衆議院

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第12号 令和6年2月21日(水曜日)

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令和六年二月二十一日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    越智 隆雄君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤 茂之君

      田中 和徳君    平  将明君

      谷川 とむ君    塚田 一郎君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧原 秀樹君    宮路 拓馬君

      山本 有二君    若林 健太君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      石川 香織君   おおつき紅葉君

      大西 健介君    小山 展弘君

      後藤 祐一君    階   猛君

      鈴木 庸介君    堤 かなめ君

      藤岡 隆雄君    山岸 一生君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      渡辺  創君    奥下 剛光君

      林  佑美君    守島  正君

      赤羽 一嘉君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君    宮本  徹君

      本村 伸子君    田中  健君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (全世代型社会保障改革担当)           新藤 義孝君

   国務大臣         自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     谷川 とむ君

  梅谷  守君     藤岡 隆雄君

  山岸 一生君     後藤 祐一君

  米山 隆一君     渡辺  創君

  宮本  徹君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     亀岡 偉民君

  後藤 祐一君     山岸 一生君

  渡辺  創君     おおつき紅葉君

  本村 伸子君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  おおつき紅葉君    鈴木 庸介君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 庸介君     堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  堤 かなめ君     米山 隆一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、三案審査のため、去る十六日、第一班石川県、第二班長崎県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。第一班橋本岳君。

橋本委員 石川県に派遣された委員を代表いたしまして、団長に代わり私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、小野寺五典委員長を団長として、理事牧島かれん君、奥野総一郎君、漆間譲司君、佐藤英道君、委員亀岡偉民君、小森卓郎君、牧原秀樹君、若林健太君、渡辺博道君、梅谷守君、近藤和也君、奥下剛光君、高橋千鶴子君、田中健君、私、橋本岳の十六名であります。

 去る十六日、現地において、令和六年能登半島地震による内灘町の被害及び金沢市所在の避難所の状況を視察し、関係者から説明を聴取いたしました。

 次いで、金沢市において会議を開催いたしました。

 会議におきましては、石川県知事馳浩君、七尾商工会議所会頭、株式会社スギヨ代表取締役社長杉野哲也君、石川県商工会議所連合会会頭安宅建樹君及び石川県内灘町長川口克則君の四名から意見を聴取いたしました。

 まず、馳陳述人からは、令和六年能登半島地震の被災及びインフラ等の復旧状況、なりわいの再建に向けた取組などの意見が、

 次に、杉野陳述人からは、能登半島における和倉温泉の復旧復興の重要性、一昨年から続く地震と一体で支援する必要性などの意見が、

 次に、安宅陳述人からは、被災地域の産業の現状、希望を持てる復興、新しい技術を用いた町づくりなどの意見が、

 最後に、川口陳述人から、内灘町の被災及び液状化現象の状況、国、県とともに復旧支援を進める必要性

などの意見が述べられました。

 次いで、各委員から意見陳述人に対し、液状化被害における復旧復興に向けた課題、災害廃棄物への対応の在り方、被災者生活再建支援金に係る課題及び在り方、被災者が再建の意欲を失わないために必要な取組、伝統工芸産業の事業継続、再興に向けた支援、二重債務問題等の金融面での課題、一・五次避難所の今後の課題、対策などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を始め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

小野寺委員長 次に、第二班加藤勝信君。

加藤(勝)委員 長崎県に派遣された委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、私、加藤勝信を団長として、理事島尻安伊子君、山井和則君、委員井出庸生君、伊東良孝君、今村雅弘君、越智隆雄君、後藤茂之君、宮路拓馬君、山岸一生君、山田勝彦君、林佑美君、守島正君、金城泰邦君の十四名であります。

 このほか、現地参加議員として山本剛正君が出席されました。

 去る十六日、現地において、長崎県総合水産試験場を視察し、関係者から説明を聴取いたしました。

 次いで、長崎市において会議を開催いたしました。

 会議におきましては、長崎市長鈴木史朗君、日本労働組合総連合会長崎県連合会事務局長岩永洋一君、一般社団法人長崎県観光連盟会長嶋崎真英君及び北部遊漁船連絡協議会会長岩崎幸広君の四名から意見を聴取いたしました。

 まず、鈴木陳述人からは、地域の人口減少の現状と克服の取組、観光振興の取組及び課題などの意見が、

 次に、岩永陳述人からは、地域の賃金の状況、中小企業の価格転嫁対策の必要性などの意見が、

 次に、嶋崎陳述人からは、観光業の人手不足解消に向けた要望、観光振興のためのインフラ整備の必要性などの意見が、

 最後に、岩崎陳述人から、専門釣り漁師の現状、漁船の補助要件の見直しの必要性

などの意見が述べられました。

 次いで、各委員から意見陳述人に対し、国に求める子供、子育て政策及び財源の在り方、中小企業の賃上げに必要な支援策、観光振興における二次交通整備等の取組、水産業における後継者確保に必要な対策などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を始め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

小野寺委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

 お諮りいたします。

 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

小野寺委員長 これより一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長渡邊国佳君、国税庁次長星屋和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 冒頭、まず、来年度予算案の審議でございますので、来年度予算案のうち、花粉症対策予算について伺いたいと思います。

 今日は農水大臣がお越しになっていただいておりますけれども、花粉症議連というのを与野党超党派でつくって、集中的に伐採する区域を定めた方がいいんじゃないかというような提案をさせていただきましたが、昨日、四十五都道府県で重点区域が設定されたと伺っています。このことと、昨年の秋、補正予算六十億円、この二つについては、大変な進歩ということで評価をさせていただきたいと思います。

 問題は、重点区域を設定したのはいいけれども、ペースを上げて杉を切るには相当人を増やさなきゃいけないわけです。ところが、今年度、令和五年度の補正前の通常予算は八千八百万円で間違いないでしょうか。そして、来年度予算案は幾らになっているでしょうか。

坂本国務大臣 五年度当初予算で八千八百万円、間違いありません。そして、昨年の補正予算、五年度の補正予算で六十億円。そして、六年度当初予算では三千九百万円であります。

後藤(祐)委員 三千九百万円では全く人を増やせないですよ。六十億円は今年度の補正予算でしかないですから、人を増やすには、五年、十年、あるいはもっと長いスパンで安定的な雇用をつくっていかないと、これは継続的にできないんじゃないですか。

 是非、通常予算で、六年度予算案は既に出てきちゃっているので、これはちょっと残念な数字ではありますけれども、せめてその次の令和七年度予算案というところは、三千九百億円とは言いませんけれども、大幅な通常予算の増額が必要だと思いますが、いかがですか。

坂本国務大臣 十年後に杉人工林の二割を減少させていくためには、これから対策を継続的に実施していくことが重要であると考えております。

 今後とも、あらゆる機会を通じて、必要な予算の確保に努めてまいります。

後藤(祐)委員 是非、鈴木財務大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 坂本農水大臣はこれで結構でございます。

小野寺委員長 それでは、坂本大臣は御退出いただいて結構です。

後藤(祐)委員 それでは、政治と金の問題に行きたいと思います。

 先週、自民党から、各不記載になった議員全員に聞き取りをした調査の報告書というものが発表されましたが、文科大臣の不信任などもあって、ややこの議論が飛んでしまっているわけですけれども。

 林官房長官に伺いますが、これは全部読んでおいてくださいというふうにお願いしておりますけれども、国民が一番知りたい、何で裏金になっちゃったのか、あるいは、やめようとしたけれども何でやめられなかったのか、この報告書を読んで分かりましたか。

林国務大臣 自民党において、同党内の複数の派閥及び多数の同党所属国会議員が政治資金収支報告を訂正するに至った問題に関して、その実態把握をすべく、調査チームを立ち上げて聞き取り調査が行われたものと承知しております。

 党の調査や報告書について官房長官としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、聞き取りに当たって、その客観性を担保するため、外部の弁護士を交えて行われて、御指摘の報告書について、外部の弁護士により取りまとめられたものと承知しております。

後藤(祐)委員 分からなかったということですよね、今きちんと御答弁されていないですけれども。私も全部読みましたけれども、全然分かりません。でも、国民が知りたいのはそういうことですし、自民党としての説明責任があるんじゃないですか。

 そこで、伺います。

 やはり安倍派と二階派の幹部の方々、具体的に言いますと、安倍派幹部の塩谷立、下村博文、松野博一、西村康稔、高木毅、萩生田光一各衆議院議員と、二階派幹部の二階俊博、林幹雄、平沢勝栄、武田良太各衆議院議員にそれぞれ御確認の上、安倍派と二階派でなぜ裏金が発生してしまったのか、なぜやめられなかったのかということについて、御確認した上でお答えいただけますかと通告しております。いかがですか。

林国務大臣 お尋ねにつきまして、官房長官として確認する立場にはないものと認識しております。

 その上で、岸田総理は、自民党総裁として、説明責任が今回の聞き取り調査や政治資金収支報告書の修正をもって果たされるというものではないこと、今後ともあらゆる機会を捉えて、国民の信頼回復に向けて、関係者には説明責任を果たしてもらわなければならないし、党としても求めていくこと、こうしたことを述べられているものと承知しております。こうした方針に沿って引き続き対応していくものと考えております。

後藤(祐)委員 この予算委員会で官房長官なり総理なりに間接話法で聞いていただいても、こういう答弁にしかならないわけですよね。やはり政倫審で直接本人に来ていただかないと真相は明らかにならないということが、今の答弁で明らかになったということだと思います。

 そこで、我々からは、政倫審に対して、不記載のあった安倍派、二階派の五十一人の衆議院議員全員に対して政倫審に来るよう求めているところでございますけれども、昨日、安倍派からは塩谷立座長と、二階派から武田良太事務総長、二人だけ来るという話が一旦示されました。話にならない、これは野党一致して、おかしいじゃないかと言ったところ、昨日から今日にかけて、西村康稔議員、松野博一議員、高木毅議員も出るというような追加的なお話がありましたが、足りない方がいらっしゃるんじゃないですか。

 五人組と言われる方、世耕議員は参議院ですから、参議院もこの一時から申立てをしているようでございますけれども、衆議院議員で萩生田光一議員は何で入っていないんですか。萩生田光一議員は、五年間の裏金が二千七百二十八万円、かなり上位ですよ。

 しかも、一月二十七日の記者会見でこのようなことを言っているんです。

 初当選後、一期生が集まる会合等で当時の事務局より、毎年、派閥のパーティーを開催すると、当選回数や役職に応じたノルマが発生する、ノルマを超過した部分については活動費としてお戻しするとの話があったと記憶しております。かなり始まった経緯に詳しいんじゃないですか。

 あるいは、毎回の売上げも全て清和研側に入金しておりましたが、いつの頃からか指導が変わり、ノルマ分のみ振り込んでくださいと事務局から指示があったとのことです、ノルマ分だけの振り込み期間は令和二年から四年までの三年間と承知しております。

 かなり重要なことを、表で、オープンな場でおっしゃっておられるんですよね。しかも、こういうことをしゃべられるんだから、政倫審に来て何が問題なんですか。

 あと、もう一方おられます。事務総長の方々に来ていただくのであれば、下村博文元事務総長は何で入っていないんですか。下村博文さんは二〇一八年一月から二〇一九年九月まで事務総長であられましたから、対象となる五年間の間に事務総長をやっておられるわけですよね。

 しかも、下村博文さんも一月三十一日の記者会見でかなりいろいろなことを言っていて、特に、キックバックを安倍総理がやめるべきじゃないかと言った後の経緯、こんなことを言っています。

 安倍さんが還付をやめる方向で議論をしたのが二〇二二年の四月ですね。安倍さんが亡くなったのはその年の七月の八日。八月になったとき、集まったことは事実ですけれども、ちょっと飛ばしますが、中には、キックバックはやめるということに対して、既にノルマ以上の売上げになった人からどうしてくれるのかという話があったというのは、議論としてありましたが、これについて、この後どうするかということは、議論としての結論はなかった。そういう報告があったということですねと、かなり重要な証言をしているんですよ。

 この八月に集まったメンバーは誰ですかと聞かれて、塩谷さんと私、下村さんですね、と西村当時事務総長、それから世耕清風会会長ですとはっきりおっしゃっているんです。重要な証言じゃないですか。

 聞き取りを自民党として下村博文議員に対してもしたはずなのに、先ほどの官房長官が全部読まれたはずの自民党の聞き取り報告書に何にも書いていないですよ。一番知りたいところが隠蔽されているじゃないですか。萩生田さんとか下村さんが表で言っていることですよ。何でこれが聞き取り報告書に入っていないんですか。

 この萩生田光一議員、下村博文議員、そして、二階派のことについては一人じゃ分かりませんでしょう、武田良太さんだけじゃ。まず、御本人の二階俊博議員、三千五百二十六万円の裏金です。二階議員には側近の林幹雄さんが常に寄り添っておられます、千六百八万円です。さらに、武田良太さんの前の事務総長である平沢勝栄さん、千八百十七万円の裏金。これらの方々も政倫審に来て、マスコミオープンの場で話すべきじゃないですか。何で小出しにするんですか。

 先ほど、報告書を読んでも分からない、官房長官も分からない。しかも、ここで答弁を求めても何にも真相は明らかにならない。是非、少なくともこの十人の方は来ていただく必要があると思います。

 官房長官、こういう対応をしているから世論調査がこうなるんですよ。二月十九日の日テレ、読売の世論調査だと、自民党の派閥の幹部が国民に十分説明しているかという問いに対して、思わないが九三%。毎日でも、説明責任を果たしたと思わないが九三%。これをどう受け止めますか、官房長官。

林国務大臣 個々の世論調査の結果の要因等について政府としてコメントすることは控えますが、国民の政治に対する不信の声は真摯に受け止めなければならないものと認識しております。

 政府の立場からは、あくまで一般論としてでございますが、それぞれの関係者において引き続き適切に説明責任を果たすことが重要だと考えております。

 岸田総理も、自民党総裁として、関係者に説明責任を尽くすことを党として促していく旨述べられておりまして、この方針に沿って対応されるものと考えております。

後藤(祐)委員 党として本当に促しているんですか。茂木幹事長は、五十一人全員に政倫審に来るかどうか聞くと言っていましたよね。ちゃんとやっているんですか。

 これは、派閥以外の方も政倫審に出席の意思があるかどうかを確認して、その名前を示してくださいと通告していますが、いかがですか、官房長官。

林国務大臣 今のお尋ねにつきましては、官房長官として確認する立場にないものと認識しております。

 なお、政治倫理審査会を含めて、国会における審議の在り方については、国会においてお決めいただくことであるというふうに認識しております。

後藤(祐)委員 幹事長が約束したんでしょう、世の中に対して、五十一人に聞くと。ぐずぐずしているからいろいろなものが進まないんですよ。

 実際、自民党の聞き取り調査の報告書、お手元の資料の五ページ目ですが、派閥幹部以外の方々が、この聞き取り調査で、派閥の執行部についてというところでいろいろなことを言っています。例えば、派閥の上に立つ人間が責任を取らないといけないと思うとか、組織としてのけじめをつけなきゃいけないとか、幹部の先生方に憤りを感じているとか、恨みつらみが相当書かれているわけです。

 この派閥幹部以外の方々の意見というのは非常に重要なんじゃないですか。この方々は、実は、自分はしようがなかったんだということを政倫審に出て話したいという方もいらっしゃるんじゃないですか。その声を握り潰しているんじゃないですか。

 やはりちゃんと話していただく必要があると思いますけれども、今日、参議院では、恐らくもうやっていると思いますが、参議院の三十二人について、参議院側では政倫審の申立てが野党側だけでできるので行っているというふうに伺っておりますけれども、是非、衆議院側も五十一人全員にちゃんと聞いて、政倫審に来たいという方は来ていただく必要があると思います。

 例えば、派閥幹部以外の方で、宮澤博行議員。昨年の十二月十三日に、派閥から、しゃべるな、しゃべるな、これですよといって報道されていた方ですけれども、宮澤博行議員は、だから、早く説明して身の潔白を証明したい、多くの議員がそう思っていると思います、こう言っているんですよ。自分だけじゃなくて多くの議員が身の潔白を証明したいと言っているんですよ。

 少なくとも、宮澤博行議員だとか、この多くの議員が誰か分かりませんけれども、政倫審に出席する意思があるか、ちゃんと聞くべきじゃないですか。これは通告していますけれども、いかがですか、官房長官。

林国務大臣 政治倫理審査会を含めて、国会における審議の在り方については、国会においてお決めいただくことであると認識しております。また、官房長官として個々の議員に出席の意思を確認する立場にはないものと認識しております。

 いずれにいたしましても、一般論として申し上げますと、それぞれの政治家が必要に応じて適切に説明責任を果たすことが重要だというふうに考えております。

後藤(祐)委員 それぞれの政治家が、説明責任を果たしたいと思っている議員がいるかもしれないのに、そもそも政倫審に出たいかどうかを聞いていない可能性が高いじゃないですか、今までのところ。

 弁明できる場として政倫審が設置されているわけですから、これは、政倫審に出て説明したいという各議員の、ある意味権利を邪魔している状態になっているんじゃないですか。口封じしているんじゃないですか、党として、組織的に。これはまずいですよ。

 更に自民党の聞き取り調査の報告書について伺いたいと思いますが、総務大臣にお越しいただいておりますけれども、資料の八ページ目を御覧ください。

 この報告書によれば、議員自らが還付金等、この表現もいかがなものかと思いますが、引用するのでそのまま言いますが、還付金等を認識していた、こういう方が三十二人いて、収支報告書に還付金等の記載がないことを認識していたと述べた方が、議員本人ですよ、十一人いる。更に言うと、資料の次のページ、九ページ目ですが、還付金等を管理していた主体が議員本人である者が十二名いる。この十一名プラス十二名というのは、議員本人の政治資金規正法違反の可能性が高いんじゃないですか。

 所管する松本総務大臣に伺いますが、一般論で結構ですが、国会議員が収支報告書の不記載を認識していた場合、また、キックバックやプールした金を議員本人が管理していた場合は、議員本人の政治資金規正法違反になるんじゃないですか。

松本国務大臣 委員も御案内のとおり、政治資金規正法においては、政治団体の会計責任者が、毎年十二月三十一日現在で、政治団体に係るその年の全ての収入等を記載した収支報告書を作成し、都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出することが定められておりまして、この収支報告書に記載すべき事項を故意又は重大な過失により記載しなかった者又は虚偽の記入をした者については、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する旨の定めが政治資金規正法第二十五条に置かれていることも御承知のとおりかというふうに思います。

 その上で、総務省として、事実を認定して具体的な事実関係を承知する立場にはございませんので、今委員がおっしゃった御指摘を認定する立場にはございませんが、政治資金規正法においては、収支報告書に虚偽の記入などが行われ、刑に処せられた場合において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督の両方について相当の注意を怠ったときは、五十万円以下の罰金に処する旨の定めがあると承知しております。

後藤(祐)委員 今の総務大臣の答弁は、政治資金規正法違反の疑いがかなりあるという答弁ですよね。

 確かに、認定するのは総務大臣の仕事ではありません。その仕事は法務大臣。

 お伺いしますけれども、重なりがあるかもしれませんが、二十三人に東京地検は事情聴取したんですか。立件したんですか。立件していないとすれば、立件すべきじゃないですか。しないとすれば、何で立件しないんですか。

小泉国務大臣 個別事案に関わる捜査機関の活動内容でございますので、法務大臣としてのお答えは差し控えますが、あくまで一般論として申し上げれば、検察当局は、厳正公平、不偏不党を旨として、個々の事案の真相を明らかにするために、必要な事項について捜査を尽くした上で、法と証拠に基づいて、刑事事件として取り上げるべきものは取り上げる、適切に対処しているものと承知しております。

後藤(祐)委員 二階派の法務大臣が答弁しても信用できないですよね。

 国税庁次長にお越しいただいておりますけれども、議員本人が不記載を認識していたケース、あるいは議員本人が裏金を管理していたケース、二十三名、重複はあり得ますけれども、これは政治団体の金ではなくて議員本人の金なわけですよ。その場合、その年に使い切っていなければ、これは雑所得になりますよね。税務申告する必要があるんじゃないんですか、次長。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別にわたる事柄につきましてはお答えは差し控えさせていただきますが、お尋ねにつきましては、個別の事実関係を精査する必要があるということで、まず、一般論として申し上げますと、政治資金の帰属を判断するに当たりましては、収支報告書の記載状況のほか、その資金が誰によって実質的に管理、使用されていたのかなど、様々な状況を総合的に精査する必要があるということでございます。

 いずれにいたしましても、政治資金の課税関係につきましては、個々の実態に応じまして、法令等に基づき、適正に取り扱うこととしております。

後藤(祐)委員 こういうのを税務調査に入らないと、確定申告をやる気がしないですよ、国民は。

 財務大臣、資料九、同じページの下の方を御覧ください。

 還付金等の使用の有無というのに対して、使用していなかったという方が三十一名いるんですよ。さっきの二十三人、つまり、議員本人が不記載を認識していた、あるいは議員本人が裏金を管理していた方であって、この還付金等を使用していなかった方というのは、脱税が成立しちゃっているんじゃないですか。

 しかも、これは自民党として一人一人聞き取りをしているわけですから、この二十三名と三十一人がどう重なっているか、全部分かっているはずですよ、自民党は。これは重なっている方がいるんじゃないですか。つまり、不記載を議員本人が知っていた、あるいは議員本人が裏金を管理していた人で、使用し切っていなかったという方が具体名として分かっているんじゃないですか。調査チームに確認の上、お答えください。これは通告しています。

鈴木国務大臣 後藤先生お尋ねの件につきましては、財務大臣としては、党の聞き取り調査の内容についてお答えする立場にはなく、また、調査を行った各議員に確認する立場にもありませんので、お答えができないということを御理解いただければと思います。

後藤(祐)委員 林官房長官に伺いますが、一人一人自民党の聞き取り調査をやったわけですから、その聞き取り結果を足し上げたのがさっきの十一とか十二とか三十一人という数字ですから、重なりが誰であるか、自民党は分かっているわけですよ。自民党として実名を挙げるべきじゃないですか。これがオープンな場で言えないんだとしたら、少なくとも国税に、あるいは東京地検にその名前を伝えるべきじゃないですか、証拠とともに。官房長官。

林国務大臣 お尋ねについては、官房長官として確認する立場にないものと認識しております。

 今回の報告書でございますが、第三者である弁護士の方々が取りまとめたものでありまして、何をどこまで記述するのかについても申し上げる立場にはないものと認識しております。

後藤(祐)委員 そもそも、この報告書が議員の名前が匿名になっているところが隠蔽なんですよね、党として。

 是非委員長にお願いしたいと思いますが、自民党の聞き取り調査結果の全ての不記載議員八十二人への前提となった聞き取り調査結果そのもの、取りまとめ結果ではなくて、一人一人の議員に聞き取った元々の原票的なもの、これをこの委員会に提出していただくようお願いします。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

後藤(祐)委員 あと、もう一つこの報告書が隠蔽しているのは、政策活動費なんですよ。政策活動費がこれだけ問題になっているのに、一言も触れていないんですよ。

 キックバックだとかプールしたお金、還付金等なんという言葉で言っていますけれども、これを政策活動費だと認識していた場合には、政治資金じゃなくて雑収入となりますから、使い残していたらこれは脱税になりますよね。

 池田佳隆議員はまさにこのケースで、政策活動費と認識して、使い残して繰り越していた。つまり、脱税の構成要件をほぼ満たしている疑いが強いですよね。逆に言うと、池田議員と同じように、キックバックやプールしていた裏金を政策活動費として認識していた議員はいなかったんですかね。

 報告書を見ても政策活動費に全く触れていませんからよく分からないんですけれども、聞き取り調査では政策活動費ということについて聞いたんでしょうか。党として認識しているんでしょうか。この聞き取り調査をした方に伺った上で答えていただけますか、官房長官。

林国務大臣 お尋ねにつきましては、官房長官として確認する立場にないものと認識しております。

 その上で、今回の報告書は第三者である弁護士の方々が取りまとめたものでございまして、何をどこまで記述するのかについても申し上げる立場にはないものと認識しております。

後藤(祐)委員 これらを全部、やはりこの場に出てきていただいて説明いただかなきゃいけないですよね。政策活動費に触れると脱税の話と直結していくから、これについてはやめておこうみたいな判断をしたんじゃないんですか。つまり、この報告書は第三者性が全然ないんですよ。

 資料の二ページ目を御覧ください。

 資料の二ページ目は、日弁連の、こういった企業が不祥事を起こした場合の第三者委員会のガイドラインというのがあって、詳細は飛ばしますけれども、大きく分けると二つタイプがあって、内部調査委員会、ほかの弁護士なんかに入ってもらって内部調査をするケースと、あとは、外の人だけにやってもらう第三者委員会のケース、この二つがあるんですね。

 今回自民党がやったのはまさに内部調査委員会にすぎないわけですけれども、二ページ目の下の方を御覧ください。マスコミ等を通じて不祥事が大々的に報じられたり、ブランドイメージが低下し、よい人材が採用できなくなったり云々、具体的なダメージが生じてしまった企業等では、第三者委員会を設けることが不可避となりつつある、こうなっているじゃないですか。

 この日弁連の基準からすれば、自民党は、内部調査ではなくて、外部の弁護士さんだけが一人一人の議員から聞き取って、外部の弁護士さん、元検察の方でもいいでしょう、が報告書をまとめるべきだったんじゃないんですか。やり方として甘かったと思いますが、いかがですか、官房長官。

林国務大臣 今御指摘がございましたガイドラインですが、これは、日本弁護士連合会が、第三者委員会の活動がより一層社会の期待に応え得るものとなるように、自主的なガイドラインとして策定されたものと承知しております。

 官房長官として当該ガイドラインの第三者委員会に該当するか否かを確認する立場にはなく、お答えを控えますが、調査チームは、聞き取り調査に際して、その客観性を担保するため、外部の弁護士を交えて行われ、御指摘の報告書についても、外部の弁護士により取りまとめられたものと承知しております。

後藤(祐)委員 その認識が甘いということを日弁連は示しているわけですよ。

 実際、岸田総理は、客観性、中立性に最大限配慮した報告書を取りまとめてもらったと自画自賛しているんですよ。全然中立性がないじゃないですか。総理の客観性とか中立性に関する認識は甘いんじゃないですか、官房長官。だからずるずるずるずるいくわけですよ。

 実際、この体裁も、資料の一ページ目を御覧ください。二人の弁護士の名前で、自由民主党御中と。誰に対して宛てたものかも分からないし、そもそも、この報告書、自民党として誰かが説明したんですか。記者会見したんですか。例えば茂木幹事長あたりが、このまとまった報告書を、こういうものでございますと記者会見で説明するとかしたんですか。全くしていないじゃないですか。自民党としての説明責任を全く果たしていないんじゃないですか。

 そもそも、内容的にも、議員の名前は隠蔽だし、政策活動費も隠蔽だし、さっき言ったような二十三人が下手をすると脱税かもしれないのに、それも隠蔽だし。この聞き取り調査で分かったことも相当あるはずなんですよ。自民党自体が隠蔽体質だと思いますけれども、いかがですか、官房長官。

林国務大臣 自民党において、同党内の複数の派閥及び多数の同党所属国会議員が政治資金収支報告を訂正するに至った問題に関して、その実態把握をすべく、調査チームを立ち上げて聞き取り調査が行われたものと承知しております。

 党の調査や報告書について官房長官としてコメントすることは控えたいと思います。

後藤(祐)委員 同じ答弁をずっと繰り返すわけですよね。こんなことで説明責任を果たせるとはとても思えないですよ。だから確定申告に影響してくるわけですよ。

 実際、先週金曜日から確定申告が始まりましたけれども、困っているのは現場の税務署で働いていらっしゃる方ですよ。

 昨日のテレビ朝日の番組で、税務署で確定申告の受付の仕事をされている女性の声というのが報道されていたんですが、確定申告の書類を提出に来た男性の方から突然、国会議員が納めていないのに何で自分らが納めないといかぬのやと。それに対してこの女性は、自分たちもそれはよくないとは思っているけれどもみたいなふんわりとした回答しかできない、どこに言えばいいのか分からないから税務職員にみたいなのは何となく分かるけれども、こっちも困るというふうに言っているわけですよ、実際、確定申告の現場の職員の方が。

 財務大臣、確定申告を受け付けている現場の声ですよ。この裏金、脱税問題が確定申告に影響しているんじゃないですか。現場で何が起きていますか、財務大臣。

鈴木国務大臣 今般の政治資金をめぐる問題につきまして、国民の皆さんが、今、後藤委員からも御紹介がありましたとおり、大変に不満を持っている、あるいは怒りを持っている、それは私も感じているところでございます。

 税制はそもそも国民の理解と信頼の上に初めて成り立っておりまして、国税当局におきまして、今後とも、適正な申告、納税を行ってくださっておられます国民の皆さんが不公平感を抱くことがないように、丁寧に窓口等で取り組んでいくことが重要である、そういうふうに思っているところでございます。これからも、納税者からの御相談への対応等を含めまして、真摯に対応してまいりたいと思います。

 税務署等の現場で担当者が大変苦労しているということについては、本当に私としても申し訳ないような気がいたしております。

後藤(祐)委員 財務大臣、実際に確定申告を受け付けている税務署の現場の職員がどういうふうに困っているか、直接聞かれましたか。あるいは、確定申告に来られた方のそういう声も聞かれましたか、財務大臣。

鈴木国務大臣 直接は聞いておりませんが、取りあえず、私も関心がありまして、税務当局からは、大きな混乱はなく進んでいるということは聞いたところであります。

後藤(祐)委員 財務大臣、確定申告の現場の税務署にちょっと行って話を聞いてきた方がいいんじゃないですか。土日祝も確定申告を受け付けている税務署はあるんですよ。もちろん平日は予算委員会でお忙しいのは分かりますけれども、今これだけ脱税の話が問題になっていて、現場の税務署の職員がどう困っているか、あるいは国民の声がどうであるか、肌で感じた方がいいんじゃないですか、財務大臣。視察へ行かれたらいかがですか。

鈴木国務大臣 確定申告の現場ではありませんが、二月四日であったと思いますが、地元岩手県の盛岡市で開催されました税理士会の無料確定申告相談所、それには行って、よく納税者の皆さんの状況も把握したつもりであります。

 また、今までも、確定申告期間ではありませんけれども、各地の税務署を数か所伺って、担当者の皆さんから、いろいろな日頃の悩みでありますとか様々な考えを聞き取ってきたところであります。

後藤(祐)委員 地元でお聞きされたときに、国会議員の脱税疑惑について何らか、いろいろ声があったんじゃないですか。どんな声がありましたか。

鈴木国務大臣 そのときは特にございませんでした。

後藤(祐)委員 これだけ国民が、国会議員が脱税疑惑があるときに確定申告ができるかみたいな感じになっているときに、ちょっと残念な聞き取りですよね。是非とも、そういった現場で困っている方を、視察してお声を聞くことをお勧めします。是非行っていただければと思います。

 実際に確定申告に、納税に悪影響が出ているんだったら、脱税疑惑のある自民党議員に対しては税務調査に入らないと、これは示しがつかないんじゃないですか、国税として。

 実際、二月十九日の毎日新聞の世論調査によると、問題のあった自民党議員を国税当局が調査すべきかという問いに対して、調査すべきは九三%ですよ。必要ないは三%ですよ。九三%というのはとてつもない割合ですよ。

 財務大臣、これについてどうお考えになりますか。

鈴木国務大臣 そういう世論調査が出ているということは、私も承知をいたしております。

 ただ、税務調査を指示すべきかということにつきましては、後藤先生も御承知のとおり、国税の税務調査につきましては、税務行政の中立性を確保する観点から、財務大臣として国税庁に指示を行うこと、これは控えなければならない。あの人を税務調査しろとか、あの人の税務調査を手心を加えろとか、そういうことは言えないわけでございますので、こうしたことは歴代の財務大臣が、不文律ではありますけれどもずっと守ってきたことでありまして、私もそのことは守らなければいけないと思っております。

後藤(祐)委員 何も個別のこの議員のところに入れなんて、そんなことを言えと言っているんじゃないんですよ。

 そうじゃなくて、今、確定申告の時期で、国民が、自民党の裏金議員が脱税しているかもしれないのに確定申告なんかする気がしないという声が実際にあって、しかも国税に調査に入れという声が九三%あって、そうしたら、財務大臣としては、誰に入れとかそういうことはもちろん言えませんけれども、国民の納税意識に悪影響がないような対応を是非考えていただきたい、例えばそういう言い方だってできるじゃないですか、国税に関して。

 具体的にどうするかは国税当局がやればいいですよ。ですが、現実に確定申告に影響が出ているんですから、それを踏まえた対応を考えられたい、このぐらいだったら言えるんじゃないですか、財務大臣。

鈴木国務大臣 これは歴代の財務大臣がずっと守ってきた不文律であります。法務大臣に検察の指揮権が法定化されておりますが、こちらは法定化されておりませんけれども、財務大臣として、納税行政の中立性を守るという観点から、物は申さないということが不文律になっておりますので、私もそれを守らなければいけないと思っています。

後藤(祐)委員 では、国税庁次長、申さないそうなので、次長の感覚をお伺いしたいんですけれども、九三%の国民が国税は調査に入るべきと言っている、あるいは、実際に確定申告に影響が出ているという状況は踏まえた上でいろいろなことを考えるべきなんじゃないですか。いかがですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 確定申告に際しまして、国民の皆様から様々な声が寄せられていることは承知しております。

 その上で、まず、個別にわたる事柄については、お答えを差し控えさせていただきます。

 所得税は申告納税制度でございますので、まずは納税者におきまして自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくことが基本でございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして課税上有効な資料情報の収集に努めまして、これらの資料情報と提出された申告書とを分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなど、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

 政治資金の課税関係につきましても、個々の実態に応じまして、法令等に基づき、適正に取り扱うこととしております。

後藤(祐)委員 是非、国民の声を踏まえた税務、税務調査を行っていただきたいと思います。

 最後に、裏金の使途について触れたいと思いますが、自民党の聞き取り調査報告書の中で、使途について触れられています。

 配付資料十ページ目ですが、気になるのは、この中に書籍代とか通信費とか旅費、交通費などが挙げられているんですが、これは旧文通費で使う場合が多いんじゃないですか。旧文通費の方でこういったお金を使っていたら、別途、同じ領収書を使うわけにはいかないわけですよ。調査チームではそこまでチェックしていますか。

 つまり、文通費年間千二百万円を例えば書籍代とか旅費、交通費に充てたという整理をしていたら、この裏金でこれに使ったということにはならないはずなんですよ。そこまで調べないと、この使途はこれでそのまま認めるわけにはいかないんじゃないですか。二重計上している可能性があるんじゃないですか、官房長官。

林国務大臣 自民党における聞き取り調査の手法、また具体的な内容等について、官房長官として承知しておらず、また、確認する立場にもないもの、そういうふうに認識しております。

後藤(祐)委員 今日明らかになったのは、やはり間接話法では限界がある。政倫審に派閥幹部全員、そして、きちんと五十一名に、来たい人は来てくださいと全部聞いて、来たい方は全員来ていただくということを強く求めて、終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 先ほど、鈴木財務大臣、二月三日の日に確定申告の税務相談会に行かれたと。私も、同じ日、大臣の直後に伺ったんですよ。盛岡の人というのは、大臣もよくお分かりのとおり、おとなしい方が多くて、特に大臣には、余り思っていることを、本音をぶつけられないんだと思います。私が行ったときは、頑張ってくださいという声はありましたよ。ですから、やはり声がなかったということは、それは全く不満を持っていないということではなくて、声なき声として、不満があるということは是非認識していただきたいと思っております。

 さて、その上で、今日いろいろ資料をお配りしています。一ページ目に、先ほど後藤委員も取り上げていた例の聞き取り調査の抜粋です。清和会のことが、下線を引いている部分に書いてありますけれども、清和会に所属していた議員、支部長の多くから、ノルマ超過分を収入として記載していなかった理由について、事務局から議員サイドに対して、収支報告書に記載しなくてよいなどとの指示、説明があったとか、派閥事務局から、派閥において記載しないので、議員においても記載しないでもらいたい、大丈夫だからなどと言われたなどという記述があります。そして、七十九名の清和会の議員が聞き取りの対象となっているわけです。

 今国会の代表質問で私が強く印象に残っているのは、維新の馬場代表が、自民党の派閥と所属国会議員による裏金づくりはまさに組織的犯罪集団であるというふうに発言していました。この報告書を読んで、馬場代表の発言は、少なくとも清和会に関しては、誹謗中傷といった類いのものではなくて、法令上の根拠があるのではないかというふうに思うに至りました。その理由をこれから明らかにしていきたいと思います。

 資料の二ページ目、上の方の網かけの部分、「「団体」とは、」というところをちょっと読んでいただきたいんですが、「「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、」云々かんぬんというふうに書いてありますけれども、さて、法務大臣に質問です。政党の中の派閥、これは、ここで言う団体に当たるかどうか、端的にお答えください。

小泉国務大臣 組織的犯罪処罰法第二条第一項において、今御指摘がありましたけれども、「「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるものをいう。」と定義されております。

 派閥がこれに当たるかどうか、これは、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事項であり、お答えを控えたいと思います。

階委員 団体の定義は、別に犯罪目的とは書いていませんから、「その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」とありますから、およそ派閥のような組織では当たるというふうに明確に言い切っていいのではないかと思っております。

 さて、仮に、派閥が団体に当たるとした場合ですけれども、ここからが本題です。三ページ目を御覧になってください。次に、その団体が組織的犯罪集団に当たるかどうかということが問題になるわけです。そこにありますとおり、「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの」、これが組織的犯罪集団です。別表第三に掲げる罪の中には、かねがね問題となってきている脱税の罪も列挙されております。

 清和会では、派閥の事務局から議員側に対して、収支報告書に記載しなくてよいと指示、説明していました。とすると、派閥側は、政治団体と違って収支報告書の提出義務はない政治家個人、しかしながら納税義務はある政治家個人に裏金を渡し、議員側がこれを受け取った事実を隠していたということは明らかだと思うんです。両当事者に脱税の目的が多少なりともあったというふうに認められるんだと思います。

 問題は、清和会にとって、脱税することが結合関係の基礎としての共同の目的に当たるかということです。この点について、法務省の立案担当者の条文解説を見ますと、ある団体が崇高な政治上の主義主張の実現を対外的に掲げていても、団体の構成員が共通して別表第三に掲げる罪、これの中にはさっき言った脱税の罪も含まれます、別表第三に掲げる罪の実行によってその実現を目指している場合は、結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるというふうに言っているわけです。

 さて、以上を踏まえて、法務大臣にお尋ねします。一般論として、脱税行為を共同の目的とする政党内の派閥は組織的犯罪処罰法の組織的犯罪集団に当たるか、お答えください。

小泉国務大臣 まさに組織的犯罪処罰法第六条の二の第一項、ここに書かれている組織的犯罪集団とは、先ほど御指摘ありました、団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三、様々な犯罪が表記されておりますけれども、これらに掲げる罪を実行することが目的であるものを指すと定義されています。

 この当てはめについては、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄であり、お答えは差し控えたいと思います。

階委員 一般論としてお尋ねしますけれども、脱税行為を共同の目的とする政党内の派閥、これは組織的犯罪集団に当たる可能性はあるか、お答えください。

小泉国務大臣 様々な犯罪を実行することが共同の目的になっているのかどうかでこれは判断されるべき問題でありまして、私からお答えするべき問題ではないと思います。

階委員 実は、この組織的犯罪集団という概念、これは、政府が言うところのテロ等準備罪、我々が共謀罪と呼んでいた罪、この成立を決する重要な概念なんですね。

 この場にもいらっしゃいます金田先生が法務大臣のとき、組織的犯罪処罰法の改正案の審議で相当厳しく議論したわけです。その際に、私はこういうお尋ねをしているんです。会社の中のプロジェクトチームのような組織が脱税の目的も有する場合、組織的犯罪集団に当たるかという尋ねをしました。金田大臣とは例によってすったもんだのやり取りをした上で、最終的な政府答弁は、脱税の目的がなければ解散するような組織であれば組織的犯罪集団に当たるという話だったんです。

 今回、清和会は、脱税につながるような組織的な裏金づくりが発覚して、それができなくなって解散に至っています。過去の政府答弁に照らしてみても、清和会のような派閥、これは組織的犯罪集団に当たるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 いろいろなケースが想定されて議論されたことは理解をしておりますけれども、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されますが、この結合関係、そしてその基礎となる共同の目的、これが犯罪の実行の目的であるということは、様々なほかの目的があったとしても、基本的にそれが、犯罪の実行が目的である、それが犯罪集団の組織的な在り方だ、そういうふうに認定されることにおいて捜査機関は判断するんだというふうに思います。

階委員 ちょっとよく分からない答弁だったんですが、もう一度お尋ねします。

 先ほども言いましたとおり、私は、過去、金田大臣のときに、会社ですよ、普通の会社の中のプロジェクトチームが、もっと詳しく言うと、節税対策を考えている中で脱税の目的も兼ねて持っていたという場合であっても、さっき言ったような一定の条件を満たす場合には組織的犯罪集団に当たるという答弁を得ています。

 いいですか、普通の会社でも、その中の一部の人たちが、プロジェクトチームがそうした目的を持っていれば、当たる可能性があるわけですよ。ということは、今回の派閥の問題、脱税の目的が未必的にでもあるというんだったら、少なくとも組織的犯罪集団に当たる可能性はあると言えるのではないでしょうか。

 当時ああいう答弁をしていたのですから、当たる可能性はあるということは少なくとも言っていただきたいと思います。

小泉国務大臣 まず、その委員会でのやり取りの議事録を確認させてください。私はまだ印刷されたものとしては目に触れておりませんので。今、口頭で伺いましたけれども。しっかりそこは検討したいと思います。

階委員 実は、昨日レクのときに、私のやり取りを確認してくださいと事務方には言っているんですよ。たしか、二〇一七年の六月の最初ぐらいの法務委員会です。当時、共謀罪法案の審議が盛り上がっていたときなので、すぐ見つかると思いますので、調べていただいた上で、組織的犯罪集団に当たる可能性があるのかどうか、理事会にしっかりお答えいただければと思います。よろしいですか。

小泉国務大臣 そのように対応したいと思います。

階委員 それで、もう一つ伺いたいのが、今回、済みません、一ページに戻ってください。もう一つ、法務大臣も関わっておられた志帥会の方ですね。

 志帥会の方は、一ページ目の、清和会の次に書いていますけれども、「志帥会の議員においては、派閥から議員サイドに対してそうした指示・説明等があったとの回答はなかった。」、それで、一番最後の方に、志帥会の対象者六名はいずれも留保方式又は両方式併存であったと。留保方式というのはいわゆる中抜きですね。併存方式というのは中抜きプラスキックバック。まあ、両方とも裏金をため込む手段なんですけれども。

 要は、二階派は、志帥会は、清和会とは違って、組織的にやっていたわけではないと思うんですね。となると、これはどういうことかというと、こうした行為、要するに、組織と関係なく勝手に中抜きをしていたわけで、横領罪とか背任罪になる可能性があると思うんですね。それがこの書面で明らかになっていると思います。

 そこで、法務大臣に伺いますけれども、今私が申し上げたものと関連するような判例があると思うので、法務大臣から御紹介いただけますか。

小泉国務大臣 そのようなケースにおいて横領罪の成立を認めた判例の一つといたしまして、例えば、大正十一年一月十七日大審院判決では、株式会社に雇われていた被告人が、商品の販売、集金等の事務に従事中、同会社のために取り立てた売り掛け代金を自己の用途に費消した事案について、業務上横領罪が成立する旨、判示したものと承知しております。

階委員 大審院というのは今の最高裁ですけれども、そういう判例があるわけです。その判例に照らしてみても、非常にこれは犯罪の疑いが濃いということが言えるかと思います。

 さて、四ページ目を御覧になってください。これは前回もお示ししたもので、岸田首相がよく持ち出す八幡製鉄政治献金事件の最高裁判決を抜粋したものです。後半の方に、取締役が会社を代表して行う企業献金について、相手方などの事情を考慮して、合理的な範囲を超えれば、取締役の忠実義務に違反するとされております。忠実義務違反があれば、その取締役は株主代表訴訟を提起されて、会社に巨額の損害賠償義務を負うこともあるわけです。

 法務大臣に伺います。組織的犯罪集団を内部に有し、ずさんな金銭管理が横行していた政党があったとして、こうしたところに企業献金を継続した場合、その企業の取締役について株主代表訴訟が提起されるリスクはあるでしょうか、ないでしょうか、お答えください。

小泉国務大臣 会社法上の忠実義務等に違反するか否か、これは、個別具体的な事案について申し上げるわけにはいきませんけれども、一般論として申し上げますと、会社法上、株主代表訴訟の制度が設けられております、株式会社に損害が生じ、それが役員の忠実義務に違反する行為によるものと認め得る場合には、株主代表訴訟が提起されるリスクは否定されないものと考えられます。

階委員 この判例に照らすと、一定の場合、政治献金が違法とされて株主代表訴訟が提起されるリスクがあるということが分かったと思います。

 こういった様々な問題があることに加えて、そしてもう一つ、この調査報告書で見過ごせなかったこと、それが、五ページ目を見ていただきたいんですが、これは聞き取り報告書の最後のところです。

 適切なモニタリングとトレーサビリティーの確保とあって、下線の引いている部分、「多くの聴き取り対象者が異口同音に述べたのは、秘書などのスタッフへの任せきりという実態を恥じ、しかるべき責任を果たせていなかったという自己批判であった。」という事実認定を踏まえて、この弁護士さんたちの意見ですけれども、「適正なモニタリングを欠いた委任は、リーダーシップの放棄にほかならない。」、こんな厳しい指摘がされているわけです。

 そもそも自民党は政権与党でありまして、国家の官僚組織を率いるリーダーシップが求められています。自分の事務所内ですらリーダーシップを発揮できていない者に、巨大な官僚組織を率いることができるでしょうか。到底できないと思います。

 加えて、先ほどから指摘しているとおり、自民党は、組織的犯罪集団あるいはそれに類するような派閥を内部に有し、ずさんな金銭管理が横行していたという問題もあります。

 官房長官に伺います。自民党に今なお政権担当能力があると言えるのか、政権の中枢にいる立場からしっかり答えをいただきたいと思います。

林国務大臣 今、聞き取り調査に関する報告書に触れられて御質問をいただいたわけですが、この報告書において、「多くの聴き取り対象者が異口同音に述べたのは、秘書などのスタッフへの任せきりという実態を恥じ、しかるべき責任を果たせていなかったという自己批判であった。」、少し、途中略しますが、「適正なモニタリングを欠いた委任は、リーダーシップの放棄にほかならない。」と。今委員が御指摘になったところでございます。

