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第7号 令和7年2月7日(金曜日)

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令和七年二月七日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      伊藤 達也君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    国光あやの君

      小泉進次郎君    河野 太郎君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      佐々木 紀君    高木  啓君

      田所 嘉徳君    田中 和徳君

      谷  公一君    土屋 品子君

      寺田  稔君    永岡 桂子君

      中西 健治君    西銘恒三郎君

      長谷川淳二君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    山田 賢司君

      井坂 信彦君    今井 雅人君

      大西 健介君    金子 恵美君

      神谷  裕君    川内 博史君

      黒岩 宇洋君    小宮山泰子君

      近藤 和也君    酒井なつみ君

      階   猛君    篠原  孝君

      田嶋  要君    辻  英之君

      藤岡たかお君    本庄 知史君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      池下  卓君    猪口 幸子君

      空本 誠喜君    徳安 淳子君

      西田  薫君    菊池大二郎君

      長友 慎治君    橋本 幹彦君

      赤羽 一嘉君    大森江里子君

      河西 宏一君    角田 秀穂君

      福重 隆浩君    山口 良治君

      櫛渕 万里君    八幡  愛君

      田村 貴昭君    本村 伸子君

      緒方林太郎君    福島 伸享君

    …………………………………

   財務大臣         加藤 勝信君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣       武藤 容治君

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   環境大臣         浅尾慶一郎君

   国務大臣

   (デジタル大臣)     平  将明君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)         三原じゅん子君

   内閣府副大臣       鳩山 二郎君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   内閣府大臣政務官     友納 理緒君

   総務大臣政務官      古川 直季君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   会計検査院事務総局第四局長            遠藤 厚志君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            徳増 伸二君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    土谷 晃浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       中原 裕彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 長井 俊彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            谷村 栄二君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  松本  平君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            前島 明成君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           堺田 輝也君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 片岡宏一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房脱炭素成長型経済構造移行推進審議官)         龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田尻 貴裕君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省イノベーション・環境局長)      菊川 人吾君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            伊吹 英明君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            伊藤 禎則君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         沓掛 敏夫君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        平田  研君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  内田 欽也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        藤巻 浩之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  山本  巧君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木俊一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  五十嵐徹人君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 田中 由紀君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      大森 恵子君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            松本 啓朗君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  植田 明浩君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月七日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     長谷川淳二君

  田所 嘉徳君     中西 健治君

  土屋 品子君     永岡 桂子君

  深澤 陽一君     小泉進次郎君

  古屋 圭司君     今枝宗一郎君

  神谷  裕君     金子 恵美君

  近藤 和也君     辻  英之君

  酒井なつみ君     篠原  孝君

  藤岡たかお君     田嶋  要君

  本庄 知史君     井坂 信彦君

  米山 隆一君     小宮山泰子君

  徳安 淳子君     猪口 幸子君

  西田  薫君     空本 誠喜君

  長友 慎治君     菊池大二郎君

  大森江里子君     山口 良治君

  河西 宏一君     福重 隆浩君

  櫛渕 万里君     八幡  愛君

  田村 貴昭君     本村 伸子君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     佐々木 紀君

  小泉進次郎君     深澤 陽一君

  永岡 桂子君     土屋 品子君

  中西 健治君     田所 嘉徳君

  長谷川淳二君     高木  啓君

  井坂 信彦君     本庄 知史君

  金子 恵美君     神谷  裕君

  小宮山泰子君     米山 隆一君

  篠原  孝君     酒井なつみ君

  田嶋  要君     藤岡たかお君

  辻  英之君     近藤 和也君

  猪口 幸子君     徳安 淳子君

  空本 誠喜君     西田  薫君

  菊池大二郎君     長友 慎治君

  福重 隆浩君     河西 宏一君

  山口 良治君     角田 秀穂君

  八幡  愛君     櫛渕 万里君

  本村 伸子君     田村 貴昭君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     古屋 圭司君

  角田 秀穂君     大森江里子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑、特に省庁別審査を行います。

 令和七年度総予算中、午前はデジタル庁、経済産業省及び環境省について、午後はこども家庭庁、農林水産省及び国土交通省について審査を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官徳増伸二君外四十九名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長遠藤厚志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 デジタル庁、経済産業省及び環境省について審査を進めます。

 各予算の要点等について、順次政府から説明を聴取いたします。デジタル大臣平将明君。

平国務大臣 令和七年度デジタル庁予算について、その要点を御説明申し上げます。

 デジタル庁におきましては、デジタル化による新しい付加価値を生み出し、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指すための予算としてデジタル庁所管の歳出予算額を総額四千七百五十二億五千万円計上しております。

 前年度当初予算額より二百十一億五千七百万円の減額となっております。

 以下、主な措置内容について御説明を申し上げます。

 第一に、マイナンバーの利活用や、公金受取口座の登録を促進するための取組、準公共、相互連携分野のデジタル化推進に係る経費等を計上しております。

 第二に、国の情報システムを整備、運用するための年間を通じた一元的なプロジェクト監理を実施し、デジタル庁で整備をする共通基盤の利活用を前提としたシステムの統合、共通化等を実現するための経費等を計上しております。

 第三に、社会全体のデジタル化を推進、牽引していくため、司令塔となるデジタル庁の体制強化に必要な経費等を計上しております。

 以上、令和七年度デジタル庁予算の要点について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

安住委員長 次に、経済産業大臣武藤容治君。

武藤国務大臣 経済産業省関係の令和七年度予算の概要を御説明いたします。

 長年続くデフレからの脱却を実現し、日本経済を成長軌道に乗せるため、政府では、近年、大胆な施策を展開してきております。

 昨年、三十三年ぶりに百兆円を超える国内投資や五%を超える賃上げが実現されるなど、ようやく明るい兆しが出始めています。この動きを本格化させ、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現してまいります。

 そのため、AI、半導体やGXを始め、これからの成長分野の国内投資を力強く後押しする施策を盛り込んでいます。

 また、エネルギーの安定供給、さらには中小企業の経営支援や資金繰り支援などのきめ細かい支援を始め、我が国経済の屋台骨を支える施策も盛り込んでいます。

 これらに加え、福島復興に着実に取り組むための施策なども含め、令和七年度予算では総額で二兆五百二十四億円を計上しています。

 委員各位におかれましては、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。

安住委員長 次に、環境大臣浅尾慶一郎君。

浅尾国務大臣 令和七年度環境省所管予算の要点を御説明いたします。

 まず、グリーンな経済システムの構築、国土のストックとしての価値の向上、環境、経済、社会の統合の場としての地域づくり、環境を軸とした国際協調といった時代の要請に対応するため、ペロブスカイト太陽電池の導入支援、先進的な資源循環設備の導入支援、国立公園等の施設の整備、地域脱炭素の取組の推進、JCMの推進等のための予算を計上しています。

 また、環境省の不変の原点である国民の安全、安心の確保のため、公害健康被害対策、PFAS対策、熊に関する対策を含めた鳥獣保護管理、一般廃棄物処理施設及び浄化槽の整備、そして東日本大震災からの復興、創生等に取り組むとともに、原子力規制を厳格かつ適切に実施するための予算を計上しています。

 これらの施策を実行するために、一般会計予算に三千九十五億円余、GX推進対策費四百十九億円余を含むエネルギー対策特別会計に二千三百六十七億円余の総額五千四百六十三億円余を計上しています。また、復興庁の東日本大震災復興特別会計に環境省関係予算として二千五百三十五億円余が一括計上されています。

 以上、令和七年度環境省所管予算の要点を御説明いたしました。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

安住委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 おはようございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、経産相、そして平デジタル担当大臣、そして浅尾環境大臣、三名の大臣を中心に質問をさせていただきます。

 私は、今、経産委員会の筆頭理事という立場でありますので、中心は武藤経産大臣に御質問させていただき、そして、最近、トランプ大統領が再登板をされてから、パリ協定の脱退の大統領令など、環境省関連もあります。元大臣としても、浅尾大臣とも少しやり取りをさせていただきたいと思いますし、必要な関連予算の説明などもしっかりしていただきたいと思います。

 また、平大臣におかれましては、石破総理が地方創生の初代担当大臣のときに副大臣をお務めになられ、そして、私は、平大臣の下で政務官をお務めをさせていただきました。そういったときから今は地方創生二・〇と言われるところまでになり、まさに平大臣が担当のデジタル庁との、デジタルの連携なども、改めて、地方創生は何が重要かということも、今日の質疑を通じて与野党で理解を広げ、そしてまた国民の皆さんにも御理解をいただけるような、そんな時間になればという思いで質問をさせていただきます。

 最初に、トランプ大統領と石破総理大臣が、日本時間で翌日、あした向き合う上で、少し確認をしておいた方がいいことが幾つかあると思いますので、質問させていただきます。

 まず、これは武藤経産大臣。今、トランプ大統領の関税の発動、この中で、メキシコとカナダは一か月延期ということでありますが、中国については一〇%の関税を課すということで、やはり国内の産業界、また様々な業界では、一体どのような影響が日本に出るだろうか、経済面においても生活においてもあると思います。

 まず、大臣から、こういった状況にしっかりと政府は機動的に、迅速に対応する構えだと安心をいただけるような、そんなメッセージを経産大臣からお願いします。

武藤国務大臣 小泉進次郎委員から御質問をいただきました。

 まさに昨日から石破総理が渡米をし、そして、この間でトランプ大統領とのいわゆる初の会談が行われます。就任以来というか、就任前からいろいろな話が世界を駆け巡り、我が国の中でも様々な企業が関連する中で、一体どういう形になるんだろうか、確かにそれは大変な、いろいろな心配事が増えた形の中で、私どもとしては、ジェトロが、取りあえず三日から相談窓口を開いています。

 いずれにしましても、この会談を成功に導き、まずは両首脳の信頼関係が構築されること、そして、したがいまして、各閣僚がしっかりとオール・ジャパンとして対応できるように、しっかりしていくことが何よりも肝要だと思っています。

 いずれにしても、総理がお帰りになるのを待ちながら、この会談が無事に成功することを祈り、そして、国内企業の皆さんに安心してまた進出していただけるように、また商売が繁盛するように、しっかりと対応していきたいと思っています。

小泉(進)委員 今、武藤大臣がおっしゃったように、オール・ジャパンの対応が不可欠だと思っています。

 アメリカのトランプ大統領は、四月の一日までに、商務長官、USTR、財務長官らに指示を出して、それぞれ統一報告書をまとめよということを出しています。中身は、不公正、不均衡な貿易への対処、中国への対処、そして経済安保上の必要な検討、こういった中身になっていて、これは、それぞれ指示を出している先が、商務長官宛て、また財務長官、これは加藤大臣のカウンターパートになると思いますが、そしてUSTR、そしてまた経済担当大統領補佐官宛て。

 このように、まさに各閣僚また担当に指示を出して、このアメリカの四月一日までの報告書を大統領側がまとめる中で、日本側においても、省庁の垣根を越えた、これからの日米関係における対応は、まさに政府全体で、いわば対応チームのようなものを組成して臨んでいく必要があるのではないかと私は思っています。そういったことのリーダーシップを経産大臣、財務大臣、共に連携をしてやっていただきたいと思います。

 具体的なポイントで幾つか挙げると、トランプ大統領の一挙手一投足に戦々恐々としているだけではなくて、むしろ、日本が提案をして、チャンスとできるというところは、私は幾つかあると思っています。

 そこで、浅尾環境大臣にお伺いをしたいと思いますが、実は、パリ協定から脱退をするというトランプ大統領の大統領令の中には、気候変動、環境保護への批判は書いてないんですね。パリ協定を脱退をするというのは、この中で見ると、気候変動の枠組み条約の仕組みに対するやはり懸念、こういったことがあって、ただ、一方で、冒頭に大統領令で書いてあることは、こういうことが書いてあります。アメリカは、環境保護のための世界的な取組においてリーダーシップの役割を果たさなければならないと。

 ですので、ここはまさに武藤大臣が産業界でビジネスの心配をされている方々がいるという流れでいえば、これから脱炭素の投資も大丈夫かと懸念をされている面もあると思うんですが、実は、そこは、アメリカも連携できるところは連携できる。

 そういった中で、例えば次世代地熱なども含めて、日本とアメリカで共同でやれるところというのはあると思います。ここはまさに経産省、環境省が連携して進めていただきたいと思うので、まず、浅尾環境大臣からありましたら、お願いします。

浅尾国務大臣 小泉委員から御質問をいただきました。

 まさに私もパリ協定離脱の大統領令を読みましたけれども、これまでも米国は、様々な民間の活力によって、きれいな空気、きれいな水を守りながら温室効果ガスも減らしてきたということも書かれておりますし、そういった流れの中で、今御指摘のありましたように、様々アメリカが持っている技術を活用しながら、パリ協定からアメリカが離脱したとしても、しっかりと日米の技術を共有しながら温室効果ガスを減らしていく、そういった取組に私どもとしても取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。

小泉(進)委員 経産大臣からも、関係で、ありましたら。

武藤国務大臣 先ほどジェトロを、二月三日と言いましたけれども、済みません、二月二日の間違いでございましたので、訂正させていただきます。

 今の話で、トランプさんが日本との協力関係の中で、特にエネルギー関係も、地熱ですとか、あるいはLNGの関係、様々に、今回も総理から提言されるかもしれませんけれども、そういう形で協力できるところがありますし、是非、半導体等々も、これはなかなか一国では、これからも世界に広げていくという意味でも、なかなか難しい技術力もありますから、そういう意味でも、オール・ジャパンの中で、私どもの立場もあり、しっかり連携をしていきたいというふうに思っています。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 私が一つ注目しているのは、地熱の連携は日米でできるんじゃないかというふうに思っているんです。今回、経産省は、地熱の関連の予算も予算案に計上しています。そして、私も環境大臣をやっているときに地熱の推進をやりましたが、環境省には温泉室という部署があって、そこが地熱、また温泉熱、バイナリーも含めて、様々、いろいろな可能性を探って取り組んでいます。

 今、アメリカは、仮に基地などが攻撃をされたときに、基地の中での自給自足をエネルギー面でもやっていくために、クローズドループという新しい技術も含めて、次世代地熱というものの開発研究、また推進をやっています。

 アメリカは世界で一位の地熱のポテンシャル、日本は世界で三位。ただ、残念ながら、日本はこのポテンシャルを十分にまだ生かし切れていない。両国においてこのポテンシャルを生かすというのは、私は十分な戦略連携領域になると思うので、こういったところを、予算の必要性も含めて、経産大臣からまずお願いします。

武藤国務大臣 ループの方式につきましては、今、この十年の間といいますか、ここ数年で、特にまた新しくいろいろな地熱関係の技術開発が進んでいるというのは承知しています。

 日本のJERAも投資をしている会社もありますし、アメリカでも何か所かそういう関係も出てきているという話もあるし、いわゆるデータセンターができるという形の中で、こういうSMRだったり、今の地熱関係を使おうという話もありますので、是非前向きに一緒に協議をしていきたいというふうに思います。御指導ください。

小泉(進)委員 環境大臣、ありますか。

浅尾国務大臣 地熱の分野は、私も大変可能性の高いところだというふうに思っています。

 今経済産業大臣が御答弁されましたように、日本のJERAが投資している先の中には、例えば、石炭火力発電所の下で地熱を取ると、もう既に送電網も設置されているので、非常にコスト的にも優位であるというような話も聞いたことがあります。

 この地熱発電は、安定的に発電可能であると同時に、地域資源の有効活用により地域活性化につながるものと承知しておりますし、特に次世代地熱発電は、従来型と比べて、より広範囲な地熱資源が活用できるなど、大きなポテンシャルが期待されます。

 昨年十一月に資源エネルギー庁と共同で取りまとめた地熱開発加速化パッケージでは、官民協議会を設立し、次世代型地熱技術の事業化を推進するということとしております。

 現在、環境省では、地方環境事務所等に専門の職員を配置するなど、地熱発電の導入支援を行っております。次世代型地熱発電は、資源エネルギー庁が技術開発を支援している状況と承知しておりますが、引き続き、関係省庁と連携し、環境行政の観点から必要な取組を検討し、次世代型を含む地熱発電の導入を推進していきたいというふうに考えております。

小泉(進)委員 是非連携して進めていただければと思います。

 加藤大臣は、財務大臣として、まさに相手の財務長官と様々コミュニケーションを、これから幅広い政策でやられると思います。私は、日本がオール・ジャパンで新しいアメリカと向き合っていく上では、政策の振れ幅も大きいですし、まさに最近の発言などを見ていても、予想外の展開、また、それに伴っての世界経済や我が国への影響なども発生し得ると思っています。

 そういったときにまさに機動的に対応する予算の一つが予備費であって、今回も約一兆円ということでありますが、こういった日米の中での産業界、国民生活での不安面に、万が一リスクが生じたときなどにも、そういったことの対応も含めて万全の備えをしていく、そういったお考えだと思うんですが、財務大臣にもお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まずは基本的に同じ考え方であります。

 米国の新政権は、関税措置を含めた政策、様々なものが打ち出され、あるいは、場合によっては、打ち出した後また変更されたり、動きがあるようでございます。そうした影響が、貿易や金融市場にどのような影響を、どういったルートを通じて生じてくるのか、これはしっかり注視をしていく必要があると思います。

 その上で、一般論という形になってしまいますが、何らかの予期せぬ事態が生じ、我が国経済に重要な影響が及ぶ場合には、政府においては、御指摘の予備費の活用も含めて、あらゆる政策手段を動員して迅速かつ機動的な対応を講じることによって、我が国の経済、そして国民の生活、これをしっかり守らせていただきたいというふうに思っております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 るる、トランプ新政権とどのように向き合うかという面と、特に様々なリスクに対応するという面、それに加えて、前向きに、トランプ大統領のような伝統的ではない新しいタイプの大統領を、むしろ戦略的な連携ができるパートナーだというふうにチャンスだと捉えて、政府を挙げて様々な提案を日本からもしていただきたいと思うんです。

 大統領令でパリ協定の話を触れましたが、実は、大統領令、連発されている中の幾つかには、国際機関からの脱退物があります。WHO、そしてパリ協定、それに加えて、最近では国連の人権理事会からの脱退、ユネスコからの脱退、そして国連の中でも分担金の不公平さに対する懸念、こういったことを捉えますと、私は、むしろ、日本にとってはチャンスの一つは、長年の悲願である国連改革を日本から提議することもあるんだと思うんです。

 この安保理の現状で、今のままでいいと思っている方は誰もいないと思います。ロシア、ウクライナの現状を見ても、拒否権の発動、そして将来的に万が一という有事が発生したときに、中国も拒否権を持っていますから。国連が今のままでは機能不全だ、国連改革を共にということも含めて、まさにトランプ大統領と黄金時代を築くという方向で、今、日米は調整されているというふうに聞きますが、今後、政府を挙げて戦略的な連携を日米で進めていただきたいと思います。

 特に、経産大臣におかれては、幅広いテーマが所掌になると思いますし、四月の一日までのアメリカの報告書の策定の中で、カウンターパートに対して正確な情報の打ち込みも含めて、恐らく武藤大臣も訪米の機会が遠からず来るのではないかなというふうに思うんですが、そういった意気込みも含めてお話しいただければと思います。

武藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 私のカウンターパート、商務長官の方はいよいよ今週決まるんだろうというふうに聞いておりますし、今おっしゃったように、四月一日へ向けて、アメリカの方の各関係者は日本に対するものも打ってくるという話も承知しています。そういう形の中でしっかりと、先ほど来話しましたようなエネルギーももちろんそうですし、今の、ある意味で、日本の立場のところをしっかりかち取りながら、トランプさんと一緒になって、また日米の関係強化にも結びつけ、世界のリーダーシップを発揮できるように、総理の指示の下にまた頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それから、先ほど、失礼しました、JERAというふうに言いましたけれども、出ているのは中部電力の間違いですので、訂正させていただきます。

小泉(進)委員 今からは、経産省の、今回、野党からも大分話が出ている半導体の関連にもちょっと触れたいと思うんですね。

 今回、基金などが、野党の皆さんからすると積み過ぎだという御指摘がある中で、今、私は経産委員会の筆頭理事という立場で今回質問に臨んでいますが、やはり過去にも失敗したじゃないかということをよく言われます、この半導体は。

 当時、一九八〇年代、シェアが五〇パー以上あったものが今では一桁で、この産業政策の失敗がありながらまたこれを繰り返すのかという御指摘、こういったことなどは……(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

小泉(進)委員 御指摘の一つとして出ているんだと思います。

 ただ、一方で、世界が今大きく動いている中で、いかに戦略物品でもある半導体を日本が自前でしっかりと供給できる体制を持つか、国際的な競争の中で、私は、経産省の、リスクを取っても張るべきは張るというこの姿勢は評価しているんです。

 私は環境大臣をやっていましたので、経産省とよく向き合うことが多かったです。そして、環境省はそんなに予算のない省庁ですから、約二兆をラピダス、TSMC、こういった案件に戦略的に張れるというその体力と、そしてまた発想と政策のアイデアは、私は、政策はもちろん成功しなければいけませんし、仮に失敗をした過去があれば、それがちゃんと説明をされた上で今回も臨んでいるということはしっかりと国民の皆さんにも御理解いただく必要があると思うんです。

 ただ、今、この基金とか予算をできる限り切ってという中で、私は、もしもそこに本当に無駄があって、必要がなければ、それは切った方がいいと思うんです。ただ、一方で、しっかり説明をして、ここを切ったら本当に今の投資に悪影響が出かねない、結果、更なる、要は一九八〇年代の失敗を繰り返すようなことになりかねない、だから必要なんだということがあれば、そこは堂々と政府から説明すべきだと思います。

 ですので、武藤大臣からしっかり説明をいただきたいというふうに思います。

武藤国務大臣 今の半導体の関係ですけれども、これまでも予算委員会でも御質問を野党の方々からもいただいておりますけれども、先生がおっしゃられるように、一九八〇年代の世界市場の半分を占めて、席巻をしていたわけですね。これを大きく落としてしまった背景は、まさに私どもでも真摯に反省をしたところなんですけれども、まずは、日米半導体協定に代表される貿易摩擦、これは多分私の父がちょうど通産大臣をやっていたときの頃だと思いますけれども、また、政府として適切な投資支援に踏み切れなかったことがあると考えております。政府に一定の責任があり、ここは真摯に受けて、政策の間違いをしてはいけないんだろうと思います。

 また、当時は、日の丸主義というべき、国内企業同士の統合を優先した、どちらかというと、総合電機メーカーさんが自分の中でパーツを作っていたという位置づけでありましたので、事業戦略にも問題が存在したと認識をしているところです。

 現在展開している半導体政策は、こうした反省を踏まえた上で、技術や産業、社会の構造変革が進む中での、まさに今戦略物資とおっしゃっていただきましたけれども、半導体に関する重要性の高まり、また半導体ビジネスの世界動向などの分析に取り組みながら展開をしているところであります。

 具体的に、官民相互のレベルでの米国等との連携、あるいはTSMCに代表される量産投資に対しても必要な規模の支援を迅速に実施する、また、今回また北海道で、今いろいろ御審議いただきますけれども、ラピダスプロジェクトにおけるIBMや世界トップレベルの半導体研究機関、imecとの連携などに取り組んでいるところであります。

 引き続き、過去の失敗や教訓を糧に政策を実行してまいりたいと思います。

小泉(進)委員 この半導体の関連は、重要性においては与野党で誰も否定する人はいないと思います。一方で、やはり投じられる予算がまず巨額だということ、それに加えて、私は、政府の中で、めり張りという中でいえば相当そこは傾斜をした投資をしたということに対する評価が一部分かれているというのが率直なところだと思うんです。私は、むしろ、それは評価をしている立場なんです。

 これは、まだ分からないと今発言が後ろから出ましたけれども、まだ分からないから、ちょこちょこちょこちょこ予算をつけている政府だったら、これは何も成功しません。

 ですので、一定のリスクはもちろんあると思うんです、成功が保証されている産業なんてないと思いますから。ただ、こういった中で、私が申し上げたように、ラピダスとTSMCで約二兆、こういった張り方ができるという政策の発想と動き方は、経産省の今までの伝統的な動きとしては、これはちゃんと説明責任を果たした上で、そして、成功するかどうか、こういったことは、官僚の皆さんも含めてリスクがあるのは承知で、だけれども、ここで本当にやらなかったら大変なことになる。

 こういったことがやはりあると思うので、私は、野党の皆さんも、やみくもに切れと言っているんじゃなくて、その必要性をちゃんと説明をしていただければ、半導体の重要性は一緒になって訴えたいときっと思っていると思うんです。それはそのとおりだという声がありますが。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

小泉(進)委員 なので、武藤大臣におかれましては、そこは、ラピダス、これは二ナノという、本当にできるのかとか、本当に買手がいるのかとか、いろいろな声はあると思います。ただ、進めている立場として、やはり経産省を挙げて、日本政府を挙げてこれはやらなければいけないんだ。万が一、そこにリスクがあるとしたら、そういったことも含めてちゃんと捉えた上で進めようとしている、与野党一緒になって進めようじゃないかというこの機運づくりが重要だと思いますので、是非この予算委員会を通じて、また、私が筆頭理事をやっている経産委員会では、今年は関連の法案も審議をされる予定ですので、経産大臣から、改めて野党の皆さんに、この必要性や、半導体の基金や予算、また関連の様々な政策のパッケージについて、経産大臣なりの必要だという思いをしっかりお伝えいただきたいと思います。

 もし担当の参考人の中で、ここはちょっと補足で追加したいというのがあれば、担当からもお願いします。どうぞ。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

野原政府参考人 ありがとうございます。

 ラピダスプロジェクトについては、幾つかの効果とか目的があるんですが、一番重要なものはやはりAIの関係で、安定的に調達できる、供給できる状況というのを日本国内で持つ必要があるというふうに思っています。

 AIは、日本経済が人口減少で人手不足経済がどんどん深刻化していく中で、AIを使った無人化、自動化というのが不可欠にこの社会にとってはなってきます。

 そのときに、AIをきちっと日本で調達するためには、AI用の最先端の半導体、これはラピダスが作るものなどですけれども、最先端の半導体、それによって構成される高性能コンピューター、それを使ってAIは開発されるわけでございまして、この縦のレイヤーを、一連のところを日本国内で持っていないと、いざというときに日本としては調達できない状況が生まれるわけでございます。

 現在、このAI用の最先端半導体は、台湾から全世界にほぼ一〇〇%供給されている状況がございまして、それを、供給途絶リスクに対して供給を多重化する、いざというときに日本として調達できる状況をつくる必要があるわけでございます。

 この最先端のところは、今、TSMCが、台湾から一〇〇%の世界シェアを持っているわけでございますが、日本として安定調達をするためにラピダスに挑戦している、そういう位置づけでございます。

小泉(進)委員 野原さん、大変力強く、思いを持って訴えられているというのが、官僚の方ですけれども、余り紙を読まないで思いを熱く語られていたので、その思いというのは私には伝わってきます。

 なので、野原さんにもう一回お伺いをしたいんですが、私は、何度も言いますが、これは応援しているんですね。その応援をしている理由の一つというのは、経産省の政策の手法というのは、経産省だけが持つべきものではないという思いがあるんです。

 それはどういうことかというと、これは本当に国家として必要だと思ったら、周りからは、ばくちだとか、本当にそれは大丈夫なのか、そんなに突っ込んで平気なのか、こういうことを言われることだって、結果責任を負うのが政治ですから、その結果責任を負うという覚悟の下で張るべきは張るというのはなぜ経産省だけなんだろうかというのが私の問題意識なんです。環境省だってほかの省庁だって、そういう発想があればやればいい、やれるかどうかは別なんですけれども。

 そこで、野原さんにお伺いをしたいのは、まさに野原さんは、半導体が必要だ、張らなきゃいけないというふうに思いを持たれて政策立案をやってきたと思うので、改めて、約二兆というものを張るだけの、今、日本にまさに台湾から一〇〇%で、それは万が一のときがあったら本当に大変なんだ、これは分かりやすく必要性が伝わると思います。

 なので、野原さん、こういった、ある意味責任を、負荷をかけてでも、結果責任が問われるような政策であったとしても、これはやらなきゃいけない、そういった思いは、野原さんとして思いがあれば、もう一回どうぞ。

野原政府参考人 ありがとうございます。

 半導体は、一般の国民の方からするとちょっとなじみがないかもしれませんけれども、皆さんが使われている電気電子製品、携帯電話でもタブレットでも給湯器でも、何にでも入っています。スイッチの機能を果たすものなので、何にでも入っていまして、そういう意味では、今、日本国にいらっしゃる方で、日頃の生活で半導体のお世話になっていない、使っていないという人はいないわけでございます。

 そういう意味では、意識されていないかもしれませんけれども、コロナのときに、給湯器が修理できなくてお風呂に入れない、シャワーが使えないといった状況がありましたけれども、ああいうふうに、なくなってみると不便なもの、これは国民生活も直撃しますし、産業のサプライチェーンも、日本の自動車産業、日本の国内で造られている自動車も八割に台湾製の半導体が使われているわけでございます。

 そういう意味では、なくなってみると、非常に大きな影響が国民生活や日本経済にあるわけでございまして、そのリスクに対して、そういう供給途絶にならないように安定調達、安定供給体制をつくるために先回りしてお願いしていますので、危機になっていないときだと、何で必要なのかというふうに疑問に思われるかもしれませんけれども、いざというときにそういうふうにならないようにするために先に先に投資をしているということでございまして、何とぞ御理解いただきたいと考えております。

 よろしくお願いします。

小泉(進)委員 野原さん、野党の皆さんも、半導体の投資の必要性は全く否定していないと思うんですよ。そこはそこで理解を我々与野党一致をさせた上で、ただ、この巨額の投資に対する納得できるような説明は、やはり政府側の責任があると思います。

 その上で、私が申し上げたように、これだけ張るということに対する評価は、私は物すごく高くしています。これはもっと本当に活用すべきだ。ただ、その結果責任はむしろ政治が取らなきゃいけないので、それこそまさに大臣も含めてあって、ただ、私は、そういった責任のある戦略的な投資をやりたいというふうに上げてきた官僚がいたとすると、それは政治冥利に尽きる仕事だと思います。

 やはり政治家としては、そういったことを上げてきて、後は何かあったら俺が責任を取るよ、こういう仕事をするというのは私は政治家と官僚の関係だと思うので、最後、この問題については武藤大臣から、今の野原さんの思いや、また経産省を挙げて、国家を挙げてこれはやらなきゃいけないし、こういったことにまさに政治の責任を持って向き合って進めていくんだ、最後は政治が責任を取るんだ、こういったことも含めた納得感のある御説明をお願いします。

武藤国務大臣 るる今までも申し上げてきておりますけれども、要は、戦略物資というか、日常生活の必要品を日本が世界に依存するのか、あるいは、日本がちゃんとしっかり日本で供給できる体制をつくるのか、まさにこの分岐点に今あるというこの現実の中で、我々としてはもう負けていられない。

 したがって、この投資を何とか皆さんに御理解を得ながら、しっかりとした形でこの産業を育てていきたい、これがまさに私の思いであります。

 そういう意味では、政治決着という形での、皆さんの御理解を得ながら、是非これを実現させたいと思います。

小泉(進)委員 是非野党の皆さんとも、半導体への戦略的な投資の必要性が一致をしているという上で、より理解、納得の得られる説明を続けていただきたいと思います。

 そして、今の二兆円規模の戦略的な投資の一方で、私が問題意識を持っているのは、ディープテックと言われる、まさにゲームチェンジを起こせるようなところは、実は、数百億の投資ができなくて、資金を獲得できなくて苦しんでいるところがいっぱいあるんですね。なぜ二兆ができて、ゲームチェンジのところの数百億ができないんだろうか。

 こういったところというのは、ディープテックというのは、まさに十回、十社あるとしたら、一社成功すればゲームチェンジぐらいの話ですから、まさに戦略的な投資を、アメリカはこれからトランプ大統領が政府系のファンドを使う、新たに創設するという話があります。日本では政府系ファンドというのは余り印象がよくないですけれども、民間の投資だけではなくて戦略的な投資をしてゲームチェンジを狙うというところは、私は、最後は、その失敗するリスクは負った上で、政治の判断でやればできると思います。

 そういったことをしっかりやっていただきたいという上で、こういったスタートアップの支援、ディープテックの支援、これは平大臣も様々スタートアップの支援でやられていました。今、デジタル庁の担当をされていて、地方創生の担当ですので、残り時間が短いので、平大臣にもちょっと今日はお答えをいただきたいんですが、地方創生の関連の予算や規制の在り方の中で、大臣もずっと問題を持たれているのは、アメリカも含めて世界の中では、中国も自動運転などが実証できるのに、何で日本はこんなに規制の壁でできないんだろうか。

 こういったことに加えて、石破当時の初代地方創生担当大臣のときの副大臣の平大臣、政務官が私のときに、国家戦略特区の活用を更に深掘りしようということで、先端技術実証特区、こういったことに取り組みました。

 改めて、むしろ今の方がそれは必要なんじゃないか、そんなことも含め、地方創生が当時と違って、何が違うのが二・〇なのか、そういったことも、デジタル庁の立場からも含めて、少し御説明を、国民の皆さんに分かりやすくいただければと思います。

平国務大臣 地方創生は、まさに十年前に、私は副大臣で、小泉さんは大臣政務官で、伊藤達也さんが大臣補佐官という布陣でやりました。

 そのときに、いわゆる自動走行とかドローンも含めて、近未来実証特区ということで走り出しました。しかしながら、今、例えば完全自動走行などにおいては、アメリカの西海岸では既に事業化をされているということであります。

 やはり我々の反省は、一つ一つの規制にぶつかって、それをどう解決するかということで、ステップ・バイ・ステップでやっていったんですが、要は、米国も中国も、サービス全体のエコシステムをつくって、それをばこっと実装するということであります。さらには、車自体がIoT端末になって、そこからデータを吸い上げて、ビッグデータをAIで解析をして、アルゴリズムが毎日アップデートされてまた端末に返ってくる。やはりビッグデータは量が必要なんですよね。それを数台、エリア限定で走らせていてもなかなか進化をしないというのがあります。

 そんなこともありますので、二〇二七年には都市部でロボットタクシー、ロボタクシーの事業も始まると聞いていますので、パッケージで導入するための規制のデザインがどうあるべきか。これは私は所管じゃないですけれども、国家戦略特区みたいなメニューが一番向いているのではないかというふうに思いますので、地方創生の文脈でもやっていきたいと思います。

 また、あのときできなかったことが、ブロックチェーンとかが出てきて、NFTとかDAOとかが出てきましたので、十年前、やろうと思ってできなかったことが今できるということで、地方創生二・〇ということで、デジタルの技術を使って政策の効果を最大化していきたいと思っております。

安住委員長 間もなく時間が来ますので、そろそろまとめに入ってください。

小泉(進)委員 はい、分かりました。まとめます。

 平大臣は、こういった担当に加えて、今後、アクティブサイバーディフェンス、これの担当にもなられております。政府を挙げて、また日米の連携で、今回もサイバーの強化というのは入ると聞いていますので、私は問題意識があるのは、これは経産省においても、今回の予算の中に、サイバーセキュリティーの人材の育成だったり、中小企業や企業におけるサイバーの強化、これは入っています。

 実は、私の地元の横須賀は自衛隊の町で、久里浜の駐屯地が、サイバー学校ができまして、ここで陸海空の人材を、サイバー防衛人材の育成の拠点になりました。まさに自衛隊だけではなく民間、そして経産省、警察庁、そして平大臣の担当、そしてまた自治体、こういった幅広いサイバーの人材の育成は急務でありますので、日米関係の更なる発展も含めて、政府全体で取り組んでいただきますことをお願い申し上げて、質問にさせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて小泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。

 先ほど来、半導体などの巨額投資の話がございましたが、私は、私自身、いろいろな経験を積む中で、民間企業の出身でもございますが、やはり挑戦をすることを諦めてはいけないという基本スタンスであります。その点は、先ほど御指摘あったように、与野党違いはないというふうに思っております。

 ただ、やはり前例のない巨額の投資であるということを踏まえて、しっかりと、いわゆるデューデリジェンスというか、そして常に説明責任を求めて私たちがいろいろなことをチェックをしていかないと、大きな道を間違えるリスクもある、そういった思いでございますので、後ほどそのことも質問させていただきたいと思います。

 首脳会談があしたということでございますけれども、トランプさんとの間で様々重要な会議がなされると思いますが、やはり私は、トランプさんが掘って掘って掘りまくれと言うのであれば、日本は張って張って張りまくれというふうに申し上げたい。特にペロブスカイト、こうした新しい技術がこれから実用化されてくるわけでございます。この点も余り与野党に差はないのではないかというふうに考えております。

 そういう意味では、環境大臣もお見えでございます、先ほどペロブスカイト、御指摘がございましたが、経済産業大臣にも是非、ソーラーの二・〇と申しますか、新しい大きなチャンスが今到来をしている、そういう御認識に立っていただきたいと思います。

 そこで、今日は、最初の質問は、特定の予算項目でございますけれども、エネルギーの構造高度化・転換理解促進事業費補助金というものが、経産省の当初予算七十九億円、そういう状況でございますけれども、この補助金の中身に関してまず御説明を求めたいと思います。

安住委員長 ちょっと止めてください。速記を止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こしてください。

 はい、どうぞ。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねいただきましたエネルギー構造高度化・転換理解促進事業費補助金でございます。

 原子力発電所立地地域やその周辺地域における再エネを活用した地域振興に関する取組への支援等を通じまして、多様なエネルギー源の組合せへの理解を踏まえ、持続的かつ自立的な地域の発展につなげるということでございまして、委員御指摘のとおり、令和七年度予算案七十八・五億円、対象自治体は、原子力発電施設がその区域内に立地する道県、原子力発電施設がその区域内に立地する市町村、原子力発電施設を取り巻く環境変化の影響を受ける自治体に、対象として補助の制度を設けてございます。

田嶋委員 どうしてそういう対象自治体を絞った補助金を用意しているのか、教えてください。

安住委員長 久米さん、少し大きい声でしゃべってください。

久米政府参考人 はい。申し訳ございません。

 お答え申し上げます。

 原子力立地地域の関係者の理解と協力によりまして、我が国の原子力の利用、安定供給は支えられてまいりました。

 こうした地域の多くで、原子力発電所の廃炉あるいは長期停止といったことによって経済基盤が毀損するといった課題が生じてございます。この影響が、原子力立地自治体に加えまして、その周辺自治体も受けると考えられますことから、発電所から三十キロ圏内の自治体を本事業の支援対象としてございます。

田嶋委員 元々は立地自治体のみ対象の補助金だったと理解しておりますが、それが何がしかの指摘を受けて対象地域を拡大したというふうに理解をしております。

 しかし、先ほど申し上げたとおり、ソーラー二・〇といいますか、私はそういう表現で言いましたが、全国でとにかく自然エネルギーを加速化しないと、大臣御存じかと思いますが、両大臣、環境大臣も、今、日本の再エネ比率というのは先進国最下位に近いわけですよね。そういう状況からこれから挽回するというときに、今までのソーラーは若干課題があった、輸入に頼った、特定の国の。しかし、今度のペロブスカイトは訳が違いますから、ここはもう加速化させる絶好のチャンスだと思うんですね。それをなぜ特定のエリアにだけこういう政策をやっているのかというところをもう一度教えてください。

武藤国務大臣 田嶋先生、いつもお世話になりまして、ありがとうございます。

 原子力立地地域の関係者、今ちょっと御説明がありましたけれども、原子力発電所の廃炉ですとか長期停止などによって経済基盤が毀損するといった課題も発生しているところでありまして、今後も原子力利用を進めていく上で、立地地域の理解と協力が不可欠であります。立地地域の課題解決に国として向き合っていくことが必要であり、本事業が、原子力だけに頼らない形で地域振興を図り、持続的な経済基盤をつくろうとする立地地域の取組を国として支援するものであるということから、支援対象は立地地域に限定しているという筋論であります。

田嶋委員 立地地域は、御案内のとおり、昭和四十年代から、巨額のお金がいろいろな意味での地域理解のために注ぎ込まれておりますね。この当初予算でも、七百億円を超える交付金というものが別途計上されておりますね。私は、原発の関係の地域ももちろんソーラー、再生可能エネルギーを広げていってほしいと思いますが、しかし、その地域に限定をして、FIT制度もある中で、そこだけ特別扱いと言ったらあれなんでしょうか、そういう印象を持ちますね。

 中身をちょっとお尋ねしますけれども、例えばどういう補助率でこの支援というのは行われているのか、御答弁いただけますか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 本事業におきましては、一定の上限の範囲内で全額を補助するという定額補助を採用してございます。

田嶋委員 余り聞かない全額補助をされているということもございますね。

 もう一つお尋ねしたいのは、いつ始まった予算かということと、それから、いわゆる効果ですね、効果測定をどのように行っているかということを御答弁ください。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 本事業は、平成二十八年度より開始してございます。

 効果測定につきましては、アウトカムといたしましては、エネルギー構造の高度化などに向けた地域の理解促進、自立的発展に向けた取組の達成を促すということでございますけれども、事業ごとに自治体があらかじめ設定した事業目標を達成した件数の割合ということを基に評価を行っておりまして、この各自治体が評価した結果はそれぞれの自治体のホームページで公表していただくということになってございます。

 このような方法を取っておりますのは、本事業が立地自治体の自立的な発展に向けた取組を支援するということでございますので、その取組に向けた課題、対応策は地域により多種多様であるということから、こうした自治体による評価を基に政策の目標も評価するということでやらせていただいてございます。

田嶋委員 要するに、よく分からないんですよ、その政策効果が、これは。

 特定の地域、以前ここで申し上げましたけれども、原発の地域は、原発のために広報活動とかをたくさんしていますね。私もこの場でまさに指摘をしましたが、そのために、再生可能エネルギーの欠点をいろいろと説明し、それに比べて原発はこんなにすばらしい、そういうトーンの広報活動というのが非常に多く行われてきたという指摘も私はいたしました。

