衆議院

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第4号 令和7年2月4日(火曜日)

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令和七年二月四日(火曜日)

    午前九時十八分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      伊藤 達也君    稲田 朋美君

      岩田 和親君    鬼木  誠君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      河野 太郎君    小寺 裕雄君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      佐々木 紀君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    谷  公一君

      土屋 品子君    寺田  稔君

      西田 昭二君    西銘恒三郎君

      平沢 勝栄君    深澤 陽一君

      古屋 圭司君    山田 賢司君

      五十嵐えり君    今井 雅人君

      大西 健介君    岡田 華子君

      神谷  裕君    川内 博史君

      黒岩 宇洋君    近藤 和也君

      酒井なつみ君    階   猛君

      篠田奈保子君    竹内 千春君

      中島 克仁君    藤岡たかお君

      本庄 知史君    山岸 一生君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      池下  卓君    徳安 淳子君

      西田  薫君    藤巻 健太君

      村上 智信君    長友 慎治君

      橋本 幹彦君    赤羽 一嘉君

      大森江里子君    河西 宏一君

      山崎 正恭君    櫛渕 万里君

      八幡  愛君    田村 貴昭君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   総務大臣         村上誠一郎君

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   外務大臣         岩屋  毅君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      武藤 容治君

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    浅尾慶一郎君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     平  将明君

   国務大臣

   (復興大臣)       伊藤 忠彦君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     坂井  学君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (共生・共助担当)   三原じゅん子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   赤澤 亮正君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   城内  実君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)    伊東 良孝君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    岩尾 信行君

   政府参考人

   (内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長)     廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府孤独・孤立対策推進室長)         江浪 武志君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    谷  滋行君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    森本  宏君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小山 定明君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    宇波 弘貴君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    窪田  修君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           堀井奈津子君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田尻 貴裕君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  山本  巧君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  五十嵐徹人君

   政府参考人

   (観光庁次長)      平嶋 隆司君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    石川  武君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月四日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     小寺 裕雄君

  深澤 陽一君     西田 昭二君

  山田 賢司君     岩田 和親君

  酒井なつみ君     五十嵐えり君

  本庄 知史君     山岸 一生君

  徳安 淳子君     村上 智信君

  西田  薫君     藤巻 健太君

  大森江里子君     山崎 正恭君

  櫛渕 万里君     八幡  愛君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     山田 賢司君

  小寺 裕雄君     佐々木 紀君

  西田 昭二君     深澤 陽一君

  五十嵐えり君     竹内 千春君

  山岸 一生君     本庄 知史君

  藤巻 健太君     西田  薫君

  村上 智信君     徳安 淳子君

  山崎 正恭君     大森江里子君

  八幡  愛君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     黄川田仁志君

  竹内 千春君     岡田 華子君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     鬼木  誠君

  岡田 華子君     篠田奈保子君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     高木  啓君

  篠田奈保子君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  中島 克仁君     酒井なつみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長廣瀬健司君、内閣府政策統括官高橋謙司君、内閣府孤独・孤立対策推進室長江浪武志君、警察庁刑事局長谷滋行君、総務省大臣官房総括審議官玉田康人君、総務省情報流通行政局長豊嶋基暢君、法務省刑事局長森本宏君、法務省矯正局長小山定明君、出入国在留管理庁次長杉山徳明君、財務省主計局長宇波弘貴君、財務省理財局長窪田修君、文部科学省初等中等教育局長望月禎君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省職業安定局長山田雅彦君、厚生労働省老健局長黒田秀郎君、厚生労働省保険局長鹿沼均君、厚生労働省年金局長間隆一郎君、厚生労働省人材開発統括官堀井奈津子君、林野庁長官青山豊久君、経済産業省大臣官房審議官田尻貴裕君、経済産業省大臣官房審議官田中一成君、国土交通省大臣官房上下水道審議官松原誠君、国土交通省国土政策局長黒田昌義君、国土交通省道路局長山本巧君、国土交通省住宅局長楠田幹人君、国土交通省鉄道局長五十嵐徹人君、観光庁次長平嶋隆司君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君、防衛省防衛政策局長大和太郎君、防衛装備庁長官石川武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林茂樹君。

小林(茂)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党、奈良一区の小林茂樹でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。四十五分という時間を頂戴をいたしました。

 教育と町づくり、これは私の政治的テーマでございますので、教育と町づくりについて、文部科学大臣、そして国土交通大臣に主としてお尋ねをしてまいりたいと思っております。

 質問に入る前に、本日は、石破総理、誕生日おめでとうございます。一九五七年の二月の四日にお生まれということで、六十八歳をお迎えになられた。済みません、年齢のことを言いまして。

 私は、一九六四年の生まれでございますので、東京オリンピック世代、東海道新幹線開業世代ということであります。私が小学校を卒業する年には、既に石破総理も大学入学をなさっておられたということであります。

 政治の世界では、私、昨年の秋に還暦を迎えましたが、まだまだということでありますが、二〇〇七年に政治の道に進みまして、当初は奈良県議会、その後、二〇一二年、安倍総理の「日本を、取り戻す。」というスローガンの下、政権奪還のために戦ったあの選挙から十二年たつということでありますが、県議会にいる頃から一貫をして、私は、政治の大きな課題は教育、福祉、環境、都市政策、そして財政再建、こういうふうなことをテーマに掲げておりまして、国政に参りましてからも、引き続き、教育と都市再生が重要である、こういうふうに掲げまして取り組んでまいりました。

 話が戻りますが、昨年の秋に還暦を迎えたこのタイミングで、昔の仲間たちが再会しようという声をかけて、小学校の同窓会、また今年に入ってから中学校の同窓会、そういったものも開かれております。

 最初の職場も替わって、二度目の職場、第三の社会人人生というふうに変わっている人も多くいる中で、私は、当初は都市銀行、そして地元へ戻りまして不動産、住宅販売業、そして県議会、国政と、四つ目の社会人人生を現在送っているということでありますが、この政治の世界は大変厳しい、明日をも知れぬ身でありますけれども、一日一日を大事にしてやってまいりたいと思っております。

 質問に入りますが、教育であります。

 なぜ教育が重要であるのかということでありますが、資源に恵まれない我が国にとって人材こそが最大の資源であります。子供たちは学校で何を学ぶのかということでありますが、社会性を身につけると言われます。他者との違い、そして他者を尊重すること、自分の考えだけを押しつけることではなく、他者の意見を聞きながら一致点を探っていく。

 昨日の予算委員会でも総理からありましたように、憎しみをぶつけ合う、悪口を言い合うという社会ではいけないなということ。もちろん、考え方の違いは明らかにしながらそれぞれを、攻撃をするという側面もあろうかと思いますが、公教育においては、義務教育六年間、三年間、この間に他者との違いを身につける、そして、持てる能力を真っすぐに先生は伸ばしていく、これが重要であろうと思っております。

 義務教育である小学校、中学校、人格形成の基礎となります重要な時期でありますが、一説には、この義務教育の中で重要なことは、どんな先生に出会うかということが重要だという言葉があります。どんな先生に出会うか。

 私も、振り返りますと、いろいろな先生に出会ってきて、お一人お一人に大きな影響を受けてきたなと思いますし、再会をした仲間たちも、それぞれの担任の先生、教科別の先生を思い出しながら、お世話になったことしかないな、感謝しかないなということを六十歳を経て口々にしているというところであります。

 このように、大事な役割を担う教師、先生でありますが、しかし、教師の社会的な地位というものは非常に低下をしている。今こそ、学校で教師が尊敬をされる、そして、将来若者が生涯の職業として教師を選ぶ、そのような社会に戻していかねばならないなと考えております。

 そこで質問でありますが、現在、教師の採用倍率、これは非常に低下をいたしまして、現在、小学校では二倍程度ということであります。落ち込んでおります。低下の一途をたどっております。その原因の一つが、待遇がよくない、処遇が悪いということであります。給与水準の低さにあると考えているわけですが、文部科学省としてはどのようにして教師の処遇改善を行おうとしているのか、お聞かせください。

あべ国務大臣 小林委員にお答えいたします。

 本当に、人格形成の時期の教師の役割、大変大変大きいと思っております。教育は人なりと言われるように、学校教育の成否、まさに教師に懸かっているところでございまして、教職の魅力を向上させて、教師に優れた人材を確保することがまさに重要でございます。

 また、先生がおっしゃる教師の処遇に関しましては、人材確保法に基づきまして、一般行政職の公務員の給与水準に比較して優遇措置が講じられなければならないとされているところでございますが、現在、その優遇分は僅かとなっているところでございます。

 文部科学省といたしましては、高度専門職としての教師のいわゆる職務の重要性にふさわしい処遇を実現するために、先般も、実は、文部科学省一丸となって努力をさせていただき、いつも固い財務省でございますが、加藤財務大臣と大臣折衝したときに、やっと、約五十年ぶりに、教職調整額を令和十二年までに段階的に一〇%に引き上げるとともに、教師の職務、勤務状況に応じた処遇となるように、今、学級担当の手当の加算等を図ることにしているところでございまして、そのため、令和七年度予算案に関しましても、教師の処遇改善のための所要の経費を計上するとともに、給特法の改正法案を今回の国会に提出させていただきます。

小林(茂)委員 給特法の改正、これは自民党の文部科学部会の中でも長年議論をしてきて、ようやく改正ができるということでありますけれども、果たしてこれで本当に十分なのかといいますと、これは疑問が大いに残るところであります。また、数年前は、自民党の中でも、教育国債というものを発行するべきではないかという議論もかつてはあったということで、これは私も一考の価値が大いにあるなというふうに思っております。

 今回は、給特法の改正、これは僅かにということではありますけれども、加速度を上げていかねばならないなと。四%が五%、これを三倍に増やす、一〇%、一三%と申し上げていたわけなんですが、まだまだ不十分である。しかし、これは給料だけではなくて、働き方、教師の人員そのものも不足をしているということで、学校現場では大いに問題を抱えているということであります。

 次の不登校の問題でありますが、不登校に話を移そうと思うんですが、学校の先生も不登校になっている。ある調査によれば、年間で七千人を超える教師が心の問題で学校に行けなくなっているという課題があるということでありますので、教師の処遇改善は幅広く行っていくべきであるということをつけ加えさせていただきます。

 不登校対策。学校というところは、子供たちにとって自宅と並んで長い時間を過ごすところであります。様々な楽しみの場、勉強、運動、給食、友と過ごす遊び時間でありますけれども、この場所に行くことが不安に思う、行きたくないという子供たちが確実に増えているということであります。

 特に、新型コロナの影響で学校が休業となって以降、これが急増していると、その上昇カーブを見ていて私は思います。元々学校に行きたくないという子供たちが、学校に行かなくてもいいという環境がこの新型コロナ禍ででき上がって、その後、その環境から抜け出せないという状況があるのではないか。新型コロナが不登校を増やした一因もあるのではないかと思っております。

 私の年代でも、小学校時代を思い出してみますと、学校に来ない仲間が一人いたなと思うんですが、最近、私の母校を訪ねたり近所の学校を訪ねますと、やはり一つのクラスの中に二人、三人は当たり前だというクラスがあります。片や学年で一人しかいないという学校もありますので、都市と地方で状況は随分違うのかなというふうに思っております。

 早速質問でありますが、文科省では、不登校の児童生徒を受け入れる特別の学校、これを増やしていくという計画でありますが、どのような内容のものなのか。そこでは、本来身につけるべき学習内容、あるいは先ほど申した社会性、こういったものを身につけることができるのか、その学校で補うことができるのか。そして、不登校を克服して再び学校に復帰するためには何が必要だと考えておられるのか。まず、文科大臣にお聞きをいたします。

 そして、続けて、現在三十万人を大幅に超えるという不登校という課題については、国を挙げて解決していくべきと考えます。石破総理の決意をお聞きしたいと思います。

あべ国務大臣 委員にお答えいたします。

 不登校の子たち、本当に私どもも、どうやって誰もが安心して学べる学校づくりにできるかということを真剣に対応させていただいているところでございまして、特に、学びの多様化学校、これは、不登校の児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成する学校でございまして、例えば、基礎学力の定着に向けた一人一人に対応したきめ細やかな学習指導、また社会性の育成に資する体験的な学習など、不登校児童生徒の実態に配慮した特色のある教育活動が今行われているところでございます。

 また、小中学校における不登校児童生徒数が全国で約三十五万人というふうになる中、学びの多様化学校以外の学校においても、不登校の状況にある児童生徒につきましては、どのように受け入れていくかを検討していきながら、なじめない要因がどこにあるかということを、しっかりとその解消に努めるとともに、また、校内教育支援センターの設置の促進などをさせていただきながら、学校において適切な指導や支援が受けられる体制づくりを進めていくなどをやっているところでございます。

 誰もが安心して学べる学校づくりに取り組んでいくことがまさにまさに必要でありますので、しっかりと私どもも対応してまいりたいというふうに思います。

石破内閣総理大臣 私も、昭和三十年代から四十年代にかけて鳥取の小学校、中学校で学んでまいりました。いい先生に巡り合えたと思っているんです。もう皆さん亡くなられましたが、本当にあの先生がいなければ今の自分はないなということを思うことがしばしばございます。

 委員の御質問でございますが、今文科大臣からお答えしたとおりでありますが、不登校になっちゃったお子さんがいる、どうしたのということを教師が言ってくれるかどうか、そして、友達がどうしたのと言ってくれるかどうか。不登校になっちゃった子供さんをみんなで疎外するのが一番よくないと思っているのですね、いじめにも共通したお話かもしれませんが。教師が本当にどうしたのと声をかけてくれる、ああ、自分のことを気にかけてくれる人がいるんだなということは、とても大事なことなんだろうと思っております。

 基本的に文科大臣がお答えしたとおりですが、私の個人的な感想を申し上げれば、そのような思いを持っておるところでございます。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 私の経験だけでは、学校に行けない子供がそんなにいるということがなかなか想像できないわけでありますが、これは実際、現実でありますので、現場におられる先生も、また学校以外の方々も協力をしながら、この課題を克服していく必要があるなと思っております。

 先ほどの私の同級生でありますが、その後、中学校では不登校を克服して、すっかり快活な、活発な生徒になっているということであります。

 三番目の質問、これは朝からちょっとショッキングなテーマになりますが、子供の自殺対策であります。これは予算委員会でも既に自民党の木原委員が話題にされたところでありますが、私は、子供の部分と大人の部分も含めて少しお尋ねをしたいなと思っておりましたので、これをお聞きしたいと思います。

 自殺対策。先進国の中では、我が国も韓国と並んで自殺率の高い国でございます。特に、十四年連続三万人という、そんな状況もありました。二〇一二年以降は二万人台ということであります。そして、二万人も割るぎりぎりのところで、なかなか二万人を割れずに今現在に至っている。速報値では二万数百人という状況のようであります。これは官民挙げての自殺対策が効果を発揮していると言っていいと思います。

 しかし、小学校、中学校、高校、これらの若者については五百二十七人、これは五百人台でなかなか減らないということであります。大人については、自殺の理由というのは、なかなか分からないんですが類推すると、健康、人生、家族、こうよく言われるわけでありますが、若者の自殺、前途有望な若者たちが自らの命を絶つ、そんなことがあってはいけないということであります。遺族にとっても、社会にとっても悲しいことであり、大きな損失であります。

 自殺をする子供たちの多くは、心身に何らかの悩みを抱えています。決して自殺に至らせないために、関係者が心がけるべきことは何だろうかということであります。子供の自殺の現状と、そしてその防止対策について、関係大臣の見解をお尋ねいたします。

福岡国務大臣 令和六年の年間自殺者数の暫定値におきまして、委員御指摘ありましたように、総数としては、統計開始、一九七八年以来二番目に少ない水準、二万二百六十八人となる一方で、小中高生の自殺者数については、統計のある一九八〇年以降で最多の五百二十七名となったことを大変重く受け止めさせていただいています。

 令和六年の小中高生の自殺の動機、原因については、確定値の公表に向けて今集計を行っておりますが、例えば、令和五年において原因、動機が判明したものでは、小学生においては家庭問題、中学生では学校問題、高校生においては、男性で学校問題、女性では健康問題が多いなど、年齢別、男女別で大変様相が異なっている状況でございます。

 先日、総理とともに、自殺対策に取り組む民間団体のSNS相談などを視察させていただきましたが、子供であったり若者の利用が多い、こうした取組の強化が大変重要であるというふうに考えておりまして、厚生労働省としましては、民間団体及び地方公共団体におけるSNS、電話相談体制の強化及び相談窓口の周知、また、都道府県においても、自殺防止支援者の支援を行う子供、若者の自殺危機対応チームの設置の推進などの取組を進めていくこととしております。

 引き続き、こども家庭庁や文部科学省と連携し、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいりたいと思います。

三原国務大臣 今厚労大臣がお答えになられましたように、令和六年の小中高生の自殺者の暫定値が過去最多の五百二十七人となったことは、こども政策担当大臣として痛恨の極みであり、自責の念に堪えません。

 こども家庭庁では、令和五年六月のこどもの自殺対策緊急強化プランに基づきまして、昨年度から、警察や学校等の関係機関が保有する関連資料などを集約しまして、要因の分析を、多角的な調査研究を進めているほか、今年度から、高校生を対象に、友人に悩みを打ち明けられたとき、その際のコミュニケーション方法を学ぶワークショップであるとか、大人を対象には、子供への寄り添い方や自殺の現状を学ぶ講演会の開催等を取り組んでいるところでございます。

 加えまして、令和四年以降、小中高生の自殺者のうち、自殺未遂後一年以内に自殺した者は、自殺未遂歴がある自殺者の過半数を占め、自殺未遂者への支援強化がこれまた大変重要だというふうに考えております。

 一方、子供の自殺未遂者への支援というのが、情報の共有化と個人情報の保護という、どのように支援者が関わっていくのかなど、検討、また研究すべき課題も多くて、今後、自殺未遂者とその家庭に対しましての、保健、医療、福祉、教育、こうした各機関が連携して、地域を包括的に支援する体制を構築するために調査研究を行うということとしております。さらに、特に中高生の増加が見られるということで、今後、文部科学省とのより一層の連携を図ることが重要と考えています。

 一月三十一日、関係省庁連絡会議におきまして、私からも、プランに掲げる施策につきまして、より効果的な取組方法等と更なる対策の検討をお願いしておりますので、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思っております。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 厚労省、こども家庭庁に加えて、文科省も取り組んでいただきたいと思っております。

 総理が視察をされたところ、ライフリンクですか、SNSの相談に関しては先駆的な取組をされているんですが、電話でリアルに相談を受けるという社会福祉法人も全国に五十か所ありまして、これはいのちの電話でございますが、厚労省も是非注目をしていただきたいなと。応援をいただいていますけれども、なかなか、相談員さんはボランティアで無給でやっているんですが、相談員不足という状況にもありますので、是非応援をいただきたいと思います。

 教育に関する最後のテーマでありますが、これは多少わくわくする楽しい話題になろうかと思いますが、私の地元奈良県、日本人の心のふるさとと呼ばれておりまして、国宝に指定をされた木造建築物の数が日本最多であります。朽ちやすく、燃えやすい木造建築物が災害、人災を超えて現存しているということは、単なる奇跡ではなく、先人の努力のたまものであります。

 先日は、飛鳥・藤原宮都がユネスコの世界遺産に登録されるべく、政府が推薦をしました。夏に正式登録されれば、国内で二十二番目、奈良県では四番目となります。飛鳥時代を更に遡る四世紀というものは、我が国の歴史の中では不明なことが多く、謎の四世紀と呼ばれておりますが、その四世紀の遺物が発掘をされた、こういうことであります。

 奈良市の富雄地区でとある古墳を発掘した結果、遺跡から多数の遺物が発掘をされた。二メートル三十七センチの蛇行剣、それから、盾形、そこに鏡が二つついていて、厚さが僅かに五ミリという盾形銅鏡、三角縁神獣鏡もそうですし、また、木のひつぎも出ておりまして、その中には女性が使うくしも出ておりまして、さらには水銀も出ているということで、何か赤い彩色がなされていたのかなということで、多数の遺物が発掘されて研究者が大変驚いているということであります。

 この発掘は主として奈良市が行っておりまして、現在は県立の橿原考古学研究所が学術的サポートを行っているということでありますので、更に国としてもこの遺跡の調査をサポートしていただきたいと思っております。文化庁の見解をお聞きいたします。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の富雄丸山古墳でございますが、四世紀後半に築造された日本最大の円墳でございまして、平成三十年度から奈良市が発掘調査を行い、令和六年七月に発掘調査を完了し、現在、それに基づいて調査研究や報告書の取りまとめを行っているものと承知してございます。

 この発掘調査では、古代東アジア最長の剣となる長さ二百三十七センチメートルの蛇行剣や、先ほど御指摘がありました他に類例を見ない盾形銅鏡が出土するなど、画期的な成果を上げており、現在、奈良県立橿原考古学研究所が協力して、出土品の保存処理や更なる調査研究を行っていると伺ってございます。

 文化庁といたしましても、富雄丸山古墳につきましては、今後、国史跡に指定すべきと考える重要遺跡リストとして令和五年十月に公表いたしました史跡相当の埋蔵文化財リストに登載するなど、その重要性を十分に認識をいたしてございまして、奈良市が設置をしております有識者会議に文化財調査官、その担当課は京都に所在をしてございますけれども、出席し、調査や保存に関する専門的な助言を行っているところでございます。

 また、文化庁では、自治体が行う出土遺物の保存処理に要する経費に補助を行っているところでございまして、引き続き、奈良市と連携をしながら、必要な支援や専門的な見地からの助言等を、京都の文化庁から奈良にお伺いし、積極的に行わせていただきたいと考えてございます。

小林(茂)委員 昨日の委員会でも、文化と観光の融合という発言がありましたけれども、まさしく融合できる内容でありまして、たまたまですが、道の駅がこの富雄丸山古墳の近くに昨年オープンしておりますので、観光に来る、そして文化も学べる、それが教育につながる、学習旅行、修学旅行にもつなげられる、いい場所になるかなと思います。

 世紀の大発見だと私は思うんですが、これ以上はちょっと話す時間がございませんので、ここの辺り、まだ関心のある方は是非お運びいただきたいと思っております。

 教育を終えまして、町づくりの話をしたいと思っております。

 人口減少社会にあって、これをどうやって維持、国の機能を維持していくのか。学校や警察や病院が統合、廃合されていって、地方がなくなっていくという現状をどう克服するか。これは、二地域居住が日本の人口減少という課題を克服する一つの明かりになるのではないかと私も考えております。

 二〇二〇年に、私、ちょうど赤羽国土交通大臣の下、国土交通政務官を務めておりまして、国土政策を担当しておりまして、二〇二〇年にこの協議会が立ち上がりました。その後も注目を随分しているというところであります。

 石破総理は、今国会の施政方針演説でも、この二地域居住について言及されておられます。地方創生につながるこの政策、官民挙げて取り組む必要があると思います。分かりやすい表現で言いますと、観光以上定住未満という表現になるわけであります。一つの例を挙げますと、東京に住む子育て中の主婦が、我が子に本物の自然を見せたいとの理由で週末に千葉の南房総にやってくる、こういう事例であります。

 このように教育を目的とした移住に加えて、仕事、趣味、介護、様々な目的で二地域居住を実践をされるという方が増えております。また、事前防災としての観点もあるこの二地域居住政策、国土交通省としてはどう推進するのか、具体的に教えていただきたいと思います。

 地方創生につながる二地域居住政策は、国民運動として展開させるべきだとも思いますので、総理の決意をお聞きしたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 小林委員におかれましては、二地域居住の政策の推進に尽力をいただいておりまして、改めて感謝申し上げます。

 委員御指摘の二地域居住につきましては、個人の多様な暮らし方あるいは働き方のニーズに応えるとともに、地方への人の流れの創出、さらには事前防災という御指摘もいただきました。例えば、自然災害の発生時の円滑な避難先の確保など、あるいは支え合いの基盤として、個人にとっても社会にとっても大きな意義のある取組だと考えております。

 国土交通省といたしましては、昨年施行されました関連法に基づきまして、一つは、二地域居住者向けの住宅やコワーキングスペース等の整備の支援、これに加えまして、二地域居住先の住まいの費用や交通費の低廉化といった官民連携による先導的な取組の支援を行ってまいります。

 また、昨年の十月には、委員が先ほど御指摘いただきました協議会でありますけれども、これが官民連携による全国組織へと生まれ変わりました。一月一日時点で、合わせて約千の地方自治体と民間事業者が参画をしたところであります。この中で、優良事例の共有、発信や、二地域居住の促進のための更なる課題の解決に向けた議論が行われることになります。

 これら二地域居住の促進により、関係人口を拡大をし、地方への新たな人の流れの創出に努めてまいります。

石破内閣総理大臣 ありがとうございました。

 何か昔話っぽくて恐縮ですが、今、臨海学校とか林間学校とか、もうかなりなくなっちゃった。実は海で一度も泳いだことがないとか、川で泳いだことがないとか、登山したことがないとか、そういう子供たちがいっぱい出てきちゃったような気がするのですね。やはりそれと、タワマンに住むのもよいのですけれども、そういう自然というものと接したことがないというのは、教育の観点からいってもやや課題があるのではないかなという認識を持っております。

 そういう意味で、今委員が御指摘の二地域居住、つまり、一泊二日とかそういうんじゃなくて、海にしても山にしてもそうですが、春、夏、秋、冬を体験するというのはとても大事なことだと思っておりまして、二地域居住にはそういう意義もあるんだろうなと思います。

 もう一つは、事前防災という御指摘がありました。私の選挙区に智頭町という町がございますが、ここは疎開の町、戦争で疎開という言葉があったので言葉のイメージがどうかはともかくとして、そこで年に一万円払っていただけると、何か震災とか災害があったとき、一週間住まいと食べ物を提供しますよと。御家族が増えればまた料金は少し上がるのですけれども。

 そういう事前防災、何かあったときに一体どこへ避難したらいいんだろうということで、疎開の町ということで今提案をしておるのが、岡山県境に智頭町という町がございますが、そういう意味で、何か災害というのはないにこしたことはないのですが、どこへ避難をしようかな、そして、春、夏、秋、冬の体験を子供たち、家族でしようかなという意味で、これは非常に意義のあることだと思っております。

 必要があれば総務大臣から答弁を申し上げますが、ふるさと住民登録制度というようなものを検討いたしておるところでございまして、じゃ、選挙権どうするんだ、地方税どうするんだというような問題もございますが、委員の御指摘も踏まえて、二地域居住というものを政府としてよく考えてまいりたいと思っておる次第でございます。

 ありがとうございました。

小林(茂)委員 この二地域居住という言葉、最近随分聞かれるようになりました。テレビでも雑誌でも見られるようになりましたので、これは国民運動として是非注目をしていただきたいなと思っております。

 国土交通に関係する二問目は、住宅ローン減税と、環境問題も解決をする健康省エネ住宅、この二点であります。

 住宅ローン減税、これは続けていかれるのかどうか。買い求められる御家庭もそうですし、また、それを供給する側、住宅メーカー、不動産会社についても注目をしているところでありますので。今、何もかも物価高というところで、資材、原料が上がっている中で、価格が上がっている、これはやはり住宅ローン減税は必要だと思うんですが、国土交通大臣、見解をお尋ねいたします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 住宅ローン減税であります。

 これは、委員御指摘のとおり、住宅取得者の初期負担を軽減をし、住宅取得を促進をするとともに、内需の拡大等にも資するということで、昭和六十一年度の税制改正で創設をされたものでございます。近年では、省エネ性能等に優れた住宅の普及を通じたカーボンニュートラルの実現、あるいは子育て世帯等の住宅取得支援を通じた少子化対策、子育て支援への寄与も目的とするなど、豊かな住生活の実現と良質な住宅ストックの形成を進める上で欠かすことのできない、これは極めて重要な税制措置であると考えております。

 御指摘のとおり、住宅ローン減税は令和七年の末で適用期限を迎えるところであります。しかし、足下では住宅価格は引き続き上昇しております。そして、実質賃金はまだそれほど上がっていないということで、住宅取得環境というのはますます厳しくなっているのではないかと考えております。

 引き続き、住宅価格や金利等の動向を注視し、住宅取得環境の整備に取り組んでいく中で、住宅ローン減税についても必要な措置が講じられるよう、令和八年度税制改正要望に向けて、しっかり検討を進めてまいりたいと考えております。

小林(茂)委員 是非、引き続きの継続をお願いしたいと思います。

 続いて、健康省エネ住宅という概念であります。

 皆様方、寝るときの、就寝時の室温というのを何度ぐらいに設定をしておられるのか。WHOが推奨する室温というのは十八度でございます。恐らく、皆さん方、もう少し低いと思うんですけれども、夜中に過ごすところをある程度室温を維持していくということが健康につながっていくということであります。また、室温だけじゃなくて、お風呂場とかそういったところも、ヒートショックを防ぐという意味では室温、湿度管理が非常に重要であるということであります。

 また、健康及び省エネに関しても、断熱材あるいはサッシの二重化等々によってエネルギー効率を高めていくということが、カーボンニュートラル実現に向けても重要ということであります。ということで、住宅の断熱性、機密性を高めることが重要、また、高額なリフォームの負担軽減にもつながる一部屋断熱政策という考え方もありますが、これについて国土交通省の見解を伺います。

 また、カーボンニュートラル二〇五〇年達成に向けて、住宅の躯体部分に多く使用される木材に関しては、国産材の活用が重要であります。真に国の自立性を高めるためにも、木材の自給率を高めることは重要であります。ブランド力のある質の高い国産材の輸出についてどう推進するのか、それぞれ大臣にお尋ねをいたします。

中野国務大臣 健康省エネ住宅の関係で答弁させていただきます。

 小林委員にも、健康省エネ住宅の推進、議連でも様々取り組んでいただいております。

 住宅の断熱性能等の向上、これは、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた省エネ化の促進のみならず、委員御指摘のとおり、居住者の健康確保の観点からも非常に重要であると認識をしております。

 また、一部屋断熱ということで先ほど御指摘いただきました。家全体がもちろん改修できればいいんですけれども、しかし、住宅の中でよく使う生活空間の部分的な断熱改修をするということは、当然、リフォームの費用を抑えながら温熱環境を改善できるという意味で、有効な取組の一つであるというふうに私も考えております。

 このため、一つは、厚生労働省や住宅関係の事業者等と連携をしまして、住宅の温熱環境と居住者の健康との関係について調査研究を行っております。あわせて、住宅の部分的な断熱改修の効果、どういう効果があって、改修の手順、改修の事例、どういうふうにすればいいかということを分かりやすく整理をした事例集やリーフレットを作成するなど、こうした取組を進めてきたところでございます。

 また、令和六年度の補正予算におきましては、子育てグリーン住宅支援事業を創設をいたしました。この中で、部分断熱を含む住宅の省エネ改修に対する支援も強化をしてきたところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携をいたしまして、国民の健康増進にも寄与するというこの住宅の省エネ化、これに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

青山政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルに森林が貢献していくためには、高齢化した森林を若返らせていくことが必要であり、利用期を迎えた森林は「伐って、使って、植えて、育てる」ことが重要でございます。

 委員御指摘の木材自給率は、二〇〇二年に一八・八%と過去最低を記録しましたが、直近では四三%と回復傾向にございまして、利用期となった森林資源は循環利用を図って、国産材の需要を拡大していくことが必要でございます。

 特に、住宅分野全体では、国産材が需要の約半分を占めておりますが、はりなどの横架材での国産材の利用はまだまだ低位でございますので、横架材の加工施設の整備や技術開発などを推進し、更に国産材の需要を拡大していきたいと考えております。

 また、近年、丸太の輸出は増えておりますが、より付加価値の高い製材等の輸出を拡大できますよう、海外における展示会への出展、セミナーの開催等によりまして、認知度向上とブランド化に意欲的な事業者の取組を後押ししてまいりたいと考えております。

小林(茂)委員 国土交通関係の最後の質問でありますが、新幹線、リニア中央新幹線であります。

 リニア中央新幹線の早期開業に向けた進捗状況、国の取組についてお尋ねをいたします。また、名古屋から西、名古屋以西、新大阪への部分も含めて開業時期を示すということは重要であります。国土交通大臣の考え、そして、早期全線開業に向けた石破総理の意気込みを是非お聞かせいただきたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のリニア中央新幹線は、まさに東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一つの圏域とする日本中央回廊を形成をし、日本経済を牽引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図る、まさに国家的見地に立ったプロジェクトでございます。

 進捗ということで、現在、品川―名古屋間の開業に向けまして、JR東海において、山梨リニア実験線を除く工事区間約二百四十三キロのうち約九割の区間で工事契約が締結をされ、工事が進められております。

 一方、いまだ着工のできていない静岡工区につきましては、早期着工することがリニア中央新幹線の早期開業及び開業時期の早期明確化に向けた重大な課題であると認識をしております。

 このため、国土交通省の有識者会議におきまして水資源や環境保全に関する報告書を取りまとめまして、これらの報告書に基づく対策の状況を継続的にモニタリングするための会議を昨年の二月に立ち上げまして、これまで五回開催をしているところです。

 この静岡工区モニタリング会議を通じまして、JR東海の対策状況を継続的に確認するとともに、静岡県とJR東海の協議に国土交通省も入って、一層の対話を促しているところでございます。

 また、名古屋―大阪間につきましても、JR東海におきまして、三重、奈良の概略の駅位置選定のためのボーリング調査が既に延べ六か所で実施をされ、他事業の知見も活用しながら、今後も鋭意調査を進めていくこととしております。さらに、国土交通省、JR東海も参画いたしまして、関係自治体との間で早期の駅位置の選定、駅周辺の町づくりに向けた議論を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、重大な課題である静岡工区の早期着工、そして、その後の一日も早い全線開業に向けまして、関係自治体とも連携し、引き続き環境整備をしっかりと進めてまいります。

石破内閣総理大臣 意義は今、国土交通大臣がお話をしたとおりであります。

 私、以前、自民党の総務会でこの議論がありましたときに、リニアと地方創生ってどういう関係に立ちますかねという質問をしたことがあるのですが、リニアがどんどん進んでいるところもあるかと思えば、いまだ電化もされていないところもあって、日本の鉄道って、基本、令和の鉄道と明治の鉄道が併存しておるような、そういうところがあるような気がいたしております。

 今、国土交通大臣からお答えしたとおりの意義を持っておりますが、これが、東京―大阪間あるいは東京―名古屋間が劇的に縮まることによって、これで地方がどうなっていくんだろうかと。北海道もそうですが、地方ローカル線がどんどんなくなっていくというところからすると、リニアと地方の発展というものをどうやって融合させていくかということは政府として更に考えていき、日本全体の御理解をいただくことが、リニアを更に促進していくことにつながるものと考えておるところでございます。

小林(茂)委員 時間がなくなりましたので、残り二問あったんですが、この場で述べていきたいと思います。

 広域防災については、奈良県としては、いずれ来る南海トラフ地震に備えて、総合防災機能を持つ拠点をつくるべく準備をしているということで、この事業についての御支援をまた国に対してお願いしたいと思っております。

 そして、農林中金の経営体制についてでもありますが、これについては、農林中金の投融資・資産運用に関する有識者検証会を始められたということでありますので、この経営体制について正しく運営をされることを望んでいき、また、農水省としても指導していただきたいと思っております。

 最後になりますが、私、東海道新幹線と同い年、東京オリンピックとも同い年、こう申し上げましたが、横田めぐみさんとも同い年でございます。一九六四年の十月生まれ。

 再会をした小学校、中学生の友人たちから、国会議員になった小林茂樹に何を望むのか。多いのは、やはり拉致問題、北朝鮮拉致問題。とりわけ、やはり同い年であるという思いもあるんだろうと思います。

 総理は、近々訪米をされ、トランプ大統領と直接首脳会談も臨まれるということでありますが、解決に向けての糸口、何かそういうものを把握をいただきたいなということを願っております。これは、国民皆様の共通した願いであろうと思います。

 ということで、時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

安住委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。

 次に、西田昭二君。

西田(昭)委員 冒頭、石破総理、誕生日おめでとうございます。

 自由民主党、能登半島出身でございます西田でございます。

 予算委員会での貴重な質疑の機会をいただきました。本当に、誠にありがとうございます。

 また、この予算委員会を始め多くの国会の場で、能登半島の復旧復興について、党派を超えて質疑が行われているわけでございます。被災者の一人として、改めて感謝を申し上げるところでございます。

 また、改めて、能登半島地震でお亡くなりになられた方々、また豪雨災害でお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、全ての被災者に対してお見舞いを申し上げるところでございます。

 今年の能登半島でのお正月は、雪もなく、大変穏やかな日でございました。しかしながら、お正月というおめでたい日ではありましたけれども、多くの被災者の方々は、どこか不安を抱えて、そしてまたそのときを迎えておりました。

 昨年の元旦に発生をいたしました未曽有の能登半島地震、それから一年が経過をいたしたわけでございます。国からの本当に大変ありがたい復旧復興の全面的な支援、そしてまた全国の皆さん方からの温かい御支援、御協力によって、復旧復興に向けて歩みを進めていたところでございました。御承知のとおり、九月に豪雨災害によって更なる甚大な被害が発生をいたしました。辛うじて地震によって残っていた家屋も土砂や流木によって押し流されて、貴い命も失われたわけでございます。

 その悲しみも癒える間もなく、本当に一生懸命復旧復興に向けて頑張ってこられた被災者の皆さん方は、もう心が折れてしまう、将来の見通しがなかなかつかない、そういった思いのたけを何度も何度もお聞かせをさせていただいたところでございます。

 能登はまだまだ厳しい状況にあるわけでございますけれども、地震、豪雨災害によって被災されたこの地域を、復旧復興をしっかりと国の責任で取り組んでいかなければならないと思っているところでございます。

 今年の一月一日に行われました追悼法要に、石破総理を始め関係大臣、そしてまた国の多くの方々が出席をしていただきました。石破総理からは、被災者の生活またなりわいの再建について、そしてまた能登半島の創造的復興のために政府一丸となってしっかりと取り組む、そういう決意をしていただいたわけでございます。

 一問目に、通告はないんですけれども、正月にお越しになられたときの、追悼式に御出席をいただいたそのときのお気持ちを少しお聞かせをいただければと思います。

石破内閣総理大臣 委員御指摘のように、お正月はおめでたい日なのだけれども、これからずっと、一月一日というのはあの震災の日なんだよねということを能登半島の方々は思われるし、我々政府としても、それはずっと共有をしていかねばならないということだと思っております。

