもそも議論はほとんど要らないと思うんですよ。

 むしろ、これまでの答弁を聞く限りは、岸田総理は、政策活動費、巨額の裏金の温床になりかねない、使い道を全く公開しなくてよい政策活動費を温存したいと一貫して思っておられるような答弁ですから、それでいいんですか。総理も政策活動費の禁止、又は使い道の公開をすべきだと考えてくださっているのか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、使途の公開等を考えるのであるならば、先ほど言った点を考えなければならないと申し上げています。

 その上で、使途の公開について、各党共通のルールについての議論、自民党としても議論に向き合ってまいります。

井坂委員 もうここはちょっと、これ以上やると水かけ論になると思いますから、次に移りたいと思いますが、今答弁していただいたとおり、政策活動費、本当にこれは議論をしてくださいよ。そんな温存ありきではなく、廃止の前提で我々は議論してまいりますので、きちんと真摯に向き合っていただきたいというふうに思います。

 今日は少子化対策の支援金のことも、大分準備をして、資料もお配りをしているんですが、残りの時間が限られておりますので、通告の最後の方にしておりました自民党の聞き取り調査について、幾つかお伺いをしたいと思います。

 やはり、今回のパーティー券裏金問題最大の焦点は、各議員がそもそも個人宛てのお金と思って受け取っていたのか、あるいは政治団体宛てのお金と思って受け取っていたのか、これが大きな焦点だと思っています。

 これは聞き取りを既にされていると思いますから、お答えください。各議員は、パーティー券の裏金、個人宛てあるいは政治団体宛て、どちらの認識でお金を受け取っていたというふうに聞き取り調査で答えていましたか。

岸田内閣総理大臣 政治資金パーティーに関連して、政策集団、いわゆる派閥が支出した資金を議員個人が受領した例、今のところ、党としては把握しておりません。

 そして、政治資金収支報告書は事実に基づき記載すべきところ、関係者において、実態として政治団体から政治団体への寄附であったと判断したからこそ、それぞれ事実に基づいて政治資金収支報告書が訂正された、このように認識をしております。

井坂委員 政治団体で受け取ったと皆さんがおっしゃっていたというのは、これは全く信用できない話であります。

 なぜなら、当初、新聞各社に対する答えでは、皆さん口をそろえて、個人宛ての政策活動費だと思っていた、だからどこにも書かなかった、そうおっしゃっているんですよ。中には、派閥から、これは政策活動費みたいなものだから、そう言われたので個人宛てだと思って使っていた、そういうふうに皆さんはっきり、当初、証言されておられるんです。

 それが今になって、聞き取り調査と言ったら聞こえはいいですけれども、もし本当に皆さんが、いや、個人宛てだとは思っていませんでした、政治団体宛てだと思っていました、もし皆さんが全員そうおっしゃったんだったら、私、これは聞き取り調査じゃなくて、口裏合わせだと思いますよ。おかしいじゃないですか。

 当初、真逆のことを言っていた議員に、何で当初そんなふうに言ったのか、当初はそういう個人宛てのお金という認識だったんじゃないのかと、それぐらい聞かなくて、何が聞き取り調査なんですか。

岸田内閣総理大臣 関係者においては、検察の捜査等を受けるなどして実態の把握に努めてきた、その中で、その途中で様々な発言があったということについては承知しておりますが、捜査を経て、そして最終的に政治資金収支報告書を修正しなければならなくなった。その修正の仕方として、実態として政治団体から政治団体への寄附であった、このように判断をして修正をしたと認識をしています。

 そして、党としては、その上で、関係者の聞き取りを行ってまいりました。その際に、経緯ですとか、あるいはお金の使い道ですとか、そういったことについても関係者から聞き取りを行う、このことは大変重要であると考えています。

 是非、こうした実態を把握した上で、党としても説明責任を果たしていきたいと考えています。

井坂委員 全く不誠実な答弁だというふうに思います。

 大体、パーティー券裏金問題が最初に報道されたのは十一月二十日だったと思います。もうそれから、かれこれ三か月たっているんですよ。三か月たって、昨日の段階で出された情報は、金額と名前だけ。我々の側の方がもう一週間も二週間も早く、報道ベースで、誰が幾ら受け取って、そして何に使ったと答えているのか、一覧表を出して、先にこっちが用意しているような状況ですよ。

 先ほどの山井議員との議論を聞いていても思いましたけれども、総理は、まず最初の一歩の真相解明について、全く後ろ向きであるどころか、これはもう意図的に遅らせている、遅延行為をしているのではないか、私はそういうふうに思いますよ。三か月たって、名前と金額だけ、そうした聞き取りのこともはっきりと答えられない、これはおかしいんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 検察の捜査によって法的な責任が確認をされた、それに基づいて収支報告書の修正が行われている。これは、まずは本人が説明責任を尽くすことが大事だと思いますが、それと併せて、党として、今御指摘のアンケートだけではなくして聞き取り調査も行ってきた、こうしたことであります。

 そして、法的な責任については検察が捜査をしたと思いますが、本人の説明責任と政治責任、これをしっかりと確認するために、党としてそういった実態把握に努めています。こうした実態把握を行った上で、党として説明責任あるいは政治責任について判断をいたします。

井坂委員 岸田総理は全容解明のやる気ゼロと断じざるを得ません。全くもって納得できない答弁であります。

 以上です。

小野寺委員長 この際、藤岡隆雄君から関連質疑の申出があります。山井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 本日も質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 まず、私も、先ほどの山井和則議員の、総理に求めさせていただきました政倫審出席。安倍派幹部そして二階元幹事長に、総理は何か直接促しているかどうかすら分からない。

 総理にまずお伺いをしたいと思います。安倍派幹部、二階元幹事長、政倫審に出席をしないという対応をされたとしたら、総理は自民党総裁としてどのような対応をされるんですか。

岸田内閣総理大臣 関係者に対しては、説明責任を尽くすこと、これは党としても強く促してきております。

 その中で、具体的な対応についてどう反応するかということでありますが、全体の説明責任を果たす上で、具体的な、政倫審を始めとする国会の場における対応、これも一つ大きな要素になります。全体の責任を果たす上で、一つ一つの対応も一つの参考になると考えています。

藤岡委員 何かもごもごもされていて、何を言っているかよく分からないですね、本当に。総理、今回のこの裏金事件を、憲政史上に汚点を残す、そういう危機感が総理には全く感じられません。

 総理、具体的にもう一度お伺いします。政倫審に出席をされないとしたら、自民党総裁としてどういう処分、どういう対応をされるのですか、具体的にお答えください。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、党としての説明責任、そして政治責任について考えていかなければなりません。今御指摘のような対応というのも、全体を考える上で一つの大きな材料になると考えます。

藤岡委員 総理、端的に、政倫審に出席をしなければいけないという総理の思いは全く正直言って感じられません。総理、政倫審に出席されなかったら、自民党として、衆議院の次の選挙、公認しないということを明言すればいいんじゃないんですか、まずは。

岸田内閣総理大臣 政倫審の対応については、御案内のとおり、本人の意向等を踏まえて、国会で御判断されるものであると申し上げております。

 そして、党として説明責任を果たす、そして政治責任について判断をする、これも大事なことであります。それまでの様々な経緯を総合的に判断して、党として政治責任についてどう考えるか、判断をしてまいります。

藤岡委員 パネルを御覧ください。

 総理、改めて、この火の玉会見ですね、自民党の体質を一新すべく、先頭に立って闘ってまいりますということを総理はおっしゃっている。国民の皆様の厳しい声、その声に耳を傾けて、党所属の議員と膝詰めの議論を集中的に進めてまいります、国民の信頼回復のために火の玉となって自民党の先頭に立ち、取り組んでまいりますということを総理は語っておられますが、政倫審に出席をして説明することを自民党総裁として強く促していないのに、こんな、火の玉になってやっているとは全く言えません。政治不信を高める一方じゃないですか。

 改めて、政倫審に出席を強く、安倍派幹部、二階元幹事長、総理自ら促して、そして、出席をされなかったら厳しい措置を取る、これをこの場で明言をしていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 党の先頭に立つ、そういった思いは全く変わっておりません。だからこそ、党として、今後の再発防止のみならず、実態把握と説明責任とそして政治責任が大事だということを申し上げ、今、実態把握に努めているところであります。そして、説明責任を果たす、これはこれまでも強く促してまいりましたし、これからも促してまいります。

 そして、今回政倫審に出なかったらどうするかという御質問でありますが、政倫審に対する対応等も含めて、全体として政治責任について党として考えていくことになります。

藤岡委員 先日来、記憶にない答弁というのも、十連発というふうな報道もありましたが、今のじゃほとんどゼロ回答、五連発、七連発か、そんなような答弁としか思えません。改めて、本当に総理、全くこの全容解明に思いがないということがよく分かりました。

 続いて、ちょっと私、今日は脱税の関係について議論をさせていただきたいということを思っております。

 私も、以前、大分前になりますけれども、金融庁で九年一か月仕事をさせていただいたときに、約一年間、国税の出向されている方とも、いろいろな仕事を一緒にさせていただいたこともありました。非常に高い誇りを持って、そして仕事をしているということを、そのときも肌で感じておりましたけれども。

 改めて、総理、昨日、自民党のアンケート調査が公表をされました。残念ながら、やはり使途が分からない、使途不明の状況が変わらない、この状況は国民は大きな疑念を持っているところであります。

 パネルを御覧ください。

 なかなか使途が分からないので、日本テレビさんが独自の取材で、使途が書かれております。一番多いのは、事務所で保管、未使用。二番目は、事務所経費、会合費等。三番目は、不明、未回答。最も多いのは事務所で保管ということであります。

 もちろん全員とは私は申し上げませんが、事務所で保管し続けていた、にわかに信じ難いですよね。普通に考えれば、収支報告書に書かなくていいよということを言われて、懐に入れて好きに使ってしまっていた。領収書は当然ない、収支報告書を訂正と言われても支出の訂正ができない、どうしようもない。お金に色がないんだから、だったら、別に蓄えてきた別の財産で埋め合わせして残していた、こういうふうに思いが流れたのかなというふうに想像をいたしてしまいます。

 領収書を残していない、元々政治資金と充てるつもりがないんだから、当然ですよね。本来、雑所得として申告するべきもの。もちろん、控除できるかといえば、事務所に保管していた、ある意味、悪い見方をすれば、蓄えていた、蓄財していたということすら言えなくもありません。

 ここに書いてあるように、脱税の疑い、国民の皆様が確定申告をあさってから控える中で、こういう脱税の疑いを持つのは、総理、当然ですよね。総理も同じ思いですよね。

岸田内閣総理大臣 政治資金については、政治資金が政治家の関連政治団体又は政治家個人、いずれに帰属するかで課税関係が異なると認識をしています。

 一般に、政治家の関連政治団体が他の政治団体、今回の場合ですと派閥ですが、派閥から政治資金を受け取った行為、これは法人税法上の収益事業には該当せず、法人税の課税関係等は生じない、このように承知しておりますし、政治家個人が受領した政治資金については雑所得の収入として取り扱われ、そこから必要経費、すなわち政治活動のために支出した費用、これを控除した後、残金がない場合は課税関係は生じない、こういった取扱いであると認識をしております。

 いずれにせよ、国税庁において、各種資料情報の収集に努め、そして課税上の問題があると認めた場合には税務調査を行うなど、適正、公正な課税の実現に向けて努めていると承知をしております。

藤岡委員 税務調査をしなければ要するに分からないということですよね、総理。

 パネルをちょっと御覧ください。パネルの二番、配付資料の六ページ目でございます。

 総理、閣僚のいいコメントが載っております。時間をかけていいことは何もない、この下の方ですね、裏金づくりは脱税なんだから、若手、中堅はおわびとして税を納める、安倍派幹部は党が処分、そうしないと、ずっと批判され続ける。

 総理、閣議でも議論された方がいいんじゃないですか。岸田内閣の中でも、このとおりだったら、裏金づくりは脱税と分かっている閣僚がいらっしゃるじゃないですか。

 総理、修正申告をする。税金を納めて、通常であればですよ、総理、けじめをつけるんだったら、修正申告をちゃんとする。そして、税金を納めて残った額を、当然違反にならないようにどこかに寄附するとか、そういう対応が本当はけじめを取る対応じゃないですか。

 裏金をため込んでおいて、事務所に保管し続けていて、見つかったら無税の政治団体に逃げ込んで終わりでは、あさってから確定申告を迎える国民、総理、納得すると思いますか。

岸田内閣総理大臣 政治資金について課税されるかどうかについては、先ほど申し上げたとおりであります。

 そして、国税庁において適正、公正な課税の実現に努めていると認識をしています。それに基づいて、納税等が必要であるならばこれは行うということであると思いますが、一応、党として、政治家個人で資金を受領した例は確認はされていない、先ほど答弁させていただいたとおりであります。

藤岡委員 確認されていないとおっしゃいますけれども、実際に、実態は恐らく税務調査をしないと分からないんだと思うんですね。総理、全く脱税の疑いが、じゃ、総理はゼロだとおっしゃるんですか。

岸田内閣総理大臣 国税庁において適正、公正な課税の実現に努めているものと承知をしています。

 それに対して、税務行政の中立性から考えて、財務大臣であっても、総理大臣であっても、これに対して指示を行う等、こういった働きかけ、これは控えなければならないと考えております。

藤岡委員 総理、脱税という疑い、多くの国民、今持っていらっしゃいます。当たり前ですよね。総理、普通に考えて、これは脱税の疑い、持たれませんか。

岸田内閣総理大臣 これは先ほども申し上げていますが、先ほどの政治資金をめぐる課税との関係のルールの中で、今、党として、個人に資金が納められた、個人が資金を受領した、こういったケースは確認されていないと申し上げています。

 いずれにせよ、国税庁において、各種資料情報の収集に努めて、課税上問題があるという場合については税務調査を行うなど、適正、公正な課税に努めていると承知をしております。

藤岡委員 今、総理、個人として受領した事例はないというふうにおっしゃっていますけれども、元々収支報告書に記載をしなくてもよいとして受け取っている方が多く、報道等でも発言されているんですよ。まさに個人として受け取っていたという疑い、強くあるじゃないですか。

 それで、パネルを御覧ください。配付資料の二ページ目をちょっと皆さん御覧いただきたいと思います。

 改めて、安倍派の裏金関係議員で確認できた閣僚経験者などの収支報告書の訂正状況をまとめさせていただきました。

 今問題が指摘される萩生田元経産大臣、高木元復興大臣などの不明の問題に加えて、総理、いまだに収支報告書が訂正されていない議員がたくさんいるじゃないですか。例えば、世耕弘成さん、稲田朋美さん、橋本聖子さん、丸川珠代さん、末松信介さん、岡田直樹さん。みんな閣僚経験者ですよね。丸川さんや稲田さんは、報道などによれば中抜きという疑惑もある。

 もちろん、今、声、上がっていますけれども、納税申告を考えているんだったら、それは速やかにしてほしいなということをもちろん思いますけれども、総理が言っていることが崩れてくる話でございますが。

 清和政策研究会の政治団体は、総理、収支報告書を既に訂正していますよね。続々と関係議員が訂正報告をされていて、二週間たった昨日の朝まで、この訂正報告がなされていないと私は思います。いわゆる裏金の、先ほど総理おっしゃった、収入の帰属が政治団体なのか政治家個人かというふうに、総理はひたすらその議論をされますが、二週間たっても政治団体という形で収入を訂正できないんだったら、総理、まさに政治家個人に収入が帰属していることを自白しているようなものじゃないですか。

 総理、この後、予算委員会の終了後に、今日は、この訂正されていない議員に対して脱税の修正申告を即座に促すべきじゃないですか。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 関係者においては、検察の捜査等も経た上で、収支報告書の訂正作業を順次進めていると承知をしています。そして、先ほど申し上げたように、この収支報告書の修正が行われている等、その中で、今のところ個人で政治資金を受領したということは確認されていないと申し上げています。そして、それ以外の修正についても、順次これは修正が当然行われるものであると承知をしています。

 その修正を行った上で、まずは個人の説明責任を尽くしてもらうことが大事だと考えていますし、党としても聞き取り調査等で実態把握に努めていきたいと考えております。

藤岡委員 幾ら何でも、もう昨年の十一月下旬ぐらいから出てきていて、収支報告書がいまだに訂正できないというのは、幾ら何だって時間がかかり過ぎじゃないですか、総理。今に至るまで、昨日の朝まで訂正をされていない、これは私はもう政治家個人の所得として当然見るべきものではないかなというふうに改めて思います。

 総理は先ほどから収支報告書、政治団体という話をおっしゃいますけれども、国税庁次長の星屋次長にお伺いしたいと思いますけれども、改めて、課税は当然国税当局の判断であって、それは実態判断という理解でよろしいですね。簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別にわたる事柄につきましてはお答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、国税当局といたしましては、政治資金の課税関係につきましては、個々の実態に応じ、法令等に基づき適正に取り扱うこととしております。

 政治資金につきましては、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人のいずれに帰属するかによりまして課税関係が異なりますことから、個々の事実関係を精査する必要があるということでございます。

 政治資金の帰属を判断するに当たりましては、収支報告書の記載状況を含めまして、その資金が誰によって実質的に管理、使用されていたのかなど様々な状況を総合的に精査し、判断することとしております。

藤岡委員 様々な状況を改めて、これは総合判断ということですよね。

 総理は、何か、帰属した事例は確認されていないということ一辺倒で言いますけれども、これは全体の総合判断をしてみないと分からないんですよ。だから、帰属した例は確認されていないというふうに言い切れる話じゃないんですよ。だから、脱税の疑いがないというふうに言い切れる話じゃないんですね。総理、それは理解していただけますよね。

岸田内閣総理大臣 その委員の問題点にお答えするためにこそ、先ほど来申し上げております、国税庁において、各種資料情報の収集に努め、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなど、適正、公正な課税の実現に努めているものと承知をしている、いずれにせよ、国税において適正、公正な課税に努めているということを認識していると申し上げている次第であります。

藤岡委員 改めて、そうしますと、今のところ個人に例は確認されていないけれども、やはり国税において調査をして、その実態を明らかにしていかないと分からないということをおっしゃっているということで、総理、よろしいですね、端的に。

岸田内閣総理大臣 適正、公正な課税のために国税が適切に判断されることであると認識をいたします。

藤岡委員 今おっしゃっていただいたことも一つ重要なんですね。三人が起訴をされて終わりじゃないんですよ。この裏金の実態解明を含めて、これからなんですよ。まさにこれから、脱税の疑いがあったかどうかがしっかり調べられなければいけないんです。

 かつて、金丸元自民党副総裁の政治資金規正法違反がございました。罰金二十万円、五億円の闇献金で罰金二十万円。逮捕も、またさらには事情聴取もされない。国民の怒りは沸騰。しかし、その後、国税庁、検察による対応があって、逮捕、起訴ということがありました。

 改めて、国税庁に、星屋次長にお伺いをしたいと思いますが、金丸元副総裁の事案、一旦、政治資金規正法で罰金二十万円でありましたけれども、これは、金丸副総裁のこの事案においては、その後、国税庁において当然調査をされて、国税庁において告発をされて、検察の起訴、逮捕につながった、そういう理解でよろしいですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 金丸信元自民党副総裁の事案につきましては、金丸元副総裁及び元秘書の所得税法違反につきまして東京国税局が告発しており、その後、東京地検において起訴を行っているものでございます。

藤岡委員 まさに、今おっしゃったように、一回、政治資金規正法の違反で罰金が確定した後に、その後、国税当局による告発がされて、検察により起訴、逮捕されたということなんです。似ていますよね。

 総理は、政策集団、よくおっしゃいますね。派閥、さっきは派閥とようやくおっしゃいましたけれども。これははっきり言って、見方によっては、組織的な脱税グループという見方だってできなくもないですからね。その摘発に向けて、当然国税庁においてこれは厳正な対応が必要である、そのことは申し上げたいと思いますが、星屋次長の見解をお伺いしたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局といたしましては、政治資金の課税関係につきましては、個々の実態に応じ、法令等に基づき適正に取り扱うこととしております。

 なお、所得税は申告納税制度の上に成り立っておりますので、まずは納税者の方々において御自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくこととなります。

 その上で、一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これら資料情報と提出された申告書とを分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

藤岡委員 この裏金問題はこれからが本番である、厳正な対応をしっかりお願いをしたいと思います。

 続きまして、二階元幹事長の書籍代三千五百万円の話をまた取り上げさせていただきたいと思います。

 先日、二月八日の衆議院予算委員会で取り上げさせていただきましたけれども、当時、官房長官でございましたから、お答えする立場にないということでございましたが、昨日、総理に通告をさせていただきました。自民党総裁として、まさにこの裏金の件での訂正された収支報告に関することですから、これは使い道ということになります。

 総理、二階元幹事長のこの約三千五百万円の書籍代の追加、何を何冊購入されたのか、二階幹事長に聞いていただけたでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の政治資金団体、新政経研究会が、令和二年から四年の政治資金収支報告書を訂正し、書籍代を支出として計上していることについて承知しておりますが、政治資金収支報告書は、事実に基づき記載すべきところ、関係者において所要の点検を行い、所要の訂正を行ったものと認識しており、お尋ねの点については、まずは事情をよく知る関係者において明確な説明責任を果たすべき事柄であると考えております。

藤岡委員 これは裏金の使い道の話なんですよね。だから、総理に確認をして、しかも、昨日の自民党のアンケート調査結果によれば、不記載額のランキングは一番だと。その使い道を私はお聞きしているんです。

 その中で、例えば、一つの事例を挙げさせていただきます。分からない疑問があるんです。

 二階元幹事長の新政経研究会は、山谷えり子元国家公安委員長の政治団体から、例えば百五十四万円、パネルの七番目ということで、資料でいいますと、十二ページ目の資料を御覧ください。

 二階元幹事長の、一例を申し上げますけれども、書籍代三千五百万円のうち、例えば百五十四万円を山谷えり子元国家公安委員長の本代購入等に充てられております。令和三年の四月二十八日に百五十四万円。

 実は、これを山谷えり子元国家公安委員長の政治団体の方でも訂正の報告がされていて、収入として計上されている。ところが、山谷さんが代表を務める政治団体は、支出のところで百二十三万の訂正になっているんですね。

 つまり、実は、山谷さんのこの本が、私の予測では、「新しい「日本の歩き方」」という本なんですが、これが一冊千五百四十円なんですよ。だから、令和三年四月二十八日に、恐らくこれを千冊、二階さんの団体は買ったんですね。ところが、仕入れている書籍が百二十三万円、要するに八百冊なんですね。つまり、千冊購入しただろうと思われるんですけれども、山谷さんの団体に八百冊しかないわけなんですよ。

 まず、一つの疑問として、なかったかもしれない本を何で買えたのかという一つの疑問。もう一つの疑問は、著者割引があったとして、仮に、これが二割引きだったということだったとしたら、裏金でお金もうけしたということですか、これは。そういう、これは分からないことが多いんですよ。断定しません。分からないことが多いんです。

 こういうふうな使い道の疑問に、総理、答えなければいけないんじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点について私自身は詳細承知しておりませんが、だからこそ、今、党として聞き取りを行っている。その中で、今日までの経緯とそれから使途についても、聞き取りの中で関係者から話を聞いている、こうしたことであります。

 党としてどこまで詳細を把握できるかについて、聞き取りの結果を今取りまとめているところであります。外部の関係者、外部の弁護士に取りまとめを依頼しているところであり、その結果も踏まえた上で、できるだけ具体的に説明をすることが重要であり、まずは本人の説明責任ですが、党としても、こうした使い道についても、状況を把握するよう努めたいと考えております。

藤岡委員 この使い道ですね、まさに米山議員流に言いますと、約三千五百万の書籍代というのは、もし自ら購入していたとしたら一日三十冊読んでいるようなことで、まさに五十億の政策活動費を使い切る余裕なんというのも、当然そんな時間もなくなるわけなんですね。そういういろいろな疑問があるわけなんです。

 したがって、使い道をきちっと、今ヒアリングを、総理、されていると言いました。ヒアリングの報告の中で、何を何冊買って、そしてどういうふうに、なぜこの訂正を、元々裏金で買っていたのか、そして、二階幹事長のこの書籍代の領収書をヒアリングの報告で出していただくことをこの場でお約束していただけますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のような詳細、これはまず関係者自身が説明すべきものであると思います。

