第9号 令和7年2月13日(木曜日)
令和七年二月十三日(木曜日)午前九時四分開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
井野 俊郎君 鬼木 誠君
国光あやの君 河野 太郎君
後藤 茂之君 小林 茂樹君
佐々木 紀君 高木 啓君
田中 和徳君 谷 公一君
津島 淳君 土屋 品子君
寺田 稔君 中曽根康隆君
西銘恒三郎君 平沢 勝栄君
深澤 陽一君 古屋 圭司君
松島みどり君 山田 賢司君
池田 真紀君 今井 雅人君
大西 健介君 神谷 裕君
川内 博史君 黒岩 宇洋君
近藤 和也君 酒井なつみ君
重徳 和彦君 階 猛君
藤岡たかお君 本庄 知史君
米山 隆一君 早稲田ゆき君
池下 卓君 奥下 剛光君
徳安 淳子君 西田 薫君
岡野 純子君 長友 慎治君
橋本 幹彦君 赤羽 一嘉君
大森江里子君 河西 宏一君
櫛渕 万里君 阪口 直人君
田村 貴昭君 緒方林太郎君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
経済産業大臣 武藤 容治君
国土交通大臣 中野 洋昌君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣 三原じゅん子君
財務副大臣 斎藤 洋明君
政府参考人
(こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 望月 禎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡本 利久君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長) 鷲見 学君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 黒田 秀郎君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田尻 貴裕君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 塩見 英之君
政府参考人
(防衛省大臣官房長) 萬浪 学君
政府参考人
(防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君
予算委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
委員の異動
二月十二日
辞任 補欠選任
藤岡たかお君 長谷川嘉一君
本庄 知史君 東 克哉君
橋本 幹彦君 福田 玄君
大森江里子君 平林 晃君
田村 貴昭君 本村 伸子君
同日
辞任 補欠選任
東 克哉君 本庄 知史君
長谷川嘉一君 藤岡たかお君
福田 玄君 橋本 幹彦君
平林 晃君 大森江里子君
本村 伸子君 田村 貴昭君
同月十三日
辞任 補欠選任
伊藤 達也君 津島 淳君
高木 啓君 佐々木 紀君
田所 嘉徳君 中曽根康隆君
土屋 品子君 松島みどり君
深澤 陽一君 鬼木 誠君
酒井なつみ君 重徳 和彦君
藤岡たかお君 池田 真紀君
西田 薫君 奥下 剛光君
橋本 幹彦君 岡野 純子君
櫛渕 万里君 阪口 直人君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 深澤 陽一君
佐々木 紀君 高木 啓君
津島 淳君 伊藤 達也君
中曽根康隆君 井野 俊郎君
松島みどり君 土屋 品子君
池田 真紀君 藤岡たかお君
重徳 和彦君 酒井なつみ君
奥下 剛光君 西田 薫君
岡野 純子君 橋本 幹彦君
阪口 直人君 櫛渕 万里君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 田所 嘉徳君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○安住委員長 これより会議を開きます。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。
この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、こども家庭庁成育局長藤原朋子君外十六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。
○鬼木委員 おはようございます。自由民主党、鬼木誠でございます。
本日は、予算委員会での質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、受益と負担の見える化というテーマで質問をさせていただきます。
さきの衆院選の結果に見えるように、現在、日本国民の多くは、税や社会保険料の負担を大変重たいと感じていて、その改革を強く望んでいます。この負担の重たさの原因とその解決策について議論したいと思います。
まずは、戦後の日本がどうやってつくられていったか。一九五五年に結党されました自由民主党の立党宣言を紹介したいと思います。
政治は国民のもの、すなわちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある、我らは、この使命と任務に鑑み、ここに民主政治の本義に立脚して、自由民主党を結成し、広く国民大衆とともにその責務を全うせんことを誓うというのが立党宣言であります。
この立党宣言のとおり、自民党は、高度経済成長とともに民生の安定と福祉の増進を実現してきました。そういう意味では、給付の面では大きな政府をつくってきたと言えると思います。世界に誇る国民皆保険や年金制度、新幹線や高速道路網に上下水道の普及、大きくくくって言えば、社会保障とインフラを整備し、全国民に供給してきました。これは自民党のみの努力によって実現したものではありません。国民が欲し、野党が求め、与党が実現させた歴史的産物だと言えると思います。
一九五三年、田中角栄氏らが中心となって、議員立法で道路特定財源をつくりました。そして、一九七二年に田中内閣となり、田中角栄内閣、日本列島改造論で全国に道路網を整備しました。また、一九六一年、池田勇人内閣において国民皆保険、国民皆年金の制度ができ上がりました。
普通、大きな政府といえば、給付、国民が受けるサービスも大きいけれども負担も大きくなる。北欧などの福祉国家では国民負担は大きいとされております。受益と負担の大きさは比例し、セットで語られるものであります。
ところが、日本では、社会保障の給付制度が先に実現をして、そして負担増が後からやってきているというのが今であります。社会保障の仕組みが先にできて、利用者が後から増えてきた。少子高齢化により、社会保障サービスを受ける人が増え、それを支える人口が減り続けている。生産年齢人口が減り続ける中で増え続ける高齢者を支えているものだから、支える人一人当たりの負担がどんどん重たくなっている。これが重たい負担の一番の原因で、人口構造に起因しているものだと言えます。
また、インフラについて言えば、八潮市の道路陥没のように、高度成長期に造られた公共インフラが一斉に老朽化をしております。国交省資料によれば、二〇四〇年には道路橋の七五%が建設から五十年を超えます。また、同じく二〇四〇年には生産年齢人口は二割減るという見通しもあり、社会資本の老朽化に対しいかにメンテナンスしていくかも重たい課題となっております。
人手不足がこれからますます深刻になる中、下水道に起因する道路陥没事故も多く発生していると聞きますが、国民の利便や安全に関わる公共インフラをいかにして更新あるいはメンテナンスしていくのか、国土交通大臣にお示しいただきたいと思います。
○中野国務大臣 鬼木委員の御質問にお答え申し上げます。
今後のインフラメンテナンスの在り方ということで、大変に重要な御指摘だというふうに思っております。
今般、埼玉県の八潮市で発生をいたしました陥没の事故は、下水道の破損に起因をすると考えられております。委員からも御指摘ございましたけれども、今、全国では、下水道に起因する道路陥没、令和四年度でいいますと年間約二千六百件発生をしております。我が国の公共インフラは、高度経済成長期以降に集中的に整備をされまして、現在、老朽施設の割合というのは非常に加速度的に高まっておりますので、その的確な維持管理、あるいは更新の重要性というのは、ますます重要になってきているというふうに考えております。
その中でどうしていくのかという委員の御質問でございましたので、国土交通省といたしましては、施設に不具合が生じてからではなく、定期的に点検をし、緊急度に応じて対策を講じる、予防保全と呼んでおりますけれども、予防保全型のメンテナンスへ転換をしていく、これを加速をしていくということが重要であると考えておりまして、今その取組を進めております。
あわせて、今後人口減少も進んでいくということもございますので、施設の更新等に当たっては、地域の将来像も踏まえまして、やはり、インフラを集約化していったり、あるいは再編をしていったりということも必要となってくるものもあろうかというふうに思います。こうした取組を行うことによりまして、将来、この維持管理、更新費というのは非常に増加が見込まれるわけでありますけれども、これを縮減をしていく。予防保全、あるいはインフラの集約、再編ということでこの費用を縮減をしつつ、一方で、必要な修繕や更新等の予算については的確に確保しないといけないと思っておりますので、これは国土強靱化実施中期計画の策定に向けましてしっかり調整をしていきたいというふうに考えております。
また、最後に、あわせまして、小規模な、小さな自治体におきましては、人も含めて体制面の課題も今非常にありますので、複数自治体のインフラを一つの群、一群として捉えて管理をするような取組でありますとか、あるいはロボットなど新技術の導入、こうしたことも推進をして、しっかりと公共インフラの維持管理、更新というのを図っていきたいというふうに考えております。
○鬼木委員 人も減っていく中、しかも財政的にも厳しい中でどうやって維持更新していくのか、本当に大変な世界が待っているんですが、本当に、まずは点検をしっかりして、予防をしながら、国民の安全を守りながら更新を進めていただきたいと思います。ロボットという答弁もございましたが、i―Construction等も国交省さんで進めておられまして、是非頑張って国民の命を守っていただきたいと思います。
国民負担が重い、そして自分の負担が何に使われているのか分からないといった不満が国民の中に蓄積しております。総理の言葉で言えば、納得と共感が得られていないということだと思います。自分の負担が自分のために使われているという納得感がないわけであります。
国民が背負っている負担に対して、行政サービスとか社会保障、そういう、どういった反対給付があるのか、国民にとって受益があるのか、政府はもっと説明を尽くすべきではないでしょうか。
そこで、私からの提案でありますが、国民が国から受けている利益、これを受益と呼びますが、国民が税や社会保険料で負っている負担をもっと分かりやすく見える化したらどうでしょうか。受益と負担を見える化した上で、どれだけの負担が是認できるか、国民的議論を進めることが喫緊の課題であると考えます。
例えて言えば、日本の社会保障は大変すばらしいものがあると思います。国民皆保険制度が確立しており、全ての国民が健康保険に加入していて、いつでも、どんな診療科でも、それも二割負担や三割負担という安さで受診することができます。重い病気になって手術が必要になっても、一定額以上の負担は保険制度でカバーができます。(発言する者あり)そうです、その議論をしています。
○安住委員長 やじに答えなくていいですから。
○鬼木委員 はい。
毎月百万円治療費がかかっても、支払い額は所得によって決まった上限金額、八万円なら八万円、三万五千円なら三万五千円で抑えられています。そして、その差額は保険が負担してくれています。
日々、私たちが当たり前のように享受しているこうした社会保障は、世界では当たり前ではありません。病気になれば全額自己負担、そして、お金がなければお医者さんに診てもらうこと自体できないというのが、世界の中では多くの国々がそうであります。
しかし、さすがの日本の誇る保険制度も、支える人が減り続け、医療利用者が増え続ければ、お金がどれだけあっても足りなくなってきます。保険料を上げたり税を増やしたりして、制度の維持を図っているのが今だということになります。
保険制度を支えている保険者、保険者というのは健康保険事業の運営主体のことでありますが、この保険者も、もう制度が維持できずに解散が相次いでおります。制度が維持できなくなれば、皆保険も高額療養費も、そもそもそれ自体がなくなってしまいます。制度を持続可能なものにするためには、負担増を求める場面も出てまいります。
先ほど申し上げましたが、大きな政府は、国によるサービスも大きいけれども国民負担も大きい。例えて言えば北欧諸国でありまして、充実した社会保障の一方で国民負担も大きいものです。富の平等な分配という意味では社会主義的な方向性でもあります。
そして、小さな政府は、例えばアメリカであります。国家の規制や干渉を最小限にとどめて個人の自由と責任を重んじる、経済的自由主義的であるとも言えます。
そうした二つの方向性がある中で、つまり、サービスと負担というのは正比例するものであるということであります。ということは、国民負担を下げるためには、国によるサービスを減らさなければなりません。支える人口が減る中でサービスを維持しようとするなら、負担を増やさなければなりません。
私の言う受益と負担の見える化とは、国によるサービスの現状と国民負担の現状を国民に理解してもらった上で、手に入れたいサービス水準、是認できる負担水準を選択してもらおうという考えであります。もちろん、高いサービスには高い負担水準が伴い、低いサービスであれば低い負担に抑えられることになります。社会保障制度が持続可能なサービス水準と、国民生活が持続可能な負担水準のバランスを、国民的議論の下でつくっていこうということを提案させていただいております。
受益と負担の見える化によって、国民的議論の下、国民にとって納得のできる国民負担を構築することについて、財務大臣の御所見をお聞かせください。
○加藤国務大臣 まず、おっしゃるように、税金や、あるいは保険料という形で御負担をお願いをしている。そして、その負担の給付としては、年金、医療などの社会保障給付、あるいは教育、防衛などの公共サービスが提供されている。この関係をしっかりと説明をしていく。今、委員の言葉で言えば見える化をしていく、これは非常に大事なことだというふうに思います。
それから、大きい政府、小さい政府のお話がありました。やはり、自助、共助、公助、ここをどう組み合わせていくのか。これはそれぞれいろいろな考え方が、国ごとによっても、また日本の社会の中においても、多分、いろいろあるんだろうと思います。そこをどういう考え方にのっとってやっていくのか、これも非常に大事だと思っております。
社会保障制度では、御承知のように、国民皆年金、皆保険を、我が国としては、先ほどおっしゃった一九六一年をスタートとして、今それを維持しているわけでありまして、その中においては、サービスに見合う形、他方で、負担能力も踏まえて社会保険料を設定し、税財源も活用する形で国民の皆さんに御負担をいただいている。そういった中で、国民一人一人の多様なニーズに応じた支援を提供することが可能になり、そして、今日の我が国の長寿、健康、こうした生活の安定、これにつながっているというふうに思いますし、消費税は、御承知のように、社会保障四経費に使うを明記し、また、毎年の一般会計の予算総則においてもその点を説明を付させていただいているところでございます。
委員御指摘のように、まず見える化、そして先ほど申し上げた考え方を整理しながら、同時に、私どもとしては、やはりいかに効率的に予算というものを、より効率的な形にしていく。そして、執行に当たってもそれを厳正に執行していく。そういったことも含めて、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
○鬼木委員 国民負担が重くなってきたことによって、給食を無償化してほしい、教育を無償化してほしいというニーズが高まっています。手取りが減り、生活が苦しくなっている分、そうした国民の要求が高まるのは無理もないことと理解しております。
しかし、ここであえて考えなければならないことは、何かを無償にして国民生活が楽になったように見えても、それを支払う主体が国につけ替えられただけで、結局、請求書は国民に回ってくるということであります。それも、これらのサービスの受益者でない人々もそれを負担することになるということであります。
多くの方が何々無償化ということに賛成しがちでありますが、それは、自分がそれを負担するとは思っていないからかもしれません。何々無償化についても、その財源を明示し、誰のどのような負担によってそれが実現するのかを示すことが受益と負担の見える化であります。
受益だけでなく負担を示した上で実現するかしないかを国民に問うべきだと考えますが、財務大臣の御所見をお聞かせください。(発言する者あり)
○安住委員長 御静粛に。
○加藤国務大臣 それぞれの政策の無償化に当たって、まずは、個々の制度の政策目的の達成にそうした対応が効果があるのか、あるいは、家計を支援する様々な政策がいろいろ行われておりますけれども、総合的に、行われていることとの関係、安定的な財源の関係など、いろいろな点について総合的に考える必要があるというふうに思っております。
また、予算編成に当たっては、従来から、真に必要な財政需要に対応するため、恒久的な歳出を増加させる場合には、これに対応した安定的な財源を個別に確保することで対応してきたところでございます。
今、各種政策の無償化を含めていろいろ議論を進めていただいておりますが、そうした観点も踏まえて議論されていくことになるだろうというふうに思いますし、同時に、安定財源の確保については、受益と負担の関係、委員御指摘の点でありますが、よく整理をしていくということも大事な視点であるというふうに思います。
○鬼木委員 財源として国債発行でいいじゃないかと言う方もおられます。しかし、現在、これほど国債残高が積み上がった中で、金利が上がろうとしている局面でもあります。国債発行は、目の前の支払いを先送りすることになるので、一時的には楽になりますが、将来世代に元金と、さらには利息の支払い負担を負わせることになります。
令和六年度当初予算の国債費、国債償還のための元利金は二十七兆円と一般会計歳出額の二四%を占めており、財政を圧迫しております。高度成長期以来積み上げてきた国債の返済とその利払い負担が今の私たちの苦しさの一因となっております。(発言する者あり)
○安住委員長 御静粛に。
○鬼木委員 これは、国民が欲し、野党が求め、与党が実現してきた……(発言する者あり)いや、今もそうなんですよ。今もそうなんですよ、皆さん。理解してくださいね。国民が欲し、野党が求め……(発言する者あり)
○安住委員長 ちょっと静粛に。