 そういうこともあるので、何というか、穴埋めにといいますか、こういう予算も特別につけて十割補助のようなことをやるというのは、私は、政策の本筋からしてちょっと違和感を感じますね。むしろ、二・〇ということで、私は、張って張って張りまくれと。まさにこれから、ペロブスカイトという絶好のチャンスがやってきたので、ある意味、もっと予算の規模を大きくして。

 そして、UPZ、配付資料がございますけれども、配付資料の一を御覧ください。人口で五百五十万人ぐらいを占めるこの地域にだけそうした十割補助みたいなことを行うというのは、私は理にかなっていないと思いますし、そして、どういう施策に実際行われたかというと、やはり調査物が多いんですね、調査物が多い。調査はしましたということで、民間業者に委託をして、レポートをいただいて終わっている、そういうことが多いのではないかというふうに思います。

 私は、是非大臣に、この予算の中身、七十二億円ですか、これまでずっと第二次安倍政権以来行われていた政策でございますが、少しやはり中身をよく考え直してもらって、対象、受益するところは全国どこでもいいということと、それからもう一つは実際の社会実装ということ、社会実装ということに予算を全部振り向けてほしいというふうに思います。要するにペロブスカイトを、あるいはペロブスカイト手前でもいいですけれども、これからいろいろな拡大するチャンスにこの予算を回していただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

武藤国務大臣 ペロブスカイトにつきましては、私も大変期待しているところでもあります。エネ基の問題についても、再生エネルギーも、原子力も、これもそれぞれフルに脱炭素社会へ向けて動くという形になりましたので。ただ、ペロブスカイトの方の今の技術開発の動向も踏まえてしっかりとこれは対応するべきでありまして。

 構造高度化・転換理解促進事業というものにつきましては、今回、皆さんに七十八・五億で御提示しておりますけれども、今、事務方からもお話ありましたように、地元の、いわゆるそういう形での、立地という形での一つの、今までの流れにまたつけ加えて対応しているということでございますので、是非御理解をいただきたいと思います。

田嶋委員 政策効果がはっきり見えない形で、何となくお金を使い続けているというのはよくない。今のステージは、一つでも一日でも早く再エネをつければ、それだけエネルギーの安定にもつながってくるわけだし、加えて、外から輸入している化石資源を減らすことにもつながるわけですよ。今、二十五兆とか言われている、そういう数字を減らす。そういう意味でも、この七十数億円が多いかどうかはともかく、とにかく一日も早くソーラーを広げるということに全力を投球していただきたい。

 加えて、もう一つ、前も申しましたが、東京都がいい施策をしているわけですよね。そうしたことも学びながら、これは、東京都の支援というのは国の支援と独立して両立し得る、そういう理解で私はいるんですけれども、それで間違いないですよね。逆に、東京都が支援しているものに関して、FITは適用されるんですね。

武藤国務大臣 確認をさせていただきます。今ちょっとこの場でデータがないので、済みません。

安住委員長 速記を止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こしてください。

 田嶋君、もう一回、質問を続行してください。

田嶋委員 是非、地方自治体の優れた施策が、やはり横展開することが極めて私はこのスピードアップには大事だと思います。以前これも取り上げましたが、鳥取県がやっている断熱の関係も、これは省エネでは非常に優れたアプローチですね。そして、東京都のソーラーということで。是非、そういうことと組み合わせて、この予算、この限られた財源を有効に生かしてほしいということをひとつ大臣にお願いをしたいと思います。

 それからもう一つ、財源の有効な使い方として、これはやはり原発立地自治体とその周辺ですよね、この資料一を御覧いただいて。こういう自治体、私も今年に入っても二か所行ってまいりましたけれども、一番大きな声は住民避難計画なんですよ、心配なのは。

 一月一日、去年にああいう雪深い地域で地震が発生しました。それでいろいろな道路の寸断。先日、私も珠洲市まで行ってきましたけれども、輪島に行くのも大変だけれども、珠洲市に行くのはもっと大変ですよね。立派な道路が、陸地が上がってきちゃったんで、隆起して、そこに新しい道路が造られたりもしておりましたけれども、やはりああいうのを見るにつけ、大丈夫なんですかと。原発を、依存度を下げていくという方針を大転換して、新増設ということまで言い始めているのであればなおのこと、ここの問題にちゃんと私は向き合った方がいいと思いますよ。

 このお金をまさに一番生きた形で使うのは、UPZの中の方々が一番心配している住民避難計画、これの実効性を高めるためにしっかりとお金を使うべきではないかと私は思っております。

 そうこうしているうちに、柏崎刈羽原発の避難整備に関して、調査費五億七千万円が計上されたというニュースが流れましたね、二月一日。

 今まではやっていなかったと思うんですが、これは柏崎刈羽だけなんでしょうか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原子力防災対策の充実、安全性の向上といったことにつきましては、立地地域の方々の問題意識も高く、これについては経産省も関係省庁と連携してしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 お尋ねいただきました柏崎刈羽につきましては、事故を起こした東京電力が所有する原子力発電所であるということ、それに対しての地域の方々の信頼というものを回復する必要があるという観点から、昨年九月に、原子力関係閣僚会議におきまして、信頼回復に政府を挙げて取組を進めよという総理からの指示の中で取り組んでいることでございます。

田嶋委員 東海第二原発の周辺自治体あるいは高浜の周辺自治体、実際に現場の皆様、行政の方々とも意見交換をしてきましたけれども、異口同音に、複合災害という言葉がない頃はまだしも、もうこれから複合災害が前提じゃないですか。阪神・淡路も、三・一一も、そして、先日の能登半島も冬ですよ。今、雪が激しく降ったりしていますでしょう。

 そういう中で、本当に実効性のある避難計画ができるのか。ここを真剣に向き合うと再稼働ができなくなっちゃうから向き合わないという、そういうことじゃないですよね。そんなことは考えていないですよね。大臣、どうですか。

武藤国務大臣 避難計画、まさにこれが地域の、立地自治体のいわゆる御判断をいただく意味で、まずは前提条件。

 そして、今の避難道路等々につきましても、これは私も電源立地でもう十数年前からいろいろな、全国も回らせていただきましたけれども、やはりなかなか、ここが現実、進展していないというところも正直私は認識しております。田嶋先生にも今までも御指摘いただいておりますけれども、是非こういう形で、今の、KKの話がありましたけれども、政府が全体としてこれをどういうふうに取り組んでいくのかというのは、今後の検証として、我々としてはやっていかなきゃいけない話だと認識をしているところであります。

田嶋委員 柏崎刈羽は原発事故を起こした当事者の原発だからということで五億七千万円ということでございましたけれども、もう既に十四基稼働しているんですよ。

 そして、住民避難計画を作れと言われて、一生懸命作る真面目な地域の行政の方々、それなりのものを作るけれども、果たして本当にそれが複合災害のときに機能するのかどうかということは、皆さん、政府に向かって真正面には言っていないのかもしれないけれども、皆さん、やはり本音では心配になっていますよ。

 私は、そういうところにこそ、この予算を優先的に振り向けるのが、UPZの中の自治体の皆さんの一番懸念の解消につながるというふうに考えるんですね。

 これは柏崎刈羽だけの問題じゃありませんから。そして、能登半島以後、世の中の関心は非常に高まっている。

 石川県の珠洲原発という幻の原発のところにも行ってきました。行けないですよ。あそこに十基の原発を造る予定だったですよね。そういうことが現実だったらどうだったのかなということを考えますと、志賀原発も震度六強でああいう状況になりましたけれども、やはり、是非、住民避難計画をしっかりと考える、柏崎刈羽のような、調査のために予算を回していただきたいというふうに重ねてお願い申し上げます。大臣、お願いできますか。

武藤国務大臣 検証させて、しっかり受け止めさせていただきます。

田嶋委員 もう一点、資料の二、これも、みんな見て見ぬふりをしている問題ではないかなというふうに思います。

 これは、相当な、関わられた地震学者の方やあるいは裁判官の方の中に御指摘をされている方がおりまして、何かといいますと、ひょっとしたら、原発というのは住宅よりも耐震性が弱いんじゃないかという、これはちょっととっぴな話に聞こえるかもしれませんけれども、私も役所から説明を何度も聞きましたが、歯切れが悪いんですよ。今は、先ほどの避難計画はオフサイトの話ですね、現地の話ではなくてね。こっちは原発そのものの問題ですけれども、こんなそもそも論が政府から説明がしっかりできていないということは私はおかしいと思うんです、これは。

 これも全国共通の懸念点、ガルの問題ですよ。ガルと聞いただけでよく分からない感じがするんですけれども、基準地震動。専門家がおっしゃるのは、原発の建屋が潰れるとか潰れないだけの問題じゃないですよ。止める、冷やす、閉じ込める、この三つがちゃんと行われなきゃいけないから、電源に関して、それから水に関して、それからもう一つは、大地震が来たときに燃料棒が刺さるかの問題なんですよ。無理だという話をよく聞くんです、それは。震度七の真上だったらどうするんですかと。私は、ここは白黒はっきりつけた方がいいと思います。こういうことにお金を使ってほしいんですよ。

 これは懸念をされている方と直接話しましたけれども、自分が間違っていることを政府に証明してほしいと言われていますよ、私は。こんな心配をしなくて済むようにしてほしいと。だから、能登半島、珠洲に原発がなくて本当によかった。三・一一に続いて、また。幸運ですよ、日本は。恵まれましたよね、救われた。だけれども、そんな幸運は何度も続きませんから。

 是非、これはしっかりと、このことにも調査の研究を行ってほしい。そして、白黒はっきりしてください。大臣、どうですか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 基準地震動あるいは原子力の安全性に関しましては、原子力規制委員会が担当しておるということでございますけれども、各サイトの基準地震動については、原子力規制委員会において、敷地及び敷地周辺の活断層の分布状況等を踏まえ、断層の長さ等の不確かさを十分考慮した上で、技術的、科学的観点から厳正に確認されているというふうに承知をしております。

 その上で、委員御指摘のとおり、原子力の防災あるいは安全性についての御懸念、御質問ということは、我々、地方で御説明会をやらせていただくときにも多数頂戴しているところでございまして、そういった場を活用して、様々な理解活動、あるいは広報活動、あるいは情報提供活動ということをしっかり努めてまいりたいというふうに考えてございます。

田嶋委員 そこは分かっているんですよ。ただ、詳しい、いろいろな分野の専門の方で納得されていない方が大勢いらっしゃるんですよ。だから私は心配だと言っている。私は素人ですよ。だけれども、専門家の方々が、自分たちが間違っていることをちゃんと証明してくれと頼んでいるんですよ。だから、これは放置できないでしょう。万が一、原発が実はがたがたに壊れるような、配管、電気、棒が入らない、こんなことになったらどうするんですか。もう一回起きますよ。

 だから、是非これは、通り一遍の説明で終わらせるんじゃなくて、予算をつけてしっかりと、プロジェクトとして、これはこういう考え方が正しいんだ、基準地震動とかいろいろ難しい言葉が出てきますから、それはお願いをしたいというふうに思います。

 大臣、これもこの予算の使い方として検討いただけますか。

武藤国務大臣 今事務方からお話がありましたように、規制委員会としての対応ということになるんだと思いますけれども、いわゆる現場としての地方説明会等々は我々も参加していかなきゃいけませんし、田嶋委員の御指摘はよく踏まえて、また検証していきたいというふうに思います。

田嶋委員 説明会じゃないって、大臣。今の整理された話を説明するだけじゃ、ほとんどの国民は、ああ、そんなものかなと思っちゃうと思うんですよ。

 私が取り上げているのは、本当に詳しい方々が心配しているから、私は真摯に向き合っているんです。映画も出されているんですよ。本も出ているんですよ。生半可なことでそんなことをしないじゃないですか、人生を懸けて。これは、もう一度問題が起きたら大変まずいことになる、そういう思いからやっているんだから、私はそういうのは向き合わなきゃいけないと思う。そうじゃないと、まさかそんなことになっているとは思いませんでしたと、昔どこかで聞いた会話がまた始まりますよ。それが安全神話でしょう。是非お願いしたいと思います。

 時間がありませんので、次の質問。

 先ほど申しました重要ないろいろな挑戦というのは、私は否定するものではありません。しかし、一兆円と聞いたら、ちょっと大丈夫かなと誰だって思うと思うんですが。

 前回、本庄委員から半導体の過去の失敗の話がございましたが、もう一つやはり記憶に新しいのは、日の丸飛行機なんですよ、日の丸の飛行機。これは今回も、幾らぐらいでしたか、飛行機をこれから飛ばしていくということで予算をつけております。六百億ぐらいですよね。

 じゃ、あの日の丸、YS11以来半世紀ぶりに飛行機を飛ばすといって、あの話は国策としてどうなっちゃったんですかね。

武藤国務大臣 三菱スペースジェットが開発中止になったことをおっしゃられているんだと思います。

 まさに私の近場であれは研究開発をやっていたので、私は岐阜県ですから、愛知県側の話ですけれども、長らく完成機を開発したことがない日本企業が単独で挑戦したため、安全認証プロセスに対する理解あるいは経験が不足していた。また、開発期間がそれで大幅に遅れてしまった。また、それに伴って大幅にコスト増が発生して、その後に、また悪いことに新型コロナが発生した。そういう社会的な、複合的な要因があったんだと思います。

 このため、中止決定後に、反省という意味では、産学官の関係者で約一年間議論を行いながら、航空機産業の課題と成長、方向を示す航空機産業戦略を昨年四月に策定、示したところであります。

 この戦略で、中止の要因分析を踏まえて、完成機製造の経験豊富な海外航空機メーカーが実施する開発プロジェクトに参画をし、技術的、事業的な能力をまずは獲得をしながら、その上で将来的に日本企業が完成機メーカーとなることを目指すという段階的な方針を打ち出しながら、このビジョンができたところであります。

 まさに反省という意味で、ここはしっかりやったということでありますけれども、まずはこれをどういうふうに、将来、次世代飛行機に、今おっしゃったような、これは八百六十八億円ですけれども、しっかりやり遂げていくということを示していかなきゃいけないと思っています。

田嶋委員 時間が限られていますが、是非、失敗をちゃんと生かせるように。これは明らかに中途半端な支援だったんじゃないかなと。そして、最後にお金を出したのは二〇一五年。その年は委員会で視察もしているんですよ。もうでき上がる寸前の飛行機を見させてもらいましたから。胸が躍りましたよ。でも、そこから何かすっと潮が引くように、どうなっちゃったのかなと。以来、何の説明もないわけですよね。それでまた今回、八百億円を超えるお金を出したいと。これはやはり、国民は納得できませんよ。そこはよく反省して、そして、ラピダスというあと二桁多い話が本当に大丈夫か。

 最後に一問だけ。このラピダスですが、誰が船頭になるプロジェクトなんですか。船頭多くして船進まずといいますが、船頭が誰もいないプロジェクトも船は進まないですよ。今、国がほとんどの金を出しています。九千二百億、今回の当初予算で一千億の金融支援という話でございますけれども、それが多いか少ないかはともかく、私が自分の経験も含めて一番不思議に思うのは、ずっと国策、国営で半導体を作るわけじゃないですね。これから誰が船頭になっていくんですか。社長と会長のあの二人が個人で頑張るということではないと思うんですが。

 そして、今、百名以上がニューヨークに勉強しに行っています。引っこ抜かれたらどうするんですか。典型的な日本のプロジェクトとして、年収の規模もグローバルには比較にできないレベルだという話を聞いていますが、二ナノの半導体を作るような技術者だったら、オファーが来ますよ、五倍、十倍で。引っこ抜かれるリスクというのは、どのようにヘッジができるのか。そして、誰が船頭なのか。

 そして最後に、IBMという会社が離れていったら終わりですよね、これは。どういうふうなコミットを取り付けているんですか。これは今、ロイヤリティーで契約しているだけだから、ノーリスクなんですよ。彼らは技術を教えて、ロイヤリティー収入は上がっていますから。だから、今回の首脳会談も大事なんですが、アメリカの後ろ盾は大丈夫なんですかということですね。IBMの方が政権に入られたという話も聞きますが。

 最後にこの三点ですね。いいですか、三点。誰が船頭になるプロジェクトなのか、民間企業の。そして、社員が引っこ抜かれるリスクはどうヘッジされるのか。そして、アメリカIBMのコミットメント、IBMからリスクマネーが一つも来ていません。この点に関してどのようにこれから考えているのか、三点お答えください。

安住委員長 じゃ、最後に野原商務情報政策局長、この三点について簡潔に答えて、質疑時間が間もなく終了しますので、答えてください。

野原政府参考人 ラピダスについては、経営者の二人が年が七十代なものですから、そういうふうに見えるかもしれませんが、元々十人余りの、半導体の各社のトップエンジニアが集まって立ち上げた半導体のスタートアップでございます。民間企業でございまして、彼らがリードしているプロジェクトでございます。

 所得の水準、報酬については、平均的なところより高めには設定していますが、ただ、今、現時点では国が支援している形になっていますので、法外な報酬は払えないところもありますけれども、御指摘の点はよく考えて、ストックオプションとかいろいろ検討していく必要はあるというふうに考えております。

 全体像については本庄先生からも御指摘いただいていますので、法案のときに詳細な議論を、今日は時間が余りありませんけれども……(田嶋委員「IBM」と呼ぶ)IBMの話。

 IBMは、技術を出してライセンスをするだけではなくて、投資、それから、お客さんとして、実際の製造するチップを自分たちで調達するということも視野に入れて検討、パートナーシップとしては取り組んでいただいていますから、IBMのコミットメントはファームなものだ、確かなものだというふうに考えております。

安住委員長 時間なので、簡潔に。

田嶋委員 ありがとうございます。

 リスクマネーがどこから出てくるかということを注視をして、引き続きデューデリジェンスを行っていきたいと思います。

 ありがとうございます。

安住委員長 田嶋君に申し上げます。

 先ほどの質問の答弁で、補足の部分は、資源エネルギー庁の電気・ガス事業部から会館の方に答弁をいたします。

 これにて田嶋君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 立憲民主党、略称民主党の篠原孝でございます。

 久方ぶりに質問させていただきます。

 まず、経済産業省。

 今ずっと、ラピダス、TSMC、予算をつけ過ぎだという指摘もあれば、いや、つけていいんだとか、小泉進次郎議員のは、何か、けちをつけているのか支援しているのか分からない、中途半端な質問でしたけれども。常識から考えて、何年にもわたって、かつ、金融支援だ、それから補正予算だというのを、膨大な金額を一私企業につぎ込むというのは、私の常識からすると、ちょっと行き過ぎだと思うんですけれども、経産省は、今までこんなに巨大な金額を一私企業に投入したことがあるんでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、これまでも、中小企業の研究開発あるいは生産性向上に対する設備投資の補助金、また、国内雇用の創出、成長産業の投資を促す企業立地補助金、こうしたものをやってまいりました。

 特に近年、半導体を始めとしまして、成長分野の投資を国内で実現するという競争が世界で激化してございます。アメリカにおいても、十四兆円規模の支援策が講じられております。我が国におきましても、GX、AI、半導体、バイオなどの成長分野の投資補助金などの施策を強化してございます。

 御指摘の巨額の補助金等の支援でございますけれども、具体的には、半導体分野におきまして、ラピダスに対しまして、合計九千二百億円を上限といたしました支援決定をしております。また、熊本のJASMに対しましては、総額一兆二千八十億円の交付決定をしているところでございます。それ以外にも、ペロブスカイト太陽電池の投資、あるいは蓄電池の投資、こうしたものにつきましても一千億円を超える支援決定をしているところでございます。

 以上でございます。

安住委員長 ちょっと待って。速記止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こして。

 官房長。

片岡政府参考人 失礼いたしました。

 御指摘の点でございますけれども、今申し上げましたJASM、ラピダスを除きまして、一兆円を超えるような補助金の措置を講じた例はございません。

篠原(孝)委員 委員長の御指摘のとおり、ぐちゃぐちゃ言っていて、何を答えているのかよく分からないですね。事業で一兆円を超えるのはありますよ、そんなの。だけれども、一私企業にこれだけどんというのは余りないと思うんです。

 資料、四ページの資料を作ってありますので、よく見ていただきたいんです。

 私は、当然、質問の意図を考えて恣意的に作っていますけれども、並べ方だけが恣意的であって、数字だとか大臣名というのはみんな同じです。武藤家が長らく大臣のポストを占めておられるので、それに敬意を表して特別の表を作りましたので、ちゃんと答えてください。

 武藤嘉文さんに、私は、下っ端で農林水産大臣のときに仕えました。下に書いてありますが、転作を始めたときです。一九七八年水田利活用再編と書いてありますけれども、減反政策をこの年から始めたんです。ちょっと前です、武藤嘉文農林水産大臣の前に。

 九〇年は通産大臣ですから仕えていませんけれども、ウルグアイ・ラウンドで大変だったんです。経産省も外務省も農林水産省も、米が問題になっていて。私は数えていないんですけれども、武藤嘉文通産大臣の秘書官を望月晴文という同期がやっていまして、ばかなことを数えていましてね、八回外遊、外国についていったと。そのうち四回おまえが一緒だったと言っている。同じなんです、APECだとか四極通商とか。なかなか立派な大臣でした。だから、その御子息ですから、同じように立派だと思います。

 それで、よく見ていただきたいのは、これは非常にいろいろなのがみんな入っているから、よく見ていただきたいんですが、一番下に、その巨大な予算のことが書いてあります。

 私は、この追及をするに当たって、ほかの省庁にも聞きました。私が三十年間いた農林水産省では、私企業にこんなに援助するところはありません。農民に対してもそうです。農協、団体で、グループでやらなかったら、いろいろな事業に出しません。もちろん、直接所得補償とか、一軒一軒の農家に行く微々たる、微々たるというか、お金はありますけれども、私企業にこんなにやるのはないと思う。

 じゃ、厚生労働省はどうかと聞いた。ないと言っていた。国土交通省にはありました。正直です。ああ、理由は分かりました。空港だとか港湾とか、まさに大事な、いざというときにきちんとしておかなくちゃならないところにはお金をつぎ込んでいるんです、相当。分かりましたけれどもね。

 そして、半導体。私は、全面的にけちをつけるわけじゃないんです。産業の米と言われています。後で触れますけれども、産業の米と言っていながら、本体の米はがたがたです。産業の米にだけ力を入れている。いや、力を入れちゃいけないというわけじゃないですけれども、これだけ何でつぎ込むのかというの。国策だ国策だといっても、下に書いてありますとおり、余りにもお金を使い過ぎだと思うんです。

 これは国策ですけれども、次、もう一つ、二つ目の質問も一緒に答えてください。

 燃油対策、これも度が過ぎているんです。武藤経産大臣のときだけじゃなくて前からですけれども、二〇二二年度から累計八兆一千七百十九億円。

 これは、ほかの世界の環境団体に、ガソリンの価格が下がったからガソリンを今までと同じように使っていいように、必要不可欠なものだから援助しますよと言ったら、浅尾環境大臣はもう行っておられると思いますけれども、行けばいつも日本は真っ先にCOPで化石賞をもらうわけですね。あれは、石炭火力はやめていないからというので、イの一番にそういう名誉な賞をいただくんですけれども、私は、これは世界の環境団体に知れたら、これこそばかにされる政策だと思います。

 この二つ、巨大な無駄。こっちは、国策には変わりありませんけれども、将来の産業、日本を支えるとかいうんじゃないですよね。今困っているわけです。私なんか選挙のときも言っていましたよ、車に乗るのを多少控えろと。もうこれだけ高くなったんだから、一家に三台、四台、車がある必要はないと。

 公共交通機関を使えといったって、長野なんかなくなっちゃっています。だけれども、そうやってやったら、幾らでも運輸関係のガソリンの消費は減らせるんですよ。燃油の八兆円の補助も国策には変わりありませんけれども、両方、使い過ぎだと思います。

 この点について、どうお考えでしょうか。

武藤国務大臣 篠原委員から御質問をいただきました。大変すばらしい資料を作っていただきまして、ありがとうございます。仏壇に飾っておきますので、よろしくお願いします。

 まず、本当に、ラピダスといいますか、この一企業へ対するちょっと過剰な資金じゃないかという話であります。

 ただ、これはもう先ほど来もありましたし、いわゆる半導体、どう考えるかという視点でありますけれども、まさにDX、GX、産業全体がパラダイムシフトを迎える中で、半導体の位置づけというものが、今後も自動運転あるいは生成AI等に不可欠なもので、本当に我が国産業の未来を左右するもの。私も、これを世界に依存するのか、あるいは日本がちゃんと日本の中で調達できるのかという、大きな、戦略的な今分岐点にあるんだろうと思って、このラピダスについては対応させていただいているところであります。

 また、加えて、地域の中小企業を含め、幅広い波及効果をこの半導体というものはもたらしてくると思っています。投資や賃上げを通じた地域経済の大きな牽引役となると思いますし、先生のところの長野県でも、関係のいわゆるサプライチェーンもあろうかと思います。

 こうした中で、各国も半導体製造能力の新しいこういう確保に向けて巨額の予算を通しているところでもあり、我が国も官民を連携しなければ、半導体産業のみならず、将来の我が国の産業全体の競争力を毀損しかねない、こういう強い危機意識の下で、国として一歩前へ出た支援を行う必要があると考えているところであります。

 そして、もちろん適切なマイルストーンを設定し、この達成状況をチェックしていく。これがまさに、国民の税金でお願いするわけですから、これについては必要なことをしっかりと丁寧に御説明してまいるということだろうと思います。

 それから、もう一方はガソリンの話でありますけれども、長野県は大変高いところだというふうに承知をしていますけれども。

 燃油価格の激変緩和、これもおっしゃられるとおり、二〇二二年一月の事業開始以降です、もう現時点までに約八・二兆円という予算総額となっておりまして、これまでも原油価格の変動に応じて補助額を柔軟に調整しながら、ガソリンなどの小売価格の上昇を抑制してきており、足下では、補助がなければリッター当たり二百二円程度となります。十七円程度の補助を出すことで小売価格の上昇を抑制しておりますけれども、この実施に当たりましては、補助の効果がしっかりと消費者に及ぶことを確保すべく、まずは元売が卸価格を引き下げたことを確認できた場合だけのみ補助金を支払うという事後精算の仕組みを入れるとともに、ガソリンスタンドに対する全数調査あるいは個別訪問などを通じて制度の趣旨の周知を図り、小売価格への適切な反映を促してきたところであります。

 大変、本当に巨額なところでありますので、もちろん、今環境省にもお尋ねいただいた、世界との、いわゆる、いつまでやるんだ、とんでもない話ということは、またこれもよく承知をしながら、国民負担をどうやってこれから負担を軽減していくというところはしっかりとやっていきたいというふうに、出口は考えていきたいと思っています。

篠原(孝)委員 国民の声は聞かなくちゃなりませんけれども、全部聞く必要は私は絶対ないと思います。

 長野、新潟、県境地方です、私のところは。百九十一円で、全国で二番目に高い。しようがないですよ。地産地消というのを僕がつくってやっているんですけれども、港から遠いですから、輸送コストがかかりますから、高くなっちゃうのは当然なんです。そうしたら、何をやっているか。だから、新潟にガソリンを入れに行くと。そこのときにどれだけ無駄遣いしているか。そっちの方が高くなっているんじゃないかと僕は思うんですけれども、そういうばかなことをしている。

 だから、これはもう失敗ですよ、明らかに。減反政策というのは、仕方がなかったけれども、累計していませんけれども、八兆円なんて使っていませんよ、十年か十二年やっていますけれどもね。それをこの数年で八兆円なんて、私は本当に正気の沙汰じゃないと思うんです。こんなに迎合する必要はない。ガソリンは高くなったんだ、円安になったんだ、仕方がない。

 ガソリン価格は高い高いと言っていますが、表を出せませんでしたが、手元にあるんですけれども、常識的には、アメリカがガソリン価格は安い、日本はこのくらい、その中間で、EUは高くしている、意図的に高くしているんですよ。そういうのが政策としてあっていいんですよ。

 今、アメリカを追い越さんばかりのガソリン価格になっているんですよ。それは別に、為替レートです。ドルベースで比較するからそうなるんです。だから、国民にもそれを言えばいいんですよ。ただ、地域公共交通がきちんとしていないから、長野の山の中から歩いてこいなんて言えませんから、それはしようがないですけれどもね。

 それで、この問題で、次にですけれども、非常に問題なのは、環境大臣にお聞きしますけれども、岡田克也同僚議員がもう既に非常にオーソドックスなことを聞いておられますから、私が二度三度聞く必要はないと思いますけれども、ナショナル・ディターミンド・コントリビューション、NDC、国が決定した貢献度。大臣、これは、日本はちゃんと貢献しているとお思いですか。私は、ほとんど貢献していないと思いますよ。

 新環境大臣、これはしっかり取り組んでいただきたいと思います。お考えをお聞きしたいと思います。

浅尾国務大臣 御指摘のNDCについては、日本は、二〇五〇年ネットゼロに向けて、直線の経路でしっかりと貢献をしていきたいというふうに思っております。

 今、森林について触れておられましたので、まず、NDCについて、申し上げましたように、二〇五〇年ネットゼロに関わる取組、世界の先頭に立って、不断の排出削減に取り組んでいるところであります。

 そして、中長期的には、脱炭素の方向性は揺るぎなく、二〇五〇年ネットゼロ実現に向けてあらゆる施策を総動員する必要性があると思いますし、排出削減のみならず、今もおっしゃった森林を始めとする吸収源対策は極めて重要であるというふうに考えているところであります。

篠原(孝)委員 経産大臣、もう一度、一ページ目のペーパーを見ていただきたい。一ページ目のペーパーです、一ページ目の資料ですね。

 これは、大変だったもの、武藤嘉文農林水産大臣のときにした出来事を見ていただきたいんですが、土光臨調というのが始まりました。これを知っている人はもう私ぐらいの年の人しかいないと思いますけれども、第二臨調というので一世を風靡したんですが、間違ったことを言っているわけじゃないんです。その中で、過度に、今でいえばフェイクニュースですね、フェイクですよ、何しろ、農業を過保護だ、農業はがばがば予算を使っている、けしからぬと言っていた。

 予算額をちょっと見てください。農林水産省の予算、三兆四千六百三十一億円です。大きいといえば大きいかもしれませんけれども、農業過保護論です。今、十兆円も使わんとしているのにないんですが、私は、半導体過保護論が一世を風靡してもいいと思います、これだけなら。そうなっていない。だけれども、やはり比べてみたら、本当にスズメの涙です。

 ついでに、農林水産省の援軍をしておきますと、大臣はおられないんですけれども、三兆円あった予算が二兆二千億円に減っているんです。これはほかの省庁と比べたら、こういうのはないんです。

 次に、環境大臣。

 環境庁の頃ですけれども、本当にスズメの涙です、四百二十五億円。十倍になっています、今。十倍になったって、五千九百四十五億円ですよ。一兆円にもなっていない。やはりこれは不均衡ですよね。だから、環境大臣に本当に頑張ってもらわなくちゃ私はいけないと思います。

 どこの政策を重点にやるかというのはこの予算委員会で決めてやっていかなくちゃいけないんですけれども、日本は、簡単に言うと、十年前、のぼせ上がっていたんですよ。先ほどの質問の中にもありました、小泉進次郎議員の質問の中にもありました、世界のシェアの五〇%。何だか知りませんけれども、非常に大事な、何とかDRAMとか何とかビットとか、僕はそれは詳しくは分かりませんけれども、七割、日本が占めてしまった。アメリカはびっくら仰天したんです。それで日米半導体摩擦になった。

 どうしてかというと、アメリカは、それは家電製品は譲っていい、鉄も譲っていい、だから、ソニーとか松下の、ウォークマンとかあんなのはいい、だけれども、半導体は、軍事にも関係して、衛星にも必要だ、これはちゃんと国内に絶対に維持しなくちゃいけないんだという固い決意の下に、日本、このやろうめといって、やり出したんです。

 だから、その当時、ちゃんと世論誘導もしているんですよ。がたつき始めたソ連に代わって、日本がアメリカの最大の敵国だと。世論調査にそれが出ているんです。そういうものの背景に日米半導体摩擦があって、あと、貿易黒字、下に書いてありますが、五百億ドル。今はもう中国の対米貿易黒字は三千億ドルを超えていますから格が違うわけですけれども、そのとき五百億ドルというのは大変な赤字だったんです。トランプ大統領がいらいらしているのも、余りにも巨大な貿易赤字があるからというので、関税をかけるというのをやっているんですよね。

 これはやはり、おかしいんです。そうしたときに、ちゃんとしたものにお金を使うんだったら国民は納得しますよ。先ほど田嶋議員が指摘しました原発、何か大事にし過ぎているんじゃないか。非常にえこひいきがあるような気がします、物によって。半導体もウルトラえこひいきされている。原発は、虐げられていたのに、急にいい子になりつつある。グリーントランスフォーメーションという立派な言葉を使っていますが、あれは原発トランスフォーメーションの間違いだ、原発のGじゃないかと思いますよ。何で原発ばかりこんなふうにするの。

 環境省が幾ら頑張ったって、やはり、エネルギー基本計画は経産省が作るんです。この考え方が根本的に間違っていると思う。国民は支持していないですよ。やはり三・一一を忘れていません。それを、電力料金が高くなった、原発は必要だ、そう言っては、そういう宣伝をしているんです。やめてください。

 再生可能エネルギーをどんなに一生懸命やったって変わりません。そっちの方の宣伝を同じようにしているかどうか。まあ、原発は宣伝じゃなくて脅しですね。再生可能エネルギー、そっちの方にどんどんお金をつぎ込むというふうにしていただきたいんですよ。環境省、予算を見てください、パワーは経産省に上げ過ぎなんです。

 だから、NDCの、提出する所管官庁は環境省ですけれども、それをちゃんと支えなくちゃいけないのは経産省なんです。それを、経産省が半導体ばかりに気が行って、全然こういうところに気を回していないんです。気の入れ方を変えてください。

武藤国務大臣 今、半導体、原発等々、いろいろな話をいただきました。

 エネルギー基本計画のCO2の削減という観点もあるんですけれども、要は、自給率が今一五%より低いということがまず一つです。

 今現状、電源の構成の約七割を日本は化石燃料、いわゆる火力発電が占めている。今回、こういう形の中で、ロシアによるウクライナの侵略であったり中東のいろいろな緊迫化したことがあって、エネルギー安全保障という問題が一つは大きく急務になってきているというのが、これは従来もそうなんですけれども、一つ、それがある。

 それと、もう一つは、先ほど来から、今先生がおっしゃっていただいたように、DXとかGXとか、いろいろな電力需要が、増加が見込まれてきているというのが二つ目の点です。

 特定の電源や燃料源に過度に依存しない、バランスの取れた電源構成を目指していきたい。その中で、必要な脱炭素電源、これを確保できるかが世界的に見てもこれは必要になってきたということが、経済や国民生活を左右する状況を生んできたということが現状だというふうに認識をしております。

 脱炭素電源を確保するために再エネか原子力かという、これは二項目的な対立ではないんだと思っています。そういう考え方ではなく、再エネと原子力を共に最大限活用していかなきゃいけない。こういう前提の中で、原発依存度、震災前の三割から下がり、一方で必要な原発は活用していくという考え方は、第七次エネルギー基本計画でも従前と変わっておりません。

 当然、東京電力福島の第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じながら政策を進めていくことが我々のエネルギー政策の原点であると思っておりますし、福島の復興再生は政府の最重要課題であることは揺るぎない、これはもう従来からずっと踏襲しております。

 二度と安全神話に陥らない、この教訓を肝に銘じながら、先ほど来出ていますけれども、新規制基準という新しい策定の中で原子力というものを活用していくということに、今回、エネ基にも入れさせていただいたところであります。そういう意味では、エネルギーの安全保障というところにおいて、是非御理解をいただきたいというふうに思います。

篠原(孝)委員 理解はそこそこしていますけれども、完全には理解していません。

 田嶋さんの質問の延長で、リレー質問させていただきますけれども、地震、ガル、この準備はできているのか。

 久しぶりなので、皆さんにも申し上げますけれども、アメリカには原発は百基ほどあるんです。どこにあるかというのは皆さん御存じですか。ロッキー山脈の右側に九十八基、左側、カリフォルニアには二基しかないんです。なぜでしょうか。答弁すると時間がなくなるから、やめておきます。僕の講義にさせていただきます。

 地震大国で、地震で、リング・オブ・ファイアです、太平洋の。地震と火山ばっかりだ。そんなところには原発は建てないんですよ。だから、福島第一原発が起きたときに、アメリカの地質学者は、今まで事故が起きなかったのが不思議だと言っている。もし、住民運動が反対せず、珠洲や巻にできていたら、中越地震、今度の能登半島地震でがたがたになっていますよ。志賀原発も、止まっていたからよかったんです。

 常識なんですよ、原発がある国には。原発が、地震のあるところでは耐えられないというのは常識なんです。それを何か、敷地内だったらいい、廃炉にしたらいいとか言って、そんな後づけのへ理屈をつけて原発の再利用とかすべきじゃないですよ。

 年数も、四十年を六十年にすると。私は、もう後期高齢者になっています。だけれども、実年齢はそうですけれども、見てくれはまだ六十六歳、頭の中は五十六歳ぐらいだと思いますけれども、体力もそれなりにあると思う。だけれども、普通は、みんな体ががたがたになってくるんです。

安住委員長 篠原君、質疑をしてください。

篠原(孝)委員 はい。

 だから、こんな原発をやめるようにしてください。

 それで、じゃ、貢献をどうするかというのは、環境大臣、頑張ってください。CO2を削減するのに、そういうところに金を使えというんですよ。

 豊富な森林があります。今日、朝、山村振興法の改正の党内の議論をしてきました。山村、いろいろ役立っているんですね、いろいろなこと。だから、人口は振興山村に二・五%しかいない。それを、山も回り、土地も回りというふうにやっている。ここのところに、じゃ、どうしてお金をつぎ込むかということも僕は考えていただきたいと思うんです。

 森林の活用、吸収源としてどのぐらいあるのか。それで、環境省の事務方に聞きたいんですけれども、森林吸収源というのは一体どのぐらい評価していて、日本にはどのぐらいポテンシャルがあるのか。それからもう一つ、海藻が物すごくCO2を吸収しているんだけれども、それをちゃんと計算してカウントしているのは、私の知っている限りではオーストラリアしかないそうですけれども、日本は、昆布の養殖もやっていますし、そういう技術や何かのノウハウがあるので、海の中にやって、それをまた、それを食べて、人間の体でもいいという形にするというのを、いろいろあると思うんですけれども。そういうことを考えられるんですが、環境省はそういうことを考えたりしているでしょうか。

土居政府参考人 お答えいたします。

 まず、森林に関しましてですが、直近でございます二〇二〇年度における我が国の年間のCO2吸収量は全体で五千二十万トンでございまして、そのうち森林による吸収量は四千六百万トンでございます。

 これらの森林につきましては、所管しております林野庁の下で森林管理、整備が行われているものについて吸収量を算定しておりまして、国連に報告してございます。

 昨年末にお示ししました地球温暖化対策計画の案におきましては、適切な森林整備の実施等によりまして、二〇四〇年度には七千二百万トンの吸収量の確保を目標として見込んでおりまして、引き続き、関係省庁と連携してまいりたいと考えております。

 二つ目のお問合せでございますが、いわゆるブルーカーボンと言われているものについてでございますが、沿岸域におきます藻場造成につきましては、CO2の吸収源としての価値のみならず、いそ焼け対策など、様々な多面的な価値を有するものと認識しております。

 我が国におきましても、各地におきまして様々な取組が始められておりまして、昨年四月に国連に提出いたしました二〇二二年度の温室効果ガス排出・吸収量の報告の中におきましては、沿岸域の海草と海藻による吸収量を合わせまして算定をし、約三十五万トンの値を報告をさせていただいております。

 環境省といたしましては、関係省庁と連携いたしまして、地方公共団体など様々な方々と連携をいたしまして、これを大きく進めていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 資料の三ページと四ページと一緒に見てください。特に三ページを先に見ていただきたいんですが、日本の人口減少が激しいんです。人口の移入というのも、東京がコロナの頃にちょっと転入が少なくなったのに、また増えた。関係者の方に敬意を表しまして、同じように、関係者の県だけを引っ張り出しました。人口のところを見てください。圧倒的に、一九七〇年を一〇〇とした場合に、ずっと上に伸びているのは神奈川です。東京も伸びています。だけれども、二〇〇〇年以降、ほかの、宮城、長野、岐阜、岡山はみんな減っているんですね。がたがたなんです。では、どうして減っているかというと、やはり山の中から里に出てきているんですよ。

 それを是正するのが、二ページのを見ていただきたいんです、森林環境税そして森林環境譲与税。それで、何か総務省がちゃんと計算しないので、私のところで計算したんですけれども、この左側というのは、順番、一、二、三、四というのが、お金が行っている県の大きい順番です。

 ゆがんでいるんですよ。ゆがんでいるというのは何かというと、人口比で割って、それを加味している。そんなところ、おかしいですよ。森林のところへ都会の人もお世話になっているからお金をやりましょうとやっているのに、何でまた人口で戻すんだ。だから、東京都が二番目で、バツ、バツ、バツと四つ書いてありますけれども、森林面積区分でやると四十三番目なのに二番目になっている。このゆがんだ、変なことを言っているのがバツで、損している方が、逆なんですけれども、二重丸になっています。こんなのは直さなくちゃ僕は絶対いけないと思っております。

 時間がなくなりましたので、その次の質問もさせていただきますけれども、ラピダス、TSMCへの補助の延長線上ですよ。先ほど、長野県も半導体どうこうというのを経産大臣がお答えになりました。セイコーエプソンがラピダスのすぐ隣にあって、セイコーエプソンも手伝うそうです。セイコーエプソンは長野にもありますけれどもね。