 党としては、今回の事案全体を通じて、使い道等も含めて実態を把握するべく聞き取りを行っている次第であります。その結果、報告を受けた上で、党としての説明も行っていきたいと思います。

藤岡委員 大変、本当に、今お約束をしていただけませんでした。憲政史上に汚点を残すこの裏金の問題、総理の全容解明に向けた覚悟は全くないということを指摘をしまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、階猛君から関連質疑の申出があります。山井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 岸田総理は、一月三十一日の代表質問で政治改革の決意を問われ、こう答弁しました。信なくば立たず、国民の信頼なくして政治の安定はなく、政治の安定なくして政策の推進もない。

 しかしながら、実際に岸田総理がやっていることは、国民の信頼を失うようなことばかりではないでしょうか。

 今日は、岸田政権の信頼失墜を示す国民の不満や怒りの声を三つほど取り上げて質問したいと思います。

 まず一つ目、自民党は国民に増税を強いる前に裏金議員に納税させろという声をあちこちで聞きます。皆さんもそうだと思います。

 総理は、当委員会での立憲民主党の奥野委員への答弁で、防衛増税を令和九年度に向けて複数年かけて段階的に実施するというふうに強調されました。

 このパネルは、昨年も示したものです。このパネルの中で、五年間で十四・六兆円、今の予算に上乗せして調達する必要があるということが図で示されているわけですが、色分けがされておりまして、一番上の三角の部分、これが増税で調達する部分です。なぜかこの増税の部分だけ幾ら調達するか数字が入っていないわけですけれども、ほかの三つの部分の数字を十四・六から差し引くと、およそ三兆円程度になるわけです。

 防衛増税は、来年度、すなわち令和六年度は見送られましたけれども、令和七年度から九年度の間で三兆円ぐらいの防衛増税を行う必要がある、こういう理解でよろしいかどうか、総理に答弁を求めます。

岸田内閣総理大臣 まず、政治と金の問題については、国民の皆さんから疑念の目が注がれている、深刻な状況にある、このことは極めて遺憾であり、心からおわびを申し上げます。信頼回復に全力で取り組まなければならないと認識しております。

 その一方で、御指摘の防衛力の抜本強化ですが、これは、我が国の厳しい安全保障環境を考えた場合に、国民の命や暮らしを守るためにこれは速やかに実現しなければならない、こういった課題であると認識をしています。

 そして、その中身について、委員御指摘のように、四分の一部分については国民の皆さんに御負担をお願いしなければならないと申し上げています。四分の三は歳出改革においてしっかり用意をした上で、未来に対する、将来の世代に対する責任として四分の一御負担をお願いしたいということで、令和九年度にかけて、複数年かけて税制措置を実施していく、これを一昨年末に閣議決定しているところであります。

階委員 正面から答えていないんですけれども、私が尋ねたのは、この三角の部分の面積を聞いているわけです。ここが、十四・六からこの三つの数字を差し引いていくと三兆円ぐらいじゃないかということを言っているわけですね。

 三兆円規模の増税、これをこれから令和九年度の間までに行うということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 この図で申し上げますと、税制措置の部分、縦は一強とされております。委員の御指摘は、そこから左に流れている三角の面積の部分だと思います。

 これは、要は、その下の部分、行財政改革等の取組次第によってこの面積は伸び縮みするものであると認識をしております。

階委員 本当に、この下の部分の面積も、数字は入っていますけれども、これだけ捻出できるかどうか、それはこれからの決算次第ですよ。決算剰余金を使うとか歳出改革を使うとか、これは今の段階でははっきりしないんですよ。いずれにしても、増税、最終的には毎年一兆円、この増税はあるわけですね。

 仮に、三兆円程度これから令和九年度までの間に増税するとしたならば、ちょうど総理が昨年秋に唐突に打ち出した所得税、住民税の減税規模と見合うぐらいになるわけです。つまり、増税で国民が新たに払うお金と同額程度のお金が国民に戻ってくるということなわけです。この無駄な作業をするのに、官と民に莫大なコストと労力が発生するわけです。

 増税で集めた税金を減税で戻すぐらいなら、そもそも防衛増税は必要なかったのではないか。このことについてお答えください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、政策の順番こそが大事だと再三申し上げております。まず、今、日本として取り組まなければならない課題、デフレからの完全脱却であり、経済の好循環を取り戻すことが先であると申し上げています。

 防衛増税についても、令和九年度に向けて複数年かけて、そして、この中身についても、経済にできるだけ影響を及ぼさないように、法人税についても、九四%の法人には影響が出ないような中身、これを用意しているわけでありますし、子供、子育て政策についても、二〇二六年から順次支援金をお願いしていく、こういった形にしております。

 まずは経済を再生してから、こういった重要な課題に取り組む、この順番が大事だということを再三強調しております。まずは経済を再生することによって、日本の財政や様々な財源についてもしっかり考えてまいります。

階委員 言っていることが矛盾だらけだと思っていまして、総理は、まず増税を言ったんですよ。その後、減税を言っているわけですよ。今の理屈からすれば、まず減税を打ち出して、景気が回復したら増税というのが筋じゃないですか。全く矛盾していますよ。

 それで、増税のやり方自体も問題があるんですよ。

 これも去年指摘しましたけれども、東日本大震災の復興特別所得税、これの半分ぐらいを一旦削って、そして、それに見合う分を新たな付加税ということで徴収するわけですね。一見、負担は増えないように見えますけれども、ただ、この復興特別所得税の期間が十三年も延びるわけです。それによって、長い目で見ると負担は増えていくということで、復興の増税の期間が長引くわけですよ。

 今、能登地震の災害復旧復興が問題になっていますけれども、今後も大きな災害が起こり得る中で、その復興財源の負担を、復興特別所得税、今続いていったとしたら、これと併せて将来の災害の負担もお願いするのは難しくなるわけです。

 防衛増税をやめれば、当初予定の期間で復興特別所得税は終えることができます。そうすることによって、将来、大災害が起きた場合に必要となる復興財源を国民にお願いしやすくなるわけですよ。その観点からも、この防衛増税、おかしいと思いますよ。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、減税と増税、順番が逆ではないかということでありますが、経済の再生、これは、政権発足当初から新しい資本主義ということで申し上げています。そして、経済を再生した上で、令和九年度に向けての防衛力の強化の財源、さらには子供、子育ての財源、こういったものを考えていく、こういったことを当初から申し上げています。

 そして、減税については、経済の再生をより確実なものにするために減税を考えたいということを申し上げた、こういったことであります。これは、決して政策の流れとして矛盾するものではないと考えております。(階委員「政策が失敗したということでしょう」と呼ぶ)いやいや、それを今進めようと申し上げているわけであります。

 そして、経済の再生が第一だということで、その経済に影響が出ないように、防衛力増強に向けての財源についても考えていくということを申し上げています。

 法人税においても、九四%の法人に負担が増えるということがない、こういった体制を考えましたし、そして、御指摘の新たな付加税についても、現下の家計の負担増にならないということで制度をつくりました。

 復興事業や復興債の返還のための財源、総額を確実に確保する、これは当然のことでありますし、現実の復興事業等に影響が出ない、こういったこともしっかりと確認をしながら、こうした国民の皆さんの協力をお願いしてまいります。(階委員「答えていないです。増税期間が延びるんですよ。延びることが問題だということを言っているんですよ」と呼ぶ)

小野寺委員長 総理、どうぞお続けください。

岸田内閣総理大臣 延びることによって復興事業等には影響が出ない、これも確認した上で、そして経済にも影響が出ない上で、こういった制度を考えている、こうしたことであります。

 総額の確保はもちろんでありますが、復興事業に影響が出ない、こういった配慮の下に、こうした付加税についても考えてまいります。(発言する者あり)

小野寺委員長 もう一度、では、質問をしてください。

階委員 私が聞いたのは、当初、二〇三七年までの予定だった復興特別所得税、これが、新たな付加税というのを加えることによって、この復興特別所得税の期間を延ばすわけですね。最長十三年ぐらい延びる。ということは、国民は、復興特別所得税を十三年、負担期間が延びるわけですよ。

 ということになると、能登半島地震を始め、日本は災害がいつ起きるか分からない、大きな災害が今後起きたときに、そのときにも国民に負担を求めなくちゃいけないんだけれども、東日本大震災のときの復興特別所得税が継続することによって、それに加えての負担を求めるというのは難しくなるんじゃないか。だからこそ、短く終えて次の災害に備えるべきではないかということを言っているわけですよ。

岸田内閣総理大臣 御指摘の負担の点については、二〇三八年以降も国民の皆さんに付加税の負担をお願いすることになるわけですが、例えば、夫婦そして子供二人の給与収入が五百万円の標準的なモデル家庭では、所得税付加税一%分で、給与収入の約〇・〇一%程度の負担をお願いするということになります。これについては、経済成長と構造的な賃上げ、この好循環で、この負担感、これを払拭できるよう政府としては取り組んでまいります。

 このことによって、今の、付加税の延長によって負担感が生じるということはない、こういった体制をつくっていくと説明をさせていただいています。そのことによって他の災害に対する対応が遅れるということはないと考えております。

階委員 付加税の話をしているんじゃなくて、復興特別所得税が延びることを言っているんですよ。延びることで、新たな災害に対して復興財源を、国民に負担をお願いしようとするのが難しくなるでしょう、だから当初の予定でとどめるべきだということを言っていたんですよ。全然話が通じていないと思います。

小野寺委員長 階君、予定の時間が過ぎております。午後も質疑の時間がございますので、そのときに改めてまた質疑をしていただくことでいかがでしょうか。(階委員「じゃ、最後に」と呼ぶ)

 では、総理、短く答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、新しい付加税が延長される、二〇三八年以降も続くということについては、経済、賃上げとそして好循環によって負担感は生じない体制をつくっていくと申し上げています。

 結果として、他の災害に対する対応が遅れるということはないと考えております。

小野寺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 午前中に引き続き質問させていただきます。

 二つ目の岸田政権の信頼失墜を示す国民の怒りの声、それは農家の皆さんの声です。農民は罰金で痛めつけ、自民は献金で潤うのか、そんな声です。

 配付資料七ページを、委員の皆さん、御覧ください。

 今国会提出予定の食料供給困難事態対策法案では、異常気象や国際情勢の悪化などで食料供給が困難となった場合、政府が農家に対して農産品の増産計画を届け出るよう指示し、農地に立入検査できることとなります。これに従わない農家には罰金を科すことが検討されています。

 自民党政権は、コロナ禍で米が余ったときは作り過ぎだといって生産を減らすよう誘導し、年々耕作放棄地は増え、農業人口も減る一方です。食料危機の原因を自らつくっておきながら、いざ危機になったら、罰金刑をちらつかせながら、増産計画を作れというのは、真面目な農家の皆さんに余りにも失礼だと思います。

 最善の危機対応は、危機を起こさないことです。民主党政権はそのために農業者戸別所得補償制度を導入したのに、自民党政権で廃止されました。

 危機対応で罰金刑の導入は大きな過ちであり、やめるべきだと考えますが、総理の見解を求めます。

岸田内閣総理大臣 御指摘の法案につきましては、我が国の食料安全保障リスクが高まる中、食料供給が減少し、国民生活、国民経済への影響が生じる事態に備え、影響の程度に応じて早期から必要な措置を実施できるようにするため、今国会への提出に向けて手続を進めているところですが、その中で、食料供給に向けた生産拡大等については、生産者などの事業者の自主的な取組、これを基本とした上で、国民生活に実体上の支障が生じている事態にまで至った場合には政府が生産計画の届出等を指示すること、これも想定しています。

 そして、御指摘の罰金あるいは公表に関する措置については、これは憲法上の経済的自由権に十分配慮して、法目的を達成するための必要最小限の措置として設けることを検討しているものであります。

階委員 驚きました。罰金刑、やはり導入するんですか。農家の皆さんは怒りますよ。本当にそれでいいんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、自主的な取組、これは基本としています。しかし、食料安全保障上のリスク等を考えましたときに、平時から、実体上の支障が生じている事態に至った場合には生産計画の届出を指示すること、こういったことを想定している、こういった法律であります。

 これは、必要最小限の措置として、憲法上の経済的自由権に配慮して、こうした罰金についても考えていかなければならないと思っています。

階委員 農家の皆さんの経済的自由権は簡単に制約するのに、企業献金の自由は野方図に認める、これが岸田政権の体質です。

 企業・団体献金の禁止につき、これまでこの委員会でもさんざん議論してきました。総理は、最高裁の判例で企業の政治献金の自由は認められているというのを主な理由に、消極的な姿勢です。しかし、最高裁も企業献金を無条件で認めているわけではありません。

 ここに書いておりますとおり、政党の健全な発展に協力するという見地から、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められる場合に限って、会社は政治献金が可能とされています。

 そして二点目、寄附の相手方などを考慮して、合理的な範囲と言えない場合は、企業献金を行った取締役は忠実義務に違反することとなっております。

 ここで、法務大臣に伺います。

 会社法の解釈として、今私が述べたようなことは正しいでしょうか。お答えください。

小泉国務大臣 会社法の問題についてでございますが、委員御指摘のとおり、会社による政治献金については、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められる限りにおいて、会社の定款所定の目的の範囲内、ひいてはその権利能力の範囲内の行為であると考えられていると承知しております。

 また、取締役の行為が会社法上の忠実義務違反を構成するか否か、これは個別具体的な事案において判断されるべきものでありますけれども、一般論として申し上げれば、御指摘のとおり、会社の役員等が会社を代表して政治献金をするに当たっては、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位及び寄附の相手方など諸般の事情が考慮されるべきものであると認識しております。

階委員 さて、それでは、今の自民党が、企業が政治献金するにふさわしい社会的な役割を満たすものと言えるのかどうか、そうしたことが問われていると思います。

 配付資料八ページ目、これを皆さん、御覧になってください。

 旧安倍派では、百名弱の所属議員のうち八十名、総額で約六億二千万円が裏金として処理されました。これが個人の収入ならば脱税の罪、政治団体の収入ならば、少なくとも会計責任者について虚偽記載の罪が成立し得るわけです。

 総理は、少なくとも自民党安倍派内において組織的犯罪行為が行われていたという認識はおありでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 組織的犯罪かということでありますが、これは、その定義については承知しておりませんが、いずれにせよ、こうした指摘をされること自体、こうした一連の事態について国民の皆さんから疑念の目で見られていること、このこと自体を深刻に受け止めなければならないと思います。

 真摯に反省し、おわびを申し上げます。

階委員 組織的犯罪行為が行われていたかどうかについては肯定も否定もされていませんでした。

 更に伺います。パネルの三を御覧ください。パネルの三を示します。

 これは、先週、我が党の長妻昭議員が使用したパネルです。一昨年、自民党の政治資金団体に二千万円超の献金をした企業や団体をリストアップしたものです。自動車や電機を始め、そうそうたる企業、団体が多額の献金をしています。こうしたところは、いずれもコンプライアンスの管理態勢がしっかりしているところだと思われます。

 岸田首相は、今の自民党の状況を顧みて、こうした企業、団体に対して、自民党に献金してもコンプライアンス上問題ないと胸を張って言えますか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金については、先ほども紹介があった最高裁判決等、企業の政治活動の自由にも関わる問題であると認識をしておりますが、自民党の政策とこうした献金が密接に関連しているのではないか、ガバナンスの問題があるのではないかという御指摘については、自民党あるいは政府・与党の政策決定、予算等につきましても、これは決して献金が影響しているというものではないと考えています。

 政策決定に当たって、有識者を始め関係者の意見も踏まえ、そして党内での議論も行い、その結果として政策が決定している、こういったことであり、ガバナンス上、献金が問題があるというふうには考えておりません。

階委員 全然答えになっていませんよ。政策がゆがめられているかどうか、これも大きな問題なんですけれども、今問うているのは、総理は肯定も否定もされませんでしたけれども、自民党の最大派閥である安倍派では、組織的犯罪行為ともいうべき、多数の議員が多額の裏金をつくっていた。そういう政党に対して、名立たる企業が政治献金をしてきたわけですけれども、これは、先ほどの会社法の解釈に照らして、取締役の忠実義務違反、あるいは会社の権利能力の範囲外と言われて、コンプライアンス上問題になる可能性がある。

 だからこそ、自民党の総裁として、こうした自民党の状況を鑑みれば、今は企業に対して政治献金をお願いできる状況ではないのではないかと思います。そう思いませんか、総理。

岸田内閣総理大臣 御質問の趣旨、要は、企業側のガバナンスの問題として献金することが問題なのではないか、こういった趣旨だと理解いたしましたが、これはまず、先ほど申し上げたように、自民党において、こうした国民の疑念を招くような事態を引き起こしたことについては反省をしなければならない、おわびを申し上げなければならない、これを申し上げた上で、信頼回復に努めていかなければならないと思います。

 ガバナンスの問題が生じないように、自民党が本当に信頼を回復できるかどうか、それが今問われていると考えます。是非、中間取りまとめの実行を始め、国会においても、法改正を始めとするルールの改正等についても真摯に取り組んでいきたいと考えています。

階委員 岸田首相の認識は極めて甘いと思います。国民の信頼を回復したいとおっしゃられるのであれば、今後、企業・団体献金は自民党として自粛するとした上で、我々が提出した企業・団体献金禁止法案に賛成して成立させる、これが筋ではないですか。総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 提出された議員立法については、国会において御議論されるべきものであると考えますが、企業献金について、先ほどの御指摘の企業側のガバナンスとの関係においては、自民党の信頼回復に全力で取り組むことによって、不都合が生じないように取り組んでまいります。

階委員 もうガバナンスが崩壊しているから、会社法上問題が生じ得るんですよ。私も企業の法務部におりましたので、今の状態の自民党に企業が献金することはコンプライアンス上問題だと、私は企業内弁護士の立場だったら明確に答えます。そして、この名立たる企業、団体でも恐らく同じ結論になるだろうということは申し上げておきます。

 さて、三つ目の国民の怒りの声。それは、庶民は生活費を圧縮しているのに対し、自民党は政策活動費、これも略すと政活費になります、自民党はこの政活費を膨張させている、そういう怒りの声です。

 家計調査の結果、昨年の結果、委員の皆さんには九ページにつけておりますけれども、昨年は三年ぶりに大きなマイナスでした。実質で、総世帯マイナス二・四、二人以上の世帯マイナス二・六、しかも、これでもまだ、かさ上げされているわけです。なぜならば、岸田総理が、先ほど、午前中言っていたような、経済対策で電気代、ガス代、ガソリン代を安くしていたり、あるいは旅行支援であったりイベント割で消費をかさ上げしているわけです。これがなければもっと落ち込んでいた。そういうふうになっておる状況で、庶民は生活費を圧縮している、切り詰めております。

 ところが、自民党は別な意味の政活費、これを膨張させたまま、見直そうともしていないわけです。

 前回の私の質疑でこれは示したものですけれども、河井元法務大臣の買収の原資として二階幹事長から三千三百万円が渡っていたことを示すメモが発見され、この三千三百万円の出どころは政策活動費ではないかということを私が指摘しました。そして、事実関係の調査と報告を総理に求めたところ、総理は、党として何かできることがあるか、いま一度考えてみたいというふうに答弁されました。

 いま一度考えた結果どうなったのか、総理の答弁を求めます。

岸田内閣総理大臣 御指摘の河井事件についてですが、この点については、当時の執行部が、河井氏側へ提供した資金、党から出た資金については買収に使われていない、このことを裁判が終わった後の資料を精査した上で確認をしていると承知をしています。

 それ以外の資金の流れについては、現在、把握できておりません。

階委員 それは前回の繰り返しです。

 そこで、前回尋ねて、いま一度何ができるか考えてみたいということだったので、考えた結果を今聞いているわけです。

岸田内閣総理大臣 対応を考えた結果、今、党から正式に出たお金以外のお金については把握できておりません。

階委員 全くやる気がないと思っていまして。

 今日はくしくも午前中に、柿沢未途元法務副大臣、自民党の衆議院議員、こちらの初公判が開かれて、本人が地元区議の選挙買収を認められているわけです。選挙買収、これで何回目ですかね。河井事件だけではありませんよ。

 これは我が党の渡辺創議員が質問の中でお示ししたパネルなんですが、二階元幹事長が受領した政策活動費は、河井夫妻の選挙買収があった二〇一九年、あるいはその前は二〇一七年、衆議院総選挙があった年に増えているわけですね。選挙買収が行われた可能性も見受けられるわけです。

 先ほど来、甘利議員の問題についても同僚の井坂議員が取り上げましたけれども、こうした疑いが深まっている以上、党としてちゃんと調べて、この場に報告させてください。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 先ほどの質問は、私が総裁になってからのことの御指摘でありました。その立場で確認をすると申し上げました。

 歴代の自民党幹部につきましては、政策活動費、党勢拡大等、適切に処理をしていると認識をしております。

階委員 認識された根拠は何ですか。

岸田内閣総理大臣 仮に納税等が必要であるならば当然その対応をするべきものであり、政策活動費については、その内容について明らかにすることは現状控えております。その中で適切に対応されていると認識をしております。

階委員 認識の根拠に全く答えられないわけですよ。勝手にそういうことにしておこうということだと思いますよ。

 それで、前回の私の質疑で総理は、政活費、政策活動費の方の政活費ですけれども、こちらの使途を明らかにすることは政治活動の自由と知る権利のバランスで議論された結果今の扱いになっているというふうに答えられました。

 しかし、委員の皆さんには十ページにお配りしておりますが、政治資金規正法十九条の三という条文に基づいて、政党から政治家個人に寄附がされた政策活動費については情報を公開できる、公開しようと思えば公開できるという条文があるわけです。これで正しいかどうか、総務省の見解を求めます。端的にお願いいたします。

笠置政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる政策活動費につきましては、政治資金規正法上、特段の規定は設けられてございません。また、個別の支出が政治活動に関する寄附に該当するか否かにつきましては、具体的な事実関係に即して判断されるべきものであると考えております。

 その上でのお尋ねで、政党から公職の候補者に対する支出が寄附に該当するものであれば、公職の候補者は、受けた寄附に係る金銭を自身の資金管理団体に特定寄附として寄附することは可能でございます。これはあくまで任意でございます。この場合には、その特定寄附につきましては、寄附の量的制限は適用されないこととなっております。

 また、当該資金管理団体の政治資金収支報告書において、法に従って収入、支出が記載をされることになるということでございます。

階委員 総理、お分かりになりましたか。任意規定だけれども、公開しようと思えば公開できるんです。

 金額が幾らであれ、自分の資金管理団体にお金を入れて、そして収支報告書に記載すれば、使い道は明らかになりますよ。信頼回復をしたいのであれば、それをまずやるべきではないですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 法律に従って対応する、これは当然のことであります。

 そして、政策活動費については、従来から申し上げているように、使途の公開については、政治活動の自由との関係、個人のプライバシーや企業秘密、さらには政策の方向性が外部の勢力あるいは外国の勢力に把握されることにつながるということから、従来から、使途については明らかにしない、こういった取扱いになっています。その取扱いに従って対応すべきものであると認識をしております。

階委員 法律上できることすらしないんですよ。それが今の岸田政権です。信なくば立たずとよく言えたものだなと。

 信をどんどん失っている、その政権に政権を担う資格はないということを最後に申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、本庄知史君から関連質疑の申出があります。山井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 今日は、政治と金ではなく、自民党と金の集中審議ということで、貴重な予算審議の時間を使って質問をさせていただきます。

 まず、午前中の質疑で、政倫審への説明ということで、我が党の山井委員そして藤岡委員から議論がありました。総理の御答弁、説明責任を果たすよう促していく。私、聞いていて腰が抜けましたよ。事態の深刻さを理解されているんでしょうか。

 昨日発表された自民党の調査。八十五人の所属議員で計五億八千万未記載。我々から言わせれば裏金。安倍派四億八千万、二階派九千万。そして、二階氏自身は三千五百万。

 こういった関係者を政倫審に来てもらうべきだということについて、促すなんですか。政治資金規正法違反ですよ。きちっと指示すべきじゃないですか、総理。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政倫審の仕組みについては、午前中も申し上げたように、本人の意向等を踏まえて国会で判断すべきものであると認識をしています。

 促すという言葉が弱いということでありますが、促す、これは、しっかりと説明をするように、党としても私としても本人にしっかりと伝えている、こういったことを申し上げているわけであります。

