第10号 令和7年2月14日(金曜日)
令和七年二月十四日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
国光あやの君 河野 太郎君
後藤 茂之君 小林 茂樹君
高木 啓君 田所 嘉徳君
田中 和徳君 谷 公一君
土屋 品子君 寺田 稔君
西銘恒三郎君 平沢 勝栄君
深澤 陽一君 古屋 圭司君
山田 賢司君 井坂 信彦君
今井 雅人君 大西 健介君
落合 貴之君 神谷 裕君
川内 博史君 黒岩 宇洋君
近藤 和也君 酒井なつみ君
階 猛君 藤岡たかお君
本庄 知史君 米山 隆一君
早稲田ゆき君 池下 卓君
徳安 淳子君 西田 薫君
林 佑美君 長友 慎治君
橋本 幹彦君 赤羽 一嘉君
大森江里子君 西園 勝秀君
沼崎 満子君 櫛渕 万里君
辰巳孝太郎君 田村 貴昭君
緒方林太郎君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
経済産業大臣 武藤 容治君
国土交通大臣 中野 洋昌君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣
(防災担当) 坂井 学君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 三原じゅん子君
国務大臣
(経済財政政策担当) 赤澤 亮正君
国務大臣
(宇宙政策担当) 城内 実君
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
財務副大臣 斎藤 洋明君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 大森 一顕君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岸田里佳子君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 野村 裕君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 高橋 謙司君
政府参考人
(内閣府宇宙開発戦略推進事務局長) 風木 淳君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 谷 滋行君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房長) 中村 英正君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 玉田 康人君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君
政府参考人
(外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長) 中村 仁威君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 安藤 俊英君
政府参考人
(外務省領事局長) 岩本 桂一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長) 笠原 隆君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官) 佐々木昌弘君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 森光 敬子君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長) 鷲見 学君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小見山康二君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 山本 巧君
予算委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
委員の異動
二月十四日
辞任 補欠選任
酒井なつみ君 落合 貴之君
藤岡たかお君 井坂 信彦君
西田 薫君 林 佑美君
大森江里子君 沼崎 満子君
河西 宏一君 西園 勝秀君
田村 貴昭君 辰巳孝太郎君
同日
辞任 補欠選任
井坂 信彦君 藤岡たかお君
落合 貴之君 酒井なつみ君
林 佑美君 西田 薫君
西園 勝秀君 河西 宏一君
沼崎 満子君 大森江里子君
辰巳孝太郎君 田村 貴昭君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
派遣委員からの報告聴取
――――◇―――――
○安住委員長 これより会議を開きます。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
この際、三案審査のため、去る十二日、第一班群馬県、第二班広島県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。第一班齋藤健君。
○齋藤(健)委員 群馬県に派遣された委員を代表いたしまして、団長に代わり私からその概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、安住淳委員長を団長として、理事牧島かれん君、奥野総一郎君、浅野哲君、委員稲田朋美君、河野太郎君、小林茂樹君、深澤陽一君、神谷裕君、川内博史君、長谷川嘉一君、西田薫君、赤羽一嘉君、櫛渕万里君、私、齋藤健の十五名であります。
去る十二日、現地において、株式会社ジンズホールディングス前橋馬場川オフィスを視察し、同社の田中代表取締役CEOを始めとした関係者と、民間主導の地域活性化等について意見交換を行いました。
次いで、高崎市において会議を開催いたしました。
会議におきましては、群馬県知事山本一太君、館林市長多田善洋君、草津町長黒岩信忠君及び太田市長、群馬県市長会会長清水聖義君の四名から意見を聴取いたしました。
まず、山本陳述人からは、民間活力を活用した町づくりの取組状況、地方拠点強化税制拡充の必要性などの意見が、
次に、多田陳述人からは、学校給食無償化のための自治体への支援の必要性、自治体病院の医師確保のための支援の必要性などの意見が、
次に、黒岩陳述人からは、修景整備を通じた観光振興の取組状況、火山防災に係る法整備の不備などの意見が、
最後に、清水陳述人から、ふるさと納税制度の問題点、法定受託事務に係る財政負担の在り方
などの意見が述べられました。
次いで、各委員から意見陳述人に対し、人手不足に起因する各地域の課題、学校給食無償化に向けた国の役割、外国人労働者の子弟に対する教育の在り方、災害避難時における介護の在り方、観光地の高付加価値化を支援する補助金の必要性、農業の六次産業化に向けた行政の支援、体育館の冷暖房設備導入に係る文部科学省補助金の問題点などについて質疑が行われました。
以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。
なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を始め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。
以上、御報告申し上げます。
○安住委員長 次に、第二班井上信治君。
○井上(信)委員 広島県に派遣された委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、私、井上信治を団長として、理事山下貴司君、岡本あき子君、山井和則君、三木圭恵君、委員高木啓君、谷公一君、寺田稔君、山田賢司君、東克哉君、大西健介君、酒井なつみ君、福田玄君、平林晃君、本村伸子君の十五名であります。
去る十二日、現地において、独立行政法人酒類総合研究所を視察し、関係者から説明を聴取いたしました。
次いで、広島市において会議を開催いたしました。
会議におきましては、広島県知事湯崎英彦君、日本労働組合総連合会広島県連合会会長大野真人君、一般社団法人中国経済連合会会長芦谷茂君及び東広島市長高垣廣徳君の四名から意見を聴取いたしました。
まず、湯崎陳述人からは、東京一極集中の是正及び地方創生の推進に係る自由度の高い財源確保、地域医療体制の確保のための財政支援などの意見が、
次に、大野陳述人からは、賃上げに資する適正な価格転嫁の必要性、核兵器禁止条約締約国会議への政府のオブザーバー参加の要望などの意見が、
次に、芦谷陳述人からは、スタートアップ支援等イノベーションの創出、観光振興に向けた支援の必要性などの意見が、
次に、高垣陳述人から、産学官の共創による世界と直結したローカルハブの取組、中山間地域における農業政策
などの意見が述べられました。
次いで、各委員から意見陳述人に対し、若者や女性等の転出増加の現状及び地方創生二・〇にも関する一極集中是正、中小企業の賃上げ等に対する国の支援策についての要望、地方分権の推進に向けた取組及び規制緩和の在り方、いわゆる年収の壁等の見直しに対する受け止め、意見、先端半導体をめぐる今後の展望と地域の取組、被爆の実相を明らかにするための国の取組姿勢などについて質疑が行われました。
以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。
なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を始め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。
以上、御報告申し上げます。
○安住委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
お諮りいたします。
ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔会議の記録は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○安住委員長 これより一般的質疑を行います。
この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官大森一顕君外十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。
○高木委員 自由民主党東京十二選挙区選出の高木啓でございます。
本日は、質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございました。
早速ですが、本日は、まず、家計というものを切り口とした我が国のマクロ経済政策について質問をいたします。
昨年の七月から九月期の家計貯蓄率は、資金循環ベースで、対GDP比でプラス一・一%まで実は我が国は落ち込んでいるわけであります。一九八〇年以来の最低水準となりました。家計の将来不安を払拭するには、やはり十分な、あるいは、少なくとも一定の貯蓄ができる状態になるという必要があると思います。
ちなみに、欧米主要国の貯蓄率は、比較をいたしますと、米国はプラス四・四%、ユーロ圏がプラス四・一%、英国はプラス三・四%、日本は、今申し上げたようにプラス一・一%ですから、これを見ると、現状の日本の低さというのが非常に際立つわけであります。
一月の政府の中長期の経済財政に関する試算、これは経済財政諮問会議が提出したものですが、資料一でございます。実質GDPの成長率がプラス一・五%となる成長移行ケース、これは資料一の下段ですけれども、そうであっても、二〇三〇年代の家計の貯蓄率はプラス二・〇%程度、つまり、家計の状況はほとんど改善しないということになるわけであります。
また、国際経常収支は三%程度の黒字が続くことになっていて、貯蓄、投資のバランスとしては、国内の資金がまだ余剰で、家計の貯蓄率の低下は高齢化が問題ではないことも実は示しています。これは、資料二を御覧いただければお分かりになると思います。
ここで問題なのは、二〇三〇年代前半の財政収支が対GDP比でプラス一・一%程度の黒字になっていることでありまして、これは何を意味しているかというと、財政政策が緊縮であって、家計から資金を吸い上げる形が継続する見通しだということであります。これでは、私は、国民は幸せを実感できる状況になかなかならないというふうに思うわけであります。
さて、企業貯蓄率と財政収支を合計したものを私たちはネットの資金需要と呼んでおります。これは資料三を御覧いただければと思いますが、このネットの資金需要とは、簡単に言いますと、市中にお金がどれだけ増加する力があるのかを示す指標でありまして、この指標がプラスになると、市中からお金が消えてしまいます。そして、マイナスになりますと、お金が増加する力があることになる、そういう指標であります。
そして、マイナス五%程度というのが名目GDP三%成長に整合的な、適切な目標とされていまして、つまり、これが一定水準のマイナスになることで、企業と政府の支出する力が強くなるということになりまして、家計に所得が回り、プラス二%を十分に上回る貯蓄率になるほどに家計の状況が回復するということになるわけであります。マクロ経済では、誰かの支出が誰かの所得になるというのが原則でありますから、そういうことになります。
そこで、悪化し続けている家計の状況を回復させるために、政府はどのような役割を果たすべきと考えるか、赤澤大臣の見解をお伺いします。
○赤澤国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国の成長のためには、経済成長ということですけれども、企業の投資を引き出し、家計の所得を増やすことが重要であるという認識は共有をしております。
御案内のとおり、石破内閣では、今まさに賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行の分岐点であるという認識の下で、経済あっての財政との考え方、そして、この移行を確実なものとするため、必要な経済対策等を講じてきているところでございます。
具体的には、最低賃金を着実に引き上げ、物価上昇を安定的に上回る賃上げを実現するため、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めることとしています。同時に、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を高めるべく、省力化あるいはデジタル化投資の促進への支援や官民連携の国内投資を進めるなど、将来も継続的に所得が増加する手だてを講じることとしております。
その上で、こうした取組による家計所得の増加を消費の増加へつなげていくことで成長と分配の好循環を実現することが重要と考えておりまして、今申し上げた意味では、委員が御指摘の家計貯蓄率の上昇は、所得の増加ほどには消費が増加しないことで実現されるところがありまして、このため、御指摘のネットの資金需要を拡大させることは、家計貯蓄率を引き上げるということになりますが、その財政運営の方針が成長と分配の好循環の実現と整合的かどうかというのは、ちょっと大きな論点かなというふうに思っております。
今後とも、経済あっての財政との考え方の下、政策運営に取り組んでまいりたいと思います。それにより、民需主導の経済成長が実現する中で、財政状況の改善も進め、危機に強靱な経済、財政をつくってまいりたいと考えます。
○高木委員 家計の貯蓄の問題はいろいろ見方があると思いますが、これは、結局、今何を言いたいかというと、貯蓄もできないほどやはりなかなかみんな困っているという状況だということです。
つまり、我が国は、そもそも貯蓄が好きな国民だったと思うんですよ。ずっと貯蓄貯蓄と言われてきて、そして、政府の政策も、貯蓄から投資へというようなことも言われてきた。その我が国においてこれだけ貯蓄率が下がっているということに対する問題意識を是非持っていただけないでしょうかということでありまして、つまり、貯蓄も消費も増えていくということが大事なんだということだと思いますから、是非その点を御留意いただきたいと思います。
さて、財政運営が、財政収支が黒字でなければならないというのは、実は、古く単純なミクロの考え方だと私は思っています。ここから脱しないと、成長移行ケースであっても家計の状況が回復しないことは先ほど申し上げたとおりでございます。だからこそ、家計に所得を回すために、企業と政府の支出力であるネットの資金需要を十分なマイナスに誘導する財政運営が新しいマクロの考え方というふうに私は思っておりまして、こういう考え方が必要だというふうに思います。
あえて申し上げますが、我が国の財政は、ずっと危機だ危機だと言われていますけれども、見方によって、これは健全だと私は思っています。つまり、少なくとも二〇二五年度の政府予算案では、国債費を除く歳出というのは八十七・三兆円でありまして、そして、そこから建設国債を、六・八兆円発行していますから、経常的歳出という考え方でこれを引いていきますと、実は、八十・五兆円になるわけであります。一方で、税収と税外収入の見込みは八十六・九兆円でありますから、つまり、二〇二五年度のコアプライマリーバランスというものは既に六・四兆円の黒字ということになるわけであります。財政は既に健全化していると言ってもこれはいいと思います。
私は、プライマリーバランスからコアプライマリーバランスへの、財政目標を柔軟化をするということができれば、我が国の財政政策は更に余力があるというふうに考えるわけであります。
そこで、企業貯蓄率に対する財政政策の在り方、また、コアプライマリーバランスによる新しいマクロの考え方での財政余力、そして、それを生かした今後の財政政策はどうあるべきと考えるのか、赤澤大臣の見解を伺います。
○赤澤国務大臣 世界有数の災害発生国である我が国において、公共インフラの維持整備にしっかりと取り組み、防災・減災、国土強靱化を着実に推進していくことは大変重要でありまして、委員と全く認識を同じくしております。
その上で、コアプライマリーバランスというお考えを披露いただいたわけですが、建設国債の発行額を除く趣旨は、恐らく、建設国債がそれにひもづく見合いの実物資産を生み出すため、その分の債務を除いて考えていいのじゃないかというお考えじゃないかと承知をしております。
