衆議院

メインへスキップ



第13号 令和6年2月22日(木曜日)

会議録本文へ
令和六年二月二十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      青山 周平君    井出 庸生君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤 茂之君

      鈴木 淳司君    田中 和徳君

      平  将明君    塚田 一郎君

      中川 郁子君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    山本 有二君

      和田 義明君    若林 健太君

      渡辺 博道君    荒井  優君

      井坂 信彦君    石川 香織君

      大西 健介君    小山 展弘君

      神津たけし君    階   猛君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      山岸 一生君    米山 隆一君

      早稲田ゆき君    奥下 剛光君

      空本 誠喜君    林  佑美君

      藤巻 健太君    守島  正君

      吉田とも代君    赤羽 一嘉君

      金城 泰邦君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    田村 貴昭君

      宮本  徹君    田中  健君

      長友 慎治君    緒方林太郎君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (全世代型社会保障改革担当)           新藤 義孝君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   外務大臣政務官      深澤 陽一君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹林 悟史君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幸宏君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   太刀川浩一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    岩佐 哲也君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  加野 幸司君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  大和 太郎君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     中川 郁子君

  奥野 信亮君     鈴木 淳司君

  金田 勝年君     小田原 潔君

  亀岡 偉民君     和田 義明君

  山本 有二君     青山 周平君

  藤岡 隆雄君     神津たけし君

  山岸 一生君     荒井  優君

  米山 隆一君     本庄 知史君

  奥下 剛光君     吉田とも代君

  林  佑美君     藤巻 健太君

  赤羽 一嘉君     中野 洋昌君

  宮本  徹君     田村 貴昭君

  田中  健君     長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     山本 有二君

  小田原 潔君     金田 勝年君

  鈴木 淳司君     奥野 信亮君

  中川 郁子君     越智 隆雄君

  和田 義明君     亀岡 偉民君

  荒井  優君     山岸 一生君

  神津たけし君     藤岡 隆雄君

  本庄 知史君     米山 隆一君

  藤巻 健太君     林  佑美君

  吉田とも代君     空本 誠喜君

  中野 洋昌君     赤羽 一嘉君

  田村 貴昭君     宮本  徹君

  長友 慎治君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     奥下 剛光君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における会計検査院当局者出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官竹林悟史君、内閣府政策統括官林幸宏君、内閣府政策統括官高橋謙司君、警察庁長官官房長太刀川浩一君、警察庁長官官房審議官和田薫君、警察庁刑事局長渡邊国佳君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、総務省大臣官房地域力創造審議官山越伸子君、総務省自治行政局公務員部長小池信之君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、総務省統計局長岩佐哲也君、法務省刑事局長松下裕子君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、財務省主税局長青木孝徳君、国税庁次長星屋和彦君、文部科学省初等中等教育局長矢野和彦君、厚生労働省医政局長浅沼一成君、厚生労働省職業安定局長山田雅彦君、厚生労働省社会・援護局長朝川知昭君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、厚生労働省老健局長間隆一郎君、農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、農林水産省消費・安全局長安岡澄人君、農林水産省輸出・国際局長水野政義君、農林水産省農産局長平形雄策君、農林水産省畜産局長渡邉洋一君、水産庁長官森健君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、国土交通省住宅局長石坂聡君、国土交通省鉄道局長村田茂樹君、環境省大臣官房審議官堀上勝君、防衛省防衛政策局長加野幸司君、防衛省整備計画局長青柳肇君、防衛省地方協力局長大和太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川郁子さん。

中川(郁)委員 自由民主党の中川郁子です。

 今日は質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 先日、大変ショッキングな数字を目にいたしました。相続人がいないために国庫に返納される金額が、二〇一三年から二〇二二年の九年間で、三百三十六億円から七百六十八億円になったということです。これは過去最高だということでありますが、身寄りのないお一人様の増加や不動産価格の上昇も背景に、行き場のない財産が十年前の倍近くに増えたということになります。多様性を大切にする時代にあって、その一方で、静かなる有事と表現されている日本の人口減少、少子高齢化、労働人口の減少が起きています。

 私たちが当たり前と思ってきた日常が気づかないうちに少しずつ崩壊していく現状を食い止めていくために、私たちが今何をしなければならないのか、そして何を決断していかなければいけないのか、そのための少子化対策関連法案、閣議決定をされたところです。この予算委員会でも多くの議員が質問されていたところでありますが、大きな成果が上がることを期待したいと思います。

 本日は、今国会に提出される予定の食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案に沿って、この問題の議論を進めさせていただければと思っています。

 一九六一年に農業基本法が制定されました。その最大の目的は、増加していく人口を背景に、高度経済成長とともに広がった農工間の所得格差を是正することにあり、農業の構造改善事業や大型農業機械の導入により、日本の農業の近代化を進めてまいりました。

 時代は流れて、国民のライフスタイル、特に食生活が急速に多様化していく中にあって、米の消費量が減少し、食料自給率が低下していきました。一九九九年に制定された食料・農業・農村基本法は、人間の生命の維持に欠くことのできない食料の安定供給を目的に、農業の多面的機能や農村の振興に着目し、農業と農村の持続的な発展を目指すものであったというふうに思います。

 坂本農林水産大臣にお尋ねします。

 今回の改正の背景と目的についてお聞かせください。

坂本国務大臣 今委員言われましたように、法律はまさに時代を表しているというふうに思います。食料増産から、そして、さらには一人一人への様々な食料供給というふうになってまいりました。

 そして、前の食料・農業・農村基本法から二十五年が経過をいたしました。そして、今起きていることは何かといいますと、気候変動によります食料生産の不安定化、さらには世界的な人口増加に伴う食料争奪の激化、国際情勢の不安定化ということで、世界と我が国を取り巻く情勢が大きく変化をしております。この情勢の変化を踏まえて、基本法が時代にふさわしいものになるように改正をしてまいります。

 まず、食料安全保障の抜本的な強化に取り組みます。そして、不測の事態が起きることも考えられますので、不測の事態に対応できるよう、平時からの食料供給の確保に向けた対応を強化をいたします。以前は、食料が、一定程度、総量であればいいということでしたけれども、そうではなくて、やはりお年寄りの方も含めて一人一人に届けなければいけないという食品アクセスの問題にも取り組んでまいります。

 そして、何よりも環境と調和の取れた産業へというふうにしていかなければなりません。さらに、今言われました人口減少下における農業生産の維持発展、農村の地域コミュニティーの維持、これをどうしていくのか。そのためには、農地の集積、集約化、あるいはスマート技術の導入、そして生産性の向上によりまして、少ない人数でも食料が供給できるという生産基盤の体制をつくっていかなければいけないと考えております。

 農業政策が大きな転換点に立っているという自覚を持って、食料・農業・農村基本法の改正案の成立に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。

中川(郁)委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃるとおり、農業を取り巻く環境はここ数年大きく変わりました。コロナ禍はもとより、国際情勢による飼料、原材料価格の高騰、気候変動や大きな災害など、全国の農業従事者には大変厳しい数年間であったと思います。

 冒頭、相続人がいない方の国庫返納額としてショッキングな数字を申し上げましたが、農業においても生産基盤の弱体化が急激に進んでいると思います。現在百十六万人いる基幹的農業従事者が、二十年後には四分の一の三十万人まで減少すると見込まれています。これは、私の地元北海道でも例外ではありません。農業の担い手は減少しています。

 国においては、今後も、これらの農業経営に及ぼす影響緩和のため、様々な施策を機動的に講じていただけるものと思いますが、将来にわたり国民への食料安定供給を図るには、既存の担い手だけではなく、多様な担い手の確保も必要ではないかと考えています。また、そのためには、担い手が安定した所得を確保できることも不可欠です。

 今回の基本法の改正において、多様な担い手と所得の確保、どのように位置づけられているのか、農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。

坂本国務大臣 委員おっしゃいます、いわゆる担い手というのは、経営規模の大小や家族経営か法人経営かを問わず、経営意欲があり、農業所得で生計を立てる農業者のことを指しております。これまでもこうした担い手を幅広く育成、確保をしてきたところですけれども、今回の基本法改正におきましても、この考え方に変わりはありません。

 また、農業者の所得を確保するためには、農業の生産性の向上と付加価値向上を図り、収益性の高い経営を実現する必要があるために、今、こうした農業生産の目指す方向性について基本法にしっかりと位置づけようと思っております。

 委員の御地元の北海道のように、大規模経営という方々に対しては、更にこの基本法で明確に位置づけて、そして、日本の食料の安定した供給のためにしっかりとその役割を果たしていただきたいというふうに思っているところであります。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 先ほど大臣がおっしゃっていたとおり、現行の基本法の食料安定供給が量としての確保であるとすると、新しい基本法では食料の安全保障が柱であり、国民一人一人が食料を手に入れることができる、つまり、過疎地域にスーパーや食料品店などがなくなっていく中で、食料品があってもアクセスすることができない買物難民、子供の貧困の問題などを解決していくことが重要であると私も考えています。

 食料自給率にカウントされない肥料等の生産資材の確保、特に、外国からの輸出規制がありました。また、農業人口が減少していく中で、農地の集積、集約化、それを前提としたスマート農業の推進による生産性の向上によって所得を向上させていくことが重要である、こう考えています。このためには、デジタル庁、こども家庭庁、国土交通省、他省庁の連携が重要であるというふうに考えています。

 また、サプライチェーン側も変わっていくことが必要であると考えています。先日、大手通信事業者と大手コンビニチェーンによる実店舗とネット融合が報道されていました。その報道のときに、会社の経営者の皆さんが、将来を共有していくんだ、この表現が私の心にとても響いたわけであります。

 これらの施策について、具体的にどのように進めていくのか、教えていただければありがたいと思います。

坂本国務大臣 委員御指摘のように、今、高齢社会になりまして、買物が困難な皆さん方が増えております。それから、経済的な理由によりまして、これは子供さんたちも含めて、十分な食料が入手できないというような課題があります。

 いわゆる食品アクセスの問題が顕在している中で、平時から、国民一人一人が食料にアクセスでき、健康な食生活を享受できるようにすることが重要であるというふうに考えております。

 こうした食品アクセスの取組におきましては、委員御指摘のように、民間企業の力をかりなければなりません。また、他省庁との連携を図っていくことが重要であります。

 このため、農林水産省といたしましては、民間企業と連携したラストワンマイル配送、それからフードバンクの活動を支援してまいります。また、地方公共団体を中心に、食品事業者、物流事業者の民間企業とフードバンク等の地域の関係者が連携して、食品アクセスの確保を進めているところでございます。

 また、食品アクセスの取組に当たりましては、様々な省庁が、デジタルを活用した買物環境の整備や、子供の居場所づくり、そして生活交通の確保などの観点から、関連予算を措置していかなければなりません。また、実際、措置をしているところであります。

 これらの施策が各地で活用されるよう、委員御指摘のように、内閣官房、それからこども家庭庁、そして経済産業省、さらには国土交通省等の関係省庁と連携しながら、食品アクセスの問題に取り組んでまいります。

中川(郁)委員 大臣、ありがとうございました。

 刻一刻と変化していく国際情勢、地球規模課題のパンデミック、気候変動、私たちの食料を安定的に確保していくためには、課題が山積している、このように思います。基本法を基に五年ごとに作成をしていく基本計画、農林水産省の皆様方に期待が高まっているというふうに思います。政府全体でこのことに取り組んでいくことを心からお願いをしたいというふうに思います。

 次に、熊類の指定管理鳥獣の追加についてお伺いしたいと思います。

 昨年、熊による人身被害が全国で相次いで発生し、大きな社会問題となっています。全国の被害総数は、一月時点で、二百十八名、亡くなった方が六名です。北海道では、九名が被害に遭われ、二名が亡くなっています。

 熊の被害状況を受けて、北海道、東北の知事が、十一月、環境省に対しまして、捕獲や調査費などを国が支援する指定管理鳥獣に加えるように要望をいたしました。

 検討委員会では、実態把握が必要ということで、適切なモニタリングの実施や人の生活圏周辺における緩衝地帯の管理強化をすることになりました。

 北海道に生息するヒグマは、体重が最大で三百キロにもなり、時速六十キロで走る熊もいるということであります。北海道では、人的被害のほかに、JRの線路内に入り込むことで列車が立ち往生することもありますし、災害復旧事業や犯罪捜査の際にもハンターに帯同してもらうなど、熊対策を同時に行わなければなりません。北海道が春駆除対策を発表したところ、四十を超える市町村が参画に前向きな意向を示しているということであります。

 熊の指定管理鳥獣の追加について、伊藤環境大臣の御見解をお聞かせください。

伊藤国務大臣 熊による被害は大変深刻な状況だと思います。

 環境省では、熊の専門家による検討会を設置しまして、科学的見地から検討を重ねた結果、二月八日に被害防止に向けた総合的な対策の方針をまとめたところでございます。

 この方針の中では、まず、ゾーニング管理、それから広域的な管理、順応的な管理、この三つの管理を推進しながら、熊類の地域個体群の維持を前提としつつ、人の生活圏への出没防止によって人と熊類の空間的なすみ分けを図ることとしました。また、絶滅のおそれのある四国の個体群を除いた上で、熊類を指定管理鳥獣に指定するとの方向性を整理していただきました。

 環境省では、この方針を受けて、必要な関係省庁の省令の改正を行うため、パブリックコメントを二月十三日から開始してございます。国民の皆様の御意見をしっかり伺った上で四月中に指定の手続を完了したい、このように考えております。

 熊類を指定管理鳥獣にすることで、熊類の生態等の調査やモニタリング、人の生活圏への出没防止のための環境管理、そして、必要な捕獲、人材育成等、都道府県の状況に応じた効果的な対策を講じることが可能となります。他方で、熊類は、既に指定管理鳥獣に指定されているニホンジカ、イノシシとは繁殖力、個体数の水準、被害の状況が異なりますので、捕獲に偏らない総合的な対策が必要とも指摘されているところでございます。

 環境省は、関係省庁や都道府県等とも連携して、科学的知見に基づく熊類による被害防止策を推進し、国民の皆様の安全、安心の確保に必要となる施策をしっかり進めてまいりたい、そういうふうに考えております。

中川(郁)委員 大臣、大変ありがとうございました。

 そうした中、この度、銃刀法の一部を改正する法律案が提出をされるということです。北海道などで有害鳥獣駆除や狩猟のために使用されているハーフライフルの規制強化も含まれているということであります。

 私は、現在、自由民主党の中で内閣第一部会長代理を拝命をしておりまして、この問題も担当させていただいています。年明けに警察庁の方が法案の説明においでをいただいた際に、北海道の現状についてお話をさせていただきました。猟友会あるいは関係者の皆様方からも聞き取りをした上で、話を聞いていただきました。そして、その上で、北海道庁と環境省、農林水産省、警察庁の四者が東京に集まって話をしていただいたということでありました。

 北海道の猟友会の皆様方のところに、警察庁担当の方が札幌までわざわざ行ってお話を聞いていただいたということであり、有害鳥獣被害が多発している地域に関しては、都道府県と都道府県警察と相談の上で、運用面での対応、つまり、指定した有害鳥獣を捕獲する目的がある場合には、狩猟免許を取った一年目からハーフライフルを所有をしていいという許可証をいただけるなどの案を示していただいたということであります。

 ただ、この件に関しては、自作の銃を使用した安倍元総理の銃撃事件、そして、昨年五月、長野県での猟銃使用の殺人事件を踏まえた、悪用防止のための改正であり、犯罪を防ぐことは本当に重要であると私も考えています。

 しかしながら、昨今の気候変動や、我々の、人間の行動変容から、全国で有害鳥獣が人の生活圏に入り込んでいるということも事実であります。先ほどから農業のお話もさせていただきましたけれども、屋外で仕事をされている農林水産業、そしてそのほかの屋外で仕事をされている皆様方にとっては非常に深刻な問題であるというふうに思います。

 ハーフライフルの使用規制については、犯罪抑止を大前提に、地域の実情に即した対応とのお声がたくさん今も届いているところでございます。松村国家公安委員長のお考えを聞かせていただければと思います。

松村国務大臣 現在、警察庁におきましては、銃砲による最近の犯罪情勢に鑑みまして、銃刀法の改正を検討させていただき、今国会に提出を検討させていただいているところでございます。その中で、御指摘いただいたハーフライフル銃の所持許可基準の厳格化も検討しております。

 ただ、先生、今お話にありましたように、これによりまして獣類による被害の防止に支障が生じることがあってはならない、また、銃刀法の改正ということで、関係者の皆様から不安の声、先生を通して御意見をいただきました。これにつきましては、柔軟な運用でしっかりと対応をさせていただく。また、現場の皆様方にも丁寧な説明をさせていただきまして、一定の御理解をいただいたところでございます。

 一方で、ハーフライフル銃を含む銃砲の悪用を防止していくことは、もとより重要な課題と認識をしておりまして、まず、人物審査を徹底するなど、銃砲の所持許可が適正になされるようにするとともに、所持許可後も、使用状況の確認を徹底するなど、銃砲の適正な管理がなされるよう警察を指導してまいりたいと考えております。

中川(郁)委員 大臣、ありがとうございます。犯罪防止、本当に大切なことだというふうに思いますし、今回のこの法律案では眠り銃についての規制もするということであります。銃がたくさんある環境では私たちが安心して暮らすことはできない、このことは本当に事実であります。しっかりと規制を強化するとともに、柔軟な対応というのは非常に重要だというふうに思っているところでございます。

 私、本当にいろいろな皆様方から北海道において話を聞かせていただいたところであります。

 ハーフライフルというのは、今現在、半分は北海道で使用されているということであります。初めて狩猟免許を取った方たちが、ライフル銃というのは非常に危険であるということは、猟友会の皆様方も認識をしているところであります。

 一方で、増え続けている、農業などの野生鳥獣による被害、有害鳥獣駆除に、猟友会の皆様方、積極的に参加をしていただいています。今、猟友会にいらっしゃる、免許を取っておられる皆様方、かつては二万人以上いらっしゃったということでありますが、北海道で今五千人に減っているところであります。この五千人に減っている中で、先ほど申し上げさせていただいたとおり、犯罪捜査であるとか、災害のときの対応であるとか、猟友会の皆様方にお願いをしていく場面がたくさんあります。

 しかしながら、この免許を持った皆さんが高齢化をしている、こういう中で、新しいハンターの皆様方を育成していくことは大変重要であります。

 最近、私の地域、また、ほかの地域においても、様々な皆様方が、ハンターになってもいいなということで、免許の取得を考えているということであります。特に地域おこし協力隊などの皆さんが、地方に行って、ハンターになって、困っておられる現状を何とかしたい。

 そのために、まず、散弾銃であると五十メートルぐらいしか飛距離がないということで、半矢になってしまう。致命傷を与えることができないと、先ほど環境大臣とも議論をさせていただいた熊でありますが、時速六十キロで走る熊がいる一方で、その中で、大変厳しい状況の中で散弾銃を構えるということは、なかなか合理的ではないというふうに考えています。

 その一方で、ハーフライフル銃はライフル銃に比べて半分の飛距離があるということでありますので、ハーフライフルでまず慣れていただいて、そして、十年後、もちろん適性もあるというふうに思いますので、適性のある方は、熊などの被害防止のためにハンターとして活躍をしていただくということが、もちろん北海道だけではないというふうに思いますが、重要なことではないかというふうに思います。

 今回、警察庁の皆様方に丁寧に対応していただき、北海道までわざわざ行っていただいた、そういう中で柔軟に対応していただけるということ、大臣からもお言葉をいただいて、大変ありがたいことだというふうに思っていますが、まだまだ現場ではいろいろな思いがあるというふうに思います。

 これからも、是非、警察庁の皆様方も関係者の皆さんと密に連携を取っていただくこと、もちろん都道府県の役割も重要であるというふうに考えていますが、是非、政府を挙げて、今回の法律改正案、規制の強化に関して、規制強化をするからには地域の実情に合った対策も考えていくということでお願いをできればというふうに思います。

 今日は、本当にいろいろと質問をさせていただきました。農業を中心に話を進めさせていただきました。地方の人口減少、非常に課題が山積をしているというふうに思います。過疎化が進んでいく地方にとって、農林水産業は大変重要な産業であり、そして、それを支える皆さんがいらっしゃること、重要だというふうに考えています。

 サプライチェーンに民間の皆さんの活力をという言葉を農林水産大臣から頂戴をして、そして、各省庁とも連携をしていくというお話も、大変勇気の出る御回答をいただいたものというふうに思います。私も、地域そして皆さんの声をしっかり聞かせていただいて、政府に届ける役割を果たしていきたいというふうに思います。

 非常に厳しい時代にあって、今回の予算が早く成立をすること、国民の皆さんが待ち望んでいる経済対策である、こう思っていますので、一番厳しい時代の予算編成、本当に、この予算編成があったからこそ、厳しい時代を乗り越えて、ピンチをチャンスに変えていくことができた、そのように皆さんに思っていただけるように、どうかよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいというふうに思います。

 委員長、大変どうもありがとうございました。

小野寺委員長 これにて中川さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。立憲民主党の大西健介です。

 早速質問に入りたいと思いますけれども、私からは、自民党の裏金議員の聞き取り調査報告書について幾つか聞いていきたいというふうに思います。

 まず、財務大臣、還付金という言葉は一般的にどういう意味で使われるものでしょうか。

鈴木国務大臣 先生が今お配りをいただきましたパネルの写しで、還付金について、「いったん納付した税金のうち、結果的に納めすぎであった場合や税の減免により納税者に返還される税額。」と、先生のこの資料でお答えをさせていただきました。

大西(健)委員 パネルの方を読んでいただきました。

 通告もしてあるんですけれども、一応、国税通則法の中にも還付金という言葉が書かれておりますけれども、今大臣に読んでいただいたパネルのは、これは広辞苑です。下に、ちなみにですけれども、キックバックについても、同じく広辞苑ですけれども、こちらは割戻し、リベートと書かれています。

 自民党の報告書はかたくなにキックバックという言葉は使わずに還付金という言葉を使っているんですけれども、今大臣に読んでいただいたように、還付金というのは、税金を払い過ぎたときに戻してもらうのが還付金なんです。今、脱税が問題になっているときに、還付金という言葉を使うこと自体が私は不適切なんじゃないかなというふうに思うんですけれども、財務大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 自民党に提出されました聞き取り調査に関する報告書におきましては、派閥のパーティー券の販売代金に関しまして、派閥から金銭の還付を受けたものを還付金と称し、派閥に渡されず留保されていた金銭を留保金と称しているということ、それは承知をいたしておりますが、これは自民党のあくまで報告書であるわけでありまして、私がそうした報告書の中の言葉遣いについてコメントする立場にないということを御理解いただきたいと思います。

大西(健)委員 でも、広辞苑にはこう書いてあるわけです。そして、国税通則法の中にも出てくる言葉であって、今まさに確定申告で納税をされている皆さんからすると、ふざけるなよという話になりませんか。やはり、財務省としては、正確に言葉を使ってくださいというのが私は財務大臣の立場じゃないかと。そうでないと、これは納税者の気持ちを逆なでするんじゃないかと思います。

 続けて、本委員会ではこれまでも、裏金が、今も言いましたけれども、雑所得として課税対象になるのではないかという議論がされてきました。そこで、これまでの議論をちょっと整理をしてみたいと思うんですが、星屋国税庁次長の答弁をここに抜粋をしました。

 まず、ポイントになるのは、政治資金が政治家個人に帰属するのか、それとも政治団体に帰属するのか、これがポイントになる。そこは個々の事実関係を精査して総合的に判断するということになっています。そして、その際には、実質的にその資金を誰が管理していたのか、どういう管理をしていたのかを実態に即して判断する、こういうふうに星屋さんは言ってきている。そして、その上で、政治家個人に帰属する政治資金で、もし使われずに残額がある場合には、その分については雑所得として課税関係が生じる、こうはっきり言われています。

 こういう理解でよろしいか、簡潔に、星屋次長、お願いします。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、政治資金につきましては、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人のいずれに帰属するかによりまして課税関係が異なるため、個々の事実関係を精査する必要がございます。

 政治家の関連政治団体に帰属するということであれば、法人税の課税関係は生じない。他方、政治家個人が受領した政治資金につきましては、雑所得の収入として取り扱われ、一年間の総収入金額から必要経費として政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税対象となりまして、残額がない場合には課税関係は生じないということでございます。

 いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らし適正に取り扱うこととしております。

大西(健)委員 今のとおりなんですが、自民党の聞き取り調査によれば、報告書の抜粋をつけておきましたけれども、三十一名はキックバックを使用していなかったと回答しています。

 先ほどの説明に当てはめると、もしそれが政治家個人に帰属する政治資金で、そして使っていない、つまり使い残しがあれば、これは雑所得として課税されるということですから、焦点は、その使用していないで保管してあった政治資金が政治家個人に帰属するのか、それとも政治団体に帰属するのかになると思います。

 そして、報告書では、議員本人が管理していたと回答していた人が十二名、それから、管理方法について現金と回答していたのが三十九名、そして、その管理方法ですけれども、具体的には、事務所の金庫とか、鍵のかかった事務所の引き出し、専用の箱という回答がありました。

 いずれにしても、今の星屋次長の御答弁によれば、実質的にその資金を誰がどう管理していたか、それを実態に即して個別に判断するということですから、それは税務調査をしないと分からないということでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 個別にわたる事柄につきましてはお答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、申告納税制度の下では、まずは納税者の方々において御自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくこととなります。

 国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な各種資料情報の収集に努めまして、これらの資料情報と提出された申告書とを分析し、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどいたしまして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

大西(健)委員 もう一回簡潔にお答えいただきたいんですけれども、要は、どういう管理をしているのか、議員が本人で個人として管理していたのかどうなのか、これは実態に即して見ないと分からないということですから、これは調査しないと分からないということでよろしいですか。

星屋政府参考人 先ほど申し上げましたが、まずは、申告納税制度の下では、納税者御自身が計算し、申告していただくということでございますが、課税上仮に問題がある場合には税務調査をするなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

大西(健)委員 国税庁のリーフレットにはこう書かれています。今、次長の答弁にもありましたけれども、「我が国は納税者自身による適正な申告と納付に支えられています。 課税の公平を確保するためには、故意に不正な手段で税金を免れた者の責任を厳しく追及しなければなりません。」と。日夜こうした業務に当たっていただいている、私は、国税庁職員の皆様には心から感謝と敬意を表したいと思います。

 今日は国税庁のポスターを持ってきました。これはポスターをパネルに貼り付けたものですけれども、「脱税は、犯罪。 脱税者は、見つかる。 査察官は、見つける。」、こう書いてあるんです。

 国税庁は、裏金議員の中の脱税者を見つけてください。そして、そのために調査に入ってください。国民は国税庁に期待していると思います。お願いいたします。国税庁、いかがでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、国税当局といたしましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な資料の収集、分析に努めてございます。

 仮に、政治家個人に帰属する政治資金につきましても、適正な申告が行われていないということで課税上問題があると認められる場合には税務調査をいたしまして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

大西(健)委員 まさに、今、課税上問題があるんじゃないかということが国会で議論をされていますし、今後、もしかすると政倫審等でもそういう話が出てくるかもしれないんですね。

 鈴木大臣、このポスターが、まさに、今、確定申告で税務署に行くと貼ってあるわけですよ。まず調査してよ、じゃないと、真面目に納税するのがばからしいよと思うのは私は当然じゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今、確定申告の時期でありまして、今回の政治と金の問題で国民の皆さんが大変怒って厳しい目を向けておられるということは私もしっかりと感じているところであります。

 納税というものは国民の皆さんの理解と協力があって初めて成り立つものでありますから、真面目に申告をし、納税をしている国民の方々が不公平感を持つということはあってはならないことでありまして、丁寧な対応を窓口でするなど、しっかりやってまいりたいと思います。

 その上で、先ほど来、国税庁の次長からお話がありますとおり、国税当局におきましては、様々な機会を捉えて、課税上有効な資料情報の収集、分析を行う中で、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなど、適正な課税の実現に努めているものと承知をしております。

 この課税上問題があるかどうかと認める、どういうものを認めるかというのは、これは独立的に国税庁で判断されるべきものであると思っております。

大西(健)委員 まさにここの国会でもいろいろな議論がなされていて、課税上問題があるんじゃないかということがいろいろ出ているわけですから、私は、これは当然調査をしていただかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 次に、パネルを御覧いただきたいんですけれども、昨日も同僚議員が取り上げていましたけれども、安倍派最高顧問の衛藤征士郎議員、後ろにお座りになっておられますけれども、テレビのインタビューにこのようにお答えになっています。私は誰一人脱税していないと思う。個人個人がそれぞれ政治活動といいますか、そういったことに使っていると思う。

 思っているだけで、領収書もないのにどうやって証明するのかなと思いますけれども、この点、自民党の報告書によると、キックバックの主な使途として、これも資料につけておきましたけれども、報告書の十一ページというところに、例えば、会合費、懇親費用、事務費、書籍代、人件費、通信費、備品・消耗品費、リース代、旅費・交通費などを挙げています。

 そこで、国税庁に確認ですけれども、今申し上げたようなもの、こういう使途は、一般的に、領収書があれば、これは政治活動のために支出した経費として認められる可能性が私は十分あるものではないかと思いますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の報告書の内容につきましては、国税当局としてはコメントは差し控えたいと思いますが、政治家個人の所得税の雑所得の計算に当たりまして、ある支出が必要経費に該当するか否かにつきましては、個々の支出の事実関係を総合的に勘案して判断する必要がございます。

 一般論として申し上げますと、例えば、専ら政治活動のために使用した秘書等の給与、専ら政治活動のために使用した通信費、旅費、事務所の備品代などは、政治活動のために支出した費用として必要経費に当たるものと考えてございます。

大西(健)委員 もちろん、会合費も通信費も、全く政治活動と関係ないものじゃ駄目なんですけれども、領収書があってちゃんと政治活動に使っていれば、ちゃんと書いていれば済むものであって、そもそも私は裏金にする必要がないんじゃないかと思うんですね。したがって、私は、この報告書にある、政治活動費以外に用いた者はいなかったというこの調査結果そのものが怪しいと思っています。領収書が取れない、表に出せない、そういう使い方をしているから私は裏金になっているんじゃないかと思います。

 更に言えば、資料としてつけた自民党の報告書を見ていただきたいんですけれども、その欄外の注の部分ですけれども、ここにこう書いてあります、いみじくもこう書いてあります。お金に色はないと認識していたために、今回の訂正に当たり使用していないと整理したといった、実質的には使用の有無自体が不明な回答もあった。つまり、使用していないといって回答はしているんだけれども、本当はよく分からない、分からないけれども、お金に色はついていないからこういうふうに整理するしかなかったんだと。私はこれが実態じゃないかと思うんですよね。

 ですから、一番すっきりするのは、私は、キックバック分を雑所得として追加納税することだと思います。これを進んでやられるのが一番いいんじゃないかと。

 この点について、自民党の森山総務会長は、収支報告書に記載せず使途不明となっている派閥からのキックバック分について追加で納税する案について、あり得ないと否定をされました。

 鈴木大臣にお聞きをしますけれども、政治資金として処理されているので所得税の関係は発生しない、したがって追加納税案はあり得ないというこの森山総務会長と、鈴木大臣、考え方は同じ考えですか。

鈴木国務大臣 森山自民党総務会長の御発言につきましては、新聞報道で知るのみでありまして、全体の流れも分かりません。したがいまして、コメントは控えたいと思います。

 その上で、先ほど来お話がございますように、政治資金については、それが政治家の関連政治団体に帰属するのか、あるいは政治家個人に帰属するのかによって課税関係が異なります。関連政治団体に帰属する場合には課税関係は生じない、また、政治家個人に帰属する場合も、必要経費の政治活動で使用した分を控除して、残額がない場合には課税関係が生じない、これは今の取扱いの事実関係でございます。

 森山総務会長の御発言についてはコメントはしませんけれども、こういうことを念頭に御発言をされたのかなと推察をするところであります。

大西(健)委員 じゃ、お聞きしますけれども、いわゆる追加納税の可能性は全くあり得ない話なのか、それともあり得る話なのか。

 上野理事は、そういう方法もあるんじゃないかというふうにこの間質問されていましたし、自民党議員の中にも、もういっそのこと納税してしまいたい、その方がはっきりするというふうに思っておられる方が、そういう発言もされている方もいらっしゃると思うんですけれども、追加納税というのは、これは選択肢としてあり得ないんですか。

鈴木国務大臣 自らが使い残しがある、雑所得で、控除で引き切れない部分があるという判断の中で、納税をするという方が、これはもちろん可能性としてはあると思います。それは疑義が持たれた政治家が政治責任を果たす、そういう観点から判断されるべきものであると思います。

 国税当局におきましては、先ほど申し上げましたとおり、国税当局において、疑義がある場合については適切な対応を取るという方針であります。

大西(健)委員 私は、まさに追加納税するという選択肢はあると思うんですね。皆さんの中には、例えば五十一人とか八十何人とか、こういう人たちがみんな追加納税するなんというのは、それは無理だろうと思っている方がいらっしゃるかもしれませんけれども、そんなことはないんです。

 過去に黒い霧事件というのがありまして、そのときに、現職百八十一名、前議員二十二名、計二百三名がトータル二億一千八百万円の申告漏れを修正申告、更正・決定した事例がありますけれども、その経緯について、財務省、財務大臣から御説明をいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 六十年前のお話でありまして、私個人は記憶といいますかそういうものはないわけでありますが、聞いたところによりますと、約六十年前の話でもあり、対応の経緯の詳細については必ずしも明らかではありませんが、御指摘のとおり、昭和四十年代初頭、いわゆる黒い霧事件の中で国会議員の申告漏れについても問題となり、国税当局において国会議員等に対する課税処理が行われたものと聞いているところであります。

大西(健)委員 パネルを御覧ください。

 私が調べられるぐらいだから、もっとちゃんと調べられると思うんですけれども、これは一九六七年、昭和四十二年の、見出しは「国会議員に甘い課税」、こういう読売の記事ですけれども、参院の予算委員会で市川房枝議員が、佐藤派の派閥の政治団体から自民党の閣僚を含む議員に多額の政治資金が渡されていたことが収支報告書に載っているのに、議員の個人所得の申告額が少ないと食い違いを指摘したことを受けて、社会党の西宮議員、ここに写真の載っている方ですけれども、衆院の大蔵委員会で、前年の秋に国税庁が国会議員の所得申告につき調査しているとの報道があったが、その結果はどうなったのかとただしたのに対して、泉国税庁長官が、二百三名の申告漏れがあり、修正申告、更正・決定が行われたことを明らかにしました。

 泉長官は、収支報告書を前年までは調査をしていなかったことを、申し訳ない、当局として遺憾に存じますと答弁しているんです。これに対して、西宮議員は、国民には僅かな所得でもウの目タカの目で課税するのに、政治家にはなぜ甘いのかと述べています。

 六十年近く前のことでありますけれども、今と変わらないじゃないですか。鈴木大臣、前例があるんですから、税務調査して、申告漏れ、修正申告、更正・決定をすべきじゃないですか。

鈴木国務大臣 国税当局におきましては、申告納税制度の下で税務行政を円滑に行うため、納税者との信頼関係を維持することが必要であると考えます。

 仮に、国税当局が職務上知り得た秘密を漏らした場合、納税者との信頼関係が損なわれ、税務行政に重大な支障を来すおそれがあることから、税務当局には国税通則法によって、一般の行政機関よりも更に重い守秘義務が課せられているところであります。

 大西先生の御指摘の件は、昭和四十二年五月二十三日の衆議院大蔵委員会において、国税庁から国会議員の申告状況等を答弁したことを御指摘いただいたものでありますが、五十年以上前でありまして、個人情報の取扱いに関する状況などが現在とは大きく異なっていたことに留意する必要がある、こう思います。例えば、前は高額納税者などを一方的に発表していたわけですけれども、そういうものも、個人情報の取扱いの観点から今はやっていないわけでありまして、時代とともにこうしたものは変わってくるんだと思います。

 国税当局としては、守秘義務を踏まえまして、個別の納税者の申告状況等を明らかにすることは困難と承知をしているところであります。

大西(健)委員 でも、個人情報の取扱いについて、時代によって違うかもしれないけれども、まさに同じことですよ。このときも、税の公平性ということについて疑義が生じて、先ほども言いましたけれども、国民にはウの目タカの目で課税するのに、政治家だけには甘いのか、「国会議員に甘い課税」と書かれているじゃないですか。それが問題になったからこそ、まさに先人はちゃんと調査をして、そして議員の人たちも修正申告、更正・決定したわけですよ。

 だから今回も、私は同じようにされるのが一番すっきりするし、そして、税の公平性そして納税者への信頼回復という意味においても、これこそがまさになすべきことではないかというふうに思います。

 先ほどの、ちょっと衛藤先生のインタビューに戻りたいと思いますけれども、衛藤先生は、脱税はないんだ、全て政治活動に使っていると言いますが、先ほども言いましたけれども、領収書もありませんし、国税庁が調査してくれないと真実は分からないんですけれども、ただ、反対に、やましいところがないんだったら、まさに衛藤先生の言うように、脱税なんかないんだ、こういうふうにやましいところがないのなら、これは正々堂々と政倫審に出てきて、そして弁明をすべきじゃないですか。

 そこで、衛藤先生は、政倫審への出席について、全員が応じて説明責任を尽くすべき、真相解明のいいチャンスだと述べられています。ところが、出席意向の回答があったのは、衆議院では、昨日時点ですけれども、五人だけであります。