 いずれにせよ、様々な機会を通じて全体として説明責任を果たしてもらわなければならないと思いますし、その結果として政治的責任についても考える、こういったことになると考えています。

本庄委員 総理は、先ほど来、国会のルールあるいは政倫審の仕組みを解説されます。

 ただ、総理、党内はどうなっているんですか。この八十五人、あるいは安倍派幹部、二階元幹事長、党内の処分、どういう状況なんですか。御説明ください。

岸田内閣総理大臣 今、本人の説明責任を果たす果たし方、あるいは果たしている状況、こういったものを党としても把握しているわけですが、併せて、党として、聞き取りを幹部で行い、そして外部の弁護士にも取りまとめをお願いしている、こうした実態把握に努めております。

 こうした実態把握の状況の手続を踏まえ、さらに、先ほど申し上げた、本人の説明責任の具合等を踏まえた上で、政治責任について党としても判断をいたします。

本庄委員 昨日のNHKの世論調査は御覧になっていますか。自民党派閥のパーティー、説明責任を果たしているか。果たしていない、八八%ですよ。果たしている、二%です。私も長くいろいろなアンケートを見ていますが、ここまで低いのは初めて見ました。非常事態だと思いますよ、総理。促す、状況を見て判断、そういう状況じゃもうないと思いますね。

 まず、記者会見を開いていないこの八十五名、全員、記者会見をしっかりさせたらどうですか。そして、説明責任を果たせていないと判断した人たちについてはきちっと党で処分をするんだということを明確にしてください。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政治資金収支報告書については今順次修正が行われています。それと併せて、記者会見等、説明をする、こうした説明努力が行われています。是非、説明責任を果たすべく、引き続き、本人に責任を果たしてもらわなければなりません。そして、併せて、党としても実態把握をし、そして、党として説明責任を果たすと同時に、本人の説明責任の状況も踏まえた上で、政治責任について党として判断いたします。

本庄委員 政治責任というのは処分ということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 処分も含めて、政治責任について党として考えてまいります。

本庄委員 では、速やかに、しかるべき結果をきちっと是非御報告いただきたいと思います。

 調査に関連して、もう一点お伺いしたいと思います。

 並行して聞き取り調査をされているというふうに承知をしております。二月五日のこの予算委員会で、我が党の岡田幹事長から、森元総理を聞き取り調査の対象とすべきではないかという提案がありました。これを踏まえて、総理は、実態把握のためにどの範囲で聞き取りを行うのか、聞き取りを行いながら判断する、こういう御答弁でした。

 今、どういう状況になっていますか。

岸田内閣総理大臣 聞き取り調査については、今、外部の弁護士の皆さんに取りまとめをお願いしております。その取りまとめの結果を踏まえて党としての判断を行わなければなりませんが、御指摘の森元総理の関与等についても、この聞き取りの中で、今日までの経緯、そして、さらには、それぞれのお金の使途等について確認をすることを考えておりますが、その内容をしっかり踏まえた上で、必要であるならば、更なる調査など、党として適切な対応を検討いたします。

本庄委員 私は必要だと思います。その話をしたいと思います。

 配付資料の九を見ていただきたいんですが、三月発売号の文芸春秋ですね。ここで、自民党の萩生田光一さん、加藤勝信さん、そして武田良太さん、三人の議員が鼎談しています。

 この中で、萩生田氏が、いろいろお話しになっているんですが、こういうことをおっしゃっているんですね。「私が初当選の頃から、安倍派は同じルールで会計処理をしてきていました。それは「販売ノルマを超えた分は、活動費として派閥から戻す。それはこちらで処理をしているので、収支報告書には載せなくていい」というものでした。この言い伝えを、みんなが律義に何十年も守ってきたのがウチの派なんです。」。

 これは、今起きていることと、萩生田さんが初当選された状況がうり二つではないですか。そして、このとき、萩生田さん初当選、二〇〇三年十一月、時の清和政策研究会の会長は森喜朗元総理です。

 当時の経緯、何でそういうことが、あったのかなかったのかも含めて、やはり森元総理からお話を聞かれるべきではないですか。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げました、党として、党の役員によって、外部の弁護士にも参加してもらって聞き取り調査を行っておりますが、基本的に現職議員に対しての聞き取りということになっております。

 その中で、今日までの経緯、あるいは資金の使い方、使途等について実態を把握していきたいと考えておりますが、それに加えて、実態把握に必要であった場合に、党として更に何をするのか、それは適切に判断をいたします。

本庄委員 この安倍派の還流は会長案件だというふうに、事務総長経験者の皆さんも口をそろえているんじゃないですか。そして、残念なことに、会長経験者である安倍元総理そして前議長はお亡くなりになっていて、お話が聞けません。今まだ御健在の会長といえば、森喜朗元総理と、そして小泉元総理、お二人しかいないんですね。萩生田議員の証言もあります。是非、森元総理からお話を聞かれることをお勧めしたいと思います。

 もう一つ、配付資料十も見ていただきたいんですね。これは二〇〇四年九月のしんぶん赤旗です。こういう記事なんです。

 「森派、年一億円支出記載せず 政治資金報告書 「もち代」「氷代」を五年間 規正法違反の疑い」と。当時は二百万円ずつ年に二回、計四百万配っていたという記事ですが、これを派閥の指示で記載をしていなかった、そのことが明るみになった、こういう話です。

 一説によれば、これを機に、キックバック方式ということが取り入れられたと。つまり、餅代、氷代を表に出さざるを得なくなって、それに代わるものとして今のシステムが始まったという話もあります。

 是非、森元総理から聞き取りをなさって、そして、国民のこの二%という低迷した納得、これが改善するように努力されるべきではありませんか。いかがですか、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、現職の議員を中心に、今日までの経緯、そしてお金の使途等について聞き取りを行っています。その際の事実関係の把握の状況等も踏まえた上で、必要であれば適切な更なる対応を判断いたします。

本庄委員 パネル、配付資料の十二を御覧いただきたいんですが、これは直近五年間で逮捕、起訴された国会議員一覧です。十二人いらっしゃいます。このうち十一人、自民党なんですね。十二人のうち十一人。一人は公明党です。そして、十二人全員が金絡みということで、こういう状況になっています。五年間ですね。

 この中で、私の調べた限り、きちっと党内で処分をされたのは先日逮捕された池田佳隆衆議院議員、あとの方は皆離党で終わり。これが、これまで五年間、自民党が取ってきた対応じゃないですか。

 総理、この十二人、自民党でいえば十一人、御覧になってどう思われますか。

岸田内閣総理大臣 政治に関わる者、その責任を自覚し、国民の範たる行動を心がけなければならない、そういった中にあって、我が党に所属していた議員を含む国会議員が政治と金の問題に絡んで逮捕、起訴されたこと、これは大変遺憾なことであります。

 このことをよく振り返りながら、責任を自覚し、襟を正していかなければならない。改めて強く感じております。

本庄委員 総理はよく、うみを出し切るとおっしゃいます。ただ、今自民党をむしばんでいるのは、うみではなくて毒なんじゃないんですか。うみは切開すれば出せますよ。でも、毒は体に回ったらもう手遅れです。

 総理、今が最後のチャンスだと思いますよ。自民党と金の問題と言いましたが、それはやはり政治全体にも影響して、国民の政治全体に対する信頼を揺るがしているんですよ。是非、総理には、本当の意味でその覚悟を、火の玉になる覚悟を持っていただきたいというふうに思います。

 引き続き、我々、この調査、内容、結果、注視しながら、この予算委員会を中心にしっかりとただしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 さて、もう一つの自民党の闇、旧統一教会との関係についてお伺いをしたいと思いますが、さっき、昼に通告したので、どこまで御存じか分かりませんが、一つお伺いをしたいと思います。

 今日ウェブサイトにアップされました週刊新潮のウェブ版ですね、これにまた新しい岸田総理と旧統一教会との関係についてのニュース、記事が載っています。

 それがどういう内容かといいますと、二〇一六年の十二月に、岸田総理はまだ外務大臣の頃ですね、ある政治集会で旧統一教会関係団体の幹部とお会いをされて、その場でもらった「ILC二〇一六」というタイトルの本を持って笑顔で写真に収まっている、こういう写真です。

 これは御覧になりましたか、記事。

岸田内閣総理大臣 その記事については、取材をうちの事務所で受けました。

 今からたしか九年、八年前の政治集会でのことだという御指摘でありますが、八年、九年前、どの政治集会か分かりませんが、政治家である以上、名刺交換をし、写真を撮り、そして言葉を交わす、これは、毎年毎年、何千何百という方々と行っています。それが私の政治活動のありようでありますし、それをもって統一教会あるいは関連団体と私が関係があったという指摘は当たらないと考えています。

本庄委員 それは総理の言い分ということなんですが。

 このILCというのは何かというと、国際指導者会議の略称ということで、このイベントに山際元大臣も出席をして、辞める理由の一つになった、そういうイベントです。そして、この持たれている冊子は、文鮮明さん、そして韓鶴子さんの写真も入っているということで、記事によれば、中も開いて御覧になっていたということなんですね。

 面会をし、写真を撮った、こういった関係について、事実関係、総理はお認めになりますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、名刺交換をし、挨拶をし、そして写真を撮るということは、私は、毎年、何千何百と行っています。自分たちの作った機関誌を是非持って共に写真を撮ってもらいたい、こういった依頼も数限りなく受けております。

 そうしたことでありますし、そのパンフレットの中身について御指摘でありますが、八年、九年前において、私自身、統一教会あるいは関係団体と全く関係はありませんでした。御指摘のような中身であったかどうか、もしそれを見たとしても全く気づかなかった、そういった状況ではないかと思っております。

 八年、九年前の、私自身、こういった写真等が、あるいは名刺交換等が行われたとしても、そういった状況であったと想像いたします。

本庄委員 岸田総理御本人が旧統一教会と過去いろいろ接点があったがゆえに、今の盛山文科大臣に対する処分が甘くなっているということではないことを祈ります。

 さて、では、盛山大臣の話に入りたいと思いますが、資料の三、パネルの三を御覧いただきたいと思います。

 一昨日、テレビのTBSが報じました、選挙で盛山大臣を応援をした地元の旧統一教会関係者の方の証言ということであります。それをパネルにしたものなんですが。

 男性のお一人は、私は十回以上会っている、ハグまでしてきた、そして、平和連合であるときちんと理解してもらっていると。推薦確認書については、御覧いただいたらサインしてくださいと言って、しばらく見てから、書きました、そういうふうに御本人が言って戻してきたと。

 電話がけした女性は、多いときは一日二百件、これは大した数ですよね、そして、真実を話してほしい、こういうふうにおっしゃっています。

 どうですか、文科大臣、真実をお話しになる気になりますか。

盛山国務大臣 先日来御答弁申し上げておりますけれども、覚えておりません。

 そして、私の年代の人間がハグをするということは、まず、普通ないと思いますし、そしてまた、こういうコロナの時期でございました。グータッチですらどうかといったようなときでございますので、そういうことはあり得ないと思います。

 そしてまた、電話かけ、こういったことにつきましても、選挙支援については、これまで我々の方からお願いをしたことはございません。

本庄委員 推薦確認書について、もう少しお聞きをしていきたいと思うんですが、この証人の方によれば、御理解をいただいたらと説明をした上で、しばらく見てから、書きました、こういうふうに言って戻されたということなんですが、パネルの四を御覧いただきたいと思います。これが報道番組でも映し出されました推薦確認書です。

 いろいろなことが書かれておりますが、ちょっと中身に入る前に、盛山大臣は、二月八日の予算委員会で、政策協定書の内容によっては、これは私にはできませんということでお断りをしたことがある、政策協定書を結ぶのは限られたところだ、中身を見て、自分にできる、できない、そういったことを考えた上で努力をしている。

 かなりしっかり御覧になってサインをされているということじゃないかと思うんですが、今回のこの旧統一教会の確認書はいかがだったんでしょうか。

盛山国務大臣 政策確認書について、政策協定書ですか、事前にアポを取って来られて、十分に時間を取って結んでいる事例がございます。そして、そういう中でも、これは私にはできませんとお断りしたことはございます。

 しかしながら、何度も申し上げているとおり、二〇二一年の実質選挙戦の最中、どういう会合に行ったかすらはっきり記憶していない、そんな中で、政策確認書にサインをしたかどうかについても全く覚えておりません。

本庄委員 それでは、ちょっと違う観点からお伺いしたいと思いますが、この推薦確認書には、「同性婚合法化に関しては慎重に扱う」、このように書かれています。

 盛山大臣、同性婚についてはどういったお考えをお持ちですか。

盛山国務大臣 お尋ねの同性婚につきましては、私はその役所の担当ではございません。個人的見解をここで述べるのは文部科学大臣としては差し控えたいと思いますが、内閣の一員として、政府の方針に従いたいと考えております。

本庄委員 この質疑の内容自体が盛山大臣の個人的な問題なんですね。ですから、今の御答弁は全くの答弁拒否だというふうに私は思います。

 資料の五を御覧いただきたいと思います。

 これは二〇二一年衆議院選挙時の毎日新聞のアンケートなんですが、ここに大臣は、同性婚を認めるべきだ、このように回答されています。そして、ほかの質問でも、例えば、選択的夫婦別姓に賛成、女性天皇に賛成ということで、いかにも宏池会らしいリベラルな回答が並んでいるんですね。これは、保守的、封建的な旧統一教会の思想とは相入れない部分がかなりあるのかなというふうに思います。

 私、盛山大臣にとっては、選挙において喉から手が出るほどこの旧統一教会の支援が欲しかった、そういう中で、理念、政策を曲げて推薦確認書にサインをしたということではないかと思うんですね。あるいは、そうでないとすれば、これほどまで重要な政策課題について、ろくに見もせずにサインをした、こういうことになります。

 いずれにしても、恐らくかなり御覧になって、そして記憶にとどめられていると思うんですが、また同じ答弁でいいんですか。いかがですか、大臣。

盛山国務大臣 このパネル五ですか、これについては、やはり、個人的な見解ということになりますので、ちょっとここで私が答えるのはどうかと思います。

 いずれにせよ、政府の一員として対応をしていきたい、幅広く国民の意見を踏まえて議論していきたい、そういうふうに思います。

 そしてまた、選挙戦の最中であり、しかも、どういうところが、どういう組織が呼んでいるのか、そういうことを全く理解しないまま、選挙区の方からの、集会をやるから来てくれというお声がかりで行ったということでございまして、そして、そういう中でのものについてどうだったか、正直、記憶にないというのは何度も申し上げているとおりでございますので、答弁を変える、あるいは、ここで違う答弁をできるということではございません。

本庄委員 先ほども言いました、今、盛山大臣が大臣としてふさわしいかという資質についてお伺いをしています。個人的なことにお答えになれないのであれば、資質を確認できません。しっかり答弁していただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

 その上で、余りにも御記憶が曖昧な大臣ですが、珍しくしっかり覚えていらっしゃることについてお伺いをしたいと思いますが、党の調査にもお答えになっています。二〇二二年三月に出席をしたとされる旧統一教会関係団体の会合、これはいつ、何という団体の、どういう会合だったのでしょうか。御説明ください。

盛山国務大臣 済みません、ちょっと手元に資料がございませんので、何という会合に出席したかは今ここでちょっと定かにはっきりと申し上げられませんが、二〇二二年の九月の自民党の調査に対しまして、旧教会の関係団体に出たかどうかといったことも含めて、事務所、地元の事務所とよく調べた結果、これは関係あるのではないかということで、自民党の調査に回答したということでございます。

本庄委員 これは詳細に答えてもらいたいと昨日通告もしております。いいかげんなお答えはやめていただきたいんですね。予算委員会ですよ、国民の皆さんも今テレビで御覧になっています。しっかりしていただきたいと思います。

 その上で、パネルの四、資料の四をもう一度御覧いただきたいと思います。

 推薦確認書、これは最後に一文ついているんですね。以上の趣旨に賛同し、平和大使協議会及び世界平和議員連合に入会するとともに基本セミナーに参加すると書かれているんですね。

 二〇二二年三月、大臣が出席されたという会は、今よく分からないと言っておられる選挙時の会の後なんですね。つまり、この確認書にサインをされていたとすれば、この後出席をされているということなんです。

 大臣が二〇二二年三月に出席をされた、そして日報もあるというふうにおっしゃっているその会合は、この基本理念セミナーだったんじゃないですか。いかがですか。

盛山国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、二〇二一年、選挙戦のときの会合については、全く記憶にございませんでした。事務所の方もよく分かりませんでした。そんな中で、二〇二二年の春の御案内は別の地元の方がお持ちになったので出たということでございますので、二〇二一年と二〇二二年の会合、関連性というのはないというふうに申し上げたいと思います。

本庄委員 今、手元に資料がないのでよく分からないと。ただ、関連団体の会合には出たという答弁がこの数分前にあったのに、しっかり覚えてもいない選挙時の会合と選挙後の会合が別だとなぜ分かるんですか。

盛山国務大臣 それは、二〇二一年の方は、選挙戦の最中で、もううちの記録にも何も残っていない会合であったということ、そして、地元の秘書ともよく調べようということで調べたのでございますけれども、二〇二一年に声がけをしてきたその地元の有権者と、そして二〇二二年の春の会合を誘ってきた有権者が別の人であったというふうに記憶しているというふうに地元の事務所が言ってまいりましたので、そのように答弁をしているわけでございます。

本庄委員 別の人であっても組織が同じということは間々あることじゃないですか。だからといって、別の団体の会合だったという理由には私はならないと思います。

 いずれにしても、私が昨日通告をした内容に対して今日お答えになっていないんですね。選挙後に出席をされた二〇二二年三月のその旧統一教会関係の団体の会合、これがどういった会合だったのか、きちっとこの予算委員会に提出をしていただきたいと思います。日報も残っているというふうに国会で答弁をされています。正確な情報を出してください。この基本理念セミナーに該当するものであったとすれば、これは確認書にサインをされたという私は重大な証拠になってしまうと思います。

 委員長、よろしくお願いします。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

本庄委員 さて、パネルの七を御覧いただきたいと思います。

 岸田総理はるる同じ答弁をされているんですが、旧統一教会及び関係団体との関係については、過去においての関係を点検、報告した上で、新たな接点が判明した場合には都度説明責任を果たす、未来に向けて関係を絶つ、これが基準だということなんですね。ただ、これは報告、点検さえすればいいんですか。それが事実じゃないということまでお認めにはなっていないと思うんですね。

 私は、盛山大臣のこれまでの御説明は、隠していたか、うそをついていた可能性は極めて高いと思います。先ほど紹介したNHKの調査、盛山大臣が説明責任を果たしている、五%ですよ。みんな、うそつきだと思っていますよ、はっきり言って。そういう大臣の下で、これから文部科学行政ができるんですか。

 そして、この予算委員会でも、あるいは文部科学委員会でも、五兆円を超える予算をこれから審議するんですよ。その担当大臣ですよ。本当にふさわしいんですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 旧統一教会、さらにはその関連団体との関係についてですが、こうした団体は、長年にわたり多様な組織形態や名称の下で様々な活動を展開しています。また、選挙等において様々な団体からアプローチがあり、その中で様々なやり取りをすることがあります。その中で、個々の議員が旧統一教会及び関連団体との過去の全ての接点を一義的、網羅的に把握し切れない場合がある、これが、一昨年、この問題が大きく取り上げられて、党として実態把握に臨んだ際の事実であると認識をしています。

 だからこそ、まずは本人において過去のこうした団体との接点について検査、報告をした上で、新たに指摘をされたならばその都度説明責任を果たすことが重要であると申し上げています。そして、何よりも重要なのは、現在から未来に向けて一切当該団体との関係を絶つ、これが重要であると申し上げています。

 ですから、盛山大臣にも引き続き説明責任はしっかりと果たしてもらわなければならないと思いますが、少なくとも任命の時点で旧統一教会及び関係団体との関係は絶っている、これを前提に任命をしております。これは今も変わらないわけでありますから、その上で責任をしっかり果たしてもらいたいと思っています。

本庄委員 時間が来たので終わりますが、それが本当に絶っているのか絶っていたのかが分からないから、いろいろな問題が起きているんだと思います。

 そして、仮に盛山大臣がおっしゃっていることが全て事実だとしても、私は、今のこういう状況でいろいろな情報が出てくるということに懸念を感じます。弱みを握られているんじゃないですか。これからも何が出てくるか分かりませんよ。そういう中で、これから責任者として審問に臨んでいくということは、私は大いに国益に反しているというふうに思います。是非、文科大臣の交代を求めます。

 以上です。

小野寺委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。山井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 私は、土曜日、日曜日と、石川県の志賀町に行きまして、現地で活動しているNPO、愛知ネットさんの下で私もボランティア活動をしてきました。そこで見聞きしたことについてはまた別の機会に質問させていただきたいと思いますが、今日は、政治資金問題の集中審議ということですので、前の同僚議員の質問に続けて質問していきたいというふうに思っております。

 政治資金収支報告書については、多くの議員が今訂正を行っています。午前中も、山井議員から、萩生田前政調会長の収支報告、訂正、訂正、訂正のオンパレードで、こんな訂正じゃ意味がないんじゃないかという指摘がありました。

 そこで、私からも一つ具体的な例をお示しをさせていただきたいと思うんですけれども、これは、清和会の元会長であった細田博之前衆議院議長の資金管理団体、通商産業エネルギー政策研究会の収支報告書です。この赤字で囲ってある部分ですけれども、使途不明金と書いてあるんですね。使途不明金ですよ。

 その上で、不記載であった清和政策研究会の寄附を収入に加えた分、支出のその他の経費に、令和二年分では百十四万円、令和四年分では百七十八万円、これを使途不明金として載せています。

 確かに、不明部分については判明次第訂正をしますということは書かれてはいるんですけれども、使途不明金の支出先、これは亡くなられた細田さんになっているんですね。これから先、これが判明することなんかないじゃないですか。それを非課税の政治資金として認めていいのか、こんなことがあっていいのか。

 あさってからまさに確定申告が始まりますけれども、当然、使途不明金は、これは経費として認められるわけがなく、課税対象になります。

 岸田総理、まさに防衛増税や子育て増税で国民に負担を求めておいて、これで納税者の納得が得られるとお思いになりますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の二月一日に訂正された細田前衆議院議長の資金管理団体の政治資金収支報告書では、令和二年、令和四年度収支等の一部について不明等の記載がなされているところですが、委員御指摘のように、この報告書の中に、一つは、収入及び支出のうち一部の日にちについて特定できないため記載できません、当該不明金については判明した時点で訂正いたします、このように記載をされていると承知をしております。これ以上については承知しておりません。まずは、事情を最もよく知る各政治団体において明確な説明責任を果たすべき事柄であると考えております。

 そして、納税等については、これは当然のことながら、国税において適正、公正な納税を実現するために努力をされている、必要に応じて税務調査あるいは様々な資料の徴収等を行って、適正、公正な税務実現に努力しているものと承知をしております。

大西(健)委員 先ほど私が言ったように、確定申告では使途不明金なんて、こんなの許されないですよ。

 これは使途不明金としておいて、じゃ、判明次第というけれども、先ほども言いましたように、細田さんはもう亡くなられているんですから、これ以上判明のしようがないんですよ。それでもこれは使途不明金で通っちゃう。これで本当に真面目に納税しようという気になるんでしょうかね。私はそうならないと思います。

 いろいろな訂正がなされているんですけれども、幾つかのパターンが見られます。その一つとして、例えば、次のものですけれども、派閥からのキックバックを議員本人から政党支部に寄附していた、こういう事例が見られます。これがその一つの事例ですけれども、例えば、この例では、議員からその支部に寄附三百万円をしていたということを削除して、なおかつ、今度、三百五十万円寄附していたということを二百九十八万円に減額をして、その合計の三百五十二万円を日付不明で清和会からの寄附として書き加える、こういう訂正を行っています。

 こういう同様の訂正をしている議員というのはほかにも多く見られるんですが、実は、自分が代表を務める政党支部に寄附をした場合には、制度上ですけれども、確定申告で寄附金控除を申請すれば寄附額の三割が戻ってくる、こういう仕組みがあります。

 過去にはこういうことが問題になったこともあるので、まさか使ってはいないとは思いたいんですけれども、仮に、もしこれを利用していた場合には、これは還付金の詐取になる可能性があると思います。

