第6号 令和7年2月6日(木曜日)
令和七年二月六日(木曜日)午前九時五分開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
国光あやの君 河野 太郎君
後藤 茂之君 小林 茂樹君
高木 啓君 田所 嘉徳君
田中 和徳君 谷 公一君
津島 淳君 土屋 品子君
寺田 稔君 長坂 康正君
中曽根康隆君 西銘恒三郎君
平沢 勝栄君 深澤 陽一君
古屋 圭司君 三谷 英弘君
山田 賢司君 今井 雅人君
大西 健介君 岡本 充功君
神谷 裕君 川内 博史君
黒岩 宇洋君 神津たけし君
小山 千帆君 近藤 和也君
酒井なつみ君 階 猛君
武正 公一君 津村 啓介君
平岡 秀夫君 藤岡たかお君
本庄 知史君 米山 隆一君
早稲田ゆき君 池下 卓君
徳安 淳子君 西田 薫君
萩原 佳君 岡野 純子君
長友 慎治君 橋本 幹彦君
赤羽 一嘉君 大森江里子君
河西 宏一君 浜地 雅一君
平林 晃君 上村 英明君
櫛渕 万里君 山川 仁君
田村 貴昭君 堀川あきこ君
緒方林太郎君
…………………………………
法務大臣 鈴木 馨祐君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 坂井 学君
内閣府副大臣 辻 清人君
デジタル副大臣
兼内閣府副大臣 穂坂 泰君
総務副大臣 冨樫 博之君
財務副大臣 斎藤 洋明君
農林水産副大臣 笹川 博義君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 関口 祐司君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 飯島 秀俊君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 井上 学君
政府参考人
(内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室内閣審議官) 藤吉 尚之君
政府参考人
(内閣府健康・医療戦略推進事務局次長) 仙波 秀志君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 森元 良幸君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 江口 有隣君
政府参考人
(警察庁警備局長) 筒井 洋樹君
政府参考人
(警察庁サイバー警察局長) 逢阪 貴士君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 冨安泰一郎君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 村上 敬亮君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 阿部 知明君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(法務省刑事局長) 森本 宏君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君
政府参考人
(公安調査庁次長) 霜田 仁君
政府参考人
(外務省大臣官房長) 大鶴 哲也君
政府参考人
(外務省大臣官房国際文化交流審議官) 岡野結城子君
政府参考人
(外務省大臣官房地球規模課題審議官) 中村 亮君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 美都子君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 山本 文土君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君
政府参考人
(外務省国際協力局長) 石月 英雄君
政府参考人
(外務省領事局長) 岩本 桂一君
政府参考人
(財務省主計局長) 宇波 弘貴君
政府参考人
(財務省主計局主計官) 末光 大毅君
政府参考人
(財務省理財局長) 窪田 修君
政府参考人
(財務省国際局長) 土谷 晃浩君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 高谷 浩樹君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 望月 禎君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 伊藤 学司君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 森光 敬子君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 岸本 武史君
政府参考人
(厚生労働省雇用環境・均等局長) 田中佐智子君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 松尾 浩則君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官) 茂木 正君
政府参考人
(防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 家護谷昌徳君
予算委員会専門員 中村 実君
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委員の異動
二月六日
辞任 補欠選任
高木 啓君 長坂 康正君
深澤 陽一君 三谷 英弘君
山田 賢司君 中曽根康隆君
神谷 裕君 岡本 充功君
酒井なつみ君 津村 啓介君
藤岡たかお君 武正 公一君
米山 隆一君 神津たけし君
早稲田ゆき君 平岡 秀夫君
西田 薫君 萩原 佳君
長友 慎治君 岡野 純子君
大森江里子君 平林 晃君
河西 宏一君 浜地 雅一君
櫛渕 万里君 山川 仁君
田村 貴昭君 堀川あきこ君
同日
辞任 補欠選任
長坂 康正君 高木 啓君
中曽根康隆君 津島 淳君
三谷 英弘君 深澤 陽一君
岡本 充功君 神谷 裕君
神津たけし君 米山 隆一君
武正 公一君 小山 千帆君
津村 啓介君 酒井なつみ君
平岡 秀夫君 早稲田ゆき君
萩原 佳君 西田 薫君
岡野 純子君 長友 慎治君
浜地 雅一君 河西 宏一君
平林 晃君 大森江里子君
山川 仁君 上村 英明君
堀川あきこ君 田村 貴昭君
同日
辞任 補欠選任
津島 淳君 山田 賢司君
小山 千帆君 藤岡たかお君
上村 英明君 櫛渕 万里君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○安住委員長 これより会議を開きます。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑、特に省庁別審査を行います。
令和七年度総予算中、午前は外務省及び文部科学省について、午後は警察庁、法務省及び厚生労働省について審査を行います。
この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官関口祐司君外四十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○安住委員長 外務省及び文部科学省について審査を進めます。
各予算の要点等について、順次政府から説明を聴取いたします。外務大臣岩屋毅君。
○岩屋国務大臣 令和七年度外務省所管予算案について、その要点を説明いたします。
ウクライナ侵略が国際秩序を揺るがし、安全保障環境も厳しさを増す中、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた同盟国、同志国との連携、グローバルサウスとの連携の三点を重視し、我が国の平和と地域の安定を実現し、国際社会を分断から協調に導く外交を展開してまいります。
予算案作成に当たりましては、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化、新たな時代における国際協力の実施、新たな時代における経済外交の推進、情報戦時代への取組の強化、外交・領事実施体制の抜本的強化の五本の柱を掲げ、めり張りをつけて、必要な予算を計上いたしました。
予算案の総額といたしましては七千四百四十八億六十五万四千円を計上しております。加えて、外務省関連のシステム予算につきましては、デジタル庁所管分として百六十九億九十八万三千円が計上されています。
以上が、令和七年度外務省所管予算案の要点です。
委員各位の御理解と御賛同をいただけますようよろしくお願い申し上げます。
○安住委員長 次に、文部科学大臣あべ俊子さん。
○あべ国務大臣 令和七年度文部科学省関係予算について御説明いたします。
一般会計五兆四千二十九億円、エネルギー対策特別会計千八十四億円などとなっております。
質の高い公教育の再生といたしまして、教職調整額の改善や学級担任への手当の充実、小学校教科担任制の拡充、三十五人学級の計画的な整備等を推進するほか、新しい時代の学びの実現に向けた学校施設の整備、高等教育機関の多様なミッションの実現に向け、基盤的経費の十分な確保や重点配分の徹底等を進めます。また、不登校、いじめ対策や各教育段階の負担軽減など、学びの機会を保障いたします。
スポーツ立国、文化芸術立国の実現を目指し、地域スポーツの充実や競技力の向上、文化財の強靱化、文化芸術の創造活動やクリエーター支援、スポーツ、文化芸術による地方創生等を推進します。
我が国の抜本的な研究力向上に向け、優秀な人材の育成に加え、未来を切り開くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化を進めます。また、重点分野の研究開発の戦略的な推進や、国民の安全、安心やフロンティアの開拓に資する課題解決型研究開発の推進に取り組みます。
説明は以上となります。
よろしく御審議のほどお願いいたします。
○安住委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三谷英弘君。
○三谷委員 自由民主党、衆議院議員の三谷英弘でございます。
本日は、質問の機会をいただきましたこと、理事、委員の皆様に御礼、感謝を申し上げたいと思います。
今日は省庁別審査の二日目ということで、文科省そして外務省の関連予算についてということでございますが、時間も限られておりますので、早速ではございますが質問に入らせていただきます。
まず、令和七年度の外務省関連予算、特に、今日はODAに関する予算についてお伺いをいたします。
令和七年度の関連予算、全体で約七千六百億円のうち、ODA関連予算は、無償資金の協力やJICAによる技術協力、そして国際機関向けの拠出等を含めて合計で約四千三百八十億円と、とても大きな割合となっています。こうしたODA予算を生かして、例えば、親日国ではありますが、ガーナ、私も友好議連の事務局長を務めさせていただいておりますが、ここでは、首都の混雑緩和のために、テマの交差点、大規模な工事を行っているということもあります、整備を行っておりますし、また、インドネシアにおいても、混雑緩和のために地下鉄の整備というものを行っているというふうに承知をしております。
特に、インドネシアに整備した地下鉄に関しましては、以前実際に私も乗車させていただきましたけれども、日本の地下鉄とほぼ同じような車両が時間に正確に運行されているということで、一部では、インドネシアの割合時間におおらかな国民性そのものを変えたというふうに評価をする声もあるというふうに承知をしておりまして、そういったことについての日本の貢献というものが大きいというふうに承知をしているところでございます。
こうした形で、グローバルサウスを始めとする、これからますます存在感を発揮していくような国との関係をODAを通じて深化させていく、また、そういった、ODAによっていわゆる発展途上国に対して様々な貢献をすることによって国益を高めていくという手法そのものを否定される方というのはいらっしゃらないんだろうというふうに理解をしています。
とはいうもののではあります。昨今、景気が悪くて国内の財政が大変厳しい折に、そうやって海外に配る前にもっと国内で使えといった声ですとか、そういった大きな予算を使っている割には余り成果が出ていないじゃないか、そういった批判の声等々も寄せられているところではあります。だからこそ、このODAの内訳ですとか、これまでの推移にも是非とも目を向けていただきたいというふうに考えております。
我が国は経済大国であったというようなこともありました。一九八九年にODA実績が世界最大となりまして、そこから一年置いて一九九一年から二〇〇〇年までの約十年間についてはその地位を維持してまいりました。
世界最大の援助国であった最後の年である二〇〇〇年のODA実績は百三十五億ドル。日本の一般会計に目を向けますと、二国間援助ですとか多国間援助といった贈与されるODA予算というのは二〇〇〇年に約一兆円弱となっておりました。当時は一ドルは百円ちょっとだったので、およそ百億ドルぐらい計上していたという形になります。ODA全体が百三十五億ドルの中に、いわゆる贈与されるODAは百億ドルということなので、大体八割が贈与されるというものであったということで、その金額や規模が大きいために、どうしても日本はお金をばらまいているという認識をお持ちの方も多かったのかなというふうには思っております。
しかしながら、そこから二十年余りが経過をして、今ではどうなっているかというと、二〇二三年の一般会計に占めるODA予算というのは約五千億円と、最盛期の半分程度に減額されておりまして、さらに、今は一ドル当たり百四十円と円安に振れておりますので、ドルベースに換算すると三十五億ドル。最盛期は百億ドルだったのが三十五億ドルですから、いわゆる贈与する形でのODAというのは最盛期の三分の一に減っているということになるわけです。
しかしながら、驚くべきことに、実は、ODA実績というのは、百九十六億ドルと、最大だった二〇〇〇年のときに比べてもなお一・五倍に増えていて、さすがに世界最大の地位は維持できておりませんけれども、それでもなお世界で第三位の地位にあるという現状があります。
では何が増えたのかというと、実はこのODA実績において今大きな割合を占めているのは、いわゆる貸付けという基本的に返ってくるものに使っているということになりますので、以前のような、いわゆるばらまきといった批判は現状においては当たらないというふうに承知をしております。
是非とも、そういうODAの実態についての周知の努力というものも外務省において鋭意進めていただきたいというふうに思いますが、そういった貸付け等も含めてODAを行うということで、実はそのことによって、民間の投資の呼び水になったり、あるいは民間の海外進出というものを後押しをしたり、そういったことにつながっているということで、日本企業にとっても非常によい影響が与えられている。そういったことを通じて日本の国益の増進に本当にこれはつながっているということを、是非ともODAの意義とともに大臣から見解をお伺いしたいと思います。
○岩屋国務大臣 三谷委員には議員外交等を通じまして国際協力を御支援をいただいておりますこと、心から敬意を表したいと思います。
御指摘のとおり、ODAは、開発協力大綱にありますとおり、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の下で、当該国はもとより国際社会に貢献すると同時に、我が国と国民の平和と安全の確保、経済成長による繁栄といった国益の実現に貢献すること、資することを目的としているものでございます。
我が国は、御案内のとおり、資源の多くを外国に依存をしておりまして、直近のエネルギー自給率は約一三%と言われる中で、一か国のみで繁栄を続けていくことはできません。したがって、ODAを通じて世界の平和と安定を図るということは、同時に我が国の国益にも資するということだと思います。
実施の仕方はやはり工夫をしていかなければいけないと考えておりまして、令和五年に改定した開発協力大綱の下でオファー型協力を打ち出しております。ODAを触媒とした様々なパートナーとの社会的価値の共創ということによりまして、我が国の国益実現に資する取組を今強化しているところでございます。
委員御指摘のように、額としては減ってきてしまっておりますが、きめの細かい、寄り添った支援をしっかりと行っていくということをこれからもモットーにしていきたいと思います。
今般、民間資金動員の促進、また課題解決力を有する多様な主体との連携強化のため、ODAの制度改革に取り組んでいきたいと思っております。国民の皆さんの御理解が得られるように、引き続きしっかり努力をしてまいりたいと思います。
○三谷委員 ありがとうございます。
ODAの意義というのは、今大臣にお答えいただいたとおり、本当に、日本という国が資源に乏しいという国で、ほかの国々と連携を深めていくことで豊かになることができ、これからも栄えていくことができるという、この根本、本当に中核となる予算でありますから、是非ともこれからも有効活用していっていただけたらというふうに思います。ありがとうございました。
続きまして、文科省に関連する予算についてお伺いをさせていただきます。
今回の令和七年度の予算の一つの大きなポイントというのは、教員の処遇改善というものが入っているというところでございます。
いじめですとか不登校ですとか、そういった問題というのが複雑化、多様化しているという中で、先生方の負担というのはどうしても多くなりがちな状況があります。そうしたことを背景に、本当に仕事に忙殺されて、残業、残業ということで、大変な状況があるということがありますし、一方で、残業を幾らしてもそれによって給与が増えない、そういった現状もあって、本当に、お金ももらえなければ仕事も大変だということで、先生の魅力というものがどんどん下がっているということで、直近のところでは、小学校の教員採用試験の倍率は二・二倍ということで、本当に少なくなってしまっている、志望者が減ってしまっているという状況があります。二・二倍というのは、例えば神奈川と東京それぞれ受験すればどっちか受かるみたいな、そういう話にもなりかねないので、本当にもっともっと志願者を増やしていかなければいけないというふうに考えています。
そのためには、もちろん働き方改革もそうですし、処遇の改善もそうです、それから、生徒のニーズというものも本当に多様化しておりますので、よりきめ細やかな指導をしていくという観点から、教職員定数の改善というものもやっていかなきゃいけない、この三つの課題をしっかりと進めていく。
処遇の改善に関して言えば、各党によってやり方が違うということは承知しています。我々は、給特法を改正をすることによって教職調整額を引き上げていくという方向でやりたいなというふうには思っているんですが、そこについてはいろいろな意見があることは承知しておりますが、いずれにしても、この三つを、改革を同時に進めていかなければいけないということについては与野党の別はないというふうに理解しておりますし、しっかりと同じ方向を向いていけるというふうに思っています。
だからこそ、この三つの改革、働き方改革、それから処遇の改善、そして教職員の定数の改善、これを一体的に進めていくことに向けての大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○あべ国務大臣 三谷委員にお答えいたします。
本当に、委員がおっしゃるように、教師を取り巻く環境整備のために、この三点、働き方改革と処遇改善、教職員定数改善、しっかり進めていかなければいけない。特に、教育は人なりでございますので、教職の魅力を向上させて教師に優れた人材を確保していくことがまさに重要だと思っております。
過去二十年間で、令和七年度予算におきましては、最大となる五千八百二十七人の教職員の定数の改善をいたしまして、支援スタッフの配置拡充、教職調整額の引上げ、また学校担任の手当の加算などに対する経費三十四億円を計上するとともに、給特法の改正案を本国会に提出することにしております。
学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実を一層一体的、総合的にしっかり進めてまいります。
○三谷委員 ありがとうございます。
処遇改善とともに、本当に長時間労働、長時間の残業を強いられている状況というのは何とかしなきゃいけないという思いは一緒ですので、是非とも改革に向けて進めていければというふうに思っています。
続いて、高校無償化についてもお伺いをさせていただきます。
昨今、いろいろな政党間での協議もありますし、それに関する報道等も出ているところではあります。もちろんこれはまだオンゴーイング、今いろいろな議論が行われている状況ですが、その内部に立ち入ることはせずに、高校無償化全体についてちょっと今日はお伺いさせていただければと思うんです。
実は、既に東京都においては小池都知事が、所得制限なく、私立、公立問わず高校の無償化というのはもう実現をしてしまっている。してしまっているというのも変なんですけれども。それが何でできているかというと、実は、東京都の財源というものは非常に大きくて、法人税が東京都に集まり過ぎているんじゃないか、そういった税源の偏在の課題というのがあります。そういった財政の余力を背景に、本当にいろいろな子育て施策をやっている。子育て施策をやること自体はいいんだけれども、近隣自治体も、住民のサービス格差によって若い世代がどんどん東京都内に吸い寄せられているという本当に困った状況が実はあるんです。
この税源の偏在の是正というものは今日のテーマではないので、これ以上踏み込むことはいたしませんけれども、逆に言うと、今日、文科省予算に関連して言えば、こういった施策、この高校の無償化を国がしっかりと進めていくということをすれば、この住民サービスの格差というものは解消されるということになりますので、是非ともそれは進めていただきたい政策だというふうに考えています。
とはいいながらなんです。我々は本当に、予算の壁というものがありまして、予算をしっかりと捻出をしていく、それを見出していかない限りは、幾ら大事なものだといっても、そう簡単にいくということにはなりません。
なので、議論の前提としてお伺いしたいんですけれども、この高校の無償化をしていく上で、今の公立高校について、所得制限を撤廃するということについて必要となる予算の額は幾らかというのをお答えいただきたいと思います。それからもう一つ、今、私立の高校の授業料、平均で四十五万円程度になりますから、その金額まで上げたときに必要となる全体の予算は幾らかについて。二点、お答えいただきたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
高等学校等就学支援金の所得制限を見直した場合の所要額でございますけれども、仮に現行制度を前提として機械的に大まかに試算いたしますと、全ての高校生を対象に全日制高校の支給上限額を支給すると仮定した場合には、約三千億が追加的に必要になると考えてございますが、その上で、三谷委員御指摘の仮定に従って試算しますと、支援金を受給していない九百十万以上の世帯の高校生を対象に、所得制限なく、十一万八千八百円の基準額を支給した場合には、約一千億が追加的に必要になると考えてございます。
また、全ての高校生を対象に、所得制限なく、私立の生徒にも全国の私立高校の現在の平均授業料である約四十五万円を支給いたしまして、国公立の生徒には現行制度の全日制高校の支給上限額を支給すると仮定した場合には、約四千億が追加的に必要になると見込んでおります。
○三谷委員 四千億という全体の予算額、明らかにしていただきましたけれども、この金額をどこから見つけてくるかというのが大きな、確保すべきかという話になります。
今年、文教関係予算が四兆円程度あります。本当に、この四兆円程度はそれぞれ重要な施策に用いられておりますので、もちろん高校無償化というのは、子育て世帯に対する支援ということで極めて重要な施策ではありますけれども、例えば、それをやることによって教育のDX化とかICT教育が後回しにされてしまっては、それは元も子もありませんし、また、今後の、先ほど申し上げた教員の報酬改善とか、今、様々話題になっている体育館の冷暖房の整備、そういったものが後回しにされてしまっても本末転倒だというふうに思っています。また、私学助成、ちょうど私学助成も四千億ぐらいなんですけれども、それを充てるみたいな話にはならないと思いますけれども、そんなことをしたら学校の運営は到底成り立つ話ではありません。
ですから、高校の無償化というものは大事だけれども、これを進めるからといって、ほかの施策を後回しにしていいということにはならないはずなんです。だから、一体的にほかの施策とともに高校の無償化というものを進めていかなければいけないというふうに考えておりますが、その点について、あべ大臣の御見解をお伺いします。
○あべ国務大臣 おっしゃるとおり、教育の無償化のみならず、やはり教育の質の向上、これがまさに重要だというふうに私ども考えておりまして、特に、一人一人、子供たちが持っている可能性を最大限に引き出す、このためには御指摘のとおりの教育の質の向上に力を入れていくことが必要不可欠でございまして、これまでも文部科学省といたしましては、質の向上を図るために、教師を取り巻く環境整備だけではなく、GIGAスクールの構想と学校DXの加速、また、不登校、いじめ対策、教育の国際化を通じたグローバル人材の育成、老朽化対策の学校施設の整備、委員がおっしゃったようなことにも取り組んでいるところでございますが、引き続き、公教育における教育の質の向上、教育機会の確保、両輪といたしまして、必要な教育予算を着実に確保いたしまして、未来への投資である教育施策の推進にしっかり取り組んでいきます。
○三谷委員 ありがとうございます。
本当に、両輪となって、質の向上もしっかりと進めていく、様々な施策を後回しにすることなくしっかりと進めていくという大臣の決意もお伺いできたところではございますが、是非とも財務大臣にお伺いをいたします。
高校無償化という本当に大事な施策を進めていくという上で、文教関係予算の中からこれを見繕うという話ではなくて、政府全体として財源の検討を進めていくべきではないかというふうに考えておりますが、この点について大臣の御見解をお伺いします。
○加藤国務大臣 冒頭、三谷委員が御指摘のように、今、教育無償化等については与党と維新の間で協議が進んでおりますので、それに係る具体的なことについては政府としてコメントは控えさせていただきたいと思います。
その上で、一般論ということになりますけれども、予算編成においては、真に必要な財政需要に対応していくため、恒常的な新たな施策を行う、あるいは施策を拡大する、そうした場合には恒常的な、安定的な財源をそれぞれに用意をしていく、確保していく、こういう考え方で対応してきたところでございますので、こうした観点も含めて、まずは政党間での協議が進み、また、それを踏まえて我々としても対応していきたいというふうに思っております。
○三谷委員 是非とも全体で検討していただくようにお願いをいたします。
もちろん、その上で、予算を仮に確保できたからといって、じゃ、具体的にどうやって実施していくのか。そんな単純なことではないということもちょっと付言もさせていただければと思うんです。
実は、高校の授業料というのはいろいろあるということで、例えば、一番低い福井県では三十五万円なんですけれども、一番高い長野県では約六十五万円と、倍近く差がある。東京の中だけでも、一番低いところでは二十万円ぐらいのところがある一方で、高いところでは百万円を超えるところも複数校存在しているというような状況もあります。
だから、平均額を支給しますよという話になったときに、当然ながら、高いところは高いところで大変なんですけれども、低いところは、じゃ、平均額まで学費を上げるということだってそれは想定されるわけですから、具体的に今この金額が必要だからといってそれで始めてみたら、その金額でずっといけるわけでもないということにもなりかねないので、その辺の支給の仕方というのも一つポイントになってくるかなというふうに思います。
また、実は以前私も訪れさせていただいた徳島県にある神山まるごと高専という学校があるんですけれども、この神山まるごと高専というのは、本当に世界で戦える人材を育成しようということで、極めてユニークな教育をしています。なので、実は、そこでどういうことになっているかというと、学費というのが年間二百万円なんですが、その金額全てが企業が寄附をするという形で成り立っておりますので、生徒一人の負担というのは実は全くありませんという形で運営されている学校があるんです。
それというのは、実は、高校の授業料無償化といったときに、高専の高校部分について無償化すると言ったとしても、じゃ、幾ら出せばいいのか。例えば大阪方式のようにキャップをはめるみたいなことになれば、そうやって大きな金額を企業が寄附を提供することによって本当に世界で戦えるようなグローバルな人材を育成しようといういろいろなプログラム、これを実施することができないことにもなりかねませんし、いわゆる建学の精神そのものに大きく制約を課していくということにもつながりかねないということもあります。
制度設計の仕方によって私学の自由度を大幅に制約することになりかねないという懸念もあるところでございますが、是非とも、その点についての大臣の御見解をお伺いします。
○あべ国務大臣 学校ごとの違いということはまさに重要でございまして、高等学校の授業料は学校の設置者の判断で設定されるものでございまして、建学の精神に基づきまして、特色のある豊かな教育を提供すべく設定されているところでございまして、委員がおっしゃるように、大阪府の仕組み、いわゆるキャップ制でございまして、差額分を学校が負担する必要があるというものと承知しておるところでございます。やはり、私学の自主性を損なわないようにする観点、まさに留意する必要があるんだと思っております。
以上です。
○三谷委員 ありがとうございます。
続いて、給食の無償化についても若干お伺いをさせていただきます。
ちょっと時間の関係もありますのでこちらから申し上げますけれども、給食の完全無償化を実施する上で必要な財源は、これもまた約四千億円程度というふうに承知をしております。
この四千億円を使って、じゃ、どうするかということに関してなんですけれども、給食実施校と未実施校があるということですから、そもそも未実施校についてはその恩恵が及ばないということもありますし、実施校の中でも、アレルギーやその他の、学校になかなか通えない、そういった様々な観点で給食を喫食できていないお子さん方もいらっしゃるというようなことのバランスをどう考えていくかという具体的な問題という課題がある上に、実はもう準要保護世帯に対する給食の援助というものは実施されているので、本当に困った方についての手当てはもう行われているということもあります。
加えて、そういった、今の給食の支援をしていることに関しては、もう既に、地方公共団体に税源を移譲するとともに、一般財源化をしているということになりますので、今回、給食の無償化を広げることによって追加で必要となる予算についてはどういう形で地方公共団体に渡すのかみたいなことも含めて詰めていかなければいけないということで、早急にこれをやるということになれば、現場で大きな混乱が生じてしまいかねないということは一言申し上げていきたいと思います。
それから、先ほどの話と同じように、自治体ごとに結構、食材費に相当する学校給食費の金額というのは違っておりまして、最大一・四倍の差があるという中で、どれぐらいの金額をどの自治体に渡せばいいかみたいなことも詰めていかなければいけないということなので、こういったことを考えると、そんなに簡単なことではないんじゃないかと考えておりますが、この点についていかがお考えでしょうか。
○望月政府参考人 学校給食費の無償化について、三谷委員からのお尋ねでございます。
今ほど御指摘がございましたように、学校給食の無償化につきましては、給食未実施校や、実施校でも喫食しない、食べてくることのできない児童生徒には恩恵が及ばないといった児童生徒間の公平性の問題、あるいは、低所得者世帯の児童生徒は既に無償化されているということに伴う支援対象の妥当性等、様々な課題があると思っております。こうした様々な課題に丁寧に向き合って検討をしていくことが必要と考えてございます。
以上です。
○三谷委員 ありがとうございます。
若干話の切り口を変えまして、今度は博士人材の支援についてお伺いします。
世の中的に批判されがちなこの博士人材の支援なんですけれども、何で批判されがちかというと、実は、ポスドク一万人計画というものが以前ありまして、そこで多くの方々を研究職に導いたわけです。しかしながら、研究職に入っても、研究の道に入って博士号は取ったけれども、結局、大学に残ることもできない、あるいは就職することもできないということで、生活困窮者のようになっていって、社会の片隅のどこかに、いなくなってしまうというような方々がたくさんいらっしゃったというような状況があって、実は、ポスドクを増やせばいい、研究者の数を増やせばいいというだけでは、なかなか世の中の信頼というのは得られないということが正直あると思っています。
科学技術大国をこれからも標榜していくのであれば、科学技術の道に飛び込む若者が自信を持って、将来に夢を持って飛び込んでいけるような環境をつくっていかなければいけないというのはそのとおりだと思いますし、また、世界でしっかりと仕事をする上で、博士号を持っていないとそもそも話にならないという状況もあります。
なので、これから博士人材支援施策を進めていく上で、ポスドク一万人計画とは何が違って、これからどういうことに力を入れていこうとしているのかについて、大臣のお考えをお聞かせください。
○あべ国務大臣 委員がおっしゃるように、博士人材は、新たな知を創造しながら、社会にイノベーションをもたらす重要な存在でございまして、委員の言及されたポスドク一万人支援計画、その後に、私どもは、博士人材の多様な場での活躍も重要であるということで、昨年三月に博士人材の活躍プランを取りまとめまして、キャリアパスの構築支援を強化することにしておりまして、令和七年度予算におきましては二百五十億円を計上いたしておりまして、企業や大学向けの、博士人材の民間企業における活躍促進に向けたガイドブックの策定などの取組を進めておりまして、活躍促進に向けた幅広い取組をしっかりと強化してまいります。
○三谷委員 是非とも、そういった博士号を取った後が本当に大事になってまいりますので、そこまで含めた形でしっかりと施策を打っていただければというふうに思っております。
続いて、文科省関連で、基金について若干お伺いをさせていただきます。
先週ではありますけれども、私のように非常に体重を気にする人間にとって非常に気になるニュースがありまして、何かというと、甘いもの好きの人の肥満を抑える腸内細菌の発見というニュースが報じられておりました。同じものを食べていても太りやすい人、太りにくい人というのはいるわけですけれども、実は、特定の腸内細菌を保持する人は、糖分を吸収しにくい形の糖に変換をするということで体内への吸収が抑えられる、そのキーとなる腸内細菌が特定された、そんなニュースが出ていたんです。実は、これは実用化はまだまだ先だと思いますけれども、こういったことを通じて肥満を予防するということになれば、様々な成人病の発症を抑えるという意味で、医療予算の抑制にもつながってくる極めて重要な研究だというふうに思っています。
実は、この研究というのはムーンショット基金の助成を受けて行われているものでありまして、二〇五〇年までに、超早期に疾患の予測、予防をすることができる社会を実現することを目標として、現在、本当に多様な研究が同時並行的に行われているという状況です。ほかにも、このムーンショット計画では九つの目標が示されておりまして、十年間のムーンショット基金というものが生かされて、継続的な研究が続けられております。
そもそも、こういったムーンショット基金が長期の形で設けられたのは、どうしても日本の科学技術というのは、予算を取るために、短期的な目標を設定して、その中で成果を出していくということをやっていかなければいけないので、なかなか長期の目標に向けて研究を進めていくことができにくい状況がありました。そのことが実は科学技術力の低下につながっているんじゃないかということで、実は、そういった形じゃなく、安心して長い期間研究をしていただけるような環境をつくっていかなきゃいけない、そういったことでつくっているわけですから、今、基金について様々な意見があることは承知しておりますけれども、このムーンショットの基金というのは非常に重要なことであるというのは是非とも強調したいというふうに思っています。
それからもう一つ、昨年組成されたクリエイター基金というものもあります。このクリエイター基金というものは、三年のものではあるのでいわゆる三年ルールには抵触しないというか、その中のものにはなるんですけれども、まだ未実施のものがあるということで批判の声があるのは承知しておりますが、未実施のものについてももう既に四百人のクリエーターに支給先が決まっていることとか、そういった今後の予定が決まっているということもあって、いわゆる無駄なものには当たらないというふうに思っています。
今申し上げたこのムーンショット基金、それからクリエイター基金について、大臣の御見解をお聞かせください。
○あべ国務大臣 ムーンショット型研究開発制度に関しましては、挑戦的な研究開発を進める、柔軟に計画を変更しながら革新的な成果を発掘、育成することが必要でございまして、単年度予算ではなく複数年度の弾力的な資金配分ができるということで、目標達成に向けて、研究開発をしっかりと、委員の励ましもいただきながら、進めてまいりたい。
また、クリエーター資金でございますが、二〇三三年まで、五兆円から二十兆円を目標にいわゆる海外売上げを上げていくことに関しましては、コンテンツの源泉である若手クリエーターの育成、委員がおっしゃるように、三年間にわたる基金の使途をいわゆる決定しているところでございまして、既に、国際的な活躍が見込まれる若手クリエーター四百名以上が活動を始めておりまして、国際発信やその時期の交渉の進捗状況に合わせて柔軟に行う必要がございまして、単年度予算ではなく複数年度で弾力的にやっていきながら、アニメーターの人材不足が指摘されているところでございますが、能力と志がある若者が適切な処遇で業界に入るような育成プログラムの構築、提供が必要でございまして、新たに、産官学における大学、専門学校、また、育成プログラムの構築支援等の事業を創設をいたしまして、人材育成から海外発信までの支援策の抜本強化をしっかり図ってまいります。
○三谷委員 ありがとうございます。
クリエーターに関しては、本当に処遇の改善、日本のこういったクリエーターが頑張る、ある意味、やりがい詐欺という言葉が適切かどうか分からないんだけれども、日本というのは、好きなことをやっているんだからもうからなくてもいいだろうみたいな、そういった文化がどうしても蔓延しておりまして、そうじゃない。やはり、好きなことをやって、そのことによってもうかるということでまた次の創造につなげていくことができるし、大体、もうからなければ親御さんもクリエーターになる後押しができないんですね。
昔、多分、野球選手になるといったって、なかなか、そんなことはやめておきなみたいなことを言ったかもしれないけれども、今はもう大谷みたいな例があるわけですから、どうぞ頑張って頑張ってみたいな。その世界で活躍して、当然ながら対価が得られるということになれば、後押しも社会全体でするようになってきますし、そのことによってもっともっと日本の人材が伸びていくということにつながりますので、本当に、この処遇をどうやってよくしていくのかということについて、もっともっといろいろな形で取組を進めていただければなというふうに思っております。
その関連ではあるんですけれども、このコンテンツをもっともっと産業としても広げていかなければいけない、クリエーターとしての対価の還元につなげていかなければいけないという観点で、ちょっと一点御質問させていただきます、時間も限られておりますが。
先日も、石破総理が楽しい日本をつくるということで、いろいろな楽しいというのはあると思うんですけれども、そのうちの一つに入ると僕は信じていますけれども、施政方針演説において、コンテンツビジネスの海外売上げというものを二〇三三年までに二十兆円まで引き上げていくという、本当に意欲的な目標を掲げられておりました。そうであれば、今五兆円ですから、できることは何でもやるぐらいの気概を是非とも持っていただきたいというふうに思っています。
特に、今、日本のアニメや漫画というのは世界で人気なんですけれども、それと並んで、アニメソング、いわゆるアニソンとかJポップという日本の音楽も世界で非常に人気を博しているという状況があります。
しかしながら、世界で人気の音楽、日本の音楽を世界に持っていったとしても、なかなか、外貨を獲得する上で、日本の著作権法が一部足を引っ張っている状況があるということは余り知られていないという状況があります。
というのも、日本の著作権においては、インターネットでの配信を含むレコード演奏権が法定をされておりませんので、幾らその権利が海外にあったとしても、相互主義が適用されることによって、ないのと同じに扱われる。だから、ヨーロッパや東南アジアで、日本の楽曲が公の場で演奏されても、日本のアーティストにその対価が支払われるということは難しいという状況があります。
一方で、じゃ、Kポップはどうかというと、韓国と、例えばヨーロッパ、フランス、両方その権利がありますから、Kポップは、フランスに持っていってそれが演奏されれば、Kポップのアーティストにはお金が払われるという仕組みがあるんです。
実は、こういった日本の音楽には、せっかく世界で人気であるにもかかわらず、海外に打って出るインセンティブというものがなかなか与えられていない。リスクを取ってまで海外にクリエーターが、アーティストが行っても、それによって得られる対価はなかなか広がらないということでは、せっかく外貨獲得というふうに言っておきながら、それの妨げになってしまっているという状況があります。
このインターネットでの配信を含むいわゆるレコード演奏権の導入というのは、補助金が必要ありません。予算が必要ないんです。そうではなく、日本のアーティストに権利という武器を持っていただく、そのことによって、自分の力で自ら海外に出ていって外貨を獲得していくということにつながっていく、大きな法改正ではあると思っております。
是非とも、日本のコンテンツビジネスの中で、クリエーターが、アーティストが、もっともっと対価還元ができるような仕組みを法定化していただきたい、著作権法を改正していただきたいと……
○安住委員長 三谷君、答弁の時間はないですよ。
○三谷委員 済みません。失礼しました。
是非ともその点について、大臣の見解をお伺いします。
○安住委員長 あべ文部科学大臣、十秒ぐらいしか答弁の時間がないです。
○あべ国務大臣 しっかりと、国際的な著作権制度との調和の観点も入れながら、レコード演奏・伝達権の導入に関して前向きに検討を進めてまいります。
○三谷委員 以上です。ありがとうございました。
○安住委員長 これにて三谷君の質疑は終了いたしました。
次に、津村啓介君。
○津村委員 立憲民主党のネクストキャビネットで文部科学担当を務めております津村啓介と申します。
私たち立憲民主党は、給食費の無償化、そして高校無償化の所得制限の撤廃、さらには私立高校への対象拡大といったことを訴えさせていただいております。そうした中、給食費の無償化の予算規模は四千五百億から五千億円程度、予備費や基金の見直しで十分捻出できる額だと考えておりますが、本日は、それに加えまして、文科予算の中身についても、より質を高めていく観点から、以下質問させていただきます。
冒頭、財務大臣に伺いたいと思いますが、この予算審議の前提となる日本経済の現状認識なんですけれども、この二日間、日銀総裁と石破総理、そして赤澤経済再生担当大臣の御答弁が大変混乱を極めているように受け止めております。