 しかし、最終のページを見ていただきたいんです、最後のページ。やはり木材関連産業がへとへとになっているんです。一番上のを見てください。丸太の生産量とかいうので、これも長くやりたいんです、地方創生の集中審議でもやってもらえばそこでやりますけれども、製材工場数が、一九六〇年には二万四千あったのが、今は三千七百です。だから、木を切れないんですよ。ラピダス、半導体工場だけじゃなくて、製材工場の再生にも、十兆円じゃなくて、一兆円つぎ込んでくれたら全然違ってくるんです。こういうことをしていただきたいと思うんですけれどもね。

 財務大臣、こういうことをおできになる立場におられるので、農林水産省は多分そういう要求はまだしていないと思いますけれども、してくると思うので、是非やっていただきたいと思います。

 それから、もう一つ、総務省にだけ頼っていられないので、四ページ目を見ていただきたい。トランプさんは、関税が辞書の中で一番美しい言葉だとか言っておられるそうです。何か変な、だけれども、ハートをつかむようなことをよく言いますよね。私は、日本も、今まで自由貿易、自由貿易と言ってきましたけれども、違って、違う価値観が出てきたので、材木製品に関税をかけて、その関税を全部山の中につぎ込んでもいいと思うんですよ。

 大臣、将来の総理を目指して、こういう大胆なことをやっていただけないでしょうか。

安住委員長 篠原さん、環境大臣が答弁をちょっと訂正したいというので、それを最初にちょっとだけ一言言わせて、最後に財務大臣で、ちょうど時間ですから、そういう順番で答弁したいと思います。

 失礼しました。では、局長。

土居政府参考人 大変申し訳ございませんでした。

 森林の値につきましては、二〇二〇年と言ってしまいまして、正確には二〇二二年度でございました。申し訳ありません。

加藤国務大臣 私の地元も、林業とそれから木材業を大変大事な産業とする地域でもございますので、そういったことをしっかり振興していく、その思いは委員と何ら変わるところはないところでございます。

 ただ、今御指摘のありましたように、そうした林業、木材産業に係る産業政策をどうするか、これは一義的には農林水産省において御検討いただくべきことだというふうに考えておりますけれども、関税政策のお話がありました。

 WTO協定やEPAの国際条約との整合性を踏まえる必要があるというふうに考えておりますので、御質問の木材について、WTO協定に基づく税率が設定されている品目が過半を示しているほか、EPAを締結している場合はほとんどの品目でEPA税率が設定されており、それらの品目の国定税率、国が定める税率を引き上げたとしてもWTO協定税率やEPA税率が適用される、こういう形になっておりますので、こういったところをしっかり留意していく必要があると考えております。

篠原(孝)委員 ありがとうございました。

安住委員長 これにて篠原君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤岡たかお君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 これは通告してはいないんですけれども、加藤大臣にお伺いをしたいと思います。

 いわゆる森友学園をめぐる問題で、開示請求に係る関連文書そのもの、検察から財務省に、相当量ということで記者団に語っておられますけれども、文書が戻ってきているというふうに語っております。

 これは当然、御遺族の方への開示はもちろんのこと、この森友学園をめぐる開示請求に係る関連文書一式を、この国会、予算委員会に提出を速やかにお願いをしたいと思うんですけれども、加藤大臣の見解をお伺いします。

加藤国務大臣 基本的に予算委員会で御審議いただく部分もあると思いますが、いずれにしても、今、検察から私どものところに、行った文書は全て私どものところに戻っております。

 これについて、その文書の開示、不開示をどうするかについては、昨日の総理からの御指示もございましたけれども、法令にのっとり、そして国民に対する説明責任、これをしっかり果たす観点から、丁寧に検討すべきという、こうした指示を得ているところでございますので、私どもとしては、まずはその指示に従って、しっかりと開示、不開示に関する検討を進めさせていただきたいと思いますし、当然、結果についてはしっかりお示しをさせていただきたいと思います。

藤岡委員 これはいつまでに、この検討結果、終わらせて、開示していただけますか。

加藤国務大臣 法令上に期限が定められているわけではございませんけれども、また、昨日申し上げたように、相当量の、ちょっと、私、直接見ておりませんから分かりませんが、事務局から聞く限り、相当量の文書だということでもございますので、今の時点でどのぐらいの期限かということを申し上げる状況にはありませんけれども、しかし、一連のこうした流れの中における、今回の控訴審判決を受け入れて上告をしないという判断をさせていただいた、こういう経緯も踏まえて、できるだけ速やかに判断を下せるように、作業をしっかり進めていきたいと思っております。

藤岡委員 是非、完全公開を求めたいと思います。

 委員長、予算委員会にこの関連文書の提出を求めたいと思います。お取り計らいをお願いいたします。

安住委員長 理事会で検討します。

藤岡委員 それでは、続きまして、本日、資料をお配りしておりますが、予算の検証ということで、私たちも、高額医療費の引上げの見直し等々、いろいろなことへ充てていくために、予算の検証ということをさせていただいております。

 本日は、補正予算、やはり補正予算でも多額の、本当に、何かどさくさ紛れといいますか、こういうふうに計上されていると思えるものもあります。こうしたものを改めて、令和七年度の予算等に実質を含めて歳入化をできないのかという点も含めまして、補正予算ではございますが、この場で取り上げさせていただきたいと思います。

 まず、グローバルサウス未来志向型共創等事業予算というのがございます。資料をお配りさせていただいております。

 グローバルサウスというのは、明確な定義はありませんけれども、国際社会において影響力が増している途上国や新興国の総称だというふうに財政審の資料では書かれてはおります。

 これにつきまして、昨年十一月一日の朝日新聞の報道でも、新興国進出のための企業補助金、必要とは言い難いというふうな、財務省も指摘しているというふうな報道も出ております。

 これは、令和五年度の補正予算で千四百億ついて、それを令和六年度にも執行していって、令和七年度の概算要求のときには三十五億だったんですけれども、突然、令和六年度の補正予算でまた千五百億というふうな、とてつもない金額が積まれているという感じでございます。

 加藤大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、財政審等でこの予算についてどのような指摘がなされていたんでしょうか。

加藤国務大臣 今御指摘のグローバルサウス未来志向型共創等事業については、財政制度等審議会から、これまでの採択結果から見れば、本事業を積極的に活用しているのは大企業という実態が見て取れることを踏まえ、真に必要とは言い難い公的支援となっていないか検証が求められること、また、本事業の政策目的に鑑みて、国民が裨益する成果が着実に上がっていくよう客観的なフォローアップが必要であること、こういった指摘をいただいているところでございます。

藤岡委員 そういう御指摘、もっともな指摘が本当に多いと思うんですね。

 今おっしゃった以外にも、お配りしている資料の二ページにも、その問題点について指摘があります。

 まず、経産省に、武藤経済産業大臣にお伺いをしたいと思いますが、概算要求は三十五億だったんですけれども、なぜこれまた突如、補正予算で千五百億計上をされたんでしょうか。

武藤国務大臣 藤岡委員に、前回に引き続いて、ありがとうございます。

 今、グローバルサウスの諸国についての考え方はお話しいただきました。

 この未来志向型共創等事業というものですけれども、ちょっと、若干説明させていただきますが、日本企業と現地企業が互いに強みを生かしながら、カーボンニュートラルの実現、強靱なサプライチェーンの構築等に向けた実証事業を支援するものであります。

 今おっしゃったように、令和五年度補正予算のうち、国庫債務負担行為分、後年度負担分三十五億円のみが必要と考えておりましたところでありましたけれども、概算要求の、昨年八月末になりますけれども、この後に、昨年十月でありましたけれども、石破政権が誕生して、AZECの首脳会合があり、脱炭素等に資する個別プロジェクトを更に創出することが合意をされました。私もAZECへ行きましたけれども。

 また、その前ですけれども、これは岸田総理のときですけれども、インドで首脳会談があり、また、石破総理がブラジルとの首脳会談の中で、インフラあるいは資源等を含む幅広い分野での貿易・投資拡大ですとか人材育成等について、両国間での協力の必要性が確認をされたところ等の状況変化が生じてきたところであります。

 このような相手国との関係構築のフラッグシップとなる協力案件は、合意後なるべく速やかに案件組成に取りかかることが相手国の信頼を得る観点で大変望ましいということで、五年度補正予算は既に使い切る見込みであった上に、令和七年度予算では速やかな案件組成が難しいことから、令和六年度の補正予算において必要な予算を計上することとしたところであります。

 その際、令和五年度事業の執行実績及び必要なニーズを踏まえながら、一千五百億円の事業規模としたところであります。

藤岡委員 これはどこに緊要性があるんでしょうか、差し迫った。むしろ、グローバルサウス諸国とのきちんとした連携を確保するために、仮に事業をやるんだったら、しっかり煮詰めて、どういうふうな関係を構築していくのかを当初予算で議論していくのが私は本来の筋だと思います。今の御説明では、どこに緊要性があるのか全く理解ができませんでした。

 是非、改めて、武藤大臣、緊要性はどこにあるんでしょうか。

安住委員長 武藤経済産業大臣、同じ答弁を繰り返さないで。緊要性のところだけ答弁してください。

武藤国務大臣 ちょっと微妙に違うかもしれませんけれども、先ほども、私、御説明しましたけれども、AZECへ行ったときにも大変、各国の首脳からそれぞれ、例えば脱炭素に向けて、日本のアンモニア混焼の火力の状態ですとか、そういうこともいろいろな議論がありました。

 そして、脱炭素という中で、電力をこれからどうするという意味で、ASEANの国々は化石燃料依存度が非常に高いものですから、是非、日本の関係でも一緒に、技術協力をお願いしたい、そういう様々な案件が提示されたところでもあり、これを放置しておくわけにもいきませんし、こういうお互いに連携を取れる事業というものは迅速に進めていきたい、そういうところを含めての話で考えております。

藤岡委員 JBICの金融支援もありますし、いろいろな外務省の予算もありますし、どこがこれは差し迫ったかというのが、結局、今の御説明では、全く納得のいく説明ではございませんでした。

 ちなみに、令和五年度予算は令和五年度中にきちんと執行された、あるいは、令和六年度の補正予算も令和六年度中に執行されるんでしょうか。これはあくまでAMEICCや何かに拠出をされるので、その後のお金の使い方も含めて、年度中にきちんと執行されるんでしょうか。

田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度補正予算の執行に関しまして、大型、四十億ぐらいの実証事業につきましては、令和五年度内に、まず拠出先となる国際機関、AMEICC、日・ASEAN経済産業協力委員会及びUNIDO、国際連合工業開発機関、これに拠出を完了いたしました。その後、令和六年六月から第一回の事業公募を開始しまして、年度内に最終回である第二回公募を完了し、予算を使い切る見込みでございます。

 令和六年度補正予算についても御質問がございました。

 これは、令和五年度補正予算よりも早期に公募を開始すべく、今月中にも国際機関への拠出などができるよう、事業実施に向けた作業を進めているところでございます。

藤岡委員 令和六年度中にとおっしゃったので、やはり令和五年度の補正予算ということが十分納得のいくものではございませんでした。

 その中で、いわゆる既に採択をされている案件があると思います。財政審の指摘もあると思いますし、実際、例えば令和六年八月の採択案件などにおきまして、大企業と中小企業の件数は一体どのぐらいの割合になっているんでしょうか。

田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の昨年八月に行われた公募、グローバルサウス未来志向型共創等事業のうち補助上限額四十億円以下の事業に関するもの、これは大規模事業でございますけれども、これの採択結果を公表いたしましたが、採択件数十三件のうち、大企業が十件、中小企業が三件でございました。

 なお、昨年六月と十二月には、もう少し額の小さい、補助上限額五億以下の、小規模に関する採択結果も公表いたしております。これだと、採択件数百四十六件のうち、その半数の七十三件が中小企業となっております。

藤岡委員 補助金というのは、優先順位を当然よく考慮して、本当に必要なところにお金を使っていかなくちゃいけないと思います。

 財政審でも、これは別に、企業自体は、当然、予算があれば使っていくのは当たり前ですから、企業自体を別に批判しているわけでは全くございません。ただ、こういう枠組みを準備したときに、本当にこれがその補助金がなければできないものなのかどうか等々を含めてやはり予算化をしていかなくちゃいけないものだと私は思います。

 今のお話を聞いていると、大きな、一件四十億のものについて、十三件中十件が大きな企業でということでありました。さらには、百四十六件中、逆を言えば、半分は大きな企業にということでございました。

 これが本当に、今、優先順位の高い、企業の海外進出、日本国内でガソリン価格の高騰等に困っている中でも、わざわざ、企業を通じてとはいえども、海外にここまでのお金を流すというふうな予算の使い方がどこまで一体適正なのかというのは、大いに疑問なところでございます。

 その中で、例えば財政審の、今日資料をお配りしている二ページを御覧をいただきたいと思うんです。

 問題点で、加藤大臣がおっしゃったけれども、もう一つ指摘がありますが、実際に、これはイノベーション創出とかということを書かれているんですけれども、公募の結果、採択された実証事業と同様の案件が既に企業において、同じグローバルサウスの中で行われていることも存在しているということを指摘をされているわけです。

 この会社を否定しているわけでは全くございません。今、あえて二ページ目の右下の事業の名前もここでは読み上げませんけれども、こういうふうなところで、公募の結果として、採択された実証事業と同様の案件ということが既にできているということでございますからね。

 実際、これはどういうふうな採択の中身になっているんでしょうか。経産省にお伺いいたします。

田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の財政審での御指摘でございますけれども、令和五年度補正予算では、他国で企業が類似事業を行っている場合でも、国によってビジネス環境が異なるものですから、実証の意義はあると考えまして、当該企業への支援を行ってまいりました。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、財政審から支援の在り方について厳しい御指摘を受けております。これを真摯に受け止めまして、適切なプロジェクトが採択されるよう、令和六年度補正予算の事業では公募要件の厳格化を行うことといたしておりまして、財務省ともよく協議してまいりたいと考えております。

藤岡委員 今、大事な答弁だと思うんですね。類似事業があったということは事実関係としてお認めになられているわけなんですよね。それがあった上でのということでございますから、今、本当に大事な答弁だと思います。改めて、こうした予算措置が本当に今我が国にとって優先されるべきものなのかということは考えなくてはいけません。

 やはり今、むしろ国内では、企業が海外進出をしたときに更に再投資をして、日本にそのもうかったお金が戻ってこないというふうな、そういう国際収支上の問題もあると思いますし、本当にこれが差し迫った、まさに緊要性のある補正予算でということが、これも全く理解することができません。ある意味、大きな企業向けの拠出、さらには既に行われているものへの拠出、今でも公募要件に類似の案件を容認するかのような表現が入っております。私も確認をさせていただきました。

 武藤大臣、この拠出、この補正予算で、例えばAMEICCなら四百何十億、さらには何百億、いろいろな予算が拠出されておりますけれども、この執行をすることを、私は、ちょっと一歩立ち止まって考え直すべきだと思います。私は、むしろこれを、本当に国内で困っているガソリン価格の高騰、暫定税率の廃止や、さらには困っているがん患者の方の救済の予算、そういうものに充てていくべきだと思います。

 改めて、やはり拠出、執行を戻して、そしてちゃんと当初予算に予算化を、歳入に充てていくべきだと思うんですけれども、武藤大臣、いかがですか。

武藤国務大臣 先ほど事務方から必要性についての話はさせていただいた上で、今、藤岡委員からお話がありましたけれども、本事業を執行する必要性について、改めてちょっと私からも申し上げさせていただきたいと思います。

 国で、例えば、この前のAZECでしたら、ラオスの主催でありましたけれども、お隣のタイですとか、みんなそれぞれやはり事情が違うところが正直言ってございます。そういう中で対応していかなきゃいけないというのは、正直、我々としては是非お願い申し上げたいところでありますし、また、実証事業の成果が出るまでには一定の期間がかかってしまいます。その間にも……(藤岡委員「検証してから」と呼ぶ)

安住委員長 座ったまましゃべらない。

武藤国務大臣 連携を深める対象国を増やしていく必要があるというのが今の世界の状況だというふうに私は思っております。このため、令和五年の補正予算の事業を執行しながら令和六年度の補正予算の案件採択も行うことになっていくんだろうと思っております。

 しかしながら、先生がおっしゃられる国民の税金で実施する事業である以上、支援の必要性の精査、あるいは成果の検証は本当に厳格にやっていかなくてはいけないんだろうと思っています。資格要件の厳格化、外部専門家による成果検証など、不断の改善を行いながら、適切な形で予算が執行されるように尽力していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

藤岡委員 グローバルサウスとの連携というのは当然重要だと思いますよ。あとは、金融支援やいろいろなものがある中で、これだけ、むしろフォローアップ、検証が必要だということが指摘がされているんですけれども、検証が出ていないのにもかかわらず、突然補正予算で真水で多額の、総額ですけれども、合計千五百億の予算が組まれているということは、これはどう考えても、このグローバルサウス向けの企業の進出の補助金については、優先度という面では、私は、非常に高いとは言い難いというふうに思います。

 そういう意味で、加藤大臣にもお伺いしたいんですけれども、この予算、改めて、きちんと執行を見直す、財務省としてもやはり考えていくべきだと思うんですけれども、加藤大臣の見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 このグローバルサウス未来志向型共創等事業の必要性は、もうるる今大臣からも説明があったと思います。

 令和六年度補正予算の編成に当たっては、先ほど紹介をいたしました財政制度等審議会の指摘等も踏まえて、この事業を真に必要な公的支援とすることが重要として編成に当たったところであります。

 経済産業省においては、先ほど事務方からも説明があったと思いますが、こうした経緯も踏まえて、令和六年度補正予算の執行に向けて、現在、公募要件の厳格化等の検討が行われているということでございますので、今後とも、経産省においては事業が適切に行われるよう、財務省としてもしっかり注視していきたいと考えています。

藤岡委員 今の雰囲気ですと、そんなに財務省としても、喜んでもろ手を挙げてというふうな感じにはやはり見えませんでした。

 改めて、私は、予算というのは、いろいろあると思います、有効活用していく、そのときそのときの優先度の高いものにやはり適切に充てていくことが重要だと思っております。海外向けの、事実上海外にお金を流すことに、どうしてここまで優先されるのかが分かりません。

 改めて、やはりもっと重要なところ、例えばがん患者の高額療養費の引上げの問題、まさにこうしたところも喫緊の課題でございますし、本当に、こうした補正予算も含めて、今回、私たちは、修正案で検討できるところをしっかり検討して、皆様にもお示しをしていきたいと思っておりますので、是非ともよろしくお願いをいたします。

 続きまして、まさにこういうところの予算の有効活用、優先度の高いものにもっと活用していくという面で、今日は資料をまたお配りをしております。

 皆様に是非とも、追加でお配りをしております四ページ目の資料を御覧いただきたいと思っております。

 この間、国会で、いわゆる高額療養費の、医療制度のいろいろな議論がございました。酒井なつみ議員からの本当に迫真に迫る提案、指摘が最初にあり、それからこの国会の審議が始まり、そして今、二百億で凍結ができるということが分かっております。

 そういう中で、ちょっと今この現状を、やはり皆様と確認をしておきたいことがございます。

 それは、今お配りしておりますけれども、いわゆる協会けんぽと、例えば、厚生労働省の職員の皆さんの厚生労働省の第一共済を始め、国家公務員共済との自己負担の上限がどのようになっているかということをやはり確認をしていかないといけないということも思います。

 改めて厚生労働省に確認をしたいと思いますけれども、まず、今資料をお配りしておりますけれども、例えば、協会けんぽでは付加給付という制度はございません。したがって、例えば、標準報酬月額二十八万から五十万、年収三百七十万から七百七十万ですと月単位の上限は八万百円プラスアルファ、年収三百七十万円未満ですと五万七千六百円、住民税非課税世帯ですと三万五千四百円ということになっておりますが、厚生労働省の第一共済、職員の皆さんの共済、国家公務員の共済組合の大半は、この八万百円、五万七千六百円、三万五千四百円に対し、二万五千円ということでよろしいかどうか。

 そして、標準報酬月額五十三万円を超える部分は十六万七千四百円が上限ですが、これが厚生労働省の共済を始めとした国家公務員共済では五万円となっているという事実関係は、このような形でよろしいでしょうか。

宮崎政府参考人 御指摘の厚生労働省共済組合、本省、地方局、検疫所やハローワークなど現場の職員、家族、十万人が加入する組合でございますけれども、御指摘の付加給付につきましては、保険料水準との兼ね合いですとか、あるいは共済組合の財政状況を考慮して設けられておりまして、他の多くの共済組合や健保組合と同様に、付加給付を設けております。

 具体的には、標準報酬月額が五十三万円未満の組合員にあっては一月の自己負担額が二万五千円を超える部分について、五十三万円以上の組合員にあっては一月の自己負担額が五万円を超える部分について、当該超える部分が千円未満の場合を除きまして、付加給付の対象としているところでございます。

藤岡委員 この表が正しいということで、今御答弁をいただいたと思います。

 続きまして、今後だと思うんです。令和九年八月以降がどうなっているかということが重要だと思います。

 その中で、まず、令和九年八月以降、例えば、先に住民税非課税世帯からいきましょう。住民税非課税世帯は、上限が三万六千三百円。そして、六万六百円、年収二百万円まで。その上に、どんどんいきますが、六万九千九百円、七万九千二百円、八万八千二百円、そして十一万三千四百円。そして、標準報酬月額の五十三万未満のところの、五十万円までというところで十三万八千六百円。引上げの金額は五万八千五百円になりますけれども、現在、厚生労働省の共済、また国家公務員共済を始めとして、現時点で引上げが決まっていないということでよろしいかどうか。

 そして、五十三万円を超える部分は十八万八千四百円でございますが、五万円で、現時点で引上げが決まっていないということでよろしいかどうか。これは付加給付を含めて、上限額について引上げが決まっていないということでよいかどうか。事実関係について御答弁ください。

宮崎政府参考人 厚生労働省共済組合の付加給付、今後についてでございますけれども、この付加給付は、先ほど申し上げましたように、健保組合に対して示している指針に沿って、保険料水準との兼ね合いや共済組合の財政事情を考慮して設けられております。

 今後につきましては、これらの状況ですとか制度改革の動向等を踏まえて、見直しについて検討していくということにしているところでございます。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員共済の全体の話と承知しております。

 先ほど厚労省の御答弁がございました。国家公務員共済組合については二十ございますが、十八組合についてはおおむね同様の自己負担額となっておりますが、具体的には、一定の報酬水準未満の加入者に対する自己負担額の上限が二万五千円になっております。

 なお、残りの二組合につきましては、加入者の年齢構成等の財政状況によって、附加給付を行っていないという現状にございます。

 今後につきましてでございますが、附加給付も含めまして、短期給付は各共済組合が定款で定めるところにより実施しているものであり、法定給付である今般の高額療養費の制度の見直しに伴って、直ちに附加給付に係る自己負担の上限が変更になるものではないと承知しておりますが、ただし、厚生労働省から健保組合に対して示されている指針や、今般の高額療養費制度の改正が各共済組合の財政状況に与える影響等を踏まえまして、各共済組合の判断に基づき見直しが行われるものと承知しております。

藤岡委員 大事なことは、ここは大事なところなので確認しますが、国民の皆さんの上限の引上げは決まっているけれども、厚生労働省共済を始めとした国家公務員共済は、引上げが現時点では決まっていないということでよろしいですね。

宮崎政府参考人 御指摘ございましたとおり、法定の高額療養費の取扱いが決まった上で、今後の付加給付等の取扱いについてはそれぞれの保険者が決めていくことになりますので、順番としてはそういう順番になってまいります。

 今後の取扱いにつきましては、先ほど申し上げたように、保険料水準との兼ね合い等々の状況や制度改革の動向を踏まえて、見直しについて検討していくということでございます。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 今後のお話でございますけれども、附加給付につきましては、各共済組合の判断ということは先ほど申し上げましたけれども、一義的に申し上げますと、各共済組合の定款で定めるところにより実施しているものでございまして、附加給付の在り方を変更することは、一義的には各共済組合の判断でございます。

 手続的には、国家公務員共済組合法上、定款の変更は財務大臣の認可を受けなければその効力を生じないとされておりまして、財務省としては、各組合からの定款変更の申請があれば、認可の可否を検討することになります。各共済組合から申請があれば、適切に対応してまいりたいと考えております。

藤岡委員 現時点で決まっていないということだけ御答弁をいただければ本当にありがたいんですが。

 現時点で決まっていないということ、そこだけおっしゃっていただいていいですか。

宮崎政府参考人 先ほど申し上げたとおりでございますので、現時点で決まっているわけではございません。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で決まっておりません。適切な手続を踏んだ上で、しかるべき手続を整えられるものと承知しております。

藤岡委員 ありがとうございます。

 これは表をお配りしておりますが、現在、例えば八万百円の負担で二万五千円の上限、協会けんぽは八万百円、厚生労働省共済は二万五千円。さらには、引上げ後は、八万百円から十三万八千六百円、五万八千五百円引上げになって、現時点では、厚生労働省共済を始めとした共済は二万五千円。幾ら何でも、この格差というのは大き過ぎるんじゃないんですかね。

 私は、別に、はっきり言って、公務員たたきをしたいとか、そういう思いで話をしているわけではございません。

 私は、昨日、がん患者の皆さんの話をお聞きしました。率直に、この表を御覧になって、私たちもこういうふうにしてほしい、そんな強い声をいただきました。そして、この表を更に見て、これはむしろ厚生労働省の皆さんが一番分かっているじゃないですか。がんや難病にかかってしまったときに、この高額療養費、負担がかかるということが非常に大きな負担になっているから、二万五千円、五万円に抑えているんじゃないんですか。

 一番分かっているんだから、同じようにこれをやはり対応する。少なくとも、まずはこれだけの、厚生労働省共済と国民の皆さんの間での自己負担の上限に差があるのだから、二百億円で凍結をして、速やかに対応するべきではないでしょうか。厚生労働省の見解をお伺いします。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 先週来、総理大臣の方からもお答えをさせていただいておりますが、高額療養費につきましては、高齢化、高額薬剤、非常に伸びている状況でございます。医療費全体でも非常に伸びているという御指摘をいただきますが、その倍の勢いで伸びているという中にあって、私どもとしても、この高額療養費、非常に大事な制度だと思っております。この制度を今後とも持続可能性を高めていくためにやはり見直しというものが必要だということで、今回提案をさせていただきました。

 実は、私、今日ここに来る前に、がん患者の方々とちょうど九時半からお話をさせていただいて、ちょっと時間がなくなって、最後、途中で抜けてしまったんですが、患者の皆様方も非常に、制度の見直し自体の意義は理解はできる、ただ、やはり長期の療養の方々の御負担、そういったことについて配慮してほしいという様々な御意見をいただきました。

 私どもから制度の趣旨も御説明をさせていただきながら、そういったお声も踏まえ、どういうふうに考えていきたいのか、それは総理の方から、また大臣の方から、いろいろこの間、予算委員会で御答弁させていただきましたが、そういったことを踏まえて進めていきたいと思っております。

安住委員長 藤岡君、間もなく時間が来ますので、そろそろまとめてください。

藤岡委員 本当に、がんや難病で苦しんでいる患者の皆さんをどうして優先的に狙い撃ちしたような、増税のごとき対応をされるのかな、これは全く理解ができません。

 改めて、私たちは、今回、予算の検証をしていて、どこにやはり優先を置いてやっていくのかというところを検証し、別に、削るばかりなんということを言っているわけじゃありません。もっと、むしろかけるところはかけようということを提案しております。

 多数回該当の関係のところで微修正という話も聞こえてきますけれども、是非、そういうことに加えて、さらに、きちんと、二百億で凍結をしていただきたい。そのことを強く申し上げさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて藤岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 まず、賃上げ促進税制について経済産業大臣に伺います。

 賃上げ率三%以上の大企業は、賃上げ額の最大三五%もの税金が安くなる企業向け減税であります。税金を安くするから、企業の皆さん、何とか三%以上の賃上げをお願いしますという動機づけのため、令和五年度は七千二百七十八億円もの巨額減税が行われました。

 配付資料の一番を御覧ください。

 資本金一億円以上の企業で、賃上げ率何%の企業がそれぞれ何社あるかという左側の帯グラフであります。令和四年の平均賃上げ率、この当時二・二%でありましたが、それでも、このグラフ、三%以上の賃上げをしている企業が半数近くあります。

 この資料は財務省の分析ですけれども、令和四年当時ですら、賃上げ税制と労働分配率の因果関係を特定できないとか、賃上げ上昇率への影響について統計的に有意な差は確認できないと書かれております。

 大臣に伺いますが、昨年は五%を超える賃上げが行われて、昨今、大企業で三%、中小企業で一・五%の賃上げをするだけで巨額の税額控除が受けられる、この賃上げ促進税制はそろそろ不要ではないでしょうか。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

武藤国務大臣 井坂委員にお答えをさせていただきます。

 令和六年度に実施しました経済産業省のアンケート、調査によれば、五%以上の賃上げを行う企業は、大企業で約三割、中小企業で約一割となっております。一方で、三%より低い賃上げ率の大企業はまだ四割、そして一%より低い賃上げ率の中小企業は約六割となっているところであります。

 このように、五%以上の賃上げを行う企業も一定数まだ存在しているものの、企業規模、業種、地域によってばらつきがあることから、より低い賃上げ率の企業の方が依然として多数を占めている状況と承知をしております。

 物価高に負けない持続的な賃上げを定着させるためには、賃上げの流れを中小企業や地方にも行き渡らせることが必要であり、こうした実態を踏まえれば、引き続き、賃上げ促進税制を活用しながら、賃上げ率の底上げを図っていく必要があると考えております。

井坂委員 財務省のデータ、これは税金の方から取ってきたデータだと思いますけれども、今経済産業大臣がアンケートとおっしゃいましたが、随分、様相が違うわけであります。

 しかし、社会全体の平均賃上げ率、特に大企業の平均賃上げ率、昨年で本当に五%以上ということで、今経産大臣がおっしゃったアンケートの数字はちょっとにわかには信じ難いわけでありますけれども、財務大臣、この大きなデータのずれについて、何か御所見はありますか。

加藤国務大臣 データのずれというか、私どもの出している資料は、お示ししていただいている資料だというふうに思っております。

 そうしたことも踏まえて、令和六年度の税制改正において、御承知のような所要の見直しをさせていただいたということであります。

井坂委員 三%以上で減税を受けられるというのは、幾ら何でもラインが低過ぎるというふうに思います。もう、こういうインセンティブを与えなければ賃上げをしないという社会状況では全くなくて、既に、減税があろうがなかろうが、人手不足、人材確保のために、企業はいやが応でも賃上げをしなければいけないという社会状況は今後も続くことが予想されております。

 この賃上げ税制には、更にいろいろな上乗せ控除が追加をされております。教育訓練費を前年より一〇%上乗せをすれば、減税率が更に五%上乗せをされる。この増やした教育訓練費のうちの何%が減税されるというわけではなくて、訓練費と関係ない賃上げ額の五%が減税されるといういびつな制度のため、教育訓練費を少し増やしただけでその何十倍もの減税が受けられるということが、会計検査院からも厳しく指摘をされたところであります。

 この部分は一部改正をされておりますが、参考人に伺います。

 この教育訓練費の上乗せ控除制度において上乗せ控除された総額、幾らになりますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今月、財務省が国会に提出した租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書において、この賃上げ促進税制について、上乗せ要件である教育訓練費の状況に着目した調査は行われていないというような状況でございます。このため、私ども経済産業省としても、上乗せ控除額の総額について把握していないという状況でございます。

井坂委員 要は、こういう上乗せ減税をやっているんですが、費用対効果を測定しようにも、幾ら財源がかかったのかという一番基本的な数字すら把握をされていないわけであります。

 そして、上乗せ減税、もう一つあります。子育て応援をする企業ですという証明のくるみんとか、あるいは女性活躍を応援する企業ですという証明のえるぼし、この資格やマークを取得すると、更にこの減税率が五%上乗せをされます。

 これまた巨額の追加減税になるわけでありますが、それだけの財源を使って、じゃ、くるみんとかえるぼしを取得する企業を何社増やすという数値目標があるのか、参考人に伺います。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 賃上げ促進税制としては、くるみん、えるぼしを取得する企業を増やす数値目標は設定しておりません。

 もっとも、政府全体としては、女性活躍の推進に向けて、例えば、プライム上場企業における女性の役員比率を二〇三〇年までに三〇%以上にするなど、幾つかの数値目標を掲げているところでございます。

 経済産業省としては、企業が女性活躍を推進して生産性を向上させることを通じて、持続的な賃上げを促進することが重要との観点から、くるみん、えるぼしを取得する企業に対して上乗せ税額控除を設けたところでございまして、こうした措置は政府全体の女性活躍の推進の目標の達成にも資するものだというふうに考えております。

 引き続き、賃上げの促進と女性活躍の推進に向け、関係省庁と連携して、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 要は、巨額減税、追加減税するんだけれども、コストも分からず、そして、それをやって、じゃ、くるみん、えるぼし、何社これのために取りました、そんな、把握どころか目標すら持っていないというお粗末な現状であります。

 ちょっと財務大臣に、これまでの議論を聞いて、御所見を伺いたいんですけれども、やはりデフレのときはなかなか企業も賃上げに向かって動いてくれない、大型減税といういわばニンジンをぶら下げて賃上げに向けて動いてもらった。しかし、こういう時代はもう終わっていると思います。人手不足で、もうニンジンがなくたって企業は賃上げに向かって走り出しているこの時代に、わざわざ走っている馬を追いかけて、横からニンジンを食べろ食べろといって食べさせるような、こういう七千億円ものニンジン、私は要らないというふうに思います。

 そもそも、もう意味がなくなっているニンジンに、しようがないから、教育訓練費とか、あるいは子育て支援企業とか、無理に意味を持たせようとして、制度の目的と手段、会計検査院が指摘したように、ぐちゃぐちゃになっております。

 財務大臣、御所見を伺いますが、この賃上げ促進税制、これはそろそろ、大幅な縮小そして廃止も含めて、見直していただけますでしょうか。

武藤国務大臣 先ほどのアンケートの結果のずれですけれども、調査対象範囲が財務省の方は黒字の企業のみが対象であるのに対して、経済産業省のアンケートは全法人が対象となっているところであります。調査対象年度は、財務省のデータは令和四年度であるのに対し、経済産業省は令和五年度であるものと考えております。

加藤国務大臣 まず一つは、やはり賃上げの引上げが必要だということで、この間、賃上げ促進税制、これを何回か見直しをしながら進めてまいりました。その中には、先ほど御指摘があったように、この効果という意味においてどうなのかということで、大企業を中心に、控除率、今、三、四%のやつを下げて、より高い賃上げを促していく、あるいは、中小企業においては赤字の法人も対象にする、こういった仕組みも入れさせていただきました。

 現状、どう考えるかでありますけれども、井坂委員のおっしゃるように、では、それだけ本当に強い賃上げの流れになっているかどうかということをまだ断じる状況では私はない、そういう方向には来ている。

 そういった意味において、今年の春闘は、皆さん誰もが大変大事である。そういう中において、この春闘においてしっかりとした賃上げが行われていき、まさに定期的に賃上げが行われるという基調をつくるべき、この段階に私はあると思っておりますので、引き続き、その中身は常に見直しをしていく必要があるとは思いますけれども、こうした賃上げを促進をしていくこと、このことは非常に大事だと思っています。

 それから、二つ目の、教育訓練それからくるみん等の女性活躍、このもの自体がこの税制の主になっているわけではありません。賃上げを図っていく中においては、やはり教育訓練を行うことによって、より付加価値の高い労働に転化していっていただく、あるいは、より多様化していくことが更に賃上げにつながっていく、そういう側面があるので指標として入れているというふうに認識をしておりますが、ただ、会計検査院からも指摘をされているところでもありますし、それを踏まえたわけではありませんが、そのことを認識して税制改正でも一部見直しがなされているというところでございます。

 ただ、委員御指摘のように、令和五年度の適用実績、七千二百七十八億円というかなりな減税額になっていることは、これは事実であります。したがって、この政策の効果ということをしっかり踏まえた見直し、これは常にしていかなきゃならない、その御指摘はそのとおりだと思います。

井坂委員 ちょっと、財務大臣と余り議論をするつもりはなかったんですが、今の御答弁、私はやはり大変納得がいきません。

 今国民が何に怒っているかというと、やはり、これだけ税収が増えて、国民にもっと還元してくれと言っているわけです。それで、政府は何と言っているかというと、還元するお金はありませんと言っているわけです。

 経産省はこういうことをやりたいと思うのは、それは経産省は分かりますよ。ただ、財務省は、お財布のひもを締める側の立場であるにもかかわらず、コストも分からない、効果の測定もできていない、そしてさらには目標もない、こういうことを、なぜ、しかもこれだけの巨額ですからね、何億、何十億の規模じゃなくて、七千億とか、次にお話しする研究開発なんかはもう一兆に届こうかという、これだけのお金を使っておきながら、なぜこういうものをそのまま通しているのか。特に、それは多少の見直しはしていますけれども、三%を超えたら減税するなどというのは、明らかに現実に合っていないと思います。

 ちょっともう一度御答弁お願いします。

安住委員長 加藤財務大臣、簡潔に。

加藤国務大臣 したがって、中身については状況状況に応じながら見直しをしていく、そのことは私も先ほど申し上げたとおりであります。

 ただ、今の時点において、賃上げをしっかり進めていく、あるいは賃上げの基調をつくっていかなきゃならない、この認識の中においてそれを推進する税制であり、確かに、定量的になかなか、賃上げにはいろいろな要請がありますから、この税制だけでどれだけかというのは、これは正直言ってなかなか難しいところでありますけれども、しかし、それなりな効果はあったというふうに私どもは認識をしておりますので。

 引き続き、賃上げがしっかり行われるよう、こうした税制も含めて、今回の予算もそうでありますけれども、しっかりと対応させていただき、しかし、その中で、冒頭、先ほども申し上げたように、相当な金額に来ておりますから、やはりそういった意味において不断の見直しをしていくこと、これは当然のことだと思っています。

井坂委員 財務大臣、しつこくて申し訳ないんですが、このお配りした資料は財務省の分析ですよ。財務省の分析で、賃上げと賃上げ税制の関連、統計的に有意な差は確認できなかったと書いてあるんですよ。

 大臣、何か効果もあるというような答弁をされましたけれども、何を根拠におっしゃったんですか。

安住委員長 井上大臣官房審議官、質問に対してだけ答えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきましては、統計的に有意になっていないということでございますけれども、これは効果がないということを言っているとは限らなくて、統計的に有意でないということでございますので、この財務省の分析でも、引き続き更に分析についてはやっていく必要があるというふうに書かれているというふうに認識しております。

井坂委員 私は理系なので、大変苦しい答弁だと思いますけれども、分析っていつまでにするんですか。私はもう来年度予算でもこれはちゃんと考え直してほしいと思っておりますが、あと数か月とは言わないですが、じゃ、効果のありやなしやって、いつまでに分析は終わるんですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点において、いつまでということで分析しているわけではございませんけれども、引き続き検討していきたいというふうに思っております。

井坂委員 大体、七千億円という巨額のお金を使っていて、効果があるかないかが分からない、いつまでにこの分析が終わるか分からないというのは、私はひどい話だというふうに思います。早急にちゃんと、特に財務省さんにお願いしたいと思う。経産省がやりたいのは決まっているので、財務省さんが限られたお金を一体どこに使うのか、これが予算審議でありますから、七千二百億円というのはとんでもない金額ですから、それが効果があるのかないのかも分からない、コストも分からない、そして目標も特に立てていない、これで、はいどうぞと財務省が言ってよいとは私は到底思えませんので、大臣、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 目標は、まさに申し上げておるように、賃上げをしっかり定着させていく、その目標に向かってあらゆる政策手段を導入していく。ただ、政策手段を導入するときに、委員御指摘のように、コストとその伴う効果、これはしっかり分析をしていかなきゃならない。

 ただ、先ほど申し上げたように、賃上げという現象を分析する中で、じゃ、税だけがどこまで、これはなかなか正直言って分析するのは難しい、そのことは御承知だと思いますが、ただ、その中で、今回お手元にあるような分析も含めて、さらに、EBPM等をしっかり駆使しながら、より一層効果のある税制にしていきたいというふうに思っています。

井坂委員 賃上げを定着させるというぼんやりした、それは大目標は分かりますよ。ただ、税だけがどれぐらい効果があるか分からないとおっしゃいますけれども、まさに財務省は真面目に、賃上げ税制による効果とか、物価上昇率とか、失業率とか、いろいろ分けて分析もしているわけです。分析した上で、なかなか因果関係は分からないとか有意差がないとか、こういうことになっているわけですから。

 初年度ならまだしもですよ、もう何年もこれをやって、いまだにこういう状況で、しかも、使う額が今どんどんどんどんウナギ登りで増えている、七千億ですから。これはもう、財務大臣、改めていただきたいということを申し上げて、次に移りたいと思います。

 同じく租税特別措置でもう一つ、研究開発税制について伺います。

 こちらは、令和五年で、更に多い九千五百億円も減税をされており、しかも、そのうち大企業が九千億円という、これはもう完全に大企業向けの大型減税になっております。どういう中身かというと、研究開発費を前年と比べて増加をさせた率が高い企業ほど、高い割合の税額控除を受けられるという仕組みであります。

 その制度設計の気持ちはよく分かるわけでありますし、私も研究開発を伸ばすべきだ、この大目標は全く一致をしております。ただ、その手段とコストについて、この予算委員会で問いたいというふうに思っております。

 まず、経済産業大臣に伺いますが、現在インフレ局面、ようやくそういう答弁も出てまいりましたが、インフレ局面であります。そうなると、当然、企業も普通に仕事をやっていても売上高も上がる、そして、それに比例して研究開発費も上がる。特に研究開発費は四割が人件費と言われておりますから、人件費が自然に上がれば、同じ人数で同じ研究をやっていたって、研究開発費が上がるわけであります。

 こういうインフレ局面だと、何も変えなくても研究開発費は自然に増えて、そうすると、今の仕組みだと、去年よりも研究開発費は額では増えましたよ、だから増加率は上がりましたといって、より高い減税が適用されてしまうんですが、この問題についてどう思いますでしょうか。

