衆議院

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第10号 令和6年2月15日(木曜日)

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令和六年二月十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    越智 隆雄君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    田中 和徳君

      平  将明君    塚田 一郎君

      平沢 勝栄君    藤丸  敏君

      古屋 圭司君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    若林 健太君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      石川 香織君    梅谷  守君

      大西 健介君    鎌田さゆり君

      小山 展弘君    階   猛君

      馬場 雄基君    山岸 一生君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      阿部 弘樹君    奥下 剛光君

      沢田  良君    鈴木  敦君

      住吉 寛紀君    林  佑美君

      守島  正君    赤羽 一嘉君

      金城 泰邦君    角田 秀穂君

      鰐淵 洋子君    宮本  徹君

      田中  健君    緒方林太郎君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (防災担当)       松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  林   学君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   宮坂 祐介君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    茂里  毅君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       中田 裕人君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房報道官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  加野 幸司君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  三貝  哲君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           田中 利則君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  山本 有二君     藤丸  敏君

  梅谷  守君     馬場 雄基君

  山岸 一生君     鎌田さゆり君

  奥下 剛光君     沢田  良君

  林  佑美君     鈴木  敦君

  赤羽 一嘉君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  藤丸  敏君     山本 有二君

  鎌田さゆり君     山岸 一生君

  馬場 雄基君     梅谷  守君

  沢田  良君     阿部 弘樹君

  鈴木  敦君     住吉 寛紀君

  鰐淵 洋子君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 弘樹君     奥下 剛光君

  住吉 寛紀君     林  佑美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官林学君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府政策統括官宮坂祐介君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、総務省自治財政局長大沢博君、法務省刑事局長松下裕子君、外務省大臣官房参事官門脇仁一君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省初等中等教育局長矢野和彦君、文部科学省研究開発局長千原由幸君、スポーツ庁次長茂里毅君、国土交通省大臣官房土地政策審議官中田裕人君、国土交通省都市局長天河宏文君、国土交通省水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、国土交通省住宅局長石坂聡君、防衛省大臣官房報道官茂木陽君、防衛省防衛政策局長加野幸司君、防衛省人事教育局長三貝哲君、防衛省統合幕僚監部総括官田中利則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鎌田さゆりさん。

鎌田委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の鎌田でございます。

 まず、官房長官に伺います。

 今朝の報道、紙面を既に御覧になっていると思うんですけれども、自民党、還流分の納税を検討する、脱税の批判を踏まえ、不記載議員に対してということの見出しが躍っております。これを見て私は非常に驚きました。つまり、脱税をお認めになるというふうにこれは読み取れるんです。岸田総理の側近の官房長官としてどのような見解をお持ちでしょうか。

林国務大臣 突然のお尋ねでございますが、報道は承知しております。これは党の中で議論されておられるというような報道であったと承知しておりますが、党としての対応については、官房長官の立場でお答えすることは差し控えたいと思います。

鎌田委員 政府の立場としてというのは松野前官房長官と全く同じ御答弁で、そう来るんだろうなと思いました。

 ですが、岸田総理の側近のお立場にある官房長官です。あしたから確定申告が始まるんですよ、全国民は。官房長官、自民党の対象となっている不記載の議員の方々に、今日中に、それこそ政府の立場として、納税をすべきだと、岸田総理にも進言して指示が出せるようにするべきじゃないですか。いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございまして、党としての対応でございますので、官房長官としての立場でお答えすることは差し控えたいと思います。

鎌田委員 政府は岸田総理を先頭に、あしたからの確定申告で、皆さん公正に正しく申告して納税しましょうというキャンペーンを張っていらっしゃる。なのに、政権与党の最大政党の自民党がこのざまですよ。予算委員会で連日この問題ですよ。恥ずかしいと思いませんか。私は非常に恥ずかしい。

 恥ずかしいという気持ちがちょっとでもあるならば、鈴木財務大臣、それこそ国民から税をお預かりして、そして、その税をどのように使っていくか。財務省のトップのお立場として、不記載に該当する議員、あるいはそのほかにもいらっしゃるでしょう、合計すると今のところでも五・八億円とも言われています、この納税をきちんとするべきだと指示されませんか。

鈴木国務大臣 先ほど官房長官から答弁もあったわけでありますが、その新聞記事につきましては私も拝見したところでありますが、それは党においてそういう動きがあるという報道であったと思っております。

 いずれ、私が財務大臣という立場で不記載された議員に対して納税をするようにということを、私の立場で言うことはいたしませんが、党の立場を見守るということだと思います。

鎌田委員 国民には納税を呼びかけていて、議員だって国民ですよ。私もこれから確定申告をする立場なんです。みんな個人事業主ですよ。なのに、この状況を国民の皆さんが見ていて、あしたからの確定申告、冗談じゃない、我々国民はなめられているのか。これでは納税する気持ちにもならなくなりますよ。ちゃんと矜持を示して国会議員自らが襟を正してやっていかないと、信頼回復なんて始まりませんよ。

 このことを今日冒頭に触れさせていただいたのは、それだけ重いものであるということは発言をさせていただいて、官房長官、財務大臣にお尋ねをさせていただきました。梅谷議員も引き続いてなさると思います。

 次ですけれども、私は、今回、政治と金の問題で不記載のキックバックの問題が連日議論されていますけれども、忘れている人がいるんじゃないかと思うんですね。池田佳隆議員です。

 令和三年には岸田内閣の文部科学副大臣をなさっています。四千八百万円のキックバック。しかも、政策秘書と共謀して。一月七日に逮捕。そして、十二月も一月も国会にどのくらい来ていらっしゃいますか。国会で仕事をしていないじゃないですか。その方に十二月の歳費、十二月の賞与、一月の歳費が支払われていますよね。財務大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 歳費は支払われているものと承知しております。

鎌田委員 国会議員として国会に来て国会の仕事をしていない人に、何で歳費、そして賞与を出すのでしょうか。おかしいですよ。

 財務大臣としては、財務省の、財務大臣としての御答弁。私が申し上げたいのは、この池田佳隆さんですけれども、キックバック、いわゆる裏金と言われています。裏金、脱税、歳費のただ取り、三点セット、国民に対する詐欺に等しいですよ。

 岸田総理の側近、女房役と言われている官房長官、証人喚問すべきだということは再三要求されています。この予算委員会で証人喚問に値すると思いませんか、伺います。

林国務大臣 今、証人喚問というお尋ねでございましたが、まさに国会でお決めいただくことであろうというふうに考えております。

鎌田委員 委員長、今、官房長官から国会でお決めになることということがございましたので、池田さんを証人喚問するべきだということを理事会で御議論いただきたいと思います。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

鎌田委員 続きまして、文科大臣に伺います。

 旧統一教会と盛山文科大臣の関係についてですけれども、連日、記憶にない、薄々思い出してきた、サインしたかもしれない。

 改めて伺います。今日、何か思い出したことはございますか。

盛山国務大臣 記憶にないということだけでございます。

鎌田委員 薄々思い出したことも記憶にない。忘れちゃったんでしょうか。

盛山国務大臣 それは、西村智奈美議員だったと思いますが、写真を提示されましたので、そういうことがあったかもしれないと申し上げただけで、それ以上のことは詳しく覚えておりませんとそのときにも申し上げたとおりであります。

鎌田委員 薄々思い出してきた。大竹まことさんという芸能人を御存じですか。大竹まことさんは、そんな日本語はないと。それが非常にリポストされて、今ネット上で多くの方が御覧になっています。文部科学大臣ですよ。薄々思い出してきた、そんな日本語はないとまで批判されています。

 そして、今日は、薄々思い出してきた、サインしたかもしれない、けれどもやはり記憶はないと。めちゃめちゃですね。論理が破綻しています。

 週刊誌が大臣のお連れ合い様に取材をされて、それが昨日のオンラインで報道されて、そして今日は媒体でも報道されるようですが、苦笑いされていますから御存じなんだと思うんですけれども、その中でお連れ合い様は非常に詳細に取材にお答えになっていらっしゃいますね。本来ならばそこで政策協定書にサインをするなどということは軽々にしてはいけないという趣旨の下で、主人は家に帰ってきて、うかつだったと言っていたと。

 大臣、家に帰ってお連れ合い様に、うかつだったんだというふうにおっしゃったんですね。

盛山国務大臣 それは誤解でございまして、週刊誌がどう書いているのか、それがどこまでちゃんと事実を把握したかということになるわけでございます。

 個別に詳しいことまでは申し上げませんけれども、そういうようなことは私は記憶にないけれども、もし万一そういうことが御指摘のとおりであれば、それは軽率であったな、そういう趣旨のことを家内と話をしたということでございます。

鎌田委員 盛山大臣、つまり、そういうことがあったんだったらうかつだったな、軽率だったなということは、事実としてあったんじゃないですか。お認めになるべきですよ。いかがですか。

盛山国務大臣 それは、西村議員の方から、推薦書がある前提として、政策協定ですか、それを結んでいるはずじゃないかと言われましたので、もし理屈の上でそうであればそうであったのかもしれませんが、私としては、協定書にサインをしたということは覚えておりませんということをその当日にも申し上げたとおりでございまして、何も私の答えがぶれているとは思いません。

 ただ、家でそういうような話をして、いずれにせよ、あなたが軽率だったんじゃないかというふうに妻から言われた、それだけのことでございます。

鎌田委員 奥様は大変賢明な方で、大臣がうかつなことをしたことを奥様はきちんと指摘されたということじゃないですか。

 ですから、ずっと予算委員会でこの問題は引っ張られますよ。予算委員会でこの問題は引っ張られ続けていって、そして、文科大臣は旧統一教会に解散命令を出している責任者じゃないですか。そういう方が文部科学大臣として大臣の席にい続ける、それは許されるものではないと思いますよ。即刻、潔く御自身で自ら大臣を辞するべきだと思いますが、いかがですか。

盛山国務大臣 そういうことはないということを何度も申し上げております。それについては、もし万一そういうことであればという仮定の話でございます。

 そして、昨年の十月十三日の解散命令請求もそうでございますし、そしてまた、昨年暮れに御党も含めてほとんどの党が御賛同いただいて成立した被害者救済法にのっとって今手続を粛々と進めているところでございます。そして、今日もその関係の会議を行い、今後その手続を進めていこうとしております。そして、被害者に対しての救済をしっかり取り組んでいく、文科省だけではなく、関係省庁等を含んでしっかりやっていく、そういうつもりでございますので、職責をしっかりと果たしていくつもりでございます。

鎌田委員 別にしっかりをそんなに強調して言わなくてもいいですよ、誰も信じていませんから。即刻辞めるべきだと私は思います。そして、この予算委員会に大臣の統一教会との関係性が影響して、予算委員会がこういう状況が続いていくということは申し上げておきたいと思います。

 続いての質問に入ります。

 令和六年能登地震が発生いたしました。私は、この間、三回能登半島に入りまして、各避難所を回り、支援物資を届け、多くの方々からお声を聞いてまいりました。犠牲になられた方々の御冥福を祈って、そして、今もなお避難所で大変な生活を送っている方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 ですが、最初に申し上げたいのは、発災からどんどん日がたっていますが、予算委員長の小野寺先生も私も宮城の人間です。小野寺委員長の地元は気仙沼でした。大火災がありました。そんな中でも、やはり少しでも希望を見出したいんです。ちょっとでも先に希望が見出せれば、前を向いて顔を上げて何とか歩みを進めようと思えるものなんです。

 ですから、今回、この予算委員会の場をかりまして初動対応から伺っていきたいと思うんですけれども、まず、皆様のお手元にお配りしておりますが、資料一を御覧いただきたいと思います。

 発災当時、上空からの被災状況調査は何時にどこから出動していますか。戦闘機、ヘリ、航空機、いろいろあると思いますけれども、お願いいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 発災直後、防衛大臣から、直ちに人命救助を第一義とした活動を実施すること、それから、あらゆる手段を活用した情報収集活動を実施することなどの指示を受けまして、自衛隊は、自治体からの要請を待つことなく直ちに航空機を発進させ、被害状況の把握に努めておるところでございます。

 具体的には、十六時三十分に航空自衛隊千歳基地の第二航空団のF15戦闘機が航空偵察を開始し、順次全国の部隊から各種航空機による情報収集を実施しております。

 また、当日十七時以降でございますが、陸上自衛隊の立川駐屯地の映像伝送機材を搭載したヘリコプターが航空偵察を実施し、この偵察で得られた被害状況や映像につきましては、防衛本省に報告されるとともに、官邸の危機管理センターにリアルタイムで共有しておるところでございます。

鎌田委員 ありがとうございました。

 資料一に書いてあるとおり今御説明をいただいたんですけれども、今、官邸にリアルタイムで映像を共有しているというふうに最後にございました。

 そこで伺いたいんですけれども、官房長官、総理がリアルタイムで、いわゆるライブの映像等で被害状況の共有を開始したのは何日の何時からでしょうか。

林国務大臣 自衛隊、警察、消防のヘリからのライブ映像情報につきましては、発災約四十分後から順次官邸の危機管理センターに共有されておりました。

 映像につきましては私にも共有されておりまして、適宜確認したものに加えて、他の被害情報についても松村大臣や事務方から総理や私に適時報告がなされたところでございます。

 発災当日は私は会見や打合せ等に追われておりまして、また記録もないため、具体の時間についてはお答えは困難でございます。

鎌田委員 済みません、文科大臣は御退席いただいて結構です。

小野寺委員長 盛山大臣は御退出いただいて結構です。

鎌田委員 官房長官、今のお話ですと、官邸にある危機管理センターで事務方がリアルタイムのライブ映像を確認し、そして情報を集約して、それを関係閣僚に報告するということで、私がお尋ねしたのは、岸田総理それから官房長官がリアルタイムでヘリから映伝されてくる情報を、今ここの地域がこうなっているんだ、火事が起きているんだ、そういうことを共有されたのはいつですかということですが、それは最初はいつですか。

林国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、私にも映像を共有されておりまして、執務室で適宜確認したわけでございますが、発災当日は会見や打合せ等に追われておりまして、記録もないため、具体の時間についてはお答えが困難であると申し上げたとおりでございます。

鎌田委員 記録がないというのは非常に驚くのですけれども。こういう大災害のときですから、官邸において、どのような情報が入ってきて、どのような議論をして、どのような打合せをして、どのような指揮系統、命令を出したかというのは記録に残さない、それが今ある体制なんでしょうか。それだとしたら、今後絶対に改めていただきたいです。初動態勢を遡れません。

 パネル一を御覧いただきたいんですが、官房長官も常に危機管理センターに映伝で入ってきたものを見ていたということですが、資料にありましたとおり、最初に視察に出たF15戦闘機、これは自主派遣ですけれども、これは千歳からなんですね、北海道の千歳。そして、その後、石川の知事からの要請があってからが、今度はまた石川から遠いところから飛んでいます。どうしても現場に向かうまで時間がかかっています。

 お示ししているパネルですけれども、資料にもありますが、富山空港、小松空港、それから能登空港。この富山空港と小松空港のそばには自衛隊の駐屯地がございます。なぜここを活用しなかったのかなという疑問が残るんですが、官房長官はそこは疑問には思われませんでしたか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 発災直後に自衛隊の拠点をなぜ利用しなかったかという御質問でございますけれども、まず、小松基地につきましては、被災地域と非常に近接しておりまして、まず隊員の安全を確認する、そういう作業を行っております。また、小松基地の施設自体も被害を受けておりますので、被害の状況の確認、航空機の離発着はできるのか、そういったことを確認した上で運用を開始している、そういった状況でございます。

鎌田委員 様々な状況を勘案してこの判断に至ったんだと思いますけれども、防災担当大臣はこのルートに疑問は感じられませんでしたか。

松村国務大臣 通告のない御質問でございますけれども、現場では、私も官邸に入っておりましたので、適切な判断は自衛隊の知見の中でなさったものと思っております。

鎌田委員 済みません、パネル二を御覧ください。

 これは石川県の地域防災計画から抜粋したものですけれども、平成十九年から能登半島ではこのように地震が多発しています。このような状況の中で、初動とその次の段階、その次の段階ときちんと対応していかないと、どんどん人命救助も遅れるし、復旧復興も遅れていくと私は考えておりまして、これを見た上で申し上げますけれども、先ほどの自衛隊の、防衛省の判断にもありましたけれども、私は、これからは初動態勢についてはもう少し効率のよい初動の動きというものを検討していただきたいと思っています。

 このパネル二に基づいて、このくらいにあるところですが、四番目の質問に移ります。

 私は被災地に行って、まず、仮設トイレがない、それから、仮設トイレは設置されているんだけれども、軒並み使用禁止という張り紙が貼られてあって、バキュームが追いついていない。