鬼木さん、こちらと質疑して。ちょっと、立憲うるさい。
○鬼木委員 金利が上がれば国債の価格が下がります。国内で国債を購入した金融機関や、GPIF、私たちの年金を運用している基金などが含み損を抱えることになります。国債は国内で消化しているから大丈夫ではなく、国内の金融機関や自治体、そして私たちの年金運用が損失を被ることになるわけであります。
金利上昇局面で更に国債発行頼みの財政運用をすることはどのようなリスクを負うことになるのか、財務大臣、お答えください。
○加藤国務大臣 金利上昇の影響について一般論として申し上げれば、現在、債務残高対GDP比が世界最悪の水準でもある我が国においては、特に、金利が上昇し利払い費が増加すれば、政策的経費が圧迫されるおそれがあるというふうに考えます。
先般、財務省より国会に提出しました後年度影響試算では、金利が一%上昇した場合の利払い費を含む国債費の影響額は、令和八年度にはプラス〇・九兆円、今後以降、高金利の国債に置き換わっていくわけでありますから、令和九年度には二・一兆円、令和十年度には三・七兆円増加するという試算となっております。
また、国債発行に依存するリスクについて、例えば、国債の格付が下がった場合の影響について申し上げれば、国債の信用に連動して国内の金融機関や企業の社債等の信用が低下したり、国債が外貨調達の際の担保として認められなくなることなどを通じて企業等の資金調達コストが上昇する場合があるといった指摘がなされているものと承知をしております。
いずれにしても、経済あっての財政の考え方の下、潜在成長率の引上げに重点を置いた政策運営を行うとともに、歳入歳出両面の改革を継続し、力強く経済再生を進める中で財政健全化も実現し、経済再生と財政健全化の両立を図っていきたいと考えています。
○鬼木委員 いろいろな御意見がどんどん傍聴席から飛んでいまして、それは自民党がやってきたことじゃないかとおっしゃいます。それは否定しません。
制度は一緒につくってきたんですよ。財政制約がある中で、時には自民党が大盤振る舞いしたこともある。逆に、自民党が、いや、それはできないと言って渋ったこともある。渋ったときには、自民党はけちだといってたたかれますけれども、やはり財政に責任を負っている、将来に責任を負っているわけですね。
今、人口構造が変わって大変みんなが苦しい時代になっている。だから、自民党の功罪も含めてちゃんと反省をして、今からの時代の負担をどうやってつくっていくということをみんなで議論しようという提案であります。
私は銀行員でしたので、売上げが先に現金で入ってきて、仕入れの支払いが後からというビジネスモデルがあります。そういうビジネスモデルは、売上げが増加していく成長局面では、資金繰りの苦労がなくて、どんどん急拡大するんですけれども、売上げと成長が止まった瞬間に資金繰りに窮するわけです。この構図に今の日本はそっくりなんです。高度成長期に税金や年金などの掛金、現金がどんどん入ってきたんだけれども、それを次世代の支出のためにためて、運用して、増やしておかないといけなかったものを、無駄遣いがあったわけですね。無駄な事業や、年金、グリーンピアみたいな破綻もありました。
そこで、道路を保守、更新するための道路特定財源も廃止してしまったわけですね。道路や下水道をこれからどうやって更新していくのか、財源はどうするのか。とにかく私たちは、過去のことも反省しながら、未来にどういう国を残すのか、そして、国民の負担をどうやっていくのかという真剣な議論を今政治がやっていかなければならないわけであります。
二月の七日にIMFからの発言がありました。無償化の議論と同様に、一見して負担減のみに見える提案、百三万の壁でありますけれども、意思決定に際しては、その財源を明示して議論することが重要であります。二月七日にIMFが、日本の債務残高が高止まりする中、百三万の壁の引上げについても、追加歳入の確保若しくは歳出削減によって補われなければならないと指摘をしております。財務大臣の受け止めはいかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今回、IMFのステートメントでは、財政余地が依然限られている中で財政赤字の更なる拡大は回避するべきであること、いかなる拡張的な財政措置も歳入の増加や予算における他分野の歳出削減で相殺されなければならないこと、現在検討されている所得税の控除の額についての個人所得税の改革は、追加歳入の確保若しくは予算の他分野の歳出削減によって賄われなければならないとされているものと承知をしております。委員御指摘のように、IMFは安定財源の重要性を指摘したものと理解をしております。
今回の基礎控除等の額の引上げについては、令和七年度与党税制改正大綱において安定財源の確保の必要性が確認されているところであり、具体的には、デフレからの脱却局面に鑑み、基礎控除等の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという所得税の制度的な課題に対応するための今回の見直しについては、特段の財源確保措置を要しないと整理されるとともに、現在の案を超える恒久的な見直しが行われる場合の財政影響分については、歳入歳出両面の取組により必要な安定財源を追加的に確保するための措置を講ずるものとされていると承知をしているところであります。
○安住委員長 鬼木君、そろそろまとめてください。お願いします。
○鬼木委員 百三万の壁を百七十八万まで上げるとなると、七兆円から八兆円の税収がなくなってしまうことになります。それを代替する財源がなければ、そこは国債の発行で支出を賄うということになってしまいます。したがって、この実現に向けては、やはり財源の議論というのは不可避であると考えております。
財源なき給付は、国民に負担を残します。自民党はそのことを分かっているから、野方図にサービスを増やしたり負担を減らしたりするわけにはいかないと、慎重に取り組んでいるところでございます。自民党を悪者にして喜んでいる場合ではないわけであります。国民に寄り添っていないと言われておりますが、自民党も国民の負担の重たさも分かっております。だからこそ、受益と負担を見える化して、国民にとっての納得の得られるサービス、負担の在り方というのをこれからきちんとつくっていきたいと思っております。
以上で質問を終わります。
○安住委員長 これにて鬼木君の質疑は終了いたしました。
次に、重徳和彦君。
○重徳委員 立憲民主党政調会長の重徳和彦です。どうぞよろしくお願いいたします。
立憲民主党は、明日にも令和七年度当初予算への修正案をお示しをし、与党との修正協議に入る予定でございます。
予算の修正案の作成に当たって、私なりの心得を三点ほど挙げさせていただきたいと思います。
一点目は、我々は、政権を目指す責任ある政党として、今、物価高に苦しむ皆様方に対して、家計が何より大事だということをお示しした上で、政策体系としてこれをお示しをするということでございます。
一つ二つの政策ではなくて、総合的な政策体系をお示しするということでありまして、先日、一月三十一日、配付資料をお示ししておりますが、城井崇委員の資料、これはもう一回使い回しておりますけれども、このときからこうした、国民の負担を減らすこと、そして国民の収入を増やすこと、そして本気の歳出改革、この三つの視点を掲げておりました。これをまとめていくという段階に入っております。
そして、心得の二つ目としましては、財源を見つけて実行に責任を持つということでございます。
これは我々が目指す政権政党としての絶対条件だと私は考えております。そのために私たちは、本気の歳出改革作業チーム、これを国会が始まる前日に、七十人規模の議員で、新人の議員さんは全員入っていただいて、党を挙げた作業をさせていただき、また、先週のこの予算委員会の省庁別審査において、その一部でありますが、披露をさせていただいたということでございます。
そして、三点目は、野党の連携です。
これから作っていく修正案、中でも特に重要な項目は、とりわけ立維国三党で共同提案した法案、そして、昨日も行いましたが、野党八会派の政策責任者に対しまして、その賛同を今お願いをし、求めているところでございまして、こうした野党の連携に基づいた政策を重視していく。
こういった点を心得として修正案を作成してきたところでございます。
今日はちょっとその各論に入りたいと思います。
まず、暫定税率の廃止であります。
いわゆるガソリン税、軽油引取税の暫定税率の廃止につきましては、これは今、我が党では、階猛ネクスト財務大臣と大西健介税制調査会長を中心に税法の修正案を準備しているところであります。暫定税率の廃止については、国民民主党さんと考え方は一致しております。
そして、聞くところによると、自公国の協議において、政府・与党は暫定税率の廃止をするということを明記されているということでありますが、その時期が分かりません。その時期についてのお考えをお示しください。
○加藤国務大臣 いわゆるガソリンの暫定税率の廃止については、昨年十二月の三党幹事長間の合意を踏まえ、具体的な実施方法等について引き続き関係者間で協議を進めていくとされております。政府としては、当該協議の結果を踏まえて、適切に対応していきたいと考えています。
○重徳委員 もうさっぱりやる気があるようには見えません。ここは私たち野党が政権を取って実行するしかないという思いを強くいたします。
次に、省庁別審査というのは、あるいは私たちの本気の歳出改革作業チームというのは、予算の削減ではないんですね。これは無駄な予算を国民の生活を応援する予算に置き換える、こういう作業であります。そして、考えてみれば、日本の国の予算というのは、役所の縦割りとか、あるいは前例踏襲、シーリングといったものに制約を受けて、圧縮されているという見方もありますが、しかし、無駄な予算は無駄な予算としてそのまま残り続ける、そういう構造的な硬直性があります。
そこで、今、こうした国会における情勢、すなわち自公が過半数割れをした衆議院においては、この国会質疑、修正協議、審議といったものを充実させることによって、今までのこうした縦割りや前例、シーリングといったものを突破して、そして無駄な予算は本当に国民の生活を応援するための予算に置き換える、こういった議論をする格好の場とこの国会がなっているんだと私は思っております。
今までは、修正なんかあり得なかった、与党は何も言わない、野党は言っても何も受け入れられない、そうして政府のこれまでのとおりの予算が通っていく、こういうことでありましたが、この省庁別審査の成果を活用して、今後は、新しい形での予算の審議、そして修正といったものについて、与野党そして政府で一体となってつくり上げていくべきではないかと思いますが、加藤財務大臣の御見解をお願いします。
○加藤国務大臣 二月五日から三日間にわたって、省庁別審査の場で、それぞれの予算について各党からの御主張を賜りながら、より掘り下げた議論が行われたこと、このことは、国民の皆さんに予算の内容について理解を深めていただく、こういった観点からも有意義な場であったと認識をしております。
また、国会における修正の必要性については、まず国会において御議論いただくということでありますが、政府としては、令和七年度予算は、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとし、国民一人一人が豊かさを実感できるようにするとともに、我が国社会が直面する構造的な変化に対応するために不可欠なものと考えているところでございます。
石破総理も、先般、党派を超えた合意形成を図っていくためには、与党、野党共に責任ある立場で熟議し、国民の納得と共感を得られるよう努めることが必要であり、多様な国民の声を反映した真摯な政策協議によって、よりよい成案を得るという民主主義の本来の姿に立って政策運営に当たっていくことが重要だと言われているところであります。
令和七年度予算については、多くの御賛同が得られますよう、引き続き、政府としては説明を尽くし、政策論議を重ねさせていただきたいと考えております。
○重徳委員 より広い国民の声を反映し、よりよい成案を得るというところに修正への姿勢が見受けられるというふうに受け止めております。
各論に入りたいと思います。
これは、省庁別審査で我が党の岡本充功議員が指摘をされました。コロナワクチン生産体制等緊急整備基金、これは医療機関にワクチンを出荷する際の助成金であります。これが、千八百億円基金が積まれておりますが、一月下旬の時点で七百億円足らずぐらいしか使われていないということで、要するに、一千億円以上が積まれたまま来年度に入っていくということでありましょう。
私たちは、いわば同じ厚生労働部門でいうと、高額療養費の上限の引上げ、これはとんでもないことだと思っております。そして、この凍結を求めておりまして、法案の提出も準備をしております。政府がやらないなら、我々が法案を提出して凍結させてみせたいと思っております。
そのための財源というのは、今言った一千億円というオーダーからすれば、二百億円なんです。この一千億円を、もう使われないコロナワクチンの残りの一千億円を、その一部ではないですか、二百億円という財源を使って、この高額療養費の上限引上げに大変苦しい思いをされている患者の皆さん方、その御家族に対して何とか報いようじゃありませんか。いかがでしょうか、大臣。
○福岡国務大臣 まず、御指摘の新型コロナワクチン定期接種に対する自治体への助成については、定期接種のワクチン確保や安定供給の円滑な実施を図るため、去年の季節性インフルエンザと同様の接種率、約五五%を前提として必要額を見込んでございます。
今年度の定期接種の実施状況について、全体の医療機関への納付量を見ますと、本年一月二十四日時点において約七百八十六万回で、想定していた接種率には至っておりませんが、今後の感染状況等によっては接種率が上昇することも想定されることから、現時点で執行見込みをお示しすることは困難だというふうに考えております。
そして、このワクチンの自治体助成事業は、基金が助成対象としている事業の一つでございまして、今年度の接種状況が仮に低調であったとしても、直ちに基金に残額が生じる性質のものではないことであったり、また、来年度以降の助成事業は、これまでの接種状況や今後の感染見込みなども踏まえて判断することなどから、今年度の接種状況のみで国庫返納の判断を行うことは考えておらず、基金全体として適切な事業の実施が図られるよう努めてまいりたいと思います。
その上で、高額療養費のことについては、昨日も患者団体様と面会をさせていただきました。そうした声を受けながら、どういう形がいいのか、しっかり検証を深めてまいりたいと考えております。
○重徳委員 高額療養費については、この後、池田真紀議員から更に追及をさせていただきたいと思いますが、この問題は、要するに、昨年の八月の概算要求の時期にはなかった問題、これが年末に発生し、そして、まさに今、国会で議論になっている。この問題を解決する、そのためにこの国会審議があるんじゃないですか。この審議をもって、私たちは財源まで見出しているわけですから、何とか政府側からの御協力もお願いしたいと思います。
次のテーマは、中小企業です。
私たちは、大企業ももちろん大事ですし、応援したい思いはあります。しかし、やはり今、物価高の中で様々な形で苦しんでおられるのはむしろ中小企業であるということは、これはもう言うまでもありません。
そこで、これは今年度の補正予算の事業でありますが、グローバルサウス未来志向型共創等事業でありまして、省庁別審査では藤岡たかお議員が指摘をされました。これは、今年度の補正予算の事業でありますが、当初予算には盛っていないというんですが、恐らくまた補正で出てくるでしょう、七年度。だから、同じことなんです。という意味で、この当初予算の審議の中で議論させていただきたいと思います。
今年度のこの事業は、グローバルサウスですから、新興国に対して事業展開をしたい、そういう企業を応援するための予算。これが八百九十八億円なんですね、大体九百億円。だけれども、採択済みの十三件を見ますと、そのうち十件が大企業なんですよ。ですから、大企業、まあ企業の事情はそれぞれあるかもしれませんが、一般的に言えば、大企業を更に政府が補助金をつけてまで支援する必要性というのは本当にあるのかという疑義が浮かんでまいります。
そこで、金額的に幾らかというところまでは分かりませんが、十三件中十件が大企業ですから、大半が行っているわけです。その部分の一部でも、私たちが提案する中小企業の支援に回してもらえないものかと思います。
具体的には、中小企業が特に非正規社員を正社員化するときに社会保険料、事業者負担が増えるんですね。そうすると、なかなか企業側もちゅうちょするわけです。ですから、働く方々の正社員化に向けて、中小企業の社会保険料の負担を軽減するための仕組み、これも私たちは法案を用意しております。金額だけ言うと二百六十億円かかるという我々の積算をしております。
今指摘しましたグローバルサウスを支援する事業は九百億ぐらいあって、大半が大企業なんですから、そのような予算、財源については中小企業にむしろ回すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 重徳委員から御質問いただきましたグローバルサウス事業の件であります。
今委員がおっしゃっていただいたように、これは、大企業、中小企業を問わず一応対象にはなっております。ただ、採択の件数は今の十三分の十ということで、大企業が中心になっておりますけれども、相手国の国家プロジェクト等として進める場合、これは、日本の大企業が有する技術でなければなかなか対応が難しいというケースが多い一方で、実証事業そのものでは収益を生まず、大企業であっても資金調達面から政府の支援が必要といった背景があるところであります。さらに、ビジネス環境や政策変更等のカントリーリスクを懸念し、大企業であってもグローバルサウス諸国との事業にちゅうちょをすることがある。こういう中で、実証事業組成に当たって、大企業に対しても政府の後押しが一定程度なければ円滑に進まない実態があるということを是非御理解をいただきたいと思います。
一方で、大企業支援となっている旨の御指摘も踏まえて、令和六年度の補正予算分につきまして、中小企業に対して、審査の段階で加点を行う等の工夫をする方向で今調整をさせていただいているところであります。
いずれにしましても、国民の税金で実施する事業である以上、支援の必要性を精査しながら、不断の改善を行いつつ、適切な形で予算が執行されるように努めてまいりたいと思います。
○重徳委員 今、藤岡委員がやじで言っていましたけれども、やはり、お金の使い方、税金の使い方というのは、より国民の生活を応援する、特に苦しんでいる国内の中小企業を支援するべきであって、海外向けの大企業の支援というのは、優先順位というのは相当下がるんじゃないでしょうか。私たちはそう考えております。
次は、基礎年金給付費の不用額の問題です。これは大切な年金財源でありますので、しっかりと説明をさせていただきますが、岡本充功委員がこれも指摘をされました。