武藤国務大臣 企業の研究開発投資、私自身は大変大事なものだというふうに認識をしている上で、企業収益ですとか、今おっしゃったような競争環境の動向等、物価変動以外にも、様々な要因によって決まるものと承知をしているところです。

 御指摘のインフレの影響についても、調達価格が上がり価格に転嫁できない場合などは、収益が圧迫をされ、むしろ研究開発を減らさなきゃいけないという状況も考えられるということだと思います。このため、物価が上がったからといって、必ずしも連動して研究開発投資額が増加するわけではないんだというふうにも思います。

 その上で、三十年にわたりデフレが続いてきた中で、インフレ局面が継続した場合に、企業の研究開発動向にどのような影響を与えるかについては、しっかりと精査をしていかなきゃいけない、こういう問題意識であります。

 経済産業省としても、こうした点を含めて、引き続き、研究開発税制の有効性を高めるべく、必要な見直しを行っていきたいと思います。

井坂委員 ちょっと参考人に伺いたいと思いますが、令和五年度に最も多額の控除、要は減税を受けた企業の控除額が幾らなのか、そして、控除額上位十位以内の十社の控除総額は幾らなのか、伺います。

安住委員長 経済産業省イノベーション・環境局長菊川人吾君、質問されたことにのみ答えてください。

菊川政府参考人 最も多額の控除を受けた企業の控除額でございますが、約八百二十八億円でございます。控除額上位十社以内の企業の控除総額は、約二千四百十九億円であると承知しております。

井坂委員 お聞きいただいたとおり、広く適用される減税制度のはずなんですが、たった一社で八百二十億円の減税ですよ。減税額で八百二十億円ですからね、要は、八百二十億円、国からもらっているのと一緒ですから、そういうことになっているんですよ。上位十社で二千四百億円ということであります。

 重ねて参考人に伺いますが、では、この八百二十億円、国から減税を受けた会社あるいは上位十社のこの会社は、研究開発費、増やしているんですか。

菊川政府参考人 お答え申し上げます。

 研究開発税制の適用額につきましては、過去三年と比較した試験研究費の増減の程度、そして売上高に占める研究開発費の割合、そして法人税額を算出するための所得金額、そういったもろもろ踏まえて決定される、こういう仕組みになってございます。

 その上で、先ほど申し上げた数字につきましては、これは財務省が国会の方に提出されております租税特別措置の適用実態調査ということの結果についてでございますが……

安住委員長 聞かれたことに端的に答えなさい。

菊川政府参考人 はい。

 御指摘の控除額一位の企業や上位十位以内の企業が研究開発費を増やしているかどうか、ここについては把握はしておりません。

井坂委員 お聞きをいただいたとおりなんですね。八百二十億円、国から上げているわけですよ。その企業が研究開発費を増やしたのか減らしたのかすら分からないという仕組みであります。

 これは大臣に伺いますが、実は、これは減らしても控除を受けられる仕組みなんですね。研究開発費、増やしたら御褒美で給付しますよ、補助金上げますよとか減税しますよという仕組みではなくて、研究開発費が全く増えず、増加率ゼロ%が基準で、それで八・五%減税されるわけです。もちろん、それで、去年より増えれば、一一・五%とか減税率が増えます。これはいいことだと思います。ただ、研究開発費が去年より減っても、例えば、去年より一〇%研究開発費が減りましたという企業でも、六%の減税を受けられる仕組みであります。

 大臣、研究開発費が減っても税額控除を受けられる、そういう研究開発費を減らした会社にも国から何百億円もお金を渡すというのは、さすがにおかしいのではないですか。

武藤国務大臣 この研究開発投資ですけれども、成果が出るまで時間を要する、これはまさに継続的に投資を行う必要があるというのが、今のこの研究開発では、大変そういう意味では観点だと思います。

 民間企業の方も、収益状況、競争環境の動向等によって一時的に研究開発投資額を削減せざるを得ないようなことも起こり得る、こうした今の世界の状況の中で、環境変化が激しい中では、研究開発投資の削減幅をなるべく小さくし、企業の研究開発の取組を継続させることが日本全体としての研究開発力の維持向上につながるんだ、私はそう考えております。

 こうした考えの下で、研究開発費を減額した場合でも、一定程度の範囲であれば税額控除というインセンティブ措置を受けられる制度としているところであります。

井坂委員 一定程度とおっしゃいますけれども、現状、どれだけ減っても減税する仕組みになっていますよね。さすがにここは近々改めるというふうにお聞きをしておりますが、現状は、どれだけ減ろうが減税になるんですよ。三〇%減ったって一%減税になる、五〇%減ったって一%減税になるわけであります。

 大臣、重ねて伺いますが、我々も、研究開発は大事だし、応援をしたいと思っています。そこはもう本当に誤解のないようにしていただきたいんですが、これだけのお金を使って、本当に、全部応援をすることが研究開発を増やすことにつながるのかという手段とそれから金額の話をしております。

 大臣に伺いますのは、これは御提案ですが、要は、研究開発費が去年より増えたか減ったかで判断をしている今の制度だから、減った企業にも結構減税が行ってしまう。なおかつ、今のようなインフレ局面だと、何もしていなくても何か減税率が上がってしまう、こういうことが起こると思います。そうじゃなくて、経済は波がありますから、一番大事なのは、企業が売上げの中でどれだけの研究開発費をちゃんと確保してやってくれるか。景気が一旦悪くなったりしたときは、売上げは減っても、でも売上げの中で常に二割は研究開発に充てていますよということが私は大事だというふうに思います。

 そういう意味では、研究開発費の実額が去年より増えたか減ったかではなくて、その企業の売上げに占める研究開発費の割合、これが増えればこれは大変いいことですし、これが減るということは企業の中での優先順位がやはり下がったということになりますから、売上高比の研究開発費の割合、これの増減でちゃんと税制を考え直すべきではないかという御提案でありますが、大臣の御所見を伺います。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 一般に、売上げが市場環境ですとか競争状況に応じて上下し得る、研究開発費は例えば売上げが好調なときであっても研究開発に必要な専門人材の確保が十分にできていないというのが今の状況。こういう形の中で、売上げの変化の幅ほどには変化しないこともあるものも考えられると思います。

 このため、売上げに占める研究開発の割合の伸び率で評価する制度とした場合、研究開発費を増加させる努力を行ったとしても、それ以上に売上げも増加している場合には税額控除率が低下するといった事象が生じ得る。これは研究開発促進税制に資する趣旨とはそぐわないものと考えられるため、研究開発費の増加率を評価の基本としているのが現状であります。

 井坂委員の御指摘も踏まえて、いろいろとまた今後とも考えさせていただきたいと思います。いずれにしても、研究開発というものをしっかりこれを応援していくということが今の時点では大変重要なことだというふうに思っています。

井坂委員 研究開発費を応援するということは私どもも大変大事だと思っています。ただ、応援の仕方が現状に合っているのか、そして、本来応援すべきところとそこまで応援しなくてもよいところの切り分けを、今のルールより、よりよいやり方があるのではないかということで御提案申し上げております。

 それから、最後、研究開発費でもう一つ問題があるのは、やはりこれは減税だと限界があるのは、所詮は黒字でたくさん税金を納めている企業にとってはありがたい話なんですけれども、これがちょっとだけしか黒字がないとか、あるいは一時的に赤字という企業は、幾ら研究開発を頑張っても、増やしても一切メリットはないわけですよ。これも結構いびつなことだと思っていて、大臣がさっきおっしゃった答弁と矛盾すると思いますよ。赤字だろうが黒字だろうが、研究開発を増やしてくれた企業を応援すべきであって、赤か黒かで何百億ももらえるのか一円ももらえないのか、そこだけで変わってくるんですよ。

 中小企業はさすがにここを改められたということですが、残念ながら、これはほとんど大企業に適用されている税制でありますから、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

武藤国務大臣 研究開発を促進する補助金というものは、一時的には、政策目的にとって対象分野を限定しながら税制と比べて高い補助率で支援する制度も、井坂委員もいろいろお考えで、御指摘いただいているとおりだと思います。ただ、支援できるプロジェクト数はやはり限定的であるというのが予算の枠になると思います。

 一方で、研究開発税制というものが研究開発費等についての一定の要件を満たせば幅広く税額控除を受けられる仕組みであり、御指摘のとおり、法人税を納付しない赤字企業というものは税額控除を受けることができません。補助金と比較して、幅広く民間企業の自由な発想による研究開発を後押しすることが可能ということで、このように、補助金と税制、この在り方、効果や特性、それぞれ違いがあると思います。いずれか一方の政策手段のみを用いるのではなくて、双方の特性を踏まえながら適切に組み合わせることで研究開発投資額の拡大を図っていきたいというふうに承知をしています。

井坂委員 例えば、ある企業が百億、今年利益が出そうだというときに、じゃ、真面目に研究費、それを使って研究開発を大幅に伸ばそうといってその百億を研究開発に使ったら、利益ゼロになりますから控除を受けられないんですよ。利益を使って研究開発を増やしたら控除を受けられないということになる。なので、ちょっといろいろ問題のある仕組みだと思います。

 補助金が、それはピンポイントで配ったら補助金はいろいろある種のゆがみ、選別も生みますけれども、別に、控除と同じように何千億も使っていいんだったら、研究開発をやった赤字企業に同じような補助金を出すという制度だって考えられますし、要は、赤字か黒字かとか、単に実額が増えたか減ったかとか、ちょっとそんな単純なやり方で決めるのではなくて、本当に、我が国が狙う研究開発費の増加に資するインセンティブ設計をもうちょっと真面目に、これは別に皆さんだけを責めるんじゃなくて、我々も今申し上げたようにいろいろ御提案を申し上げますので。何せ一兆円、多分、令和六年は一兆円を超えると思いますよ。一兆円の政策でそんないいかげんなことが許されるとは思いませんので。

 もう時間もあれですから、最後、財務大臣、この議論を聞いていただいて、研究開発減税について、何かもうちょっと、本当に研究開発費を増やした、あるいは費の割合を増やした企業を絞って応援をすることについてお考えを伺いたいと思います。

安住委員長 加藤財務大臣、最後の答弁になりますので、簡潔に。

加藤国務大臣 研究開発の必要性、これをしっかり伸ばしていくこと、それが我が国の企業、また国力を高めるために必要だ、これは共通認識の中で、どういう手段、補助もあるし税もあるし、税はどういう仕組みがあるのか。各国を見ていても、やはり、総額方式を取っているところもあります。

 ですから、それぞれの利点、例えば今の売上げも、本当に上がった売上げなのか、例えば円安になって一時的に上がった売上げとか、やはりいろいろ中身もあろうかと思いますので、そういった、どういう手段あるいはどういう方向がいいのか、これは不断に私どもも研究し、真面目に、これまでも真面目にやらせていただきましたけれども、引き続き、より真面目にやらせていただきたいというように思います。

井坂委員 終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて井坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、猪口幸子さん。

猪口委員 日本維新の会の猪口幸子でございます。よろしくお願いします。

 本日は、脱炭素社会の実現に向けての政府の取組と、今問題となっております有機フッ素化合物、PFAS、パー・アンド・ポリフルオロアルキルサブスタンス、これについて質問させていただきます。

 まず、現在の再生可能エネルギーの導入状況とその内訳及び今後の政府の目標をお示しください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の再生可能エネルギーにつきましては、地域との共生と国民負担の抑制を図りつつ、主力電源として最大限導入していくことを政府の基本方針としてございます。

 電源構成に占める再エネの比率につきましては、FIT制度が導入された二〇一二年度からこれまでの十年間で倍増し、二〇二三年度には約二三%となっているところでございます。

 また、御質問にございました内訳につきましては、二〇二三年度で太陽光九・八%、風力一・一%、水力七・六%、地熱〇・三%、バイオマス四・一%となっているところでございます。

 第七次エネルギー基本計画案におきまして、二〇四〇年の電源構成に占める再エネ比率を四割から五割にするという水準をお示ししているところでございまして、まずは二〇三〇年のエネルギーミックスの実現を目指した上で、二〇四〇年を見据え、政府全体で再エネの導入を最大限進めてまいりたいと存じます。

猪口委員 ただいまの御説明で、再エネを主力とするということですが、再エネのうち、今後、太陽光発電が主流となってくると思われますが、現状のシリコン製のパネル型太陽電池のほかに、ペロブスカイト太陽電池のような次世代型太陽電池の開発などが進んでいると承知しております。

 ペロブスカイト太陽電池の今後の展開について、政府としての見通しをお示しください。

武藤国務大臣 猪口委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 今、事務方からデータは申し上げたとおりなんですけれども、脱炭素電源の拡大に向けて、太陽光発電の導入拡大も引き続き重要なテーマであります。ただ、平地面積当たりの導入量はもう既に主要国最大となっているのは先生御承知のとおりだと思います。

 従来のシリコン太陽電池では設置困難な場所にも導入していくことが必要で、そういう意味でいうと、軽量で柔軟という特徴を持った、シリコン太陽電池では設置困難な場所にも設置ができるペロブスカイトというものが大変今注目を浴びているわけで、世界に引けを取らない規模とスピードで、量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出に三位一体で取り組みまして、今、規模的にいいますと、二〇四〇年までに約二十ギガワットの導入を進めていくところであります。

 また、ペロブスカイト太陽電池が本格的に立ち上がるまでには、まだ一定の時間を要します。従来型のシリコン太陽電池についても継続的な導入拡大を図らなければ、先ほど申し上げた二〇四〇年エネルギーミックスの太陽光の導入量、二三から二九%は実現できないのも、これも現実であります。このため、公共部門や、地域と共生しやすい住宅や工場、オフィスなどの屋根への設置などの取組も進めていかなくてはいけないというのが現実であります。

 以上でございます。

猪口委員 パネル型の太陽電池より環境負荷が少ないペロブスカイトの今後の発展に期待したいと思いますが、目標値に達するためには、これからもパネル型の太陽電池の併用をしていくというお話ですけれども、これまで導入した太陽光パネルが、二〇三〇年には耐用年数を迎えてリプレースの時期となります。今後の使用済太陽光パネルの排出量の見込みとその処分方法についてお答えください。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光パネルにつきましては、その寿命が二十年から三十年程度であり、二〇三〇年代後半から使用済太陽光パネルの排出量が顕著に増加すると見込まれております。その排出量は、最大で年間約五十万トンに上ると推計されているところでございます。

 その処分方法につきましては、現在、使用済太陽光パネルは破砕した上で管理型の処分場における埋立処分が行われることが多いと考えられます。一方、シリコン型を始めとする太陽光パネルをリサイクルする技術につきましては既に確立しており、事業者によるリサイクル設備の導入も徐々に進んできている状況でございます。

 今後、使用済太陽光パネルの大量排出に対応し、その最終処分量を削減するとともに、資源の有効利用を進めていくため、リサイクルを促進してまいりたいと考えております。このため、太陽光パネルのリサイクル促進に向けた制度的な対応について、現在検討を進めているところでございます。

猪口委員 今のお話ですと、二〇四〇年には五十万トンに近い排出量ということで、これは自動車や家電製品の排出量に匹敵するという状況です。リサイクルを進めるといっても、これからペロブスカイトなどの次世代の太陽光発電の導入はまだまだだと思いますので、これが追いつくかどうか。

 あと、その処分場については、管理型ということで、処分場は埋立て、管理型、そして遮蔽型と三つあると聞き及んでおりますが、管理型で問題になるのは、雨水が浸透して、そしてそれが廃棄物を通って貯水槽に入って、それが放出される、そういうことで、廃棄物の環境への影響の化学物質等が今後非常に問題になると思います。

 排出される太陽光パネルに含まれる化学物質は何かということと、現在、シリコン型の太陽光パネル、輸入品が非常に多い状況でございますので、日本に輸入される全ての太陽光パネルについて、どんな化学物質が入っているか全て調べたのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省におきましては、委託調査等を通じまして太陽光パネルの成分分析等を行い、含有物質の実態把握を行ってきているところでございます。その結果、一部の太陽光パネルにおきまして、適正な廃棄、リサイクルの支障となる可能性のある物質として、鉛、カドミウム、ヒ素、セレンの四物質が含まれることが判明しております。

 また、令和五年度に環境省と経済産業省が設置いたしました合同検討会における議論を踏まえまして、経済産業省におかれまして、令和六年四月に、太陽光パネルの型式ごとにこれらの四物質の情報を登録するデータベースの公開を開始しているところでございまして、令和六年九月時点で、二万件超の太陽光パネルの型式について含有物質の情報が登録されていると承知しております。

 また、令和六年四月に改正再エネ特措法施行規則が施行され、FIT、FIP制度の認定基準として、このデータベース上に登録された型式の太陽光パネルの使用を求めるとともに、登録のない型式については廃棄等費用積立金の取戻しを認めないこととしていることから、国内に流通しております太陽光パネルの大部分が含有物質の情報の登録の対象になっているものと考えております。

猪口委員 御説明ありがとうございました。

 カドミウム、鉛、ヒ素、セレン、これは非常に環境にも人体にも影響するものですので、管理型の構造的なものを考えると、調整池あるいは調査用の井戸があると思いますけれども、そういったところでのモニタリングもこれから必要だと思いますが、この四種類のほかに、今問題となっておりますPFAS、これが太陽光パネルに含まれているかどうか、お聞きしたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 一般にPFASとは、有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称であり、一万種類以上の物質がございますが、その有害性は物質により異なります。

 太陽光パネルにつきましては、そのバックシートの多くにフッ素樹脂が用いられていることも踏まえ、環境省では、令和五年度から、使用済太陽光パネルのバックシートの含有物質の分析調査を行っております。この調査結果によれば、太陽光パネルのバックシートには、PFASのうち、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約で規制対象となっておりますPFOS、PFOA、そしてPFHxSの使用は確認をされておりません。

 太陽光パネルのバックシートの含有物質につきましては、引き続き分析調査を行い、実態把握に努めるとともに、今後のPFASに関する科学的知見の蓄積も踏まえ、使用済太陽光パネルの適正な廃棄、リサイクルが行われるよう適切に対応してまいりたいと考えております。

猪口委員 パネルについて、バックシートに、PFOA、PFOS、PFHxS、この三種類について調べたということですけれども、米国では、今、水質基準に入っていますPFASに関しては六種類の規制がかかっております。ですから、この三種類だけのPFASでは完全とは言い難いと思います。そしてまた、PFASは一万種以上というお話がありましたけれども、まだ、人体にどの程度の影響があるか、環境にどの程度負荷がかかるか、そういったことが分からない物質が多い状況ですので、今後もPFASに関して監視が必要と思います。

 先ほど廃棄に関してのお話がありましたけれども、事業主に対して、再エネ特措法の廃棄等費用積立制度を始めているということですが、不法投棄や放置がなされないよう、十分な監視と安全な廃棄物処理の徹底をお願いしたいと思います。

 この点に関して、先ほどの管理型の処分場、これについてモニタリングというのはしているのかどうか、それをお聞きしたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 産業廃棄物の管理型の最終処分場につきましては、廃棄物処理法に基づき規制対象になっているところでございまして、そこで、放流水そのほかにつきましてもしっかりチェックする体制が取られているところでございます。

猪口委員 先ほど、廃棄処理というほかにリサイクルということを進めているということですけれども、具体的に、太陽光発電設備用太陽電池の再資源化に関する法律案が今政府の方で検討中ということですけれども、この内容をもう一度お示しいただけたらと思います。

浅尾国務大臣 使用済みの太陽光パネルは、御指摘のように、二〇三〇年代後半から排出量が顕著に増加すると見込まれる中、環境省では、経済産業省と合同の審議会を開催し、適正な廃棄、リサイクルのための制度的対応について検討を進め、報告書案を取りまとめたところであります。

 審議会の報告書案には、一定の技術を有する再資源化事業者への太陽光パネルの引渡し等の義務づけ、再資源化に必要な費用を確保する仕組みの構築、太陽光発電に関する情報や廃棄、リサイクルに関する情報を自治体を含めた関係者間で共有する仕組みの構築などが盛り込まれております。

 報告書案について、一月中旬までにパブリックコメントを行ったところであり、今後、いただいた御意見の精査や政府内での検討を踏まえ、実効的な制度案を取りまとめた上で、可能な限り早期の国会提出を目指していきたいと考えております。

猪口委員 引き続き、処理とリサイクル、これに注力を注いでいただきたいと思います。近年、パネル型太陽光電池を外国人が土地とともに転売しているという事例も起きておりまして、これは放置につながりますので、管理を徹底していただきたいと思います。

 ここからはPFASについて御質問させていただきます。

 PFASは、環境に長期間残留する物質で、防水スプレー、フライパン、撥水性の包装紙、自動車部品、半導体の製造過程、その他精密機械などに使用されており、一万種以上あります。今も新しいものがどんどん作られ続けております。これまで、PFASのうち、PFOA、パーフルオロオクタニックアシッド、PFOS、パーフルオロオクタンスルフォニックアシッドについては、発がん性、生殖、発生などへの影響が報告されており、日本においては、現在、製造、使用が禁止されています。しかし、現在のところ、それ以外のPFAS、これが非常に作られている状況であり、PFASに代わる物質は今のところまだ開発されていないと聞き及んでおります。

 日本においてPFASの代替物質の研究開発は行われていますか。そしてまた、政府の支援はありますか。

武藤国務大臣 日本国内でPFASの一部について製造、輸入、使用を原則禁止としているため、半導体製造や食品包装などの分野では、PFASの代替物質の研究開発が進められているものと承知をしているところです。こうした民間企業の代替物質の研究開発は、欧州におけるPFAS全般を規制対象とする動きを受け、活発化をしているところです。

 政府としても、こうした民間企業の取組を支援していく方針ですが、そもそも、先ほど来からのお話で、一万以上種類もあり、その活用方法も商材によって多種多様であるために、その活用実態を踏まえた支援が効果的であると承知をしています。

 今年度から、NEDOと連携をしながら、PFASの詳細な活用実態や代替技術等に関する最新動向、社会実装に向けた課題等の調査分析を始めたところであります。この調査分析を通じて、民間での更なる研究開発を促すとともに、把握された活用実態や欧州等の国際動向も踏まえながら、更なる支援の在り方を検討してまいりたいと思います。

猪口委員 PFASの代替品の開発に着手したということですけれども、予算は、令和七年度、どこに組み込まれているのか。

 そしてまた、PFASは今、米国でスリーエム社が一九四七年、五三年に開発して、健康被害が二〇〇八年に起こって、そこからPFOS、PFOAは製造、使用中止となっておりますが、今年度、二〇二五年の末までにスリーエム社は完全にPFAS製造から撤退しているということです。ですから、日本のPFASに関して規制をどんどん進めていただきたいと思います。

 続きまして、米国では、二〇二四年、飲料水の中の六種類のPFASに関する規制値を設定しており、PFOA、PFOS、いずれも四ナノグラム・パー・リットルとしています。EUは、飲料水中の全PFAS五百ナノグラム・パー・リットルと、PFAS二十種類の合計百ナノグラム・パー・リットルという二種類の規制値を設定しています。

 明らかに発がん性があると認められているPFOA、PFOSに対し、現在の飲料水の規制値、これは日本では暫定目標値五十ナノグラム・パー・リットルとなっておりますが、この数値に対してどのようにお考えになりますか。

浅尾国務大臣 御指摘のPFAS対策については、地域の方々の不安の声などを真摯に受け止め、科学的知見を踏まえた対応を着実に進めていくということを考えております。

 我が国では、食品等から摂取するものに関する健康影響の評価を独立した立場で科学的に実施する内閣府食品安全委員会において、各国、各機関が参照した知見も含めて評価がなされ、発がん性については、関連する知見から指標値を算出するには情報が不十分と判断されたと承知しております。

 食品安全委員会により示された耐容一日摂取量に基づき水道水の基準値について検討したところ、結果として、現行の暫定目標値である五十ナノグラム・パー・リットルと同じ値となりますが、この値を水質基準に引き上げることが昨日審議会においておおむね了承されたところであります。

 引き続き、今春を目途に方向性を取りまとめるべく、検討を進めてまいりたいと考えております。

猪口委員 昨日、暫定目標値五十ナノグラム・パー・リットルを水質基準まで上げたということに関しては評価をしたいと思います。

 しかし、五十ナノグラム・パー・リットルというこの数値、まずは、アメリカのスタンスでは、米国は、PFASは科学的知見に基づいて規制を広げている、段階的に、異常があれば更にどんどん数を増やしていく。EUは、グループアプローチという、幅広いPFASを一律に規制していく、まとめて規制していく、そういう考え方です。

 日本のPFAS、特にPFOA、PFOS、PFHxSなどに対する規制の姿勢、これは、今この二種類しか恐らく規制基準、規制の対象というか、基準値の対象になっていないと思いますけれども、今後これを増やしていくのかどうかということ。あと、蓄積性のある物質であり、PFOS、PFOAの基準値は米国では四ナノグラム・パー・リットル。そしてまた、米国では六種類のPFASを規制の項目として徐々に増やしてきております。早期に、この水質基準、これが米国並みに四ナノグラム・パー・リットルになるよう引き上げるべきと思いますが、いかがでしょうか。

安住委員長 浅尾環境大臣、時間が迫っておりますので、最後の答弁になります。

浅尾国務大臣 米国が、今御指摘のとおり、二〇二九年から適用されるPFOS、PFOAの規制値をそれぞれ四ナノグラム・パー・リットル、またその他の四物質について規制値を設定したことは承知をしております。

 我が国では、先ほど申し上げましたように、食品安全委員会の昨年の六月の取りまとめにおいてPFOS、PFOAの耐容一日摂取量が示されたところでありまして、今御指摘のPFASの一種のPFHxSについては、評価を行う十分な知見を得られていないことから、現時点では指標値の算出は困難と判断されました。

 この評価を踏まえ、昨日の審議会では、PFOS、PFOAの水質基準への引上げ等が議論され、了承されたことに加えて、米国が規制値を設定したPFOS、PFOA以外の四物質を含むPFASについて、知見の収集等を目的とした要検討項目に位置づけることがおおむね了承されたところでありまして、引き続き、今春を目途に方向性を取りまとめるべく検討を進めてまいりたいと考えております。

安住委員長 猪口さん、時間が参っております。

猪口委員 米国の基準の四ナノグラム・パー・リットルというのは、測定できる最小の単位なんです。それを下回れば測定できない。つまり、米国は、飲料水にはPFOA、PFOS、それを含む……

安住委員長 時間がとうに過ぎています。

猪口委員 はい。

 六種類となっておりますので、これに見合う、発がん性のあると思われるものに対して、入っている水……

安住委員長 時間です。やめてください。

猪口委員 ありがとうございます。以上です。

安住委員長 これにて猪口さんの質疑は終了いたしました。

 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 初めに、環境省関係の質問をさせていただきます。

 まず、避難所への再生可能エネルギー、蓄電池等の整備について環境大臣にお伺いをいたします。

 避難所の環境改善については、公明党の提案もあり、TKB、トイレ、キッチン、ベッドの配備や、国際的な基準であるスフィア基準にのっとった避難所の質の向上が進められておりますが、避難者の更なる安全、安心のためには、電源の確保、いわゆる非常用電源の整備が極めて重要であります。

 避難所における冷暖房器具の使用や、今では重要なライフラインとなっているスマートフォンの充電も、全て電源が必要となっております。災害により停電していても活用できる電源があれば、被災された方々の心に僅かばかりでも安心のともしびをともすことができます。また、スフィア基準では、避難所について環境の持続可能性についても記載されていることから、避難所での非常用電源としての再エネ、蓄電池を整備していくことが重要であると考えております。

 例えば、太陽光発電と蓄電池を避難所に備えることにより、災害が発生した後、晴天であれば避難所の電力供給を継続することができ、平時の日中には太陽光発電、夜間は蓄電池から放電して再生可能エネルギーとして利用することができます。まさに、レジリエンスの強化と脱炭素を同時に行うことができるのです。

 このように、有事と平時にメリットをもたらし得る避難所への再エネと蓄電池の導入について、現状並びに今後の普及策について浅尾環境大臣にお尋ねをいたします。

浅尾国務大臣 御質問ありがとうございます。

 内閣府消防庁の令和四年の調査によりますと、約八万二千か所ある指定避難所で、非常用発電設備のある施設は六四%でありますが、そのうち、再生可能エネルギー設備を備えているものは、いまだ約七%にとどまっているという状況だと承知をしております。

 御指摘の避難所への再エネと蓄電池の導入は、平時の脱炭素と有事の防災力強化の同時実現の観点から極めて有効な手段であると考えており、環境省では、避難施設となる公共施設等に対して、太陽光発電設備や蓄電池等の導入支援を行っております。

 世界有数の災害発生国である我が国では事前防災が重要であり、平時の備えにより被害の最小化を図るべく、内閣府を始め関係省庁と連携しつつ、引き続き積極的に支援に取り組んでまいりたいと考えております。

福重委員 大臣、ありがとうございました。

 現状では、全国にある避難所の約八万のうちほんの七%にしか導入をされていない。私は、これはやはり少ないというふうに思います。

 避難所の環境整備については、一元的には内閣府の防災の所管だと思いますが、避難所への再エネと蓄電池の積極的な導入は、脱炭素と防災力の向上に向けた重要な取組だと私は思っております。自治体の声もよく聞いていただきながら、是非積極的な導入の支援をお願いしたいと思います。浅尾大臣、よろしくお願い申し上げます。

 本当に、能登の方でも、長期間停電が続いたことによって、そのときに、やはり住民の皆様は、停電になったことによってスマホが使えず、情報が得られなかった、こういった本当に不安を抱えていたということがございますので、是非頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、鳥獣被害対策と森林環境の整備についてお伺いをいたします。

 昨年四月、環境省は、ヒグマなどの熊類を指定管理鳥獣に指定をいたしました。熊類が人の生活圏に侵入し、令和五年度は人身被害件数が統計上最多を更新し、市街地や子供の通学路でも出没が確認されております。

 近年、熊の出没の背景には、熊の分布域の拡大や人の里山利用の縮小など生息環境の変化がありますが、我々人間の活動が野生動物への影響を及ぼしていることも事実であります。熊等も森の一住人であり、生態系の重要な構成員であります。

 昨年の臨時国会で、我が党の斉藤代表が、森で暮らす動物が山奥で生息できる森林環境をつくる、また、緩衝帯を確保するなど鳥獣被害対策を万全にすることも今後の林野行政の方向性の一つとすべきとの訴えに対し、石破総理は、生態系、生物多様性の保全に配慮した多様な森林づくりに取り組むと答弁をされております。

 森林づくりを含む野生動物との共存、自然環境の整備は、環境省のみならず、省庁横断で対応を必要とするということが考えられますが、政府の対応についてお尋ねをいたします。

浅尾国務大臣 御指摘の、野生生物の本来の生育環境を適切に整備し、管理することは、鳥獣保護管理の基本的な要素の一つであると考えております。

 環境省では、例えば都道府県向けの熊対策ガイドラインを策定し、取組例として、熊の本来の生息地である奥山での保護地域の配置や、熊の食物資源が得られる森林の保全と復元をお示しする等、野生生物の生息地の保護、整備を推進しているところであります。

 また、こうした自然環境の保全には関係省庁での連携が必要不可欠でありまして、政府では、昨年四月、関係省庁でクマ被害対策施策パッケージを取りまとめ、林野庁において、森林の針葉樹と広葉樹が交じり合った森林や広葉樹林への誘導などに取り組んでいると承知をしております。

 引き続き、関係省庁とも連携を密にして、森林整備を含む野生動物との共存について必要な施策を推進してまいりたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 この問題は、本当に政府が一体となって取り組んでいかなければならない問題だと思っておりますので、是非よろしくお願い申し上げます。

 次の、熊出没時の避難体制と行政職の専門知識に関しましては、時間の関係上、ちょっと割愛をさせていただきます。

 次に、経済産業省に関して、鉱物資源の確保について質問をいたします。

 廃棄される製品や原材料などの資源を有効活用し、成長の好循環を生む循環経済、サーキュラーエコノミーへの移行を加速するため、政府は昨年十二月、政策パッケージを取りまとめ、資源循環と経済成長の両立を図るサーキュラーエコノミーを国家戦略として位置づけました。

 循環経済への移行に向け、公明党は、政府に対してこれまで四度にわたり申入れを行い、多くの政策提言に反映をさせております。

 特に、脱炭素やデジタル機器に向けた用途で鉱物資源は世界的に需要が高まっている状況下、各国が資源の確保を進めており、経済安全保障の観点からも資源の確保は急務であるのは明らかであります。しかし、日本は鉱物資源について輸入に頼らざるを得ない状況であり、廃棄された携帯電話や小型家電の中の金属資源の多くは海外に輸出しているのが現状であります。

 今後、GX、DXの進展に伴い、レアメタルを含む鉱物資源の需要増加は明らかであり、重要鉱物の特定国への依存が課題であります。さらに、日本は多くのレアメタル鉱山、製錬工程を依存している状況であり、国際的にも、近年、様々な貿易管理の厳格化が進んでおります。輸出に政府の許可が必要な物質が増えており、サプライチェーンの不確実性も高まっております。

 このような状況の中、政府としてどのような方向性や施策を考えておられるのでしょうか。御見解をお伺いいたします。

武藤国務大臣 福重委員から御質問いただきました鉱物資源の安定供給確保に当たって、政府としては、資源外交を通じた同志国あるいは資源国との関係強化、まずそれが一つ目、努めております。日本企業の権益確保、鉱山開発、製錬事業、リサイクルの支援などに取り組んできているところであります。

 委員御指摘の資源循環、これは私も全く危機感は共有しているところでありますけれども、天然資源が乏しい我が国において極めて重要なことだと承知をしています。

 一方で、レアメタルを含む再生資源は、リサイクルコストの高さなどを理由として、国内では需要が低く、コストの低い海外に流出している状況であります。

 コスト低減のためには、再生資源の相当規模での確保が必要であり、このため、先行的に再生資源の需要と供給を創出するための法案を今国会に提出する予定であります。この中で、事業者に再生材の利用を義務づける仕組み、また、再資源化のために自社製品の回収を積極的に行う事業者への支援などを設けることとしているところであります。

 再生資源の国内における需要と供給を喚起し、それらが循環する仕組みを構築することで、鉱物資源の安定供給と国内サプライチェーンの強靱化を目指していきたいと思っております。

福重委員 大臣、ありがとうございました。

 危機感を共有していただいているということでございますので、今後もこの議論を深めながら是非進めてまいりたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 再生資源の利用義務化についてお伺いをいたします。

 今回の法改正で、脱炭素化促進のため、再生材の利用義務化が課せられる製品を特定し、当該製品の製造事業者に対して、再生材の利用に関する計画の提出及び定期報告を義務づけるとあります。

 世界では循環経済への取組が加速しており、欧州連合は、二〇三〇年頃までに新車の生産に必要なプラスチックの二五%以上を再生プラスチックによると義務づけたと言われております。

 我が国においても、世界に後れを取ることなく、循環経済への早期移行は喫緊の課題であると同時に、国内に向けた丁寧な説明が必要と考えております。

 今回の法改正で規制強化の対象となるのは、自社製品の製造過程で一定量のプラスチックを使用している業種であり、プラスチックの消費量が多い包装容器や電気電子機器、自動車、建材などを製造する業種が対象となる可能性があると報道で伺っております。

 そこで、お伺いをいたしますが、再生材の利用義務を課される製品を特定するとしていますが、具体的な製品については、どのような基準、範囲を考えておられるのでしょうか。加えてお聞きしたいと思いますが、再生材を利用することによってコストが上昇し、最終的に製品に価格転嫁されれば、消費者に負担が生じることにならないか懸念をしております。

 以上二点について、政府の御見解をお伺いいたします。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 脱炭素化の促進のために資源循環を特に進めるべき資源といたしまして、プラスチック、そしてレアメタルについて検討していくことを想定してございます。

 今御質問がございました、今回の法改正で特定する具体的な製品につきましては、これらの資源を多く使用するものとして、容器包装、家電製品、自動車などを想定しておりますが、具体的な指定の対象や事業者に求める内容につきましては、今後、各業界の現状や課題を丁寧に踏まえまして、関係者としっかりコミュニケーションを重ねながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、再生材利用に伴うコスト上昇の抑制ということも当然必要なことと考えてございまして、それに向けまして、GX経済移行債を活用し、再生材の安定供給や品質向上に必要な技術開発、環境配慮設計に必要な投資支援を実施しているところでございます。

 こうした取組によりましてイニシャルコストを抑制するとともに、先ほど大臣からも答弁がございました、今回の提出を予定している改正法案におきまして先行需要をつくりまして、国内での再生材の利用を拡大することで、規模の経済を通じたコスト低減効果を実現してまいりたいと思ってございます。

 引き続き、企業の取引実態や再生材の需給バランスなどを踏まえ、また、事業者の負担や消費者への影響も十分配慮しながら、国内での資源循環の促進に向けた取組を進めてまいります。

福重委員 ありがとうございました。何とぞよろしくお願いいたします。

 若干時間が残りましたので、割愛をいたしました鳥獣害対策における行政職として専門的知見を持つ職員の育成について、端的にお伺いをしたいと思います。

 兵庫県立大学の横山教授は、現在の鳥獣対策に対して、猟友会頼みの体制を危惧し、科学的知見を持った行政官を配置した上で、各自治体に専門的人材を置き、猟友会と協力して管理を進めるべきだと話されております。

 都道府県における鳥獣害行政に携わる職員は三千六百十四人ですが、そのうち専門的知見を持っているのは五・九%の二百十三人しかおりません。鳥獣管理に関わる専門的知見を持つ人材育成は喫緊の課題であります。人材の確保は、一定の知見を持った民間人から行政職としての登用も検討してよいのではないかと思っています。

 専門的知見の人材育成、確保、増員について、環境省の御見解をお伺いいたします。

安住委員長 残り時間が二十秒なので、本当に最後の答弁で終わらせてください。

植田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、専門的人材の確保は大変重要でありまして、環境省でも、例えば鳥獣保護管理の技能や知識に関する研修会の実施、それから、自治体による専門的人材の直接雇用にも資する人材データバンク事業による情報提供、それから、大学等と連携した専門カリキュラムによる若手人材の育成のサポートなどを行っております。

 引き続き、鳥獣保護管理の現場で専門的人材が活躍できますよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

福重委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて福重君の質疑は終了いたしました。

 次に、八幡愛さん。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 石破首相は、これから行われる日米首脳会談でトランプ大統領と生成AIの研究開発協力を表明し、開発を加速する中国への対抗を念頭に、日米が民間投資の促進や知見の共有などで連携を深めることを目指すそうなんですが、対中国という発想が余りにも先行していて、それが結果として対米追従につながっているのではないかと懸念しております。

 なぜなら、日本ではまだまだ生成AIをめぐる法整備などが不十分だと考えるからです。ただただ米国にふわっと乗っかるのではなくて、しっかりと向き合っていただきたいという趣旨で、今日は、国内での生成AIをめぐる懸念事項であったり、政府としての今後の方針をしっかり問うていきたいと思います。

 まず、一般国民の感覚として、デジタル庁がデジタルという名を冠している以上、当然、昨今の生成AIをめぐる諸問題を扱う官庁だと私は思っていたんですが、実際は、行政におけるテキスト生成AIの分野が主たるものとのことで、かなり限定的な関わり方だということが、今回の質問を作るに当たって、私自身、勉強させていただき、理解をいたしました。レクチャーくださった皆様、ありがとうございました。

 とはいえ、後にも取り上げるんですが、生成AIの分野を推進していく上で、今後、デジタル庁も様々な省庁との連携が求められると思います。まずは、デジタル担当大臣、現在、国内における生成AIの発展や拡大についてどう受け止めておられるか、お聞かせください。

平国務大臣 まず、AI政策の司令塔は、科学技術・イノベーション部局になっています。私自身は、デジタル大臣として、デジタルガバメントの推進をやっていますので、デジタルガバメント、ガバメントクラウドまで来ましたので、行政支援AIみたいなものがそろそろ実装のタイミングかと思います。

 十月に、私がデジタル大臣になった初日に指示をしたのは、まさに行政分野でのAIの活用ということで、AIアイデア・ハッカソンというのをもう既に二回開いています。具体的には、デジタル庁は様々な調達をしています、その仕様書を作るのは大変専門的な知見が要るんですが、AIアイデア・ハッカソンにおいて、その支援AIのプロトタイプを作りました。これは大変評判がいいので、安全性を確認をして、今後、デジタル庁、さらには政府全体に実装していきたいと思います。

 また、トクリュウ対策で、闇バイト、これは警察庁とデジタル庁でプロトタイプを作りました。怪しいツイートの抽出にこのAIを活用することによって、デジタル庁の試算では、警察庁の業務量が八割削減をすることができました。政府が率先をして実装していきたいと思っております。

八幡委員 前向きなお話が聞けてよかったです。

 ただ、デジタル庁の中では、まだまだ画像とか音声とかについては検証を進めているところというので、テキストだけではなくて、もっとたくさん、いろいろ活用いただければいいと思っております。

 ということで、ここからは、生成AIをめぐる懸念事項について、クリエーターの声を中心に現場の声をお届けいたします。

 令和六年十月二日、公正取引委員会は、生成AIをめぐる競争に関する情報、意見の募集を実施されました。一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟が提出したパブリックコメントには、以下が指摘されております。

 まずはAIカバー。生成AIの技術を使い、無断で、特定の声優あるいは歌手などの声を学習データとして使用し、その人そっくりの声で様々なことをしゃべらせたり歌わせたりする行為を録音したAIカバーが行われている。AIボイスチェンジャー。声優などの声を学習させて出力させることを可能としたAIボイスチェンジャーが無断で発売されている。アニメーターやイラストレーターが心血を注いで生み出したキャラクターも、生成AIによって衣服を脱がされるなど、クリエーターの意に沿わないものが販売されている。生成AIの自動学習によって、ネット上に上げた自分の作風も取り込まれてしまうおそれがあるなど。