 岸田総理は、自民党総裁としてということですが、自らが先頭に立って国民の信頼回復に向けた取組を進めていく、この旨、繰り返し述べられていると承知をしておりまして、今回の報告書を踏まえて、私も、一議員の立場ということで、国民の信頼回復に向けてそれぞれの役割を果たしていかなければならないと考えております。

階委員 答えていないんですよ。政権担当能力があると言えるかどうかということを尋ねているわけですね。

 もう一つ言わせていただくと、この場で来年度予算案の審議を行っているわけです。この予算編成に携わった政務三役のうち、これまで裏金問題で辞めた者が、大臣四人、副大臣五人、政務官三人、十二名もいらっしゃるわけです。リーダーシップに疑問があり、脱税の疑惑もある政治家たちが関わって編成された予算案をここで審議する価値があるのか、こんな予算案を提出すること自体、もはや自民党に政権担当能力がないということを如実に示しているような気がします。

 もう一度、官房長官に、今の自民党に政権担当能力があるかないか、あるとすれば、その理由を明確にお答えください。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおり、総理は、総裁として信頼回復に向けた取組を進めていくと述べられておると承知をしております。

 私は、官房長官ということで、政府の立場で総理をお支えする、そういう立場だというふうに認識をしておりますので、今お尋ねのあった、自民党についてのお尋ねには答える立場にないと考えております。

階委員 自民党は政権を担当しているわけです。その政権の中枢にいるのが官房長官ですので、自らの政権がちゃんとその能力のある政党に支えられているかどうか、これはお答えする義務があると思いますよ。

 政権担当能力があるかないか、あるとすれば、なぜあると考えるのか、明確にお答えください。

林国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、総理は、総裁として自らが先頭に立って国民の信頼回復に向けた取組を進めていくと繰り返し述べられていると承知をしております。私も、自民党所属の議員の一人として、国民の信頼回復に向けてそれぞれの役割を果たしていかなければならないと考えております。

 また、自民党についてのお尋ねについては、政府の立場として、お答えする立場にないと考えております。

階委員 将来、信頼回復をどうするかという話は聞いていないんです。今の自民党に政権担当能力があるかという話。

 それから、政府の立場で、お答えする立場はあるとさっき言いました。なぜなら、議院内閣制で、今の政権は自民党という多数政党によって支えられた政権だからです。だから、きちんと答えてください、政権担当能力があるというならその理由を、今現在あるという理由を答えてください。

林国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、総理は、総裁として自らが先頭に立って国民の信頼回復に向けた取組を進めていくと繰り返し述べられておると承知をしております。

 自民党についてのお尋ねについては、官房長官という立場、政府の立場で、お答えする立場にはないとお答えをしたところでございます。(階委員「同じことの繰り返しになっていますよ」と呼ぶ)

小野寺委員長 階猛君、もう一度質問をお願いいたします。

階委員 同じことを繰り返し答弁されていると思います。政権担当能力は今現在あるかないか、それを答えた上で、あるとすればその理由は何か、お答えください。

林国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、自民党に政権担当能力があるのかというお尋ねでございましたので、私の立場において、自民党についてお答えする立場にはないということでございます。

階委員 じゃ、質問をちょっと変えますね。岸田内閣に政権担当能力はあるか。官房長官、支えている立場ですから、お答えください。

林国務大臣 岸田内閣としては、内外の課題にしっかりと日々応えていくべく努力を続けていくところでございます。

階委員 信なくば立たずと総理は言っておりましたけれども、今、信はあるんでしょうか。信がなければ立たない、つまり政権担当能力はないということだと思いますけれども、信はあるんでしょうか。お答えください。

林国務大臣 総理は、先ほど申し上げたように、総裁として自らが先頭に立って国民の信頼回復に向けた取組を進めていく、こういうふうに述べられております。我々も、政権の一員としてしっかりと、総理の総裁としての取組、また、政権としては、内外の諸課題、山積しておりますので、一つ一つの取組をしっかりとやってまいらなければならないと思っております。

階委員 信なくば立たずと言いながらも、信があるのかどうかはっきりさせられないんですよ。つまり、それ自体、政権担当能力はもう失っているというふうに言わざるを得ない。

 もうこれ以上このやり取りをしても不毛ですので、次の質問に行きます。

 もう一つ、自民党の政権担当能力の欠如を示す例を取り上げたいと思います。

 前回の質疑で岸田首相は、私が聞いてもいないのに、政策決定に当たって、有識者を始め関係者の意見を踏まえ、そして党内での議論も行い、その結果として政策を決定していると答弁されました。本当にそうなのかどうか。

 六ページ目を見ていただければと思います。これは、今回新たな租税特別措置として政府・与党が導入しようとしている戦略分野国内生産促進税制というものの解説資料です。特定の物資について、その生産、販売量にあらかじめ決めた単位当たりの金額を掛け合わせて、その金額が初期の設備投資全額に満つるまで、最長で十四年間にもわたって法人税減税を行うという破格の租税特別措置です。

 経産大臣に伺います。対象物資が非常に限定されていますが、減税の恩恵を受ける企業はどういったところか、そして、この税制を期限までフルに実行した場合、減税総額が幾らになるか、お答えください。

齋藤(健)国務大臣 まず、この戦略分野国内生産促進税制は、もう既に、米国なんかにおきましても、生産比例型の投資減税を始め、各国で戦略分野の国内投資を強力に促進する……(階委員「短くお願いします」と呼ぶ)了解、済みません。そういう国際環境の中で我が国も勝ち残るために講じなくちゃいけない、そういう税制だということ、その前提として、対象分野としては電気自動車ですとかグリーンスチール等を指定をしているところであります。

 それで、減税、減収見込額についての御質問もありました。

 これは、実際に本制度を利用し、令和八年度末までに国内での投資を決定、開始した企業のみが対象になるということで、そういう前提で計算をいたしますと、現時点で正確に見通すことは、まだこれからの投資でありますので難しいんですが、一定の仮定を置いて機械的に試算をいたしますと、年度当たり最大で二千百九十億円ということが、昨年末の税制改正大綱においても示しているところでございます。

階委員 二千百九十億というのは一年当たりなので、十年やったとすれば二兆を超えるわけです。そういう理解でよろしいですか。

齋藤(健)国務大臣 細かく言いますと、十年というのは、認定を受けてから投資をしますので十年にはならないと思うんですけれども、年度当たり最大二千百九十億円ということですので、まあ、計算すればそういうことになるかもしれない。

階委員 二兆円減税。そして、減税の恩恵を受ける企業、これはお答えにはなりませんでしたけれども、パネルを用意しましたので、御覧ください。国会図書館に調べてもらった結果なんですが、色を塗っているところが、対象品目に関わりのある企業やあるいは業界団体です。減税の恩恵を受けるのは、自民党に大口献金をしている大企業や業界団体、これが多く含まれているわけです。

 一部の大企業にこれだけの減税の恩恵を与えるわけですから、それなりの達成目標、KPI、これを示していただかないと、国民に示しはつかないと思います。KPIはどうなっているか、お答えください。

齋藤(健)国務大臣 先ほど申し上げたように、これは国際競争の激しい中で講ずる税制だということが一つです。本税制による戦略分野の国内投資は、サプライチェーンを通じて、関係の中小・中堅企業等の投資や、その雇用従業員の方々の所得の確保、拡大にもつながっていく、そういうものでなければならないわけでありまして、したがって、大企業優遇政策だと断定し切ることは私はできないと思っています。

 その上で、政策立案過程においてEBPMを重視するということになると思うんですけれども、それは当然のことと思っています。

 その後、年末に将来の減収額も公表させていただいたところでありますが、いずれにいたしましても、この戦略分野におきまして、本税制を始め、予算措置や成長志向型カーボンプライシングなどの規制、制度も含めて政策を効率的に組み合わせていきたいと考えていまして、その結果として、グリーンスチールについては今後十年で三兆円以上の投資を実現することや、自動車については、蓄電池を含め、今後十年で三十四兆円以上の投資を実現すること、これを、昨年末に取りまとめたGXの分野別投資戦略などに明記をしているということであります。

階委員 一部数字も出ましたけれども、総務省の方で租特の政策評価の点検というのをしています。

 租特の政策評価は、まずそれぞれの役所でした上で、それを第三者の目で総務省が点検するというたてつけになっていまして、実は、この制度、私が総務省の政務官のときにやろうということで始められたものだということは、手前みそですが、言っておきたいと思います。

 それで、点検結果、十一ページを見ていただければと思うんですが、今、KPIのやり取りをしましたけれども、最初の方の「達成目標」というところを見ていただくと、下線部分、この分析結果が総務省の方で書いています。「達成目標は、政策目的を表しているものであり、政策目的の実現状況を明らかにすることができないため、適切な達成目標を設定する必要がある。」ということで、それを受けた補足説明が経産省からありましたけれども、最終的な点検結果は、分析、説明の内容が不十分であると思われる点が解消されていないということになっています。その後、「将来の適用数」、「将来の減収額」、そして「将来の効果」、いずれも分析、説明の内容が不十分だということで、次の十二ページを見てください。

 この点検結果、総務省がまとめた報告書、今日持ってきています、こういう冊子があるんですね。この中で、点検した租特の評価結果一覧表があるんです。そこで、今申し上げた租特について、評価のところを見ますと、真ん中あたりに、経産〇三というところ、色を塗っておりますけれども、E、E、E、E、最低の評価、最後の項目だけAということになっています。

 これは、ほかのを見渡してもなかなかこれほど悪い評価というものがなくて、なぜこんなものが導入されるんだろうと思うんですが、総務大臣にお尋ねしますけれども、今回点検した租特の中では最低レベルの評価だという認識でいいかどうか、まずお答えください。

松本国務大臣 本制度については、大変お詳しい委員に私の方から、重なるところ、重複は避けながら御説明申し上げたいと思いますが、元来、行政評価の作業そのものは、行政評価を通してアカウンタビリティーを高める、また行政評価の結果を踏まえて改善をしていく、そんなようなものだというふうに考えておりますが、この制度については、委員御案内のとおり、税制改正要望、八月の段階ですが、これに当たって、税制改正作業に有用な情報を提供し、もって国民への説明責任を果たすために、各行政機関自らが政策評価を実施した上で、総務省においては、客観的かつ厳格な政策評価の実施を担保するために、内容を点検し、結果を公表しているわけであります。

 今回の御指摘の件につきましても、点検を実施して、令和六年度税制改正要望が行われた令和五年八月時点においては、経産省における分析、説明の内容に課題を指摘したところでございます。その後、当該点検も踏まえて税制改正の検討が進められ、与党税制調査会での議論も経て、税制大綱として取りまとめられたものと承知をしております。

 委員も御指摘ありましたように、この委員の資料の一番下にありますように、これは「租税特別措置等に係る政策評価の点検結果 説明責任を果たしていくために」となっておりますように、説明において、八月時点の提起では課題があったということを私ども申し上げさせていただきました。

 その後の議論の中で、これらの課題にも応えていただいたものと理解をしますが、それも踏まえた与党税制調査会の議論の結果として、このような制度が必要性が認められたものと理解をしております。

階委員 果たしてそうなのかどうかということで、唯一Aになっている最後の「他の政策手段」という項目なんですけれども、これは例えば、ほかの政策手段としては、こうした戦略物資に関する設備投資については、減価償却の期間をうんと短くして、より生産性の高い設備への更新を促していくというやり方も考え得るのではないかと思います。

 今回のやり方だと、減税の恩恵を受けるためには、もし設備が陳腐化しても、その設備を使い続けないと恩恵が受けられないわけです。そうすると、いつまでたっても生産性は伸びず、価格競争力も向上していかないのではないかという危惧を持ちますけれども、この「他の政策手段」について、果たしてどうなのかどうかということをお答えください。

齋藤(健)国務大臣 先ほど御説明したように、この税制は、特に、生産段階でのコストが高いために民間での事業採算性に乗りにくく、初期投資支援では投資判断を引き出せない、そういう分野において生産販売量に応じた措置を講じるということであります。

 例を挙げますと、鉄鋼や基礎化学品といった分野は、今後も産業全体の基盤を支える分野でありますが、製造プロセスの脱炭素化に伴い生産コストが増加をしていく一方、そうしたコストを市場価格に転嫁するための市場創出が世界的に見ても不十分で、したがって、生産販売量に応じた措置を講じることによって投資を引き出していこうということでございますね。

 御指摘の特別償却は、企業のキャッシュフローを一時的に改善する効果はもちろんございますが、事業全体の採算性を大きく改善するものではないということもありますので、本税制の対象分野における投資判断を引き出すには、やはり生産販売量に応じた税額控除、これを措置することが必要であると我々は考えているところでございます。

階委員 こうした分野は、我が国の産業を支える分野であるとともに、まだまだ技術の進歩が望める分野でもあると思っていますので、だとすると、同じ設備を十年も使い続けるのではなくて、どんどん新しいものに更新していくことのインセンティブを設ける必要があるのではないかと私は考えています。ところが、これだと、それとは逆効果になると思っています。

 最後に、官房長官、全体の立場で伺いますけれども、こうした税制の特別措置、これは、中立、公平、簡素という税の基本原則であるとか、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング、エビデンスベースドです、証拠に基づくという意味ですが、何かこの表を見ておりますと、エビデンスベースというよりは縁故ベースのように見えるんですけれども、こうした税の基本原則やEBPMに反しているんじゃないかというふうに思うんですが、官房長官、御見解をお願いします。

林国務大臣 今、それぞれの大臣からもお話がありましたように、各国で、GX、DX、経済安保、そうした観点から戦略分野の投資を自国内に呼び込む政策が次々と打ち出されております。

 我が国も、戦略的な長期投資が必要となる分野において、国内のサプライチェーンを通じて関係企業や雇用等への経済波及効果も大きい投資を促進することは重要であると思っておりまして、その観点からこの税制を措置するものであると認識をしておりまして、一部の大企業優遇のための税制ではないと思っております。

 また、税制の原則についてお話がありましたが、一般論として、租特は税制の基本原則である公平、中立、簡素の例外と位置づけられるものであり、その政策効果や必要性を不断に検証すべきものであると考えております。

 EBPMということですが、政策評価の点検について、昨年八月時点では、他の政策手段との比較がAで、その他の項目の説明は不十分であった、これはおっしゃるとおりだと思います。こうした項目について、その後、経産省において将来の減収額が示されたと認識をしております。また、達成目標、税制の効果についても、政策評価の趣旨を踏まえて、経産省において適切にその具体化に取り組まれるものと考えております。

階委員 これで質問を終わりますが、税の基本原則の公平の中でも、垂直的公平というのがあります。これは、さっきも答弁ありましたとおり、毎年、二千億円超の減税が、こうした、すごくもうかっている大企業に与えられるわけです。一方で、去年十月から始まったインボイス制度は、毎年、千七百億円、収入の少ない人から税を取るわけです。こうした垂直的公平性、是非配慮していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて階君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、少子化対策の支援金、それから国民の賃金アップ及び年金の問題について質問いたします。

 その前に、これまでの議論を受けて、官房長官に伺います。

 今回の自民党パーティー券裏金問題は、自民党の問題なので政府のコメントは差し控えるという答弁を官房長官は繰り返しています。しかし、先週末に、立憲民主党の江田憲司議員が税金一揆が起きると懸念をしたとおり、世論調査では、裏金議員を国税調査すべきとの意見が九三%に上り、ネット上では納税のボイコット運動まで起きています。

 官房長官は危機管理の要であります。国民が税金を納めてくれないというのは、民主主義の危機であり、我が国財政の危機でもあります。自民党のことと傍観するのではなく、裏金問題は国民の納税拒否を引き起こす、もはや政府の危機であると正面から受け止め、裏金議員の税務調査など対処すべきではないでしょうか。官房長官の危機感の有無をお伺いいたします。

林国務大臣 先ほど財務大臣からも御答弁があったとおりでございますが、今般の政治資金をめぐる問題に関して、国民の皆様から厳しい御指摘があるということについては真摯に受け止めなければならないものと考えております。

 言うまでもなく、税制は国民の理解と信頼の上に成り立っておりまして、国税当局において、今後とも、適正な申告、納税を行った国民の皆様が不公平感を抱くことがないように取り組んでいくということが重要だと考えております。

 引き続き、納税者からの御相談への対応を含めて、真摯に対応してまいりたいと考えております。

井坂委員 真摯にとおっしゃったその中身なんですが、要は、不公平じゃないかと。しっかりと税務調査をやって、領収書がない、使い道が分からない、こういったことはそのまま放置して許すのではなくて、きちんと国民と同等に対応する、こういうところをやらないとこの政府の危機は乗り越えられないと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 個々の世論調査の結果の要因等については政府としてコメントすることは控えますけれども、国民の政治に対する不信の声、これは真摯に受け止めなければならないと考えております。

 その上で、国税庁におかれましては、様々な機会を捉えて課税上有効な各種資料情報の収集に努めて、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めている、そういうふうに承知をしております。

井坂委員 もう予算委員会で大分議論をして、これは幾ら何でも課税上問題があるだろうという状況が多々出ているわけであります。それに対して、そのような一般論の答弁だけで国民が納得するとお思いかどうか、こういう状況でなおその程度の答弁を続けていて、国民の納税ボイコット運動がやむと思っておられるのか、お伺いいたします。

林国務大臣 これは先ほど財務大臣からも御答弁があったとおりですが、国税の個別事案につきましては、税務行政の中立性を確保する観点等を踏まえて、財務大臣は国税庁に対して指示等を行うことは控えていると承知をしておりまして、私としても同様でございます。

井坂委員 本日、この後も山岸議員や奥野議員が官房長官への質問を予定をしております。是非、答弁を差し控えると他人事のような答弁は差し控えていただき、正面から真剣に答弁をしていただけるようにお願いを申し上げます。

 官房長官は退席いただいて結構です。

 それでは、本日のメインテーマである支援金について伺います。

 少子化対策の財源として、社会保険料に上乗せをして集める支援金、実質的な負担は生じないと政府は説明しているのに、国民の皆様から厳しい反発の声が届いています。

 反発の理由は三つあると思います。

 一つ目は、今の裏金問題です。

 事件発覚から三か月たったのに、自民党が行ったのは手ぬるいお手盛りの調査のみで、関係者の処分もされておりません。裏金を自分の口座に保管したり、使途が不明だったりと脱税が疑われるケースも多々あります。国民は増税、自民は脱税では納得できない、裏金をもらった政治家が国民に負担を求めるのはおかしいという怒りは当然です。

 支援金に国民が反発する二つ目の理由は、厳しい経済状況です。

 日本は現在、二十一か月連続で実質賃金がマイナスになっています。賃金が物価を下回り、満足に物が買えない。若い世代が結婚や出産のためのお金も準備できない中で、これ以上の負担は勘弁してくれという国民の願いは当然です。

 三つ目の理由は、実質負担ゼロという説明の怪しさであります。

 社会保険料に上乗せして支援金を集めるのに、同時に歳出削減も行うから実質的な負担は生じませんと政府は説明します。それでも結局社会保険料は上がるんでしょうという国民の疑問は当然です。

 本日、この三つ目の理由、本当に支援金の実質負担はゼロなのかというところから、丁寧に解きほぐして議論したいと思います。

 パネル、資料の一番を御覧ください。

 これは政府が配布している説明資料です。下の部分に赤と青の図があって、高齢化で社会保障の経費が伸びるけれども、赤い公費、つまり税金の支出と、青い社会保険料の部分を歳出削減で同時に減らします、その浮いた税金一・一兆円を子供、子育て予算として、また、浮いた社会保険料一兆円を支援金として少子化対策に使いますというのが政府の説明であります。

 総理は繰り返し、歳出削減と賃上げにより、支援金の実質的な負担は生じないと答弁をしています。しかし、パネルでいえば、右の黄色い矢印の歳出改革で削減をした社会保険料の範囲内で支援金を集めるということで間違いないでしょうか。賃上げの有無に関係なく、主に歳出削減だけで実質的な負担は生じないということか、こども政策担当大臣に伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の子供、子育て予算の財源確保に当たりましては、まずは徹底した歳出改革に取り組むことを原則としております。

 支援金について申し上げれば、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより、子供、子育てに充てる支出の財源をいただくことを基本としております。その際、社会保障負担率が重要であると考えており、その社会保障負担率の分子は保険料負担、分母は国民の所得でございます。

 分子の保険料負担につきましては、先ほど申し上げたとおり、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせることを基本としております。さらに、分母につきましては、賃上げによって雇用者報酬の伸びを一層高めることとしており、この分子を減らす、そして分母の取組の両面で、確実に社会保障負担率を軽減をしていきます。そのことをもって、実質的な負担は生じないと申し上げております。

 このような考え方の下、令和五、六年度の予算の歳出改革による保険料負担軽減効果は合計〇・三三兆円程度としており、これを令和十年度まで継続をすると一兆円程度の軽減効果が生じ、支援金制度の導入のために社会保障負担率が上昇することにはなりません。

 その際、賃上げによって雇用者報酬の伸びが高まれば社会保障負担率の一層の軽減につながり、支援金の導入のために社会保障負担率が上昇しない、すなわち実質的な負担が生じないということが確実になりますので、政府として賃上げに総力を挙げて取り組んでまいります。

井坂委員 いろいろまぶして長く答弁されましたが、事前に当局とやり取りしている限りは、基本的には歳出削減の範囲内で支援金の財源を確保する、賃上げは、プラスアルファの効果としては、分母、分子でおっしゃったようなことはあるだろうけれどもというふうに承っております。

 実は、この歳出削減は、支援金のために今から始めることではありません。

 配付資料の二番を御覧ください。

 これまでも、政府は社会保障費の歳出削減は行っている。その浮いた財源で、二〇一三年度から二〇二二年度まで九年間で、子供、子育て関連予算を年平均一千八百億円のペースでこれまでも増加をさせてきました。そして、配付資料の右下、囲んでありますが、今後も、同じく年平均一千八百億円のペースで歳出削減を続けて、子供、子育て関連予算の財源を生み出すということであります。

 先ほどのパネル一に戻りますけれども、社会保障費の財源は、下の赤い公費、つまり税財源と、青い社会保険料の組合せです。歳出削減をすれば、赤い部分と青い部分は同時に削減をされます。

 厚生労働大臣に伺いますが、これまでも、社会保障費の歳出改革で年平均一千八百億円の公費を削減をして、子供、子育て関連予算の財源にしてきました。同時に、これまでも社会保険料は一定程度の削減をされていたということで間違いないでしょうか。これは単純な事実の確認ですから、端的にお願いいたします。

武見国務大臣 おっしゃるとおりです。

井坂委員 ありがとうございます。そのとおりなんです。

 こども政策担当大臣に伺いますが、じゃ、今後もこれまでと同様のペースで社会保障費の歳出改革を進め、年平均一千八百億円の公費とそれから同程度の社会保険料を今後も削減をする、その範囲内で子供、子育て予算の財源とそれから支援金を捻出するということでよろしいでしょうか。多分、これも事実の確認です。

加藤国務大臣 加速化プランにつきましては、若い世代の所得を増やす、その理念との調和を図るべく、歳出改革をまずは徹底をして、財源を確保することを原則としております。

 医療保険や介護保険は保険料と公費を財源として運営されていることから、医療、介護の歳出改革によっては、公費を節減する効果だけでなく、御指摘のとおり、社会保険負担を軽減する効果も生じます。

 公費節減効果におきましては、二〇一三年度から二〇二二年度にかけての歳出改革により生じた公費によって、子供分野において九年間で一・六兆円の予算確保がなされています。(発言する者あり)

小野寺委員長 ちょっと、加藤大臣、一度戻っていただいて、もう一度、井坂信彦君、質問をしてください。

井坂委員 今後もこれまでと同様のペースで社会保障費の歳出改革を進め、年平均一千八百億円の公費とそれから同程度の社会保険料を削減をする、その範囲内で子供、子育て予算の財源とそれから支援金を捻出するということでよろしいですか。もう政府のポンチ絵どおりの確認です。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いいたします。

加藤国務大臣 はい、そのとおりです。

井坂委員 ありがとうございます。端的にお答えいただきまして、ありがとうございます。

 これまで議論してきた内容を簡単な図にまとめました。

 パネル、資料の三番を御覧ください。

 まず、上の段は支援金のないとき、つまりこれまでの状況であります。上段の左の図、厚生労働大臣に確認をしたとおり、これまでも社会保障費の歳出削減は行われており、赤い公費と青い社会保険料の両方を節約してきました。上の右の図、その浮いた公費を、これまで赤い公費の分に上乗せして、子供、子育て関連予算に回してきたわけであります。

 次に、下の段は支援金制度のあるとき、つまり今後の状況です。下の左で、先ほどこども政策担当大臣に確認したとおり、今後もこれまでと同様のペースで社会保障費の歳出削減は行われますと。下の右で、結局、唯一変わるのは浮いた公費だけでなくて、浮いた社会保険料も今後は支援金として少子化対策に使いましょうということであります。

 あと、この右下の図の左側で、プラス、既定予算の使い換えということで更に追加をするということで、これは先ほどの一番の資料に書いてあるとおりであります。

 こども政策担当大臣にこの図で伺いますが、これまでと今後を比べると、要は、歳出削減の部分というのは、実はこれまでも今後も全く変わっていないんですね。唯一変わるのは、右下、右の上下を比べると、社会保険料に支援金が上乗せを今後はされますよというだけで、もうまさに絵に描いたような負担増なのではないでしょうか。大臣に伺います。

加藤国務大臣 これまでは歳出改革による社会保険負担軽減効果に着目をしてはおりませんでしたけれども、少子化対策の必要性に鑑み、これまで歳出改革によって生み出されていた軽減分、歳出改革と賃上げによる軽減分の範囲内で子育て世帯のための新たな政策を実現するということであり、その意味において、国民に新たな負担を求めないものでございます。

 支援金制度は、歳出改革と賃上げによって社会保障負担軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築をすることで、全体として実質的な負担が生じないこととするものです。

井坂委員 大臣、今の資料三を見ていただきたいんですけれども、この図は私が都合よく描いた図ではなくて、まさに社会保障の専門でいらっしゃる橋本岳理事にもよくよく見ていただいて、確かにこのとおりだねと認識を共有させていただいた図なんです。

 これまでと今後の図を見比べて、新たに国民の負担が減る要素がありますか。支援金の財源を生み出すために、これまでの年一千八百億円の歳出削減に加えて、新たな歳出削減を何か追加をするんですか。

加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、これまでは歳出改革による社会保険負担軽減効果は、実際に生み出されていたわけですが、これについて着目はしておりませんでしたが、少子化対策の必要に鑑みて、国民の皆様にこれまで拠出をいただかないという形で国民の皆様に還元されていた歳出改革と賃上げによる軽減分の範囲内で子育て世帯のための新たな政策を実現をするということであり、その意味において、国民に新たな負担は求めないものでございます。

井坂委員 例えば、生活実感で、あるお店がずっと割引、常に一〇%割引でお客さんに商品を提供していましたと。一〇%割引していたんですけれども、一〇%分支援金でこれから追加でいただきますと言って、そうなったら、これはもう完全な値上げだと思うんですよね。これまでずっと安かったのが、支援金分を上乗せして、更に払うお金も明確に増えますし。

 私は、最初、支援金をいただくからには、追加で更に歳出削減をその分深掘りするんだと思っていたんですよ。それであれば、実質負担は生じませんという政府の説明にも一理あるなと思っていたんですが、この間議論してきたように、追加の歳出削減は一切しないんです。ここ十年やってきたことをこれからもやるだけなんです。歳出削減のペースも一緒なんです。変わるのは、支援金がただ保険料に上乗せをされるだけなんです。これはやはり実質負担増なんじゃないんですか。

 こども担当大臣にお伺いいたします。

加藤国務大臣 これまでも歳出改革による社会保険負担の軽減効果を生じさせることをずっと続けてきたわけでありますが、そこについてあえて着目をして説明はしておりませんでしたが、今回の少子化対策の必要性に鑑み、社会保険負担の軽減効果、この範囲内で支援金を構築するという形でもって、全体として実質的な負担が生じないこととするものでございます。

井坂委員 大臣、その答弁は大分問題があると思います。

 じゃ、その歳出削減、これまでもずっとやってきた歳出削減に急に着目して、その分をいただいても実質負担はないんだ、そういうやり方をし始めると、実は、社会保障費全体も、もうずうっと毎年毎年、年一千八百億とは別の枠組みで年一千三百億とか年二千二百億とか削り続けているんですよ。今後、そこも、実はこれまでただ黙って安くしてきたんですけれども、これからはその分いただきます、国民の負担はありません、新たな財源です、こういうことをやるんですか、政府は。

 今の御答弁はさすがにまずいと思いますから、修正してください。

加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、歳出改革による社会保険負担軽減効果に着目をこれまではしておりませんでしたが、少子化対策の必要性に鑑み、今般、歳出改革と賃上げによる軽減分の範囲内で子育て世帯のための新たな政策を実現するということであり、その意味において、国民に新たな負担を求めないものであります。

 言い換えれば、支援金につきましては、国民お一人お一人から平均すれば月に五百円弱の拠出をいただき、既定予算の最大限の活用等や歳出改革の努力による公費と併せて、子育て世帯の給付の充実に充てる仕組みでございます。現役世代のみならず、高齢者も含めた全ての世代が皆で子育て世帯を支える制度であることについて、国民の皆様に御理解をいただけるように説明を尽くしてまいります。

井坂委員 ちょっと、私、今日は時間があるので、これをずっと最後までやろうかなとも思いますが、実は、配付資料の四を御覧いただきますと、この実質負担ゼロという政府の説明には、もう与党内からも疑問の声が出ているんです。

 保険料引上げは、単体で見た場合、負担増でしかなく、国民に分かりにくいと自民党中堅の方がおっしゃったり、財務省幹部も、いつまで相殺できるか分からないと明かしたとか、あるいは、自民党内からも、国民負担を上げずに子育て支援をやれと言われてもできるわけがないと不満がくすぶったりですとか、あるいは、公明党の政調会長も、先日、十四日の記者会見で、分かりにくい、国民理解がなかなか進まない要因の一つではないか、こういうふうに指摘をされているわけであります。

 与党の皆様にも、特に社会保障にお詳しい方は、聞いていただいていたら、ちょっと苦しい答弁を超えて、さすがにこの答弁はまずいんじゃないかなと思われる方はいらっしゃるのではないかと思うんですよね。

 だって、毎年減らしている歳出削減が、突然、黙って減らしていましたけれどもこれからは財源として使います、それは黙って減らしていたけれども実質負担はないんですなんて、そんなの、まず実質的にも増えますし、名目的にも増えますし、増えないという理由が全く分からないんですよ。

 着目って、何か謎の答弁ですけれども、増えないという理由は何なんですか。

武見国務大臣 もう先生御指摘のとおり、過去の歳出改革というのは、薬価の改定であるとか、あるいは後期高齢者に関わる負担の在り方を変えるとか、そうした様々な歳出改革努力の積み重ねで、これだけの歳出改革をしてきたわけであります。

 引き続きこうした歳出改革の努力を確実に続けることをお約束をして初めて、こうした歳出改革が実現でき、そしてまたその幅も深めることができる。その中で、実際に負担をしっかりと、支援金の分に関する負担を軽減させるところにちゃんときちんと充てますよというのが私どもの考え方で、是非そこは皆様方に御理解いただければと思います。

井坂委員 本当に、厚生労働大臣に逆にそんなことを答弁していただくのは何か申し訳ない感じがするんですが。

 実質ただですよと言われてお店に入ったら、しっかりお金を取られたぼったくりバーみたいな、私はぼったくり保険料になると思いますよ。これは説明ぶりは変える必要があると思います。全く実質負担がないというような説明ぶりは事実ではありませんので、説明ぶりを変えていただく必要があると思います。このままこの説明を続けたら、お得な、有利な取引だと消費者に誤解させる、消費者に、見つかったら取り締まられるような違法な説明をしていると私は思います。

 少子化対策の支援金は、実質ゼロどころか、実質子育て増税なのではありませんか。説明ぶりについてお伺いします。

加藤国務大臣 まず、国会等において様々な御意見があることは承知をしておりますが、その上で、歳出改革と賃上げによって社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金を構築する、これにより全体として実質的な負担は生じないと申し上げているところであり、歳出改革と賃上げにしっかりと取り組むとともに、引き続き丁寧な説明を尽くしてまいります。

井坂委員 もう予算委員長まで苦笑いしているじゃないですか。問題ある答弁だと思いますよ。もし説明ぶりを変えないということであれば、これは引き続き厳しくさせていただきたいと思います。

 次に、支援金についてもう一つ、やはり負担増ではないのかという部分があります。

 配付資料の五番を御覧ください。

 政府はこれまで歳出改革により支援金の実質的な負担は生じないと答弁をしてきました。しかし、今後の歳出改革プログラムである改革工程には、節約や効率化だけでなくて、負担増の項目も幾つも含まれております。介護保険の利用者二割負担の対象拡大、医療、介護の利用者三割負担の基準見直し、高額療養費の自己負担限度額の見直しなどであります。

 実際、昨年十二月には、改革工程に、高齢者の医療費の窓口負担を原則二割に引き上げる案が盛り込まれる可能性があるという報道もされておりました。

 伺いますが、結局、これは病気の高齢者の負担を増やすことによって支援金の財源をつくっていることにはならないでしょうか。厚生労働大臣に伺います。

武見国務大臣 基本的な負担の在り方に関わる哲学は、やはり、若い世代だけに負担を増やすのではなくて、全ての世代でバランスの取れた負担の仕方をすることによって持続可能性をしっかり維持しようというのがその哲学です。

 その中で、全ての世代が支え合う観点から、委員御指摘の医療や介護の窓口負担割合に関わる検討事項に加えて、必要なサービスを受けることができる体制を確保するためのサービス提供側の質の向上と効率化に関わる検討項目など、幅広い取組を視野に入れておりまして、実施する取組については、二〇二八年度まで各年度の予算編成過程においてしっかりと検討をし、決定していくこととしております。

井坂委員 増税と言われるのが嫌で社会保険料を増やし、国民負担率が上がったと言われるのが嫌で窓口負担を増やす。しかし、お金の取り方を変えても国民の負担が増えることに変わりはありません。少子化対策の支援金は、実質子育て増税であります。

 増税の前にやるべきことがある。まず、支援金の分だけは社会保険料は上がるということを正直に説明をする。次に、裏金問題は、厳しい調査、厳しい処分、厳しい法改正を速やかに行う。そして、その上で、本来の最重要テーマである国民の賃金アップに取り組む。国民が反発するこの三つの理由を取り除かない限り、支援金は国民に納得をしてもらえないということを強く申し上げたいと思います。

 続いて、国民の賃金アップについて伺います。

 世界の賃金は物価を上回るペースで増え続けているのに、日本の賃金は二十年間横ばいです。岸田総理になってからは、何と二十一か月連続で賃金が物価を下回る実質賃金マイナスの状況が続いています。今年こそ、賃金が物価を上回る実質賃金プラスを実現しなければなりません。

 その課題となるのが中小企業です。

 材料費や燃料費が上がっているのに、製品の値上げを大企業に認めてもらう価格転嫁ができず、人件費を削減するしかない中小企業がたくさんあります。中小企業庁の調査でも、原材料が値上がりしても、その四五%しか価格に上乗せできていない。頑張って賃上げしても、その費用の平均三六%しか価格に上乗せをできていない。これでは中小企業の賃上げは進みません。政府は昨年十一月に価格転嫁のガイドラインを作りましたが、それだけで十分な価格転嫁が進むとは思えません。

 お隣の韓国では、昨年十月から下請代金連動制度というものが施行されました。取引価格の一割以上を占める主要な原材料が一定以上値上がりした場合、これに連動して取引価格を調整する制度であります。その結果、韓国の中小企業の七七%が政府の政策に満足と答え、最もよくやった中小企業政策として、五四%がこの下請代金連動制度を挙げています。フランスでも、農産品の加工製品について、同じように原材料のコストに応じて価格を決めるエガリム法という法律があります。

 諸外国のこうした法制度も研究して、中小企業の価格転嫁を促進する法制度、法改正を検討ぐらいすべきではないでしょうか。公正取引担当大臣に伺います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 物価上昇を上回る持続的で構造的な賃上げの実現に向け、中小企業の労務費の価格転嫁を進めることは極めて重要であると考えております。

 公正取引委員会におきましては、優越的地位の濫用を規制する独占禁止法と、簡易迅速かつ効果的に下請事業者の利益保護等を図る下請法とを積極的に運用することで、これらの法律に違反する事案に対して厳正に対処をしているところであります。

 また、加えまして、政府といたしましては、ちょっと一部割愛いたしますが、昨年の十一月の基本方針、そして、先月も再度、経済界に指針に沿った行動要請を強く要請したところであります。

 引き続き、独占禁止法、下請法に基づく厳正な対処により、制度の実効性を高めつつ、この指針の周知徹底を進めながら、中小企業の価格転嫁を更に後押ししてまいりたいと思っております。

 加えまして、井坂委員が御指摘いただきました諸外国の法制度については承知をしておりまして、我が国においても、法律の実効性を高めていくため、そのようなありようを絶えず検証していく姿勢は極めて重要であると考えております。

井坂委員 最後に、年金について伺います。

 現在の年金制度は、物価を上回ることができない仕組みです。

 配付資料の六番を御覧ください。

 緑色の既裁定年金は、常に物価と賃金の低い方に合わせて毎年改定され、受取額が変わります。年金を受け取り始めると、物価と同等かあるいは物価に負ける年金、この二択になってしまい、物価に比べて実質年金は一方的に下がり続けます。実際に、この五年間、年金は上がっても、物価はもっと上がって、実質年金は毎年下がり続けているわけであります。先ほどの、実質賃金が下がり続けると経済と国民生活に悪影響を与えますが、実質年金が下がり続けても全く同じ悪影響があります。

 物価変動率と賃金変動率の低い方にただ合わせて、年金を実質的にカットし続けるルールはそろそろ見直すべきではないでしょうか。厚生労働大臣に伺います。

武見国務大臣 やはり、我が国の少子高齢化の人口構造の変化の中で、こうした年金制度そのものの持続可能性を強化するという観点から、こうしたスライド制というものが取り入れられていて、そして、その観点から、議員御指摘のような形での実際の抑制効果というのが行われています。

 その目的は、あくまでも、将来、若い世代も引き続きこの年金の給付が受けられるように、制度自体の持続可能性を確保するということが決定的に重要な課題でありますので、その観点から、この制度を実際に今日も運用しているんだということを御理解いただきたいと思います。

井坂委員 このルールは、若い世代が将来年金を受け取り始めたときにも適用されるということ、また、元々日本の年金はちゃんと物価に連動していた、きちんと理念のあった年金だった、この二点は指摘をしたいというふうに思います。

 最後に、やはり、自民党は脱税で、国民は増税、さらに、保険料はぼったくり、実質賃金と実質年金は下がり続ける、こういう政治の根本を改める必要があるということを申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

小野寺委員長 これにて井坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、早稲田ゆきさん。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。

 それでは、子育て支援金について、まず加藤大臣に伺ってまいります。

 詳細な通告をさせていただいておりますので、簡潔にお願いをいたします、御答弁、よろしくお願いします。

 政府は、二月の十六日に、この子育て支援金を盛り込んだ子ども・子育て支援法改正案、これを閣議決定をいたしました。この閣議決定をして法案を提出しているわけですから、当然、その詳細な中身、ある程度、おおよそのものを保険料ごとに出していただけると思いますので、まず、大臣、医療保険制度ごとのその負担額、国民の負担額、おおよその額をお示しください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度は、児童手当の高校生年代までの延長や所得制限の撤廃など、子供、子育て政策の抜本的強化を支えるために導入されるものでございます。

 お尋ねの医療保険制度ごとの拠出額を算出するに当たりましては、各医療保険制度の加入者数や被用者保険の報酬水準等について仮定を置く必要もありますことから、総理からも先日申し上げたとおり、どのようなお示しの仕方が可能か、少なくとも法案審議に間に合う形でお示しができるよう、引き続き検討をしてまいります。

早稲田委員 二月六日に私、総理の方にも聞いております。こうしたことも含めて、法案の成案化を進め、更に金額を精査させたい、そういうふうにおっしゃっているんですよね。

 もう法案は提出をしていらっしゃいます。法案提出に向けて最終調整したいとおっしゃっているんですから、加藤大臣の責任でこれをお示しするのは当然のことじゃないですか、もう法案を提出されたんですから。それなのに、二〇二八年だから云々かんぬんというのは説明になりません。国民に負担増をお願いするわけですから、とにかく、これは誠実に説明をしていただかなければ、子育て増税、そしてさらに、増税隠しということになりますよ。大臣、それでよろしいんですか。

 大臣の責任として、じゃ、いつまでにお示しいただけるんでしょうか。まさか予算が通ってからお示しというような、そこまで隠すということではないですよね。そのことを確認させてください。いつまでに、遅くとも今週中にお願いします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金の導入は令和八年度から段階的に行われるものであり、その間の状況を踏まえて各医療保険制度の加入者数を見込む必要がありますが、例えば、政府として取り組んでいる被用者保険の適用拡大が進めば、現在の国保の加入者から被用者保険の被保険者に移る人が発生をします。

 また、政府を挙げて取り組む賃上げの効果が数年後の各医療保険制度の支援金の計算にどのような影響を及ぼすかなど、様々な仮定の置き方について精査する必要がございます。

 いずれにしましても、少なくとも法案審議に間に合う形でお示しができるよう、引き続き検討してまいります。

早稲田委員 それは大変不誠実だと思います。法案を提出されているのに、まだやっていない。それはもちろんいろいろな仮定はあります。だから、大まかに示してくださいと申し上げているんです。今週中にお示しいただけますか。そのことについてお答えいただいていないので、きちんとお答えください。

加藤国務大臣 繰り返しになりますが、先ほど最後の後段で申し上げたように、少なくとも法案審議に間に合う形でお示しができるよう、引き続き検討してまいります。

早稲田委員 それは増税隠しですね。子育て増税なのに、結局は。それなのに、増税隠しをして、国民の皆さんを軽視しているということです。国会を軽視ということは、国民軽視ですから。この、いつまでにもおっしゃれない、法案審議までというざっくりしたことしか……(発言する者あり)いいえ、今週中にお願いできないかということにはお答えいただいておりません。

 それでは、西沢和彦先生、日本総研の理事でありますけれども、西沢和彦先生の、このパネルでございますが、もう試算をしておられます、全体的な、おおよそではありますけれども。これについて申し上げますが、中小企業の協会けんぽ、これは月額千二十五円、年額でいえば一万二千三百円、大企業においては、組合健保、千四百七十二円、年額では一万七千六百四十四円、それから公務員の共済組合、月千六百三十七円、そして年額で一万九千六百四十四円です。これは、労使折半でこれを負担する、払うということになります。これは全然五百円じゃないんですよね。これのイメージ、でも、いかがでしょうか、これで間違っていないと思いますけれども、イメージとしてこれでおおよそ正しいかどうか、お答えください。

加藤国務大臣 民間で試算された金額について申し上げることは差し控えたいと思いますが、その上で、医療保険制度ごとに支援金を算出するためには、被用者保険については事業主負担を見込んで労使折半とすることや、国民健康保険や後期高齢者医療制度につきましては一定の公費負担を組み込んで低所得者軽減等を図ることを考慮に入れることが必要であり、そうした点が影響した結果、御指摘の金額等は加入者一人当たり月額五百円弱という政府がお示ししている見込みとの差が生じているものと考えております。

早稲田委員 いや、今の、おかしいんじゃないんですか。差が出るのは当然なわけですよね、当然、いろいろな細かい試算を含めているわけですから。だから、今の五百円というのはただの人数割りでやったものだけですから、そうではないでしょう、実際はこういうようなイメージではないですかというふうに伺っております。もう一度お答えください。だから、いろいろなことを加味したものがこういうイメージになりますねと、おおよそです。

加藤国務大臣 民間試算の具体的な金額について申し上げることは差し控えさせていただきますが、医療保険制度ごとに支援金を算出するためには様々な仮定を置く必要がございます。また、被用者保険については労使折半としますし……(早稲田委員「繰り返すのはやめてください」と呼ぶ)はい。国民健康保険や後期高齢者保険制度については低所得者軽減等を図ることなども考慮に入れることが必要でありまして、そういった観点から、政府がお示ししている見込みとの差が生じているものと考えます。

早稲田委員 組合ごと、もちろんそうなんですけれども、でも、今これを見ても、五百円にはならないわけですよね、こういうふうに。全然違うわけですよ。それで、更に、所得の高い方はもっとこれ以上高くなる可能性もありますよ、当然ながら。そして、二人世帯だったらこれが二倍になる、労使折半ですけれども。そのことを申し上げているんです。

 そのことはお認めになりますよね、高くなるということ。実際に、組合により、いろいろなものを加味すれば、五百円以上、高くなるのであろうということはお分かりになろうかと思います。そのことだけについて、一点についてお答えください。

小野寺委員長 こども政策担当大臣加藤鮎子さん、答弁は簡潔に、明瞭にお願いいたします。(発言する者あり)

 御静粛にお願いします。

加藤国務大臣 国民健康保険につきましては……(早稲田委員「違う違う、それは違います。聞いていません、まだ」と呼ぶ)そうですね。分かりました。(発言する者あり)はい。

 ちょっと、一回、済みません、申し訳ありません、戻ります。

小野寺委員長 済みません、早稲田ゆきさん、もう一度質問をお願いいたします。

早稲田委員 五百円よりはやはり高くなりますよね、当然ながら、組合の種類にもよりますけれども。イエスかノーかで、五百円よりも高くなりますねということ、これについて伺っています。

小野寺委員長 こども政策担当大臣加藤鮎子さん。(早稲田委員「止めてください」と呼ぶ)今、答弁します。(発言する者あり)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