 防災大臣は現場にはもちろん入られていますよね。そういう現場は御覧になりましたか。

松村国務大臣 施設を回りまして、避難所を回りまして、仮設トイレの設置等も確認しております。

鎌田委員 トイレがあるけれども使えないとか、トイレが届かないとか、もうやめましょうよ。

 私は今日は提案したいんです。

 官房長官はどうぞ御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

小野寺委員長 どうぞ官房長官は退出ください。

鎌田委員 四十七都道府県に漏れることなく仮設トイレを最低十基、あるいは人口や面積に応じて計算をして仮設トイレを全て備えておくように、私は本当は基礎自治体にも全て備えておくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。これは提案です。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 避難所におけるトイレの確保は、衛生環境を維持し、健康被害を防ぐ観点から、極めて重要な課題であると認識しております。

 内閣府では、避難所におけるトイレ確保のためのガイドラインを作成し、自治体に周知しており、平時から仮設トイレを確保するほか、携帯トイレの備蓄やマンホールトイレの整備などを促しているところでございます。

 今般の地震におきましては、広域にわたって断水が発生していることから、仮設トイレや携帯トイレをプッシュ型で支援するとともに、全国の関係団体と連携してバキュームカーを派遣し、し尿処理を行っているところでございます。

 今後とも、衛生的かつ十分な数のトイレを確保できるよう万全を期してまいりたいと考えております。

鎌田委員 質疑時間が終わりましたので、最後にパネルを二枚だけ御紹介して終わりにします。

 これは、石川県で地域防災計画、それから北陸地方整備局でちゃんと統計データを取っているものです。液状化について、これだけ北陸が、新潟、富山、石川が危険な地域だということはちゃんとデータで残っています。ですので、この液状化に対する調査研究。

 そして、今、これから石川県で家を再建しようとする人たちにとっては、この液状化が発生している以上、ちょっとやそっとの修復で家を再建しても、また何度でも起きるんですよ。ですので、これはきちんと、今、予備費で出ていますけれども、予備費だけじゃなく補正も組んで、この能登地震に対しての液状化の対策を取って、住宅を再建する、あるいは観光地として再建できるように政府として取組をしていただきたいと思います。

 それを申し上げて私の質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて鎌田さんの質疑は終了いたしました。

 次に、梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党・無所属の梅谷守です。よろしくお願いいたします。

 まずは、質問の通告の順番を大幅に変更させていただき、政倫審についてお尋ねをさせていただきます。よろしいでしょうか。

 昨晩のニュースによれば、総理もいよいよ、私たち野党の強いプレッシャー、すなわち、大きな大きな国民世論、今の汚れた政治を何とか変えてほしい、そのためには実態解明が何より不可欠だ、そういう強い思いがあって、総理も政倫審の開催を調整するよう党幹部に指示したとの報道がありました。

 長官、この話は総理から聞いておられますか。聞いておられるなら事実関係をお答えいただけますか。

林国務大臣 私は政府の立場で総理を補佐するということでございますので、今お尋ねの件については承知しておりません。

梅谷委員 では、改めてその事実関係、内容についてお話しいただいてもよろしいでしょうか。まだ承知していないということですか。では、いいです。

 報道では、既に、明日、与野党協議とまで言われております。長官はこの後定例会見に臨まれますよね。スポークスマンかつ総理の女房役である長官には、是非連携を密にしていただきたいと思います。

 配付資料の静岡新聞を御覧ください。この見出しですけれども、パーティー収入裏金化か。記事にはこうあります。割当てを超えるパーティー券を販売した若手議員に対し、資金を還元していたことが分かった。関係者は、パーティー券のキックバックは慣例としている。

 この見出しだけを見れば最近の記事のように感じるでしょうが、そうではありません。この日付を見れば、これは二〇〇五年三月、十九年前の地方紙の記事です。

 二〇〇五年といえば郵政解散のあった年。解散は八月で、既に政局は相当緊迫していました。そのあおりでこの問題もはっきり決着しなかったと聞いております。つまり、この問題は、派閥幹部が昨日今日始めたことではなく、ましてや三年、五年の間ではなく、二十年以上続いている疑いが極めて強いと言わざるを得ないんです。

 当時、清和会の会長は森元総理、その前の会長は小泉元総理です。岸田総理は、必要であれば更なる対応を判断すると繰り返されてこられました。実態解明のためには、昨日本庄議員が要請した森元総理はもとより、小泉元総理の政倫審への出席が必要と私は考えます。

 長官、政倫審に小泉元総理も呼んでください。本日は総理がおられませんので、総理とよく御調整をいただき、党内をおまとめいただけないでしょうか。いかがでしょうか。

林国務大臣 政治倫理審査会を含め、国会における審議の在り方については、国会においてお決めいただくことであると認識しております。

 その上で、一般論として申し上げれば、それぞれの政治家が必要に応じて適切に説明責任を果たす、これが重要だと考えております。

梅谷委員 昨日来、国会で決めることだという答弁が続いていますけれども、私はそれは違うと思っているんですよ。なぜならば、抵抗しているのは自民党だけなんですよ。総理も、党としての全体像の把握、説明責任を果たすことが大事だと繰り返しおっしゃっているじゃないですか。その言葉どおりに自民党が行動するように指示するだけの話じゃないですか。

 その意味で、今後、そういう答弁ではなくて、やるかやらないかの判断だと思いますので、総理と是非この点を打合せをしっかりしていただきたいと思います。

 続きまして、旧統一教会問題についてお尋ねをさせていただきます。

 まず、今日発売の週刊文春の記事の中でこうありました。盛山大臣の御夫人はこうおっしゃっています。政策協定に署名したのはなぜと問われ、うかつだったと主人は言ってますけどね、よもやその場でサインするなんて。

 大臣、政策協定を結んだことはうかつだった、こうおっしゃられたということでよいですね。

盛山国務大臣 つい先ほども御答弁申し上げたとおりでございますが、そこでサインをしたということを家内と話をしたわけではありません。記憶にないということを言った上で、先週の西村先生からの御指摘で、推薦書があるとすると、政策協定書にサインをしたんじゃないかと問われましたので、よく覚えていませんと申し上げました。そういうことについて妻と話をして、記憶にはないんですけれども、かりそめにもそういうようなことをしたとしたら、それは軽率であったなという話をして、その部分が週刊誌の記事に出たということではないかと思います。

 いずれにせよ、政策協定書にサインをしたということについては全然覚えておりません。

梅谷委員 大臣は、記憶にございませんと言ったけれども、それが定かでないという答弁でしたけれども、資料を御覧いただきたいんですが、私はこの間の全ての答弁を確認させていただきました。この間の予算委員会で六十九回、記憶にないなどの答弁がカウントされました。記憶にないという趣旨の御答弁をされています。記憶にないとはっきりおっしゃっているのが最も多くて三十一回。先ほど記憶にないとおっしゃいましたから、もしかしたら三十二かもしれませんけれども。覚えていない、覚えがないが二十回などなど、ことごとく認めないが、断定もされない。逃げの答弁としてはさすがと申し上げるべきかもしれませんが、これを見せられる国民はどんな思いを抱かれると思いますか。

盛山国務大臣 国民の皆様がどう思われるか、私が判断できませんけれども、覚えていないものは覚えていません。そして、それに対して、それをどうやって証明するんだ、どうやってそのサインをしていないと言えるのかというようなことを今までやり取りしてきたわけでございますので、私としては、覚えておりませんとしか答えようがないということでございます。

梅谷委員 昨日も本庄議員からありましたけれども、覚えていらっしゃらないと言いますけれども、写真では残っているわけでして、交わしたとされる推薦確認書にはこう書かれています。平和大使協議会に入会すると書いてあるんですよ。

 配付資料を御覧ください。平和大使任命状を大臣は御存じですか。そして、これはサンプルなんですが、平和大使の任命状なんですね。

 お尋ねします。大臣は平和大使ですか。

盛山国務大臣 繰り返しになりますけれども、推薦確認協定ですか、これにサインをした覚えもございませんし、そしてまた、この平和大使任命状というのも頂戴した覚えはございません。見た覚えも多分ありません。

梅谷委員 写真を御覧ください。これは週刊誌に載っていた写真を拡大したものなんですけれども、デイリー新潮に載っていた写真で、UPF・兵庫県平和大使協議会総会・記念講演会でお話をされている様子です。大臣、記憶がおぼつかないと思いますが、確認書にサインをされたのなら、今現在も平和大使なのではないでしょうか。

 一つ確認ですけれども、覚えていないと言っていらっしゃるんですが、この写真は二〇二二年の三月二十七日と書いてあるでしょう。大臣は以前、自民党の調査で一回出たという報告は、まさに二〇二二年の三月。その内容、どんな会だったのかはつまびらかにされませんでした。これじゃないですか。

盛山国務大臣 ここに御提示のこの写真、これに出席をしたということで、自民党の二〇二二年の九月の調査に回答したということでございます。

梅谷委員 だとしたら、平和大使ですよね。報告をされた。その上で大臣になられた。

 平和大使任命状を読み上げます。「天宙平和連合(UPF)は、人類の普遍的倫理価値、真の家庭の実現、超宗教的協力、超国家的調和、国連の刷新、責任言論、平和文化の促進を実践する人々を平和大使として、認定しています。 平和大使の使命は、宗教・国境・人種の壁を超え、人類の悠久なる願いである平和統一世界の実現に貢献することにあります。 以上の趣旨に鑑み、UPFは貴方を平和大使に任命します。」そして、文鮮明総裁と韓鶴子総裁の連名のサインがあり、最後に天宙平和連合というふうにあります。

 御認識はあったんじゃないですか。なぜ覚えていないと言われるんですか。

盛山国務大臣 この会についても、いろいろな人が来るので来賓として来てくれと言われただけというふうに承知しておりますので、この平和大使になったかどうか、あるいは、こういうような任命状をいただいたということは、私としては全く承知しておりません。

 そして、これまでに総理を始めいろいろ御答弁させていただいているとおり、既に旧教会とは関係を絶ったというふうに我々は明言しているところでもございます。

 そのように平和大使だからどうだというふうに言われても、私としては、困るとしか言いようがありません。

梅谷委員 今大臣は、関係を絶ったとおっしゃいました。ただ、平和大使の任命状、そして先ほどの写真にも平和大使の文言が書いてある看板がかかっていました。

 そうしたら、盛山大臣とされては、もう私は一切関係を絶ちましたと言っても、でも認証されているわけですよね、平和大使に。それを私は辞任しますと、辞表を出すとか役割を終えたいとか、直接確認はできないにせよ、そういうことをすることで初めて、私は関係が一切ありません、その役職はきっぱりとありませんと言えるようになるんじゃないですか。辞表などは出されましたか。

盛山国務大臣 我々自民党は、旧教会に対してきっぱり関係を絶つということを明言しているわけでありますし、一切今後接触しないということをはっきりさせております。そういう点で、それ以上のことをこちらからする必要はないと考えております。

梅谷委員 国民は到底納得しないと思いますし、これはさすがに記憶にないは通らないと思いますよ。

 では、聞きます。

 御夫人は、大臣がこう話されたと言われています。(発言する者あり)委員長、少しうるさいので。

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

梅谷委員 自分が弱音を吐いたら総理に迷惑をかけると言い、僕が兵隊で守り通さなかったら総理に迷惑をかけると。岸田派の一員として、まさに、ドミノ辞任から総理を守る弁慶のお気持ちなんでしょうか。総理を守ろうとするお気持ちは尊いと思いますが、国民は迷惑していると思いますよ。大臣がここで記憶にないと言い続けることが、逆に総理にも迷惑をかけることになっているんじゃないですか。

 御出身校の灘校の創設者の一人、嘉納治五郎先生は、自他共栄、すなわち、互いに信頼し、助け合うことができれば、自分も世の中の人も共に栄えることができるとおっしゃっています。今のあなたは、他人のことは知らない、記憶にない。正反対の人間ではないですか。嘉納治五郎先生に恥ずかしくないか、灘校の後輩があなたの背中を見ています。政治家として潔さを示すべく、速やかに辞任されるべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 そのように一方的に言われるということに対しては納得することはできません。

 そして、旧統一教会との関係は絶ったということで自民党自身がはっきり申し上げているところでございますし、そして、繰り返し申し上げているとおり、十月には解散命令請求を出し、そして現在は、御党も含めて協力して成立をさせていただきました被害者救済法の手続を進めているところでございます。本日、そろそろでございますけれども、それに基づきまして有識者会議を開催いたしまして、今後の指定の運用基準、その他、有識者の皆様にも御議論していただき、次のステップに対して粛々とやっているところでございます。

 私としては、しっかり自分の職責を果たしていくこと、それが、御指摘がありました校是、こういうものにも沿っていくものであるということで、嘉納治五郎先生は創設者のお一人ではございますけれども、嘉納先生始め同窓の方々に対しても胸を張ってしっかり行動で示していきたいと考えております。

梅谷委員 関係を絶たれたとおっしゃっていますが、もう一度お話しします。

 平和大使でいらっしゃる可能性がありますから、私はそう思っていますけれども、先方に辞表届を提出するでもしない限り、大臣はいまだに平和大使の可能性がある。いまだに旧統一教会関係の団体と関係を残す可能性のある人物が団体の解散を真に行うことができるのか大いに疑問だということを指摘し、そして、官房長官、是非お尋ねというかお願いしたいんですけれども、やはり、ここまで来たら、今日のやり取りを聞かれてさすがにお感じになられるでしょう、速やかに辞任されるべきと官房長官から総理に進言すべきではないかなと思いますが、いかがでしょうか。一言いただけますか。

林国務大臣 今文科大臣から御答弁があったとおりでございまして、しっかりと職責を果たしていただいている、こういうふうに認識しております。

梅谷委員 やはり、なかなかおっしゃりづらいんでしょう。

 質問にはしませんけれども、指摘です。これもうちの会派の方が一度触れていますが、二〇二二年三月の会合の写真、この週刊誌の、今日提示させていただいたデイリー新潮の写真の記事で、林官房長官が、前回の総選挙前、二〇二一年九月六日に教団関係者の訪問を受けたと報じられたのは御存じだと思います。長官は直接の所管ではないですが、内閣の要です。内閣の機密情報も扱う立場の方が、後からそう発覚して分かったということ、旧統一教会の関係者から千羽鶴を受けていたことは私は問題だと指摘をさせていただいて、次は税務調査についてお尋ねします。

 通告しておらないのですが、今朝の読売新聞で、先ほども質問があったかと思います、自民、還流分の納税検討との報道がありました。これは、裏を返せば、やはり脱税の人がいたということを表しているんだなと私は思います。

 そこで、早急にやっていただきたいんですが、改めて事実関係について、官房長官が御承知のことがあれば、先ほど以上の答弁が出るのか分からないですけれども、お答えいただけますか。

林国務大臣 委員お察しのとおり、先ほど御答弁したとおりでございます。

梅谷委員 報道ベースでは、不記載で使途不明などの場合には課税対象として税を納付させる案の検討に入ったとのこと。事実であれば一歩前進だと私も思います。

 ただ、対象となる範囲が、自民党の案に従い自主的に申告した場合と税務調査が入った場合とで違いが出る可能性がありますよね。この点をどのようにお考えになられているのか、お答えいただけますか。

林国務大臣 先ほど財務大臣からも御答弁があったとおりでございまして、納税等につきましては、先ほど財務大臣からあったように、政府の立場で個々の納税について言及するということは差し控えなければならないと思っております。

 また、先ほどの答弁の繰り返しになりますが、これは党務に関する事柄でございますので、お答えする立場にはないと考えております。

梅谷委員 政府が納税を促しながら今の御答弁は私は承知しかねるんですが、自民党議員がみんな早く自主申告しようとする制度にすることも大事ではないかなと思います。

 あしたから確定申告が始まります。一日も早く自主申告を促す制度とすべきですので、長官はこの点をどのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますが、党務に関する事柄でございますので、お答えする立場にはないと考えております。

梅谷委員 分かりました。一日も早くなることを期待し、次の質問に移ります。

 次は、二階元幹事長の書籍費についてお尋ねします。

 二階元幹事長の事務所が、昨晩、三千四百七十二万円分の書籍購入代についてペーパーを出されました。私もみっちり読ませていただきました。それによると、自身の活動や政策を紹介する本の購入、与野党の政治家等の著書の購入だったり、買った本は選挙区外に配ったと言います。三年間で二万七千七百冊、幾ら自身に関係する本の応援だとしても尋常な数ではありません。一年当たり九千二百三十三冊、一冊が厚さ二センチだとすると、積み上げれば五百五十四メートル。二階議員の事務所がどれだけ人を抱えていらっしゃるのか分かりませんけれども、本当に配り切れる数なのかなと私は疑問に思います。

