衆議院

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第11号 令和6年2月19日(月曜日)

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令和六年二月十九日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小田原 潔君

      越智 隆雄君    奥野 信亮君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      後藤 茂之君    田中 和徳君

      平  将明君    橘 慶一郎君

      塚田 一郎君    中谷 真一君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧原 秀樹君    宮路 拓馬君

      山本 有二君    若林 健太君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      石川 香織君    梅谷  守君

      大西 健介君    小山 展弘君

      山岸 一生君    米山 隆一君

      早稲田ゆき君    池下  卓君

      池畑浩太朗君    奥下 剛光君

      林  佑美君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    守島  正君

      赤羽 一嘉君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君    福重 隆浩君

      宮本  徹君    田中  健君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   国務大臣

   (防災担当)       松村 祥史君

   国務大臣

   (全世代型社会保障改革担当)           新藤 義孝君

   国務大臣

   (地方創生担当)     自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   政府参考人

   (内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長)     畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡田 恵子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        豊岡 宏規君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     宇野 善昌君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     桜町 道雄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           岸本 武史君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  加野 幸司君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            坂本 大祐君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     小森 卓郎君

  石川 香織君     山田 勝彦君

  米山 隆一君     近藤 和也君

  宮本  徹君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     田中 和徳君

  近藤 和也君     米山 隆一君

  山田 勝彦君     石川 香織君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

同月十九日

 辞任         補欠選任

  牧原 秀樹君     小田原 潔君

  宮路 拓馬君     中谷 真一君

  若林 健太君     橘 慶一郎君

  奥下 剛光君     池下  卓君

  林  佑美君     岬  麻紀君

  角田 秀穂君     福重 隆浩君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     牧原 秀樹君

  橘 慶一郎君     若林 健太君

  中谷 真一君     宮路 拓馬君

  池下  卓君     掘井 健智君

  岬  麻紀君     池畑浩太朗君

  福重 隆浩君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  池畑浩太朗君     林  佑美君

  掘井 健智君     奥下 剛光君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長畠山貴晃君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府男女共同参画局長岡田恵子君、内閣府地方創生推進事務局審議官豊岡宏規君、内閣府地方創生推進事務局審議官岩間浩君、警察庁刑事局長渡邊国佳君、復興庁統括官宇野善昌君、復興庁統括官桜町道雄君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省刑事局長松下裕子君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長笠原隆君、厚生労働省医政局長浅沼一成君、厚生労働省人材開発統括官岸本武史君、農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、農林水産省大臣官房総括審議官宮浦浩司君、農林水産省農産局長平形雄策君、農林水産省経営局長村井正親君、経済産業省大臣官房審議官浦田秀行君、国土交通省国土政策局長黒田昌義君、国土交通省都市局長天河宏文君、国土交通省水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、国土交通省鉄道局長村田茂樹君、防衛省防衛政策局長加野幸司君、防衛省整備計画局長青柳肇君、防衛装備庁装備政策部長坂本大祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘委員 今日は質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 元旦に能登半島で起きました地震でお亡くなりになった方々にお悔やみを申し上げ、今なお大変御苦労されている被災された方々皆様に、是非頑張ってくださいということでエールを送りたいと思います。

 奈良時代に能登地域は、富山県と一緒に一つの国、越中国をつくっておりました。国司大伴家持が珠洲から私の富山の方へ船で帰ってきたときに詠んだ歌がございます。万葉集の巻十七、四千二十九番、これを詠ませていただいて、質問に入ります。

  珠洲の海に朝開きして漕ぎ来れば長浜の浦に月照りにけり

 では、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

 能登では、本当に多くの方が、まだ一万三千人に上る方が避難をされており、水の復旧もまだあと三万軒残っているというふうに聞いております。

 ただ、富山県の方は、おかげさまでそういったことについては一応その状況を脱しまして、政府の方からは松村防災大臣を始めいろいろな形で御支援を賜り、また、ここにいらっしゃる諸先生方にも大変心を寄せていただき、また、自衛隊の皆さん、あるいは職員の皆さん、そしてボランティアの皆さん、本当にありがたいことだと思っております。

 ただ、能登の方にもっと一生懸命お願いしたいという気持ちはありながらも、私の富山県でもいろいろな悩みを抱えているところであります。今日は、富山の問題に絞って幾つか御質問させていただきたいと思います。

 富山の状況について、新聞報道をおつけしております。特に、液状化ということについては、新潟県も含め各地で被害が出ております。被災された方々は、建物を再建すべきか、あるいはどうしようか。そのためにも、面的にどのように復興していくか、そういう住民のコンセンサスを取るためにも、どういう対策工法があるのかとか、どういう公的支援があるのかとか、そういう情報も差し上げて、そういうものが手厚くなる中でいろいろと復興の道筋をたどりたいな、こういう思いが強うございます。

 是非、対処方針を国土交通省の方にお伺いいたします。

天河政府参考人 お答えいたします。

 令和六年能登半島地震により、新潟県など広い範囲で液状化による甚大な宅地被害が発生しております。今後の地域の復興に向けては、被災自治体が方針を示し、住民の皆様の思いを酌み取りながら進めていくことが重要です。

 このため、国土交通省におきましては、被災自治体の職員を対象とした会議を実施し、対策工法や過去の災害における取組事例について情報提供しているところでございます。

 また、先般決定いたしました被災者の生活となりわい支援のためのパッケージにおきまして、宅地等の復旧に引き続き、地方公共団体が行う公共施設と隣地宅地等の一体的な液状化対策を支援することとしております。

 被災した方々が安全に安心して住み続けられるよう、熊本地震における取組も踏まえ、地方公共団体が実施する液状化に関する住民への情報提供や液状化対策への支援にしっかりと取り組んでまいります。

 以上でございます。

橘委員 ありがとうございます。

 東日本大震災、そして熊本地震、そういうたびに、こういう問題について対策がよりきめ細かに、また、事例に学んで新しい取組も導入いただいているわけでありますが、今回は大変多くの方々、多くの地域がございますので、是非、対策工法と支援の方をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、上下水道の問題であります。

 大変揺れが大きくて大きく被害があり、そのことによって、断水やトイレの問題など、非常に御苦労があったわけであります。

 そこで、上下水道管の状況を見ますと、私の思いとしては、耐震補強をどれくらい進めていたかということによって地域差がどうも出ているように感じられるところであります。管路の早期復旧はもちろんでありますが、これから将来に向けて、平時の管路の耐震化事業ということは、どの地域においても、より積極的に進めるべきだと思っております。

 こういったことに対するこれからの政府の取組について、国土交通省の方に、今回厚労省さんから、水道も一括して管理されることになるわけでありますから、お答えを求めたいと思います。お願いします。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地の復旧復興のためには、上下水道一体となった一刻も早い復旧が重要と認識しております。

 今回の災害対応に当たっては、委員御指摘のとおり、本年四月から水道整備、管理行政が国土交通省に移管されることを踏まえ、従来の自治体の相互支援の枠組みに加え、国土交通省、厚生労働省からも現地に職員を派遣し、関係団体とも連携して、上下水道一体となった早期復旧に向けて取り組んでいるところです。

 また、委員御指摘のとおり、災害に備え、平時から耐震化事業を進めることは極めて重要であり、これまでも両省において、管路や浄水場、下水処理場などの耐震化を支援してきたところです。

 引き続き、上下水道一体となった早期復旧に全力を挙げるとともに、地震時においても被害の最小化を図るため、今回の被害の実態調査も踏まえて、平時からの耐震化についてもしっかりと推進してまいります。

橘委員 ありがとうございます。

 上下水道事業は企業会計でやっているということもあって、どのくらい設備投資をするかいろいろ悩むわけでありますが、こういったものを後押しする上においても、国の補助であったり、あるいは地方財政措置であったりいろいろなことを、また人口の少ない地域についても考えていただければ幸いに思っております。

 続いて、農業、漁業の問題であります。

 坂本農林水産大臣にも能登の方へお出ましいただいておりまして、ありがとうございます。

 なりわい再建への支援ということで、特に、私ども富山県の場合は、米作、米に特化した農業生産構造になっております。やはり、田植の前にどこまで農地、水路を復旧できるかな。

 それから、海の方においても、海の底の方で生息しておりますカニであったり、あるいはホタルイカであったり、こういうものの漁についても、今回の地震では、海の中でも地盤が崩れたり、いろいろなことが起きております。漁場被害等への対応を併せて大臣にお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 私自身、一月二十一日、それから二月四日、能登の方に行ってまいりました。私が体験いたしました熊本地震と同じところもあれば、違ったところもあります。漁業者の皆さん方、農業者の皆さん方とお話をしまして、今委員が言われましたように、一日でも早く再開したいというような願いでいっぱいでございました。

 そういうことで、まず、農地あるいは用排水、そして林地、林道、漁港、このインフラ整備をやります。あわせて、農業用機械、漁場、漁船、そして漁具の再建、これを目指します。同時に、金融支援や共済の早期支払いをやる。こういう重層的な対応策をしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

 今日、私は、朝五時、日本の海産物の輸出拡大のために、在日のASEANの大使を豊洲市場に招きまして、競り市を見学していただきました。試食もしていただきました。仲卸店も見ていただきました。仲卸店には、もう既に能登産のイワシ、サバ、ナマコ、そして富山湾の氷見のブリ、ホタルイカ、こういったものも並んでおりました。

 少しずつ始まったなというような気がいたします。全力で対応してまいりたいというふうに思っております。

橘委員 ありがとうございます。

 ホタルイカはそろそろシーズンに入っております。本当にありがとうございます。是非、みんなが安心できるように、また重層的な対策をお願いしたいと思います。

 富山県も全域が被災者再建支援法の適用を受けることになりました。家屋の損壊は一万戸に上っております。そしてまた、事業所被災への対応など、きめ細かい被災者支援から各種インフラの復旧まで、地元の県、市町村、自治体の財政負担というものを首長さん方あるいは自治体の方々は大変懸念されております。

 復興基金のことであったり、あるいは特別地方交付税のことであったり、いろいろな手だてがあるかと思いますが、ポイントは、自治体が安心して思い切り復興に取り組む、そして、住民の方々がその上で安心して前を向いて歩いていけるということであろうと思っております。

 このことについて、総務省としての手当てを総務大臣にお伺いいたします。

松本国務大臣 私どもとしても、被災自治体の行財政をお支えするのは大変大切な使命であるというふうに認識しているところで、財政の面でも、一月九日、二月九日に特別交付税の繰上げ交付を決定するなど、順次支援を進めさせていただいているところでございます。

 国とともに行われる復旧復興の事業につきましては、例えば、災害廃棄物の処理事業は被災市町村にとって大変大きな財政負担となりますが、国庫補助が二分の一、地方負担の九五%に交付税措置、これは、地方債を発行して元利償還を普通交付税でする、特別交付税で措置を講じるなどですが、実質的な地方負担は事業費の二・五%以下になるようにということで対応しております。

 なりわい再建支援事業についても、地方負担に最大九五%の交付税措置を講じることとしておりますし、また、公共土木施設の災害復旧事業については、激甚災害指定に伴い国の補助率のかさ上げが行われ、地方負担の全額に地方債を充当し、元利償還金の九五%に交付税措置を講じるということで、国とともに行う事業の地方負担についても大幅に軽減できるように私どもも努めているところでございます。

 また、きめの細かい事業を行う中で、地方が独自に国の事業に当たらないものとか地方の特性を生かした単独事業なども行われる中では、単独事業を支援する地方債の仕組みであるとか特別交付税などを活用して、財政手段を様々活用して、しっかりと財政を支えていくようにしたいと思っております。

 なお、お触れになりました復興基金につきましては、復興が長期にわたると考えられたときにこれまで設けた例があるというふうには承知をしておりますけれども、今、私どもとしては、国として行うべき支援策をできる限り早く実施していくことが大事で、その実施状況を見つつ、また、各県市町村の復旧復興の事業を見つつ、どのような財政措置が適切かを考えて、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

 これからも、全体として被災自治体の財政運営に支障が生じないように、丁寧に実情を把握し、申しましたように、地方交付税、地方債など様々な地方財政措置を使って、しっかりと支えてまいりたいと思います。

橘委員 それぞれの事業種目にきめ細かく、ありがとうございます。適債性を拡大したり、また、三月には通常で特別地方交付税の交付決定もあるということでありましょうから、是非、多面的によろしくお願い申し上げたいと思います。

 続いて、これは今回の被災のちょっと教訓的なことで国土交通大臣にお伺いしていきたいわけでありますが、地域の骨格と言える高規格道路として能越自動車道というのがあるわけですけれども、残念ながら、今回、七尾―穴水間で甚大な被害を被りまして、今、奥能登の復旧復興の歩みを遅らせる結果になっていると思います。

 これを直轄工事で対応いただけるということで、大変ありがたいわけでありますが、やはり強靱な幹線道路として、命の道として、是非この能越自動車道をしっかり復旧をいただきたいと思います。大臣の御見解をお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 この度の地震によりまして、能登半島を南北に結ぶ能越自動車道におきまして、盛土の崩壊、路面の亀裂など甚大な被害が発生し、現在も一部区間で通行止めが続いております。

 このような中、先月二十三日に、能越自動車道の石川県が管理する区間のうち、被害が甚大な七尾市から穴水町までの区間につきましては、権限代行によりまして、国が管理する区間の復旧と併せて、国が責任を持って本格復旧を行うことと決定いたしました。

 この本格復旧に当たりましては、委員御指摘のとおり、被災状況や半島地域の特性を踏まえて、土工構造物などの技術基準について有識者委員会で検討した上で、強靱な幹線道路として本格復旧に取り組んでまいりたい、このように計画しております。

橘委員 ありがとうございます。

 そして、半島地域ということをもう一度考えてみたときに、間が狭まっていて、後から扇のように広がるということで、真ん中のところがやはりしっかりしていないとこういうことになるということで、半島の独特な地理的特性によって災害の出方が違うんだな、このことを感じました。

 能登半島も対象となっております半島振興法でございますが、超党派の皆さんのお力を得ながらずっと対策を進めてきているわけでありますけれども、令和七年三月三十一日に失効いたします。国土強靱化の視点も加えて、新たな視点で更にこの施策を継続する必要があるのではないかと思いますが、所管省庁としての国交省さんの見解をお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 能登半島を含む半島地域は、三方を海に囲まれ、平地に恵まれないなど、地理的条件に不利性を抱えております。特に、災害時には交通や情報の途絶の危険性が高く、風水害や大規模地震に伴う津波等の被害も懸念されます。

 今回の地震では、地震の揺れや津波による被害に加え、山がちな半島の先という特性からくるインフラの大規模な損壊、代替ルートの少なさ、これによるライフラインの寸断、途絶など、甚大な被害が生じているところでございます。改めて、半島地域における安全、安心な暮らしを実現するため、防災機能を強化するための交通基盤整備、加えて、全国を上回る人口減少、高齢化を踏まえた生活環境の整備の必要性を認識しております。

 半島振興法につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、令和七年三月三十一日に法期限を迎えます。橘委員におかれましては、前回の法延長におきまして大変御尽力をいただいて、ありがとうございます。

 国土交通省としましても、現在、国土審議会において議論を重ねているところでございまして、御指摘の国土強靱化の視点も含めた、引き続きの検討を今進めているところでございます。

橘委員 大臣、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 今回の能登地震で、私の選挙区の氷見市に、福島県から災害応援ということで毎週のように職員の方が来ていただいております。その中には、東日本大震災で大変御苦労されている浜通りの町村の職員の方々も来ていただいております。大変頭の下がる思いでおります。

 そこで、浜通りにおいて、今、原子力災害において帰還困難区域になっているところに、特定復興再生拠点区域というのがつくられました。さらに、特定帰還居住区域というのが設定され、今年度からモデル事業も始まり、各町で、今、住民の意向を踏まえ、再生計画というのが作成されまして、新年度からは事業が本格化いたします。

 大熊、浪江、富岡、三町の計画は既に策定されておりますが、どれくらいの面積、対象戸数になったのか、そしてまた、残る双葉町の状況はどうなのか、復興大臣、土屋大臣にお伺いいたします。

土屋国務大臣 橘先生には、日頃、党の東日本大震災復興の事務局長として大変お世話になっております。

 今のお話ですけれども、大熊町、浪江町及び富岡町の特定帰還居住区域の面積は合計で約千三百七十ヘクタールでございまして、当該区域において帰還意向を示されている世帯数は五百四十六世帯になります。

