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第14号 令和6年2月26日(月曜日)

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令和六年二月二十六日(月曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。

 第一分科会(皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項)

   主査 牧島かれん君

      衛藤征士郎君    小野寺五典君

      平  将明君    山岸 一生君

      奥下 剛光君

 第二分科会(総務省所管)

   主査 宮路 拓馬君

      奥野 信亮君    渡辺 博道君

      井坂 信彦君    山井 和則君

      守島  正君    金城 泰邦君

 第三分科会(法務省、外務省及び財務省所管)

   主査 牧原 秀樹君

      金田 勝年君    塚田 一郎君

      平沢 勝栄君    奥野総一郎君

      藤岡 隆雄君

 第四分科会(文部科学省所管)

   主査 井出 庸生君

      岩屋  毅君    亀岡 偉民君

      大西 健介君    漆間 譲司君

      角田 秀穂君

 第五分科会(厚生労働省所管)

   主査 橋本  岳君

      越智 隆雄君    加藤 勝信君

      後藤 茂之君    早稲田ゆき君

      緒方林太郎君

 第六分科会(農林水産省及び環境省所管)

   主査 伊東 良孝君

      田中 和徳君    山本 有二君

      若林 健太君    小山 展弘君

      宮本  徹君

 第七分科会(経済産業省所管)

   主査 上野賢一郎君

      伊藤 達也君    古屋 圭司君

      階   猛君    米山 隆一君

      赤羽 一嘉君    田中  健君

 第八分科会(国土交通省所管)

   主査 佐藤 英道君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      島尻安伊子君    石川 香織君

      林  佑美君

令和六年二月二十六日(月曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    伊東 良孝君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      石原 正敬君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      越智 隆雄君    奥野 信亮君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      後藤 茂之君    田中 和徳君

      平  将明君    武井 俊輔君

      塚田 一郎君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    山口  晋君

      山本 有二君    若林 健太君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      石川 香織君   おおつき紅葉君

      大西 健介君    岡本あき子君

      城井  崇君    小山 展弘君

      神津たけし君    近藤 和也君

      階   猛君    堤 かなめ君

      野田 佳彦君    藤岡 隆雄君

      山岸 一生君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      早稲田ゆき君    青柳 仁士君

      池畑浩太朗君    奥下 剛光君

      斎藤アレックス君    高橋 英明君

      林  佑美君    守島  正君

      山本 剛正君    和田有一朗君

      赤羽 一嘉君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      赤嶺 政賢君    宮本  徹君

      浅野  哲君    田中  健君

      緒方林太郎君    吉良 州司君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (全世代型社会保障改革担当)           新藤 義孝君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小杉 裕一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門前 浩司君

   政府参考人

   (内閣官房サイバー安全保障体制整備準備室長)   小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      岩成 博夫君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   片桐 一幸君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    迫田 裕治君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    有馬  裕君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    青木 孝徳君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (観光庁次長)      加藤  進君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中嶋浩一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  加野 幸司君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     山口  晋君

  若林 健太君     石原 正敬君

  石川 香織君     野田 佳彦君

  山岸 一生君     おおつき紅葉君

  米山 隆一君     近藤 和也君

  奥下 剛光君     青柳 仁士君

  林  佑美君     山本 剛正君

  守島  正君     池畑浩太朗君

  金城 泰邦君     中野 洋昌君

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

  田中  健君     浅野  哲君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     若林 健太君

  山口  晋君     武井 俊輔君

  おおつき紅葉君    吉田はるみ君

  近藤 和也君     岡本あき子君

  野田 佳彦君     山田 勝彦君

  青柳 仁士君     奥下 剛光君

  池畑浩太朗君     高橋 英明君

  山本 剛正君     和田有一朗君

  中野 洋昌君     金城 泰邦君

  赤嶺 政賢君     宮本  徹君

  浅野  哲君     田中  健君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     宮路 拓馬君

  岡本あき子君     米山 隆一君

  山田 勝彦君     城井  崇君

  吉田はるみ君     堤 かなめ君

  高橋 英明君     守島  正君

  和田有一朗君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  城井  崇君     石川 香織君

  堤 かなめ君     神津たけし君

  斎藤アレックス君   林  佑美君

同日

 辞任         補欠選任

  神津たけし君     山岸 一生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小杉裕一君、内閣官房内閣審議官門前浩司君、内閣官房サイバー安全保障体制整備準備室長小柳誠二君、内閣府大臣官房政府広報室長廣瀬健司君、内閣府政策統括官高橋謙司君、公正取引委員会事務総局経済取引局長岩成博夫君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長片桐一幸君、警察庁刑事局長渡邊国佳君、警察庁警備局長迫田裕治君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、外務省北米局長有馬裕君、財務省主税局長青木孝徳君、国税庁次長星屋和彦君、厚生労働省保険局長伊原和人君、厚生労働省政策統括官鹿沼均君、農林水産省農産局長平形雄策君、農林水産省畜産局長渡邉洋一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、中小企業庁次長飯田健太君、国土交通省鉄道局長村田茂樹君、観光庁次長加藤進君、防衛省大臣官房長中嶋浩一郎君、防衛省防衛政策局長加野幸司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 本日は、能登半島地震、子育て支援、政治資金等国政全般についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石破茂君。

石破委員 おはようございます。

 総理、今日は二月二十六日ですね。昭和十一年、八十八年前、二・二六事件。いわゆる皇道派という陸軍将校が、千四百八十三名、下士官、兵士を率いて、高橋是清大蔵大臣あるいは斎藤実内大臣を殺害をし、霞が関、永田町一帯を占拠した二・二六事件から八十八年。

 この国会議事堂も占拠された。国会議事堂ができたのは昭和十一年の十一月ですが、もう二月二十六日には、国会議事堂は概成、ほとんどできておったんだそうです。この国会議事堂も占拠された。今我々がいるこの場所は、まさしく二・二六事件の現場の一つであったということであります。

 私は、二月二十六日が来るたびに、文民統制とは何なのだということを毎年考えます。文民統制とは何か。それはいかにしてクーデターを防ぐかということも大きな目的の一つだ。もちろん、我が自衛隊はそのようなことを考えている者は一人もいない、それは私は確信をしております。

 しかしながら、文民統制という言葉があるのは、やはり、民主主義というものは、その国における比類ない実力を持った集団である、普通でいえば軍隊、我が国でいえば自衛隊になりますかね、その下には民主主義というのは無力なものなのだ、したがって、司法、立法、行政、この厳格な統制が必要であるということだと思っています。

 二・二六は、当時、昭和天皇様は三十四歳であらせられた。大元帥としての昭和天皇は、この二・二六に激怒された。自分が近衛師団を率いてこれを鎮圧する、そうまで仰せになって、二月二十九日、その年はうるう年だったので二月二十九日というのがあったんだそうですよ、二月二十九日に事態は収束をするのであります。

 大元帥であり、ただ一人の主権者であらせられた天皇陛下の御決断。昭和天皇が大きな決断をされ実行に移されたのは、この二・二六を鎮圧するときと、昭和二十年八月十五日、玉音放送のとき、この二回であったと言われております。

 今の憲法下において陛下にそのような権限はもちろん与えられていない、お持ちではない。さればこそ、二・二六のときに、行政も立法も司法も全く無力であったということであります。

 今、我々は、もう一度、文民統制とは何か、それはひっきょう、軍とは何なのだ、警察とは何なのだ、自衛隊とは何なのだということをきちんと考える、そういうことが重要であると思っております。

 憲法改正が総理の大きな決意であるということはよく承知をいたしております。そこにおいて、やはり、軍とは何か、自衛隊とは何かということをきちんと議論することは私は必要なことだと思っております。

 これは、私は閣僚として何度も答弁をしたことですが、自衛隊は戦力ではない、戦力ではないから軍隊ではない。なぜ戦力ではないかというと、持っている装備も与えられている権限も必要最小限度であるからして戦力ではない。こういうロジックを使ってきましたし、今も基本的には維持をされているのだと思っています。

 しかし、必要というのは質的概念であり、最小限というのは量的概念だ。その質的概念と量的概念を混同するような、そういうような思考はもう一度考え直してみる必要があるのではないかと思っております。

 二・二六の今日、改めてそのように思っておる次第であります。これは御答弁は要しません。

 今日は、避難所の在り方、シェルターの在り方、食料安全保障の在り方、この三つについて総理のお考えを承りたいと思っております。

 総理、避難所の御訪問、誠に御苦労さまでありました。総理が現場を御覧になったとおり、今なお多くの方々が避難所で生活をしておられます。大変なことだと思っております。

 去年は、関東大震災から百年でありました。避難所の在り方というのは、もちろんいろいろな改善はなされているけれども、体育館に、言葉を選ばずあえて言えば、雑魚寝の状態であるということは、基本的に百年前と変わっていないのではないかということであります。

 スフィアハンドブックというのがありまして、これは、NGOとか国際赤十字とか赤新月社とか、そういうものが作った避難所の在り方等々のガイドラインのようなものであります。

 この物すごい大部なものであって、私はまだ全部全く読めていないのだけれども、これに何て書いてあるんだろうかと。そこにおいて、健康で良好な環境を得る、これは避難所に暮らす人たちの権利なのであるというふうに書かれている。そこにおいて、一人当たり確保されるスペースとか、トイレの数とか、男女別にきちんと分けられることとか、そういうようなことが事細かに書いてあって、これを求めるのは避難所に暮らす人たちの権利であると。そしてまた、権利があるからには誰かがそれに応える義務が必要ですよね。第一義的にそれは国家の義務であるというふうに、ここの人道憲章には書かれております。

 災害対策基本法によって、避難所の設置、運営は自治体の自治義務、市町村の自治義務というふうに定められておりますね。もちろん政府もこのスフィアハンドブックというのは承知をしていて、いろいろなガイドライン等々に言及もあります。

 しかし、総理が御覧になったとおり、そういうようなあるべき姿というものが実現されている避難所はそんなに多いとは思わない。ここをどう考えるかです。我々は、いつかは首都直下型地震に見舞われるだろう、そしてまた南海トラフに見舞われるだろうと言われています。それまでに、できる限り、避難所の在り方、そういうものを整備していかねばなりません。

 イタリアも地震国ですよね。イタリアで地震が起こると、じゃ、何が行われるか。早ければ即日、四十八時間以内にコンテナトイレがやってくる、そしてテントがやってくる、キッチンカーがやってくる、ベッドがやってくるということなんだそうであります。

 そして、避難所にはキッチンカーがやってきて、事前に登録したボランティアのシェフの方々がやってきて、イタリア料理のフルコースが出るそうです。ワインも出るそうです。何てぜいたくなというふうに考えるかもしれないけれども、家族も犠牲になった、家も壊れてしまった、仕事もどうなるか分からない、ある意味絶望のふちにある人たちを励ましていくために、そういうものは必要なのだという考え方であります。

 キッチンカーが幾ら、テントが幾ら、段ボールベッドは一つ一万円ぐらいのものなんだそうですね。そういうものをイタリアにおいては全人口の〇・五%、地震の蓋然性が高いシチリア地方には、そこの地域の人口の三%分の備蓄というものが行われているんだそうであります。だからそういうことは可能になるということだと思います。

 私はこういうことの整備というのはやっていくことは必要ではないかと思っていますが、そういうものを、じゃ、一体どこの予算でやるんだということになる。大災害があるたびに、予備費であり、補正予算であり、あるいは特別措置法であり、これが今の日本の政府のやり方であるし、私もそのようにやってきた。

 しかしながら、これから先の地震というものを一〇〇%防ぐなんてことはできるはずがなくて、そういう場合にどういうふうにやっていくかということを整備するということは必要なことだと思っていますが、総理の御所見を承りたいと存じます。

岸田内閣総理大臣 まず、避難所の環境整備を進めることによって、自分らしいそして人間らしい生活を確保する、こうした取組が重要である、これは言うまでもありません。

 そして、御指摘のスフィア基準でありますが、これについても、内閣府における避難所運営ガイドラインの中にあっても、参考にすべき国際的な基準であるという形で紹介をし、自治体の取組を促している、こうした形でスフィア基準についても我が国として大いに参考にしている、こういった現状にあります。

 そして、委員御指摘のように、被災した際にまずは住民の方々に最も身近な立場にある自治体が避難所を運営するわけでありますが、その避難所を国としてどれだけ支援をすることができるのか、こういった体制で被災した際への取組を進めていく、これが現状であります。

 今回も、物資的あるいは財政的な支援と併せて、各自治体間で応援要員を動員する、融通する、こういったことについても国としてしっかり取組を進めていく、こういったことを行った次第ですが、おっしゃるように、こういった体制ですとか状況については不断の見直しが必要である、これは御指摘のとおりだと思います。

 今後とも、スフィア基準を始め国際的な取組も参考にしながら、我が国の体制についても不断の見直しを行っていきたいと考えます。

石破委員 是非よろしくお願いいたします。こういうことはきちんとしたスケジュールにのっとってやっていかないと、間に合わないということが起こりかねませんのでね。

 例えば、アレルギーを持った人がいる。じゃ、アレルギーを持った人に、それにふさわしい食事を提供するというのも大事なことだと思う。女性のプライバシーをきちんと確保するということも大事なことだと思っている。それを求めるのは避難者の権利であり、それに一義的に応えるのは国家の責任であるということを私は改めて思うものであります。

 整備が遅れていることの一つに、シェルターがありますよね。この予算委員会の議論の中でも、麻布十番の駅、小池知事によってこれのシェルター化が行われるということが議論になりました。地下鉄の駅がそのままシェルターになるわけではない。そこに水があり、トイレがあり、発電機があり、ベッドがあり、そしてまた換気装置のコントローラーがあって、それで初めて避難所たり得るものであります。

 一九四〇年、ロンドンはナチス・ドイツの空襲を受けた。ザ・ブリッツと言われるものですね。そこにおいて、大勢の人が地下鉄に逃げ込んで、いろいろな身体の不調を来したということであります。イギリス政府は、これはいかぬということで、二十万人分の簡易ベッドを急遽整備をした。それはロンドンの博物館に行くと展示があります。

 じゃ、日本においてはどうであったか。昭和二十年三月十日、東京大空襲、一夜にして十万人が死んだ。終戦後、アメリカは、戦略爆撃報告というものを出している、何でこんなに大勢の人が死んだのかということを調査している。木と紙で家ができているから焼夷弾をまいたらあんなに死んだんだろうか、それだけではないと。日本の国には、昭和十二年制定、その後累次改定はなされていますが、防空法、空襲を防ぐという法律があった。そこに何て書かれてあるか。空襲が来たら市民は逃げてはならない、バケツリレーで火を消せ、地下鉄に逃れている者は地下鉄から出て消火活動に当たれ、こういうふうに書いてあるんですね。アメリカの戦略爆撃報告には、この防空法があったので大勢の人が命を落としたというふうに書かれてあります。

 今、我が国のシェルターの整備率は、数え方にもよりますが、〇・〇二%、ほとんどゼロです。実際、いろいろなものを備えたシェルターとして機能するのは、ほとんどゼロだ。

 私は、シェルターの整備というのは、国民保護というのは抑止力の大きな要素だと思っている。核ミサイルに対する抑止力というのは、一つはアメリカの拡大抑止がありますね。一つはミサイル防衛がありますね。どれもこれも完璧なものではない。しかし、撃てるものなら撃ってみよ、日本国民は一人も死なないのだということを示すことも大きな抑止力になるはずであります。

 このシェルターの整備が、イスラエル一〇〇%、スイス一〇〇%。ソウルに行ってみると分かりますね、地下鉄の入口にはみんなシェルターと書いてある。ソウルのシェルターの整備率三〇〇%、ソウル市民の三倍が避難できると言われております。

 なぜ、日本のシェルター整備はこんなに遅れているのだろうか。もちろん、我が国は、敗戦後、民主主義国家として、平和国家として発展をしてきた、それはすばらしいことだ。しかしながら、国民一人一人の命を守るのだという具体的な方策については、なおなお改善を要する点が多々あるのではないかと私は思っています。

 シェルターは、では、どこの省庁が主体となってそれを整備していくんだろうか、どこがそれを要求するんだろうか、国土交通省か防衛省か厚生労働省か、それも決まっていない。

 私は防災省というものにこだわるつもりはないのだけれども、地方創生大臣在任中に、次に質問される伊藤議員と一緒に、アメリカのFEMA、危機管理庁というものを訪れたことがあります。長官と長い時間議論をしました。このFEMAの役割というのは強大な権限を振るうことではない、全米どこにあっても同じような体制が取れること、一番必要なのは教育というふうに言っておられました。

 国民を保護するための専門のセクション。内閣府防災担当が物すごく一生懸命やっていることは百も万も承知をしています。しかし、そこは各省庁から職員がやってくる、二年か三年たつと帰っていく。そこにおいて、経験と知識の蓄積にはどうしても限界があるのだと思っていますね。

 私は防災省にこだわるものでもないけれども、国民保護を実現するための、避難所にしてもそうです、シェルターにしてもそうです、そういうような部局というものを創設する。復興庁は時限官庁ですが、それを基本に、更に発展させていくような考え方もあってしかるべきだと思っておりますが、総理の御所見を承ります。

岸田内閣総理大臣 まず、シェルターについて御質問いただきました。

 我が国をめぐる安全保障環境、戦後最も厳しいと言われている、こうした厳しい安全保障環境の中で、弾道ミサイル等の爆風の直接被害を軽減するという観点から避難所を設置する、国民の命や暮らしを守るという意味からも大変重要な課題であると認識をしています。

 それに対して、地下鉄あるいは地下街等の緊急一時避難施設の指定、これは進めてきたわけですが、御指摘のいわゆるシェルター、一定期間滞在が可能で堅牢な避難施設、これについては、昨年十一月、補正予算で設計の支援等に必要な予算を確保した、これが現状であります。今年三月末をめどに、こうしたシェルターに関しての、地域等に係る基本的な考え方、あるいは設計、構造に対するガイドライン、これを設定する予定です。

 その中で、委員の方から、担当官庁、これが整理されていないのではないか、こういった御指摘があります。それは問題意識を共有いたします。担当省庁の役割分担等も含めて、今言った取組を進めるに当たってどうあるべきなのか、これは考えなければならないと思いますし、そしてさらに、最後、FEMAについて御指摘がありましたが、防災も含めて、こうした体制を整備することの重要性が御指摘がありました。経験や知識を蓄積することはもちろん重要であります。

 そして、今の政府においては、内閣府の防災担当を中心に、発災した際に、それぞれの、政府全体の専門家をどう集約するのか、こういった機動的な体制を取っているわけでありますが、恒久的な省庁をつくるかどうかという議論は、委員中心に従来から議論が行われてきた、これは十分承知しています。こういった議論も、引き続き、どうあるべきかという議論の中で続けることは大事だと思います。

石破委員 これを早急に実現するということは必要だと私は思っています。

 最後に、食料安全保障について承ります。

 フードセキュリティーという言葉がありますよね。そのときに常に自給率という話が出てきますよね。だけれども、自給率というからには、何かが分母で何かが分子ですよね。分母というのは、その国で提供される食物のカロリー量が分母。分子は、その国で生産されるものが分子になる。

 ということは、分母が供給される熱量であるからして、供給ですからね、食べ残し、捨ててしまうもの、そして、飽食の時代と言われるが、食べ過ぎ、人のことは言えないが食べ過ぎになってしまうようなもの、これが分母になっているわけですよ。

 だけれども、安全保障というからには、分母は、生存に必要なカロリー量が分母であるべきじゃないかと私はずっと考えているんです。

 敗戦直後、餓死者も出ましたよね。でも、世界から食料を輸入できる状況じゃなかったから、あのときの食料自給率は一〇〇%のはずなんですよ。北朝鮮とかアフリカとか餓死者が多く出ている国、輸入できないんだから、自給率というのはこの計算でいくと高まるはずなんですね。それが幸せだとは誰も思わない。

 フードセキュリティーというからには、その分母は生存に必要な熱量というものであるべきじゃないか。そうすると、食料自給率は四六%ぐらいに上がるんですって。私、自民党ラーメン議連の会長をやっているんだけれども、ラーメンの自給率一四%。てんぷらそば二〇%、カレーライス四〇%。これで本当にいいですかということなんです。

 食料が途絶したときにどうするか。途絶すれば、石油も入ってきませんからね。肥料も入ってきませんからね。そのときに必要になるのは、いかに農地を確保するかということのはずなんです。日本はどんどん農地を減らしてきた、これでいいのか。

 水田を最大限に活用し、人口は減る、高齢化していくわけだから、米の消費が増えるとは残念ながら思えない。そうすると、米を世界に売るということを考えていかねばならぬのではないか。世界の米は八割が長粒種、二割が短粒種であることはよく承知をしていますが、今、パリにおいてもニューヨークにおいても、おにぎりがむちゃくちゃ売れているのですよね。

 日本の米を輸出していくためには、生産コストを下げていかねばならぬでしょう、単収も上げていかねばならぬでしょう。米の値段が下がっていくとすれば、主業農家に対する補償というものを考えていく。そういうような新たな米政策というものを考えていくことも今後重要ではないかと思っておりますが、御所見を承ります。

岸田内閣総理大臣 御指摘の米については、国内需要が減少する中にあって、国際市場の方は拡大しているわけでありますから、輸出の拡大を図っていく、これは重要な課題であると認識をいたします。

 そして、こうした認識に先立って、昨年十二月には、米の品目別輸出促進団体、こうした認定が行われて、海外における日本食レストランですとかあるいはおにぎり店を始めとする需要の拡大に取り組んでいる、こうしたことであります。結果として、昨年は、二〇一九年の米の輸出の二倍となる百五億円、こういった数字が記されています。

 そして、こうした取組の先を考えた際に、やはり国際競争力を高めていくために、農地の集積、集約ですとか、スマート農業の進展ですとか、米生産の効率性、生産性、これを何よりも高めていくことが重要であるということで、その取組を進めていく。御指摘の国際競争力を高めるという点においては、こういった取組を進めていくのが政府として重要であると認識をいたします。

石破委員 ありがとうございました。

 これを一つ一つきちんと出していくことが必要なことだと思っています。

 総理の連日の御精励に心から敬意を表して、質問を終わります。

小野寺委員長 この際、伊藤達也君から関連質疑の申出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤達也君。

伊藤(達)委員 おはようございます。自民党の伊藤達也でございます。

 私からも、今回の震災で亡くなられた方々に対して哀悼の誠をささげるとともに、被災をされている皆様方に対して、心よりお見舞いを申し上げます。そして、復旧復興のために御尽力をいただいている全ての関係者の方々に、心より感謝を申し上げる次第でございます。

 総理も一昨日、現場に入られたわけでありますが、生活やなりわいの再建のために、私自身も与党の一員として、引き続き全力で取り組んでまいりたいと思います。

 まず、震災とそして地域医療の強靱化について、武見大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 今回の震災の中で、ほとんどの病院がその機能を停止をする、そういう状況にありながら、和倉温泉の近くの七尾市にあります恵寿総合病院は、災害にありながらも医療を止めない、民間病院でありながら、災害拠点の公的病院の一・五倍の入院患者を受け入れて医療を続けてまいりました。このことは能登の奇跡と言われて、国内外から大変注目をされているわけであります。

 その背景には、医療を止めないという強い覚悟と準備、そして、創意工夫をして、努力をして、そして有事に対しての備えを重ねてこられた。こうしたすばらしい取組の中に、これからの医療の強靱化あるいは病院の強靱化に向けて、政府はいろいろなことを学ばないといけないと思います。

 武見大臣、どういうことを学び、そして、その教訓をこれからどう生かしていこうと考えておられるのか。また、病院の関係者はみんな被災しているんですね。その中で、ワンチームでこの取組をされてきた、その努力に対してどう応えていこうとされているのか、大臣のお考えをまずお伺いしたいと思います。

武見国務大臣 恵寿総合病院の神野理事長におかれましても、この震災発生直後にも私も御連絡を取らせていただいて、当時の状況と対応を伺いました。実際に、災害拠点病院でない民間病院においても、こうした災害時の事前の準備を周到にしておくことがいかに大切かという一つのモデルになっておられるというふうにそのときから思いました。

 このための備え、まずは、病院などがハード、ソフト両面の整備に平時から取り組むことがまず第一。今回の能登半島地震で、恵寿総合病院では、平時から、建物の免震化、それから院内システムを活用した情報共有などを進めておられました。速やかな診療機能の回復につながったものと承知しております。

 特に、透析患者などもたくさん受け入れておられましたから、一時は水不足で実際に金沢市の方に移っていただいたということもありましたけれども、水の確保ができると同時にまたこうした透析患者の対応も元に戻すということを迅速にやってくださっておられました。

 また、今回の地震で、オンラインの資格確認システムというものの活用がされまして、本人の服薬履歴などの確認が行われるなど、医療DXの災害対応にも大変に役立ったものと認識をしております。

 このように、今回の地震の教訓や経験を生かして災害への備えを行うことが重要であり、厚生労働省におきましては、災害拠点病院以外の病院も含めて、今年四月から始まる第八次医療計画の策定指針において、事業継続計画、BCPの策定や、耐震化、自家発電機等の整備などを求めておりまして、必要な財政支援を講じていく予定でございます。

 引き続き、目下の震災対応に全力で尽くして対応していくとともに、今後発生し得る大規模災害に向けて、災害時に必要な医療の提供体制の強化に向けて、平時からしっかりと取り組んでいきたいと思います。

伊藤(達)委員 今大臣からお答えのあった平時の強靱化に向けての備えというのは、民間病院の場合、その原資は診療報酬しかないんですよね。一方で、激甚災害で被災をした病院は、公的な補助で改修が行えるわけであります。自助努力というものを大切にしながら、備えをして、そして災害のときに医療を止めない、そうした病院を増やしていくことが非常に重要で、その病院を増やしていくための仕組みであるとか、あるいはインセンティブというものを考えていかなければいけないというふうに思います。

 能登のように人口減少が加速していく地域は日本全国にたくさんあるわけでありますので、そうした中で、ハード、ソフト両面で、これは選択と集中という視点も必要だと思いますが、強靱化を進めていく政策パッケージ、これを是非実現をしていくために、総理並びに厚労大臣の取組をお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、次の質問をさせていただきたいと思います。

 復興を支えていくためにも、経済の力を維持していかなければなりません。今、日本経済にとって最大の課題は構造的な賃上げであり、これを実現していくためには、雇用の七割を占める中小企業の賃上げが極めて重要でありますし、その鍵を握るのはやはり価格転嫁対策だと思います。

 党からも提言をさせていただいて、政府は、労務費の指針の策定、公表など、今までにない取組を進めてこられました。このことについては高く評価をしたいと思います。

 しかし、現実には、まだまだ道半ばでありまして、価格転嫁率もまだ五〇%に至っていない。これはつまり、中小企業は、五〇%以上負担を続けている、コスト上昇分の半分以上の負担を続けている、大変厳しい状況にあります。

 最近の調査では、約二割の人たちがまだまだ価格が据え置かれている、こういう状況にあるわけで、これは推計で、三十万社にも上るわけであります。この背景には、やはり下請企業にはコストカットの努力をしていけ、そういう古い意識、根強い慣習というのはまだまだある。それをやはり打破していくには、更に乗り越える一手が必要ではないかというふうに思います。

 そこで、総理、パネル一の資料を見ていただきたいんですが、これは下請代金法であります。通常支払われる対価と比べて著しく低い代金を不当に定めること、これを禁止をしているわけでありますが、これはまさにデフレ下の文章ではありませんか。二十年間、法律を改正をしていないわけであります。

 私は、もう制度改革の必要性を議論していくタイミングだというふうに思います。そのときに、総理、もう下請という言葉、やめませんか。中小企業を下に見るような、こういう表現に対する抵抗は非常に強い。中小企業、小規模事業者は、日本経済を支えている大切なパートナーです。そのことをしっかり示していくような、そういう改正を是非していただきたいと思います。

 厳格な法執行、そして迅速な運営指針の改正はもちろんでありますけれども、やはり法律の改正の必要性というのを今まさに検討していくべきだと思いますけれども、総理のお考えをお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭、委員から御指摘がありましたように、賃上げを実現するために、中小企業の価格転嫁が可能となるような環境を整備する、これは極めて重要な視点であります。

 そのために、公正取引委員会としても、独占禁止法と、そして御指摘の下請法、この二つの法律を駆使して厳正な対処を行っている、こういった次第であり、優越的地位の濫用あるいは買いたたき、こうしたことに対する周知啓発に努めるとともに、多数の取引先に対して協議することなく価格を据え置いた十三社の企業名を公表するなど、具体的な取組を進めているところでありますし、また、昨年十一月に、発注者、受注者双方の立場からの行動指針を定める、また、先月、一月二十二日には、政労使の意見交換会で、行動の徹底を産業界に強く要請した、こうした取組を進めているところであります。

 委員御指摘のように、まだまだ道半ばだったという御指摘、これもしっかりと受け止めながら、こうした取組、更に拡充していきたいと思います。

 そして、もう一つの、下請法のありよう、名称も含めたありようについての議論、これはまさに、発注者と受注者との関係、発注者が優越的地位にあるものとして外形的、画一的に取り扱って、保護される受注者の側を下請事業者と称してきた、こうした下請法の基本的な哲学そのものに対する問題意識だと受け止めています。

 そして、党においても、この問題について議論を開始したと承知しております。政府においても、取引慣行の実態ですとか、あるいは、先ほどの価格転嫁の実情、こういったことも検証しながら、御指摘の下請法改正の要否も含めて、幅広く検討を行ってまいりたいと考えます。

伊藤(達)委員 総理から今踏み込んだ答弁をしていただきまして、本当にありがとうございます。

 さらに、私は、総理のメッセージは極めて重要だと思うんですね。来月十三日、春闘については大企業が集中回答をします。その後、中小企業の労使交渉がスタートをするわけでありまして、このタイミングで政労使の会談を開いて、そして、名称の変更も含めて、制度改革の方向性を力強く政治のメッセージとして出していくことは、中小企業の賃上げにとって極めて大きいと思います。総理の考え方を更にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の法改正の議論についての考え方は先ほど申し上げたとおりですが、政府としても、これまでも、賃上げあるいは価格転嫁等について、経済界さらには労働界とコミュニケーションを図りながら取組を進めてきたところでありますが、特に、中小企業の賃上げ等に向けては、車座対話を行う、あるいは政労使の意見交換の場を設ける、こういったことで働きかけを強め、機運の醸成を強力に行ってきたところであります。

 そして、三月の中旬、政労使の意見交換の場等を通じての働きかけを行う、これも大変重要な観点だと思います。しかるべきタイミングで、経済界、労働界に対しても直接働きかけを行いたいと考えます。

伊藤(達)委員 総理もお触れをいただいたように、私たち自民党では、関係の調査会を開いて、制度改正についての議論を重ねております。来月の上旬には中間的な論点整理をさせていただきたいと思いますので、是非、そうしたことも参考にしていただきながら、中小企業の賃上げを後押しをしていただきたいと思います。

 次に、ゼブラ企業について質問をさせていただきたいと思います。

 総理、ゼブラ企業はもう御存じだと思うんですが、時価総額を重視をするユニコーンと対比をする概念として、社会的課題の解決と経済成長を両立する企業、これを白黒のシマウマに例えた概念でありまして、今世界から大変注目をされております。まさに新しい資本主義を担う主体だと私は思います。

 私がゼブラ企業に出会いましたのは、石破大臣の下で地方創生を担当させていただいているときに、地方の現場で、地域や社会の課題を解決をするために、補助金に依存するのではなくて、自分たちの事業モデルを磨いて解決をしよう、そういうチャレンジをする人たちにたくさん出会いました。能登にもそういう方々がおられます。

 こうしたゼブラ企業を育成をしていくエコシステムを形成をして、そして、日本がゼブラ企業の世界最大の大国を目指すということは極めて重要だと思いますけれども、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のゼブラ企業、経済の成長と社会課題の解決、この両立を図るゼブラ企業というもの、御指摘のように、新しい資本主義という考え方、まさに社会課題の解決を成長のエンジンに転換するという考え方に基づいて経済政策を進めているわけでありますから、こうした考え方に一致するものである、御指摘のとおりだと思います。

 この新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画は昨年六月に閣議決定をしておりますが、その中においても、ゼブラ企業、これはしっかりと位置づけております。また、今年三月には、ゼブラ企業を育成するエコシステムを地域で構築していくための基本方針、これを策定することを予定しております。

 こうしたエコシステムの策定等を通じて、これから、ゼブラ企業の活躍の場、環境の整備、政府としてもしっかり用意をしていきたいと考えております。

伊藤(達)委員 是非、日本の国家戦略として、政府全体でゼブラ企業の育成を進めていただきたいと思います。

 地域の課題や社会の課題を解決をしていく、そのインパクトを見える化をして、そこに資金を引き込んでいくことができれば、地域経済の活性化にもつながっていくわけであります。これをインパクト投資と呼ぶわけでありますが、このインパクト投資は、地域経済の活性化や地方創生に貢献するだけではなくて、脱炭素社会を実現をしていく、世界も注目をする投資の在り方であります。

 そこで、鈴木大臣に質問をさせていただきたいと思いますが、このインパクト投資はまさに黎明期でありまして、早期にグローバルな基本的な枠組みあるいは基準の策定というものを開始をして、世界に向けて積極的に情報発信を行って、具体的な投資事例を積み重ねていくべきだと思います。

 また、このチャンスに、この分野に関心を持つ人々を日本に集めて、そして、日本がリードをしてこのインパクト投資を進めていく、そのためには省庁を横断した強力な体制が必要だと思いますが、鈴木大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 一定の投資収益の確保を図りながら社会、環境的効果の実現を企図しますインパクト投資、これは、御指摘のように国際的にも注目をされておりますが、その定義につきましては、具体的な内容その他についてまだ議論の途上にあると認識をいたしております。

 金融庁では、このインパクト投資について、共通理解の醸成、浸透を図るための世界の議論を主導するために、昨年の六月、インパクト投資に関する基本的な考え方を示した基本的指針案を、日本語版のみならず英語版も作成をし、現在、本年三月末までの最終化を目指して作業を進めているところです。

 加えまして、昨年十一月には、投資家、金融機関、企業、自治体、関係省庁等が参画するインパクトコンソーシアムを立ち上げました。今後、海外の投資家等にも参画を呼びかけまして、グローバルな視点からもインパクト投資の議論を行える場を形成してまいります。

 この基本的指針やコンソーシアムを起点に、具体的な投資事例の発信や積み上げ等を通じた理解の浸透やノウハウの蓄積、また、イベントの開催を通じた人材の集積や参加者間のネットワークの形成、こうしたものを通じまして、日本におけます、我が国におけるインパクト投資に係る人材の育成、集積に取り組むとともに、国際的な議論にも貢献をしてまいりたいと考えております。

伊藤(達)委員 どうもありがとうございます。

 コンソーシアムの設立というのは高く評価をしたいというふうに思います。やはり、世界の多くの国々あるいは民間も巻き込んで、日本の提案を議論をして、改善をして、よりよいものをつくっていただいて、国内外に多くの実績をつくり上げていただく、そのためにも、政府を挙げての取組を更に進めていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、総理に資産運用立国について質問をさせていただきたいと思います。

 先月、私、訪米をいたしまして、金融機関の方々、金融関係者の方々と懇談をしてまいりました。総理が資産運用立国について積極的に発言をされている、そのことについて大変高い評価がなされているなということを実感をいたしたところであります。

 その中で、国内外からの資産運用業への新規参入を促進をするというふうに述べておられましたが、今まさにその成果を出すべきだと思います。そのためには、これは金融庁も指摘しておりますが、私自身は、日本の資産運用業について、三つの独占をやはり是正していくことが極めて重要だと思います。