 本当に、簡素な中にも心のこもったあの慰霊の式典に参列させていただいて、知事ともお話をしたことですが、これから先、毎年一月一日というのはそういう日なんだよね、でも、いつか笑顔が戻ってこられる、そういうふうにしなきゃいかぬよねという話をしたことでございました。

 今日、委員の質疑の中で、またいろいろなことを御教示を賜りたいと思っております。

西田(昭)委員 総理のその思い、大変心がこもって、そのときの風景が思い出されるところでございます。

 令和七年は、復旧のみならず、復興元年とすべき年でございます。今後は、本格的な住宅再建、復興まちづくり、なりわい再建を起点に、石川県や市町の掲げる創造的復興、能登の地方創生を力強く進めるときであると思っております。

 しかし、能登では、地震、豪雨の二重苦に加えて、半島という地形、高齢化、物価高騰という社会的な三重苦が重くのしかかってくる悪条件下での復興は、過去の災害に比べても極めて厳しいものがあると思っております。石破総理は、所信表明演説でも、地方を守り抜くとおっしゃられておりました。厳しい状況にある能登に温かい政治の手を差し伸べていただきたいと思います。

 十二月の補正予算で、今年度予備費から一千億円は能登半島地震と奥能登豪雨災害からの復旧復興に充てるとされましたが、どのような予算項目で支出されるのか、被災地の事情を踏まえた工夫が必要です。この点を踏まえて、これから質問をさせていただきたいと思います。

 能登半島が住民の流出を防止し、関係人口、交流人口を増やし、総理の掲げる地方創生二・〇を具現化して創造的復興を遂げる上での最初の課題は、人が住める、泊まれる建物を修繕、再建することであると思っております。物価の高騰の影響で修繕の費用が重くのしかかる中で、地方創生二・〇の最初の一歩を踏み出すための支援が必要になります。

 住める、泊まれる建物を修繕して確保した上で、東京羽田から一時間かからない能登空港の便利さのある能登半島に、サテライトキャンパスとして訪れる学生、移住や二拠点居住者になる人々を多数呼び込むべく、魅力的な教育環境や医療環境の充実、スタートアップ、新産業創出環境の整備、関係、交流人口を呼び込むための環境整備なども進めていく、これはまさに総理の言われる地方創生二・〇の方向性だと思っております。

 今般の予備費は、建物の修繕を始め、国の支援制度だけではどうしても制度の谷間に落ちてしまう、中長期的な視点で能登の創造的復興を進めることに活用されるべきであります。そうした考え方の下、馳知事が石破総理を始め関係大臣に要望をして回り、私も同行させていただき、申し述べさせていただきました。

 総理は、さきの答弁で、この一千億円の予備費の活用については地元の要望をお聞きして検討したいとおっしゃっておりました。総理は、先日の馳石川県知事からの要望を、持論で結構でありますので、どう受け止められたのか、まずは所感をお伺いをさせていただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 今御指摘のように、元々かなり地理的条件が厳しくて物価も高いのですが、それに加えて、震災があり豪雨がありということで、資材も物すごく上がった、労賃も上がった、人もいないということをよく認識しなさいというのが馳さんからの指摘だったと思っております。

 もう一つは、やはり地元に住み続けたいなという人たちがたくさんいる。これはいろいろな難しい問題はあるのだけれども、地元に住まい続けたいなという人たちが、例えば古民家を復旧をする、何を古民家というかどうかは別として。そこで住むような一つの何かのなりわいが復活できないかということ。

 もう一つは、自由度が高い、いろいろな使い道に制約があるのではなくて、基金のような形で、地元の負担が少ない、自由度のある支援というものを国は考えてくれないか。

 大意そのようなことであったと私自身は記憶をいたしておるところでございます。

西田(昭)委員 総理、ありがとうございます。

 先日の石川県からの要望のポイントとして、一、被災自治体が柔軟で細やかな対策を打てるよう、道路のインフラ復旧や公費解体等の補助金と併せて、予備費総額のうち相当な割合を自由度の高い交付金の形で支出していただきたいこと。その二、その交付金を石川県が設置する基金に繰り入れて、石川県創造的復興プランを実行する九年間を通じて計画的に支出できるようにしてほしい。三、そして、財政力の弱い被災自治体にとって新たな自治体負担は機動的、効果的な予算執行を困難にいたしますので、国による全額支援など、新たな自治体負担が生じないよう最大限配慮した形で御支援をしていただきたいこと。あわせて、既に特別交付税を原資に組成させていただいた復興基金と今般の新たな予備費を車の両輪として、効果的に活用するよう、柔軟かつ機動的な予算措置をしていただきたいこと。そういった内容でございました。

 被災住民アンケートでは、約五割の方が自宅を修繕、再建したいと思われているようでございますが、修繕するにしても、先ほど総理が申し上げていただきました資材や工賃の高騰、さらに、地元の大工や工務店の不足、遠距離からのかかり増し経費も大きくなってきているところでございます。

 新築する場合、能登での住宅建築坪単価は、私が住んでいる七尾周辺、中能登地区では坪単価が百二十から百三十万円とか、奥能登地区では、かかり増し経費がかかるということでもありますので、百五十万円以上、超えるようなケースも耳にいたすところでございます。地震前の二倍以上であり、二十坪の家で三千万円近くまで高騰しているような現状でございます。

 こうした状況の中、地震後、令和六年一年間で、能登六市町から七千人もの人口の流出がございました。流出を止めるには、自宅の修繕、再建の支援は必須でございます。さらに、今から急に子供の数が増加はいたしませんので、今後は、移住される方、二地域居住の方も大いに呼び込む必要があり、そこでも、空き家をリノベーションをして住宅に転用することが不可欠であると思っております。創造的復興に向けた地方創生二・〇の第一歩として、人が住み、泊まれる建物を再生することが不可欠であると思っております。

 また、被災地域の主要な交通手段である車のガソリン代の高騰など物価高による負担の軽減など、被災地域の事情に応じた石川県独自の取組も着実に後押しするべきだと思っております。

 そこで、生活再建中の被災者を物価高から守りつつ、能登の創造的復興を通じた地方創生二・〇の取組を進めるため、予備費を活用して、人が住み、泊まれる建物の修繕、再建を軸にした町並み再生と関係人口の受入れ基盤づくり、被災地の主要な交通手段である車のガソリン代高騰など物価高による負担の軽減など、被災地域の事情に応じた石川県独自の取組を交付金の形で着実に後押しをするべき。

 そのために、支出していただく予備費総額のうち相当の割合を、馳知事が申し上げているのは、八百億円程度は必要になるとおっしゃっておりますが、石川県が被災自治体の事情に応じて機動的に支出できる自由度の高い交付金の形で措置していただき、それを県で基金に積んで計画的に執行することとすべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今お話がありました能登地域の復旧復興に係る予備費の支出に関して、今委員からも御指摘がありました石川県からは、国の交付金による支援、また、能登のなりわい再建を発展的な形で進めるための投資、関係人口、交流人口拡大、被災自治体、事業者のデジタル改革などに柔軟かつ機動的に支出できるような措置とすることなど、御要望をいただいております。

 こうした要望を踏まえて、能登における取組を地方創生のモデルケースとすべく、被災自治体の機動的な対応が可能になるよう自由度の高い支援を行うこと、これを念頭に、関係省庁ともしっかり議論をさせていただき、必要な予算措置を講じていきたいというふうに考えています。

西田(昭)委員 ありがとうございます。

 是非とも前向きな御検討をよろしくお願いをいたします。

 また、せっかく予備費を措置していただくにしても、自治体負担が生じてしまうと予算執行ができなくなる状況になります。被災自治体の財政、例えば輪島市では、地震と豪雨の災害復旧費の見込みが二千億円を超え、通常時より、予算規模が二百億円程度である市の十倍を超える規模になりました。国からの手厚い財政支援はあるとはいえ、市町独自の単独事業も多額に上り、市債の残高も大きく積み上がってしまいます。

 予備費を被災地向けに交付金の形で交付いただける場合、自治体の負担が生じないような最大限の配慮、端的に言えば、国負担十分の十が不可欠になります。被災地を代表する馳知事が最も強く訴えていたのは、この自治体負担ゼロの形での交付金であります。総理の御所見をお伺いをさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 能登地域の復旧復興においては、これまでも、例えば、令和六年度能登半島地震、九月の豪雨を激甚災害に指定し、災害復旧に係る自治体負担を軽減するなど、被災自治体の負担に配慮して対応してきたところであります。

 今般、今委員からもお話がありました予備費の具体的な使途において、新たな自治体負担が生じないよう最大限配慮した形での支援、復興基金と国の予算措置を車の両輪として、効果的に活用し得るよう柔軟かつ機動的な予算措置、こうした要望をいただいております。これらをしっかりと踏まえさせていただいて、これまで以上に御当地の事情をしっかりと踏まえながら、具体的な予算を精査させていただきたいというふうに思っております。

西田(昭)委員 ありがとうございます。

 もちろん、これまでにない対応でございますので、国としても、大変な精査であったり、取組を進める上でのかなりの判断が必要だと思っております。しかしながら、未曽有の被害である能登半島を何とか救っていただきたい、そしてまた、復興に向けた復興元年としてしっかりと歩んでいきたい、そういう思いを県庁を始め多くの方々が持っているところでございますので、是非とも御配慮のほど、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、能登のなりわいの再生、創造的復興の実現にとても重要な観光業の再建についてお伺いをさせていただきます。

 能登半島地震により、和倉温泉地域の宿泊施設は甚大な被害を受けました。具体的には、和倉温泉にある二十二軒の宿泊施設全てが被災をいたしました。休業を余儀なくされ、そしてまた、昨年十一月までについては四軒の宿泊施設が再開をすることができました。

 私も、昨年暮れから何度も和倉温泉、忘年会とか様々な会合に出席をさせていただいておりますが、ネオンが光り、そしてまた、多くのお客さんを受け入れていただく、本当に温かく出迎えていただくことに感謝の気持ちでいっぱいでございます。

 これまでに多くの支援もしていただいております。雇用調整助成金の延長であったり、様々な支援もいただく、地元の方々も大変大きく感謝をしているところでございます。

 しかしながら、まだまだ本復旧にはほど遠い状況でございます。和倉温泉は能登の観光の拠点であり、一日も早い復旧、営業の本格的な再開が望まれているところでございます。

 今年から本格的に護岸工事、そしてまた解体作業が進みつつありますが、観光業は、農林水産業と並んで、なりわいの復興には欠かすことのできないものでございます。国が用意していただいた補助メニューだけでは制度の谷間に落ちてしまう課題を丁寧に拾うためにも、先ほど申し上げました交付金の厚みが極めて重要であると思っております。

 石川県、能登半島の再建のための鍵を握る観光業に対する政府の取組をお聞かせをいただきたいと思います。

中野国務大臣 御質問にお答え申し上げます。

 和倉温泉につきましては、古くからの歴史と高い知名度を有しておりまして、能登観光の拠点として大事な役割を持っております。私も、大臣着任の後、すぐに現地にも行かせていただきました。議員からも、様々、現地の御要望をまたいただければと思っております。

 現在、被害を受けた宿泊施設におきましては、御指摘のとおり、解体や施設の復旧作業が進められているところでございますが、被災した和倉温泉の護岸につきましては、旅館を営む事業者が所有をする民有の護岸を公共に帰属した上で、国土交通省が一括をして、昨年十二月より鋭意工事を進めているところでございまして、令和八年度中をめどに、可能な限り早期の完成を目指してまいります。

 また、和倉温泉では、地域の創造的復興を図るため、宿泊事業者が中心となりまして、昨年の二月に和倉温泉創造的復興ビジョン策定会議を立ち上げていただき、中長期も見据えた新たな和倉温泉の姿を描いたビジョンを策定されております。その後も、引き続き、町づくりも含めまして議論をされるというふうに承知をしております。

 国土交通省では、能登半島の観光拠点、観光資源の再生を図るため、観光地の復旧計画の策定、また、復旧後の誘客の促進のためのコンテンツ造成等の支援に取り組むこととしておりまして、必要となる予算を令和六年度補正予算に計上しているところでございます。

 引き続き、被災地の声にしっかりと耳を傾けながら、被災地の観光支援、観光復興に向けた支援に全力で取り組んでまいりたいと思います。

西田(昭)委員 ありがとうございます。

 大臣は、何度も足を運んでいただき、また、現状を把握していただいております。引き続き、御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。

 次に、能登半島地震の被災地において、例えば石川県珠洲市では、六十五歳以上の人口が約五一・七%を占め、高齢者の孤立が深刻な課題となっております。特に、震災の影響で気力が低下して、寒い時期も重なり、外出する機会も減り、仮設住宅での孤立や孤独の中で、ずっと震災から一年間を通してインスタント食品などや、仮設住宅に入って飲酒の機会がかなり多くなっている、多く摂取しているということで、健康面での課題が不安視されております。

 三原内閣府孤立・孤独担当大臣には、被災地の現状を視察していただき、現場の声もお聞きしていただきました。被災された高齢者の方々が孤独死を防ぐための政府の取組をお聞かせをいただきたいと思います。

三原国務大臣 改めまして、能登半島地震及び奥能登豪雨により亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々に心からお見舞い申し上げたいと思います。

 私自身、先月、西田委員にも同行いただきまして、仮設住宅を視察をさせていただき、そしてまた意見交換をさせていただきました。能登半島が、発生して一年がたちます。復旧復興は一歩一歩前に進んでいると同時に、まだまだ引き続き取り組むべき課題、そしてまた新たな課題というのが見えてきた、そんなふうに感じているところでございます。

 こうした中で、関係省庁の支援によりまして、例えば、生活支援相談員が仮設住宅を戸別訪問して、入居者への見守り、日常生活上の相談支援を行っているということを承知しております。また、内閣府において私が担当します孤独・孤立対策という観点からは、先駆的なNPO等の取組を支援してきておりまして、この中には、能登半島地震の広域避難者を対象に、避難されている方同士が集って交流する機会を提供したり、また、コミュニティー形成ですとか地域参加につなげる取組も含まれております。

 私も能登で西田委員と一緒に、NPO、そしてまた地域の病院、仮設住宅にお住まいの方々が、リハビリ体操ですとか、あと畑づくりなど、懸命にアイデアを出し合って様々な工夫を行う中で、御高齢の方を始めとして、お一人で住まわれている方々が人とのつながりを持ち始めているというお話を伺いました。こうしたつながりづくり、人のつながり、居場所づくり、重要性を再認識したところでございます。また、被災されているにもかかわらず、そうした地域のつながりづくり、居場所づくりに取り組まれている方が大変多くいらっしゃいました。

 引き続き、国、自治体一丸となって、災害関連死を防ぐという観点、孤独、孤立を防止するという観点は大変重要であると思っております、地域の見守り等を含めた取組をしっかりと行ってまいりたいと思っています。

西田(昭)委員 三原大臣、ありがとうございます。

 能登半島地震で無念にもお亡くなりになられた方々は、昨年末の発表で四百八十九名で、このうち、災害関連死とされる方が二百六十一名いらっしゃいます。災害の我が国において、何とかこの災害関連死を、お亡くなりになる方を少しでも減らしていけるよう、そして、被災された方が孤独死をされることがないよう、取組を引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 最後に、のと里山海道についてお伺いをさせていただきます。

 のと里山海道は、金沢と能登を結ぶ大動脈であり、金沢と能登を結ぶ全長約八十八キロのうち、徳田大津インターチェンジからのと里山空港インターチェンジ間、約三十三キロの四車線化を石川県は国に要請をさせていただいているところでございます。事業化が進めば、全線四車線化のめどが立ち、能登地域の創造的復興と交通の利便性の向上が大いに期待をされるところでございます。

 これまでのと里山海道について、大変甚大な被害でございました、発災直後から、仮復旧をするために国交省が直轄で整備をしていただきましたし、今は対面通行ができる状況になっているところでございます。ただ、今日からも豪雪が降る可能性があるということで、そうすると、スリップ事故、県外の方々が多く能登に入ってきていただいているところでもございますし、交通のスムーズな状況が大変心配されるわけでございます。また、この道路ができれば本当に復旧復興の大きな御旗になると思っておりますので、国土交通省の、これからの原状復帰であったり、また見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。

安住委員長 中野国土交通大臣、時間が参っておりますので、簡潔に。

中野国務大臣 はい。

 のと里山海道は、今、徳田大津ジャンクションから穴水インターチェンジにつきましては国が応急復旧工事を進めておりまして、令和六年七月十七日には全区間での南北両方向の通行を確保したところでございます。

 今後の復興に向けましては、昨年十二月、国、県、有識者などで構成される検討会を設置をし、石川県が石川県創造的復興プランをまとめていただきまして、これを踏まえて、広域的な道路ネットワークの在り方について議論を行っておるところでございます。

 石川県知事から要望をいただいております徳田大津インターチェンジからのと里山空港インターチェンジの四車線化につきましては、こうした議論の結果を踏まえ、走行性を高めるための本格復旧を進めつつ、石川県などの関係機関と調整をして、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

安住委員長 時間です。

西田(昭)委員 これからも能登の復興をよろしくお願いいたしまして、終わりといたします。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて西田君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 先日、本委員会で参考人招致を議決した旧安倍派の会計責任者松本氏から、出席には応じられないという返答がありました。

 今朝の理事会でも、自民党は、松本氏は民間人であるからということを強調されているんですけれども、松本氏は派閥政治団体の会計責任者です。ということは、一般の企業の例えば役員というような純然たる民間人とは、私は少し事情が違うんじゃないかというふうに思います。

 また、重篤な病気等で国会に来ることが難しいということなど、やむを得ない事情があるならば、これは話は別でありますけれども、国権の最高機関の議決に対して、ただ行くのが嫌だからというのは、やはり私はなかなかこれは許されないんじゃないかというふうに思います。

 参考人の精神的な負担というのもありますから、例えば非公開にするとか、いろいろな工夫はできるというふうに思います。そういう意味では、是非、更に強制力を持った方法を取らざるを得なくなる前に、やはり自主的に説明責任を果たしていただきたい。そのために、自民党からは是非もう一度説得をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、石破総理、松本氏が出席を拒まれていることについてどう思われるのか、また、松本氏の出席なくしてこの裏金問題の全容解明は可能と考えられるのかどうなのか、そのことについてお聞きをします。

石破内閣総理大臣 参考人の招致につきましては、これは国会の御判断によるものでございまして、行政府として申し上げる立場にはございません。

 この松本さんは、じゃ、自民党総裁としてはどうなんだいということかもしれませんが、清和政策研究会が雇用しておられた方でありまして、自由民主党が雇用しておったわけではございません。

 もちろん、それはいろいろな関係もございますが、第一義的には国会の議決に基づいて御本人が判断をされるということでございますので、行政府として言及はいたしかねます。

大西(健)委員 まさに今、この裏金問題の全容解明というのが国会で問われているわけですよね。それに対する、まさに私は石破政権の本気度が問われているんだと思います。

 火の玉になってという話もありましたけれども、これがそういう姿勢なのかと国民の目には映っていると思いますし、裁判で一定の結論が出ているということでありますが、それは、いわゆる政治資金規正法という罪に問われるのかどうなのかという観点であって、我々はそれとは別に、この裏金問題の全容解明、これを国民にしっかりする責任がこの立法府としてあるというふうに思いますので、目的は違いますので、是非この件については、後ほど米山委員から更に詳しく質問をさせていただきますので、次に進みたいと思います。

 次に、物価高についてお聞きをしたいと思いますけれども、日用品も食料品も上がっているという中で、とにかくガソリンが高い。その最新のレギュラーガソリンの店頭価格ですけれども、資料にもお配りしていますが、過去最高値であるおととし九月の百八十六・五円に迫る、一年五か月ぶりの水準になっております。二百円を超えているところもあるということなんですけれども、政府は一月十六日から五円程度補助金を引き下げました。この補助金引下げの小売価格への反映は二週間から三週間程度かかるということですから、この後まだ上がるんですね、これは。

 昨日も話題になっていましたけれども、自民、公明、国民民主の三党が、十二月十一日に、ガソリン暫定税率は廃止をする、こういう合意を交わしていますけれども、ここには時期が明示されていません。

 総理、国民は、ガソリン高に今苦しんでいるんです。ですから、一年後に下げてもらっても、それは遅いんですよ。今やらないと意味がないんです。

 立憲民主党は、階ネクスト財務金融担当大臣と税調会長である私のところで、今税法の修正案を準備しています。その中で、二十五・一円追加で徴収されている暫定税率を廃止する法案の提出を準備をしております。ガソリン暫定税率の廃止については、維新も国民も賛成です。自民党が賛成してくれれば、ガソリン高に苦しむ国民を救うことができます。

 総理、我々のこの暫定税率廃止法案に賛成していただけますか。

石破内閣総理大臣 今、政党間で真摯な話合いがなされておるところでございます。

 政府といたしまして、今日もその関係の会議を開きましたが、ガソリンが高いということについて非常に強い問題意識を持っております。じゃ、物価上昇が今著しい、給与の上昇がそれに追いつくようにという話なのですが、一体それはいつになるんだいというお話でございます。

 ですから、特に地方においてガソリンが高い、二百円を超えているところもあります。そういうところに対して適切に対応するように、政府として今対策を講じておるところであります。

大西(健)委員 私が聞いたのは暫定税率廃止の時期なんですね。期限を定めていない約束というのは、これは守らないというのと私は同じだと思います。事実、しばらくの間という名前の税金をもう五十年も続けてきたんですよ。

 ですから、私は、暫定税率、いつやるのかと。一年後、二年後だったら、石破さんが総理じゃないかもしれないんです。だからこそ、時期を明確にしてもらわないとこれは意味がありません。いつまでにやるのか、明確に答えてください。(発言する者あり)

安住委員長 まず、加藤財務大臣、手短に。

加藤国務大臣 御承知のように、自民、公明、国民民主の三党の幹事長間において、いわゆるガソリンの暫定税率を廃止するということと同時に、具体的な実施方法については引き続き関係者間で誠実に協議を進めると合意をされているわけでございます。また、それを踏まえて、令和七年度与党税制改正大綱においても、引き続き政党間で真摯に協議を行うとされております。

 政府としては、その協議の結果、これを踏まえて適切に対応していきたい、このように考えています。

大西(健)委員 結局、時期が分からないんですね。

 じゃ、もうちょっと私、明確に言いますので。廃止の時期は、一、新年度からか、二、今年度中の可能性があるのかないのか、三、来年度の税制改正以降の話なのか。この三つの中からめどさえ答えていただけなければ、私はこれ以上質問できません。(発言する者あり)

安住委員長 そうしたら、加藤さんが手短に言って、その後、石破総理に答弁させます。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、三党間で協議を進めるとされているわけでありますから、政府としては、その政党間の協議の内容、これを踏まえて対応するということでございます。

 したがって、今の段階で、その内容がどうなるか見えない中で、予断を持ってそうしたことにお答えするのは控えさせていただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは三党で今話しているときに、政府がこの時期なんてことが言えますか。そのような、三党で今話し合っているときに、そういうことを、ましてや、与党の、自民党の総裁が、自分はこうですというような、そんな信義に欠けるようなことは私はいたしません。

大西(健)委員 でも、国民民主党はもう早くやってほしいと言っているわけで。要は、今年度中の可能性は今の話だとないんですよね。

 私もさっきも言いましたけれども、これは来年度だったらもう全然話にならないですよ。今ガソリンが高くて困っているのに、来年廃止しますよと言われたって、それは意味がないとまでは言いませんけれども、五十年続いている、この課税根拠を失った暫定税率がなくなること自体は意味があると思いますけれども、ただ、ガソリンが高いということに関しては、今すぐやってもらわないと、これは私は意味がないと思いますので。

 我々は法案を出しますから、是非この法案を与党の皆さんにも賛同いただいて、今ガソリン高で苦しんでいる国民の皆さんの生活をみんなで助けようじゃないですか。是非よろしくお願いします。

 次の質問に移りますけれども、通告の順番を変えて、岩屋外務大臣に、議員宿舎に不審者が侵入した事件についてお聞きをしたいと思います。

 まず、大臣、御無事で何よりでございました。ただ、これは非常に不可解な事件で、事は日本の外交責任者のセキュリティーに関わる問題なので、何もなくてよかったねということで済む話では私はないと思っています。

 大臣は、不審者と鉢合わせしたときに、相手と話をされたと聞いているんですけれども、何を相手は言っていたのか。また、大臣はお帰りいただいたと話していますけれども、なぜそこで警備員を呼んで、その場で警察に引き渡さなかったんですか。

岩屋国務大臣 まず、御心配をおかけしたことを申し訳なく思っております。

 今御指摘にあったように、議員宿舎の私の自室に見知らぬ人が侵入する事案があったということは事実でございますが、それ以上の詳細については、警備上の理由により、お答えを控えさせていただきたいと思います。

 今般の事案を受けて、宿舎のセキュリティーを更に強化していただきたいということを申し上げましたが、警備会社によるものも含めて、今、警戒が強化されているというふうに承知をしております。

大西(健)委員 当然、それは警備を強化してもらわないと、宿舎には石破総理もお住まいでいらっしゃいますよね、公邸と両方ということでありますけれども。それは当然なんですけれども、そのためにも、犯人の目的とか、動機とか、侵入の手口とかはちゃんと明らかにしないと、やはり外交責任者、あるいは総理も住まわれているところのセキュリティーの問題ですから、私は、それはちゃんとやっていただきたいと思います。

 もう一点、不審者は一定時間大臣の部屋にとどまっていた可能性が高いと思うんですけれども、その後、例えば盗聴器等が仕掛けられていないかというのは調査されましたか。

岩屋国務大臣 何の被害もありませんでしたし、部屋の中も自分で調べましたけれども、何の変化もありませんでした。

大西(健)委員 盗聴器は自分で見つけられるものじゃなくて、やはり、ちゃんとした専門家に調査してもらわないと私は駄目なんじゃないかというふうに思います。これ以上はやりませんけれども。

 その岩屋外務大臣なんですけれども、私、個人的には非常に尊敬をしているんですが、一月六日からの十日間で、ネット署名で、三万人を超える大臣更迭を求めるネット署名というのが集まっているんですけれども、石破総理、このことを御存じですか。また、どう思われますか。

石破内閣総理大臣 そのような署名はいろいろな政治家に対して行われることであります。今御指摘の外務大臣に対するその署名の数までは承知をいたしておりません。

大西(健)委員 確かにいろいろな署名が今ありますけれども、十日で三万人というのは結構すごい数だと思うんです。

 このネット署名の主な更迭の理由ですけれども、中国人向けのビザ緩和とIR企業からの賄賂疑惑というのが挙げられています。

 岩屋外務大臣は、中国人観光客向けのビザの発給要件の緩和に関して、記者会見では、ビザの種類に応じて一定の経済要件を設け、申請時や入国時には厳格な審査を行っており、直ちに中国人観光客の無秩序な急増につながるものではないと考えていると述べて理解を求められているということであります。

 そこで、ちょっと資料の方を御覧をいただきたいと思うんですけれども、皆さんのお手元にお配りしていますが、これまで中国人に対する短期ビザの緩和措置というのを累次行ってきているわけですけれども、まず、二〇一五年に、相当な高所得者に対する有効期間五年の数次査証の発給が開始されました。そして今度、二〇一七年には、十分な経済力を有する者に対する有効期間三年の数次査証の発給が開始をされています。

 外務省に確認したところ、短期の数次査証の発給数というのは年間約九十六万八千件だそうです。そのうち約四五%が五年査証ということなので、単純計算で約四十三万件が五年査証になっていると。

 今度新たに出る十年査証の対象になるのは、この五年よりも更に厳しい経済要件を満たすものになるということなんですけれども、じゃ、具体的に、その経済要件の金額を幾らぐらいに想定しているのか、そして、対象となるのは何人ぐらいと見込んでいるのか。まさか想定の数字もないのに、大臣は、一部に中国人が急増するなどという誤解があると言っておられますけれども、どういう根拠で言っておられるのか。

 どれぐらいこの十年査証の対象者がいるのか、経済要件はどれぐらいになるのか、これを明確にお答えいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 まず、それだけたくさんの署名が集まっているということは、私の不徳の致すところでございまして、更に精進をしていきたいと思っております。

 御指摘の中国人の訪日査証については、これまでも、観光の推進、あるいは人的交流の促進を通じた相互理解の増進などを総合的に勘案して、累次の緩和措置を、委員御指摘のとおり、行ってまいりました。

 その際に課す経済要件についてなんですけれども、他国との関係もございますので、これまで明らかにしてこなかったところでございますが、当然、五年査証に比べると更に高い経済要件を課すということになろうと思いますので、その意味で、無秩序に中国人観光客が増えていくということにはならないというふうに想定をしているところでございます。

大西(健)委員 さっき言ったように、多分、五年査証が今大体四十三万件ぐらい出ていると。じゃ、そのうち、どれぐらい、何割が十年の対象になるというふうに想定されているのか。

 これは、当然、本件については事前に法務省の出入国管理庁に対しても意見照会があったはずなんですけれども、私は法務省の方に聞きましたら、その際、この十年査証の対象となる経済要件についても、外務省から一定の額を示した上で協議があったと。当然、それは額を聞かないと法務省もいいとも悪いとも言えないから、それは聞きましたと言っていましたけれども、今言ったように、じゃ、この四十三万件のうち、五年査証のうち、一体何件が十年の対象になるんですか。何割がなるんですか。ざっくりでいいです。

岩屋国務大臣 経済要件に関しては、先ほど申し上げたとおり、他の国との関係などもありますので、これまでも明らかにしてきておりません。

 今、インバウンド、三千七百万人ぐらいになっていると思いますが、中国からのお客様は七百万人を超えているという状況にあろうかと思います。五年査証の対象者が四十数万人ということですが、その中で更に経済的に豊かな方が、十年査証に切り替える方も出てくるというふうに考えております。

大西(健)委員 だから、今、私は何度も言いましたけれども、四十三万件のうち、じゃ、一体どれぐらい、半分なのか、三割なのか、二割なのか、それが分からないと、我々国会議員も、今回のビザの緩和が本当に中国人の急増につながらないのかどうなのか、その是非を判断することはできないと思います。ですから、この新たな十年有効の数次ビザの対象者の経済要件の金額の目安と発給見込み数をこの委員会に提出をしてください。

 委員長、お取り計らいをお願いいたします。

安住委員長 理事会で協議します。

大西(健)委員 中国政府は、新型コロナの感染拡大を受けて、日本人に対する短期滞在のビザの免除措置を二〇二〇年の三月から停止していました。これは日本だけじゃなくて、ほかの国に対してもなんですけれども、それを昨年の十一月三十日から、免除措置が再開をされました。ただ、これは、あくまでコロナ前に戻っただけのことなんですね。今回の日本が発行するこの十年査証の方は、これは新たな措置です。

 そこで、今回のこの十年有効査証というのは、日本人の短期ビザ免除の再開に呼応したものなのか、そうでないのかについて確認したいと思います。

 この点について、外務省のレクで、私も、よく相互主義というのが言われるので、これは相互主義なのかと聞いたら、それは違うんだ、相互主義ということをよく言う人がいるけれども、どの国に対してどういう条件でビザを発給するかどうかというのは、これは主権の問題なので、相互主義とは関係ないとおっしゃっていましたけれども、そういう理解でいいのか、外務大臣にお聞きします。

岩屋国務大臣 そういう御理解のとおりでございます。これまでも、我が方の査証に関しては、自主的な判断として行ってきているところでございます。

 その上で、今委員から御指摘があった中国側の短期査証免除でございますが、これは我が方の全国民が対象になる措置でございます。そういう意味でも、相互主義と言われるような、それに対応するような考え方で決めた、方針を考えたわけではありません。

大西(健)委員 ということですよね。

 だから、自主的な判断だとすれば、なぜ今、中国人向けの新たな査証を発給する必要があるのか。日本のEEZ内に新たに設置したブイの即時撤去にも、日本の水産物の早期輸入再開にも応じない、日本人学校に通う児童が襲われて、日本人がスパイ容疑で拘束されているのに、なぜ中国向けに今この新たな十年査証というのを発給する必要があるのかというふうに多くの国民が疑問に思っているんじゃないでしょうか。

 これが、岩屋大臣がIR事業をめぐって中国企業から賄賂を受け取ったこととも何か関係があるんじゃないか、こういうふうに思っている国民も多い。だから、更迭署名というのが出ているんです。こういうふうに国民が疑うのは、私、当然だと思いますけれども、石破総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 国民の中にいろいろな御意見があることは事実であります。

 私は、任命責任者といたしまして、岩屋大臣の実績、人柄、公正性、そういうものに対して全幅の信頼を置いておりますので、それは、国民の皆様方にそういう思いがあるとするならば、それを払拭するように、大臣自身もそうでありますし、内閣として努めてまいりたい。

 そのようなことで私は閣僚を任命をしたりはいたしておりません。ましてや外務大臣でございますから、そういうことに全幅の信頼がなくて任命をするようなことはございません。

大西(健)委員 私も、最初に言ったように、岩屋大臣を個人的には人格も能力も大変尊敬をしているんですけれども、その岩屋大臣がこういうふうに疑われる、何か疑念を招く原因として、このビザの緩和がそういうことになっちゃっているんじゃないかと。

 岩屋大臣が中国企業500ドットコムから金銭を受け取った疑いがあって、500ドットコムのCEOが米国司法省に海外腐敗防止法違反で起訴されていることについては、昨年十二月、我が党の杉尾委員が参議院の予算委員会で詳しく質問をされています。

 そこで、ちょっとパネルを御覧いただきたいんですけれども、500ドットコムという会社が、五人の議員に各百万円前後の資金提供をしたという供述をしています。そのうち、札幌市の観光会社の幹部名義で中村裕之衆議院議員が代表を務める自民党支部に二百万円の寄附があって、その三日後に、この二百万円のうち百万円が岩屋大臣が代表を務める政党支部に寄附されています。

 この件に関して、岩屋大臣が会見で、二〇一七年八月に同僚議員の政治資金パーティーで講演したことに対し、お礼の気持ちで寄附したいと話があった、仮に原資が中国企業からの金銭なら、当然お返しすると述べておられます。その後、この百万円については返金をされたと聞いています。ただ、私は、この説明はちょっと腑に落ちないんですね。

 そこで、石破総理にちょっと伺いますが、総理は、同僚議員のパーティーで講演することがよくあると思いますけれども、お礼に百万円をもらったことはありますか。

石破内閣総理大臣 同僚議員のパーティー等々で講演をして、謝礼というんでしょうか、何というんでしょうか、そういうものを受け取ったことはございません。

大西(健)委員 そうですよね。私もそう思うんですよね。普通はそんなお礼をもらわないし、もらったとしても、百万円はやはり多いと思うんですよ。

 有罪になった秋元さんの三百万円というのも、講演会の講師料名目だったんです。また、起訴状には、500ドットコムが講演料名目で金をばらまいていたということも書かれています。講演料だったという説明は、やはり信じられないと思います。また、杉尾議員も指摘しているように、本当に講演料だったら返す必要はないんじゃないか。

 大臣は、百万円は、パーティーでの講演のお礼としては、ちょっとこれは多過ぎるなというふうに疑問に思われませんでしたか。

岩屋国務大臣 これは問われるたびにお答えをしてきておりますが、私自身は、中国企業から金銭を受け取った事実は断じてありません。また、報道されている中国企業とは、全くつき合いがありません。

 御指摘のやり取りは、私の政治団体というか選挙区支部と同僚議員の選挙区支部とのやり取りでございました。講演に行ったのは、いわゆる政治資金パーティーでございました。その直後にもう解散ということになったと思います。同僚議員から電話があって、お礼をしたいと言うから、いや、そんなのはいいよということだったんですが、どうしてもと言うので、じゃ、私の選挙区支部に寄附として振り込んでおくれという会話を交わして、振り込んでいただいたんですが、金額は知らされておりませんでした。

 その後、そういう事案が発生をしたので、私は直ちに、地元で全てのメディアを呼んで記者会見を行って、質問が尽きるまでお答えをさせていただいたところでございます。

 さらに、そういう疑いを持たれたということに鑑みて、その資金もまた同じく、私の選挙区支部から同僚議員の選挙区支部にお返しをさせていただきました。

 以上でございます。

大西(健)委員 今の説明にもありますけれども、三日後に百万円を中村さんのところから大臣が代表を務める党支部に入金がされているということですので、これは本当に、普通に考えるとやはりおかしいんじゃないか。さっきも石破総理もおっしゃいましたけれども、同僚議員のパーティーで講演して百万円をもらうなんということは、お礼をもらうということもないという話なので、やはりこれは説明として私は腑に落ちないと思います。

 この件は、日本国内では既に捜査が終結して公訴時効を迎えていますけれども、先ほど言ったように米国で訴えられていて、これは少なくとも今後三年間捜査が継続するということです。したがって、大臣はもうこれは既に終わった話と言っておられますけれども、そうは言えないんじゃないかと思います。

 本件を理由の一つとして大臣更迭を求める署名が三万件も集まって、そして、中国人向けのビザ緩和についても、国民がこれと何か関係があるんじゃないかと疑念の目を向けている、そういう理由の一つになっているという点では、私はこれは深刻な問題だというふうに思っています。

 この中国人向けのビザ緩和措置ですけれども、自民党の外交部会でも大変厳しい意見が多く出ていて、出席した議員らは、緩和措置で来日中国人が増加することで、オーバーツーリズムが深刻化するんじゃないかという懸念を表明しています。

 ちょうど今日までが中国の春節の連休ということで、先週から今週にかけて多くの中国人観光客が日本各地を訪れました。

 オーバーツーリズム対策としては、観光地の自治体の間には今、宿泊税導入の動きが広がっておりますけれども、私は、この際、外国人旅行者への消費税免税措置をやめてはどうかと思います。長年のデフレと円安で、我が国はいわゆる安い日本になっているんですね。ですから、免税しなくても外国人の方は来られるし、そして、外国人の方はお買物もされるというふうに思います。

 パネルを御覧いただきたいんですけれども、二〇二三年の外国人の国内消費額、これは約五兆三千億円。そして、うち免税購入額というのは一兆六千億円になっています。単純計算ですけれども、この一兆六千億に一〇%を掛けると、二〇二三年度で大体千六百億円が免税されているということなんですね。

 二〇二四年はまだ、外国人の国内消費額、速報値しか出ていないんですけれども、これが更に増えて約八兆一千億円です。これを同じように計算すると、大体、免税購入額は、同じ比率でいうと、あくまで機械的計算ですけれども、約二兆四千億円になる。その一〇%ということになると二千四百億円になるんです。