石破総理は、デフレを脱却できていない、今をインフレと決めつけることはしないとおっしゃった一方で、昨日、赤澤経済再生担当大臣は、経済学的に申し上げれば、足下の消費者物価が上昇しているという点でインフレの状態とおっしゃるのはそのとおりだと述べておられます。日銀総裁と政府の見解が多少異なることはあり得べしと思いますけれども、閣僚の、政府の中で、インフレかデフレかという全く別のベクトルの議論をされているのは大変腑に落ちません。
デフレは脱却できていないけれども、経済学的にはインフレの状態ということはあり得るんでしょうか、財務大臣。
○加藤国務大臣 ちょっと二つのことをおっしゃっているような気がします。まず、総理と赤澤大臣の見方が違うという話と、それから二つ目の、現状認識とデフレ脱却とをどう考えるか、二つあると思うんです。
前者については、基本的に、昨日の赤澤大臣の答弁で大体整理されたと私は認識をしておりまして、日銀総裁がインフレと言われた、したがって、現状を見るとインフレである。ただ、総理も、デフレではない、ただ、インフレは、定義があるからというところで、若干その辺の言い方に、聞かれている方からすると、やや混乱をさせてしまったのではないかと思っておりますが、基本的には、現状、物価が上がっているという意味においてはインフレである。
それから、デフレでない、あるいはインフレとデフレ脱却との関係は、まさに今の状況はそうであるとしても、やはりまた再びデフレに戻る可能性、これについては四指標などを含めて総合的に判断することになっておりますけれども、そうした判断からすると、まだそこを断ずるまでには至っていない、こういう整理であります。
○津村委員 今、時間軸をずらしてお答えになりましたけれども、私は現状認識を問うています。インフレ状態とおっしゃった赤澤大臣、デフレを脱却できていないと現状認識を示された石破総理、これは矛盾していませんか。
○安住委員長 津村君、省庁別審議ですから、省庁以外のことは手短に質疑してください。
○加藤国務大臣 ですから、足下はインフレ、要するに、デフレでない、インフレである。しかし、今後の可能性を含めて、あるいは足下の強さを含めると、デフレに再び戻らないかと言い得る状況にはなっていない。そして、その判断として、既に四つの指標などを含めて総合的に判断するという考え方は申し述べているものと思っております。
○津村委員 全国学力テストについて伺いたいと思います。
毎年実施の全数調査であるために、自治体や学校間で過度の競争を生んでいる、そして、教員の皆さんの働き方改革に逆行しているとされる全国学力テストでございます。今、理科と英語は三年に一度ですので、国語、数学についても三年に一度にし、さらに、抽出調査にすることで大幅に予算を縮減し、教員の皆さんの負担軽減につながると考えております。
以下、具体的に問わせていただきます。
全国学力テストの関連予算は、令和六年度で四十四億円計上されていますが、この四月から一部オンライン化されると聞いております。このオンライン化を全面的に行い、また前倒しすることによって約三十億円の予算縮減が可能ではないかと思料しております。
大臣に伺います。
印刷、配送、回収に要する経費、そして、採点、集計に要する経費はそれぞれ幾らかかっておりますか。これが縮減できると考えますが、大臣はいかにお考えですか。
○あべ国務大臣 全国学力・学習状況調査の令和六年度の調査の実施に要する経費四十四億円、委員がおっしゃるとおりでございますが、本調査は令和九年からCBTに全面移行する予定としております。
この経費ベースのところで、令和六年調査のところでございますと、調査資材の印刷、配送、回収に関わる経費は約十四億円でございまして、採点、集計に関わる経費が十九億円ということで、一部について効率化を図っていくこととしているところでございます。
教育委員会や学校現場の意見も丁寧に聞きながら制度設計をすることが肝要というふうに考えておりまして、一定の準備期間がこのためには必要でございまして、前倒しでの実施は実は困難がございますところでございまして、CBTの導入によりまして一層効果的また効率的に本調査を実施できるように、現場での準備を支援してまいります。
○津村委員 働き方改革に関連しても伺いたいと思います。
過去問を繰り返し解かす。これは全国で全数調査をしていますので、簡単に比較をされてしまうものですから、現場の校長先生、点数が悪いところは校長先生の名前を公表するといった自治体なども報道がございました。そうなっては困るということで、過去問を事前に繰り返し解かせるといった事前対策を行ったり、また、紙ベースでの採点を行っているものですから、結果の返却が遅いために自校で採点を行う、そのために担任の先生が残業するといったケースもあるやに聞いております。
文科省としては、そうした事前対策の行き過ぎた取扱いは行わないようにという通知を発出されているようですけれども、その後のフォローができていないと聞いております。
今、働き方改革のための取組状況調査というのを全然別の部署で行っているようですけれども、そこの質問項目に、全国学力テストにおける事前指導を行ったりしていないのか、その有無ということを設問を加えることで抑止力になると思いますけれども、大臣、お考えを聞かせてください。
○あべ国務大臣 全国学力・学習状況調査でございますが、やはり先生方、教師の負担をできるだけ軽減する観点から、実施方法の見直しを今随時行っている、図ってまいりました。
今後、CBTの導入によりまして教師負担の大幅な削減が期待されるところでございますが、仮に公表される数値データの上昇のみを目的としたと受け取られかねないような行き過ぎた取扱いがあるのであれば、本調査のいわゆる趣旨、目的を損なうものでございますので、適切な取組について、通知を平成二十八年にも発出したところでございまして、その後もいわゆる周知徹底を図っているところでございます。
引き続き、委員がおっしゃるように、現場の声も聞かせていただきながら、調査の改善を行っていきながら、まずは現場の声をフォローを含めて聞かせていただきながら、実施方法の改善をしっかり図ってまいります。
○津村委員 学力テストの中身の話、三年に一回でよいのではないかという御提案をさせていただきます。
現に、理科と英語については三年に一回の実施ですが、国語と数学については毎年実施されているために、結果的に予算が三倍かかっている形になります。理科と英語は三年に一度でいいのに、国語と数学は毎年やらなければいけないのはなぜですか。
○あべ国務大臣 国語と算数と数学におきましては、いわゆる読み書き計算など、日常生活やあらゆる学習の基礎となる内容を教える教科でございまして、この理由から、全国学力・学習調査の開始より毎年度実施をさせていただいております。その後、児童生徒一人一人の学習指導や教育施策の改善に生かすという本調査の役割を踏まえまして、平成二十四年度に理科、また平成三十一年度に英語を追加させていただきまして、まずは、この実施頻度について三年に一度としてきたところでございます。
一方、GIGAスクール構想が進む中におきまして、生徒一人一人の学力課題を把握して、エビデンスに基づく学習指導に生かすことの重要性はより一層高まっているところでございまして、学校や教育委員会の実情も踏まえさせていただきながら、調査の改善充実について必要な検討をしっかり行ってまいります。
○津村委員 道徳教育予算の見直しについて伺わせていただきます。
よりよい生き方を実践する力を育む道徳教育の推進として毎年約三億円の予算がつけられていますが、執行率は六割程度にとどまっています。打切りを含む見直しを検討して、その予算を教職員や学校支援員の増員に充てるべきと考えますが、大臣のお考えを伺います。
○あべ国務大臣 道徳教育の充実は、私どもは、実は、いわゆるいじめや自殺など喫緊の課題がございまして、自分のよさを認識しながら他者を尊重することができる教育を推進する意味も含め、多様な施策を組み合わせて対応することが重要だというふうに考えさせていただいておりまして、これまで、命の大切さやいじめの未然防止を始めとした各地域の道徳教育の充実に使われてまいりました。
御指摘のような執行率の課題があったことはまさに事実でございまして、特に、道徳教育の充実事業四十三億円のうち、教科書の無償の給与に関しては、実は四十億円を占めているところでございます。
特に、よりよい生き方を実践する力を育む道徳教育の推進事業なども含め、ここの予算はしっかりと執行していきたいというふうに思っておりますし、道徳科のみならず、教育課程全体を通じた幅広い取組を対象とするなど、より使いやすくする形で見直しを図っていきながら、実践団体等の見直しを行ってまいりましたところでございます。
特に、直近の三年間の決算を踏まえた、令和三年から令和五年のいわゆる執行率の低さに関しましては、採択数が予定よりも下回ったこと、また、会議開催方式が変更となりまして経費が削減されたことなどがございまして、高校の総合的な探究の時間を中心としたメニューを創設するなど、事業内容の見直しを行ってきたところでございます。
しっかりと対策を立てていきながら、特に、先ほど申し上げたように、令和七年の予算案におきましては、外部講師の積極的な活用が可能であることをもっと明確にさせていただきましたり、また、学校教育全体を通した幅広い道徳教育を対象とする、使い勝手を向上させる方向で見直しを図っていきながら、実践団体数をいわゆる縮減するなどの見直しを図ってきたところでございまして、学校現場のニーズも伺いながら、しっかりと活用されるよう取り組んでまいります。
○津村委員 もう少し手短に御答弁いただきたいんですけれども、改めて端的に伺います。
いじめの未然防止ということが道徳の教科化に当たって強調されてきたわけですけれども、残念ながら、今、子供たちの自殺というのが大変社会問題になっています。
この三億円の予算の計上というのは、そもそも効果を生んでいないのではないかというふうに思います。効果も生んでいない、採択率は、大臣がおっしゃったように低い、そしてオンライン化などで予算が縮減できている。であれば、予算はそのまま縮減すればいいんじゃないでしょうか。
○あべ国務大臣 道徳教育予算に関しましては、子供たちの自己肯定感の向上、また、多様な価値観を認める態度のいわゆる醸成に寄与するというふうに考えておりまして、効果が見えないからやめればいいという問題ではなくて、やはりしっかりと対応し続けるということがまさに重要でございまして、学校現場のニーズも伺いながら、しっかり活用されるように取り組んでまいります。
○津村委員 国民スポーツ大会についても伺いたいと思います。
大会開催地となる都道府県の持ち回りがあと十年で三巡目に入るということで、全国知事会からも国民スポーツ大会の在り方を問う声が上がるようになりました。
今、日本スポーツ協会に設置された有識者会議で様々な議論がこの三月に向けて行われるとのことでございますけれども、自治体の関係者は、この有識者会議の中に、三十四人中五人しか入っていません。
実際に、国民スポーツ大会の開催に当たって、これは島根県の丸山知事がおっしゃっているんですけれども、大会の運営費が九十億円、施設整備費が百四十億円、競技力向上のための費用が三十六億円ということで、自治体に大変な財政負担を強いています。これが地方交付税交付金などで賄われているとすれば、国税にも大きな影響がある案件でございます。
この有識者会議の人選が偏っていること、そして多くの施設整備費の無駄を生んでいることを大臣はいかにお考えでしょうか。
○あべ国務大臣 国民スポーツ大会は、地域の競技力の向上やスポーツ環境の整備、各地域の活性化に貢献することが言われているところでございます。しかしながら、一方で、都道府県における人的、財政的な負担が課題との声があることも私どもは承知をさせていただいているところでございます。
お尋ねの会議に関しましては、特に、日本スポーツ協会において人選されたものでございますが、都道府県及び市町村を代表する方々に御参加をいただきながら、経済界またマスコミ関係者など、スポーツ関係以外の分野からも御参加いただき、負担軽減を含めた幅広い議論が今されているものと認識をしているところでございます。
○津村委員 私が問題にしたいのは、これは日本スポーツ協会の中に設置された有識者会議なので、当然スポーツ振興の観点から議論がなされる、そうであってほしいですし、そうなっていくと思いますが、これはスポーツ振興だけではなくて、地方自治体の負担の話をしているので、議論がかみ合わないと思うんです。
スポーツ協会の有識者会議では議論できない地域バランスの話を大臣に伺っています。持ち回りを続ける意味はあるんでしょうか。
○あべ国務大臣 昨年八月に知事会の方から出されました三巡目の見直しに関する考え方について、持ち回り開催を維持する考えが示されているところでございますが、これまでの会議において、立候補方式とする意見もあったというふうに承知をしているところでございまして、今年度末の取りまとめに向けまして、魅力ある持続可能な大会となるよう、引き続き日本スポーツ協会と連携してまいります。
○津村委員 一部の競技では、既に持ち回りを見直すというか、現実的な対応がなされています。
たまさか、今、私の地元、そして大臣の地元でもある岡山で冬季の国民スポーツ大会をやっているんですが、冬季の競技というのは必ずしも全国での開催に向かないものですから、かねてから一部の都道府県での開催にとどめていますし、逆に言えば、一部の都道府県に大変負担が偏っていたり、今回、岡山での大会といいながら、一部競技は群馬県で行われます。それは、岡山に当該施設がないからなんですけれども。
こうした弾力的な運用を夏季のスポーツについても認めていくことで相当程度の予算の縮減が可能ではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○あべ国務大臣 やはり委員のおっしゃるように、施設基準の、いわゆる基準のところと、また、既存施設の活用及び複数の都道府県の開催も議論されている、まさに重要な観点でございますので、引き続き連携をしていきながら、闊達な議論が行われるようにしてまいります。
○津村委員 重ねて具体的に御提案申し上げますが、競技ごとに、先ほど大臣がおっしゃった立候補形式にすれば、やりたい都道府県にはそのチャンスが与えられ、また合理的な予算の執行になると思いますが、競技ごとの立候補方式について、大臣、いかがお考えでしょうか。
○あべ国務大臣 御提案も含めました、負担軽減を含めた幅広い議論が期待されるところでございますので、しっかり私どももこの議論を踏まえながら、前向きに検討してまいりたいというふうに思います。
○津村委員 私立大学の、私学助成の話に入っていきたいと思いますが、その前に、本日の報道について一点確認をさせてください。
読売新聞の今朝の報道によりますと、政府・与党が高校無償化の所得制限撤廃を一部野党に伝えたという報道がございます。これは事実かどうかということと、もし事実であれば、開始時期をどう考えているのか、伺いたいと思います。
○あべ国務大臣 御指摘の報道につきましては、政府として関与しておるところではございませんので、政党間の協議にかかるものと認識しておりまして、政府の立場としては、まず、政党間の協議の状況を注視してまいります。
○津村委員 私学助成の質問に入っていきたいと思います。
今、私立大学で不祥事が相次いでおりまして、直近では、日本大学、東京女子医科大学で私学助成の不交付事例がございます。
ではございますが、女子医大は、令和五年度に約二十億円の私学助成が交付、これが今年度は不交付ということでございますけれども、同大学の事業活動費は、収支共に約九百億円と大変大きな財政力を持っています。
私学助成の不交付、減額措置というのが不祥事の抑止力として必ずしも十分機能していないのではないかという声がございますが、不祥事が多年度にわたっていたことも踏まえると、複数年度の私学助成の返還を求めたり、あるいは今後の複数年度の不交付などの措置も取り得るのではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○あべ国務大臣 学校法人の管理運営が適正を欠く場合におきましては、私立大学等経常費の補助金を減額又は不交付とすることができることになっている、委員がおっしゃっているとおりでございます。
新規に不交付とした法人に関しましては、翌年度においても不交付措置を講ずることとしておりまして、その後も改善努力が十分に行っているというふうに認められない場合におきましては不交付措置の継続を行うこととしておりまして、引き続き、管理運営が適正を欠く法人に関しましては厳正に対処してまいります。
○津村委員 私学の大学経営については多角的に議論をしていくべきだと思うんですけれども、今ちょうど受験シーズンでございます。大臣も私も同郷ですので、見ている景色は近いと思うんですけれども、受験料も、学部ごと、学科ごとに払わなければ私学の受験がなかなかできない、そして入学金の二重払い、こういったものが、とりわけ地方の受験生にとっては大変大きなハードルになっていて、そのことが教育格差、特に都市と地方の高等教育の格差を生む一つの土壌になっていると思うんです。
この入学金の二重払いというものを解消していくべきである、そのために文科省として取組を進めていくべきであるということについて、大臣の課題認識を問いたいと思います。
○あべ国務大臣 入学金の二重払いと、都市と地方の教育格差の関係に関しては一概に申し上げられないものというふうに思っておりますが、教育費の負担を軽減することはまさに重要だというふうに考えております。
そうした中にあって、各大学の設置者の判断によりまして大学の授業料に関しては徴収されておりまして、実は、また、最高裁の判決におきましても、大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有する入学金に関しましては、いわゆる納付後に入学辞退をしても大学は返還義務を行わないとされていると承知しているところでございます。
文部科学省といたしましては、調査を行うことは現時点では考えておりませんけれども、入学料を始めとした学生の納付金について、額の抑制、また分割納入などの措置を積極的に講ずるよう、引き続き配慮を促してまいりたいというふうに思っております。
また、さらに、高等教育のアクセス確保、これがまさに、特に、修学支援新制度、基盤的経費の支援などを通じて重要だというふうに思っておりますので、こちらもしっかりと対策を立ててまいりたいというふうに思います。
○安住委員長 津村君、間もなく時間が来るので、まとめてください。
○津村委員 はい。
時間が来るので、質問はもういたしません。全国学力テストの件、国民スポーツ大会の在り方、道徳教育予算の見直し、私学助成の在り方、こういった点を厳しく精査しながら予算案の修正を検討していただきたい、そのことを申し上げて、終わります。
○安住委員長 これにて津村君の質疑は終了いたしました。
次に、武正公一君。
○武正委員 立憲民主党、武正公一でございます。
今日、質疑に立たせていただきました。
先ほど、高校授業料無償化についても大臣の方からも御答弁ありましたが、昨年五月七日、埼玉、千葉、神奈川の三県の知事は、昨年四月から東京都の高校生全員が高校授業料を無償化したことによって、千葉、埼玉、神奈川から東京都の私立高校に通う高校生は所得制限の対象というような、同じ高校でありながら、高校生で差が出るということで、国への財政支援を求めた経緯がございます。
ちなみに、埼玉県の全員の高校生、無償化するには百三十億円の新たな財源が必要ということで、大野知事からも要請があるということでございますので、今日の質疑については、あくまでも財源をいかに捻出するか。無駄削減というような形で報道もございますけれども、無駄削減というよりも予算を組み替える、あるいは立憲民主党なり野党が考える予算のあるべき姿にのっとって財源を捻出するための質疑ということで進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、お手元の資料の方、一ページ目、御覧いただきたいんですが、外務省が昨年、補正予算、そして今回の予算の審議で提出をした資料でございまして、外務大臣に昨年聞いたところ、平成二十九年からこういった資料を使っているそうでございます。すなわち、令和六年度の補正予算と令和七年度当初予算が一緒の棒グラフになるという、こうしたものが、なぜ外務省は説明で用いているのか、御説明をお願いしたいと思います。
○大鶴政府参考人 お答え申し上げます。
外務省の予算の説明におきましては、補正予算と翌年度当初予算の編成時期が、例年、基本的に近接しておりまして、また、翌年度当初予算では間に合わない案件が補正予算で手当てされているということも踏まえまして、予算の総額を分かりやすく説明する観点から、前年度補正予算額と当年度予算額を合計したグラフを用いた説明を行っております。
なお、令和六年十二月に閣議決定されました予算編成の基本方針におきましても、令和七年度予算は令和六年度補正予算と一体として編成するという旨が明記されておりまして、当省の資料もこうした点なども踏まえつつ作成しております。
○武正委員 財務大臣にお聞きしたいんですが、この国会で予算の審議を行うについては令和七年度の予算を審議するはずでありまして、令和六年度の補正予算と一体でということが、国会として、やはり予算のチェック、これが行き届かない点、それから財務省も、私も二〇一二年の決算行政監視委員会で当時財務副大臣としても答弁いたしましたが、やはり補正予算は財務省でも査定が非常に甘くなってしまうということで、その査定の在り方も含めて検討をということを言っております。
こうした予算について、当年度の予算を前年度の予算とセットで考えるということについて、財務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、政府においては、今回は補正と当初予算一体となって現下の体制に取り組むということで編成をさせていただいた、こういう経緯の中でそうした説明をさせていただいているんだろうというふうに今、聞かせていただきました。
他方で、予算の中身一つ一つについて、これは国会で審議をしていただいて、そして、その審議を通じて国民に御理解いただく、当然その背景には税等の負担があるわけでありますから。
そういった意味においては、国民の、あるいは国会における審議、しっかり対応できるよう今後とも努力をしていきたいというふうに思います。
○武正委員 それで、特に外務省の場合は、国際機関への拠出金、分担金というものが多額に補正予算に積まれます。
その額というものが、まず、補正予算の額は、資料の四枚目をめくっていただきますと、令和四年、五年、六年の補正予算で、合計でそうした国際機関に千六百億円、千四百億円、千四百億円という形で積まれておりまして、外務省の全体の予算の二割近くを占める。これが補正予算で積まれるということがどういう影響があるかということについて、伺いたいと思います。
特に為替の影響ですね。特に円高、円安。昨今では、やはり円安の影響が多額の予算の支出をもたらしているのではないのかというふうに思いますが、財務省に貨幣交換差減補填金、これについて御説明をいただきたいと思います。
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
為替交換差減補填金でございますが、各府省の外貨支払いなどにつきまして、為替相場の推移によって支出官レートよりも実際の為替レートが円安となって、支払い額に対して予算措置額に不足が生じた場合に、これを義務的に補填するためにあらかじめ計上しているものでございます。
○武正委員 分かりやすく言いますと、支出官レートということで、お手元の資料の三ページを御覧をいただきたいと思うんですが、予算を作成するとき、例えば令和六年度を例に取りますと、当初、百三十九円で予算を組んでおりますが、外務省ですね、国際機関への拠出。ただ、令和六年の補正予算、十二月時点では、令和七年の支出官レートの百五十円というような形で予算を組む。そうしますと、円安の差額の十一円分、これが国際機関に拠出するときに当初の予算では足りなくなるということで、それが補填をされる。
令和六年はまだ年度途中ですので、予算額は、補正予算も含めて千九百二十九億円に増額をされておりますが、令和五年、令和四年では、千三百億円、千九百億円というような形で支出をされております。
こうしたことを考えますと、できるだけ、予算の計上された時点は、為替の状況に、現状に近い時点になりますので、できればやはり当初予算に拠出をして、そして、しかも四月ぐらいには支払いをしていくということが望ましいのではないかというふうに思っております。
資料五を見ていただきますと、令和六年度当初予算で拠出をした上位二十位のリストがありますが、会計年度も確かに四月―三月の日本と比べて一月―十二月と違うんですけれども、二〇二四年の四月、五月、六月、七月という早い時期に拠出しておりますので、十二月、一月、二月と比べて為替のリスクが少ないということがございますので、こうしたことが必要ではないかというふうに思います。つまり、当初予算にそれを積むべきではないかというふうに思うわけでございます。
その中で、じゃ、具体的に例を挙げていきたいと思います。
世界エイズ・結核・マラリア対策基金、そしてまた国連開発計画、またUNRWAということで、お手元の方に、令和四年、五年、六年の補正予算の中身が資料としてありますが、エイズと国連開発計画について、それぞれこれを当初予算に積めたのではないのかというふうに考えますが、御答弁をお願いいたします。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
補正予算におきましては、当初予算計上に予見困難であり、かつ、緊急性を始めとする補正事由が立つものについて、国際情勢等も踏まえつつ、外務省として必要と考える予算を計上してきております。
世界エイズ・結核・マラリア対策基金、いわゆるグローバルファンドが取り組むマラリア及び結核等の感染症は、人々の健康と命に直結することから緊急の対応が求められることが多い一方で、発生する時期や国、地域を事前に予見、予測することが難しゅうございます。
御指摘の点につきましては、先進国含め緊急に対応すべき事例が世界的に多発をいたしまして、グローバルファンドの事業を継続、強化していかなければ、感染症が拡大し、感染症や死者が増加していく状況が生じたため、これらの状況に対応するために補正予算を計上させていただいたところでございます。
続きまして、国連開発計画でございますけれども、アフリカや中東を含む開発途上国・地域におきまして、生計向上支援、ガバナンス支援、紛争、災害復興支援等の幅広い支援を実施をいたしております。
御指摘の点につきましては、ガザ、シリア、ウクライナ等での危機に伴いまして、当初予算編成時点におきましては事前に予見することが困難であった喫緊のニーズに対応する案件を計上させていただいております。
○武正委員 資料六を見ていただきたいんですが、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、グローバルファンドへの日本の拠出金なんですが、それぞれ一億ドル、一億八千万ドル、一億二千万ドルということで、その具体的な中身を聞いたところ、具体的には答えられません、基金の方に出しているので、その使い方については類推するところでありますが、あくまで推計値、エイズ、マラリア、結核、保健システム強化で大体こんな具合ではないでしょうかというような形で御答弁いただいております。
今のように、外務省が喫緊の課題として考えて、これは令和三年、四年、五年という年度でありますが、拠出をしたものではないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
それと、UNDP、これは資料八にありますが、いずれもウクライナ支援がトップに来ております。二〇二二年の二月二十四日のウクライナ、ロシアの侵攻ですから、令和四年度が補正予算で計上するのはあるとしても、令和五年、六年はやはり当初予算でこれだけの額を拠出できたのではないかというふうに考えますが、以上二点、伺いたいと思います。
○宇波政府参考人 御答弁申し上げます。
その前に、先ほど答弁の際に、貨幣交換差減補填金につきまして、為替交換差減補填金と申し上げましたが、貨幣交換差減補填金でございますので、訂正させていただきます。申し訳ありませんでした。
今の御質問でございますが、国際機関の拠出金、分担金につきましては、まず前提として、当初予算において当該年度に支払いの見込みがあるものの所要額を計上しております。補正予算につきましては、財政法の定めに従い、予算作成後に生じた事態への対処に当たり特に緊要になった経費の支出を行うという緊要性が認められるものについて計上しております。
今御指摘のありました例えばグローバルファンドにつきましては、当初予算に計上した後、毎年夏以降に拠出金の要請が具体的に参ります。これを踏まえまして、感染症対策の緊急的なニーズが高まっていることに対応するために補正予算においても計上をしているものでございます。
○武正委員 外務省、答えてください。先ほどの理由ですね、マラリアとそれからUNDPについて。
○安住委員長 外務省中村審議官、さっきと同じ答弁でないようにしてください。
○中村政府参考人 はい。
グローバルファンドにつきまして、まずお答えさせていただきます。
原則としてイヤマークした拠出金を認めておりませんで、日本の拠出金はコア予算に充当されます。グローバルファンドは、エイズ、結核、マラリアにつきまして、例えば、啓発活動、健康教育、自発的検査等の予防活動、医薬品、医療資材の配付、治療、カウンセリング等の治療活動、それから孤児への医療サービス提供、日和見感染症の治療等の各種ケア活動等の取組を実施している、このように承知しております。
また、グローバルファンドは、保健従事者の育成、研修、国や地方の保健行政システムの強化等の保健システム強化に係る活動も併せ実施しておりまして、これは我が国が推進するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成に向けました貢献にも資するもの、このように考えております。
グローバルファンドの支援によりまして……(武正委員「短く」と呼ぶ)はい。例えば二〇二三年末には、二千五百万人のエイズ患者に対する治療薬の供与とか、結核患者に対する診断等、あるいはマラリアについての蚊帳二億張りの供与などの実施がされた、このように承知をしております。
それで、次に、国連開発計画でございますけれども、補正予算からの拠出を通じまして、ウクライナ、アフガニスタン、ガザ、シリア、サブサハラ・アフリカ等におきまして、紛争、災害からの早期復興支援を通じた危機対応力の強化、職業訓練、雇用創出支援を通じた貧困の根絶、あるいは法整備、公正な選挙実施支援を通じた国家の仕組みなどを実施をしている、このようなことでございます。
それから、ウクライナにつきましては、例えば令和六年でいえば、基礎インフラの復旧、地雷、不発、瓦れき除去を通じた安全な生活環境の確保といったものを実施をさせていただいております。こうしたもの……(発言する者あり)
○安住委員長 ちょっと待って。ちょっと帰って。
もう一回。答弁は同じものを繰り返しているようだから、その場合はまた止めますから。何をちゃんと聞きたいのか、簡潔に。
○武正委員 先ほども触れましたように、エイズ基金については、今も話があったようにコア予算ということで、この基金が使う、一番大事なところの経常経費も含めたものに充てるんだということでありますから、何か緊要性があるとか緊急性があるという形ではなくて、しかも、お金を出して、何に使ってくれという形で出しているわけじゃないわけですから、当初予算にも積めるということがまず第一。
それから、もう一つのUNDPについては、ウクライナのお金、令和三年は違ったとしても、令和四年、五年はウクライナにお金を出すことは分かっているんだから、当初の予算に積めたんではないですか。それについてお答えいただきたいということです。
○安住委員長 中村審議官、だから、補正に積む必要性がどうなのかということをちゃんと答えてください。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、グローバルファンドにつきましては、その時々の感染症の流行状況を見極めながら資金需要が確認されている状況でございます。それらの議論を踏まえまして、我が国でも具体的な拠出金額の要請がその後来るということになっております。
グローバルファンドの理事会は、年に二回、具体的には五月頃と十一月頃に開催されることとなりますため、拠出金額の要請は毎年夏より後に接到することとなります。同機関からのこうした要請を受けつつ、保健分野の緊急性を踏まえまして補正予算を要求して、翌年度の四月に先立って国際機関に拠出を行っている、こうした次第でございます。
それから、UNDPに関しましては、ウクライナの状況についてお尋ねがございましたけれども、毎年毎年、どのような形でウクライナが支援を必要としているかにつきましてはその時々で大きく変わる、このように認識しておりますので、そのときそのときに応じまして支援の状況について確認をした上で、補正に積ませていただいているという状況でございます。
○武正委員 資料六を見ていただきたいんですが、それぞれ一億ドル、一億八千万ドル、一億二千万ドル出しても、何に使っているかは分からない、以上の分配額はあくまで推計値と。外務省は、推計で、これがこのぐらいに使われているんじゃないかと。エイズとマラリアと結核と保健システム強化、大体、割合もそう変わらないですよね、同じような。
だから、こちらに主導権があって、どういう形で出したいとか、何か変わっているわけじゃないのに、これを補正予算で計上している。その必要はないんじゃないですかというふうに言っているわけです。先ほどのお答えはちょっと納得できないんですね。
ということで、タイミングが補正予算になってしまうことで、先ほどの貨幣交換差減金が二千億円近く支出をしなければならないとすると、やはりもう年度当初で、できるだけ国際機関への予算は積むべきだ、それによって為替のリスクを軽減すべきだ、それによって財源が生まれてくるというふうに思うんですが、財務大臣、今までのやり取りを聞いて、御所見を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 ちょっと詳細について私が承知しているわけではありませんけれども、基本的に、必要なタイミングで必要に応じて拠出なり分担金を支出する、それが基本だというふうに思います。
そうしたときに、委員おっしゃるように、資金コスト全体をいかに低くするか、結果的には歳出予算をどう効率化するか、この視点は常に持ちながら対応していく必要はあると思います。
○武正委員 それで、こうした為替のリスクを軽減するために、例えば外為特会の外国為替あるいはまた外国通貨を使えば、一々円で拠出をして、それを交換して、具体的には財務省から日銀に指示をして送金をしているそうなんですが、そこでこうした為替の差減金が必要となってくる。だったら、もう外為特会にある外国通貨をそのまま払えばいいじゃないかというふうに思うんですが、これについて財務省の御所見を伺いたいと思います。
○土谷政府参考人 お答え申し上げます。
外為特会は、将来の為替介入等に備えて保有する外貨資産を管理するために設置されたものでございます。
そのため、外為特会の歳出につきましても、特会法上、外貨資産の管理のための事務取扱費や見合いの負債でございます政府短期証券の利払い費などに限定されておりまして、国際機関への拠出金、分担金等の支出は認められていないところでございます。
また、外為特会の保有する外貨資産の運用によって生じる決算剰余金につきましては、毎年度、外為特会の財務の健全性確保に必要な額を留保した上で一般会計への繰入れを行っておりまして、必要な財源の確保に外為特会としても貢献しているところでございます。
こうした特会法におきましての一般会計への繰入れを超えまして、外為特会が直接的に外貨建ての国際機関への拠出金、分担金を支出できるようにすることには慎重であるべきと考えてございます。
その上ででございますが、外為特会のできることといたしまして、国庫金を外貨建てで送金する場合に、民間銀行で両替する代わりに、外為特会の保有外貨を市場レートで両替することで両替手数料を節減いたしまして、効率的な国債管理に努めているところでございます。
○武正委員 手数料の削減だけじゃなくて、そのまま使えばそうした為替リスクは軽減できるわけですから、私はそのまま使うということを、法改正も必要であれば国会としても取り組む必要があるというふうに考えます。
最後に、資料の九、十を御覧いただきたいと思いますが、ジャパン・ハウスでございます。
今朝もロンドンでワインの宣伝ということがニュースでも取り上げられておりますが、このジャパン・ハウスについては、資料九にありますように、五年間のそれぞれの予算が、サンパウロは一年十三億、ロンドン十四億、ロサンゼルス十五億、お金がかかっております、事業費ですね。
資料十を見ていただきますと、国際交流基金の拠点が世界に二十六あるんですが、その事業費総額が二十九億円ということですから、一館当たり一億ちょっと。
要は、ジャパン・ハウスは十倍の予算をかけているということなんですが、本当に効果が上がっているんだろうかということがまず一つ。
それから、特に、資料九を見ていただきますと、ロサンゼルスの来館者数が極端に少ない。これについては何か改善の余地があるのではないかというふうに思いますし、私は、そろそろこのジャパン・ハウスも、当初の目的をもし達したのであれば、例えば、運営は、こうした民間に委ねるのではなくて、国際交流基金に委ねてもいいのではないかというふうに思いますが、以上、外務省の御所見を伺いたいと思います。
○岡野政府参考人 お答え申し上げます。
ジャパン・ハウスでございますが、親日派、知日派の裾野を拡大するための戦略的対外発信拠点として設置されました。
ここでは様々な展示のほか、講演会、セミナーなどを通じた政策広報、地方公共団体を含む関係機関等と連携したビジネス、インバウンド支援の事業などのほか、ほかではできない取組を精力的に展開しておりまして、この予算は、そのために必要な予算を計上しているところでございます。
ロサンゼルスにつきましては、ハリウッドの中心に位置する西海岸最大級のショッピングモールの中に所在しておりまして、来館者数は間もなく百万人に到達する見込みでございます。
この地域は、車社会であるということに鑑みて、現地の在住の方が来訪しやすい場所ではないので、ロンドンやサンパウロと比較すると、若干訪問者へのハードルは高いことは事実でございます。
しかしながら、精力的なPR、広報活動、SNSでの戦略的な展開などを駆使してきまして、二〇一九年から二三年の間の来館者数の伸び率は三拠点の中で一番高くなっております。
○安住委員長 手短に。
○岡野政府参考人 引き続き、こういった取組を進めてまいりたいと思います。
国際交流基金との関係でございますが……
○安住委員長 手短に。
○岡野政府参考人 はい。最後でございます。
オール・ジャパンの戦略的発信拠点としてジャパン・ハウスを運営しておりますけれども、今回、第三期、令和十年までの運営が決まっておりますが、それ以降のジャパン・ハウス事業の在り方については今後しっかりと検討していきたいと思っております。
○安住委員長 終わってください。
○武正委員 はい。
ロンドンは、ジャパン・ハウスに、国際交流基金、間借りをしている。サンパウロは、ジャパン・ハウスの隣に国際交流基金の拠点がある……
○安住委員長 終わってください。
○武正委員 以上で終わります。
○安住委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。
次に、神津たけし君。
○神津委員 長野三区の衆議院議員の神津たけしです。
私からは、まず外務大臣にお伺いしたいと思います、質問通告しておりませんが。
今朝、驚くべきニュースが入ってまいりました。アメリカのトランプ大統領の発言です。アメリカがガザを所有するという発言がございました。サウジアラビアやフランスは反発の声明を既に出しておりますが、外務大臣としてどのように思うか、また、声明を日本政府として出すのか、教えてください。
○岩屋国務大臣 トランプ大統領のその御発言は承知をしております。
我が国としては、ガザ地区で人道危機が継続していることを深刻に懸念をしておりまして、停戦合意の着実な履行を通じた人道状況の改善と事態の鎮静化に向けまして、当事者に対する働きかけを行っております。また、関係国・機関とも連携しながら、喫緊の人道支援に加えて、中長期的な復旧復興についても積極的な役割を果たす決意でございます。
この段階で申し上げられることは以上でございます。
○神津委員 今のは答えになっていないと思います。
もう一度伺います。
外務大臣としてどのように思うか、それから、日本政府としてちゃんと声明を出すのか、教えてください。
○安住委員長 岩屋外務大臣、質問は分かっていると思いますから、的確に。
○岩屋国務大臣 御案内のとおり、我が国は二国家解決というのを一貫して支持しております。その考え方に全く変わりはございません。独立国家樹立に向けたパレスチナ人の希望の実現に向けて、これからもそれを支援をしていきたいと思っております。
○神津委員 今のは答えていないですね。
もう一回お伺いします。質問をもう一回言いますので、よく聞いておいてください。
アメリカがガザを所有するという発言がトランプ大統領からありました。サウジアラビア、フランスは反発の声明を出していますが、外務大臣としてどのように思うか、それから、政府として声明を出すのか、教えてください。
○岩屋国務大臣 トランプ政権の一連の発言は、注意深く今後の経緯を見ていかなければいけないというふうに考えております。
我が方の考え方は、先ほどから申し上げておりますとおり、二国家解決というものの実現に向けて、引き続き支援を続けてまいりたいと思っております。(発言する者あり)
○安住委員長 ちょっと止めて。時間を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 速記を起こしてください。
神津君、もう一度質疑をして、岩屋外務大臣に答弁してもらいます。
○神津委員 アメリカがガザを所有するということについてどのように思うか、お答えください。それから、日本政府として声明を出すのか、お答えください。
○岩屋国務大臣 委員も御案内のとおり、例えば関税政策一つ取ってみても……(神津委員「関係ない」と呼ぶ)いやいや、当初の発言とやはり変わっていくということもあるわけでございまして、今般の大統領の御発言については、我々も重大な関心を持って注視をしていきたいと思いますが、その推移を見極めた上で、どう対応すべきかということはしっかり検討していきたいと思っております。
○神津委員 今のは答えていないと思うんですが。
もう少し、じゃ、ちょっとお伺いしますが、これから日米首脳会談が行われてまいります。そのときに石破総理から、この件について、アメリカがガザを所有する件についてどのように協議をするのか、話をするのか、教えてください。
○岩屋国務大臣 首脳会談においてどういうことが議論されるかということは、予断を持って申し上げることは控えたいというふうに思います。
いずれにしても、御指摘の件については、我々、注意深くこの推移を見ていきたいと思いますし、しかるべく対応していきたいと思っています。
○神津委員 それでは、トランプ大統領から、アメリカがガザを所有することについてどのように思うか、向こうから聞かれたら何と答えますか。
○岩屋国務大臣 仮定の質問にお答えすることは控えたいというふうに思います。
そういう御発言があったことは承知をしておりますけれども、本当に政策として確定していくのかどうかということも含めて、注意深く見ていかなければいけないというふうに思っております。
○安住委員長 ちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 速記を起こして。
もう一回、岩屋外務大臣、再答弁をよろしくお願いします。