 一つはインデックス、そして二つ目はシステムの独占。インデックスについては、資料にありますように、国内は日経二二五とTOPIX、そして海外では一つのインデックスで九〇%を超えて、手数料が上がっている。システムの問題についても、七〇%の寡占の状況になっております。

 是非、金融庁は公正取引委員会と連携をして、こうした是正に向けての対応をしていただきたいと思いますが、まず、この点について鈴木大臣から御答弁をお願いしたいと思います。

鈴木国務大臣 御指摘のように、三つの独占、寡占があるという考え、これは指摘があるところであります。

 まず、インデックスプロバイダーの課題ということにつきまして、我が国におきましては、パッシブ投資を行う投資信託が参照する株式指数等、これは一部の指数に集中をしております。この結果、指数提供者、インデックスプロバイダーに支払う使用料が一部で上昇をして、最終的に投資家のコスト負担の増加につながりかねないという指摘があることは承知をいたしております。

 こうしたインデックスプロバイダー間の競争を促す観点からは、使用料の水準に対する見える化を通じて競争を促すことが重要であるという意見がある一方で、見える化は逆に自由な価格交渉などの公正な競争を阻害してしまうといった意見もございます。

 加えて、多様な指数による競争を促す、また投資家への選択肢を提供する観点から、インデックスプロバイダーによって新たな指数が開発されること、これも重要であるという視点もございます。

 金融庁としては、これらの視点、意見を踏まえて、様々な指数やそれを活用する多様な投資商品が投資家に提供されるように、更なる環境整備を進めてまいりたいと思います。

 そして、二つ目の独占として、システムの寡占があるという御指摘でございますが、昨年十二月に策定いたしました資産運用立国実現プランでは、投資信託に関するシステムにつきまして、そのベンダーが少数に限られる中で、資産運用会社と販売会社がやり取りする価格や取引情報等についてデータ連携の互換性を確保していないために、日々情報交換のために運用会社が複数の端末を導入する必要があるといったシステム面での非効率的な環境や、そうした非効率的な環境から生じるコスト面における資産運用会社の参入障壁を是正していく必要性を指摘しているところであります。

 これを踏まえまして、金融庁といたしましては、今後、公正取引委員会などとも必要な連携を取りながら実態把握を行いまして、非効率的な環境の是正に向けて関係者と改善を進め、資産運用業への国内外からの新規参入や競争が促進されるように、環境整備に努めてまいります。

伊藤(達)委員 最後に、三つ目は年金運用の独占でありまして、もう言うまでもなく、GPIF、運用資産は二百兆円を超える巨大な存在であります。

 日本の金融市場の発展のために公的存在であるGPIFがどうあるべきか、総理のお考えをお伺いをすることができればと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のGPIFですが、まず、基本的に、年金積立金の運用、これは、年金積立金が被保険者から徴収された保険料の一部である、かつ将来の年金給付の重要な財源である、こういったことから、専ら被保険者の利益のために長期的な観点からこの運用を行う、こうした基本的な考え方に立っているわけですが、その上で、投資先や金融市場全体の持続的成長、これは長期的な投資収益の拡大にも必要であるという考え方に基づいて、スチュワードシップ活動ですとかESGを考慮した投資、また、新興運用業者を業歴が短いことのみをもって運用委託先として排除しない対応、こうした新しい取組を行っています。

 金融市場の発展を図り、そして成長と分配の好循環を実現する、これに当たっては、年金基金等のアセットオーナーの役割は極めて重要であると考えます。被保険者の利益のために長期的な観点から運用に取り組んでいく中で、それが金融市場全体の発展につながる、こうした結果につながることを期待したいと考えています。

伊藤(達)委員 ありがとうございました。

 資産運用立国は世界が注目をする国家戦略であり、だからこそ、今株価がこのような形で上昇しているんだと思います。これから、それだけに、しっかり競争促進的な政策を実現をしていただいて、その果実を国民が実感できるように、総理始め政府全体の取組をお願いをして、質問とさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小野寺委員長 この際、武井俊輔君から関連質疑の申出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。武井俊輔君。

武井委員 自民党の武井俊輔でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。関係各位、また地元宮崎の皆様に心から感謝をしながら質問をさせていただきます。

 まず、昨今の自民党の問題につきまして、国民の皆様に大変御迷惑をおかけいたしておりますことを、私からも心からおわびを申し上げたいと存じます。私も地元で、何しよっとか、自民党はもっとしっかりせぬか、そんなてげてげなことをしよったらいかぬといったような厳しいお声もいただくわけであります。毀損した政治の信頼は、総理のリーダーシップでというふうに思っております。心から御期待申し上げたいと存じます。

 私は、政治は、何よりも国民の生命と財産を守るということが重要だと思っております。今から十四年前でありますが、私の宮崎、地元を口蹄疫の惨禍が襲いました。当時、誤った政治主導のかけ声の下、三十万頭の牛、豚の殺処分という大変悲劇的な被害をもたらしました。

 忘れもいたしません、二〇一〇年の六月の一日でありました。冷たい雨の日でありましたけれども、当時の鳩山総理が宮崎に来られました。私は当時県会議員をしておりましたが、当時の赤松大臣から、毎日一万頭殺処分しろと非常に厳しい要求を受けて、大変な状況にあったわけですが、鳩山総理、総理が来られれば何とかなるだろうと思っておりましたし、鳩山総理も全力で対応するとおっしゃってはいただいたわけですが、翌日に辞任を表明されました。こんな無責任なことはないというのが、私が国政に進んだ決意でありました。

 総理には、これからも内外の課題に先頭に立って取り組んでいただきたいと心から御期待を申し上げます。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

武井委員 能登半島の地震についてお伺いをいたします。

 改めて、お亡くなりになられた皆様に御冥福をお祈りし、被害を受けられた方に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。

 政府を挙げて取り組んでおられる中でありますが、今なお多くの方が避難をされ、ふるさとを離れたところで暮らしておられるわけであります。

 総理も昨日、能登、穴水、輪島などをお伺いされたということでございますが、昨今、一部の議員の方の、小さな集落は復興よりも集住をみたいな議論も物議を醸したりしたわけでありますが、私は、政治は、なかんずく保守政治というのは、しっかりと、ふるさとに帰りたい、浜に帰りたい、もう一度仕事を、なりわいを復興したいという方に、しっかりとその状況に、元に戻すよう全力を尽くすのが役割だというふうに思っております。

 総理の御決意をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の地震の被災地においては、二次避難をされている方を始め多くの被災者の方々が、住み慣れた土地を離れて避難生活を送られています。一日も早く帰還を実現すること、これは極めて重要だと考えます。

 御指摘のように、先週末、私も被災地に二回目の視察に入らせていただきましたが、その際にも、避難所あるいは仮設住宅で過ごしておられる方々から直接お話を伺いました。改めて、住まいの確保、また、なりわいの再建の重要性、そして、住み慣れた土地に戻ってくるための環境整備、こうしたことの重要性を強く感じ、覚悟を新たにした、こういった次第であります。

 復旧・復興本部を司令塔として、生活となりわい支援のためのパッケージ、これを実現、実行していくことによって、被災者の帰還、そしてなりわいの再生、この実現に向けて責任を持って取り組んでいきたいと考えます。

武井委員 続きまして、能登の観光再生についてお伺いをいたします。

 私は、岩屋毅会長の下、党の観光振興議員連盟の事務局長をいたしておりますが、能登半島、特に和倉温泉は、非常に大規模な旅館も多く、甚大な被害が出ております。政府も北陸復興割など様々な対応をいただいているわけでありますが、復興には数年かかるのではないかとも言われております。

 再建できるのか、そしてまた、再建したとき人手はいるのか、様々な不安があるわけでありますが、能登の観光復興は、まさに長い時間、伴走型の支援が必要であると思いますが、斉藤大臣にその対応についてお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 私も、先日二十三日に、和倉温泉を始めとする観光施設と宿泊施設を視察してまいりました。改めて、私もその被害の大きさを実感したところでございます。

 観光事業者の離職防止のための支援としては、政府全体で取りまとめた被災者の生活となりわい支援のためのパッケージにおいて、今般の災害に係る雇用調整助成金につきまして、支給要件の緩和、助成率の引上げ、支給日数の延長を行う特例措置を講ずるということが盛り込まれております。

 国土交通省としましては、観光関連事業者に対して、従業員の雇用の維持、確保のため、この特例措置を紹介し、活用を促しているところです。また、地方運輸局に設置している特別相談窓口におきまして、関係省庁とも連携して、資金繰り支援や施設設備の復旧支援など、活用可能な支援策の紹介等を行っております。

 また、和倉温泉の現地に行きましたら、これからどう和倉温泉を再生していくか自分たちで考えようという、そのビジョンを話し合う場もできていると聞きました。ここにも国土交通省はしっかり参画させていただいて、復興に全力を挙げていきたいと思っております。

武井委員 是非、引き続き長い支援をお願いいたします。

 続きまして、生命と財産を守る法制度ということについてお伺いをいたします。

 昨年、私は外務副大臣をしておりましたが、アフリカのスーダンの内戦に伴う邦人保護の責任者として、ジブチで指揮を執ってまいりました。自衛隊の拠点の皆さん、そしてまたジブチの大塚大使、スーダンの服部大使を始めとする外務省のメンバーと一体となって、無事五十八人全員を退避させることができました。

 当時、電気は途絶し、携帯電話も不通になる中、どのタイミングで救援機を出すかなどの判断は非常に困難を極めたわけでありますが、最終的にその判断の大きな力になりましたのは、同志国との情報の共有でありました。そして、それができたのは、二〇一五年に通した平和安全法制があればこそであったというふうに思っております。

 私は、あの現場の責任者として、そういった法制がなければ、高いレベルの情報交換ができないわけであります。それであれば、タイミングが遅れて、全員の救出は極めて困難であった、これは断言できます。

 しかし、あの制定当時のことを思い出してみてください。野党の皆さんも、また一部マスコミの皆さんも、戦争法だと大騒ぎでありました。今なお安保法制廃止などを高く掲げる政党、そしてまた、その政党と同一の行動をする方もあるわけですが、間違いなく、あの法律によって、日本国民、また海外の邦人の安全性は確実に高まっている。私は、それは反対されている方にも是非分かっていただきたいというふうに思います。

 やはり、今は現実的な安全保障ということを掲げる政党もあるわけですが、是非、そういったようなことは、この平和安全法制にどう向き合うか、これは与野党を超えて極めて大事なことだと思っております。

 総理にお伺いをいたしますが、制定当時、外務大臣でもおられたわけですが、改めて、こうした平和安全法制の意義、価値をどのように認識されているか。また、あわせまして、当時、特定秘密、テロ等準備罪など、非常に難しい法律も通してきたわけですが、その後、その法案が通ったことによって、我々国民の生活と安全がどう高まったか。なかなかこういったようなことは報道もされないわけですが、その後のこういった意義や価値というものをしっかりと広報していく必要があると考えますが、御見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国の領土、領海、領空を守り、国民の生命財産、そして地域の平和と安定、これを断固として守り抜く、これは国の責務として最も重要な責務の一つであると認識をいたします。

 そして、御指摘の平和安全法制ですが、平和安全法制によって、日米同盟、まず、かつてないほど今強固な状況にあります。また、平和安全法制によって、安全保障、そして防衛協力の幅、これも着実に広がったと考えています。こうした平和安全法制に基づいて培ってきた環境をしっかりと活用することによって、地域や国際社会の平和と安定、ひいては我が国の国民の平和と安全に資している、このように感じています。

 そして、こうした法制度について、法律が成立した後、国民の皆さんに対してしっかりと説明をし、そして広報していくことが重要だという御指摘でありますが、まさにその点は同感であります。

 是非、実際にこうした成立した法律が運用され、そして、成果が上がっていることについても丁寧に説明を続けることによって、こうした法制度や制度が国民の幸せにつながっているんだという点について説明していく、政府の努力としてそういった取組は重要であると認識をいたします。

武井委員 是非、引き続きよろしくお願いをいたします。

 また、同じく昨年は、ALPS処理水の関係で、各国、特に太平洋島嶼国を数多く回ってまいりました。特定の国のプロパガンダもあって非常に苦戦はしたわけですが、最終的には大部分の国々の理解を得ることができました。これは、日本が今まで一つ一つの国に真摯に向き合ってきたからだということを実感いたしております。それは、ODAや無償資金供与、JICA、そして青年海外協力隊の皆さんなど、長年の取組なればこそだと思っております。

 しかし、昨今、日本がこうした資金援助を表明すると、主にネットなどで、そんなお金があれば国民に使え的な議論が見られ、特に一部のインフルエンサーと言われる方がそれをあおるような発言もしております。大変残念なことだと思っております。

 上川大臣も今まで、政治家として、司法外交を始め様々な国際協力に取り組んでこられたかと存じますが、国際協力の意義、価値についてどのように考え、そして伝えようとされているか、お伺いしたいと思います。

上川国務大臣 ただいま委員から御紹介がございましたが、ODAは我が国の外交の最重要なツールでありまして、この七十年間にわたりまして、多くの国々から信頼を寄せていただいている外交の中核となるものであると認識をしております。途上国を含みます世界の平和と繁栄に貢献するとともに、日本の国益を図る上でも大きな意義を有しているというふうに考えております。

 また、ODAが、税金、そして投融資という公的資金、これを原資としております以上、その意義や取組の内容につきましては国民の皆様に理解と御支持を得ること、これが不可欠であると考えております。

 そのため、ODAの広報でございますが、ホームページやSNSを使っての発信、動画コンテンツの制作、またイベント開催等を通じまして、幅広い層を対象に、分かりやすい政府広報に努めているところでございます。

 先ほど申し上げたとおり、今年は国際協力の七十周年という節目の年に当たります。例年にも増して様々なイベントを開催する予定でございまして、私自身、様々なチャネルを活用いたしまして、改めて国民の皆様に、分かりやすく丁寧な発信に努めてまいりたいと考えております。

武井委員 是非、大臣自らまた先頭に立って、積極的な発信をお願いしたいと思います。本当にこれは日本の国益に関わる大事なことだと思っております。

 済みません、ちょっと順番を入れ替えまして、農業の方を先にお伺いしたいと思います。

 現在、農政の憲法と言われます食料・農業・農村基本法の議論がされているところでありまして、今国会での改正が目指されているところであります。

 その中で、食料安全保障と並びまして、再生産可能な農業を目指すということが求められております。私の地元宮崎も施設園芸が非常に盛んなわけでありますが、肥料や資材の高騰、そしてまた販売価格の低迷、また二〇二四年問題による物流など、課題は山積しております。

 要するに、農業で生活ができる、適切な利益が出て、来年も頑張ろうと思える、子供や孫に後を継がせようと思う、そういった農業でなければならないというふうに思っております。

 総理にお伺いをいたしますが、今日も多くの農業者の方が御覧になっていると思いますが、今回の法改正によりましてこうした再生産可能な農業が守られるということについて、力強いメッセージをお願いしたいと存じます。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、農業の持続可能性を高める、こうした目的のために、農業に関わる方々が希望を持って営農を続けたい、また子供に継がせたい、こうした思いを持てるように農業の魅力を高めていくこと、特に、安心して働ける所得が確保される環境を整えていくということ、これが重要であると認識をいたします。

 こうした考え方に基づいて、御指摘の食料・農業・農村基本法の改正の取組を進めているわけですが、この改正を通じて農政を再構築し、スマート技術の導入等による生産性の向上、あるいは農産物のブランド化、環境に優しい農業の実践、こういったことによって付加価値を向上させるということ、さらには、市場拡大に向けた輸出を含む販路の開拓、こうした取組をしっかりと後押ししていきたいと考えています。

 これらを通じて、農業が更に魅力ある営みとして持続的に発展できるよう、政府としても後押しを続けていきたいと考えております。

武井委員 続きまして、子牛の生産についてお伺いをいたします。

 宮崎県、鹿児島県などは非常に子牛の生産のメッカでありますけれども、パネルを御覧いただきたいと思います。

 これは宮崎県の子牛の競り値、競り値が赤ですね、緑が餌の価格でありますけれども、是非御覧いただければと思いますが、コロナ禍もあって、非常に今厳しい状況になっております。少し上向いてはきておりますが、非常に、餌の値段の高止まりなどは、見ていただければお分かりいただけると思います。

 次は、私の地元のJA宮崎中央のものでございますけれども、これもやはり同じような状況。今お声もありましたが、これは宮崎のみならず、九州全域の状況が非常に厳しくなっているわけであります。

 確かに、政府として様々なお取組をいただいております。令和二年度四半期からで五千六百六十億円、国費だけでも二千百億ということで、また、更新対策、年を取った牛の更新なども含めて、総合的に対応はいただいておりまして、少しずつ改善のトレンドはあるわけですけれども、私も、毎月この競り市に伺いますと、悲痛な声を多く伺います。和牛はまさに日本の財産と言っていいものでもありますが、このままですと繁殖基盤の維持が難しいというのは火を見るよりも明らかであります。

 農水大臣にお伺いをいたします。

 畜産、なかんずく、子牛の生産が今後もしっかり維持されるということについての努力と御決意をお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 配合飼料の高止まりでコスト増、一方で、やはり物価上昇に伴う生活防衛による枝肉価格の下落、こういったもので、非常に厳しい子牛農家の状況である、繁殖農家の状況であるとは思います。

 ただ、昨年十月、五十万円まで下落をいたしましたけれども、その後上昇に転じまして、今年の二月には五十七万円まで上昇いたしております。

 そういうことで、アメリカのトウモロコシの豊作もありまして、トウモロコシの価格は下落傾向にありますので、今後の配合飼料の価格、こういったものには注視をしていきたいというふうに思っております。

 それから、子牛の価格につきましては、保証基準価格が五十五万六千円でございますけれども、それに補給金あるいは臨時対策の支援金、こういったもので大体八万円交付をしております。

 何とか、皆さんたち、それぞれの経営を維持されていると思いますけれども、今後もしっかり、繁殖農家そして肥育農家共々に支援をしてまいりたいというふうに思っております。

武井委員 引き続き、力強い御支援をお願いしたいと存じます。

 続きまして、整備新幹線についてお伺いをいたします。

 来る三月十六日、北陸新幹線の延伸がございます。現在、この残余区間、また北海道、西九州、三区間の整備はされているわけですが、その後の整備は未定となっております。

 しかし一方で、整備新幹線計画は昭和四十八年に策定され、現在、五十年以上たっているわけであります。

 パネルを御覧いただきたいと思います。

 九州でも、当時の計画以外にも、各自治体で独自に、小倉から北九州空港、また大分の久大線ルート、そしてまた私ども宮崎でも、これは高速道路に沿っているわけですが、熊本県の新八代に至るルートが、今現在の県議会に調査費が計上をされているところであります。

 もちろん、既存のルートの検討も必要でありますが、こうして人の動きも大きく変わってきているわけであります。こういった新たな動きを国としてどう捉え、今後の整備計画の在り方をどう考えておられるか、お伺いをいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 新幹線ネットワークは、交流の促進、産業発展、また、観光立国、地方創生、重要な役割を果たしております。そして、何といいましても、災害時の代替輸送ルートの確保など、国土強靱化の観点からも非常に重要です。

 こうした重要性に鑑み、順次新幹線ネットワークが整備されてきており、来月三月十六日には、北陸新幹線、金沢―敦賀間が開業予定となっております。

 今後の新幹線整備につきましては、まずは、北海道、北陸、九州の各整備計画路線の確実な整備にめどを立てることが最優先でございます。その上で、基本計画路線につきましては、全国から御要望をいただいているほか、先ほど武井委員がいろいろお示しになりましたような、各地域において様々な調査が行われておりまして、例えば東九州新幹線に関しても、複数のルートについて熱心な議論が行われている、このように承知しております。

 国土交通省としても、幹線鉄道ネットワーク等に関して調査を行ってきておりまして、全国の各地域から御要望をいただいている、基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等の今後の方向性について、引き続き調査検討に取り組んでまいります。

武井委員 ありがとうございます。

 やはり非常に県民の皆さんの関心も高く、新幹線がない地域にとっては極めて、我々にとって将来の希望に関わることですので、引き続きの調査検討をお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて石破君、伊藤君、武井君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 兵庫八区選出、公明党の中野洋昌でございます。

 冒頭、能登半島地震で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げ、質問に入らせていただきます。

 最初のテーマは政治資金問題についてであります。

 総理、今回の自由民主党の派閥の政治資金問題については、私も、地元の尼崎市を回っておりましても、本当に厳しい声、政治家は本当に情けない、こんなことでは何を言っても信用できない、こういった厳しいお怒りの声をいただいております。

 政治の信頼を取り戻すため、まずは、自由民主党として実態を把握し、説明責任を果たしていただく、これは当然のことであると思います。その上で、こうしたことが二度と起きないように、政治資金規正法を厳しく見直していくことが立法府としての責務であると考えます。

 パネルを出していただければと思うんですが、我々公明党は一月十八日に政治改革ビジョンというものを既に提言をさせていただいておりますので、今日はこれを踏まえまして質疑を行わせていただきます。

 先日、自民党の聞き取り調査の報告書がまとまったところであります。報告書では、当然、再発防止ということで、法令遵守を徹底しないといけない、これが提言されましたが、この法令遵守の強化だけでは不十分だという提言であります。不正に対する抑止力、ペナルティーの強化が必要である、こういう提言なんです。

 どう強化するか。私は、もちろん自民党内で罰則を強化していただくということも当然あると思いますけれども、やはり法律としてペナルティーを強化すべきであるというふうに考えます。

 この国会でも何度も議論されてきましたが、今の政治資金規正法は、会計責任者の選任及び監督、選任と監督双方について注意を怠れば違反になるということで、逆に言うと、選任をちゃんとすれば監督は不十分でも直ちに違反にはならない、こういう理解をしています。しかし、これでは政治家に対する抑止力に果たしてなるのかということだと思います。

 報告書の提言も踏まえ、改めて総理にお伺いしますが、このペナルティーの強化、私どもは、会計責任者の選任又は監督、つまり、会計責任者の監督について相当の注意を怠った場合にはやはり罰金刑に処す、こういう改正が必要なのではないか、こう考えておりますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、政治資金が政治資金規正法にのっとって扱われるのは当然のことであり、そして、仮に違反した場合には厳正な対応が可能となる、このことによって抑止力を高めるということは大変重要な論点であると考えます。

 この点について、一定の悪質な違反の場合に、会計責任者のみならず議員本人も責任を負うべく法律改正を具体的に検討する、こういったことについては、自民党においても、党の政治刷新本部の政治資金に関する法律整備検討ワーキングチーム、このワーキングチームにおいて検討するよう私の方からも指示を出しているところであります。

 そして、論点につきましてはこの委員会の中でも様々な議論が行われてきました。その中で、例えば連座制という議論が行われています。公職選挙法の連座制をそのまま導入するということになりますと整理しなければならない課題もある、こういった議論も行ってきたところでありますが、御党の案については、公職選挙法のような連座制ではなく、会計責任者の監督等に関する議員の過失の有無を個別に認定すること、これを前提とした上でより厳格な責任体制の確立を目指す、こういった案であると理解しております。事案の態様に応じた責任追及が可能となる、こういった点において参考になるものであると考えます。

 いずれにしましても、自民党としても、法律改正の具体案を取りまとめ、今国会での法改正を目指して各党各会派と議論を進めてまいります。

中野(洋)委員 総理、この点について参考になる、そして自民党にも検討するよう指示をしているとおっしゃっていただきました。私は、一歩前進していると思います。

 角度を変えてもう一度同じ論点で確認したいのですけれども、政治資金規正法において、ペナルティーの強化という意味では、政治家の監督責任が何らかの形で認められないと抑止力が働かないと思います。

 どういう団体が対象か。例えば、政党支部や資金管理団体など、国会議員自身が代表である団体については、少なくとも、誰がどう見てもこれは相当の注意を怠っている、そういうケースだ、そういうこともあろうかと思います。何らかの形で監督責任を考えていかないといけない、そういう必要性を総理御自身はお認めになっている、こういうことでよろしいでしょうか。もう一度確認をさせてください。

岸田内閣総理大臣 御党の案は、選任又は監督のいずれかでとなっております。要は、選任及び監督ではなくして、選任又は監督という点、これがこの案のポイントであると認識いたします。こういった点も、御指摘の監督という部分も含めて、そして今申し上げたポイントも含めて、この議論において参考になる案であると申し上げた次第であります。

中野(洋)委員 法律改正の中でも極めて重要な部分だと思います。参考になるとおっしゃっていただいたのであれば、これは是非、自民党としても早期に方針をまとめていただきたい。総理はさっき、指示も出していただいたということであります。今国会で必ず法改正ができるようにしていただきたい。改めてお願いを申し上げます。

 もう一つの提言、自民党の提言で出ましたのはモニタリングの強化ということでありまして、特に、透明性、客観性の確保のためには自民党の外の目を入れることが重要だということを提言され、私はこれは非常に大事だと思います。

 もちろん、外部監査を強化するとかいろいろなやり方はあるんですけれども、ここで提言を我々がさせていただいたのは、より抜本的な対策の案であります。それは、第三者が政治資金の監督を行う仕組みを導入するということであります。

 例えば、アメリカでは、ウォーターゲート事件を機に、連邦選挙委員会という独立の政治資金監督機関が設立されました。これは実は、収支報告書を管理するだけではなくて、監査も行う、調査も行う、そして処分もする、こういう独立の機関であります。私は、こうした第三者による政治資金の監督の仕組みを検討すべきではないのか、こういう提案をさせていただきます。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども紹介させていただきました自民党の法整備に関するワーキングチームに対する指示ですが、先ほど申しましたように、政治家自身の責任を厳格化するという点と併せて、外部監査の導入、あるいはデジタル等を通じた資金の透明化など、これを自民党の中だけではなくして、法律というレベルにしっかりと落とし込んで政治改革を進めるべきである、こういった指示を出しています。

 そして、その中で、委員御指摘のようなFEC、アメリカの例を引かれましたが、これは、外部の監査、より強固な組織をつくって対応すべきである、こういった御指摘だと思いますが、このFECについては、収支報告書の公開、あるいは法令遵守の確保、これを総括的に担っている、そして、問題が発生した場合、実質的な調査権も持っている、こうしたものであります。

 これに対して、我が国は、総務省及び都道府県の選挙管理委員会は実質的な調査権は有していない、形式審査を行う、こういったことでありますが、これは、我が国の政治資金をめぐる議論の中で、行政庁の関与、すなわち国家権力が政治にどの程度関与するのか、その国家権力の関与は必要最小限にとどめるべきである、こういった議論が積み重ねられた結果、現状に至っていると認識しています。

 いずれにせよ、御指摘のような機関を設置するということになりましたならば、政治活動の自由とも関わる問題でありますから、この機関にどのような権限を持たせるのか、さらには、この機関に独立性をどの程度持たせるか、さらには、それをどう担保するか、こういった点について御議論をいただくことが必要になるのではないかと考えております。

中野(洋)委員 総理がおっしゃるとおり、アメリカのFECの制度、いろいろな論点がもちろんあり、そのまま日本に持ってこられる制度なのかというと、私も、制度が日本とアメリカとは大分違いますから、経緯も違うということも十分理解いたします。

 ただ、その上で、今回、政治資金規正法の考え方の根幹として、収支の状況を明らかにして国民の皆様に判断をしていただく、この収支の状況が明らかにならない、こういう大変ゆゆしき事態だと思っております。ですから、こうした抜本的な対策ができないのかということも含めて、いろいろ検討しないといけない、本当に大きな問題ではないかということで提言をさせていただきました。

 そして、最後に、この聞き取り調査報告書、なぜこのような事案が起きたのか、そして、なぜそれが是正できなかったのか、個々の議員の支出は本当に適正なのか、私は、この報告書だけではこれが分からない、説明責任は十分に果たされていないのではないか、このように思えてなりません。

 今週、政治倫理審査会を開催すべく、今調整がなされております。まず政倫審においてしっかり説明責任を果たすということであります。ですから、自民党の総裁として、説明責任の果たし方、そして政治改革の進め方、これをどうするのか、是非、最後、総理にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、聞き取り調査をもって実態が十分把握できたというものではないと認識しております。だからこそ、聞き取り調査以外にも、アンケートを始め様々な取組等を通じて党としても実態把握に努めているということであります。しかし、何といっても、実態把握においては、最も実態をよく知る関係者、当事者の説明が重要であるということで、政倫審の議論においても、既に五名の衆議院議員が説明を行う、こうした判断をしていると承知しております。

 手続について今まさに国会で調整が続いているということでありますが、是非党としてもしっかりと説明責任を果たしてもらいたいと思いますし、そして、これからも様々な場を通じて説明を尽くしてもらうよう促していかなければならないと思います。そして、説明責任を果たしてもらうとともに実態把握を行い、その上で政治責任について党としても判断していかなければならないと思います。

 説明の在り方、そして把握された実態に即して政治責任についても党として判断していく。そして、それと並行して、先ほど委員が御指摘になられたような、再発防止に向けて、法改正の議論にもしっかりと臨んでいかなければならない。こうした取組を進めることによって、少しでも政治の信頼回復に向けて努力していかなければならないと強く感じております。

中野(洋)委員 総理、早くこの問題に対応して、この国会では国民生活にとって重要な様々な議論をしていかないといけないと思います。説明責任を果たす、政治資金規正法を改正して再発防止をする、これが一刻も早く実現できるよう、是非総理にはリーダーシップを発揮していただかないといけないと思います。改めてお願いをしたいと思います。

 次のテーマに移らせていただきます。子供、子育て政策、特に支援金制度に関して何問かお伺いをさせていただきます。

 先日、日本総研が推計を出しまして、出生数が昨年は約七十二万人、過去最少ということであります。まさに少子化対策待ったなしであります。

 公明党は一昨年、子育て応援トータルプランを提案させていただき、これを様々政府でも反映していただいて、政府でも、加速化プラン、三か年で三・六兆円というものを決定していただきました。この財源でありますが、二・六兆円は歳出改革などということであります。残り一兆円が支援金になっております。

 この支援金制度は、子育て世帯の給付を大きく拡充するために導入されると理解しておりますが、現場を回って感じますのは、支援金がどうなるかという点は注目されておりますけれども、そもそもどういう支援が拡充されるのかという全体像が余り伝わっていないのではないか、こう感じております。

 今日は、加速化プランの内容につきまして、こども家庭庁からの資料を基にパネルを作成させていただきました。

 まず、加藤大臣にお伺いしたいんですけれども、支援金が何に使われるかは法律で決めると理解しています。つまり、ほかの予算には勝手に流用できない、必ずこれに使われるということは理解しています。何の事業に充当されるのか、御説明をお願いできますでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今般、子供、子育て政策の抜本的強化を支える安定財源の一つとして導入される支援金制度は、子育て世帯に対する確かな経済的支援となる児童手当の抜本的拡充や、妊娠、出産時の十万円の給付の制度化、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援する取組としてのこども誰でも通園制度、共働き、共育てを推進する経済支援として、両親とも育休を取得する場合に手取り十割を実現する出生後休業支援給付、育児時短就業給付、自営業、フリーランスの方等の育児中の国民年金保険料免除に充当することとしております。

中野(洋)委員 先ほど大臣が御説明されました、一つは、今まで手薄だった妊娠、出産時、そして〇―二歳のところですね、共育て、共働き、育休や時短の新たな給付、こうしたところにしっかり充てられる。そして、もう一つは児童手当。所得制限をなくした、高校三年生まで、全ての子育て世帯にとって大きな給付の拡充を行う。そして、支援金の導入は令和八年度以降ということでありますが、それに先行して六年度、七年度はこの給付の拡充を先行して行う、こういう制度だと理解しています。

 そして、支援金制度ですが、令和八年度に月額で平均三百円弱、九年度に四百円弱、十年度に五百円弱、こういう数字が出ておりますが、あくまで加入者一人当たりの平均額だと思います。同様に、これだけ給付を改善するということでありますので、例えば、総額を子供一人当たりでならすなどして金額を示すことは可能ではないかと私は思います。

 更に加藤大臣にお伺いしますが、少子化対策について皆様に理解していただくためにも、支援金が導入されることでどれぐらい給付が改善されるのかという姿を改めて示す必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げた児童手当やこども誰でも通園制度等の支援金を充てる事業について、子供一人当たりの給付拡充の額を算出しますと、平均約百四十六万円となります。これは、年間の給付総額を対象となる子供の数で割って算出したものであります。なお、児童手当につきましては拡充分のみとしております。

 特に、〇―二歳の期間につきましては、妊娠、出産時の十万円給付や、共働き、共育てを推進するための経済支援等により、平均五十一万円に相当する給付、また、児童手当の高校生年代への延長が行われる十六歳から十八歳の期間につきましては平均四十七万円に相当する給付となり、子供、子育て世帯の方々にとりましては、拠出額を上回る確かな支援拡充になると考えております。

中野(洋)委員 今、数字も出していただきました。あくまで平均的な値ですので、それは平均だ、全員がこの数字ではないというふうには理解いたしますが、しかし、子育て世帯にとっての支援の拡充の確かなイメージであるというふうに思います。

 この支援金制度は、全ての世代、全ての経済主体が子育て世帯を支える新しい分かち合いの仕組みだと理解しております。総理も、歳出改革等によって社会保険料負担の軽減効果を生じさせる、その中で実質的な負担は生じさせないようにすると再三おっしゃっていただいておりますけれども、そもそも、その前提として、若い世代が結婚したい、子供を持ちたいという意欲が今大きく低下している、こういう大変に厳しい状況にある。

 こうした希望をかなえる少子化対策が必要なんだ、こういう少子化対策の必要性であるとか、あるいは、少子化対策を実行するために必要な支援金制度の意義そのものを、例えば高齢者の方であるとか子育て世帯以外の世帯も含めてしっかりと説明をしていただいて理解を求めていくべきではないか、このように考えますが、改めて総理の答弁を求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、子供、子育て政策を進めるに当たって、支援金の問題、もちろんこれも大変重要な問題ではありますが、そもそも何のためにこういった政策を進めるのか、この点を強調しなければ国民の皆さんの理解にはつながらないと思います。

 この部分、何のためにやるのか。今、我が国の人口減少、少子化は大変深刻な状況にある、このままでは我が国の経済や社会そのものの持続可能性に関わってしまう、そういったことから、国民全体でこの制度を支えることが重要であるという点、そして、どれだけの恩恵があるかということについて、先ほど加藤大臣から一端を紹介させていただきましたが、その効果についてもしっかり説明していく、こういったことは重要でありますし、社会全体で支えるということになった場合、例えば、高齢者の方であっても、その高齢者の方々の生活を支える保険制度の持続可能性を維持するためにも、人口減少に対して歯止めをかけていく、大変重要であるということを説明するですとか、あるいは、事業者の方々にとっても、雇用を確保する、そして市場を維持していく、こういった観点からもこの取組を続けることが事業者の立場からも重要である、こういった説明を行うなどを通じて、この取組が社会全体、社会を構成するあらゆる人々にとって意味があり、そして、今取り組まなければ将来の持続可能性につながってしまう、こういった問題であるということを強調することが何よりも重要だと思います。

 こうした意義をしっかり説明した上で、支援金等についても、どのような状況にあるのかを丁寧に説明していく、これを併せて説明することの重要性を改めて強く感じ、これからも努力いたします。

中野(洋)委員 個別の法案の審議、これから子ども・子育て支援法等、様々議論もあるかと思います。給付と支援金の在り方はより具体的に示していただかないといけない、国民の皆様にとって分かりやすい議論を進めていかないといけない、このように思っておりますので、更なる御説明を是非お願いしたいと思います。

 時間も限られてまいりましたので、少子化対策に加えまして、誰一人取り残されない社会の実現というのがこども家庭庁の非常に大事なテーマだと思っております。

 先日、加藤大臣は、私の地元の尼崎市に来ていただきまして、子どもの育ち支援センターあるいはユース交流センター、こうした困難を抱えた子供、若者の居場所づくりであるとか、あるいは、教育と福祉が連携して、支援が必要な子供たちに一刻も早く手が差し伸べられるような、今、尼崎市ではこういういろいろな取組、チャレンジをしておりますけれども、見ていただきました。これは政府全体として強力に後押しをしていただきたいと思います。