 衛藤先生はこうも言っています。ある人はオーケー、ある人はノーというようなやり方はその人のためによくない、かえって追い込まれていく、党執行部は五十一人に一括して政倫審への出席を要請すべきだ、みんなオーケーだと言うだろうというふうに言われています。さすが衆議院当選十三回、さすがの御見識だと思います。

 鈴木大臣は、税を担当する大臣であると同時に、これはまさに税の公平性に疑義が生じているわけです。そして、この大事な予算案を所管する大臣ですから、だからこそ、脱税かどうかという議論、この予算委員会の大事な時間をこれ以上使うんじゃなくて、これは政倫審の場に移してやるべきだ、このように思いませんか。

鈴木国務大臣 政倫審という国会の中の審査会でどのような対応をされるかというのは、これは国会でお決めいただくことであると思っているところであります。

大西(健)委員 本当に残念ですね。さっきも言いましたように、六十年前にはちゃんと追加納税をしたわけです。そして、衛藤先生が言われているように、やましいところがないんだったら堂々と政倫審に出ていってもらって、そしてやるのが、予算を所管している大臣としても、大事な予算を一刻も早く成立をさせたいと思っているのであれば、私は、政倫審でやりましょうということだというふうに思います。

 今日は河野デジタル担当大臣にも来ていただいているんですが、自民党の報告書では、政治資金の適正なモニタリングとトレーサビリティーの確保のためにデジタル化の推進が有効と書かれています。

 政治資金収支報告書がデジタル化されていないためにお金の流れを追うのが難しくて、閲覧の不便さが不正の温床になっているんじゃないかという指摘もあります。国民や民間にデジタル化の推進をお願いする以上、政治家自身がこのデジタル化というのを推進するのは私は当然だと思いますけれども、河野大臣、こういう考え方でよろしいでしょうか。

河野国務大臣 デジタル化することで様々なデータの透明性が向上する、これはそのとおりでございまして、私も、今回のこうしたことを受けて、政治資金のデジタル化に取り組みたいと思っておりますが、残念ながら、今、総務省の解釈では、政治資金規正法で、政府に届出を出された以上のデジタル化をする権限がないということでございますので、各党各会派で御議論をいただいて政治資金規正法を改正いただければ、デジタル庁としても、この政治資金のデジタル化に向けて必要な対応を取ってまいりたいと思います。

大西(健)委員 デジタル化は、自民党の報告書にも書いてあるぐらいですから、野党も反対しないと思いますので、是非進めていただきたいと思うんです。

 記事を配付しましたけれども、河野大臣は十一日に訪問先の高松市で、裏金問題に関して、ルールを破ったことに対するけじめは一刻も早くやらなければいけない、こういうふうに述べられています。

 私は、河野大臣の認識は正しいと思います。我々はずっと言ってきたことですけれども、民間であれば、不祥事が起きれば、まず実態把握をして、そして責任者の処分をして、そして再発防止だ。だから、報告書が出てきた以上は処分を急ぐべきなんです。

 河野大臣は、党政治改革刷新本部のワーキングチームでの議論よりも処分を先行すべき、こういう考え方でよろしいんでしょうか。

河野国務大臣 申し上げているように、何らかのけじめは必要だと思いますが、その中身については、これは党で議論する話で、政府で議論するものではございません。

大西(健)委員 けじめが必要なのは当たり前ですけれども、それを急ぐべきということもこれは発言されていますから、そのとおりでしょうか。

河野国務大臣 何らかのけじめは必要だと思います。

大西(健)委員 先ほど来私は言っていますけれども、まず実態把握、そしてその後に処分、これをしっかりしてからの再発防止なので、これは処分をまず早くやる、こういうことを発言されていますけれども、それでよろしいですか。

河野国務大臣 何らかのけじめが必要だと思います。

大西(健)委員 河野大臣の答弁というのは、以前、本庄さんが質問したときも、何回も何回も所管外ですというのを連発したこともありましたけれども。

 もう一つ、じゃ、お聞きをしたいと思いますが、二〇一一年の一月のブログ「ごまめの歯ぎしり」に、国会改革に関連して、政治とお金にまつわる話などは政倫審を活用すべきと書いておられますけれども、まさにそのとおりだと思いますが、河野大臣、政倫審を開催すべきというお考えですか。

河野国務大臣 政倫審については国会でお決めになることだと思います。

大西(健)委員 でも、その国会改革に関して、大臣は政倫審を活用すべきとおっしゃっているわけですから、まさに今、そういう状態になっているんじゃないんでしょうか。

 政倫審を開くべきだと、個人的な御見解でも結構ですのでお願いいたします。

河野国務大臣 政倫審については国会でお決めになることだと思います。(発言する者あり)

大西(健)委員 本当にそのとおりですね。国会改革について発言をされているわけですから、まさに堂々とそのことをおっしゃっていただきたかったなと、残念であります。

 河野大臣、ここまでで結構でございます。

小野寺委員長 河野大臣は御退出していただいて結構です。

大西(健)委員 次の質問に移りますけれども、私は先日、石川県の志賀町に行ってボランティア活動をしてきました。炊き出しをやった避難所の近くで、自衛隊の皆さんが入浴支援をやっていただいていました。本当に、被災地で懸命に活動しておられる自衛隊員の皆さんには心から敬意と感謝を表したいというふうに思います。

 ところが、その自衛隊の皆さんに支給されている標準装備が不十分なために、隊員が自腹で鋼鉄製のインソールやヘッドライトなど必要なものを購入しているという指摘がありました。この点については一月二十四日にも本委員会で取り上げられているんですけれども、私、そのときの木原大臣の答弁を聞いて、ちょっと、おやっと思ったんですよね。

 資料としてそのときの答弁をつけておりますけれども、見ていただくと、大臣は、戦闘靴は、機能性、防水性、透湿性能、耐踏み抜き性能、あらゆる任務に対応できる仕様になっている、必要十分な装備をしっかり支給させていると胸を張っておられますけれども、本当でしょうか。

 官給品の戦闘靴二型という靴は、長時間歩く場合には疲れにくい、こういう仕様にはなっているそうですけれども、踏み抜き防止性能は十分でない、そのために鋼鉄製のインソールを自前で買っているという話なんですね。それから、ゴアテックスが使われているので耐水性があるということなんですが、これも、交換頻度が低いために防水性能が失われているというふうに指摘があります。また、官給品のL型ライトという、懐中電灯みたいなのがあるんですけれども、これだと両手が使えませんので、ですから、LEDのヘッドライト、ヘルメットにつけるやつ、これが必需品になります。

 木原大臣は、背広組の説明をうのみにしているだけじゃないですか。大臣、実際に被災地で活動してきた隊員から直接話を聞いて、官給品が本当に被災地での活動に適した装備になっているのか、自腹で必要なものを購入している、そういう実態がないのか、これを確認していただきたいと思いますけれども、お約束いただけませんか。

木原国務大臣 自衛隊の活動に対して評価をしていただいておりますことに、まずは感謝を申し上げます。

 今回の災害派遣に際しまして、今御指摘になっているのは靴だとかヘッドライト、そういった隊員が活動時に身につける装備品については、官給品として必要な数が支給されておりまして、性能面についても、あらゆる任務に対応できる仕様となっております。

 また、一部、隊員の間で個人購入したものは、好んでそういったことを使用している例というのも実際にあるのは確かでありまして、同程度の性能であれば、それも禁止しているわけではございません。そして、隊員によって、交換頻度も、あるのに何かいつまでも使っている、そういうケースもあるので、なるべく早く交換するようにということを促してもいるところであります。

 また、どんどんいい製品が出てくるので、現場のニーズに即して逐次改善もこれまで行っているところですが、より品質が高くてより使い勝手がよい装備品を部隊に配備していきたいというふうに思っています。

 先ほどの靴の話は、もちろん、工事現場で使われるような靴ほどの踏み抜き性能というのはないんですけれども、しかし、自衛隊は、一方で、走ったり、いろいろ動いたりしなきゃいけないので、様々な性能をやはり総合的に評価して、今の靴というふうになっております。

 ちなみに、今回の災害派遣において、くぎなどを足の裏に突き刺してしまう踏み抜き事故というのは確認をされていないです。

 あと、L字ライトは、ちなみに、これは通信信号のときに使うものでありますので。また、ヘッドライトはもちろん夜間などで使うものというふうになっております。

 熊本地震を経験しまして、当時も、私、随分長くにわたって自衛隊の活動等を八年前も見てまいりました。現場も、そういった装備品について、最新のものを、そして使い勝手がいいものを、これもまたしっかりと確認させていただきたいと思っております。

大西(健)委員 是非、実際に、本当に自前で買っているみたいな話がどれだけあるのかというのは、一回、大臣も被災地で活動された隊員に直接聞いていただきたいというふうに思います。

 先ほどの耐踏み抜き性能も、自衛隊の本務に関しては、そういう戦闘靴でそういう仕様になっているのはそれは当然だと思いますけれども、ただ、被災地では、壊れた、倒壊した家とか、そういうところから人命を救出したりするわけですから、くぎだとかを踏む可能性というのは十分あると思うんですよ。今なかったからよかったという話ではなくて、そういう十分な装備を支給をしていただきたいということを改めてお願いをしておきたいと思います。

 私は、米国から高い装備を爆買いするということよりも、隊員のために予算を使っていただきたいなと思っています。

 そこで、次に、装備品の価格の話をしたいと思いますけれども、防衛力整備計画の策定時の為替レートは一ドル百八円、ところが、令和四年度予算では一ドル百三十七円となっています。この為替の影響についても本委員会でも質問がありました。これも先ほどの会議録に載せてありますけれども、総理は為替の影響について、全体の一割から二割だ、一括調達や長期契約など様々な合理化、効率化の努力を図ることで防衛力整備計画で示した規模と内容を維持すると答弁しましたけれども、これは私、この答弁もちょっとごまかしがあるんじゃないかと思っています。

 次のパネルを御覧いただきたいんですけれども、これは、パネルは装備品の価格上昇の例です。例えば陸上自衛隊の大型輸送ヘリコプターCH47JAは、七十六億円が百七十六億円ですよ。海上自衛隊のP1哨戒機、二百二十四億円が三百二十五億円と、これは大幅に調達価格が上昇しています。製造企業によれば、部品のかなりの部分が海外製で、かつ、認定された企業でしか作れない部品や材料が多くて、頼んで作ってもらっているという立場なので言い値で買わざるを得ないために、為替の影響は大きく、契約時の価格での調達は非常に難しいと言っています。また、ウクライナや中東での情勢を受けて装備品の需要も高まっていて、これは何か工夫すれば何とかなります、収まりますみたいな、私はそういう話じゃないんじゃないかと思うんですね。

 この点、十九日の防衛力の抜本的な強化に関する有識者会議でも、座長の榊原経団連名誉会長が、昨今の物価や人件費の高騰、為替の変動を考えると、四十三兆円の枠の中で本当にできるのか見直す必要がある、こういうふうに述べられています。

 私は、この防衛費の増額というのは、これは防衛増税にも影響する話ですから、増額の可能性があるのであれば、それは隠すのではなくて正直に国民に話すべきだと思いますけれども、いかがですか。

木原国務大臣 先ほどのパネルにお示ししていただいた複数の装備品については、令和元年度から令和四年度までの予算の平均単価と比較して令和六年度予算案の単価が上昇している、そういう報道に基づいたものだと承知しておりますが、CH47JAであるとかP1、SH60、あとは「たいげい」型潜水艦、一六式機動戦闘車及び一〇式戦車について、単価を比較した場合、単価が上昇しているというのは確かにそのとおりでございます。

 一方で、前回総理にも答弁をしていただいたとおり、この四十三兆円程度の規模というものは、防衛力整備計画に基づき閣議決定をしたものであります。為替の影響というのも、これも承知しているところであり、確かに、この防衛費全体のうちの八割から九割は、人件費や国内生産、調達、基地対策費など、為替の影響は受けるものではないとはいえ、一割から二割というものはFMSだったりあるいは一般輸入になりますから、一層の効率化、合理化を徹底しなきゃいけません。

 有識者会議で御指摘をいただきました、榊原座長は、まずその前提としておっしゃっていたのは、四十三兆円の堅持を極限まで追求するという努力は当然ということをまずは強調された上で、今御指摘があったような発言、有識者としての立場から御見識を賜ったものというふうに承っております。

大西(健)委員 まさに私たちもそれは堅持をしてほしいし、でも、膨らむんだったら、それがまた防衛増税の額にも影響してくるかもしれないので、膨らむんだったら正直に話すべきだということを申し上げているわけです。

 木原大臣、ここまでで結構です。

小野寺委員長 木原大臣は御退出して結構です。

大西(健)委員 能登半島の地震では、電柱についても千二百本近くが傾斜したりとか、あるいは三百本近くが折れるなど、被害が大きかったということが言われています。

 これに関連してですけれども、二〇二〇年頃から、経産省からの委託事業として電柱の検査に係る実施権利を持ちかけて金銭を要求する団体の被害が全国各地から寄せられています。経産省も再三にわたり注意喚起を行っておられるというふうに思いますけれども、齋藤大臣から簡潔に、この注意喚起の内容と、それから、どれぐらいの相談が今まで寄せられているのか、これをお答えいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 経済産業省から電柱の検査業務の委託を受けたとかたって、その検査を行う権利を譲渡することを事業者に持ちかけ、その対価として金銭を要求する事案、こういうものが発生していることは承知していますが、まず、電柱の検査は、電事法に基づき、一般送配電事業者など電柱設置者が実施するものでありまして、国がその検査を委託することはありません。

 こうした事案が発生していることは、外部の方からの事実関係についての問合せ等により把握をしています。具体的には、こうした事案を引き起こしているとされる団体は、日本探査協会、日本非破壊電柱検査協会、全国非破壊検査協会連合会と名のる三団体と認識をしています。経済産業省は、これらの団体とは一切関わりがありません。

 経済産業省としては、こうした事案について、お問合せに対して丁寧に御説明するとともに、ホームページ等で注意喚起を行い、不審な連絡があった場合には警察署への情報提供をお願いしているところです。今後とも、注意喚起を継続しながら、被害の拡大防止に努めていきたいと思っています。

 それで、被害の実態という御質問がありましたが、これは、経済産業省には当該団体と経産省の関係についての問合せや事案に係る情報提供がありますけれども、被害実態を網羅的には把握していないので、ちょっとお答えは難しいかなというふうに思っています。(大西(健)委員「件数」と呼ぶ)だから、網羅的には把握をしていないと。

大西(健)委員 新聞記事を資料につけておきましたけれども、この記事では相談百件と書いてありますけれども、今大臣から御答弁があった全国非破壊検査協会連合会の元理事を名のる男性から広島県福山市の水道管工事会社が、こういうやはり勧誘を受けて、そして被害を訴えておられます。この元理事の男性それから代表理事の女性らを相手取って、広島地裁に約三千五百万円の損害賠償請求を、訴えを起こしています。

 そして、関係者によりますと、原告は、話を持ちかけてきた理事の男性が、石橋林太郎後援会、国琳会の顧問という名刺を持っていたので信じてしまったと言っています。

 本日は、石橋国土交通政務官にお越しいただいています。ネットメディアの取材に対して石橋事務所は、問題の団体の元理事の男性が後援会顧問であることを認めていますが、政務官、それで間違いありませんか。

石橋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先ほどの私の事務所に対しての問合せという件でありますけれども、その男性が私の後援団体の一つである国琳会という後援団体の元顧問をしていたということは事実であります。

大西(健)委員 今御答弁があったように、顧問をしていたということを今お認めいただきました。

 SAKISIRUというネットの記事には、石橋議員の写真入りの後援会顧問の名刺の写真も載っています。この顧問の男性は、広島市内のエネルギー関連会社の会長で、県議であった石橋政務官のお父さんの代からの支援者ということですから政務官とも親しい間柄だと思いますが、ちなみに、政務官、この後援会顧問から寄附をもらったことやパーティー券を買ってもらったことがありますか。

石橋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 御指摘がありましたとおり、私の父の代からその方とはおつき合いがあったことも事実でありますし、また、その方が会社を経営をしていらっしゃいまして、その会社の方でパーティー券や、また寄附を頂戴したこともあります。

 しかしながら、先般、その男性も、今回の件に巻き込まれて、その方自身も困っているというお話がありまして、その結果を受けて、もし何かあってはいけないということもありまして、そうしたパーティー券の代金、それから私の支部で頂戴をしておりました寄附というものは全て返金をしておるところが事実であります。

大西(健)委員 返金はしているけれども、過去にパーティー券、あるいは寄附をしていただいたことがあるということであります。

 彼らは、電柱以外にも、信号機、カーブミラー、ガードレールの支柱についても測定器による非破壊検査を行うと持ちかけていたそうです。ガードレールとか道路標識になると、これは国土交通省にも関わる話です。また、広島の水道管工事会社は広島県警にも被害届を出しているとのことです。

 そういう人間が後援会の顧問だったということは、政務官として私は問題があるのではないかと思いますけれども、政務官、地元は広島で、岸田派ですよね。岸田総理に迷惑をかけないためにも、自ら政務官を辞任されてはどうですか。

石橋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今ほどの電柱以外の件について、今初めて私も聞きましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、その顧問の方というのも、その方自身も巻き込まれる形で被害を被っているというふうに承知をしておりますし、裁判が進んでいるということも聞いております。その推移はしっかりと見守りたいと思いますし、私といたしましては、何らやましい点はございませんので、しっかりとこの先も国土交通大臣政務官としての職務を果たしていきたいというふうに考えております。

大西(健)委員 時間ですので終わりますけれども、脱税は犯罪です。ですから、国民は増税、自民党は脱税、これは許してはならない、このことを申し上げて、私の質問を終わります。

小野寺委員長 これにて大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、神津たけし君。

神津委員 立憲民主党の神津たけしです。

 本日は、まずは農業関連について質問させていただきます。

 まず、私の配付資料一と二を御覧いただきたいんですが、一にあるとおり、ガソリン補助金、四月末以降も延長していただけるという方向で検討していると。非常にありがたく思っております。

 ただ、全国的には、ガソリンの価格というものは非常に大きな差があります。資料二を見ていただきたいんですが、資料二を見ていただくと、安い県では百六十六円、そして私の県では百八十四円。後ろに座っていらっしゃる井出さんも同じ思いを持っていらっしゃると思うんですが、このガソリン代、私たち地方に住む人々にとって、特に、一人一台車を持たなくちゃいけないというところでは、この価格高騰を何とか抑えてほしい。そして、この価格の偏在というものを是非とも抑えてほしい。百八十四円という高い長野県に対しては、もう少し付加を、傾斜をかけて補助金を多くしたりとか、そういうところをやっていただきたいというふうに思っております。

 経産大臣にお伺いいたしますが、ガソリン代補助金の継続、そしてトリガー条項の発動、これをもしやるとしたらば、是非とも傾斜を考えた上で予算というのをつけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 燃料油価格の激変緩和事業につきましては、これまでも、常に出口のことを考えながら、国民生活や経済活動に与える影響を勘案しつつ、対応してきたところであります。

 本年四月末まで措置を講ずることとしておりますが、その後の対応につきましては、現時点で何かが決まっているということはありません。

 その上で、まず、一つありましたガソリン価格の地域差につきましては、輸送コストや一店舗当たりの販売量、それから小売間の競争状況等の要因により、こういう格差が生じているものと理解しています。この地域差を埋めるよう補助金を支給をするということになりますと、市場競争に与える影響や公平性の観点から課題があると考えています。

 トリガーのお話がありました。トリガー条項の凍結解除については、灯油や重油などが支援の対象外になるほか、迅速かつ臨機応変に価格抑制を図りづらく、流通の混乱が生じる可能性がある等の課題があると承知をしています。このため、補助金による負担軽減策をこれまで講じてきているということであります。

 いずれにしましても、激変緩和事業につきましては、出口も見据えた形で、国際情勢、経済、エネルギーをめぐる情勢等も踏まえながら対応していきたいというふうに考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 地方に住む我々にとっては死活問題、まさに、車検代、例えば車の維持費、それから保険とか、都会の方ではなかなか伴わないような経費も私たちは払っているというところでは、このガソリン代、非常に大きな家計における支出となるので、是非とも御検討いただければと思います。

 次に、農業関係、令和三年の農業機械の事故によって百七十一名の貴い命が失われました。ただ、多くの命が実は失われていながらも、農作業の総合対策予算というのが実は毎年非常に低くて、今年計上されているのがたったの二千六百万円というふうになっております。これから農業従事者の命を守るという姿勢も問われていると思いますので、是非とも、ここをもう少し増やしていただきたい。

 あとは、今、農業で作業中に亡くなった方々、例えば農業機械で事故で亡くなった方々、こうした方々の人数というものを正確に把握している省庁が実はどこもないんですね。是非とも、農水省の方でその辺は取りまとめていただいて、正確に把握した上で対策というものを取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 私の同級生もトラクターが横転して亡くなりました。もう一人の友人もコンバインが転倒して亡くなりました。非常に今重要な問題だと思います。年間死亡事故数は減少傾向にはありますけれども、他産業に比べるとやはり依然として高い水準にあります。

 農林水産省といたしましては、各都道府県に対しまして情報提供を要請をいたしております。その結果や厚生労働省の労働者死傷病報告を通じて、後遺症が残るような重大事故を含め、農作業事故の正確な件数の把握と公表に努めているところでございますけれども、正確な数字というのはしっかりとやはりこれからつかんでいかなければいけないというふうに思っております。

 その上で、農作業安全対策の推進を図るためには、地域における普及啓発活動の取組は重要だと考えます。例えば、シートベルトをしっかりするとか、本当はフレームをやった運転席で操縦しなければいけないんですけれども、フレームを外すとか倒すとか、そういうのが見られますので、都道府県や農業団体等が行います研修の取組に対する支援等に必要な予算を確保しているところでございますが、今後、研修、啓発、都道府県推進組織等への支援、そして、農作業安全対策に係る取組に対する支援の実施に必要な予算を確保しながら、更にその確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

神津委員 ありがとうございました。

 これから新規営農者の方もまた増えてくるようなことになってくると思うので、そういう方々は恐らく機械に熟知していないので、是非ともしっかりと安全対策に取り組んでいただければと思います。

 農水大臣、経産大臣におかれましては、御退席いただいて構いません。

小野寺委員長 それでは、齋藤大臣、坂本大臣は御退出いただいて結構です。

神津委員 次に、政治と金の問題について質問させていただいております。

 昨日、後藤祐一議員から、自民党の聞き取り調査の資料について、提出された概要の調査、概要ではなくて調査そのものを提出するようにお願いがあったと思うんですが、本日既に提出されているか、伺えますでしょうか。もし提出されていなければ、いつまでに提出されるのか、林官房長官にお願いします。

林国務大臣 今御質問のあった件につきましては、理事会協議事項になっているものと承知をしておりまして、その取扱いについては国会でお決めいただくものと考えております。

神津委員 昨日と同様に余り積極的な答弁でないのが非常に残念であります。

 次に、二月三日、四日に共同通信が実施した調査では、裏金を受け取った議員がその使い道について説明する必要があると回答された方が八四・九%に上りました。その後、二月十七日、十八日に行われた毎日新聞の調査、派閥の幹部が説明責任を果たしたかとの問いに対して、果たしていないという方が九三%、もうこれは何回も取り上げられていますが、そういう結果でした。

 これは、私は、十五日に自民党聞き取り調査結果というものが提出されていますので、まさにあの内容が不十分であったというふうに国民が捉えているというところが非常に大きな問題だと思っております。

 林官房長官にお伺いしますが、今回の自民党が行った実態解明の調査の内容、国民の政治不信を払拭するのに足るようなヒアリング調査結果だったか、伺えればと思います。

林国務大臣 官房長官の立場で、自民党の報告書の内容についての評価を申し上げることは差し控えますが、国民の政治に対する不信の声、これを真摯に受け止めて、引き続き関係者において適切に説明責任を果たすことが重要だと考えております。

 岸田総理も、自民党総裁として、説明責任が今回の聞き取り調査や政治資金収支報告書の修正をもって果たされるというものではないこと、今後とも、あらゆる機会を捉えて国民の信頼回復に向けて関係者には説明責任を果たしてもらわなければならないし、党としても求めていくこと、こうしたことを述べられたものと承知をしております。

 こうした方針に沿って、引き続き党において対応していくものと考えております。

神津委員 あらゆる機会を捉えてという言葉が本当に言葉だけになってしまっているような今の状況だと思っています。

 今回の自民党の調査結果を見ると、私は、誰のための調査であったのかというところ、疑問を持っております。どちらかといえば、自民党の議員の方々が自分の保身のために行ったような調査だったというふうに思っております。

 例えば、この十一人の方々、収支報告書への不記載を認識していたにもかかわらず見過ごしていた、そうした方々について、まさに政治倫理審査会に出てきて本来であれば説明すべきところ、これをやっていないというところが本当に、昨日、後藤祐一議員がおっしゃられたように、隠蔽体質というふうに言われても仕方ないというふうに思っております。

 もし、そうではないんだというふうにおっしゃるのであれば、是非、野党が求める五十一人全員が政治倫理審査会に自ら進み出て説明すべきだと思いますが、林官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 政治倫理審査会への個々の議員の出席について、官房長官として申し上げる立場にはないものと認識をしております。

 なお、政治倫理審査会を含めて国会における審議の在り方については、国会においてお決めいただくことである、そういうふうに認識をしております。

神津委員 ちょっと、ここでケネディ大統領の言葉を紹介させていただきたいと思うんですが、四十三歳で大統領に就任されたケネディ大統領、国が何をしてくれるかではなくて、自分が国のために何ができるか考えようということを発言されました。

 私は、これを聞いて今思っているのは、自民党の議員の皆さんも、やはり自ら潔白を証明する必要があるのではないか、政治と金の問題についてけりをつける必要があるのではないかというふうに思っていますが、官房長官の意見を聞かせていただければと思います。

林国務大臣 突然のお尋ねでございますが、今引用されましたケネディの言葉というのは、国民に向かって、就任演説であったかどうかはちょっと記憶が定かでありませんが、ケネディ大統領が発言をされた、そういうふうに記憶を今呼び起こしておるところでございます。

 今の御質問の趣旨を正確に捉えているかどうか分かりませんが、国会議員が説明責任を果たすという文脈での言葉とはやや違った文脈でケネディはおっしゃっていたのではないかというふうに記憶をしております。

神津委員 文脈としては確かに違うんですが、私はなぜ今申し上げさせていただいたかというと、平成二十六年二月二十六日、かつて林官房長官が農水大臣をしていたとき、予算委員会第六分科会で、渡辺議員から農林水産分野の輸出拡大を促進するアドバイスを求められたとき、こういうふうにおっしゃられました。ケネディの言葉でもあるんですが、国が何かをしてくれるのではなくて、自分が国のために何ができるかを考えようと。国のためにというよりも、自分のためにどうするかということをまず自分が考えるというのは、自民党の綱領にも、自助、そして共助、公助と。自助があって、助け合いがあって、そしてなかなか難しいところに公助が行くというふうにおっしゃられました。これは、まさに、農林水産大臣という立場にありながら、個人的見解をしっかりと述べられたと思うんですね。

 今回のこの裏金事件については、官房長官という立場で、答えられないといつもおっしゃられているんですが、官房長官だったとしても、これは一人の政治家としてきちんと答えるべきだと思うんですね。もしちゃんと答えられないのであれば、官房長官であろうと大臣であろうと、私は政治家である必要はないと思うんです。官僚の方がやればいいと思うんですね。

 こういうところについて、これを踏まえてもう一度お伺いしますが、個人的な考えで構いませんのでお伺いしますが、野党が求めるこの五十一人全員が、政治倫理審査会に自らが進み出て説明すべきだと思いますが、林官房長官のお考えを聞かせてください。

林国務大臣 農林水産大臣時代の私の答弁について御引用がありましたけれども、恐らくは、農水大臣としての職務である農水産物、食品の輸出促進ということについて、ケネディの言葉を例えに引いて御説明を申し上げたものというふうに今思い出しております。農水大臣としての、大臣としての職務に関するお問合せだった、こういうふうに記憶をしております。

 先ほど申し上げたように、今の御質問については、国民の政治に対する不信の声、これは真摯に受け止めなければならない、そういうふうに認識をしておるところでございます。

 それぞれの関係者が引き続き適切に説明を果たす、これは大変重要なことであると考えております。

神津委員 私が聞いたことには全然答えていただけないというのが実感でもあります。私が聞いたのは、この五十一人全員が政治倫理審査会に出席するべきかというところを、個人的な御意見をお伺いいたしました。ただ、そこには答えていただけませんでした。

 私、一連のこの政治と金の問題について、岸田総理にしても林官房長官にしてもほかの自民党の大臣にしても、話を聞いていて思うのが、みんなどこかで、人ごとだ、法的責任さえ説明すればあとは問題ないと思っているのが自民党の今の態度ではないか、姿勢ではないかというふうに思っております。

 私は、国会というものは、法的責任だけではなくて、政治家に求められるのは、政治的、道義的責任についても追及する必要があると思っております。ロッキード事件のときには、特に言われていたのが、刑事責任を追及するのは司法、政治的、道義的責任を追及するのは国会がそれぞれの役割を担うんだということで話がありました。

 今国会、法律を守る責任はもちろんのこと、政治的、道義的責任を国会では果たすべきと官房長官も考えているか、お考えを聞かせてください。

林国務大臣 国会における審議の在り方については、国会において判断いただくべきものと考えております。

 その上で、個々の政治家の説明責任等の在り方について官房長官の立場でコメントすることは差し控えますが、総理は、自民党総裁として、説明責任が今回の聞き取り調査や政治資金収支報告書の修正をもって果たされるというものではないということ、今後とも、あらゆる機会を捉えて国民の信頼回復に向けて関係者には説明責任を果たしてもらわなければならない、党としても求めていく、こういうふうに述べられておると承知をしております。さらに、総理は、総裁として、政治責任については、今回の調査や関係者による今後の説明責任の果たし方を踏まえて党として判断していきたい、こういうふうに述べられております。

 こうした方針に沿って、引き続き対応していくものと考えております。

神津委員 まあ、答えていただきたいなと思った次第です。

 政治資金規正報告書に不記載の法的責任については、時効が五年ですね。それから、所得税法違反では、悪質な場合は、時効は最長で七年問われる。

 ただ、安倍派の塩谷元座長は、議員側への還流を二十数年間慣行的に行ってきたのは事実だということを発言されておりました。この二十数年間について、法的責任を含む政治的、道義的責任を取ってもらう必要があると私は思っておりますが、官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 一般的に申し上げますと、お尋ねがあったような説明責任また政治的責任、道義的責任、こういったものは、司法上、刑事上の時効、こうしたものにとらわれるものではないと考えられると考えております。

 その上で、個別具体の事案に関する個々の政治家の責任の在り方については官房長官の立場でコメントすることは差し控えますが、総理は、先ほども申し上げましたように、説明責任が今回の聞き取り調査、政治資金収支報告書の修正をもって果たされるというものではないこと等を述べられていると承知をしております。

神津委員 ありがとうございます。ちょっと不十分な答弁であった気がするんですが、ただ、少し前向きであったかなと。

 私が問いたいところは、安倍派の幹部の皆さん、二〇一八年から二〇二二年の五年間の不記載額が公表されていましたが、これを、一年間ごとに割って、五で割って平均して、在職年数で掛けてみました。

 そうすると、世耕弘成議員が、五年間で千五百四十二万円受け取った。そして、在職二十五年間で七千七百十万円。

 松野博一議員が、五年で千五十一万円受け取っていた。在職二十三年間で四千八百三十五万円。

 高木毅議員が、五年で千十九万円。在職二十三年間で四千六百八十七万円。

 西村康稔議員が、五年で百万円。在職二十年間で四百万円。ちょっと四百万円というと、もしかしたらほかの方からすると見劣りするかもしれないですが、ただ、これは、一台高級車が買えますから、非常に高額だというふうに思っています。

 そして、萩生田光一議員が、五年間で二千七百二十八万円。在職十七年間で九千二百七十五万円もの不記載がありました。

 ちなみに、不記載があった八十五人の合計は、五年間で五億七千九百四十九万円です。もし二十年間で掛けてみると、二十三億一千七百九十六万円もの大きな不記載の金額になるんですね。

 ここについて、私は、時効は確かに問えない、五年か七年、問えないけれども、この十五年分、隠し持っていた、ここの分については、政治的、道義的責任については問われると思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 不記載がなかった過去の分について委員が独自に試算をされたということだと思いますが、そのことについて私の立場で何か申し上げることはないと考えております。

 先ほど申し上げましたように、説明責任、政治的責任、道義的責任といったものは刑事上の時効にはとらわれるものではないと考えられるということは先ほど申し上げたとおりでございます。

神津委員 政治的責任、道義的責任は刑事上の時効にとらわれるものではないと。私は、これは非常に重要な答弁だったというふうに思っています。

 この五年、七年を超える部分について、例えば萩生田光一議員については、二千七百二十八万円、これを机の中で管理していたというふうにおっしゃられていました。初当選以来管理していたのであれば、もしかしたらば、九千二百七十五万円、非常に大きな金額を机の中にしまっていたという可能性もあるというふうに思っております。

 私は、これは非常に大きな金額。今、皆さん、税金を支払う非常に重要な、確定申告の季節にもなっていると思います。もし自分の考えの中で、この十五年間分、もしかしたらば所得税はもう支払うことができない、時効を超えてしまっているような部分について、もし手元に持っておるのであれば、是非とも寄附を促すようにお願いしたいというふうに思います。

 そして、次の質問に行きますが、岸田派の話に、宏池会の話に変えさせていただきます。

 宏池会でも、パーティー収入を過少記載しておりました。林官房長官、報道によれば、宏池会の最後の座長を務められていたという報道もあります。まずは事実確認をさせてください。

林国務大臣 今おっしゃられたとおり、宏池会で座長を務めておりました。

神津委員 ありがとうございます。

 岸田総理におかれましては、最後の方においてはもう既に会長を辞任されていたというところにおいては、座長がやはり責任を持つ立場だというふうに私は思っております。

 そうした意味において、今回、検察が岸田派の元会計責任者を略式起訴されました。この責任についてはどの議員も取っていないというところで、どなたがこれから議員としてこの責任を取られるのか、そして、岸田派に残っていたお金についてはどういうふうにされるのか、伺えますでしょうか。

林国務大臣 私の所属をしておりました宏池会においては、パーティー関連収入につきまして、不確かな会計知識に基づき、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留する、こうした事務手続を取っていたほか、銀行への入金履歴を手書きで転記する際に転記ミスを起こして収支報告書への記載が漏れることもあったこと等から不記載が生じた、こういうふうに聞いております。この不記載につきましては、当時の会計責任者の刑事責任が追及されたと承知をしております。

 結果として政治資金収支報告書に多額の不記載が生じるという事態を招いたことにつきましては、宏池会座長の立場にあった者として遺憾であるというふうに受け止めております。

 また、宏池会としても、不記載に関する事実関係について必要な確認を行った上で、一月十九日でございましたが、根本事務総長ら当時の宏池会幹部により記者会見で説明をいたしましたほか、岸田総理も国会等で説明をされているものと承知をしております。あわせて、二月十六日の内閣委員会におきまして、宏池会の不記載について詳細な御質問がありましたので、宏池会の座長であった私からも丁寧に御説明させていただいたところでございます。宏池会の幹部であった者それぞれが責任を果たしているものと認識をしております。

神津委員 残金についてお答えいただけていないんですが、私、今の話を伺っていて、やはり今、政治的責任、道義的責任を誰も取っていないんだというふうに理解いたしました。そうした意味においては、残っているお金をどういうふうに使うかというところと、それから、政治的責任、道義的責任を誰が取っていくのかというところも明確にしていただければというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってしまったので、ライドシェアに少し触れさせていただきます。

 私、国土交通委員ですので、ちょっとお伺いしたいんですが、国会で、今回、ライドシェアについて、法改正の議論もされないままに四月に始まろうとしていると伺っております。二種免許不保持者が乗客を乗せて営業することは安全を脅かす可能性がある。それから、白タク行為についてはこれまでも厳しく取り締まってきたという立場があるかと思います。なぜ国土交通委員会で法改正の議論もせずに四月から始められることになっているのか、伺えますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 地域交通の担い手不足や移動の足の不足解消といった喫緊の課題に対応するため、総理の御指示を受け、昨年十月より、デジタル行財政改革会議及び規制改革推進会議におきまして、安全、安心の確保を大前提に対応策の議論を行ってまいりました。

 その上で、昨年十二月に、現行の法制度の中で、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車や一般ドライバーを活用する運送サービスを本年四月から開始することといたしました。ですから、白タク行為ということではございません。

 この運送サービスの制度設計に当たっては、三つの大変重要な要素、車やドライバーの安全性、二番目に、事故が起こった際の責任、三番目に、適切な労働条件、この三点が大変重要であると考えております。そのため、道路運送法第七十八条第三号の許可制度を活用して、現行の法制度の中にある許可制度を活用して、一つは、タクシー事業者が運行管理、車両の整備管理やドライバーの研修、教育を実施する体制を整えていること、二番目に、安全上支障がないよう勤務時間を把握すること、そして三番目に、タクシー事業者がタクシー事業と同等の任意保険に加入すること、そして、タクシー事業者が運送責任を負うことなどを要件とすることで安全、安心の確保をしたい、このように考えております。

神津委員 安全面では、まだ今の御説明では少々不安が残るところだと思うんですが、よかった点は、事故が起きればタクシー事業者がドライバーとともに責任を負うというところと、それから、タクシー会社が運行管理をこれからも行っていくというところが、私は今回の制度上ではよかったのではないかというふうに思っています。