 一般論で結構ですので、国税庁、こういう場合に還付金の詐取になるのか、お答えいただきたい。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個人の確定申告におきまして、虚偽の事実を申告した場合には、詐取になると考えてございます。

大西(健)委員 当然ですよね。

 だから、派閥から寄附してもらったということに直して、だけれども、本当は、元々は個人から寄附したということにしていて、そしてこれ、もし寄附金控除を使っていたら、これは本当に還付金詐欺していることになるんです。

 ですから、総理、自民党は裏金議員からの聞き取り調査をもう終えたということですけれども、さっき私が言ったように、キックバック分を個人から政党支部に入れた、こういう処理をしていた人が結構、複数いるんですけれども、そういう人たちが寄附金控除を使っていなかったか、これは全部確認していただけたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政治資金収支報告書については、検察による捜査を経て、その上で事実に基づき記載すべきところですが、関係者において、実態として政治団体から資金管理団体への寄附であった、こういった判断をしたからこそ、事実に基づき政治資金収支報告書の訂正が行われているものと認識をしております。

 ですから、そういった、政治団体から政治資金管理団体への寄附であったと最終的に判断をして修正したものだと思いますし、その上で、税務上不都合がないかということにつきましては、国税において適正に判断されるものだと思います。

大西(健)委員 さっき国税庁が言ったように、もしこれは寄附金控除を使っていたら詐取になるんですよ。だから、寄附金控除を使っていなかったかというのは確認しなきゃいけないんだけれども、今の総理の答弁だと、結局そのヒアリングにおいては確認していないんですよ。だから、いかにこのヒアリングが不十分なものかということだと思います。

 今回、多くの国民が疑問に思っているのは、不記載額が三千万円を超えると立件されるけれども、それ以外はおとがめなしになっていること、また、五人衆と言われる安倍派幹部が不起訴になっていること、これが皆さんが非常に不満に思っていることだというふうに思います。そして、安倍派の幹部の責任を問う声は安倍派内部にさえあります。

 この点、不記載額が二千七百二十八万円と三千万円に近く、五人衆の一人だった萩生田前政調会長は、私は厳しく処分をしないと示しがつかないんじゃないかというふうに思うんですけれども、萩生田さんは一月二十二日に記者会見を行っていて、幾つか興味深い発言をしています。

 パーティー券の代金については、派閥の口座ではなくて、自前の口座に振り込んでもらう形を取っていたと発言しています。また、令和二年から四年までの三年間については、派閥事務局からの指示で、ノルマ分のみを派閥の口座に振り込んだとしています。そして、保留金については、口座から引き出して、派閥から現金で渡されていた還付金と同様に、担当者が机の鍵つきの引き出しに現金で保管をしていた、こういうふうに説明しているんですね。

 支出については、会合費や外遊の経費として約九百五十五万円を支出して、残金が一千八百九十七万九千九十四円あり、約一千八百九十万円については清和会に寄附するつもりだ、こういうふうに発言されています。

 そこで、また国税庁に確認したいんですけれども、一般論で結構です。ノルマ超過分を派閥には入れないで、複数年にわたって現金で管理していた場合に、もし使い残しがあれば、それは雑所得として申告する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治資金につきましては、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人のいずれに帰属するかによりまして課税関係が異なるため、個々の事実関係を精査する必要がございます。

 個人に帰属する場合には雑所得の収入ということでございますけれども、その場合には、収入金額から必要経費を差し引いた残額が課税対象となるということでございます。

大西(健)委員 超過分については派閥の口座じゃなくて自分の口座に振り込んで、超過分はそのまま派閥には入れないで手元に置いておいて、しかも一年じゃなくて複数年にわたって現金で管理するというような場合は、これはまさに政治団体じゃなくて個人で管理していたというふうになる可能性が高いんじゃないですか。いかがですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますが、政治資金の帰属を判断するに当たりましては、その資金が誰によって実質的に管理、使用されていたかなど、様々な状況を総合的に精査して判断することとしております。

大西(健)委員 これは先ほど藤岡さんもやっていましたけれども、やはりそういう実態を確認するためには税務調査しなきゃいけない。今の萩生田さんの会計の話を読む限り、極めてこれは、私は灰色なのではないかと思いますので、是非これは調査をすべきだというふうに思います。

 ところが、当の本人の萩生田さん、全く反省している様子がありません。これは先ほど本庄さんも使っていましたけれども、資料の方を御覧いただきたいと思います。

 資料の三ページ目でありますけれども、月刊文芸春秋三月号、「ポスト岸田は誰なのか 「派閥とカネ」 本音で語る」というタイトルで、萩生田前政調会長、武田良太元総務大臣、そして予算委員会の与党筆頭理事の加藤勝信元官房長官の鼎談が掲載をされています。

 この抜粋を御覧いただきたいんですけれども、線を引いておきました。「年末年始もこれだけ批判をされてお詫びをしてきたという点では、一定の社会的制裁を受けたと思います。立件されなかったのに、検察が期待値を上げたことで「この人たちは悪いのに助かった」みたいに思われるのは、すごく理不尽な話です。」「私は責任を感じたからこそ、年末に党の政調会長を辞しました。そのことで一定の政治責任は果たしたつもりです。」「自民党は、失敗は失敗としてもう少し寛容に、「まずかったけど頑張れよ」と言ってくれる政党かと思ったら、党内からも「処分、処分」と言われて……。」こんなふうに言っているんです。

 岸田総理、これは全く反省していないじゃないですか。萩生田氏を始めとする安倍派五人衆、厳しく処分するつもりはおありでしょうか。

岸田内閣総理大臣 ちょっと記事の内容についてコメントは控えますが、いずれにせよ、今、この問題について再発防止策等を考える、これは重要でありますが、何よりも大事なのは、実態を把握し、そして説明責任を果たし、その上で政治責任を果たしていく、処分を含めて政治責任について考えていく、これが重要であると考えています。

 党として、説明責任、まずは自らの説明責任を果たしてもらうことを促す、これは当然でありますが、党としても聞き取り調査等を通じて実態把握をし、説明責任を党としても果たしていきます。その手順を踏み、そして本人の説明責任のありようも踏まえた上で、政治責任、処分等についても党として考えてまいります。

大西(健)委員 今の話であると、処分の前に説明責任があるということなんですけれども、先ほど来何度も我が党の議員からも申し上げていますけれども、それであるなら、ちゃんとその説明責任を果たす場として政倫審という場があるわけですから、是非、そこに出席して説明責任を果たすように、自民党総裁として、私も指示をしていただきたいというふうに思っています。

 我々も、大事なこの予算委員会の審議時間をこれにばかり使っていられないと思うからこそ、せっかくある政倫審の場を使ってそこで自発的に説明されてはどうですか、こう申し上げているんですけれども、自民党がその機会を自ら潰すのであれば、参考人招致や証人喚問などを考えなければならなくなって、国会審議にも重大な影響を及ぼすことになります。だからこそ、私は総理が指導力を発揮すべきだというふうに思います。

 午前中、総理は、国会の判断とか本人の意向、この二つを理由にして消極的な答弁を繰り返していましたけれども、まず、政倫審の会長は自民党の田中和徳議員でありますし、定数二十五のうち自民党議員が十五名を占めています。野党はそろって開会を求めている、これは山井委員がおっしゃったとおりであります。したがって、国会で決めることというのは言い訳にはならないと思います。

 それから、本人の意向についても、政倫審に出席して自ら説明しない議員に対しては次の選挙で公認しない、これぐらいの厳しい態度で出席を促せば、ほとんどの議員は、私、従うんじゃないかと。逆に言うと、これで従わないんだったら、もうそれはそれぞれの責任だと思います。

 信頼回復のために火の玉になるというなら、そこまでやっていただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 関係者において明確な説明責任を果たすということは重要であると申し上げておりますし、関係者に対して説明責任を明確にするよう党としても働きかけております。

 そして、説明責任の果たし方については様々なところがありますが、政治倫理審査会を含め国会での審議の在り方については国会でお決めいただくと申し上げております。

 党としては、説明責任の果たし方等もしっかりと踏まえた上で、政治責任についても判断をしてまいります。

大西(健)委員 本当に、何度聞いても、やる気がないんだなということしか分からないんですけれども。

 政倫審の委員名簿を見ると、自民党の裏金アンケート調査で第二位の二千九百五十四万円の三ッ林裕巳議員を始め三名の裏金議員が委員になっています。

 これは、浜田国対委員長にこの裏金議員を委員から外すように指示しないんですか。それをしないこと自体が政倫審を開く意思がないことの表れじゃないかと思いますけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今回の事件に関わった人間、多数ある中にあって、国会を運営していくに当たって与野党で人事等についても話合いを行い、調整を行った、こういった結果であると思います。

 御指摘の点につきましても、与野党で運営のありようについて確認をする必要があると考えております。

大西(健)委員 先ほど来言っていますけれども、我々は、裏金議員はみんな国会の理事とか委員長とかから外してくれという話を言っていますし、政倫審でもし議論するとなれば、当然、裏金議員が議論する立場にありませんから、それは外してもらうのは当然です。

 ですから、先ほど来言っているように、我々野党は言っているし、そして与党がその気になればできる、決断するのはもう総理だということを何度も申し上げています。

 政治資金パーティーの収入の一部を隠して裏金にしていたというのは論外でありますけれども、日大名誉教授の岩井先生は、政治資金パーティーそのものが政治資金規正法の抜け道になっていると指摘しています。

 そこで、我々立憲民主党は、政治資金パーティーの全面禁止に踏み込むことを提案をしています。

 では、自民党議員が政治資金パーティーという隠れみのを使って事実上の政治献金をどれだけ集めているのか。二〇二二年のパーティーの収支上位を並べてみました。一位は、二階派の事務総長を務めた武田良太議員の二億二千五十六万三千二百十四円ですけれども、岸田総理も堂々の第二位、一億三千六百九万二千八百七十四円を集めています。以下、西村さん、茂木さんが続いているんです。

 次のパネルを御覧いただきたいんですけれども、これは以前にも見てもらった岸田総理就任以降のパーティーの一覧ですけれども、計十一回、うち九回は特定パーティーと言われる一千万円以上のパーティーを行っています。

 そしてもう一つ、次のパネルを御覧いただきたいんですけれども、国務大臣、副大臣、大臣政務官規範というのがあるんですけれども、ここでは、政治資金の調達を目的とするパーティーで国民の疑惑を招きかねないような大規模なものは開催を自粛すると書かれています。

 総理、先ほどの、就任以来十一回、うち九回は一千万円以上の大規模パーティーですけれども、これは明らかな大臣規範違反じゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の会合については、私が総理大臣就任前から続けている勉強会を開催したということであります。そうした国民の疑念を招くような会合ではないと考えております。

 そして、大臣規範については、明確な金額の規制はありませんが、国民の疑惑を招かないように配慮する、これはそれぞれの大臣が考えることであると思います。

 私自身として、この勉強会の開催について、国民の疑惑を招くものであるとは考えておりません。

大西(健)委員 これは、法律上は立派な政治資金パーティーですよ。それを勉強会と言うのは詭弁も甚だしいですよ。ちゃんとお金を集めているじゃないですか。そして、総理の立場でそれはパーティー券を売れば売れますよ。それが疑念を招かないことなんですか。総理自ら先頭に立って金集めをしているといったら、これこそ疑念を招くじゃないですか。

 私は、もう本当に論外だと思いますけれども、ここには、私が前回取り上げた、任意団体をダミーにした、収支報告書に記載されていない闇パーティー、総理大臣の就任を祝う会は含まれていません。

 岸田総理は、任意団体が主催した純粋な祝賀会と言い逃れをしていますけれども、純粋な祝賀会であれば、とんとんでやればいいんですよ、収支。これを会費一万円、食事なし、そしてお土産は本と色紙だけ、これは明らかに最初から利益を上げることを前提にしているじゃないですか。最近、永田町では、今後は議員同士でお互いに励ます会の実行委員会をつくって岸田方式でパーティーをやればいいじゃないか、そうすれば収支報告書にも載らない闇パーティーがやり放題じゃないか、こういうふうに秘書たちが冗談半分で話しているそうです。

 総理、私が求めた、自分の就任パーティーの収支も明らかにしないで、まともな裏金調査なんかできるはずないんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の会合については、地元の知事を始め政財界の皆さんが発起人になって開催していただいた、こうした純粋な祝賀会であると承知をしています。

 私自身が関わっていない任意団体の活動でありますので、私が直接お答えするという立場にはありませんが、当時の事務所関係者から聞いている範囲で申し上げるならば、本件はそもそも余剰金を何らかの政治活動に充てることを目的としたものではないということ、さらには、実際の収入も一千万円未満であったということ、こういったことであると承知をしております。こうした任意団体の会合であると認識をしております。

大西(健)委員 いや、残金はちゃんと総理の、代表を務める政党支部に寄附されているわけですよ。

 本当に、こういうことばかり総理はやっているんですけれども、もう一つ、本委員会では、世襲候補は親などの政治団体の名義を変更すれば非課税で政治団体と政治資金を引き継ぐことができる、このことが世襲候補が増える要因になっている、こういう指摘もありました。立憲民主党は、政治団体や政治資金を親族に引き継ぐことを禁止する政治資金世襲制限法、これは落合さんたちが中心になって、既に国会に提出をしています。

 岸田総理は、祖父も父も衆議院議員を務められた三世議員でいらっしゃいますけれども、総理は実父の岸田文武代議士の政治資金を引き継ぎましたでしょうか。もし引き継いだならば、金額はどれぐらいだったか、大ざっぱでもいいのでお答えをいただきたいと思います。

 そして、併せて、時間がないのでお聞きしますけれども、もし長男の翔太郎さんに、後を継ぐことになった場合には政治資金を引き継ぎますか。

岸田内閣総理大臣 政治資金をどれだけ引き継いだか、今手元に資料はありませんが、ほとんど残高はなかったと記憶しております。

 そして、政治資金、当然、これは相続とは異なるわけであります。これは親族に対して当然引き継がれるような類いではないと思います。個々の政治団体において判断すべき事柄であると認識をいたします。

大西(健)委員 総理、お父さんの文武代議士からどれだけの政治資金を引き継いだか、確認して委員会に御報告いただけますか。

岸田内閣総理大臣 三十年以上前のことでありますので、資料があるかないかも含めて、今確認することはできません。

大西(健)委員 パネルを御覧をいただきたいと思うんですけれども、これは岸田総理が、一九九三年、お父さんが病気で亡くなられて、その後を継いで三十五歳で初出馬をされたときの中国新聞の記事です。

 線を引きましたけれども、「今、政治に厳しい逆風が吹いている。」「有望な若い同志とともに党の改革を実現するのが私の選ぶべき道。」そしてその下ですけれども、「選対本部長の木山千之県議は「中央、地方を問わず、政治は力、力は数、数には金という金権政治を変えていこう」。」こう出陣式で声を張り上げたと書かれています。

 岸田総理、この志はどこに行っちゃったんでしょうか。今や、世襲政治、派閥政治の権化となり、大臣規範を無視して自ら先頭に立って政治資金パーティーでぼろもうけをし、その上、脱法的な闇パーティーまで行っている岸田総理に抜本的な政治資金改革を行うことは私は無理だと思います。

 また、インボイス、防衛増税、子育て増税等、国民には増税を押しつけて、一方で、長年にわたり組織的に裏金をつくり、脱税を続けてきた自民党政権には自浄作用を期待することはできないと思います。

 政権交代が必要であるということを訴えて、私の質問を終わります。

小野寺委員長 これにて山井君、井坂君、藤岡君、階君、本庄君、大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 東大阪市選出、日本維新の会・教育無償化を実現する会の岩谷良平です。よろしくお願いいたします。

 総理、今日は私、本当にここに大変情けない気持ちで立っております。一九八八年、今から三十六年前、リクルート事件がありました。私は一九八〇年生まれですから、当時八歳。子供心にテレビを見ながら、政治家の人たちというのは本当に悪い人たちがいるんだなというふうに見ていたのを覚えています。あれから三十五年たって、私が今ここで総理に政治と金の問題についていま一度質問しなければならないということ、大変情けない事態だと思います。

 まして、今、国内では、デフレ脱却の兆しが見え、一方で、物価は上がれど賃金が上がらず、国民の皆さんは苦しんでいます。能登では、被災地で皆さん厳しい環境に耐えていらっしゃいます。また、国外では、アメリカの大統領選挙もあり、ロシアもあり、ウクライナの大統領選挙もある。そして、ウクライナの戦争は続き、また、パレスチナでも戦争が起きている。

 国内外で極めて重要なタイミングを迎えている今、こうして国権の最高機関たるこの国会で自民党の政治と金の問題が集中審議をされている。私は、本当に残念な事態だと思います。

 今日は、総理には是非正面からお答えいただきまして、そして政治的なリーダーシップを持って決断をいただきまして、この問題にけりをつけて、国民の皆さんのための政策議論を是非スタートできるようにお答えをいただければというふうに思います。

 まず、パネルをお示しをいたします。今回、アンケート調査結果が公表されました。八十五名の現職、元職の自民党議員の方が裏金を認められました。これは多過ぎてとてもパネルに収まりません。上位だけ十五位まで入れるのが精いっぱいでした。

 そして、この方々、確かに、ここに書かれていない大野議員、池田議員、谷川議員、立件をされております。しかし、ここに書かれている方々は、刑事事件として立件は今のところはされておりません。しかしながら、当然、刑事責任とは別に政治責任があるのは間違いありません。

 総理は、この八十五名、そのうち八十二名、現職の国会議員です、この方々の政治的責任についてどのようにお考えか、お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、関係者については、検察の捜査が行われ、法的な責任についての判断が下され、そして、それぞれ政治資金収支報告書の訂正を今行っている、こういった中であります。

 まずは関係者自身が説明責任を尽くすことが大事だとして党からも働きかけを行っているところですが、あわせて、実態把握、説明責任を果たす、そして政治責任を果たす、これらは引き続き重要であるということで、党としては、本人の説明責任と併せて、党として独自のアンケートや聞き取り調査等を行って、外部の弁護士の皆さんにも参加してもらって実態把握に努めているということであります。

 今後、こうした実態把握を行った上で、そして本人の説明責任の状況等も踏まえた上で、党として政治責任について判断をしていきたいと考えます。

岩谷委員 政治責任について判断をする、それはすなわち処分等を行っていくことだというふうに理解をいたしますが、しかし、現職八十二名ということで、大量の処分ということになろうかと思います。

 今、検察の捜査も一旦は終わったと言われている。その状況で、今、自民党さん自身が処分をするために実態調査をされている。しかし、もう三か月たっているわけです。そして、国民の皆さんは、有権者、そして日本の主権者であるわけです。我々は、国民の皆さんに選んでいただいて、この場で仕事をさせていただいています。そして、国会議員の雇主はいわば国民の皆さんです。私は、この裏金を認めた議員の皆さんがいまだにこうして国会でバッジをつけて仕事をしている、そのことを一体有権者の皆さんがどう考えているかということを是非想像するべきだと思います。

 そして、今後、先ほど申し上げたとおり、国内外で非常に今年は重要な一年を迎えているわけですが、自民党の政治と金の問題によって政治が停滞し、それによって行政が停滞し、政策が前に進まない、そういった事態になった際には、局面を打開し、政策を前に進めるために、衆議院を解散して国民の皆さんの信を問うべきではないかと思いますが、そういったことも選択肢の一つとして総理に検討されるお気持ちがあるかどうか、お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 今は、自民党として、まずは再発防止に向けての再発防止策、中間取りまとめ等の対策を実行するとともに、先ほど申し上げました、実態把握と説明責任と、そして政治責任、これを果たしていく、このことによって国民の信頼回復に努める、これに尽きると思っています。

 委員がおっしゃるように、今、国の内外において、先送りできない様々な課題、震災対応であったり、デフレ脱却であったり、厳しい国際情勢であったり、こういった課題が山積をしています。

 今申し上げた政治の信頼回復とともに、今、目の前の課題に専念する、これが我々に与えられた課題であると考えています。それに専念するということであり、その先については何も考えておりません。

岩谷委員 今、目の前のことに専念するために、解散等は考えていないと。しかし、国民の皆さんがそれを望んでいるかどうか。

 パネルをお示しいたします。先ほど立憲の議員さんも似たようなパネルを示されておりましたが、この直近五年間の自民党さんの議員が起こされた主な刑事事件ですね。そして、政治と金にまつわるものです。これはもちろん、中にはまだ係争中の方もいらっしゃることは明言をしておきたいと思いますが、毎年、政治と金絡みで刑事事件となっている、立件をされているんですね。そして、今回、八十五名の方が裏金を認められた。まさに、私は、自民党の皆さんがお金に対して余りに意識が低過ぎる、そして遵法意識が欠如をしている、党としてガバナンスとコンプライアンスが欠如している、そう断じざるを得ないと思います。

 そして、もちろんこれは岸田総理の前の時代も含まれておりますけれども、今の裏金の問題、そしてこういった刑事事件を含めて、自民党のトップは岸田総理・総裁であります。この自民党トップとしての総理の今の政治責任についてどのようにお考えか、お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のような逮捕者等が続いて出ていることについて、自民党として、それを振り返り、反省し、そしておわびを申し上げなければならないと思います。その責任を強く感じるからこそ、国民の信頼回復に努めなければならないと改めて強く感じています。

 自民党トップとしてどういう責任を取るかということでありますが、それについては、先ほども申し上げたように、実態把握と説明責任と、そして政治責任について明らかにしていく、一方、政治刷新本部において確認した中間取りまとめ、すなわち運用面と制度面での再発防止に向けての取組、これを実行していく、この両方を結果として残すことが私の自民党総裁としての責任であると考えています。

岩谷委員 今総理は、まず議員自らが説明責任を果たすこと、それがまさにスタートだと思います。そして、これは何度も繰り返し答弁をされてこられたことであります。

 そこでお伺いしたいと思いますが、先ほどのリスト、ここ以外の方もいらっしゃいますが、この八十五名の自民党の現職議員、元議員のうち、現時点で記者会見等を開いて国民の皆さんに説明責任を果たされた方というのは一体何人いらっしゃいますか。

岸田内閣総理大臣 説明責任の果たし方は様々であり、一方、記者会見ということにつきましても、一人で複数会見を開いているなど、対応は様々であります。よって、御指摘の自民党議員のうち記者会見を開いた人間は何人かということについて、網羅的に把握しているものはありません。

 いずれにせよ、様々な取組を通じて明確な説明責任を果たしてもらうことが重要であると考えております。あわせて、党としても説明責任を果たしてまいります。

岩谷委員 これは通告もさせていただいていましたが、分からない、把握していないということであります。

 総理は繰り返し、説明責任を促していくとおっしゃっております。そして、調査もしているとおっしゃっています。だけれども、裏金を認めた自民党の国会議員のうち何名が記者会見を開いて国民の皆さんに説明責任を果たしたかすらも把握していない。一体どんな調査をしているのか、一体どんな促し方をしているのかというふうに疑問を抱かざるを得ません。

 そして、先ほど別の議員も質問されていましたけれども、総理は促すという言葉を使われます。しかし、促すだけじゃ、ほとんどの方が記者会見すら開いていないわけなんです。促すだけじゃ進まないんです。総理がリーダーシップを発揮されるならば、今ここではっきりと、裏金を認めた自民党国会議員の皆さんに、国民の皆さんに記者会見で説明することを指示すべきではないですか。

岸田内閣総理大臣 今、検察の捜査を経て、政治資金収支報告書の修正が順次行われている中です。そして、これから修正を行う議員もいます。その中でそれぞれ説明責任を果たしている、現状はそういった状況にあります。この説明責任を果たす努力はこれからもしっかり果たしてもらわなければならないということを申し上げております。

 そして、あわせて、党として実態把握を行い、その上で、本人の説明責任、そして党の実態把握、これらをしっかり踏まえて、処分等を含めた政治責任について党として判断していきたいと思っています。

岩谷委員 シンプルな話なんです。記者会見するのが一番分かりやすいんです。それすらされていないんです、多くの議員が。おかしいと思いますよ。

 そして、今恐らく、このリストに載っている自民党の国会議員の皆さんは、検察に立件もされずに済んだ、記者会見もせずに、ほっかむりして、今じっと黙って耐えていれば国民の皆さんもそのうち忘れるだろう、そういうひきょうな方々じゃないんですか。自民党として許すんでしょうか、そういったことを。