 官房長官は二階事務所のこの説明をどう思われますか。

林国務大臣 それぞれの議員並びに関係者がそれぞれ政治資金報告書に記載をするということでございますので、それについては、それぞれの記載をされた方が説明をされるべきものと考えております。

梅谷委員 そういうふうにおっしゃるんですけれども、私は、総理も林長官も説明責任を尽くすことを関係者に求めていますよね、そう思います。私は、何かをすることを求めているわけではなくて、説明責任を果たすという点について率直な感想を求めて聞いておりますので、今後答弁するときには是非この点を意識していただければと思います。

 二階事務所の説明及び修正された収支報告によれば、二階事務所は、中和印刷紙器株式会社に対し、令和三年に二百三十一万円、令和二年に三十四万一千円分の書籍購入代を支払ったことになっています。他方で、この会社からは、自由民主党和歌山県第三選挙区支部に対し、確認できる限り、毎年二十四万円の寄附が行われています。当初から収支報告書に載っていた支出であればともかく、裏金の一部が政党支部を通じて表に還流される、これはまさに一種のマネーロンダリングと言えるんじゃないでしょうか。私はそう見えます。

 長官、このお金の動きについてどのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 先ほどの答弁の繰り返しになるかもしれませんが、それぞれの議員並びに関係者がそれぞれ説明責任を果たしていくべきものと考えております。

梅谷委員 長官、私はこれだけで断定するつもりはありませんよ、会社側は裏金とは知らずに巻き込まれただけかもしれませんし。だとしたら、なおさらあってはならないことだと思いませんか、長官。

 公表された五年分の三千五百二十六万円を三年間の書籍購入費でほぼ使い切ったという御説明も、私はにわかに信じ難いと思っています。三千五百万円分、二万七千七百冊を裏金で買って配るという行為をどう受け止めてよいかも正直分かりません。

 改めて、なぜこのようなことをしたのか、二階元幹事長の御説明を聞きたいし、そのためにも政倫審への出席をいただかなければならないとますます感じます。長官には、総理とともに、改めて二階元幹事長に出席を求めることを強く求めます。

 これで質問を終わりますが、質問できず、加藤大臣、申し訳ありませんでした。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて梅谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会の埼玉の沢田良と申します。

 まずもって、この度の能登半島地震においてお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。

 小野寺委員長、木原大臣、盛山大臣、そして委員部、関係省庁の皆様、本日もよろしくお願いいたします。

 災害対策における自衛隊の役割は大変大きなものというふうに考えております。担当大臣として、木原大臣は能登半島地震を知ったとき、どのように感じましたでしょうか。また、現時点までの自衛隊の震災復興対応についての所感を教えてください。

木原国務大臣 八年前に私も熊本地震を経験しました。その本震を自宅で、震度六強というのを体感をいたしました。その経験を踏まえると、今回、能登半島地震の発災直後、知ったときには、一刻も早く、一人でも多くの方を救助しなければならない、そういう思いを持ったところであります。

 そうした強い認識の下で、すぐ総理指示がありました。総理指示を踏まえて、直ちに人命救助を第一義とした活動を実施すること、また、あらゆる手段を活用した情報収集活動を実施することなどを指示したところであります。

 自衛隊の部隊は、道路網が寸断された半島部という、陸上からのアクセスが非常に困難な被災地の状況の下で、発災当初においては、緊急性の高い捜索救助のためにヘリや艦艇などにより即応部隊を派遣し、次いで、食料等の緊急物資の輸送などを実施しました。

 また、避難所や、今回の特性である孤立集落というものが非常に多いということもあり、その一つ一つを回って被災者のニーズ把握、そして、救援物資の提供、食事の提供や、水が非常にいまだに復旧が難しいということで入浴支援、衛生支援の実施など、被災地の多岐にわたるニーズに合わせて、迅速に、力強く活動を実施しております。現在も災害派遣は実施中であります。

 今も現場で全力を尽くしている自衛官たちを大変誇りに思っております。発災から六週間以上が経過しておりますが、被災地においては、水の供給や道路の移動など、いまだ困難な状況が見られており、防衛省・自衛隊としては、引き続き、被災者の方々に寄り添った活動を実施してまいります。

沢田委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり、こういった生の声、冒頭にいただいた言葉、私は一国民として、国会議員三年目となりましたが、本当に一月一日に多くの方から御連絡をいただきました。それに比べると、総理又は大臣を含めて、本当に多くの方が見えないところで大変大きな御尽力をいただいたということを、この場をかりて感謝をお伝えしたいと思います。

 今丁寧に説明をいただいたので、二番目の広報についてなんですけれども、私の方からちょっと簡単に説明をさせていただきたいんです。お手元にお配りした資料なんですけれども、この資料、まさに防衛省の情報発信のすばらしさ、私、これがすごく出ているというふうに思っております。

 どうしても、不安になるタイミングに、いろいろな方が体を動かさなきゃいけない、そういったことを考えたときにこそ、専門性があって、自分たちよりもそういった被災に対応できる人間が、こういう写真の状態で出てきてくれる。そして、これは一回、二回ではなくて、適宜ずっと更新をされ続けたんですね。

 この写真一枚を見ても、ストーリーが伝わります。自衛隊員を必要としてくれている現場の方々、地域の方々、こういったものを広報としてやっているということは、私は本当にすばらしいなというふうに考えております。

 吉田茂元首相が残された言葉として、君たちは自衛隊在職中、決して国民から感謝をされたり、歓迎されることはなく自衛隊を終わるかもしれない。非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労なことだと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡のときとか、災害派遣のときとか、国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。言葉を換えれば、君たちが日陰者であるときの方が、国民や日本は幸せなのだ。どうか耐えてもらいたい。自衛隊の将来は君たちの双肩にかかっている。

 この当時と今とでは、私は、安全保障環境の厳しさ、災害の激甚化など、自衛隊の必要性は大変比べ物にならない高まりを示していると感じております。防衛大臣の御認識を教えてください。

木原国務大臣 力による一方的な現状変更の試みの深刻化、あるいは北朝鮮の度重なる弾道ミサイルの発射など、我が国を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しく複雑なものというふうになっております。こうした安全保障環境に直面する中においても、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜く、これが我が国政府の最も重大な責務であろうかと思います。

 政府としては、国民の命や暮らしを守るために必要な防衛力の抜本的強化というものを決断したところであり、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務としている自衛隊は、防衛力の担い手としてその役割はますます重要になってきているというふうに考えています。

 防衛力の抜本的強化を着実に進めることによって我が国自身の防衛体制を強化するとともに、日米同盟による抑止力と対処力や、同盟国等との連携を強化することとしておりまして、その防衛力の中核たる自衛隊員というものは、国民の期待と信頼に応えるべく、昼夜を問わず厳しい任務を遂行しています。

 私としても、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜く、そういう決意の下で、防衛省・自衛隊の先頭に立って、引き続き我が国の防衛に全力を尽くしてまいる所存です。

沢田委員 これは、防衛予算が増額になったりと、増税ありきについては我々は違う意見もあるんですけれども、こういった部分においては、大変、装備であったり、予算がついている。ただ、やはり人がいなければ成り立ちません。昨年七月に防衛省・自衛隊が公表した人的基盤の強化に関する有識者検討会においても、自衛隊員のなり手不足について大きな危機感が課題として挙げられております。だからこそ、これを知ってもらうことは大変重要です。

 防衛省のホームページは、見やすさ、分かりやすさに多くの工夫がありまして、他省庁がやらない取組としても、キッズメニューもトップページにあるんですね。ほかの省庁は、そこまですぐ簡単に分かりません。こういった幅広い世代に知ってもらうための努力もまた積極的に行っていただいているというふうに感じています。

 ただ、これは、どんなに防衛省が頑張っても、そもそも子供たちの基礎的な認識や教育の部分に矛盾を感じる要素があったり、心ないネガティブキャンペーンがあれば、私は大きく足を引っ張られてしまうことだというふうに思っております。

 ちなみに、教育において、自衛隊と憲法、これについて記述しているのは、中学校三年生向けの公民、高校の政治・経済と現代社会になります。自衛隊は違憲であると断じるものは当然ありません。ただし、憲法九条と照らし合わせたときに、自衛隊は違憲ではないかと一部で批判的な見解を持たれている事実を紹介しているものはあります。

 また、自衛隊は人殺し集団、軍服を着て被災地に入ると、それだけで恐怖する人がたくさんいる、被災地に来るな、自衛隊は人殺しの訓練をしている、こういった心ない言葉が子供が見える場所にも散見されている現状もあります。

 二つ、大臣に質問させてください。自衛隊は合憲なんでしょうか。そしてまた、自衛隊のネガティブな言説、これをどのように感じられているのか、教えてください。

木原国務大臣 まず第一に、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織として、自衛隊は憲法に違反するものではありません。

 我が国が厳しい安全保障環境に直面する中で、自衛隊は、警戒監視、対領空侵犯措置、海賊対処活動、あるいは弾道ミサイル防衛、またさらには、現在行っている災害派遣もそうですが、多様な活動に日々取り組んでおりまして、多くの自衛官が昼夜を問わず厳しい任務を遂行しております。私は、大臣として、こういう自衛官を大変誇りに思います。

 ちなみに、令和四年の十一月に内閣府が行った世論調査というのがあるんですが、それによると、自衛隊に対して悪い印象を持っていると回答した方の割合が五・〇%であったのに対して、よい印象を持っていると回答した方の割合は九〇・八%となっておりました。自衛隊がこれまで積み重ねてきた活動というものは、国民の皆様に高い評価をいただいているのではないかなというふうに印象を持っております。

 今後とも、日々必要な活動にしっかりと取り組み、しっかりと任務を果たしていくことで、国民の皆様の期待に一層応えてまいります。なお、委員御指摘のように、活動が正確かつ十分に伝わるように、様々な広報媒体を駆使し、より積極的な広報活動に努めてまいります。

沢田委員 ありがとうございます。

 大変心強い結果というか、やはりやっていることをしっかり評価してもらえる雰囲気があるのが大事だと思います。

 ちなみに、自衛隊は違憲という言葉ですけれども、一九六九年に、北海道で自衛隊のミサイル基地を建設する計画をめぐり、裁判がありました。一九七六年、札幌高裁は住民の訴えを退け、自衛隊の設置は高度の専門技術的判断とともに、高度の政治的判断を要する最も基本的な政策決定であるため、司法ではなく政治に任せるべきという理屈であり、これを司法における統治行為論というふうに言います。その後、最高裁も上告を棄却。その後、高裁、最高裁が自衛隊の合憲、違憲を判断した例は一つもありません。

 私は、教育の子供たちへの影響を侮ることをしません。たった一行、たった一枚の写真が人生に大きな影響を与えることもあります。こういった写真もそうですね、先ほど紹介していただいた。こういったものを見るだけで、ああ、自分も自衛隊員になりたい、又はこういった方々に対する感謝を得る、この写真一枚でも伝えることはできます。

 私は、今の曖昧な教科書の表記の根本に目を向ける必要があるというふうに考えています。二つ方法があると思いますけれども、やはり両方憲法改正が必要だというふうに感じています。

 一つは、憲法九条を改正して自衛隊の明記をし、誰の目が見ても合憲とするということ。もう一つは、違憲だという方、是非考えていただきたいのが、憲法を加憲して、統治行為論に縛られない憲法裁判所の設置。これをつくることで、違憲の判断なのか合憲なのか、しっかり答えを出していく。この両方とも必要だ。ただ、どちらも進めていこうというのが、我が日本維新の会がちょっと声が弱いのではないのかというところについては危惧しております。

 当然、戦争したい、軍拡をしたい、これによって憲法九条を変えたいなんという提案をしているんじゃありません。国のために日々訓練に励み、命を懸けてくださる自衛隊の皆様、御家族の皆様に、現状、違憲などの負のレッテルを貼られた状態を一日でも早く正常化しなければならないと私は感じています。

 当然、そういったことが全ての自衛隊員の士気と誇りを持って働ける環境の整備につながり、安心して自衛隊員を目指そうとする人が増えればこそに、我が国の安全保障環境であったり、いろいろなものに対応する力というものが安定していくというふうに考えております。

 是非、本日参加の大臣の皆様、憲法改正、総理も大きな声を上げていただいております。我が国のために命を懸けて行動を続ける方々の存在を是非念頭に置いた上で、憲法改正の議論を先に進めていっていただければというふうにお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、今日、文科大臣、来ていただいてありがとうございます。

 さっきの教育に入るんですけれども、その前に、国務大臣として、日頃から自衛隊の方々に対する感謝であったり思いというものがあったら教えていただきたいんです。

盛山国務大臣 先ほど防衛大臣から詳しい自衛隊に対しての御説明というんですか、ありましたけれども、私も、自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、我が国の平和と安全の維持のみならず、世界の平和と安全の維持に大きな貢献をしている存在であると認識をしております。

 特に、今般の能登半島地震についてもそうですし、あるいは東日本もそうですし、私の選挙区でございます阪神大震災のときもそうでありましたが、そういったような救命救助、救援物資、こういったことをやっていただいていることに対し、多くの国民の方が感謝をするようになった。それは、吉田茂が発言した当時と大きく環境が今は変わっているというふうに考えます。

 私も、そのように、自衛隊あるいは防衛省の存在というのを心強く感じております。

沢田委員 大臣、ありがとうございます。先ほどから結構、ああそうだという感じで声をかけていただいていて、大変心強いと思います。

 自衛隊の方々の担っている役割を、今、学校教育、いろいろ変わってきていると思うんですけれども、どのように指導しているのか御紹介いただきたいのと、あと、是非、大臣、そういったことも含めて、自衛隊の方々、こういった役割を伝えることを文部科学大臣として更に努めていっていただきたいというふうに思うんですけれども。質問、よろしくお願いします。

盛山国務大臣 学校教育におきましては、従来から、中学校及び高等学校の学習指導要領等において、例えば、我が国の安全と防衛等について学ぶ中で、自衛隊の役割などについて学習することになっております。

 これに加えまして、先般の改訂、これは平成二十九年の改訂ですが、小学校の学習指導要領において、自然災害から人々を守る活動について学習する際、自衛隊などとの関わりを取り上げることと新たに明記をいたしまして、充実を図っております。

 こうした記述を受けて、子供たちが実際に使う教科書には、我が国の安全と防衛等において自衛隊が果たす役割や、災害時に実際に自衛隊が行った救助活動等について記載しているものがあり、こうした教科書も用いて子供たちに指導が行われていると承知しております。

 子供たちが自衛隊の担う役割について理解することは重要であり、文部科学省としては、今後とも、学習指導要領に基づき、各学校における指導がしっかり行われるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 私の地元はさいたま市南区というところなんですけれども、ちょうど事務所の近くに消防署があるんですね。消防署の目の前に幼稚園があるんです。そうすると、子供たちはいつも、消防隊員の方を見て、頑張れとか、そういう声を上げていただくのを見て、ああ、消防署の人たちに対して子供たちはこんなふうに動くんだなというのを、私も親になって初めて知りました。

 逆に、自衛隊の皆さんを子供たちが見える景色というのは本当に私は少ないなというふうに思っております。是非、教育の現場からそういった声を、こういった動きを更に広げていただけるよう御尽力いただければと思います。

 総理演説でも、自衛隊員の生活、勤務環境、処遇の向上に取り組みます、こういう言葉がありました。自衛隊員のなり手がずっと足りていない状況は続いています。私が所属する日本維新の会は、自衛隊員の待遇改善にずっと取り組んできた経緯がございます。なので、これを前に進めていくということについて、まずは大歓迎で、そして積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 もちろん、賃上げという言葉も、民間では大きく、政府全体で後押しをしていく。賃上げというのは、雇用環境の改善、ここも同時にしていかなきゃいけない、ハラスメントの対策も含めて。これはとても大事なことだというふうに思っています。

 その中で、いろいろな御紹介を受けたんですけれども、一つの取組として、営舎外居住許可基準の緩和を検討というものがございました。

 営舎外の人数というものが増えれば、当然、表に出る人が増えるわけですから、営内の人数は減ってしまいます。今、現時点でも自衛隊員の数というものは定員に達し切れていない、要は足りていない状態がずっと続いている、これから減ることすら想定していかなきゃいけないというまず前提があります。