 そして、双葉町については、帰還意向調査の結果を踏まえ、昨年九月に町の一部区域を対象にした計画を認定したところでございます。残る区域についても、意向を反映するため、対象区域の拡大など、計画の変更に向けた検討が進められているものと承知しております。

 復興庁としても、帰還を希望する住民が一日でも早く帰還できるよう、計画の変更に向けて、引き続き、双葉町などの自治体と丁寧に調整を進めてまいりたいと考えております。

橘委員 ありがとうございます。

 今回は、帰還意向がある方をみんな対象にするということで、また逐次、意向も何度も確認をいただいて、是非施策の実を上げていただきたいと思います。

 最後に、ちょっと時間が厳しくなりましたが、F―REI、研究教育機構、こちらがいよいよこれから本格化してまいります。理事長は、私の地元から山崎理事長が出ております。このことについて、頑張るよということでお答えいただければと思います。

土屋国務大臣 F―REIのことをどうもありがとうございます。山崎理事長が本当にリーダーシップをしっかり持って頑張っておられます。

 それで、今、産学連携体制の構築を進める取組として、昨年十月に仙台市で産学官ネットワークセミナーを開催しました。そのほか、地域の金融機関や大学、高等専門学校ともこれまでに八件の連携協力に関する基本合意書等を締結しているところでございます。

 また、地元との関係も大事でございまして、地元の市町村とも座談会を開催したり、地域のニーズやシーズを把握しているところでありますが、これからも、地元と一体となって、しっかりと、F―REIのこれからの未来に向けて、立派なものにしていきたいと思います。

橘委員 ありがとうございます。終わります。

小野寺委員長 これにて橘君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷真一君。

中谷(真)委員 委員長を始め皆様、今日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。心から感謝を申し上げて、質問に早速入りたいというふうに思います。

 まず、防衛大臣に二つお伺いしたいと思います。

 まず一つ目は、手元の資料がございますけれども、陸上自衛隊の方面隊について質問をしたいというふうに思います。

 私は、この方面隊、いわゆる軍令から外して、軍政に専念させるべきというふうに思っているところであります。今回、この国会で審議されますが、統合作戦司令部をつくるわけであります。これはまさに統合作戦の一元化を進めるということで、非常に重要な意味を持っております。ただ、陸上自衛隊での指揮が一元化できていないのではないかという懸念があるわけであります。

 それは、二〇一八年に陸上総隊をつくりました。通常はこの陸上総隊に指揮を一元化していく必要があるというふうに思いますが、五個方面隊を維持している、これを軍令に入れているがゆえに、それがなかなか難しくなっている。本来はこの上位に陸上総隊があるべきですが、これが横並びになっているというところであります。それでは一元化できないわけであります。

 この五個方面隊がつくられた経緯というのは、まさに一元化させないために、戦後、五つに分けていったわけでありまして、陸上総隊をつくったということは、陸上自衛隊の悲願であったはずであります。

 ですから、ここで、軍令からはこの方面隊を外して、そして、軍政、いわゆる管理に専念させることによって一元化を進める必要があるというふうに考えているところであります。これについて防衛大臣の見解をいただきたいと思います。

木原国務大臣 委員の問題意識というのはよく分かるところであります。

 二〇一八年に陸上総隊ができました。それで、統合作戦司令部もこれから、検討しているところであります。

 そういう中で、陸上総隊司令官というのは、事態に応じて各部隊の全国運用等を行う一方で、個別の地域で生じる事態における部隊運用については、それぞれの地域の実情等を踏まえて実施することが必要であろうかと思います。

 そのために、平素からは地方自治体を始めとする地域の関係機関との調整を行い、各地域の実情を熟知する各方面総監が担当地域において事態の態様を踏まえた部隊運用を行うことができる現行の組織体制の骨格を維持することは、これは私は引き続き妥当性があるんじゃないかなと思っています。

 その中で、もし仮に、委員がおっしゃるように、各方面総監部が、各方面隊を廃止した場合、どうなるのかなと思ってちょっと考えたんですけれども、そうなった場合に、陸上総隊司令官が日本全国の地域の情勢の細部を網羅的に把握しなきゃいけない、それはなかなかちょっと困難ではないかな。

 例えば、能登半島地震の災害派遣を今やっていますが、当初、JTFで運用しておりました。JTFの司令官は、中部方面総監に司令官を任せて、まさに能登という地域特性のあるところに精通した方面総監をJTFの司令官としたということでございます。

 それから、有事を含めたあらゆる事態に対処するためには、師団や旅団は、ふだん所在する地域を離れて機動展開、事態対処を行う必要がございます。機動師団なんかも随分できておりますが、地域との連携の継続性に支障を来す可能性がやはり出てくるんだろうと思います。

 地域の情勢を踏まえつつ、事態の規模、態様に応じた自衛隊の態勢や対応を判断する、そういうことが困難にならないように、方面隊を廃止するということは適切ではない、現時点では、不断に検討は行ってまいりますが、私は現時点ではそのように考えています。

中谷(真)委員 ありがとうございます。

 これは方面隊を廃止すると言っていることではなくて、管理に専念すべきだと。これはまさに、海上自衛隊がやっている自衛艦隊と地方隊の関係、この関係にしておくべきだというふうに思っています。

 これは、何か起きたときに、例えば、東部方面隊から一個師団を抜いて、そして西部方面隊につける、こういうことをやろうとしたときに、有事だったら絶対に抵抗しますから、東方総監は。しかも同期とかですよ。期別が一緒とかだったら、徹底的に抵抗しますよ。そういった先例というのは、枚挙にいとまがないわけであります。ふだんから群を編成していることになっていますから、非常に柔軟性がない。

 ですから、管理するということに専念するべきだと。これは廃止ではありません、管理に専念すべきということを申し上げたいというふうに思います。是非御検討いただきたいと思います。

 次に、防衛産業の再編について質問したいというふうに思います。

 防衛産業、これは防衛という特性上、やはり海外との技術競争が重要であります。ところが、日本の場合は、国内での競争にとどまっているというふうに見えます。これは特に、日本のマーケットは非常に小さいですが、このマーケットの中に四つの重工があって、四つの電機があるというところでありまして、非常に多いんですね。ほかの国は全部まとめています。一個若しくは二個、国境を越えてまとめているところもあります。

 それは、なぜなら、やはり国が抱えて、そして海外と競争していく。日本の場合だと、ロッキードやノースロップに支配されないとか、レオナルド、BAEに打ちかっていく、そういった企業をつくっていかなきゃいけないというふうに思っているところであります。ただ、そうはなっていない。非常に多くて、ばらばらで、国内で競争させているという状況にあります。

 さらに、三菱重工でさえ本業の一割ぐらいしかないんですよ、防衛は。そうすると、株主を説得できないから、積極的な投資とかができないんです。私は、これをやはり防衛産業だけでしっかりまとめて、六割から七割、防衛で食べているという企業をつくらなければ、これは本気になりませんから。

 ですから、利益率を今回上げました。利益率を上げたので、ここでやはり一社若しくは二社にまとめる、さらに、六割から七割、防衛で食べているというような企業をしっかりつくって、国とまとまって、そして海外と競争していくべきというふうに考えますが、防衛大臣の御意見を伺いたいと思います。

木原国務大臣 防衛生産、技術基盤の重要性というのは、非常に委員も日頃から認識していただいて、また御指導いただいて、大変ありがとうございます。

 我が国の防衛産業ですが、欧米諸国の多くの防衛産業とは若干異なっておりまして、やはり、プライム企業については、委員がおっしゃったように、民需事業を主体とした企業がおおむね一〇%未満の割合で防衛産業を手がけているということであります。こうした事情等から、冷戦後では、欧米ではそういった大きな再編が起こりましたけれども、我が国では、大規模な再編統合というのは我が国においては見られなかったんだろう、そういう分析をしているところです。

 現在の防衛産業も様々な課題を抱えておりますが、今後、競争力を持った防衛産業としていく必要性というのは、まさしく共有させていただいております。防衛事業の比率が高い企業が主体となった防衛産業を構築していくこと、これも重要であろうと思っています。

 その上で、やはり個々の民間企業ですから、その在り方というのはあくまでも各社の経営判断によるものでありますけれども、その上で、国家防衛戦略でも示したとおり、力強く持続可能な防衛産業を構築していく必要というのがございますので、そのためにどのような施策が効果的かを引き続き官民の間でよく意見交換を重ねていく必要があるというふうに考えております。

中谷(真)委員 これを進めなければ、日本の防衛産業、本当に戦える体制にならないというふうに思います。

 特に、今後、防衛費が増えてきて、三菱重工あたりは一兆円ぐらい多分受注していくようになると思います。そうしますと、一五%の利益を三菱重工は取るんですが、グループでこの利益をほかのところに使っちゃう可能性ありますよ。防衛のお金はやはり防衛で使うべきなんですよね。ですから、ここは是非御検討いただきたいというふうに思います。

 防衛大臣はお忙しいそうでありますから。

小野寺委員長 木原大臣は御退出していただいて結構です。

中谷(真)委員 それでは、次に外務大臣にお聞きしたいと思います。ちょっと、三番と四番併せてお聞きしたいと思います。

 ここに地図がございます。この地図、アメリカを青に塗り、中国を赤に塗って、そして緑に日本、黄色に台湾であります。

 これは、私、何が申し上げたいかというと、米中の対立が今非常に激化しています。これは、地政学的に言いますと、七十数年前に日本とアメリカがいわゆる戦った、これと同じような位置関係にあるというところであります。このときのホットゾーンは、まさに東南アジアから太平洋がホットゾーンでありました。今回、米中も同じであります。

 そう考えたときに、中国は太平洋に出ていきたいわけでありますが、日本列島と台湾がすごく邪魔しているなというのが見えると思います。台湾が欲しいんだろうな、こう感じるところであります。

 この中で、私、申し上げたいのは、今回、ACSAをドイツと結ばれるという審議があるわけでありますが、欧米よりも先に東南アジア、大洋州とやはりこういった検討をしていなきゃいけないというふうに思います。これについて御見解を伺いたいと思います。

 さらに、ホットゾーン、この東南アジアと関係を強くしていくために、私は、AZEC、アジアの脱炭素に貢献していくということは非常に関係が強くなるだろうというふうに思っているところであります。また、日本は独自で水素、アンモニアを作れるわけではないので、供給してこなきゃいけない、そういう意味では、近い、さらには、アジアの脱炭素市場は必ず日本の成長にとって極めて有効だというふうにも思っているところであります。

 中国にできない支援を我々はしていくべきだ、技術を乗っけた。そのために、やはりODA、円借款を使ってこれをやっていくべきだというふうに思います。是非この点、やはり私は、金額まで示して、何年間で、このAZECに一体幾ら使うんだというところをしっかり示すことが日本の意思を示すことになるというふうに思っているところであります。

 この二点について外務大臣の御見解を伺いたいと思います。

上川国務大臣 まず、ACSAについてでございますが、委員御指摘のとおり、ASEAN及び太平洋島嶼国地域につきましては、地政学的に要衝に位置しておりまして、今後も日本としてこれら地域における各国との関係を強化してまいりたいと考えております。

 その上ででありますが、政府といたしましては、各国との安全保障また防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係、また自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、さらに具体的ニーズ等も踏まえながら、必要なACSAの締結等に取り組んでまいりたいと考えております。

 加えてAZECについての御質問ということでありますが、御指摘のとおり、ASEAN地域の脱炭素化は極めて重要でありまして、我が国は、各国の実情に応じた多様な道筋によって、経済成長を損なうことなくエネルギー移行を目指す、その意味で、アジア・ゼロエミッション共同体、まさにAZEC構想を立ち上げて協力を進めております。

 この実現に向けましては、ODA、これも積極的に活用いたしまして様々な協力を実施しているところでございますが、円借款やまた海外投融資による再生可能エネルギー事業の支援のほか、技術協力によりますエネルギー移行政策を策定するための支援、こうしたことを行っているところであります。

 さらに、昨年十二月でありますが、日・ASEAN友好協力五十周年特別首脳会議、これに際しましては、岸田総理から、オファー型協力などのODAの新しい取組、これも活用して、AZEC構想の実現を含みます気候変動対策に官民連携して取り組んでいくということにつきましては、対外的に表明をしたところであります。

 現在、我が国の厳しい財政状況に鑑みまして、現時点で、委員おっしゃったように支援額の総額として打ち出すということは考えておりませんが、今後も引き続き、我が国の強みを生かしつつ、ODAも積極的に活用しながら、ASEAN地域の脱炭素化に向けた協力を進めていく方針でございます。

中谷(真)委員 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 脱炭素の話でいきますと、やはり、CO2を排出しないという体制をすぐにつくるのは極めて難しいというふうに思っています。特に、熱をたくさん出すようなところは、電気に替えろといったって、すぐにそれができない場合もありますし、何から作られている電気かという問題もあります。さらには、水素、アンモニアにいきなり行くということもなかなか難しいというところであります。この際、天然ガスを利用するというのが一般的な考え方であります。

 この天然ガス、石炭や石油に比べますとCO2の排出が非常に少ないというところでありますが、やはりそうはいっても化石燃料ですし、CO2は出るわけであります。ただ、この移行期には必要ということで、天然ガスは化石燃料であるということから、やはりしっかりとした整理をして支援策を打っていく必要があるというふうに考えています。

 また、天然ガスに切り替えるときに設備投資が必要になってくるわけでありますが、これは例えば、十年以降もう使えませんよという話ではなかなか設備投資も起きてこない。その先といいますと、やはりメタネーション、これが有力、同じ設備を使いますから。このメタネーション、同じ設備を使えるメタネーションに対しての支援もしっかり打ち出していかなければいけないというふうに考えているところであります。

 そして、メタネーションを進めるに当たって、ルール形成が必要です。アメリカで作るときにアメリカのCO2を水素にくっつけて、そして日本に輸入してきて、日本で使えばCO2は日本で出てしまうわけでありますから、ここの整理をする必要があるというところであります。

 このルール形成についてはどうであるかということ、これは、さっき申し上げた天然ガス、メタネーションへの支援策について経産省にお聞きをしたいのと、ルール形成については環境省にお聞きしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 先ほど来から、大所高所に立った、傾聴に値する質問をされているなというふうに拝聴いたしておりました。

 本件につきましても、御指摘のとおり、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現していく上で、石炭等を活用した自家発電などにおいて、現実的な形で燃料転換を進めていく観点というものは重要であると考えています。

 このため、経済産業省としては、水素、アンモニア、合成メタンなどの活用を見越して、石炭火力から、御指摘のように天然ガスへの燃料転換などについて後押しをしていきたいと考えています。足下では、令和六年度予算案などにおいて必要な事業費を計上しているところであります。

 特に、合成メタンにつきましては、天然ガスの既存インフラをそのまま利用できるという利点を持ち、その活用は重要であります。課題であるコストを低減するため、グリーンイノベーション基金を活用し、生産効率を飛躍的に高める革新的メタネーションの技術開発を行っているところであります。

 こうした取組を通じまして、燃料転換に係る設備投資やメタネーション技術の開発などを促進をして、脱炭素化と産業競争力の強化、この両立につなげていきたいというふうに考えています。

朝日大臣政務官 合成メタンなどの活用に向けては、委員御指摘のとおり、CO2のカウントルールの整備が課題の一つとなっております。

 現在、民間企業において検討が進められている具体的な海外メタネーションのプロジェクトにおいても、生産国の関係機関や事業者と協議が続けられているものと承知をしております。

 今後、このプロジェクトの進捗状況も踏まえまして、政府も含めた関係者間の理解を深めていくことが重要だと考えております。

 環境省といたしましては、関係省庁や事業者との協議会の場も活用しながら意見交換を現在行っており、引き続き、CO2削減量算定に関する様々な知見を生かしつつ、合成メタンの活用に向けた議論に貢献してまいりたいと考えております。

中谷(真)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後、リニア静岡工区の進捗についてお聞きをしたいと思います。

 四百四十キロ、東京―大阪間、この中で静岡を通るのは九キロです。これは山間部でありますが、全然進んでいません。山間部だからいいと言っているわけじゃないんです。私どもは、山梨県は、まさに横断するわけでありますし、三十一キロも明かり区間があって非常に難しい調整をやっているんですよね、市街地を通りますし。