 何を言いたいかというと、石破総理、今、物価高に苦しんでいる国民から税金を搾り取るんじゃなくて、日本に来て旅行を楽しめる余裕のある外国人の方に本来払うべき税金をちゃんと払ってもらったらいいじゃないですか。ここに二千四百億円の財源があるんですよ。これを使えば、予算修正だって可能じゃないですか。これをやりましょうよ。いかがですか。

加藤国務大臣 外国人旅行客向け免税制度については、令和五年三月に閣議決定された観光立国推進基本計画で、利用促進等によりショッピングツーリズムを推進すると。それに向けて対応しているところであります。ただ一方で、免税購入品の国内転売などといった不正がございますので、今回、いわゆるリファンド方式に見直すこととしているところであります。

 今委員からお話がありましたけれども、お地元はそうかもしれないですけれども、私の地元はまだ戻ってきていません。そういう地域もたくさんあるわけであります。したがって、地方創生ということを考えたときに、やはり、そうした外国からもお客さんが来ていただいて地域を活性化していく、こういった観点も必要ではないかというふうに思います。

大西(健)委員 今大臣が答弁されたように、いわゆる不正も結構あるんですよ。国内で転売しているような不正があって、それでリファンド方式にするということなんですけれども、でも、空港で出国時に還付するという方式にすると、空港窓口、空港ですごい長蛇の列ができて、結局飛行機に乗り遅れるみたいな話になるんじゃないかということも懸念されています。

 それから、これは国際的に見ても、外国人旅行者免税というのは、やっている国もあればやっていない国もあって、別に何か国際協定で決まっているとか、そんな話じゃないんです。

 先ほど言われたように、確かにこれはインバウンドの促進策として実施されてきたことは理解しますけれども、もはや今、ステージは変わっていて、インバウンドの促進策どころか、さっきから言っているように、オーバーツーリズムでみんな、各自治体は困っているんですよ。だから、もうステージは変わっているんですから。

 これは、さっき財務大臣からもう答えてもらいましたので、総理からも一言答えてください。

石破内閣総理大臣 それは、やはり日本でしかできない買物というものもあるわけで、それを安く買いたい、みんながお金持ちなわけでもありませんので、そういう人たちに対する一つの誘因ではあると思います。

 もう一つは、今財務大臣もお答えしましたが、委員の御地元はどうか知りませんが、いかにして、主要観光地、ゴールデンルートだけではなくて、北海道から九州まで、沖縄は台湾からいっぱい来るのかもしれませんね、多くの観光客に来ていただくかという、一種の平準化みたいなものを図っていかねばならないのであって、オーバーツーリズムは大変だ、だからこの制度をやめようというのは、いささか論理の飛躍があるような気が私はいたして聞いておるところでございます。

大西(健)委員 消費税の減税がされるから何か地方に旅行に行くということの方が論理としてよく分からないんですけれども。

 私が言っているのは、日本人は物価高で苦しんでいるんですよ。でも、外国の方は、日本に旅行に来れる余裕があって、たくさんお金を使っておられるわけです。

 この間、ある人が言っていました。都内の高級ホテルで子供を連れてランチに行ったら、パスタが幾らだったと思いますかと聞かれて、私は三千円ぐらいですかと言ったら、五千円だと言うんですね。でも、これは外国人の方にとっては全然安い。別に、外国、欧米でいえば、ランチに日本円で五千円以上かかるのは普通なので、全然高いと思わない。でも、日本人は五千円のパスタはとても食べれない。でも、それに消費税を免税してあげる必要はあるんですか。日本人は五千円のそんなランチなんて食べれないですよ。だから、例えば、そういう五千円のランチを食べれるような人に免税する必要は私はないと思いますよ。

 また、オーバーツーリズムに関連してですけれども、訪日外国人観光客の中には、国際免許でレンタカーを利用して事故を起こす、こういう例も出てきています。ただ、中国はジュネーブ条約の締約国ではないので、中国人観光客は国際免許を取得することはできません。

 ところが、これは参考に資料をつけましたけれども、外免切替えという手続があって、これをやれば日本の免許が簡単に取得できてしまう。そうすると、日本の免許を取得して、それを国際免許に切り替えれば、世界百か国以上で運転ができちゃう。しかも、外免切替えというのは、何と、在留カードがなくても観光ビザで、滞在中のホテルから申請できるんですよ。知識確認の学科試験があるんですけれども、これはパソコンで日本の交通法令等に関する二択の問題に十問中七問正解したら合格なんです。

 これは日本語じゃないですよ、中国語を含む二十四の外国語で受験できるんです。しかも手数料四千六百円。日本の人たちは何十万もかけて自動車教習所に通って免許を取るんだけれども、四千六百円で切替えができちゃう。これは、先着順で学科試験が受けられる府中だとか鮫洲の試験場には、夜中から中国人や外国人の列が、大行列ができている。

 これは、国によって車の走っている量とか道路インフラの状況とか、あるいはマナーも交通ルールも全然違うのに、こんな簡易な方法で外国人に日本の免許を与えてしまって、本当に日本人の命と安全を守ることができるんでしょうか。これは、坂井国家公安委員長の答弁をお願いしたいと思います。

坂井国務大臣 まず、この外免切替えの制度でございますが、委員がおつけをいただいた資料のように、この手順によって手続が進むわけであります。

 その中において、俗に言う学科試験は、委員がおっしゃったように、ある意味、私が見ても簡易な、安易なものだと思いますが、しかし、同時に、技能に関しては、かなりしっかりこれはテストをさせていただいているところでございます。

 例えば、指定場所において一時停止がしっかりできるか、S字、クランクを走行できるかということをしっかり見ておりまして、そのために、ここは通過率が、合格率が、全国平均でございまして、委員が御指摘の中国人だけではありませんが、全ての受けた人の中で二九%という数字になっておりまして、裏を返すと、七割の方は何度かこの試験を受けなければ免許の切替えが、外免切替えできないという状況になっておりまして、一定程度運転の技能、技術を持っている方しか一応免許が取れない、こういう制度にはなっております。

 外免切替えで日本の免許を取った方だけの例えば事故率みたいなものは、実は統計を取っておりませんけれども、一部、令和三年、たしか令和三年から六年……

安住委員長 ちょっと簡潔に。

坂井国務大臣 はい。じゃ、簡潔にということですので。

 どちらにしましても、この外免切替えの制度は、もう一点、府中と鮫洲の、運転免許証、列ができているというお話がありましたが、府中はたしか予約制になったと思いますし、鮫洲も予約制にいたしますので、ここはそういったことは起きないようになるということは申し上げておきます。

大西(健)委員 先ほど坂井国家公安委員長からも、学科試験はちょっと簡単過ぎる、自分が見ても簡単過ぎるということでしたけれども、じゃ、もう少し難度を上げるとか、あるいは、あと、在留資格がなくても観光ビザで滞在中のホテルから申請できるというのはいかがなものか。あと、四千六百円というのも、さっき言ったように、日本人は何十万もかけて教習所に通って免許を取っているわけですよ。

 これも、だからさっき、私、外国人消費免税はやめていただきたいと言ったのは、物価高で苦しむ日本人から取るんじゃなくて、ちゃんと払うべき人に払ってもらいましょうよと。まさにこれは、日本ファーストではありませんけれども、国民ファースト、国民生活ファーストという意味で言ったわけで、私たちは今、先ほどのガソリン暫定税率の廃止の修正案とともに、先ほども言いましたように、階ネクスト大臣と一緒に私のところで今税法の修正案を用意していますけれども、そこでもこの外国人消費税免税の取りやめというのを検討事項にしっかり盛り込みたいというふうに考えております。

 そこで、改めて国家公安委員長に聞きますけれども、ホテルから申請できるとか、四千六百円という手数料とか、あるいは学科試験が簡単過ぎるというのは、これは改めないんですか。

安住委員長 坂井国家公安委員長、時間が間もなくですから、簡潔に。

坂井国務大臣 簡潔にお答え申し上げますが、この制度は、制度に一〇〇%の制度はありませんので、より改善をしていくという観点から、ほかにも課題がいろいろございます。ですので、そういった課題も含めて、今委員が御指摘になったこともしっかり検討事項として挙げて、他国の制度等も勉強しながら、ここはしっかり検討させてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 時間ですので終わりますけれども、先ほども言いましたけれども、総理、やはり、外国の方に来てもらうのも大切ですけれども、日本ファースト、日本国民の生活ファーストで考えていただいて、日本国民の命と安全、そして生活を第一に考える政治をやっていただきたい。それをやっていただけないなら私たちに政権を渡していただきたいとお願いして、私の質問を終わります。

安住委員長 これにて大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、私から、会派を代表して御質問させていただきます。

 やはり冒頭、元清和会、清和政策研究会事務局長の松本淳一郎さんの参考人招致について御質問させていただきます。

 先ほどもう大西委員からお話があったように、これは、松本参考人といいますか、松本元事務局長といいますかから、それは出られません、出たくありませんという理由書が提出されたというふうに伺っております。かつ、委員長である安住予算委員長が、やはりもう一度、出席していただくように、リクルート事件のときのように、都合のいいところに出向いてもよいし、また、非公開でやることであってもいいので、それは促しますというふうに、報道もされているわけです。

 もちろん、議決をした予算委員長ですからそれは当然として、では、先ほど大西委員の質問に対して、石破総理は、いや、私は関係ありません、それは清和政策研究会で雇った方ですから関係ないとおっしゃられたんですけれども、そうじゃないですよね。だって、石破総理は自民党総裁なわけですよ。

 何せ、資料の一番最後を見ていただけると分かるんですけれども、この松本元事務局長と自民党の国会議員の方々の証言というのは食い違っているんです。これを放置したら、どちらかがうそつきである上に、通常、松本さんが言っていることというのは、これは刑事手続の中で、刑事的制裁のある中でおっしゃられたことなので、そっちの方が真実に近いんでしょう。では、西村議員や松野議員や下村議員や世耕議員はうそをついていたんじゃないか、ごまかしていたんじゃないか、それは思うわけですよ。

 その疑いを晴らす、それを、だって、石破総理はずっと言っていたじゃないですか。いろいろな疑いがある、政策がゆがめられていないことをきちんと我々は明らかにするとおっしゃっていましたよね。それは明らかにする責任が自民党総裁としてあると思うんです。

 最終的にはそれは松本元事務局長が決めるんでしょうけれども、しかし、予算委員長が言ったように、石破総理も、自民党総裁として、我々の疑いを晴らすために是非来てください、そう促す責任があると思いますけれども、御所見を伺います。

石破内閣総理大臣 国会の議決というものは極めて重いものであるということは、私自身長く議員をやって、よく承知をいたしておるところでございます。

 この松本さんが、これを受けて、御自身として本当に出られないということについて多くの方に御了解をいただくということも大事なことであって、では、それを了解していただくために何をするかということは、また委員会のいろいろな御努力というものはあるんだろうと思います。

 行政の責任者として、このことについて申し上げる立場にはございませんし、今、自由民主党と雇用契約があるわけではない、政策集団が雇用しておられる方について、総裁として物を申し上げるという立場にはございません。

米山委員 最後に前のうんちくが三分ぐらいあったんですけれども、立場かどうかは、また、法的にそういう権限があるかどうかとおっしゃられるなら、それは雇用していないんですから、法的な権限はないのかもしれませんよ。

 だけれども、石破総理は、自民党総裁として、自民党にかかっている疑いを晴らす義務があるわけでしょう。だって、御自身でもそうおっしゃっているんだから、晴らすと言っているんだから。それを晴らすために、要請する意思はありませんかと聞いたんです。要請は、別に法的な根拠はなくていいんです。お願いですから、雇用していなくたっていいんです。

 自民党総裁として、私たちの疑いを晴らすために是非来てくださいと要請すべきですよねと聞いたことに対して、一言でお答えください。要請するつもりはあるかないかだけお答えください。

石破内閣総理大臣 委員御指摘のように、それでは、どうしたら応じてもらえるかという手だてを講じた上で、松本さんがどう判断されるかということを待ちたいと思います。

米山委員 これも答えていないです。要請する気があるかないか答えてください。もう一回お願いします。答えなかったら止めますよ。

石破内閣総理大臣 いろいろな、松本さんが応じられないという理由を述べておられる。では、それをいかにして応じてもらえるようにするかという委員会の御努力というものを見ないままに、要請するもしないも、お答えはいたしません。

米山委員 つまり、答えないという答えですよね。それは答えない、私は要請するかしないかについて答えないとおっしゃったわけですよ。そうですよね。そうおっしゃいましたでしょう。違うんですか。答えないと今答えたと思うんですけれども。

 予算委員会がどうするかは、基本、関係ないわけです。私が言っているのは、自民党総裁として、自民党の疑いを晴らすために要請しますかしませんか、イエスかノーかと言っているのに対して、今、答えません、その質問には答えませんとおっしゃったわけですね。よろしいですよね、それは。違うんですか。

石破内閣総理大臣 委員会と松本さんとの間で今いろいろなやり取りが行われているときに、自民党総裁があれこれ申し上げるべきだと私は思わない。

 委員会として、その権能において、どうやって松本さんに出てきていただくかという御努力をなさっておられるときに、私からあれこれ申し上げる立場にはございません。

米山委員 押し問答になりましたけれども、要は、答えない、要請しませんと言っているわけですよ。だって、別に委員会は並行でやっていいんですから。委員会もやっているし、自民党総裁としてもやる、それでいいけれども、それはしないと言っているわけです。

 さらに、私は、総理大臣としてもそれはちゃんと要請すべきだと思いますよ。だって、なぜなら、ここに、最後のところを見ていただいて分かると思うんですけれども、西村さんも松野さんも下村さんも世耕さんも、みんな政府要職を務めた方々じゃないですか。そういう政府要職を務めた方々が裏金を使っておられたわけですよ。私が政倫審で質問した萩生田さん、裏金を使って、アメリカを外遊しているときにステーキを食べましたと言っているわけですよ。それは堂々とおっしゃっているわけですよね。その経過について非常に疑義がある。

 まるで松本さん一人が悪いみたいなことになっていますけれども、でも、松本さんはちゃんと、この人たちが決めたと言っているのに、この人たちは、俺たちは決めていないと言っている。それでは日本国政府の信用だってなくなるじゃないですか。日本国政府は一体どういうところなのか、経産大臣が外遊に来て裏金でステーキをおごってくれる、そういうところかと。その疑義を晴らす、それは日本国政府としてもやるべきことでしょう。

 そして、内閣総理大臣だから、俺は行政府だから知らぬと言われますけれども、立法府の一員じゃないですか、総理だって。だから、立法府である予算委員会を尊重するためにも、日本国政府のやっていることをきちんと、疑いを晴らすためにも、自由民主党の疑いを晴らすためにも、是非来てくださいと言えばいいんですよ。別に、予算委員会は予算委員会でやっているけれども、私は是非来てほしいと思うと。総理の一言は重いんですから。

 総理大臣として言うつもりがあるかないか、イエスかノーかで答えてください。

石破内閣総理大臣 萩生田議員が経済産業大臣在任中にそういうようなお金、不記載の、それでステーキを食べたというふうに答弁をされた、あるいは答えられたというふうに承知をいたしておりません。

 つまり、政府の信用とおっしゃいますけれども、それは、そういうような、いわゆる政治資金規正法に反するようなお金で政府の要職にある者が飲食をしたということの前提でおっしゃっておられるようですけれども、そのような認識を私自身は持っておらないところでございます。

米山委員 今のは非常に問題があるんですけれども、それは私自身が政治倫理審査会で質問して、萩生田さんがそう答えましたので。ちゃんと、それは裏金を使ってやりましたとおっしゃられましたので、それを否定されるのは困りますけれども。

 では、政倫審を否定されるんですね。今まさに、萩生田さんが政倫審でうそをついたということが明確になってしまっているんですけれども。

 萩生田さんがそう言ったんですけれども、それはいいんですか。総理として、それを否定されるんですか。

石破内閣総理大臣 それは確認をさせていただきますが、裏金という言葉かどうかは別として、不記載であったお金、それで日本国経済産業大臣として飲食をした、ステーキを食べたというふうにおっしゃったとするならば、先ほどの私の答弁は取消しをさせていただきます。

米山委員 いや、そうおっしゃいましたので。(石破内閣総理大臣「裏金」と呼ぶ)不記載で。不記載なものを裏金というわけですから。

安住委員長 席でしゃべらないで、総理。

米山委員 ともかく、不記載は裏金じゃない、裏金じゃないとおっしゃるのは別に結構ですよ。では、不記載なお金で、国民に対して示さないお金で何度も何度も、石破さんが言っているみたいに、疑いを持たれているけれども、それをわざわざ国民から隠したお金で、経済産業大臣として、外国人の要職にある方を、要人を接待したとおっしゃられましたので。

 そういう疑いを晴らすというために必要だと何度も何度も言っているのに、それはしないということですので、そういう行政運営というものに対して、私は重大な抗議を申し上げさせていただきたいと思いますし、改めて、是非、参考人招致に応じるように要請されることを求めます。

 次の質問に移らせていただきます。

 これも似たような問題なんですけれども、都議会自民党という都議会の会派で不記載問題がございました。

 総理、一応調査したはずなんですけれども、どんな調査をされたんですか。どんなように把握しているんですか。

石破内閣総理大臣 これは、こういう報道がなされましたときに、私から幹事長に対しまして、これはどういうものなのかきちんと調べてくださいねというお話を、それは東京都連の主体的な判断もございますが、調査をしたというふうに承知をいたしております。

 都議会自由民主党が行った令和元年及び令和四年の政治資金パーティーに関しまして、都議会自民党及び都議会自民党からパーティー券の売上げの一部を受理する立場にあった自民党支部の収支報告書に不記載があり、都議会自民党の収支報告書の作成を担当していた職員が政治資金規正法違反で処分、略式命令請求、これがされたということが判明をしたものでございます。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

米山委員 今、ちゃんと調べて、そして把握されているということなんですけれども、これは結構驚くべきことで、資料を御覧いただければと思うんですけれども、資料二ですね。

 東京新聞をよく読むと、さらっと流すと流れるんですけれども、よく読むと、唯一起訴された、起訴といいますか、有罪になりました矢島さんという方、東京都から長年都議会自民党に派遣され、都の再雇用職員の期間も、期間終了後も、団体の経理などの実務を担っていた。都の職員の出向ですか。都の職員が都議会の議会会派に出向して裏金をつくっていた。びっくりなわけですよ。

 そんなことをしていいのかと調べたんですけれども、なかなか見つかりづらいんですけれども、しかし、地方公務員法三十六条二項三号には、職員は、特定の政党その他の政治団体を支持し、又はこれに反対する目的をもって、次に掲げる政治的行為をしてはならない、寄附金その他の金品の募集に関与することと書いてあるわけなんです。

 これはさすがに違法じゃないですかね。総務大臣、御所見を伺います。

村上国務大臣 お答え申し上げます。

 個別の事案について総務大臣として答弁を申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、地方公務員法に定める地方公務員の政治的行為の制限の規制の対象になるかについては、地方公務員の政治的行為の制限において、当該行為が法で定める政治的目的を有した政治的行為に該当するか否かで決められることになります。(発言する者あり)ちょっと静かにさせてください。

 個別の具体的な行為が禁止される政治的行為に該当するか否かについては、各任命権者において、具体的な行為の態様、状況等の事実関係の中で判断されることになります。

 以上であります。

米山委員 これもまた、こうやって判断基準を示さないわけですよ。明らかにおかしい。誰から見たっておかしいでしょう、そんなもの。都議会に職員が出向しているんだもの、ずっと。

 だって、二元代表制は、本来、都の行政執行を監視すべき都議会議員が、自民党の都議会議員の先生は、そのお金は全部都の職員にお任せで、しかも裏金をつくっていました。しかも、それが違法ですかと言って、大臣が違法だと言わない。いや、そんなのは分かりませんと。こんな行政執行で、そんな疑いを持つ、持たないというよりも、まともに行政が動くわけがないでしょう、常識的に考えて。聞いたって、ひたすらこうやってごまかし続けるわけですよ。

 これは延々同じことをやるんですか。都議会でまた次の方を都から出向で雇うんですか。新潟県連でも同じことをするんですか。だって、違法じゃないんでしょう、違法だと言わないんだから。そういうことを自民党はやっているわけじゃないですか。

 さらに、今度は法務省にお伺いしたいんですけれども、そもそも、この方は会計責任者じゃないんですよ。会計責任者というのは発地さんという都議会議員なんです。この方は会計責任者の補助者に当たるわけなので。

 一応、政治資金規正法第九条は、政治団体の会計責任者、括弧して、会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む、は、会計帳簿を備え、これに掲げる事項を記載しなければならないとあるから、補助者が罪に当たること自体はいいですよ。それは、この方にとってみればどうなんだと思うかもしれませんけれども、それはいいとしましょう。しかし、補助者が当たるけれども、本来の会計責任者、名前を書いてある発地さんが責任を問われない。これは一体どういう法律構成をしたらそんなことになるんですか。だって、あくまで補助者でしょう。補助者も責任があるはいいですよ。本来の会計責任者だって責任はあるはずでしょう、それは会計責任者なんだから。

 何でこの会計責任者が責任を問われないか。別に個別じゃなくていいので、一般論で結構ですが、法律構成としてどういう理屈なのか教えていただけますか。ちょっと、私、分からないので。

鈴木国務大臣 委員が今御指摘の件ですが、個別の案件における検察当局の事件処理に関わる事柄でありますので、法務大臣として所感を述べることはまず差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論ということで申し上げますが、法務当局におきましては、個別の事案ごとに、法と証拠に基づいて、有罪を立証するだけの十分な証拠があるかどうかを判断し、その上で、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に処理をしていると承知をしております。

米山委員 これはでたらめでしょう。もう政府として機能していないでしょう。だって、法解釈の基準を全く示さない。

 だって、普通に考えたら、責任者と補助者がいて、補助者も処罰されますよはいいです、そういう条文ですからね。責任者は処罰されないなんて書いていないです、どこにも。普通に考えたら、責任者も処罰されるはずなのに処罰されない。その理屈に関して何も言わない。誰が見たって、では、どうやって適正な運営を担保するんですか。誰も分からないですよ。

 しかも、これからまた同じように、多分同じでしょう、松本さんと。国会議員の方々はみんな裏金を使ってステーキまで食べているのに、なぜか検挙されるのは会計責任者の松本さんだけ。都議会自民党に至っては、会計責任者の都議会議員は処罰されずに、なぜか履行補助者の都の職員だけ。そんな行政運営は恥ずかしいでしょう。先進国ですかと言われて、何も反論できないと思いますよ。

 そして、さらに、これはちょっと総理にお伺いしたいんですけれども、都議会自民党はこんな運営でいいんですか。

 先ほど申しましたけれども、二元代表制ですから、都議会として、都の行政執行に対して、こんな行政執行でいいんですか、悪いんですかと言わなきゃいけないですよね。なのに、長年にわたって、都の職員に会計をしていただいていました。しかも、都のこの方々が全く処罰されずに矢島さんだけが処罰されているということは、一応、彼らは、私たちは何にも知りませんでした、矢島さんが全部やっていたんです、矢島さんが言うがままに全部やっていました、だから私たちに責任はありませんと言ったから無罪なわけでしょう。本当に、そんな都議会議員に行政監視なんかできないし、そんな都議会議員になっていただいていいんですか。

 ちなみに、この方々を公認した、それはニュースになっていますよ。皆さん公認されている。幹事長経験者は違うけれども、この受け取った方々、皆さん公認されている。こんな方々でいいというふうに自民党総裁として判断したんですね。そうなのか、そうでないのか。この人たちが適任だと思うから公認したのか、それとも、この人たちは適任でないと思うけれども公認したのか。公認したのは事実ですからね。どちらか答えてください。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

石破内閣総理大臣 今委員の御質問の中にあったように、これはほかの道府県連では聞かない話でございます。実際に県の職員がそういうところにいるということはあり得ないことなので、それは申し上げておきます。

 そして、都議会の公認は都連において行うものでございまして、党本部というものは判断に関わるものではございません。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 都議会自民党の事案を受けまして、不記載のあった政党支部の支部長のうち、一定の職責を有しておった者につきましては、政治的な責任を重く捉えて、非公認ということになっておるものでございます。

 これをどう評価するかは、都民の皆様方が有権者として御判断をいただくことでございます。

米山委員 分かりました、主張としては分かりました。都議会が決めたから俺は知らぬ、そう言っていますよね。言っていますでしょう。

 だって、この人たちはふさわしくないでしょう、普通に考えて。自分たちのお金を全部都の職員に任せておいて、そこで裏金をつくっておいて。そんな人が都議会の、行政監視なんかできっこないので。私が総裁だったら、普通、そういう方々はちょっとやめてくださいと。だって、ここにも都連の会長がいるんですから。

 本当に、自民党で、公認権があるかないか知りませんけれども、さすがに総裁として指導力を発揮すべきところだと思いますよ。でも、その指導力を発揮しない。都議会自民党が決めたら、東京都連が決めたら、こういうふうに、全て都の職員にお任せしていて、裏金をつくっていたのは何にも知りませんでしたという方でも相変わらず公認しますよ、私は関わりません、そういうことでいいですよね。そうおっしゃったと思うので。もう答弁は求めません。結構です。

 そして、その上で、更に続けていきますけれども、ちょっと時間が短いので。

 これはさすがに脱税に近いでしょうとか、ニュースになって報道されているところでは、ノルマを超えた分は御自由に使ってくださいと指示をされたということですから、もう組織的な脱税であり、組織的な不記載じゃないですかと思うんですが、そこはもう御質問しません。

 次になんですけれども、ちなみに、資料八を見ていただけると分かるんですけれども、このパーティー券もまた国会議員の先生方がいっぱい買っているわけですよ、自民党東京都連に属する。実はこの方々だって、こういうノルマを超えた分はそのまま中抜きするというのは知っていたはずでしょうねと思われるわけです。これも質問は飛ばします。

 その上で、今度は参議院議員選挙ですけれども、こちらは都連の話じゃないですけれども、参議院議員選挙では、裏金の方々、これは既に一次公認になっているわけなんです。

 やはり総理としては、これは自民党の総裁として公認権があるわけですから、こういう裏金の方々でも、それは参議院議員にふさわしいと思って公認される。裏金といいますか、総理の言い方をするなら不記載をした方々でも、参議院議員にふさわしいと思って公認されるということでよろしいですか。

石破内閣総理大臣 国政において有為な人材であるというふうに判断をして、そして当選の可能性が高いということが公認の判断基準でございます。

米山委員 つまり、不記載をもらうような方は、不記載のお金をそのままつくっていたような方も、それは国政にとって有為であって、当選が高いから全然大丈夫ですよ、そうおっしゃられたということかと思います。

 衆議院との不記載の不均衡は非常にありますけれども、それはいかがなものかというか。だって、結構な額ですよ、橋本聖子さん。二千五十七万円の不記載をしても、有為な人材であり、かつ当選するから、自民党としてはそれは公認する、そうおっしゃられたわけです。

 これも質問を飛ばしますけれども、そういうふうに、総理、再三にわたって、政治資金規正法の改正においては、疑いを持たれないように開示する、開示するとおっしゃられていますけれども、開示していないわけですよ。不記載というのは開示しないわけですからね。不記載で開示しなくたって、全然公認されるわけです、当選する確率が高いなら。そんなのは全く、疑いを持たれないように、私たちは政策をゆがめていないなんて言えないじゃないですか。だって、政策をゆがめるような資金は全部開示しなければいいんだもの。

 そして、もしそれを指摘されたって、いや、それは秘書がやっていました、会計責任者がやっていました、何なら会計責任の補助者がやっていましたと言えばいいんだから、何の抑止力にもなっていないですよ。まさに、いろいろなことを実はごまかしているんでしょう、いろいろなことを、政策をゆがめているのに、それを開示しないんですねと思われますよね。

 だからこそ、そうならないように松本参考人を招致してくださいと言っているのに、それもお断りになる。招致するのを促してくださいと言っているのに、それもお断りになる。それは、自民党はそういうところだ、石破総理もそういう方だと思わざるを得ぬですよ。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 次に、これは打って変わってなんですが、選挙における誹謗中傷、不正に対する対応についてお伺いいたします。

 資料十二を御覧ください。

 非常に痛ましいことですけれども、一月十九日、兵庫県の百条委員会委員を務めた兵庫県議が自宅で亡くなられて、昨年の出直し兵庫県知事選挙を契機に、SNSで誹謗中傷を受けたことが契機ではないかというふうに言われています。それは確定はできませんけれども、言われているわけです。

 さらに、この選挙においては、誹謗中傷を行った候補が、自身の選挙活動ではなく他の候補への投票を呼びかける二馬力選挙というのを行い、さらには、これに対して、兵庫県選挙管理委員会は総務省に二馬力選挙の禁止を要望し、また、このデマというか誹謗中傷に関しまして、兵庫県警が、亡くなられた前県議は逮捕予定だったとの情報は全くないというふうに否定するという、そんな異例の事態になっております。

 石破総理も様々なところで、こういったことに対する対策をするというふうにおっしゃっておりますけれども、これは我々も、是非ともきちんとした対策をすべきだ。

 こういった不正な選挙活動、不正といいますか、現行法では確かに取り締まりづらいところはありますけれども、しかし、現行法にも触れるだろうと思うようなところもあるわけですから、公職選挙法を改正してそこがはっきり分かるようにするなり、情報プラットフォーム対処法をちゃんと整備してもうちょっと変えたり、いろいろな対処をして、こういったデマ、誹謗中傷、特に選挙に対するものというのは民主主義を脅かすものですから、そういったものに対してきちんとした対処をする、これは是非とも進めるべきだと思いますが、総理の御所見といいますか、意気込みをお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 それは、二馬力の選挙にしても、どう考えてもおかしいということだと思っております。

 選挙運動の在り方と選挙制度は別の議論でございますが、選挙運動の在り方、今でもいろいろな地方選挙が行われているわけで、都議会とか参議院に限りません。この選挙運動のやり方について、各党の合意を得て、法改正を始めとして、誰もが納得する、そういうような選挙のやり方、選挙運動の在り方、これを確立をするのは喫緊の課題だと認識をいたしております。

米山委員 こちらはしっかりと御答弁もいただいたかと思います。

 是非そこは、我々ももちろん、協力といいますか、一緒に、多分、これは言論の自由も絡みますから、物すごく幅広にやるとそれはいろいろ意見も分かれてくるんだと思いますけれども、しかし、多くの会派、多くの議員が合意できるコアな部分というのはあると思うんですよね。その部分は、是非、本当に超党派で力を合わせて、参院選に間に合うように、改正のために進ませていただきたいと思います。

 それでは、次に、今度は日銀、物価高について御質問いたします。

 まず、二月三日の予算委員会の質疑についてお伺いしたいんですけれども、岡本委員の質疑に対して、赤澤経済財政担当大臣が、日銀がまず物価安定目標二・〇%と言っているものは、これは基調的物価上昇と言われるもので、経済が順調に進んでいるとき、生産が向上し賃上げも伴う形で望ましい形の物価上昇が起きる、その物価上昇を基本的に二・〇%に持っていきたい、そのことがアコードに書いてある。その上で、国民の皆さんが直面している物価上昇というものは、輸入物価が上がることで上がってしまうような、コストプッシュによる物価上昇も乗ったのでというふうにおっしゃったんですけれども、これは間違っているんですよ。

 資料十六を見ていただければ分かるんですが、まずもって、アコードには、持続可能な物価の安定を目指している、日本銀行は物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で二%とするとあるだけで、基調的物価上昇という言い方はしていないです。これ自体がそもそも後づけの理屈なんです。

 さらに、でも、この基調的物価上昇は、日銀のホームページに一応説明はあるんですけれども、資料十七を見てください。

 これは基調的なインフレ率を捕捉するための指標として説明してあって、物価動向の分析に当たっては、現実に観測された消費者物価の動きから、様々な一時的要因の影響を取り除いた、基調的なインフレ率がよく利用されています、いわゆるコア指標。つまり、基調的な物価上昇というのは、単にそれはトレンドです、一時的なものじゃなくてトレンドですよと言っているだけなんです。それは大体経済学的にもそうなんです。

 それを、経済財政担当大臣という要職にある方が、まるで、いい物価上昇と悪い物価上昇があって、しかも、いい物価上昇が二%と測れる、いい物価上昇が二%になるまで目指していて、そのときにはほかの物価上昇、悪い物価上昇分が乗っているのは関係ありませんみたいな御答弁をされたのは、本当にびっくりというか、本当にそんなので大丈夫ですかと思うんですけれども。

 まず、日銀総裁に、この基調的物価上昇、これはトレンドという意味でいいかどうか、御確認させてください。

植田参考人 お答えします。

 委員御指摘のように、私ども、消費者物価総合が持続可能な意味で安定的に二%にいくということを目指しております。

 基調的な物価上昇率とは、消費者物価総合のインフレ率から一時的な要因、持続的でないもの、これを取り除いたところを意味いたします。ただ、その操作は非常に難しいものであって、なかなか、出てきた結果はこうであるというものを分かりやすい形でお示しすることは難しいということは申し上げさせていただきます。

米山委員 さすが植田総裁は、学者として非常に正しいことをおっしゃられているわけです。だから、別に、一時的でない、ちゃんと継続的であれば、生産性向上とか賃金上昇を伴うとかは関係ないんですよ。本当に、経済財政担当大臣、それは幾ら何でも困りますので、正しい認識で行財政運営をしてください。

 そして、その上で、資料十八、パネルを御覧ください。

 これは階委員も示したところなんですけれども、本当に物価は上昇しているわけです。昨年十二月の消費者物価指数上昇率は三・六%。三・六パーですよ、二パーじゃないですよ、三・六パー。中でも、生鮮食品は前年同月比で一七・三パーも上昇しております。

 昨年二月二十二日の予算委員会でも私は植田総裁に伺いましたが、まず、今はインフレなのかデフレなのか、一言でお答えください。

植田参考人 昨年も申し上げましたとおり、現在が、デフレでなく、インフレの状態にあるという認識に変わりはございません。

米山委員 そうですね、今はインフレです。

 総理にお伺いしますが、今はインフレかデフレか、一問。もう一つ一緒に質問しますけれども、今、デフレは脱却しているかしていないか。それぞれイエスかノーかで答えてください。

安住委員長 赤澤国務大臣。(米山委員「総理ですよ。いや、総理でしょう。基礎的な知識が間違っている赤澤さんに質問していないです」と呼ぶ)簡潔に答弁して。

赤澤国務大臣 まず、おっしゃったような意味でデフレの状況にはないということを我々は申し上げておりまして、インフレかどうかということは、どの程度の物価上昇率をインフレと呼ぶか、様々な見解があって、デフレでない現状を直ちにインフレと申し上げることは難しいです。

 その上で、現在、デフレの状況ではないということと、再びデフレに戻る見込みがないとまで言える状況にないということは両立するものであって、矛盾するものではありません。なので、我々としては、まだデフレを脱却しているという判断はしておりません。

石破内閣総理大臣 日本経済はデフレの状況にはない、しかしながら、デフレは脱却できていない。

 何なんだそれはと言われるかもしれませんが、これは、つまり、デフレから脱却するというのはそう。つまり、デフレではございません。しかしながら、今をインフレというふうに決めつけるということはいたしません。

米山委員 私は今、インフレかデフレかと聞いたんですけれども。

 世の中は、インフレか、デフレか、どっちでもないかしかないんです。必ずこの三つに分類できるんです。それは論理としてそうですから。それを否定されたら、もう言葉でやり取りできませんよ。インフレか、デフレか、どっちでもないか、どれかしかありません。それはちょっと、そうじゃないとおっしゃるなら、もう日本国総理大臣は、論理が分からない、論理が。

 だって、では、何なんですか。

安住委員長 米山君、再答弁させます。

 石破内閣総理大臣。

石破内閣総理大臣 ですから、インフレか、デフレか、それ以外かしかないというふうに決めつけておっしゃっておられるわけで。

 デフレではない、しかし、脱却できていない。なぜならば、再びデフレに戻らないということがはっきりしないからだということを申し上げております。

米山委員 これで自民党の皆さんがなるほどと言っているのに本当に驚くというか、だって、デフレじゃないんでしょう。それはいいですよ。デフレじゃありませんね。ちなみに、植田総裁はインフレだと言ったんです。では、インフレでしょう。

 その後に再びデフレに戻るかどうかなんというのは聞いていないんですよ、それは関係ないですから。それは現状とトレンドの話をごっちゃにしているわけです。インフレか、デフレか、どっちでもないかというのは、ナウ、たった今どうですかという話をしているんです。この後デフレになるかインフレになるかなんて聞いていないですよ。それを分離できない、総理大臣たる人がそんなことを分離して議論できない、それはびっくりしますよ。それでは、日本政府がまともな経済運営なんかできませんよ。

 今はインフレなんです、日銀総裁が言ったように。それに対して、いや、今後デフレになるかもしれませんよ。若しくは、今後もっとインフレが加速するかもしれませんよ。普通に見たら、もっとインフレは加速しますよ。それは今後どうなるかは分かりません。でも、今はインフレです。それはもう聞きません、何か訳が分からないことを言うから。植田総裁が言ったように、今はインフレですから。そうです。

 では、ちょっと時間をロスしましたけれども、今、金利は上がっていっているんですよ、続々と。今の国債発行残高と平均利回りと利払い費を教えてください。そして、利回りが今一・二%まで上がりましたけれども、十三年ぶりに。これが二%、三%になったときにどのぐらいの利払い費が生じるか、教えてください。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 令和五年度の実績に基づいて申し上げますと、普通国債の発行残高は千五十三・七兆円、発行残高全体における平均利回りは〇・七七%、利払い費は七・四兆円となっております。

 平均利回りが二%及び三%であったとした場合の利払い費を機械的に計算いたしますと、それぞれ二十・一兆円、三十・一兆円になります。

米山委員 そうなんですよ。今まで、何せ、千五十三兆円も国債発行残高があっても、平均利回りが〇・七七%だったから、利払い費が七・四兆円で済んだ。だから、何か、国債を幾ら出したって平気だというような話があちこちであったんですよ。今現在も、歳出を一切削ることなく、歳入における税収が増えたことを根拠として、大型恒久減税をしようという議論がこの予算委員会でもされているわけなんです。

 しかし、言うまでもなく、減税をするなら、そのまま当然歳入は減りますから、予算においては歳入と歳出は必ずイコールにしなければいけませんから、減税によって歳入を削るということは、しかも、歳出が変わらない状態で削るなら、歳入の欠損は必ず国債で穴埋めしなきゃならなくなる。その分、国債発行残高は増えるわけです。何せ今までは〇・七七パーだからよかったですけれども、二パーになった瞬間に、もうそれは二十兆円の利払い費が出るわけですよ。三パーになったら三十兆円の利払いですよ。当たり前ですよ、一千兆円あるんだから、そうです。