 こうした誰一人取り残されない社会の実現に向けた政府の取組を加藤大臣に答弁いただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、誰一人取り残されない社会の実現に向けて、全ての子供が安全、安心に過ごすことができる多様な居場所をつくることや、また、教育と福祉の連携の強化に取り組むことは必要不可欠と考えます。

 このような考えの下、令和五年度補正予算におきましては、支援を必要としている子供の早期発見、早期対応につなげる地域こどもの生活支援強化事業を創設し、様々な困難を抱えた子供の居場所づくりや地域の連携体制の強化を図っているところでございます。

 また、教育と福祉の連携につきましては、先日、先ほどおっしゃっていただいたように、私自身、兵庫県尼崎市、委員のお膝元にお伺いをし、分野を超えてデータを連携させることを通じて支援が必要な子供や家庭を早期に把握し、その後のプッシュ型、アウトリーチ型の支援につなげることを狙いとしたこどもデータ連携の取組について、先進的な事例をお聞かせをいただきました。

 こども家庭庁では、尼崎市を含む全国十四自治体に御協力をいただき、こどもデータ連携の実証事業に取り組んでおります。今後、実証事業で得られた知見等を基にガイドラインを作成し、困難を抱えた子供等を適切な支援につなげる取組について一層推進してまいります。

中野(洋)委員 ありがとうございます。是非、政府全体でいろいろな自治体の取組を後押ししていただきたいと改めてお願いをいたします。

 最後に、残り三分ですので、持続的賃上げにつきまして質問いたします。

 物価高に負けない賃上げを実現するため、昨年来、三月の春闘に向けた取組を進めてまいりました。今日も議論になりましたが、政労使会議等も中央で開催していただいておりますが、私も、地元の尼崎市は製造業を始め中小企業も大変に多い町でありますが、価格転嫁が十分に進まないけれども、人材確保のために防衛的な賃上げもせざるを得ない、こういうお声が上がっております。

 日本商工会議所も先日アンケート調査を発表しておりまして、賃上げをしたいという中小企業の割合は昨年から三%以上上昇しておりますが、そのうち約六割はこうした防衛的な賃上げである、大変に業績は厳しい、こういうお声もいただいております。

 特に、地方や中小零細の企業になればなるほど難しいんじゃないかと思いまして、これを是非地方から進めていただきたい。そのために、地方版政労使会議を各都道府県で開催していただいております。私の地元の兵庫県でも開催されました。これを全国で是非開催して、地方から価格転嫁の機運を高めることは非常に大事だと思います。

 最後にこの点について厚労大臣に御答弁いただければと思います。

武見国務大臣 御指摘のとおり、持続可能な賃上げ実現に向けて、労務費の価格転嫁に関する指針を地方版政労使会議の場で周知することを努力しております。既に、昨年十二月から始めまして、二十七か所でやっておりまして、この二月、三月、春闘の時期に合わせて集中的にこれを全国で実施することになっております。これによって、地方及び中小企業に対する賃上げの流れというものを確実にしていくという努力を進めたいと思います。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 経済産業大臣に来ていただいて、答弁できずに大変申し訳ないんですけれども、持続的な賃上げはこの政権の非常に大事な三月の春闘に向けてのテーマだと思います。中小企業を後押しするのは経済産業省の大事な仕事でありますので、是非それを経済産業大臣には最後にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。

 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 立憲民主党の野田佳彦でございます。

 今日は、総理に、政治と金の問題を中心に質問させていただきたいと思います。

 総理と私は同い年で、しかも九三年の同期当選でございます。

 九三年、総選挙は、最大の争点は政治改革でございました。リクルート事件を受けて、どのように政治を正していくか、当時、当選をした若手も本当に熱っぽく議論を続けました。今日の予算委員会のメンバーでも、もう既に質問された石破さんとか伊藤達也さんとか、岩屋さんとか赤羽さんとか、随分若手が奮起して議論をしていましたね。

 残念ながら、私は、総理とは同期で、しかも、当選した後の、割り振られた国会のいわゆる会館の事務所は七階の隣同士だったんですけれども、余り接点がなくて、政治改革の議論は余りしなかったような気がしますので、思い返しながら議論を進めたいと思うんですが、私は、やはり政治改革を進めるには、自身の経験も踏まえて、深い反省の下に改革を進めていくというのが基本だと思うんです。

 まずお尋ねをしたいのは、九三年、政治改革国会が始まり、九四年に政治改革関連法ができました。当時と今日の、今の、また三十年過ぎて不祥事が起こったわけでありますけれども、三十年たった今、どのような感慨を総理がお持ちなのか、まずはお尋ねをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の三十年前の議論ですが、当時、中選挙区制度に関わる様々な政治の弊害について中心に議論が行われ、そして、選挙制度は改革され、派閥を始め様々な議論についても一定の改革が行われた、こうした大きな改革であったと振り返っています。

 しかし、その後、多くの先人たちが努力したにもかかわらず、今回こうした政治と金をめぐる一連の事態が生じたこと、このことについては改めて、私も含めて自民党として深く反省をし、そして国民の皆さんにおわびを申し上げなければならないと思います。

 委員の方から、自らの経験、反省も踏まえて取り組むべきだという御指摘がありました。御指摘のとおりだと思います。その反省を踏まえて、政治の信頼回復に向けて努力をしたいと思っております。

野田(佳)委員 私は、リクルート事件も大きな事件でしたと思います、政官業の癒着でしたから。贈収賄事件ですよね。

 今回の裏金疑惑というのは、専ら自民党の党内で起こった問題でありますけれども、立法府に属するメンバーが、八十人以上が裏金を受け取っていたということになっているわけで、これは立法府の存在意義が問われていると思います。

 ルールを作るのが国会です。法を作る者は法を犯すべからず、その精神がどうなっているのかという、私はデモクラシーの危機だと思いますので、より危機感を持たなければいけないんですけれども、三十年前は比較的若手が奮起して議論したと言いましたけれども、余りそういう動きが自民党内で見えないことを私は大変残念に思っています。

 もう一つ危機感を持たなければいけないのは、不祥事が起こった、じゃ、しっかり、早く全容を解明して、早く解決策を示さなければ、これは、信なくば立たずの信が本当に立たなくなると思います。政治の機能不全も、今、国民の怒りの一つだ、そのことを強く危機感を持って対処していかなければいけないと思いますが、本当に総理が御自身の経験を踏まえて反省すべき点を反省しているかどうか、一つずつチェックしていきたいと思うんです。

 まずは、なぜ総理に就任してからも派閥の代表に居座り続けたんですか。この点をお伺いしたいと思うんです。

 リクルート事件の後に、後藤田正晴先生を会長とする政治改革委員会ができました。そのときは、鹿野道彦先生とか保岡先生とか、そうそうたるメンバー。その政治改革委員会に総理のお父様も入っていらっしゃいましたね。そのメンバーによってできたのが政治改革大綱です。これは政治改革を語る上で記念碑的な文書だと思いますね。私は地方で無所属の議員をしていましたけれども、こういう方向で政治を運営していければ日本の政治もよくなるなと期待したものです。その政治改革大綱に何と書いてあるかというと、これは、党役員や閣僚は派閥を離脱すると書いてあるわけです。

 ところが、総理は、内閣総理大臣になっても派閥をずっと離脱しなかったですね。なぜだったんですか。御説明いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、三十年前の政治改革の議論によって大きな成果がしるされた、このように思っておりますが、その中にあって、御指摘の政治改革大綱の様々な指摘を受けて改革が行われた。その際に、中選挙区制度を小選挙区に変えることによって派閥のありようも変わったということは事実でありますが、結果として、今日まで、資金ですとか人事と派閥が切り離されなかった、これが続いていたこと、これは謙虚に反省しなければならない点であり、私の派閥離脱ということについても、派閥が人事やお金と十分切り離されなかった、このことの表れであり、私自身、その点について、反省しなければならない課題であると認識をいたします。

野田(佳)委員 ちゃんと答えていないですね。何で離脱しなかったかと聞いているんです。

 派閥という言葉を総理はよく政策集団と言い換えることが多いじゃないですか。内閣総理大臣は、政策を推進するためには、霞が関のトップですから、霞が関をフル回転することができるんです。自民党の総裁ですから、党の政調をフル回転させることができるんです。何で政策集団のトップでいる必要があるんですか。全く意味がないんです。そのことをちゃんと答えていないということは、反省していないということだと思いますね。反省という言葉は言っているけれども、反省していないと思います。

 二つ目、チェックポイントですけれども、なぜ総理に就任してからも頻繁に政治資金パーティーを開いたのか、これを端的にお答えをしていただきたいと思います。

 さっき言った大綱にも、パーティーについては、閣僚、派閥による開催の自粛を徹底と書いてあるんですね。大綱だけではありません。二〇〇一年に作った、これは閣議決定されていますけれども、大臣規範では、「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。」と書いてあるんです。

 ところが、せんだって同僚の大西委員が取り上げましたけれども、総理は二〇二二年だけで七回もパーティーを開いているんですよ、七回。七回というと、一か月半に一回ですよ。これは異常なペースですね。しかも、売上げが一億五千五百十万円、これは武田良太議員に次いで第二位じゃないですか。利益一億三千六百九万円、これは大規模パーティーに当てはまるじゃないですか。それを、内閣総理大臣自らが大綱を破り、大臣規範を守らなかった、七回もパーティーをやった。なぜですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の会合については、私自身、内閣総理大臣就任から勉強会を続けてまいりました。

 そして、大臣規範の、国民の疑惑を招きかねないということには当たらないと判断をした次第であります。

 そして、大臣規範についての政府の見解については、国民の疑惑を招きかねないという点について国務大臣が判断をする、こうしたものであるというのが政府の従来の見解であったと認識をしております。

野田(佳)委員 全然納得がいかない説明ですね。

 何で七回もやったのかです、七回も。内閣総理大臣ですよ。私は金欠です、いつも。だけれども、総理大臣になったからといって、パーティーをやろうとは思いませんでしたね。何ですか、これは。異常ですよ。ここまでお金を集めることに心を砕き、エネルギーを割くのか、内閣総理大臣として、そんな心の余裕があるのか、不思議でしようがない。これは異常なことだと思います。国のトップが七回もパーティーをやるって、今までもなかったんじゃないんですか。

 私は、それだけパーティーが大好きだから、政治行動も変なところで、変なタイミングでエネルギーを割くと思っているんですね。

 今年の一月五日に経済三団体の新年会に防災服を着て出ましたね。私はあの姿も異常だと思いましたよ。だって、発災から数日たって、まだ生死の境目にある人がいっぱいいたはずです。SOSを出している被災者もいっぱいいたはずです。そんなときに、何で防災服を着て新年会に出るんですか。

 エネルギーの割き方を間違っていると思いますよ。経済三団体はパーティー券を買ってくれるかもしれません。能登半島の人は買ってくれないかもしれない。だけれども、国民の命を守るのが内閣総理大臣じゃないですか。こんなところにも私は表れていると思います。エネルギーの割き方が間違っていると思いますね。

 さっき、七回のパーティーと言いましたけれども、これももう既に取り上げられていますけれども、二〇二二年六月に広島で開かれた総理就任の祝賀会、これは内閣総理大臣就任を祝う会、会費一万円、出席者千百人。主催が任意団体だから収支報告書に記載をしていないということでしたけれども、これは明らかに脱法パーティーじゃありませんか。受付も経理も岸田事務所がやっていた、任意団体の代表は後援会長だった。どう見たってこれは脱法パーティーじゃないですか。脱法パーティーじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の会合については、知事以下、地元の政財界の皆さんが発起人となって開催していただいた純粋な祝賀会であると認識をしています。

 委員の方から、受付も経理も事務所がやっていたのではないかという御指摘がありましたが、関与については、その会の事務の方から、口座の開設等、手続が分からないのでアドバイスをもらいたいということで事務所に相談があった、こういったことは事実あったと報告を受けておりますが、事務の実態は、これは当然この任意団体として行ったものであり、うちの事務所がこの会を主催したということは実態と全く合っていないと認識をしています。

 こうした会でありますし、そして、会の当初、余剰金についてどう取り扱うか、こういったことについても何も決まっていない、こういった会でありましたので、実質的にも政治資金パーティーではないと認識をしております。

野田(佳)委員 総理が代表を務めている政治団体に三百二十万円の寄附があったということは事実だと思いますので、実務的に事務所が関わっている部分はあったわけですね。そういうことなどを含めると、こういうことを認めていたら、私たちは政治資金パーティー及び企業・団体献金は禁止という方向性を打ち出していますけれども、仮に、政治資金パーティー、禁止をしましょうと言ったって、任意団体がやりました、任意団体から寄附をもらえば、これは事実上恩恵を受ける話じゃないですか。

 というような、抜け穴になるからやめた方がいいと言っているんですよ、私は。抜け穴づくりの先頭を切るんですか。政治改革の先頭に立つ人が、なぜ抜け穴づくりの先頭に立つんですか。そこは何の反省もなく抗弁をする姿自体がうそっぽいと思いますね。

 政治資金規正法の冒頭を読み上げさせていただきたいと思います。

 民主政治の健全な発達のために、「政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。」

 「いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、」ですよ。疑惑を招くじゃないですか、そんなやり方は。政治資金規正法の精神を分かっていないと思いますね。分かっていないということを厳しく言わざるを得ません。

 こんなにパーティーが好きなのは、内閣総理大臣になってまでパーティーをやるって、さっき異常だと申し上げましたけれども、それは多分、前の予算委員会でも世襲の問題を取り上げましたけれども、ジュニアに移すための準備なのかなとすら思ってしまいますよ。世襲議員が増えてきていることに対して、私はそれを制限すべきだということを前の予算委員会で申し上げました。

 ある自民党の議員の方からのお話ですから、これが本当に全体かどうか分かりませんけれども、世襲議員の仲間たちのグループの中にいると、非世襲議員は野良のように扱われていると。私は野田ですけれども。野良がもっと集まって、逆に言うと、納税者の番犬として頑張らなければいけないと思っているんですね。ということを考えざるを得ないぐらい、何でパーティーが好きなのかということですね。

 今、政治刷新本部長を総理は務めていらっしゃいますね。これは一月十日に新設をされました。解体的な出直しを図り、全く新しく生まれ変わるということを宣言されているんです。

 ところが、出てきた中間取りまとめというのは、要は派閥パーティーの禁止ぐらいしか具体的には出てきていません。派閥のパーティーの禁止というのは、さっき言った政治改革大綱にも書いてあることです。そんなことを今頃言ったって何の意味があるんだと思いますね。動きがすごく遅いんです。

 メンバーは三十八人なんですけれども、これには安倍派の議員も二桁近く入っていますね。しかも、それ以外にも、これまでも政治と金をめぐる不祥事で名前が出てきた人たちも入っています。汚れた雑巾では汚れを落とすことはできません。これまでの動きを見ていると、残念ながらそう言わざるを得ない。

 加えて、やはり、これまでの反省を問ういろいろなお話を今まで取り上げてきましたけれども、余り反省がないようですのであえて申し上げますけれども、政治刷新本部長は総理じゃないですか。政治刷新本部長を替えなきゃいけないんじゃないんですか。だって、政治改革大綱を守らない、大臣規範を守らない、政治資金規正法も守ろうとしない、その精神も分かっていない、その人が政治改革の先頭に立てますか。むしろ政治改革を後退させてきたんじゃないですか。

 政治刷新本部長を辞めたらどうですか。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 私のパーティー等については、先ほど御指摘いただいたことに対してお答えしたとおりであります。

 しかし、その上で、今、我々自民党にとって、政治の信頼に関わる政治と金の問題、この重大事件が発生した、こういったときに、自民党総裁を務めている立場として、その先頭に立って信頼回復に努める、これは当然のことだと思います。私の立場として、この自民党の大変な危機に対して、先頭に立って信頼回復に努める、政治刷新本部の本部長を続ける、これは当然のことであり、それは務めなければならないと考えています。

野田(佳)委員 適材適所という意味では、適材ではないということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 政治刷新本部長を引き続き務めるという決意を今述べられましたけれども、じゃ、早速、政治刷新本部長として、自民党総裁としてやっていただきたいことがあるんです。

 説明責任については、果たすようにずっとこれまでもおっしゃってきましたね。その説明責任が問われるのが、今週にでも開かれるかもしれないという政治倫理審査会です。

 政治倫理審査会、もっと多くの人たちが出席をしてきちっと説明するのかと思っていたら、現時点では僅か五人しか出てこない。五十一人要求していたんですけれども、ようやく五人です。その中には、一番裏金を受け取っていた人は入っていないし、あの収支報告書の修正を見るといわゆる不明、不明のオンパレードの人も入っていないし、説明しなきゃいけない人が全然入っていないんですよ、まだまだ。

 でも、まだ、出てくる人がいる。だったら、説明責任というのは誰に果たすんですか。国民のために果たすんでしょう。当然公開すべきじゃないですか。完全公開すべきじゃないですか。非公開というのは過去一回だけですよ。説明責任といったら完全公開でしょう。でも、それではない、今、動きじゃないですか、自民党。

 今日、お昼から幹事会があるそうです。その前にきっぱりと総理が言ったらどうでしょうか。政治倫理審査会は完全公開でやれと指示したらどうですか。

岸田内閣総理大臣 政倫審についての御質問ですが、衆議院政治倫理審査会の規程第二十三条第一項において、傍聴を許さないとした上で、第三項において、傍聴について、対象となる議員の意思を尊重するとしています。そして、この政治倫理審査会規程そのものが各党各会派の合意に基づいて作成されたものであると認識をしています。

 そして、こういった規定に基づいてこれまでも政倫審は運用されてきたわけですが、過去の実態を見ますと、完全非公開のものもあれば、議員のみ傍聴できるというもの、あるいは議員とマスコミの傍聴を認めたものなど、対応は様々であります。逆に、完全非公開というのは、長い歴史の中でも過去一回しかなかったと承知をしています。

 そういったその時々に応じて、その国会において御判断をされたということでありますが、おっしゃるように、これは国民に向けて説明をする大変重要な場であると思いますが、そういった観点から、今申し上げたような様々な対応が考えられる中で、適切に国会で御判断されると考えております。

野田(佳)委員 まず、公開すべきだというのは、全ての野党、多分、公明党さんもそうだと思うんですけれども、全ての政党でしょう。非公開なんということを主張しているのは自民党だけじゃないですか。

 経緯は説明されていました。経緯はそのとおりですよ、今まではね。だけれども、これだけの大がかりな裏金の事件にあって、説明責任を果たさなければいけないと何回も総理も言ってきて、説明責任を果たすということは、完全公開じゃなきゃおかしいじゃないですか。誰も見ていないところでつぶやいたことが何で説明責任になるんですか。

 だったら、指示すべきです。今の、これまでの経緯の、あるいはその解釈じゃないんですよ。今回どうするか、完全公開だ、当然じゃないんですか。指示したらどうですか。指示するかしないのか、そのことだけ答えてください。

岸田内閣総理大臣 説明責任を尽くすことを促していく、こういったことについて、従来からも党として働きかけを行ってまいりましたし、これからも行ってまいります。

 その上で、政倫審の取扱いということでありますが、政倫審においての規定は先ほど紹介させていただいたとおりであります。原則として傍聴は認めない、そして本人の意思を尊重するという規定の中で具体的にどう対応するのか、これが今、国会において判断されようとしている、こういったことであります。

 説明責任を果たすことの重要性を働きかけていく、促していく、これは党として当然行ってまいりますが、規定に基づいて国会が判断されるべきものであると考えます。

野田(佳)委員 国会が判断は、総理が指示をすれば、自民党がそういうふうに対応すれば、国会は動くんです。全て総理から始まります。

 今の答えでは、今日は指示しないということですね。促すというようなことを言っていました。促すというのは違う。指示するかどうかですよ、私が聞いているのは。

 指示するかどうか、それだけ答えてください。

岸田内閣総理大臣 指示という言葉の定義ですが、私自身、従来からも、これからも、本人に対して、あらゆる場を通じて説明責任を果たす、こういったことについて働きかけを続けてまいります。

野田(佳)委員 今日の時点での指示ということは言わなかったということは、やらないということがよく分かりました。リーダーシップがやはりないんですよ。やる気がないとしか私は思わざるを得ません。

 関連で申し上げさせていただきたいと思うんですけれども、政治資金は、原則これは非課税でありますので、今、収支報告書の修正が進みつつありますけれども、修正すればそれが真実とは限らないわけであって、さっき言ったように、不明のオンパレードみたいな修正もあるし、あるいは、わざわざ使途不明金四百三十六万円と書いてある、そういう修正もあるんですよ。使途不明金ですよ、そんなのは修正に値しますか。当然のことながら、こういう皆さんは納税しなきゃいけないと思います。納税しなきゃいけない。

 鈴木財務大臣は、先週の予算委員会で、疑惑の持たれた政治家が政治責任を果たすという観点から判断すべきと。要は、自己判断に委ねるようなお話だったんですね。自己判断に委ねたら、全然、修正申告なんかしようとは誰もしませんよ。だって、政倫審にだって出てこないんだから、みんな。わざわざ税務署に行って修正申告するとは思えません。

 だとすると、これも私は総理の指示が必要だと思いますよ、総理の指示。裏金議員に、過去五年分の修正申告を行い、納税義務を果たすように指示すべきではないですか。いかがでしょう。

岸田内閣総理大臣 納税については、委員御承知のように、政治資金が政治家個人に帰属するのか、あるいは関係政治団体に帰属するのか、これによって課税関係は変わってくるというものであります。従来も予算委員会で議論が行われてきたとおりであります。

 そして、今回、修正が順次行われているわけですが、検察の捜査を受け、そして実態を確認した上で、本人として、その実態に基づいて修正を行っていると承知をしております。

 少なくとも、党において、議員個人が受領した例、これは具体的に把握はしておりません。そういった中で、課税についてどう考えるのか、法律に従って対応すべき課題であると考えます。

野田(佳)委員 私は、基本的には、説明できないようなお金が残っている、そういうことを、基本的にはやはり納税していくというその姿勢を示さなければ、政治に対する不信感を拭うことはできないというふうに思います。

 ちょうど今、確定申告の時期じゃないですか。これは納税者の思いだと思いますよ。税は国家なりという言葉があります。物すごく今、大事な時期なんですよ。その基本が揺るがされるような事態になっているんです。四千万円だったら脱税したら駄目だ、じゃ、三千万円だったらいいのか、一千万円でいいのか、それはおかしいじゃないかとみんな思っているんですよ。

 納税意欲の減退につながるような事態であることを鑑みるならば、行政のトップである総理が、自民党の総裁であるあなたが、納税すべきだと言うべきだと私は思います。これも、さっきのような解釈論で、多分また答えないんだと思うんですよね。違いますか。違う答えがあるんだったら言っていただきたい。ないんだったら違う質問に進みます。

 ということは、政倫審を公開しよう、脱税議員は納税しよう、そういうことも指示できないんだったら、もうやはり、さっき言ったように政治刷新本部長を辞めた方がいいですよ。もう結論は出ました。辞めた方がいい。あなたが政治改革の障害になっていると思いますね。

 ということを申し上げさせていただいた上で、これまで、やはり動きが悪過ぎたと思います。政治刷新本部を立ち上げてからもう相当たちましたけれども、まず、実態解明が進んでいない。調査もいいかげんでしたね。収支報告書に記載漏れがあったかなかったか、金額は幾らだったかという調査だけ。なぜそういう経緯に至ったのか、使い道はどうなのか、本質的な調査がない。

 そして、さっき言ったように、これからどうするかについての案が、自民党としての案がないんですね、まだ。いまだにないじゃないですか、ほとんど。ほかの政党は全部出そろっていますよ、ほぼ。出そろっている。議論が進まないのは自民党のせいじゃないですか。

 早く与野党協議をやって議論を進めなければ、この国はほかの課題もいっぱいあるんですよ。どうも、あえてゆっくりペースでやっているんじゃないかと思わざるを得ないぐらい、やる気を感じません。信なくば立たずと言うんだったら、早く信を立てるための努力を見せてほしいんです。

 残念ながら、これまでの対応というのは、遅いし、的が外れていると思います。これは、ちょうど一年前のワールド・ベースボール・クラシックの日韓戦の総理の始球式を思い出しちゃいますね。超スローボールの山なりの放物線で、三塁側に向いて行っちゃった。同じようなことを今やっています。遅いし、そして的外れ。

 もっとスピードアップして、早く案を出さないですか。議論を進めないですか。反論があれば、御意見を。

岸田内閣総理大臣 今日までの取組が的外れだという御指摘でありますが、今回の事件につきましては、派閥の政治資金パーティーを舞台として生じた事態であります。だからこそ、派閥と資金と人事、これを切り離すこと、これが何よりも重要だということで、党内で議論を行いました。

 そして、委員も内閣総理大臣を経験されたわけですから十分感じておられると思いますが、具体的な事件の捜査が進む最中において、トップとして発言は慎重でなければならない、これは当然のことだと思いますが、その中にあっても、党として、政治刷新本部を立ち上げて、中間取りまとめ等の議論を通じて、今後の対応、説明責任や政治責任や、そして再発防止策について議論を行ってきた、こういったことであります。

 そして今、この捜査が終わった後、実態把握に党としても取り組んでいるわけでありますし、再発防止の法改正についても、議論をまとめ、今国会で議論を行い、結果を出すと申し上げております。

 的外れではないと思いますし、実情において努力をしている、こういったことを考えますときに、御指摘は当たらないと考えます。

野田(佳)委員 我々の案を御説明して、それからお答えを聞こうと思ったんですが、もう時間がないので絞って聞きたいと思うんです。

 私どもは、政策活動費は禁止、そして企業・団体献金の禁止、政治資金パーティーも禁止という方向性を打ち出しています。ほかの野党も、ほぼこういう方向性では一致すると思います。考え方がまとまっていないのは自民党だけです。

 今申し上げた点についての総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金、そして政治資金パーティーについての対応については、我が党として、先ほども答弁の中で申し上げさせていただきましたが、具体的な法改正について、政治家の責任、そして外部の監査、そしてデジタル化等の透明化、こういったことについて、党としての考え方を今まとめております。

 そして、企業・団体献金、さらには政治資金パーティーということにつきましては、最高裁の判例等においても、企業における献金の、政治活動の自由等の重要性の御指摘があり、そして、委員が御指摘になられた政治改革大綱、この中においても、法人の寄附というものは民主主義において重要な存在である、重要な役割を果たしているということで、寄附を禁止するという結論には至っていない、こういったことであります。

 こういったことを考えますと、企業・団体献金等について、禁止する前に透明化等を図ることが先ではないか、こういったことで党としての作業を行っている、こうしたことであります。是非、これを法改正という形で具体案としてまとめて、今国会における議論に貢献したいと考えています。

野田(佳)委員 政権交代こそが最大の政治改革だと確信をしました。

 質問を終わります。

小野寺委員長 この際、近藤和也君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近藤和也君。

近藤(和)委員 立憲民主党の近藤和也でございます。よろしくお願いいたします。

 地震が起きてから間もなく二か月になります。今まで御努力いただいている皆様に心から感謝を申し上げます。

 その中で、パネルのまず十一、そしてパネルの十の左側の写真でございます。こちらは先月の一月二十四日の質疑のときに使った写真でございますが、現在もこの状況でございます。そして、パネルの十の右側の写真は、ある集落につながっている唯一の道路、こちらもまだ土砂崩れで塞がっているという状況でございます。

 こちらを取り上げているのは、私は、遅いということを言いたいために取り上げているのではありません。物理的に難しかった、これは致し方ありませんし、今もテレビやラジオで皆さん見ていただいていると思いますが、初動も含めて、なぜ遅かったのかという議論よりも、これからどうしていくのかということをスピードアップしてくれというのが被災地の皆様の声でございますので、そういった観点で質問したいと思います。

 そして、スピードアップがいかに必要かということですが、パネルの一でございます。東日本大震災の被災地と私たちの能登半島は、同じように過疎化で随分と苦しめられてきています。こちらの記事は、去年の三・一一のときの記事でございます。人口が大幅に減ってきている、こういうことが悲しい経験値としてあるわけです。

 ですから、これからスピード感をいかに持っていくか、東日本大震災や熊本震災での経験値を基に、危機感を持ってスピードアップを図っていただきたい。具体的に何か生かしていることがあれば、お願いをいたしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 震災対応というもの、過去の経験あるいは教訓、これを踏まえて進化させていく、こういった姿勢は重要であると認識をいたします。

 今回の震災では、例えば、被害認定調査の簡素化ですとか、また、新たな交付金制度の創設ですとか、それから、新たなふるさと回帰型の木造仮設住宅の建設ですとか、災害廃棄物処理の負担軽減、また広域処理体制の構築、なりわい再建についても柔軟に対応できるなりわい補助金などの活用、こうした実情に応じた新たな施策の強化、こういったものをちゅうちょなく講じていかなければならないということで取組を今進めているところであります。

 そして、これらを何よりも被災自治体と緊密に連携をしていくということ、そして、御指摘のようにスピード感を持って取り組むということ、この二つをしっかりと心がけながら、今申し上げた具体的な施策を進めていきたいと考えています。

近藤(和)委員 実際には、スピードとスピード感というものは私は違うんだというふうに思います。

 総理も被災地に行かれて、先行きが見えない、この不安感を何とかしてほしいという声は皆様から聞かれていると思うんですね。

 その中で、例えばですけれども、今までの質疑の中で、復興基金の質疑が与党の方からも野党の方からも出てきていますが、明確に復興基金をやるというふうに言われていないじゃないですか。でも、東日本大震災や熊本地震のことを考えれば、間違いなくやるわけですよね、はっきり言えば。

 こういったことを総理が示す、役所の人はやりますとは言えないと思いますけれども、政治家ですから、そして日本のトップですから、総理がこういったことをやるんだということを言われるだけで、被災地も希望も持てますし、役所も早め早めで動いていくことができるので、このスピード感ということを非常に大切にしてほしいと思います。

 そして、先ほど言われた新たな交付金について伺います。

 総理、おととい、穴水町そして輪島市、視察をいただきました。ありがとうございます。ここで新しい交付金の報道も出ておりました。

 前回の一月二十四日の質疑でも、パネルの三でございます、被災者生活再建支援金を、実際は全壊で三百万から、六百万まで倍増させてほしいという議論をこの場でさせていただきました。総理からも、後ろ向きではないような答弁は私はいただいたと思います。

 そして、その二日後に通常国会が開会をして、そして、一番最初の提出法案として、被災者生活再建支援法、支援金の倍増法案ですね、こちらを、日本維新の会さん、そして国民民主党さん、三党で合同で提出をさせていただいて、私も筆頭提出者として出させていただきましたけれども。その二日後に、資料の四ですね、二月一日に新たな交付金の話が出てきました。

 二十年間動いていなかった仕組みが、こういう国会の質疑を通して、そして法案提出を通じて、結果として動いたということは、これは大変よかったことだというふうに思います。一千億の予算も、総理もこの前言われましたが、本当にありがたいことだと思うんですね。

 ただし、幾つかの課題がございます。

 こちらの資料にも書いてありますように、高齢者ということが書いてございますが、最初は子育て世代が入っていなかった。この点については皆様に相当言われました。子育て世代の方にも言われましたし、御高齢の方にも、このままじゃ若い人が出ていってしまうがいね、何とかしてくれという声をたくさんいただいて、この二週間余りの予算委員会の質疑の中でも、総理、私たちの仲間の議員から何度もやり取りがありましたよね。大変、総理も戸惑ったような、前向きではない微妙な答弁が繰り返されていましたけれども、実際はこちらについてもやはり幾つもの問題があるんです。

 そして、総理がおとといの段階で、例えば住民税非課税世帯などを、結果として対象を広げるということもおっしゃっていただいた。これもありがたいことだと思っています。ただ、それでも対象に入らない方がいらっしゃるんです。

 総理、おととい、輪島の火災現場へ行かれましたよね。あの敷地の焼け出された方の中にも、五十代でお子さんがいらっしゃって親御さんがおられない、この新たな支援金の対象に入らない方がいらっしゃるんですよ。あの場で総理ともし同席したとしても、私、対象外ですよね、何とかしてくださいとやはり言えないんですよ。

 別の避難所でも、六十四歳の方から、私、対象に入らないのかなと言われました。誕生日が六月です。六十四歳と八か月です。そして、その方に私聞いたんです、親御さん、同居されていませんかということを聞きましたら、親はいるけれども今は施設に入っている。施設に入っていても対象になり得るかなと思うんですが、実際には世帯分離ですよね。施設に入るお金をやはり下げたいですから、世帯を分けているんですよ。そういう方も対象外になってしまうんです。

 改めて、総理、住民の方々の年齢ですとか所得状況で差をつけないようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 新たな交付金制度ですが、能登地域六市町を対象として、資金の借入れや返済が容易でない世帯を幅広く対象とする、このように申し上げてきました。

 そして、具体的に、住民税非課税世帯、住民税均等割のみ課税世帯、家計急変世帯、児童扶養手当受給世帯、離職、廃業した者がいる世帯、ローンの一定以上の残債がある世帯、その他の類似の事情があると認められる世帯といった類型に該当するか、これによって簡易迅速な手続を進めていきたいと考えております。

 そして、この新たな交付金の対象とならない世帯、これをどうかということにつきましては、石川県において最大三百万円の自宅再建利子助成事業、これを実施、検討しており、これに対して政府としては最大限財政的な支援を行うことを予定しております。こちらについては子育て世帯について所得制限は設けない方向で検討が進められていると承知しており、結果として、支援が必要な能登地域六市町の子育て世帯、これはフルカバーされることになると認識をしております。

近藤(和)委員 到底フルカバーとは思えないです。

 そして、被災者生活支援法そのものは、これは国が元々行っている制度ですよね。この足らない部分を県で、しかも、先ほど利子助成と言われましたけれども、結果的には県が行うことに対して融資の部分でカバーしていきますよねということじゃないですか。

 そして、更に申し上げれば、離職、廃業した方も対象にすると言われましたが、今会社があっても、じゃ、このままで、経済がなかなか再生しなくて、半年後、一年後、会社が倒産したら、その方は対象になるんですかということもありますし、今仕事を失いさえすれば対象に入るかもしれないということであれば、今、ただでさえ能登から特に若い世代の方が仕事を辞めて金沢や都会に出ていくという話を聞かれているじゃないですか。事業者の方も困っています。病院ですとか介護の現場でも同じような、離職してつらいという状況が今起きつつあるんです。

 ですから、それぞれの細かい要件というものは、冒頭で申し上げましたスピード化ということにむしろ反していると思います。所得状況等についても誰がいつ判断をするんですか。現場の方々も大変混乱もしますから、やはり原点に私は戻るべきだというふうに思います。

 そして、総理が六市町ということを言われました、こちらの資料にもございますが。じゃ、この六市町から外れた、例えば内灘町の方はどうなんでしょうか。予算委員会の公聴会、金沢で開いていただきましたが、皆さんメンバーで内灘町も視察に行っていただきました。じゃ、かほく市はどうなるんですか。羽咋市そして中能登町の全壊や液状化で倒れた家はどうなるんですか。こういったことも含めて、差をつける。しかも、この文言を読んでみてください。石川県内のその他の類似の事情がある地域、これはどういうことですか。誰が判断するんですか。総理ですか、厚労大臣ですか、石川県知事ですか。こういったことも含めて、むしろスピード化というところから反してしまうんですよ。