○岩屋国務大臣 これまで様々トランプ大統領の御発言はございました。例えば、グリーンランドにしてもパナマにしても、最終的にどういう形で決着するかというのは注意深く見ていかなければいけないというふうに思っております。
その上で、我が方の考え方は、二国家解決が実現されなければならないということでございますから、それに資する対応が取られていくということが望ましいというふうに考えております。
○神津委員 私は、日本として、独立国家としての姿勢が今問われているというふうに思っております。その意味で、日本政府が、アメリカがガザを所有するのかどうか、そこに賛成なのか反対なのか、きちんと姿勢を示すべきだと思います。
その点についてお答えください。賛成なのか反対なのか。
○岩屋国務大臣 それを今、断定的に申し上げる段階ではないというふうに思います。
実際に米政権の方針がどういうふうに確定をしていくのかということを見定めた上で、我が方の考え方をしっかりと固めていきたい、また表明していきたいというふうに思っております。
○神津委員 今の御発言ですけれども、賛成する余地があるんでしょうか。アメリカがガザを支配する、賛成する余地があるんでしょうか。
○岩屋国務大臣 何度も申し上げておりますとおり、最終的に二国家解決が図られなければならないというのが我が国の考え方でございます。
○神津委員 今御発言されていましたけれども、やはり私は納得できない。ちゃんとした、もっと明確な答えというものが必要だと思うんですよね。
外務省として、日本政府として、きちんと声明を出していくのか、賛成なのか反対なのか、声明を出すのか、教えてください。
○岩屋国務大臣 繰り返し申し上げておりますとおり、この段階ではそれを断定的に申し上げる状況にはないというふうに思っております。
これから日米首脳会談もあるわけでございますが、様々な地域情勢、国際情勢についても議論がなされるというふうに思っておりますが、米政権の方針というものが確定していくということを見定めた上で、我が国の考え方をしっかりまとめていきたいと思っております。
その考え方の根本にあるのは、二国家解決が図られなければならないということでございます。
○神津委員 全くやはり納得できない発言ですが、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、別の質問、今日の質問、伺いたいと思います。
一つだけ、今日、私は、デジタル庁が今出している予算について大きな疑問を持っております。その点についてちょっと質問させていただきます。
今、デジタル庁、デジタル社会形成のための十の基本原則というのを日本政府は掲げておりまして、オープン、透明性というものを掲げておりますが、予算のオープン、透明性が確保されていないというのが実は大きな問題であるというふうに思っております。
昨年度、令和六年度のデジ庁予算は、九七%が情報システムに係る予算として計上されていましたが、肝腎の情報システムの予算の内訳が公開されていませんでした。一つの省庁の九七%もの予算がブラックボックスのままで、予算がこれまで通過してしまっておりました。
この点については、やはり私はもう少し丁寧に公開をすべきだというふうに考えておりますが、デジタル庁としてどのように考えているのか、教えてください。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
デジタル庁におきましては、現在、各府省の政府情報システム関係予算を一括計上しておりますが、これは、従来、各府省ごとに縦割りで予算計上をしてきておりましたが、そうしたことによる行政機関による重複投資を防ぎ、また、必要な見積りや配分を効果的、効率的に実施するために、デジタル庁で一括して要求して確保させていただいております。
一括計上予算の内訳を公表することにつきましては、予定価格が類推されやすくなり、入札における競争原理に弊害を生じさせ、契約金額が高止まりするなどのおそれがあることから、システムごとの内訳は公表すべきではないと考えているところでございます。
他方、情報システム関係予算の透明性を図る観点から、予定価格が類推されるおそれがない範囲で、令和七年度予算について、デジタル庁に一括計上している省庁別の内訳の公表はさせていただきました。
いずれにしましても、個々のシステムにつきまして、デジタル庁におきましては、一元的な各府省システム予算のプロジェクト監理を実施しまして、ガバナンスを利かせまして、年間を通じたレビュー等を通じまして、必要な経費について明確化、適正を図ってまいりたいと考えております。
また、その上で、個々のシステムで執行された実績金額を決算額として公表したいと考えております。
○神津委員 デジタル庁から、今、各省庁別の予算が、内訳が出されたと聞いて、恐らくメディアの方は非常に驚いていらっしゃるのではないかというふうに思っています。
これまでずっと何を言っても出してこなかったこの内訳がようやく出てきたというところでは評価するところではあるんですが、ただ、残念ながら、省庁別の予算が出てきたとしても、それぞれのシステムごとの予算というものが出てこなければ検証することができないんですね。
システムの妥当性があるのか、ここを検証することができないというところにおいて、しっかりとシステム別の予算というものを出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○穂坂副大臣 ありがとうございます。
ただいま統括官からもありました、これまで、政府の情報システムについては、各府省庁別に縦割りで予算計上してきた結果、システムがばらばらに構築され、行政機関における重複投資が発生していたこと、そして、各システムの個別最適を求める結果、過剰な仕様に予算要求が行われ、現行の事業者に依存するベンダーロックイン、これが生じやすい傾向になっていたことがありました。予算の縦割りによって経費が高止まっていることの、御指摘に対する反省があったものと承知をしております。
これらの弊害が政府全体のデジタル化の遅れの一因となっていたことも踏まえて、デジタル庁設置に伴い、政府の情報システムについて一元的なプロジェクト監理を導入して、情報システム関係予算については、他府省庁分も含めてデジタル庁が一括して要求、確保、配分し、執行する仕組みが設けられたところであります。これによって予算の縦割り化、硬直化を排除することで、災害やセキュリティー事案が発生した際などの緊急時にも機動的かつ柔軟に対応できる体制等を整えたものとなっております。
こうした過去の反省や経緯を踏まえて、契約金額の高止まり等を防ぐために、個々の情報システムの内訳をお示しすることは差し控えることとしております。
他方で、個々のシステムで執行された実績金額、これについては決算額として公表をしております。この点で御理解をいただき、引き続き、個々の政策に係る事業の内容等については、丁寧な説明で尽くしてまいりたいと思います。
○神津委員 今の御発言ですけれども、決算で公開していたとしても、予算で公表していないというところは、私はやはりこの予算審議というものを非常に軽視しているのではないかというふうに思っています。
多くの国民の皆さんはやはり苦労しながら税金を支払っていますので、この予算というものを審議して、そして国民の理解を得た上で議決をしていくというところが重要だと思っております。
この点について、理事会に諮っていただきたいと思います。
委員長、デジタル庁は、情報システムの整備・運用に関する経費で全省庁のシステムに係る予算を計上しております。適切な予算であるか、妥当性を検証するためにも、省庁別の予算では検証することができません。
来年度と、デジ庁発足以降の情報システムの予算の中に含まれる各々の全省庁のシステムの予算の内訳を提出していただけるよう、理事会で協議していただけないでしょうか。
○安住委員長 理事会で協議します。
○神津委員 少々時間がなくなってしまったので、一言申し上げさせていただきますが、今回、私、デジ庁の予算というものを見ていて、内訳が公開されていないという点については、国民の理解が促進できない、国民がやはり納得できない予算になってしまっているというふうに思っています。
そうした意味では、やはり内訳をちゃんと丁寧に公開していただくことをお願いいたしまして、もう一つ質問をさせていただきます。
それでは、デジタル庁の調達にも実は大きな問題があるというふうに思っております。
デジタル庁の令和五年度の調達において、随意契約、一者応札、二者以上の応札は何%であったか、また、それぞれの落札率は何%であったか、端的に、短く教えてください。
○冨安政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年度におけるデジタル庁の調達は、全三百八十五件のうち、一般競争の契約件数は百五十件、そのうち六十三件が一者応札で、一者応札の落札率は九四%となっています。
随意契約につきましても申し上げます。随意契約につきましては、契約件数は二百三十五件で、落札率が九九・九%となっています。
なお、随意契約のカテゴリーの中には、品質を確保する等の観点から、公募した上で随意契約を行う競争性のある随意契約という形態もございます。これは、今の二百三十五件の中に百一件含まれております。
以上でございます。
○神津委員 今のお話ですが、契約件数、随意契約が六一%、それから一般競争で一者応札が一六%、合わせて七七%、約八割が競争性のない契約となってしまっている。それから、契約金額についても、一者応札が三六・五%、それから随意契約が四一%、これも七七・五%も契約金額に対して競争性のない契約となってしまっております。
先ほど、当初、なぜ予算を公開しないのかというところで伺ったときには、やはり、私が思うところ、これは、競争性のない契約を進めてしまっているために、結局調達価格が高止まりしてしまっているというふうに思っております。そうした意味で、やはり予算の内訳というものを公開すべきだというふうに思っております。
それから、デジタル庁については、契約、随意契約それから一者応札が非常に多いというところにおいて、これからどのように改善していくのか、教えてください。
○穂坂副大臣 ありがとうございます。お答えさせていただきます。
デジタル庁としても、原則一般競争による公正かつ効率的な調達をすること、そしてまた、従来競争性のない随意契約を行ってきたものであっても、一般競争又は競争性のある随意契約、これを行えるよう今努めているところであります。
デジタル庁としても常日頃から適正な調達に取り組んでいるところでありますけれども、具体的には、新規性や創造性が求められる情報システムの調達案件については、高い技術力、専門性を有している中小・スタートアップ企業を含めた多様な事業者が参入しやすくなるように、令和五年度から、新たに競争性のある随意契約としてプロポーザル型の企画競争を導入し、積極的に活用しているところであります。
また、その他の改善の取組といたしましては、庁内におけるベンダーロックインを解消して、一者応札を減らすためのチェックリストの作成、活用、そしてスタートアップへの調達時の加点優遇措置、デジタルマーケットプレースの本格運用などを実施しております。
今後も、随意契約や一者応札改善等、調達環境の改善に積極的に取り組んでいきたいと思います。
○神津委員 令和五年度末に、デジタル庁ですが、令和六年度デジタル庁調達改善計画というものを出されました。それ以降に調達された状態が今のこの状態でもございます。そうした意味においては、令和六年度デジタル庁の調達改善計画というものは全く機能していないというふうに言わざるを得ないと思っていますので、この点について是非留意していただきたいというふうに思っております。
それから、もう一つだけ最後にお伺いいたしますが、デジタル庁というのは、民間企業との兼業をしていらっしゃる職員の方が非常に多いと思っております。ここについては利益相反があると思っておりますが、今、デジタル庁の常勤職員は何名か、それからデジタル庁の非常勤職員は何名か、教えていただけますでしょうか。
○冨安政府参考人 デジタル庁の職員数は、今年一月時点で、行政出身の人材が五百名、民間出身の人材が六百名、全体で千百名でございます。
行政サービスですとかシステムの品質を確保するために、各種の、エンジニアに加えまして、プロダクトマネジャー、サービスデザイン、セキュリティー、IDなどといった、あと法務とか、各分野に精通した専門人材を採用しておりまして、こうした民間出身の人材について、兼業している者は二百七十名になります。兼業している者は二百七十名になります。
○神津委員 民間企業と兼業している方も非常に多いというところですが、出身の民間企業、兼業していらっしゃる民間企業ですが、入札を禁止しているかどうか、教えていただけますか。また、例外規定をやっているか、教えてください。
○冨安政府参考人 デジタル庁では、入庁時に、全職員を対象として、利益相反等を行わないことやコンプライアンス方針に沿って行動することなどに関する誓約書を求めております。
さらに、調達の公平性を確保するために、予定価格が千八百万以上になる調達に関与する職員の兼業先等企業及びその親会社、子会社は、原則として当該調達案件への参加を禁止とする厳格な入札制限ルールを設けております。
ただ、このルール上、入札制限対象企業は、入札制限の適用除外を申請することは可能ですが、申請に当たっては、当該調達案件の仕様書の内容等について兼業職員と連絡を取っていないことですとか、仕様書作成開始日以降に兼業職員との接触履歴の提出を行うこと、公平性に疑義が生じた際に監査を受け入れること等の条件の遵守を誓約いただくこととなっております。
また、実効性担保のために事後的なペナルティーを設けており、入札等の公正が害されたことが認められた場合には契約を解消することとしております。
以上でございます。
○安住委員長 神津君、終わってください。
○神津委員 民間企業との兼業ですが、コンプライアンス委員会の中でも性善説に立ち過ぎているというふうに言われておりますので、是非とも、利益相反を避けるために、兼業元の入札は例外なく一律で禁止することをお願いし、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて神津君の質疑は終了いたしました。
次に、西田薫君。
○西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。
私、昨年十月に初当選をさせていただきました。それまでは、大阪で市議、府議と地方議員を二十二年しておりまして、さらに、その前は、参議院議員の吉村剛太郎先生、福岡選出の自民党の議員でありますが、国会担当秘書を十年務めておりました。秘書時代はよく傍聴席で議員の質問を傍聴しておりましたが、二十二年の時を経て、秘書、市議、府議、そして今回、私が議員バッジをつけてここで質問をさせていただきます。しっかりと質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず初めに、大学の無償化についてお伺いをさせていただきます。
今回、これは少子化対策、そして経済的負担軽減という観点から大学無償化をされるというふうに聞いております。先般、文科省から資料をいただきました。その資料の一部を、分かりやすい絵に描いた資料を今日はコピーさせていただいて、各委員の皆さんには配付をさせていただいているかと思うんですが、今回、多子世帯ということで、この資料にも書いているんですが、扶養する子供が三人以上の家庭に対しては大学を無償化していくということであります。これは、第一子の方が大学に進学をしました、すると無償の対象になる、翌年若しくは二年後、第二子の方が進学しても無償化になるということでありますが、表の一番右端ですね、大学院は少しおいておきまして、第一子の方が就職をすると、この無償の適用から外れるということなんですよね。
本来、私、少子化対策ということを考えるのであれば、やはり第二子、第三子もしっかりとこの無償化の対象にすべきだということをまず基本的に思っているという下で質問させていただきたいと思うんです。
この表にも書いているとおり、第一子が就職をしてしまうと第二子は対象から外れる。じゃ、第一子の方が就職をしました、しかし、病気、事故、けが、また、ちょっとこの会社は合わないなという思いから退職をしてしまってもう一度親の扶養に戻った場合、こういった場合には第二子以降はどうなるか、まず御答弁ください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの、第一子が就職後に何らかの事情で離職をし、また再び扶養になった場合には、扶養する子供として多子世帯支援のカウントの対象となることから、大学等へ進学又は在学している第二子以降の兄弟がいる場合には、本制度の支援対象となると考えてございます。
○西田(薫)委員 これは非常にややこしいと思うんですよね。これはまたいろいろなケースが想定されると思うんですよ。例えば、三人の子供さんがいらっしゃるという中で、お父さん、お母さんが離婚された、じゃ、そういった場合にはどうなるのか。これは三人から外れますので対象外になろうかと思うんですが、今度、さらに、再婚した場合はどうなるのか。それぞれ子供さんが、実はうちの親が再婚したので、もう一度この無償化の対象ですという申請をするのかしないのか。
これは本当に、非常にややこしいんじゃないか、複雑じゃないかなというふうに思っておりますし、少子化対策ということを考えるのであれば、三人産み育てていただいたということから、全員がやはり私は対象にすべきだと思うんですね。
もう一つ、この表にも書いているんですが、例えば年子であれば、第一子の方が入学をする、さらに、翌年は第二子の方が入学して対象になる。第一子の方は四年間無償化の対象になるということですが、第二子は三年間、第三子は二年間が無償化の対象になるというようなことになっているんですが、例えば、四年離れていた場合、十年離れていた場合、大学院のことを考えると六年、八年離れていた場合、そもそも第二子、第三子は対象外ということなんですよね。
今回、文科省の試算の、支援対象になるのは四十一万人というふうに聞いているんです。では、そういった中で、十歳年が離れている子供たちはこういった積算人数に入っているかどうか、この辺りを御答弁願います。
○伊藤政府参考人 お尋ねをいただきました、来年度の予算に盛り込む中で、最大で四十一万人という推計を出してございますが、この対象人数の試算に当たりましては、大学等に進学する三人以上の兄弟の年齢構成は様々であり、実態に応じた試算を行うことは難しいことから、厚生労働省が実施をしてございます出生に関する統計を用いまして、三人以上の兄弟の年齢構成の中でも最も平均的な年齢差、これが三人兄弟の年齢差、それぞれ二歳差、これを勘案いたしまして対象人数の試算を行っているところでございます。
この試算であれば、対象となる学生全員を支援するのに十分な数を見込んでいるということでございます。
○西田(薫)委員 それにしても、今、大ざっぱな算定人数だと思うんですよね。
そこで、大臣、やはりこれは複雑です。少子化対策ということから考えれば、やはり第二子、第三子も無償化の対象にすべきだと思うんですね。
例えば、第一子の子が来年就職になる。じゃ、自分の弟なり妹が今、大学無償化の中で、進んで、喜んで大学に行っている。でも、自分が就職することによって自分の弟や妹が今度は無償化の対象から外れてしまう。じゃ、果たして自分が就職することがいいんだろうか、兄弟間でそういった気持ちを持ってしまうということも考えられるんですよね。
一時的に教育に費用がかかるということでこういった制度にするというんだったら分かるんです。しかし、教育というのは、一時的に費用がかかるものだけじゃないと思うんですよ。ずっとやはり教育費というのはかかるわけであって、本当に少子化対策ということを考えるのであれば、私は、第二子、第三子も、就職している就職していないにかかわらずに無償化すべきだと思うんですが、もう一度、大臣の御所見をお願いします。
○あべ国務大臣 多子世帯の支援におきまして、子供三人以上を扶養していることを要件とさせていただいている。例えば、先ほど委員がおっしゃったみたいに、第一子が大学に進学して下の子が高校生と中学生であるという、三人以上を同時に扶養している期間が最も経済的な負担が重い状況にあるということは、私ども調査をさせていただいている中でありまして、また、財源が大変限られておりまして、そうした中で、負担が集中している期間の世帯を優先して支援することに今回させていただいています。
まずはこうした拡充を着実に実施をさせていただいて、その上で、教育の機会均等、少子化対策の観点から、その効果を見定めさせていただきながら取り組んでまいります。
○西田(薫)委員 少子化対策にはなっていないと思いますよ。
先ほど財源の話もしました。財源はどうするんだという意見も出ていましたが、それについて、後ほどちょっと話もさせていただきたいというふうに思っております。
しっかり、やはり少子化対策ということであれば第二子、第三子も、兄弟間で何か、弟、妹を思うがために自分の就職をちゅうちょするというようなことがないような制度にしてもらいたいというふうに思っておりますので、もう一度これは再考していただきたいなと思っていますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に移りたいと思います。
次は、ちょっと順番を変えまして、先ほど、教育の無償化について、大臣の御答弁を聞いておりますと、少し認識が違うなというふうに感じましたので、先に教育の無償化についてお伺いをさせていただきたいと思うんです。
先ほども、委員の質問の中でキャップ制度の話がありました。これは大阪版の授業料無償化の話なんですね。キャップ制度、確かに、建学の精神、建学の自由を損なうんじゃないかということで大臣の御答弁があったんですが、キャップ制度に少しマイナスイメージを大臣はお持ちじゃないかなという思いで、こういった背景、この事実を御存じかどうかという認識を御答弁願いたいんですけれども。
そもそも、大阪府の教育の無償化、これは平成二十二年に制度を創設をいたしました。当時は上限五十五万円。その当時の平均授業料というのは五十五万円だったということから五十五万円にしました。そしてキャップを設けた。これは、年収三百五十万未満の世帯の皆さんに高校の無償化、そしてキャップを設けた。これは、セーフティーネットという観点からキャップを設けさせていただいたんです。
私学団体の皆さんは、本当に一生懸命頑張っていただいているとは思います。しかし、性善説、性悪説の話をするつもりはないんですけれども、例えば、授業料が五十五万円まで公費負担になるということになれば、私学は、授業料を六十万円までにしても、家庭の負担は五万円だったら私学に通ってもらえるんじゃないか。そういうことはないと思うんですけれどもね。
これは、年収三百五十万未満の世帯です。平成二十二年の最初の制度が創設したときには、三百五十万未満にはキャップ制度を設けて、その五十五万円を超えたら学校が負担をしてくださいというのがそもそものこのキャップ制度なんですよね。
そういった中で、今年度からは全額無償化になっております。しかし、経過措置として、年収八百万円以上の皆さんは、学校負担じゃなくて保護者負担に今なっているんですよ。現に、大阪におきましては、支援対象校が九十四校あります、そのうちの二十五校は、このキャップ、上限を超えた授業料を設定しているわけです。これは二十五校あるわけなんですよね。
ですので、当初、キャップ制を設けるに当たって、私学団体から猛反発を受けました、批判も受けました。しかし、それよりも、年収三百五十万世帯の皆さんに寄り添おう、その皆さんの保護者の方、そして生徒さんたちに寄り添おうという思いから、私学団体の反発を受けたとしても、我々はキャップ制度をした。
こういった背景、大臣は御存じですか。
○あべ国務大臣 大阪方式の高校無償化の部分でございますが、まず、国における高校生の就学支援でございますが、これは所得制限を設けることで捻出した財源で低所得者に対しての支援を拡充するという、限られた財源の中で有効活用し、教育の機会均等に向けて支援をしてまいりました。
そうした中で、所得制限を撤廃して無償化すべきという御指摘に関しましては、やはり、教育の質の向上を含めまして、教育に関する重要施策が様々ございますので、そうした観点で総合的に考える必要があるんだと思っております。
また、公立の高校に関しましては、昨日も石破大臣がおっしゃっておりましたが、実は、公立高校の中でも専門高校と言われるところが予算が大変かかるところなので、そこはやはり公的教育の中でしっかり守らなきゃいけないというふうに私どもも考えているところでございます。
○西田(薫)委員 いや、私は、キャップ制度の背景がセーフティーネットから来ていたということを御存じかどうかを聞いているんですよ。財源云々の話はしていないんですよ。そういった背景がある中でキャップ制度をやった、私学団体から反対を受けたとしても、三百五十万世帯の皆さんに寄り添おうという思いからキャップ制度をした、そういったことを御存じですかと聞いているんです。(発言する者あり)
○安住委員長 御静粛に。
○望月政府参考人 今委員の方から、大阪方式についての経緯がございました。
令和五年度以前、御指摘のとおり、キャップ制をしく中で、年間八百万未満世帯だったところが、六年度から学年進行で六十三万まで。保護者負担は発生しないということであったということを承知しております。(発言する者あり)
○安住委員長 あべ大臣、知っていたか知っていないかということについてお答えください。
○あべ国務大臣 最初、創設のときに、セーフティーネットという考え方であったということは存じ上げております。
○西田(薫)委員 そこなんですよね。先ほどの大臣の答弁の中でも、このキャップ制度のデメリットの部分、建学の精神、確かに学校の自由度というものは損なってしまうと思うんですよ。それでも、こういったものをしっかりやっていかないといけないということのその部分の答弁がなかったので、どうもそのマイナス部分ばかりになっていたんじゃないかなというふうに思いましたので、これを再度聞かせていただいたということなんですね。
それで、私、次の質問に移りたいんですけれども、もう一つ、自民党さんの方からも、今、その財源はどうなるんだという話がありました。
これは以前に、大阪で教育無償化をしたとき、たしかあれは石破総理だったと思うんですが、東京も大阪も財源があるからというような御答弁やったと思うんですが、全く違います。大阪、財政は赤字でした。ずっと続いておりました。これを十二年、十三年かけて、減債基金からの借入れもずっとしていたんです、それを、ようやく十二年、十三年かけて減債基金も復元をさせていただいた。ありとあらゆる行財政改革を徹底して、これまで大阪はやってきたんです。
かといって、あらゆる施策を停滞させてはならないということから、例えば中学校給食においてもそうです。全員喫食をしようということから、財源がない、だったら、まず我々が議員報酬を削減しよう。これは、いまだに大阪府議会議員、三割カットしています。全国四十七都道府県議会議員の中で一番議員報酬が安いんですよね。議員報酬が、カットしたから、その分の財源に充てられるかといったら、到底充てられないです。そんなの百も承知です。
ただ、覚悟を持って我々が示すことによって、府庁全体、職員の皆さんもついてきていただけるということからそういうこともやってきたということで、大阪は財政が豊かだから教育の無償化ができているわけじゃないですから。平成二十二年にやったときは財政赤字でした。そのこともしっかり御認識いただきたいというふうに思っております。
次の質問に移りたいと思います。もっともっと言いたい話はいっぱいあるんですが、次の話をさせていただきます。
次、給特法、そして職員の皆さんの処遇改善について質問させていただきます。
これは、昨年の十二月の、我が党の金子参議院議員から、参議院予算委員会におきまして、補教手当というのを提案をさせていただきました。そのときに加藤財務大臣は、非常に傾聴に値するということで、前向きな御答弁をいただいたんです。今回、この法改正において、この補教手当、一切加味もされておりませんし、この補教手当の説明をしてしまうとまた長くなるので今回は割愛させていただきますが、前回は非常にいい御答弁だったんですが、補教手当について、再度、加藤財務大臣の御認識をお伺いします。
○加藤国務大臣 たしか金子委員から御質問をいただきまして、補教手当、概要は説明いたしません、いわゆる職務の重さとか状況に応じてめり張りをつけていくという一つの考え方に立ったものだというふうに認識をしております。
いろいろ議論する論点はあるものの、そういった観点に立って物を考えていく、これに対しては傾聴に値する、その思いを申し上げさせていただきましたし、今回もそうした観点から、視点に立った形で、制度を文科省とも相談をしながら見直しをさせていただいているというふうに認識をしています。
○西田(薫)委員 今回のこの法改正といいますのは、担任教諭に対する加算というふうになっていまして、時間外勤務時間の削減というのにはなかなか、果たして今回のこの改正で実現できるのかなというのは非常に疑問に思います。
確かに、今回、時間外勤務時間の削減という目標は示されております、大臣。その中で、業務量管理・健康確保措置実施計画、これを策定し公表するということですよね。公表するということが削減の実効性の担保というふうになっているんですけれども、これではなかなか実現できないんじゃないかなというふうに私は考えているんですね。
そこで、しっかりと、時間外勤務時間の削減、この具体策をこの改正案に盛り込むべきだと思っておりますが、大臣の御所見をお伺いします。
〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕
○あべ国務大臣 委員がおっしゃるように、時間外の在校時間の削減、しっかりとやっていかなければいけないと私どもも思っておりまして、特に学級担任の手当の加算につきましては、いわゆる教師の職務と勤務状況に応じた処遇を実現するための経費の計上でございますが、一方で、おっしゃるように、先生方、教師の厳しい勤務実態がある中で、やはり働き方改革を更に加速をしていきながら、また、学校の指導と運営体制の充実を確実に進めていくということが大切だと思っておりまして、特に、時間外の在校時間を縮減する仕組みということに対しては、働き方改革、この取組状況の公表、委員がおっしゃったみたいに、これを制度化していきながら、また業務の適正化の徹底をさせていただく。
そうした中にあって、今、令和七年度の予算案におきましては、小学校の教科担任制の拡充、さらには、生徒指導担当教師の配置の拡充のため、過去二十年間で最大の定数の改善を盛り込むとともに、また、令和八年から中学校三十五人学級のための定数改善を行うということで、時間外在校時間の縮減をするために総合的に対策をしてまいります。
○西田(薫)委員 もう少し答弁を短くしてください。
学級担任に対する加配というのが、私はこれはもっと考えないといけないんじゃないかなというふうに思うんですけれども。担任の方といっても、確かに御負担は多いです、でも、いろいろな教職員の方々がいらっしゃるんです。もう余り時間がないので詳しくはお話しできないんですけれども、大阪におきましては、自らの思想を生徒たちに押しつけるような思想教育であったり偏向教育、こういった指導をしている教員の方もいらっしゃるんですよ。
具体例を少し簡潔にお話ししますと、例えば、小学校の給食のときです。給食のときに、その先生は、韓国語でいただきますを生徒に言わせるんです。これは日本の公立の小学校の話です。さらに、給食は各班で分かれて食べるんですが、その班に行って、韓国、朝鮮の文化、歴史、これを生徒たちに教えるんです。学校の休憩時間中、廊下ですれ違うときには韓国語で挨拶をしないといけない。これは日本の公立学校なんですよ。こういった教育が大阪ではなされていた、なされている。
私も、多くの保護者の皆さんから聞いて、これは本当にそうなのかなということで、大阪府の教育常任委員会でこの質問をさせていただきました。一度調査をしてくださいということで、常任委員会でも話をさせていただきました。すると、大阪府教育委員会からも、そういう実態があるという正式な答弁もいただいているんですよね。
ある保護者の方が言われたんですけれども、私の子供は、学校から帰ってきたら、アリランを覚えてきた、これは別に構わないんです、アリランを覚えるのは全然構わないんです、ただ、私の子供はいまだに国歌君が代を歌えないんです、これは日本の学校ですか、こう保護者にも言われたんですよ。こういった教育も大阪ではなされていた、なされている。
この現状について、文科大臣の御認識、御所見をお伺いします。
〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕
○あべ国務大臣 御指摘の事案は、実は把握はしていないところでございますが、地域や学校の実情を踏まえた上で、国際理解また他国の文化を教える活動が行われることは十分にあり得ると考えている中にありますが、国歌を含め、学習指導要領で定める内容はしっかりと指導していただく必要があります。
保護者の理解も得ながら進めていくことも重要と考えておりますが、まず、このような考え方に関しまして、御指摘の自治体にしっかり伝えてまいります。
○西田(薫)委員 しっかりと教育の正常化に向けて取り組んでいただきたいんですよね。こういう質問こそは、官僚の用意した答弁じゃなくて、政治家なので、政治家の思いとしてやはり答弁をいただきたいんですよ。
もし私がその立場だったら、野党からこういう質問が出たら、私、堂々と答えますよ。教育の正常化に向けて陣頭指揮を執っていきます、私だったら言いますよ。やはり、私、未来ある子供たちに、この国に生まれ育ったこと、誇りと自信を持ってほしいんですよね。そのためには、もっとしっかり、大臣、陣頭指揮を執って、そういった教育の正常化、まずやっていただきたい。
これ以上もう答弁は求めません、時間がありませんので。しっかりと、官僚の用意した答弁じゃなくて、政治家として、こういった質問に対しては答弁をいただきたいということだけ申し上げておきます。
時間があと二分を切りましたので、せっかく今日、外務大臣に来ていただいておきながら、外務大臣への質問をちょっと割愛をさせていただこうと思っているんですが、ただ、私、外務委員会に所属しておりますので、また委員会等々で質問をさせていただければなというふうに思っております。
ただ、一点だけです。
先般、先日のこの予算委員会におきましても、大臣の宿舎に不審者の件、この質問があったと思うんです。そのときに、その質問者は、盗聴器というのはしっかり調査をされましたかという質問に対して、大臣は、いや、見た感じ盗聴器はなかったと。その御答弁で、この予算委員会の皆さんが、ええっとどよめいたと思うんですよ。
盗聴器というのは見えるところに置いていませんから、見えないところにありますし、目で見て分かるようなものじゃないんですよね。これはしっかり調査すべきだと思うんですが、一回これは委員会で質問を受けています。その後に調査をされましたかどうか、お伺いします。
○岩屋国務大臣 多くは申し上げませんけれども、私は、当事者の方と二言三言、会話を交わしました。そのときだけだったかもしれませんけれども、精神的にかなり不安定でいらっしゃるなというふうに見受けましたので、そのままお帰りをいただいたということでございます。その御心配はないというふうに思っております。
○西田(薫)委員 いや、危機管理という観点からしても、やはり盗聴器があるかもしれないという、そういう調査をするということが大事だと思うんですよ。
もういよいよ時間がないのでこれ以上言いませんが、本来であれば、冷蔵庫の中のものであったり、これはもったいないですよ、もったいないですが、全て破棄する。これが本当の危機管理意識じゃないかなというふうに思っておりますし、世界が注目しているんですよ、日本の外務大臣ということで。その辺りをしっかり、そういった御認識を持っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終了させていただきます。
○安住委員長 これにて西田君の質疑は終了いたしました。
次に、平林晃君。
○平林委員 公明党の平林晃です。本日は、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まずは、あべ大臣、この度のH3ロケット打ち上げの四回連続成功の件、本当におめでとうございます。今回は、人工衛星も所定の軌道に投入されたということで、百点満点の打ち上げだったのだろう、このように思っているところでございます。
一昨年三月、初号機の打ち上げが衝撃の結果に終わりまして、あのときは本当に奈落の底に突き落とされる中、関係者の皆様は本当に血のにじむ御努力をされて、ほぼ一年後の二〇二四年二月に二回目の打ち上げに成功されて、今回の実績まで積み上げてこられました。関係の皆様に心から敬意を表させていただきます。
そしてまた、今次予算案には、様々な計画が盛り込まれております。こうした計画が順調に遂行されますこと、そして、日本が宇宙分野においても世界と戦える実力を確実につけていただくこと、このことを切に願っておりまして、これはエールだけということで述べさせていただけたらと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
宇宙分野とともに、日本の科学技術を牽引する重要な役割を担うのが最先端の大型研究施設であります。放射光施設ナノテラスとSPring8、陽子加速器J―PARC、そしてスパコン「富岳」、今次予算案では、これらの設備の整備や運用に合計五百億円の予算が計上されていると認識をしております。そして、ちょっと遡って恐縮ですが、令和六年度補正予算においては、次世代機を開発をしていくために、SPring8に百七十億円、「富岳」に六十九億円が措置をされていると認識をしております。
私の専門に近い「富岳」に関して申し上げれば、四年前の共用開始当初は、四期連続で世界首位を獲得をしておられる、これは計算速度ですね。現在においても、特化したアプリケーションという二部門で十期連続の首位を守られている。これも本当に、イノベーション、競争が激しい分野ですごいと思いますけれども。基本の速度では、トップだったものが、今六位まで落ちてきている。次世代機においては、これを再び世界のトップに押し上げるとともに、AI時代に対応した最先端のスパコンを整備するとしておられると伺っております。
これらの次世代機開発は、それぞれ重要なプロジェクトであり、それぞれの分野で成功を期待するのは当然と思っておりますけれども、その上で、こうした最先端施設が分野を超えて連携をすることによりイノベーションを加速させていくこと、このことを期待をしております。
既にSPring8と「富岳」を連携させたプロジェクトは複数走っているところではございますけれども、これを次世代設備においても今から御検討いただいて、さらには、ラピダスを中心とする半導体プロジェクトとも連携をして、次世代機やその次の世代の設備も視野に入れて、日本の勝ち筋を見出していただきたいと考えております。
文部科学大臣の御見解を伺います。
○あべ国務大臣 まさにSPring8は、現行の百倍となる世界最高峰の性能を持つSPring8―2の高度化を二〇二九年度を目指して進めておりまして、また、従来よりも高性能のデータを短時間で取得できるようになるところでございます。
また、委員のおっしゃった「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステムに関しましても、遅くとも二〇三〇年までに世界最高水準の計算能力を提供することを目指しているところでございます。
これらの最先端研究は、産官学に広く活用されることで、生成AI、量子技術、また半導体、委員のおっしゃる半導体産業への大きな貢献が期待されるところでございまして、次の世代の更に次の世代も考えた形で、世界最高水準の大型研究施設の整備、共用、高度化をしっかり進めてまいります。
○平林委員 ありがとうございます。
宇宙開発といい大型研究施設といい、本当にわくわくしてまいります。若い人たちにも積極的に発信をしていただいて、人材育成にもつなげていただきたい、このようにお願いを申し上げます。
続きまして、国立大学教職員の賃上げについてお聞きをいたします。
本日の委員会におきましても、大学の無償化については様々な観点から議論がなされていると認識をしております。一方で、その中身、大学の中についてはその議論は圧倒的に少ない、このように感じているところでございます。私は、その観点から質問させていただきます。
言うまでもなく、国立大学教職員の給与原資は運営費交付金であります。今次予算案においては、昨年と同額を堅持していただいております。ただ、この状況で賃上げをしようとすると、どこかが足りなくなります。
実際、一部の大学においては、他経費を切り崩して教職員給与を支払っているという声が聞こえてまいります。その分、教育環境の整備、あるいは競争力の向上の部分に手が回らなくなってまいりますし、頑張って賃上げをしているところでも、本来であれば二〇二四年四月から適用するところを今になってようやくできている、あるいは、今年度は無理で来年度からやる、そういった大学もあるというふうに聞いているところでございます。
やはり運営費交付金の拡充はどうしても必要と考えますけれども、文部科学大臣の御見解を伺います。
○あべ国務大臣 国立大学法人運営費交付金でございますが、実は、人件費、物件費などを問わず柔軟に活用できる仕組みとしている中でございますが、昨今の人件費、物価の高騰を踏まえまして、令和七年度当初予算案に関しましては運営費交付金を一兆七百八十四億円計上するとともに、先般の補正予算におきましても、設備の更新等といたしまして、昨年度補正予算の約一・五倍となる百八十億円を確保しているところでございまして、引き続き、各大学の教育研究環境の充実にしっかりと取り組んでまいります。
○平林委員 ありがとうございます。
補正予算も積んでいただいておりまして、大学の現場に関しましても、御礼申し述べるということも私の元に届いておりますが、本当に厳しいということはございます。
今回の中教審の答申におきましても、知の総和を向上するということが言われているところでございます。学生数はぐっと減る、だからこそ、一人一人のクオリティーを上げていく、クオリティーという言葉がいいかどうか分かりませんけれども、教育の質を高めたりしていくということなわけですけれども、これはそう簡単ではないんですね。人は勝手に育たないんです。
本当に大学教員は、僕も経験者ですけれども、死ぬほど頑張って、一人の学生に対して教育、向き合って、今ちょうど、二月の今日は六日ですかね、恐らく大学の現場においては卒論発表会であるとか修論発表会、こういったものをちょうどやっているところであります。そこに至るまで、僕も本当に寝ないで指導してまいりました。これをやって、終わった後に学生から、ああ、よかった、あれをやったから自分はこうなれた、こういうコメントがいただけるんですね。これをもって大学教員はやりがいを見出して、本当に、また来年も頑張ろう、こう思っているんですけれども、それでも、やはり、例えば私大の方が高いとか、あるいは海外の大学の方が高いとか、企業の方が高いとか、こういうふうになっていくと人材というのは流出をしていきますし、実際にそれは起きています。
こういったことは本当に国立大学にとってマイナスのポイントになっているのではないかなというふうに思いますので、これは本当に真剣に議論していかなくてはいけないポイントなのではないかなというふうに思っております。
これは、やはり文部科学省だけではない話だと思います。加藤財務大臣もおられますけれども、やはり本当に一緒になって、これをどうしていくのかということは、真剣にこれから、僕も一緒になってやらせていただきますけれども、議論させていただきたい、このように思っておりますので、是非ともよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、今お給料の話をさせていただきましたけれども、今度は研究費の話をさせていただけたらというふうに思います。