先日の福岡大臣の御答弁では、令和七年度、年金に対する不用額が一・四兆円生じる、そのうちの半分、七千億円は国費であるということも明言されておられました。令和五年度の実績を見ると、これは三・六兆円も不用額が出ているんですね。
私は、これは元々高齢者の年金の財源でありますから、まずは、この物価高において生活に苦しんでおられる高齢者の皆さんの年金を増額するとか積み増すとか、そういったことができないものかと考えます。制度的にどうかということをまずお尋ねいたします。
それで、仮にそれが制度上、ルール上どうしてもできないということであっても、これは、せめて同じ高齢者の生活の不安を解消するための介護分野の事業にこの財源を充てるべきではないかと考えます。
これから二〇四〇年に向けて、介護職員は六十万人増やす必要があるんです。そして、著しくほかの業態に比べて賃金水準の低い介護職員。私たちは法案を提出しております。これは、それこそ立維国三党で共同提案しております。まず月一万円ずつ引き上げていこう、これからもっと他の業界と同じ水準に引き上げていこう、こういうものであります。
処遇を改善しなければ、介護職員は集まりません。そして介護サービスは充実しません。こういう観点から、金額的には四千二百二十五億円なんですね、これは。それから、訪問介護の基本報酬も下げたじゃないですか。これが一因となって介護事業所も相当倒産数が増えています。この介護報酬は戻すべきです。三百五十七億円かかります。合わせて四千五百八十二億円。
七年度、国費で七千億不用が出るというんだったら、まずは年金でお返しすること、それがどうしてもできないんだったら、この四千五百八十二億円、介護分野に回すべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 まず、先日の岡本議員への答弁で、誤解を与えているようなところについては、おわびを申し上げた上で、改めて御説明をさせていただきたいと思います。
岡本議員からの御指摘は、基礎年金給付費の令和七年度の決算額について、一定の前提に基づいた算定のお尋ねがあったため、その前提に基づいて、手元にある数値を基に大まかに決算額の規模感を計算し、その上で、令和七年度の基礎年金給付費や基礎年金国庫負担の予算との差額を申し上げたものでございます。したがって、この額について、不用額の見込みをお示ししたものではございません。
令和七年度決算額につきましては、予算の執行の結果生じるものでございまして、予算案の議論の際に試算を行う性質のものではないと考えておりますし、基礎年金の給付費は義務的な経費でございますから、毎年度、支払いに不足を生じることなく確実に給付を行えるよう必要な予算を確保する必要があるというふうに考えております。
この基礎年金給付費の伸びが御指摘のように徐々に低下しておりますから、令和七年度予算案では、予算と実績の乖離が大きくならないように見直しまして、令和六年度予算と比較して一・七兆円の減となる二十八・四兆円を計上しているところでございまして、これを更に削減して国庫負担の減を御指摘のような他の施策に充てることはできないと考えています。
一方で、介護施策の充実についてお話がございました。昨年、報酬改定等を行った上で、それでもなかなか現場の環境はよくならない中で、処遇改善を取りやすくする環境の整備であったり、昨年末の補正予算、そこによる措置等をさせていただいております。
引き続き、介護の現場の実態をしっかり把握しながら、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
○重徳委員 大臣、余りに軽率な答弁だったんじゃないでしょうか、先日の答弁ですね。これは予算委員会の審議でありまして、そして、私たちは懸命に、財源、無駄な予算がないかということを調べて、答弁をいただいて、それを基に、より国民の生活を豊かにするための予算に振り向けようというふうに考えているわけです。何の前提もなしにとまでは言いませんけれども、お金が七千億円、不用額になるんだといったことを明言しているわけですよね。
そういった一つ一つについて、私たちは、これからしっかりと修正案を通じて与野党協議をしていきたいと思いますので、その際には適切な数字をしっかりと出していただきたいということを申し上げます。
ほかにもいろいろあるんです。吉川元議員が指摘をされました地方創生交付金。これは石破総理が倍増するんだといって一千億円を上積みしましたけれども、今までの実績を見ると大変心もとないものであります。もっとましなやり方があるんじゃないか、もっと真剣に考える必要がある、こういう無駄な予算と見られるものもあります。
更に言えば、本庄知史議員が、予備費の積み過ぎについても指摘をされました。これは一目瞭然なんですが、去年の夏の概算要求のときには五千億円だった予備費が、蓋を開けてみたら一兆円になっているわけです。五千億円もの金額が上乗せになっている。
こういった財源を使えば、私たちがずっと、これも立維国三党で共同提案をしております学校給食の無償化も実現できるわけですよ。こういった無駄な予算を給食の無償化に、これこそ全国の自治体あるいは保護者の皆さんが心から望んでおられる予算でありますので、これは何とか実現していきたいと思っております。
時間の兼ね合いもありますので、これは質問しませんが、次に財務大臣に。
ちょっとここで、素朴な疑問があるんですよ。つまり、我々はこれから予算修正に挑もうと思っていますが、予算とそれから予算関連の法案というのは、政府・与党が出して成立させれば、それは多分常にそごなく進むようになっているんですけれども、今回、修正に仮に政府が応じない、例えば学校給食とか介護の職員の処遇向上について応じない、だけれども、その予算が決まった後に、年度内に野党が提出する法案、給食費とか介護職員の処遇改善の法案が、衆議院は数的にいえば野党だけで通過する可能性は十分にあります。そして、参議院の御協力もいただいて仮に成立したという場合、予算と予算を伴う法案とのそごが出てくるという問題が生じてまいります。その場合はどのようにして対応するということになるんでしょうか。
○加藤国務大臣 野党提案の予算関連法案が成立し、そして予算、一方でまた国会で成立した予算ということになるんでしょうか、それとの間にそごがあるといった場合の対応の御質問だと思います。
国会審議に関わることでありますし、また仮定の御質問であるので、その具体な答えというのはなかなか答弁しにくいところでありますが、一般論であり、これまでの経緯でいえば、法律と予算はいずれも国会の議決によって成立するものであり、本来的にはそれらの内容が一致しないことは想定されないものと認識していますが、政府としては、仮に予算と法律の内容に不一致が生じた場合には、両者の不一致を解消するために所要の対応を行う必要があると考えております。
過去の国会における質疑での法制局長官の答弁を申し上げると、予算を伴う法律が予算措置を講じていないのに成立したような場合には、予備費の使用その他の予算上の措置を取るというように、両者の不一致を解消するための所要の対策を講ずる必要がある旨、その答弁では示されているものと承知はしております。
○重徳委員 今の話も参考に、これから修正協議に臨んでまいりたいと思います。
時間的には最後の質問になるかもしれませんが、一月三十一日、城井崇議員が政府の基金の積み過ぎに関連して、我が党、すなわち城井議員の試算では、七・八兆円積み過ぎの基金があるんじゃないかという試算をしておりますけれども、これについて政府で試算してみてほしい、政府で精査したらどうなるかという数字について御答弁をいただきたいと思います。参考人でも構いません。
○加藤国務大臣 令和五年十二月に策定されました基金の点検・見直しの横断的な方針で示された、いわゆる三年ルールが適用される基金、端的に言えば毎年度予算措置をされるものは除いたということでありますが、について、各所管省庁が策定しております令和六年度基金シートにおける基金残高や支出見込みを単純に足し上げますと、令和五年度末の基金残高は約十六・四兆円、令和六年度当初、補正予算において措置された金額を合計すると約三・五兆円、令和六年度の支出見込額は約五・六兆円、令和七年度の支出見込みは約六・二兆円、また、令和八年度の支出見込額については現時点で見込むことが困難であり、基金シートでも記載されていないものと承知をしております。
なお、今回申し上げたこの計算に当たっては、基金残高はそれを裏づけとした事業採択や交付決定などを行う上で必要となるものであり、支出額のみに基づいて判断することは適切ではないこと、基金の支出額の見込みについても、令和六年度の支出額については進行年度であること、令和七年度以降の支出額について、そもそも基金は各年度の所要額を見込み難い性質のものであるため、正確に見込むことは困難であるといった点に留意する必要があるというふうに考えております。
○安住委員長 重徳君、時間が参っています。
○重徳委員 まとめます。
要するに、今、差引きすると八・一兆円という数字があるんですが、ちょっと今後の支出見込みが分からないから何とも言えない、要すればそういう御答弁なんですが、こんな状態では予算審議あるいは修正協議になりませんので、ここは与野党間でがっつりと協議を重ねてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○安住委員長 これにて重徳君の質疑は終了いたしました。
次に、池田真紀さん。
○池田委員 立憲民主党・無所属の池田真紀です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
まず初めなんですが、私自身が高額療養費のお世話に何度かなりました。これは、大きなけがとか、そういったときにも手術なんかも該当しますし、そして、がんの研究の専門の病院ですね、そこでも二回手術をさせていただきました。そのときに、やはり、二人の子供をシングルで育てていまして、子供たちの進路を諦めざるを得なかったということもございましたし、そして辞職もしました。幸いこうやって命がありますから、あのときのおかげで、治療を諦めなかったというのはこの制度のおかげだと私は感謝をして、今この場に立っています。
そして、今日は、当事者の方、がんを現に患っていらっしゃる方、そして御遺族の方が会場で傍聴をしておりますので、本当にいろいろな思いを込めて質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、大臣、昨日、患者団体の皆様とお会いになられたということでございました。
報道ベースで、私、昨晩拝見させていただきましたけれども、修正を求めたというふうに書いてあるところもありましたし、そこが書いていないところがありましたので、どういうことを大臣はおっしゃられたのか教えていただけますでしょうか。
○福岡国務大臣 まず、昨日、患者団体様とお会いをさせていただきました。その中で、多数の御署名とともに、大変切実な数々の声を承らせていただきました。
昨日は、あくまでもそういった方々の声に真摯に耳を傾けさせていただく、そういう機会だというふうに捉えておりまして、こちら側からこの制度の方向性とかについて具体的な提案をしたということはございません。
昨日いただいた声をしっかりと受け止めながら、どういう制度がいいのか、しっかり検証を深めてまいりたいと考えています。
○池田委員 しっかりと受け止めていただいたという要望ですね、どういうことでしょうか。
○福岡国務大臣 患者団体の皆様からは、例えば、高齢化だったり高額薬剤の普及といった中で、国民皆保険の維持とか保険料の軽減ということは重要であるということは理解するといった御趣旨の発言もあった一方で、今回の見直し案は一回凍結するべきだと。
その上で、再検討に当たっては、長期に継続して治療を受けて多数回該当となる方の月当たりの負担上限額の引上げを行わないこと、また、保険者間での付加給付の違いにより生じる自己負担の不均衡の是正を検討すること、また、検討プロセスを見直し、制度を実際に利用する現役世代の患者様や家族など当事者の参画と、国会による承認を経ることなどの検討を求める御要望をいただいたところでございます。
○池田委員 一番の要望は何だったでしょうか。
○福岡国務大臣 様々な声を受け止めた上での制度改正を望むという中で、その中で一度立ち止まってみるべきだというような御趣旨だったというふうに承知しています。
○池田委員 いろいろな問題があるので、いろいろな声があるので、一旦凍結ということだったのではないでしょうか。確認お願いいたします。
○福岡国務大臣 そのような御要望をいただきました。
○池田委員 社会保障制度の全体の見直しということに全否定ではなかったと思います。凍結ということでの、一旦凍結という御要望の確認をさせていただきましたので、次の質問に入らせていただきたいと思います。
私たち立憲民主党も、先ほど重徳委員が申しましたように、二百億円の予算で、しっかり、一旦凍結、そして様々な声に寄り添った審議を行える機関をやっていこうという提案をこれからするということを先ほども申しておりますが、改めて私からも申し上げておきたいと思います。
大臣、この件についての御答弁、所管になるかと思いますが、ひとつこの場でお願いいたします。
○福岡国務大臣 御党の案につきましては、またそこは国会で御議論いただくべき話だというふうに思いますが、私どもとしては、制度の持続可能性、将来にわたってこの重要なセーフティーネットを維持していくということは大変重要だというふうに考えておりまして、その中で、医療費の伸びよりも、今、高額療養費の伸びが大変上昇率が大きい、そこの中で、どうやって皆様方にそこの負担を分かち合うかということを、患者様方の声もしっかり受け止めながら、検証を深めてまいりたいと考えております。
○池田委員 それでは、その検証というところで参りたいと思います。
まず、今日、資料を配付をさせていただきましたけれども、この財源ですね、高額療養費の引上げが実現した場合の長瀬効果、資料がついております。この長瀬効果から、いわゆる受診抑制につながる医療の部分の給付費の抑制額は年に幾らと見込んでおりますでしょうか。参考人の方、お願いします。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
政府がお示ししています財政試算におけるいわゆる長瀬効果の額につきましては、これ自体が、実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果を過去のデータに基づいて機械的に試算したものでありますので、それぞれの見直しが実際の患者の受診行動に与える影響については、その分析も含めて検討する必要があるとまず考えております。
その上で、今回の見直しが終了した時点での長瀬効果の額については約二千二百七十億円となっており、給付費全体に占める割合でいえば〇・五%程度というふうになっております。
○池田委員 この受診抑制ですけれども、おおよそ年に何人、平均幾らということの受診の抑制を見込んでいるのでしょうか。
○鹿沼政府参考人 先ほどもお話しいたしましたが、実効給付率が変化した場合、それをベースにして経験的に得られている医療費の増減効果、これを過去のデータに基づいて機械的に試算しておりますので、長瀬効果については、マクロで見た実効給付率の変化から医療費の増減効果を計算したものであり、長瀬効果の対象となる人数、そういったものについては試算はしておりません。
○池田委員 ちょっと昨日レクを受けたんですけれども、年一回以上高額療養費に該当する七十歳未満の方四百万人と、あと、年一回以上高額療養費に該当する者の八百五十万人、これで単純に割ると二万円弱ですとかと言われたんですが、間違いないかどうか、いかがでしょうか。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
先ほどのベースでございますが、今回の見直しによる令和九年度までの長瀬効果については、機械的に試算した場合、先ほど申しましたとおり、給付費の〇・五%程度の二千二百七十億円ということになりますが、この金額を単純に千二百五十万人で割り算をいたしますと、平均で年一・八万円の減少となり、一人当たりの受診日数で見た場合は十八・四日から〇・一日程度減少という試算にはなります。マクロベースで単純に試算するとそういう形になるというものでございます。
○池田委員 単純に数字を当てはめただけということなので、そのほかのことは想定していないということだったと思います。大変無責任であると思います。
さて、そこからなんですが、もう一枚、今回、資料をつけさせていただきました。二〇一三年の、前回の高額療養費の見直しの際に、患者団体、当事者ですね、からのヒアリングを行っているのでしょうかということで、探したらありましたのでつけておりますが。
このヒアリング、どのような団体から何回ヒアリングして、そしてどんな要望があったのか教えてください。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
平成二十五年に高額療養費制度の見直しが行われた際のことでございますが、社会保障審議会医療保険部会におきまして、二回にわたって議論が行われたというふうに承知しております。
当時の医療保険部会における見直し案の検討の過程におきましては、医療保険部会の委員を別として、患者団体から例えばヒアリングを行うとか、そういったものについては行われていないものというふうに承知をしております。
○池田委員 資料におつけしました二〇一三年の九月の九日の社会保障審議会医療部会、こちらの議事録の中のメンバーも入れさせていただいております。大谷さんと書かれておりますが、この方は当事者でいらっしゃいますということで。
例えば、当事者の話の中で申しますと、議事録が小さくて申し訳ないんですが、右側の方にございますが、例えばこの下線部ですね、児玉参考人さんのところになります。長期にわたる医療費を支払う方々への負担が少しでも少なくなるように見直しをお願いしたいとか、高度の医療費を支払うことは非常に困難です、こういう声が確認、これだけでもできるわけなんですね。
何で今回は当事者の声、入らなかったんでしょうか。
○鹿沼政府参考人 医療保険部会におきましては、先ほどお話しさせていただいたのは、委員の方を除いて個別に団体からヒアリングは行われたかということについては、行われていなかったというお話をさせていただいた上で、委員につきましては、それぞれ様々な、そのときの状況におきながら、いろいろな構成でやっているところでございます。
前回のときの医療保険部会におきましては、全国骨髄バンク推進連絡協議会の方ということで大谷さんに入っていただいておりますし、また、今の医療保険部会におきましてはこういった方は入っておられませんが、また別の立場で、例えば、前回のときには入っていらっしゃらない連合の方が入っているとか、いろいろとそういったメンバーの、委員のメンバー構成についてはそれぞれ変化をしているということだと思っております。