小野寺委員長 速記を起こしてください。

 こども政策担当大臣加藤鮎子さん。

加藤国務大臣 医療保険制度ごとの拠出額については、先ほど申し上げているように、法案審議に間に合う形でお示しできるように、仮定の置き方等の精査を進めてまいります。

 また、個人によってということにつきましては、負担能力に応じてということが出てきますが、全体として、実質的な負担が生じないような制度設計としております。

早稲田委員 何度も同じ質問ではありますけれども、五百円より被用者の場合は高くなりますよ。そのことを大臣がきちんと御説明にならないと、うそをついていることになってしまいますから。国民を軽視している、欺いていることになってはいけないので、だから、是非、責任を持って、正々堂々と答えていただきたいと思います、国民に負担をお願いするわけですから。

 五百円よりは被用者の場合は高くなる可能性はありますねということです。

加藤国務大臣 被用者一人当たりで比較を申し上げるのであれば、そういうこともございます。

早稲田委員 被用者一人当たり、被保険者一人当たりでやれば五百円よりも高くなる可能性があるということを、当然ながら、加藤大臣に確認をさせていただきました。

 それでは次に、国民健康保険であります。ちょっと、大分時間を取られてしまいましたので。今度は国民健康保険です、大臣。

 これは加入者一人当たりですから、それからまた、もちろん事業者負担はないので、大変これは厳しいと思いますね。月額でいっても、これでも七百四十六円、そして年額では八千九百五十二円、こうして九千円近いものでありまして、これは本当にきついと思います。

 その中で、家族がもう一人いらした場合、これはほとんど二倍になるのではないかと思いますが、そのことについてまず一点。それから、軽減措置としては、十八歳未満の子供の場合は均等割などが免除になるかもしれませんが、一人親世帯、フリーランスや非正規労働者などにとっては非常に重い負担増になると私はこの先生の試算を見ても思うわけですけれども、そのことについて御答弁ください。

加藤国務大臣 国民健康保険について、扶養者家族が一人いたら支援金の額が二倍になるのかといった御質問かと思いますけれども、国民健康保険の保険料は、受益に応じた応益割と負担能力に応じた応能割の組合せであり、そのうち、応益割につきましては、世帯ごとに定額で賦課される平等割と、世帯に属する被保険者の数に応じて賦課される均等割がありますが、応能割と応益割をどのように組み合わせるか、また、平等割と均等割をどのような割合とするかは各市町村の判断となっており、支援金もこうした賦課方法に準ずるものであるため、どの程度支援金の額が増加するかは一概に言えるものではございません。

 その上で、支援金制度は、医療保険料と異なり、少子化対策のために拠出いただくものであるため、世帯に子供がいることが負担増とならないようにする観点から、子供に係る支援金の均等割を全額軽減することとしているため、子供を扶養していることで支援金の額が増えることはありません。

早稲田委員 ありますよ、もちろん、負担率、いろいろありますから。だけれども、そうではないんですよ、私が伺っているのは。二倍きっかりにはならないかもしれないけれども、家族がいらっしゃったらその二倍近くになりますよねということを申し上げているし、十八歳未満のお子さんの減免ということは分かっています。

 でも、本当に、非正規の方、フリーランスの方、これは厳しいことになりますよ、年額九千円ですから。減免が低所得者の方にあるといっても、本当に分かりにくい制度で、どのくらい減免になるのかもまだ加藤大臣も御説明になれないわけですから。国民の皆さんに負担増をお願いするのに、そういう非常にまやかしの説明を続けるのは、もういいかげんやめていただきたい。

 もう一回伺いますが、先ほどの被用者保険の場合ですけれども、仮に、一世帯で、同じ職場で、そして大体同じお給料で共働きにしていらっしゃる場合、とにかく二倍以上、それから三倍にもなる、年額で二万円以上、三万円にもなるという可能性が、そういう世帯が出てくるのではないでしょうか、所得のもちろん多寡はありますけれども。これについてお答えください。

加藤国務大臣 個別具体のケースを想定して申し上げることは控えさせていただきますけれども、所得によってそういった金額になる可能性はございます。

早稲田委員 二万円、三万円に世帯でなるという可能性があるということを加藤大臣が御答弁されました。

 そうなんです。当たり前のことですけれども、そういうふうになります。だから、ワンコイン、何か五百円だと安いでしょうみたいな、こういうことを流布されるのは非常に危険だと思います。国民の皆さんへのまやかし、何かだましているみたいな、そういうイメージを持たれてしまうから、とてもこれは加藤大臣にとってもよくないことだと私は思います。

 それで、読売の世論調査によりましても、この子育て支援金の見通しについて、これは目玉法案ですよね、それなのに、評価すると答えた方が二八%、評価しないが六〇%ですよ。目玉法案です。加藤大臣の責任において、やはり国民の皆さんにきちんと負担増をお願いしていかないと、目玉法案なのに六割の方が評価しないなどといっては、本当に、これから子育て支援をもっと拡充しようというときに、とんでもないことになりますので、是非、加藤大臣、野党に追及をされてこうやってお答えをされるんじゃなくて、自ら、今週中にでも、早く、保険料の負担額がどのくらい増になるのかをきちんと説明していただきたいと思います。

 それから、後期高齢者についてであります。

 後期高齢者については、朝日新聞の二月九日の記事ですけれども、七十五歳以上の負担割合を八%、七十四歳以下を九二%というのが出ております。

 これでいえば、報道にあるように、後期高齢者の約千八百万人の方、その保険料は全体の八%で、そうすると、財源確保は八百億円ということでよろしいのか。そして、それならば、一人平均でいえば、月額で大体が三百六十七円、それから年額で約四千四百円ですね、これで多分負担額になると思いますけれども、これでよろしいのかどうか、確認します。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 二〇二六年、二〇二七年度におきましては、医療保険者から納付いただく支援納付金の総額のうち、後期高齢者医療制度全体として八%を拠出いただくこととしております。さらに、後期高齢者に拠出いただく額については、後期高齢者全体の総額を単純に割っていくのではなく、低所得者負担軽減等で投入される公費負担等も勘案した上で算出することとなるため、総理からも先日申し上げたとおり、どのようなお示しの仕方が可能か、引き続き検討をしてまいります。

 支援金制度は、企業とともに高齢者も含めた全ての世代が皆で子育て世帯を支える仕組みであり、七十五歳以上の高齢者の皆様にも拠出をいただくことについて御理解をいただきたいと考えております。

早稲田委員 ここに書いてあるわけですよね、八%って。それで、それは平均でいっているので、減免の方や何かのことは今含まれないで考えたら、八百億円という財源でよろしいですねということを申し上げているので、そこのところはお答えになれると思うんです。きちんとお答えいただきたいと思います。

 そうすると、月額で約三百七十円、そして年額で四千四百円になりますねということを、もう一度きちんとお答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 医療保険ごとに支援金を按分するに当たっては、一兆円を単純に割っていくのではなく、低所得者負担軽減等を投入される公費負担等も勘案した上で算出することとなります。

早稲田委員 もちろん、公費負担が入るのは分かりますけれども、平均を伺っているので、平均でいえばそれでよろしいですねということです。

加藤国務大臣 公費負担等も勘案した上で算出をしますと、そもそも、その平均を出すための総額が変わってまいりますので、このような答弁とさせていただいております。

早稲田委員 それでは、次に行きます。

 今お答えいただいていないけれども、この試算では、後期高齢者の方は年間で四千四百円ということになります。そうすると、被用者の場合は、もちろん労使折半なんですけれども、共働き世帯で、そして後期高齢者の御両親がいらっしゃる場合、同居の場合、一世帯で大体、今までのパネルを見ても分かるように、合計金額で年額三万円、四万円以上という家庭が出てくるのではないでしょうか。可能性としてお答えください。

加藤国務大臣 御指摘の個別具体のケースについて申し上げることは控えさせていただきますが、各医療保険制度ごとの拠出額については、先ほどから申し上げているとおり、少なくとも法案審議に間に合う形でお示しができるよう、各医療保険制度の加入者数の仮定の置き方等、精査を進めてまいります。

早稲田委員 さっきお答えになったじゃないですか。共働き世帯で同じお給料だったら二万円、三万円以上になりますねということを、大臣、そういう可能性がありますとお答えになっているわけですから、それに後期高齢者の分、八千円弱、こうしたものを加えれば、三万円以上、四万円ということの可能性もありますねと聞いているわけですから、これは可能性ありということでよろしいですね。ありかなしか。

加藤国務大臣 実際の個々の拠出額は、加入する医療保険制度や所得、世帯構成等に応じたものとなります。このため、共働きであってもなくても、所得の高い方の場合は平均よりも拠出額は大きくなると考えますが、負担能力に応じて支援金の拠出をお願いすることは合理性があるものと考えております。

早稲田委員 今のはお答えになっておりませんけれども、先ほど、共働きの世帯で二万円、三万円以上になるという可能性があるということですから、そこに後期高齢者の御両親が入れば、当然、三万円以上、四万円以上と増えていくということもほぼ確認ができました。

 それでは、事業主負担のある子育て支援金でありますから、事業主は子育て支援金について労使折半ですけれども、これをやりますと、賃下げ圧力それから非正規雇用の増加につながる懸念があるのではないかと思われます。

 西沢和彦理事もおっしゃっているのは、公平な制度とは言えない、社会保険料の負担が重くなれば、中小零細企業は非正規雇用を増やし、現役世代の可処分所得を落としてしまうと。

 まさに少子化に拍車をかけるのではないかということがここで懸念をされるわけです、負担は重いわけですから。加藤大臣、お答えください。

加藤国務大臣 支援金制度については、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築することを基本とするとともに、賃上げによる効果も併せて確実に社会保険負担料を軽減することで、全体として実質的な負担は生じないこととしております。

 このことは、事業主が拠出する分についても同様でございまして、全体として見れば、支援金の導入が賃金の引下げや非正規雇用の増加の促進につながるといった御指摘は当たらないものと考えております。

 社会保険料負担そのものにつきましては、少子高齢化により増加傾向にあります。若者、子育て世帯の手取り収入を増やすためにも、能力に応じて皆が支え合う全世代型社会保障の構築や賃上げの取組を関係省庁と連携して推進をし、負担の上昇を最大限抑制をしてまいります。

 こども家庭庁としましては、今般の支援金制度において、高齢者を含め、全世代から子供、子育て支援のために……(発言する者あり)はい。

小野寺委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

早稲田委員 先ほどの歳出改革の部分の井坂委員との質疑と御答弁を伺っていても、これが国民に納得が得られるわけがないわけです。まやかしですよ。歳出削減においてもまやかし。国民に隠していらっしゃる、残念ながら。

 それで、私は、そこをもう井坂委員がしっかりとやられましたので、歳出削減ではなくて、さらに、支援金をお願いする方でも負担増ですよねということの議論をしているのに、そちらもまやかし。つまりは、増税隠し以外の何物でもありません。

 社会保険料で給与天引きならみんなが分かりにくい、そして事業主負担も折半だからいいだろうと言うけれども、そういう問題ではありません。事業主負担があるということは、これは、つまり、事業主がそこを労働者に払う分が少なくなるということですから、当然ながら、今申し上げた賃下げの圧力にもなるし、非正規雇用、それだったらもう被用者にしないということで非正規雇用が増えるのではないかという懸念は絶対にあります。このことを私は申し上げておきたいと思います。

 そして、今日のこの子育て支援金の議論をしていても、子育て増税、しかも年額にして一万円、二万円ということにもなるわけですから、まさにステルス増税であり、そしてそれを増税隠しされているということ、これは大変、加藤大臣、問題だと思います。

 さらに、私、今時間がないのであれですが、高校生まで児童手当をやっと、ようやく拡充になりましたけれども、その裏で高校生の扶養控除も縮小していきますよね。ほとんどの皆さんが縮小です。ということは、これも高校生増税です。さらに、防衛増税。もう岸田政権は三連発の増税と言わざるを得ません。そして、おまけに、一方で裏金議員の脱税疑惑です。これでどうやって国民に納得をいただけるんでしょうか。

 私は、岸田政権において、育っていく子供たちのための日本の未来をつくる子育て政策は任せられない、岸田政権には政権担当能力は全くないということを申し上げます。

 そして、次の質問に移りたいと思います。

 武見大臣、よろしくお願いいたします。

 先ほども、武見大臣、歳出削減のことを一生懸命説明されていましたけれども、これでとても負担増がないなんて言えませんよ。もう絶対負担増です。これは増税隠し以外の何物でもないんですけれども、さらに、この国民サービスを切り捨てるようなことが行われようとしていること、私は大変問題だと思っています。

 地域包括ケアシステムの要であります訪問介護の報酬引下げです。これは、人材不足が加速化、深刻化している中で、まさかの訪問介護の報酬引下げ、これについては全国から怒りと抗議が巻き起こっております。そして、ヘルパー協会、それからサービス利用をされる高齢者の方々、それから家族介護を押しつけられる女性の団体、そして武見大臣の大切な日本医師会からも抗議が起こっております、御存じだろうと思いますけれども。

 それについてですけれども、訪問介護事業所の、これは資料もありますので、是非見ていただきたいと思います。最後の方の資料ですね。これについて申し上げますと、訪問介護事業所の利益率、収支差率が平均七・八%と高いんだと。とんでもありません。これは訪問の介護、訪問件数が月に二千回以上になる大規模事業者が一三%と利益率を引っ張っているだけです。私はこの利益率の中央値の公表を求めましたところ、四・二%にしかすぎませんでした。ということは、つまり、半数の事業所は四・二%以下の利益だということなんです。これは当然だと思います。

 一%刻みで見た資料をつけておりますので、よく御覧ください。これも厚労省に作っていただきました。一%を見ても、零%から九%まで全部横並びです。七・八%、高いところが多いわけでも何でもありません、これは、大規模事業所の場合、サービスつき高齢者住宅、いわゆるサ高住など、効率よく回れるから、これについて大手の事業者が利益を上げているんです。

 私も、横浜市栄区、それから逗子市、鎌倉、こちらで事業所からお話を聞きましたし、ヘルパーさんたちからもお話を聞いて、あと利用者の方もです。皆さん本当に、地道な努力をして、小規模事業者が大規模事業者ではできないような困難事例を全部引き受けているんですよ。そういう小規模事業所が倒産ですよ、潰れてしまう、廃業です。こんなことをしていては、幾ら処遇改善加算で上げているといっても、その事業所自体がなくなってしまうんですから、きちんと困難事例を見ていただけるようなところがなくなります。本当にひどい、この訪問介護の報酬引下げですね。

 私がお話を聞いたところは、小規模事業者ほど、七十歳以上のヘルパーさんもいらっしゃいます。そして、そういうところで、処遇改善の基礎になる新たな資格の取得、それから昇給などのそういう要件がクリアできないから、一番高い処遇改善加算なんか取れないんですよ。それはもう明白じゃないですか。それにもかかわらず、こういう試算を出して、処遇改善加算でやるから大丈夫なんだというような説明を政府はされておりますけれども、これもまやかし。それから、まず、この報酬引下げについては、小規模事業所切捨て、それから訪問介護の崩壊、そして、それはイコール国民サービスの切捨てになります。このような訪問介護の基本報酬の引下げは絶対にやってはならないと思います。

 大臣、これを撤回すべきと考えます。是非お願いします。

武見国務大臣 基本的に、そうした小規模事業者に関わる切捨てなんという考え方は全く持っていません。

 それで、実際に、基本報酬の引下げについては二つ理由があるんです。

 一つはやはり、改定率のプラス〇・六一%分というのは、これは介護職員以外の職員の賃上げが可能になるように配分とされているわけです。小規模事業者の場合には、当然事務局は小さいですから、その分の負担というのは少ないということを申し上げておかなきゃいけません。

 それから、二つ目の理由として、訪問介護の事業所においては、介護事業経営実態調査による収支差率、これは介護サービス全体で二・四%に比べて、相対的に高い七・八%です。中央値が四・二%と言われておりますけれども、それが、令和三年、四年と見ておりますと、明らかに高くなってきております。それで、さらに、報酬改定のうち、介護職員の処遇改善に充てる改定率は何とプラス〇・九八%分あるんですよ。

 全職員に占める介護職員の割合が相対的に高い訪問介護は、見直し後の体系で一四・五%から二四・五%と、他のサービスと比べて極めて高い水準の加算率を設定してあります。そして、特定事業所加算であるとか、あるいは認知症に関連する加算も充実することによって、訪問介護は改定全体としてプラス改定という形に確実にしてあるわけでありますから、この加算措置を通じて、賃上げに関わる十分な財源というものをこうした小規模事業者も確保できるようにしてあり、かつまた、この加算措置を一本化することで手続を非常に簡素化させて、それによって、実際にこうした小規模事業者が、今まで取りにくかったこうした加算措置が大幅に取得しやすいようにもしてあるんです。そういったことをしっかりと御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、処遇改善加算については、訪問介護を始めとした現場において、加算未取得の事業所は加算を取得し、既に取得している、サービス全体で約八千、うち訪問介護は約三千以外でありますけれども、その事業所は新たな処遇改善加算の体系に早期に移行していただくことで介護職員の賃上げを実現できるよう必要な対応を講じることとしておりまして、小規模な事業者も含めて、更なる取得促進に向けた環境整備を進めていきたいと思っております。

 したがって、これは、基本料を下げたということだけを御指摘されておりますけれども、実際には、こうした大幅な加算措置を通じて、実質的には小規模事業者に対しても、特に賃上げの財源が確保しやすいように新たに制度設計したということを申し上げておきたいと思います。

早稲田委員 いやいやいや、駄目なんです。その処遇改善加算を幾ら上げていただいても取れないところというのは必ずあるわけです。だって、七十歳以上のヘルパーさんが多いところ、六十歳以上が平均だというところもございます。そうしたところにこの処遇改善加算の特別なものは取れません。

 これは、現場に聞いてください、大臣。今パブコメ中でありますからまだ間に合います。是非現場の声を聞いていただいて、撤回に向けて、私も告示までに、この撤回をすべきということをもう一度要望をして、そしてあとは厚生労働委員会の方でしっかりと議論をさせていただきますが、処遇改善加算でごまかさないでいただきたい。基本を下げるということは、そこで働いている方たちのモチベーションも下がります。もう訪問介護は要らないんだね、そういうことですから。

 是非これはもう一度再考していただきたい、撤回をしていただきたいと強く要望して、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて早稲田さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。

 早速質問に入ります。

 官房長官はこの後の御予定があると伺っていますので、長官にまず何点か確認させてください。

 今日この委員会で長官の御答弁を伺っていて、失礼ながら、全く当事者意識が感じられない。人ごとのような、担務ではございません、お答えする立場にございません、そういう答弁ばかりされていて、大変残念でございます。本当に長官の担務じゃないのかな、裏金問題は。

 なぜかというと、官房長官は昨年十二月、就任後の報道各社のインタビューでこう発言されています。官房長官の重要な役割はと言って、三つ挙げている。危機管理、スポークスマン、総合調整。一番最初に、危機管理が官房長官の仕事だとおっしゃっていますよね。

 今、この裏金問題以上に岸田政権の危機管理というのはあるんでしょうか。まさにこれこそが林長官の本務ではありませんか。いかがですか。

林国務大臣 私が申し上げたのは、政府としての危機管理ということでございます。一月一日に発生をいたしました地震等、いろいろな危機管理に対して、しっかり官房長官としては対応していかなければならない、そういう趣旨で申し上げたところでございます。

山岸委員 では、危機管理の専門家である官房長官にお伺いしたいんですが、危機管理というのは、幾つか、やってはいけない悪手というものがありますよね。一番よくない戦力の逐次投入とか、後手後手の対応というのはよくない、これは言うまでもない話でございます。

 では、今まさに、政倫審をめぐる対応はどうなっているか。昨日は、まず二人出しますと言った。次、三人になった。今日になったら五人になった。小出し小出しで、どんどんどんどん後手後手になってきている。これは危機管理の崩壊だと思いますね。

 官房長官、これは是非総理と語らっていただいて、危機管理が専門とおっしゃるのであれば、官房長官のリーダーシップで五十一人全員政倫審に来てもらう、それぐらいの決断が必要じゃありませんか。いかがですか。

林国務大臣 私が危機管理の専門家であるという、大変お褒めのお言葉をいただきましたけれども、担務として危機管理をやっているということで申し上げたところでございます。

 政治倫理審査会を含めて、国会における審議の在り方については国会においてお決めいただくことである、こういうふうに認識をしております。

 あくまで一般論ですが、それぞれの政治家が必要に応じて適切に説明責任を果たす、これが重要だと考えております。

山岸委員 今、隣に菅政権時代の加藤官房長官が座っていらっしゃいますけれども、もう少し、今の林長官よりは加藤長官の方が御答弁されていたと思います。やはりこれは、私は長官の当事者意識が問われると思います。

 長官は次の御予定があるとお伺いしていますので、ここで結構でございます。ありがとうございます。

小野寺委員長 では、御退出してください。

山岸委員 続けて、財務大臣、よろしくお願いいたします。

 私は、この裏金問題、先週と今週でちょっとフェーズが変わったと思っています。やはり確定申告が始まって、国民の皆様の声が変わってきた。単に自民党の裏金事件ということを超えて、やはりこれは税の信頼に関わる問題だ。今この委員会で議論をしている予算の裏づけとなる税、その税に対する信頼が揺らぎかねない事態ではないかと私は思っています。

 まず、財務大臣、最近、SNS等では確定申告ボイコットという言葉がはやっているそうですけれども、この言葉は御存じですか。

鈴木国務大臣 新聞や週刊誌の見出しなどで目にしております。

山岸委員 どうお感じになるか聞きたいんですね。

 というのが、財務大臣のお立場からすれば、いや、ボイコットなんかけしからぬ、納税は国民の義務だとおっしゃりたいかもしれない。でも、今、そうやって上から目線で言える状況じゃないですよね、この状況で。

 国民の皆さんにどうやってこの状況で納税をお願いしていこうとお考えですか。

鈴木国務大臣 決して上から目線で考えているわけではありません。

 今回の一連の事件において、国民の皆さんが大変厳しい、怒りも伴った強い気持ちを持っているということは、私も重々承知をしております。

 そもそも、納税といいますのは、国民の皆さんの理解の上で初めて成り立つものでありますから、正確な申告、納税をしている方が何か不公平感を持たれるようなことがあってはならないんだ、そういうふうに思います。

 したがいまして、税務署を始め国税当局におきましては、親切な対応と申しますか、そういうお気持ちもしっかりと踏まえた上での対応をしていくことが重要であると考えます。

山岸委員 不公平感が既に生じてしまっているからお尋ねをしているわけでございます。本当に今、国民の皆さんの怒りが広がってきている。市民は増税、自民は脱税。まさに、はやりのドラマでいえば、不適切にもほどがあると皆さん怒っているわけです。

 実際、パネル一を御覧いただきたいと思うんです。毎日新聞の世論調査でございますけれども、やはり、みんな求めているのは、けじめが必要だ、税金を払えと皆さん思っていらっしゃるわけです。

 「裏金「国税が調査を」九三%」。問題があった自民党議員を国税当局が調査すべきだと思うかを聞いたところ、調査すべきだが九三%、必要がないが三%。私は元々新聞記者をやっていましたので、世論調査は何度も関わってきました。ここまで極端な数字が出る調査というのはほとんどございません。やはり、どういったテーマでも大抵、八対二とか七対三とか。ここまで圧倒的な数字、これはやはり物すごい声だと思います。同時に、これは国民の皆さんからすれば、国税庁、頑張れという期待の声でもあると思うんですね。

 この国民の期待、あるいは信頼、声というものに応えていくべく、国税庁にお伺いしたいんですけれども、いわゆる裏金議員の皆さんに対する一斉税務調査、取り組んでいくお考えはありますか。教えてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 確定申告に際しまして、納税者の方々から様々な声が寄せられていることは承知をしております。

 個別にわたる事柄につきましてはお答えは差し控えさせていただきますが、その上で、一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書とを分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

山岸委員 まさに、なかなか立場上、あるとは思いますけれども、やはり多くの国民は、適切な申告、納税、それが果たされなければ調査ということを求めているわけでございます。こうした国民の声に、先週公表された自民党の調査、あれがきちんと応えているんだろうか。私も熟読をして、非常に疑問がございます。

 パネル三を御覧いただきたいと思うのでございますが、八十何名おられて、お金を使っていませんでした、手をつけていなかったという方が三十一名いらっしゃる。当然、これは使わなかったら雑所得になりますよねということを再々議論してまいりました。

 幾つか例を御紹介したいんですけれども、この三十一名の方がどうやってお金を取り扱っていたのか。

 パネルはございませんが、資料の四番目で山谷えり子議員の事例を御紹介しているんですけれども、山谷議員は、現金で事務所にそのまま置いていました、こういう説明をされているんですね。金額、二千四百三万円ですよ。二千四百万円の現金がごろごろ転がっている、自民党の事務所というのはそういう感じなんですかね。銀行ですか。普通、ないと思うんですよね。

 そこで、こういった保管の仕方をされている、ずっとお金を保管し続けて、後からばれたら、いや、政治資金でしたからこれは非課税です、こういう取扱いがそんな簡単に認められるわけがないと思うんですね。

 国税庁、これは一般論で結構でございますけれども、長期間にわたって、何らかの収入があって、現金で手元に保管していた、使っていません。これは当然、雑所得として、課税収入となる対象ということでよろしいですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますが、政治資金につきましては、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人のいずれに帰属するかによりまして課税関係が異なるため、個々の事実関係を精査する必要がございます。

 政治資金の帰属を判断するに当たりましては、収支報告書の記載状況のほか、その資金が誰によって実質的に管理、使用されていたのかなど、様々な状況を総合的に精査することとなってございます。

山岸委員 実質的にどうであったかで判断する、当たり前のことですよね。だから、それは今時点では当然、決着はついていないわけです。これから中身を精査して決まってくるわけなんだけれども、では、それに対して自民党はどういうふうに言っているのか。

 先ほどの資料三番、パネルでございますけれども、政治活動費以外に用いたと述べた者は一人もいなかったとわざわざ書いているんですね。つまり、個人のたんす預金ではありませんでしたということをわざわざ言ってくれているわけなんです。

 さらに、補足的に、座長であった森山議員がどう言ったか。政治資金として皆さん処理しておられますから、所得税の関係は発生しないと理解していますとわざわざコメントしてくれているんです。

 一体、自民党はいつから国税庁も兼務するようになったんですか。実態はどうだったかということは、国税庁が判断して決めるんじゃないんですか。

 国税庁、何が政治資金に当たるか、何が雑所得であったかということは、これは自民党に決める権限があるんですか。そんなはずはないですよね。仮に当事者、あるいは当事者が所属する組織が非課税であると言い張ったとしても、今おっしゃったように、実態を見て雑所得であれば、当然これは国税庁の責任と権限において課税所得として処理ができる、こういう理解でよろしいですか。教えてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、まず、申告納税制度の下では、納税者の方々において御自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくこととなります。

 その上で、国税当局におきましては、課税上有効な資料情報の収集、分析に努めまして、適切な申告が行われておらず課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどいたしまして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

 いずれにいたしましても、政治資金の課税関係につきましては、国税当局におきまして、個々の実態に応じて法令等に基づき適正に取り扱うこととしております。

山岸委員 当然、国税当局が精査をして判断していく、当たり前の話なんですね。

 それを、この自民党の調査は、いやいや、政治資金でございましたと、何の権限もないのに予防線を張っている。さも税務当局に、来るな、来るなと、入らせまい、入らせまいと言うかのような文章になっていて、私は、これは国税庁への挑戦状ではないかというぐらいの文章だと思うんですね。

 財務大臣、この間の議論を聞いていただいて、大臣はどう思われるか。こんな報告書で、裏金は確かにばれましたけれども、過去に遡って全部政治資金でしたから税金を払う必要はありません、我々は税金を払いません、こんなふうな説明で、今、確定申告の期間中で様々な声が上がっている中で、国民の皆さんが快く納税いただけると財務大臣はお考えになりますか。いかがですか。

鈴木国務大臣 課税等の実務的なことにつきましては、先ほど国税庁次長からお話があったとおりであります。

 そして、自民党の調査につきましては、財務大臣の立場から、私からコメントする、そういう立場にはないということであります。

山岸委員 国民感情を伺っています。これを見た国民が、こんなことで、正直者がばかを見るような、そんな税制では困ると皆さんが思っていらっしゃる。

 そういうときに、大臣として、やはり国民の皆さんに納税をお願いする以上は、今のような木で鼻をくくった答弁じゃなくて、もう少しないですか。

鈴木国務大臣 こういうことが、まさに先生が初めに御指摘になられた世論調査等に表れているんだと思います。

 そうした世論調査の数字がまさに国民の気持ちだと思いまして、それは真摯に受け止めたいと思います。

山岸委員 財務大臣、誠実な方とお見受けしました。おっしゃるように、国民の声なんですよ。

 国民の皆さんにこれから納税をお願いしていく以上は、大臣、裏金をつくっていた自民党議員の皆さんに、修正申告してくれませんか、納税しませんか、率先垂範して税金を払いませんか、これぐらい呼びかけてもらえませんか。どうですか。

鈴木国務大臣 政治家個々人がやはり自らの説明責任を果たしていくということ、これが一番重要なことであると思います。

 財務大臣という立場で個々の議員、いわゆる個人に働きかけるということではなしに、政治家それぞれが自らの説明責任を果たすという観点から行動していただくということが重要だと思います。

山岸委員 先ほどもほかの議員の質問の中で、国税に対して個々の議員のことはできない、これはおっしゃるとおりです。

 でも、そうじゃなくて、一人一人の議員の側、同僚でいらっしゃる議員に対して、これでは示しがつかない、修正申告しようじゃないか、これぐらいは言えるんじゃありませんか。どうですか。

鈴木国務大臣 財務大臣という立場からはなかなか、個々人に対して申し上げるということは、やはりできないんだと思います。一友人としてのアドバイスとかそういうことはできるかもしれませんけれども、財務大臣という立場からは、そういうことはしない。個々の政治家が自らの説明責任を果たすという観点で行動していただくということだと思います。

山岸委員 今大臣から、友人としてアドバイスをできるかもしれないという話がありましたが、是非やってください。

 これは、もちろん国税の調査を求める声もあるんだけれども、まずは自主的に申告をされるということが一番手っ取り早いわけでございます。分かりやすいわけでもございます。これをまず進めてもらうということが大事だということを申し上げて、では、自主的に申告をされると一体何が起きるのか、少しシミュレーションしてみたいと思います。

 一覧表の中で、ずらずらずらとございますけれども、下の方に、山谷えり子議員、ちょっと例として取り上げさせていただきます。

 全く個人的に、他意はございませんけれども、山谷議員は大変額が分かりやすいということと、一切使っていない、手をつけていませんとおっしゃっていましたので、そのまま残っているということで、分かりやすい。更に申し上げれば、美しい国ということをずっとおっしゃっていましたので、今恐らく、強い公共心と高い道徳心で、是非とも納税をしたいとお考えではないかなと思いますので、参考として取り上げます。

 山谷議員のケース、毎年四百万円以上で、五年間で二千四百三万円、これをそのまま置いていましたというケースですね。ちょっと金額が分かりづらいので丸めまして、一年間四百万で、五年間で計二千万円だった、こういうふうに仮定をして、モデルケースとして考えてみたいと思うんです。

 これは国税にお願いしておりますけれども、給与所得が二千万円の方が、一年間四百万で、五年間にわたり二千万円の雑所得を申告していなかった、これを修正申告しますということになった場合、この方は、私の理解では、所得税率が四〇%、住民税率が一〇%になりますので、この場合の納税額は幾らになるかということを、機械的な試算をお願いしています。幾らでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで、委員御指示の前提に基づいた、一般の納税者に係る機械的な試算となりますが、仮に、平成三十年分から令和四年分の当初申告といたしまして、給与所得二千万円、新たに追加される雑所得が各年それぞれ四百万円といたしまして、ここから、通常様々な控除がございますが、基礎控除のみを考慮して機械的に計算をいたしますと、修正申告により納めるべき税額は、五年間で合計八百万円となるということでございます。

 なお、政治家個人に帰属する政治資金を含めまして、個人の雑所得につきましては、収入金額から必要経費を控除した後、残額がない場合には課税関係は生じないほか、税額の計算は、個人の一年間の全ての所得や、基礎控除以外の各種控除の適用等、個々の状況により決まるものでございますので、先ほどお示しした金額は一定の仮定の下で機械的に計算したものであることに御留意いただきたいと思います。

山岸委員 八百万の申告になるわけですね。今のは自主的な申告の場合です。

 ここで、税務調査が入ったらどうなるのか。しかも、より悪質な仮装、隠蔽が認められた場合にどうなるかということも、これは計算をお願いしております。

 今のモデルケースで、自主申告しなかった、後から税務署に言われて悪質性が高いと認められた場合、三つ増えますね、過少申告税、重加算税、そして延滞税の増額と、かかるわけですけれども、これを含めると、一体幾らの請求書が回ってくるんでしょうか。教えてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指示の前提に基づきまして、先ほどの機械的な試算に基づく各年の納めるべき税額を、仮に、本日、二月二十一日の時点で申告や納付がされたといたしますと、加算税や延滞税を機械的に計算しますと、まず、自主的に修正申告をされた場合でございますが、五年間の合計で、延滞税は十九万六千八百円となり、過少申告加算税は課されないということでございます。

 次に、税務調査の結果といたしまして修正申告がされた場合は、五年間の合計で、過少申告加算税八十万円、延滞税は十九万六千八百円となります。

 さらに、仮に、過少申告加算税に代えまして重加算税が課されるとした場合には、五年間で、重加算税二百八十万円、延滞税は五十七万三千三百円となるということでございます。

山岸委員 すなわち、自主的に申告するか、あるいは摘発を受けるかによって、三百万円以上負担が変わってくるという御説明をいただきました。

 多分、こういったことを今、当事者の自民党議員の方々も考えていて、恐らく、お一人お一人は、もう納税してしまいたいと思っている方も多いと思うんですよね。

 資料九を御覧いただきたい。パネルはございません。

 実際、報道もあるんですね。読売新聞で、先週、還流分の納税検討という報道が出たこともありました。でも、これは不思議なことに、その後すっかり消えてしまって、先ほど申し上げたように、森山座長は、いや、税金の関係は生じませんというふうな打ち消しのコメントをしていらっしゃるんですね。

 当委員会でも、今横にいらっしゃいますけれども、自民党の上野議員が先週総理に質問したときに、納税させるべきだと質問したんですよね。いい質問だと思ったのに、総理はそこだけ答えなかったんですよ。スルーしたんです。いつの間にか、自民党が組織としては納税という問題から逃げて、逃げて、逃げているわけですね。

 なので、これをやはり変えるためには、政倫審の場で、それぞれの議員の皆さんが、いや、私はこれだけ余っていました、修正申告します、こういうふうに表明していただくよりないんじゃないかと私は思うわけなんですね。政倫審で御説明すれば、私は、これは国税庁にとっても非常に、いろいろ判断していく上で大きな材料になるんじゃないかなと思うんです。

 先ほど、調査に入るか入らないかということはいろいろな実態を見ながら判断するということでございました。今、多分、国税庁は、やはり政治家相手ですから、税務調査は相当慎重に見極めていらっしゃると思います。こういった中で、当事者である議員が、党の意向とかは関係なく、政倫審に出席をして、使い道を説明し、余った分は納税するという意思を示せば、これは当然、国税としては一つの判断材料になりますよね。うそをついているから調査しようと思うか、正直に言っているから申告を待とうというふうになるか、一つの大きな判断材料になるということでよろしいですか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、申告納税制度の下では、まずは納税者におきまして自身の収入や必要経費を計算し、申告することが基本ということでございます。

山岸委員 やはりそれが基本だ、政倫審で、議員それぞれが納税の意思を表明し、表明しなければ調査に入る、これが一番早道だということを申し上げておきたいと思います。

 続けて、この自民党報告書、もう一点、私、見ていて、何だろうなということがありましたので、議論したいと思います。

 パネルの十二番を御覧ください。

 主な使い道を書いていらっしゃるんですけれども、私はこれを読んで、非常に、よく分からなかったのでございますね。上から順に、会合費とか研修とか懇親とあるので、やはり飲み代とか食事代が多いという意味なのかなと思ったんですけれども、でも、別にどこにも金額順とは書いていないんですよね。では、何順なんでしょうか。

 財務大臣、これをぱっと御覧になって、何順で整理してあるかお分かりになりますか。

鈴木国務大臣 党の調査で出てきたものでございまして、党の調査には私は関わっておりませんので、コメントのしようがございません。

山岸委員 これは是非国民の皆さんも一緒にお考えいただきたいと思うんですけれども、では、何順なのかという話でございまして、多分、委員の皆さんはもう推測がついていらっしゃるかと思いますけれども、会合費、研修会、懇親費用、小口現金、事務費と来て、最後にリース、旅費。最後に一個例外がありますけれども、もうお分かりのとおり、これはあいうえお順、五十音順に並んでいるんですよね。

 私、こういう出し方というのは非常にミスリーディングだと思うんですね。やはりこういうふうに並んでいれば、普通は、上から金額順とか人数順だろうとみんな思うと思うんですよ。ところが、これはひょっとしたら、十万円のものもあれば、一個で一億円のものもあるかもしれないということですよね。何の説明にもなっていないと言わざるを得ないわけなんです。

 財務大臣、コメントできないかもしれませんけれども、こんな発表の仕方で、これが使い道ですと言われて、説明になりますか。いかがですか。

鈴木国務大臣 繰り返しになりますけれども、党の調査について私はコメントする立場にございませんので、その辺は御理解いただきたいと思います。

山岸委員 私、やはり非常に、こうした情報の出し方を含めて、誠実さがないと思いますし、問題を小さく見せよう、そういった意図を感じざるを得ません。

 やはり、こうした今回の報告書、先ほども議論があった、幹部の責任追及の発言はあるのに、肝腎の幹部の発言が一切出てこない。こういったことを含めて、関係者皆さんに政倫審の場で御説明いただく、このことを申し上げて、残った時間で、松村大臣とそして法務大臣と、この裏金事件はマネロン罪ではないのかという議論をさせていただきたいと思います。これは前回持ち越しまして、失礼しました。

 資料の十三を御覧いただきたいのでございますけれども、日本のマネロン規制の体系を整理した資料でございます。

 せんだって、当委員会で総理が、組織犯罪の定義は定かじゃありませんと御答弁されたんですけれども、実はあれは不正確でございまして、組織犯罪処罰法という立派な法律がございます。先ほど階議員も取り上げておりましたが、少し違う観点で議論いたします。

 日本のマネロン対策というのは二段構えになっています。まず、組織、団体によるある特定の類型の犯罪を前提犯罪といいますが、この前提犯罪でもうけたお金は犯罪収益ですよ、この犯罪収益を隠したり移転したり使ったりしたら、それはマネロン罪ですよ、こういう整理になっているわけなんですね。

 では、この前提犯罪というのは何だろうか。決まりがずらずらずらとあるわけなんですけれども、実はこの中に今回の裏金事件が含まれるんじゃないかと私は思うんですね。

 厳密には、政治資金規正法の二十五条の一項、不記載罪、これは組織犯罪処罰法で定めるところの前提犯罪に当たるか当たらないか。法務大臣、お願いします。

小泉国務大臣 お尋ねは、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事項であり、お答えを差し控えますが、一般論として申し上げますと、組織的犯罪処罰法十条は、一定の罪に関わる犯罪収益等の隠匿等を処罰するものであり、その一定の罪としまして、財産上の不正な利益を得る目的で犯した死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪などと規定されております。

 他方で、御指摘の収支報告書への虚偽記載、政治資金規正法第十二条第一項違反につきましては、法定刑が五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金と定められているところであります。

 この行為が財産上の不正な利益を得る目的で犯した罪に当たるかどうかについては、繰り返しになりますが、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべきものと承知しております。

山岸委員 そうなんです。長々と答弁をいただきましたけれども、要するに、前提犯罪というのは法定刑が懲役四年以上であれば当てはまるという中で、今回の違反事例というのは法定刑が五年以下ですので、当然対象になり得る。これは、法律上そういう整理になるわけです。

 すなわち、政治資金収支報告書への不記載によって隠したお金、これはケースによっては犯罪収益になり得て、そのお金を使ったり隠したり移動したりしたらマネロン罪になり得る、こういう整理になるわけです。

 であれば、では、ここから先は警察の出番になるわけでございまして、これが個別具体にどうかという話なんです。

 松村公安委員長にお伺いしたいのでございますけれども、政治資金を不記載にすることによって隠匿した資金、これを犯罪収益として、マネロン罪の観点から捜査をし、没収をする、こういうことは法律上可能かどうか、教えてください。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 警察におきましては、前提犯罪については、法と証拠に基づき所要の捜査を行うほか、犯罪収益の存在も念頭に、当該犯罪収益に係る隠匿、収受罪等の適用、関係機関と連携した当該犯罪収益の没収等を視野に捜査を進めるものと承知をいたしております。

山岸委員 明快な御答弁、ありがとうございます。

 できるんです、仕組み上は。だから、それをやるかどうかということがこれから先の問題になってくるわけです。

 今起きているこの裏金問題というのは、単に政治家のお金の管理がルーズだというレベルの話ではなくて、金融規制とか国際金融の考えでいえば、これはマネロンなんですよ。組織犯罪であり、金融犯罪であり、マネロン、マネーロンダリングに当たり得るような事例であるということなんです。

 ここを私、やるべきだというふうに御提案しているのは、実は前向きな理由も一つあるんです。というのが、日本はマネロン対策をいろいろ頑張ってきたんだけれども、国際社会から、弱いところが幾つかあるねと言われているんです。

 御案内のとおり、FATFという作業部会から指摘をされていて、具体的に二つ。VIPに甘い、政治家とか高位の公職者、海外の場合は貴族とかも入りますけれども、そういうところに甘いよねと。もう一個は、没収機能が弱いよねと。二つのことを指摘されているんですね。

 まさに今回の裏金事例というのはどんぴしゃなわけですよ。政治家による裏金づくりに甘い。しかも、そのお金を取れない。これから申告されるかもしれませんけれども、今時点では、こういったお金を取り返せないということが起きているわけなんですね。まさに国際社会から指摘をされている日本のマネロン対策の弱点そのものなわけなんです。

 だからこそ、私は、今回の事件を一つ前向きに生かせることがあるとしたら、マネロン対策の観点からアプローチをする、これは非常に意義があると思うんですね。今、日本が弱いと言われているVIPの対策と、そして没収機能、この二つの点で攻めることができれば、私は、日本のマネロン対策は十年分進む、それぐらいの意義があると思っているんです。

 なので、松村大臣、これはなかなか、もちろん、個別の案件を言えないのは分かります。なので、問題意識として、やはり今回の事例は、ケースによってはマネロン事件になり得る話だ、組織的な金融犯罪に当たり得るケースなのだから、きちんと問題意識を持って、関心を持って臨んでいく、これぐらいの姿勢はお示しいただけるんじゃないか。

 これはやはり国民が見ていますし、国際社会も見ています。日本がマネロンに対して厳しい国だということを示すために、大臣からも御発言をお願いします。

松村国務大臣 御指摘の点は、政党による調査結果についての問題についての御指摘かと思いますが、その点については、国家公安委員長としてはコメントすることは差し控えさせていただきます。

山岸委員 大臣、現場の捜査員の方も、やはり大臣の答弁というのはすごく見ていると思うんですよね。こういった、日本はマネロンに厳しい国なんだ、政治家であっても厳しくやっていくんだというふうな姿勢を示すことが、私は、国際金融経済における日本の信頼を高める上でも意義があると思いますよ。

 大臣、もう一言。

松村国務大臣 一般論として申し上げるとすれば、個別の事案について警察として捜査をするかどうかについては、具体的事実関係に即しまして、法と証拠に基づき判断することになるものと承知をいたしております。

 その意味では、御指摘の調査結果に対する警察の対応については、一概に申し上げることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

山岸委員 時間ですから終わりますけれども、裏金、脱税、マネーロンダリング、この観点から厳しく追及してまいります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて山岸君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 それでは、最初は、さっきの子育て負担の続きから入りたいと思いますが、加藤大臣は先ほど、社会保険料負担率は上がらないとおっしゃったんですが、これは本当なんですかね。

 さっきのやり取りを聞いていると、保険料は上がるわけですよね、上がり方が少なくなるだけで、ざくっと言うと、千円上がっていたところが五百円しか上がらなくなっただけで、社会保険料は上がるわけですから、これだけ見ても負担率は上がるはずなんですが、何を根拠に上がらないとおっしゃったんですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度の導入に当たっては、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で子供、子育てに要する支出の財源をいただくことを基本としつつ、賃上げによって雇用者報酬の伸びが一層高まれば、社会保障負担率の一層の軽減につながり、実質的な負担が生じないことが確実となると考えております。

奥野(総)委員 先ほど、ですから、社会保険料は上がるんだ、上がり方が少なくなるだけで上がるんだということは認められた。

 そうすると、分母の国民所得のところなんですが、これは、賃金が上がれば国民所得が伸びるのか、こういう問題なんですよ。必ずしもそうじゃなくて、例えば、労働分配率が変わらなければ、国民所得は賃金が上がっても増えないんですね。だから、きちんと生産性が上がって持続的に国民所得が増えないと、ただ賃金が上がるだけでは必ずしも分母が大きくなるとは言えないわけですよ。

 本当に国民所得がプラスになって、分母が大きくなるんですか。確実にそうなるんですか、今々。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 賃上げによって雇用者報酬の伸びが高まれば、社会保障負担率の一層の軽減につながり、支援金の導入による社会保障負担率の上昇を打ち消すことが確実になります。よって、政府としては賃上げに総力を挙げて取り組んでまいります。

 令和五年度、六年度における賃上げによる社会保障負担率の軽減効果を見込むに当たっては、政府経済見通しによる雇用者報酬の伸びを前提としております。

 その上で、令和六年度以降については、賃上げの成否やそれによる社会保障負担率の軽減効果を当てにしているということではなく、仮に賃上げによる寄与がなくても実質的に負担が生じないという状況が実現できるよう、徹底した歳出改革に取り組んでまいります。

奥野(総)委員 この間、総理も同じ答弁をされていたんですが。

 さっきの話に戻って、仮に賃上げがなくても社会保険負担率は増えないというのはさっきの話なんですよね。実質的に保険料は増えるわけだから、分母は増えるわけですよ。増え方が少なくなるだけで、伸びが少なくなるだけで、上がるのは上がるんですよね。それをごまかして、だから、上がらないというのは間違いなんですね。上げ方が少なくなるというのは言っていいかもしれないけれども、上がらないというのは、私は、明確に間違い、国民をたぶらかしているんだと思いますよ。少なくとも、上がり方は少なくしましたというのなら正しいと思うんですが。