岸田内閣総理大臣 だから、先ほど来申し上げております、本人の説明責任を促すのと併せて、党として実態を把握し、そして本人の説明の状況等も踏まえた上で、政治責任について党として判断いたします。

岩谷委員 説明責任をしないことをもって例えば処分をするというのであれば、促したじゃなくて指示をした、だけれども、指示に従わず、記者会見すら開かなかった、だから処分をする。分かりやすいじゃないですか、そっちの方が。どうして、そういうことをされずに、促すということにこだわるのか、私には全く理解ができません。

 次の質問に行きます。

 これも何度もこの予算委員会で出ていますけれども、今回の裏金をめぐる関係条項を整理しております。そして、ポイントは、議員個人か議員の政治団体か、いずれに寄附をしたのか、受け取ったのかということであります。

 そして、議員個人への寄附であれば、寄附をした派閥の側も違法、受けた議員の側も違法です。さらに、裏金を認めた議員の中の多くの方が、そのまま使わずに置いていた、支出に使っていないとおっしゃっています。それはまさに、所得税、申告しなきゃいけないはずなんです。しかも、何年間もその状態が続いている。脱税の可能性すらあるわけなんです。

 一方で、政治団体で寄附を受けたんだと言えば、会計責任者の虚偽記入罪ということになりますから、秘書に責任を押しつけられる。議員は、共謀がなければ罪に問われない。

 だから、当初は、政策活動費として受け取っていた、個人として受け取っていたから収支報告に書かなくていいと思っていたと複数の議員がおっしゃっていたにもかかわらず、今に至って、アンケート結果、そして、先ほど総理の答弁でありました、調査の結果、個人で受け取った者は一人もいなかったとおっしゃいました。

 こうして、秘書に責任を押しつけて、政治団体への寄附ということにいきなり説明を変えて、逃げている。今、そういう状況だと思います。

 私は、この調査について、今、聞き取り調査もされていると繰り返し御答弁をされていますが、しかし、本来、最初は個人で受け取ったと言っていた方が、いきなり政治団体への寄附でしたと翻したら、ここが大きな罪の分かれ目なわけですから、ここを一番調査しなきゃいけないはずなんです。

 ところが、どうやらそれがなされているか怪しい。だって、全員が、個人への寄附だ、そう総理は先ほど断言されました。(発言する者あり)一人も個人としての寄附を受け取った者はいなかったとおっしゃいました。いないという事実をおっしゃった。失礼しました。いないとおっしゃったんですね、一人もいないと。だから、全員が政治団体で受けたということをおっしゃったということですね。

 ですから、私は、そもそもこの調査が一体適正なものなのかということを問いたいと思います。これは、いわゆるお手盛りの調査と言われていますね。内部で調査をしている、自民党の役員の皆さんが聞き取り調査をしている。外部の弁護士さんが同席していると言いますが、やはり内部調査なんです。

 どんな企業でも、あるいは役所でも、不正が起これば、第三者委員会をつくって、外部の人に独立した形で調査をしてもらって結果を公表するはずなんです。なぜそれをしないのか、なぜ内部調査にこだわるのか、そこをお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の事案について実態を把握する際に、まずは、党内においてこういった事案についてよく認識している国会議員が関わることも必要であるということを判断いたしました。よって、党の役員等を中心に聞き取りを行うということをスタートで考えたわけですが、おっしゃるように、外部の視点が重要であるということ、これは当然我々も考えなければいけない。そういったことから、聞き取り段階で外部の弁護士の皆さんに参加していただき、共に聞き取りをお願いしたということであります。その上で、取りまとめについては、全て第三者の弁護士の皆さんにお任せして、取りまとめを今お願いしている、こういったことであります。

 こういった、政治資金に関わる様々な事情をしっかりと承知した上で、一方で外部の第三者の目も重視する、こういった点から、今申し上げたような聞き取り調査を行いました。

 この取りまとめの結果をしっかり踏まえて、今後の党の対応を考えていきたいと思います。

岩谷委員 今、総理は、党の役員が調査に参加することが必要だと考えた、そして、外部の弁護士にも入っていただいて、取りまとめも、その弁護士さん、外部の弁護士さんにやってもらっているから大丈夫なんだというようなニュアンスの答弁だったと思いますが、じゃ、なぜ、党の役員さんが党内の不正を調査するメンバーに入る必要があるのか、その必要性を教えてください。

岸田内閣総理大臣 今回の事案、自民党の派閥の政治資金パーティーを舞台として行われた事案であります。それについて直接関わってはおりませんが、党内の様々な慣行等についてもしっかり承知した役員に、この聞き取りには参加してもらいました。併せて外部の目が必要だということで、先ほど説明したような体制を取った。

 こういった形で、できるだけ第三者の目を入れながら実態把握を行っていきたい、このように考え、聞き取りを行った次第であります。

岩谷委員 じゃ、端的にお聞きしますが、お手盛り調査との批判は当たらないということですね。

岸田内閣総理大臣 もちろんです。お手盛り調査ではないと申し上げております。

岩谷委員 こういうことなんです。それが総理の考えであり、自民党さんの意識。まさに、自ら説明責任も果たさない、説明責任を果たすことの指示もしない、そして、調査は世間一般ではお手盛りと言われるような手法によってやっており、第三者委員会はあくまでも使わない。これはまさに、自民党さんが自浄能力がないと言われても仕方がない、そんな状況だというふうに断じざるを得ません。

 そして、そうなると、次はどうするか。本人も説明しない、自民党さんも調査がお手盛り。国会で解明していくしかありません。何度も議論に出ている政倫審です。

 この政倫審への出席、総理はこれも、促すという御答弁を繰り返していると思いますけれども、やはり政倫審への出席も明確に、総理・総裁として、関係した議員、裏金に関係した自民党国会議員に対して出席を指示すべきではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 申し上げておりますように、あらゆる手段によって説明責任を果たしていく、こういった姿勢は大事だということで、本人に働きかけを行っています。

 個別具体的な国会の対応については国会の判断に委ねますと申し上げておりますが、あらゆる手法を通じて説明責任を十分果たすことが重要だということ、これは本人に引き続き働きかけてまいります。

岩谷委員 結局、働きかけしかされないと。

 そして、いつも総理は、こういう話になりますと、国会でお決めいただくことだとおっしゃるわけなんです。自分は行政のトップ、国会とは立場が違うので、そこは国会で決めてくださいということをこれまでも何度も繰り返し言ってこられましたが、しかし、総理は、行政のトップであると同時に、当然、国会議員であり、そして自民党のトップでもあるわけです。総理がこの場で総裁としての立場で答弁されたことも、何度も過去に例があります。決して、ここで総理が自民党総裁として指示を出す、あるいは明確に答弁することは、法律違反でも何でもありません。

 是非、都合が悪いときに国会のことは国会でというような立場の使い分けをせずに、いま一度お伺いしますが、自民党総裁として、自民党に、政倫審に賛成し、そして出席するように指示を出すと明確にしていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 これまでも、様々な課題において、私自身、具体的な国会の対応について申し上げることは控えておりますが、自分の思いだけは強く申し上げてきた、こういったことで、憲法を始め様々な課題について思いを申し上げてきました。

 この政治資金をめぐる課題についても、国会の具体的な組織の対応については国会の判断に委ねなければならないと申し上げておりますが、私自身の思いとしては、説明責任、今回の件についての説明責任は関係者にしっかりと果たしてもらいたい、これは強く申し上げているところでありますし、本人に働きかけていると申し上げております。

 こういったことで、国会での対応と自分の思い、それぞれ国会において説明をさせていただいている、今回も同じだと考えています。

岩谷委員 国民の皆さんが聞きたいのは、思いじゃなくて結果なんです。明確に指示を出して、今テレビを皆さん見られていますよ、総理がそのとおりだと今ここで指示を出して、うちの、この裏金に関与した議員は全員政倫審に出して説明責任を果たさせます、そう言ったら、テレビの前の国民の皆さんは拍手喝采されると思いますよ。

 ところが、なかなかそういった御答弁をされない。だからリーダーシップが疑われてしまう、そういうことになっているんじゃないかというふうに思います。

 先ほど、これまでの質疑の中で、ほかの議員さんの質疑ですけれども、政倫審に出席するか否かも含めて、それも含めて政治責任を判断するというふうにおっしゃいました。これは、すなわち、政倫審に出席をすることを拒む議員に関しては処分の対象とするというお考えでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 様々な手法を通じて全体としてどれだけ説明責任を果たしたか、これは大変重要なポイントになると申し上げております。そうした説明責任のありようも踏まえて、政治責任について対応を考えます。

岩谷委員 本当に、メディアでもゼロ回答という言葉が躍っていますけれども、改めて、自分で質疑をさせていただいて、そのように感じざるを得ません。

 自民党さんがやらないのであれば、我々維新の会は独自に政治改革を進めてまいりたいと思います。

 今パネルをお示ししましたけれども、維新版政治改革大綱、その一部です。これは政治資金改革に係る部分だけを抜粋をしております。企業・団体献金の完全廃止や旧文通費の領収書公開。政治資金パーティーは企業、団体には売らない。それから、政策活動費の廃止。政治家本人の罰則強化、これは連座制ですね。外部監査機関の導入等々。こういったことをもう既にお示しをしております。

 私は、政治改革には三つの方法があると思っています。Aは、議員個人が自主的に実行する。これは簡単にできます。B、法律や制度がなくても党が独自ルールで直ちに実行していく。我々維新はこれをやる党です。C、総理がいつもおっしゃる、法律、制度自体を変える。時間軸でいうと、このCがやはり一番時間がかかるわけで、A、Bは早いわけなんですね。

 そこで、我々は、先ほどの政治改革大綱で示したこと、直ちにこれを実行していくわけでありますが、総理にお伺いしたいんですけれども、先ほどの維新版の政治改革大綱で入っておりましたが、これは我が党の小野議員が示したパネルですが、企業・団体献金禁止というのを掲げております。これは、二〇二一年の企業・団体献金の額、総額の九割が自民党さんなわけです。だから、企業・団体献金を禁止するか否かというのは、もう自民党さんの問題なわけなんですね。それ以外にも、政治資金パーティーをどうするのか、政策活動費をどうするのか、そういった問題、様々あります。

 こういった問題に関して、総理は、先ほどのCのやつですね、法律、制度自体を変えなきゃいけないんだ、そのためには各党で議論しなきゃいけないんだとおっしゃいます。その与野党協議というのは一体いつから始められる予定でしょうか。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金についても、民主主義のコストをどう賄うかという観点から、政党がどのような収入を得るのか、企業・団体献金、それ以外にも、機関紙の購入費ですとか、あるいは組合費ですとか、様々なコストの財源についてどうあるべきなのか、民主主義をどう支えるかという観点から議論しなければならない、このように申し上げています。

 そして、議論について、タイムスケジュールについて御質問がありました。党として既にこうした協議についてはしっかりと向き合う、ワーキングチームも発足した、こういったことであります。今国会において成果が得られるよう、党としても考えをまとめて議論に臨んでいきたいと考えています。

岩谷委員 これも繰り返し質問をさせていただいておりますが、旧文通費の問題。これは、自民党の元国会議員でありました薗浦健太郎元議員が、文通費を自分の家の家賃とか、あるいは税金とか社会保険料の支払いに充てていたということが明らかになりました。

 我々はずっと、この文通費というものが、国会議員のポケットに入っているんじゃないのか、私的なことに使っているんじゃないかという疑いを持ってきたわけですけれども、やはりそれが明らかになったという報道が出ております。

 そして、この問題について、先日の予算委員会で我が党の藤田幹事長や小野泰輔議員から総理に、領収書の公開をしませんかと質問をさせていただきましたが、これに対して総理からは、自民党として引き続きこの課題にも真摯に臨みたい、議論に貢献したいとおっしゃいました。

 そして、実は私も二年前にこの場で総理に、領収書の公開をしませんかと質問をさせていただきましたが、そのときも、今、国会において議論をしていただいております、是非しっかり議論をしてもらわなければならないと私も思いますと御答弁をされました。

 あれから二年以上たちました。しかし、この文通費の領収書の公開はいまだに実現していません。それも、自民党さんの抵抗で実現をしておりません。一体この二年間、自民党さんが、この文通費の領収書公開に関して、どんな議論に貢献をしてきたのか。私は、貢献どころか、抵抗してきたのが自民党さんじゃないかというふうに思います。

 総理、改めて、国民の皆さんがテレビで見ています。我々維新の会は、領収書を独自に公開しています。自民党さんも、領収書公開、これぐらいは、もう二年前から議論をしているわけですから、今ここで、するとおっしゃっていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 旧文通費の取扱いについては、先ほど委員が示した政治改革の三つの段階において、まず個人としてできること、党としてできること、法律、制度を変えなければならないこと、この三つのうち、三番目に該当するものであると考えています。ですから、一番目、二番目については、当然、自民党としてやらなければならない、これを中間取りまとめとして取りまとめました。これはすぐ実行いたします。それで、三番目については、これは制度、法律に関わる問題であるからして、各党と議論を続けるということを申し上げています。

 そして、今まで議論は行われていなかったかのような御指摘でありますが、議論は行われてきました。是非、今後も議論を前進させるべく、自民党としても、制度、法律に関わる問題として、議論に真摯に向き合っていきたいと考えています。

岩谷委員 議論をしてきたとおっしゃるのであれば、では、自民党さんがまとめられる政治改革案、これに文通費の領収書公開というのを入れていただけますか。端的にお願いします。

岸田内閣総理大臣 文通費についても、どう考えるのか、党として考え方を整理したいと思います。

岩谷委員 もうこれは二年たっています。抵抗勢力ではなくて、自民党さんが政治改革を本気でやるんだということを示すのはこの領収書の公開が一番早いと思いますから、是非やっていただきたいと思いますし、我々維新の会はこれからも政治改革の先頭に立っていくことを国民の皆様にお誓い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、伊東信久君から関連質疑の申出があります。岩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の伊東信久です。

 冒頭、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災に遭われた全ての皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、総理、早速質問に移らせていただきたいと思うんですけれども、自民党における派閥パーティー資金の政治資金収支報告書の記載漏れ、この事案、残念ながら、いまだ明らかになっておりません。対象規模や期間、そこから考えますと、やはり単なる事務ミスではなくて、意図的、組織的な脱税行為ではないかという疑念が持たれるんですけれども、まず、総理、この疑念に対する答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 意図的かつ組織的な行為だったのではないかという御質問でありますが、この点については、まず、東京地検において会見をされておられます。その中で、今般の一連の事案について所要の捜査を遂げ、法と証拠に基づき処理すべきものは厳正に処理を行った上で、各会派の収支報告書の作成は代表者兼会計責任者を含む会派事務局が専ら行っており、派閥の幹部において、収支報告書の作成自体への関与はもとより、記載内容、どのように記載していたかまで把握していたとは認められず、虚偽記入の共謀があったと認めるのは困難であると判断をした、こういった発表が行われております。

 その上で、自民党としては、アンケート調査、そして関係者の聞き取り調査を行って、実態把握に努めているところであります。是非、こうした調査、取りまとめを進めることによって実態を把握して、そして、党としても説明責任を果たしていきたいと考えています。

伊東(信)委員 しかし、全議員調査をやられているということなんですけれども、平成三十年から令和四年度の過去五年分しかやられていないんです。一般企業における例えば税務調査であれば、重大な問題がある場合、最長七年まで遡って調査を行われるんですけれども、これは民間では当然の感覚なんですね。

 自民党の調査、なぜ五年分の調査なんでしょうか。少なくとも七年まで遡って、記載漏れがないか調査すべきと私は考えるんですけれども、総理の御意見をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、アンケート調査、期間五年ということで調査を行ったわけですが、書類の保存期間は三年でありますが、これも踏まえつつ、そして、刑事責任の有無に関わる過去五年分、これについて調査をする、このように考えた次第であります。

伊東(信)委員 その三年というのもまさに問題でありまして、収支報告書の保存期間は三年なんですけれども、その間、訂正できたとしても、例えば、その前の記載漏れがあったとしたら、訂正ができないわけですね、修正ができないわけです。

 そうすると、宙に浮いたお金が出てきた場合、これはどうするんですかね。何かこの不備を解消する必要があると思うんですけれども、どうですかね。

岸田内閣総理大臣 政治資金収支報告書の保存期間、今申し上げたように三年となっておりますが、これは、公職選挙法における選挙運動費用収支報告書の保存期間が三年であることとのバランスや、膨大な収支報告書の保存事情等を勘案して定められているものと承知をしております。

 政治資金収支の公開の在り方、これは当然、政治活動の自由とも関わるものでありますので、全党共通のルールとして御議論いただくべき課題であると認識をいたします。

伊東(信)委員 では、四年目分とか五年目分の個人に帰属する所得が判明し、追加で納税する、そういった自己申告をした場合、どのような対応になられるんでしょうか。総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 納税者が過去の年の分の納税申告書を国税当局に自主的に提出する際の一般的な取扱いは、当初の申告が行われており、その内容を訂正する場合には、修正申告書として取り扱われ、追加で認めるべき税額に対し過少申告加算税は課されないものと承知しています。他方、当初の申告が行われていなかった場合には期限後申告書として取り扱われ、その場合は、追加で納めるべき税額に対し無申告加算税が課される、こういった取扱いになると承知をしています。

伊東(信)委員 まさに、あさって、二月十六日から確定申告が始まります。

 我が党の音喜多議員が、一月二十九日の参議院の予算委員会で、キックバックを受けていた議員たちは全員、税務調査に服すべき、そういった主張もしています。

 連日ニュースで報じられる政治とお金の問題をお聞きになっている皆さんが、果たして本当に、確定申告が始まるその緊張した状態でこのニュースを聞いて、この話を聞いて納得ができるんでしょうかね。総理の御所見をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、政治と金の問題に関して、今回、こうした事態を引き起こし、国民の皆さんの疑念の思いを引き起こしていることについては深刻に受け止め、反省し、おわびを申し上げなければならないと思いますし、それだけに、信頼回復に全力で取り組まなければならない、そのように思っています。

 その一方で、御指摘の確定申告を行うという国民の皆さんに対しては、是非、社会を維持するためのコストを皆で支え合う、こうした納税について引き続き御理解をいただくようお願いをしていかなければなりません。

 政治のありようについて自ら厳しく律するとともに、この納税の意味ということについても国民の皆さんに御理解、御協力をいただくようお願いをしていかなければならないと考えています。

伊東(信)委員 納税の意味とおっしゃいますけれども、そもそも、総理、確定申告というのをされたことはございますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 はい、当然、毎年、確定申告しております。

伊東(信)委員 確定申告をされているのであれば、余りに心がないように感じます。

 自民党議員の皆さんで脱税、申告漏れが報道されたというのは、過去にもございました。このままだったら、本当にますます国民からの信用はなくなっていくおそれがあります。

 総理から、本当は少なくとも七年まで遡って、そして、全ての疑念のある議員に、税務調査をし、申告納税させるべき、そういう指示を出すべきと考えますけれども、岸田総理、どうですか。

岸田内閣総理大臣 政治資金が政治家個人に帰属するとした場合のお尋ねであると承知しますが、政治資金については法令等にのっとり適切に取り扱われる必要があること、これは当然であり、各議員において適切に御対応いただくべきものであると考えています。

 また、税務調査に関して、国税の個別案件について、税務行政の中立性を確保する観点から、財務大臣あるいは総理大臣が指示等働きかけを行うことは控えなければならないと考えております。

伊東(信)委員 二月六日に我が党の青柳議員が「自民党議員の“裏金”金額上位」で示したように、これは一位から三位まででぴったり切られているんですね。二階建て構造になっているわけなんですよね、くしくも。裏金金額が大体四千万円以上の方が立件される、この恣意的なラインにどのような意味があるんでしょうか。

 コンビニエンスストアに行って百円のコーヒーを頼んで、そのコーヒーカップに百五十円のコーヒーを注ぐと、そのお客は窃盗容疑で現行犯逮捕される、そういうニュースもある中で、片や、四千万円アウト、三千五百万円はセーフという、この理屈は説明できますでしょうか、総理。

岸田内閣総理大臣 検察当局の説明によりますと、今般、政治資金規正法違反の事実で自民党所属議員らを起訴した際、政治資金規正法の虚偽記入の事件の処理について、動機、犯行態様、虚偽記入の額、被疑者の供述内容、その他事案との比較、その他もろもろの事情を総合的に考慮して判断しており、機械的に金額を基準として考えているものではない、こうした旨、検察当局から説明があったと承知をしております。

伊東(信)委員 総理に検察当局から説明があったということなんですけれども、総理自体が……

小野寺委員長 いや、違う、違う。

 総理、正確にお話をされた方がいいと思います。

岸田内閣総理大臣 今の説明は、検察当局が公に説明した内容だと承知しています。

伊東(信)委員 では、その説明に対して総理自身は御納得されているのかというところなんですね。

 二階議員は、やはり政務活動費に対しても多額の脱税の可能性が指摘されております。一日二百六十一万円、これは時給換算で十万九千円なんですね。令和五年での最低賃金が千四円で、何と百九倍です。これが二十四時間休まずに政治活動で支出され続けたというのはなかなか理解が難しい、想像がつきません。

 課税対象となり得る政治活動費の残余の有無をしっかりと税務調査するべきと考えるんですけれども、総理はどうお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 いわゆる政策活動費については、雑所得の収入として取り扱われ、収入額から必要経費、すなわち政治活動のために支出した費用を控除した後、残額がない場合には課税関係は生じないと承知をしております。

 そして、一般論として、国税庁においては、様々な機会を捉えて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公正な課税の実現に努めているものと承知をしています。

 こうした国税について、個別案件に関して、税務行政の中立性を確保する観点から、財務大臣あるいは総理大臣が国税庁に対して指示を行うということは控えなければならないと認識をしております。

伊東(信)委員 こういった疑念がある中、起訴になる人、起訴にならない人があるというところで、やはり国民はなかなか納得されないと思います。

 そこで、検察審査会について、まずはこの仕組みについて法務大臣より説明をお願いいたします。

小泉国務大臣 検察審査会制度でございますけれども、検察官の公訴権の実行に民意、すなわち一般国民の感覚を反映させてその適正を図ることを趣旨とするものでございます。

 具体的には、一般国民の中から不作為に抽出され、選任されました十一名の検察審査員で構成される検察審査会が、告訴人等からの申立てを受けて、検察官による不起訴処分の当否の審査等を行うものであります。

伊東(信)委員 では、財務大臣、続けてお聞きしますけれども、今回の自民党の派閥パーティー資金の記載漏れ事案に対して、申立てがあれば審査対象になると受け止めているんですけれども、申立てがなされたのに審査対象にならない、そんな場合というのはあるんでしょうか。

小野寺委員長 これは法務大臣にですね。(伊東(信)委員「法務大臣」と呼ぶ)

小泉国務大臣 一般論として申し上げますが、検察審査会法において、検察審査会は、告訴人や告発人、被害者等から申立てがあるときは検察官の不起訴処分の当否の審査を行わなければならないこととされているものと承知しております。

伊東(信)委員 それでは、検察が不起訴処分としたものの、検察審査会の審査において起訴相当になり、結果、有罪となった事案というのはあったのでしょうか。法務大臣よりお願いいたします。

小泉国務大臣 起訴議決制度というのがございますが、この制度が施行された平成二十一年から令和四年までの間で、検察審査会の起訴議決があり、指定弁護士による公訴提起がなされて、結果、有罪の裁判が確定したものは二件あると承知しております。

伊東(信)委員 実際に、令和三年度で、元経産大臣の菅原一秀氏が香典とか花代とかを違法寄附した事案が、検察が当初不起訴としていましたけれども、起訴相当として最終的には略式起訴したものが検察審査会という民意やったわけですね。

 こういった、本当に、国会や捜査で解明されないという根本的な問題は解消されなければいけないと思います。

 これは決定の一つとして尊重されるものだと思うんですけれども、この検察審査会の審査過程において検察が圧力をかけるというような、そんな事例というのはこれまではなかったでしょうか。また、今後そのようなことが起こらないような仕組みというのは、どのようなものがありますでしょうか。

小泉国務大臣 検察審査会法第三条におきましては、「検察審査会は、独立してその職権を行う。」と規定されております。したがって、検察審査会による意思決定、これは他のいかなる機関の指揮監督にもよらず、全く独立の立場でこれを行うものでございます。