 ただ、またさらに、白タクに近いようなライドシェアについても、六月に、法改正が予定されているというふうにも報道上では出ていたりするんですね。余り自由になり過ぎてしまって、国民の安全、安心が脅かされてしまうようなタクシーの導入については、是非とも国交省ではちゃんと検討していただいて、国会の場でもまた議論していただくような機会を持っていただければと思います。

 ありがとうございました。以上です。

小野寺委員長 これにて神津君の質疑は終了いたしました。

 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。大臣の皆様、今日はよろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、坂本大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。

 先日の予算委員会の審議で、食料安全保障の確立のためには、とにかく農家の皆さんが経営を継続することが大前提である、そのためには所得対策が大事であるというお話をさせていただきました。坂本大臣のその質疑に対しての答弁でありますけれども、厳しい現状は十分理解できます、しかし、現実に、やはり農家の所得というものは、これまでやってきた政策の中で引き上がっておりますということで、例えば、平成二十五年、五百五万円だったのが、三十年には六百六十二万円といったように、所得そのものは確実に今上がっているということを御答弁をされました。

 改めて認識をお伺いしたいと思いますが、農家の所得そのものは確実に上がっているという認識なんでしょうか。

坂本国務大臣 データの取り方はそれぞれ違いますけれども、このデータによりますと、平成二十五年から平成三十年、そして令和元年から令和三年、これは確実に所得そのものは上昇しているというふうに考えております。

石川(香)委員 これは、今の現状を聞いたわけなんですが、今日資料にもお配りしているとおり、赤文字で書いたところ、平成二十五年から平成三十年までの数字と、令和元年から令和三年までの数字を根拠にされているということなんですが、平成二十五年から三十年、コロナ前の数字なんですね。これをもって所得が上がっていると言われるのは、これは全く現状をしっかり認識されていないのではないかと。

 令和四年は、現に所得ががくんと下がっているわけですね。主業経営体、全農業経営体、共にがくんと下がっている。コロナ前の数字を並べて、都合よく数字を並べて所得が上がっていると言うことは、私は余りにもこれはひどいんじゃないかと思います。

 これは坂本大臣の肌感覚で結構なんですが、全国たくさんの農家の皆さんのお話を伺われていると思います。農家の皆さんの所得が上がっているというふうにお感じになりますか。

坂本国務大臣 肌感覚では、委員と私も全く一緒だというふうに思います。所得そのものは上がっているというふうに思います。

 しかし、やはり私のところも、酪農を中心として、飼料が上がる、電気代が上がる、資材が上がる、こういった様々な物価の高騰によりまして、非常に厳しい経営状況が続いているということは十分認識をしております。

 その上で、各現場あるいは団体の意見を聞きながら、それぞれに、飼料コストの対策、肥料コストの対策、資材高騰の対策、そういった各種の影響緩和対策というのを重層的に講じてきているというようなことで認識をいたしております。

 団体の方からも、何とかやっていける、ありがたいという声も、北海道の方からもお聞きしておりますので、今後も、我が国の農業課題に的確に対応する取組によりまして、現場の声をしっかり聞きながら、収益性の高い農業経営の育成、そして、所得の向上、持続的な農業のために尽力してまいりたいというふうに思っております。

石川(香)委員 今、大臣から、何とかやっていけるという言葉をいただいていると。私は全く逆の言葉をいただいております。これではやっていけないという言葉をいただいております。

 令和四年の数字は確実に下がっておりますし、農林水産省の推計で作りました、今日お配りしている前回と全く同じ資料ですけれども、これもがくんと下がっています。どんなに頑張っても、様々な物価高騰対策、飼料、肥料の高騰によって所得が確保できないという状況は、これは現実であります。

 私の国会中継を見ていただきました全国の農家の方からありがたいことに手紙やメールをいただきまして、やはりこの部分がおかしい、所得が上がっているという認識に驚く、あきれる、怒る、こういう意見をたくさんいただきました。私は、はっきり言って、政府の危機感のなさが一番の危機だと思っております。

 今、対策も講じてこられた、それもそのとおりだと思います。クラスター事業のような、補助金を出して機械や設備に投資をして生産量を上げていく。こういうことは全く否定するわけではありません、現に所得は上がった方もたくさんいらっしゃるわけでありますので。しかし、そのとき投資をした方々は今どうなっているかというと、その投資が今返す見通しがつかない借金となって、今まさに苦しんでいるという状況になっているのも事実であります。

 対策も講じてきたという中で、例えば肥料高騰対策、以前、上昇分の七割を補填するというものもありましたけれども、複雑に考えられた計算式に当てはまれば、これは三割の補填にしかならないという、この制度は終了しましたけれども、本当に詐欺広告みたいなことをいまだに自民党のホームページに出しているわけなんですよ。これはやはり余りにも生産者を欺くようなやり方だと私は憤りを感じています。

 その上で、食料・農業・農村基本法の改正案の方向性は非常に重要だと思います。様々な現場の皆さんの意見を聞く中で、国内外の過度な競争にさらしてきたことや、それから、自民党が中心に進めてきた、規模を拡大することだけが価値かのような価値観を改めるべきではないかと私は思っているんですが。

 そんな中で、今日も資料を配付させていただきました、二〇二三年五月に自民党の森山総務会長がJA全中の全国大会で講演をされております。今回の基本法の改正について非常に重要な発言をされております。

 今回の基本法の改正は、ポイントは新自由主義からの転換だ、一九九九年の制定時に競争原理が持ち込まれたことで、農業は厳しさを増し、環境や地方が軽視されてきたとお話をされております。

 森山総務会長は、新自由主義からの脱却ということをはっきり述べられて、これまでの自民党の農業政策の批判もされているわけでありますけれども、坂本大臣も考えは同じでしょうか。

坂本国務大臣 これまで、農業政策におきましても、農地の集積や輸出拡大など農業の成長を促す取組を重視してきました。その一方で、農業の有する多面的機能の発揮のための取組への支援も行ってまいりました。農産物価格につきましても、供給や品質で決まることを基本としつつも、価格が下落した際の営農への影響対策なども行ってまいりました。例えばゲタとかマルキンとか、こういったものも講じてまいりました。全てを市場経済に委ねてきたわけではないというふうに私自身、認識しております。

 今般の食料・農業・農村基本法の方向性といたしましても、新しい資本主義の下で、世界の食料需給の不安定化、そして環境と調和の取れた産業への転換、人口の減少に伴う農業者の急減といった社会的課題を克服してまいりたいというふうに思っております。

 森山総務会長が言われました新自由主義からの脱却というのは、私自身は過度な市場経済主義からの脱却というふうに受け止めております。

石川(香)委員 はっきりと新自由主義からの脱却とはおっしゃいませんけれども、成長を促す政策が中心であったということはお話しされておりました。

 新自由主義的な産業政策、すなわち競争力の強化、成長産業化、これを農業に過度に入れ過ぎたのではないかということで、代表的なのが規制改革会議と言われる存在です。民間の参入によって競争力を高めるといった目的で、規制緩和、合理化という名の下に、地域のコミュニティーが分断されるような政策を推し進めてきたと私は思っております。

 この上で、一点、懸念を申し上げます。

 今回の国会で提出予定の農地関連改正法案というものがありますけれども、ここで、農地を所有できる法人の出資規制を緩和するというものがあります。現在、農業法人の農業関係者の出資割合を、今までは過半でありましたけれども、これを三分の一超まで引き下げるという特例を盛り込むというものでして、つまり、農業関係者の関与を弱めるという方向が検討されている。

 坂本大臣も会見でコメントされておりますけれども、農業法人の役割は今後重要になるということで、私も法人による経営は否定はいたしませんが、問題は、農業のプロである生産者が十分に農業経営に関われなくなるのではないかという懸念です。

 このことも含めて、農業関係者以外の関与を強めるということは生産現場が求めていることなんでしょうか。

坂本国務大臣 その辺は、これからの農業にとって非常に重要なところだというふうに思っております。

 農地を所有できる農地所有適格法人、委員おっしゃいましたように、五一%の持ち株でなければなりません。そして、四十代以下の新規就農者の過半数は法人への雇用就農であります。

 人口減少や高齢化が進行する中で人と農地の受皿として法人は重要になっておりますけれども、しかし一方で、借入金の比率が高い、そして経営基盤が弱い、そういうことで、自己資本の充実など、その強化が課題となっております。そういうことで、農業現場の懸念に対応しながらも、今回の緩和措置を講じようとしているわけであります。

 出資要件の特例の対象業種といたしましては、現場の懸念や、それから農外資本を活用している法人の約半数が食品事業者を選択しているという実情を踏まえております。まずは主要農業従事者以外に食品事業者、そしてやはり地銀ファンド、こういった方々は非常に農業に対しても理解がございますので、こういった方々を、こういった資本を対象とする考えでございます。

石川(香)委員 全く法人による経営自体は否定はしておりませんが、今回は食品事業者などに限るということもおっしゃっておりましたが、昨年末の規制改革会議の中で、早くも、出資可能な業種の拡大の余地まで委員から意見が出されているということなんですね。新自由主義的な競争力強化、成長産業化のための規制緩和そのものではないかということを疑うわけです。

 農業者以外の経営支配については懸念が多くあると私は思っていますが、自民党の農林水産部会では誰も意見がなかったということで、もはや自民党は誰の味方なのかということも感じております。

 その一方で、万一食料が十分に供給できない可能性があるときには、農家の方に違うものを作らせる、若しくは増産の計画の届出や農地への立入検査に従わない場合は罰金刑ということも軸になっている。先日の階議員の質疑で、総理は明らかに前向きでした。

 大臣、これはさすがにやり過ぎではありませんか。

坂本国務大臣 ここは非常に誤解があるところですので、少し丁寧に分かりやすく説明いたしたいと思います。

 供給段階を四段階に分けております。平時の場合、それから兆候がある場合、そして異常事態が発生しようとする場合、そして最終的には一日のカロリーが千九百カロリーを下回る場合、この四段階に分けております。

 その中で、重要事態、食料の異常事態になろうとするときに、やはり出荷業者あるいは輸入業者、生産者などに出荷計画書を出してくださいというようなことで、供給確保のための計画書を出していただくわけです。

 しかし、それで、計画書を出していただいて、その計画書どおりに故意にいかない場合、買占めをしたり、ストックをしたり、その場合には、計画どおりにいかない場合には、罰則ではなくて公表措置をしたい、公表するというふうにしたいと思います。

 そして一方で、計画そのものを出さない場合、これは、法律的に、横の法律との問題もありますので、違反に対する罰金、こういったものを検討しているわけです。これは法律に違反するわけでありますので、計画書をやはり出していただくということであります。

石川(香)委員 結局、罰金というのはあるわけですね。

 それに、大臣、今、農家の方も確定申告をしているところなんですね。先日お会いした農家の方は、この時期、経営の厳しさ、情勢の厳しさを改めて実感するということをおっしゃっておりました。自民党の脱税のニュースを見るたびに納税のやる気がなくなるということを感じているのに、罰金刑はさっさと導入しようとする、これは何を言っても説得力がなくなってしまうと私は思います。

 政府が信頼をできるリーダーシップを取っていたら、生産者側もきちんと従って、罰則など、私は本来要らないのではないかと思います。これこそ農政の自信のなさの表れではないかというふうに思います。

 そしてもう一点、今回の基本法の改正では、不測時の想定として、家畜の病気の流行という点が初めて加えられました。

 農家というお仕事は、日々、農作物や家畜の病気との闘いであります。酪農の現場で非常に恐れられているヨーネ病というものについて質問しますけれども、このヨーネ病というものは、口蹄疫ですとか鳥インフルエンザと一緒の家畜伝染病というものの枠組みに入っておりますけれども、発症すると、下痢が続いて、流産したり、乳量が下がってしまうという病気ですが、五年に一度、必ず各牧場で全頭検査を行って、一頭でも陽性になると処分しなければなりません。その後も、一年に数回の検査で、また一頭でも陽性になれば定期的に検査は続いていって、全頭クリアするまでに早くて三年、長くて十年かかったという方もいらっしゃいます。

 ただ、例えば百頭いて一頭陽性になっても、ほかの九十九頭は牛乳を出荷することができます。ヨーネは潜伏期間が非常に長いため、陽性が発覚するため、潜伏していた可能性が高い牛も、その間は牛乳を出荷し続けているということで、乳製品のリスクについても酪農家は腑に落ちないところが多いと言われています。なかなか発症しませんので、陽性になっても見た目は元気ですが処分しなければならないということで、予防法も治療法もなく、衛生管理にかなり気をつけていてもヨーネは全く減りません。

 きちんと人体へのリスクを明らかにした上で、このまま家畜伝染病の扱いで続ける必要があるのかどうなのかということをしっかり議論する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 牛のヨーネ病というのは、ヨーネ菌を原因とする伝染病であります。今委員言われましたように、ワクチンがありません、それから治療法もありません。ですから、生産性を著しく低下をさせて、農家に甚大な被害を及ぼす影響があります。そういうことで、家畜伝染病に指定し、家畜の殺処分により蔓延防止を図っております。

 今委員言われましたように、潜伏期間が非常に長いというのが特徴でありますので、発症しないからといって感染牛をそのままにしておくと、菌を排出し、農場内の他の牛や他の農場に感染させ、更にその被害を拡大させるおそれがあります。

 豚で、PEDという、やはり同じ下痢の病気がありますけれども、これは非常に潜伏期間が短いということで、また別の指定をしているところであります。

 ヨーネ病にかかった牛の肉や牛乳の食品としての安全性につきましての言及がございました。

 これは厚生労働省の所管事項となりますけれども、ヨーネ病等の疾病にかかった、又はその疑いのある牛の肉や乳については、食品衛生法において、食品として販売し、又は食品として販売の用に供するために加工等をしてはならないとされているものと承知をしております。

 農林水産省としては、本病の被害が広がらないよう対策を適切に講じることが重要であることから、特に発生が多い北海道を中心に、引き続き、都道府県等の関係者と連携しながら、蔓延防止というものに取り組んでまいりたいと考えております。

石川(香)委員 北海道の酪農家たちはこの検査に疲弊をし、何百、何千という数の検査を、全頭検査をし続けなきゃいけないという家畜衛生保健所の獣医にとっても大きな負担になっております。是非、実態を把握していただいて、時代に合った対応を求めたいと思います。

 坂本大臣、御退室いただいて結構です。ありがとうございます。

小野寺委員長 それでは、坂本大臣は御退出していただいて結構です。

石川(香)委員 それでは、今日は子供関連の質疑をしますが、通告はしておりませんけれども、加藤大臣に、子供、子育て支援金について幾つか初めにお伺いをさせていただきたいと思います。

 今日もたくさんのマスコミ、新聞報道などで、国民負担五百円を超えるということをようやくお認めになったということが記事になっております。これは分かり切っていたことだったんですけれども、ずっと認めてこられなかったということで。

 ただ、専門家の西沢和彦さん、この試算では、例えば、協会けんぽでは月額千二十五円、組合健保では千四百七十二円、そして共済組合では千六百三十七円と、五百円どころか、労使を合わせると千円を超える試算がもう既に出されている。

 これは、国民の負担額が千円を超える可能性というのはあるんじゃないでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金についての御質問があるという通告をいただいておりませんでしたので、まず、お答えできる範囲でお答え申し上げますけれども、五百円弱というのは加入者一人当たりの平均を、保険制度全体においての平均を出しているものでございますので、先ほど、民間で示されたというその数字とは差が出てきます。と申しますのも、使用者と加入者あるいは被用者との折半がございますので、倍近くにはなるということも、その表示の仕方ではなり得ると思います。

 また、千円以上の負担があり得るかということに関しましては、被用者の方ですとか加入者の方々の支払いの能力ですとか所得に応じて変わってきますので、可能性としてはあり得ると思います。

石川(香)委員 じゃ、昨日は五百円の負担はあり得るということを認め、今日は千円を超える可能性があり得るということを認めたということで、もう一度確認させてください。

加藤国務大臣 あくまでも五百円弱というのは加入者一人当たりの平均を示したものでございますので、支援金の拠出が千円を超える方がいる可能性はあり得ると思います。それは、もちろん、所得に応じて、あるいは様々な加入している保険の制度の種類にも応じて変わってくるところだと思います。

石川(香)委員 お認めになったと思います。

 今、細かい数字は発表できないかもしれませんけれども、昨日、加藤大臣も、医療保険制度ごとに支援金を算出するためには様々な仮定を置く必要があるということを答弁されております。法案も提出されるわけでありますので、加藤大臣の頭の中には、それぞれの保険ごとの負担額、大まかなイメージ、これは当然頭の中にあるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 保険制度ごとの平均ですとか拠出額に関しましては、先日、総理からも申し上げたとおり、少なくとも法案審議に間に合う形で、どのような形でお示しするかも含めてお示しをしていきたい、このように申し上げているところでございます。

石川(香)委員 法案審議という話がありましたが、これは予算委員会ですので、せめて大まかな試算をしていただいているものということを信じたいところでありますけれども、本当に頭の中に試算イメージがないのであれば、そもそも予算審議は成り立たないわけでありますし、大まかな試算があるのであれば、言わないのはまさに増税隠しそのものになってしまうと思います。

 子育て世帯もやはり白けちゃっているんですよね。追加負担の有無、程度も見通せないこの制度に、国民はやはり協力なんかできないと思います。もう負担が発生することは明らかなわけでありますので、しっかり誠実に説明をするということが必要だと思いますが、増税隠しじゃなければ、ないということもはっきり言っていただいて、もう一度お願いいたします。

加藤国務大臣 支援金制度に関しましては、歳出改革をしっかりとまず行って、歳出改革によって負担を軽減をさせ、その軽減させた幅の分だけ拠出をいただくという設計をさせていただいておりますので、ここで追加的な負担が全体として実質的に生じるということはないという御説明をさせていただいております。

石川(香)委員 再三、委員も、我々も質問しておりますけれども、もう負担が発生するということは明らかなわけですので、是非、誠実な説明を今後もしていただきたいと思います。

 では、時間が残り五分になりましたので、通告をしておりました質疑に参りたいと思います。

 今回、デジタル一括法案、昨年九月、改正になりまして、この流れで児童福祉法が一部改正になりました。これまで施設内で書面掲示されていた責任者の名前などが、この事業所の情報がインターネット上でも情報公開されるということが義務化されることになりました。

 河野大臣、この目的について伺います。

河野国務大臣 これまで、例えば、資格のような標識あるいは利用料金といったものを現地でなければ確認できなかったという不便さがございましたので、インターネット上で同様の情報を開示をしていただくことで、いつでもどこでもそれを見ることができるようにしたということでございます。

石川(香)委員 利用者にとって安心して選択ができるようにという、利便性という御答弁だったと思いますが。

 今日、資料でお配りをしております、どこのインターネットで保育であれば公開するのが義務化になったかというと、「ここdeサーチ」というサイトですね。これは、現在、独立行政法人福祉医療機構というところが運営しているそうなんですけれども、サイトを開きますと施設名がいっぱい出てくるんですね。施設名がいっぱい出てくる中に、認可外保育施設の区分の中に、個人で登録されているベビーシッターの名前が出てきまして、自治体によっては、名前ですとか住所、電話番号、御丁寧に御自宅のマップまで出てくる。

 このことについて、まず、こども家庭庁は認識しているかということと、自治体に、まず、こういう仕事をしますということで責任者の方が届出に行くわけですけれども、そのときに、「ここdeサーチ」に掲載をしますということを説明されているはずなんですが、どうもそれを認識されていないまま公開されている人がいるようですので、この点についても認識をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 「ここdeサーチ」において個人情報が公開されているということにつきまして、個人の方で住所まで公開をされているケースがあるということは、御指摘も踏まえ確認をしましたところ、そういう方が、ケースがあるということは確認をし、認識をいたしてございます。

 子供、子育て支援情報公開システムの「ここdeサーチ」というのは、児童福祉法に基づきまして、施設から都道府県等に報告されたものを、都道府県等が掲載して公表をしているものであります。

 ベビーシッターに関する情報提供に当たりましては、都道府県等に対し、個人情報に配慮するとともに、届出の際に、その情報が公表されることになる旨や、どの項目が公表の対象となるか等について事前に届出者に伝えておくように通知をしているところでございます。

 施設設置者の氏名については、掲載をお願いをしている項目にもちろんなりますが、基本としては本人に確認した上で掲載をされているものと認識をしておりますが、現在、議員の御指摘のとおり、住所、番地まで掲載されている例も確認をされまして、これが本人の確認を取ったものであるかを確認する等、速やかに対応したいと考えております。

 以上です。

石川(香)委員 一応、届出者に確認して、了承の上、公開されているという認識なんですけれども、そうじゃない人がいるということを把握されているということでした。

 私も、実際に、個人情報がたくさん掲載されている大阪府のある自治体に、担当者に聞きましたが、個人情報が「ここdeサーチ」に掲載されていることも知らず、「ここdeサーチ」に掲載されますよということを届出者に伝えていない、このため、このことを知らないのではないかという指摘がありました。

 きちんと通達をした上で、確認が取れない場合は非公開にするといったことも含めて、是非検討していただきたいと思います。

 時間が終わってしまいました。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて石川さんの質疑は終了いたしました。

 次に、小山展弘君。

小山委員 立憲民主党の小山展弘です。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 一昨日の日本農業新聞にも掲載をされておりましたけれども、梨の火傷病対策、この火傷病というのが今非常に全国的にも出てしまっていて、これを抑え込まなきゃいけないということで、日本政府も、農水省も、火傷病の原因となっている中国製花粉の輸入停止措置を行っております。

 その一方で、昨年までに輸入が既にされて、個々の農家さんがもう買っていて冷凍保存している、こういった中国製花粉の買取り、回収も進めていく必要があると思っておりますが、昨年までにこういった中国製の梨の花粉を購入した農家の方からは、損失が発生しないように購入金額での買取り、回収ということを求めておりますけれども、こういった買取り、回収について、政府としてはどのような対策をお考えになっていますでしょうか。

坂本国務大臣 火傷病、梨やリンゴもそうでありますけれども、深刻な被害を及ぼす火傷病の中国での発生の確認を受けて、国内への侵入、蔓延を防ぐため、中国からの花粉の輸入停止をしているところでございます。

 花粉の買取りに当たりましては、農家の購入金額で買い取ることを基本というふうにしております。領収書や販売店などの記録などにより購入時の価格を確認しており、確認した場合には、その価格で買い取ります。それから、万が一価格が不明確な場合、領収書を取っていないというような場合も、その当時の価格調査の結果を基に買い取ることにしております。

小山委員 私のところにもちょうど問合せがありまして、去年の購入価格の半額ぐらいでというような、うわさというか、そういった間違った認識があったようですので、今日は本当に答弁いただいて、そのことを是非、各県や、都道府県にも周知徹底いただきたいと思います。

 それでは、食料安全保障について伺っていきたいと思います。

 皆様、こちらのフリップと資料一の方を御覧いただきたいと思います。

 円の購買力を示す円の実質実効為替レート、これが低下の一途をたどっております。二〇二〇年を一〇〇としたときの指数ですけれども、村山内閣のときの一九三・九七、ほぼ倍ぐらいあったときから比べますと、今は、岸田内閣は七三・五六。この水準は、実は田中角栄内閣の八八・四三よりも低い。

 名目の為替レートでいえば、一番最高値は野田内閣ですけれども、しかし、実際の実質実効為替レート、まさに各国の物価上昇率も加味した、円の真の購買力を示す実質実効為替レート指数でいいますと、実は野田内閣のときよりも村山内閣の方がかなり強かった。購買力が下がっているということは、これはまさに日本の円の購買力が下がっている。今後、これは食料輸入についても影響が出てくるのではないかということが考えられるわけです。

 また、資料二を御覧いただきたいと思いますが、中国の穀物輸入量の増加がここには示されております。

 特に大豆などは、ざっくり言って日本の輸入量の約三十倍ということで、世界の食料需要、これは中国だけですけれども、ほかの国もみんな、豊かになればおなかいっぱい御飯を食べたい、こういう中で、食料需要は非常に増大してきていると言っても過言ではないと思います。

 一方で、トウモロコシなどは、バイオ燃料などへの使用も増加して、価格が上昇している。既に、買い負けや飼料の高騰というようなところでそれは現実のものになってきているわけですけれども、農水省は、今後、日本の円の購買力の低下や、あるいは中国、新興国の食料需要の増加によって、食料の買い負け、あるいは海外から食料が輸入できなくなる、そういったリスクについてどのように分析していらっしゃいますでしょうか。

坂本国務大臣 委員の御指摘、最も的確で、私たちも心配しているところであります。

 世界に目を向けますと、アジアやアフリカでの人口増加、それから、今言われました中国やインド等の経済成長を背景とした食料需要の増大、さらには異常気象、自然災害、また、我が国が飼料原料としてほぼ輸入に依存しているトウモロコシについてのバイオ燃料化、それに加えて、今なお絶えない各地での紛争、そしてまた新型コロナ感染症を始めとする感染症の蔓延、こういうことで、世界的な食料争奪の激化が心配され、いわゆる買い負けリスク、こういったものが高まってきている。食料や肥料、飼料の多くを輸入に依存する我が国の貿易を非常に不安定化させるリスクが高まっているというふうに思います。これまでのように、安ければ輸入できるというような状況ではない、時代ではないということは、私たちは認識をしなければいけないというふうに思っております。

 こうした世界状況を踏まえた上で、今回の食料・農業・農村基本法の改正におきましては、過度な輸入依存を低減する観点から、食料安定供給に当たって国内の生産基盤の重要性の視点を追加する、そして、輸入相手国の多角化や輸入相手国への投資の促進などによって、輸入の安定確保について新たな位置づけをする、こういうことで今後備えていきたいというふうに思っております。

小山委員 大臣からの認識も、共有するところ、多々ございます。

 私は、特に日本の経済力と購買力の低下ということを、やはりもう少し認識を共有していくべきではないかと思っておりまして、日本の一人当たりの名目GDPは世界三十二位、IMDの世界競争力ランキングは三十五位、安倍政権以来、実質賃金はマイナス。どれだけ日本がすばらしい、美しい国日本と自己満足に陥っても、日本の経済的地位の低下、少なくとも相対的地位の低下ということはやはり認識せざるを得ない、更にそれが低下していく可能性があると思っているんですね。

 そういった中で、食料需要も高まる、今大臣おっしゃったとおりで、そうしますと、同盟国からの輸入であれば心配ない、そういうことも言っていられない。今までのように、輸出で、製造業の製品を輸出して、それで食料は買ってくればいい、そういうことだけが通じるというようなことではないのではないか。それ以外の、買い負けるリスクというのもやはり考えていかなければいけないと思います。

 それにプラスして、ちょっと角度を変えまして、食料自給率指標について伺いたいんです。

 過去に、農水省さんは、平成十八年、我が国の食料自給率、平成十八年食料自給率レポートにおいて、和食にした際の食料自給率を六三%と記載されております。しかし、その後、このレポートにあるような自給率の記載はなくなってしまいました。ある識者によれば、これはアメリカの圧力で掲載をやめたんじゃないか、こういうような批判もあるようですけれども。

 現在、同様の献立で自給率計算ソフトを使用して算出すると、日本人が三食和食を食した際の食料自給率というのはどのぐらいになりますでしょうか。

坂本国務大臣 平成十八年、和食の献立とした場合に、六三%という自給率を発表させていただきました。

 今言われました、同様の献立につきまして、現在、農林水産省のホームページに公表しております自給率計算ソフトを使用した場合に、朝食を御飯、みそ汁、卵焼き、それから昼食をてん丼、みそ汁、漬物、それから夕食を御飯、澄まし汁、焼き肉とした場合の結果例は、六六%でございます。

小山委員 今あえてこの質問をいたしましたのは、食料自給率の低下は、農家の責任、あるいは農業生産が低いからということだけではない。まして、農水省の責任でもない。それだけではない、食生活の変化も大きな要因である。

 食料安全保障、それを確保していくということであれば、やはり国民全体での食料安全保障に対する認識の深化、あるいは意識の醸成といったものも必要であるということを示していると思っております。この点をもっと、農水省やあるいは岸田内閣も、国民全体に向けて、食料安全保障、これは一般の、防衛とかそういった安全保障と同じように訴えていく必要があろうかと思うんです。

 だからといって、三食和食にすれば食料自給率は六六%になるじゃないか、食料自給率が不確かだから、だから不要な指標だ、そういうことを言うつもりは私はありません。何か今朝の農業新聞に、昨日の私どもの党の部会で私が食料自給率のことについて言及したことが新聞記事になっていますけれども、いろいろな企業の経営分析も、一つの指標で財務あるいは経営状態を全部表せる指標なんてないわけですから、幾つかの指標を組み合わせて実態に迫っていく、そういうものだと思っております。だけれども、やはりその中でも、私は食料自給率というのが中心的な指標ではないかと思っているんです。

 といいますのも、先ほども、異常気象による世界的な食料生産の減少とか、あるいは様々な、海外に種とか飼料、肥料も依存しているリスクも含めて、輸入に依存することは大きな危険があるということですけれども、こういった状況の中で、日本人がこれからも食に困るような事態にならないようにするためには、やはり適地適作によって、日本でできたもの、国内で生産された食料を国内で消費していく、地産地消、国消国産が基本であると考えております。そういった地産地消、国消国産を、賄えているかどうかということを示す指標こそ、まさに食料自給率であると思っております。

 資料三を御覧いただければ、東大の鈴木宣弘教授の資料があって、肥料の自給率が低いことを考えると、必ずしも今、三八%どころか、もっと低い可能性がある、実態があるんじゃないか、こういう指摘もありますけれども、やはり食料自給率は中心的な概念。そんなのは関係ないというような識者もいるみたいですけれども、そうではないと思っています。

 今後、政府は、食料・農業・農村基本法改正に当たり、食料自給率をどのように位置づけていきますでしょうか。

坂本国務大臣 お答えする前に、先ほど、夕食を私は焼き肉と言ったようですけれども、焼き魚でございました。失礼いたしました。

 食料自給率といいますのは、国内で生産される食料が国内消費をどの程度充足しているかを示す指標でありまして、引き続き重要であるというふうに考えております。

 しかしながら、海外依存度の高い小麦、大豆の国内生産拡大等の増加要因と、それから、自給率の高い米の消費減少。やはり肉食が増えて、米が少なくなった、消費が減ったというようなことで、その双方が作用して、個別の要因の評価というのが非常に難しくなっております。そして、今言われましたように、それに肥料などの生産資材の安定供給というのが、また今の自給率には反映をされておりません。食料安全保障確保のための施策の効果を、食料自給率という単独の指標一つで評価することは非常に難しいというふうに思っております。

 そういうことで、先ほども言いましたけれども、現在、食料・農業・農村基本法の改正案について国会提出を目指しておりますけれども、仮に国会で御審議をいただいて、改正された暁には、それに基づいた基本計画の策定を行います。その基本計画の策定の中で、食料自給率のほか、その他の食料安全保障の確保に関する事項について、委員が言われましたように、適地適作、国消国産も含めて、適切な目標設定に向けた検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

小山委員 私も、先ほど焼き肉と言ったときには、ちょっと、焼き魚ではないかなと思ったんですけれども。

 是非、中心概念として食料自給率をこれからも考えていっていただきたいと思いますが、先ほど石川香織議員の話題にもございました農家の所得に関係するところで、今度の食料・農業・農村基本法改正では、フランスのエガリム2法を参考に、価格転嫁といったことを基本理念に掲載する方針であると伺っております。

 一方で、価格転嫁が仮に成功したとしても、消費者の買い控えとか、あるいは輸入品の増加などの代替品によって売上げが落ちて、結局のところ、生産者の所得が増えないのではないか、こういった懸念も示されております。

 とりわけ日本はフランスよりも小売業者の交渉力が強いとも言われておりますけれども、日本政府はどうやってこの価格転嫁の実現を担保されるんでしょうか。

坂本国務大臣 朝のBSの「ワールドニュース」あたりを見ますと、フランスにおいての農家のデモ、それはドイツでも、それからスペインでも、そしてイギリスでも、EU全体に広がっております。フランスでも、インタビューを聞きましたら、エガリム法があるのに全く機能していないじゃないか、小売店はたたき売りをしているじゃないかというようなことを農家の方が言っていらっしゃいました。

 そういう意味で、やはり価格転嫁というのは非常に、やらなければいけないことですけれども、なかなか難しい。今言った、消費者の皆さん方の御理解を十分得なければならないというふうに思っております。そういうことで、持続的な供給が行われるように、生産、製造、流通、小売、消費に至る食料システム全体で関係者が協調することによって、適正な価格を実現するというふうにしていかなければならないというふうに思います。

 委員御指摘のように、価格転嫁によりまして消費の減少や輸入品の代替が起こらないようにするためには、着実な賃上げと併せて、先ほど言いましたように、消費者の理解を得ることが不可欠であります。このため、価格形成の仕組みづくりに当たりましては、各段階における関係者の理解の増進と合理的な費用の明確化、これを進めて、そして、生産者から消費者まで、食料システムの中で理解が一致していくように今後やってまいりたいというふうに思っております。

小山委員 今、農水省の方でも、豆腐や納豆、あるいは飲用牛乳について試験的に検討しているということですが、なかなか、飲用牛乳も価格転嫁が十分にできたということではないというようなことも伺っていまして、やはり経済、この後、米山議員が多分、デフレかインフレかというお話があって、私は今の現状、現象でいえばインフレだと思っております。

 しかしながら、国内の人口減少であるとか、こういった実体経済、成長産業がないというようなところで、国内の小売や個人消費が伸び悩んでいるということは構造としてありまして、そのことが原因にあると、なかなか価格転嫁は難しいんじゃないか。

 お米の話もこの後させていただきたいと思うんですが、年間十万トン消費量が減っている。そういう中で価格転嫁をしていくというのは、かなり、小売業者や、あるいは消費者も含めて難しい。かといって、農家の方が減少してもいけない。

 ですから、私は、前も予算委員会で申し上げましたとおり、是非、所得を補償する。農家の方々の経営を安定したものにしていくために、是非、所得補償というものをまた御検討いただきたいと思います。

 それを申し上げた上で、今度は、ミニマムアクセスのお話をさせていただきたいと思います。

 皆さん、資料の四を御覧ください。また、こちらのフリップの方も御覧いただきたいと思います。

 日本国内の二〇二二年の米の生産量は八百七万トンです。しかし、人口減少、高齢化、あるいは若年世代の嗜好の変化から、年間十万トンの消費量が減少傾向にあります。

 需要が減少していますので、米余りが発生し、コスト高にもかかわらず、米価は下落して、農家は苦しい経営を強いられ、離農者が増えております。

 一方で、アメリカからは年七十六・七万トンのミニマムアクセス米が入ってきております。これは最低限の関税での輸入枠設定の提供を行う枠のことであって、緒方林太郎議員を始め、これまでも国会質疑でそういった質疑がなされましたけれども、決してこれは輸入義務量ではないんですね。国内で減反、減産を要求したりするぐらいであれば、まずはこのミニマムアクセス米を見直すといったことはできないんだろうか。

 特に、この七十七万トンがどうやって決まったか。これは、ウルグアイ・ラウンド交渉時の一九八六年から八八年の三年間の消費量の平均に七・二%を掛けて算出しているんですね。同じように、二〇二〇年から三年間で、消費量の平均に七・二%を掛けると、五十八・三万トンになるんです。

 ですから、この十九万トンぐらいはせめて削減や全量買取りの見直しをしてもよいんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 ガット・ウルグアイ・ラウンドの中で、ミニマムアクセスというのは、最低限度の市場参入の機会を与える観点から、農業分野以外の分野も、全体のパッケージとして、全ての加盟国の合意の下に設定されたものです。ですから、この七十七万トンも、アメリカからだけではなくて、世界各国からの総量のミニマムアクセス米が七十七万トンということになります。

 見直しをもし提案するとすれば、他の分野を含む我が国全体の利益に深刻な影響を与えることになるというおそれがあります。また、関係国、地域と交渉し、かつ合意を得た上で、現在、WTOの加盟国は百六十四か国であります。このWTO百六十四か国のそれぞれの国に確認を求めて、反対がないことが必要というふうになります。

 このため、ミニマムアクセス米の削減というのは非常に厳しい。当時の消費量に対してのパーセンテージとしても、やはり、あの当時に決まったことでありますので、この百六十四か国の合意を得ることは難しいというふうに考えております。

小山委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、これは輸入量ではないんですね、輸入枠なんですね。ですから、数量を減らすということは、日本政府として、その年々の対応としてできるんじゃないでしょうか。

 あるいは、政府統一見解があるということですけれども、政府統一見解に全量輸入するということは書かれているんでしょうか。

坂本国務大臣 ミニマムアクセス米に係る政府統一見解には、「コメは国家貿易品目として国が輸入を行う立場にあることから、ミニマム・アクセス機会を設定すれば、通常の場合には、当該数量の輸入を行うべきものと考えている。」というふうに記載をされております。

小山委員 通常の場合にはということですけれども、是非、ここのところは見直しをこれからも検討していただきたい。

 といいますのも、今、世界の貿易体制、WTO体制はどうなっているだろうか。米中はお互いに鉄鋼に関税をかけ合って、三十年前の、冷戦が崩壊をしてこれから自由貿易体制だというような世界の情勢から大きく変化しているのではないでしょうか。

 加えて、これからの防衛費に使うという四十三兆円、そのうち、伺ったところ、三十五兆円が防衛装備、その三十五兆円の防衛装備のうち二割が海外からの購入。ざっくり計算すれば、米国から六兆円から七兆円ぐらいの防衛装備を購入することになります。