 今、改めて、少なくとも石川県内の自治体に差をつけるということはないようにする、これが少なくともスピードアップにつながると思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 被災地の皆さんには、今日までの議論の結果として、従来ある被災者生活再建支援金、これを支給するとともに、新たな交付金制度も用意をし、そしてさらに、県においても助成事業を用意する、これらを重層的に使うことによって必要な支援を届けていく、こうした取組を進めてまいります。

 そして、簡易迅速な手続、この点について御指摘がありました。これは、現場あるいは県、自治体の意向もしっかりと確認しなければなりませんが、今言った御指摘は大変重要なポイントであり、自治体ともしっかりと確認をした上で、手続の簡素化を実現していきたいと考えます。

近藤(和)委員 それは、県内全域が入るという答えで受け止めていいのか。これは、納税もそうなんですが、簡素、中立、公平ということですね。今総理は、簡素という言葉をいただきましたので、改めて、県内の内灘町やかほく市なども対象に入るということでよろしいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 新たな交付金制度の対象地域は、これは、再三申し上げているように、石川県とも調整の上で、能登地域六市町、これを対象にしております。そして、県の助成事業あるいは被災者生活再建支援金、こうしたものについては、他の地域も含めて対応をする制度であると認識をしております。

近藤(和)委員 六市町以外は入らないという今の答弁なんでしょうか。

 私は、改めて、石川県内のその他の類似の事情がある地域の中で、じゃ、内灘町、かほく市は入らないんですか、入るんですかということを聞いたんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、新たな交付金制度、これは、石川県とも調整の上、能登地域六市町、これを対象にしております。そして、対象とならない地域に対する支援として、石川県による助成事業が用意されている、準備されていると申し上げております。

 こうした助成事業や液状化被害への対応等、さらには、そもそも被災者生活支援金制度、こういった制度もあります。こういった制度を通じて、他の地域に対する支援、これも用意をしていくことを、今準備をしているところであります。

近藤(和)委員 それでは、先ほどの、その他の類似の事情がある地域というのは、これは意味がないんじゃないですか。

 私はスピード化を図ってほしいと申し上げましたけれども、ここは、一週間でも十日でも時間をかけていいですから、前向きに、全部入るように、ちゃんと検討して、答えを、お金が出るように、お願いをしたいと思います。

 それでは、自衛隊の処遇改善に参ります。

 避難所では、自分も大変だけれども、自分よりも自衛隊の人を何とか支援してあげてくれぬかという声をたくさんいただきます。避難所の中でも、仕切りがないところ、段ボールベッドがない、そういった環境に置かれている方でも、自衛隊の方を何とかしてと言われるんですね。そして、お風呂もようやく入れるようになって、皆様がお風呂から出るときに、自衛隊の方々が本当に深々と、ありがとうございますと頭を下げるそうです。皆さん言われるんです、頭を下げたいのはこっちの方だよ、本当によくしていただいている、ただただ感謝しかないと言われます。

 そして、ある事業者の方、おうちも潰れて、そして会社もまた潰れて、去年もおととしも地震がありましたから。その瓦れきの中で、事業再生をしていこうと、私となりわい支援金の話をいろいろ立ち話でしながら、最後に、やはり、自衛隊の人たち、瓦れきの処理も含めて、ヘッドライトをつけて、あのヘッドライトも電池も自前で買っているんだよ、俺も大変だけれども、やはり自衛隊の人たちの処遇を何とかしていってほしい、よくしていってほしいという声をいただいています。

 私たち立憲民主党も、自衛隊応援議員連盟がございます。私もメンバーでもあるんですけれども、この処遇改善をずっと求め続けてきています。

 そして、今、防衛費を倍増させていこうということで予算がどんどん増えてきていますけれども、明確に処遇改善、賃金などを引き上げていくというところがつながっていないんですよね。

 これは被災地の声として、そしてこれから、将来どこが被災地になるかも分かりません、そして日本の安全保障のためにも自衛隊員の処遇改善をお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 自衛隊、震災の発生当初から、救助、生活支援、全力を尽くしているところですが、御指摘の処遇改善については、施政方針演説で述べたとおり、しっかりと取り組む考えであり、六年度予算案においても、輪島分屯基地のようなレーダーサイトで勤務する隊員の手当や、重機を揚陸した輸送艦、ホバークラフトの乗組員の手当の引上げ、これは予算に盛り込まれているところであります。

 そして、御指摘の災害派遣活動に従事する隊員の装備品についてですが、必要な性能を有するものを支給していると承知をしていますが、より高性能な物品を個人購入する事例もある、このように聞いております。適切に支給されているか、引き続き改善の努力は続けたいと考えます。

近藤(和)委員 もう少し明確に、全体のことを私は申し上げているのであって、その場その場を取り繕うような、やらないよりはよっぽどいいんですけれども、全体としてしっかりと引き上げてくださいということを、改めて、今後、皆様と議論を重ねていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 公費解体の在り方について伺います。

 今回の震災では、半壊以上のおうちが公費解体の対象になりますが、実際には、一部損壊や準半壊、六段階のうちの下の二つですね、こちらのおうちも大変たくさんございます。実際はほとんど支援金などが出てこないという状況の中で、例えば一部損壊の方でも家を直すのに三百万だとか、あと、田舎のおうちなので一千万かかるという方もいらっしゃるんですよ。大変です。

 支援が出てこないという中で、支援で、自分で直すこともできないし、そして壊すのにもお金もかかるし、建て直すこともできないから、能登から出ていくわ、こういう方もやはりいらっしゃいます。

 今、改めて、建て直すことは現実的に資金力として難しいという方に対して、公費解体の対象に入れて、そして仮設住宅に入っていただく、そして災害公営住宅に入っていただく、これは復興住宅という言い方をした方が私もいいとは思うんですけれども。ここで、この場所で、能登の場所で人生を終えたいという方々、たくさんいらっしゃいます。若い方も、今ここで仮設住宅、そして公営住宅、復興住宅に入れるのであれば、能登で踏ん張って仕事をしていく、こういう方もたくさんいらっしゃるんです。

 今までのたてつけでいけば、下の二段階に関しては、自力で直して住んでくださいよ、そういう方々は公費解体の対象外ですということなんですが、資金的に建て直すことは無理だ、修繕をすることは無理だという方については公費解体の対象に入れてほしいんですが、新しい検討としていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、今回の災害については、特定非常災害に指定をし、全壊家屋のみならず半壊家屋、すなわち損害割合二〇%以上の解体についても特例的に支援対象といたしました。対象を拡大したところであります。

 そして、準半壊、これは割合一〇%から二〇%ですが、さらには、一部損壊の家屋については、直ちに解体ということではなく修理で対応していただくこと、これは基本となりますが、被災者に寄り添った対応を行う観点から、令和元年に応急修理に関する支援対象を準半壊の家屋等にも拡大しています。

 こうした支援や、その他の住まいに関する支援も活用しつつ、生活再建を総合的に支援してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 実際にはゼロ回答に近いのかなというふうに思います。

 総理、当初、できることは何でもやるということをおっしゃっていただきました。大変重要な言葉だと思います。でも、できなかったこともやるようにするというのが、これは私は災害対策として大変重要だと思います。

 今までのいろいろな災害を通じて、災害対応というものは進化をしてきました。私は進化をさせてほしいんです。特に、高齢化という点では能登は最先端を行っていますから、能登の最先端の地で今回の震災を乗り越えれば、全国の方々にも希望になると思います。

 皆様に言われます、今回の震災で、もう絶望した、財産もなくなった、あんたらに望むことは、政治に望むことは、希望なんだ、何とか希望を示してほしいという言葉をおっしゃっていました。

 この言葉を総理に申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、山田勝彦君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。

 日本の一次産業を大切にする、島を大切にする、立憲民主党を代表し、岸田総理へ質問いたします。

 島は、我が国の領土、領海、領空、排他的経済水域の保全といった国家的役割を担っています。しかしながら、島は、急速な人口減少により、過疎、高齢化が進んでいます。島を守ることは国を守ることです。島民の皆様の暮らしを支える政策が必要であり、そのための法律が離島振興法であるはずです。

 パネルを御覧ください。

 しかしながら、離島振興予算は、二十年前の約一千三百億円から、令和四年は約三百七十億円と、実に七〇%もカットされ、年間九百億円も離島予算が削減されています。これは余りにも島に冷たい政治ではないでしょうか。

 全国の島民の皆様の願いは、離島航路の低料金化です。島の皆様にとって、離島航路は海の国道であり、島と本土を結ぶ、生きるために必要な道です。だからこそ、フランスでは、国土連続性交付金によって、離島航路は鉄道運賃並みに料金設定されています。

 私は、立憲民主党の島政策プロジェクトチームの事務局長として、総理へ提案いたします。

 日本でもこの国土連続性交付金を新たに導入し、離島航路のJR運賃並みへの低料金化、既に国境離島では島民限定で実現していますが、観光客も対象にすべきです。島により人が集まるようになり、島内消費が伸びれば、誰かの消費は誰かの所得、島民所得が上がります。全国の島で、島に訪れる人も含めてみんなが笑顔になれる政策、総理、実現すべきではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の離島振興事業費ですが、公共事業として行っていた主要事業の完了等に伴って減少傾向にありましたが、特に事業費が落ち込んだのは民主党政権時代であると認識をしています。自民党政権に復帰した平成二十四年度以降は事業費が回復し、安定的に推移していると認識をしています。

 そして、お尋ねの離島航路については、島民の日常生活に不可欠な離島航路の運営を維持する観点から、支援を基本としつつ、特に、特定有人国境離島地域については、平成二十八年に制定された法律に基づいて、住民を対象としてJR並みの運賃への割引補助を行う、拡充を始めとした五十億円規模の交付金を創設して、離島予算の大幅な増額、これを行ったところであります。

 そして、観光客について御指摘がありましたが、観光客などの人の往来の活性化については、離島ならではの自然、文化等を生かした観光コンテンツづくり支援などを通じて離島への来訪を促すことにより、離島の活性化に取り組んでいるところであります。

 今後とも、我が国の領域あるいは排他的経済水域の保全、こうした役割、その他不利性を踏まえながら、離島振興に取り組んでまいります。

山田(勝)委員 つまり、離島航路の低料金化、島民以外の方々も対象にする気がないという答弁のように聞き取れました。

 しかも、聞き捨てならないのが、民主党政権で予算が削減されたと言われていますが、このパネルにあるとおり、この二十年間の大半は自民党政権下で行われております。全くもって、総理の指摘は当たらないのではないでしょうか。

 そしてまた、もう一つ言わせていただくと、私たち立憲民主党は、泉代表も、先週の金曜、土曜日、一緒に五島列島で活動してきました。島民の皆様の願いは、島民以外の方々も対象にしてほしいと。島内の消費を伸ばさなければ、島内の経済はよくなりません。そのことも強く訴えておきます。

 続いて、島の物価高対策についてです。

 五島列島で泉代表と活動をし、そして、島は本当に物価が高い。五島はリッター百九十六円、新上五島町はガソリン、リッター二百円を超えていました。島の皆さんは、全国一斉に二十五円値下げできるトリガー条項の発動を求めています。島は本土に比べて物価が高いことを、政府も一〇%から三〇%高いと既に認めています。

 そこで、ヨーロッパの多くの島は、本土に比べて消費税減税がなされています。党の政策担当者として、岸田総理へ提案いたします。

 民主党政権時、離島振興法十九条が新たに作られました。つまり、島はどうしても物流コストがかかり物価が高いなどの本土との格差がある、そこで離島振興に必要な税制上の措置を講ずるとこの法律に書いてあります。島のために優遇税制を可能とする画期的な法律が民主党政権でできました。

 国会図書館の調査によれば、離島振興法の対象の島で消費税をゼロにした場合の税収減は約六百億円と試算されています。二十年で削減された離島予算は九百億円以上です。元の予算規模に戻せば、十分に財源もあります。そして、法律も既にあります。

 総理、一〇%以上物価が高い島のハンデを解消するため、ヨーロッパの島のように、日本でも島の消費税減税を実現すべきではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、冒頭、先ほどの質問にも関連して、自民党政権において予算が下がっているではないかという御指摘がありましたが、委員の資料で見ましても、例えば令和四年度は三百六十六億となっていますが、これは当初予算に加えて、この後、補正予算百二十四億円、これが加わります。そうしますと、合計四百九十億ということであり、決して自民党政権に入って予算が下がっているという御指摘は当たらないと思います。

 その上で、消費税について御質問がありました。

 おっしゃるように、離島については、四方を海で囲まれ、他の地域に比較して厳しい自然的、社会的条件下にあり、物流の運搬コストも発生する。こういったことを鑑みて、離島振興法に基づく公共事業の補助率のかさ上げ、離島活性化交付金、さらには所得税や法人税の割増し償却、こうした措置を講じているところであります。

 そして、御提案の消費税については、事業者が離島地域との取引とそれ以外との取引等を区分して経理することが必要になるなど、事務当局にもそれを確認する事務コストが発生することなど、特例を設けることは現実的には困難であると認識をしております。

山田(勝)委員 大変残念な答弁です。

 自民党へ献金する力のある大企業には様々な優遇税制が実行されている。しかし、島のための優遇税制はほぼ使われていない。島の物価が本土より高いと政府が認めた以上は、私たちの提案を反対するだけではなく、島のための具体的な物価高対策を実行してください。

 次に移ります。

 政府の物価高対策が不十分なのは島だけではありません。衝撃的なニュースがあります。パネルを御覧ください。

 農業協同組合新聞の記事です。二〇二二年、農林漁業者の自殺者数が前年から三二%増で三百九十五人となり、事業不振、負債、生活苦などの経済、生活問題が百三十九人で全体の三割以上を占め、農業の経営環境悪化も背景にあると報道されています。

 今回の物価高で特に過酷な経営環境に追い込まれているのが畜産農家の方々です。海外からの餌代は急激に高騰し、牛の価格は逆に暴落する。もう限界だ、廃業するしかない、こういう悲痛な現場の声をたくさん聞き、私も農水委員会で何度も緊急の支援策を強化するよう訴えてきました。

 畜産、酪農の生産者を対象に全国的な調査と要望活動を続けている農民連の長谷川会長は、自死まで追い込まれる方がこれほどいるのかと怒りを覚える、生産者への一刻も早い支援が必要だと話されています。

 総理、これまでの政府の農林漁業者への物価高対策、不十分であったと認められますか。そして、大切な命を守るため、畜産農家への支援策、今後は強化していただけるのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、畜産経営については、生産コストの上昇など、厳しい環境にあるということを認識しています。私自身も、車座対話等を通じて国産飼料の生産と利用の拡大等の重要性をお伺いするなど、その厳しい状況、直接話を聞いてきたところであります。

 そして、政府としてのこれまでの取組、配合飼料価格安定制度における異常補填基金の積み増しなど、累次にわたって配合飼料コストの抑制策等を機動的に講じて、飼料コストの価格の平準化を図る、また、昨年秋の経済対策において、飼料の国産化、輸出の取組の強化等の支援策を盛り込んでこれを実行してきた、こういった取組を進めてきました。

 そして、畜産関係者の皆さんに寄り添い、需要に応じた生産の後押しを行うことによって需給の安定化を図る、そして経営基盤の強化に向けた支援策を行う、こうした方向性を通じて経営の安定化を図ってまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 これまでどおりでは圧倒的に予算も政策も足りません。これからも生産現場を支える必要な支援策を訴えていきます。

 そして、物価高で悲鳴を上げているのは漁業者も同じです。

 前回、本会議場で、油代が高過ぎて船を出しても赤字になる、漁に出れない、そういった漁村の小規模な漁業者の方々の声を総理にお伝えしました。民主党政権時に導入された漁業所得補償、燃油高騰対策事業が、当時はよくても、今は十分に機能していません、支援を強化すべきだと総理へ訴えましたが、総理からは、燃油価格高騰の影響を抑え、漁業経営の継続、安定が図られるよう対応してまいりますと、全く答えになっていませんでした。

 この制度は、過去数年の燃油価格の平均値を基に発動ラインの価格が設定され、その発動ラインを現状の燃油価格が上回った場合に補填される仕組みになっています。しかし、自民党政権のアベノミクスによる長引く円安によって燃油代が慢性的に上がり続けているため、この発動ライン、基準価格自体が上昇し、もはや生産原価を超えているのです。

 そこで、岸田総理へ改めて提案します。

 この発動ラインを、既に原価割れしている過去の平均価格で設定するのではなく、漁業経営の採算ラインである一リットル六十円まで引き下げるべきです。全国の漁師さんたちが求めています。

 総理、漁村で海の環境を必死に守っている漁師の皆さんが安心して漁に出られるよう、制度を改善すべきではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、燃油高騰対策事業についてですが、平成二十五年以降、燃油価格の高騰に応じて大幅に拡充をしてきました。

 具体的には、交付補填財源に関する漁業者と国の負担の割合、創設当時は一対一でありましたが、現下の燃油高騰に対して、漁業者一に対して国の負担割合を最大三とする、こうした強化を行ってきたところです。

 あわせて、今御質問の基準価格でありますが、平成二十二年の事業創設から直近までの平均で、一キロリットル当たり約四万八千円となっています。直近の補填基準価格は四万七千円強と特に高い状況にはなく、三年近く連続して補填金を交付している、こういったことから機能していると考えておりますが、今後とも、燃油価格の動向、これは注視しなければならないと思います。

 動向をしっかり注視した上で、適切に判断をしてまいります。

山田(勝)委員 機能しているかどうかは総理が決めるんじゃなくて、現場の漁業者が判断することなんです。

 時間が参りましたので、続きは午後からよろしくお願いいたします。

小野寺委員長 これにて午前中の質疑は終了いたします。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小野寺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田勝彦君。

山田(勝)委員 午前中に引き続き、よろしくお願いいたします。

 総理は、漁業者への燃油対策事業、数字を並べられて、機能しているとおっしゃいました。答えは現場にあります。これは全国各地の漁業者の方々が求めている事業であり、毎年、水産県長崎県を始め全国各地の自治体が要望していることです。是非、聞く力を発揮していただきたいと思います。

 そして、やはりどうしてもおかしいのは、長引く円安、放置し続けたのは自民党政権です。一次産業で働く生産現場が疲弊している今の状況で、円安で過去最高益を上げている大企業と政治資金パーティーを繰り返している岸田総理の政治姿勢に、全国の漁師の皆さんが失望していることでしょう。引き続き、私たち立憲民主党は、漁業者の燃油対策の強化を訴え続けます。

 次のテーマに入ります。食料安全保障についてです。

 世界的食料危機の時代、食料自給率、三八%から何%まで引き上げるのかと私は総理に質問いたしました。総理からは四五%という回答があり、余りにも低い目標なのではないでしょうか。達成したとしても、先進国中最低です。

 パネルを御覧ください。

 自給率目標、未達要因検証されず、今年一月の農業新聞の記事です。この低い目標すら二十年以上未達成で、会計検査院から、未達成の要因が検証されていないと政府は厳しく指摘をされています。これは自民党農政の明らかな失敗ではないでしょうか。

 そんな中、今国会で、驚きの法案が提出されます。食料危機時に政府が供給目標を設定し、例えば、花農家に芋を作らせるなどの指示をする、従わない場合は、二十万円以下の罰金を農家に科す。農家に罰金ですか。私の地元の農家さんたちはみんな、総理、怒っていますよ。農家は罰金、自民は脱税。緊急事態に都合よく農家の皆さんを頼るのであれば、なぜ平時から食料自給率を引き上げるような政策を行ってこなかったのですか。農家に罰金なんて、絶対に許されません。

 岸田総理、さすがにこれは撤回するべきではないでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の新しい法律における罰金についてですが、是非法律を確認していただきたいと思いますが、これは、国民生活に実体上の支障が生じた場合に、計画を作る、要するに実態を把握する。この実態の把握に御協力いただけない場合にそういった方策を考えているということであって、何か、協力していただかないと罰金を科すなどというものではない、実態把握への協力をお願いする法律であるということは是非確認させていただきたいと思います。

 ですから、今の御質問は、その点、確認させていただきます。

山田(勝)委員 総理、いろいろ御説明いただいたんですが、結局は、政府の計画に協力いただけない場合は罰金なんです。結局、罰金なんですよ。

 こういった、農家に罰金を求めるんじゃなくて、食料自給率の目標を二十年以上達成できなかったのは自民党政権であり、農水省なんじゃないですか。農家に罰金じゃなくて、本当に罰金を払うべきは政府にあると思います。

 次に、食料自給率についてです。

 食料危機から国民の命を守るため、食料自給率を上げていくには担い手が必要です。規模の大小にかかわらず、一人一人の農家所得の向上しかありません。だからこそ、民主党政権は農家の戸別所得補償制度を導入し、農家所得を向上させ、食料自給率を本気で引き上げようとしました。しかし、自民党がそれを廃止しました。その後、離農者や耕作放棄地はどんどん拡大しています。

 総理、緊急時に農家に罰金ではなく、平時から農家の所得補償で生産活動を支え、食料自給率を引き上げることが大事ではないでしょうか。

 総理は、私たち立憲民主党の所得補償の提案を反対し続けております。反対されるのであれば、自民党は対案を示すべきではないですか。総理、どうやってこの国の食料自給率を引き上げるのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、重ねて確認いたしますが、新しい法律においては、実体上の支障が生じた場合に、この実態把握に御協力をお願いする法律であるということ、これを重ねて確認させていただきます。

 実際に生産を行っていただかなければならないというものではなくして、実態把握への協力だということを一つ確認した上で、自給率向上についてですが、今、人口減少ですとか気候変動、こうした地球規模の変動の中にあって、食料安全保障におけるリスク、これが高まっている。こうした問題意識を強く持ち、平時から食料安全保障を確立する、これが重要だということを申し上げています。

 そして、こうした認識に基づいて、今後、食料・農業・農村基本法、これを改正していき、平時から麦、大豆、飼料作物等の国内生産を拡大していく、需要に応じた農業構造への転換を図っていく、さらには、担い手の育成、確保、また、農地の確保と有効利用、スマート技術の導入による生産性の向上、こういった各施策を展開してまいりたいと思っています。

 そして、この基本法成立後に、それに基づいて基本計画の策定を行う。その中で、食料自給率についても、改めて、現代の国際社会の状況の中でどうあるべきなのか、これを政府として具体的に議論を行ってまいります。

山田(勝)委員 総理はそういうふうな御説明があったんですが、水田の畑地化に七百億円も予算をつける。米は唯一、日本が自給率一〇〇%の穀物であり、そういった水田の畑地化を進めていくと、これは食料自給率を間違いなく下げていく、逆行する政策だと指摘させていただきます。

 その上で、米はもうからないから、需要のある作物を作れと簡単に言われるんですが、米農家の方々がどんな思いで条件不利な中山間地域で米作りを続けているか、総理は直接聞かれたことがあるでしょうか。地元の農家さんが、一俵八千円でしか米が売れぬ、米は作るより買う方が安か、それでも山を荒らすわけにはいかぬ、そう言われていました。

 イノシシのすみかが拡大し、民家を襲う事件が増えています。また、中山間地域の水田は、豪雨のときにダム機能を果たし、町部の方々にとって防災機能の役割を果たしています。さらに、農家の皆さんは、青空の下で国民の命の源である食料を生産いただく、いわば青空公務員です。

 岸田総理は、自民党へ献金する力のある大企業ばかりを見て、農家の皆さんが果たしているこのような公的な役割が見えていないのではないでしょうか。

 私たち立憲民主党なら、農家の所得補償を復活し、食料自給率を確実に引き上げます。

 次に、食料・農業・農村基本法についてです。

 前回の制定から二十五年間、離農者や耕作放棄地が拡大し、農村の担い手は七十代、八十代が中心、深刻な後継者不足です。

 パネルを御覧ください。

 「中小農家重視へ転換」、今年一月の日本農業新聞の記事です。欧米の農政トップは、離農者が多いことに危機感を抱き、これまでの大規模化を反省し、効率優先の農政を見直すと公言しました。

 総理、日本も、これまでの大規模農家ばかりを優遇する農政を反省し、一人一人の小規模農家、家族農家を大切にする農政へと改めていくべきではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、欧米の例を挙げて、農政を見直すということでありますが、これは国によって大規模化の事情等も随分と違いがあります。日本の実情に合った農政を考えていかなければならない、こういったことであります。欧米においては自らの事情に応じて転換を図るということでありますが、日本においては、日本の実情に合った農政をこれから考えていく。基本法の四半世紀ぶりの改正、こういったことを機に、基本計画の策定等、思い切った方向性を示していきたいと考えています。

山田(勝)委員 つまり、従来の政策方針を変えない、反省しないという答弁に受け止めました。

 パネル六を御覧ください。このまま自民党の農政が続けばどうなるかという衝撃的な未来です。

 農業者人口、百二十万人から、二十年後、三十万人へ。本法案が制定された二十五年前、二百四十万人いた農業者が既に半減し、百二十万人になっている。これだけでも驚くべきことであるにもかかわらず、政府は、二十年後、今の百二十万人から四分の一に急減し、三十万人になるという衝撃な見通しを示しました。

 総理、この見通し、本当にこれで小規模、家族農家を切り捨てない農業と言えるのですか。そして、その打開策としてスマート農業を新たな柱にすると。今でも存続の危機である全国の農村が三十万人にまで激減すれば、そのときは日本中の農村がもう既に壊滅している状況なのではないですか。総理には、全く危機感を感じていないのですか。ロボットで補う、そういうことではなく、今の農政を大きく転換し、どうやってこの最悪な未来を防ぐことができるのか、これが私たち政治家に問われている問題ではないでしょうか。

 農業のデジタル化は確かに進めるべきです。しかし、ロボットより人への投資が優先されるべきではないでしょうか。ヨーロッパの農村振興策の柱は農家への環境直接支払いであり、大規模農家ではなく小規模農家へ、より手厚く補助金が届けられる制度になっています。農村の豊かな環境を守るのは、ロボットではなく人です、お一人お一人の農家さんです。

 そこで、総理へ提案いたします。本法案の改正に当たって、名称を食料・農業・農村・環境基本法に改め、有機農業などの環境保全型農業を推進し、生物多様性や防災などの農業の多面的機能を評価し、日本版環境直接支払いにより、農家の暮らしと農村の環境を支えていくべきではないでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から、基本法の改正に当たっても農政を変える気は全く見えないという御指摘がありました。それは全く当たっておりません。

 基本法の改正に当たっては、国内にあっては農業従事者の減少、国外にあっては世界的な食料危機、こういった状況の変化に対応していくために四半世紀ぶりの本格的な改正を行う、こういったことであります。この基本法の見直しに当たって、引き続き、規模の大小や経営形態にかかわらず、効率的かつ安定的な農業経営を目指す方々を担い手として、その経営の安定そして発展を後押ししていくこと、こういったことが重要であるということでこの改正に臨んでいきたいと思っています。

 その上で、御質問として、ヨーロッパの例も挙げられて、環境との関係等についても御指摘がありました。

 今回の食料・農業・農村基本法の見直しに当たっては、生物多様性や国土の保全等の多面的な機能に加えて、農業が環境に負荷を与えている、こういった側面にも着目して、環境と調和の取れた農業の確立、これを図ることが重要であると認識をしています。

 こうした認識の下に、化学肥料の使用低減や有機農業の一層の推進に向け、新しい基本法に基づいて、環境負荷低減に取り組む農業者の農営活動をより効果的に支援していく施策、これを推進していきたいと思います。

 そして、あわせて、農業者が減少していく中にあって、担い手の育成、確保を図る、そして、農業所得の向上に向けて、ドローンやAIなどスマート技術の導入による生産性の向上を図っていく、こういった政策も進めていくことが重要であると認識をしています。

 これらを総合的に進めることによって、環境と調和した効率的、効果的な生産活動を通じて、所得を確保できる農業を実現し、そして地域経済の発展、これにつなげていきたいと考えております。

山田(勝)委員 政権交代が実現すれば、日本の農政も離島振興法も変わります。後継者が育つ農林漁業、若い人たちが残れる島へ、私たち立憲民主党と、もっとよい未来をつくりましょう。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、岡本あき子さんから関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭に、能登半島地震から二か月になろうとしています。東日本大震災を経験した私にとって、人ごとではありません。改めて、犠牲になられた方に哀悼の意を、被災された方にお見舞いを申し上げたいと思います。自衛隊を始め、消防、警察、自治体職員、消防団、自治会、地域の方、ボランティアの皆様など、全ての方に感謝を申し上げたいと思います。

 質問ではありませんが、総理、是非、被災者の方が一日も早く前を向いて復旧復興を進められるように全力を尽くしていただきたい、このことをまず申し上げます。

 さて、質問に入ります。

 私からは、子供、若者政策について伺います。

 立憲民主党は、ずっとチルドレンファーストの政党です。泉代表をトップに、私も子ども・若者応援本部の事務局長を務めておりますし、私自身、政治活動のスタート、これがやはりチルドレンファースト、子供、若者政策です。

 二十年前から少子化は深刻な状況なんです。ようやく政府が少子化の深刻さに気づいて、子供政策に力を入れ出しました。二〇三〇年までに加速しないとと書いてあります。あと五、六年なんです。しかし、岸田総理の加速化プラン、着手も遅いですし、本気度が見えないのが残念でなりません。

 今まで手薄だった以上、一定の財政投入は当然必要です。異次元の少子化対策と期待されたのに、財源は子供、子育て支援金制度。これは、結局、負担は国民、特に現役、子育て世代に大きく負担がのしかかる内容で、支援金ではなくて負担金です。総理の言葉は実質負担なしという、うそ、ごまかし、矛盾だらけです。今回の異次元の裏金問題もですが、異次元の少子化対策ではなく、総理御自身の認識、常識が異次元に行ってしまったのではないかと思わざるを得ません。

 資料二、パネル二を御覧ください。

 日本総研の西沢和彦先生が、医療保険制度ごとの被保険者一人当たりの支援金額、おおよその負担額を示しております。サラリーマン、被用者の場合、協会けんぽで月額千二十五円、一年間一万二千三百円、組合健保、大手企業ですね、月額千四百七十二円、年間一万七千六百四十四円、そして共済組合、月額千六百三十七円、年間で一万九千六百四十四円。

 総理、これは大きく外れていないと私は思うんですが、総理御自身の認識として、この試算、おおむね妥当と思われませんか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 政府として、従来から申し上げているように、この支援金、医療保険の加入者一人当たりで月平均五百円弱、このように申し上げています。

 そして、資料についてどう考えるかという御質問でありますが、この資料の中にまさに書いてあるように、まず、被用者保険については、事業主負担を見込んで、労使折半とする。これは当然、この計算の中に見込まなければいけませんし、それから、健康保険など被用者保険では、被保険者が扶養者分も含めて保険料を払っています。つまり、世帯分をまとめて払っている、こういったことであります。当然、加入者一人当たりの負担と被保険者の負担、これは異なるということになります。あくまでも加入者一人当たりの負担ということを最初から申し上げているところであります。

 また一方で、国民健康保険ですとか後期高齢者医療制度においては被扶養者というのは存在しないわけでありますから、加入者一人当たりと被保険者の数、これは一致するということでありますので、医療保険制度を比較するに当たっても、加入者一人当たりという線引きに基づいて計算をしていかなければならない、こういったことであります。

 こういったことを併せて考えますときに、御指摘のような数字の違いにつながっていると私は認識をしております。

岡本(あ)委員 私たちは、被保険者一人当たり、要は保険料を負担する人が実際どのぐらい負担しなきゃいけないのか、これを問うているんです。

 条件が違うということで、では、被保険者一人当たりのこの西沢先生の試算はおおむね妥当だと受け止めますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたような理由から、数字の大きな違いにつながっていると認識をしております。

 そして、政府としては、加入者一人当たりということを従来から申し上げておりますし、それに基づいての試算を申し上げております。加入者一人当たり、これについて、二〇二八年度で月平均五百円弱、二〇二六年で三百円弱、二〇二七年で四百円弱、こういった試算を行っております。この数字は、政府として責任を持って申し上げている数字であります。

岡本(あ)委員 私は、被保険者一人当たり、それから医療保険制度別に、負担がどれだけになるのか、ずっとこの間、早稲田議員も石川議員も求めておりました。出す出すと言っていて、いまだに出てきませんよね。

 保険制度別の、負担する方一人当たり、これは条件が違うとおっしゃったので、ある意味、これについてはお認めになっているものと私は受け止めましたが、それで間違いないですか。

岸田内閣総理大臣 被保険者の負担ということで整理をされたとおっしゃっていますが、政府としては、加入者一人当たりだと、これは最初から申し上げております。それに基づいて試算を行いますということを申し上げております。

 そして、法案審議までに、その数字、これは加入している保険によって、それから収入によって具体的な数字は変わってきますので、その整理を今行っていると申し上げているところであります。

岡本(あ)委員 では、先日、加藤鮎子大臣、保険を払う方一人当たり五百円を超える場合がある、千円を超える可能性がある、こう答弁をされました。

 保険を払う方の負担として、五百円を超える、千円を超える、共済組合でいくと千五百円を超える、千六百円の試算ですが、こういう可能性もあるということでよろしいですか。加入別じゃなくて、保険を払う人の負担として、五百円超え、千円超え、そして共済組合でいくと千五百円超え、この可能性はあり得ると総理はお答えになりますか。あるいは、ないですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申したように、加入する保険の種類、それから所得の多寡、そして、まさにおっしゃるように世帯単位か個人単位かによって、具体的な拠出額、これは異なるわけでありまして、だからこそ、今精査が求められていると思います。

 そして、具体的には、この拠出額、様々な数字があることが想定されますが、これは従来から申し上げているように、歳出改革によって社会保険の軽減効果を生じさせ、その範囲で支援金を創設すると申し上げています。よって、収入が多い方、また家族の数が多い方は、従来から加入している保険制度の軽減効果も、その人数分、あるいは収入に応じて増えるわけでありますから、それを世帯としても、その拠出額、超えることはないということを申し上げております。

 要は、拠出が増える以上に、社会保険の軽減効果、それも大きくなるということであります。その軽減効果内で支援金を考えるということでありますから、実質的な負担が生じないという説明については変わらないと考えております。

岡本(あ)委員 全く答えておりません。そして、私のこのパネルで示していることを否定はされていないということは受け止めたいと思います。

 では、資料八を御覧ください。

 加入者一人当たりと、岸田総理、こだわっていらっしゃいます。家族構成の絵を御覧ください。男性、そして配偶者、そしてそのお母さん、子供が二人います。

 岸田総理、この丸で囲まれている人が負担者だということで、組合健保だと千四百七十二円。(発言する者あり)もちろんです、支援金の額として示しています、支援金ですよ。よく見てください。

 そして、岸田総理は五百円とおっしゃいましたね。加入者一人当たり五百円弱とおっしゃいました。この絵の中で、加入者、お父さんは組合健保です、国保ではありません。そうすると、加入者は、子供二人も含めて、お母さんは自分で後期高齢の負担をされるとして、加入者はこの五人ということになりませんか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 加入者の数ということであれば、委員御指摘のとおりだと思います。

岡本(あ)委員 そうしますと、ずっと総理おっしゃっています、加入者一人当たり月額五百円弱。そうしますと、この絵に描いてある世帯でいきますと、岸田総理の計算でいきますと、五百円弱掛ける五人ですよね。一世帯当たり二千五百円弱、月額、負担することになりますよね。

岸田内閣総理大臣 それぞれ加入されている保険ごとに、歳出改革を行うことによって保険料の軽減効果、これも生じさせると申し上げています。それぞれ、お一人お一人について、従来加入されている保険において、保険料の負担軽減効果、これを生じさせるわけでありますし、その中での支援金の拠出をお願いすると申し上げております。

 いずれにせよ、実質的な負担の増加にはならないと考えております。

岡本(あ)委員 これは一世帯当たり二千五百円弱、年間でいくと三万円近くです。事業者負担の分を除いたとしても、年間で二万円以上この御家庭では負担になることになるんです。実質負担がないなんて、実質負担なしなわけがありません。この御説明は、やはりごまかしが入っていると言わざるを得ません。