○池田委員 確認ですけれども、今回、四回ありました審議会の中では、当事者団体、メンバーに入っていなかったということでよろしいですね。
○鹿沼政府参考人 今回のメンバーの中に、まず委員の中には入っていらっしゃらないというふうに思っておりますし、個別にヒアリングということも行っていないということでございます。
○池田委員 入っていなかったと思うというのは、言葉が非常に軽いと思います。大変重要なこの委員の決定から始まると思いますので、もう一度確認させてください。いなかったんですよね、当事者。
○鹿沼政府参考人 失礼な言い方で申し訳ありませんでした。
今の医療保険部会の中に患者の方はいらっしゃらないです。
○池田委員 ですから、当事者の声も聞く、様々な声を聞くということで、大臣おっしゃられたわけですよね、様々な声を聞いてというふうにおっしゃられたわけですから。今回の審議不十分、議論が不十分であるという、一旦凍結を受けてですね、しかも、これは検討していくためのプロセスを団体の皆さんもおっしゃられているわけですから。
今回は、たった二百億円でできるんです。先ほどの何千億円、さらには、その金額がお一人当たり幾らの人生がかかっているのか。命は金額が、本当に測れないですから。そのような状況の中での今の短絡的な、短期の決定は、非常に私は認められないなと思っています。とにかく凍結をお願いをしたいと思います。
今の手続について不十分と思いませんか。大臣に答弁を求めたいと思います。
○福岡国務大臣 私どもとしては手続を踏んだ上で決定したと思っていますが、その後の国会審議等において患者団体様の声も聞くべきだったという御指摘を受けて、そこについては今後のいろいろな、昨日もお聞きしましたし、しっかり耳を傾けていく必要があるというふうに思っています。
その上で、重ねてになりますが、私どもとしては、そこは、高額療養費の伸びがかなり急に上昇している、それは高額の薬剤の影響等もあります。その中で、一般の方々の保険料負担、そことの兼ね合いもあります。一方で、患者様方の苦しんでいらっしゃる声もあります。そこの中でどういう解を見出していくか、昨日の面談のことも踏まえた上で結論を得てまいりたいと考えています。
○池田委員 今おっしゃられましたけれども、今回の受診抑制、長瀬効果によってですね、治療中断でがんの患者の皆さん方が命が奪われるのではないでしょうか。その懸念は大臣はどうお考えでしょうか。
○福岡国務大臣 冒頭、患者団体様の声の御紹介をさせていただきました。当然、皆さん方にとって御負担感はありますが、特に、今おっしゃられたように、がんの患者様とかはかなり長期にわたって療養されるケースがあります。その場合は、高額療養費がかなり長い月日にわたって継続する、その分家計に与える影響がかなり大きい、そういったお声もいただいたところでございますので、そういったことも踏まえた判断が必要かと考えております。
○池田委員 長期の話も、もちろん大変な御苦労がおありです。
しかし、私、ソーシャルワーカーでもあるんですね。ソーシャルワーカーも声明を出しています。高額療養費制度の見直しに関する声明。いろいろなお立場の方のメンバーは今回入っていらっしゃらなかったのではないでしょうか。ソーシャルワーカー連盟、社会福祉士会、精神保健福祉士協会、そして日本医療ソーシャルワーカー協会、この団体でございますけれども、この声明。
もう御承知かとは思いますが、この中でも、受診抑制、中断が危惧をされています。そして、患者自身の生活、その後の患者自身の生活に大きな影響を及ぼす。受診控えや医療提供体制への懸念が、議論が不十分だということです。これは、議論を前提とした上で、社会保障制度の構築が求められる中、非常にこれは全体的に改正を求めた上でですけれども、大変今回のことは懸念をしています。
それはそうなんです。一番最初の段階で相談をお受けするときに、いろいろなものがあるわけですよね、大臣。御家族のこと、お仕事のこと、介護のこと、子供のこと、いろいろなことがある中で、自身の悩みもあります。しかし、この高額医療費制度があるんだという一枚のカードで、本当にここだけでも救われるんです。ここがなくなるというのは、本当に大きなことなんですね。
少し御紹介させていただきたいんですが、今回、私もこれを読ませていただきました。全国がん患者団体連合会、全がん連の皆様方の、三千六百二十三人のアンケートの中の一部です。今日お配りもしておりますけれども。
小さな子供がおり、この子を残して死ねません、家族に申し訳ないです、死ぬことを受け入れ子供の将来のためにお金を少しでも残す方がいいのか追い詰められています。これは今の声です。リアルな今の声です。
そして、二十代の男性の方ですね。この方は、この制度があったことで救われました、今回の引上げははっきり言って国に死ねと言われている思いです、絶望しました。そうなんです。
そして、もう一つあります。これは、二〇二三年の四月、誰一人取り残さないがん対策ということで、これは新たな基本計画で、大臣も承知のことと思います。誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指すということを掲げているわけですね。誰一人取り残さないんですよ、二人に一人のがんのみならず。
そして、加えて、ここで話をされているのが、二〇一四年から一五年にがんと診断された人たちの五年の生存率、高くなっているんです、今の医療で。しかし、一年の間にがんと診断されて、その一年の間、百七万人のうち、診断二年以内に六百六十人が自殺をしているんです。診断後の一か月以内の人の自殺リスクは、同時期の一般人口の比較であったとしても四・四一倍も高いんです。そうなんです。初期、物すごく初期をどう乗り越えるかがとても大事なんですね。
いろいろなことがあるんです。だから、一旦凍結しませんかということを申し上げているんです。
大臣、このことは御存じでしたでしょうか。
○福岡国務大臣 私も、様々な声を書いていただいているものにはある程度目を通させていただいています。
その上で、御指摘ありましたように、必要な医療が受けられないということがあってはいけないというふうに思っていまして、その中の重要なセーフティーネットの一つが高額療養費であるというふうに承知をしています。
やはり、今そういった苦しんでいらっしゃる方の御負担感、そこも重要ですし、この制度をやはり将来にわたって持続して、将来また大きな病気にかかった方がこの制度をしっかり受けられるように、制度を持続可能なものとして担保する、その必要も併せてあるというふうに思っていまして、今かなりそういった中で高額療養費の伸びが大きくなっていて、皆様方の保険料負担、そういったものの兼ね合いもある中で、どうやったらこの制度が将来にわたって持続可能か、そういった観点からの検証も併せてやっていく必要があると考えています。
○池田委員 制度維持のために国民の命を犠牲にしてはならないと思います。だからこそ、拙速過ぎなので、凍結を求めたいと思うんですね。
あらゆる可能性の中で検討していく、石破総理もおっしゃられていたと思いますね。その中で、大臣、このあらゆるの中に、凍結は含まれますか。
○福岡国務大臣 今、まだ最終的な結論を得ているわけではありませんし、その中で何かがそれから外れているということを意味しているものではありません。全ての中でいろいろな可能性を検討していくということになります。
○池田委員 凍結も入るということでいいですかね。
○福岡国務大臣 何が入るか入らないかというか、全て、いろいろなものが選択肢の中に入ってくるということでございます。
○池田委員 いろいろなものの中に、凍結が入りますか。
○福岡国務大臣 一般的な概念論でいえば、そういうことになろうかというふうに思います。
○池田委員 この点について質問しています。
○福岡国務大臣 ですから、そこについては様々なことを中で検討を進めさせていただいている、まさに今そういう状況だということでございます。
その中で、様々な選択肢があります。それを、一つ一つをこれがこうだこうだと言い出すと、そこはなかなか全体の議論が違う方向に誘導されてしまう可能性もあります。ですから、それは当然、いろいろな案を俎上にのせた上で検討させていただくということです。
○池田委員 一旦凍結ということの、大臣が国民の命を守るために体を張って、その後真剣に協議をしていただけるかどうかということの、私たちは期待を持って今確認をしているんですよ。厚生労働大臣に私は質問しているんです。
大臣として、国民の命を守る。足りない声がたくさんあったわけですよね。ですから、その手続が不十分なことも含めて、体を張って、この先、凍結を含めて、あらゆる可能性の中に説得をするのも福岡厚労大臣だと私は思っているんですね。
どうですか。あらゆる可能性の中に凍結も含める、そのことぐらい、首を縦に振っていただきたいと思います。お願いします。
○福岡国務大臣 まず、私も国民の方々の命を守るというのは大変重要な責務だというふうに考えております。その中で、セーフティーネット機能として高額療養費が大変重要な役割を果たしているというのも十分認識しています。引き続き高額療養費が重要なセーフティーネットとして機能し続けるように全力を尽くしてまいりたいと思います。
○池田委員 そのセーフティーネットを維持するためにも、今、保険料の関係で三党の協議もされているわけですよね。その中でも、考えれば、この高額療養費のみならず、例えば医療助成制度だとか障害者福祉の制度、要は、初回の医療保険のみならず、高額療養費制度だけではなくて、他制度に移行するまでの初回の流動的なとき、ここもすごい大事なわけですよね。ほか全体のことをやっていかなければいけないのが今回の見直しなんですよ。ですから、その見直しに向けて前向きに立憲民主党も考えて提案をしていますから。ですから、今回、提案をしていただきたいと思っています。
そのことを、私、池田からのお願いを申し上げまして、質問を終了させていただきます。
本日はありがとうございました。
○安住委員長 これにて池田さんの質疑は終了いたしました。
次に、奥下剛光君。
○奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。
質問に入る前に、二日ほど前から右耳がちょっと突発的な難聴になりまして、聞きにくいところがあるので、聞き漏れとかがあったら御容赦いただけたらと思います。
では、質問させていただきます。
今年でさきの大戦から八十年を迎えるわけですが、今なお残された戦後の課題の一つが戦没者の遺骨収容です。中部太平洋、東南アジア、旧ソ連地域を始め海外で百万柱以上の遺骨が未収容のままとなっている状態です。
政府は、令和十一年度までを遺骨収集の集中実施期間と定めておられるようですが、戦没者遺族の高齢化が進む中、速やかな遺骨の収容と遺族への返還が必要だと考えますが、政府は、近年この成果の上がっていない状況をどのようにお考えなのでしょうか。
○福岡国務大臣 我が国の戦没者の遺骨収集については、戦後間もなくの開始以降、確度の高い情報に基づいて順次調査を行ってきておりまして、硫黄島の集団埋葬地など大規模な収容を含む三十四万柱余りの御遺骨の収集につなげてきたところです。
そうした中、御承知のとおり、新型コロナ等の影響も踏まえ、遺骨収集に関する集中実施期間、しばらくそこは海外に行けない時期がございましたので、集中実施期間を令和十一年度まで延長する戦没者遺骨収集推進法の改正も行われたところでございます。
現在は、現地情勢の影響により実施できていない一部の地域を除きまして、コロナ禍前と同程度に、おおむね計画どおりに実施できるようになってきています。例えば、パラオ諸島のペリリュー島では、集中実施期間中に実施した米国国立公文書館での資料調査等で得られた情報に基づく現地調査の結果、昨年九月に集団埋葬地が確認され、現在までに十九柱相当の御遺骨が見つかるなど、着実に成果が上がってきてございます。
本年で戦後八十年を迎えます。昨年、厚生労働大臣として、マリアナ諸島で収集された御遺骨の引渡式に出席し、一日も早く御遺骨を収集し、御遺族にお返ししたいとの思いを新たにしたところでございます。
この集中実施期間に一柱でも多くの御遺骨を収集できるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○奥下委員 ありがとうございます。
ということは、一九七六年に厚労省は一回目の概了宣言をされておられます。国による計画的とされる遺骨収集事業に終わりを告げるということらしいですけれども、しかし、この時点で百万を超える遺骨が残されていたわけですね。それでも、遺族や思いのある方々が自力で調査され、見つけられて、それで厚労省に連絡をして引き取りに来てもらう、こういった状態が続いてきた中で、それ以後も二度三度と概了宣言を、三度目に至っては、尾辻参議院議員、先生が遺族会会長のときにそういった終了宣言をされているわけですけれども、何を根拠にされていたのか。何らかの根拠があるんでしょうけれども。
そういった計画を延ばしたということは、この宣言は間違いだったということなのか、取り消したという理解でいいんでしょうか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、これまでに概了というふうなことを宣言をしてきたような経緯というものがございますが、その後も遺骨収集が進んでいない、それから、国会の方でも遺骨収集推進法というものが成立したことを踏まえまして、厚労省としては、引き続き遺骨収集というのを全力で取り組んでいるということでございます。
○奥下委員 ちょっと今日、資料で出させていただこうと思ったら、人骨の写真だったのですが、そこはちょっと駄目だということで取り下げさせていただいたんですけれども。
昨年七月七日、いわゆるバンザイクリフがあったときのサイパンの慰霊祭に参加させていただきました。それが終わってから、バンザイクリフがあった下のジャングルに慰霊碑とかがあって、そこが今遊歩道みたいになっていて、そのちょっと脇をそれたところに遺骨収集の調査に行かせていただきました。
そうすると、数十センチの洞窟の奥の方に人骨が見つかって、そのときの写真だったんですけれども、大きさからするとお子さんのものであったであろうと。何でこんな奥にいたかというと、現場の状況を見ると、岩場が全部タール化していたことから、火炎放射器で、ジャングルだったので、追い込まれて、そこに逃げ込んだのだろう、そのまま出られなくなって、亡くなって白骨化したのであろうという状況のようです。
本当にそういった状況が今いっぱい点在しておりまして、先日、そのとき僕らは、集めて横に置いて、最後は隠して帰ってきたんですけれども、まだそのままの状態であるということだったので、こういったことをこのままの状態にしていていいわけがないので、是非早期に解決に取り組んでいただきたいなというふうに思っております。
次の質問に行きます。
戦後七十年たって、ようやく二〇一六年に遺骨収集は国の責務であると位置づけられたわけですが、その後の収容数を見ても、遺骨収容の促進には全くつながっていないということが見て取れるんですけれども、戦没者遺骨収集法が議員立法で成立してから、厚生労働省は、一般社団法人日本戦没者遺骨収集推進協会に業務を委託されておりますが、これはどのような経緯でこの団体に委託されたのか、お答えください。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘の団体につきましては、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律第十条第一項に基づきまして、厚生労働大臣が、戦没者の遺骨収集に関する活動を適切かつ確実に行うことができると認められる法人として平成二十八年八月に指定した指定法人ということであります。
指定法人の指定に当たりましては、団体の目的や実務能力などが推進法の施行規則に規定されました基準に適合しているかどうかにつきまして、戦没者の慰霊事業等に知見を有する外部有識者にも参画いただいた審査委員会において審査を行った上で指定されたものと承知をしております。
なお、日本戦没者遺骨収集推進協会につきましては、推進法の成立以前から我が国の戦没者の遺骨収集事業に御協力をいただき、地域ごとの特性や現地事情などへの知見を蓄積されてきた十二の団体を社員として設立されたものであるというふうに承知をしております。
○奥下委員 現場のボランティアの方々からは、今は日本遺族会の水落先生が代表をやられており、厚労省の職員が毎年入っておられる、援護局長の方も入っておられて、虎ノ門にあるとかそういったことから、これは天下り先じゃないかという声が出ております。そういったところが幾ら旗振りしても、現場はちょっと機能、言うことを聞かないようなところも出てくると思うので、是非、この在り方についてちょっと今後も考えていっていただけたらなというふうに思います。
次に、お配りさせていただいた資料、こちらなんですけれども、見ていただきたいんですけれども、こちらは、厚労省が予算化する時点で毎回のように項目名を変更されているんですね。さらには、各資料を見ると、予算の全容が見えないように工夫されている節があります。これは各会議資料などを見ていただきますと確認できます。社会・援護局関係主管課長会議資料というのがあるんですけれども、これらの数字を拾い出しているのがこの表なんですけれども、やはり見ていただいたら分かるように、二〇一一年から急激に硫黄島の予算が増えております。そして年々、徐々に増えていっている予算なんですけれども、この予算はどういったことに使われたのか、内訳を教えてください。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
硫黄島における遺骨収集につきましては、平成二十三年度から二十五年度につきましては、毎年十億円程度の予算措置を講じ、主に米国国立公文書館における資料調査で発見された集団埋葬地を集中的に実施していたところでございます。
その上で、平成二十六年度以降につきましては、毎年十億円から十五億円程度の予算措置を講じまして、こうした集団埋葬地ではなく、自衛隊が運用する滑走路地区を含む硫黄島の全域につきまして、計画的かつ面的に丁寧に取組を進めて、毎年一定の御遺骨を収容しているところでございます。
具体的には、滑走路地区におきましては、現に運用している滑走路の地下について、地中探査レーダーやボーリングによる調査を行った上で掘削調査を行いますとともに、滑走路地区以外の区域におきましては、地下ごうなどを面的に調査をし、遺骨収集を計画的に実施してきております。
硫黄島におきましては、入口を含め所在が分からなくなった地下ごうの把握でありますとか、自衛隊が運用する滑走路の下の調査といった、ほかの戦域とは異なる事情が存在することを踏まえて事業の実施に必要な予算を計上したところでございますが、引き続き、一柱でも多くの御遺骨をお迎えできるように尽力していきたいというふうに考えております。