 正確に答えてください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 再三これまでの答弁でもございますけれども、歳出改革をしっかりと行うことによって、その歳出改革で生じさせた軽減効果の範囲内で支援金の拠出をお願いするところでございますので、実質的に社会保障負担率が上がるということにはならないと考えております。

奥野(総)委員 実質的にというのが、またこれがよく分からなくて、実質的にも何もなくて、数字なんですから、上がるか上がらないかしかないんですよね。実質的に賃金が上がるか上がらないかというと、それは、実質賃金とかはあるかもしれません。実質的に社会保険負担率は上がらないというのは非常にミスリードだと思いますよ。

 さっきからずっと同じことを言っていて、要は、上がり方が少なくなるんだ、歳出改革によって、本来だったら千円払わなきゃいけないところが五百円で済んでいます、でも五百円上がります、こういう話なんですよ。内容をちゃんと大臣、理解されていますか。大臣たるもの、きちんとやはり内容を理解して国民に説明しなきゃいけないと思うんですよ。それが一つ。

 結局、だから、絶対に社会保険負担率は上がらない、これは断言できますか。もう一回聞きますよ。断言できますか。絶対に上がらないと政治生命を懸けて言えますか。

加藤国務大臣 支援金の導入によって社会保障負担率が上昇しないよう徹底した歳出改革に取り組むとともに、政府として賃上げに総力を挙げて取り組んでまいります。

奥野(総)委員 何か余り言っているといじめているようなのであれなんですけれども、やはり断言できないじゃないですか。そこがポイントなんですよ。

 この話が本当に国民を私は愚弄していると思うのは、そういういいかげんなことを言って、あたかも負担が増えないかのように、みんな、誤解させているわけですよ。

 それから、厚労大臣、先ほど、窓口負担とか、医療、介護の三割負担などということが今後想定される、その一・一兆の歳出改革の中身の中にはそういったことも含まれ得るということですよね。自己負担は今後増えていく、保険料に含まれない自己負担部分は増えていくということでよろしいんですね。この前答弁されていると思いますけれども。

武見国務大臣 負担が増えるかどうかは、その御本人の所得そして収入の能力によって大きく変わる形になりますから、一概に全てが負担が増えるということにはなりません。

 基本的な哲学は、やはり、全世代で応能負担をするという考え方が一番基本にあります。これによって若い世代の負担を増やさない、それで、持続可能な体制をしっかりと確立していく、これが全世代型社会保障の基礎的な考え方であって、この考え方の中で、私どもは、それぞれの患者の負担、あるいは介護の負担、その在り方を議論してきているわけです。

奥野(総)委員 確かに、一人一人の方を見ると、増えない方もいるし増える方もいるかもしれないけれども、全体として見たときには、自己負担を増やしながら保険料の伸びを抑制していくということはよろしいですよね。

武見国務大臣 現在の状況で、全体としてどういうふうに自己負担が増えるかということは、まだ推測することはできません。

 しかし、実際に、能力によって実際の負担の在り方が変わってくるんだ、そして、そのことによって若い世代の負担を軽減させていくんだ、そしてまた同時に、こうした自己負担を通じますと、実際に、例えばこうした保険に係る財源の四割から五割は公費負担になりますから、自己負担が増えた分、保険料率の負担は軽減効果を持つ、こういう格好になるわけです。

奥野(総)委員 だから、悪く言えばつけ替えですよね。保険料から自己負担につけ替えていって、全体として負担感は変わらないんじゃないですかね。むしろ、高齢化に伴って増えていくというのが常識的なところだと思うんですよ。だから、その辺もやはりきちんと説明をしていかなきゃいけないと思うんですね。

 だから、先ほどの話に戻りますけれども、本当に社会保険料負担率が上がらないというのは、私は言えないと思うんですよ。

 新藤大臣にお越しいただいていますが、今日の読売の社説にちゃんと書いてあって、「実際には支援金は給料や年金から天引きされる。社会保障費の削減が進めば、医療や介護のサービスは低下しかねない。 国民からすれば、負担をごまかすかのような説明に聞こえるのも無理はない。正直に、負担の内容やそれによって得られる政策の効果を説いていくのが筋だろう。」と。正論ですよ。

 私も総理にこの前申し上げました。こういううさん臭い感じを出すと、国民は反発しますし、払ってくれなくなると思うんですよ。さっきの納税の話じゃないんだけれども、保険料を払わない、こんなの払いたくないという声が高まると思うんですよ。

 私は、筋をきちんと通して、正直に、皆さん負担してください、これから社会保険料負担がどんどん増えてきますよ、できるだけそれを抑えていくようにするけれども、負担してください、こういうふうに言うべきだと思いますが、この社説、いかがですか。

新藤国務大臣 ここのところは、本当に、やり取りをしながら、そして、国民の皆さんに共有し、理解していただく努力を更に続けなきゃいけないと思うんですね。

 やはり、今回の読売の社説、今ちょっとお触れになった、要するに、歳出削減すればサービスが落ちるじゃないかということを今おっしゃいましたね。それは、今回の歳出改革は、これまで進めてきた歳出改革を引き続きやるということで、毎年、高齢化の分の伸びに抑えて、それ以外は様々工夫をしてというのは、今まで十年やってきているわけです。

 その範囲の枠の中で、徹底した歳出改革の、平均で、九年間で、〇・一八兆円、これを財源として、今後六年間で積み上げていくとこれが一・一兆になります。こういう計算をしているので、サービスを維持しながら、しかし伸びを抑制する中で、この財源の約三分の一になる、子育ての加速化プランの、そこの部分を充当するんだ、ここをはっきりと説明していかなければいけないと私は思っているわけであります。

奥野(総)委員 サービスが本当に下がらないのかどうかというのはこれから見ていかなきゃいけませんが、国民に新たな負担を求めることは事実でありますから、支援金について負担を求めることは事実でありますから、そこはやはり説明すべきであります。

 だから、全て増税はしませんとか負担を求めませんとか、これは私は間違っていると思います。負担を求める以上は、政治家自身もきちんと納税をしていく、政治と金の問題もきちんと明らかにしていくというのが私は最低限の条件だと思います。

 この質問はこれで終わりたいと思いますので、新藤大臣と厚労大臣と加藤大臣は、これで。

小野寺委員長 新藤大臣、武見大臣、加藤大臣は御退出していただいて結構です。

奥野(総)委員 次は、資料の二枚目にお配りしている政治資金規正法の二十一条の二のところですけれども、これは総務大臣になりますが、先日、岸田総理は答弁で、政策活動費は、党勢拡大、政策立案、調査研究、こういったことのために、党役職者の職責に応じて支出しているものである、こう我が党の米山議員に答弁しています。

 そして、この二十一条の二は、寄附と書いていますね、何人も、公職の政治活動に関して寄附をしてはならない、ただし、政党がする寄附については、適用しない。寄附という言葉を使っているんですが。

 この寄附と支出の違いは何ですかということに対して総理は、寄附というのは、あなたのために使ってください、支出をするというのは、党のために使ってくださいということで答弁していますが、寄附と支出の違いというのはこういうことでいいですか。

松本国務大臣 委員が御指摘になられました政治資金規正法二十一条の二ですが、おっしゃるとおり、「何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない。」、第二項において、「前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない。」、このようになっているところでございますが、寄附については、四条の三項で、「この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のもの」とされているところでございます。

 政策活動費そのものは、政治資金規正法上は特段規定が設けられているものではございません。その上で、法に係る一般論として申し上げれば、政党から公職の候補者に対する支出が債務の履行としてされるものでなければ寄附に該当することになり得ると思いますが、債務の履行としてされるものであれば寄附には該当しない、法の定義にのっとればそのようになるかというふうに思っているところでございます。

 なお、政党におきましては、その支出は政治資金収支報告書に記載をしているものと理解をしておりますが、政治資金規正法は、直近の改正で、政治団体において政治活動の資金を取り扱うように努めることを前提に、政治団体の透明性の確保について記された法だと理解をしております。

奥野(総)委員 長かったんですが、要するに、総理の言っていることは正しくて、あなたのために使ってください、債務の履行を伴わなくていい、何ら縛りがなくて使ってくださいというのが寄附ですよと。支出は、まさに総理が言っているように、党勢拡大とか政策立案とかそういうことのために使ってくださいといって、縛りをかけて渡すのが支出だと。こういうことでいいと思うんですね。

 そうした場合に、この支出、寄附じゃない支出は、二十一条の二にかからないということでいいんですよね。だから、政党から個人に対して、こういうふうに、例えば党勢拡大のために使ってくださいといって支出をすること自体は、受け手側は、一切政治資金収支報告書に載せなくていい、こういうことになるんですね。

松本国務大臣 先ほど寄附の定義について申し上げましたのでもう繰り返しませんが、二十一条の二の一項は、金銭等によるものに限るとはなっていますが、寄附に関する規定、そして二項は、それに対する例外の規定に当たりますので、この規正法上の寄附でなければ、二十一条の、二項の対象とはならないと思います。

 その上で、収支報告書の記載につきましては、政治資金規正法においては、政治団体の全ての収支について、法に定めたとおり、十二月三十一日現在で会計責任者が報告することを求めていると理解しております。

奥野(総)委員 ですから、総理の言っている政策活動費というのは二十一条の二ではなくて、支出だと言って、この規定じゃないんですよね、今の話だと。そうすると、支出については政党のところに載せなきゃいけないので、支出は収支報告書に出るんですが、受け手の側は、寄附じゃないので載せなくていい、こういう話になるわけですよ。

 だから、総理が、あるいは総裁でも幹事長でもいいんですが、党勢拡大のためにこのお金を使ってねと言って支出として渡せば、一切受け手の側は、政党側の支出は載りますが、受け手の側は載らない。これは誰に対しても支出と言って渡せば、こういうふうに縛りをかければ載らない、こういうことになるんだと思うんですね。

 さらに、もらった側、例えば、幹事長からどなたかの議員に渡って、そのお金を、その議員が更に第三者の議員にお金を渡して、これを党勢拡大のために使ってくださいと言ったら、これも支出だから、寄附じゃないので一切載らない、こういうことなんですよね、この政策活動費というのは。そういう理解でいいですか。

松本国務大臣 政党からの支出は、先ほど申しましたように載せておりますが、それ以外の資金の移動の性格については、今私がそれぞれ申し上げる立場にはないかと思いますが。

 繰り返しになりますが、政治資金規正法の現行の体系を作るに当たっては、政治活動に係る資金は政治団体で取り扱うように努めるという議論があったと承知をしており、政治資金規正法においては政治団体の収支について報告を求める制度になっているというふうに理解をいたしております。

 この二十一条につきましても、以前に個人に係る制度があった中で、個人への寄附を禁じることによって、政治活動に係る資金の取扱いは団体で行うように努めるという方向性を示すものの一つとして二十一条があるのではないかというふうに理解をしております。

奥野(総)委員 分かりにくいんですが、要は、政治団体じゃない個人が受けてしまったものは収支報告に載せなくていいわけですから、党勢拡大のために使ってねと言って党からお金を渡されました、それは一切収支報告には受け手側も出ません、その人がまたそのお金を誰かに配ったとしても、それは一切載せなくていい、こういうことを合法的に認めているということなんですね。

 支出という言葉に言い換えてしまった瞬間に、この二十一条の二は一切適用にならなくなって、政治家から政治家にお金がフリーで、党勢拡大のために使ってねとさえ言えば移転していく、一切それは跡づけが残らない、こういうことだと思うんですが、よろしいですかね。

松本国務大臣 先ほど申しましたように、政治に携わる方の個人と個人の間で資金の移動があるかどうかも私は分かりませんが、もしあったとした場合に、その資金の移動の性格をどう位置づけるかについては、個々の具体的な事実に基づいて判定されると思いますが、今申しましたように、政治資金規正法に定める寄附については、二十一条の規定があって、何人も、金銭に限るものとされていますが、寄附をすることはできないということになっていると理解しております。

奥野(総)委員 そうなんですよね、完全に抜け道になっていて、支出と言ってしまえばこれで何も載せなくていいんですよ。

 じゃ、さっき、判断すると言いましたけれども、支出なのか寄附なのか、誰が判断するんですかね。渡された人が判断して、それで外部的には一切ノーチェックということですね。

松本国務大臣 今私が担当させていただいています政治資金規正法において、今委員がおっしゃったような部分について誰が判断するかの規定があるとは承知をしておりませんが、一議員として申し上げれば、やはり政治活動において資金の透明性の確保は大変重要なことであるというふうに承知をしております。

奥野(総)委員 国税庁、お願いしますが、そうすると、お金の性格が寄附か支出かにかかわらず、政治活動に使われると判断されれば無税ということになるんですかね。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、いわゆる政策活動費も含めまして、政治家個人が政治資金の提供を受けた場合には、所得税の課税上、雑所得の収入金額として取り扱っているところでございます。

 政治資金の雑所得の金額につきましては、一年間の政治資金の総額から必要経費として政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税対象となるということでございます。

 いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らし、適正に取り扱うこととしております。

奥野(総)委員 だから、これは支出です、皆さん党勢拡大のために使ってくださいと言ってお金を渡せば、それで完全に無税になって、誰に渡してもどう使おうとも誰もチェックできない、こういう仕組みができているわけですよ。事実上、政治資金法の尻抜けになるんじゃないですかね。総理自身もそういうふうに言っていますよね。

 世論調査を見たときに、政策活動費については、例えば朝日の調査だと、今のままでよいというのは一一%、それから時事の調査だと、現状どおりというのは三・一%。非常に国民の疑念を招いているわけですよ。

 こういう解釈を私は認めるべきじゃないと思うんですが、大臣、支出か寄附かにかかわらず、きちんとガラス張りにすべきじゃないですか。どうですか。

松本国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、条文にも明確に定義がございますので、寄附についての定義は明確になっているかというふうに理解をいたします。その上で、二十一条の二についても、この定義の寄附に基づいた上で、金銭に限るとしておりますが、規制をされております。

 委員がおっしゃられていることが制度そのものの議論であるとすれば、当委員会でも御答弁申し上げてまいりましたが、制度の在り方につきましては、行政府としてどこまで申し上げるかという立場からは抑制的であるべきと考えておりますので、政党間の御議論を私どもも注視してまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 これは、国民は納得しないと思いますよ。党勢拡大のために使ってねとさえ言えば一切税金も払わなくてよくて、どこに配ってもいいという話ですからね。やはり、これは私は合法的な闇金づくりだというふうに思いますので、是非これは議論して正していきたいと思います。

 それから、官房長官、お戻りになったので。

 いろいろ通告して、先ほど聞いているとほとんどお答えいただけないのは分かっていますが、あえて聞きますと、報告書の中の十一ページで、支出の全部又は一部について領収書があって、それに基づいて収支報告を訂正しているというふうに言っている議員の方も見られたという記述があるんですね。だから、領収書があるのは、逆に言うと一部の議員しか領収書を用意していない、こういうことになるんですが。

 これは、聞き取りの際に領収書の有無を全部チェックして、そこまで遡ってチェックしたんでしょうか。違法な使途に使用したと述べた者は一人もいないということなんですが、きちんと領収書まで遡ってチェックされたんでしょうか。

林国務大臣 先ほど来から同じような答弁になって恐縮でございますが、自民党における聞き取り調査の手法につきまして、官房長官としてお答えする立場にないものと認識をしております。

奥野(総)委員 でも、ここは答えてほしいんですよね。まさに今、確定申告で、皆さん領収書を一枚一枚チェックされている中で、せめてこのぐらいは聞いてきて、きちんとやっていますという答えが欲しかったんです。そうしないと、本当に、税務当局とあえて言いますが、信頼が私は地に落ちると思いますよ。誰も税金を払わなくなると思うんですよ。いい機会だったと思うんです、ここをちゃんと調べていただければ。

 そもそも、領収書が要らないお金が認められる、それを、後から出てきましたといって収支報告に載せたら、いやいや、それは政治資金だから税金を払わなくていいんだ、こういうことをそのまま認めるというのは、私は本当に国民の不信を買うと思うんですよ。政治家だけが優遇されている、こう思われちゃ私はいけないと思うんです。

 さっきも言いましたけれども、我々はきちんと、国民に負担をこれから求めざるを得ないんですよ、いろいろな面で。それを求めなきゃいけない政治家が、自分たちだけは税金を払わなくていいというふうに優遇されている、こんなことがあっちゃいけないと思うんですが、大臣、いかがですか。政治家が優遇されているように国民に思われるというのはあっちゃいけないですよね。通告していませんけれども、済みません、財務大臣。

鈴木国務大臣 納税の義務というのは、一般の国民の皆さんも、それから政治家も含めて平等にあるものであると、同等にあるものであると理解しています。

奥野(総)委員 ということは、もちろん指示をしろというのは難しいとおっしゃっているけれども、一般の国民と同等に、きちんと政治家に対してもおかしなものは税務調査を入れて正していく、それは間違いないですね。

鈴木国務大臣 それについては今日の委員会でも国税庁の次長からもお話がありました。その扱いは全く変わらないということであります。

奥野(総)委員 先ほどの政策活動費もそうなんですけれども、非常に不透明なんですよ。党勢拡大のために使ってねと言うだけで無税だとか、どこに配っても分からないとか。あるいは、今回だって、急に裏金が出てきても、きちんと修正して載せれば無税だと。もちろんそれはちゃんと税務当局はやられるのかもしれないけれども、無税扱いになってしまう。

 これはやはり、本当に国民の不信を招いて、国家が揺らぐ大事だと私は思います。ですから、きちんと今回も調査をしていただきたいということで、今日、官房長官にあえて調査をお願いしたんですが、この答弁が続いています。非常に残念ではあります。

 それから、これも今日資料におつけしていますが、下村さんが、還流分を上乗せ記載という提案を幹部間で協議したということを会見で言っていますし、相当いろいろしゃべっておられるんですよ。だから、下村さんについて聞き取りをしましたかという質問もしました。これも恐らく、答えられないという答えだと思うんですが。

 やはり、だったら、きちんと政倫審に皆さん出てきていただきたいと思います。答えられないというんだったら、きちんと責任を持って党として出してくださいよ。五人衆、今日、萩生田さんがまだ決まっていませんが、萩生田さん以外は出てくる。下村さんもキーパーソンですよ。是非出てきていただくように、官房長官、職責は違うとおっしゃるかもしれないけれども、同じ党なんだから、総理の側近ですから、是非お伝えいただきたいと思うんですね。

 それから、今日、朝日のアンケートの中を見ると、出てきたいと言っている方もいらっしゃるんですよ。衛藤先生いらっしゃいますけれども、東京新聞でインタビューに答えて、政倫審は真相解明のいいチャンスだと。本当にすばらしい覚悟だと思います。それから、五十一人全員出るべきだ、こういうふうにおっしゃっていただいているわけです。やはりこうじゃなくちゃ私はいけないと思うんですよね。

 官房長官、衛藤先生は同じ党の仲間としてどうですか。

林国務大臣 突然のお尋ねでございますが、衛藤先生には、行政改革本部長であったときに、私は事務局長として長年お仕えをしておりまして、尊敬する政治家のお一人であります。

奥野(総)委員 私も憲法審査会でお世話になって、尊敬いたしておりますが。

 そうじゃなくて、五十一人出すべきだとお仲間がおっしゃっているわけですから、一議員としてどうお考えになりますか。

林国務大臣 質問をしっかり把握していなくて失礼いたしました。

 政治倫理審査会を含めて、国会における審議の在り方については、国会においてお決めいただくことであると認識をしております。

奥野(総)委員 本当に国民は真相究明を待っていると思いますよ。みんなが、政治家がきちんと自分で説明して、政倫審で説明いただければ、この話は、私は、終わるとは言いませんけれども、きちんと説明すべきだというふうに思います。

 そうしないと、結局、負担を皆さんに我々はお願いする立場ですから、胸を張ってお願いできないじゃないですか。財務大臣もそうですよね。だって、これから社会保障にだってお金がかかるわけですよ。かからない、かからないといっても、かかるわけですよ。国民には増税、政治家は脱税みたいな話は通らないと思うんですよ。

 だからこそ、是非、官房長官の職責は違うとおっしゃるかもしれませんが、同じ仲間である、元宏池会の仲間である総理にはしっかりとお伝えいただきたいというふうに思います。

 最後、国交大臣、お越しいただいていますが、今日の新聞で、全壊の家屋が熊本地震を上回った、更にこれから増えそうだということが出ていますが、要因としては、木造家屋の耐震化が進んでいなかった、こういうふうに言われています。

 熊本地震のときに一応検証して、新耐震基準だと全壊は少なかったという話もあり、しかし一方で、新耐震にも問題があるというようなことがあって、検証されているはずなんですね。

 きちんと検証して、そして新耐震への切替えを進めておけば問題なかったと思うんですが、その辺りですね。今回、これはこれから先を見据えてもう一回耐震基準を見直すのと、それから、地域地震係数ですね、これはずっと熊本の地震のときも指摘しましたけれども、熊本も能登半島も〇・九。そういうところを、直接は関係しませんけれども、私は、見直して、警鐘を鳴らすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

小野寺委員長 国土交通大臣斉藤鉄夫君、申合せの時間が過ぎておりますので、端的にお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 はい。

 今の御質問は端的に答えられない非常に深い質問でございますけれども、昭和五十六年、平成十二年、耐震化を強めてまいりました。

 今の我々の認識は、それぞれの耐震化を強化したことはしっかりと全壊家屋を少なくするということに役立っているとは思いますけれども、今回いろいろな御指摘をいただいております。有識者委員会を設けまして、しっかりと今回の調査を今始めております。先日、その第一回委員会も行いました。

 この調査をしっかり行って、今後どういうふうな検討が必要なのか、改正が必要なのかということも含めまして、しっかり今回の調査を行っていきたいと思っております。

奥野(総)委員 これで終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて奥野君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 イスラエルによるガザ・ラファの無差別殺りくをやめさせる問題について質問をさせていただきたいと思います。

 国連安全保障理事会は、二十日、アルジェリアが提出した人道的停戦の即時実施を求める決議案を採決にかけ、米国が拒否権を使い、イギリスが棄権をし、否決をされました。強い憤りを覚えます。

 十六日、国際司法裁判所が改めてイスラエルに、ジェノサイド防止のあらゆる対策を講じるよう命じた一月の暫定措置を守ることを求める通知が発出されたということが発表されました。

 そして、先ほど目にしたニュースですけれども、国連世界食糧計画、WFPが、ガザ地区の全人口二百二十万人が深刻な飢餓に直面しているということを指摘していますけれども、安全確保ができないためガザ北部の食料の配布を停止をしたということを発表いたしました。

 イスラエルの大規模攻撃により、パレスチナ・ガザ地区は、人道支援を行っている方が、この世の地獄と言う、本当に深刻な危機に直面をしております。パレスチナ保健当局の十二日時点の発表では、ガザ地区の死者は二万八千三百人、そして、そのうち子供は一万二千二百五十人にも上ります。ガザ保健当局は、二十日までに、死者は二万九千百九十五人。命がまた奪われ続けております。

 イスラエルは、ガザの住民の方々に対して、命が助かりたければ南部へ行くようにと退避を通告いたしました。それによって、ラファは避難民を始め百五十万人もいらっしゃるというふうに言われております。

 今、イスラエルは、その最南部のラファへの空爆を行い、さらに、地上作戦を始め総攻撃を行おうとしています。この卑劣な人道に反する攻撃を絶対にやめさせなければなりません。

 配付をさせていただいた資料の資料一を御覧いただきますと、国連の人道問題のトップが十三日、声明を出しました。

 この戦争は終わらせなければならない、ラファでの軍事作戦は大虐殺につながり、ただでさえ脆弱な人道支援活動を死のふちに放置することになると警告を発し、イスラエル政府に要求を無視しないよう批判をしております。

 十四日のNHKの夜の七時のニュースでも、現地で支援活動を調整しているユニセフの主任緊急支援調整官がこういうふうにおっしゃっております。

 最も弱い立場の子供たちが攻撃で最も影響を受ける、医療体制は疲弊し切っていて、この状況に対応できない、子供たちが負傷していても病院に連れていけない、戦闘が続く限り子供たちにとって安全な場所はガザ地区にはない、包括的、恒久的停戦が子供たちを救う唯一の手段なんだ、当事者と国際社会に対して圧力をかけ、停戦が実現するようユニセフは求めているというふうに語っておりました。

 林官房長官、日本として、イスラエルに対し、ラファへの総攻撃は絶対にやってはいけないと直接繰り返し言うべきです。そして、包括的、恒久的停戦を直接強く繰り返し求めるべきです。長官、お答えいただきたいと思います。

林国務大臣 イスラエルがラファハにおきまして大規模な空爆を伴う軍事行動を展開しておりますが、人口過密状態にある同地区におきまして、この民間人の避難、保護のための十分な措置、これが取られないまま軍事作戦が継続いたしますと、更に多くの犠牲者が発生する惨事となり、人道支援活動、今御指摘がありましたが、これはますます困難になることは明らかであります。

 このため、二月十二日に外務報道官談話を発出をいたしまして、さらに、二月十六日の会見におきまして、上川外務大臣から、日本として、人道支援活動が可能な環境を確保し、また、人質の解放につながるような人道的停戦が速やかに実現し、そして、持続可能な停戦が実現すること、これを期待しており、こうした考え方の下で、当事者に対して、直ちに人道的な観点から行動することを求める旨を強調いたしました。

 この外務報道官談話や上川外務大臣が会見において表明した我が国の立場につきましては、既にイスラエル政府に対して直接伝達をしております。

 また、これ以前にも、イスラエルに対しては、昨年の岸田総理とヘルツォグ大統領との会談やネタニヤフ首相との電話会談を含めて、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難をした上で、国際人道法を含む国際法の遵守、これを求めてきておるところでございます。

 引き続き、イスラエルを含む全ての当事者に、あらゆるレベルで、国際人道法を含む国際法の遵守や関連の国連安保理決議に基づいて誠実に行動することを求めつつ、人質の即時解放、人道状況の改善、そして事態の早期鎮静化に向けた外交努力、これを粘り強く積極的に続けてまいります。

本村委員 林官房長官、イスラエルに対して、直接、国際司法裁判所の判断を守ること、そして国際人道法を遵守すること、そして、直ちに軍事攻撃をやめ、即時人道的な停戦を求めた国連総会の決議の実現を繰り返し直接求めるべきだというふうに思います。そして、イスラエルを支援するアメリカに対しても、即時停戦、持続的停戦の呼びかけを繰り返し行うべきだというふうに思いますけれども、長官、もう一度お願いしたいと思います。

林国務大臣 この報道官談話ですとか、外務大臣が会見において表明した我が国の立場、先ほど御説明をしたとおりでございます。この立場について、既にイスラエル政府に対して直接伝達をしておるところでございます。

 今お話のありました、関連の国連安保理決議等々に基づいて、イスラエルに対して誠実に行動することを求めつつ、人質の即時解放、人道状況の改善、事態の早期鎮静化、こうしたことに向けて外交努力を粘り強く積極的に続けてまいりたいと思っております。

本村委員 ガザで現に民間人の方々の大量殺りくが繰り返されている事実からも、そしてこの問題の根底にある歴史的経緯からも、自衛権の名で軍事攻撃を容認することが許されるはずはないということも指摘をしたいと思います。

 そして、もう一つ重大な問題は、日本がガザでの人道支援の足を引っ張っていることです。国連パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAの資金を停止した問題です。

 資料の二を御覧いただきたいんですけれども、外務省の資料ですけれども、日本は、二〇二二年でいうと六番目にUNRWAに拠出をしています。

 短期間日本に戻ってきたUNRWAの清田明宏保健局長は、資金拠出の停止はガザの住民にとって死刑宣告となるというふうにおっしゃっております。ガザでUNRWAのような規模の人道支援をできる団体はほかにはない、困っている人のライフラインを止めてはいけないというふうに指摘をしております。

 政府は、ほかの組織を支援するというふうに言っておられますけれども、赤十字国際委員会の駐日代表は、十四日の参議院外交・安全保障に関する調査会の中で、ガザにおける本当に驚異的な人道的なニーズ、それらの苦痛の規模というのを目の当たりにする者として、UNRWAの支援は不可欠であるというふうにおっしゃっております。そして、UNRWAは食糧支援から教育に至るまで実に幅広い業務に従事している、赤十字国際委員会はUNRWAに取って代わることはできませんというふうにおっしゃっております。

 子供たちを始め、避難された方々の命の危機が迫る中、ほかの機関では代えることができない役割を果たしているUNRWAへの拠出、これを再開するべきだというふうに思います。

 とりわけ、日本は、補正予算でこの拠出をこれまでもしてまいりましたので、ほかの国と違う時期、まさに一月から三月という時期に拠出をする、そういう特別な役割も持っているというふうに思います。

 UNRWAの保健局長は日本の方でございます。UNRWAの清田明宏保健局長からもちゃんと話を聞く場を持っていただき、拠出の再開を是非行うべきだというふうに思いますけれども、長官、お願いしたいと思います。

林国務大臣 我が国は、昨年十月七日のテロ攻撃にUNRWA職員が関与したという疑惑を極めて憂慮しております。

 本件に関しては、御案内のように、国連による調査が行われておりまして、対応策が検討されるため、当面の間、UNRWAへの令和五年度補正予算の拠出を一時停止せざるを得ないという判断に至ったところでございます。

 UNRWAは、今お話がありましたように、パレスチナ難民を対象とした保健、医療、教育、福祉分野のサービス提供など、不可欠な役割を担っております。私も外相時代に現地を訪れて、意見交換もさせていただきました。

 そういった意味でも、このUNRWAが、信頼を取り戻して、こうした本来の役割を果たすことができますように、我が国としては、国連、UNRWA、関係国と緊密にコミュニケーションを取りながら、UNRWAにおいてガバナンスの強化を含めて適切な対応が取られることを強く求め、国連による調査、そして第三者による検証に積極的に協力をしてまいります。

 同時に、深刻化の一途をたどるガザの人道状況を改善するため、我が国としては、関連情報を収集しながら、様々な方策を検討しております。

 その一環として、世界食糧計画、赤十字国際委員会といった他の国際機関への支援等も通じて、ガザ地区を含む地域のパレスチナ人への人道支援に積極的に取り組んでまいります。

本村委員 食料配布を停止したと言ったり、あるいは、赤十字の方も、取って代わることはできないんだと言っているわけです。

 UNRWAの清田明宏保健局長は、昨年十月のハマスによるイスラエル奇襲にUNRWAの職員十二人が関与した疑惑について、イスラエル側から関与を裏づける具体的な証拠は国連側に提示されていないというふうに語っています。しかし、その職員の雇用を継続した場合に、国連への影響を懸念をして、疑惑の段階で解雇に踏み切ったと説明をしております。

 こうした段階で拠出を停止するというのは人道に反しているというふうに思います。是非、全ての、もう既に補正予算で予算は確保をされているわけですから、今すぐUNRWAへの拠出を再開し、食料、水、医療など、命を守る人道支援を行うべきです。

 もう一つ、重大な問題として質問させていただきます。イスラエルを支援しているアメリカに殺傷能力のある武器を輸出しようとしている問題です。

 資料三、パネルを御覧いただきたいんですけれども、政府は、昨年十二月二十二日、武器輸出のルールを定めた防衛装備移転三原則と運用指針の改定を閣議決定いたしました。改定した運用指針の第一弾として、地対空誘導弾パトリオット、PAC2、PAC3のアメリカへの輸出を決定いたしました。このPAC3などは、私の地元である愛知県の小牧市、三菱重工小牧北工場で造られているというふうに言われております。

 運用指針の中では、ライセンス元国がほかの国に再輸出をする場合、現に戦闘が行われていると判断される国への提供を除外するとしましたが、そもそも、日本が殺傷能力のある武器を輸出しようとしているアメリカはどうなのかという問題があります。

 資料四、御覧いただきますように、アメリカの武力行使の一覧です。これはアメリカの連邦議会に報告をされたアメリカの武力行使の近年のものです。二〇一八年一回、二〇二一年二回、二〇二二年一回、二〇二三年六回、そして、今年に入ってまだ二か月にもなっておりませんけれども、五回も武力行使を行い、そのうち三回はイギリスと武力行使を行っております。この後にも、ニュースなどが載っておりますので、また議会に報告されるかもしれません。

 そこで、長官にお伺いしたいんですけれども、アメリカは現に戦闘が行われていると判断される国ですねということを端的にお示しをいただきたいと思います。

林国務大臣 今お尋ねのペトリオットミサイルの我が国からの米国への移転、これにつきましては、昨年の十二月二十二日に、防衛装備移転三原則及び同運用指針に従い、国家安全保障会議で審議をいたしました。この審議において、米国において武力紛争の一環として現に戦闘が行われていないと判断をいたしました。

 その上で、国際的な平和及び安全への影響、米国と我が国の安全保障上の関係等を考慮して、慎重に検討した結果、海外移転を認め得る案件に該当するということを確認したところでございます。

本村委員 国連でも、アメリカの行動は国連憲章に違反をしている、国際法に違反をしているという指摘が各国から行われております。それを、戦闘が行われていないと判断する、本当におかしいというふうに思います。

 他国の領土内で一方的に軍事攻撃をしかけることは、各国の主権や領土保全の尊重を定めた国連憲章や国際法に違反をしています。アメリカはこうした国連憲章や国際法に違反した行為を行っております。

 もう一つ、長官にお伺いしたいんですけれども、アメリカは紛争当事国ですね。

林国務大臣 武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国、これに該当するか否かは、仕向け国・地域における戦闘の規模や期間等を踏まえて、個別具体的かつ総合的に判断をしております。

 この規定でございますが、仕向け国、すなわち本件の場合はアメリカということになりますが、武力紛争の一環として現に戦闘が行われているか否かに係る規定であり、日本政府としては、米国において武力紛争の一環として現に戦闘が行われているとは認識をしていないところでございます。

本村委員 本当におかしいというふうに思いますよ。各国から、国連憲章に違反をしている、国際法に違反をしていると言われているのに、戦闘を行っている国ではないという判断は本当におかしいというふうに思います。異常だと思います。

 もう一つお伺いしたいんですけれども、防衛装備移転三原則で、移転を禁止する、武器輸出を禁止する場合に、三つございますけれども、その中にある紛争当事国、括弧、国連の安全保障理事会が取っている措置の対象の国というふうになっていますけれども、その対象の国というのはどこでしょうか。

林国務大臣 現時点におきましては、防衛装備移転三原則上の紛争当事国、すなわち、武力攻撃が発生し、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため国連安保理が取っている措置の対象国は、基本的に存在しないと考えております。

 これまでの例としては、朝鮮戦争における北朝鮮、これは安保理決議第八十二号、八十三号、八十四号でございますが、及び、湾岸戦争におけるイラク、これは安保理決議の第六百六十号、六百七十八号でございますが、そうした例が挙げられます。

本村委員 今はこの防衛装備移転三原則で禁止をする紛争当事国はないということが明らかになりましたけれども、本当に抜け穴だらけの三原則であるというふうに思います。赤十字の国際委員会は、六十以上の国が紛争当事国というふうに言っております。しかし、この三原則は紛争当事国がゼロというので、本当におかしいというふうに思うんです。

 最後に、指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 パネルを、資料六を見ていただきたいんですけれども、いま一度立ち返るべきだということで、資料を出させていただきました。

 一九七六年、三木内閣の際に、実質的に全地域向けに武器輸出は禁止をされました。この衆議院の予算委員会での議論を踏まえて、政府統一見解として三木武夫総理が読み上げたのが武器輸出に関する政府方針です。

  「武器」の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによつて国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとし、その輸出を促進することはしない。

こういうふうに書かれています。

 その後、国会では、一九八一年、武器輸出の問題等に関する決議がなされました。

    武器輸出問題等に関する決議

  わが国は、日本国憲法の理念である平和国家としての立場をふまえ、武器輸出三原則並びに昭和五十一年政府統一方針に基づいて、武器輸出について慎重に対処してきたところである。

  しかるに、近時右方針に反した事例を生じたことは遺憾である。

  よつて政府は、武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもつて対処すると共に制度上の改善を含め実効ある措置を講ずべきである。

  右決議する。

というふうに書かれております。

 元内閣官房副長官補の柳沢協二さんは、国際環境が激変し、戦争の危機が現実に高まっているからこそ、紛争を助長せず、平和解決を目指すことに平和国家としての価値がある、日本はその道を貫くべきだというふうにおっしゃっておりますけれども、本当にそのとおりだというふうに思います。

 岸田自民党、公明党の政権は、多くの犠牲の下に作られた平和憲法を踏みにじっています。戦争を助長する、紛争を助長する方向に日本の国の形を変えようとしています。世界にとっての私はこれは害悪だというふうに思います。

 子供たちの未来を奪う暴挙であり、一刻も早い退陣を強く求め、質問を終わらせていただきます。

小野寺委員長 これにて本村さんの質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十二日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

    ―――――――――――――

   派遣委員の石川県における意見聴取に関する記録

一、期日

   令和六年二月十六日(金)

二、場所

   ANAクラウンプラザホテル金沢

三、意見を聴取した問題

   令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 小野寺五典君

       亀岡 偉民君   小森 卓郎君

       橋本  岳君   牧島かれん君

       牧原 秀樹君   若林 健太君

       渡辺 博道君   梅谷  守君

       奥野総一郎君   近藤 和也君

       漆間 譲司君   奥下 剛光君

       佐藤 英道君   高橋千鶴子君

       田中  健君

 (2) 意見陳述者

    石川県知事       馳   浩君

    七尾商工会議所会頭

    株式会社スギヨ代表取締役社長         杉野 哲也君

    石川県商工会議所連合会会頭          安宅 建樹君

    石川県内灘町長     川口 克則君

 (3) その他の出席者

    予算委員会専門員    齋藤 育子君

    財務省主計局主計官   小野 浩司君

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

小野寺座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の小野寺五典でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 まず、今回の能登半島地震により犠牲となられた方々に対し、衷心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。

 私自身、十三年前の東日本大震災の被災者でもあります。一日も早い復興に全力を尽くしてまいります。

 会議に先立ち、内灘町における液状化発生現場及び一・五次避難であるいしかわ総合スポーツセンターを訪問いたしました。

 当委員会では、令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算の審査を行っております。

 本日御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党・無所属の会の橋本岳君、牧島かれん君、亀岡偉民君、小森卓郎君、牧原秀樹君、若林健太君、渡辺博道君、立憲民主党・無所属の奥野総一郎君、梅谷守君、近藤和也君、日本維新の会・教育無償化を実現する会の漆間譲司君、奥下剛光君、公明党の佐藤英道君、日本共産党の高橋千鶴子君、国民民主党・無所属クラブの田中健君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 石川県知事馳浩君、七尾商工会議所会頭、株式会社スギヨ代表取締役社長杉野哲也君、石川県商工会議所連合会会頭安宅建樹君、石川県内灘町長川口克則君、以上四名の方でございます。

 それでは、まず馳浩君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

馳浩君 本日は、小野寺委員長を始め衆議院予算委員会の皆様には、地方公聴会のために石川県までお越しいただき、また、発言の機会をいただき、ありがとうございます。

 政府におかれては、発災直後から、救命救助活動、行方不明者の捜索、物資輸送、給水活動など、多大なる御尽力をいただいております。

 また、政府の現地対策本部には、古賀副大臣を本部長として長期にわたり現地に派遣いただき、県を支えていただいております。

 こうした政府による支援がなければ、今の状況までにはなっておりません。また、なりわいと生活支援パッケージの決定や、政府の復旧・復興支援本部の立ち上げなど、復興に向けた迅速な対応にも改めて感謝申し上げます。

 石川県でも、二月一日に復旧・復興本部を立ち上げ、復興にしっかりと取り組んでいく体制を構築しました。今後、更なる御支援もお願いしたいと存じます。

 それでは、今回の地震の被害、被災地の状況、現在の課題などについて説明申し上げます。

 資料の一ページを御覧ください。

 元日に発生した令和六年能登半島地震は、輪島市と志賀町で震度七を観測するなど、未曽有の大災害となりました。

 地震発生直後から、国や全国の自治体、自衛隊、消防などからの支援を得て、人命救助から始まり、物資の支援、道路などインフラ復旧、避難所等での生活支援、住まいの確保など、フェーズごとに生じる課題に日々取り組んでいます。

 図にあるように、能登地方は、一昨年から群発地震が続いており、令和四年六月に震度六弱、令和五年五月に震度六強の強い地震が発生するなど、短期間に三度も大きな地震に見舞われました。こんなことは全国的にも例がないのではないかと思います。懸命に立ち上がろうとしている方々は再起への意欲を失いかねず、強力な支援が必要です。

 スライド二ページを御覧ください。

 被災の状況の写真です。住家の倒壊、火災、道路決壊、水道破断、山崩れ、津波、漁港の隆起、液状化による家屋被害など、多大な被害があったことがお分かりいただけると存じます。

 資料三ページを御覧ください。

 次に、被災者の状況です。能登地方を中心に、道路、上下水道などのインフラが甚大な被害を受け、現在も一万三千人が避難所での生活を余儀なくされています。

 山がちな半島の先で起こった災害であることから、道路の寸断により数多くの孤立集落が発生したこと、上下水道被害による衛生環境の悪化、感染症の蔓延など、一次避難所での生活環境が非常に厳しい状況となりました。こうしたことから、災害関連死を防ぐため、多くの方に、一旦、金沢市以南のホテル、旅館などの被災地域外への二次避難所に移っていただきました。

 被災地から百キロ以上も離れた二次避難所で今も五千人以上が避難生活をしていることが今回の特徴の一つです。三月十六日には北陸新幹線が県内全線開業となり、多くのホテルなどでは二月末から三月末までが一つの受入れ期限となることから、今後の住まいをどう確保するのかが課題です。

 また、午前中見学いただいたスポセンは、当初、二次避難所への中継拠点として設けましたが、御覧になられたように、要介護の状況にある人がたまっている状況にあります。介護施設への移送を懸命に調整中です。

 住家被害については、まだ全容把握に至っておりません。資料の一般世帯数と全壊戸数を見ていただければ分かると思いますが、奥能登ではかなりの住民が家を失っています。

 資料四ページを御覧ください。

 こうしたことから、住まいの確保が最大の課題です。現時点で、開設は五十八戸、着工済みが二千三百戸です。三月末までに四千戸の着工を目指しています。

 仮設住宅については、まずはスピード重視で、迅速かつ大量に供給可能な従来型のプレハブ住宅の建設を進めています。今後、市町のニーズに基づき、木造長屋の町づくり型、いわゆる熊本モデル、木造戸建て風のふるさと回帰型、いわゆる石川モデルも順次建設することとしています。熊本モデルと石川モデルについては、地域コミュニティー維持にも資するものであり、市町を通じて地域の方々のニーズを丁寧に把握したいと思っています。

 資料五ページを御覧ください。

 道路網については、能登は平地が少ない半島の先であることから、道路決壊、崖崩れなどが多数発生し、多くの通行止め区間が生じました。孤立集落が発生する要因ともなりました。

 現在、自衛隊の御尽力や国による権限代行などもあり、当初八十七か所あった通行止め区間は五十三か所まで減少しています。のと里山海道や能越自動車道といった幹線道路についても啓開が進んでいます。政府の御支援に感謝したいと思います。

 資料六ページを御覧ください。

 目下最大の課題が上下水道の復旧です。仮設住宅を建設しても、水道が通じなければ日常の暮らしは戻りません。

 国、日本水道協会から多大なる支援をいただいて、発災当初から比べれば大きく状況は改善していますが、現在も奥能登の自治体では大部分で断水が続いています。復旧の見通しは二月末から三月末というところが多く、関係機関と連携して何とか早期に上下水道一体で復旧させたいと思います。

 資料七ページを御覧ください。

 のと里山空港の滑走路などにも被害が生じました。応急復旧を行い、去る一月二十七日からは週三便で民航機の運航を再開しました。

 鉄道については、金沢―和倉温泉間については、JRの七尾線であり、既に復旧しています。その先の穴水までは、第三セクターののと鉄道が運営しております。奥能登の高校生が通学などで利用しておりますが、大きな被害が生じており、JRや国交省とも懸命の復旧活動を行っていただいております。昨日、途中駅である能登中島駅まで運行再開しましたが、全線再開は四月上旬の予定です。

 八ページを御覧ください。

 ここからは、能登の創造的復興に向けた、なりわいの再建についてお話しします。

 能登には、豊かな食、自然景観、素朴な人情、世界農業遺産、日本遺産のお祭り、温泉など、多くの魅力があります。これは、農林水産業、伝統産業、観光産業などの特色あるなりわいや長い歴史、文化が複合して形成されたものであり、これらの再建なくして能登の復旧復興はないと考えています。

 資料九ページを御覧ください。

 農林水産業は、能登の人口の一割が就業する基幹産業の一つです。地震前から、高齢化による離農や荒廃農地の増加など、大変厳しい状況にあります。

 こうした中、農地、農道、ため池、林地、林道、漁港などの生産基盤に加え、農業機械や畜舎、木材加工設備、漁船などに大きな被害が生じています。

 被災した事業者や農林漁業者が将来に希望を持って、なりわいの継続、再建に取り組めるよう、応急支援、復旧支援、事業再開・継続支援の各段階ごとに全力で支援してまいります。

 資料十ページを御覧ください。

 伝統産業など被災中小企業が再建を果たすには、失った施設設備等の再建を財政的に支援する必要があります。この点については、先般、国が被災者の生活となりわい支援のためのパッケージを早期に決定いただいて、多くの支援メニューが措置されています。これを最大限活用して、中小企業の再建を応援します。

 昨日、早速、これを活用した県の予算案を発表しました。ハード面では、国と県で事業費の四分の三、最大十五億円まで支援するなりわい再建支援補助金、ソフト面では、被災した事業者が行う販路開拓や商品開発などに対して、国の助成に加え、国の補助対象となっていない中小企業の取組に対し県が独自に支援をすることとしました。

 また、輪島塗を始めとする伝統工芸は、能登の特色ある産業の一つです。こうした世界に誇る我が国の大事な財産の再建を支援するため、国が輪島塗や七尾仏壇などの国指定の伝統的工芸品を対象にし、県が珠洲焼、七尾和ろうそくなどの県指定の伝統的工芸品、希少伝統的工芸品を対象に、国と県が連携して、事業の継続、再開に必要な道具や原材料の確保などに係る費用を支援します。