 したがって、当然のことでございますけれども、検察官が審査員に対して一定の結論を出させるべく不当な影響力を行使することなどはないものと理解しております。

伊東(信)委員 どうやら、本当に今回の裏金、議員の皆さんを全員個別に刑事告発するという、そんな動きもあるようなので、本当に、無理やり不起訴にすると、こういったこともあるわけですので、この答弁で国民は納得できないと思います。通告していないので聞かないんですけれども、本当に、総理、本当にこのままでいいのかと疑問を呈したいと思います。

 では、時間もあれなので、次、企業・団体献金についてお聞きいたします。

 さて、自由民主党広島県第一選挙区支部の代表者は、現在、岸田文雄総理になっております。これで間違いないか、また、代表者として、その中身の管理は適切に行っておりますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 自民党広島県第一選挙区支部、代表者は私自身であります。それで、中身が適切に行われているかという御質問ですか。はい、適切に運営されていると認識をしております。

伊東(信)委員 ではもう一つ、自民党の山口県の第三選挙区支部の代表者は、現在、林芳正官房長官となっておりますけれども、これも間違いないでしょうか。

林国務大臣 お尋ねの自由民主党山口県第三選挙区支部、これは、今お示しいただいているとおりでございまして、代表者は私でございます。

伊東(信)委員 前提として、政党や政党支部でお金の使途を決めるのは、代表者を始め個人であります。ですので、その辺りの適切に行われているということを、代表者である岸田総理、お答えいただきました。林芳正官房長官も同じだと思います。

 実態として、その裁量から個人への献金と同義と捉えることができるというか、捉えられます。この制度に内在する矛盾、つまりは、支部にお金が来ているんですけれども、その裁量というのは個人ではないかということです。

 そういった意味も含めて、企業・団体献金がそこに、支部に入られるとしたら、それは全面的にやはり禁止しなければ、個人の裁量を隠すための方法じゃないかな、そういう指摘をしたいと思います。

松本国務大臣 御指摘の政党の支部は、政治資金規正法の規定に基づき提出した規約などを基にその活動を行っているもので、政党の一部として政党本部とともに政治活動の一役を担っているものでもあり、個人ではないというふうに承知をいたしております。

伊東(信)委員 済みません、最後に、総理からもお答えいただけますでしょうか。

 これは、本当に、企業・団体献金を受け取るための受皿としての抜け道じゃないかと思うんですけれども、総理自身はそういう認識はございませんでしょうか。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、時間が参っておりますので、手短にお答えください。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金については、従来から申し上げておるように、政治活動の自由と関係のある議論であり、その議論の結果、長年の議論の結果、現在の姿になっていると承知をしています。

 そして、政党等がその受取を行うこと自体が不適切なものだとは考えませんが、民主主義のコストを社会全体でどのように負担するかという議論、各党各会派と議論を行うこと、これは重要なことであると考えます。

伊東(信)委員 疑念は晴れませんが、時間ですので終わります。

 ありがとうございます。

小野寺委員長 この際、美延映夫君から関連質疑の申出があります。岩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。美延映夫君。

美延委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、衆議院大阪四区選出、美延映夫でございます。

 早速質問を始めさせていただきます。

 昨日、自民党が不記載アンケートの結果を公表しました。それによると、安倍派七十九名、二階派六名の名前が掲載されておりました。現職議員だけではなく、元職や新人の支部長も三名含まれています。全くあきれた状態であります。また、何に使ったのか、不記載の経緯は全く不明のままで、はっきり言って、疑惑解明にはほど遠い内容と断じざるを得ません。

 そこで、先ほど同僚の岩谷議員からも指摘がありましたように、これはやはり、全く部外者の第三者委員会をつくって徹底的に調査し、全容解明が必要と思います。

 先ほど総理は、党内のこともあるので、党内の慣行もあるのでと言われていましたが、私は全く逆だと思うんですけれども、総理、もう一度答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御質問は、アンケート調査について、不十分だという御指摘でありますが、先ほど来御説明しているように、このアンケート調査と並行して、党幹部による、外部の弁護士も交えた聞き取りを行ってまいりました。

 今、第三者の弁護士による取りまとめを行っていただいているところでありますが、これらも含めて、党として実態把握を行ってまいります。その上で、党としても説明責任を適切に果たしてまいります。

美延委員 説明責任を果たすということですので、それを是非果たしていただきたいと思います。

 これまでの総理の答弁では、不記載とか事務ミスとか、簡単に言い逃れをされておられます。

 しかし、政治資金収支報告書というのは、議員が国民に報告するものであり、国民の税務申告よりずっとずっと重い位置づけがあるはずです。税務申告に不記載であれば、過少申告加算税という大きなペナルティーを背負います。なぜ、国会議員はミスしただけで済まされるのですか。おかしいと思いませんか。

岸田内閣総理大臣 委員の御質問は、政治資金が政治家個人に帰属するとした場合のお尋ねであると認識をいたしますが、一般論として申し上げれば、税務調査により当初の申告が過少であることが判明した場合には、法令にのっとり過少申告加算税等が課せられるものであり、これは国会議員も一般の納税者も同じ扱いであると認識をしております。

 ただ、いずれにせよ、国税庁において、各種資料情報の収集に努めて、問題があると認められた場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているものであると承知をしております。

美延委員 中途半端な答えとしか言えないんですけれども。

 次に、ノルマを超えた分に関して、旧安倍派といいますか、事務局にも伝えず、これは御自身の事務所か個人かは存じ上げませんが、収入とされていたという報道があります。

 これは、例えば会社や団体の名前でお金を集めてそれを個人の懐に入れるとすれば、詐欺や横領になるのではないでしょうか。今回のことはそういうことに当たらないのか、法務大臣の見解をお願いいたします。

小泉国務大臣 犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でありまして、法務大臣としてお答えは差し控えますが、あくまで一般論で申し上げれば、刑法二百四十六条第一項の詐欺罪は人を欺いて財物を交付させたと認められた場合に、刑法二百五十二条一項の横領罪は自己の占有する他人の物を横領したと認められた場合に、それぞれ成立し得るものと承知しております。

美延委員 これは本当に、そういう意味では、脱法行為と言っても私は言い過ぎではないと思います。

 自民党さんは平成元年五月に政治改革大綱を定められました。これは、リクルート事件で政治と金が問題とされ、国民の政治不信が高まる中作成されたもので、自浄能力の発揮という文言もあります。政治倫理を守るために定めた政治改革大綱は今も生きているんでしょうか。それとも、もうなくなったんでしょうか。私は、それは自民党総裁である岸田総理に是非質問したいと思います。

 もう一度言います。

 自民党の政治改革大綱は今でも有効ですか。それとも、もうないのですか。

岸田内閣総理大臣 平成元年の政治改革大綱、これは今でも重要な文書であると認識をしております。

 当時最大の論点であった中選挙区制度の弊害にどのように取り組むかという観点から様々な課題への取組を取りまとめたものであり、当時の派閥についても、中選挙区制の下において、派閥単位の選挙による弊害についていかに除去するか、これを最大の主眼として議論されていたところです。

 その結果として、小選挙区制度の導入ですとか具体的な制度改革、こういったものを実現いたしましたが、派閥については、いわゆる派閥解消が徹底されないということで、いわゆる派閥がお金や人事のための集団と見られても致し方ない状況が継続していた。このことについては、率直に認め、真摯に反省しなければならないと思っています。

 だからこそ、今回、中間取りまとめにおいて、いわゆる派閥からお金と人事を切り離す、このことによっていわゆる派閥の解消を実現する、こういった取組を確認したところであります。是非、今後とも、政治刷新に向けて不断の改革努力を続けていきたいと考えています。

美延委員 今の総理の御答弁によりますと、政治改革大綱は今も続いているということであります。

 それであるならば、聞かせていただきます。

 政治倫理審査会は自浄能力を発揮する場と位置づけ、この審査会を国会議員が自ら申し開きする場として道を開きました。国会議員は、正しい行いをして、もし道を誤ったならば、反省して自ら姿勢を正すということが大前提であります。

 しかし、今回の裏金づくりでは、誰も率先して政治倫理審査会に出ようとしていないじゃないですか。今のままでは、ここに自浄能力と書いていますけれども、自民党は自浄能力がないと判断せざるを得ませんが、自民党総裁でもあられる総理の御所見をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 関係者が説明責任を尽くすこと、これは重要であると申し上げておりますし、関係者に説明責任を尽くすよう働きかけを続けております。今後も続けていきたいと思います。

 個別の国会での取組、政倫審についての取扱いについては、本人や国会の判断に委ねなければなりませんが、党としては、説明責任を尽くすように、あらゆる手段を通じて尽くすように働きかけを続けてまいります。

美延委員 働きかけを続けてまいりますという答弁をいただいたんですけれども、先ほども聞いておりましたら、何人記者会見をしたかも把握していない。それで続けていっていると言えるのか、私は甚だ疑問に感じる次第であります。

 次に、政治資金について伺います。

 公正明朗な資金によるべきであります。そのためには、ガラス張りとなる努力をして透明度を高める必要があります、政治資金は。しかし、実際には、日食観察で使う真っ黒なガラスのように、中身が全く見えません。ガラス張りの政治は一体どうなったのか、公正明朗な資金はどうなったのか、お答えいただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 公正明朗な資金はどうなったかという御質問ですが、党としても、今回の事件を重く受け止め、再発防止と実態解明、これは並行して進めなければならないということで取組を行っております。

 そして、再発防止の部分において、まずは自ら改めるべきこと、派閥の政治資金パーティーを禁止するなど、すぐにできることについては実行するということを定め、そして、法改正等を伴う制度改革については、政治資金の透明化、公開性の向上、そしてそれぞれの厳格な責任体制を徹底する、こういった三点を念頭に各党と協議を行う、こういった方針を確認しております。

 そして、具体的な法改正についても、党としての考えをまとめるべく、ワーキングチームを立ち上げて議論を開始いたしました。是非、党としての考えを今国会における法改正の実現に向けて間に合うように整理した上で、議論に参画していきたいと考えています。

美延委員 それは是非やっていただきたいと思います。

 次に、派閥の解消をお伺いしたいと思います。

 政治改革大綱では党改革の断行をうたっており、総裁、副総裁、幹事長、そして閣僚は派閥を離脱するとしています。

 去る一月二十日に、岸田総理による岸田派解散の表明があり、安倍派、二階派、森山派が追随をしました。しかし、麻生派や茂木派は派閥を解散せずに今もあります。これで政治改革大綱に書かれた派閥の解消と言えるのか、総理の御見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 平成元年の政治改革大綱において、中選挙区制度に基づく様々な政治の弊害が指摘をされた、その中の一つとして派閥の弊害というものが指摘をされ、様々な議論が行われました。

 そして、残念ながら、先ほど申し上げたように、金や人事の場としての派閥のイメージを払拭することができずに今日に至ってしまった、今回の事態を引き起こしてしまった。

 このことについて、改めて反省をしているところですが、派閥の弊害、すなわち、派閥が金や人事を求める集団であるかのようなイメージ、これを払拭することが大事だということで、派閥自体をどうするかということももちろん大事でありますが、何よりも、今後のルールとして、本当に金と人事から決別できるかどうかが重要だということで、派閥の政治資金パーティーの禁止を始め、監査の導入など、具体的なルールを決めた、これが今回の重要なポイントであると思います。

 派閥自体が今後どうなるかは分かりませんが、どんな集団ができたとしても、このルールに従って、金と人事からは決別した集団でなければならない、このことを確認できたことは、今回の中間取りまとめの大変重要なポイントだと思っています。平成元年の政治改革大綱との比較において、その点が今回の中間取りまとめの大きなポイントになっていると認識をしております。

美延委員 それでは、お伺いいたします。

 金と人事を切り離せたら、派閥は残ってもいいとお考えなんですか。

岸田内閣総理大臣 いわゆる派閥と言われるもの、これは本来は政策集団であり、政策の錬磨の場所であり、そして若手を中心に人材養成の場である、こうした党の活動をしっかりと支える自主的な団体であるというのが政治集団、いわゆる派閥の本来の目的であったとされたわけですが、にもかかわらず、お金や人事を求める場となっていたのではないか、こういった点で批判をされています。

 ですから、そうしたお金や人事と切り離し、政策を錬磨し、そして人材を育成する、こういった自主的な団体であるという本来の姿に戻らなければならない、そのためにルールも決めた、これが今回の中間取りまとめの大きなポイントであったと考えています。

美延委員 よく分かりません。

 また、派閥を解消していない麻生副総裁、それから茂木幹事長が現在のポストのままにとどまることは、派閥の解消を推し進めている総理の考えに一致しないのではないですか。派閥を解散しない両氏を替えないで済ませる理由をお願いできますか。

岸田内閣総理大臣 かつて、平成元年の政治改革大綱においては、派閥の弊害を議論し、結果として、閣僚や党役員らの派閥離脱、こういった内容を盛り込んだ、こういった経緯がありました。しかし、それは、派閥が引き続き、金やポストを求める場、こういったイメージが続いているということから、派閥の離脱、これを確認したということだと思います。

 今回は、今申し上げたように、ルールを作って、金や人事から派閥を切り離す、これを実行すると申し上げております。集団等がどんな形になっても、このルールに基づいて金や人事とは切り離されるということでありますので、かつての政治改革大綱における対応とは今回は違うということは当然あることでありますし、何よりも、中身、政治と金と政策集団が切り離されるかどうか、これが最大のポイントですので、これを何としても実行することによって、議員のような御指摘を受けないように、党の運営、派閥の運営、しっかりと確認をしていきたいと思います。

美延委員 次に、国会の内外で活動している政党の役割を規定する政党法はいまだに実現しておらず、政党は政党交付金を受け取る団体として規定されているだけです。このことが、政党が勝手に党内ルールを決めて運営するという現状を招いています。

 党内ガバナンスの強化や透明化を図るためにも、本来の政党法を定めるべきと考えますが、総理のお考えはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今回、自民党の中間取りまとめにおいても、運用面、制度面での政治資金の透明化の徹底と併せて、いわゆる派閥の解消と党のガバナンス強化、これに早急に取り組む、こういった方針を確認しております。

 党のガバナンスを強化していくこと、これは大変重要なことであります。その際に、そのために、委員の方から、政党法、これを制定したらどうかという御提案だったと思いますが、政党法というものを作るということになった場合には、これは政治活動の自由との関係で、どういった法律を作るのか議論を詰めていかなければならない、こういったことになると考えます。

 ガバナンスの強化という観点から、政党法を作るという手法を取るかどうかも含めて、これは各党で議論すべき課題であると考えます。

美延委員 次に、定数削減について伺います。

 平成二十四年十一月、当時の自民党安倍総裁は大幅な定数削減をお約束されましたが、これは今、総理はお考えなのか、教えていただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 議員定数の削減については、委員御指摘の時点から今日まで、様々な努力が続けられてきました。

 しかしながら、数をどうするか、定数をどのように配分するか、これはまさに民主主義の根幹に関わるものであります。そして、あわせて、政治の信頼にも関わる問題です。こうした観点から議論を続けていくべき課題であると認識をしております。

美延委員 最後に伺いたいんですけれども、総理は、各党各会派で十分議論してくださいと、判で押したような、同じような答弁を繰り返されていますが、政治と金の話、自民党さん以外は、ほとんどの会派で大体合意しています。総理が今すぐやると言えばこれはできます。総理、どうですか。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、申合せの時間が過ぎましたので、端的にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げているように、自民党の刷新本部において、自らできること、派閥の政治資金パーティーの禁止を始め、具体的な取組を実行してまいります。あわせて、法改正や制度の改正が必要なものについては各党会派と議論をしますと申し上げているところであります。

 政治資金規正法の改正を始め、法改正についても、この国会において結論を出すべく、党として考え方をまとめ、議論を行ってまいります。

美延委員 ありがとうございます。終わります。

小野寺委員長 この際、林佑美さんから関連質疑の申出があります。岩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。林佑美さん。

林(佑)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、林佑美です。

 冒頭に、能登半島地震でお亡くなりになられました方々に心から哀悼の意を表しますとともに、今なお非常に寒い中で避難生活をされている被災者の皆様にお見舞い申し上げます。

 本日の予算委員会は政治資金問題等をテーマとした集中審議ですが、我が会派から政治と金について一連の質問をさせていただいております。政治家が扱うお金のありように、残念ながら、多くの国民は強い疑念を抱いておりますので、私は、国民の目線を意識し、政治の世界の異常さを浮き彫りにしてまいります。

 あさって、二月十六日より確定申告の受付が開始されます。毎年のこととはいえ、多くの方々にお時間やコストを御負担していただく季節がやってまいりました。私も、地元和歌山で街頭に立っていると、私も四千万円までは申告しなくていいのよね、申告漏れがあっても後で修正すればいいのよねというお声をいただいております。怒り、不満のお気持ちをぶつけていただいていると思っております。また、自民党が引き起こしている政治に対する不信感を街頭やSNS等から日々感じております。

 ここで、財務大臣に伺います。

 現在、確定申告に関し、国民の皆様にどんなようなことを促していますか。

鈴木国務大臣 今般の政治資金をめぐる問題につきまして国民の皆さんから大変厳しい声が寄せられているということ、これは私も本当にいたく感じているところでございます。

 その上で、そもそも税制は国民の理解と信頼の上に成り立っておりまして、国税当局において、今後とも、適正な申告、納税を行った国民の皆さんが不公平感を抱くことがないように取り組んでいくことが極めて重要なことである、そのように考えております。

 御指摘のように、あさって、十六日金曜日から確定申告が開始されますが、申告、納税は、それぞれの納税者により法令にのっとり適切に行っていただくことが必要でありまして、国税当局においても、納税者からの御相談への対応を含めまして、真摯に丁寧に対応していくことが重要であると考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 納税は国民の義務であり、我が国の財政を支える大切なものと考えます。

 総理から、確定申告を控えている国民の皆様にもメッセージをいただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、私からも、今般の政治資金をめぐる問題に関して、国民の皆様から厳しい指摘があること、これを重く受け止め、税制が国民の理解と信頼の上に成り立っていることを踏まえて、国民の信頼回復に努めなければならない、全力で取り組んでいかなければならないと強く感じていることを申し上げた上で、税とは、社会に必要とされる公的サービスの費用負担を皆で分かち合うものであり、国家が国民の生活と財産を守るために必要な公的サービスを提供する上で必要不可欠なものであります。

 このため、今月十六日から開始される確定申告において、それぞれの納税者の皆様方に法令にのっとり適切に申告、納税を行っていただくようお願いを申し上げたい、これを申し上げさせていただきたいと存じます。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 今、これだけ政治とお金の問題が出てきている中で、総理の思いが真っすぐ国民に届くことを願っております。

 さて、ここでパネル一を御覧ください。

 このパネルは国税庁のホームページに掲載されている映像なのですが、総理はこちらを御覧になられたことはございますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 この画像は、直接は見たことはありません。

林(佑)委員 こちらのタイトルを御覧ください。「見逃さない!」というすばらしい見出しがついております。私は映像を拝見しておりますが、国税の職員の皆様の熱い気持ちが伝わってまいりました。

 さて、ここで財務大臣に質問させていただきますが、こちらの納税を促進する映像は、国民に対してのみ発信されている内容ですか。そこに国会議員は含まれないのでしょうか。また、政治資金団体も対象でしょうか。お答えください。

鈴木国務大臣 このホームページの対象ですが、これは国民の皆さん、その中にはもちろん政治家も含まれます。

 また、政治資金について、例えば課税に関わるものについては、もちろんそのことも含まれるという認識であります。

林(佑)委員 当然、国会議員も他人事ではないということを確認させていただきました。

 先日の報道ですが、二階議員の政治資金団体が書籍の購入として三千五百万円の修正申告をされているということです。

 ここで、財務大臣に質問です。

 個人事業主が確定申告をする際、書籍を経費として認めてもらうにはどんな基準を設けておられるか、どんなケースだと経費として認められないのかをお答えください。

鈴木国務大臣 一般論としてお答えをいたしますが、書籍の購入費用を含めて、個人事業主が支出した費用が必要経費に該当するか該当しないかについては、国税当局において、個々の支出の趣旨や内容等の事実関係を総合的に勘案して判断することとされていると承知をしているところでございます。

 もし、もっと具体的なことということであれば、事務方から答弁をさせます。

林(佑)委員 当然、書籍の目的に応じ、その確証、領収書の提出であるとか、漫画の本や趣味の本など仕事とは関係のない本は認めないなど、合理性まで問うことと思います。

 それでは、政治資金団体が購入する書籍代を経費とみなす際、何を確認されるのでしょうか。お答えください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますが、必要経費の該当性の判断につきましては、個々の支出の趣旨や内容等の事実関係を総合的に勘案して判断するということでございます。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 国民が確定申告をする際に書籍を経費算入するには、書籍の中身を含め、国税の厳しいチェックが入るケースもあるように、政治資金団体に関しても同様にチェックしていかなければ、国民の理解が得られないと思います。

 では、総理に伺います。

 自民党総裁自ら、政治資金団体にも国民と同様の基準で国税の捜査を入れるよう促していくお考えはありますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 国税においては、適正、公平な課税の実現に努めているものと承知しております。

 ただ、税務行政の中立性の観点から、何か指示を出す云々については、財務大臣であっても、総理大臣であっても、これは控えなければならないことであると思います。

 是非、国税庁、国税当局において、引き続き、適正、公平な課税の実現に向けて努めてもらいたいと考えます。

林(佑)委員 国民目線で、政治資金についても厳しく対応していただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 先ほど我が党の伊東議員が、自民党の派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査において、なぜ五年分の調査であるのかを質問させていただきました。

 政治資金収支報告は三年間修正が可能ですが、悪質な脱税行為に関して、七年前まで記載漏れがないか調査が可能となっております。

 財務大臣に質問いたしますが、今回の自民党の裏金問題は悪質ではないという判断を国税ではされているのでしょうか。

鈴木国務大臣 まず、政治資金収支報告の修正について申し上げますが、一般論として申し上げますと、国税通則法上、国税当局が更正処分を行うことができる期限は原則として法定申告期限から五年を経過する日とされておりますが、偽りその他不正の行為により税額を逃れた場合などについては、法定申告期限から七年を経過する日まで更正処分を行うことができるものと承知をしております。

 そして、御質問の、いかなる事案が偽りその他不正の行為に該当するかについては、あくまで個々の具体的な事実関係に即し国税当局において判断していくものであると承知をいたしております。

 したがいまして、今回の政治資金をめぐる問題が偽りその他不正の行為に該当するか該当しないかについては、一概にお答えすることは困難であると考えております。

林(佑)委員 自民党のお金の問題が次々出てくる中で、悪質ではないという判断は、大きく国民感覚とずれがあるように感じます。

 ここで、パネル二を御覧ください。

 再度確認いたしますが、この国税PRは誰に向けて作っておられますでしょうか。財務大臣、お願いいたします。

鈴木国務大臣 先ほど既に答弁をしてしまいましたが、国民に向けてのPRのためです。

林(佑)委員 何度もありがとうございます。

 広く国民に向けてPRされているにもかかわらず、自民党は特権階級であり、民主主義のコストと称する裏金には税金は関係ないと言わんばかりのお考えであることと理解いたしました。

 そして、国税庁は、自民党の裏金問題を悪質と判断せず、国民には非常に厳しい管理をされているということですが、総理は本当にこれで国民が納得するとお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、まずは、政治と金の問題をめぐるこうした国民の大きな疑念に対しては、深刻に受け止め、反省し、おわびを申し上げなければならないと思います。

 そして、その上で、納税の重要性については、先ほど申し上げた考えに基づいて、是非御理解、御協力をいただくようお願いをしなければならないと思います。

 共に大事な課題であり、政治の立場から真剣に両方の課題に取り組んでまいりたいと思います。

林(佑)委員 やはり総理の答弁を聞いていてもちょっと分からないところがありまして、国民感覚とのずれを感じてしまいます。これで国民が納得するとは到底思っておりません。

 次の質問に移ります。

 私は、政治において、政治家の行動はもとより、政策、発言、法案などは国民感覚からかけ離れてはいけないと思っております。

 昨年来話題になっております派閥についてですが、これは政治資金規正法上のその他の政治団体に分類され、厳しい縛りのある国会議員関係政治団体に当たりません。恐らく、テレビを御覧の国民の皆様の多くが、現職の国会議員を多数抱えている派閥の属性が国会議員関係政治団体ではないということを不思議に思われていると思います。