 こういうような現状から考えれば、是非、ミニマムアクセス米の数量の検討というのは、私は一考に値するのではないかと思っております。

 坂本大臣はここで、坂本大臣への質問はありませんので、どうぞ御退席いただきたいと思います。

小野寺委員長 それでは、坂本大臣は御退出いただいて結構です。

小山委員 次に、外交政策について少しお尋ねしたいと思います。

 予算委員会の質疑や、あるいは昨年の岸田総理の施政方針演説の中でも、新時代リアリズム外交、あるいはリアリズムというような言葉が使用されております。

 イズムというからには、これは主義ですね。これは辞書などを引いても、人、団体、政府等が主張や行動の指針にする原則や思想と書かれております。

 そして、リアリズム、これは普通に言えば、古典的リアリストと言われているハンス・モーゲンソー、政治の本質は、人間の本性に備わる権力欲に求め、国家も権力を欲するがゆえに、国際政治は権力闘争である。そして、この国家間の関係を安定的なものにするには、あるいは相対的な平和を求めるなら、勢力均衡しかないと。

 あるいは、ハーツ、国家は安全を求める、安全欲求から安全保障のジレンマが起こるということを説きました。

 あるいは、今も活躍するミアシャイマーに連なる、ネオリアリストの祖と言われるケネス・ウォルツ、国際社会が主権国家の併存という構造的特性に国家間関係のもとを求めた。これがネオリアリズムですね。

 こういったリアリズムからは、例えば、国際法の正義を貫き通すとか、普遍的価値に基づく政策、人権のために戦争をするとか、そういう発想はありません。むしろ、権力闘争と、勢力均衡を求めればこそ、かえって権力の濫用を抑制するという姿勢があって、モーゲンソーがベトナム戦争に反対し続けたとか、あるいは、地理的要因は大事だけれども、地政学をえせ科学と指摘していたということは周知の事実であります。

 リアリズム、とりわけ構造的現実主義とも言われるネオリアリズムに基づくのだとすれば、ネオリアリズムは国家間の相互関係を対象とするので、NGOあるいは国際機関、テロ集団などの非国家アクターは国際社会で果たす役割がほとんどないと無視します。岸田内閣のリアリズムというのは、これらの非国家アクターを国際関係の中でどう位置づけるのか。国家が存在しない破綻国家内の紛争処理を、政府の徹底したリアリズム外交はどのように解釈して行うのか。

 あるいは、国家間関係の約束履行の問題、コンプライアンスプロブレム、これについて、国家は相対的な利得を求めるのか、それとも、新自由主義制度論、ネオリベラルインスティテューショナリズムの言うところの絶対的利得を求める存在として認識しているのか。これは、国際機関とか国際レジームを信頼するか信頼しないか、非常に大事な問題、国の政策の基本的な考え方に関わる問題だと思っております。

 リアリズム外交の岸田政権は、こういった理想の旗を掲げとあるんですけれども、このこととリアリズムはどう関連をするのか、このリアリズムの内容、定義についてお尋ねしたいと思います。

深澤大臣政務官 お答えいたします。

 委員御質問の新時代リアリズム外交は、岸田政権発足時に外交政策の進め方の基本的アプローチについて示す上で用いたものであり、その意味するところについては、厳しさと複雑さを増す国際情勢の中で、したたかで徹底的な現実主義を貫く外交である旨、説明をさせていただいてきております。

 御指摘のリアリズムは、このように、したたかで徹底的な現実主義、すなわち、現実的な視点から国際社会の実情を捉えることを意味しております。

 以上です。

小山委員 リアリズムという言葉を日本語に直すと、現実主義ですね。これは国際政治経済辞典を見ても、リアリズムと引くと、現実主義の項を見てくださいと言われます。

 その現実主義の定義や中身を聞いたら、徹底した現実主義、こういう御答弁でした。これではトートロジーじゃないですか。もう一度答弁をお願いします。

深澤大臣政務官 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、御指摘のリアリズムは、先ほど御答弁したように、したたかで徹底的な現実主義ということで、すなわち、現実的な視点から国際社会の実情を捉えることを意味しております。

 以上です。

小山委員 多分、私が補足するのもなんですが、もっと軽い意味で、現実をありのままに直視し、それに合わせて対処するというようなぐらいの意味で使っているんだと思うんですけれども。

 だとすると、現実は、何をもって現実とするか、何をもって現実的とするかというのは、人それぞれ違うんですね。日米同盟の深化によって抑止効果が高まって、だから戦争が起きない、これが平和を維持するためだということが現実的だと考える方もいれば、日米同盟を強化して、日米の、自衛隊と米軍の一体化が進むことが、かえってそのことが、米軍の紛争に巻き込まれるということが現実的だと考える方もいるはずなんですね。

 ところが、政府の考えている、政府の認識する現実認識だけが正しいとすることは、これは意図していないかもしれませんけれども、私は傲慢だと思うんです。むしろ、様々な現実認識というものにリスペクトして、そして、どんな他の現実認識からも、批判に対しても受け止めて、それを消化していく、そういうような姿勢がなければ、安全保障議論の深化や、あるいは国際政治についての認識の醸成というものは図れないんじゃないかということを指摘させていただきたいと思います。そして、もしリアリズムと使うんだったら、やはり、ちゃんと学術的な用語に従うべきだと思います。

 最後に、林官房長官にお伺いしたいと思います。

 武力攻撃予測事態についてですけれども、武力攻撃予測事態に基づいて先島諸島で避難訓練、避難の図上演習というものを行っておりますけれども、これを行うことで、場合によっては、実際に武力攻撃予測事態だということで避難をするということが現実のものとなったときに、それ自体が、これは戦争準備ではないか、そういうようなシグナルとなってしまう、そういう懸念があるという批判もありますけれども、それについて、政府はどのように認識しておりますか。

林国務大臣 小山委員から久しぶりにモーゲンソーの名前を聞きまして、大変深い認識を持たれておるなと感心して今聞いておったところでございます。

 武力攻撃予測事態についてでございます。

 他国から我が国に対する武力攻撃が予測されるに至った事態でございまして、そうした事態における相手国の認識等について予断を持ってお答えすることは差し控えますが、武力攻撃予測事態に対応しまして、国民の生命身体を守り抜く、これが政府としての責務であると考えております。

 武力攻撃予測事態の際には、政府として、国民保護法を適用し、国、地方公共団体、指定公共機関等が連携して国民保護に当たることになるわけですが、万一の際に、住民の避難等をできるだけ早く実現することは肝要であります。

 そのために、平素から関係機関が連携して必要な訓練、検討を進める、これが重要でありまして、政府としても、地方公共団体等の連携の推進、改善策の検討など、しっかり取り組んでまいります。

 当然のことですが、政府としては、武力攻撃の発生が回避をされるように、外交を中心とした様々な努力を重ねていく、これは当然であると考えております。

小山委員 いずれにしましても、この避難自体が六日間もかかるというようなこと、六日間かけて避難をするというようなことが、この緊迫した情勢の中でできるのかどうか。まさに、それこそ現実的かどうかということもそうですし、あるいは、この避難自体が誤ったシグナルを与えてしまうという可能性もあります。

 是非、林官房長官が最後におっしゃられたとおり、そうならないように、また、意図が伝わるのであれば外交で解決できるはずですから、外交的努力というものをこれからも御尽力いただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

小野寺委員長 これにて小山君の質疑は終了いたしました。

 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。

 二月十六日から確定申告が始まっております。

 パネル、資料一を御覧ください。二〇二三年現在で、税、社会保障を合わせた国民負担が国民所得に占める割合、国民負担率ですね、これはぐんぐん上って四六・八%となっております。

 もちろん、国家運営そして社会保障の維持には必要なことでございますが、しかし、それを維持するには、国民が納得して、そして納税される、適正な徴税が行われるということは必須条件でございますので、この予算委員会でお伺いしたいと思います。

 皆さんの御答弁を国民は見ておりますので、国民の目を介して皆さんにもそのまま向かっていくということを御認識して御答弁いただければと思います。もちろん、我々も、私自身の言葉、我々の言葉が自分に向かうということはきっちりと理解して御質問させていただきたいと思います。

 その前になんですけれども、昨日、大西委員が言われました、政策活動費は寄附なのか支出なのかというところで、ちょっと積み残っておりますので、ここを御確認させていただきたいと思います。

 まず、資料二十一ページ、一番最後にあるんですけれども、政治資金規正法では、第四条三項で寄附が、四項で政治活動に関する寄附が、第五項で支出が定義されております。

 内容をちょっと読み上げますと、「「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のもの」、支出は、「「支出」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、第八条の三各号に掲げる方法による運用のためにする金銭等の供与又は交付以外のもの」。要するに、ほとんどそっくり同じなわけでございます。

 唯一違うのは、支出は債務の履行を含む、寄附は債務の履行は含まないということなんですけれども、いずれでもらったとしても、私、実は政務活動費は寄附だろうと思うんです。党の中の役職の人に渡して、それを支出しましたっておかしいでしょう、それは党外にやるのが支出でしょうとは思いますが、しかし、寄附でもらおうが支出でもらおうが、結局、政治家個人がもらったお金を政治家個人が使う場合には、それはそもそも報告義務はないわけですよね。政治資金収支報告書というのは、あれは政治団体がやるものですから。

 かつ、結局、寄附でもらおうが、さらに、支出でもらおうが、それはもらったものだ。かつ、支出でもらうということは、例えば電通さんが、自民党の党勢拡大のために、二階幹事長、お願いしますと年間十億円やるのは支出しましたというんだったら、それは、電通に自民党の宣伝のために十億円やりますというのと同じですから、納税という観点からいうなら、それは、支出として受けたんだったら、より一層ちゃんと納税しなきゃいかぬですよね、徴税しなきゃいかぬですね。何なら、それは二階広告社による事業所得になるでしょうということだと思うんです。

 ですので、これは別に支出であろうが寄附であろうが、それはどんな形態で所得を上げたかによって、事業所得になるのか、それとも何なら給与所得になるのか、幹事長としての給与所得ですとなるのか、若しくは雑所得になるかは分かりませんが、いずれにせよ所得になって申告、納税義務が生じるということでよろしいでしょうか。確認させてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治資金につきましては、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人のいずれに帰属するかによりまして課税関係が異なるため、個々の事実関係を精査する必要がございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、政治家の関連政治団体に帰属する場合には法人税の課税関係は生じませんが、他方、政治家個人が受領した政治資金につきましては、その名目のいかんにかかわらず雑所得の収入として取り扱われ、一年間の総収入金額から必要経費として政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税対象となり、残額がない場合には課税関係は生じないということでございます。

 いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らして適正に取り扱うこととしております。

米山委員 そうなんですよ。結局、別に支出という名目にするのか寄附という名目にするのかは関係ないです。いずれにせよ、基本的にはそれは雑所得。もし仮に二階幹事長が二階広告社とかつくっていたなら、それは多分事業所得になるんでしょう。そういうことであって、別に名目は関係ないということは確認させていただきたいと思います。

 それでは、納税について伺います。

 これもすごく基本的な質問で大変恐縮なんですが、公的年金、これは雑所得になり課税されますでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 公的年金等に係る所得につきましては、所得税法上、雑所得に区分されるということでございます。

米山委員 そうなんです。テレビを皆さん見ていますよ。公的年金、ちゃんと課税されるわけなんです。テレビ、中継はされていないんですよね。録画で見ますから。正確に。

 次にですけれども、追徴についてお伺いします。

 これは、私、お恥ずかしながら、正直に申し上げますが、追徴されたことがございます。医者になったその年なんですけれども、医者になったら、それは普通に、医者の給与はちゃんと申告、納税したわけなんですけれども、当時、私、五月に医者になるという時期だったんですが、一、二、三月に塾でアルバイトをしていた。そんなことはすっかり忘れているというか、納税しなきゃいけない、申告しなきゃいけないということすら忘れているわけなんです。しかも、住所も変わっているから源泉徴収票も来ない。

 そうしたら、しばらくたってから、しかも、私、結構アルバイトをしたものですから、税務署から通知が来まして、はいはいと言って結構な額を支払わされたわけなんです。ごめんなさい、支払わせていただいた。済みません、自分に向かいますからね。喜んで支払わせていただいたんです。

 これはちょっとお伺いしたいんですが、こういうふうに、雑所得であれ普通の給与所得であれ、申告されない所得、これはどのように捕捉して、どのように徴税されるんでしょうか、お伺いいたします。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 申告納税制度の下では、まずは納税者の方々におきまして御自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくことになります。

 その上で、一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書とを分析いたしまして、申告すべき所得を申告していないなど、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどいたしまして、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

米山委員 これもそうですね。申告はしなくても、通常というか、税務署の方が調べて、こいつは医者だけれども、塾講をしていたなというのを見つけて、ちゃんと納めなさいと言ってくるわけです。

 さらに、次は給与所得と雑所得の控除の違いについてお尋ねしますが、実は、私が追徴されたことはこの一度ではありません。本当に申し訳ございません。

 次は、私、原稿を割に書くんですね。原稿を書いて、お金を多少、少ないんですけれども、もらえるわけです。これはちゃんと申告したんです。ちゃんと申告したんですけれども、これも、源泉徴収票が来て、全部給与だろうと思って、だあっと給与所得の方に入れておいたんです。

 そうしたら、大分たってから、それもかなり時間が、多分二年とか三年とかたってからだと思うんですけれども、いやいや、それは雑所得ですと。いや、一緒じゃんと思ったら、雑所得は給与所得控除はございませんと言われまして、ああ、そうなんですか、でも、私も原稿を書くときにちょっと、だって、給与所得分ぐらいの苦労はしているというか、パソコンも使っているし、参考文献も買っているし、控除をされないんですかと言ったら、されませんと言われたわけなんですよ。

 結局、その差額として、これも、それ相応の額を払いなさいと言われて、喜んで払わせていただいたんです。

 このように、給与所得には給与所得控除が決められていますが、これはどのような趣旨で決められたものでしょうか。また、雑所得の控除金額はどのように決まりますか。併せてお答えください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 所得税における所得の計算におきましては、原則的に、収入から実際に生じた必要経費を差し引くこととなっておりますが、給与所得者につきましては、対象数、対象者の数も多く、自らその経費を積み上げる事務負担が大きいことにも配慮いたしまして、実際に生じた必要経費を差し引く代わりに、給与収入の額に応じて一定額を差し引く給与所得控除が認められております。

 一方、雑所得の計算につきましては、公的年金等に係るものを除きまして、所得税の原則どおり、実際に生じた必要経費を収入から差し引くこととされており、必要経費の計算においては、納税者において、実際に収入を得るために要した費用を積み上げて行うこととなります。

米山委員 そのとおりでございます。

 聞いておいてなんなんですが、それは知っていたので、実はパネルを作ってあります。この所得控除、結構大きいので、それで随分違うんです。逆に言うと、雑所得の控除をしてもらえるんだったら、結構額は減らせるんですよ。

 ところが、追徴された私が言うのもなんなんですけれども、追徴された時点で、いや、私、経費があったんですけれどもと言っても、通常、これは聞いてもらえないわけなんです。いや、そんなもの、証明できないでしょう、証明できるんだったらどうですかと言われるわけです。

 ちなみに、時間が迫っているのではしょりますけれども、レクのときに国税庁の方に聞きましたら、でも、そうはいっても、ちゃんと証明できたらいいんですよとかとおっしゃられたわけです。でも、ちゃんと証明って、二年や三年後に追徴が来て、じゃ、本屋で買ったのを本屋に聞きに行ったら、それは一々ちゃんと国税庁の人は聞いてくれるんですかと。それは聞いてくれないわけですよね。それはそうでしょう。聞いてくれないわけなんです。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、あえて確認をさせていただきたいんですけれども、もし、雑所得、追徴して、後から来て、そして、その人が、いや、実はちゃんと所得控除と同じぐらいの控除がありました、でも証明するものが何にもありませんといった場合に、どうなりますか。国税庁の方でお答えください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 雑所得の金額は、一年間の総収入金額から必要経費の総額を差し引いて計算することになりますが、一般論といたしまして、この場合の必要経費につきましては、その支出の事実の有無及び当該支出が必要経費に当たるかどうかの検討を行うこととしております。

 なお、雑所得につきまして、必要経費が認められるか否かにかかわらず、御指摘の給与所得控除につきましては、給与所得の計算のため給与収入から控除するものでございますので、雑所得の計算において控除することはできないということでございます。

米山委員 質問に答えていなくて、私の質問は、雑所得として認定しました、払ってくださいと言われて、いや、ちゃんと経費はある、かかったんです、でも、それを証明するものがありませんというときに、国税庁としてどう対応されるんですか。一般論として聞いているんです。

 全国の納税者が見ているわけです。いいんですよ、五十万使いました、経費は、領収書はありません、でも、ちゃんと控除として認めますと今おっしゃるなら、全国の納税者がそうします。逆に、いや、なきゃ駄目なんです、なければそれはもう一切控除されませんと言うなら、ここにいる全員を含む全国の納税者に適用されるはずです。お答えください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますが、税務調査等におきまして、個人の必要経費につきましては、納税者の方から、まず、様々な書類によりまして必要経費として支出したという事実を示していただくこととなります。国税当局といたしましては、納税者の説明を伺った上で、その支出の事実の有無及び当該支出が必要経費に当たるかどうかにつきまして個別具体的に検討することとなります。

 いずれにいたしましても、国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らし適正に取り扱うこととしております。

米山委員 今、非常にすばらしい御答弁。それは、国税当局はそうじゃなきゃいかぬです。所得があって、雑所得があって、その経費を控除するのはちゃんと書類が要りますよ、それで、その書類を見た上で、それが本当に経費かどうかを認めますよということを御答弁いただきましたので、ここにいる全員を含めた、日本人全員に……(発言する者あり)いや、言ったと思いますよ。じゃ、違うんですね。書類はなくてもいいと自民党さんはおっしゃられるわけですね。(発言する者あり)いや、言いましたでしょう。まあ、結構です。

小野寺委員長 不規則発言には答えないでください。

米山委員 時間になりましたので、次は午後にやらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小野寺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 令和六年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁、防衛省所管及び他の分科会の所管以外の事項

 第二分科会は、総務省所管

 第三分科会は、法務省、外務省、財務省所管

 第四分科会は、文部科学省所管

 第五分科会は、厚生労働省所管

 第六分科会は、農林水産省、環境省所管

 第七分科会は、経済産業省所管

 第八分科会は、国土交通省所管

以上のとおりとし、来る二月二十七日及び二十八日の両日分科会審査を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人及び会計検査院当局の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 次に、公聴会の件についてお諮りいたします。

 令和六年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、公聴会は来る二月二十九日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 質疑を続行いたします。米山隆一君。

米山委員 それでは、引き続いて御質問いたします。

 午前中のところで、ちょっとまた思い出しておくということで、もう一度思い出しつつ、もう一つ聞かせていただきたいんですけれども、午前中のところで、雑所得があって、それはもちろん申告が前提ですけれども、申告しない雑所得がありましたら、私のようにありましたら、それはちゃんと国税当局で把握して徴税に行くと。しかも、そのときに、経費の控除に関しては、まず、徴税される方といいますか、納税者の方はちゃんと証憑を示して、そしてそれを税務当局が見て、認めるか認めないか、認めたものは経費になりますよというお話がございました。

 そこで、もうちょっとそこを、もう一つお聞きしたいんですけれども、というのは、私、自分の例ばかりで恐縮なんですけれども、修正申告するときに、修正申告書を出すわけですよ。そこに経費と書けば、それで経費になるわけじゃないですよね。先ほどおっしゃられたのは、修正申告書に、経費ですよ、経費百万円と書けばいいんじゃなくて、ちゃんと経費を立証する領収書が必要ですよ、そういう御答弁だったということを確認させてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 必要経費の判断につきましては、単に領収書等の書類の有無のみで判断するのではなく、その支出の事実の有無、当該支出が必要経費に当たるかどうかの検討を行って判断するということでございます。

米山委員 これは多分ちょっと答弁が逃げたんですが、ともかく、修正申告書だけでも、領収書だけでも駄目なんだから、それは修正申告書だけでも駄目だし、領収書だけでも駄目だし、実際にちゃんとなきゃ駄目です、しかもそれを御確認されるということなんだと思います。

 さて、ここでちょっと話を移しますけれども、話を最初に戻すというか移すというか。

 最初のところで、政治家が政党から受けた政治活動費や政治団体から受けた寄附、これは雑所得に当たるというふうにおっしゃられました。

 そこで、政治活動に使った経費というのが認められるわけなんですが、これはどのようなものが経費になるか、お答えください。

小野寺委員長 国税庁次長星屋和彦君。

米山委員 済みません、一緒にいいですか、質問。一緒に、申告の仕方も教えてください。それを聞き忘れました。申告の仕方と経費の仕方。

小野寺委員長 それでは、今のことも加えて、国税庁次長星屋和彦君、お答えを願います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治活動のために支出した経費に該当するかにつきましては、その支出の事実関係を総合的に勘案して判断するということでございます。例えば、政治活動に関する交際費、接待費、寄附金、あるいは、専ら政治活動のために支出した委託調査費、図書費、会議費等々でございます。

 それから、必要経費に該当するかどうかでございますが、所得税におきましては、申告納税制度でございますので、納税者の方において自ら計算し、申告していただくということでございます。

米山委員 そうですよね。

 こちらの方、そもそも国税庁の方からちゃんと文書が出ておりまして、一々読み上げませんけれども、今ほどお話でもありましたように、専ら政治活動のために使用した秘書、事務所職員の給料、手当などなど、まあ、それはそうだろうというものが認められるということになります。逆に言うと、そうでなかったら認められないわけなんですよ。そうですよね。

 先ほど、今ほどもお話ありましたけれども、申告するというのが当然だとおっしゃられました。

 そうすると、ここはお伺いしたいんですが、これは一般論ですよ、あくまで一般論としてお伺いしたいんですけれども、政治家が、雑所得としてあった、政治活動費があった、そして残ったお金がある、それなのに申告しなかった場合、私だって徴収されたわけなんですけれども、そういう雑所得を申告しなかった場合、それは国税庁としてはどのように御対応されるんでしょうか。そして、どのような税金が課されるかも併せて教えてください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な資料情報の収集に努めております。これらの資料情報と提出された申告書とを分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなど、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

 それから、税務調査の結果といたしまして修正申告が提出された場合でございますが、修正申告に基づき追加的に納めるべき税額に加えまして、法令上、原則といたしまして、過少申告加算税が課されることとなります。それに対しまして、調査によらないで納税者が自主的に修正申告書を提出する場合には、過少申告加算税は課されないこととなります。

 なお、いずれの場合にいたしましても、納付日に応じまして延滞税がかかる場合がございます。

米山委員 そこで、また御確認させていただきたいんですけれども、申告していないじゃないですかという雑所得があったとして、私の例と同じになると思うんですよ。いや、経費、本当は使ったんだけれどもなと主張する。でも、何にもありません。何一つありません。ただただあるのは、政治資金収支報告書に、使いました、使途不明と書いてある、この紙だけしかありません。私の場合には、私は違いましたけれども、政治資金の話じゃなくて原稿料の話ですけれども、私の場合には、それは全然経費が認められなかったわけです。

 政治家、一般論ですよ、政治家は、雑所得が追徴になって、そして何にも、政治資金収支報告書以外の何の証拠もないときに、経費は認められますか、認められませんか。お答えください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、必要経費の判断につきましては、その支出の事実の有無及び当該支出が必要経費に当たるかどうかの検討を行い、判断することでございます。

 この取扱いにつきましては、対象が一般の納税者であっても国会議員であっても同様でございます。

米山委員 すばらしい御答弁です。

 ちなみに、ニュース、これは事前に間に合わなかったので読み上げさせていただきますけれども、自民党の森山総務会長、雑所得を納税すべきではないかという話に対して、いや、政治資金として処理されている、だから追加納税はあり得ないとおっしゃられたんですけれども、この処理というのが、処理じゃなくて使用ならいいんですよ。本当に政治資金に使いました、そして、しかもそれを立証できます、それならそれは払わぬでいいです。でも、処理というのは単に政治資金収支報告書を直しただけでしょう。それは駄目でしょう。だって、納税者はみんな、単に修正申告しただけだと駄目なんだから。

 今御答弁ありました、ちゃんと証憑があって、しかも、それが実態として経費かどうか、それが認定されたとき初めて経費になるということですので、それは駄目だということだと思います。それはもう御質問は、しましょうか。

 じゃ、それは駄目でいいですね。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治資金の課税関係につきましては、個々の実態に応じまして、法令等に基づき適正に取り扱うこととしております。

米山委員 それで結構です。それは要するに、みんな国民と同じ扱いをしていただかにゃならないということだと思います。

 それでは、パネル六を御覧ください。

 これは、言うまでもなく、二月十五日に公表された自民党の聞き取り調査に関する報告書でございまして、資料六を見ますと、還付金とたくさん書かれている。これがそもそもちょっと、いろいろもう話題になっていますけれども、それは、税金を納めてから返ってくるのが還付金で、税金を納めていないのは還付金じゃないだろうと思うんですが。

 さて、では、パネル七を御覧いただきますと、八十五名中、八十一名がいただいたお金を銀行若しくは現金で管理して、三十一名の方が使っていない。あれ、残っているじゃありませんか、通常、これは雑所得じゃないんですかねと思うわけです。

 そして、パネル八、萩生田さん。五年間で二千七百二十八万円を事務所の引き出しで保管されておる。自分で言っているんですよ、自分で。ニュースですからね。五年間ですよ。まだ五か月とかなら、いや、五か月、六か月後に使う予定だったと言えるかもしれませんけれども、五年間というのは、それは自分のものにしているでしょう。

 パネル、資料九、丸川さん。八百二十二万円を自分の口座で管理した。これも御自分でおっしゃっているわけです。自分の口座ですよ。それは通常、自分のお金でしょう。

 何度も言っていますように、今ここで言っていることは国民も見ています。これで経費にならないんだったら、私だって同じだ、塾講師のお金はちゃんと貯金していました、塾講師のお金は私の机の上に置いてありました、証拠はありません、雑所得じゃありません、そう言えるわけですよ。それはおかしいじゃないですか。

 これに対しては、この個別の案件に関しては申し上げません。でも、こういう明らかに雑所得だと思われるものがあったら、ちゃんとそれは調査する。調査して、本当にあるなら追徴する。追徴するときの経費はちゃんと証憑を求める。証憑がなくて、そして、仮に証憑があっても、それが到底経費と認められないものなら経費として認めない。したがって、残っている雑所得全額に対して追徴するということでよろしいですね。御答弁をお願いします。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、政治資金につきましては、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人のいずれに帰属するかによりまして課税関係が異なるため、個々の事実関係を精査する必要がございます。

 その上で、政治資金の帰属を判断するに当たりましては、収支報告書の記載状況のほか、例えばその資金が誰によって実質的に管理、使用されていたのかなど、様々な状況を総合的に精査することとなります。

 いずれにいたしましても、政治資金の課税関係につきましては、個々の実態に応じまして、法令等に基づき適正に取り扱うこととしております。

米山委員 今ので、個人かというのがありましたけれども、ちなみに、また自分の例で恐縮なんですが、私の原稿というのは、あれは大体政治の話題なんですね。何なら、あれは私が持っている政治団体で受け取ったものですと後になって言い張ろうと思えば言い張れるわけですよ。でも、そもそも言い張ろうなんて思わなかったですし、それはもちろん、自分の口座に入ってくるし、自分で使っていましたから、それは私の雑所得ですねと言って認めたわけでございます。

 ですので、そちらも当然、実態に即して、自分の机の中で保管したら、それは自分のお金でしょう、自分の口座の中に入れたら自分のお金でしょうと。みんながそうされるんだから、政治家もそうされるということはよろしいですね。実態に即して御判断いただけるということを御回答ください。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 政治資金の帰属を判断するに当たりましては、資金が誰によって管理、使用されていたのかなど、様々な状況を総合的に精査し、判断するということでございます。

米山委員 でも、これはちゃんとやってくださるということだと思います。

 この国税庁を監督する財務大臣にもお伺いいたします。

 政治家にも、そして一般国民にも、同じように、公平に、同じ原則で徴税、課税するということを、今、国民の前で言っていただければと思います。

鈴木国務大臣 先ほど来、国税庁次長から答弁がありましたとおり、国税当局におきましては、様々な機会を捉えて課税上有効な資料情報の収集、分析を行う中で、課税上問題があると認められた場合には税務調査を行うなど、適正な課税の実現に努めております。

 こうした取扱いは、対象が国会議員であっても一般の納税者であっても、一切変わることはありません。

米山委員 ありがとうございました。大変御期待しております。

 では、次に、異次元の金融緩和といいますか、アベノミクスといいますか、若しくは物価と賃金の好循環といいますか、いずれにせよ、現在の政府、日銀の財政金融政策について伺います。

 資料十、パネル十を御覧ください。

 総務省発表の東京都区部の二〇二四年一月の消費者物価指数、これは一・六%。二%を下回りました。また、実は、前月比ではこれは〇・一%マイナスになっています。前年同月比ではプラスなんですけれども、前月比はマイナスなんです。

 植田日銀総裁にお伺いしたいんですけれども、今、インフレですか、デフレですか、端的にお答えください。

植田参考人 お答えいたします。

 月々の消費者物価は様々な要因で変動いたします。したがいまして、それを多少ならして見ることが重要と考えております。

 例えば、委員御指摘の東京都の一月の消費者物価は、前年比で見ますと一・六%のプラスとなっております。また、言い方を変えますと、このパネルで、今年の動き出しの、初めの動きが出ておりますが、右に行く動きを想像したとしますと、去年までと同じような右上がりの動きが続くというふうに一応予想しております。

 そういう意味で、デフレではなく、インフレの状態にあるというふうに考えております。

米山委員 さすが学者である植田総裁、そのとおりです。

 今、インフレなんです。インフレでしょう。なのに、何でこれをデフレ脱却と言い続けるのか。おかしいんですよ。しかも、政府自体がインフレ対策を打っているんですから。インフレ対策を打ちながらデフレ脱却って、何を言っているんだということですからね。これはもうインフレということで結構かと思います。ありがとうございます。

 そして、では、なぜ消費者物価指数が二%を下回ったと。これは、本当のリアルなんて分かりっこありませんけれども、分析者としての御見解を伺います。

植田参考人 お答えいたします。

 ここのところ、委員御指摘のように、前年比の物価の伸び率のプラス幅は縮小しております。これは、既往の輸入物価上昇が国内物価に転嫁されるという値上げの動きが鈍化しているということに加えまして、政府の経済対策の影響もあって、エネルギー価格の寄与が大きくマイナスになっているということを反映していると考えております。

 ただ、賃金の上昇を反映する形で、サービス価格は緩やかに上昇するという姿は続いているというふうに見ております。

米山委員 これも本当におっしゃるとおりの分析かと思います。

 要は、政府の対策で無理やりインフレ率を下げているだけなんだろうと思うんですが、これはなかなか矛盾した状態で、だって、日銀と政府、物価目標は日銀だというふうにおっしゃられるのかもしれませんが、何せ、日銀と政府はアコードを結んだ上で二%物価上昇率を目標にしているわけなんですよ。しかも、二%を達成するために十年以上頑張ってきたわけでしょう。そうすると、今一・六%になっちゃったんだから、また、じゃ、もっと物価を上げなきゃいけない、それが本来の整合的な話ですよね。だって、もう世界中に我々は二%を物価安定目標にしていると言っているんだから、下がっちゃ駄目だ。じゃ、物価対策を打ちながら、なおまた物価を上げるための努力を日銀はされるんでしょうか。

 日銀国債買入れ、二〇二三年に百十二兆七千億円ほど買い入れていますけれども、この買入れ額、二〇二四年は増やすんですか、減らすんですか。物価を上げるための努力をする、二%にするための努力をするのかしないのか、お答えください。

植田参考人 私ども、政策を決める際には、足下の物価上昇率というよりは、短期的な物価上昇の変動要因を除きまして、一年半とか二年間くらい続くような基調的な物価上昇率を見て、それで判断するという姿勢でおります。

 この基調的な部分、何%というのはなかなか難しいんですが、これは徐々に高まりつつある、高まっていくというふうに判断しております。その上で、それに合わせて適切に金融政策を運営していきたいというふうに考えております。

米山委員 これもさすが植田総裁で、そつのない御答弁でありつつ、要するに、もう、実のところ、物価上昇率二%そのものを追わないとおっしゃられたに等しいと思うんですよ。だって、目の前で一・六%だけれども、趨勢的には二%だと。それはちょっと、どういう理屈かはよく分かりませんが。いずれにせよ、一・六%でも、これ以上物価を上げるための金融緩和を、増やすことはせずに、このまま行くか、若しくは巷間言われている利上げをするかということなんでしょうから。

 つまり、この一・六%は直ちに修正はしないということでよろしいですね。植田総裁にお願いします。

植田参考人 一・六%は足下のインフレ率の動きでありますので、これが基調的な物価上昇率に対してどういうインプリケーションを持つのかということをきちんと分析した上で政策の今後を決めていきたいと思います。

米山委員 これは押し問答してもしようがありませんので、少なくとも、二%を下回ったことに直ちに反応はされないということは確認できたかと思います。

 では、ちょっと総務省にお伺いしたいんですけれども、二〇二三年の一人当たりの消費支出、そして、その消費支出から、概算ということになりますけれども、このインフレによって前年比でどのぐらいの負担が増えたのか、家計と一人当たりでお答えください。

岩佐政府参考人 お答えいたします。

 総務省で実施しております家計調査の二〇二三年平均結果によりますと、一世帯当たりの一月の平均支出額は二十四万七千三百二十二円となっております。平均世帯人員二・二〇人を用いまして一人当たりの消費額を算出しますと、十一万二千四百十九円となっております。

 また、物価の上昇によりまして消費自体が増加する面もあり、また、様々な要因で消費行動が変化する側面もありますので、負担の増減を一概にお答えすることは難しい面もございますけれども、家計調査の結果によりますと、二〇二三年の一世帯当たりの平均支出額は、前年比で、月に三千九十一円、年間では三万七千九十二円の増加となっており、一人当たりの増加額を算出しますと、月に千四百五円、年間では一万六千八百六十円となっております。

米山委員 そうなんです。それは言わずもがな、すごく当たり前なんですけれども、物価高は負担増なんですよ。物価高になって、インフレになって、負担が減るわけはないです。

 パネル十一を御覧ください。

 日本は、二〇二一年九月から既に二年半、インフレ率がプラスでございます。だから、二年半もインフレだったのに、その間ずっとデフレ脱却を叫んでいたという極めて倒錯したことをやっていたんですが、それによって何が起こったかというと、実質賃金が減少しているんですね。物価と賃金の好循環というのは、二か月じゃなくて、二年半もの間起こっていないんです。

 政府は、政策の根幹として掲げている物価と賃金の好循環が二年半もの間起こっていない、これはさすがに原因を分析すべきだと思うんですけれども、原因は何だと考えていらっしゃるでしょうか。植田総裁、お願いいたします。

植田参考人 景気が緩やかに回復する下で、名目賃金も緩やかに増加しております。

 ただし、輸入物価の上昇を起点とした価格転嫁の影響から、消費者物価がそれを上回って上昇してきたことによって、実質賃金の低下がここ数年発生してきたと認識しています。

 しかし、先ほども申し上げましたが、これまでの輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は、徐々に和らぎつつあります。また、労働需給が引き締まる下で、企業の賃金設定行動も従来より積極的な動きが見られております。

 先行き、こうした動きが続く下で雇用、賃金が増加する中で、物価も緩やかに上昇するという好循環が強まっていくというふうに考えております。

米山委員 好循環がとおっしゃいますが、十二を御覧ください。

 今ほど、実質賃金が低下していると言いましたけれども、実質GDPは、増加率は低いなりに増加しているんです。実質GDPが増加しているのに何で実質賃金が低下するかというと、考えられることはただ一つで、それは、賃金に回る額が減っているからということですよね。だから、物価が上がって、それはもしかして、インフレは投資に対してはプラスになりますから投資は増えるかもしれませんけれども、別に、物価が上がったからといって、投資は増えるかもしれないけれども、賃金が上がるとは何も帰結されていないし、実際起こっていないわけなんです。

 そして、ちょっと質問を飛ばしますけれども、パネル十三。

 こちら、今ほど植田総裁もおっしゃいました。これは物価上昇というよりは金融緩和によるものですけれども、円安になっているわけなんです。日本円は、この十年間でおおむね百円から百五十円、つまり、価値が三分の一減って、三分の二になっちゃっているわけなんですけれども、こちらは一体原因は何だとお考えでしょうか。植田総裁に。

植田参考人 恐縮ですが、為替相場の水準や評価について具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 為替市場では、多様な市場参加者が様々な理由で売買を行っており、変動要因としても、購買力平価、内外金利差、国際収支など、多くの要因が指摘されているところであります。

 いずれにせよ、為替は、経済、金融のファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要であると認識しております。

米山委員 植田総裁のお言葉は市場に響いちゃうので、それはなかなか軽々なことは言えないのは分かりますが、しかし、パネル十四を御覧ください。

 円は、対ドルだけではなく、様々な高金利通貨に対して下落しております。どう見ても、日銀の低金利政策が円安をもたらしているわけです。その円安が物価高をもたらしているわけです。そして、物価高は賃金の上昇ではなくて消費の減少をもたらしているわけなんです。