 資料十一ページを御覧ください。

 観光面では、発災以降、被害が甚大であった能登地域のみならず、金沢や南加賀地域においても宿泊キャンセルが相次ぎ、県内の主要温泉地と金沢市内の主要ホテルで、先月末時点の一月から三月分のキャンセルが六〇%超の約三十万人泊と、大きな影響を受けています。

 こうした状況を踏まえ、国の支援パッケージに旅行代金の割引を行う北陸応援割による需要喚起策が盛り込まれたところであり、県としてもこの支援を最大限活用します。

 実施時期については、二次避難されている方や、復旧支援のために全国から駆けつけたインフラや行政関係者の宿泊状況も踏まえつつ、国とも相談しながら決定します。

 なお、被害の大きい能登地域については、今後の復興状況を見ながらとなりますが、より手厚い旅行需要喚起策を是非お願いしたいと思います。

 資料十二ページを御覧ください。

 発災後一か月となる今月一日には、能登半島地震復旧・復興本部を立ち上げ、復旧業務と並行して、将来の復興に向けた取組も開始しました。

 必ず能登に戻す、単なる復旧にとどめず、人口減少など課題を解決しつつ、能登ブランドをより一層高める創造的復興を目指すを理念に、能登の豊かな食、自然景観、素朴な人情、世界農業遺産、日本遺産、トキの放鳥、温泉など、能登のブランドの魅力がより一層高まるような復興を目指してまいります。

 最後に、今回のような、拠点都市から離れた、過疎、高齢化が進む地域での大災害は、産業の維持、人口流出、地域介護など、徐々に進む課題を一気に顕在化させました。これは、今後、日本の多くの地方が直面する課題でもあり、能登の復興は我が国の課題であると思います。委員の皆様方には、こうした観点から、是非とも御支援を賜りたいと存じます。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺座長 ありがとうございました。

 次に、杉野哲也君にお願いいたします。

杉野哲也君 七尾商工会議所の会頭の杉野でございます。

 一月一日、能登半島地震から一月半が過ぎたところでございますが、その間、皆様含め多くの方々の御支援を賜りまして、この場をおかりし、感謝を申し上げる次第でございます。しかし、これから長い長い復旧復興の闘いが始まるんだなという思いが、身が引き締まる思いでいっぱいでございます。

 それで、災害以来、私ども商工会議所といたしましては、齋藤大臣、そして馳知事、選出国会議員、県会議員、七尾市長・議長様等に救済支援措置の要望書を提出して要望活動を行ってきたわけでございます。

 その要望書の主な内容を四つ、かいつまんでお話しさせていただきますと、一つ目は、能登半島振興ビジョンの策定ということが一つ、二つ目が、雇用調整助成金の金額の増額と期間の延長、三番目が、被災された事業所への積極的な金融支援、四番目が、なりわい再建支援補助金の上限額の増額をお願いするというようなものでございます。

 皆さんも御存じのように、能登半島には、一次産業ほか、製造業を含めていろいろな産業が多々あるわけでございますが、特に観光に類する産業というのが随分多くございまして、これにつながっているわけですね。ですから、観光が壊滅しますと全部の産業が止まってしまうというぐらいの基幹産業であるということで、特にこの観光の復旧復興について今からお話しさせていただきたいというふうに思っております。

 今回の震災で今後観光客が落ち込んでいくのは明らかでございまして、その落ち込んだ観光客の回復と能登の早期回復を図るために、石川県は、能登半島復興ビジョンの策定と県庁の組織再編、観光連盟の強化ということで、能登復興部設置等、馳知事様が積極的に能登観光の振興に取り組んでいただいているところでありまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。

 先般、二月一日に、被害を受けました珠洲、輪島、七尾の三商工会議所が、会頭がリモート会議を実は行いました。その際に、能登の観光の中心、特に宿泊に関しましては、和倉温泉の復興が能登全体の観光の振興につながる、そして、復旧には関係者の宿泊施設が必要であり、その拠点となるのがまさしく和倉温泉であるということで、いち早く和倉温泉を復旧復興することが肝要であるということで意見が実は一致いたしました。

 今後、三商工会議所は定期的に会合を持ち、また商工会を含めまして連携して、能登が一つになって、時間の経過とともに変化する要望、地域的には格差がありますが、的確にそういう情報を県並びに国にお伝えしてお願いしていくということで合意したところでございます。

 また、和倉温泉には、実は二十六館の旅館、ホテルがございます。直接の雇用で約一千百人、間接的な雇用も入れますと二千人の方が働いているわけでございます。さらに、宿泊業はたくさんの関連企業とつながっておりまして、このようなことを考えますと、和倉温泉の復興は能登の観光や経済の活性化に非常に重要なことであるということが改めて分かるのではないかなというふうに思っております。

 和倉温泉での今回の地震による被害は、建物については、かなりの旅館、ホテルは深刻な被害を受けております。さらに、海沿いの旅館、ホテルは、護岸の崩壊によりまして大変危険な状態でございます。護岸の所有関係も複雑になっておりまして、国、県による一括した早期全面復旧を希望している次第でございます。

 このように、スポーツ施設、関連施設を含めますと、和倉温泉全体で被害総額は約二千億から三千億見込まれております。自力で再生は非常に困難であるというふうに言えるのではなかろうかと思っています。

 ハード整備を補助するなりわい再建支援補助金は一事業所で一施設になっているわけでございますが、複数施設を所有している事業所、特に旅館、ホテル業につきましては、一施設ごとの支援を実は希望しているわけでございます。さらに、熊本地震のときより物価が大変高騰しているわけでございます。いろいろなものが高くなっておりますので、それに対応した上限額の増額も希望しているわけでございます。

 次に、人の問題でございますが、建物の再建や修繕には長い期間、例えば取壊し、そして建築ということで、約三年間必要ではないかというふうに言われております。さらに、この北陸以外は大変好景気なわけでございまして、人手不足であるというところが過去の地震と少し違うんじゃないかなというふうに思っています。現在の雇用調整金の制度ですと、従業員を引き止めておくことは大変難しい。ですから、どんどんどんどん流出してしまうという不安があるということでございます。

 被災事業者の状況や物価高騰状況を鑑みますと、雇用調整金の支払いについて、被災事業者の負担をなくして、上限を一万五千円から、さらに、三百日は短いので更なる延長を希望しているわけでございます。

 現在、和倉温泉におきまして、国、県、市、経済共に、二十年から三十年の創造的復興ビジョンの策定を、将来に責任が持てる和倉温泉の若手経営者、商業者を中心に今、取りかかっております。

 以上、現状をお話ししましたが、被害を受けた事業所を取り巻く環境は大変厳しく、廃業する理由は山のようにあるわけでございます。現在このときも、事業経営者は継続か廃業か深く思い悩んでいるわけでございまして、継続にかじを切ってもらうために、できるだけ早く、希望が持てる結論をお願いしたいというふうに思います。

 最後にちょっと、奥能登から、今の現状がどうなっているか、簡単にお話し申し上げます。困り事ということで伺っております。

 まず、輪島では、今後の町の形成について伝統産業の集積地整備をお願いしたいということと、二番目が、熊本地震の際、復興プログラムでは地震保険が事業費に強制的に充当されるようで、モデルによると、保険加入者と非加入者の自己負担を比較すると保険加入者の優位性がほんの僅かである、地震保険の元が取れない、保険を財源とした非補助対象としての自由な発想を阻害していると。それなのに復旧後は保険加入が強制されるようで、強制的な事業費充当制度を再検討していただきたいというお願いがある。

 それから、珠洲の方では、自衛隊のお風呂の増設であるとか、又は民間浴場の公費復興による増設をお願いしたいということ。そして、一昨年から続く地震が三回実は続いているわけでございまして、その三回を一体として考えてもらえないかというような要望も実は来ています。前回のやつでは三百万ぐらいしか出ていないんですね。ですから、そのやつがまた、今回のやつはある程度、十五億というようなことで出ているんですけれども、地震が三年連続続いているので、三回連続続いているので、これをひとつ見てくれないかということをお願いしているわけでございます。

 そして、一枚目のページに和倉の状況が出ています。

 時間がございませんので、あと簡単にもう一つ。次に出ているのが、これは水産練り製品の会社。実は、この数字的なやつはなかなか取れませんので、これは我が社のやつなんですけれども、これで何が言いたいかということは、これも、こういうことをやるといったら、復旧するときにはやはり十五億円超えちゃうよということなので、是非この辺のキャッチアップの仕方をいろいろ考えていただきたいというふうに思います。

 それから、もう一つだけ最後に言いますと、今、人口がかなり流出していますので、どうしてもDX化を進めないと製造業は難しいんです。そのためには、どうしても、IoTとか、製造でやりますと、その補助金が、今の補助金ではほとんどソフトに対しては出ていません。少ない額しかないものですから、数千万から一億というふうにかかりますので、是非新たな制度創設を要望したいというふうに思います。

 以上でございます。よろしくお願いします。(拍手)

小野寺座長 ありがとうございました。

 次に、安宅建樹君にお願いいたします。

安宅建樹君 石川県商工会議所連合会の安宅でございます。

 衆議院予算委員会地方公聴会において、発言の機会をいただきました。本当にありがとうございます。

 一月一日に発生した地震により被災されました多くの中小零細企業の皆さんの声を御参加の国会議員の先生方にお伝えし、一日も早い復旧復興ができますよう御支援をお願いいたしたいと思います。

 そこで、まず第一点としましては、被災地域の産業の現状について少しお話をさせていただきます。

 能登は、輪島塗に代表される伝統工芸、能登杜氏により受け継がれた酒造り、和倉温泉や朝市に代表される観光産業、さらには世界農業遺産、能登里山里海で知られる農業、漁業、またそれを基盤とする食品関連産業が営まれておりまして、過疎が進む地域ではありますが、伝統と自然に恵まれた心豊かな土地であります。

 一次産業以外の業種について現状を申し上げますと、甚大な被害を受けた輪島市では、観光の名所である朝市通りにおいて、広範囲に及ぶ火災が発生しました。壊滅的な被害が発生したところでございます。発災から一か月半が過ぎまして、輪島朝市の灯を消してはいけないということで、金沢に避難している方々の一部の組合員が立ち上がりまして、金沢市の漁港地域の人々と連携して、イベント形式の朝市を開催するというような計画も進んでおります。

 また、世界に誇る伝統工芸輪島塗につきましても、朝市の火災によりまして輪島漆器商業協同組合の十三社が焼失するなど、工房、設備、木地、漆など原材料の破損により、事業継続が極めて難しい状況にあります。しかしながら、最近では、若手が中心になりまして、事業再建のための支援金募集あるいはクラウドファンディングというものを立ち上げて、復活に向けて少しずつ取組が進んでおるところでございます。

 また、奥能登の酒造メーカー十一社は、全ての酒蔵や店舗が全壊、半壊の被害を受けておりまして、今期の酒造りは厳しいと聞いておりますし、来年以降も非常に厳しいことだということを聞いております。そういう中でも、一部被害を逃れた蔵の酒の商品化、あるいは金沢の酒造メーカーが協力して新商品を出したいというような動きも出ておるところでございます。

 また、本県観光の拠点であります和倉温泉は、本当に全館が被災しておりまして、私も現場を見てきましたけれども、なかなか建物の被災状況というのは厳しいものがあります。今ほど杉野会頭からもいろいろお話がありました。本当に、和倉温泉は能登振興にとって不可欠なものであるということは、みんなが認識していることだと思います。そのためには巨額の資金が必要なことは明らかでありまして、特段の支援が必要だと思います。地元自治体だけではなくて、ここは国が中心になって強力な支援をお願いしないと、和倉温泉の復興はあり得ないというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、杉野さんもそうですけれども、食品製造業も能登の大変重要な基幹産業でございます。製造ラインの損壊、断水の影響も非常に大きいところでございます。また、食品関係は、大手に加えて、小さい企業もたくさんございます。そういう企業が大きな雇用を創出している、雇用にとっては非常に重要な産業であります。そういうことによりまして、早期の再開が望まれているということでございます。

 また、七尾市の一本杉商店街を始めとしました各市町には、住民の生活を支える商店街が存在します。その多くが被災し、全壊、半壊も少なくありません。住民が安心して生活できるよう、生活インフラとしての商店街の復活は不可欠であります。力強い支援をお願いしたいと思います。

 以上が一点目の能登地域の主な産業の現状でありますが、いずれにしましても、全ての産業、商売が大きな被害を受け、大変厳しい状況にあります。なりわいと雇用をどう立て直すか、立て直すことができるのか、そういう非常に岐路に立った正念場の今状況だというふうに御認識をいただきたいというふうに思います。

 二点目は、被災事業者への支援についてでございます。

 国においては、早々に被災者の生活となりわい支援パッケージをお示しをいただきました。特に事業再生に関しての、なりわい再生支援補助金等、手厚い支援メニューを御用意いただきました。一刻も早くこの支援を、被災事業者に届くように願っておりまして、商工会議所も今、国、県、全国の商工会議所と連携しまして、近々、能登空港を中心にした、あそこに相談拠点も設ける予定でございますけれども、そういうことで、被災事業者の補助申請が円滑に進むように、全力を挙げてサポートしております。

 そこで、支援制度は極めて厚いものになっているのでありますが、特別の場合を除きまして、相当の自己負担が必要になります。被災地域は、皆さん御存じのとおり、今出ておりますけれども、三回被災を受けておりまして、その間にコロナの被災も、コロナは被災と言いませんけれども、コロナ禍も影響を受けております。借入金の増加、売上げ減少等によりまして企業の体力は著しく低下しているというのが現状で、自己負担を求めるのは非常に厳しいという状況でございます。このまま自己負担が増えれば、廃業が増えていくということも大変危惧されておるところでございまして、支援内容の更なる充実と要件緩和をお願いしたいというふうに思います。

 また、加えまして、既存債務につきまして、東日本大震災時と同等の債権買取り支援、こういうものによる二重債務問題の対策を強く要請いたしたいと思います。

 また、度重なる災害によりまして被災事業者の心が折れかけているというのは、本当に、我々も数日前から相談を受けておりますけれども、非常に皆さん、そういう方が多いというのが現状でございます。我々商工会議所としては、全力でサポートして、何とか御商売を続けていただきたいという思いで伴走支援しておりますけれども、そういう中で、本当に申請時は様々な添付書類が求められて、大変申請するのに時間がかかったり、なかなかできなかったりという状況でございます。皆さん、津波、火災によって多くの会社の資料も失っているというようなことで、本当に申請にとって重い負担になることが予想されておりますので、是非、申請手続の簡素化もお願いしたいというふうに思います。

 支援につきましては、以上でございます。

 また、次は、三点目は、本県全体の観光関係の現状。

 これも知事からもお話がありましたけれども、地震後は、能登はもとより、金沢、加賀温泉で多くの宿泊キャンセルが発生しております。人数は、今ちょっと時間がございませんので申し上げられませんけれども、二十万、三十万というキャンセルが生じておるところでございます。

 また、発災以降、新年会など飲食を伴う会合が全て中止になるなど、外食をちゅうちょする雰囲気が広がっております。飲食店の打撃も相当大きいということでございます。

 そういうことで、我々としましては、被害の少なかった金沢以南で何とか経済を回して、能登の復旧復興を後押ししていきたいというふうに考えておりまして、商工会議所もその先頭に立っていきたいというふうに思っておりますけれども、何か起爆剤が欲しい。是非、起爆剤になるようなものを御検討いただければというふうに思っております。

 最後になりますけれども、復興について少し申し上げたいと思います。

 今回の地震は、規模はさることながら、津波、火災、それから何回も地震を受けている、また、半島で発生している、過疎が進行している、大変、我が国の災害史上、極めてまれな、深刻な地震災害ではないかというふうに考えております。

 そういうことでありますけれども、厳しい現状でありますけれども、また一方では、それに加えまして、希望の持てる復興に向けて、町づくりや産業再建などの重層的なビジョンを描くことが大切ではないかな、明るい未来を見せて皆様に元気を出してもらう、そういうことも必要なのではないかなというふうに思っております。

 我々も主体性を持ってこの議論に参加していきたいと考えておりますけれども、是非、国の英知を結集して、この課題に取り組んでいただきたいと切に望んでおります。

 被災地は、人口減少と高齢化が進む過疎地でありますけれども、歴史と伝統に根づいた文化が息づき、心豊かな日本の原風景が広がる地域であります。最近では、若い人々がUターン、Iターンによってこの地に住み、地域に溶け込んで生き生きと生活されている方も増えてきております。

 珠洲市では、震災以前から、自動運転の実証実験、あるいは地域通貨やキャッシュレス決済などの取組が進められておりまして、これからの町の再生には、新しい技術を使って、高齢化社会が目指す安全で安心な住まいと便利な社会システムを備えた町づくりと、なりわいの確保を実現し、住んでみたいと思えるような理想の田舎づくりを理念にしてはどうかというふうに考えております。

 復興は時間との闘いになると思います。インフラの復旧は最優先でございますけれども、なりわい、流通、教育など、同時並行的に様々な課題への取組が求められております。是非とも力強い御支援を心からお願い申し上げまして、意見陳述とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺座長 ありがとうございました。

 次に、川口克則君にお願いいたします。

川口克則君 内灘町長の川口でございます。

 本日、このような機会をいただきましたことに、まずもって御礼を申し上げます。

 初めに、内灘町を簡単に紹介いたします。

 資料一を御覧ください。

 内灘町は、石川県のほぼ中央、能登への玄関口として位置し、東西二・九キロ、南北九キロと細長く、西側に日本海、東側には河北潟に挟まれた、砂丘の上に形成された町でございます。

 次に、今回の地震による内灘町の被災状況について御説明いたします。

 資料二を御覧ください。

 今年一月一日に発生した令和六年能登半島地震で、内灘町では最大震度五弱を観測しております。発災当時、約七千世帯が断水し、一千八百人余りが避難所へ自主避難いたしました。

 発災三日後の一月四日には六千世帯の断水が復旧いたしましたが、町の南北を横断する県道、主要地方道松任宇ノ気線沿いを中心に、地震による液状化の影響を受け、地盤の隆起や沈下、横ずれといった現象が見られ、建物や道路、さらに地下に埋設している下水道管や水道管などが損壊するなど、甚大な被害となっております。

 幸いにも、今回の地震においては大きな人的被害はございませんでしたが、家屋については約千五百棟近くが被災し、発災から一か月半となった今なお、三百十世帯の断水が続き、下水道においては今も八百六十世帯が使用不能あるいは使用制限となっております。

 避難者につきましては、現在、三十二世帯六十五人が避難所での生活を送っている状況でありますが、被災地域では今なお、危険で傾いた自宅で生活している方もおられます。

 次に、今回の地震で、本町で極めて特徴的な液状化現象についてお話しいたします。

 資料三を御覧ください。

 今回の地震では、震源地から約百キロメートル離れた当町においては、地震による液状化の現象が町内各所で見られております。冒頭でもお話しいたしましたとおり、内灘町は砂丘地に形成された町であり、今回、その砂丘地の周縁部となる地域に液状化の現象が多く見られております。

 一般的に、液状化の起こりやすい場所としましては、地下水位が高く、地層の緩い埋立地や砂丘地の縁といったところが液状化が起こりやすい場所と言われております。まさに今回、本町においては、砂丘地の縁の地域、さらに、河川に近い地域で液状化が発生したものと考えられます。

 資料四を御覧ください。

 町の北部地域においては、砂丘地の緩やかな傾斜もあることから、地盤の流動が重なり、西荒屋地区では最大四メートル近くの地すべりが見られております。西荒屋、室地区では、建物の応急危険度判定で約四割が危険と判定されるなど、建物や道路に大きな被害となっております。

 資料五に幾つか写真を掲載してございますので、御覧ください。

 現在、国において今回の地震における液状化の調査を進めていただいており、来月末までには調査を終えると伺っております。その調査を踏まえ、今後の対策方針について、国からの財政支援も含め、助言をいただきたいと考えております。

 続けて、今後の復旧見通しについてお話しいたします。

 資料六を御覧ください。

 町では、こうした状況を踏まえ、土地や上下水道などのインフラ整備の一刻も早い応急復旧を進めており、上水道については、日本水道協会の応援協力により、二月末までには県道部の配水本管の応急復旧を目指しております。下水道についても、国や関係団体の御協力により、断水解消に合わせて、三月末までに県道部の応急復旧を進めているところであります。

 しかしながら、今回の地震においては、先ほどから申し上げているとおり、町北部の地域においては、液状化による地面の隆起や沈下、さらに横ずれといった現象が見られており、道路や宅地とも、高さが大きく変化し、なおかつ、用地の境界も分からない状況になっております。

 道路や下水道の本格的な復旧を図るためには、まずは土地の測量から始め、用地の高さの基準をどれぐらいとするのか、さらに、液状化の対策などの課題があります。

 そうした中で、道路や上水道などのインフラ整備を一体的に進めるには、国や県と一緒に復旧事業を進める必要があると考えております。国や県に対して、御支援していただきますようお願い申し上げます。

 また、その土地で今後住み続けるためには、液状化対策が必要でございます。

 今回、特に被害の大きかった町北部地区は、都市計画における市街化調整区域となっており、高齢化率が約三八%と、町の中でも高齢化が進んでいる地域であります。こうしたことから、被害者の方からは、先が見えないなどの声がよく聞かれます。高齢者の方もこれからも安心して住み続けられるように、まずは応急仮設住宅の建設、さらには、数年先を見据えた復興住宅や公営住宅の建設を視野に考えていかなければなりません。

 また、その地域一帯の液状化の対策に当たりましては、国における液状化の調査分析結果を踏まえ、区画整理事業のようなインフラ整備と宅地を一体的に整備するのか、個々の宅地とインフラを個別に復旧するのかなど、複数の方策を検討する必要がございます。

 いずれにいたしましても、まずは町として、具体的な方策を複数示し、地域住民の皆様の御意見を踏まえ、進めていかなければならないと考えております。

 その方策の検討に当たりましては、土地利用の規制などについても新たな見直しや緩和など、国や県の御支援をいただきながら、今後も若い世代が住み続けられるように、新たな町づくりを進めていきたいと考えております。

 最後に、被災者への支援についてお願いがございます。

 資料七を御覧ください。

 今回の地震において、当町における被害状況等についてこれまでお話ししてまいりましたとおり、地震本来の揺れではなく、液状化による建物や道路などが甚大な被害となっております。

 町においては、家屋の被害が千五百棟近くとなり、現在、罹災証明の調査を進めているところであります。現在、八割近くが一次調査を終え、そのうち半壊以上が全体の約四割を占め、残り六割が準半壊、一部損壊となっております。

 国や県の被災者生活再建支援金制度では、住宅の半壊以上に対しましては支援金が交付されますが、準半壊以下になりますと、市町独自の制度となります。

 また、今回、町においては、住宅被害はもとより、地面の隆起や沈下、横ずれなどの地盤の被害が大きく、地面を改良するには十分な支援を得られず、今後の生活を心配する声が多く聞かれております。

 これまでも、国内において多くの地域で地震による液状化の現象が見られておりますが、今回は、液状化に加えて、地盤の流動といった現象が見られております。

 今回の内灘町における被害を新たなモデルケースとして、被災者に対する今後の支援金の在り方や、今回、奥能登への支援金増額といった話もございますが、対象地域を拡大いただきますようお願いを申し上げます。また、罹災証明の算定方法、さらに、土地に対する耐震化の補助制度など、国においても検討いただきますようお願いを申し上げ、私からの意見陳述を終了させていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

小野寺座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

小野寺座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。若林健太君。

若林委員 自由民主党、長野一区衆議院議員の若林健太でございます。

 まずは、今回の能登半島地震に当たって、亡くなった方の御冥福と、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 大変な中を今日はこうして陳述人の皆様方にお越しをいただいたことに、感謝申し上げます。

 私の住んでいる長野市も、実は、令和元年東日本台風で大変な災害を受けました。今回のような地震とは違いますけれども、台風災害の中で、実は、石川県からもたくさんの御支援をいただいたところで、今回被災された珠洲市の役場の職員の方も、三年間にわたって長野市で災害廃棄物の処理等でずっと御支援をいただいたということであります。

 我々は今、あのときの恩をしっかり北陸に返さなくちゃ、能登に返そう、こういうことをみんなで誓い合っているところでありまして、ようやく災害ボランティアの受入れも始まったようでありますから、是非しっかり応援してまいりたいというふうに思いますし、能登の皆さんに、希望を失わないように、しっかり頑張っていただきたいというふうに思うところであります。

 長野市の職員も、実は、環境省の災害廃棄物処理支援員制度、人材バンク制度を利用して、既に何名か入らせていただいておりまして、帰ってきた職員の方からもいろいろなお話を聞いてまいりました。今、まだ発災して一か月ちょっとですが、この先、膨大な災害廃棄物が発生をして、この処理というのが大きな問題になっていくんだろうというふうに思っております。

 そこで、まず、行政側ということで、馳知事と川口町長にお伺いしたいと思うんですが、この災害廃棄物の対応についてどのように現状見通しをされているのか、そのことを一つお伺いしたい。

 それから、今、東日本大震災のときに宮城県の知事が経験をされたということで、松島方式というので提案をされておられるやり方があると。災害を受けた皆さんにボランティアとして災害廃棄物の種別をやっていただいて、リサイクル率を上げていくというようなやり方があるんだというようなことをおっしゃっていました。そういった取組、いろいろな、災害の中で知恵が出ていると思うんです。そういうのをどう捉えているのかということを、二点目、お聞かせいただきたい。

 そして、長野市の経験でいくと、今、仮置場というのが多分指定をされて、取りあえず仮置場にどんどんどんどん災害廃棄物が寄せられていくということになっていくんだと思うんですが、この仮置場、実は、しっかり養生してやっていかないと、後で復旧に物すごいコストがかかってしまった、こういう反省があるということでありました。その辺をどんなふうにしっかり取り組んでいただいているかということをお聞きしたいというふうに思います。

 珠洲市に行った職員の話を聞くと、今回の災害はとても規模が大きくて、罹災をされた人たちがまさに役場の職員であって、自ら大変な思いをしながら、車中泊をしながら実は復旧復興に取り組んでいる、こういうお話を聞いて、疲弊こんぱいしている市の役場職員等もいらっしゃると。やはり周辺の自治体からの支援というのを、今もやっているわけですけれども、もっともっとしっかり手厚くやっていかなきゃいけないんじゃないか、こんな話がありました。そんなことについて、それぞれ行政の立場でどう思っておられるか、お伺いしたいと思います。

小野寺座長 若林君、答弁を求めますか。順次聞いていただいた方がいいと思います。

若林委員 まずは、じゃ、そのお二人に。

馳浩君 ありがとうございます。

 まず、災害廃棄物処理方針ですが、令和八年三月を目途に処理をしたいと。したがって、県内だけでは到底間に合いませんので、全国の事業者にも協力いただいて、今後、計画を立てて、陸路で運んだり海路で運んだりしながら処理をしたいと考えています。その上でも、職員が足りませんので、事業者も、いわゆる災害廃棄物としての処理業者、全国から御協力をいただくとなっております。

 また、当然、分別、リサイクル方針というのは立てておかないと、仮置場でまさしく分別をして、それで一気に持っていって処理をする、またリサイクルをする、こういう方針を立てております。仮置場の養生については、十分に御指摘を踏まえて対応します。

 また、全国から被災地の自治体に対口職員として一千名を超える方々に入っていただいており、本当に感謝しております。この方々にも、この方々の居場所、宿泊場所、また被災した市町職員の居場所、こういったことについても順次整えて、安心して、少し休みを取りながら災害対応できるようにというふうに対応しているところです。

 以上です。

川口克則君 内灘町です。

 内灘町のごみ行政といいますと、河北郡市といいまして、かほく市、津幡町、内灘町の一市二町で広域処理を今している状況で、この地震のごみについては、今のところ、自分たちの広域の埋立場とかリサイクルとか、そういうことをして処理をしたいと思っております。

 また、仮置場につきましては、私どもに、蓮湖渚公園という公園がありまして、そこの調整池を利用しまして、その床に鉄板を敷きまして、そこでリサイクルもして処理をしております。

 また、私ども内灘町というのは金沢市と隣接しているものですから、宿泊については余り心配のないところでございます。

 以上でございます。

若林委員 ありがとうございます。

 長野市はあの台風災害で三年かかって災害廃棄物の処理を終えたということでありまして、これから息の長い対応が必要だと思いますので、是非頑張ってもらいたいと思います。

 経済界からお二人の皆さんに来ていただきました。

 これは東日本大震災のときもそうでしたし、私どもの台風災害のときもそうですが、被災された事業者の皆さんに対してグループ補助金という形で支援をするという国の制度があって、ただ、これはなかなか申請が大変で、商工会議所や中小企業団体中央会、商工会などが事務局になってしっかりやってもらいました。そのときにも、被災した経験を持った団体から職員が派遣をしていただいて指導してもらいながら取り組んだということで、これから、会議所や、あるいはそういった商工団体の占める役割というのは非常に重要だというふうに思っております。その点について今後どういうふうな取組を考えているかということを一つ教えていただきたい。

 それから、先ほどもちょっとお話ありましたが、なりわい再建事業ということで国としての支援をしているところですが、とりわけ雇用対策について、再建に向かうまでの人材流出をどう食い止めるのか、極めて重要な課題だというふうに思います。具体的にどんな課題があるかということをお聞かせいただきたい。

 最後に、杉野陳述人から和倉のお話を伺いました。私も、和倉のあの護岸について様々課題があるというのを伺っています。所有権がなかなか複雑である、どうやって、再建の主体が誰になるのかということについての課題を背負っていると伺っていますが、もし何か意見があったらお聞かせいただければと思います。

杉野哲也君 お答えします。

 商工会議所といたしましては、連合会、安宅会頭の方とも十分接触しながら、基本的には伴走型で是非支援していきたいなというふうに思っています。そういう面では、全国から、もちろんほかの商工会議所から支援を受けまして、大体、毎日、七尾では三名ぐらい入る予定でございます。それで計画しておりますけれども、時期によってはもっと多く人数が必要になってくるんじゃないかなと。

 それから、どういう助成金が出るのか、補助金が出るのかというようなところも、なかなか理解し難い方々も随分おられますので、その辺のところをしっかり相手の立場に立っていろいろ支援していかないとなかなか難しいだろうというふうに考えておりますので、この点ではかなり忙しくなっていくんじゃないかなというふうに思うのが一点。

 それから、人口流出の件ですけれども、これがもう一番頭が痛いところですね。

 和倉温泉では、ほとんど温泉関係は結構長く止まっています。ですから、地元に、もう七尾にいなくて、流出しちゃっているんですよね。この人たちが帰ってくるか帰ってこないかというのは、先ほども僕も言いましたけれども、もっといいところがあれば行ってしまうという可能性がかなりあるのと、それから、私どももそうなんですけれども、外国人もかなり帰っている方が、半分以上います。この人たちは、何年か働いて、ある程度所得がある方々で、帰らない人というのはほとんど、来たばかりで、借金抱えているから帰れないという人たちが多いんですけれども、そういう面でいうと、その人たちも、帰ってくるとは言っていますけれども、帰ってくるのかどうかなというような不安感がかなりあるということでございます。

 ですから、極力止めながら、あとはまた戻ってくるような施策を打たないと、若しくは、新しく定住しようというような人がまた現れるようなビジョンを描かないと、これは一朝一夕ではいかないなというふうに、これが一番重要なキーポイントだというふうに考えております。

 それから、和倉の件でございますが、これは大変頭が痛いことなので、これは市の持ち物であったり、国であったり、県であったり、いろいろまだらになっているんですよね。ですから、これを一回やはり、一本でこの復旧をやってもらわないと、時間がたてばたつほどまた削れてきますので、また倒壊というようなことが始まる可能性があるので、これは和倉温泉の方々もみんな望んでおりますので、是非、一度に、一括してやっていただきたいということを希望します。

 以上です。

安宅建樹君 なりわいというか、その補助金の申請等も、二月に入りまして少し落ち着いた頃から徐々に始まっております。

 まず、能登に三つの商工会議所がありますが、その商工会議所そのものが被災しておりまして、なかなか立ち上がれずに、二月に入ってようやく少し体制も整えて、今始まったばかりだということでございます。

 現在、七尾の方には県内の南部の方からの支援も入っております。それから、今度、近々、能登空港のところに総合的ないわゆる相談所というものが立ち上がってきまして、ここには、一番先に声をかけてくれているのが日本商工会議所の小林会頭なんですね。自ら全部の、全国の商工会議所に声をかけていただいて、そして応援体制は十分に整えていただいておるんですけれども、残念ながら、応援に来ていただいても、寝るところも食べるところも何もないんです。

 ですから、ようやく今、県の方で、能登空港のあそこにそういういろいろな相談の拠点をつくっていただくということでございますので、そういうところに今、熊本であるとか神戸であるとかそういうところの皆さんが応援に来てくれるということで、順次充実したものになっていくというふうに思っております。

若林委員 ありがとうございます。

 限られた時間の中ですが、最後に、国政の大先輩でもある馳知事に、今回、本当に、東日本大震災以来の大災害を受けて、知事としてまさに陣頭指揮を執っていかなければならないということだと思います。国としても、東日本大震災以来の復旧・復興支援本部、これを立ち上げて、総理が本部長となって取り組んでいるところでございます。

 国へ、とりわけこういった支援が欲しいと特段要望することがあれば、知事からお話をいただきたいと思います。

馳浩君 お答えします。

 もう、一点です。

 今現在、古賀副大臣に県庁に常駐をいただいております。やはり私としては本当に心強くて、加えて、政府、霞が関の皆さんが二百名近く県庁に常駐していただいております。したがいまして、私もそうですが、県庁職員も、政府の職員と日常的に情報共有しながら、必要な、例えば支援パッケージ等についての相談をして、同時に、被災した市町との連携もさせていただいております。

 できれば、この方々に一日でも長くいていただきたい。当然この方々にもお仕事がございます、人事もあると思われますが、いわゆるローテーションで一定程度の期間、私どもの、まず、復旧の段階を過ぎて復興の段階に入れば当然戻っていただくことになると思いますが、この復旧、応急復旧の段階においては県庁内に常駐していただけると瞬時に対応できますし、また、国交省には、七尾市の方に拠点としての事務所をつくっていただいて、四、五十名がここに常駐していただけるとも聞いております。

 インフラのことも考えますと、こういう御支援は本当に感謝しておりますので、いつでも、いわゆる相談、また決裁を含めて対応できるようにしていただけると助かります。

若林委員 以上で私の方の質問を終わりたいと思います。

 大変な思いをされていると思います。それぞれのお立場で、是非また復旧復興に、将来に希望を持って取り組んでいただきたい、私どもは私どもの立場で精いっぱい応援をしてまいりたい、そう申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺座長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 近藤和也でございます。

 今日はどうもありがとうございます。

 地震が起きてから一か月半になります。今まで御奮闘いただいている皆様には心から敬意を表します。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、杉野会頭に伺います。

 今回の地震がなくとも、コロナ、資源高、人手不足等々があり、そしてゼロゼロ融資の本格返済がいよいよ始まるという段階での今回の被災でございます。実際には、取引先同士が被災をして、取引がもう消えてしまうというような事業者の方もいらっしゃると思いますし、売掛金が回収できないというようなことも十分あるのかなというふうに思います。

 現状でのこの七尾の中での事業者同士の困ったという声、具体的に教えていただければと思いますし、先ほどの資料二のところは、少し時間がなくて余り説明し切れなかったのかなというふうにも思いますので、資料の二のところを通じて、そして具体的なお話をしていただければと思います。

杉野哲也君 事業に関しましては、実は、大きな影響を受けていない事業者もたくさんおられるんですけれども、活動をしようと思うんだけれども、要は、インフラが、特に水がないということで、特に魚屋さんなんかは仕事ができないというようなことを含めて、実際はできる環境にあるんだけれども一部のインフラの状況でできないというようなことがありまして、これが、かなり皆さんが戸惑っている、歯がゆいといいますか、そういう気持ちでいられる話をよく聞きました。ここへ来て大分水が通ってきましたので、大分そういう話もなくなっていますけれども。

 取引のいろいろな細かい問題に関してはまだ私どもには入っておりませんけれども、近藤先生がおっしゃるようなことは実際起きるだろうなということは十分に予測がつきます。この辺のところは、やはり商工会議所が間に入りながら調整をしていかなければ駄目だろうなというふうに思っております。

 それから、私の最後の二枚目の件でございますけれども、復旧をするといっても、特にこの三番目の一部の、三工場のうちの一つは、実は海側にある工場で、これはかなり隆起した、今ちょっと話がありましたけれども、落ち込んだり、それからずれたりということが実際起きています。それから、中が空洞化したり。

 実際、調べてみますと、工場としては次に地震があった場合には危険だということで、これを工場として使ってくれるなというようなお話もあるので、実は、今の地震で耐えたところも、次の地震に耐えられるかというところが物すごく危惧されるところがあって、免震構造を持っている、例えば恵寿病院さんというのは免震構造を持っているんですけれども、これも免震構造の下に二重、三重、何か吸収するものがあるらしいですけれども、一回受けたら取り替えなきゃいかぬとか、それから、要は、一回はもつけれども二回目は無理だというのが随分あるので、これを再建するときにどれぐらいの逆に言ったらお金をかければいいのか。

 普通の建物を建てますと、大体免震で二倍から一・五倍の建設費がかかると言われているわけですよね。そこまでいかなくてもかなりのコストアップになる部分を、今の本当に元々高くなった建築費の中で、なりわいの補助金の中で本当に収まる企業がどれぐらいあるのかなと。それから、中堅以上になると恐らくないでしょうけれども、中堅以下、小規模企業のところはそれはいけるかなと思いますけれども、そこのところは大体、一階がお店で二階が住まいであるとか、そういう方々もたくさんいられてなかなか難しい、そういう問題が一方であるのではないかなというふうに思います。

 以上でございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 先ほど内灘町長のお話にもありましたけれども、土地の整備に関して事業者や個人がどこまで負担できるのか、しなければいけないのかということは、これは今後、国としても大きな課題ではないかなというふうに思います。

 それでは、北陸応援割について伺いたいと思います。こちらは、安宅さん、そして川口町長、そして杉野さんの順番で伺いたいと思います。

 こちらも、私が最初聞いたときには、ありがたいなという思いと、特に金沢がもう混雑しているということはある程度聞いていたので、これはまた大変だな、その両面あるというふうには感じました。

 そして、その中で、現在、石川県でも様々な議論、知事も板挟みで大変だというふうには思いますけれども、私も能登の方で聞きますことは、この時期をどうしてずらせなかったのか、今の時期で四月、五月、三、四、五でやる必要はあるのかという声はかなりいただきましたし、北陸応援の中に能登は入っていないのか、そういう厳しいお叱りの声もいただきました。

 この点から、この北陸支援割についての、特に安宅会頭には、金沢や南側の方々の御意見はどういったことがあるか、そして川口町長には、金沢の近くの自治体としての、どのような皆様の声があるのか、そして、七尾の立場として杉野さんからはお話を伺いたいと思います。

安宅建樹君 今ほどの北陸応援割につきましては、新聞等でもいろいろと、馳知事が一番板挟みになっておられるんだと思いますし、その板挟みの状況というのは本当に、どっちも守らなくちゃならないというか、そういう中での板挟みなものですから、なかなか解決の仕方が難しいんだろうと思いますけれども。

 やはり宿泊業界はいろいろなことで、金沢は、県外からの支援の方々とかそういうことで、結構ホテルがいっぱいなんですよね。ただし、そのホテルの値段は低く抑えてやっておいでるというような状況でございますので、本音としましたら、是非、そういう応援割を使って、そして東京から、あるいは関西から、来ていただけるお客さんに来てほしいというのが本音だというふうに思いますけれども、なかなかその本音を言いにくいというのが現状だと思います。

 宿泊施設以外の観光業者は、応援の方々というのはほとんど、夜中に帰っておいでてコンビニでお弁当を買ってきて食べられるぐらいで、余り飲食店に行かれるということが、もう飲食店は閉まっている場合も多いので、余り飲食店その他、観光全般には、今の状況は恩恵に浴していない。是非、ゴー・トゥー北陸というのでたくさんの観光客に来ていただいて、昼間食事をしたり、お土産を買ったりということになってほしいというのが本音なんですけれども、なかなか、二次避難者の方々に対して厳しいことを言って、我々はこうだというのは言いにくいというのが現状だろうと思いますので、その辺は、今、県の方も一生懸命、仮設住宅を造ったりしながら、そういう二次避難の方々の行き先を確保しながら、できるところから進めていくというような、そういう方法は取らざるを得ないのかなというふうな気がしております。

 ですから、是非、石川県が遅れてやるということではなくて、できるところからやっていくという今の県の方針については、私は、そういうやり方で、できるところはやっていくし、今の、実は先週の連休なんかも、以前ほどではないですけれども、近江町市場も町の中も結構にぎわいが出てきました。半分ぐらいまで戻ってきているのかなと思いますので、皆さん結構SNS等で、金沢大丈夫だ、加賀温泉大丈夫だという話が出ていますので、ゴー・トゥーをしていただけると、結構その辺にたくさん来ていただけると思いますので、その辺をバランスよく進めていくことが必要じゃないかなというふうに思っております。

川口克則君 観光の話なんですけれども、私どもの町といったら、宿泊施設というのが一か所だけ町営でありまして、そこが今避難所になっておるんですよ。ですから、やはり町としたら、観光よりも避難所の方が優先するべきものですので、そういうスタンスを取っております。

 あと、飲食店の人たちの話を聞きますと、この地震で、当初、内灘という名前が出てこなかったんですよ。みんな奥能登の方に目が行っていたんですよ。それで、一月の中頃ぐらいですか、内灘の液状化がひどいというニュースになりまして、そうしたら、今度、内灘の液状化といったら、先ほど視察しましたとおり、あの県道沿いだけなんですよ。ですから、金沢医科大学の周りの医科大通りというところが一切被災していないんですよ。そこの飲食店が風評被害で新年会とかそういうのをほとんどキャンセルされたという話も聞いていますし、それで、今、やっても、なかなか飲食店に入りづらい雰囲気があるんですよ。こんなに地震で被害を受けたのに何やんやというような。

 そういうこともありまして、ここは、私自身、じっくりと、日を改めてやればいいかなと思っております。

杉野哲也君 近藤先生はよくもう御存じだと思いますけれども、それどころではない、観光客はもう来るはずがないという、いろいろ愚痴はありますけれども諦めのような気持ちを皆さん持っておりますし、要は、日銭を稼ぐ仕事がないということで、キャッシュが欲しいと。

 ある旅館では、旅館の皆さんがおっしゃるのは、キャンセル料だけでも何か補助金が出るような形を取れないかなとか、そういう面では、お金の出入りが全くないものですから、その辺のところをいろいろおっしゃる方もいますし、それにつながっている小規模事業者はますます仕事がないということで、一時、一部、マルシェとか、みんな、若い人たちが立ち上げて、お店を開設したり。

 そこで、しかしながら、ただで配るものがいっぱいまだ来ていますので、それと、お金を取って経済活動をするというのはなかなかまた難しい問題が、隣でただで配られてこちらはお金を取るというと、何かおかしい感じが。でも、この経済活動を何とか回すようにしていかないとやはり活性化しませんので、この辺の折り合いをどうやってつけていくかということが一番大きな課題じゃないかなというふうに思っています。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 それでは、支援金の在り方について伺いたいと思います。

 川口町長からもお話がございました被災者生活再建支援金の足らない部分、補えない部分を町で、そして、県も恐らく考えていただいている部分もあると思いますが、新たな支援金ということで、実質倍増に、六十五歳以上の方々、そして七尾、志賀町以北の三市三町のみという現状で、内灘町も入らないということでございます。

 その町民の方々の声もかなり町長に出てきているのではないかなと思いますので、その声と、これに関連しまして、知事には、総理も、今、予算委員会で、さすがに、年齢で、そして地域で区分けするのはよくないのではないかということに対して岸田総理は、石川県知事と相談をしながら、場合によっては関係自治体とも相談をしながらということも答弁をされていますが、実際にどういった相談があったのか。そして、その相談の自治体の中で、県のみならず、三市三町のみならず、ほかの自治体、内灘を含め宝達志水や羽咋、中能登など、これらの自治体、かほくもそうですが、こういったところに実際相談が行っているのかどうか、若しくは県から相談をされているのか、こちらについてお二人に伺いたいと思います。

川口克則君 支援金、先ほども私ちょっと公述の中で言いましたとおり、町民の皆様から、やはり、何で能登の六つの市町が三百万、六百万になるとかという話があって、何で内灘がならぬのや、そういう話をよく聞きます。私も、これはちょっと不思議でなりません。

 今日皆さんに見ていただきましたとおり、液状化、それと側方流動、重なった場合にああいう大変な状況になるということを、やはり国の方でもう少し議論をしていただきたいなと思っております。

 あと、県の方からはまだそういうお話はございません。

馳浩君 まず、この被災者生活再建支援制度の財源の半分は都道府県の拠出金なんですね。したがって、ここをまずいじるとしたら、全ての都道府県の御了解を得なければいけない。

 そういった中で、私も一月半ば過ぎに直接、総理と鈴木財務大臣に電話しました。足りない、何とかしてほしいという中で、政府内でも検討いただいたというふうに認識をしています。

 その中から、まずはということで、奥能登の六市町はやはり水が行かなかった、それから過疎化の問題、様々な事情があって高齢者が多い、こういった中での生活再建、お住まいの再建ということに関しての一定の配慮をいただいたというまず認識を持っています。

 これが報道を通じて出たときに、中能登町から内灘町までの市町の首長さんが、うちも大変なんだ、何とかしてほしいという要望をいただきました。おっしゃるとおりだと。だけれども、全国的に今までの災害の前例も見ながら、今回特に奥能登の六市町の状況が甚大だということでの、一定の総理の判断を迅速にいただいたと私は思っています。

 加えて、高齢者や障害者だけではなく、若者、子育て世代も将来に不安を感じなくて、つまり人口流出しないように何とかしてほしいということから、いわゆる住宅ローンの金利の補填制度についての検討を始めたと聞いておりまして、じゃ、それについては県とも制度上の相談をしながら進めて調整をしていきましょうと。現在こういう状況になっております。

