衆議院

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第16号 令和6年3月2日(土曜日)

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令和六年三月二日(土曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小野寺五典君

   理事 上野賢一郎君 理事 加藤 勝信君

   理事 島尻安伊子君 理事 橋本  岳君

   理事 牧島かれん君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 漆間 譲司君

   理事 佐藤 英道君

      井出 庸生君    井野 俊郎君

      伊東 良孝君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      越智 隆雄君    奥野 信亮君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      後藤 茂之君    田中 和徳君

      平  将明君    塚田 一郎君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧原 秀樹君    宮路 拓馬君

      山本 有二君    若林 健太君

      渡辺 博道君    井坂 信彦君

      石川 香織君    江田 憲司君

      おおつき紅葉君    大西 健介君

      逢坂 誠二君    小山 展弘君

      階   猛君    藤岡 隆雄君

      馬淵 澄夫君    山岸 一生君

      湯原 俊二君    米山 隆一君

      早稲田ゆき君    奥下 剛光君

      林  佑美君    守島  正君

      赤羽 一嘉君    金城 泰邦君

      角田 秀穂君    宮本  徹君

      田中  健君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         小泉 龍司君

   外務大臣         上川 陽子君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      齋藤  健君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    伊藤信太郎君

   防衛大臣         木原  稔君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)    自見はなこ君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  木村 陽一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星屋 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  橋本 泰宏君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  塚田 一郎君     井野 俊郎君

  藤岡 隆雄君     逢坂 誠二君

  山岸 一生君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     塚田 一郎君

  江田 憲司君     湯原 俊二君

  逢坂 誠二君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  馬淵 澄夫君     藤岡 隆雄君

  湯原 俊二君     おおつき紅葉君

同日

 辞任         補欠選任

  おおつき紅葉君    山岸 一生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

小野寺委員長 これより会議を開きます。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長木村陽一君、総務省自治行政局長山野謙君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省刑事局長松下裕子君、国税庁次長星屋和彦君、厚生労働省職業安定局長山田雅彦君、厚生労働省年金局長橋本泰宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 昨日に引き続き、内外の諸課題についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。江田憲司君。

江田委員 おはようございます。立憲民主党の江田憲司でございます。

 今日は土曜日の朝ということで、私も何度もこの場に立たせていただいてまいりましたが、初めてのことでございます。こういう混乱を招いたのは、一義的には小野寺委員長、おととい、突如職権で、与野党合意もなく予算委員会を立てて、強行採決の構えを見せた、それが要因でありますので、改めてここで強く抗議をさせていただきます。

 ただ、その背後にいたのが私の前におられる岸田総理だという話もありまして、岸田総理、委員長に、そういう強硬路線、指示されたんですか。

岸田内閣総理大臣 私自身、委員長に対して何か直接指示をしたということはありません。

江田委員 いろいろ、予算の理事、国対の現場から話を聞くと、総理が政倫審に御自ら出られて弁明をされた、それを契機に、とにかく予算を年度内に成立させろということで、そういう指示をされたというふうに聞いているんですけれども、それは違うわけですね。

岸田内閣総理大臣 私自身の政倫審への対応については、政倫審が開催形式等の調整がつかず見通しが立たない、こういった状況にある中で、私自身は、政倫審というこの議論の場は、説明者の意思が尊重されるべきである、本来のルールに従って行うべきだということを申し上げてきたわけではありますが、あのままでは国民の不信をますます増長させてしまう、そういったこと、また私自身も説明責任を尽くすべきであると申し上げてきたこと、これらを踏まえて、私自身が政倫審にマスコミオープンの形で出席をし、説明することが必要であると判断した、こういった次第であります。

 一方、予算の審議は、これは、予算の中身、復興予算を始め国民生活に深く関わる内容が含まれている。特に、震災対応については、新年度早々から住宅支援など具体的な支援が期待されている、こういったことでありますので、予算の審議は重要であるということは申し上げてまいりました。

 ただ、国会の予算委員会の在り方について、予算委員長に対して何か直接指示をするといったことは一度もありません。

江田委員 今お話しのように、口を開けば能登半島地震、被災地の復旧復興、おっしゃるんですよね。もちろん、この問題は与野党の別はありませんから、我々も全力で、力を尽くしていかないかぬと思っていますよ。しかし、総理、あなたがしたこと、復興予算、来年度予算、何が入っていますか。予備費を積み増しただけじゃありませんか。

 我々はずっと、補正予算を組んでくれ、組んでくれと申し上げてきました。阪神・淡路大震災のときも発災後一月後に補正予算を組みました。東日本大震災のときも発災後一月半後に補正予算を組んでいるんですよ。熊本地震のときも一月後に補正予算を組んでいるんですよ。その意味するところは、被災地のニーズを丁寧に酌み取って、必要な予算を積み上げて補正予算を組む、これが真摯な対応ではないですか。それをあなたは、予備費、来年度予算、入っている、入っていると、予備費のつかみ金を増やしただけじゃないですか。これが真摯な対応と言えるんですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 重要なのは、発災した時点とそして予算の審議のタイミングの問題だと考えています。

 発災した時点、まだ通常国会が開会する前であり、そして、六年度予算についても提出する前の段階でありました。年末に予算編成は行ったわけでありますが、閣議決定した予算であっても、国会提出する前に予備費の積み増しは可能である、それが最も機動的で、早いタイミングで予算を確保する上で重要である、こういった判断に基づいて予備費の積み増しを行った、こういったことであります。

 過去の例を幾つかおっしゃいましたが、これは予算の審議のタイミングと発災との関係において、それぞれの時点で最良の方法が検討されたと考えています。

 今回においては、先ほど申し上げましたような事情から、予備費を積み増すという形で予算を変更することが最も機動的であると判断をいたしました。

江田委員 全く理解できません。私は、阪神・淡路大震災のときに通産大臣の事務秘書官でした。当時は、当事者として、一月十七日が発災ですよ、二月十七日に補正予算を組んでいるんですよ。同じような状況なんですよ。そんな言い訳しないでください。

 とにかく、被災地対応は与野党の別なくしっかり全力でやってまいりますので、そのことだけをちょっと申し上げておきます。

 さて、今日は、これまでの政治と金、裏金問題についての審議結果を踏まえて、ちょっと総ざらいをしていきたいと思うんですね。

 この問題についての国民の怒りは、何で何千万円もの裏金をもらいながら犯罪に問えないのか、脱税に問えないのか、そういう一点に尽きると思うんですね。

 ですから、この対応を誤ると、税務行政への信頼が根幹から揺るいで、本当にこの国を危うくすると私は思っておりますので、そういう危機意識から質疑をしていきたいと思います。

 まず、この裏金がどうして政治団体への寄附なのか、私には全く理解できないんですよ。

 安倍派は、この裏金を渡すときに現金で受渡しをした、そのときに、これはもう領収書が要らないお金ですから、収支報告には記載しないでいいですから、そう言って渡した。それから、自民党のヒアリング報告でも、いや、このお金は危ないお金だと思った、ちょっと危険なあれだからといって、事務所の引き出しに入れたり、金庫に入れたり、ある人は個人口座に、預金に入れていたということですよね。それから、逮捕、起訴された池田議員なんかは、これは政策活動費だと思っていたと。政策活動費というのは個人への寄附というのを自白しているようなものじゃないですか。

 それから、各都道府県の選挙管理委員会が出している手引、御存じですか、総理。これは明白に書いてあるんですよ。政治団体の手引では、政治団体が得た収入をその構成員で分配するなどした場合、その受取者に課税されると。これは公文書ですよ、各都道府県の選管が。もう一度言いますよ、政治団体が得た収入をその構成員で分配するなどした場合、その受取者に課税すると明確に書いてあるんですよ。

 まさにそうじゃないですか。派閥の事業収入、資金集めパーティー、それを構成員に分配して、もらった。これは課税されると書いてあるんですよ、政府の公文書に。

 それから、国税庁次長と、私、さんざん財務金融委員会で議論しました。国税庁の見解は明快ですよ。政治資金収支報告書を記載しただけでは判断しませんと。それプラス、保管の実態とか、どちらに帰属しているか、政治団体にこのお金が帰属しているのか個人に帰属しているかは総合的に判断するという答弁です。

 以上の様々な理由を考えて、私は、なぜこれが政治団体への寄附だと考えたのか、全く理解できないんですけれども、岸田総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、御案内のとおり、政治資金が政治家個人に帰属するものなのか、あるいは政治団体に帰属するものなのか、これによって課税関係は変わってくるということであります。

 一般論として、派閥から政治団体への資金が渡された、こういったことであるならば、法人税法上の収益事業には当たらない、法人税の課税関係等は生じない、こういったことでありますが、こうした法律の中で、今回、この事件が指摘をされて、検察による捜査が行われました。

 そして、捜査を行った上で、事実の確認等が行われて、そして、関係者も、この事実の確認の下に、納得してそれぞれ修正を行った、政治資金収支報告書の修正を行ったと承知をしております。

 そして、その修正については、今なお関係者の修正が続いている状況にあるわけでありますが、現在までのところ、党として、議員個人が受領した例、これは把握していないということを説明させていただいております。

 こういったことから、今現在、党としては、課税関係等が生じる事例を承知していないという説明をさせていただいております。

江田委員 私は法務省の刑事局にも確認しましたが、立件をされた三人に限っては政治団体への寄附と認定した、それ以外については白紙ですという答弁だった。八十何人になんなんとする方、その方は、自民党のヒアリングによっても、それぞれ保管の実態が違うんですよ。

 まさに国税庁は、そういう実態を見て総合的に判断する、個別具体的に判断すると言っているわけですから、税務調査に入らないと分からないじゃないですか。税務調査すら入らないということでは、国民は到底納得しませんよ。

岸田内閣総理大臣 検察の捜査において事実の把握が行われた、こういったことでありますが、その捜査を受けた上で、実態を確認した上で、関係者がそれぞれ修正作業を行っていると承知をしています。

 そして、一方、税務当局においては、それぞれの証拠や資料に基づいて、公正、的確な納税が行われていることを確認していると承知をしておりますし、必要な際には税務調査に入る、こういったことで公正な税務を確保していると承知をしております。

 ただ、税務当局の活動については、中立性の観点から、政治の立場で総理大臣や財務大臣が何か指示をするということはあってはならないと考えています。

江田委員 ちょっと聞き捨てならない答弁、検察が捜査の過程でそういう指示をしたということですか、政治団体への寄附だという。検察の意向を受けて訂正をした、そう聞こえたんですけれども、どうですか。

岸田内閣総理大臣 意向を受けたとは申し上げていません。捜査が行われた中で、当然、関係者も事実の確認をし、そしてそれに基づいて修正を行っていると承知をしています。

江田委員 だけれども、検察に聴取を受けた人は限られているわけですよ。だから、その限りにおいては、そういう検察の処理、私はこれはおかしいと思っていますけれども、検察の判断。しかし、それ以外のことは白紙ですからね。

 ですから、どうして、政治団体への寄附、後から修正申告したら政治団体への寄附になるんですか、あり得ないでしょう。もらった人が、裏金というかキックバックをもらった人が、危ないと思った、使えないと思った、そういう金がどうして政治団体への寄附なんですか。常識で考えてください。

 だから、そこに国民が怒っているわけですよ。国会議員は特権階級なのか、我々は一枚一枚領収書も調べられて、それで申告、納税させられるのに、何で国会議員だけが納税を免れているんだよ、何千万ももらっても。

 ですから、総理、私も政府に長いから、国税庁と財務大臣との関係は知っているつもりですよ。確かに、原則、個別具体的に指示はしませんよ。しかし、こうした御自らの政党の不祥事で裏金問題が起こり、国民の怨嗟の声が集中している中で、国税庁が誰からも何も言われないアンタッチャブルな存在ではあり得ないんですよ、この民主主義国家では。

 まさに財務大臣なり総理が、税務調査に入れと指示するのが今の国民の声に応える唯一の道だと思いますが、もう一度答弁してください。

岸田内閣総理大臣 検察の捜査を通じて、そして本人の説明責任を果たす等において聞き取り調査を行う、様々な形で実態把握を行っているわけでありますが、その中において、党としては、個人が受領した例は確認できていないと申し上げています。

 そして、一方、税務当局においては、公正そして適切な納税のために、平素、資料や証拠に基づいて取組を進めている、こういったものであると承知をしております。その中立性は大切にしなければならない、このように申し上げております。

江田委員 検察庁ですら、不起訴にした案件には検察審査会がしっかり審査するという制度的担保があるんですよ。国税庁は、じゃ、誰がそういう、国税庁が例えば税務調査に入らないと判断したときに、総理大臣も物が言えない、財務大臣が物が言えない、そんな存在、役所があっていいんですか、この民主主義国家で。どこに民主的統制があるんですか。おかしいんですよ。だから、原則は原則として、例外もあるんですよね。

 だから、今、こういう異常事態が起こっているわけですから、私は、総理あるいは財務大臣が指示すべきだと思いますが。

 そうしたら、聞き方を変えましょう。だったら、総理、今回の裏金議員に、それぞれ税務当局と相談しろ、そのぐらいの指示はできるでしょう。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、関係者は、それぞれ検察の捜査、そして聞き取り調査等、様々な実態把握の中で、自分自身、実態を確認した上で修正を行っていると承知をしています。

 そして、税務当局の対応については、その適正な取組について、これは信頼しなければならないと考えております。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

江田委員 国民の皆さん、もう全くやる気がないということですよ、総理大臣は、国民の声に応える気もさらさらないということが証明されました。

 さて、下村博文さんの会見の発言、これは重大発言ですよね。一月三十一日、こうおっしゃっていますね。

 二二年八月に、派閥幹部らが会合をしました。キックバックの扱いについて協議して、それで出席者の一人から、個人のパーティーに還流分を上乗せして、議員個人のパーティー収入に上乗せして、収支報告書で合法的な形で出すという案もあった。収支報告書で、個人の資金集めパーティーにこの還流分を上乗せして、合法的な形で出すという案もあったと。

 合法的な形ということは、違法を認識していたということじゃないですか、この幹部は。

 それから、もう一つ。森山総務会長も、重大発言を先月のテレビ番組でしております。これは私、知らなかったですね。

 平成十七年六月に、当時安倍幹事長代理、その時代に、安倍幹事長代理が、全部この裏金は記帳するようにということを決められたということもニュースになっています。ですから、恐らく、安倍元総理は、平成十七年の六月以降はそういうことはないと思っておられたんでしょうねと。もう全部記帳していると思っていたんでしょうね。そして、派閥に帰ってこられて報告を受けられたら、いまだに続いている、こういう裏金システム、に気づかれて、かなり厳しく、これはもう改めようということを決められたと言われておりますと。その後どういう経過があって復活したのかということはよく分かりませんけれども、そういう歴史があったことは我々は事実として受け止めて、今後の改革に生かしていかなきゃいかぬじゃないかと思っていますという、極めて真っ当な発言をされていますね。

 この森山さんの発言によれば、安倍さんは、二〇〇五年の時点でこの不記載という認識があって、違法だから全て記帳しろということをやられたと。しかし、ずっとその後続いていた。そして今、この問題が大問題化しているわけですよ。

 それと下村発言を突合すれば、この二二年の八月、安倍元総理が亡くなった後、派閥幹部が集まった、そこには会計責任者もいた、記載、不記載を熟知している会計責任者も同席していた。これを全部兼ね合わせると、この派閥幹部は全員違法性を認識していたということじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の二つの発言について、詳細は承知しておりませんが、自民党としては、外部の二つの弁護士事務所から七名の弁護士にも参加してもらいながら、関係者のヒアリングを行いました。そして、弁護士の方々に取りまとめ、報告書の取りまとめをお願いいたしました。

 その中にあって、その聞き取り調査の中で、御指摘のような経緯についても当然聞き取りは行ったわけでありますが、その聞き取りを行った上で、清和研につきましては遅くとも十年前以前からこうした取扱いが行われていた可能性が高いという報告書の結論に至っています。しかし、具体的に、いつ、どこで、どのようにして始まったか等については判然としない、これが報告書の結論でありました。

 こういった状況でありますので、引き続き、この経緯については、今、収支報告書の修正が行われつつあり、そして国会においても議論が行われている、こういったことでありますので、関係者等による説明が尽くされていかなければならないと考えます。

江田委員 昨日の塩谷議員の政倫審での発言でも、この裏金は二十数年前から行われていたという発言がありましたね。そして、この安倍幹事長代理時代に記帳しろと言ったときと、二〇〇五年三月十日付の静岡新聞、これは共同通信の配信なんですけれども、「自民森派 パーティー収入 裏金化か」というトップニュースですよ。符合するんです、全部。

 ですから、総理、総裁、とにかく、下村博文さんと森喜朗さんに、やはりここが一番キーパーソンだと思いますよ、この裏金システムをどういう経緯でつくったのか、何が目的だったのか、是非、総裁自ら、このお二方に確認してください。

岸田内閣総理大臣 誰がキーパーソンかということについては申し上げませんが、御指摘の点について、引き続き国民の皆さんからの疑惑の指摘がある以上、関係者として、引き続き、収支報告の修正とともに、説明を尽くしていかなければならない、国会等においてもそうした説明を続けることは大事であると考えます。

江田委員 真相解明、やらなきゃ駄目でしょう。簡単なことですよ。だって、まあ、森さんは先輩だけれども、聞くのは簡単。下村博文さんは、総裁、聞くのは簡単じゃないですか。それを国民に報告する。その結果どうかという、また評価があるんですけれども。そのぐらいのことができなくて何の真相解明ですか。本当にやる気がないと思いますよ。

 なぜか政倫審に、安倍派の事務総長さんはみんな来たのに、下村さんだけ除外されているんですよ。これはもう、下村さんを呼んだら自民党にとって不利益な発言がされると思ったに違いない。いや、それは違うというんだったら呼んでくださいよ、政倫審に。こんなに会見で明確に言っているんですから、会見で明確に言ったということは、検察にも供述しているということなんですよ。

 私、疑問なのは、何で検察がこの供述を黙殺したのかも疑問なんですよ。そもそも、今回の検察の対応は、政治団体への寄附と決めつけて記載、不記載で罪を問い、共謀、あるかないかで、派閥の幹部がないから派閥の幹部は無罪放免にした。私は、これはおかしいと思っているんですよ。これは個人への寄附なので、個人への寄附は政党しかできない、派閥はできないんだから、寄附違反という実質犯で本当は検挙すべきなんですよ。その場合は派閥の幹部が立件できるんですよ。

 これは、これから検察審査会とか裁判の場でどんどん明らかになっていきますから、そこにまちたいと思います。

 委員長、森喜朗元首相と下村博文議員の予算委員会での参考人招致を求めます。

小野寺委員長 理事会で協議いたします。

江田委員 政策活動費、これは国税庁が明確に課税対象だと認めました。年間、自民党の歴代幹事長に十億円レベルの使途不明金を交付している。これはちゃんと自民党の収支報告書に明々白々に記載されているんですからね、二階俊博幹事長に十億円弱、今の茂木幹事長に十億円弱と。

 これに対して、問い詰められた岸田総理は、二月五日の予算委員会で、政治活動として適切に使われていると思います、確認するまでもないと答弁されましたね。そのお考えに変わりないですか。

岸田内閣総理大臣 はい。政策活動費が適正に使われる、これは当然のことであると認識をしております。

江田委員 では、例えば企業に十億円の使途不明金がある、そんな言い訳が通るんだったら、もう税務調査は一切今後入れませんよ。同じじゃないですか。

 だって、財務大臣も答弁しているとおり、政治家も一般の民間人も、課税、徴税との関係では違いはありませんと。自民党の幹事長は、十億円、使途不明金。使途が分からないんだから使途不明金でしょう、政策活動費というのは。それに対して課税対象だと言っている。課税対象というからには、領収書、経費をちゃんと出して証明して、残額があれば納税するわけでしょう。当然じゃないですか、そういう答弁なんだから。

 しかし、総理みたいに、口先だけで、適切に使っていると思います、確認するまでもないと言ったら、例えば企業に十億円の使途不明金があったときに税務署が来ました、そうしたら、企業の人が、ああ、岸田さんが言っているように、適切にこれは使っていますから確認するまでもありませんという言い訳が通っちゃいますよ。そうでしょう。違いますか。

岸田内閣総理大臣 いえ。政策活動費というのは、これまで政治改革の議論の中で様々な議論が行われて、結果として、政治活動の自由と国民の知る権利とのバランスの中で設けられている制度であると認識をしています。

 政策活動費の使途を明らかにするというのであるならば、これは各党各会派、名称は違っても同じ資金があるわけですから、共通のルールに基づいて対応するべきであると申し上げています。

 これは、少なくとも、使途不明金であるという指摘は当たらないと思います。法律に基づいて政策活動費というものが認められており、それによって各党がこの資金を使っているものであると認識をしています。

江田委員 奇妙きてれつな答弁。課税対象と言っているんです、国税庁は。政治活動に使ったんだったら、領収書を出さないと駄目でしょう。口先だけで使いましたというのが通用するのなら、みんな税務署にそう言えますよ。もう税務行政は破綻してしまいますよ。そんな答弁をしているということですよ、あなたは。

 それから、政治活動の自由。これは、政治活動の自由というのは、憲法の表現の自由を根拠としているんですよ。基本的人権の一つなんですよ。国家権力からの政治活動の自由なんですよ。都合のいいときに使わないでください。政治家は何でも自由に活動していいということじゃないんですよ。政治活動の自由と国民の知る権利のバランスを図らにゃいかぬのは、国家機密、外交機密ですよ。何でこんな政策活動費がそれになるんですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費というのは、党勢の拡大ですとか、政策の策定、あるいは調査研究に使うということを申し上げていますが、政治活動の自由ということで申し上げるならば、これも予算委員会で度々申し上げていますが、この政策活動費の使途、中身を明らかにするということになりますと、党の活動に関わった個人のプライバシーですとか、あるいは企業の企業秘密ですとか、さらには、その政党の政策あるいは活動の方向性が他の政治勢力あるいは外国勢力に見えてしまうとか、こういった点から、政治活動の自由に関わる問題であると申し上げています。

 こういった観点から、政策活動費というものが政治活動の中で認められている、このように認識をしております。

江田委員 そんな趣旨を聞いているんじゃないんです。じゃ、税務調査に入って、秘密裏にやればいいじゃないですか。公開しないんだから、税務調査の結果は。

 要は、課税対象と国税庁は言っちゃったんですよ。税務調査に入ると、十億円のうち九億円に領収書があっても一億円が証明できない、そうすると一億円の脱税なんですよ、理論的に。そうすると、今までの脱税の立件相場は一億円なんですよ。ですから、国税庁は入るに入れないんですよ、課税対象と言った手前。入れば、歴代自民党幹事長が全て立件されるんですよ。違いますか。

 脱税立件基準は一億円ですよ。領収書がないと駄目なんですよ、課税対象といって。あなたみたいに、はい、使いました、口先だけで使っておりますと言っても駄目なんですよ。民間企業はみんな通用しない、そんなことは。

 だから、この問題の深刻なのは、もう税務行政が破綻しちゃうんですよ。国税庁が存在意義を問われちゃうんです。税は国家の基本ですから、その根幹が揺らぐことをあなたは答弁しているということですね。

 もうとにかく、時間ですからあれですけれども、火の玉はどこに行ったんですか。私がお仕えした橋本総理は、火だるまになっても行革をやり抜くと言って、中央省庁の再編をやり抜きましたよ。あなたの火の玉はもう燃え尽きている、本当に。本当に情けないですよ。

 是非、もっと危機意識を持ってくださいよ。国民の九三%が税務調査に入れと言っているんです、裏金議員に。国民の六五%が議員辞職しろと言っているんですよ。そういう国民の声を真摯に受け止めるのが総理大臣という役目だと申し上げて、質疑を終わります。

小野寺委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。

 総理、私も自民党の裏金問題について話をお伺いしたいと思うんですけれども、総理、今も話があったとおり、昨年来、総理はずっと、国民の信頼を得るために火の玉になる、それから、自民党の先頭に立つというふうに言っておられます。私には、火の玉になっているようにも自民党の先頭に立っているようにも見えないんですね。

 まず一つ、この裏金の問題というのは、衆議院の予算委員会が終われば大体これで幕引きというふうに思っているんでしょうか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 国会の議論はもちろん大事ではありますが、自民党として国民の信頼を再び回復しなければならないわけでありますから、国会の議論で終わるものではありません。

 党として政治刷新本部を立ち上げて、まずは中間取りまとめということで考え方を取りまとめましたが、自民党としてまず対応できることと併せて、法改正をしっかりと臨んでいく。そして、実態把握を進めるとともに、法的な責任とは別に、政治責任、道義的責任、これは当然あるということも申し上げているわけでありますし、そして、あわせて、再発防止に向けて党としての体制も考えていかなければならないなど、これは国会の議論にとどまらず、自民党として国民の信頼回復のためにやらなければならないことはたくさんあると思います。

 この信頼回復の道のり、決して簡単なものではないと覚悟はしておりますが、国会の議論はもちろん大事にしながらも、それと併せて、国民の信頼回復のために党として取り組んでまいります。

逢坂委員 総理の姿を見ていると、私は、総理がこの問題に本当に火の玉になって取り組んでいるように見えないんですよ。それは多分私だけじゃないんですよ。国民の皆さんも、岸田総理がこの問題に本当に真剣に、絶対解決してやるんだ、そういう構えでやっているふうには見えていないんですね。

 現実に、総理が何をやっているのか全く分からない。先日の政倫審も、何にもしゃべらない、ただ報告書を読んだだけだ。こんなことだったら信頼を得られるはずがない。国民の知りたいことを何も言っていないんですよ。

 総理、将来のことは幾つか先ほどおっしゃられましたけれども、これまでに総理自身がこの自民党の裏金の問題で具体的に何をされましたか、何をやりましたか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 党として国民の信頼回復に努めなければならないということで、党として政治刷新本部を立ち上げ、私自身、本部長として、先ほど申し上げました、まずはやらなければいけないこととして、中間取りまとめ、これを取りまとめました。

 その中で、まずはやらなければならないということから、今回のこの事件、派閥の政治資金パーティーを舞台に発生したことであるからして、派閥を人事と資金から切り離す、こういった取組から始めて、党のガバナンスコードや党則の改定、これに取り組んでいるところでありますが、あわせて、先ほど申し上げた再発防止、実態把握、説明責任、政治責任、こういったものについても党としてしっかりと判断を行ってまいります。

 こうした取組を実行することが何よりも大事だということで、党総裁として、こうした取組を今進めているところであります。まだ道半ばではありますが、引き続き、党総裁として、取組を進めてまいりたいと考えます。

逢坂委員 やはり、改めて私は思いましたよ。今の話を聞いて、国民は、そうか、岸田総理は一生懸命この問題をやろうとしているんだ、取り組んでいるんだというふうには聞こえない。改めてそう思いますよ。

 なぜ聞こえないのか。岸田総理は、この裏金の問題、最終的にどういう状態になったら一件落着だ、この問題にけりがつくんだ、ピリオドが打てるんだというふうに考えていますか。どういう状態になったらピリオドを打つんだというふうに考えておられますか。そのゴールは見えておりますか。

岸田内閣総理大臣 どうなったら信頼回復につながるのか、何か具体的なポイントあるいは数値、そういったもので測れるものではないと考えています。

 信頼回復、この事件に対する対応はもちろん大事でありますし、そうした対応と併せて、政治の本来の責任をしっかり果たしていく政党かどうか、これも進めていかなければならない。これらとこれらが合わさって、党の信頼が回復されるものであると考えます。

逢坂委員 非常によく分かりました。総理は、やはりこの問題の本質が見えていないというふうに思います。

 私はあえてこの問題、自民党の裏金問題というふうに言いましたけれども、総理は裏金事件というふうに踏み込んで言いました。私はあえて事件と言うのはちょっと控えていたんですけれども。確かに、事件といえば事件なんです。仮に事件でも問題でもいいんですが、総理、この類いのものをやるときの基本、基礎、実は物すごい簡単なんですよ。その簡単なところを総理はずっと避けているんだ。

 一つ、どうしても総理にやってもらいたいこと、どの議員が幾ら裏金をもらっているのか、これをまず徹底的に、総理の力で、人に任せるんじゃなくて、総理の力で明らかにする、これがまず第一歩だと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 実態の把握がまず第一であるという点については、おっしゃるとおりだと思います。

 この件につきましては、昨年末、この事態がマスコミ等で明らかになってから今日まで時間がたっているわけですが、当初は、検察の捜査が続けられていました。捜査が進む中にあって、その実態把握を十分できなかった部分があった、これはそのとおりであったと思います。

 しかし、そういった捜査の中にあっても、先ほど申し上げました政治刷新本部等の議論を始め、そして、捜査が終わった後、その事実に基づいて修正が行われ、関係者の説明が開始された。それと併せて、党として聞き取り調査等も行い、実態把握に努めているところであります。

 実態把握については、これからも実態把握に党として努めてまいりたいと考えます。

逢坂委員 総理、実態把握ということで一言で丸めてもらいたくないんですけれども。まず、受け取った金、これが誰が幾らかということを総理の力で明らかにする、これはまず第一歩だと思います。いまだに、政治資金収支報告書の訂正、訂正後の収支報告書、入り、歳入、収入が不明、不明、不明、不明という方が幾人かおられます。こんな状態では、国民は、これでよかったな、これで納得できるなということにはならないんです。

 だから、まず、誰が幾ら金をもらったんだ、裏金をもらったんだ、ここをまず明らかにする。この点、よろしいですね。

岸田内閣総理大臣 政治資金収支報告書の修正は今なお続けられています。

 そして、御指摘の不明という部分についても、あれはそれぞれの収支報告書に付記されており、不明の部分については、確認後、実際の数字を訂正する、こういったことが各報告書の中で述べられていると承知をしています。