 その中で、非常に、東海道新幹線とかを見て、いいなと見ていたわけです。やっと自分のところに来ると思ったら、静岡県知事が様々反対をされているというところであります。水、生態系、土と、何かゴールポストを動かしているかのようにも私は見えるというふうに思っております。

 さらに、生態系を全て調べろとか、土捨場を千年に一度の災害に耐えるところにするべきだとか、こういうことも言われているわけでありまして、私どもとしては非常にフラストレーションがたまっている。我々は非常に難しい調整をしているのにというふうに思っているところであります。

 このことに対して、国交省は是非力強くリニア事業について静岡県と調整を行っていただきたいということを強く申し上げて、私の質問を、では、よろしいですか。

小野寺委員長 国土交通省鉄道局長村田茂樹君、端的にお願いいたします。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 未着工の静岡工区につきましては、静岡県とJR東海の対話を促進するということが重要であると考えております。

 今月七日には、私自身が静岡県の川勝知事を訪問いたしまして、南アルプスの環境保全に関する報告書のポイントを説明しました。さらに、今後は、静岡工区の水資源と環境保全につきましてJR東海がしっかりとした対策を着実に実行していくということが重要であることを踏まえまして、取組を継続的にモニタリングするための新たな会議を国交省として開催する旨を知事に説明いたしまして、静岡県の御理解と御協力を強く求めたところでございます。

 国土交通省といたしましては、こういった取組を進めることによりまして、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整え、一日も早い開業に向けてしっかり取り組んでまいります。

中谷(真)委員 終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて中谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 まず初めに、元日に発生をいたしました能登半島地震で犠牲となられました方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げます。

 いまだ不自由な避難所等で生活をされている皆様の日常が一日も早く元の生活に戻れますよう、公明党は、政府と一丸となって全力で支えていく決意であります。

 それでは、質問に入ります。

 発災から本日で五十日が経過し、いまだ一万三千人近くの方々が避難所で生活をされておられます。避難者一人一人のきめ細やかな支援を行い、アウトリーチ型で必要な物資が行き届くよう、切に願うものであります。

 具体的にお伺いをいたしますが、避難所生活が原因の災害関連死を防ぐためには避難所の質を高めなければならないという視点に立ち、避難所・避難生活学会の医師や専門家の方々が、TKBプラスW、T、トイレ、K、キッチン、B、ベッド、プラスW、暖房の必要性を訴えておられます。

 今回の地震では、長期間にわたり断水が続き、トイレの確保が難しい状況にあります。このような中、他の自治体から約二十台のトイレトレーラーが被災地に派遣をされ、私の地元である群馬県と大泉町からもそれぞれ一台が避難所に設置され、被災者に大変喜ばれていると伺っております。

 トイレについては、携帯トイレ、仮設トイレなど様々なものがあります。また、発災直後、応急時期、復旧復興時期などのフェーズによっても対応は異なると思いますが、能登半島地震において、政府、自治体ではトイレの重要性についてどのように考え、対応されているのか、御答弁をお願いいたします。

 また、あわせて、今後の災害に備えるためにも自治体によるトイレトレーラーの導入を進めるべきと考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 トイレの重要性とトイレトレーラーの導入について、二点御質問かと思います。

 まず、熊本地震でも、発災後、トイレの重要性というのは、ドクターからも大変御指摘をいただきました。と申しますのが、トイレが不衛生であれば、食事や水を取らなくなる。そうなりますと、血液中に血栓もできやすくなるし、エコノミークラス症候群等の健康障害、被害を引き起こす可能性がある。こういった御指摘があり、環境衛生について努めてきたところでもございます。ですから、極めて重要な点であると認識をいたしております。このため、発災直後から、仮設トイレやまた携帯トイレを被災地に届けてきたところでもございます。

 委員御指摘のトイレトレーラーでございますけれども、御地元からも御支援をいただいたということで、感謝を申し上げたいと思います。保有している自治体や高速道路会社から避難所に派遣していただいております。

 トイレトレーラーの整備につきましては平時から進めることが極めて重要であると認識をしておりまして、内閣府が作成した取組事例集の導入の好事例のまず周知を行っております。また、自治体の指定避難所の生活環境改善のためのトイレトレーラーの導入につきましては、緊急防災・減災事業債の対象とするなど、導入を促進をいたしているところでございます。

 引き続き、避難所における良好な生活環境の確保に努めてまいりたいと考えております。

福重委員 御丁寧なる答弁をありがとうございました。

 次の質問に入ります。

 被災者の方々が様々な公的支援を受けるために必要な罹災証明書についてお伺いをいたします。

 我が党の石井幹事長は、二月一日の本会議において、被災地域単位で全壊地域と認定するなど手続を大幅に簡素化し、生活となりわい支援を前に進めるべきだと提案し、岸田総理も、航空写真の活用など被害認定調査の簡素化を積極的に取り入れると御答弁されました。

 この被害認定に当たり、抜本的な見直しが必要と思いますが、現在の取組状況についてお伺いをいたします。

 また、被害認定調査や罹災証明書の交付を迅速に行うために、今後も人手不足が見込まれるのであれば派遣職員の増員を検討しなければならないと思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。

松村国務大臣 この罹災証明書につきましては、速やかに交付することは極めて重要であると認識をいたしております。このため、全国の自治体から応援を得まして、航空写真の活用、地域一括での全壊判定、デジタル技術を活用したリモート判定などを積極的に取り入れまして、被害認定調査の迅速化を現在図っているところでございます。

 その結果、能登半島北部の六つの市町における実施状況につきましては、一日当たりの実施件数が、一月は約千棟でございましたが、二月は約二千三百棟と、二倍以上にスピードアップを図りまして、進捗が図られております。このペースで調査を進め、石川県内の多くの市町におきましては、二月中におおむね調査を終える見込みであると報告を受けております。

 なお、罹災証明の交付につきましては、能登半島北部の六つの市町におきまして、約三万七千件の申請に対し、約三五%に当たる一万三千件が交付されているところでございます。また、御指摘の人員につきましては、避難所の運営や罹災証明の交付等の業務を担う応援職員の方々が全国から約一千百名派遣をされていると承知をいたしております。

 今後とも、被災自治体からのニーズに応じて、応援職員の派遣について対応してまいりたいと考えております。

福重委員 速やかなる対応を是非ともよろしくお願いをしたいと思います。

 申し訳ありませんが、通告にあります仮設住宅への入居の推進と、自治体の防災部署における女性職員の登用につきましては、順番を変え、後にさせていただきたいと思います。

 次に、先ほどのW、暖房の確保という観点から、避難所となる学校の体育館の空調設備導入支援についてお伺いをいたします。

 今回の能登半島地震において、厳寒の中、寒さに耐えておられる避難者が多いことを考えれば、今後起こり得る災害への備えとして、避難所となる体育館の空調設備を早急に整備することが必要であると思います。

 我が党の高木政調会長による二月六日の質疑において、避難所となる小中学校の体育館の空調の設置率は全国で一五・三%という実態が示されました。この状況を改善していくためには、国が市町村と連携し、財政的な支援を行っていくことが求められます。

 その上で、国の補助を受けるためには、体育館の断熱性能が確保されていなければならないという条件があります。断熱性能については効率を確保する観点から必要とは思いますが、そのことによって体育館本体の建て替えや全面的な改修工事と一緒に行わなければならず、このことが空調設備設置への大きな阻害要因となっております。

 そこで、体育館の断熱性能の確保については国として柔軟な対応が必要と考えますが、政府の御見解をお願いいたします。

盛山国務大臣 文部科学省におきましては、小中学校の体育館等への空調設備の設置について、学校施設環境改善交付金という制度で国庫補助を行っているところでございます。

 しかしながら、今、福重先生から御指摘のとおり、学校の体育館について、災害時に避難所として活用されることが期待されるにもかかわらず、その空調設置率は全国的に低い状況であります。よって、空調設備を促進することは喫緊の課題であると我々も考えているところであります。

 そして、今御説明がありましたとおり、国庫補助に当たりましては、空調設置費用や光熱費の抑制、環境負荷の低減の観点から、当該建物に断熱性があること、これを補助の要件としているわけでございますが、他方、空調を設置する体育館の断熱性能の要件につきましては、個々の体育館ごとに、日照等の立地条件、あるいは屋根、壁などの断熱性能の現状を基に検討する必要があると考えております。

 具体的には、学校設置者が、建築技術者などの専門家とともに個々の体育館の状況に応じた断熱性確保のための対策を検討した上で、経済性に配慮しつつ効果的な整備を行っていただくことは必要となりますが、必ずしも建て替えや全面的な改修工事が必要とは限らないと認識しております。

 文部科学省におきましては、空調設置と併せて断熱性確保のための工事を実施する場合の経費も含めて、本年度から令和七年度までの間、補助率を三分の一から二分の一に引き上げて支援しているほか、断熱性確保のための工事の設計に関し、断熱方法ごとの工期や工事費に関する事例の周知や、具体的な対策の内容について、確認の上、必要に応じて助言するなどの対応を行っております。

 今後とも、こういったことを通じまして、各地方公共団体が、断熱性の確保も含め、計画的に体育館等への空調整備を行うことができるよう支援してまいりたいと考えております。

福重委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 これはちょっと要望とさせていただきますので、御答弁は結構でございます。

 一点目は、空調設備導入について、令和七年度まで補助率を二分の一に引き上げるとの御答弁でございましたが、是非、令和八年度以降も継続されるようにお願いをしたいと思います。

 二点目としまして、指定避難所につきましては、断熱性能の向上の有無にかかわらず、交付金の対象としていただきたいと思います。

 三点目としては、まずは空調設備を導入し、その後に断熱性向上の工事を行っていく計画を立てていれば交付金の対象になるなどの柔軟な対応をお願いいたしたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に移らせていただきます。

 学校施設環境改善交付金の対象は、公立の小中学校、特別支援学校、幼稚園に限定されております。

 私の地元群馬県においては、令和六年度から五年計画で県立高校の全ての体育館において空調設備を整備することとしています。この背景には、体育館を使用する授業、部活時の熱中症対策や、災害時の避難所となることを考え、断熱性能の確保については後回しにしたとしても、空調設備による環境改善が最優先課題であるという政治判断からであります。

 是非、高等学校においても空調設備の導入が推進されるよう、交付金の対象として拡充するべきと思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 公立高等学校の施設整備に係る費用につきましては、一部の事業、具体的には、専門高校等の実験実習施設の整備、防災機能強化としての屋外防災施設の新設、公害防止及び降灰防除工事については国庫補助を行う仕組みがございますけれども、基本的には、平成元年以降、地方の裁量を拡大して、地方分権を推進する観点から、国庫補助金を順次、廃止縮小してございます。平成十八年の三位一体改革を経て、今述べた事業以外は地方公共団体の一般財源で措置されることとなってございます。

 これは、国と地方の役割分担を踏まえて、地方分権を推進する観点から、これまで政府全体の方針として進めてきたことの一環でございまして、御理解をいただければと存じます。

福重委員 私も三位一体の改革の役割分担というのは承知しているつもりでございますけれども、この要綱の中には、現在の温暖化はまさに災害級というレベルであり、三つの補助対象の一つである防災機能強化という観点に立って、高校生の命を守るためにも、体育館の空調設備については交付金の対象にすべきだというふうに思いますので、これは要望とさせていただきますので、是非よろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 若者の流れを地方につくるという視点で質問をいたします。

 地方における人口減少の大きな要因の一つに、地方で育った高校生が東京の大学に進学し、卒業時、東京で就職をされる方が多く、私の地元群馬県を例に挙げると、東京での就職が七割で、群馬に戻られる方が三割という状況にあります。

 公明党は、地方創生の観点から、UIJターン就職をする学生への支援の重要性を一貫して訴えてまいりました。令和六年度地方創生移住支援事業の予算案において、我が党が主張した大学生の面接試験等の交通費への支援が盛り込まれましたことに心から感謝を申し上げます。一方で、実際に地方へ就職する際の移転費への支援についても必要性が高いと考えております。

 交通費支援の具体的な内容及び移転費支援の検討状況につきまして、大臣にお伺いをいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 二〇二三年の東京圏への転入超過数が十一・五万人となっており、その大半が進学等を契機に地方から移る十代後半また二十代の若者である中、地方創生の観点から、このような若者をいかに地方に回帰させていくかが非常に大きな課題となってございます。

 こうした状況を踏まえまして、デジタル田園都市国家構想総合戦略に基づきまして、地方への人の流れをつくるため、東京都内に本部を置く大学の学生が卒業後すぐにUIJターンをすることを促進することを目的として、地方創生移住支援事業を拡充し、新たに地方就職支援金を設けることといたしました。

 具体的には、地方の企業において実施される就職活動に参加するための交通費への支援を令和六年度の予算で措置することといたしました。また、加えまして、この交通費支援を受けた学生が実際に地方に移住する際にかかる移転費への支援についても、令和七年度予算で措置をしてまいりたいと考えてございまして、詳細については今後検討を進めていきます。

 今回の大学生に対する移住支援の新たな枠組みの検討をするに当たりまして、福重委員を始めといたしまして、様々な御支援に心から感謝を申し上げるとともに、この事業を積極的に御活用いただきまして、在学中の経済的負担の軽減や地域の将来を担う人材の確保をどんどんと推進してまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いをいたします。

福重委員 大臣、積極的な御答弁、本当にありがとうございます。

 その上で、確認をさせていただきたいと思いますが、一部報道によりますと、県内のみに拠点を置く中小企業を念頭に補助するとありました。もし報道のとおりだとした場合、事業効果が限定されることになると思います。是非、柔軟な対応を求めたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 地方就職支援金による交通費の支援の対象ということでございますが、御指摘されましたような、就職先を当該県内のみに拠点を置く中小企業に限定していないというところでございます。

 例えば、本社は県外に拠点を置く大企業でありましても、その地域にある事業所に地域内での勤務を条件に採用されて、移住、定住をしていただければ対象になるということでございます。

福重委員 柔軟なる御答弁ありがとうございました。是非とも推進をよろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 私は、若い方々の地方定着の推進を図るためには、県内大学への進学率を高めることが必要だと思っております。その上で、地方における産業振興や若者の雇用創出を目的とする地方大学・地域産業創生交付金という事業は、大変に優れた制度で、更なる展開をしていくべきだと考えております。

 私は、大学の役割の一つとして、社会に求められる人材を輩出する力があるかないかが問われていると思います。そして、社会のあらゆる産業のベースとなる、デジタル、グリーン、クリエーティブな人材が求められております。是非、地方大学・地域産業創生交付金の促進に当たり、今後成長が見込まれる新たな産業分野についても採択を進めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

豊岡政府参考人 お答え申し上げます。

 地方大学・地域産業創生交付金では、地方公共団体の首長のリーダーシップの下、地域の産学官が一体となった、若者を引きつける産業の創出、大学の強みを生かした研究開発や専門人材の育成などについての取組を支援しております。

 来年度予算案におきましても新規採択を行うための予算を計上しておりまして、内閣府といたしましては、御指摘のような新たな産業分野についての取組も含め、意欲的な地方公共団体を御支援できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 地方の活性化、これは我々にとって非常に重要なテーマでございます。是非、大学の魅力づくりに御努力いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて福重君の質疑は終了いたしました。

 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会、池下でございます。本日はよろしくお願いします。

 まず冒頭、元旦におきまして発生いたしました能登半島地震におきまして、被災された皆様には心からお悔やみ申し上げますとともに、これから中長期にわたりまして復旧復興支援、これは継続していかなければならないということになります。我々維新の会も、超党派、また、国を挙げてしっかりとやっていかなければならないことをお誓い申し上げて、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは、財政規律とイノベーションを考慮した薬価制度についてお伺いをしていきたいと思います。

 今まさにこの予算の委員会で質疑されておりますが、当年度の予算のうち、約三分の一が社会保障費という形になります。そのうち、特に全国民が受益される医療の部分について、これは、皆保険制度の維持とともに、しっかりと高度な医療を提供できるような体制、私は特に創薬、お薬を作っていくということについて、画期的なイノベーションについてもしっかりと評価をすることが、世界と戦う、この競争市場の中で勝ち残れる日本をつくっていくものだと考えております。