 そして、歳出抑制をおっしゃっていますよね。例えば医療、介護の歳出改革、こちらのパネルに入っております。今の御家族のものの左側の図ですけれども、「医療・介護分野の歳出を抑制」と書いております。

 改革の道筋の資料をいただきました。この中では、医療、介護の自己負担の増、介護保険料や利用者負担を増にして、制度を利用しにくくする改革が盛り込まれていませんか。それから、保険料算定に金融所得を使う。結局、適正化の下に、保険料の値上げ、これは医療保険ですね、医療や介護、保険料値上げ、サービス縮小、そういう改革になってしまいませんか。

 結局、保険料を上げない、上げないと言っていますけれども、減らす分野というのは、国民の自己負担を増にする。結局、負担金を増やしていくということに変わりないと私は思います。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 昨年末閣議決定した改革工程表において、様々な歳出改革のメニューを用意しているわけでありますが、これは、今の制度の持続可能性を維持するために、そして、全世代型の社会保障を実現するための様々なメニューについて盛り込んだということであります。全世代型の社会保障を実現して持続可能性を高めるという努力、これは議論を続けていかなければならない課題だと思います。そして、それとは別に、今、子供、子育て政策をどう支えていくかということで、支援金について議論をさせていただいております。

 前例のない規模で抜本的強化の実行を図ってまいりますが、それを支えるためにどうあるべきなのか。これについては、少子化対策に正面から向き合うということ、これは年齢を問わず、経済や社会の持続性に関わるということで裨益をするものでありますし、世界に冠たる国民皆保険制度の持続可能性を高めるということ、これは少子化問題にしっかりと向き合うことで、大きな対応策として評価されることになるわけでありますから、社会全体が裨益するものであるから、皆様方に支援金についても御協力をいただきたいと申し上げています。

 そして、支援金については、社会保険負担の軽減効果の範囲内で行うということで、実質的な負担にはつながらないと説明をさせていただいています。

 それぞれ重要な課題として議論を進めていくべきものであると考えております。

岡本(あ)委員 今重要な御答弁をされました。社会保険料の負担を増やさないような趣旨のお話があったと思います。

 これは、そうしますと、私たちは負担金と思いますけれども、子供のお金、それから医療改革、介護改革を進めていくと、標準月額が同じ方でいくと、この先ずっと社会保険料、健康保険料の負担は上がらないということでよろしいんですか。

岸田内閣総理大臣 具体的な拠出金については、先ほど申し上げているように、収入であったり加入保険によって様々であります。ですから、その算出について精査を行っていると申し上げています。

 そして、従来から申し上げているのは、社会保険の負担率について増えることはないということを申し上げて、それで実質的な負担につながらないと説明させていただいています。

 この負担率、これはまさに社会保険の負担ということになるわけでありますが、これについて、社会保障についての負担について、歳出改革によって低減効果を生じさせ、その範囲内で支援金の制度をつくると申し上げています。そして、分母、これはまさに所得、賃上げでありますから、これも重要な課題として取り組んでいく。分母と分子双方の効果によって、社会保険の負担率、これを上げることは決してないという説明をさせていただいています。これは従来からの説明でありますし、これからも重要な論点であると考えております。

岡本(あ)委員 賃上げをした部分は全部、子供あるいは社会保険のお金として使わせていただくということになるということでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたのは、社会保険の負担率、分母と分子の話をさせていただいています。

 分子においても、軽減効果の範囲内で支援金を用意するということで、これを増やすことはありません。そして、分母の方は、賃上げを進めることによって、負担の軽減効果をより確実なものにすることができると申し上げています。分母と分子双方の効果によって、負担率を上げることはしない、このように申し上げております。

岡本(あ)委員 資料五に移らせてもらっていいですか。

 後期高齢者からも負担をいただきますよね。でも、後期高齢者、実質目減りしているんです。その中から子供の負担金をいただくことになります。

 そして、国保の資料。

 フリーランスや非正規雇用、この方々からもいただきます。実質負担なし、本当にという話があります、事業主からも負担をいただいたり。あるいは、国保の非正規雇用の方々、今、国保は三分の一が働いている方なんですね。自営業とか年金の方ではなくて、働いている方々は、事業主負担もなく、本人が負担をしなければいけなくなります。

 私、再三言っていますが、子供にかかる部分、ちゃんと正直に、負担がかかります、国民に御協力をお願いしたいんだと頭を下げてほしいんです。協力は頼むけれども、実質負担はないから問題ないという態度に私は見えます。

 私たち立憲民主党としても、子供総合基本法案を一昨年に出しております。その中で、やはり大学の無償化ですとか学校給食の無償化、今後も拡大しなければいけないものがたくさんあります。この考えは同じだと思っています。そのための財源としても、私たちは、税制の見直しも言及をいたしましたし、あるいは金融所得税、そういう見直しも再三、いろいろな税制の改革で提言をしております。

 国民の負担をお願いするのであれば、ちゃんと頭を下げて、誠実に、負担が必要なんだ、でも協力してくれ、この態度が必要なんじゃないですか。ごまかしたり、うそをついたり、これはやめてください。お答えください。

岸田内閣総理大臣 ごまかしたり、うそをついたりということは当たらないと思っております。

 先ほど来申し上げておりますように、社会保険負担の軽減効果を生じさせて、その範囲内で支援金制度を構築すると申し上げています。こうした努力をすることによって国民の皆さんにも御理解をいただける、こういったことにつながると考えています。こうした制度について丁寧に説明することによって、より幅広い方々に子供、子育て政策の重要性を認識してもらい、そして御協力をいただく、こうした努力は重要であると認識をしております。

岡本(あ)委員 国民はまだ全く理解をしていません。

 子供に必要だということは皆さん共有をしてくれています。でも、どれだけ自分たちが負担しなきゃいけないのか、全くごまかしたまま、現実的な話をされない。この姿勢に国民は怒っているんだと思います。

 最後に、うそ、ごまかしで、一番最後、資料六ですね、一点指摘をさせていただきます。

 もうずっと、やはり取りやすいところから支援金を取るというものです。子供増税、高校生増税、これは高校生の扶養控除を縮小しますよね、防衛増税。増税、増税、増税です。一方で、自民党は脱税。不誠実にもほどがあります。

 うそやごまかしの中で、一点。

 最後に、総理は所信表明演説で自信満々に、子供一人当たり家族関係支出はGDP比で一六%、OECDトップのスウェーデンに達する水準となり、画期的に前進するとおっしゃいました。

 ところが、これは資料七、紙の資料になりますけれども、この指標は国際的には何も、どこにも使われていない指標なんですね。こども家庭庁が独自につくった指標です。ごまかすためにつくった指標だと私は思います。

 なぜならば、資料七を御覧ください。

 計算式を組み替えました。家族関係支出、これを増やさなくても、三・六兆円にしなくても、少子化が進んじゃうと、これは一一%からどんどん上がっていくんです。少子化対策の努力で予算を組まなくても、少子化が進んじゃうと、スウェーデンを追い越しちゃうんです。

 こんな指標を使うこと自体あり得ないということ、そして、正面から本気で、子供、若者支援、負担論には逃げずに、正面から取り組んでいただきたい。このことを強く申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、城井崇君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城井崇君。

城井委員 立憲民主党・無所属の城井崇です。岸田総理、よろしくお願いいたします。

 早速質問に入ります。

 総理、まず、納税者の皆さんに一言お願いします。

岸田内閣総理大臣 納税の時期を迎えて、まずもって、政治と金の問題をめぐって、国民の皆さんに強い懸念の思い、不信の思い、こうしたものを引き起こしていることについて、自民党として強い危機感を感じ、心からおわびを申し上げる次第であります。

 その上で、税というもの、これは、社会を支える公的なサービスを皆で分かち合うものであり、国民の生活と財産を守るために必要な公的サービスを維持するものであります。是非、法令にのっとり、申告、納税について御協力いただくようお願いをさせていただく次第であります。

城井委員 不信の思いを国民に抱かせている危機感とともに、おわびということでありました。危機感を強く持つべきだということをまず申し上げたいと思います。

 今日の私の質問は裏金問題です。裏金の税務処理、脱税の疑いについて伺うわけですが、総理、今ネット上で、「#確定申告ボイコット」という言葉が飛び交っています。この言葉は御存じでしょうか。御存じでしたら、どのように受け止めておられますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、SNSにおいて、確定申告ボイコットというハッシュタグがつけられた投稿が多く見られるということ、私も承知しております。こうした事態を受けて、改めて国民の皆さんの厳しい目を強く感じているところであります。国民の信頼回復に向けて、強い覚悟を持って臨まなければならない、これを改めて感じているところであります。

城井委員 自民党議員による裏金や脱税の問題に対する納税者の怒りを表しているのがこの言葉です。ハッシュタグとしてピーク時には十万件を超えてネット上で大きなうねりになりました。また今再燃しているというふうに思っています。

 確定申告で国民が怒るのは当たり前です。国民には適切な納税を先ほども総理は求められました。しかし一方で、政治家だけ特別扱いだとの強い怒りも巻き起こっています。先ほどの岡本あき子議員とのやり取りを聞いておりましても、結果的に子育ては増税、自民は脱税なのかと国民は受け止めるわけです。

 今回の裏金、税金を納めるべき裏金があるのではないかと国民は疑っています。実際に、今回の自民党派閥のいわゆる裏金には、雑所得として課税対象となる可能性があります。仮に納税していなければ、裏金があった自民党議員は脱税している可能性があります。

 総理、今回の裏金、脱税していませんか。

岸田内閣総理大臣 政治資金については、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人のいずれに帰属するかによって課税関係が異なる、こうしたことでありますが、一般的に、政治家の関連政治団体が他の政治団体、すなわち派閥から政治資金を受ける行為は、法人税法上の収益事業に該当せず、法人税の課税関係は生じないと承知しています。

 他方、政治家個人が受領した政治資金については、一般的に雑所得の収入として取り扱われ、収入金額から必要経費、すなわち政治活動のために支出した費用を控除した後、残金がない場合には課税関係は生じないと承知しております。

 いずれにしても、政治資金について、法令等にのっとり適切に取り扱われることが必要であると認識しております。

城井委員 おかしいですね。実態をきちんと調べ切れていないのに、そこまでのルールの整理で本当に言えるのか。

 この裏金については、二月二十二日の衆議院予算委員会で鈴木財務大臣が、政治活動に使わなかった残額を個人の所得として納税を行うかは、政治責任を果たすという観点で議員が判断すべきだ、こう答弁をされました。納税を行うかは議員が判断という話であります。しかし、先ほどの総理がおっしゃった内容とは矛盾します。ずれていると思います。

 総理、納税を行うかは議員が判断、この財務大臣の答弁を総理も同じ見解だとおっしゃいますか。総理に聞いています。

鈴木国務大臣 私の発言でありますので、答弁をさせていただきたいと思います。

 納税するか否かは議員の判断と述べたがと。そういうことは言っていないわけでございまして、私が申し上げた意図は、所得税は申告納税制度の上に成り立っておりまして、一般国民であれ国会議員であれ、まずは納税者において自身の収入や経費を正しく計算して、所得が発生した場合には申告していただくということになります。政治資金の場合は、例えば、個人に帰属していれば、そこで、必要経費、すなわち政治活動に使ったものを控除して、余りがあればこれは確定申告をしなければいけない、納税をしなければいけない。それは再々、先週のこちらの答弁でも答えたところでございます。

 先日の発言は、政治が国民の信頼の下で成り立っていることを鑑みれば、政治責任を果たすという意味で、自ら課税関係をしっかりと確認し、法令等にのっとった判断をすることで疑義を晴らしていただきたいという考えで申し上げたものであります。

城井委員 総理、今の考え方と同じですか。

岸田内閣総理大臣 当然、政府としての考え方であります。

城井委員 先ほど私からは、財務大臣の答弁として、個人の所得として納税を行うかは議員が判断すべきだということ、きちんと答弁を全部引いて御紹介申し上げています。しかし、ここは、本来でしたら、きちんと納めるべきは納めるべきだ、納税するかは議員個人の判断ではなく、納税は国民の義務だ、脱税は犯罪だ、憲法三十条にある納税義務を守ってくださいと言うべきではないですか。

 昨年六月に公表されました国税庁のパンフレットには、このような記述があります。パネルを御覧ください。「脱税は、犯罪。 脱税者は、見つかる。 査察官は、見つける。」実はこれはパンフレットのコピーなんですが、今日はお許しをいただいてポスターも持ってきました。実物としてこのようなポスターも作られているわけであります。非常に重たい文言がたくさん書いてあると思います。

 総理、脱税者は誰であっても、それが自民党議員であっても見つかる、査察官は見つける、自民党議員であっても見つける、そういうことでよろしいですね、総理。

岸田内閣総理大臣 当然のことだと思います。

 一般論として、国税庁は、課税上有効な各種資料あるいは情報の収集に平時から努めていると承知しておりますし、課税上問題があると認められた場合には税務調査を行うなど、適正そして公平な課税の実現に努めているものであると認識しております。

城井委員 国税庁は、過去の職員募集のポスターでも、「巨悪と戦うなんて、ドラマの中だけの話。だと思っていた。」あるいは「私たちは、どんな不正も見逃さない。 正義官。」と発信しています。文字どおり、脱税という巨悪と戦い、脱税という不正を見逃さない仕事を国税庁は果たすべきですし、岸田総理も引き続きそのように促すべきだと考えます。

 さて、そもそも、今回の裏金が政治資金であるならば、収入として、収入があった時点で政治資金収支報告書にきちんと書いておかなければなりません。政治資金収支報告書に収入として書いていなかった裏金を、隠していたのがばれてから、事後報告で政治資金の収入でしたということが通じるならば、政治資金規正法による規制の意味はありません。収入は不明と書いて通用するなら、そもそも納税とは何だと国民が受け止めて当然だと考えます。

 支出にしても、使っていないならば使っていないで最初から繰越欄に書いておかねばなりません。政治資金収支報告書に、支出にも繰越しにも書いていなかった裏金を、隠していたのがばれてから、事後報告で政治資金の支出あるいは繰越しでしたということが通じるならば、いわば何でもありです。法律による規制が働きません。

 パネルを御覧ください。

 自民党萩生田光一議員の政党支部の収支報告書です。支出なども、不明、不明、不明。領収書の確認もされていないのに、修正申告を選挙管理委員会が受理してしまっています。

 国税庁に確認します。

 確定申告で国民が同じように領収書なしで不明と申告したら、国は認めますか、受理しますか。国税庁、一般論で結構です、いかがでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、申告におきまして、必要経費の判断は、単に領収書等の書類の有無のみで判断するのではなく、その支出の事実の有無及び当該支出が必要経費に当たるかどうかの検討を行って判断するということでございます。

城井委員 質問に答えていただけませんが、税務署から、確認して、また自主的な見直しを依頼する、そういう取組になるんじゃないですか。国税庁、もう一回答えてください。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、収入金額や所得金額の記載欄に不明と記載された申告書が提出された場合に、税務署におきまして、納税者に対して電話や文書により申告内容の確認及び自主的な申告を依頼させていただくことがあるということでございます。

城井委員 総理にお伺いします。

 確定申告で国民が同じように領収書なしで不明と申告したら、国は認めますか。総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 これは、今国税庁から答弁があったとおりだと承知しております。

城井委員 国民の確定申告の取扱いと、先ほど御紹介したこのような不明、不明、不明といったことが受理されるということ、ここがダブルスタンダードで運用されてしまうと、国民には厳しく、そして自民には優しいというふうに受け止めてしまう可能性があると考えています。

 実際に、多くの国民の受け止めは、例えば、民間企業の従業員の方からは、政治家が裏金問題でまともな結論を出さないなら、源泉徴収をやめてもらって、納得してから自分で払うようにしたいぐらいだ、こうした声も届くわけであります。

 総理、この源泉徴収をやめてほしい、納得してから税金を納めたいという声にどう応えますか。

岸田内閣総理大臣 そういった国民の皆さんの声を深刻に受け止めなければならないと考えます。

 そのためにも、政治の信頼回復、政治と金の問題について努力をしなければならない、信頼回復に努めなければならない、こういった思いを強く感じます。

城井委員 今回の、収支報告書に、収入でも支出でも、書いていなかった裏金は、その入手後に自民党議員個人がその存在を認識して所有していたならば、それは個人の雑所得として取り扱い、ルールにのっとった納税をすべきです。確定申告をされた国民の皆さんからは、政治家だけ特別扱いか、脱税を許すな、きちんと調べろと、怒りの声があちこちで上がっています。

 パネルを御覧ください。

 毎日新聞の世論調査では、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり問題のあった自民党議員を国税当局が調査すべきか聞いたところ、調査すべきだが九三%を占めました。極めて高い数字です。

 脱税を許してはなりません。総理、今回の裏金について、きちんと調べて、脱税させず、きちんと納税するように促していただけますか。

岸田内閣総理大臣 国税庁においては、一般論として、様々な機会を捉えて課税上必要な資料ですとか情報収集に努めて、課税上問題があるとしたならば税務調査に入るなど、公正そして適正な課税の実現に努めていると認識しています。

 そして、その上で、対応を国税庁に指示するべきだという御質問でありますが、この点については、個別の事案について、税務行政の中立性を維持する観点から、内閣総理大臣であっても、あるいは財務大臣であっても、具体的に指示を行うことは控えなければならない、このように考えております。

城井委員 きちんとした国側からの調査なくして国民の納得が得られるとはとても思えません。

 今回の裏金、そもそも脱税額がどれぐらいになるかという点を指摘したいと思います。

 二月二十一日の予算委員会の立憲民主党山岸一生議員の質問で、雑所得二千万円を修正申告した場合に幾ら税金がかかるかとの問いに、国税庁が機械的試算として以下のように答えています。

 パネルを御覧ください。

 自主的に申告した場合には、納めるべき所得税額が五年間分で八百万円、延滞金十九万六千八百円の計約八百十九万円です。税務調査が入った結果の修正申告、八百万円に加えて、延滞税が十九万六千八百円、過少申告加算税八十万円、合計で八百九十九万六千八百円です。

 さらに、仮に過少申告加算税の代わりに重加算税が課された場合、悪質な場合には、重加算税二百八十万円、延滞税五十七万三千三百円となり、この最悪の場合の合計は一千百三十七万三千三百円となります。パネルでは一番目と三番目のケースを示しています。

 今回、これまでに明らかになった収支不記載総額、裏金の総額、安倍派は十三億五千百五十七万円、二階派は三億八千八十二万円、宏池会は三千五十九万円。これらを雑所得として修正申告したなら、所得税だけでも数億円単位の脱税が明らかになる計算となります。住民税も含めると更に脱税額は跳ね上がります。

 自民党が納税検討との報道もありましたが、立ち消えています。数億円単位の脱税可能性を知った納税者はどう思うか。税金を納めるのがばからしいとの声もあちこちで上がっています。

 総理、やはり、今回の裏金について、自主的に国税庁に任せるということではなくて、きちんと調べて、自民党の裏金議員を脱税させずに、きちんと納税するように促すべきであります。総理、やっていただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の試算ですが、これについては、御党の方から指定があった、収入が個人に帰属する、収入から必要経費を控除しても残額があるといった仮定に基づいて納税額を機械的に計算したもの、このように承知しています。

 他方、先ほども申し上げましたが、政治資金については、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人、いずれに帰属するかによって課税関係が異なります。個々の事実関係を精査する必要があるわけでありますが、こうしたことを考えますと、一定の仮定を置いた試算に基づいて多額の課税漏れが疑われるという指摘、これは必ずしも適当ではないと考えております。

城井委員 政治資金の帰属がどうかという点を国で調べていないのに、そこは言い切れないというふうに考えます。

 これまで総理は、真摯にと八十回以上も答弁でおっしゃっていただきましたが、ここで万が一脱税があってそれを見逃したら、その脱税を見逃してしまう総理は果たして真摯と言えるのか、言っていることとやっていることが違う、言行不一致だと国民は受け止めるんじゃないかというふうに考えます。

 今回の自民党派閥の裏金については、雑所得として取り扱うべきものをきちんと課税の対象とすること、政治家がルールにのっとった納税をすることを強く求めます。

 時間も限られてまいりましたので、続いて、今回の裏金の疑いのある自民党衆議院議員五十一名全員の政治倫理審査会での弁明について総理に伺います。

 自民党の調査では、この裏金疑いの議員は、衆議院議員で五十一名、参議院議員で三十一名、合計八十二名でした。この間、この八十二名からは国会に対する説明がなされていません。このうちの五十一名の衆議院議員は、衆議院政治倫理審査会に出席して自ら国民に説明すべきです。

 総理も、これまで、今後もあらゆる機会を捉え、国民の信頼回復に向けて説明責任を明確に果たすよう求めていくとおっしゃっております。本日の委員会でもそのような趣旨の答弁がありました。政倫審での弁明は、まさに説明責任を果たすあらゆる機会のど真ん中だと考えます。この五十一名全員に対して政倫審での弁明を促すべきです。

 さて、総理、午前中の野田佳彦議員と総理のやり取りの後、十二時から政倫審の幹事会が開かれました。自民党からは何と、傍聴、撮影、録音、院内テレビ、会議録のいずれも許さないとの完全非公開が提案され、我々野党からは完全公開を求め、幹事会は休憩となっています。

 総理、なぜ自民党は政倫審の完全非公開を提案したんですか。我々からは完全公開を主張しましたが、自民党が反対したわけです。完全非公開を提案した自民党、この総裁は、責任者は、岸田総理、あなたです。国民に説明責任を果たすと言いながら完全公開に反対するとは、国民への裏切りです。話が違います。どうやって国民に内容を届けるんですか。

 映像も議事録もマスコミ取材も含めて完全公開すべきです。今からでもこの場で、自民党総裁として政倫審の完全公開を指示してください。

岸田内閣総理大臣 これは午前中に一回お答えいたしましたが、衆議院の政倫審の規則第二十三条一項において、まず、傍聴は許さない、これを明記した上で、第三項において、傍聴について、対象となる議員の意思を尊重する、このように規定されています。そういった規定に基づいて今調整が行われていると承知しています。

 こういった規定がありながらも、過去においては、完全な非公開もあれば、議員のみの傍聴もあれば、議員とマスコミの傍聴といった形態もありました。そして、逆に、完全な非公開というのは、過去、長い歴史の中でも一件しかないというのが実情であります。こうした中で、説明責任を尽くす観点から最良の方法が取られること、これを期待しております。

 いずれにせよ、あらゆる場面を通じて説明努力を促していくことは党の基本的な方針であります。

城井委員 期待では駄目なんです。総理が指示して自民党が賛成すれば、完全公開は決められます。完全非公開では国民に説明が届きません。説明責任を尽くすよう促していきたいと言いながら完全非公開では、全く反対の状況です。これでは国民は納得しません。

 これまでも弁明の機会を求めている議員は自民党の中にもたくさんおられました。出てくるのはたったの五名です。二階派の会長、二階俊博議員はなぜ出てこないんですか。萩生田議員や下村議員はなぜ出てこないんですか。一千万円以上の莫大な裏金のあった議員もなぜ出てこないんですか。国民は見ています。

 総理、最後にお聞きします。

 是非、裏金関係議員全員の政倫審での弁明、出席を促してください。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた政倫審の規則に基づいて、政倫審の形式について今、関係者が議論を行っております。

 いずれにせよ、あらゆる機会を通じて説明責任を果たしていく、これを党としても促していく、この方針は変わりません。

城井委員 国民は納得していないと思います。引き続き全員の出席を求めていくことを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、奥野総一郎君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 総理に改めて伺いたいと思うんですが、総理は今も説明責任とおっしゃいましたが、これは誰に対する説明責任なんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず何といっても重要なのは、国民に対する説明責任であります。

奥野(総)委員 納税者である国民でありますね。ところが、今の総理の答弁では、私は、総理がそれを本当に火の玉になってそう考えておられるかは疑問だと思うんです。

 国民の前に説明していただくには、当然、メディアに入っていただいて、全面公開で政倫審をやらなければいけないんじゃないですか。なぜ非公開なんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた政倫審の規則第二十三条における一項と三項の規定、こういったことに基づいてこの形式、取扱いについて今調整を行っている、こうしたことであります。

奥野(総)委員 総理自身もおっしゃっているように、過去、自民党の議員もメディアの公開の前で政倫審に出席されたこともあるわけですよ。この大事な局面で、私は総理がリーダーシップを取って指示すべきだと思うんですね。

 ただ、これももう一度後でやりますけれども、総理はいつもこうやってお逃げになるんですよ。国会の規則だと言うけれども、国会の規則だってやっている例はあるし、総理が指示すればできるんですね。

 もっと逃げられないのが、御自身が政治刷新本部長であるということでありまして、この報告書、これは総理が総理をされて、総理が指示をされてまとめられたものじゃないですか。これについては、私はすごく期待していたんですよ。事あるごとに、総理は答弁の中で、ヒアリングをやっているから、その中でやります、やりますと何回も言ってきたんだけれども、開けてみたら、中身がほとんどないんですね。

 これはなぜかというと、聞き取りをやっているのは議員だからです。ここにもちゃんと書いてありますが、本調査チームの六名の議員のうち二名が聞き取りを行ってと。弁護士は参加なんですよ。やっているのは議員で、あくまで弁護士は参加だということなんですね。だから、党がやっていると。この書きぶりはそうですね。聞き取りをしているのは議員なんです。ただ弁護士は参加しているだけなんです。

 であれば、これは完全なお手盛りじゃないですか。党から独立した第三者でやるのが今の第三者委員会方式だけれども、それと真逆の、これは昭和の方式ですよ。自分でお手盛りでやって、何もありませんでした、こういうやり方なんですね。

 例えば、総理自身が宏池会の会長でありましたね。この聞き取りの中には、宏池会について、五年間でおよそ三千万円の不記載がある、こういうふうに書かれているわけですよ。総理はそのときの当事者ですね、会長。であれば、総理自身が本来は聞き取りを受けているんです。

 聞き取りを受けられましたか。総理、聞き取りを受けられましたか。

岸田内閣総理大臣 聞き取り調査の対象にはなっておりません。

 説明責任については、私自身、まさにこのテレビ中継の入った予算委員会を始め、御指摘の点についても再三質問を受け、そしてお答えをしております。これからも、予算委員会、御質問を受けたならば、説明責任を果たしてまいります。

奥野(総)委員 今のはちょっと不正確なんですよ。

 聞き取り対象者の中には、「派閥・グループ(代表者又は事務総長から聴き取り)」、こうなっているんですね。この期間中はまさに代表者、昨年辞められるまでは代表者を務めておられたわけですから、対象たり得るわけですよ。であれば、事務総長に任せずに、代表者としての総理自らが、身を切ってというか、自らの潔白を証明するために、ここでやるべきじゃないですか。率先して自分が聞き取りを受ければ、ほかの議員も聞き取りをちゃんと受けるんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 まさに、聞き取り調査については、総務会長を始めとする議員グループに、二つの弁護士事務所から七名の弁護士にも参加していただき、そして取りまとめも全て弁護士グループにお任せする、こうした対応を取り、中立性、客観性を維持した次第であります。そして、その中で、必要とされる議員について聞き取り調査を行ったということであります。

 そして、事実として、先ほど申し上げたように、私自身は聞き取り調査を受けておりませんが、その内容について、把握すべき内容については、派閥の事務総長に加えて、私自身も公の場で再三説明をさせていただいている、こうしたことであります。

奥野(総)委員 これは、対象者ではあるんですよね、派閥の代表者であったわけですから。

 じゃ、誰がこの聞き取りメンバーを決めたかというと、これは結局、弁護士じゃなくて議員でしょう。皆さんが決めて、弁護士はあくまで陪席ですから、まさにお手盛りなんですよね。聞き取りの範囲も全部自分で決めてしまっている。

 総理は、だから、本当に火の玉だと言うんだったら、御自分がその意欲を示して、聞き取りを受けたとここで私は語ってほしかったですね。身の潔白を語るために私も進んで聞き取りを受けましたというのを私は言ってほしかったです。総理がそうやらないと、なかなかほかの、例えば二階さんなんかが語るとはなかなか思えませんから。そういう意味なんですね。

 同じような話ですが、この聞き取りの中には森元総理が入っていないですね。お配りしている資料の十五ページに「風知草」と、これは有名なコラムですが、書かれていますが、森総理についてこう書かれています。「派閥の政治資金パーティーの収入を裏金として議員に還流する――という安倍派の悪習は、森がこの派閥の会長だった二十年前から始まった。安倍派の幹部が証言している。つまり、森は裏金づくりの経緯を知るキーパーソンである。」こう書かれているわけです。

 今回のヒアリングの中でも、この裏金については、「二十年以上前から行われていたことも窺われる。」と。この記事にも合致するわけですが、なぜ森元総理のヒアリングをしなかったんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 七名の弁護士の参加も得て実施された調査においては、還付金等や、それを政治資金収支報告書に記載しない取扱いの始期、始まった時期についても聴取を行いました。

 その結果を弁護士において取りまとめた報告書においては、清和政策研究会においては遅くとも十数年前からこれらの取扱いが行われていた可能性が高いとされているところであります。他方で、具体的にいつどのようにして始まったかまでは判然としない、このように調査書としても記載をしています。

 森元総理の具体的な関与について指摘があったという発言についても、特段指摘がありません。こういったことから、必要な実態把握のために、必要な範囲で聞き取り調査を行ったと判断をしていると考えております。

奥野(総)委員 総理自身が、我が党の本庄委員とのやり取りの中で、森元総理の関与等についても、この聞き取りの中で扱って、今日までの経緯など、しっかりと踏まえた上で更なる調査などを検討する、こうおっしゃっているわけですよ。

 分からないんだったら、総理に聞けばいいんですよね。森さんに潔白を証明してもらえばいいじゃないですか。そこを言っているんですよ。

 ヒアリングの仕方も非常に恣意的だし、清和会への忖度があるんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 これは、あくまでも聞き取り調査の方法であります。この調査を行った、その中で、森元総理の具体的な関与を指摘する発言はなかったということから、追加の聴取は必要ないと判断したと受け止めております。

 いずれにせよ、この聞き取り調査だけで全てが把握できたものではないと我々も感じています。だからこそ、その他の手段、アンケートを始め、様々な機会を通じて実態把握に努めていかなければならないと認識をしております。

奥野(総)委員 具体的な名前はなかったということになっていますが、聞き取りの中でも、「二十年以上前から行われていたことも窺われる。」と書いてあるんですね。そうすると、歴代のやはり清和会のトップからヒアリングをしなきゃいけないはずなんです。二十年前といえば、まさに森さんなんですよね。

 だから、これは私は、本当に、まず人選からして非常に中立性を欠いているというふうに思います。

 次ですが、中身なんですけれども、中身もここに、一部なんですが、「「還付金等を使用していた」と回答した五十三名の中には、「支出の全部又は一部について領収証があり、支出についても収支報告書の訂正をする」旨を述べた者も見られた。」ということで、この使途、使い道がいっぱい、これはあいうえお順らしいですが、書いてありますが、これは、きちんと領収書に遡って、この支出の内容をそれぞれの議員から確かめたでしょうか。

 税務当局によれば、収支報告に記載されているからといって必ずしも無税になるわけじゃない、その使途が、例えば、プライベート、政治活動によらず、プライベートのために使われていれば、それは課税対象になるということは答弁されているわけでありますが、そこまできちんとこのヒアリングでは調べられましたか。

岸田内閣総理大臣 領収書については、聞き取りの過程において必要に応じて確認したものであり、還付金等の使用に際しても、領収書等を徴していることが確認できた例もあったという報告を受けています。

 また、還付金等を使用した場合の使用額等については、現在、関係者において政治資金収支報告書の訂正作業が順次行われているところであり、その中で可能な限り明らかにされるものであると認識をしています。

 なお、党の聞き取り調査において、還付金等を政治活動費以外に用いた、又は違法な使途に使用した、こうしたことを述べた者は一人もいなかったと報告を受けています。

奥野(総)委員 だから、私が言いたいのは、それはちゃんと領収書を見てきちんと調べて裏を取ったんですかということを申し上げたいんですよね。今の答弁だと、そこまでやっていないということでよろしいですよね。

岸田内閣総理大臣 今回の調査ですが、これは、支出額ではなくして、使用目的が重要であるということから、領収書について網羅的な確認、これは行っておりません。

奥野(総)委員 だから、これだけ世の中で脱税、脱税と言っている中で、そのぐらいはやはり、総理、本部長、委員長でしょう。本部長がやはりそれじゃ、私は何が火の玉だと思いますよ。全くやる気がないじゃないですか。ここはやはりきちんと、領収書がある人は全部確認して、大丈夫だった、こう言ってここで答弁してほしいわけですよね。

 更に問題なのは、「「支出についても収支報告書の訂正をする」旨を述べた者も見られた。」というのは、「見られた」ということは、一部ということなんですね。ほとんどの人は修正できないし、これを読む限り、領収書がないから修正できないんだということがここにははっきりと書いてあるわけですよ。

 先ほどの萩生田さんのような例、不明、不明、先ほど城井委員のところでありましたけれども、ああいうことに平気でなるわけですよ、支出も分からない、入りも分からない。

 これは、萩生田議員に対して、この不明の理由とか、じゃ、いつまでに解明してこの収支報告を訂正するかということは聞き取りをされたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の収支報告書については、後日、具体的な数字等が確定した段階でこの不明とされた部分について記載を行う旨、この報告書の中に記載されていると報告を受けております。いつまでということについては、把握しておりません。

奥野(総)委員 これは、だから、やります、やりますと言って、結局できないんじゃないんですか。

 さっき星屋次長から話がありましたけれども、分からない場合はちゃんと税務当局が電話をかけて調べると言っているわけですよ。脱税の疑いだってあり得るかもしれない。それをちゃんとやはり党として明らかにすべきだったと思うんですね。ここも調査が非常にずさんであります。

 それから、毎回言ってきた、二階さんに対して、五十億近い政策活動費、これを使い切っているかどうかというのは、総理は聞くまでもないとおっしゃっていましたが、聞いたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費の使途については、当然のことながら、党勢拡張等、本来の目的に基づいて使用されていると認識をしております。

奥野(総)委員 これは繰り返し、要は、聞く気もないし、聞いていないということなんですね。

 それから、今度は、安倍総理が一旦還付をやめると決定したという件なんですが、そこの一番上のところですね。「安倍総理が還付は止めると決定しながら、結局、還付が行われたのが残念。誰がその決定をしたのかについては、誰も語らない。」こういうところで、同じような意見がいっぱい出ているわけですよ。

 これに対して、下村議員、資料の十七ページに、「「還流分を上乗せ記載、提案あった」 下村氏が安倍派幹部協議明かす」、こういう記事が出ているわけです。結構しゃべっているんですね。

 これは、誰が還付をやめるのをやめたのかということについて共謀が行われていたかどうかという大事な論点だと思うんですが、これについて、下村議員にこのヒアリングの中では聞かれましたか。

岸田内閣総理大臣 報告書等を通じて、今御指摘の点について実態を確認したということは、私自身聞いておりません。

奥野(総)委員 聞いておりますと言うのかと思ったら、聞いておりませんと断言されましたが、要は聞いていないんですね。

 要するに、萩生田さんのお金の使い道も、二階さんのお金の使い道も、それから、最も肝腎な、還付を止める決定を一旦はしながら誰がひっくり返したのか、この辺の話、一切このヒアリングの中では聞いていないということなんですよ。全くお手盛りで、肝腎なことは何も聞いていない。それが、国会でお決めになることじゃなくて、総理自身の名前で行われているわけですから、やる気がないとしか思えないんですよ。