 こういった作業もしっかり見守りながら、そして、それと併せて、個人の説明が行われる、そういったことも党としてしっかり把握をしながら、全体像を把握していきたいと考えています。

逢坂委員 総理の今の説明だと、党として能動的に、不明だと言っている人から話を聞くということはしないということですか。単に、本人の説明の状況を、推移を見た上で、それで党として把握するということですか。今後、改めてヒアリングをするとか、そういうことはやらないということですか。

岸田内閣総理大臣 党として実態把握のための聞き取り調査を行いました。外部の弁護士にも参加してもらいながら報告書を取りまとめました。これは、一つ、再発防止等を考えますときに、大きな手がかりになったと認識をしております。

 それと併せて、今まだなお収支報告書の修正が続けられています。そういった状況においてそれぞれの説明責任を果たしてもらう、これも重要なことであり、これを党として促しながら実態把握に努めること、続けていきたいと考えています。

逢坂委員 裏金議員の説明責任、それを促しながら党として実態把握に努める。ということは、党として能動的に裏金議員から話を聞くということはやらないということですね。そういうふうに受け止められますよ。

岸田内閣総理大臣 直接、聞き取り調査を、党の幹部、弁護士等のチームを組み、行いました。そして、報告書を外部の弁護士にまとめてもらう、こういった調査を行いました。これも一つ大きな手がかりになると思いますが、それだけで全てを把握することは難しい。捜査権のない中での制約の中で最大限努力したものでありますが、これだけで終わるものではないということで、引き続き、この説明責任をしっかり見守りながら、党として全体像の把握に努めてまいりたいと考えます。

逢坂委員 今の答弁で非常に明らかになったとおり、聞き取り調査を行いました、しかし、これから先については更に継続して行いますとは言わない、本人の説明責任を見守った上で、党として実態把握に努めると。だから、本人が説明するかどうか、その状況を見ているだけ。こういうのを放置主義というんですよ。放置プレーじゃないですか。なぜ能動的にやらないんですか。なぜ火の玉になってやらないんですか。火の玉ってそういうことなんじゃないですか。今だったら、何か、見ていると、火の車ですよ。何にもできない。

 それと、総理、もう一つ大事なことがあるんです。入りをしっかり把握する、これは一つの基礎です。もう一つの基礎は、出をちゃんと押さえるということですよ。すなわち、裏金議員がその裏金を何に使ったのか。実は、一番国民の皆さんが知りたいのはここなんですよ。本当に政治活動にきちんと真っ当に使っているのかどうか、それ以外のものに使っているんじゃないか、ここのところを知りたいんですよ。

 これは聞き取りはしないんですか。これもやはり本人の説明責任を見守って、実態把握に努めるにとどめるんですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 あの聞き取り調査において、使途についても聞き取り項目として質問を行いました。

 そして、調査の結果として、領収書を全部残している人間もおりましたが、一部しか残していない人間もいた。これが実態でありますが、いずれにしても、使途につきましては、会合費であったり、事務費であったり、備品の購入であったり、政治活動以外のものに使うということは確認されなかったという報告書の結論となっています。

逢坂委員 領収書もないのに政治活動以外のものに使っていたことは確認されなかったって、詭弁じゃないですか。そんなものは論理不整合ですよ。領収書があって初めて、ああ、これは政治活動に使っていたなと分かるわけですよ。領収書がないのに、何で政治活動以外に使っているものがなかったと。

 確かに日本語としては、確認できなかったというのは正しいかもしれませんよ。でも、国民の感覚からすれば、何だ、領収書がないのに何で政治活動に使っていないと分かるんだ。そんなことが言えるんだったら、さっきの江田さんの質問もそうですよ、領収書がなくったって税務署が認めてくれるのなら、こんな簡単な納税申告ないやということになってしまうじゃないですか。おかしいと思いませんか、総理。

 だから、私は、繰り返しますけれども、何に使ったかをきちっとヒアリングしてくださいよ。やるんですか、やらないんですか。

岸田内閣総理大臣 検察の捜査によって法的な責任が確認された上で、党として聞き取り調査を行いました。そして、使途については先ほど申し上げたとおりでありますが、この使途についても、引き続き、あの調査で全て確認し尽くしたということは申し上げておりません。必要な確認はこれからも続けてまいります。

逢坂委員 必要な確認はすると言うけれども、総理が先頭に立ってヒアリングをするとか聞き取るとかということは絶対に言わない。本人の説明責任を見守るとか確認するとか、これだからみんな国民の皆さんは、総理がやっていることを信じられないんですよ。火の玉になっているなんて誰も思っていないんですよ。先頭に立っているなんて誰も思っていないんですよ。

 じゃ、総理、私は、やはり入りをしっかり明確にしてください、何に使ったかも明確にしてください、こういうお願いをしました。ただ、総理は、それは本人の説明責任を見守った上で確認すると言うにとどまっていますけれども、仮にそうだとしても、それはいつまでに終えるんですか。ずっと十年も二十年も待つんですか。一年でやめるんですか、二年でやめるんですか。いつまでにそれをやるつもりでおられますか。

岸田内閣総理大臣 本人の説明ということにつきましては、先ほども申し上げておりますように、収支報告書の修正、これは今も続いています。そして、そうした修正作業が行われ、そして、国会の議論等を通じて、さらには党の実態把握等を通じて、事実を確認した上で、党としては政治責任、道義責任について判断をしなければならないと思います。

 これは、事実の確認を行いながら、実態把握、適切な時期に政治責任についても判断するということであります。再発防止と並行してこれらを進めてまいります。実態把握について、国会の議論あるいはそれぞれの説明責任をしっかり踏まえた上で、適切な時期を考えます。

逢坂委員 いつまでということを明確に、総理、言えないんですか。

 実は、政治資金収支報告書、これは釈迦に説法でありますけれども、公開されている期間は三年です。だから、三年前のものはもうあと一年すれば公開されなくなるんですよ。そんなものだから、訂正作業というのは意味を成さなくなるんですね。

 だから、これはきちっと時期を決めて、いついつまでに実態把握をするんだということを明確に期限を区切ってやらなきゃならないんじゃないですか。本人の説明の状況を待っていたのでは、こんなもの、タイミングを逸してしまいますよ。処分だってできないですよ。明確にしてくださいよ。

岸田内閣総理大臣 タイミングが重要だというのは、おっしゃるとおりであります。何年も先などということは決して申し上げておりません。

 信頼回復をしなければならないというこの課題、これは我々自民党に突きつけられた課題であります。今後の党活動を考えましても、できるだけ早いタイミングを目指さなければいけない、これは当然のことであります。報告書の修正の進み具合等を見ながら、できるだけ早いタイミングを考えて、政治責任等のけじめをつけていきたいと考えております。

逢坂委員 冒頭に申し上げましたとおり、この類いの問題ってそんなに複雑じゃないんですよ。実態を明らかにするということがまず第一歩なんですね。だから、入り、誰に何ぼ裏金が渡ったか、これを徹底的に明らかにしてください。裏金を誰が何にどう使ったか、これを徹底的に明らかにしてください。そして、それは早い時期に、そしてその上で処分をする、これは非常に大事なことだというふうに私は思います。

 そこで、総理、徹底的に解明しようとしたけれども、それでもなお、使途の分からないお金というのは、多分私は出ると思うんですよ。堂々と、政治資金収支報告書に使途不明と、ただ一言それだけ書いて修正とやっている人もいるわけですから、全く説明する気がない裏金議員も中にいるように思うんですね。

 そこで、総理にお尋ねなんですが、徹底的に総理の言うところの説明責任を見た上での把握をしたけれども、使途不明のお金がやはりあった、使い道において訳の分からないお金があった、説明のつかないお金があったという場合、これについて総理はどう対応されますか。

岸田内閣総理大臣 収支報告書における使途不明等の記載については、先ほど申し上げたように、数字の確認等に時間を要していることからして、確認でき次第、その具体的な数字を入れるなど修正を行うという方針であると承知をしています。

 そして、そうした訳の分からないお金が出てきたらどうするかという御質問でありますが、その内容、どういった内容かということについて今の段階で予見を持って申し上げることはできないと思います。まずは、この修正の状況をしっかり確認することが第一であります。

逢坂委員 そんな姿勢だから国民は信用しないんですよ。スピードを持ってやらないと、うやむやになってしまいますよ。政治資金収支報告書、三年ですから。だから、総理が、ある一定程度時期を区切って調査をして、歳入をしっかり押さえる、歳出を押さえる、それで使途不明なお金が出た場合は、それは政治活動に使われていない可能性が高いんですよ。政治活動に使われていない金だとするならば、課税される可能性もあるわけですよ。

 そういうお金はやはり課税すべきだというふうに思いませんか、総理。

岸田内閣総理大臣 課税につきましては、政治資金が政治家個人に帰属するのか、政治団体に帰属するのか、これによって課税関係が変わる、これは再三申し上げているとおりであります。法律に従って課税は考えなければならないということであります。

 そのために実態把握に努めているわけでありますが、現在のところ、個人が受領したという例は確認されていない、党としては確認していない、このように申し上げております。

逢坂委員 本当に、今日やり取りして、総理、残念です。もっともっと総理は、私は、本当の意味での火の玉になってくれていると思っていました。私の過大評価でした。もう全くやる気なしですよ。これから何も能動的にやろうとしないんだ、本人の説明責任を待っているだけだ。やはり時期を区切って、いついつまでに明らかにするんだ、だから、説明が足りないと思う者は来いと、そのぐらい言ってもいいと思いますよ。それで入りを明らかにする、そして何に使ったかを明らかにする。それで明らかにできないものについては、これは使途不明、政治活動に使っているかどうか分からない。そのことも踏まえて、だったら、先ほど江田さんが言っていた、納税相談に行けぐらい言った方がいいですよ。

 日本の税は、これは何も税務調査を待って、調査が入って、白だ黒だといって納税するものじゃないんですよ。申告、課税、これが前提ですから、多くの国民の皆さんは自主的に税務署へ行って納税しているんですよ。議員だってそうじゃないですか。いや、おかしいな、俺の裏金、もしかしたら課税されるかもしれないというんだったら、税務相談に行ってくださいよ。そのぐらいやらなきゃいけないんじゃないですか。

 みんなこぞって税務相談に行け、裏金議員は行けと、総理、言ってくださいよ。

岸田内閣総理大臣 今、党として、課税関係が生じる、こういった事案については把握しておりませんが、税務当局においては、適正な納税のために、平素、活動を続けていると承知をしております。

 今回の事件につきましても、納税が必要なケースが発覚したならば法律によって対応する、これは当然のことであると考えます。

逢坂委員 質問に答えてくださいよ。私は、納税相談に行ったらどうですかと総理が促してあげたらいいと思うんですよ。裏金議員の皆さんも不安だと思いますよ。

 何か一説の、報道によりますと、二千万裏金があって、不申告加算金などを課されて、延滞金なども含めると、一千万ぐらいお金を納めなきゃならないという一部報道もありましたよ。だから、びくびくしている人もいると思うんですよ。

 だったら、税務署の調査、国税の調査を待つなんてことじゃなくて、自分自ら行くのが日本の税の基本ですから、改めて、総理、促してはいかがですか。

岸田内閣総理大臣 党としては、課税関係が生じるような事案は把握しておりません。しかし、実態は当事者本人が最も知るところであります。もしそうした不安があるのであるならば、納税について相談をするというのは本人が判断すべきことであると考えます。

逢坂委員 本人が行くか行かないかを決めるのは、それは当然ですよ。だけれども、火の玉になって、党の先頭に立ってこの問題の解決をすると言っている総理ですから、心配だったらそれは納税相談に行けよ、そのことぐらい言ったって何も罰は当たらないんじゃないですか。それはリーダーとして当たり前のことじゃないですか。それぞれの議員に寄り添って、党のトップとして、国民の皆さんの信頼を得るために、納税相談に行けぐらい言えなくてどうするんですか、総理。答弁はよろしいです。

 今日はテレビ中継がないということでありますけれども、もし、国民の皆さんが今の私のやり取りを見て、総理が本当に熱心にこの問題に、解決に向けて取り組んでいるというふうに受け止めたとは私には思われません。全く後ろ向きだ、消極的だ、火の玉にもなっていないし党の先頭にも立っていない、そう断じざるを得ません。

 そこで、総理、施政方針演説の話をちょっと聞かせてください。

 施政方針演説の中で総理は、総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力したいと考えていますと。すなわち、これは憲法改正についてのところです。更に続けて、総理はこう言っています。今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいりますと。

 そこで、総理にお伺いです。

 議論を前進させるべく最大限努力をする、こういうふうに言っているわけですが、総理は具体的に何をするんですか。

岸田内閣総理大臣 国会での憲法をめぐる議論に具体的に何か指示をしたり働きかけをするということは、内閣総理大臣としては控えなければなりませんが、憲法改正の必要性については、委員御指摘のように、強く感じているところであります。国のあるべき姿を定める憲法がその時代に適合し続けているかどうか、これを絶えず見直すことは重要であるということを申し上げております。

 そして、この憲法改正は、国民の投票、国民の判断を最後は仰がなければならないということでありますから、国民の理解という観点から、国会の議論を深めることが重要である、こうしたことは申し上げております。

 そして、こうした国会での議論のために、昨年十二月、私も、自民党総裁として、衆参の憲法審査会の幹事等関係者に対して、国会の発議に向けて、各党と共有できるようなたたき台、案について是非議論を進めてもらいたい、党総裁としてはそういった要請をした、こういったことであります。

 是非、国会の議論が進むことを期待したいと思っています。

逢坂委員 なかなか複雑な答弁でしたけれども。

 国会での議論についていろいろ指示をするつもりはない、だけれども、御党の憲法審査会の幹事には、議論が深まるように条文化を含めて指示をした、こういうことでよろしいんですか。

岸田内閣総理大臣 憲法審査会の幹事を含めて、自民党の憲法改正の議論を行う本部を設けておりますが、その関係者に対してそうした努力をお願いした、こうしたことであります。

逢坂委員 それは、間接的に国会の活動への指示になりませんか。そうではありませんか。

岸田内閣総理大臣 これは、党の憲法改正に関わっている関係者に対して申し上げました。その中に憲法審査会の幹事も含まれていたと申し上げております。

逢坂委員 ということであれば、議論を前進させるべく最大限努力をするという総理のこの施政方針演説は、党の内部に向けて言ったものだ、そういう理解でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 与党として、憲法改正に向けて国民の理解を深めてもらうために、国会の議論を進めていかなければならない、こういったことを強く感じています。そのために自民党として議論をリードするべく努力をしていこう、そのために努力をしてもらいたい、こういった思いを申し上げた次第であります。

逢坂委員 総理の微妙な思い、多少伝わってまいりました。

 それで、もう一点です。

 条文案の具体化を進めるというふうに言っていますけれども、この条文案の具体化は、どこで、どの点について進めるおつもりなんですか。しかも、この施政方針演説、主語がはっきりしないんですけれども、これは総理自身のことを言っているのか、誰のことを言っているのか、主語がはっきりしないんですね。

 今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります、あたかも何か総理が加速させるような、牽引するようなところにも見えるんですけれども、この発言の真意をお知らせください。

岸田内閣総理大臣 国会において条文案の具体化を加速していくためにも、我々自民党として、そういった議論をリードするべく、まずは自らの考え方を整理し、その議論に臨んでいかなければならないと考えています。そういった思いを党関係者には申し上げております。

 御指摘の点については、今申し上げた思いを述べた次第であります。

逢坂委員 それじゃ、条文案の具体化を進めるというのは、自民党内でという話という理解でよろしいでしょうか。それと、条文案はどの点について具体化を進めるというお考えがあるのか、ないのか。

岸田内閣総理大臣 国民の判断を仰ぐためには、国会として発議をしなければなりません。その発議のための条文案、これは国会でまとめなければなりません。その際に自民党としてもこの議論にしっかり貢献する、あるいは議論をリードする、こういった姿勢が重要だと申し上げております。

逢坂委員 時間が来ましたので、憲法の問題は、今日はこれで終わらせていただきますけれども、総理、裏金の問題、極めて消極的、これではやはり国民の支持が得られるとは思いません。本当の意味で火の玉にならないと。

 これは、総理、小さい問題ではありませんよ。五年間で五億、いやいや、もっともっとあるのかもしれない、その辺はよく分かりませんけれども。実態解明をまずやるのが先決です、事件なんですから。総理自身が自ら裏金事件というふうに位置づけているわけですから、積極的に実態解明をする、そのことを改めて申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。立憲民主党の湯原俊二です。

 総理、よろしくお願い申し上げます。

 先般、予算委員会で私、質問の機会を得たときに、アベノミクス、新自由主義の国づくりがどうだったかということを質問しました。

 特に地方においてどうだったかということを質問したんですけれども、そのとき、アベノミクスに、新自由主義的な国づくりについて、これは先般の答弁でありますけれども、岸田総理は、アベノミクスはデフレでない状況をつくり、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加をもたらした、こう答弁されているわけでありますけれども、私が特に聞きたいのは、全国的あるいは大都市圏においての新自由主義的な国づくりの影響ではなくて、地方において特にどうであるかということを、ここについて答弁願いたいと思います。

 この十数年間の新自由主義的な国づくり、アベノミクス等において地方はどのようになったか、この点について特に的を絞って御答弁いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 アベノミクスの効果、成果ということでありますが、全体としては委員が今紹介された答弁をさせていただきましたが、地方ということを考えますと、例えば、インバウンドの推進ですとか、農林水産品の輸出の促進ですとか、地方経済を支える中小企業の生産性の向上ですとか、こうした取組が進められ、そして結果が出ていると承知をしています。

 結果として、有効求人倍率は全ての都道府県で一倍を超えました。就業者数も、二〇一二年から一九年にかけて、全ての地方ブロックでプラスとなりました。訪日外国人旅行消費額、約五倍に増加したこともあり、二〇一九年には全地方ブロックで延べ宿泊者数が二〇一二年に比べて増加をした。また、農林水産物、食品の輸出額が、二〇一二年の四千四百九十七億円から、一九年には九千百二十一億円に倍増した。これ以外にも、地方において雇用を創出した、また、地方経済を支える観光業、農林水産業にプラスの効果をもたらした、こういった効果が出ていると認識をしています。

 ただ、もちろんこれは、多くの課題も地方にまだ大きくのしかかっている、地方が直面している、こういったことは忘れてはならないと思います。人口減少あるいは過疎化等、あるいは担い手不足、移動手段の不足、こういった課題についてもしっかりと念頭に置きながら、今後の経済政策を進めていく。私自身も、この地方の課題について経済政策の中でしっかり取り上げている、こういった次第であります。

湯原委員 るるお話しいただきましたが、私が地方に住んでおりまして、総理とやはり認識が違うんだなと。地方においても様々な、インバウンドがあったり、農林水産業、中小企業にプラスの効果があったというふうにおっしゃっていますけれども、先般も私はここでいろいろな声を紹介しました。実際は疲弊していっている、地方が衰退していっている。

 総理は最後のところで、人口減少とか様々な課題があるとはおっしゃっておりますけれども、地方に住む多くの国民が、地方が衰退していっている、地方の暮らしは厳しくなっていっている、こういう認識が私はあると思っております。ここの部分が、最初のところが、やはり認識が違うんですよ、総理。地方に住む者と、総理が中央から、東京から地方を見渡して、様々な成果があったあったと言うことと、ここにおいて最初の認識が違うから、その後、様々なところで違いが出てきている、こういうふうに私は思っております。

 改めて、この新自由主義的な国づくりとアベノミクス、こうした国づくりを一度総括をすべきではないかというふうに思っています。特に、先ほど申し上げたように、地方において感覚が違うわけでありますので、是非その部分をお願いしたいと思いますけれども、答弁願いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員おっしゃるように、地方において今なお大きな課題が存在している、苦しんでおられる、このことは我々しっかり受け止めなければならないと思います。

 先ほど御質問が、アベノミクスが地方にどういった影響を与えたか、こういった質問でありましたので、幾つか例を挙げた次第でありますが、今なお地方において、格差、人口減少、担い手不足など大きな課題の中で苦しんでおられる、このことは、政治として重く受け止めなければならない課題であると思っています。

 こうした考えに基づいて、アベノミクスの先ほど申し上げました結果について、これを礎にしながらも、今の政権において、やはり地方も含めた成長と分配の好循環を実現していかなければならないということを申し上げているわけでありますし、地方にこそ、先ほど申し上げた人口減少を始めとする大きな課題があるわけでありますから、課題を成長のエンジンに変えるという発想の下に経済の活性化を図る、地方にこそそういった政策の可能性は大きいということで、政策を進めさせていただいております。

 何よりも、地方の課題解決のためには、市場、マーケットや競争に任せるというだけでは解決できないという観点から、新しい官民の連携が重要である、この点については特に地方において重要だということで取組を進めている、こうした取組をこれからも続けていきたいと考えます。

湯原委員 再度答弁いただきましたけれども、私は、やはり新自由主義的な国づくりというのは所得の格差を拡大させる、結果的にそのことによって地域間格差も拡大をしてしまう、こういうことを考えております。

 ですからこそ、総理が新しい資本主義という言葉を出されて、成長と分配、特に分配の部分をおっしゃったということは、新自由主義的な国づくりが、結果として地方とか国民の暮らしにとってマイナスな部分があったからこそ方針を転換する、こういうことではないでしょうか。その点、答弁願いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 アベノミクスについては、先ほど申し上げたように様々な成果、結果を地方にもたらしたと考えておりますが、依然厳しい状況、人口減少、少子高齢化、担い手不足、こういった課題に直面している、これを強く認識をしております。

 こういった課題を成長のエンジンにしていく、こういった観点から、デジタル田園都市国家構想ですとかデジタル行財政改革、こういった取組を進めているわけでありますし、加えて、従来、これは政府がやるべきこと、これは民間でやるべきこと等、二分法に基づいて様々な政策を考えてきましたが、官民が連携する、これは地方においてこそこういった発想が重要であると考えています。市場、マーケットや競争に任せるだけではないという点において、しっかりと我々は方策を考えなければいけない部分であると考えています。

湯原委員 先日、私の質問に対して総理は、先ほどもおっしゃったわけでありますけれども、大都市圏と地方に、過疎地域においてウィン・ウィンの関係を持っていくんだ、様々な政策課題があるけれども課題ごとにやっていくんだ、こういう答弁をされたわけでありますけれども、私は地方に住んでおりまして、そういう生易しい状況ではもはやないんじゃないかなというふうに思っています。

 先般は自見大臣に、地方創生の関係で、もっと抜本的に国づくりの在り方を変えていかなきゃいけないんじゃないかということをお聞きしましたけれども、今日、改めて総理にこの点をお聞きしたいと思っております。

 今までの経済政策や国づくりの延長線上で考えるのではなく、やはり抜本的に国づくりの在り方を変えていく。我々が以前から申し上げておりますけれども、中央集権ではなく、地方に権限や財源を大胆に移譲する、地域主権的な国づくりに変えていく。あるいは、この間も申し上げましたけれども、税制とか診療報酬とか、画一的な制度においての標準的な数字を持っていくのではなく、地域、地方に住むことがメリットになるような、そういうふうな制度に変えていくことによって、やはり大胆にもっと国づくりを変えていかなければ、地方の疲弊、衰退を止めることはできないんじゃないか、こういうふうに私は考えを持っておりますけれども、答弁願いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 地方の社会、持続可能な地方の社会を実現していくためには、何よりも、地方の実情をよく知る自治体の力、この自治体の力をしっかり生かしていく、これが重要であるというのが、先ほど申し上げましたデジタル田園都市国家構想やデジタル行財政改革の基本的な考え方です。

 ですから、その際に、デジタル田園都市国家構想交付金、こうした交付金を活用して自治体主導でデジタル化を進めていくですとか、企業版ふるさと納税ですとか、地方創生臨時交付金による地方の実情に応じた物価高対策を進めるとか、こういった政策を進めてきたところです。

 加えて、デジタル田園都市国家構想においては、人の流れをつくる、これがもう一つ大きなポイントになると思っています。デジタル田園都市国家構想交付金による地方移住支援、あるいは地方拠点強化税制による企業の地方移転、さらには交付金を活用したリモートワークや転職なき移住の推進、こういった取組を進めていく。地方のこれからの活性化や、地域の主権や地方の活性化という点においては、こういった取組が重要であると考えます。

湯原委員 様々な政策を進めていますよということを答弁されたと思いますけれども、私は、やはり抜本的な国づくりの在り方を変えなければ、今の地方の衰退は難しい、こういうふうに考えております。

 先日も資料、パネルを出しましたけれども、資料で今日お手元に配付しております、昨年末に出しました人口推計です。国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別の将来推計人口、今から四半世紀後の二〇五〇年のことであります。資料がお手元にあると思いますけれども。

 様々な課題を総理はやっていますよということをおっしゃっているわけでありますけれども、現実的には、ここに御覧になるように、幾つかの数値が書いてありますけれども、お手元の資料にあると思いますけれども、高齢化が地方ではどんどんと進んでいっている、進んでいく、こういう推計を出しているわけであります。つまりは、高齢化が進むということは、社会保障費が地方においてはどんどんどんどん負担増になっていく。

 一方で、市区町村の下から二つ目のところを御覧いただきたいと思いますけれども、二〇二〇年と比べて、十五歳から六十四歳の総人口、つまり生産年齢人口が半減する自治体が四割を超える。つまりは、全国の市区町村の四割強が生産年齢人口が半分になってしまう、こういう推計を現実には出しているわけであります。

 総理は様々な政策課題を進めてまいりますよとおっしゃるけれども、現実的にはこうなる。つまりは、今やっていらっしゃる政策をそのまま惰性のように延長線上でやって、本当にここを改善できるのかどうか、そういう危機感を私は持っているんですけれども、この点について答弁願いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員が示された資料、まさに近年の人口減少や少子高齢化の傾向が続くと全国的に将来はより厳しい姿になる、こういったものを示した資料であると認識をいたしますが、先ほど申し上げました様々な地方の主体的な取組を促していく、こういったことと併せて、こうした少子化、人口減少の流れに歯止めをかけるためにも、昨年来議論しております、こども未来戦略の加速化プラン等の子供、子育て政策を実行していくことが重要であると改めて強く感じています。

 二〇三〇年までをラストチャンスだと認識をし、政府一丸となって取り組む、こういった取組を進めていくことによって、若年層を中心に、地方に対してしっかりと人口を戻していくための地方創生の取組の加速化に取り組んでいきたいと考えます。

湯原委員 ちょっと認識が違うのは、加速化プラン、ところが、推計は、二十五年後にもうこういう状況になるということですよ。今加速化プランをやって、三年とか集中的にやって、その後、出生率が上がっていったとしても、二十五年後に間に合うかどうかといったら、もう間に合わない状況で、これだけ地方は疲弊してしまうということですよ。生産年齢人口が半分になるということですよ。四割超の自治体が。多くが地方なんです。

 ですから、私は先ほど来申し上げているように、抜本的に国づくりの在り方を変えないと地方は大変な状況になるんじゃないかということを申し上げているところであります。このことを申し上げたいと思います。

 資料の二枚目、これも先日出したポンチ絵でありますけれども、ここを見ると、先ほど担い手が少なくなるということで、危機的な状況になることを申し上げましたけれども、国全体として、ここでも挙がっているのは、生産年齢人口が一千百万人少なくなる。一千万人超の生産年齢人口、社会の担い手、働き手が少なくなる、こういうものであります。

 今国会に、岸田政権では、外国人労働者の技能実習生の制度を改正して、育成就労制度を導入する法案を提出されております。

 資料をもう一枚めくっていただくと、三ページになりますけれども、外国人労働者数が近年増えていっている。つまりは、全国的にこれから先一千万人強の生産年齢人口が減る、一方で外国人労働者が増えていっている。そして、今国会には、先ほど申し上げたように、技能実習制度から育成就労制度を導入する。

 技能実習制度は、御案内のように、海外から日本で働いてもらって、技術を習得してもらって、その先はどうするかというと、本国に帰ってもらって、国際貢献が目的でありました。技能実習制度の目的。今度の、今国会に出されるのは、育成就労制度というのは、目的が、国内、日本においての人材確保、人材育成が目的となっております。

 つまりは、これは形を変えた移民ではないかというふうに思いますけれども、移民の定義づけはいろいろあるとは思いますけれども、総理の考えをお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、政府としては、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこう、そうしたいわゆる移民政策、これを取る考えはありません。

 今回の育成就労制度ですが、有識者会議による最終報告書を踏まえて、あくまでも、委員御指摘のように、人手不足分野における人材育成と人材確保を目的とし、そして、受入れ見込み数を上限に受入れを行って、かつ、家族の帯同を認めない、このようにしています。

 その上で、特定技能二号については家族帯同が認められますが、特定技能二号に移行するためには、技能及び日本語能力について難度の高い試験に合格することが求められる。さらには、育成就労から特定技能一号に移行するときも、所要の技能試験及び日本語能力試験に合格する、こういったことが求められる。加えて、在留期限の前に厳格な審査を経て更新を認めるということでありますので、無期限の在留を当然に認めるということではありません。

 いわゆる移民政策につながるものではないと認識をしています。

湯原委員 総理は、今答弁で、新しい育成就労制度は移民を受け入れるものではない、こういう答弁をされたわけですね。先ほどの答弁は、移民ではない、こういう御答弁であったと思います。