 即応態勢の維持という観点において、営内監視要員、いわゆる営内残留なんという言葉も使われるんですけれども、この要員が少なくなってしまうのではないか。要は、一部、しっかりと対応するよと言えば、今度は、残っている方にしてみれば、私の仕事が増えるんじゃないか。そして、当然、残っている方は、自分たちの即応態勢の維持という役割をしっかり考えるからこそ不安が大きくなってしまうんじゃないのかというふうに感じているところがございます。

 また、少し細かい話になるんですけれども、この営内監視要員という役割なんですけれども、これは三曹や若手が中心になってしまうものがあります。当直というものはまた別にあるんですけれども、この当直という方は、自らの立場よりも、先ほど言った営内監視要員よりも偉い方がなるということが常々ということになっておりまして、その方に、要は、整備の手伝いなどをお願いと言われたら断れない、又は、これをやってくれよということがあればやってしまう、こういったことが慣例となっているということを、私自身、現場の人間から聞いたことがございます。これは手伝いや労働のためにいるわけではないということを改めて全部隊に通達して、改善が必要なのではないかというふうにも考えております。

 大臣、今お伝えした内容などを含めて、営内者の勤務環境の改善について必要性を感じられますでしょうか。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の営内監視要員につきましては、駐屯地における不測事態の発生に備え、一定数の隊員を勤務時間外に営内で待機させているものでございます。

 現在、自衛隊の全部隊の自衛官を対象といたしまして、勤務時間外も含めた勤務実態調査を行っているところでございます。この勤務実態調査等を踏まえまして、営内監視要員につきましても、過剰な負担が生じることがないよう、生活それから勤務環境や処遇の改善など人的基盤の強化のための各施策について、あらゆる選択肢を排除せず、有効な対策を講じてまいりたいと考えております。

沢田委員 大臣に、必要性だけ、一言いただければ。

木原国務大臣 まさに営内監視要員についても、過剰なそういう負担がないように配慮しながら、適正に勤務してもらうようにしっかりと努めてまいりたいと思っております。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 最後になりますが、今日は、自衛隊の皆さんの環境、これからについてテーマとさせていただきまして、是非最後に大臣の方から、これから自衛隊員を目指す皆さん、また……

小野寺委員長 沢田良君、既に時間が過ぎております。

沢田委員 はい、分かりました。

 ということを考えていただければと思います。

 じゃ、以上とさせていただきます。どうもありがとうございます。

小野寺委員長 これにて沢田君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の鈴木敦です。

 連日お疲れさまでございます。

 また、能登半島地震で被害に遭われた皆様にも心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 まず、災害について伺いたいと思います。

 災害はいつ起こるか分かりませんので、備えをすることは非常に重要だと思います。内閣府防災の方で事例集を作っていただいておりまして、日本で今まで起こった、地震にしろ、津波にしろ、あるいは水害にしろ、様々な災害の事例集を作っていただいていることを承知しております。非常にいい試みだと私は思います。何がどう起こって、どの地域で何が行われたかということが体系的に分かると、対処もしやすいですし、自治体の皆さんも防災計画、避難計画を立てやすいと私も思います。

 ただ、防災の方々もおっしゃっていますが、いかんせん使いづらいということもありますので、引き続き直していただいて使いやすくしていただくことはもちろんなんですけれども、一つ私は課題があると思っておりますのが、輸送物資、物資の輸送手段についてでございます。

 考えれば分かる話ですが、物を運ぶということは、陸海空それぞれで運ぶ必要があるわけですが、能登半島地震でも明らかになったとおり、船舶あるいは艦船を使った場合には、港が使えないといけません。

 内閣府が作っておられる防災計画、例えば首都直下地震ですけれども、首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画というものでは、必要なバースの数が設定をされています。あるいは、航空機に関しても、どこに着陸できるというのも細かく基準が決まっているので、運用できる場所が決まってきます。

 さらに、地震が発生したり津波が発生すれば、使えなくなる可能性も高いと思います。例えば、首都高湾岸線。多摩川トンネルが浸水した場合には、それは使えなくなりますね。ですから、今、防災計画の中で最もメインで考えられているのが陸上輸送ということになっていますが、トラックだけでは広域拠点まで持っていくことが困難であると私は思います。

 そこで、この防災計画で頭打ちされているのは、もちろん道路。道路、幹線については一つ章がありますね。あとは航空機と艦船あるいは船舶について書いてあるんですけれども、ここは、もう一つのアセットも頭打ちしておいていただく必要があると思います。それが鉄道ですね。

 鉄道で大規模に運送するという手段を、もちろん検討はしていると思いますけれども、具体的に明文化していただいて使いやすくする、あるいは考えやすくするということを国としても検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

松村国務大臣 首都直下地震が発生した場合におきましては、政府といたしまして、あらかじめタイムラインを明示するとともに、緊急輸送ルートや広域物資輸送拠点を示した具体的な計画を現在定めているところでございます。この計画では、被災した都県から具体的な要請を待たないで、いわゆるプッシュ型の支援ということで対応しているところでもございます。

 委員御指摘の鉄道に関しましては、平成二十五年に中央防災会議が公表した首都直下地震の被害想定におきまして、首都圏の鉄道は、発災直後に、橋脚や電柱、架線等に被害が発生し、全線が不通となり、発災から三日後の状況として、各路線は応急復旧作業中であり、不通のままである、こういった報告をされております。こうした被害の様相も見て、検討が必要であると承知をいたしております。

 いずれにしても、どういった対応が可能なのか、能登地震のときもそうでございますが、陸海空、あらゆる手段を検討いたしましたので、更に検討してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 あらゆる手段ということでおっしゃっていただいておりますが、計画の中では、例えば、航空機に関しては三百二十機、あるいは、艦船、船舶に関しては六十隻ということで計画が立てられていますが、大半が自衛隊機と自衛隊の船舶になっています。もちろん、これは一部の地域だけに使うわけにいきませんし、救急、応急あるいは救助のためだけではなくて、情報収集にも使わなければいけないし、ほかの用途もありますので、全てを運用することは困難だと私は思います。

 大臣の先ほどの答弁にありましたとおり、確かに、架線、不通になることは想定ができますが、それは電車が使えなくなるというだけです。東日本大震災の際にはディーゼル機関車を使って石油を運送したという事例もございますので、線路が使えるということが分かった時点で鉄道の運送も検討するべきだということは、計画の中に盛り込んでおいて明文化しておく必要が私はあると思います。そうすれば、自治体の方々は、政府の計画に入っていないから使わないではなくて、これも検討しなければいけないという方法を考え得ると思うんですよ。

 ですから、今おっしゃったことはもちろん分かります、架線や橋脚、どうなっているか分かりません、それは誰にも分かりませんから。ただ、運送ができるかどうか、やる方法を想定するべきかどうかということは是非明示していただきたいと思うんですが、これは大臣の御見解をいただけますか。

松村国務大臣 御指摘の点はよく分かっております。

 したがいまして、発災した場合には、やはりいろいろな状況を確認をして、対応ができるものにはしっかりと対応いただくような形が必要だろうと思っております。中央防災会議においても、有識者の方々がこういった御見解をなさっておりますので、不断の見直しを含めて検討してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 よろしくお願いします。

 もう一点、これは言うだけにしますけれども、先ほど申し上げた事例集については、自治体の方々にはDVDのような形で検索システムを配付されていると聞きました。国民の皆様にもこれは使っていただいた方がいいと思います。自分の地域で何が行われて、どう対処してくれるのかということが分かれば、国民の皆様は自分でやらなければいけないことが分かると思います。今は物だけをそろえてくださいとしか言っていませんので。何が必要で、何ができないかということを、分かりやすい仕組みの提供も併せて検討をお願いしたいと思います。

 次に参りますけれども、教育について伺いたいと思います。

 教育現場で、GIGAスクール構想という形で情報端末が配付をされていて、これは非常に奏功していると思います。私も出前授業で行ったりしますと、みんなパソコンを使っていますので。

 子供たちはすごくパソコンを使って勉強するのに慣れてきたんですが、一方、問題が一つ。教員の皆さんがICT化に追いついていないという問題があります。もちろんそれは、忙しいからです。

 例えばですけれども、一つの例を挙げれば、パソコンに余り慣れていない先生たちが、教頭先生たちが、紙で資料を用意してくださいと。でも、若い先生たちはみんなタブレットでやるということもあったりとか。先生方のデジタルに対する順応度というものも併せて上げていかなければいけないと私は思います。ただ一方で、先生たちは忙しいんです。これ以上仕事を増やすわけにはいかないんですね。

 ですから、ICT化、教育のデジタル化を進めていく一方で、先生たちの負担も減らしつつ、どうやって先生たちも一緒にデジタル化を進めていくか、そしてうまく運用していくかということの計画が必要ですが、文科大臣、計画はございますでしょうか。

盛山国務大臣 委員が御指摘された学校教育の情報化ということでございますけれども、御党にも御協力を賜りまして、令和元年の六月に学校教育情報化法を作りました。そして、翌令和二年度から徐々に始まりまして、今では小学校の一年生から全てのお子さんにタブレットが一人一台支給される、そういう状況になりまして、学校の教育現場は大きく変わりました。

 そして、今、鈴木先生御指摘の教員の問題でございますけれども、もちろん我々も、教師の方々にもやはり慣れてもらわないと困るものですから、そういうことにつきましては、令和二年度以降、予算づけですとか支援員ですとか、そういうことを含めて取り組んできたところでございます。

 全ての先生方が、生徒だけではなく、生徒の方は案外、子供で意外に早く慣れちゃうんですけれども、全ての先生方が端末とクラウドツールに慣れて使いこなしていただくことが大変大事であると考えており、端末の利活用の地域差、これは場所によって進んでいるところとちょっと遅れているところがあるものですから、これを早急に解消する必要があると考えております。

 このため、文部科学省では、令和五年度、今年度と令和六年度を一人一台端末とクラウド環境の日常的な活用に向けた集中推進期間と位置づけておりまして、取組を強化しております。引き続き、各自治体、学校における端末利活用の日常化に向けて、きめ細やかな伴走支援を行ってまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 先生方に対してデジタル化のよさというものをしっかり理解していただく、使いこなしていただくというときには、デジタル化すると業務が効率化になりますよということを、しっかりと文科省としてもPRをしていただきたいんです。

 例えば、私の母校ですけれども、出欠確認をフォームでやったりとか、あるいはエクセルを使っていろいろやったりとかということも、進めているところは、大臣おっしゃったように地域差がありますけれども、やっているところとやっていないところがありますので、押しなべてやっていただきたいんですが。

 文科大臣にもう一問伺いたいのは、どういったスパンでこのデジタル化を進めていくフローになっているのか。もちろん集中取組期間というのはあると思うんですけれども、どこまでにどれぐらいの成果を期待して事業を今運用されているのか、伺います。

盛山国務大臣 今、鈴木委員の方から御指摘いただいたとおり、クラウドツールを校務や研修でうまく使っていただいて、学校の業務の負担の軽減、効率化を進めたいと考えております。校務の効率化を通じてデジタルの便利さが実感されれば、自然に、授業だけではなく、先ほどおっしゃいました先生方の会合も含めてデジタルの活用が進んでいくのではないかな、そんなふうに思っております。

 ですから、いろいろな対策を進めているところでございますが、現在御審議いただいております令和六年度予算案についても、これらの取組に必要な経費を計上しております。

 先ほど、五年度、六年度が集中期間であるというふうに申し上げたところでございますけれども、教員の負担軽減、そして授業改善の両立、これをスピード感を持って推進し、そして、各自治体間の取組の差、こういったものもなくすように、きめ細やかな伴走支援を行っていきたいと考えています。

鈴木(敦)委員 ですから、締切りというか、最終的にどこまでにそれを実現していくのかという計画なのかを伺っております。

盛山国務大臣 取りあえずは令和六年度中にある程度進めていきたいと考えておりますが、御案内のとおり、今年度の補正予算で各地方自治体に基金を設けて、次の更新、こういったものもこれから進めようとしておりますので、そういったことも含めて、先生方の校務を含めての負担の軽減、うまく利活用していただく、こういったことを更に我々としても検討し、取り組んでいきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 全体的な計画を立てて、是非実現していただきたいと思います。

 最後に、私のライフワークですけれども、非正規雇用労働について伺いたいと思います。

 まず、一点確認させてください、厚労大臣。

 二年前、予算委員会の場で私が質問させていただいたとき、お隣にいられます加藤さんが大臣でしたけれども、非正規の方で、望む方の正規化を進める、まさに正規で進めるということをおっしゃっていただきました。この方針に変わりはございませんか。

武見国務大臣 全く変わりはございません。

鈴木(敦)委員 それから二年たちまして、非正規労働の方々に対するいろいろな税制とかキャリアアップ支援とかいろいろやっていただいていますけれども、これは私は奏功していると思いません。なぜなら、非正規雇用の労働者が増えております。もちろん正規化が進んでいるとは思いますけれども、昨年末、十二月時点での非正規労働者の数は二千百八十三万人、前年の同月に比べて三十九万人増加して、四か月連続で増えております。

 ここからは予算が絡む話ですけれども、今まで非正規から正規にするというために使ってきた予算と、それによって正規化が実現した人数、この費用対効果の検証はどうなさっていますか。

武見国務大臣 正社員化に取り組む事業主への助成金による支援であるキャリアアップ助成金の正社員化コースの二〇二二年度の支給実績、これだけは数字が今ございまして、これが約十・五万人。それから、ハローワークでの担当者制によるきめ細かな就職支援の結果、二〇二二年度の正社員の就職者数は四十九・一万人という数字が出ております。

鈴木(敦)委員 厚労大臣といたしましては、望む方の正規化を進める上で、この予算の規模と正規化が進んできた人数、これは妥当なものであると判断されていますか。

武見国務大臣 一人でも不本意で非正規社員であられる方の数は減らさなければなりませんから、それが完全に実現するまで、その政策というものは確実に実行しなければならない、そういうまず基本認識にあります。

 その上で、いわゆる不本意の非正規雇用者の割合というのが、二〇一三年から、このとき一九・二%あったんですね。これが、二〇二三年になりますと九・六%まで減少しております。これらの支援等については一定の政策効果はあったんだろうというふうには私は思います。

 実際に、この十年間で正規労働者の雇用者数というのは三百四万人増えておりますし、それから、不本意の非正規雇用者の方は、三百四十二万人いらしたのが百九十六万人と、これはマイナスの百四十六万人というふうに減っておりますから、その意味では、今のところ、傾向としては、その政策に一定の効果はある。ただ、それは、もっと徹底して行うことができれば、更に充実させる必要性があるというのが私の認識です。

鈴木(敦)委員 今ほどおっしゃっていただいたとおり、終わりはないので、これを継続していただく必要があります。

 労働力調査、総務省の統計ですけれども、労働力調査によれば、契約社員と嘱託は減っております。これはいいことだと思います。私も契約社員出身ですが、かなりきついので、これが減ってきたのはいいことだと思いますが、一方で、増えているのが派遣事業者からの派遣社員、これは十一万人増えているわけですね。

 こういった方々に対して、やはりどうやって正社員化していただくかということを取り組んでいかなければならないと思いますので、ここから先どういうスパンでこの政策を進めていくかというのは、計画的にやっていただかなきゃいけないと思います。

 今までの十年間の例をお示しいただきましたけれども、確かに一〇%減りました。ということは、このまま同じことを続けると、あと十年かかるんですね、不本意で非正規になっている方々を救うために。

 不本意で非正規をやっている方々の気持ちというのは、天候ですとか、株式市場とか、災害とか、そういうときに就職の時期を迎えて、大学を出たり、あるいは大学に入ったりする時期にこういったことが起こると、就職できなくなるんですよ。私もそうですよ。ですから、彼らを救い出すために十年かかるとは私は言いたくないんですよ。

 是非、厚生労働省として、どういうフローで、この非正規雇用、不本意で非正規雇用になった人たちを救っていくんだというのを計画を立てていただきたいんです。いかがですか。

武見国務大臣 まさにそうした目的を持って組み立てられた戦略的な枠組みが三位一体の改革になるわけであります。

 正社員化に向けて、事業主への助成金、これをまず支援する。それから、在職中の非正規雇用労働者に対するリスキリングを支援をする。さらに、ハローワークにおける、正社員職員に向けた、担当者によるきめ細かな就職支援を進めていく。さらには、今度は、育児とか介護等の両立のための非正規雇用で働いている方々にも、勤務時間や勤務地が限定されている多様な正社員という形を普及促進する。こういったことを全て総動員して、実現していくよう努力をするという考え方でおります。