 先ほど城井委員からもありましたけれども、五十一人という話もありましたが、特にこの三人、政倫審に来ていただいて、公の場で説明責任、先ほど総理は、説明責任というのは国民の前で、テレビの前でとおっしゃいましたけれども、改めて三人の参考人招致をこの場で求めていただけますか。明言していただけますか。

岸田内閣総理大臣 今、御質問は、参考人招致とおっしゃいましたか。参考人招致というのは、それは予算委員会、国会で御判断いただくことだと思います。

奥野(総)委員 今のはちょっと分かりにくかった。

 まず、政倫審に呼んでくださいという話があって、それが駄目なら参考人ということですが、政倫審はどうでしたか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の五十一名については、政治倫理審査会への出席の意向状況を国対関係者において確認を行いました。出席の申出をした五名以外は、おおむねの議員を含めて、状況を見て判断したいという返答であったと報告を受けております。

奥野(総)委員 私が申し上げたかったのは、特にこの三人については、総理が今ここで公開の場での政倫審への出席を促してくださいというのが質問だったんですが、今のお答えだと、無理だ、こういうふうに受け止めましたが、改めて予算委員会への参考人招致を求めたいと思います。

小野寺委員長 理事会にて協議いたします。

奥野(総)委員 それで、この参考人招致、政倫審でもいいんですが、公の場で語っていただかないと、政治と金の問題について、国会として説明責任、国民に説明責任を私は果たすことができないというふうに思うんですね。

 よって、我が党としては、この三名、二階さん、萩生田さん、下村さん、少なくともこの三名の参考人招致が認められなければ、令和六年度予算をこの国会で通過させることは困難だと言わざるを得ません。よく御検討ください。

 そして、次の話ですが、世論調査について、八四%が、派閥の幹部を処分すべきだ、こういうふうに言っています。この提言の中にも、これは、政治と金について、提言の中の十ページでも、「「政治とカネ」に関する不正行為に厳罰を科していくなど党としてペナルティを強化していくことは、国民の信頼回復のためにも不可欠である。」こういうふうに書かれています。

 総理、総裁として、報告書を受けて、ヒアリングの対象となっている八十五名の具体的な政治的責任の取り方について、具体的に今どのような検討を進めておられるでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、引き続き実態把握、説明について努力が続けられています。御指摘の政倫審を始め様々な場で、関係者が説明努力を続けなければなりません。

 そして、実態把握の結果と、そして説明のありよう等を踏まえた上で、党として、政治責任、処罰等についても判断を下してまいります。

奥野(総)委員 ずっと総理は当初から今の答弁を続けているんです、まずは実態把握、そして聞き取り実態調査等に努めると。その聞き取り実態調査というのが今のこの報告書なんですね。これは非常に不十分だと思います。さらに、政倫審というのもありますが。

 では、一体、いつこの処分をお決めになるのか。過去にはコロナ禍で離党をされたような方もいらっしゃいますが、国民が納得するような政治責任というのをいつお決めになられるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、実態把握と、そして関係者自身の説明努力等を踏まえた上で、党としての政治責任の判断を行ってまいります。今後の状況を踏まえた上で、適切なタイミングを判断いたします。

奥野(総)委員 これはしっかりやっていただかないと、本当に、国民の政治不信、また、ひいては納税意識にも影響する、国家を揺るがす私は大事な話だと思いますので、このまま予算が終わったら何もなかったということがないように、是非しっかりやっていただきたいと思います。

 そして、最後にもう一点。

 負担の問題ですけれども、先日、私への答弁に対して総理は、防衛増税については、一兆円についてはしっかりやっていく、こういうふうにおっしゃいました。また、子育て支援金についても一兆円、額はもう明示されているわけですね。防衛増税については令和九年度に向けて段階的に行うと明言されていますし、子育て支援金も令和八年度から段階的に実施されると。これが段階的に実施された暁には、都合二兆円、トータル二兆円の負担が新たに国民に加わるわけです。

 この二兆円というのは、皆さん、消費税の一%分と一緒なんですよ。消費税を一%上げるといったら、総理はもっと丁寧に説明されると思いますよ。ところが、今、今日も見ていても、負担は増えないんだ、実質的な負担は増えないんだの一点張りなんですが、これは本当に、二兆円のお金が国民の側から国庫に入るのに負担が増えないと言い切れるんですか。なぜそんなことが言えるんですか。

岸田内閣総理大臣 それについては、要は、重要なのは社会保障負担率であると申し上げています。社会保障負担率、分子が保険料負担であります。分母が国民の所得であります。

 そして、分子の保険料負担について、令和五年そして六年、この両年度の予算編成の歳出改革によって三千三百億円の軽減、これを生じさせています。これを令和十年まで引き延ばすことによって約一兆円の軽減効果を生じさせて、その範囲内で支援金制度を導入する、このように申し上げています。分子の部分についても、保険料負担についても、負担が増えないと申し上げています。

 そして、分母の賃金についても、今まさに賃上げに努めているわけでありますし、分母が増えることが負担率を向上させないことを確実にするものであると考えています。

 こうした分子と分母両面の取組によって実質的な負担が生じない、このように申し上げております。

奥野(総)委員 もう時間が来たのでやめますが、国民にとって大事なのは、社会保障負担率じゃなくてお財布の中身なんですね。手取りが幾ら減るかが大事であって、これは必ず減るんですよ。そういうごまかしは私はやめていただきたいと思います。

 以上です。

小野寺委員長 これにて野田君、近藤君、山田君、岡本さん、城井君、奥野君の質疑は終了いたしました。

 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、質問をさせていただきます。

 まず冒頭、防衛装備品の輸出について一問だけお伺いしたいと思います。

 昨年末、日本、イギリス、イタリアで次期戦闘機の共同開発、グローバル戦闘航空プログラム、GCAPに関する条約が締結されました。今回初めてのケースとなりますが、今後、最新技術を搭載した防衛装備品は、一か国で製造するのは非常に難しいということで、基本的には国際共同開発になるということが想定されております。

 技術革新によって安全保障の手段が多様化、高度化する中で、最新の防衛装備品が自国の仕様であること、また、同盟国と共有していくということは望ましい国際環境を実現するために不可欠である、このように考えております。

 もちろん、今回も、イタリアとイギリスは輸出をすることを前提にこの条約に署名をしているという状況です。

 一方で、日本は、防衛装備品移転三原則の運用指針によって、第三国、今回であればイギリスとイタリア以外の国に完成品を輸出するということはできません。これだと当然、同盟国の期待を裏切ることにもなりますし、国内の防衛産業にも影響がありますし、また、そもそもの今回の条約の趣旨を満たさないのではないかと考えております。

 こうした昨今の国際環境を踏まえれば、国際共同開発において第三国への直接完成品輸出、これは許容していくべきではないかと考えております。これは私だけの意見ではありませんで、先日、日本維新の会と教育無償化を実現する会の中で様々な政策協議をする中で、こういった方向性を一定打ち出していこうということになっております。

 この点について、まずは総理のお考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、防衛装備品、高度化そして高額化、こうした傾向が続いています。

 その中で、防衛上必要な優れた装備品を効率的に取得するためには、技術あるいは資金、これをパートナー国と分担し合う国際共同開発、生産、これに参画すること、これは極めて有効であります。特に航空機においては、こうした必要性がより高まっていると認識をしています。

 そして、一般的に、国際共同生産の規模が大きくなるほど調達価格の低下につながるということから、自国やパートナー国での完成品の調達に加えて第三国移転を推進すること、これが極めて重要であると考えています。

 そして、政府としては、こうしたパートナー国との関係や、国家安全保障戦略に示した装備移転の意義、すなわち、力による一方的な現状変更を抑止する、また、望ましい安全保障環境を創出する、こうした目的のために、重要な政策手段にこの共同開発はなると認識をしています。そして、こうした国際共同開発、生産をした完成品の第三国移転を行うことが我が国の国益にもかなう、このように認識をいたします。

 こうした考え方の下に、政府としては、第三国への直接移転の必要性、これを説明しているところであります。

青柳(仁)委員 必要性は認識されているということですから、是非、防衛装備品移転三原則の運用指針の再改定等も含めて、これは今回の条約限りとせずに、基本的には国際共同開発の際には原則的に第三国への完成品の移転を許容していくというようなことが、やはり、国際場裏の中で我が国にとっても同盟国にとっても必要ではないかと思っておりますので、この点、まず申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、二問目といたしまして、子供、子育て支援金による国民負担増について質問したいと思います。

 これは、再三これまでも予算委員会で総理と議論させていただいておりますが、これまでもずっと総理は同じ答弁を実は繰り返しております。それがここに書いてある答弁です。元々は我が党の馬場伸幸代表が、衆議院の本会議、二月一日に聞いた質問に対する答えです。

 少子化対策、これは何度聞いても、私も分からないし、ここにいる誰も分からないし、国民の皆さんも理解していないと思うんですが、なぜ国民に実質的な負担が生じないのか、ちょっと理解できないんですね。これがこの説明なんです。少子化対策における支援金制度は、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で構築することとしており、全体として実質的な負担が生じないこととしておりますと。

 これは意味がまず分からないんですが。ただ、意味が分からないんです、毎回こうお答えになるので、わざわざパネルを用意したんです。今日は、これの意味が分からないから説明してくださいと言っているわけですから、これを繰り返すのは是非やめていただきたいと、まずは思っております。

 その上で、支援金で、国民から一兆円の財源を徴収するわけです。これは前回の予算委員会で申し上げました。二〇二六年四月から社会保険料を上げるんです、二〇二八年度までに一兆円にする。どんどん上げていくんです。これは国民に実質的な負担が生じます。

 また、実質的な負担に関して、当初はこういう答弁をしていたんですけれども、最近は、二週間前ぐらいから、総理は一人当たり月五百円弱というようなことを言っておりました。

 しかし、先週末には、加藤大臣が月千円を超える可能性を認めました。これは、例えば共働きの夫婦なんかだと、千円を超えると大体年間二万四千円ということになります。先ほど立憲民主党の議員も、五人の場合はどうなるのかと。これは、もちろん、保険の加入者の数が増えれば増えるほど、その分だけ倍になっていくということになっております。

 したがって、いずれにしましても、千円であれ五百円であれ負担は生じているんですけれども、負担は生じないとおっしゃる。

 これは、つまり、総理の御理解では、国民が毎月支払う社会保険料が上がることというのは国民にとっての実質的な負担ではないとおっしゃっているということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 そういう意味ではありません。

 今、分かりにくいという御質問に対して、申し上げているのは、大事なのは社会保険料の負担率であるという説明をさせていただいております。

 分子が保険料負担であります。これについて、歳出改革によって低減効果を生じさせると申し上げているわけですが、令和五年度、六年度、両年度において、歳出改革により三千三百億円の軽減措置、これを生じさせています。これを令和十年まで継続することによって約一兆円の軽減が生じるということになり、その範囲内で支援金の制度をつくるということであるならば社会保障負担率が上昇することにはならないと申し上げています。

 なおかつ、分母の部分は国民の所得でありますので、今、賃上げに向けて努力をしていく、賃上げが進めば社会保障負担率の低減、これはより確実なものになると申し上げています。

 そのことによって、国民の実質的な負担は生じないという説明をさせていただいております。

青柳(仁)委員 だから、今の説明が多分誰も分からないんですね。

 それで、申し上げたいのは、まず私の質問は、総理の理解では、国民が毎月支払う社会保険料が上がることは国民にとっての実質的な負担ではないということですかと聞いたんです。なぜかといったら、私、厚労省にちゃんと確認したんですよ、そういう理解でやっているんです。であれば、厚労省の理解と総理の理解が違うということなんです。それを今から説明したいと思います、何が違うのか。

 今、分子と分母がという話があったので、わざわざ表を作って持ってきました。要するに、総理のおっしゃっている、政府のおっしゃっている国民負担が生じないというのはどういう定義かというと、国民に実質的な負担は生じないとは、ここにある社会保障に係る国民負担率が上がらないことなんです。国民負担率が上がらないことをもって実質的な負担は生じないと言っているんですね。

 その国民負担率というのは何かというと、これを見ていただくと分かるんですけれども、灰色のところが分かりやすいと思うんです。雇用者の報酬ですね、雇用者が受け取っている報酬です、所得です、お給料です。上の分子が社会保険の負担ですね。ここからどれぐらい社会保険が引かれるのか。この分子、分母です。

 ただ、厚労省のまた変な説明で、何か企業が入っていますみたいな話なんですけれども、ここでははっきり言って企業のことは関係ないので、一旦除外して話をすると、私が申し上げている、さっき言った国民が毎月支払う保険料が上がることというのは、この表でいうと、社会保険負担というものが大きくなることを意味するんです、分子にあるところの。一方で、総理の言っている国民にとっての実質的な負担が生じないというのが厚労省と同じ認識であれば、それは国民負担率が上がらないということをおっしゃっているんです。

 ですから、私の質問というのは、そういう理解しかできないといいますか、国民が毎月支払う社会保険料が上がることは国民にとっての実質的な負担ではないと政府も総理もおっしゃっているんです。だって、この表で計算しているんだから。この分子の部分の話と、国民負担率の話は別ですよね。違いますか。

岸田内閣総理大臣 今の御質問の中で、国民負担率が上がらないというのが実質的な負担を生じないという点、これはそのとおりだと思います。

 ただ、保険料が上がる、上がらないの部分については、先ほども申し上げたように、歳出改革によって社会保険の負担を軽減する、この効果を生じさせると申し上げております。その軽減の範囲内で支援金を創設するということでありますので、一人一人の負担ということを考えた場合に、毎月の支払いが増えるということについては当たらないと思います。

 ただ、もちろん、収入によって、あるいは加入している保険の種類によって具体的な数字の凸凹は当然生じますが、全体として、今申し上げた形で、国民負担率は増えないということを説明させていただいております。

青柳(仁)委員 ですから、今の答弁、いろいろ長かったんですけれども、要するに、総理は、さっき私が言った、政府の理解は、ここの表で言うところの、社会保障に係る国民負担率が上がらないことが実質的な国民負担は生じないということですということはお認めいただけました、今の答弁で。

 ですから、私が言っているのは、社会保険負担というのが上がるということは、これはさっきの五百円とか千円とかという話なんですよ。社会保険、今払っているお金が上がるという話ですから、それとは違う。

 つまり、最初に私が申し上げた質問です。国民が毎月支払う社会保険料が上がることは国民にとっての実質的な負担ではないと、政府も総理も認識しているんです。まずはこれを確認させていただきたいと思います。

 その上で、今、企業の要素を除いて考えてみたときに、こういうふうになっているわけです。社会保険負担というのは、一応政府の数字で九%ということにしているらしいので、雇用者の報酬を一〇〇とすると、社会保険の負担は九です。その場合、社会保険負担率は九%ですということになります。

 なぜわざわざこういう式を作るのかということなんです。国民負担率の計算式は別に珍しいものではありません。ただ、なぜわざわざ実質的な負担は生じないということを、社会保険負担を生じないということにすればいいじゃないですか。だって、そうしたら、これが五百円とか千円の話なんですけれども、月五百円弱だとか千円を超えるかもという話はこの社会保険負担の話なんですから。分子の社会保険負担を増やしませんと言えばいいじゃないですか。

 でも、何でこういうことをするかというと、ここが増えるのは前提だからなんです。総理も政府も、ここは増えますと言っているんです。社会保険負担は増やします。だって、実際に二〇二六年四月から保険料を上げるわけですから、国民の皆さんは支払うわけですから、それは社会保険負担が増えるんです。

 でも、先ほどから言っている、増えません、負担は生じない、どういう意味かというと、分母と分子ですから、雇用者報酬が増えたら、分母が大きくなったら、分子が増えてもこの率は変わりませんよねという話をしているわけですよ。だから、雇用者報酬が増えるこの賃上げの部分をまず見込んだ場合、社会保険の負担というのを上げなくて済む。

 その計算が、まずここに出てくるわけなんです。今、雇用者全体の賃上げというのは大体三・一%というふうに政府は試算しております。ですから、雇用者報酬が三・一%上がる分に関して、つまり、社会保険負担率が三・一%上がる分に関しては、これは増えたとしても社会保険負担が増えたことにはなりませんね、こういう理屈なわけです。

 これは極めて詐欺的な計算式だと私は思うんですが、何が詐欺かというのは今一つ一つ申し上げますが。

 まず一つ目は、分母で、雇用者報酬が増えたら、これは賃上げということですよね。国民の皆さんが一生懸命働かれて、お給料がようやく上がりました。上がった分は社会保険負担で相殺されますということになるんですか。

 これはおかしいですよね。雇用者の賃上げが行われたら、その原資は何になるべきですか。これは、どんどんどんどん今ウナギ登りに上っている社会保険料あるいは税金、国民負担率を下げるための原資にするべきじゃないですか。あるいは、国民の皆さんが自らの可処分所得を増やして豊かになるために使うべきじゃないんですか。何でこれをここで相殺しようとするんですか。

 全然意味が分からないんですけれども、まずこれについて。なぜ賃上げをこの式の中で相殺しようとするんですか。賃上げは、国民の可処分所得を増やすべき、全体的に上がっていっている国民負担を減らすべき、そのために使うべきだと思うんですけれども、いかがですか。

新藤国務大臣 これは、何度も御質問いただいているので、このやり取りは本当にどんどん深めなきゃいけないなと思っているんですけれども。

 次のパネルを出してくれますか。(青柳(仁)委員「それはこっちがやります」と呼ぶ)今、青柳委員、考えてもらいたいのは、賃上げによる抑制効果と、それから歳出改革によって支援金をつくるのとは別物で、分けて考えてもらわなきゃならないんですよ。

 ですから、まず、支援金という新しい一兆円は、これは徹底的な歳出改革によって、そこの保険料の部分の歳出改革が本来なら起きる。その部分をそのまま充てるので、賃上げがあるなしにかかわらず、支援金の負担は、支援金によって増える部分は保険料の中に入っている、こんなふうに考えてもらわなきゃならないんです。

青柳(仁)委員 今の新藤大臣の答弁は、岸田総理の答弁と違うんですよ。岸田総理の答弁、これは岸田総理の答弁というか、何度も加藤大臣もほかの大臣もみんな答えているものですから、別に岸田総理の答弁じゃないんですけれども、政府の答弁なんですけれども。

 これを見てください。歳出改革と賃上げによってと書いてあるんですよ。今、新藤大臣は賃上げは関係ないと言いました。歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせと言っているんです。賃上げは関係あるんです。

 その次のパネル、後で説明しますけれども、今問題にしているのはそこではなくて、まずこの話を片づけたいと思っているんです。

 まず、賃上げによっても社会保険料の負担を増やさないと言っている。もし新藤大臣が言うみたいに、社会保険料負担は全部歳出改革か何かで相殺するというんだったら、元々国民負担率で考える必要はないじゃないですか。初めから社会保険負担という話にすればいいじゃないですか。何でそうなっていないのかというと、賃上げの要素で相殺できるみたいな理屈になっているからなんです。これは何度も厚労省とも議論したので間違いありません、そういうことです。

 何をどう相殺するのかといったときに、これも厚労省の資料ですよ、違うんだったら、後でちゃんと確認してくださいね。(発言する者あり)こども家庭庁ですね。何を相殺しているかというと、その中に、医療・介護従事者の賃上げとか制度改革等というのは、相殺しているんですよ。これは相殺していますよね。今、うんと言っていただきました。

 だから、結局、何でここで相殺する必要があるのかということなんですよ。だって、この増の分だけ社会保険負担は増えているんだから、減らせばいいじゃないですか。何でここで賃上げをした分を相殺するんですか。元々、国民が豊かになるべき、国民の負担を減らすべき賃上げの原資を、なぜここで医療・介護従事者の賃上げのために相殺しちゃうんですか。これはどういうことですか。

新藤国務大臣 そこが本当に難しいところなんです。なんですけれども、まず、医療・介護従事者の賃上げ、これによって社会保険料を増やさなきゃならなくなります。これは診療報酬改定でなりました。この額というのは、二年間で〇・三四兆円程度、こういう計算があります。相殺というのは、下の方の、雇用者全体の賃上げ、これは全体で約六千億程度の余裕ができるんです。保険料の収入増があるんです。

 ですから、医療・介護従事者のための三千四百億円は、そもそも、それ以外の雇用者全体の報酬によって、雇用者全体の賃上げで伸びますので、その六千億の中に含まれているので、逆に、医療・介護従事者のための三千四百億円に余りがありますよと。この余り部分は、社会保障の負担率の抑制になるし、社会保障の余力になる、こういうことなんです。

 だから、私、もう一枚、せっかく委員が用意してくれたパネルを出してくださいと言っているんだけれども、そこの脇に、歳出改革の減というのと支援金というのがありますでしょう。こっちで支援金と歳出改革は相殺され、そして、医療・介護従事者の賃上げと雇用者全体の伸び、これが相殺されて、かつ余力ができる、こういう仕組みになっているんだということを申し上げているんです。

青柳(仁)委員 今の説明が分かる人は誰もいないと思うんです。私もはっきり言って分かりませんよ。笑っているけれども、じゃ、ちゃんと確認してください。さんざん厚労省と議論して、この表も、いろいろなコメントを受けながら最終的にこの形になっているんです。間違いはないです。

 なぜ雇用者全体の賃上げを、上で相殺する必要があるのかと言っているんです。こんなことしなきゃいいじゃないですか。じゃ、増えた分だけ社会保険料を減らせばいいじゃないですか。それでも率は変わらない。

 今、時間がなくなってきたので医療・介護従事者の賃上げのことは行きませんけれども、医療・介護従事者の賃上げをなぜここに入れなきゃいけないのか。新藤大臣がおっしゃっているのは、今年は増えたとか、次の年は減るとか、そういう話ですよね。ここは、社会保険料負担でこんな計算をそもそもする必要がないんですよ。もしそうであれば、社会保険負担そのものに対して、では、改革すればいいじゃないですか。こんな計算式で考える必要がそもそもないんですよ。

 それから、医療・介護従事者の賃上げのことだけおっしゃっていますけれども、これは制度改革等とか、ほかのものも入っているんです。なぜこれだけが相殺の要素になるのかというのもまず分かりません。それから、雇用者全体の賃上げというのは、何度も申し上げているんですけれども、賃金というのはこれまで上がっていないわけです、三十年ほど。実際、実質賃金も、今、二十一か月連続でマイナスなわけです。なので、こういう状況にある中で、何か分母が大きくなるという想定、まずこれが非常におかしいということを申し上げたいと思っております。

 先ほどから新藤大臣は何かいろいろおっしゃっているんですけれども、結局、もしそうであれば、全部歳出改革でマイナスにすればいいじゃないですか。それは最初から私が申し上げていることです。社会保険料負担、五百円、千円取られます。では、その分を歳出改革で全部相殺すればいいじゃないですか、こんな複雑な計算式を作らなくてもと思うんです。

 もう一つ申し上げたいのが、さっきから言っていた歳出改革に関して、これをさっきからおっしゃっていたわけなんですけれども、要は、支援金一兆円の部分は歳出改革で出しますよと。これも、さっきから申し上げているんですけれども、社会保険負担というのは増える前提なんです。毎年毎年増えております。今年も増えます。その増えていくものに対して、支援金一兆円で更にここは増えるんです。分子の方の社会保険負担というものは、これは一兆円分これから増やすわけですから、国民一人頭、先ほどから言っているような、年間で二万四千円とか、共働きであれば増えていくわけです。国民の皆さんが支払うわけです。だから、その部分は、何か歳出改革で減らしますみたいな話をしているわけなんですね、この支援金一兆円の部分は。

 先ほど来から言っているのは、私が申し上げているのは、であれば、この計算式とか全部やめてしまって、社会保険負担引く歳出改革というふうにやって、国民の負担を出さないようにすればいいじゃないかと申し上げているんですけれども。

 いずれにしても、歳出改革も、中身を見てみますと、どうやって一兆円を出すのかというのが全然分からない中身になっているんですね。

 これが、二〇二八年度までに検討する医療・介護制度の改革ということで、これも厚労省の資料から取ったものですけれども、こういう内容になっているんです。では、一兆円というのはどうやって出すおつもりなんですか、この中で。

 私が見る限り、これはちょっと大きくさせていただいたんですけれども、医療DXで、患者の数を減らすとか医療費を削減するということに取り組めば、そこまでのDXをやれば、まあ一兆円ぐらい出てくるかなとも思いますけれども。あるいは、医療、介護の三割負担ということがこの中に書いてあるんですけれども、これをやると、やはり窓口負担が増えますから患者の数も減るでしょうし、それから実際に個人負担が増えるわけですから、それが歳出改革になるかな、一兆円ぐらい出てくるかなと思うんですが。

 だあっといろいろ書いてあるんですけれども、二〇二八年度までに一兆円集めるために、どれをやるんですか、どんなふうにやるつもりなんでしょうか。総理にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 歳出改革によって社会保険料の負担軽減のスペースをつくって、そこで支援金制度をつくると申し上げているわけですが、その歳出改革の中身として挙げておりますのが、御指摘の医療DXによる効率化、質の向上、さらには、地域医療構想の実現に向けた更なる取組、かかりつけ医機能の制度整備の実施に向けた具体化、そして、ロボット、ICT活用など、介護分野における生産性、あるいは質の向上、こうした幅広い取組、これを視野に入れているところであります。

青柳(仁)委員 今、ただ羅列されただけなんですけれども、私が聞きたかったのは、医療費の削減に取り組むということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 社会保険料の負担軽減効果を発生させると申し上げております。

青柳(仁)委員 だから、歳出改革を行った結果、保険料が下がるという改革をすると言っているわけじゃないですか。だから、これをやった結果、保険料を下げていくような改革でいうと、例えば、じゃ、医療、介護の三割負担、確実にこれは保険料、下がりますよね。この改革の結果、下がりますよね。

 じゃ、この医療、介護の三割負担はやるんですか、やらないんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の窓口負担の見直し、これですが、この改革工程表については、先ほど申し上げた様々な取組と併せて窓口負担の見直し、これもメニューとして列挙しています。これらは、社会保障の持続可能性を高める観点から記載されたものであります。これらのメニューの中から何をやるのか、実行するのか、これについては、持続可能性を高めるという観点から検討、議論を続けてまいります。

 少なくとも、必要な保障が欠けることがないよう、見直しに当たって生じる影響については考慮しながら検討してまいります。

青柳(仁)委員 ですから、先ほどから式を見せているとおり、まず、分母の賃金が増える、増やすことによって社会保険料が上がっても相殺できるような、そういう理屈になっています。それから、社会保険料が上がった分は歳出改革で、社会保険料の減の効果が出るような歳出改革で行いますと言っていますけれども、今聞いても、何をどう行うのかが全然出てこないわけです。にもかかわらず、一兆円を集めるということだけは決まっているんですよね。これは非常におかしいと思いますよ。

 これから千円だとか、例えば先ほど、五百円だか千円だか分かりませんけれども、これから更に増えていくと思いますけれどもね、ちゃんと計算したら。二人の共働き世帯であれば、これは二万四千円ということになりますけれども。負担を国民にお願いするときに、こういう何かどんどんどんどん複雑な計算式をつくって、みんなが分からないようにして、そして、その分からない中で、ただ国民に批判をされずに財源だけを集めよう、こういう魂胆が非常に透けて見えるわけなんですね。

 もし国民に負担をお願いするなら、先ほど来からこの委員会でも何人もの方がおっしゃっていますけれども、ストレートに負担をお願いしたらいかがですか。何かこういう複雑な計算式を作ってごまかすんじゃなくて、分子が、分母だとかいうんじゃなくて、負担、これは子供、子育てのために、将来のために必要な財源になりましたので、皆さんお願いしますと、なぜストレートに言わないんですか。

 お願いするのであれば、これは当然、政治家がいい身分を、いっぱいお給料をもらって、いろんないい思いをしながら、国民の皆さんだけ負担をお願いします、これはやはり通用しないと思うんですね。ですから、まずはやはり政治家の方から身を正していくということが非常に重要だと思っているんです。

 その中で、今回、先ほど来からおかしな話がいっぱい出てくるんですけれども、例えば、賃上げ分の相殺する項目は何でもいいはずなのに、医療・介護従事者の賃上げになっているだとか、あるいは、歳出改革に取り組むといっても、なかなかこの医療費削減みたいな話を聞いても、一切そういう案が出てこない、言葉にもしない。そういう裏には、やはりこういう大きなお金の流れがあるんだろうと思っております。

 先日、前回の予算委員会でも、総理に医師会からの献金が入っている、今日もパネルを持ってきましたけれども、入っているものがたくさんあります。これだけの献金が入っているわけです。前回も見せましたけれども、医師会関係ですね、医師連盟関係から様々な献金が入っている。

 これは総理だけの金額ですけれども、これを自民党全体にすると、こういうことになりまして、日本医師連盟から毎年五・二億円の献金が入っている。こういう仕組みの中で、政策がゆがめられているんじゃないか、これは前回の質疑のときにいろいろお話をさせていただきましたが、こういう構造があるんじゃないかと思うんです。

 やはり、国民から見たときに、総理は二億円ぐらいの献金をずっともらっている、そして、自民党は五・二億円の献金を毎年医師会からもらいながら、そのほかのこういう改革に関しては、医療費削減には取り組まないし、診療報酬も上がっているし、そして、コロナが終わってもまだコロナのときの措置も続いているし、何かそういうことをずっと続けている。こういう中で、負担をお願いしますと言われても、なかなか国民感情的に、はい、そうですかと受け入れられないんじゃないかと思うんです。

 ですから、先ほど来から言っているように、もし国民に負担をお願いするならお願いするで、お願いしたらどうですか、ストレートに。その上で、お願いするに当たって、医師会からのこういう献金とか、政治家だけがたくさんお金をもらっているというのは、やはり国民感情的におかしいと思いますから、例えば総理だけは、じゃ、今年は私は医師会からの献金は受け取りませんとか、そういうことをおっしゃったらいかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、新しい政策を実現するために財源ということを考えた場合に、従来の発想ですと、増税か国債の発行等に頼るという発想が主流ではありましたが、そうではなくして、歳出改革によって負担軽減の余地をつくって、その範囲内で財源を考えるという発想、これは御党においても、歳出改革を重視する立場から、考え方は共有されるのではないかと思います。

 もしこういった手法を取らなければ、増税をするか、あるいは国債を発行するか、こういったことに頼らなければならないわけでありますから、これからの時代を考える際に、負担という観点にしっかり注目した上で、歳出改革による負担軽減の効果、これを生じさせて、その範囲内で拠出金を考える、こういった発想はこれからますます重要になっていくと考えています。ですから、先ほど来説明させていただいているこうした方式を考えた、こういったことであります。

 そして、企業献金と政策決定について御指摘があったわけでありますが、自民党として、様々な関係団体から要望を伺う、こういった機会は当然ありますが、政策決定に当たっては、これは様々な意見も参考にしながらも、まずは有識者を始めとする関係者との意見交換、そして議員同士の議論、そして関係省庁との議論、こういったものを積み重ねた上で、データ等のエビデンス等を含めて様々な点を勘案しつつ政策を判断していく、こうしたことであります。

 献金について、私自身どうなのかという御指摘につきましては、今まさに政治と金の問題が議論されています。こうした議論を踏まえて、私自身、適切に判断をいたします。

青柳(仁)委員 歳出改革で予算を捻出すべきというのは、そのとおりだと思います。

 もしそうであれば、先ほど来から見せているような複雑な計算式を作らないで、国民お一人お一人が千円だとか五百円だとかというのを出さなきゃいけない、一兆円集めなきゃいけないんだったら、初めから一兆円分の歳出改革のプランを持ってきてくれればいいじゃないですか。それで終わる話じゃないですか。そうしないのは何でなんですかという話をしているんです。そうしないのは、単にそうできない、そうやらないから、ごまかすためにああいう変な式を作っているわけですよ。

 違うと言いますけれども、そうじゃないですか。じゃ、ストレートに引き算で終わらせたらいいじゃないですか。何でこんな複雑な計算式を作るんですか。誰も分からないですよ。普通に、だから、それを出せばいいです。

 そのときにも、結局、歳出改革をやるにしても、まず総理から、きちんと、身の潔白といいますか、そういう気持ちはない、企業、団体からそういうお金をもらって、そんな陳情でやっているわけじゃないし、こんな六億円もらっている人たちが何か毎月払えという、これはなかなか国民の感情として受け入れられませんよ。

 同じことが今の政治改革でも、私、言えると思うんです。総理は、自分が今すぐできることをやっていないんです。だって、この場で、来年は企業・団体献金を私は受け取りませんということはいつだって宣言できます。それは総理の御決断だけでできます。何か委ねているとか促しているとか指示しているとか言いますけれども、別に自分でできるんです。

 ほかのことも時間がないのでまとめて聞いてしまいますけれども、例えばですけれども、収支報告書の訂正で法的な評価というのは変わりません。だから、収支報告書に虚偽の記載があった場合、直したら選挙管理委員会は受け入れてはくれますよ。でも、それが虚偽の記載をしたという、もしそれが悪事である、犯罪行為であった場合は、これは法律上の犯罪行為は免れないんです。

 であれば、今、裏金議員としてリストアップされている人たちは、政治資金規正法違反はほぼ確定なわけです。立件されているわけですから、三人は。それから、その中の多くは恐らく脱税でもある、所得税法違反でもある。

 であれば、これはまず、法律的に裁かれるのを待っていないで、総理は自民党総裁なんですから、除名するなりなんなり、党でまず処分をしたらどうかと思うんです。

 それから、まとめて聞いてしまいますけれども、政策活動費についても、総理は、二月六日の私の質問に対して、政治に関する信頼回復のための大きな取組として、政治資金の透明性を高めていくことが重要とおっしゃっているんですね。であれば、党の総裁の権限で、幹事長に、あるいはその他の方に、政策活動費を使わないというふうに指示したらどうですか。

 さらには、これは午前中も出ていましたけれども、大臣規範の中で、「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。」と大臣規範に書いてあるんです。年七回、およそ一億三千万円の利益を上げるパーティーを御自身でやられていますよね。これももう政治資金パーティーをやらないと宣言されたらどうですか。

 それから、実態把握のために説明責任、今回の政倫審に関しても、果たすよう、党として促していくと。二月十四日の立憲民主党の山井議員の質問で、再三、何度も何度もそうおっしゃっていましたけれども、それであれば、今回の政倫審は完全公開にすべきだと思いますよ。だって、説明責任を果たすように党として促していくんですよね。じゃ、促してください。そう指示したらどうかと思うんです。こういったことは、別に促したりしなくても、自分でできることだと思うんですけれども。

 それから、特に金策、パーティーとか、政治資金とか、お金集めを総理大臣にやってほしいと思っている国民は余りいないと思うんです。一日二十四時間、限られた時間、総理大臣としての時間の多くを御自身のお金集めのために使ってほしいと思っている国民はいないと思うんです。

 是非、そういうことをまずやめて、政策実現に、改革実現に、実行に取り組んでいくということを宣言していただけませんか。

 今申し上げたような諸点について、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まとめて御質問いただきましたが、政倫審については、先ほども申し上げたように、政倫審の規則に基づいて対応が今調整されていると承知をしております。国民に対する説明という観点から、適切な形式が判断されるものと承知をしております。

 そして、処分等についてでありますが、これも先ほど申し上げたように、実態把握の状況と本人の説明への対応等を勘案して、党として判断を行ってまいります。

 そして、政策活動費等については、これは従来から申し上げておりますように、政治活動の自由との関わりのある問題でありますので、これは、各党共通のルールとしてどうあるべきなのか、改正等を考えるべきなのか、これは議論を進めるべき課題であると考えております。

 そして、企業献金等については、これも従来から申し上げておりますように、企業献金そのものについては、最高裁判決やあるいは自民党の政治改革大綱、この中で、受け取ること自体を否定するものではないという評価がある中にあって、まずは透明性を高め、そして政治家の責任をしっかり厳格化しなければならないということで、デジタル化や外部監察、こうした取組を取り入れる、これを法改正として行うべきだ、このように考えております。