 しかし、実態は、先ほど総理がおっしゃったように、このポンチ絵を御覧になると分かるように、何年かスキルアップした後は、日本語力をテストしていって、クリアしていけば、最終的には特定技能二号で永住許可も出していく、無期限に住んでもいいと永住許可を出していく、家族の帯同も認めていく、こういう考え方に立っているんじゃないですか。結果的に、これは移民制度に近づくものではないんですか。再度お願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御自身が冒頭おっしゃったように、移民というものの定義でありますが、移民というものについては、先ほど私も答弁の中で触れたような意味で使っているところであります。

 そして、そのために、制度として様々な試験等を設けて、様々な課題をクリアしないと、おっしゃるように特定技能二号というところには至らない、こういった仕組みになっています。

 こういった仕組み全体として、いわゆる移民を認めるということにはならないと申し上げている次第であります。

湯原委員 私も、移民の定義づけは難しいということを申し上げましたけれども、この育成就労制度で移民という言葉は使いませんけれども、結果的に、今、人手不足が全国的になっていく、将来推計であるように一千万人を超える生産年齢人口が減っていく、現時点でも外国人労働者が増えていっている。

 その中で、外国人労働者の人権の様々な国際機関からの指摘もあり、でありますけれども、この育成就労制度に変わっていく。結果的に、この制度によって、外国人労働者の受入れ人数が、移民という言葉は使いませんけれども、増えていく、社会の担い手で増えていく、こういうことにつながると思いますけれども、その点についてどうですか。

岸田内閣総理大臣 今回の育成就労制度、先ほども申し上げたように、人材育成と人材の確保、この二つの目的のために制度があると考えています。

 ですから、必要な分野において必要な人材が確保されるということも、これは一つ、大きな目標の一つであると認識をしています。必要な分野においては、外国人の人数が増えるということは当然あり得ると考えます。

湯原委員 総理がおっしゃったように、目的が国内においての人材確保、人材育成ということでありまして、先ほど申し上げたように、技能実習制度の場合は、日本で技術を身につけてもらって本国に帰ってもらって、そこで頑張ってもらっていく。本国のためになるわけですから、国際貢献という位置づけだったのが、今回においては、国内においての人材確保、人材育成ということで、総理おっしゃったとおりで、移民という言葉は使いませんけれども、国内の生産年齢人口は減少する、担い手が少なくなる、それを補う形でこれがつながっていく、こういう認識だというふうに思っております。

 一方で、この育成就労制度で様々な問題、課題がこれから各委員会でも出てくると思います。法務委員会等々で出てくると思いますけれども、私、地元から聞いているのは、冒頭にあった、東京一極集中の国づくりが是正されないと、海外から育成就労制度で人を、労働者を受け入れたとしても、結果として、数年たてば、その働いている人たちが東京に流れていくんじゃないか、都市部へ流れていくんじゃないか。

 地方の疲弊、担い手不足が、先ほど申し上げたように、これから二十五年後においては四割の市区町村で生産年齢人口が半減する中で、一時的に受け入れたとしても、結局は是正できないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。そういう声も聞いておりますけれども、この点について総理の答弁を求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の育成就労制度ですが、一定の要件の下、同一の業務区分内に限って転籍を認めるというものであるため、無制約に転籍が可能となるものではないと認識をしています。

 その上で、育成就労制度では、各自治体での受入れ環境の整備等によって、地域への定着を図っていくこととしております。地方からの人材流出の懸念に対しても手当てを行っていく方針であります。

 いずれにせよ、今御指摘があった、地方における人材の確保にも留意しつつ、速やかに制度の具体化を図ってまいりたいと思います。

湯原委員 総理から、地域で定着を図るべくという言葉がありましたけれども、現実的には、やはり転籍を、もちろん、人権の意識があって、転籍を認めていけばいくほど、根本的な国づくりの在り方を変えない限り大都市部へ、一時的に地方に入ったとしても大都市部へ流出していくという状況は変わらないし、先ほど申し上げたように、人口推計であるように、二十五年後、地方の担い手が半減する中で、一時的に入ったとしても結果は同じになる、こういうふうに思っております。

 もう一点、この点に関して申し上げると、技能実習制度のときに、国際人権的な意識が日本は低いという指摘も受けておりますが、総理、一つ御認識いただきたいのは、今、日本において、日本国籍を有しない子供で、就学年齢になっても学校に行っていない子供が全国的に一万五千人近くいると言われております。

 つまりは、育成就労制度は家族の帯同を認めるということになっていきます。そうすると、様々な社会保障とか、子供さんを抱えるのであれば教育とか、こういった、労働を技能実習制度のように、つまみ食いという言葉は不適切かもしれませんが、労働力だけを入れるという目的じゃなくて、人を入れていくという考え方に立つ。

 そういう受入れ体制を国自体がしていかないと、今申し上げたように、日本国籍を有しない子供が一万五千人も学校にも行っていないような状況。国が体制をしていないものですから、岐阜県の可児市とか、自治体によっては先生がボランティアで子供たちに対応している、こういうことになるわけです。

 つまりは、育成就労制度をやっていくのなら、家族の帯同を認めて、そして永続的に居住も認めていくのなら、その受入れ体制もちゃんとしていくということを念頭に体制を整えていかなきゃいけないというふうに思いますけれども、この点、どうでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、国際社会においては、まさに必要な人材獲得競争において各国がしのぎを削っている、こうした状況にあると認識をしています。我が国がその中で選ばれる国となるためには、外国人人材の人権を適切に保護することは当然でありますが、働きやすい就労環境、さらには安全に安心して暮らせる生活環境、家族の教育について委員の方から御指摘がありましたが、こうした安心、安全に暮らせる生活環境を整備することは重要であると思います。

 ただ、他方で、育成就労については人材育成も目的としており、受入れ外国人の家族帯同については、その扶養能力や受入れ環境の観点から慎重な検討も要する、こうした指摘を受けています。

 いずれにせよ、外国人から選ばれる国になるために必要な環境整備を政府として具体的に検討し、実行していきたいと考えます。

湯原委員 改めて申し上げますけれども、外国の方々から日本で働いてよかったと思われるためには、入ってこられるためには、こうした家族の帯同のところまで含めて受入れ体制、ここまでをやはり人権感覚を持って対応しなければならないということは改めて申し上げたいと思います。

 あと一分少々でありますので、最後の問題。投票率の低下の問題であります。

 これは私、シチズンシップ教育、主権者教育で、いつも質問のたびに最後に一つつけ加えております。いつも総務大臣とか文科大臣に質問しておりますが、今日はやはり、危機的状況があると思っています。資料を御覧いただきたいと思いますけれども、投票率が激減していっております。このことについて、やはり民主主義が危機的状況になっていくんじゃないか、こういうことを私は思っておりますけれども、この点について、総理、どのように考え、対応されるかということ。

 時間がないので、もう一つつけ加えると、高校の教育で公共というカリキュラムが始まりました。総理とか私たちの時代は、政治・経済とか、あるいは倫理社会とか、あるいは公民という、こういうカリキュラムを聞かれて、勉強されたことがあると思います。この間、日本財団のアンケート調査で、日本の若者のモチベーションが低くなっていますよということを申し上げましたけれども、主体的に若者が社会に参画するための公共というカリキュラムが入っております。

 私は、投票率が低下する中で、是非、これは総務大臣、文科大臣だけではなくて、内閣を挙げて、総理大臣が先頭になってこうした問題に取り組んでいただきたいと思いますけれども、時間となりました。このことについて答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

岸田内閣総理大臣 近年、御指摘のように、傾向として投票率の低い水準が続いている、こうしたことでありますが、投票は、国民主権の下で最も重要な基本的な権利の一つである選挙権の行使であり、できるだけ多くの方に投票していただく、これが重要である、これは申すまでもありません。

 他方、投票は権利であり、投票をするか否かは有権者の任意に委ねていることに加えて、投票率の低下については、選挙の争点ですとか気候ですとか、様々な事情が影響いたしますので、その要因、一概に申し上げることは困難であると認識をいたしますが、委員御指摘のように、まず、基本的に、教育等を通じて若者の政治意識の向上を図る、また、地域の課題解決を社会の構成員として主体的に担うことができる、こうした主権者教育を推進することが重要であると認識をいたします。

湯原委員 終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて湯原君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 立憲民主党の馬淵でございます。

 総理の政倫審での弁明を伺いました。今日はまず、総理の政倫審での姿勢についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、昨年の十二月十三日の記者会見で、総理は裏金問題に関して、政治資金をめぐる様々な課題に対して、国民の信頼回復のために火の玉となって自民党の先頭に立ち、取り組んでまいりますと述べられました。大変勇ましい言葉であり、問題の真相解明に取り組む姿勢を示したものだと思っています。

 ところが、この政倫審をめぐる総理の態度、火の玉となって取り組むということよりも、むしろ傍観に徹したものではなかったのか、私にはそのように思えてなりません。

 この政倫審の開会は、既に二月五日の予算委員会で、我が党の岡田幹事長が、御党の国対委員長が既に口にされている政倫審、これについて述べ、総理にも政倫審の開催を求められたところでありました。

 ところが、それから一か月にわたり、総理は、政倫審の開催については、記者会見等で繰り返し、国会でお決めいただくことだと述べ、これは逃げに徹してきた、そのように映ります。政倫審を公開するか否かについても、公開、非公開の形式はまさに国会で決めなければならないこと、また、私の立場からは直接触れることは控えるとして、いわば我関せずの姿勢を貫いてこられました。

 そして、そんな状況の中で、この予算案の年度内の自然成立に必要な採決の期日が迫ってくると、二十八日になって突如として、自民党総裁として自ら出席をし、マスコミオープンの下で説明責任を果たしたいと述べられ、与野党の駆け引きの中で開催の見通しが立たないのは残念なこと、そして、国民の政治に対する不信がますます深刻になってしまう強い危機感を感じていた、このように述べられて、急遽、御本人が政倫審への出席を求められました。

 結果、現職の総理が初めて政倫審への出席ということがメディアでも大きく取り沙汰され、政倫審では、総理御自身が初出席ということで、弁明を述べられた。そのときにも、先頭に立って、そして前例や慣習にはとらわれることなくと、まさに自画自賛の勇ましい言葉を述べておられました。

 政倫審の本来の目的である裏金疑惑の実態解明は、残念ながらほど遠い状況であった、私はそのように感じていますし、多くの国民の皆さんやメディアもそのように報じています。

 総理、まずお尋ねします。

 このような御自身の姿勢の中で、先ほど申し上げたように、二月五日に政倫審が取り沙汰された頃から、総理が、国民の信頼回復のために火の玉となって自民党の先頭に立つ、それだけの強い思いがおありであったのであれば、裏金議員に政倫審への出席と公開に応じることを説得すればよかったんじゃないですか。総理はそれもせずに、御自身が出席するということを述べられた。

 なぜ総理は、裏金議員の方々にそのように説得をする、火の玉となって御自身が先頭に立って、政倫審出席並びに全面公開、これを説得しなかったんですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、政治家として説明責任を尽くすということは重要であるということは、ずっと申し上げてきました。

 その中で、政倫審という制度は、この政倫審の規則の中に明記してありますように、開催についても形式についても説明者本人の意向を尊重するという規則になっています。こうした国会のルールを尊重すべきであるということは、私も再三申し上げておりました。

 しかし、この開催がなかなか決まらない、こういった中で、このままでは国民の皆さんの政治に対する信頼がますます損なわれてしまう、不信が増長してしまう、こういった危機感を持った等からして、私自身がマスコミオープンの形で政倫審で説明することが必要であると認識をして、出席を決意した、こういったことであります。

 政倫審のルールは先ほど申し上げたとおりでありますので、本人の意向が尊重される、これが規則として明記をされているわけですから、これは国会のルールとして、与野党の議論の結果としてできたルールでありますので、このルールは尊重したいと思いますが、これだけではなくして、あらゆる機会を通じて説明責任を果たしていくことが重要であると思います。

 指示をしろということでありますが、先ほど申し上げました、ルールを尊重した上で説明責任を果たす、政倫審の議論はそういうものであると思います。それも加えて説明責任を果たしていく、こういった努力を続けることが重要だと考えます。

馬淵委員 三週間もたっているんですよ。その間に、誰が出るか出ないか、そして公開か非公開か、それも、断続的にそういう情報が流れて、その段階で、総理、御本人の申立てというのは、規則はよく分かっています。でも、御本人の申立てが出なく、とうとうあの二十八日を、表明される前には誰一人出てこないという状況が起きて、その上で総理が、自分が出ていく、呼ばれていないのに。そのことは、もう既に予見されていた状況があったはずにもかかわらず、三週間放置されてきた。

 総理自身が本気で政倫審で実態解明をしようとするならば、説明責任を果たさなければならないというその言葉を繰り返されますけれども、御本人がもっと早く、それこそ行動していれば、こんな時期にこのような予算委員会を、土曜日に開くような状況にもならなかったんですよ。御本人が全くもって傍観をしていたということ、私はこのことを大変懸念しています。

 そして、このような状況で、要は、誰も出ないという状況になったから、総理は慌てられました。先ほど申し上げたように、予算の採決が、自然成立の日程、そこがどんどんと迫ってくる。局面打開しかないという中で、追い込まれて窮地に陥った挙げ句、サプライズで打開するという、総理のまさにパフォーマンスのやり方で、今回も、御本人出席という状況での政倫審を開くに至った。それに共連れて五名の方々も同様に完全公開の中へ出てこられました。

 総理、実はこれ、何か私、デジャビュのような感じがしていたんですが、そもそも、この政治と金の問題、裏金問題が出たときに、政治資金パーティーで不記載や裏金、こうしたことが明らかになってきた、そして関係者が次々と立件されていく中で、総理は唐突に、直接的に裏金の解決には至らない自民党の派閥の解消を表明して、煙に巻こうとされました。

 つまり、総理はいつも、しょっぱなでは、先ほど来おっしゃっていたような、火の玉であったり、あるいは先頭に立つと言って、大変勇ましい、国民に受けそうな言葉を発せられます。しかし、その後は全くの無関心の放置。リーダーシップのかけらもないような状況を、一か月近くそのままにされる。窮地に陥る。そのときに、今度はサプライズで、それこそ国民の目やあるいはマスコミ、その耳目を別にずらせる。ところが、サプライズは、結果、何の問題の解決にもならない。したがって、成果はゼロ。

 総理、このような状況で、今回の政倫審、実態解明がなされたとお感じですか、お考えですか。総理御自身この政倫審に自ら出席をして、そして五名の裏金議員が弁明をした。この政倫審で実態解明の成果が上がったとお考えですか。

岸田内閣総理大臣 いろいろ解説をいただきましたが、煙に巻く云々の御指摘は当たらないと考えています。

 まずもって、予算の審議、これは、重要な予算を年度内に成立させるかどうかということは大変重要な課題であります。一方、政治と金の問題、政治に対する不信を解消するべく政倫審等に取り組む、これも大変重要なことであります。

 それぞれ、これは重要な課題として取り組むべきものであり、そして、政倫審の議論については、先ほど申し上げたように、その規則として、説明者の意向を尊重するというルール、これが決められているわけでありますから、それを尊重すると申し上げました。ですから、私自身の意向として、政倫審に出席する、こういったことを決断した次第であります。

 さらには、委員の方から、かつて派閥の解消、これも煙に巻くものではないかという御指摘がありましたが、あれは、私が会長を務めた宏池会という派閥において、政治資金収支報告書の記載について指摘を受けて、元会計責任者が処罰をされる、こういったことに至ったことについて、私自身、説明をし、謝罪をし、説明をし、しかしそれだけではなくして、派閥の関係者とよく諮った上で、けじめをつけるために解散をしたということであり、これは対応として決しておかしなものではなかったと思います。

 かくのごとく、いろいろ御指摘がありましたが、それぞれの課題において私自身真剣にどうあるべきかを考え、そして対応を行った次第であります。

馬淵委員 派閥の解消はもう三十年前に決められていたんですよ、自民党で、御党では。それを決めていたけれども、結局は、裏金づくりのような、こういう状況を組織的に行うような党になってしまっていたんです。派閥の解消というのは何の意味も成さなかったということは、総理が一番よく御存じのはずですよ。

 そんな状況の中で総理が示された姿勢というのは、繰り返し申し上げますけれども、最初は、しょっぱなは大変勢いのいいことを言われるんです。でも、その後放置プレーになる。全くもってリーダーシップを発揮しようとしない。そして、窮地に陥ると、慌てて今度は目先を変える行動に出られる。

 まさに、この派閥の解消はそうであり、この派閥の解消を行った後、実態解明は政倫審だと言っているけれども、政倫審は全くもって誰も対応しようとしない。そうなった段階で、総理は、呼ばれていないにもかかわらず、自らが出ていって、そして弁明するとおっしゃった。

 でも、この政倫審で、繰り返し確認したいんですが、総理、実態解明に、何か新たな事実が出て寄与されましたか。総理はどうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 まず、政倫審の議論が実態解明に役立ったかということにつきましては、それぞれの弁明を通じて、そして質疑を通じて、幾つもこの質疑の中で明らかになったこと、これはあったと思います。ただ、これで全てが解決したなどとは私は申し上げておりません。引き続き実態把握に努めなければならない、このように思っています。

 そして、それに加えて、委員の方から、何か大きなことを言った上、何もしない、窮地に陥る、そして目先を変える、こういった対応を繰り返しているという点については、当たらないと申し上げております。

 派閥の解消に意味がないとおっしゃいましたが、派閥の解消、私の派閥の解消は、これはけじめとして行ったものであり、派閥が解消しても復活した最大の原因は、これは派閥に対するルールが存在しなかったということであり、今回、派閥からお金や人事を切り離すということで、派閥の政治資金パーティーの禁止を始め、具体的なルールを設けたところが、今回大きな意味があったところだと思います。今後とも、派閥や金の場であると疑われるような派閥、いわゆる派閥はもう存在し得ないというルールを作ったところに今回の取組の意味があったと思っております。

 かくのごとく、一つ一つの取組は、今回起こったことに対して一つ一つ具体的に対応する取組であり、的外れであるとか、窮地に陥って目先を変えようとしているとか、そういった指摘は当たらないと申し上げております。

馬淵委員 政倫審で野田元総理が、強烈な違和感がある、このようにおっしゃいました。国民の皆さんは同じように感じていますよ。

 いつも言葉では、国民を思う、あるいは国民のために、説明責任を果たすと言いながら、しかし、総理はリーダーシップを発揮されずにそのまま状況を放置するから、いつもその状況が前に進まなくなって、全く目先を変えるようなことばかりを行動に移される。だから、誰も総理の言うことを信用しない。極めて低い支持率に陥ってしまう状況が生まれているということを御本人は全く自覚されていないから、だから、多くの皆さん方が違和感を感じるんです。私も強烈な違和感を感じますよ。

 先ほど申し上げたように、しょっぱなは華々しく勇ましいことを言う。そしてその後放置プレー。リーダーシップを取らない。そして窮地に陥る。そのときには目先を変えるサプライズで、そして、報道なり、あるいは国民の目を別に向けていく。しかし、これでは結果が出ないんです。成果ゼロです。まさにこれは岸田サイクルと呼んでもいいぐらい、常に同じことを繰り返されている。

 総理、じゃ、もう一度確認しますよ。指示した人物は誰だったのか、始まった時期はいつだったのか、不記載の経緯、こうした事実が今回の政倫審で、総理はもちろん裏金は関わっていないことは存じ上げています、しかし、他の五名の出席者のその弁明で、これが明らかになったとお考えですか。端的にお答えください。

岸田内閣総理大臣 捜査等を行う場ではない、国会での議論という制約の中にあって、それぞれの関係者が直接自らの言葉で自らの行動を語ること、これは大きな意味があると思います。

 そして、その中にあって、具体的な事実についてやり取りが行われました。幾つか確認されたこともあったと思います。これらも一つの取っかかりとして、実態解明に向けて取組を進めていくべきものであると考えています。

馬淵委員 総理、何をおっしゃっているんですか。これはゼロ回答ですよ、五名の方々全員が。全くのゼロ回答で、そして何一つ明らかになっていないんですよ。口裏合わせのような政倫審で、何一つ実態解明につながることは、我々国民の前、少なくとも国会で明らかにされていないんです。

 こうした状況で、政倫審、本当にやる意味がなかったと言っても過言ではないぐらい。つまりは、総理がリーダーシップを発揮したことには何一つなっていないんですよ。成果ゼロだということを総理は御理解されていますか。御自身が手を挙げて出てきた政倫審で、実態解明、これはゼロですよ。成果ゼロですよ。

 繰り返し言いますよ。何らかあったという話じゃないですよ。じゃ、誰が、いつ、そして、その経緯がどうだったのか、明らかになりましたか。答えてください。

岸田内閣総理大臣 中身につきましても、具体的に、はっきりした期日ですとか、あるいは事柄について確認ができなかった、これは御指摘のとおりだと思いますが、この問題に対して、それぞれの関係者がどのように関わったことも含めて、マスコミオープンの場で本人が語るということ、真実を確認する上でこれは一つ意味があったと思います。

 だからこそ、今回の開催に当たって、マスコミオープンに野党の皆さんはこだわったのではないでしょうか。それに対して、是非、形式においてしっかり応えることが重要であると考え、そして、それぞれの思いで政倫審に出席をしたということであると思います。

 こうした取組を積み重ねながら実態把握に努める、このことは大事であると考えます。

馬淵委員 オープンの場で述べるのが大事だということじゃないんですよ。実態解明の具体的な事実が明らかにならなければ、何も意味がないんですよ。それを、あなたは、自分のリーダーシップを発揮して、そして先頭に立ってといって政倫審に出てこられた。五名は出てきましたよ。でも、何一つそこで成果は上がっていないんです。

 つまりは、実態解明をするには、このように国民から茶番劇だと評されるような政倫審では済まない。やはり、ここはきちっと、偽証した場合は刑事罰まで科される証人喚問まで、これは我々進めなければならないと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 それこそ国会の進め方については国会で御判断することであると思いますが、それぞれの、政倫審であれば政倫審のルールに従ってそれぞれ出席者が対応していく、こうしたものであると考えています。

馬淵委員 さっきから言っているじゃないですか。総理は、国会でお決めになること、私は触れないとか言って、ずっと放置してきたんですよ、リーダーシップのかけらも発揮せずに。そして、いよいよ採決が、自然成立が図れる採決の期日が迫ったら、慌てて自分が出ていく。まさにこれは岸田サイクルじゃないですか。

 総理は、政倫審の前の会見で、志ある議員に政倫審を始めあらゆる場で説明責任を果たしてもらうことを期待している、このように述べられています。証人喚問かどうかは国会に任せるじゃなくて、総理、ここまでおっしゃっているんですから、じゃ、証人喚問、百歩譲って国会で決める、あるいは、この証人喚問の方向に行くとなったときに、総理は裏金議員に、志ある議員として出なさい、このように、出るべきだというふうに指導されますか。

岸田内閣総理大臣 政倫審を始めあらゆる場を通じて関係者は説明するべきである、そういった発言をしたという御指摘でありますが、そのとおりであります。是非、こうした様々な場を通じて説明を尽くしていくことは重要であります。

 具体的な国会の運び方は国会で御判断いただく、その上で、様々な機会を活用することは重要であると考えます。

馬淵委員 総理はまたここで放置プレーをしますよ、もう完全に。岸田サイクルに入っているじゃないですか、もう既に。サイクルヒット、野球だったらこれは立派ですけれども、岸田サイクルは何の成果も上げないから、評価ゼロですよ。

 総理、じゃ、もう一つお聞きしましょう。

 党としての処分、これも明言されましたね。政治的、道義的な責任について処分をどう考えるかというところでありますが、総理、この処分、先ほどは国会の話でしたが、今度は党の処分として、これは道義的、まさに政治的責任としてどのような処分をすべきだとお考えですか。これも端的にお答えください。

岸田内閣総理大臣 把握された事実に基づき、さらには、その時点におけるまでの本人の説明努力を始めとする対応、こうしたものを踏まえた上で、党として判断をいたします。

馬淵委員 それって、結局おとがめなしという話じゃないんですか。これは、道義的、政治的責任ということを述べられているわけです。処分をするということであれば、明確にいつまでにということがなければ、これは、先ほど来、逢坂さんからもいろいろ話もありましたが、明確にいつまでにどのような処分をするかという意思がなければ進みませんよ。

 総理、どうお考えなんですか。

岸田内閣総理大臣 委員もまさにおっしゃっているように、今、事実解明の努力が続けられている最中であります。その事実を確認した上で、そして、その時点までの本人の説明を始めとする対応、こういったものを踏まえた上で、党としても政治責任等について判断をいたします。

 これは別に、何年も先とか何か月先と申し上げているものではありません。この問題が議論されていく、事実が解明されていく、その中で適切なタイミングを判断いたします。

馬淵委員 いや、結局、実態解明を進めていきますと言っていますけれども、政倫審でも明らかになっていない。証人喚問に対しても、先ほど来、ぐだぐだ、国会が決めると言って、また後退している。結局、これはおとがめなしということで、国民はみんなあきれますよ。まあ、党の話ですから。でも、国民はこれを監視して、どのように判断されるか見ていますよ。

 繰り返しますけれども、もういいかげん、総理の言葉は誰も信用していない、この状況が募ってきていることをよく御理解されないと、総理、国をつかさどるお立場として、私は、これは本当に立っていられなくなると思いますよ。

 では、最後に一つ聞きますよ。

 総理は、もう一つ、政倫審で、御自身が在任中は、政治資金パーティー、少なくとも、これは開催しないと述べられました。

 これは総理御自身のことだけではなく、当然ながら、総理大臣が示した方針でありますから、全閣僚もそれに倣って、パーティーを開催しない方針、このように示されますか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 大臣規範については、従来から御説明しておるように、国民の疑念を招かない、こうしたことについて大臣自身が判断をする、これが政府の従来からの説明であります。だからこそ、歴代内閣において、御党の前身の政党が政権を担っていた時代においても、各大臣がパーティーを開催し、それについてそれぞれ説明を行ってきた、こういったことが繰り返されてきました。

 それが基本だと申し上げましたが、私自身、政治の信頼の回復のために先頭に立つと申し上げている立場から考えまして、私自身は在任中政治資金パーティーは開催しないと申し上げた次第であります。

 各大臣には大臣規範に従ってもらいたいと考えます。

馬淵委員 御自身が先頭に立って、かつ政治的責任を、それこそ重く受け止めて、内なる規範、野田元総理が政倫審で問うたその言葉によって、総理は御自身が在任中はパーティーを開かないと明言されたんですよ。総理・総裁であるあなたがそれを明言されれば、当然ながら、その閣僚たるメンバーはそれに従うのが当然だと思いますし、本来ならば、その責任を持って、全閣僚に、政治資金パーティーは在任中は私は行わないんだから、全閣僚にも同様の、その意思をきちっと伝えるべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 私自身が、政治の信頼回復のために大きな議論が行われているその最中でありますので、政治資金パーティーは在任中開かないと申し上げた次第であります。その内なる矜持ということ、御指摘がありましたが、そういった点も含めて私自身の対応を判断いたしました。

 しかし、大臣規範についての判断は、先ほど申し上げたとおりであります。それに従って、大臣規範に従って各大臣は対応していく、これは当然のことであると思います。

馬淵委員 大臣規範云々とおっしゃいますけれども、今の自民党の中では、裏金議員が多数いる状況で、個々の裁量に任せている状況ではないはずですよ。

 我々は、この政治資金パーティーに関しては、個人も含め全面禁止するということを党の中で決定し、方針として打ち出しています。政治資金パーティー全面禁止、本来ならばそこに踏み出すべきじゃないですか、岸田総理。この裏金問題の解決の本質は、政治資金パーティーは個人も含め全面禁止する、これが合理的であることは明らかだと思いますよ。

 総理、御自身が在任中にやらないだけじゃなく、このような状況の中で、政治資金パーティー、個人も含め全面禁止、これを総理御自身はどのように考えますか。少なくとも、自民党もそう行うべきだというふうに、先ほど来おっしゃっている内なる規範に基づいて、そのようにお考えになることはできませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今回の事案については、派閥の政治資金パーティーを舞台として大変残念な状況が起こってしまった、こういったことであるからして、自民党として、派閥の政治資金パーティー、これはまず禁止をした上で、それ以外のパーティー等につきましては、透明性と政治家の責任、これを厳格化することが重要であるという判断の下に、自らの党規約のみならず、法律改正にも臨んでいく、こういったことを確認をさせていただいています。

 会計責任者だけではなくして、政治家の責任、これをどう厳格化するか、さらには、外部の監査を導入する、こういったことも法律改正によって担保しなければならないと思いますし、デジタル化を含めた透明化、これについても法改正を行う、こういった方針を党として確認をしています。

 派閥の政治資金パーティーをまず禁止した上で、それ以外については、今申し上げた透明化と厳格化を図ることが重要である、党としてはそういった方針を確認しています。

馬淵委員 裏金議員が多い党の中で、個々の裁量に任せているなんということをおっしゃっている党では、とてもこれは、完全にこの問題の解決はできないと思います。

 こうした状況の中で、総理が全面禁止も含めて同意されないということであれば、これは国民の皆さんに審判していただく以外にありません。解散・総選挙で信を問う、これ以外にないということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

小野寺委員長 これにて馬淵君の質疑は終了いたしました。

 次に、おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 本日は、貴重な時間をありがとうございます。

 早速質問に入ります。

 今日は土曜日です。土曜日の集中審議の開催というのは史上初なんじゃないかなと思うんですけれども、珍しいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

 じゃ、総理、そもそも今日の集中審議、本当は四日の月曜日でいいのに、なぜ今日審議する必要があるんでしょうか。なぜそんなに強硬な姿勢で臨んでいるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 国会の進め方等については、これは国会で判断いただくことであると思いますが、予算につきましての思いとしましては、令和六年度予算、これは、例えば仮設住宅の建設ですとか引渡し等の費用の負担ですとか、こういった、新年度から直ちに執行が予定されるものも多く含まれています。