 改めて、中能登町以南の中能登、口能登の皆さん方からもこういった御要望はいただいておりますので、やはり一定の配慮があればな、こういうふうに思っております。

近藤(和)委員 時間がもうありませんので、最後に質問したいと思います。

 創造的復興という知事が掲げられた言葉、これは大変大事だというふうに思っています。一方で、なりわい支援金では一番分かりやすいんですが、あくまでも原状回復ということなんですね。原状回復では創造的復興にならないのではないか、こちらを突破していかなくてはいけないというふうに思っております。

 そこで、事業者の代表として杉野会頭、安宅会頭に、こちらについて、もうちょっとこうすべきだということがあればお答えをいただきたいと思います。

杉野哲也君 先ほどもちょっとお話ししましたけれども、それぞれが今、復興ということで、和倉なら和倉が、若い人たちがいろいろ組んでいるわけでございますけれども、ただ、能登全体のビジョンを描いたというやつがまだできてはいないんですよね。

 恐らく県も、今、馳知事の方でも、これから新しい組織の中でそういうものをつくっていこうと。それに対する私どもは夢とかロマンとかを我々なりにつくって、県の方に具申していこうというふうに思っています。そういう中でもう少し整理されて、奥能登もそれから和倉温泉も中核としてやはり観光がつながっていかないと、お祭りもそうですけれども、過疎化したときに同時にやることというのは、もうまさしく自分の首を絞めているようなものですから、もう少し合理的にお祭りもやる。それから、ちゃんとした観光ルートも、能登全体でいろいろつくっていきながら、あらゆる選択肢が取れるというようなところとか、まだまだやらなきゃいけないことがいっぱいあろうかと思います。

 そういう面では、若い力をやはりより引き出して、今、最後になりますけれども、能登の、我々の商工会議所の青年部であるとか青年会議所、そして、珠洲、ほかの商工会議所の青年部であるとか青年会議所を含めて、若い人たちで一回そういうようなビジョンを語る場をつくっていきたいというふうに思いますことと、そういうことをきちっと取りまとめて、単に整理するだけじゃなくて新しい絵を描けるような方が是非一人欲しいなというふうな思いでいて、これは、齋藤大臣がいらっしゃったときには、そういう人を何人かつけてもらえませんかというようなお願いもした次第でございます。

 以上です。

小野寺座長 安宅建樹君、恐縮でありますが、時間がもう経過しております。簡潔に答弁をお願いいたします。

安宅建樹君 はい、分かりました。

 なりわい再生支援補助金というのは、もちろん原状復帰ということですが、和倉温泉の現状を見ますと、今の上限の十五億、そういうものでほとんど原状復帰は無理だというふうに思いますから、全く新しい、発想を変えて、そういうなりわい補助金じゃなくて、町づくりのための何か制度をつくっていただいてつくっていかないと、とてもじゃないけれども和倉温泉は復活しないと思いますし、珠洲の町をつくるにしても、原状復帰で家を戻してそれでいいのかということになりますので、是非、日本の縮図をつくっていくんだというような、そういう新しい観点から国の方で発想していただければいいかなというふうにお願いをしたいと思います。

近藤(和)委員 どうもありがとうございました。

小野寺座長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の漆間と申します。

 本日は、本当にお忙しい中、ありがとうございます。

 まず、川口町長にお伺いいたします。

 道路やインフラの復旧に当たって、区画整理なども含めてたくさん、国や県に支援をいただきたいということでありまして、先ほど、具体的には土地利用の規制緩和であったり液状化の研究であったり調査をしっかりやってほしいということでありましたが、具体に、ほかにどんな支援を県や国に求めたいか、ほかにありましたら、是非おっしゃっていただければと思います。

川口克則君 率直に言いまして、私、権限代行でやっていただきたい、それだけです。なかなか町ではできるような状況でございませんので、是非お願いしたいと思っております。

漆間委員 ありがとうございます。

 あわせて、住民の方に様々な選択肢をお示ししたいということもおっしゃっていただいた、川口町長にですけれども、おっしゃっていただいたんですけれども、今現在のところで、本当に、午前中見て、様々な状況があるということは私も認識しているんですけれども、住民の方からはどういった意見が多いとか、こういった意見があるとかというのはあるんでしょうか。お聞かせいただければと思います。

川口克則君 住民の人たちといったら、一か月か二か月で復興できるのでないか、そんな頭でいますよ。もう一か月半たったから少し進んだのかなとか、そういう頭でいますけれども、熊本地震ですか、あのときにも液状化がありまして、その液状化云々するのに七年かかるとか、そういうお話も聞きました。

 だから、私は、町民の皆様には、腰を据えて少しやらぬと、これはすぐにはできぬぞと。それで、皆さんでやはり今後の、宮坂、西荒屋、室地区ですか、そこは復旧でなく復興まで考えて計画をみんなで立てていきたい、そういうお話はしております。

 以上です。

漆間委員 川口町長、さらに、そうしますと、先ほど、個々でやるか、インフラと一体で宅地ということもおっしゃっておりましたけれども、やはり、インフラと一体で全て長期的にやっていくという方向になってくるんでしょうか。

川口克則君 正直言いまして、一体的にやるというのは難しいんじゃないかなとも思っております。

 あの液状化の中には、家屋に全然被害のないところが何軒かあるんですよ。その方々をどうするかというのが一番の問題で、ちょっとこれは語弊がありますけれども、全壊のところばかりでしたらすぐにできると思うんですけれども、中にはそういう方もおいでる。それで、家を建てる財力もないという方も多分おいでるんじゃないかなと思いますので、今後、この辺、ゆくっと時間をかけてお話をして、一番いい方法を取りたいなと。

 全体的に考えぬでも、一部一部でもいい話ですよね。十軒なら十軒、二十軒なら二十軒で云々という話でもいいのではないかなと思っていまして、時間をかけて進めたいと思っております。

漆間委員 ありがとうございます。

 続いて、馳知事にお伺いいたします。

 阪神・淡路大震災で、先日予算委員会であった議論なんですけれども、阪神・淡路大震災が起こってから、いまだに兵庫県に関してはその財政的な負担があって、それが重くのしかかっているという議論があったんですけれども、今回、復旧に関しては今国が重点的にやっているかと思うんですけれども、長期的な財政への懸念事項みたいなものはあるかということと、それに対して国からどういった支援があればありがたいかということについて、お伺いさせていただきます。

馳浩君 二点申し上げたいと思います。

 新年度の予算編成、また令和五年度の補正予算、震災対応で組んで、昨日、県議会に対してもお示しもし、記者発表したところであります。

 財政調整基金を大幅に取り崩して、いわゆる手持ちのお金すらほぼ尽きるというふうな状況で、しかし、それは当然、県民の生活支援となりわい支援とを考えたら当然のことだと思って、思い切ってそこまでやりました。

 今般の支援パッケージ、また補正予算を含めて、累次の対応をしていただきました。それをしっかり使わせていただくということが、まず最初にやるべきことだと思います。

 中期的に見れば、国も新年度予算でありますけれども、できればどこかの段階で基金をつくっていただいて、その基金を元手に、国の補助金とか負担金でできない部分のそういったところを対応させていただければと。過去、東日本大震災でも熊本地震でも、基金方式、これは取崩し型の基金方式もされておりますので。

 しかし、今目の前に、やるべきことはやります。支援パッケージをしっかりと打ち込んでいきたいと思いますし、これに対しては、今朝、総理からも、支援パッケージ、予備費を使った形ですが、更に何かあったら早く言いなさいという、こういう御指示もいただきました。

 これをしっかり積み上げながら、そして県としての長期的な財政も考えると、一方、復興特需も一つあるんだろうなと思っています。しかし、これが税収として入ってくるのは二年後の話です。この間をどうつなぐか、抜本的な県の財政を長期的にどう考えていくのか、このことは、改めて県議会の皆さんとも協議しながら、県庁内において、これまでの東日本大震災や熊本地震等の事例を参考にしながら、財政再建計画も立てていきたいと思っています。

漆間委員 ありがとうございます。

 馳知事にもう一つ、ちょっとぼんやりとした質問なんですけれども、再起への意欲を失わないようにということで、初めにおっしゃっていただいたんですけれども、これは長期的に、やはり再起の意欲を失わないようにしていくためには、これまでもたくさん、やはり新しい希望を持てるような話だったりとか創造的復興とかいうことがあるんですけれども、県民の皆様に向けて、再起への意欲を失わないためにはどういったことが重要なのかということをおっしゃっていただけますでしょうか。

馳浩君 これは二つありますよね。

 まず、被災された住民の声を徹底的に聞くということはまず必要です。勝手に、創造的復興と言いながらも、押しつけではあってはいけないという考え方は大事にします。

 二つ目は、これはやはり文化的な力というのは大きいと思います。

 私も、ちょっと象徴的ですが、日本遺産として能登のキリコ祭りがございます。よく近藤先生も参加されていただいております。こういった祭りというのは、象徴的な、能登の皆さんにとっても生きがいでもあるんですよね。祭りのときにはふるさとに帰ろう、みんなでお祝いをしよう、ふるさとを守っていこうという。そういう意味では、こうした文化的イベントをしっかりと打ち込んでいく。

 また、能登にはSSTRというイベントがあったり、能登のマラソンもあったりします。いろいろな、お祭りだけではない、文化的イベントもございますので。また、今度、トキの放鳥が一応二年後に内定しておりまして、この準備もしております。世界農業遺産としてのブランドを目的とした能登牛とか、のとてまりとか、おいしいお米もたくさんございます。

 こういったことをやはり取り戻そう、そのために生産活動に入ろう、若い方にもやはり呼び込みをしていこうと。こういった魅力を、元々あるものを更に訴えていく、そういう姿勢を私どもはお見せをしながら、やはり能登をみんなで守り、そしてみんなで祭りで集まろうじゃないか、こういうふうにかけ声をかけながら、残念ながら一旦ふるさとを離れざるを得ない状況になったかもしれないけれども、我々行政としては、必ず能登を守る、もう一回祭りができるようにしよう、そういう姿勢で取り組みたいと思います。

漆間委員 ありがとうございます。

 特に、馳知事にもう一度お伺いいたしますけれども、文化的イベントをしっかり守って続けていこうというお話は本当に感動いたしました。国としてそこを支援できることというと、北陸割だとかというのもあると思うんですけれども、ほかにどういったことがあると思われますでしょうか。

馳浩君 実は、今年一月一日から東アジア文化都市事業をやることになっていましたが、こういう状況なので返上しました。できればまた三年後にこれをやりたいなと思っています。

 あるいは、これも、ガルガンチュア音楽祭という、これは金沢中心ですが、全県で行っている音楽イベントがございます。これは能登の復旧復興に向けてやろう。

 更に言えば、三・一六、北陸新幹線の敦賀開業がございますので、これは金沢や南加賀だけではなくて、能登の復興を応援するために、能登にも目を向けていただこう。そのためにも自然環境を含めて能登を復活させよう。

 また、能登はおいしいお酒も食べ物もたくさんございますので、これを消費で応援をしよう。

 こういったキャンペーンをどんどん打ちながら、やはり経済も回していきながら、そして、能登の被災者は弱者というだけではなく、被災者も共に参加をして経済活動に取り組んでいく、この姿勢をやはり示していくことが必要ではないかと思っています。

漆間委員 更に馳知事にお伺いしたいんですが、文化的イベントのほかには、あとスポーツとかもあると思うんですけれども、スポーツに関しても何かあったりするんでしょうか。

馳浩君 かつて、昭和四十年代に能登駅伝というのがあったんですよ、大学の駅伝で。ところが、余りにも過酷過ぎて、実は十年ほどで、これはちょっと無理だなといって陸連の大学の皆さん方がちょっと諦めたんですが、私は、ある意味でいえば、今こそ、能登にはツール・ド・のとという自転車もあります。SSTRという、バイクで朝日を太平洋側で見て、その日のうちに能登にやってきて能登で夕日を見ようというイベントもあります。これは一万三千台を超えるバイクがやってまいります。とか、能登駅伝で大学生の若者たちに能登を三日間かけて走っていただく、これは二十四区間三百キロを超える壮絶な駅伝があったんですが。

 私は、むしろ、こうやって見てください、これが日本の原風景でありますと、そういったことは挑戦はしていきたいなと思っていますが、ただ、大学陸連の立場もありますので、むちゃなことは言いませんが、そうした、能登に来れば能登の人の、能登のすばらしさが分かると自信はあります。しかし、それをしかけていかないといけないのじゃないのかなと思っています。

漆間委員 ありがとうございました。

 続きまして、杉野会頭、安宅会頭、お二人にお伺いしたいと思います。

 先ほど、今、様々な国の支援パッケージがあるけれども、例えば一施設ごとでなかったりとかという不備があるということをおっしゃっていただきました。

 私は大阪選出なんですけれども、大阪でもコロナのときに、大阪で事業所があって大阪の支援の仕組みがあっても、実はその人が神戸に本社を持っていると支援がないだとかという、コロナの当初は、そういった仕組みの不備というんですか、本当に助けが必要な人に助けが行かないような状況があったんですけれども、今の段階でそういった具体的な、ほかに困っているけれども今の国の支援では助けられないような方々の声というのは何かあるんでしょうか。教えていただきたいと思います。

杉野哲也君 もう大体申し上げたんですけれども、特にやはり和倉温泉が多いですね。和倉温泉は規模がでかいものですから、今の範囲内で済むところは逆に少ないんじゃないかなというふうに思っています。先ほども言いましたように二千億に近い被災を受けていますので、単に復旧するだけでも大変なんだけれども、単に復旧しても意味がございませんので、その辺のところを考えると、なかなか難しい課題。

 それから、先ほど安宅会頭もおっしゃっていたとおり、何だっけな、ちょっと忘れました。まあそういうところですね。

安宅建樹君 ちょっと具体的に、今ちょうどこの支援の相談が始まったところでありますので、具体的なことはちょっと言えませんけれども。

 まず、今、杉野さんがおっしゃったように、額的に、今のなりわい補助金ですか、あれが十五億ということでございますけれども、それで十分に対応できないようなものがあるということ。

 それから、これからいろいろ相談があるんでしょうけれども、さっき申し上げた、少なくとも、四分の三とか三分の二とか、制度によって違いますけれども、それぞれ自己負担が必要であります。自己負担を、金融機関とか、それを通じた信用保証協会であるとかそういう、またいろいろな金融支援も打ち出してはいただいてはおるんですが、いずれにしても、政府の補助金以外はみんな、金利ゼロでお貸ししますみたいな話なんですが、必ず返さなくちゃいけない。十分に前の債務もあるのにまた債務を負ってやっていくことが可能かどうかというようなことは、各事業者の方が今真剣に考えて、そして、この先の見通しと、借入れしても返済できるのかとか、そういうことを今一生懸命考えている方もおいでるし、あるいは、まだそこまで全く行っていない方もおいでますけれども、そういうことを我々商工会議所は具体的な数字を検討しながら御提案したり説明したりしていくというのを、今、この一週間ほど前から始めたばかりでございますので、そういう状況でございます。

漆間委員 最後に、川口町長にお伺いいたしたいんですけれども、先ほど近藤委員の方からも質問がありましたけれども、やはり今の支援金の話なんですが、限定的過ぎるということで住民の方の御不満の声がありましたけれども、ほかに何か、今の、限定的過ぎることについて不満の声などありましたらお教えいただけますでしょうか。先ほどおっしゃっていただいたことぐらいですかね。

川口克則君 そうですね、先ほど言ったとおりと、もう一つあるのが、うちは流動化していますので、要は、罹災証明といったら建物だけじゃないですか。それを是非、液状化の場合には土地の部分も含めて審査していただきたい、そういう何か法律を変えていただきたいなと本当に思っております。この際変えていただきたいなと思っております。

漆間委員 以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺座長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 本日は、貴重な御意見、大変にありがとうございます。

 私、地元は、今は北海道でございます。北海道胆振東部地震を体験しております。また、生まれ故郷は、委員長と同じ宮城県、名取市でありまして、一千人以上の方がお亡くなりになり、また行方不明の方もいらっしゃいます。

 先ほど、内灘町の、それこそ川口町長さんの御案内で被災地現場を視察をさせていただきました。復旧が進んでいる一方で、改めて私は被害の大きさを痛感をいたしました。

 改めて、能登半島地震で犠牲になられた皆様に哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 早速質問させていただきたいと思います。

 何といっても、皆様方の地域は伝統工芸産業の地であります。その支援について、まずは安宅会頭、杉野会頭にお伺いをさせていただきたいと思います。

 石川県には、輪島塗、山中漆器、加賀友禅、九谷焼など、三十六品目の伝統工芸の工芸品がありまして、最近では新しいライフスタイルに合った物づくりにも力を入れていると伺っております。七尾においては、仏壇や和ろうそくも作られております。また、伝統工芸産業の被災事業者が事業継続、再興を断念することのないように、材料や道具などのきめ細かな支援というのは断じて必要であると痛感をしているところであります。

 そんな中で、石川県におきましては、伝統的工芸品の販路拡大、開拓を図るとして、いしかわ伝統工芸フェア二〇二四を主催され、今日、本日から東京国際フォーラムで開催されると伺ってもおります。

 伝統工芸産業への支援は、やはり重要な課題の一つであります。安宅会頭、杉野会頭から御意見をいただきたいと存じます。

安宅建樹君 今のお話ですと、被災地の伝統工芸ばかりでなくて、県内全体の伝統工芸への支援といいますか、そういうことの御質問だとお伺いしております。

 先ほど申し上げました能登の被災地の伝統工芸につきましては、本当に、輪島塗というのは、多いところでは二十近くの工程がありまして、その方々が輪島に住んでおられるわけですけれども、そのほとんどが被災されておりまして、これを立ち直らせていくというのは本当に大変だと思います。

 今、国の方でも、伝統的工芸品産業支援補助金の災害支援枠といいますか、そういうものもつくってはいただいておりますが、そういうものも使いながら、一つ一つ復活していくというか、そういうことが一番大事だと思いますし、それまでのつなぎとしまして、金沢とかこういう元気なところに、この間も、そこの奥能登で作業をしていた工場が全部引っ越ししてきて、金沢市で今、輪島塗を、その輪島の方々が作っておられるというような、そういうこともやっております。

 いろいろな形で、今、輪島塗で既に製品化されたものを今のこの伝統フェアでも多分売られていると思いますけれども、我々は、販路を開拓したり、いろいろな意味で、今ちょうど日本全国の方、輪島を応援しようみたいな話になっていますので、そういうフェアをしたり、そういうことを御支援しながら、何とか立ち直るまでの支援をできたらなというふうに思っております。

 そのほかの、金沢の例えば加賀友禅とか加賀の九谷焼とか、そういうものは今そんなに被災は受けておりませんので、それは従来以上に石川県として販売に力を入れていくということもまた併せてやっていきたいなというふうに思っております。

杉野哲也君 安宅会頭がおっしゃるところがほとんどなんですけれども、私も今、石川県の食品協会の会長をやらせていただいています。それで、新しいビデオとかを作りまして、これはやはり、食品をただ売るのではなくて、食文化を売っていこうということで、食文化の中には輪島塗があったり九谷焼があったりという形の中で、そういう演出をして、こういう雰囲気の、そしてこういう調度品を使って、そこには明かりもある、ろうそくもあるというような感じの中の演出をしながらやっていこうと。要は、国内はもちろんそうなんですけれども、国外にもっと、日本酒もこれから見直されますので、特にやっていきたいということで、実は別にビデオも作っております。

 そういうセットにしながら、今、実は二月にドバイで今度は大展示会があるんですけれども、そこにも派遣して、今、和食、金沢の加賀料理といいますかね、料理の八寸のところに置かれて、明かりをともしてというような演出の中で、これはどこでどういうふうに作られているというのが全部分かるようにして紹介しようと。

 要は、やはり販路を広げないとこれはもう全く駄目なので、販路を広げることによって、昔と、それから、今、被災を受けたけれども、今こういう状態になっているけれども、何とか皆さん支援してくださって、支援方法としては、物を買っていただくということになろうかと思います。そうなれば、やはり作る方も、やる気といいますか、それが出てくるんじゃなかろうかと思っています。

 ですから、私どもは、人と食という中で、あらゆる工芸品が少しつながっていけばいいなというふうに考えております。

 以上です。

佐藤(英)委員 分かりました。

 続きましては、農林水産事業者への支援について、馳知事と杉野会頭にお伺いをさせていただきたいと思います。

 能登の里山里海は、世界農業遺産として、地域の皆様、また我が国にとっても誇りであると思います。地域の誇りを再生するということが、やはりひいては産業やなりわいの再生にもつながっていくとも思います。

 石川県は、全国の中でもおいしい米が生産される地域でありますし、野菜でも、スイカや大根、サツマイモ、畜産でも、牛肉や豚肉、牛乳、卵、水産業では、県内の六十九の漁港が、スルメイカやブリ、ズワイガニの漁場にも恵まれていた地域であると承知をしております。

 こうした中、土地の隆起や液状化によりまして、農地や港湾の被害というのは極めて厳しい、壊滅的なやはり状況であるというふうに私も認識をしているところであります。

 こうした中で、石川県におきましては、例えば農業においては、収入保険の弾力的な対応、いわゆる応援消費プロジェクトなどを進められていると伺いました。

 地域の農林水産業の復旧は、喫緊の課題の一つであります。馳知事から、行政上の課題について、また、魚肉製品など一次産業から三次産業まで展開されている杉野社長様、杉野会頭から、是非、応援消費プロジェクトなど、現場の視点でもお話をいただければと存じます。

馳浩君 ありがとうございます。

 まずは、この三月、四月にも米作りに入れるのかどうか。また、漁港は六十九あるうち、傷んでいるのは六十です。そのうちの二十二が海底隆起して大変な状況です。

 そう考えると、まずやはり実態の調査、把握をした上で生産者とミーティングをして、現状の把握の上で今後どうするのかということの意見交換が必要だと思っています。

 それには、県ももちろんですが、JAの皆さん、漁連の皆さん、森林組合の皆さん、また北陸農政局、一体となってまず聞き取りをしっかりした上で、目の前にある今年の春、大丈夫なのか。いわゆるかかり増し経費も必要になってまいります。その前に農機具等も必要です、その前に用水とか水路、確保できるのかというふうな議論もあります。更に言えば、加工食品もたくさんございますので、そういった生産体制が整うのか。

 私は、まずここの十分な聞き取りをした上で、私どもが寄り添って、では、何とか復活、再起を目指してほしい、そのために必要ならばということで、実は新年度ではボランティア制度も取りまして、下作業など対応を応援してくださるボランティアの方を全国から募りまして、来ていただけないかとか、また、今後、こうした災害に強い農業基盤、漁業の基盤が必要です、そういったことのための支援がどういうふうにできるのか。こういった意味では、技術的な支援、また、農業の世界でもICT化、漁業でも進んでおります。こういった支援ができるのか。

 そういった意味では、今回の応援消費おねがいプロジェクトを通じて、まずは今、在庫としてある、今でも出せるものをやはり消費をいただいて、全国の皆さんに、また外国の皆さんでも、石川県の、能登の農産品に刮目していただいて、やはり消費を生む、そのために俺たちも頑張って生産者としてやろう、その中間的な漁協とかJAの皆さん方ともやはり基盤整備を一緒にやっていこう、そのために必要な金融支援もサポートしていこうと。当然、これまでの既往債務もありますから、その負担をどうやって荷物を軽くしてさしあげることができるのか。こういった総合的な経営支援対策といったものをやっていこうと考えています。

杉野哲也君 農林水産業、一番のポイントは、やはり一次産業をどうやって救うか、馳知事さんがおっしゃるとおりで、これを早く立ち上げないと。まず一番の問題でございます。

 特に売りが、加工している売りがやはり地産のものを使っている。あるしょうゆ屋さんでは、珠洲の大豆を使って、そして塩は能登の塩を使ってというような形でやっていらっしゃる方もいますし、あえて、お魚でも能登の魚を使って、輪島で捕れたやつを使っているんだよというようなところで売りをして、お客さんの要望に応えているというところが多々あるわけです。

 そういうものが今壊滅状態になっているので、特に一次産業者の廃業をどうやって止めるかということが一つで、若しくは、漁ができないのであれば、漁場がどういうふうな変化をしているかはちょっと分かりませんけれども、その辺の調査は必要かとは思いますけれども、大型船は金沢港に行っているという話も聞きますので、どうかその辺のところから、漁に出ていけない漁師の、船を失った方々を何とかもう少し支援できるような体制が取れないものかなと。そういう食材をやはり加工業者に適切に渡していくということが必要じゃないかなというふうに思います。

 それからあと、今度は売りの方になりますけれども、練り製品もそうなんですけれども、今やろうとしていますのは、県もいろいろ打ち出してくれているんですけれども、食品協会として同時に進めていたんですけれども、頑張ろう能登ということでシールを今作っております。これを県の関わっているところが一斉にやろうと思っていまして、実は、そういう話を今進めている最中なんですけれども、能登ガキ、カキ貝を能登島の方で、七尾の方でやっているわけですけれども、穴水とかこっちの方ですけれども、そこにも是非つけたいという方々もおられます。

 お菓子も含めて、そういうシールを貼りながら、実は大手の流通業などとかお話をして、こういうものを一手に、こういう全ての産業の、能登で捕れた、加工された食品を是非そういうフェアで売ってくれないか、長期にわたってそういう可能性はあるかというお話をしましたところ、快く、寄り添ってやってくれる、長期にわたってやりますよ、これはイオンさんなんですけれども、そういうようなことをおっしゃってくれております。かなりの流通の方々がそういうような目で見てくれていますので、この辺が、これから販売を強化することによって加工業者の後押しになるのではなかろうかな。

 やはりさっきの話と一緒になるんですけれども、どう販売領域を増やしていくということしか加工業者を救うことはできないんじゃないかなというふうに思っております。

 以上です。

佐藤(英)委員 最後に、災害廃棄物への処理の支援についてお伺いしたいと思います。

 馳知事と川口町長にお願いしたいと思います。

 災害廃棄物の多くは、被災者の皆様のこれまでの生活の一部であったものであり、個人的にも大変にやはり心が痛みます。

 石川県全体では推定で約二百四十四万トン、県全体の平常時の約七年分。そのうち奥能登では約百五十一万トン、約六十年分の廃棄物が発生の見込みとも伺っております。

 こうした中、自治体間の協力関係、また海上輸送を活用した県内外で処理する際の課題など、災害廃棄物処理をめぐる問題というのは非常にやはり重要な課題となっていると思いますけれども、是非、馳知事、また川口町長の御見解を伺いたいと思います。

馳浩君 ありがとうございます。

 廃棄物処理に関する県内のいわゆる事業者が、団体として協力してみんなでやろう、これは当然。また、全国からも応援をするといって、団体間で調整をしています。また、隣県の福井県の杉本知事からも、福井県で全面的にバックアップする、こういう力強い御支援をいただいております。

 とすると、計画を作ってシステム化をして、当然、人も必要ですから、職員の派遣もいただく。そうすると、派遣いただいた職員のお住まいが被災地に近い方がいいに決まっておりますので、ここをどう手当てをするのか。また、これはなかなか難しく問題で、首長の皆さんと相談ですが、俺の家を解体撤去してくれ、いや、うちの方が先だ、こっちの方が、必ずそうなってくることは想定されますので、そういった順位づけというか、そこら辺はやはり極めてデリケートであり、配慮も必要です。

 と同時に、仮置場における分別がされれば、その後の処理が、リサイクルするのかとかを、焼却するのか、埋め立てるのか、再利用するのかというのは極めてスムーズに進むと聞いておりますし、そのことは熊本地震のときに災害廃棄物の処理をされた方々からもお伺いをしております。

 そういったことを踏まえて、まず計画作りを丁寧にやりたい。そして、実施に早く手をつけたい。やはり目の前に家屋、ビル等の瓦れきがあったら、やる気も起きませんよね。同時に、それを早くしないと、いわゆる木造仮設住宅などもそこに建てることはできません。これは本当に急いでおりますが、全国からの御支援を賜って、計画作りにも御参加いただければありがたいと思っています。

川口克則君 廃棄物についてですけれども、先ほども御説明したとおり、私ども、広域で廃棄物処理をやっております。まだ全体でどれぐらい出るかという算定はしていないわけなんですけれども、もし余力があるようでしたら、ほかのところの廃棄物処理もお手伝いしたいと考えておりまして、一市二町でいろいろと協力してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

佐藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。

小野寺座長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私は青森出身ですが、比例東北なので、三・一一のときのことをみんな思い出しながら、本当に何とかしたいという思いで見ているところであります。

 この度の被災に対してお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、本日は、こうして御参加をいただいて、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。

 最初に、杉野さんに伺いたいと思うんですが、御自身が被災しながらも、本当に、例えばレトルト食品を提供するなど、様々な形で支援にも携わってこられたということに敬意を表したいと思うんです。

 お話にもあったと思うんですが、再開までの従業員の確保というのが本当に重要だということで、雇用調整助成金、国会でも一〇〇%にすべきじゃないかという議論をしてきましたけれども、この点での御意見。それから、外国人実習生がかなり帰国されたということもあったと思うんですね。本来であれば、機構の方で、雇用対策というんですか、その間のつなぎというのはやるべきだということで法改正されていたはずなんですが、実際にはなかなか支援されていないというのが実態だと伺っております。そこら辺、教えていただきたいと思います。

杉野哲也君 やはり、人が一番、先ほど申し上げましたように、一番こわかったので、当社は被災を受けたときから一〇〇%保障しました。全て支払いますよということで決めて、今もずっとそうやっております。そうすることによって、一応、安心感を従業員の皆さんに持っていただこうという趣旨でやりました。

 あとは、雇用調整助成金というものは後から来る話なので、それはどうなるか、こうなるかは、それは今後の課題ではございますけれども、そうやらざるを得ない。

 中には、皆さん、首を切るという形で対処されたところもございますよね。しかし、どれがいいのか、よかったのか悪かったのかということは、これは必ずしも一概には言えないと思いますけれども、これぐらい人がいない、それから、一回離れたら帰ってこない可能性が十分に高い環境の中では、やはり一応、保障も一〇〇%ぐらいな形でやらないと、やっても難しいかも分からない、だけれども、外国人も、同業種でありますと、これから新しく法律が変わって横に行けるということになった場合は、かなり都会にまた吸い込まれてしまうんじゃないかな。特に、こういうような地震が多発しているところよりは、安全なところで給料が高いところ、それから、大体、若い方々が多いですから、生活がある面で楽しいところというようなところになったときに横滑りをするということで、かなり人集めには苦労するんじゃないかなというのが一番の悩みでございます。

 そういう面では、さっき申し上げましたように、省人化、省力化をやっていくしか最後は手はないんだろうなと。特に製造業ですね。

 それから、旅館業なんかを見ますと、やはり仲居さんというのはかなりスキルが要ります。それから、いい値段も取っていると思いますし。それから、調理師さん、調理師さんはなかなか手に入らないという。この方々がやはり抜けるのはかなり大きいんじゃないかな。コロナのときも結構辞めて、そういう人たちが退職されたところはもう二度と戻ってこないということが多かったですから、そういうことが和倉温泉でも起きるのではないかということが不安な要素でございます。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 一〇〇%保障しながら頑張っている、その現場に国が応えるように更に後押ししていきたいな、このように思っております。

 次に、安宅さんに伺いたいと思うんですが、先ほど来、なりわい補助金の額が足りないよというお話がありました。よく分かります。それで、ただ一方では、例えば三・一一のときに、一年前の激甚災害で指定された補助金が、つまり一年前、チリ津波なんですよ、チリ津波の補助金が三・一一の津波のときにようやっともらえたというくらい、時間がかかり過ぎているんですね。今回の中企庁が頑張っている事業転換も、九月に採択、出たんだけれども、今年の冬に出たという、そのくらい時間がかかっている。やはりここを乗り越えないと、額もそうだけれども、使えないよねということがあると思うんですよね。

 この点について御意見いただければと思います。

安宅建樹君 先ほどの陳述でも申し上げましたけれども、非常に、なりわい補助金も含めて、多くの書類が求められまして、普通の会社の方が作れるようなものじゃなくて、例えば建物被害でしたら、そういう建物の専門家がそういうものの証明も行ったり、膨大な資料、私、どれだけか知りませんけれども、膨大な資料が要るということでありまして、これはみんなから言われているんですが、何とかその膨大な資料を減らせないかということは、これは絶対にこの公聴会でしてくれと言われておりまして、本当にそういう状況なんですね。

 大きな金額になればなるほど、大きな建物の損壊ですから、もちろん、専門的な見積りといいますか、そういうものも必要なのは分かりますけれども、もう少しスピードアップと書類の削減をしていただいて、今おっしゃったようなことにならないように、我々もまたいろいろな機会に申し出ていきたいなというふうに思っておりますし、小さいところは小さいところほどまた書類も作れませんので、その辺の応援は商工会議所でできますので、そこはしっかりとまたやっていきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。この点はとても強調したいかなと思っております。

 二〇〇七年の能登半島地震のときに、やはり輪島塗の支援というところから、今の中小企業に対して直接支援するということ、伝統工芸に対しても支援するということが大きく前進したなと思っていますので、本当に何としても応援したいなと思って伺っておりました。

 次に、川口町長に伺いたいと思うんですが、液状化の問題。先ほど、県道のどの高さを基準とするかということがお話の中にあったんですが、実はお隣のかほく市でも同じことを言われまして、県道はつながっているので、これは一体でやらなきゃ駄目だよなということをつくづく思ったわけですね。

 今回、予算委員会でも確認をしたとおり、熊本モデルということがよく言われるんですが、熊本の場合は、ちゃんと、被災者が、宅地と地盤の災害を一体化事業でやるときに被災者の自己負担分はゼロだったということだったので、是非そういう方向で頑張りたいなと思っているんですが、そういう点。

 あとは、上物については、公営住宅も含めて、やはり再建できない人もいるのでやっていく必要があるかなと思っているんですが、その点で、住民合意をどう図っていくのかということで伺いたい。

 この点については、やはり県の調整ですとか、今言ったように県道一本になっているので調整ですとか、先ほど知事のお話にありました基金が、被災者の負担をなくすためには基金が絶対必要だったんですね。そういう点で是非御意見を伺いたいと思います、町長、知事ということで。

川口克則君 今ほど県道の高さのお話がありましたけれども、液状化対策の一つに、土盛りをするというのが対策の一つであるんですよ。やはりそういうことも考えて、県道だから液状化対策をせぬでもいいという話じゃないですよね。ですから、そういうことも考えて県とも協議をしたいなと思っております。

 それと、今ほど高橋さんが言われたとおり、北部地区といったら高齢化も高いものですから、高齢者の方々が本当に、先ほど私も言いましたけれども、先が見えないというようなお話をよくされます。ですから、私、今考えているのは、地域の皆様でお話しして、高齢者は高齢者で、その近くに復興住宅ですか、そういうのを町営か何かで建てて、高齢者住宅というような形で高齢者の生活を守りたいな、そのように今考えております。

 そのためにも、地域の皆様とのやはり話合いが一番ですので、合意形成を図ってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

馳浩君 私と川口町長とは一心同体のつもりでやっています。ただ、丸投げは、最初からはそれは駄目よと。

 つまり、住民のお宅でも、実は倒れていないところもあるんですよ。でも、かたがっているとか。県道の高さを合わせるにしても、事業所もあれば家屋もございます。こういったところでまず御意見の聞き取りはやはりしっかりやっていただいて、しかし、最終的に、では一帯として面的にどうするのかとなったときに、まさしく私どもが、川口町長の思いもお聞きしながらも、具体的に分析、地層、地質調査、これはなかなか私どもでもできませんので、国や関係機関の支援をいただきながら、では最終的にどういう絵を描いたらベストなのか、また、セカンドベストはあるのか、また、地権者のやはりこれは私有財産でもございますので、ここのどう折り合いをつけるのか、そういったことはやはり長期的なことになりますので、やはり内灘町と寄り添って、また、国とも相談をしながら進めていきたい、こういうふうに考えています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 一体化として、住民の意見を聞きながら、本当に必ず復興が見えてくるようにお願いをしたいな、このように思います。

 次に、知事に伺いたいんですが、先ほど来いろいろな方がお話をしていますが、創造的復興についてであります。

 いろいろお話の中に出てきた、能登の魅力というんでしょうか、これを本当に生かしてとおっしゃっているのは大事なことだなと思うんですね。ただ、同時に、この言葉のきっかけは阪神・淡路大震災で、やはりトップダウンで、どちらかというと、被災者ではなく、いわゆる開発といいましょうか、そういうことの文脈で言われた言葉ではなかったかなと思っています。

 三・一一のときも、復興構想会議の中で、本当に、当事者ではない有識者たちがいろいろなプランを、夢のようなプランを次から次と自由にお話をされて、それはいいんだけれども、でも、被災者が置き去りにされてはやはり駄目だと思うんですね。それで、結局、被災者が戻らずに、交流人口に期待するような町づくりではやはり違うんだろうと思っておりますので。

 知事はたくさんのアイデアを持っていらっしゃるし、そうではないと思っておりますので、是非お聞かせいただきたいと思います。

馳浩君 実は、ここに一番私も心を砕かなければいけないと思っています。したがって、創造的復興を進めるに当たっての基本理念、基本方針を打ち立てました。

 必ず被災者の声を聞く。首長の、又は議会の声を聞く。その上で、やはり東日本大震災や熊本地震、阪神・淡路大震災のときに携わった専門家の話も聞く。更に言えば、地元の金沢大学さんが、金沢大学として学生も教授も一体となって、奥能登支援のためにいろいろなチームをつくって支援をいただいております。学術的な、特に地元の国立大学、この方々にもやはり知恵を拝借をする。更に言えば、やはりなりわいは大事ですから、事業者の声を聞く。やはり、なりわいで、自分で自立して稼いでいく。そして、事業者も、経営者も従業員も共に協力していくというこの姿勢はなくてはならないと思っています。こういった経済団体、商工会、商工会議所等とも意見交換をする。その上で、絵を描いていく。

 できれば、三月中には一つの方針みたいなものを立てて、三、四か月ぐらいかけていたと思います、これまでも。そうすると、六月議会がございますので、その前には一つの方向性はお示しをできればいいのかなと。

 そのためにも、昨日、予算編成を発表しましたので、副知事と総務部長を奥能登六市町に週末派遣をして、聞き取りをさせます。私も来週入りまして、聞き取りに行きます。繰り返しこうした作業をしながら直接お声を聞いて、また、有識者の意見聴取もさせていただきながら、取りまとめをしていきたいと思っています。

 やはり、何か近未来的な美しい姿だけ描いても、魂が入っていなければ全く意味がない、そういうふうに考えています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 是非、そういう、おっしゃったとおりであることを期待して、私たちも応援していきたいと思います。

 残りの時間でもう一度安宅さんに伺いたいと思うんですけれども、お話にあったように、地震だって連続して起こっているし、コロナがあり、また物価高騰がありということで、本当に中小企業、業者の皆さんは苦労されていると思うんですよね。

 それで、例えば、政府は、ゼロゼロ融資の返済繰延べについて、更に支援する際に伴走型、安宅さんが銀行出身でもありますのでちょっと伺いたいなと思ったんですが、伴走型でやっていくんだと。でも、伴走型というのは、結局、借り倒れしないようにという意味なのかしらとつい思っちゃうわけですよ。そうでない伴走型があるのかということと、でも、やはり商工会議所の役割は大事なんじゃないのと思うんですが、一言お願いできますか。

安宅建樹君 伴走型というのは、もちろん銀行もやっておりますし、商工会議所もやっておりますけれども、原則、前に向いて進みたいという方の伴走しかできません。

 例えば、今回の地震で、自分の年齢も考え、そしていろいろなことを考えると廃業した方がいいという方々がやはり相当多いと思いますけれども、そういう方々には、相談を受けて、そしてどういうふうにいろいろしまっていくかというような御相談もするかもしれませんけれども、一応伴走させていただく限りは、今の現状、あるいは補助金のいろいろな状況、そういうものを被災者の方に確認していただいて、これぐらいの支援がもらえるのならもう一回やってみようかという方々を伴走していくということが基本になるんだろうと思います。そういう、前向きでない方を伴走するというのはなかなか難しいので。

 伴走支援というのは、まず原則、商売をこれから何とか続けていきたいというお気持ちがある方で、あと、いろいろな、今ゼロゼロ融資とかそういうものがたくさんあって、今困っているんだということですから、例えば二重債務の問題であるとか、東北のときにも、何年かかりましたかね、そういう債務調整をされて、私らの銀行からも手伝いに行きましたけれども、ああいうことで少しずつ借入れの山を崩して、そして何とか立ち直っていくということの伴走支援はしっかりとやらせていただきたいと思いますし、そういうことでの伴走支援の体制というのは今順次強力に進めておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 大震災のときもいろいろそうやって乗り越えてきましたし、あと、財産管理、私的財産管理の方はコロナの中で再建型というのもできましたし、本当に、前を向く人が増えるようにということも含めて応援していきたいなと思います。

 ありがとうございました。

小野寺座長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 本日は、復旧の大変お忙しい中、意見を聞かせていただきまして、誠にありがとうございます。

 私自身も大変能登には思い入れがありまして、大学時代に、ジャパン・テントというイベントに大学の四年間参加をさせていただきました。毎年来させていただきまして、能登半島に泊まりながら一周をさせていただき、多くの留学生と交流をしたのがよき思い出であります。あの美しい能登を、皆さんと一緒に、復旧復興のために全力で私も頑張っていきたいと思っております。

 それでは、質問させていただきます。

 まず、知事にお聞きをいたします。

 本日、スポーツセンターを見させていただきまして、一・五次避難所ですか、初めて見学をしました。思っていたのとやはりちょっと違いまして、知事の発言にもありましたが、要介護の状況にある人がたまっているということで、高齢者の方が多いのが大変印象的でありました。当初は、一・五次避難所は次の二次避難所に行くための場所という位置づけかと思いましたが、現状は高齢者の方の今施設になっています。

 国も、福祉避難所という形でガイドラインを作って、これは予算委員会でもほかの先生が取り上げていましたが、これをどのように実効あるものにしていくかといった議論がされておりましたが、今回、結果的にこの一・五次避難所が高齢者の方の施設となり、なかなか次の展開が難しいという今お話がありました。

 今回における課題やまた対策というもの、恐らくこれは全国どこでも、高齢化が進む地域では起こり得る状況かと思いますので、教えていただければと思います。

馳浩君 私は、あの一・五次避難所をつくってよかったと思っているんですよ。あの方々をいきなり二次避難所のホテル、旅館に御紹介したら、それはホテルや旅館の皆さんは大変なことになります。

 そう考えると、まずは一・五次避難所に来て、その方の状況を判断をして、いわゆる要支援者の方はまずは一・五次避難所に来てくださいという言い方で来ていただきました。健康観察、そうしたら、私も想像していた以上に高齢化率が高いわけで、これは医療的支援が必要な方が多いですよということで、県立中央病院のサテライト病院という位置づけをして、医師、看護師、また専門家の福祉的な支援を入れていただきました。また、ここには多くの県民にボランティアでも入っていただきました。また、炊き出しも来ていただきました。本当に、県民、また厚労省に、特にサポートとなる物資の支援や看護師の派遣、介護福祉士、ケアマネジャー等の派遣をいただいたことに感謝しています。

 では、これをどこまで福祉避難所として運営していればよいのかということは、基本的に、安心して仮設住宅ができれば、能登のふるさとにお帰しをしてあげたいというのは私のまず本音です。その前に、しかし、仮設住宅に帰ったとしても、その市町にデイサービスとか訪問介護サービスができなければ、また、公立病院等ふだんかかりつけのお医者さんがいなければ、意味ありません。

 そうすると、一旦、まさしく福祉的なサービス、介護的なサービス、医療サービスの可能なところにやはり落ち着いて入っていただくことが大事かなと思っています。

 このままスポセンを福祉避難所、医療のサテライト診療所としていては、スポセンのそもそも様々な活動を全てストップして使っておりますので、こういったところも動いていきませんので、ここは今、段取りをし、厚労省とも相談をしながら対応しております。

 そこのオペレーションをしてみて感じたことは、やはり住民の個別の情報というのは市町の仕事なんですが、いざこういうときになったときに、やはりマイナンバーを活用した長期的な支援について、県もサポートしたら、できればいいんじゃないかなと私は思っています。私もちょっとこういう性格なので、マイナンバーカード一〇〇%だと言ったら、副知事から、それは市町の仕事だから余り知事がしゃべっちゃいけないと怒られましたが。

 ただ、実は、そもそも新年度から、石川県は奥能登でデジタルライフライン構想をスタートするモデル事業をやる予定だったんです。それはまさしく高齢者、また孤立集落の多いエリアにおいて、そこにお住まいの方の日常的な何か困ったことがあったら、やはり電子マップの中にこういった情報が入っていて、消防や警察、行政が、何かあったらピンポイントで、プッシュ型で支援をしに行くことのできるデータ基盤を構築するべきではないかということで、この四月からそれをスタートする予定にしておりました。私自身も、国のデジタルライフライン構想のメンバーに、一応自治体を代表して一人だけ入れていただいております。これは、インフラの強靱化という観点では必要ではないかと思っております。

 こういった部分と、政府もお進めされていると思いますが、いわゆる電子カルテですよね、医療のこういった情報と突合できれば、やはり万が一の災害が起きたときにでも、過疎地域にいても、あるいはこうして一・五次、二次避難所に、また他県にも実は引き受けていただいております、そういったときでも、マイナンバー等を通じてこうしたデジタルのサービス支援、情報確認ができれば、それこそ安心につながります。

 私は、創造的復興の一つの柱には、こういった半島や過疎地域における住民一人一人に寄り添った行政サービスができるようにすべきことが必要ではないのかなと思っています。

田中(健)委員 ありがとうございます。まさに次の質問で、知事が掲げるデジタルライフライン、聞こうと思っていたんですけれども、ありがとうございます。

 今のを参考にさせてもらいますと、自治体と県との情報の在り方やデジタルの活用の方法や、また電子カルテというのがなかなか進まないという中で、こういったときに本当に必要性を感じたという直接の実体験から話していただきましたので、大変参考になりました。ありがとうございます。