 しかも、パネル十五を御覧ください。こちら、円換算した米国の株です。株価です。

 円安が続いていきますから、円換算したら米国の株は値上がり率が高いということで、何と、政府の肝煎り政策であるNISAでどうなったか。これは主な、大きな統計は取れませんけれども、松井証券、個別のところでニュースになっていますが、松井証券が足下の店内データを集計したところ、NISAつみたて投資枠のうち、八割近くは世界株や米国株など海外に投資する投信が占め、これを前提にすると、年間五兆円規模の円売り・外貨買い需要が発生し、これにより年二兆から二・五兆円ほど円売りが増える可能性があると指摘されているわけです。

 つまり、政府が日本を復活させるためにやられているとおっしゃられているアベノミクスによって物価高がもたらされて、今、繰り返しになりますけれども、物価高がもたらされて、負担が増えて、消費が減って、円安が進んで、さらに、政府の肝煎り政策であるところのNISAによって日本の資産が海外に投資される、そういう事態が起こっているわけなんですよ。これは余りにも本末転倒といいますか、こんなことを続けていていいんですかと思うわけです。

 じゃといって、利上げを今もううわさされておりますのでちょっとお伺いしたいんですけれども、利上げをするかどうか聞くなんてやぼなことはいたしません、答えられないですからね。

 二月二十一日現在の長期金利は〇・七二五%ですけれども、来年度予算では想定金利一・九%。これは財務省としては既に一%の利上げを織り込んでおります。織り込んで、前年度より一兆三千億円、一四%増の九兆六千九百十億円計上しているのは承知しております。

 まず日銀にお伺いしますけれども、今の見込みどおり、金利、だって政府が見込んでいるわけですから、見込みどおり金利が更に一%上昇した場合、日銀の含み損はどの程度発生するでしょうか。また、民間金融機関全体でどの程度の含み損が発生するのか、こちらは金融担当大臣に。それぞれお伺いいたします。

植田参考人 金利全般が一%上昇したという場合に、私どもが保有します国債の評価損は約四十兆円程度発生いたします。

鈴木国務大臣 長期金利が一%になった場合における民間金融機関全体の含み損につきましては、金融機関は長期国債以外にも様々な有価証券を保有しており、その評価損益は、日本の金利以外にも海外金利や株価の水準、個々の金融機関の有価証券運用の状況など、様々な要因に左右されることから、特定の仮定に基づく影響についてコメントすることは困難であるということを御理解をいただきたいと思います。

 その上で申し上げますと、長期金利が上昇した場合、保有する債券の評価損益を悪化させる面がありますが、足下におきましては、銀行が保有する有価証券の評価損益は株式の含み益などの影響もありまして全体としてプラス、つまり、評価益が出ている状況にあり、仮に金利上昇による保有債券の評価損が発生した場合であっても、当該評価益と一定程度相殺されると考えているところであります。

米山委員 もう時間が終わりましたので、最後、まとめますけれども、いずれにせよ、評価損は出るということかと思います。

 そして、最後、一言だけ言わせていただきますが、今ほど言ったように、アベノミクスは本当にそれは失敗だったわけですよ。そして、これを何とかするために金利を上げようと思ったら、またいろいろな損失も出るわけです。

 でも、それは失敗をちゃんと認めて、新たな対策を打たなきゃならないということを申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 なお、厚労大臣、時間切れで質問できませんでした。大変申し訳ございませんでした。

 ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて米山君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田とも代さん。

吉田(と)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代と申します。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まずは、冒頭、政治とお金の問題について。

 今回のいわゆる裏金問題については既にこの予算委員会でもたくさんの質疑が続いているところでございますが、この裏金問題、法律的には許されないということは当然のことなのですが、それに加えて、国民の一般的な感覚からすれば、政治をするに当たって何にそんなにお金がかかるのか理解できないというのが本音だと思います。

 令和六年二月十五日に自民党が発表した聞き取り調査に関する報告書でも、還付金等、いわゆる裏金のことですが、これを何に使ったのか、還付金等の主な使途については、会合費、懇親会費用、手土産代など、民間企業でいう交際費の類いが並んでいます。

 また、恐らく、ここに記載されている還付金等の主な使途のうち、人件費、つまり、これはいわゆる公設秘書以外の私設秘書の給与になると思うのですが、こういった秘書給与が大きな支出を占めているということは、ここにいる国会議員の皆様も感覚的に理解できるかと思います。

 まず林官房長官にお伺いしたいのは、ふだんの政治活動、例えば国政報告会、選挙に向けたいわゆる地盤培養行為、例えば後援会活動、実際に選挙にかかる費用を総合して考えた場合、現在の国会議員はふだんの政治活動や選挙の際にお金をかけ過ぎていると思われているのか、それとも、いや、今ぐらいの費用はかかって妥当だと思われているのか、政治経験豊富な林官房長官の感覚をお教えください。

林国務大臣 自民党における聞き取り調査の結果は、弁護士のチームが報告書として取りまとめておりますが、御指摘のような還付金等の使途が挙げられていると承知をしております。

 官房長官の立場というよりも、私個人のということでございました。

 それぞれどういうような活動をされておられるのか、それにどういうふうに経費がかかっているのかというのは様々であるか、こういうふうに思いますが、一つ申し上げられるのは、いろいろな審議や各党間の議論を経て現行のルールが設けられてきておりまして、それとともに選挙の公営の制度が拡充されてきたということだ、こういうふうに思います。

 ルールに基づいていろいろな活動をしていくという中で、かかり過ぎているのかいないのかという評価については各党各会派において御議論いただくことが重要だと思いますけれども、我々も本で読んでおった昭和の四十年代、五十年代、いろいろなことが言われておりましたけれども、その頃に比べますと、公営制度等いろいろなことが進みまして、その頃と比べるとお金がかからなくなっているというのは皆さんが共有できるのではないかというふうに思っております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。林官房長官、昔よりはかからなくなったということで。ありがとうございます。

 これは感覚的なお話ですので、国会議員それぞれの感性にもよると思うのですが、一般的な国民の感覚からすれば、政治資金パーティーで一年間に何百万、何千万と稼がないと、国会議員としての政治活動、そして後援会活動、そして選挙が行われる場合にはそれに関する費用が捻出できないというのは、やはり異常だと言わざるを得ないと思います。

 林官房長官、ありがとうございました。御退席いただいて結構です。

小野寺委員長 林長官は御退出していただいて結構です。

吉田(と)委員 今、林官房長官にお答えをいただいたところでございますが、私自身も、市議会議員から衆議院議員に当選をさせていただいておりますので、政治を行うには一定お金がかかるということは理解できます。

 しかし、今のいわゆる裏金問題から明らかになってきたのは、やはり政治や選挙にはお金がかかり過ぎるということが問題の根底にあるのかと思います。

 お金がかかり過ぎるとは、すなわち、一、選挙そのものにお金がかかり過ぎている。そして、二、選挙に人手が必要なので、その人手を確保するために、ボランティアを確保するためにですが、ふだんからの後援会活動のような政治活動が必要なために、会合費そして懇親会費用、手土産代、このようないわゆる交際費の類いや、私設秘書をたくさん抱えることで人件費がかさんだりするのではないでしょうか。

 例えば、選挙の初日に公営掲示板にポスターを貼るという作業を各陣営ごとに行っています。どこの陣営が一番に貼り終えたかみたいな競争をやっていることも見聞きはしますけれども、あれをやるために、選挙に立候補する人は、大量の人員、ボランティアを動員できないと選挙ができないということになります。公営掲示板は役所が設置しますので、前日までにポスターを選挙管理委員会に納品しておけば、立候補当日に全員の分を機械的に貼り出してもらうだけで、各陣営は動員人数を大幅に減らすことができ、候補者も本来の政策を主張することに専念でき、一石二鳥ではないでしょうか。

 選挙の際、いわゆるチラシも、候補者の周囲でしか配布ができず、また、配布するのに大量のボランティアさんが必要になります。チラシを配ることが目的ではなく、読んでもらうことが大事ですので、ボランティアの数が多いか少ないかで配れるチラシの数が異なるというのも、有権者側にとっては望ましくないのではないでしょうか。選挙公報と同じように、各家庭に配布することの方が合理的かと思います。

 街宣カーに運転手やウグイス嬢など大量の人員が必要ですが、これも騒音への苦情が大変多く、特に朝夕の時間帯の街宣カーの運行を制限するというところは、正直なところ、有権者は非常に喜ばれる方も多いのかなと思います。

 要するに、政治資金の入りの部分の制限、すなわち政治資金規正法の改正に岸田総理は意欲を示されておられますが、この政治資金の出の部分、特に選挙の在り方を変えることがお金のかからない政治につながり、入りの部分の問題を減少させると思うのですが、そのような改革を例えば選挙を管轄する総務省の松本総務大臣はお考えにはならないのでしょうか。二度目の大臣就任を迎えられた松本大臣に御意見を、御見解をお聞かせください。

松本国務大臣 選挙の公正さは大事でありますし、誰もが政治参加できる環境が整備をされることは大変大切であるかと思いますが、有権者に対して誰を選択すべきかの判断材料を提供する選挙運動は、選挙の結果にも影響を与え得るものであることを考えると、その質と量がいわば資金力によって左右されることは望ましくないということも考えられるところで、そういった観点から、これまで国会における審議、政党間の議論などを経て、選挙運動に一定のルールが設けられていることも御存じのとおりであります。

 現行の仕組みでも、今申し上げたように、選挙運動の費用について、選挙運動に関する支出金額を制限すること、全ての収入、支出について記載した報告書を提出し、これを閲覧に供し、その要旨を公表することで国民にその内容を明らかにすることを通じて、選挙の公正さの確保をしております。

 また、選挙の公営制度についても、今、委員からも御指摘がありましたが、候補者間の負担と機会の平等を図る目的で公営制度が採用されているかと思います。具体的に公営制度に採用されているものについても一つ一つ付言はいたしませんが、今お話があった制度をどう変えるかということに関しては、まさに、本来の政治の自由ということについて、今申し上げたような観点から、選挙に制限をかけることになるわけでありまして、どのような制限をかけるかということは、まさに選挙運動の在り方に関わることでございます。

 お話がありましたボランティアについても、ボランティアを多くいわば集めてくることができる候補者さんがどう評価されるかとか、様々な観点があろうかというふうに思いますので、是非、政党間の御議論を経て、立法府において御議論いただいて、制度の在り方についてはお決めをいただきたいというふうに思っております。

吉田(と)委員 政治資金規正法の改正だけではなく、公職選挙法の改正など、選挙の在り方、これを見直さないとお金のかかる政治を改めることができないのではないかと思います。お金のかからない政治、これを実現できないと、またいつの日か同じような不祥事が起きかねない、人員を集めないと選挙ができないという現状を変えることが大切であると申し添えたいと思います。

 結局は、既存の政治家が当たり前だと思っている常識が、一般的な国民からすれば非常識であるとのことに尽きるのだと思います。要するに、政治にお金がかかることは当たり前という国会議員の感覚と、そして政治になぜお金がかかるのかを疑問に思う国民感覚、このずれが今回の政治と金の問題の根底にあるということを指摘しておきたいと思います。

 それでは、ここからは人手不足の問題に移りたいと思います。

 お手元の資料一を御覧ください。

 リクルートワークス研究所が二〇二三年三月にシミュレーションした未来予測二〇四〇では、少子高齢化による人口減少が続く中、今から十六年後の二〇四〇年には、社会的な需要に対して労働力の供給が明白に不足する、労働供給制約社会が訪れるとしています。これは単に企業、産業の立場から見た人手不足という問題ではなく、私たちの生活を維持するのに必要な労働力が足りなくなるということです。

 残りの時間は、人口減少、人手不足、こちらをテーマに質問させていただこうと思います。

 この人手不足、公務員、自治体職員にももちろん押し寄せてきます。

 総務省によりますと、全国自治体が二〇二二年度に実施した職員採用試験の競争率は五・二倍で、過去最低となっています。また、二〇二二年度に心の不調で一か月以上の病気休暇を取った又は休職した地方公務員は約四・三万人で、前年度より五千二百二十一人増えており、長時間労働や人手不足などが要因として考えられるといいます。災害で損傷した道路のインフラ整備や市民生活に欠かせない道路の補修、警察、消防署の維持、病院の救急対応等、これらの行政サービスが維持できなくなるかもしれないといいます。

 さて、別の民間予測ですが、日本総合研究所の蜂屋勝弘氏が行政サービスの担い手をシミュレーションしたところ、二〇四五年には公務員の数は必要数の八割しか確保できないという結果になりました。しかし、人手が減っても、こういった医療、介護、インフラ整備、この分野の必要な業務は減らせません。

 このような状況下で、人手不足の解消として、DXの推進が必須となります。

 帝国データバンクのDX推進に関する企業の意識調査、二〇二二年九月度によりますと、DXに取り組んでいる企業は一五・五%。他方、言葉の意味を理解しているが取り組んでいないが三五・三%、言葉は知っているが意味は理解できないというのが一二・四%、言葉も知らないが五・四%ということで、依然として、五割超ではDXへの取組が進んでいません。DXを推し進めるためには、まず身近な例から考えて実践し、成果につなげていくことが必要ではないでしょうか。

 少し前のことですが、自治体の公用車がいわゆる車検切れした状態で走行する事案が相次ぎ、ニュースになったことがありました。

 読売新聞の調べでは、二〇二〇年から三年間の間に、少なくとも六十七の自治体や公的機関で公用車の車検切れがあり、中には、消防の救急車両も含まれていたといいます。職員の中には、車検切れを隠そうとして懲戒処分されたり、また、職員が車検証の写しの有効期限を書き換えたなども判明しています。ある自治体の担当者は、この頻発する背景を、複数の職員が利用する上、管理担当者の異動も頻繁で、車検の時期を見落としやすいとしています。

 随分昔の話になりますけれども、私が初めて社会人になって仕事のイロハを教えていただいた会社は、名古屋に本社がありますトヨタ系の大手部品メーカー、東海理化という会社でございますが、このような取組をされています。

 社用車や公用車管理の課題を解決するDXサービス、Bqeyを、住友商事北海道株式会社と共同で北海道美瑛町に自治体向けとして全国初導入をしています。車両の予約、稼働状況、乗車前後の日常点検など、スマートフォンアプリで簡単に登録ができ、そして、クラウドで一括管理、デジタルキーも活用して、鍵の管理が不要です。また、アルコールチェッカー自動連動機能もついておりまして、社用車管理が丸ごと解決するというもので、二〇二三年度のグッドデザインアワードを受賞されています。

 自治体は、救急車や消防車、こういった緊急車両から運搬車両、一般車両まで、多く保有をしているケースが珍しくありません。公用車台数は、一例を出しますと、県では、本庁舎管理としては総台数十二台、出先機関を含むと約五百台、中核市でも四百四十八台となっています。全国で四十六万台近くあるといいますから、昔ながらの管理ですと、車検切れも起きやすい状況にあると言えます。紙での管理をしている自治体はさすがに今は少なくなっているのでしょうが、例えば、こういった公用車をDX管理に変えれば、ペーパーレスにもなり、そしてまた、利用管理業務の効率化だけでなく、車両の適正台数の見直し、またコンプライアンスにもつながります。

 DXの推進と言われても、デジタル人材が行政も民間も不足する中、何から手をつけたらよいのか分からないという声があります。こういったDX推進への取組において、まず、市民に身近な行政がDX推進の第一人者にならなければならないと考えますが、河野大臣の見解をお聞かせください。

河野国務大臣 今おっしゃっていただいたように、アナログでやっていると手間がかかるものが、デジタルでやれば非常に簡単にできるというものがあります。日本の中小企業の中でも、会社の状況に応じて、デジタル化を進めるだけでコストが大幅に下がって利益が増えたというところも聞いておりますので、民間においてそういうことを進めていただく、これはもういろいろなところが取り組んでくださっていると思います。

 自治体の中でも同様にデジタル化を進めなければいけないところがたくさんございますが、なかなかIT人材が自治体には豊富にない、特に、規模の小さいところはデジタル人材が少なくて困っているというような話をよく聞きますので、今、デジタル庁としても、必要なサポートをしながら、この構造的な問題、どういうふうに構造的に取り組んでいけるか、考えているところでございます。

吉田(と)委員 公共サービスの担い手が減っていくという予測の中で、今、河野大臣からもデジタル人材を確保してDXを進めていくというお話をいただきましたけれども、選択と集中、これが求められると思います。

 地方自治体が直面する課題、これは多様でございまして、職員も様々な業務に対応する必要がございます。先ほど御紹介した公用車のDX管理、これは一例にすぎませんけれども、行政が具体的にどのようなDX推進を行って、そしてどのような成果が出たのかといった事例なども、是非情報発信をしていただければと思います。そうしなければ、このDX推進、自治体も企業も利便性を実感できず、そうなれば、スピード感を持っては進んでいかないのではないかと思います。

 また、少なくとも、公用車とか救急車とか、こういった車が車検切れで走っているという事態、これはあってはならないことでございますので、アナログな人の努力に頼るのではなく、DXの力を是非使うべき時期だと思います。

 さて、私は、日本のデジタル発展の鍵というのはマイナンバーカードだと考えています。政府はこれまで、二兆円を超える多額の予算を投じて、マイナポイント事業を始め様々な取組で普及を進めてきました。本年一月末時点での保有枚数は九千百六十八万枚、人口に対する保有枚数率は七三%とまで普及をしました。

 しかし、デジタルプラットフォーマー社が全国の男女四百八十七人を対象に、マイナンバーカードなど各種証明書類に関する実態調査では、ふだん携行し持ち歩いている身分証明書類で、マイナンバーカードを持ち歩く人は四割程度との結果でした。マイナンバーカードを健康保険証として使うマイナ保険証の利用率に至っては、昨年十二月は四・二九%、八か月連続で減少しているという厚労省の調査結果も記憶に新しいところです。

 国民の皆様が、マイナンバーカードの安全性への不安を持つのみならず、利便性を感じていないから、やはりこのような結果になると思うのですが、マイナンバーカードの利便性を高く、そして安全であること、これを御理解していただかなければなりません。

 マイナンバーカードの利活用として、救急業務の迅速化、そして避難所受付における利活用、そして地域公共交通における利活用にデジタル庁が力を入れて取り組んでおられると承知をしておりますが、現状と課題について御教示ください。

河野国務大臣 委員おっしゃるように、九千百万枚をマイナンバーカード、超えてまいりましたし、大体どのアンケートを見ても四割を超える方が常時携帯をしてくださっているという状況でございますが、今回の能登地震の復旧の状況を見ますと、やはり多くの方にマイナンバーカードを常時携帯をしていただく、あるいはスマホにマイナンバーカードを搭載をしていただいて、例えば、避難するときにはスマホあるいはお財布を持って、マイナンバーカードを一緒に持って逃げていただくということが大事なんだろうと思います。

 そういう中で、避難所だったり、あるいは、万が一救急車で搬送されるときに、搬送先の病院に受診歴あるいは薬剤情報を伝えるというような取組が今後拡大をしていく。そうしたことをしっかり広報すると同時に、市民カードであったり、あるいは町中の公共交通機関でマイナンバーカードを様々活用することができるという場面を増やして、常にマイナンバーカードを携帯してください、あるいはスマホに搭載してくださいということをやっていきたいと思っております。

 今、アップルとiPhoneへの搭載も鋭意取り組んでいるところでございまして、もう少し、いつからという時期のアナウンスにはちょっと時間がかかるかもしれませんが、着実にそこも進んでいるところでございますので、頑張ってやってまいりたいというふうに思います。

吉田(と)委員 様々な取組、今、iPhoneやアップルにも取り組んでいくということを河野大臣から御説明いただきましたけれども、資料二を御覧いただきたいと思います。

 この度の能登半島地震においては、当初、避難者情報の把握にマイナンバーカードを利用する案、これが検討されておりました。しかし、マイナンバーカードを所持してそして避難しているという方が少なかったということ、そして、個人でカードを持ち、デジタルで記録を取れるものとして、JR東日本の御協力の下に、交通系ICカード、Suicaで代用したと伺っています。

 そもそも、自治体の中ではマイナンバーカードリーダーの準備がなく、読み取りが困難な状況であったとも聞いており、まさにデジタル庁がDX推進事業の活用事例として早期導入を促すなどをお願いしたいと思います。

 先ほど、河野大臣、いつも持ってほしいというお話がございましたが、災害はいつ起こるか分かりませんので、常にマイナンバーカードを持ち歩いていただく、そして、救急も、いつ何どきに備えて、特に、高齢者の方は薬をたくさん飲んでおられるということもございますので、常に所持するなど、自分を守るために必要なんだとの広報をより周知していただきたいと思います。

 また、民間企業の交通系ICカード、Suicaの所有率がマイナンバーカードの所有率よりも圧倒的に上回っているというこの事象についても、マイナンバーカードの利活用が伸び悩んでいることの原因究明につながるような気もしますので、是非検討していただきたいと思います。

 さて、今回の能登半島地震で、通信の被害状況についてお伺いしたいと思います。

 長引く通信障害により連絡がつかず、安否不明者が多くなったなど、多くの課題が見つかったとされますが、能登半島地震において、固定電話、携帯電話、どのような被害が発生したのか。この通信障害、被害の原因は何だったのでしょうか。松本大臣、お願いいたします。

松本国務大臣 通信は本当に大切なライフラインであるというふうに認識しておりまして、今回の能登半島地震におきましては、電話も、無線も有線も、また、情報を提供するという意味では放送なども、様々障害が発生をしたところでございますが、原因はどこにあるのかということで、携帯電話を例に申し上げれば、携帯電話は、皆様も御存じのとおり、利用される方はいわば無線で基地局との間をつないでいますが、基地局と基地局の間は光ファイバーなど線でつながれて、基地局からまた次の相手方利用者には無線でつながれるということで、例えば、基地局には電力が必要になってまいりますので、非常用の予備電源を置いてあるケースはあるんですが、やはり時間がたてば電気が消える、停電した場合には電力がなくなって基地局が途絶える。また、今回の災害では、基地局自身が何らかの形で被害を受けたようなケースもあって、通信が途絶するということがございました。

 携帯電話で申し上げれば、被災前のサービスエリアから比較しますと、最大で七割から八割で支障が生じたところでございますが、携帯電話の事業各社が、移動電源車で電源をフォローするとか、基地局が機能しない場合に可搬型の基地局を持ち込んでいただくなどの応急対応をしていただき、この応急対応に、私ども総務省も、機材や燃料、人員の搬送、道路の啓開などについて、関係省庁、関係機関とも連携してさせていただいたんですが、現時点では、被災前のサービスエリアと比較して一、二%のエリア支障まで改善をしているところでございまして、本格復旧も大きく進んできて、現在は基地局の八五%が本格復旧をしているところでございます。

 これからもまた、耐災害性を強化をするべく、様々努めてまいりたいと思っております。

 応急復旧に当たっては、今申し上げたように、いわば送る側の支援もそのようにさせていただきましたが、受け取る側という意味で、避難所に衛星インターネット機器や携帯端末を提供するなど、国民、住民の皆さんが情報が取れるように、私どもとしても注力をしてきたところでございます。

吉田(と)委員 被害について御説明をいただきましたけれども、完全復旧が遅れている理由の一つが道路の問題でございます。能登半島は、やはり過疎地ということで、なかなかその向かう道、石川県から能登半島に向かう道が限られていて、現場にたどり着けないという問題がございました。

 例えば、私の地元徳島でも、徳島県南部から高知県にかけての四国東南部エリアについてはミッシングリンクがございます。こういった災害リスクが高い地域の皆様からは、全国から様々、南海トラフの危険性が高いエリアであったり、早期の高速道路開通を願う声が高まっているかと思います。

 全国にこのようなエリアが多くある中で、どのように整備していくのか、斉藤国土大臣に見解をお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 高規格道路は、非常に国民生活に密接に結びついておりますし、災害時も本当に大きな重要な役割を果たします。今委員おっしゃったように、全国にはまだネットワークがつながっていないミッシングリンクが残されておりまして、地方創生や国土強靱化に向けて、ミッシングリンクの早期解消が重要でございます。

 このミッシングリンク解消に向けて、国土交通省の有識者委員会での意見も踏まえ、計画的に事業を実施していって、このミッシングリンクをなくしていきたいと思っております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。是非、国民の安全のためによろしくお願い申し上げます。

 私の質疑時間、終わりまして、済みません、武見大臣にも御準備いただいたんですが、また次回、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて吉田さんの質疑は終了いたしました。

 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の藤巻健太でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 一時間半ほど前なんですけれども、日経平均株価、三万九千円台をつけ、三十四年の時を経て史上最高値を更新いたしました。バブル期の一九八九年十二月二十九日につけた今までの最高値三万八千九百五十七円を上回りました。

 今日は、まさに日本経済が新たな一歩を踏み出した日となりました。私も金融マンでしたので、感慨深いものがございます。金融担当大臣におめでとうと言うのがふさわしいのか分かりませんけれども、おめでとうございます。

 二〇〇八年十月には七千円を割り込んだことを考えると、この十五年ほどで五倍以上の株価となり、隔世の感もあります。率直に、どう受け止めますでしょうか。

鈴木国務大臣 今、藤巻先生からお話がございましたとおり、本日、史上最高値を更新したということでございますが、この株価高の受け止めということについて申し上げますと、株価上昇の要因、これは様々な指摘がございます。マーケットトークもいろいろございます。

 しかし、株価の日々の動向につきましては、経済状況でありますとか企業の活動など、様々な要因によりまして市場において決まるものでありまして、金融担当大臣として、特定の要因、そういうものについてコメントすることは控えなければならないと思います。

 いずれにいたしましても、金融庁として、引き続き市場の動向を注視してまいりたいと思っています。

藤巻委員 なかなか明確なお答えというのは難しいと思うんですけれども、史上最高値、これを上回ったのは非常にいいことだとは思うんですけれども、一方、日本はバブル期の一九八九年十二月から三十四年たってやっと同じ水準に戻すことができたという言い方もできるかもしれません。

 アメリカでは、ニューヨーク・ダウ、これは一九八九年十二月は二千七百ドルほどでした。昨日の終わり値、三万八千六百十二ドルですから、十四倍ぐらいになっているわけです。日本が三十四年たって同じ水準にあるのに対して、アメリカでは株価が十四倍になっているわけです。

 私は、小さい頃よく、よそはよそ、うちはうちというふうに母親に言われたんですけれども、グローバルマーケットにおいてはそれは通用しないかなというふうに考えております。

 こういった事実に対しては、大臣、どのように考えられているでしょうか。

鈴木国務大臣 藤巻先生から、最高値を更新したわけだけれども、他国と比べてみると、日本の株式市場、成長していると言えるのかという趣旨の御質問であったと思っております。

 株式市場の成長につきましては、株価以外にも、時価総額でありますとか、取引市場としての質の向上などの様々な観点からの評価が考えられると思います。

 その上で申し上げますと、先生御指摘のとおり、株価につきましては、いわゆるバブル期であった一九八九年十二月と同じ程度になっている一方で、株式市場の国際比較でよく使われる時価総額で見ますと、一九八九年一月末には約四百八十五兆円であったものが、本年一月末には約八百九十五兆円と、倍近い規模になりました。また、月間の売買代金も、一九八九年一月には約二十七兆円でありましたが、本年一月には約九十一兆円となっております。こうした規模でありますとか流動性の面からは、三十年前と比べて大きく成長していると見ることもできるのではないかと考えます。

 政府及び取引所においては、我が国の株式市場の魅力を高めまして、国際競争力を強化するという観点から、様々な取組を進めてまいりました。

 例えば、近年では、東証の市場再編により、各市場のコンセプトを明確化し、企業価値向上の動機づけを行う、上場企業に対し、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた計画の策定、開示、実行を要請するなど、株式市場が企業の成長資金の調達の場として活用されるとともに、内外投資家にとって魅力ある取引の場となるよう、取組を行っております。

 金融庁といたしましては、関係省庁と連携しながら、資産運用立国実現プランに基づきまして、上場企業におけるより実効的なコーポレートガバナンスの実現や、機関投資家による企業との建設的な対話の促進などを含めまして、引き続き、上場企業の中長期的な成長力向上、ひいては株式市場の魅力を高めるための取組を進めてまいりたいと考えております。

藤巻委員 好調な株価とは裏腹に、生活が豊かになったとは感じていない人がほとんどでございます。私たちにはバブル崩壊の経験もあります。この株価を額面どおり受け止めず、実体経済の向上に向かって進んでいっていただきたいと考えます。

 変わって、今度は少年法の在り方について議論させていただければと思います。

 静岡県の浜名湖で十七歳の少年が殺害された事件で、おととい、二十一歳の男と少年四人が逮捕されました。詳細が明らかになっていないのでこの事件に言及することはございませんが、今まで数多くの少年による残虐な殺人事件が起きてきました。

 私個人の考えではあるんですけれども、少年による殺人などの凶悪犯罪に対しては、厳罰化を進めていくべきだと考えます。

 少年法の根本理念に、少年は可塑性が高いということがあります。つまり、少年は更生しやすいということでございます。出来心から万引きをしてしまった、けんかをして相手を殴ってしまった、確かにこういうことは、親だったり教師だったり学校だったり地域が、時には司法の力もかりながら指導して、正しい道へいざなう、まさに更生させ立ち直らせることが重要です。それが少年法の理念であり、私もそう思います。

 しかし、事、結果に対して取り返しのつかない殺人などの凶悪犯罪に対しては、それは全く当てはまらないというふうに考えます。

 昨年四月の決算行政監視委員会で、当時の齋藤大臣から、殺人罪の前科のある成人の再犯率は一六・七%、一方、殺人の前科のある少年の再犯率は四九・六%とありました。再犯というのは、殺人に限らず、再び罪を犯すという意味ですが、殺人を犯した成人が再び罪を犯す割合は一六%、少年は四九%ということです。少年の可塑性、これは全く高くないんじゃないでしょうか。全然更生できていないではないか。

 当時、齋藤大臣は、一概に何とも言えないと言っていましたが、一六%と四九%です。これは何とも言えないというレベルの差ではないと思うんですけれども、少年は可塑性が高い、更生が望めるという少年法の根幹を揺るがすような数字だと思うんですけれども、これは大臣、どうお考えでしょうか。

小泉国務大臣 御指摘のとおり、少年法制度の基礎は、少年のまさに可塑性であります。改善更生しやすいだろう、成長途上だということでございます。

 今御指摘がありました統計上の数字は、昨年から我々も把握しております。成人の再犯率が一六・七%、殺人罪の前科。また、同じく殺人罪の前科がある裁判時少年の再犯率は四九・六%。三倍ある。

 しかし、これは分解していきますと、在所期間の違い、あるいは刑務所を出てから後の人生の長さの違い、こういった個々の要素がかなり影響してくる数字でございますので、御指摘も全部否定するわけではありませんけれども、しかし、これだけで可塑性を否定するということはできないと我々は考えております。

藤巻委員 これも決算行政監視委員会の答弁にあるんですけれども、殺人を犯した少年の多くは、五年から十年の不定期刑になることが統計的に多いということです。つまり、実際の服役期間は七年とかそのくらいだと思うんです。

 仮に、殺人を犯した少年が七年間服役し、更生できたとしましょう。少年法に守られ、出所後は、やりがいのある仕事に就いたり、結婚して家庭を持ったり、趣味を楽しんだり、仲間と酒を飲んだり、満ち足りた人生を送るわけです。そんな人生は、殺された被害者が送りたかった人生です。なぜ殺した方がそんな充実した人生を送れるのか。遺族は終わらない悲しみ、苦しみの中にいます。そんな不条理が許されるんでしょうか。そこに正義はあるんでしょうか。

小泉国務大臣 少年法制度は、先ほど申し上げたような観点から、特別な配慮を少年の犯罪に対してはしておりますが、他方で、一般論として、殺人等の凶悪犯罪に対しては厳正な処罰が必要であります。それはそのとおりだと思います。

 そこで、現行少年法においては、家庭裁判所が検察に逆送する、家裁の取扱いであった処理を一般の検察官に送致をする、そこで刑事事件としてしっかり扱ってもらう、こういう仕組みを取り入れておりますし、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、原則として逆送の決定をしなければならない、原則逆送という制度が取り入れられております。また、特定少年、十八歳、十九歳の少年については、この逆送事件の対象を拡大をしているわけであります。

 また、逆送を受けた検察官は、家庭裁判所から受けた事件について、公訴を提起するに足る犯罪の嫌疑があると考えられる場合には公訴を提起しなければならない、このように定められております。

 また、一般の検察当局における重大犯罪を犯した少年に対する運用上の対応でありますけれども、悪質な事情を含め適切に主張、立証することで厳正な科刑の実現に努めております。

 こうしたものを総体として我々は取り組んでいるところでありまして、少年法は、個々の事案において、少年の特性も踏まえつつ、必要に応じ、適切に刑事処分を科すことが可能な制度になっているというふうに考えております。その点、御理解いただきたいと思います。

藤巻委員 少年法に限った話ではないんですけれども、私は、今の日本の法律というのは、被害者ではなく加害者の方を向き過ぎているというふうに感じております。救うべきは加害者ではなく被害者です。私はそう考えております。

 話は変わって、続いて、私が常々思っていることをちょっと一つテーマにさせていただければと思います。なぜ電車の中で携帯電話で通話をしてはいけないのかということです。

 これは、記憶している方も多いと思うんですけれども、元来、電車の中で携帯電話を使用してはいけない理由は、ペースメーカーなどの医療機器に影響を与える可能性があるからでした。

 しかし、近年、携帯電話や医療機器の進化により、携帯電話の電波が医療機器に影響を与える可能性は極めて低くなってきました。事実、二〇一三年に総務省は、携帯電話とペースメーカーの離すべき距離の指針を緩和していますし、実測調査でも、三センチ以上離れていれば誤作動は認められなかったとしています。つまり、携帯電話の通常使用であれば問題ないということでございます。

 では、なぜ電車の中で携帯電話で通話することがマナー違反とされているのでしょうか。

 人のしゃべる声が気になるとか、騒々しい、騒がしく感じるというのは分かるんですけれども、一方で、乗り合わせた知人同士の普通の会話は問題なしとされています。学生の子たちなんかはよく電車の中でわいわい騒いでいますけれども、これを駄目と言う人は余りいないのが現状です。

 しかし、なぜか事携帯電話になると絶対駄目というふうになるんですけれども、もちろん人の迷惑になるような大声の通話は駄目だと思うんですけれども、小声での短時間の通話だったらいいんじゃないでしょうか。私たちは電車の中での通話は駄目というふうに刷り込まれてしまっていますけれども、今の状況を客観的に俯瞰してみると、大臣、少し違和感があるとは感じないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道におきましては、多くの利用者の方に快適に乗車いただくため、鉄道事業者の判断によりまして、利用者の方に一定のマナーやルールへの御理解、御協力を呼びかけている場合がございます。

 このうち、携帯電話の使用につきましては、日本民営鉄道協会のアンケートの結果において、鉄道車内での騒々しい会話や携帯電話の通話を迷惑と感じている利用者がいることなども踏まえ、鉄道事業者において車内における携帯電話での通話を控えるよう呼びかけが行われている場合がある、このように認識しております。

 国土交通省としましては、こうした呼びかけは、多くの利用者を対象とした輸送サービスを提供する鉄道事業者の主体的な判断に基づくものでありまして、基本的に適切なものであると考えております。

 小声だったらいいではないかという御提言でございますが、携帯電話で会話をしている方が小声であっても周囲の利用者から迷惑と感じられることがあります。

 実際、アンケートで、迷惑行為の中の一つに、ヘッドホンやイヤホンからの小さな音漏れも大変気になる、こういう声もありますし、また、通話の声や着信音、現場で二人が話している分には何か自然に入ってきて気にならないんだけれども、携帯電話の会話者の一方だけの声が聞こえてくるのは非常に気になる、こういうこともございます。

 そういうことで、声の大小にかかわらず鉄道車内での通話は控えるよう呼びかけているものと承知しております。

藤巻委員 電車の中で携帯電話の通話がマナー違反とされるのは割と日本独自の文化で、海外では普通に多くの人が電車内で話しています。

 私もやりますけれども、ちょっと電話したいから次の駅で降りて電話するというのは、ちょっとどうなんでしょうかという思いもありまして、私個人としては、社会全体の効率性を考えて、電車内での小声での通話は社会として認める方向にシフトしていくべきかなというふうに考えているんですけれども、大臣、是非、先頭に立ってその旗振り役をやっていただけないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 私自身は、マナーとして、今の鉄道会社の乗客の皆さんへの呼びかけは適切なものだと思っておりますが、こういう御意見もあるということはよく今日胸に収めさせていただきます。

藤巻委員 電車の中で過ごす時間というのは非常に長いので、なるべく多くの人がより有意義に、有効に使えるように模索していっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 経済の方にちょっと話を戻させていただきます。

 為替相場なんですけれども、この一か月間で十円ほど円安が進んで、現在、ドル・円は一ドル百五十円前後で推移しております。

 大臣は常々、投機的な動きには断固たる措置を取ると繰り返してこられました。先日、財務金融委員会で私が、現在の円安局面は、新NISA経由で資金が海外に流れていることを踏まえると、一定のファンダメンタルズに基づいており、この数年で経験してきた円安局面とは意味合いが異なり、大臣が考える為替介入要件を満たしてはいないのではないかという趣旨の質問をしたところ、大臣は、投機的なことに対応するというよりも、安定的に推移すること、急激な変動は望ましくないということが重要であるとお答えになりました。

 二〇二二年十月二十一日に行った五兆六千億円規模の為替介入ですが、このときは九月から一か月ほどで七円程度、円安が進んでおりました。そのときよりも今の方が、急激という意味では急激な円安、急激な変動が起きています。