 一兆円の予備費を含めて、被災地の生活となりわいの再建に不可欠なものであると考えていますし、加えて、予算の年度内成立が確実になったならば、年度内に成立しない場合を想定した備えなど、被災自治体に追加的な業務負担を生じさせてしまう、こういったこともないわけでありますから、被災地からも、早期の衆議院通過、こういった要望が多く寄せられています。こういったことから、予算については、年度内成立は重要なことであるという思いは申し上げております。

 いずれにせよ、審議の進め方、これは国会でお決めいただくことであります。

おおつき委員 今回の予算成立については、我々も協力するとずっとお伝えをしております。そして、自民党や公明党もこだわっていないという話も何となく昨日流れてきたような気がするんですけれども、岸田総理が断固として駄目だと言った、そのようなお話があるんですけれども、審議時間を守らないといけないという前提は、総理、ないんですか。

岸田内閣総理大臣 私がこだわったという御指摘でありますが、予算の年度内成立、これは政府全体としても重要な課題だと思いますし、与党としても重要な課題であると認識を共有していると思います。

 そのために、先ほど申し上げました理由等を考えましたときに、年度内成立をお願いしなければならない、こういった思いは確認をしてきたところであります。

おおつき委員 総理、年度内成立までまだ四週間あります。三月三十一日までです。そして、参議院も多数を占めていますよね、自民党さん。

 自然成立したいから土曜日に設定したんじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 自然成立したいからではなくして、年度内成立を確実なものにするために審議をお願いしたいというふうに申し上げてまいりました。

 年度内成立が確実になることにおいて、全国の自治体においても、予算が成立しない場合を想定した備え等を準備する必要もなくなる、安心して対応を考えることができる、こういった点を考えましても、年度内に成立が確実になることは重要であると申し上げております。

おおつき委員 私たちは日程闘争をしているんじゃないんです。あと十一時間の審議時間をしっかりと確保しなくちゃいけないという思いで言っているんです。

 昨日、今日と卒業式のシーズンなんですよ、総理。私も二人の子供を育てております。うちの子供は卒業式じゃないんですけれども。周りの親御さんたち、子供を育てている方々、役人だってそう、記者さんだってそう、昨日卒業式だったんだけれども、パパもママもいつも来ないと思っているからなんて家族に言われている方もいらっしゃるらしいんですよね。

 だったら、四日でいいんじゃないかなと思うんですけれども、なぜか自然成立にこだわる。そして、珍しい土曜日の開催をしているのが、私は、今の政府・自民党の手法なんだなというように感じております。

 これは、私たちがそんな、審議の日程を妨害しているというのであれば納得いくんですけれども、妨害しているわけじゃないですよね。だって、今までどおりの審議時間でしっかりと議論しましょうと言っているだけじゃないですか。

 二つ挙げますよ。自民党の皆さん、しっかり聞いてください。

 一月、国会が召集されるとき、裏金の問題で刷新本部を開いて通常国会まで中間取りまとめをしていたから国会開会が遅れたんじゃないんですか。そして、先週、政倫審をすぱっとやっていたらこうならなかったんですけれども、結局、総理が出てくるまで、総理が骨を折って開催することがやっと決まったというのが、これは自民党さんの責任なんじゃないんですか。

 自民党は、自らの党の疑惑の処理もし切れず、一方的に審議時間、この貴重な十一時間という審議時間を打ち切った形です。それで職権立て。打ち切っている形なんですよ。これは、今、確定申告が行われていて、納税者は納得いきません。

 総理、結局、この土曜日開催は誰のせいだと思いますか。

岸田内閣総理大臣 国会の審議の決め方は、国会で御判断いただくものだと思います。

 私自身としては、あるいは政府としては、予算の年度内成立が重要だということを再三申し上げている次第であります。

おおつき委員 何度も言います。それは自然成立のためです。まだまだ四週間、参議院でしっかりと議論すればいいじゃないですか。もしかして、参議院で、何かやましいことでも抱えていて、議論が長引くとでも思っていらっしゃるんですか。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 予算の年度内成立を確かなものにすることは重要だと申し上げております。

おおつき委員 それは自然成立です。まだ四週間あります。何度も言わせていただきます。

 一つ御紹介させていただきます。言っていることとやっていることが逆だという例を一つ挙げます。

 二〇一二年、東日本大震災の予算も関連している通常国会、岸田総理は野党の国対委員長でしたね。実は私、与党の国対委員長の担当の記者をしておりました。そのときに、私は覚えております、岸田国対委員長が二月二十八日に会見をしております。実は、このとき、二〇一二年、対政府の質疑時間は八十八時間四十分行っておりましたよ。ちなみに、このときに徹底的に暫定予算まで組ませた方々で今議員で残っている方々は、六十三人もまだいらっしゃいますからね。

 このとき、岸田総理は会見で何を言ったかといいますと、記者が質問で、職権で対応しようとしたときどうするんですかと質問が来ました。そうしたら、岸田当時国対委員長は、強硬なことを行ってくれば、基本的に信頼関係が崩れます、国会全体の日程についても考え直さねばならなくなるのではないかと思っていますと言って、三月の八日まで引っ張りましたよね。

 結局、総理、言っていることとやっていることが違いませんか。

岸田内閣総理大臣 当時の与党も、年度内成立が重要だという点においては変わりはないと思います。その中で、国会においてのやり取りにおいて審議が決まったと考えています。

 野党においても、そういった中で審議の充実を求めた。これは当然のことであり、その協議の結果として、今御指摘のような結果になったと考えます。

おおつき委員 総理、権力を持ってしまったら、人は変わってしまうんですね。非常に残念に思います。

 結局、政治と金だってそうじゃないですか。こうやって信頼を失っていくんじゃないんですか。

 財務大臣が、納税は議員の判断なんとおっしゃっていましたけれども、だから、「#確定申告ボイコット」がSNSで炎上したり、総理が出てこなきゃ政倫審が開催できない。つまり、そうやって国会の審議がどんどんどんどん遅れていったじゃないですか。聞いていますよ、この政倫審をめぐるいざこざ、あの二日間。お笑い芸人みたいに、じゃ、僕は出ます、私も出ます、じゃ、どうぞ、どうぞ、どうぞみたいになってきた。そうですよね、自民党にとっては笑えないですよね。そうやって審議時間を、私たちが審議する時間を奪っていったのは自民党さんの中の、党内のことなのに、総理、政治責任の決断さえもまだできていないじゃないですか。

 ですから、例えば、今後、土曜日に行うことはしない、又はこの六十九時間という審議時間は前例にしないということを約束していただけますか。

岸田内閣総理大臣 国会の開会のありようについて、私の立場から何か約束するとか指示を出すということはあり得ないと思います。国会のことは国会において御判断いただく、当然のことだと思います。

おおつき委員 今総理が国対委員長に指示していただいたら、昼の国対委員長会談で決めて、月曜日に、午後、やってもいいんですよ。

岸田内閣総理大臣 国会のことは国会で御判断いただく、その国会対策においても様々なやり取りを今日まで続けていただき、そして今日に至っていると認識をしております。是非、引き続き協議を続けていただきたい、このように思います。

おおつき委員 国対委員長経験者なのに非常に残念に思いますが、しっかりとこれからは本質の議論をさせていただきたいと思います。

 さて、過去最少の出生数を日本が更新をしてしまいました。過去最少、七十五万人という衝撃が列島を駆け抜けました。これは、厚労省が二十七日火曜日に公表したものです。

 日本では、一九八三年、私が生まれた年です、百五十万人いたんですけれども、その後、子供の数は減り続け、一九九四年以来、少子化対策に政府を挙げて取り組んでおりますが、ここ四十年で半減をしております。

 総理、八年連続で過去最少です。この危機感をいかにお持ちになっていて、本当に打開できる、今回の異次元の少子化対策で打開できると思いますか。

岸田内閣総理大臣 令和五年の一年間の出生数七十五万八千六百三十一人、過去最少を更新し続けていること、これは強い危機感を持っております。だからこそ、申し上げておりますように、少子化が更に加速する二〇三〇年代に入るまでがラストチャンスであるということで、子供、子育て政策の充実、これを訴えさせていただいているところであります。

 こうした経済的な支援は当然充実させなければいけませんが、あわせて、それを活用する社会の意識や構造も変えていかなければならない、さらには、個別の政策だけではなくして、世代を通じて切れ目ない対応が必要であるなど、この三つの理念を重視しながら対策を進めていく、この対策の取組は重要であると認識をいたします。

おおつき委員 重要であるとの認識ではございますが、この異次元の少子化対策が異次元の分かりにくさにも実はつながっているといって、SNSやママさんたちの車座でも非常に分かりにくいと言われております。だからこそ、共働き世帯が置いてきぼりにならないように、今日は明らかにしていきたいと思います。

 皆さんに資料を配付させていただきました。資料一を御覧ください。

 これは、車座で、お母さんの一日のスケジュールを聞いたところです。朝四時に起床して夜九時半まで、要は、これは共働き世帯の方なんですけれども、朝四時から夜九時半まで自分の時間はほぼないのと一緒なんですよ。総理、お分かりになりますよね。総理の首相動静も、みんな興味を持って一日の動静を見ているとは思うんですけれども、実は、こうやって、光の当たらない普通の家庭のお母さんも一日物すごく頑張っているんですよ。この方だけが特別じゃないんです。私の周りの記者さん、仲間だった方々もそうです。役所の方だってそうだと思いますよ。御主人が単身赴任されている方も多いと思います。

 そういった方々も含めて今日働いているという心持ちで質問に答えていただきたいんですけれども、共働き世帯として、迷走を続ける子育て支援金の給付と負担の在り方が極めて不明確なんです。だから、今日は、誰がどのくらい、何に使われるお金を負担するのかについて伺っていきたいと思います。

 まずは、加速化プランの支援金から伺います。

 子供一人当たり、ゼロ歳から十八歳までの給付拡充額についてなんですけれども、加藤大臣が二十六日の予算委員会で、拡充額は百四十六万円と発表しましたが、これはゼロ歳から十八歳までの給付が百四十六万円なんじゃないかという、むしろ誤った報道が出たりとか、SNSでも混乱されている方が多くいらっしゃいます。もしこれが単なる給付だとしたら、単純計算で年約七万円、月計算で約五千八百円と勘違いしている方、結構多いんですよ、拡充と給付だけと。

 だから、総理、どうか教えてください。今日の配付資料二のどの項目の中にどれだけ拡充される見通しで、誰がどのぐらいもらえるんですか。これはママさんからの質問です。お願いします。

岸田内閣総理大臣 支援金制度、これは全世代で、そして全経済主体によって子育て世帯を支える仕組みであります。ですから、拠出いただくことによって子育て世帯がどのように受益があるか、これをお示しすることが重要だと考え、御指摘の平均百四十六万円ということも、受益を説明する一つの材料としてお示ししたものであると承知をしています。

 そして、この百四十六万円という額、これは、支援金の総額を一兆円とした場合に、児童手当やこども誰でも通園制度など支援金が充てられる給付について、子供一人当たりでゼロ歳から十八歳までの間に受ける平均的な給付拡充の額としてお示しをしたものであると承知をしております。

 そして、加速化プランは総額三・六兆円規模としているわけですが、支援金が充当される給付の充実に加えて、公費等の活用によって更なる施策の充実も図る、このようにしているところであります。

 この支援金を充てる部分として一人当たり百四十六万円、こういった説明をした、このように承知をしております。

おおつき委員 総理、多分その説明を自分のお子さんにしても、結局、お父さん、幾らもらえるのという話になっちゃうと思います。結局、平均してなので、一人一人というのはそれぞれ違うということになってきますね。多い方もいれば少ない方もいるということになりますよね。

 ということは、じゃ、ちょっと具体的にいきます。例えば、これは、ゼロ歳から二歳の三年間では五十一万円、ゼロ歳から二歳までの子供がいらっしゃるところには平均五十一万円もらえるというように加藤大臣も言っているんですけれども、この五十一万円の内訳なんですけれども、例えば、妊婦さんが十万円支給、給付されたりとか、児童手当が五千円から一万五千円になるので一万円増えますよね、その一万円増えた分が三年間で三十六万円増えるので合計四十六万円、プラス、例えばその通園制度と保険料の免除で五十一万円になるんですか。何が平均五十一万なんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の平均五十一万円の額については、支援金が充てられる給付について、子供一人当たりでゼロ歳から二歳までの間に受ける平均的な拡充額の合計、これを算出したものであります。

 具体的に、これは大まかに言えば、妊娠、出産時の十万円給付、ゼロ歳から二歳までに対する児童手当の拡充分のほか、こども誰でも通園制度や育児時短就業給付など、共働き、共育てを推進するための経済支援について、これらに要する費用を対象となるゼロ歳から二歳までの人口で割った、このことによって算出した金額であると承知をしています。

おおつき委員 じゃ、もう一つ聞きます。

 十六歳から十八歳、高校生ですね、の児童手当が延長されて三年間で約四十七万円もらえるというのは、これは、児童手当月一万円が三年間で三十六万円のほか、保険料免除で四十七万円になるということですか。プラス十一万円はどこから来るんですか。あと、このデータは、何人で割ってこういう根拠が出てきているんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の四十七万円の額については、支援金が充てられる給付について、児童手当の高校生年代への延長が行われる十六から十八歳の三年間の子供一人当たりの平均的な拡充額の合計として算出したものであります。そして、まずは高校生年代への拡充で一か月一万円、三年間で三十六万円の増加のほか、多子加算の対象者への給付の三万円の増を、事業費の規模を子の人数で割ることによって一人当たりに均したものの積み上げ、こういったものの数字であると認識をしております。

 今般の児童手当の拡充については、次代を担う全ての子供の育ちを支える基本的な経済支援としての位置づけを明確にした上で、所得制限を撤廃しつつ、高校生年代まで延長し、多子加算を拡充する、こういった取組によって、今申し上げた数字につながっていくと考えております。

おおつき委員 ありがとうございます。

 共働き世帯のスケジュールを見せましたよね。今の説明を、夜の九時半以降に総理の答弁はこうだったと確認しても、結局、うちは幾らなんだろうというのは分からないと思いますよ。全然分からないですよ。じゃ、幾らもらえるのか、このぐらいもらえるんだからこのぐらい負担しなきゃいけないのかの、次、負担の方に行きましょう。

 次、子供、子育ての負担金について行きます。

 この間、総理を始めとして政府の説明、これは二転三転しているんですよ。御紹介させていただきます。実質的負担増ゼロと、これは去年の十二月に言ったんですけれども、その後、今年の二月六日、月額五百円弱となりました。それが、二月の二十一日に月額五百円超となって、翌日、二月の二十二日に月額千円超となりました。そしてその後、総理は、法案審議までに、この数字の整理を行っているところですと。もう何を言っているかよく分からないんですよ。

 これは結局、幾らかかるんですか。

岸田内閣総理大臣 言い方が変わったという御指摘ですが、実質負担ゼロであるということについては一貫して御説明をさせていただいております。支援金制度の構築に当たって実質的な負担が生じないということについては、徹底した歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内でこの支援金の財源をいただく、これが基本であると申し上げてきました。

 具体的には、令和五年、六年両年度の予算編成では、歳出改革により、医療、介護の保険料で合計三千三百億円、加入者一人当たり月約百五十円の軽減効果が生じました。これを令和十年度まで継続すると、保険料負担で約一兆円の軽減、加入者一人当たり月五百円弱の軽減効果が生じるということであります。

 ですから、この範囲内、すなわち加入者一人当たり月五百円弱の支援金に向けての拠出をいただくとしたならば、加入者一人当たりの平均で見て負担が生じることにはならない、このように申し上げてきたところであります。

 その上で、これは今の加入者一人当たりの平均でありますので、具体的な拠出額については、加入する医療保険制度、所得の多寡、あるいは世帯単位か個人単位か等によって異なることになります。ただ、いずれの場合でも、拠出額が多くなりましたら、基本的に歳出改革に伴う保険料軽減効果、これも併せて大きくなる、このことは留意しなければならないと考えております。

おおつき委員 それでも、やはり千円を超える負担の方も出てくるということも想定しなくちゃいけないですよね。

 世の中の声をお伝えします。五百円があっという間に千円になって詐欺感がすごい、負担が変わるのは当然としても説明不足過ぎる、そして、丁寧な説明をなどと常に口にしている岸田総理が一番丁寧に説明できていない。これが世の中の声なんです、総理。ですから、結局、負担ゼロというのも、子育て増税になっちゃっているんですよ。

 ですから、これは中央公聴会で末冨先生もおっしゃっていました。世代別、世帯構成別、そして子供の年齢別に、どういう受益があるのか、これを見える化するシステムをつくったらいいんじゃないですか、総理。デジタルに力を入れていくとも言っているんですから。一人一人のオーダーメイドの政治、つくりませんか。

岸田内閣総理大臣 加入する医療保険制度、所得の多寡、そして世帯単位か個人単位によって拠出額が異なる、これは今申し上げているとおりでありますが、まずポイントは、拠出額が大きい場合は、基本的に歳出改革に伴う保険料軽減効果も併せて大きくなる、この点を留意するということであります。ですから、平均しますと負担増にはならないと申し上げているところであります。

 そして、それを具体的に一つ一つ示せということでありますが、これは、様々な仮定の置き方等について検討をする必要があって、今作業を行っておりますが、遅くとも法案審議に間に合う形でお示しをしてまいります。

おおつき委員 時間が参りましたが、最後に、高校生の扶養控除の縮小についても、これはやめるべきだとだけ申し上げたいと思います。

 そして、総理、こうやって、共働き世帯の方々、子育て世代の方々と、是非、指切りげんまんうそついたら、この後何が続くか分かりますよね、しっかりと約束を守ってください。うなずいていただくだけでいいです。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにておおつきさんの質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 裏金事件、本当に総理の姿勢は全容解明に後ろ向きと言わなければなりません。

 私たち、麻生派も含めて裏金事件の疑惑があるんじゃないかと指摘をしてまいりました。自民党は全議員のアンケート調査を行って、しかし、答えた方は、安倍派と二階派の方々だけが不記載とお答えになったわけです。

 ところが、私どもの機関紙のしんぶん赤旗日曜版の最新号で報じておりますけれども、麻生派の井上信治議員がキックバック分を不記載にしていたのではないのか、このことを報じさせていただいております。

 私も確認しましたけれども、二〇一八年の麻生派の志公会の政治資金収支報告書を見ますと、六月七日に四百五十八万円出ておりますが、その年の井上信治議員の信政会の収支報告書には、それに該当する寄附が志公会からは記載をされていないんですね。

 井上信治議員は、自民党のアンケート調査に対してうその報告をしていたということになるんじゃないですか。これは、麻生派の議員も含めて聞き取り調査をしっかりとやるべきじゃないですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 派閥から議員の政治団体へのお金のやり取りの中で、派閥の報告と議員側の報告が食い違うという御指摘かと思いますが、それについては、本人がそれを承知していたか等を始め、確認をしなければならないことであると思います。本人がこれを説明する、このことは重要であると考えます。

宮本(徹)委員 いえいえいえ、自民党の調査としてやったわけでしょう。不記載が過去五年間についてあるんですか、ないんですかと自民党が調査したわけですよ。その調査と食い違っているんですから、それは、なぜ自民党の調査と違う事態になっているのか、党として調べる責任があるじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 党のアンケートとの食い違いについては、党として確認をいたします。

宮本(徹)委員 党として確認するということですから、しっかり調べていただきたいんですね。

 その上で、この井上信治議員だけなのかという問題があるわけですよね。ほかの方々はうそをついていないのか。もっと言えば、私は、なぜ二〇一八年から二〇二二年の五年間だけなのかということを、本予算案の審議の一番初めの質問で岸田総理に問いたださせていただきました。五年より以前、麻生派で裏金づくりが行われていたんじゃないですか。

 不思議なんですよね。二〇一八年と二〇一七年以前を見ますと、二〇一七年は麻生派は為公会だったわけですけれども、二〇一七年以前の為公会の収支報告書にはキックバックと見られる記載は見当たらないんです。ところが、二〇一八年以降の収支報告書を見ると、キックバック分、派閥から所属議員への寄附が突如毎年書かれるようになるわけですよね。キックバック分を裏金化、二〇一七年以前、為公会でしていたのではないのか、この収支報告書を見れば見るほど、そういう疑念が湧いてくるわけですよ。

 これはちょっと麻生派も含めて徹底的に調べる必要があるんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 調査の対象を五年としていることについては、資料の保存状況、そして刑事責任との関係ということで五年で線を引き確認を行った、こうした次第であります。

 それ以前の部分については、多くはもう資料が存在しないなど確認が難しいという実情があります。その中で、五年以降の実態について把握に努めた次第であります。

宮本(徹)委員 これだけ疑念が湧く材料はたくさんあるわけですよ。

 総理は、刑事責任以外にも政治的、道義的責任はあるんだということをおっしゃっていましたよね。一人一人の政治家には、刑事責任が問われなかった方も含めて、政治的、道義的責任があるんだと。だったら、五年に限らずに、刑事責任は問われないかも分からないけれども、政治的、道義的責任をしっかりそれぞれの議員が果たせるように、自民党として過去に遡って調査すべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 資料等を通じて確認できる、こういった現状を考えた場合に五年という線を引いて全党的に調査、アンケートを行った、こういった次第であります。実態を把握できる、資料等を通じて把握できる、そうした限界等を考えましても、五年というのは一つ合理的であると考えます。

宮本(徹)委員 安倍派の裏金づくりについて、経緯を遡って聞くことは一定の範囲ではやったわけですよ。なぜ麻生派についてはそれができないんですか。

岸田内閣総理大臣 まずアンケートを行った上で、収支報告書の修正を行う、行ったことを申し出た議員に対して聞き取り調査を行ったということであります。この結果として、清和研、そして志帥会の議員が中心になったということであります。

宮本(徹)委員 二〇一八年の政治資金収支報告書はもう直せないんですよね。ですから、直した人だけ対象ということをしたら、これはもうずっと未来にわたって無罪放免ということになりますよ。

 本当に私、総理が真相究明に後ろ向きなのは、これ以上事態が明るみに出ることを避けようとしている、こうとしか思えないんですよ。森元首相にも一切聞こうとしないじゃないですか。何でかたくなに拒否するんですか。調べられることを調べようとしない。そういう姿勢では、国民の政治への信頼を回復することはできないですよ。そこをしっかり考えていただきたいということを申し上げまして、今日は私のライフワークであります教育無償化について質問させていただきたいと思います。私の卒業論文のテーマです。

 大学授業料も大変値上げラッシュということになっております。初年度納付金、早稲田大学は、法学部で百十七万円から百二十五万円へ八万円の値上げ、理工学部は百七十万九千円から百八十四万七千円へ、実に十三万八千円もの値上げです。慶応や上智でも二年連続の値上げ、国立の東京農工大学でも十万円以上の値上げ。

 先日お話を聞いた学生さんは、学費等のためにアルバイトを月百二十時間しているという話でございました。また、東大生にもちょっと聞きましたけれども、本当に、アルバイトのため、履修したい授業を諦めなきゃいけない、教科書が買えない、奨学金とバイトを頼りに生活しているので大学院進学をちゅうちょする、こういうお話をたくさん聞きました。

 岸田さんは、二〇二五年から、子供を三人以上扶養しているときの大学授業料の無償化と打ち出しましたけれども、一人、二人でも大変なんですね。そして、多子世帯だけの無償化というのは国民の中でも私は分断を生むと思います。教育を受けることは憲法で保障された権利です。大体、多額の授業料を本人とその家族に課すこと自体がおかしいんですよ。全員の授業料の無償化に踏み出すべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 高等教育費の負担軽減については、これまでも、低所得世帯を対象に授業料等の減免と給付型奨学金の支給、これを併せて行ってきたところであります。

 そして、それに加えて、子育てや教育費により理想の子供の数を持てない状況は、三人以上を理想とする夫婦で最も顕著であることから、この現状を打破していく必要があると考え、令和六年度から給付型奨学金等の多子世帯及び理工農系の中間層への拡大を行うとともに、令和七年度からは、子供三人以上を扶養している場合、国が定めた一定の額まで大学等の授業料、入学料を無償とする、こうした対応を行うことを決めているところであります。

 そして、その上で、引き続き、高等教育の負担軽減については着実に進めてまいりたいと考えます。

宮本(徹)委員 軍事費にどんどんどんどん割いているお金があったら、本当に子供の未来のために教育の無償化こそ優先すべきだと申し上げたいと思います。

 そして、私が指摘したいのは、こども未来戦略を見ていますと、子供を三人以上扶養している世帯以外の対策は、岸田政権が打ち出したのは、授業料の後払い制度の学部段階への本格導入、これを検討すると書いているんですよね。授業料後払い制度というのはローン、借金にするということです。今でも返済額が所得に連動する貸与型の奨学金がありますけれども、これと本質的には変わらないものなんですね。

 お伺いしたいんですけれども、この後払い制度と銘打った制度を本格導入するということは、私たちの国が批准している国際人権規約で言う高等教育の漸進的無償化を進めるものと言えますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の授業料後払い制度については、在学中は授業料を徴収せず、卒業後の所得に応じて納付を可能とするという観点から実施するものであり、まずは大学院修士段階に導入し、学部段階への本格導入に向けた更なる検討を進める、このようにしているところであります。

 そして、その一方で、高等教育の無償化については、これまでも、先ほど申し上げたように、低所得世帯を対象として実施をし、さらに、令和六年度、七年度、無償化の対象を拡大する、こういった取組を進めており、今後とも、御指摘の国際人権規約で定められているとおり、無償教育に漸進的に取り組んでまいる所存であります。それぞれ進めてまいります。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

宮本(徹)委員 ですから、この後払い制度そのものは高等教育の漸進的無償化の政策とは呼べないということでいいわけですよね。

岸田内閣総理大臣 現実の、授業料等で困難を感じている学生に対して支援を行うために共に重要な政策であると認識をいたします。

宮本(徹)委員 聞いたことにお答えにならないんですけれども、到底、高等教育の無償化政策とは呼べないものですよ、後払い制度というのは。

 後払い制度というのは、モデルとなった国があるわけですね。オーストラリアのHECSでございます。問題は、私、この後払い制度を本格導入した場合、これによって、授業料減免あるいは教育無償化の流れに対して悪影響を与えないのかということがあると思うんですね。

 オーストラリアでは、無償だった授業料を有償化する際に、授業料負担の緩和策として、このHECSという後払い制度がつくられました。ところが、文科省にお伺いしましたけれども、オーストラリアでは、国として低所得者対象に大学の授業料を減免する制度はないというんですね。

 総理、オーストラリアでは、国として低所得者対象の大学の授業料減免制度はない、理由を御存じですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のオーストラリアにおける国の授業料減免制度については、文部科学省において調べたところ、そのような制度は確認できておらず、その理由については、承知していない、確認できていないと聞いております。

 なお、各大学の判断によって授業料減免を実施している、こういった場合は存在すると聞いております。

宮本(徹)委員 国として低所得者対象の減免制度というのはないわけですね。

 オーストラリアでは、一括前払いで授業料が割引になる制度というのが以前はあったんですけれども、二〇一七年に、公平性の観点からこれはなくなったんですね。

 つまり、学部学生に後払い制度が本格導入されて、大学の授業料というのは学んだ本人が負担するものだ、こういうことになっていくと、これは公平性の観点から、前払いで払う方の負担を軽減する授業料減免制度の根拠が揺らいでいくことが起きるのではないか、私はこれを大変懸念しているんですね。

 私は総理にお伺いしたいんですけれども、この後払い制度を学部段階まで本当に本格導入していく、こういうことをしたら、これ以上授業料減免制度を拡大しない理由になっていくのではないのか、さらには、今ある授業料減免制度が後退していくことにならないのか、その点、お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 授業料後払い制度については、まずは令和六年度から大学院修士段階に導入し、本格導入に向けては、その活用状況、教育費負担の在り方、制度の国民的な理解、受入れ可能性を考慮した上で、更なる検討を進めて、今後の各般の議論を踏まえて速やかに結論を得てまいる、これが方針であります。

 そして、高等教育の無償化については、こども未来戦略、加速化プランに基づいて、安定的な財源を確保しつつ、先ほど申し上げたように、令和六年度、令和七年度の授業料等減免の対象拡大、これを着実に進めてまいります。

 これは両方とも、現実に対して大切な取組であると考えています。どちらかを優先させるとか、置き換わるとか、そういったものではないと認識をしております。両立させながら取組を進めてまいります。

宮本(徹)委員 本当に後払い制度を導入していったら、大変、世論との関係でもいろいろな複雑な問題が私は起きかねない、ここは本当に皆さんもしっかりその懸念は共有していただきたいというふうに思います。

 質問時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、資料の裏面に載せておりますけれども、高等教育機関に対する政府支出の対GDP比、OECDの平均の、日本は半分なんですよね。その一方で、私費負担はOECD平均の倍ですよ。それが今の日本の状況なんですよ。

 しっかりと、高等教育無償化、全員無償化こそ全力で取り組むべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして集中審議は終了いたしました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。

 今日は、締めくくり質疑ということで質問させていただきたいと思います。

 まず、昨日の深夜国会に続きまして、本日、土曜日朝からの異例の予算委員会の開催ということについて初めに申し上げたいと思います。

 審議も十分に尽くされないまま強行採決に持ち込もうとした姿勢、そもそも、自民党が脱税疑惑を真正面からきちんと説明してこなかったことがこの混乱の元でありましたけれども、強引に進めようとする予算の審議の道筋、非常に身勝手極まりないものだと思います。