○奥下委員 令和元年から二四年度までがボーリング調査で、しかも重機をずっと現場に置いたままやっていたということを聞いております。現場、硫黄島に行ったことはないですし、まだなかなか現状は分かり得ないところが多いんですけれども、プロの方に聞くと、それにしてもちょっとかかり過ぎじゃないかなということをおっしゃっておられます。
ちょっと防衛省にお尋ねしますけれども、この予算、防衛省から厚労省に対して幾ら請求しているのか。硫黄島の場合は運搬手段が限られているために、自衛隊のヘリコプターで運んでいただいて、高くつくのは仕方ないなと思っていたんですけれども、防衛省から出てきた返事が、令和七年度予算において、滑走路の復旧にプレキャスト版が有効であるかどうかの実証実験を行うための経費として十億円計上し、令和元年度から六年度においては同様の予算は計算していないとのことですが、でしたら、ボランティアの移動コストとか宿泊、食事等、こういったコストは、防衛省としては厚労省に請求していないという理解でよろしいでしょうか。
○萬浪政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘がございました硫黄島における遺骨収集に関連しまして、防衛省から厚労省に対して請求している費用の関連で申しますと、御指摘のあったうちの宿泊費用、あるいは、自衛隊の輸送機で硫黄島に輸送しておりますけれども、その燃料費につきましては、厚労省に請求いたしております。
費用で申しますと、宿泊費につきましては、その際の電気代、水道代等々がありますけれども、六年度で申しますと、既に年間で三百四十万円程度、燃料につきましては、これは物納でございまして、同質、同等の燃料をいただいておりますので金額は直ちにはじき出せない状況ですが、そちらについてもいただいているという状況でございます。
○奥下委員 何か今おっしゃっていましたけれども、物納とかということで、何か分かりにくい形で執り行われているんですよね。
防衛省が最後に言ったのが、そういったこと以外、ほかは個別に分かるようなものはないということだったので、これもちょっと問題かなというふうに思っていますので、何かちょっとブラックボックス化しているなというふうに感じております。
ボランティアの方たちは、そういったいろいろな現場に行っていろいろな話を聞いてこられるので、先ほど申し上げたように、硫黄島の予算、別枠で予算を組まれるようになって、これが意味なく積み上がっているんじゃないか、これが本当に、先ほど申し上げた社団とかの天下り先の給料になっているんじゃないかというようなことを言われてしまっているので、これを早急に解決していくに当たって、やはりボランティアの方々のお力に頼らざるを得ないので、是非こういったことも誤解のないように進めていっていただけたらなというふうに思います。
次の質問に移ります。
二〇二〇年以降に遺骨鑑定に対して五億円以上の予算がつき出したんですが、直近五年の鑑定費用の内訳と実施状況はどうなっているのか、お答えください。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省におきましては、平成十五年度から戦没者遺骨の身元特定のためのDNA鑑定を実施してきておりますが、過去の遺骨収集事業におきまして、日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘されたといったことも踏まえまして、令和二年度に遺骨収集事業の抜本的な見直し方針を取りまとめ、収集した遺骨につきましては、まずは検体のみを持ち帰り、科学的鑑定により日本人と判別した後に御遺骨を送還する手順とするということとともに、遺留品などの手がかり情報のない御遺骨についても、身元特定のためのDNA鑑定の対象とする地域を大幅に拡大をするということをしたところでございます。
こうした取組を進めるために、令和二年度予算におきましては、DNA鑑定を委託をする大学の医学部などにおきます鑑定能力の充実のための機器の導入などでありますとか、それから、高温多湿の南方地域で劣化した御遺骨からであっても分析が可能な、高度なDNAの分析手法の研究の推進といったことに必要な予算を計上したところでございます。
また、令和三年度以降の予算におきましては、身元特定のための対象地域の拡大を踏まえて、DNA鑑定について広く公募を行うための必要な経費でありますとか、大学の医学部に加えまして、厚労省直轄の分析施設の設置といった、そういったことのための予算を更に計上したということでございます。
その上で、お尋ねの実施状況ということでございますが、遺骨鑑定の実施につきましては、令和二年度から令和六年の十二月末まででございますけれども、七千六百十六件の検体につきまして日本人の御遺骨であるとの判定を行うとともに、百六柱の御遺骨につきまして身元を特定をさせていただいたということでございます。
○奥下委員 なかなかもう時間がたって風化していて分かりにくいのかもしれませんけれども、先ほど申し上げたようなサイパンの現状、観光客が人骨を見つけると、持ち帰ってネットで売ったりするというような状況があるみたいですので、本当にこんなことを許してはならないので、早急にDNA鑑定をして、早く、一柱でも多く帰していただけるようにお願いいたします。
次に、次の写真を見ていただきたいんですけれども、これはサイパンに行ったときに、調査に行ったときに別のところで見つかった、当時の日本軍が放置された砲弾の残りなんですけれども、こういったのがたくさんございまして、聞くと、現場の、子供たちが、手りゅう弾とかを見つけたら、使えるものは海に投げて爆発させて魚を捕って遊んでいる、こういった状況があるようです。これは今事故になっていないからいいようなものの、事故になったときは大変なことです。
この現状を見て、ちょっと何とかならぬのかなと、ホテルへ帰ってテレビをつけたら、ちょうど当時の上川大臣が日本・カンボジア地雷イニシアチブを発表されたニュースが流れておりまして、岩屋大臣の号令の下、戦後のこういった処理もきちんと号令をかけてやっていただけないでしょうか。
〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕
○岩屋国務大臣 一般論として申し上げれば、サイパンで砲弾が発見された場合の処理につきましては現地当局が対応を行うものと承知しておりますが、これまで同地において砲弾の処理について問題になったという事例は、現時点では把握をしていないところでございます。
ただ、委員の御指摘も踏まえて、支援の必要があるかどうかも含めて、現地当局と連携しつつ、しっかり情報収集に努めてまいりたいと思います。
○奥下委員 問題になる前に何とかしようというものですので、是非前向きに御検討いただけたらなというふうに思います。
次に、このボランティア活動に参加するようになって、現場の役所の手続にもついていくようになりました。そのときに、遺骨収容する際の手続の明確化をしていく必要があるんじゃないかというふうに感じております。
土地所有者の許可書と、場所によるんですが、埋蔵文化財の発掘の届出というのが必要になっているというルールがあります、現状。しかし、役所の各担当部署では遺骨収集を前提とした手続がないために、役所に振り回されるケースが多いんですね。
例えば、ある市では、道路工事施行承認申請書を求められたりとか、これは道路法に基づき必要という説明を受けるんですけれども、埋蔵文化財発掘の届出は二か月以上前に提出する必要があり、調査対象を見つけて、土地の所有者の許可も取れて、二か月以上たたないと調査ができない、こういった現状です。
必要な時期に必要な調査が行えぬ現実があり、役所は法律ですのでということで逃げるんですけれども、これは遺骨収容を前提とした明確なルールがないことが原因だと思います。実情に基づきルールを整備していくことが必要だと考えますが、厚労省の見解を教えてください。
〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御指摘につきましては、沖縄県のことかと存じますが、国外とは異なりまして、沖縄県での遺骨収集につきましては、戦後間もなくから沖縄返還までの遺骨収集の取組も踏まえまして、発見される御遺骨の状況に応じて、厚生労働省と沖縄県が役割を分担して進めさせていただいているということでございます。
沖縄県におきましては、県民などからの情報によりまして地表付近で発見された御遺骨などにつきましてはボランティアの方と連携をして取り組んでおり、ボランティアの方が地権者を含む地域の関係者の理解を得ながら遺骨の調査、収容を行うことができるように、御遺骨を調査するに当たっての留意事項でありますとか、遺骨収集、発見のフローチャートといったものを作成をいたしまして、手順でありますとか留意事項について、ボランティアの方あるいは関係行政機関等に周知を行っているということで承知をしております。
このように、沖縄県からの周知の内容については一定の整理がされているということではございますが、先生御指摘のように、遺骨収集を行う場所の状況によっては必要な手続に違いが生じる場合もあるかということかとは思います。そういった中で、引き続き、適切な実施に向けて、沖縄県と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○奥下委員 本当に、先ほど申し上げた一般社団法人日本戦没者遺骨収集推進協会、こういったところが別に虎ノ門にある必要はなくて、現場が一番多くある沖縄県とかに置いて、こういった事務手続を全部ここが引き受けます、ボランティアの方は現場に出てもらって収集してもらう、そういった形にしていく方が現場はスムーズに動くかと思いますので、こういったことも是非検討していただけたらなというふうに思います。
最後に、遺骨収容するに当たり、情報のための予算なんですけれども、これも急遽七億の予算がついたりとか、すごく、現場に出るだけでいろいろな情報が取れるんですよね。こういった七億というのは余りにも、どういったものに、情報収集にお金をかけているのか、この内訳も教えてください。
○安住委員長 厚生労働省岡本大臣官房審議官、時間が来ておりますので、簡潔に。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の七億ということで、ちょっと、それが広報の経費全てということではないかと存じますが、先ほどお話をしましたように、身元を特定する対象を、以前は遺留品がある方というふうに限っておりましたが、その後、全ての地域においてそういった身元特定をさせていただくということで、広く全国の御遺族に呼びかけるための経費といったものを含めて、広報活動に取り組んでいるところでございます。
御指摘もいろいろ踏まえまして、引き続き、効率的で効果的に効果が上がるように、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○奥下委員 是非効率よくやっていただきたいと思います。
この状況ではなかなか納得できないので、この現状を鑑みて、超党派で遺骨収集議連を立ち上げたいと思いますので、是非多くの方に御賛同して参加いただけたらと思います。
質問を終わります。
○安住委員長 これにて奥下君の質疑は終了いたしました。
次に、岡野純子さん。
○岡野委員 皆さん、おはようございます。国民民主党の岡野純子と申します。
昨年議席をお預かりいたしまして、今日が初めての質疑でありまして、不慣れゆえに御迷惑をかけることがありませんように、しっかりと進めていけるように努めてまいりますので、明快かつ簡明な、そして前向きな御答弁をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まずは高額療養費の負担の引上げについて伺ってまいります。
御承知のとおり、この制度は、高額な治療を受けた場合に患者の負担が重くならないよう、年齢や年収に応じて一月当たりの医療費の自己負担に上限を設けているものであり、長期にわたり療養する人のセーフティーネットとして国民のよりどころとなっている制度であります。昨年十一月、その限度額が引き上げられる旨が示され、制度に頼って治療されている当事者を中心に不安の声が広がっています。
それらを受け、先週末の報道では見直しの方向が示されました。また、昨日、大臣は実際に当事者の皆さんと面談されたとのことですが、率直にどのような所感を持たれましたか、伺います。
○福岡国務大臣 昨日、患者団体の皆様方と直接お会いさせていただきました。多くの署名とともに、大変重い切実な声の数々をいただいたというふうに感じております。
そして、その率直な御意見の中から、特に、長期にわたって治療を余儀なくされておられる方々にとって今回の見直し案は大変厳しく感じているといった声であったり、また、多数回該当の限度額については引上げを行うべきではないといった御意見であったり、また、毎月のように治療を受けておられる方でなく一度に高額な薬剤の数か月分のお薬の処方を受けていらっしゃる方、そういった方もちゃんと御負担を考えた配慮がなされるべきだなど、様々な御意見をいただいたところでございます。
先ほど申しましたように、一方で、国民皆保険の維持と保険料の軽減は重要だというふうな認識も示していただいておりまして、こうした数々の重い御意見を踏まえまして、将来にわたってこの制度を維持しながら、長期にわたって治療を継続される方々の思いを同時にどうやったらなし得るかということを引き続き検証を深めてまいりたいと考えております。
○岡野委員 ありがとうございます。
今大臣おっしゃいましたように、これは、医療制度をどう持続可能にしていくのか、現役世代の負担を減らして、医療費を抑制するにはどうすればいいのかという、そういった話の延長に出てきたものであります。ほかでもない命に直結する内容ですから、改革には国民の納得感というものが必須だと私は考えます。
今回、この高額療養費の負担引上げ案についての、医療改革の全体像の中における位置づけというものが見えにくいように思っています。位置づけや改革の順序を明確にし、制度を変えるときには、これに限ったことではありませんが、それぞれに当事者がいるわけですから、その当事者の声を丹念に聞いて、納得感のある進め方をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 今後、二〇四〇年頃には高齢者の人口がピークを迎える一方で、生産年齢人口はこれからの二十年で二割以上減少するということが見込まれる中で、社会保障制度を次世代にしっかり引き継いでいくためには、今おっしゃったように、様々な改革に取り組んでいく必要があると感じています。
そのため、政府としましては、年齢にかかわらず適切に支え合うことを目指す全世代型社会保障の理念にのっとりまして、一昨年末に取りまとめられました改革工程に沿って、様々な項目がございますが、その項目を、二〇二八年度までに順次検討に着手することとしております。
この改革工程には、医療保険制度を始め様々な課題が列挙されていますが、一つの取組を実施すればほかの取組が不要になるというようなものではございません。今回の高額療養費の見直しは、高額療養費の総額が医療費全体の倍のスピードで伸びている中で、医療の重要なセーフティーネットとしての役割を将来にわたって堅持するために行うものでありまして、高額療養費の見直しか、ほかの制度改革かといった議論ではなくて、それぞれの改革に当たっては、必要な保障が欠けることのないように、丁寧に議論を進めてまいりたいと思います。
○岡野委員 ありがとうございます。
今おっしゃったこともそうですし、また、この会場の方々も、当事者団体の方たちから具体的な声はたくさん聞かれていることと思います。ですから、私からはあえては申し上げませんが、いずれも、受診の抑制や治療の継続の断念といったことに直接つながるものばかりであります。
私、四十代の女性ですが、周りには乳がんや子宮がんの友人もたくさんおります。この制度があるから子供の成長を見ることができていると言っています。小さな子供を持つ世代にとって自分の命以上にこだわるのは、まだ幼い我が子を残しては逝けないという親としての思いであります。
私自身も、大学生のときに四十七歳で母を亡くしました。小学生のときに発病して、急性肝炎から慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんと進行していく間、私と父はあらゆる治療にすがりました。他のぜいたくを諦めて、何とか進行を止めたい、治してあげたいと、我が家の家計を治療費に全振りいたしました。この制度の利用者というのは、みんなそうやって必死になって生きている人たちだということを、是非とも、私、共感する立場としては、今後議論の際には、常に彼ら、彼女らの存在というものを大臣の頭の真ん中に置いて進めていただきたいなということをお願いしたいと思います。
一方で、どのように皆保険を維持していくのかということは、確かに大きな問題であります。これは、国民も、医療保険制度が今のままでは続かないということはもうみんな分かっていて、改革が避けられないということも国民もみんな分かっていることであります。
じゃ、なぜ今回こんなふうに反発があるのかといえば、やはり、もっとほかにできることがあるんじゃないかという不満が国民の気持ちの中に広くあるからではないかなと思っています。生活保護受給者の過剰受診の実態があったり、外国からの短期滞在者による医療費の不正利用があったり、そういった報道に我々触れておりますから、そのような不公正な状況があるのであれば、適正な負担あるいは公正性、そういったことを徹底していく必要があるのではないかと考えています。
適正な負担の在り方について、余り論点を広げるべきではないので、先ほど大臣も少し触れられました、年齢によるものではない応能負担についての考えを伺いたいと思います。
我々国民民主党は、年齢ではなく能力に応じた窓口負担ということを公約に掲げております。現役並みの所得がある後期高齢者の皆さん、これには、就労所得に限らず、金融所得や資産も加えて、それらが現役並みである方の負担を三割にして、世代間の支え合いに加えて、世代内での支え合い機能と公平性を高めようとするものですが、そうした後期高齢者の応能負担体制を取ることに対する所見を伺います。
○福岡国務大臣 先ほども申しましたように、様々な改革工程に載っているものについては、これをやるからこれをやらないというものではなく、全てをしっかり検証していくということが必要だというふうに考えています。
その上で、高額療養費については改革工程にも掲げられた取組の一つでありまして、大切なセーフティーネットである高額療養費制度を将来にわたって維持していくために行うものです。
一方で、御指摘ありました、負担能力に応じた負担の観点から、高齢者の方々の窓口の三割負担の判断基準の見直しを含めまして、様々な取組についても検討していく必要があるというふうに考えておりまして、こちらについても、一昨年末の改革工程において、社会保障制度の持続可能性を高める観点から、検討すべき様々な事項を掲げておりまして、どの取組から実施すべきというものではありませんが、御指摘の点も踏まえて着実に検討を進めてまいりたいと思います。