 そこで、私、昨年十二月に、主意書の方を出させていただきました。日本の薬価制度における新薬の有効性・安全性の評価に関する主意書というものを出させていただいたんですけれども、その中では、海外と比較して、日本国内でのドラッグラグやドラッグロス、これを解消していくためには、日本の医薬品承認時における有用性加算であったり、外国平均価格調整、そして、その後薬価が承認されたときの共連れ、こういう問題をしっかり解消していくことが大事ではないかということで、御指摘をさせていただきました。

 その後、政府の方からも御回答がありまして、力強いお言葉が書かれてあったということにつきましては一定評価をさせていただきたいと思っておりますし、その後、中医協の方からも骨子の方が出されまして、新薬の迅速導入やイノベーションを適切に評価するための薬価上の新たな措置というものが示されたところであります。

 ただ、私が心配しておりますのが、医薬品の研究開発といいますのが大体九年から十七年程度、相当な時間がかかるという具合に認識しております。

 そういう中で、厚労大臣の方にお伺いをしたいと思うんですけれども、二〇二四年の薬価制度改革によってどの程度のドラッグラグ、ロス、これが解消されると見込まれているのか。また、ドラッグラグ、ロスの解消を目的とした薬価措置において、その成果というものを定期的にチェック、いわゆるモニタリングする必要があると考えておりますし、加えて、そのモニタリングする際のやはり評価指標というのも一定示さなければならないと考えますけれども、御見解の方をお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 委員と全く同様の認識を持っておりまして、我が国のドラッグロスというのは極めて深刻であります。直近五年を見てみると、欧米で承認された二百四十三品目のうち、国内で未承認となっているもの、すなわち薬事申請さえもされていないものが百七十六品目、七二%も薬事申請されていない。これは、もう極めて深刻な事態であります。

 そこで、薬価の改定の中で、新薬創出等加算の見直しをしまして、それからさらには、先ほど先生御指摘された迅速導入のための新薬の評価の加算、新たに加えた、それから、革新的な新薬に係る有用性評価の充実で、収載時の加算、これも充実をさせました。しかし、これだけではやはり我が国の創薬の基盤の強化にはつながりません。

 したがって、薬価をこうした形で制度設計をしてドラッグロスを縮小させる努力をしつつも、我が国自身の、世界のエコシステムの中の拠点になるような創薬の基盤をしっかりともう一度アカデミアも通じてつくり直しませんと、全体としてのドラッグロスというものは解消に向かって動かせないと思っています。

池下委員 御丁寧な御答弁をありがとうございます。私も大臣と同様の考えを持っております。

 また、物事を実現していくには、やはり、計画というものをしっかり立てていくとともに、PDCAサイクル、当然チェックというのもしていかなければいけませんし、そのチェックをするにも、先ほど申し上げました指標というものをきっちりと正しい方向性で示していかないと、またあらぬ方向に行ってしまう可能性がありますので、そこら辺は御指摘の方をさせていただきたいなと思います。

 そして、様々な政府の諮問機関でも述べられていますけれども、医療を取り巻く環境というのは大きく変化している中で、今申し上げたイノベーションというのも非常に大事でありますけれども、一方、社会保障の制度というものをきっちりと継続、維持していく、皆保険制度を維持できるような仕組みも一方で非常に大事であると考えております。

 そこで、イノベーションの推進との両立を踏まえまして、医療は国民のものであり、受益者である患者や革新的医療技術を提供する企業も参加して、イノベーションにつきまして、まさに当事者から広く意見を聞く場を設置する必要があると考えますけれども、改めて厚労大臣の御意見を伺いたいと思います。

武見国務大臣 まさに医療は国民のものであります。そして、その中で、こうした医療提供者側と国民側との間の相互の信頼関係というものをきちんと確立をしながらこうした制度設計を進め、特に、科学技術の進歩というものが非常にコストのかかるものになっておりますから、そのコストを一体どのように現在の医療制度の中で吸収していくか、そのためには一体どういう医療制度改革をこれから進めていかなければならないのか、問題は山積でございます。

 しかし、今、この問題の解決に取り組まないと、恐らく、我が国の医療の水準というのは先進国から脱落していくことは必定でございますので、まさに分岐点に今我が国は置かれていると思っております。

池下委員 医療の規模というか、高度な医療を維持していく、これから上げていくとともに、まさにこれから人口も高齢化が進んでいきますので、そういう対策もしっかりとやっていかなければならないと思います。

 ちょっと時間がなくなってきますので、次に行かせていただきますが、次は、コロナ治療薬の公的支援についてお伺いをしていきたいと思うんですが、新型コロナにつきましては、昨年の五月に二類から五類の方に変更いたしました。ただ、先々週ですかね、一月二十九日から二月四日あたりの定点的な感染報告、これを見ますと、約八万件が感染されたという具合に聞いております。この数字は、昨年の夏のピーク時と非常に近い数字ということで、なかなかまだコロナが、ニュース、報道ではちょっと減っていますけれども、終わっていないなという感じがいたします。

 そのような中で、当然今、経済は回復基調にありますし、海外からもインバウンドということでお客様がたくさん来られているわけなんですけれども、ただ、やはり国内での感染爆発というのは防がなければならないという具合に考えています。

 ちょっと資料の方を御覧いただきたいんですが、新型コロナ治療経口薬の薬価と自己負担金額ということで書いてあるんですけれども、現在は公的、公費の支援があるということで、コロナの経口薬、お薬については、三割、二割、一割負担、それぞれ、九千円、六千円、三千円となっております。でも、これは三月で切れるわけですので、それ以降というものがまだ見えてきません。もし、公費負担、公費支援がなくなるとなれば、大体三倍くらいからの負担を国民の皆様がしなくてはいけなくなるという状況であります。コロナのワクチンについては定期接種というものが続けられますけれども、経口薬、治療薬につきましては、今後の在り方というものがまだ示されておりません。

 私は、これから、万博も来年あるということですので、しっかりと、海外の皆様にうつしてはならない、国内の皆様も増やしてはならないという思いもありまして、公費の支援を続けていくべきだと考えますが、厚労大臣の見解を伺いたいと思います。

武見国務大臣 これは本当に難しい判断が求められます。初動時期の対応も大変でありますけれども、このパンデミックが収束しつつあり、通常の体制に戻すときというのも、国民感情の中には大変警戒心が高うございますから、それをやはり通常の医療に戻していただくためのプロセスというのは慎重にやらなきゃなりません。

 しかし、それを、我々の方の立場といたしましては、昨年の三月に政府の対策本部で、新型コロナウイルス感染症を五類といたしました。そして、今年の四月から通常の医療体制へ移行をするという方針を策定をし、それから、昨年十月以降も、支援額を見直しをした上で、その公費支援を今年の三月末までの特例措置にしておるところであります。こうして、できる限り国民の皆様方にも御理解をいただきながらソフトランディングさせたいという考え方で、こういう仕組みにしてきているわけであります。

 この方針にのっとって、今後、四月以降、通常の医療体制へ移行させようというふうに考えているわけでありますが、四月以降の具体的な取扱いの決定に際しては、これはやはり国民の皆様に対して丁寧な周知広報は行っていきたいと思います。ただ、原則としては四月から通常の医療に戻すという考え方の中で対応していきたいと思います。

池下委員 一定、大臣の言われていることも、当然、通常の医療というふうにしていかないと医療のお金は非常にかかりますので理解はするところはありますけれども、やはり、国民の理解、そして感染状況も、両方把握しながら慎重に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは次に、項目を変えまして、ちょっと自民党の皆さんは嫌な感じなのかもしれませんけれども、自民党の皆さんの聞き取り調査の報告書についてお伺いをしていきたいと思います。

 これは、先週の二月十五日に、自民党の皆さんからの聞き取り調査に関する報告書というものが出されました。私も中身を見させていただきましたけれども、はっきり言って残念やなということで、ちょっと笑っている皆さんもいらっしゃいますけれども、残念だなということで感じさせていただいております。

 野党各党の方からも、この間、やはり原因の究明、実態調査というのをした上で、その上で再発防止というものをやっていかなければならないのかということで言われておりました。

 ただ、これ、中身を確認して、ちょっと御紹介させていただきたいと思うんですけれども、これはいつから始まったんですかというとこら辺を読ませていただきますと、恐らく三十年くらい前から慣習がそのまま残ってしまっていたのだと思う、又は、二十数年前の当選後に先輩から聞いたような記憶があると述べる方、また、十年ほど前に派閥の事務局から、収支報告書に計上しないでほしいという申入れがあった、こういうことが書かれて、ざっくりとしか書かれていないわけです。

 今回の調査では、五年間で八十五名、金額的に五億七千九百四十九万円という具合にやられているわけなんですけれども、まず、私は、いつ、誰が、どのようにして始まったのか、こういう裏金還流のシステムを始めたのか、これをしっかりと明確にすることが大事だと思いますし、仮に、報告書にあるように、これが三十年前からだとすると、この五億ウン千万円という金額では済まないわけですね、何十億円という金額になるわけです。

 ですので、二度とこういう過ちを犯さないためには、この最初の一歩、これを明確にする必要があると考えますけれども、そもそも今回の本調査の目的というのは何だったのか、官房長官にお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 今、委員からございましたように、先日、自民党における外部の弁護士を交えた関係者への聞き取りについて、その結果が弁護士のチームにより報告書として取りまとめられたものと承知しております。

 官房長官の立場で自民党の調査についてコメントすることは差し控えますが、調査報告書では、還付金の金額及び収支報告書の訂正状況、議員の認識や収支報告書不記載の理由、還付金等の管理方法や使途、こうした聞き取り結果をまとめた上で、弁護士の方々からの再発防止に向けた提言について記されているものと承知をしております。

池下委員 お立場ですので、なかなか全部答えられないというのは承知はしますけれども、ほぼゼロの回答かなということで、非常に残念であるなという具合に思っております。

 分かりながらも聞いてはいるわけなんですけれども、ただ、今回の調査といいますのは、清和、志帥会の両派閥が収支訂正した寄附先の国会議員と支部長ということでありました。

 そもそも、こういう裏金、還付金のシステムといいますのは、派閥のパーティーだけに限ったことではないと私は思います。また、そういう声も、一方でこれは市井の中から聞いております。例えば、都連、県連、府連、そういった地域支部の主催のパーティーにおいても同様の違反がないのか。これは、官房長官、断言できますでしょうか。もし断言できないのであれば、調査すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 自民党による今後の調査の有無や方針につきまして、官房長官の立場から申し上げることは控えたいと思います。

 いずれにせよ、一般論で申し上げますと、政治資金の取扱いについて疑義が生じた場合には、関係者において、必要に応じ、適切に説明を行うことが重要であると認識をしております。

池下委員 言いますけれども、官房長官というお立場ですけれども、ただ、自民党の中でも大きな、大幹部の官房長官でありますので、是非これを岸田総理・総裁の方にもしっかりと言っていただきまして、これは国会議員だけの問題じゃないんだ、政治家全体の問題なんだよということを、是非、野党の方も同じように言えるかと思いますけれども、これは御指摘の方をさせていただきたいなという具合に思います。

 そして、報告書の方、十三ページから、再発防止という欄がありまして、そこでは議員さんからのコメントというものが書いてあります。そこに、ちょっと読ませていただきますと、今後こういうことがないように再発防止が必要、党の政治刷新本部において策定する中身が大事、ポストと金の関係は断ち切った方がよい、こういうことが記載されています。本当に、当事者意識というのがちょっと少ないんじゃないかなというイメージがつきました。

 さらに、十八ページ以降には、再発防止に向けた提言ということで弁護士の方々からの御提言が、最終ページにたしか載っているわけなんですけれども、その中には、適正なモニタリングとトレーサビリティー、追跡可能性というところなんですが、こういうところが挙げられております。

 これはどういうことかといいますと、ここで対象となるのは記録であったりエビデンスの追跡可能性が前提であり、業務のデジタル化が有効というように弁護士の皆さんは言われているんですね。

 ただ、これは本質なのかなということで、私は非常に疑問に思っているところであります。これはどういうことかといいますと、例えば、今、政治資金規正法の収支報告書の帳面、帳簿、会計システムなんですが、これは単式簿記なわけですよね。分かりやすく言えばお小遣い帳みたいな、そういうシステムの中でやっているわけです。

 そこで、官房長官にお伺いをしたいかなと思うんですけれども、今、私が御紹介させていただきました議員の皆様の幹部に対する批判、そういう、改善策であったりとか、報告書の最後の弁護団からの提言、これはどのように感じられるか、お伺いをしたいと思います。

林国務大臣 この報告書で取りまとめをされた弁護士の方々の提言として、法令遵守と違反に対する厳罰化、声を上げることの実践と外部窓口の設置、適正なモニタリングとトレーサビリティーの確保について述べられておると承知しております。

 個々の提言に対しまして政府としてコメントすることは控えますが、今後は、自民党におかれて、運用面での改革を先行させつつ、政治資金の透明化、公開性の向上、より厳格な責任体制の確立などについて、党としての考え方を取りまとめる、こうした旨、総理が総裁として述べられているものと承知しておりまして、その方針に沿って対応が行われるものと考えております。

池下委員 今の御答弁にありました厳罰化であったり、責任の所在ですよね、そういうところも当然大事なわけなんですけれども、私、今、これからの質問の中でやっていきたいなと思うんですけれども、そもそも、これはやはり仕組みをしっかりしていくということが、二度とこういうことが起こらないようにする、当然故意である場合は別ですけれども、そういうことになるかと思いますので、次、政治家個人の政治資金について、ちょっとお伺いをしていきたいと思います。総務大臣の方にお願いしたいと思います。

 政治と金の問題につきましては、まずは一つ目、公私の峻別、透明化を確保すること。そして二つ目が、民主主義のコストであります政治資金を誰がどのように負担しているのか、税金で負担しているのか、寄附金なのか、そのほかなのかということであります。そして三つ目、新たなルールを作って、そのルールを遵守すること。この三つがこれから大事、この政治と金の問題を解決するのには大事な点かなという具合に思っております。

 そこで、ちょっと二つほど、昭和五十五年の政治資金規正法改正の趣旨と平成六年の資金管理団体、今現在の政治資金管理団体の趣旨をお伺いをしたかったところなんですけれども、余り時間がありませんので、三つ目のところだけ、総務大臣の方にお伺いをしたいという具合に思います。

 今、私の方も、政治資金の公私の峻別、透明性、これは大事、ルールも大事であるということを言わせていただきました。私の方の見解、ちょっと提案ということでさせていただきたいんです。

 ちょっと資料の方を見ていただきたいと思いますが、人形みたいな国会議員の絵が出ている、こういう図ですね、こちらの方を見ていただきたいと思うんです。

 私の方でちょっと提言をさせていただきたいと思うんですが、今回の政治資金の問題なんですけれども、個人の政治活動での支出は全て資金管理団体、これが政治家個人に代わってすべからく報告すべきものなのではないかなという具合に思っています。

 これはどういうことかといいますと、例えば、私がお給料、歳費でもらったお金の一部、これは自己負担、ポケットマネーで政治活動をしました、例えば議連の会費ですよとか、そういうパターン。また、旧文通費、いわゆる文書交通滞在費は、維新の会はインターネットで報告していますけれども、これは義務ではありませんけれども、これも個人の政治活動費であります。こういう具合のもの、プラス寄附についても、すべからく政治活動として支出、お金が出たものに関しましては、資金管理団体において収入の内訳、そして支出の目的、使い方についても報告義務を課すということが大事であると考えておりますし、もしそういう具合のシステムにすれば、必要であれば情報公開させるということもできるかと思います。

 今ちょっと提案させていただいた、全ての政治活動を資金管理団体に全部やらせるよという形にすれば、今国民の皆様も、文通費、本当にちゃんと使っているのか、第二の給与じゃないのと言われたりとか、使い切りの経費じゃないのとか言われたりするかもしれませんけれども、全て報告するということであれば、正々堂々と資金管理団体の中でやっていけばいいかなというところで、御提案をさせていただきたいと思うんです。

 政治と金の問題でまさに国会が揺れている今、国民からの信頼回復をするためにも、一刻も早く、与野党を挙げて、政治家個人として、公と私、これを分けるやり方、そして、政治資金の透明化を図る改革を行わなければならないと考えますけれども、総務大臣の見解をお伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 御答弁をするに当たって、これまでも何度か申し上げてまいりましたが、総務大臣としては、行政府と政治との関係ということで、例えば政治資金の公開に係る総務省に付されている形式的審査権について、御党も参加されているかと思いますが、令和臨調さんの共同代表声明におきましても、形式的審査権以上の調査について総務省が抑制的であることには意味があるというのも、やはりこれまでの世界や歴史を見た中で、行政府が政治に、選挙にどこまで干渉するかという視点から、そのようにおっしゃっておられるという理解をしておりまして、私もそのことを踏まえて答弁をさせていただきたいと思います。