鈴木(敦)委員 非正規雇用から正規雇用になるというのはどういうハードルだか、是非理解していただきたいと思います。

 最初から正規雇用でなっている人と非正規雇用から途中で正規雇用になった人とでは、経験もスキルにも差があるんです。スキルはリスキリングで何とかなるかもしれません。でも、経験だけはどうにもならないんです。そこに順応していくためには、これは一人ではどうにもならないんです。いきなり別の業界に入って正社員化しても、いきなり同じ仕事をやろうと思ったって、そんな簡単な問題じゃないんですよ。

 是非ここはお考えをいただいて、きめ細かなとおっしゃいますけれども、是非現場も見ていただいて、この難しさ、御理解をいただきたいと思います。

 もう一つ、最後になると思いますけれども、御質問させていただきたいのは、今回も、予算の配分として、非正規から正規雇用に対する予算配分がされていると思います。ほぼ前年と同額だと思いますけれども、どういう計画でこの予算を計画されたんですか。今までと同じだったら十年かかりますね。では、今回同じだったら、どれぐらいのスパン、計画されているんでしょうか。

小野寺委員長 厚生労働大臣武見敬三君、時間が過ぎておりますので、端的にお答えください。

武見国務大臣 はい。

 実際に私も埼玉のポリテクセンターに行きまして、そうしたリスキリングの成果を受けた方、それから、企業内の、改めて職業訓練に関わる支援体制というのを見てまいりましたけれども、実際に重要なのは、そうした地元のポリテクセンターは、地元の企業とそれぞれ緊密に連携を取りながらそうした仕組みを確実に実施していくということが、先ほど言われた正規社員につながるための一つの大きな方法だなということを認識をいたしました。

 したがって、全国的に、そうした職業訓練に関わるセンターというものが、地元の産業と緊密に連携しながらその役割を果たすように設計し、政策的に支援するということを、私はまだ拙い経験で視察した結果ではありますけれども、非常に強く認識した次第でございます。

 そしてまた、予算の件に関しましては、一気に大きく増やすことができなかったのは大変残念なことではありますけれども、その限られた予算の中で最大限、今まで御説明申し上げたことを実現していくという努力を進めていきたいと思います。

鈴木(敦)委員 よろしくお願いいたします。

 終わります。

小野寺委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、衆議院議員の阿部弘樹でございます。よろしくお願いします。

 まず初めに、法務大臣の指揮権について御質問させていただきます。

 時間の都合上、三番目の福祉避難所についての質問を繰り上げさせていただきたいと思っております。

 まず、法務大臣には指揮権がございますが、その前に、法務大臣にお尋ねします。

 なぜ裁判で判決に国民が従うのか、そのことについてお伺いいたします。

小泉国務大臣 これはいろいろ御議論があろうかと思いますので、私の個人的な考え方、感想でございます。あくまで個人的な見解でございますけれども、ルールの公平性、ルールの執行の公正性、こういったものが担保されていることが、やはり大きな遵法精神の、法秩序の源泉になっているというふうに常々感じているところでございます。

阿部(弘)委員 前の法務大臣は齋藤健、今の大臣でございます。

 裁判には、公訴であれば、検察、裁判官、そして弁護士、それぞれがいらっしゃいます。それぞれが高潔な、そして高い知識を持って臨む、そのことが法律の前での公平性を担保する。そのことだから、国民はその判決に従う。もちろん、三審制でございますが、裁判は様々受けることができますが、そういう高潔な姿勢というものに今の法治国家の基本があるのではないかと私は考えておるわけでございます。

 明治時代の官僚に、副島種臣外務卿、日清戦争のときに外交交渉をつかさどった、あるいは枢密院の副議長をお務めになった方でございます。その方の書というのは大変有名でございまして、明治の官僚を戒めるのに、濯纓濯足という孟子の漁夫の辞の言葉を引用してあります。

 濯纓という言葉は、澄んだ水で冠のひもを洗う、常に官僚たるものは濯纓であれということを述べてあります。濯足とは、よどんだ水で足を洗う、さすれば濁った水のごとくになる、そうであってはいけないという孟子の故事を引用しながら、官吏よ濯纓たれというふうにおっしゃってありました。まさに今、官僚や政府に求められるものは濯纓の精神だと私は考えておるわけでございます。

 さて、法務大臣でございますから、私は法務委員会の所属であるから法務委員会でこのことを聞けばいいというふうに思っているわけでございますが、法務大臣には、検察庁法に基づき、検察官を指揮する権限がございます。

 かつて、造船疑獄のときに、佐藤栄作幹事長を逮捕させまいと、指揮権を犬養健法相が悩んだ末に実施しました。犬養健法務大臣は、御承知のとおり、犬養毅元総理の子息であります。犬養法務大臣自身も、戦前、ゾルゲ事件に関連して警察、検察から逮捕されたことは皆様周知のことでございます。たとえ吉田茂首相が指揮権を発動せよと命令しても、なかなかそれに踏み切れなかった。しかし、結果として踏み切り、翌日辞職をされました。それが遠因となり、吉田茂内閣は四か月後、内閣総辞職をなさった。

 その造船疑獄についての見解を、法務大臣、お求めいたします。

松下政府参考人 お答えいたします。

 指揮権の問題についてのお尋ねと理解いたしましたけれども、法務大臣が検察当局の意に反する指揮を行うという意味での指揮権の発動ということでございますと、そのような例としては、昭和二十九年、いわゆる造船疑獄事件におきまして、当時の法務大臣が検察の捜査について指揮権を行使したことがあるものと承知をしております。

 そして、具体的な指揮権の行使につきましては、検察権が行政権に属することによる法務大臣の責任と、検察権の独立性確保の要請との調和を図るという検察庁法十四条の趣旨に鑑みまして、検察権の不当な制約にならないよう、極めて慎重に対応されてこられたものと承知しております。

阿部(弘)委員 大臣にお聞きします。

 法務大臣、検事総長、検事長の三長官報告、これは訓令に基づいて行われていますよね。重要事件については法務大臣に全て報告するんじゃないんですか。

小泉国務大臣 法務行政の最高責任者として、法務行政の執行に必要な範囲において検察庁等から報告を受けていることは事実でございますが、個別の事案については一切関与しておりません。

阿部(弘)委員 いや、個別のことを聞いているわけじゃないんですよ。ここに請訓規程が書いてある。内乱罪や外患罪、国交に関わる事案等、また、破防法などで違反があった場合には、指揮権を行使する、行使することがあると書いてあるじゃないですか。

 造船疑獄以降、あたかも指揮権を発動するということが戦前の統帥権の侵犯に当たるかのごとく、議論されることは余りありませんでした。

 しかし、尖閣列島沖に中国国籍の漁船が、船長が逮捕された事件を皆様御承知だと思います。逮捕された後、すぐに、裁判を受けることなく釈放された。これはまさにこの請訓に基づく指揮権の発動だというふうには、書物に書かれてあります。

 また、ロッキード事件、この際の二人の法務大臣は、第一審で無罪が出れば控訴をしないということ、それも指揮権の発動に当たるわけでございます。

 また、国会議員を逮捕する、このことも重大事件でございますから、先ほどの三長官会議の議題に上ることは当たり前でございます。今回、議員が二人、そもそも議員二人じゃないですね、もっといっぱい逮捕されましたが、大臣になられてから、その報告はありましたか。

小泉国務大臣 報告は受けております。

阿部(弘)委員 千葉景子法務大臣は、法務大臣には指揮権がありますよと常々おっしゃってありました。

 実際に陸山会事件ではこの指揮権が発動されることはありませんでしたが、日常的に、法務省内では、法務大臣の権限というものは、検察庁法十四条の指揮権というのは、常に、私は今までの記録を見ると、行使があったんじゃないかというふうに推察されます。

 皆様、先日、桐島聡さんという方が、容疑者とおぼしき方が逮捕されましたが、あの連合赤軍事件、様々な事件で、超法規的措置で矯正施設である刑務所から出獄された。あの事件であっても、矯正施設を所管するのは法務大臣ですから、法務大臣の指揮権が発動された。いかがですか。

小泉国務大臣 個別の案件については、お答えを差し控えたいと思います。

阿部(弘)委員 そのくらい勉強しておいてくださいよ。指揮権の、事前通告しておるんですから。特に有名な事件ですよ。

 要するに、海外との事案で法務大臣が指揮権を発動する、そういうことは造船疑獄以降も何度も行っている。

 では、大臣、聞きますよ。前の、十二月十二日の参議院の石川大我議員の質問で、法務大臣、キックバックを受けたとお答えになってありますが、キックバックを受けたんですか。

小泉国務大臣 これは法務委員会で御答弁をさせていただきましたが、パーティー券の目安を超えた分について、志帥会、私が所属しておりました二階派、志帥会から寄附を受けたことはあります。それは事実です。

 しかし、寄附の支出も寄附の受取も収支報告書にきちっと明記をされております。明記をいたしました。

阿部(弘)委員 それから、二階派へ捜査が入る、安倍派にも捜査が入る。十二月二十日には大臣は二階派をお辞めになってありますね。

 そもそも、派閥の意向で大臣は法務大臣になられたんじゃないですか。政務官も二階派から出ている。それを予期するための人事じゃなかったんですか。

 だから、大臣は言っていますよ、記者会見で。誤解を招かないよう退会させていただきたい。この誤解というのは何なんですか。そしてまた、二階会長から、職務に専念してもらいたいと。あたかも、大臣権限で、しっかり漬物石みたいに、ずっと居座ってほしいと。みんなが仕事をやりにくいじゃないですか。(発言する者あり)いや、逮捕されたんですよ。派閥の事務責任者、秘書も逮捕されたんですよ。

 そういう報告を受けながら、あなたは、大臣は辞めない。二階会長から、職務に専念してもらいたいとお言葉がありました、お言葉ですよ。兄弟杯を受けて、そして契りを結んだんじゃないですか。(発言する者あり)

小野寺委員長 阿部君、質問でしょうか。

 御静粛にお願いいたします。

阿部(弘)委員 そのお言葉というのは何なんですか、その誤解というのは何なんですか、あなたが記者会見でしゃべった言葉。

小泉国務大臣 誤解の意味はかなり範囲が広いと思いますが、検察の独立性、公平性に対する疑念、こういったものが湧かないように、退会させていただきました。

阿部(弘)委員 いや、このときのマスコミは、このことが本当に議題になる、世間の耳目を集めるということですが、余りこのことを質問することがないものですから。また法務委員会では質問したいと思いますけれども。

 もう一つ重要なことがありますから、大臣、済みません、尻切れトンボになりますけれども。

 福祉避難所について御質問させてください。

 福祉避難所、輪島市では、二十四か所あるうちの十か所しか機能していない。それはどうしてですか。

松村国務大臣 まず、被害の大きかった七市町につきましては、災害発生前、福祉避難所として指定又は協定を締結していた施設は八十三ございました。

 二月十四日現在では、福祉避難所として開設されている施設は二十六施設、二百二十五人の方が避難をなさっておられますが、これは、福祉避難所も大きく被害を受けたほか、いわゆる担い手となる福祉施設の職員の方々も被災をしていることなどがございました。したがいまして、予定をしていた開設が困難なケースがあったものと承知をいたしております。

阿部(弘)委員 このことは、災害対策基本法に、新たになって、令和三年に規則ができまして、健康な方々の、障害がない方々の避難所というのはもちろん設置されるわけですが、社会的な弱い立場の福祉避難所というものが、まだ計画もない離島や僻地にもあるということで、今、輪島では二十四か所中十か所しか開設できなかったという話なんですが、能登半島全体ではもっと違う数字も勉強会で出てきましたけれども、お話しいただけますか。

松村国務大臣 先ほど申し上げましたが、七つの市町におきましては、施設が八十三施設ございましたけれども、二月十四日の時点では二十六施設というふうになっております。

阿部(弘)委員 神経難病、例えば筋萎縮性側索硬化症、あるいは人工透析の方々については、被災した場合にはそういう福祉避難所に避難するしかないんですね。そして、一刻も早く近隣の大都市に、治療を受けられるような施設を造らなきゃいけない。

 だから、もちろん大変な災害であったわけですが、そういう社会的な弱者の福祉避難所についてもいち早く整備して、そして、ガイドラインが新しくなったんですよ。従来は福祉避難所というのが一くくりでつくられてありましたが、障害特性に応じて福祉避難所を設けるようにということで、僻地や過疎地にはなかなか整備ができない、今回そのことが浮き彫りになったものですから、そのことにも、今後とも、大臣、是非とも決意を、そういうことじゃいかぬということをおっしゃられてください。お願いします。

松村国務大臣 委員におかれては、ドクターでもあられますので、この分野については知見がたくさんあられることと思います。

 熊本地震のときにも、福祉避難所という概念がまだ定着していなかったときに、一般の方々も来られて支障が生じたということもございました。それをもちまして、令和三年五月には、受入れ対象者を特定して公示する制度を創設もいたしております。

 引き続き、やはり要支援者の方々、しっかりと避難ができるように支援をしてまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 東京都でさえ、離島、過疎地、過疎地というのは、離島はそうかもしれません。一〇〇%の整備ではありませんので、是非とも都道府県と協力して整備に努めていただきたいと思いまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会・教育無償化を実現する会の住吉寛紀でございます。

 まず冒頭、この度の能登半島地震によりお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞い申し上げます。

 最初に、政治と金の問題でもクローズアップされた企業・団体献金についてお尋ねいたします。

 今回の問題では、幾つか問題があると思っておりますが、その一つとして、企業や業界団体からの献金によって政策の意思決定がゆがめられているのではないか、そういうことを国民が疑いを持ってしまっているというのがございます。

 昨年の五月十九日の財務金融委員会において、私が質問させていただきました。鈴木大臣、覚えていないと思いますが、資料をつけさせていただいております。

 資料一を御覧ください。

 これは防衛費の財源確保法の審議のときだったと記憶しております。その一つの手段として、防衛版ふるさと納税の創設、これを提案させていただいたわけですが、その際、鈴木大臣の答弁は、難色を示したわけでございます。

 その理由として、一部の企業、例えば、防衛装備品を受注した会社が多額の寄附をするなどの場合があった場合に、結果として、行政の公平性に疑いを持たれるようなことにならないかといった課題もある、このように答弁されております。

 これは何を基にしているのかと調べたところ、資料二の、かなり古いんですが、昭和二十三年一月三十日に閣議決定されたことが基になっていると推察されます。

 これの内容は、官公庁が寄附を受けると行政措置の公平に疑惑を生じる可能性があるから寄附を受けない、そういうものでございますが、まず確認ですが、今も同様の考え方であるという認識でしょうか。鈴木大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 財務委員会におきます先生の御質問はよく覚えております。

 そして、その考えは変わっておりません。

住吉委員 であるのであれば、政策の意思決定に関与する政治家も同様ではないかと考えます。

 日本維新の会は、二〇一九年に企業・団体献金禁止法案を提出しております。その趣旨は、献金を受けた企業、団体のための政治ではなくて、国民全体にとって好ましい政治を行い、国民から疑念を持たれないようにするためです。それは、もう七十年以上も前に閣議決定された理念と同じだと考えております。

 この政治と金の問題、これは今に始まったことではございません。記憶に新しい衆議院議員の秋本真利氏は、特定の企業に有利になるように制度を変更し、その見返りにお金を受け取った事件がございました。これは種類は違いますが、国民はそのような目で見ております。

 企業・団体献金は政党支部も含め禁止する、また、抜け道的に政治家に献金することも禁止しなければ、大臣が過去に答弁したことと整合性が合わなくなるのではないかと考えますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 財務金融委員会での私の答弁でありますが、それはあくまで行政に求められる中立性、公平性の観点からお答えをしたものでございます。

 一方で、企業・団体献金の在り方につきましては、政党、政治団体の政治活動の自由と密接に関連する問題でありまして、民主主義のコストを社会全体でどのように負担していくかという観点も踏まえつつ検討されるべきものだと認識をいたしております。

 そして、先生への前の答弁と、企業献金を肯定するといいますか、それとは矛盾するのではないかという御指摘でありますけれども、防衛寄附金と企業献金とを比較した場合でありますけれども、防衛寄附金の場合でありますけれども、参加意識を高めるために国への寄附金を募った場合、半強制的となる性質を持ち得るものにならないか。つまり、例えば町内会なんかに奉加帳が回って、一家族五百円になっていますみたいなことが起こり得るのではないか。また、使用目的が限定された寄附である場合、それに深く関連する寄附者によって行政プロセスの公平性が毀損されるとの疑念が生じるおそれがあるのではないか、こういうことが考えられるわけであります。