 ですので、国債発行残高をただ増やせばいいというような主張というのは本当に困る。それは余りに無責任と思うんですが、総理の御所見を伺います。

石破内閣総理大臣 そのお考えには完全に同意いたします。

安住委員長 米山君、そろそろ時間が来ていますので、まとめてください。

米山委員 もうあと四十秒なので、まとめるだけなんですけれども。

 是非、今ほど来のインフレ、デフレの話に関しては、非常に混沌としたことをおっしゃる。やはりちゃんと、今はインフレですということを認めた上で、そして、その後デフレになる可能性があるか、インフレが加速するかはともかくとして、まず今のインフレは是非認めてください。

 そして、普通にトレンドを見れば、しかも日銀の物価展望レポートを見ても、あと二年間は二%のインフレです。日銀がそう言っているんだから。だから、あと二年間は二%以上のインフレだと見込まれているということを前提として、合理的な話をしてください。

 終わります。

安住委員長 これにて米山君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤岡たかお君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。

 イチゴ王国、栃木県から参りました。感謝の思いを持って、また、今日質疑の機会を与えていただきました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず、石破総理、私からも、僭越ですが、本日、お誕生日おめでとうございます。

 その上で、本日は、予算の検証ということで、防衛装備の移転の円滑化基金について取り上げさせていただきます。これは同僚の本庄議員も取り組んでいた課題であり、その中で明らかになったことも含めて本日は質疑をさせていただきたいと思います。

 最初に、この重要性について理解をしております。この事業自体がどうこうというよりも、基金に対するお金の積み方、こうした点での予算の有効活用、こういう視点から質疑をさせていただきたいと思いますので、その点を御承知おきをいただければと思います。

 資料を配付させていただいております。そして、二ページ目には朝日新聞の記事、一面に、一月二十九日に出ました記事についても載せておりますので、御参考いただきながら、質疑をさせていただきます。

 まず、中谷防衛大臣に、事実関係を最初確認させていただきます。

 これは基金で行っておりますので、長い間ずっと積み過ぎていたら当然過大が出るわけでございますが、まず事実関係として、令和五年度から七年度におきましてのそれぞれ基金への予算措置額、それから事業費の支出の実績、さらには基金残高の見込みについて御答弁をお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 防衛装備移転円滑化基金に対する御質問でございます。

 これは、防衛装備の移転に当たって、我が国の安全保障の観点から適切なものとするために取組を促進することを目的としまして、防衛大臣の求めによりまして、相手国との防衛協力の内容に応じて企業が行う仕様等の調整に要する資金を助成するものでございます。

 令和五年度の予算につきましては、積算した当時、我が国が諸外国から引き合いを受けていた装備移転の具体的案件を基に積み上げた上で、四百億円計上いたしました。

 令和五年度の事業費支出実績は、基金の造成が同年度の三月でありまして、仕様等の調整計画の認定には至らずに、事業費の支出はなかったことから、昨年九月に防衛省が公表した基金シートにおきましては、管理費のみの支出約二百万円とし、約四百億円の基金残高を記載をしておりました。

 令和六年度につきましては、積算した当時の装備移転に係る引上げの状況を精査をし、八百億円程度まで認定が必要となる可能性があったことから、追加で四百億円の計上をいたしました。

 令和六年度は、現時点で、令和六年七月に、インドへのユニコーンという艦艇用のアンテナ、これの装備移転に関して約十五億円を認定しております。

 また、令和七年度の予算案につきましては、予算要求時点におきまして改めて移転の可能性及び認定の可能性を精査をしまして、令和七年度までに円滑な装備移転に支障を来さない規模として千二百億円程度が必要となる見込みがあったことから、約四百億円計上したものでございます。

 その上で、装備移転の案件について、これは相手国の政府等の事情、また調整状況によって大きく左右されることから、基金シートにおきましては、本年度末及び令和七年度末の基金残高については、事業費を除きそれぞれ八百億円、約千二百億円といたしました。

藤岡委員 まず、基金に積んだけれども、事実上認定されたものが十五億ということで、事業費の支出はほとんどされていないというふうな、管理費だけということが今改めて分かりました。確認をされました。

 防衛大臣に確認したいんですけれども、事業費の支出ということではまずほとんど支出されていない、認定の実績は十五億ということでございますが、令和五年度予算においても、六年度予算においても、七年度予算においても、それぞれ四百、八百、千二百と見込んだということでよろしいんでしょうか。

中谷国務大臣 装備移転につきましては、移転先国の相手の防衛力の整備上のニーズに基づいて具体的な案件が形成されますが、この基金につきましては、各年度における予算編成時点における引き合いを確認した上で、円滑な装備移転に支障を来さない規模を踏まえて必要な予算を計上いたしております。そういうことでございますが、問題は、移転に関する具体的な引き合いがあるかどうか。移転の可能性の問合せまでには様々な段階があるものも存在しますので、これらを全て含めれば、百件を超える規模で推移をしております。

 令和七年度は、これらの案件のうち令和七年度中に認定する可能性のある案件としては、現在約十件を前提に計算をしております。この中には、一例を挙げれば、オーストラリア政府の次期汎用フリゲートの共同開発・生産への基金の適用の可能性も含めておりますが、この詳細につきましては、現在交渉しておりますので明らかにすることは適当でございませんが、この仕様等の調整に積む費用につきましては、それぞれ企業から見積りを入手して金額を精査をいたしておりますけれども、企業において見積りに必要な情報を必ずしも取得できない場合もございますので、そのために具体的な見積りが得難いものにつきましては、概算見積りの取得、また所要額の聞き取りや過去の実績における経費の規模を踏まえて積算をしているということで現状の状態になっているわけでございます。

藤岡委員 聞いていないことまで含めて丁寧に御説明いただき、ありがとうございます。

 加藤大臣にちょっとお伺いしたいんですが、一般論として、この基金ということではなくて、使用見込みがあると言いながら結果として使用されずに積んだままの状況が続くというのは、やはり予算の有効活用がなされていないという指摘をされてもしようがないと思うんですけれども、財務大臣の御見解をお伺いします。

加藤国務大臣 御指摘のように、各基金についても、例えば令和五年十二月に取りまとめられた基金の点検・見直しの横断的な方針などに基づいて、年度年度しっかりその後の使い方を精査する必要がある、それは御指摘のとおりでございまして、今回は、今、防衛大臣からお話があった、これを前提として、これまでの八百億円に加えて四百億円の基金の積み増しを決めさせていただいたところでございます。

 基本的にこの考え方は、防衛生産基盤強化法がございまして、その中に基金設置の規定があり、どういう場合に入れるかという規定がございますから、それを踏まえて当該金額を計上させていただいている、こういうことであります。

藤岡委員 御指摘のとおりとおっしゃっていただき、ありがとうございます。

 その中で、いわゆる四百億見立てを持ってゼロであった、八百億見立てを持ってまた十五億だった、更に今度、そういう状況なのにまた千二百億ということになっていて、実績からすると非常にまたどういうことなんだろうなということでありますけれども、これは令和五年度、六年度、認定見込みと実績が大幅に乖離してしまった理由や分析はどのように捉えているでしょうか。

中谷国務大臣 もろもろの理由がございました。つまり、移転は、移転先国の、候補となる国のニーズに基づいて具体的な案件が形成されますけれども、これが具体化する時期が流動的であるために、突発的に発生する案件などについては迅速に対応できない、装備移転の機会を逃さないように、やはりこれは弾力的な支出が可能となるためで基金を積み立てております。

 過去の実例といたしましては、国際入札が公示されてから提案書の締切りまで二、三か月程度、極端に短い場合がありまして、企業が仕様等の調整コストの回収にリスクがあると判断した場合には応札を断念した事例もありました。例えば、タイ空軍の防空レーダーの国際入札、これは仕様要求書が公示されて締切りが僅か一か月、それから、マレーシアの空軍による防空レーダーの国際競争入札、これが、要求書が六月に出されて締切りが九月ということで、いずれも逃しております。

 このために、それぞれの対応をするためには、ある程度基金に積み上げた金額がないと緊急に対応できないということでございまして、年々こうやって積み上げているわけでございます。

藤岡委員 今、いろいろ生煮えの案件もやはりあると思うんですよね。その上で、見込みを持ったのは多分全て予算計上されているような感じに思えるんですけれどもね。百件のうち約十件、それは見立てだと。ただ、これまでの実績は四百、八百億で十五億だという中で、その中のどれぐらいかということだと思うんですよね。

 その見込みと実績が異なっている中で、更に四百億を要求される、追加で上増しをする、実績と大きく乖離をしてこういうふうにされるんですけれども、過去の二回に比べて、四百、八百億のときの認定の見込みと、今のような反省も踏まえて、どういう確度というか、どういう深まりがあるというから四百億を積み増すということになっているんでしょうか。

中谷国務大臣 これは、相手国のニーズと、現実に我が国の生産能力、そういったことを勘案をいたしますが、これまでの実績につきましては、令和六年の七月にインドへのユニコーン、艦艇用のアンテナ、この装備移転に関しては約十五億円、これを認定をしております。それは、そのとき基金がありましたのでそれが可能でございましたが。

 例えば、現在、オーストラリア政府のフリゲート艦の調達の検討をしておりますけれども、これはやはり、共同開発や生産の基金の適用の可能性も含めまして、我が国で使っている護衛艦、フリゲート艦、これをオーストラリア仕様に転換をしなければいけませんが、そのために経費がかかるわけです。その経費が、見積りでいきますと千二百億とか積み立てておかないとそれが実現しませんので、現在、令和六年度までに計上した八百億円に加えて、令和七年度予算案においては四百億円を加えまして、千二百億円としているわけでございます。

藤岡委員 先ほど、約十件で千二百億という話をされました。仕様調整の部分に限ってのこれは補助金だと思います。

 オーストラリアの件、もちろんその重要性も理解をいたしますが、例えば五百億を超えるような、今そういうふうな状況なんですか、その補助の部分だけで。

中谷国務大臣 これは現在交渉をしている最中でございますので、相手国の関係もありますから、金額につきましては明らかにできないわけでありますが、こういった装備移転の案件の形成とか進捗につきましては、移転先の候補になる相手国政府の事情、また調整状況において大きく左右をされるものでありますので、要求時の見込みと認定の実績の間の乖離、こうした理由によりましてそれは存在するものだと認識をいたしております。

 防衛省としましては、望ましい安全保障環境を創出する観点からも、装備移転を着実に推進できるように、相手国政府との調整を着実に実施をして、丁寧に行って、執行実績を積み重ねていきたい、まだ今はその段階であるということでございます。

藤岡委員 ちょっと今の御説明では、千二百億ということが必要だということはよく分かりませんでした、金額もおっしゃられないということで。

 そういう中で、毎年度四百億を要求されているということで、防衛力整備計画を踏まえた防衛省の資料には、これは閣議決定はされていないと思うんですよね、二千億というふうに、令和五年度から九年度まで、五年間で二千億を見積もられていると思います。この見積りの積算根拠について教えてください。

中谷国務大臣 これは、防衛力の整備計画の策定時は、令和五年度から九年度までの五年間の防衛装備移転円滑化基金の見込額でありまして、これは、積算当時、我が国が諸外国から引き合いを受けた装備移転の具体的案件を基に積み上げて、令和五年度に四百億円、令和六年度以降に、残り四か年においても諸外国から同等の引き合いが継続していくと見込まれると想定しまして、令和五年度から五年で二千億と策定をしたものでございます。

 そして、令和五年度から九年度まで、これの間の五年間の見込額は、防衛力整備計画策定当時の状況に基づきまして一定の前提の下で積算したものでありまして、各年度予算につきましては、各年度の予算編成の過程の中で、相手国政府との最新調整状況を踏まえて、改めて精査の上、必要な経費のみを計上しているということでございます。

藤岡委員 今、大事な答弁だと思うんですね。

 この二千億の積算根拠が、令和五年度に見積もった引き合いの四百億、それを前提に、毎年度均等に四百億の引き合いがあることを前提にして二千億を組まれていると思うんです。

 私、これを見たときに、もっと、国際情勢、世界との関わりがいろいろあるんだったら、毎年金額が変わるんじゃないかと思うんですよ。例えば今年は二百億かもしれない、いや、ひょっとしたら八百億かもしれない、これは年度によって変わると思うんですけれども、なぜかきれいに四百、四百、四百と積まれているんですよ。幾ら何でもこれは不自然じゃないですか。こういう不自然な状況で、更に四百億を積み増すというのは、私は明らかに根拠を欠いていると思います。

 石破総理、今回の基金への予算措置四百億、これは見直しをして、例えば、酒井なつみ委員からも質疑がありましたけれども、がん患者の方は困っている、二百億でできるわけです。そういうふうな予算修正を、これは石破総理、すべきじゃないですか。

石破内閣総理大臣 先般の高額医療費の件につきましては、政府として、御指摘を受けて、どのような対応をするかということは、今検討しておるところでございます。予算につきましては、今断定的なことは申し上げる立場にはございませんし、そういう状況にもございません。

 今の防衛装備移転円滑化基金につきましてですが、これは、医療費を始めとして、各種の施策に必要な予算につきまして、合わせて措置をいたしておるものでございます。ですから、この予算を削減してこちらに充てようという議論には直ちにはならない。むしろ、今そういうような議論の組立てを政府としてはいたしておらないところでございます。

中谷国務大臣 金額につきましては、令和七年度中に、装備移転の案件、これを鑑みまして、最大千二百億円程度の経費が必要となるということから計上をいたしております。

 この装備移転につきましては、相手先の国のニーズが明らかになって形成されるわけでありますので、この具体化する時期は非常に流動的でありますので、突発的に発生する案件などに迅速に対応して、装備移転の機会を逃さないように、弾力的な支出が可能になるように、基金において所要の経費を措置をするということでございまして、先ほど言いましたように、突発的に入札を行うというような時期もありますので、今のところ千二百億円、この経費を積み立てているところでございます。

藤岡委員 まあ、同じ答弁ですね。

 総理、これは幾ら何でも、昔、塩川正十郎元財務大臣がおっしゃっていましたよね、一般会計と特別会計で、母屋でおかゆをすすっているのに離れですき焼きを食っている。これは、一般会計で、病気で苦しんでいる方がいる中で、ガソリンでも苦しんでいますよね、国民。その中で、離れに金塊を積み上げておくかのような個々の基金の対応、そして、この四百億ずつ積み上げるというのは、これは明らかに不自然じゃないですか。

 もう一回きちんとこれは本当に積算をして、そしてこの四百億は少なくとも見直すべきじゃないですか、総理。

石破内閣総理大臣 防衛大臣が答弁をしておりますとおり、これは、突発的ないろいろなことが起こる、そのときにすぐに対応できなければどうするんだ。今、ユニコーンの例をお話をいたしましたが、そういうようなものは、オーストラリアに対するフリゲートの輸出にしても、これは委員御案内のとおり、本当に国際競争が非常に厳しい中においてやっておるものでございます。ですから、そこにおいてお金の余裕がございませんと、すぐに対応できないということがあります。

 ただ、委員が御指摘のような、これはおかしいんじゃないの、何でこんなことになるのというような御疑念は、お話を聞いておりまして、そういう疑問を持たれる方もおられることはよく承知をいたしましたので、防衛省として、よく、そういうような懸念がないように、更に説明は尽くしてまいりたいと思います。

藤岡委員 総理、要するに、私、今の御答弁を聞いていても、予算の有効活用なんですよ、これ。基金に積み過ぎていて、私、これは積み過ぎではないかということを申し上げているんです。その事業自体をもちろん否定しているわけでもございませんし、一定の金額は必要でしょうということは分かります。

 それが、これまで十五億という実績ですよ、実績も踏まえて、これは認定見込みを全て予算化しているじゃないですか。そのうちの何割なのか。

 これはあくまでも、法律上、防衛装備基盤強化法で、別に基金でなくちゃ認定できないというルールではありませんので、後から、例えば、どうしても必要だったら、予備費を何とかするとか、それこそ補正予算でやるとか、いろいろなこともあるわけです。今はそのことについて言うわけじゃないです。

 ただ、これは、あくまでも積み過ぎじゃないか、幾ら何でも。そのために、本当に必要なときに、例えばもっと本当に必要なときがあれば、それは計上するということがあると思いますよ。今、今年、これまでの二年間の実績も踏まえて、そこで全て丸々計上することが国民の皆様にとって有効なお金の使い方なんですかということなんですよ。

 このところについて、総理、御答弁をいただいていないんです。総理の見解をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 今、令和七年度予算の御審議をいただいておるわけでございますが、令和七年度中に装備移転の案件が具体化し、その円滑な実現のために最大千二百億円程度の経費が必要となる、こういう見込みを立てております。

 ずっと議論を聞いておって、委員がこの制度は必要だということもお認めをいただいております。それは必要なものでございます。じゃ、何でこのお金になるのということについて、今申し上げておりますように、最大千二百億円程度の経費が必要となる、令和七年度中に今抱えております案件が具体化した場合にということでございますので、そのときに、お金がありませんということになりますと、商機、商売の機会を逸するということになりかねないので積んでおるものでございますが、更に御理解がいただけますように、政府といたしまして説明は尽くしてまいりたいと思っております。

藤岡委員 いろいろ機会を逸してはいけないのは、これだけじゃないんですよ。病気で苦しんでいる方への予算、ガソリンで高騰に苦しんでいる方の予算、いろいろ苦しんでいる、いろいろな機会を逸しちゃいけないんですよ。そのチャンスを逃してはいけないいろいろな中で、本当に効果的な予算の使い方をしていかなくちゃいけないんだと思うんですね。それが、過去のこれまでの実績も踏まえて、同じように約十件、丸々千二百億の計上ということが本当に効果的な予算の使い方なんですかということなんです、総理。

 予算の効果的な使い方の中で、令和七年度に四百億を計上されているからこういう話をしているんです。これは、八百億で一回様子を見ようということであれば、またそれは考え方としてはあるでしょう。この四百億を本当に今回積み上げておくことを、必要なのかという点で、総理の御決断で見直しをするべきではないでしょうか。

中谷国務大臣 必要かどうかということにつきましては、これは契約をしなきゃいけませんので、この七年度で措置する防衛装備移転の基金は、相手国政府との調整状況から計上しております。

 したがいまして、令和七年度までに円滑な装備移転に支障を来さない規模を踏まえて予算措置をしたものでありまして、防衛装備移転、これを実現するためには必要な予算であるという認識でありまして、装備の移転の円滑化基金、これの予算削減が必要という御指摘は当たらないと考えております。

藤岡委員 防衛の大家である石破総理や中谷防衛大臣をもってしても納得のいく説明が得られなかったということを感じました。

 この四百億円の削除を、立憲民主党としても予算修正を検討していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいまジュリエット・ホルネス・ジャマイカ下院議長御一行が傍聴にお見えになっております。この際、御紹介を申し上げます。

    〔起立、拍手〕

安住委員長 ありがとうございました。御着席ください。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑を続行いたします。藤岡たかお君。

藤岡委員 藤岡たかおでございます。

 ジャマイカの先生方、どうもこんにちは。

 さて、中谷防衛大臣に、続いてお聞きをしたいと思います。

 この基金を造成している防衛基盤整備協会に対して、防衛省・自衛隊のいわゆる再就職、天下りの状況についてお聞きをしたいと思います。特に、常勤の役員のうち何名いらっしゃるか、そして職員全体のうち何名いらっしゃるかについてお答えをいただきたいと思います。

中谷国務大臣 委員の御質問につきましてお答えを申し上げますが、協会においては、令和七年一月一日現在で、従業員百三十一名中九十六名、常勤役員八名中七名、役員全体が三十名中九名が防衛省・自衛隊の勤務経験者、OBと認識しております。

 再就職規定を遵守した上であれば、隊員が指定装備移転支援法人となり得る法人等に再就職することは可能となっておりますが、一方で、委員の御指摘のとおり、国民の理解を得ながら装備移転を推進していくことは大事でありまして、そのためには、体制確保に向けた不断の努力を継続することに加えまして、毎年度の事業計画の認可、助成金の交付に係る指導を通じて防衛省としては適切な監督を行ってまいります。

 その上で、この防衛基盤整備協会は、あくまでも助成金の交付を始めとする基金の管理、運用、事業者からの相談、照会を受ける等の事務に従事しているのであって、防衛省・自衛隊OBの多寡にかかわらず、政策的な意思決定には関与しておりません。

藤岡委員 何か二問まとめてお答えをいただいたような感じであるんですけれども。

 常勤役員、今、八名中七名と。なかなか独法等でも、これだけ多くを占めているのをほとんど聞いたことがありません。さらには、職員の大半が防衛省・自衛隊のOBで占められるということで、相談業務といっても、相談業務を通じていわゆる口利きが起こらないのか、変なですね。それから、あるいは、多額の基金というお金を扱う中で、本当に身内だけで扱っていていいのかという、先般、銀行でもいろいろなこともありました。

 そういう意味で、このような、ある意味、常勤役員の大半、八名中七名、さらには、職員の大半を防衛省・自衛隊のOBで占める、この体制は、やはりこのままでは、これでは、天下りのために何か基金をつくっているのではないか、仕事をつくるためにまさに基金をつくっているのではないかという指摘を受けてもしようがないのではないかなということを思いますので、石破総理、これは体制を見直すべきではないでしょうか。

石破内閣総理大臣 この協会は、昭和五十二年にできた団体でございます。昨日今日できたものではございません。昭和五十二年、一九七七年に設立されて、内閣総理大臣の認可により財団法人防衛装備協会として設立されたもので、相当長い歴史を持っておるものでございます。

 これは何をやっているかと申しますと、防衛思想の普及、防衛装備品等の生産及び調達、防衛施設の建設、情報セキュリティー及び国際規格等の認証等に関する事業ということでございまして、多いじゃないかというふうに言われますが、多くの業務をやっております。そしてまた、委員御案内かと思いますが、かなり専門的な知見がないとこの仕事はできません。彼らは、彼らの給与を払うためにこんな基金を積んだわけでは全くなくて、それ以外の多くの業務をやっておるわけでございます。

 ただ、今のお話だけ聞いていますと、委員御指摘のような懸念を持たれる方、ありますので、これがきちんと、何をやっているか、もちろん、明らかにできることもできないこともございますが、自衛官が、あるいは自衛隊のOBが多く占めているということ、それによって、何をやっていて、お金の使い道として適切であるかどうかということをきちんと御説明する努力は政府としてさせていただきたいと思っております。

藤岡委員 専門性の高い業務があるだろうということも理解します。ただ、これまでの経緯があって、急ごしらえでということになって、基金という多額のお金を扱うようになった。この中で、体制が、常勤役員八名中七名というのは、幾ら何でも大変に過ぎますよね。今、本当だねとおっしゃっていただきました。

 これは是非、総理、体制の見直しということをきちんと行うべきじゃないですか。

石破内閣総理大臣 これは中谷大臣の下で、防衛省として、きちんと、そういうような懸念がないのかどうか、その説明責任はあるというふうに思っております。やはり、専門的な知識、知見がなければできないね、なるほど、こうなんだねということの説明というものはつくかどうか、まずそれを見たいと思っております。御指摘ありがとうございます。

藤岡委員 説明がつくかを見たいということで、これは少なくとも、やはり検討する必要があるんじゃないんでしょうか。これは大きなお金を扱っていて、身内だけで固めていて、相談を受けて、この補助の金額から妥当性、もちろん、その業務自体をやらないと言っていても、実際に本省につなぐというか、どういうことがあるか分かりません。また、多額のお金を扱う中で、変な不正が起きてもいけません。

 ある意味、やはり、外部の専門家のような方も当然必要だと思いますので、これは体制見直しを、見たいということだけじゃなくて、少なくともこれは検討するべきじゃないですか、総理。

中谷国務大臣 御理解いただきたいことは、この指定支援法人の指定に関しては、公正性とか透明性を確保するために、まず、法人に周知をして、十二法人の参加を得て事前説明会をしました。その上で、この助言等を行うための技術的能力、そして経理的基礎を有しているということ、そして知り得た情報を適切に管理するために必要な措置が講じられていること等、あらかじめた基準に照らして選考したわけでありまして、協会が先ほど申し上げた基準の全てに適合していることを確認したために、この協会を指定装備移転支援法人として指定しているわけでございます。

 厳正に、透明性また厳格性を確保して人選をしているということでございます。

石破内閣総理大臣 今、予算を審議いただいておりますこの予算委員会におきまして、そういう提起がございました。今、防衛大臣がお答えをしたとおりでございますが、まさしく国のお金というもの、国民の税金というものは入っておりますので、得心をいただけるように、更に努力はいたしてまいります。

藤岡委員 本当に不信感を招かないように、本当に速やかに対応をすべきだということは強く申し上げておきたいと思います。

 続いて、この基金について、基金シートにおける成果目標、成果指標のつくり方なんですけれども、今のつくり方が、装備移転に必要な仕様等調整を実施するための助成金交付が、案件形成後に予算措置で講じる場合と比べて一年程度以上短縮できている割合とか、何割それができたかということが対象になっています。

 これは、少なくとも比較対象は、当初予算じゃなくて補正予算措置などと比較をしてどれだけ早まったかということを比較することが望ましいと思いますし、そもそも、こういう目標や指標の立て方ですと、この補助金を出す支援自体が我が国の安全保障にどれだけプラスの影響を与えているかということが、これでは分からないと思うんですよね。

 この目標の立て方、指標の立て方、いわゆる成果目標、成果指標、これは見直しをするべきだと思うんですけれども、中谷防衛大臣の見解をお伺いします。

中谷国務大臣 実際、装備移転をする上においては各企業が中心になるわけでありまして、これは、我が国の安全保障の観点から、防衛大臣の求めによって、相手国の防衛協力に応じて企業が行う仕様調整に関する資金を助成をするということでありますが、この装備移転が具体化する時期は流動的でありまして、突発的にも発生する案件にも迅速に対応する必要があります。

 このために、円滑に実施できるように、成果目標として、仕様等の調整のための助成金の交付が、通常の予算措置と比較して、基金を用いた場合にどの程度短縮されるか、これを評価するために、予算措置で講じる場合と比べて一年以上短縮された件数の割合を成果指標として設定をいたしております。

 指摘の成果目標と成果指標、これの設定につきましては、装備移転の実績を踏まえまして、よりよい指標がないか不断に検討してまいりたいと考えております。

藤岡委員 是非検討して、速やかに見直しをしていただきたいと思います。

 私は、石破総理、この問題の最後にちょっと申し上げたいと思います。

 先ほど休憩中に、お名前は申し上げませんけれども、午前中の質疑について、閣僚の方からも、同じことを思っているというふうに御評価いただく言葉をいただきました。お名前は申し上げません。

 改めて、防衛装備の移転円滑化基金に対する四百億の措置は、私たちはやはり、先ほどの説明ですと、過大な、積み過ぎではないかというふうに考えます。そうした考え方に沿って、四百億の予算修正をし、そして、国民の命を守る、がん患者の方、是非、石破総理、救っていただくということを、先ほどは検討するということをおっしゃっていただきました。是非、最後に石破総理に御決断をお願いしたいと思うんですけれども、総理の見解をお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 先般御指摘をいただきました高額医療費の問題、これは、政府として、今、御理解いただけるように検討を進めておるところでございます。じゃ、それに対してどれぐらいのお金が必要になるのか、あるいは事業の中身を精査することによって可能となるものかどうかということを含めまして、今政府の中で誠心誠意、検討いたしておるところでございます。

 先ほど来議論になっております防衛基盤整備協会、このお金をこれに充てるかどうかは別の議論でございますので。だから、そういうように、今委員御指摘のような、なかなか納税者の御理解が十分いただけていないというものに対しまして、先ほど来防衛大臣が答弁で申し上げておりますように、きちんと得心いただけるような努力をこれから先させていただきたいと思っております。

 高額医療費とこれとは論理的につながるものではございませんが、御指摘の趣旨は承知をいたしました。

藤岡委員 本年度の予算措置で四百億を措置されているので、その予算措置を修正をしてということを提案しておりますので、二百億で高額療養費の自己負担の引上げの凍結をできるので、是非その財源を、この四百億を使って、少なくとも、救っていただくことを強くお願いをしたいと思います。

 続きまして、グローバルサウスについては省庁別審査の方で取り上げさせていただきたいと思います。

 GX予算について取り上げさせていただきます。

 資料、最後のページにお配りをしておりますけれども、このGX予算、中国企業への流出などの懸念というのもあるわけでございます。

 資料の最後のページにGX予算の補助金を出させていただいておりますけれども、中国企業に補助金が流れる可能性がある事業はこの表の中で幾つあって、どのぐらい流れているかということについて、武藤経済産業大臣にお聞きをしたいと思います。

武藤国務大臣 藤岡委員から、GX予算の関係で御質問いただきました。

 GX予算を通した投資支援策ですけれども、WTOルールというものに基づいて、国籍要件を設けて、我々としてはいないところであります。GX推進戦略などで示している支援策の基本原則を満たす限りは、海外企業も支援対象たる可能性は排除されないということになります。

 他方で、この支援策は、省エネや水素など、我が国産業が強みを持つ先端分野などに対する支援策を中心に進めてきております。例えば、半導体あるいはまた蓄電池の製造設備等支援方法については、経済安全保障推進法に基づき計画の認定を受けた者に対して支援を行うなどしております。

 結果として、委員の御指摘、御懸念の点はよく分かるところでありますけれども、現時点では支援対象は日本企業が中心となっているところであります。

 いずれにしましても、移行債による投資支援策は、産業政策、環境政策、そしてエネルギー政策を一体としてバランスを取りながら進めているもので、経済安全保障といった重要課題にも十分留意しながら、適切に予算執行を進めてまいります。

藤岡委員 時間が来ましたので、全て排除されないということだと思うので、きちんと止めていただくことを強くお願いをして、あとは省庁別審査でまた議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて藤岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。

 今日は、石破総理と、高等学校の授業料の実質無償化、この議論をさせていただきます。

 我々立憲民主党は、いわゆる東京方式による所得制限のない高校授業料の無償化、そのための予算の修正案を今国会に提出をする、今、そのための準備をしております。是非、今日の議論を通じて、総理にも御決断いただいて御賛同いただきたい、その思いで議論してまいりますから、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、中身の議論に入ります前に、基本認識というか、これまでの経緯を簡単におさらいしたいと思います。

 皆さん、お手元に資料をお配りしておりますけれども、資料の二番目を御覧いただきたいんです。そもそもこの高校授業料の無償化というのはどういう経緯であったかということなんでございますが、旧民主党政権において、所得制限なしの無償化というか、スタートをした。ところが、このとき、自民党から大変厳しい批判があって、自公政権に戻った後に、右側ですけれども、年収九百十万で線引きをして所得制限が入った。その後、補助額は様々議論があるんですけれども、九百十万円という制限は今に至るまで続いておる。こういう状況でございます。

 それで、この一連の、もう十五年前になりますけれども、この頃どういう議論があったのかということなんでございますけれども、パネルを御覧いただきたいと思います。資料1でございます。民主党政権下において一体どういう議論があったのか。

 これは、二〇一〇年の国会の議事録ですけれども、自民党の方からこういう批判があったんですね。この高等学校の無償化というのは、基本的な教育に対する理念を欠いた高校授業料の無償化、これは撤回を求めるという発言、批判がなされておりました。これは、ちょっとページが切り替わっている関係で発言者が切れているんですけれども、この発言は、当時自民党の政調会長だった石破茂議員の発言でお間違いございませんか。端的にお答えください。

    〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕

石破内閣総理大臣 間違いございません。

山岸委員 そうなんです。理念を欠いていると批判していたんですね。金額が高過ぎるとか、やり方がどうだという問題じゃなくて、そもそも考え方が間違っている、こういうふうに批判をされていたわけです。一体、ここで総理がおっしゃっている高校無償化は理念を欠くというのは、この十五年前当時、どういうお考えでおっしゃっていたのか、もう一回お話しいただけますか。

石破内閣総理大臣 もうかなり昔のことになりますが、そのときにそういうふうに申し上げましたのは、義務教育ではない、高等学校というのは義務教育というような位置づけはなされておりません、そして、そういう中にあって、お金のある御家庭、残念ながらそうではない御家庭、それを同じように扱うということは本当にいいのだろうかということでございます。

 お金を出してでもそういう教育を受けたい。私たちは、お金がないがよってに高等教育が受けられないということがあってはならないということは、当時の民主党の皆様方と一致をいたしておりました。そうではないのだ、お金はあるのだ、義務教育ではないのだということにおいて、お金のない御家庭と同列に扱うということは、それは公平性、あるいは国全体のお金の使い道として問題があるというふうに認識をしておったと記憶をいたしております。

山岸委員 総理、大分記憶が美化されているんじゃないかと思うんですね。

 私、実は、この当時、新聞記者をしていまして、野党自民党の取材をさせてもらっておりました。そのとき、自民党の中でどういう議論があったかというと、いや、社会で子供を育てるって、社会主義か全体主義か、子育ては家庭の責任だ、教育費は家計の負担だ、こういう議論を当時の自民党はしていました。もちろん、当時野党だったから、ある意味極端に振れた部分はあったと思うんだけれども、でも、やはり自民党の中の、何というんでしょう、言葉は過ぎるかもしれませんが、家庭原理主義というか家族イデオロギーというか、そういったものが非常に強く出ていた。それがやはり、この理念を欠くとまでの厳しい御批判になっていると思うんですよ。

 あれから十五年がたって今どうなっているかというと、やはりそういうふうに教育費は家計の負担だというふうに進めてきた結果として、御家庭の教育費の負担が大変重い、子供たちがなかなか未来に希望を描けない、家計の所得も手取りも増えないという中で日本の活力が損なわれているし、少子化にも歯止めがかかっていない、こうした十五年たった反省に立って、今、私たちはこの高校授業料の無償化というものをもう一度真剣に考える必要があるんじゃないか、こういう立ち位置にいると思うんですね。

 今我々が目指すべき教育の理念というのは、やはり、社会全体で子供の育ちや学びを応援をしていく、支えていく、子供たちが御家庭の経済事情にかかわらず学びたい学校を選ぶことができる、そして、我々、政治全体、社会全体で未来世代、将来世代に投資をしていく、こういう理念に立って高校授業料の無償化を進めていこうというのが、まず中身に入っていく前の共通認識として、総理もこれはお持ちをいただけているのかどうかというところを確認したいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 いや、別に美化をして言っているわけではありません。当時も今も認識は同じでございます。ただ、時代があれから十数年たって、お金がないがよってに高等教育が受けられないということがあってはならないという点は一緒だと思います。

 経済的に余裕がある御家庭、そういうところが、義務教育ではない、そういうものを子弟に施す場合に、負担はなくてよいでしょうかということ、そのお金がそのまま回るわけではございませんが、経済的に恵まれないので行けないという方々とやはり公平を保つ必要はあるのではないかという考えがございます。一方において、委員御指摘のように、そういう話ではなくて、すべからく社会全体で子供の教育を施すべきだという考え方。これはどっちが正しくてどっちが間違っているというお話ではなくて、要は理念の問題だと思っております。私は、社会全体で子供の教育を支えるという考え方を間違っているというふうに全否定するつもりはございません。

山岸委員 理念を欠いたとまでおっしゃったけれども、一定、現時点では理念を共有いただけるというふうに理解して、中身の議論をさせていただこうと思っています。

 立憲民主党は、所得制限がない高校授業料の無償化について、いわゆる東京方式というものを全国展開してはどうかという御提案をさせていただいています。お手元に資料を配っておりますけれども、これは三枚目ですね、立憲民主党東京都議団が中心となって、おととしから提案をしております。実際、二四年度、今年度から東京都においては実現をしているもので、これを全国展開していこうという提案をさせていただいています。

 簡単に御説明します。東京方式というのは、高校授業料の平均金額、ここまでは無償化をさせていただく、そして、それを上回る部分に関しては、そういう選択肢は排除しない、その分は御家庭で御負担いただく、こういう二段階方式になっているわけでございます。当然、これはお金のかかる話でございます。

 ちょっと財源のことに関して政府参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、この東京方式を全国展開しました場合に、追加でかかる予算というのはどれぐらいなのかということでございます。もちろん、細かく言えないと思いますので、数千億円単位で構いませんから、御説明をお願いいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 高校無償化を見直した場合の所要額につきましては、無償化の対象者あるいは支援金額によって異なるものでございます。過去、現行制度をベースに公立、私立の全日制高校の授業料を所得制限なく無償化した場合には、約三千億円程度が追加的に必要になると試算をさせていただいたところでございます。

山岸委員 三千億円、ありがとうございます。

 実は、我々立憲民主党も試算を独自に進めておりまして、資料の5でございますけれども、我々もおおむね三千億円の追加費用が必要であろうと計算をしております。これは当然、子供の数が変わってまいりまして、様々、制度設計はあるんですけれども、大体どのように計算しても三千億円ぐらいであろうというところでございます。

 これを我々は、この予算委員会の場で、予算委員会の審議の場で修正案を提案して、議論をして、総理に決断いただいて成立させていきたい、その思いでこれから討論していきたいと思っているんですけれども。

 まず、総理、この三千億円という予算額も踏まえて、立憲民主党が提案している東京方式の全国展開、総理の御所見をお伺いいたします。

あべ国務大臣 失礼いたします。山岸委員にお答えさせていただきます。

 各地方自治体におきまして、私立高校の授業料の平均額、また、私立高校に進学する生徒数、その割合が実は大きく異なっておりまして、実は、私立の高校の授業料でございますが、委員御承知のとおり、全国平均が四十五万七千三百三十一円なんでございますが、一番高いところもございますが、一番低いところが福井県でございまして、三十四万七千四百七十二円というふうになっているところでございます。

 また、私立学校の生徒数の割合というのがございまして、全国平均が三四・六%なんですが、最高が東京の五七・五%ですが、最低が徳島県の四・二%でございまして、地域によって事情が違う中にありまして、東京都の仕組み、今年度から都内の授業料平均を参考に四十八万円上限にということで、委員がおっしゃるとおりで、所得制限を設けないというものと承知しておりますが、私ども文部科学省としましては、基盤としての国の制度、これと、地域の実情を踏まえた形で地方自治体が独自に実施する支援とのバランスをまた総合的に考える必要があるんだと私どもは思っているところでございます。

 以上です。

    〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕

山岸委員 総合的に考えて、総理が決断すればこれはできる話なんです。

 というのが、高校授業料の無償化というのは、いわゆる党利党略でやっている話とか各党が手柄取りでやっている話ではもはやないわけなんです。大阪では維新の皆さん、これは後で大阪方式、若干議論しますけれども、維新の皆さんが進めてこられているし、東京では、申し上げたように、立憲民主党も率先して提案をして、当然、都議会は自民党、公明党さん、与党ですから、自公も賛成して実行されているというのが現状であって、もうこれは総理がやろうと言えばできる話なわけなんでございます。