科研費という研究費、皆様も、御存じの方もたくさんいらっしゃるというふうに思いますけれども、科研費というのは、大学ではなくて、教員個人でありますとか、教員が何人かでグループをつくって、そして申請をしていく、こういう性質の競争的資金でありまして、これが基本的な、今や運営費交付金から研究費が下りてくるということはもうほぼなくなってまいりましたので、二十年前、三十年前であれば少しはあったんですけれども、今は本当になくなってしまいました。なので、科研費を取らなければ大学教員は研究できない、こういう状況になっております。
ただ、科研費に関して、研究者の中では評価は高くて、公平性は非常に高いというふうに言われていて、優れたシステムと捉えられているということでございます。
今次予算案においては、前年度比プラス二億円、二千三百七十九億円が措置されていて、基盤研究種目、ここが一番ポイント、メインになるわけですけれども、A、B、Cといろいろありますが、国際性評価を取り入れた拡充がなされており、関係者の御尽力に心から感謝を申し上げるところでございます。
その上で、今後、より一層の拡充、ここもお願いしたいというふうに思っておりますし、その拡充をしていくに当たって、研究者の意見、現場に知恵がありますので、それを取り入れた制度設計、この部分も是非お願いしたいというふうに思っているんですけれども、この点についても大臣の御見解を伺います。
○あべ国務大臣 科研費におきましては、本当に国際性の評価が高い採択課題の重点配分を今まさに行っているところでございますし、また、国際・若手支援強化枠、この創設で充実を図ってまいりました。
そうした中で、質的充実を図ると同時に、抜本的な量的拡充を求める、目指すべきという声もある中にありまして、科研費に関する御意見、御要望受付窓口、ここをしっかりと持っていきながら、特に学術システム研究センターの仕組みを設けているところでございました。
こういう仕組みの一層の活用を通じて、今後の改善充実に向けた検討を、しっかりと現場の意見を聞かせていただきながら進めてまいりたいというふうに思います。
○平林委員 ありがとうございます。
センターの仕組みを整えていただいているということでありまして、そこは非常にありがたく思っているところでございます。
その上で、意見の聴取の、吸い上げの仕方として、センターだと分野ごとになると思うんですね。研究分野ごとになると思います。それはそれで全然問題ないと思いますけれども、それに加えて、大学に投げかけるということも全然ありだというふうに思っております。学界から聞くことと大学から聞くことというのはちょっと角度が変わってくる可能性があると考えておりまして、そういった意味におきましては、両方の吸い上げの仕方も是非御検討いただけたらというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
以上、運営費交付金、科研費についてお聞きしましたけれども、今、日本の大学を取り巻く環境は危機的と私は認識をしております。中教審でも議論されておりますけれども、学生数が急減する二〇四〇年、これはたった十五年後でございます。ここで学生ががっと減る。このとき以降をどうしていくのか。このことは早急に見定めていく必要があるというふうに考えております。
現場の意見、さっきから何度も申し上げていますけれども、大学というのは、現場の意見がなかなか吸い上がってこない組織でもあるんですね、業界団体みたいなものが非常に弱いので。そういった意味におきまして、これは、やはりちょっと工夫をしながら次の時代を切り開いていく議論をお願いできたらというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。
それでは、文科関係は以上にさせていただきまして、続きまして、外務大臣に少しお聞きをさせていただけたらというふうに思っております。
核兵器禁止条約第三回締約国会議への日本政府のオブザーバー参加について伺わせていただきます。
石破総理大臣は、核の傘の下にいる他国の例を検証する、このように言ってこられたわけでございます。しかしながら、検証の中身、今どのような検討状況にあるのか、そういったことは政府から公式には発表されていないと認識をしております。また、参加するかしないかにつきましても、現状では公式に発表はされていないと認識もさせていただいております。この間、様々な報道がなされております。昨日も、海外から漏れ伝わってくる、そんなような内容も報道されているところでございますが、これもあくまで非公式なものというふうに捉えています。
いずれにいたしましても、やはり国会の場できちんと議論する、国会の場で議論をするということは重要と考えておりまして、それこそがやはり総理が言っておられる熟議の国会なのではないかなというふうに思います。
決定、結論、これはいろいろあるかもしれません。でも、そのプロセス、どういう議論をしていったのかということは、これは大事だというふうに思います。どんな点を検証して、どんな検討を行っておられるのか、国民は強い関心を持っております。
その意味で、外務大臣にお聞かせいただきたいんですけれども、現在の検討内容、可能な範囲で結構ですので御共有をいただければと思っておりますし、さらに、それをどう生かして結論を導き出していこうとされているのかについても、可能であれば、御教示いただけたらと思います。
○岩屋国務大臣 この核禁条約へのオブザーバー参加については、委員御指摘のとおり、現在、検証を行いつつ、熟慮をしているところでございます。
二〇二二年六月、また二〇二三年十一月、二回締約国会合が開催されておりますが、いわゆる核の傘の下にある国々の参加は、第一回目が五か国、第二回目が四か国でございました。
それらの国々についてごく一部申し上げますと、例えば、オランダは、第一回会合の後、外務大臣から下院議長に宛てて、今回の参加経験に照らして、オブザーバーとして更に参加することには意味がないと結論づけると述べる書簡を提出し、第二回目の締約国会合には参加しなかったという事例がございます。
また、スウェーデンとフィンランドは、NATOへの加盟を申請した直後に行われた第一回会合にはオブザーバー参加をしておりますが、フィンランドのNATO加盟が認められた後の第二回会合には、いずれも参加をしておりません。
今、こうした国々がどのような経緯で参加に至ったのか、また参加を取りやめたのか、各国の内政及び外交、安全保障上の課題、さらには、これらの国々と同盟国との関係など、公開情報だけではなくて、各国政府からの情報収集により把握に努めているところでございます。
政府としては、オブザーバー参加の是非について、こういった事実関係に加えまして、我が国の安全保障にいかなる影響があるか、あるいは、唯一の被爆国として、核軍縮において実質的な進展を得るためにはいかなる取組が真に効果的なのかという点を熟慮した上で、対応について判断をしていきたいと考えております。
○安住委員長 平林君、時間が参りました。
○平林委員 はい。
時間が来ましたので終わりますけれども、被団協の皆様も、これが最後のチャンスであるというふうに言っておりますので、是非丁寧な御議論をよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて平林君の質疑は終了いたしました。
次に、山川仁君。
○山川委員 れいわ新選組の山川仁と申します。どうぞ本日はよろしくお願いいたします。
まず、早速ですが、文科大臣にお聞きしたいことがたくさんあります。
石破総理は、自民党総裁選の中で給食無償化を訴えて、石破内閣が誕生しました。その石破総理は、総裁選のときに、手当より無償化の方向で支援の在り方を見直しますというふうに力強く訴えておりました。
そこで、参考までに少しお聞きしたいんですが、大臣は、閣僚会議などで総理から学校給食の無償化の話が出たのか、若しくは、あべ大臣の方からその無償化について何か進言があったのか、そんなようなお話がありましたら、伺います。
○あべ国務大臣 学校給食費の無償化に関しましては、課題の整理をするように私どもに指示がございまして、その整理を行わせていただいたところでございます。
○山川委員 ありがとうございます。
それでは、全国知事会、若しくは全国市長会、町村会等々、各政党からも、一日も早く学校給食の無償化を求める要望が毎年届いているかと思いますが、学校給食無償化についての国民に対する政策効果として、大臣の認識をお伺いします。
○あべ国務大臣 この無償化に関しまして、まずは課題の整理を私どもはさせていただきました。やはりそうした中で、児童生徒間の公平性、また支援対象の妥当性、国と地方の役割分担、さらには少子化対策としての政策効果、財源といった課題があることが分かりました。
私どもは、でも、こういう厳しい物価高騰が続く中でございますので、まずは令和六年度補正におきまして、重点支援地方交付金のいわゆる推奨の事業のメニュー分として〇・六兆円が計上されまして、まずは給食費の保護者負担の軽減に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○山川委員 ありがとうございます。
そういった課題がありつつも、学校給食について、現在のこの社会の中において、給食だけが子供たちにとって大事な食事ができる時間、若しくは、給食だけがその日の食事、御飯となるというお子さんも多くいるというふうに伺っておりますが、そのような声を、文科大臣として、その国民の声を聞いたことがありますか。
○あべ国務大臣 まさに委員のおっしゃるように、いわゆる食材、食料を買えない経験をしたことのある世帯も一定数いることは私どもは存じ上げておりまして、また、日々の食事に困っている児童生徒がいることも、特にコロナのときには、学校給食が本当に命綱なんだということも私どもは聞かせていただいたところでございます。
そうした困難家庭に関しては、生活保護の教育扶助、また就学援助におきまして、基本的に学校給食費は無償とさせていただいたところでございます。
○山川委員 ありがとうございます。
総理の所信表明の中でも、力強く、楽しい日本をつくると目標を掲げました。
本日の質疑のため、文科省の方とも私は話をさせていただきましたが、文科省の考えが、残念ながら、学校給食法では給食は保護者負担とすることになっているなど、また、その状況が設置者である自治体に任せているとか、そういった、どうしたらやらなくて済むのか、どうすればできないのかというような理由をつけて大臣の答弁書を作っているかのように受け止められます。そういったことがないように、学校給食無償化という政策も、国の根幹、子供の未来、少子化対策や食料自給率、若しくは経済対策へもつながる大事な政策の一つだと考えております。
文科省の口だけの政策とならないように、是非この通常国会は熟議をしっかりと行っていただき、それぞれ大事な時間を共有し、議論してほしいので、丁寧に、かみ合う話をさせていただければと思います。
そこで、大臣、大臣の好きな言葉をちょっと引用させていただきますが、希望は人を成功に導く、希望がなければ何事も成就しないという、お好きな座右の銘があると思います。今、先ほど来話をしたような対応で、希望があるような子供たちの未来、予算編成になっていると思いますか、大臣。
○あべ国務大臣 子供たちが希望を持っていく社会にしていくために私たちに何が必要なのか。特に、子育て世帯に対する配慮、また次世代に対する、厳しい財源の中で、どのようにその財源を充てていくかということを全体的に考えていく必要があるんだと思っておりまして、全てのことに配慮していくいわゆる覚悟を持ちながら、でも、次世代、その次の世代にもしっかりと希望が持てるような、そういうしっかりとした予算立てをしていかなければいけないと思いつつ、私ども文部科学省も一生懸命考えて予算を組ませていただきました。
○山川委員 こういう答弁は、もう耳にたこができるぐらい何度も聞いているんですよ。この無償化に向けての議論を加速させるために、是非少し私の方から提案をさせていただきたいんですが、注意をしていただきたい。
無償化をするに当たって、食材が低下しないように安全性をしっかり確保すること。若しくは、地産地消で、国が食材をしっかりと買い取ってあげて、域内管理をしながら経済の底上げをしていき、しっかりと安定的な食材の供給をしていくこと。そしてまた、食料は、輸入物に頼らずに、国内、できるだけ減農薬を推奨すること。若しくは、子供たちの食事の時間を十分に大切にしながら推奨していくこと。そういったことが、今後、無償化に向けての大事なまた課題になってくるかと私は考えています。
その中で、今回、大臣にもちょっと認識をお伺いしたいんですが、教員にとって、給食の時間というものが授業なのか休み時間なのか、どちらでしょうか。
○あべ国務大臣 給食の時間が教員にとってどういう時間かという、給食の時間においての指導という時間は、実は、教育課程上の学級活動と関連づけて行うことができる重要な学校教育活動だというふうに私どもは思っております。
ただ、先生方の御負担も大変大きくなっているところでございますが、今、実は、各学校において栄養教諭が中核となりまして、いわゆる健康の保持増進、望ましい食習慣、また地域の食文化なども含めた目標達成に取り組んでいきながら、この業務を支援する体制の強化を図る事業をしっかりとやっているところでございまして、栄養教諭の新規採用、学校栄養教諭への任用替えを促しながら、学校の先生方の御負担を減らすように努力をさせていただいています。
○山川委員 ありがとうございます。
丁寧な議論、かみ合う議論を是非お願いしたいと思いますが、休みか休みじゃないのかと言われれば、今活動しているという中でした。
それでは、その中で、教員の方々は、いつどこでお休みをされますか。
○あべ国務大臣 いわゆる休憩時間をどの時間に設定するかにつきましては、各学校で定めるものでございまして、各学校において適切に割り振られるものと承知をしているところでございます。
○山川委員 大臣のこの認識であれば、教員の方々が、今マンパワーが全く足りていなくて、大分、大きな教職員の増を求めているような状況の中で、各学校の設置者がそれぞれの裁量で休み時間を取ってくださいというのは余りにもひど過ぎる。文科省として一定の指針をしっかり示した上で、この時間に、あなた方は働き方改革の一環としてきちんとした休憩を取ってくださいというような、きちんとした、先ほどどちらかの委員がおっしゃっていましたけれども、文科大臣のやはりしっかりと陣頭指揮を執っていただいて、力強い教育の在り方を、しっかり努めていただければと思います。
次に、子供たちが学校給食を残さずに食べた場合において、栄養価の摂取基準というものを満たしていくと思います。その中で、今の学校の給食の現状の把握では、給食の栄養価の基準若しくは給食の残量など、様々なものを分析し、給食無償化へつながるものだと考えております。
どの程度、未来ある子供たちの食育に興味を持って、栄養価基準を満たしている、若しくは、給食残量などについての大臣の認識を伺いたいと思います。どうぞお願いします。
○あべ国務大臣 学校給食における残飯の量に関しましては、これは、一部の自治体において給食の改善の観点から実施されているものというふうに承知をしておりまして、また、私どもは、学校現場の負担とか、児童生徒の給食の完食に関する実は心理的な影響、全部食べなきゃいけないという、そこも考えていきながら慎重に対応させていただきたいと思います。
○安住委員長 山川さん、少し時間が迫ってまいりましたので。
○山川委員 分かりました。
学校の栄養基準に対しては、各自治体はデータを取っていただいて、しっかりと子供たちの体に入っていく栄養を、成長を促すような体制を文科省として陣頭指揮を執っていただきたいと思います。各自治体は、なかなかその辺りは、データを持ち合わせているところも、ないところもあるかと思いますので、お願いします。
少し、もう時間もありますので、大臣が、子供たちの給食時間というのが、どれぐらいの時間があれば好ましいと考えていますか。今、大体平均的に十五分から二十分程度だと言われておりますが、その時間的なものを聞きたいと思います。
そして、最後に、この無償化については、一気に四千八百三十二億円程度の無償化を進めるものが困難であるのであれば、主菜、副菜、牛乳、デザート等、段階的に分けた予算の在り方も必要かと思いますけれども、まず、そういった段階的な予算の在り方はいかがお考えでしょうか。
○安住委員長 山川君、時間が来ていますけれども、特別に、答弁させて、後はいいですね、発言は。
じゃ、最後、簡潔に。
○あべ国務大臣 しっかり検討いたします。
○山川委員 ありがとうございました。
○安住委員長 これにて山川君の質疑は終了いたしました。
次に、堀川あきこさん。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
文部科学大臣にお聞きをしていきます。まず最初に、修学支援制度についてお尋ねをします。
来年度の東京大学など、この間、授業料値上げを決定する大学が相次いでいます。高等教育無償化に逆行しているのではないかとお聞きしますと、授業料は法令に基づいて各大学において適切に設定をされている、あるいは、低所得者層を対象とした修学支援制度、これを更に拡充していくんだという答弁がこれまで繰り返されてきました。この立場にお変わりはないでしょうか。端的に答弁をお願いします。
○あべ国務大臣 はい、変わりはございません。
○堀川委員 来年度から、この修学支援の新制度、対象が更に多子世帯や中間層へと拡大をされていくということが言われておりますが、修学支援の新制度そのものについて、根本に関わることについてお聞きをしていきたいというふうに思います。本当に低所得者世帯を救う制度になっているのかということです。
資料一、皆さんにお配りしているんですけれども、この制度は、支援を継続させていくための適格認定基準というものがあります。出席率、取得単位、そしてGPAという三つの学業要件について毎年認定を受けなければなりません。
このうちGPA評価とは、簡単に言うと学生が登録した単位の成績の平均値で、特徴として相対評価であるということがあります。つまり、どれだけ頑張って優秀な成績を取ったとしても、学部全体が成績の高い学生ばかりだったら、本人の努力とは無関係のところで評価が決まってしまうということがどうしても起きてくるわけです。
GPAはこうした評価であるということを文科省は認めますか。
○伊藤政府参考人 ただいまGPAについてのお尋ねを頂戴いたしました。
GPAは、評定という相対評価によるものでございますが、これは、客観的な成績評価を行う方法として広く大学で導入をされてございます。また、学生等に対する履修指導や学修支援と一体的に運用されているなどの利点や効果等があるものでございまして、学業要件の一つとして設定をしているものでございます。
○堀川委員 明確な答弁、いただけなかったと思うんですけれども、こうした評価であるということは違いないというふうに思います。
このGPA要件なんですけれども、クリアできなかったらどうなるかということを御説明いただきたいんですが、お願いします。
○伊藤政府参考人 学業要件の判定におきまして、GPA等が学部等における下位四分の一に属することに該当した学生については、一回目の場合は、支援を受ける学生等に対し成績の改善などを促しつつ支援は継続する、警告というもの。そして、これが二回連続になりましたら、支援は一旦停止するものの、次の判定で廃止や警告に該当しない場合には支援を再開する、停止。三回連続しました場合には、支援の打切りとなる、廃止。このような形になるところでございます。
○堀川委員 その措置は二〇二三年度からですよね。それまでは、二回警告を受けたとすると、それは即、支援の打切りとなっていた。二〇二三年度から、一旦中断をする、そして様子を見るということで、そういう措置がされているというふうにお聞きをしています。警告が二回続いたら今年度から支援の中断ということになるわけなんですけれども、支援を受けられなくなるというのは同じだというふうに思います。
もう一つお聞きしたいんですけれども、二〇二三年度、この学業要件によって警告を受けた学生数と、そのうちGPA評価による警告は何人で、それは警告を受けた全学生の何%か、お答えください。
○伊藤政府参考人 お尋ねのございました令和五年度、二〇二三年度末に学業要件の認定を受けた約二十五万七千人のうち、警告となったのは約三万人となってございます。このうち、GPA等が学部等における下位四分の一に属することにより警告となった者は約二万八千人であり、警告を受けた学生数の九二・五%となってございます。
なお、学業要件の判定を受けた学生全体、二十五万七千人に占める割合は一〇・八%となってございます。
○堀川委員 資料一にもその数字をお示ししておりますが、かなり割合が大きいわけなんですよね。警告を受けた学生のうち、GPA評価で警告を受けているという学生の割合がかなり大きいということになっています。
このGPA評価ですが、GPAの下位四分の一で線引きをしているということなんですが、その根拠はどこにあるのでしょうか。
○伊藤政府参考人 高等教育の修学支援新制度におきましては、平成二十九年度に創設をされました旧給付型奨学金における警告の要件とし、GPAが下位二分の一であることを目安としていたことを踏襲しつつ、進学の後押しをするだけでなく、その後の修学を積極的に支援するものであること、また、支援が公費で賄われるものであること、警告を連続して受けた場合には支援を打ち切ることとしたことなどを総合的に勘案し、GPAが下位四分の一の場合には学業要件を満たさないとしたところでございます。
○堀川委員 はっきりとした根拠があるわけではないというふうに思います。
この支援制度は、授業料減免と給付型奨学金がセットになっている制度です。授業料減免については、国公立は上限額が授業料標準額のおよそ五十四万円、私立は上限額が七十万と設定をしてあります。給付型の奨学金については、国公立に関しては、自宅生で最大、月額で二万九千二百円、自宅外で六万六千七百円、私立の場合は、自宅生で三万八千三百円、自宅外で七万五千八百円ということで、所得区分によってまた受けられる額も違ってくるということになるわけなんですが。
低所得世帯の学生の皆さんは、この上限額あるいは給付額では全てカバーできずに、結局はアルバイトをせざるを得ない状況にあるということがあります。
国立大学のある学生の方でこの支援制度を受けられていた方なんですけれども、授業料満額の減免と、そして給付型奨学金も満額支給をされていたんですけれども、それだけでは生活費が賄えないということで、アルバイトが必要だったそうです。なかなか自分の専攻の英文の参考書を十分に読み込む時間が確保できなかったそうです。この学生さんは、警告が二回出されてしまい支援が打ち切られたわけなんですけれども、この原因は、単位数でも、出席率が足りなかったわけでもなくて、GPAで支援が打ち切られたということなんです。
大臣にお聞きしたいんですけれども、困窮する学生ほど生活のためにアルバイトせざるを得ず、その上でほかの学生と競って相対評価を上げなければならない、こういう制度設計にこの支援制度はなってしまっていると思うんですが、このことはお認めになりますか。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
やはり、経済的な理由で学生が学びを諦めないようにすることはまさに重要だというふうに私どもも考えておりまして、授業料及び入学金の減免、給付型奨学金や貸与型奨学金の経済的支援については充実を図ってまいりました。
一方で、学生がアルバイトに費やす時間とその背景は学生によって様々な要因があるということも言われているところでございまして、私ども、特に経済的にお困りの方々に対しては、いわゆる授業料などを除く学生生活費の水準を総合的に勘案をさせていただきながら、学生生活費を賄える額となるように設定をさせていただいているところでございますが、学業と適切に両立ができるような形で、引き続き学生の経済的負担の軽減に努めてまいります。
○堀川委員 お答えいただいていないと思うんですけれども。
もう一つ、GPA評価の弊害について、実態を紹介させていただきたいと思います。
このGPA評価というのは、登録単位数が多ければ多いほど下がるリスクが高まる、そういう仕組みになっています。学生たちが新しい学びに何か挑戦するよりかは成績をいかに下げないかというところに意識が向いてしまって、登録単位を絞っていくという現象が起きています。
ある大学教員のところには、どういう授業を取ったらGPA評価を下げない成績が取れますかと学生さんが相談に来られるそうです。一人や二人ではないんですね。この支援制度を受けている学生たちは、いかに成績を落とさないように、常にプレッシャーを感じている、焦らされているという声は、私もたくさんの学生さんから聞いてきました。
このGPA評価という基準は学生の学びの機会を狭めてしまっているという実態を大臣は御存じでしょうか。それでもこの評価基準は適切というふうにお答えでしょうか。お願いします。
○あべ国務大臣 学生の履修の選択は様々な理由で私ども行われているものと承知しておりまして、必ずしも学業要件にGPAを用いることによっての履修選択にゆがみが生じているとは考えていないところでありますが、そうした中で、やはり、修学支援新制度に関しては公費によって支援を行う制度でございまして、そうすると、公費を投じる以上、社会的にも理解が得られるような学生に対して支援を行う必要があるんだと思っておりまして、客観的な成績評価を行う方法として、この広く導入されているツールを私ども今使わせていただいているところでございますが、学生等における履修指導また学修支援と一体的に運用されている利点の効果を踏まえて設定をさせていただいているところでございます。
また、繰り返しになりますが、公費を投じる給付学生としてふさわしい者に支給することを明確にする必要がありますので、この取扱いは妥当であるというふうに考えております。(発言する者あり)
○安住委員長 御静粛に。
○堀川委員 今、私は、このGPA評価があることで登録単位数を絞っていくという現象が現に起きている、ゆがみが生じている、そういう実態が現に起きているということを申し上げたわけです。そのことをお認めにならないということでの今の答弁だったというふうに思います。
続いて、資料の一でもお示ししているんですが、支援制度が廃止、つまり打切りとなった学生は、この四年間で五万百九十一人にも上っているわけです。今年度から、先ほど説明のあった、一旦中断をする停止措置というものが導入をされて、その措置をされている学生さんが八千八百八十七人いるということです。
廃止となり支援が打ち切られた学生たちがその後学業を継続できているかどうか、文科省は把握をされていますか。
○あべ国務大臣 この制度によって支援が廃止となった学生の学修の継続状況を、網羅的な把握は今現在しておりませんが、例えば、大学関係者に関しまして、学業要件に関する警告、廃止となった学生に対してどういう学修の支援や生活支援を行っているかについて現在アンケートを実施しているところでございまして、必要に応じ、その実態の把握を行うこともしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。
○堀川委員 私がなぜこのことを聞くかというと、元々低所得世帯の学生が授業料減免と給付型奨学金がセットになっているこの支援を打ち切られてしまったら、学生は学び続けることが、それ自体が困難になってしまうんですね。
そもそも授業料の減免というのは、教育基本法の第四条に基づいた奨学のための措置のはずなんです。これが廃止、打切りとなってしまえば、学生の教育を受ける権利そのものを奪ってしまっているということに等しいと言わなければなりません。
昨年、私が特別国会のときに質問主意書でこの実態調査をせよということを求めたわけですけれども、検討をしていくと先ほど大臣もおっしゃいました。例えば、今年度予算にそのための予算は計上されているのでしょうか。お答えください。
○あべ国務大臣 先ほども申し上げましたが、必要に応じて、私ども、やはり、今後調査を実施することも含め、学生の実態把握を行うことを検討してまいりたいというふうに思います。
その実態把握を行うことにしては検討してまいりますが、その際、予算計上は必ずしも必要ではないというふうに考えているところでございます。
○堀川委員 このGPAという学業要件は、低所得世帯の学生にとって弊害となっていることは明らかだというふうに思います。支援を打ち切られた学生は、自分のせいだというふうに言われているようで、周りにも何にも言えないんですね。このGPAの要件は廃止すべきであり、学業要件そのものの根本的な見直しを行うべきだというふうに思います。
しかし、この制度、来年度からGPAの要件以外は厳格化されるというふうなことになっているわけですが、支援制度の対象を、最初の枠は広げるということですが、継続して支援を受け続ける学生を更に狭めることにならないかということは指摘をしておきたいというふうに思います。
続いての質問に入っていきます。大学の授業料に関してです。
日本の高等教育に対する公的支出は世界でも最低水準です。資料の二にOECD諸国のグラフを掲示しているわけですが、下から三番目というところです。こうした中で、大学への補助金が削られてきたということを我が党は再三指摘をしてまいりました。
先日、NHKの「クローズアップ現代」で、この大学の学費、これからの大学の在り方について特集が組まれていました。その中で、学費の値上げを実施あるいは検討している大学が既に七割にも及んでいるという調査が報告をされておりました。この番組の冒頭で、既に学費値上げを実施されている大学生が五百六十万を超える奨学金を借りながらアルバイトをしている、さらに、親御さんにローンを組んでもらっているというお話がありました。
私自身も、この間、たくさんの学生さんからこういう実態をお聞きをしてきました。奨学金は借金漬けになるから借りなかったんだ、でも、生活費は自分で何とかしないといけないから夜の仕事を探そうと思っている、あるいは、節約のために、電気をつけずに自分の携帯のライトで勉強をしたり、暖房をつけずに厚着して調節をしている、こういう学生さんがいらっしゃいます。
また、保護者の方からも、子供に希望の進路に進んでもらいたいけれども、学費と生活費がただただ不安だ、子供たちに借金を背負わせたくはないので親が借金しようと考えているというふうにおっしゃっていました。
この学費の負担というのは、私は限界を超えているというふうに思います。これ以上の値上げは進学の機会を奪いかねません。しかし、来年度の運営費交付金も私学助成も、昨年とほぼ同じ金額が計上されています。
政府はこの授業料の引上げを放置するのかということをお聞きしたいんですが、答弁をお願いします。
○あべ国務大臣 大学の授業料に関しましては、今の学生の教育環境の充実のために、関係法令に基づきまして、設置者において適切に設定をしていただくものだというふうに思っているところでございます。
そうした中で、やはり、教育のアクセス、経済的理由で学ぶことを諦めてはならないというふうに私どもは考えておりまして、高等教育の負担軽減に取り組んでいきながら、限られた財源の中で、次世代の負担を考えながら、何を今していくべきかということをしっかり文部科学省としても議論してまいりました。
○堀川委員 値上げは止めないという御答弁だったというふうに思います。
大学が授業料を値上げせざるを得ないのは、運営費交付金や私学助成が不十分だからということを再三指摘をしてきました。このことは、大学からも声が上がっています。
資料にお示ししています。昨年の京都新聞による、京都、滋賀の国公立大学へのアンケート調査です。
多くの大学、京都の大学ですが、学費値上げは検討していないというふうに答えながら、同時に、授業料引上げは国立大の受験生を減少させるおそれがあり、中長期的に日本の研究力の低下を招く、平等な高等教育の機会の提供が大学の使命である、財源負担を学生に求めるのではなくて国が財政支出を行うべきだ、こうした声が相次いでいます。
こうした大学の声は今回の予算に反映されているのでしょうか。お答えください。
○あべ国務大臣 文部科学省といたしましては、国立大学法人の運営費交付金、また私学助成の機関支援と給付型奨学金の個人支援、この両方を組み合わせていきながら予算確保に取り組んできたところでございます。
今、大学法人の運営費交付金につきましても増額を百億円したところでございまして、私立大学に対しても同等の支援として八百六十億円の助成を行うものというふうに承知しているところでございまして、大学全体も、私ども、少子化を迎える中で、しっかりとめり張りをつけた支援対策を進めてまいりたいというふうに思います。
○堀川委員 そうした措置で、学費値上げをやめますといった大学は出てきておりません。
私たち日本共産党は、せめて学費値上げだけでも止めるべきだということで予算措置を求めています。国立大学に対してはおよそ百億円、この間削減されてきた運営費交付金千六百億円のほんの一部を戻すだけで実現ができるんです。そして、先ほど大臣からもありましたけれども、私立、専門学校には八百六十億円程度の予算。
およそ一千億の予算があれば、それを学費値上げストップのために使えということを文部科学省から言えば、ストップできるというふうに思うんですが、この予算措置、やるべきではないでしょうか。
○あべ国務大臣 済みません、先ほどのところでも、そちらの、御党の御提案のところを、私ども御提案をいただいているというふうに承知をしているところでございますが、しかしながら、私どもといたしましては、繰り返しになりますが、先ほど私が御党の方の御提案をそのまま読み上げてしまって大変申し訳ございませんでした。そうした中で、私どもは、私学助成などの機関支援と個人支援の両者を組み合わせていきながら、予算確保をしていきながら、やはり、大学のいわゆる授業料の値上げに関しましては各法人で判断していくものというふうに承知をしているところでございます。
○堀川委員 大学の授業料の引上げは、国の責任そのものが問われている問題だというふうに私たちは再三指摘をしてきました。その原因が運営費交付金の削減にある、あるいは私学助成が不十分であるということも指摘をしてきました。大臣のさっきからの御答弁は、まさに国の責任を放棄しているというふうに捉えられても仕方がないというふうに思います。
その問題で、二〇一二年の九月、国際人権規約A規約十三条の二項(b)、(c)の留保が撤回をされました。
昨年の三月十三日の文部科学委員会で、我が党の宮本岳志前衆議院議員が、この留保撤回によって、日本政府はこれらの規定に拘束される、つまり、段階的ではあっても、やがては全ての学生の学費は無償にすべきである、こういう立場に立ったということで間違いないかと質問したときに、高等教育局長は、漸進的に無償化に向けて取組をしていくと答弁をされました。
しかし、今、大学の授業料の値上げが起こっているということなんですが、このことについて改めて認識を問いたいのですが、学費無償化どころか値上げに向かっている、この状況は明らかに無償化を目指すという政府の立場から逆行しているのではないですか。お答えください。
○安住委員長 時間が間もなく終わりますので、最後の答弁にします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
高等教育における無償教育の漸進的導入につきましては、我が国は社会権規約を踏まえて取り組んでいるところでございますが、その具体的な方法については規約の締約国に委ねられていると承知をしてございます。
文部科学省としては、これまでも、低所得者世帯を対象とし、高等教育を無償化する高等教育の修学支援新制度の対象拡大に取り組んできたところでございますし、また、令和七年度からは、多子世帯の学生等について無償化の対象を拡大することとしてございまして、引き続き、漸進的無償化の取組を進めてまいりたいと考えております。
○安住委員長 堀川さん、まとめてください。まとめるというか、終わってください。
○堀川委員 はい、まとめます。
教育にこそ今こそ予算を回すべきだというふうに思います。軍事費よりも教育予算へ。このことを最後に求めまして、質問を終わります。
以上です。
○安住委員長 これにて堀川さんの質疑は終了いたしました。
次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後二十五分、よろしくお願いいたします。
まず、先ほど神津議員から、中東情勢について質問がありました。一ポツを飛ばして、少しだけ確認的な質問をさせていただきたいというふうに思います。
歴代外務大臣は、二国家解決案を支持すると常に言ってまいりました。これを踏まえて、二点お伺いしたいと思います。
今でもこの二国家解決案を支持しているか。そして、その二国家というのはイスラエルとパレスチナであります。パレスチナの領土、国家としての領土を構成するのはヨルダン川西岸とガザであるということまで、これまで確認をいただきたいと思いますけれども、外務大臣。
○岩屋国務大臣 まず、二国家解決を支持しているという姿勢に変わりはございません。
現行でいえば、パレスチナの領土は委員がおっしゃるとおりだと思います。これからどういう和平の道筋が描かれていくのか、その中で様々な議論が行われていくと思いますけれども、パレスチナの方々の意に沿った解決策が導かれなければならないというふうに考えております。
○緒方委員 明確でなかったところがあるんですが、二国家解決案の中で出てくるパレスチナという国家は、基本的にはヨルダン川西岸とガザから成るのであるというふうに大臣は認識をしておられますか。大臣。
○岩屋国務大臣 現行においてはそのとおりだと思います。
しかし、この間、ハマスの台頭も含めて、どういうパレスチナ側の統治の形態がこれから考えられるのかということも含めて、国際社会でしっかりと議論がされていくことになるんだろうというふうに思っております。
○緒方委員 ガザが含まれないことも含めて、パレスチナとイスラエルの二国家解決案があり得る、そういう認識でございますでしょうか。外務大臣。
○岩屋国務大臣 そういうふうなことを申し上げているわけではございません。多分、トランプ大統領の発言に関連する御質問だろうというふうに思うんですけれども、これは事態の今後の推移をもう少し見極めて判断をしなければいけない、評価しなければいけないことだと思っております。
○緒方委員 領土の確認というのはとても大事でありまして、基本的に、これまで、歴代外務大臣の答弁を見ておりますと、中東和平というのは何かというと、ゴラン高原、そしてヨルダン川西岸、そしてガザの問題があるというふうに言われておりましたので、将来的な、新しくでき上がっていくことを願う、我々の考えるパレスチナ国家というのは、これはもう一回確認なんですけれども、ヨルダン川西岸とガザであるということは、外務大臣の立場から、現時点でそうであるとかじゃなくて、将来の姿としてそうであるというふうに言っていただきたいと思いますが、外務大臣。
○岩屋国務大臣 現行、何といいますか、ガザをめぐる様々な国際社会の動きというのは非常にセンシティブなものがあると思いますが、我が国の基本的な考え方は、領土の一体性、これが尊重されなければならないという考え方でございます。
○緒方委員 最後、もう一回だけ。
その領土の一体性というのは、ヨルダン川西岸とガザであるということでよろしいですね。確認までです。大臣。
○岩屋国務大臣 どうしてもそういう聞き方をされたいということだと思いますけれども、重ねて申し上げますが、領土の一体性というものが重要である、これを尊重していくという考え方に変わりはございません。
○緒方委員 この件はまたほかに追っていかれる方がいるでしょうから、元々用意していた質問に戻っていきたいというふうに思います。
一ポツを飛ばしまして、通商についてお伺いをいたしたいと思います。
まず歴史からスタートでありますが、大恐慌直後、フーバー政権の時代です。アメリカの一九三〇年関税法、いわゆるスムート・ホーリー法と言われるものですね。大恐慌の後に高関税で、ぐっと上げたその法律でありますが、これは当時の戦後賠償に苦しみ、そして大恐慌に苦しむオーストリアやドイツの経済、金融システムを決定的に破壊をして、ダメージを与えたという歴史的な経緯がございます。そして、対抗関税を通じて世界のブロック化をつくっていったという認識も、これも恐らく共有できると思います。
私は、このスムート・ホーリー法、第二次世界大戦の遠因となったのではないかというふうに私は理解しておりますが、大臣の見解を求めたいと思います。
○岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、当時のスムート・ホーリー法は、フーバー政権下で成立して、広範囲かつ大規模な関税率の引上げを可能とした法律でございました。その結果、米国が同法により関税を引き上げたことによって、世界的な保護主義の激化、そして経済のブロック化につながっていった、それがまた大戦の遠因になっていったという認識は私も共有しております。
○緒方委員 とても重要な答弁だったと思います。
高関税ということが今アメリカのトランプ大統領からも出ていますが、余り軽く考えちゃいけないと思うんですね。
諸外国の金融システム、当時、今ほど金融システムが強固ではなかったということもありますが、ぼろぼろになっていっているんですね。そして、対抗関税を通じて世界のブロック化をつくっていった。まさに、ナチス・ドイツが生存圏、レーベンスラウムといって勢力を広げていくきっかけになったのも、恐らくこういうことではなかったかと思います。高関税というのは、ただ経済の問題のみならず、世界の情勢にこれだけ大きな影響を与えるんだということを大事にしたいと思います。
そういう中、現在、ガット、WTOのルールの形骸化が著しいという意識を持っています。そもそも、今、紛争解決が機能していないということもあります。
これは純粋なる質問なんですけれども、今のWTO、世界全体の多角的貿易体制と言われる、これを前提とした体制は本当に維持可能なんだろうか。そういう体制で本当にやっていけるのか。それとも、そこはもう余り期待ができなくて、これからは、どちらかというと自由貿易協定をどんどんどんどんかぶせていくことで世界の貿易というのは支えられていくというふうに見るのか。それですらなくて、世界は弱肉強食の世界だ、そういう世界なのか。大臣はどういうふうに見ておられますでしょうか。岩屋大臣。
○岩屋国務大臣 WTOが様々な課題を抱えている、そして改革の必要があるということは御指摘のとおりだと思うんですけれども、現在でも世界の貿易の約八割が依然としてWTOのルールに基づいて行われておりまして、その意味では、引き続き世界経済の重要なインフラだと思います。
今委員は、バイやマルチの、プルリの自由貿易協定を、かぶせていくという表現を使われましたけれども、あくまでもWTOのルールというのを土台にして、その上にそういうものを積み上げていくということで、できるだけ自由な貿易体制というのを維持していかなければいけないのではないかと思っております。
○緒方委員 そうあってほしいと願いますし、私自身、外務省で勤務中は経済局に長かったので、そういう思いを持っているんですが、本当にそうだろうかと。
自由貿易協定というのはどこまでいってもブロック化でありますので、あれはブロック化だと思います。大臣、そういうふうに思われませんか。
○岩屋国務大臣 といいますか、あくまでもWTOのルールというのを土台、基盤にして、より高いレベルのものをつくっていこうという取組の一つだと思います。
○緒方委員 そういう中、ガット、WTO協定の緩みのようなものが日本にも来ているのではないかと感じることが最近ございます。
今日は農林水産省にお越しをいただいております。
今年度予算にも新市場開拓米というものが予算の中に入っておりますが、尊敬する笹川農林水産副大臣にお伺いをいたしたいと思います。この一部は、WTO農業協定で禁じられている輸出補助金ですよね。副大臣。
○笹川副大臣 私も尊敬する緒方委員から御質問いただきまして、ありがとうございました。