 一方、企業献金は、企業の政治活動の自由の一環として行われているものでありまして、また、その使用目的が限定されているものではなく、広く政治活動のために使われることが想定されていることから、同列に扱われるものではない、そのように考えているところであります。

住吉委員 同列に扱われるものではないということでございますが、やはり企業から献金をもらって、寄附でもいいんですが、もらって、政策の意思決定に影響を及ぼす、それは仮に及ぼさなかったとしても、そういう疑いが、国民から見られるのではないかというのがこの閣議決定の理念だと思っております。

 行政と政治家、少し性質が異なるというのであれば、行政に求められることであれば、特に政策の意思決定に及ぼす、例えば大臣、副大臣、政務官においては、行政側ですので、率先して実行したらどうかと思います。我々日本維新の会はこれを実際にやっておりますし、これは制度を変更しなくても、自分たちでやると決めたらできるわけでございます。閣僚からスタートする、そういうことを総理に提言すること、そういうことは、お考えはございませんか。

鈴木国務大臣 政治資金の取扱い等につきましては、ルールに従ってしっかりやらなければいけないと思っております。

 現状のルールにおきましては認められているものには、閣僚といえどもそのルールに従ってしっかりと対応するということでありまして、もし各会派の話合いの中でルールが変更されて、そうすればもちろんそれに従う、そういう思いでおります。

住吉委員 日本維新の会も、維新版政治改革大綱を取りまとめて、これからそれの実現に向けて様々な法案を提出する予定となっております。しかし、これは本来、政治家のモラルが高ければ、こんなことをする必要がなかったのだと思っております。

 私も尊敬する、ラグビーの日本代表選手や監督も務められた故平尾誠二さんは、このようなことを述べております。

 強いチームというのは、指示されたとおりに動くだけではなく、各々がイマジネーションを膨らませて、それぞれの状況に応じて何をすればいいかを考え出すチームです。これからは特にそういうことが求められてくると思いますね。ルール作りも大事ですが、本当は一人一人のモラルが少し上がれば、チームは物すごくよくなるんです。決め事をたくさん作るチームは、本当は余りレベルの高いチームではないんですね。このようなことを述べられております。

 これはラグビーのチームの話ですが、今の国会に当てはめると、我々も含めて、日本の政治家のモラル、レベル、これが低下している、そして、そういったルールを決めていかなければならない、そういう状況に陥っているのだと思っております。これは全員が危機意識を持って取り組んでいかなければならないと思っております。決まったことを待っている受け身ではなくて、是非、率先して実行していただきたいと思います。

 この質問はこれで終わって、次の質問に行かせていただきます。

 次に、能登半島地震に関してお尋ねいたします。

 能登半島地震の被害の全貌はまだ明らかになっておらず、復旧復興のめどは立っておりません。また、報道を見るに、大変大きな被害を受けており、今後も多額の費用が必要になってくるということは容易に想像がつきます。

 災害というのは、いつ、どこで起こっても不思議ではありませんが、発災した自治体が運が悪かっただけでは当然済まされません。今回の地震の被害を受けた自治体は小規模な自治体も多く、そのような自治体が復旧復興の費用を長期にわたって捻出することによって、自治体の財政が悪化し、住民に対する行政サービスが低下するというのは、少し違うのではないかと思っております。

 東日本大震災のときは、自治体負担がほぼゼロでした。あの地震とは状況が違いますが、なるべく自治体負担を減らすことを検討すべきだと考えますが、政府の御見解をお願いいたします。

松本国務大臣 御指摘のとおり、被災自治体の行財政を支援するのが私どもの大変重要な使命であると認識をしており、応援職員を送り込んで人員の面で御協力したり、財政的にも、一月九日に特別交付税の繰上げをさせていただくことを始め、順次、財政的にも支援をさせていただいているところでございます。

 今回の能登半島地震につきまして、被災自治体の財政負担を軽減することとして、例えば、市町村が実施する災害廃棄物処理事業、これはかなり大きなものとなってくるんですが、これにつきまして、二分の一の国庫補助が講じられた上で、地方負担の九五%に交付税措置を講ずることといたしまして、さらに、これに加えて、現在、環境省において、更なる負担軽減策についても検討をいただいているものと承知をしております。

 また、国庫補助を受けて実施する公共土木施設の災害復旧事業については、激甚災害指定に伴い補助率のかさ上げが行われ、地方負担の全額に充当可能な地方債の元利償還金の九五%に交付税措置を講じることによりまして、実質的な地方負担は相当程度軽減されていくことが見込まれているところでございます。このように、地方負担はできるだけ少なくいたしております。

 残る地方負担もございますので、被災自治体の財政運営には全体として支障が生じないよう財政支援を行ってきているところであり、これからも努めてまいりたいと考えております。

住吉委員 是非お願いしたいと思います。

 総理も、切れ目なく、できることは全てやるとおっしゃっております。被災した自治体が長期にわたって財政的に苦しむというのはあってはならないことだと思いますので、是非とも、自治体に寄り添ったきめ細かい対応をよろしくお願いいたします。

 そして、被災した自治体が長期にわたって財政的に苦しんでいるというのが兵庫県でございます。松本大臣には説明するまでもなく、この課題は十分認識しているわけですが、インターネット中継もありますので、少し説明させていただきます。

 今から二十九年前に、兵庫県に大きな地震が襲いました。今、神戸を歩くとほとんど地震の爪痕はありませんが、いまだに兵庫県、また神戸市、芦屋や西宮市もそうですが、財政的な爪痕が残っております。

 資料六には、今年一月十七日の毎日新聞の記事、これが分かりやすいと思ってつけさせていただきました。是非皆様も読んでいただけると幸いです。

 少し説明しますと、阪神・淡路大震災からの創造的復興のために、事業総額約十六兆三千億円の復興計画を立てて、そのうち兵庫県の負担は約二兆三千億円、これは当時の兵庫県の一般会計と特別会計を合わせたほぼ同等の額ですので、一年分の事業を全て県単独で行う、これと同じような負担を負ったわけです。一兆円もあったいわゆる貯金を、県債管理基金を取り崩して、更に一兆三千億円の県債、借金を負ったわけで、それが毎年約三百億円以上もの返済、これが、他の都道府県にはない負担が重くのしかかったわけでございます。

 その間、兵庫県は投資的な事業を相当に抑制してまいりました。その尻拭いというのは、言うまでもなく県民です。本来ならやった方がいい事業や行政サービスも、財政的な理由で、あれも駄目、これも駄目という形で抑制されております。

 そして、この震災関連県債については、あと十年近く返済していかなければなりません。これは神戸市も同様です。

 国が財源確保する特例法、これを早期に成立させていただいたことには感謝しております。一方で、東日本大震災においては、ほぼ一〇〇%を国が負担するスキームとなっております。

 毎年兵庫県からも要望がありますが、阪神・淡路大震災の関連の県市債残高の負担軽減について措置をしてほしい、そういう要望が出ております。

 これは長年の兵庫県民の願いでもございますが、この点について、松本大臣の御所見をお伺いいたします。

松本国務大臣 東日本大震災について言及がございましたが、御承知のとおり、東日本大震災につきましては、復興財源について、時限的な税制措置などにより確保した上で、地方の復興財源について地方交付税を別枠で手当てしたことなどを踏まえて、東日本に係る地方財源の措置がなされているところで、いわば東日本大震災独自の方式であろうかというふうに思っております。

 その上で、阪神・淡路大震災の復旧復興に関してでございますが、私自身も当時、現場に何度も赴かせていただいてきたところでございますけれども、まさに阪神・淡路大震災において創造的復興を掲げ、復旧に全力で取り組んだ後も、更に前向きの投資を積極的に展開された。それに対して、震災関連県市債で資金調達をし、いわば投資的な取組もなされたというふうに考えておりますし、また、その投資も効果を上げてきているものというふうに考えておるところでございます。

 もちろん、阪神・淡路大震災からの復旧復興につきましては、できる限り被災団体の財政負担を軽減するために、様々な措置が講じられております。

 具体的には、国庫補助事業について、地方負担の全額に充当可能な地方債の元利償還金の九五%に地方交付税措置を講じるとともに、災害対策債などの元利償還金や、土地区画整理事業等に係る地方債の元利償還金に対する地方交付税を引き上げるなどの措置を取ってきているところでございます。

 兵庫県におきましても、既に、おっしゃったように、当初は財政再建期間ということで抑制的な財政運営をしていた時期があったと承知をしておりますが、財政再建を成し遂げたというふうに宣言をされて、今は積極的にまた様々に取り組んでいるというふうに理解をいたしておりますが、地方の行財政を支える総務省としては、これからも、被災された自治体の財政負担の軽減という視点からも、地方債の元利償還金について今後も確実に地方交付税措置を講じるとともに、全体としても各地域の自治体の行財政を支えてまいりたいと考えております。

住吉委員 これまでの答弁とほとんど同じような答弁だったと思いますが、この課題については問題点を共有していると思っております。

 一月三十一日だったと思いますが、本会議の代表質問で自民党の渡海政調会長が登壇された際には、阪神大震災のときのことを振り返ったときに、言葉が詰まっていたのが印象的でした。私も震災で親族を亡くしましたし、また友人も亡くしました。心の傷というのは一生癒えることはないだろうなと思っておりますが、財政の傷は、政治の力、もちろん全国民の理解がないといけないわけですが、しっかりと財政の傷というのは塞いでいかなければならないと考えております。

 この件は、党派関係なくオール兵庫で進めていきたいと思いますし、また、所管の大臣である松本大臣が先頭に立って進めていただきたい、これを切に要望して、この質問を終わりたいと思います。

 大臣には、この質問で終わりですので、御退席いただいて結構でございます。

小野寺委員長 松本大臣は御退席いただいて結構です。

住吉委員 今回の災害において、自衛隊員の献身的な活動というのは、非常に頭が下がる思いでございます。国防のみならず、災害復旧復興に大きな役割を果たして、改めて、この国に必要なんだということを認識させられました。

 その自衛隊員に関してですが、靖国神社参拝がございました。それについてお伺いしたいと思います。

 当然、自衛隊の幹部が、この国の安寧、さらには部隊の無事を祈って参拝するということに、私は何の問題があるのだという思いはございます。

 ちょっと時間がないので、通告の一つ目は省かせていただきますが、二つ目の質問についてお尋ねします。

 資料七の新聞記事、これはしんぶん赤旗の記事でございます。別に赤旗をどうこう言うわけではないんですが、参拝を終えた陸上幕僚副長の姿が写真に撮られております。

 これは、たまたま靖国神社にいたカメラマンが撮影したとは考えにくく、この日、この人が靖国神社を参拝するという情報が外部に漏れていた、陸上自衛隊ナンバーツーの行動が外部に筒抜けだったという可能性は排除できないのではないでしょうか。また、記事の内容じゃなくて、この写真を見ていただきたいんですが、スーツ姿で、多分、私が見ても気づかないんじゃないかなと思っております。

 そういった意味で、日本の防衛の要である秘密情報が簡単に漏えいするというのは国防上重大な危機であると考えますが、この点について、防衛大臣の見解をお伺いいたします。

木原国務大臣 一般論として申し上げれば、我が国の防衛を任務とする防衛省・自衛隊としては、委員の御指摘の情報というものを適切に管理すること、これは極めて重要であるというふうに考えております。

 他方で、御指摘の報道につきましては、報道機関がいかなる取材活動に基づき報道を行ったのかというのは承知はしておりません。

 いずれにしましても、防衛省・自衛隊が我が国の防衛という任務を果たすためには、適切な情報管理が必要であるということは当然でありまして、仮に情報漏えいが発覚した場合には、事実関係を確認した上で、判明した事実関係に基づいて、この点は厳正に対処しなければいけないというふうに思っております。

住吉委員 非常に危機的な状況だと思っておりますので、しっかりと対応していただきたいと思います。

 安全保障に関わることについて、次の質問に移りたいと思います。

 日本のEEZ内に漂流したブイへの対応についてでございます。

 七月に、中国が東シナ海の日本の排他的経済水域内に大型のブイを設置しました。それから半年以上が経過しております。そのブイは設置されたまま、状況に変化はございません。

 また、先月二十九日は、日本のEEZ内でブイが漂流しているのを海保が発見し、付近にいる船舶の安全のために航行警報を出し、御丁寧に発光物を取り付けたというふうに聞いております。その後、海底に沈んでいったというふうに聞いております。結局それは何だったのか、何が目的で、実際に国民にどのような危害の可能性があるのか不明のままというふうになりました。

 昨年の十一月十九日のテレビ番組で、今の林官房長官が、中国に通知せずに撤去できるとの考えも述べております。自分の家に他人がよく分からないものを設置して、これをずっと放置していくというのは、そういう人はほとんどいないと思います。

 我が国の安全保障に関わる可能性のある重大な事案、この撤去や、独自でブイの調査をする必要があると思いますが、外務大臣の見解をお伺いいたします。

上川国務大臣 御指摘の中国による当該ブイの設置でございますが、一方的な現状変更の試みでありまして、全く受け入れられず、日本側からは、直ちに抗議をするとともに、昨年十一月には、日中首脳会談で岸田総理から、また、日中外相会談で私から王毅部長に対しまして、直接、ブイの即時撤去を求めております。にもかかわらず、現時点で現場海域の状況が改善していないということについては、極めて遺憾と考えております。

 あらゆる機会を捉えまして、中国側に対しましてブイの即時撤去を強く求めていくとともに、現場海域におきましての必要な警戒監視及び状況の把握、また、様々な角度からの調査分析を行ってまいります。

住吉委員 早急に対応をお願いいたします。

 これで終わります。ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて住吉君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 子育て支援の財源についてお伺いします。

 一・一兆円の医療、介護の公費負担の削減を充てるとなっているわけですね。

 昨日、岸田総理は、この二年の歳出改革、医療、介護で三千三百億円、加入者一人当たり百五十円、保険料の伸びを抑えた、こういう発言がありましたけれども、それでやられたことというのは、七十五歳以上の医療費の窓口負担の二倍化であります。一人当たり二万六千円の自己負担増、総額でいえば一千億円の負担増となったわけですよね。

 厚労大臣に伺いますけれども、来年度の予算案では、先発医薬品の価格の一部が保険給付から外れ、全額自己負担になります。また、介護報酬改定で、老人保健施設と介護医療院の室料負担の見直しがあります。さらに、改革工程表の中にある介護保険の二割負担の対象拡大では、昨年、年収百九十万円まで対象を拡大した場合の給付影響額の試算が示されました。

 それぞれ、公費負担の削減額と利用者の自己負担増の総額は幾らになりますか。

武見国務大臣 幾つか御質問がありますので、それぞれにお答えさせていただきますが、まず、長期収載品に関わる分野、薬価におけるイノベーションの更なる評価などを行うために、令和六年十月から導入を予定しております一定の仮定の下、令和六年度予算案で満年度化した場合の国費影響額を約百十億円と見込んでおります。

 一方で、改定による患者行動の変化が見込まれるために、委員御指摘の公費や自己負担への影響額の正確な算定は実際には困難であります。

 そのほか、介護報酬の方も御説明をいたしますと、事実上の生活の場として選択されている一部の介護老人保健施設等において、在宅サービスを受ける方との負担の均衡を図るため、一定の室料負担をお願いすることといたしました。令和七年八月に開始することから、現時点で正確な数値、これをお答えすることはできませんが、一定の仮定を置けば、委員御指摘の額は、共に満年度化した場合に、おおよそ数億円程度と見込まれております。

 介護保険の二割負担の在り方については、昨年末に閣議決定した改革工程に従って、第十期介護保険事業計画期間が開始する二〇二七年度前までに、丁寧にこれから検討していくことになっておりまして、現時点で具体的な見直しの内容が決まっているわけではありませんので、御指摘の額を今現在お示しすることは難しいと思います。

宮本(徹)委員 何かいただいているメールと随分違う回答が来ているんですけれども、選定療養費の自己負担は百八十億円増えるというのをお話でいただいているわけですよね。先発医薬品ですね、選定療養費の自己負担が百八十億円増える、国庫の負担は百十億程度だという話でございました。それから、介護保険の二割負担については、昨年の試算では給付影響額が八百億円あるということですから、単純に言えば、自己負担が八百億円増えて、公費は四百億円削減されるという話なわけですよね。

 医療、介護の公費の削減、一・一兆円削減したら、物によっては、公費削減額よりも大きな自己負担が生まれるものもたくさんあるわけですよね。そうすると、これはとんでもない負担増になるんじゃないかというふうに思いますが、一・一兆円医療、介護の公費負担を削減したら、一体全体、医療や介護の利用者の負担増というのは最大どれぐらいになりますか。