 国会で働く全ての方、官庁の方、そしてマスコミの方を含めて、多くの方を巻き込みました。今朝、確定前に配られた予算委員会の発言表の案も、三時半現在とかと書いてありまして、徹夜をされた方も多いのではないかと思います。

 本日も衛視さんがたくさん出勤されておりますけれども、先ほど女性の衛視さんに、今日、大変ですねというふうに声をかけましたら、先生方も大変ですねと優しい声をかけていただきましたけれども、我々は月曜日にすればいいじゃないかということをずっと言ってきたわけであります。

 総理の頭の中に、とにかく予算を通す、審議を十分に尽くさなくても、予算をとにかく通すということが頭にあったのかなということを思いますけれども、例えば昨日の段階で、今日の段階でもいいんですけれども、子供がいる家庭が大丈夫かなとか、それから、こういうことをすると国会の職員の負担になるかなというようなことは、一度でも頭をよぎったでしょうか。

岸田内閣総理大臣 国会の日程によって、衛視の皆さんを始め、関係者に様々な影響が及ぶ、これはそのとおりかと思いますが、しかし、国会の審議の運び方、これは国会において御判断いただき、そして決定していただくものであると認識をしています。

 その中で、政府あるいは与党としては、今回の予算、震災に関する予算、例えば仮設住宅の完成とか引渡し時の費用ですとか、年度明け早々から直ちに執行が想定されるもの等も含まれている、一兆円に倍増した予備費も含まれている、こうした重要な予算であるという認識の下に、年度内成立をお願いしたいということは、従来から再三申し上げてきたところであります。

 この年度内成立が確実でなければ、年度内に成立しない場合も含めて、各被災自治体においても対応を考えなければいけない、追加的な業務負担を生じさせてしまう、こういった点もあるわけでありますから、被災自治体からも、早期の衆議院通過の要望、これが多く寄せられているところであります。

 こうした要望も踏まえて、政府としては、年度内成立、これを是非お願いしたいということを申し上げてきた次第であります。

石川(香)委員 私は、周りの働く皆さんへの配慮という観点でお伺いをしたんですけれども、今、能登半島の地震の予算がかかっているということも再三お話しされておりましたけれども、もちろん、どの党の方も、能登半島の地震については全力を尽くすということは一致していると思いますし、能登半島の予算はそもそも予備費ということでありますし、現場が本当に必要としているものはどんな支援なのか、それを詰めるのが予算の審議だと思います。やはりしっかり予算の審議を積み重ねていかないと、そういうものが本当に見えてこないと思います。

 先ほども少し触れましたけれども、たくさんの方を巻き込んだという観点でいえば、例えば子供のお迎えとか御飯の支度とか、誰でもサポート体制というのは十分にあるわけではないわけですね、男の人は男の人で大変だと思いますけれども。

 今日はいい機会ですので、女性視点といいますか、働く親視点でいいますと、非常に大変なこの二日間だと思います。親の仕事を休むことはできませんけれども、ぶっ続けで仕事をさせることがどれだけ働く女性を追い詰めることになるのか、負担がかかっているということを分かっていただきたいと思っております。

 閣僚にでも、お子さんが小さい加藤大臣がいらっしゃるわけです。加藤大臣に一言でも声をかけたかということも聞きたいなと思っております。やはり、子育て現役世代の声を代弁するべく任命されたということですから、その点、どうでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今委員が御指摘になられたような趣旨で、すなわち、国会日程が変則的なものになるからして、プライベートの生活においても御迷惑をおかけする、その点について、具体的に加藤大臣に声をかけたということはしてはおりません。

 ただ、そういった配慮は大事だという点は重く受け止めます。

石川(香)委員 是非、一言声をかけていただきたいなと思うんですけれども。

 こんな大変な仕事だから、では、初めから国会議員をやらなければいいんじゃないかとか、国会で働くことを諦めろとか、こういう仕事だからしようがないということになってしまいますと、今、働き方改革とか女性活躍ということをおっしゃっていますけれども、これは率先してやっていただかないと困っちゃうわけですね。こんなことをしていますと、女性の政治家なんて絶対増えませんし、働きながら子供を産んで育てるなんということも不可能になってしまいます。このことを強く申し上げたいと思います。

 審議の十分さということも再三訴えてまいりましたけれども、審議の充実というのはもちろん大前提であって、それも落ち着いた環境で、常識的な働き方の中でこそ、この大切な予算審議が行われるべきであるということを重ねて主張させていただきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 通告はしておりませんが、もし、御感想をお伺いできればと思っております。

 昨日、ロート製薬が、妊活に対する意識調査、妊活白書二〇二三年度版というものを発表しました。十八歳から二十九歳の未婚男女四百人のうち、将来、子供を欲しくないと回答した割合が五五・二%に上るという結果になったそうです。つまり、半数以上がこのように答えたということでした。

 この調査は二〇年度から始まりまして、そのときは四四%だったそうなんですけれども、この三年間で一一ポイント、十八歳から二十九歳の未婚男女の方々が、将来子供を欲しくないと答えた割合が増えてしまった。これは非常に深刻なことだと思うんですね。

 要因など様々な分析は必要だと思いますけれども、率直に、この結果をどのようにお感じになったか、お聞かせいただけますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のアンケート、詳細は私、承知はしておりませんが、今委員のお話を聞く中において感じますのは、まず、子供を持ちたくないという方が増えているということについては、社会全体としてこれは重く受け止めなければならないと思います。

 そして、子供を持ちたくないという理由が、自らのライフスタイルに対する考え方に基づくものなのか、あるいは、子供を持ちたいけれども、経済的理由等、あるいは環境等の問題等との関係において、持ちたいけれども持てないという方がおられたとして、それが増えているとしたならば、これは政策的にも考えなければならない、重要な、深刻な状況であると考えます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 ライフスタイルの問題なのか、経済的な理由なのか、これは様々な分析が必要だと思いますが、お答えいただいて、ありがとうございます。

 結婚もしない、子供もつくらないという背景には、やはり生活に余裕がないという要因が結構大きいと思うんですね。その中で、まさしくこのアンケートで子供が欲しくないと答えた人たち、現役世代が、今回のこの子供、子育て支援金の負担が非常に多いそうなんですね。

 現役世代の負担が大きいのは明らかである以上、これは相当な熱意でこの政策の価値を語って、そして、幾らの負担がかかりますよと誠実に説明するしかないと思うんですね。そうでないと、負担ばかりが増えて、可処分所得が減って、より一層少子化が進んでしまうことになりかねないと思います。

 改めて、今、子供支援金については実質負担なしという話をされ続けておりましたけれども、まやかしは使わずに、真っすぐ正面から、誠実に、どのぐらいの、負担はかかってしまうけれども、こんなにいい政策なんですという説明をするべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 まやかしというのは当たらないと思っています。

 従来から説明しておりますように、支援金については、歳出改革を徹底することによって社会保険料の負担軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金をお願いするということを申し上げています。ですから、この支援金によって拠出をお願いするとしても、それ以上に社会保険料の負担軽減効果、これが存在するということをまず説明して、実質的な負担増にはならないという御説明をさせていただいています。

 そして、なおかつ、子供、子育ての現役世代に御理解いただくためには、この負担の部分についても、今申し上げたように、実質的な負担が生じないということも丁寧に説明するのと併せて、給付、この政策を進めることによって、どれだけ子供、子育て世代に対して、経済的な給付も含めて、様々な支援が充実していくのか、このことをしっかり説明しなければならないと思っています。

 このことによって、従来から御説明しておりますように、日本の子供、子育ての支援、子供一人当たりの家庭関係費につきましてもOECDトップクラスまで予算が充実する、それを基に政策を進めていく、日本の子供、子育て政策が格段に前進する、このことをしっかり説明することが、理解をいただく上でも重要であると考えております。

石川(香)委員 従来と同じ説明に終始されていたと思います。

 先日、中央公聴会の中で、我々の議論の、実質負担なしはあり得ないんじゃないかということの根拠になり得た試算を作った日本総研の西沢和彦さんにお越しをいただいたんですけれども、実質負担はあり得るかという問いに、前提として、負担なしというのがおかしい、政策に自信があれば、皆さん、一兆円出してください、でも、これは二兆円、三兆円のリターンがありますよというふうに言うべきです、そこは正々堂々と政策の価値を金額として示すべきであるというお話をされておりました。

 これは給付と負担の関係もやはり不明確であって、現役世代の負担も大きいということで、喜べないし、よく分からない制度になってしまっているというのは非常に残念だと思います。

 誠実な説明が聞かれなかったわけですけれども、この次もほかの議員が質問をいたしますので、最後になると思いますが、もう一点、農業関連の質疑もさせていただきたいと思います。

 これまで、総理、坂本大臣に、農業関連の質問をさせていただきました。所得は一貫して上がっているという話をされておりましたが、所得は下がっているんですね、確実に、データで。もちろん、所得が上がった人も中にはいるかもしれませんけれども、大半は下がっている。

 そして、どうして農家戸数が減っていくのかということを考えなければいけないことであります。そして、深刻なのは、決して仕事が嫌いで農家をやめているわけではない。仕事が好きなのに、これでは食べていけなくて、仕事をやめなきゃいけない、替えなきゃいけないということだと思うんですね。農業というのは非常に政治の政策との結びつきが強いと思いますので、この政策の方向性というのは非常に重要だと思います。

 総理は、農家戸数を減らさないためにどうすればいいかと考えているか、これを一点、聞かせてください。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、農業所得、これは中長期的には、農地の集積、集約化、六次産業化によって上昇傾向にある、これは事実でありますが、ただ、足下では、物価高の影響等を考えますときに、大変厳しい状況にある、このように受け止めております。

 そして、こうした農業の状況に対して、配合飼料コスト、あるいは飼料コストの抑制策など、様々な物価高騰対策を重層的に講ずる。将来に向けた対策としては、肥料、飼料の国産化支援を行う。こういったことを進めているわけでありますが、農業所得の確保あるいは持続可能性の確保、こういったことについては、食料・農業・農村基本法の改正等を通じて農政を再構築しなければならないということで、農地の集積、集約や、スマート技術等による生産性の向上、第六次産業化等による付加価値の向上や輸出を含めた販路開拓、こういった支援を効果的に進めていかなければならないと認識をしております。

石川(香)委員 現場はそういう答えを求めているわけじゃないと思うんですね。

 昨日、今日の国会の審議といい、農業政策といい、とても一方的で、現場の人の気持ちを想像することが欠けているなということを強く指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

小野寺委員長 これにて石川さんの質疑は終了いたしました。

 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問させていただきます。

 先ほど石川委員の方からも再三言いましたので、もう日程のことは余り言おうとは思わないんですけれども、ただ、やはり総理を始め、能登半島地震、被災地の復興のために予算の早期成立を、早期成立をとおっしゃいますが、まるで月曜になったら早期成立しないかのようにおっしゃいますが、そもそも、憲法六十条第二項で、三十日後にはいずれにせよ成立するわけですよ。しかも、参議院だって、それはもちろん御党、自民党が多数を持っているわけですから、成立させられるわけです。

 更に言うなら、災害予算というのは、私も短いながら知事をしましたけれども、基本的に都道府県が払うんですよ。国はそれに対して補助するので、率直に、多少、それは遅れない、年度内の方がいろいろと便利だというのはありますけれども、一日、二日変わって何が変わりますかというのが、正直、本当のところだと思いますよ。それをそんなふうに、まるで年度内でなければ世が終わるみたいなことを言われても、それは違いますよと言わざるを得ません。しかも、御党は別に年度内に終わらせられるんですから、明日になったって。それはきちんと言わせていただきます。

 その上で、能登半島地震の新しい交付金についてお伺いいたします。

 こちらは、最初に総理が打ち出されました新しい交付金が、最初は六十五歳以上の方がおられる世帯だけとなっていたのが、随分広がる、広げる方針だというふうにおっしゃっておられるということに関しては、これはありがたいことだと思います、率直に。それは皆さんも喜んでいると思いますよ。

 ただ、言われているところですと、高齢者や障害者のいる世帯、資金の借入れや返済が難しい世帯、住民税非課税世帯等々、あとは、家計が急変して苦しく、難しくなった世帯、離職、廃業した人がいる世帯ということで、やはり全員じゃないんですね。今、広げた段階で八割の世帯は対象になっていると大体伺っているんですけれども、逆に言うと、二割の世帯が対象でない。

 確かに、理屈としては、仕事も失っていない、ローンもかかっていない、そういう人は自分で払ってくださいよという理屈はあり得るのかもしれませんが、しかし、その理屈を言うなら、だったら六十五歳以上の人だって同じでしょうということになるんですよ。なぜか、六十五歳以上の人は全員適用、六十五歳以下の人は物すごく適用がない。

 だって、借りられる人だっているでしょう、借りられる人だっているわけじゃないですか。おかしいでしょう。だって、若い人は借りられるか借りられないかをちゃんとやるのに、なぜか高齢者はそういうことは一切関係なくて適用する。極めておかしな基準なわけです。おかしいですよ、これは基準として。やるなら皆さんにやったらいいじゃないですか。

 これは昨日の国会の趣旨弁明でも山井委員からもお話がありましたけれども、審査にめちゃくちゃな時間がかかっちゃうわけですよ。だって、返済余力があるのかないのか、しかも、家計が急変したというのは、タイミングによっても変わっちゃうわけです。もたもたしているうちに、実は、そういう余力のある、多少なりとも余力はある、もちろん生活を再建しなきゃいけないですよ、大変苦しいなりに。でも、若かったり仕事を持っていたりする人はどんどんいなくなっちゃうわけです。そうじゃない、そういう人にむしろ残ってほしいわけじゃないですか。であれば、これはもう全員にされたらいいじゃないですか。

 そのために必要な予算というのは、これは粗い粗い計算ですけれども、僅か二百五十六億円程度ではないか。総理が恐らく、私、そう言わざるを得ないと思うんですけれども、総理が御自身の人気取りのために唐突に決めた定額給付金、これは三・五兆円ですよ、三・五兆円。二百五十六億というのはその一%以下です。なぜそうしないんですか。そうした方が多くの人がきっと救われますよ。何なら総理の人気だって、株が上がりますよ。

 総理のためにも、そして何より被災者の皆さんのために、これは皆さんに適用してください。御所見を伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から、高齢者でも様々な高齢者がいるではないかという御指摘がありましたが、やはり高齢者の方々にとって、長期の借入れということになりますと対応が難しいという現実があると認識をしています。

 そして、この新たな交付金制度の対象地域については、高齢化率が著しく高い、こういったことに加えて、半島という地理的な制約があって、住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方も多い、また、地域コミュニティーの再生に向けて大きな課題もある。こういった実情、特徴、こういったこと、更に加えて、深刻な被災状況、こんなことを考えて、石川県とも調整の上で能登地域六市町とした、こういったことであります。そして、高齢者のみならず、資金の借入れや返済が容易でない世帯、これは若者や子育て世帯も含めて、幅広く対象を広げるということにいたしました。

 そして、それに加えて、この制度の対象とならない方については、石川県の事業として最大三百万円の助成事業を今調整してもらっていますが、これに対して国として手厚い地方財政措置を検討していく。こういった形で、新たな交付金制度の対象とならない方に対しても支援を用意していきたいと考えています。

 そして、地元に対する支援、液状化被害への対応を始め様々な支援を重層的に用意することによって、いろいろな立場の方がおられると思いますが、できるだけ幅広く支援の手が届くように対応してまいります。

米山委員 非常に長い答弁なんですけれども、要するに、若い方にも条件をつけずに適用する気はない、そういう御回答だったかと思います。非常に残念です。

 高齢者の方はみんな借入れが困難なようなことをおっしゃられましたけれども、高齢者の方だって、非常に土地持ちで、土地を担保にすれば借りられますという人がいるわけですよ。そういう人だったら別にいいわけなんです。なのに、なぜか若い人だけ駄目。それは本当におかしな制度だともう一回指摘させていただきます。そしてもう一つ、若い人に冷たい制度だと申し上げさせていただきます。

 その上で、また、今度は地域のことですけれども、地域に対する給付金なら、それは確かに、能登地域は高齢化が進んでいるとか、そういうことを言っても分かりますよ。でも、これは個人に対する交付金なんです。個人は、別にどこで被災しようが変わらないわけですよ。

 これも昨日の趣旨弁明でありましたけれども、県境を一本分けて、あなたは対象、あなたは対象じゃないというのはおかしいじゃないですか。それは、富山県を挟みますけれども、新潟県だって同じように被災しているわけですよ。同じように高齢な方だっておられるわけですよ。何でそちらが適用されないのか。これはちょっと趣旨としておかし過ぎると思うんですよ。

 本当に、地域の高齢化という話なら、では、地域に交付してくださいよ。個人に交付するんでしょう。だったら、同じように全員対象にすべきです。

 これも粗い粗い計算ですけれども、別に新潟、富山を合わせたところで、八十三億円増えるにすぎません。先ほどの三・五兆円から比べれば、もう一%以下ですよ。これはそもそも、論理的に加えるべきだと思います。能登半島地震で被災した全ての地域の方に、年齢はいいですよ、制度趣旨だというなら。全ての地域の方に適用するおつもりがあるかないか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 基本的な考え方は、先ほど申し上げたとおりであります。

 若い世代に冷たいのではないかということでありますが、新たな交付金制度、できるだけ対象を広げるとともに、併せて行う石川県の助成事業についても、子供、子育て世帯には所得制限等はかけないということでありますので、少なくとも、子供、子育て世帯についてはフルカバーされるものであると考えております。

 そして、その上で、対象とならない地域、例えば石川県外の地域等については、先ほど申し上げました液状化被害への対応、あるいは、そもそも、議論になった被災者生活再建支援金、これは規定どおり支給されるわけでありますし、様々な支援が重層的に用意されています。

 そういった支援をそれぞれ活用することによって、できるだけ幅広い地域に対して、様々な事情に応じて支援を行ってまいります。

米山委員 これもそう答えられるんでしょう。

 岸田総理、御自身の人気取りのためなら三・五兆円払えるけれども、被災者を救うためには、あれこれあれこれ条件をつけて、百億、八十億のそういったお金はもう払えない、払いたくない、そういう政権運営であるということを御指摘させていただきます。

 その上で、今度は次に、政治資金パーティーのこと、政治とお金のこと、これはもう言いたくないですけれども、聞かせていただきます。これは大問題だと思いますので。

 先日の政倫審におきまして、岸田総理は、野田議員の質問に対して、在任中は政治資金パーティーはしませんとおっしゃられました。

 ところで、この政治資金パーティーの中に、我々が言うところの岸田方式による闇パーティー、これは入るのか、入らないのか。

 だって、岸田総理、有志が主催して、岸田事務所が全部事務をやって、そして、収益に関して、三百二十万円ですね、岸田事務所に寄附するものは、それはパーティーじゃないからいいんだとおっしゃっていますよね。ということは、在任中、それをまだやられるんですか、やられないんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の、私の総理大臣就任を祝う会については、地元の知事を始め政財界の皆様が発起人となって開催していただいた、純粋な祝賀会であります。

 委員の方から、事務は全部岸田事務所がやったという発言がありましたが、それは実態ではありません。これは、政治資金パーティーについて、この会の事務局において、口座の開設など不慣れな部分もあるのでアドバイスを求められた、手伝った、これはそのとおりでありますが、全てうちの事務所が行ったというのは事実ではありません。あくまでも任意団体が開催した会であると思います。

 そして、こうした地元の方々の好意による会であるということで好意を受け止めさせていただきましたが、一部であれ、こうした会にうちの事務所もアドバイス等で関わったということを受けて指摘を受けたこと、このことについては重く受け止め、今後の対応に慎重を期さなければならないと思っております。

米山委員 結局、慎重なだけで、在任中も今後、岸田方式闇パーティーをやられる、そういう御主張かと思います。驚きました。

小野寺委員長 総理から答弁を求められておりますが。

米山委員 結構です。この後もう一回聞きますので、そのときに、最後にまとめて答えてください。

 あわせて、これは本当に、僕は前も聞きましたけれども、深刻だと思うんですよ。あらゆる法律というのは運用があります。その運用において、勝手に基準をずらされたら、あらゆる法律は骨抜きになるんですよ。

 今、岸田総理という行政トップ自身が政治資金規正法の脱法行為を、それでいいんです、在任中もまだやりますと。今聞かれて、しないと言わないんですよ。そうしたら、これからどんな政治改革をしようが、政治資金法の改正をやろうが、全部、脱法行為を総理自らやっちゃうんです。こんなことはあり得ないでしょう。

 ですので、答弁されたいそうですけれども、お願いしますけれども、今後するのか、もう一度聞きますよ。それから、今後ほかの方がやっていいのか。それに対する岸田総理御自身の御意見、ちゃんと言ってください、行政トップですから。この方式でみんなやっていいんですね。それを政治資金収支報告書に書かなくていいんですね。いいか悪いか、岸田総理の御所見を伺います。

岸田内閣総理大臣 今回の件については、先ほど申し上げたように、これは地元の有志の方々が任意団体として対応していただきました。

 法律違反をしていいのかということでありますが、政治資金収支報告書についても、寄附等については法律に基づいて報告をしているところであり、法律に反するものではありません。(発言する者あり)

小野寺委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 これは任意団体がやることでありますから、私がやる、やらないを決めるものではありませんが、こうした一部でも関与したということをもって、こういった指摘を受けていることは重く受け止めております。

 このことについて、関係者も含めて、今後こうした指摘を受けないようにすることは重要であると思います。

米山委員 もう時間ですから終わりますけれども、総理自ら今後ともやられる、自民党の皆さんも今後ともこういった脱法的な行為をやられるということが分かりました。極めて残念です。

 以上です。

小野寺委員長 これにて米山君の質疑は終了いたしました。

 次に、早稲田ゆきさん。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。

 済みません、少し声が出ませんけれども、よろしくお願いいたします。

 今、もうずっと本日の予算審議を聞いておりましたが、裏金議員に対して、岸田総理が何か納税を促すようなこともなければ、自らの脱法行為を否定もされない。そういうような議論で、どれだけこの予算審議の時間を使ったのでしょうか。政治と金の問題、裏金議員の問題、そして、さらには政倫審までやっているけれども、その一方で、私は町の声を御紹介したいと思います。

 深夜国会、異例の土曜国会、そしてまた、強行採決しようとしている、そういう状況がございました。一方で、自民党さんが自分たちの裏金の問題を政倫審で説明しようとしている、反省をしているという状況の中で、一方ではそうした与野党の合意も得られないままに圧力をかけてくる。強行採決をしようとして、一方で高圧的に深夜国会や土曜国会、とんでもないことだと思いますよ。謝っているのか、高圧的なのか、どっちなんだ、そういうふうに言われております。結局、悪いと思っていないのね、そういうことなんじゃないでしょうか。大変残念です。

 でも、ここをやっていると時間がなくなりますから、私は、その審議時間が、また、子供、子育てに関して言えば、支援金のことで、本当に全然分からない答弁ばかりで、これも審議時間を無駄になくしてしまいました。

 そして、今日もございましたけれども、結局、岸田総理は、私の答弁のときに五百円弱とおっしゃいました。五百円弱とおっしゃってから、その二週間後にはもう五百円超、それから千円超という御答弁を加藤大臣がしていらっしゃるわけですね。二週間でこんなにも変わってしまう。そういう答弁の、閣内でも一貫性がないということはやはり指摘をしなければならないし、それが国民に、理解ができない、不安をあおっているような形なんです。

 そして今日も、百四十六万円。百四十六万円の給付の内容でございますが、これも私が二、三日前から、この根拠を示してほしいと。だって、百四十六というきちんとした数字まで出ているのに、絶対出さないんですね。それで、百四十六、子育て支援金で、それから今回の加速化プランでやる分だけなんです。

 そして、いろいろ、児童手当とかおっしゃいますけれども、その中身をきちんと、これとこれとこれで、何万人に対して、そして予算はこれだけとおっしゃっていただければよく分かるのに、それも言わないで予算審議をしようとしている。おかしいでしょう、どう考えても。

 そして、私は、今日は子供の貧困対策について伺いたいと思います。

 これは特に、貧困対策にはほど遠い、今回の一人親の児童扶養手当の状況がございます。

 昨年十月三十日、私の予算委員会での質問に対して、総理は、子供の貧困対策に低所得家庭への児童扶養手当の拡充は大変重要、拡充を検討していると答弁をされました。そして、そうしたら、蓋を開けてみたら、所得制限の引上げのみにとどまったわけです。これは関係者の皆さん、一人親の皆さん、大変がっかりしておられます。

 このことについて伺いたいのですが、どうしてこの状況で、八十五万とか八十万世帯いらっしゃるわけですけれども、現在全部支給の三十八万世帯には全く増額がないんです。対象になっている方は本当にごくごく、半分ですね、四十四万世帯に約三十四億円ということになっています。

 私たちは、昨年十月の二十三日、児童扶養手当の拡充法案を出しております。これについては、子供一人でも二人でも三人でも、一人当たり一万円ずつを拡充する。だって、これが足りないということで、それから養育費ももらえない、そういう家庭が半分以上なんです。それで、これを国会に提出し、これですと、八十五万世帯、百三十万人のお子さんに約五百二十億円です。

 どうしてこういうふうに、一遍にできなくても、やはり予算額を拡充するためには、一万円なりをもっと上乗せしていこうということをなぜなさらないんでしょうか。全ての一人親家庭に一万円の児童扶養手当の拡充を、直ちに決断していただきたいと思いますが、総理、お考えを伺います。

岸田内閣総理大臣 今般の加速化プランでは、児童扶養手当について、二十二年ぶりに一部支給の対象となる所得限度額を引き上げるとともに、多子家庭への加算額を拡充する、こうした拡充を盛り込んだところであります。あわせて、こうした一人親家庭については、就業支援、あるいは養育費確保等の強化、こうした支援を強化する、こうしたことを盛り込んでいるわけであります。

 そして、経済的支援ということで申し上げるならば、児童扶養手当の全部支給を受けているような一人親世帯は、昨年の経済対策で取りまとめた、低所得世帯に対する七万円の追加支給を含む合計十万円給付の対象となるケースが多い。その場合には、子育て世帯に対する子供一人当たり五万円加算、これも行われています。

 このように、一人親家庭の生活、これを支えるためには、様々な政策を多面的に、重層的に重ねることが重要であると認識をしております。

早稲田委員 今まで、コロナのとき、それから物価高対策として、確かにそうしたものを給付金としては出しております。そのかいがあってかということで、二〇一八年は一四%の子供の貧困率が今一一・五%になっておりますが、これはワンショットのものが続いていたからなんです。

 それで今度、やはり有識者の方たちに言わせれば、この二〇二四年がどうなるか、これを大変注視していかなければならない。その中で、児童扶養手当が拡充されなかったわけですね、一万円ということでは。それで今、総理がおっしゃったように、四十四万世帯にはあるけれども、三十八万世帯には全く増額はないんです。

 それで今、就業の支援とかをおっしゃいました。確かにそれもやっていらっしゃるけれども、ずっとやっていらっしゃるわけですよ。二十年間変えなかったというのは、二十年間変えてこなかったこと自体を重く受け止めていただきたいと思います。これだけ物価高、これだけコロナで、もう職もなくなってしまったという中ですから。

 それから、特に日本の場合は、就業の在り方というのは、一人親は決して悪くないんです。それよりも、現金給付が足りないという統計が出ています。だから、それを上乗せするということが大変重要なんだと私は思っています。

 そして、この加速化プラン三・六兆円の中にある子供の貧困対策というのは、児童扶養手当の所得制限の引上げだけで、ほとんど、目玉のものは入っておりません。

 子供食堂などとおっしゃいますでしょうけれども、子供食堂は九千か所ですよ。もう全国の中学校と同じ数で、それもみんな共助でやっていただいている。私のお知り合いも、倉庫を、やる場所がないから何とかどこかで見つけて、行政に支援してもらえないかというので、十万円、二十万円、そういう支援を受けていることがあります。でも、本来ならば、給食一食だけしかきちんと食べられないという子供に、子育て支援ということでいえば、一番最重要課題じゃないんですか。それなのに、何でこういうふうに小出しにしかできないのか、私には理解できません。

 三・六兆円、これで子供の貧困率が改善されると思われますか。総理に伺います。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、児童扶養手当、もちろん今回拡充をしたわけでありますが、不十分であるという御指摘をいただきました。それに対して、先ほど来説明をさせていただいています。

 他の政策、例えば大学等への進学に向けて学習支援強化をするとか、先ほども申し上げました就業支援、養育費確保支援、こういったものを強化するですとか、あるいは経済的支援、十万円の給付、あるいは子育て世帯には子供一人当たり五万円の加算、こういったことを行っていく、こうした経済的支援も併せて行っていると申し上げています。

 こういった政策を重層的に、多面的に重ねることが一人親家庭への支援につながると申し上げております。

早稲田委員 恒久的な児童扶養手当の拡充をお願いしているんです。半分に行き渡らないのは拡充とは言いません。

 それで、神奈川県の方でアンケート調査をいたしました。そのときには十人に一人が子供の貧困ということでした。十人に一人ですよ。六割の親世代の方がお金のことを心配している。さらに、中学生の十五歳の三割がお金の心配をしているとアンケートに答えています。

 このことをもっても、もっと拡充をすべき、そして、私たちの案、一万円を子供にしっかりと、増額法案をこの国会でも審議をしていただきたい、そのことを強く求めます。

 それから、次の質問に移ります。

 子育て支援の加速化プランの実施により、子育て予算がOECDトップのスウェーデンの水準になる、そのようなことを総理は施政方針演説でおっしゃいました。これですけれども、これは見せかけですね。非常に危うい話です。