公共事業の重要性はもちろん理解をするんですが、我が国の財政に対する市場の信認を確保するという観点からは、建設国債か赤字国債かにかかわらず、債務全体を管理していくことも重要であると考えておりまして、引き続き、経済あっての財政との考え方の下、早期のプライマリーバランスの黒字化の実現を目指してまいりたいと思います。
なお、そのためにも、企業部門が投資超過へとシフトし、民需主導の経済成長が実現することが重要であるというのは委員御指摘のとおりでありまして、政府としては、思い切った官民連携の投資を行うなど、潜在成長率の引上げに重点を置いた政策運営を行ってまいりたいと思います。
問一へのお答えと組み合わせれば、投資をすごく企業がやってくださる状態で、家計が貯蓄をすると、そのお金がうまく資金供給につながっていくようないい循環になっていれば、それがいい状態だと思うので、そういう状態を目指してやっていきたいというふうに思っております。
○高木委員 今、赤澤大臣がお答えいただいたように、いい循環をつくるための国の役割というものを、是非マクロ経済の正しい考え方に基づいて運用していただきたい、私はこう思うわけであります。
つまり、正しいマクロ経済というのは、先ほど申し上げたように、誰かの支出が誰かの所得になっていく、この考え方ですから、誰かがやはりそのバランスを取っていかなければいけない。つまり、企業貯蓄率が上がっていけば、当然、国がそのバランスを取るためには財政を出していくということが必要だ。逆に言うと、投資超過になって景気が過熱してくれば、政府はそれを締めていかなきゃいけない、こういう役割ですから。
ですから、そのバランスをどう取っていくのかという意味での、このネットの資金需要という一つの指標を活用していただいて、どのようにこれを運用していくのかということを是非これからも考えていただきたいと思います。
私が言っていることは、多分、今までの政府の財政政策とはちょっと違うのかなという気もします。これは異端論かもしれません。しかし、いつか、ガリレオが言ったと言われるように、それでも地球は回っているという日が私は必ず来ると思いますから、赤澤大臣、是非心構えをしておいていただければというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、日米首脳会談を経て、日米関係と我が国の外交の課題についてお伺いをいたします。
米国トランプ大統領は、二期目の就任以来初めての電話会談のお相手、外国首脳は、サウジアラビアのムハンマド皇太子でありました。そして、初めての対面での首脳会談は、イスラエルのネタニヤフ首相でありました。このことから、私は、今後の米国、なかんずくトランプ大統領の世界戦略をどう見るかということが、この二つの会談から鍵になるのかなというふうに一つは思っています。
私は、現時点で、米国にとって中東の優先順位が極めて高いというふうに思っています。もちろん、ほかにもたくさんの問題があって、ウクライナの問題とかいろいろありますけれども、今まさに中東を何とかしたいというふうに優先順位が極めて高いというふうに思います。アブラハム合意を始めとして、これからトランプ大統領の二期目が始まりまして、中東情勢が刻々と、しかも劇的に変化すると思われる中で、米国の同盟国として、我が国の中東政策も既に大きな岐路に立っているのではないかというふうにも思います。
例えば、我が国は原油輸入の九〇%超を中東地域に依存していますが、トランプ政権で米国のエネルギー政策が根本的に変わっていく中で、従来からの産油国との関係を当然視していることに、我が国にとってリスクはないのでありましょうか。つまり、OPECとの関係強化を含めて、産油国との関係を改めて強化する必要があるのではないか。
さらには、新たなエネルギー調達先の開拓などを考える必要はないのか。その際、米国との関係から、イランはリスク要因の可能性が高いので、我が国の対イラン政策は、今までどおり伝統的な友好関係、伝統的な友好国という判断でよいのかどうか、このように課題は枚挙にいとまがないというふうに思います。
要するに、我が国は、ダイナミックに動く中東地域で能動的な政策展開ができるのか、従来の固定観念を変えることができるのかということだと私は思っています。その点について、岩屋外務大臣の見解をお伺いいたします。
○岩屋国務大臣 外務大臣政務官をお務めいただいた委員から非常に難しい御質問をいただきました。
言うまでもなく、中東地域はシーレーンの要衝でもありますし、御指摘があったように、我が国の原油を大きく依存している地域でございますので、中東地域の平和と安定は、我が国のエネルギー安全保障の観点からも極めて重要でございます。
その中東地域で、近年、ガザ、あるいはシリア、そしてイランといった情勢が大きく変動し、また、緊迫した状況が継続をしております。ガザは、停戦合意が予定どおり履行されていくということを見守りたいと思っておりますし、シリアは、本当にシリア人の皆さんによる国の再建が果たされるように支援をしていかなきゃいかぬと思っておりますし、イランは、核合意が宙ぶらりんになっているという状況にございますので、これも何とかしていかなければいけません。
しっかりと情勢を見極めつつ、我が国として的確、適切な対応が求められているというふうに考えております。米国ともしっかり意思の疎通を図っていきたいというふうに考えております。それから、エネルギーについての供給元の多角化ということも考えていかなければいけないと思っておりまして、必要な取組を進めていきたいというふうに思います。
中東地域は、これまで良好な外交関係を築いてまいりましたので、やはりこれはこれとして大事にしつつ、委員の御指摘も踏まえて、我が国としてこの中東の平和と安定に積極的に役割を果たしていきたいと考えております。
○高木委員 もう一つ伺います。対中政策についてはどうなのかということであります。
米国による追加関税は既に発動されておりまして、カナダやメキシコとは明らかに対応が違っているような気がいたします。米中関係は我が国の安全保障上も非常に重要でありまして、米国の対中政策を踏まえつつ、我が国としてどのような対中政策を展開すべきなのかということであります。
特に、日米首脳会談でも言及されたとおり、台湾海峡の平和と安定はもとより、中国の一方的な現状変更への挑戦に対して、我が国として台湾との連携にどう取り組むのか、岩屋外務大臣の見解を伺います。
○岩屋国務大臣 中国に対しては、言うまでもなく、強固な日米関係というものを土台に、前提にしっかり対話を重ねていくことが大事だと考えております。戦略的互恵関係を包括的に推進すると言っておりますし、建設的かつ安定的な関係をつくっていこう、懸案を一つずつ減らし、また、協力できるものを一つずつ増やしていこう、この努力をしていきたいと思っております。
委員御指摘の台湾は、言うまでもなく、我が国と基本的価値を共有し、緊密な経済関係、人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人でございます。台湾との関係は、非政府間の実務関係ということになりますが、この立場を維持しつつ、日台間の協力と交流の更なる深化を図っていきたいと思っております。
台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても極めて重要でございまして、台湾をめぐる問題が対話によって平和的に解決されることが大切でございます。これが我が国の従来から一貫した立場でございます。これは、御指摘のように、日米首脳会談でも確認をしておりますし、昨年の日中首脳会談また日中外相会談を始め、あらゆる機会にこういう立場を中国に伝えてきております。
これからも同盟国、同志国と緊密に連携しながら、この台湾海峡の平和と安定の重要性、これを引き続きしっかりと訴えていきたいと考えているところでございます。
○高木委員 中国との関係も大事だというのはそのとおりだと思いますし、そして、一方では、やはり台湾との関係も大事だと。いろいろなやり方があると思いますけれども、一つには、中国のやり方の一つとしてサラミスライスとか、いろいろありますけれども、我が国も、台湾との関係もそういう形で一つ一つ、一歩一歩深めていっていただきたいと是非大臣にお願いしておきたいと思います。
さらに、トランプ大統領の関税問題、我が国に課せられる可能性はあるのかというのが国民の大きな関心事であると思います。
米国への投資を増やすだけでは、米国に対する貿易黒字は大きく減らすことは多分できないと思いますので、我が国の内需の強い拡大が必要になるのではないかと私は思っています。しかし、実質民間内需は新型コロナ前の二〇一九年平均をいまだ下回っておりまして、二〇二四年の我が国経済はマイナス成長になったと実は見られているわけであります。
我が国は、内需を強く拡大するコミットメントが求められるんじゃないか。私は、内需拡大へのコミットメントが日本へのトランプ関税を避ける一つの手段になると思うのですけれども、武藤経産大臣の見解を伺いたいと思います。
○武藤国務大臣 高木委員から御質問をいただきました。
今の関税の問題等々、トランプ大統領が様々な措置の可能性に言及していることは報道のとおりで、承知をしているところであります。ただ、今後、具体的にどのような措置を講じてくるのかはまだ予断ができないものの、引き続き高い関心を持って注視をしながら、日本企業への影響を十分に精査した上で適切に対応する必要があると考えているところです。
また、先生から、今、内需拡大のコミットメントの提案をいただきました。ある意味で価値観は共有するものでありますし、ただ、先ほど赤澤大臣も答弁されたように、日本経済を賃上げと投資が牽引する成長型経済への転換をするため、消費や投資といった内需が拡大をする好循環を実現していくことは、これは、私自身も思いますけれども、米国との関係にかかわらず我が国がしっかり取り組んでいかなくてはいけない、こういう課題であると承知をしております。
このため、賃上げであるとか国内投資が円滑に進む環境整備を注力していき、そして、いずれにせよ、国益に資する形で日米経済関係を深化、発展させていくため、新政権と緊密に意思疎通を図っていかなきゃいけないというふうに思っております。
○高木委員 今の御答弁はまさにそのとおりだと思っていまして、つまり、我が国は、内需拡大というのは当然やらなきゃいけないし、それは国益に資することですから、アメリカがどうあろうとやらなければいけない。しかし、状況的に言うと、一九八〇年代の後半から九〇年代にかけてのあのときの状況と、日米関係は非常に似ているような気がします。つまり、日米構造協議を始めとして、当時のアメリカの貿易赤字、そして我が国の黒字、それが今も同じような状況になっていて、だからこそ、我が国の国益に資する形で内需拡大をしつつ、それも一つの材料としてアメリカとの交渉に臨んでいくという考え方が私は必要だと思っています。
つまり、内需を拡大させるためには、停滞をさせる要因を排除していかなきゃいけない。例えば、日銀の利上げ、あるいは緊縮財政というのは、これはやはりトランプ関税のリスクを大きくするというふうにも思います。さらに、百五十兆円の投資を米国との間で約束ができるんだったら、相応の金額を国内投資もするんだというふうに金額を明示しながらやることが、私は国民の期待に応えることではないかなというふうに思います。
さきの日米会談では、例えば宇宙あるいは海洋、そうした将来に向けたフロンティアにも一緒に協力をしていくということもうたわれているわけですから、今日は、特にこの宇宙の分野について、是非これからもっと投資をしていくべきだ、基金も含めて投資をしていくべきだというふうに思いますので、城内大臣の見解を伺いたいと思います。
○安住委員長 間もなく時間が参りますので、手短な答弁をお願いします。
○城内国務大臣 お答えいたします。
委員御指摘の宇宙分野は、日本国民、特に若い世代の方々に夢と希望を与える科学技術のフロンティアとしてだけではなくて、安全保障や防災、減災を含めた私たちの経済社会を支える基盤として、近年急速にその重要性を増しております。また、宇宙をめぐりましては、世界的に官民による投資が大変活発化しておりまして、今後、更なる市場の拡大が期待されているところであります。こうした分野におきまして戦略的に技術開発や人材に対する投資を行っていくことが、我が国経済全体の成長力の強化につながるものと考えております。
現在、政府といたしましては、意欲的なスタートアップを含めました民間企業や大学等が大胆かつ柔軟に技術開発や実証に挑戦できるようにするための支援を進めているところであります。また、さきの日米首脳共同声明におきましては、アルテミス計画による有人探査の実施を始め、宇宙分野での日米協力がしっかりと明記されたことであります。
日米協力関係を更に強固なものとしていくためにも、我が国の宇宙分野における官民の競争力を高めていく必要があり、引き続き、関係省庁とも連携の上、強力に宇宙政策を推進してまいりたいと考えております。
○安住委員長 もう時間です。
○高木委員 ありがとうございました。
時代の変わり目でもありますので、是非そういう認識の中でこれからの政府の、国の政策をしっかり進めていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○安住委員長 これにて高木君の質疑は終了いたしました。
次に、階猛君。
○階委員 立憲民主党の階猛です。
今日、我が党の来年度予算案の修正案、正式に発表する予定です。政権を目指す政党として、現在物価高などで苦しんでいる国民のために必要な歳出を増やす、これも大事なんですが、一方で、将来日本を背負っていく次世代に負担を先送りしない、そのために、削るべきところは削り、増やせるところは増やしていく、こういうことも考えた総合的な修正案となる、こういうことです。そこに含まれる具体的な内容について、幾つかお尋ねしていきたいと思います。
まず、私、かねがね百三十万円の壁の対策の必要性ということを訴えてきたわけなんですが、政府の方の、最近出てきているいわゆる二十時間の壁対策、これについて、ちょっと問題があるということを指摘していきたいと思います。
皆さんのお手元には、「短時間労働者の企業規模要件を撤廃した場合のイメージ」という資料が配られているかと思います。現行制度では、御承知かと思いますが、五十人以下の小規模な会社では被用者保険の適用はないということなんですが、これを撤廃して、五十人以下の企業でも、週の所定労働時間が二十時間を超えれば全員被用者保険の適用があるということに変えていこうと。もちろん経過措置とかはありますけれども、最終的にはこうなっていくわけですね。
私、地元で、中小零細企業の経営指導をしている方に先日お話を聞いてきました。こういう案があるんだけれどもということを聞いたところ、まず、岩手などの地方では、五十人以下の中小零細企業というのは圧倒的に多いんですね。数でいうと、企業全体数に占める割合、九割ぐらいはそうだというわけですよ。その上で、御存じのとおり、コロナ禍によって借金も増えたし、売上げも十分に戻ってきていないという問題であるとか、また、物価の上昇もありますし、最低賃金もうんと上がってきているということから、ただでさえ苦しい中でこの社会保険の適用というのがあると、企業負担が非常に厳しい、そして事業継続を断念せざるを得ない、こういう声が多いということでありました。
そういう中で、今政府はどういうふうにして事業者を助けるかということも考えていただいていると思います。二枚目がそれなんですけれども、これも前にもこの委員会で取り上げたやつなんですが、我々の百三十万円の壁対策もそうなんですが、壁を越えたところで手取りががくっと減るわけですよね。この減ったところを、我々は給付で埋めると言っていますが、政府の案は、給付で埋めるのではなくて、事業主の保険料負担部分を増やすことによって手取りが減る分を抑えましょうということです。
逆に言いますと、事業主としては、さっき言いました、元々の五〇対五〇、フィフティー・フィフティーの負担割合でも厳しい中で、更に負担が増える。例えば七五対二五とか、そういう形で増えるわけですよね。その増えた二五なら二五の部分を他の人が納めた保険料でカバーしましょう、保険料負担を減らしましょうということなんですが、でも、元々の五〇の負担は残るわけですよ。
これがあることによって、やはり事業者は厳しい。そして、さっき言ったような、事業継続に困難を来して事業を断念するか、あるいは、何とか事業を継続しようとした場合、働かせ控えであったりあるいは適用逃れ、こうした望ましくない事態が生じることによって、政府が意図したような、みんなが被用者保険に入れるようなところから遠ざかってしまうんじゃないか、つまり実効性を欠くんじゃないかと思うわけなんですけれども、この点について、大臣、どうお考えになりますか。
○福岡国務大臣 私の地元、佐賀県も、委員の県と一緒のように、圧倒的に五十人以下の企業が多いような地域でございます。
今回、御指摘のようなそういった企業のことも考えまして、適用拡大に当たっては、御指摘ありましたように、十分な準備期間を設けて、しかも段階的に実施するということを検討しています。
また、当然、加入者には年金や医療の給付が充実するメリットがあり、事業主にとっても、労働者への年金給付等が手厚くなることで、人材確保や定着の観点からのメリットもあることをしっかり周知、広報していくことが大事だと思っています。
御指摘の、保険料の調整の仕組みについては、労働者が被用者保険の適用を超えて就業調整をすることがないよう、労使折半を超えて事業主が負担した保険料を支援の対象としております。
事業主の折半相当分を減少させるというような御提案がございました。それにつきましては、社会保険料が、医療や年金の給付に充てられ、労働者を支えるための事業主の責任であることなどから、慎重な検討が必要だというふうに考えておりますが、当然、中小企業の経営にも配慮する観点から、これまでも制度の周知や専門家の派遣、事業主への助成などの支援を講じてきたところでありまして、関係省庁と連携して、今後の支援の在り方については検討を進めていきたいと考えております。