 その中で、今、仮設住宅の話が出ましたので、お聞きをしたいと思います。

 今日の御説明の中にも、三月末までに四千戸の着工を目指すというふうにありますが、住まいの確保においては、先ほど杉野会頭からもあったように、いつまた地震が起きるか分からない、事業継続も、企業さえも今やっているところでも分からないという中で、どこに住宅を着工していくのか。これは報道でも、津波リスクがあるところや地震リスクがあるところ、また、平地がなかなかないというような指摘もされている中で、今、大変御苦労されているかとは思うんですけれども。

 さらに、今お話があった医療サービス、介護サービスがしっかり受けられるというようなものを含めて、どのように今、仮設住宅というものを考えて進めているのか、教えていただければと思います。

馳浩君 私どもの仮設住宅を担当した土木部長です、この方を被災市町に派遣をして、首長とまず直接やり取りしてくれ、その上で要望を聞き取ってほしいと。

 おっしゃるとおり、ハザードマップを見て真っ赤なところには建てられませんが、しかし、そうであったとしても、緊急にすぐに避難できる場所が近くにあれば、ある部分、容認できるというルールもございます。それから、二階建てにできれば、それは倍造れますよね。また、耕作放棄地を活用することができないのか。

 また、東日本大震災では、様々な手法を使って新たな町づくりもされました。仮設住宅は、まさしくプレハブ型と木造長屋型と木造戸建て型ということになっておりますので、できる限りの土地の準備を市町でお願いをし、合意をできれば。

 加えて、水が上下水道ちゃんと通らなければいけませんので、そういった中で今急いで対応しているというのが現状であります。

 まさしく今回、半島という特異性を踏まえて、高齢化という特異性を踏まえた仮設住宅の在り方というのは、私は、モデル的にであったとしても、できることは何でもやろうということで、皆さんにもいろいろお知恵をいただいております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 さらに、先ほどのスポーツセンターのところで、ボランティアの方がたくさんいらっしゃいました。ボランティアの受入れというのが始まったということもお聞きをしています。私たちの仲間でも、やはり応援に行きたい、ボランティアに行きたいという方が、たくさん声が上がっています。

 今、ボランティアの受入れ、どのような現状になっているのか。また、課題としましては、先ほど議員の皆さんと話して、なかなか能登半島の奥能登まで行くのに、ふだんでしたら二時間ぐらいであるのが四時間や五時間かかったり、交通網も大変に今厳しいという中で、どのように考えられているのか。

 また、杉野会頭には、七尾を拠点にして復興拠点にできないかというような話も上がっているやも聞いていますので、その現状も含めて、知事と杉野会頭に現状をお聞きできればと思っています。

馳浩君 そろそろやはりボランティアの方に来ていただいて、片づける、あと様々な生活支援等をお願いしたいと思っておりまして。ただ、今までは道路の状況がございまして、一般ボランティアにはちょっと遠慮していただいておりました。

 近いうちに、まず、一泊できるぐらいの準備をして、つまり、体育館などが空いていれば、テントを張って、そこでお休みくださいと。そこでのボランティアの皆さん方の食べるもの等については、一応、コンビニとかスーパーもだんだん開いてきましたし、余り、物資支援だと民業圧迫にもなってしまいますので、そこは是非お使いくださいといった形で。そしてまた、拠点は、七尾であったり、穴水町長からもうちを拠点にしていただいてもいいですよと言っていただいているので、やはり拠点方式があったらよいと思います。そういう案内を、県としても、また市町も含めて、ホームページ等で案内をさせていただきたいと思っています。

 加えて、実は、もう一月二日から専門ボランティアに続々と入っていただいております。本当に感謝しております。県の方としても、十分把握できないところもあったり、あるいは日本財団の笹川さんからも直接、支援の申入れと、また専門ボランティアに対する支援を直接電話で申入れをいただいております。こうしたやはり専門ボランティアにも感謝していますし、一般のボランティアは県内外合わせて三万人近く登録をいただいているので、今後、二月、三月、四月とそういう時期になってきますので、一人でも多くまた入っていただけるようにお願いしたいと思っています。

杉野哲也君 お答えします。

 和倉を何とか奥能登に対するベースキャンプ化しようということは、和倉の方々も随分考えられております。それで、使える施設を極力使う、まずは使う。

 ただし、今、断水をしたり、まだインフラが整っていない部分がございますので、これを早急に進めることによって、温泉も入れて、それから飲食もできるというような形になれば、より、それなりの経済効果も出てきますし、そこでなりわいが、今まで小規模で仕事がなかった方々も一つなりわいが立つんじゃないかなと。

 そういうものから拡大をすることによって、より、今度は奥能登の方はアクセスがよくなっていくというような形を皆さん考えていらっしゃるし、そういう方向に向かっていきたいというふうに考えております。

 以上です。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 今、生活再建についてお聞きをしたんですけれども、引き続き、事業や雇用の継続という点でお聞きをしたいんですけれども、杉野会頭の方にお聞きをします。

 今日いただいた資料を先に読ませていただきましたら、大変、被害は二十五億円以上被害を受けた、しかし、BCPを事前から策定していたので、事業再開は、新聞なので、今月もう再開されたのかどうかも含めてですけれども、できるんじゃないか、めどが立ったということであります。

 このBCP、どのように準備をしていたか。なかなかこのBCP、国も進めてはいるんですけれども、まだまだ十分でないというところがありますので、そこが一点。

 そこに併せて、杉野会頭のところでは技能実習生もかなり使われていたということで、この技能実習生、先ほども少しお話があったんですけれども、継続して雇用をしていくためにはどうしたらいいのか、また、課題というものがあればお聞かせください。

杉野哲也君 お答えします。

 BCPに関しましては、それほど計画的にきちっとした形でやったかといったら、そうではなくて、いかにリスク分散しておくかという形で、非効率であっても、ある程度分散化しておくということが必要だろうと。特に、近場で分散しても意味はないものですから、茨城の方と、それからこちらの方とか、それから広島の方とか、なるべく分散をしてやりました。

 実際のところ、主力商品の一部はやはりそれによって助かるところが随分ございました。ただし、ノウハウ的にはなかなか出し切れないものがあるんですね。これに関しては集中的に本社で作るという形になりますから、これはやはり、やられてしまうとちょっと時間がかかる。今のところ、突貫工事でありまして、主力商品の工場は二月の二十五、六日から再開できるような予定で今進めています。しかしながら、あとの、本社工場を含めてこれが大体四月ぐらいになるんじゃないかな、四月から稼働がやっと開始できるようになるんじゃないかなというふうな形で、一日でも早めてくれということで、今全力を挙げて進めているところです。

 自社のことばかりになっちゃうんですけれども、そうじゃなくて、いかにそれぞれが経済活動を早く進めるかということが七尾の活性化になり、七尾の活性化というのはまた能登の活性化につながっていくんじゃないかなという思いで、みんな、ほかの企業も、被害を余り受けなかった工場もフル操業してくれというふうには我々はお願いしています。働く人は逆に言うといっぱい余っていますので、そういう面では、二交代でも何でもいいからなるべくフル操業やって、要は、働く場をつくってくれ、経済活動をやってそれを、どんどんお金を回してくれというふうにお願いしています。

 以上です。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 それでは、安宅会頭の方にもお伺いしたいんですけれども、先ほど二重債務の件で、二重債務、課題があるということを聞きました。

 これは災害があると必ず大きなテーマとなりまして、企業の方としては、利子補給をしたり、また無担保無利子で融資を拡大をするということが行政が取る対策かと思っていますし、また個人としては、特に住宅ローンなどが、住宅ローン、途中なのに崩れてしまったり、被災を受けたということで大きなテーマとなると思うんですが、今回もどんな声が上がっていて、今までのスタンダードな支援と、加えて、どういった対策が必要というか求められているか、お話があればお伺いできればと思います。

安宅建樹君 二重債務につきましては、まだ被災者からそんなに大きな声は上がっておりません。まだそこまでいっていない状況だろうと思います。

 東北の東日本大震災のときも、二重債務についての取扱いについてはいろいろな形があったんだろうと思いますが、ちょっと私ども勉強不足で、どの程度、いろいろな方法で解決されていったんだろうと思いますけれども、やはり能登の場合は、東北と違って更に高齢化が進んでおりますので、スピードが大事だと思います。

 ですから、是非、東日本のときは何年ぐらいでしたかね、うちの銀行の行員が七、八年行っておりましたけれども、そういうスピードじゃなくて、もう少し中身を、被災者に負担のかからないような形での二重債務の問題の解決というものにできれば、もっといいのかなと。多分、東日本と同じ条件にしかならないのかもしれませんけれども、それ以上の、被災者に優しい二重債務のそういう対応というのをしていただければ非常にありがたいというふうに思います。

田中(健)委員 ありがとうございました。

 最後に、川口町長の方にお伺いしたいんですけれども、被災者支援の件で、生活再建支援金制度、これについて、私たち、また野党も含め、多くの皆さんから、基礎支援金、今受け取れない方がいらっしゃると。今日の資料にも、半壊や準半壊含め、こういった人たちにもやはりいち早く出すべきだということを訴えていますので、是非これも強く訴えていきたいと思いますし、三百万円の上限も、六百万円にした、六百万円にしたからといって、なかなか、じゃ、家を建て直すかというと、そこも難しい議論ではあるんですけれども、それでもなかなか、三百万円では足りないということはしっかりとこれからも言っていきたいと思っています。

 その上で、交付金の話がありました。この交付金については、また違った意味での上乗せということで、高齢者等、さらには地域が限定されているということで、是非これは、この新聞の記事でも、県に向けてはこの交付金の対象を拡大をしてくれと六市町が要望してくれたということなので、是非国にも強く要望していただければと思いますし、なおかつ、このときに一定のルールも必要じゃないかと議論の中で出ていたということがありますので、もしも、そのときの議論の中身を少しでも教えていただければと思っています。

 私たちは、県民を分断したり国民を分断することなく、やはり全ての人に、特に今回見させていただきまして、本当に大変な現場でありました。ああいった現場をしっかり伝えていけるのが役目だと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後、お願いします。

川口克則君 今ほど田中委員さんからもございましたとおり、先般、六市町ですか、馳知事さんにお願いに行ってまいりました。

 また、六市町、足並みそろえて、今度、国の方に陳情したいと思っております。しっかりと応えてください。

田中(健)委員 今日はたくさん先生たちがいますので、聞いてくれると思いますが。はい。

 ありがとうございます。時間となりましたので、終わります。

小野寺座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者、馳浩様、杉野哲也様、安宅建樹様、川口克則様におかれましては、御多忙中の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に、心から感謝を申し上げます。

 最後になりますが、被災地の一日も早い復旧復興をお祈りするとともに、復旧復興に向けた施策の充実、被災者の方々の支援に全力を尽くしてまいります。

 本日はありがとうございます。

 これにて散会いたします。

    午後三時十八分散会

    ―――――――――――――

   派遣委員の長崎県における意見聴取に関する記録

一、期日

   令和六年二月十六日(金)

二、場所

   ザ・グローバルビュー長崎

三、意見を聴取した問題

   令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 加藤 勝信君

       井出 庸生君   伊東 良孝君

       今村 雅弘君   越智 隆雄君

       後藤 茂之君   島尻安伊子君

       宮路 拓馬君   山岸 一生君

       山田 勝彦君   山井 和則君

       林  佑美君   守島  正君

       金城 泰邦君

 (2) 現地参加議員

       山本 剛正君

 (3) 意見陳述者

    長崎市長        鈴木 史朗君

    日本労働組合総連合会長崎県連合会(連合長崎)事務局長        岩永 洋一君

    一般社団法人長崎県観光連盟会長

    ((株)長崎自動車 代表取締役会長)     嶋崎 真英君

    北部遊漁船連絡協議会会長           岩崎 幸広君

 (4) その他の出席者

    財務省主計局主計官   漆畑 有浩君

     ――――◇―――――

    午後一時開議

加藤座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の加藤勝信でございます。

 私が会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 当委員会では、令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算の審査を行っております。

 本日御意見をお述べいただく皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長の私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得ていただきますようお願いいたします。

 なお、意見陳述者の皆様から委員への質疑はできないことになっておりますので、御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党・無所属の会の島尻安伊子君、井出庸生君、伊東良孝君、今村雅弘君、越智隆雄君、後藤茂之君、宮路拓馬君、立憲民主党・無所属の山井和則君、山岸一生君、山田勝彦君、日本維新の会・教育無償化を実現する会の林佑美君、守島正君、公明党の金城泰邦君、以上でございます。

 なお、現地参加議員といたしまして、日本維新の会・教育無償化を実現する会の山本剛正君が出席されております。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 長崎市長鈴木史朗君、日本労働組合総連合会長崎県連合会事務局長岩永洋一君、一般社団法人長崎県観光連盟会長、株式会社長崎自動車代表取締役会長嶋崎真英君、北部遊漁船連絡協議会会長岩崎幸広君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず鈴木史朗君に御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

鈴木史朗君 長崎市長の鈴木史朗でございます。

 加藤座長を始め衆議院予算委員会の皆様方におかれましては、国会会期中の大変お忙しい中とは存じますけれども、お時間をいただきまして、このように長崎市で地方公聴会を開催いただき、そして、長崎市に意見陳述の機会を設けていただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、座ったままで説明させていただきます。

 本日は、長崎市の人口減少の現状、そして、その対策として取り組んでいる重点プロジェクトについて、主に観光、漁業に焦点を当てて述べさせていただきたいと思います。

 それでは、お手元の資料、こちらの長崎市の資料一ページ目を御覧ください。

 私は、現在の長崎市の人口減少の現状、これを百年に一度のピンチというふうに申し上げております。

 まず、現状でございますけれども、人口の自然動態も社会動態も減少幅が拡大しておりまして、特に社会減、つまり転出超過数は全国ワースト三位となるなど、深刻な状況にございます。

 主な要因といたしましては、若い世代の転入者数の減少、少子高齢化の進展などが他都市と比較しても顕著な状況にあるということが考えられます。このため、行政サービス低下、担い手不足など、様々な影響が想定されるところでございます。

 資料二ページ目を御覧ください。

 他方、チャンスともいうべき町の変革も進んでおります。

 このページの、地図の上の赤い楕円のエリア、これが陸の玄関口であります長崎駅周辺になりますけれども、西九州新幹線が開業いたしまして、これを契機として、駅舎、駅ビルはもちろんですけれども、MICE施設、出島メッセ長崎、外資系ホテルも相次いで開業しております。

 さらに、長崎駅の左上の青い楕円のエリアのところですけれども、これはジャパネットグループが八百億円以上を投じて整備を進めております長崎スタジアムシティでございまして、今年十月に開業予定でございます。

 さらに、地図の下の赤い楕円のエリア、これは海の玄関口、松が枝埠頭になりまして、大型クルーズ船が二隻同時着岸できるよう整備が進められているところでございます。

 このように、新たな基盤というチャンスを上手に生かし、長崎市へ人、企業、投資を呼び込み、人口減少というピンチを克服したいというふうに考えております。

 三ページ目を御覧ください。

 現在、長崎市におきましては、経済再生、そして少子化対策、この二つを車の両輪と捉え、重点プロジェクトに位置づけて、PDCAサイクルを回しながら戦略的に取組を推進することで、人口減少の克服に向けた好循環を生み出すことを目指しております。経済再生を進めるに当たって、特に即効性の高い分野、これは観光交流でございます。

 めくっていただきまして、四ページ目を御覧ください。

 これは観光庁の資料でございますけれども、定住人口一人当たりの年間消費額、約百三十万円になりますけれども、これを旅行者の消費に換算しますと、例えば外国人旅行者であれば八人分、国内宿泊旅行者であれば二十三人分に当たることになります。つまり、多くの観光交流人口を集めれば、定住人口の減少を補う経済効果を得られるということになります。

 続きまして、五ページ目を御覧ください。

 旅行消費の経済効果でございますけれども、観光業界にとどまらず、幅広い産業への波及効果でありますとか、あるいは、この三つ円の右下の方は雇用誘発効果でございます。こういった効果が期待されます。

 このため、現在、四十七都道府県全てが今人口減少に陥っております。こういう中にあって、この交流人口、あるいは関係人口の拡大、これは、地方創生の切り札、即戦力となることが期待されております。

 次に、六ページ目を御覧ください。

 長崎市は、特に観光交流分野において豊富な地域資源に恵まれているという強みがございます。軍艦島を始めとする産業遺産、大浦天主堂などの潜伏キリシタン関連遺産という二つの世界遺産があります。被爆地としての平和関連遺産、出島など歴史、文化の魅力、海、山の自然の魅力、チャンポン、カステラ、卓袱などの食の魅力、そして、外から来た人を温かく迎える受容性の高い人の魅力。

 一方で、様々な課題に直面しております。関連産業の人手不足、斜面地が多く、平地が少ないことによるコスト高、そして、交通インフラは、市内の道路渋滞、そして長崎空港への国際直行便が少ないこともございます。そして、御案内のとおり、西九州新幹線にまだ未整備区間があります。こういった交通インフラの更なる充実が求められております。また、オーバーツーリズムへの懸念もございます。

 これらの課題に対処するために、例えば人手不足解消に向けては、外国人労働者の活用でございますとかあるいはDXの推進、斜面地の交通の問題については、そういった交通インフラの整備を図る、次世代モビリティーを導入する、渋滞解消のための道路整備などが必要と考えております。国からの御支援について御高配を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 そして、長崎市としては、これからは、旅行者数といった交流の量より質、すなわち高付加価値化が大切であるというふうに考えております。

 具体的には、旅行消費額の増大、日帰りよりも宿泊、泊数の増加、宿泊単価の増加、あるいは観光資源を磨き上げて稼ぐ力を向上させること、さらに、労働生産性を向上させ、労働集約型から脱却すること、そして、ナイトタイムエコノミーの推進でございます。

 特に夜景観光に力を入れておりまして、世界新三大夜景と日本新三大夜景にも選ばれております。折しも、現在、長崎ランタンフェスティバルが開催されておりまして、長崎の夜は極彩色に彩られているところでございまして、あしたは福山雅治さんと仲里依紗さんによります、このお二人は長崎出身でございますけれども、この超豪華コンビによります皇帝パレードも予定されているところでございます。

 また、長崎市では、サステーナブルツーリズム、つまり持続可能性に配慮した観光を推進しておりまして、特に、歴史的建造物が集積します南山手・東山手地区の夜景を脱炭素化するという取組を進めておりまして、先月、これが評価されて、環境省の脱炭素先行地域に選定されたところでございます。

 今申し上げました高付加価値化への取組に対しては、既に一部国から御支援を賜っており、感謝申し上げますとともに、更なる支援の強化をお願いしたいと思います。

 七ページ目を御覧ください。

 観光交流分野におきまして、長崎の食の魅力は強力な武器となっておりまして、その中心的役割を果たしておりますのが水産業でございます。

 その強みとして、日本一の魚種の豊富さ。あるいは、かまぼこのことをかんぼこといいますが、全国トップクラスの消費量でございます。鯨、からすみなど、豊かな魚食文化がございます。

 一方で、問題点として、そういった強みが認知されていないということ、あるいは漁業者の高齢化、漁業コスト高等の影響で所得が低いこと、赤潮や自然災害などの被害があるということがございます。

 現在、長崎の魚の魅力の発信事業といたしまして、新鮮な魚のおいしさをPRするさしみシティというキャンペーンを展開しているところでございます。

 また、新規就業者の確保のための取組でありますとか、魚のブランド化等による漁業者の所得向上、あるいは災害対策、そういった取組を事業者の皆様と連携して推進しておりますので、国におかれましては、特に新規就業者の確保のための取組など、こういう支援に対して是非充実を図っていただきたいと思いますし、また、災害対策につきましても、赤潮被害に対しては国の補正予算にて御支援いただいております。

 これについては、本当に、この場をおかりしまして感謝申し上げたいと思います。更なる国からの御支援をお願い申し上げたいというふうに思っております。

 それから、あとは、それ以外の分野といたしまして、八ページ目、経済再生のほかの成長可能分野ということで、デジタル、それから海洋、環境分野、生命科学。いずれも、地元の大学において強みがある、あるいは、例えば造船といった、既に長崎において産業の集積、ストックがある、そういった分野でございます。そういった強みを生かしながら経済再生を図っていきたいというふうに考えております。

 最後に、九ページ目を御覧ください。

 少子化対策のために、車の両輪の片方でございますけれども、ここで特にお願いしたいのは、第二子以降の保育料無償化、小中学校給食費の無償化などの経済的負担の軽減を図っておりますけれども、本来、子供は、地域によらず、ひとしく平等であるべきでありまして、国において全国一律の制度とすることが必要であると考えておりますので、是非国における御支援をお願いするよう申し上げまして、私からの御意見とさせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございます。(拍手)

加藤座長 ありがとうございました。

 次に、岩永洋一君にお願いいたします。

岩永洋一君 ただいま御指名をいただきました、連合長崎で事務局長をしております岩永です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 貴重な衆議院予算委員会の地方公聴会が長崎で開催されることになり、意見表明する機会をいただき、感謝申し上げます。

 私も、資料、レジュメに従ってお話をしていきたいというふうに思っています。

 連合・連合長崎は、働くことを軸とする安心社会、誰一人取り残されることのない社会をつくるため、政策、制度の提言を始め様々な活動を行っております。

 そのことから、私は、働く者、生活者の立場で、現在の地方の状況や、とりわけ、離島を抱える長崎県の生活、労働環境、物価高の中で実質賃金が上がっていない現状、あるいは、激しい人口流出、慢性的な人手不足、働く場所が少ない現状を好転させ、元気なふるさと長崎を取り戻したい、そのような思いで課題認識や意見等を述べさせていただきます。

 長崎県での人口減少に歯止めがかかっていません。私たち生活者が生活していく上で、特に長崎市では、住居費などが高く、駐車場代も月三万円台も珍しくありません。離島においては、輸送コスト高による本土との差があり、ガソリン代も一リットル当たり約三十円程度高いなど、県全体でも燃油費が高い実態があります。

 そのような現状がありながら、賃金水準は、毎月勤労統計調査によると、東京や大都市部と比べると十万円以上も低い水準でございます。地方だから生活コストが低廉であるとの実感は少なく、少しでも高い賃金や少しでもいい生活環境を求めて都市部への流出が続いていると思われます。

 昨年の春季生活闘争の結果は、三十年ぶりの高水準の賃上げ集計結果でございました。しかしながら、大手と中小企業の賃上げ額差があり、格差が拡大したと言わざるを得ない状況でもあります。また、この結果は、労働者全体へ波及はできていなく、全体へ波及させるためには最低賃金の引上げも必要です。

 長崎県の地域別最賃は、全国で下から四番目の八百九十八円です。東京都との差は二百十五円で、地域別の物価指数の状況を鑑みると、これも格差、額差があると言わざるを得ない状況であります。Aランクの大都市圏は人口増加傾向にあります。

 連合は、最低賃金を、限りなく早期に誰もが千円を目指しています。日本経済の自律的成長に向けては人への投資が不可欠であり、その重要な要素たる最低賃金の引上げが必要であると考えます。

 次に、県内で働く構成組織の仲間の職場の実態として、幾つかの労働組合に聞き取りをいたしました。そのうち、離島でのバス事業の実態です。

 数年前までは運転手二十四人いたところ、離職などで、現在、十七人で回している。運転手不足により、路線廃止や間引き運行など、減便せざるを得ない状況である。

 離職理由は様々とありますが、正規社員で二十年勤務していた方が最低賃金近傍で働いていたことを自覚して退職をした、また、家族四人を養うには賃金が低過ぎるとのことで福岡に家族で移住した、残業時間が月に四十時間平均であっても年収三百万円程度であったなどから離職したそうです。

 これらのことは、離島だけではなく、人手不足が拡大している公共交通全般に言えることですが、住民の生活を支える使命感、責任感の下に、低廉な運賃で一生懸命に事業を運営する経営者や労働者の使命感で頑張っていると思っています。

 造船業、運輸関係も同様に、人手不足の中、求人を出しても若者が入社してこない、仕事のしわ寄せが来て残業が多く大変だ、いわゆる三K職場で働きたくない、せめて魅力ある賃金であればとの声はたくさん聞きます。

 先ほど、福岡に移住した方のことをお話ししました。移住できる方は、生活を改善できるチャンスがあり、まだよい方です。様々な理由で移動できない方は、現在の物価高の中で実質賃金が上がらず、生活が厳しくなる中で辛抱し続けなければならない状態です。

 次に、中小企業の置かれた状況をお話しします。

 慢性的な人手不足、企業を継続するためにも新しい人材は欲しいが、求人しても来てもらえない、人材を確保するために低い賃金を上げたいが、賃上げする体力がないなど、中小・小規模事業の経営の厳しさがあります。

 関係省庁による賃金引上げ、人材育成など、様々な観点の支援メニューを整備し、諸施策を展開されていますが、十分な利活用ができていない企業があると考えています。

 特に、業務改善助成金については、申請の煩雑さと、設備投資などをしなければ助成金が出ない制度では申請しづらいなどの声を今でもよく経営者などからお聞きいたします。一方、年収の壁対策として新設されたキャリアアップ助成金については、ほぼ真水の助成があり、助かっているとのことです。

 そこで、国への要望です。

 業務改善助成金などは、時限的な対応策でも構いませんので、厳しい中小企業の窮状を鑑みての思い切った対策、すなわち、設備投資等にこだわらず、賃金を引き上げた分の真水の助成が必要であると考えます。

 さらに、県が中小企業への支援、融資を行っていますが、地域事情に応じた支援を強化するために、国から県へ、その予算、交付金を増額することも必要ではないかと感じています。

 多くの中小企業は、大企業よりも賃金水準が低位にとどまっています。賃金支払い能力の差は、買いたたきや取引対価の一方的決定などの不公正な取引が一因となっていると思われます。弱い立場に置かれた中小企業が価格交渉をできる環境づくりが必要ですし、高騰している原材料費、エネルギーコスト等の上昇分について、労務費を含めて適切に価格転嫁しやすい環境づくりをしなければなりません。

 そのために、連合長崎としても、価格転嫁の円滑化に関する協定の締結を促進いたしました。この協定は、昨年三月から県に汗をかいていただいた結果、県、国の機関、経済団体と私ども連合長崎の十三団体で、昨年六月八日に締結しました。

 この協定の一つの大きな目的として、パートナーシップ構築宣言を行う企業を増やし、価格転嫁の機運を高め、価格交渉をしやすい環境をつくり、企業が稼げて、賃上げを実現することにあります。

 その宣言した企業数は、協定締結時に百八十九企業で、現在二百八十四企業に伸びていますが、県内企業数の〇・六八%です。まだまだ少なく、情報発信の上、更に宣言する企業を増やすことで、価格転嫁の円滑化が促進されます。国や県は、協定参加機関への更なる支援の強化や情報発信を強く行っていただきたいというふうに思います。

 政府は、十一月に、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を取りまとめていただきました。これは、連合が求めてきたものであり、賃上げ実現に向けた足がかりとなるものとして評価しています。

 しかし、価格転嫁が進んでいない産業、業種もあることから、業種別に踏み込んだ対策が必要であると考えていますし、調達部門など、交渉現場での実効性の確保も課題です。指針全般の内容が中小企業の経営者を始め広く社会に認識され、十分に活用されるよう、国と地方で周知、相談活動の徹底をお願いします。

 あわせて、求められる行動に沿わないような行為をすることにより、公正な競争を阻害するおそれがある場合には、厳正に対処することを徹底していただくようお願いします。

 まとめとして、企業、産業の持続的な発展と中小企業で働く人たちを始めとした物価高に打ちかつ賃上げなどの労働条件改善のためには、公正な取引慣行の実現、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁を強力に進めることが不可欠です。このままでは、地方では人材確保ができず、企業の廃業が出てくる可能性もあり、そうなれば、働き口がなくなり、人口流出がますます進み、疲弊していくことになります。

 経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージの転換を図るためには、今こそ中小企業への絶大なる支援に御尽力をお願いし、私の発言といたします。(拍手)

加藤座長 ありがとうございました。

 次に、嶋崎真英君にお願いいたします。

嶋崎真英君 ただいま御紹介にあずかりました一般社団法人長崎県観光連盟会長の嶋崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 加藤団長を始め衆議院予算委員会派遣委員の皆様におかれましては、国会開会中のお忙しい中に長崎県までお越しいただき、このような貴重な意見陳述の機会をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。

 本日は、限られた時間になりますが、現在の長崎県における観光の現状と課題について、ポイントを四つに絞り、お話しさせていただきたいと存じます。

 一点目はインバウンドの誘客促進、二点目は交通アクセスとインフラ、三点目は離島地域における観光の推進、四点目は人材の育成、確保でございます。説明が資料のページ立てと前後いたしますが、御容赦いただきたいと存じます。

 それでは、よろしくお願いいたします。

 まず一点目、インバウンドの誘致促進について御説明申し上げます。資料は七ページでございます。

 本県の経済、観光の起爆剤として期待されておりました九州・長崎IRの整備計画の不認定が昨年末に発表されました。認定の日を心待ちにされていた県民の皆様にとって大変残念な結果となりましたが、観光産業における地域間競争が激化している今、立ち止まっている猶予はございません。インバウンド戦略を始めとする観光振興策の見直しなど、早急な対応が求められていると存じます。

 特に、海外との定期航空路線については、昨年、長崎―上海線が復便したところではありますが、増便に向けて更なる誘客に努めるとともに、長崎―香港線の再開は申すまでもなく、韓国、台湾との定期便についても、官民がスクラムを組んで誘致に取り組み、一日でも早い就航を実現させなければなりません。

 長崎空港は、県の中心部にある大村湾に世界初の海上空港として整備され、これまで多くの皆様に御利用いただいてまいりました。しかしながら、コロナ禍の影響により、長崎空港を始め多くの地方空港において、空港カウンターや航空機誘導などを行うグランドハンドリングの人員が不足し、国際航空路線の受入れ環境が整わないなど、大きな課題となっています。長崎県においても、空港の人手不足解消に向けて航空事業者と日々協議を行い、様々な対策を講じているところではありますが、抜本的な課題解消には至っておりません。

 右下の表を御覧ください。九州各県の国際定期航空路線の状況であります。福岡県や熊本県はコロナ禍前の水準にまで回復いたしましたが、他県はほど遠い状況でございます。地方空港において受入れ環境が整っていないことが推察されます。

 国におかれましては、十一月に成立した令和五年度補正予算の中で空港の受入れ環境整備について御支援いただいておりますが、引き続き地方空港の人手不足解消に向けたお力添えをいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 ページをお戻りいただき、六ページを御覧ください。

 長崎県における国際クルーズ受入れ再開後の入港状況でございます。

 令和五年の本県へのクルーズ船入港実績は、令和元年度の同期間と比べ、約六〇%まで回復しています。また、外国船籍クルーズ船の寄港数を見てみますと、長崎港への入港数は九十五隻で、横浜港に次いで全国第二位となっております。また、御覧のとおり、対馬や壱岐、五島列島といった離島の港にもクルーズ船は寄港しています。

 長崎港松が枝地区ツーバース化事業につきましては、国において令和二年度に事業採択されたところでございますが、クルーズ船の受入れ拡大に向けて、引き続き予算の確保並びに事業の推進について、よろしくお願い申し上げます。

 二点目は、交通アクセスとインフラについて御説明いたします。九ページを御覧ください。

 以前に、各都道府県の象徴要素に関する調査が行われておりましたが、長崎県の象徴要素を見てみますと、一位がハウステンボス、二位がカステラ、三位がチャンポンでございました。

 そのハウステンボスにお見えになるお客様を見てみますと、九州域内を除けば関東や関西からのお客様が多く、さらに、関東からのお客様のうち、ハウステンボス観光だけでお帰りになるお客様は一割にすぎず、一方で、六割のお客様は長崎県内を周遊されています。こうしたことを踏まえると、県内周遊のためのアクセス整備は重要な課題でございます。

 観光客は限られた時間の中で行動されますので、スムーズな移動ができれば、周遊できる観光地も増え、滞在時間も長く確保できます。その結果、おのずと観光消費額も増加することになるでしょう。

 御覧いただいている資料は、長崎県から国へ提出させていただいている令和六年度施策に関する提案、要望書の抜粋資料でございまして、本県の高規格道路の整備状況について示しております。本県は、県土の七三%を半島、離島地域が占め、道路の整備については決して十分とは言えない状況でございます。

 観光振興にとりまして、道路インフラの充実は、県内周遊を促進するためにも不可欠となっております。引き続きお力添えをいただきますよう、お願いいたします。

 続いて三点目でございますが、一つページを戻っていただき、八ページを御覧ください。

 離島地域における観光の推進について説明させていただきます。

 本県は、日本一の島数を誇る離島県でございます。離島振興法に基づき、十市町の五十一島が離島振興対策実施地域に指定されています。また、七市町の四十島が特定有人国境離島地域に指定されています。

 近年、五島を始め壱岐、対馬といった長崎の離島がドラマやテレビ番組で取り上げられる機会が増えており、その認知度の高まりを感じているところでございます。

 本県では、国の国境離島交付金を活用させていただき、運賃の低廉化や雇用機会の拡充に加え、離島地域の魅力を生かした滞在型旅行商品や、食事と島内交通などを組み合わせた周遊型の旅行商品の開発を行うなど、新たな旅行需要の喚起と観光客の満足度向上に努めております。

 本県の宝とも言える離島の振興に向けて、来年度も、今年度同様、交付金全体で五十億円の予算が計上されており、引き続きお力添えをいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 続いて、十ページを御覧ください。

 離島と本土間を結ぶジェットフォイルの更新について御説明申し上げます。

 ジェットフォイルは、本土と離島間を結ぶ高速交通機関として住民が日常的に利用し、救急搬送など地元医療を支えているとともに、観光需要などの交流人口拡大にも大きく貢献しております。

 しかしながら、現在運航されているジェットフォイルは老朽化が進み、導入当初と比べ、船価も大幅に高騰していることから、航路事業者だけでは更新が困難な状況にございます。長崎県からも要望しているところでございますが、老朽化したジェットフォイルの更新について、新たな支援制度を創設していただきますよう、お願い申し上げます。

 ページをお戻りいただき、五ページを御覧ください。

 最後になりますが、人材の育成、確保について御説明いたします。

 本県は、全国と比較しても人口減少のスピードが顕著で、社人研による二〇五〇年時の生産年齢人口の推計では、二〇二〇年と比べ、県内二十一全ての市町で減少し、そのうち十二市町では半数以下になると予測されております。

 様々な業界で深刻な人手不足となっておりますが、宿泊業界では、コロナ禍で離れたスタッフが戻っていないといったこともあり、稼働部屋数を減らしての営業や食事提供の廃止縮小など、回復傾向にある観光需要を取り込む上で深刻な問題となっております。

 DXや機械化で代替することができる業務については積極的に進めていかなければなりませんが、人でしかできない仕事が多いのも観光業の特徴でございます。例えば、宿泊施設のフロントスタッフや清掃員、飲食業の従事者については全く充足されておらず、大変厳しい状況が続いています。さらに、観光客に満足していただくためのガイドも不足しております。

 中でもバスガイドについては、バブル期の団体旅行ピーク時ですが、長崎自動車では約百三十名のガイドを抱えておりました。それが今や県内全体で五十名程度にまで減少しており、このままでは修学旅行にバスガイドが同乗できないという長崎にとって致命的な状況になりかねないと危惧しているところでございます。

 こうしたことを踏まえますと、インバウンドも含め多様化している観光客のニーズに応えるため、有償ガイドの確保、育成を図る必要もあるのではないかと存じます。つまり、観光ガイドについては、海外のように観光ガイドで生計を立てられる、そんな町を目指すべきではないかと存じます。

 そして、その実現に当たっては、地元の高校や大学において、観光ホスピタリティーに加え、歴史や文化、語学を学ぶ学科やコースを設置することが要諦ではないかと存じます。

 長崎だからこそ、長崎の歴史、文化を深く理解し、外国語で説明できる人材を育成する。それは、若者の地元定着にもつながる一助になるのかもしれません。国においても、是非ともそうした視点で御支援を賜れば幸いでございます。

 もう時間が過ぎております。これからも長崎県の観光課題につきまして、よろしく御指導、御支援賜りますよう心よりお願いを申し上げまして、私からの意見陳述とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

加藤座長 ありがとうございました。

 次に、岩崎幸広君にお願いいたします。

岩崎幸広君 この度、衆議院予算委員会公聴会にお招きをいただき、漁師たちが取り組む海業の現場の声をお伝えすることができる場を設けさせていただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、自己紹介をさせていただきます。

 今から約九年前、漁業者と遊漁船とが共存共栄していくにはどうしたらいいかということを課題に、平戸から北九州のエリアに存続する遊漁船二十六隻にお声かけをし、話合いの場を設け、設立されました。それ以来九年間、会長を仰せつかって、現在に至っているところでございます。ちなみに、私は、一本釣り歴四十八年になります岩崎幸広といいます。よろしくお願いいたします。

 北部九州遊漁船連絡協議会の目的。

 これからお伝えします内容といたしまして、私が務める北部遊漁船連絡協議会の課題でもあり、これから海業を担っていく後継者たちのなりわいに大きく影響することです。

 当協議会は、対馬海域、壱岐海域、七里ケ曽根海域、五島海域、平戸海域、沖ノ島海域を操業とする遊漁船業者が各海域でのルール又はマナーを厳守することを協議、実行するために発足いたしました。これは、専門漁師と遊漁船側が各地域で共存共栄していくことを目的としております。

 次に、専門釣り漁師の現状でございます。

 一本釣りなど専門漁師は、不安定な自然環境の中、相場に影響される不安定な魚価や漁獲量、また燃油、資材等の高騰、それから二四年度物流問題、インボイス登録問題が山積しており、この経営環境は自助努力では耐え切れず、産業から手を引く者など、釣り専門漁師を取り巻く環境は非常に厳しい環境の下にあります。

 そんな中、海を大切な地域資源と考え、海を育てる努力も行っています。また、当協議会会員も、漁協正組合員の一員として漁網の回収や港の環境保全事業などに積極的に参加し、漁業資源確保を行いながら、担い手づくりに努めているところであります。

 次に、海業への取組、専門漁師の生きる道と題しまして、遊漁船と一本釣りの漁師の兼業の意味。

 なぜこうなったかというと、自分は今まで漁師をやってきたんですけれども、釣りだけでは魚価の低迷、燃油の高騰などでどうしてもやっていけないということで、遊漁も少し力を入れるようになり、今では遊漁の方が出船率が高くなって、水揚げも上がっておるのが現状でございます。

 全国に先駆けとして例を見ない当協議会組織の特徴は、漁師として漁業協同組合に参加している経営者が、経営を継続のためにプロの集団の遊漁船として誇りを持って経営しているものでございます。一本釣り漁師の生き残りを懸けた経営策でもあります。

 専門漁師が兼業で行う遊漁船を海業と改名したいということでございます。

 専門漁師の思い。

 マグロが、意見が国でも取り上げられて、我々遊漁船側としては四十トンという枠決めをされているんですが、まき網はどうかということですよね。まき網は、枠が満杯になったら、捕った魚を海の中にレッコしているというのが現状です。我々漁師側が何ぼ釣ったって、一晩で巻き上げるまき網の漁の漁獲高は捕れないものです。だから、もう少し緩和を一本釣り側にしてほしいという要望でございます。

 それから、私は、補助金で、リース事業を行って船を建造したわけですが、リース事業の目的といいますか、枠決めが、漁業で二分の一、それから遊漁で二分の一で操業してくださいということでお話をいただいておったわけですが、どうしても遊漁と漁業とでは、半々、フィフティー・フィフティーの水揚げは困難であり、もう少し緩和をしていただけないでしょうかという要望でございます。

 遊漁船とは遊ぶ船と明記してありますが、捉え方を変えていただき、現地で消費者に直接魚を販売しているんだと理解していただければ何の問題もないんじゃないかと思っております。

 約二十年ほど前、バブルがはじけ、魚価が低迷したときにかなり悩まされたことを思い出します。

 電気機器類の進化、技術等により、まき網船が一網打尽に捕り尽くしていく、漁場が荒らされてしまい、我々一本釣りの漁獲量が減少と魚価の低迷、資材、燃油の高騰などで、やはり漁業としての仕事としてどうしても遊漁という職業の選択をせざるを得なかったのは事実でございます。これを、これから漁村を担っていく後継者のためにも理解していただきたいと思います。

 最後に、我が早福漁港は平戸島の最西端の漁港でもありまして、秋から春にかけて港の港口が非常に厳しく、季節風である北西の風が強く、出入港の際、三角波などが押し寄せてきて危険を伴いますので、いま一度、水産庁の方から視察に来ていただき、再検討していただければありがたいなと考えております。御理解のほど、よろしくお願いいたします。

 これで意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

加藤座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

加藤座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮路拓馬君。

宮路委員 意見陳述者の皆様方、ありがとうございました。

 それでは、時間も限られておりますので、まず、予算案についての今審議がされている予算委員会です。予算というのは国の行動そのもの、行動指針そのものでありますので、そして、今、やはり問題になっているのは政治と金の問題であろうと思います。それによって、今、政治不信が起こっているという状況にあります。まさに信なくば立たずでありますので、とりわけ自民党の問題でありますので、我々は襟を正してしっかりとこの状況を是正していかなければならないと思っております。

 そこで、お伺いをいたします。

 今回の政治と金の問題、鈴木市長におかれては行政組織のトップとして、あるいは岩永事務局長におかれては労働者の代表として、そして嶋崎観光連盟会長としては経済界の代表として、そして岩崎さんにおかれては漁師の代表として、もし、この信頼回復へどうすればよいか、一言あれば一言ずついただければと思います。

鈴木史朗君 御質問ありがとうございます。

 私自身、昨年の四月に市長選に初当選いたしまして、それは人生初めての選挙だったわけですけれども、それまでずっと三十六年間国家公務員をやっていて、選挙というのはいかに大変なものなのかというのを身をもって経験したわけでございますけれども、そのとき感じましたのは、やはり政治資金規正法、このルールで、お金の取扱いについてまだ何かグレーゾーンの部分が非常に多いんじゃないかなと。それが今こういうところを起こしているんじゃないかなという気が個人的にはしております。

 したがって、そういうルールの明確化ということを是非国会の方で議論していただければと思います。

 以上でございます。

岩永洋一君 長崎の三区でもそのような事例が発生をしたということで、長崎県民にとっては非常に残念な結果というか状態でございました。

 今市長も言われましたけれども、やはり、お金のことについてはとにかく透明性を保つということを徹底をしていただきたいというふうに思っています。

 以上です。

嶋崎真英君 私、バス事業でございますので、法令遵守は当然のことだと思います。何より、国民が常識的に理解できることをやっていただきたい、それに尽きます。

岩崎幸広君 私はやはり、生きるか死ぬかじゃないけれども、食うか食わずか、我々漁民はもう本当に困っている現状であります。そういった方々の税金は無駄に使ってほしくないという声がたくさん上がっておりますので、今後気をつけてやっていただけたらなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

宮路委員 ありがとうございます。

 やはり我々としても、まずは自浄作用を働かせることが極めて大事だという思いで、原因究明、今回の事案のしっかりとした総括と、そしてしかるべき処分を行うということ、そしてまた再発防止策を講じるということ、これは恐らく民間であれば当たり前だと思っておりますので、嶋崎会長もおっしゃったとおり、法令を遵守するのは当たり前だと。民間であれば当たり前のしっかりとした制度、仕組みにしていかなければいけないというふうに思っております。

 今回の予算案では、昨年四月にこども家庭庁ができまして、異次元の少子化対策ということで少子化対策のパッケージが提示をされ、そして、三・六兆円の財源を確保して、少子化対策をしっかり進めていくということが目玉の一つとなっております。

 先ほど鈴木市長の方からは、長崎市の百年に一度のピンチ、それは人口減少だということで、それに当たって、経済の活性化と、あと少子化対策が二つの両輪だということでしたが、この少子化対策について、国に対して特にこれはという要望があればお伺いしたいというのと、今回のこの財源の中で、支援金のことが予算委員会でも大変話題に上っております。

 労働者の代表として岩永事務局長に、この支援金、全世代で子育てを支えるという趣旨で、社会保険料に上乗せをするという仕組みがあります。一方で、現役世代にこれ以上負担をかけるのかということもあって、全て国債で賄うべきではないかという議論もあります。一方で、国債で賄うということは結局は負担の将来への先送りということで、まさに子供の世代に負担を先送りするのかということもあります。

 そうした中で提示された今回の財源スキームであるわけですが、その中で特に支援金のこと、これについては、当然、社会保険料ですから、事業主負担というのもございます。労働者の代表としての岩永事務局長と、あと事業者の代表として嶋崎会長に、この少子化の財源の中で、とりわけ支援金についてどのようにお考えか、三名の方にお伺いをしたいと思います。

鈴木史朗君 子育て政策への国に対する要望ということでございますけれども、先ほども私の説明の方で申し上げたところでございますけれども、子育て世帯の皆さんに特にいろいろアンケートも取ってお聞きしたところ、やはり要望として大きいのは、経済的負担を軽くしてほしいというお声が強くございました。そのために必要なこととして、第二子以降の保育料無償化、そして小中学校給食費の無償化、特にこれは要望が大きいところだというふうに感じております。

 しかしながら、こういった施策を進めるに当たって、これはやはり、地域によって、自治体によって差が出てくるというのは好ましい状況ではない、ひとしく子供に関する施策は平等であるべきだ、国において全国一律の制度として実現する必要がある、特に基本的な部分についてはそういうふうに思っております。

 したがって、是非国において、こういった今申し上げましたような無償化の施策の実現を図っていただければというふうに思っておりますので、お力添えを賜りますよう、よろしくお願いいたします。

岩永洋一君 子育て環境を整備すること、非常に大切なことだというふうに思っております。私たちが働く中で、子育てということは切っても切り離せないことだというふうに思っているところです。

 今非常に私たちが問題にしているのは、一人親世帯への支援、やはり生活困窮者という方々が大変多くいるというふうに聞いています。この方々への支援を特にお願いをしたいというふうに思っています。

 子育てができないと働くこともできないというようなこともございます。是非、安心、安全に働ける環境づくりを、充実した子育て支援をお願いをしたいというふうに思います。

嶋崎真英君 国や自治体からの支援について充実するにこしたことはないと存じますが、財源もやはり限りがあることだと思います。

 実質賃金が、現在、物価上昇に賃上げが追いついていないというのが今現状でありますので、やはり、経済的に豊かになれば当然子育ては順調にいくんじゃないかと思っておりますので、私ども経済界といたしましては、それこそ、何とか待遇改善に向けて本業の方を頑張ってまいりたいと思います。