 このような現場の声からは、著作権法三十条の四を問題視する意見が多いんですが、この著作権法三十条の四へ、クリエーターからの意見を含めて、政府機関が様々実施しているパブリックコメントなどに対して、これらの声をどのように受け止めて、対応はなされているのかを教えてください。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、クリエーターなどの権利者の皆様からは、自らが時間をかけて創作した著作物などが生成AIにより学習され、侵害物が生成され得ることや、いわゆる作風を模倣し得ることへの懸念などが示されていたところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、文化審議会著作権分科会法制度小委員会におきまして議論をさせていただきまして、令和六年三月に「AIと著作権に関する考え方について」というものを取りまとめたところでございます。この考え方におきましては、例えば、特定のクリエーターの絵柄に特化した生成AIを作成する場合など、御指摘のありました著作権法三十条の四が適用されない場合についてもその例示をさせていただいているところでございます。

 また、より多くの方にこうした考え方の内容を御理解いただくために、各当事者の皆様に向けまして分かりやすくまとめた「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」というものを作成させていただきましたり、これらの内容を解説するための著作権セミナーといったものを開催させていただきまして、周知、普及に努めているところでございます。

 さらに、文化庁の文化芸術活動に関する法律相談窓口におきまして、専門的な知識経験を有する弁護士が相談に対応するということとさせていただいておりまして、こうした取組などを通じまして、著作権侵害に関する具体的な事例の集積を行っているところでございます。

 引き続きまして、こうした事例の集積、そしてAIやこれに関する技術の発展、諸外国における検討状況の進展などを踏まえながら、必要な検討を行ってまいりたいと存じます。

八幡委員 様々おっしゃっていただいた、セミナーだったり、ガイダンスだったり、そこに予算はしっかりついていると思うんですが、なかなか周知にまでは至っていないと思いますので、しっかりと届かなければ意味がないということだけお伝えしておきます。みんなが安心して使えるように、生成AIと向き合えるようによろしくお願いいたします。

 私、アニメとか漫画が大好きなので、クールジャパンのときだけ都合よく使われるのではなくて、文化を守るという視点からもこうしたクリエーターの権利には触れておきたく、あえて著作権法に触れましたが、生成AIが侵すかもしれない権利や不安事項はほかにもたくさんあるんですよ。

 それらをまとめたものを、内閣府より、今週二月四日に政府のAI戦略会議中間取りまとめとして発表されました。その中の九ページにありますAIのもたらし得るリスクの例に関する整理が分かりやすかったので、配付をさせていただいたんですが、最近では、災害時に、生成AIを用いて作成したうその画像ですね、それとともに救助要請をするといったり、あとは、選挙のとき、立候補者の偽情報を生成AIで作って、捏造してSNSで拡散するなど、相手をおとしめるためにも利用される例があります。

 私自身も、過去に軽犯罪を犯したことを認めるみたいなやつを勝手に作られて、捏造画像を拡散されたこともありますので、これらを、生成AI、政府が推し進める一方で、悪用するリスクというのもしっかりと国民に伝えていく必要があると思うんですが、今後、内閣府としてはどのような対応をしていくのでしょうか。

友納大臣政務官 御質問にお答えいたします。

 委員御指摘のとおり、国民は生成AIに対する御不安を持っていらっしゃると認識しております。例えば、今議員に御指摘いただきました中間取りまとめの例もございますし、そのほか、AIの品質の不安定さ、プロセスのブラックボックス化、出力に事実と偽情報、誤情報が入り交じっているなどといった不安があると承知しております。

 他方で、生成AIは、イノベーションの促進による様々な社会課題の解決に貢献するものでございます。そういったために、国民の皆様の不安の声を払拭していくことが重要であると考えています。

 二月四日に了承されましたAI戦略会議、AI制度研究会の中間取りまとめには、AIの安全、安心な研究開発、活用の促進などに資する基本計画を策定する必要があること、国民の権利利益を侵害するなどの重大な問題が生じた場合に、国が調査を行い、必要に応じて関係者に対する指導助言、情報提供を行う必要があることなどが盛り込まれています。

 この中間取りまとめの内容を踏まえまして、イノベーション促進のための研究開発を推進する施策や、AIのリスクを軽減させるため、研究開発の適正な実施を確保するための施策などを全省庁一丸となって推進するため、政府の司令塔機能の強化を図る内容の法案を今国会で提出するべく、所要の調整を進めているところでございます。

 イノベーションの促進とリスク対応が両立した、安全、安心で信頼のできるAI制度の確立を目指し、我が国が世界で最もAIを開発、活用しやすい国となるよう、全力で取組を進めてまいりたいと考えております。

八幡委員 新しい、要はAI法案みたいな、AI新法みたいなものが作られるかもしれないということですが、しっかり現場の声を聞きながら進めていただきたいなと思っております。

 それらを進めるに当たって、生成AIの推進に当たって、具体的な予算というのは特別上がっていないかもしれないんですが、これは、大企業を優遇するためだけではなくて、国民の権利を守るために、きめ細やかな予算、先ほどおっしゃいました、様々な省庁にまたがってこのAIというものを進めていかないといけない。そういった場合に、きめ細やかな、国民の権利を守るための予算を期待するんですが、財務大臣の御所見を伺います。

安住委員長 時間が迫ってきましたので、簡潔な答弁をよろしくお願いします。

加藤国務大臣 AIを積極的に活用していくためにも、様々なリスクが顕在化しており、イノベーション促進とリスクへの対応を両立していくことが重要であります。

 政府では、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの下で、関係省庁におけるこうした施策の取りまとめを行い、令和七年度予算においては、同CSTIが取りまとめた統合イノベーション戦略二〇二四を踏まえて、関係省庁におけるAIに関する競争力強化と安全性確保を一体的に推進するための必要な経費として、千九百六十九億円を計上したところであります。

 引き続き、財務省としても、CSTIや関係省庁と連携をして、AIの競争力強化と安全性確保に必要な施策を推進してまいります。

八幡委員 ここぞとばかりに大企業にお金を流すのではなく、国民の権利を守るために、きめ細やかな予算のつけ方をお願いしますと念押ししておきます。

 そして、一番大事なことを最後に言います。やはり、AIというのは、使うのは人間です。人間あっての生成AI、それを必ず私たちは忘れてはいけない。AIにのみ込まれてしまうような法律ではいけないと思うことをお伝えしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて八幡さんの質疑は終了いたしました。

 平デジタル大臣から発言の訂正がありますが、これは、議事録で訂正をしていただきたいと思います。

 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 本日午後は、こども家庭庁、農林水産省及び国土交通省について審査を進めます。

 各予算の要点等について、順次政府から説明を聴取いたします。国務大臣三原じゅん子さん。

三原国務大臣 令和七年度のこども家庭庁予算案について、概要を御説明申し上げます。

 こども家庭庁におきましては、令和七年度において、こども未来戦略に基づく子供、子育て支援施策を本格的に実行するための予算として、一般会計と特別会計を合わせて約七兆三千二百七十億円を計上しております。

 令和七年度予算案では、子供や若者、またそのサポートに携わる方々のために質の高い施策に取り組むこととしており、その主なものとして、子供のための保育の質の向上に千九百三十三億円、仕事と子育ての両立支援に四千三百十五億円、若い世代の生活と学びへの支援に六千五百四十億円、妊娠期から子育て期の切れ目のない支援に七十二億円、発達に特性のある子供と家族への支援に二十五億円、医療的ケア児や被虐待児童等への支援に六千四百六十億円、貧困、一人親家庭への支援に千五百六十七億円を計上しております。

 以上、令和七年度のこども家庭庁予算案の概要について御説明申し上げました。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

安住委員長 次に、農林水産大臣江藤拓君。

江藤国務大臣 令和七年度農林水産予算の概要を御説明します。

 農林水産予算の総額は二兆二千七百六億円であり、その内訳は、公共事業が六千九百六十六億円、非公共事業が一兆五千七百四十一億円となっています。

 続いて、重点事項について御説明します。

 農業については、食料安全保障の強化に向けて、麦、大豆などの国産シェア拡大や、共同利用施設の整備、肥料、飼料の国産化、輸出促進、合理的な価格の形成などを推進してまいります。

 また、地域計画を核とした総合的な支援、スマート農業の実用化、農業生産基盤の整備、農村の振興と鳥獣被害の防止、環境負荷低減に向けた取組強化、多面的機能の発揮などを進めてまいります。

 森林、林業、木材産業については、森林の集積、集約化、路網の整備、木材の需要拡大、森林整備、治山対策などを進めてまいります。

 水産業については、資源調査、評価、高性能漁船の導入支援、藻場、干潟の保全、海業の全国展開などを推進してまいります。

 以上で、令和七年度農林水産予算の概要の説明を終わります。

 御審議のほどよろしくお願いいたします。

安住委員長 次に、国土交通大臣中野洋昌君。

中野国務大臣 国土交通省関係の令和七年度予算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 一般会計予算の国費総額は五兆九千五百二十八億円です。うち、公共事業関係費は五兆二千七百五十三億円、非公共事業費は六千七百七十五億円です。

 このほか、復興庁の東日本大震災復興特別会計に六百十四億円、財政投融資計画に一兆三千二百九十二億円を計上しております。

 これらの予算により、国土交通省は三本柱で取組を進めてまいります。

 第一に、国民の安全、安心の確保のため、能登半島地震を始めとする自然災害からの復旧復興、それらを踏まえた災害対応力の強化、防災・減災、国土強靱化の着実な推進、インフラ老朽化対策の加速化、交通の安全、安心の確保、海上保安能力の強化等に取り組みます。

 第二に、持続的な経済成長の実現のため、成長分野への投資を持続的に拡大し、観光立国に向けた取組の推進、賃上げにつながる人への投資、生産性の向上に寄与する戦略的な社会資本整備、DX、GXの推進等に取り組みます。

 第三に、地方創生二・〇の推進のため、持続可能な地域活性化、交通空白の解消等に向けた地域交通のリデザインの全面展開等の個性を生かした地域づくりと分散型国づくりに取り組みます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

安住委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。

長谷川(淳)委員 お疲れさまでございます。自由民主党の長谷川淳二でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速ですが、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 まず冒頭、今、米や野菜の不作や価格高騰が問題となっていますが、果樹、果物の生産現場も大変厳しい状況でございます。特に、私の地元愛媛県を始めとする全国のミカン産地では、今期は、冬を越したカメムシによる被害や、猛暑あるいは高温続きによる日焼けの発生、あるいは雨不足で樹勢も大変弱っています。さらにはイノシシなどの食害、こうした悪条件が重なった影響で、記録的な不作になるのではないかと危惧をされています。ミカンが店頭に全然出ていないという状況がそれを表しています。ちょうど今、四国にも寒波が襲っていまして、積雪の影響も心配されるところでございます。

 生産者の皆さんからは、収入保険の保険金を早く払ってほしい、あるいは温暖化に対応した病虫害対策を講じてほしい、あるいは鳥獣被害対策を更に強化してほしい、こうした切実な声をいただいております。

 愛媛を始め果樹産地から要望が上がってきましたら、是非ともミカン産地に対する迅速な支援をお願いしたいと思いますが、江藤大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 大変御苦労されておられることはよく承知をいたしております。特に、先生のところは、愛媛県は、前年度比六六%しか取れていない。価格が三〇%上がっても、四割近く収量が減ってしまえば、これは減収ですから、非常に経営も大変だろうと思います。

 生産現場では、スプリンクラーを回すなり、一生懸命水をまいてくれていますけれども、これだけ乾燥すると、幾らまいても追いつかないということでありますから、対応したいと思います。

 カメムシの発生なんかについても、発生予測、これはやはりしっかりやって、予測に基づいて防除できるように、七年度の予算でも、新たな防除体制の実証、確立の支援をするということにいたしております。

 それから、いわゆる鳥獣被害ですけれども、これがあると、もうやる気がない、どうせ作っても出荷する前にやられちゃうので作ること自体をやめてしまおうと、耕作放棄にもつながりかねない大変な問題でありますので、なかなか予算が厳しいんですけれども、補正から今年の当初にかけては、五億円だけ、百五十五億と増やしておりますので、しっかり要望を上げていただいて、活用いただければと思います。

 それから、かんがい施設等についても、揚水場とかパイプラインとかそういったものは、まさに基本的なインフラでありますので、予算を活用しながら、老朽化したものの更新も含めて対応してまいりたいと考えております。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 かんきつは私の地元の代表産品でありますと同時に、輸出拡大戦略の重要品目にも位置づけられています。我が国の農林水産品の稼ぎ頭でございます。是非とも迅速な支援をお願いしたいと思います。

 続きまして、中山間地農業についてお伺いをさせていただきます。

 令和七年度農林水産省予算は、二十五年ぶりの食料・農業・農村基本法の改正を踏まえまして、食料安全保障の強化を始め、農業の構造転換の実現に向けた施策を初動の五年間で集中的に実行するために必要な予算を計上すべく、江藤大臣には御尽力をいただいたと思います。

 その中で、中山間地域でございます。人口減少、高齢化が進み、生産活動や集落維持に大きな課題を抱えています。しかし、我が国の農家数、耕地面積、農業産出額の約四割のシェアを占めております。食料安全保障の観点からも、非常に重要な食料生産の場でもございます。そこで、日本の食料安全保障を支える中山間地農業、これが非常に大事だと思います。

 私の地元の愛媛県も、大半が典型的な中山間地農業でございます。平地と比べれば生産条件は悪いという中で、一方で、これも先ほど言いましたように、温州ミカンを始め、新しい優良品種を次々と導入して、収益力の高いミカン、かんきつ農業が営まれています。日の丸ミカンですとか真穴ミカンですとか、全国的なブランド産地となっています。

 また、四国の中央部の久万高原町という、大体標高四百メートルから六百メートルの町がございます。ここは今、夏は猛暑で平地ではなかなかトマトができないというのに対して、冷涼な気候を生かして、夏秋トマト、夏のトマトを生産して、県外から若い就農者の方がたくさん頑張っておられます。

 中山間地域の特性を生かしてこうした高収益の作物を作り、また、スマート農業技術などを活用して生産性を上げて稼いでおられる生産者は、愛媛県だけでなく、全国各地にいらっしゃると思います。中山間地域の特性を生かした稼げる農業を後押しすることこそ、我が国の農業の持続的発展や食料安全保障の強化につながっていくと考えております。

 そこで、中山間地域の農業が鳥獣被害などの課題を乗り越えて、それぞれの地域特性を生かして生産性を向上させながら、収益力のある農業、稼げる農業となるように、どのように中山間地農業を後押しをされるのか、大臣にお伺いいたします。

江藤国務大臣 先生おっしゃるとおり、大変厳しい条件でありながら、それを逆に生かしていく農業がなされております。

 私の地元でも、高低差がある、そして朝と昼の温度の違いがある、それによって果樹の糖度が上がるといった取組もありますし、高いからこそ、そこでできる花であったり、そういった取組もありますので、決して山の中だから農業ができないということではないというふうに思っております。

 しかしながら、やはり条件が厳しいので、今回様々な見直しを行いますが、中山間地域の直払いも、今までは傾斜のみに着目をしてお支払いをしておりましたが、例えば、山の上を平らにして、そこに農地を造ったら、ここは対象外なんですね、傾斜がありませんから。こういったところもやはり中山間ではないか、それから、谷間に挟まれているような農地もこれは中山間ではないかというような広い視点で、中山間地の直払い、これについては強化をしていきたいというふうに思っております。

 そして、品種のお話もされました。農研機構とか県の農業試験場、そういったところで新たな品種、そういったものもしっかり開発をしていただいて、その地域の特性が生かされる、気候が生かされるようなものを作付をすることを応援していきたいと思っています。

 そして、先ほどと少しかぶりますけれども、やはり、山は、私のところには猿がいて本当に大変なんですよ。いたずらで取るので、食べもしない。いたずらでシイタケなんかもやられてしまいますので、こういった鳥獣害対策についてもしっかりやらないと、もう生産意欲の根っこ自体が折れてしまいますので、これについても予算の確保も含めてしっかりやらせていただきたいと思っております。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 中山間地農業といえども、やはり、それぞれの特性を生かした稼げる農業、産業政策としてしっかり後押しをすることが大臣おっしゃるとおり大事だと思います。

 それでは、各論の質問に移らせていただきます。

 中山間地域で稼げる農業を実現する鍵が、やはり生産性の向上、生産性を高めることだと思います。

 特に今現場で課題になっているのは、共同利用施設、生産者から集荷した野菜や果物を選別して、品質や鮮度を保ちながら出荷する共同利用施設、この老朽化が進んでいます。その再編、機能強化が全国的には大変大きな課題だと思います。

 私の地元も、ミカンの選果場が県下で二十か所ございます。それを今、十か所、半分に再編統合して機能強化を図る目標、計画を掲げています。その第一弾として、昨年度から、先ほど言いました日の丸や真穴ブランドの産地、JAのにしうわ管内で二つの選果場を一つに統合しまして、AI選果、AIによる選果機を導入する、あるいは、物流の二〇二四年問題に対応するためにパレット出荷システム、これを導入する、そして最新鋭の共同利用施設、選果場に更新をする予定でございます。

 AI選果を入れると、自宅の庭先で選果をする作業が省けて、そのまま持ってくればしっかり選別してくれるということで、やはり省力化に役立つということで、地元も大変大きく期待しています。ただ、共同利用施設を再編整備しようとしても、当然、最近、資材費も上がっています、事業費も高騰している中で、やはり地元の県や市町村あるいは農家負担、ここも大変厳しい状況でございます。

 そこで、令和七年度予算案では、この共同利用施設、地元の産地の生産性向上のために、共同利用施設の再編整備、これをどのように支援していかれるのか、そして、特に、地元負担の軽減についてどのような配慮を講じているのか、松尾農産局長にお伺いいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 共同利用施設につきましては、過去のUR対策により整備した施設が多く、老朽化が進行している状況であり、共同利用施設の再編、集約、合理化が喫緊の課題となっております。

 このため、新基本計画実装・農業構造転換支援事業、令和六年度補正予算において新たに四百億円措置するとともに、令和七年度の当初予算におきましても八十億円を計上しているところでございます。

 本事業でございますけれども、地元負担の軽減を図るため、通常の補助率百分の五十に対し、都道府県が国の補助に上乗せ支援をする場合には、地元負担を百分の四十まで軽減する仕組みを設けております。これに加えまして、既存の施設の撤去費についても支援対象としております。

 食料安全保障の確保を図るためには生産基盤の強化が極めて重要と考えており、今後とも、共同利用施設の再編、集約について、必要な予算の確保に努めてまいります。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 地元負担の軽減に御配慮いただきまして、ありがとうございます。生産性向上に直結する共同利用施設の再編、機能強化、是非とも後押しをしていただきたいと思います。

 次に、農業生産にとって最も基礎的な資源、これは農地でございます。中山間地域においても、やはり優良な農地を確保していくことが重要でございます。基盤整備、大変重要でございます。

 私の地元の例をまた申し上げると、平成三十年、西日本豪雨災害で、宇和島市の吉田町、代表的なミカンの産地でございます。ここが大変大きな災害を受けまして、ミカン山、樹園地の復旧に取り組んでいます。

 その上で、単にミカン山を原形に復旧するだけではなくて、被災しなかったところも併せて、より生産性の高い、緩い傾斜の園地に再編復旧をするということで、昨年、一部再編復旧が完了しまして、災害時よりもより生産性の高い園地として再生され、産地全体としても、若い就農者が増加をしております。

 また、中山間地域の条件不利性を克服するためにも、スマート農業技術の活用も重要であります。

 私の地元でも、急傾斜地のミカン山で、人力による防除からドローンを活用した防除、農薬散布に変えたりとか、あるいは、ミカンを収穫して人力で運ぶのではなくて、自動運転のクローラー運搬機、これによって自動的に運ぶ、こうした実証実験も行われています。スマート農業を実装する上でも、やはり基盤整備をしっかりすることが前提になると思います。

 そこで、農業農村整備事業に関する予算をしっかり確保した上で、中山間地域の生産性向上につなぐ基盤整備の推進、特に、ここもやはり農家負担の軽減が重要だと思います。さらに、スマート農業との一体的な推進の観点も重要であると思います。

 今後、どのように基盤整備に係る事業を展開していくのか、前島農村振興局長にお伺いします。

前島政府参考人 お答えいたします。

 農業者の減少が進む中、中山間地域における省力化に資する基盤整備やスマート農業の導入は、大変重要と認識しております。

 このため、農業農村整備事業におきましては、自動給水栓や水路のパイプライン化、リモコン草刈り機の導入に適したのり面の緩傾斜化など、スマート農業に対応した基盤整備を進めているところでございます。

 これらにつきまして、中山間地域における補助率のかさ上げや面積要件の緩和に加えて、農家負担のない農地中間管理機構関連農地整備事業の創設や、農家負担軽減のための集積率に応じた促進費による支援を行ってきたところでございます。

 また、委員御地元の愛媛県におきましては、例えば、中山間地域のJAにしうわの果樹栽培におきまして、気象センサー等の観測データに基づく栽培管理などの実証のほか、かんきつ向けのドローンによる防除や、急傾斜地に対応した台車ロボット等のスマート農業技術の開発も推進しているところでございます。

 今後とも、農業農村整備事業の着実な実施に必要な予算をしっかりと措置しつつ、スマート農業技術に対応した基盤整備を推進することで、中山間地域の農業を後押ししてまいりたいと考えております。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 是非とも、基盤整備、スマート農業技術の導入、しっかり進めていただきたいと思います。

 その上で、共同利用施設の整備、あるいは基盤整備、中山間地域にとっても非常に重要な取組ではございますが、一方で、やはり平地と比べれば生産条件が厳しいということには変わりはございません。

 やはり、中山間地農業を稼げる農業にすべく後押しをすると同時に、生産条件の不利を補正する、支える農業の政策が必要だと思います。それが、中山間地域の将来へ向けた営農活動を支える中山間地域等直接支払制度、これを充実させていくことも大変重要であると思います。

 江藤大臣、先日、水田政策の見直しの方向性を公表されました。その中で、いわゆる五年水張りの要件を求めないことに加えまして、中山間地等直接支払いについて、条件不利の実態に配慮し、支援を拡大する方向で検討を開始する旨も表明をされています。まさに今、中山間地域の生産活動を支えることが食料安全保障の強化のために不可欠だという観点からは、時宜にかなった方針を示していただいたと思います。

 そこで、水田政策の見直しをどのように進めていかれるのか、また、その中で、中山間地域等直接支払いについてどのような見直しを行うことを検討されているのか、江藤大臣にお伺いします。

江藤国務大臣 まずは水田政策ですけれども、この間申し上げましたように、作物ごとの生産性向上に着目したものに切り替えていこうということで、九年以降は水張りを求めない、七年、八年については、連作障害を回避する取組をやっていただければ水張りは求めないという方向性を示させていただきました。これについては、しっかり与野党を超えて御議論をいただくべき内容だと思っております。

 予算についても、若干気にされる方もおられますが、これは、まず、営農に支障が生じない。新しい制度に移った途端に営農に支障が生じてしまったということになっては、これは全くいい方向の見直しではありませんので、まずそうならないということが基本だと考えています。そして、七年度中に方針を策定をしまして、九年から新しい水田政策に移りますので、八年度の夏の概算要求に必要な予算の要求、それにつなげていくということを考えております。

 それから、中山間は先にちょっと言ってしまいましたけれども、やはり、最初に先生がもう言っていただいたように、四割が中山間地域の農業で日本の食料安全保障は支えられている。そこに人がいなくなったら、農業だけの問題ではなくて、日本の伝統文化やそういったものも含めて大変なことがありますから、この機会に中山間直接支払いについても拡充する方向で検討していきたいというふうに思っております。

長谷川(淳)委員 大臣、ありがとうございます。

 我が党、自民党の中山間地農業を元気にする委員会において、進藤金日子委員長の下で、私も、今お答えいただいた支える農業の視点、稼げる農業の視点、そして、中山間地域はどうしても人や資金やアイデアが足らないということで、中山間地農業に関わっていただく方をと、支える、稼ぐ、そして関わる、この三つの視点で提言を取りまとめていきたいと思います。是非とも基本計画に反映をしていただきたいと思います。ありがとうございます。

 続きまして、国土交通省予算についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 令和七年度予算案、能登半島地震を始めとする自然災害からの復旧復興、災害の激甚化、頻発化を踏まえた防災・減災、国土強靱化など、国民の生活、安全、安心の確保を大きな柱として編成すべく、中野大臣に御尽力をいただいたと思います。

 その上で、一番、国民の安全、安心を確保する上で、やはり、上下水道を始めとするインフラの老朽化対策、喫緊の課題だと思います。

 埼玉県八潮市の道路陥没事件でございます。行方不明になられておる運転手の方の一日も早い救助を切に願いますとともに、救出作業や復旧作業に懸命に従事されている方に、皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 この八潮市の道路陥没事故を受けて、国交省で下水道管理者に緊急点検を要請されています。私の地元の愛媛県も、今回の緊急点検となった大規模な流域下水道に接続する管路は、該当施設はないんですけれども、愛媛県でも令和元年から五年度までの五年間で、愛媛県だけで、下水道が原因の路面陥没が二十一件、上水道関連でも十四件の陥没事故が発生しているということでございます。愛媛県は小規模な陥没で人的な被害は生じていないということでありますけれども、改めて上下水道の老朽化対策が切迫した課題であることが今国民に大きく認識されているのではないかと思います。

 そこで、まず、これまでの上下水道の老朽化対策の進捗状況、これをどのように評価をされているのか。そして、能登半島地震等の教訓、今回の八潮市の道路陥没事故を踏まえて、上下水道一体となった老朽化対策にどのように取り組まれるのか。さらに、国土強靱化の次期中期計画策定において、上下水道を始めインフラの老朽化対策、これをしっかり反映すべきだと思います。どのようにインフラの老朽化対策を反映させていかれるのか、お伺いしたいと思います。

中野国務大臣 長谷川委員の御質問にお答え申し上げます。

 委員の御地元の事例も引かれまして御指摘もございましたとおり、上下水道老朽化対策、喫緊の課題だと考えております。

 かつて笹子トンネルの事故というのもありまして、やはりインフラのメンテナンス、適切な維持管理が大事だという考えでやってまいりました。特に、予防保全ということで、あらかじめしっかりと点検をしていく、その結果に基づき改築をしていくということを上下水道においても推進をしてきたところでございますが、今後、施設の老朽化というのは更に進展をしていくということが見込まれておりまして、取組を加速化することが必要であるというふうに認識をしております。

 このため、国土交通省といたしましては、今回の八潮市の道路陥没事故のような事態を再び起こさないように、一つは、大規模な下水道管の点検方法の見直しを始め、施設管理の在り方などを検討する有識者委員会を速やかに設置をすることといたしました。今後、同種、類似の事故を防ぐための全般的な対策について検討を進めてまいりたいと思いますし、能登半島地震での甚大な被害も踏まえまして、避難所などの重要施設につながる上下水道管の一体的な耐震化なども進めてまいりたいと考えております。

 また、あわせて、国土強靱化実施中期計画についても御質問ございました。

 二月五日の国土強靱化推進会議で示された実施中期計画策定方針の素案には、埼玉県八潮市での道路陥没事故も踏まえて検討することが位置づけられております。これも踏まえまして、上下水道を始めとするインフラの強靱化に必要な対策が計画に盛り込まれるように、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 大臣御指摘のとおり、能登半島地震では、やはり避難所に接続する上下水道の復旧に大変時間を要して、避難所の生活に大変支障を来したということもあります。やはり、管路の中でも大規模な管路、さらに、避難所や防災拠点に接続する、重要施設に接続する管路、こうしたものに重点的に、管路の耐震化に取り組むことは必要だと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、TEC―FORCEなどの災害支援体制の強化についてお伺いします。

 八潮市の道路陥没事故でも、関東地方整備局から埼玉県にリエゾンを派遣されるなど、国交省から人的、技術的な支援をしていただいています。能登半島地震においても、TEC―FORCE、大変極めて重要な役割を果たしていただいています。

 私の地元愛媛県でも、平成三十年西日本豪雨災害で全国の地方整備局からTEC―FORCEを派遣いただいて、土砂撤去ですとか道路の啓開ですとか、あるいは災害査定の技術的支援、大変助けていただきました。やはり、南海トラフ地震を始め大規模災害への備えとして、TEC―FORCEについては、防災のエキスパート、あるいは建設関係の民間事業者、こうした民間との連携も含めて、やはりその体制、機能を強化していくことが喫緊の課題であると思います。

 同時に、やはり、いざ災害が発生すれば、今回の関東地方整備局のように、いち早く現場に駆けつけて応急復旧に当たる地方整備局の人員体制の充実強化や処遇改善も極めて重要であると思います。

 そこで、TEC―FORCEなどの災害支援体制、機能の強化、地方整備局の人員確保や処遇改善についてどのように取り組んでいかれるのか、大臣にお伺いいたします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のTEC―FORCEあるいは整備局の体制の強化ということで、御質問いただきました。

 国土交通省では、災害が発生した際の支援といたしまして、地方整備局等からTEC―FORCEを迅速に派遣をし、被災状況の把握や被災者の支援などの自治体の支援というものを実施をしているところであります。令和六年の能登半島地震の際は、延べ二万六千人を派遣をしたところでございます。

 能登半島地震の被災地では、通信が途絶し、あるいは上下水道が被災するなど、大変過酷な環境下で、寒冷かつ危険な箇所での活動となりました。

 こうした状況も踏まえまして、TEC―FORCEの体制、機能強化をしていこうということで、例えば高度な専門性を有する官民の多様な主体と連携をした新たな体制の整備でありますとか、あるいは低軌道周回衛星などを利用した通信手段やトイレカー等の資機材、装備品等の充実強化などに取り組んでまいりたいと考えております。

 また、地方整備局の人員の確保、処遇の改善につきましては、これまでも組織・定員の充実を図ってきているところでございますが、庁舎や宿舎など勤務環境等の改善も含めて引き続き取り組みまして、災害時にもしっかりと力を発揮できる体制というのを確保してまいりたいと考えております。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 まさに大規模災害に即応して、被災地支援の要となるTEC―FORCEがしっかり役割を果たしていただけるように更なる取組をお願いしたいと思います。

 続きまして、公共事業の円滑な執行についてでございます。

 現在、防災・減災、国土強靱化の五か年加速化対策に基づいて、重点的かつ集中的な取組が進められています。ただ、一方で、加速化対策予算を始め公共事業関係費の執行の在り方については、繰越しの額が大きいということで、この繰越額に対して問題を指摘する論調も見受けられます。

 しかしながら、公共事業の繰越しは、これまで年度末に工事が集中することへの批判や、あるいは工事の平準化を図る上で必要なものとして、制度的にも、令和元年の改正公共工事品確法で発注者の責務として繰越しの活用が明記をされているところでございます。

 私の地元愛媛県でも、三十年豪雨災害で甚大な被害を生じました肱川の緊急治水対策、これが整備計画を十年間前倒しをして、昨年、五年間の激特事業による堤防の整備が完成を見ました。これは切れ目なく繰越し等を活用して工事を実施したことによるものでございます。

 やはり重要なことは、繰越しそのものが問題ではなく、年度間の調整として繰り越された事業が最終的にしっかり執行されたかどうかということだと思います。むしろ、繰越しの活用によって、年度末の繁忙期が解消され、年度初めの閑散期の解消にもつながっているという効果もございます。

 そこで、公共事業予算の繰越分を含めた執行状況はどうなっているのか。また、繰越し等を活用した発注の平準化を始め、公共事業の円滑な執行にどう取り組まれるのかをお伺いします。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、公共事業予算の執行状況につきましては、直近の令和五年度決算を例に取りますと、歳出予算額十兆三千七百八十九億円に対しまして、年度内の支出額は約六七%、翌年度への繰越額は約三二%となっておりますが、不用額は約〇・五%の五百六十六億円でございます。

 また、今年度につきましても、例年と同様に予算は順調に執行されておりまして、国土交通省におきましては、令和五年度に限らず、例年、繰り越した分も含めてほぼ全額が執行されている状況でございます。

 また、繰越しにつきましては、財政法で認められた手続であることに加えまして、委員御指摘のとおり、工期の平準化の観点からも重要とされております。

 特に、令和元年に全会一致で改正されましたいわゆる公共工事品確法におきましては、地域における公共工事の施工時期の平準化を図るため、国等の発注者の責務といたしまして、繰越明許費の活用による翌年度にわたる工期設定が追加されております。

 これによりまして、受注者である建設業者等にとりましては、繁忙期への工期の集中を避けられるため、技能労働者の長時間労働の回避や休日の確保など、働き方改革にも資するものでございます。

 また、工期の平準化によりまして、年間を通じて切れ目のない事業の実施が可能となるため、例えば出水期に備えた防災対策等の工事を年度の初頭に行うことも可能となります。

 以上のように、国土交通省といたしましては、繰越し等の活用による工期の平準化を講じながら、円滑に公共事業予算を執行してきたところでありまして、繰越額は無駄であり、削減して他の施策の財源に充てるべきといったような論調は適切ではないと考えております。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 不用額が最終的には〇・五%ということで、引き続き円滑な執行にも御尽力いただきたいと思います。

 特に今、夏が猛暑でございます。猛暑が続く夏の工事は大変困難でございます。その意味でも、年度初めの四月から六月に工事が稼働しているということは、建設従事者の皆さんの働き方改革ですとか、あるいは建設事業者の安定的な経営にも資するものであります。是非とも工事の平準化にも御尽力をいただきたいと思います。

 続きまして、地方創生二・〇に関係する質問に移らせていただきます。

 防災・減災、国土強靱化に加えまして、人流や物流を支える地方の経済の基盤となる道路を始めとするインフラ投資を進めていくことが地方創生二・〇の実現には必要不可欠だと思います。

 私の地元も、四国はまだまだ高速道路のミッシングリンクがございます。また、九州から海のルートを通じて四国、京阪神につながる第二国土軸をつなぐ地域高規格道路、あるいは、先ほど来申し上げているミカンや養殖の魚を運ぶ道、あるいは山間部ですと木材を運ぶ道、こうした道路の整備の必要性を訴えさせていただいています。こうした道路は、万が一に、南海トラフ地震などの大規模災害時には避難路としても機能するという多面的な効果も有していると思います。

 一方で、公共事業の採択につきまして、費用便益分析、いわゆるBバイCの基準を用いて事業採択を行っておられます。費用便益分析に当たって、正規の便益として算出されているのは三つの便益ですね。一つは走行時間短縮便益、二つ目は走行経費の減少便益、そして三つ目は交通事故減少便益、この三つのみが正規の便益でございます。したがいまして、ミカンや魚、先ほど言った木材を運ぶ大型のトラックが通る道路を整備することで農林水産業の産出額が増加をする、こうした効果、あるいは、インバウンドを含めた観光誘客で交流人口を増やして観光産業が活性化する効果、こうした効果が必ずしも便益として算定されていません。

 さらに、南海トラフ地震の津波浸水想定区域を迂回するバイパスを整備することによって要救助者が救助され、人命救助率が高まる効果。あるいは、今、私の地元も医療過疎地域でございます。医療圏を越えて救急搬送が行われています。地域高規格道路を整備をして救急搬送をより迅速にすることによって救命率が高まる効果、これが必ずしも便益として算定されていません。

 そこで、地方創生二・〇に資する国土づくりを進める観点からも、農林水産業などの振興や、大規模災害時、あるいは救急医療における安全、安心の確保など、地方創生二・〇に資する効果を客観的に反映させて道路を始めとするインフラの事業評価を行うべきと考えますが、お伺いをいたします。

安住委員長 長谷川さん、時間が迫っているので、最後の答弁。

沓掛政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生二・〇に資する国土づくりに向け、農林水産業の振興や災害時の安全、安心の確保につながる社会資本整備を推進することは重要であると認識しております。

 委員御指摘のとおり、道路などのインフラが果たす役割は広範かつ長期的に及ぶものであり、あらゆる効果を貨幣換算して費用便益比、いわゆるBバイCとして算定することには限界があるものと認識しております。

 このため、事業の実施に当たっては、BバイC分析に加え、農林水産物の輸送効率化や観光振興への寄与、災害時の代替路の確保など貨幣換算の困難な効果、その他、事業実施環境や地元の調整状況など、様々な視点を踏まえ総合的に判断することとしております。

 引き続き、公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の確保に向けて、有識者の意見も伺いながら、多様な効果を適切に評価してまいります。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 そうした農林水産業などの経済振興の効果を是非客観化をして、地方創生に資する道路整備、是非とも進めていただきたいと思います。

 最後、もう答弁は求めません、二地域居住についてでございます。

 二地域居住、地方創生の柱として進めていただきたいと思います。地方創生には、やはり、地域の創意工夫を後押しをする地域政策、そして、子育て、出産を支援する社会政策、さらには、企業の地方移転を誘導する産業政策とともに、国土政策としてのやはり取組として、これから人口減少が進む中で、様々な地域で居住をし、働く、これが人口減少下における分散型国土づくりにつながると思います。

安住委員長 まとめてください。

長谷川(淳)委員 是非とも、二地域居住を国土政策として進めていただくことを要望申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて長谷川君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子さん。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、何問か、短時間ではございますけれども、質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、海外交通・都市開発事業支援機構、JOINの経営改善策、改善計画に関して伺いたいと思います。

 これは、財投といえども、令和六年三月時点で累積支援決定数四十四件、累積支援決定額約二千九百五十六億円と巨額な、税金、公的資金の使い方を考えさせられる案件でもございます。

 今まで約二千億円近い融資、また、一千億円近い累積損失を出している案件です。令和七年度の財投計画計上額は、JOINでは百九十七億円と、前年度より八割減になってはおりますけれども、やはりこの点に関しては疑義のあるところでもあります。

 赤字というか損失になっていると思われるところは、大半がアメリカに対する投資案件であり、実際には鉄道事業に取り組んだことのない米国投資会社と組み、公的補助金は使用しない、現地の一部に反対も見受けられる、疑義が生じていた案件です。

 これは平成二十九年、衆議院国土交通委員会の方での視察をさせていただいて、現地を見てまいりました。ちゃんと報告書も出してありまして、この中に書いてあることであります。事業計画どおりならば二〇二二年に開通しているはずですけれども、いまだ着工すらない。当時も、何もないところを御説明をいただいたというところでもあります。

 そこで、有識者会議における検討、検証結果も踏まえ、国交省及びJOINが策定した改善計画、累積解消時期についてお答えください。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 JOINについての御質問であります。

 JOINの役割、在り方、経営改善策等を検証、検討する有識者委員会におきましては、御指摘の、今般損失計上をした個別事業についての検証結果も踏まえまして、昨年十二月に最終報告が取りまとめられたところでございます。

 これを踏まえまして、国土交通省及びJOINが策定した改善計画においては、投資リスクの管理等の課題につきまして、例えば、一件当たりの投資規模の上限の設定、あるいは撤退基準の明確化、そして、高速鉄道システム全体を導入する事業への初期段階からの出資は対象外とするなどの改善策を実施した上で、遅くとも二〇四九年度の累積損失解消を目指すこととしています。

 国土交通省としましては、JOINにおいて徹底的な改革が行われるよう、しっかりと監督をするとともに、最終報告で指摘された改善事項に真摯に対応してまいりたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 この視察の報告書にも書かせていただいていますけれども、当時の報告書に書いているのは、また、向こうからの提出資料において、トランプ政権でインフラ整備に巨額の投資がなされるだろうという点は、インフラ整備で一もうけしようという意図が透けて見えるんじゃないかというような報告も受けておりました。

 そこで、有識者委員会の最終報告の改善策及び改善計画を踏まえて、より着実、早期に収益が見込まれる案件に重点を置いて対応と、今後の考え方を述べております。

 そもそも、海外事業の支援の申込みを受けて、国交省だけでなく、三省並びに関係機関、外務省、経産省、財務省とも情報共有し、三者の説明会も行ってから国土交通大臣許可を、また支援を決定しています。

 財務省では、財政投融資が用いられるに当たって、問題のある案件だと異論は出なかったんでしょうか。今回の有識者委員会の報告の以前、報告が出てからの、財務省としての対応はしてこなかったのか、お聞かせください。

加藤国務大臣 JOINの行う個別事業の採択、撤退については、一義的にはJOINによる経営判断、また、国交大臣による認可により行われているわけでありますが、御指摘のとおり、事業の財源となる産投出資については、財務省において、JOINの財務状況などを勘案して行ってきたわけであります。

 今般、JOINが多額の損失を計上したことは大変遺憾でございます。財務省としても、主務官庁との連携の強化やモニタリングの高度化など、産業投資の運営の改善を図っているところでありますし、また、国交省の有識者委員会による最終報告を受け、今お話がありましたが、より着実かつ早期に収益が見込まれる分野に重点化した上で必要な資金を財政投融資として措置をする、国土交通省及びJOINが策定した改善策等の進捗を見極めながら産投出資の執行を行う等の対応を行うこととしており、今後とも、こうした方針にのっとって対応していきたいと考えています。

小宮山委員 資料の二を御覧いただくと分かりますが、累積の補填というか、修正していくのに二〇四九年まで延々とかかる形です。ある意味、事業が明確でないところは早く打ち切っていく、その方が合理的だと思います。先ほど、停止も含めて今後検討するとありましたけれども、是非そこは、最初の入口が、やはり政治的なのか、収益なのかというところが不明瞭でもあります。しっかりと見直してやっていただきたいと思います。

 場合によっては、現在の円安の状況を鑑みれば、資産処分ができるならば出資額以上の利益が出ることもあり得ると思いますので、様々な方法で対応していただきたいと思います。

 そこで、改めて、JOINの状況について、そもそもの甘い見込みでの計画を始めたことへの検証と反省、また、今後、事業の取扱いをどのようにお考えか、改めて伺います。

中野国務大臣 少し繰り返しになりますが、有識者委員会の最終報告におきましては、損失計上した個別事業の検証も踏まえまして、一件当たりの投資規模の上限の設定、そして御指摘の撤退基準の明確化など、徹底的な改革を行うことが必要とされましたので、これを踏まえて、国土交通省及びJOINは改善計画を策定をしているところでございます。改善計画を受けて、JOINにおいては、昨年の十二月中旬に取締役会にて改善策の取組方針を決議いたしまして、取り組めるものから直ちに着手をしております。