武見国務大臣 歳出改革の具体的な内容についての改革工程表でお示しをしているところ、人口減少に対応していく観点であるとか、一人一人のニーズに的確に対応して必要なサービスを受けることができる体制を確保していく観点から、サービス提供側の質の向上と効率化、例えば医療提供体制の効率化や介護分野におけるICT化の活用など、幅広い取組を視野に入れております。

 歳出改革として実施する取組については、二〇二八年度までの各年度の予算編成過程で検討、決定していくこととしておりまして、その影響を含めて、現時点でお答えすることは実際には困難であります。

宮本(徹)委員 結局、自己負担がどれぐらい増えるのかということも何の試算もしていないというお話なんですけれども、一・一兆円医療や介護の公費負担を削ったら、本人の、医療、介護の利用者の負担はべらぼうに大きくなるとはっきりしているわけですよ。

 閣僚の皆さんは、実質的な負担は増えない、増えない、こういう話をされるんですけれども、それは社会保険料についてだけの言及なんですよね。国民にとっては、利用料が増えて、負担は増えるんですよ。医療や介護の利用者の負担を大幅に増やそうとしながら、実質的負担は増えない、こういう言い方というのは、加藤大臣、まやかしなんじゃないですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の加速化プラン実施のための子供、子育て予算の財源確保に当たりましては、今回、増税という手法を取るのではなく、歳出改革を徹底し、既定予算の最大限の活用を図るとともに、支援金についても、歳出改革と賃上げによって社会保障負担額の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築することで、全体として実質的な負担は生じないこととしております。

宮本(徹)委員 歳出改革で負担は増えるでしょう。

加藤国務大臣 支援金制度は、児童手当の抜本的拡充など加速化プランで新設、拡充する施策に充て、切れ目のない支援を実現していくための子供、子育て政策の抜本的強化に充てる安定財源の一つとして導入をされるものであります。

 子供、子育て政策の財源は、まずは徹底した歳出改革で確保することをおっしゃるとおり原則としていまして、この歳出改革と若い世代の所得向上策の一環として取り組む賃上げにより実質的な社会保険負担軽減効果が生じることから、その範囲内で支援金制度を構築してまいります。

宮本(徹)委員 ちょっと、聞いたことに答えずに、全然違うペーパーを読まれるのは困るんですよね、十分しかないのに。

 歳出改革で自己負担が増えるのは間違いないですね。一言、武見大臣、それは増える部分はある、それを一言答えてください、もうほかの質問がありますので。

武見国務大臣 歳出改革を通じて、御指摘の患者負担に関連する分野については、一定の負担が増える世代層というのが特に高齢者層に出てくることは御指摘のとおりでありますが、それは、全世代型の社会保障の中で全体の負担のバランスを取るという観点から実行しています。

 しかも、それは実際の保険料が賃上げによって増収する分の中に収まりますから、実質的な負担増とはならないということを御指摘申し上げたいと思います。

宮本(徹)委員 負担増は、個人個人から見たら、べらぼうに高齢者は増えるんですよ。でたらめな答弁はしないでください。

 それで、もう一点お伺いします。

 子供、子育て支援金は、医療保険の仕組みを使って徴収するわけです。被用者保険と国保の費用の分担は、介護納付金と同じだといいます。厚労省に計算してもらいましたが、年収三百万円、単身者の介護保険料は、協会けんぽなら年約二万八千四百円、国保なら年四万四千円です。国保は協会けんぽの一・五倍なんですね。

 医療保険の仕組みを使うと、同じ収入でも保険ごとに子育て支援金の負担額が異なり、収入が少ない人が収入が多い人より負担額が大きい、こういうことが起きるんじゃないですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金につきましては、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える新しい分かち合い、連帯の仕組みとして検討しているところであります。

 その際、医療保険制度は同じく連帯の仕組みであり、少子化対策によってその持続可能性の維持向上に寄与するとともに、全世代が広く加入することなどから、これを活用して支援金を賦課徴収いただくことを検討しているものです。

 現在、法案の成案化に向けて最終調整を行っており、各医療保険制度ごとや収入の多寡等による支援金の拠出額について申し上げられる段階にはございません。

宮本(徹)委員 否定されない。当たり前なんですよね。でも、これはどう考えたって、同じ仕組みを使ったら、国保の方が収入が少ないのに、負担が同じ協会けんぽの人よりも増えちゃうということになっちゃうわけですよね。

 大体、収入が少ない人が収入が多い人よりも子育て支援金を大きく負担する、こういうことが起きる制度を正当化し得るんですか。

小野寺委員長 宮本君、既に予定の時間が過ぎております。

宮本(徹)委員 時間が来ちゃいましたから終わりますけれども、これはおよそ正当化できない制度設計だということを厳しく指摘申し上げまして、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。

 今日は、能登半島の地震と災害対策についてからお伺いをしたいと思います。

 今回の地震では、被災地につながる道路が損傷したり、また、崩れた土砂で塞がれたりして、支援の大きな障害になりました。道路の寸断に関しては、これまでも、国が中心となって応急復旧などの手順を定めた道路啓開計画を立てることが求められ、各地で策定が進められてきましたが、今回、能登半島ではこの策定ができていなかったということでありますが、どうしてなのか、まず大臣に伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省としては、これまで、首都直下及び南海トラフなど、科学的に大規模な地震の発生確率が高いとされる地方整備局ごとに、順次、道路啓開計画を策定してきたところです。

 北陸地方整備局においては、中央防災会議が定める広域的な被害想定がなく、道路啓開計画を策定しておりませんでしたが、昨年四月の総務省からの勧告も踏まえ、道路啓開計画策定に向けて検討を進めているところでございました。

田中(健)委員 今、大臣も言ってもらいました。北陸地方整備局も、聞かれたときに、大規模な地震災害が想定されていなかったためだと言っています。しかし、これは問題があるんじゃないかと思って、ちょっと検証したいと思います。本当に能登半島に大規模な地震災害が想定されていなかったかということです。

 今回の地震の原因と考えられるのは、能登半島の北岸に沿うように延びる海底活断層だと見られています。

 資料一枚目を御覧ください。

 この活断層は、二〇一〇年に産総研が船を使った調査で報告をされ、国交省が二〇一四年に日本海における大規模地震に関する調査検討報告書で設定をした六十の海底の断層の一つと震源地がおおむね重なっています。

 二枚目のF43、それが今回の地震と重なっているところであります。評価には、「沿岸の詳しい活断層調査で正確なトレースが確認されている。」とあります。

 しかし、三枚目の、これは、政府の地震本部による、石川県の地震リスクを示す地図には、このF43の断層どころか、海底断層は一つも載っていません。これでは、やはり今言ったように、地震が起きないんじゃないかと思われても仕方がないんじゃないかと思いますが、これは長期評価が終わっていないということも言われていますが、そういった説明でよろしいでしょうか。お伺いします。

盛山国務大臣 地震調査研究推進本部では、地震に関する研究成果を防災対策に生かすため、活断層や海溝沿いで起きる地震につきまして、地震活動、地殻変動、地質等の調査データに基づいて、それぞれの調査の進捗等に応じ、順次、長期評価を行っております。

 日本海側の海域活断層につきましては、長期評価を行うためのデータが不足していたことから、日本海地震・津波調査プロジェクトにより、地下構造の調査、観測データの取得等を集中的に行い、その成果を随時公表してきたところでございます。

 現在、これらの調査結果等を活用して、能登地方沖を含む海域の活断層の評価を進めておりますが、能登地方で地震活動が継続している状況に鑑み、できるだけ早急に評価を行い、その結果を公表してまいります。

 地震調査研究推進本部としては、調査研究や長期評価を踏まえ、自治体の実情に応じた防災対策を行っていただけるよう、丁寧な情報提供に努めてまいります。

田中(健)委員 数が多いので時間もかかることも分かりますし、今御説明いただきましたが、さらに、危機をあおってもいけないんですが、やはり、さきの整備局、また大臣も言っていただいたように、大規模な地震災害が想定されていなかったという発言に、早くこの断層というものを示していかないと、つながらないかと大変心配をしています。

 専門家からも、今回も十分に想定できた大地震が、まるで、この地震本部の地図を見ますと、海底断層がなかったかのような、未知の活断層によるものと伝えられていたのではないかということで、これに対しては検証と改善が必要だという指摘も挙げられていますが、これについての見解、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 我々としては、極力努めてまいったつもりでございますけれども、能登地方沖を含む海域の活断層の評価につきまして、現在、地震調査研究推進本部の下に設置されている有識者会議において、公表の進め方も含め検討を行っておりまして、令和六年度に、公表可能なものから順次、評価結果を公表してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 六十の活断層が示されておりますけれども、今、幾つ調査が終わり、また公表がされているんでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの件につきましては、平成二十五年度から令和二年度におきまして、日本海地震・津波調査プロジェクトとして、海底、地殻構造の調査観測ですとか、地震、津波の発生メカニズムの解明等を行ってまいりました。これを踏まえまして、平成二十九年度から、地震調査委員会におきまして海域活断層の評価を行ってきております。

 これまでに、令和四年三月二十五日に公表いたしましたが、九州地域北方沖、中国地域北方沖の海域活断層の評価結果を公表しているところでございます。

 現在評価中のところは、近畿地域沖、北陸地域沖の海域活断層の評価を実施しているところでございます。

田中(健)委員 いや、六十ある数の中で、どれだけ調査が終わったかという数をお示しください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 突然のお尋ねで、幾つの断層を評価したかは、今お答えを申し上げることができません。失礼いたします。

田中(健)委員 通告の中でしておりましたので、是非ともお願いしたいと思います。

 その他の地域でも存在が提起されている海底活断層について、やはり石川県と同じように、地震本部の、ないしは気象庁の地図にも表示されていない状況になっています。検討が終わっていない地域は、全ての長期評価が終わるまでかなり時間がかかると思いますので、知らせないのではなくて、何か注を入れるか、若しくは、説明をしながら、誤解のないような形で情報の出し方を是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 能登地方沖を含む海域の活断層の評価につきまして、現在、地震調査研究推進本部の下に設置されております有識者会議において、公表の進め方も含め検討を行っておりまして、令和六年度に、公表可能なものから、順次、評価結果を公表してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 能登半島地震だけでなく、日本海側の海底断層、是非とも、一日も早く公表していただきたいと思います。

 といいますのも、この調査委員会の平田委員長が会見で、もう少し早くやるべきだった、残念だという発言がありました。これは莫大な時間と労力をかけた調査を産総研やまた国交省が行ってきたものでありますから、是非とも有効活用する方策を考えていただきたいと思います。

 関連して、南海トラフ巨大地震についても伺います。

 今回の能登半島地震は直接南海トラフには関係がないということも公表されましたけれども、この春をめどに、十年ぶりにこの基本計画を見直すということであります。

 今回の能登半島地震においては、今お話ししました海底の活断層だけでなく、富山で起きた津波というのは海底地すべりということも指摘をされています。これは紀伊半島や駿河湾も同じことが起きるおそれがあるという指摘がありまして、資料にも載せさせていただきました。

 今回の災害を、あらゆることを想定外とせずに、あらゆる事象を教訓として計画の実効性というのを高めていただきたいと思いますが、基本計画の見直しや、また、この方針や公表の時期など、今お伝えできることがありましたら、お伝えいただきたいと思います。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 現在の基本計画につきましては、今春の、春を目途に見直しに向けましてワーキンググループを開催いたしまして、検討を進めてきたところでございます。

 一方で、御指摘のとおり、元日に能登半島地震が発生をして、現在、復旧復興に全力で取り組んでいるところでございますが、ここで得ました知見、例えば、半島という地理的制約、土砂崩壊等に伴う交通網の寸断といった困難な状況下での対応、こういうものもしっかりと課題や教訓を踏まえまして、南海トラフ巨大地震対策に生かしていく必要があると考えております。

 具体的なスケジュールは現段階では未定でございますが、我が国は、少なくとも、災害のたびにその教訓から災害対応を見直してきたことを踏まえまして、今後、しっかり検討してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 南海トラフを抱えます自治体、私の静岡県もそうですけれども、大変にこの基本計画の見直しには注目をしておりますし、期待をしておりますので、是非とも、一日も早く提出をお願いしたいと思います。

 また、それに関してなんですけれども、防災想定ができていないということと同時に、次の四枚目の資料なんですけれども、地域の地震の係数というものについてもお聞きをしたいと思います。

 こちらの係数というのは、地域により発生する地震の強度また頻度というのが確率的に相違をするということに着目をして、地域特性を建築基準法が定める建築物の耐震強度に反映をしようとするものでありますが、これが今の地震の予測に本当に反映されているかということであります。問題は、その地域的な相違の大きさ、さらに確かさの程度であると思っています。

 これによりますと、例えば、この地域は震度七が起きますけれども、ある地域は震度六までしか起きない、これが相当程度の確かさで言えるということがこの係数による全国のマップであります。

 しかし、今回の能登半島地震も、先ほど言いました、大きな想定はされていませんでしたし、他のこれまでの地震を見ますと、もう日本中どこで地震が起きてもおかしくないということでありますから、本来ならば、震度七の地震がどこで起きてもいいような対策が必要。

 ですから、この係数でいえば、全国一律に建築物の耐震性というのを確保すべきではないかと思います。つまり、この係数分けというのが、私は今、合っていないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この見解を大臣に伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 この地震地域係数、建築基準法なものですから、私がお答えさせていただきます。

 建築基準法におきましては、大規模な建築物等の構造計算を行うため、地域の状況に応じて地震地域係数を定めております。具体的には、過去数百年間の地震記録を踏まえ、各地域における過去の地震被害の程度、発生した地震の頻度や大きさから地震地域係数を定めており、この係数により、各地域において建築物が最低限有すべき耐え得る力の基準が設定されることとなります。

 国土交通省では、有識者委員会、これは今回の地震の建築物構造被害の原因分析を行う委員会ですが、この有識者委員会を立ち上げ、昨日、第一回の委員会を開催したところです。

 今後、この委員会において、建築物の被害状況の把握及び被害原因の詳細な分析を行うこととしており、その中で、地震地域係数と建築物被害との関係についても分析してまいりたいと思っております。

田中(健)委員 これは木造の二階建て、そういったものには適用されないのも分かっております。その上で言っておりまして、今回も、石川県は、これを見てもらうと一・〇なんですね。しかし、ちょっと上の方は〇・九になっていますが、これがまさに今回地震が起きた輪島市、珠洲市、穴水なんです。ここは〇・九なんですね。つまり、最低限の準備をすればいいというのに合っていないと思うんです。

 ですから、これは熊本地震のときにも指摘がされて、結局、そのときも議論が深まらずに今も続いておりまして、この地域係数がつくられたのは一九五二年、昭和二十七年です。五十三年にも一部、訂正というか見直されたのでありますが、それでも五十年近くこの係数が変わっていないということで、逆に、これによって、地震が自分のところは大丈夫なんじゃないかというふうにミスリードしてしまうんじゃないかと思いますので、私は、全国一律に建築物の耐震性というのを確保するという方針にすべきではないかと思っておりますので、第一回の会議があったということですので、それを是非見守っていきたいと思います。よろしくお願いします。

 最後に、スポーツビジネスについて伺いたいと思います。

 今年は、パリ・オリンピック・パラリンピックの開催年でもあります。私、地元は静岡ですけれども、サッカーの町として歴史がありますが、現在は、バスケットやラグビーや卓球、そして野球がプロスポーツとして運営されています。スポーツビジネスの関係者とお話をしますと、なかなか日々の運営は厳しいという声がある反面、地域の誇りや夢を託されているという意味で、使命感を感じて取り組まれているとも感じています。

 地方とスポーツというのはとても相性がよくて、これを地域の活性化の柱の一つにしていくことが重要ではないかと思っています。

 政府としても、スポーツビジネスの拡大への大きな絵姿というのをどのように描いているのか、地方でのスポーツ振興の取組も含めて、現状をお伺いします。

盛山国務大臣 田中委員がおっしゃるように、スポーツを地域活性化の柱の一つにしていくことは大変重要な課題であると認識しております。

 文部科学省としては、令和四年三月に策定した第三期スポーツ基本計画に基づきまして、スポーツ市場を拡大し、その収益をスポーツ環境の改善に還元し、スポーツ参画人口の拡大につなげるという好循環を生み出すことでスポーツビジネスの拡大に取り組むとともに、全国各地でスポーツによる地方創生、町づくりの取組を創出させ、スポーツを活用した地域の社会課題の解決を促進することで、スポーツによる地域活性化に取り組んでおります。