○岡野委員 今私がこの点に触れたのは、やはり今ある、特に若年層の中にある不公平感というもの、これをなくしていけるような、そういった全体議論として進めていただきたいということを要望いたしまして、次に進んでまいります。
半導体投資について伺います。
半導体が世界的に供給不足な状況の中、半導体の国内供給能力の強化は我が国経済の発展に不可欠であると考えます。電子情報技術産業協会、JEITAは、最後にして最大のチャンスだという声明を出しました。ラピダスが成功しなければ、日本の半導体産業に復活の目はなく、反対に、本当に二ナノという最先端の半導体チップを作ることができれば、一九八〇年代のような日本の半導体産業の躍進を、設備開発、製造までを奪い返すことができるかもしれません。日の丸半導体の復活を切望する立場であることを前提に、しかし、懸念されている点を質問させていただきます。
まずは、大臣に、改めまして、ラピダスプロジェクトの半導体産業における位置づけ、その重要性について伺います。
○武藤国務大臣 岡野委員にお答えをさせていただきます。
半導体の中でも、ラピダスが量産を目指す次世代半導体、これはまさに、DX、GXなど産業構造が、大きくパラダイムシフトが今起きている中で、生成AIや自動運転等に不可欠な半導体であります。経済安全保障上も重要であり、グローバルの需要も特に大きく増大するというふうに見込まれております。
このように、今後の経済、産業、生活に不可欠となる半導体を他国に依存して購入しなければ生きていけない国になるのか、あるいは、日本の中でこれを生産することによって国内に富を生み、世界にも貢献できるようになるのか、まさに今その分岐点に立っているものと認識をしておるところです。
次世代半導体は、海外のトップ企業を含め量産に至っていない野心的な取組であり、これを諦めては、我が国の国益を大きく損ねかねません。こうした強い問題意識の下で、国として一歩前に出る形で本プロジェクトを推進しているところであります。御理解をいただきたいと思います。
○岡野委員 ありがとうございます。力強くお答えをいただきまして、国富の流出がなされないようにしっかりと進めていくという決意をお聞きいたしました。
一方で、ちまたでは、本当にこれがうまくいくのか、そういった不安や懸念も聞かれるところであります。長年、先端ロジック半導体の開発から遠ざかっていた日本企業が、ゼロからに近いスタートで実用化を目指す上での懸念を、四点、細かく伺います。
まず一つは、本当に二ナノの半導体が作れるのかという開発技術の問題であります。
そして次に、開発に成功したとして、それを量産できるかという問題です。量産をして、しっかり歩留り、良品率を上げていくためには生産技術やノウハウが必要です。それは主に経験による学習から獲得されますので、経験のないラピダスがどれだけ量産のための知恵をキャッチアップできるのか、そこが大きな試練になるのではないかと考えています。
次に、経済的な持続性。現状は、経済安全保障の観点から重要な戦略として政府が強力に後押ししているわけでありますけれども、将来、政府支援がなくなった場合の継続的な投資をどう確保するかが不透明な中、経済持続性をどうお考えか、伺います。
そして最後に、売れるのかどうかであります。日本企業が製造した最先端チップの需要が十分にあるかどうか不確実な中で、商業的成功に向けてどういった戦略をお持ちでしょうか。既存のサプライチェーンに入り込むのは容易なことではないと考えます。量産に成功したとして、生産に特化するファウンドリーにはそれを使う顧客がいるかどうか。とりわけ、TSMCにとってのアップルのような、ティーチャーカスタマーの存在が不可欠であります。顧客獲得への戦略についても伺います。
以上四点、お願いします。
○野原政府参考人 お答え申し上げます。
ラピダスプロジェクトの成功に向けましては、主に三つ、委員の御指摘によると四つ課題があるということになりますが、三つにまとめますと、量産技術の確立、それから顧客の獲得、資金調達、この三つであるというふうに考えております。
量産技術の開発は、アメリカのIBM、それからベルギーのimecなど、海外のトップ機関等と連携して進めております。昨年十月には、外部有識者から、これまでの開発は、その時点でですね、順調に進んでいるというふうな評価を受けております。
今後焦点になってくるのは、委員御指摘の量産に向けた歩留りの改善でございます。ラピダスのビジネスモデルの特徴である一枚ずつ処理する枚葉式、短納期の製造プロセスを通じまして、収集できるデータ量が多くなりますので、そのデータ量が多いことを活用して歩留りの改善のラーニングカーブを速くするということを目指して取り組んでいくということになります。
それから、二点目、顧客獲得につきましては、アメリカのIBMがAI半導体の製造委託先にラピダスを活用すると公表しておりますけれども、他の北米の新興企業との連携も進んでおります。国内におきましても、ラピダスとプリファードネットワークス、さくらインターネットとの間でAI計算基盤の構築に向けた提携を発表するなど、着実な進展が見られております。
三点目、資金調達でございますが、民間からの資金調達の円滑化等を念頭に、政府機関からの出資、債務保証といった金融支援を可能とするための法案、それから、七年間で十兆円のAI、半導体投資のフレームを執行可能にする法案を今国会に提出したところでございます。
経済産業省としては、外部の専門家の意見も踏まえつつ、適切なマイルストーンを設定し、その達成状況等を確認し、説明責任を果たしながら全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○岡野委員 ありがとうございます。まだまだ不確実な要素はありながらも、前向きに、そして危機感を持って進めてくださっていることが分かりました。
私、日本で作ることの最大の価値というのは、日本で作ることそのものなのではないかなというふうに感じています。今、中国の半導体が欧米で避けられているような現状があります。やはりそれは、中国という一党独裁体制の管理国家の下で作られた製品を通して、企業の機密情報や個人の機微情報を扱うことに対する情緒的な、感覚的な不安というものもあるのだろうと思います。実際の安全性の問題だけでなく、情緒的な点でも、信頼の日本製として成功することに御期待を申し上げまして、次に進んでまいります。
半導体製造は、エネルギー多消費産業の一つだと言われております。したがって、大量に、安く、安定的な電力を供給することが不可欠であります。ラピダスが本格稼働した後、電力需要というのはどのような見通しになっているのでしょうか。具体的な数字がありましたら、お示しください。
○野原政府参考人 委員御指摘のとおり、一般的に、半導体の製造においては大量の電力が必要になります。ラピダス社の量産に必要な電力需要に関しまして、ラピダス社によりますと、二〇二七年量産時に十万キロワット前後の電力需要が発生すると見込まれております。量産開始に伴いまして北海道内の電力需要が増加しても、必要な電力の供給量を確保できる見込みであり、電力の安定供給自体には支障がないものと認識しております。
○岡野委員 ありがとうございます。今、十万キロワットというのは、最初の一棟目が稼働したらというふうな理解をいたしましたが、それでよろしいでしょうか。分かりました。
今後、四棟体制になったとき、これは報道ベースですが、四棟全てが稼働すれば六十万キロワットの電力消費といったような報道も御覧になっていることと思います。北海道、都道府県全体の電力の消費量を少し調べましたら、夏場で三百五十万キロワット、消費が増える冬場で五百万キロワットということで、この六十万キロワットを信じるのであれば、どれだけ膨大かということが分かるわけであります。
先ほど、安定供給には支障がないということでありましたけれども、果たしてどのように、この六十万キロワットとなった場合、どうカバーしていくのかというのは、これは泊原発の再稼働の議論も関連してくることであろうとは考えます。これはまた別の場で伺ってまいりたいと思います。
では、北海道に限定せず、全国の電力供給体制について伺ってまいります。
今後ますます需要が高まるデータセンターもまた、消費電力が膨大です。強力なサーバー、その常時稼働しているサーバー、非常に高温ですから、その冷却システムに膨大なエネルギーを使うことは御承知のとおりであります。第七次エネルギー基本計画案においても、これまで人口減少や省エネによって減少傾向だった電力需要が、二〇三三年にかけて、省エネが継続したとしても、それでも増加に転じると想定されています。
今後、日本の経済発展の基盤に電力の安定供給は必須ということでありますが、七次エネ基におきましては、再生可能エネルギーか原子力かといった二項対立的なことではなく、脱炭素電源を最大限活用すべきとしています。
計画案の中の二〇四〇年度におけるエネルギー需給の見通しを拝見いたしますと、原子力の構成が二割程度と、かなり野心的と言っていいと思いますが、現存の原発三十六基のうち三十基を稼働させなければ達成ができない計算であります。これまで再稼働の審査や手続にかなりの時間を要していることを考えれば、この計画、若干の不安を感じるわけですが、どのように実現していかれるのか、伺います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中、それに見合った脱炭素電源を確保できるかどうかが経済成長や国民生活を左右する状況となってございます。脱炭素電源を確保するためには、再エネと原子力を共に最大限活用していくことが必要でございます。
二〇四〇年度エネルギーミックスにおける原子力比率におきましては、原子力規制委員会により、新規制基準に適合すると認められた原子力発電所を再稼働し、加えて、設備利用率を向上させること、また次世代革新炉の開発、設置など、様々な取組によって達成可能な水準であるというふうに考えてございます。
引き続き、産業界に対し、再稼働が円滑に進むよう、事業者間の連携による安全審査への的確な対応や、安全性確保を大前提とした定期検査の効率化等に取り組むよう働きかけるとともに、次世代革新炉の開発、設置も含め、国も前面に立ち、立地自治体関係者の理解と協力を得られるよう、粘り強く取り組んでまいります。
○岡野委員 ありがとうございます。
今、経産省の方から達成可能だというような見通しをお聞きしたわけですが、では、現状、一番可能性が高まっている柏崎刈羽原子力発電所の再稼働についての政府の考えを伺ってまいります。
我が党の玉木雄一郎衆議院議員も先日十日に視察に行きまして、国策というなら国が責任を持つべきだ、これはSNSレベルのことではありますが、そのような発言をしております。政府も国策として県民理解を図っているとおっしゃいますが、その取組は果たして十分と考えていらっしゃるのかを伺います。
また、そこに加えまして、意思決定の在り方についても伺います。
技術的な適合審査はクリアしているものの、住民合意の在り方が、法的根拠のないまま、知事の一人の肩の上に現状委ねられているような状況に見受けられます。これは新潟に限ったことではなく、今後も日本の各所において、政治生命を懸けて決断せねばならないというこの仕組みが、国策を考える上で、それを進める上では、いささかいびつなのではないかなというふうに思いますし、幾ら政治家は決断することが仕事とは申しましても、私も政治家の端くれとして、極めて苦しいだろうなというふうにおもんぱかるわけでございます。現状の意思決定の在り方についての見解も伺います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力発電所の再稼働に当たりましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の御理解を得ながら再稼働を進めていくというのが政府の方針でございます。
お尋ねいただきました柏崎刈羽原子力発電所につきましては、東日本の電力供給構造の脆弱性、電気料金の東西格差、脱炭素電源確保という観点から、再稼働の重要性は高まってきているというふうに認識してございます。
一方で、東京電力福島第一原子力発電所事故を起こした東京電力に対する不安があるということを正面から受け止めまして、御地元からの要望に対して政府が一体となって対応するべく、昨年九月には原子力関係閣僚会議を開催いたしてございます。足下では、その際の総理指示に基づきまして、県内全域を対象とした集中的な広報や避難路に関する協議の枠組みの設置、原子力災害対策の充実強化などの取組を関係省庁連携の下で進めているところでございます。
再稼働に際して、立地県の長としての知事の御理解、これは重要だというふうに考えてございます。通例、議会での御議論あるいは立地市町村の動向など、様々な関係者の考えを踏まえる形で知事の理解表明が行われるというふうに承知しておりますので、御地元の幅広い理解を得るべく、我々としても努力を重ねることが重要だというふうに考えております。
引き続き、地域の実情を踏まえながら、丁寧に取組を進めてまいりたいと思ってございます。
○岡野委員 おっしゃっていることはごもっともだと思いますし、ただ、それでは本当にこれからも必要な事業を果たして円滑に進めることができるのかなというような疑問は残るわけであります。
先ほど、県民への周知の話で、レクのときにお聞きしたのが、どこで皆さんにこの事業の又は原子力の説明をやっているのかと聞いたら、公共施設、公民館なんかでやっているというお話でありました。やはり、そういった閉じられた公共施設でやると、そこに来る人というのはいつもの常連さんになってしまいますので、もっと広く、県民理解というのであれば、例えばショッピングモールとかそういうところに出ていって、リーチしたい人のところにこちらから出向いていく、そういう工夫も必要ではないかなというふうに感じた次第です。
私の手元には、昨年五月三十一日の原子力問題調査特別委員会の議事録がございます。この中で、国会事故調の提言としまして、独立調査委員会の活用について述べられています。いわく、国民生活に重大な影響のあるテーマについて調査審議するために、国会に、原子力事業者及び行政機関から独立した、民間中心の専門家から成る第三者機関を設置するとありまして、このことにつきまして我が党の浅野哲委員が質問した際に、アドバイザリー・ボードの方からも肯定的なコメントが出されているところであります。
国民的な理解醸成や意思決定に際しまして、客観的かつ科学的に外部が判断する独立調査委員会の設置が必要と考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力政策につきましては、現在も政府の審議会におきまして様々な立場、専門性から成る委員による御審議をいただいておるところでございますけれども、原子力発電所の再稼働に当たっては、これはまず事業者自らが地域としっかり向き合って信頼関係を築いていく、エネルギー政策上の必要性などについては経済産業省の責任において丁寧に地域に説明を行っていくこと、安全性については高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合することを確認するといった形で、それぞれの組織が責任を持って対応を行うべきというふうに考えてございます。
再稼働に当たって御地元の理解を得る方法として、今、独立調査委員会の設置という御意見も頂戴いたしましたけれども、地域の実情が様々である中で、国が一律に設定するのではなく、地域の実情を踏まえながら丁寧に進めるということが重要でありまして、外部に判断を委ねるということについては慎重に考える必要があるというふうに考えてございます。
○岡野委員 今の御説明も理解できるところではあります。ただ、一つの判断をするための動機として、科学的に頼っていくということも必要ではないかなという視点でこのことを申し述べさせていただきました。
では、次に、原子力発電所立地地域への支援について伺ってまいります。
現在は、例えば電源立地地域対策交付金というものがあります。公共施設整備や福祉の充実などに活用されています。ただ、私は、このような交付金とか補助金とかという形ではなく、もっと恒久的な、もっと言うと、上げる、もらうではなくて、生み出されるメリットというものが創出できないかなと考えているところです。
その方法の一つといたしまして、原子力発電所立地地域にデータセンターを集約するという考えは考えられないでしょうか。これは、メリットとしましては、送電による電力損失を最小限に抑えられること、余剰電力の活用、また、データセンターの立地に求められる強固な地盤という点でも親和性があります。そして、何より、これが実現しますと、雇用が生まれ、経済が回り、賃金が上がり、当該地域の地方創生、経済活性化につながるという大きな便益が考えられるわけです。GX二〇四〇において示されている内容とも符合するものと考えます。
ただ一方で、データセンターを建設する側の意見もお聞きしましたが、希望する立地の条件は、物流の快適さとか関連ステークホルダーの有無とか、そういったことを重視されておりまして、電源地であることというのはさほど優先度としては高くないという現実もあるようでありまして、これを実現するには何かしらインセンティブを用意するということも必要ではありますが、その辺りも踏まえまして、政府の電源地へのデータセンター建設についての考えを伺います。
○田尻政府参考人 お答え申し上げます。
日本の産業構造の高度化には生成AIなどを活用したデジタルトランスフォーメーションが必要不可欠であり、また、それを支えるデータセンターを国内で整備するということも重要と考えてございます。
こうしたデータセンターを運営する事業者は、やはり脱炭素電源による稼働というのを求められるのが世界的な潮流となってございます。実際に、米国では、系統整備のコストも踏まえまして、原子力発電所近傍にデータセンターを立地するというような動きもございます。
その一方で、委員御指摘がございましたとおり、データセンターの立地には、電力以外の要素、例えばデータ処理に関する需要であったりとか、通信ネットワーク、産業用水等々の多様な考慮要素がございまして、これらの要素が必ずしも脱炭素電源が豊富な地域に存在するとは限らないということもあろうかというふうに考えてございます。
したがいまして、現在検討中のGX二〇四〇ビジョン案におきましては、こういった状況を踏まえまして、脱炭素電源の立地自治体にも裨益をするような形で、原子力発電所を含む脱炭素電源の近傍へデータセンターの立地を促進するための方策を、具体化を進めるという方針を示しているところでございます。
加えまして、委員御指摘がございましたとおり、脱炭素電源は地域に偏在をしているということを踏まえますと、こうした動きは地方経済の裨益にもつながるということも重要かと思ってございますので、この政策の具体化に向けまして、今後検討を加速化させていただきたいというふうに考えているところでございます。
○岡野委員 ありがとうございます。