宮路委員 ありがとうございます。

 先ほど、岩永事務局長の御説明の中で、賃上げというのがやはり大事だということで、政府としても国としても、賃上げに向けた様々な取組をしておりますが、その一つが最低賃金を上げていくということ、そしてまた価格転嫁をしっかり進めるということで、特にこの点、先ほど強調して言及されたと思いますが、この価格転嫁、先ほど、協定を結んでいる、それを進めていくということが大変重要だというふうにおっしゃっていましたが、協定とはいえ、必ずしも法的な拘束力があるわけではないと思いますが、この協定の実質的な効果というのをどう見ていらっしゃるかというのをお伺いできればというふうに思っております。

 あわせて、観光連盟会長としてのお立場ですが、経済界にも長くいらっしゃる嶋崎会長にも、企業経営者としては、賃上げというのはコスト高になるわけですから、なかなか難しいという面もあるかと思いますが、一方で、賃金が上がり、物価が上がり、そしてまた売上げが上がり、そして賃金を上げていく、この好循環に戻れるかどうかの千載一遇のチャンスだというふうに言われております。

 こうした中で、企業経営者として、それを後押しするための政府の施策、賃上げ促進税制だとか様々講じられておりますが、こうしたところがあればもっといいよねということがあれば、お考えを聞かせていただければと思います。

岩永洋一君 連携協定ですが、おっしゃるように、これを守らないということで罰則規定はありません。パートナーシップ構築宣言については、これも、先ほど申し上げました連携協定ですけれども、パートナーシップ構築宣言の認知度を高めるということをまずやりたいということで、県の方に汗をかいていただいたということです。このパートナーシップ構築宣言の中には、してはいけないこと、しなければならないことなどが事業者間で認知できるというふうに思っています。

 そういったことで、その認知度を広げるということがまず必要だということで、パートナーシップ構築宣言、そして、この連携協定を結んだということでございますので、パートナーシップ構築宣言が今百八十幾らから百ぐらいしか進んでいないんですけれども、もっともっとこれを進めることによって、親事業者と下請事業者、どちらもそのことが分かれば、いろいろな価格転嫁あるいは価格交渉もできるんだということも分かってもらえるというふうに思いますので、そういった面では有効なことだというふうに思っています。

嶋崎真英君 我が国は労働生産性は低位にあろうかと思います。やはり現在の状況を打破していくためには、我が国は、我々もそうですが、労働生産性の向上というのが大変重要になってこようかと思います。

 私どもも、売上げを上げるためには、実際、運賃改定をするしかないんですね。しかし、運賃改定をしたら収益が上がるというだけでは済まされない、いろいろな問題がございます。やはり、その運賃に見合ったサービスをちゃんと我々が維持できるのかということだと思うんですね。

 ですから、販売単価をただただ上げて、売上げを上げて、収益を上げて、利益を出して、それを結局、待遇改善に使うということではないと存じます。この値段であれば支出してもいいというような、そういうサービスを心がけていかなくてはいけないんじゃないかなと存じます。

宮路委員 ありがとうございます。

 本日、意見陳述者の皆様の話を聞いていて、私の地元鹿児島と長崎はやはり共通点が多いなと思ってお聞きしておりました。離島の数が一番多い長崎、そして離島における、有人離島の人口の数でいけば鹿児島が実は日本一なんですが、やはり離島振興といえば長崎と鹿児島がこの国をリードしてきたと思っておりますし、あわせて、観光産業が主産業であるという意味においても、長崎と鹿児島は共通しているのかなというふうに思っております。

 あわせて、水産業、これも鹿児島はもう大変盛んでありますので、そこでお伺いをさせていただきますが、岩崎協議会会長に、先ほど海業という話、大変そのとおりだなというふうに思いました。

 時代が変わって、従来型の漁師だけではなく遊漁というのも含めてこれは立派な海業だという位置づけ、これが大事だというのは、大変腑に落ちるというか、腹落ちする思いでしたけれども、これまで以上に付加価値を上げていくために、海業としてどのような国の支援が必要だと思われているかというのをお伺いできればと思います。

岩崎幸広君 ありがとうございます。

 我々、私の港に例えて言うなら、約四十隻ほど漁師がおるんですが、全て一本釣り漁師なんですね。釣りだけで飯を食っていっているんですけれども、先ほど申しましたように、釣りだけじゃどうしても水揚げ不足で、家を立てていくのがもう本当に困難であるということで遊漁を始めたわけですが、遊漁といったら、先ほど言ったように、遊ぶ船と書くんですね。遊ぶ船と明記されたら、おまえたちはお客さん乗せてお金もらえるっちゃろうがと言われそうになるんですけれども、実は、やはりお客さんに船の上で現場でお魚を販売しているという形を、そういう捉え方をしてもらったら遊漁じゃなくなるんじゃないかなと思うんですね。

 現在、水揚げした魚を漁協に出さないで直接市場に運ぶ漁師さんも結構おるんですね、マージンを取られないようにということで。歩金はもちろん、歩金という形で払っていますけれども、輸送費が、コストが要らないということで、自分で積んでいって、それは認められている。ただ、船の上でお客さんに魚を売るのは駄目なんですかということになると思うんですよね。

 だから、遊漁も、国の方が言ってくれたことがあるんですけれども、遊漁も立派な漁業だと言ってくれた政治家さんもおるんですよ。それをずっと私はやり取りしていただいて、地方にも足を運んでいただいて、生の声を聞いて帰って、それがまだ反映されていないということが今の現状なんですね。

 遊漁と水揚げがフィフティー・フィフティーにしてくださいと言っても本当に困るんですね。といいますのは、しけたときには釣りには出られない、ポイントが遠い関係で。でも、遊漁の場合は近くでも出られて魚が釣れる場合があるんですよ。そういったことをやっているものですから、漁業よりも遊漁の方が水揚げが上がるんですね、どうしても。そこを酌み取っていただけたらなということで、そこの改正をお願いしたい、そういうふうに思っております。

宮路委員 ありがとうございます。

 時間が来たので、これで終了とさせていただきます。ありがとうございました。

加藤座長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 よろしくお願いします。

 本日は、四名の皆様、大変貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。立憲民主党の山田勝彦でございます。

 私も、同じ長崎県民として、先ほどから話題になっている、若い人たちがどんどんふるさと長崎県を離れてしまっている人口減少の問題、こういったところに大変強く関心を持っているところです。そして、その大きな原因に、やはり地方長崎県と大都市圏との賃金格差、これが大変重要な問題だと思っております。

 労働団体や経済界の皆様の御尽力によって、昨年、長崎県でも最低賃金が一気に四十五円引き上がった。八百九十八円まで達した。これは大変すばらしい動きだと思っております。しかし、それでもなお長崎県の最賃は全国ワーストレベルであり、いまだ大都市圏と比べると二百円以上もの格差があるという状況です。

 今国会の重要なテーマである物価高を上回る賃上げ、これを実現する上でやはり大事な視点というのは、今日ここで公聴会が行われているということもそうです、地方であったり、中小企業、こういった視点が大事ではないかと思っております。岩永事務局長からあったとおり、長崎県の企業の大半は中小企業であり、多くの中小企業は大企業と比べて賃金が低い現状です。

 そこで、お二人にまずお尋ねしたいと思います。長崎を代表する経営者のお一人でもある嶋崎会長、そして、連合長崎の事務局長である岩永事務局長にお尋ねします。

 長崎県の中小企業で働く人たちの賃上げを具体的に実現していく上で、どのような政策が有効であるとお考えでしょうか。嶋崎会長からお願いいたします。

嶋崎真英君 先ほども申し上げました労働生産性でございますけれども、昨年の実質賃金は、物価上昇に賃上げが追いついておらず、二年連続で減少したと承知をしているところでございますが、こうしたことに対するインフレ手当は大切なこととは受け取りますけれども、やはりサステーナブルな成長を実現させるための根本の要因は、先ほど申し上げた日本の成長率、つまりは労働生産性の低さであろうかというふうに存じているところであります。これを解決しないことには、コストプッシュが主因である足下の物価上昇を上回る賃上げは実現はできないというふうに存じます。

 労働生産性につきましては、簡単に申しますと、分子が売上高で分母が労働投入量であるわけなんですけれども、分母の投入量については、DX化であったり省人化ということだと思います。これについては国の方でもいろいろな手だてをしていただいておりますけれども、更に充実した御支援をいただければというふうに期待をするところでございます。

 根本的に大切なことというのは売上高でございますけれども、さっき申し上げましたように、単に価格を上げさえすればいいということではないんですね。だから、消費者が、利用者がやはり納得するような、リーズナブルな、できれば、高付加価値なサービスや商品を提供して価格を上げて売上高を伸ばしていくというような循環でないと、経済というのはよくはならないというふうに存じます。

 したがいまして、労働生産性を上げる、そのためには、高付加価値の商品やサービスを提供していくということが肝腎じゃないかなというふうに存じます。

 以上です。

岩永洋一君 本来の姿としましては、やはり中小企業等が稼げる力というのを高めるということが必要だろうというふうに思っています。しかしながら、現状では、原材料費やエネルギーコストの上昇など企業物価が高騰をしている中で、競争力を高めるということは非常に難しい状況にもあるんじゃないかと思っています。先ほど申し上げました価格転嫁も一朝一夕にできるものじゃないというふうに思っていますので、やはり今は国や自治体の支援が不可欠だろうというふうに思っています。

 陳述の中でも申し上げましたけれども、業務改善助成金など、やはり国や自治体からの支援が必要であり、更に簡便な申請方法とすること、あるいは、大幅な賃上げが落ち着くまでの時限立法でもいいので、年収の壁の支援と同等な、思い切った真水の支援が必要であるというふうに思っています。

 あわせまして、最低賃金も非常に大切なものだというふうに思っています。私たちは労働組合です。組織率は一五%前後というふうに言われております。ほとんどが組織されていない労働者なんですね。その方々にやはり賃上げを波及させるためには、最賃を上げて底上げを図るということが必要でありますので、日本全体あるいは長崎全体の経済活性化のために、そのことも必要だというふうに思っています。

 以上です。

山田(勝)委員 ありがとうございました。

 続いても、お二人にお尋ねしたいと思います。

 正社員として雇用したくてもなかなかできない大きな原因に、社会保険料の企業負担があると私たちは思っております。そんな中、本日、閣議決定をされているんですけれども、子育て支援金。この子育て支援金において、更なる企業負担が懸念されております。

 嶋崎会長からもあるとおり、実質賃金は二年連続上がり切れていない。そして、実質、年金は五年連続減少しているという大変厳しい状況の中で、今回の子育て支援金の内容というのは、専門家の試算によれば、中小企業の協会けんぽ、これが一人年額約一万二千円の負担増になるということです。

 これは私は大変懸念をしているんですけれども、これは労使折半ですよね、こういった協会けんぽというのは。つまり、今回の子育て支援金が導入されることによって、働く人たちが年額六千円程度にとどまらず、雇う側の企業側も六千円の負担増という状況になってしまいます。これは、本当に中小企業の賃上げにとって追い上げムードになり得るのか。いや、むしろ逆行するのではないかというふうに懸念しているところです。

 岩永事務局長からあったとおり、今、厳しい経営環境の中で必要なのは真水の支援だと。私たちもそう思っております。

 そんな中、私たち立憲民主党は、非正規で不安定な労働者を正社員として雇用を積極的にする企業の社会保険料の負担額を国が真水で助成する法案を既に国会に提出しております。子育て支援金のような逆行する話ではなくて、むしろ今必要なのは、企業の社会保険料の負担分を国が支援していく政策ではないでしょうか。労働者の正規雇用や賃上げに効果があるとお考えになられるかどうか、今度は岩永事務局長からお願いいたします。

岩永洋一君 社会保険料の企業負担を国が支援する政策ということなんですが、これが継続した支援となるならばいいのかなというふうには思っています。

 連合としての見解としましては、昨年十月からは年収の壁・支援強化パッケージとして、キャリアアップ助成金のコースの新設とか、あと社会保険適用促進手当などが実施をされております。これらは、全ての労働者への社会保険の適用に向けた課題を根本的に解決する策とは言えないというふうに私は思っています。

 連合としましては、賃金要件を始めとする各要件の見直しや撤廃により社会保険の適用拡大を進めて、一人でも多くの労働者にふさわしい保障を実現することを求めているところでございます。

 少し回答になったかどうか分かりませんが、以上で回答とさせていただきます。

嶋崎真英君 中小企業に限らず、我々民間企業は、とにかく収益を伸ばし、利益を確保して、キャッシュをそれこそ蓄えていく。そうじゃないと、赤字だったら待遇改善はできないわけなんですね。

 という観点から申しますと、先ほどおっしゃいました企業の負担軽減を図るということは、それによって正規雇用や賃上げにつなげていくという、その施策についてはありがたいとしか言いようがございませんが、やはり企業というのは黒字を確保していかないといけないわけですから、先ほどから申し上げています労働生産性を上げるということに尽きるんだというふうに存じます。

 以上です。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 次に、中小企業の賃上げに欠かせない適正な価格転嫁についてです。

 私自身、長崎県内の建設業の経営者の方から本当に悲痛な声、相談を受けました。公共事業として一千四百万円で受注した元請会社から、二百万円で仕事をさせられている。とても利益が出ない。社員に給料も払えない。私がそんな不当な仕事は断れないんですかと尋ねると、そんなことをすれば、次から仕事を振ってもらえなくなる、それはそれで困ってしまうということでした。

 このような下請いじめにより泣き寝入りするしかない現実がこの長崎県で起こっている。そして、これは全国各地で起こっていると思われます。

 岩永事務局長からあったように、今政府は、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を公表している状況の中で、最も有効である、特に雇用の七割を占める中小企業がその原資を確保できる取引環境を整備することが重要だと述べています。そんな中、先ほどから話題になっているパートナーシップ構築宣言、連合さんも大変積極的に取り組まれているところです。

 そこで、岩永事務局長にお尋ねいたします。

 この宣言をする発注側企業が増えれば、私が先ほど紹介したような買いたたきに遭っているような下請企業は減っていくのでしょうか。また、発注側企業と下請企業が適正な取引価格の転嫁について協議の場をつくること、これはとても重要です。この宣言により、公正な取引慣行の実現に十分な効果があると感じられているでしょうか。そして、岩永事務局長からあったとおり、様々課題があると思っております。中小企業の労務費を適正に価格転嫁し、賃上げを実現しやすい環境をつくる上で、現行制度をどのように改善するとよりよい状態に持っていけるとお感じになられているでしょうか、お聞かせください。

岩永洋一君 まず、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の上昇分を適切に価格転嫁をすることについての機運を醸成し、価格交渉をしやすい環境づくりを行うということが重要だというふうに思っています。

 パートナーシップ構築宣言書の中では、サプライチェーン全体での共存共栄、付加価値の向上に取り組むことや、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行、いわゆる振興基準を遵守すること、不合理な原価低減要請を行わないことなどがこの宣言書の中に盛り込まれております。

 宣言の内容を遵守しなくても罰則規定はありません。先ほども申し上げました。これも先ほども申し上げましたけれども、パートナーシップ構築宣言の認知度を高めるということによって、してはいけないこと、しなければいけないことなどが事業者間で認知できるというふうに思っています。

 それから、下請企業から価格交渉を申し入れて話合いを行い、実際に一部でも価格転嫁を実施できたという事業所もあるというふうに聞いています。公正な取引慣行の実現に十分な効果があると考えられるかとの質問でありますけれども、これは労務費でいえば、昨年十一月に出された労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を、様々な媒体を使った総がかりの周知の徹底をやはり国としてお願いをしたいというふうに思っています。

 実際の価格交渉は調達現場なんですけれども、その担当者がこの指針を認知、熟知しておくということも課題になるというふうに思います。経営トップから企業全体でこの指針を認知、熟知しておくということ、そういったシステムづくりも必要なのかなというふうに思っています。

 それから、不当に価格転嫁に応じない企業へは、公取委において、独禁法あるいは下請代金法に基づいた、厳正に対処していくということもこの中に記載があります。企業名の公表あるいは勧告などを徹底をしていただきたいというふうに考えているところでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 やはり長崎県の人口減少を食い止める上で、こういった賃金格差をいかに都市部と埋めていくかというのが本当に重要だということを改めて認識させていただきました。

 そしてもう一つ、長崎県の人口減少の最大の理由は、やはり農業、漁業の後継者がいなくなってしまったこと。一次産業の再生なくして、地方の、長崎県の再生はあり得ないと思っております。

 そこで、漁業問題について、岩崎会長に伺わせてください。

 水産県である長崎、宝の海として何十年も前、漁師の皆さんは本当に景気がよかったですよね。しかし、今、環境が変わってきた、温暖化にもなって、磯焼けにもなって、そして燃油代もどんどん上がって、漁師の皆さんの経営環境は本当に厳しい、私も漁村を回って本当に感じております。

 そういった漁村を活性化するために、水産庁も、海業支援にかなり力を入れて予算事業が行われている。こういったところはいい方向性だと思いますが、こういった厳しい環境の中でも、長年現場で、漁師で、第一線でやられている岩崎会長から見て、後継者が育つ漁業であるためにどういった政策が有効であるかということをお聞かせいただけますか。

岩崎幸広君 たくさん課題が山積していると思うんですけれども、まず、例えば私たちの港からしたら、やはり、どんな台風でも、季節風でも出入りが速やかに行われる港湾の整備が一つ。

 それから、平戸島というのは北東に長いわけです。四十数キロあるわけです、端から端まで。私たち、早福から例えば平戸の市役所に行くまでには約四十分ほどかかります。道路網が非常に厳しいんです。道路網を、途中、平戸島を短縮するために、紐差というところから水垂というところまで、約二・何キロかあると思うんですけれども、そこの道路を真っすぐ一直線にしたら、我々、農業にしても漁業にしても、生産した物資を市場に短時間で運べる、そういったメリットがありますので、交通網を、そういった改良をしていただくなら、もう少し平戸島も人口減少を食い止めることができるんじゃないか、そういうふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 続いて、最後に、鈴木市長にお伺いしたいと思っております。

 核兵器禁止条約が発効して三年がたちました。ICANのメリッサ・パーク事務局長は、日本政府に対して、唯一の戦争被爆国という立場だからこそ道義的な指導力を示すことができるはずだ、まずはオブザーバーとして締約国会議に参加するよう求めています。

 鈴木市長は、御自身が被爆二世であられることを公表し、世界へ、平和都市として、長崎市長として発信されておられます。最後の被爆地である長崎市の市長として、長崎市民を代表し、今の日本政府の核兵器禁止条約への対応についてどのような評価をされているか、お聞かせください。

鈴木史朗君 我が国は、唯一の戦争被爆国でございます。核兵器の非人道性、惨禍を最もよく知る国でございます。この日本政府が核兵器廃絶に向けた議論の中で中心的な役割、リーダーシップを発揮するということは大変重要なことだというふうに思っております。是非、日本政府には、核兵器のない世界の実現に向けた推進力になっていただきたい。

 そのためにも、核兵器禁止条約締約国会議などの場においては是非中心的な役割を果たしていただきたい。是非、一日も早く署名、批准をしていただきたいと思いますし、まずは、締約国会議のオブザーバー参加から始めていただく。日本と同様に、核の傘の下にある国、ドイツ、あるいはオーストラリア、そういった国も既にオブザーバー参加しております。是非、オブザーバー参加することから始めていただくということを日本政府に対して強く求めていきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

山田(勝)委員 ありがとうございました。

 私たち立憲民主党は、引き続き、オブザーバー参加を政府に強く求めていきたいと思います。

 時間が参りました。今日は本当にありがとうございました。

加藤座長 次に、林佑美君。

林(佑)委員 今日は、お忙しい中、公聴会のために貴重なお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 三十年ぶりに賃上げが実現しまして、昨年は、賃上げ元年とも言える、デフレ脱却に向けた小さな一歩を踏み出せた年だと思っておりますが、皆さんは、率直に、政府の賃上げ対策についてどう思われているか、御感想をいただけないでしょうか。

鈴木史朗君 賃上げ対策について、これは、あらゆる手段を取って総がかりで対応していくということが大切だというふうには思っております。そのためにも、政労使がしっかりと横に緊密になって連携していくことが必要だというふうに思っております。

 そういう意味で、是非政府におけますそういう政労使が連携した、一体となった取組に期待したいと思います。

岩永洋一君 まさに今、春闘が始まりましたが、政府の対応方針というか、私たちは労働組合ですので、まずは労働組合、労使自治で交渉を重ねていきたいというふうに思っているところです。

 政府の対応としては、今の、先ほども申し上げました、やはり今は中小企業に支援を是非お願いしたいというところです。本当にちっちゃな小規模事業所が、賃上げができる、稼げる力が今ないというようなところもありますので、是非そういった支援を、今は支援をお願いをしたいというふうに思います。

嶋崎真英君 私どもの会社のことで申しますと、もう既に、コスト高の影響もある中で、事業者単独での路線維持というのは非常に困難な状況を迎えております。

 加えて、本年四月一日より働き方関連法が施行されまして、我々運輸事業者、それから建設事業者もそうでしょうし、医療に関わる皆さんもそうなんですけれども、残業の上限規制や就労のインターバルの確保なんかが必要になってくるわけですね。更にやはりコストを圧迫する状況になってしまいます。

 何とか当社は補助金ももらわずに、二年ぐらい前まで、去年までですか、頑張って、歯を食いしばってやってきました。しかし、もう限界なんですね。

 そういう意味では、やはり国であり県であり市であり、本当に必要なインフラそのものだということを十分に御理解をいただき、支援をしていただければと存じます。

 以上です。

岩崎幸広君 うちの組合は志々伎漁業協同組合というんですけれども、二十三名の職員がおるわけです。この人たちは、平戸から福岡まで魚の運搬を行っています。現場で小売、運搬とか箱詰めとか、そういった仕事を行ってもらっておるわけですが、本当に賃上げをしてあげたいんです。でも、やはり比例しない限り、魚が低迷している関係で、ガソリン代は高いし、魚の値段が高騰しないということで、職員の給料を上げることはどうしても不可能なんです。

 農業に関しても、米、野菜等が全く単価が上がらない。なおかつ、肥料なんかは二倍とか二・五倍とかになって、農業離れをしていく人もおって、うちの、私はまだ現在農業もやっています、食いしばってやっています、その中で、道路、農道があるんですけれども、農道の改良もお願いしにくくなりつつあります。なぜかというと、農業をする生産者が、コストが、採算が取れないということで、どんどん離れていっています。そこを何とか食い止めたいんですけれども、やはり自分の力ではどうしてもできないというのが現状で、お国の力をかりるしかないんですね。

 そういった末端の声も、都会だけじゃなくてこういった田舎の悲鳴も耳に入れて帰っていただければなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

林(佑)委員 昨年、十三兆円を超える、物価高騰対策を含めた持続的な賃上げを実現するための臨時補正予算について、私は、日本維新の会を代表して本会議に登壇し、賛成討論をしてまいりました。

 しかし、私たちとしては、行財政改革とか、あと規制緩和などに踏み込み不足が否めず、まだ物価上昇に賃金上昇が追いついておらず、皆様の可処分所得の上昇、そして需要喚起などの経済の好循環に結びつくにはまだまだ時間がかかるんだなという実感を持っております。

 下請の企業の方々、そして日本の多くの企業が中小企業だと思うんですが、その方々まで賃上げを実際に実現する具体的な支援というのは、実際、具体的にどういった支援があると助かるなという思いでいらっしゃるのか、アイデアをいただきたいなと思っております。

鈴木史朗君 賃上げ支援に向けた取組ということでございますけれども、まずは、先ほどちょっと嶋崎会長の方からもありましたけれども、やはり企業が稼げる体質になるということは非常に大切だと思います。そういう企業の生産性向上に関わるようなところに関する支援というのが非常に大切かなというふうに思っております。

 以上でございます。

岩永洋一君 これも繰り返しになるというふうには思いますけれども、本当に中小企業が元気になるためには、今は、国からあるいは県からの支援が必要かなというふうに思っているところであります。

嶋崎真英君 燃料費については、国それから自治体の方から御支援をいただき、本当に感謝をいたしております。

 やはりコストプッシュが、要は賃上げを下回らないことには可処分所得が上がらないわけでございますので、何より、水道光熱費であり仕入価格は当たり前の話なんだけれども、特に、さっき申し上げた燃料費に対する御支援は継続していただければというふうに希望するところです。

岩崎幸広君 この燃油高騰はいつまで続くんでしょうか。本当にこれで悩まされております。

 先ほどからおっしゃっていただいていますとおり、燃油の補助金等をずっと継続していただければなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

林(佑)委員 私は日本維新の会なので、ちょっとお聞きしたいなと思うんですが、長崎県は、IRにたしか手を挙げていらっしゃったと思います。佐世保、ハウステンボスでIRをできないかということで手を挙げていらっしゃったと思うのですが、今、IRについてまだ実現したいという思いがおありなのかどうかお聞きしたいです。よろしくお願いいたします。

鈴木史朗君 IRにつきましては佐世保市の話になりますので、ちょっと長崎市としてはお答えする立場にないと思いますので、済みません、お答えを差し控えさせていただきます。

岩永洋一君 これはあくまでも個人的な話になってしまいますので、私の方もこの場ではお答えを差し控えさせていただければと思います。

嶋崎真英君 私が何か言わなきゃいけないような立場になりましたが。

 昨年の十二月二十七日に不認定の発表が国からございました。私も、最初の説明の中でも触れましたように、やはり県民は非常に落胆したんだというふうに思います。

 国からの説明を改めて振り返りますと、要求基準を満たしていない、それから評価基準まで至らなかった、資金調達についても当初の提案とその後が違っておりましたと。それで、総合的に、結局、資金調達先の顔ぶれなんでしょう。リターンが恐らく大きくなるために、ギャンブル依存症への対策に対して懸念が持たれるというようなことが国からの説明だったというふうに存じます。

 要は、サステーナビリティーと申しましょうか、事業継続性に疑義を持たれた結果、国が不認定だったというふうに私は個人的に受け止めているところであります。

 四千三百億強だと思いますが、その事業費は、先ほどの建設業も二〇二四年問題、それから建設資材も高騰している中で、四千三百は、今や六千億以上の恐らく建設費になろうかと思います。

 私は、実は、長崎自動車からオランダ村、ハウステンボスに出向して、ハウステンボスプロジェクトに関わった人間でございまして、約二千三百億円の投資をして、平成十五年二月二十六日に会社更生法で倒産をいたしました。私は、出向元の長崎バスに戻って、債権の回収から、倒産後はそういう負債の処理まで担わされてしまったわけなんですけれども、やはり事業継続性というのが一番大切じゃないかと思います。

 ただ、長崎に必要ないかとかいうような問題以上に、地方でも、やはり国が求めるIRに対する与件がハードルが高過ぎるんじゃないかなと私は存じます。ハウステンボスの場合は、既にIRの要件というのはかなり備えていると思うんですね。六千名の国際会議場がまた必要なんでしょうか。

 そういう意味では、そういう与件の見直しというのが国としてもやはり考えていただかなきゃいけないんじゃないかなというふうに、要するに、今回の不認定が決まって、考えた次第でございます。

 よろしくお願いします。

岩崎幸広君 私は、素人考えなんですけれども、とても残念に思っております。

 将来を見据えたときに、やはり人口がどんどん来て、集まって、物すごい経済効果があるはずだったと思うんですね。それがもう大阪だけなんでしょう、とても残念に思えてなりません。

林(佑)委員 ありがとうございます。非常にお答えしにくい立場の方もいらっしゃったと思いますが、ありがとうございました。

 では、次の質問に参ります。

 アフターコロナ、そして円安により、インバウンドの観光客が増加していると思います。観光産業は、関連する分野が多岐にわたることから、裾野の広い産業であると言われておりまして、地方部においても基幹産業であると言えます。

 このことから、インバウンドの都市部を中心とした一部地域への集中を地方部へ誘客することができれば、地方での観光活性化につながると考えております。インバウンドの地方部への誘客促進策について、先ほど県内の周遊という話、そういう対策ができればというお話をいただいていたと思うんですが、その対策以外に何かしていらっしゃることがあればお教えください。

鈴木史朗君 まず、インバウンドの集中に対して、インバウンドの旅行者はどうしても広域に周遊しますので、そのためにもしっかり広域連携を組んでいく。だから、九州であれば、九州一体となって、九州は一つということで取り組んでいく。そのための取組もしておりますし、さらに、九州以外のところとも連携も必要である。長崎におきましては、例えば、広島との間との連携、今まで平和の連携はあったんですけれども、観光の連携を新たに進めているところでございます。

 あと、問題として、先ほど嶋崎会長もおっしゃっていましたけれども、国際線、地方への直行便、これをもっと増やす必要がある。そのためにも、先ほどお話にあったようなグラハンの問題、その辺りがボトルネックになっておりますので、その辺りの解決が必要かと思います。

 以上です。

岩永洋一君 私もですか。私は、特にコメントはございません。

嶋崎真英君 冒頭の陳述で申し上げましたけれども、鈴木市長も今おっしゃって、繰り返しになりますけれども、やはり国際線の誘致に向けての国の支援を是非お願いしたいところでございます。

 やはり何よりグランドハンドリング、グラハンが今非常に脆弱な状況です。確かに、夏の暑い日、寒い日に飛行機を誘導するというのは大変な仕事でしょうし、荷物を積卸しするのもそうだと思いますけれども、そういう労働環境の改善というのは、やはりグランドハンドリングにおいては必要になってこようかと思います。

 何より今はその人員が完全に不足をして、東京とか関西空港、あるいは成田、福岡に集中しているんじゃないかと存じます。地方がないがしろにされているというわけではありませんけれども、後回しになっているのが現状で、長崎に、それこそ韓国から避寒でゴルフに来たい人も、やはり福岡経由でいらっしゃるというのが現状でございます。

 以上です。

岩崎幸広君 私は、答弁がとても難し過ぎますので、控えさせていただきたいと思います。済みません。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 先ほど遊漁を海業に名前を変えるという話があったと思うんですが、もう少し詳しくお話しいただけないでしょうか。ちょっと理解がなかなか追いつかなかったので、もう一度説明していただけたらうれしいです。

岩崎幸広君 一般に日本では遊漁船と呼ばれていますけれども、遊漁は遊ぶ漁と書くんですね、遊ぶ漁船と。それを海業、仕事として、一つの企業として認めてもらうことはできないでしょうかということです。

 遊漁じゃなくて、本当に海業、海で携わっている仕事なので、遊漁という名前を海業と名前を変換していただければなということで、専門漁師、釣りだけの漁師さんと、それから遊漁、私たちは兼業をやっているんですね、遊漁と漁業と。それも同じ、同等の扱いをしてもらえないかなということです。

 例えば、専門漁師は何%補助金がある、遊漁の場合はない、ゼロということですよね。だから、そこをもう少し見直していただけないでしょうかということです。

 今から脱サラしてやる人たちは別ですよ。ちゃんと組合に、組織に入って、漁協、協同組合を助け合いながら、助けながら、支えながらやっていっている現在の漁師さんに限ってということです。理解していただけましたでしょうか。

 ありがとうございます。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 時間になりましたので、どうもありがとうございました。

加藤座長 次に、金城泰邦君。

金城委員 こんにちは。公明党会派の金城泰邦と申します。

 今日最後の質問になります。これまでも委員の先生が様々質問されていただいているので、それとちょっと別の角度で伺いたいと思っております。

 初めに、鈴木市長、先ほど資料を御提示いただきながら、今、長崎市が百年に一度のピンチを招いているというところから、そのピンチを乗り越える必要があるということで、その次には町の変化の兆しということで、まさに百年に一度のチャンスがあるというお示しをいただきました。

 このピンチをチャンスに変える取組、この取組の中で、長崎市として最も力を入れているところについて御説明をいただけたらと思います。

鈴木史朗君 御質問ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたとおり、特に、要はピンチというのは人口減少なわけですけれども、それに対処するためには経済再生と少子化対策、この二つの車の両輪を回すということが大切であると思っております。

 そういう意味で、経済再生においては、先ほど申し上げましたが、特に、まずは即効性が高いのは観光交流分野である、この長崎においてはそういうふうに思っておりますので、いかに観光交流を経済活性化につなげるためにどうすればいいか。そのためには、単に旅行者を増やすだけではなくて、量だけではなくて質の向上、つまり高付加価値な観光を実現していくということ、それによって一人当たりの旅行消費額を拡大するなどを実現していくことが大切であるというふうに考えております。

 それと、少子化対策。これは、あらゆる施策を動員して、長崎を子育てしやすい環境、子育て世帯にとって暮らしやすい環境にする、そのような施策を進めていくということが大切であるというふうに思っております。

 以上でございます。

金城委員 ありがとうございました。

 市長からの説明の中にも、人口減少を補うものとして、いわゆる観光交流人口を増大させる、その経済効果というものが、外国人の旅行者八人分、国内旅行者二十三人分という御説明もありました、定住人口一人当たりの年間消費額として。こういった部分は非常に大事な視点だなというふうに思いました。

 そういった取組、今日もランタンフェスティバルの映像も見せていただきまして、非常に著名の、有名人の方が、芸能人が来て、それをまた楽しみに多くの観光客が訪れるという取組をされております。

 こういった取組も長崎市としては、これまでの長崎市、観光協会として取り組んできている部分、今、DMO長崎ということで新たな取組もあろうかと思いますが、このDMOを認定取得をするに当たっての狙い、そしてまたその取組の中での最も苦労した部分がございましたら、参考までに教えていただきたいと思います。

鈴木史朗君 DMOについてのお尋ねでございます。

 DMO、これまで長崎市においても、観光協会といった組織があったわけでございます。ただ、その従来型の組織では、やはり役所の延長という域を出ることはできませんでした。それをもっと民間の視点を取り入れて、例えば、マーケティングの戦略をしっかり立てる、その戦略に基づいてターゲットを絞って、そのターゲットごとに効果的なプロモーションをやっていくなど、そういった取組をうまく、やはり役所で発想できないような部分、どんどん民間を取り入れるために民間の人材にもDMOにたくさん入ってもらうということも含め、そういう民間的なところも一緒になって取り組む、これがDMOの発想でございます。

 今、DMOの実務のトップを務めている方は、公募したんですけれども、千人以上の応募があった中から一人選ばれた方でございまして、パナソニックで広報とかをやっていた方です。そういったやはり企業において得た経験というのはすごく今効果が発揮されているんじゃないかというふうに思っております。

金城委員 市長、ありがとうございました。

 このDMO長崎のホームページも見させてもらったんですが、非常にクオリティーが高いなと思いまして、一自治体でここまでできるんだというふうに私も非常に感銘をいたしました。

 こういった部分は、私も地元が沖縄県ということで、観光産業が非常に重要な町であるんですが、なかなか、コロナ禍の中で入域観光客数が減少して、観光業は非常に大変な打撃を受けました。今後、コロナ禍から新たな経済再建に向けての取組が必要であり、そういった意味では、長崎市として取り組んでいるこのDMOの取組、是非これは参考にさせていただきたいなというふうに思いました。ありがとうございます。

 次に、観光を支えるという意味で、嶋崎会長の方には、様々な交通網の連携など、これまでバスを始め電車、またタクシーも含めて様々な事業に先駆的に取り組んでいただいているということが、資料の紹介で、コラムなどを読ませていただきました。

 今、長崎市として観光をより進めていくための取組として、長崎新聞などの資料を見てみますと、力を入れるべき観光施策ということで、一つは、二次交通の整備というのが約八十一者ほどあったということで、この二次交通の重要性という点について意見をいただきたいのと、その課題を克服するために行政が支援できることは一体どういうものか、そういったものを、御要望も含めて伺えればと思います。

嶋崎真英君 長崎県の場合、東西南北、非常に遠い市町も離島もございますし、東は島原半島があって、島原市と、それこそ西の壱岐、対馬なんかはとんでもない距離でございますけれども。

 例えば、平戸島に行こうと思いますと、佐世保市からバスで一時間半かかるんですね、佐世保駅前から平戸の桟橋、平戸の中心地は。それからさらに、生月までが三十五キロ、生月島の大バエ灯台というところ、それこそ東シナ海の水平線が一望に見えるところなんですけれども、であったり、平戸島に行くには、松浦鉄道を使っても平戸口までしか行かないんですね。それからまたバスに乗り換えて行かなきゃいけないわけなんです。ですから、公共交通で行くには、空港から平戸であったり、空港から島原半島であったり、非常に今不便をおかけしているというのが現状なんですね。

 これは、一つは、先ほど申し上げた道路整備、高規格道路なんかが中心が遅れているということが一つあろうかと思います。もう一つは、やはり我々交通事業者がはっきり言って弱体化しておりまして、それは、もちろん経営的なものであり、運転者の不足であったりして、なかなかそういうダイヤを維持できないような状況になってしまっております。ですから、本数も少なくて、さらに時間もかかるというのが現状だ、二次交通につきましては。

 そんな中で、じゃ、長崎であればほかに手段があるじゃないかというのが、私は、海路を利用した交通アクセスだと思うんですね。例えば、大村湾から、現在は、長崎空港から大村湾を使ってハウステンボスまで、一日三便、安田汽船が運航をしていると思いますが、もっと、要するに現代にふさわしいような、それこそ船を御用意いただいて、もっと頻繁にハウステンボスまで移動していただけるような、是非そういう環境をつくってもらえればなとも思います。

 先ほど申し上げました、今度ハウステンボスから、これはいろいろな問題があります、漁協の問題もございますが、佐世保まで、例えば西海橋の下を通ってというのも、観光にとっても旅情があってすばらしいんじゃないかなと存じますし、さらに、佐世保から平戸のそれこそ桟橋までとかも、海路を使ったアクセスとして、私は、非常に利便性とそれから旅情もあるんじゃないかなと思います。

 もっと言えば、平戸から上五島まで行く。そうすると、平戸巡礼の島です、上五島もそうですし、それから下五島に行って、長崎に戻ってきて空港からまたお帰りになるとか、そういう周遊のルートであったり、修学旅行なんかにはもってこいのコースになろうかと思うんですね。例えば、長崎はまさに海そのものですから、海路なんかについても、さっきジェットフォイルのお話を申し上げましたけれども、様々な海路による利便性の向上に資するそういう御支援をいただければなと思います。

 二次交通ということで、陸の鉄道、バスは非常に今御不便をかけております。要するに、新たなアクセスの手段としてというのは、海路というのが一つの解決策につながっていくんじゃないかなというふうに存じます。

 以上です。

金城委員 ありがとうございました。

 バスにつきましては、私の地元でもなかなか、路線バスの乗客数が少ない路線を廃止していく流れもあったりしますし、また、観光立県をうたってはいるんですが、いかんせん、修学旅行生を乗せて移動したりするときの乗り合いバスの不足状況などもあったりしています。

 長崎県、長崎市においてもそうだとは思うんですが、その辺の現状についても、路線バスや乗り合いバスについての状況も教えていただけますか。

嶋崎真英君 長崎の場合は、さっきも御説明を申し上げましたけれども、クルーズ船のニーズがこれから増えてくるんですね。修学旅行も、高校生に至っては、二〇年、二一年の高校生の修学旅行の訪問先は長崎が全国で一番です、これはコロナの影響もあったわけなんですけれども。当然のことながら、私ども事業者としてはそれを維持していかなきゃいけない。今は沖縄が多いですよ、沖縄の方が多いとは思うんですけれども。

 シーズン、オン、オフというのは、やはり観光業というのは決まっていますよね、地域それぞれ違いますけれども。そうすると、要するに、クルーズ船も来ます、いろいろなイベントもあります、それから修学旅行も来ますとなると、当然のことながら、そのニーズに応えるだけの車両数、運転手、ガイドがいないんですね。だから、お断りをせざるを得ないというような状況が既にもう生じています。かといって、車両を増やし、運転手を増やし、ガイドを増やす、これは現実的じゃないものですから、そこら辺でやはりどうしたらいいものか、我々も今その解決策を模索しているさなかですね。

金城委員 あと一点、公共交通関連で。

 タクシーなんですけれども、今年四月から始まる自家用車活用事業、いわゆるライドシェアの取組等々が、今、国会でも議論されておりますが、そのライドシェアに対しての期待あるいは不安などがありましたら、都市部と地方で全然また事情は違うと思いますので、長崎県としての状況、長崎市としての状況からすると、ライドシェアについてはどういう御意見があるのか伺いたいと思います。

嶋崎真英君 確かに、長崎の場合も、タクシーのドライバーが六〇%になっているというのは認識をしております。さっき言った観光のニーズも増えて、なかなか修学旅行なんかのタクシー利用にも対応できないというのが今現状だと思います。

 ライドシェアの問題は非常に微妙な問題でございますけれども、少なくとも、公共交通が利用できないような、そういう過疎地域についてはライドシェアというのはどんどん進めていくべきだとは思いますけれども、今のところ、それぞれのタクシー会社に運行管理、教育も含めて任せるということになっておりますけれども、そういうところが例えば離島部なんかで求められるのか、できるところがあるのかというような現実的な問題もあろうかと思いますので、そういう安全、安心の運行が確実に維持できるようなライドシェアの構築ができるか否かだと思います。

 ですから、離島部はやはり導入をなさって、そういうことに気をつけながら、是非推進されるべきだとは存じます。

金城委員 ありがとうございました。

 続きまして、岩永事務局長にもちょっと伺いたいんですが、私の地元では、長崎県の最低賃金を下回る八百九十六円が最低賃金、去年十月時点でですね、非常に厳しい状況であります。

 かといって、例えば観光ホテルとかが募集をして、時給千円とかと打ち出してもなかなか応募が来ないという状況があちこちで起こっておりまして、千円を設定しても来ない状況、こういったことはこちらでもあるのかどうか。また、そういったものを、設定を上げても来ないような状況を克服する意味では、欠けている視点があるのか、皆さんの立場から考えてどう見えるのか、意見を伺いたいと思います。

岩永洋一君 今おっしゃられたような現象は、長崎でもあるというふうに思っています。

 やはり賃金だけではない、労働に対する魅力を感じないと来ないという部分もあるでしょうし、じゃ、千円で、年収ベースでどれぐらいなのかというと、やっと二百万前後ぐらいにしかならないというふうに思っていますので、連合としては、誰もが早期に千円というのをまずは目指してはおりますけれども、それが千五百円になり、あるいはもう二千円になりとか、やはりそこ辺りまで来ないとなかなか人は集まってこないのかなというふうに思っているところでございます。

 何か手だてがないかということですが、一緒に私も考えていければなというふうに思っています。

金城委員 ありがとうございました。

 決定的な人材不足は、いろいろな方策を講じないと無理だなというのを実感しているところでございます。

 最後に、岩崎会長の方にも伺いたいんですが、今、海業をしっかりとやっていってほしいということで、これを担っていく担い手の課題はあるのかどうか。結構地元では高齢化しているということもありまして、若い人を確保していくために今必要だと思われることについて意見を伺いたいと思います。

岩崎幸広君 地元では、まず、子供が生まれないという前に、結婚相手が見つからないというのが現状で、どんどん漁業を離れていく若者が多いんですね。

 自分の息子たちに限っては、三名同級生がたまたまおって、息子はどこかに出稼ぎに行くとか、あと二人は大工さんになるとかと言っていたんですけれども、おい、おまえどん、俺たちがここにおらぬことになったら、将来、亡くなってしまったら、誰が面倒を見るのか。じいちゃん、ばあちゃんは、ここでブルドーザーもユンボもおらぬ時代に、くわ一丁で田んぼも畑も開いとるとぞ、おまえたちには大きな財産があるとぞ。今から十年、二十年後は、五島海域には漁師さんはいなくなるよ。なぜかといいますならば、離島を離れて、やはり都会に憧れてどんどん進出していって、今現在、私が漁師を始めてからどんどん減っていきよるよ、あんたどんがここに住んでくれるなら、全部我が海になるとよ。分かった、そうしたら残ると言って、三名とも残って切磋琢磨して、後継者として、三隻とも新船、新機械で、今現在、漁業に励んでもらっているところでございます。

 そういった人たちを、後継者を残していくためには、先ほどから言いますように、私たちは、遊漁というのは分かりますか、遊漁船。よく御存じで。遊漁といいますのは、お客さんを船に乗せて、魚を現地で釣っていただいて、例えば、朝六時に出港して、四時頃に入港して、魚を釣っていただいて、料金をいただいて帰すというのが遊漁なんですね。

 我々一本釣り専門漁師というのは、タイ、ヒラメ、ブリ、ヒラマサ、クエとか根魚とかイカとか、そういった魚を釣って生計を立てていたんですけれども、今現在では、まき網船から根こそぎ持っていかれて、前日に、魚があそこに跳ねているぞ、あした、よし、釣ってやろうと思って行ったら、一網打尽で巻かれてもう一匹も残っていないというのが現状なんです。そこをバランスよく、一本釣り側にも飯が食えるように、まき網船とのコントロールをしていただければなと思います。

 今現在、まき網船は、アジ、サバ、イワシとなっているんです、それで、その他となっているんですね。取締り船から抜き打ち検査に行くんです。取締り船が行ってもらえるんですけれども、何を引いていましたかとその当事者にお尋ねしますと、アジを引いていたんだ、イワシを引いていたんだと。いや、これはマグロとかヒラスとかタイが入っておるじゃないか。いや、それは狙っていません、たまたま入っているんです、それだけを狙って操業はできませんという逃げ道があるんですよ。

 だから、私としての意見は、まき網の区域と一本釣り側の区域を明確に漁場を区別していただくしか方法がないんじゃないかな、このように思っておるわけです。これは真剣な話なので、取り組んでいただければなと思います。

 第一次産業、我々、農業でも漁業でも、この第一次産業に携わっている人たちはどれだけいると思いますか、日本国内に。例えば、我々が側近する造船所とか、ヤンマー、三菱、コマツとかそういうエンジニアさんだとか、箱屋さんだとか氷屋さんだとか、いろいろな業者さんが携わっているわけです。

 我々第一次産業が潰れてしまったら、日本はまた経済もがたがたになると思いますので、どうぞ私たちを支えていってもらえるように御協力いただければと思いますので、切にお願いいたしまして、私の答弁とさせていただきます。

 ありがとうございます。

金城委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

加藤座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様におかれましては、御多忙の中、また長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきましたこと、誠にありがとうございました。

 また、この会議の開催のために格段の御協力をいただきました関係各位の皆さん方に対しまして、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後三時八分散会


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