 具体的には、民間活力も活用したスタジアムやアリーナの整備、スポーツと他産業との連携によるイノベーションの創出、スポーツツーリズムの推進、これらの各地域における民間主体や地方自治体の取組を推進しております。

 今後とも、スポーツビジネスの拡大、スポーツを通じた地方創生など、スポーツの力を最大限発揮させる取組を行っていきたいと考えております。

田中(健)委員 今文科大臣に答えてもらいましたが、スポーツ政策は、一義的には今、スポーツ庁が所管をしていると思いますが、スポーツの産業化や、今おっしゃってもらいましたスポーツビジネスという観点で捉えますと、やはりこれは経産省なども関わってくるかと思っています。

 とりわけ近年は、世界的にスポーツがコンテンツとして魅力的なものにもなっていますし、スポーツ投資とか放映権の高騰なども話題になっています。この日本でも、スポーツビジネスの拡大に経産省こそ前に出て積極的に関わるべきだと思いますが、齋藤大臣の見解を伺います。

齋藤(健)国務大臣 御指摘のように、これからの成長産業の一つじゃないかと思っています。

 スポーツ産業は、人々に熱狂や感動をもたらし、スポーツを中心とする経済活動、ひいては地域経済の活性化にも貢献をする重要な産業であると考えています。

 経済産業省は、スポーツ庁とともに、スポーツ未来開拓会議を昨年二月から開催をしておりまして、スポーツ産業の成長産業化の実現に向けた方向性や取組について、昨年七月に中間報告を取りまとめました。特に、見るスポーツの産業振興の観点からは、海外展開の推進ですとかスタジアム・アリーナ改革、スポーツDX推進等の具体的な取組を整理をしたところであります。

 それを踏まえまして、経産省としては、トップスポーツを通じた海外需要の獲得を後押しするため、スポーツリーグやクラブがスポーツコンテンツの海外展開を行う際の補助を行うといった支援策を先般の令和五年度補正予算に盛り込んでいます。また、スタジアム・アリーナ改革も重要だと思っておりまして、多機能で収益性の高い施設への変革、これを促して、地域活性化や地域のにぎわいの拠点を創造することを目指して、スポーツ庁とともに、改革のモデルとなる拠点を選定をしているところであります。

 今後とも、スポーツ庁とともに、スポーツ産業の成長産業化に向けて力を入れていきたいと思っています。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 スポーツ庁そして経産省からお聞きをしましたが、コロナ禍もあって、ここ数年はスポーツの現場が大変逆風だったと思いますが、それに加えて、政府の中の体制も縦割りで、十分評価できていなかったんじゃないか、機能していなかったんじゃないかというふうにも感じています。

 政府は、スポーツ産業の目標を十五兆円としていますけれども、足下はどの程度の規模でと算定しているか。また、産業政策、インフラ整備の側面もあるスポーツ政策の大本は文科省の下にあって十分に機能するのか。経産省も今お話をいただきましたが、本来はもっと内閣全体でスポーツビジネスの拡大を盛り上げていくべきではないかと考えていますが、政府全体の考えを伺います。

林国務大臣 お尋ねのスポーツ産業の市場規模ですが、スポーツ庁が推計しておりまして、最新の数値では、令和二年の時点で約八・八兆円と承知をしております。

 スポーツをめぐっては、地域スポーツの推進や国際競技力の向上などのスポーツ振興、これに加えまして、今もやり取りをお聞きしておりましたが、議員御指摘になったスポーツビジネスの拡大ですとかスポーツを通じた産業振興、さらには健康寿命の延伸、国際交流、地域社会の活性化、こうした多様な施策を総合的に推進する必要があると思っております。

 スポーツ庁が設置されましたのはこのためでございまして、二十七年十月に、スポーツ庁が関係省庁の司令塔的な機能を果たすことによって、スポーツに関する施策を総合的に推進することにしたところでございます。

 今後とも、スポーツ庁が人事交流等を通じまして、幅広い関係省庁の知見も得つつ、同庁が司令塔的な役割を果たしながら、スポーツビジネスの拡大を含めて、スポーツに関連する施策を政府一体となって進めていきたい、こう考えております。

田中(健)委員 是非、スポーツビジネス、これからだと思いますので、政府全体の力強い後押しをお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。

小野寺委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、十五分、よろしくお願いいたします。

 最初に、予算のフレームについて財務大臣にお伺いしたいと思います。

 昨今、歳出改革というワードが打ち出の小づち化しているんですね。加速化プランでは、そもそも、社会保障の歳出改革で、公費部分で一兆円の財源を出すと言っている。それと、支援金の負担を下げるところでも歳出改革という言葉が出ています。昨日、上野理事が質問された際に、岸田総理がこの件に触れかかったんですけれども、正直なところ、この二つの歳出改革を、意図的だろうと思いますけれども、混同して答弁をいたしておりました。また、防衛力強化についても、令和九年には非社会保障分野で一兆円に及ぶ歳出改革をすることになっています。

 現在審議中の予算で、この加速化プランの公費部分での歳出改革、そして支援金の負担金軽減のための歳出改革、そして防衛力強化のための歳出改革、それぞれについて、どの分野で、何の歳出改革を行い、そして、どの程度の財源を出したのか、財務大臣。

鈴木国務大臣 子供、子育て政策、あるいは防衛力の強化の問題、いずれも財源を確保しなければいけないわけでありますが、これは、国民の負担をでき得る限り少なくするということで、あらゆる行政改革の努力を行うこととしております。

 まず、子供、子育て政策の強化に充てられる財源を確保するための歳出改革でありますが、これにつきましては、こども未来戦略において、一・一兆円程度の確保を図ることとされています。

 これは、社会保障関係費の伸びを高齢化による増加分に収めるとの歳出改革の方針の下、これまで子供、子育て関連予算を国、地方で年平均〇・一八兆円程度増加させてきた実績を踏まえ、そうした歳出改革努力を二〇二八年度まで継続すること、これを前提とするものであります。

 令和六年度予算について申し上げますと、こうした方針の下、薬価等改定や医療保険制度改革などの取組を継続した結果生じた公費節減効果を活用して、国、地方で一千九百億円程度の子供、子育て予算の追加を行いました。

 そして、防衛力強化に充てられる財源を確保するための歳出改革でありますが、これは、非社会保障関係費を対象として、令和九年度時点において、令和四年度と比べて一兆円強を確保することとしております。

 令和六年度予算におきましては、令和五年度予算に続き、対前年度比でプラス二千百億円程度の財源を確保しております。

 その具体的なことでありますけれども、これは、経済、物価動向等を踏まえつつ、これまでの歳出改革の取組を継続するとの従来の方針に沿いまして、非社会保障関係費の伸びを対前年度比プラス一千六百円程度に抑制する中で、防衛力整備計画対象経費以外の非社会保障関係費全体を対前年度比で五百億円程度減額することにより、財源を確保したところでございます。

緒方委員 正直、多分、聞いている方でなるほどと思った方は一人もいないと思うんですよね。

 少しお伺いしたいんですが、その中には、今後、支援金の負担を下げるための歳出改革をこれから行っていくということになっていますが、そこは、現在では取組がないという理解でよろしいですね、財務大臣。

鈴木国務大臣 具体的には内閣府の方で検討をしているわけでございますけれども、歳出改革によって保険料負担を軽減していくということが基本だと思っています。

緒方委員 もう一つだけお伺いさせていただきたいと思うんですが、加速化プラン、よくよく聞いていると、既定予算の活用というのと、そして、これまでやっていた改革というか抑える部分を千八百億円やるのをこれから続けるということなので、新規の部分というのは実は支援金の部分だけじゃないかと思うんですけれども、財務大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 子供、子育て予算につきましては、御指摘のように、既定の予算を活用するということがございます。

 それと同時に、徹底した歳出改革を行って、社会保障関係費の中において、改革工程に従う社会保障改革を行う中で財源を生み出していくというのが基本的考え方です。

緒方委員 フレームのときだけきれいなものを見せていただけるんです。フレームのときはですね。こういうふうにここに何がはまりますということだけはきれいなものを見せていただけるんですが、実際、中はがちゃがちゃじゃないですか、今聞く限り。振っても何も出てこない打ち出の小づちを精いっぱい見せびらかしているだけのように見えるわけですよ。財源の見通しが立っていないのであれば、別に私はそれを批判するんじゃなくて、しっかりと国民に対して真正面から説明すべきですよ。

 その点を述べさせていただいて、私、時間がないので、この件は、恐らく月曜日に井坂議員が私よりも百倍ぐらいみっちりとやるはずですので、そちらに譲りたいと思います。

 続きまして、先般取り上げました日韓の海の話でありますが、坂本大臣、よろしくお願いいたします。

 日韓漁業協定というものがございまして、北部に暫定水域がある、竹島の周辺ですね。そして、済州島と男女群島のところに南部水域がある。両国の漁船が、自国の管理の下、相互乗り入れをしているということなんですが、これは実は、漁業協定の下、日韓漁業共同委員会というところでいろいろ協議することになっているんですが、これは機能していないですよね、坂本大臣。

坂本国務大臣 あの協定のとき委員が外務省で担当だったということで、おっしゃるとおりでございます。

 近年におきましては、日本海の暫定水域におきまして、韓国のカニ籠漁船による漁場占拠によりまして、我が国の漁船の操業に支障が生じております。今言われました相互入漁により我が国EEZに入漁する韓国漁船の違法操業がなくならないこと等の状況を踏まえて、二〇一五年を最後に日韓漁業共同委員会は開催されておらず、その後、相互入漁は中断しております。

 日本政府といたしましては、まずは、暫定水域における漁場占拠の問題を解決するよう韓国政府に強く働きかけているところです。

緒方委員 これはまさにそのとおりでして、まず、暫定水域での資源管理の悪さというのと漁具の放置は、これは悲惨なんですね。また、相互乗り入れのところの日本の漁場での違法操業と違法漁具の放置も現在あるということでありまして、石川とか鳥取とか長崎の漁業関係者は本当に御苦労しておられます。境港の漁業調整事務所のサイトを見ると、違法漁具が山積みにしてあるのを見るわけですね。

 ひどいんですけれども、どれぐらいひどいのかということについて、もう一言いただければと思います、大臣。

坂本国務大臣 違反が頻発いたします九州、山陰海域に漁業取締り船を配備し、我が国水域への侵入防止を図っているところであります。この一環として、令和五年には、九州、山陰沖におきまして、我が国の許可を得ず操業していた韓国漁船一隻を拿捕するとともに、外国漁船の違法設置漁具を五件押収しております。そのほか、令和四年には漁具十件、そして令和三年には八件、こういう状況でございます。

緒方委員 そうなんですね。

 ここからは少し外交的な提案をさせていただきたいと思うんですけれども、要するに、日本が求めているものというのは、違法操業しないことと違法漁具を使うなということ、この二点だと思うんですね。真っ当な要求だと思います。この要求をベースに日韓漁業協定をもう一回、再度機能させるべきだというのが私の意見なんですが、先般提起した大陸棚の話もございますので、海関連で二つの案件ががちゃがちゃしていると大体ろくなことがないということなので、この件、トラックに乗せた方がいい、そう思うんです。

 ただ、過去の協議で韓国の海洋水産部は何と言うかというと、来ては、一歩も譲りませんとだけ言う相手が来るので、それもあって、二〇一五年以降進んでいないわけですよ。

 そうすると、せっかく日韓関係が良好な兆しを見せている中、これは事務方だけでやり取りしても絶対に動かないんです、絶対動かない。なので、大きな方針のところで、官邸と青瓦台で大きな方針について合意して、それから両国の水産関係者の協議に下ろすというやり方をやってはどうかと思いますが、林官房長官、いかがでしょう。

林国務大臣 現在の状況は、先ほど農林水産大臣から御答弁があったとおりでございます。

 今御指摘のあった今後の交渉の進め方、これは予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、やはり、韓国政府に対して、まず漁場占拠の問題を解決するように強く働きかけているところでございます。

緒方委員 答弁しにくいのはよく分かるんですけれども、これは事務方だけでやっていても、本当に、物の記事を読んでいると、ここで一歩譲ったら私はこれで首が飛ぶんです、来年私はここにいないかもしれません、それでいいんですかというような感じの人間が協議の相手に来るわけですよ。それじゃ協議にならないわけですよ。ああいう大統領制の国では青瓦台がしっかりと握らないと駄目だと思うので、答弁がそういうふうになるのは分かりますが、よく検討していただきたいというふうに思います。

 続きまして、最後、ポストSDGsというテーマについてお伺いしたいと思います。

 SDGsというのは、皆さん、これが二〇三〇年までのターゲットであるということを余り知られていないんですね。二〇〇〇年から二〇一五年までがミレニアム目標、そしてそれを引き継いだのがSDGsだと。そろそろポストSDGsを考えなきゃいけないというふうに思うんですね。

 これは各国の思惑がむちゃむちゃ渦巻いています。そして、それがその後の世界のトレンドを形成していくわけですよ。

 今のSDGsは欧州にリードされた感があります。欧州はこういうところから自分に有利でもうけるルールを作ろうとします。日本はもうルールテイカーであることは許されないと思います。ポストSDGsは早め早めに動くべきではないですか、外務大臣。

上川国務大臣 まさに委員御指摘のとおり、現行のSDGsでございますが、気候変動また感染症等の地球規模課題の深刻化に加えまして、国際社会全体が様々な複合的危機に直面する中におきまして、その達成に向けた進捗は大きな困難に直面している状況であります。

 我が国といたしましても、様々なステークホルダーの参画、これを確保しながらSDGs達成に向けました取組を加速化していくということが重要であると考えております。

 同時に、現行SDGsが二〇三〇年を目標年としていることを踏まえますと、我が国自身の持続可能な繁栄、また国際競争力の強化の観点から、昨年十二月に改定されましたSDGs実施指針、これに明記されているとおり、今の段階からその先を見据えた国際的な議論を主導していく、このことは極めて重要と考えております。

 既に内閣総理大臣を本部長といたしまして、体制が、SDGs推進本部、設置されているところでありますので、この体制の下で我が国自身の取組を強力に進めつつ、二〇三〇年以降も見据え、様々な分野における国際的なルール形成におきましても主導力を発揮していく所存でございます。

緒方委員 総理を中心にしっかりと日本の戦略を練っていただきたいと思うんですね。気がついたら、もう表に出てくるときはこんなものは終わっているわけであって、表に出る前にしっかり動かなきゃいけないということ。

 そして、ここからはちょっと思いつき的な提案なんですけれども、日本だけで言っても多分なかなか難しいと思うんですけれども、私、日本とインドでポストSDGsの考え方をまとめることはできないかなと思ったりするんです。世界のペースセッターになり得ると思うんです。アメリカや中国はこういう件には向きません。欧州はこういうとき大体ずる賢いんです。なので、相当に難しい作業なんですけれども、日本とインドで折り合ったものができるのであれば、世界に相当なインパクトを与えると思いますし、相当チャレンジで知的な作業だと思いますけれども、考えてみませんか、外務大臣。

上川国務大臣 あらゆるステークホルダーを巻き込んでこの問題に取り組んできましたし、これからもそういう方向で進まなければいけないということを考えますと、あらゆる選択肢をしっかりと見据えながら取り組んでまいりたいと思います。

緒方委員 その観点から気になるのが、最後、GX担当相、来ておられますが、日本のGXなんですね。

 国債を発行して炭素税でそれを埋める、二十兆円の金を政府が配分するということなんですが、経済学的には地球温暖化という外部不経済を是正するための措置なんだと思います。しかしながら、ここまで大きいと、マーケットメカニズムを結構ゆがめると思うんですね。しかも、国内向きであって、世界全体のルールメイキングと連動しているように見えないんです。

 なので、欧州はこういうところで損をしないようなルール作りをするんですよね。単に社会主義的に金をばらまくことだけではなくて、日本がもうかるルールと連動させるようなアプローチが必要なのではないかと思いますが、齋藤大臣。

小野寺委員長 経済産業大臣齋藤健君、時間が来ておりますので、端的にお願いいたします。

齋藤(健)国務大臣 表現ぶりはともかくとして、問題意識は、私も長年同じ問題意識を持ち続けてきています。

 ただ、GXについては、日本独自でやらなくちゃいけないものはたくさんありますので、移行債を含めて今積極的にやっているところでありますが、今後については、御案内のように、昨年末AZECをやって、東南アジアを巻き込むとか、そういう形で国際的な展開も同時に図っていかなくちゃいけないと思っていますが、大変重いテーマだと思っています。

緒方委員 終わります。

小野寺委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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