KKの視察に行ったときに、現地の人の、ここで作ったものを自分たちは別に使わないしねというような発言を聞いたときに、やはり、どういう形でこの地域地域に何か便益をつくることができるのかということを、これは常々考えていかねばならないなというふうに感じているところです。
では、最後、教員の働き方改革、給特法の改正について伺ってまいります。
今般の環境整備は、教員の皆さんの労働環境を改善する大きな足がかりになることと思います。とりわけ、教職調整額については約五十年ぶりの改定ということです。これは、文科省と財務省が合意した内容とはいいましても、そうはいっても、私個人としましては、教職調整額の引上げ率が段階的かつ小刻みな点というのは、もっと大胆に上げるべきではないのかなと考えています。次世代の子供たちの人格と教養を養う、担う専門職であります。大変な仕事にはそれにふさわしい処遇が必要と考えますが、年一%の引上げでは十分とは言えないのではないでしょうか。
地方財政への影響も念頭にあるのだろうとは思いますが、手取りを増やすことを最優先に考えます我が党としましては、高い水準での手取り増を実現すべきと考えますが、財務大臣、お考えはいかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、文科省においては、今国会に提出した給特法改正案で、教職調整額の率について、令和七年度に五%へ引き上げ、これ以降段階的に引き上げることにより、令和十二年度までに一〇%に引き上げることとしていると承知をしております。
骨太方針二〇二四にも示されているとおり、教師の処遇改善は、学校の働き方改革と一体的に、かつ財源確保と併せて進めていくことが重要だと考えています。財政当局としても、こうした課題について継続的に検討を行っていくことが必要と考え、所管である文部科学省と連携して引き続き取り組んでいきたいと考えています。
○岡野委員 ありがとうございます。
先ほどおっしゃったように、今般の改正、人員不足の解消、本来業務以外の抜本的な縮減、長時間労働の是正など、まさに現場の教員の皆さんが求められていた働き方改革が盛り込まれておりまして、方向性は非常に正しいなというふうに感じております。ですが、今日最後の質問として、もっとこれらの根っこにある問題、すなわち、社会や保護者、あるいは児童たちの中にある教育というものへの価値観を変えるべきではないかと常日頃考えていることを最後にお聞きしたいと思っております。
私は、昭和の教育を受けてまいりましたから、今の教育がサービス業化してしまっている状況を憂えております。家庭のしつけまで任されたり、不登校児童を毎日教頭先生が迎えに行ったり、先生を、学校の外のことも含めて何でも解決してくれる、スーパーマンといえば聞こえはいいですが、何でも屋さんのように考えている保護者や生徒が非常に多いように感じます。
昭和の教育のその全てが正しかったとは申しません。今ではとても容認できないようなことも当時はありました。しかし、当時、先生はもっと敬われる存在でした。文字どおり、教師が師でありました。次世代を担う子供たちの教養だけではなく、人格の礎もつくる、やりがいがある尊い仕事のはずであります。
ですのに、教育がサービス業化してしまって、これは卵か鶏どっちが先かという話になりますが、労働環境が悪いから教師のなり手が集まらない。事実、私、選挙区は千葉県ですけれども、今年度の小学校の教員の応募倍率は一・四七と……
○安住委員長 岡野君、時間が過ぎました。まとめてください。
○岡野委員 失礼しました。では、申し上げたいことをまとめます。
私、これは、処遇改善というのは当然いいことでありますけれども、そこに加えて、社会の土壌を変えていく、学校に求め過ぎない、ちゃんと授業と生徒指導の専門家として働ける環境をつくっていくべきと考えておりますが、時間が過ぎましたので、また改めて、この件についてはゆっくりと伺ってまいります。
御答弁ありがとうございました。
○安住委員長 これにて岡野さんの質疑は終了いたしました。
次に、大森江里子さん。
○大森委員 公明党の大森江里子でございます。
私は、昨年初当選いたしました一期生でございます。予算委員会で国会議員として初めての質問に立たせていただき、心より感謝申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず初めに、税理士会からも再三の要望が出ていると思いますが、所得税の確定申告期限についてお伺いいたします。
いよいよ確定申告の時期となりました。私は、前職は税理士をしており、実務経験は二十五年になります。毎年、この時期は睡眠時間を削って多くのお客様の確定申告のお手伝いをしておりました。そこで長年疑問に思っておりましたのは、所得税の確定申告期限のことでございます。
所得税の確定申告期限は、本年は曜日の関係により三月十七日ですが、通常は三月十五日であるのに対し、個人事業者の消費税の申告期限は、所得税より二週間ほど遅い三月三十一日です。多くの事業所得者は決算で消費税を未払い計上するため、所得税の申告期限に合わせて早く計算しなければならない現状です。
地方税の計算や通知書類の作成時期にも影響するため、所得税の申告期限を遅らせることには限度があることは承知しておりますが、e―Taxの利用者も増えておりますので、デジタル化による時間短縮もされているかと思います。
そこで、所得税の申告期限を消費税の申告期限と同じく三月三十一日にそろえていただくことは可能であると思いますが、御見解をお聞かせください。
○加藤国務大臣 所得税の確定申告の情報については、国税庁から市町村に提供されて、五月末に行われる個人住民税の税額決定、また、六月以降順次行われる企業等における地方税の源泉徴収、地方公共団体における各種社会保障サービスの給付や負担の額の決定などに反映される、一連の流れがその後ついてくるわけであります。そのため、所得税の申告期限を延長した場合には、当該事務を行います市町村あるいは地方税の源泉徴収義務を担う企業等の事務を逼迫させる、こういった懸念があることは御理解をいただければと思います。
他方、個人事業主の消費税の申告期限については、所得税に比べて市町村の事務等への影響が小さい中で、個人事業主の事務処理能力への配慮として、三月三十一日を期限とする特例措置を講じているところであります。
その上で、確定申告期の納税者や税理士の方への事務負担に配慮することは大変大事なことであります。今般、日本税理士会連合会が主催する形で、関係省庁との間で新たに継続的な協議の場を設け、納税者、税理士、国、地方公共団体を含む行政の三者全ての事務負担を軽減する観点から、申告期限の延長以外の方法も含めて、実効性のある施策を中長期的に検討していただくものと承知をしております。
当該協議の初回会合は、明日十四日に開催される予定とも伺っております。こうした協議の場を通じ、今後どのような対応が考えられるのか、丁寧な検討を行っていきたいと思います。
○大森委員 次に、中小企業の事業承継についてお聞きします。
私のお客様は、中小企業や小規模事業者の皆様が大半を占めておりました。二十年以上のおつき合いのお客様も多く、経営者の方の年齢も、出会った頃は四十代だった方も今は六十代となり、事業の承継を真剣に考えなければならない年齢を迎えています。しかし、業績がとてもよいのに後継者が見つからないと困っている経営者も多くいらっしゃいました。
二〇二四年版の中小企業白書によると、年齢が七十代以上の中小企業の経営者の割合は増加し続けており、半数を超える企業で後継者が不在のままとあります。そして、後継者が見つからずに、黒字でも廃業を選択する経営者もいます。
雇用の七割を支える中小企業は、日本経済で大きな役割を果たしています。賃上げといっても、賃金を支払う企業そのものが継続できなければ実現いたしません。中小企業の事業承継の現状と事業承継が進みにくい原因について、御見解をお聞かせください。
○武藤国務大臣 大森委員から御質問いただきました。
中小企業の事業承継、本当に、これはもう積年いろいろと問題視されているところで、様々な対策を打っているところであります。後継者不在率が下がるなど、一定の進展も見られるんですけれども、経営者の高齢化はずっと進んでおりますし、引き続き喫緊の課題であります。
進んでいない原因といたしましては、事業承継の早期の検討に着手できておらず、後継者が決まっていないということ、また、後継者が決まっていても、後継者に十分な経営能力が備わっていないことのほか、相続税、贈与税の負担、あるいは株式、事業用資産の買取り資金の問題等があることなどが背景にあると考えられております。
○大森委員 事業承継が未定の事業者に対してどのような取組を行っているのか、お聞かせください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
後継者未定の中小企業における事業承継の促進に当たりましては、事業承継の早期検討の必要性について、気づきの機会を提供することが重要と考えてございます。
こうした観点から、商工団体や地域金融機関、地方自治体等におきまして、プッシュ型の事業承継診断を二〇一七年度以降の累計で百二十万件実施していただくなどしておりまして、中小企業の事業承継に係る課題やニーズの掘り起こしを行っているところでございます。
その上で、顕在化したニーズに対しましては、四十七都道府県に設置しております事業承継・引継ぎ支援センターにおきまして、相談対応等のワンストップ支援を行っているところでございます。
引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、後継者未定の中小企業における事業承継やMアンドAを推進できるよう、必要な施策に取り組んでまいる所存でございます。
○大森委員 後継者候補が見つかった場合、税制面でも事業承継に対する支援策がありますが、特に、平成二十一年に創設された事業承継税制は、改正を重ねて拡充されています。
事業承継税制は中小企業の事業承継を後押しするために有用な制度であると思いますが、御見解をお聞かせください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
御指摘の事業承継税制でございます。これについては、平成三十年度の税制改正において特例措置を設けております。事業承継時の税負担を一〇〇%猶予できるように、抜本拡充を行ったものでございます。その特例計画の提出件数は拡充後の六年間で約二万件となっておりまして、幅広い中小企業に申請いただいている状況でございます。
本税制を始めとする総合的な取組の結果、中小企業の事業承継には一定の進展があったものと認識しております。
○大森委員 法人版の事業承継税制の特例措置は、令和九年十二月三十一日で適用期限が終了してしまいます。事業承継の問題は、短期間で結論が出せるような問題ではなく、私のお客様にも、後継者探しや税制利用の検討に数年を要している事業者の方が多くいらっしゃいました。
そこで、特例措置の適用期限を延長することで、中小企業の皆様が慎重で確実な事業承継を検討できると思いますが、御見解をお聞かせください。
○武藤国務大臣 事業承継税制の特例措置に関しましては、事業承継、今事務方からお話がありましたように、集中的に進めるために、平成三十年から令和九年まで十年間限定で講じられたものであります。特例措置を受けるための計画の提出期限は令和七年度の末となっておりますけれども、まずは当該特例措置の最大限の活用を図ることが重要であると思っています。
その上で、令和七年度与党税制改正大綱では、事業承継による世代交代の停滞や地域経済の成長への影響に係る懸念を踏まえ、事業承継の在り方については今後も検討するとされております。
また、昨日ですけれども、御党、自民党、公明党間で事業承継税制の特例措置の後継に関して議論を進めていくことで一致をされたものと承知をしております。
こうした議論やこれまでの政策の効果検証などを十分に踏まえながら、事業承継を更に進めるに当たって必要な政策の在り方について、我が省としてもしっかり議論してまいりたいと思います。また御指導よろしくお願いいたします。
○大森委員 ありがとうございました。
納税猶予の適用を受けた場合、原則は、継続届出書を当初の五年間は毎年、五年経過後は三年ごとに税務署へ提出し続けなければなりません。提出期限が長期になりますので、手続の簡素化を御検討いただけると、更に事業承継税制を前向きに検討できる方が増えるかと思いますが、御見解をお聞かせください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
事業承継税制につきまして、活用後の後年度に必要となる手続に関しまして、委員今御指摘がございましたけれども、事務負担が大きいといった御懸念の声は承っております。
そのため、これらの課題に対して、これまで、年次報告書における記載事項の簡素化や提出書類の削減など、累次の見直しも行ってきているところでございます。
今後も、申請の電子化など、特例承継計画の申請の効率化に向けて継続して取り組むとともに、事業承継税制の在り方を検討する中で、現場の声に真摯に耳を傾けながら、手続の更なる簡素化につきましても検討を進めてまいる所存でございます。
○大森委員 ありがとうございました。
時間の関係で二つの質問をまとめさせていただきますが、次に、MアンドAに係るトラブルについて御質問いたします。
最近は、MアンドAによる第三者への承継を選択する中小企業の経営者も増えています。それに伴い、民間の仲介者やFAの数も増加しています。しかし、民間の調査によれば、MアンドAの仲介による買手側が経営者保証を解除しないというトラブルが表面化しているとあります。
昨年、中小MアンドAガイドラインが改定されましたが、MアンドAの助言や仲介には資格や免許などが必要でないため、仲介者やFAのサービスの品質向上のために、民間資格の導入や研修制度の充実に国のバックアップが必要かと思いますが、御見解をお聞かせください。
○武藤国務大臣 今委員おっしゃられたように、中小MアンドAガイドラインを改正しまして、不適切な買手の排除に向けた取組を、MアンドAの支援を行う事業者に対して求めることといたしております。
詳しくは、不足であればまた事務方に答えさせていただきますけれども、今のバックアップの件でありますけれども、御指摘のとおり、中小企業におけるMアンドAの適切な推進のためには、MアンドAの支援に従事する職員の資質や能力というものを高めていくことが大事だと思っています。
現在、MアンドA支援を行う者が身につけるべき知識等について、有識者との議論を通じた整理を行っているところでありまして、今後スキルマップとして公表予定であります。MアンドA支援に関わる事業者においては、当該スキルマップに即した社員の教育、研修がなされるように促してまいりたいと思います。また、自主規制団体において資格制度を導入することも検討しておりまして、先述のスキルマップも踏まえて対応されることを期待をしています。
今後とも、中小MアンドA市場の健全化に向けて、更なる検討を進めてまいります。
○安住委員長 大森さん、残り三十秒ぐらいなので、まとめていただくといいですね。
○大森委員 はい。
時間が近づいてきましたので、残りの質問は次の機会にさせていただきます。
中小企業の事業承継は、地方はより深刻な問題となっています。中小企業の皆様と苦楽を共にしてきた税理士として、そして常に現場のお声をお聞かせいただいてきた公明党の一員として、日本の雇用、そして経済を支える中小企業の更なる発展に向け、全力で取り組ませていただくことをお誓い申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて大森さんの質疑は終了いたしました。
次に、阪口直人君。
○阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。
今日は、独立国日本としての平和外交の在り方、専守防衛に徹し、アメリカとのいい関係をつくりながらも、人道外交、平和外交を行っていく、そういった提案、質問を中心に行ってまいりたいと思います。
まず、石破総理とトランプ大統領の日米共同宣言の中で、トランプ大統領は、日本の防衛支出は今後かなり大幅に上昇すると述べられています。
まず、こちらの表を御覧ください。これは令和六年度の防衛白書から引用したものですが、この二十五年間に、アメリカにおいては、防衛費、軍事費、三・一倍、日本は二・八倍、そして中国は九・八倍、ロシアに至っては十八・五倍と大きく増えています。
戦争抑止の名の下に敵の脅威をあおり、そして、本来は福祉や教育などに使うべき予算を削って軍事力を増強し続ける。得をするのは防衛産業と国民の恐怖を弄んで自分の立場を強化する政治家だけではないかと感じざるを得ません。
実際に、中国やロシアとの軍拡競争に耐えられるのか。また、敵基地攻撃能力や能動的サイバー防御の行使など、先制攻撃と解釈され得る戦略によって戦争への引き金を引く可能性を高めるのではないかと危惧をしています。
そして私は、こんな状況を打開することこそが真の政治家の役割だと考えています。人権外交議連の会長でもいらっしゃる中谷大臣、戦争こそが最大の人権じゅうりんであることは深く御理解されていると思います。アメリカの抑止力依存一辺倒ではなくて、徹底的に平和外交を行っていく、この在り方を探ることこそ重要だと思いますが、まず基本的なお考え、そして哲学をお話しいただきたいと思います。
○中谷国務大臣 阪口委員におかれましては、かつてカンボジア、また東ティモール、そしてボスニアなど紛争地を回られまして、こういった現場において活動を続けられておりまして、特にキルギス議連では、イシククリ湖のスポーツイベントなどを企画されまして、平和構築に御活躍をされているわけでございます。
現実に世界情勢を見てみますと、やはりミリタリーバランスというものがありまして、やはり、力の均衡ではなくて、力で不均衡があったところに紛争などが起こっていますので、常にこういった面の、安全保障の面におきましては、各国、防衛力というものが必要でございます。
その上で、我が国におきましても抑止力や対処力を維持させるということで防衛力を整備をしておりまして、いわゆる安全保障のジレンマ、これを防ぐ上でも、しっかりと透明性を持ちながらこういった力の整備、このことにおいては、各国とも必要ではないかなというふうに思っております。
○阪口委員 均衡あるいはバランスということであれば、軍事力、防衛力と同時に、やはり平和外交、こことのバランスを取っていくということも非常に大事だと思います。
今回の日米共同宣言においては、自衛隊及び米軍のそれぞれの指揮統制枠組みの向上、また、日本の南西諸島における二国間のプレゼンスの向上が記されています。より実践的な訓練及び演習を通じた即応性の向上、拡大抑止の更なる強化と、実質的には米軍の指揮下に入りながら、南西諸島の軍事要塞化が進む内容と危惧をしています。