○階委員 今、早口でいろいろ言われたんですけれども、五〇対五〇の元々の負担、そしてそれを、更に負担を七五対二五とかに増やしていくんだけれども、増えた二五は国がちゃんと面倒を見ますよ、あるいは保険財政の中で面倒を見ますよというのが政府の案ですけれども、私が問題にしているのは、その五〇対五〇でも大変だということなんですよ。
五〇の負担を、今のこの五十人以下の中小零細企業、そして先生の御地元でもそういった企業が大半を占めるということですから、そうしたところに求めるような制度が果たしてワークするのかということをお尋ねしているんですよ。ここは紙を見ないで、ちゃんと自分のお考えでお願いします。
○福岡国務大臣 先ほども申しましたように、社会保険料については、医療や年金の給付に充てられ、労働者を支えるための事業主の責任であることなどから、事業主の折半相当分を減少させることについては、慎重な支援が必要でございますが、当然そこに対しての中小企業の負担感というものがございます。そこは別の形で支援を行っていくということが必要だと思います。
○階委員 別の形というのは何ですか。
○福岡国務大臣 それは、これまでも、中小企業の経営にも配慮する観点から、事業主への助成などの支援を講じてきた。そういったことについて、まだ具体的にこうということではなく、今後そういったことも含めて検討していく必要があると思います。
○階委員 じゃ、私が問題にしていた五〇対五〇の五〇の部分についても支援を行うということでいいですか。
○福岡国務大臣 五〇につきましては、先ほど申しましたように、事業主の責任の部分でございますから、慎重な検討が必要でございますが、事業主への助成などにつきましては、これまでもそういった支援を講じてきたところでございまして、関係省庁と連携して取り組んでいきたいと考えています。
○階委員 ちょっとよく分からない。五〇の負担の部分については支援するのか、支援しないのか、結論だけお答えください。(発言する者あり)
○安住委員長 速記を止めて。
〔速記中止〕
○安住委員長 速記を起こしてください。
福岡厚生労働大臣。
○福岡国務大臣 言い方がうまくありませんでした。その事業主への助成というのは、これまでも中小企業庁等とかで様々な助成措置がされております。そういったことを複合的に行いながら、中小企業については支えていきたいということでございます。
○階委員 私、ピンポイントな質問をしているんですよ。五〇対五〇の部分のところをどうするかということだけ、端的にお答えください。一般的な中小企業の支援策を講じているのは、それは前からのことで知っていますよ。そうじゃなくて、今回、適用拡大に伴って、中小零細事業者に生じる負担、事業主の負担、そのうちの五〇対五〇の五〇の部分についてどうするかということを聞いているわけです。
○福岡国務大臣 五〇対五〇の事業主の折半部分につきましては、そこは慎重に考える必要があると考えていますが、そこは段階的に実施をしていく中でしっかり対応していきたいと考えています。
○階委員 結局、慎重だということは、今のところは考えていないということでよろしいですか。うなずいていますので、そのように受け取りました。
ということで、地方の中小企業、私の地元でも、五十人の壁を意識しているのかどうか分かりませんけれども、五十人以下、四十人ぐらいのところが非常に重要な地域経済の役割を果たしているんですよ。ですから、そこへの配慮を欠いた政策は私は絶対まずいと思います。
加えて、百三十万の壁、今政府がやろうとしている、あるいはやっていること、これも非常に筋が悪い。何をやろうとしているかというと、これまでは、二年連続で百三十万を超えたとしても、それが一時的な収入変動だというふうに雇主が認めれば、それを健康保険の方が了とすれば、扶養から外れない、つまり手取りが減らないという特別な扱いを認めていた、これをこれから恒久化しようということなんですね。二年連続をインターバルを置いて何回も繰り返すことによって、永久に保険料を払わないで済む。
今まで自分の力で百三十万の壁を越えて保険料を納めてきた人とか、あるいは、そもそも三号被保険者ではなくて、シングルの方などで自分で保険料を納めてきた方との公平性はどうなっているんですか。余りにもこれは不公平だと思います。
ちなみになんですけれども、私たちの提案、資料の三枚目を御覧になっていただきたいんですが、私たちは、既に乗り越えた人にも、二百万円までのゾーンにいる方については給付を行いますし、また、グラフみたいなのが二つあって、右側の方は、百三十万の壁対策とは別途、低収入のシングルの方向けにも同じような給付を行うことによって、全体として公平性が整う、そういう仕組みを提案しています。
こういうことがないんですよ、政府の百三十万の壁対策。非常にこれも問題だと思いますが、その点についていかがですか。
○福岡国務大臣 まず、政府案につきましては、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用者保険の適用拡大を進めるということが基本的な対応で、それを含む年金改正法の取りまとめに向けて今検討を進めさせていただいています。
御指摘の、被扶養者認定の円滑化の恒久化であったり、また雇用契約内容を基に被扶養者認定を行うといった措置につきましては、被用者保険の適用拡大に一定の期間を要する中で、現下の厳しい人手不足の状況を踏まえ、検討中の案として提案させていただいたものでございまして、引き続き、関係者間で丁寧に議論を進め、成案を得るべく努力してまいりたいと思います。
○階委員 私、さっきちょっと言い忘れたことを今大臣が取り上げていただいたんですが、今回、百三十万の壁対策として政府が加えた内容に、今までは百三十万円の収入をどういうふうに判断していたかというと、お給料だけじゃなくていろいろな収入を全部合算して判断していたのを、これからは雇用契約、契約書に書いている内容で判断するということなんですね。
これも、契約上の金額を少なくして残業を多くすればいいんじゃないかとか、ボーナスを多くすればいいんじゃないかとか、脱法行為、不公正な運用、モラルハザードを招くおそれがあるということで、検討中だとおっしゃっていましたけれども、これは本当に筋が悪いと思います。
なので、改めて、私たちの提案というのは非常にいろいろな面に配慮しておりますし、確かに、財源としては、我々の案は七千八百億円かかります。維新の会の皆さんも同じような問題意識で提案していて、こちらは二千億円で済むとおっしゃっています。我々も七千八百億にこだわるわけではありません。どこかに最適な解があると思いますが、いずれにしても、ここで使う公費は無駄になりません。保険の財政が健全化します。そして、将来的には、最低賃金が上がり、年収が上がっていくことによって給付の総額というのもどんどん減っていきますから、これは財政にも優しい。
ということを考えて、是非、与野党で、百三十万の壁対策、実効性のある対策、これを建設的に議論して、実現に向けて進めていきたいと思うんですが、いかがでしょうか。厚労大臣、そして財務大臣、続けて答弁をお願いします。
○福岡国務大臣 まず、御党の案につきましては国会で御議論いただくべきところでございますが、これまでも議論がありましたように、そこは税で見るべきか保険料で見るべきかみたいなところの考え方の相違があるというふうに承知をしています。
私どもとしては、相互扶助の精神の下で、保険者間の支え合いの中で、しかもそこは、適用にならない方についても、保険者の裾野が広がることによって制度の安定性が増すということで、そちらの方が御理解をいただけるのではないかというふうに考えております。
○加藤国務大臣 委員また厚労大臣とも共有しているのは、働き方に中立な制度にしていく、あるいは、いわゆる年収の壁等を意識せずに、御本人の希望の形で働ける環境をつくっていく。そのために、今、心理的な壁があったり制度的な壁があるこの現状の中で、それをどう越えていくのか。これは大事な視点であり、そこは問題点を共有されていると思います。
厚労省のはまたちょっと飛ばさせていただいて、公金、要するに税金で賄うかどうかということにちょっと限定してお話をさせていただきたいと思います。
公費によって社会保険料の穴埋めをするにおいては、公平性と財源とそして実務、この三つの観点からまず課題があるのではないか。(階委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい。
それで、公費の話は、そもそも論がありましたけれども、例えば、単身で今二百五十万で一号被保険者の方、こうした方は給付対象にならない。一方で、配偶者であると、例えば女性だったらば男性、男性だったら女性でありますけれども、世帯の収入というのは例えば一千万を超える場合もあるわけですね。そのときには給付対象とされるという、この不公平感をどう考えていくのか。
それから、多額の財源の話は先ほどありました。
それからもう一つ、個人に対する給付について、所得情報、年金の被保険者情報を基に、きめ細やかに実施する必要があるんだろうと思いますが、それに一体どういう形で実務上対応できるのか。
こういった課題があるのではないかなというふうに思っています。
○階委員 最後の実務上の課題については、我々も官僚組織と日々手伝いをしてもらえる関係じゃないので、詰めが甘い部分はあるのは認めますよ。ただ、実務上の課題は、まさに政府・与党と協議していく中で改善していけばいい話だと思います。
そして、働き方に中立な制度ということなんですが、これが我々も目指すところなんですね。
もう一度、一枚目を見ていただきたいんですが、やはり、二十時間の壁を越えたところで被用者保険に入るというのは、一見、被用者にとってはありがたいような気がするんだけれども、ただ、さっきから言っているように、事業者にとっては非常に厳しいわけですよ、この経済環境の中で。今までも、任意適用ということで、二十時間から三十時間の間で働く人について、企業が任意で被用者保険の適用をしていた場合もありました。ところが、そういう余裕はなくなってきている。
そこで、我々はやはり、三十時間の壁を乗り越えたら、これはちゃんと正社員と同等の働きをしているわけだから、ちゃんと被用者保険に入ってもらおうということは考えています。そして、三十時間働くということは、二十時間の場合と違って、よりパートで働いている方が活躍する場面が増えていくわけですね。さらに、三十時間の壁を越えて正社員と同等になれば、更に活躍できる。まさにこれは、働き方に中立であり、女性活躍にもつながるということで、今の働き手不足、あるいは、男女平等、ジェンダー平等、こういうのが求められている中で、我々の提案は本当にやっていく価値があるものだということを繰り返して申し上げたいと思います。
このことについて、是非建設的な議論をお願いしたい。厚労大臣、所管の大臣として、もう一度答弁お願いします。
○福岡国務大臣 今委員おっしゃりましたように、働き方に中立的な制度を目指しているという方向性は一緒だということをおっしゃっていただきました。その中で、被用者保険の適用を拡大していく、その方向性についても共有をしているものだというふうに思います。
私どもとしては、先ほども申しましたように、五十人以下の企業、一気にやるとやはり痛みが大きゅうございますから、三十五人以上の企業、二十人以上の企業、十人超の企業、十人以下の企業ということで、段階を経ながら、長いスパンをかけながらそこは適用していくことで御対応いただきたいということで進めておりますが、引き続き、どのような案がいいのかについては議論させていただく中で、我々も検討を進めていきたいと思います。
○階委員 冒頭申し上げたとおり、我々の予算の修正案、これから出しますけれども、その中にも含まれるはずです。是非よろしくお願いします。
次に、今度は削る方の話を申し上げたいと思います。
昨日、重徳委員との質疑の中で加藤大臣が、もし基金のいわゆる三年ルールを適用したらどれぐらい使い残しがあるかという数字を出しておられました。足し上げていくと八・一兆円ぐらいということで、ただ、八・一兆円が余りだということではないという趣旨なんだと思います。先々使う予定もあるし、無駄になるものではないということなんですが。
私が問題にしたいのは、金利のある世界になってきました。予算積算金利、二%です、今。仮に、八兆円、一年間使わずにため込んで残したとすると、それだけで千六百億円、金利が、支払いが増えるわけですよ。必要なときに使うのは、我々も全く賛成です。ただ、必要になる前に、お金を、借金をして、借りてブタ積みにしておく、こんなことは民間企業ではあり得ませんから。千六百億もの多額の資金を無駄にするなんということは、民間だったらすぐ首ですよ。
私が申し上げたいのは、この千六百億という資金を寝かせていく上で、民間企業だったら、資金調達コストを上回る運用益を稼ぐ、当然そういうインセンティブ、モチベーションがあると思うんですね。
そこで、これまで同僚が取り上げてきた四つの基金あるいは追加予算、これについて、どういう運用実績になっているかということを、四つ、お聞きしていきますね。
一つ目、防衛装備移転円滑化基金、運用益は幾らですか。端的にお答えください。
○中谷国務大臣 基金の預金利子は、令和六年八月時点におきまして約五百万円となっており、基金残高に充てております。
なお、防衛装備移転というのは、移転先の国の防衛力整備上のニーズに基づいて具体的な案件が形成されますので、具体的にするのは、流動的です。
○階委員 ちなみに、私どもが試算しましたところ、大体現在八百億で、来年度予算で千二百億になるわけですね。平均残高が一千億としますと、大体年間二十億、利息支払いで消える、一年間もし使わなければですよ。そういうことなんですよ。二十億利息を払って五百万ですか。こんなことは民間ではあり得ません。
次に、先端国際共同研究推進基金のうちの、いわゆるグローバル・スタートアップ・キャンパス関連、運用益はどうなっているか、お答えください。結論だけで結構です。
○あべ国務大臣 令和五年度の運用収入が五百八万円でございます。
○階委員 五百八万円。こちらも、我々が試算した年間の支払い利息、これは十一億ぐらいになります。十一億利息を払って五百万ですか。これもあり得ません。
そして、コロナワクチン生産体制等緊急整備基金、これについては運用益はどうなっていますか。
○福岡国務大臣 令和二年度から令和五年度までにおきまして、合わせて約二十二億円の運用損が発生してございます。
○階委員 聞きましたか。運用益じゃないんですよ。マイナス金利のときもあったりして、預けたら、多額の資金は、銀行が預かってくれないんです。それで、マイナス二十億、逆に払っているんですよ。それを、運用益を、損が出ていて、なおかつ借金をして基金をつくっているわけですから、往復びんたみたいなものですよね。
たしか、調達コストも莫大な金額になっています。ちょっと今手元にないので割愛しますけれども、桁違いの、何百億という、そういう調達コストもありますから。
最後に、グローバルサウス、これは基金ではなくて、千五百億ぐらい、なぜか補正予算で急に出てきた。これが団体かどこかに積まれるわけですけれども、これについての運用状況、運用益がどうなるか、お答えください。
○武藤国務大臣 済みません、ちょっと今の、事業ということですので、運用益については、これは基金事業じゃないので、発生していないという認識であります。
○階委員 しかし、千五百億を予算で手当てした後、公募実施期間、これはお金が寝ていますよね。千五百億ですから、年間にすると三十億ぐらいですね。年間三十億、半年としても十五億ですよ。十五億もの利息を払ってしまうわけですよ、お金を寝かすことによって。十五億あったら、いろいろなことができますよ。そんなずさんなお金の使い方、お金の寝かせ方。
今、金利のある世界に変わってきていますから、昔のマイナス金利、超低金利の黒田総裁の時代なら百歩譲って許されたかもしれませんけれども、今は許されないんですよ。認識を変えていただきたい。
財務大臣、今の議論を聞いていて、いかがですか。
○加藤国務大臣 調達金利がどうなのか、これはなかなか難しいところでありますが……(階委員「いや、予算積算金利の話をしているんです」と呼ぶ)いや、ですから、当該基金に充てたお金が税収なのか国債なのか、それは一概に言えないという意味で申し上げた。ただし、お金というのは常に機会費用が発生している、そういう御観点だと思います。
今、三基金についてはそれぞれ運用が規定されているわけであります。基金は、いつ、どこで支出があるか分からないから、こういう基金の仕組みを取っています。したがって、短期の運用にどうしてもならざるを得ない。今委員御指摘の金額、例えば国債で運用します、例えば十年物にします、金利が上がります、債券が下がります。しかし、そのときに、突然資金需要が出たときにどういうことになるのか。
そういったところも含めて、よく、それぞれの当該官庁において、安定的な、しかし、おっしゃるように機会費用ということも当然認識をしていただきながら、適切な運用をしていただく必要があると思います。
○階委員 大臣、ピントがずれていますよ。私は、別に運用してもうけろと言っていません。ブタ積みするんだったら、ちゃんと返して、必要なときに予算を手当てすればいいでしょうということを言っているわけですよ。別に運用しろなんということを言っていませんよ。
財務大臣として、国の財政事情がこんな厳しいときに、こんな無駄な利払い、放置しておいていいんですか。
○加藤国務大臣 いや、だから、委員が全く基金の必要がないとおっしゃるんなら、それは一つのお考えだと思います。
ただ、前から申し上げているように、基金そのものに計上する予算というものが、当該年度において、例えば七年度でいえば七年度において確実に歳出される、これは当然通常の予算に計上すべきものであって、そこが必ずしも明らかでない、そうしたことをベースとして、しかし、そうした対応が今求められている、それに対応するために基金を積ませていただき、そして、その中身については、いろいろ議論はありますけれども、我々、当該官庁からもいろいろな話を聞いて、必要なお金を積み上げさせていただいている。