 まさにそれで申し上げれば、今国会、この熟議と公開の国会に私はふさわしいテーマだと思っています。私も先日、地元で言われましたけれども、この国会、しっかり国民目線で仕事をして成果を出してくれ、もう党派対立とか政治家同士のいがみ合いではなくて仕事をしてくれ、国民生活のためにと、厳しく要望いただいたところでございます。

 そういう意味で考えると、このテーマというのは、一致して進めることができる、総理がやると言っていただければやることができ、そして、そのことによって、働く世代、子育て世帯、国民生活に大きな恩恵がある、そういう政策なわけでございます。

 是非、総理、この東京方式の全国展開について、総理の御決断で御賛同いただきたいと思います。いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 いや、総理が決断しようが何しようが、多くの会派、多くの議員に賛成していただかないとできないので、その一致点をどう見出すかというお話です。

 今、文科大臣から答弁申し上げましたように、地域によって物すごく差があるということだと思います。公立でも私学でもどちらでも選べるという都会の、東京も大阪もそうだと思いますが、今、福井とか徳島とか御指摘がございました。私どもの県もそうなのですけれども、なかなか私学というものが数が少なくて、遠隔地であったりした場合には、どちらも選べるという状況にない県もたくさんございます。また、財政力が豊かな東京と比べて、地方の場合に極めて財政が厳しいというところもございます。

 ですから、国が全部見るということなのか、地域の特色を加味するのか、公立と私立の割合がどうなっているのか、そこまで精査をしないでこれを総理大臣の決断の下にやるということには、なお議論が必要だと思っております。

山岸委員 ただ、総理、今、自民党、公明党、維新の会で協議されているわけですよね、この予算の出口に向かった協議をされているわけですよね。それを、もちろん水面下の協議も結構なんですけれども、この予算委員会の場で、オープンな場で国民に見える格好でやりませんかという、僕らは御提案させてもらっています。

 立憲民主党は、予算の修正案を出して、それをこの場で議論をして、国民の皆さんにいわば見てもらいながら決めていこう、こういう提案をしているわけです。総理は、いや、まだまだ検討事項があるから当分かかります的なことをおっしゃっているけれども、現に今、与党協議をされているわけであって、もういずれ決断を迫られるわけですよね。なので、この予算委員会の場で決めませんか、のんでもらえませんか、こういう御提案をしています。いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 ですから、そのために今ここで議論をしているわけで、私ども自公が維新と協議をするのも、この場の議論というものを全く捨象して勝手にやっているわけではございません。そしてまた、いつまでもくだくだと議論するなぞということを言っていたら予算そのものが成立をしないので、当然時限性があることはよく承知をいたしております。

 ここでいろいろな立憲さんの御議論というものも踏まえて、私どもとして、自民、公明そして維新さんの間で結論は出る、そこにおいてここの議論というのは大きく寄与するものだということでございます。

山岸委員 時限性があることは承知されていると。ということは、まさに新年度の予算、もう出口はあと二週間、三週間に迫っているわけですけれども、そこまでにこの高校授業料の無償化の全国展開、やるかやらないか、しばらく時間を置いてやるのか、幾つかオプションはあると思いますけれども、それは決断をなさるということでよろしいんでしょうか。

石破内閣総理大臣 それは、そうしなければ予算というものは通らないということですが、どういう決断をするかを、二月四日の時点において、総理大臣として、こういうふうにするというようなことを申し上げる立場にはございません。

 今真摯に議論が行われており、そこにおいて、この場の議論、立憲さんのお立場というものもよく考慮に入れているということだと承知をいたしております。

山岸委員 では、是非その総理の御決断に役に立てていただけるように、個別の論点に関して今から議論させていただきます。

 大阪方式か東京方式かという問題がございます。当然ほかの選択肢もあり得るわけですけれども、現時点では大きく分けてこの二つが選択肢としてあるわけでございます。

 資料ですと10になりましょうか。大阪方式と東京方式の違い、端的に御説明しますと、大阪は、上限が決まっている、キャップが決まっている。六十三万円まで無償化します、でも、それを上回る、私学が特色ある教育をしようと思ってお金がかかるという場合には、それは学校の御負担でお願いしますということで、私学の特色にはおのずから制約が生まれるというのが大阪方式。一方、東京方式というのは、さっき申し上げたように、平均額までは無償化します、それ以上の特色ある教育でお金がかかるという場合は、御家庭、保護者の御負担でお願いをしますという整理をしています。

 当然これは一長一短あるわけでございまして、お金の方は、大阪方式は六千億円、東京方式は三千億円。様々な、これは当然一長一短があって、どちらがいいと私は断定的に申し上げるつもりはございませんが、総理御自身は、現時点ではどちらの方が望ましいとお考えでしょうか。

石破内閣総理大臣 私の立場で、どちらが望ましいということを申し上げることはいたしません。

山岸委員 ただ、実は、総理はここまでの国会の議論の中で事実上おっしゃっているんじゃないかと私は考えています。

 資料11を御覧いただきたいんですけれども、これは先週の当委員会における総理の御答弁でございますけれども、私学の在り方の議論をしている中で総理はこうおっしゃっている。私学に共鳴するお子さんや御家庭が、多少高くても私学に行くという考え方も私はあるんだろうと思っております、また、多少のお金の負担がかかっても私学に行くというもののメリットはきちんと残しておかなければいけない、こうおっしゃっています。つまり、プラスアルファでお金を払っても私学に行く、特色のある教育を選ぶという選択肢や自由はあってしかるべきなんだと総理はおっしゃっているわけですね。

 ということは、これは、大阪方式か東京方式かという議論でいけば、東京方式ということにおのずからなるのではありませんか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 おのずからはなりません。

山岸委員 申し上げたように、大阪方式というのは、授業料にキャップを設ける、それを上回る分は、保護者は御負担しないですね、学校が自腹を切ってね、こういう仕組みで、おのずから特色ある教育をやろうと思ってお金がかかるということには限界があるわけでございます。一方、東京方式というのは、平均額まで無償だけれども、それを上回る分は御家庭の御負担で、つまり、基本無料、オプション有料、こういう二段構えなわけでございます。

 総理の今申し上げたお考え、多少のお金はかかっても私学を選ぶ、そういうメリットが大事じゃないかというこの御指摘というのは、今私が申し上げた整理でいえば、東京方式と親和性が、おのずからとは申しません、親和性が高いということではありませんか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 いろいろな物の言い方はあります、親和性は高いということ。ただ、私は、多少と申し上げましたのは、上乗せをしてもということを申し上げたわけではございません。上乗せをする部分のことを多少というふうにお考えになるのは、それは少し私の考え方とは違うものでございます。

 要は、お金がかかっても私学に行きたいという、それは、許容してというか、当然そういう方の考え方もあるだろうと。ですけれども、とにかく守っていかねばならないのは、お金がないので高等教育が受けられませんというようなことは国家としてあるべきではない、そこまでは一致をいたします。

 そこから先をどうするかということについて、東京方式、大阪方式、いろいろな考え方があって、どちらが正しいかということ、正しいというのかな、の選択をするかは、最終的にはこの場の御議論だと思っております。

山岸委員 今日は、この高校無償化の議論は、私さっき申し上げたように、各党一致ができるテーマだと申し上げています。なので、維新の方もいらっしゃいますけれども、大阪方式より東京方式とか、維新案より立憲案とか、こういうふうな、いわば手柄争いみたいな議論をするつもりは全くないわけなんですね。実際、そこで、じゃ、大阪の吉村知事も、資料12でおつけしていますけれども、完全に大阪方式を採用すべきだとは思っていない、地域事情もあるというふうにおっしゃっていて、弾力的なことをおっしゃっているわけなんですね。

 そういう意味でいうと、まさに今、与党と維新さんとの協議が進められている状況だとは思うんですけれども、大阪方式が絶対ではないという中で、今総理がおっしゃったような、私学に行くために一定程度の負担をするという選択肢もあっていい、こういう議論を、私は、理詰めで考えていけば、東京方式ということに結果的に行き着くということにどうしてもなると思うんですけれども、違うんでしょうか。いかがですか。

あべ国務大臣 委員御指摘のように、東京都の方は、都内の授業料平均額を参考に四十八万円を上限に所得制限を設けない、また、大阪は、キャップ制ということで言われているところでございますが、学校の授業料が支援金額を上回る場合は差額分を学校が負担する必要があるものと私は承知しておりまして、また、一般論として申し上げれば、授業料も含め、私学学校の建学の精神に基づく自主性の尊重は重要なことではないかと文部科学省は考えているところでございまして、これまでも、支援の拡充に伴いまして、各学校で合理性のない授業料の値上げを行うことは望ましくない旨も含めて周知しているところでございますので、こうしたことも含めてしっかり御留意いただきたいというふうに思っているところでございます。

山岸委員 これ以上は堂々巡りですから論点を一つ変えますけれども、どうしても大事なポイントとして押さえておかなければいけないポイントがあります。それは、公立高校をしっかり守るということでございます。私立高校を含む所得制限のない無償化を我々は是非進めたいと思っていますが、同時に、それで公立高校がいわば犠牲になったり、格差が更に広がるということは避けなければいけないと考えています。

 これは残念ながら既に大阪で起きていることでございますけれども、私学を含めて無償化した結果、私学に学生さんが流れる。これは、ある意味当然というか、そもそも御家庭の経済事情によらず選べるようにしようというのが目的でございますから、ある意味では自然なわけでございます。ただ、問題は、申し上げたように、これによって格差が拡大をするということでございます。

 具体的に申し上げれば、当然、やはり地域によって御家庭の経済事情や様々な家庭事情で困難を抱えている学生さんが多い公立高校というのはあるわけです。そういうところから、この無償化に伴って、私立にどんどん、いわば比較的余裕がある学生さんから抜けてしまって、その公立高校はよりいわば難易度が高くなるというか、困難度が高くなるという形になってしまう、そうすると倍率が下がって、ここは人が集まらないから統廃合の対象だ、こういうふうになってしまうということが起こっているわけでございます。

 この点は今後の無償化の議論で非常に留意しなければいけないテーマだと我々は考えていまして、高校授業料の無償化に際しては、公立高校への支援、とりわけハード面、施設整備に関しては手厚くしていく必要があるんだろうと考えています。つい先日も埼玉の下水管の事故がありましたけれども、やはり公立高校も七〇年代、八〇年代の建築が多くて、これから大変な整備が起こってくるだろうという中において、公立高校の施設整備もセットで進めていくということが今後の議論においては必要ではないかと考えますけれども、これは総理、御所見いかがでしょうか。

安住委員長 あべ文部科学大臣、答弁短くね。

あべ国務大臣 はい、短くいたします。

 委員にお答えします。

 公立高校でございますが、まさに委員がおっしゃるように、教育の質の向上に取り組む中で、特に施設整備費に関しては、委員がおっしゃるように、基本的に、今、三位一体改革を経まして、設置者である地方公共団体の一般財源で措置をされているところでございますが、国と地方の役割分担を踏まえる必要がある中にありまして、特に私ども、石破総理の下に、地方創生二・〇に向けまして、産業界の伴走支援をしていきながら、特に私ども、農業高校、工業高校などの専門高校もちょっと心配しているところでございまして、これを拠点とした地方創生支援をしていきたいというふうに思っております。

 また、委員がおっしゃいますように、老朽化の問題が大変大きくございまして、私ども、個別施設計画の内容充実に向けまして、事例集、解説集、策定、周知に取り組んでいるところでございまして、しっかりと取り組んでまいりますので、これからも公立高校をしっかりとサポートするために、国、地方一体となって頑張ってまいります。

 以上です。(発言する者あり)

山岸委員 これでよしという声が出るあたりに、私は危機感のなさを覚えます。残念でございますけれども、この点は多分、実際、無償化をやるときには各党一致だと思いますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。

 それで、恐らく本丸である所得制限の議論をさせていただこうと思っています。

 先ほど来総理からも御発言がありましたが、資料の13を御覧いただきたいんですけれども、この間、総理も所得制限の話をされて、いろいろな御答弁をされているんですけれども、私、一つ、ちょっとこれは矛盾しているんじゃないかなという点がありまして、御意見をお聞きしたいと思うんです。

 総理は、高校授業料の無償化については、高校の進学率が今九九%とほとんど全ての方が通っている中で、所得制限のない無償化にどれほど意義があるんだろうかと疑義を呈されております。

 でも、実は別のところでは総理は違うことを言っているんですね。幼稚園と保育園の無償化、これも先週の議論ですけれども、幼保の無償化についてはこう言っている。三歳から五歳は利用率が高い、広く利用しているから全員無償化です、一方、ゼロから二歳児は利用率が四割しかないから所得制限を設けています、こういう答弁をしているんですね。つまり、利用率が高ければ全員無償だ、利用率が低いものは所得制限が合理的だ、こういう答弁を幼保に関してはされている。

 この理屈でいけば、総理、高校は九九パー通っているというのであれば、所得制限をなくすというのが一番一貫した説明ではありませんか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 当然そういう御疑問は出るわけです。それはもう、自分で答弁していて、これはどうやって整合させるのかなというふうに思う人が出るだろうというふうに思いながら答弁をしておるところでございますが。

 高校進学率が九九%です。そうすると、所得制限なくして無償化しますということになると、これは一体どんな問題があるのかというと、先ほど来申し上げておりますが、格差是正、そういう効果がなくなってしまうかもしれないねという懸念がございます。そして、これも累次申し上げておりますように、十分な所得がある御家庭も対象にするということになりますと、これがどういう意味を持つものなのだろうか。物すごくお金があって、それでもそれに対して公の支援があるということに対して、国民の御理解が得られるだろうかということでございます。

 そこで、授業料を頂戴することによって得られたお金を更に必要なところに回していくということも、政策の選択肢としては当然あることでございます。そういうような意味で申し上げたところであります。

山岸委員 御疑問があるのは当然だと御自分で矛盾を認識されているのであれば、それは御自分の決断でその矛盾を正してください。

 もう一回、矛盾を御自分で認識されているのであれば、高校授業料の所得制限のない無償化というのが、総理の中でもこれは理屈として導かれるんじゃありませんか、違うんですか。

石破内閣総理大臣 ですから、お金のある御家庭も無償化することの意味は一体どこにあるんですかということについて、それはもちろん無償化すれば喜ぶ人が出ますですよ。でも、そのお金をもっと困っているところに回すという選択肢も政策としてはあり得るということを申し上げているのでございます。

山岸委員 先ほど来総理は、お金のある御家庭、お金のある御家庭と連発して強調されています。じゃ、九百十万円というのが一体どういう水準なんだろうかということを議論させてもらおうと思っています。

 総理、世帯年収九百十万円は富裕層ではないですよ。なかなか総理は御想像がつかないのかも分かりませんけれども、資料の14を御覧いただければと思います。若干字が細かくて恐縮なのでございますけれども、これは家族構成ごとに、その家族構成の中で所得階層ごとにパーセンテージを表したものでございます。

 御覧いただければ分かるとおり、上が全国、下が東京都なんですけれども、三番目ですね、夫婦と子供から成る世帯、すなわち子育て世帯ですけれども、ここで九百万円、残念ながら九百十万円はないので、九百万円を超える世帯は三〇パーを超えている。三分の一。しかも、東京都に限って言うと五割を超えてきているわけですね。過半数が九百十万円にひっかかってくるわけです。

 これがお金のある世帯ということになるんでしょうか。まさに中間層そのものじゃないですか。これを富裕層と思って所得制限の対象にするというのは、総理、認識が間違っているんじゃありませんか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 私は、それが富裕層だと申し上げたことは一度もございません。お金があるということと富裕層というのは違う。つまり、負担する、御負担いただく力があるということで申し上げているのであって、それを富裕層とかいう、いわゆるお金持ちですよという言い方をしたことはございません。

 そして、東京においては確かにそうかもしれない。しかし、地方においてはそういう御家庭はそんなに多くはございません。東京で当てはまることが全国で当てはまるわけではないということでございます。東京はそういう御家庭が多いとは承知をいたしておりますが、地方においてそんな御家庭はそれほど多くはございません。

山岸委員 いや、申し上げたように、全国でも三分の一でございますからね。

 所得制限の議論というのは、私、二つのパターンがあると思っています。それは、極めて生活が厳しい、困窮されているという方に限って何らかの支援をするという形の所得制限、あるいは、超富裕層に関しては申し訳ないけれども外しますよという形の所得制限、この二つはあると思うんですね。

 でも、今、この九百十万円という線は、まさに中間層のど真ん中に線を引いてしまっている。非常にこれは働く世帯にとって不公平感、あるいは不合理、理不尽だ。あっちはもらえたけれども、うちはもらえていない、あるいは、同じ御家庭でも、少しお給料が上がったら外れてしまうという中で、非常に働く世帯にとって不公平感が強い制度であろうと思います。

 これをやってしまうとどういうことが起きるかというと、頑張って働いている人ほど何だか割を食っているな、そういう社会になっちゃう。頑張ってお給料が上がったら外れてしまって、自分は何か損をしていると。よく、僕は好きな言葉じゃないけれども、働き損なんという言葉が最近ありますよね。こういう考えが広まることになりかねないから、こうした九百十万円という中間層を分断するような所得制限は撤廃すべきだと考えていますが、総理、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 それはどこで線を引くかはこれからいろいろな御議論があるだろうというふうに思っております。

 全国という場合には、東京も大阪も、三大都市圏も入るわけでございまして、そういうところを除いた地方というもの、いわゆる、イメージする、全国平均ではなくて都市と地方というふうに分けました場合の地方になりますと、もっと数字は違ってくる、見える景色は違ってくるはずでございます。

山岸委員 九百十万円を引き上げるということはやぶさかではないという趣旨の発言と理解しましたので、だったら、もうここはきれいさっぱり撤廃していただいて、所得制限のない無償化を是非この国会で実現していただきたい。そのために我々は修正案を提出していきます。どうか引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 残り時間僅かでございますので、一点だけ、フジテレビの問題をお聞きしたいと思います。

 私、昔、新聞記者をやっていましたと申し上げました。総理動静を作っていたことがありまして、今でも総理動静を見るのが趣味でございますが、総理は、総裁就任後間もない、昨年九月二十九日、フジテレビを訪問されております。総裁就任二日後でございます。フジテレビの番組に出演をされたんですけれども、その前にこう書いてある。午前七時から同二十分まで、日枝久フジサンケイグループ代表らと面会。

 今、この日枝さんの存在というものが様々な議論になっているわけでございますけれども、このとき、どういうお話をしたか、御記憶の範囲で御説明願えますか。

石破内閣総理大臣 ほとんど記憶はございません。つまり、日枝さんという方と私は余り今まで接点がございませんでしたので、こんにちは、さようならというか、初めましてではないが、なかなか、「報道二〇〇一」なんて昔ありましたが、フジテレビとの思い出みたいなお話をしたような記憶がございます。

安住委員長 山岸君、そろそろ時間が来ていますからまとめてください。

山岸委員 時間ですから、終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて山岸君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 今日は貴重な質問の機会をいただきまして、感謝申し上げます。

 私からも質問させていただきたいと思いますが、ちょっと通告の順番を変えさせていただいて、一番最後の部分を冒頭にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私は今、立憲民主党の政調会長代理として、野田佳彦代表の御指示を受けて、本気の歳出改革作業チーム、この責任者を仰せつかっております。来年度の巨額な政府予算案に対して、本当に無駄がないのか、国民の皆様、納税者の皆様にとって納得できる内容であるのか、そして緊急性があるものが優先されているかなど、総勢八十人近い作業チームを編成して作業に当たっております。

 徹底した歳出改革と併せて、先週金曜日、城井崇政調会長代理、同僚でございますが、我々の考え方をお示しをさせていただきました。資料の二十枚目、二十一枚目に当たりますが、基金の積み過ぎ額の国庫返納、予備費の活用なども含めて政策財源の確保を明確に提案した上で、我々が目指す政策提案、予算修正の実現を目指しております。

 予算修正の三つの視点、是非、石破総理におかれましては、我々立憲民主党の主張、提案に耳を傾けていただき、予算案の国会修正を強く求めたいと思いますが、まず冒頭、総理の見解をお尋ねしたいと思います。

石破内閣総理大臣 私ども政府・与党といたしましても、御党が唱えておられます、国民の皆様方の負担を減らす、国民の皆様方の収入を増やす、そして徹底した歳出改革を行う、それを本気という言葉と置き換えてもいいのですが、最善のものとして予算案を提出をして御審議をいただいておるところでございます。そうでないようなものは御審議に供することはできません。

中島委員 改めてですが、我々、私が先ほど言ったように、本気の歳出改革の作業チーム、取り組まさせて、今鋭意あぶり出しというか浮き彫りに、洗い出しをさせていただいておるところでございますので、それと一方で、我々がお示ししているとおり、政策実現、その財源の確保も含めながらお示しをしてまいりますので、是非総理には真摯に向き合っていただきたいと思います。

 そして、その修正における、我々、最優先、人の命に直結する緊急性の高いテーマ、高額療養費患者負担額上限引上げの政府方針についてお尋ねをしたいと思います。

 この件につきましては、先週の火曜日、総理の施政方針演説に対する代表質問で我が党の重徳和彦政調会長が、そして先週の金曜日には同僚の酒井なつみ議員が質問しております。石破総理の答弁、また政府答弁を踏まえて質問いたしますが、今日も、全がん連、全国がん患者団体連合会天野理事長、そしてJPA、日本難病・疾病団体協議会、小児慢性骨髄性白血病連絡会の皆様、当事者の皆さんも傍聴席に来られておられますので、是非総理には、総理御自身のお考えを総理の言葉で明確にお答えいただけますようお願いをいたします。

 そしてこれは、先ほども言ったように、本当に目の前の命に直結するテーマでございますから、丁寧に私も質問させていただきたいと思います。

 先日も質疑で言われておりますから細かい制度のことについては省かせていただきますが、言うまでもなく、高額療養費制度は、医療における重要なセーフティーネットであって、がんや難病に罹患した患者さんが高額な治療を受けた場合、患者さんの負担が重くならないよう年齢や年収に応じて一月当たりの医療費の自己負担上限を設けているもので、がんや難病を抱える皆様にとってはまさに命綱ということであります。

 この高額療養費制度を見直して、今年の八月から三段階、資料の一枚目、これは経過でありますけれども、一枚目、二枚目、連続いたしますが、元々これは、全世代型社会保障構築、この閣議決定、改革工程表に沿って、そして、昨年十一月二十一日、十二月にかけて計四回、たった四回ですよ、たった四回の審議で決められた。

 そして、その結果は資料の六枚目。これは年収七百万円の方の場合でありますが、現在は月の上限が八万百円。これが、今回の見直し、来年度は定率引上げ、その後二段階で上限の引上げが行われるわけですが、この案によると、二〇二七年八月以降は十三万八千六百円。何と五万八千円も引上げが行われる。そして、多数回該当というふうにありますが、これは直近の十二か月の間に三回以上高額療養費の対象となった場合の特例措置でありますが、今は四万四千円のところ、ここの多数回該当も対象になり、七万六千八百円。これも三万二千円、上限が引き上げられる。これは、年収五百十万円の方も三万三千円アップ。多数回該当、年収五百十万円の方も約二万円アップする。こういう内容が、昨年末、これは福岡厚生労働大臣と加藤財務大臣との折衝により合意されたということであります。

 この内容について、今日もお越しになっている全がん連、またJPA、難病・疾病団体の皆様からも、この内容の再考を求める要望書が提出をされました。そして、僅か三日間ですよ、一月十七日から十九日の僅か三日間で、これは全がん連の皆さんが取ったアンケートでありますが、三千六百二十三人。僅か三日間で三千六百人を超える方々からコメントが寄せられた。これは資料の三枚目以降ですね。

 読もうとは思わなかったんですが、お一人の方だけ、もう一度読まさせていただきます。

 資料の三枚目の二人目の患者さん、二十代女性のがん患者さん。「スキルス胃がん患者です。小さな子どもがおり、この子を遺して死ねません。高額療養費制度を使っていますが、支払いは苦しいです。家族に申し訳ないです。引き上げされることを知り泣きました。スキルス胃がんは治らないみたいです。私はいずれ死ぬのでしょうが、子どものために少しでも長く生きたい。毎月さらに多くの医療費を支払うことはできません。死ぬことを受け入れ、子どもの将来のためにお金を少しでも残す方がいいのか追い詰められています。」。

 それ以外も、資料の一番最後のページは今日の朝日新聞の記事です。もう治療を断念しなければいけない、そういった声が、切実な声が寄せられておるわけであります。

 さらに、全がん連の皆さんが先週からSNSで、この高額療養費患者額、上限の引上げについて反対の意見、僅か四日間で七万五千を超える署名がされておるということであります。

 これまでの経緯、私なりに丁寧に御説明したつもりでございますが、今回の政府方針の最大の問題、これは、改めて決定プロセス、先ほど言った四回の審議会で、当然、審議会のメンバーにも当事者団体の方も入っていなければ、ヒアリングも行われなかったと。

 そして、二つ目の大きな問題点は、全世代社会保障の構築、現役世代の保険料負担軽減といいながら、今回の見直しで直撃を受けたのは現役世代、働きながら子育てをし、がんや難病の治療をする方々を直撃した。改めてですが、酒井議員も金曜日質問しておりましたが、我々は、先ほど冒頭に言った修正案、これは国民の皆様の命に直結する内容でございますから、改めて凍結を求めたいと思っております。

 そして、先週の金曜日の酒井なつみ議員との質疑で、総理は、資料の七枚目ですね、酒井議員の、当事者の皆様のお話を聞くべきだと思っていますという問いに対して、石破総理は、一番苦しんでおられる方々の声を聞かずに、このような制度を決めていいとは思いません、それは、きちんと聞いた上で、そういう方々に対して不安を払拭するということも政府の務めだと思っておると答弁されました。

 確認ですが、一番苦しんでおられる患者さん、当事者の皆様と総理御自身がお会いして話を聞くということでよろしいでしょうか。

福岡国務大臣 政策立案の責任者は私でございますから、総理から、改めて、その政策立案の責任者である私に対しまして、どういった形でお話を聞くのが一番適切か、厚労省において検討するように指示があったところでございます。

 その上で、患者団体の皆様方にも、まず事務方でお話を聞かせていただいた上で、私自身がしっかりお話を聞かせていただきたいと考えております。

石破内閣総理大臣 この問題について、制度の設計から今回予算を提案するに至るまでに最も努力をいたしてまいりました福岡大臣が、まず事務方のそういう方々との話合いを経た上で聞くというふうに今答弁を申し上げたところでございます。

 その上でなお必要な場合には、私が直接お話を承ることはございます。まだ、福岡大臣そしてまた事務方が誠心誠意お話を承るというプロセスを経る前に、私が今から会いますということを断言はいたしません。必要であれば当然お目にかかるのは当たり前です。

中島委員 いやいや、福岡大臣、先ほど私は丁寧に説明しましたが、加藤大臣と折衝して、合意して、要望書が出ているんですよ。JPAからも出ているんですよ。それに対して無反応で、対話を全くせず、今になって会う。だって、福岡大臣と加藤大臣、もう合意したんでしょう。それを覆せるのは、石破総理、総理だけですよ。

 そして、先週の金曜日の酒井なつみ議員との、今お話ししたように、この議事録がありますよね。患者さん団体は、総理が、このアンケートの結果も踏まえてお会いしていただけると思っていますから。

 これは、総理、もう時間がないんです。修正案、先ほど冒頭にお話ししたように、歳出削減の一方で、徹底した歳出改革の一方で、政策実現、そして、この高額療養費、二百億円ですよ。二百億の修正を、我々はもう事前協議を始めなきゃいけない。福岡大臣、今更、いや、会うのはいいですよ、何ぼでも会っていいです。会うのはいいですが、もうそんな時期は過ぎているんですよ。時間がないんです。

 これをどう取り扱うか。我々は凍結を求めていますから。来年度、定率の引上げの分、これを修正、示しますので、その決定権者はもう現段階では総理ですから。総理、お忙しいのは分かりますよ。週末、トランプ大統領と、もう頭の中はそれでいっぱいかもしれませんが、これは期限が迫っているんです。

 来週中若しくは再来週の早々にも患者さん団体と面談をして、直接声を聞いていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 必要ならばお目にかかります。当然のことです。

 ただし、今、時間がないというふうにおっしゃっておられますが、厚生労働省にいたしましても厚生労働大臣にいたしましても、それはもうあらゆる時間というものを切り詰め切り詰めやっておりますけれども、この間の酒井委員とのやり取りもございました、やはりお目にかかって話を聞かねばならないという判断、それはあろうかと思います。それを経ないままに、私が最終責任者なんだから私が会って決めます、そういうような、行政の仕組みを無視したようなことは、私はいたしません。

中島委員 じゃ、そうしたら、福岡大臣、会うのはいいですけれども、私たちは、もう一月二十一日に我が党としてヒアリング、その二日後にも受けています。そして、私は何回もお話ししています。この内容では到底合意形成できませんからね。合意形成できませんよ。この短期間で微調整、微修正、そんなことはままなりませんよ。

 先ほど言ったように、これは命に直結する問題ですから。先ほどアンケートのコメントもお示ししたように、そんなことをやっていると、受診抑制、治療を中断してしまう方、いやいや、総理は首を振りますが、私も現役の医者ですよ。週末、四十代、五十代、乳がん、子宮体がん、実際にこの高額療養費制度を使っている患者さん、実際に私は診ていますから。

 総理の決断ですよ、もう時間がありませんから。是非総理が、改めてですが、お会いしていただける、そしてそのときに、ただ会うだけじゃ駄目ですから。改めてですが、これは、先ほど言った、決定プロセスがもう完全にボタンをかけ違えているんですよ。これは、会って合意形成などできませんから、改めてですが、来年度、初年度の定率引上げについては凍結するべき。総理、御決断をお願いいたします。

福岡国務大臣 まずお会いした上で、患者団体様の御意見をしっかり承り、その中で、厚生労働省としてどういう対応が可能か、しっかり検討してまいりたいと思います。

中島委員 今、山井さんがおっしゃったように、今まで何をやっていたんですか。厚労省から、じゃ、何団体に聞けばいいんだ、誰の声を聞けばいいんだと言いますが、今日来ていらっしゃる全がん連の天野理事長は、がん対策基本法とか、そして私がやっているゲノムとか、審議会のワーキングチームのメンバーに入っていたり、これまでさんざん厚生労働省といろいろな場面で信頼関係があったはずですよ。それを、本丸であるこの高額療養費の患者額負担の引上げ、これについて何の説明もなく、今更、福岡大臣が会って、一体何を話をするんですか。

 押し問答であれですが、少し総理、お時間、この質問の間も、他の委員に、質問いたしますから、是非、先ほど言ったように、来週中若しくは再来週早々にはお会いしていただく決断を、この予算、私の質疑中に御決断をいただきたいと思います。

 そして、これは加藤大臣にお尋ねをしたいと思いますが、一月二十八日の財政演説で、高額療養費患者負担額上限、今回の件について、高額療養費制度の見直しにより、制度のセーフティーネットとしての持続可能性を確保しつつ現役世代を含む保険料負担を軽減すると述べられておりました。

 先ほど私、アンケートの抜粋ですけれども、お見せしたように、これのどこがセーフティーネット、守られていると考えられているのか。今回の見直しによって、がん、難病患者さんのセーフティーネットが担保されていると、何を根拠にそのようなことをおっしゃっているのか、お尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 今般の高額療養費制度見直しでありますが、まずは、現役世代を中心に保険料負担の抑制を求める声、これがあることは十分委員御承知だというふうに思います。

 そして、そうした中で、いわゆる高療費制度による負担軽減額、まさにこれに係る負担額ですね、これが国民医療費全体に比べて高い伸びをこの間示しているということ、また、今後の高額薬剤の一層の普及、こうしたことにも対応できるようにしていく必要がある、こういったことを踏まえて、医療の重要なセーフティーネットとしての役割を将来にわたって堅持していく。こういった考え方から実施するものと認識をしています。

中島委員 今の切実な声で、私も患者さんと話をしておりますが、ただでさえ物価高で生活が大変。さらに、民間のデータで、がんや難病とか重篤な疾患を患ったときに家計は非常に疲弊するということは分かっているわけです。

 そして、現役世代の保険料軽減に資するとおっしゃいますが、では確認です。これは厚生労働大臣になるかと思いますが、今回の高額療養費制度の見直しによる政策効果について確認をいたしますが、現役世代の保険料負担軽減、今回の見直しによって、まず初年度、定率引上げを行った段階での現役世代の保険料軽減額、また、三段階引き上げた場合の現役世代の保険料軽減額、それぞれお示しいただきたいと思います。

福岡国務大臣 御指摘の、令和七年八月から令和九年八月にかけて三段階で実施することを考えておりまして、令和七年度の保険料負担については、引き上げない場合に比べて約六百億円軽減され、加入者お一人当たりでは年額百円から八百円の軽減となってございます。

 また、高額療養費制度の見直しが終了した時点の最終的な保険料負担につきましては、引き上げない場合に比べて約三千七百億円軽減され、加入者お一人当たりでは年額一千百円から五千円の軽減となってございます。

中島委員 今お答えいただいたように、現役世代の、今回の見直しによって、先ほどの切実な切実な、目の前の患者さんが、受療行動に影響が出かねない。その政策効果が、今福岡大臣からお答えいただいた、令和七年、初年度ですね、来年の二百億、これによって、年率、七百から八百、これは月にしたら七十円から八十円ですよね。それで、三段階目に行った後も、二百五十円、あくまでも平均ですが。これは先ほど言った、決定プロセスが完全に間違っている。そして、来年度の、加藤大臣がおっしゃったように、政策効果は、一人当たり、平均して、月の保険料軽減は七十円から八十円ですよ。

 これは、改めてですが、受益と負担のバランスが全く合っていないですよ。片や、がん、難病を抱えて受診をやめてしまう、治療をやめてしまう問題と、もちろん我々も、現役世代の保険料負担軽減、これは大事な観点だと思っています。でも、ここじゃないですよ。明らかにここではないですよ。後ほど加藤大臣にもまたお尋ねしたいと思いますが、やはりこれは受益と負担のバランスが余りにも合っていない。

 総理、大丈夫ですか、そう思いませんか。来年度二百億、我々は修正を出しますが、それをしなかった場合に、今の切実な声の方々に与える影響と、来年度、平均して一人当たり七十円から八十円の保険料軽減、これは受益と負担のバランスが明らかにおかしいと私は思いますが、総理、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 今回の引上げに当たって、そのセーフティーネット機能を維持するために、所得の低い方の伸びは極力抑える、また、多数回該当ということで、頻度が多く受診されている方の多数回該当というセキュリティーもしっかり残すというようなことを行っております。そういうことで、しっかり制度として維持をしていきたいと考えています。

中島委員 そうしたら、福岡大臣、お尋ねしますが、そうやってお答えしますけれども、そもそも、今般の改正、見直しの前提となる調査分析、社会環境の変化、疾病構造の変化、治療内容の変化、これに伴って、高額療養費制度を利用しながら長期にわたり療養する方々の家計に与える影響、受療行動に与える影響について調査分析を行っていますか。

福岡国務大臣 まず、審議会におきまして、前回見直しを行った約十年前からの平均賃金や家計全体の所得、金融資産の伸び、また、近年の高額薬剤の普及等による医療費、高額療養費の伸び、また、高額レセプトの上位を占める疾病の変化、また、高齢者に比較的多い疾患例を用いた、その場合の自己負担額や、外来特例に該当している患者さんの割合、また、過去同様の見直しを行った際の患者さんの受診行動、一人当たりの診療費の変化といったデータに基づいて御議論をいただいております。

中島委員 マクロの調査しかしていないんですよ、家計における支出の状況とか、これまでの高額レセプトとか。私が言っているのは、がんや難病を抱えながら高額療養費制度を使ってしている方々の家計調査ですから。

 これは厚労省に確認しましたが、だって、審議会の今後の見直しの方向性について、そういう調査をしなければいけませんねとされているわけですよね。まさにそのことを根拠に今回の見直しをしなければ本来いけないところ、その調査をしていないんですよ。していませんよね。

福岡国務大臣 まず、がんの患者さんとかの病状や生活への影響など、お一人お一人によって千差万別である中で、全ての方から御意見をお伺いするということは現実的になかなか困難だというふうに考えております。

中島委員 調査分析ですよ。私が改めてお教えしましょうか。

 十年前の見直し、そして、私が医者になってから三十年ですが、治療方針の変化、もうこれは明らかなんです。私が医者になった三十年前は、例えばがんの患者さん、食道がんとか肺がんの患者さんは、まず外科手術、そして補助療法的に化学療法とか、こういう状況が多かったと思います。そのタイミングで高額療養費制度を利用される方が多かった。

 今や、ゲノム医療、ゲノム解析ですね。術前に化学療法、そして手術する。その後、例えば乳腺とか子宮体がんとか、こういった方々に対して、エンドレスケモ、一生化学療法をしなきゃいけないという方も増えてきている。これは疾病構造の変化といわゆる治療方針の変化。こういった状況を鑑みて、さらには、物価高を始めそういった長期にわたってこの高額療養費制度を上限まで使っている方々のやはり生活実態調査、その根拠がなければ、今回の見直しは、全く、絵に描いた餅、机上の空論ですよ。

 総理、そう思われませんか。

福岡国務大臣 実務的にどのような形でその実態を捕捉するかという部分はあるかと思いますが、御指摘も踏まえて、どういう捕捉の仕方があるのか検討をしたいと思います。

中島委員 だったら凍結してくださいよ。だって、これは審議会、そもそも、昨年の骨太にもこの方針は入っていませんよね。私が調べたところ、厚労大臣、昨年八月の概算要求にもこれは入っていないんですよ。それが突如として十一月二十一日に審議会に出されて、そして、当事者のヒアリングも、メンバーにも加えず、拙速に決められた内容ですよ。それを、合意形成を今頃になって図って見直す。そんな軽々しい話なんですか、この問題。

 是非総理、総理の御決断ですから。我々は、二百億、修正しますので、これは我々にとっての最優先です、最優先ですから、総理、受け止めていただきたいと思います。総理、今度こそ御答弁をお願いいたします。

石破内閣総理大臣 この問題が極めて重大な問題であり、国民の関心も、なかんずく関係しておられる方々、先ほど御紹介いただいた若いお母さんの声、そういうものにきちんとお応えをするということは政治の責任だと思っております。