新市場開拓用米につきましては、委員も御承知のとおり、主食用米が年々減少しているということでありますから、従前から加工用米、飼料用米、米粉用米、このことにつけ加えた中で、新たにお米の市場を開拓するという目的から、バイオエタノール、バイオプラスチック、また輸出用、国内外の新たな市場の開拓に向けた米の生産を行うという取組が新市場開拓米ということでございますので、国内外の市場向け、国内市場向けか輸出向けかということを問うておるわけでございませんので、問わず支援をしているものでありますから、WTO、御指摘の協定上の輸出補助金には該当しないというふうに考えております。
○緒方委員 今の副大臣の説明を聞いても、私は輸出補助金だと思うんですね。
WTO農業協定の輸出補助金の定義の中には、ちょっとこれは英語で言わせていただきますけれども、コンティンジェント・オン・エクスポート・パフォーマンスという表現です。決して輸出を条件として補助金を出していなくても、輸出という結果が生じることによって輸出補助金だとみなされ得るということであります。
これは実は、同じく正文であるフランス語で読むと、より輸出という結果に従属する形で輸出補助金が認定されていくということがあります。
松尾局長にお伺いしたいと思います。
今、私は注意深く笹川副大臣の答弁を聞かせていただきました。しかしながら、現在のWTO農業協定の条文、それに鑑みれば、今の条件であったとしても輸出補助金だと思います。違うというのであれば、条文に即して分かりやすく説明いただきたいと思います。松尾局長。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
WTO農業協定第九条におきましては、輸出が行われることに基づいて交付される直接補助金、こういったものが輸出補助金に該当するとされております。
新市場開拓用米の支援につきましては、国内、国外問わず新たな市場の開拓に着目した措置であって、支援の対象は、輸出か否かではなく新市場開拓か否かによって判断するものである、そういうことで、本事業は農業協定第九条に規定される輸出補助金には該当しないというふうに考えております。
○緒方委員 局長、私の説明を全く聞いていないですね。
輸出という結果に対して補助金が出るのであれば、それは輸出補助金とみなされ得る、どう条文を見てもそうですよ。局長、全然、輸出が行われることに基づいてなんてどこにも書いてないです。どこにも書いてないです。だから言ったんです、条文に基づいて分かりやすく説明いただきたいと。局長。
○松尾政府参考人 繰り返しではございますけれども、輸出補助金に関する約束ということでWTO農業協定第九条というものがございます。その中につきましては、輸出が行われることに基づいて直接補助金、これを交付するということが輸出補助金ということでなっておるところでございます。
○安住委員長 ちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 速記を起こして。
松尾農産局長。
○松尾政府参考人 先ほどから御説明させていただいておりますWTO協定第九条、輸出が行われることに基づいて直接補助金を交付することを輸出補助金と答弁させていただきました。
これにつきましては、まさに輸出が行われるということを目的として、そういったひもづいて行われる補助金というのが輸出補助金というふうに我々考えております。
○緒方委員 余りフランス語で話すと嫌みなやつだと思われるのでやりませんけれども、フランス語は、輸出という結果に基づいてということなんですね。結果と書いてあるんです。結果という言葉が出てくるんです。だから聞いているんです。さっきから、輸出に基づいてと条件のところで言っていますけれども、違うんですよ。
いかがですか。もう一回。
○安住委員長 ちょっと一回速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 速記を起こして。
午前の質疑は、ここで一旦終了いたします。
午後一時三十五分から、緒方君の質疑から再開をします。一旦休憩します。
午後零時三十七分休憩
――――◇―――――
午後一時三十五分開議
○安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。緒方林太郎君。
○緒方委員 それでは、午前中に引き続きまして。
答弁を準備されたそうでありますので、松尾局長。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
WTO協定につきましては、農林水産省としては、日本語で、国会で承認された協定に基づいて対応しております。
WTO第九条におきましては、輸出が行われることに基づいて直接補助金を交付することが輸出補助となっております。これは、輸出することを目的として、これにひもづいた補助金と考えております。
これに対して、新市場開拓用米は、国内外、国内、国外問わず新市場向けに交付されるものであり、輸出補助金には該当しないと考えております。
○緒方委員 すごい答弁が返ってきましたね。
元条約屋さんからすると、もう驚天動地の答弁でありましたが、恐らくそれ以上のことが言えないと思うので、これ以上追うことはやめたいと思います。
ただ、一つ、皆さん、考えていただきたい。今、米が不足しているんです。米が不足しているときに補助金までつけて輸出するというのが、本当に予算の在り方として正しいのかということですよ。米が足らないときに輸出補助金まがいのものまでをつけてやる必要は私はないんじゃないかと、実はこれを言いたかったんです。
質問を移したいと思います。
先ほど、森友学園の関係で上告を断念するという報が流れました。担当大臣である加藤大臣に答弁を求めたいと思います。
○加藤国務大臣 先ほど、昼の時間帯に、森友学園案件について、御遺族との情報公開訴訟に係る控訴審判決への対応について総理に御相談をさせていただきました。ちょうど総理が今日の夕方から訪米されるというこのタイミングであります。
判決への対応については、総理より、誠心誠意職務に精励されていた方が亡くなられたことを考えれば、上告をせず、判決を真摯に受け入れるべきである、文書の開示、不開示の判断に当たっては、法令にのっとり、国民に対する説明責任の観点から丁寧に検討するよう、こうした指示があったところでございます。
示された判決には、対象文書の特定情報を考慮することが想定されていないとされたこと、また、任意提出の手続においては、提出に先立って捜査機関による提出依頼がされ、それに応じて行ったものであり、どのような範囲で文書を提出するかが財務省の判断に委ねられているとされたことなど、相当の法律上の問題や事実認定の誤りが含まれているというふうに考えられるものの、今申し上げた総理からの御指示を踏まえ、存否応答拒否を取り消すとの判決の結論を受け入れることにいたしました。
なお、今後、文書の開示、不開示の判断に当たっては、法令の規定にのっとりつつ、国民に対する説明責任の観点から判断していきたいと考えております。
○緒方委員 それでは、本当はこれがメインイベントだったんですが、三ポツの日中領事協定について外務大臣にお伺いしたいと思います。
中国で日本人が逮捕、勾留されたときの扱いなんですけれども、まず、四日以内に領事館に通報するという規定があります。これはどうも、事前のレクで聞いてみると、日本も中国もそれなりに、大体守られているというふうにお伺いをしました。
そこからなんですけれども、日本の領事が面会に行く、領事面会と言われるものであります。これについて非常に強く問題意識を持ちました。
まず、警察庁にお伺いしたいと思います。日本は、領事面会はどれぐらいのタイミングで行っておりますでしょうか。
○江口政府参考人 お答えを申し上げます。
お尋ねの、中国人被疑者等について領事官から面会の要請がありますれば、日中領事協定に基づきまして、遅滞なく領事面会が行われているところでございます。
○緒方委員 そうなんです。協定に書いてあるのは、遅滞なくなんです。大体どれぐらいの日数で行っておりますでしょうか。大体で結構です。警察庁。
○江口政府参考人 お答えを申し上げます。
具体的に何日という統計は取っていないところではございますけれども、領事官から面会の要請があれば、基本的には、領事官の希望する日時に領事面会が行われているところでございます。
○緒方委員 中国側では、アステラス製薬のケースで、拘束から二週間以上を要しているんですね。
アメリカは、こういうことが起きるときに、何か聞いたことがあるんですけれども、やんややんやと向こう側に、早く領事面会させろということで要求しているということなんですが、日本は少しスピード感が欠けているのではないか、その要請に対して。
逮捕、勾留された日本人は不安がいっぱいでありまして、やはり領事が訪問してくるというのは強い安心材料になると思います。
しっかりと早急にやるように外務大臣からもう一度指示を出していただきたいと思いますが、外務大臣。
○岩屋国務大臣 これまでも領事面会については要請をしっかり行ってきていると思いますが、委員の御指摘も踏まえて、更にこれを迅速に行うことができるように努力したいと思います。
○緒方委員 これは、実は協定上の問題がありまして、日中では、遅滞なくと書いてあるんですが、例えば、アメリカと中国、カナダと中国、そしてオーストラリアと中国の領事協定では、二日以内と明確に数字が入っています。しかも、領事面会の間を一か月以上空けないということについても規定があります。
日本も、協定改正交渉をして、アメリカ、カナダ、オーストラリア並みとすべきではないかと思いますが、外務大臣の答弁を求めたいと思います。
○岩屋国務大臣 御指摘の、中国との間で、領事面会までの期限に関する規定ぶりは、例えば日米領事条約あるいは日英領事条約においても同様に、遅滞なくと定められているんですね。これは委員御案内のとおり、刑事手続の運用の違い等もあってそういうことになってきているんだと思いますが、邦人保護の在り方については、日本政府として不断に検討して、安全確保に全力を尽くしていきたいと考えております。
○緒方委員 その遅滞なくの結果として、アステラス製薬のケースでは、拘束から領事面会まで二週間かかっているんですね。遅滞なくというのは数字が入らないので、いかようにもなる。だから、アメリカ、カナダ、オーストラリアは日数を入れているんです。二日以内なんです。それで、やんややんや言って、領事が面会に行く。
これはやはり、日本人、不安ですから、そういった不安を解消するためにも、協定改正交渉を検討するぐらいは是非言っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 先ほども、不断に検討していくというふうに申し上げましたが、我が方の刑事手続上の運用上の問題等もあると思いますので、政府間でよく相談して、検討をしていきたいと思います。
○緒方委員 最後、一問だけ、北朝鮮外交についてお伺いします。
安倍政権以来ずっと、何と言ってきたかというと、北朝鮮との関係では、前提条件なしで会う用意があるというのが、これが日本の北朝鮮に対するメッセージでもあり、所信表明等々で表明してきました。
石破政権の所信表明、外交演説でこの表現が完全に消えております。方針を撤回したということでよろしいですか。岩屋外務大臣。
○岩屋国務大臣 石破総理は、もう一度、日朝平壌宣言の原点に立ち返って、機会を逃すことのないよう、金正恩委員長に対して呼びかけていくという決意を述べておられます。
その上で、政府の発信においていかなる表現を用いるかということは、やはり今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあると思いますので、そこは熟慮していかなければいけないと思っております。
○安住委員長 緒方君、時間が参りました。
○緒方委員 恐らく、この件はこちらの側の方がまた聞くんじゃないかと思いますので、私はこれで終えさせていただきます。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○安住委員長 続けて、警察庁、法務省及び厚生労働省について審査を進めます。
各予算の要点等について、順次政府から説明を聴取いたします。国家公安委員会委員長坂井学君。
○坂井国務大臣 令和七年度の警察庁関係予算について、その概要を御説明申し上げます。
警察庁の令和七年度における歳出予算要求額は、デジタル庁に一括計上する情報システム予算二百三十八億六千三百万円を含め、一般会計三千百十三億一千九百万円、東日本大震災復興特別会計三億七千百万円の総額三千百十六億九千万円を計上しており、前年度当初予算額三千百十二億七千六百万円と比較しますと、四億一千四百万円の増額となっております。
要求額の主な内訳を御説明いたします。
いわゆる闇バイトを利用した連続強盗事件が発生していることを踏まえ、現場警察官の資機材の増強等により取締りの強化を図るとともに、闇バイト募集投稿への警告を始めとする予防対策を推進するための経費として十七億二千九百万円を計上しております。
また、国境を越えて実行されるサイバー事案等に対処するため、サイバー警察局及びサイバー特別捜査部の充実強化を始めとする警察の人的、物的基盤の強化を図るための経費として五十六億九千二百万円を計上しております。
このほか、テロ対策の強化や犯罪被害者等支援に要する経費など、現下の治安情勢を踏まえた諸施策を推進するための経費を計上しております。
以上をもって令和七年度の警察庁関係予算の概要の説明を終わります。
よろしく御審議いただきますようお願いいたします。
○安住委員長 次に、法務大臣鈴木馨祐君。
○鈴木国務大臣 令和七年度法務省所管等予算の概要を御説明申し上げます。
法務省関係の一般会計予算額の総額は、前年度当初予算額と比較して九千二百万円の増額となる八千百三十四億二千五百万円であり、そのうち、人件費が五千三百八十四億三千三百万円と多くを占めています。また、デジタル庁所管の政府情報システム予算及び国土交通省所管の国際観光旅客税財源充当事業の予算を含んでおります。
令和七年度予算における重点項目は、以下のとおりです。
第一に、再犯防止対策の推進、公安調査庁の情報収集・分析能力の強化、犯罪対策の強化を含む安心、安全な国民生活の実現として二百二十八億三千百万円、第二に、総合法律支援の充実強化、人権擁護活動の推進、民事基本法制の整備を含む国民の権利擁護に向けた取組として四百四十八億三千六百万円、第三に、円滑かつ厳格な出入国在留管理や外国人材の受入れの体制整備を含む公正な出入国在留管理の実現及び法務省における国際貢献として三百五十九億八千六百万円、第四に、法務行政のDXの推進や法務省施設の整備を含む時代に即した法務行政に向けた取組として六百四十三億四千五百万円を計上しております。
各施策をしっかりと進めてまいりたいと考えておりますので、よろしく御審議くださいますようお願いを申し上げます。
○安住委員長 次に、厚生労働大臣福岡資麿君。
○福岡国務大臣 令和七年度厚生労働省関係予算案について、簡潔に御説明いたします。
厚生労働省所管一般会計予算案の総額は三十四兆二千九百四億円であり、令和六年度当初予算と比較いたしますと、四千七百十五億円の増加となっています。このうち、社会保障関係費は三十三兆九千七百二十三億円、四千六百七十七億円の増加となっています。また、特別会計予算案につきましては、年金特別会計、労働保険特別会計、子ども・子育て支援特別会計及び東日本大震災復興特別会計に所要額を計上しています。
具体的には、以下三本を柱に所要額を計上しています。
まず第一に、創薬力の強化や医薬品の安定供給確保、医療・介護提供体制の基盤強化など、全世代型社会保障の実現に向けた保健、医療、介護の構築、第二に、最低賃金、賃金引上げに向けた支援、仕事と育児、介護の両立支援など、持続的、構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進、第三に、地域共生社会の実現、戦没者の慰霊、遺族等の援護の推進、年金制度の運営など、一人一人が生きがいや役割を持つ包摂的な社会の実現であります。
これら三本を柱に、少子高齢化、人口減少時代にあっても国民一人一人が安心して生涯活躍できる社会の実現に向けた予算案としています。
御審議のほどよろしくお願いをいたします。
○安住委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長坂康正君。
○長坂委員 自民党の長坂康正でございます。
省庁別審査ということで、主に厚生労働行政について幅広く質問をさせていただきます。
まずは、高額療養費制度の見直しについて質問をいたします。
石破総理は、先日の予算委員会におきまして、一番苦しんでおられる方々の声を聞かずに、このような制度を決めていいとは思いません、それは、きちんと聞いた上で、そういった方々に対して不安を払拭する、そういったことも政府の務めだと思っておりますと答弁をされ、また、高額療養費を必要とする方々がおられることと制度の持続可能性と両方とも満たすということの解を、私ども、時間的な制約の中で見出してまいりますとの答弁をされました。
この議論の前提にあるのは、我が国が国民皆保険という世界に誇る医療保険制度を持っているということ、そして、誰もがいつでもどこでも、一割とか三割といった窓口負担で安心して医療を受けられる制度になっているということであります。
そして、毎月の医療費が高額となり、数百万円とか、また、それ以上となる場合には、一割とか三割の窓口負担では大変だということで、上限を超えた額が支給される高額療養費があるわけであります。その基準は、所得が低い人は低い基準で、つまり最終的な負担が少なくて済むという制度になっています。しかも、治療が継続して基準に何回も該当する場合や、同じ世帯に、ほかの家族、おじいちゃまやおばあちゃんが該当するといったような場合には、特例が認められて基準が低くなっています。大変複雑ではありますが、現在も、弱者の方を支援するために、かなりきめ細かな制度になっていると考えております。
他方、長期にわたって医療を受けておられる患者の皆様の立場に立てば、高額療養費制度の見直しで基準額が引き上げられることに対して御不安をお感じになることはもっともなことではないかと思います。
総理がおっしゃるとおり、医療の進歩により高額な薬剤が普及し、医療費が増加していく中で、我が国が誇る高額療養費制度をこれからも維持していくためには制度を見直していくことは重要でありますが、当事者の不安の声に対して真摯に向き合うことも重要であります。
今後、患者の皆様の不安を払拭するようにどのように対応されるのか、大臣にお尋ねしたいと思います。
○福岡国務大臣 少し丁寧に御説明をさせていただきたいと思います。
高額療養費は、例えば医療費が一か月で百万円かかった場合には、三割負担の方は窓口負担が三十万円となるところでございますが、そういった場合でも、例えば年収四百万円程度の方であれば、その自己負担額が九万円程度に抑えられるといったように、医療費の自己負担に上限を設ける、大変重要なセーフティーネット機能でございます。
一方で、近年、高齢化や高額な薬剤の普及によりまして、その総額は医療費全体の倍のスピードで今伸びておる状況でございまして、今後とも現在と同様のペースで高額療養費が増加し続けた場合に、制度の持続可能性という観点、また、結果として現役世代を中心に保険料負担が大変大きくなってくるという観点から、課題があると認識をしております。
今回のこの見直しは、こうした状況を踏まえまして、セーフティーネットである高額療養費制度を将来にわたって堅持しつつ、高額薬剤の普及等が今後も見込まれる中で、保険料負担の抑制を図り、患者の方々にとって大変意義のあるこの制度自体の持続可能性を高める観点から、行いたいと考えております。
見直しに当たりましては、前回見直しを行った約十年前から給与の伸び率が約一〇%から一二%伸びていることを踏まえまして、平均的な引上げ率を一〇%としつつ、負担能力に応じて御負担いただくという観点から、平均的な所得を下回る方については自己負担上限額の引上げ率を抑制する。また、長期で医療を受けられる場合に自己負担限度額を更に抑える多数回該当という仕組みも、所得に応じて見直しを行いながら、これを堅持する。
さらには、現行制度では、例えば年収七百五十万円の方が昇給等で年収八百万円となった場合に一か月の負担限度額が倍以上になる、具体的に言えば、今一か月約八万円の方が年収が五十万円増加することによって月の負担額が十六・八万円に倍以上に増えるというような大くくりな区分となってございますので、これを細分化することで区分ごとの段階をできる限り細かくするなど、所得に応じたきめ細かい制度設計を行うとともに、長期で療養を受けている方の経済的負担を考慮したものとなっています。
一方で、御指摘ありましたように、がん患者さんの方を始めとして、制度を利用されている方の当事者の不安の声に対して真摯に向き合うということは大変重要であると考えておりまして、予算委員会の場においても、がん患者団体さんとの面会について、総理から、どういった形で聞くのが一番適切か、厚生労働省においてしっかりと検討を行うように指示を受けたところでございます。
今、事務方で、団体の皆さんの御提言を丁寧に承らせていただいた上で、なるべく早いタイミングで私自身もお会いしてしっかりとお話を聞かせていただきたいと考えておりまして、今般の高額療養費制度の見直しに対するがん患者さんなどの当事者の方々からの声と制度の持続可能性の確保という課題の両方を満たすことのできる解を見出してまいりたいと考えております。
○長坂委員 ありがとうございます。
医療費は、現役の皆さんを中心に負担される保険料、税金、患者さんの窓口負担によって成り立っております。高額療養費の基準額が低ければ、その分は保険料などで負担せざるを得なくなりますので、現役世代の社会保険料負担の軽減を図るためには高額療養費の適正な基準額の設定が必要となります。
負担する能力のある方には御負担をお願いすることは重要なことでありますが、患者さんに不安を持たれないような制度にしていただくことは極めて重要であり、是非十分な御検討をお願いしたいと思います。
次に、医療DXについてお尋ねをいたします。
マイナ保険証もそうでありますが、医療DXというと、一般の方々も医療関係者も、今十分にやれているので無理に進めなくてもというお考えの方が多いようにも感じます。必要性を感じている方が少ないために、少し不具合が生じると大変厳しい批判が起きます。
しかし、高齢者人口がピークとなり、生産年齢人口が更に減少していく二〇四〇年頃を見据えますと、良質かつ効率的な医療提供体制を構築していくことが必要であり、そのためには医療DXの推進が不可欠であり、その基準となるマイナ保険証の普及は必須であります。
医療機関の間で電子的な情報を共有するための基盤を整備することで、より安全で質の高い医療を提供できるようにするとともに、同時に、医療機関の事務を効率化させ、医療従事者の働き方改革を推進し、魅力ある職場をつくっていく必要があると考えます。この点については、恐らく異論はないのではないかと思います。
しかしながら、総論や抽象論は分かっても、医療DXの推進によって国民の生活がどうよくなるのか、医療現場の日々の業務がどのように変わるのか、そういった具体的なところが見えていないようにも思います。このままでは、幾らお金をかけても、医療現場や国民の理解を得ることができず、現実世界には医療DXが普及していかないのではないかと危惧もいたします。
現在、政府は医療DXを推進するための法律案を検討していますが、国民や医療現場にどのようにメリットがあって、私たちの生活がどう便利になるのか、併せて、医療DX活用の前提となるマイナ保険証の一層の利用促進をどのように進めるのか、具体的に分かりやすい言葉で御説明を願いたいと思います。
○福岡国務大臣 まず、委員におかれては、厚生労働部会長として、この環境整備に御尽力いただいておること、敬意を表させていただきます。
医療DXの推進として、今後、電子カルテ情報の共有、閲覧であったり、医療情報の二次利用の推進などを進めることとしております。
例えば、患者さんにとりましては、必要な電子カルテ情報の共有によりまして、救急時や災害時にふだんとは異なる医療機関を受診せざるを得ない場合にも、お医者さんが病名や服薬情報、アレルギー情報などを確認することができ、安全で質の高い医療を受けることができること。また、御自身のマイナポータルで検査値などの情報を閲覧することが可能になり、健康管理や疾病予防に役立てることができること。また、専門的な病院の紹介を受ける際、これまでは紙の紹介状を持参していただいておりましたが、そうした手間もなくなるといったメリットがございます。
また、医療機関にとりましても、患者さんの過去の医療情報を基に、より安全で質の高い医療を提供することができることに加えまして、紙の紹介状の作成、交付、感染症発生届の作成、提出等に要していた事務コストや問診に要していた時間が削減されるといったメリットがございます。
さらに、医療情報の二次利用を推進することによって、医学、医療分野の研究開発が更に進み、創薬や新たな治療法の開発等を通じてイノベーションの成果を国民や医療現場に還元できるようになることが期待をされております。
こうした医療DXのメリットを早期に実現するために、必要な法律の整備を進めてまいりたいと考えております。
あわせて、御指摘がありました医療DXの基盤となりますマイナ保険証につきましては、引き続き、そのメリットや安全性、医療機関等で受付できなかった場合の対応など丁寧な周知を行うほか、スマートフォンへの搭載を行うなど利用促進を図っていきたいと考えております。
○長坂委員 ありがとうございます。
どんなすばらしい技術があっても、使いこなさなければ無用の長物になってしまいます。私もスマホを使っておりますけれども、なかなか使いこなせていません。しかし、子供や若い人たちは、誰に強制されるわけでもなく使いこなしている。まあ、使いたいから使いこなせているんだと思いますが。
大臣の答弁にもありましたように、そういった中ですばらしい医療界が一日も早く実現するよう、国民の皆様も医療関係者の皆様にも切望していただけるような、ふうになるように努力をいただきたいと思います。
次に、病院経営についてお尋ねをいたします。
私の元には、病院関係者の方から、物価や賃金の上昇もあり、経営が本当に厳しいという声が寄せられております。私の地元でも悲鳴を上げている病院は少なくありませんし、一年で数億円の赤字を出したと訴える理事長さんもおられます。大臣も同じようなお話をお聞きになっていると思いますし、先月二十二日には病院団体からも切実なお話を聞いていただいたと承知をしております。
御承知のとおり、医療分野は公定価格のため価格転嫁が難しい面があり、急激な物価や賃金の上昇、そして医療機関の経営に大きなダメージを与えかねません。また、新型コロナウイルス感染症の流行の影響がいまだに残っており、関連する補助金がなくなった上に、受診控えなどで減った患者数が戻ってきていない病院もあります。
地域の病院は地域社会においても最も重要なインフラの一つであり、住み慣れた地域で生活することを望む住民にとってのセーフティーネットそのものであります。地方創生は、地域を支える病院が安定した経営を行い、存続し続けることで可能になると思います。
現在の病院経営の現状をどのように受け止め、どのような対応を講じていくのか、厚生労働省の認識を伺いたいと思います。
○森光政府参考人 医療機関の経営状況につきましては、御指摘のように、物価の高騰や賃金の上昇、医療需要の急激な変化などに直面していると認識をしております。
このため、令和六年度診療報酬改定で賃上げ等に対する一定の措置を講ずるとともに、昨年末に成立した補正予算においても、物価高に対応する重点支援地方交付金の積み増しに加えまして、医療機関への緊急的な支援パッケージとして、更なる賃上げの支援や、患者の減少等により経営状況の急変に直面する医療機関への支援を盛り込んでいるところでございます。まずはこの補正予算を着実に執行し、必要な支援が行き届くよう取り組んでいきたいと考えております。
さらに、令和七年度予算案では、低所得者に配慮しつつ、医療機関の入院時の食事基準の引上げを行うこととしております。
地域医療を守ることは重要であると認識をしており、今後、補正予算等の効果や物価等の動向、医療機関の経営状況など、足下の情勢変化もよく丁寧に把握した上で適切に対応してまいりたいと考えております。
○長坂委員 病院は、大勢の職員を雇用している一方で、医薬品から医療消耗品、病院の給食材料、医療機器を購入していますし、また、入院患者がいる以上、水道光熱費も節約できません。その中で、物価が上がる、賃金が上がる、建築単価が上がる中で、老朽化が進めば建て替えも必要であります。大変厳しい経営状況になっていることはもう明らかでありまして、今、補正予算という話もありましたし、今年度予算も今審議をしていただいております。また、二年に一度の診療報酬改定ではなかなか対応できないと思いますので、実効性のある支援策を引き続き御検討いただきたいと要請をいたします。
次に、医薬品の関係について伺います。
最近では、ドラッグラグとかドラッグロスとか、世界的な新薬が日本市場に入ってこないものもあると言われております。また、日本の創薬力の低下が深刻な課題ともなっています。かつては国産の新薬が次々と生まれ、世界市場でも一定の存在感を示してきました。しかし近年では、国内の研究開発力が低下し、新薬の創出が減少しています。
一方、世界では、スタートアップ企業が創薬の中心的な役割を担うようになっています。米国では、ベンチャーキャピタルや政府の支援を受けたバイオベンチャーが数多く誕生し、画期的な新薬を次々と生み出しています。欧州でも、スタートアップを核とした創薬エコシステム構築が進んでいます。これに対して、日本ではスタートアップが育ちにくい環境が依然として続いており、このままでは世界の競争に取り残されるのではないかと懸念もいたします。
医薬品産業は、国民の健康を支えるだけでなく、高い付加価値を生み出し、経済成長にも大きく寄与する重要な産業であります。昨年、政府は、創薬エコシステムサミットや経済対策において、医薬品産業は日本の基幹産業であることを明確にいたしました。これは大きな第一歩で、基幹産業であるなら、世界と伍するような魅力ある創薬環境を我が国に構築すべきであると考えます。そのためには、研究環境の整備、研究開発投資の強化、スタートアップの育成、海外との連携など、包括的な施策が必要だと考えます。
政府として、日本の創薬力を回復し、医薬品産業を経済の柱の一つとするためにどのような具体的な施策を進めていくのか、厚労省のお考えをお聞かせください。
○内山政府参考人 お答えいたします。
我が国の創薬力を強化していくためには、アカデミア、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、製薬企業、政府等が相互に協力して創薬に取り組むエコシステムを構築することが重要であると考えております。
令和六年度補正予算においては、インキュベーションラボなど、各地の創薬クラスターで不足している施設整備等への補助、ポテンシャルのあるシーズ等について、創薬経験を有する研究開発支援者等による実用化の支援、革新的モダリティーの人での初回臨床試験、いわゆるファースト・イン・ヒューマン試験ですけれども、こうしたものの実施体制の整備等に必要な予算額を計上しているところでございます。
さらに、革新的な新薬の実用化を支援するための基金の設置等を盛り込んだ法案を今国会に提出すべく、検討しているところでございます。
政府は、医薬品産業を成長・基幹産業として位置づけており、これらの施策を通じて、我が国の創薬環境を魅力あるものとし、世界有数の創薬の地となることを目指していきたいというふうに考えております。
○長坂委員 是非しっかり進めていただきたいと思います。
医薬品産業は付加価値の高い産業でありますし、国境の低い業種であります。国際的な創薬環境をめぐる競争の中で我が国が力を取り戻していくためには、是非、積極的な支援が必要だと考えております。日本の医薬品産業が一日も早く輝きを取り戻すことを御期待申し上げますので、よろしくお願いをいたします。
関連しまして、次に、令和七年度薬価改定について。
昨年十二月二十日に、内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣の間で、いわゆる三大臣合意が行われました。この合意において、国民負担の軽減という目的を果たす一方で、イノベーションの推進や安定供給にも配慮していきたいと聞いております。
特にイノベーションの推進に関しては、先ほどの質問でも発言したとおり、新薬の開発における日本の存在感が低下することが懸念される中で、日本が国内の製薬企業だけでなく海外の製薬企業にとっても魅力ある市場であると引き続き認識される必要があり、そのためには、薬価上でイノベーションを評価していくことが今後も必要不可欠と考えております。
改めて、今回の薬価改定について、その狙いと、特に、革新的な医薬品のイノベーションの評価として、どのような措置を講じたのか、お答えを願います。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
薬価改定につきましては、医薬品の市場実勢価格を踏まえて行うものであり、高齢化や高額薬剤の普及などにより医薬費が増加する中、国民皆保険の持続性を考慮しながら、今先生からもお話がありましたとおり、革新的な新薬の開発力を強化していく要請等にも応えていく、このような必要があると思っております。
令和七年度の薬価改定では、特にイノベーションに配慮する観点から、めり張りの利いた対応を行うことといたしました。
具体的には、革新的な医薬品の改定対象を、全品目の平均乖離率を超える品目にさせていただきました。これは、すなわち、革新的な医薬品というのは比較的乖離率が低いという傾向がございますので、全品目の平均乖離率よりは低くなってまいりますので、結果として約九〇%の品目が改定対象外になったというところでございます。
また、小児等への効能、効果が追加された品目等に対する加算を臨時的に実施いたしまして、その結果、四十五品目に加算を適用し、さらに、新たに六品目が特許期間中の薬価の維持の対象品目というふうにしたところでございます。
厚生労働省として、国民に革新的な医薬品が提供できるよう創薬イノベーションの推進を図るということでございますので、私ども、医療保険の分野についてもそうした方向で対応していきたいというふうに思っております。
○長坂委員 現在は、毎年薬価調査を行い、それに基づいて薬価改定が行われるというルールになっていますが、年々薬価差が縮小しており、地域や医療機関によっては逆ざやの声も聞こえているのが現実です。薬価改定が財政的に重要な要素であることは承知をしておりますが、治療に必要な医薬品がきちんと提供されなければ元も子もありません。引き続き、安定的な医薬品供給が確保されるように努力をお願いをしたいと思います。
次に、現場人材のスキル評価制度の整備と技能五輪国際大会について質問をさせていただきます。
我が国の産業の根幹を支えているのは、就業人口の六割を占める、現場で働く方々だと思います。人材希少社会を迎える我が国におきまして、未来への基盤として、現場で働く一人一人の方がその能力を十分に発揮する環境を整備していくことが重要であります。
これに向けて、建設業や製造業などの様々な分野の現場において、スキルの向上を図り、生産性を高めていく必要があります。そのためには、まずは、スキルの向上に向けた支援が重要であります。しかし、それだけでなく、スキルを適正に評価し、賃金を始めとする処遇にしっかりとつなげていく社会的な取組が必要だと考えます。
我が国では、スキルを評価する仕組みが整備されていない産業もあり、このような職種では賃金が上がりにくいことが課題となっております。また、若い世代の方々に物づくりなどの分野に関心を持っていただくことも重要だと考えております。
折しも、二〇二八年の技能五輪国際大会が、二十一年ぶりに愛知県で開催されることが決定をいたしております。
技能五輪国際大会は、世界中から二十代の若者が一堂に会し、世界一の技能を競い合う技能オリンピックであります。昨今は、物づくりだけではなく情報通信やサービスなどの分野の競技も行われており、現場で働く方々の技能の魅力を、子供たちを含めた若い世代の方に強くアピールする絶好の機会になると考えております。こういった大会を契機に、人々が技を磨くこと、スキルを身につけることのすばらしさを感じ、技能を尊重する機運を高めていくことが大切であります。
厚生労働省として、現場人材のスキルを評価し処遇につなげる取組や、技能五輪国際大会を契機とした技能尊重に関する機運醸成の取組をどのように進めていくおつもりか、見解を伺いたいと思います。
○福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、人材希少社会において、働くお一人お一人が能力を十分に発揮できる環境を整備することは極めて重要でございます。現場で働く方の処遇改善、持続的な賃上げの実現には、技術、技能、いわゆるスキルの向上支援とともに、向上したスキルを正当に評価する仕組みが大変重要でございます。
スキルを公的に証明する制度としては、既に国家検定制度としての技能検定がございますが、こうした既存の公的資格等ではカバーできていない、例えば地場産業などにおけるスキルの階層化であったり標準化を進め、企業内外での適切な評価と処遇改善につなげていくようにするために、新たに、令和六年三月に団体等検定制度を創設いたしました。
その上で、官民を挙げて本制度の活用を促進するために、令和七年度予算では、団体等検定の実施を希望する企業であったり業界団体などに対する検定制度の創設支援や出張相談会を行う事業を盛り込んでいるところでございまして、引き続き、経済産業省、国土交通省など事業所管省庁の関係省庁との連携や、業界団体への周知の取組も強化してまいりたいと思います。
また、御紹介ありましたように、二〇二八年の技能五輪国際大会が愛知県で開催されるということが、昨年九月に決定されたところでございます。
大会の実施に向けまして、本年夏頃には大会組織委員会を設立し、官民を挙げて開催準備を進めていくということにしておりますが、業界団体などと連携して選手の強化を行うとともに、技能五輪のメダリストを小中学校教育の現場に派遣し、技能者の魅力を若い世代に伝える取組などを実施していくほか、SNSなどを使った積極的な周知などを行っていくことで、全国的な技能尊重機運の醸成を図っていきたいと考えております。
○長坂委員 ありがとうございます。
職業上のスキルを誇りに思えるような、リスペクトするような社会づくりが、結局は経済を支えることになるんだろうと考えております。二〇二八年の技能オリンピックの支援も含め、また、これは地味な仕事ではございますけれども、しっかりお進めをいただきたいとお願いをいたします。
次に、女性の活躍推進について質問をさせていただきます。
石破内閣では、かねてより、誰もが年齢にとらわれず、能力や個性を最大限生かせる全世代型の社会保障の構築に向けた取組を進め、働く意欲のある高齢者、女性、障害者などの就労の促進を目指して様々な取組を進めてこられたと承知をしています。
このうち、女性の活躍推進に関しましては、いわゆるM字カーブを描いていた女性の年齢階級別就業率が、出産後の女性の継続就業率も増加して、近年は台形型に移行するなど、これまでの政府の取組は一定の成果があったものと考えます。
一方で、我が国における男女間の賃金格差は、長期的には縮小傾向にありますが、国際的には依然として差が大きく、女性管理職の割合も国際的に見ると、その水準は低いといった課題がいまだに存在をしています。
民間事業者等が女性の活躍推進に向けて果たすべき役割を定めた女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が令和八年三月末に十年間の期限を迎えますが、こうした状況に鑑みれば、この法律が役割を終えたという状況にはありません。女性が安心して働くことができるよう、また、中小企業の人材確保の観点からも、女性活躍の更なる推進が求められると思います。
石破総理は、施政方針演説の中で、女性が楽しいと思えるような新しい出会いや気づき、そこから生まれる夢や可能性が重要と述べていらっしゃいます。
男女間の賃金差異の縮小を始め、女性が働きやすく魅力ある職場づくりを進めるためには、政府は、中小企業への支援も含め、どのように取り組んでいくのか、厚生省の考えをお尋ねします。
○田中政府参考人 お答えいたします。
女性が個性と能力を十分に発揮できる社会を実現すること、このために働きやすく魅力のある職場づくりを進めること、非常に重要であると考えております。
このために、これまで、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、いわゆる女性活躍推進法、これに基づく取組を進めてきたところでございますが、今般、男女間の賃金差異、それから女性管理職の比率、この情報公表を、常時雇用する労働者が百一人以上の企業に義務づけること、それからまた、女性活躍推進法の有効期限を十年間延長すること、そういったようなことなどを盛り込みました女性活躍推進法の改正法案を今国会に提出すべく進めているところでございます。
加えて、中小企業に対する支援でございますが、男女間賃金差異の要因分析、それから改善に向けたアドバイスなどのコンサルティングを実施しておりまして、このために必要な経費を令和七年度予算案にも計上しているところでございます。
これらの取組を通じまして、女性活躍の更なる推進に取り組んでまいります。
○長坂委員 世界の半分は女性といいながらも、なかなか、社会の固定観念が変わるには時間がかかってしまっております。今後、少子高齢化社会の中で我が国の経済を成長させるには労働生産性の引上げが必須でありますが、女性であるということがハンディになって十分に活躍できない方がまだいるということは、一層の努力を期待する次第であります。
時間も限られていますので、ここで一問、法務省に質問をさせていただきます。
令和六年の訪日外国人旅行者数は過去最高となり、また、技能実習制度を実態に即して発展的に解消して、人手不足分野における人材確保及び人材育成を目的とする育成就労制度が創設をされました。このような流れの中で、ますます日本を訪れる外国人の数は増加していくことになると思います。来日した方をきちんと管理し、トラブルが発生しないようにするためには、対応する入管庁の重要性は今後更に増していくことと考えます。
円滑な出入国管理行政を遂行していくために、人員面でも予算面でも入管の体制を強化していく必要があると考えますが、人的、物的体制をどのように整備していくのか、法務省にお尋ねをいたします。
○杉山政府参考人 適正な出入国在留管理行政を実現する上で、入管庁の体制整備は重要であると認識しております。
入管庁といたしましては、これまでも体制整備に努めているところでありますが、出入国在留管理行政に求められる役割を適切に遂行するためにも、引き続き、必要な体制整備に最善を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
○長坂委員 もう一度、厚労省にお尋ねをいたします。
賃上げ、最低賃金の引上げについてでありますが、我が国は現在、名目GDPは六百兆円、設備投資は百兆円を超え、賃金も三十三年ぶりの高い賃上げ率を実現をしております。
現在、我が国経済は、長きにわたったコストカット経済から脱却し、デフレに後戻りせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にあると思います。国民一人一人が実際の賃金、所得の増加という形で豊かさを実感できるよう、更に政策を前進させていかなければならないと思います。
賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現、そして賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとすることを目指す必要があるわけでありますが、さらに、賃金、所得が力強く増加していく状況が定着していくまでの間も、家計を温め、生活者が豊かさを実感できるよう、幅広い方策を検討することも必要であります。