当然、積み過ぎというのは、おっしゃる意味は、要するに、八年度以降の数字を言えば、それは、六、七、八、九、あるいは、今の三年適用ルールの前でいえば、それを超える部分についてもこれは対応してきているわけでありますから、先般のお示しした数字は、委員もおっしゃっていただいたように、使い残しという意味ではなくて、八年度以降も必要なお金ということで、分類してお示しをさせていただいたということであります。
○安住委員長 階君、間もなく時間が参りますから。
○階委員 令和八年度以降の話をしているわけじゃなくて、令和七年度、この一年間だけでも何十億という利払いが無駄になっているということを言っているわけです。令和八年度に必要だったら、令和八年度の予算で手当てすればいいわけですよ。それを言っています。
もう一問ぐらい質問する時間はありますか。あと一問、いいですか。
○安住委員長 そうですね、あと一問。
○階委員 済みません、お許しをいただいたので、ちょっと別なテーマ、一つだけ。
今日は地方創生にも来ていただいていますけれども、石破総理と年末この場で議論したときに、地方創生交付金を二倍にすると言っているんですが、二倍にするんだったらKPIを見直せという話をしました。例えばということで、地方と首都圏との人口の流出入、目標をなかなか達成されていないんだけれども、それを達成できるようにすることをKPIにしたらどうかということを言ったわけですけれども、KPI、どうなりましたか。端的にお答えください。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。
従来の地方創生交付金については、事業ごとに評価指標に対応する定量的なKPIを自治体が設定をし、PDCAサイクルを回す仕組みとしており、例えば、関係人口の増加数や移住者数などをKPIとして設定してきたところであります。
新地方創生交付金においては、これまでの交付金の検証の仕組みを強化し、事業の検討、実施、検証の各段階において、産官学金労言などの地域の多様な主体が参画する仕組みを構築し、効果検証及び評価結果、改善方法の公表を義務化することとしております。
○階委員 結論だけお願いします。KPIを見直しましたか。お答えください。
○安住委員長 鳩山副大臣、簡潔に、見直したかどうかだけ答えて。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをいたします。
地方二・〇の定量的なKPIについては、これまでの地方創生の成果と反省を踏まえ、基本的な考え方に沿って定量的なKPIを今後設定してまいりたいと考えております。
○階委員 今後ということですから、今、この来年度予算を審議している段階では見直されていません。ということは、二倍にする根拠はないということを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○安住委員長 これにて階君の質疑は終了いたしました。
次に、落合貴之君。
○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。
まず冒頭、追加で質問通告をした件につきまして、総務大臣に伺えればと思います。
新聞にも載っていましたが、昨日の総務委員会で、今世紀末に人口が半減するとの推計を踏まえて、現在千七百以上ある自治体は三百から四百の市で済む、極端なことを言うと、県庁は要らないし、道州制も意味がないとの発言がありました。
これは様々な反響を呼んでいまして、不適切、不用意な発言だという意見も多数出ています。
本日、改めまして、総務大臣御自身の昨日の発言につきまして、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 御質問にお答えします。
実は、昨日の衆議院総務委員会で、維新の守島委員から、今後の国と地方の在り方とか統治機構の在り方に関する議論をどのように進めるか、大臣の見解をお聞かせくださいという御質問がありました。
私は、将来を見据えたときに、今お話がありましたように、今世紀末には五千万から六千万になる。そうすると、今千七百以上の市町村がある、四十七都道府県もある。しかし、どんどん人口が減っていくと、今のシステムが本当に維持できるんだろうか。そういうことで、個人的な見解と断った上で、長期的なスパン、特に、私が考えている七十年後のことを言っていたんですね。
そういうことで、そのときに考えられるのは、私の個人的見解としては、三十万ぐらいの市でくくれば三百ぐらいになるだろう、そのときには、逆に、国と各市が直接対話する方がいいんじゃないか、そういう面において、今まであった県庁とかいろいろなものは要らなくなる可能性があるという意味で申し上げたんです。人口が急激に減少した状況においては、今のシステムを前提として、様々な自治の在り方を考えていくことも必要ではないかという考えを述べさせていただいたわけであります。
総務省としましては、現在、国、都道府県、市町村のシステムを前提に、必要な行政サービスを提供していくため、自治体間の連携やデジタル技術を活用した事務の効率化、国、都道府県、市町村の役割分担の見直しを含め、どのような方策が考えられるか、研究会において、自治体の声を聞きながら検討いただいているところであります。
私が申し上げたかったのは、次の世代が生き残るために、やはり今から考えていかないと間に合わないんじゃないかということを申し上げただけであります。
以上であります。
○落合委員 では、昨日の国会での発言、議事録にも残るわけですが、修正も撤回もしないということでよろしいですね。
○村上国務大臣 残念ながら、新聞は一部を切り取ってそれが大きく報道されましたが、私の答弁を全部読んでいただければ、今のような趣旨だということは御理解いただけると思います。
○落合委員 これは総務委員会でもまた議論になるというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
では、今回、選挙法について取り上げさせていただければと思います。
選挙法は、基本的に、各党各会派が話し合って、議員立法で法律を作っていくということを積み重ねてまいりました。この委員会では、法を執行する政府の見解、それから総務大臣の見解等を伺っていきたいというふうに思います。
まず、端的に言いますと、都知事選の際のあのポスターの問題でございます。
昨年七月七日投開票日で都知事選挙が行われました。当時のニュースを見直してみましても、六月二十日に告示しているんですが、その直後、翌日のニュースでは、ばっとポスターの問題についてニュースも流れています。都知事選挙で選挙ポスターに苦情や疑問千件以上、異例の事態というような形で、淫らな画像が掲示板に貼ってあるですとか、一つの掲示板に同じポスターが何枚も貼られているといった電話やメールが東京都の選挙管理委員会に相次いだということでございます。動物の絵がばっと貼られているというような掲示板もございました。
ポスターの内容につきましては、現行法では規制はありません。大きさぐらいの規制しかなくて、中身についての規制はありません。
今回の事態について、まず、この件についての御見解を伺えればと思います。
○村上国務大臣 御高承のように、去年の東京都知事選挙において、掲示板に掲示されたポスターについての千件を超える苦情が寄せられたことにつきましては、よく承知しております。
選挙は、国民が主権者として政治に参加する最も重要かつ基本的な機会でありまして、また、選挙運動は、有権者に対して、誰を選択すべきかの判断材料を提供するものであると考えております。候補者においては、選挙のルールを遵守し、判断材料を提供するふさわしいものとなるよう、選挙運動を展開していただく必要があると認識しています。
私も四十年近く選挙をやっていますが、候補者として、やはり良識にのっとって、コモンセンスを持ってやるというのが普通だと思うので、最近はちょっと考えられないような事態が起こってきているような気がいたします。
○落合委員 判断材料を適正に提供するために掲示板があり、そこにポスターを候補者に貼ってもらうということをしているわけでございます。
しかし、実際には、選挙と関係ないんじゃないかというようなもの、今回はそのポスターの方が数が多かったということで問題とされているわけですが、これはどう考えてもおかしいということで、ただ、その状況が放置をされてしまっていたわけです。
総務省と警察庁の政府参考人に今日お越しをいただいています。これはもっと踏み込むべきじゃなかったかというふうな意見も多数出ております。現行法では、今回の対応以上に踏み込めないのか。それから、更なる規定、法令が整備されれば、もっと対応しやすかったのか。
それについて、選管を管轄していますので総務省、それから警察庁から伺えればと思います。
○笠置政府参考人 お答えをいたします。
選挙運動用のポスターでございますが、公職選挙法において使用することが認められております選挙運動用ポスターにつきましては、掲示責任者の氏名の記載といったような法的記載事項を記載する必要がございますけれども、先ほど委員もおっしゃられましたが、記載内容自体を直接制限する規定はございません。
ただ、他の候補者の選挙運動を行ったような場合、あるいは虚偽事項の公表がされた場合には公職選挙法の処罰の対象になりますし、また、他の法令、公職選挙法以外の法令に触れる場合には、それぞれその法令の処罰の対象となるというものでございます。
○谷政府参考人 お答えをいたします。
ただいま総務省から答弁がございましたとおり、公職選挙法には、候補者が使用する選挙運動用ポスターの記載内容を直接制限する規定はないものと承知しております。
その上で、一般論としてでございますけれども、警察といたしましては、個別事案ごとに、把握した事実関係に即して、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づきまして適切に対処しているところでございます。
○落合委員 警察庁に具体的に伺えればと思うんですが、たしか裸に近いポスターについては警告を出したと思います。これは何の法律に基づいて警告を出しているのか、公選法に基づいてやっているのか、伺えればと思います。
○谷政府参考人 お答えをいたします。
今お尋ねのものにつきましては、東京都迷惑防止条例違反ということになるものがございましたので、警告を実施した事例があると把握しております。
○落合委員 要は、公選法では対応できない事態が起きてしまっているということでございます。
これは各党で協議会も設置しまして、選挙運動の在り方について、公職選挙法はこのままでいいのかということで話合いを行っているわけですけれども、今の公選法のままですと、要は、同じことができてしまうじゃないかというような問題が起きるわけです。
大臣、これは法改正が必要だというふうにお思いでしょうか。
○村上国務大臣 私も、最近の動向を見ていると、簡単に見過ごすわけにいかないと個人的に思うんですけれども、やはり一番難しいのは何かというと、選挙の自由、それから表現の自由を担保しつつ、どこで線を区切るかということなんですね。
これは、残念ながら、御存じのように、戦後、こういう選挙に関する法律は各党間の協議に委ねておられるもので、今のところは各党間の協議の推移を見守るしかないんですけれども、私としては、やはり何らかの措置が取れるようにしていただきたいと思っております。
○落合委員 大臣の見解も踏まえて、各党で話合いも続けてまいりたいというふうに思います。
この都知事選では、もう一つ話題になったのは政見放送ですね。ああいう状況で、政治的な主張をするというよりも、注目してもらう、それから、続きはユーチューブのチャンネルを見てくださいというような感じで、そちらの方に誘導して、そちらの収益を稼いでいくというようなことも見られていました。これも、真剣に、都知事になったら何をやるというような主張をしている政見放送の方がはるかに少ない状況になってしまっているわけです。何のために公費を使って放送しているのかというような状況でございます。
先ほど、ポスターについて、内容にも踏み込む、そういう法制度も検討に値するというようなお話でしたけれども、政見放送は、営業宣伝をしちゃいけないですとか、それから品位保持規定がもう既に定められていて、罰金もあります。でも、これは規定を定めているのに、全然有効じゃないんじゃないか、実効性がないんじゃないかというふうに思います。これは、同じ規定をポスターに適用しても、同じことになっちゃうんじゃないか。
政見放送の今の規定というのは、実効性があるとお考えでしょうか。
○村上国務大臣 先ほども申し上げましたように、やはり候補者というのは、良識にのっとって、そしてまた良心に従ってやるというのがそもそも前提なわけですよね。ところが、最近見ていますと、何かちょっと、売名行為とか、逸脱した行為が多いと思うんですね。
ただ、お尋ねの政見放送については、公選法百五十条の二において、候補者等に対して、その責任を自覚し、他人又は他の政党の名誉を傷つけること、善良な風俗を害すること、営業に関する宣伝をすることなど、いやしくも政見放送として品位を損なう言動をしてはならない、そういうふうに規定されています。
また、このうち、営業に関する宣伝をした場合については、同法の二百三十五条の三第二項の規定によって処罰の対象とされています。
これらの規定は、テレビによる政見放送があまねく有権者に浸透する強力な影響力を持つ媒体であることに鑑み、その品位保持に関する規定として設けられたものであります。これらの規定が設けられた際には、政見放送の不法利用を防止するために様々な方策が与野党間で討議された上で、現行法の規定になったというふうに承知しております。これは昭和四十四年に加わりました。
いずれにしろ、政見放送の在り方につきましても、選挙に関する法律、運動の在り方に関わる問題でありますので、先ほど申し上げたように、各党各会派の皆さん方に御議論していただいて、一定の方向を示していただけたら、そういうふうに思っております。
○落合委員 昭和四十四年と時代が変わってきて、今こういう状況になってしまっているわけです。
今の品位保持の規定とかがありますという御答弁ですが、これがあっても、あの政見放送の状況、警告等は出ていないわけですけれども、あれは品位保持規定に抵触していないというような判断なんですかね。
○笠置政府参考人 品位保持規定でございますが、こちらにつきましては、品位保持とは何かというのは、結局、候補者に求めているものでございますけれども、実際にそれがどうかというのは実は難しいということで、罰則までは設けられていない。ただ、その中で、構成要件が分かりやすい営業広告について罰則を設けたということでございます。
現実に、裁判の中で、品位保持がないんじゃないかということで政見放送の内容や音声が削除されたケースというのが、裁判になったのが二件ほどございまして、一件は、身体障害者に対する差別用語をしゃべったという部分について、その部分の音声を消して流した。消された方の側が損害賠償請求をした際に、最終的に、最高裁の方で、NHK及び国が勝訴した。消したことについては損害に当たらないということでございます。
あともう一件が、これは平成二十八年ですけれども、卑わいな言葉を連呼するといったようなことで、その部分の一部を削除した。これについても、政見放送をした候補者が、こちらも損害賠償請求ですかね、民事訴訟を提起して、NHKが勝訴しているということでございます。
品位保持というのはなかなか、直ちには難しいということもございまして、そこの中で、どこまで消すか、消した場合にはそういった対応ということにもなるということも踏まえまして、NHKでも対応しているということだろうと思います。
○落合委員 選挙部長に伺えればと思いますが、今の事例というのは、この前の都知事選のものは入っていない。要は、あれと同じようなことを次の参議院選挙でもやっても、特に総務省は何もできないということでしょうか。若しくは、あの状況を改善していくためには法改正を話し合ってくださいというような状況なんでしょうか。
○笠置政府参考人 品位保持というか、公序良俗に反するかどうかといったものは、選挙を管理する総務省あるいは中央選管が、これはアウトだ、セーフだというのはなかなか言い難いということでございますし、実際に運用する、流すときには、きちんと例えば法律なりに、こういうものは公序良俗違反に該当するのでその部分を流さないようにするとか、そういったような法の定めがございますれば、それは中央選管、あるいは総務省も、若しくはNHKにしても、対応はしやすくなろうかというふうには思っております。
○落合委員 公職選挙法は、歴史的な経緯を見ても、厳しく国が定めるものではないというふうには思います。ただ、時代の変化や発生している事態、立法事実に基づいてやはり対応をしていくという必要もありますので、これは各党各会派でも話し合っていきたいと思います。
では、ちょっと最初の質問に時間を使い過ぎまして、駆け足で、いわゆる二馬力について伺えればと思います。
今年の一月七日に、兵庫県の選挙管理委員会から総務大臣宛てに要望書が出されています。主に二つのことが書かれていましたが、まずその一つ目に二馬力のことが書かれています。当選の意思のない候補者が立候補し、ほかの候補者のための選挙運動と疑念を抱かれる状態で、公明かつ適正な選挙を行うという公選法の趣旨を損なうという事案が発生した、法的措置を含めた対応を要望しますということでございます。
いわゆる二馬力に当たるんじゃないかという今回の事態を放置してしまった状況、これについて、現行法でもうちょっと対応ができたのかということと、できないのであれば法改正の必要があると思うかということについて。要は、これを成功例として、では、次の何かの選挙で三馬力でやる候補者が出たらどうするんですか、十馬力でやる候補者が出たらどうするんですかという問題が発生しているというふうに思います。大臣、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 委員のおっしゃるとおりで、私も、先月、兵庫県の選挙管理委員会から、昨年の兵庫県知事選挙を受けて公職選挙法改正等についての要望書をお持ちいただきまして、正直言ってびっくりしました。今まで総務大臣宛てにそういうのはなかったわけで、それも一選挙管理委員会から来るということですから、よほど選挙管理委員会としてはこたえたというか、問題視したんだろうと思います。