 今委員からもお話がありました資金管理団体は、平成六年の法改正において、政治と金をめぐる問題を契機として、公職の候補者個人の政治資金に関して、公私の混同が指摘され、その在り方の検討が求められて、政治と金をめぐる問題を抜本的に解決して、候補者の公私の峻別のより一層の徹底を制度的に担保するために、指定団体制度、保有金制度を廃止して、公職の候補者の政治活動に関する寄附で金銭等によるものについては、選挙運動に関するもの及び政党のするものを除き、これを禁止をするとともに、新たに資金管理団体制度が創設され、公職の候補者個人の政治資金については、その資金管理団体で取り扱うこととされたと理解をしております。

 その意味で、議員として透明性の確保は極めて重要であるということは認識をしておりますが、今お話がありました、制度をどのようにしていくか、報告の範囲をどのようにしていくかといったことに関しては、是非、各政党間の御議論をお願いをいたしたいというふうに考えているところでございます。

池下委員 まさに総務大臣のお立場として御回答いただいたのかなと思うんですけれども、やはり、これは今、大臣も自民党の議員さんのお一人でありますし、我々も野党としてこの政治と金の問題、しっかりとやっていかなければなりませんので、まさに国会審議ということですので、やはり与党の皆さんがやると言わへんかったらできないわけですから、是非そこら辺は乗っていただきたいなと思います。

 今、ちょっと時間がなくなりましたので、一言だけつけ加えさせていただきますが、先ほど大臣も二十一世紀臨調のことを言われました。私も二十一世紀臨調の話をしようかなと思っていたんですが、臨調の方では、政治家個人、政治運動費用、資金管理団体の政治資金については、政治家個人の活動に係る経費そのものであるから、これを一つの単位に統合し、全ての政治家はその政治活動にかかる政治資金を一つの政治会計として取り扱わなければならない、全く一つの器の中で全て入れて報告してねということを提言されています。

 ですので、是非、私が言った趣旨、同じようなことですので、国会審議でこれをやっていただきたいなと思っております。

 ちょっと、あともう一分、二分しか時間がないので、一つだけにまとめて、政治資金のオンライン収支報告書についてお伺いをしたいと思います。

 私は、議員になる前、税理士の仕事をさせていただいていまして、中小企業の財務会計を見ていました。当然、決算期には資産、負債、資本、収益、費用、損益計算書、貸借対照表、これを全部作ってつまびらかにして、決算書を作って税務署の方に報告していました。それで、作るときは、いわゆる会計ソフトに全て入力して、総勘定元帳とか現金出納帳の補助元帳を作って財務諸表を作るということになるわけなんですけれども、これは全て自動的にソフトが転記してくれるわけなんですよね。

 ただ、今の政治資金のオンライン収支報告書、これは、支援ツールはありますけれども、さっき言ったように単式簿記でありまして、なかなかつまびらかにできないものになっているかと思うんです。まず、一つお伺いしたいのは、このオンライン収支報告書についての現在の導入状況と、総務省ではオンライン収支報告書を推奨されていますけれども、どのような理由で求められているのか、そして、どのような姿を目的とされているのか、一つお伺いしたいと思います。

 まとめてお伺いしますけれども、二つ目、いわゆる単式簿記でやっている今のやり方、これでは管理できないです。税理士であろうが何であろうが、多分管理できないと思います。これはシステム上の問題なんですけれども、このシステム上、実務上の問題点、この二点、お伺いをしたいと思います。

小野寺委員長 総務大臣松本剛明君、予定の時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

松本国務大臣 はい。

 国会議員政治関係団体七百六団体のうち、オンライン提出がなされたのは六十四団体で、その割合は九・一%でございます。

 今、デジタルが進んでくる中で、オンライン提出ができる仕組みも私どもも設けさせていただいていますので、オンライン提出をすることで御負担が軽減される可能性もあるということで、皆さんに申し上げているところでございます。

 その上で、委員から御指摘があった提出の在り方でございますが、政治資金につきましては、基本的に、お金の流れを記載して政治資金の収支の状況を明らかにするという目的で、現金主義の考え方を原則としているものだというふうに思っております。

 オンライン提出をしない理由として、それぞれの政治団体自身で作成している様式等が異なって、オンライン提出の規格に合わないとかいったお声があることも承知をしておりますが、政治資金の収支報告、何を、どの項目をどのように報告をするかということも、規正法の制度で定められているところでございます。

 単式か複式か、現金主義かといったことも含めて、制度に関しまして、是非、政党間の御議論などで、私どもも注視をしてまいりたいと思っております。

池下委員 今のやり方でいいますと、逆に手間がかかって正確じゃないものができ上がるということを申し添えまして、質問の方、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて池下君の質疑は終了いたしました。

 次に、岬麻紀さん。

岬委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、愛知五区の岬麻紀でございます。

 まず初めに、今年、新年早々から国難というべき事態が次々と起こっております。改めて、能登半島地震で被災された皆様にお見舞いを申し上げます。一日も早く日常を取り戻していただけるように、私どもも精いっぱいの支援を継続していかなくてはいけないと感じております。

 本日は、三十分間の限られた質問時間ではございますが、どうぞ皆様、よろしくお願い申し上げます。

 今、日本では、あらゆる業界、業種において人材不足が慢性化しており、深刻化しています。一方で、日本にはまだまだ働き盛りの生産年齢人口に該当する方が多く取り残されています。ちょうど二年前、私が初当選をして初めてこの予算委員会でも質問をした問題でございます。

 まず、就職氷河期世代の支援について伺います。

 様々な社会情勢において、失われた三十年が大きく影を落としております。この時代にのみ込まれてしまったのが、まさに就職氷河期世代の皆様ではないでしょうか。

 集中支援プログラム、三年間の取組の結果は、コロナ禍があり、横ばいしつつも一定の成果が得られたとしても、これは満足のいくものだったのでしょうか。そして、浮かび上がった課題は何であるとお考えでしょうか。これは社会保障改革大臣、お願いいたします。

新藤国務大臣 就職氷河期世代は、バブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行ったために、不本意ながら非正規雇用で働いている方々など、様々な課題に直面してきた方々と承知をしております。政府といたしましても、施策を総動員して、就職氷河期世代の就労、また社会参加、この支援に取り組んでいるところでございます。

 計画においては、二〇一九年を基準に、二〇二四年までの五年間で正規雇用を三十万人増やす、こういう計画を立てておりました。新型コロナの影響等もあって雇用情勢が厳しくなる中で、正職員として移行された方は、二〇二三年までの四年間で八万人という結果でございます。

 加えて、この方々は、年代が少しずつ上がっていきます。結果として、正職員から役員に、正規職員なり、また役員になった方々、こういう方々がいらっしゃいまして、この方々は四年間で十三万人増えております。ですから、影響としては、二十一万人程度の改善がなされているのではないかなということは、この数字から見て取れるわけであります。

 また、正規雇用を経て役員になった方だけじゃなくて、事業主になった、経営者になった方もいらっしゃいます。また、個人事業主であったりという方も、いろいろ、様々な活躍の場は増えておりますし、失業率はもう今最低水準になり、求人が高止まりということでございますから、様々な働き方ができるような、そういう中で、就職氷河期の世代の皆さんにはしっかりと応援をさせていただきたいと思います。

 この世代に対する支援というものがございます。国の支援もありますし、それから自治体に対しても、自治体向けの交付金でこういう方々を御支援するプログラムもあります。また、この方々も含めたリスキリング、これは大々的に私はもっと展開しようと思っているんですけれども、そういう中で労働の市場を改革していきたい、このように考えているわけでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 大変心強いお言葉をいただきました。それでは、今後も継続的なサポート、支援をしていただけるということでございますね。ありがとうございます。

 これまで政府を挙げて、相談体制ですとか、また即効性のある、今お話にもありましたようなリカレント教育体制、さらに、受入れ環境の整備等、伴走型というもので支援をされてきたと承知をしております。

 今後も意欲的な能力を生かして活躍をしていただけるように、機会や、また雇用の創出はもちろんなんですけれども、これからは老後も視野に入れていただいて、目を向けていかなくてはいけない時期に来ているのではないかと感じるんですね。なぜならば、この就職氷河期世代という初期の方々は、既に五十代に入りました。

 そこで、年金財政検証について、続いて伺っていきたいと思います。

 今年は、五年に一度行われる年金の財政検証がございます。報告は八月になると思いますが、前回の五年前のこの財政検証、思い出してみてください。金融庁は、夫婦一組当たり何と二千万円が必要であるということをいきなり公表しました。この当時、大変なインパクトがあるもので、社会がどよめき、大きな話題になりました。

 多くの国民の皆様はどう思ったでしょうか。急に老後のために二千万円の資産が必要だと言われて、どうしたらいいんだろう、今更準備はできないし、老後には漠然とした不安にさらされてしまったという方が多くいらっしゃいます。

 そもそも、政治というのは、国民を守って、安心して暮らしていただくためにあるものだと考えます。不安をあおるようなものであってはいけません。

 この問題でより切実になってくるのが、正規雇用を希望しながらも非正規で働かなくてはいけなかった方、さらには長期無業になってしまった方々もいらっしゃいます。正社員として就職が難しかった時代である就職氷河期世代の方々も同じです。

 これまで収入が少なくて、年金が余り積み上げてこられなかったのが現実という方も多くいらっしゃいます。年金決定通知書の評価額、大変低くなることは明らかです。その上で、数千万円の資産を老後のために準備できる人というのは一体どれくらいいらっしゃるんでしょうか。極めて少ないのではないかと思います。

 それを踏まえまして、現在と受取年齢に達した場合とでそれぞれで、厚生労働省は、年金の財政検証において、この就職氷河期世代の問題をどのように考えられていらっしゃるんでしょうか。

武見国務大臣 いわゆる就職氷河期世代に非正規雇用者の方が大変多くて、老後、低年金になられるという確率が高いということは私どもも認識をしておりまして、こういった方々に被用者保険を適用して、そして将来の年金の保障を厚くするという観点から、令和二年の年金制度改革法によりまして、短時間労働者への適用を段階的に拡大しております。

 これで、二〇二二年十月時点で従業員百人超規模が適用対象だったんですけれども、今年、二〇二四年の十月に従業員規模が五十人超規模の企業まで適用規模を拡大して、でき得る限り、こうした厚生年金、それから健康保険の適用対象とすることで、こうした氷河期世代も含めた形で、老後の安定感というものを確保しようという考え方でやっております。

 そしてまた、国民年金では、世帯の所得が少ない等の理由で保険料の納付が困難な方々に対しては、更に保険料の免除制度を設けておりまして、低所得の年金受給者に対しては、月額約五千円を基準とする年金生活者支援給付金も支給をさせていただいております。

 その上で、次期年金制度改革に向けた検討事項として、被用者保険の更なる適用拡大などについて議論を今行っておりまして、就職氷河期世代の方々を含めて、将来の年金が適切に確保されるよう、関係者の御意見を丁寧に聞きながら進めていきたいと思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 まさに、就職氷河期世代の皆様方は個人の能力では解決ができなかった、そんな世代の皆様でございます。だからこそ、国を挙げて救済、支援をしていかなくてはいけないと考えております。残された猶予期間は余りございません。引退をして迎える老後、不安は特に大きくなりつつございます。五年に一度の年金財政検証でございますから、是非とも、これをラストチャンスと捉えまして、遠くない未来の話、真剣に取り組んでいただきたいと考えております。

 さらに、ここを今きちんと考えていかないと、現在でも生活保護申請は増加の一途でございます。今後、就職氷河期世代の老後において、生活保護受給者が爆発的に増加することも予想されます。どのように国民の皆様の生活を守っていけるのか、また、危機意識があるのか、その辺りの見解はいかがでしょうか。

武見国務大臣 やはりそういった危機意識を持っていただくための基本は、こうした年金制度等に関わる御理解、これを国民に幅広く求めていくことだと思っております。

 公的年金制度は、老齢それから障害、死亡と、将来のリスクに対して社会全体で備える仕組みでございます。国民一人一人がその意義を御理解して保険料を納付していただくことが大変重要であります。

 このための厚生労働省としての取組というのは、公的年金制度の意義であるとか、障害年金を受けられることなどの給付のメリットを紹介する動画を作っております。それから、将来受給可能な年金額を簡単に試算できる公的年金シミュレーターというのもやっております。それから、被用者保険に加入するメリットを紹介する厚生労働省のホームページの特設サイトもございます。こういった年金制度の理解を促進するために、様々な普及啓発の取組を行っております。

 日本年金機構において、企業や地域において年金制度説明会を開催するなど、周知、広報にも努めておりまして、様々な世代の方々にこうした公的な年金制度の意義を御理解していただいて、そして納得して保険料を納めていただくということが大変重要で、正確な年金制度の広報に積極的に取り組んでいきたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 今のお話ですと、いろいろなPR動画を作ったり、御理解をいただくための活動もしていただけているということですが、全てこれは納入を促進する、納入していただくことを促していく、そういったものだと思います。

 当然ながら、年金の入りを見直していくことは大切だと考えますけれども、厚生労働省において、公的年金の加入義務期間を現在の四十年から四十五年に延長することが検討されていると伺っています。

 しかし、ただ国民の皆様に、五年延長して六十五歳まで納入してください、納めてくださいといって、納得いくとは私は思えないんですね。正しい知識を知っていただくことはもちろん重要です。分かりやすく納得いく説明、いかなる問題に関しても、とても重要で不可欠であると強く感じます。

 加入義務期間を五年延長することによって、では、実際に国民の将来、安心を確保できるのでしょうか。その辺りはどのようにお考えでしょうか。

武見国務大臣 まず、基礎年金ですけれども、これは、全国民に共通して、所得の多寡にかかわらず一定の年金額を給付する仕組みでございまして、この仕組みを将来にわたっていかに維持していくかということがまず基本になります。

 令和二年の年金制度改正法の国会での御審議における附帯決議というのがございまして、基礎年金の充実を図る観点から、老齢基礎年金額の算定の基礎となる年数の上限を、委員御指摘のとおり、四十五年にするということを検討するということになっております。こうした経緯を踏まえて、基礎年金の拠出期間の延長を含めた検討事項を、次期年金制度改革に向けて議論をしている最中であります。

 ただ、この附帯決議にもありますとおり、基礎年金の増加分の半分は国庫負担なんですよ。したがって、その国庫負担の分、給付増に対応して、追加財源を確保しなければなりません。その追加財源をどうやって確保するかという考え方をきちんとつくらないと、この四十五年に延ばすということについての制度設計が完結しないものですから、そこは是非、これから慎重に検討していきたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 引き続き、推移を見ながら、厚生労働委員会の方でも引き続き質問をさせていただきたいと考えております。ありがとうございます。

 次に、同じく厚生労働大臣にお聞きします。リカレント教育、リスキリング教育についてです。

 近年において、このリカレント教育、リスキリング教育という言葉、大変注目され、よく聞かれるようにもなりました。いわゆる学び直しというもので、生涯にわたって就労とスキルアップ、学びを繰り返していくというものです。これは、個人のキャリア形成であったり、また企業側の人材育成にも役立ち、活躍を後押しするものだと考えております。

 しかし、実際には、時間的、そして経済的にもかなり負担がありまして、ハードルはまだまだ低くはなっていないのではないかと考えています。まずは社会風土に浸透させていくことを期待しているわけです。実際、私も今、大学で学び直しをしておりますが、時間の捻出、そして教育費の捻出は、やはり苦労をしております。

 特に、就職氷河期が就職活動をしていた時代を思い起こしてください。もうかれこれ三十年ほどたつわけですが、当時は、パソコンスキルが今ほど重要視はされていませんでした。現在は、急速なデジタル化が進み、社会人の必須スキルとして求められています。

 このリカレント教育、リスキリング教育について、厚生労働省では、ハロトレであるとか、専門実践教育訓練といった制度を様々用意されています。

 大臣、厚労省は、このような教育、どんな種類があって、どのような目的で実施されているのでしょうか。

武見国務大臣 委員御指摘の学び直しの支援策でありますけれども、まず、離職者の方々に対しては、無料で公的職業訓練の機会を提供します。それから、在職者の方々に対しては、厚生労働大臣の指定する教育訓練を主体的に受講していただいて、修了した場合にその費用の一部を教育訓練給付として支給するといった施策を展開しております。