 子供一人当たりの家族関係支出がGDP比一六%と、OECDトップのスウェーデンに達するというんですけれども、子供一人当たりの家族関係支出は、家族関係支出約十兆円を十八歳人口の二千万人で割って、さらに、GDPの五百五十三兆円を全人口一・二億人でこれは割るというものなんです。

 OECD諸国、それからほかでこうした比較をされているところがありますか。

岸田内閣総理大臣 子育て関係予算の国際比較が行われる場合には、一般的に家族関係支出が使われていると承知をしておりますが、今回のこども未来戦略では、子供の視点に立って、子供一人一人にどの程度の予算を充てているのか、これを分かりやすく示す、こういった観点から、子供一人当たりで見た、そういった説明をさせていただいております。

 日本の一人一人に対する支援、これを充実させる、そういったことから、国際比較においても子供一人一人の予算について紹介させていただいた、こういったことであります。

早稲田委員 今お答えになりませんでした。世界で、OECD諸国でこういう比較をしているところがあるかということにはお答えをしていません。これはないんです、もう聞きました。

 それで、十八歳以下の人口当たりで割る家族関係支出というのは、財務省が独自に作ったものなんです。それで、これだとうまくいくというところで、このスウェーデン並みということをお使いになったんだと思います。

 元々、こども家庭庁は、家族関係支出、GDP比でやっているわけですから、これが今一・七だけれども、戦略を、三年間の加速化プランをやれば二・一になるということで、しっかり地道に積み上げていただきたい。こういう財務省に惑わされない、そして、総理の発言に惑わされないでやっていただくということをしっかりと申し上げて、私の質問を終わります。

小野寺委員長 これにて早稲田さんの質疑は終了いたしました。

 次に、小山展弘君。

小山委員 立憲民主党の小山展弘です。

 まず最初に、今日は戸別所得補償制度に関する質問からさせていただきたいと思います。

 現在、農家の方々は、石川議員の質疑や、あるいはこれまでの集中審議、一般質疑の中にもございましたけれども、資材高、燃油高等のコスト高に大変苦しんでおります。廃業者も発生して、農家の戸数も減少傾向であり、今後更に就農人口は減る見通しです。

 コスト上昇により所得が低下し、経営も生活も苦しくなっているわけですけれども、今、先ほども石川議員のところで農業所得についてのやり取りがございましたが、やはり、令和四年、二〇二二年の所得は新しい算出方法でも大幅に減っているんですね。これは、かなりやはりコスト高というのが影響していると思うんですけれども。

 政府の農家支援策というところでは、コスト対策については短期間のものであって、将来にわたっての、制度として整えられているものじゃなくて、あくまでも短期的なもの。ですから、農家の方々は将来についての不安を拭い切れない。一方で、収入保険やナラシなどの制度は、収益や売上げに対する保険、制度であって、コスト高に対応できていないと思います。

 やはり、所得を補償する制度の創設というのが、重ねて申し上げますが、必要だと思うんですけれども、これについて総理の見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 農業所得については、先ほどもお答えさせていただきましたが、中長期的には上昇傾向にありますが、足下、物価高の影響を受けて、大変厳しい状況にある、このように認識をしています。

 そして、委員の方から政府の対策は短期的であるという御指摘がありましたが、実際、物価高に対しては、配合飼料コスト、肥料コストの抑制策などを行う、肥料、飼料の国産化も進めていく、こうした対策を取っているわけでありますが、あわせて、人件費を始め恒常的なコスト増に対しては、適正な価格形成に向けて、農林水産省において、生産、流通、加工、小売等の各段階の関係者による協議会を設けて新たな仕組みを議論しているところであり、それによって、収入保険制度等を適切に使いながら、生産性の向上、付加価値の向上、販路の開拓、こういった政策を進めているところであります。

小山委員 今、岸田総理が後半の方でおっしゃったところは、多分、エガリム2法を参考にした価格転嫁の取組のことではないかなと思うんですが、実は、前回の坂本大臣からの一般質疑の御答弁の中でも、なかなかこれは中小企業さんの今価格転嫁もそうですけれども進んでいかない、ヨーロッパなんかでも、フランスなんかでも、周辺諸国で、やはり農家さんが、エガリム2法を入れたはずなのに価格は上がらないじゃないかというような声もあるんですね。

 それと、よく中長期で増加傾向にあるということもお話、岸田総理もありましたけれども、だけれども、中長期で仮に上がっていても、今、足下のところで農家の経営が立ち行かなくなって廃業してしまって、そして離農者が増えていってしまったら、その先に、やる人がいない、あるいは耕作放棄になってしまうということも出てしまうと思うんです。

 ですから、やはり、ここは東大の鈴木宣弘先生もおっしゃっておられますけれども、今、所得を補償する制度というものをやはり考えていただきたいと思うんです。

 もしかしたら、自民党さんの中には、民主党政権のときに戸別所得補償をやったから、けしからぬ、気に入らぬというようなことがあるのかもしれないです。

 ちなみに、もう一つ、ちょっと話が前後しますが、前に坂本大臣の御答弁で、お米から麦、大豆等への転作が進まないというような御指摘もありましたが、その御指摘は当たらないと思っておりますというふうに、答弁風に申し上げさせていただきますが。

 というのは、これは篠原孝衆議院議員も申し上げておりますけれども、麦、大豆、菜種等の交付金の単価を上げることによって、そちらに政策誘導することができます。そういう制度になっておりますので。

 是非ここは、私、あえて個人の立場で申し上げますけれども、党と党のメンツにこだわっているときじゃないと思うんですね。是非、農家の方々が安心して営農継続できて、また食料安全保障というものを確保していくために、与野党で協力して、場合によっては超党派で、所得補償に関する制度、全品目について入れていきたい。

 総理、どうですか。是非御答弁ください。

坂本国務大臣 二〇二三年から二〇二七年までのEUの新しい共通政策、CAPでは、やはり、所得補償の、所得支持を目的とした直接支払い、この割合は減っております。

 そして、各国でそれぞれやはり生産性を向上する、あるいは有機農業を始めとして環境型農業をやるというようなことで世界は進んでおりますので、私たち日本の農業といたしましても、これからは生産性の向上、あるいはスマート化等によりまして、様々な農業の効率化、こういうことによって、やはり若い農業後継者あたりをしっかりと確保していきたいというふうなことで、今後も進めてまいりたいというふうに思っております。

小山委員 元々の発射台のところで、やはり日本は農家さんの所得に占める政府からの支援あるいは補助金といったものの比率が低いんですね、ヨーロッパよりも。

 ですから、やはり今、ヨーロッパは今減ってきているかもしれないけれども、日本の場合にはやはり所得を補償する制度の導入というのを、是非超党派で、与野党で協力して、恐らく、私どもの党と政府あるいは農水省さんとの認識、一致するところもあると思いますので、是非ここは御検討いただきたいと思いますし、また、今大臣からもお話のあった有機農業の推進といったこと、全部が有機になるということはもちろん政府もおっしゃっていないし、我々も適したところと適していないところがあると思いますけれども、しかし、それは今後の食料安全保障や食料自給率のことを考えても進めていかなければいけないことだと思っております。

 次に、エンゲル係数のことをちょっとお尋ねしたいと思います。

 資料一を皆様御覧ください。

 エンゲル係数四十年ぶりの高水準ということで、日本農業新聞の記事でございますけれども出ております。これは、食費の家計圧迫、生活の困窮が更に深刻化していることを示しております。実質賃金二年連続のマイナス、日銀の異次元の金融緩和による円安の進行、物価高の進行によるものと考えられておりますが、日本でエンゲル係数が上がるというのは、ある意味、これは恥ずかしいことだと思います。ですから、やはりこういうところに多くの国民の生活が豊かになっていないということが表れていると思うんですね。

 食料自給率が極端に低い日本では、今後、生活弱者の食生活が為替相場に振り回されかねない、食べ物に困るというような事態にもなりかねないと思いますし、また、食料安全保障とエンゲル係数というのはかなり関係のある指標だと思います。

 エンゲル係数が高水準になってきたことについて、総理の認識をお尋ねします。

岸田内閣総理大臣 エンゲル係数が高まっているということについては、複合的な、様々な要因が絡んでいると認識をしています。

 近年の物価上昇の影響、これもあると思いますが、相対的に食費の割合の高い高齢者世帯が増加している、こういったこともありますし、また、外食、総菜等への支出志向が高い共働き世帯が増加している、こうしたことも影響しておりますし、また、経済的な理由によって健康的な食生活を送るための食料を入手できない人が増加している、こういったこともあります。

 こういったことが複合的に絡んで、結果としてエンゲル係数が高まっている、こういったことにつながっていると認識をしております。

小山委員 もちろん一つの要因だけではないと思いますけれども、しかし、円安や異次元の金融緩和の影響といったものもやはり考えられると思うんですね。

 そこで、金融についてお尋ねしたいと思うんですけれども、先日、米山議員の質疑の中で、日銀の植田総裁は、現状はインフレと答弁されました。岸田総理は施政方針演説でデフレ脱却と述べておられますけれども、岸田総理は、今の日本の物価状況、インフレなのかデフレなのか、どちらと御認識されていらっしゃるのか。また、デフレ脱却とおっしゃっていらっしゃいますけれども、デフレの定義や内容、あるいは原因といったものを、どのような認識を持っていらっしゃいますでしょうか。

 何でこんなことを聞くかというと、現在の自民党政権の起点となる二〇一二年の選挙の際に、当時の安倍総裁や黒田日銀総裁は、リフレ派や期待派の考えに極めて近くて、日本の低成長の原因はデフレ、そのデフレは貨幣的現象、だから金融政策以外の要因が物価に与える影響を文字どおり全否定して、日銀がマネタリーベースを拡大して期待に働きかければこれは解消できる、日銀が大胆に金融緩和すれば問題は解決する、そういう考えに沿っておられました。ここはもっと細かく話したいところです。

 一方で、総理と同じ旧宏池会に所属されていた柳沢伯夫先生、私が申し上げるのはちょっと恐縮ですけれども、御著書の中で、銀行の貸出しが伸びないのは健全な企業からの資金需要がないためだ、経済の全体的なデフレ状況に伴い、金融機関の資金需要も減退を重ね、当局による長期にわたる金融の量的緩和や低金利政策の実施にもはかばかしい反応が見られない、異次元の金融緩和は五年たっても、これは少し前の著書ですね、黒田総裁が掲げたインフレ目標を達成するにはほとんど効果を生まなかった、リフレ政策がなぜ利かなかったかを解明することに経済学者はもっと力を尽くすべきだと述べておられます。

 柳沢先生は、私が一聴衆として参加したある講演でも、物価の横ばい、いわゆる皆さんがデフレと言っていることについても、貨幣問題ではない、貨幣の量が足りないからではなくて実体経済に問題があって、人口減少、投資先の海外転向、あるいは海外から安い商品が入ってくる、こういったことを原因だとおっしゃっていますけれども、総理の御認識はいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員の方からいろいろ御指摘がありましたが、まず、冒頭の日銀の植田総裁の発言、これは承知していますが、政府としても、消費者物価はこのところ緩やかに上昇している、このように認識をしています。しかしながら、日本経済は再びデフレに戻る見込みがないと言える状況には至っていないと考えています。したがって、デフレ脱却には至っていない、このように考えております。

 だからこそ、今こそ長い間日本経済にしみついたデフレから完全脱却し、熱量あふれる新たな成長型経済に移行してまいりたいと申し上げています。

 そして、委員の方から、デフレの原因等について御質問がありましたが、これも様々な要因がありますが、我が国経済は、一九九〇年代のバブル崩壊以降、不良債権と金融システム問題などの困難に加えて、アジア通貨危機、リーマン・ショックなどの外生的危機に見舞われてきました。

 この中で、企業はどう対応したかということでありますが、企業は、足下の収益の確保のために賃金や成長の源泉である投資を抑制せざるを得ず、結果として消費や物価の抑制につながってしまった、こうした低物価、低賃金、低成長、こういう長引くデフレの悪循環、これに陥ってしまったというのが原因であると認識をしております。

小山委員 緩やかな物価上昇というところで、足下の現象ではインフレということをおっしゃられたんだと思います。それと、インフレではあるけれども、しかし、物価が下がっていくような需要不足というか、そういう構造が、社会構造、経済構造があるということをおっしゃられようと思ったと思うんですが、その原因が企業の投資不足ということだったと思いますけれども。

 しかし、それは、私が伺いたいのは、じゃ、アベノミクスなるもので今まで金融緩和を行ってきた、そのことで解消されたんでしょうか。アベノミクスということで、今、岸田総理がおっしゃったデフレ状況というものは、まだ脱却できていないとおっしゃっていますけれども、十年にもわたってやってきたのに、なぜ解消されなかったんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 アベノミクスによってデフレではない状況をもたらしたという評価があるわけでありますが、要は、これが完全脱却につながらなかったのは、経済の好循環、分配と成長の好循環にまでは至っていなかったということであります。

 だからこそ、新しい資本主義においてはこの好循環を実現しなければならない、そのためには、マーケットやあるいは競争に任せるというのではなくして、新しい官民の連携が重要であるということを訴えさせていただいています。

 こういったことによって、是非、経済の好循環、これを実現することによって、デフレからの完全脱却、これを目指していきたいと考えています。

小山委員 終わりますが、その好循環になるためにも、私は、少子化であるとか、あるいは新しい産業の成長とか、そういったところにもう少し目を向けていただければと思います。

 終わります。

小野寺委員長 これにて小山君の質疑は終了いたしました。

 次に、山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。

 立憲ラストバッターでございますので、個別の論点というよりは、この一か月間、総理と議論をしてきて見えてきた、岸田政権の抱える本質的な危機ということを議論したい。

 ポイントは二つあります。総理御自身の孤立化と暴走、そして、それと表裏一体の関係にある自民党のガバナンスの崩壊です。

 具体的な事例から話していきます。

 昨日から今日に至るこの予算委員会の採決強行、ハプニングと言っていいんでしょう、あえて経緯は繰り返しませんけれども。先ほど江田議員との質疑の中で、総理はこの強行採決の問題について小野寺委員長に直接は指示をしていないとおっしゃいましたけれども、にわかには信じ難いと思います。じゃ、誰が決めたんですかという話です。

 自民党の現場の皆さんは、四日の月曜日でいいと皆さん考えていました。小野寺委員長も、昨日、宮城県の高校の卒業式でしたよね。恐らく委員長御自身も、強行でやろうなんて御自分では思いつかなかったと思うんです。じゃ、誰が決めたんですか。総理しかいないではありませんか。

 土曜日までに予算を通過させろ、強行でもいい、このことを総理は、指示はしていないとおっしゃいましたが、指示じゃなくてもいいです、コメントでも意見でもお願いでも何でもいいです、何らかの意思表示を、委員長なり国対委員長なり、あるいは村井副長官なり、こういった方々に総理がしたのではありませんか。

岸田内閣総理大臣 これは再三お答えしているように、国会においてどうやって審議を進めるのか、日程等については国会でお決めいただくものであると認識をしています。

 その中で、政府としては、そして与党としても、年度内に今の令和六年度予算を成立させることが重要であるということは再三申し上げてきました。この内容であったり、あるいは被災地の予測可能性等を考えても、年度内成立が重要であるということを申し上げた。また、何よりも被災地から年度内成立を望む、こういった声を随分といただいてきた。こういったことを踏まえて、政府としては年度内成立が大事だということは再三申し上げてきました。

 その上で、国会において、現場において、国会の運営、取り運び方について判断をし、議論を行ってこられたと認識をしております。

山岸委員 総理、被災地を政治利用しないでください。その詭弁は先ほど同僚議員が完璧に否定しましたから、もう言わないでください。

 国対委員長に対しても、人を介してでもいいです、村井副長官を介してでもいいです、総理の強い決意、土曜までに通せ、こういう意思を伝えていないんですか。

岸田内閣総理大臣 年度内に本予算を成立することの重要性は何度となく党の関係者に申し上げてきております。

 その上で、具体的な日程調整、これは国会の現場において判断されて、調整されたと考えております。

山岸委員 総理の御答弁が事実なら、私、これはこれで大変恐ろしいと思う。つまり、誰も決めていない、誰も望んでいない、誰も言っていない、それなのに、円満にやってきた予算委員会が最後の最後で強行採決が決められてしまった、これこそが政権のガバナンスの崩壊そのものじゃないですか。

 私、多分、総理御自身もこの認識を一定共有されているんじゃないか、今、政権のガバナンスがやばいなと分かっていらっしゃるんじゃないかなと思うんです。

 パネルを御覧ください。資料をお配りしております。ちょっと資料がちっちゃいのですけれども、新聞記事、これは二十九日ですから、総理が政倫審にお出になった日の朝刊でございますね。

 総理が周辺にこう語ったと。「誰もやってくれないんだ。やるべき人は色々いるはずなのに……」と総理が周辺に言ったと報道されています。周辺とあるからには、僕も政治記者をやっていましたから、周辺というのは大抵、秘書官とか補佐官、あるいは記者の方、こういった辺りかなと思いますけれども、総理、この発言は事実ですか。

岸田内閣総理大臣 今の紹介いただいた発言が私の発言だとしたならば、事実ではありません。

山岸委員 事実ではなくても、心の本音ですか。

岸田内閣総理大臣 全く私は発言しておりませんし、そういった思いを何らかの形で表現したことはありません。

山岸委員 でも、総理、現に起こっていることは、この発言、このかぎ括弧のとおりじゃないですか。政倫審をめぐるどたばた。自民党が、これは茂木幹事長のサボタージュかどうか我々は分かりませんけれども、外形的にはそう見える、仕事をしない。

 そこで、二十八日、この記事の前の日に、総理がいきなり自ら政倫審に出ると表明して、二十九日に御自分がお出になった。そして、出たら出たで、今度は、出たんだから強行採決だ。自民党の現場も何も知らされていない。

 全部総理が一人で決めて、一人で動いて、独り相撲を取っている、頼れる人が全くいない、岸田ワンマンで運営されている、これは事実じゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 全く事実ではありません。

 政倫審の出席につきましても、私は関係者とよく相談した上で、その方針が決定しています。党の関係者、あるいは国会の関係者とも意思疎通を図った上で、政倫審への出席を決めているところであります。

 予算についても、年度内成立が重要だという点も、再三、党の関係者、国会の関係者に私の思いは伝えてきております。

山岸委員 総理と意思疎通を図ったという自民党の関係者が本当にいらっしゃるなら是非会ってみたいな、私は聞いたことがございません。

 多分、今、総理、こうやってどんどんどんどん独走されている中で、次に考えていらっしゃるのは裏金議員の処分ですよね。ここ数日来、処分に随分前のめりな発言が増えてきました。

 先ほども、この間、ずっと僕らは処分処分と言ったのに、ずっと言ってこなかったのに、政倫審の話が動き始めてから総理の発言は前のめりになっています。つい先ほども馬淵議員との質問の中に、何年も何か月も先ではないと、初めてタイミングに言及されました。

 何か月も先ではないということは、今月か来月しかないですよね。いつ処分するんですか。

岸田内閣総理大臣 具体的な期限を申し上げたつもりはありません。

 まずは、この事態の、事実の把握が重要であり、そして、各関係者の説明の努力が重要であると申し上げています。それを踏まえた上で、事実や説明の努力等も踏まえた上で、政治責任についても判断しますと申し上げています。そうした取組が進む中で適切なタイミングを考えます。

 何か月も先ではないというのは今月か来月かではないかという御指摘でありましたが、そういったことを具体的に申し上げたものではありません。感覚的なものを申し上げました。

山岸委員 まさに、申し上げていないけれども、感覚としては持っている、相場観を持っているということですよね。

 総理、もしかしてですけれども、総理が今お考えなのは、並みいる裏金議員の皆さんを総理が処分されれば、この秋の総裁選はライバルが次から次へと自滅をして、もちろん、石破議員もいらっしゃいますからそれは分かりませんけれども、少なくとも総理は、岸田一強だ、ライバルが自滅をして残るのは自分だけだ、まさかこんな意識をお持ちなんですか。

岸田内閣総理大臣 全くそういった指摘は当たらないと思っております。

 私自身、自民党総裁として、自民党が国民の皆さんに対して大きな疑念を招いてしまった、このことについておわびを申し上げるとともに、信頼回復のために先頭に立たなければならない、このように申し上げております。

 自民党の信頼回復のために努力をする、それに尽きると思っております。そこから先のことについて何か考えているというようなことは全くありません。

山岸委員 私、この問題を取り上げてきたのは、冒頭申し上げたように、今我々が直面しているのは、政党としてのガバナンスが機能していない与党があって、そこに独走を続ける総理が君臨をしている、このことが国民生活にとって非常に危ない。

 単に自民党の中の話だけだったらいいんです。でも、総理は内政、外交の責任者であって、その総理が与党とのコミュニケーションもよくできない、誰が与党の側で仕事しているのかも分からない。総理はどんどんどんどん物事を決めて、決めるんだけれども、動かないまま、先ほど馬淵議員も指摘しましたけれども、進んでいかない岸田サイクルの中で、また新しい何か決断をして、やったふりを繰り返していく、これは国民にとって非常に危ない。

 大変、総理、意気軒高でいらっしゃるんだけれども、多分みんな冷ややかな目で見ているんです、国民の皆さんは。僕ら野党だけではありません。自民党の良識ある皆さんもそう思っていると思います。これは、最高権力者が一番陥ってはいけない状況なんです。周りが見えていない、正しい情報が上がってこない、指示どおりに動いてくれる人がいない、でも御自分だけは何だか不思議と高揚をしていらっしゃる。これは、私は政策判断を間違えると思います。

 総理、この間、この予算委員会でも議論し、あるいは、動かない自民党の幹部という方々も見てこられて、今御自身の政権がガバナンスの深刻な危機を抱えているという御自覚はありますか。

小野寺委員長 時間が参っておりますので、端的にお答えください。

岸田内閣総理大臣 自民党自身のガバナンスということについて、問題があるとは考えておりません。

 こうした政治と金の問題についても、党の幹部を挙げて聞き取り調査を行うなど、党を挙げて対応しているところでありますし、そして、一般の党員あるいは国会議員の意見についても党として吸い上げるべく、平場の議論等も活用しながら議論を積み重ねていく、そして、その上で決定したことについては一致結束して対応していく、こうした党としてのガバナンス、これはしっかりと維持されていると考えています。

山岸委員 時間ですから終わりますけれども、ガバナンスが崩壊していることに気がつかない、そのことが真の危機である、この政権は取り替える必要がある、立憲民主党は先頭に立っていく、お約束を申し上げます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて山岸君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥下剛光君。

    〔委員長退席、上野委員長代理着席〕

奥下委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の奥下剛光です。

 まず、質問に入る前に、ちょっと一言言いたいんですけれども。この予算委員会が始まって間もなく、私の実家にも税務署が入りました。それは、三年前におやじが亡くなったことに対する税務調査で、今入られております。当然、僕は予算委員会に出ていたので対応したのはおふくろと弟なんですけれども、口座のお金とか全部調査した上で入ってこられて、今言われているような、机の中にお金が残っていないかとか、金庫に残っていないかというような調査にも来られたそうです。

 その中で、僕がちょっと気になったのは、その調査員の言葉をそのまま言うと、奥下先生には御迷惑をかからないようにしますということを言われたんですね。僕の机には一切手をつけなかったということがあったみたいなんですけれども。何が言いたいかというと、野党の一期生の僕みたいな者にそこまで気を遣われるんですから、今言われているような五人組の方にめちゃくちゃ気を遣われたんじゃないのかなという、ちょっと心配をしております。

 あと、政倫審を見ていましたけれども、秘書がやったから分からないとかという回答も多かったですけれども、長年秘書をやっておりましたから分かりますけれども、本当にそういった可能性はあると思います。秘書が本人にないしょで中抜きをするということも、これは可能といえば可能です。ですから、これが本当であるならば、これは秘書さんをきちんと訴えた方が、背任行為で訴えた方がいいと思いますし、それで国民の方が納得されるかどうか分かりませんけれども、そういったことをきちんとしていただきたいんです。

 今、政倫審を見ていても、五人組の方はこれ以上発言が変わることはないと思います。ですから、何が言いたいかというと、国税庁の皆さん、遠慮せずにとことんやってください。我々が調べるには限界があるので、やはりそうしないと、何もないというなら、それは皆さんの身を証明することにもなりますので、是非やっていただきたいと思うんです。まあ、入られている僕が言うのもちょっと変な話ですけれども。そういったことで、きちんとやっていただきたいと思います。

 では、質問に入ります。

 異次元の少子化対策についてお尋ねします。

 育児給付の増額や拡大、金銭給付の拡大が今回目玉であると思うんですけれども、いろいろな経済学で実証、検証がされているとのことですが、現金給付で子供が生まれるという結果はほとんど出ていないということです。まず金額が少ないということもあるんですけれども、給付されると、もう一人を産むというよりは、今いる子にお金をかけてしまうということが多くて、今打たれている政策は出生率を上げる効果はほとんど見られないという御指摘がありますけれども、総理の御見解をお尋ねします。

岸田内閣総理大臣 今回の加速化プランですが、一つは、若い世代の所得を増やす、そして、社会全体の構造や意識を変える、そして三つ目として、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援する、この三つの理念の下に実現を図るものでありますが、様々な支援、児童手当の抜本的拡充や、高等教育の負担軽減や、保育所の七十六年ぶりの配置改善ですとか、児童扶養手当の拡充等々、三・六兆円規模に及ぶ抜本的な政策強化を図る、このことによって、子供一人当たりの家族関係支出、GDP比でトップクラスに達する、画期的に前進する、このように説明をさせていただいておりますが、これが結果につながらないのではないか、こういった御指摘だと思いますが。

 これについては、加速化プランの実施に当たって、その実施状況や各種施策の効果等についてしっかりと検証しつつ適切な見直しを行うなど、PDCAサイクル、これをしっかりと回しながらこの政策について進めてまいりますし、そして、こういった経済的な支援が十分結果につながらなかった過去の経験を考えますときに、やはり、そうした支援策、もちろん大事でありますが、これを使う社会の機運ですとか意識、これが伴わないとせっかくの支援も結果につながらない、こういった指摘がありました。

 だからこそ、今回、社会の構造や意識、これも変えていかなければならない、これも車の両輪として、経済的支援とこうした意識の改革、これは車の両輪として進めなければ結果につながらない、そういった思いでこのプランを策定した、こういった次第であります。

奥下委員 ありがとうございます。

 おっしゃっている意味もよく分かりますが、少子化対策と子育て支援はやはりちょっと違うのかなというふうに思うので、ここをきっちり分けて今後も議論していきたいと思います。

 次に、子供、子育て支援金についてお尋ねします。

 これは委員会でもずっと言われていたことですけれども、先日の中央公聴会でも、来られた公述人の先生方、ほとんどがおっしゃっておられましたが、現役世代から高齢者まで幅広く上乗せさせるのに対し、子育て世代以外には負担に見合う利益を受けられない可能性があるという御指摘もありますが。

 そもそも国民に負担がかからないという、この点ですね。総理は、賃金が上がりますとか、歳出削減をしますとおっしゃっていただいておりますが、賃金上昇はそもそも支援金とは関係ないということと、賃金増は民間の努力であり政府は関係ない、また、賃金増が物価増に追いつくかまだ分からない中で、余りにもそこまで言い切ってしまうのはどうかという御意見がありました。

 元々医療費の縮減で子育ての予算を確保するとおっしゃっていたと思いますが、診療報酬を下げられなかったのに、なぜ、そこまで負担がないというのは、論理的に矛盾しているのではないかという御指摘がありましたけれども、総理の御見解をお願いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、重要なのは社会保障負担率であると、これは再三申し上げています。

 この社会保障負担率、分子は保険料負担であります。この保険料負担について、令和五年度、六年度の予算編成の歳出改革によって三千三百億円の軽減が生じています。これを令和十年度までずっと継続します、引っ張っていきますとお約束をしているわけであります。そして、そのことによって約一兆円の軽減が生じることとなり、その範囲内で支援金制度を導入する。こうしたことによって、社会保障負担率は上昇することにはなりません。

 そして一方、分母の方が国民の所得であります。所得、雇用者報酬等の伸びを今実現するべく賃上げ努力を続けているわけでありますが、所得が伸びれば分母が増えるわけですから、社会保障負担率の軽減、これはより確実なものになると説明をさせていただいています。

 この分子と分母両面の取組によって、確実に社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲で支援金制度を構築する、このことをもって実質的な負担が生じないと説明をさせていただいております。

奥下委員 ありがとうございます。

 この予算委員会中もずっとその説明だったので、おっしゃっている意味は分かるんですけれども。先日の中央公聴会、総理は政倫審に出ておられたので見られていないと思いますが、もし、お忙しいと思いますが、お時間があるときに是非見ていただきたいと思うんです。ほとんどの先生が、今やめた方がいい、それは与党の方が呼ばれた公述人の方もそういうふうにはっきりおっしゃっておられたので、是非、一回御参考までに見ていただけたらなというふうに思います。

 次に、社会保険制度と支援金制度についてお尋ねします。

 医療保険に上乗せという制度ですが、長年築き上げてきた社会保険制度をぶち壊しかねないんじゃないかという御指摘がありました。御存じのように、社会保険とは目的が定められている、そこで必要な受益に対する負担があるからこそ成り立つわけで、それで初めて皆様にお願いしますということになるわけですけれども、リンクしているからこそ成り立つのに、そこに違う目的の子育て支援を入れるというのは、いろいろなし崩し的になるんじゃないかという御指摘がありましたけれども、総理の御見解をお尋ねいたします。