ただ、この法についても、選挙は、御承知のように、国民が主権者として政治に参加する重要な機会で、また、選挙運動は、有権者に対して、誰を選択すべきかの判断材料を提供するものだと考えておりまして、候補者において、選挙のルールを遵守し、判断材料を提供するにふさわしくなるように選挙運動を展開してもらわなきゃいけないと認識しているんですが、我々の頃は、そんなことをやったら当然通らない、落選するというから、こういう事態は想像できなかったんですよね。だけれども、最近の候補者の皆さん方にはいろいろな考え方の方がいらして、本来の候補者としてのコモンセンスというか、良識で運動をなさらない方もいます。
ただ、一般論で申し上げると、選挙運動は公職選挙法で認められている範囲内で行われる必要がありまして、公職の候補者が他の候補者の選挙運動を行う場合には、その対応によりましては、公職選挙法上の数量制限などに違反するおそれがあると思います。例えば、選挙運動用のビラであれば第百四十二条、選挙運動用ポスターであれば百四十三条などに違反するおそれがあると思います。
ですから、それは最終的には警察当局とかがやるしかないんですが、公職選挙法に定める選挙運動の在り方については、現在のルールの見直しに向けて、先ほど来申し上げていますように、選挙関連の問題の法案につきましては各党各会派において議論して、ある程度方向性をつくっていただけたらと思います。
○落合委員 確認したいのが、大臣のいろいろな発言を伺っていますと、現行法でも対応できるんじゃないかと。それだったら、今最後におっしゃった、各党各会派で法改正を検討しなくてもいいわけです。なので、そこを確認したいなと。
総務大臣として、もっと厳しく運用しろとこれからやるのか、今の法律では対応できないのか、それを伺っております。
○村上国務大臣 御高承のように、総務省には調査権も実効性のあるものがないもので、お気持ちはよく分かります。だから、結論は、やはり皆さんで、こういう形でやるという方向を、一致団結して方向性を出していただきたい。
それで、はっきり申し上げますと、これもまた個人的見解を言うと何を言われるか分からないんだけれども、私としては、やはり我々の想像以上の方法で立候補し、活動される方がいらっしゃるので、我々の良識の範囲外をどうやって法律で束ねるかということは、これはなかなか、さっきも申し上げたように、選挙運動の自由や発言の自由というところとの関連を絡めながらやるということは、ある面では難しい面があるので。
本来ならば、選挙運動というのは候補者の良識に委ねられているということが本来の趣旨であるので、そこら辺を担当大臣としてはもっとやりたいけれども、実際的には、総務省で法律を作るわけにはいかないので、各党各会派の皆さん方の議論でしっかり詰めていただけたらと思います。
○落合委員 はっきりとはありませんでしたけれども、法律を作れないので皆さんでということであるのであれば、現行法ではなかなか対応しづらいということですね。
○村上国務大臣 何回もお話ししますように、特に選挙に関する法案というのは、政治家の皆さんが各党各会派で議論するということが長年の伝統でありまして、それは総務省にやれと言ったならやりたいんですけれども、そういうような今までの慣習というかがありますので、皆様方の議論を一生懸命見守って、あとはしっかりやりたいというふうに考えております。
○落合委員 選挙法の改正が必要なのか、現行法でできるのかがよく分かりません。
ちょっと、これは同じ質問ばかりしているのもあれなので、同じ意図なんですけれども、SNSでデマが流されちゃいますということも、どうにか対応してくれと。兵庫県からも、支援者による他候補者への誹謗中傷や真偽不明の情報の拡散、これも対応してくれというようなことが書かれています。
SNSで偽情報を選挙中に流すということ、これは現行法でも違反になるのかならないのか。どういう状況なんでしょうか。
○笠置政府参考人 現行法の、一般論で申し上げますと、公職選挙法におきまして、当選を得させない目的をもって候補者等に関し虚偽の事項を公にした者を処罰する虚偽事項公表罪というのが規定をされておりますが、この規定は、SNSも含めまして、インターネット上の発信なども対象となる。
個別の事案がこの虚偽事項公表罪に当たるかどうかといったことについては、具体の事実に即して判断されるということでございます。
○落合委員 大臣、この部分も、現行法の改正を検討した方がいいとお考えか、今の法律の下でもっと厳しくやろうと思えばできますよということなのか。いかがですか。
○村上国務大臣 正直申し上げて、私自身も歯がゆい思いでいっぱいなんです。
ただ、もう御高承のように、総務省としては、個別の事案についての実質的調査権というのは持っておらないんですね。あくまでそれは警察だとかがその担当の範囲でやってもらうしかないわけです。具体的な事実関係については、この場ではお答えを控えさせてもらいたい。
ただ、先ほど選挙部長も申し上げたように、一般論で申し上げれば、今回のことは公選法の二百三十五条第二項に該当するので、それはやはり警察なり、取り締まる対象の人間が一生懸命やっていただきたいと思います。
ただ、SNSも、何が難しいかというと、表現の自由、それと、憲法に抵触しないように、やはりどこまでの範囲を取り締まれるかということも、これもまた先ほど申し上げたように、選挙に関する問題については各党間の議論によって詰めていただくしかないということなので、気持ちは全く同じですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
○落合委員 時間ですのでもう終わりますが、これは、今の姿勢ですと、立法は議員でやってください、個別的な事案については警察ですと。でも、これは民主主義の重要な根幹である選挙の在り方が問われているわけです。もう少し前向きに、建設的な議論をしていく必要があると思いますので。
ここで今日は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○安住委員長 これにて落合君の質疑は終了いたしました。
次に、井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
ちょっと財務大臣、冒頭、昨日、今日の積み残しの議論を端的に一点だけお伺いをしたいと思います。
昨日、我が党の重徳議員との議論でお答えいただけなかった数字なんですけれども、基金の三年ルールを適用すると積み過ぎとなる基金の金額を、細かい数字はいただいたんですけれども、結局それで幾らになるのか。基金の三年ルールを適用すると積み過ぎとなる基金の金額を、何兆何千億円なのかということを、ちょっとお答えをいただきたいと思います。参考人でも結構です。
○加藤国務大臣 済みません、ちょっと突然の質問なので資料を持っておりませんが。
ただ、あそこで言ったのは、積み過ぎという議論は重徳議員がされたんですが、私どもが出した数字は、五年度末の数字から六年度の使用見込み、それから六年度の当初、それから補正で積み増した分、さらに、七年度については基金シートに書いてあります、あと、残りが八年度以降ということで、それは積み過ぎという意味じゃなくて、そういう分割になりますねということを示させていただいて、ちょっとその数字は今正確に、持っていませんので、必要であれば後で、事務局はいないと思いますので、後で出させていただきたいと思います。あの数字を合計していただければ、差っ引きしたそれが八年度以降ということで意識している数字であります。
○井坂委員 昨日もその数字は全部言っていただいて、ただ、結局、結論だけ言っていただけなかったので、今日お答えをいただこうと思った次第です。また、委員会の方に数字は出していただけたらというふうに思います。
それから、あと、外務大臣に伺います。
ウクライナの停戦交渉がアメリカとロシアの間で始まりました。中国は賛同している一方で、ゼレンスキー大統領はウクライナ抜きのいかなる合意も受け入れられないというふうに不快感も示しています。
このアメリカとロシアによるウクライナ停戦交渉について、外務大臣の御所見を伺います。
○岩屋国務大臣 御指摘の件を含めて、現在ウクライナ情勢をめぐって様々な動きがあることを承知しておりますが、現時点において予断を持ってコメントすることは控えたいと思います。
米国のリーダーシップには期待はしておりますけれども、言うまでもないことながら、当事国であるウクライナがしっかり関与する形で公正かつ永続的な平和が一日も早く実現いたしますように、我が国も国際社会と緊密に連携してまいりたいと考えております。
○井坂委員 続いて、ハンガリーの日本人女性殺害事件について、外務大臣に伺います。
ハンガリーで日本人女性が外国人の元夫にDVを受けて、先月二十九日に殺害された事件であります。被害女性は、少なくとも二回、ハンガリーの日本大使館に相談に行ったが、大使館は手助けをしてくれなかったと現地の友人の声が報じられております。
外務大臣は一昨日の会見で、二〇二二年六月に大使館は被害女性から相談を受け、警察に相談することを促すなど、支援を行ったと答えています。
しかし、外務省のホームページには、DVや離婚問題への対応として、安全が懸念される場合には、現地警察に通報し、保護を求めますというふうに書いてあります。
大使館が現地警察に通報してくれることと、警察に相談してくださいとたらい回しにするのとは雲泥の差があります。実際に、被害女性は自分で警察に行ったが、相手にされませんでした。
大臣に伺いますが、大使館は最初の相談の際に、なぜ警察に通報しなかったのでしょうか。
○岩屋国務大臣 本件については、今委員御指摘がありましたように、在ハンガリー日本国大使館は二〇二二年六月に当該邦人女性から元夫との関係等について相談を受けております。
大使館としては、当然のことながら、ハンガリー国内で公権力の行使ができるわけではございませんので、もしDVの被害があるようであれば現地警察に相談されるがよいというアドバイスといいますか、それを行ったところでございます。
○井坂委員 公権力の行使ではなくて、ホームページに書いてあるように、現地警察に通報します、そうやって邦人を守りますと書いてあるのに、なぜ通報すらしてくれなかったんですかということだけお答えください。
○岩屋国務大臣 やはり、切迫度にもよると思うんですよね。(発言する者あり)
○安住委員長 静粛に。
○岩屋国務大臣 DVの被害があって困っているんだと。それは是非現地の警察に相談されるがよいということをアドバイスをしたということでございますので、対応としては必ずしも不適切なものではなかったというふうに考えております。
○井坂委員 大臣、一昨日の会見でこうおっしゃっています。被害女性には警察に相談することがよいということを説明し、また必要な支援を行ってきたとおっしゃっていますが、具体的にどんな支援をされたんですか。
○岩本政府参考人 ただいま大臣からも御説明ございましたけれども、当該邦人から御相談があったのは二〇二二年の六月ということで、その際には、元御主人との関係、全体的な関係について御相談があったということで、その御相談の内容を踏まえて、その当時におきましては、もし今後そういうDVのようなことがあれば警察に御相談されることが適切であるという具合に御説明をしたということです。
その後、どういう経緯があったかについては、大使館としては具体的に御相談があったという具合には聞いておりませんので、もちろん、もしDVについて具体的な御相談があれば、その状況に応じて適切な支援をしていくということでございます。
○井坂委員 はっきりお答えいただきたいんです。
会見では、警察に相談したらよいよと説明し、また必要な支援を行ってきたと。警察に行ったらいいよというのと、ほかにまた必要な支援を行ったとおっしゃっている。その必要な支援は何を行ったんですか。
○岩本政府参考人 当該女性からは、御主人との関係以外にも様々な、いろいろな手続についても御相談を受けておりますので、そういった手続についてどういう書類が必要かとか、そういうことについてもアドバイスをさせていただいたりしておりますので、そういう点も含めて必要な支援を行ってきた、そういう趣旨でございます。
○井坂委員 実は大使館が被害女性を救うチャンスはもう一回あったと思います。
被害女性は、その二〇二二年の後離婚をし、そして昨年八月に大使館に子供のパスポートを発行できないかと相談をしました。しかし、大使館は元夫の同意がなければパスポートは発行できないと答え、被害女性はパスポートを申請できず、ハンガリーから子供を連れて逃げられないまま、元夫に殺されてしまったわけであります。
子供のパスポートは、普通、どちらか片方の親のサインがあれば請求できて発行されます。
外務大臣に伺いますが、元夫のサインがなくてもパスポートを発行できなかったのか、お答えください。
○岩屋国務大臣 我が国の法令上、未成年者は自ら法的な行為を行うことができず、原則として法定代理人がこれを行うこととなっております。
さらに、当該未成年者に両親がいる場合には、民法上、子の両親は共同親権者とされ、その親権を共同で行使することが原則でございます。未成年者の旅券発給につきましては、同様に、双方の共同親権者の同意が必要でございます。
その上で、未成年の子の旅券申請に当たりましては、申請者側の利便性に配慮をいたしまして、一方の親権者が法定代理人欄に署名をしていることをもって、他方の親権者も旅券発給に同意していることを事実上推定をしているところでございます。
ただし、一方の親権者の同意を得ない子の連れ去りに伴うトラブルを防止する観点から、一方の親権者が未成年の子の旅券の発給に同意しない場合には、あらかじめ未成年の子に対する旅券発給の不同意書を提出できるようになっておりまして、不同意書が出ている場合に未成年の子の旅券申請が行われた際には、不同意書を提出していた親権者が引き続きそのまま不同意ですかということを確認する必要があるわけでございます。
○井坂委員 この不同意書の話というのは、被害女性とそれを支援していた弁護士との間のやり取りでは一切見当たらないというふうに聞いております。もし、不同意書が当該案件で出されていなかったのに大使館が元夫の同意が必要と被害女性に伝えていたら、これは発行できるパスポートを発行しなかったということで大問題だと思います。
逆に、これは参考人に伺いますが、不同意書が当該事件で出されていたとしたら、これは元夫の同意書がなければ絶対にパスポートを発行できないんでしょうか、伺います。
○岩本政府参考人 個別の案件でございますので、プライバシーの問題もございますので、具体的に出ていたかどうかということは控えたいと思っておりますけれども、ただ、今大臣からありましたように、こういう手続になっております。その上で、もし差し迫った状況があれば、当然、それは総合的に判断して、日本側の対応を判断しますけれども。
ただ、今回、二〇二四年八月の時点では、旅券の発給の手続自体について当該女性からは御相談はございましたけれども、それ以上について具体的な状況について御相談があったわけではありませんので、私どもとしては手続の在り方について丁寧に御説明をした、そういうことでございます。
○井坂委員 総合的に判断して差し迫っていれば、不同意書があってもパスポートは発行ができるわけであります。
それで、実際、不同意書の話は弁護士さんと被害女性の間ではやり取りがされていないので、本当にそれがあったかどうかも私は疑わしいと思っておりますが、ただ、それは個別の事案で、プライバシーなのでお答えをできないということであります。
ただ、これは一般論で、また参考人に伺いますが、要は、どうやっても同意が得られないという強い訴えがあれば例外的に発行するというふうに事前にも伺っておりますが、被害女性に頼まれて元夫が同意するぐらいなら、元夫は最初から不同意書など出さないわけであります。絶対に同意しないというのをあらかじめ意思表示をするものが不同意書でありますので、要は、不同意書が出ているということは一方でそういう状況だということであります。
伺いますのは、被害女性は、結局、大使館に行った同じ去年八月に警察にも行っています。そのとき既に要は警察沙汰に実際なっているわけで、元夫から同意書をもらえるような関係でなかったことは明らかであります。
同意書がなくてもパスポートを発行できる道があるなら、なぜ同意書が必要と言って発行を断ったのか。不同意書が仮に出ていたとするならば、これは不同意書が出ているんですけれども、何かやはりトラブルがあるんですかと。まして前も一度来ているわけですからね、何か大変なことになっているんじゃないですかと。そういう発想があって当然だと私は思いますが。
こういう状況で、大使館は適切な対応をしたと一体何を根拠に言えるのでしょうか、お伺いをいたします。
○岩本政府参考人 まず、不同意書の扱いでございますが、先ほど大臣からもありましたけれども、不同意書は事前に提出していただくことになっております。その上で、旅券が実際に正式に申請がありましたら、その不同意書が有効かどうかを確認するようになっております。
一般的には、こういった例はたくさんあるんですけれども、場合によっては、旅券の申請があった時点で確認をしますと、この不同意書は撤回しますという方も中にはいらっしゃいます。ですので、そういった状況について、私どもはそのケースごとに丁寧に手続としては御説明をしております。
その上で、もしDVを含めて具体的な御相談があれば、それはその状況を踏まえて先ほど申したように総合的に判断をしていくものですが、残念ながら、昨年の夏の時点では、女性からは具体的な状況について私どもの方には御相談がなかったということでございますので、それを踏まえて適切に御案内をした、そういうことでございます。
○井坂委員 ちょっと参考人に伺いますが、初めて会った人ではないんですよ。その前に一度DVの相談を受けていて、その後離婚をして、子供のパスポートが、要は、夫に預けているから、ないので取得したいと相談に来ているわけですよ。そこで、仮に不同意書が出ていたとしても、それはもうどういう状況か明らかではないですか。相談がなかったから、ただの一般論で、同意が必要ですよと説明しましたで済む話ではないと思うんですが、それは、さっき御答弁された、必要な支援をしたということになるんですか。