 そこに至るまでの過程は、政府におきまして、今厚労大臣がお答えいたしましたとおり、時間的な制約があることは承知の上で、きちんとしたプロセス、足らざるところがあれば踏んでまいります。

中島委員 それでは、お会いするのはいいですけれども、凍結も含めて今後検討するということでよろしいですか。

石破内閣総理大臣 いろいろな選択肢があると思います。要は、今大臣がお答えしましたように、制度としてこれが持続可能なものであるかどうか、つまり、高額療養費の伸びというものが物すごい伸びを示しておるということでございます。制度としての持続可能性をどうやって維持をするかということ。

 ですから、持続可能性さえ維持できればいいなぞということを申し上げるつもりはございません。そういうふうにして、高額療養費を必要とする方々がおられることと制度の持続可能性と両方とも満たすということの解を、私ども、時間的な制約の中で見出してまいります。

 凍結ということについて、私が今言及することはいたしません。

中島委員 先ほど言ったように、制度の持続性とか、私が先ほど御指摘した疾病構造の変化とか、社会環境の変化とか、治療方針の変化とか、もう本当に複雑になっているんです。

 私は、総理が言ったように、この高額療養費制度というのは、世界の中でも珍しい我が国のセーフティーネットだからこそ、このプロセスは、これは丁寧さに欠いたということはお認めになりますよね、総理。

 重徳和彦政調会長の先週火曜日の本会議での答弁では、この高額療養費制度の見直しは丁寧なプロセスを経て決められたと答弁されていましたから、今の、総理、これは明らかに丁寧なプロセスは欠いたとお認めになりますね。

福岡国務大臣 私どもとしては、医療の現場に精通した委員の方々による審議会によって決定をさせていただきましたが、国会の御指摘も踏まえて、そういった方々のお声を聞くべきだったというふうに思っています。

石破内閣総理大臣 当事者の方々、先ほど来御指摘の方々、今日お越しかと思いますが、そういう方々の御理解を得るということは必要なことでございます。これから先、そういうことが得られますように、限られた時間の中で最大限の努力をいたしてまいります。

中島委員 先週の本会議での総理の答弁と、そして先週金曜日の酒井議員との質疑、そして今日、だんだんトーンが変わってきた。事の重大さに総理御自身がようやく気がつかれてきたんだなと私は実感いたします。だって、先週の火曜日には、丁寧なプロセスを経て決められたと答えているんですよ。でも、そうではないということをもう今日の質疑の中で総理もお認めになっていることだと思います。

 そして、もう一点。資料の十枚目ですね。

 これは、第四期のがん対策基本計画の内容です。これをよく見てください。これは、がん対策基本法、改正がん対策基本法、私も関わらさせていただきましたが、このがん対策基本法の全体目標は、誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す。これは政府方針ですよ。そして、一番左の黄色が、がんとの共生ですね。がんになっても安心して生活し、尊厳を持って生きることのできる地域共生社会を実現することで、全てのがん患者及びその家族等の療養生活の向上を目指す。

 このがん対策基本計画、第四期の基本計画とも、今回の高額療養費制度の見直しは相反するものだと。これは完全に矛盾しているじゃないですか。総理、そう思われませんか。これは完全に矛盾していますからね。

福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、がん対策推進基本法に基づき、がん拠点病院の整備など、高度化、均てん化を重ねてきたところでございます。

 そして、今回の高額療養費制度の見直しにつきましては、がんの医薬品も含めた高額薬剤の普及が今後も見込まれる状況において、制度自体の持続可能性を高めるとともに、現役世代の方々を含めた国民の皆様方の保険料負担を軽減する観点から、また、その際に当たっても、低所得者の方々の経済的負担も考慮しながら見直しを行うこととしたものでございまして、このがん対策推進基本計画に反するとは考えておりません。

中島委員 いやいや、反するじゃないですか、これは明らかに。やっていることが支離滅裂ですよ。

 石破総理、私は、丁寧に今日質問をさせていただいた。それぐらい慎重かつ丁寧に議論しなきゃいけなかった。そのプロセスが、完全にボタンをかけ違えていた。

 そして、これは凍結して、改めて審議会で当事者の皆さんを入れて議論する、若しくは審議会でヒアリングをする。これをこのまま、二百億円はそのままに、中で何か、年収七百万円の方は六万円も上がっちゃったからちょっと下げようかとか、五百十万円の人もちょっと高過ぎるからちょっと下げようかとか、そういう内容のものじゃないですからね。そんなつけ焼き刃のやり方でこの高額療養費制度の見直しを推し進めてしまったら、今、山井さんも言いましたが、総理、楽しい日本どころじゃないですよ。楽しい日本どころか、苦しい日本、そして、より苦しんでいる人をより一層苦しめる石破政権、石破総理ということになりますよ。

 総理、その自覚を持っていただいて、改めて、丁寧なプロセスが必要だというならば、これは一旦、来年度の、我々も、言ったように、この見直し自体を全否定しているわけではないんです。だけれども、福岡大臣にも言いましたが、じゃ、なぜ昨年の大臣合意をしたときに丁寧に御説明をしなかったのか。要望書まで出されているわけですから。それを今になって、あと一週間、二週間ですよ、この予算。我々も事前協議しなきゃいけない。その間にどうやって患者さん方と合意形成を取るのか。

 私は、改めてですが、今日、丁寧に説明して、委員の皆さん、皆さんにも御理解していただいたと思いますけれども、これは誰が聞いたって、一旦立ち止まって、そして、来年、初年度の定率引上げは一旦凍結して、そして、丁寧に慎重に進めていくことが改めて必要だと思いますが、石破総理、もう一度御答弁いただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 医師として、また、長らく厚生労働に関わってこられました中島委員の御意見はよく承りました。

 要は、要はといいますか、そういう方々に御理解いただき、今ここに至るまで、この問題というのが広く国民の皆様方の御理解を得ているという認識を私自身持っておりませんので、凍結するかどうか、そのことについて断言はいたしません。厚生労働省として、関係の方々ときちんと意見交換をして、承るという努力を最大限にさせていただきまして、その上で、またこの場におきまして私どもの見解というものを提示をさせていただき、それは、多くの方々に御理解、御納得をいただけるものになるというふうに承知をいたしております。それに向けて、最大限の努力をいたします。

中島委員 本当にしつこいようで、今日、私、ほかにもいっぱい用意していたんですけれども、やはり、総理、今日の予算委員会以降、渡米されて、省庁審査になって、総理御自身の出席の予算委員会が来週末ぐらいになってしまう。だからこそ、もうその時期には、事前協議、修正、これは決まってからではもうしようがないんです。だから、今日しつこく、今日、当事者団体の皆さんも来られていましたから、質問をさせていただきました。

 是非、凍結も含めた検討を明確にお示しをしていただくことをお願い申し上げて、済みません、たくさん通告していたんですが、この件で終わってしまいました。またの機会に御質問をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、村上智信君。

村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。

 私、以前の職業は国家公務員、経済産業省において二十一年間働きまして、八年半の政治浪人を経まして、昨年の秋、初めての当選をさせていただきました。この予算委員会におきましては初めての質問になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、日本維新の会は、代表質問において、社会保険料を引き下げられないか、こういう話をさせていただきました。どうして社会保険料なのかといいますと、例えば三百五十万円の年収のある単身の方、その所得税は約七万円、それに対して社会保険料は五十万円もかかる。大変大きな負担になっております。そして、税金でしたら、この国会において議論をし、むやみやたらとは上げられませんけれども、しかし、社会保険料は、支出が増えればそれに応じて保険料率も上がるというふうな仕組みで、自動的に上がってしまう。こういうことで、なかなかチェックが働きにくいというふうなことになっております。ですから、意識をしてチェックをすることが必要と考えますので、この場所で質問をさせていただこうというふうに考えております。

 社会保険料のうち、まず最初は、医療保険について質問をさせていただきます。

 医療以外のどの産業でも、生産性を上げる、それが大事なんですけれども、私は、経済産業省で働いている間に、産業界、サービス産業あるいは製造業、そういうところの無駄なことを合理化して、そして、よりよい製品、よりよいサービスを提供する、こういうふうな取組を応援してきました。しかし、医療は、その収入が、公的なお金が入ってきたり社会保険料だったりして、なかなか、そのような生産性を上げるということがおろそかになってきたかなというふうに思います。

 生産性を上げる、このために端緒となりますのはデジタル化やIT化ということになります。これは製造業もサービス業も同じなんですけれども、これがやはり一つの端緒になります。じゃ、このIT化やデジタル化で医療がどのように変わるのか。

 例えば、多くの医療機関において重複する検査を受けなくて済むということが挙げられます。例えば私が骨を折って、Aという病院に行ってレントゲンを撮った、その後、何か都合があって別の病院で診てもらおうと思ったら、また同じ検査をする、こういうことがあると無駄ですね。そういうふうなことがないように、日本維新の会は、一国民一カルテと言われる体制を整えるべきだというふうに提案をしております。

 このことは代表質問でも質問させていただきましたが、その際の総理の答弁の中では、電子カルテ情報が共有、閲覧できるようにするための法律を整備する、こういうふうに前向きな回答をいただきました。

 今はカルテはどんどん電子化が進んでおりまして、電子化する、そうすると集約もしやすいと思います。そして、そういうふうに集約されたものをいろいろなお医者さん、医療機関が見に行けば無駄なことはなくなるというふうなことですけれども、しかし、そういう制度が整って、情報が集まるような制度ができても、実際にそこに情報を提供しなければ、そのような制度は効果を発揮しません。

 そこで、総理大臣にお聞きしたいんですけれども、電子カルテ情報を共有する仕組みができた際には、医療機関が情報を提供するように促進策を講じるべきだというふうに考えますけれども、お考えをお聞かせください。

福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、医療機関に対して電子カルテ情報を共有するサービスの利用を促し、効率的かつ良質な医療の提供につなげていかなければならないということは、おっしゃるとおりでございます。

 電子カルテ情報共有サービスを普及させていくために、病院に対しまして必要なシステム改修費用を補助するとともに、小さな医療機関でも導入しやすく、かつ、この共有サービスに対応した標準型電子カルテの開発を今進めているところでございます。

 医療機関の負担にも十分配慮しながら、電子カルテ情報を共有、閲覧できるような環境整備を進めてまいりたいと考えております。

村上(智)委員 前向きな御答弁ありがとうございます。

 このように、情報を集めることは非常に大切だと思いますが、最終的に社会保険料を下げるためには、集まっただけでは駄目で、それを実際に使わなければなりません。例えば、お医者さんのところに患者さんが来て、その患者さんの情報を、そのシステムを使わずに診察する、そのようなことがあれば結局意味がないわけです。社会保険料が下がらない。そういうことでは、集めるとともに、次の段階では、それを使ってもらうための促進策なり規制を考えなければなりません。そういうことも是非前向きに御検討いただきたいというふうに考えておりますけれども、この点はお願いにとどめまして、次の質問に移りたいというふうに思います。

 次の質問は、外国人に関係することです。

 医療保険に関係する外国人に関係することですけれども、外国人の方が日本に来て医療を受けるということがあります。これは医療ツーリズムというふうに言っているものもあります。これは、日本の医療が高度で、そして安心できる、サービスもいいということで、海外の患者さんが医療に関係するビザを取って、そして日本で治療を受ける、医療を受ける。この際には保険を使えません。医療に関係するビザを使った場合は保険は使わないんですけれども。ちなみに、この話は私が経済産業省で働いているときに推進をしまして、外貨を稼ぎたい、日本の医療サービスで外貨を稼ぎたい、そういうふうな思いでこのサービスを推進しました。

 しかし、海外の方が日本に来て、そして医療を受ける中で、保険を使う場合があります。保険を使う場合でも、それが正当な場合ももちろんあります。例えば、日本で働きたいと思う、就業ビザを取得する、そして日本に来て働いている、そのうちに、けがをするか病気をする、病院に行った、治療を受けたときに、条件が当てはまったので、そこで保険が払われました、これはいいんですけれども、しかし、実際、そうじゃないものもあるんですね。

 どういうふうなことかというと、海外の患者の方、日本に来て医療を受けたい、だけれども日本の保険制度を使って安く受けたい、こういうふうに思った方が、例えば留学ビザを取得して、そして日本に入ってきまして、勉強するかどうか分からないですけれども、そして三か月たったら国民健康保険の適用を受けられます。それを申し込んで保険の適用になった、そうすると、すぐに手術なり治療を受けて、そして用事が済んだら帰っていく、本国に帰る、こういうふうなことが行われております。

 このようなやり方というのは、日本の制度を不正に利用しているというふうに思えるわけなんです。このようなことが心配されるものですから、厚生労働大臣にお聞きしたいんですけれども、日本の公的な医療保険制度を不正に利用した外国人の患者に対するこれまでの取組について教えてください。

福岡国務大臣 委員が御説明いただきましたように、我が国の国民健康保険は、日本国内に住所を有する者に適用されます。外国人の方についても、適正な在留資格を有し、住所を有している場合には原則として適用対象となりますが、さっきおっしゃりましたように、在留資格が医療滞在目的等の場合においては国民健康保険の対象とはなりません。

 御指摘のように、入国目的を偽って在留資格を取得し日本の医療保険制度に加入することは、被保険者の支え合いで成り立っている医療保険制度の信頼を損なうものでございまして、医療保険における適正な資格管理が大変重要だと考えております。

 そのような観点から、外国人の方の被保険者については、平成三十年一月から、厚生労働省と法務省が連携し、在留資格の本来活動を行っていない活動があると判断される場合には、保険者である市町村から出入国在留管理局に通知する取組を実施しておりまして、引き続き適正な資格管理を行いたいと考えております。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 今、そういうふうに不適切な外国人の国民健康保険の使い方については対応しているという話をいただきました。今の御説明は、この通達だと思います。通達の名前は、在留外国人の国民健康保険適用の不適正事案に関する通知制度の運用についてというふうな通知を出されております。これが二〇一九年ですね。先ほど私が申し上げた、外国人が不正に日本の国民健康保険を使っているような話というのは、二〇一七年にはネットに上がっておりました、二〇一七年のホームページには出ておりました。多分、二〇一七年にこういうことが問題になって、それから対応を取られて、二〇一九年にはこの対策を取られたということだというふうに思います。

 国民健康保険、これを外国人が使った後には必ず基礎自治体の方にその連絡が行きますので、使った金額が多いとなれば、自治体の方でこれはおかしいと思って入国管理局の方に連絡をするということで、これはこれで大切なことだというふうに思うんですけれども、そのように通知が行くようなことがあったということは、多分、その情報が年間どれぐらい発生したかというのは調べられるというふうに思うんですね。そして、その件数など、どんな状況なのかを調べると、また対策も取れるというふうに思います。

 そこで、質問したいんですけれども、ちょうど二〇一九年にこの通知を出しまして、もう五年、六年とたっているものですから、十分いいタイミングだと思います。PDCAサイクルというふうな言葉がありますけれども、最初にプランを立てて、そして行動して、これが行動だと思いますけれども、そうしたら次はチェックですね、チェックして更に行動する。そういうふうなPDCAサイクルという観点でいえば、もうそろそろチェックをしてもいいタイミングかなと思います。

 そういうことで、また厚生労働大臣にお聞きしたいんですけれども、日本の公的な医療保険制度を不正に利用した外国人の患者の人数を把握するなど、まずは調査と分析に取り組むべきと考えますけれども、お考えをお聞かせください。

福岡国務大臣 先ほど申し上げましたように、在留資格の本来活動を行っていないことが疑われる場合には、当該市町村が外国人被保険者について就労であったり就学状況を聞き取るなどの取組を行っているというのが現状でございます。しっかりそこの精度を上げていきながら、その分析手法についても検討してまいりたいと思います。

村上(智)委員 対策を取られているということなんですけれども、是非こういうふうな、調べようと思えば調べられますので、自治体から入国管理局に届いている情報、この数をまず把握していただくべきかなというふうに思います。

 それを把握したら、まず数は大事だと思います。調べてみたら、年々、倍、倍、倍で例えば増えている、そういう不適正に利用していると思われる人が、そういうふうに非常に多い人数が、倍になっているというふうな状況でしたら、それはもしかしたらブローカーがいて、海外で暗躍をして、そして患者となる方を集めて日本に送り込んでいる、そうやってみんなで不適正に利用しようということを助長しているようなことも心配しなければならない。そうしたら、またそれに合わせた対策も必要になると思います。

 数も大事ですし、もう一つ大事なのは病名だと思います。どういうふうな病気で保険を受けたのか、これが大事だと思います。ネット情報によりますと、ある国は肝炎の患者が多い、肝炎の患者が日本に来て治療を受けている、そういうふうな話が出ていますし、がんの患者が受けているだとか、あるいはエイズという話も聞きます。そして、そういうふうに病名が分かれば、またその後、対策の取りようがあると思うんです。

 日本人が払った日本人のための社会保険制度ですから、そのようなものを不正に海外の方に使われては困るわけですから、是非そういう対策も考えていただきたいんです。

 病名が分かれば、例えば肝炎だというふうなことが分かれば、そういう方が多いんだと分かれば、国民保険の適用を受けたにしても、その病気の場合は、例えば一年間はその病気については保険を出さないとか、そういうふうなことも対策は考えられますので、是非、病名も含めてそういう調査をやっていただけたらなというふうに思います。

 引き続きまして、介護保険について質問をいたします。

 介護保険の現場が、給料が安くて労働条件が悪くて、そのために多くの方が離職をしている、こういうことはもうよく、重々承知のことだというふうに思います。

 介護支援専門員という方がいます。いわゆるケアマネジャーです。このケアマネジャーというのは、試験を受けて、そして、試験に通った後に研修を受けます、何十時間という研修。そして、その後、五年ごとに更新研修というのがあるんですね。これまた何十時間というふうに時間を拘束されます。その分だけ労働条件が厳しくなりますし、また、数万円という研修費も払わないといけない。その分、やはり、このケアマネジャー、労働環境が悪いというふうになっています。是非このような研修については短縮や廃止を考えてほしいんです。

 質問いたしますが、ケアマネジャーの研修は、長時間を要して、研修費用も負担するために、介護現場の人手不足を助長し、ケアマネジャーの労働条件を悪くしているので、この研修の短縮や廃止を考えていただけないでしょうか。厚生労働大臣にお伺いします。

福岡国務大臣 ケアマネジャーさんの更新研修については、定期的な研修の機会を通じて専門知識の向上を図るために法定されたものであり、利用者本位となるケアマネジメントの実現に一定の効果があるものと認識しています。

 ただ一方、委員が御指摘ありましたように、更新研修を含むケアマネジャーさんの法定研修については、受講者にとって経済的、時間的負担が大変大きく、その大幅な負担軽減に取り組んでいくことも併せて必要であると認識をしています。

 こうしたことから、厚生労働省としては、昨年十二月のケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会の中間整理も踏まえまして、全国統一的な実施が望ましい科目については国レベルで一元的に作成する方策であったり、また、オンラインでの受講の推進や分割受講ができる仕組みなど、まずは受講者の方々の負担を大幅に軽減するための具体的な方策について検討を進め、そうした中で更新研修の在り方についても必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

村上(智)委員 検討いただけるということで、前向きな答弁だとも思うんですけれども、この話は非常に重要ですし、私も多くの方からこの話を聞くものですから。この質問は、御承知のとおり、代表質問でほかの党からも質問が出ました。重ねた質問になりますけれども、しかし、厚生労働大臣に十分な認識を持っていただきたいものですから、私からも質問をさせていただきました。

 介護現場は非常に労働条件が悪くなっております。それを少しでもよくしなければ、そもそも介護という仕組み自体がもうストップしてしまう、破綻してしまうんじゃないかというふうに、そこまで心配しておりますので、是非前向きに、大胆に考えていただけたらと思います。

 こういう資格の中で更新に研修が必要というのは、数が少ないんじゃないかと思います。そう考えると、そもそも介護の研修、更新の部分についてはもう廃止でもいいんじゃないかというふうに私は考えておりますので、どうぞ、そういう抜本的なことを厚生労働大臣においても考えていただけたらと思います。

 引き続きまして、最後になりますけれども、雇用保険についてお伺いいたします。

 雇用保険、失業したときに失業保険を受給されますけれども、その失業保険の受給期間、これは、自己都合で辞めた場合は九十日から百五十日まで差があるんですね。どうして差があるかというと、保険料を納めた期間、これによって九十日なのか百五十日なのか、その差が出てきているんです。そういう制度になっているんですが、本来で考えましたら、そのように保険を納めた期間というよりは、どれぐらい再就職までに必要になるのか、その期間受給すれば済むはずだと思うんです、長くする必要はないと思うんです。

 特に、今は人手不足です。人手不足のために、一人でも多くの方に働いてもらわないといけない。それぐらい大変な人手不足になっております。そう考えますと、この受給期間を短縮するということが大事なのかなというふうに思うんです。それによって社会保険料も下げられます。そう考えたときに、私自身が実際に聞いた話ですけれども、採用が決まっているような失業者の方が、失業保険をもらえる期間は働きたくない、こういうふうに言っていたという話も聞きます。

 人手不足の状況に鑑みまして、失業保険の給付期間の短縮を考えるべきだと考えます。これは総理大臣にお聞きしたいんですけれども、よろしくお願いします。

石破内閣総理大臣 そういう考え方もあろうかと思っております。

 今は、方針演説でも申し上げましたように、人材希少社会ということになっておるわけで、そういう中にあって、失業給付というのは、生活の安定と再就職の促進のため、年齢や離職事由などによる再就職の困難度も考慮した給付日数といたしております。給付日数の満了前に就職なさった場合には支給残額の最大七〇%の一時金を支給するということで、早期の再就職、こういうことを促す仕組みといたしておるところでございます。

 日数の短縮につきましては、検討いたしました結果、基本手当の支給終了までに再就職している方の割合がおおむね六割程度という状況を踏まえまして、今の状況、期間を維持すべき、そういうことになっていると承知をいたしておるわけですが、今後も定期的に状況把握をして、慎重な検討というものを、御意見も踏まえまして行ってまいります。

村上(智)委員 御答弁ありがとうございます。

 確かに、早く再就職すればそれだけ多く給付される、もらえるという制度はあるんですけれども、しかし、実際、支給をされた方の話を聞くと、失業保険がもらえる間は働きたくない、こういうふうに言っている方がいるものですから、是非、今の人手不足、大変な状況なので、前向きに考えていただけたらなと思います。

 この問題については、自己都合の場合は九十日から百五十日という差があるんですけれども、他方で、会社都合の場合は九十日から三百三十日、非常に長いんですね。この三百三十日、そんなに要るのかな、仕事の仕方すら忘れてしまうんじゃないか、私はそれぐらい心配をするんですけれども。

 ちなみに、会社都合の場合と自己都合の場合、もう一つ違うのは給付制限期間です。自己都合の場合は、給付制限、二か月間は給付をしませんという期間があるんですけれども、それが終わった後に例えば九十日給付される。しかし、会社都合の場合はその給付制限がなくて、すぐに給付がされます。それは、会社都合なのですぐに給付したい、それはおっしゃるとおり、ごもっともなんですが、だからといって三百三十日は長過ぎると思います。

 例えば自己都合で辞めた場合、それを、九十日で仕事が見つかるからいいじゃないか、そういうふうに割り切ってしまうのであるならば、例えば会社都合であるならば、その九十日プラス給付制限をつけた六十日の百五十日、これでいいじゃないかと。こういうふうな決断をすれば、給付期間を短縮できる、社会保険料も安くできる、そしてさらには、社会保険料を下げて、人手不足にも貢献できるということで、いいことずくめじゃないかというふうに思います。

 今までの制度が三百三十日だったからいいじゃないかという問題じゃなくて、今は人手不足が非常に大変な状況になっております。それを踏まえてこの問題を捉えていただけたらというふうに思います。

 東京にいるとなかなか人手不足を実感しないかもしれませんけれども、もしかしたら総理の御地元、人手不足は余りないのかもしれませんが、しかし、私のところは田舎なものですから、人手不足がひどくて、大変な思いをしている事業者が多いものですから、是非このことについて前向きに検討いただくことをお願いしまして、私からの質問を終わりにさせていただきます。

 誠にありがとうございました。

安住委員長 これにて村上君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきます。

 まず、放送局、それから放送業界の在り方について質問をさせていただければと思っております。

 今世間の話題となっている一件については、週刊誌の報道、これがちょっと独り歩きしている側面もありますので、その一件に関してではなく、あくまで一般論として質問させていただきます。

 仮に放送局が、社会通念上、国民の理解を得られないような行為を行っていた場合、あるいは深刻なコンプライアンス違反があった場合、放送免許の取消しという処分はあり得るのでしょうか。

村上国務大臣 藤巻委員にお答え申し上げます。

 放送局の免許の取消し事由については、外資規制違反などが電波法において限定的に列挙されております。

 御指摘の深刻なコンプライアンス違反については、放送法、電波法とは関係ないものを意味されていると思いますが、免許取消し事由として規定されておらず、これにより免許を取り消すことはできないものと承知しております。

藤巻委員 今、多くの企業がフジテレビでコマーシャルを見合わせております。これもあくまで一般論としてお答えいただきたいんですけれども、広告収入が激減するなどして放送局の経営が危機的状況に陥った場合、この場合でも放送免許の取消しというのはあり得るのでしょうか。

村上国務大臣 地上放送を行う放送局の免許は、電波法において、放送の業務を維持するに足りる経理的な基礎を有していなければ与えられないものと規定されております。

 その上で、御指摘の、免許期間中の経理的な基礎を欠くことは、電波法上、免許の取消し事由としては規定されておらず、これにより免許を取り消すことはできないものと考えております。

 以上であります。

藤巻委員 それでは、過去、地上波テレビ放送において、放送免許の取消しあるいは再免許が与えられなかったということはあるのでしょうか。

村上国務大臣 お尋ねの地上波テレビ局について、免許を取り消し、及び再免許の付与を行わなかった事例はございません。

 以上であります。

藤巻委員 社会通念上、国民の理解を得られないような行為が行われていても、あるいは経営が危機的状況に陥っていても、放送免許の取消しはないと。実際、過去一度も放送免許の取消しや再免許が与えられなかった例はありません。

 NHKは公共放送なので少し立ち位置が違うと思うんですけれども、全国的に、地上波テレビ放送は、日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東、この五系列で事実上特権的に独占している状態でございます。俺たちは何があっても放送免許を取り消されることはない、地上波テレビ放送を独占し続けることができる、その慢心こそが放送業界の自浄作用を失わせているのではないでしょうか。

 地上波テレビ放送の五系列独占こそが、戦後日本が生み出した最大の利権構造の一つ、既得権益そのものなのではないでしょうか。

石破内閣総理大臣 今総務大臣からお答えをしたとおりでございますが、免許の有効期限は五年でございます。五年がたちました、免許の期間満了に伴い改めて募集をするわけでございますが、当然、その際は、新規事業者も含めまして申請を受け付ける、こういう仕組みになっておるのは御存じのとおりでございます。

 現在、大半の地域で複数の民放が視聴可能となっていること、私が子供の頃、我々山陰地方は一つしか映らなかったんですけれども、日本テレビ系列しか映りませんでしたのでジャイアンツ以外見たことがない、こういうことでありましたが、今は何でも見られるのでございますけれども、多元性、多様性、地域性は確保されておるわけでございます。

 中継局の共同利用を可能といたしまして設備コストの負担を軽減するなど、新規参入ができますような、そういうような法改正にも取り組んでまいりました。時代の変化に応じまして変革は必要だということでございまして、見直しに努めていきたいと思います。

 新規参入のニーズが実際にあるかどうか、私はよく存じませんけれども、新規参入する場合の障害、障壁というものを取り除く努力は今後もいたしてまいります。

藤巻委員 最近、私は「海に眠るダイヤモンド」というTBSのドラマを見たんですけれども、これは、六〇年代の長崎・端島、軍艦島の物語なんですけれども、そこに生きる人々を描いたドラマで、本当に最終回は声を上げて泣きました。是非総理にも見ていただきたいなと思うんですけれども。

 オールドメディアとやゆされるテレビなんですけれども、人の心を動かせるこれだけの作品を作ることができます。健全な環境の下、テレビ業界全体が自らを見詰め直して、生まれ変わって、今まで以上にすばらしいコンテンツを世に送り出してくれることを願っております。

 もう一つ、今回の一件では、社会的に大きな影響力を持つ週刊誌の誤報がありました。週刊誌に限らず、ネット上で影響力のある人物が発した誤情報が独り歩きをして、本人でも止められないほど拡散されることも間々あります。情報拡散社会において誤情報や誤報とどう向き合っていくのか、これは非常に難しいところではあると思うんですけれども、総理のお考えをお聞かせください。

石破内閣総理大臣 SNS上の偽情報、誤情報は、とにかくあっという間に広まると。気がつくと世の中が変わっておったりして、深刻な事態である、深刻な課題であると認識をいたしております。

 誤った情報を拡散しないように注意すること、あるいは、ネット上の情報には偽情報も誤情報も含まれるということを認識しなければならないということを多くの国民が知ることは必要だと思いますが、じゃ、そうしたら何とかなるのかといえば、そんなことはございません。

 引き続き幅広い世代のリテラシーの向上に取り組みますし、表現の自由には十分に配慮をしながらも、どのような情報を流通させることが違法なのか、違法という言い方をあえていたしますが、違法なのかということを明確化したガイドラインを策定をして、大規模プラットフォーム事業者に対してお示しするというようなことをやってまいりたいと思っております。

 ただ、委員御指摘のように、それは表現の自由に抵触するんじゃないの、そんなことを決めていいのというお話もありますが、この偽情報、誤情報、別にネット上に限りません、活字媒体もそうです、そういうものと表現の自由というものをどうやって整合させるかということについて、見識をお持ちの委員の御見解をまたお教えくだされば幸いでございます。

藤巻委員 ありがとうございます。是非、そういった対策は非常に大事だと思うので、しっかりと進めていっていただければと思っております。

 変わって、レジ袋の有料化、プラスチックごみの削減について質問をさせていただきます。

 二〇二〇年七月にレジ袋が有料にされて、四年半がたちました。私は三年前にもちょっと国会の方で質問させていただいたんですけれども、そろそろ、改めて、その政策効果、これを検証する時期かなというふうにも思っております。

 レジ袋有料化によって削減された廃棄レジ袋の量は約七・五万トンです。この七・五万トンの多くはリサイクルされるので、実質は一万トン弱でございます。日本全体でプラスチックごみは年間約八百万トン、つまり、レジ袋有料化によって削減できたレジ袋は全体の約〇・一%、リサイクル分を考慮しても一%とか、そんなものでございます。

 しかも、プラスチックごみの話は、地球規模、環境問題の話ですので、日本単体で考えても余り意味がありません。世界全体で考えなければならないところでございます。

 世界全体のプラごみの量は三・五億トン。特に多いのがアメリカの約七千三百万トン、それから中国の約六千五百万トンです。アメリカは、日本の九倍ほど、人口一人当たりでも日本の約三倍はプラスチックごみを排出しているということになります。

 アメリカがこれだけプラごみを出している中、日本の皆さんが毎日エコバッグを持ち歩いて頑張ってレジ袋を削減しても、地球環境的には全体の〇・〇〇三%、リサイクル分を考慮しても〇・〇三%も削減できていないということです。

 このレジ袋の有料化は本当にコストとリターンが見合った政策だと総理はお考えになっているのでしょうか。

浅尾国務大臣 私の方からレジ袋有料化の現状についてお答えをさせていただきます。

 レジ袋有料化により、例えばコンビニエンスストアではレジ袋の辞退率が二三%から七五%に大幅に増加し、日本全体の国内流通量も約四割減少している状況にあります。

 加えて、内閣府の調査でも示されているとおり、国民生活に身近なレジ袋を対象としたことで、レジ袋を含むプラスチックごみに対する国民の皆様の関心が大幅に高まり、マイボトルの持参など具体的な行動変容につながっており、こうした間接的な影響も含め、レジ袋有料化は一定の効果を上げているものと考えております。

 また、資源循環政策の推進に当たっては3Rの考え方に基づき取り組むことが重要であり、二〇二二年に施行したプラスチック資源循環促進法に基づき、全てのプラスチックを対象にライフサイクル全般であらゆる主体の資源循環の取組を進めております。

 こうしたことを踏まえまして、二〇二三年のプラスチックごみの排出量はレジ袋有料化以前の二〇一九年と比較して八%減量しているところであり、引き続き国内外において積極的な取組を進めてまいります。

藤巻委員 レジ袋で見ると確かに減ってはいるんですけれども、プラスチックごみ全体で見ると決して大きな効果があったとは言えないと思っております。関心を高めるというのはあると思うんですけれども、逆に関心が高まり過ぎちゃったんじゃないかとも言えるわけです。

 私の年老いた母も、地球環境のためにビニール袋を使うわけにはいかないといってエコバッグを肌身離さず持っているわけです。買物のときだけじゃなくて、食事に行くときも、散歩に行くときも、あるいは旅行に行くときも、大切な人の形見のようにエコバッグを持ち歩いています。この間は、寝るときに枕元に置いてあるのも見ました。

 私の母に限らず、たくさんの人がエコバッグを常に持ち歩いてレジ袋の削減のために日夜頑張っているわけです。ここまで果たして頑張ってもらう必要があるのかと思ってしまうわけですよね。

 先ほど言ったように、地球環境レベルで見ると、日本国内におけるレジ袋の削減は数字的にはほぼ何の影響も与えておりません。それよりも、プラスチック製品の削減など、企業側が及ぼす影響の方がはるかに多いわけです。

 何より、大量のプラスチックごみを排出し続けるアメリカと中国にその排出量を減らしてもらわなければ、地球規模のプラごみ問題はほとんど前に進みません。米中にプラごみを削減してもらう外交努力こそが大事なんじゃないでしょうか。レジ袋を有料化して削減しても地球環境的にはほぼ何の影響も及ぼさないという、そういった事実を国民にもっと事実としては知ってもらうべきなんじゃないでしょうか。これは総理、お考えをお聞かせください。

石破内閣総理大臣 レジ袋を辞退するというのは、それはそれなりの効果、精神的かつシンボリックなものかもしれませんが、結構あったんだろうなというふうには思いますし、御母堂のように肌身離さずという方もおられる。それはやがてこれから伝播していくんだろうと思います。

 御指摘にお答えするとすれば、プラスチック汚染に関する条約の策定交渉というものを今やっておるわけでございます。アメリカ、中国を始めとします大量消費国、排出国、多くの国が参加をする実効的かつ進歩的な条約になるべく、やっていきたいというふうに思っております。

 委員御指摘のようなことがあらばこそ、レジ袋についてもそれだけの意識を持っている日本が、国民の多くの理解を得て、世論の後押しの下で、この条約の策定に向けて、中国あるいはアメリカ、そういう国の努力を慫慂してまいりたいと考えております。

藤巻委員 おっしゃることは分かるんですけれども、私はやはり、コストとリターン、それを考えると、果たしてこのレジ袋の有料化、これは私は大きな疑問を感じているところでございます。改めて検証の方をどうぞよろしくお願いいたします。

 変わりまして、昨年闇バイトによる強盗事件が多発しました。国民の体感治安は確実に悪化しているところでございます。平和に暮らしている人の家に押し入って、縛って拷問して金庫の暗証番号を聞き出して、最後は殴り殺すような、そんなことは国家として絶対に許してはいけないと私は思っています。治安維持の根幹です。

 闇バイトに限った話ではなくて、テロを未然に防ぐ、そういった側面もあると思います。凶悪犯罪の次の犠牲者を出さないために、もう殺させないためにも、テロを起こさせないためにも、国家として、できることは、やるべきことは全てやるべきだというふうに考えております。それが政府の責務だと考えております。

 その意味から質問させていただきます。

 まず、仮装身分捜査についてお伺いいたします。

 警察庁は、先日、仮装身分捜査の実施要領をまとめました。仮装身分捜査とは、読んで字のごとく、身分を仮装して犯罪グループに潜り込み、強盗を未然に防ぐ、あるいは実行犯の逮捕につなげるというものでございますが、私は、早急に体制を整えて実行に移していくべきだというふうに考えております。確実に防げる犯罪があるはずです。むしろ、なぜ今までやってこなかったのでしょうか。お答えください。

坂井国務大臣 警察におきましては、これまでも、捜査員が身分を秘して犯罪の実行者に接触をするという捜査は、可能な範囲で実施をしてはきました。しかし、こうした捜査を実施するに当たって、犯人側からの求めに応じて、この仮装身分捜査は、架空の身分証を提示するなど、いわば、形式とはいえ、法令に触れる行為を伴う捜査であることから、どのような条件下でこれを認めるかについて慎重に検討を進めてきたところであります。

 そして、今回、闇バイトを利用した強盗等事件におきましては、専らインターネット上で実行役等の募集が行われている上、犯行の指示が匿名性の高い通信ツールにより行われている等の実態が見られております。

 このため、架空の身分証明書を用いた捜査を実施しなければ、犯人を検挙し、又は犯行を抑止することが困難であると認められるとともに、こうした捜査が第三者や国民生活に与える影響も小さいと考えられたことから、先般、警察庁より、実施に当たっての留意点等を全国の警察に示し、適正にこれを実施するよう指示したところと承知しております。

藤巻委員 仮装身分捜査の方はしっかりと進めていっていただければと思うんですけれども、今回の仮装身分捜査は、あくまで現行の法体系の中で、身分を仮装して、組織の末端である実行役の逮捕などを想定したものです。また、捜査の対象も、先ほどおっしゃったように、インターネットで実行役を募集する強盗などに限られており、限定的でございます。

 法改正は必要だと思うんですけれども、私は、いわゆる潜入捜査、警察官が犯罪組織の一員に成り済ましてその組織の奥まで潜入して、決定的な事実や証拠をつかんで犯罪組織を一網打尽にする捜査が必要だというふうに考えております。アメリカ始め、海外では多用されているところです。組織の中で信用を得るために警察官自身が違法行為に手を染めなくてはいけない可能性があるなど、問題があるのも事実ですが、何度も申し上げるように、凶悪犯罪から人々の平和な暮らしを守るために、テロを起こさせないために、国家としてやるべきことは全てやるという観点から、私は本格的な潜入捜査も必要かと考えます。

 例えば、オウム真理教の事件、これも潜入捜査が認められていれば防げたんじゃないでしょうか。総理、お考えをお聞かせください。

谷政府参考人 お答えいたします。

 潜入捜査についてのお答えでございます。

 もとより、警察庁としても、捜査手法については様々検討は進めているところでございますが、潜入捜査、一言でなかなか、様々なものがありますので、申し上げにくいところがございますが、先生おっしゃったとおり、様々な検討課題がございますので、一概にはなかなか申し上げにくいところですけれども、必要なものはしっかり検討はしていきたいと思っております。