岸田内閣総理大臣 子供、子育て支援金については、これは医療保険料に上乗せするのではなくして医療保険料と併せて徴収する、こうした仕組みを考えています。

 支援金制度、これは先ほども説明させていただきましたように、社会全体の連帯の理念の下に、全世代あるいは全経済主体で支える仕組みです。そして、医療保険制度も、賦課対象者が広く、世代を超えた支え合いの仕組みが組み込まれています。さらには、我が国の社会保険制度は、少子化、人口減少の歯止めがかけられることによって制度の持続可能性を高めることになるわけですから、存立基盤としても重要な受益を社会保険制度は受けるということであります。

 こういったことを考えますときに、医療保険料と併せて徴収すること、こうした仕組みを活用することが国民の皆さんにも理解されることになると考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 時間もあるので、最後の質問に移りたいと思いますが、第三号被保険者制度の見直しについて、武見大臣にお伺いしたいと思いますが。

 第三号被保険者制度、多いときで千二百二十万人がピークでしたが、今、七百六十万人ぐらいということで、この制度に対しても、共働き世代の増加に伴い、年金保険料を納めないことに対しての批判の声、これは地元でもよく言われます。

 短時間労働者への、被保険適用者への拡大が進められているのも承知しておりますが、第三号被保険者制度を縮小して被保険者適用の拡大をすることによってのメリット、デメリット、こういったものもあると思います。被保険者にとって、基礎年金、厚生年金が増えるとか、一方、可処分所得が減るというようなことがあると思いますが。これは議論の途中だとは思いますが、方向性が定まっていないことがより国民に不安を与えているのかと思いますが。減っていることもありまして、公述人の先生方もおっしゃっておりましたけれども、これを機会に抜本的に制度を見直してはどうかというお声がありましたけれども、武見大臣の見解をお尋ねいたします。

武見国務大臣 この年収の壁・支援強化パッケージ、おかげさまで大変多くの方に活用され始めるようになり、その役割を確実に果たし始めているというふうに認識をしております。

 例えば、このパッケージの対応策の一つであるキャリアアップの助成金、これは今年一月末時点で合計で十四万人を超える労働者の活用が予定されているなど、二〇二三年十月の制度創設からおおむね三か月が経過し、パッケージの活用は着実に進んでおりますので、経過措置としてのパッケージは確実にその役割を果たしております。

 その上で、もっと基本的な制度改革としての、例えば三号被保険者の問題といったようなことになるわけでありますけれども、この第三号被保険者については、縮小に向けたステップとして被用者保険の適用拡大に取り組んできているわけであります。現在、その検討と併せて、第三号被保険者制度についても社会保障審議会年金部会において議論を開始したところであります。

 現時点でまだ方向性が決まったわけではありませんけれども、これはやはり、三号被保険者の皆様方にとっては極めて大きな課題であって、この中には、実際に働いている方々がたくさんいらっしゃるわけでありますので、こうした方々に関わるこうした制度改革というのは丁寧にいろいろ意見を聞きながら進めていきたい、こう考えております。

奥下委員 是非、関係者の意見を大臣がおっしゃっていただいたように聞きながら、丁寧に進めていっていただきたいと思います。

 少し時間があるので、冒頭に述べさせていただいた続きみたいなことになるんですけれども。私、五歳の息子がおりますけれども、先日、パパ、安倍派でしょうと聞かれて、いや、違うよということで答えたら、安倍派へ行きなさいと怒られたんですね。何でと聞いたら、安倍派へ行ったらお金がもらえるんでしょうと。これは五歳なりの解釈なんですけれども、そのときは僕も笑ってしまったんですけれども。やはり、後から考えたら、これはよくないなと。やはり、こういった次世代の子供たちにきちんと、政治、こういった尊い仕事なんだよというのも示すためにも、本当に国税の皆さん、頑張ってください。

 終わります。

上野委員長代理 これにて奥下君の質疑は終了いたしました。

 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の守島です。維新のラストバッターを務めさせていただきます。

 私も、おとといの中央公聴会で経済見通しに対して質問をさせていただいたんですが、今は、エネルギー価格などを除いたコアコアCPIが高くなっていることを踏まえて、コストプッシュ要因から変わっているという状況で、実際、政府支出もインフレの後押しをしているというふうに見える中で、本当に物価上昇以上の賃金アップというのはできるのかと確認したところ、熊谷公述人からは、インフレがピークアウトすることを前提に、政策効果と併せて実質賃金が上がると回答いただきました。

 総理もインフレのピークアウト要因で実質賃金が上がるという前提に立っているのか、教えてください。

岸田内閣総理大臣 まず、おっしゃるように、物価高を上回る所得を実現する、そのために、官民挙げて、賃上げと、そして所得減税等の政策を組み合わせているわけでありますが、要は、物価高を上回る所得は、所得を上げるとともに、物価高の見通し、これがなければならないわけでありますので、その点で申し上げるならば、先般、一月二十六日ですが、閣議決定した政府経済見通しでは、物価上昇率について、令和五年度は三・〇%、令和六年度は二・五%という前提の下、来年度の一人当たりの雇用報酬の伸びが物価上昇率に追いつく、こうした見通しが示されています。

 また、民間エコノミストにおいては、賃金上昇が物価上昇を上回る時期について、二〇二四年度中という見方が多くあるということを承知しております。

 こうした物価の状況等も見ながら、冒頭申し上げました、所得向上に向けての様々な政策を総動員していきたいと考えています。

守島委員 つまり、名目賃金の上昇は、一定部分的で、物価がある程度安定することで可処分所得が増えるというようなことを期待しているんだと思うんですけれども、片や、物価安定を想定しつつ、結構、政府支出が多くて、インフレを吹かしているというのは矛盾を感じてしまうんですね。

 政策効果単体としては、本当に、賃上げ上昇、これはどこまでできるのかということなんですけれども、もちろんその効果というのは一定あるとは思っているものの、先日の公述人の話でも、経済の押し上げというのは、結局、インバウンドの状況とか、外部環境であったり、民間の努力の影響の方が多いんじゃないかというのが公述人の見解でした。

 なので、政府支出がどこまで効果的かというのは疑問なんですし、そもそも、今予算は、予備費への積立てを除いたら、結局、歳出規模というのは高止まりしていますし、国債費というものの発行も過去最高というふうになっています。かつ、今予算で国債の利払い費の想定を十七年ぶりに引き上げたということで、それを踏まえたら、肥大化した政府予算によって、今後、より財政というのは厳しくなって、結果的にまた国民負担にツケが回るというループが繰り返されて、可処分所得が上がるというような状況になるのかは本当に疑問であります。

 政府は、昨年もプライマリーバランスの赤字額を引き上げたんですけれども、本当にこれは数年で黒字化、財政健全化というのはできるんでしょうか。総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 本年一月の諮問会議で報告された中長期試算では、民需主導の高い経済成長の下、歳出改革を継続した場合には、二〇二五年度の国と地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化が視野に入ること、これが示されています。

 財政の持続可能性への信認が失われることがないように、歳出改革、これを継続しながら、賃上げの取組を通じて所得の増加を先行させて、そして経済を立て直し、これらによって引き続き財政健全化を着実に進める、こういった取組を進めていくことが重要であると考えています。

守島委員 総理、とは言いつつも、元々二〇二五年黒字化目標を立てていて、ずるずるずるずるこの財政の悪化というのを先送りしていて、なかなか健全化に向かっていないというのが現状なんですね。

 先日も、先生方、公聴人で、巨額の債務状況など、今の財政では社会保障を始めとした制度の持続は困難で、今のままだったら破綻に向かうということを多くの方がおっしゃっていましたし、結局、政府の政策単体で見ると、赤字というか、財政支出上、マイナス面の影響が大きくて、中長期的に見ても、やはり政府の肥大化というのは止めるのが難しいというふうに僕自身は考えていますので、今の歳出状況に関しては、なかなか納得し難い状況にあるということだけお伝えさせていただきます。

 続きまして、地方行政の持続可能性についても問いたくて、地方の情報システム標準化について伺います。

 過去の地制調の議論でも、人口減少が深刻化する二〇四〇年頃の目指すべき地方行政の姿として第一に挙げられていたのがデジタル化でして、まさしく、DXは持続可能な日本をつくっていくため、必須条件だと思っています。

 しかし、地方公共団体の情報システム標準化に関しては、移行期限である二〇二五年度末の達成が困難で、先送りしている自治体というのが出てきているのが現状で、総務省も年度内に自治体の状況を調べるということを回答しています。

 僕のところにも、元々地方議員出身なので、地方からスケジュールがタイトだという声も聞きますし、ベンダーからは、同じタイミングにリソースをかなり割かれるのでそれが逼迫している、かつ、よく聞くのは、これは抜本的なDXになるのか言えないということをたまに聞くんですね。

 ちなみに、昨年の日経新聞に、人材や資金に乏しい自治体がばらばらに対応しているシステム開発や行政事務を、国に移管したり全国共有化したりすることで、日本全体としての行政の生産性と質を上げられるはずだ、時代遅れになった行政機構を合理的なものに刷新してほしいという社説があったんですけれども、今回、ベンダーからも、標準化自体を中途半端に感じて、行政の仕組みをゼロから見直すべきという声も聞きます。

 そうした中、私は昨年の総務委員会で、お隣のIT先進国である韓国をベンチマークする必要があるんじゃないかという話をさせていただきました。

 韓国はどういうことをやっているかというと、具体的には、韓国の総務省に該当する省庁で、広域自治体の出資によりその省庁の下に設置された地域情報開発院という組織を置きまして、そこで、全ての基礎自治体と広域自治体の基幹行政システムと自治体の内部事務システム及び電子ポータルの開発とか運営など、共同利用できるシステムをたくさん取り扱っています。

 自治体の減少とか職員の採用問題、最近大きく話題になっているんですが、将来を見据えてシステムの全国共通化を目指すことは解決策の一つかなというふうに思っているんですが、こうした取組に関する総務大臣の見解を教えてください。

    〔上野委員長代理退席、委員長着席〕

松本国務大臣 委員がおっしゃるとおり、DXによりまして、業務の効率化を図り、住民の利便性の向上を図ることで、業務負担を軽減をする、住民にも資するものとする、これによって、人口減少の中で、人手不足に対応しつつ、対面の業務が拡充できたり企画立案に積極的に取り組めるような環境をつくることで、公共サービスを維持し、地域の活性化を図ることが大変重要だろうというふうに思っております。

 私どもとしても、そのような観点から、委員からも御引用があったかと思いますが、昨年末に取りまとめられた第三十三次地方制度調査会の答申においても必要性をお認めいただいておりまして、住民との接点となるフロントヤードやバックヤードのDXの取組も進めてきているところでございます。

 標準準拠システムへの移行という意味では、移行経費の支援も行っているところでございます。

 委員がおっしゃっていた標準化、共通化ということでございますが、標準化につきましては、地方公共団体システムの標準化とは、「地方公共団体情報システムに必要とされる機能等についての統一的な基準に適合した地方公共団体情報システムを地方公共団体が利用すること」と、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律におきまして規定されているところでございまして、標準化の対象となる業務、これにつきましては、いわば共通の基盤がこれによってできるのではないかというふうに考えております。

 その上で、やはり、国と地方、対等な関係の中で、導入の是非に関する自治の御判断というものも、私どもとしては、否定できるところではない。もちろん、法律の定めに従っていただかなければいけないわけですが。

 加えて、標準化対象業務がありますけれども、自治体におきましては、独自のやはり政策を展開される中で、システムも関わってくるところがありますので、そういったことを総合的に勘案して、私どもとしては、標準化対象業務を中心に、統一的な基準に適合したシステムを利用することで、共通の基盤をつくっていきたいと考えております。

 なお、国、地方共通の例としては、国、地方共通のチャットボットということを進めておりまして……(守島委員「答えは短くていいです」と呼ぶ)はい。これも年度内に提供を開始することで、国、地方共通でできる部分については進めていきたいと思っております。

守島委員 大臣言ったように、地方自治体の裁量の部分もあるので、それが完全な正解というわけではないかもしれないですけれども、標準化の先にやはり一元化というところも見据えて、イノベーティブな、本当にコスト効率が、低くて持続可能な仕組みというのをやはり検討してほしいというふうに思っているんです。

 というのも、ちなみに、韓国の場合、代表的な行政サービスである住民登録番号を基盤としたワンストップポータルでは、国民が役所の窓口に訪問することなく行政手続をオンラインで完結できまして、実際に、過去一年で電子サービスをやったことがある人が九割で、電子ガバメントに関する国民の理解というのが九八%を超えているということです。

 実際に、私も昨年、韓国に伺いまして、行政機関とか病院を視察させていただきましたが、本当にどこにも、窓口に人がいないんです。並んでいなかったんですね。デジタルパネルがいろいろなところに置いてありまして、そこで人と、事務員と接することなく支払いまで完了していて、日本で、窓口業務を公務員がするのか業務委託でするのか、そういうことを議論している状況を見ると、やはり根本的な意識の差から感じるわけです。

 韓国は、戦時下ということもあるので、日本のマイナンバーにおける住民登録番号の利用の必然性が高かったというのは要因としてはあるんですけれども、それでも、二〇〇〇年以降の電子政府法というものの制定を始めとして、国策としてデジタル化を進めてきた経緯があって、特に参考に資する点は、韓国では、トップたる大統領の指示の下、一元的なガバナンス体制というのが、デジタルに対するガバナンスが構築されていまして、政府と国民の間でビジョンが共有されているというところにあります。

 日本は、デジ庁を創設して数年たちますが、トップのコミットを含めて、徹底という点では至らず、国民理解に対しても、やはり韓国や先進国と比べると、一日の長が向こうにあるんじゃないかなというふうに感じています。自治体もしかりなんですが、例えば医療DXにおいても、標準型の電子カルテの導入を二〇三〇年におおむね、ほぼ全ての医療機関でという、あくまで目標という数字を置いているんですが、そういうスケジュール感では遅いというか、そもそもDX化に関するマインドが劣るのかなと思っております。

 人口減少社会においても行政サービス、システムを維持するためには、やはり官民共にデジタル化を徹底させるというトップの強い意思とコミットが必要だと思うんですが、総理の思いを聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 デジタル化については、二〇二一年九月にデジタル庁を創設し、担当大臣を置く、こうした体制をつくって、実現に向けて取り組んできたところですが、まずは、デジタル社会の基盤整備としてマイナンバーカードの普及等に取り組む、デジタル行財政改革の下、制度や規制改革を進めていく、そして、デジタル田園都市国家構想によって地域社会の課題解決やインフラ整備、これを進めているところですが、あわせて、AI時代に適合したデータの戦略的な整備、また、広島AIプロセスによる国際的なルール作り、こうしたものも主導してきたところであり、今後とも、こうした取組を更に前に進めることによって、デジタル化を通じて我が国を新たな成長軌道に乗せていく、こうした流れにつなげていきたいと考えております。

守島委員 総理から今、各種デジタル化の話があったんですけれども、そのデジタル化を通じて何か変えるというのは、いわゆるデジタライゼーションの域を超えていないと思っていて、デジタルトランスフォーメーションをしようという抜本的な変革とはちょっとかけ離れているのかなと思っています。

 手順の簡素化とか便利化というのは、これはIT化で、DXとまでは言えず、業務の在り方から抜本的に再構築するのがDXというふうに考えていて、韓国の事例とか先進国の事例を聞くと、DXに伴い、行政の効率化だけじゃなくて、利用する国民が享受できるメリットを理解しているというのが大きな違いで、やはり政府がそうしたメリットを提示していくことというのが大事だと思いますし、実際に電子政府のランキングが高い国においては、その国民のデジタルガバメントに対する理解が高いというのが現実でございます。

 そのために、例えば電子政府法のような理念法を作るなど、抜本的なマインド変革というのは、それは政府もですし、国民側にも必要だというふうに思っております。

 なので、最後、未来を見据えて持続可能な社会システムを構築するために、より踏み込んだ改革が必要で、政府方針は、頑張ってはいるものの、やはり踏み込み不足というふうに指摘させていただきたいとともに、やはり令和六年度予算は踏み込み不足、かつ、先ほど申し上げました財政健全化をやはり遠ざけている状況ということを鑑みると、賛同は現状ではしかねるということを私の思いとして伝えさせていただき、質疑時間が参りましたので、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

小野寺委員長 これにて守島君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 子育て支援金について伺います。

 中央公聴会でも、公述の皆さんから、撤回を含めて厳しい指摘が続きました。今日は、配付資料でも、公述人の方が使われた資料を抜粋してお配りをしております。

 医療保険の制度を使っておりますので、総理もこの資料を見ていただければと思うんですけれども、結局、年収でいえば百三十万円から一千七百万円ぐらいまでは、協会けんぽに比べて国保の方の負担がかなり高くなる。そして、国保にしても協会けんぽにしても、一定の所得を超すと、高額所得者ほど負担率が軽くなっていく。医療保険の仕組みを使うと、こうした幾つもの不公平、不平等というのが起きてしまう。これは根本的な問題があるんじゃないですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、支援金、これは医療保険料と併せて徴収するものであり、賦課方法も基本的には医療保険制度に準じた取扱いとなるわけですが、その中で、富裕者優遇ではないか、あるいは不公平ではないか、こういった指摘がありました。

 具体的には、支援金の拠出額については、所得に応じたものとした上で、医療保険制度と同様、賦課の上限を設けることとしております。これは、医療保険制度において、被保険者の保険料の納付意欲に与える影響といった観点から、負担に一定の限度を設けているものであり、これは一定の合理性があるものであると考えます。

 また、同じ所得でも医療保険制度ごとに拠出が異なる、こうした不公平についての御指摘でありますが、これは、現行の医療保険制度においても、被用者保険と国民健康保険では保険料の賦課に当たって異なる算定方法が取られていることによるものであり、それぞれの賦課方式については一定の合理性があると考えております。

宮本(徹)委員 そういう合理性は、子育て支援については全く当たらないんじゃないかというのが中央公聴会での公述人の皆さんの指摘だったんですよ。

 医療保険は、保険料を払った人はみんな使うわけですよ。しかし、子育て支援金というのは子育て世帯だけですからね、給付を受けるのは。こういうものについて医療保険の仕組みを使うこと自体が根本的な間違いですよ。本当に、公述人の皆さんの指摘をしっかり踏まえて、与党の皆さんも聞いていますから、考え直していただきたいと思います。

 その上で、これは一般質疑でもお伺いしましたけれども、子育て支援の財源として、この支援金の負担増に加えて、医療、介護の国庫負担一・一兆円削減しようとしております。介護保険利用料の二割負担、三割負担の拡大、後期高齢者医療の三割負担の拡大、ケアプランの有料化、要介護一、二の生活援助の保険外し、先発医薬品の自己負担増等々、改革工程表の中ではたくさんのメニューが書かれております。

 総理が御存じか、お伺いしたいんですけれども、既に、七十五歳以上の医療費の二倍化、一定の所得以上の方は行われましたけれども、これでどれだけの負担増が生じて、どれだけの受診抑制が起きているのか、総理、御存じですか。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭、一言触れるならば、支援金というのは、受益を受けるのは子供、子育て世帯だけだという御指摘がありましたが、全体の考え方として、そういう考え方は取っておりません。こうした子供、子育て政策を進めることによって医療保険制度あるいは社会の持続可能性が高まるということになるわけでありますから、これは社会全体、あらゆる世代が受益するものである、こういった考え方に立っているものであります。

 そして、委員の御質問として、七十五歳以上の医療費の二倍化でどれだけ負担が起きているのか、こういったことでありますが、後期高齢者の医療の窓口負担割合については、令和四年十月一日から、一定以上の所得のある方に限って一割負担から二割負担、これを変更したわけでありますが、その際に、これにより必要な受診が抑制されないよう、二割負担への変更による影響が大きい外来患者については、施行後三年間、一月分の負担増を抑える配慮措置を講じています。

 そして、受診行動への影響については、これはあくまでも短期的なデータの分析ではありますが、二割負担となった方は一割負担のままの方と比べて受診日数が三・一%減少しているとされています。これは、二割負担導入時に想定していた影響、マイナス二・六%とおおむね同程度であると認識をしております。

宮本(徹)委員 負担増の額をおっしゃらないわけですけれども、大体、利用者の負担増、一千億円ぐらい全体で増えているわけですよね。一人当たり平均二・六万円の負担増です。三・一%、これは大体事前の想定の見込みだということを言うわけですけれども、年収が二百万円以上の大きい方の方が、受診日数が今、二百万円以下の人よりも少ない状況なんですよ。必要な医療が受けられない、我慢せざるを得ない状況を生んでいるわけですよね。

 公費負担一千億円の削減でこうした事態が起きているわけですよ。一・一兆円も公費を削減したら、本当に必要な介護や必要な医療が受けられるのかということになるわけです。それでも必要な人はお金を払いますよ。その場合は、物すごい負担増がそれぞれの個人と家庭にやってくることになるわけですよね。

 保険料の話ばかり、さっきから社会保険負担率の話を総理はされるわけですけれども、総理の言う社会保障負担率には、医療や介護の利用料が増える、これは算定式に入っていないですよね。

 総理。もう時間がないから。

新藤国務大臣 先生、そこはちょっと、とても重要なところなので。

 歳出改革の一兆円は、これまでの九年間の歳出改革の合計の平均ですから。新たに増やすわけではありませんので、従来の歳出改革の枠の中でやっているということで、歳出改革と医療制度の改革とごっちゃにしないでください。

宮本(徹)委員 全く答えていないでしょう、今。出てきて、質問と関係ない答弁をされては困りますよ。総理が手を挙げたんだから。審議の妨害をしないでください。

岸田内閣総理大臣 改革工程については、御指摘の窓口負担の見直しのほか、医療提供体制の効率化、あるいは介護分野におけるICTの活用など、これは幅広いメニューが列挙されており、社会保障の持続可能性を高めて全世代型社会保障を構築する、その観点からこうしたメニューが用意をされています。そして、このメニューからどれを採用するか、これについては今後も議論を続けてまいります。

 そして、一方で、支援金制度については、先ほど来申し上げておりますように、社会保障負担率の考え方に基づいて、歳出改革によって生じる保険料負担の軽減効果を積み上げて、その範囲内で支援金制度を構築する、こういったことでありますので、実質的に負担は生じないと説明をさせていただいております。

宮本(徹)委員 医療や介護の利用料が、国庫負担を削減すれば大きく増えるわけですよ。どのメニューをやるか分からないと言っていますけれども、どのメニューをやっても負担が増えるわけですよ。そのことを隠して、実質的負担が増えない、こういう説明ばかりするのは本当にまやかしですよ。やめていただきたいと思います。

 時間が来たから終わりますけれども、資料の裏面だけ是非見ていただきまして、この間、国民負担率は上がっていますけれども、法人所得課税負担率はバブルのときに比べて下がっているんですね、マイナス二・七%。国民負担率は一〇・五%プラスですけれども。企業の利益はバブルのときに比べて二・五倍ぐらい増えていますけれども、法人税の負担は五兆円もバブルのときに比べて減っている。

 求めるべきところに負担を求めれば、庶民に負担など求めなくても子育て支援の拡充はできます。しっかり考え直すことを求めまして、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 能登半島地震から二か月が過ぎました。政府は、昨日、能登半島地域の六市町に限って最大三百万円を支給する特例交付金の制度を設けて、予備費を追加することを閣議決定したばかりであります。

 野党から提案しておりました被災者生活再建支援金の上限額を三百万円から六百万円にすれば、倍増すればいいだけの話でありますが、わざわざ特例の交付金制度を創設したのはなぜか、改めてお聞きします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の被災者生活再建支援金、これを倍増したらいいのではないかという御指摘でありますが、これについては、財源は半分は全国の都道府県が負担するという仕組みになっています。この議論については今までも度々繰り返されましたが、都道府県知事会の意見としては、全国的な制度を倍増させるということについては慎重に検討しなければならない、こういった意見を受けています。

 今回、能登半島において、半島といった特別の地理学的な条件等の中で、高齢化が極めて高い地域など、その特徴をしっかり踏まえた上で、支援を別途、独自に考えることが現実的であるという判断を行いました。

 そして、あわせて、石川県においても独自の助成制度をつくることによって、より幅広い方々に対する支援が行き届く、こういった制度を構築する、こういったことを判断した次第であります。

田中(健)委員 地方財政においては、国庫負担を増やせばいいわけでありまして、それも提案に入れています。

 そして、金沢の特例ということを言いましたけれども、先ほどの質疑の中でも、高齢化が著しい、だからそのためにと言っていたんですが、それが今度、非課税世帯、さらには子育て世帯と対象も大きくなってしまって、その特徴が見えてきません。

 更に問題なのは、被災者を分断してしまっていることです。私は地方公聴会に行ってきました。内灘町の町長からは、私たちは外れている、どうして同じ石川県なのに外れているんだと。皆さんも聞いていた声です。このようにして被災地を分断して、さらには新潟県や富山県といった県までも分断して、被災地を分断するやり方は適切でないと思っておりますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 新たな交付金制度の対象についても、資金の借入れや返済が容易でない世帯、高齢者のみならず、若者、子育て世帯も含めて幅広く対象とすることとしたわけでありますし、そして、その対象とならない方についても石川県の助成事業を幅広く適用していく、こうした体制を用意し、そして、その石川県の助成事業を手厚い地方財政措置によって国が支援をしていく、こうした制度を用意した次第であります。

 これによって、子供、子育て世帯に関してはフルカバーされると認識をしておりますし、支援が必要な方々にはできるだけ多くの支援が届く、こういった体制が構築できたと考えております。

田中(健)委員 いや、地方は分断されるということですね。それについての見解をお伺いしています。

岸田内閣総理大臣 これは、この新たな交付金についても、必要とされる地域について、石川県と調整した上で判断をいたしました。そして、資金の借入れや返済が容易でない方の世帯、これについてもできるだけ幅広くこの制度の中で取り入れることとし、なおかつ、県の助成事業とも組み合わせる、こういったことで、できるだけ幅広い方々をカバーする、こうした取組を用意いたしました。

田中(健)委員 答えになっておりません。

 内灘町の町長は直接、地方公聴会でこの分断について言及されました。そして、内灘町だけでなく、六市町が一緒になって要求をしています。現場の声を聞いてください。

 交付金、また助成金、さらには県の補助金ということで、余りに複雑になって、誰のためにやっているのか。被災者のために、是非とも、これからも支援金そして制度の活用を求めて、質問を終わります。

小野寺委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 緒方林太郎です。

 この日本は危機を迎えている中、こんなにひどい国会審議は近年ありませんでした。

 ただ、私は、二月十二日の週に、年度内成立について握りが成立したのかなと感じました。三年連続でこの委員会に座っていると、そういう野性の勘が働きます。私の予感が当たったのかどうかは分かりません。この予算委員会全体が予定調和の茶番でなかったこと、そして、我々予算委員がそのための猿回しの猿でなかったことを心から願います。

 与党は政治と金の問題でぼろぼろ、支持率は退陣レベル、国民は岸田政権に間違いなくノーを突きつけています。政治と金の問題を起こしているにもかかわらず、公明正大とした態度の取れない与党幹部の姿を見て、国民は幻滅しています。

 打ち出す政策については、ともかく財源のごまかしが余りに多く、少子化対策も防衛費もすかすかです。本質的に、岸田総理は中途半端な政策を中途半端な理屈で覆い隠しているようにしか見えません。したがって、中途半端な理屈を背負わされる閣僚は、その理屈を理解できないまま国会で立ち往生しています。少子化担当相がいい例です。

 政治と金についても一言申し上げたい。

 私は、昨年十一月二十二日の本委員会で、先陣を切って政策活動費のテーマを取り上げました。公開性はない、税金は払わない、そして、根拠は全て言い値の自己申告、このような政治家特権が許されないと思ったからです。

 ここまでの政府答弁は、各政治家の政治活動に使っているという言い値を信じているということと、それでも公開しろというなら野党も一緒にやれというものです。政党所属の方にはそれでも通用するかもしれませんが、無所属である私には、そんなものは通用いたしません。

 岸田総理を見ていて感じることが二つあります。抽象的思考ばかりだということと、民意を軽んじているということです。

 かつて、立花隆氏は、田中角栄元総理を評して、抽象思考ゼロの経験主義者と評しました。岸田総理は真逆です。抽象思考が多く、具体的な経験に立脚しない話が多いです。その結果として、岸田総理の発言から、日々を力強く生きる一人一人の国民の姿が浮かぶことはありません。

 定額減税をめぐる岸田総理の思考回路は、想像するに、金を下げ渡せば喜ぶだろうという思いが透けて見えます。金を渡せば国民は喜んで支持してくれる、それは、岸田総理の頭の中だけに存在する抽象的な国民像でしかありません。

 岸田総理の感想を求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 政策を考える上で、抽象的な思考と現実的な思考、このバランスが重要だという御指摘については、御指摘のとおりだと思います。

 具体的な、現実的な思考が足りないという指摘については謙虚に受け止めたいと思いますが、しかし、目標は、国民のために必要な政策は何かということであります。そういった思考もしっかりと大事にしながら、結果として、国民の幸せ、国民生活の豊かさにつながる政策を実行していきたいと考えております。

緒方委員 終わります。

小野寺委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして令和六年度予算三案に対する質疑は全て終局いたしました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 ただいままでに、日本維新の会・教育無償化を実現する会林佑美さんから、また日本共産党宮本徹君から、また国民民主党・無所属クラブ田中健君から、それぞれ、令和六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、各動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。林佑美さん。

    ―――――――――――――

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林(佑)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の林佑美です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和六年度予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨の弁明を行います。

 政府の予算案に対する問題点を指摘し、我々が令和六年度予算案の編成替えを求める理由を申し上げます。

 自民党の派閥と所属国会議員による多額の裏金づくりによって、高い国民負担率に苦しむ国民の政治への信頼は決定的に地に落ちたと言わざるを得ません。政治家自身が身を切らないまま、国民に負担を求めるべきではありません。