○岩本政府参考人 もちろん、実はいろいろなケースはございます。一般論で申し上げますと、当初DVで御相談があった場合も、その後、御夫婦の関係ですので、日時によって当然状況は変わってくるということで、もし先方から具体的な御相談があれば、私どもはきちんと対応していくんですけれども、ただ、プライバシーの問題ですので、こちらから根掘り葉掘りその時々の状況についてお聞きするということは控えておりますけれども、当然、向こうから御相談があれば、これは適切に対応するようにしてきております。
○井坂委員 ちょっと今日はAIで結構まとまった質問を用意していたんですが、もう時間的に、AIはまた次に回します。
要は、原則論は分かるんですよ。両方の同意が必要であるし、ただ、署名欄は一人分の署名欄しかなくて、片方の親の署名で発行がされます。ただ、不同意書が出ていれば、それは片方の親だけのサインでは駄目なので、不同意書を出したもう一人の親の同意書が必要だ。ここまでも原則論は分かるんですが。
ただ、邦人保護のために、あるいはDVから守るために、結局、そうはいっても更に例外的な措置として、相手から同意書が取れなくてもパスポートを発行することもあるわけですよ。
そういうやり方があるのに、それは説明をしないんですか。原則論だけ説明をして、不同意書が出ているから相手の同意が必要ですとだけ説明して、同意書を取ってくださいと言うだけで追い返してしまうんですか。
実際、被害女性と友人のやり取りを見ている限り、本当にもう絶対に取れないと聞かされて帰ってきたという反応なんですよ。頑張ればとか、ちゃんと状況を説明すれば取れるかもしれないという反応にはなっていないようなんですね。
ちゃんとそういう説明はされたんでしょうか。例外的に同意書がなくても発行ができるということは説明されたんですか。
○岩本政府参考人 私どもも今回の件を受けまして大使館の方に当時の状況を確認しましたけれども、先ほど申し上げたような状況だったわけですけれども。当然、私どもの、こういう手続になっている、こういうことが必要だということは、この件を含めて、その都度丁寧に御説明をしてきているところでございます。
○井坂委員 ちょっとぼやかしましたけれども、要は、例外的に同意書がなくても発行できるとちゃんと説明をしたんですか。
○岩本政府参考人 その点も含めて、このケースにつきましても旅券の手続についてはきめ細かに御説明をしたということでございます。
○井坂委員 最後に、ちょっと大臣に一言だけ伺いますが、やはり、日本人女性が海外で殺されてしまったわけです。大使館には二回救うチャンスがあった、ここまでは厳然たる事実であります。今みたいな話で、正しい対応でしたと言い張るのであれば、今後も日本人が同じ流れで海外で殺されてしまうことを私は防げないと思います。
邦人保護のために今回を検証して今後の対応を改善するぐらい答弁して当たり前だと思いますが、いかがですか。
○安住委員長 岩屋外務大臣、間もなく、時間が参っておりますので、簡潔に。
○岩屋国務大臣 改めて、邦人女性が御逝去されたことに心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
その上で、今般の事案というものも踏まえまして、邦人保護ということについて更に在外公館でしっかりと対応できるように、指示を私から出したいというふうに思っております。
○井坂委員 終わります。
○安住委員長 これにて井坂君の質疑は終了いたしました。
次に、林佑美さん。
○林(佑)委員 日本維新の会、林佑美です。
本日は質問の機会を与えてくださり、ありがとうございます。短い時間ではございますが、地方創生、そして防災といった国づくりの基礎となる質問を、私の地元、和歌山県と関連して質問させていただきたいと思います。最後までどうぞよろしくお願いいたします。
石破総理の所信表明演説では、令和の日本列島改造との話がございました。昭和の日本列島改造のときとは時代背景が違い、同じことをやっていても効果が出ないのは明らかであると思っております。
昭和の日本列島改造は、経済が成長しているものの、都市と地方の格差が大きくなってしまっていたため、新幹線、道路を始めとしたインフラ整備を基本とする地方の活性化策、つまり、都市の成長を地方に分配していく政策でした。国発の発想による地方活性化であり、日本全体で見れば成長が続いていることを前提としていたと思っております。
〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕
一方、今は、都市であっても、暮らしている人の生活は余裕がありません。比較的所得は上がってきているものの、社会保障で取られてしまうという生活をしています。地方はもっと厳しく、人口の急激な減少により、企業、そして農業の働き手の確保もままならず、地方経済の元気がなくなるということで更に人口が減少していくという負のスパイラルとなっています。
国発の発想による地方活性化、これは、ある意味、深く根づいたと思っております。
私は、以前、和歌山県の市議会議員でしたが、保育園の整備とか公的な施設の修繕を質問したとき、何から何まで、国の補助金がないのでできませんですとか、国の動向を注視してまいりますというような答弁が非常に多かったです。それにすごく落胆して、これが私が国会議員を目指す一つのきっかけとなったわけですけれども。
インフラ整備はお金がかかり、地方にそれを負担する余裕はなく、そうした地方自治体の悲鳴はとてもよく分かります。国の財政も余裕は全くありません。昭和の日本列島改造のときと同じことをやっていても効果が出ないことは最初に申し上げましたが、もはや同じことはできないのではないかと思っております。
これからは、国発の発想ではなく、考え方を変え、これから質問の方で触れますが、地方で育ち、地方で学び、その地域が好きになり、自然と定着する、こうした温かい政策が必要であると思っております。そして、ハードも、富の分配というのではなく、防災という観点が必要です。
本日は予算委員会ですので、こうした全体の視点を持った上で質問させていただきたいと思います。
初めに、地方創生に関連する質問をしたいと思います。
石破総理は、地方創生二・〇、令和の日本列島改造の具体化として、財務省の令和七年度予算のポイントによれば、新しい地域経済、生活環境創生交付金を創設、従来の交付金から倍増となる予算を計上されました。
また、地方創生二・〇は、官民が連携して地域の拠点をつくり、地域の持つ潜在力を最大限に引き出し、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出す、都市から地方へ分配する政策から、地方主役の考え方であると思いますが、こうした考え方は私も同じように大切だと思っております。
少子化が急速に進む中で、地方の人口減少は深刻な問題となっています。特に地方では、若者が進学や就職をきっかけに都市部に移り住み、地元に戻らないことが人口減少の大きな要因となっています。
私の地元である和歌山市では、これまで大学誘致に取り組み、町中で五つの大学を誘致してきました。和歌山市内の大学全体の県内就職率は、平成三十年度で二八%でしたが、大学誘致以降は年々増加して、令和四年度には三八%となり、一〇%増加いたしました。大学進学を機に若者の県外流出が課題となる中で、令和五年度には、誘致した大学から二百四十五人が就職し、県内就職率は八四%となり、市内の大学全体の県内就職率の大幅な向上につながりました。
これは、医療系や教育系の大学を誘致していたので、県内にたくさん就職先があったということもありますけれども、若者の県外流出を食い止め、その成果が上がりました。
これまで政府として地域創生に向けた各種施策を推進していただいた結果もあり、幸いにも、このように増加傾向にある自治体もあります。地方大学の活性化やUターン、Iターン就職の促進、さらには地域企業の魅力発信に取り組まれていることが大変ありがたいと思っております。しかし、全国の地方自治体からは、更なる財政支援や人材育成の強化を求める声も多く聞かれております。
そこで、お伺いいたします。
政府として、令和七年度において、地方自治体の地元就職支援、特に、若者が地域に定着するための施策についてどのようにお考えでしょうか。また、地元就職率が低い地域への支援策として、具体的にどのような施策を検討されているのか。さらに、地方の中小企業の魅力発信や産業多様化を促すための取組についても、鳩山内閣府副大臣に御見解を伺いたいと思います。
〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕
○鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。
若者や女性にも選ばれる地方を実現するため、若者が地域に定着し、就職できるよう支援することは重要と認識をしております。
内閣府では、自治体が交付金を活用して実施する新規就業支援について、令和七年度から、若者が支援対象者に含まれることを明確化し、併せて申請上限額の引上げを行ったところであります。
関係省庁においても、地元定着を目的とする企業説明会等の実施、地域課題を踏まえた自治体の就職促進等の支援、また、地元企業の魅力発信やマッチングの推進、中小企業の新たな事業への進出の支援などに取り組んでいるものと承知をいたしております。
引き続き、関係省庁とも連携しつつ、若者の地域への定着に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
石破総理の目指す令和の日本列島改造の第一の柱は、若者や女性に選ばれる都市です。地方の魅力によりその地域が好きになり、そして人が自然と集まってくる。是非、全国津々浦々、若者と女性が定着するための施策について、御支援をどうぞよろしくお願いいたします。
次に、政府機関の地方移転推進について伺います。
こちらも、石破総理が第二の柱としている産官学の地方移転と創生に関わる内容です。石破総理は、官が一歩前に出て、防災庁など政府関係機関の地方移転、国内最適立地を推進し、これまでの取組を検証し、地方からの提案を改めて募り、日本全体にとって望ましい効果を生み出すのはどこかという視点を踏まえ、順次結論を出してまいりますと御発言されました。
これまでも、地方創生の一環として政府機関の地方移転が進められてきました。例えば、文化庁が京都へ移転した事例は、地域の文化振興や観光資源の活用に大きな効果をもたらしたと言われております。
私の地元、和歌山県和歌山市においても、総務省統計局統計データ利活用センターを設置していただいており、ICTを活用した高度なデータ解析を和歌山からも提供しております。また、和歌山県と協力して地方創生に貢献する取組を進めているということで、設置している自治体からも、政府機関が地域に移転することで雇用が生まれ、地域の活性化が期待できるという声が多く寄せられています。
しかし、実際に地方移転が進んでいるのは限られた事例であり、地域格差を解消するには更なる推進が必要です。
そこで、伺います。
政府として、令和七年度における政府機関の地方移転推進について、どのような具体策を検討されているのでしょうか。そしてまた、文化庁の移転事例を踏まえ、地方自治体との連携や支援策についてどのように進めていくお考えか、伺います。さらに、地方移転の実現性を高めるために、自治体からの提案をどのように活用して選定していかれるのか、鳩山内閣府副大臣、御見解をよろしくお願いいたします。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをいたします。
政府関係機関の地方移転については、平成二十八年に決定した政府関係機関移転基本方針に基づき、文化庁や国立工芸館を始めとした中央省庁七機関、研究、研修機関二十三機関五十件を対象として進めてきたところであります。
今後の取組については、まずは、既に移転した機関の評価や地方移転に関する様々な課題について十分に検証した上で、議員御指摘の観点も含め、今後の進め方について検討してまいりたいと思います。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
例えば、地方移転を推進するためには、国と自治体だけの連携だけではなくて、民間企業の協力も大変重要になってくると思っております。
これは総理も御提言いただいておりますけれども、各県、各地方、民間の意見や要望を聴取する仕組みを始めるということも御検討いただきたいと思いますが、鳩山内閣府副大臣、いかがでしょうか。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをいたします。
政府関係機関の地方移転については、その機関が来ることが、その地域だけでなく日本全体のためになるかについて、議員御指摘のとおり、地方自治体のみならず、民間企業など、その地域の関係者も含めて十分に議論することが重要であると考えております。また、民間企業に対しては、平成二十七年から、地方拠点強化税制などの取組を通じた地方移転等を促す施策も進めてきたところであります。
こうした取組を通じて、企業の地方分散や政府機関等の移転など、東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散を今後も進めてまいりたいと思います。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
是非とも、地方創生二・〇に向けて、地方が真の創生となりますよう、産学官の連携と自治体への支援をどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、私の地元の和歌山の課題についても御質問させていただきたいと思います。
和歌山県は、豊かな自然と歴史、そして観光資源に恵まれた地域ですが、そのポテンシャルを更に生かすためには交通インフラの整備が欠かせません。特に、南海トラフ地震の発生が懸念される中で、災害時の物流確保や迅速な避難のためにも地域の道路網の整備が極めて重要だと思っております。
加えて、大阪・関西万博の開催を目前に控えた今年は、国内外からの観光客やインバウンド需要が見込まれる中で、地域の交通ネットワークをどのように強化するかが大きな課題となっております。
そこで、京奈和関空連絡道路、和歌山環状北道路に関して質問したいと思っております。
国土交通省近畿地方整備局は、大阪南部、和歌山都市圏と関西国際空港を結ぶアクセス道路について、府県と連携して、幹線道路ネットワークの検討を実施するとしています。この構想は、令和三年に策定された新広域道路交通計画において示された京奈和関空連絡道路に相当するものです。関西空港連絡道と阪和道の泉佐野ジャンクションから更に南に延伸し、山を越えて、京奈和道の紀の川インターチェンジ付近につなげるという重要な構想ルートになっております。
この京奈和関空連絡道路の整備は、インバウンド観光客の利便性向上や物流効率化のみならず、災害における広域避難路や緊急輸送路としての役割も期待されております。また、今年開催される大阪・関西万博は、地域活性化の大きな契機であり、万博終了後も国内外からの観光需要が見込まれております。
そのため、関西国際空港から和歌山、さらには奈良、京都に至る交通の流れを円滑化するこの連絡道路の整備は非常に重要な課題です。
現在、和歌山県紀の川市では、京奈和関空連絡道路推進室が新設され、和歌山県も調査業務を発注するなど、整備に向けた機運が高まっています。この動きを確実なものにするためには、政府による継続的な支援と予算確保が不可欠です。
そこで、伺います。
京奈和関空連絡道路の早期整備に向けて、その取組の意義と国土交通省の御見解をお聞かせください。また、和歌山環状北道路についても、併せて同じ質問を伺いたいと思います。中野国交大臣、よろしくお願いいたします。
○中野国務大臣 林委員の御質問にお答え申し上げます。
委員のお尋ねの京奈和関空連絡道路につきましては、まず、こちらは、大阪の南部や和歌山方面などから関西国際空港へのアクセス性が向上をし、物流の効率化や観光振興などの効果が期待される道路であるという認識をしております。
併せて御質問いただきました和歌山環状北道路、これも、和歌山市都市圏の交通円滑化を図り、物流の効率化、そして和歌山の下津港へのアクセス性の向上などの効果が期待をされる道路である、こういう認識をしております。
これら二つの道路につきましては、関係の自治体、例えば、御地元の和歌山県ですとか、あるいは大阪府もありますので、こうした関係の自治体とともに、地域の課題や交通の状況などの整理を進めているということで伺っております。
国土交通省といたしましては、引き続き、関係の自治体と連携をしまして、計画の具体化に必要な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
この道路整備は、和歌山にとって大変重要な整備で、地域の発展、そして災害対策、観光振興、さらには広域経済圏の形成に大きく寄与するものであり、国交省を始め、財務省、そして政府の力強い御支援を心よりお願い申し上げます。
時間がございますので、質問を続けます。
国民の皆様も大変不安視している南海トラフ地震に関連した津波避難の課題について質問させていただきます。
先日、一月一日に発生した日向灘沖における地震、そして昨年八月の日向灘地震について、気象庁は、昨年八月に起きた日向灘を震源とするマグニチュード七・一の地震と一連の地震活動と見られるとしております。こうした地震が繰り返し発生することで、南海トラフ地震がいつ起きてもおかしくないという現実が改めて私たちに突きつけられたと思っております。
南海トラフ地震の発生確率について、政府の地震調査委員会は、一月の地震発生の二日後には、南海トラフ巨大地震の今後の三十年以内の発生確率を、今までの七〇から八〇%から、八〇%に引き上げるという極めて高い確率を示されました。この数値は、災害に対する備えを強化する必要性を改めて強調しているものであり、特に私の地元である和歌山県においても、津波被害への影響が大きく懸念されております。