 大臣規範の指摘についても重く受け止めます。

青柳(仁)委員 時間が来てしまったので、一言だけ言い残して終わりますが。今の回答は、ほとんど何もしないと言っているんです。だから、総理は、今すぐできることを私は申し上げたんですけれども、それを一つもやらない。それから、改革も、医師会の献金ももらうこともやめない、もらいながら改革もできない。そういった中で、国民に負担をお願いできないから複雑なこういう計算式を作っているということだと、今日確信いたしましたけれども。しっかり、こんなことで国民の支持を得られる、回復できるなんて、あり得ないと思います。

 何か新藤大臣も先ほどから横でいろいろおっしゃっていますけれども、ちゃんと勉強していただきたい。ちゃんと分かった上でお話をしていただきたいと思います。

 以上です。

小野寺委員長 この際、山本剛正君から関連質疑の申出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。また、教育無償化を実現する会とともに今活動させていただいておりますが、私も代表して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど来から聞いていますと、私も、政治の信頼が失われている現状に本当に悔しい思いをしております。ただ、残念ながら、私には残された時間がないんです。今日、持ち時間十五分なので、残り十四分三十秒ぐらいしかないので、しっかりと、今日、総理とお話をさせていただきたいと思いますが、まず一つ目に、災害時における避難所の確保等についてちょっとお尋ねをさせていただきます。

 今回の能登半島地震のような大規模災害のときに、避難所にまつわる課題として、プライベート空間の確保の難しさ、ペットなど同伴禁止、それから電気などのライフラインの確保、そもそもキャパが小さい等、問題が発生するわけでございますが、そういった中、車中泊を選択される被災者が非常に増加をいたしております。

 実際、私は、地元は福岡で九州なんですけれども、熊本地震における被災者アンケートでは、約七割の方が、避難した場所に自動車の中を選んでおります。車中泊避難をした理由では、複数回答可の中で、余震が続いているので自動車が一番安全だと思ったという方が八〇%近くもいらっしゃいます。次いで、プライバシーの問題が約三五%、小さいお子さんや体の不自由な家族がいた、ペットがいたがそれぞれ約一五%と続いています。また、避難しようとした施設に避難者が殺到して避難できないと思ったとか、そもそも避難所が満員だったというのがそれぞれ一〇%強となっているわけでございます。

 車中泊にはエコノミー症候群などのリスクもありますけれども、リスクへの注意喚起を十分に施せばその需要は極めて高く、また、自走による、自分で走って移動できるということもありますので、やはりその整備を私は日常から行っておくことが非常に重要だろうというふうに考えております。

 日常を見てみますと、今、車旅とか車中泊のニーズが非常に高まっておりまして、ただ、このニーズの高まりに対して、例えばRVパークなどの設置は残念ながら不十分でございます。電気や水道といったライフラインが完備されているRVパークは、災害時に避難所としても活用できる。車中泊、車旅の普及は地方創生にも大きくつながるわけでございますから、私は全国で大幅な普及が必要と考えておりますけれども、総理の見解をお尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 足腰が悪く、避難所での寝泊まりが難しい、あるいは地震の揺れによる自宅倒壊の懸念がある、また、ペットと一緒に避難したい、こういった様々な理由から車中泊避難をされる方がいらっしゃる、こういった方が多い、こういったことも承知をしております。

 一方で、車中泊避難はエコノミークラス症候群等の健康被害のリスクもあることから、巡回等により車中泊の注意点を周知することや、より環境の整った避難所等に誘導すること、このことも必要であると認識をしております。

 その上で、御指摘のようなRVパークですが、トイレや電源といった設備が整った施設を車中泊の拠点として活用すること、これも良好な避難生活環境を確保するために効果的であると考えます。

 まずは、地方創生に取り組む自治体に対して、被害時の活用も想定したRVパークの設置事例を周知するなど先駆的な取組事例の普及、これを進めてまいりたいと考えます。

山本(剛)委員 災害が起こっていれば、どんどんどんどんニーズが変わってきているということもあります。是非現状をしっかりと把握した上で、エコノミー症候群の話はありますけれども、先ほども申し上げましたとおり、十分な注意喚起をすれば、私は非常に有効な避難の手段だというふうに思っておりますので。ただ、日常、例えばスマートフォンとかを使われる方がほとんどで、やはり電源の確保は非常に重要なんですよ。だから、是非そういった観点からも進めていただきたいというふうに思います。

 次に移らせていただきますけれども、マイナ保険証の普及、利用についてちょっとお尋ねをさせていただきます。

 昨年末に、マイナ保険証の利用率が五%を切っているという報道もございました。私も、こんな体をしておりますけれども、去年、一月に二か所ほどの病院に行く機会があったんですけれども、ちょっと変だなと思うこともあったんですね。

 それは、いずれの病院でも、保険証ありますかとは聞かれるんです。でも、残念ながら、マイナ保険証とかマイナンバーカードという単語は一切出てきませんでした。そちらに促すようなこともありませんでした。

 ちなみに、この表のとおりなんですけれども、去年の十二月までは、マイナ保険証を提示した場合の診療報酬加算は、初診が二点、再診がゼロ点で、調剤が一点でございました。一方、従来の保険証では、初診が六点、再診で二点、調剤で四点となっておりました。

 診療報酬への加算、現在は、初診と調剤では、従来の保険証が四点、四十円ですね、マイナ保険証が二点、二十円、再診では差がないんですけれども、従来の保険証の方が医療機関側の収入は、実は多いわけでございます。そういうふうに考えると、私がもし医療機関を経営していても、マイナ保険証を出してほしいとはやはり思わないですよね。ちりも積もればという話もあります。

 あわせてなんですけれども、医療機関に対して、初診等におけるマイナ保険証の利用率の増加に応じて、件数増加分の支援の実施を今しております。これは、令和五年度補正予算で二百十七億円を措置をしています。

 先ほども申しましたとおり、マイナ保険証を持っていますかとは聞かれないんですね。私も気になったからいろいろな人に聞いてみたら、やはり聞かれないというんですよ。ですから、結局、私も従来の保険証を出してしまって、結果、自己負担が高くなるということになってしまっている。

 ここで課題を申し上げると、医療機関側には、従来の保険証の方が収入が大きくなる1の加算と、一番目のですね、それから、マイナ保険証の方が収入が大きくなる、二番目の、補正予算の加算もある、両方あるわけでございます。一方、患者さんは、マイナ保険証でも、少額ではありますけれども追加負担、例の六円が発生をしてしまっているという状況でございます。

 ここで提案なんですけれども、これはもう、一番目の要するに診療報酬加算は廃止にして、2の支援に私は一本化するべきじゃないかなというふうに思っております。しかも、ボリュームも大きくして。これによって、患者負担がなくなるとともに、マイナ保険証の利用も促進されるわけでございますけれども、総理、いかがでございましょうか。

岸田内閣総理大臣 マイナ保険証の利用拡大に向けては、国民の約四割がマイナンバーカードを常に携行しているとの調査結果を踏まえれば、医療現場における利用勧奨とDXの推進、これは重要な課題であります。

 その中で、委員がおっしゃった、二番とおっしゃった方、要は医療機関への対応の部分ですが、一月から実施している医療機関への支援金に加えて、令和六年度の診療報酬改定で、医療DXの推進の観点から、マイナ保険証の利用実績に応じた評価を導入することにより、支援を拡充することとしております。

 また、従来の診療報酬は、マイナ保険証での受診の方が問診等の業務負担が減ることから、診療報酬を低くして、結果として患者負担も低くなるものですが、御指摘のような点も含めて、本年十二月二日の健康保険証の発行終了に合わせて、その在り方について検討を行ってまいります。

山本(剛)委員 総理、私も財布の中に入れています、マイナカード。だけれども、保険証を出してくださいと言われると、やはり保険証を出しちゃうんですよ。まだまだ私の意識が足りないと言われたらそこまでなんですけれども。でも、やはり、どういう負担があってどういう得があるのかということを冷静に考えていただいて、マイナ保険証をこれから使ってもらいたい、十二月には従来の保険証を廃止するんだというのであれば、私は、是非、私の提案を受け入れていただきたいなというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきますが、介護サービス事業所の事業継続計画、いわゆるBCP策定義務についてちょっとお尋ねをさせていただきます。

 今年の四月から、この策定がない事業所については介護報酬から三%減額されるということでありますけれども、これは非常に私は問題だというふうに思っているのは、このBCPの実効性なんですよ。厚労省さんが考える実効性のあるBCPとは、周知、研修、訓練、見直しというサイクルを確立して、運用して、更新した情報はBCPに記録していくなど、常にアップデートして、PDCAを回すまでを含めての業務継続計画、BCPという認識でいいのか。

 この認識でいいのならば、このサイクルを回すに当たり、かなり実効性の高いものを策定しなければ、介護事業所は、災害などの不測の事態のときに、策定したBCPどおり事業継続ができなかった場合、そうすると、裁判をやられると、これは負けます。

 例えば、透析の患者さんがいらっしゃって、災害のときに透析の患者さんは病院に連れていきますというBCPだったとします。そうすると、病院に行ってみたら、いや、災害なんだから、私のところでも受け入れられませんといったら、BCPは実は機能しなくなるんですね。だから、医療との連携とかいろいろなところの連携が非常に重要になるにもかかわらず、残念ながら、今そういうふうになっているとはちょっと思えないんですよ。

 医療との連携だけではなくて、多くの想定外に対応するBCP、事業継続計画を策定することは、私は、今後のいいきっかけになると思っているんです。

 今までの介護という分野は、医療の分野から見るものが色濃くあったように思います。しかしながら、よく考えていただきたいんです。制度の中で事業者や医療機関を見るのではなくて、患者さんとか利用者さんを見ていただくと、医療を必要としている人に介護が全て必要かというと、私は病院に行きますけれども、残念ながら介護は必要ではありません。一方で、介護が必要な人のほとんど全てと言ってもいいかもしれません、ほとんどの方が医療を必要としているんです。分かりますか。

 だからこそ、ならば、今まで、医療から見る介護という考え方ももちろん大事ですよ、だけれども、介護から見る医療という考え方も、これから私は本当に大事にしていかなければならないんじゃないかなというふうに思っているんです。ですから、今回のこのBCPの策定を転換に、やはり介護の在り方を見直していく、考えていく。

 だけれども、このBCPを策定するに当たり、実は何のインセンティブもなかったんですよ、補助もなかったんです。だから、実効性のあるBCP策定がこのインセンティブがなかったことによって難しかったということを考えると、事業所が四月から三%減算されるというのは厳しい措置だなと私は思わざるを得ないんです。

 だから、マイナンバーの導入のときには多くのインセンティブがありましたよね。新制度を導入するなら、何らかのインセンティブがないと進まないという実は現実もあります。ですから、四月からの減算をちょっと一回立ち止まって凍結をして、実効性のある介護事業所のBCP策定に私は仕切り直す必要があると思いますけれども、総理のお考えをお尋ねをします。

岸田内閣総理大臣 新型コロナウイルス感染症や相次ぐ自然災害の発生を踏まえて、こうした感染症や自然災害が発生した場合にも必要な介護サービスが安定的、継続的に提供されるよう、令和三年度介護報酬改定において、介護事業者に対して、御指摘のBCP、業務継続計画の策定を義務づけたところです。その際に、各介護事業所において円滑にBCPの策定が進められるよう、三年間の経過措置、これを設けました。

 利用者の状況や地域特性に応じた実効的な計画となるよう、厚生労働省において、介護サービス別のガイドラインの作成、周知、さらには研修会の開催、これを実施しているところですが、こうした取組を受けて、令和五年七月時点で、約八割の介護事業所で、自然災害を念頭に置いたBCPが策定済みのもの二七%、また策定中のもの五五%、合わせて約八割ですが、こうした取組が進められている、このように承知をしています。

 引き続き、本年四月からの義務づけに向けて着実に取組を進めていきたいと思っておりますが、各介護事業所において策定された計画をより実効的な内容にしなければなりません。策定後の状況について丁寧にフォローアップを行うとともに、この状況等を踏まえたガイドラインの充実、こうしたものを進めて、きめ細かく対応していくことを考えていきたいと思います。

山本(剛)委員 時間が来ましたので。

 減算されてからお金をかけてということはやはりなかなか難しいと思いますから、是非お考えいただきたいと思います。

 時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、高橋英明君から関連質疑の申出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。

 まずは、総理、私、地方議員上がりでございまして、おかげさまで、昨年度、年も還暦を迎えさせていただきました。いろいろな経験をさせていただいておりますけれども、こちらに来て、正直言って国会はだらしがないなというのが、本当に痛感をさせていただいております。これは国会改革待ったなしですよ。本当に、総理、是非よろしくお願いしたいと思います。

 では、質問に移らせていただきますけれども、まずは、先日の聞き取り調査に関する報告書、これについてお聞きをいたします。

 報告書の十五ページ、各派閥、グループの訂正状況が出てまいりましたけれども、やはり宏池会でも訂正が出ています。令和二年のパーティー収入で、訂正が八百九十六万円となっています。

 当時の宏池会の会長は岸田総理だと思いますけれども、やはり会長としての説明責任、これはあるんじゃないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の宏池会における収支報告書の不記載について、説明責任がある、これは御指摘のとおりだと思います。

 宏池会の不記載については、事務総長が記者を交えた場で説明を行った次第ではありますが、私自身、その後、予算委員会において、これはテレビ中継の中で度々、御指摘の不記載についても質問を受けております。その中でできるだけ説明を行ってきたところでありますが、今後とも、こうした予算委員会等の場において、説明責任は尽くしていきたいと考えております。

高橋(英)委員 平成二十四年から会長をやっているかと思いますけれども、こちらのパネルにありますけれども、平成三十年千三百二十二万円、令和元年八百四十一万円、令和二年八百九十六万円、これは三年間で三千五十九万円なんですね。

 そして、これの不記載の理由が、どの議員がどこにパーティー券を売ったのかが分からないという話だったんですけれども、三千万円もの不記載、これは民間企業では考えられないというふうに思うんですよね。一体何で不記載になったのか。要は、表に出せないような方々にパーティー券を売ったと言われても過言ではないと思うんですね。

 そういった、まさに裏金的な部分というのがあるのかなというふうにも思いますけれども、まずは、平成三十年に一千三百二十万円の時点で、これは何かやるべきことがあったのではないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 宏池会における会計管理については、会計責任者以下事務局において行ってきたところであり、誰が売ったか分からないものがある、そして、それを保留しておいた、要するに、会計の知識等の不足によってそういった対応が行われていたわけでありますが、そういった情報については、御指摘の五年前の時点においては報告が上がっておらず、その時点での対応は困難であったというのが現実であります。

高橋(英)委員 これは民間企業ですと、例えばトヨタなんかは、トヨタ関連企業が昨年度不祥事がありましたけれども、やはりきちっとトップの豊田会長が出てきて説明をしております。

 そして、ちょっと政倫審の話をしたいと思うんですけれども、これは是非総理に出ていただきたいなというふうに思います。総理にはいっぱい皆さん聞きたいことがあるんですよね。

 そして、私も、実は維新の前は自民党におりましたから、二十五年間ぐらいかな、自民党員で、そのうち十二年市会議員をやっていましたけれども、やはり地方組織でもこういったケースというのがあるのではないかなというふうにも思いますし、やはりトップリーダーが先頭に立って、私も出るから皆さんも出ましょうよと言っていただくというのが、これは大きなことだと思うので、是非出ていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 私自身は、この予算委員会の場で、そしてテレビ中継もある中で、御指摘の点について幾度となく質問を受けて、説明を続けております。自分自身、説明責任、派閥としての説明と併せて、自分自身も説明責任を尽くさなければならないということで、予算委員会等での対応、これを続けてまいりました。

 これからもこうした対応は続けていきたいと思っております。こうした対応によって、説明責任を尽くしていきたいと考えております。

高橋(英)委員 本当は出た方がいいと思いますよ。やはり出ると格好いいと思いますからね。是非御検討していただきたいと思います。

 では、次に移ります。改正入管法に関してお聞きしたいと思いますけれども、大臣に。

 まず、施行時期ですね。昨年、通常国会で改正入管法が通りました。まだ施行されていないので、これはもう待ったなしだと思うんですよ。ある一部の地域ではちょっとひどい状況にもなっているので、この施行時期に関してお尋ねします。

小泉国務大臣 昨年の六月に成立いたしました改正入管法の施行日ですが、一部を除いて、公布の日から起算して一年を超えない範囲内、つまり、今年の六月十五日までに政令で定める日と規定されております。

 これを踏まえて、現在、施行準備を速やかに進めておりますけれども、改正項目が非常に多岐に及んでいて、重要な施策もあまたございます。また、入管庁のみならず、他の行政機関に関わる事項も数多くあります。下位の法令のみならず、運用の在り方も丁寧に検討する必要がある、そして、制度の周知期間を設ける必要がある。こういった事情がございますので、急いではいるんですけれども、どうしても施行までに一定の時間は必要だということは御理解をいただきたいと思います。

 なお、その上で、委員から御指摘がありましたから、それを踏まえて、極力早期の施行が実現できるように努力してまいりたいと思います。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 これはびっくりするんですけれども、最近では、外国の方々からも、何をやっているんだと言われるんですよね。早くどうにかしていただきたい、それはそうですよね。真面目に暮らしている方々にとっては、どうしてもこれは色眼鏡で見られてしまう。

 ここにも写真がありますけれども、市民病院の前で何百人規模でちょっといざこざがありましたけれども、こういったことが起きると、病院の機能も低下いたしますし、やはり近隣住民にとっては不安でしようがないですよね。

 そして、先日もびっくりしたんですけれども、川に遺体が二つ浮いているという事件があったんですね。こんなのはこれまでないんですね。そうすると、また外国人かとやはり住民の方々は思うんです。これは詳細は分かっていないんですよ。そうなると、どうしてもやはり色眼鏡で見られてしまう。だからこそ、真っ当な外国人の方々は、早くしてほしいというのは、これは当たり前なことだというふうに思います。

 そして、これは早急に施行して、一度整理整頓しないといかんともし難いと思いますし、まず、事務方の方々、現場には行かれているのか分かりませんけれども、やはりここにいては危機感がないですから。ここから一時間ぐらいのところですから、やはりしっかり目で見て、耳で聞いて、肌で感じてみれば、これは一日でも早くやらないといかぬと絶対なりますよ。市役所なんかに電話して状況を聞いていたって、危機感は生まれませんから。

 言っておきますけれども、市役所の職員は霞が関の皆さんに忖度しますからね。かなり忖度するので、この点は十分にちょっとお気をつけいただきたいなというふうに思います。

 とにかく一日でも早く、大臣、お願いしますね。うなずいていただきまして、ありがとうございます。

 では、次に移りますけれども、警察と入管の方にお聞きしたいんですけれども、これはもうタッグをしっかりと組んでもらって、早急に一斉取締りをやっていただきたいんですね。特に仮放免の方ですね、この地域には大体七百人ぐらいなのかな、仮放免がいるのが。たった七百人ですから、しっかりと管理をしていただきたい。是非これはお願いしたいんですが。

松村国務大臣 まず、外国人の不法滞在者について、警察におきましては、出入国在留管理局と合同で摘発を実施するなど、積極的な取締りを推進しているところでございます。

 この取締りに当たりましては、各地域の情勢を踏まえまして、出入国在留管理局と情報の共有や連携を図りながら推進するように、警察を指導してまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 ちょっと総理に確認なんですけれども、やはり政治家の一番の責務は国民の生命と財産を守ること、これは間違いないですよね。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、政治家の責任として、国民の命、財産を守る、これは最も重要な責務であると認識をいたします。

高橋(英)委員 市民アンケートを取ると、これは大体の自治体ではそうなると思いますけれども、一番望む町は何ですかというアンケートを取れば、大体、安心、安全な町、ほとんどがそうだと思いますよ。安心、安全な町というのは、まさに生命財産を守るのと相つながるものだというふうに思いますので、不安があったらこれは安心、安全じゃないので、不安解消のためにも、取締りをしっかりとお願いをしたいというように思います。

 もう本当に時間があっという間に過ぎてしまうんですけれども、昨年度の令和臨調、岸田総理は、外国人との共生に関して、日本独自の共生の仕方というようなことを言っておられました。

 これについてちょっと具体的なお考えをお聞かせいただきたいんですけれども、これはルールを守らない外国人の方々とも共生をするというような意味なんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 私が日本独自の共生社会と申し上げたのは、外国人との共生の在り方、これは世界各国、国によって様々です。置かれている地理的な条件を始め、様々な条件によって共生の在り方は様々でありますので、日本としても日本の現実に合った共生を考えていく必要がある、こういった認識を申し上げました。

 そして、ルールを守らない外国人とも共生するのかということでありますが、今申し上げた共生は、あくまでもルールを守っていく、その中で共に暮らしていく、これが大前提であると認識をしております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。それを聞けてちょっとよかったですけれども。

 これは、今は本当に一部の地域だけですけれども、このままでいくと、何もしないとやはり全国に広がっていきますので。

 そして、我が国の労働力不足というのは否めないわけですから、外国の方々にも頼らざるを得ない時期というのがあるんだと思いますが、その際には、やはり我が国の発展に寄与する方々、そういったハードルをしっかり設けなければいけないというように思います。もう誰でも彼でもでは、これはちょっと問題があるので。

 そしてまた、やはりある程度の総量規制的なもの、こういったものも必要だというように思いますので、このルール作り、一〇〇%の法律はないですから、まずは改正入管法を早く施行して、おかしな部分があったらまた改正をしていく、これをしっかりとやっていかなければいけないと思いますので、早急な施行をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 この際、斎藤アレックス君から関連質疑の申出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 琵琶湖のある滋賀県から参りました斎藤アレックスでございます。

 日本維新の会、そして教育無償化を実現する会の統一会派を代表して質問をさせていただきます。

 私からは、本日は、日本の安全保障政策について質問をします。特に、日本の戦後の安全保障政策の一大論点である、日本が武力攻撃を受けたとき本当にアメリカは守ってくれるのかという日米安保条約上の議論を改めて行った上で、日本が平和と安全を守っていく上で本質的によって立つべき安全保障の考え方とは何なのかというところを、本日は、限られた時間ですけれども、させていただきたいと思います。

 言うまでもなく、戦後、日本の安全保障の基軸は日米同盟でした。私は、今後も日米関係を発展させて、この日米同盟をより強固なものにしていくことが日本の安全保障に資すると考えており、今の政府の方針も同様だと考えております。

 日米同盟とはどういう性質を持っているかと聞かれると、多くの日本人の方が以下のように答えると思います。日本が武力攻撃を受けた際に、世界最強の米軍が、自衛隊とともに、日本を攻撃している敵を攻撃するなどして守ってくれる、代わりに、日本は国土を米軍の基地として提供するなど便宜を図る。こういった条約の中身だろうということを、おおむね多くの日本人の方はこのように理解をされているかと思います。

 しかし、細かくこの日米安保条約を見ていくと、いざというとき本当に米軍が助けに来てくれるのだろうか、そういった不安もよぎるわけでございます。

 繰り返しこの戦後の国会の中でも議論されてきたことですけれども、米国が日本を守るということを規定している日米安全保障条約の第五条には、以下のようにあります。「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」

 「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」という文言がどういうことなのかということは、これまでも様々議論があったというふうに思いますけれども、いずれにしましても、自動的に米軍が何か行動を起こすわけではなくて、米国内の内政上の必要な手続を経て防衛義務を果たすということが日米安保条約には規定をされているわけでございます。

 まず、総理にお伺いをしたいと思いますけれども、日本が他国から攻撃を受けた際に米国が日米安全保障条約第五条に基づいて防衛義務を果たすために、米国の行政府や立法府内で必要な意思決定、手続はどのようなものがあるのか。例示で構いません。網羅的には分からないし、また、これは日本政府でございますので、米国政府がどのような手続を行うか確たるものは分からないわけでございますので、例示で構いませんので、どのような手続が必要なのかと認識しているのか、総理のお答えを求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 日米安全保障条約第五条に言う憲法上の規定及び手続についてですが、米国においては、米国憲法上の規定及び手続、すなわち、米国憲法第一条に規定されている連邦議会による戦争宣言、又は同第二条に規定されている米国軍隊の最高指揮官としての米国大統領の権限、これを指すものであると考えています。

 米国の制度、手続について、これ以上の詳細については日本政府として有権的な説明を行う立場にはありませんが、先ほど述べた米国憲法上の規定及び手続に基づいて具体的な行動が取られるものであると理解をしております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今お話しをいただいたこと、また後ほど、次の質問を終えてから議論をさせていただきたいと思いますけれども、同じ第五条に「共通の危険に対処するように行動する」というふうに書いてありますけれども、この対処が何を指すのかということを次に伺いたいと思います。

 先ほども言いましたけれども、日米同盟に関しては、日本を攻撃する外敵に米軍が反撃などをしてくれるものだと一般国民は理解をしていると思いますけれども、従来は、反撃能力のない自衛隊は盾の役割を果たし、反撃など相手方に攻撃を加える任務は米軍に任せている、矛の役割は米軍に任せている、そういった役割分担が一般的には理解されていたと思いますけれども、この日米安保条約に言う対処というのは具体的にどのような行動を指しているのか、総理、お答えをいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 日米安保条約第五条には、我が国に対する武力攻撃が発生した場合における米国の対日防衛義務が規定されています。

 有事における対処の態様ですが、これについて一概にお答えすることは困難ですが、日本政府としては、米国が核を含むあらゆる種類の能力を用いて日米安全保障条約上の義務を果たすこと、このことに全幅の信頼を置いております。

斎藤(ア)委員 この対処に関しては、様々な類型があるということだと思います。直接戦闘行動を取ってくれることもあれば、そうではなくて、情報提供をしてくれたり、弾薬提供だけにとどまるという可能性ももちろんあるわけでございまして、それだけをもって、戦闘をしないからといって日米同盟の義務に違反しているというわけではないということは、これは是非共通認識として持っておきたいというふうに思います。

 ただし、どのような対処をするにしても、やはり米軍の最高指揮官はアメリカ大統領でございますので、アメリカ大統領がその行動を取るという命令を下さなければ、米軍は何もできないわけでございます。

 また、今、私たちはここで日本の次年度の予算の審議を行っていますけれども、米国も同様に、特に、米国連邦議会のうち下院が予算権に関しては優越を持っていますので、米国の連邦議会で予算が通らなければ米国では予算執行ができないということになりますので、議会の米軍の行動に対する承認というものも、軍事行動が長くなれば予算が必要ですので、当然重要になってくるわけでございます。

 こういったところを考えていくと、例えば、時のアメリカ大統領が日米安保条約の履行であったりとか義務の遂行に消極的だった場合、そういった必要な命令を下さないという可能性も考えなければならないし、また、議会がそういった行動に消極的な場合、日本の防衛に消極的な場合、予算を通さないということも、これは可能性としては考える必要があるというふうに私は考えております。

 こういったところは、仮定の質問には答えられないとお答えになるのかもしれませんけれども、一般的な議論でございまして、国民の皆様には私は理解をしていただく必要があると思うので、あえて聞きますけれども、日本が他国から攻撃を受けて、自衛隊がそれに対処する際、日本が米国に求めても、米国が米軍を派遣して共に戦うという決断をしないであったり、日本が期待している役割を米軍、米国が果たしてくれないという可能性、これは当然あると思うんですけれども、そのことに関しては、総理は、その可能性はあるということぐらいは認めていただけますでしょうか。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、日米間においては、累次の機会に、日米安全保障条約の下で米国の対日防衛義務を確認してきております。この点について、現バイデン大統領との間においても、昨年五月の日米首脳会談の際にも改めて表明をいただいた、確認をさせていただいた、こういったことであります。日本政府としては、米国が核を含むあらゆる種類の能力を用いて日米安全保障条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いております。

 そして、委員の方から、議会の予算の承認等、様々な事態が想定されるのではないか、こういった御指摘もありましたが、日本とアメリカにおいては、日米安全保障条約、この条約を締結しています。そして、この条約の締結、これは米国議会によって承認されたものであります。米国の対日防衛義務を承認した米国議会が当該義務の履行を妨げるような措置を取るということは、日本政府として考えておりません。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 米国が義務を果たすということは私も信頼していますけれども、今、アメリカを信頼するかどうかという議論ではこれはないわけでございます。また、米国議会が承認をした条約に反するような決断はしないだろうということですけれども、その可能性も当然私は考えなければならないというふうに思います。

 アメリカも我が国と同様、民主主義の国でありまして、今ちょうど大統領選挙の予備選が行われていますけれども、大統領も議員も任期が決まっているわけです。任期が訪れると選挙が行われて、議員、大統領は替わっていくということになります。時代によって世論も当然変わります。その時々でどのような判断をするかということは、これは全く予断を持って言うことができないわけでございます。

 だからといって、日米同盟が不要だとか、張り子の虎だと言うつもりは全くございません。しっかりと抑止力が利いていると思いますし、累次にわたってコミットメントを表明していただけているというお話が今総理からもありましたけれども、これは日本の、そして周辺の安定を守っていく上で極めて重要なパートナーシップだというふうに考えております。

 繰り返しになりますけれども、あくまでお互い別の国でありますし、お互いそれぞれ選挙があって、それぞれどのような判断をするかはそれぞれの時代によって変わるわけでございますから、究極的に言うと、米軍が、何かあったときに助けに来てくれない、あるいは期待したような義務を果たしてくれないという可能性は私は十分にあると思うんですね。

 そのことはこれからの日本の安全保障政策の議論にもつながってきますけれども、自分の国は自分で守るということをよく与野党の議員、皆様おっしゃいますけれども、その必要性を議論する上で、やはり日米同盟は確かに重要だけれども、それと同時に、それが機能しない場面も当然あり得るわけだから、自分たちで防衛力を強化していかなければならないという説明をしないと、有権者の国民の皆様に、この予算額の増額は一体何なのか、なぜ反撃能力が必要なのか、なぜ空母が必要なのかということを理解をいただけないと思うんですね。

 そういった意味では、日米安全保障条約は確かに重要だけれども、絶対的なものではない。日本が期待しているような義務を米国は果たしてくれない可能性もあるということ、この可能性に関してはしっかりと有権者の皆様に説明していくことが必要だと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほど申し上げたように、我が国は、日米安保条約に基づく米国の対応に全幅の信頼を置いております。

 ただ、その上で、我が国を守り抜くのは我が国自身の努力に懸かっているということも言うまでもないことであると考えます。自らの国は自ら守るという強い意思と努力があって初めて、いざというときに同盟国等とともに守り合い、助け合うことができる、このように考えます。

 こうした観点から、国家安全保障戦略等では、防衛力の抜本的強化を中核としつつ、国力を統合した防衛体制を今まで以上に強化していく姿勢を明確に打ち出すとともに、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく、こういった方針を確認しております。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命と暮らしを守り抜くという我が国政府の最も重大な責務、これを果たすべく、防衛力の強化の取組にしっかりと取り組んでいかなければならないと認識をしております。

斎藤(ア)委員 自分の国は自分で守るということが重要であるということは、今の内閣の皆様にも、方向性は同じだというふうなことが、今総理の御答弁で分かりましたけれども、だからこそ、やはり国民に対する説明に関しては、もう少しリアリズムに基づいて説明をしていただく必要があると私は思います。

 今月の頭、私も基本的質疑の方に立たせていただきまして、尖閣諸島の周辺の問題について議論をさせていただきました。中国の行動がエスカレートをしているという報道があるけれども、そのことについて伺いましたけれども、それについてはお答えができないという防衛大臣の答弁でございました。

 重要な安全保障上の状況の変化や政策決定に関しては、通り一遍の、これまでどおりの説明を続けるのではなくて、しっかりとやはり説明を尽くしていただかなければならない。特に、日本の安全保障環境は大変厳しくなっているということは皆様も口々におっしゃっているわけでございますから、なぜこの予算が必要なのか、なぜこの装備が必要なのか、これまでどおりの説明では御納得をいただけないこともこれからはどんどん増えてくると思いますので、そういった意味でも、日米同盟の限界についてもしっかりと説明をしていただく。

 日米安保条約を大切にして日米同盟を守っていくことと、自分の国は最終的に自分で守らないといけないという考え方、これを両立させて、しっかりと安全保障政策を進めていく必要があると私は考えていますので、丁寧な説明をお願いしたいというふうに思います。

 日本維新の会と教育無償化を実現する会で統一会派を結成する際には、政策協定を結びまして、その中に、リアリズムに基づく安全保障政策を共有し、推進するということを盛り込みましたけれども、先ほど青柳委員から申し上げたように、装備移転の件も含めて、しっかりと国民に説明をして推進していくということを我々も行っていきたいと思いますので、引き続き、政府にもその取組をよろしくお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて青柳君、山本君、高橋君、斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 辺野古の新基地建設について総理に質問いたします。

 政府は、昨年末、県知事の権限を奪う代執行に踏み切り、一月十日、軟弱地盤が広がる大浦湾側の埋立工事に着手しました。問答無用で基地を押しつけるやり方に、沖縄では、米軍占領下の銃剣とブルドーザーによる強制土地接収の再現だ、そして、沖縄の自治は神話と言い放ったキャラウェイ高等弁務官を想起させる、こういう怒りの声が上がっています。県民の民意を踏みにじり、地方自治を破壊する強権発動に強く抗議するものであります。

 まず、工期の問題から伺います。

 政府は、軟弱地盤の改良工事に伴い、当初は五年としていた工期を九年三か月に延長し、米軍への提供手続を含めた、全体で十二年かかると説明してきました。政府は、この起点を工事に着手した一月十日だとしています。基地が完成するのは二〇三六年一月ということになるはずです。

 ところが、総理は会見で、九年三か月の工期内に終えると約束できるかと聞かれたのに対して、全力で取り組んでいきたいと述べるだけでした。なぜ明言しなかったのですか。工期内に終えることができない可能性が高いということを総理も認識しているということですか。

木原国務大臣 普天間飛行場代替施設建設事業の工期につきましてでございますので、技術的なことですので、私の方から答えさせていただきますと、沖縄防衛局において、技術検討会の助言を得つつ、工事計画についてはしっかりと検討を行っております。

 地盤改良工事の追加などの見直しも踏まえて、変更後の計画に基づく工事に着手してから工事完了までに九年三か月である旨を示しているところであります。

岸田内閣総理大臣 今、防衛大臣からありましたように、防衛省において、工事完了までに九年三か月である旨、これは既に示していると私も承知しており、そして、御指摘の私の発言については、これを実現するために全力で取り組んでいく、このような考えを述べたものであります。

 引き続き、この工事計画の下、辺野古への移設工事について全力で取り組んで、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現して、基地負担の軽減を図っていきたいと考えております。

赤嶺委員 防衛省が最初に埋立土砂の投入に着手したのは辺野古側でありました。御承知のとおりであります。今から五年以上前の二〇一八年十二月のことです。辺野古側の埋立ては半年余りで完了するというのが当初の計画でした。

 防衛大臣、埋立ては完了したんですか。

木原国務大臣 辺野古側の件ということでお答えいたします。

 普天間飛行場代替施設建設事業につきましては、これまで主に辺野古側において護岸工事や埋立工事を行ってきたところでありますが、このうち、辺野古側の埋立工事につきましては、昨年九月末以降、埋立てに必要となる土量約三百十九万立方メートルに対しまして、約三百十八万立方メートルとなっておりまして、埋立てに必要となる土量に着目した進捗率、そういう単位でお示ししますと、約九九・五%となっているものと承知しております。

赤嶺委員 辺野古側の埋立工事に着手してから五年でようやく完了しつつあるというのが現状です。半年で終える計画でした。そうだったのに、実際には五年、十倍の期間がかかっています。