 為替相場が安定的に推移することが最重要であるならば、今この時期に為替介入を実行しないと、発言に矛盾が生じてしまわないでしょうか。また、ちょっとうんとはなかなか言えないとは思うんですけれども、誰もが百五十円という数字を意識しております、この百五十円こそが財務省の考える絶対防衛ラインなのではないでしょうか。

鈴木国務大臣 年初来、為替相場は円安方向に推移しているわけでありますが、その背景といたしまして、市場関係者の間では、予想以上に堅調な米国経済指標の発表でありますとか、それに伴う米金利の上昇、さらには新しいNISAの影響などが指摘されているということは、私も承知をしております。

 しかしながら、為替レートは、国内外の経済財政状況、国際収支、金融政策の動向、投資家の予測やセンチメントなど様々な要因により決定されるものであり、変動の要因を一概に申し上げることは困難であると考えているところでございます。

 いずれにせよ、為替相場、これはファンダメンタルズを反映して安定的に推移すること、これが重要でございます。何か一定のレベルというところが防衛ラインになって、その数字でどうこう対応を打つということではなくて、まさにボラティリティーの、変動ですね、そこに着目をする必要があるわけでありまして、政府といたしましては、引き続き、為替市場の動向、高い緊張感を持って見守ってまいりたい、注視してまいりたいと考えております。

藤巻委員 為替相場、これが日本経済に及ぼす影響は甚大ですので、しっかりと緊張感を持って対応いただければと思っております。

 最後の質問になりますけれども、物価高と金融緩和についてですけれども、九日の当委員会で日銀植田総裁が、緩和的な金融環境が当面続く可能性が高いと発言されました。これはつまり、金融緩和を引き続き続けて、物価を押し上げることを目指すということでございます。

 一方、政府は、総理の所信にもあったように、物価高から国民生活を守ると言っています。

 日銀が物価を押し上げていく中で、政府は物価高から国民を守ると言っているわけです。これはどういったことでしょうか。この日銀の政策から国民を守るというふうなことなのでしょうか。この矛盾、大臣はどう考えますでしょうか。

鈴木国務大臣 日銀の金融政策につきましては、これは、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定目標を持続的、安定的に実現する必要があるとの観点から行われているもの、そのように承知をしております。

 これに対しまして、政府の物価高対策は、押しなべて物価を引き下げようとするものではなく、足下のエネルギー、食料品等の物価高から国民生活と事業活動を守るため、これらの価格高騰による影響にきめ細かく対応しようとするものであります。

 このように、両者は政策の目的や対象が異なっておりまして、両者が矛盾するものとは考えていないところであります。

 いずれにいたしましても、政府としては、引き続き、政府、日銀の共同声明に沿いまして、政府、日銀が一体となって、物価安定の下での持続的な経済成長に向けまして取り組んでいくことが重要であると考えます。

藤巻委員 もう終わりますけれども、大臣はそうおっしゃられるんですけれども、政府の物価高対策と日銀の金融政策、これは明らかに逆方向のベクトルだと私は考えます。日銀の独立性は担保されるべきですけれども、今のそれぞれの政策の方向性には疑問を持たざるを得ません。多くの人が物価高に苦しんでいるのは事実です。しっかりとした対応を望みます。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて藤巻君の質疑は終了いたしました。

 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、空本誠喜でございます。今日もよろしくお願いいたします。

 今日は、食料安全保障、そして、今、日本沿岸における、養殖不漁でございます、その問題について、さらに、外国人の技能実習制度から新たな制度に移行して外国人を多く受け入れようとする問題、今、地元の方からもたくさん声をいただいておりまして、それについて議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ちょっと前後左右するかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 まずは、食の安全、そして食の確保、安全保障としては一番大事なものはやはり食料安全保障だということでございますが、まず、政府が二〇三〇年食料自給率四五%を今掲げていらっしゃいます。これに向けて、今、政府として、どのように自給率を上げていくのか、その具体的なアクション、行動、そして、本当にその数字が獲得できるのか。あともう数年でございます、本当にできるのか。まず、農林水産大臣より御答弁をお願いいたします。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 食料自給率につきましては、長期的な食生活の変化によって、国内で自給可能な米の消費が急速に減少する一方、輸入依存度の高い飼料を多く使用する畜産物の消費の増加等が続いていることにより、自給率というのは減少してまいりました。

 一方、食料自給率の向上に向けた施策として、小麦、大豆などの国内生産の振興などを推進した結果、小麦、大豆等の国内生産量は増加し、着実な成果を上げてきております。

 令和二年度に策定されました食料・農業・農村基本計画におきましては、二〇三〇年度の食料自給率四五%目標に向けて取り組むべき課題として、輸入品に代替する小麦や大豆、加工・業務用需要に対応した野菜等の生産、供給の拡大、これらの生産を支える国内農業の生産基盤の強化、中食、外食における国産農産物の需要拡大、多くの国民に食料自給率向上の意義を理解してもらうことを掲げておりまして、このような対策をしっかりと実行してまいりたいと考えております。

空本委員 今、定量的な目標というか、そういったものが見えないんですね。四五%というものはいいんです。じゃ、大豆とか、そして小麦をどの程度増やすのか。逆に、その大豆、小麦を、転作奨励したりしていまして、増やしていくんですが、それを受け入れる受入れ口があるのかどうか、買取り先があるか。大手の製粉会社がそれを本当に受け入れてくれるんですかと。まあ、農水省さんが管轄していますので、そういった意味合いで指導はできるのでしょうけれども、やはり小麦とか大豆を生産するけれども、本当に規模として大きな数量を受け入れてもらえるのかどうか。大変厳しいと思います。

 今、お手元に資料をお配りさせていただいています。

 まず、最初の資料でございますが、昭和四十年と平成三十年、約六十年ありますが、六十年弱の時代差がございますけれども、そこでの食料自給率の違い、比較をさせていただいています。

 まず、左側を見ていただければと思うのですが、左側は昭和四十年、食料自給率が七三%でございました。これは明らかに、自給率一〇〇%の米をたくさん食べて、そして、米をたくさん育成する、育てる、水稲を守ってきて、それで何とか七三%。大きな大きな値です、七三%。こういったものを維持してきたが、この六十年間に食料自給率、カロリーベースで大きく下がってきて、今や半分、三七%。

 右側が平成三十年のものでございます。ブルーで囲っている部分、これが国内生産の割合であります。よく見ていただくと、今、米は自給率九八%ですね。けれども、自給率九八%のこの消費が減ったことによって日本の食料自給率が大きく下がってしまった。これは間違いない事実だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 委員御指摘のように、昭和四十年に七三%だった自給率は急減いたしましたけれども、これはやはり、食生活の変化で輸入が非常に増えた。一方、今の基本法が制定されました平成十一年からは、大体四〇%前後で推移をしております。

 平成十年度の四〇%から令和四年度の三八%への自給率の変化の二ポイント分につきましては、主な要因を定量的に評価しますと、輸入に依存している小麦や大豆の国内生産の拡大が自給率を一・四ポイント押し上げております。一方、今委員が言われました自給率の高い米の消費量の減少が自給率を三ポイント引き下げております。ですから、国内の麦、大豆の生産拡大はしっかり成果を上げているけれども、やはりそれ以上に米の消費の減少が自給率を引き下げているということでございます。

 そういうことで、海外依存度の高い品目の国内生産拡大による増加要因と、国内消費の減少による減少要因の双方が作用しているというものに加え、肥料などのカロリー換算できないものについては含まれないことから、今後、食料安全保障の確保のための施策の効果を自給率という単独の目標だけで評価をしていくことは難しいというふうに思っております。そういうことで、今回、食料・農業・農村基本法の改正を提案する予定にしているところであります。

空本委員 ありがとうございます。

 やはり米を食べていなかったからこそ減ってきたのは間違いございません。そして、小麦とか大豆の生産を増やすことも確かに大切、そういった拡大をすることも確かに大切、しかしながら、先ほど示しました昭和四十年と平成三十年の違いは何かというと、日本人の米の消費量の違いなんです。

 今日、許可いただきまして、「エネルギーレビュー」という、これは電力の本なんですが、電力の本なんだけれども、ここに、エネルギー安全保障と食料安全保障でエネルギーの自給率そして食料の自給率がどうあるべきかということを、私案でございますが、提示させていただきました。それをまとめたものが、今お配りさせていただいています次のページの資料でございます。配付資料二でございます。

 そこに、食料安全保障上重要な指標である食料自給率、これを何%にするべきか。今、政府は、先ほど申し上げましたが、四五%を目標にするとおっしゃった。確かに、あと七%、八%アップすればそこに達成する。けれども、海外から、今のいろいろな、ウクライナ情勢を含めて、小麦とか様々な穀物、こういった飼料作物が入ってこなかったときに、我が国は本当に何%食料自給率があればいいのか、やはりそういうことをちょっと考えた方がいいと思うんですね。それをまとめたものが、先ほどの「エネルギーレビュー」にまとめておりまして、今、その要点をこの配付資料にまとめております。

 ここを、農水省さんが掲げている新たな、重要な指標であります食料自給力指標というもの、米と小麦中心の作付でありますが、その指標、これを基に考えたらば、これは農水省さんのいろいろなデータをいただきながらまとめたんですが、やはり、四五じゃなくて五〇%あれば、もしも海外から入ってこなかったら何とかなるかなというところで、今、私自身、ちょっと計算してみました。

 やはり食料自給率はもう少し上げていかなきゃいけない、そして、先ほど大臣からおっしゃっていただいたように、食料自給率という指標だけではなくて、またこの食料自給力指標とか新しい指標をもって、我が国の食の安全、食の供給、日本人のおなかを、絶対、ある程度おなかを減らさないようにするためどうするべきか考えなきゃいけないかなと思っておりますので、これは農水省の事務方の皆さんに、まずは、この質問に当たりましていろいろ御説明させていただきましたし、一緒に議論をさせていただきましたので、より深い、新しい指標と、また新しい考え方、そして国民の食を絶対守るということを確認していただきたいと思うんです。

 そして、次に、転作奨励は先ほど申しましたが、やはり小麦とかをちゃんと受け入れるところ、先ほどポイント数で、小麦がたくさん今育っているので。しかしながら、例えば地方の農業をやっていらっしゃる方、若しくは農業団体の方から聞くに、やはり品質の一律のものを大量に供給してもらわなければ製粉会社とかは受け入れない。それが、日本全国、土地が違います。また、肥えた土地か、薄い土地か、いろいろあります。そういった中で、土地の問題もあって、一律はなかなかいかない、やはり海外の小麦を入れた方がいいということもございます。

 そういった意味で、やはり、転作もいいのかもしれないけれども、適地適作がございますので、全てをこういう転作に頼る、そういった農政は、私はちょっと、後、行き詰まってしまうのではないかなと思っております。

 この回答は結構ですので、次に行かせていただきます。

 そして、もう一つ大事な問題は、種と肥料でございます。

 種と肥料については、種子法の改正とか、いろいろ誤解もあるとは思うんですが、やはり国内でしっかり製造するなり、また国産化の方向に進めるなりということが大変重要かと思うんですが、持続可能な、今、天然ガスとかということも、海外から入りづらくなってきて高騰する可能性もある、肥料の高騰もございます。そういった意味で、どうやって肥料と種を国内で維持していくか、農水省としての考えを大臣からお答えください。

坂本国務大臣 種子につきましては、稲、麦類及び大豆の種子はほぼ全てが国内において生産をされております。また、野菜種子は国内流通の九割、飼料作物種子はほぼ全量が海外で生産をされておりますけれども、これは、日本の種苗会社が種子生産に適した世界各地にリスクを分散して生産しているものであります。加えて、国内の備蓄として、野菜種子で約一年分、飼料作物種子で年間需要量の約四割を保存するなど、それぞれの品目で安定的な供給体制が現在構築をされております。

 肥料につきましては、ウクライナ情勢等によりまして、一時、原料調達が不安になりましたけれども、カナダ等の輸入先国への代替を進めまして、現在、安定的に確保されております。

 経済安全保障推進法の特定重要物資に位置づけ、令和九年度までに年間需要量の三か月分のリン安そして塩化カリの肥料原料を備蓄することを目標とする一方、国際情勢の影響を受けづらい構造への転換を図るべく、令和十二年までに肥料の使用量に占める国内資源の利用割合をリンベースで四〇%まで拡大することを目標に、堆肥やそれから下水汚泥資源の肥料利用拡大等に努めてまいります。

空本委員 肥料と種子は国内でしっかりと確保していただく体制づくり、なかなか難しいとは思いますけれども、是非お願いしたいと思います。

 ちょっと養殖の問題は最後に回させていただきたいと思います。

 その前に、外国人をどうこれから受け入れていくか、技能実習制度から、今回、育成就労制度へ制度を移行し、そして外国人の働き手の方々を国内にどんどん入れていこうというところでございます。

 その中で、今回、有識者会議等を踏まえてこれを決めてきているとは聞いておりますが、現場の実務経験、受け入れて、外国人をちゃんと雇った経験のあるような方々が行政とか有識者にいないと感じています。トップダウン式のやり方で、現場からの声が確実に上がってきていないというふうに私は感じるんですけれども、制度を改正するに当たってどのように進められたか。特に、現在多く外国人を受け入れている方々がたくさんいらっしゃいます、企業がございます。そういった方々の声をどうやって酌み上げてきたか。それを踏まえて、御説明を法務大臣からお願いいたします。

小泉国務大臣 御指摘の点は非常に重要なポイントだと思います。抽象的に制度をつくっても、現場にそれを置いたときにうまくはまらないということが間々あります。特に、トップダウンになってはいけない、我々もそこを一番注意をしたところでございます。

 政府の有識者会議で結論を得て、今、法案作成中でございますので、国会での御議論はこの先になりますけれども、これまでの段階で、でき得る限り各業界で実務に従事する方々の声を吸い上げながら、そういう方々の代表が有識者会議のメンバーに入って、そしてヒアリングを繰り返し行ってまいりました。さらに、これをまとめた段階でも、まとめについての、最終報告書についての御意見も各方面から現在も含めていただいております。

 これからも、そういった方々の声に耳を傾けながら、一番いい制度ができるように、国会の御議論にも進めるように取り組みたいと思います。

空本委員 大臣からそういうふうにおっしゃっていただくのは、大臣ですからそういうふうにおっしゃるんだと思うんですが、やはり、私、今、地方、地方を歩いていて、現場から、私たちの声が全然反映されていないと。

 特に、次の質問に移るんですけれども、新たな育成就労制度は受入れ対象分野とかをどのように決めてきたのか、そして、今たくさん雇用している製造業、こういった中で漏れがあるんじゃないか。

 そこについてはこれから所管の省庁と話し合いながら決めていくということになっているとお聞きしていますが、やはり多くの方々を、今、外国人労働者、トラブルがあったりした業界もあります、そういった業界からも、実は今、外国人をたくさん入れているから製造業が成り立つ、けれども、この方々が受入れできなくなったらば完全にその産業は国内から消えてしまう、そういう今悲鳴が上がっています。

 今回、関係閣僚会議決定事項、二月九日付の資料を読ませていただいたときに、そこの中に、やはり人材不足を言っていらっしゃるんだけれども、今は人材が入っているから人材不足に見えないかもしれないけれども、実際、新たな制度に移って大きく人材不足になる産業もございます。そういった意味で、その産業をまずは救わなきゃいけない、その産業を国内からなくしてはいけない。それが特に労働集約型の産業に多い。

 そういった意味で、どういうふうにこれを決めていくのか、また、そういう産業を救うんじゃなくて、ちゃんと漏れなくするためどういうふうにこれからするのか、法務大臣、お願いいたします。

小泉国務大臣 育成就労三年の経験を踏まえて特定技能一号に到達してもらうということがこの制度の一義的な目的でございます。したがって、特定技能と育成就労の分野は最終的には一致するというふうに我々はイメージをしております。

 そこへ持っていくやり方でありますが、これはまさに法案を御審議いただいた上での話になりますので、ちょっと差し出がましい説明になることを許していただきたいんですが、有識者会議をつくり、業界ごとに関係省庁にも入ってもらって、そして現場の意見も聞きながら、適正な規模、上限を決めます。この育成就労については、特定技能と同じように受入れ上限を決めますけれども、それは、今申し上げたような公平性を持った、透明性を持った、具体性を持ったやり方で進め、かつ、中小企業への配慮、地方経済への配慮、これがまず最初に出てくる柱でございますので、そういう仕組みの中でベストを尽くせるものにしたいと思っております。

空本委員 その中で、特定技能二号の移行対象職種、これは大体移動する。今、特定産業分野というのがありまして、特定産業分野は十四分野あります。そのものがそっくり行く。けれども、そこから漏れている業種がある。

 今、技能実習制度の九十職種百六十五作業、この中で漏れているものというのはどれか。多分、大臣よりも事務方の方が御存じだと思うんですが、どうでしょうか、漏れている産業。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、技能実習で入っている分野で、特定技能一号がない分野、多々ございまして、ちょっと職種数は正確に申し上げにくいので分野で申し上げますと、例えば、多いところでは、繊維の関係でございますとか、あと鉄道分野とか、そういうようなものが、技能実習でございますけれども、ない。あとは、経済産業省の分野でもまだ印刷、製本とかいろいろございますが、これも、今、分野追加に向けていろいろ議論を続けているところでございます。

空本委員 ありがとうございます。済みません、細かく聞いていけばよかったんですが、実はさっき、この質問の前に、この十四分野のものと実習制度九十職種百六十五作業を見比べていて、どれが入っていないのかなとずっと眺めていたら、さっきおっしゃっていただいたとおり繊維産業とか。でも、繊維産業、もし外国人がいなかったら、全部日本の産業は潰れますよね。

 ですから、そういった意味で、今漏れているものを、何か問題があったのかもしれない、けれども、それをちゃんと支える制度にしていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 まさに、そういう趣旨を踏まえて対応したいと思います。まず、法案を通していただきたい。

空本委員 ありがとうございます。

 そして、この問題の一番大きな問題としましては、これから外国人がたくさん入ってくる可能性があります。そうすると、入管の職員の皆さんも、そして、トラブルもこれからたくさん増えてくる、そうなったときに警察、公安の皆さんも大変困った状況になるんじゃないか、業務が激増するんじゃないか。

 逆に、いつぞや聞いた話としましては、計画的に悪質な入国をして、数日、一週間、二週間たったら失踪する。失踪したら、失踪届を出したら、どこかの都道府県に逃げて、そこで、今度は別のところで働くから退職の手続をしたい、そういう方がいらっしゃって、それは逆に、計画的なのかどうかもしれません、駆け込み寺的なNPOとかがバックにいて対応していて、そして、その中で、もうそうなっている。失踪届を警察の方で下ろさざるを得ない。計画的、悪質的な、そういう入国がこれから多発する可能性があると感じます。もう聞いています、そういう話を。

 そうするときに、どうするべきか。やはりこれは法務省と警察庁、しっかり取り組んでいただきたいんですが、まず警察庁の方からよろしくお願いします。

松村国務大臣 外国人の不法な就労でありますとか滞在につきましては、警察におきましては、現在、出入国在留管理局と合同で摘発を実施をしているところでございます。また、積極的な取締りを推進していると承知をいたしております。

 先生御指摘の新制度への移行によって警察の取締り業務が増加するかどうかについては、一概にお答えすることは困難でございますけれども、御質問の新たな制度に関しても、在日外国人犯罪の取締り等を所管する警察におきましては、関係機関とも連携をし、適切に対応するよう指導してまいりたいと考えております。

空本委員 では、次、法務大臣、よろしくお願いします。

小泉国務大臣 技能実習生の失踪から始まる負の連鎖ですね、今おっしゃった、これは確かに要注意だと思います。技能実習生の失踪原因、様々あると思いますけれども、これに我々もしっかりと対応する制度改革にしていきたいと思っております。監理団体の役割、要件の適正化、やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲の拡大、明確化等々、そういったものを踏まえながら、最終的にブローカー等の排除を担保するための不法就労助長罪の法定刑を引き上げる、こういったものを組み合わせながら、警察庁とも関係省庁とも連携しながら取り組みたいと思います。

 マンパワーが必要になるだろう、こういう御指摘でございますけれども、適正な出入国管理を整えるために必要な人員の確保、これは全力を尽くしたいと思います。

松村国務大臣 修正をさせていただきます。

 来日外国人と言うべきところを在日と申し上げたので、修正をさせていただきます。

空本委員 是非よろしくお願いします。

 そして、法務大臣にお願いしたいのは、実は、五年間しっかり技能実習して、そして手に職をつけたある程度高い能力を持った方々、今度、再度入ってくることができない、若しくはなかなか別の産業にしか行けないとか、そういうことがございます。

 逆に、企業側も、受入れ側も、五年やってくださった方の方が受け入れやすいんですよね。ですから、そういうことも踏まえて制度を、今回どうなるか分かりませんけれども、やはり長く働いていた方々は逆にトラブルを起こさない、安心ができる、労働面で相思相愛ということもございます。いろいろなことを考えて、そういう制度設計をお願いしたいと思います。

 ちょっと時間がありませんので、最後、農水大臣の方に、ホタテ、貝、ノリ、この問題、大変今厳しいです。養殖、全く駄目になっていっています。稚貝が死んだりしています。この問題に対して、水産庁としてしっかり取り組んでいただきたいんですが、農水大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 養殖密度の見直しや、緊急時の避難区域の確保及び高水温耐性品種の開発等の対策を講じまして、持続的な養殖生産の体制を目指していく必要があるというふうに考えております。

空本委員 どうもありがとうございました。

 外国人の問題も、漁業の中にも外国人はたくさんいらっしゃいます。農業にもいらっしゃいます。そういった意味で、労働集約型の産業、これをどう守るか、しっかり各省庁で取り組んでいただきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

小野寺委員長 これにて空本君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、能登半島地震の被災者支援について質問します。

 先月末に、石川県輪島市に私、入りました。火災で焼失した朝市の方々から話を伺いました。住宅も家財も商売道具も失ったけれども、伝統ある輪島朝市のともしびを絶やしてはならない、再開に向けて意欲が語られました。そして、皆さんが口々におっしゃったのは、朝市は魚や野菜がないと成り立たない、農業、漁業を必ず復興してほしいとのことでありました。

 坂本農水大臣に伺います。

 この被災事業者の声を受け止めて、未曽有の被害を受けた農林水産業に従事している被災者に、再建の希望が持てる支援対策を確立して進めていただきたいと思います。大臣の考え方をお伺いします。

坂本国務大臣 私自身も二月四日に、馳知事らとともに輪島港にて現地視察を行いました。輪島市の漁業関係者及び輪島市長と意見交換を行ってまいりました。委員言われましたように、漁業を一日も早く再開できるようにしてほしい、それから、避難している若手漁業者のためにもスピード感を持った復旧復興をお願いしたいということでございました。

 農林水産省といたしましても、漁業の一日も早い再開に向けて、県等とも連携しつつ、甚大な被害を被った漁港等の現地調査をしっかりと行った上で、どのような方法や工程で仮復旧や本復旧を進め、そして漁業再開につなげていくことができるか、あるいはお示しすることができるかが必要であるというふうに考えております。

 既に、輪島漁港では二月十六日からしゅんせつが始まりました。現在進んでおります。そういうことで、地元の皆様との対話が最も重要でありますので、対話を重視しながら、漁業関係者の意向を尊重し、丁寧にきめ細かく今後の復旧作業を進めてまいります。

田村(貴)委員 私も、輪島漁協からお話を聞いてまいりました。甚大な被害を受けたんですけれども、地盤の隆起による被害は大変深刻であります。港全体が隆起して、荷さばき場や製氷施設も損傷しました。そうなんですけれども、漁協の役員さんからは、海の中が分からない、船底がどうなっているか分からない、その調査が大変だというふうに伺いました。

 水産庁は、十三億円をかけて国直轄での調査を行うとしています。隆起による漁船の損傷具合や、あるいは、海底、魚介類の状況も対象にしっかりとした調査を行うことを求めたいと思いますが、大臣、いかがですか。

坂本国務大臣 議員御指摘のように、しっかりと調査をした上で、漁港等の改修そして復旧、これを迅速に進めてまいらなければいけないというふうに思っております。

 船底につきましても、これも調査を早急にやります。そして、サルベージ船等で移動、そういったものをしてまいる予定でございます。

田村(貴)委員 休漁を余儀なくされている漁業者への生活補償も極めて大事であります。水揚げの減少に対する補填の制度は、漁業共済と積立ぷらすの制度しかありません。輪島や珠洲では漁に出られない方々が大半でありますけれども、漁業者は今年の漁期に共済に加入できません。現場からは、共済期間を延ばして、水揚げの損失を補填できないかなどの要望が出されました。

 これについては、大臣、いかがですか。

坂本国務大臣 漁業に出られない方々に対しましては、今期分の漁業共済の早期支払いをまず行います。その上で、漁業者が取り組まれます、例えば海岸の整備、そして清掃、あるいは調査、そういった漁場環境を回復するための活動等への財政的な支援、これもやりたいというふうに思っております。

 復旧復興に当たりましては地元の皆様との対話が重要でありまして、県とも十分に調整を図りながら、地元の漁業関係者の意向を尊重し、そして、十分なやはり生活ができるような、そういう対応をしてまいります。

田村(貴)委員 瓦れきを船に引き揚げていくという当面の仕事とか、それから、ほかの船に乗って研修を受ける制度にしても、これは少額であります。元々小さな規模の漁業者は共済に加入しづらいというところもあります。掛金への補給を更に厚くすることと併せて、出漁できない漁業者の生活を補償する本格的な支援策が必要であると思います。強く要求したいと思います。

 次に、農業政策について質問します。

 今国会では、食料・農業・農村基本法の改正案が提出されます。現行の基本法は、国内生産の増大を基本とし、食料自給率の向上を旨として、目標を定めるとしています。

 大臣に改めて確認します。農業政策の中心的課題は、国内生産の増大、食料自給率の向上と考えておられますか。

坂本国務大臣 食料自給率の向上につきましては、長期的に食生活の変化が進みまして、国内で自給可能な米の消費が急速に減少する一方、輸入依存度の高い飼料を多く使用します畜産物の消費の増加が続いていること等によりまして、自給率が減少をしております。

 一方、食料自給率の向上に向けた施策としては、小麦、大豆等の国内生産の振興などを推進した結果、国内生産は増加をし、着実な効果を上げております。

 今後、食料自給率の向上に効果があった施策を加速化させることが重要であり、麦、大豆、飼料や加工原料用野菜等の輸入依存度の高い品目への国産転換を更に推進するとともに、米粉の特徴を生かした新商品の開発等による利用拡大や、米の輸出促進等による米の消費拡大や販売促進を図ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 大臣、全体として、食料自給率の向上は大切だとお考えですか。

坂本国務大臣 食料自給率は大切だというふうに考えております。

 ただ、食料安全保障という観点からいいますと、食料自給率に換算されない飼料や肥料、そういったものもあります。さらには、安定的にやはり輸入をしていくということも大事でありますので、食料自給率一本というわけにはいかない。全体を通しての、国民の皆さん方に安定的な食料を供給するための食料安全保障、これを確立しなければいけないというふうに思います。

田村(貴)委員 農業基本計画で基本的に決めた食料自給率の向上、ただの一度も達成していないじゃないですか。度重なる輸入自由化によって低下の一途を続けてきました。かつて八割ほどあった日本の食料自給率は、今や先進国最低の三八%に落ち込んでいます。

 なぜこのような事態に至っているのかは明白であります。旧基本法の下で、麦、大豆、飼料を放棄して米国産に依存し、畜産、野菜、果樹を拡大する選択的拡大政策が取られました。国内の穀物の自給率は大きく下がりました。その後の牛肉・オレンジの輸入自由化、WTO農業協定とその後のTPP、日米、日欧FTA、RCEPなど、度重なる輸入自由化が行われてまいりました。

 象徴的に表れている問題の一つは、ミニマムアクセス米です。

 パネル、資料を御覧ください。

 米の生産は低下の一途をたどっていますが、輸入数量は全く変わらず、ついに生産量の一割を超えています。しかも、ミニマムアクセス米は国がお金を出して輸入し、売れずに巨額の赤字を出しています。

 農林水産省に聞きます。二〇二二年の差損は幾らですか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 二〇二二年度のミニマムアクセス米につきましては、売買損益がマイナスの五百九十四億円、管理経費が八十億円、合わせまして財政負担額は六百七十四億円となっております。

田村(貴)委員 六百七十四億円の赤字を出している、驚きであります。

 ミニマムアクセス米の半分はアメリカ産なんですね。アメリカ産米は、ほかの国と違って高い値で買っている。しかも、その輸入したお米の大半は飼料米に変わっているんですよ。こうやって六百七十四億円もの赤字を出している。日本の農家の苦境は放置したままで、アメリカの農家は日本の払った税金で支援している、おかしいじゃないですか。ここに自民党農政の最大の問題があります。

 坂本大臣、ミニマムアクセス米はやめるべきではありませんか。

坂本国務大臣 ミニマムアクセス米は、ガット・ウルグアイ・ラウンドのときに、農業分野以外の分野も含む全体のパッケージの一つとして全ての加盟国の合意の下に設定されたものであります。現在、WTOの加盟国は百六十四地域・加盟国でございますけれども、そういった国々が合意をした上でのミニマムアクセスということでありますので、ミニマムアクセス米の輸入禁止は極めて困難であります。

 それから、今事務方の方から言いました六百七十四億円の差損につきましては、これは、主要国、特にアメリカでございますけれども、二〇二二年度、干ばつ等による国際相場の高騰や、それから円安等の影響により買入れ費が増加した一方、ミニマムアクセス米のうち、SBS米の需要というのがあります。これは、実需者と、アメリカからの米、同時に、それぞれが落札するわけですけれども、この落札が、全て落札がございまして、売却収入が減少したこと等によりまして、売買差損が増加したためでございます。

田村(貴)委員 百六十四か国の合意が要る、そういう交渉に入るべきですよ。

 午前中、立憲民主党の小山議員からも指摘があったんですけれども、七十七万トンという枠、これは枠にすぎないんですよ。全量の輸入が義務じゃないんです。国会答弁も出ています。義務じゃないんですよ。何で全量輸入しているんですか。しかも、コロナでお米がいっぱい余っているときにも、七十七万トン、アメリカ産米は半分、きちっと買い上げている。ほとんどが飼料米に回っている。こういう状況を放置しておったら、本当に農家は希望を持てないじゃないですか。

 私の下に農家から多数の声が寄せられてきています。四国の野菜産地に資材を供給する会社からは、政府の農家支援制度ではとても産地を維持できないと訴えています。北陸の百ヘクタールを超える集落営農の方は、赤字が続いて、唯一の後継者がメンタルを患ってしまって離農した、もう続けられないと言われています。

 パネル二を御覧ください。

 農業で生計が立てられないから、農業従事者も、そして耕作面積も減少の一途であります。前回の農業基本法の改定以降、この僅か二十三年余りで農業従事者は百十七万人も減っています。そして、耕地面積は五十三万ヘクタール、一つの県を超える面積がなくなっているんですよ、この二十年余りで。危機感をもっと政府は感じるべきです。

 基本法の改正の検証部会でも、農業の現場は本当に疲弊しており、ぎりぎりの瀬戸際、こういう指摘が出たじゃないですか。非常に厳しい経営を強いられていると、次々に指摘が上がったじゃないですか。

 農家の収支は一体どういう状況になっているか。

 農業経営統計調査、これは昨年末に発表されたんですけれども、例えば畑作です。一経営当たりの年平均農業所得は幾らか。僅か二百二十八万円にすぎないんです。年間二百万円でどうやって生活できますか。そして稲作です。水田作経営の一経営当たりの平均農業所得は何と一万円です。年間一万円。酪農に至ってはマイナス四十八万八千円。これでは営農を続けられません。

 息子に農業をあるいは畜産、酪農を継がせたいけれどもやめたと言ったよ、こういう光景、こういう話を、坂本大臣も熊本県始めあちこちでいっぱい聞かれてきたんだと思います。生産者は、コロナ禍で苦しみ、飼料、肥料やそして燃油、この資材高騰で死活問題になっています。そして、毎年のように自然災害も起こっています。そのたびに農家が離農し、地域の疲弊は極まっています。

 お尋ねします。こうした事態を防ぐために、アメリカやヨーロッパほか多くの国が農産物の価格政策と各種の直接支払いを組み合わせて農家を支えています。これは何で日本でやらないのでしょうか。農家が再生産できるだけの収入を政府が保障すべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 価格政策をどうしてやるかということにつきましては、合理的な価格あるいは適正な価格形成のために、現在、生産者そして流通業者あるいは卸売関係者、そして小売あるいは消費者、こういった方々と協議会をつくりまして、今後の価格政策の在り方、こういったものを検討をしているところでございます。

 まずは、消費者の皆様方と、そして生産者あるいはそれに流通関係者も含めて、食料のシステムという中でそれぞれの合意が得られること、このことがまず大事だというふうに思っております。

田村(貴)委員 価格転嫁の話に、今議論はされていると思うんですけれども、実質賃金が二十一か月下がっている中で、物を買おうにも買う側の所得が上がらないんですよね。そうしたところで価格転嫁したところで、これは成り立たない話であります。

 大事なのは、やはりこれだけの生産基盤が下がっている中で、農家が持続できる、そして受け継ぐことができる、そういう支援を行うことが大事じゃないですか。価格保障、所得補償、これが一番大事ですよ。なぜやらないんですか。自給率を引き上げること、生産基盤を引き上げていくこと、これをやらないと日本の農業はますます衰退をしていく、このことを申し上げたいと思っております。

 やるべきことはやらないで、やらなくていいことをやろうとしているのが、今度国会に提出されようとしている食料供給困難事態対策法案ではないでしょうか。この法案は、去年から議論もしてきました、報道もあっています。花農家などに芋を作れと命令するもの、とんでもない法案であります。

 そもそも花農家と芋農家は、土、肥料、資材、機材、営農技術と、まるでそのやり方が異なってまいります。ほかの作物の農家に芋や米、麦、大豆を強制的に作らせるなど、これは本当に荒唐無稽です。こんなことが本当に可能だと農水省は考えているんでしょうか。大臣、いかがですか。

坂本国務大臣 これも先ほど、午前中お答えいたしましたけれども、いろいろ誤解もあるようですので、もう一度御答弁させていただきたいと思います。

 私たちは事態を四つに区切っております。平時、それから兆候、そして食料供給困難による重要な影響事態、そして最終的に国民が千九百キロカロリー以下しか食料が取れないようになる事態、この四事態でどうなるかというようなことであります。

 苦い経験が直近で一つあります。平成五年に冷夏で大きく米の作況指数が低下をいたしました。青森で二八でした。岩手で三〇でした。宮城で三七でした。さらには、北海道で四〇でした。それが六月、七月にはある程度分かっていたんですけれども、何もできなかった。そして、九月にタイから輸入をいたしました。結果として、その輸入に対して買占め等も起きまして、最終的にはそれが余ってしまったというような苦い経験があります。

 ですから、やはり食料困難事態が、影響が心配されるときは、国民の皆さんたちのために、一定の計画書、これは生産者だけではなくて、出荷、販売事業者、輸入事業者、生産者、こういった方々に、国民が飢えることですから、こういうことに対してしっかり法律を作っていかなければいけないということであります。

田村(貴)委員 今、災害で、そして収穫がなくなったという例を出されたんですけれども、それはそのときに考えることなんですよ。

 今からいろいろな場合を想定して、しかも罰則つきで、作物計画を作れ、従わなかったら罰金を払えと。こんなことを押しつけたら、農家の方は、こういう生産基盤が下がる下で離農していきますよ。やめたと、この機会にやめる。離農促進法案じゃないですか。私、これは離農が進むと思います。

 しかも、この法案は、安保三文書の閣議決定の後に出されてきたものであります。その内容というものは、戦前の国家総動員法をほうふつさせるものです。まさに戦時を想定したものであり、戦争する国づくりの一環、戦時食料法とも言わなければなりません。離農促進法、戦時食料法、断じて認められません。これはまだ議論させていただきます。

 次に、十九日に行われた防衛力の抜本的強化に関する有識者会議について質問します。

 この会議で、座長の榊原元経団連会長は、昨今の物価や人件費の想定を超えた高騰、為替変動を考えると、四十三兆円の枠内で求められる防衛力の強化はできるのか、現実的な視点で見直す必要があるのではないか、そういうふうに述べました。

 四十三兆円も見直すとの発言でありますけれども、林官房長官、岸田首相は国会で、必要な防衛力を用意するため積み上げて閣議決定した数字である、この範囲内で強化する方針は変わらないと答弁しています。円安や物価高騰があっても、四十三兆円の規模と内容は維持すると述べています。

 榊原座長の発言は明らかに、政府の考え方、総理の答弁と違うではありませんか。いかがでしょうか。

林国務大臣 二月の十九日に、防衛力の抜本的強化について各界を代表する有識者や専門家から政策的な助言を得るため、防衛省において防衛力の抜本的強化に関する有識者会議の第一回総会が開催されました。

 この会議におきまして、座長を務める榊原経団連名誉会長から今御指摘のあったような発言があったということは承知をしておりますが、これはあくまで有識者としての立場からの御意見であると理解をしております。

 これまでも国会等において説明してきているとおり、政府といたしましては、防衛力整備については一層の効率化、合理化を徹底し、防衛力整備計画で定められた四十三兆円程度の規模を超えることなく防衛力の抜本的強化を実現していく考えであり、防衛力整備計画を見直すことは考えておりません。

田村(貴)委員 官房長官の今の答弁によりますと、四十三兆円は超えることはないということですよね。でも、防衛省の設置した有識者会議で、座長が、四十三兆円、現実的な視点で見直す必要があるのではないかと。だから、これは違うじゃないですかと聞いているわけです。