 今実施すべきは、将来にわたって国民負担率を引き下げる展望を国民と共有することです。足下の賃上げを上回る物価高により国民の実質所得が目減りする経済状況にあって、医療報酬はプラス改定となるなど、社会保障制度改革が着実に行われているとは言えません。

 電子カルテのデータ規格の統一といったボトルネックの解消に踏み出す思い切ったDX策等、踏み込んだ医療改革を行う必要があります。これが着実に行われなければ、結果として若い世代の負担増につながりかねません。

 政府は賃上げに基づく社会保険料負担軽減論を展開していますが、実現可能性はいまだ見通せません。その中で、実質負担が生じないとして、社会保険料負担を現役世代に押しつけることは到底理解できません。本来、歳出改革を実現すれば、こども・子育て支援加速化プランの財源となる追加的な一兆円の社会保険負担も特別会計の設置も不要となります。

 令和五年の出生数は約七十六万人で、過去最低を更新しています。

 政府の子育て支援策を見ると、一定層の支援にはなり得るものの、いずれも条件や支給額が中途半端で、少子化対策を抜本的に強化できる案であると評し難いものとなっております。若い世代が子供を持ちたいと思えるめり張りの利いた子育て支援策と、社会保険料の減額等による可処分所得の増加の両輪により少子化対策を講じる必要があるのではないでしょうか。

 令和六年度予算全体を見ても、歳出規模は、特定目的予備費の減額や令和五年度予算に計上された防衛力強化資金の繰入れの剥落等で二兆円弱の減額にとどまるなど、経費の膨張トレンドは逆転できておりません。

 それだけではなく、我々は財政規律そのものにも懸念を持っております。新型コロナウイルス感染症が拡大した令和二年度から、政府は、機動的な対策を盾に予備費の積み増しを図っており、コロナ禍以降の予備費は合計で三十兆円に上っています。これは、財政民主主義の例外たる予備費として、異常な額ではないでしょうか。

 過去の歴史を鑑みるに、一般予備費は多くて五千億円程度の規模ですが、令和六年度の予算では、平時への回帰を主張しながらも、能登半島地震の復旧復興を大義名分に一兆円もの一般予備費を計上しております。また、令和六年度予算では、基金に八千億円強を積み増すこととしています。コロナ禍を経て基金残高は十六兆円を超え、肥大化した基金の整理縮小は急務であるところ、更に基金残額を積み増す理由はありません。

 こうした政府の予算案について問題点を指摘させていただいた上で、少子化が進み、活力が失われつつある我が国にあって、我々は、現役世代の負担軽減に向けて、具体的で有効な対策を実施していくことが必要であると考えます。そのために、教育の無償化、予備費の減額と令和六年能登半島地震復旧復興のための予算編成、医療制度改革、ガソリン税の暫定税率廃止の四項目について、令和六年度予算案に盛り込むよう組替えを要求するものです。

 委員の皆様には、何とぞ御賛同くださいますよう申し上げ、趣旨の弁明といたします。

小野寺委員長 次に、宮本徹君。

    ―――――――――――――

 二〇二四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮本(徹)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇二四年度政府予算三案につき撤回のうえ編成替えを求める動議について、提案理由及び概要を説明いたします。

 政府予算案は、アメリカの世界戦略の一翼を担うため、敵基地攻撃能力の保有を始めとする、五年間で四十三兆円とする大軍拡計画の下で、過去最大の八兆円に迫る軍事費を計上する、軍拡最優先の予算となっております。また、企業・団体献金を背景に、大企業への減税や補助金を大盤振る舞いしています。社会保障費の自然増は一千三百億円削減し、新たな負担増となる子育て支援金制度の創設もたくらまれております。軍拡のあおりで、中小企業予算などは連続削減されています。

 国民の命と暮らし、平和を守り、日本経済のゆがみを正して、その発展を進めるためにも、そして、政治への国民の信頼を取り戻す上でも、本予算案の抜本的な組替えが必要です。

 次に、編成替えの概要について、主な点を説明します。

 第一に、能登半島地震被災者への支援、復旧復興に万全の措置を取ることです。住宅再建の支援金の上限を、対象を限定せずに六百万円に引き上げるとともに、支援金の対象を半壊、一部損壊にも拡大します。地域産業の復旧復興の補助の抜本的拡充、雇用調整助成金の日額上限の引上げと延長を行います。

 第二に、大軍拡計画を撤回し、軍事費を大幅に削減します。安保三文書を撤回し、長距離ミサイルやイージスシステム搭載艦の導入、統合作戦司令部の創設などの予算を削除します。防衛力強化資金を廃止し、復興所得税の流用を始めとした軍拡増税、軍事費への建設国債の充当を撤回します。米軍への思いやり予算、沖縄・辺野古新基地建設や馬毛島基地の建設費などを全額削除します。殺傷兵器の輸出解禁を決めた閣議決定を廃止します。

 第三に、物価高騰から暮らしを守り、経済を立て直します。中小企業への直接支援を抜本的に拡充し、全国一律の時給千五百円を実現します。非正規ワーカーの待遇改善と正規化を進めます。消費税率を五%へ緊急減税し、インボイスを廃止します。

 第四に、社会保障費の削減をやめ、拡充を進めます。物価高騰に見合う年金支給額を引き上げます。高齢者医療費の二割負担をやめ、元の一割に戻し、国保料の大幅引下げと均等割、平等割を廃止します。先発医薬品の保険外しを中止します。訪問介護などの基本報酬引下げを中止し、介護、障害福祉、保育など、ケア労働者の賃金を全産業平均並みに引き上げます。生活保護基準を二〇一三年削減前の水準に戻し、物価高騰に見合う引上げを行います。

 第五に、子育て予算を抜本的に拡充し、教育の無償化を進めます。学校給食の無償化、高校授業料無償化の所得制限撤廃、大学、専門学校授業料を直ちに半減し、入学金を廃止します。高校、大学の給付制奨学金を拡充し、就学援助を拡大します。少人数学級の早期実現、そして教員の過重勤務を解消するため、教員定数を改善します。子供医療費無料化を国の制度として実施します。子供、子育て支援予算の財源を国民に押しつける支援金制度の創設を中止します。

 第六に、原発回帰をやめ、省エネ、再エネの推進で燃料高騰と気候危機を打開します。

 第七に、ジェンダー平等を進めます。男女賃金格差を是正する施策を進めます。

 第八に、大企業、富裕層優遇の不公平税制を改め、不要不急の予算を削減します。研究開発減税などを抜本的に見直します。マイナンバーカード普及経費、大阪万博関係予算を削除します。予備費を削減し、政党助成金制度を廃止し、企業・団体献金を禁止します。

 以上、編成替えの内容はお手元配付の文書のとおりであります。

 委員各位の御賛同をお願いし、趣旨説明といたします。(拍手)

小野寺委員長 次に、田中健君。

    ―――――――――――――

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中(健)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出の令和六年度当初予算三案について撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明をいたします。

 まずは、編成替えを求める理由を申し述べます。

 長期にわたり停滞する経済、止まらない少子化傾向、このような問題も、結局は、手元に残るはずの可処分所得が少なくなっていることにより引き起こされています。これらを改善、解決するためには、給料が上がる経済に寄与する予算、人づくりに寄与する子供、子育て政策関連の予算を編成しなければなりません。

 また、ガソリン、軽油価格、電気料金等の高騰に伴い、物価も上がっています。これにより国民生活は大きな影響を受けているため、国民生活を支える予算編成が必要です。

 そこで、国民民主党・無所属クラブは、給料が上がらない我が国の経済、いまだ脆弱な少子化、子育て支援策、農林水産業への支援、ガソリン等の物価高騰に対し、真に国民生活を支える内容に令和六年度当初予算を変えるため、減税を含む予算の編成替え動議を提案をいたします。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、所得減税を実施いたします。政府案に連動した税制の見直しのうち、所得減税に関しては、物価上昇率や名目賃金上昇率等を考慮し、基礎控除、給与所得控除等の額を引き上げる等、国民民主党案に修正をいたします。

 第二に、エネルギー価格高騰対策、ガソリン減税を実施します。トリガー条項等の凍結を解除するとともに、暫定税率、二重課税を見直すことで、五月以降の値下げを継続をいたします。また、再エネ賦課金の一時徴収停止により、電気代の負担軽減を図ります。ガス、灯油等の燃料費についても負担軽減を図ります。そのため、令和六年五月以降の対策に関する予算及び地方税収の減収に対する予算を確保いたします。

 第三に、消費税の減税を行います。安定的に賃金上昇率が物価上昇率より二%上回る状況の実現、維持に向けて、当分の間の措置として消費税率を一〇%から単一税率の五%へ引き下げつつ、これに伴い、インボイス制度も廃止をいたします。

 第四に、法人の投資に係る税の減税を行います。投資額以上の償却を認めるハイパー償却税制の導入や少額減価償却資産特例の上限額の引上げを行います。また、生産に比例し減税する制度を導入することにより、企業の国内生産基盤の強化とともに、生産性向上を促します。

 第五に、賃上げ促進税制の拡充を行います。税額控除等の引上げや価格転嫁等の取引条件を改善した企業等への適用拡大を行うとともに、赤字法人も対象となるよう、減税項目を法人事業税、固定資産税、消費税に拡大いたします。

 第六に、農林水産業への多角的な支援を行います。農林水産業関連の物価高騰対策、それに伴う適切な価格転嫁支援や食料安全保障基礎支払いといった所得補償を行います。

 第七に、年少扶養控除を復活し、所得制限を撤廃します。政府が検討する子供、子育て支援金制度を見直すとともに、子育てに係る経済的負担を軽減するためにも、教育国債を財源とする各種子育て支援制度の所得制限撤廃と拡充、年少扶養控除の復活を行います。

 第八に、被災者生活支援です。政府の能登半島地震における被災者への支援は、被災地域、被災者の年齢によって分断するもので、極めて不十分です。立憲民主党、日本維新の会とともに共同で法案を提出しておりますが、被災者生活再建支援金を拡充し、最高額を三百万円から六百万円に倍増するとともに、支援金の国庫補助率の引上げ、適用地域の拡大を行います。

 第九に、医薬品は公定価格が決まっており、メーカー等が原材料の高騰を価格に転嫁できない状況です。また、毎年改定については、その是非を含め抜本的に見直します。また、国民生活に密接に関わる医薬品の安定供給確保を目指します。

 第十に、歳入の見直しです。GDP成長率を踏まえると、税収は政府想定よりも上振れが想定されます。今年度税収見積りについて増額修正を行い、歳入を見直します。また、政府は、長期金利の指標となる十年物国債の想定金利を令和六年度予算では一・九%としていますが、令和六年度の政府の長期金利見通しが〇・八%であることから、想定金利を昨年同水準の一・一%に据え置くことで、利払い費を縮減いたします。

 以上が、国民民主党・無所属クラブの編成替え動議の概要であります。

 委員の皆様におかれましては、真に国民生活を支える本動議に賛成をしていただくことをお願いして、提案理由とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 これより討論に入ります。

 令和六年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件を一括して討論に付します。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。牧島かれんさん。

牧島委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま議題となっております令和六年度一般会計予算案外二案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 まず、令和六年能登半島地震につきまして、亡くなられた方々と御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に改めて心からお見舞いを申し上げます。

 三十年ぶりの経済の明るい兆しを経済の好循環につなげるため、物価高に負けない賃上げを実現し、企業の稼ぐ力を強化していくことが必要です。加えて、急速に進展する少子化、DX、GXの実現、一層緊迫する我が国周辺の安全保障環境など、我が国内外の構造的課題に的確に対応しなければなりません。

 こうした中、令和六年度予算案は、歴史的な転換点にあって、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れをつかみ取るための予算となっております。

 以下、本予算案に賛成する主な理由を申し述べます。

 第一に、令和六年能登半島地震への対応として、復旧復興の段階などに応じた切れ目のない機動的な対応を確保するため、一般予備費を倍増し、一兆円措置しております。

 第二に、物価に負けない賃上げの実現に向けた予算面での対応を最大限図ることとしており、特に医療、福祉の現場の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築することとしています。

 第三に、児童手当の抜本的な拡充や高等教育費の負担軽減、子供の貧困対策などの多様な支援ニーズへの対応など、こども未来戦略に基づく加速化プランもスピード感を持って実施する予算となっております。

 第四に、DX、GXの実現に向けて、デジタル田園都市国家構想交付金による支援や官民のGX投資を促進するものとなっております。

 第五に、厳しさを増す我が国周辺の安全保障環境やウクライナ侵略等の激動する外交環境に対応するため、外交分野において、邦人保護、危機管理等の基盤を大幅に強化し、防衛力の抜本的強化を推進する予算となっています。

 以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。

 本予算案に対する議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げます。

 なお、日本維新の会・教育無償化を実現する会、日本共産党、国民民主党・無所属クラブ提出の編成替え動議につきましては、見解を異にすることを申し述べまして、私の賛成の討論とさせていただきます。(拍手)

小野寺委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄です。

 私は、会派を代表して、令和六年度一般会計予算外二案については反対、また、他会派提出の組替え案についても反対の立場から討論をいたします。

 冒頭に言わなければならないのは、なぜこれほど予算審議を急ぐ必要があるのかということであります。例年、予算委員会における審議時間は約八十時間でございます。しかし、六十九時間しか積み重なっていない時点で、小野寺予算委員長は職権により強引に採決を決めてしまいました。過去二番目の規模となる予算案の審議を軽んじる強行採決に、改めて抗議をいたします。

 我々野党は、審議拒否をしているわけではありません。むしろ、しっかり審議をした上で、三月四日に円満に採決をしようと再三申し上げてまいりました。三月四日に予算案を参議院に送っても、審議をして年度内に成立させるための日数は十分残っております。何より、政治倫理審査会の開催が一日遅れなければ、昨日金曜日にこの質疑が行われていたはずです。今回の強行採決には、裏金の疑惑隠しの狙い、これが潜んでいるとしか言いようがありません。

 私たち立憲民主党は、今国会の召集日である一月二十六日に、被災者への支援金を倍増させる被災者生活再建支援法改正案を日本維新の会、国民民主党と共同で衆議院に提出をいたしました。これを受けて、政府も新たに約一千億円の被災者支援金支出を決定しました。野党の提案を受けて政府・与党も動いたのは、民主政治のあるべき姿を象徴するものであります。

 とはいえ、子育て世帯の一部や石川県の六市町以外の自治体、富山県、新潟県は支給対象とならないのは問題であり、改善を求めたいと思います。

 何より、国民は増税、自民は脱税、国民は怒りを強く覚えている中で、一昨日、昨日に政倫審が開催されましたが、岸田総理の答弁は予算委員会での答弁と変わらず、国民の疑念は更に高まりました。今回出席しなかった二階派の二階俊博議員、安倍派の萩生田光一議員、下村博文議員からも話を聞かなければならないのは言うまでもありません。改めて、参考人招致や証人喚問に出席してもらう必要があります。

 以上申し上げたとおり、予算の提出者たる岸田総理や岸田政権の基本姿勢には看過し難い問題が多く見受けられますが、予算そのものにも多くの問題が存在しております。

 令和六年度予算の一般会計予算総額は百十二・六兆円に上り、これからの金利上昇リスクを見据えなければならない中で、野方図な歳出の膨張には歯止めがかかっていないというのが実態です。

 子供予算については、子供、子育て支援金で一兆円の財源を確保されておりますが、実質の子育て増税であります。実質の子育て増税は到底認められるものではありません。

 また、予備費は一刻も早く、十分、正常化をすべきです。財政民主主義の観点から、そもそも、また予備費ではなく、補正予算を組み替えるように我々は求めております。被災地石川県の馳知事も、能登半島の実情を踏まえ、数兆円規模の補正予算編成を政府に求められております。政府は、問題山積みの予算、予備費増額を今すぐ取りやめて、被災地の要望に十分に応え得る補正予算を速やかに編成すべきではないでしょうか。

 以上、申し上げたとおり、看過し難い数多くの問題が存在することから、令和六年度一般会計予算外二案については反対、他会派の組替え動議についても反対を申し上げ、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間譲司です。

 教育無償化を実現する会との統一会派を代表して、令和六年度予算に対し、反対の立場から討論いたします。

 日本の経済と財政をめぐる環境は危機的状況にあります。社会保障費は本年度から八千五百億円余増加して四十兆円に迫り、増加の一途をたどっています。一方で、社会保障改革が着実に行われているとは言い難く、政府が提唱する子供、子育て加速化プランの財源とするべき一兆円の歳出削減すらほとんど手つかずです。

 その結果、令和六年度予算の歳出規模は、特定目的予備費の削減等で令和五年度から僅か二兆円弱の減額にとどまるなど、経費の膨張トレンドは逆転できていません。

 日本の経済財政運営が重要な局面を迎える中、今国会は改革国会となるべきでした。しかし、今国会の実態は裏金国会であると言わねばなりません。

 政治と金の問題の根源にあるのは、自民党と一部の企業との癒着関係です。平成六年に誕生した政党交付金は、企業、団体からの献金が政策決定をゆがめる弊害を取り除くことが目的でした。趣旨を踏まえると、企業・団体献金は当然禁止し、また、パーティー券の企業、団体向けの販売も同様に禁止するのが筋です。

 それにもかかわらず、政治資金規正法には政党支部への献金などの抜け穴が残され、自民党は政党交付金制度の開始以降も堂々と企業・団体献金を受け取り続けています。結果として、一部の企業や団体が資金力に任せて政策決定をゆがめてきたことを指摘しなければなりません。

 自民党は、医療関係の団体から毎年数億円に上る多額の献金を受け取り、医療削減には本腰を入れて取り組まず、診療報酬もプラス改定となりました。この負担は、社会保険料を通じて現役世代に転嫁されるのみならず、政府は、子供、子育て支援金の詐欺的とも言えるロジックで、子育ての負担をも押しつける方針です。

 日本維新の会は、しがらみの政治から脱却するため、企業・団体献金の禁止を訴え、既に内規で実現しています。また、我が党の政治改革大綱では、企業、団体へのパーティー券販売も禁止することを訴えており、これも内規で実現してまいります。

 我々は、日本経済の悪循環を逆転し、努力する人が公正に報われる社会をつくることを申し述べ、反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

小野寺委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党を代表いたしまして、令和六年度予算三案について賛成、三会派からの組替え動議に反対の立場から討論を行います。

 政府は、予備費を活用して能登半島地震の被災者への緊急支援に取り組むとともに、令和六年度予算案の概算閣議を変更して、予備費を五千億円から一兆円に増額しました。この決断を高く評価いたします。引き続き、被災者の生活やなりわいの再建、被災地の復旧復興に全力を尽くしていただきたい、これが賛成理由の第一です。

 第二に、少子化対策、子育て支援が抜本強化される点です。

 児童手当は、本年十月分から所得制限を撤廃し、支給対象を高校生年代まで拡充、第三子以降は三万円とする抜本的な拡充がなされます。また、妊娠期から出産、子育てまで一貫して支援する出産、子育て交付金は、制度の恒久化を視野に、予算が増額されています。さらに、低所得世帯の学生等を支援する修学支援新制度は、令和六年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層に対象を拡大し、大学等の高等教育の無償化も前進をいたします。

 第三に、デフレ脱却へ、物価高に負けない賃上げ、所得向上に全力を挙げる予算となっている点です。

 労務費を含めた価格転嫁の促進へ、下請Gメンを増強して取引実態の把握や指導を徹底するとともに、賃上げに取り組む中小企業の生産性向上に向けた設備投資の支援や、公庫等における金融支援を強化することとしています。

 また、医療、介護、障害福祉分野で働く方々の二・五%のベアを実現するために必要な水準を報酬改定で措置するとともに、保育士等や教職員の処遇改善も行うなど、公的部門の賃上げも手当てをされています。六月以降には所得税、住民税の定額減税と給付も実施をされます。賃上げの効果と相まって、全ての国民の皆様の可処分所得を確実に支える対策になっていると確信をいたします。

 以上、令和六年度予算案は、被災地の復旧復興に全力を挙げるとともに、少子化やデフレ脱却など、我が国の重要課題に真っ向から挑む予算であり、本予算案の速やかな成立と着実な執行を求めます。

 また、大きな課題となっている政治資金問題について、国民の政治に対する信頼を取り戻すため、公明党は、政治資金の透明性の確保と罰則の強化の実現に向けて尽力することを表明し、賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党を代表して、政府予算案に断固反対の討論を行います。

 本予算案の大問題は、第一に、中国を抑え込むアメリカの軍事戦略の一翼を積極的に担うために、憲法違反の長射程ミサイルの開発、大量取得や、米軍再編経費など、八兆円にも迫る過去最大の軍事費を盛り込んでいることであります。

 軍拡最優先で犠牲になるのは、国民の暮らしです。本予算案は、雇用調整助成金の勘定から一千九百六十四億円も軍拡の財源に回します。一方で、被災地で苦しむ事業者への雇用調整助成金の上限額は、コロナ禍の半分程度。悲鳴が上がっております。政治の優先順位が間違っております。

 軍事費は、民主党政権時に比べ三兆円も増えます。大学の無償化に必要な予算は二兆円という答弁がありました。軍拡より教育無償化を優先すべきです。

 沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古新基地建設予算は認めるわけにはまいりません。普天間基地は無条件返還を迫るべきであります。また、武力行使を繰り返し行っているアメリカなどに殺傷能力のある武器輸出に踏み切ることは、憲法の平和理念を投げ捨て、紛争を助長するものであり、撤回すべきであります。軍拡競争で緊張を高め合うのではなく、絶対に戦争にしない平和外交こそ進めるべきであります。

 第二の大問題は、企業・団体献金を背景に、大企業への減税や補助金は大盤振る舞いの一方、物価高騰に苦しむ国民への支援や賃上げは全く不十分、その上、国民生活に追い打ちをかける負担増まで狙っていることであります。

 総理は、子育て支援の財源確保は実質的な負担が生じないと説明してきました。しかし、子育て支援金制度は、新たな国民負担そのものであります。一・一兆円もの医療、介護の公費負担削減は、利用者の重い負担増とサービス削減をもたらします。実質的な負担が生じないというのは全くのまやかしであります。しかも、医療保険の仕組みを使うことで、高額所得者ほど負担が軽くなり、同じ収入でも国保加入者の負担が大きくなるなど、不公平なものであります。

 脱税議員が増税するなと怒りの声が広がっております。

 子育て増税も軍拡増税も、医療、介護の負担増、給付減も撤回すべきであります。訪問介護の基本報酬引下げは在宅介護を崩壊させると怒りの声が広がっております。これも撤回すべきであります。

 昨年の春闘で置き去りになったケアワーカーの賃上げが二・五%では、この二年の物価上昇にすら追いつきません。人手不足の危機的状況を解決するために、全産業平均以上に引き上げるべきであります。そして、賃金の底上げ、五年で十兆円規模の大胆な中小企業、小規模事業者への支援こそ行うべきであります。

 今、この予算委員会でも、裏金事件の議論を重ねてまいりました。裏金を長年にわたってつくり、国民への裏切り行為を派閥ぐるみで行っておきながら、その真相究明もまともに行わないこの政権に、暮らしと平和を踏みにじる予算を押し通す資格など全くない、このことを申し上げまして、討論とさせていただきます。(拍手)

小野寺委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の令和六年度一般会計予算外二案について反対、他会派から提出の編成替えを求めるの動議に反対の立場から討論を行います。

 総理は、今国会冒頭の所信表明演説で、経済の再生が岸田政権の最大の使命、経済、とりわけ賃上げが今まさに喫緊の課題であると述べられました。

 我々も、長期にわたり停滞する経済や止まらない少子化など、我が国が直面している課題の根本的な原因について、結局、問題は賃金であると考えています。とりわけ、国民の皆様の手元に残る使えるお金、可処分所得を増やすことこそが重要です。

 しかし、本年度予算には、むしろ個人負担を増やすなど、賃上げの効果に水を差すものが含まれていることは大いに問題です。

 例えば、子供、子育て支援金制度です。子供、子育て政策の強化自体については我々も大いに賛同いたしますが、政府の検討している内容では、そもそも医療保険の目的外使用であるという問題があるとともに、税金を保険料につけ替え、個人負担を実質的に増やすステルス増税ともなり得る可能性を秘めています。これ以上の現役世代の社会保険料負担の増加は、制度の目的に逆行し、むしろ少子化を加速させかねません。直ちに見直しを行うべきです。

 また、積極的な経済政策と同時に、国民の家計負担や事業者負担を緩和し、下支えする経済対策も不可欠です。しかし、本予算には、地方の暮らしや事業に欠かすことのできないガソリン代等の燃料費対策や電気代の負担軽減策については盛り込まれておらず、先の見通しも立っていないことは大きな問題です。

 燃料代について、会計検査院からも指摘がされている、いわゆるガソリン補助金の延長はあり得ないと考えます。やはりトリガー条項凍結解除や暫定税率、二重課税の見直しは必須です。

 また、電気代についても、現下の国際情勢に鑑みれば、再エネ賦課金の徴収停止による負担軽減を図るべきです。

 その他にも、より手厚い被災者生活支援や、歳出のみならず、歳入の見直しを行うべきであって、やはり本予算の内容は不十分だと言わざるを得ません。

 国民民主党は、正直で偏らない現実的な政治を信条とし、対決よりも解決、あくまで政策本位で、国民のためになる政策を実現すべく取組を続けています。何としても、日本全国津々浦々まで、老若男女全ての方に賃上げの効果を実感していただけるような政策を実現させ、皆様が希望と活力を持って暮らし続けられる輝く日本の姿をお示しすることを国民の皆様にお約束し、私の反対討論といたします。(拍手)

小野寺委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 緒方林太郎です。

 先ほどの討論的質疑で岸田総理に厳しいことを申し上げましたが、続きを読み上げたいと思います。

 しかし、それに対峙する主要野党には、旧態依然とした体制が見え隠れします。

 私は、政策活動費は野党にもあったから、まず公開してはどうかと質疑で示唆をいたしました。政治と金の改革で大攻勢に出るためには、このハードルを越えなくてはならないと思ったからです。私は助け船を出したつもりでした。しかし、主要野党幹部は頬かむりしたままです。高級飲食店での豪遊が表になるのを嫌がる方がいるせいなのか、それ以外の表に出せない使途があるのかは分かりませんが、政治と金の問題で主要野党の追及が迫力を欠いていることに国民は気づいています。地雷を踏まないように恐る恐るやっているからです。これでは期待感は高まりません。

 国民の怒りのマグマは行き場を失い、どんどんとたまっているのを感じます。時代と国を異にすれば、ここでクーデターが起こりかねないレベルです。大正デモクラシーから続いた政党政治は五・一五事件で終えんを迎え、ドイツのワイマール体制はナチス政権樹立で終わり、フランスの第四共和政はアルジェリア危機に対応できず崩壊いたしました。いずれも民主政治の機能不全に対応できなかったのが原因でした。

 今、同じマグマが日本社会にたまっています。もちろん、日本では軍事的なクーデターが起きる可能性はありません。しかし、このような中、我々が恐れなくてはならないのは、エーリッヒ・フロムが述べた「自由からの逃走」が日本社会に到来することです。

 今、世界中で民主主義のレジリエンスが問われています。多くの国で民主主義対専制主義の戦いが繰り広げられています。民主主義は放置していても勝手に発展していくわけではありません。私は、人間が希求する自由、平等といった価値観を信じ、それを体現する政治体制として民主主義を信じ、三十年前にフランシス・フクヤマが述べた「歴史の終わり」という大きな方向性を信じたいと思います。しかし、そのためには民主主義をアップグレードする取組が必要です。

 私は与野党の心ある議員に訴えたい。日本の民主主義を立て直すために今こそ立ち上がるべきときだと。与野党共に、幹部の在り方に強い不満を持っている議員がいることは日々感じています。もうそのようなものにつき合う必要はない、私はそう訴えたい。

 かつて、小選挙区制を導入する際、小泉純一郎衆議院議員は、小選挙区制になれば、権限が党の幹部に集中され、執行部の気に食わないことがあると、気に沿わないことが言えなくなると述べたそうです。今、まさにその状態が眼前にあると思いませんか。自分は党のサラリーマン化していないか、一人一人の議員が是非胸に手を当てて考えていただきたい。

 この八方塞がりの状況を打開するのは誰か。ほかでもない、我々一人一人の議員ではありませんか。この暗闇に一縷の光をもたらしたい。既存の枠組みを超えた政治勢力の決起が今、求められていると思います。

 我々有志の会はたった四人。しかし、落選を経験し、地をはいながら無所属で勝ち上がってきた四人です。選挙において、党からの資金援助も、企業・団体献金の可能性も、敗者復活の比例枠もありません。政治的に楽をしたいのであれば、絶対にこの道を選ぶことはありません。

 なぜ我々は無所属なのか。それは、この国家を思うからです。艱難辛苦あろうとも、我が身が朽ち果てようとも、この国のために立ち向かう気概を持っています。志のある方、共に立ち上がりましょう。そのことを述べて、反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

小野寺委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長 これより採決に入ります。

 まず、田中健君提出の令和六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小野寺委員長 起立少数。よって、田中健君提出の動議は否決されました。

 次に、宮本徹君提出の令和六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小野寺委員長 起立少数。よって、宮本徹君提出の動議は否決されました。

 次に、林佑美さん提出の令和六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小野寺委員長 起立少数。よって、林佑美さん提出の動議は否決されました。

 次に、令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算、令和六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小野寺委員長 起立多数。よって、令和六年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました令和六年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小野寺委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十六分散会


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