 そして、国土交通省においても、今般の損失計上につきましては大変重く受け止めているところでございます。JOINにおいて徹底的な改革が行われるようにしっかりと監督をするとともに、最終報告において国土交通省の対応の在り方の改善事項とされましたJOINに設置をする第三者評価の仕組みを活用もしまして、事後的なチェック体制の構築等、真摯に対応してまいりたいと思います。

小宮山委員 立憲民主党では、物価高対策など、予算修正に向けた視点、論点をさせていただいて、本気の歳出改革チーム、国交省のチーム長は白石洋一代議士にしていただいて、歳出の調査を行っております。

 令和七年度予算編成に関する建議、これは財政制度審議会において、都心部では、都市の国際競争力の強化、防災性能、省エネルギー性能の向上を目的とした民間の市街地開発事業等が行われ、これに対して多額の国費が投じられている。民間で既に進んでいることに国費が投じられているという、この必要性に対しての疑義も伝えられております。

 また、様々なところで人手不足などがある。私たちが提案しておりますけれども、正社員一人雇えば、中小企業の経営者として見た場合、固定費が何十年にもわたって発生することになります。昨年六月、議員立法も出しておりますが、社会保険料負担に補助を出すことで、正社員を増やすインセンティブにつながる。中小企業の社会保険料軽減約二百六十億円など、組替えを求めていきます。これはなぜかといえば、今、豪雪や様々なところで現場の職人たちが頑張っているけれども、ここが人手不足になっているということを考えると、こうやって応援をするということでなければ続かない。

 そこで、記録的な豪雪に対する道路除雪経費に関して伺いたいと思います。

 地方公共団体による道路除雪費用の追加配分、追加支援を今年も実施するのか、確認いたします。

中野国務大臣 この冬は、年末年始の大雪に加えまして、二月四日からのこの冬一番の強い寒気の流入により、北海道地方や本州の日本海側では記録的な大雪となっている地域もございます。

 道路の除雪は、地域の安全、安心な暮らしや、経済活動を支える道路交通を確保する上で重要であると考えておりまして、国土交通省においては、地方公共団体が管理する道路の除排雪費の一部を補助しているところでございます。

 具体的には、地方公共団体からの御要望を踏まえまして、年度当初に一定額を配分した上で、一月から積雪状況や除排雪費の執行状況などを把握し、年度末までに追加配分することとしております。

 積雪の状況などを丁寧に把握いたしまして、地方公共団体が道路除雪を迅速に行えるように、除排雪費の追加支援について、しっかりと対応してまいりたいと思います。

小宮山委員 埼玉県におりますとなかなか雪の被害というのは分からないんですが、テレビ等で放送されると、家を出たら、多分私の背丈以上の雪が積もって、出るのが大変、仕事にも行けないというような状況があります。是非この点は確実にしていただきたいと思います。

 そして、私の住んでおります埼玉県、八潮市での道路陥没事故について、ほとんどインフラ災害と言っていい状況についてお伺いしたいと思います。

 今、石破内閣では、美しい日本だの楽しい日本とかではなく、私たちが求めるのは、安心で安全な日本にすることじゃないでしょうか。

 この八潮市の道路陥没事故は一月二十八日に発生いたしました。残念ながら、まだドライバーの方が見つかっておりません。一刻も早い復旧と、そして見つかること、発見されることを願っております。

 そこで、国土交通省による支援の状況についてお伺いしたいと思います。

松原政府参考人 お答えいたします。

 今回の道路陥没事故につきましては、現在、懸命にドライバーの救助に向けた作業が進められているところでございます。

 国土交通省では、事故発生当日から埼玉県庁にリエゾンを派遣するとともに、汚水の緊急放流のために排水ポンプ車を派遣するなど、救助活動に対して最大限の協力を行っております。

 復旧に向けましては、救助が完了次第すぐに応急復旧作業に着手できるよう、国土交通省からも現地に専門家を派遣したほか、具体的な復旧工事の進め方について検討するべく、埼玉県が開催いたしました復旧工法検討に関する有識者委員会にも参加するなど、関係機関と連携して検討、準備を進めております。

 国土交通省といたしましては、人命救助に全力で協力するとともに、一日も早く地域の皆様が通常の生活に戻られるよう、埼玉県など地元自治体とも連携し、速やかな復旧に向けて最大限取り組んでまいります。

小宮山委員 最後の質問に移らせていただきます。

 大規模災害のときは、災害救助法なり、また、国費で支援もされます。今回は約百二十万人が下水道の使用自粛などを求められ、広範囲かつ大規模な影響が生じているものでもあります。また、前例もなかなか見つからないほどの大規模でもあり、下水道の布設時には政府の支援を得て行うにもかかわらず、でき上がった後の改修や事故発生に対しての支援が十分に行われないのは不条理だと、今回の事故を見て痛感をしているところでもあります。

 立憲民主党埼玉県連所属の県議会議員、また、当該の地方議員の間にて、現地の状況などを基に、大きく二点、要望を取りまとめています。予算措置と支援制度の創設であります。

 予算措置の要望の中には、早期復旧と再発防止のため、国に対し、インフラ復旧支援、水質保全対策、住民支援策、老朽化した下水道管の点検、修繕強化を含む再発防止策への予算措置を要望されています。

 また、支援制度の関係では、これは埼玉だけではなく、全国で老朽化したインフラによる重大事故のリスクが高まっていること、これが今回の埼玉県の事例で分かったわけですから、道路や下水道の陥没が発生すれば、国民の命と生活が脅かされることになります。こうした事故に迅速かつ確実に対応できるインフラ事故の緊急支援制度の創設の要望を受けております。

 このようなインフラ災害と言われるところは、各地で起こる可能性もあります。下水管の管理は埼玉県、地方自治体でありますけれども、予算措置の要望に是非とも応えていただきたい。

 こうした意見に対し、国土交通大臣の意見をまず伺います。

中野国務大臣 復旧に関してということで、埼玉県など地元自治体とも連携し、速やかな復旧に向けてできる限りのことをしっかりとやってまいりたいというのは、先ほども御答弁させていただいたとおりであります。

 そして、あわせて、今後、下水道施設のやはり適切な維持管理ということも極めて重要であります。もちろん、技術的な支援もやっておりますけれども、維持管理のうちの施設の点検、調査、あるいはそれに基づく計画的な改築、更新等、重要な対策についての財政支援というのは今まで行ってきたところでございますが、引き続き、今回の道路陥没事故を踏まえまして、必要な技術的、財政的支援を行い、強靱で持続可能な下水道システムの構築ということは、国土交通省においても全力で取り組んでまいりたいと思います。

安住委員長 間もなく時間です。

小宮山委員 最後になりますけれども、財務大臣にもお伺いしたいと思います。

 これだけのインフラ災害でもあります。是非、応援をしていただくことをお願いしたいと思います。

安住委員長 要望にとどめてください。

 では、一言だけ。

加藤国務大臣 今回の事故、また、下水道等は国民の生活に必要不可欠でございます。そうした点を踏まえて、今後とも必要な財政支援を適切に行っていきたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございました。

安住委員長 これにて小宮山さんの質疑は終了いたしました。

 次に、金子恵美さん。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、農林水産省予算について質問させていただきたいと思います。

 まずは、昨年、食料・農業・農村基本法を改正いたしまして、大きく農政が変わるんだろうなという期待をさせていただいておりました。まさに今、基本計画の策定が進められているということでありますが、二十五年ぶりの改正でもありましたので、そうしますと、それに合った形の予算というものがあるだろうということで、予算規模についてもしっかりと議論をしなくてはいけなかったのだというふうに思います。

 出てきたものは、令和六年度比で二十億円増額しただけでありました。百十五・五兆円のうちの二・二七兆円ということであります。常に補正予算のみに計上されてくる事業などもあるということでありますので、ある意味、当初予算と補正予算がセットじゃないと農林水産省の事業というのは成り立たないんじゃないかと思えるような、そういうものでした。

 ただし、私は、ここでは、何でもかんでも拡充すればいいというような、そういうことではありません。もちろん、使われ方、使い方、それをしっかりと考えていかなくてはいけない、チェックしなくてはいけないというふうに思いますし、当然、会計検査院からもいろいろな指摘もあるところであります。

 しかし、大臣は何度も、大転換をするとおっしゃってくださっていて、そして、二〇二五年度からの五年間を農業構造転換集中対策期間とするというふうにおっしゃっている。

 こういう中で、繰り返しになりますけれども、今の予算規模でよいのかということも含めて、しかも、今、米の価格がとても上がっていて、国民生活にももしかすると影響があるのではないかということで、米政策をどうするのか、そしてまた水田政策をどうするのか、本当に深く考えなくてはいけない状況にあります。これは農政の最大の課題になっているというふうに思います。

 その中で、今日もそうですけれども、閣議後の記者会見で、備蓄米放出具体化というようなことで記者会見で発言をされておられまして、できるだけ早期に実施する考えを表明したということであります。

 このことも含め、なぜこれをしなくてはいけないかという話になれば、米の価格の高騰ということもあるし、そして、なかなか手に入らなくなった流通の問題、流通の混乱ということもあるというふうに思いますが、今まで、このような状況になってしまう中で、本当に我が国の米政策、水田政策は大丈夫だったんだろうか、もう一回きちんと検証もしなくてはいけないというふうに思っています。

 国産米を守ること、水田を守ること、これはとても重要です。その中で、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉で合意し、そしてミニマムアクセス米の制度ができているんですが、これは今に至るまで、この三十年間、たしか、我が国の米を守るという制度でなければいけなかったはず。でも、本当にそれがなされたのかということも含めまして、大臣には、国家貿易による米の輸入についての政府の評価についてお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 もう委員はよく御存じの方でいらっしゃいますので。

 ミニマムアクセスにつきましては、これはもう約束をしてしまったということでありますから、とにかく国内のいわゆる需給に影響を与えないという形で、国家貿易の形を取っております。

 実際、七百万トンぐらいが今国内需給でありますので、それに比較すると、国家貿易でしっかりと、買った分の出し方も工夫をしていますから、国家貿易にすることによって、国内の需給、米の生産現場もある意味では守られているという評価もできるのではないかと思っております。

金子(恵)委員 済みません、大臣、繰り返し申し上げますけれども、今の形で、日本の、我が国の米は守られていくということでよろしいでしょうか。

江藤国務大臣 米政策は、本当に先人が大変な御苦労をされて今に至っています。一番難しいと思っています。

 備蓄米の放出、いわゆる売渡しについて、買戻し条件付ですけれども、これも物すごく悩んだ結果であります。ですから、これで大丈夫だ、もう完璧だというふうに強弁するつもりは全くありません。

 しかし、我々が唯一自給を達成できる米、大体九九%ぐらいですけれども、そして、水田面積もしっかり守っていかなければなりません。平成三十年にいわゆる生産数量の割当てをやめて、需給に見合った生産体制がようやく今、各地域で定着しつつありますが、しかし、今年の価格を見ると、それ以外の、マーケットというものもやはりあるんだなということもありますので、米政策だけやればいいのではないということも、今年の米の値段の急騰の場面で、ある意味明らかになったのかなと思っております。

金子(恵)委員 国家貿易による米の輸入の扱いということでしたけれども、今はもう民間のレベルで米の輸入というのが始まってしまっているという状況になっているわけですね。

 それは、元々、先ほども申し上げましたMA米の中でも、SBS米、この入札が年間十万トン枠設定されておりますけれども、もうそれが全量入札になってしまっているということから、それでも、今までは、さっきおっしゃっていただいたマークアップがありました。しかし、これがどんどん高くなってしまっているということで、実際に民間レベルで、つまりは国家貿易の枠外の、関税で三百四十一円払っても価格差がほぼなくなってきているということもありまして、民間貿易では、輸入のそういう意欲というのが本当に高まってしまっているという状況ですので。

 実際には、アメリカ産のカルローズなどが、民間が輸入する、米卸売業者の中で対応している、取り扱っているということでもありますし、その枠外の中で動いているということでもあります。今、全体的には量は少ないかもしれないけれども、もしこれが定着してしまったならば、実際に日本の米政策、あるいは米生産者にどのような影響を与えると思いますか。

江藤国務大臣 今、カリフォルニアやタイの米が入ってきております。インドなんかは長粒種ですけれども、これはまた特別な使い道ですから余り関係がありませんが、確かに価格競争力はあります。

 今、私も店頭で見ますけれども、タイ米は安いですよ。ですから、これだけ家計が厳しいということになると、御家庭でもタイ米を選択する方も増えるかもしれない。それで、外食においても、例えば、お代わり自由とか御飯はただとかいうところが、国産米ではとても無理なので、タイ米とかそういうものに移行しておる。

 高関税ですよね、キロ当たり三百四十一円ですから。この関税を張っていれば、通常だったら考えられないんですが、今の店頭価格であれば、輸入米の価格競争力はある。しかし、正常な状況に戻れば、やはり国産の米の方が圧倒的にうまいわけですから、そんなに私は市場を取られることはないと思いますけれども。

 そういう意味でも、店頭価格を含めた、流通も含めた米の価格の正常化を早く図っていく必要があるんだなというふうに思っております。

金子(恵)委員 その米の価格の正常化をするために、今般の備蓄米放出という一つの手段でもあったということでよろしいんですか。

江藤国務大臣 備蓄米の放出は、店頭価格を下げるためというものではありません。あくまでも、流通に障害が出ている。米自体は供給量も増えている、しかし、いわゆる集荷業者のところに集まる米は二十万六千トンも少ない。これは異常な事態です。米はあるんだけれども、出てこない。

 そういうことであれば、価格を下げること、やはり価格に国が介入するということは基本的には正しいことではありませんので、流通に問題があるので、その流通を改善するために備蓄米の活用を図ったということでございます。

金子(恵)委員 そうはいっても、業者間のスポット価格を落ち着かせなくてはいけないということもあると思います。一方、今おっしゃっていただいたように、相対取引価格が下落して生産者の手取りが減るような、そういう影響があってはいけないというのが、備蓄米の放出の問題でもありますので。そこは気をつけていただくということで、今、多分言葉を選びながら、価格を下げるためのものではないというふうにおっしゃったということでございますが。

 改めて、それでは、ここからは、ミニマムアクセス自体がどれだけ財源的にはやはり大きな課題になっているかということで、財政負担の部分について質問させていただきたいと思うので、資料をちょっと見ていただきたいというふうに思います。

 資料では、MA米の運用については、飼料や援助に仕向けられることに伴う売買差損、そして在庫に伴う保管料などが発生しますということが示されています。農水省の「米をめぐる状況について」という資料の中からです。

 ここにありますように、MA米は、飼料用販売は、一トン当たり十万円の輸入米を一トン当たり三万円で飼料用に販売すれば、差引き一トン当たり七万円の財政負担が出ます。そして、五十万トンを飼料用に売却すれば三百五十億円の財政負担になります。

 そしてまた、海外への援助ということになりますと、一トン当たり十万円の輸入米に二万円の輸送費を負担して援助ということになりますので、合わせて一トン当たり十二万円の財政負担があるということで、五十万トン援助すれば六百億円となりますということ。

 また、MA米の在庫ということになれば、一年間で一トン当たり一万円の保管料ですので、今、在庫は百万トンもありませんけれども、多分四十九万トンぐらいだと思いますけれども、この資料の中では、百万トンを一年間在庫すれば百億円かかりますというようなことです。

 そして、右側、ちょっと資料の右手の方を見ていただきますと、MA米等の損益全体のお話であります。これは、ずっと下のところを見ていっていただきますと、一番右下のところは、二〇二二年、令和四年度の六百七十四億円の赤字ということで、令和五年度は六百八十四億円の赤字ということだそうです。

 このような状況から、やはりこのMA米は、一つ、先ほども言っていますけれども、何か国家貿易として頑張っていらっしゃるかもしれないけれども、実は民間貿易にまでもう広がってしまったような状況であれば、実際には効果がないんじゃないかというふうに言えるのではないかというふうに思うんですね。

 そういう中で、実際に、ウルグアイ・ラウンドのあの当時から、そして今に至るまで三十年間、この間に国内消費量というのはすごく減ってきているということになっております。そうしますと、当時は国内消費量の七・二%として設定していたものが、現在、大体七十七万トンということですので、七百万トンの一一%を占めているということで、高い水準になっている。

 これはちょっと大き過ぎるんじゃないですか。低くできませんか。

江藤国務大臣 これは、今御指摘のとおり、分母が一千六十五万トンの七・二%で算出されて、それがずっとこのまま来ている。このことについては、累次この委員会、農林水産委員会でも問題になってきました。

 御存じのように、このときに合意した現在の加盟国全ての合意がなければ見直しはできませんということをずっと政府としては答弁してきたんですけれども、昨年の臨時国会で田名部議員からこの御質問を参議院でいただきまして、自分としては、何もチャレンジしないで諦めてしまうのはちょっと違うだろうというふうに思いましたものですから、今年の一月から、どこの国に言ったという国名までは言いませんが、しっかり事務方で意見交換をさせていただくことを始めさせていただきました。

 私としては、今おっしゃっていただいたような多額の財政負担をしているんだ、しかも分母が変わってしまったんだ、今は七百万トンなんだということを含めて、そういうことがあるので、この今の水準を維持することについて国民の理解を得ることが極めて困難になってきているんだということは、率直に意見として多数の国に伝えてあります。

 その国からは、理解はする、そういう事情があることは理解はするというお返事まではいただきましたが、しかし、水準を守ってほしいという厳しいリアクションがありますので、これからも、諦めるのは簡単ですから、諦めずに、あらゆる機会をつかまえて、これは何とかならないかという努力は続けていこうと思っております。

安住委員長 間もなく時間ですので、まとめてください。

金子(恵)委員 交渉のテーブルにのせようとしているというような、そういう御答弁をいただいたということは、本当に心強く感じているところであります。

 実際には、輸入は義務ではないんです。機会の提供というところなんです。ですから、そういった観点からも、しっかりと、強いリーダーシップを取っていただいて交渉していただきたい。そして、その上で、その先というのは、やはり日本の米、そして水田を守るということにつながっていくというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございます。

安住委員長 これにて金子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 まずは、埼玉県で起きました道路陥没事故、行方不明の運転手の早い発見。そして、老朽化している上下水道は全国にございます、また橋梁もございます、そういったものに対する対策、予算措置、こういったものをしっかりと国土交通省そして財務省、よろしくお願いいたします。

 さらに、今日は農水問題も行いますけれども、これまで、日本維新の会、そして代表の吉村大阪知事も発言してきたところでございますが、政府備蓄米をしっかり放出してほしいということを維新としてはお願いしてきたところでございます。

 今回の江藤大臣の御英断、維新の政策を一歩前に進めていただきまして、本当に心より維新を代表しまして感謝申し上げます。ありがとうございます。

 まず、質問させていただきます。その中で、まず、今日は子供問題もしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 保育環境の改善、今、保育士さん等の問題がございますが、一歳児の職員の配置基準の見直し、六対一から五対一に進めるとか、また、昨年、政府の総合経済対策で、保育士さんの給与の改善、こういったものを進めていただきましたが、これについて財政措置、まだまだ全国平均、産業のいろいろな平均を見ても、月五、六万ぐらいは違ってくるんじゃないかなと。

 さらに、都道府県別で見ますと、今、配付資料はございますかね、配付資料を見ていただければと思うんですが、これは令和二年の保育士さんの給料の比較でございます。東京は年収三百九十八万円ぐらい。そして、高いところが栃木県、四百三十四万円。そして、福島県がちょっと低くて三百万円でございます。こういった格差もございます。沖縄県は、逆に三百三十七万円ありますので、最低賃金、こういったところが低いところもまあまあ手当てをされている。

 こういった意味で、保育士さんに対する、また環境に対する財政措置状況は十分なのか。さらには、都道府県別の格差、こういったものを是正すべきじゃないかと思うんですが、三原大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 保育の質の向上ですとか人材確保を図るために、令和七年度予算案では、一歳児に係る保育士等の職員配置につきまして、職場環境改善ということを進めている保育所等におきまして、六対一から五対一に改善するための新たな加算を設けるとともに、処遇につきましては、令和六年度の補正予算で実施いたしました一〇・七%、保育士等の人件費の改定という大幅な処遇改善を行ってきたところでございます。

 個々の保育士等の賃金は、各事業者が、勤続年数のほか、地域の賃金の実情等も踏まえて定めているものと承知しており、おのずと地域差というものは生じるものと考えております。保育人材の確保のためには、地域差というところに着目するよりも、保育士の賃金の全体の底上げというものを図っていって、他の職種と比べて遜色のない賃金を確保していくということが重要だと考えております。

 引き続き、こども未来戦略に基づいて、処遇改善を頑張ってまいります。

空本委員 是非お願いしたいんですが、今、こども家庭庁の予算は、先ほど大臣の最初の所信で、七兆円を超えていますね。厚生労働省から移管した財源もありますけれども、七兆円。

 一方で、農水予算は二兆円。少しというよりは、本当に寂しい。そういった意味で、保育士さんもしっかり支援していただきたいんですが、農水予算もしっかりやっていただきたい、支援していただきたいとまず発言しておきます。

 次に、外国人の土地取得問題。

 住宅、不動産の価格高騰対策として、また、水、水源や食料の安全保障の観点から、しっかりまず調査を行って、その調査の後で法律を作るとか、規制をする、しっかり法案を作るとか、そういったことを進めるべきと思います。

 まず、この調査の状況、国土交通省そして農林水産省、まずは住宅、不動産、さらには水源、山林、さらには農地がございますけれども、そちらの調査状況はいかがか。そして、その調査のための費用というものがしっかり組まれているのかどうか、それも併せて御説明をお願いします。

中野国務大臣 住宅、不動産ということで、国土交通省でお答え申し上げます。

 委員御指摘の外国人の不動産取得につきましては、私も地元でいろいろなお話も伺うときもありますし、市場関係者にもヒアリング、分析などを行っております。一定の実需はあるというのは当然承知はしております。

 他方で、現在の不動産価格の上昇について申し上げますと、その背景には、建設コストの高騰、利便性等に優れた都心部などへの堅調な住宅需要等、様々な要因もあると認識をしているところであります。

 不動産は、国内の社会経済活動を支える基盤でございまして、現在のような不動産価格の上昇局面の際には、取引の主体、価格、頻度など、不動産市場の動向の把握を進めていくことは重要なことであると認識をしておりますので、予算事業というわけではないんですけれども、外国人の取得状況を含めまして、市場関係者のヒアリング、分析などを通じて不動産市場の動向把握に努めているところでございます。

 今後とも、どのような情報の把握や分析が可能か検討を行いながら、不動産市場の動向の把握に努めてまいります。

江藤国務大臣 農地につきましては、我が党でも随分議論になったんですが、GATSで留保しておりませんので内外無差別ということでありますので、ここのところはもう過去に遡れませんけれども、そういう事情があるということをまず申し上げておきたいと思います。

 農地については、農業委員会に対しまして、農地法に基づいて、農地取得時の許可書等の情報を基に、外国人等による農地取得の状況につきましては平成二十九年から調査を実施いたしております。

 それから、令和五年の調査結果でございますが、外国法人又は居住地が海外にある外国人と思われる者、これについては実績がありませんでした。それから、外国法人又は居住地が海外にある外国人と思われる者が議決権を有する法人又は役員となっている法人、これは一社ございました、面積は〇・六ヘクタール。居住地が日本にある外国人と思われる者、これは二百十九名おられまして、六十ヘクタールでございます。居住地が日本にある外国人と思われる者が議決権を有する法人又は役員となっている法人は二十社、三十ヘクタールでございました。

 調査のための予算措置という形ではありませんけれども、農業委員会交付金によって、許可処分等を始めとした農業委員会の事務に要する経費は支援をいたしております。

 森林につきましては、予算による調査事業ではありませんけれども、都道府県と連携をいたしまして、森林法に基づいて所有者届出、それから、国土利用計画に基づく土地取引の届出の情報を基に、平成二十二年から調査を実施いたしております。令和五年の調査結果は、外国法人又は外国人と思われる者による森林取得は三十三件、百三十四ヘクタール、また、国内の外資系企業と思われる者による森林取得は二十三件、三百五十六ヘクタールでございます。

空本委員 御回答ありがとうございます。

 農地そして森林については調べていただいて、予算の措置があるもの、ないものはございますけれども、全体把握はされていらっしゃる。

 また、農業者の方が外国人の方であっても、それは私も構わないと思いますが、もし万が一、農業をやめたときには絶対それを返してもらうなり、さらには、森林法と農地法の改正、もう少し厳しくあるべきかなということをつけ加えさせていただきまして、そして、そういう法案、これは超党派で考えるべきと思いますので、是非検討をお願いしたいと思います。

 また、財務省の方には、財源措置、こういう調査からまず始まって、そして、いち早く全体像を把握した上で、必要な法律作成若しくは法改正を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、南海トラフ地震、そして激甚災害に備える命の道、先ほども自民党さんの方からありましたが、緊急輸送路とか避難路、そういった整備、その予算措置というものが私はまだまだ甘いんじゃないかなと。

 そして、資料を御覧いただきたいと思うんですが、配付資料の二番、これは、南海トラフで津波浸水想定図を掲げております。これは加藤大臣の御地元の笠岡市、赤いところは農地でありますが、その右側とかは住宅地もございます、商業地もございます。

 そして、下段の方は、私の地元の広島、岸田総理の御地元でございます広島市の中心部です。三メーターとか四メーターとか、南海トラフが起きればつかることは間違いないというふうに、広島県はこうやって描いております。

 そういった意味で、この命を守る道、これもありますが、島嶼部もあります。さらには、沿岸部というのは結構逃げ道がないんですね。そういった意味で、道路の整備が必要でありますし、高規格化道路、いざというときの災害復旧若しくは緊急物資の輸送、こういったもので大変貴重ではないかと思っております。

 そういった整備をしっかり進めるべきではないかと思いますが、国土交通大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の切迫する南海トラフ地震などの自然災害から国民の生命財産を守るとともに、災害による社会経済活動への影響を最小化をするために、円滑な避難や救援、復旧活動を支える災害に強い道路ネットワークの構築が重要となっております。

 このため、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も活用をしながら、津波浸水想定区域を回避する高規格道路の整備や、災害時における早期の交通機能の確保を図る暫定二車線区間の四車線化など、まさに委員が命の道の整備とおっしゃっていただきましたけれども、道路ネットワークの機能強化を進めているところでございます。

 国土交通省としては、引き続き、地域の状況も踏まえながら、関係自治体とも連携しつつ、災害に強い道路ネットワークの構築を進めてまいります。

空本委員 是非予算措置も含めてお願いしたいところでございます。

 続いて、配付資料の三を御覧いただきたいと思います。

 こちらは、今、防衛省が一括購入を検討して、さらに、複合防衛拠点を計画している呉市の製鉄所跡地でございます。こちらは、もう製鉄所は閉鎖されていまして、今、製鉄所の解体に入っているところでございますが、こちらにおきましては、様々な機能をこれから持たせるということで、地元の呉市の方からも、災害拠点とか防災拠点とか、そういった要望もございます。

 そういった意味で、防災拠点、災害拠点としては、やはり、先ほど中野大臣からいただきましたが、高規格道路の整備というのがありまして、これは下の図を見ていただければと思うんですが、西日本豪雨災害のときに、ここは陸の孤島になりました。下の地図の右側上の、三七五とちっちゃく見えるところがございますが、これは高規格道路でございます。JRのところまで来ているんですが、それ以降はつながっておりません。そして、皆さん御存じのとおり、呉は海上自衛隊の地方総監部がございまして、海上自衛隊の本当に大事な主要基地でございます。

 そういった意味で、ここを防衛の複合拠点化とするのであるならば、道の整備というのが大変重要になってきます。そして、災害時に物資を運ぶ、またそこについてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 先ほどいただいたので、こういう道路、今赤く線を引いているところはまだつながっていませんといいますか、計画がございません。こういったところを踏まえてしっかりつなげていただき、防災拠点としていただきたいと思いますが、国土交通大臣、一言だけお願いします。

中野国務大臣 防災拠点へのアクセスの強化ということで御質問いただいております。

 防災拠点のアクセス強化は、当然、非常に重要であるというふうに認識をしております。この御地元の製鉄所跡地周辺へのアクセス向上、これにも資する呉市周辺の道路ネットワークの交通円滑化対策といたしましては、これまでに国道百八十五号休山トンネルの四車線化などを行ってきたところでございます。

 国土交通省としまして、引き続き、地域の動向も踏まえながら、広島県を始めとする関係自治体とも連携しつつ、必要な道路ネットワークの機能強化を実施してまいります。

空本委員 是非お願いいたします。

 そして、次に、五番目に参ります。防災庁の設置の問題でございます。

 これは石破総理にお願いすべきことかと思うんですが、実際、防災庁が本当に機能するためにはどうあるべきかと考えたところ、やはり国土交通省内に設置すべきではないかなと。気象庁があります、海上保安庁がございます。そういった意味で、総理がトップであっても国土交通大臣がしっかり監督して、そして国土交通省内に設置すべきと私は考えています。

 ここは、加藤大臣、大臣皆さんにまず進言だけといいますか、お願いだけさせていただいて、また時間があれば、議論させていただきたいと思います。

 次に、農業の方に行きたいと思います。

 まず、石破総理も、持続的な農業のために、農業者の所得向上、農業の所得向上を強く訴えたところでございます。農業は、他の産業政策と異なって、安全保障の意味合いで本当に重要なもの、そして、取扱いも、安全保障の政策として取り扱うべき、防衛よりももっと大事じゃないかなと思っています。

 そのとき、財源確保、先ほども申し上げましたが、二・二兆円、二・三兆円。一般会計、特別会計を合わせて、大変少ない。ラピダスは、今朝の議論もありましたが、五年で十兆円つけます。ラピダスも、半導体も進めるべきと思いますけれども、その額が余りにも農水予算は少な過ぎる。

 前回、十二月十一日の予算委員会で石破総理に私もお願いしましたが、これは財務省さんにお願いすべきことと思います。財務大臣、あと一兆円増やしてください。お願いいたします。

加藤国務大臣 我が国は、農業者の減少、高齢化、あるいは国際社会における食料需給の不安定化等、そうした様々な課題に直面をしております。農業の持続的な発展、そのための農業所得の向上を図る、これは大変重要と考えております。

 政府においては、本年度末に向け、新たな食料・農業・農村基本計画の策定が進められているところであります。

 財務省としても、今後、農林水産業の収益向上と持続的な発展に向けて、農林水産省とも連携して必要な予算の確保を図っていきたいと考えています。

空本委員 多分、答えは何回言っても変わらないと思いますので、しっかりと農業予算を増やしてください。お願い申し上げます。

 大臣の御地元岡山県は、中山間地域がたくさんございます。また広がったと。私も岡山の中山間に何回も入らせていただいておりますし、広島県も、そして官房長官の山口も、まさにこの中国山地は本当に中山間地域。農業を支えるためには、また高齢者となっている農業者の皆さんを支えるためには、やはり手元にお金がなきゃいけないんですよ。農業所得を上げなきゃいけないんですよ。そのためには予算がなければならない。是非お願いいたします。

 続いて、資料四番、五番を御覧ください。

 四番は、昨年十二月二十六日、日本農業新聞の論説、「水田活用の直接交付金 水張り要件見直し必ず」。今回、江藤大臣になられて、ここを変えていただける。

 次のページでございます。配付資料五です、水田政策の見直しの方向性、概要。一番に、水田を対象として支援する水活を、以下のとおり、作物ごとの生産性向上への支援へと転換する。そのため、令和九年から、先ほどありましたが、水張りを求めない、五年水張り要件を求めない。七年、八年に関しては、連作障害の回避をする取組。これは農水委員会で更に深掘りをしていきたいと思いますが、このままでは、なかなか、水張りをしなくてもお金をもらえるのか、もらえないのか、心配でございます。

 そういった意味で、会計検査院と財務省、財務大臣にお聞きしたいんですが、この二つの記事と農水省の公表文、これを基に、まず、連作障害を回避する取組を令和七、令和八年に行った場合、水張りをしなくても交付金の対象とすること、交付することはオーケーでしょうか、大丈夫でしょうか。そして、令和九年から水張り要件を求めないということなんですが、本当にこれで交付対象とすることができるんでしょうか。会計検査院と財務省からお答えください。

遠藤会計検査院当局者 現在、水田活用の直接支払交付金につきまして、農林水産省において、委員御案内のような見直しを検討しているということは承知してございます。

 お尋ねは令和七年度以降のルールに対するものでございますので、この場で会計検査院として見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますが、会計検査院といたしましては、農林水産省が定める令和七年度以降のルールを踏まえて適切に検査してまいりたいと考えております。

加藤国務大臣 まず、若干経緯でありますけれども、水田活用の直接支払交付金、いわゆる水活について、平成二十八年度に予算執行調査を実施し、水田を対象に主食用米以外を作付する場合に支援を行うという、これが当該交付金の趣旨であります。

 それを踏まえると、現況として米の生産ができない農地などについて、交付対象から除外するための基準を明確化すべきとの指摘を行ったところであります。その後、農水省によっていわゆる五年水張りルールが設定されて、そして、先般、江藤大臣から発言があったところであります。

 今後、農林水産省において見直しの具体的な内容の検討が進められるものと考えておりますが、財務省としても、政策の考え方が変わる中で、水張り要件を不要とすることや、水活の趣旨と整合的な形で経過措置を設ける方向性には異論がない。江藤大臣は、水田を対象としていた支援を作物ごとの支援に転換する、こういうことですね。異論がなく、農水業の皆さんが不安になることがないよう、農林水産省とよく連携して対応していきたいと考えています。

空本委員 加藤大臣、ありがとうございます。そう言っていただければ、農業者の皆さんは安心すると思います。

 ただし、事務方の方に聞いたら、連作障害を回避する方法というのは、堆肥を入れるとかという、いろいろなことを考えていらっしゃるんですが、今、堆肥が市場にありません。何をしたらいいのか分からない、そういう状況もありますので、それについては農水委員会でしっかり議論をさせていただきたいと思います。

 そして、備蓄米の話をちょっと飛ばして、瀬戸内海の問題。これも、加藤大臣、笠岡は海がございますし、瀬戸内海は、今、大変不漁であります。

 資料六を御覧ください。

 資料六は、これは瀬戸内海の漁業関係者の方々が作ったパンフレットから抜いてきたものでございます。

 上の、漁業者の方の言葉でありますが、「海をきれいにせなあかん」、「最近、海はほんまにきれいになってきた。しかしなあ、魚があんまり獲れんようになってきたんや。」ということでございます。海が余りにもきれいになり過ぎてきて、そして、水質汚濁防止法と瀬戸内海法、これが、一九七〇年、一九七三年から七八年頃、こういう法律ができました。

 下の図ですが、ちょうど七〇年代、八〇年代にかけて捕れていたんですが、水がきれいになってしまって窒素の濃度も下がってしまったら、捕れなくなってしまいました。明らかにきれい過ぎる海の問題なんですね。昔は赤潮で問題がありましたが、下水処理施設、栄養塩の管理、そして里海、里山対策、さらには、いろいろな対策を漁業者は打っているんですが、魚が捕れない、カキの養殖ができない、ノリの色づきが悪い、大変厳しい状況になっています。

 そういった意味で、まず、環境省さんと農水大臣の方から、この取組について、財源、そういったものを含めて御見解をお願いいたします。

安住委員長 空本君、時間があと一分ちょっとですから、最後の答弁ということで。

江藤国務大臣 大変、低栄養化になって御苦労されている話はずっと聞いております。私も直接漁業者の方々からお話を聞く機会が何度もありました。ですが、これから兵庫県とか香川県なんかは、下水からのいわゆる放出量をちょっと調整しよう、余りきれいにし過ぎないようにしようという取組もなされておりますし、先生からお話がありました海底耕うんのような話であったり、鶏ふんを海にまいてちょっと栄養価を上げて、リンとか窒素の濃度を上げようという取組もあります。

 補正と当初予算で総額で二十一億円、予算を確保してございますので、是非御相談いただければ、対応させていただける部分もあると思います。

安住委員長 環境省大臣官房審議官伯野春彦君、簡潔にお願いします。

伯野政府参考人 お答えいたします。

 瀬戸内海では、栄養塩類の不足等による水産資源の減少が指摘されていることから、令和三年に瀬戸内海環境保全特別措置法を改正し、栄養塩類の供給を可能とする栄養塩類管理制度を導入しております。同制度に基づきまして、兵庫県、香川県が栄養塩類管理計画を策定し、既に栄養塩類の供給を実施しているところでございます。

 環境省としては、引き続き、府県による同制度の活用を後押ししていきたいというふうに考えております。

 また、豊かな海の実現には藻場、干潟の保全を目的とした里海づくりが重要であり、環境省では、モデル事業等の実施を通して地域の取組を支援しているところでございます。

安住委員長 終わってください。

伯野政府参考人 はい。

空本委員 是非よろしくお願いします。

 そして、政府備蓄米の放出効果、価格調整機能がございます。しっかりお願いいたします。

安住委員長 終わってください。

空本委員 以上で終わります。

安住委員長 これにて空本君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治でございます。

 今日は、まず、児童発達支援そして放課後等デイサービスにつきまして、こども家庭庁に質問をしたいと思います。

 最初の予算の概要の説明の中でも、発達に特性のある子供と家庭の支援に二十五億円という御説明をいただいたところでございます。

 まず、児童発達支援は、児童発達支援センターやそれ以外の事業所で、発達障害、知的障害、難聴、肢体不自由、重症心身障害等の障害のある子供への発達支援やその家族に対する支援を行う事業で、集団療育及び個別療育を行う必要があると認められる主に未就学児の障害児、つまり小学校に上がる前の六歳までの障害がある子供たちを支援する取組ということになります。

 療育とは発達支援のことになりますけれども、子供の発達特性や障害の状態に応じて個別の支援計画を作成し、言葉やコミュニケーションの能力を身につけたり、体の使い方を学んだり、ソーシャル・スキル・トレーニングなどで社会性を身につけたり、絵画や音楽、物語作りなどの創造的な活動を通じて自己表現や自己肯定感を高めるための支援を行う、そのように理解をしているわけでございます。

 放課後等デイサービス等につきまして、配付している資料の一を見ていただきたいと思います。また、資料の一が児童発達支援、そして資料二が放課後等デイサービスの現状という資料になるんです。

 この放課後等デイサービスにつきましては、就学後の六歳から原則十八歳までを対象として、学校に就学している障害児に対し、放課後とか夏休みなどの長期休業期間に生活能力の向上のために必要な訓練や社会との交流の促進などを行いながら、学校教育と相まって、連携して自立を促していく、そういう事業なわけなんですけれども、資料のとおり、平成二十四年度、二〇一二年度から十年間、利用者の推移と事業所の数が示されておりますけれども、令和四年度の費用額は、まず、児童発達支援については約二千六十六億円でありまして、これが障害福祉サービス等全体の総費用額の六%を、障害児支援全体の総費用額の二九・二%を占めるという状況になります。グラフを見てのとおり、いずれも増加傾向にありまして、少子化にもかかわらず増えているという現状でございます。

 放課後等デイサービスの方も見ていただけますと、令和四年度の費用額は約四千六百六十九億円で、障害福祉サービス等全体の総費用額の一三・七%、そして障害児支援全体の総費用額の六六・一%を占める。大幅な増加を続けているという現状です。

 この平成二十四年度から令和四年度の伸び、これについては、児童発達支援が五倍に対して、放課後等デイサービスは九・八倍、十倍に近いという状況になっております。

 まず三原大臣に伺いたいと思うんですが、この児童発達支援と放課後等デイサービスそれぞれにおいて、事業所の数、また、利用する子供の数が増えているというこの背景について、どのような見解をお持ちでしょうか。

三原国務大臣 児童発達支援、そして放課後等デイサービスを利用する子供の増加の背景ということでありますけれども、これまで、育てにくさ、生きづらさ、そうしたものを抱えながらも発達支援につながってこれなかった子供が、発達障害の認知、そしてまた社会的な広がり、関係者の尽力等によって発達支援を受けられるようになってきたということがあると考えられます。

 そしてまた、このような発達支援ニーズの顕在化に伴って、事業所数も増加しているものと考えております。

長友(慎)委員 大臣の御答弁では、これまで潜在的にあったものが、医療も発達したことによって認知されるようになったことで事業所のニーズも増えて、増えている、そういう理解だというふうにお伺いをしましたけれども、その点、確かにそういう部分はあると思うんですけれども、今現在、共働きをする現代においては、預かり支援、レスパイト支援ですね、を充実させる必要がある、そういうニーズもあると思いますし、要因は様々だと思うんですね。

 ですが、現場の児童発達支援に関わっている皆さんと意見交換したり、リアルな実情を聞くと、増えている理由が、大人の都合で増えているんじゃないか、そういう視点を持って検証をする必要があるのではないかと私は思うんですね。

 大人の都合で増えている。どういうことかといいますと、これは、子供の立場に立って、私たちが子供だったら、普通に学校に行って、幼稚園に行って、保育園に行って、放課後にまたこの放課後等デイに行きたいと思うか、若しくは、お父さん、お母さんの時間よりも預けられる方に行きたいかというと、果たしてそうなのか、そういう視点が欠けているんじゃないかという指摘を現場でいただくんです。

 大人の都合であれば、預けた方が、嫌な言い方ですけれども、楽なわけですよね。ですが、現場で支援をしている方たちからすると、例えば、児童発達支援の方はまだ未就学児ですから、愛着形成の時期に子供とできるだけ長くいていただきたいというのが、子供のためを思ったら本音なんです。

 ですが、親の都合からいうと、預けたい、預けて自分の時間も欲しいとか、働かないといけないとか、そういう事情があって、実は、これはどういうたてつけになっているかというと、当然、預かれば預かるほど加算が増えるわけだし、利用者が増えれば増えるほど、事業としては経営的に安定するわけですよね。そうすると、口うるさく言う事業所よりも、いいですよ、いつでもどうぞ、連れてきてくださいというふうに預かってくれる方が重宝されるという現状があると思うんです。