 そこで、総務大臣に質問ですが、その他の政治団体で、国会議員関係団体とそうでない団体とはどのように取扱いが違うのかをお答えください。

松本国務大臣 委員御指摘の国会議員関係政治団体でございますが、この制度は、与野党六党による協議が重ねられて合意をされ、これを基に、五党の合意に基づいて政治資金規正法の改正案が議員立法として提案されて、平成十九年十二月に改正法が成立したことによってできた制度だというふうに理解をしております。

 この国会議員関係政治団体は、政治資金規正法第十九条の七に規定されておりまして、その中には、同法第五条第一項第一号に掲げる団体、いわゆる政策研究団体は含まれていないということになっております。

 御質問の国会議員関係政治団体の規制というか扱いでありますけれども、これについては、全ての支出についての領収書などの徴収、人件費を除く一件一万円を超える支出についての収支報告書への明細の記載及び領収書等の写しの添付、登録政治資金監査人による政治資金監査の義務づけ、一万円以下の少額領収書等の公開という収支報告に関する特例が設けられているところでございます。

林(佑)委員 こちらのパネル三にありますように、派閥は収支についての規制が緩くなるということですね。

 会計処理のルールの厳しい国会議員関係団体ではないということが、お金の流れの不透明化を生んでいます。代表者は政治家でなくてよいのと、収支報告が税理士、公認会計士等の専門家による監査制度の対象外になるため、会計処理の監査が行き届かなくて責任も曖昧になってしまうという点も、改めて指摘させていただきます。

 確かに、現行の法律においては、国会議員関係政治団体を定義する政治資金規正法第十九条の七では、その主要な構成員が衆議院議員若しくは参議院議員であるもの、つまり派閥は除かれていて、派閥は国会議員関係団体とは定義されないこととなっております。

 この法律の内容自体、国民感覚からずれていると思いますし、どういうわけでこのような例外、抜け道が許されているのでしょうか。お答えください。

松本国務大臣 総務大臣としては、与野党六党の協議の内容、五党の合意について、合意の結果としての法律については御説明申し上げますが、この間、どのような議論の経緯を踏まえて成ったかについて、私から申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

 その上で、また、この定義についての御議論については、これまでも政党間の協議によって組み立てられている制度でございますので、政党間の御協議をいただいて定義についてお決めをいただくものと理解しております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、終了させていただきます。

小野寺委員長 これにて岩谷君、伊東君、美延君、林さんの質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 まず最初に、統一協会との関係について、盛山文科大臣に伺います。

 盛山大臣は、二〇二一年十月の総選挙時に神戸市内で統一協会関係団体の集会に参加したことを認め、自民党にも報告したといいます。

 その際に、統一協会関係団体から推薦状を受け取ったのか、また、推薦確認書に署名をしたか、この点について確認をします。

盛山国務大臣 これまでも当委員会で御答弁申し上げているとおりでございますけれども、二〇二一年のものについては全く記憶にございませんでした。ただ、この委員会でのパネルでの写真を見て、推薦状をもらったのかもしれないというふうに申し上げました。それから、確認書については覚えていないと申し上げております。

 以上でございます。

塩川委員 盛山大臣は、統一協会関係団体から推薦状を受け取ったのではないのかという御答弁でありました。推薦確認書については、記憶にない、確認できていないということでしたけれども、署名していないとは断言はしておりません。統一協会との癒着が問われております。

 総理にお尋ねいたします。

 そもそも、このような統一協会関係団体から選挙時に推薦状を受け取った自民党の議員というのは誰なんでしょうか。また、統一協会関係団体と、推薦確認書及び同趣旨の政策理念に賛同する文書に署名した自民党の議員は誰なのか。明らかにしていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 選挙時において、様々な団体からアプローチや推薦を受けることがあり、その中で様々なやり取りがあります。そして、旧統一教会及び関連団体との関係において、我が党としては、推薦確認書に署名をしたこと等が選挙で支援につながっているかどうかがポイントであると考え、この点について、党として所属国会議員による点検結果を取りまとめ、既に公表をしているところです。

 推薦確認書に署名したかどうかなど、それ以上の詳細については、必要に応じて議員本人から説明すべきものであると認識をしております。

塩川委員 推薦確認書については調べてもいないと。

 推薦状はどうですか。

岸田内閣総理大臣 自民党の党内調査については、八項目に分けて調査の結果を取りまとめておりますが、その中で、結果として選挙の応援を受けたかどうか、この点について細かく調査を行っております。

 推薦書を受けたかどうか、署名したかどうかについては、これは各人が説明すべきことであると認識をしております。

塩川委員 推薦状を受けたかどうか、推薦確認書を交わしたかどうかということ自体を自民党が調査していないということが問題じゃありませんか。

 マスコミ報道等によると、推薦確認書及び政策理念に賛同する文書に署名したことについて、大串正樹議員、山田賢司議員、深澤陽一議員、斎藤洋明議員、江島潔議員の五人が認めております。推薦状を受領したと認めた議員は、下村博文議員、木原誠二議員、盛山正仁議員の三人であります。

 単なる集会参加や挨拶ではありません。統一協会側が組織的に応援するということを決めたことを表しているのが推薦状であり、推薦確認書じゃありませんか。四百人近い自民党議員の中で最も統一協会と関係の深い議員ということになります。

 統一協会と特別の関係にあったこの数人の中から、わざわざ統一協会の解散命令請求を行う文科大臣を選ぶのでいいのか。これが総理の言う、適材適所というんですか。

岸田内閣総理大臣 党の調査においては、選挙におけるボランティア支援を受けたかどうか、選挙支援の依頼、また、組織的支援、動員等の受入れ、こういったことについて調査を行い、そして、それぞれ答えを得ています。署名については、先ほど申し上げたとおりであります。

 そして、党として、過去の関係、これを点検、報告するとともに、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的に説明をし、未来に向けて関係を絶つことを徹底する、これを基本的な方針としております。

 盛山大臣については、現在は当該団体との関係を一切有していない、これを前提として九月十三日に任命を行いました。その上で、十月十三日に、盛山大臣自身により解散命令請求が行われ、裁判所において審理が行われております。

 審理の判断が適切に行われるよう、法務省、文科省、適切に対応しています。大臣にも引き続き職責を果たしてもらいたいと考えております。

塩川委員 自民党側が正直に統一協会との関係を言っているかどうか、今回そのことも怪しいということが明らかになったわけですけれども。

 問題は、統一協会側が肩入れをした議員が誰なのかという問題であります。統一協会側が肩入れをした議員であるということが問われているのが今回の事案になるわけであります。

 統一協会の反社会的な行為は大変悪質で、組織的に長期に行われてきました。多数の者に多額の財産的損害、精神的犠牲を余儀なくさせ、その親族を含む多数の者の生活の平穏を害する行為を行ったとして、文科省が東京地裁に解散命令請求を行ったのは当然のことであります。

 来週の二十二日には、東京地裁において、国、統一協会双方から意見を聞く審問が始まります。盛山大臣は申立人の立場であります。統一協会との関わりについて、一点の曇りもあってはなりません。盛山大臣は統一協会の解散命令請求を申請した文科省の長としての資格がない。総理は、更迭をすべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、盛山大臣については、過去の関係いかんにかかわらず、現在は当該団体との関係を一切有していない、これを前提として昨年九月十三日に任命を行いました。

 裁判所における審理、これを法務省、文科省共にしっかりと支えていくよう適切に対応してまいります。盛山大臣には引き続き職責を果たしてもらいたいと考えております。

塩川委員 一点の曇りもあってはならない、こういった盛山大臣は更迭をすべきだ、このことを申し上げ、統一協会との関係について自民党議員の調査を改めて行うことを強く求めるものであります。

 次に、自民党派閥裏金問題についてお尋ねをいたします。

 派閥政治資金パーティーに関する全議員アンケートの結果が出されましたが、政治資金収支報告書を訂正した議員らの二〇一八年から二〇二二年までの訂正金額を集計しただけであります。こんな調査では誰も納得するものはありません。誰が、いつから、どのように裏金づくりの仕組みをつくり、継続をしてきたのか、裏金の使途は何か、徹底解明が必要であります。

 総理にお尋ねいたします。

 アンケート調査結果では、一部の派閥が還付金を収支報告書に記載しないよう所属議員等事務所に指導していたといいますけれども、例えば安倍派において、誰がどのようにこのような違法行為の指示を行っていたのか。安倍派幹部の塩谷座長や下村議員、松野、西村、高木、萩生田、世耕氏ら安倍派五人衆の関与はどうなっているのか。誰がどのように違法行為の指示をしたのか、これについては明らかにされましたか。

岸田内閣総理大臣 先ほど、アンケートは不十分だという御指摘がありましたが、アンケートについては実態を把握する上での一つの手段であると認識をしています。ですから、このアンケートと併せて、党幹部また外部の弁護士等にも関わってもらって聞き取り調査を行ったところであります。

 そして、今現在は外部の第三者、弁護士の皆さんに取りまとめ作業を行っていただいているところでありますが、聞き取り調査の過程において、清和政策研究会において御指摘のような指示が事務方を通じてあった旨、一部の議員側から報告があったということを承知しております。

 いずれにせよ、今取りまとめ作業が行われておりますので、それ以上の内容については、取りまとめ結果を踏まえた上でお答えをさせていただきたいと思います。

塩川委員 アンケートは調査手法の一つだと言いますけれども、そもそも調査対象の範囲が狭いわけですよ。自民党を離れたような、あるいは除名したような議員はそもそも調査の対象外としている点でも、調査範囲が狭いという点でも極めて不十分だということは重ねて申し上げておきます。

 清和研において事務方からの指示があったとの話が出ているということですけれども、この点についてきちっと明らかにするということが、いまだに全体像として示されていないということが問題であります。組織的な違法行為が継続をしていたのに、誰が指示したのかも、今の段階、明らかにされないというのでは、国民は納得できません。責任を負うのは誰なのか、明らかにすべきであります。

 委員長、安倍派幹部であります塩谷座長、下村議員、安倍派五人衆の証人喚問を求めるものです。

小野寺委員長 理事会にて協議をいたします。

塩川委員 次に、裏金は何に使われたかということであります。

 安倍派所属議員について、参議院選挙の年には、改選組の議員のパーティー代金上納が免除され、全額キックバック、還付されたという話がありますけれども、この点を確認されましたか。

岸田内閣総理大臣 先ほど答弁させていただきました聞き取り調査については、今日までの経緯、それからお金の使途等について聞き取りを行っていると承知をしています。

 結果については、今取りまとめの最中でありますので、報告を待ちたいと思っています。

塩川委員 パネルを御覧ください。

 参議院議員の収支報告書不記載額、いわゆる裏金額を見ますと、改選の年に一番裏金の金額が増えているということが見て取れるわけであります。

 二〇一九年改選組で見ますれば、橋本聖子、世耕弘成、堀井巌、丸川珠代、西田昌司、石井正弘、赤池誠章、太田房江、酒井庸行の九議員、二二年改選組の参議院議員では、末松信介、佐藤啓、江島潔、松川るいの四議員が、改選の年の裏金の金額が一番大きくなっていることが見て取れるわけであります。

 結局、パーティー収入の裏金は選挙のために使ったんじゃないのか、このことが問われるんですが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた聞き取りにおいて、今までの経緯について、それからお金の使い道について聞き取りを行っていると承知をしています。その中で、党としてどこまで実態を把握できるのか、いずれにせよ、第三者、弁護士による報告書を待った上で、党として判断をしたいと考えます。

塩川委員 資料を御覧になって、改選時においての不記載額が大きくなっているということはお認めになりますね。

岸田内閣総理大臣 御指摘の数字についてちょっと一々確認はしておりませんが、もしこのとおりの数字であったならば、確かに、選挙の年、ほかの年より多いという実態はあるかと存じます。

塩川委員 まさにそこが問われているわけであります。何でこうなっているのかということを徹底解明する必要が当然あるわけであります。二か月以上前からこの話というのは当然議論をされてきたわけですから、そういったことについて、これからこれからの話ばかりでは、これは納得できるものではありません。

 自民党議員だった河井克行、案里議員の事件、また柿沢未途議員の事件など、選挙買収が問われたわけであります。金の力で選挙をゆがめるようなことがあってはなりません。議会制民主主義の根幹を脅かす問題について曖昧にすることはできません。徹底解明が必要だということを申し上げておきます。

 その上で、この安倍派の裏金づくりはいつから始まったのかということです。

 安倍派座長だった塩谷立議員は、長年、事務局から議員事務所に記載をしなくていいということが伝えられていた、還流の開始時期については明らかではない、不記載の状況も全く知らなかったと答えています。安倍派五人衆の一人である西村康稔議員は、歴代会長と事務局長の間で、長年、慣行的に行っていたと言います。

 長年と安倍派の幹部は言っておりますけれども、これはいつからということで総理は受け止めておられますか。

岸田内閣総理大臣 今、関係者による政治資金収支報告書の訂正作業が順次行われているところであり、まずは事情を最もよく知る関係者において、本人において明確な説明責任を果たすことが重要であると考えています。

 長年というのはいつからかということでありますが、そういった経緯についても、聞き取り調査等を通じて、党として今日までの経緯を把握していきたいと考えておりますが、いずれにせよ、外部の第三者による取りまとめ、報告を待って、党として今御指摘の点等についても判断したいと考えます。

塩川委員 萩生田光一議員は、二〇〇三年初当選後、派閥パーティー券代のノルマ超過分については活動費として戻すと派閥事務局から説明されたと述べています。事務所の担当者は、初参加の二〇〇四年の派閥パーティー開催前に、派閥事務局から、売上げは一度派閥に全額納めてもらい、ノルマ超過分については活動費としてお返しをする、個別の議員の収支報告書への収支の記載は不要ですという指示があったとのことであります。

 そうなりますと、二〇〇三年以前から派閥ぐるみで組織的に長期にわたって裏金づくりが行われていたのではないかということが当然疑われるわけですが、こういった萩生田議員の発言というのは総理も当然御承知ですね。

岸田内閣総理大臣 関係者の様々な発言がある、このことは承知をしております。

 このことについては、まずは関係者本人が説明責任を尽くすことが第一であると考えておりますが、あわせて、党としても聞き取り調査等を通じて実態を把握していかなければならないと考え、聞き取りを進めてまいりました。その中で、今日までの経緯、そして使い道等についても、党として実態を把握したいと考えております。

塩川委員 パネルを御覧ください。

 二〇〇〇年代の前半ですけれども、こういった裏金問題というのはずっと議論になってきたわけであります。安倍派の前身であります森派の収支報告書の不記載、裏金報道記事であります。

 二〇〇四年九月十日のしんぶん赤旗の記事で、見出しにありますように、森派、年一億円支出記載せず、餅代、氷代を五年間。左側の方の東京新聞二〇〇五年の三月十日付、パーティー収入裏金化か、ノルマ超過分若手議員に還元、森派、収支報告せず、共同通信調べ。

 こういうのを見ますと、今の報道かと見まがうような報道が二十年前に行われている。極めて深刻な事態ということを改めて浮き彫りとしたんじゃないでしょうか。

 萩生田氏の発言、また二〇〇四年の赤旗報道、二〇〇五年の共同の配信の記事などを見ると、総理、安倍派の裏金づくりというのは、二〇〇〇年代の初め、それより前、一九九〇年代から始まっているということになるんじゃないですか。そのようにお考えになりませんか。

岸田内閣総理大臣 聞き取りの中で、これまでの経緯についても確認をしたいと考えて聞き取りを進めてきました。この取りまとめられる報告書の中でどこまで確認できるのか、党としてもそこで判断をしたいと思います。

塩川委員 総理、この二〇〇四年、二〇〇五年のこういう森派をめぐるような報道というのは、御記憶ありませんか。

岸田内閣総理大臣 済みません、二十年前の話、ちょっと具体的には記憶に残っておりません。

塩川委員 一貫したこういった裏金づくりの問題が問われているときに、改めて、どこまで遡るのかということについてきちっと総理として目くばせするのは当たり前のことであります。

 このように、裏金づくりがいつから始まったか、徹底解明が必要であります。

 委員長、当時の清和研会長であります森喜朗氏を始めとした関係者の証人喚問を求めます。

小野寺委員長 理事会にて協議をいたします。

塩川委員 そこで、自民党派閥の政治資金パーティー収入の推移を見ると、一九九八年の三億六千五百万円が一九九九年には十三億一千六百万円と、三・六倍に急増しています。

 自民党派閥の政治資金パーティー収入がこんなに増えたというのはなぜだと思いますか、総理。

岸田内閣総理大臣 政治資金の額がどうして増えたか、理由ということ……(塩川委員「パーティーの」と呼ぶ)パーティー収入がどれだけ増えたか。これは、パーティー券を買う側の事情もあったと思いますが、一方で、パーティー自体についても頻繁に行われた等が想像されるのではないかと思います。

塩川委員 言っていることがよく分かりませんが。

 一九九九年の政治資金規正法の改正によって、派閥への企業・団体献金が禁止をされたんです。企業、団体からの献金が政治資金パーティーのパーティー券購入にシフトしたということを、このことははっきりと物語っているわけであります。政治資金パーティー収入は形を変えた企業・団体献金だということは明らかじゃないでしょうか。

 派閥への企業・団体献金は禁止をされたのに、その企業・団体献金の抜け穴として派閥の政治資金パーティーが活用、拡大されてきた、その下で裏金づくりが始まったんじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 政治資金パーティーの金額が増えた背景について委員から御指摘がありました。それについてもいま一度確認していきたいと思いますが、いずれにせよ、民主主義のコストをどのように負担していくのか、そういった中で、企業・団体献金について、またパーティー収入について考えていかなければならないと思います。

 是非、社会全体でどのようにコストを賄うのか、そして日本の民主主義を維持していくためにはどうあるべきなのか、こういった議論を行っていきたいと思います。

塩川委員 派閥のパーティーの裏金づくりの発端がこういった法改正にあったんじゃないのか、こういうことこそきちっと解明すべきじゃありませんか。政治資金パーティー収入は形を変えた企業・団体献金だ、裏金づくりの大本を断つのが企業・団体献金の禁止だということを強調します。

 最後に、このような政治をゆがめる企業・団体献金にしがみついてきたのが自民党であり、財界、大企業であります。三十年前にリクルート事件、佐川急便事件など金権腐敗事件が相次いで、金の力で政治をゆがめるのは許されないという国民の批判の前に、一九九三年には、自民党への企業献金をあっせんしてきた経団連も、企業献金については一定期間の後廃止を含めて見直すべきである、経団連は来年以降あっせんは行わないと表明せざるを得なくなりました。

 ところが、あっせん中止から十年たった二〇〇三年、日本経団連は、企業寄附を含む民間の自発的な寄附の意義を再認識すべきと、献金の促進を打ち出しました。経団連としての政策優先事項に基づく政党評価、経済界としての寄附総額の目標設定、企業ごとの寄附額の目安の設定を行うなど、企業献金を復活をしました。金も出せば口も出すとして始まったのが、通信簿方式の企業献金促進策だった。露骨な政策買収と言わなければなりません。

 献金を復活した二〇〇三年の政策評価でも、自民党の政権復帰後の二〇一三年の政策評価でも、一貫して財界、経団連が要求してきたのは、法人税は下げろ、消費税は上げろ、そして、原発事故後は原発の再稼働だった。これを忠実に実施してきたのが自民党政治の二十年間だった。この二十年で自民党が受け取った企業・団体献金は四百六十四億円にも上ります。

 こういった、政治をゆがめる企業・団体献金は、きっぱりと禁止をすべきではありませんか。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、時間が来ております。端的にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 経団連の政策評価については私から申し上げることは控えますが、自民党の政策判断、これは間違いなく、こうした献金に左右されるものではないと認識をしております。

 政策の積み上げ、有識者、そして全国の多くの国民の声、様々な声を吸い上げた上で政策を決定している、こういったことであります。自民党としての政策判断、政策の決定、これについては、引き続き多くの国民の声を聞きながら適切に判断をしてまいります。

塩川委員 投票権、参政権を持たない企業が政治献金をすることは国民の参政権を侵害するものなんだ、このことが大いに問われるということを申し上げ、企業・団体献金の全面禁止法案こそ今国会実現することだと強く申し上げて、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 先ほどからお話が出ておりますが、あさってから確定申告が始まります。今回の裏金問題は、きちんと所得申告して納税している納税者の納税意識を著しく失わせるものであって、総理は、政府のトップとして、正しい申告をお願いする立場にある者として、納税者の皆さんに真摯におわびする必要があると思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まずおわびするべきであるということ、それはそのとおりだと思います。政治と金の問題を通じて国民の皆さんに大きな疑念を巻き起こしてしまった、厳しい指摘を受けている、このことを重く受け止め、国民の信頼回復に向けて取り組まなければならない、おわびをした上で政治として毅然とした対応を取らなければならない、このように思います。

 その上で、税というものについて、確定申告を前に、国民の皆さんにお願いをしなければならない。この社会に必要とされる公的サービスを皆で分かち合うために、生活と財産を守るために必要な公的サービスを提供する上で必要不可欠なものとして是非御理解をいただき、確定申告に当たっても、適切に納税申告、行っていくようお願いをしなければならないと考えております。

古川(元)委員 そう総理に言われても、今日のやり取りなんかをずっともし見ていたら、本当にこれで真面目に申告する気になるかと思うんだと思うんですね。私は、本当に今回の問題は極めて深刻に考えないといけないと思うんです。

 今回の問題を、かつて政治とお金に関する国民の不信を招いて平成の政治改革の発端となったリクルート事件に例えて、令和のリクルート事件と呼ぶ声がありますけれども、あのときは、一部の有力議員が未公開株を譲り受けていた、そうした事件でありました。しかし、今回は、幹部議員から若手議員に至るまで、派閥全体で組織的かつ長期にわたって裏金をつくっていた。

 そういった点では、これは、リクルート事件以上に、政治に対する国民の信頼を失墜させることになった極めて重大な事件だと思いますが、総理の認識はいかがですか。

岸田内閣総理大臣 政治資金というもの、これは民主主義の重要な構成要素であり、その運用に疑義が生じ国民の信頼が失われる、これは民主主義の基盤自体が揺らぐことにもなりかねない深刻な事態であると考えます。

 改めておわびを申し上げるとともに、政治は国民のものとの自民党立党の原点に立ち返って、国民の信頼回復に、私自身、先頭に立って取り組んでまいらなければと強い思いを持っております。

古川(元)委員 私が聞いているのは、リクルート事件と比較して今回の方が深刻じゃないかと思うんですけれども、そういう認識が、総理、ありますかと聞いているんです。どうですか。

岸田内閣総理大臣 両者を比較するものではありませんが、今回の事態が深刻であるということについては強く感じております。

古川(元)委員 どうも、私、ちょっと危機意識がやはり足らないんじゃないかと思うんです、総理も、そして自民党の皆さんも。

 そして、これは我々も含めて、本当に今、政治に対する信頼が大きく失墜している。政治に対する信頼回復のためには、この問題について、やはりまずは全容解明が必要であって、総理は今日の答弁でも、実態把握をして説明責任を果たすというふうに答弁しておられますけれども、全容解明のためには、裏金をつくるに至った経緯や、裏金を何に使ったのか、そして残金はあるのか、こうしたことを全て明らかにしなければ、これは実態解明したことにはならないと思いますが、そこまできちんと調査して公表する、そういう理解でいいですか。

岸田内閣総理大臣 今回の事件においては、検察の捜査を経て、そして関係者が自ら政治資金収支報告書の修正を行っています。

 まず、詳細については、誰よりもよく知る本人が説明責任を果たす、これが重要であると思いますが、それを促すとともに、党としても実態把握に努めなければならないということで、アンケートや聞き取りを行ってきた、こういったことであります。

 党として、全体をしっかり把握した上で説明責任を果たしていくことは重要であると思いますし、詳細については、やはり本人が的確に説明していくことが重要であると思います。両方を併せることによって、全体像をしっかり国民の皆さんに説明していく、こうしたことを実行していきたいと考えます。

古川(元)委員 私は、そこの認識がちょっとおかしいんじゃないかと思うんです。

 これはもちろん、政治家個人の、本人の説明責任はありますよ。しかし、これは自民党の議員として、党として、組織として、長年にわたって日本の政権を担ってきた政党として、やはりしっかりとちゃんとそこを組織として解明する、そうした責任があるんだと思うんですね。