南海トラフ地震が発生した場合、地域によっては高さ十メートルを超える津波が数分以内に沿岸部を襲うと想定されており、迅速な避難が住民の命を守る上で最も重要となります。
しかしながら、現場での避難方法については幾つかの課題が指摘されております。その中で特に深刻なのが、津波避難のときの移動手段に関する問題です。
津波避難における手段は徒歩とされていますが、現実には、自治体によっては方針が大きく異なり、車での避難を一部容認している自治体もあれば、徒歩避難を推奨している自治体もあります。さらに、明確な判断、方針を決めていない自治体も存在しており、避難時の混乱が懸念されています。
平成二十四年の内閣府の調査では、東日本大震災で避難所まで移動した手段として、五二・五%が車を使用したとしています。しかし、車での避難は、渋滞を引き起こし、避難が遅れる大きな要因となったことも報告されています。この調査によれば、車で避難した際に困ったこととして、渋滞していたと答えた方は三二・六%にも上っております。
今後発生が危惧される南海トラフ地震の被害想定の中で、津波による人的被害は最大で約二十三万人と試算されています。内閣府の防災ページを見ますと、住民一人一人が迅速に避難を開始し、強固で安全な、できるだけ高い位置に避難するなど、主体的な避難行動を行うことで、死者は四・六万人と約二割に減少することができると試算されています。こうした適切な避難行動を発災時に取るためには、実践的な訓練を重ねることで、一人一人が取るべき行動を体に刻み、平時から備えることが極めて重要ですとも記載されています。
和歌山県内においても、沿岸部に住む住民の多くが迅速な避難を必要としていますが、徒歩での避難が難しい高齢者、そして歩行が不自由な方、障害のある方々には大きな課題となっております。
このような状況において、政府として、避難時の移動手段についてはどのようにお考えでしょうか。移動手段を地域の実情や自治体に委ねるのか、それとも、国として何らかの統一的な指針を示すべきなのか。
内閣府の防災情報ページの記載にあるように、津波は刻一刻を争う状況であり、明確な方針を持たないままでは混乱が避けられないと考えております。また、避難の迅速化に向けた支援策として、例えば、車両避難が避けられない地域における交通整理や緊急時に使用可能な避難路の整備、高齢者や要配慮者が避難するための支援対策について、現状の課題や政府の方針をお聞かせいただきたいと思っております。
南海トラフ地震の発生確率が高いとされる今、こうした避難体制を整えることは喫緊の課題です。住民の命を守るために必要な政策や支援を政府としてどのように進めていかれるのか、坂井防災担当大臣の御回答をお願いいたします。
○坂井国務大臣 委員の御指摘は大変大事だ、重要だと考えております。
まず、津波からの避難における移動手段でございますが、防災基本計画において、徒歩を原則としております。これは、車の場合、渋滞でありますとか交通事故のリスクがあるということで、徒歩を原則としております。しかし、一方で、御指摘のように、歩行の不自由な方等々はどうしても自動車に頼るということもありますし、また、津波の到達時間でありますとか、こういったものも勘案をして、自動車を活用しなければならないというところもございます。
これらを、我々政府は、あらかじめ各自治体に決めておいていただきたい。つまり、どれだけの人が徒歩で避難をし、車を使わなければいけない人がどのくらいいるのか、そして、どうしても使わなければいけない方々が車で避難をするときの避難の道でありますとか、また、それらの車の台数が、渋滞などをせずに逃げられると思われるキャパを取っておくなど、これらを事前に検討していただくということをお願いをしております。
そして、こういった避難体制が取っていただけるように、例えば、政府といたしましては、避難意識の向上にも資する津波のハザードマップの整備とか、あと、防災の行政無線、戸別の受信機等、災害時に情報をいち早く伝達をするこういう手段の多重化、また、自ら避難することが困難な方の名簿でありますとか、個別避難計画の作成等の支援を行っております。
特に、個別避難計画でございますが、これは市町村に努力義務を、お願いをしているところでございますが、取りかかっているところは千四百を超える自治体がありますけれども、かなりこれが、完成をしたというか、まだまだでき上がっていない自治体の方が多いというのも現状でございますので、こういったものは是非、委員も御関心があって御意識が高いということでございますので、御地元の自治体等に、この個別避難計画、これをしっかりやって完成させてくれということを進めていただければありがたい、こう思っております。
○安住委員長 時間が来ています。簡潔に。
○坂井国務大臣 なお、これらの整備に対しましては、防災・安全交付金等によって支援を行っております。
○安住委員長 時間が過ぎておりますので、終了してください。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
時間となりましたので、終了させていただきます。どうもありがとうございました。
○安住委員長 これにて林さんの質疑は終了いたしました。
次に、沼崎満子さん。
○沼崎委員 公明党の沼崎満子です。
昨年の衆議院選挙で初当選して、今日は初めての予算委員会での質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、前職は麻酔科の医師として、二十六年間、地域の中核病院、特に公的病院で多くの経験を積んでまいりました。この経験を通じて、自治体病院や日赤、済生会、JA厚生連などの公的病院が地域医療において果たす重要な役割を実感しています。
公的病院は、地域住民に対して必要な医療サービスを提供する重要な基盤であり、特に救急医療や周産期医療、慢性疾患の管理において欠かせない存在です。私自身、公的病院で麻酔科医として緊急手術や帝王切開などに対応し、ほかの病院での受入れの難しい患者さんに対しても最後のとりでとして機能する場面を多く見てまいりました。また、災害時の拠点病院やDMATの派遣等にも協力をしています。
公的病院は、こうした医療サービスを提供することで、住民の健康を守る役割を果たしています。慢性疾患の患者に対しても継続的な医療を提供し、健康状態を維持するための支援を行っています。また、地域包括ケアの中心としての役割も機能しております。こういったことで、地域住民が安心して生活できる環境を整えられていると思います。
しかし、皆さん御存じだと思いますけれども、近年のエネルギー費の高騰、あるいは働き方改革、医療材料費の高騰によって、今、全ての病院で経営が非常に厳しい状況に直面しています。特に公的病院は、不採算部門の医療提供を行うという役割の性質上、価格転嫁が難しく、経営努力を今までも続けてきていますけれども、赤字の解消が非常に厳しい状況です。このような状況は、地域医療の最後のとりでである公的病院の機能を脅かすものであり、地域住民にとっても大きな影響を及ぼすものと考えます。
そこで、お伺いします。現在、政府は公的病院に対してどのような財政措置を講じているのか、具体的な内容をお示しください。また、高齢化や人口減少により医療需要の急激な変化が続く中で、公的病院の財政措置に関して、今後の取組についてどのようにお考えか、お尋ねいたします。よろしくお願いいたします。
○森光政府参考人 お答えさせていただきます。
自治体病院などの公的医療機関は、救急医療や小児、周産期医療など、地域の民間医療機関で担うことが難しい医療機能を担っていただいておりますが、現在、物価高騰や賃金上昇、医療需要の急激な変化などに直面しているものと認識をしております。
こうした中、厚生労働省では、令和六年度診療報酬改定で賃上げ等に関する一定の措置を講じた上で、昨年末に成立した補正予算において、重点支援地方交付金の積み増しに加え、緊急的な支援パッケージによりまして、公的医療機関も含めた医療機関への支援を盛り込むといった対応を行っております。
さらに、総務省において、令和七年度には、厚生連などの公的病院等に対する自治体の助成経費に係る特別交付税措置の対象経費の拡充などが行われるものと承知をしております。
まずはこうした措置を着実に執行し、必要な支援が行き届くよう取り組むとともに、今後、補正予算等の効果や物価等の動向、医療機関の経営状況など、足下の情勢変化を丁寧に把握した上で、公的医療機関を含む医療機関が地域における必要な役割を果たしていけるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
○沼崎委員 すぐには解消が難しい問題だと思いますので、引き続きの措置をお願いしたいと思います。
次に、ドクターヘリ事業の財政支援について質問いたします。
二〇四〇年に向けた医療提供体制の総合的な改革が進められる中、医療機関の再編や集約化は重要な課題となっています。慢性疾患の治療に関しては、オンライン診療や訪問診療の推進によって一定の成果が望まれると認識しております。しかし、救急医療や高度医療においては、今後も集約化や病院の機能分担が進むことが予想され、ますます医療機関へのアクセスの問題は顕著になると予想されます。
平成十三年に本格運航を開始したドクターヘリは、救急医療のアクセス向上において重要な役割を果たしてきました。これまで、公明党はドクターヘリの導入を強く推進してまいりました。これにより、現在、国内には五十七機が導入され、全国各地の救急医療のアクセス向上に寄与しています。
しかし、現在、燃料費の高騰や機体部品価格、人件費の高騰によって、運航経費は上昇を続けています。特に、運航開始から二十年が経過し、老朽化による機体の更新が喫緊の課題となっています。
ドクターヘリは、国民の命を守るための事業者の献身によって支えられていますが、社会貢献だけでは事業存続が限界に近い状態です。このままでは、せっかく整備されたドクターヘリの運航が危ぶまれる事態も懸念されます。
そこで、以下の点についてお伺いします。
ドクターヘリ事業に対する予算の考え方はどのようになっていますか。また、安定的にドクターヘリ事業の運航体制を維持するためにどのような対策や運航方法が必要と考えますか。よろしくお願いいたします。
○森光政府参考人 ドクターヘリにつきましてお尋ねがありました。
ドクターヘリは、地域における救急医療体制の確保に欠かせないものとして、特に、陸路搬送が困難な僻地や離島などにおいても有効に活用されており、令和四年度には約三万回の出動実績がございます。
厚生労働省では、ドクターヘリの運航に必要な経費に対して財政支援を行っているところでございます。この財政支援の補助基準額の設定に当たりましては、運航時間、燃料費、人件費等の最新の状況を勘案して設定し、毎年度、必要な予算措置を行っているところでございます。御指摘の機体の更新費につきましても、従来より、機体を二十年間運用することを見込んだ償還費を計上しておるところでございます。
また、ドクターヘリの運航の効率化を図るため、離陸後の運航を中止する件数の減少を図っていく必要があると考えており、令和六年度から、調査事業において、ドクターヘリの効果や効率性を適切に把握するための指標の作成を行っているほか、従事者研修や関係協議会において、効率的に運用している好事例の共有を行っているところでございます。
引き続き、ドクターヘリの安定的な運航体制の確保に向けて、効率的な運用や予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○沼崎委員 ありがとうございます。
二十年で相当な、今、価格高騰でなかなか追いつかない面もあるかと思いますので、その点の御考慮もいただければと思います。
次に、私は女性医師として、女性の健康課題に関する支援が、女性の活躍を促進する上で極めて重要であると考えています。
経済産業省の試算によれば、女性特有の健康課題が社会全体に与える経済損失は年間三・四兆円に上るとのことです。非常に大きな額で、私も驚きました。
このような状況を踏まえ、女性の健康を守ることは、経済的な観点からも非常に重要な課題です。昨年、女性の健康課題に特化した国の研究、診療拠点である女性の健康総合センターがオープンしました。このセンターは、女性の健康に関する研究や診療を通じて、具体的な課題解決に向けた取組を行うということが期待されています。
そこで、以下についてお伺いします。
女性の健康総合センターは、具体的にどのような役割を果たしているのか。特に、女性の健康課題に対するセンターの役割について、どのように考えられているのか。また、センターでは、まだ発足したばかりではございますが、現在どのような研究や診療が行われているのか、具体的な取組内容について御説明をいただきたいと思います。そして、今後、女性の健康課題はますます重要になってくると思います。どのような新たな取組を今後計画しているのか、その点についてもお伺いいたします。
○福岡国務大臣 女性の心身の状態は年代によって大きく変化する特性があることを踏まえまして、女性の健康に関する研究を進め、最新の知見に沿って女性の健康を生涯にわたり包括的に支援していくことは大変重要であると考えております。
お話ありましたように、昨年十月に、女性の健康に関する研究の司令塔といたしまして、国立研究開発法人国立成育医療研究センターに女性の健康総合センターを設置いたしまして、全国の研究機関等を支援するとともに、女性の健康に関わる最新の知見を収集、提供する仕組みを構築したところでございます。
具体的には、女性の健康や疾患に特化した研究やデータの収集、解析、情報発信に加えまして、女性特有の病態、疾患に係る診療体制の充実など、体制整備を進めているところでございます。今後、女性の健康総合センターにおきまして、女性の健康に関わる相談に対応する自治体、企業担当者向けのモデル教育プログラムの開発であったり、また、女性の健康に特化したウェブページの新設等を進めることとしております。
厚生労働省としても、女性が生涯にわたり健康で活躍できる社会の構築に向けて必要な支援を行ってまいりたいと思いますし、委員も専門家として、是非、引き続きいろいろな御提言をいただければと思います。
○沼崎委員 女性活躍が望まれる中で、ますます女性の健康課題というのは大事なテーマだと思います。私も引き続き取り組んでいきたいと思います。
最後の質問になります。
近年、RSウイルス感染症、特に乳幼児において重篤な呼吸器疾患を引き起こすということが懸念されています。RSウイルスは、特に生後六か月未満の乳児において入院を要する重症化のリスクが高く、毎年二万人の一歳未満児が入院しています。また、乳幼児期にRSウイルス感染症に罹患すると、ぜんそくの発症リスクが三歳未満では二十倍以上と、非常に、大変大きく増大します。これにより、家庭や医療機関に大きな負担がかかることが問題視されています。
母子免疫を獲得するためのRSウイルスワクチンの定期接種化を進めることで、こういったリスクを軽減し、乳幼児の健康を守るためには非常に重要だと考えております。RSウイルス感染症は乳幼児にとって深刻な健康問題であり、母子免疫を獲得するためのワクチン接種の定期接種化についてどのようにお考えか、お尋ねいたします。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
ワクチンの定期接種化に当たりましては、審議会において、疾病負荷、ワクチンの有効性、安全性、費用対効果等を議論いただいた上で進めているところでございます。
先生御指摘の乳幼児におけるRSウイルスの予防につきましては、令和六年十一月の審議会におきまして、乳幼児の疾病負荷に関して、一歳未満の入院患者の約一割で人工呼吸器の使用が必要となるなどの知見が一定程度得られたことも踏まえ、疾病負荷、母子免疫ワクチンの有効性、安全性、費用対効果につきまして、国立感染症研究所に対して科学的知見を整理するよう依頼したところでございます。国立感染症研究所での整理を踏まえまして、今後、審議会におきまして定期接種化に向けた議論を進めてまいります。
○沼崎委員 定期接種化、なかなかどれぐらいでというのが難しいとは思いますけれども、何年以内というか、そういった時間を、どれぐらいで進めていきたい、そういった面での目安がございましたら、教えていただけますでしょうか。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど答弁申し上げましたとおり、現在、科学的知見につきまして国立感染症研究所に整理するよう依頼しているところでございます。そうした整理の結果を踏まえまして、できるだけ早く、議論をしっかり進めてまいりたいというふうに思います。
以上でございます。
○沼崎委員 ありがとうございました。
少し早めになりますけれども、これで質問を終了したいと思います。大変ありがとうございました。
○安住委員長 これにて沼崎さんの質疑は終了いたしました。
次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、政府の進める際限のない半導体支援について聞きます。
半導体関連予算は、二〇一九年度以降、新年度予算を含めると約五・八兆円、経産省の基金に投入をされております。特に巨額の公的資金を受けるのが、半導体製造会社のラピダスであります。二〇二二年八月に設立をされ、アメリカのIBMの技術提供を受けて、二ナノメートルという最先端の半導体を製造することを目指しております。
政府は、ラピダスに最大九千二百億円の支援を決定して、さらに、AI、半導体産業基盤強化支援フレームの十兆円を活用して、ラピダス出資を念頭に、新年度予算案では一千億円を計上しております。
経産省に聞くんですけれども、特定の企業に対してこれほどまでの巨額の税金投入、過去に例があるんでしょうか。
○武藤国務大臣 辰巳委員から御質問いただきました。
経済産業省における補助事業について、確認できた範囲でございますが、一社に対して兆円規模の補助金を措置した事業はございません。
○辰巳委員 過去にないということなんですね。