 こうした支援策については、民間を含む訓練の実施主体のみならず、全国のハローワークであるとか、それから都道府県の労働局を始めとする関係機関において、インターネットやSNSなどの様々な広報媒体を用いながら、分かりやすくその周知に努めております。

 また、二〇二二年六月には、こうした支援策を網羅的に分かりやすく紹介した、職場における学び・学び直し促進ガイドラインを取りまとめておりまして、関係団体に御協力をいただきながら、特設サイトを開設するなど、周知に取り組んできております。

岬委員 ありがとうございます。

 今、大きく分けると、離職者用と在職者用というものがあるということですね。

 ほかにも、私が調べたところによりますと、最初のスタートラインで、就職をしていきたいという人のプログラムもあると伺っておりますけれども、これらのメニュー、では、実際にどのような効果が上がっているのか。直近の実績と、分野別、特に人材確保が難しいと言われているITの分野であるとか介護、福祉の分野の実績状況はどんな状況でしょうか。

武見国務大臣 まず、令和四年度の公的職業訓練と教育訓練給付制度の実績についてお答えします。

 まず、離職者向けの公的職業訓練の受講者数の実績は、全国で十四万二千人。このうち、主な分野ごとの実績については、IT分野が二万一千人、介護、医療、福祉分野が一万六千人、製造分野が一万六千人であります。

 次に、教育訓練給付につきましては、例えば、専門実践教育訓練給付の実績は全体で三万六千人でございまして、このうち、主な訓練内容の実績は、介護福祉士資格が約九千七百人、それからキャリアコンサルタントが約七千二百人、看護師資格が三千七百人となっております。

岬委員 ありがとうございます。

 今、数字を言っていただきましたけれども、その方々がきちんとその現場に就職をしていただいて、御活動いただけているのでしょうか。そこが一番大事だと思います。

 さらに、このメニューの中、今お話しいただきましたけれども、二つの分野、ITと介護、福祉現場において、では、この割合は全体のどういう割合になっているんでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からお答えのございました公的職業訓練、教育訓練給付制度について、令和四年度の実績を割合としてお答えをいたしますと、離職者向け公的職業訓練のIT分野は約一五%、介護、医療、福祉分野が約一一%、製造分野が約一一%などとなっております。

 また、教育訓練給付制度のうち、専門実践教育訓練給付の令和四年度実績について、これも割合で申し上げますと、介護福祉士資格を取得された方が約二七%、それからキャリアコンサルタントが約二〇%、看護師資格は約一〇%などとなっているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 実績をお聞きしますと、本来、大変人材不足で疲弊してしまっている中で、人材が必要な分野のはずが、そんなに人気があるとは言えないのかなというのが印象です。

 幾つかちょっと、時間の都合もありますので、質問を飛ばします。

 いかに多くの方に学びの場で学んでいただくかということも重要になってくると思いますが、もっとうまく、せっかく制度があるのですから、これを活用していただくためには、では、どうしていったらよろしいかと感じていらっしゃいますか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、在職中の方も含めて、学び直し支援をいかに使いやすくしていくかというのは非常に重要な論点であると考えております。

 厚生労働省としましては、希望する誰もが学び直しに取り組むことができる環境整備を図ることとしておりまして、在職中の方など時間的制約がある場合でも訓練を受講しやすくするため、公的職業訓練におきましては、自宅で希望に応じた日時にオンラインで受講できるEラーニングコースの提供ですとか、教育訓練給付制度の方におきましては、土日や夜間の講座、それからやはりEラーニング対応講座の拡大等を進めているところでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 私もそのとおりだと感じています。うまくタイムスケジュールを修正したり調整していただいて、学びやすい個別最適なプログラムを臨機応変に提供していくことが大切ではないかと考えます。あわせて、ニーズに応えていただけるような魅力のあるプログラムづくりも必要となるでしょうし、また、効果的な広報も必要だと思います。

 そもそも、この制度、私、気になったので調べて分かったわけですが、プログラムになかなかたどり着けないであるとか、また、全く知らない、入口やアプローチに問題も、課題もあるのではないかと思いますし、そこの部分に改善の余地は十分にあると思います。よろしくお願いいたします。積極的なトライ・アンド・エラーによりまして、真に必要な人材、実践的な育成をしていただけるように、是非ともこれからもお願いいたします。

 それでは、時間が限られてまいりました。ここまでは日本人の就業環境であるとか学び直しについて伺ってきたわけですが、実際は日本の実質労働力として大きな担い手となっている外国人技能実習制度について、最後に伺っていきます。

 今国会において、出入国管理法と外国人の技能実習生に関する法律の改正が予定をされています。私も、厚生労働委員会において質疑の際、この件、議論をさせていただきましたが、今回は法務大臣にお聞きしていきたいと思います。

 この改正によって、では、どれくらいの外国人技能実習生の受入れを見込んでいらっしゃるのか。さらに、それを行うことによって、どのような効果を想定されているんでしょうか。

小泉国務大臣 御質問ありがとうございます。

 法務省としまして、今国会において入管法と技能実習法の改正を、是非国会の御審議をお願いしたいと今準備をしているところでございます。

 今、ですから、政府方針の段階でございますけれども、その段階で申し上げるわけでありますけれども、まず、外国人に選ばれる国になる必要があるという観点、そこから、人材確保、育成を目的とする育成就労制度を創設します。そして、特定技能一号の水準の人材を育成するため、特定技能制度と育成就労制度の範囲を一致させます。また、自由意思に基づく転籍制限の緩和、これも講じてまいります。

 総じまして、長期にわたり産業を支える人材を確保することを目指しているわけでありますが、現時点でどれぐらいの数になるのかということは、申し訳ないんですけれども、お示しすることは難しいんですけれども、育成就労制度においても、特定技能制度と同様に、事前に受入れ対象分野ごとの受入れ見込み数を設定いたします。

 ですから、これから法案提出をさせていただいて、御審議いただいて、可決をしていただいた暁には、施行日までの間、その間にこういう作業が行われてまいります。ですから、スタートする前に、おおよそどれぐらい人数が入ってくるかということは把握できるというふうには思っております。

 現時点では、申し訳ありません。

岬委員 ありがとうございます。

 また、技能実習生を受け入れている側の声をまずはお届けします。季節によって農業と宿泊施設というように、土地柄に合わせて一年を通じて活動ができるようにしてほしい、このような相談や要望もございますので、また次の機会にこれは質問をさせていただきます。

 このように、福祉、介護、運転手を始めとした多くの業界で働き手不足というのは深刻であります。同時に、外国人労働者への依存が高まっています。

 そこで、世論では、移民を解禁して労働力を確保するべきという推進意見もある一方で、移民受入れは不安がある、治安悪化が懸念される、社会的な影響が大きいとして、反対や慎重論も根強くございます。

 いずれにしても、日本国において大変重要な問題だと感じますが、今回の外国人技能実習制度の法改正は、そういった移民をめぐる世論の動向に大きく影響を与えると考えます。法務大臣の所見はいかがでしょうか。

小泉国務大臣 我が国におきまして、人手不足が深刻化する中、一定のスキルを持った方々に入ってきてもらう、その方々を育成する、日本の産業を支えていただく、そういう考え方で取り組もうとしているわけであります。

 一方で、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人、また御家族を期限を設けることなく受け入れる、そして国家を維持する、そういう考え方もヨーロッパにはあると思いますが、それを移民政策と称するならば、我々が今取り組もうとしているのは、そういった政策ではございません。

 具体的には、育成就労制度は、あくまで三年間の就労を通じて特定技能一号の水準に人材を育成するという期限がついておりますし、先ほど申し上げましたように、受入れ見込み数、これも設けます、上限を設けます。家族の帯同を認めないということも項目として入っております。

 そういう意味では、移民政策と一線を画して、しかし、日本の産業を根本から支えてもらうスキルを持った外国人に入ってきてもらって共生社会をつくる、そういうことで御理解をいただきたいと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 ここは誤解がないように、丁寧な説明も必要になってくると思います。本当の意味での共生社会というものをしっかりと目指していくべきだと考えます。

 今や外国人労働者が二百万人を突破したとのニュースもございました。既に外国人の助けがなければ立ち行かないという現実もございます。まずは、外国人に、先ほどおっしゃっていただいたような選ばれる国でなければいけない、これが前提ですけれども、望ましいのは、やはり日本国、日本側が外国人の方々を選べるようなところまで水準を上げていく必要があると感じております。

 最後の質問になりますが、労働力の確保のために、外国人の労働力に頼るだけではなく、日本人の労働力の雇用がまずは守られること、そして、特に就職氷河期世代の非正規労働者の方々が適正に評価をされて、雇用環境の改善、その結果、所得が増えていくことが実現していく、これが大事だと考えます。

 最後に、厚生労働大臣、お考えはいかがでしょうか。

武見国務大臣 私も議員と全く同じ考え方であります。

 まず、我が国の労働者というものを適切に更に育成をし、雇用機会を設け、そしてより有意義な人生を図っていただくということの基盤にしていただく、これがやはり一つの基本として政策になければなりません。

 その上で、我が国の社会の、そして経済のダイナミズムを維持するために、非常にグローバルなコンテクストでも、我が国がそのダイナミズムを収得するための必要性として、できる限り優秀な外国の労働者の方々にも日本で働いていただく。

 この仕組みを上手に両立させていくことが、これからの我が国の基本になるだろうと思います。

岬委員 ありがとうございます。

 失われた三十年、中間層が縮小しております。この背景には、低賃金や非正規雇用といった生活の不安定な時代の中で、人的資本の重要性を更に感じる時代でございます。誰もが働きやすく活躍ができる環境、また、社会保障制度の整備を本気で行うときだと感じております。国民を大切にしていただく施策を進めていただきますようお願いを申し上げまして、質問を終了いたします。

 本日は、ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて岬さんの質疑は終了いたしました。

 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の掘井健智でございます。

 まず初めに、能登半島地震において亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしまして、また、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、被災地の支援活動をしている皆さんに敬意を表するところでございます。

 それでは、質問します。

 災害時に広域的活動ができるのが自衛隊であります。昨年三月に内閣府が発表した定期世論調査によりますと、自衛隊に対してよい印象を持つ人が九〇・八%に達することが分かりました。よい印象の上昇は、阪神・淡路大震災や東日本大震災における自衛隊の活躍によるところであることが大きいと思います。過去の同じ世論調査では、自衛隊が今後力を入れる分野に関しては、災害派遣が七六・三%でトップでありました。

 このように、自衛隊に対する災害時の期待、それと信頼がとてもあるということでありますから、自衛隊における災害派遣の強化を考えていく必要があるのかなというふうに思っております。

 自衛隊の任務は、主たる任務と従たる任務に区別をされております。主たる任務は、我が国を防衛するために防衛出動を行う、非常に重要な役割です。そして、災害派遣は従たる任務に位置づけられております。

 これだけ頼りになる自衛隊でありますが、課題もあると聞いているんです。例えば、自衛隊の災害派遣が、国内法やまた地方自治体の条例など、適合性を持たないとき、こういった法的な整備が整っていないという場合も聞きます。また、政府や関連機関との連携や情報共有が不十分であったり、意思決定が遅れたりする、こういうことも聞きます。

 災害派遣が主たる任務でなくて従たる任務であるということから課題解決が進まない、こういった、被災地の支援活動で支障が生じたということが見解としてございますでしょうか。

木原国務大臣 現在、自衛隊の主たる任務は我が国の防衛のみということになっております。自衛隊の任務を定める自衛隊法第三条の規定によって、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することというふうに定められておりまして、我が国を防衛するために行う防衛出動がそれに該当するという、委員の御指摘のとおりであります。

 これ以外の様々な、多様な自衛隊の任務は、お尋ねの災害派遣も含めて、従たる任務と位置づけられています。

 また、これらの主たる任務と従たる任務を合わせたものを自衛隊の本来任務というふうに、本来任務、そういう位置づけになっております。

 その上で、災害派遣ですが、自衛隊の任務を定める自衛隊法第三条に規定する公共の秩序の維持に該当する活動の一つとして、国の防衛等に並んで自衛隊の本来任務に位置づけられておりまして、今般の能登半島の地震の対応を始め、自衛隊はこれまでも数多くの災害派遣を実施してきております。

 このように、主たる任務というのは唯一自衛隊のみが果たし得る防衛出動のみが該当すると考えておりまして、現時点で、自衛隊法を改正して、災害派遣等といった文言を第三条一項の主たる任務に明記するということは考えてはいないわけであります。

 災害派遣の初動については、自衛隊はもちろんのこと、警察や消防のレスキュー隊員であるとか、あるいは国土交通省のTEC―FORCEとか、あとは厚生労働省のDMAT、そういった政府全体で合わせてやっていくということでありますから、引き続き、緊急性、公共性、非代替性、三要件を総合的に勘案の上で、地方自治体や関係省庁等と緊密に連携し、こういった災害については被災者の方々に寄り添った活動を、全力で取り組んでまいります。

掘井委員 主たる職務にせよということではないんですね。本来任務の中でいろいろな法整備をやっていただきたいな、こんなふうに思っております。

 次の質問に移ります。災害医療の困難性について伺いたいと思います。

 今回の能登半島地震では、石川県志賀町で、当初軽傷と診察された五歳の男の子の容体が急変して亡くなったという事例がありました。男の子は、地震の揺れで倒れたやかんの熱湯がかかってやけどを負って、搬送先の病院で治療を受けましたが、入院できずに、地震から四日後に亡くなりました。幼い命をなぜ救えなかったのでしょうかということです。震災直後の厳しい環境下で、災害医療の難しさを本当に示していると思います。

 まず、この五歳男児死亡につきまして大臣の感想をお聞かせいただきたいということと、この五歳児の死亡をめぐって、専門家らは、平時と異なる災害医療の難しさを指摘したその上で、入院していれば助かった可能性があったとも指摘しております。平時には決してしない患者の順位づけをしなければいけないのが災害医療である、こういうことも理解しながら、例えば、馳知事は病院対応の検証を今後していくとのことであります。国としての考え方、方策はいかがでしょうかね。

武見国務大臣 志賀町での、五歳のお子様が、やけどを負った中で入院できずに亡くなられたということでありました。心からお悔やみを申し上げるとともに、災害時の対応としてどこまでできたのかということは、改めてそれを検証しなきゃいけないと思っております。

 その上で、災害時の医療体制という点では、平時から、災害時に中心的な役割を担う災害拠点病院を各都道府県には整備をしております。それから、災害時の急激な医療ニーズに備えたDMAT、災害派遣医療チームを養成をして、災害が起きた際は被災地に派遣をして、医療の提供体制を維持する仕組みも構築していることは御存じのとおりであります。

 今回の能登半島の地震でも、こうした被災地の医療提供体制の維持のために、累計一千チームを超えるDMATを始め様々な医療チームを派遣して病院などでの治療や搬送等の支援を行っているほか、被害の大きかった能登北部の病院には累計約一千七百人の看護職員の応援派遣なども行っております。

 高齢者の多い過疎地帯で甚大な被害が生じた今回の地震の教訓を踏まえて、今後発生し得る大規模災害に向けて、災害拠点病院やDMAT等の医療チームの養成など、被害時に必要な医療の提供体制の強化に平時からしっかり取り組むことが重要だと。

 特に、御指摘の、入院ができなかったというような点がありましたけれども、災害指定病院における条件というのは、いわゆる自家発電で三日間もつこと、それから貯水も三日間もつことということが必要要件とされているのでありますが、今回この要件だけでは足りなかったわけです。

 したがって、こうした要件を改めて災害指定病院に関して検討をし直して、より、そうした緊急時で支援体制が来ない期間が長引いた場合の対応については、確実に、やはりもう一度検討していくことが必要だろうと思っています。

掘井委員 非常に難しい判断になると思いますけれども、今回の死亡の直接の原因が震災によるやけどでありましたので、災害関連死ではなくて災害直後のということで認定されておりますから、この男の子の死を本当に残念に思っております。

 次の質問に移ります。

 今回の能登半島地震では、石川県は死者二百四十一名、そして、うち災害関連死数を十五名と公表しております。関連死が直接死の四倍だった熊本地震の教訓がある程度生かされた結果ではないのかな、このように思っております。