石破内閣総理大臣 今事務方からお答えをいたしましたが、要は、オウム真理教だと、ああ、なるほどねという話になるんですが、じゃ、どのような犯罪の場合に潜入捜査をやらせますかと。これは、何でもいいという話にならないので、比較考量をしながら、かなり限定列挙しなきゃいかぬものなんだろうなというふうに思っております。

 あと、どれぐらいの期間、潜入させるか、あるいは、どこまでやらせるかということですね。これはテレビドラマとか映画の見過ぎなのかもしれませんが、その期間にかなり危険な目にも遭いますよね。そして、いや、おまえだけは信用できるぜみたいなことで、感情移入なぞしちゃいますと、いつの間にかその世界に行っちゃったりすることがないとは言えないわけでありまして。

 どのような犯罪に、そして、よほど精神力の強い、多分、これは法的には正当業務行為として整理をすることになるんだろうと思っておりますけれども、法的な整理をどうするかということも含めて、問題意識は共有をいたします。そういうような問題点について、また議論をさせていただきたいと思っております。

藤巻委員 是非、私は必要な捜査の一つだと思いますので、検討していただければと思っております。

 関連して、合意制度、いわゆる司法取引についてもお伺いいたします。

 司法取引とは、簡単に言うと、容疑者が犯罪に関する情報提供をしたとき、その見返りとして量刑の軽減や不起訴処分などの利益を与えることです。司法取引、これはアメリカでもよく多用されているわけでございますが、日本では、財政経済犯罪など、限定的に認められているところでございますが、その事例は少なく、司法取引はほとんど用いられていないというのが現状です。

 この司法取引、私は、凶悪犯罪捜査に関しても認めるべきと考えます。例えば、仮装身分捜査で逮捕した犯罪組織の構成員と司法取引をして、その組織の犯罪情報を引き出すことができれば、組織壊滅に追い込むことができる可能性は格段に上がります。巨悪を倒すために小悪党を見逃すとも言える手段でありますが、これも、やはり凶悪犯罪を防ぐためにやむを得ないことかというふうにも考えることができると思います。

 司法取引、凶悪犯罪捜査に関しても認めるべきではないでしょうか。これも総理のお考えをお聞かせいただければと思います。

鈴木国務大臣 藤巻先生御指摘の、いわゆる合意制度でありますけれども、これは今御指摘のように、組織的な犯罪等において、首謀者の関与状況等を含めた事案の解明に資する供述を得やすくするために導入されたものであります。

 平成二十八年の刑訴法改正の創設というのが、こうした合意の制度の導入、初めてということで、この判断としまして、対象犯罪、犯罪の性質や捜査、公判の実情等に照らして、この制度の対象とすべき必要性が高く、その利用に適していて、かつ被害者を始めとする国民の理解も得やすいということで、二類型ということでしております。

 おっしゃったように、平成三十年の法施行後ということで、現時点においてはこの運用状況を見守っていくという状況だと思いますが、合意制度の在り方、どのような犯罪にこれから適用していくべきなのか、引き続き、犯罪情勢等も注視しつつ検討してまいりたいと思っております。

藤巻委員 これも、やはり凶悪犯罪を防ぐために、テロを防ぐために必要な制度の一つだと考えておりますので、より充実した制度の構築をお願いできればというふうに考えております。

 時間が少しあれなので、少し質問を飛ばさせていただいて、最後に一つだけ質問させていただきます。

 ちょっと話は変わるんですけれども、先日、私、久しぶりに学生時代の友人と飲みに行って、大分盛り上がって、終電を逃してしまいました。深夜の一時ぐらいに解散して、タクシー代が高いなと思いながら家に帰ったんですけれども、前から思っていたんですけれども、金曜日と土曜日の夜だけでも、終電、一時間か二時間でも延長することはできないでしょうか。これは、多くの人にとって、金曜日と土曜日の夜が、楽しい土曜日の夜が長くなりますし、当然、飲食店もオーダーが増えて盛り上がります。

 ちょっと前に経産省がやっていたプレミアムフライデー、これも同じ発想だと思うんですけれども、金曜は十五時に仕事を終えて、金曜の夜を長く楽しもうというものですね。残念ながら、プレミアムフライデーは、皆さんの仕事の都合もあってうまくいかなかったんですけれども、金曜日の夜を早く始めるのが駄目だったのならば、終わりを延長するというのはありなんじゃないでしょうか。金曜日と土曜日の終電の延長、これは十分に町の活性化、経済の活性化につながるところだと思います。まさに、楽しい日本をつくることにつながるはずです。

 最終的には鉄道会社の判断だと思うんですけれども、総理、是非、金曜日と土曜日の終電の延長の旗振り役をやっていただけないでしょうか。

中野国務大臣 観光という観点からは、夜間観光の促進というのは確かに非常に重要でありまして、国としても夜間ならではの環境を生かした観光コンテンツの造成等の取組は、支援は行っております。

 他方で、終電の時刻につきましては、ちょっと委員からもお話がありましたとおり、地域や時期等によって利用者のニーズが異なる、あるいは夜間の保線、点検に必要な時間が必要だ等々、延長の可否も含めて、こうした実態を最もよく把握している鉄道事業者が設定をすることが適切ではないかというふうには考えております。

石破内閣総理大臣 保線の必要性というのはございます。レールが長くなったので、そのニーズが少し減ったことは確かなんですけれども、それも踏まえながら、私も、田町、渋谷、新宿、上野、終電がもうちょっと遅ければいいなと思ったことはよくございました。

安住委員長 総理、時間が来ていますので、端的に。

石破内閣総理大臣 ですので、気をつけながらやってまいりたいと思っております。御要望はよく承知をいたしました。

藤巻委員 ありがとうございます。

 これで私の質問を終わります。

安住委員長 これにて藤巻君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治でございます。

 まずは、若手世代と中高年世代の賃上げの格差につきまして、総理に御質問をさせていただきます。

 総理の先日の施政方針演説では、冒頭、我が国の生産年齢人口は、これからの二十年で一千五百万人弱、二割以上が減少すると見込まれると、人口減少に対する危機感が語られました。そして、今や我が国は人材希少社会に入っていますとも述べられまして、年齢や障害の有無にかかわらず希少な人材を大事にする社会づくり、すなわち、国民一人一人の幸福実現を可能にする、人中心の国づくりを進め、全ての人が幸せを実感できる、人を財産として尊重する人財尊重社会を築いていく必要があると表明をされていらっしゃいます。

 そこで、総理に質問をいたします。人手不足で新卒や若者の賃金が高水準で上がる中、取り残されたと感じている世代があります。それは、この三十年間、賃金が上がらない中で懸命に働き、子育てに奮闘してきた四十五歳以上の中高年世代です。

 賃上げの恩恵を受けているのは若手社員層であり、逆に中高年社員はスズメの涙程度しか賃金が上がっていない企業も多くあります。四十五歳といえば、就学児童を抱え、教育費などはまだまだ、生活費にもお金がかかる世代です。賃上げの配分がスズメの涙程度では、今の物価高では生活はとても楽ではない、そんな声が私の地元でも多く聞かれます。

 賃上げの原資が若手に多く配分され、そのしわ寄せを受ける四十五歳以上の中高年社員層に対する対策が必要と考えますが、石破総理の見解を伺います。

三原国務大臣 我が国は人材希少社会に入っておりまして、希少な人材、そして、働く人も、働くことができない人も、全ての人を大事にする人財尊重社会を築いていく必要があると思います。この人財尊重社会における経済政策にとって最重視すべきは、おっしゃるとおり賃上げだと思います。物価に負けない賃上げを起点として、就職氷河期世代を含む国民の皆様の所得と経済全体の生産性の向上を図ってまいりたいと思っています。

 就職氷河期世代への支援につきましては、令和元年から集中的に取り組んでおりますハローワークの専用の窓口における、就職から職場定着支援までの一貫とした支援です。そしてまた、非正規雇用労働者を正社員化した企業に対する助成、そしてリスキリングを通じた能力開発など、政府を挙げてのきめ細かい支援を実施してまいりました。来年度以降は、就職氷河期世代を含め幅広い中高年層を対象に効果的な支援を行うこととしております。

 引き続き、就職氷河期世代の方々の置かれた状況や多様なニーズに寄り添いながら、相談、リスキリングから就職、定着までの切れ目ない支援や社会参加の支援に取り組んでまいりたいと思います。

長友(慎)委員 今、三原大臣から答えていただきました。

 石破総理にもう一つ、更問いさせていただきます。

 今、人口減少社会の到来を背景として、人材獲得競争が熾烈になっていることは御承知のとおりでございます。大手企業を中心に新卒社員の初任給を三十万円にアップさせる、そういう動きが加速していますし、条件によっては、どこに転勤するのもオーケーだというときには四十万以上払う、初任給ですね、そういう企業も出てきているわけです。

 近年、こういう高水準にある賃上げも含めれば、若者にとっては歓迎すべき流れと言えますけれども、一方で、三原大臣からも就職氷河期世代という言葉が出てきましたけれども、悲劇の世代と言われるこの就職氷河期世代は、恩恵を何ら受けることもなく、二〇四〇年代から苦悩の老後を迎えます。現在、四十代後半、そして四十代前半のサラリーマンは、もうやっていられないというのが本音です。

 総理は施政方針演説の中で、楽しい日本という言葉を五回使われました。また、人材尊重を基軸として、楽しさを実感できる、バランスの取れた国づくりを目指します、こう述べられていらっしゃいます。

 果たして、初任給が三十万、そして四十万円と引き上げられる一方で、賃金格差を感じずにはいられないその上の世代の人たちは、日本をバランスの取れた国と思えるのでしょうか、楽しい日本と言えるのでしょうか。

 私の周りからも、もうやっていられない、新卒にごちそうしてもらうしかない、そういう本音が届いていますが、総理の耳にはそのような声は届いていないでしょうか。総理の御見解を伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 実態をよく把握をいたします。

 私が四十六年前に学校を出て銀行に入ったときに、初任給が八万七百円だったことはよく覚えているのですが、その頃は、入社して五年目ぐらいまではとにかく低い、やがて役付になると急に給料が上がるというふうに教わりました。

 だけれども、今は、委員御指摘のような、若い人にごちそうしてもらいたいみたいなことが事実だとするならば、実際に就職氷河期世代の方々は一番お金が要る方々ですので、ローンも払わなきゃいかぬ、お子さんの教育もしなきゃいかぬ、いろいろなことで一番お金が必要な世代に負担が寄っているとするならば、それをいかにして改善をするかということは、政府として問題意識を持ちながら適切に対応してまいりたいと存じます。

長友(慎)委員 総理からも、就職氷河期世代に、サポートについては、問題意識を持って取り組んでいただけるという御答弁をいただきました。

 お手元に配付している資料一がございますが、そちらを見ていただければと思います。

 就職氷河期世代、定義はもう言うまでもありませんが、政府としては、一九九三年から二〇〇四年の期間を就職氷河期と位置づけまして、二〇一八年時点で三十五歳から四十四歳だった一千六百八十九万人を中心層として、正規雇用を希望しながら非正規雇用で働く人が少なくとも五十万人、仕事も通学もしていない無業者が四十万人いると試算、こういう世代のことを言っているわけですが。

 ページをめくっていただきまして、二ページに書いてありますが、昨年の三月二十八日、我が党の参議院議員の伊藤孝恵議員が、令和六年度の政府予算三案に対する討論の部分で、冒頭、自身の就職活動で百社もの会社に落ちたということを述べたところ、議場に笑いが起こったことに端を発しまして、国会議員の就職氷河期に対する認識不足を問う声がSNSにあふれました。

 それを受けまして、我が党では、四月十五日から二十八日までアンケートを実施しまして、その結果、八日間で九百三十三人から回答があったというものになります。

 その次からのページは、そのアンケートの結果をまとめさせていただいているんですけれども。その中で最も多く寄せられたのが、就職氷河期により安定的な職に就くことができなかったことによる現在の生活及び将来への不安があるということが多く寄せられたわけですが、これまで政府が実施している就職氷河期世代支援プログラムについて、何と、八七・八%が利用していない、アンケートに答えた人の声ですけれども、又は聞いたことがないという声が届きました。

 お配りしている資料の三ページを御覧いただきたいと思いますが、なぜ政府の就職氷河期支援プログラムを利用しないのかと尋ねましたところ、一番多かった回答がニーズに合っていないという声でございました。この声が四七・七%あったわけでございます。

 この就職氷河期世代について、政府は、二〇二〇年度から三か年で就職氷河期世代支援プログラムを実施して、現在は第二ステージとして、二〇二三年度から二年間、対策期間を延長して取り組んでいますが、効果が出ているとは言い難い状況でございます。

 といいますのも、政府は二〇一九年度から三年間で就職氷河期世代の正社員の数を三十万人増やすという目標を掲げてきましたけれども、スタートして二年間で三万人の増加にとどまった。三年間ではとても三十万にはいかないということで、目標達成が難しくなって、それはコロナの影響もあったということは仕方ない部分もあるかと思いますが、また更に二年間延長しているという状況でございます。

 そのようなこのプログラムの、政府の施策が届いていない理由を分析しましたところ、ペルソナ分析がない等、ターゲットの解像度が低いことによる政策とのアンマッチが挙げられるのではないかと考えております。

 また、本来の就労支援とは、医療や福祉への接続を含む多様な課題の客観的な評価から、スモールビジネス等の起業を含めた就労定着に伴走することだというふうに考えます。

 就職氷河期世代が置かれている状況は様々でございまして、雇用形態に対するニーズは正社員には限らないわけです。例えば、同居家族の構成や、育児、介護の有無、また、自身が引きこもり、長期にわたる非正規雇用であるとか無業であるとか、また、結婚、出産を機に退職した方であるとか、在職中だけれどもなかなか転職活動が難しい、そういう方々の現況を勘案した選択肢をつくる対策が求められると考えております。

 そのような観点から、就職氷河期世代の実態調査と、政府が施策をしているものの検証が必要不可欠と考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。

三原国務大臣 就職氷河期世代は、今委員がおっしゃったように、不本意ながら非正規雇用で働いている方、また社会参加に向けて丁寧な支援を必要とされる方など、様々な課題に直面してきた方々が含まれていらっしゃいます。

 このため、その実態や支援ニーズを把握した上で、必要な人に支援を届けることが重要です。政府におきましても、これまでも様々な機会を通じ、就職氷河期の方々のニーズの把握に努めてきているところでございます。

 具体的には、地方自治体において支援に携わっておられる地方自治体の職員の方、またNPO等で支援に携わっておられる方、就職氷河期世代の就労や生活の問題に関する専門家の方などから今御意見を伺っているほか、就職氷河期世代の当事者の方の支援ニーズ等に関するアンケート調査、また個別のヒアリング等も実施しております。

 今後も、就職氷河期世代の方々がどのような支援を必要としているかについて実態をしっかり把握することに努めて、一人一人に寄り添った対策をしっかりやっていきたいと思います。

長友(慎)委員 三原大臣から答弁をいただきましたけれども、おっしゃるとおり、的確な支援をより加速させていただけないと、これは目標を達成できないと思うんですね。是非、政府は努力いただいて、実態把握、そして本当にニーズに合った的確な支援を施していただきたいんです。

 そもそも、雇用環境が厳しかった時期に就職活動を行って希望する就職ができなかった、不本意ながら非正規、不安定雇用や、そして不本意ながら無業状態にあるという要支援対象者は、先ほども述べましたけれども約百万人と見込まれているわけなんですけれども、政府がこれまで行ってきた施策において正社員の数を三十万人増やすという目標を掲げていましたけれども、実際はその目標が達成できていないという認識でおります。それは政府側もそうだと思うんですが。

 目標達成期間を今二年間延長して取り組んでいらっしゃいますけれども、現在何万人を正社員にすることができているのか把握していますか。最新の数字というものを、これは政府参考人でもよろしいですので、御回答をいただきたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 二〇一九年と二〇二三年を比較いたしまして、正規雇用の方は八万人増加、役員の方が十三万人増加ということで、合計二十一万人の方の処遇改善が図られていると考えてございます。なお、この間、不本意非正規労働者の方は九万人減少、非労働力人口は三十万人減少となってございます。

長友(慎)委員 五年の取組で二十一万人。当初は三年の目標で三十万人だったと思うんですね。いずれにしましても、まだまだ差があるわけなんです。まだ支援して正社員にしないといけないという方がもっといらっしゃるわけなんですよね。

 やはり、政府の施策の検証は私は必要だと思います。何がミスマッチだったのか、何が利いていないのか。でなければ、また引き続きミスマッチが解消されないで、税金の無駄遣いという部分も出てきてしまいます。どうしたら当初の目標の三十万人が正規の社員になるのかという検証を行うことを私は求めたいと思うのですが、総理、いかがですか、今までの大臣の答弁等を聞かれて。

石破内閣総理大臣 私も総理大臣になる前に全く同じ意識を持って担当の方にいろいろとレクを受けたんですが、それを就職氷河期の人に聞いてみると、そんな制度は知らないと言った人がやたらめったら多かったのにはかなりショックを受けたことがございます。

 政府として一生懸命真剣に取り組んでおりますが、もう一回実態をよく把握をした上で、どこにミスマッチがあるのか、特に、今、御党のパンフレットにも書いてありますが、男性、非正規というイメージでやっていますけれども、女性の非正規の方々というのがおられるということの把握をきちんとしたいと思っております。

 そして、親御さんと同居しておられる方々も、親御さんが相当の年になっておられますし、おうちもだんだんと老朽化しておりますので、時間的な余裕が余りないという切迫感の下で政府として対応いたしてまいります。

長友(慎)委員 総理、ありがとうございます。是非、ミスマッチをなくす取組を加速化していただきたいと思うんです。

 次の、ページをめくっていただいて、四ページを見ていただきたいと思います。

 私たちが就職氷河期世代に現在の課題、不安について調査をしたところ、一番多かった回答が、老後の備えが不十分だという回答になりました。

 正規雇用へのこだわりは、将来不安、そして老後の暮らしへの心配によるところが大きく、社会参画の形態に柔軟性を備えるには、年金制度の議論は不可欠だと考えます。

 所得が低い不安定就労や無業者の状態を余儀なくされた者は、老後に向けた貯蓄ができないばかりか、現役時代の所得格差がもらえる年金の多寡にも直結をしてまいります。非正規雇用の場合は厚生年金に加入できないことも多く、二〇一六年以前は一部を除きパートタイム労働者は社会保険の加入対象ですらありませんでした。その場合、自身で国民年金に加入する必要がありますが、保険料は所得に関係なく定額であり、令和六年度の場合は一か月当たり一万六千九百八十円を払うことになりますけれども、将来もらえる年金は老齢基礎年金のみになります。もちろん、未納の期間があれば基礎年金すら減額をされるわけです。

 現在、パートタイム労働者への社会保険適用が段階的に拡大されておりますけれども、今後はほかに主たる生計者のいない非正規雇用労働者の大半は厚生年金に入ることになりますが、既に中年期を迎え、老後の不安にさいなまれている就職氷河期世代が過去に遡って保険料を納付することで年金額を増やせる遡及納付、また最低保障年金制度など、新たなセーフティーネットを再考する時期に来ていると考えます。

 このような就職氷河期世代を中心とした中高年層における将来の年金不安への対応として、厚生年金の遡及納付と最低保障年金制度の構築が必要と考えますが、総理の見解を伺います。

福岡国務大臣 御指摘の厚生年金保険料の遡及納付につきましては、厚生年金加入前の期間の保険料に係る事業主負担分の扱い、また、中高年になった時点で保険料を納付できる資力のある方のみが利用できる制度となり得ることなどをどのように考えるかといった課題があると考えております。

 また、最低保障年金については、保険料納付実績と無関係に一定の年金を保障するとすれば多額の税財源が必要となること、また、これまで保険料を払ってきていただいた方々との関係をどのように考えるかといった課題があると承知しています。

 厚生労働省としては、これまでも、低年金の方も含めて、低所得者の年金受給者に対する経済的支援として年金生活者支援給付金の支給を行うとともに被用者保険の適用拡大に取り組んできたところでございますが、短時間労働者への被用者保険の更なる適用拡大を通じて将来の年金水準が確保されるよう、年金改正法の取りまとめに向け、今議論を行っているところでございます。

長友(慎)委員 福岡大臣、ありがとうございます。

 財源の話、また公平性、それぞれ課題はもちろんあるとは思いますが、そもそも就職氷河期世代はスタートから不公平な立場として今まで頑張ってきているわけですよね。そこでまた公平性ということを言われたら、じゃ、何が公平なんだと当事者は思います。私も就職氷河期世代の真っただ中の当事者でございますけれども、私たちの世代は、じゃ、何なんだとどうしても言わざるを得ない、そういうふうな声があるということを是非分かっていただきたいと思います。

 その世代がこれから高齢者になっていくわけだから、年金については当然心配になるわけです。総理が昨日の御答弁の中で、やるなら今しかないという言葉をおっしゃられたことがありましたが、この問題についても、今しかない、今やるべき課題だというふうに思っております。

 総理の施政方針演説で示された、全ての人が幸せを実感できる、人を財産として尊重する人財尊重社会に、就職氷河期世代にとっては人財尊重社会の一員だと是非思えるように、そして、楽しい日本であって、楽しさを実感できる日本にしていただきたい。総理にはそういうリーダーシップを強く求めたいと思います。

 ところで、石破総理、ソーシャルファームというものを御存じでしょうか。これは、自律的な経済活動を行いながら、就労に困難を抱える方が、必要なサポートを受けて、他の従業員と共に働いている社会的企業のことをいいます。

 このソーシャルファームは一九七〇年代にイタリアで誕生しました。海外においてはソーシャルファームと呼ばれる社会的企業が多数存在しておりまして、現在では、ドイツ、イギリス、フランスなどにも広がり、ヨーロッパ全体で約一万社あると言われております。また、韓国でも約三千社が存在をします。

 ここで言う就労困難者というのは、就労を希望しながら、様々な理由により就労することが困難であり、配慮すべき実情等に応じた支援が必要な方をいいます。

 具体的には、障害がある方、引きこもりだった方、障害がある子供を抱えている親なども含まれます。また、過去に前科があるとか、犯罪を犯してしまって社会復帰される方、そういう方も含まれていくわけですけれども。一つの職場が長続きせず、職歴が多かったり、引きこもっていた時期があり、また、履歴書に空白があることで採用面接がうまくいかなかったり、資格がないことでこれまで採用されなかった方など、まさに多様な方々がいらっしゃるわけです。

 東京都による東京ソーシャルファームは、このような就労に困難を抱える方を採用している企業を補助金等で支援する制度でございます。就労継続による正社員登用等が実現した場合は、企業に更なるインセンティブがあることで、就労後のトラッキングもできる仕組みになっています。

 履歴書や面接を入口とせず、まず共に働き、互いに持続可能か否かを判断していく採用形態は、履歴書の職歴の多さや資格の有無を気にしたり、採用面接に苦手意識を抱いたりする就職氷河期世代には非常に有効と考えます。

 このように、民間企業の就職氷河期世代の採用を促進するため、国が主導するソーシャルファームの全国展開が必要だと考えますが、総理の見解を伺います。

福岡国務大臣 委員もそうでいらっしゃいますが、私も就職氷河期世代の一員でございます。就職、大変苦労いたしました。

 同世代には、不本意ながら非正規雇用で働いている方、社会参加に向けて丁寧な支援を必要とする方など、様々な課題に直面している方が含まれていらっしゃいます。引き続き、相談、リスキリングから就職、定着までの切れ目ない支援に取り組んでまいりたいと思います。

 その中で、今の制度といたしましても生活困窮者自立支援法の就労訓練事業がございまして、認定事業所に対して税制上の措置や優先発注といった支援を行ってございます。

 御提案のあった東京ソーシャルファーム、私も概要等を読ませていただきました。具体的にどのような事例か等についてもしっかり精査をさせていただくとともに、そういった先進的な取組、実施状況、効果、財源などもしっかり検証しながら、参考にさせていただきたいと考えております。

長友(慎)委員 ありがとうございます。

 東京ソーシャルファームは、いろいろ事例がホームページに載っていますので、就労に困難を抱えた方を雇用されている経営者のインタビュー等、また、職場の雰囲気を是非見ていただきたいんですけれども。

 一番大事なポイントは、就労が困難な方がこのソーシャルファームで働くことによって、大事にされている、大切にされている、必要とされているという安心感を与えることで、メンタルが揺れる方であっても無理しないで休んでいいよと言ってあげられたりとか、職場の雰囲気が非常に自分にとっていつ行っても許される居心地のよさがあったりとか、また、急に休む人が出たときでもサポートできる人員体制が、しっかり補助、サポートの下にあって、常時そういう人員を確保しているから、安心して、事情があって遅刻することができる。それは、遅刻するというのは、子供が急に熱を出したとか、保育園や幼稚園に送っていけない、そういうことも含まれるわけなんですね。

 東京都がこういうことに取り組む企業に助成することによって、就労を継続することが困難な方に寄り添う職場環境づくりができて、実際に成果が出ておりますので、是非国としても参考にしていただきたい。

 一番いい話だなと思ったのが、今まで就労支援が必要で、なかなか定着することが難しかった方が、ここでペースをつかんでくると、自分が役に立っている、必要とされているという自信を取り戻して、会社に行くことが楽しくなる、そしてわくわくする、だから出勤時間がどんどん早くなって、九時に出勤すればいいのに八時に来るんだと。だから社長が、私が一番早く出勤、出社しないといけなくなる、そういうふうなうれしい反応というか、そういう感想も述べられていまして、雇用者が就労に困難を抱える方と楽しく仕事ができている、そういう印象を持たれると思います。

 是非これは、政府の皆様にも、様々な理由で就職に困難を抱える人が楽しいと思える社会、日本をつくってもらうためにも、この東京ソーシャルファームの取組を是非視察するなり、参考にしていただきたいと思います。

 それともう一つ、ハローワークで行っていただいています特定求職者雇用開発助成金の拡充と実施の期間延長によりまして、今後就労拡大が必要な観光、介護、農林水産、運輸、建設、教育等での、そういう分野での採用企業には特に社会保険料の免除や税制優遇等の支援を強化するとともに、スカウト機能も備えたマッチングの仕組みが求められていると私たちは考えています。

 具体的には、オンラインによる全国共通窓口での就労トレーニングや動画コンテンツによる情報提供、また、マッチングバンクの実装及びエリアごとのハローワークやサポステの機能を強化することで支援の多様性を担保すべきと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。

福岡国務大臣 厚生労働省といたしましては、雇用政策における就職氷河期世代の方々への支援として、ハローワークインターネットサービスでの訓練情報の提供であったり、また地域若者サポートステーションにおける就労に当たって困難を抱える若者等の職業的自立に向けた支援、またハローワークに設置した専門窓口での担当者制による就職支援など、オンラインで提供できる情報は提供しながら、オンラインによる対面面談も併用しながら、職業訓練のあっせんや個別企業とのマッチングなど多様な支援手段を用いながら、個々の方の状況に応じたきめ細やかな支援に取り組んでおりまして、ハローワークの職業紹介により、令和二年四月から令和六年十一月までに約五十三万人が正社員として就職をしていただいております。

 加えまして、社会参加に向けた支援を必要とする方については、市町村における相談窓口の設置や社会とのつながりを回復するための支援などの取組を進めているところでございます。

 来年度に向けても、既に一部の地域では取り組んでいただいておりますが、セミナー、就職面接会等各種イベントの共同開催、利用者向けの周知及び利用者の相互誘導といった取組について、ハローワークや地域若者サポートステーション、そして関係各機関と連携を図りながら、全国展開を図っていきたいと考えております。

長友(慎)委員 ハローワーク等でのマッチング、取り組んでいただいているということなんですけれども、配付資料一の五ページにもありますけれども、こんな声がアンケートには寄せられております。

 スキルがないことを前提に引きこもり、そして正社員みたいな募集ばかりで、実際には非正規でありつつ努力をして資格も持っているけれども、生かす場面にたどり着けなかったということが理解されない。そういう声があったりとか、就職氷河期で一番苦労していたのは地方の中流以下大学の女子学生です、就職氷河期問題はジェンダー問題でもあることが見過ごされている、七十代以降に顕著に増える高齢単身女性の貧困問題は氷河期女性の高齢化により更に大きな問題になる。そういう指摘もあるとおり、本気で正社員雇用を三十万人増やすということに取り組まないと、課題がますます重くのしかかってくると思うんですね。

 この流れで確認したいことがございます。資料の二、また別紙でつけております特定求職者雇用開発助成金のペラ一を見ていただきたいと思います。

 これは対象となる条件の一つに、雇入れの日の前日から起算して過去五年間に正規雇用労働者で雇用された期間を通算した期間が一年以下である方とあるのですけれども、これは過去に正規雇用労働者として雇用されていた者であって、婚姻、妊娠、出産又は育児を理由とした離職によりこの要件を満たす場合には助成対象と認められませんと書いてあります。

 このように条件をつけているのはなぜか、福岡厚生労働大臣に伺いたいと思います。

福岡国務大臣 就職氷河期に就職の機会を逃したことなどによって、十分なキャリア形成がなされずに、正規雇用労働者としての就職が困難な方を正規雇用労働者として雇い入れる事業主に対しては、特定求職者雇用開発助成金による助成を行ってきております。

 御指摘の婚姻や育児等に係る要件につきましては、もう既に正社員としてキャリアを築いた後に結婚や子育て等を理由に離職していらっしゃる方を雇い入れる際に利用されている事例がかなり多く見られたことから、非正規雇用で働いていた方の正規雇用化を進めるという本助成金の趣旨に沿ったものとするために、労政審、労働政策審議会に諮問した上で令和五年度から設けているものでございます。

 一方で、育児によって離職された方々が正社員としての再就職を希望される場合には、マザーズハローワークによるきめ細かな就職支援を行うとともに、非正規雇用労働者を正社員化した企業にはキャリアアップ助成金を支給するなどしておりまして、これらの支援も継続して取り組んでまいりたいと思います。

 いずれにしましても、その趣旨を踏まえた効果的な活用がなされるように、周知啓発を行ってまいりたいと考えています。

長友(慎)委員 過去に正規として就職したことがある人は対象としないということで、一年未満ですよね。一年未満、例えば十か月、十一か月しか正規で採用されていない人も対象外にするというのは、私は間違っているんじゃないかと思います。

 是非、婚姻とか妊娠、出産、また育児を理由として離職した方が、一年に満たない期間正規で働いただけで助成対象と認められないという条件は外すべきだと思います。でなければ、正社員を三十万人増やすという目標、まだ達成できていないわけですから、この小さい要件というか、実際これは私が、ハローワークで働いている、そして当事者でもある人から、この条件はおかしいんじゃないかという声を受けて質問をさせていただいておりますので、検討をしていただきたいなというふうに思います。

 質問を幾つか飛ばしまして、配付資料の七ページを見ていただきまして、質問をしたいと思います。

 国民民主党のアンケートで、両親に今後介護が必要になったときに今と同じように働けるか心配。また、両親が共に後期高齢者になり、自分が結婚もできず、子供がいないので、両親の介護と自分自身の老後に不安を感じますなどの声が寄せられました。

 非正規雇用では介護休暇が取りにくい職場が多く、時間給であれば介護のために労働時間を減らした分だけ収入も減るため、親の介護と本人の生活の両立が困難というケースが増えてまいります。

 就職氷河期世代の多くが今、後期高齢者となった親の介護に直面していることから、独身の不安定就業者が親の介護と自身の生活を両立できる仕組みの整備は喫緊の課題ではないかと考えます。

 八〇五〇問題や九〇六〇問題も含め、団塊世代と団塊ジュニア世代の介護に係る全国調査及び介護サービスの充実や低所得世帯に対する介護保険給付の充実等、国及び地方自治体による支援の強化は時代の要請だと思います。

 このように、ビジネスケアラー支援策を充実させることにより、切実な就職氷河期世代の親の介護の問題について対策が必要と考えますが、政府の見解を伺います。

福岡国務大臣 御指摘の、氷河期世代の方々が介護で離職することなく仕事を継続できる環境というのは大変重要でございます。

 昨年五月に公布いたしました改正育児・介護休業法におきまして、家族介護に直面した旨を申し出た労働者に対して、両立支援制度に関する情報を周知し制度の利用意向を確認することや、相談窓口の設置等の雇用環境整備などを事業主に義務づけることなど、取組を強化してございます。

 また、介護が必要な方が必要なサービスを受けられるようにすることも大変重要でございまして、介護保険事業計画では、地域の高齢者の家族などの状況も調査した上で、必要なサービスの提供体制の確保に努めるとともに、低所得の方に対しては保険料軽減等の措置を行っておりまして、特に保険料軽減については令和六年から更に強化してございます。

 こうした総合的な取組をしっかり進めてまいりたいと存じます。

長友(慎)委員 ありがとうございます。

 最後の質問になりますが、これまで就職氷河期世代の抱えるせっぱ詰まった課題について質疑させていただきました。就職氷河期世代である私の周りでも、大学を卒業しても思うように就職先が見つからず、今や死語になったであろう就職浪人の末、やむなく非正規雇用の道を歩んだ人もたくさんいらっしゃいます。

 親ガチャならぬ世代ガチャという言葉を使う世代もあります。総理が一番嫌いな親ガチャという言葉でございますが、就職氷河期世代は世代ガチャだというふうに思っています。

 そんな就職氷河期世代を救済する覚悟について、最後、総理に一言いただいて、終わりたいと思います。

安住委員長 これは申し訳ないけれども、時間がもう過ぎていますから、質疑じゃなくて、意見をまとめて終わってください。

長友(慎)委員 はい。

 親ガチャという言葉と同じように、世代ガチャということを解消していただくことをお願いいたしまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて長友君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 四国比例ブロック選出の衆議院議員でありますが、本日は、予算委員会での初めての質問になります。機会をいただきまして、ありがとうございます。

 貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 私は、議員になる前は中学校の教員を二十四年間やってまいりました。本日は、国の未来をつくる教育について質問をさせていただきます。

 今、大谷翔平選手が、アメリカの地、世界最高峰のメジャーリーグで前人未到のすさまじい活躍をしております。有名な話でありますが、大谷選手は高校時代、花巻東高校野球部の佐々木洋監督の下、何歳までにこの夢、目標を達成したいという人生設計シートを作り、その目標達成に向けて具体的にどのように行動を取っていくかをマンダラートというシートに自分で考えて書き込み、着実に努力を積み重ねてきました。

 花巻東高校の特筆すべきところは、これが大谷翔平選手だけではなく、例えば、現在、同じくメジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスで活躍する菊池雄星選手は、大谷選手の三学年上の先輩でありますが、彼も、同じ方法で自身を成長させながら、高校時代に立てた夢を実現していっているところです。

 私も、レベルは全く違いますが、教員時代に野球部の監督をしておりましたが、このことを指導者である佐々木監督の側から見たときに、教え子が、自分が教えたときに立てた目標を、それに向かって日々精進しながら一つ一つかなえていっている、それもすさまじいレベルで。教え子に対して、将来にわたって主体的に自分の人生を切り開いていけるように、自分を成長させていくすべを授けていったというのは、まさに教育の理想であるというか、非常に重要な部分の教育結果であります。

 ここでは大きな成果を出している二人を紹介しましたが、何もそれはこのような大きな活躍をしている生徒だけではなくて、私も教員時代に、子供たちが目標ややりたいことができて、自分の中のやる気のスイッチ、主体性のスイッチが入ったときに、周りの者や本人自身がびっくりするような成長を見せるといった経験を何度もしてきました。

 このことは、私たち大人にだって同じことが言えると思いますし、当たり前といえばごく当たり前のことではありますが、いま一度、この国の全ての子供たちの可能性を伸ばしていくという点からも、教育者や保護者や周りの大人たちが再確認しておく必要があると思います。

 そこで、日本の教育方針としても、現学習指導要領の中で、主体的、対話的、深い学びとして、この主体性の育成に力を入れて取り組んできたと思いますが、これまで取り組んできてどうだったのか、総理にお伺いいたします。

あべ国務大臣 教育現場で本当に過ごしていらっしゃいました山崎委員にお答えをさせていただきます。

 文部科学省といたしましても、この主体的、対話的な深い学びの視点から授業の改善を推進してきたところでございまして、また、取組の成果といたしまして、文部科学省の調査では、約八割の小学生、中学生が、授業で課題の解決に向けて自分から取り組んできたと回答しているほか、主体的で対話的な深い学びを行った児童生徒ほど、委員がおっしゃるように、自分で学び方を工夫する傾向がございまして、さらに、その学習内容が非常に定着しやすい傾向が見られているところでございます。

 学校教育の中で、学ぶ意義を十分に見出せなくて主体的に学びに向かえていない子供たちが多い現状もあるところでございますが、引き続き、子供一人一人の可能性が輝く、質の深い学びを実現できるよう、学習指導要領に向けた検討も進めてまいります。

山崎(正)委員 大谷選手も菊池選手も、自分の夢に向かって主体的に、周りの方との対話、関わりを通して学びを深めてきたと思いますが、私は、これからの教育の重要なキーワードは、この主体性とともに、それぞれの子供たちが個別に進みたい道を選択できる個別性と選択性が、不登校問題等も含めて現在の教育課題を解決し、日本の教育を大きく躍進させる重要なキーワードであると考えています。

 個別にやりたいこと、学びたいことを選択できることで主体性が強まり、学びは深まっていきます。大谷選手、菊池選手は野球を選択し、また、昨日ニュースで話題になっていましたが、将棋界で三年連続獲得賞金一位となった、現在七冠の藤井聡太さんにとっての選択は将棋であったわけです。

 これはスポーツや将棋に限った話ではなく、各界、自分の選択した分野で頑張っている方は、先ほどの答弁にもあったように、自分の能力を伸ばしやすく、自己肯定感も高まります。そして、そのことが苦手な分野の勉強を頑張るエネルギーにもなっていきます。

 そういった考えの延長線上で、現在、我々公明党と自民党、そして日本維新の会の三党で、無償化を含む多様で質の高い教育のあり方に関する検討チームを発足し、経済的な理由により子供たちの学びの選択が狭まっていくことがないように、子供たちが、私立高校であっても、自分が行きたかった場合に主体的に選択できるよう、教育の無償化についての議論を行っております。