 なぜこれほど期間がかかったんですか。

木原国務大臣 埋立工事の工期につきましては、土砂の運搬量というものが重要な要素となります。

 辺野古側の埋立工事に係る土砂の運搬に関しましては、当初の計画だと、最大十隻程度の土砂運搬船が同時に接岸可能な仮設岸壁を整備する予定でございましたが、移植、移築対象のサンゴ類に係る特別採捕許可が得られなかったことからこの計画を進めることができず、その他の施工中の護岸を用いて土砂の陸揚げを行わなければならなかったこと、そして、それらの護岸は水深が浅くて小型の土砂運搬船しか接岸できなかったこと、こういうことから、海上において大型の土砂運搬船から小型の土砂運搬船への土砂の積替えを行わなければならなかったこと、そういった状況が生じたこと。あるいは、新型コロナウイルス感染症に伴って工事にも中断が生じました。

 そういった様々な理由によって、辺野古側の埋立工事には相当な時間を要することとなったもの、そのように承知しております。

赤嶺委員 いろいろ弁解しておりますけれども、防衛省が決めた工程は半年、かかったのは五年、十倍かかっているわけです。総理が防衛省が決めた工程どおりに進めますと言っても、辺野古では既に十倍かかっているわけですね。これが現実です。

 辺野古側は、先ほど防衛大臣が答えておりましたように、非常に浅い海域です。浅い海域だから土砂運搬船はなかなか入り切れなかったというのはお笑いぐさですよ、最初から浅いと分かっているんですから。

 そういう比較的容易に進められるはずの場所でありました。にもかかわらず、十倍の期間を要しています。

 これからやる大浦湾側、ここは水深が深く、マヨネーズ並みの超軟弱地盤が広範囲に広がる海域での工事になります。しかも、最も深いところで九十メートルという前例のない地盤改良工事が待ち受けています。現在の作業船の能力で施工できるのは七十メートルまでです。本当に完成できるのかさえ疑問視されています。

 昨日も沖縄の地元紙が報じておりますが、二〇〇〇年代に韓国で行われた海底トンネルの地盤改良工事では、砂ぐいを打ち込むための設備が突風や高波で折れ曲がるなどの事故やトラブルが相次いで発生しています。

 総理、辺野古側でも十倍の期間を要しているのに、難工事になるのが必至の大浦湾側で計画どおりに進められるということができるのでしょうか。これまでできなかったことが今度はできるというのであれば、その具体的な根拠を示すべきであると思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども防衛大臣から答弁がありましたが、防衛省において、技術検討会の助言を得つつ、工事計画について検討を行い、そして、地盤改良工事の追加などの見直しを踏まえて、変更後の計画に基づく工事に着手してから工事完了までに九年三か月である旨、これを明らかにさせていただいています。過去の様々な経験も踏まえて、技術検討会の助言も得つつ、こうした見通しについて示しているところであります。

 政府としては、こうした計画、見通しに基づいて全力で工事計画を進めてまいります。

赤嶺委員 これまでの経験を踏まえてといえば、辺野古側では五年かかったから、十倍ということじゃないですか。これまでの経験を踏まえるんでしたら。

 だから、辺野古の工事というのは、一九九六年四月の橋本・モンデール会談で、普天間基地を五年ないし七年以内に全面返還するというのが当時の日米両政府の説明でした。最初は五年ないし七年ですよ。ところが、その後、返還時期は何度も先延ばしされ、もう二十八年になろうとしています。その上、政府の机上の試算でも更に十二年かかると言っています。これまでと同じ十倍のペースで計算しましたら百二十年です。

 政府が辺野古に固執する限り、普天間基地は固定化されることになります。辺野古が唯一という固定観念から抜け出さない限り、普天間基地の返還は実現できないということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、埋立土砂の調達場所についてです。

 政府は、設計変更に合わせて埋立土砂の調達場所を変更しました。それまでは九州、瀬戸内地方や沖縄本島北部を挙げていましたが、沖縄県内各地に広げ、県内だけでも必要な量を確保できる、このようにしています。

 県内の調達可能量の七割を占めるのは、沖縄本島南部の糸満市と八重瀬町です。沖縄戦最後の激戦地でありました。戦後七十八年を経た今も戦没者の遺骨が発見され、遺族の元に送り届ける活動が続けられている地域です。戦争の悲惨さ、平和の尊さを認識し、戦没者の霊を慰めることを目的として沖縄戦跡国定公園に指定されております。

 計画が明らかになって以降、戦没者の血や肉がしみ込み、遺骨の残る地域の土砂を米軍基地の建設に使うのは戦没者を冒涜するものではないか、このように怒りの声が広がっています。計画の中止を求めて、全国の地方議会から約二百件以上の意見書が上がっています。

 先日も、国会内で、沖縄戦遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの具志堅隆松代表や御遺族の方々が、南部からの土砂採取をやめるよう防衛省に要請しました。ところが、防衛省は、御遺骨の問題は真摯に受け止めると言うだけで、採取をやめるとは言っておりません。

 総理、これは人道上の問題です。防衛省に対して、この地域の土砂を辺野古の埋立てに使用するのはやめるよう指示すべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の普天間飛行場の辺野古移設工事に必要な埋立土砂の調達先については、県内と県外に候補地が複数ある中、現時点では確定していないと承知しています。

 その上で、沖縄県では、さきの大戦において悲惨な地上戦により多くの住民の方々が犠牲になられ、今もなお戦没者の御遺骨の収集が進められていると承知しており、御指摘の問題は大変重要な問題であると認識いたします。

 こうした事情も十分踏まえた上で、今後防衛省において調達先を適切に判断してまいります。

赤嶺委員 御存じだと思いますが、埋立てをする場合に絶対的な条件として求められるのは、埋立てに使う土砂が必要量を確保できるかどうかであります。

 今、何も決まっていないと言いますけれども、防衛省は、いや、埋立土砂は沖縄南部の糸満市や八重瀬町から七割確保できる、このように言っているんですよ。埋立事業の核心中の核心の土砂の採取を戦没者の遺骨が眠る土地に指定しているわけです。まだ決まっていないんじゃなくて、そこから取りますという計画があるわけです。これを見直せと言っているわけです。何も決まっていないんじゃなくて、そういう場所から取る計画を持っているのが政府なんです。それをやめろと総理は防衛大臣に言うべきではありませんか。

木原国務大臣 防衛省といたしましても、沖縄の人々の尽くし難い困難と癒えることのない深い悲しみ、これらを胸にしっかりと刻みながら、戦禍を二度と繰り返してはならない、そのように防衛省としても考えているところです。

 その上で、調達されるプロセスにつきましては、一般的には、工事で使用する材料というものは、工事の仕様書で示された規格等を踏まえて、まずは工事の受注者において調達先も含めて選定し、工事の発注者においても当該材料が規格等に適合しているかどうかの確認を行うものと承知しております。

 その上で、この普天間飛行場代替施設建設事業の埋立土砂についても同様でございまして、埋立承認願書等に基づいて沖縄防衛局が作成した工事の仕様書で示された規格等を踏まえて、工事の受注者において調達先を選定し、工事の発注者である沖縄防衛局において当該材料が規格等に適合しているかの確認を行うと承知しております。

 今後新たに発注する工事の土砂の調達先は決まってはおりませんけれども、先ほど申し上げたような、総理も申し上げたような、そういう歴史のある沖縄においては、御遺骨の問題というものは真摯に受け止める必要があると認識しておりまして、こうしたことも踏まえながら、沖縄防衛局において適切に事業を進めてまいります。

赤嶺委員 防衛大臣はいろいろおっしゃいましたけれども、総理も歴史を踏まえてとおっしゃいましたけれども、沖縄県民は政府によって歴史を裏切られた経験を持っているんです。ですから、この場ではっきり、遺骨混じりの土砂は使わない、そういうことを言わない限り、どんなにきれいごとを言っても信用できるものではありません。

 結局、発注者である政府が調達先から除外しない限り、南部の土砂が使用されることになってしまいます。業者は、そこからもう計画に入っているわけですから、業者がそこを選ぶということになってしまうわけです。

 遺族は、今も一縷の望みをかけて戦没者の遺骨を捜し続けております。

 厚生労働省は、二〇〇三年度以降、戦没者遺骨のDNA鑑定を行ってきました。

 厚労大臣、沖縄戦の戦没者に関して、これまでにどれだけの申請があり、特定に至ったのは何人かを明らかにしていただけますか。

武見国務大臣 沖縄戦の戦没者については、二〇〇三年度から二〇二三年、令和五年の十二月末までに、一千七百十六名の御遺族からDNA鑑定の申請をいただいております。このうち、御遺骨の身元が判明した数は六柱となっております。

 厚生労働省としては、一柱でも多く御遺骨を御遺族にお返しできるよう取り組んでまいりたいと思います。

赤嶺委員 今の答弁の中身、資料もお配りをしておりますが、少なくとも千七百人を超える遺族の方々が今も捜し続けているということです。

 先月、県庁前で具志堅さんがハンガーストライキを行いました。そこに、ある遺族の方が激励に駆けつけておられました。沖縄戦で御両親を亡くされ、御高齢になられた今も、DNA鑑定に僅かな望みをかけて御遺骨を捜し続けておられました。昨年十二月に厚労省から受け取ったという鑑定結果の通知書も見せていただきました。血縁関係がある遺骨は特定できなかったという結果でありました。防衛省が南部から土砂を採取しようとしていることに対して、この方は、悲しさを通り越して涙も出ない、怒り心頭だ、このように述べておられました。こういう遺族がたくさんおられます。

 総理、戦没者の無念と遺族の心情に寄り添って、この地域の土砂を辺野古の埋立てに使うのはやめるよう、もう一度伺いますが、指示すべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、地元の皆様方、また遺族の皆様方の思いに寄り添って対応を考えていくこと、これは大変重要なことであると思っております。

 そして、先ほど申し上げたように、土砂の調達先については、県内、県外に複数候補地があるということで、まだ候補地は決まっていないという報告を私自身は受けております。その中で、今言った配慮等もしっかり念頭に置きながら、防衛省において判断をしていくことになると考えております。

赤嶺委員 絶対に、やめるという態度を示すことはありませんでした。

 こんな理不尽なことをしない限り完成できない基地の建設はやめるべきだと思います。普天間基地は直ちに無条件で撤去すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 最後に、米軍基地由来の有機フッ素化合物、PFASの汚染について質問いたします。

 二〇一六年に県企業局が発見し、原因を調査するための米軍基地への立入調査を求めました。私も、そのときに国会で、予算委員会分科会で取り上げました。当時、岸田総理は外務大臣でした。あれから、二〇一六年から本当に長い間たっておりますが、何の進展もありません。

 四月十日、バイデン大統領とお会いする機会があると聞いておりますが、岸田首相は、この沖縄の水道水のPFAS汚染について、嘉手納基地の原因調査をバイデン大統領に申し入れるべきだと思いますが、いかがですか。

小野寺委員長 内閣総理大臣岸田文雄君、時間が過ぎておりますので、端的にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のPFASをめぐる問題は、地元住民の皆さんにとって大きな不安を抱えておられる深刻な状況である、このことを政府全体として真剣に受け止めております。

 そして、御指摘の四月の首脳会談のやり取りについて予断することは行いませんが、これまでも、米国環境保護庁、米国国防省、また閣僚級を始め様々なレベルでやり取りを行っています。昨年一月の日米2プラス2でも、日本側から要請をし、環境に係る協力強化を確認したところです。

 これからも様々なレベル、様々な方面から働きかけを続けてまいります。

赤嶺委員 終わります。

小野寺委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 これから二十分間、質疑させていただきますが、本日は、ガソリンの激変緩和措置、そして政治資金の透明化、また、最後に子供、子育て施策について質問をしたいと思っておりますので、是非、大臣の皆様には簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、一問目、総理に伺いたいと思います。

 現在、春闘が行われております。過年度の春闘においては、現在行われている燃料油価格の激変緩和補助金、これが賃上げに一定程度貢献があったという評価がされていると私は認識をしているんですけれども、総理御自身は、この激変緩和措置が過年度の賃上げ実現に貢献したとお考えになっているかどうか、まずはお考えを聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の燃料油価格激変緩和補助金、これは外生的な物価高から国民生活を守るために導入したものであります。支援金は全て消費者、ユーザーに還元されることとなっています。すなわち、企業への補助金等ではありません。したがって、企業における賃上げを直接促すためのものではないと承知をしています。

 実際に企業等において賃上げに効果があったかどうか、これを一概に申し上げることは難しいと思いますが、いずれにせよ、本事業によって物価上昇が抑制され、物価高を上回る所得増の達成に大いに貢献してきているものと考えており、引き続き、エネルギーコストを含めた適切な価格転嫁などの取組を総動員していくことで、物価上昇に負けない賃上げ、これを実現していきたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 総理がおっしゃるとおり、消費者に対する効果があるけれども、それが企業に対する補助金ではない、それが賃上げに直接寄与したかどうかは一概に断言はできないというのはそのとおりだと思うんですが、私は先日、内閣委員会で新藤大臣ともこの議論をさせていただきましたけれども、現に、この激変緩和補助金、過去に六回、制度の延長若しくは内容の見直しが行われてきました。そのときの経済状況に応じて延長なり内容の変更が行われてきたわけですけれども、やはり、総理がおっしゃる新しい資本主義の好循環というのは、個人消費を活性化させる、そして企業の収益を高め、稼ぐ力を高める、それを賃上げという形で働いている方々にも還元をする、これがちゃんと回っていかないといけないわけで、補助金というのは私は一定の賃上げに対する効果があったというふうに評価をしております。

 そこで、二問目ですけれども、こちらのパネルを御覧いただくと、現在、レギュラーガソリン本来の価格の推移を黒いグラフで、そして、政府の補助金によって価格が安定化させられていますけれども、これが赤いグラフ、そして、我々国民民主党が従来から提案をしている、ガソリン税上乗せ分と二重課税の解消によってどのようにレギュラーガソリン価格が変わるか、この三つのグラフを載せているんですけれども、こちらを御覧いただくと、現在、政府の補助金施策だと、一年間に約三兆円のガソリン関連税の税収がある中で、大体それを相殺してしまうような補助金の財政支出があるということなんですね。これまで、過年度、二年間で六・四兆円支出があったというふうに報告を受けています。

 一方で、我々が提案しているガソリン税の見直し、これを行うと、ガソリン税収は年間一兆円下がるんですが、補助金に支出する財源支出が必要なくなりますので、税収はプラスのまま。そして、こちらを御覧いただくと、平均値を取ると、政府案の赤いグラフよりも、我々の提案の青いグラフの方が平均価格が下回っております。

 限られた財源を賢く使い、そして、国民の負担を効率よく軽減する対策として是非これは実現してもらいたい、これまでも再三にわたり要求をしてきているものではありますが、改めて総理に伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 激変緩和措置の補助額については、これは燃料価格の水準により変動することになります。その補助額が当分の間税率を上回る場合、これは激変緩和措置の方が財政負担が大きくなる、こういったことでありますし、足下のように、補助額がこれを下回る場合には、財政負担が軽くなるということであります。

 御指摘のように、当分の間税率の課税の停止の方が財政負担が軽くなるということについては、これは、今言った理屈から、一概にそれは申し上げることは難しいと思います。

 そして、その上で、揮発油税等については、平成二十一年に暫定税率を前提とした道路特定財源は廃止されましたが、地球温暖化対策の観点、あるいは厳しい財政事情、これを踏まえて、それまでの税率が維持され、当分の間税率とされた、こういった経緯があると承知をしております。そして、その当時との比較において、今、今日、気候変動が引き続きより大きな社会課題になるなど、状況はより深刻化している、こういったことを考えますと、税制上の扱いを変更するということについては政府としては考えていないというのが実情であります。

浅野委員 その上で、冒頭申し上げたように、現在、春闘期間中であります。そして、現に、中小零細企業の皆様からしたときに、これは、個人のユーザーの立場ではなく、会社を経営する立場の皆様から考えたときに、従業員の賃上げをするためには、やはり企業の手元に残るお金を増やしておかなければいけない。

 一方で、現在行われている補助金は、四月末で終了を今のところ予定をされているという話であります。これまでも柔軟に対応してきたというのが政府の答弁ではありますけれども、これは是非、春闘期間中に、今後の方向性に対して、一定の方向性を総理自ら出していただきたいと思うんですけれども、こちらについて一言いただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、激変緩和事業については本年四月末までとしていますが、出口も見据えた形で、さらには国際情勢、あるいは国際的な経済、エネルギー情勢、こうした様々な情勢も踏まえながら、政府として、その後について、出口戦略も見据えた上で対応、判断していきたいと考えます。

浅野委員 続いてのテーマに移りたいと思います。次は、政治資金の透明化についてになります。

 資料の二番を御覧いただきたいと思います。こちらは政治資金規正法の条文を抜粋して記載をしております。

 我々国会議員は、言うまでもなく、この国会の一員であり、我が国唯一の立法権を有する存在であります。当然ながら、既存の法律は遵守しなければなりません。

 そして、今回の政治資金の問題。改めて、政治資金規正法のルールをいま一度皆様と確認したいんですけれども、まず、一番上、第八条の二に書いてありますのは、これは政治資金パーティーに関する記載であります。

 要点だけ申し上げますと、政治資金パーティーの収入から経費を差し引いたその残額は政治活動に支出することが規定されています。そして、その下、第九条を御覧ください。そして第十二条も併せて御説明しますけれども、第九条は、政治団体が会計帳簿をちゃんとつけなさいという規定になっています。そして、黄色くハッチングがしてあるところにあるように、全ての収入を記載しなければいけないとされています。これは、第十二条に規定されている政治資金収支報告書についても同様な趣旨が記載をされております。

 そこで、まず、総務大臣に、この法律の解釈について確認をしたいと思います。

 今説明を申し上げた第八条の二、そして第九条、第十二条の一に基づけば、政治資金パーティーの収入から経費を差し引いた残りのお金は政治資金に使わなければいけないという理解でよいのか。そして、政治資金パーティーの全ての収入を会計帳簿と政治資金収支報告書に記載しなければいけない、こういうルールの理解でよろしいでしょうか。

松本国務大臣 既に委員がお示しいただいている条文のとおりでありまして、政治資金パーティーというものが、収入の金額から経費の金額を差し引いた残額を政治活動に関し支出することとされているものというふうに定義をされていますので、政治資金パーティーとは、残額を政治活動に支出するものということになろうかと思います。

 その上で、会計帳簿の記載、第九条、報告書の提出、第十二条につきましても、御指摘のとおりでありまして、委員御案内のとおり、会計帳簿につきましては、例えば、九条の一項一号のヘですかね、機関紙等の発行その他の事業による収入ということで、政治資金パーティーの対価に係る収入の記載についても記載がありますように、法にのっとって、会計帳簿も報告書につきましても、全ての収入、支出もですけれども、法にのっとって記載し、報告をしていただくこととなっておりまして、私からあえて申し上げれば、政治資金規正法二十四条、二十五条で、帳簿の記載、収支の報告についての罰則の規定も設けられているということでございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 ここ連日、予算委員会では政治資金収支報告書不記載問題が取り上げられておるんですけれども、この条文を改めて確認してみて、ちょっと総理に伺いたいことがあります。

 これは通告していないので、分からなければ分からないで結構なんですけれども、第九条に定められている会計帳簿、いわゆる政治団体の会計帳簿に不記載という事案が今回あったというような類いの報告あるいは情報をお持ちかどうか。政治資金収支報告書については多くの議員が不記載だったというのが既に報じられておりますけれども、会計帳簿については何らかの情報を持っているかどうか、答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、政治資金収支報告書については様々な報告を受けておりますが、会計帳簿ということについては具体的な報告は受けていないと認識をしています。

浅野委員 ありがとうございます。

 そこについては、今ここで時間を余り割くことができませんので、今後ともいろいろ聞いていきたいと思いますけれども、その上で、改めて総理に聞きます。

 政治資金収支報告書に記載されずに、今回のように、法律に違反する形で、誰の目にも触れることなく保持されていた政治資金があった場合、これを課税対象ではないと認めることは可能なんでしょうか。

松本国務大臣 そもそも、政治団体から政治団体への寄附であったのが事実なのか、もし、そうでないのか、個別の事実を認定する立場にはありませんが、そもそもの事実に基づいて、それが政治団体のお金であるのか、個人のお金であるのかといって、事実の認定に基づいて法が適用されるものと考えております。

浅野委員 おっしゃるとおりだと思います。事実の認定が絶対に必要だと思います。

 その上では、先ほど確認したように、政治資金の収支報告書への不記載というのは第十二条違反ということになります。それがちゃんと課税対象ではない政治資金だったのかどうか、そして、第二十四条ないし二十五条で規定されている罰則の対象としてそれが該当するのかどうか、これはしっかりと、我々は立法府の人間ですから、法律に基づいてきちんと真実を究明をしなければいけないと思います。

 それは今後とも、我々としては、真実を明るみにするために確認を深めていきたいと思うんですが、今日、ちょっとほかの観点でもう一問聞きたいことがございます。

 そもそも政治資金パーティーの収入というのは課税対象にはなっていないというのがこれまでの議論でもありました。それは、法人税法の施行令第五条の中で収益事業の三十四類型というのがあるんですけれども、この三十四の類型の中に政治資金パーティーが該当するような類型がないから収益事業とは認められないということなんですね。

 これはやはり、我々は、今回の裏金問題によって政治の信頼が大きく損なわれておりますし、その原因は、ルール違反を犯した議員に責任がありますけれども、そういった行為を許してしまった、政治資金の透明性を担保できていない現行法にも課題があるというふうに思いますので、この政治資金パーティーをちゃんと類型に定めるべきではないか、そのための法改正をすべきではないかと思うんですが、総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の政治資金パーティー、そして企業・団体献金等については、我が党としては、委員御指摘のように、透明性を高めることが重要であるという認識を共有した上で、まずは議員本人の責任の厳格化、そして外部の監査の導入、そしてデジタル化等を通じた透明化、これを法改正を行うことによって実行することが重要であるという考え方に基づいて、今ワーキングチームで議論を行っています。

 その中で、透明性を高めるという観点から、委員の方からは、収益事業三十四種類に政治資金パーティーを加えるという方法もあるのではないか、こういった御指摘をいただいたわけでありますが、法改正をして新たな収益事業の追加を検討するということについては、他の公益法人等において行われている類似の事業に課税した場合にどのような影響が生じるのか、営利企業との間で競合関係が生じて、収益事業として課税しなければならない公平性が毀損されることはないか、こういった点について議論を行った上で判断するべきであると承知をしております。

浅野委員 いろいろ運用面も含めた法改正をして透明性を確保するのはもちろん私も賛成ですし、それはやらなければいけないことだと思うんですが、私が今日指摘したいのは、資料の三を見ていただくと、政治家個人については、政治資金収入から支出を差し引いた分が雑所得になって課税されるという仕組みが既にあります。そして政治団体についても、いわゆる物販事業のようなものについては、売上げから経費を差し引いた残りの利益が課税対象になるというルールが既にあります。ただ、今申し上げた政治資金パーティーについては、チケット収入から経費を除いたその残額、収支と書いてありますけれども、これが課税対象になっていない。制度的にもここはやはり整合しない状態なのではないかと思うんですね。

 ですから、改めて、この部分についても、今後はこの立法府の中で議論を深めるべきだということを提案したいと思います。

 そして、時間がなくなってきたので、最後、子供、子育て、ちょっと時間が僅かですが、行きたいと思います。

 パネルの四、資料の四を御覧ください。

 今日、ちょっと時間がないので、加藤大臣には、少し予定していた質問を飛ばしてしまいますけれども、当初の一問目を伺いたいと思います。

 今回、児童手当の財源として支援納付金というのが充てられるという予定になっておりますけれども、上の青い部分が、これまでの、従来の児童手当の財源の内容、そして下の赤くなっている部分が、今後の財源の予定とされているものであります。そして、三歳未満の部分を見ていただくと、半分以上が支援納付金によって賄われるというふうな設計になっております。

 ただ、子ども・子育て支援法第七条第一項には、子供、子育て支援の適切な実施を図るために国や地方公共団体が支援を行うというふうに書いてあるんですが、改めて確認するんですが、この児童手当の事業、これは誰が行うものでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 児童手当は、法律に基づき国が定める制度であり、制度設計等に関する基本的な主体は国となりますが、児童手当の受給資格及び額の認定、支給に関する事務等につきましては、地方分権の趣旨に沿って、法定受託事務として市区町村において行われています。

浅野委員 もう時間が参りましたので終わりますが、今後、国が行う事業なのにもかかわらず、その大半が国民負担によって賄われることに対してどうなのか、この在り方についても議論を深めたいと思います。

 終わります。

小野寺委員長 これにて浅野君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 まず、時間配分につき、立憲民主党に感謝申し上げます。

 今日は、前回積み残したアベノミクスの検証について質問します。いつものように、まずは持論展開した後に、総理の見解を求めさせていただきます。

 前回、アベノミクスの評価について質問した際、岸田総理は、デフレでない状況をつくり、GDPを拡大し、企業収益を拡大し、そして雇用を増進したと答弁されました。

 まず、そんな高い評価の経済政策であったならば、人口が三分の二しかないドイツに何でGDPを追い越されて四位に転落するのか、全く説明がつきません。そのことを指摘した上で、総理答弁四点全てに反論します。

 一点目。デフレでない状況をつくったと言われましたが、そもそも、デフレは、バブル崩壊後、失われた三十年と言われる長期経済低迷の中で生じてきたことです。その原因となったバブルの生起も、崩壊も、崩壊後の対処も、全て自民党政権下のことです。デフレにしたこと自体、自民党政権の責任であるということを棚に上げないでいただきたい。百歩譲って、デフレ脱却ができているとしても、それは、円安により輸入物価高騰など、国民生活を犠牲にしながらのデフレ脱却という形になっているということです。

 そもそも、原因と結果を逆にしたデフレ脱却という目標設定自体が間違っています。政策は、国民の生活を豊かにする手段です。しかし、デフレ脱却を目標にしてしまうと、安倍、黒田コンビの異次元金融緩和のように、円安による輸入物価高騰など、国民生活を犠牲にしてでも物価上昇を優先するという本末転倒に陥ってしまいます。

 二点目です。GDPを拡大したと言われました。

 資料一を御覧ください。

 これは、日本経済の主要なマクロ経済指標を盛り込んだ、日本経済のちゃんこ鍋のようなグラフです。国全体の豊かさを示すものが名目GDP、そのGDPの六割を占め、国民生活の豊かさを示すものが個人消費と言えると思います。名目GDPは、ここでは、日本円とドルベース、両方を表示しています。そして、お金がどれだけ市場に供給されているかを棒グラフで示しているのがマネタリーベースです。

 確かに、日本円の名目GDPは少しずつ拡大しています。しかし、ドルベースの名目GDPは大きく減少しています。現在に至るまで、民主党政権時代のGDPを一度も上回ったことはありません。株価は、マネタリーベースとは連動していますが、個人消費及びGDPには連動していません。生活の豊かさを示す個人消費は、株価ではなく、賃金が上がらないと増加しません。また、将来不安がなくならないと増大しません。

 総理、円ベースのGDPとドルベースのGDPの関係をある県の高校生の成績に例えてみます。A高校での成績が百番、全県での成績が五百番だった生徒が、A高校で百番から三十番になったと喜んでいたところ、A高校のレベルが下がったために、全県では五百番から八百番に下がっていた。これは同じことなんです。

 円安の影響で、世界における日本円の価値、購買力が大きく落ち込んでいます。その結果、ガソリン代、電気代、ガス代、食料品など輸入物資の高騰により、可処分所得が減り、国民生活が苦しくなっています。それゆえ、ドルベースのGDPが落ち込む中で、円ベースのGDPが拡大したことを成果として強調しないでいただきたいと思います。

 データはうそをつきません。株価上昇が必ずしも国民の豊かさと言える個人消費の増加には結びついていないこと、また、米ドルベースのGDPは、アベノミクス下での日本経済が低迷し続けていたことを如実に示しています。うそはつきません。

 三点目。企業収益が拡大したことについて、資料三枚目を御覧ください。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

吉良委員 このグラフは、日本国内で生み出した付加価値の総額であるGDPと、日本人、日本企業が世界のあらゆる場所で稼ぎ出した所得であるGNIの推移を表したグラフです。同時に、グローバル化している企業活動や企業収益の一端を表している図でもあります。GNIとGDPの差は、海外からの配当や金利収益である第一次所得収支とほぼ一致しているからです。

 日本は今や投資立国となっており、この配当や金利収益は、二〇二二年で三十四兆円もあります。そして、円安により今や貿易赤字国になってしまった日本の経常収支黒字化に大きく貢献しています。

 企業収益は、海外投融資をしている企業を中心に拡大していることは確かです。その背景には、今言ったように、海外で稼ぎ出したドル建ての配当、金利収益が、円安により、連結決算上大きく膨らんでいるということがあるのです。

 総理が言われた企業収益の拡大自体は間違っていません。しかし、私の問題意識は、生活者優先という視点から、この企業収益拡大の恩恵が広く国民に分配されないこと、また、円安により輸入物価高騰に苦しむ一般国民から企業への所得移転の要素をはらんでいるということです。

 企業は、生き残りを懸け、また利益を最大化するために、世界のどこでも事業展開します。企業として当然のことです。

 しかし、政府としては、あくまで国民生活を豊かにすることが目的です。企業収益が拡大したとしても、それが所得移転という形で国民生活の犠牲の上の収益拡大であっては本末転倒です。

 なお、現在進行中の株高について、資料の二枚目を御覧ください。

 株高は、現在、売買比率の六割を占める外国人投資家が押し上げているものです。その主な原因はやはり円安です。外国人投資家が、円安により、日本は割安と判断しているからです。日本の優良株が一ドル八十円時代からすると半額セール、百二十円時代からも三割安ですから、買わない手はありません。

 現在の株高は、円安以外にも、企業業績の拡大、今言いましたように、確かにあります。また、中国経済の減速でその分がこちらに回ってきているという要因もありますが、残念ながら、株価の上昇も、必ずしもその恩恵が広く国民に分配されるものではありません。

 四点目。雇用を増進したということについてです。

 安倍元総理も、アベノミクスの成果として、四十七都道府県全てで有効求人倍率が一倍を超えたということを強調していました。しかし、有効求人倍率の向上は、団塊世代の大量退職と少子化継続による人手不足が原因であり、アベノミクスの成果とは到底言えません。そもそも、人口減少と少子化の行き着く先として人手不足時代が来ることは、何十年も前から分かっていたことです。それなのに自民党政権は、この最重要国家課題に対して何ら有効な手だてを講じてきませんでした。その無策の結果として、現在、深刻な人手不足問題を抱えているわけで、それゆえ、有効求人倍率の上昇とか、生産性の低い低賃金分野での雇用拡大、それをアベノミクスの成果として強調することは、天に唾するようなものだと言えます。

 今、賃上げ機運が高まっています。これは歓迎すべきことです。しかし、この機運は、岸田総理が賃上げ賃上げとハッパをかけているからではありません。無策の結果として、人手不足に苦しむ中、生き残りを懸けて、いい人材を確保しようとする企業の本能がなせる業です。

 なお、私の主張は、円安や、円安により収益を拡大する輸出企業を目の敵にしているというように捉えられるかもしれませんが、そうではありません。私は、二十二年間勤めた商社時代、プラント輸出、そして海外投融資ビジネスの最前線にいました。それゆえ、我が国が生きていくための必要物資を輸入するため外貨を獲得する輸出企業がどれだけ重要か、身をもって体験してきました。輸出産業あっての日本だと言っても過言ではありません。

 しかし、大手輸出企業は、優秀な社員の集合体です。そして、優れた経営者だらけです。それゆえ、円高に直面しても、現地生産や世界中にサプライチェーンを構築するなどして円高に耐える力、反転攻勢する力を備えています。政府の支援なんかなくても、自力で堂々と世界と渡り合える企業です。それゆえ、政府としては、JBICメニューの充実、自由貿易協定や経済連携、TPPなど多国間経済連携など、日本企業が不利な状況に置かれないよう、また優位性を保てるようなインフラを整備すれば十分事足ります。

 私は、輸出企業の力を信じているからこそ、政府がやるべきことは、円安誘導など自力で世界と渡り合える輸出企業への支援ではなく、一般国民の生活向上政策に集中すべきだと申し上げています。

 では、どうすれば国民生活は向上させることができるのか。もう時間がないので、本来は、業界主権から生活者主権政治にということで詳細を説明したいのでありますが、時間がありませんので、是非、資料、業界主権政治と生活者主権政治の対比を御覧いただきたいと思います。

 以上、アベノミクスは、国民生活を向上させるという政治本来の目的に照らして、成果がなかったことを説明させてもらいました。

 岸田総理には、吉良州司のアベノミクス検証結果を是非御理解いただき、日本再生のために一刻も早くアベノミクスと決別すること、そして、生活者主権政治にかじを切ることを強く求めます。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 委員の考え方、興味深く聞かせていただきました。

 そして、そもそも、質問の中心はアベノミクスの評価でありました。ですから、その前の三十年間の日本の経済のありよう、デフレスパイラルが続いたこの三十年間については、リーマン・ショックやアジア金融危機や、様々な外生的な要因等を含めて、様々な要因によって引き起こされたものであると認識をしております。そして、その三十年間の後に、アベノミクスという政策が実行された。これについてどう評価するか、こういった御質問だったと思います。

 そして、このアベノミクスということを考えましたときに、デフレではない状況をつくった、しかしながら、為替等、負の要因も随分あったのではないか、GDPについても、為替との関係について、委員、御発言がありました。

 ただ、GDPと為替の問題、学校における成績と絡めた例示、これはちょっと私は当たらないのではないかと思いながら聞いておりましたが、いずれにせよ、GDPの評価として、為替の要因というのは大きいと思いますし、その中で、円建てのGDPの意味も我々はしっかりと頭に置いた上で政策を実行していく、こういった観点は重要であると思います。

 そして、企業収益が上がった、このことも、委員は、企業収益が上がったことは認めながらも、そこから先がなかったという御指摘でありました。だからこそ、今、成長と分配の好循環、企業収益を消費や賃上げや投資にしっかりと振り向けていかなければならない、こうした政策を訴えている次第であります。

 そして、今の賃上げは、要は、政策によるものではなくして、企業が人手不足によってやむを得ずやっているものである、本能に基づくものである、こういった御指摘もありましたが、私は、こういった賃上げというのは、単に民間の競争、市場に任せていたのではなかなか実現できないということで、官民の協力が必要だというこの新しい資本主義を訴えた次第であります。やはり、官民の協力の下に環境をしっかりと整えなければ企業収益にとどまってしまう、賃金に振り向けられない、こういった問題意識を持って様々な政策を動員した次第でありますし、だからこそ、今、三十年ぶりの賃上げ等が動き始めていると認識をしています。

 アベノミクスの評価を中心に、その三十年前についてどう考えるか、そしてその後についてどう考えるか。委員の問題意識、これは重要だと思いますが、一つ一つの評価については、今申し上げたように、緻密に検討した上で、何が効果があったのか、この点についてしっかりと考えていかなければなりませんし、その上で、私自身としては、この新しい資本主義という経済モデル、是非、前に進めることによって、三十年ぶりに訪れてきたデフレ完全脱却からのチャンス、これを物にしていきたいと考えております。

吉良委員 もう時間が終わっていますので。

 岸田総理がアベノミクスからの決別宣言をして、さっき言った、生活者を、生活者に向き合う、生活者主権にする限りは、多くの野党議員も応援すると思います。

 最後に一点だけ。

 先ほど言いました、円高に対しては対応のしようがあるんです、いろいろ。けれども……

小野寺委員長 済みません、時間が過ぎておりますので。

吉良委員 円安については対応のしようがないので、生活者主権でお願いいたします。

 終わります。

小野寺委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十九日午前九時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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