 昨年、私は、内閣府が作成した災害関連死事例集の活用方法と今後の課題について、東日本大震災復興特別委員会で質問いたしました。その際の答弁では、自治体や医療、また福祉関係者が対策を検討するための参考にする、手引としても活用いただけるように工夫するということでありました。

 委員会質問から十一か月がたっておりますけれども、どんな工夫がされたのか、そして、今回の能登半島地震ではどのように活用されたのか、よかったら御教授ください。

松村国務大臣 申し上げます。

 まず、事例集でございますが、令和五年五月に、事例を九十八件から二百二件へと大幅に追加した増補版を取りまとめまして、公表をいたしました。また、そのことを地方公共団体へ周知をいたしたところでございます。

 増補版におきましては、災害関連死に至った経緯をキーワードとして一覧表にまとめたところでございます。例えば、車中泊、自宅における生活、避難所でのストレス、こういったキーワードごとに逆引きで個別の事例を検索できるように、自治体や医療、福祉関係者が対策を検討するための参考、手引として活用しやすいように工夫をしたところでございます。

掘井委員 本当にこういう事例集が現場の自治体の参考になることを祈っております。

 次の質問です。

 震災が起こった数日後は、特に簡易トイレが足りなかったというような話を聞いております。政府においてはプッシュ型支援を行っておって、自治体が政府のシステムに登録することによって一元的に把握できる仕組みがある。物資調達・輸送調整等支援システムでありますが、これが構築しているということはもう承知しておりますけれども、その一方で、発生後の初期の段階で、避難所ごとのきめ細やかなニーズに即した物資が避難所になかなか届かない、これは昔からずっとそうなんですけれども、届かないといった声があります。これまでの災害現場での課題でもあると思っているんです。

 避難所ごとのニーズが的確に把握できるよう、システムの抜本的改善が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

松村国務大臣 御指摘のシステムにつきましては、令和二年より物資調達・輸送調整等支援システムの運用を行っているところでございます。

 このシステムにおきましては、令和二年七月豪雨で試験的に運用をいたしました。また、今回の能登半島地震で初の本格運用であったところでございます。

 今回、各市町における物資の在庫管理や支援要請に当たって本システムを活用がされまして、物資の調達、搬入、搬送、在庫管理が国、県、市町の連携により円滑に実施はできました。

 他方、一方で、本システムは避難所ごとに物資の管理を行うことができる仕様にはなっておりますが、市町の職員の皆様にとっては大変手間がかかる、使いづらいという声もございました。避難所ごとの使用までは至っていないところでございます。

 こうした課題に対し、来年度に予定をしております新たな物資システムの構築を通じまして、よりよい、より使いやすいものに改善していく必要があると考えております。

 引き続き、各自治体においてきめ細やかに活用されるよう、訓練等も実施してまいりたいと考えております。

掘井委員 ありがとうございます。

 どんどんどんどん進化して、いいものをつくっていただきたい、このように思っております。

 次の質問です。次は、農業関係について質問したいと思います。

 現行基本法の検証結果を教えていただきたいと思うんですね、現行の基本法の。基本法に基づく政策運営がどれくらい進んできたのか。また、きちんとなされていないことが現行の基本法の中にあるのか、逆に問題点があったのか。これをちょっと総括していただけますでしょうか。

坂本国務大臣 世界で気候変動による食料生産の不安定化が顕在化しております。それから、世界的な人口増加によりまして、食料の争奪戦、こういったものが行われてきております。それから、世界情勢の不安定化、こういったものも各地で起きております。そういうことで、世界と我が国の食をめぐる情勢が大きく変化をしております。

 この情勢の変化に対応するような基本法が今の時代に必要であるというふうに考え、今回の基本法の改正の提出というふうなことを考えているところであります。

掘井委員 ありがとうございます。伺いました。

 しかし、今御答弁されたことなんですけれども、現行基本法も、食料安全保障の確保を考慮して構造転換をするような方針が既に進んでおるということ、また、環境に配慮したような、みどりの食料システムを制定されて、これも進んでおるということ、それと、食料の安全保障の件は前々から言われておりますことでありますから、ちょっとポイントがどうしても分かりにくいのでありますから、質問させていただきます。今から質問させていただきますので、よろしくお願いします。

 農業の構造改革について質問します。

 現行基本法で特に大事であったことは、農業をやはり産業として成長させるということであります。そのために本格的な農業経営者が農業生産の大部分を、相当部分を担える農業構造をつくっていくということです。そのために農地利用を集積、集約していく、こういった経緯がございます。これが現行の基本法の大きなポイントであると思っています。

 先ほど総括していただきましたけれども、農地の集積率は今六割に上昇して、農業法人経営体の数は過去十年間で四割程度になってきた、増えているんですね。こういう構造の変化に対して、どのように、大臣、評価されておられますでしょうか。

坂本国務大臣 集積は進んできていると思いますが、これから更にそれを効率化した集約というものを進めていかなければなりません。そのための対応策をしていかなければいけないというふうに思っております。

 それから、担い手が農業生産の相当部分を担うわけでありますけれども、この担い手育成のための政策をこれまでやってまいりました。その結果はしっかりと出ているというふうに思っています。

 しかし、どうしても、これから農業の担い手というのが減少する。この担い手だけではカバーできない部分があるというようなことで、多様な農業人材、こういったものも育てていかなければいけないというふうに考えております。

掘井委員 効果があるということをいただきまして、ちょっと最後に多様な農家の人材の話をされました。質問します。

 この度、基本法改正に、先ほど大臣がおっしゃいました、多様な農業人材の育成、確保、これも大事である、こういう価値観が一つございますね、今回。普通に捉えれば、専業農家さんもいるし、また兼業農家さんもおられますし、有機農業に特化した農家さんもいる、いろいろおられます。特にこれは問題がない表現だと思っているんですけれども。

 この政府案の基になっている自民党さんの提言の中に、新自由主義からの脱却という言葉がありました。これが一つ、その改革案の価値観になっている。ひょっとしたら、多様な農業人材の育成、確保にこれがつながって、つまり、これまでの農業の産業化の取組を揺り戻すことになるのではないのかなと。

 もちろん、兼業農家は大事でありますけれども、農業の産業化に突き進んでいる、こういったことの揺り戻し、戻るような、ひょっとしたらそういうようなことになるのではないのか、こんな懸念がありますけれども、いかがでしょうか、大臣。

坂本国務大臣 先ほど言いましたけれども、あくまでも、担い手、専業家、こういったものはしっかり育成していかなければいけない。しかし、それだけではカバーし切れない農地もあります。そういうことで、やはり、副業、兼業も含めて新たな担い手というものを育成することによって、農業そのものの食料安全保障、それから集落の維持機能、こういったものを進めていくというのが大きな今回の改正の要点であります。

 これまでは、食料安全保障というのは、不測の事態にならなければ食料安全保障という文言が明記されておりませんでした。しかし、今回は、食料安全保障のためにどうしていったらいいかということをまず中心に考えて、そして、幾つかの新しい対策というものを提示をしているところであります。

掘井委員 これまで取り組んできた構造改革は否定するものではなくて、どんどん進んでいくということでよろしいでしょうか。

 それと、先ほど質問しましたけれども、新自由主義という意味合いはどういうふうに理解したらよろしいでしょうかね。

坂本国務大臣 これまでの農業の、主要な農業、専業者を育てていく、これに対してはしっかりとその結果が出ているというふうに考えます。先ほど、繰り返しになりますけれども、それをカバーするための集落機能あたりもしっかりと維持するための多様な担い手というものを育てていかなければいけないというふうに考えております。

 新自由主義につきましては、これは難しい考え方でございますけれども、やはり、農業というものの性格上、一定の計画もしながら、市場経済というものに任せてだけいればそれで農地が守れるのか、あるいは食料が守れるのかということになりますと、その辺は非常に難しい点もありますので、新自由主義という言葉そのものの定義というのがまだはっきりしないところもありますけれども、やはり、しっかり計画的な下で、この新しい食料・農業・農村基本法の下で、日本の食料安全保障というものを確立していかなければいけないというふうに考えております。

掘井委員 これは日本の農業の大きな課題になりますけれども、農業を産業として成長させる場合、兼業農家さんを中心に骨組みをすることは非常に難しいと思うんです。高齢化の問題とか離農、また生産調整の問題につながってきます。直接支払いの議論にもなろうかと思うんですね。

 日本の農業が日本人の胃袋を満たす、そして食の安全保障を考える、こういったことのためには、専業農家をやはり育てていくということになります。しかし、かといって、多くの中山間地域の農業を担う兼業農家さんには大きな役割があると思っております。多様な農業人材の育成、確保が政府の課題にもなっております。

 専業農家さん、兼業農家さん、両方大事であって、両立させる政策、大臣はどのようにお考えでしょうか。

坂本国務大臣 繰り返しになって恐縮ですけれども、専業農家をしっかりと育成、確保することによりまして、日本の食料というものの大宗をやはり確保していく。しかし、一方の方で、兼業あるいは副業的農家、こういった方々もそれをやはり支えていただく。

 そういう意味で、専業そして多様な人材、こういったものの複合的な体系によりまして、食料安全保障というものを確立していかなければいけないというふうに考えているところであります。

掘井委員 ありがとうございます。

 食料の安定供給を支えることを目指す農家さんと兼業農家さん、また、今、半農半Xのような、農村の新しい価値観を発信する農家さんがいる中で、一律的な政策では非常に難しいと思っております。

 これは政策を分けるしかないと考えておるんですけれども、農業には、一方、社会的な機能もございます。環境等の持続可能性の取組、また日本の原風景を大切にしていく役割、こういった文化的な機能もあります。産業の基軸としての専業農家の政策と、また自給的農家さんなどの農家の、農業の政策を分けていくということが非常に肝要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 今言われました環境との調和につきましては、今回の基本法の中でも非常に重要なものであるというふうに位置づけております。

 農業というと、これまでは、農業をやっていればそれは多面的機能を発揮して環境に優しいんだというようなことでありましたけれども、これからはやはり、地球に負荷をかける、そういう農業ではなくて、新たな、環境との調和を図る、そういった農業が必要であるというふうにも考えております。

 そういうことで、今回の食料・農業・農村基本法には、その柱の中に、環境と調和の取れた産業への転換というようなことを位置づけているわけであります。

掘井委員 だから、主たる農家さん、産業を担う農家さんの政策と、政策ということは補助金であるとかまた支援方法も一緒に出てくるわけでありますから。でも、今のこの世の中、直接支払い制度というのがなかなか理解できないのであれば、やはり兼業農家さんは農地を守る、そういう政策の中で存分にやってもらって、そこで補助を入れるとか、これを一緒にしたらやはりややこしいと思うんですよね。ややこしいというか、理解されないと思うんですね。

 今後は、いろいろな農家さんがいるのならば、そうやって政策をきちんと分けて整理するべきだと思っておりますから、今の質問をさせていただきました。ありがとうございます。

 次の質問です。ちょっと一つ飛ばしまして、先に食料安全保障の強化について質問をさせていただきます。

 ロシアのウクライナへの侵攻によって、食料安全保障の必要性が非常に意識されたと思います。食料安全保障の強化が今回の基本法見直しの最大のきっかけであったというふうに思うんです。基本的には、農業の成長産業化が非常に大事であると思っております、この安全保障には。

 しかし、今回の見直しで特筆されることでありますとか、また、食料の安定供給の確保の観点、食の量とかまた価格の高騰対策、不測時だけの問題ではなくて平時からどうやっていくのか、このことに対して御所見をいただきたいと思います。

坂本国務大臣 今回の法案の中に、不測の事態に対応するための法律案というのを提出させていただくことにしております。

 それはとにかく、平時におきまして自由に食料が調達できるという状況が非常に厳しくなっております。そういう中で、平時における食料の調達、これをどういうふうにしていくか、これは自給力の向上とともに安定した輸入対策も取っていく。そして、その平時の中で仮に不測の事態になったときにどういう事態を想定していくかというようなことで、段階的な形での食料安全保障というものを考えているところであります。

掘井委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので終了いたしますけれども、今日は余り深掘りできませんでしたけれども、やはり、食の安全保障には米の議論も絶対必要だと思うんです。この後、米の議論をしますけれども。やはり米は、生産技術もあって日本の風土に合っている。やはり日本人が米が一番いいということであれば、やはりこれを、米を生産調整だけじゃなしにどうやっていくかというのを、今後、やはり食料安全保障の面から議論をしていきたいな、このように思っております。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて掘井君の質疑は終了いたしました。

 次に、池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の池畑浩太朗でございます。

 西播磨、中播磨から参りました。予算委員会での質問は今回で三回目になります。質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 本日は、農政、医療をテーマに質問させていただきたいと思います。

 早速ではございますけれども、坂本農林水産大臣、第六十九代大臣に御就任おめでとうございます。常に農政の中心を担われてきた坂本大臣に質問できることを今回は楽しみにしてまいりました。

 と申しますのも、私は、令和三年秋に当選をさせていただきまして、農林水産委員会に所属をさせていただきました。今も所属をさせていただいておりますが、その際に、坂本大臣が委員会にて質問に立たれました。そのときにお話をされた、日本の農地の歴史、今後の農政の在り方について質問されておられました。質問の内容にずっと聞き入ってしまったことを今でも覚えております。

 いつもここで申し上げるんですけれども、私は、農業高校出身でありまして、農業大学校出身、農業高校の実習の教員を九年八か月務めてまいりました。農業の現場に密着をしてきたつもりであります。県議会議員時代も、二期、農業関係の質問を、約八割程度質問させていただきました。

 大臣の御経歴を拝見いたしますと、このお立場になるべくしてなられたんだというふうに私は思います。大臣、なさねばならぬ日本の農業の、水産の改革があると存じます。

 中山間地域の農地を通じて日本の国土を守るという観点から質問させていただきたいと思いますが、私は、長くおつき合いをさせていただいております酪農農家さんから、国会でしようもない質問をするなというふうに言い上げられたことがあります。きちんと具体的に詰めてこいと言われたこともあります。

 大臣のお言葉をかりますと、規制が過ぎれば農業の進歩が滞るし、自由化が過ぎれば国が混乱をして社会がゆがむというふうに言われました。日本が歩んできた農業、農政の歴史を振り返りながら、今、日本の農業はどのような岐路に立っているんでしょうか。どこに向かうべきだと思われていますでしょうか。大臣所信の前ではありますが、是非、今、今までの大臣とは違うと思われる部分を、失礼ではありますけれども、時間制限がありますので、端的にお願いしたいと思います。

坂本国務大臣 先ほど掘井委員に御答弁しましたように、世界の情勢、そして我が国の食の情勢を取り巻く環境が大きく変わってきております。そういう中で、いかに食料を国民一人一人に届けるのか、さらには、中山間地を含めて非常に減少する、農業人口が減少する、あるいは人口そのものが減少する、そういったところをどうするのか、まさに社会的な問題として考えなければいけないというふうに思っております。

 委員が言われました、どういう方向に行くのか。やはり私自身といたしましては、環境と調和した農業を振興する、そして、農地の適正な利用を図る、農業者が農で働くことで楽しさとやりがいを持つ、そして、国民の皆さんたちに安定的に食料を届ける責務を果たしていくというようなことを実現させなければならないというふうに思っております。

池畑委員 楽しさとやりがいを持つというふうに言われました。

 私は、農林水産委員会やこの予算委員会でも手を替え品を替えて、農林水産大臣の方以外、国土交通大臣や消費者担当大臣に対して農林水産の今の課題というものを質問させていただきましたが、その都度、いなされている感は否めないです。

 大臣は、先ほどの答弁にもありましたし、前の委員会の質問でもありましたとおり、日本の農地の歴史は自由と規制の間で振り子のように動いてきているというふうに表現をされておられました。これは言われるとおりだというふうに私は思っております。

 大臣のお言葉をかりれば、農地が最初に法律になったのは七世紀末の班田収授の法でありまして、その後、墾田永年私財法、歴史を勉強しているようでありますが、これは自由化を進めていく方向性でありました。意欲を高めて、生産を高めていく、今大臣が言われたように、楽しさを、そしてまた生産する意欲を高めていこうという法律だったというふうに思います。この後、自由はどんどん加速をしておりまして、この自由に終止符を打ったのは、豊臣秀吉の太閤検地でありました。その後は、徳川幕府により規制を更に徹底をされまして、その後、規制が崩壊するのは明治の維新であります。敗戦後、GHQについて、農地の解放が行われ、現在の農業の閉塞感は戦後にできた規制により生まれてきているのではないかというふうに感じます。