既に二〇二五年春闘、春季労使交渉も始まっております。厚労省を始め政府が一丸となって、賃上げの機運醸成や賃上げしやすい環境を整えることが大変重要だと思います。
○安住委員長 長坂さん、時間が過ぎているので、そこでまとめてもらって。
○長坂委員 はい、分かりました。
厚労省として、賃上げの流れを定着するためにどのような取組を行っているのか、お尋ねをいたします。
○安住委員長 いや、質問はちょっと。もう四十秒過ぎているんですよ。だから、意見としてでいいですか、そこで終わってもらって。
○長坂委員 そうですね、はい。
好循環経済へのソフトランディングができるよう、しっかり努力をしてもらいたいと思います。
終わります。
○安住委員長 これにて長坂君の質疑は終了いたしました。
次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 立憲民主党の岡本です。
先ほど緒方議員への答弁で、加藤大臣、済みません、通告していないんですけれども、答弁されていた森友学園の判決について、文書の存否応答拒否を取り消すとの判決の結論を受け入れることにしたということであります、結論として。
つまり、存在していたということでよろしいんでしょうか。存否をこれまで明らかにしてこなかったけれども、これは存在していたということでよろしいかどうか、まず確認です。
○加藤国務大臣 まさに申し上げた、存否応答拒否を取り消すという判決を受け入れたわけでありますから、今回、存否応答拒否による不開示ということでありますから、存否応答拒否による不開示はやらない、そういうことであります。
○岡本(充)委員 だから、存在しているということで。これまで存否を明らかにしなかったわけですけれども、明らかにする、存在していたということでよろしいですか。
○加藤国務大臣 ですから、ここから先については、文書の開示、不開示について当然判断するということになるわけですから、当然、その対象となる文書がどういうものなのかということ、これを明示しながらお示しをするということになると思います。
ただ、明示に当たってどういう明示の仕方をするかについては、前回の情報審査会でしたかね、そこでのそうした御意見もございますから、そうしたことも含めながら、いずれにしても、情報公開法にのっとって対応していきたいというふうに思っています。
○岡本(充)委員 それは、結局、判決では、存在、不存在、これからちゃんと明らかにしなさいよと言っているわけですよね。そういう意味では、問われていた文書は存在するかどうかを明らかにするということをはっきりここで言われたわけですから、ありましたと言うべきじゃないかと私は思います。あわせて、総理が言われている、いわゆる真摯に受け入れて対応すると言っているわけですから、この対応とも矛盾するんじゃないか、そう思うわけなんですけれども。
もう一つだけ。じゃ、公表する文書の範囲は、どのような範囲の文書を提出するか、財務省の判断に委ねられている、こういうふうに判決から判断しているということでありますが、存在していても開示しないことも今後あり得る、こういう理解でいいですか。
○加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げた文書の開示、不開示の判断については、法令の規定にのっとりつつ、国民に対する説明責任の観点から判断してまいりたいと申し上げましたので、その姿勢の下で具体的な作業を進めていきたいと考えています。
○岡本(充)委員 結局、開示しないことがあり得る、こういう理解でいいかどうかだけ。存在していても開示しないことがあり得る、そういう理解でよろしいですか。
○加藤国務大臣 ですから、今申し上げた、開示、不開示の判断については、これから情報公開法にのっとり、また国民に対する説明責任を果たす、そうした観点にも立ちながら対応させていただくということであります。
○岡本(充)委員 残念ですね。本当に一生懸命働いてきた国家公務員のことを考えて総理が判断したことと私はずれているんじゃないかと思いますけれども、これ以上時間がないので、本来の質問に入ります。
私が指摘をしたいのは全部で八点です。今回の厚生労働予算の中で気になることが幾つかありますが、その中でも、まず、時間の関係で、項目だけ言っていきたいと思います。
基礎年金の給付金の不用額、これが大きいという話。
それから、地域医療介護総合確保基金、これの残額が残っているということ。
それから、コロナワクチン生産体制等緊急整備基金にこれまた不用があるのではないかと思っていること。
それから、医療DXは進めていくべきだと考えますけれども、今回、法案も準備されているやに聞いておりますが、医療情報化支援基金は、令和五年の決定から少し遅れていると思いますので、これからやはりもう一度見直して、今、百五十億円で足りないのかもしれない、一旦返してやり直してはどうかという指摘。
それから、労働保険特別会計、これは特会予算ではありますけれども、七兆八千億円のお金が積み上がっています。いわゆる老齢年金等の年金の積立金の運用の在り方、いわゆる賦課方式、積立方式の差異があると思いますので、これについての問題点。
それから、人材開発支援助成金など、様々な、特会ですけれども、助成金の執行残が残っているということ。
さらには、これも特会になりますけれども、ハローワークの統廃合を進めていってはいかがか。
最後に、予算とは直接関係ありませんが、雇調金の不正受給については徹底して調査に乗り出すべきだ。時効が、要するに、債権の回収期限が五年だと言っていますが、場合によっては詐欺に当たる可能性もあるわけですから、五年といわず七年間は追いかけるということがあってしかるべきではないかという指摘をさせていただいています。
では、各論に入りたいと思います。
まず、年金の話です。
お手元に資料もお配りをしておりますけれども、基礎年金の給付費でありますが、令和五年度は一体幾ら不用費がありましたか。大臣、お答えください。
○福岡国務大臣 三兆六千、七千八百……(岡本(充)委員「三兆六千七百八十一」と呼ぶ)三兆六千……
○安住委員長 ちょっと待って。
速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 速記を起こして。
もう一回正確に言ってください。
○福岡国務大臣 済みません。令和五年度で申し上げますと、三兆六千七百八十一億円でございます。
○岡本(充)委員 これは国庫負担二分の一ですから、一般会計から一兆八千億円以上のお金が不用になっているということです。今年度の予算に投入しているといいますが、皆様にお示しをしているとおり、決算で見ても、伸びは三千億円程度なんですね、毎年。
通告しておりますけれども、このトレンドで伸びていき、そして今回の年金の改定スライドを入れた場合、仮定です、この推定で伸びていき、年金の改定率を入れた場合、令和七年度の決算は一体幾らになると見込まれるか、お答えをいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 今御指摘の推計に基づいて計算した場合には、二十六兆円台の後半になるというふうに承知しています。
○岡本(充)委員 ということは、令和七年度の予算、二十八兆三千七百五十億円から引き算をすると、幾ら不用が出る見込みがあるということになりますか。
○福岡国務大臣 約一兆四千億程度あるという、計算上はそうなります。
○岡本(充)委員 ということは、国費ベースで、いわゆる一般会計から入るお金で不用になる可能性があるのは、その半分ですから、幾らになりますか。
○福岡国務大臣 単純に計算しますと、その半分で、七千億円ということになります。
○岡本(充)委員 これは本当に大きいお金で、これだけのお金が、見通しが甘いんじゃないか。本当にこれだけお金を残らせて、二年後に繰り入れますからという答弁を多分されるんだと思いますが、この二年間、どれだけの運用益を出していますか。
例えば、この一兆八千億円のお金は二年間不用のままになっていた、財投に入れているという話ですが、幾ら利益を生みましたか。
○福岡国務大臣 済みません、財投に入れて運用しているということは御指摘のとおりですが、その運用の利益等について、今手元に資料を持ち合わせておりません。
○岡本(充)委員 私は、極めて低い金利だと聞いていますが、これだけのお金を国民の皆さんからずっと、毎年毎年預かり続けているわけですよ。これは返すべきですよ。
どう思いますか、厚労大臣。このお金は国民の皆さんに返すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。ちゃんと見積もってください。
○福岡国務大臣 委員御承知のとおり、年金額というのは、翌年秋頃に実績を確定させた上で、予算と実績の差異が生じた場合には、翌々年度の予算における基礎年金給付額に充当し、精算する仕組みとなっておりまして、そういう形で返しているということでございます。
○岡本(充)委員 ずっと預かり続けているんですよ。二年ごとに返す、二年ごとに返すといって、ずっと預かり続けているわけ。これはきちっともう一回見直して、これだけ余裕が出ているんですし、今のトレンドが続けば、先ほどお話をしたとおり、一兆円近いお金が残るという話ですから、これはもう一度組み直すべきだということを指摘しておきます。
二つ目、コロナワクチンの話に行きます。
コロナワクチン、四ページ目に、皆さんのところに資料にもお示しをしていますけれども、地方自治体が接種をする費用ということで、一千八百億円程度の基金が積まれています。
今、現状で、ワクチンは何本出荷されましたか。
○福岡国務大臣 医療機関への納入量を見ますと、本年一月二十四日時点で約七百八十六万回分と承知をしてございます。
○岡本(充)委員 一本当たり幾らの補助ですか。
○福岡国務大臣 八千三百円でございます。
○岡本(充)委員 掛け算をすると、この図表にあるとおり、出荷している分で七百億円弱ですよ。ここから物すごく伸びたらまたと言うかもしれませんが、もう出荷しているのが、そんなに伸びるはずはない、一割伸びたところで七百億か八百億ですよ。
一千八百億円もの基金を積んでいるのは過剰であり、これは出荷が、今お話しのとおり、八百万本に至らない程度であれば、これも一千億円返せるんじゃないですか。いかがですか。
○福岡国務大臣 今、口頭でも御指摘がありましたように、今後の感染状況によっては接種率の上昇も想定され得ることから、現時点で執行見込みをお示しすることは困難でございますし、また、令和七年度以降の本助成事業についても、これまでのワクチン接種の状況や今後の感染状況等を踏まえて判断することとしておりまして、単年度の実績のみをもって国庫返納の判断を行うということは考えてございません。
○岡本(充)委員 パンデミックが来れば、補正予算を組むことになるんですよ、正直。新しいワクチンは、開発するまでに半年ぐらいかかるんですよ。その間に、我々だって、パンデミックになっているときにワクチン接種の予算、それは賛成しますよ。一旦返したらどうですか。
そして、令和七年、令和八年も同様に一千八百億円、このお金をもう一度見直せば、あっという間に高額療養費の見直しのお金は出ますよ。
私は、高額療養費の見直しはするべきだと思いますよ。でも、今回のは余りにひどい。本当にひどい。私もがん患者の治療をしているけれども、現場では泣いていますよ、こんなのは。続けられないよ。直ちにこれを財源にして、高額療養費の見直しは、このお金を充てて、やめるべきだと思いますが、どうですか。
○福岡国務大臣 まず、先ほど申し上げましたとおり、このワクチンの助成事業等については、国庫返納の判断を行うということは、この基金の性質上考えてございません。
その上で、今御指摘がありました高額療養費の在り方等については、今の国会の議論、また総理の指示等も踏まえて、しっかり患者団体さんの声を聞きながら判断してまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 これは本当に冷たい話だと思いますよ。
今の話で、ワクチンの基金を返せば、今年も来年も再来年も、高療の見直しをしなくて済むんですよ。ここで決断すれば、多くの患者さんが救われる。今日も国会に来られるんですよね。つらい思いをしているがん患者の方が我が党のヒアリングに来られる。彼ら、彼女らの思いを、大臣、受け止めてやるべきですよ。政治決断をするべきですよ。
もちろん、それは時間はかかるでしょう。だけれども、直ちに着手をする、検討させる、それぐらい答弁してください。
○福岡国務大臣 この基金の在り方とは別に、今御指摘がありました高額療養費の在り方については、様々な声を真摯に受け止めながら、どういう解決方法があるか、しっかり検討してまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 本当にがっかりされると思いますよ。私は、お金がないから仕方がない、先ほど健康保険の、医療保険の伸びと高療の伸びを見ると、高療の伸びが高いから、仕方がないからやるんだみたいな答弁をされていたけれども、財源があるんだったら、やるべきだと思います。それを指摘しておいて、次のテーマに移ります。
医療情報化支援基金、医療DXは進めるべきだと思います。でも、現在、病院間でのカルテの共有はなかなかできていない。そして、実際に今様々な課題も指摘をされている中です。令和五年に決めた工程表のとおりに進んでいない。資料として工程表をつけましたけれども、指摘をしようとすれば、できていないところが幾つもある。
今、こんな状況で、しかも、この基金の執行はこれまで幾らですか、百五十億円に対して。大臣、幾ら執行しましたか。
○福岡国務大臣 一億五千三百万円でございます。
○安住委員長 ちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 速記を起こして。
どうぞ。
○岡本(充)委員 さて、今、一億五千万しか使っていないと言われた。これだけ執行残があるんだから、これも一旦返したらどうですか。私は、これも一旦返して、今回法律も用意されるんだから、医療DXのプランをもう一度示して、それで本当に、もしかしたら、もっと必要かもしれないですよ、それは。隣で財務大臣は何と言われるか分からないけれども、もっと必要ならもっと必要で、それはやはり我々も応援しなきゃいけないと思います。
ただ、今、この令和五年のプランではない、もう一度プランを作り直して、もう一度費用を検討していく、これをやはりやるべきだという私の指摘に対して、大臣、どう答えられますか。
○福岡国務大臣 御指摘のとおり、令和元年に百五十億円を計上した上で、現在においてはまだ余り使われていないということでございます。
この理由といたしましては、当初、国内標準規格で行う予定だったものを国際標準規格に基づき行う方針としたために、電子カルテ情報の共有の在り方の検討、必要なシステムの開発、医療機関の電子カルテの改修の仕様の検討などを進めていた結果、時間を要したものでございまして、令和六年の秋に医療機関のシステム改修の仕様書の確定版を示すに至ったところでございます。
こうした経緯から、現時点ではまだ執行されておりませんが、令和七年二月から順次モデル事業を開始し、今後、必要な法律も整備し、令和七年度中に本格稼働したいと考えております。そのため、今後、医療機関から順次補助申請が行われ、執行されていくものと承知をしております。
○岡本(充)委員 二〇三〇年までというのは、結構まだあって、これから先どうなるか分からない。
今日、財務省も、主計官に来ていただいています。こういうスケジューリングで本当にいいのか、もう一度見直していく必要があるんじゃないか、私のこういう指摘について、どうお考えですか。
○末光政府参考人 お答えいたします。
ただいまの委員の御指摘も踏まえまして、厚生労働省ともよく連携をしてまいりたいと考えております。
○岡本(充)委員 連携して、どうしてくれるんですか。
○末光政府参考人 お答えいたします。
ただいまの工程表のスケジュールにつきましても、その有効性等につきまして、厚生労働省ともよく連携、議論をしてまいりたいと考えております。
○岡本(充)委員 議論しているだけじゃ駄目だと思いますよ。しっかり、もう一回工程表を見直して、作り直すぐらいじゃないといけないんじゃないかと思います。
今日、財務大臣にもお越しいただいていて、先ほどはちょっと別件で聞きましたけれども、私は、先ほど指摘をした、時間の関係でこれ以上できないところもありますけれども、幾つかの問題を指摘をしてきています。雇調金の不正受給の返金だとか、労政、労働政策で出している助成金、これについての執行残がある話だとか、ハローワークの統廃合だとか、こういったものについては、是非、ちょっと特会の部分もありますけれども、やっていくべきだと私は思っているんですけれども、財務大臣、いかがお考えですか。
○加藤国務大臣 個別の政策の方向性は厚労大臣にお聞きをいただきたいと思いますが、そのベースとなっておられるのは、いかに歳出を効率化するという御視点だと思います。我々も当然その視点に立って、よく厚労省から、執行管理、これがどう進んでいるのか、予算編成ごとにしっかり聞きながら、適正な予算、基金であれば規模、予算であれば予算額、これを計上すべく取り組んでいきたいと思っています。
○岡本(充)委員 是非そこはしっかりやっていただきたいし、予算とは関係ないと言われるかもしれないですけれども、雇調金の不正についても、厚労省が積極的に不正を正してほしい。
私が指摘をしているのは、例えば、令和二年、コロナの真っ最中に会社をつくり、直ちに雇調金を申請し、そして、コロナが明けると同時ぐらいかその前ぐらいに会社を畳む、雇調金だけもらっているような会社があれば、これはやはりおかしいんですよ。
垂れ込みがあれば、垂れ込みを調べに行くというのはあるでしょうけれども、こうして外形的におかしいと思うもので厚生労働省がピックアップできるものは、積極的に調べて、調査に乗り出すべきだと思います。大臣、どうですか。
○福岡国務大臣 御指摘のように、例えば、令和二年、令和三年に事業所を新設して雇調金を受給した事業所などにそういった架空の事業所が含まれている可能性がある、そういった御指摘もいただいています。そういったことも踏まえて、しっかり調査を進めてまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 また調査結果については教えていただきたいと思います。お願いします。いいですね。
では、最後に、労働保険の特別会計で積まれている年金と、いわゆる公的年金制度の積立方式、賦課方式に差がある、これについて、それぞれ適正だというのは厚労大臣の答弁になると思いますが、どうしてこの差異が生じるのか。片一方では、もう早々、どんと積み上げておいて、支払い金額は今のうちに積み上げておきます。でも、公的年金は違いますね。現役世代の支払いと積立金を使いながら、百年後に一年分の支払い額を残すという方式で運用している。
この差をどう考えるのか、労働保険については同じような考え方がなぜ取れないのか、これについての答弁をいただきたいと思います。
○安住委員長 間もなく時間ですから、これが最後の答弁になります。
○福岡国務大臣 労災保険の年金の給付に係る費用につきましては、労働災害に伴う補償責任は、事故が発生した時点における事業主集団が負うべきとの考え方から、事故が発生した時点において、将来の費用も含めて保険料として全額事業主から徴収して、積み立てているものでございます。
この年金給付に必要な額をあらかじめ積み立てることによりまして、現存する年金受給者に対して将来支払う原資が確保されているために、災害発生と関係のない将来世代の事業主集団にしわ寄せをせずに済むこと、また、労働災害防止に取り組み、災害が減った場合、労災の保険給付に要する費用等の予想額を考慮して算定している保険料負担の軽減につながりやすいため、災害防止へのインセンティブになることといった利点があると考えております。
仮に賦課方式とした場合は、過去の災害とは直接関係のない将来世代の事業主集団が保険料を負担することとなる、そういった課題があると認識しております。
○岡本(充)委員 時間になりましたので、終わります。
○安住委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。
次に、本庄知史君。
○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。今日もよろしくお願いします。
質疑の順番を少し変えまして、まず予備費からお伺いをしたいと思います。
加藤財務大臣にお伺いします。二月三日の本委員会でも取り上げましたが、財務大臣が私の質問に答えていただけていないというふうに思っておりますので、改めて質問させていただきます。
まず、昨年九月、二〇二五年度予算の概算要求で財務省が要求した予備費の金額は幾らでしょうか。
○加藤国務大臣 七年度予算の予備費でありますけれども、概算要求段階では一般予備費五千億の要求が行われたとともに、特定目的予備費である物価・賃上げ対応予備費の事項要求が併せて行われたところであります。
○本庄委員 九月の概算要求の段階では予備費は五千億円で足りるというふうに財務省としては判断をされていたということではないんでしょうか。事項要求は特定目的ですよね。一般予備費は五千億だということで要求をされていたということですよね。
○加藤国務大臣 ですから、一般予備費は五千億、そして特定目的予備費である物価・賃上げ対応予備費としての事項要求ということでありますから、それぞれ予備費においては五千億と別途事項要求をしていたということであります。
ただ、その予備費は、もちろん一般予備費であれば五千億ですが、特定ということで物価・賃上げ対応ということでの予備費を要求をしていた、こういうことであります。
○本庄委員 それが、三か月後の十二月の政府予算案の段階では丸々一兆円の一般予備費ということになったわけですが、なぜ三か月で倍増、事項要求ということは金額はなかったということですが、五千億が一兆になったんでしょうか。その根拠を教えてください。
○加藤国務大臣 ですから、特定目的予備費としての事項要求をする中でありますけれども、予算編成過程の中において、令和六年度の予備費が年末の段階で能登震災や物価高騰などへの対応のため一兆五千億程度の使用となっているという状況。また、令和七年度においても、頻発する自然災害、物価高騰、国際情勢変化等の予期せぬ事態が生じた場合に機動的、弾力的に対応できるような備えが必要であること。他方で、予備費を含めて歳出構造を平時に戻す取組を進める必要がある、これは申し上げてきたところであります。
それらを踏まえて、昨年までのような特定目的予備費、これは設置をしない、その代わり一般予備費という形で一兆円を計上する、こういうふうに判断したところであります。
○本庄委員 答えになっていないですね。
なぜ特定目的をやめ、そしてなぜ一兆になったのかという根拠を聞いているんですね。結果を聞いているのではありません。根拠を教えてください。
○加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げた歳出構造を平時に戻す取組を進めるという観点も含めて、特定予備費は設けない。しかし一方で、これまでの予備費の使用状況、これは特定予備費を含めてでありますけれども、一兆五千億を使用してきた。こうしたこと、両方勘案した上で、最終的に一般予備費として一兆円を計上する、こういう判断に至ったということです。
○本庄委員 根拠薄弱ですよね。たった三か月ですよ。概算の段階で、きちっと特定目的で要求するなら要求する、一兆円の一般予備費であれば一兆円で要求する。査定する財務当局の予算のつけ方がそんなに雑駁なものでいいんですか。私、ちょっと驚いております。
今のお話を聞いていて思い出すのは一昨年の補正予算ですね、二十五兆円だとなっていたものが一晩で二十九兆円に膨れ上がりました。あのとき増えた四兆円は予備費ですよ。予備費が、ある種、私は調整弁のようになっているんじゃないかというふうに思っています。なので、何回も繰り返し、根拠があって五千億なのか一兆なのか、こういうことを繰り返し伺ってきているわけです。
私から言わせれば、結局、一兆円そのものに根拠はないと思います。物価高のリスクというのは、もう概算要求の段階から分かっていることですね。二か月、三か月たって突然出てきたものではありません。ということなんですね。
私は、やはり平時の五千億にきちっとまず戻すというところに立ち返るべきだというふうに思っています。そうすれば、この五千億、一つの財源として、我々が要求しているような給食費の無償化だとか高校授業料の無償化を始め、他の政策財源にも使うことができるでしょう。
そして、厚労大臣、先ほどから出ています高額療養費制度、二百億ですよ、来年度予算、必要額。この五千億の予備費の全部又は一部でも一般の政策財源として使えるということになれば、来年度の見直し、早急な、尚早な見直しというものは必要ないというふうに思うんですね。
厚労大臣、どういうふうに考えますか。
○福岡国務大臣 財源の見直しの議論については、直接、私の所管ではございません。
ただ、先ほど来おっしゃいましたように、様々な方々の御意見を聞きながら、高額療養費の在り方についてはしっかり検討してまいりたいと思っています。
○本庄委員 財源論なくして政策論はありませんよ。財源のネックがあるから制度の見直しの議論をされているんでしょう。値上げそのものは目的ではありませんよね。だから、財源があればやらなくていい制度改革ですよ、言い方を変えれば。だから、私、伺っているんです。
我々は、高額療養費制度の今回の見直しを凍結をし、そして、予備費を振り替えて、二百億円の、来年の見直しのための経費は要らない、そういった修正案をきちっと出したいと思っております。もう一回しっかり答弁してください。
○福岡国務大臣 まずは、今高額療養費の案を示させていただいていますが、様々な声を承りながら、どういう形で高額療養費をするのが一番御理解をいただけるのか、そういった案が作られた上で、その上で、財源についてはまた議論をされるべきところだと思います。
○本庄委員 まあ、水かけ論なのかもしれません。
では、伺いますが、患者の皆さんといつ会うんですか。もう一週間たとうとしていますよ。お話を聞いて制度について考えていく、こういう話ですよね。まず会わないと話が進まないんじゃないですか、大臣。いかがですか。
○福岡国務大臣 もう既に御答弁させていただいていますが、まず、今事務方において、患者団体さん等、様々な御意見を子細に承らせていただいています。
その上で、私もなるべく早くお会いしたいというふうに思っておりまして、それは、先方のスケジュールもあれば、私とのスケジュールの調整もあります。とにかく、なるべく急いで、そういった時間を設けたいと思っています。
○本庄委員 事務方、事務方とおっしゃるんですが、まず会うのは、事務方じゃなくて、患者さんたちじゃないですか、大臣。いろいろな調整だとか条件だとかをつけておられるから時間がかかっているんじゃないですか。条件なしで、まず会って話を聞くところからスタートされたらいかがですか。もう一度お願いします。
○福岡国務大臣 済みません、条件は特につけてございませんで、まず子細に様々な患者さん方からの御意見を承った上で、私も直接お話を承りたいという、そういう段階で進めさせていただきたいということを申し上げているところでございます。
○本庄委員 大臣はお忙しいんでしょう。ですが、もう一週間近いですよ。そんなに時間が取れないんですか。ちょっと私には理解できません。是非速やかに会っていただきたい。今週中にも会っていただきたい。じゃないと、来週の予算の審議は進みませんよ。しっかりお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の話に移りたいと思います。
まず、このグローバル・スタートアップ・キャンパス構想、GSC構想と略称しますが、世界最高水準のイノベーションエコシステムのハブを構築するとして、岸田政権でスタートしました。このために基金も造成されています。
文科省、政府参考人に伺いますが、この基金の予算措置、支出、残高等の状況について、端的に御説明ください。
○高谷政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの基金につきましては、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想における先行的な研究活動を実施するため、令和四年度第二次補正予算におきまして六十六億円、令和五年度補正予算において五百七十億円、計六百三十六億円が科学技術振興機構の基金として計上されております。
これまでの執行状況としては、科学技術振興機構の体制整備のための職員人件費等に、令和五年度末まで合計二千四百七十万円を執行してきたところでございます。
○本庄委員 聞かれたと思いますが、二年以上たって、三年近くなっていますが、六百三十六億積みました、補正予算ですよ、財務大臣。緊要性が求められる補正予算で積みましたが、二千四百七十万円しか使っていないんですね。必要あるんですか、この基金という話になってきますよ、こうなると。しっかり査定していただきたかったと思います。
そこで、何で進んでいないのかという話ですね。運営法人を設置するための法改正も、法案も、今国会出ると言われていましたが、いまだに出てきていません。そして、さっきおっしゃった先行的な取組、海外の一流大学と連携してやっていくという話なんですが、一ミリも進んでいないという状況です。
担当の内閣府の副大臣に伺いますが、なぜ進んでいないんですか。止まっているんですか。そして、今後のスケジュールはどうなるんですか。お答えください。
○辻副大臣 お答えします。
御指摘の基金には、運営法人の設立や関連施設の開所に先立ち、世界から優れた人材、投資を集める呼び水となる、最先端の研究活動を先行的かつ効率的、効果的に実施するための経費として、既に政府参考人からお話がございましたように、令和四年度補正予算及び令和五年度補正予算において計六百三十六億円を計上しており、執行に当たっては、内閣官房がその方針を決定し、これに基づき科学技術振興機構が執行管理を行います。
当該方針の策定に向けた検討において、国内外の大学、産業界等の関係諸機関との調整等に時間を要しており、当初の予定どおりの執行ができていない点は御指摘のとおりです。
この事実をしっかりと受け止め、現在、本年中の方針策定を目指して、具体的な実施スキーム等についての検討を加速しているところでございます。基金等の関連予算についても、方針を決定次第、速やかに執行を開始したいと思っています。
また、方針に基づいてフラッグシップ拠点を運営するGSC運営法人については、昨年八月に決定した基本方針において、内閣府が必要な法制上の措置を含めて具体化することとしており、可及的速やかに具体化を図るべく準備を進めているところでございます。
○本庄委員 去年の補正であれば今の答弁でも理解します、辛うじて。おととしだったら、まだいいのかもしれません。更にもう一年前、二年以上前、三年近くですよ。何やっているんですか。
遅れた理由を聞いたんです。答えられるのなら答えてください。答えられないのならもう答えなくていいです。いかがですか。
○安住委員長 辻副大臣、同じ答弁は駄目だよ。答弁するならちゃんと答弁しなさい。
○辻副大臣 お答えします。
当初の予定どおりに執行できていない点は、現在、本年中の方針策定を目指して具体的な実施スキーム等について検討を加速しているところでございますので、その基金等の関連予算についても、方針を決定次第、速やかに執行を開始します。
○本庄委員 なぜそれが、方針がまだできていなくて、基金の、使うということが決まっていないのかを聞いているんですが、お答えはなかったと思いますね。
お答えがないので私が説明していきたいと思いますが、まず、MIT、マサチューセッツ工科大学のメディアラボの元所長、現在、千葉工業大学学長の伊藤穣一さん。この方がGSC構想推進室エグゼクティブアドバイザーに就任をしていて、実質的にこのGSC構想の推進を取り仕切っているというふうに聞いていますが、これは事実でしょうか。そして、事実であれば、どのようなプロセスを経て、どういう理由でこの伊藤さんを選任したんですか。副大臣、お答えください。
○安住委員長 内閣官房藤吉内閣審議官、簡潔に。
○藤吉政府参考人 お答え申し上げます。
伊藤穣一氏につきましては、令和六年四月にグローバル・スタートアップ・キャンパス構想に係るエグゼクティブアドバイザーとして委嘱をしてございます。
このグローバル・スタートアップ・キャンパス構想は、世界最高水準のイノベーションエコシステムのハブの構築を目指すものでございまして、この構想の具体化に向けましては、海外の大学、研究機関、企業、投資家また篤志家とのグローバルなネットワークを有する人物の知見が必要でございまして、伊藤穣一氏の豊富な御経験を踏まえまして委嘱したものでございます。
○本庄委員 豊富な御経験は結構ですが、この方、豊富な御経験以外の御経験もあるんですね。
配付資料の三を見ていただきたいんですが、伊藤さんに関連する報道を一部資料として提出しています。
MITラボの伊藤所長辞意、性的虐待の米資産家から資金。そして、デジタル庁事務方トップ、伊藤氏起用見送り。伊藤氏反省。こういった記事なんですが。伊藤さんは、MITの所長時代に、少女への性的虐待などで有罪となった米国の投資家から多額の資金提供を受けていた。これは、MITの所長としても受けていましたが、御自身の会社も受けていたということです。これが発覚をして、MITの所長を辞めました。その後、デジタル庁でデジタル監就任という話が出ましたが、このMIT時代の問題が明らかになったというか取り沙汰されて、結局見送りとなった。
そういった、いわくつき、いわくありの方ですね。そのような方が、このGSC構想の実質的なトップを務めているということは問題じゃないんですか、副大臣。いかがでしょうか。
○辻副大臣 お答えします。
グローバル・スタートアップ・キャンパス構想は、内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室において推進しており、実質的なトップに当たるのは、同室室長を務める内閣府科学技術・イノベーション推進事務局長であります。
伊藤氏からは、海外のイノベーションエコシステムに関する知見や、海外の大学、研究機関、企業、投資家、篤志家等とのグローバルなネットワークに基づき、構想の具体化に向けて様々な有益な情報提供や助言をいただいていますが、あくまで非常勤のアドバイザーとしてのことであり、氏が本構想の実質的なトップに当たるとの御指摘は当たらないと考えています。
○本庄委員 私、言ったじゃないですか、いろいろな御経験はあるのは分かるけれども、その他の御経験もあって、そこが問題だと。お答えになっていませんね。
実際、伊藤氏がGSCの中心になっているということで構想が進んでいない、止まっているという話があるんですね。
MITやハーバードやカーネギーメロンなどの提携を予定している海外の大学や研究機関から、伊藤氏のGSC関与、構想関与に強い難色が示されていて、提携の障害となっているという話がありますが、これは事実でしょうか、副大臣。
○辻副大臣 グローバル・スタートアップ・キャンパス構想に対しては、海外大学を含む様々な機関から関心が示されていて、今後どのような連携を行うか、できるかについては実務的に検討を進めています。伊藤穣一氏からアドバイスを受けていることが、これらの海外の関係機関との連携において障壁になっているものではないと考えています。
○本庄委員 昨年五月、当時の新藤大臣が訪米をした際、MITやハーバードなどを訪問していますね。この際、MIT側から、伊藤氏がGSCで重要な地位を占めるのであれば協力は困難だとはっきり言われていますよね。記録があることも承知をしております。是非、この事実、いかがでしょうか、副大臣。
○藤吉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の報道は臆測に基づいたものと考えてございます。また、なお、MITとは引き続き協議を継続することが確認をされてございます。
以上です。
○本庄委員 私は報道に基づいて申し上げておりません。しかるべき情報源からこの話をしております。
五月の大臣のMIT等の訪問の際の会談において、この伊藤氏の問題についてどのようなやり取りがあったのか、記録を提示してください。
委員長、お取り計らいください。
○安住委員長 私に対してですか。
○本庄委員 提出をしていただきたいと思いますので、理事会で協議してください。
○安住委員長 では、それは理事会で協議します。
○本庄委員 資料の四を見ていただきたいと思います。
この構想は、海外だけではなくて、箱物も大きく関わっています。フラッグシップ拠点の建設を予定されているのが、防衛研究所跡地、目黒区と渋谷区にまたがる二万六千平米の、東京ドーム半分以上の広大な土地です。国有地です。恵比寿駅から徒歩七分、中目黒の超一等地です。
財務省、この国有地の価格は幾らですか。
○窪田政府参考人 御指摘の国有地について、令和五年度末の国有財産台帳価格は約百七十六億円です。
○本庄委員 六百億を超える基金を積み、百七十億の国有地を現物出資をしようと準備をしてきましたが、様々な問題、私は伊藤さんの問題が一番大きいと思っておりますが、全く進んでいませんね。この構想は、私は一旦立ち止まるべきだ、凍結すべきだと思います。
そして、基金の残高、六百三十億円今ありますが、国庫に返納する。そして、この恵比寿の国有地は、売却も含めて活用方法を再検討する。これで最大八百億、税外収入が得られることになります。これを財源にして、また別の政策経費に充てる。こういった修正案、予算の修正案を求めていきたいと思いますが、財務大臣、これまでの話も含めて、御答弁をお願いします。
○加藤国務大臣 今御指摘がありましたグローバル・スタートアップ・キャンパス構想について、趣旨とかいろいろ説明がありましたから飛ばさせていただきますけれども、まさにこれは事業を所管する内閣官房において責任を持って執行管理を行っていただきたいし、また、今お話があった予定地の国有地においても、これは所管する内閣府、これは所管は内閣府になっておりますから、において適切な管理及び今後の活用について検討されるべきものと認識をしております。
ただ、今いろいろ委員が御指摘がありましたように、我々として、本件ということではなくて一般論という形にはなりますけれども、いわゆる基金ルールの趣旨も踏まえて、事業の中身そして執行状況などを十分精査をし、また、所管する大臣あるいは行革担当大臣ともよく連携をしながら、必要な場合には国庫返納を含めた対応を行う、こうしたこと、基金の不断の見直し、これをしっかり行っていくことは大変大事なことだと考えています。
○本庄委員 実は、このグローバル・スタートアップ・キャンパス構想、恥ずかしくもなく、概算要求しているんですね。十五億程度でしたか。これは、財務省、つけなかったですよね。私は御英断だったと思います。この基金の返納や、あるいは国有地の問題を含めて、是非切り込んでいただきたいと思います。
時間もありませんので、最後の一問になると思いますが……
○安住委員長 もう終わり。
○本庄委員 分かりました。
では、査定をされた財務大臣として、人ごとではなく、是非リーダーシップを持って対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○安住委員長 これにて本庄君の質疑は終了いたしました。
次に、平岡秀夫君。
○平岡委員 立憲民主党の平岡秀夫でございます。
私は、今日は主に法務省と警察庁の予算について質問をさせていただきたいと思います。
時間が限られていますので、事前通告した質問については一部省略したりとか一括したりしますので注意していただければと思いますし、答弁も簡潔にお願いをしたいというふうに思います。
まず最初に、法務省予算の、刑事裁判手続等のデジタル化に関してお聞きしたいと思います。
この通常国会には刑事裁判手続等のデジタル化の法案が提出される予定と聞いておりますけれども、その法案は、捜査機関の便宜のためだけのデジタル化であるというふうに批判もされているところがありますけれども、これまで法務省と日弁連が協議しながら進めてきた非対面外部交通のオンライン接見としての法制化は含まれていないとも聞いているんですけれども、そうでしょうか。そして、含まれていないとすれば、なぜ含まれていないのか、御説明いただきたい。大臣、お願いします。
○鈴木国務大臣 今先生御指摘の刑事デジタル法案につきましては、現在、今国会への提出を目指して立案作業を進めているところであります。
今おっしゃいましたオンライン接見の件でありますけれども、これを被疑者、被告人の権利として位置づけることについては法制審においても様々な議論がございました。
そういった中で、具体的には、オンライン接見を刑事訴訟法上の権利として位置づけて、明文の規定を置くべきだという御意見もありました。一方で、全ての警察署や拘置所等でオンライン接見を実現できる見通しがないのに権利化をしてしまうと、大部分の施設において被疑者、被告人が法律上認められた権利を行使できないという状況が長期にわたって続いてしまうということになるという指摘、あるいは、刑事訴訟法上の権利とせずに、運用として、ニーズが高い地域から弾力的に実施をしていくのが適切であるといった御指摘もあったところであります。
こうした法制審での議論を踏まえまして、今回の骨子、要綱について、オンライン接見については盛り込まなかったということでございます。
○平岡委員 今大臣がいろいろと、意見があったということを説明していただきましたけれども、私も、この問題についてちょっと考えてみると、接見交通権については法律で現在も認められていて、これをどのように実行するのかというのは、確かにいろいろな要素があるんだろうなというふうに思うんですけれども、私は、現在の法文でもオンライン接見というのはできるんだろうというふうに思っているんですよね。
例えば、どのように接見を行うのかというのは接見の取扱要綱的なもので対応が可能であるでしょうし、先ほど大臣も言われたように、地域差もあるから、オンライン接見は、必要性が高いところでできるところから実施していくというような考え方もあると思うんですけれども、そういう考え方は取れないんですか。これは政府参考人でいいです。
○森本政府参考人 お答えいたします。
刑事訴訟法三十九条一項に規定する接見につきましては、被疑者、被告人が収容されている警察署や拘置所等に弁護人が赴いた上で対面で行われるものであって、電話の使用等、同項に規定する権利としての接見には含まれていないというふうに解されておりまして、いわゆるオンライン接見も同項の接見には含まないというふうに解されているところでございます。
法制審議会におきましてもオンライン接見について議論が行われましたが、そこでも同様の理解が前提とされていたものと承知しております。
○平岡委員 解されている、解されているというのは、誰が解しているのかというのは私もよく分からないんですけれども、当局が勝手にそういうふうに解しておって、オンライン接見できるにもかかわらずそれを認めないというようなことが行われているとしたら、大問題ではないかなというふうには思うんですね。
ただ、実際には、オンライン接見という形ではなくて、非対面外部交通というような形でいろいろやられておられるというふうには聞いているんですけれども、先ほどの大臣の説明の中に、全国一斉にやるということはなかなか難しいというような話があったんですけれども、これを拡大していく、拡充していくということについては、法務省としてはどういう考えを持っているんでしょうか。これは大臣にお聞きします。
○鈴木国務大臣 刑訴法上の権利という位置づけではありませんけれども、実務的な運用上の措置として、従来から、一部の地域において、検察庁や法テラスと拘置所等との間のオンラインによる外部交通、これを実施してきたところであります。弾力的にその実施を拡大していくべく、今も関係の機関あるいは日弁連様との間での協議を実施しているところであります。