 更に重大なのは、この榊原座長の発言を引き出したのは防衛省だということであります。パネルを御覧ください。防衛省が有識者会議で出した資料であります。ここに書いてあるように、御議論していただきたい事項として、「為替変動、物価高、人件費の上昇が、装備品調達へ与える影響等も考えていくべきではないか。」とあるわけですよ。榊原氏の四十三兆円超えの発言が防衛省の提起で促されたものであることは明らかじゃないですか。

 内閣の方針と違うことを防衛省が防衛省に設置した会議で提起している、こんなことを、官房長官、認めていいんですか。いかがですか。

加野政府参考人 お答えを申し上げます。

 この有識者会議でございますけれども、戦略三文書に基づいた防衛力の抜本的強化を実現していくに当たって、各界を代表する有識者や専門家の方々から政策的な助言を得るために設置をしたものでございます。

 円安を伴う為替レートの変動でございますとか国内外の全般的な物価上昇は継続をしているわけでございますけれども、こうした厳しい状況において、効率化、合理化の取組を行いながら、防衛力整備の四十三兆円程度の範囲内でいかに対応するのかということについて御議論いただくことが重要であるというふうに考えております。

 有識者会議の資料におきます、御議論いただきたい事項、そちらに「為替変動、物価高、人件費の上昇が、装備品調達へ与える影響等も考えていくべきではないか。」というふうに記載をしたのは、そういう事情でございます。

 防衛省といたしましては、一層の効率化、合理化を徹底いたしまして、防衛力整備計画の四十三兆円程度、その規模を超えることなく戦略三文書に基づく防衛力の抜本的強化を着実に実現していく、そういう考えでございます。

 防衛省からこの四十三兆円程度を超過する議論を促したということはございません。

田村(貴)委員 為替変動、物価高が装備品調達へ与える影響を考えていくべきと書いているじゃないですか。これは、予算が足りないから引き上げることを考えよと言っているのと一緒じゃないですか。だから促されて、座長がこういう発言になっていく。

 官房長官が先ほど答弁された総理の国会答弁があった。これは違うんですよ、座長が言っていることと。こういう防衛省の会議を認めたら駄目ですよ。こういう会議はやめさせなければいけない。官房長官、いかがですか。

林国務大臣 今、防衛省の局長から答弁があったとおりでございまして、御指摘のありましたところは、こういう影響等を考えて、効率化を図って、どうやって四十三兆円程度の枠内に収めるか、そういう御説明を今、局長からあったとおりでございまして、そのとおりだというふうに私も思っております。

田村(貴)委員 官房長官、今言われたことはここの資料の中で書いていませんよ。

 私たちは、五年間で四十三兆円の大軍拡そのものに反対であります。まして、軍拡を防衛省が財界に提起して、そして防衛産業をあおって予算をつり上げていく、このようなやり方は断じて認められないということを申し上げておきたいと思います。

 異常な軍事費拡大の下で、日本各地で基地の押しつけが行われています。次に、鹿児島県の馬毛島基地建設について質問します。

 木原防衛大臣、お伺いします。

 鹿児島県の馬毛島の基地建設費用は二〇一二年以降で幾らになっていますか。そして、馬毛島の基地建設の総工費は、あと四年ほどやるということですけれども、幾らを見込んでいるのか、お答えください。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 空母艦載機の移駐等のための事業に係る経費として、平成二十四年度から令和五年度の予算には、契約ベースで約七千六百八十億円を計上しているところであります。

田村(貴)委員 契約ベースで、全てで八千八百二十一億円じゃないんですか。この間、そういうふうにレクを受けましたよ。もういいです。八千八百二十億円の巨費がこれまで投じてこられたんですよ。

 そして、総額についても、聞いても言わないでしょう。総額についてはまだ分からないと言うんですよ。一体どれだけお金をかけていくんですか、この基地に。とんでもないことです。

 昨年一月、馬毛島でFCLP訓練施設、アメリカ軍の新設と自衛隊基地の建設工事が始まりました。工事に伴って、建設作業員、関係者が大挙、種子島に入っています。人口二万六千人の島に、現在、千八百人。馬毛島には千八十人の工事関係者が滞在しています。そのために島では深刻な問題と実害が起きています。

 聞いてください。昨年から、建設作業者のためのコンテナハウス、プレハブハウスが種子島の至る所に建設されています。地価が高騰しました。家賃が六倍になったという報道もあります。そのために、アパートを退去させられたとして、西之表市は市営住宅への転居措置を八人行った。私、市役所で聞いてまいりました。こんなことになっていますよ。

 医療機関には多くの作業員が訪れて、島の医療拠点である種子島医療センターでは待ち時間が倍以上になった。港の駐車場がいっぱいで島民が利用できない。そして、船着場には朝早くから作業員が車で乗りつけて、船に乗って馬毛島に向かう。騒音被害が起きている。私も現場を確認してまいりました。

 防衛大臣、今、種子島で、こうした住民に対する被害、そして実害が起こっていることを知っていますか。知っていましたか。

木原国務大臣 馬毛島におけます自衛隊施設につきましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえまして、早期に整備を進める必要があるとの認識の下で、昨年一月に工事を開始し、陸上及び海上において着実に施設整備を進めてきています。

 その中で、施設整備を進めておるところで、地元の皆様方から委員御指摘のような様々な御意見をいただいているところであります。

 御指摘のように、種子島の宿泊施設やあるいは賃貸物件の空き状況への影響なども伺っておりますし、それ以外にも、例えば廃棄物の処理であるとか、あとは交通安全を含む工事の安全やあるいは治安の問題、また、馬毛島内にも千人以上おるので、救急体制のこと、つまり種子島から医療従事者が移っていることで逆に種子島がちょっと手薄になっているとか、そういう具体的な話まで私は伺っているところであります。

 いただいた意見に対しては、可能な限り速やかに対応しながら、その内容を地元自治体の皆様方に説明するなど、取り組んできているところであります。

田村(貴)委員 木原大臣、可能な限りの対策では駄目でしょう。こういう迷惑とか実害を及ぼしちゃ駄目でしょう。そういう認識はないんですか。

 観光も大打撃です。ホテルなどの宿泊施設が工事関係者で塞がっていて、宿泊旅行ができないんです。種子島に私も行こうとしたら、本当にホテルが取れないんですよ。西之表市役所で聞くと、日帰りプランを考えざるを得ないとおっしゃっていました。観光協会に行ったら、観光の灯が消えかねない、肌感覚ではコロナの前の一、二割程度だ、レンタカーも借りられない、こういう状況です。

 さらに、島の基幹産業サトウキビは、収穫期、ハーベスターの運転手それから運搬作業の運転手さんが高い給料の基地建設に流れて、支え手がいなくなっています。

 漁業も同様です。漁業者が工事関係に流れて、種子島漁協の二〇二三年度の水揚げ量は前年の三割減です。三年前と比べて半減しています。西之表市で伺えば、漁業が大変な状況だと。出漁が少なくなって、漁獲減で、鮮魚店やお土産屋さんにも影響しているとのことであります。

 防衛大臣、基地建設が島の基幹産業を壊しているじゃないですか。この事実は御存じですか。そして、島民と基幹産業にこれだけの影響と実害を及ぼしていて、それでも基地建設を強行するんですか。

木原国務大臣 先ほど私の問題意識は申し上げました。それに対しまして、対策としては、例えば、そういった宿泊施設などの問題については、種子島に滞在する工事関係者については仮設宿舎の利用を促進するだとか、あるいは、馬毛島の仮設宿舎の建設は着実に今進捗しているところであります。

 また、廃棄物におきましても、小型の焼却炉を馬毛島に設置をするということ、種子島に持っていかなくても馬毛島で処分をするだとか、あるいは生ごみ処理機を設置するだとか、そういう取組を、これは可能な限りというよりも、住民の皆様方の要望に応じて着実に進めていこうと考えております。

田村(貴)委員 実態は、島民生活を脅かして、大臣も認めるこれらの問題が今も起こっているということです。そして、島の大事な基幹産業が脅かされて、なりわいが成り立っていないということなんですよ。そこまでして基地建設をやるんですか。これは暴挙としか言いようがありません。

 伊藤環境大臣、馬毛島はもう完全に変貌してしまいました。そして、坂本農水大臣、前の馬毛島は、森林法違反で、違法開発によってこの形状だったんです。それでもマゲシカは生息していたんです。マゲシカは今のところアセスの評価書では七百頭から千頭が生息しているといいます。でも、島は変貌してしまいました。どう見ても、鹿の食べる餌場、緑の部分がなくなっていますよね。ゾーンを設けてそこで生息させるというけれども、これは無理な話なんですよ。

 長年研究に当たっている馬毛島の研究者からは、雌は大体森林部にいるけれども、今海岸に雌がいる、海岸には雄がほとんどなのに、海岸に雌がいる、マゲシカの理想的な構造が壊れてきていると、北海道大学の立沢史郎先生がそのように、基地建設後、観察してこういうふうに言われています。

 防衛大臣、マゲシカはどういう状況になっているか分かりますか。

木原国務大臣 馬毛島における自衛隊施設の整備を行うに当たりまして、馬毛島のニホンジカへの影響については、環境影響評価手続において、専門家や県知事の意見等を踏まえて適切に調査、予測を行っているところです。

 鹿の個体数につきましては、環境影響評価書におきまして、現在とおおむね同程度で推移すると考えられますが、生息可能範囲や、また餌の量等に相応して推移することが予測されて、予測には不確実性もある、そういう認識をしているところであります。

田村(貴)委員 予測であって、調査していないんですか。結果は言えないんですか。

 環境大臣、マゲシカは、環境省の絶滅危惧種、レッドリストで、絶滅のおそれがある地域個体群として書かれています。馬毛島のニホンジカと掲載されています。環境省は、この個体、馬毛島にしかいないマゲシカの生息状況をちゃんと確認していますか、調査していますか。

伊藤国務大臣 お答えいたします。

 馬毛島のニホンジカは、環境省のレッドリストの附属資料において絶滅のおそれのある地域個体群に選定されております。現時点では、環境省において、馬毛島のニホンジカの生息状況は把握しておりません。

 本事業は、事業者である防衛省において環境影響評価法に基づく手続が実施されております。環境省は、環境影響評価書に対して令和四年十二月に提出した大臣意見において、馬毛島のニホンジカの保全を求めるとともに、生息状況等に係る事後調査の実施を求めてございます。本事業にて、当該環境影響評価の結果を踏まえ、防衛省において適正な環境配慮が確保されていると認識しております。

田村(貴)委員 もう驚きの答弁ですよね。恐らく生息しているのではないかと防衛省が言う、そして生息状況については工事一年たっても言わない。ちゃんと調査しているんですか。そして、環境省に至っては、この地域個体群はレッドリストにも載っけているにもかかわらず、見てもいない、それは防衛省に丸投げしている。こんな島壊しをしていいんですか。自然破壊もいいところですよ。余りにも無責任過ぎます。

 種子島の住民環境を壊す、そして馬毛島の生態系、自然環境も壊す。そして、地域のコミュニティーも壊しているんですよ。この基地建設が持ち上がってから、仲のいい家族の間でも、夫婦の間でも、地域の間でも、基地の話はしないでおこうやと。そして、伝統的な地域の行事も行われなくなってしまったんです。こんな不幸をもたらしているのが今の馬毛島建設です。やめるべきじゃないですか。

 防衛大臣、馬毛島建設、やめてください。いかがですか。

小野寺委員長 防衛大臣木原稔君、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

木原国務大臣 先ほどの馬毛島のニホンジカの件は、これは鹿の状態をやはり把握しなきゃいけない、工事中及び供用後一定期間も把握するために個体数モニタリング調査というのを実施しているところでありますから、その結果を踏まえて、必要に応じて専門家等の指導助言を得て、必要な措置を検討していきたい。そして、着実にこの馬毛島の自衛隊施設の整備を行っていきたいと考えております。

田村(貴)委員 無謀な基地建設は直ちに中止することを求めて、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 初めに、全国的に産科、産婦人科の医師が足りずに、地域の産科、産婦人科が閉鎖され、子供を産むことができない地域が増えているということについて伺いたいと思います。

 お産ができる分娩取扱施設は、この十五年間で三〇%以上減少をしています。産科、周産期領域においては、医師不足に拍車がかかり、医療崩壊の危機という段階を超えて、既に崩壊のプロセスにあると現場では認識されています。出生率低下に伴う産婦人科の沈滞ムードや医療訴訟の増加などを背景に、お産を扱わない婦人科医師が増えて、お産を取り扱う産科医師の数が減っているからです。

 現場の産婦人科の先生に聞きましたところ、多くの医学部の学生は、産婦人科が、診療科としても学問的にも極めて興味深い分野であることは理解はしているそうです。しかし、最終的に産婦人科を選ばないのは、周産期医療は当直や拘束の回数が多く、激務だからです。その上、訴訟のリスクも高い。

 現場の産婦人科医に激務でハイリスクな仕事を続けるためのインセンティブが与えられていないことは、現職の産婦人科の医師が燃え尽きてしまいまして、バーンアウトして産科の現場から去ってしまうということにつながっています。そして、一人が去ると、医師不足が加速して、現場の勤務状況を更に悪化させるという悪循環が見て取れます。

 産婦人科医の一般的な勤務状況はかなり過酷で、当直、拘束がつきものですから、診療を一人や二人で担当すると、非常に拘束感の強い勤務ということになります。分娩を取り扱う産科での当直の実態は、十分な睡眠を望めない夜勤であり、しかも、翌日は通常の勤務で外来や手術をこなさざるを得ないというのが実情です。

 今お話ししましたことは、いわゆる中核病院と言われる勤務医のお話ですが、町の開業医となると、更に事態は深刻になってきます。

 私の地元、宮崎県延岡市、ここは人口約十一万人ほどの町になりますけれども、分娩を取り扱う開業医は四つございます。そのうち三つの産婦人科医は、皆さん、院長先生は六十代なんですね。もう一つの病院には、七十代の先生と四十代の先生がいらっしゃいます。

 先日、それらの産婦人科医の先生方と意見交換をさせていただきました。近い将来、この延岡市では、四十代の産婦人科医がいる一つの病院に集約をすることになるだろう、そうせざるを得ないだろうということは、皆さんの中での共通の認識でありました。六十代の先生方には、もう体力的にもきついので、やめられるのであれば早くやめたいんだという本音を漏らす先生もいらっしゃいました。

 また、私の地元で日向市という、こちらは人口が五・七万人ほどの町になりますけれども、こちらには開業百年以上になります渡辺産婦人科という産婦人科があるんですが、今、この日向市には一つだけなんですね。

 ここの院長先生にもお話を伺いましたところ、ワーク・ライフ・バランスは考えられない、ない、二十四時間体制で待機を強いられる、そして、家族旅行にも行けません、いつ呼び出されるかも分からないのでお酒も飲むわけにもいきません、そして、サポートの先生を雇うことも余裕もないというので、自分自身もいつまで続けられるか分からない、正直、今年が山場であるというふうにはっきりと言われました。それぐらいせっぱ詰まった状況で、最前線で奮闘いただいているわけでございます。

 その先生方に共通した思いなんですけれども、町場の開業医の産婦人科があるからこそ、基幹病院であります都道府県の総合周産期母子医療センター、これは地元の大学病院等が指定されていることが多いと思いますが、また、中核病院である地域周産期母子医療センター、これは県立病院等が指定されますが、このようなところにハイリスク妊婦や合併症の妊婦を受け入れたり、分娩時に起こる様々な緊急事態に対応したりすることに集中してもらえるということなんですね、町場の産婦人科がしっかり機能していることがですね。

 町場の開業医の産科、産婦人科は、かかりつけ医としまして、医療機能に応じた役割分担をして、基幹病院や中核病院に負担が集中しないように最前線で踏ん張っている、そういうことを私にも教えていただきましたし、私もそのとおりだなというふうに思ったところでございます。

 まずは地域のかかりつけ医が、婦人科では、症状の変化があり、精密検査や手術療法が必要な患者を中核病院に紹介する、そういう役割分担、また、産科においては、妊婦健診時に何らかの異常が発見されたり、緊急事態が発生したりした場合に中核病院に紹介し対応する。こうした役割分担があるからこそ、基幹病院や中核病院の外来、往診にはゆとりが生じます。そして、病棟でのスタッフに余裕ができ、緊急搬送などに対応しやすくなっている。

 中核病院の勤務医と町場の開業医が連携してこそよい医療ができると私の地元の開業医の院長先生が言っておりましたが、この点につきまして、非常に政府の皆さんにも重要視をしていただきたいというふうに思うんです。だからこそ、これ以上地方、地域の産科、産婦人科を減らさないために、最前線で分娩に取り組んでいただいている開業医の産科、産婦人科を支援、サポートすることが必要だと考えますが、政府としての見解、施策について教えてください。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 周産期医療につきましては、従前より、医療資源の集約化、重点化を推進することが良質かつ適切な医療を提供するために有効であるとの考えに基づき、地域において、周産期医療提供体制の構築を進めているところでございます。

 議員御指摘のとおり、町場の産科医、地域の産科診療所につきましては、分娩取扱施設の整備が必要な地域におきまして都道府県が行う周産期医療体制の整備や産科医師派遣の取組に対して、財政的な支援を行っているところでございます。

 また、中核病院も含めた産科医の確保につきましては、国におきまして、地域の分娩件数等に応じて算出した産科医の偏在指標や対応策等を盛り込んだガイドラインをお示しした上で、各都道府県におきまして産科医師確保計画を策定し、医師確保に向けた取組を進めており、この取組に対しまして、国といたしましても財政的な支援等を行っているところでございます。

 引き続き、都道府県等と連携を図りながら、周産期医療提供体制の整備につきまして取り組んでまいりたいと考えております。

長友委員 御答弁ありがとうございます。

 当然、対応していただいているということはあるんですが、私は、どちらの視点に立ってこれをサポートしていくかということが非常に大事だと思うんですね。中核病院や基幹病院を守る立場、目線で支援をしていくのか、それとも、町場の開業医の産婦人科を守る立場、目線なのかで、主語がどちらかで、若干私としても意見が変わってきてしまいます。

 ただいまの御説明の中で、産科医療確保事業等を実施いただいていると。その要綱も私も見ております。産科医療機関確保事業、また、分娩取扱施設整備事業、産科医療を担う産科医等の確保事業等がございますけれども、この点において、是非、町場の産婦人科の皆様をまず守るんだ、そういう視点で支援をしていただきたいというふうに思うんですね。

 この四月一日から、医師の時間外労働も上限規制が始まるわけでございます。医療に従事する勤務時の時間外・休日労働時間は、原則として年九百六十時間が上限となります。産科医の場合、時間外労働時間の年間平均は千八百時間を超えるとされているため、今の半分近くまで減らす必要が出てきます。

 医師の働き方改革は、今いる人材をつなぎ止めるためにも大切ですし、一方で、医師の働き方改革が導入されると、これまでと同じ診療を同じ人数で行うのは難しくなるというのも明らかな事実だと思います。

 安全なお産を維持するためには、この先、多くの医師が必要になることが予想され、更なる集約化が避けられないと私も思うわけですけれども、今後、地方の周産期医療をどのように支えていくのか、国としての方針と、地方自治体の連携、また、産科医の確保計画、更に詳しく聞かせていただけるようでしたら教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、先ほど御答弁いたしましたとおり、都道府県が行う周産期医療体制の整備に対しまして、私どもといたしましては、財政的な支援に取り組んでいるとともに、各都道府県におきまして産科医師確保計画を策定し、医師確保に向けた取組について支援をしているところでございます。

 加えまして、今議員御指摘のとおり、医師の働き方改革が四月から本格実施となるわけでございまして、それに伴いまして、現時点でも、各医療機関に対しまして、きちっと医師の働き方改革のルールを守れるように、私どもとしましては、具体的な御指導や、あるいは御疑問点につきまして回答を進めながら、四月以降、産科医の皆さんが、あるいは現場の皆さんがお困りにならないような体制を、今取り組んでいるところでございます。

長友委員 いろいろな取組の中には、医師と助産師が交互に外来を担うことによって医師の外来負担を軽減する、助産師外来を充実させているという病院もあるようです。

 タスクシフティングの取組の一つということでございますけれども、助産師外来を始めた産婦人科は、助産師との相談の時間が十分取れるということで、妊婦さんの満足度も上がったというふうに聞いております。医師の勤務環境の改善にもつながり、一石二鳥だったということですので、そういうことがまだできていない産婦人科等に、是非、効果的な施策というものをお勧めしていただきたいというふうに思います。

 武見大臣に是非お伺いをしたいと思います。

 自民党の中には、地域で安心して分娩できる医療施設の存続を目指す議員連盟がありますけれども、大臣はその会長を務めていらっしゃいます。この議員連盟、日本産婦人科医会の働きかけで二〇二一年五月に発足したと聞いております。間もなく発足丸三年がたつというところでございますけれども、産婦人科医師の不足について、また、地方の周産期医療の現場が抱える課題解決について、今後、どのような思いを持って、大臣として、また議連立ち上げのメンバーとしてリーダーシップを発揮いただけるのか、お聞かせいただきたいと思います。

武見国務大臣 先生御指摘のとおり、地域で安心して分娩できる医療施設の存続を目指す議員連盟の会長というのを務めてまいりました。そこで、実際に、御指摘のような様々な課題を抱えている我が国の周産期医療というものの在り方を考えて、そして、その中で、過疎化であるとか、あるいは少子化だとか、それらにも密接に関わるこうした周産期の分野というものをどのように我が国の中でしっかりと確保していくか、考えてまいりました。

 今まさに、今度は厚生労働大臣としての立場でこれに取り組んでいるわけでありますが、周産期医療については、妊婦の方々が安全に出産できる環境を整備する、これがまず第一です。これまでも厚生労働省として、医療資源の集約化、重点化、まずこれを基本としてまいりまして、医療資源の乏しい地域の産科診療所を支援いたしまして、地域の実情に応じた周産期医療の提供体制というものの構築に努めてまいりました。今、医政局長からも答弁があったとおりであります。

 この考え方を基本として、各都道府県と連携しながら、地方の産科診療所への支援、妊婦のアクセス支援、産科医の確保なども取り組んで、妊産婦の方々が安心して安全に周産期医療にアクセスすることができるように努力していきたいと考えております。

長友委員 武見大臣、ありがとうございます。

 安心してお産ができる環境がなくなると、これは言うまでもなくなんですが、これから子供を産みたいという人たちは、その場所を離れるか、子供を諦めるか、究極の選択を迫られる地域ということも増えてしまいます。どちらを選んでも、その地域に子供が生まれることはありません。

 少子高齢化が進み、人口減少はどの自治体でも大きな課題で、産科医不足は妊婦や医療業界だけの問題ではなく、地域の存続を左右することにもつながりかねない問題でございます。地域のお産をどう守っていけばいいのか、それは、地域そのものをどう守るのかにつながる、国の将来に関わる大きな課題でございますので、大臣の強力なリーダーシップをお願いしたいと思います。

 続きまして、介護サービスを提供する事業所の現場の声について質問していきたいと思います。

 常時介護を必要とする、自宅で生活が困難な方を二十四時間介護するサービスを提供する特別養護老人ホーム、特養というふうに言いますけれども、特養と、施設でリハビリなどを受けて在宅復帰を目指し、半年から一年ほどで退去する流れになる介護老人保健施設、老健というものがございます。特養は、二十四時間の介護を必要とした、原則六十五歳以上の要介護三以上の方を対象とした施設になります。老健施設は、原則六十五歳以上の要介護一以上の認定を受けている方が入所できる施設になります。特養は一生入ることができますが、老健は入居後三か月ごとに、自宅で生活を送れる状態になったかどうかが検討をされます。

 その特養と老健について、厚労省は昨年の十一月の十日、介護サービスを提供する事業所の二〇二二年度の経営実態を調査した結果を発表しました。利益率は、特別養護老人ホーム、特養がマイナス一・〇%、介護老人保健施設、老健がマイナス一・一%でした。これは、介護保険制度が始まって以来、初の赤字ということになります。物価高が影響したことは間違いありません。二〇二三年度、二〇二四年度の経営状況は更に厳しくなっている、また、なっていくというふうに見られています。

 特養、老健施設が赤字の一方で、介護費用の総額は、制度を創設した二〇〇〇年と比較すると、約三・七倍の十三・三兆円というふうになっています。この数字は令和四年度の予算ベースになりますので、令和六年度の介護保険の総費用は十四兆二千三百九十六億円に膨らむ、そのような見込みが示されているところであります。今後も、高齢化の進展とともに介護保険の給付費は更に膨張していく見通しで、年々重くなっていく税や保険料などの負担を社会全体でどう分かち合っていくかが最大の課題と認識しています。

 そのような背景がある上で、現場から、介護保険給付の根幹である要介護認定の方法について、認定審査の結果と実態に乖離を感じることがしばしばある、そのような声が私のところにも届いております。

 具体的には、次のような話を地元で聞きました。要介護一から二の人が特養に入りたい、家族も入れたいという場合は、要介護度を高く見せようと、認定審査員に、できないことが多いことを本人や家族がアピールする、その結果、最大瞬間風速で要介護度が決まるという実態がある、これでは適正な給付につながらないのではないかというふうに言われました。

 またさらに、要介護度が上がると利用者の負担金も増えるわけですけれども、それを嫌って、区分変更の手続を認めない利用者さんもいらっしゃるということです。特定の区分変更申請は、利用者若しくは家族の了承を得て申請するのが原則で、強制ができないということになっています。その結果、受け入れる介護事業所は、手がかかるにもかかわらず実態に合わないサービスを強いられている、区分変更の手続がなされないので、介護事業所にはその分のお金が入ってこない、請求ができない、このような中で介護をしているんだよということになります。

 このような声は、実は私の地元だけじゃなくて、厚労省にもあちこちから届いているんじゃないかというふうに思うんですね。

 介護保険制度は、必要な方に必要なサービスを提供し、その人なりの自立した生活が送れるように支援する制度なはずですが、家族が家で介護をしたくない、できない、介護ができないがゆえに要介護度を高くしようとする人がいたり、今度は、要介護度が上がると自己負担も上がるので区分変更をしない人がいて、介護保険施設を困らせる人がいたり、また一方で、正直で真面目な家族が自宅で介護を頑張り過ぎて介護疲れが起きる、その介護疲れにまつわる様々な問題が起きているということも考えますと、利用者や家族の善意を前提として成り立っているこの介護保険制度に矛盾を感じている介護保険施設の運用者も多いというふうに、声が聞こえてきております。

 高齢化や核家族化の進行、介護離職問題などを背景に、介護を社会全体で支えることを目的として二〇〇〇年に創設された介護保険制度ですが、その頃にはなかった、認知症が増加していたり、また、認定審査員が不足している現状を鑑みまして、審査項目の見直しや改革が必要ではないかというふうに考えるわけですが、政府の見解を伺います。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、これからの時代におきましても、必要な方が必要なサービスを受けられるようにするために、やはり公平公正な仕組みを維持していくということは大変重要だというふうに認識しております。

 要介護認定の仕組み自体は、委員御案内だと思いますけれども、認定調査員による心身の状況の調査やその結果等に基づくコンピューターの一次判定、そして、学識経験者で構成される介護認定審査会における一次判定結果や主治医意見書等に基づく二次判定といった複数の審査段階を経て、介護サービスの必要度を客観的に判定する仕組みとなっております。

 その上で、今委員から、実態というか、御家族の気持ちであったりとか、あるいは御本人が、私、できるのよと張り切ってしまって、むしろ介護度が低く見えるというようなケースもこれまでございました。その意味では、御本人のふだんの状態をできるだけ正確に把握するのが非常に重要だというふうに考えております。

 これまでも、コンピューター判定のロジックの変更でありますとか、あるいは、例えば、今認知症のお話をいただきましたので、認知症の状態の把握については、意思の伝達や記憶に関する事項等の調査の方法、留意点、それから特記事項、ちゃんとこういうところが、要するに、記号を選ぶだけじゃなくて、こういうことを気をつけなきゃいけないよといったことなどについて、認定調査員テキストなどにおいて周知するなど、適切な認定のための工夫を行っているところでございます。

 要介護認定の在り方につきましては、委員の御指摘のとおり、これからもしっかりと介護保険を御利用いただけるように、引き続き、その実態も踏まえながら必要な検討を進めてまいりたい、このように考えております。

長友委員 要介護認定の在り方については、改善、工夫を更に引き続き続けていかなければならないというふうに思います。

 要介護認定は、介護サービスの給付額に結びつくことから、その基準については全国一律に客観的に定める、これが厚労省の方針だというふうに伺っております。介護保険制度が始まった二〇〇〇年四月から一貫して守られているものなんですけれども、しかし、現場レベルで、近隣の市区町村間でさえ、認定結果のばらつきというものをやはり感じさせられるんですね、知り合いの話を聞いていきますと。隣の町では要介護認定を受けられたのに、自分の町では受けられなかったという話もありますし、また、要介護認定率の地域格差も問題となっていることは皆さんも周知のとおりでございます。

 要介護認定率が高い県とそうでない県がある、各都道府県の要介護認定率は地域差が確かにあるということを示す一つの指標だというふうに言えるわけだと思うんですが、公費が使われているサービスでありながら基準が客観的に定められているとは言えない状況は、現に起きているわけなんですね。財政的に厳しい市区町村ほど、総合事業や介護予防といった介護の適正化事業が、職員が不足しているとか、業務が多忙であるとか、予算が不足しているということに悩まされて、適切に実施できていないケースというものが多く見受けられるように感じられます。

 本来、要介護認定は自治体の財政状況とは完全に切り離されるべきだというふうに考えるわけですけれども、厚労省の見解を伺うことはできますでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 介護保険の財政につきましては、基本的には、そこの地域にお住まいの高齢者の方の保険料と、若い世代からの支援金と、そして税金とをミックスされておりまして、基本的には一般会計からの繰入れはしないということでございますので、その意味で、市町村の財政そのものに左右されるというものでは制度的にはないというふうに考えています。

 その上で、地域によって、やはり元気でいこうという、いろいろな首長さんとお話をしておりましても、元気でいられるような工夫をしようという自治体と、まだそこの取組が必ずしも活発でないような自治体とか、そういうことがございまして、いろいろな要素で、一定の数字上の違いが出てくる場合もあり得るとは思います。

 ただ、いずれにしましても、委員御指摘のように、やはりこういう公費で運営されている制度ですから、その公平性といったことについては引き続き意を配っていきたい、このように思っております。

長友委員 それぞれの自治体の首長さんの方針等もあって方針に違いがあるのは、その自治体の方針ということでそれは尊重するんですが、現場の声として、こういう声をいただくんですね。個別具体的な各サービスの提供方法などは都道府県や市町村に任せてもいいんですが、要介護認定方法の見直しというような大きな課題については、国が率先して行ってほしいというふうに話を伺っています。

 介護認定をする市町村の判断の許される部分と、そこに基づくための、例えばデータの収集の部分で、これは現場の方の意見ですけれども、使えないデータの入力の提出等が求められて辟易していて、それがまた現場のストレスになっているというようなことも伺っています。また、認定審査員不足も叫ばれているわけですから、この認定に当たって、適正な介護判定を行うためにスピードと質の両立を求めていくためには、市町村の方に判断を委ねるんじゃなくて、国として要介護認定方法の見直しをしてほしいということを強く要望をいただいておりますので、その点に関しては、今後ともまた意見交換させていただいて、取組を進めていただきたいなと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 特別養護老人ホームにおける入所要件の見直しについてなんですが、特別養護老人ホームの入所要件として、要介護度三以上という原則がありますが、この要件を導入した二〇一五年と現在では状況が変わっています。

 当時は、特別養護老人ホームへの入居を希望する待機者の数が膨大にあり、ほかに受皿となる施設が少ない状況でしたが、現在は、有料老人ホームなど多種多様な施設が増加しており、要介護度が軽いうちにそうした施設に入居している場合、要介護三以上になっても、特別養護老人ホームに移ることなく、継続して入居するケースが出てきています。

 このことにより、要介護三以上という入所要件により、入居するタイミングが合わないために、特別養護老人ホームに空きがあるにもかかわらず、有料老人ホームやグループホーム、サービスつき高齢者向け住宅等が受皿として新たに必要となっている、さらには、そこで職員も分散するため人材不足を引き起こす、そのような悪循環に陥っている状況が指摘されています。

 だから特養の経営も厳しくなっているというふうに言えるわけですが、特別養護老人ホームの要介護三以上という入所要件の撤廃や、空床が生じた場合のみ要件を緩和するなどの柔軟な制度運用が必要だと思いますが、見解を伺います。

間政府参考人 お答えいたします。

 特別養護老人ホームは、委員今御紹介いただきましたように、これまで、限られた資源の中で、より必要性の高い方々の入所を可能とするために、在宅での生活が困難な中重度の方を支える施設として機能の重点化を図り、二〇一五年度から、新規入所者は原則として要介護三以上に限るとしたところであります。

 そして同時に、要介護一、二であっても、居宅において日常生活を営むことが困難なやむを得ない事情がある場合には、特例的に入所を可能とするといった運用を行っておりました。特例入所と申し上げております。

 この特例入所の取扱いについては、今委員もお話がありましたけれども、まだ半数ぐらいの自治体では、もう全ての施設で満員だというところがある一方で、地域によっては、特別養護老人ホームに空床が見られる状況というのもございます。

 自治体における特例入所の適正な運用を図る観点から、社会保障審議会介護保険部会での議論を踏まえまして、昨年の四月に、地域の実情等を踏まえて、各自治体において必要と認める事情があれば、それも考慮して特例入所という運用を行うようにお示しをしたところでございます。

 大切なことは、地域の社会資源を有効活用しながら、必要な方に必要な入所サービスが提供されることだと思いますので、引き続き、この特例的な入所の取扱いとか入所者の申込みの状況を踏まえながら対応を行ってまいりたい、このように考えております。

長友委員 特例入所制度について御説明いただきました。

 実際、要介護一でも要介護二でも入所は可能だというのが国の方針だ、ガイドラインだということで間違いないということで確認できるわけなんですが、では、全ての市町村でそういう認識を持っているかというと、残念ながら、そうじゃないという現場の声があります。実際に、国がそう言っているのに、市町村の窓口では、いや、国の方針としては要介護三以上しか無理ですというふうに断られているということで、理解、周知が徹底されていないというのが実態なんですね。

 ですので、その点においては、説明会等でしっかりと周知をしていただかないと、実際に運営している方からすれば、どっちが本当なんだというふうになりますので、その点、改めてお願いをしたいと思います。

 また、特例入所制度の件に関しては、例えば、認知症や、知的障害、深刻な虐待が疑われる、単身の世帯である、家族の支援を期待できないとか、在宅の対応が難しいという判断基準については、市の、自治体の判断でということを国の方はガイドラインで出しているそうなんですが、家族の支援を期待できないという部分に関して、市役所の判断になるということを、やはり地元の方が分かっていないんですね。

 そうなると、介護施設や利用者の方は、いや、はいれるはずだと言っても、いや、そこははいれませんということで、国のガイドラインで示したことと矛盾が生じているということが起きているというふうに報告が上がってきておりますので、その点、改めて周知を徹底していただきたいと思います。

 次の質問でございます。地方の配置医師不足についてになります。

 特別養護老人ホームは、本来、介護を必要とする方のためのついの住みかとなる生活の場と、そして、二十四時間の介護サービスの提供を目的とした施設になりますけれども、現状は、入院してすぐに退所するケースが増えてきています。理由は、医療体制を確保できないからということです。常時提供できる医療が限られるほか、夜間に看護師がいない施設も多く、常時医療処置が必要な方の入所は限られてしまいます。だから、ついの住みかとならなくなってきているというわけです。

 この特養の配置医師を確保するのが難しい要因の一つが、医療報酬、それから訪問報酬が取れないからというふうに言われています。配置医師は、診療所の医師として入所者に処方箋を発行するなど、必要な保険の診療を提供することはできますけれども、初診料、再診料及び往診料を取ることが現状できません。これらの分は施設が賄いまして医師に支払うということになりますが、施設にその余裕がないのが昨今の実情です、赤字になっているわけですから。なので、地方の特老は配置医師を確保できず、経営に悩むケースが大変増えています。

 このように、診療報酬、訪問報酬が取れないので配置医師を確保できない問題について、政府の見解を伺います。

間政府参考人 お答えいたします。

 特別養護老人ホームにおける配置医師の話でありますけれども、これまで、運営基準上は、入所者の日頃の健康管理とか療養上の指導を行うために医師を配置するというふうにしているわけですが、この配置医師が行う診療については、日々の基本的な健康管理や療養上の指導は介護報酬で評価する、そして、投薬、注射、検査及び処置などの医療行為については診療報酬で評価するといった整理を行ってきたところであります。

 その上で、今委員おっしゃられましたように、様々な事例があるわけですけれども、今回の、令和六年度の介護報酬改定におきましては、こういう配置医師が行う緊急時の駆けつけ対応というものについて、これまでは、従来は早朝とか夜間とか深夜の駆けつけの対応のところだけを評価しておったんですけれども、今回の報酬改定では、日中も算定できるように見直しを行うこととしております。

 さらに、やはり配置医師だけで全ての医療を行うのはなかなか難しゅうございます。新型コロナへの対応の経験を踏まえますと、やはり平時から医療、介護の連携を強化して、配置医師をバックアップするような医療機関との連携というものも非常に重要だというふうに考えています。