 これに対する問題意識というものは、政府の方にも上がっていると私は思うんですね。

 例えば、市町村の保健センターとか児童相談所、それから保健所等の意見があれば、発達支援というのは受けられる制度です。別に障害者手帳を持っている必要もありませんし、医学的に何か診断がつかないと預かってもらえないというサービスではないわけなんですね。

 ですから、ある意味、安易に預けようと思えば預けられる、そういう問題意識が現場にあるわけなんです。ですから、子供は果たして好きこのんでこの児童発達支援や放課後等デイサービスに行っているのかという視点を持つことが必要ではないかというふうに思います。

 障害がある子供のことを考えれば、やはり、保育園、幼稚園、学校で過ごすことができないからというふうに隔離するんじゃなくて、地域で、家庭で過ごす時間を重要視して愛着形成を促すことができる社会をつくることが必要ではないか、先ではないか、そういうふうに私は現場の方々から話を伺うことが多いわけなんですけれども、放課後等デイサービスや児童発達支援を行う事業者、当事者が、こういう事業所が増えている背景には、障害がある子供が地域で生活しにくい、そのような社会に日本はなってしまっているんじゃないかというふうに問題提起をされています。

 そこで、政府に見解を伺いたいと思うんですけれども、障害がある子供たちが望んで施設に入りたいと思っていると思うか、もしそうでないと思うのであれば、障害がある子供が、保育園、幼稚園、学校、公民館や公園などの、地域で自然に生活できるインクルーシブな施設を検討すべきだと思いますけれども、政府の見解を伺います。

    〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕

吉住政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、これまでも、有識者等が参加する検討会において、個々のニーズに応じた発達支援の提供がなされていない事業所もあるとの指摘も受け、障害児通所支援が担うべき役割や機能等について検討を行ってまいったところでございます。

 これらの検討を踏まえまして、令和六年度報酬改定においては、事業所の得意とする支援に偏った支援提供を行うのではなく、五領域を踏まえた総合的な支援の提供を基準として求めるとともに、事業所の提供する支援の見える化を図るために、支援プログラムの公表を義務づけたところでございます。

 また、事業所における発達支援の内容や運営等に関する基本的事項を定めたガイドラインについても、これらの制度改正の内容を踏まえ、令和六年七月に改定し、自治体や事業所に周知しているところでございます。

長友(慎)委員 ちょっと、私の方の質問が次の質問と前後しているので、答弁が少し違ったかなと思うんですけれども。

 確かに、おっしゃいましたけれども、支援内容が、質が低いとか、本当に子供のための療育になっていないんじゃないか、そういう声が上がっていると思います。

 具体的にどういうことなのかという話なんですけれども、いわゆる支援内容が、安全な預かり、これは、療育ではなくてただ預かっているだけになっているという指摘があったりとか、学校の宿題を見る等、支援内容が学習塾的な支援に偏っている、これも療育ではないと。一般的な習い事とほとんど変わらない支援を行っている、これも塾とは違いますという話だと思うんですね。

 もう少し具体的に言うと、じゃ、安全な預かりというのは何をしているかというと、通ってきた児童を自由に遊ばせて見守っているだけというところがあったり、散歩するだけということや、遊具やタブレットで遊ばせるだけ、DVDや動画を見せるだけ、そういう事業所が増えているのではないか、事業所の伸びに比例してそういう事業所が増えているのではないか、そういう指摘があるわけなんです。

 このような児童発達支援としてふさわしくないと考えられる事業運営、支援内容が確認された場合に誰が責任を持って指導、改善をしているのかについて、教えてください。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 今先生から指摘がございました、基準に反するような行為が認められる場合には、都道府県等の指定権者の責任の下、必要な指導等が行われるものと承知をしております。

長友(慎)委員 都道府県がしっかり指導をするのが必要というか、そういうたてつけになっているわけなんですけれども、実際、指導を本当にできているのか、できていないのか、認識をもう一度伺いたいと思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 令和六年度報酬改定において、総合的な支援の提供を基準として求める等、どの事業所においても障害児通所支援としてふさわしい発達支援の提供が図られるよう、制度改正を行ってきたところです。

 これらの見直しにつきましては、今後、実施状況の把握を行い、これを踏まえて必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

長友(慎)委員 三年ごとの改正でよくはなっていると思うんですね。よくなってはいるんですけれども、事業所の数が増えるのと比例して、では質が上がっているのかというと、そこは必ずしも比例していない、私はそういう認識でいます。

 なぜこのような事業所が増えているのかということが問題になりますけれども、これは現場で話を聞いていると、本当に障害がある子供のためにという思いのある事業所と、ビジネスとして割り切って参入する事業所がある、そういうふうな話を聞くわけです。療育の質を上げる努力をするよりも、より多くの利用者を集める、そして預かって、それによって加算を増やして利益を得る、そのような事業所が増えているという指摘が多く聞こえてきます。

 そうなると、現場で何が起きるかというと、真剣に児童の発達に応じた療育に取り組む事業所と、そうでない、ビジネスとしての参入が強い事業所が混在することで、真面目に療育に取り組んでいる方々からは制度の問題点が指摘されるわけなんですが、今後どのようにこの点を改善していこうとしているのか、改めて政府の見解を伺います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、障害児通所支援につきましては、多様な主体の事業参入等もあり、適切な運営や支援の質の確保が課題となっており、障害児通所支援の質の向上に取り組むことは重要であるというふうに考えております。

 全国どの地域においても質の高い発達支援の提供が図られるよう、障害児支援人材の育成に関し、全国共通の枠組みによる研修体系の構築を目指し、令和六年十二月より障害児支援における人材育成に関する検討会を開催し、有識者、子供、若者当事者、子育て当事者等に参画をいただきながら、障害児支援と子育て支援両方の視点から、専門性を身につけた支援人材の育成に向け、検討を進めているところでございます。

長友(慎)委員 ありがとうございます。

 三原大臣、今のやり取りを聞いて、最後、大臣にちょっと見解を伺いたいので、是非聞いてください。

 グラフから分かるように、放課後等デイサービスの事業所も公費も年々増えているわけなんですね。これは、利用する必要のない子供が放課後等デイを活用しているというケースの報告を私も受けています。これは地元の事例を含めです。

 なぜ利用者が増えているかというと、親が親になり切れていないから子供を見ることができない、そういう事例があったりとか、学校で、障害がある子供や愛着形成がなされていない子供を教育することが学校では難しいから、放課後等デイに行きなさいと。そして、病院に行くと、その子供自身を診るのではなくて、この子は暴れるとか、物を壊すとか、人をたたくなどの周囲の大人の言葉を聞いて、ドクターが診断名を簡単につけてしまっている、そういう疑問というか問題提起もあります。それから、行政、学校、病院も、すぐに放デイを利用した方がいいと。その子の環境を改善することよりも、安易に療育機関をあっせんして、その状況が常態化しているんじゃないか、こういう声が聞こえてくるわけなんです。

 国が掲げるインクルーシブを普及させるのであれば、療育機関が間接支援を徹底できる社会をつくり、家庭や学校、保育園等はそれを十分に活用できる地域づくりが理想であると私も思うんですね。そうすれば、子供が行きたい場所、通いたいところに行くことができます。

 大臣、最後に伺います。是非このような現場の声に、今までのような現場の声に応えて、大人の事情ではなくて、子供の側に立った目線でこの発達支援に是非取り組んでいただきたいと思いますが、大臣の見解を伺います。

三原国務大臣 委員御指摘のように、事業所についての御懸念とか、そうしたものも審議会の中でも指摘をされているところでもございます。そうしたところ、やはり事業所をしっかりと改善していこうということを思いますと、また人材を育成していかなければならない。そしてまた、御家族、親御さんたちからすると、早くに診断をしていただきたいということで、そういうところも、切実な思いも寄せられているということもこれまた事実であります。ですから、人材育成、あるいはそのスピード感、そうしたものも全て質の向上ということにつながってくるんだとも思います。

 今委員御指摘の件に関しましても、しっかり受け止めて、子供に寄り添うということが私たちの第一の目標であります、こどもまんなかでしっかり考えていきたいと思います。

 ありがとうございます。

長友(慎)委員 三原大臣、ありがとうございます。

 是非、療育の現場で真面目に、真剣に取り組んでいる皆様の声にしっかり寄り添って、取組をお願いして、質問を終わりたいと思います。

 次は、国土交通省の案件で質問させていただきます。

 お手元の資料の三を御覧ください。

 これは、ある特定の場所の話をしたいわけではなくて、ただ分かりやすいからこの資料を用意しただけと御認識をください。

 これは、皆さんの御地元にもこういう場所があると思うんです。川の堤防があって、その堤防の上に、車で通ろうと思えば通れるけれども、一般的には、ふだんは閉鎖されていて、規制柵があって鍵がかかっていたりして、普通の人は乗り入れすることはできない。ただ、川の管理とかする場合には、そういう車がパトロールしていたりする、車で入らなければ歩いたりすることはできる、そういう場所が皆さんの御地元にもたくさんあると思うんです。

 一級河川や二級河川の堤防で、車両の通行を禁止している場所があるわけなんですけれども、標識や看板には、ここは堤防であって一般の道路ではないとの標示がございます。これはどのような根拠で通行が規制されているのかにつきまして、伺いたいと思います。

藤巻政府参考人 お答えをいたします。

 一般論を申し上げさせていただきますと、河川の空間は公共空間でございますので、基本的に、自由使用、自由な使用が認められております。

 一方、河川法第二十九条によりまして、河川管理施設を保全する必要があると認めて河川管理者が指定した区域にみだりに自動車等を入れる行為につきましては、河川管理上支障を及ぼすおそれがある行為として禁止されておるところでございます。

 また、委員がただいま御説明いただきました配付資料にございますとおり、多様な河川利用者の安全を確保する必要があること、あるいは、幅員ですとか舗装構成、これが、構造が一般車両の通行には十分でない、そういったようなことから、河川管理者が一般車両の通行を制限している場合もございます。

 以上です。

長友(慎)委員 河川法二十九条の中で、これは、みだりに車両が入ることは規制をしている、そういう御答弁でございました。

 これは防災の面で質問をするんですが、もし地元の皆さんが、堤防の上を車で通って逃げる方が自分たちがいる場所からは安全なんだ、橋を渡って国道とかに出る前に堤防を使って逃げたいんだ、そういう声がもし地域の住民からあった場合、避難時に使いたい、また、津波から逃げるためにふだんから通行できるようにしてほしい、そういう申出があった場合は、協議に応じてもらう余地はあるのかどうか、見解を伺います。

藤巻政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、例えば、津波からの避難時の利用も念頭に、堤防上の通路をふだんから一般車両が通行できるようにすることについては、河川管理に支障を及ぼすおそれがないことなど、一定の条件が満たされれば実現可能でございます。

 先ほどの繰り返しになりますけれども、河川管理者が整備した道路は、通路は、あくまで河川巡視用の限られた車両の通行に必要な規格で整備されておりまして、幅員や舗装構成などの構造面で多くの一般車両の通行には十分でないため、希望される御利用方法によりましては追加の対応が必要になる場合もございます。そのため、現地を管轄しております河川事務所等に御相談いただければ、現場の状況ですとか地域の御意向、これらに応じまして、どのような対応が可能か、地元の自治体とも協議しながら検討してまいります。

 以上でございます。

長友(慎)委員 地元の自治体などとも協議していただいて、地域の住民の皆さんに、要望に寄り添っていただけるのかなという答弁をいただきました。

 実は、私の地元にもまさにこういう状況の場所がありまして、先日話を聞いたところなんですね。

 橋で説明すると、例えば、この橋の左側に集落があるんです。具体的な町の名前は出しませんけれども、そこは三百四十六世帯、七百八人の方が住んでいる集落で、この橋が、離合ができるほど幅が広くないわけなんですね。しかも、老朽化していて、本当にこれから先も安全なのか分からない。避難しようと思えば、そのような頼りない橋を渡って国道に出ないと逃げられない。そういう状況のときに、何でこの堤防を使ってすぐ町の方に逃がしてもらえないのかというような要望を受けたところでございました。

 実際は鍵がかかっています。その鍵は地元の区長さんたちとか役場の職員とかが持っているそうなんですけれども、その方たちが、非常時には開けて逃げられるようになるんだ、そういう説明をしているんですが、鍵を持っている人間が町場にいて、地元にいなかったら使えないじゃないかという議論があるわけなんですね。しかも、ここがふだんから通れると分かっていなければ、ここから逃げようともしないということなので、事前防災という観点から、堤防の上を使っての避難ということを、是非、ケース・バイ・ケースに応じて議論をさせていただく必要が私はあると思いまして、質問をさせていただいたところでございます。

 その上で、防災、減災のための面でもう一問質問させていただきますが、事前防災という観点で、土地利用の推進について伺いたいと思います。

 例えば、橋の向こう側にいて、逃げるルートがここしかないような場所で暮らしていらっしゃる集落、全国にもたくさんあると思うんですね。そういうような方々が住まわれている場所、そういう人々の住まい方や土地利用についても、自然災害リスクの抑制の観点からその在り方の見直しが必要だ、そういう議論をもうすべき時期だと思っております、南海トラフのリスクというのも高まっているところでありますし。

 そうなったときに、災害ハザードエリアにできるだけ住まわせないための土地利用の規制、誘導に加えまして、災害リスク情報の更なる活用や都市開発プロジェクトにおける防災・減災対策の評価などにより、防災、減災のための住まい方や土地利用を是非国土交通省には推進していただきたい。

 しかし、インセンティブ等がなければ、ここから、じゃ、どうぞ高台に逃げましょうといっても、なかなか、そこで住まいを集団で移るということは難しいというふうに思います。それはもう当然のことだと思います。なんですが、災害ハザードエリアに立地している住宅等の移転を促進するための更なる何かしらのインセンティブがあれば、私は、集団で移転するというようなことがリアリティーを持ってできるんじゃないかと考えるんですが、政府の見解を伺います。

内田政府参考人 お答えいたします。

 災害リスクを踏まえた防災まちづくりの推進の観点から、土地利用規制や誘導、災害ハザードエリアからの移転の促進など、総合的な対策を講ずることが重要だと考えております。

 このため、令和二年には、災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制のための開発許可制度の見直し、コンパクト・プラス・ネットワークの取組を行うに際して、居住を誘導する区域から災害レッドゾーンを原則除外、居住を誘導する区域内における災害リスク情報を踏まえた避難地、避難路の整備等を含めた防災に関する指針の制度化などを行っております。

 こうした規制、誘導措置に併せて、住宅や医療福祉機能等を災害ハザードエリアから安全な町中の方へ移転することに対しても支援を行っているところでございます。

 特に、災害ハザードエリアから安全なエリアへの住居の集団移転を促進するためには、防災集団移転促進事業が有効な対策の一つと考えております。

 この事業は、事業主体である市町村が行う移転者向けの住宅団地の整備や移転者からの土地、建物の買取り等に対して国が補助をするものでありまして、令和二年度以降、要件の緩和や対象エリアの追加などの支援制度の拡充を行ってきたところです。

 引き続き、地域のニーズを丁寧に伺いつつ、これらの施策を組み合わせて、防災まちづくりの推進に努めてまいります。

長友(慎)委員 今の御答弁の中で、防災集団移転促進事業の御説明がありました。これは是非、活用を検討する自治体が増えたらいいのではないかと私は思うんですが、これまで実績としまして、どこが使ったことがある、また実績があるか、事務方の答弁でも構いませんので御回答いただければと思いますが、いかがでしょうか。

内田政府参考人 お答えいたします。

 防災集団移転促進事業の移転戸数は、昭和四十七年から平成十六年度の間で発生した災害で、延べ三十五市町村、千八百五十四戸です。東日本大震災のときに、延べ六十二市町村、合計約三万六千戸が移転をしておりまして、合計で約三万九千戸ほどの移転の実績がございます。

長友(慎)委員 全国初の防災集団移転というのは島根県の美郷町の港区の事例だと認識しているんですが、そこは合っていますか。

内田政府参考人 お答えいたします。

 災害が発生した後に移転した事例というのはかなりございますけれども、今委員御指摘の事例は、災害が発生する前に事前防災的に防災集団移転を行った実績としては、御指摘の事例が全国で初でございます。

長友(慎)委員 私が言いたいのは、事前に移転することが大事じゃないかということなんですね、事前防災。今、国はもう、防災の観点は事前防災、事前復興というところに軸を移していると思いますので、防災集団移転の事前の移転の事例というものを是非全国でも私は広めていく必要があるのではないかというふうに思っております。今後、災害のリスクが高まっているエリアで積極的な活用を検討していただけるように、政府としましても働きかけを是非お願いしたいと思います。

 最後、農林水産関係で御質問をさせていただきます。

 当然、事前復興、事前防災の観点から、農林水産省も農業、農村を災害から守るための対策を行っていると認識をしています。これまでは、個別箇所ごとのハード整備により、農用地、農業用施設の災害発生の未然防止を図ってきたというふうに認識をしているんですけれども、例えば、川の河口に近かったり周囲を川に囲まれたりしていて何度も水害の被害を受ける田畑やハウスで農業を営む生産者に対して、国としてサポートできることは何があるのか、政府の見解を伺います。

    〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕

谷村政府参考人 お答えいたします。

 農業現場におきます自然災害リスクに備えるという観点から、農林水産省といたしましては、農業者に対して、自然災害などのリスクに備えるチェックリストや農業版の事業継続計画の様式を策定し災害への備えを働きかけるとともに、農業共済、収入保険などの加入促進に取り組んでおります。

 また、施設園芸につきましては、災害に強い産地を形成するという観点から、複数の農業者による共同の事業継続計画の策定、その実施に必要な農業用ハウスの増強などの支援を行っております。

 このほか、国土強靱化基本計画などを踏まえた農業水利施設の降雨、地震対策も継続的に進めておりますが、なお、農地の湛水被害が頻発する地域において、農業用ハウスの移転などが必要となれば、農業用排水施設の整備と一体的に行う場合には補助事業の対象とすることを可能としております。ハウス農家の方々から具体的な要望があれば、県や市町村など関係機関と連携して適切に対応していきたいと考えております。

 以上でございます。

長友(慎)委員 つい最近もというか、災害が頻発するのでいろいろな事例があると思うんですが、江藤大臣のお地元でも、たくさん、線状降水帯や台風等で何度もつかる場所というのがありまして、私もそういう農家の生産者の皆さんと話をすると、本当に胸が痛くなります。

 借金をまだ返せていないのにまたハウスの借金をしないといけない、車が水につかって動かなくなった、でも車に車両保険を掛けていなかった、車をまた新しく買わないと農業ができないけれども、軽トラを買うためには、現金を用意できればいつでも持っていくけれども、現金を用意できなければまだ持っていけない、そういうような話もあるということなんですね。

 ですから、リスクが高い場所で農業をされている、営んでいただいている皆様に対して、やはり、これはもう事前に、災害に遭わないような対策ということを農水省も是非しっかり取り組んでいただきたいと思うんです。

 これからの防災は、何度も言って恐縮ですが、事前防災が基本になります。日本の農家を、農業を度重なる災害から守るために、農林水産省としても事前防災に取り組むべきと考えますが、江藤大臣の見解を伺います。

江藤国務大臣 なるだけそうありたいと思っています。

 宮崎ではありませんが、例えば、九州でもハウスが三年、四年連続つかりましたという方にお会いしたことがあります。その方は、ほかのところに移転したらいかがですかと私の方から言っても、ここがいいんだ、そんなことを求めているんじゃない、そうじゃなくて堤防のかさ上げをしてくれ、そっちの方を我々は求めているんだ、移転なんか求めていないと。やはり農業者の方々は、農地に対する執着もあったり思いがあったり、いろいろありますので。しかし、何度も何度もつかるというところであれば、合意が得られれば、そういうところに移っていただきたいと思います。

 事前防災という観点は必要ですし、集団移転の話も興味深く聞かせていただきました。ですから、そういうことも、これから地域計画、しっかり作っていきますので、地域の話合いがないとできません。たとえいい農地があっても、そこの地域の方の合意がなければ移りませんし、それが分散錯圃になるということになるとまた抵抗もあると思いますから、地域の話合いを中心に、国としてもできるだけの支援をしていきたいと考えております。

長友(慎)委員 大臣が御指摘いただくように、私も同じようなお声を聞きます。実際、かさ上げをしてほしいところはたくさんあるんですね。そうなると、農水省の担当じゃなくて、今度、国土交通省の担当になってくるわけなんですが、地元の県の土木事務所と連携して、それがなかなか進まないという現場、実態から、どうにかできないかという相談も受けたりしておりますので、事前防災という観点では、国交省、農水省、しっかり連携をしていただいて、農地を守っていただきたいと思います。

 また、農林水産委員会では、この通常国会の中で、土地改良法等の一部を改正する法律案、この審議もございます。ここでは土地改良の話もございますし、いわゆる耐用年数を超過した基幹的農業用の水利施設の計画的な更新等、こういうこともこれから必要になってくる、その対策をしていくということもありますし、今、山村振興法の改正も現在議論をしているところだと思っております。その中でも、山村振興の目標の規定に、防災体制の強化という視点もこれから追加される、するべきだと考えているところです。

 農水省としても、事前防災という観点から、農家の皆さんが繰り返し何度も被災することがないように、再度被災というものを繰り返さないように、積極的に先手を打って対策を施していただきまして、総力戦で農家の皆さんを守っていただくことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて長友君の質疑は終了いたしました。

 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、大変にありがとうございます。時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず初めに、鳥インフルエンザについてお伺いをいたします。

 今シーズンは、特に今年に入ってから、鳥インフルエンザが全国で猛威を振るっております。二月一日現在で、採卵鶏、肉用鶏農場で五十一例が確認をされておりますが、このうち十六例、三分の一近くが私の地元千葉県に集中しております。しかも、このうち十五例は、一月半ば以降毎日のように連続して集中的に発生している状況で、既に三百三十万羽を超える鶏の防疫措置のために、延べ一万人を超える職員を始め、自衛隊、県や近隣自治体、関係団体の協力も仰ぎながらの、昼夜を徹しての作業に当たっている状況です。

 ちなみに、県内の鶏の四分の一が既に殺処分された計算になります。被害の拡大防止に万全を期すとともに、途方に暮れている農家が経営を再開できるまで寄り添った支援をお願いをしたいと思いますが、いかがか。

 加えて、千葉県でも、災害派遣要請を受けて自衛隊が度々殺処分の支援に当たりましたが、本来任務でない作業に知事が自衛隊の派遣要請をする場合の判断の基準が必ずしも明確ではありません。今後も、今シーズンのような深刻な被害が発生するリスクが高まっていることを踏まえて、防衛省とも派遣の考え方を整理して示す必要があると考えますが、見解を伺います。

 そもそも、自衛隊の助けをかりなければならないのは、一旦被害が発生すれば、時に百万羽という鶏を迅速に処分するための人員の確保が追いつかないという現実があります。実務的には県が担うよう防疫指針にも定められており、県職員の負担が過度に大きくなっております。

 発生に備えて県ごとに民間と協定を結んでいる事例もありますが、来シーズン以降も同様にこのような被害が発生し得るとの前提に立って、国としても、対応可能な民間団体の育成を図り、全国的な応援体制を構築する必要があると考えますが、併せて見解をお伺いをいたします。

江藤国務大臣 大変御苦労されているというふうに伺っております。一生懸命やっていただいているということは分かっておりますが、私も、いろいろ対策本部で話を聞きまして、県職員の方々、それから様々な関係者の方々は、肉体的だけではなくて、精神的に極めて追い詰められているというようなお話も伺っております。農林水産省としてもできるだけの応援をいたします。

 それで、やはり経営再開をしていただかなければならない。これは、早期通報をしていただかないと、我々は、評価額の十分の十を補填するということを約束しておりますが、家畜伝染予防法にのっとってですね、しかし、そういう通報が余りにも遅れている場合は、これもやはり、罰則ということではありませんけれども、十分な補填ができないという面もありますので。そして、私のところを言って恐縮ですが、宮崎は二件発生しました。いずれも点で終わりました。それはなぜかというと、早く通報したからですよ。周りには全く広がりませんでした。とにかく早期通報をお願いしたいと思います。

 それから、自衛隊についてですが、委員も御存じのとおり、緊急性、公共性、非代替性、これが三要素でありますので、自衛隊には本来の任務があります。やはり、その本来の任務が主たるものでありますから、これを御理解いただいた上で、自治体の方から御要請をいただくということが大事だと思います。

 そして、事前に様々な提携その他の準備をすることが大事だということでありますけれども、家伝法に基づいては、いわゆる予行演習を、埋却も含めて、やることが義務づけられておりますので、それは、どうやって殺処分するのか、どこに埋めるのか、そしてどの人たちが動員されるのか、そういう体制も、事前に、提携も含めて準備をしておくことが大切だと思いますので、それを更に徹底してまいりたいと思っております。

角田委員 鳥インフルエンザの拡大に伴って、鶏卵の価格も高騰をしております。一月六日の段階で、M玉の卸売価格は二百二十五円、これが今三百十五円まで高騰している状況であります。二シーズン前のように卵が手に入らないといった混乱を招かないよう、供給の確保に向けた対策を強化してもらいたいと思いますが、この点について見解をお伺いいたします。

松本(平)政府参考人 お答えいたします。

 卵の価格につきましては、先ほど委員からもございましたように、東京地区、Mサイズにおきまして、二月六日時点で一キロ当たり三百十五円でございます。この卵の価格につきましては、二年前、令和五年の同時期と同一水準になっているところでございます。

 農林水産省としましては、二年前のこの状況を踏まえまして、供給確保におきまして、卵関係の事業者に対しまして、逼迫した地域へのまず優先的な融通、また、これまで積み増しをお願いしてきました凍結の液卵の在庫の活用、こちらをお願いすることとしまして、少しでも供給量の減少による影響が緩和できるように対応しているところでございます。

 食卓に欠かせない鶏卵の円滑な流通が図れるよう、引き続き、関係業界とも連携をしまして、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

角田委員 次に、食品アクセスの確保という観点からお伺いをいたします。

 一月三十一日に政府備蓄米の運用方針を見直し、不作でなくとも、流通過程で目詰まりを起こしている場合でも集荷業者に政府備蓄米を売り渡せるよう、運用基準が見直しをされました。この委員会でも、我が党の委員から運用について要望がありましたが、国民の主食である米が、量的にはあるはずなのに、価格が高騰して手に入らない状態を生まないために、備蓄米の活用も機動的に行っていただきたいと思います。

 ただ、一方で、米の価格は、この三十年ほど、おおむね右肩下がりで推移してきており、生産者からは、コストも回収できず、作るほど赤字との悲鳴に近い声も多く聞かれる状況でした。今朝も農水大臣は、備蓄米活用に向けて準備を急がせている旨の発言をされておりますが、備蓄米の活用に当たっては、生産現場の方々が不安を抱かないよう説明を尽くすなど、丁寧な運用に努めていただきたいと思いますが、この点について見解をお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 このことについては、私自身大変迷いがありました。まず、食糧法上にのっとってどうなのか、生産者の目から見てどうなのか、消費者の目から見てどうなのか、三つの観点から、非常にかじ取りが難しい問題だと思っています。米の価格が乱高下することは避けなければなりませんから、来週中には、どれだけの数量を出すのか、その条件等については発表したいと思っております。これを慎重に決めていきたいと思っております。

 ですから、今は、議員が御指摘のとおり、物はある、しかし、主食用米だけじゃなくて、酒米であったり焼酎米であったり日本酒用であったり、そういう加工用の米まで集まらないという異常事態ですよ。異常な事態であるので、緊急的な対応として、今回は備蓄米を条件付で売渡しをするということにしたわけでありまして、これからも、こういうことがなるべくないように、米政策については慎重に運営していかなきゃなりませんし、生産者の方々、消費者の方々を含めて丁寧な説明を尽くしてまいりたいと考えております。

角田委員 持続可能な食料システムを確立するため、生産から小売までの各段階で合理的なコストを考慮した価格が形成されるよう、現在、そのための法制度が検討されているところです。

 各段階の地域ごと、季節ごとのコスト構造の実態調査の事例では、米、野菜とも、大半の地域で、特に生産、集荷の段階でコストを回収できずに赤字となっており、コスト割れしない価格水準がこれから目指されることになります。

 持続可能な食料システムは、最終的には、消費者がその価格で選択してくれるのかという点に懸かってきます。そのためにも、現在、中小企業も含む賃上げの流れを確かなものとすべく様々な取組が進められているわけですが、現在においても必要な食料を手に入れることが困難な家庭等への支援を強化することも、今まで以上に考えなければなりません。

 公明党では、食料・農業・農村基本法の改正に当たって、特に平時からの食料安全保障の確保が重要との考え方から、買物困難者やフードバンク、子供食堂に対する支援の充実を訴えてきました。

 このうち、フードバンク、そこを通じた子供食堂等への支援では、昨年十二月に食品寄附ガイドラインが作成され、一定の管理責任を果たすことができるフードバンクを認証する仕組みを設けることで寄附の拡大が図られようとしております。

 現在、全国のフードバンクが寄附で受け入れている食品は僅か年間一万トン余り。一方で、まだ食べられるのに廃棄されている食品は二十万トン。ガイドラインに沿った取組で、廃棄されていた食品が有効に活用されることが期待されますが、この際、フードバンク等で食品の品質、衛生管理がしっかりなされているかどうかが問われることになります。そのための冷凍冷蔵設備などの整備が不十分な主体が多数あります。

 その設備整備に対する支援は、現状、農水省が担っておりますが、平時からの食料安全保障の確保という観点からも更に積極的な取組を求めるものですが、見解を伺います。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 経済的に困窮している方々への食品アクセスを充実させるためには、委員御指摘のとおり、フードバンクなどが食品を受け入れ、そして提供する機能の強化、これが非常に重要でございます。

 このため、農林水産省では、フードバンクが生鮮や冷凍などの食品についてもしっかり管理をして供給できるようにするため、冷蔵冷凍設備の導入の支援について、令和六年度補正予算で措置するとともに、令和七年度予算でも計上しているところでございます。

 フードバンクなど現場の声をよく聞きながら、しっかり支援を行ってまいります。

角田委員 続きまして、下水道幹線の破損に起因する道路陥没事故について質問いたします。

 下水道管の腐食が原因と見られる埼玉県八潮市の道路陥没事故で、昼夜を分かたず作業を行っている関係者の方々にまず感謝を申し上げたいと思います。

 標準耐用年数を超えた下水道管が十年後には約二割、九万キロメートルに増大すると見込まれる中で、老朽管路の更新を加速する必要がありますが、今回破損した汚水幹線は、標準耐用年数五十年未満の管で、維持管理指針等で五年に一回の点検、調査の対象とされている箇所には該当していないものの、自主的に行われていた五年ごとの点検でも、補修が必要なコンクリートの腐食は確認されておりませんでした。

 耐用年数を経過していないにもかかわらず老朽化が進行していたこと、肉眼やテレビカメラによる点検では腐食の状態を正確に把握できなかったことから、点検、調査の在り方も見直す必要があるのではないかと考えます。

 地方は技術職の確保もままならない状況の中で、効果的な維持、補修、更新を進めていくためにも、省力、簡便に、正確な劣化状況の診断を行える技術の開発と導入の促進、これに基づく優先順位の決定と迅速な対策の実施、そのための財政支援の充実を求めたいと思いますが、この点について見解をお伺いをいたします。

松原政府参考人 お答えいたします。

 今回のような事故を再び起こさないよう、下水道等の劣化状況や重大事故につながる予兆などを効率的に把握する技術の開発、実装を含め、老朽化対策を着実に実施していくことが重要と考えております。このため、大規模な下水道の点検方法の見直しや技術開発を始め、同種類似の事故を防ぐための様々な対策について検討を進めてまいります。

 国土交通省としては、施設の点検やその結果に基づく計画的な改築更新に対して財政的支援を行ってきたところであり、引き続き、地方公共団体を技術的、財政的にしっかりと支援してまいります。

角田委員 今回事故のあった流域下水道、この流域下水道は、複数の市町村の下水を集中的に処理することから、効率的であるという反面、今回のように、特に下流域で幹線が破損した場合の影響も極めて広範囲に及んでしまいます。事故のあった中川流域下水道も、八潮市を含め、関係市町は十五市町、処理区域内人口は約百四十万人の巨大なシステムで、一たび機能がダウンした際の住民生活への影響は極めて大きいものがあります。

 下水道は生活や社会活動に不可欠のライフラインであり、今回のような事故が万一発生した場合にも、その影響を最小限に抑えるために、流域間のネットワーク化であるとか、中間処理施設の整備なども進めるべきと考えます。防災・減災、国土強靱化の次期中期計画において、ライフラインの強靱化を、こうした指摘した点も含めて積極的に進めていただきたいと考えますが、この点について見解をお伺いをいたします。

中野国務大臣 下水道の老朽化対策、喫緊の課題でございます。

 先ほど、事務方からも点検方法の見直し等の検討というお話がありましたけれども、有識者委員会を設置をすることといたしましたので、必要な措置を早期に講じるべく議論を進めてまいりたいと思います。

 そしてまた、先ほど、中長期的かつ明確な見通しの下、強靱で持続可能なシステムの構築に向けた取組、これも併せて着実に進める必要がございます。

 様々御指摘いただきましたけれども、二月五日に国土強靱化推進会議で実施中期計画策定方針の素案が示されました。この中に、上下水道の老朽化対策につきまして、埼玉県八潮市での道路陥没事故も踏まえて検討することや、処理場間の連絡管の整備が位置づけられたことも踏まえつつ、上下水道の強靱化に必要な対策がしっかりと盛り込まれるように検討してまいりたいと思います。

安住委員長 角田君、間もなく時間です。

角田委員 ライフラインの老朽化対策、これはもう待ったなしの課題でございますので、今後しっかりと推進をしていただきたいことを求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて角田君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 本日は、令和の米騒動について江藤農水大臣にお伺いをいたします。

 まず大臣、貧乏人は麦を食えと言ったのは誰でしたか。一言、お名前だけお願いします。大臣にお伺いします。貧乏人は麦を食えと言ったのは誰でしたか。

江藤国務大臣 済みません、不勉強で知識がありません。

櫛渕委員 当時、大蔵大臣だった池田勇人の答弁が問題になったわけですね。このときも、米の値段が高いことが問題になったんですよ。それなのに、食べられない国民を救うのではなくて、経済原理を優先して、翌日、大臣は辞任となりました。七十五年たった今も状況は同じ。

 今週三日の予算委員会でも私は総理に質問しましたけれども、とにかく物価が高い。そして、主食である米の値段がどんどんと上がっています。政府は、しかし、減税さえもしないという状況。

 資料一、グラフを見てください。米の値段はおととしの秋から上がり始め、昨年四月から急激に高くなったことが分かります。しかも、今も続いている。米が上がっているのは一目瞭然ですが、実は麦も高いんですね。三年前と比べて値段が上がったままになっていて、麦を食えとすら言えない状況になっています。麦が高いのでパンもどんどんと高くなっている。

 次に、資料二です。これは出荷業者と卸業者の間の取引価格データですが、異常なほど、過去断トツに高いことが分かります。米は一年に一度しか取れないので、少なくとも今年秋まで高いままの可能性が高い。

 大臣、去年八月ぐらいから続く令和の米騒動を見ると、農水省設置法の第三条には「食料の安定供給の確保」とありますが、消費者から見て、ここから大きく逸脱している、こういう状況にあるんじゃありませんか。スーパーの棚に米がない、あっても高過ぎて手が出ない。なのに、新米が出たら落ち着くと言って備蓄米を出しませんでした。

 もう一度、資料二を見てください。新米が出ても、下がるどころか逆に上がっているのが現実です。生産者が報われているわけでもなく、逆に、お米農家の廃業は増えています。ようやく備蓄米の放出という重い腰を上げたようですが、遅過ぎます。

 大臣、今後、米の値段はどうなっていくとお考えですか。また、設置法三条の「食料の安定供給の確保」とは、単に量のことだけを言うんでしょうか。それとも、価格を含む、つまり安定的な値段で国民に食料を提供することが含まれますか。いかがですか。

江藤国務大臣 大分御通告と違うので、私の知識の範囲内でお答えをいたしますが。

 まず、農林水産省は、生産基盤をしっかり守るということにも責任を負っております。それは食料安全保障に資するためであります。農業者のためだけではなくて国民全員のために、生産基盤をしっかり守り、食料安全保障を確保する。

 そして、今御指摘があったように、食糧法の中にも、第一条の中に、国民に安定的に食糧を供給するというような条項が入っています。三条の二項とか四十九条とか様々な規定がありますけれども、法律は様々ありますが、その中で、やはり農林水産省は安定的に国民に食料を供給する。

 それについて、価格についてどう思われるかということですけれども、今回の場合は、物はある。そして、基本的に、令和二年と比較して、肥料代だけでも四割上がっています。燃料代だけでも三割上がっています。生産現場にしてみれば、ある程度の値上がりは、これは許容していただきたいという気持ちは当然ある。

 しかし、物はあるのに出てこないということであれば、これは価格政策ということではなくて、いわゆる流通の上での目詰まりを解消するために、今回は初めて備蓄米を買戻し条件付で売り渡すということを、一年以内に買い戻すという条件付ですが、つけたわけでありまして、それは価格に着目したものではない、あくまでも流通の、いわゆる今のスタックしている状態を解消するために決断したということでございます。

櫛渕委員 流通も含めた構造的な問題があるということは、また後ほど御質問いたしたいと思います。

 まず、安定的な値段で国民に食料を供給する、その責任も農水省にあるということのお答えと受け止めました。

 農水省は、今回の米高騰について、天候不順とか、インバウンドだとか、はたまた南海トラフ情報だとか、いろいろ言っていますけれども、それらはあるにせよ、要は、政策で米を作るのを減らしてきた、ここが大きな問題だったのではないんでしょうか。

 農水省のデータでは、主食の米の生産は、十年前の百五十九万トンから昨年の百二十五万トンと約一五%も減っています。米農家の数を見ると、二〇〇〇年の百七十四万戸から二十年間で七十万戸となり、六〇%も減っていると伺っています。やはり、日本の米作りの底が抜けつつあるという現状が背景にあって、だから米が高くなったのではないんでしょうか。

 米作りだけでなく、先ほど大臣もおっしゃったように、流通も問題です。二〇二四年産の米の生産量は前の年よりも十八万トン多かったのに、集荷は二十一万トンも少ない。この差がどこにあるのか分からないと農水省は答えているんですよ。

 つまり、米については、作る現場、流通の現場、消費の現場、いずれも問題を抱えているということですよね。しかし、農水省はどれも有効な対策を打てていません。

 大臣にお聞きします。米の値段が高い理由は一時的なものなのか、そして構造的なものなのか、先ほど構造的なお話が一部ありましたけれども、改めてお伺いいたします。簡潔にお願いします。

江藤国務大臣 米については、平成三十年に生産数量の割当てをやめました。それによって、各生産地によって需要に見合った生産をするようになりました。それによって、需給のバランスがこの二、三年はしっかり守られてきたなというふうに思っています。安定してきた、うまい政策転換ができたと思っていたんですが、昨年は南海トラフの緊急情報が出たり様々なことがあって、今年にかけては特に米がマネーゲームの、投機の対象になるという、今まで我々が経験したことのないような状況が生まれているというふうに思われます。

 ですから、農林水産省としても、今委員からもどこに米があるか分からないという御指摘もいただいておりますが、農家それから小規模な卸についても、しっかり、どこに米があるのか、今鋭意調査をしておりますので、その調査に基づいて流通の円滑化を図ってまいりたいと考えております。

櫛渕委員 今お伺いしたのは、農水省の所管が生産だけに関わるのか、それとも流通や、さらに消費も含まれるのかという極めて基礎的な問いだったわけですけれども、今大臣からお答えがあったように、構造的なものだという、全部に関わるというお話だったんですね。

 まさにおっしゃったように、特に小泉政権以降、食料を市場原理に委ねてきた、このことが大きな弊害として出てきているんじゃないんでしょうか。農水省が米作りを減らしてきたため、農家はどんどんと減っている。米作り農民の時給は十円程度、一日八時間働いてもたったの八十円、こうした農家もいるという声もあり、農業者による令和の百姓一揆が計画されているとも聞いています。

 一方、流通の状況は、これほどの危機なのによく分からず、政府は調べようとしていません。そして、消費者にとっての価格は市場原理で決まるに任せて、新米が出れば下がるといううそを言って、責任を取りません。問われているのは、そういう今の仕組みにこそあるのではないんでしょうか。

 これでは、食料の安定生産、安定供給という農水省の本来の役割すら危ぶまれている状況です。農水省設置法に違反している疑いすらあるんじゃありませんか。もっと国が食料の安全保障に責任を持ってくださいよ。

 こちら、れいわ新選組のマニフェストですけれども、「国民を飢えさせるな!食料安全保障」というふうに題し、国は、現在の農林水産予算二兆円を四兆円に倍増し、農業者の所得補償はマストです。さらに、就農者支援を充実させること。そして、余剰農産物は国が買い上げ、食料支援に回すこと。つまり、農家の収入の多くを国からの支払いというものにしていき、余った農産物は政府が買い上げ、安定した価格を保障する仕組みにしていく。農業がこの国の基幹産業になるように、海外の輸入に頼らず、国内で生産を広げていく形、そして農家が損をしない形にしていくということがなければ、不測の事態にも備えることができない。私は、これこそが本当の安全保障だと思いますよ。

 積極財政で、この危機に是非農政を大きく転換をしていただきたいと思います。来年度、農水予算は二・三兆円、三年前から七十一億円減っています。これに対して、今回の予算の特徴である防衛予算は八・七兆円に激増、三年前の五・四兆円から三・三兆円増え、これは農水省そのものの予算の約一・五倍が増えたことになります。これほど防衛費は大盤振る舞いなのに、農水予算は増やしていません。どんなに武器を増やしても、国民が米が食べられない、そんな国が強い国と言えるでしょうか。

 なぜ、最も国民にとって大切な食料安全保障、それが置き去りなのか、通告していませんけれども、予算全体を統括する財務大臣に一言お伺いをしたいと思います。いかがですか。