 この点につきましては、公明党は結党六十周年を迎えましたが、未来を担う子供たちに教育の光をと、今でこそ教育費の負担軽減を語らない政党、政治家はいませんが、一九六三年に全学年への教科書無料配付の首相答弁を引き出し、一九六九年に全小中学校への教科書無料配付を実現、また、経済的理由で高等教育を諦めることがないよう、一九九〇年度には、希望するほぼ全ての人が奨学金を借りられるよう制度の拡充に取り組み、さらには、二〇一七年には、二〇〇六年から公明党が提唱してきました、返す必要のない給付型奨学金も実現しました。

 また、現在重点的に議論している高校無償化についても、東京都における高校無償化において、昨年、十二月五日の読売新聞の報道に、授業料の実質無償化は都議会公明党が求めていたとあるように、公明党が強力に進めてまいりました。当初、都議会公明党の提案を受けて知事サイドから提示された対象世帯の年収上限は三百五十万円でした。何度も小池知事に直談判し、交渉を重ねていく中で、最終的には、中間層を含む七百六十万円で決着、その後、公明党の主導により、所得制限が二〇二四年度から撤廃されました。

 私たち公明党は、教育の機会均等や少子化対策の観点からも、教育の無償化については進めていきたいと考えています。また、その中で重要なのは、子供たちの幸せのためには、単に無償化だけをすればいいのではなく、多様な子供たちが誰一人取り残されない質の高い教育の確保、これが車の両輪だと考えています。

 三党の実務者会議では、高校の無償化、給食の無償化、〇―二歳の保育の無償化、大学の無償化などが協議されますが、いずれも公明党が二〇二〇年に発表した子育て応援トータルプランにおいて、子育てにおける切れ目のない支援策として総理に提言した項目であり、政府のこども未来戦略加速化プランに盛り込まれていますので、しっかりと実現に向けて後押しをしてまいります。

 高校の無償化については、一月三十一日に、三党で教育関係者や識者からヒアリングを行いましたが、そこで出た現場からの切実な声に応え、先行している大阪や東京などの検証を行い、現場が混乱しないよう取り組まなければなりません。

 例えば、初年度は全員が無償化されたが、翌年度は財源がないから一定の所得以下だけを無償にしますなど、不安定な制度設計では駄目でありまして、それによって子供たちの大切な人生が左右されるようなことがあってはなりません。子供たちが安心して使え、人生設計ができる安定した制度にすべきであり、そのためには恒久財源の検討が必要であります。

 そこで、高校の無償化について、今後、より安定したよい制度をつくっていくためには、現在、大阪府、東京都で行っている先進事例の効果や課題等について、大阪府、東京都の協力の下、国としてしっかり成果や課題等について捉えていくことが重要であると考えますが、総理の認識をお伺いいたします。

あべ国務大臣 先進事例の成果、課題について捉えておくことがまさに重要だと私どもも思っておりまして、誰も取り残さない質の高い教育の上で、今、高校段階の教育費の負担軽減を考えるに当たりましては、取組を開始した大阪府また東京都の先行事例の成果、課題を踏まえることが重要でございます。例えば、大阪の仕組みは、いわゆるキャップ制と言われているところでございまして、具体的には、学校の授業料の支援金額を上回る場合に差額分を学校が負担する必要があるものと承知しております。

 その上で、高校の授業料無償化に関しましては、一般論で申し上げれば、教育基本法の規定の趣旨に鑑みまして、特に、私立高校の授業料を含む経費については合理性のない値上げは行われないようにするとともに、建学の精神に基づいて私学の自主性を損なわないようにする観点も留意する必要があるというふうに考えています。

 以上です。

山崎(正)委員 次に、現在、高校無償化について、大阪や東京でも対象となっているのは授業料の無償化です。所得制限を撤廃することにより、現在の所得制限の対象となっている高所得者層の生徒、家庭に対して授業料支援が拡充されます。

 そこで、我々公明党としましては、高校段階の就学支援については、その部分のみではなく、所得に対する教育費の負担が重い低所得者層の生徒に対して、例えば、私立高校へ進学した場合などは、授業料以外の経費、例えば教科書代や教材費、学用品や教科外活動費の負担が大きいとも言われておりますので、そういった授業料以外の経費の支援にも取り組むべきだと考えますが、文部科学大臣の見解をお伺いします。

あべ国務大臣 高校段階の就学支援に関しまして、これまで御党と相談と協議を重ねに重ねまして、所得制限を設けることで捻出した財源により低所得者世帯への支援を拡充するなど、安定財源を確保させていただきながら、その充実に共に取り組んでまいりました。

 文部科学省といたしましては、授業料の支援のほかに、教育費の家庭負担が重い低所得者世帯に対する支援を充実するために、授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金につきまして継続的に給付額を増額してきたところでございまして、高校段階の教育費の負担軽減につきましては、御党と取り組んできた低所得者世帯への支援にも配慮をさせていただきながら、希望する誰もが質の高い教育を受けられるよう、引き続き、御党の御意見をいただきながら、必要な支援に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山崎(正)委員 次に、私立高校までの完全無償化の導入を行っていくとした場合には、併せて、大きな影響が予想される公立高校への支援も検討しておく必要があると考えます。

 私立、公立のどちらに行っても授業料が無償となった場合には、今まで経済的理由で制限があり、行けなかった子が私立高校を選択する、そのパターンが増加することが予想され、逆に、公立を選択する子が増えるという逆の状況は、政策上は考えにくいわけです。

 私の地元高知県では、高校生の生徒数が約一万五千人で、私立に通っている生徒が約五千人、三分の一、三〇%で、公立が約一万人、三分の二であります。高知県が少し他県と違っているのは、私立に強力な進学校が多数あり、公立高校に合格できなかった生徒の受皿に私立がなるという側面が余り、少ないところでございます。

 もう一つは定員の問題で、他県では、そもそも公立の定員だけでは全ての高校生を受け入れる定員数がなく、私立があることで全員が高校進学できる受皿、パイが整っている状況であると思いますが、高知県の場合は、実は今、公立高校の定員充足率が七〇%を切っております。そう考えると、先ほど言ったように、私立に三〇%程度通っておりますので、合わせると一〇〇%ですので、そもそも公立高校には十分全ての高校生を受け入れる受皿があるのですけれども、公立高校は、先ほど言ったような定員の確保に苦しんでいる状況が見られます。

 実際には、地方における公立高校の存在は、総理が力を入れておられる地方創生にも大きな影響力があり、私のところにも、何とかして地域に高校を残してほしいという多くの皆さんからの強い訴えがあります。

 そこで、私立高校への完全無償化については、慎重な議論とともに、公立高校の魅力化の更なる推進を図っていくことが極めて重要であると思いますが、公立高校の魅力化の取組の現状について総理にお伺いしたいと思います。お願いします。

石破内閣総理大臣 ありがとうございました。

 公立高校の魅力化ということは、施設もそうですが、同時に教育の内容、高知県なら高知県、徳島県なら徳島県、愛媛県なら愛媛県、鳥取県なら鳥取県、県立高校が多いわけでございますが、そこの特色ある教育というものができる、そういうような教育の内容も魅力化の一つだと思っております。

 もう一つは、先ほど来答弁しております文科大臣と一緒に、私は、随分長く、農林水産高校を応援する議員連盟というものをやってまいりました。例外ももちろんございますが、農業高校、水産高校、林業高校、もちろん工業高校もございますし、農業、商業高校もあるのですが、そういう実業高校というのは公立に多いと承知をいたしております。そういうような高等学校、職業高校というものが、公立が多いわけですが、その魅力化というものを高めてまいりたいと思っておりまして、農業高校に行った子、水産高校に行った子、林業高校に行った子が、農業、漁業、林業、そういうものに本当に希望を持って定着できるような、そういうものも公教育の魅力化の大きな可能性のある部分だと思っております。

山崎(正)委員 総理、ありがとうございました。

 そういった分野の本当に連携も非常に重要であると思いますし、今、実は、かなりよい事例も出てきているというふうに思います。ただ、やはりどうしても校長先生の経営手腕に頼っているところもありまして、特に地方、郡部ほど校長先生の異動も早かったり三年スパンだったりしますので、そういった個人の手腕だけじゃなくて、やはり基礎自治体なんかと、いかにして高校とともに地域が活性化していくのか、もう一段の取組を是非強力に推し進めていただけたらというふうに思います。

 次に、今、全国の教育現場が教員不足で悲鳴を上げています。第二次ベビーブームにより全国で学校が新設されたときに大量に採用された教員が定年を迎えたこともあって、全国的に教員を多く採用していますが、志願者が少なく、教員の確保に苦戦しています。

 そのことは、教員が病休、産休、育休を取ったときに代わりに勤務してもらう臨時教員も同じ状況であり、教員が休んでも、臨時教員がいなくて来ないため、私の地元では、小学校においては、教頭先生がクラスの担任をするのは当たり前、最近では、ついに校長先生がやむを得ず緊急的に授業を受け持つといった状況や、代わりの先生がいないので、緊急的に一つの教室に六十人を超える子供を入れて、二クラス合同で授業を行うなどの状況も出てきています。職場に休職者が出ても補充されないというか、できないため、現状の教員でその仕事を補うしかなく、一人が二人役、三人役を担わざるを得ない状況になっています。

 文科省も様々な働き方改革の施策を行っていますが、職場を助けようと、予算を取って定数以上の加配教員を配置したくても、マンパワーの不足により行うことができないため、施策の効果が上がりにくい状況となっています。

 我々公明党も、例えば、子供たちのために、今まで小学校三十五人学級を段階的に拡充してまいりました。そして、今のこの大変な状況を救っていくために、やはり教員の定数改善も必要であると考えますが、今すぐに強力にそれをやり過ぎてしまいますと、更なる教員不足に陥る可能性もある。先ほどの臨時教員のように、加配配置をしても、改善したくても人がいないという負のスパイラルに陥っています。

 そんな中、教員という仕事を少しでも魅力あるものに、また、今現場で奮闘している教員の皆様のために処遇改善をということで、具体的には、教職調整額を現在の四%から一〇%まで段階的に引き上げていく、また、学級担任への手当の新設をしていくことなどが今国会で審議されていきます。それにより、教員になりたいという人を増やしていったり、現職教員の方に専門職としての誇りを持ってもらえるような処遇にしていくことは、人を増やしていくという点について大変重要であります。

 ただ、働き方改革につきましては、この現状では、今すぐできることとして、教師の仕事の三分類、教師にしかできない仕事、どちらでもいい仕事、やらなくてもいい仕事の徹底が重要だと考えますが、文部科学大臣の認識をお伺いします。

あべ国務大臣 委員のおっしゃるように、教育はまさに人なりでございまして、この学校教育の成否はまさに教師に懸かっているところなので、教職の魅力を向上させて、教師に優れた人材を確保することが重要だというふうに私どもは考えております。

 また、委員がおっしゃるように、教職調整額を段階的に一〇%ということとともに、教師の職務、勤務状況に応じた処遇、また学校担任の手当の加算などを図るところにしているところでございますが、教師の処遇改善を始め、教師を取り巻く環境整備のための所要の経費を計上するとともに、給特法を本国会に出させていただきます。

 またさらに、やはり委員がおっしゃるように、働き方改革については、学校、教師が担う業務に係る三分類に基づいて業務のいわゆる効率化が図られてきたところでございますが、教育委員会、学校における取組状況に差が見られるという課題が今あるところでございまして、文部科学省といたしましては、毎年度のフォローアップを実施するとともに、まさに委員がおっしゃる三分類の位置づけを、見直しを含めまして検討いたしまして、学校以外が担うべき業務を始め、地域や首長部局との連携により見直しをしっかりと進めてまいります。

山崎(正)委員 最後の質問です。

 今年は、大阪・関西万博が開かれる年です。大阪で万博といえば、昭和四十五年、一九七〇年、まだ私が生まれる前に開かれた万博がありました。

 その代表的なレガシーといえば、万博記念公園にある太陽の塔です。太陽の塔は、平成三十年から内部の一般公開を行っており、令和六年五月までに約百四十万人が訪れるなど、多くの方に親しまれています。実は、公明党は、大阪府議会議員団から大阪府に対し、二年以上前から、繰り返し、二〇二五年大阪・関西万博を迎えるに当たって、太陽の塔が国の重要文化財として指定されるよう国に働きかけることの申入れを行い、昨年十二月十九日にも要望を行いました。

 ちょうど五十年目の令和二年には国の登録有形文化財に登録されていますが、大阪府では、その後、公明党の働きかけを受けて、国の重要文化財への指定を目指した調査を行い、昨年十一月にその調査報告書が公表されました。調査報告書では、改めて太陽の塔の文化財としての価値が明らかにされました。

 そこで、私ども公明党としましては、かねてから働きかけてきたとおり、今回の大阪・関西万博開催中に、今回の万博のいわば源流である一九七〇年万博のシンボル、太陽の塔を、その高い文化的価値を踏まえ、重要文化財として指定すべきだと考えており、昨日、文化庁にも早期の指定を求める要望を行ってまいりました。

 太陽の塔の重要文化財への指定について、総理の前向きで力強い答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

石破内閣総理大臣 生まれておられなかったんですね。そういう時代になりました。

 太陽の塔というのは、私も実物を何度も見ましたが、あれができたときは、これは一体何だろうかという、芸術は爆発だと言ったのは岡本太郎さんだと思いますが、その作になるもので、非常に斬新だったという覚えがございます。

 今、公明党さんがこれを重文建造物として指定するようにという運動をしておられることは承知をいたしておるところでございます。

 これは、文化財保護法に基づきまして文化審議会での審議を経て、文科大臣が指定、登録を行うものでございますが、今の時点で、重要文化財は二千五百八十八件でございます。

 これはどういうものを指定するかと申し上げるのは、もう御案内のとおりですが、意匠的に優秀であり、技術的に優秀であり、歴史的に価値が高く、学術的に価値が高く、流派あるいは地方的に顕著なものというような要件がございます。

 これはかなり主観的なものもございますけれども、御指摘のように、今年、関西万博もございます。そこにおいて、あの大阪万博、一九七〇年、これから五十年たって、大阪万博のシンボルである太陽の塔、これを指定する意義というのは今委員からお教えいただきました。

 これは総理が決めたから決められるなぞというものではもちろんございませんが、もう一度そういうような意義というものをかみしめながら、関西万博も、大阪万博同様、皆様方のお力をいただいて、政府としても成功させたいと思っております。その一助になれば大変幸いでございますが、文化庁において、文科省において適切に判断をするものと承知をいたしております。

山崎(正)委員 総理、ありがとうございました。

 私も、ちょっと顔は老けておりますけれども、ちょうどぎりぎり生まれる前ぐらいでして。

 総理、最後になりましたけれども、お誕生日おめでとうございます。

 済みません、時間は一分残っておりますけれども、今日は、皆様方の温かい雰囲気の後押しもありまして、初めての質問を最後までできることができました。

 大変にありがとうございました。

安住委員長 これにて山崎君の質疑は終了いたしました。

 次に、八幡愛さん。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 初めての予算委員会ですが、本日は石破総理のお誕生日ということで、国民の声をプレゼントに代えてお届けしてまいりますので、しっかりと持って帰っていただきたいなと思っております。

 総理、防災庁を令和八年度中に設置すべく準備を加速し、世界一の防災大国にすると意気込まれております。

 私たちれいわ新選組は、当初から、いつ何が起きるか分からないこの災害大国日本において、防災省を設立し、災害の予防から被災者の生活再建まで国が責任を持って支援を行うと掲げているので、まずは総理の防災に対する姿勢やその方向性には理解はあるんですが、内閣府防災の令和七年度予算を見たところ、確かに、昨年度予算の七十三億円の二倍に当たる百四十六億円が計上されています。

 しかし、総理、これは世界一の防災大国として足りるとお考えですか、率直に。ちなみに、私は全然足りないと思います。お願いします。

石破内閣総理大臣 予算も人員も倍ということにいたしまして、今までこのようなことは例がございません。これで十分だなどと全く思っておりません。

 ただ、誰でもいいという話になりませんので。各省とも人が足りません、そういう中において、何とか、知見のある人、そしてまた、ここでずっと働こうという強い意思も必要でございます。そういうことで、令和七年度、倍ということにいたしました。これで十分だと思っているわけでは全くございません。

八幡委員 そうです。予算が二倍になったのはいいんですけれども、具体的な内容を見てみると、疑問が湧いてくるんです。

 私たち、防災を考えるときに、今一番向き合わなあかんことというのは、災害関連死だと思います。私は昨年の臨時国会で厚生労働大臣にも訴えたんですが、せっかく災害を乗り切って生き残ったのに、それ以外の要因で命を落としてしまうというのは、本当に駄目なことだと思うんです。

 その理由を聞くと、大半が、七十歳以上の高齢者が多くを占めるんだといつも政府とか関係者の方はおっしゃるんですけれども、年齢とか関係なく、一人の命も落としてはいけないというのは、私たち政治家は、絶対それを忘れてはいけないことだと思うんですね。だから、仕方ないと諦めるのではなくて、福祉の分野へももっと予算をつけて、災害関連死を予防すべきだと考えます。

 予算案の主要項目を見ると、災害関連死対策としての項目が明確には挙がっておらず、驚きました。

 そこで、総理にお願いです。防災予算案の百四十六億円に更にプラスして、災害時の福祉分野に予算をつけるべきではないでしょうか。すぐにでもやってください。お願いします。

坂井国務大臣 委員が大変福祉の分野に御関心があり、またそれを応援をしていただいているということで、本当にありがたく思います。

 我々も、内閣府防災も、福祉分野、今でも取り組んでおります。高齢者や障害者等の方々が災害時に滞在できる福祉避難所も設置をしておりますし、災害派遣福祉チーム、DWATと呼んでおりますが、避難所への派遣などについて、必要な費用は国庫が負担するなど、災害時の福祉的支援に現在取り組んでおりますし、今後、災害時における在宅の方、それから車中泊の方も含め、福祉的支援の充実を図っていこうということで、災害救助法も改正をしようと。救助活動の種類として福祉サービスの提供を法の中に加え、国庫負担の対象とすることなどについて今検討を行っているところでございまして、今国会に関連法案を提出いたしますので、是非、委員にも応援をいただきたいと思っております。

 そして、今回の予算案には、事前防災対策総合推進費という項目で予算立てしております。まさしく福祉の専門家の皆さんと、自治体であるとか、例えば消防、警察であるとか、そういったところが連携をしていく新たな事業や、また、そういった連携の仕方を開発していくのにも使える予算でございまして、こういったものを使いながら福祉分野をしっかり充実させていきたいと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。

福岡国務大臣 今防災大臣が答弁したことに加えまして、在宅等で避難している方々も含めて、安心して日常生活を営むことができるよう、孤立防止等のための見守り支援や日常生活上の相談を行った上で、必要に応じて専門の相談機関へつなぐなどの支援を厚生労働省としても行ってまいります。

八幡委員 私が通告レクをし過ぎたのかもしれないんですが、私の原稿で言いたかったことを代わりに言っていただいて、ありがとうございます。

 もう今すぐにでも、やはり、先ほどおっしゃいましたDWATだけではなく、訪問介護、避難所だけではなくて、訪問介護をせざるを得ない人たちのところにも派遣をしていただきたいですし、事前防災対策総合推進費、これも私的にはもっと増額していってもいいんじゃないかなと思っております。

 全体の予算を見たときに、個人的にちょっと看過できなかったのが、万博にまだ予算をつけていますよね、約二十七億円。ただでさえ大阪でチケットが余りまくっているんですよ。今日は何か総理のお誕生日のお祝いでミャクミャク君が来てくれたらしいんですけれども、何か少しでもこっちに予算を回せないのかなと思います。どちらが命を輝かせるのか、一緒に考えていきたいと思っております。

 続いて、防災の観点から考える上下水道の耐震化について。

 昨年の能登半島地震、耐震化できていなかった上下水道に甚大な被害が発生し、復旧に時間を要しました。それを受けて、当然、全国的に上下水道の耐震化が必要なんだということが承知されたんです。

 資料一、こちらです。これは総務省が水道施設の耐震化対策について自治体に行った調査なんですけれども、十分に取組が進んでいると回答したのはたった一%なんですよ。約六割の自治体で取組が不十分と回答しております。

 その理由は何か。資料二でございます。もうこれは明らかです。財源不足が一番多いという結果になっております。

 私の地元、東大阪市では、今年の十月から水道料金一九%の値上げが確定しております。何で値上げが必要なのかというと、物価高騰とか人材不足というのもあるんですが、まさに水道の老朽化における事故や災害対応のための値上げということでした。

 防災大国を名のるのなら、自治体任せではなく、国がしっかりお金を出してやるべきだと思うんですが、水道の耐震化、これは全国で実施した場合、費用の総額というのは幾らくらいになるのでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 費用の総額ということなんですけれども、上下水道につきまして、今後の耐震化及び老朽化対策に要する費用の総額につきましては、人口減少等を踏まえた施設のダウンサイジングや統廃合、分散型システムの活用等による施設規模の適正化の進捗の状況がどうなるか、あるいは、対策に用いる管路の種類や工法等の違いによって工事費が異なること等、それぞれの地域の事情に合わせた対策の実施により事業費の総額が変わるということもございまして、今、一概に申し上げることは困難でございます。

 いずれにしましても、上下水道、非常に重要なインフラでございますので、能登半島地震の被害、あるいは今回の埼玉県八潮市での道路陥没事故等を踏まえ、強靱で持続可能な上下水道システムの構築に向けた取組を着実に進めてまいります。

八幡委員 全体で幾らかかるかというのは計上していないけれども、私も自治体任せが過ぎているかなと思います。やはり水というのは生きるために絶対に必要なライフラインです。国民の命を守るためにも、迅速にやるべきだと思うので。

 改めて、総理にお伺いしたいです。水道の耐震化経費は、国が負担をして予算案に計上すべきではないのでしょうか。お願いします。

 総理、手を挙げてくれたから答えてくださいよ。

中野国務大臣 耐震化の財政負担についてということで、水道事業及び下水道の事業は地方公共団体が実施をする事業でありまして、料金収入等による独立採算を基本として実施をしているところでございます。

 しかし、国においても、上下水道施設の耐震化など、重要な対策については財政支援を行っているところであります。特に、能登半島地震等を踏まえまして、浄水場や下水処理場など上下水道システムの急所、すなわち、その施設が機能を失えばシステム全体が機能を失うような最重要の施設、あるいは避難所などの重要施設に接続する上下水道双方の管路の耐震化を積極的に進めてまいります。

 このため、令和六年度補正予算より、水道における支援対象自治体の追加や補助率のかさ上げを行うとともに、令和七年度の当初予算案におきましては、上下水道システムの急所に関する個別補助制度を創設といった支援の大幅な拡充を行ったところでございます。

 あわせて、上下水道の耐震化や管理を効率的に進めるための革新的技術の開発等を進めまして、強靱的で持続可能な上下水道システムの構築に向けた取組を進めてまいります。

石破内閣総理大臣 これはそれぞれの自治体が独自で運用しておりますので、基本的には、国がそれだけの支援をするということは想定をしておらないものでございますが、今、担当大臣がお答えいたしましたように、ここが失われるとシステム全体が壊れてしまう、そして、そのために相当の財政的な支援が必要であるという場合には、これは国としても相応の支援を行うということで現在取り組んでおるところでございます。

八幡委員 途中から話がそれていると思います。

 当然、足りていないところをやっていくというのは、もうそれは当たり前の大前提です。私が言っているのは、ある程度お金を持っていて自分らでできるやろうみたいな、例えば私の地元、東大阪なんかは一九%実際上がるんですよという話をしました。

 なので、今のこの経済状況を見ると、消費税は高いし、給料も上がらへん、物価高もある中で、ライフラインの水道料金も上がる。しかも、これは結局、国がやらないから、自治体に押しつけて市民が負担する、その分、値上げを当てにしているということなので、それがおかしいと言っているので、ちょっと話をすり替えられたなと思いました。

 次に行きます。地震大国日本における原発推進について。

 石破総理も我が国は世界有数の災害大国だと認識されておりますし、そして、そんな中で原発を推進していくのは私はあり得ないと思っておりますが、こういった話をしていると、いや、もう国の安全点検をやっているからとか安全基準がとおっしゃるので、これは一旦横に置いておきますね。

 今日は、防衛の観点からお伺いします。

 ずばり、防衛上最大の弱点になり得る原発を推進していく政府の方針、国を守るという点で、矛盾しておりませんか。実際、国際法が守られない事態も起きているのに、我が国の原発が狙われないと言い切れるんでしょうか。総理、お願いします。

中谷国務大臣 原発に対する弾道ミサイルの攻撃に際しましては、まず、我が国を全域に防衛しているイージス艦、これを展開をさせる。そして、拠点防護のための、全国各地に分散配備されているPAC3、これを状況に応じて機動的に移動、展開をします。そして、最近、質、量共にミサイル戦力が増強されることを踏まえまして、極超音速滑空弾の対処につきましては、GPIという日米共同の開発、また、イージス艦、PAC3といった迎撃能力の更なる向上に努めてまいります。

 そして、このようなミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手の領域において我が国が有効な反撃を加える能力、すなわち反撃能力を保有するということで、ミサイル攻撃そのものを抑止してまいります。

 防衛省・自衛隊は、いかなる事態におきましても、国民の生命、そして財産を守るべく、万全を期して対応させていただきます。

八幡委員 いろいろおっしゃっていただいたんですが、半分ぐらい何を言っているか分かりませんでしたが、まとめると、俺らは強いから大丈夫みたいな話ですかね。そんな都合よくいきますか。私が総理だったら、防災、防衛を考えても、原発は即廃炉です。国民の生命と安全を守るためと思うと、余りにも無防備過ぎると思います。まさにお花畑だと思いました。

 それで、もう時間がなくなりそうなので、最後に。

 総理、これから米国に行かれる予定があると思うので、一つだけ聞きたいんですけれども、石破総理は、総裁選で、日米地位協定の不平等を解消すると言及されていましたよね。さらに、グアムなどに自衛隊の基地を置くとおっしゃっていましたけれども、それはちゃんと首脳同士の会談の中で話題にされる予定なんですかね。トランプさんは理解してくれそうですか。総理、教えてください。

石破内閣総理大臣 これは、関税の問題、あるいは安全保障の問題、議題は山ほどあります。

 ただ、限られた時間の中でどのように優先順位をつけていくかということでございまして、今、報道等で明らかなように、メキシコにしてもカナダにしても中国にしても、関税というものが一番の議論になっておる。あるいは、ガザをどうするか、ウクライナをどうするか、そういう課題もございますので、優先順位をつけながら、限られた時間の中で成果を上げてまいりたいと思っております。

八幡委員 いや、是非、日米地位協定についても言ってほしいです。

 というのも、私は先日、総理がかつてお書きになった「国防」という本を読んできたんですよ。「アメリカから言われたからではなく、日本としてこう考えるという独自の案を持って、それをぶつけて交渉するのが、独立国のあり方、同盟国のあり方です。」とはっきりと書かれていたから。

 私はすごく期待しているので、是非、このときの信念が変わらないのであれば、トランプ大統領に対して同様のことを提案されるのかなと思いますし、同じように期待をしている国民はたくさんいらっしゃると思います。

 この私の期待も含めて、質問を終わりたいんですが、これを最大のプレゼントとして、是非、トランプさんにぶつけてきてください。期待しております。

 終わります。

安住委員長 これにて八幡さんの質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 高額療養費の負担上限額の引上げ方針について質問します。

 今日、自民党と公明党の幹事長会談で、負担を引き上げる方針に、問題点を検討することを確認したと報道されています。総理、御存じですね。石破総理、問題点を検討して、どうするんですか。現状維持とするんですか、それとも修正するんですか。

石破内閣総理大臣 自公でそのような一致が幹事長間で見られたということは承知をいたしております。多くの方々の御理解がいただけるように、そして、一番、高額療養費ということで、負担、今は少ないわけですが、それが引き上がるのではないかということで不安を感じておられる方々に御納得いただくにはどうすればいいかということで、我々、与党として問題意識を持ち、使命感、責任感を持って対応してまいるということでございます。あらゆる可能性は否定されません。

田村(貴)委員 全国がん患者団体連合会、全がん連の緊急オンライン調査では、僅か三日間で、がん患者や家族など三千六百二十三人から、やめてほしいなどと切実な声が寄せられています。また、がんの当事者が一月十二日に始めた署名は間もなく五万。全がん連など三団体が呼びかけた見直しを求めるネット署名は、一月二十九日の開始から一週間で間もなく七万五千人に達しようとしています。総理、反対の声が短時間でこれだけ上がっています。

 総理は先週の本委員会での答弁で、長期にわたって治療を要する方、負担能力が十分でない方に御納得いただけないなら、それは考えていかなければなりませんと答弁されました。総理が考えなければいけないのは、一旦白紙に戻すことではないですか。

石破内閣総理大臣 それだけが選択肢ではないでしょう。そういうようなお声を踏まえてどのように対応していくかということで、凍結とか白紙に戻すということだけが解決策だというふうに今の時点で認識をしておるわけではありません。

 しかしながら、何もやらないということを私は申し上げているわけではなくて、実際にそういうような問題に直面しておられる方々が納得していただくと同時に、このすばらしい制度というものがこれから先も続いていくためにはどうすればいいかということも併せて考えていきませんと、この後の行政というのは成り立たないと承知をいたしております。

田村(貴)委員 一部の小手先の修正では済まされないような事態になっているんですよ。

 福岡厚労大臣は、がん患者などの団体と直接話をさせてもらいたい、可能な限り合意形成が図られるよう努めていきたいと今日の会見で述べられましたね。患者団体から意見を聞くということは、当事者から話も聞かずして上限額引上げを決めたということなんですよ。問題点の検証、見直しをせざるを得ないというほどにこれはひどい方針であるんです。

 負担増の影響はどの程度になるんでしょうか。外来特例を除く高額療養費の年間受給者数と、そのうち年間四回以上受給している人数は何人になりますか。お答えください。

福岡国務大臣 直近の医療費等をベースに高額療養費の受給者数を推計いたしますと、外来特例のみが適用される場合を除く高額療養費の受給者の方は年間で約七百九十五万人で、医療保険全体の、全加入者のうち六・四%となっております。また、そのうち、年間四回以上受給しておられる方は約百五十五万人で、全加入者のうち一・二%となっております。

田村(貴)委員 驚くべき数字ですよ。

 資料一を御覧ください。全体で七百九十五万人、これだけの方が負担増となるわけです。国民十五人に一人の割合です。年間四回は必ず多数回該当になるので、少なくとも、多数回該当者は百五十五万人、国民八十人に一人が負担増となる。これだけ広範囲な影響を及ぼすのが今度の上限額の引上げです。

 がん患者の方がどのような治療をしているのか、一例を紹介したいと思います。進行性乳がん、ベージニオ、アリミデックス併用療法、これは、術後で実施する場合は二年、そして、再発後も年単位で長くお薬を飲み続ける治療法です。薬剤費だけで月に四十七万円を超えるんですね。

 資料二を御覧ください。高額療養費は収入によっても違いますので、この療養法を労働者全体、非正規、正規、民間給与平均の三分類で、年間の自己負担がどのようになるか試算してみました。

 年収二百二万円のところを見てください。例えば、イメージはこうです。最低賃金でフルタイムで働いている方だと、現在、五十七万二千四百円が六十三万六千三百円。六万三千九百円も負担増となります。実に、年収の三分の一が医療費負担に消えるわけです。

 治療中は副作用などで休まざるを得なくて減収する、こういう方に聞きました。一方、医療費以外でも、通院費、入院費、それから差額ベッド代、そのほかのお薬費用は更にかさんでまいります。外食などとてもできないと言われていました。

 総理は先日の答弁で、特に、低所得の方、長期にわたって治療を受けておられる方々の負担を減らすかということは、厚生労働省において、政府としてかなり綿密に考えたものと答弁されました。しかし、所得が低くて長期療養の患者さんの負担は、減るどころか、こんなに増えるじゃないですか。試算を見ても分かるように、二百二万円という所得の低い人だけではないんです。全労働者平均の四百六十万円の年収の方、正社員、五百三十万円の層も、決して高額所得者ではないんですよ。既に限界まで負担をしておられる方がたくさんなんですよ。

 がんに罹患したら収入は減ってしまう。これは、資料三にも書いています。三六%です。そして、個人事業主の方も、事業に影響が出たという方は七二%にも上っている。こういう調査もあっています。

 限界まで負担しておられる方、この負担上限額を引き上げるなんていうのは、もうとんでもない話です。総理、そう思いませんか。引上げではなくて、むしろ引下げこそが必要だと考えますが、総理、改めて、いかがですか。

福岡国務大臣 見直しに当たりましては、負担能力に応じて御負担いただくという観点から、平均的な所得を下回る方については自己負担上限額の引上げ率を抑制する、また、自己負担限度額を更に抑える多数回該当という仕組みは、所得に応じて見直しつつ、しっかりと堅持するなど、低所得者の方や長期にわたって療養を受けている方の経済的負担を考慮したものとしておりますが、昨今の国会の議論でもございますように、がん患者さんなど、当事者の声も真摯に受け止めながら、幅広い合意形成が図られるよう努めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 総理、答弁がなかったので、総理の答弁に照らしてもう一度質問しますね。

 総理、これまで答弁で、更に努力をいたしてまいりますと何回も述べておられます。その努力というのは、今たくさん言いました、患者さんは限界です、努力というのは、これ以上患者さんの負担を増やさないことではないですか。

石破内閣総理大臣 厚労大臣が答弁いたしておりますように、これからそういうような団体の方、患者の方々の御意見をお伺いした上で、そういう方々に御納得いただけるような、そういうような対応をこれから先考えていかなければなりません。

 今、そういう段階において、私が凍結とか撤回とか断定をすることはいたしません。まず、御意見をきちんと誠実に、真摯に聞くというところは厚生労働省として対応をさせていただきます。時間的な余裕がないことはよく承知をいたしております。

田村(貴)委員 今度の負担限度額の上限額の引上げ方針でいくと、非課税世帯含めて、全て増額となるんですよ。政府が幾ら説明をしても、そして、総理がいかに不安を払拭とか、そして納得していただくためにとか言っても、それは負担増であることには変わりないんですよ。幾ら説明しても、不安を拡大するしかないわけなんですよ。一旦白紙に戻すべきではありませんか。

 厚生労働省、厚労大臣に伺います。綿密に検討したというふうに言われていますけれども、今私が示したように、長期にわたって高額な治療をする方の一年間の負担増について、その影響について試算した資料を審議会に諮ったことはありますか、検討されましたか。

福岡国務大臣 御指摘の専門の審議会においては、代表的な疾患例を用いまして、その場合の自己負担額や、外来特例に該当している患者さんの割合であったり、また、過去同様の見直しを行った際に患者さんの受診動向に変化があったかどうか、一人当たりの診療費がどう変わったかなど、データ等に基づき複数回にわたる議論を行わせていただきました。

田村(貴)委員 これも驚きですよね。長期かつ継続して高額療養費を支払う、そういう医療費の負担の試算は審議会には諮っていないということです。個別の治療については試算をしていますけれども、一月の負担を示しただけ。様々問題があるわけですよ。まともな資料がない、検討ができない、こういう状況の中で、審議会のメンバーには、がん患者さん、そういう団体すら入っていない。上限額引上げについても、患者団体から直接、話すら聞いていない。本当にひどいですよ。

 総理、これは、上限額引上げ先にありきじゃないんですか。社会保障費の抑制先にありきじゃないですか。認められません。

 今回の見直しは、昨年十一月に唐突に審議会で議論が始まり、そして、長期にわたって治療を継続する患者負担の試算さえ行われずに成案となったわけであります。これで低所得の方の経済的負担に綿密に配慮した検討と言えるんでしょうか。見直しというのであれば、こういうことを抜きに、引上げありきで見直しは絶対にしてはならないというふうに考えます。

 三日の朝日新聞のウェブにこういう記事がありました。四十歳代で腺がんが見つかった女性のことです。

 薬一錠が二万三千円。長男と次男は小学生。命が終わるまで薬はエンドレス。こんな高額の支払いをずっと続けるのと思うと、正反対の考えが浮かんだ。治療をやめれば、子供にもっとお金が使える。自分は生きているべきではないのでは。やがて、睡眠薬を飲まないと眠れなくなった。入浴中、水中に永遠に顔を沈めてしまいたい衝動に駆られた。ストーブを見ると、灯油をかぶって死ぬ方法が浮かんだ。がんが分かってこの七年近く、ずっと経済的な不安や家計を圧迫する負い目を抱えながら治療を受けてきた。お金で苦しむ人、治療を諦める人を増やすような引上げはやめて、その思いに突き動かされている。記事はそう結んでいました。

 この方は、出会いが転機となって、今、アクティブに、仕事とそして活動をこなされておられます。

 がん患者さんは、がんになったら収入が減るんですよ。資産が減っていくわけですよ。そして、仕事は思うようにならない。心身共にやはり衰弱していく、気持ちが弱っていく、これが、がん患者さんの生活の質や生存期間を悪化させる。経済毒性というのが今注目されています。総理も聞かれたかも分かりません。今、がん研究の中で、経済毒性に注目が集まっています。上限額の引上げを知って、この瞬間も、今、瞬間も、がん患者さんは不安にさいなまれ、そして治療と健康に悪影響を与えている。この経済毒性のことも考えるならば、上限額の引上げ、これは絶対あってはならないと考えます。

 見直しではなくて、最低でも引上げはやめる、総理、その決断に至りませんか。最後、いかがですか。

安住委員長 最後、では、答弁、手短に。

石破内閣総理大臣 あらゆる可能性はございます。しかしながら、今、厚労省として、遅きに失しないように、失したと言われないように、御意見を聞いて、その上で適切な判断をいたします。そこにおいては、やはりこの予算委員会での議論というのがございます。

 私たちとして、あわせて、この制度というものがどうすれば継続するかということも考えていかなければなりません。そのために、ではどのような策があるのかということも併せて、つまり、引上げというもの、もちろんそれは低所得の方にも十分に配意をいたしてまいります、しかしながら、そういうものも駄目、一切の引上げを認めないということをおっしゃるとするならば、どうやってこの制度を続けていくかということも併せて議論をしていかねばなりません。

安住委員長 手短に。

石破内閣総理大臣 そういう方々に本当に御納得いただけるようなこと、私どもは、誰が負担をするかということは別として、きちんと提示をしながら議論をいたして、結論を出したいと思っております。

安住委員長 終わってください。

田村(貴)委員 その策というのは、引上げは絶対やめること、そして、その財源はほかにも……

安住委員長 終わってください。

田村(貴)委員 いっぱいあるということを申し上げて、今日の質問を終わります。

安住委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明五日午前九時から委員会を開会し、一般的質疑、特に省庁別審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十九分散会


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