そして、その協議の結果を踏まえまして、法務省においては、令和七年度の予算案においてもオンライン外部交通のための環境整備経費を計上しているところでございまして、今後とも、しっかり関係機関とも連携をしながら、一層その取組については加速をしてまいりたいと思っております。
○平岡委員 これは要望になってしまうかもしれませんけれども、非対面外部交通について充実していくというのは今のお話の中でもありましたけれども、これをオンライン接見の権利化ということで、是非、早急に進めていただくことを要望しておきたいというふうに思います。
次に、予算としては、公安調査庁の問題について取り上げてみたいと思うんですけれども、公安調査庁の機能強化として、令和七年度予算では、経済安全保障関連情報の収集、分析の強化とか、あるいはサイバー関連情報の収集、分析の強化というようなことを掲げているんですけれども、それぞれ令和七年度予算においてどのような予算上の手当てがされているのか、機構・定員、予算額について御説明願います。
○霜田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、経済安全保障関連の点でございますけれども、機構につきましては、令和七年度要求はございません。続きまして、定員についてでございますけれども、経済安全保障関連調査に係る公安調査体制の充実強化のために計上された増員数は四十人でございます。予算につきましてでございますが、経済安全保障関連情報の収集、分析の強化に必要な経費といたしまして、約二億六千百万円を計上させていただいております。
次に、サイバー関連についてお尋ねでございます。機構につきましては、経済安全保障と同様、令和七年度の要求はございません。定員につきましては、サイバー関連調査に係る公安調査体制の充実強化のために計上された増員は四人でございます。予算についてでございます。サイバー関連情報の収集、分析の強化に必要な経費といたしまして、約三億一千三百万円を計上させていただいております。
以上でございます。
○平岡委員 今いろいろと予算計上しているということはあったんですけれども、これは関係委員会でもいろいろ議論されているんですけれども、経済安全保障関連情報の収集、分析というのは公安調査庁の権限外の業務じゃないかというようなことの指摘があるんですよね。それと併せて、今回、今説明したサイバー関連情報の収集、分析についても同じようなことが言えるというふうに思うんですけれども、これらの業務はどのような法制度の下でどのように行っているというふうに考えているんですか。
○鈴木国務大臣 今御指摘の経済安全保障関係あるいはサイバー関係につきましてですけれども、そもそも公安調査庁の活動でありますが、破壊活動防止法等に基づいて、暴力主義的破壊活動を行うおそれがある団体について、その団体の存否、組織、活動の状況に加えて、この当該団体の活動に影響を与える内外の諸動向について必要な調査を行うとしているところであります。
○平岡委員 どこでもそういうふうな説明をするんですけれども、本当にそこに限られてやっているのかということは、誰も見ていないというか、誰も見れていないという状況にあると思うんですよね。この点についてはもっとしっかりと議論していきたいと思いますけれども、今日はもう時間がないのでいいです。
それで、公安調査庁の今現在行っているサイバー関連情報の収集、分析については、今国会に内閣官房が提出を予定している、いわゆる能動的サイバー防御法案とはどういう関係になるんでしょうか。それとはまた別の業務ということなんでしょうか。それとも、その法律の下で行われる業務ということになるんでしょうか。どうでしょう。
○霜田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の能動的サイバー防御の実現に向けました法案につきましては、内閣官房が所掌していると承知しておりまして、公安調査庁として今現在お答えする立場にはございませんけれども、公安調査庁におきましては、先ほど大臣からもございましたとおり、破壊活動防止法等に基づきまして必要な調査を行っているところでございます。
こうした調査の一環といたしまして、我が国を標的としたサイバー攻撃でございますとか、脅威主体ですとか、サイバー攻撃の予兆などに関しまして、いわゆる人的情報を含む情報収集や分析を行って、適時適切に関係機関に提供することにより情報貢献してまいりたいと考えておる所存でございます。
○平岡委員 今の話を聞いていると、やはり能動的サイバー防御と関係がありそうな感じがするんですよね。それにもかかわらず、その法案とは全く関係ないような説明をしているというのは、これからやはりしっかりと検証していかなきゃいけないというふうには思います。
それを踏まえてですけれども、先ほど言いましたように、明確な権限の下で行われていないと言われ批判されている業務であり、かつ、国民の権利、プライバシーの保護とか、あるいは通信の秘密とか、これを侵す可能性も十分にあるということなので、そういうことがないということが担保されない限りは公安調査庁はこういうことをやっちゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、これをやめるべきじゃないですか。どうですか、大臣。
○鈴木国務大臣 先ほども答弁申し上げましたけれども、公安調査庁の活動、これは、破防法に基づいての、団体の活動に影響を与える内外の諸動向についても必要な調査を行っているというところであります。
もちろん、この調査については、法の第三条において、法の目的を達成するために必要最小限度、こういったのみにおいて行うべきである、そして、日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあってはならないと定められておりまして、それはあくまで法に定める範囲、この基準の範囲内で行われるものというふうに承知をしておりますし、活動はその範囲で適切に行われているというふうに私どもとしては考えております。
○平岡委員 私も、現在そういうふうにしているんだろうと信じてあげたいと思うんですけれども、信じてあげるだけじゃ国民は納得しませんので、やはり、この際、能動的サイバー防御法案が審議される機会に、公安調査庁における調査の在り方、サイバーも含めて、しっかりと審議をしていきたい、議論していきたいというふうに思います。
次に、警察庁の予算についてお伺いいたしたいと思います。
警察庁の予算では、令和七年度予算で、サイバー空間の脅威への対処に関してどのような予算上の手当てがされているんでしょうか。機構・定員、予算、これはちょっと省略をしまして、そういうふうに現在警察庁の業務が行われているわけですけれども、この業務が適切に行われているということになりますでしょうか。どうでしょうか。
○逢阪政府参考人 お答えいたします。
警察庁における令和七年度予算では、機構・定員、予算、それぞれサイバー対策に必要なものを計上しております。それに基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○平岡委員 適切に対応してまいりたいということは、それは当然のことなんですけれども、ちょっと時間がないので、それ以上議論はいたしません。
ただ、今回の能動的サイバー防御法案についてちょっと話を移すと、この法案に基づいて、警察庁においては、令和七年度以降、どのような予算上の手当て、機構・定員、予算額、行うことになっているんでしょうか。
○逢阪政府参考人 お答えいたします。
まず、機構につきましては、警察大学校にサイバー警察教養部を設置する、それから、関東管区警察局サイバー特別捜査部に……(平岡委員「ちょっと、それは法案の下の予算措置じゃないから」と呼ぶ)
○安住委員長 ちょっと、そこではしゃべらないで。
どうぞ、答弁してください。
○逢阪政府参考人 特別対処課を設置する。
定員については、サイバー警察局二十八人、警察大学校二人、サイバー特別捜査部五十六人、地方警務官二人の増員。
それから、予算については、五十六億九千二百万円を盛り込んでいるところでございます。
○平岡委員 今のは、法案に基づく予算措置とかじゃなくて、法案とは関係ない、今やっていることについての予算措置であって、私が質問したのは、法案に基づいてどういう予算計上、予算手当てがされているのかというのを聞いたんです。
○逢阪政府参考人 お答えいたします。
深刻化するサイバー空間の情勢を踏まえて、サイバー空間の脅威への対処のため、必要な予算、機構、増員を盛り込んでいるところでございます。
御指摘の能動的サイバー防御については、現在、担当大臣の下、内閣官房において法案の準備が進められていると承知しているところ、今後、当該法案が成立し、警察が能動的サイバー防御に係る事務を担うこととなった場合には、令和七年度においては今般の予算案の中で対応していくほか、警察においてこれまで強化してきた体制、能力を生かすなどして、着実な施行に遺漏なきよう対応してまいりたいと思います。
○平岡委員 今の答弁は、令和七年度予算では何もしていないというふうに理解したんですけれども、内閣官房と防衛省についてはどうでしょうか。
○関口政府参考人 お答えいたします。
内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターにおきましては、令和七年度機構・定員におきまして、特別職、内閣サイバー官を設置させていただくほか、所要の増員措置などによりまして二百三十人を超える体制構築を図るとともに、予算につきましては、デジタル庁一括計上分を含めまして百十五億円を計上することとしております。
このうち、能動的サイバー防御にも関連し得る事業としましては、重要インフラ事業等のサイバーセキュリティー対策強化など、約十六億円を計上しているところでございまして、今後、提出を予定させていただいています法案が成立した暁には、本予算につきまして、現行制度における様々な施策と新制度の運用を一体のものとして施策を推進していくために活用していきたい、このように考えている次第でございます。
以上でございます。
○家護谷政府参考人 お答えいたします。
日々高度化、巧妙化するサイバー領域の脅威に適切に対応するため、幅広く様々な角度から総合的に取組を進めまして、サイバー防衛能力を強化することが重要でございます。防衛省・自衛隊といたしましては、サイバー領域における能力強化を図るため、これまで必要な取組を着実に進めてきております。
したがいまして、能動的サイバー防御のみに資する予算を切り分けることは非常に困難でございますけれども、令和七年度予算においても、幅広く様々な角度から総合的にサイバー領域における能力強化を推し進めることとしており、器材の能力向上等に係る経費として約二千九百二十七億円、それから、サイバー専門部隊を約二千四百十人から約二千六百二十人に拡充することといたしております。
防衛省・自衛隊といたしましては、こういったサイバー防衛能力強化の全般的な取組を通じて、サイバー安全保障分野に係る政府の取組に積極的に貢献していく所存でございます。
○平岡委員 警察庁は令和七年度予算では何も計上していないと言っているのに、防衛省とかあるいは内閣官房とかというのは多額の予算を計上しているというのは何か変だから、これはやはり……
○安住委員長 もう一回答弁させます、手を挙げていますから、警察庁。(平岡委員「私が質問中に何でやるんですか。さっき私も彼が答弁しているときに手を挙げたら、やめろと言ったじゃないですか」と呼ぶ)
手短に。
○逢阪政府参考人 失礼いたします。
警察庁では能動的サイバー防御に係る予算は計上しておりませんが、能動的サイバー防御に資するものとしては、例えば、捜査員等が受講する民間委託トレーニング、一億五千七百万円、IT機器等に係る脆弱性の調査やその検証等を行うための情報収集、分析の費用、二億九千六百万円などを盛り込んでいるところでございます。
○平岡委員 何か、能動的サイバー防御に資するものを、法案に基づくものではないからというのはどうも意味不明の答弁だと思うので、やはり、能動的サイバー防御を前提とした予算は、この際、令和七年度予算では法案が成立するまでは認められないということで、これは削除すべきだというふうに私の方からは言っておきたいと思います。
次に、時間がないのであれですけれども、有識者会議が、サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた提言というのを出していますけれども、この提言については、我が国の有識者の間では、経済統制の強化、通信の秘密の侵害、外国の主権の侵害等が懸念されているところです。
ドイツでは、ドイツ憲法裁判所が昨年十月八日の決定で、ドイツの信書、郵便及び通信の秘密の制限のための法律について、多国間のサイバー脅威を早期に検知することを重要な公共の利益として認めた一方で、この法律の規定には、内内通信、これは国内間の通信ですけれども、の取扱いに関する規定の不備、在外外国人の通信における私的生活形成の核心領域に関連した規定の不備、実施記録の消去期限の不備、審査機関の体制の不備の問題があって違憲であると指摘した例があります。
そこで、次の点を質問します。
内内通信、国内間の通信の収集は禁止されるべき、また、仮に内内通信のデータを収集した場合はそのデータは削除されるべきと考えますけれども、そのようなことが法文上も明記されるんでしょうか。
○安住委員長 内閣府穂坂副大臣、手短に、時間が来ています。
○穂坂副大臣 ありがとうございます。お答えさせていただきます。
有識者会議の提言、現代的なプライバシーの保護や独立機関等の議論を組み合わせるとともに、通信の秘密の保障と公共の福祉の両方が整合し、かつ、実効性のある防御を実現できるという緻密な法制度をつくり上げていくことが必要、このような提言をいただいております。
その提言をいただいた中で、ただいま準備をしているところでありますけれども、今先生がおっしゃられたような判決で問題点として指摘された事項については、これらの事項については相反することがないというふうに今のところ考えております。
いずれにしましても、法案の提出、審議に当たっては、与野党の皆様、国民の皆様から広く御理解がいただけるよう、政府の考えを丁寧に説明をしてまいりたいと思います。
○平岡委員 今の答弁を踏まえてではありますけれども、警察庁としては、ドイツの例を踏まえて、法制度の在り方として警察の業務はどうあるべきと考えていますか。これは大臣にお願いします。
○安住委員長 平岡さん、時間が過ぎていますので、質問はちょっとできないので、まとめていただけますか、簡潔に、意見を。質問はできません。
○平岡委員 警察においては、このドイツの例を踏まえて、法制度の在り方として、しっかりとした業務運営の在り方について検討していただくことを要望いたしたいと思います。
○安住委員長 これにて平岡君の質疑は終了いたしました。
次に、萩原佳君。
○萩原委員 日本維新の会、萩原佳でございます。
大阪九区、茨木市、箕面市、豊能町、能勢町選出です。変わらなければ政治じゃないをモットーに活動させていただいております。
早速ですが、質問に入らせていただきます。
まず、刑事補償に関してお聞きします。
一九六六年、静岡県で一家四人が殺害された事件で死刑判決が出ていた袴田巌さんに対し、昨年、再審無罪が確定しました。釈迦に説法ではございますが、無罪になった場合、刑事補償法に基づいて国に補償を請求することができます。
袴田さんは、本年一月二十九日に、四十七年以上もの長期間、不当に身柄を拘束されたとして、国に約二億一千七百万余りの補償金を請求いたしました。
鈴木法務大臣にお伺いいたします。
袴田さんが補償金請求、これを行っていることに関してどのような見解をお持ちか、お答えください。
○鈴木国務大臣 今御指摘の点でございますが、袴田さんが結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況が続いたことについては、法務大臣として改めて申し訳なく思っているところであります。
その上で、刑事補償金についての御質問というか、その所感ということだったと思います。
刑事補償手続は、無罪判決を受けた者等の請求によって開始をされ、裁判所が主宰して行うものである上に、その手続は公開をされるものではありません。そういったことから、個別の刑事補償手続について法務大臣として所感を述べることについては、恐縮でありますけれども差し控えさせていただきたいと思っております。
その上で、一般論として申し上げれば、検察当局は、刑事補償の請求があった場合には、法令に基づいて必要な対処を適切にするということと承知をしております。
○萩原委員 現在、再審制度の見直しに関しては、超党派の議連が審査の迅速化を図るために動いております。また、法務省さんも、規定整備の方向という新聞記事もございました。
今回は、この動きとは別に、今お聞きした刑事補償についてお聞きしたいと考えております。
刑事補償法第四条は、補償金を一日千円以上一万二千五百円以下の割合による額と定めています。ちなみに、袴田さんは一日一万二千五百円で請求されております。
かかる補償金がこの設定金額となったのは、一九九二年、平成四年であり、既に三十年以上経過していることになります。この長い間、補償金の下限額及び上限額について金額が変わっていないことについて、大臣はどのように評価されておるか、お答えください。
○鈴木国務大臣 今先生御指摘の刑事補償金の日額の上限ということでありますが、制度制定の当時は四百円であったものを順次引き上げております。御指摘のように、最終改正時、これは平成四年でありますけれども、それ以降は一万二千五百円という状況であります。
この上限額については、経済事情の推移を考慮いたしまして、賃金水準、そして物価水準の上昇率を基準として、一定の計算式に基づいて上限額が算出をされているところであります。そうしたこれらの数値について、今計算可能な最新の金額についても平成四年の改正時と余り変わりがないという状況でありますので、経済事情の推移を踏まえて上限額を検討するという考え方から、上限を引き上げるということは、なかなかその必要性を見出すことは現状ではないということであります。
そして、簡易な手続によって一定の標準的な金額の範囲内で補償を迅速に行うことによって、勾留又は拘禁された者に対して実際上効果的な補償の道を開くという制度、この刑事補償の制度の趣旨に鑑みれば、それ以外の理由で更に上限額を引き上げるということも、現状で必要な状況とは私どもとしては考えていない状況であります。
○萩原委員 今の計算を変える必要が、計算結果ですね、この上限額を変える必要はないとのことですけれども、一九九二年ですね、二〇一九年の消費者物価指数を一〇〇とした場合が、九二年が九四・五五、二〇二四年は、推定値ではありますけれども一〇七・九五となって、一三・四ポイントも上昇している中、物価水準は大きく変わりつつあるんじゃないのかなと思っております。
また、袴田さんの大切な四十七年間を、人生を奪った中で、単純に、計算がそうなっていないから上げる必要がないというお答えでしたけれども、それでは余りに機械的過ぎるというか、向き合っていないと考えております。
改めてお伺いしますが、上限額を引き上げる考えは今のところないということでよろしいですか。
○鈴木国務大臣 今申し上げましたように、この数値については、賃金水準、そして物価水準の上昇率を基準として、一定の計算式で、ある意味、機械的に出しているものであります。当然、今後、その数字が変わってくれば、そういったことは上がっていくということになりますけれども、そのフレーム自体を変えるべきかということについては、現時点でその必要は我々としては考えていない状況であります。
その一方で、この刑事補償についてですが、実は国家賠償法というものが別途ありまして、その国家賠償法に基づいて、刑事補償金を超える賠償の請求、これは可能ということでありますので、今、刑事補償ということで御質問がありましたので、そこについては、現状、その算定式について変更するという必要は私どもとしては考えておりません。
○萩原委員 国家賠償法というところで。おっしゃる意味は分からぬでもないんですけれども、ただ、このような長い期間、袴田さんの人生を奪ったと言っても過言ではない状況で、単純に機械的に計算しているから変える必要がないんですという姿勢はいかがなものかと考えております。
また、今回、機械的に計算をしているということですけれども、四十七年間、かなりの長期間の計算になります。単純に日数掛ける金額というだけで計算はされていますが、このような超長期にわたるような期間に関しては、やはり一定の係数を考えるとか、そういう対応も必要じゃないかと考えております。法律家の方々からはそういう考えはないという考えもあるかもしれませんが、是非、この袴田さんの事件に対して真摯に向き合うというところからは、その係数の計算方法、それも含めて御検討いただきたいなと考えております。
さらにまた、お聞きいたします。
袴田さんの年金ですね。現在、年金に関しては、議法でありましたけれども、死刑再審無罪者の方々に関しては、拘束期間中、年金保険料を払うことができないと思いますので、その間の期間、改めて年金保険料を納付することができるような法整備がされておりますけれども、その納付は無罪判決日から一年以内に一括して行うというのは、なかなかちょっと厳しいかなという期間、計算であります。
ただ、こういう冤罪によって納めることができなかった場合というのは、年金は本来本人が支払うべきものではありますけれども、損害賠償の一環として国が代わりに納付するという考え方もあっていいんじゃないのかなと考えておりますが、この考えについてはどのようにお考えされるか、お答えください。
○鈴木国務大臣 今委員おっしゃいました年金の話、今の状況で袴田さんに対してということでいえば、制度としては、先ほど御質問がありました刑事補償法の話、そして国家賠償という話がある状況であります。その上で、年金ということ、これは全ての該当する方を対象として今御指摘の議員立法があったと承知をしております。
その上で、この議員立法においては、その法の趣旨から、この対象を「死刑に処せられた罪について再審において無罪の言渡しを受けてその判決が確定した者」としております。また、保険料の納付については、原則どおり、本人が支払うものとされております。
まさに、一年というところでどうなんだという話でありますけれども、やはり権利義務関係が不確定な状況を長くつくるというのが果たして適当なのかという論点は当然あると思いますし、あるいは、分割を認めた場合に、特別給付金の支払い、ここにも影響が出てくるということ等々を総合的に考慮して、一年以内に一括で支払う、そういった結論に至ったものと私どもとしては承知をしているところであります。
○萩原委員 計算に関してはそうだと思いますけれども、この冤罪事件、二度と起こさないというところも含めて、国の責任、しっかりと、設置していく意味からでも、是非ここの部分に関しても御検討いただきたい、それをお願いして、次の質問に行きたいと思います。
次は、社会保険料の在り方についてで、高額療養費制度の引上げに関する検討についてお聞きいたします。
今朝の新聞報道によれば、政府・与党、修正視野に協議スタートという新聞記事もございましたが、現在、高額療養費制度、これに関しては、自己負担額を三段階で引き上げていく、また、外来特例、これも見直しを行っていくとされております。
これらの改正の有無に関しては社会保障審議会にてるる議論がされてきたと思いますし、また、セーフティーネットとしての高額療養費の在り方、また、健康な人も含めた全体の制度の被保険者の保険料負担の軽減を図るという意味では、一定、上げるという話があるというのは理解はできるんですけれども、やはり、実際、治療を受ける患者さんにとってはその負担の額というのは非常に大き過ぎる、また、より多くの保険料を負担している現役世代の方々にとっては過大な負担じゃないのか、また、その審議会においても、現役世代の声、これを聞いていないんじゃないのかという声も多くいただいております。
私個人としては、今回の高額療養費制度の引上げ、国民の皆様にその負担、引上げをお願いする前に、やはりすべきことがあるんじゃないのかと考えております。
つまり、毎年膨らみ続ける医療費、自然増の部分はあるにせよ、大きく穴の空いたバケツに水を入れ続けたとしても、それは本当に対症療法にすぎません。この穴を塞がずして、医療費の増加を防がずして、皆さんへの負担をお願いしていくというのは順番が違うんじゃないのかなと考えており、上限引上げの議論というのは軽々にすべきじゃないと考えておりますが、これに関して福岡厚生労働大臣はどのように考えておられるのか、お答えください。
○福岡国務大臣 今御指摘ありましたように、今回の高額療養費の見直しは、改革工程表に掲げられた取組の一つでありまして、今おっしゃったように、医療費全体の倍のスピードで、高額薬剤とかの影響もあって高額療養費が伸びている中で、大切なセーフティーネット機能である高額療養費を将来にわたって持続していく、そういう観点で行うものです。
あわせて、今おっしゃいましたように、市販類似薬の保険適用の見直しを始めとした様々な取組についても、正面から向き合っていくという必要があるということは御指摘のとおりでございます。
改革工程には、社会保障制度の持続可能性を高める観点から、検討すべき様々な事項が掲げられておりまして、どれから実施すべきというものではございませんが、着実に検討を進めてまいりたいと思います。
○萩原委員 着実に検討を進められるということではありますが、先ほどの改革工程、これに関しては、二〇二八年度までに検討すべき事項の一つに、高額療養費制度の限度額引上げという話が入っていて、その中で、激変緩和措置の三年間の期間というところがあるのも分かってはいるんですけれども、その中でこれを前倒ししてやっているわけですよね。というのが、やはり順番がいかがなものなのかというのは感じております。
その上で、仮に上限額を引き上げるとした場合であっても、今の多数回の設定についてはどうなのかなとも考えております。
多数回に関しては、直近十二か月で三回以上高額療養費を払った場合は、四回目以降はその限度額を引き下げるという形ですけれども、その四回目の一段階引下げだけでいいのか。場合によっては、六回以上とか七回以上の方には更に引下げを行う。療養される方はやはり長期にわたって、がんの方もそうですけれども、薬を飲み続ける、そういう期間が長く続くのであれば、やはり一段階の引下げではなくて二段階の引下げも必要だと考えますが、それについてどう考えられるのか。
また、高額療養費制度の多数回については、国保なのか健保なのかというところで、加入する保険主体が変わると多数回の回数がリセットされるとなっておりますけれども、これはやはり長期の療養を続けている方に酷な制度じゃないのかなと考えておりますが、この二点に関してどのように考えられているのか、大臣、お願いします。
○福岡国務大臣 まず、多数回該当につきましては、高額療養費の中でも、また長期にわたって様々な療養をしている方の御負担も鑑みて設けられている制度でありまして、この多数回該当の制度は堅持したい。ただ、その中で、負担の在り方が適切かどうかという御議論についてはこの国会の中でもいただいているところであります。
再三申し上げておりますが、そういった長期にわたる療養に苦しんでおられる方々のお声も受け止めながら、どういった制度が適切なのか検証をしてまいりたいというふうに考えております。
そして、併せて、保険者が変わった場合にリセットされるんじゃないかという御指摘がありました。そういった問題があることについては、私としても認識しているところでございます。
こうした取扱いを仮に見直すことにするということを検討する場合には、それぞれの被保険者の所得がどの程度か、また毎月の医療費の支払いがどの程度かという情報は、今、各保険者でしか所有していないということ、また、各保険者がそれぞれのシステムで管理している中で各保険者の情報を連携させるためには、実務面、システム面でもまだ課題が存在すること、そういった課題があることも事実でございます。ただ、問題意識は共有をさせていただいた上で、引き続き検討してまいりたいと思います。
○萩原委員 課題を認識されているということですので、課題を認識しているのであれば、それに対してどう対応を取っていくのかという話が次に来ると思いますので、是非その課題解決をしていただいて、多額の医療費、療養費を負担されている方に向き合っていただければなというところをお願いしたいと思います。
特に、高額療養費制度は、日本の保険制度、それを支える柱とも言える制度だと思っておりますので、是非、その限度額を引き上げる云々の話の前に、まずは、ほかに改革工程で上がっているような話、そこをしっかりと前倒しで取り組んでいただきたいと考えております。
そして、月曜日の予算委員会で我が党の岩谷幹事長の方からも大臣に質疑させていただいた、OTC類似薬の保険適用除外の話ですね。
これについては早急に対応すべきとの質疑に対して、大臣は、患者さんに対する必要な保障が欠けることがないようにする点にも留意する必要があることから、丁寧に検討を進めていく必要があるというふうに考えておりますとおっしゃっておりましたが、その大臣が今おっしゃっている、想定されている留意事項、また検討を進めるに当たっての具体的工程、見えているのであればお示しいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 御指摘の点につきましては、社会保障審議会医療保険部会でも御議論いただいたところでございますが、OTC医薬品等で代替可能な薬剤については保険給付範囲からの除外等の適正化によって保険料負担の軽減につなげるべきという委員と同趣旨の御意見もあった一方で、医療上の必要性に応じて適切な医薬品を選択できるよう何らかの担保措置が必要ではないかといった御意見であったり、医療用と市販薬では同一の成分であっても期待する効能、効果や使用目的、また患者の重篤性が異なる場合があり、市販薬の有無で取扱いを変えることが妥当かどうかなどの課題がありますほか、例えば、OTC類似薬を保険適用範囲から外した場合に、医療用医薬品メーカーが新たなOTC医薬品の開発をするインセンティブがそがれることでスイッチOTC化が滞り、セルフメディケーションの推進の取組を阻害するおそれがある、そういった点についても検討をしていく必要があるというふうに考えております。
○萩原委員 ありがとうございます。
今るる課題等をお示しいただきました。ただ、それについての課題、それをどう対応していくのかというところではありますけれども。
そもそも、OTC類似薬となっていて、市販でも買える薬です。それをどれを使うのか、どの効用がいいのかという話に関しては、患者さんの方で、薬剤師さん、薬局で相談を受けることもできると思いますので、それによって不利益を受ける方、まあ業者も含めて一定あるとは思いますけれども、そこを含めて、是非、医療費が増大しているという事態にきちんと向き合っていただいて。
そして、今言っていただいた工程、ちょっと時間軸の示しはなかったですけれども、そこに関しても是非しっかりと向き合っていただいて、医療費を引き下げる改革を進めていただければと思いますし、また、我々の方でも社会保険料を下げる改革プランというところでまた示させていただきたいと思っておりますので、その折には是非しっかりと議論していただいて、社会保険料を共に下げていくような活動をしていただければと考えております。
では次に、国民年金についてお聞きしたいと思います。
国民年金の遡及支払い、追納制度についてお伺いいたします。
現状、保険料の免除や納付猶予などを受けた期間がある方は、追納制度を利用して、過去十年まで遡って保険料を納付することができます。かかる制度を利用した場合、追納した月数は、保険料を納めた月として老齢基礎年金の計算に反映されることになります。
この追納制度、一九五九年の国民年金法施行時から十年となっていたようですけれども、なぜ十年に限定しているのか、この趣旨を御説明ください。よろしくお願いします。
○福岡国務大臣 今御指摘いただきましたように、国民年金制度は全ての被保険者に定額の保険料を納めていただくこととしながら、例えば、被保険者の負担能力に応じて保険料を免除又は猶予する制度が設けられているところでございます。
免除又は猶予した期間については、その分給付額が満額とならないことから、その後に保険料が納付できる状況になった場合に過去十年以内の期間に係る保険料を追納することが認められているということは委員が御指摘のとおりです。
これをなぜ十年と設定したかということにつきましては、あらかじめ保険料を拠出することを基本とする社会保険制度において、毎月保険料を納付していただいている方との均衡を考慮する必要があるということ、また、被保険者が支払うこととされている追納加算額が過大にならないようにすること、また、年金記録の管理が過度に煩雑にならないようにすることといった観点によるものでございます。
○萩原委員 今お示しいただいた理由ですね、納めてきた方とのバランス、また、納付して、加算額をどう考えていくのかというところ。
ただ、加算額に関しては、この何十年か、何十年は言い過ぎかもしれないですけれども、ゼロ金利政策という意味では、余り加算額は、国債を基準として計算されるでしょうから、過大になるおそれというのは少ないんじゃないのかなという気もしておりますし、年金記録をどう追っていくのかというところ、これに関しても、過去、年金記録の話、いろいろございましたけれども、その記録というのはもう整えられている。
六十年前の制度、文書管理状況等を考えると、おっしゃっている意味というのは分かるんですけれども、本当に煩雑になるのかなと。今は記録を追うことも昔と比べて容易でしょうし。そしてまた、十年ですね、その十年間の期間、今は昔と違って働き方も多様化しておりますし、十年以上前は経済状況が安定せず、やむなく年金の支払いができなかったという方も、現状では納付を行うことが可能になるというケースも多々あると思いますので、そのような意味で、この十年という縛り、そろそろ考えてもいいんじゃないのかと考えておりますが、御見解をお伺いします。
○福岡国務大臣 基本は、年金保険料というのはそのときそのときでお支払いいただくものであり、今、十年間としている期間をもっと長引かせるべきではないかという御提案については、年金制度の安定性等もございますから、そういった御指摘も踏まえて、今後、どのような在り方がいいか、更に検証を深めてまいりたいと思います。
○萩原委員 更に検証を深めるということですけれども、追納により将来の年金受給額というのは上がっていきますし、今、人生百年時代、大分こう言われてから長いですけれども、実際に働く期間というのも長くなってくると思います。そして、将来への不安、備えというところに関しても、やはり昔と比べてより長いスパンで考えていく必要があると思っておりますし、今政府の方で検討されている三号被保険者の話に関しても、それをなくした場合、その後の年金をどうやって払っていくのか。そのときに、仮に配偶者の方に不納付期間があった場合は二人で分けることになりますから、今後の対応についてもどう考えていくのかというところ。
いろいろ課題はあるとは思うものの、やはり人生の状況、生活、変わってきておりますので、この年金記録の追加納付の期間、検討いただくことをお願いしたいですけれども、ということで、私の質疑とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○安住委員長 これにて萩原君の質疑は終了いたしました。
次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党、浅野哲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、三十八分間という時間の中で、警察庁、そして厚生労働省、また法務省、それぞれの皆様に質問していきたいと思います。
まず、省庁別審査は初めての試みということで、我々も、改めて、これまで予算書を何度も何度も読ませていただいておりますけれども、今回、省庁別にやるという目的意識を持った上で読ませていただくと、いろいろ新たな疑問が湧いてきたりですとか、あるいは、もっとここをこうしたらどうかというようなことがこれまで以上に湧いてくるという経験もありました。是非、初めての試みではありますが、有意義な時間となればと思っております。
まず、警察庁の予算案について少し質問させていただきます。
まず、先ほども立憲民主党の平岡委員が質問されていたテーマと重なりますけれども、サイバーセキュリティー対策、これは年々重要性が増していると思っております。インターネットバンキング被害額は、警察庁の公表資料によりますと、直近では十九・五億円、ランサムウェアによる被害件数は百十件を超えている。そして、二四年年末には、過去最大規模、二二年の約三十倍の規模のサイバー攻撃が発生したというような報告も上がってきております。
こうした中で、警察庁が、サイバー対策体制強化、そして資機材の強化をするということで、今回、予算、五十六億九千二百万円を計上していますが、ちょっと我々の目線から見ると、今、世の中で起きている事象からすると、これが適切な強化予算なのか、強化規模なのか、こういったところに少し疑問が湧いておりますので、その具体的な使途、内容について答弁を求めたいと思います。
○坂井国務大臣 厳しいサイバー空間の脅威、情勢に対処するため、令和七年度予算案において、サイバー特別捜査部の体制強化のため五十六人を増員するとともに、その増員に伴う捜査用資機材等を整備するため、三億一千七百万円を計上しているところであります。
また、サイバー部門において必要な人材育成を推進する観点から、民間への委託教養も含め、六億七千九百万円を計上しているところであります。
これらを含め、令和七年度予算案におきましては、サイバー空間の脅威への対処に必要となる予算として、御指摘のとおり、総額五十六億九千二百万円を計上しているところでございます。
これらの予算を効果的に活用することにより、サイバー空間における安心、安全に向け、しっかり取り組むよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○浅野委員 ありがとうございました。
今答弁いただいた内容を含めて、その適正について我々も引き続き精査をしていきたいと思います。
一つやはり気がかりなのは、資機材の強化というのは非常に大事だと思うんです。最近、やはり犯罪に使われる機器の数もどんどん増えておりますし、今回、警察庁の方でも、伺いますと、情報を復元する資機材ですとか、あるいは破損したハードディスクから情報を取り出す機材ですとか、様々な情報収集機材を更新をしている最中だということなんですが、どんどんどんどん年々高度化していますし、その対象数が増えている、こういった現象が起きていますので、この資機材の整備計画というものは、直近のものも拝見させていただきましたけれども、数年に一度ではなく、できる限り毎年、是非頻繁に見直して、必要な計画のアップデートをしていくべきことをこの場ではちょっと申し上げたいと思います。
そして、二点目の質問になります。
警察庁の別の予算項目になりますが、テロ対策と大規模災害等の緊急事態への対処という項目、八十八億九千百万円というものの中に、大規模災害等の緊急事態への対処のための予算というのが三十五億二千八百万円計上されています。ただ、これが前年度と比較して一四%減額をされているんですね。
この大規模災害等の緊急事態への対処の中には、災害への対処に加えて、国境離島における警備能力の確保の項目も含まれているんです。これが一四%も減額されているということには、昨今の諸外国の領海内への侵入や災害の多発、頻発化を考えると、どうしても感覚が合わないんです。
この点について答弁を求めたいと思います。
○坂井国務大臣 警察庁では、令和七年度当初予算案におきまして、今御指摘いただいた大規模災害等の緊急事態への対処全体では減額となっておりますが、その中における国境離島警備のための資機材等の整備に要する経費といたしましては約二十六億円、三十五億円のうちの二十六億円を計上しておりまして、国境離島の警備のための金額、予算としては、令和六年度の当初予算とほぼ同等の金額ということになっておりまして、この中には、訓練費用でありますとか人件費等、先ほど指摘した装備資機材の整備など、必要な経費を計上しているものでございます。
引き続き、国境離島における不法上陸事案等に的確に対処するため、必要な予算を確保し、対処能力の向上を図るよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○浅野委員 是非、ここは予算をけちるところではないと思っていますので、必要なところはしっかり計画を立てて計上していただきたいというのをまず言いたいんですが、ちょっと更問いを一問だけ、事務方でも構いません。
令和五年の防衛白書を読みますと、直近数年間の中国海警局に所属する船舶などの尖閣諸島周辺の領海への侵入の日数、そして延べ隻数、これを一覧表で出しているんですね。これを見ますと、侵入日数だけをカウントした場合に、二〇一八年は十九回、二〇一九年は三十二回、二〇二〇年は同程度、二十九回、そして二〇二一年は四十回、二〇二二年は三十七回。つまり、二年ごとに、二十回、三十回、三十回、四十回、四十回と、年々増えているんです。こういったことを考えると、国境離島の警備というものの重要性は近年高まっていると言わざるを得ないと思います。
一方で、今大臣に御答弁いただきましたが、確かに国境離島の警備に係る経費というのは昨年規模の予算を計上されているようなんですが、昨年までの執行率を見ますと、二〇二三年は六九・三%、二〇二二年は八三%、二〇二一年は七八・一%と、執行し切れていないという現状があります。しかも、二割以上執行し切れていないという現状があります。
ここについてもう少し予算の精査の余地があるのではないかと思うんですが、ここについては改善を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○筒井政府参考人 お答えをいたします。
国境離島警備隊に係る予算の執行率についてのお尋ねでありますが、国境離島警備隊におきましては、国境離島という特殊な環境下で活動する必要があることなどを踏まえまして、大型ヘリコプターの操縦士が多様な訓練を行うために必要な経費を計上しております。
例えば、令和五年度につきましては、機体の検査が長引いたことなどによりまして、当初の見積りより訓練の飛行時間が減少いたしまして、これに伴って燃料費等の所要額が少なくなった、このような事情が影響をしております。
引き続き、予算の適切かつ効率的な執行に努めつつ、国境離島警備隊の対処能力向上を図ってまいりたいと考えております。
○浅野委員 今、事例を挙げながら説明をいただきましたけれども、それにしても、やはり二割というのは決して少なくない規模だと思いますので、そうした予定外のトラブルが起きないように、日頃からの管理監督を是非強化を求めたいと思います。
続いて、次の質問からは厚労省、厚労大臣に伺っていきたいと思います。
まず、医療機関におけるサイバーセキュリティー対策について少し質問をさせていただきますが、来年度の予算案を見ますと、十一億円、予算が計上されています。これは、事務方に聞きましたら、令和六年度については補正予算で十三億措置をしているということなんですけれども、私もそれからちょっと調べてみたんです。
厚生労働省が各医療機関に調査をして、どれくらいの対策が現状行われているのかというのを、報告書を見ますと、厚生労働省が求めている、まずは、自組織、自らの医療機関内のネットワークをしっかり把握すること、そして、電子カルテのオフラインバックアップ、オンラインではなくオフラインバックアップ、これをしっかりやること、この二つの点をこの予算で進めていこうとしているわけです。
まず、ネットワーク把握をしているかどうか、これについては、既に九二%以上の医療機関が把握をしているというふうに回答しているんです。さらに、オフラインバックアップについては、これは少し進捗が遅くて、令和六年時点の調査で、今から約一年前の調査で五二%、約半分がオフラインでバックアップをしているという回答をしています。