安住委員長 財務大臣、質問の意味は分かりますか。(加藤国務大臣「もう一回言ってもらっていいですか」と呼ぶ)

櫛渕委員 今回の予算の特徴は、防衛費が最大です。八・七兆円も積み増し。しかし、食料の安全保障、これは、国民が米も食べられないという状況なのに、農水予算は減っているんです。三年前から減っています。微々たるものです。ほとんど、二・三兆円で増えていない。どうしてこのような状況なのか、食料の安全保障、なぜ置き去りなのかということを御質問しました。時間がないので一言、簡潔にお願いします。

加藤国務大臣 済みません。

 今言った農業予算と防衛予算、それぞれ必要性に応じて私どもとしては編成をさせていただいているところでございますので、別に今で十分だとは言うつもりはございませんけれども、今後、必要な農業予算、しっかり確保させていただきたいと思っています。

櫛渕委員 全体予算の方針を決めている財政審の建議にはこうあるんですよ。国の農水予算は高水準で推移、早期に是正すべきとあったり、備蓄米についても、輸入米の活用により備蓄水準を見直し、財政負担を削減すべきとあるんですね。こうしたことに従い過ぎなんじゃないですか。

 つまりは、食料の安全保障よりも財政再建が優先されているということなんですよ。ここにこそ私は大きな問題があると思います。とんでもないことです。幾ら財政の数字がよくても、日本の人々が主食である米が食べられないというこの危機に対して、是非、財務大臣も、そして農水大臣も、この予算の倍増ということに一歩大きく踏み出していただいて、少なくとも農業者の所得補償、この政策をスタートさせていただきたいと思いますが、最後に農水大臣、お願いします。

江藤国務大臣 所得補償については、また是非しっかり農林水産委員会で御議論をしたいと思いますが、ヨーロッパの例をよく引かれますけれども、EUあたりは、EUが出しているお金があり、そして加盟国が出しているお金があり、そして農業者の負担もあり、三階建てで所得補償を行っているというようなケースもあります。国によってその単価もばらばらです。

 そして、日本の場合は、様々な政策を合わせると六〇%以上、総農業生産に対する、いわゆる農家に対する直接補償の金額は出ておりますので、全体の制度設計をどうするのか、財政との見合いもありますので、しっかりこれから考えてまいりたいと思います。

櫛渕委員 最後、終わりますが、戦前、国体を守って国民を守らなかったという歴史に是非学んでいただきたいと思います。当時も、戦艦や戦車、武器にはたくさんお金を出して、食料難に苦しむ国民を救いませんでした。多くの犠牲者が出ました。国民を救え、飢えさせるな、そのことを繰り返し申し上げ、私の質問といたします。

 終わります。

安住委員長 これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。

 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 リニア中央新幹線について質問をいたします。

 昨年、岐阜県瑞浪市大湫町で、リニア日吉トンネル南垣外工区の工事が原因と言われる水がれ、そして水位低下が起こりました。

 瑞浪市大湫町、ここは中山道の江戸から数えて四十七番目の宿場町ということで、低湿地のところを湫というふうにいいますけれども、大湫という地名が表すように、水が豊かな地域でした。移住される方々もいらっしゃった、本当にすてきなところです。

 ところが、資料の一、パネルを御覧いただきますように、リニアの工事によって、江戸時代から使われていたと言われる、天王様の井戸と言われる井戸もかれ、そして、大湫神明神社の水が湧いていたところも水がかれてしまいました。地域のため池も干上がって、割れ目が大きくなっております。地域の皆様にとってとても大切な水をリニアの工事が奪いました。

 水がれが起きている箇所数、水位低下が起きている箇所数、そして、工事の現場からどのくらいの距離の地域に影響が及んでいるのか、お示しをいただきたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 岐阜県瑞浪市大湫町の事案につきまして、JR東海からは、井戸やため池について、一月十五日時点で、水位低下が四か所、枯渇が十四か所確認されており、これらの井戸等で最も工事現場から離れているものの距離は約一キロであるとの報告を受けているところでございます。

本村委員 資料の二、パネルを御覧いただきたいんですけれども、赤くなっているところが水がれのところです。

 この水がれだけではなくて、地盤沈下まで起きているということで、資料の三を御覧いただきたいと思います。

 資料の三、四角のマークがついているというふうに思いますけれども、二月一日に私も現地に再び行かせていただきましたけれども、この資料に載っていない部分でも、家の周りでコンクリートにひびが出ている状況で、浄化槽のコンクリートと土の部分が隙間が広がっていくという状況も見させていただきました。また、地域では、ドアが閉まりづらくなったり、そういうふうになっております。

 この紫のところを見ていただきたいんですけれども、皆さんのお手元の資料のところ、一月十四日の時点では七・七センチ、地盤沈下が出ておりました。資料の四を見ていただきますと、このパネルのところ、この紫の部分ですけれども、最大八・七センチに沈下が拡大をしております。

 どんどん沈下が進んでいるわけですけれども、こうした地盤沈下もリニア工事が原因だというふうに考えられると思いますが、大臣のお答えをいただきたいと思います。

中野国務大臣 岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線のトンネル工事区間付近におきまして、令和六年二月以降、井戸やため池の水位低下が生じ、その後、地表面の低下傾向が確認されているところであります。JR東海からは、地表面の低下についても工事に起因している可能性が高いとの報告を受けているところであります。

 国土交通省としては、JR東海に対しまして、引き続き、専門家の助言を得ながら、地元住民の方々などへの丁寧な説明と、調査を踏まえた適切な措置が取られるよう、指導助言を行ってまいります。

本村委員 水がれも地盤沈下もリニアの工事によって発生をした、こう言わざるを得ません。発注者であるJR東海の責任、そして元請である清水建設、大日本土木、青木あすなろ建設、この責任も大きいと言わざるを得ません。そして、このリニアの工事実施計画を認可をした国土交通大臣、政府の責任も重大です。そして、三兆円の財政投融資も行われております。

 住民の方々は、昨年一月下旬の段階から、この日吉トンネル南垣外工区に見学に行った際に、トンネルから湧水が出ていたと。その水を見て、これは大湫の水ではないかということを大変心配をされておりました。そして、二月の段階で水位低下が、JR東海の方も確認をし、水位低下が見られ、そして、もうリニアの工事を止めてほしいというふうに言っておられました。

 三月の時点で、住民の皆さんの地域の会合がありまして、JR東海に直接そのように言ったそうですけれども、それにもかかわらず、工事を止めず、結局、報道があって、瑞浪市長が、五月十七日、工事の中止を求め、そして、JR東海は、やっと五月二十日の夜に、トンネル工事を直ちに中断するという方針を明らかにいたしました。

 ずっとこのリニアの工事を止めなかった、その対応の遅さも、住民の皆さんは本当に憤りを持って感じておられます。

 そもそも、水の道を調べずに工事をやったのが問題だったのではないですか。大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 JR東海からは、事前の環境影響評価において、地質等の調査に基づき、工事による地下水への水位の影響予測を行った上で、必要に応じて薬液注入の実施等の環境保全措置を取りまとめているところでありまして、また、工事の着手前には、地質等の状況を把握するためのボーリング調査や弾性波探査あるいは電気探査等を実施をしているということの報告を受けているところでございます。

 しかし、いずれにしても、やはり安全、周辺環境、こうしたことには十分配慮をしつつ、そして、今回発生した事象に対して適時適切な対応を行うことが肝要であるというふうに考えております。

本村委員 地域の皆さんが、水の道を調べずに行った、これが問題であるというふうに指摘をされています。本当にそのとおりだと思います。

 大臣は、二月四日のこの予算委員会の質疑がリニアの問題でありまして、そのときに、国家的見地に立ったプロジェクトと言い、早期開業及び開業時期の早期明確化、そして一日も早い全線開業というふうに言っていましたけれども、こうやって地域には苦しんでおられる方々がおられ、今後も、隣の恵那でも心配があります、そして長野の南木曽でも心配があります。そして、南アルプスの大井川の毎秒二トンの減水、これについても、六十万人の方々が大変心配をされているわけです。

 それにもかかわらず、そういうことは見ないで早期の開業と言うのは本当に無責任ではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 リニア中央新幹線につきましては、当時、平成二十六年、工事の実施計画の認可の際に、当時の太田国土交通大臣から柘植JR東海社長に対しましては、地域の理解と協力の獲得、環境の保全措置、そして安全かつ確実な施工、こういう三点について指示をしたところであります。工事の過程で発生する様々な問題の解決に当たりましても、こうしたことが大原則であるというふうに私も考えております。

 先ほど来御指摘がある様々な事象が生じておりますけれども、建設主体であるJR東海が地域の皆様の理解を得ながらしっかりと事業を進めていくということが重要でございます。

 国土交通省としても、引き続きしっかりと指導助言を行ってまいりたいというふうに考えております。

本村委員 そもそも、JR東海が環境アセスに書いてあったこともやっていなかったのではないかという問題がございます。

 元々、JR東海が出した環境影響評価書には、本線トンネルについて、工事の施工に先立ち、事前に先進ボーリングをやるようなことが書かれておりました。この日吉トンネル南垣外工区、大湫の集落の手前まで来ていた工事は先進ボーリングをやったのかということで、昨年の六月十九日にも別の委員会で質問をした際に、国土交通省の審議官がこう答弁いたしました。一般論ではありますが、トンネル工事を行う際には、トンネル掘削方向のおよそ百メートル程度のボーリング調査を行うというのが一般的な工法だと考えておりますというふうに答弁をされました。

 この日吉トンネル南垣外工区、大湫の手前まで来ていたトンネル工事の際、水がかれる前、先進ボーリングはちゃんとやっていたんでしょうか。大臣、お答えください。

中野国務大臣 JR東海からは、この日吉トンネル南垣外工区のトンネル掘削に当たって、先進ボーリングは行っていないものの、地質や地下水の状況を把握をするために、環境保全措置に基づき、各種調査を行ってきたというふうに報告を受けております。

 これは、環境保全措置の中に、本線トンネルについては、工事の施工に先立ち、事前に先進ボーリング等、最先端の探査技術を用いてというふうな記述がございまして、少し専門的になりますが、JR東海からは、最先端の探査技術として、TSP探査法あるいはドリル探査法といった、こうした探査法による調査を行ったというふうに報告を受けているところでございます。

本村委員 ちゃんと土、地盤、試料を取って水が通りやすいところを調査する先進ボーリングはやっていなかったわけですよ。発破の振動で解析する探査法ですとか、油圧の、速度の変化、こういうものを見るそういう探査法、これが最先端というのか。見極めることができなかった探査法ですよね。それが最先端の今の技術なんでしょうか。

 こういう土をちゃんと取る、そして丁寧に調査をする先進ボーリングはやっていなかった。それは、より時間とコストがかかるからじゃないですか。時間とお金がかかるからといって、大湫の皆さんが犠牲になったんじゃないですか。

 もう一つお伺いをいたしますけれども、環境影響評価書には、必要に応じて薬液注入を実施することや、覆工コンクリート、防水シートを設置することにより、地下水の影響を低減できるというふうに環境アセスには書いてありました。

 日吉トンネル南垣外工区、大湫の手前のトンネル工事は、昨年の五月以前、工事を止める以前ですけれども、薬液注入を、水がかれてしまう前、ちゃんとやっていたんでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 JR東海からは、環境影響評価書の水資源に係る環境保全措置にどう書いてあるかといいますと、本線トンネルについては、工事の施工に先立ち、事前に地質や地下水の状況を把握した上で、必要に応じて薬液注入を実施することというのが環境保全措置でございます。

 事実関係を申しますと、日吉トンネル南垣外工区の工事においては、二〇二四年五月二十日以前は、調査検討の結果、薬液注入は実施をしていない、こういう報告を受けているところでございます。

本村委員 この薬液注入もお金がかかる、だから、やらなかったんじゃないですか。大湫の皆さんは、JR東海の、あるいはゼネコンのコスト削減の犠牲になったというふうに言えるというふうに思います。

 もう一つお伺いしたいんですけれども、JR東海が清水建設などのJVと契約をしたとき、ちゃんとこの環境影響評価書に書かれている先進ボーリングですとかあるいは薬液注入、これをちゃんとやる見積り、契約になっていたんでしょうか。大臣、お答えください。

中野国務大臣 JR東海からは、JR東海と清水建設などのJVとの契約というのは基本的に民間同士の契約でございますので、契約の具体的な内容をここでお答え申し上げるということは困難でございますが、日吉トンネル南垣外工区の工事につきましては、環境影響評価に基づきまして、工事前に定めた環境保全計画において、地下水及び水資源の環境保全措置といたしまして、先ほども申し上げましたけれども、本線トンネルについては、工事の施工に先立ち、事前に先進ボーリング等、最先端の探査技術を用いて地質や地下水の状況を把握した上で、必要に応じて薬液注入を実施をすることというのが環境保全措置でございます。

 この計画にのっとってJR東海及びJVは工事を行っているというふうにJR東海から報告を受けているところでございます。

本村委員 民間の工事ではありますけれども、しかし、これだけの甚大な被害が出ているわけです。それについて、しっかりと国としてもチェックするべきじゃないですか。

 この南垣外工区の契約、見積りの資料を提出してください。大臣、お願いします。

安住委員長 鉄道局長に少し答弁させましょうか。(本村委員「大臣に」と呼ぶ)答弁できますか、国土交通大臣。

 では、済みません、私の権限で。

 国土交通省五十嵐鉄道局長、今の資料提出の件を。

五十嵐政府参考人 お答えします。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、当該御要請がありました契約自身は民間企業同士の契約でございますので、資料として提出することは困難であるというふうに考えてございます。

 以上でございます。

本村委員 今、岐阜県でも地盤委員会でいろいろな議論をしております。そのときに、やはりそういった資料も出して、本当にこの契約でよかったのか、誰に責任があるのか、このことを明確にするべきだというふうに思いますけれども、大臣、お答えをいただきたいと思います。

中野国務大臣 本件、水がれ問題の原因究明あるいは再発防止、こういうところの御質問かというふうに思います。

 今聞いておりますのは、岐阜県の瑞浪市の事案につきまして、岐阜県の環境影響評価審査会においても原因調査や対策について審議をされると聞いております。この中で、専門家にも相談をしながら必要な対策を講じているものというふうに承知をしております。

 もちろん、この水がれへの影響につきましては、井戸等を使用して生活されている皆様への影響を最小限に抑えるため、現在、応急措置として、上水道を利用できるように工事を実施するというふうにも聞いております。

 建設主体であるJR東海が地域の皆様の理解を得ながらしっかり事業を進めることが重要と考えております。

 いずれにしましても、国土交通省として、引き続きしっかりと指導助言を行ってまいりたいと考えております。

本村委員 事実に基づいたしっかりとした指導をするためにも、こうした根拠資料が必要だというふうに思います。

 是非この委員会で提出をさせていただきたいということで、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

安住委員長 提出というのは、民間企業の資料ということになりますか。

本村委員 はい。

安住委員長 では、理事会で協議します。

本村委員 ありがとうございます。

 次に、資料の五を見ていただきますと、そのJR東海はどういう態度を取ってきたかということなんですけれども、昨年七月十四日の東京新聞の資料を出させていただいております。

 問題が公になる前の五月十四日にあった岐阜県と瑞浪市幹部との会合で、JR東海は、多大な費用と時間を要するため、詳しい原因調査は考えていないと説明をしたことが情報公開によって明らかになっています。岐阜県への、公文書の開示ということで明らかになっております。

 コストと工期優先で、原因究明をして再発防止策をつくることや、あるいは、大湫の水を元に戻すこと、この最大の努力もしていない。このJRの対応というのは大問題じゃないですか。大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 先ほども答弁をさせていただきましたけれども、今、原因の調査につきましては、岐阜県の環境影響評価審査会において審議をされていると聞いております。ある意味、第三者、外部の目というか、こうしたところでしっかりと原因の調査もしていただくということかと思っております。

 そして、先ほども申し上げました、今、応急措置として、上水道を利用できるように工事を実施するというふうに聞いておりますので、地域の方にしっかりと理解を得ていただく取組というのをやらないといけないと思っております。

 私も、先日、JR東海の丹羽社長のところでリニアの工事の視察に行かせていただきました。そのときには、やはりJR東海には、安全や周辺への影響というのは十分配慮して工事を進めていただきたい、そして、工事の状況については、地元の、まさに地域の住民の方へ丁寧に説明をしていただきたい、そして、トラブルがあった場合には速やかに地元関係者に対して情報の共有をしっかりと行っていただきたいということを求めたところでもございます。

 引き続き、指導助言を国土交通省として行ってまいりたいと思います。

本村委員 リニアの問題はこれだけではないわけです。

 東京・町田では、リニア第一首都圏トンネル小野路工区で、民家の庭に気泡と水が湧き出、そして、市民団体の皆さんの調査では、これは酸素濃度一%。もし、密閉されたというか、トイレですとかお風呂ですとか、排気口ですとか排水口とか、そういう空気が出たら、すぐに亡くなってしまう、そういう数値が出ております。これについても、リニアとの関係をJR東海も認めております。

 こういう本当にあちこちで様々な問題があるのがこのリニアです。リニアの工事実施計画を国土交通大臣が認可をして、被害が出ております。どういう責任を感じておられるんでしょうか。

 そして、そもそもリニアは、JR東海の元の社長が言ったように、赤字の事業です。赤字だと分かっている無謀な事業になぜここまで犠牲を払わなければいけないんでしょうか。

 そして、一体いつ開業するんですか。そもそも、品川から大阪まで九兆円と言っていましたけれども、足りないということで十兆五千億円になりましたけれども、大阪まで十兆五千億円でできるのか、どんどん財政投融資を進めていくのか。この点、お答えをいただきたいと思います。

中野国務大臣 開業時期等の御質問がありましたので、そちらのお答えをさせていただきます。

 開業時期につきましては、整備計画決定に至るまでの議論や工事実施計画などにおきまして、品川―名古屋間は令和九年、二〇二七年以降、名古屋―大阪間は令和二十七年、二〇四五年の当初の計画に対しまして、平成二十八年に財政投融資を活用いたしまして最大で八年間前倒しを図ることとされておりますが、いずれにしても、品川―名古屋間の静岡工区の早期着工が重要な課題と認識をしておりまして、国土交通省としても環境整備を進めているところでございます。

 費用面についての御指摘もございました。

 費用面については、令和五年、品川―名古屋間の工事費用を約七兆円とした工事実施計画につきまして認可を行っており、現状の計画で事業を遂行していくものと認識をしております。

 なお、名古屋―大阪間の工事費につきましては、今後、工事実施計画の申請がなされる段階で改めて整理がなされるものと考えております。

本村委員 リニアは、環境破壊、生活破壊、総事業費が膨れるリスク、そして維持管理費がどうなるのか、収入の見込み。そして、巨大地震等、災害のリスクもあります。避難計画はまだできておりません。重大な労災事故が相次いでおります。亡くなられた労働者もおられます。そして、大深度地下法の前提は崩れています。地上に影響が出ております。水がれ、地盤沈下、陥没のリスク。残土、その残土を置くことによって土砂災害のリスクもあります。要対策土の問題もあります。ウラン鉱床、ここの近くも通るということで、その出てきた残土をどう検査して処理をするのかという問題もあります。そして、膨大な電力の消費、気候危機打開にとって逆行する問題。そして、リニアにばかり投資をする中で、在来線無人化、こういうことも進んでおります、値上げも進んでおります。東海道新幹線への影響など、様々問題が山積をしております。

 一旦このリニアは立ち止まるべきです。そして、今指摘をした点を含めて、全体で検証するべきだというふうに思いますけれども、大臣、お答えをいただきたいと思います。

安住委員長 間もなく時間が来ますので、手短な答弁をお願いいたします。

中野国務大臣 以前も答弁を申し上げました、リニア中央新幹線は、様々な、三大都市圏を結ぶ、そして日本経済を牽引する、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図る、国家的見地に立ったプロジェクトではあるというふうにも思っております。

 様々御懸念の御指摘をいただいております。申し上げてきたとおりではありますが、いずれにしても、国土交通省として、JR東海に対し、適切に事業が進められるよう指導助言をしてまいりますし、引き続き、事業が円滑に進むように、関係自治体ともしっかり連携をしていく中で環境整備を進めてまいりたいと考えております。

安住委員長 時間が参りました。

本村委員 無謀なリニア計画は中止をするべきだということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

安住委員長 これにて本村さんの質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 省庁別審査の最後のバッターをさせていただきます。初めてのこうした試みに敬意を表したいと思います。

 ただ、見ていて、いま一つ盛り上がっていない部分もあるかなと思って、私もその一人かもしれませんけれども。やはり、単なる言いっ放しであったら盛り上がりませんから、しっかりと、予算の組替えなりで成果が出る前例ができれば、これからまた盛り上がってくるんじゃないかなと思いますから、この一回で終わらせることなく、これから定例化していただければというふうに思います。

 それでは、まず、財政審の建議について。

 昨年の十一月二十九日に財政制度等審議会の建議が出されまして、そこの中でこうした記述があります。現在の農業の構造的課題は、すなわち、生産、経営において多額の国民負担に基づく財政支援や種々の規制等が存在することにより、生産性向上、経営の効率化が十分に進まず、収益性の向上を通じた産業としての自立化が進まないことである。

 財政支援をやっているから農業は駄目なんだというんですけれども、これは本当なんでしょうか。

 私は農業経済学というものを学んでおりまして、農業経済学科は、経済学部じゃなくて農学部にあるんですね。それはなぜそうなのかということを最初の授業で私たちは習うんです。それは、まず農業というのは、需要に応じて生産できないんです。種を植えて、できる頃にはもう需要は変わっているかもしれなくて、需要があったから即生産ということができない。しかも、在庫が困難でありますから、その日一日一日、一時間一時間、出荷が遅れると、その価格が下がっていく。だから、価格形成が困難なんですね。

 普通のこうした携帯電話は、皆さん、マーケットで決まっていません。大体、物が決まっていて、こういうものを独占価格とか寡占価格といいますけれども、情報が非対称性の中、アダム・スミスの神の見えざる手で値段が決まるという小学校で習うことは、農業の分野ではあっても、一般の経済ではないので。よって、公的な関与が必要であり、どのような公的関与を行うかというのを研究するのが、私がちょっとかじった農業経済というものなんですね。

 だから、そういう中で、農業経済の世界では、ほとんど、財政負担があるから農業が駄目になったなんという議論は、世界中で私は行われていないというふうに思っております。

 この建議の中で、二〇〇〇年度と二〇二四年度を比較して、農業者への直接の財政支援を含む公共事業以外の予算額は、食料安定特別会計への繰入れを除きほぼ同水準である。よって、農業生産の規模を比較してみると、内訳には変化はあるものの、九兆円程度の総額に大きな違いがない。つまり、予算が一定だったら、農業生産も一定だった。それから導かれるのが、農業分野の予算総額の減少が農業生産の減少につながるという明確な関係が見られない。予算が一定で生産が一定なんだから、予算を減らしたって、別に減らされるわけではない。裏を返せば、予算総額の増額がすぐさま農業の振興につながるかというと、つながらない。

 これはまさに牽強付会というんですよ、こういうのを。論理的に破綻しています。予算が維持されているから、人口減少で需要が減る中で生産が維持されたかもしれないし、需要に応じて生産構造が変化したかもしれないのに、そうした政策効果を全く無視して、しかも、これは数学的にもおかしい、論理学的にもおかしい。東大法学部を出た財務官僚というのは、よくこういうことをやりがちなんですね。私は、財務官僚の致命的な欠陥じゃないかというふうにも思います。

 それで、もっともらしく、横文字をこういうときは出すんですね。国際的な農業保護の水準を示す指標であるPSE、プロデューサー・サポート・エスティメートを参照すると、OECD各国との比較において、日本はPSEの比率が相対的に高い状況にある。

 確かに、PSEはOECD諸国の平均より高いんですね。このPSEというのは、直接支払いと、関税等の生産者への間接的な所得移転の二つで成り立っています。後者はMPS、マーケット・プライス・サポートというんですけれども、これは日本と韓国だけ、OECDの中では高いんですね。

 日本は、直接払いじゃなくてこのMPSが九割なんです、占めているのは。日本は農産物の関税は極めて低水準でありますから、MPSの大部分は、内外価格差から計算される計算上の数値なんです。日本の農産物の価格と海外の農産物の価格の差から計算、出されたものであって、ここに財政支出とかは関係ないんですよ。全然関係ないんですよ。

 すなわち、PSEが高いということは、単に日本が他の先進国に比べて直接支払いが著しく低いということを示しているにすぎなくて、財政支出が多いなんてどこにも書いていないのに、そういうふうに曲解しているんです。引いている三菱総研のところを見たって、そんなことはどこにも書いていないんです。ネット上を漂う偽情報と変わらないレベルのことを財政審建議は言っている。とても学問的な裏打ちのあるものとか、最近はやりのEBPMと言われるエビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングにもなっていない。

 財務大臣、本当にこれは恥ずかしいレベルだと思うんですよ、申し訳ないですけれども。私が大学で教えているとき、こういう論文が出てきたら不可にします。本当に農業経済学とかの専門家の意見を踏まえて資料を集め、作っているのか。是非コメントをお願いいたします。

加藤国務大臣 済みません、私も経済学部で農業経済を直接勉強したわけではありませんけれども、ただ、若干はかじらせていただきましたが。

 財政制度審議会の財政制度分科会の委員の中には、御指摘の農業経済学を専門とする委員はいらっしゃらないというふうに認識をしています。様々なバックグラウンドを有する、いわゆる有識者の方々が委員を務めておられます。

 ただ、農業関係で申し上げれば、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会の委員を務めている方がおられるということであります。また、必要に応じて、各分野の有識者からもヒアリングを行っていたと承知をしております。

 そうした中で、財政審において議論していただいた結果が、今委員がおっしゃられた文書であります。

福島委員 私はこれは怪文書だと思います。

 そこで、農水大臣、一番農業のことに詳しい、農家の気持ちが分かる江藤大臣にお聞きしますけれども、この中の建議で、新基本法改正前は唯一の目標とされていた食料自給率は、国内生産と消費に関する目標の一つとして相対化され、そのほかに食料安全保障の確保に関する事項の目標を設定することとされており、国内生産の増大のみを重要視する考えには立っていないと書いてあります。

 輸入に関しては、現在の輸入品の大宗が、政治経済的に良好な関係の国からのものであることを踏まえれば、こうした品目については、あえて国民負担で国内生産を拡大するということではなく、輸入可能なものは輸入し、ほかの課題に財政余力を振り向けるという視点も重要である。食料安全保障の確保に関する政策目標として食料自給率のみを過度に重視することは不適当と言わざるを得ず、新基本法の趣旨にも必ずしも合致しない。

 これは本当にそうなんでしょうか。私はそうだと思ったから、去年の食料・農業・農村基本法の改正法案には、私たちの会派は反対をいたしました。

 財政審議会のこの建議の、食料安全保障に関する政策目標として食料自給率のみを過度に重視するということは不適当とか、新基本法の趣旨に必ずしも合致しないということ、これはまさにこの法律の所管大臣としてどういう御認識か、お聞かせいただければと思います。

江藤国務大臣 余り波立たせることは申し上げたくはないんですが、財政審のこの文書を私もしっかり、何度も何度も繰り返し読ませていただきました。

 受け止めなければ仕方がない、仕方がないというところですよ。尊重するとか言っているわけではありません。指摘は指摘として、それを受け止めさせていただくというところであります。

 食料安全保障を確立していく上で、自給率はもちろん大事ですけれども、基本法、反対はされましたけれども、しかし、今度は人、農地、技術といったところ、食料自給力、そういったところにもしっかり目標を定めてやっていく。食料安全保障の確保に、実行に対する目標、PDCAサイクルもしっかり回して、検証するシステムをつくっていくということになりますので。

 反対された気持ちは分からないではありませんが、エビデンス・ポリシー・メイキングというお話をされました。やはりエビデンスに基づいて、エビデンスはやはり現場に転がっているわけでありまして、現場にあるわけであって、そのエビデンスに基づいてポリシーメイキングを私としてはしていきたいと考えております。

福島委員 現場に基づくなら、やはり私は、受け止めなければならないじゃなくて、受け止めてはいけないと思います。しっかりと、事実に基づいて反論していただければと思います。

 同じ建議の中で、水田活用の直接支払交付金について、食料自給率の観点からも非効率な飼料用米の交付単価の引下げを令和七年度予算においても引き続き実施と書いてあります。

 これもすごく気になる表現で、これは、この建議の、食料自給率の観点からも非効率な飼料用米、そういう認識で共有されていますか。

江藤国務大臣 しっかり受け止めると言ったので、余り批判的なことは言えませんが、私は、飼料用米についても、しっかり耕畜連携の中で結びつきができている地域はたくさんありますよ。

 そして、食料自給率と同等に、飼料自給率の向上ということは、日本の畜産の政策をこれから進める上で大変重要な柱でありますので、飼料についてもしっかり支援をしていきたいと思っております。

福島委員 それでも、いよいよ予算ですけれども、来年度、令和七年度予算案で、水田活用の直接支払交付金は百四十五億円も減額になっているんですよ。

 なぜこれは減額されているか。端的に、簡潔にお答えください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 水田活用の直接支払交付金等につきましては、令和七年度当初予算では二千八百七十億……(福島委員「もうそれはいいから。何で減っているか」と呼ぶ)

 前年度からの減少要因につきましては、畑地化による交付対象水田の減少や飼料用米等の減少を反映させたものとなっております。

福島委員 だから言っているんですよ、大臣。

 この財務省の建議のとおりに、予算削減の手段として、飼料用米が減っている、減らしているじゃないですか。そう思わないんだったら、その予算を減らしちゃいけないんですよ。もっと飼料米を作ってください、交付金を用意していますからと言わなきゃならないのに、現に減らしているわけでありますね。

 今日の大臣の冒頭の発言でも、飼料の国産化と言っているけれども、やっていることが全く違うんですね。

 資料一を御覧ください。

 これは飼料自給率の推移でありますけれども、もう大臣はプロでありますからあえて申し上げませんけれども、粗飼料と濃厚飼料に大体飼料は分かれますね。粗飼料はそれなりの自給率がある。でも、まだ八〇%ですから、もっと私はこれは高めていかなければならないと思っています。

 そして、何よりも濃厚飼料の自給率が低くて、この濃厚飼料として期待されるのが飼料米だったわけですよ。自給率を上げるためにこれを上げなきゃならないのに、予算を減らしているんですね。

 それだけじゃなくて、私の笠間市の某農村では、四十年以上前から、当時の町長のリーダーシップで、国の減反政策に協力しようということになったんですね。地域の何十町歩かある田んぼを真っ二つに分けて、低いところは水田、高いところは、今までちょっと傾斜があったんですけれども、全部ならして、そこで飼料作物をして、そこに水田活用の交付金もやりながら、集落営農の中で利益を配分していったということをやっていました。田んぼを持つ中には酪農家もおりまして、そこの酪農家に飼料を出していく。長年地域で理想的な耕畜連携が進んでいたと私は思います。

 でも、今度、水張り要件ができて、これができなくなると大騒ぎになったんです。大規模な機械を入れるために、牧草地帯はもう畦畔を全部取っちゃっている。土地改良をその間やったんだけれども、ため池は、半分しか水を満たせない能力しか持たないため池しか造らなかったから、今から水を張れといったって、水がない。畑地転換してやっても一時的にしか畑地転換のお金は出ませんから、直接払いじゃないんですよ。

 だったら、今、そんな牧草なんかを作るより、茨城名産の乾燥芋の芋を作ってしまえということになって、そうすると、今度は酪農家は餌を買わなきゃならないから、それでは経営が成り立たない。これは全部が壊れてきちゃうんですよ。皆さん方が、農水省がやった政策のせいで、せっかく理想的な自給飼料による耕畜連携をやっていたのが、これが全部なくなっちゃうんですね。

 こういうことは、一番、大臣、気持ちが分かると思いますけれども、気持ちが萎えるんですよ。せっかく、減反もやってきたし、飼料米とか飼料作物を作るというのにも協力してきた。耕畜連携にも協力してきた。それを全部ぶち壊しちゃったのがこの制度なんですね。制度によってそうしたものになる。

 私は、やはり飼料作物にもちゃんと直接払いが必要だと思うんですよ。これもいろいろ、今まで直接払いは飼料米とかには出ただろうし、でも、ぼこぼこなんですね、飼料作物には出ない、飼料米には出るとか。いろいろ波がある部分をちゃんと直接払いにすれば、安定して飼料米もできるし、安定した飼料作物の生産もできるし、それができれば地域の耕畜連携も進んでいくと思うんです。

 今、大臣、これから直接支払いの見直しをされるということでありますけれども、先日出された水田政策の見直しの方向性では、国産飼料の生産性向上を図るため、飼料用米中心の生産体系を見直し、青刈りトウモロコシ等の生産振興を図る。これも、青刈りトウモロコシを作るためには、今度は畦畔を取らなきゃならないから、今度は畑地化といって、畑地化すれば、これはさっきの答弁でもあったように、予算を削るんですよ。飼料米を作らせないでトウモロコシを作らせて、予算を削る先兵に農林水産省がなっているんじゃないかとも思わざるを得ないんですね。これはもうみんな見抜いているんです、現場は。

 だからこそ、私は、ちゃんとした直接支払いを飼料作物にも行って、やはり耕畜連携を安定して進められるような環境を整えた方がいいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 かなり重厚な御質問をいただいたので、お答えするのが大変難しいんですが、まず、予算が減ったから飼料米の作付が減ったというのは、ちょっと違うんだろうと思います。やはり主食米の方に、飼料米よりも転換が進んでしまいました。十四万ヘクタール以上あったのが九万ちょっとぐらいまで今減っていますから、それは農家の方々の自主的な御判断によって飼料用米からやはり主食用米に戻ったということであって、予算の増減によってそのような誘導がされたというのは、ちょっと違うんだろうと思います。

 ただ、青刈りトウモロコシの話が前に出過ぎておりますが、決して飼料米を今後は要らぬという話をしているわけではありません。配合飼料メーカーでもしっかりこれを受け入れる体制ができているところもありますし、それから、豚肉なんか、鳥肉なんかにしても、米を食べさせることによっていわゆるブランド化ができているようなものもありますので、そういったものを壊すつもりはありません。

 ただ、農地の、これから、いわゆる六十五歳以上の農業人口が増えている人口の構成を見ると、兼業農家を含め、小規模な農家が、特に飼料用米は手間がかかりませんから、そういうところが営農をやめてしまう可能性が高い。そういうところを、今、地域計画でまとめて、いわゆる中間管理機構にしっかり整備をしてもらおうということであります。

 そういったときに、面積が広くなったら、いわゆる青刈りトウモロコシ、これは理想的な数字ですけれども、労働時間は米の七分の一、そして、しっかり取れれば収量も二倍ということでありますから、少ない人数で、少ない労力で収益を上げるためには青刈りトウモロコシも有効であろうということで、ある意味、今まで飼料用米一本足打法だったところを、しっかりほかの柱も立てていこうという考え方でございます。

福島委員 選択肢を増やすことはいいけれども、田んぼに対する交付金を減らすための手段としてやらないように注意していただきたいというふうに思っております。

 今、ちょうど地域計画の話が出たので、その話をいたしますけれども、私の地元の水戸で、若手の専業農家の後継ぎの人たちの、私と同世代なので、よく飲んだりする仲間のグループがあるんですけれども、でも、飼料米に熱心に取り組んでいるんですよ。奥さんには何で主食用米を作らないのよと言われるんですけれども、でも、やはり耕畜連携が大事で、これから濃厚飼料の飼料米が必要だからと、高い志を持って、たとえ主食米が高くなっても、飼料米を作ろうと歯を食いしばっている人たちも私の地元にはいるんですね。

 その人たちが大規模化のために農業機械を導入しようとしても、補助金がポイント制になっているんですね。ポイント制になっているから、全然つかないんですね。これは、付加価値額とか経営面積の拡大がポイントとして重視されます。大規模農家が更に大規模になるのは結構つきやすくて、お金がつくんですよ。今、家族経営でやっている人たちが、もうちょっと広げようという、その規模の人は全然つかないと言っていて。みんな若いんです、私も同世代ですよ。これから子供たちにも継がせるためにもっと広くやりたいといっても、なかなかポイントがつかないというふうなことを聞いております。

 今、人・農地プランに代わる地域計画というのを作らせようといって、正直、全然盛り上がっていないですよね。茨城県を回っていると、何だこれといって、どうせ、こんなのを作ったって何のメリットもないじゃないかといって、全く熱がないんですね。

 確かに、今回、農地利用効率化交付金というのができて、地域計画の目標地図に位置づけられた者が三割補助の予算、これは全部ポイント制なんですよ。だから、みんな真面目に地域計画を作ろうとしないんですよ。お役所の人だけが汗をかいて、地域に根差したものになっていないんですね。

 これはもうちょっと実態に根差した、単にポイントで機械的にやるだけじゃない、そうしたものにした方がいいと思うんですけれども、どうでしょうか、大臣。

江藤国務大臣 お気持ちはよく分かります。よく分かります、私も。

 しかし、原資をあくまでも税金に求めている以上は、客観的な評価に堪えられるということも一方ではやはり求められるというのは、これは宿命としてあると思います。

 予算の話を少ししますと、令和五年は八割しか採択ができませんでした。令和六年は半分の五割しか採択ができませんでした。いわゆる本当に頑張ろうという人が採択ができなかったことは、それは申し訳ないと思っています。ですから、令和七年の予算は倍にしました、十一億から二十億に。そして、今おっしゃっていただいたように、積極的に白地を引き受けていこうという人については、御指摘の支援タイプを創設して、上限も三百万から一千五百万まで上げることにいたしました。

 ただ、おっしゃるように、もう既に大規模化して、ある程度のパワーというか規模のある人についてはハードルを越えやすいということはあると思います。そして、その上限も、限られた予算の中で上限金額が上がれば、対象となる人数が今度は逆に減ってしまいますので、ここもすごく自分としても悩ましいところです。

 たとえ小規模であっても、大規模でなくても、頑張ろうという人に何とかこういったものが行き渡るにはどんな工夫があるか、しっかり考えたいと思っています。

福島委員 私は、ポイント制が悪いと思うんですね。何でそういうことになるかといったら、現場を今の農水省が知らないわけです。別に農水省だけが悪いわけじゃないんですけれども、こうやって農村に入って、農家の姿を見ながら、農家に寄り添って政策を講じるという公的組織がばらばらなんですね。

 かつて、昭和の合併のときの村単位、私の地元では大字単位に農協が大体あったわけですよ。でも、今、広域合併で市町村より広いエリアの農協になって、遠い存在になっております。営農指導なんて本当に手薄です。農業普及指導員、これも県が予算を減らして、どんどん減っております。土地改良区の役員も、今、水代を徴収したらトラブルになるからやりたくないと、みんなやらないんですね。市町村も、私、農村ですけれども、農政課じゃないんです。大体、経済課とか商工課の中に農業係があるといって、ほとんどそういう地域に割って入れる方がいないんですね。

 資料二、農水省の定員の推移。

 これは、平成七年、私が役所に入ったときからあえて取ったんですけれども、本省は下のブルーのところで、微増なんですよ。地方は二分の一以下になっております。

 その次の資料に、農水省の地方支分部局。

 かつては食糧事務所とか統計事務所がありましたから、平成七年には八百二十六あったのが、今は各県に一つぐらいになっちゃっていて、県庁所在地にあったって、農村からは離れていますから、およそそうしたところに行けないんですね。私が行くと、最近そういえば農水省の人というのは見ないね、農水省というのはまだあるのなんて言われるんですよ。

 昔は、統計事務所の人が田んぼを見ながら、今年の作柄はどうとか、今度こういう制度ができたから使ってみないかとか、そういう対面でやっていたんです。だから、ポイント制をやらなくたって、ここの農家はやる気があるからここにつけてやれというのができたんですよ。今、それが分からないから、関係がないから、ポイント制みたいな冷たいことでやらざるを得ないんですね。

 来年度予算での定員を見ても、全省庁の中で定員が減っているのは私のいた経産省と農水省だけですよ。経産省はマイナス一、農水省はマイナス二百九。農水省で減らした分でほかの役所の定員を増やしているのが実態なんです。減っているのはみんな地方ですよ。どんなにいい政策をつくっても、これじゃ実効性あらしめられないんですよ。

 私は、農水省の定員を増やすだけじゃなくてもいいと思うんですよ。普及員、あるいは地方の農政課、農協、土地改良区、様々な公的、あるいは農業共済、そうしたところも併せて、しかし農家に寄り添うという、そうした地方のセンサーなり御用聞きなりをつくらなければならないと思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

安住委員長 福島さん、あと一分ちょっとなので、最後の答弁ということにしますので。

 簡潔に、江藤農林水産大臣。

江藤国務大臣 大変ありがたい御指摘をいただいたと思っています。

 政策を、いかにいいものをつくっても、それが現場の意見を反映できていない、そして現場に届かないということであれば、それは実効性がないということであります。

 私も、昨年農林水産大臣に再びなって、何とか定員については配慮してほしいという努力はいたしました。特に、地方では参事官とかそういうシステムをつくりました。つくりましたが、それで十分だとは決して思っておりません。

 しっかりエビデンスに基づいてポリシーメイキングをして、そしてそれが地方参事官や地方の職員を通じて現場に反映をされ、そしてそこからまた跳ね返りがあって、それがまた東京でのポリシーメイキングに生かされていく。そんなシステムになるためにも、しかるべき定員要求はしっかりしていきますので、よろしくお願いいたします。

福島委員 この秒針であと一分あるので、いいですか。

安住委員長 いやいや、この紙が届いたらもう終わりなんです。あと二秒です。

福島委員 分かりました。

 では、最後に申し上げますけれども、財務省の論理とかザイム真理教に染まらない農政を、是非とも江藤大臣、お願いをしまして、質問を終わりにいたします。

 どうもありがとうございます。

安住委員長 これにて福島君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして省庁別審査は終了いたしました。

 次回は、来る十日午後一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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