 このため、これも今回の介護報酬改定では、三年間の経過措置を設けた上で、入所者の急変時等に相談や診療を常時行う体制、あるいは入院を原則受け入れる体制を確保した協力医療機関を定めることを義務づけることとした上で、今度は、診療報酬改定の方におきましても、平時から連携体制を構築する協力医療機関の医師が往診を行った場合等を評価する加算を設けることとしております。こういった形で、これまでよりももっと、医療、介護連携の中で体制を強化するという形にしたいと思っています。

 こうしたことについては、今回の同時改定を踏まえまして、施設や配置医師において更に理解を深めていただくために、令和六年中に分かりやすい方法で周知を行いたいというふうに考えております。

 引き続き、必要な医療が入所者の方にも提供されるように取り組んでまいりたい、このように考えております。

長友委員 ありがとうございます。

 続きまして、盲聾者の支援ということにつきまして質問をしたいと思います。

 視覚障害と、そして聴覚障害を併せ持つ方が、盲と聾ですけれども、全国に一万四千人ほどいらっしゃいます。目と耳という二つの感覚機能に障害を併せ持つため、情報入手、コミュニケーション、移動において支援が必要です。

 先天的にどちらかのみに障害があり、後天的に障害が増えた場合、手話又は点字、指点字によってコミュニケーションが可能ですが、先天的又は未就学児が盲聾者である場合は、学習そのものが困難であり、多くの場合、コミュニケーション面での問題を抱えることになります。しかし、全国的に通訳、介助員が足りておらず、私の地元でも、県内でも地域格差がありまして、通訳、介助を望んでもサービスを受けることができない方がいます。

 そこで、国として通訳、介助員の育成計画があるのかにつきまして、伺います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 視覚及び聴覚に障害のある盲聾者の方は、先生御指摘のように、障害の程度や重複の仕方等によって必要な支援も大きく異なるため、一人ずつの状況に応じた専門性の高い支援が求められているところでございます。

 このため、都道府県におきまして、地域生活支援事業の中で、盲聾者特有のコミュニケーション方法や外出介助の手法などを習得した地域介助員の養成研修を行っておりまして、令和三年度末で六千三十九人が登録をされているところでございます。

 こうした取組に加えまして、国において通訳、介助員の養成研修に携わる指導者の方の養成に取り組んでいるところでございまして、こうした取組により、盲聾者に対する支援体制の充実を図ってまいりたいと考えております。

長友委員 国が日本全国にどれくらいの通訳、介助員がいるかどうか把握をされているのか、また、都道府県によってその数に大変なばらつきがあるということを把握されているのか、この点についてまず伺いたいんですが、いかがでしょうか。

 もし答えられないということでしたら、私の方で答えますけれども。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の状況につきましては、令和三年度末で六千三十九人、平成二十九年度は六千百二十九人ということですから、年度によってちょっと推移がございますけれども、把握をしているところでございます。

 都道府県別の数についても、このベースとして報告を受けているところでございます。ちょっと今、数字は持ち合わせていません。

長友委員 ちゃんと把握をしていただきたいということなんですね。

 私の手元に今、全国盲ろう者協会さんが出している「協会だより」というのがあって、こういうのがあります。この中に全部最新のデータが載っているんですけれども、都道府県別の盲聾者の数、それから通訳、介助員の数が一覧になっているんですが、それを見ていただくと、今日は済みません、皆様のお手元に資料は配られていませんけれども、通訳、介助員の数が、自治体によって大変大きな差があるわけなんですね。

 私の地元は、派遣事業登録している通訳、介助員の数が全国で最も少ないわけですけれども、他の都道府県の方が盲聾者の数は少ないのに、通訳、介助員の数で負けていたりというか、少なかったりするわけです。

 何が言いたいかというと、普通は盲聾者の数に通訳、介助員の数も比例して多くなる、若しくは少なくなったりするはずなのですが、実態はそうではなく、自治体でばらつきが大変あるということです。そのばらつきの原因を是非国も把握していただきたいというふうに思うわけです。

 また、今度は、国は新生児、未就学児の盲聾者の数も把握しているのでしょうか。盲聾者に対して進学、教育相談ができる支援はあるのかを伺いたいと思います。視覚支援学校では視覚障害者向けの教育、聴覚支援学校では聴覚障害者向けの教育を行っており、盲聾者教育の人材がいないのではないかという私の懸念があるものですから、こういう質問をさせていただいております。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、進学、教育相談についてでございますが、特別支援学校において、幼稚園、小学校等からの要請に応じまして、幼児、児童等の教育に関して必要な助言又は援助を行うよう努めることというふうになっております。センター機能が特別支援学校にございます。盲聾を含む障害のある幼児等の保護者に対しても、その一環といたしまして進学、教育相談の機会が提供されていると承知いたしております。

 また、人材育成についてでございますが、文部科学省では、令和五年度から、盲聾児を担当する教師に対する研修の在り方や、盲聾児への支援に係る効果的な取組の整理について、大学等に委託して研究を実施しているところでございます。

 加えて、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所におきまして、盲聾児に関する理解や教育について、各都道府県の指導的役割を果たす教師への専門的な研修を実施しているところでございまして、また、研究者が盲聾児童在籍校の教師の希望に応じ、オンラインを活用した個別研修を実施するなど、各地の学校等への支援も行っているところでございます。

 こうした取組を通じ、盲聾児に対する特別支援教育を充実してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

長友委員 全国盲ろう者協会さんの方から聞いた話だと、協会で把握している数としては四百人ぐらい盲聾児がいらっしゃるということではありました。なかなか支援が行き届かない部分だと思いますので、誰一人取り残すことがないよう、相談できる窓口等、しっかり設置をお願いしたいというふうに思います。

 最後に、視覚障害者の同行援護について伺いたいと思います。

 自治体や社会福祉法人などが運営する介護保険施設に入居する視覚障害者の同行援護について、全国的に同行援護サービスの使用が不可という慣例があるようです。この慣例は正しいのか、見解を伺います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問にございました介護保険施設に入所されている方につきまして、サービスの内容に入所者の外出時の支援と明確に位置づけられているものではございませんが、視覚障害者も含めて、それぞれの施設において、日常生活の支援や機能訓練等の一環として行われているものと承知しております。

 一方で、視覚障害者が一人で外出する際の支援であります障害福祉サービスの同行援護でございますが、市町村に応じて、個々のケースに応じて支給決定が行われるところでございまして、障害の状態ですとか、交通機関の利用において安全な利用が必要な場面かどうか、また、ほかに利用している公的なサービスや支援の状況などを勘案して、個々のケースに応じて、同行援護従事者による視覚障害者に対する特に専門的な支援が必要と判断される場合には、同行援護による支援を利用することが可能であるところでございまして、施設に入っておられるかどうかというところで線引きをしているものではございません。

長友委員 改めて確認します。

 地方自治体や社会福祉法人が運営する特養や老健施設に入所している視覚障害者が、本来であれば、そこの職員の提供するサービスの中に同行援護も入っているので、ガイドヘルパーの派遣や同行援護サービスは受けられない、それは二重給付になるよ、併給はできないんだよ、そういう説明を受けたという方がいらっしゃるんですね。それは間違っているという認識でよろしいでしょうか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 障害福祉サービスの支給決定につきましては、市町村におきまして、個々のケースに応じて判断されるものでございます。

 一方、高齢者施設でございますが、介護保険施設もあれば介護保険施設以外のところもございますし、また、施設に応じて、視覚障害者に対して手厚い支援を行っている場合もあればそうでない場合もありますので、施設類型ごとの支援の違いや個々のケースなどの違いによって、支給決定がされる場合とそうでない場合とあるというふうに考えております。

長友委員 先ほどからの答弁だと、個々のケースに応じてということなので、最終的に判断する市町村の判断に任せますというふうに聞こえるんですけれども、そういうことなんですよね。

 ただ、国としてのガイドラインは、同行援護サービスは利用できるということになっているわけですよね。介護保険サービスの優先原則というのは確かにあります。介護保険サービスに障害福祉サービスに相当するサービスがある場合は、介護保険優先が基本だと。ただし、一律に適用するものではなく、障害福祉サービス固有の同行援護のサービスは利用が認められる、そのことが各市町村にちゃんと周知されればいいんです。それがされていないので、視覚障害の方たちが同行援護を利用したいと申請しても、なかなか認めてもらえないという実態があるというふうに聞いているわけなんですね。

 そこで、厚労省、是非答えていただきたいんですが、実際に、全国の介護保険施設に入所する視覚障害者に同行援護サービスの利用を認めている市町村がどれぐらいあるか把握しているか、教えてください。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 全体の数としてどのくらいの支給決定がなされているかどうかということについては、全体の数としては把握をしておりません。しかしながら、制度を運営する中で、個別のケースにより、支給決定がなされているケースもあればそうでない場合もあるというふうに、実例に基づいて認識をしております。

 こうした取扱いがあるわけでございますけれども、先生御指摘のように、何らかの誤解に基づいて個別のケースの振り分けの違いが発生しているということでは、ちょっと趣旨と異なることになってしまいますので、関係者や自治体などの意見もお伺いをしながら、必要な場合には、制度の趣旨の周知などの対応を考えてまいりたいと考えます。

長友委員 同行援護が実際うまく、利用したくても利用できていないという声があるから、私がここでこう質問に立っているわけなんですね。ですので、是非国は、市町村でどういう判断をしているのかしっかり把握をしていただきたいというふうに思います。

 全国の介護保険施設に入居する視覚障害を持つ方々が同行援護サービスを受けられるように私はするべきだというふうに思うんですけれども、見解を教えてください。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、制度に基づいて、サービスを必要とし、その必要性が認められる方については、支給決定が行われることが基本であるというふうに考えております。

長友委員 政府の方針はそうなんですけれども、視覚障害がある方たちにとっては、この同行援護を受けられるか受けられないかというのは、もう人権の問題だというふうに伺っています。同行援護ができることによって、視覚障害がある方たちの人生に大きく影響を受けますので、是非、この点、今後も引き続き検討いただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて長友君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後四十分、よろしくお願いをいたします。一番厄介なやつは一番最後にやってくるということで、よろしくお願いをいたします。

 今日、五つ用意してありますが、一と二は長官に当てる用意がありますので、申し訳ありませんが、順序を入れ替えさせていただきまして、最初に、四ポツの今後の財政政策というところからスタートをさせていただければと思います。

 債務の対GDP比について、ドーマー条件と言われるものがあります。これは数式なんですが、プライマリーバランスが均衡しているのであれば、名目成長率が名目金利を上回れば、債務残高の対GDP比は低下をし、収れんをしていくという数式であります。この理解でよろしいでしょうか、政府参考人。

林政府参考人 お答えいたします。

 当期の債務残高対GDP比の動向は、過去の債務残高対GDP比が成長率と金利によって変化する要因と、当期のプライマリーバランスによる要因の組合せによって決まります。

 その下で、ドーマー条件とは、財政の持続可能性を考える上での一つの目安として用いられている考え方でございまして、当期のプライマリーバランスが均衡しているのであれば、成長率と金利が同じとなる場合に債務残高対GDP比は一定となる数学的な条件を示したものであると考えております。

緒方委員 そうなんですね。それ自体は、政策判断でも何でもなくて、ただの式でありまして、そうすると、債務残高の対GDP比が拡散しないようにするためには、単に成長すればいいのではなく、プライマリーバランスの均衡が非常に重要であるということだと思いますが、参考人、よろしくお願いいたします。

林政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたとおり、債務残高対GDP比は、成長率と金利の大小関係とプライマリーバランスの水準の組合せによって決まります。

 成長率が金利より高い場合には、プライマリーバランスが赤字でも債務残高対GDP比が低下することはあり得ますけれども、成長率も金利も民間の経済活動の結果いかんに大きく左右されるものでありますので、こうしたことを踏まえると、債務残高対GDP比の安定的な引下げを実現していくには、プライマリーバランスの黒字化というのが必要になる部分ではないかというふうに認識してございます。

緒方委員 今、プライマリーバランスが赤であっても成長率が金利を上回れば収束していく可能性があるということでありましたが、それはかなり高い幅がないと実現できないですよね、局長。

林政府参考人 御指摘のとおり、過去の実績で見ますと、成長率と金利の関係については、成長率の方が金利よりも下回っている期間というのが多いというふうに認識してございます。

緒方委員 ここまでいろいろお話しさせていただきましたが、私は、経済が成長することというのはとても重要なことだというふうに思うんですけれども、じゃ、ただ成長すれば、今我々が抱えている債務残高の問題というのは自然に解決に向かっていくということではなく、その大前提として、プライマリーバランスが均衡している、若しくは均衡に近いところにあるということが重要であって、この二つを同時に追っていくということが重要だと認識しているんですが、この認識は、新藤大臣も共有され、そして岸田政権としてもこの考えに基づいて経済運営をやっているということでよろしいでしょうか。新藤大臣。

新藤国務大臣 もう答えを御承知の上でお話しされているということでございます。

 我々の、政府の目標は、国、地方のプライマリーバランスの黒字化と、それから債務残高のGDP比の安定的な引下げ、これを進めていく。それは何よりも、経済成長を行うことと、それから財政力に弾力性を持たせる、その中できちんと成長しながら、でも大本のところは整えていく、そこから新しい経済がつくれる、このように考えているわけであります。

緒方委員 ありがとうございました。

 何でこれを取り上げたかというと、ともすれば、成長だけしていればいいんだ、金利を成長が上回ればいいんだという議論が世の中に結構多うございまして、そうではなくて、今やらなきゃいけないことというのは、今新藤大臣言われたとおりであります、成長するということとプライマリーバランスを均衡するという、この非常に難しい、針の穴に糸を通すような本当に難しい作業をやらなきゃいけないのだということを強調したかったのと、先ほど言いましたとおり、ドーマー条件というのは、別に政策判断じゃないんですね。全然政策判断じゃないです。ただ数式があって、微分をすれば自然に出てくるものでありますので、科学のある政治を行おうということを主張したくて、この件を取り上げさせていただきました。

 では、テーマを移したいと思います。

 新藤大臣、ここまでで結構であります。ありがとうございました。

小野寺委員長 新藤大臣は御退出いただいて結構です。

緒方委員 林長官、来られましたので、一ポツに戻りたいと思います。

 防衛費の対GDP比についてですが、これは、テーマは何かというと、もしトラに備えよう、もしドナルド・トランプ氏が大統領になったらという、最近、もしトラと言うらしいですが、もしトラに備える観点からこの件を取り上げさせていただきたいと思います。

 ドナルド・トランプ氏は、防衛費の対GDP比が二%に到達しないのであれば助けに行かないというようなことを言っておられます。別にこれにおもねるつもりはないんですが、リアルな問題として我々はこれを受け止めなきゃいけないというふうに私は思っています。

 ただ、だからといって、急いで今のフレームを超えて何かしようとかいうことではなく、むしろ私が取り上げたいのは、NATO基準における国防費の計算の仕方、これを取り上げたいと思って、今日、この質疑をしています。

 日本の防衛費の考え方よりも、NATO基準の防衛費の方が少し広いんですね。結構、かなり広いかなという気もするんですが。可能なものはどんどんとNATO基準に当てはめていくべきではないかというふうに思いますが、まず最初、防衛大臣にお伺いしたいと思います。

木原国務大臣 もしトラというような、米国大統領選挙における個々の候補については、それは、政府としては、仮定の話ですから差し控えなければいけませんが、その上で申し上げれば、国家安全保障戦略においては、これは、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せ、二〇二七年度には現在の国内総生産の二%に達するよう所要の措置を講ずることとしておるところでございます。これは、必要とされる防衛力の内容を積み上げた上で、同盟国、同志国等との連携を踏まえて、国際比較のための指標も考慮して、我が国自身の判断として決定したものであります。

 また、その防衛力の抜本的強化を補完する取組の経費には、御指摘のように、関係省庁の所管予算も計上されることを想定しておりまして、海上保安能力やPKOに関する経費のほか、研究開発、公共インフラ、そういった総合的な防衛体制を強化するための経費として関係省庁で計上されるものも計上しているというふうに理解しております。

緒方委員 今大臣は二〇二七年に二%というふうに言われたんですが、二〇二四年の十一月に、もしかしたら、二%に到達していなければ助けに行かないという方が大統領になる可能性があるわけですよね。なので、だから私はこれを言っているんです。

 早いところそこまで積み上げようじゃないかということを言っているのは、今のフレームワークの中で二〇二七年二%と言っていますが、いやいや、そうじゃない、三年ぐらい前に倒れてくる可能性があるということで、可能なものをたくさん積み上げていこうということなんですが、今大臣が少し言われたとおりです。

 NATOのガイドラインを私も読んでみました。読んでみると、海上保安庁の予算はぎりぎり入るかな、ぎりかなという感じがしましたが、入るだろうと思います。あと、遺棄化学兵器の処理の問題とかPKOとかですね。

 あと、退職した防衛庁職員の年金等が実は入ります。実は、アメリカに行きますと、特に国防族の方はよく御存じだと思いますが、アメリカの退役軍人庁というのはむちゃくちゃでかい組織なんですよね。巨大な組織です。予算は教育庁の予算よりも多いです。これが全て国防予算に入ってきているということもアメリカに行くとあるわけです。

 先ほど防衛大臣が言われたとおり、国家安全保障戦略において、補完的な役割を担うとされている研究開発とか公共インフラとか、そしてサイバー安全保障、OSA、そういった四分野の予算についてもこういうところに含まれる部分がかなりあるだろうというふうに思います。

 ただ、私は昔官僚をやっていたのでよく分かるんですけれども、本来そういう形で国防費に含まれるものであったとしても、当該省庁の方が、国防費という言葉の中に自分のところの予算が入れられるのを、少し後ろ向きな役所が出てくるのではないかということをちょっと想像しちゃうんですね。

 なので、この予算の積み上げというのは、内閣官房の方でしっかりと積み上げて、できるだけ早く二%に到達できるようにすべきではないかと思いますが、官房長官、いかがでしょう。

林国務大臣 まさに委員が今おっしゃったように、先ほど防衛大臣からも答弁があったものの中には、防衛力の抜本的強化を補完する取組というのが入っているわけでございます。研究開発ですとか公共インフラですとかサイバー安全保障、国際協力、こういうものも含まれているわけでございまして、こういうものも含めて、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せと書いておりますが、そのための予算水準が現在のGDPの二%に達するよう所要の措置を講ずる、こう定めておりますので、政府一丸となってしっかり取り組んでいきたいと思っております。

緒方委員 もう少しスピードアップをしてというか、私は別に、今話をしているのは、追加的に防衛予算を積んでくれということを言っているわけではなくて、あくまでも、ガイドラインとの関係で、早く二%に到達できるように、いろいろなものを、これはこういうところで言っていいか分かりませんけれども、かき集めて、そして、見た目のところの話を今しているので。

 これは急いだ方がいいと思うんですけれども、官房長官、そういうふうに思われませんか。長官。

林国務大臣 今委員がおっしゃられた、急ぐということの一つの理由として挙げられたのが、もしトラということでありますので、先ほど防衛大臣からも御答弁があったように、他国の選挙について我々としてコメントするということは差し控えなきゃいけませんので、そういう意味で、先ほど申し上げたように、しっかりと政府一丸で取り組んでまいりたいと思っております。

緒方委員 では、最後に一つだけ。

 諸外国の例を見ていると、結構広いものが含まれるんですね。NATOのガイドラインを見ていると、防衛省、国防省の予算で充当されるものについては、ほぼ、すべからく、国防予算であるかのような書き方をしているんですね。

 私、アメリカの退役軍人庁の予算を見てみようかなと思ったんですけれども、余りに膨大でちょっと心が折れかかったのでフランスの防衛予算を少し見てみたんですが、フランスの防衛予算を見ていると、第二次世界大戦のときに反ユダヤ主義で被害を受けた人間に対する補償とか、これが実は退役軍人関係の予算のところに入ってきているんですね。結構、日本で考えると、これは厚生労働じゃないかなとか思うようなものまでもが、実は諸外国に行くと国防予算の中に入ってくるというのがあります。

 官庁が防衛省でないことで国防費計上されないものというのもあるのかなと思うので、これは官房の方でいろいろ工夫すべきだとは思いますけれども、もう一度よく見て、諸外国の基準でいうと国防予算に当たるものについてどんどんと入れていく作業をすること、いかがでしょうか、官房長官。

林国務大臣 先ほど防衛大臣から御答弁があったように、同盟国、同志国等との連携も踏まえて、NATO定義も含めて、国際比較のための指標も考慮した上で、我が国自身の判断ということで、こういう補完する取組も併せて、こういうふうにしてきたところでございます。

 したがって、抜本的強化の内容の積み上げと併せて、こうした補完する取組を併せて、しっかりと取り組んでまいらなければならないと思っております。

緒方委員 それでは、質問を移したいと思います。

 対北朝鮮外交、そして対中外交ということで、今日、外相もおられないということもあるので、官房長官に政府全体の方針としてお伺いしたいと思いますが、昨今、対北朝鮮でいろいろなメッセージが先方から出てきているわけでありますが、まず、根本的なところで、日米韓の連携というのは今後も揺らぐことはないという認識でよろしいですか、官房長官。

林国務大臣 日米韓の三か国の連携、これは、私も外相時代に、特に日韓関係、一日も早くしっかりとしたものにしていくという努力をさせていただいたわけでございますが、この三か国の連携は、北朝鮮への対応を超えて、この地域全体の平和と安定にとっても不可欠でありまして、今後ともあらゆるレベルで一層連携を強化していきたいと考えております。

緒方委員 もう一つ、対北朝鮮で、現在様々な制裁の仕組みが存在しているわけでありますが、これを近々変更したりするとかいうようなことは考えておられないという理解でよろしいですか、官房長官。

林国務大臣 我が国といたしましては、関連する国連安保理決議に基づく特定品目の輸出入禁止措置や資金移転防止措置等に加えまして、我が国自身の措置として、北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止等の措置を取っております。北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置ということでございます。

 こうした措置の今後の在り方について、予断を持ってお答えすることは差し控えますが、一般論としては、政府としては、我が国自身の措置を含む北朝鮮に対する対応について、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から、不断に検討してまいります。

緒方委員 何かちょっと、今、多分聞いていた方もみんなそう思ったと思うんですけれども、近い将来変更する可能性の余地を残しているように聞こえたんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか、官房長官。

林国務大臣 具体的にどのように諸懸案を解決していくかについては、まさに交渉に関わることでございますので、具体的な詳細を明らかにすることは適当でないと考えますが、いずれにいたしましても、政府としては、何が最も効果的かという観点から、不断に対応を検討してまいります。

緒方委員 では、質問を移したいと思います。

 私、実は昨年のこの予算委員会で、当時の林外務大臣と、ある日本の対北朝鮮の方針についてやり取りをさせていただいたんですね。それは、金正恩委員長と前提条件なしで会う用意があるという、安倍総理、菅総理、そして岸田総理までずっと続いてきている、前提条件なしで会う用意があるという表現なんですが、昨年の施政方針演説にはこの表現が入っていました。しかし、今年の施政方針演説ではこの表現は落ちています。

 この前提条件なしで会うという方針は撤回されたという理解でよろしいでしょうか、林官房長官。

林国務大臣 岸田総理は、これまでも、北朝鮮との間の諸懸案の解決に向けて、金正恩委員長との間の首脳会談を実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を進めていきたいと述べてきておりまして、そのために様々なルートを通じて働きかけを絶えず行ってきております。

 岸田総理自身、例えば、昨年九月の国連総会を含めて、条件をつけずにいつでも金正恩委員長と直接向き合う決意を繰り返し述べてきておるところでございまして、この考えに変わりはないところでございます。

緒方委員 であれば、施政方針演説にそういう表現、落とすと目立つんですよね。これまで言っていたことをあるときから突然言わなくなると、何かあったのかなという気になるわけでありまして、もう一度、これは確認ですけれども、条件をつけずに、前提条件なしで会うということ自体は、方針として変わっていないということでよろしいですか、官房長官。

林国務大臣 委員がおっしゃるとおりでございます。

緒方委員 分かりました。

 私自身は、この前提条件なしで会うという表現は、実はよくないと思っています。外交というのは、いろいろな条件をつけながら、最後、会っていくわけでありまして、去年も実はこの場で同じことを言ったんですが、日本国内には拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決してという話をしておきながら、相手を向くときは条件はないですというのは、ただの不信感を呼ぶだけだと思うので、余りこの表現は、何となくよくないというふうに思っているんですが、方針は確認できたので、結構であります。

 もう一つ、施政方針演説で、これは多分皆さん方、余り気づかなかったと思いますが、私があれと思った部分がございました。昨年の臨時国会での所信表明演説と今年の施政方針演説では、力による一方的な現状変更の試みという表現について、大きな違いがありました。

 昨年秋の臨時国会での所信表明演説までは、一方的な現状変更の試みというのは誰がやっているかということについて明示していなかったんですね。ただただ一般論として、一方的な現状変更の試みについては、これは認めることができないということを言っていました。しかしながら、今年の施政方針演説では、この主体を中国であるというふうにはっきりと明記をいたしました。大きな外交的なメッセージの変更であろうと思います。

 どのような背景から、ただただ一般的な、一方的な現状変更の試みから、この主体が中国であるということを明示するようになったのか、御説明いただければと思います。官房長官。

林国務大臣 力による一方的な現状変更の試みは世界のいかなる地域においても許されないというのが我が国の一貫した立場でございまして、施政方針演説や所信表明演説を含めた様々な機会で表明をしてきております。

 また、中国による東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みも、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念であると考えております。

 その上で、中国との関係を含めた具体的な言及ぶりにつきましては、その時々の状況や演説等の構成等を踏まえて総合的に判断しておりまして、国会における演説についても様々な言及ぶりがあるのは事実でありますが、それをもって直ちに我が国の立場や政策の変更を意味するわけではないということでございます。

 今委員から御指摘のあった表現について申し上げますと、御指摘のとおり、昨年の十月二十三日の第二百十二回国会における所信表明演説においては外交、安全保障の部分で言及しておりますが、昨年の一月二十三日の施政方針演説におきましては、今年の一月三十日の施政方針演説と同様に、日中関係の部分で言及しているところでございます。

緒方委員 いろいろな考慮があるんだろうなというふうに思いました。

 官房長官、こちらでもう結構であります。ありがとうございました。

小野寺委員長 それでは、林官房長官は御退出いただいて結構です。

緒方委員 続きまして、サイバーセキュリティーについて、河野大臣、松村大臣、そして木原大臣、お願いいたします。

 まず、自衛権との関係について防衛大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 かねてから、サイバーセキュリティーと自衛権の関係について、私、七、八年前から聞いているんですが、武力攻撃の一環として行われるサイバー攻撃に対しては自衛権を行使することがあり得るという言い方をずっとしているんですね。これ自体は、まあそうなのかなと思うんですが、ここからは、私がずっと聞いて、これまで余り、何なのかなとよく分からなかったのが、武力攻撃の一環として行われるサイバー攻撃なんだけれども、サイバー攻撃だけで武力攻撃とみなすことはできますかというふうに聞いたところ、少なくとも二年前ぐらいまでは物すごくごにょごにょとしたことしか言わなかったんですが、事前のレクの段階で聞いてみると、少し答弁が進化しているようであります。木原大臣。

木原国務大臣 どのようなサイバー攻撃であれ、武力攻撃に当たるかについては、その時点の国際情勢や、また相手方の明示された意図であるとか、あるいは攻撃の手段、態様等を踏まえて、個別の状況に応じて判断すべきものであると考えておりますが、その上で、一般論として申し上げれば、サイバー攻撃のみであっても、例えば物理的手段による攻撃と同様の極めて深刻な被害が発生し、これが相手方により組織的、計画的に行われている場合には武力攻撃に当たり得るというふうに考えられます。

緒方委員 実は、この答弁、結構進化しているんです。以前はこういうことを絶対言わなかったんです。

 その上で、もう少し自衛権との関係、話をさせていただければ、民間施設へのサイバー攻撃、特に原子力発電所に対するサイバー攻撃が行われるとき、これは日本に対する武力攻撃とみなすことができると考えておられますか、防衛大臣。

木原国務大臣 武力攻撃は、一般に、一国に対する先ほど申し上げた組織的、計画的な武力の行使というところが考えられるところでありますので、一般に、国家以外の主体による攻撃であったとしてもこれに該当する場合があるというふうに考えています。

 例えば、サイバー攻撃が当該武力行使とみなされているとされており、例えば米国の国防省の資料もあるんですが、物理的手段により実行された場合に、国連憲章第二条第四項の武力行使とみなされるような効果をもたらすものの例として、原子力発電所のメルトダウンを引き起こすものであるとか、あるいは、人口密集地域の上流のダムを決壊させてその下流に甚大な被害をもたらすものであるとか、あるいは、航空管制システム、これに不具合をもたらして航空機が墜落するような、つながるもの、こういったものは含まれ得るというふうに解しております。

 こういったことも、我が国においてサイバー攻撃と武力攻撃との関係を考える上では一つの参考になるかなと思っていますが、いずれにしても個別に判断することだと思っております。

緒方委員 事前のレクの段階でも、最後に大臣の言われた参考という言葉を非常に強調されたんですね。

 日本としてそういうポジションを取っているわけではないということでしょうか、大臣。

木原国務大臣 先ほどの事例は米国防省の資料でございますので、我が国においてのサイバー攻撃と武力攻撃の関係を考える上で、一つの参考ということでございます。

緒方委員 よく分かりました。多分、皆さん方もよく御理解いただけたのではないかと思います。

 大臣、先ほど、私がこの後質問しようとしていた、相手が物理的な武力攻撃をしてくるのと合わせて、それに民間人が呼応して攻撃をどかんとしかけてくるケースについて、それも武力攻撃とみなし得るかというのを実は聞こうと思っていたんですけれども、そういうことも態様によってはあり得るというふうに答弁されたというふうに理解いたしましたが、それは、大臣、それでよろしいでしょうか。

木原国務大臣 委員のおっしゃるとおりでございます。

緒方委員 松村大臣、よろしくお願いいたします。

 二年前にサイバー警察をつくる際に警察法の改正をしたんですけれども、その際、実は私、今回議論されている能動的サイバー防御のような感じの話をしたんです。そのときの取っかかりとして、私、警察関係の法令を見ていて、警職法第七条における正当防衛とか緊急避難における武器の使用、これと能動的なサイバー防御みたいな話がなぞらえることができるのかなというふうに実はそのとき思ったんです。

 正当防衛や緊急避難であれば、例えば生身の警察官であれば武器を使うことができる、そしてそれに対する違法性が阻却されているわけですけれども、それをサイバーになぞらえて、サイバーでもそういう緊急避難とか正当防衛のときに武器を使用することができる、その武器の中にサイバーの攻撃は入り得るというふうに解釈しておられますか、大臣。

松村国務大臣 まず、能動的サイバー防御の実施のために必要な法制度というのは重要な課題であると思っておりまして、現在、可能な限り未然に攻撃者のサーバー等への侵入、無害化ができるようにするために、内閣官房を中心に法制度の整備を進めておるところです。

 その上で、御指摘の警察官職務執行法第七条に規定する武器でございますが、これは主として人の殺傷の用に供する目的で作られた道具でございまして、拳銃でありますとかライフル銃、こういったことを指しております。現実に人を殺傷する能力を有するものと解されているので、サーバー等への侵入、それから無害化をするための武器がこれに当たるものとは考えておりません。

 しかしながら、攻撃は最大の防御とも申します。したがいまして、攻撃者へのサーバー等への措置としては、様々な方法が考えられるところでございます。現在、現行法の法令でどのようなことができて、どのようなことができないのか、また、法的な手当てが必要かについて、関係省庁と緊密に連携をして議論をしているところでございます。警察も積極的に貢献してまいりたいと考えております。

緒方委員 ありがとうございます。

 ここで、今、サイバーセキュリティー担当大臣、河野大臣にお伺いしたいと思うんですが、何で私がこの質問をしているかというと、実は二年前にサイバー警察の話をしたときに、いろいろな事例を挙げて、比較的強い実力を持っている警察や防衛省も含めて話をしたんですが、いろいろなテーマを話すときに、これは誰ですかと聞いたら、大体、目をお互い見合わせて、俺じゃないぞという、物すごく縦割りをそこに見出してしまったんですね。

 今の件であっても、若干解釈がよく固まっていない部分とか、いろいろな話がある。そうするときに、今後やはり気をつけなきゃいけないのは、危機が起きたときに、それは俺じゃないという話が、私、何かそれが物すごく出るんじゃないかと思ったんですね。もちろん、警察は犯罪との関係で対応するし、自衛隊は防衛との関係で対応するということで、それぞれ射程としているものは違うわけでありますが、それをしっかりと束ねて漏れがないようにしなくちゃいけないということ、この問題意識をお伝えしたかったというのが一つ。

 あともう一つ、併せて質問させていただきますが、海上保安庁という組織は、有事のとき、海上自衛隊の指揮下に入ります。有事のときに指揮命令系統を一元化するというような可能性について、河野大臣、いかがお考えでしょうか。大臣。

河野国務大臣 今、内閣官房に準備室をつくって、サイバーセキュリティーに関する法案の議論をしているところでございます。その中には、法案を提出するのと同時に、現在のNISCを中心とする組織を改編して、しっかり司令塔になるような組織をつくろうということも含まれておりますので、そこは司令塔としてしっかり機能するようにしていきたいと思いますし、また、そういう内容の法案もしっかりやっていかなければいかぬというふうに思います。

緒方委員 この件、本当に私、二年前の原体験、私の目の前で顔を見合わせている姿が非常に印象的、今でも眼前に残っているんですね。だから、そういうことがないようにということをよろしくお願いします。

 では、ここで、河野大臣、松村大臣、木原大臣、大丈夫であります。ありがとうございます。

小野寺委員長 では、お三方、御退出いただいて結構です。

緒方委員 最後、加藤大臣、よろしくお願いいたします。

 少子化対策と子育て支援ということなんですが、まず一番最初、基本的なことをお伺いしたいと思います。

 少子化対策と子育て支援というのは、その違いは何だと思いますか。そして、分けて考えるべきだと思うんですけれども、大臣の見解を求めたいと思います。加藤大臣。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 少子化対策と子育て支援の違いということを……(緒方委員「分けるべきではないか」と呼ぶ)分けるべきではないかという御質問ですが、アンケートを取ってみますと、理想の子供の数を持てない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるや、これ以上育児の心理的、肉体的負担に耐えられないという回答割合が高く、子育て支援の充実は少子化対策としても重要であると考えております。

緒方委員 分かりました。

 それはそうなんですが、少子化対策というのは、私、これは社会政策だと思うんですね。子育て支援というのは、その本質において福祉の要素が非常に強いと思うんですね。

 これは分けて考えた方が私はいいと思いますし、一つの政策で二つの政策目標を置くというのは、大体うまくいかないんですよね。一粒で二度おいしいというのは、福祉としての子育て支援で社会政策である少子化対策を代替しようとするアプローチは余り適切ではないんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがお考えですか。

加藤国務大臣 委員の御指摘を踏まえて答弁をさせていただきますと、子育て支援だけが少子化対策ではないと認識をしております。

 こども未来戦略では、今回の少子化対策で特に重視しているのは、若者、子育て世代の所得を伸ばさない限り少子化を反転させることはできないとしており、子供、子育て政策の範疇を超えた大きな社会経済政策として、構造的な賃上げや、男女共に働きやすい環境の整備、希望する非正規雇用の方々の正規化などに取り組むこととしており、若い世代の所得の向上と切れ目のない子育て支援の充実をいわば車の両輪として進めてまいります。

緒方委員 何か問題意識が伝わっているのか伝わっていないのか微妙なんですけれども、何と聞いたらいいのかちょっと悩んじゃうんですけれども。

 今、加速化プランというものがありますけれども、この中に、社会政策である少子化対策の要素というのはどういうところに盛り込まれているというふうに思いますか、加藤大臣。

加藤国務大臣 加速化プランにおきましては、若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てできる社会を目指しておりまして、三つの柱として、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援する、こういった三つの柱を掲げて、この理念の実現を図ることとしております。

 この三つの柱のうちの若い世代の所得を増やす、あるいはまた、社会全体の構造や意識を変える、ここにおきましては、少子化対策の要素が強いものと考えております。

緒方委員 私、子育て支援をすることを決して何か否定的に捉えているわけではないんですけれども、ただ、それと同時に、給付を増やし、無償化するものを増やせば、それにより少子化の解消に向けてしっかりと機能するというテーゼが本当に正しいのかなと思っているんですね。

 どうお考えになりますか、大臣。

加藤国務大臣 繰り返しにはなりますが、理想の子供の数を持てない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるですとか、これ以上育児の心理的、肉体的負担に耐えられないという回答の割合が高いので、こういった理由で子供を持つことをちゅうちょされている方々がいるとすれば、そのハードルを取り除くことによって、子供を産みたいけれどもどうしようと言っていたところを、よし、産もうというところの後押しになるというふうに考えております。

緒方委員 もう私、時間が終わりましたので、かみ合わない議論だったなという気がするんですが、最後、もう質問じゃないですけれども、私、実は以前から言っているんですけれども、ライフスタイルに中立であるということをよしとするというのは、例えば税制とかはそういうふうに言うんですけれども、だけれども、もう事ここに来たら、ライフスタイルに中立でなくて、特に第一子をできるだけ早くもうけることができるような方に、もうけたくなるような制度を、そういうふうな社会政策としての少子化対策というのをやるべきじゃないかと思ったんですね。それを聞こうと思ったんですけれども、余り何か有益なものにならなさそうな気がしたので、これで終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十六日午前八時五十五分から委員会を開会し、集中審議を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.