ネットワークの把握はもうほぼほぼできている。でも、オフラインバックアップについては歩みが遅いんです、とにかく。これは、毎年毎年十億円単位の予算をつけるのが本当によいのか、それとも、もう少し厚生労働省から医療機関に対して、加速するよう指示を出すとか通知を出すとか、ソフト的な対応で加速をさせる余地があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、この予算の妥当性について、まずは大臣の答弁を求めたいと思います。
○福岡国務大臣 まず、ネットワーク構成についてはほぼ把握されているというアンケートだというふうにおっしゃいましたが、ただ、近年の医療機関のサイバーインシデント事案においては、管理が不十分な外部ネットワークとの接続点がサイバー攻撃の起点となっているということもあるので、そこもしっかり検証していただく必要があるだろうということです。
また、オフラインでのバックアップについては、御指摘がありました約半数というところをもっと伸ばしていく必要があるということでございまして、さっき御指摘がありました令和五年度には補正で三十六億円、令和六年の補正で十三億円ということで、今回、十一億円を計上させていただいています。しっかりそこの中で対象医療機関を捕捉するように努めてまいっているところでございまして、所要の額の中でしっかり体制整備を進めていきたいと考えております。
○浅野委員 国家予算全体の規模で見れば、十一億円という金額は決して大きくはありませんけれども、されど、十一億があれば、ほかにできる施策もあると思うんですね。
私が気になっているのは、ネットワークの把握というのは、比較的、業者、専門家に頼んだりして、スピード感を持って対応できるんですが、オフラインバックアップというのがどうも歩みが遅いんです。これは、だから、毎年十億円単位の予算を今年度、来年度以降も着実に続けていても、実際、令和五年度は四九%で、令和六年度が五二%で、三ポイントしか上がっていないんです。この歩みの遅さは、予算とは別の形で対応を是非加速させてほしいと思っていますので、是非大臣におかれても御検討いただきたいと思います。
続いて、地域医療介護総合確保基金、医療分という予算項目について少しお伺いをしたいと思います。
この項目については六百十三億円が計上されていますが、地方の医療提供体制を維持するためには重要な基金だと認識していますが、昨年から比べると百二十億円減額になっている。
私の地元でもそうですし、大臣の御地元でもそうかもしれませんが、地方の医療機関は、今大変な経営上の困難に直面しています。基金によっては、これまでほかの委員の皆様が議論しているように、本当にその必要性があるのかと疑義を持つものもあるんですが、この医療の基金については、確実に各地域で毎年毎年活用されていると思っています。
なぜ百二十億も減額をしてしまったのか、そして、医療機関の中でも周産期母子医療センターの運営事業、これも予算が十分なのかというのは非常に心配をしておりますので、この両方について、その予算の妥当性について大臣の説明を求めたいと思います。
○福岡国務大臣 地域医療介護総合確保基金は、大変重要な基金だというのは御指摘のとおりでございます。
今、都道府県の各事業の実施状況について精査をさせていただいておりまして、また、これまでの執行状況、繰越額も含めてその執行状況を見た上で、総合的に勘案した上で百二十億円減額しているものでございます。それをしっかり精査した上で行っておりますので、事業の実施には影響がないものだというふうに考えております。
あわせまして、周産期母子医療センターにつきましては、予算額がこれで十分かというような御指摘かというふうに思います。
令和五年度の実績では、医療提供体制推進事業費補助金二百五十一億円のうち、周産期母子医療センターの支援には約七十一億円が充てられてございます。令和七年度予算においては、医療提供体制推進事業補助金として、前年度予算から六億円増額した二百六十七億円を計上しておりますが、このうち、周産期母子医療センターの具体的な支援額については、他の事業を含む都道府県からの申請状況等を総合的に勘案しながら、必要な支援が行き届くように決定してまいりたいと考えております。
○浅野委員 この地域医療介護総合確保基金については、適切に対応していくという答弁だったんですけれども、私も、昨年度の各都道府県の基金の出と入りを少し確認をさせていただきました。一言で申し上げて、本当に、基金なので、使ったら入れる、余り積み過ぎないように、不足しないように、そのちょうどいいところを維持するというのが大事だとは思うんですけれども、私が受けた印象は、物すごく自転車操業というか、その日暮らしの状況ではないかというのを危惧しております。
実際に、昨年、四十七都道府県全体で、この基金の収入に対して、支出は一〇〇%を超えていたんですね。昨年基金に積まれた金額以上が昨年一年間で出ていっていたんです。そして、残金を見させていただいたんですけれども、これは一年ぐらいだったら何とかもつという水準だったんですけれども、毎年毎年の変動が大きくて、非常に医療機関にとってみたら心もとない今状況なのかなとも思いますし、実際、そういう声を受けております。
例えば、長野県ですと、昨年の基金の収入に対する支出は二五六%、福井県でも二五〇%、宮崎県でも二〇八%と、非常に出の方が多い。つまりは、積立部分が今どんどんどんどんなくなっている状況なんですね。
地域医療を支える上では、ここに関しては、幾らに増やしてほしいという議論は今日はいたしませんけれども、是非その辺りのバランスを引き続き見ていただきたい。我々も見ていきますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
続いて、勤務間インターバル制度についてお伺いします。
勤務間インターバルについては、現在、厚生労働省としても、働き方改革を推進するために普及促進に取り組んでいるというふうに思いますが、この広報予算が一・一億円というふうにあります。決して大きくない予算ですけれども、私は、この勤務間インターバル制度に関しては、二〇二五年までに、制度を知らないという企業を五%以下にすることや、あるいは、実際に導入している企業の割合を一五%よりも大きくするという目標を厚生労働省が長らく掲げてやってきていました、それに期待をしておりましたが、今年、二〇二五年、そして、まだまだ普及率は、残念ながら、この目標に届いていないというふうに認識をしております。
今年、二〇二五年です。大臣、この一・一億円という予算で本当に大丈夫なんでしょうか。
〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕
○福岡国務大臣 御指摘のとおり、その制度を知らなかった企業割合を五%未満とするところ、現状で一四・七%ある、また、制度を導入している企業割合を一五%以上とするところ、現状五・七%というのは御指摘のとおりでございます。
一方で、令和五年一月の状況と比較いたしまして、同制度を知らなかった企業割合は一九・二%から一四・七%へと四・五ポイント改善し、また、導入予定又は検討している企業割合は一一・八%から一五・六%へ三・八ポイント増加しており、既に導入している企業割合との合計は二一・三%となってございます。
こうした状況を踏まえ、更に周知を進めるとともに、令和七年度予算案においては、必要な額、先ほどおっしゃられた額を有効に使いながら、しっかり達成に向けて取組を進めてまいりたいと思います。
○浅野委員 本当にこの勤務間インターバル制度は、私もいろいろな企業の経営者の方とお話をする中で、この普及をしていきたいということをお話をさせていただいているんですが、これは導入をするためには、まず、その会社の仕事内容をしっかりと細分化して整理をしなきゃいけない。その上で、役割分担を改めて従業員ごとに割り振って、一人一人の従業員が早く仕事を上がれるようにしなきゃいけない。業務整理、そして働き方改革、意識改革にかけるコストが非常に大きいんだということで声を聞いておりました。
今、働き方改革推進支援助成金というものがあって、この周知、拡大にも努めていただけるということなんですけれども、是非これは厚生労働省だけではなく、経済産業省とも連携を取っていただいて、特に中小企業ですね、中小零細企業の皆様がコンサルを利用しやすい環境をつくっていただきたいと思っております。
ちょっとこれは更問いになりますけれども、大臣の方からも、経産省との連携、あるいは中小企業向けの支援を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 他省庁との連携、また中小企業に重点を置いた支援、当然必要なことだというふうに思っております。
今実施していますアウトリーチ型コンサルティングを、本事業から、全国に設置する働き方改革推進支援センターの中で実施することなどにより、効率性と相談者の利便性を高めることであったり、また、産業医や衛生管理者等に対する研修講義を講師派遣形式から動画視聴形式に変更することなどによって、効率的、効果的な事業運営を図ることとしています。
また、令和七年度の事業においては、新たな取組としまして、民間企業の労務管理セミナー等において勤務間インターバル制度のメリットを周知する取組を行うこととしております。
こうした取組を通じて、当然、省庁横断的に取り組んでいくことによって、より周知を図っていきたいと考えております。
○浅野委員 是非よろしくお願いいたします。
それでは、続いて、今度は重度障害者等就労支援特別事業について伺いたいと思います。
今回、厚生労働省の予算の中でも、この重度障害者の就労支援は、事業費として七・七億円、これは昨年と変わらない額を計上されております。
これは現状どういう制度になっているかというのを事務方から説明を受けたんですが、職場に行くための通勤のための助成金ですとか、あるいは職場で仕事を円滑にするための介助を受けるための助成金、こういった助成金を受けながら、本人負担がないようにしているということなんですけれども、障害を持っている方で、働きたい、世の中のために自分も何かやりたい、社会参画をしたい、こういった思いを持っている方は本当にたくさんいまして、業界の方々からも、これは重度訪問介護サービスの対象にしてほしい、給付対象にしてほしいという要望が長らく出続けているんですね。
政府の施策としては、御本人がそういう働くためにかかるお金をちゃんと国と自治体が負担をする仕組みをしているんですけれども、じゃ、なぜその大本である、これは、就労していない時間であればサービスを受けられる、給付を受けられる、それを就労中も対象として広げるだけでよいと思うんですけれども、そうではなく、こういった仕組みを新たにつくっているところに、どうしても行政効率が悪くなってしまうんじゃないかという思いを持っております。
ですので、やはり給付対象の対象範囲を拡大して、重度訪問介護サービスを就労時間中も受けることができる、就労時間外でも受けられているものを就労時間内でも受けられるようにする、このシンプルな制度改定によって当事者の皆様の社会参画を支え、暮らしや生きがいを高めていくような制度へ見直すべきだというふうに思っております。
大臣、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 この点については、これまでも様々な議論がなされてきました。
重度障害者の方の通勤、就労時の介助の支援については、障害者雇用促進法に基づいて、事業主に対して障害者の方に対する合理的配慮が求められていることであったり、また、個人の経済活動に関する支援を公費で負担すべきかといった課題があることから、重度訪問介護の対象とはしていないところでございます。
その上で、御指摘がありましたように、障害者の方が本人の希望や能力に沿った就労を実現することは大変重要でございますので、障害者雇用納付金制度に基づく助成金だったり、自治体への補助事業により、雇用や福祉が連携し、重度障害者の就労に対して必要な支援を実施しております。
それが本当に効率的かどうかみたいな御指摘がありました。どういった支援の在り方が適切かについては様々な議論がこれまでもあったところでありまして、今後も引き続き、どういう形が一番望ましいのかについては検討を進めてまいりたいと思います。
○浅野委員 今は予算委員会ですけれども、私は厚生労働委員会でもありますので、厚生労働委員会が始まった際には、是非その制度の将来像であったりとか、実際、その施策の効率性の面も議論をさせていただきたいと思っております。
それでは、厚労大臣には最後の質問になりますけれども、これは予算というよりも、今後、予算をしっかりと我々も考えていく上で情報をいただきたいという話です。
我々国民民主党が求めている百三万円の壁の引上げの話なんですけれども、そもそも、百三万円の壁を越えないように就業調整をしている可能性がある人数、これは、厚労省としてどういった人数を把握しておりますでしょうか。もしそのデータがあれば、答弁をいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
一般によくある就業調整と言われますのは、被用者の被扶養配偶者である国民年金の三号被保険者の方が社会保険が適用になるときに、どうしようかといって就業調整をするケースがあるというふうに言われております。
その意味で、その百三万あるいは百六万の壁近辺でそういうような就業調整をする可能性のある三号被保険者というものについては、私どもとしては、約六十五万人いらっしゃるというふうに推計をしているところでございます。
○浅野委員 ありがとうございます。
これが本当の真実の数値かどうかは、今後、その裏づけとなるデータも提供していただいて、我々も考えていきますので、是非後ほど資料はいただきたいと思います。この質疑では、ここまでとさせていただきます。
では、続いて、法務大臣の方に伺いたいと思います。
法務省の予算を見ますと、社会情勢に応じた民事基本法制整備の実現という言葉が書いてありまして、昨年、民法を改正されて、これから施行を待つ状況だということなんですけれども、私は、これまで、例えば離婚をされた御家庭で親子が早期に面会をするような環境の整備といったものにも、この国会の中では質疑を通してお訴えをさせていただきました。今日は、ちょっとそのテーマでお話をさせていただきたいと思います。
まず、法務大臣に伺います。
離婚後の親子面会交流の促進に向けた今の法務省としての基本方針を伺った上で、私が特に聞きたいのは、DV等支援措置という総務省の施策なんですけれども、これは、DVを受けるおそれがあって、避難をした先の住所を相手に知られないように住民票を不開示にする、そういった制度があるんですね。このDV等支援措置が適用されたケースにおける親子の面会交流の早期実現に向けて、法務省としてどのような対応姿勢なのか、伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 いわゆる別居親と子との親子交流の関係の御質問をいただいたと思います。
一般論といたしましては、父母の別居後や離婚後も適切な形で親子の交流、この継続が図られることは、子の利益の観点から極めて重要であると考えております。
その上で、親子交流を実施するか否かや、あるいは実施する場合の方法等については、個別の事案における具体的な事情に照らして、子の利益を最も優先して定められるべきものと考えております。
御指摘のとおり、一般論として申し上げれば、早期の親子交流の実現が望ましい事案も当然あろうと思います。そういった中で、令和六年の民法等改正においては、親子交流の試行的実施を促すための規定の新設などなど、適切な親子交流の実現を図るための見直しも行ったところであります。
こうした改正法の円滑な施行に向けて、関係府省庁等とも連携をしながら、引き続き取組を進めていきたいと思っております。
○浅野委員 これはちょっと予算の具体的議論とはずれてしまうかもしれませんけれども、やはり、民法改正の前に法務省の家族法制部会が取りまとめた文書、これを見ますと、家庭裁判所が親子の面会交流を促すことができる規定が含まれていたりだとか、あるいは、その際に、もし何らかの配慮事項、留意事項がある場合には、それをしっかり条件として家庭裁判所が付すことができる規定ですとか、いろいろそういった配慮がされているんですね。ですので、家庭裁判所の役割というのが非常に大事になってくると思うので、法務省の中で親子の面会交流事業というものをしっかり考えていただく際には、やはり家庭裁判所の人員を含めた機能強化、あるいは役割認識のアップデート、こういったものを是非徹底をしていただきたいと思うんです。
続いて、これは総務省の参考人の方に伺いたいと思いますが、今の話に関連して、そもそも、DV等支援措置というものは、即効性がある制度ではあるものの、もしそれが虚偽の申請が受領されてしまった場合には、いわれなき親御さんが子供と引き離されてしまう、そんなリスクも抱えている、含んでいる制度になっておりまして、実際に、それが原因で子供と会えない、会えずに悩んでいる親御さんもたくさんいらっしゃいます。
こうしたことを避けるために、DV等支援措置を自治体が受ける際に、適否判断、この精度をもっと高めてほしいということをこれまで求めてきたんですけれども、現状、どのような対応状況になっているかを伺いたいと思います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
住民基本台帳事務におきまして、DV等の被害者の相手方が住民票の写し等の交付等を不当に利用して被害者の住所を探索することを防止するDV等支援措置を実施しているところでございますが、本措置の実施に当たりましては、専門的知見を有する警察、配偶者暴力相談支援センター等の相談機関から支援の必要性を確認することとしてございます。
また、国会での議論等におきましても、DV被害に関する虚偽の申出によりこの措置が濫用されている場合があるのではないかという指摘があったことも踏まえまして、より適切な制度運用を行うため、実務を担う市区町村の意見を聴取しつつ、関係省庁とも協議を行いまして、令和五年度に制度の見直しを行い、各自治体へ通知を発出してございます。
具体的には、DV等支援措置の適否の重要な判断要素となる相談機関からの意見をより適切に聴取するため、相談機関が申出者に対して行った具体的な対応内容を新たに記載事項に加えるなど、本措置の申出書様式や手続の流れを変更するとともに、住民票の写しの交付の請求又は申出に対しまして不交付決定を行う場合等におきましては、相手方に対し不服申立てをすることができる旨を教示することや、教示を文書により行うことが考えられる旨を通知しているところでございまして、これらの改正内容につきまして市区町村に対して説明するなど、引き続き周知を行ってまいりたいと考えてございます。
○浅野委員 ありがとうございました。
あと二、三分ですのでこれで最後にしますけれども、昨年一月三十日、通知を発出していただいたということで、私もその通知の内容を拝見させていただきました。一言で言って、感謝を申し上げたいと思います。
どういったところかというと、DV等支援措置の申出をした方が、事前に相談機関に相談をせずにいきなり自治体に駆け込んできた場合、そのときは、そこですぐに判断をするのではなく、ちゃんと相談機関に相談をしてくださいと促して、その上でその適否を判断するということが明記をされていたという点で、駆け込んで、その場ですぐDV等支援措置が発動するという事態がまず避けられるようになっていること、それによって、虚偽の申請というのが比較的見つけやすくなるといいますか、未然に防止をされやすくなる、こういった効果はあると思います。
一点だけ、せっかくですので、更なる改善点を少し申し上げたいと思うんですが、様式変更の際に、相談機関で記載しなければいけない確認書というのがあるんですけれども、ここに、申出者が言ったとおり、これに相違ありませんという場合は、チェックを一つ入れるだけで確認書の作成が完了してしまうんですね。
ですけれども、そこはやはり丁寧に、相違ない場合でも相違がある場合でも、しっかりと相談日時やその内容や、あるいはその対応内容をきちんと書いていただく、これを相談機関にはお願いをしたいなというふうに思います。チェック一つでその書類が完成してしまいますと、やはり確認作業が非常に粗くなってしまうおそれが否定できませんので……
○奥野委員長代理 浅野君、時間が参っております。まとめてください。
○浅野委員 その部分は改善をしていただくことを求めて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○奥野委員長代理 これにて浅野君の質疑は終了いたしました。
次に、浜地雅一君。
○浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。
十六分間でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
私からも創薬力の強化をテーマに質問したいと思っています。先ほど自民党の長坂先生も御質問されておりました。
創薬力、医薬品というと、今、国民の皆様方に周知をされているのは、ジェネリック医薬品が今、供給安定不足にあると。これはテレビでも伝えられて、結構、国民の皆様方に周知をされている問題です。
ただ、もう一つ、国民の皆様方に余り周知をされていないのではないかと思う問題が、いわゆるドラッグロスの問題であります。要は、欧米で承認されていますけれども日本で承認されていない医薬品は、今、百四十三品目ございます。そのうちの八十六品目が国内で開発が未着手となっているわけであります。
開発がされていれば、遅れている、ドラッグラグという問題になりますけれども、着手をされていないので、これは日本ではなかなか手に入らない可能性があるわけでございます。特に、小児用そして希少疾病の薬が国内的に未着手であります。したがいまして、これまで以上に将来ドラッグロスが更に拡大をしていくことは目に見えているわけであります。
それともう一つ、我が国では、やはり基幹産業としての製薬関連業界、この企業の力も弱くなってきています。日本起源の医薬品の世界シェア、二〇〇〇年では一二・一%ございましたが、最近のデータでは九%を下回っているということであります。
その原因として言われているのが、一つ、これまでは、製薬メーカーが開発の段階そして生産まで一貫して自分たちで責任を持って行うビジネスモデルから、今は、アカデミア、バイオベンチャー、そしてベンチャーキャピタル、CRO、これは治験の補助をする機関でございます。また、CDMO、受託製造を行うような機関でございます。まさに、水平分業、半導体と同じような経済構造に変わってきているわけであります。これらのプレーヤーが有機的に絡み合う創薬エコシステムが日本では十分に構築をされていないというのが大きな問題の一つというふうに指摘をされております。
特に重要なのが、この各プレーヤーをつなぐインキュベーター、アクセラレーターという、いわゆる、これまでシーズを実際に製薬として実用化した経験のある、コーディネーターのような役割を果たす人材が不足しているというのが大きな問題であろうと私自身も思っています。
特に、最近は、低分子医薬品がこれまで主流だったんですが、例えば、コロナワクチン、メッセンジャーRNAは核酸というものがモダリティーだそうでございます。また、遺伝子とか新しいモダリティーに対して、なかなか日本の実用化の経験のある人材が少ないじゃないか、そのように日本は立ち遅れている状態であります。
これを受けまして、岸田内閣時代は、創薬力構想会議が立ち上がりました。政策目標と工程表が示されまして、昨年の九月には、内外の製薬関係者が一堂に会して創薬エコシステムサミットが行われ、非常にこの機運が高まったわけでございます。
しかし、私は、石破政権になりまして、この機運が後退していないかという危惧をしております。石破総理の施政方針演説、所信表明演説、計三回ございましたが、一度も創薬という言葉が出てきていない。
したがいまして、まず、石破内閣には、創薬力構想会議で示された様々な目標をしっかりとワークさせる、事務局体制も含めて強力に進めていただきたい、そのように思います。これは、辻副大臣に御答弁をいただきます。
〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕
○辻副大臣 お答えします。
政府としては、昨年五月の創薬力構想会議の中間取りまとめを通じて戦略目標を示しまして、委員御指摘の、七月には当時の岸田総理も出席した創薬エコシステムサミットで戦略目標を踏まえた工程表等を示したところでございます。工程表はおおむね今後五年間を視野に入れたものであり、石破政権においても、引き続き、これに基づいて様々な施策を推進しています。
予算措置の面でも、昨年十一月の総合経済対策において、「医薬品産業を成長・基幹産業と位置付け、政府が一体となって、日本を「創薬の地」とするための支援を推進する。」として、創薬クラスターの発展支援、創薬を含めたディープテック領域のスタートアップ支援、創薬力の向上等に向けた健康・医療分野の研究基盤の整備等を行うとした上で、創薬力強化や後発医薬品等の安定供給確保に関して、事業規模としておおむね一千億円程度の政策パッケージを取りまとめたところでございます。
令和七年度の当初予算についても所要の予算を盛り込んだところ、引き続き、工程表に基づいて、創薬力強化のための施策を着実に推進して、戦略目標の達成に向けてしっかりと取り組んでまいりたい所存です。
○浜地委員 是非よろしくお願いしたいと思います。
その上で、今日は一枚ペーパーを持ってきていますが、これはよく見る資料でございますけれども、創薬の事業化フェーズに応じた課題と対応ということで、今、辻副大臣に答えていただきましたのは、令和六年の補正等で、この上の方の創薬クラスター設備等の整備事業等御紹介をいただきました。大事なのは、実は下の方の創薬エコシステム発展支援事業だというふうに思っております。
今日私が問題提起をしたいのは、今国会提出予定の薬機法の中に二つの基金をつくる予定であります。一つは、先ほど言いましたジェネリック医薬品の安定供給確保のための産業構造の改革のための基金、それともう一つが、今私が話題としています創薬力強化のための基金であります。
しかし、私が聞くところによりますと、創薬強化のための基金に、上の方のクラスター支援とかFIH施設の、要はハード面、設備の方はこの基金の事業として対象となるというふうに聞いておりますけれども、下の方の創薬エコシステム発展支援事業、いわばソフト的な事業でありますが、これについて、まだこの基金の対象になるかどうか明確ではないというふうに聞いておりまして、私の問題意識は、創薬エコシステム発展支援事業も今後つくる予定であります基金の対象とすべきだというのが、私からのまずお願いでございます。
なぜそうだというかというと、先ほど言いましたとおり、やはりインキュベーターという人材、目利きができる人材。いわゆる研究テーマの三万分の一が実は創薬に結びついている。ですので、このシーズを見つけたときに、最初、当然リスクがあります。これをノー、ゴーの判断。結局、これはもうここで打ち切ろう、若しくは、これは更にベンチャーキャピタル等つなげて資金を入れ、そして最終的には、臨床施設、臨床試験に入ったときに大きな資金が要りますので、大手製薬会社等に例えばMアンドAをしていく等の、全体のコーディネートをするような仕組みがまさにエコシステムの要になるわけでございます。
それを育てようというのが創薬エコシステム発展支援事業でございまして、私は、箱物のクラスター支援事業だけを基金の対象にすると、まさにこれは画竜点睛を欠く、肝がない、大事な事業が抜けているというふうに私自身思うわけでございます。
ただ一方で、それをやるためにはAMEDがあるじゃないかという実は批判もあるわけでございます。ただ、AMEDはどちらかというと自分の、AMEDの方の研究テーマ、公募テーマを設定して、それに応募してきた研究等を継続的に支援をしていくということで、先ほど言いました、私が、ノー、ゴーを迅速に決めて、要はビジネスライクでしっかりやっていくような判断というのはなかなかなじまないんであろうというふうに思っております。
そこで、福岡大臣に、この創薬エコシステム発展支援事業を今後創設する予定の基金の対象としてはどうか、しっかりとこの辺りは検討していただきたいと思っておりますが、御答弁をいただきます。
○福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、世界ではスタートアップが医薬品開発の主流となってきている中、我が国においてもスタートアップが革新的新薬を生み出せるような創薬環境の強化が大変重要だと思っています。
このため、令和六年度補正予算において、委員御指摘の創薬エコシステム発展支援事業を新たに実施することとしています。AMEDの事業は、今さっき御説明ありましたが、アカデミア等に対して、研究者からの提案に基づき研究開発支援を行うのに必要な費用を支援しているのに対しまして、この事業は、海外人材とのネットワークを有する民間事業者に対し、革新的新薬を生み出すスタートアップが生まれ、成長するよう支援する取組に必要な費用を支援するものでございます。
具体的な内容としましては、産業界で実用化に取り組んできた支援者が革新性や実用化の蓋然性の高い創薬シーズを見出し、必要な試験等の実施を支援すること、海外規制当局からの承認等も見据えた形で支援を行うことなどを想定しております。
御指摘の、革新的な新薬の実用化を支援する基金の設置を盛り込んだ法案を今検討しているところでございまして、ここに具体的にどのような事業を支援していくかということについては、御指摘がありました創薬クラスターで不足している施設整備費等への補助のほか、先ほど申し上げた創薬シーズの実用化支援についても、令和六年度補正予算事業の実施状況や関係者の方々の御意見もしっかり踏まえて検討を進めてまいりたいと思います。
○浜地委員 是非よろしくお願い申し上げます。
じゃ、法務大臣に二問御質問をしたいと思います。時間がありませんので、ちょっと急ぎます。
能登半島地震からの復興、この予算委員会でもテーマになったと思います。この復興の支障となるのが、復興事業の対象となる土地建物の所有者がはっきりしない、いわゆる所有者不明土地の問題。また、土地の形状や筆界ですね、一般的には境界、これがはっきりしないと復興事業の支障となってしまいます。所有者不明土地の解消、又は境界の確定作業、重要な役目を果たすのが司法書士、土地家屋調査士というふうになります。
令和六年の四月から相続登記が義務化されたのはもう御承知のとおりであります。所有者不明土地の一番の原因が、登記の名義人が例えば明治時代のままになっている、もうどこに行ったのか分からないということでありますので、今後は相続登記の義務化というのがこの一助をなすだろうと思っています。非常に相談も多いそうでございます。
ただ一方で、相談が増えると、これにかこつけて、司法書士ではない者が相続登記を始め、本来司法書士の先生方が行う業務を無資格者が行ってしまう非司法書士行為が横行しないかというのがやはり問題であります。結果的には国民の権利にも大きく影響してまいるわけでございます。これまでも、商業登記などにおいて非司行為と疑義のあるネット業者などがございました。
是非、法務大臣にはこの非司法書士行為に対する対応を厳格に行っていただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 司法書士の御資格もお持ちの先生に、今更ということでありますけれども、司法書士の皆様方、大変、御指摘のような重要な役割を果たされております。
御指摘の、無資格者が司法書士の業務として法定されている事務を業として行うことは司法書士法で禁じられているところであります。法務局では、こうした無資格者が司法書士法の規律に違反することが疑われる場合には、その者に警告を発するなどの取組を行っておりまして、令和五年度における警告の件数は九十件ということになっております。
法務省といたしましては、今後とも、様々な事業者により提供されるサービスの内容や事業活動の実態を注視し、司法書士法に違反する行為を認知した場合には、関係機関と協力をして適切に対処してまいりたいと考えております。
○浜地委員 では、最後の質問にいたしますが、もう一つ重要なものが登記所備付け地図の整備であります。
地図整備事業ですね。この登記所備付け地図は何が優れているかというと、土地の座標が明確になります。座標が明確になると、地球上での位置及び形状がはっきりするということであります。そしてもう一つが、この登記所備付け地図を作成するためには土地の筆界を必ず確定しなければならないので、紛争解決にもつながりますし、先ほど言いましたとおり、復興等のときにどこが境界線なのかが分かるのがこの地図整備事業であります。
現在の地図整備事業は令和六年度に計画が終了し、令和七年度に向けて次期地図整備計画を策定することになりますが、この現在の整備計画を経て次期計画において強化すべきポイントはどこなのか、そして、これを支える土地家屋調査士の皆様方の活用について、最後、法務大臣の御答弁をいただきます。
○鈴木国務大臣 今御指摘の点でありますが、令和七年度以降の次期計画については、昨年の三月二十九日に令和七年度以降の次期地図整備計画の策定に向けた基本方針を定めたところであります。
基本方針の中では、防災、災害からの復旧復興や町づくりの観点を踏まえて、事業実施地区の選定基準を明確化をし、優先度の高い地区から事業を着実に進めることとしております。
この事業は困難度が非常に高いことから、土地家屋調査士の皆様方が有する専門的知見が極めて重要でありまして、次期計画においてもその協力は必要不可欠でありますので、今後とも、土地家屋調査士の皆様方とも連携をしながら、この事業をしっかりと進めてまいりたいと思っております。
○浜地委員 時間になりましたので、終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて浜地君の質疑は終了いたしました。
次に、上村英明君。
○上村委員 れいわ新選組の上村英明と申します。
今日はちょっと緊張していますが、よろしくお願いいたします。
本日は、難民の保護、特に難民申請者の保護についてお尋ねしたいというふうに思います。
まず、法務大臣、国際的な難民の保護というのは、いつ頃から、またどのように始まったというふうに認識されておりますでしょうか。よろしくお願いします。
○鈴木国務大臣 我が国においては、難民の受入れを国際社会において果たすべき重要な責務と認識をしておりまして、昭和五十六年に難民条約、そして五十七年には難民議定書に加入をするとともに、難民認定手続に係る必要な体制を整えてきたところであります。
我が国といたしまして、申請者ごとに申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定しているところであります。
そして、令和五年十二月からは補完的保護対象者の認定制度が開始をされておりまして、保護すべき方々の一層確実な保護に取り組んでいるところでもあります。
そして、難民及び補完的保護対象者とは認定しない場合であっても、人道上、本邦での在留を認めるべき者については在留を適切に認め、保護をしているところであります。
個々の外国人の方の置かれた状況に配慮しながら、保護すべき者に在留を認めて保護していくことが重要であると私どもは認識しておりますので、引き続き適切に進めてまいりたいと思います。
○上村委員 ありがとうございました。
今、政府の公式見解の概要を述べていただいたと思いますけれども、ちょっと私個人としては寂しいなという気はあるんですが。
もう少し詳しく言いますと、難民保護というのは、正確には第一次大戦後に始まります。当時のドイツ、オーストリア・ハンガリー、オスマントルコ、ロシアという四つの帝国が崩壊し、本来の国家の保護を失い、あるいは財産を失い、移動を余儀なくされた人々の人権を守るために始まったのが難民の保護という活動であります。
国際社会の成立とほぼ同じ時期に、一九三〇年に国際連盟の下にナンセン国際難民事務所が設立されます。これは、北極探検で有名なノルウェーのフリチョフ・ナンセンという方がその事務所を始められたんですけれども、同じようなことは第二次大戦後も起こります。
皆さんはよくお分かりだと思いますが、今年は戦後八十年ですけれども、大日本帝国という国家が崩壊して、財産を失い、移動を強いられた人たち、特に日本に引き揚げてきた人たちが当時五百万から六百万いた。実は、私の家族は台湾から引き揚げてきた、そういう家庭に生まれました。ですから、本来であれば、難民の問題というのは、ここに、日本のある種の始まりがあるというふうな認識をされると大変ありがたいなというふうに思うんですけれども、残念ながら、難民条約から始まるというのが今の日本の認識だと思います。
これはどういうことかといいますと、日本の国内にも難民の経験者というのはこの私も含めていまして、それは、難民行政が、やはり、他国からやってこられた、自分たちの経験と違う人たちなんだという認識をされるととても残念だなというふうに思います。
それからもう一点が、今指摘したように、難民の保護は、国際社会の成立と同時に生起した普遍的な人権遵守に関わる問題であるということを御認識いただければ、道義的責任の問題であるということもかなり弱い認識だなというふうなことを考えております。
今日の本題に入りますけれども、法務大臣、今回の予算で、従来の外務省予算から法務省に移管される難民関係の予算があると思いますけれども、どういう事業に関わるものであるか、また、移行期ということなので細かい数字はお尋ねしませんが、二〇二五年度の当該事業の予算の大枠をお示しいただければ大変ありがたいです。よろしくお願いします。
○鈴木国務大臣 いわゆる保護事業について申し上げれば、難民及び補完的保護対象者の認定申請に対する救援業務に係る金額ということで、約七・一億円でございます。
そして、難民及び補完的保護対象者全体ということで申し上げますと、令和七年度の政府予算案、難民及び補完的保護対象者の認定申請者に対する救援業務及び難民及び補完的保護対象者に対する定住支援業務等、合わせて全体で約十二・七億円ということでございます。
○上村委員 ありがとうございます。
今お話しになったように、外務省から今回法務省に移管される難民認定保護事業というのがございまして、それについてお話を伺ったんですけれども、皆さんにお配りしてある資料一の新聞を見ていただきたいんですけれども、これは何というテーマでやられたかというと、大臣、連載のサブタイトルには何て書いてあるか、お分かりでしょうか。
○鈴木国務大臣 先生提出のこの資料、朝日新聞の夕刊、二〇二四年十二月九日ということでございますが、ここのタイトルだけ読ませていただきますと、そのサブタイトルでしょうか、「ホームレス難民」と書いていると承知をします。
○上村委員 ありがとうございました。
これは「ホームレス難民」と書いてあるんですけれども、ホームレスの方が難民化するという意味ではなくて、正確に言えば、難民あるいは難民申請者の方たちがこの日本でホームレス化しているという記事であります。
この中には妊婦さんや子供さんもいるということがございまして、先ほど大臣がおっしゃられた難民認定申請者保護事業は大変重要な一つの難民行政だと思うんですけれども、こうした認定申請者の方たちはまだ就労資格がありません。さらに、こうした条件の中で何なりかの保護が必要だということで先ほどの保護事業があり、その意味があるというふうに考えているわけなんですけれども、残念ながら、その事業の恩恵を受けられずに野宿をしている難民申請者の方がこの日本にいらっしゃるという現状が報告されています。
資料二は、難民認定申請者と保護費の受給者の割合ですけれども、保護費というのは、住居費、医療費、それから生活費などをカバーしますけれども、例えば二〇二三年には、一万三千八百二十三人の申請者に対して受給者は六百五十八名、僅か五%です。こうした状況、申請者自体がこのとき増えているんですけれども、それを踏まえても、大体五%の方たちにしかこういうものが支払われていないということがあります。
これに追加して、次の資料三は、政府の支援で用意されたこうした難民認定申請者へのシェルターの利用者が八十八名であったという統計であります。
こうした難民として日本に来られた方たちは、まず住むところがないという。実は、私たちの家族が帰ってきたときも親戚のうちの鳥小屋の中で何か月も過ごしました。住むところがないんです、本当に。そういう方たちのために政府がある種の緊急宿泊施設を用意はしていても、これを利用する方が少ないということがあり、民間のNGOでの施設の利用者の方が多いというこうした現状を政府はどういうふうにお考えなのか。
特に、鈴木法務大臣は外務副大臣もやられていたので、今日の所管の予算概要の説明の中でも法務省の国際貢献ということをおっしゃられていたので、是非この辺、御意見を伺えればと思います。
○鈴木国務大臣 難民認定申請者の方々のうち、生活に困窮する方に対してということであります。
先ほど来、資料にもありましたけれども、外務省で業務委託をしているアジア福祉教育財団難民事業本部において生活費、住居費等の保護費の支給やあるいは緊急宿泊施設の提供などの保護措置を行っているというふうに承知をしておりまして、今後、令和七年度からは、この難民の認定申請者に対する救援業務、これは法務省で実施することとなる、そういった状況であります。
そういった中で、この提供は十分なのか、先ほど民間のお話も引かれて、十分なのかという、そういったことがございましたが、現在、外務省の委託事業として実施をされている難民認定申請者に対する保護費の支給やあるいは緊急宿泊施設の提供につきましては、難民認定申請者の方々のうち生活に真に困窮する方々が適正な保護を受けられるように、難民認定申請者の方々の生活状況の調査を行った上で総合的に判断をしていると私どもとしては承知をしております。
入管庁に移管後ということでありますが、適正な保護をしっかり実施していけるように、私どもとしても最大限の努力を行ってまいりたいと思っております。
○上村委員 ありがとうございました。
もちろん、調査をして抜本的な制度の改革をしていただくというふうな意味だというふうに思いますので、それは高く評価したいなと思うんですけれども、例えば、これから冬が、まだまだ寒い時期が来ますので、できれば緊急対応を、何か手法があれば、先ほどおっしゃったように、委託先は難民事業本部があるんですけれども、現状でも入管庁からも予算は出ていると思いますので、何かいいアイデアがあれば、こうした難民の方たちがホームレスにならない国というのを是非実現していただきたいと思います。
さらに、最後になりますけれども、現行の難民政策は、難民の認定基準とか、それから認定手続、基準に関しても問題があるというふうに言われていますし、私もそう思っているんですけれども、将来的には、出入国管理に含めるだけではなくて、難民基本法のような特別立法に向かってかじを切るようなことがあるべきかなというふうに思っています。
その辺は、最後に、法務大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 今おっしゃった、特化した法律あるいは第三者機関のようなものという趣旨だと思いますけれども、難民等認定手続とその他の出入国在留管理行政上の様々な手続とは、上陸時に庇護を求める者への対応であったり、あるいは、難民認定等を申請中の者や難民又は補完的保護対象者と認定された者に係る在留管理、難民不認定等が確定した者に係る迅速かつ確実な送還といった点が密接に関連をしているものでありまして、こうしたことから、認定業務については出入国在留管理庁において行うことが適当だと考えておりますし、また、そういったことから、第三者機関あるいは難民に特化した法律が必要であるとは、私どもとしては考えておりません。
○安住委員長 時間が参りましたので。
○上村委員 どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
○安住委員長 これにて上村君の質疑は終了いたしました。
次回は、明七日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十分散会