 我々の会派はまさに維新でありますが、農業も自由という理念が必要ではないかというふうに私は思っております。とどのつまり、今の時代は米をもっと自由に農家の皆さんに作ってもらうべきではないでしょうか。

 大臣、今の時代はどのような時代だというふうに思われているでしょうか。質問させていただきたいと思います。

坂本国務大臣 米は我が国の、我が国民の主食でありますけれども、しかし、食生活の変化などによりまして、主食用米の需要が年間十万トンずつ減少をいたしております。七百万トンの生産によって十万トンずつ減っているわけですので、十年たてば百万トン減少する、そういう状況にあります。

 また、一方の方で、輸入依存度の高い飼料を多く使用する畜産物の消費、こういったものが増えております。それが食料の自給率の低下にもつながっております。

 そのために、私が考えますのは、やはり需要に応じて、農家の経営判断で麦や大豆、それから飼料作物、米粉用米などを作っていただくことが、我が国の食料安全保障の強化にもつながりますし、自給率の向上にも必要であるというふうに考えております。

 なお、昭和四十年代から半世紀続いてきました、国から生産者に対しての米の生産数量目標の配分は、平成三十年産から廃止をしております。現在は、米も他の作物も、農家や産地が判断をして生産そして出荷をしていただいているというふうに考えております。

池畑委員 今大臣から、平成三十年、いわゆる減反廃止というお話がありました。まさにそのとおりでありますが、米の生産量配分は廃止をされたはずなんですが、今も転作補助金は三千億程度あります。

 見方によっては減反は今でも生きているというふうに思われますが、減反政策の徹底をすべきと私は考えておりますけれども、大臣、任期中に考える対策、そういったことを含めて、今ええというお言葉がありました、私はその辺りを全て徹底せよと言うべきを含めて、大臣がどうお考えかというところをお聞かせいただきたいというふうに思います。

坂本国務大臣 今お答えいたしましたように、米政策につきましては、平成三十年産より、国から生産者に対する生産数量目標の配分を行わないこととしておりまして、農業者や産地が自らの経営判断により需要に応じた生産を行っていただくということが重要であると考えています。

 他の作物と同様に、米価につきましては市場の需給状況で決まるものですが、需要に応じた生産をやはり促進する観点から、需要が減少する主食用米から輸入依存度の高い麦や大豆あるいは米粉用米等への転換の取組に対する支援を行うことは重要であると考えております。

 そしてまた、収入が減少した場合には、その対応策として、経営安定対策としてナラシ対策や収入保険というものも措置しております。また、米の過剰在庫が発生した折は、計画的に保管する支援等も行っております。そして、やはり農業者の所得をしっかりと確保していく、このことが大事であるというふうに思っております。

池畑委員 大臣が経営判断という言葉をずっと使われます。大臣が言われております、そしてまた、今三千億程度の予算の話もありました。是非、経営判断で進めていただきたいというふうに思っておりますが、大臣の御地元の熊本でも園芸作物が盛んだというふうに思います。米と比べましたら園芸作物の支援が薄いという声もお聞きになられたことがあると思います。

 次の質問にちょっと今つながってくるところなんでありますけれども、次に、農地の話であります。

 現在、農政でちょっと違和感がありますのが、畑地化推進についてです。

 日本では農地に田んぼと畑があります。農水省の掲げる畑地化推進によっては、いわば田んぼから畑へ転換をしているように思います。これはいわば、今大臣が経営判断と言われていたところなんですが、対極にある政策だというふうに私は思っております。実際、畑地化推進は現場からの異論も多いと聞いております。私も聞いておりますし、大臣も聞いておられると思います。

 今、やはり日本が生産するに当たりまして一番得意な分野は米であります。自由に作りやすいのではないでしょうか。そして、自由に作るべきではないかというふうに思います。

 畑地化を進めるのは自由から離れた農政であるというふうに思いますが、大臣の率直な思いはいかがでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

坂本国務大臣 主食用米の需要が減少する中で、農業者や産地の判断で、需要に応じた米の生産、それから、輸入依存度の高い麦、大豆、米粉等への転換を維持することで農地を適切に活用していただくことが、自給率と、先ほど言いました所得の向上の観点から重要であるというふうに考えております。水田を汎用化して米と麦、大豆等を輪作するブロックローテーションというのは、生産性の向上と環境の保全の点からも重要と考えております。

 現在、各産地におきまして、畑地化一辺倒ではなくて、水田機能を維持して産地化するのか、又は、水田を畑地に転換し、畑作物の本作化で産地化するのか、検討をしていただいているところであります。

 農林水産省といたしましては、需要に応じた生産とともに、農家所得の向上という観点から、いずれの産地の取組も後押しをしていかなければいけないというふうに考えております。

池畑委員 やはりこれは、期限が五年間ということでありました。水を張らない地域に関しては畑地化へ戻していくということでありました。皆さん心配されておられますので、是非、どういう方向性で進めるのかというのは、はっきり提示をされておられますが、どんどん認知をしていくべきだというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ちょっと急いでおりますので、三分間時間が削られておりまして、時間を少し短めにやってまいります。

 今委員の皆様のお手元に配られております、担い手への農地集積の傾向と分析という資料は、畑地化推進ではなく、まず、今大臣も、前の委員からの質問にありました、農地の集約に力を入れてほしいと。集積から集約が必要だという答弁もしておられましたけれども、今は平均六割程度から集まっておりますが、八割が目標ということでありますから、次世代の農家に引き継いでもらうべき提言をするべきだというふうに私は思っておりますので、是非、資料を参考にしていただいて、皆様の御地元の集積率がどれぐらいになっているかということも踏まえながら、次どういった手を打っていくかということを考えていくべきだというふうに思います。

 次は、輸出であります。

 先ほど、米も自由に作るべきだというふうに申し上げましたけれども、作った限りは、いずれの米も、今とは比べ物にならないほど輸出の拡大が必要ではないかというふうに思います。

 これも議論があるということはよく承知をしておりますが、農作物の輸出の目標金額を二兆円から五兆円にしようと。そして、それに対して、米の輸出の目標額が百二十五億円と、少ない感が否めませんけれども、私も外務委員会で質問させていただきました。何か力を入れていることがありますかという質問に対して、パック御飯なんかの引き合いがかなり多いということでありました。

 私は、もっともっと、例えば、北海道が取り組んでおられますエンターテインメントとの共同、エンタメですね、聖地巡礼だとか、俳優さんたちが食べたものを食べたいなというふうに思う気持ちだとか、既に北海道なんかでは取り組んでおられますけれども、米を余り主食としないヨーロッパ諸国に拡大をさせていくためには、外務委員会でも質問させていただきましたけれども、視点を変えた取組が必要だというふうに質問させていただきました。

 農林水産省にて、その後、視点を変えた何か取組を考えておられるのでありましたら、教えていただきたいと思います。

坂本国務大臣 まず、米の輸出の方から御答弁させていただきたいというふうに思います。

 米の世界貿易の市場は約五千万精米トンであります。ただ、残念ながら、その大半が長粒種、インディカ米でございます。我が国の国産米のほとんどが粘り気が強い短粒種、ジャポニカ米でございますので、その市場が大きくはありません。

 しかしながら、海外におきますすしブームや和食ブームを通してジャポニカ米の認知度が高まるとともに、我が国もジャポニカ米をアジアや欧米に輸出しなければならないというふうに思っております。

 また、近年は、日本の米や水で作られたパック御飯や、テイクアウトで手軽に食べられる等の理由から日本産米のおにぎりが人気となっておりますので、こうした需要開拓も含めて、まずは、二〇一九年の五十二億から、二〇二三年、四年間で二倍にしたところです。そして、その後、二〇二五年に百二十五億円の目標を掲げているところであります。

 ジャポニカ米という限られた市場の中で、しっかりとそこは、順を追って、計画的に輸出を増やしてまいりたいというふうに思っております。

 委員言われましたエンタメ等を活用した新たな視点というのは、これは必要だというふうに思っております。それぞれ、ドイツやあるいは東南アジアでも、民間等を中心にしっかりそこは努力をされております。それがまた輸出の向上にもつながっているというふうに考えております。

池畑委員 ありがとうございました。

 JAや商社だけに任せるのではなくて、国としても国策として対応が必要だというふうに思います。

 最後に大臣も答弁していただきました、エンタメというのはかなり重要だというふうに思います。一昨年、アブダビに参りました折、大使館には立派な情報をお持ちの大使館員もたくさんおられました。もっと重要視して活躍してもらうべきだというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今国会では、食料・農業・農村基本法の改正案が提出をされております。私たちもしっかりと将来にわたる食料の安定供給を追求したいというふうに思っております。また、畑地化という方向性、輸出の強化については改正基本法の中でどういう位置づけになっているのか注視をしていきたいというふうに思いますし、是非いろいろな取組を我々もしていきたいというふうに思います。

 大臣のホームページのトップ画面は、水田の前で演説をするというすばらしい構図であります。水田を守る農林水産業に従事する方を守ることによって、消費者すなわち日本国民を飢えさせないということを徹底的に我々も進めてまいりたいというふうに思いますので、これからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 続いては、医療の質問に移らさせていただきます。

 今回の能登半島で起こりました地震、そして、今でも現地で医療に携わっておられます皆様に、また、ボランティアに従事していただいている皆様に敬意を表しながら質問させていただきたいというふうに思います。

 昨年の二月、予算委員会の際に、医療事故と医療過誤について質問をさせていただきました。一年を経てどのような進捗があったのかということをまず確認しながら、そもそもこの問題を取り上げておりますのは、地元で解決する課題があったからであります。

 最初に、医療事故調査制度についてお聞かせいただきます。

 当時、隣におられます前厚生労働加藤大臣にも御答弁をいただきました内容でありますが、医療事故調査制度とは、医療の安全を確保して医療事故の再発防止をするために医療法改正に盛り込まれたものであります。随分と議論をされたというふうに思いますし、いろいろ思いもあったというふうに思います。いろいろという言葉ばかり使っておりますが、いろいろと工夫しなければいけないと前加藤大臣からも答弁をいただきました。

 私は、課題はあるよねというふうな答弁に聞かせていただきました。その課題というのは、医療機関で起きた死亡事故の原因を調査する医療事故調査制度への報告件数が当初の予想を大幅に下回っていると言われております。それは、無届けへの罰則がなく、罰則というか、これは前加藤大臣も言われていましたけれども、懲罰があったり罰があったりということは情報が集まらないということで、私もそう思います。

 そういったことを含めて、でも、それでも訴訟を起こされるのではないかと医療関係者らが同制度の利用に消極的になっているということが背景にあるのではないかというふうに思います。問題点が解明されないままの病院と、要因を分析して医療の質向上に努める病院の二極化が進んでいるのではないかというふうに思いますが、大臣、どのような認識をお持ちでしょうか。

武見国務大臣 医療事故調査制度において、二〇二三年一月から十二月までに報告された医療事故件数は三百六十一件でございます。一方、制度創設前に厚生労働省の検討会で行った推計では、一年当たり一千三百件から二千件と見積もっておりました。

 この推計は、現在の医療事故調査制度の定義とは異なりまして、提供した医療に起因するかなどを問わず、死亡事故を広く対象とした上で、大学病院など比較的手術などのリスクの高い医療を多く提供する医療機関の実績を医療機関全体の数字として適用する形で推計しておりまして、現在の医療事故調査制度の実績と前提条件が異なることから、簡単に比較することは実は大変難しいのであります。

 厚生労働省としては、医療事故の定義を医療機関の管理者が狭く解釈することによって報告数が少なくなることがないよう、引き続き、医療事故調査制度の目的や、それから医療事故の定義について、研修などを通じてしっかりと周知を図ってまいりたいと思っております。

池畑委員 三百六十一件ということでありました。これが多いか少ないかということは、いろいろな判断があると思いますが。

 その次に、都道府県によって報告件数に大きな差があります。都道府県によって事故の発生率が大きく変わるというふうには余り思えませんが、趣旨を理解して調査報告をする必要があるのではないかというふうに考えます。

 報告に消極的か積極的か、ちょっとお話がありましたけれども、専門性の高い大学病院でも、予期をしていたかどうかの判断が生じまして、実際には報告件数よりも多い事故が起きている可能性があるというふうなお話でありました。共有化も必要だということであります。

 それを踏まえまして、ここが大事なんですが、医療事故調査・支援センターに報告をします、その後、院内調査が始まりますが、ただ、医療事故調査・支援センターに報告する医療事故、そして医療機関の判断に委ねる現行制度については、今お話もありました。

 冒頭申し上げましたとおり、地元でやはりいろいろ課題がありましてこの質問をさせていただいておりますが、医療事故が起こったときに遺族の方々がどのように思われるかということに対して私たちはいろいろ考えておるわけでありますけれども、遺族側が病院に対して、まだまだ調査をしていただけないか、これから調査をしていただけないかといったときに、なかなか事故調査を求める権利が認められていないということでありまして、なかなか知れないということが発生をしております。

 その件について大臣はどのような認識でおられるか、お聞かせいただきたいと思います。

武見国務大臣 医療事故について、遺族の御希望に基づく調査の件でありますけれども、医療法において、医療機関に勤務する医療従事者が提供した医療に起因をし、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該医療機関の管理者がその死亡又は死産を予期しなかったもの、このように医療事故は定義されております。

 医療事故調査制度の趣旨は、責任の追及や紛争処理ではございません。医療事故について調査で原因を究明し、再発防止につなげることで医療の安全を確保することでございまして、医療事故に該当するかどうかの判断は医学的になされる必要がございます。このため、医療機関の判断を超えて、遺族からの求めに応じて調査をするということは、実は制度上は想定されておりません。

 しかし、他方、一方で、医療事故の適切な報告、調査のためには、医療事故かどうかを判断する医療機関の管理者が適切に制度を理解していること、今度はこれが極めて重要になります。

 このため、厚生労働省としては、管理者に対する医療事故調査制度に関する研修の実施と受講促進などを行っておりまして、これらの取組をよりしっかりと進めていきたいと思っております。

池畑委員 全ての遺族の意見を集約し、そしてまた聞くというのは、なかなか大変な作業だというふうに思います。事故調の辺りでも、そういったセクションをつくるというのは非常に難しい話なのはよく理解しております。

 できればそういったことを含めて相談をする窓口、そして、市役所やそういうところでもやっておられるというふうに聞きましたが、そういったところもかなり大変な作業にはなるというふうに思いますが、そういった声が多いということだけは伝えさせていただきたいというふうに思っております。

 一方、遺族へのフォローも大切なんですが、図らずも事故を起こされてしまった先生に対するケアも必要ではないかというふうに思っております。

 医師本人が事故を起こそうと思って起こしたわけではないのは当然のことだというふうに思います。また再び医師として働くことができるようになる場所、自分を見詰め直すという表現をされた先生もおられましたけれども、そういった場面でそういった場所があるということはすごく心強いことなんだということを現役のお医者様も言われていらっしゃいましたが、そういった場所を提供する、そしてそういったセクションをつくるということはお考えではないでしょうか。

武見国務大臣 委員の御指摘のとおりであります。患者中心に医療というものは考えなければなりませんけれども、やはり、医療を提供する側と患者との間の相互の信頼関係というものがあらゆる意味で医療の質を高めていく上での基盤になる、こういうふうに私も考えております。その観点で、今御指摘の、医師の側に立った、後のフォローというのも大変重要な課題だというふうに思います。

 厚生労働省におきましては、患者や家族と医療従事者の双方の立場を理解して、両者の対話を促す人材として、医療対話推進者の医療機関への配置を診療報酬で評価しながら推進しております。この医療対話推進者の業務として、医療事故に関わった職員への精神的ケアなどのサポートを行う旨、厚生労働省の指針の中でお示ししております。また、医療関係団体の研修などにおいても、医療従事者の精神的な支援に取り組まれるものと承っております。

 こうした取組を進めながら、当事者のケアが適切に行われるよう進めていきたいと考えております。

池畑委員 今後も、今言われた医療従事者の先生方が働きやすく、そして国民にとっても不利益のないような改革が必要ではないかというふうに考えておりますので、是非、今後とも質問を続けてまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 これで質問を終わらせていただきます。

小野寺委員長 これにて池畑君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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