 この間の自民党の対応というのは、民間企業でこうした世間を騒がせるような重大な不祥事が起きた場合の対応と余りにも違うと思うんです。それが、私はより国民の政治不信を増幅させていると思うんですね。

 前の人の質疑で、総理は、調査を外部の人に委ねる、第三者に完全に任せずに、党幹部に関与させている、これは政治資金についてちゃんと知識のある人をみたいなことで答弁されておられましたけれども、これは民間の不祥事の場合と今回の場合とどう違うのか。やはり今回の場合も、完全に外部の人に任せて外部の目で見てもらうということが本来あるべき姿じゃないかと思いますが、なぜ、民間の不祥事対応の場合と今回は違って、第三者に任せないのか。そこはどう違うんですか、民間と。

岸田内閣総理大臣 今回の事案については、政治資金パーティーをめぐる様々なやり取り、政治の世界における派閥のありようなど、こうした政治の世界における様々な事情が背景にあります。

 こういったことを踏まえながらも第三者の目をしっかり入れていかなければならないということで、党幹部のヒアリングと第三者である外部の弁護士、両方に参加してもらう形でヒアリングを行ったということであります。そして、取りまとめは第三者にお任せするということを行いました。

 こうしたことを通じて、より政治資金をめぐる動きについて的確に判断できる、こうした報告書になることを期待して、こういった取組を進めた次第であります。

古川(元)委員 取りまとめを第三者に任せても、調査の過程で党の関係者が入っているということ自体がやはり疑念を抱かせているんだと思います。今、やはりちゃんとやらなきゃいけないことは、そういう疑念を抱かせないような、まさに調査においてもプロセスが大事だと思うんですね。

 また、民間企業であれば、企業の信頼をこれだけ大きく損ねる不祥事を起こしたような社員に対しては、これは解雇など厳しい処分が行われるのが普通だと思います。

 今日の総理の答弁を聞いていると、場合によってはですよ、説明責任や政治責任を果たしているというふうに、党の役職等を辞めたことでもし言えるのだったら、それ以上は党として何らの処分も行わない場合もあり得るような御答弁をしておられますが、これは、党としてもう処分しない、そういう場合もあるんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来答弁しておりますのは、実態把握が大事だということで、まず本人の説明責任を尽くすこと、これをしっかりと党としても働きかけると同時に、党としても実態把握を行い、聞き取りやアンケート調査等を進めて、実態を把握した上で説明責任を果たしていくということを申し上げています。

 そして、こうした手順を踏みながら、本人の説明責任の果たし方も踏まえつつ、政治責任について党として判断するということを申し上げております。

 その結果について、今は何も予断を与えるものではありませんが、今言った手順を踏まえた上で、政治責任、処罰等についても党として適切に判断いたします。

古川(元)委員 これは本当に、党の役職等を辞めたことで政治責任を取っているというので処分がなければ、やはりそこもまた不信を招くんだと思うんですよね。

 また、民間企業であったら、これほど不祥事があったら、その当時のトップは、いずれかの時点でトップが責任を取る、それが普通だと思いますけれども、自民党総裁である総理も、いずれかの時点で責任を取る、そうした覚悟はございますか。

岸田内閣総理大臣 一連の問題については、政党と異なる、その他政治団体として位置づけられている、いわゆる派閥の一部で起こったものです。

 しかしながら、法律上は党とは異なる政治団体で起こった問題であったとしても、党として、派閥に対するガバナンス、これを強化しなければならない、こういったことから中間取りまとめを行いました。そして、先ほど申し上げた実態把握と説明責任と政治責任、これをしっかりと党として判断をしてまいります。

 この中間取りまとめを行う、これは再発防止の部分ですが、これを実行する、そして、実態把握と説明責任と政治責任、これも具体的な形として実行する、このことをもって自民党トップとしての責任を果たしていきたいと考えます。

古川(元)委員 やはり、民間の企業なんかでこういう不祥事があった場合と余りにも対応が違う、やはりそうしたところも不信を招いている大きな一因だと思うんですね。

 今、総理は、これは党じゃなくて派閥が起こしたという話がありましたけれども、次に派閥の問題に行きたいと思います。

 今回の裏金問題に対する対応で、この間、唯一総理がリーダーシップを発揮したと思うのが派閥解消であるかなと思います。ただ、今回の問題の本質は、派閥による裏金づくりを長年続けてきたことを見逃してきた自民党という党のガバナンスの問題であって、派閥解消はその本質的な問題から世の中の注意をそらすためではないかと疑わざるを得ないと思っています。

 しかし、自民党という党のガバナンスと派閥というのは、これは密接不可分に関係していると思うんですね。総理は、今日の質疑でも何度も、元々派閥は政策集団だったというふうにおっしゃっていますが、本当にそうでしょうか。

 「政党の歴史は、また派閥の盛衰と離合集散の歴史であった。」という記述から始まる、自民党結党から三年後の一九五八年に当時の読売新聞の若手政治記者、現在の渡辺恒雄主筆が出版し、ちょうど十年前に復刊された、自民党の派閥に関して記した「派閥」という本を読むと、そもそも、自民党は幾つかの派閥の連合体として結党し、派閥が存在することが保守党たる自民党の自民党たるゆえんと言ってもいいくらいです。

 その自民党の歴史の中で、総理が言うような、派閥が純粋な政策集団であった時期など、過去に存在したことはあるんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 平成元年の政治改革大綱のときもそうでしたが、派閥の弊害が指摘をされました。そして、小選挙区の導入を始め様々な改革が行われましたが、今日まで派閥は、お金、資金と、そして人事を求める場であるというイメージが絶えずつきまとっていた、残ってしまった、このことは反省しなければならないと考えます。

 だからこそ、今回、政治刷新本部の中間取りまとめで、単に、今後、派閥がどうであっても、お金と、そして人事から切り離すルールを設けることが重要だという議論が行われ、派閥の政治資金パーティーの禁止、あるいは所属議員に対する資金の提供等をやめる、監査を入れるなど、ルールを作ったということであります。

 このルールをこれから守ることが、今後、どのようなグループができたとしても、いわゆる派閥の弊害からは切り離される状況が維持できるという考えに基づいてルールを作りました。

 このルールを実行することが、今後とも、どのような人間の集団ができたとしても、いわゆる派閥の弊害をまた引き起こすことにはならない、歴史を繰り返すことにはならない、こういったことにつながると考えて、中間取りまとめを実行してまいります。

古川(元)委員 歴史を繰り返すことにならないというか、今総理の言われることを言うと、要は、今総理ははっきりおっしゃらなかったですけれども、自民党でそんな、純粋な政策集団で、お金や人事、何も関係なかった派閥なんて過去に存在しないんですよね。

 ということは、今総理が言うような形の、お金と人事から完全に切り離された政策集団だけの政党に自民党がなるというのであれば、それはもはや、これまでの、結党以来の自民党とは全く違う政党になる、そのことを意味すると思うんですが、総理はそれを目指しているというふうに考えていいんですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、派閥が資金や人事から完全に切り離されるということになりますと、党を支えていた派閥の機能がなくなってしまう、こういった御指摘につながるんだと思いますが、だからこそ、自民党のガバナンスを改めて考えなければならないということで、今、政治刷新本部の中にも三つのワーキングチームをつくっています。

 一つは、政治資金規正法の改革を始めとする法改正についてどう議論するかというワーキングチームでありますが、残りは、党のガバナンス、人事等をどうするか、また、党則等をどうするか、こういったことを議論するワーキングチームであります。

 派閥が実質的になくなるとしたならば、それに代わる党のガバナンスを考えなければならない、こういった問題意識は強く持っており、是非これは、未来に向けて議論を進めていかなければならない重要な課題であると考えます。

古川(元)委員 先日、平成の政治改革を民間の立場から主導した民間政治臨調の系譜につながる令和臨調が、政治資金制度改革等に関する緊急提言を行いましたが、その中で、改革の核心は政党である、そうした認識の下に、政党法制定の検討も含めた政党のガバナンス改革の提案をしております。

 私は、まさにこれが、平成の政治改革でやられなかった、やり残したことであって、自民党が自民党でなくなるような状況にならない限り、本当の意味で問題の解決にはつながらないと思うんです。

 そういった意味で、今後の与野党協議についてお伺いしますけれども、我々、私、先日、国民民主党としての提案で、政党法の制定や、あるいは政党交付金を減額や不交付とすることができる政党助成法の改正を始め、既に野党各党からは、この間、様々な提案をしています。

 これに対して総理は、政党間で協議をして結論をというふうにおっしゃっているんですけれども、この政党間協議は、具体的に、いつから、どのような形で始めるんですか。もう自民党以外は、みんなちゃんと提案しているんですよ。我々は待っているんですよ。いつから、どういう形でやるんですか。

岸田内閣総理大臣 政党のガバナンスを強化しなければならない、こういった中で、委員の御指摘のように、政党法の議論など、様々な議論があると承知をしておりますが、自民党としては、この国会で、法改正を含めて結論を出すということを念頭に、党としての考え方をまとめて、議論をしてまいります。

古川(元)委員 与野党協議はどうするんですか。それはいつから始めるんですか。

岸田内閣総理大臣 与野党の協議の場をどう持つか、これはまさに、各党で議論をしなければならない課題だと思いますが、是非、各党でそうした場をしっかり確認した上で、できるだけ早く議論をスタートしたいと思います。

古川(元)委員 先ほど申し上げた令和臨調の提言では、この政治資金制度の改革について、この通常国会において直ちに合意すべき事項、そして、この通常国会中に与野党で筋道をつける事項、そして、中長期の合意形成課題、そういうような形で、具体的な改革のタイムスケジュール、そうしたものを提案されています。

 今後、総理、これは、そういった意味でいうと、もう早くこれは議論しないと、そんなに簡単に、さっさと進みませんよ。ですから、早くこれは与野党で議論する場をつくって、そして、この令和臨調のタイムスケジュールなんかも参考にして、まずは直ちにやれることをやる、そして、その次の段階で、私たちも提案しています、この政治資金の在り方、これは第三者機関をつくって、ちゃんとそこにルールも決めてもらう、そこでチェックもしてもらう、そうした第三者機関をつくる、やはり、そうしたこともやらないといけないと思います。

 そうしたことにやはり進んでいくべきだと思いますが、いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 政治資金をめぐる国民の疑念を払拭するために、今回のような事態が二度と起こらないために、法改正を含め、ルールを変えていく、こういった議論をしていくこと、これは極めて重要なことであると思います。

 そして、この国会中に法改正を行えるように議論を行いますと申し上げているわけですから、党としても、具体的な法改正に向けてのワーキングチームの議論を始めております。至急、考え方をまとめた上で、この議論を行っていきたいと考えております。

 その際に、政治臨調のこうしたスケジュール感ということについても、各党で参考にしながら議論を行っていくことになると考えます。

古川(元)委員 一日も早くそうした場をつくっていただいて、予算委員会、ちゃんと予算の審議ができるように、そうした環境をつくってください。

 今年は、昭和でいえば九十九年になります。昭和は遠くなりにけりという感じであります。今の世の中は、昭和の時代とは価値観も、考え方も、行動も全て大きく変わっています。ところが、この永田町には、まだ色濃く昭和の価値観や行動様式が残っている。特に自民党は、ディス・イズ・ザ・ショーワと言っていいくらい昭和だと思います。

 今、昭和は、今回問題になった政治資金の問題に限らず、あらゆる面において、昭和モデルからの脱却が必要だと思います。

 私たち国民民主党は、一日も早く、古い昭和モデルの政治から脱却し、今の時代にふさわしい、新しい令和モデルの政治を実現するために、必要な政治改革に全力を尽くすことをお約束して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日は、まず、政治と金の問題の前に、中国における日本人の拘束の問題について議論をしたいと思っております。

 このパネル一なんですけれども、今のところです、二〇一五年五月以降、少なくとも十七人が中国で拘束され、最近では、昨年の三月にアステラス製薬の社員が拘束されたことは記憶に新しいんですが、今日は、この「中国拘束二千二百七十九日」という本を書いた鈴木さん、私の地元の人でありまして、私の仲間の同級生ということで、私は十五年来のつき合いなんですけれども、その方の経験を踏まえて、幾つかの問題について提起をしたいと思っております。

 この方は、二〇一六年七月に、スパイ罪で北京空港で日本に帰る直前に拘束されたんですけれども、拘束されると、日中領事協定で、拘束後四日以内に大使館に通告が行くことになって、通告が五日後に来たということで、しかし、それから、大使館の人が来たのが約二週間後の七月二十七日。その亀井領事も面倒くさそうに対応したと。

 日本の関係者に様々なことをこの方が頼んだんですけれども、私宛てにも伝言を頼んだんですけれども、まだ届いていない。弁護士をつけてくれと言ったら、大使館の顧問弁護士は約三十五万元、約五百六十万円かかりますよといってできなかった。中国との取決めで一か月に一回面会できることになっているのに、やってきたのは七か月間で三回しか来なかったと。しかも、それは北京市国家安全局の許可が必要なんだけれども、中国政府の言いなりなんじゃないかというふうに言っております。

 私も、知人なものですから、程永華当時の中国の大使とお会いしたときにも、直接、私、要求させていただいたり、いろいろしました。外務省の方も、その当時、何度も呼んで話をしたんですけれども、ホテルのようなところでちゃんと待遇されているから大丈夫だということだけなんですよ。

 でも、帰国した鈴木さんにお聞きしたら、私宛てに、御支援ありがとうございます、国会で是非取り上げてくださいということを託したにもかかわらず、届いていないんですね。先日、レクでそのことを聞いたら、いや、そのことは弟さんに言ってあると言うんだけれども、やはり今日も、鈴木さん、実は山井さんのやり方をまねてちょっと来ていただいているんですけれども、やはりそれは届いていないんですよ。弟さんのところへも行っていなければ。

 何でこの伝言を届けなかったというようなことをしたのか。是非そのことを、まずお聞きしたいと思います。

上川国務大臣 邦人の擁護案件でございますけれども、一般的に、被拘束邦人の……(福島委員「一般論じゃない、私に対してなぜしなかったか、それだけ。時間が短いですから」と呼ぶ)

 今申し上げた邦人の保護案件ということでございますが、被拘束者の個人情報が広く共有をされることを防ぐため、被拘束邦人からの伝言は、同人の親族や所属先企業等にお伝えをし、窓口となるこれらの方々に、伝言の第三者への伝達という形で委ねているということであります。

 本案件におきましても、当時、拘束中の当該邦人から託されました御伝言は全て窓口となる御親族にお伝えした上で、当該邦人に対しまして、窓口は第三者に伝言を届けない意向である旨の説明を行った経緯がございます。

福島委員 もう全然うそだと思いますよ、それは。当事者がそう言っているんだから。恐らく国会で取り上げられたくないからあえて伝えなかったんじゃないかと私は言わざるを得ないんですね。

 岸田総理はそのときに外務大臣でいらっしゃいました。鈴木さんが拘束されたのは七月十五日。その十日後の七月二十五日のASEAN関連外相会議で王毅外交部長と日中外相会談を行い、その一か月後の八月二十四日の、また再び日中韓外相会談のとき再び王毅さんと会い、九月十四日には王毅外交部長と日中外相会談を行っておりますが、これは記録を見る限り、何らかの申入れを行った形跡がなくて、邦人拘束の事例が出てくるのは、翌年の五月三十一日の、訪日したヨウケツチ中国国務委員との会談なんですよ。

 これは、一報を受けたとき、岸田総理は外務大臣として何をされましたか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事案については、私からヨウケツチ国務委員に対して早期解放を強く求めた。その以前は、安倍総理から習近平国家主席に対して、この早期解放を中国側に対して強く求めました。こうしたトップレベルでの働きかけを行った次第であります。

福島委員 岸田総理自身が外務大臣のとき、この一報を受けて何をやったかというのは伝わってこないんですけれども、時間がないので次に行きます。

 カナダ人とかイギリス人とかオーストラリア人は拘束されているんですけれども、アメリカ人は拘束されていないんですね。中国も相手の国の顔色を見ているんじゃないかと思うんです。

 ただ、最近、二〇一九年九月に拘束された岩谷將さんという中国近代史研究者の北海道大学教授は、二か月後に解放されております。

 これはなぜかというと、恐らく、これは朝日新聞が報じているんですけれども、拘束された翌月の十月二十三日に、安倍首相が、天皇陛下の即位の礼にいらした王岐山国家副主席に、会談したとき直接解放を求め、十一月四日にも、タイで李克強首相に強い対応を求めたんですね。それで戻ってこられたんです。

 何かというと、ここにちょっと中国における拘束後の流れが書いてあるんですけれども、拘束された後に、居住監視という、これは日本では信じられないんですが、逮捕の前に捕虜のようになってずっと三か月間取調べを受けて、その後に逮捕され、拘置所に入って検察の取調べを受け、起訴をされ、裁判をされるという流れになるんですけれども、一番大事なのはこの居住監視、国家安全部が行うことなんですね。習近平政権が権力を強めてから、この国家安全部の役割が非常に重くなっております。そのときであれば、検察に行っちゃうとこれは法の裁きの手続になっちゃうんです、国家安全部のうちは政治的な解決ができる可能性があるときなんですね。

 ですから、先ほど申し上げた北海道大学の岩谷教授のときには、安倍総理がトップで二回、この居住監視のときに言ったから解放された可能性がございます。

 アステラスの場合も、確かに四月に外相会談で林外相が申入れをしているんですけれども、その後、首相が出て言ったのは、三月に拘束された後の、十一月の日中首脳会談で岸田首相が習近平国家主席に申し入れたと思うんですね。

 結局、早いうちに総理自らが政治的な解決を中国の首脳に言うしかないと思うんですけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 居住監視期間が重要だという御指摘でありますが、これはどのケースも同じですが、居住監視期間も含めて、様々な形で中国側に働きかけを行っております。

 御指摘の点につきましても、トップでの働きかけは先ほど申し上げたとおりでありますが、外交当局間で様々な働きかけを行っている、これは事実であります。

福島委員 その答弁はピントがずれているんですよ。居住監視期間が大事なんです。その後じゃしようがないんです。物事のついでに言うんじゃなくて、まず真っ先に、日本人を救うぞという意識を、その拘束のすぐ後に言わなければならないんですね。

 次に、もっと深刻な問題が、これは鈴木さんのときの二審の判決文です。ふだんはこれは非公開なんですけれども、鈴木さんが本で明らかにしているものでありますけれども、ここで見たら分かるように、一番上の行ですけれども、鈴木英司は日本法務省公安調査庁関東公安調査局が日本の情報機関であることを明らかに知っており、電話、ショートメール、面談などの方法を通じて、関東公安調査局の、これは字は隠しておりますけれども、○○などから我が国の情報を収集及び報告する任務を受けていたというふうに書かれております。

 日本に関係する、例えば、駐アイスランド中国大使だった馬継生という方が、二〇一四年九月に逮捕され、恐らく死刑になっています。この方は、日本にいる間、王毅大使の秘書をやっていた方です。湯本淵さんという元駐日中国大使館の公使参事官も鈴木さんと同じ時期に拘束され、恐らくこの方も死刑判決が出ております。葛廣彪さんという名古屋の総領事をやっていた人もその前後にやはり拘束されていて、恐らく公安調査庁と関わった方が一網打尽で拘束されているんですね。

 鈴木さんが中国で拘束されているときに、この湯さんという公使参事官だった人が、日本の公安調査庁の中には大物スパイがいますよ、ただのスパイではない、相当な大物スパイですよ、私が公安調査庁に話したことが中国に筒抜けでしたからと。ここの判決文の真ん中ぐらいにありますけれども、向こうは公安調査庁の人の身分証の写真まで持っていて、それを見せてやっているわけですよ。

 法務大臣、これは、情報が絶対に漏れていないと国民に対して約束できますか。

小泉国務大臣 委員御指摘の点でございますが、公安調査庁においては、情報保全に係る各種内規を定め、これを厳正に運用するとともに、関連の研修を実施するなど、情報保全体制に万全を期すべく、その徹底に努めているところでございます。

 なお、その詳細につきましては、公安調査庁の今後の業務に影響を及ぼすおそれがありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

福島委員 いや、現に漏れているわけですね。

 近年の緊迫する東アジア情勢を見ると、中国の情報収集は極めて重要だと思うんです。公安調査庁の役割も私は大きいと思っております。

 公安調査庁のホームページには「「情報の力で国民を守る」それが公安調査庁です。」と書いてありますけれども、先ほどの北海道大学の教授も公安調査庁と接触したことがあるんですよ。だから拘束されていたと思うんですよ。

 こうした状況では、中国の情報を持っている人は、誰も怖くて公安調査庁と接せられませんよ。だから、今、一番この東アジア情勢が厳しくて中国情報が必要なときに、公安調査庁は情報を取れなくなっているんじゃないかというふうに思うんですね。

 私は、総理、もう一度これは、内部で言えないと言うけれども、公安調査庁の情報管理体制を、まず一点、徹底して調査をして、解体的に出直さなければ、日本国民の安全は保てないと思いますよ。相当深刻な事態だと思って取り組まなければならないと思うんですけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 個別の公安調査庁の情報収集活動についてお答えすることは控えますが、我が国を取り巻く国際情勢が不確実性を増す中、我が国の国益を守り、そして国民の安全を確保するためには、情報の収集、集約、分析、これは極めて重要であり、かつ、十分な情報収集活動のためには、万全の情報保全体制、これは必須であると認識をいたします。

福島委員 もっと具体的に答えないと、本当に今、公安調査庁は中国の情報を取れなくなっていると思いますので、深刻に考えていただきたいと思います。

 最後に、政治と金の問題をお話ししたいと思います。

 これまで岸田首相は、政策活動費や企業・団体献金の廃止に対しては、政治活動の自由と国民の知る権利のバランスの中で結論を出せとか、献金する側の政治に対する関与の自由とか、政治の自由という話を言ってまいりました。

 しかし、政治活動の自由とは何か。芦部先生の「憲法」という有名なものがありますけれども、それは、政治活動は憲法第二十一条の表現の自由から導かれる。表現の自由は、干渉を受けることなく、自己の意見を持つ自由なんです。政治家としての意見を持つ自由。もう一つは、情報を受け、伝える自由。情報開示なんです。国民が情報を受ける自由。

 その二つから成り立って、しかも、表現の自由といえども無制限ではない。検閲とか、表現の内容規制とかも入り得る余地がある。もう一つは、漠然不明確又は過度に広範な規制というのがあるんですけれども、例えば、公職選挙法上の法定外文書図画の配布禁止とか戸別訪問の禁止というのに対して、これまで最高裁で争われたときに、そうしたことに対するものは、政治活動の自由を制限するものとして合憲だとされているわけですね。

 企業・団体献金の廃止は、企業の表現の自由としての政治活動を制限することには全くなりません。政策活動費の公開は、むしろ国民の知る権利の増進につながって、政党の表現の自由を脅かすことでもないんですね。政策活動費の公開や企業・団体献金の禁止に、権力者でもある総理自身が、与党が政治活動の自由まで持ち出すのは、私は全くのナンセンスだと思います。これは政治家にとっての自由じゃないんですよ。

 私は、これまでの総理の答弁は、法学部出身の総理の答弁としては余りにも恥ずかし過ぎると思います。やらない理由を言っているだけなんですよ。各党会派で議論しろと言っていますけれども、これらに、規制に反対しているのは自民党と総理だけじゃないですか。

 是非、私のこの意見に対して何か反論することがあったら言ってみてください。

岸田内閣総理大臣 政治活動の自由についても、政党や政治家の政治活動の自由もあれば、個人や企業の政治活動の自由もある、その自由と、国民の知る権利、透明性の確保、これとのバランスについて今日まで各党各会派、様々な議論を積み重ねた結果が今につながっている、こういったことを申し上げています。

 これについて変更するというのであるならば、共通のルールに基づいて変更することを考えていくべきである、このように申し上げております。こういった考え方自体はおかしな考え方ではないと思います。要は、具体的に、そういった考え方の下に、どんな議論を結論として行うのか、これが重要であると考えます。

福島委員 総理のおっしゃる政治活動の自由は、普通の、憲法上の政治活動の自由とは全く別だと思います。

 今日一日の情けない総理大臣の答弁を見て、政治改革に志のある方であれば、是非、自民党の皆様であっても決起していただくことを期待申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて福島君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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