そして、先島諸島の住民十二万人を、一日二万人ずつ、六日間で九州に避難させる計画も策定されています。実際に、石垣市は山口県、福岡県、大分県、竹富町は長崎県、また、与那国町は佐賀県と、避難先の県まで決まっているんですね。そして、沖縄本島の住民は屋内避難です。これは何で屋内避難なんでしょうか。それで大丈夫なんでしょうか。また、先島諸島を捨て石にして、そして軍事作戦の円滑な実施が目的と思えて仕方がないんですが、この点について大臣、御説明いただきたいと思います。
○中谷国務大臣 国民の安全につきましては、二〇〇一年頃に有事法制を作りまして、武力攻撃事態でありますが、それと同時に国民保護法案というものも成立をさせました。これは、いち早く国民を安全なところに避難をさせるという内容でございます。
沖縄の場合は、こういった輸送手段の制約という困難がありますので、国が積極的に行うということで、私、せんだって先島の方に参りまして、この石垣島の、竹富町に参りまして、現実の対応を見てまいりましたが、今、地方自治体がこういった住民避難について非常に積極的に対応していただいておりまして、計画によりますと、沖縄県先島五市町村から、九州、山口県と連携して、図上訓練などを通じた避難の確認とか、具体的な避難先における受入れの体制の準備とか、こういう形で今整備をしていただいているわけでございますので、同時に、やはり国民を安全なところに避難させるということは極めて重要な要素ではないかなというふうに思っております。
○阪口委員 国民を安全な場所に避難させることも重要ですが、まずそのような状況をつくらないこと、これが最も重要だと思いますので、是非この点、よろしくお願いをいたします。
また、日米共同宣言の中では、中国による東シナ海における力又は威圧によるあらゆる現状変更への取組について、強い反対の意を改めて表明をいたしました。
一方で、トランプ大統領も、グリーンランドを所有する意思を示したり、パナマ運河の支配権を取り戻すと強い言葉で威圧的に表明するなど、現状変更しようとしています。
これは矛盾していませんか。アメリカだったら現状変更してもいいんでしょうか。中谷大臣、どのようにお考えでしょうか。
○中谷国務大臣 グリーンランド等につきましては、トランプ大統領の真意につきまして、私もまだ十分に理解はいたしておりませんけれども。
いずれにしましても、この前、日米首脳会談が行われましたけれども、やはり力による現状変更、いわゆる法の支配、これをなくすということは極めて不安定な状況になるという認識で一致をいたしておりまして、米国におきましても、こういった力による現状変更につきましては、それを実施するというようなことは考えていないのではないかなというふうに私は感じております。
○阪口委員 今考えていないのではという解釈でしたが、実際に表明されていらっしゃる。やはり危機感を持つべきだ、場合によっては説得をすべきだと考えています。
次に、武藤大臣にお伺いをいたします。
私は大変感慨深い思いでここに立っております。実は、一九九三年に、平和安全への貢献ということで、お父様の武藤嘉文外務大臣から表彰をいただいたことがございまして、また、選挙区において、ようやく十年目にしてこの場に立てることになりました。大臣も、ようやくといいますか経産大臣になられて、失礼のないように全力で質問をさせていただきたいと思います。
さて、石破総理は日米首脳会談でアメリカへの投資を一兆ドルにすると表明をされました。しかし、投資というのは主に民間企業がすることだと思います。一体どんな権限で、このような巨額の投資を約束できるのか。何らかの優遇策や、あるいは補助というものを行うんでしょうか。
この点、大臣、いかがお考えでしょうか。
○武藤国務大臣 阪口委員から御質問をいただきました。
阪口委員が表彰されたというのか、受賞したのかな、父の本にちゃんと出ておりましたので、読まさせていただいた覚えがございます。
今回、日米首脳会談の案件におきまして、総理からトランプ大統領に対して、日本企業による対米投資額を一兆ドルという、いまだかつてない規模まで引き上げたい、そのために共に取り組んでいきたいとの意思をお伝えしたというふうに承知をしているところであります。
日米の緊密な経済関係を更に拡大、発展させる余地は大きく広がっている。また、今後、良好なビジネス環境が維持強化されれば、自動車分野に加え、AIや先端半導体、あるいはエネルギー等の分野において対米投資が進んでいくことが想定をされるところであります。
こうした民間の投資を、今委員がおっしゃられたように、政府において把握をしながら、必要に応じ両国における環境整備を進めていくという我々のスタンスであります。
○阪口委員 ちょっと今の答弁はふわっとした感じで、どんな戦略があるのかということが十分には伝わりませんでした。私が求めているのは、国民の税金をトランプ大統領の御機嫌取りには使うべきではないということです。
さて、では、こちらの表を御覧いただきたいと思います。これは、アメリカの商務省のデータから作ったものなんですが、アメリカへの投資の額は、二〇一九年にイギリスを抜いて日本が一位になっているんですね。
当時イギリスは、EUから離脱したメイ首相がトランプ大統領とは距離を置いて製造業が東欧にシフトした時期になり、米国と英国は二国間のFTAを結びましたが、英国の対米投資は大きく減っております。
そこに呼応するかのように対米投資を大きく増やしたのが安倍政権なんですね。ちょうど消費税が八%から一〇%に上がり、あわせて、法人税減税が行われた時期に当たりますので、輸出や投資する企業にとっては大きなインセンティブになったはずです。特に消費税の戻り税は、八%から一〇%に、二五%増えたということは大きなインセンティブだと思います。
トランプ大統領が自ら主導した北米のFTAを無視してカナダに関税の引上げを迫ったことにより、今後、対米投資二位のカナダからの投資が大幅に減ることが予想されます。トランプ大統領はそれを見越して石破首相に対米投資二五%アップを約束させたと解釈をしています。
大臣に伺います。まさか、安倍総理と同じように、国内経済を無視して消費税増税や法人税の減税に向かうことはないですよね。お答えください。
○武藤国務大臣 委員の御指摘というか御懸念というものも、今の段階でも私もまだ具体的に承知をしていないところでありますが、しっかりとそういう形を踏まえた上で。いずれにしましても、これは日米二国間だけではなくて、多分、委員、いろいろお考えに今までなっていらっしゃると思いますけれども、多国間との調整、そういうものも、連携も含めながら、いずれにしても、我が国の産業というものをしっかりこれは成長させていくということが一番大事なところだと思っていますから、そういう意味でしっかり対応させていただければと思っています。
○阪口委員 ありがとうございます。
ただ、今の御答弁、本当に総理との十分な連携ができているのかということについては懸念を感じざるを得ません。
さて、日本の対米投資の実態を調べてみると、実は、上位を占めるのはほとんど買収なんですよね。二〇二三年に武田薬品工業がバイオ医薬品企業ニンバス・ラクシュミを六十億ドルで買収しました。そして、アステラス製薬がアイベリック・バイオ社を五十三億ドルで買収。そして、設備投資となると一気に額が下がって、武藤大臣の御出身の富士フイルムがウィスコンシン州やカリフォルニア州に二万ドル投資したというのが次に来るところです。
USスチール買収にトランプ大統領から圧力がかかった例を見るまでもなく、買収にはストップがかかり、もっと投資しろ、日本側がもっとお金を出せということになりかねないと危惧します。お金の流出により日本経済がますます空洞化して、衰退が加速する可能性があります。
お伺いします。まず今行うべきは、アメリカファーストで気に入られることではなくて、国内の投資の促進と雇用の創出、そして賃上げではないでしょうか。武藤大臣、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 私の見識から申し上げます。
国内投資はもちろんであります。なので、委員今おっしゃられたように、アメリカとの関係、又はアメリカだけじゃなくて、例えば、これまでも答弁していますけれども、インドネシア、ASEANの関係の、いわゆるAZECの関係、様々なところで今投資を進めさせていただく。
まずは、国内の原資となりますいわゆる賃金、ここが我々の大きな今年の課題でもあり、価格転嫁というものも何とか実現していこう。様々なそういう政策の包括的な総合といいますか、それぞれ全て前に進めていくということが日本の産業競争力につながってくるものと思っております。
○阪口委員 これだけ譲歩しておきながら、トランプ大統領は、日米首脳会談の直後に、鉄鋼、アルミニウム製品に対する二五%の追加関税を全ての輸入品に適用するための大統領令に署名をしています。腰が引けていることを見抜かれて、完全に足下を見られているんじゃないかと思います。
トランプ大統領の基本的な姿勢を見ていると、弱肉強食で、これまで構築されてきた国際秩序、規範が意味を持たなくなる世界観を持っているように思います。トランプ政権によって世界がそういう方向に進んでいきかねないことについて、貿易の責任者として、武藤大臣、どのように見ていらっしゃるのか、また、どう立ち向かっていこうとしているのか、お考えを伺いたいと思います。
○武藤国務大臣 この前、日米首脳会談が行われ、そして、私のカウンターパートがまだ決まっていない状態であります。したがって、首脳会談で得た成果、これを、私だけじゃなくて、それぞれの各省、それぞれの者が連携をしながら、ちゃんとしっかり日本の国益というものを重点にしながら、そして、世界平和のために、産業発展のために頑張っていくというところになるんだと思います。
○阪口委員 少し抽象的な答弁であったことを残念に思います。
ただ、日本としては、腕力で劣る状況ということを考えると、こういった枠組みづくり、多国間の交渉に持っていくというような戦略が必要だと思います。
アメリカ、特にトランプ大統領を多国間の枠組みの中でしっかり説得していく、このような戦略というのは、日本はおありなんでしょうか。
○武藤国務大臣 今おっしゃられたように、トランプ政権の貿易政策等々はまだ、個別的、具体的な内容、我が国への影響を十分に精査して、これから適切に対応していくということになります。
日米二国間だけでなく、他の関係国を含めての交渉ということでありますけれども、一般論として申し上げれば、これまで我が国は有志国と連携を図ってきており、引き続きこのような取組を行うことは極めて重要だというふうに承知をしています。
○阪口委員 次に、国際刑事裁判所、ICCが二〇二四年の十一月にイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことへの報復措置として、トランプ大統領はICCを制裁する大統領令を出しました。ICC職員やその家族らに資産の凍結や渡航禁止などの制裁が可能になります。
赤根智子所長は、裁判所の独立性や公平性への攻撃として、イギリスやフランス、ドイツ、カナダなど七十九か国や地域が非難をしていますが、日本はここに加わっていません。これはなぜでしょうか。
○岩屋国務大臣 御指摘の共同声明に関する我が国の対応については、様々な要素を総合的に勘案した上で決定したものでございます。
その上で、委員御指摘のように、ICCについては一貫して私ども支持をしてきております。世界初の常設国際刑事法廷でありますし、御指摘あったように、我が国出身の赤根智子氏を所長として送り出しているわけでございます。
トランプ大統領の大統領令から六十日以内に国務長官の下で制裁対象が絞られると承知をしておりますので、ICCが独立性を維持し、安全を確保しながらその活動を全うできるということが一番大切だと思っておりますので、目下、米側と様々なレベルで意思疎通を行ってきているところです。
引き続き、米側やICC、また他の締約国と意思疎通を行いながら、適切に対応していきたいと考えております。
○阪口委員 これは本当に、いわば正義を守るという強い意思を持って、体を張って交渉していただきたいと思います。
さて、トランプ政権は、政府効率化省のイーロン・マスク氏の下、USAIDを閉鎖して国務省に吸収する考えのようです。一万人以上の職員の方々を二百九十人に減らして、アメリカにとって利益のある人道援助以外はほぼ事業を終結させる見込みのようです。しかし、人道援助というのは、本来、目の前にある全ての命を平等に救うことに価値があるんです。
二〇二三年のUSAIDの予算額は四百十一億七千万ドル、約六兆一千六百五十億円、人道支援の額は八十八兆二千三百万ドル、一兆三千二百三十四億円です。実はホームページも閉鎖されていてこのような数字を取ることは大変だったんですが、昨年から一億四千百万ドルと、ミャンマーに対する人道支援が行われているとアメリカの、米国大使館が発表しています。
私は、USAIDの不履行分の中で、日本が価値を提供できる人道援助については引き受けていくという交渉を始めてはどうかと考えています。目の前の命を救う人道支援への貢献というのは、信頼できる国、尊敬できる国としての日本の存在感を高め、そして、防衛費を増やす以上に日本の安全保障への貢献になり得ると考えていますが、アメリカができない平和貢献を日本がやるという考えについて、大臣、いかがお考えでしょうか。
○岩屋国務大臣 御指摘のように、トランプ米国大統領は、対外援助を九十日間停止するという大統領令に署名をしています。その後、米国政府は人道救命援助については同措置の対象外とすると発表したと承知をしております。
今後、実際にどうなっていくかということについては、まだ予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、この件に関しても米国側としっかり意思疎通を図っていきたいと思いますし、我が国が行える人道支援については、しっかりと今後とも行っていきたいというふうに考えております。
○阪口委員 今、ミャンマーに対する人道支援ということに触れましたが、ミャンマーの現状と日本政府が果たすべき役割についてお伺いをしたいと思います。
二〇二一年の二月に、ミャンマーの国軍が、暴力的なクーデターによって、アウン・サン・スー・チーさんが率いる選挙によって選ばれた政権から実権を奪って、暴力による支配を続けています。
当時、ASEANの調査によると、いざというときに日本に期待したいというミャンマーの方は七六%、一方、アメリカやEUに対しての期待は三〇%台ということで、圧倒的に日本への期待が高かったんですね。しかし、日本は一貫して国軍との関係を重視してきました。ミャンマー国民よりも国軍、少なくともミャンマーの方々の多くはこのように考えています。
さて、平和と民主化を求めるミャンマーの市民は、国軍のクーデターに対して非常にモラルの高いデモをしていましたが、殺りくを続ける国軍に対して国際社会が動かないことに絶望した民主派勢力は、少数民族の武装勢力と連携して武力闘争を開始しました。
しかし、この民主派勢力が、実は今、完全に形勢を逆転しているんですね。国軍の支配地域は三割前後になり、各地で国軍兵士の投降が相次いでいます。国軍の腐敗や暴力、そして民主派勢力のモラルの高さということが大きな要因だと現地でも聞きました。
さて、質問です。この国民統一政府を是非日本に正式に招待をして、今後のミャンマーの在り方、そして日本の支援について率直な意見交換をすべきだと思うんです。
というのは、選挙によって選ばれた政権が暴力によって崩壊したときに、実効支配をしているという理由で、国軍に対してカウンターパートの扱いをずっとしてきたわけですね。実際は今、実効支配は、かなりの部分、この民主派勢力が行っているわけですから。この状況も鑑みて、日本の価値観をしっかり反映した、そういった対話をすべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 日本政府は、ミャンマー国軍によるクーデターの正当性は認めておりません。したがって、民主的体制への早期回復に向けて、ミャンマーの国民の皆さんの声をしっかりと幅広く聞くことが重要だと考えております。
個別のやり取りで何をやっているかということはちょっと控えさせていただきたいと思いますが、様々な関係者との対話を行っております。委員の御指摘も踏まえて対応したいと思いますが、面会の有無も含め、コメントは控えさせていただきたいと思いますが、国民統一政府、NUGは重要なステークホルダーだというふうに考えております。
○阪口委員 是非、重要なステークホルダーであるNUGとの対話、これを進めていっていただきたいと思います。
そして、こちらの地図を御覧ください。これはUNHCRが作成した二〇二四年四月時点でのものなんですが、海外に出ることもできず、危機的状況にある国内避難民が、その時点でミャンマーには二百五十九万人いる。タイ、インド、バングラデシュ、中国の国境近くに、本当に人道支援が必要な国内避難民の方々がいるんですね。その後、非常に増えていて、現在三百万人をはるかに超えていると言われています。
この国内避難民への人道支援が非常に今求められているんですが、いわゆるクロスボーダー支援については日本は一貫して否定的で、私が関わっているインターバンドというNGOも支援をしていますが、渡し船で国境を越えて、六時間から九時間、地雷が埋まった山道を歩いて、国内避難民キャンプに届けているんですね。
日本政府が行っている国軍支配地域の国連経由の支援というのは、最も必要としている人たちには届いておりません。NGOの支援だけでは全然足りないんです。したがって、是非新たなスキームで、日本政府として直接この国内避難民を支援できるようにしていただきたい。
提案としては、タイ政府又はタイのNGOへのODAという形で支援をして、そして、それらが連携するミャンマーのNGOを通して現地に届けるというのが現在できる最も有効な方法だと思います。
岩屋大臣、是非こういう新しいスキームを一緒につくっていきませんか。いかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 ミャンマーの人道状況の悪化は深刻に懸念をしております。
委員御指摘のクロスボーダー支援、中に入っていって支援をするということについては、やはり現下のミャンマー情勢に鑑みて、援助関係者の安全上のリスクなどを考慮しますと、慎重に検討する必要があると考えております。
我が国は、これまで国際機関やNGO等を経由しまして約一億五千二百万ドルの人道支援を実施してきておりますが、タイにおいて国際機関及びNGOを通じた支援をこれからもしっかりやっていきたいと思います。例えば、国際移住機関、IOM、あるいは国連難民高等弁務官事務所、UNHCRなどを通じた支援をしっかり行っていきたいというふうに考えております。
○安住委員長 阪口君、時間が参りました。
○阪口委員 より詳しいことについては、是非、外務委員会でまた議論をしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○安住委員長 これにて阪口君の質疑は終了いたしました。
次回は、明十四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時七分散会