八〇年代、世界の半分以上を供給していた日本の半導体は、アメリカに、日本市場における外国製半導体、これを二〇%以上受け入れろ、引き上げろという不利な内容の日米半導体協定を結ばされて、衰退をしていきました。その後、半導体メーカーのエルピーダメモリは、政府主導で四百億円の公的資金が投入されましたけれども、二〇一二年に経営破綻をしました。負債総額は約四千四百八十億円、このうち二百七十七億円が国民負担となりました。
経産省に聞くんですけれども、これは誰がどのような責任を取ったんでしょうか。
○武藤国務大臣 誰が責任を取ったかという話でございますけれども、政府の施策は、その時々の社会経済情勢を踏まえて、必要かつ適切と判断したものを組織的に決定、実施をしているものであります。
エルピーダメモリの事例でありますけれども、これもこれまでも答弁させていただいていますが、国内企業同士の統合を優先した結果ですとか、海外の競合他社と差別化ができず、政府としても十分な支援を機動的に実施することができなかったと認識をしているところであります。こうした点については、真摯に反省をしなくてはいけないと思っています。
○辰巳委員 誰が責任を取ったのかと聞いたんですけれども。
○武藤国務大臣 責任ということですけれども、ラピダスが取り組む今回の研究につきましては、野心的な取組、その上で様々な課題があることは事実でありまして、量産技術の確立、顧客の獲得、資金調達、人材の確保、育成などの課題を一つ一つ解決していく必要があると思います。(辰巳委員「エルピーダですよ、大臣。エルピーダの責任」と呼ぶ)
エルピーダの責任でありますけれども、先ほど申したとおり、必要かつ適切と判断したものを組織的に決定した上で、エルピーダの事例におきましては、先ほど申し上げたとおりで、反省をしており、こういう意味では、責任を取ったということは、そういう認識を……(発言する者あり)
では、私の答えでいかせていただきます。責任を取ったということはないと思います。いわゆる総合的な判断だというふうに思います。
○辰巳委員 ないんですよね。ないんですよ。これだけの巨額の国民負担を生んでおきながら、結局誰も責任を取らないまま、またぞろ特定の半導体企業に公的資金投入を決めているわけですね。
ラピダスの東哲郎会長は、二〇二七年から八年までに七兆円程度が必要だとロイターの取材に答えております。際限なく国費投入を続けることでモラルハザードが拡大をして、エルピーダメモリの二の舞になりかねないと思うんですね。
しかも、ラピダスへの国費投入、あるいは日米連携の方向性を決めてきたのが、経産省の半導体・デジタル産業戦略検討会議なんですね。今日資料にもおつけしていますけれども、このメンバーの座長を務めておられるのが東さんですよね。TIA運営最高会議議長と書いていますけれども、ラピダスの東さんなんですよね。
政府の審議会、研究会の現役の座長が経営をする企業が九千二百億円以上もの政府の支援を受けるなど、利益相反じゃないですか。大臣、どうですか。
○武藤国務大臣 今の御指摘の半導体・デジタル産業戦略検討会議でありますけれども、これは、半導体産業支援の目標やその達成に向けた全体戦略、技術動向等を踏まえた政策の方向性について、幅広い専門家に情報共有と意見交換をしていただく場であります。したがって、個別案件の支援内容や予算額等を検討いただく場ではございません。
個別案件については、例えば、今の御指摘のラピダスのプロジェクトにつきましては、国の研究開発計画に基づき公募をし、利害関係のない外部有識者に審査をいただいた上で支援を決定し、あらかじめ設定したマイルストーンの達成状況についても毎年厳正に確認いただき、適切に予算執行を行っており、半導体・デジタル産業戦略検討会議とラピダスの関係は不適切との御指摘は当たらないと思っております。
○辰巳委員 いやいや、あの検討会議の資料を見たら、もうラピダス、ラピダス、ラピダスですよ。国からのラピダスへの継続支援、これはまさに個社に対する継続支援というのをこの会議で決めている。その座長が東哲郎さんなんですね。
透明性ということでいうと、外部の有識者で、資金提供への透明性をちゃんと確保しているんだと。これはステージゲート審査というんですね。私、経産省にステージゲート審査の中身を出してくれといって求めました。これはほとんど黒塗りですわ。どんな審査がされているのかも全く分からないのがこの審査なんですね。まさにブラックボックスになっているということなんです。
しかも、このラピダスの特別参与には、元経産省の事務次官の嶋田隆氏が就任しています。公共政策をゆがめる利益誘導や大企業と政府との癒着がまかり通ることがあっては絶対にならないと思うんですね。
なぜ政府はラピダスにこれほどの巨額の支援をしようとするのか、ここを深めていきたいと思うんですね。
ラピダス設立の発端は、二〇二〇年の夏にIBMから東会長に打診があったということなんです。IBMは、アメリカの国防総省との強いつながりのある企業であります。
国防総省が発行する二〇二一年次産業能力報告書というのがあるんですけれども、国防総省の調達慣行という項目の中で、こう書いているんですね。国防総省の発注する電子機器は、携帯電話通信などの商用のものと比較をして生産量が少なく、企業は国防総省向けに生産する意欲を失っている。つまり、要するに利益が出ないということですね。あるいは、この中では、米軍兵器に使用される最先端半導体のサプライチェーンの台湾依存を危険視して、日本との共同製作についても言及をしています。
そうした中、二〇二二年の十月十日から十六日、経産省の幹部が訪米をして、IBM、そしてアメリカの国防総省と懇談をしております。
大臣、この国防総省との懇談で、ラピダスが作る半導体の軍事利用について話したんじゃないですか。
○武藤国務大臣 御指摘の点につきましては、経済産業省の職員が半導体政策全般について米国政府と意見交換を行う一環として、商務省に加えて国防総省も訪問したと聞いているところです。
○辰巳委員 全般ということですから、軍事利用について否定をしなかったわけですね。
私はこのときの出張記録の提出を求めましたけれども、何を話し合ったのかは全て黒塗りです。
委員長、この議事録の提出を委員会に求めたいと思います。
○安住委員長 理事会で協議します。
○辰巳委員 大臣、全般というんですけれども、会っているのは国防総省なんですよね。
二〇二三年一月二十二日に放映されたNHKスペシャルの半導体の特集では、実は、このときの出張で情報産業課長が国防総省を訪れたシーンというのが映っているんですよ。会談相手は、まさに国防総省半導体政策責任者のデブ・シェノイ氏なんですね。会談を終えた情報産業課長はこう言っています。日本の歯車をむしろアメリカは待っている、早くはまりに来いと。そして、私たちはしっかり、ぴしっとはめていくと産業課長が語っているわけですよ。まさにアメリカの国防総省の思惑に日本がぴっしり合わせていくと語っているじゃないですか。
大臣、どうですか。
○野原政府参考人 アメリカの場合、国防総省が先端技術の研究開発、DARPAというプログラムを持っておりまして、産業政策を、安全保障の名の下にずっと開発をしてきたという歴史がございます。アメリカのCHIPS法でも、国防総省のマイクロエレクトロニクスのRアンドDであるとか人材育成とかが全体のプログラムの中に位置づけられておりまして、そういう半導体政策の研究開発とか人材育成について、通常から国務省やホワイトハウス、ほかともやっていますけれども、国防総省とも意見交換をしております。
そういう文脈で意見交換を行ったものでございまして、軍事目的について、ラピダスのチップを使用する、しないという議論は一切出ておりません。
○辰巳委員 それでは言いましょう。
米軍兵器への利用は、これはラピダスの幹部自身が語っているんですね。
東会長は、二〇二三年の十月二十五日の内外情勢調査会での講演でこう言っています。重要な部分は何かというと国防の領域、そういう半導体を我々はまずはアメリカのお客さんに届けるということをしなければならないと。まさにアメリカの国防総省の思惑に経産省の幹部がぴしっとはめていくという、経産省の方針とぴったり符合しているんですね。
二〇二三年の六月、経産省が作成した半導体・デジタル産業戦略にもこう書いてありますよ。極超音速ミサイル、地対地ミサイル、空対地ミサイルへの適用、高速移動可能な軍用偵察機、こういう文言が躍っているんですね。
さらに、先月、二月の十日、我が党の議員団が北海道千歳市のラピダスを視察したときにも、同社幹部は、IBMとの契約の詳細は明らかにはできないと言いながら、軍事利用については否定はしませんでした。軍事の利用に何の歯止めもない、これは大問題だと思うんですね。
武藤大臣、先ほど私が紹介をいたしました国防総省の発注するものというのは、発注量が少なくて利益が出にくいわけなんですよ。そういう先端半導体の納入をラピダスが担わされる、赤字で破綻をしたら日本の国民の負担になってしまう、こういうことなんじゃないですか。
○野原政府参考人 これまでも国会で御質問いただきまして、ラピダスが具体的に米国から国防用のチップの供給というのを打診されているとか、そういう話があるかというと、それはないというふうに繰り返し答弁を申し上げておりまして、現時点、直近の情報も確認いたしましたけれども、それはないということでございます。
○武藤国務大臣 私も事務方と、話を聞いていますけれども、そういう事実、先ほどの報道は知っていますし、さきの、今答弁ありましたように、昨年の委員会でもそういう形で答弁をさせていただいたということも承知をしております。そういう意味では、今委員がおっしゃられたような、利益がないからとかいう話ではないという判断をしております。
○辰巳委員 利益がないから、一般の企業というのは国防総省向けの受注はしたくない。そういう役割を日本の半導体、ラピダスが担わされるのではないかということなんですね。
これでは、仮にラピダスが赤字になっても、アメリカの言うがままに、まさに思惑にはまっていくということになれば、辺野古のように、アメリカ言いなりの、まさに政府はこれを止めることができない、赤字を国民の負担にせざるを得ないということになりかねないと思います。日本のラピダスが作った半導体が組み込まれたアメリカのミサイルを、では、今度は日本が爆買いをするという構図にもなるんじゃないかと言わなければならないと思います。
経済安保の名の下に、アメリカに従属し、特定の企業に際限なく国税をつぎ込んでいく産業政策では真の半導体支援にはならないということを申し上げて、私の質問といたします。
○安住委員長 これにて辰巳君の質疑は終了いたしました。
次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後、二十分、よろしくお願いいたします。
質問に入る前に、まず一言。
昨今、財務省や財務官僚に対して嫌悪や憎悪をあおる風潮が少しあります。政党の幹部でこういうことをやる人がいたりするのを見ると、本当に残念でなりません。私は財務省の回し者でも何でもないですけれども、財務官僚が、財務省が心を折ったら、国益の損失だと思います。
財務官僚に、見ているでしょうからお伝えしたい。批判されるときというのは仕事をしているとき、だからしっかりと頑張ってもらいたいということを一言申し上げて、質問に入りたいと思います。
百三万円の壁について質問をさせていただきます。
お手元にお配りしてあります資料、これは私の出した質問主意書への答弁ですが、百三万円の壁というのは何かというと、まず一つ目、本人の給与収入が百三万円を超えると税負担が生ずるため当該本人が就業調整を行う誘因となること。これが一つ目です。二つ目、本人の扶養家族の給与収入が百三万円を超えることにより当該本人の税負担が増加する結果、世帯の手取り収入が当該扶養親族の給与収入が百三万円を超えない場合に比べて減少することによって、当該扶養家族が就業調整を行う誘因となること。この二つが掲げられております。
そして、累次答弁で、後者の方については既に解消済みだという答弁を得ております。となると、最初に言った、本人の給与収入が百三万円を超えると税負担が生じるので働き控えをしてしまいたくなりますというのが、百三万円の壁として残っているということになります。それは何ですかというふうに聞いたら、二枚目を見ていただくと、一概に申し上げることは困難であるという答弁であります。
財務大臣にお伺いしたいと思います。何ですか、これは。
○加藤国務大臣 何ですかというのは、その個々の事情により異なるということが何ですかということですね。(緒方委員「はい」と呼ぶ)
まさに、税負担が生じることが就業調整の誘因になることに関し、誘因が作用するか否かや、どのように作用するかについては、個々の事情により異なることから、お尋ねについて一概に申し上げることは困難であると答弁をしております。
この個々の事情、これはまさに個々の事情ではありますが、個々の納税者の方の世帯の収入、資産の状況、世帯構成、年齢、さらには価値観などによって税負担の受け止め方が異なり得る、こうしたことを想定して、そうした記載をしているところでございます。
○緒方委員 百三万円稼いだ方が非課税で百三万円の手取りになりました、これが百四万円になると、百四万円から百三万円引いて、一万円の部分だけ最低税率の五%が課されて九千五百円だ、だから手取りが百三万九千五百円になりますというのが、これがモデルスタイルですよ。何でこれで就業調整をしたくなるんですか、財務大臣。
○加藤国務大臣 そうした、まさに誘因という言い方をさせていただいていますけれども、まさに一つは、心理的な、税が課税されるということに対する誘因。そして、その誘因の受け止め方は、先ほど申し上げた個々の事情があって、それにかかわらず働き続ける方もいらっしゃるし、それは一つの、心理的なと言ってもいいのかもしれませんが、誘因として、そこで一つ調整をされるという方もおられるというふうに考えております。
○緒方委員 それだと、仮にそのような誘因が働くのであれば、累進課税で税率が上がるポイントは全て解消しなくてはいけない壁というふうにみなされてしまうわけですよね。そういうことになりませんかね、財務大臣。
○加藤国務大臣 これは、いろいろな統計の中で、どこで働き控えがあるかというのが出てきておりまして、その中に、一つのポイントとして、百三万前後のところでそうした動向が見受けられる。
今申し上げた、そこにおいては、単に心理的なということに加えて、もう一つ、企業等で配偶者手当等が支給されるときに、一番分かりやすいので百三万でやっている、これもそこには入るんだろうと思います。
○緒方委員 ここの配偶者手当の話というのは、働き方改革の中でもう既に厚生労働省も取組をしていて、どうも、資料を見ていると、結構減ってきているという話もございました。
ただ、事実上、この配偶者との関係でいうと、百三万円のポイントで就業調整の誘因など働かないんだと思うんですね。本当に労働力の問題を心配するのであれば、社会における労働供給の問題を心配するのであれば、一番最初にやらなくちゃいけないのは、就業調整の必要などありません、働いて稼ぎたいのであれば思う存分頑張ってくださいというメッセージを政府が出すことではないかと思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 所得税の、今、特に配偶者控除、二つ目の点になりますか、については既に対応を取らせていただいていて、そうした、いわゆる百三万を超えて手取り収入がむしろ下がってしまう、これは解消されているところであります。
配偶者については、税制上、既に、働きたい人が就業調整を行うことを意識せず働くことができる制度となっており、政府としても、働いている方と企業の双方にこの制度を正確に理解していただくことは必要だ、重要と考えております。また、様々な機会を捉えて、適切な周知、広報、これに努めていきたいというふうに思います。
○緒方委員 そういうことを聞いているんじゃなくて、百三万円の壁など、そこで就業調整の必要などないので、損もしないので、皆さん方、そんなことを心配せずに、働いて稼ぎたいのであれば思う存分働いてくださいというのが政府として出すメッセージではないですかというふうに聞いているんです、大臣。
○加藤国務大臣 そこは、それぞれの方々の御判断があるわけでありますから。ただ、私が申し上げているのは、そこで、課税上、実質所得がマイナスになるということはない、このことはしっかりPRしていく。ただ、その上において、後はどう判断されるかは、それはそれぞれの方の御判断だというふうに思います。
○緒方委員 地元の企業の社長と話していると、いまだに百三万円で就業調整をすべきだと思って、実際そうしている方が多いという話を聞かされるんですね。本当に損しないのかと、世帯全体で見たときに。そこが不安な、自分もはっきり答えられないし、実際働いている人も、どうも、百三万円の壁と言われるから、だから、何となく、それ以上働いたら損するのかなというふうに思っている人が多いということなんです。
つまり、百三万円の壁という言葉が流布することは日本の労働力確保を阻害しているのではないかと思いますが、大臣の答弁を求めたいと思います。
○加藤国務大臣 これは、別に私どもは喧伝しているわけではなくて、マスコミ等においてそういう言い方をされておりまして、私どもも、いわゆる百三万円の壁、こういう言い方をさせていただいているところでございまして、今委員御指摘のように、税制上はそこにおいて実質的にマイナスになるということはない。このことはこれまでもPRさせていただいておりますし、引き続き、そうしたことはしっかりと周知を図っていきたいと思っています。
○緒方委員 本当にこれは、百三万円の壁という言葉が流布することによって、政府も、けれども、いわゆるでは使っているわけであって、そしてこの予算委員会でも、皆さん、百三万円の壁、百三万円の壁と、その一言が出ていくたびに日本の労働力確保の阻害要因になっていると思うんですよね。百三万円以上働いたら損するんじゃないかと。別に損はしない、単にそこで課税されるだけ、課税が始まるんだと。(発言する者あり)そうです。今言ったとおり、五%なんですね。なので、正確に物を言いましょうということなんです。
今、百二十三万円の話が上がってきている。これは、百二十三万円までの上積みは物価調整です。そして、百二十三万円を超える部分というのは、これは純然たる減税です。百三万円の壁という言葉を使わずに、百二十三万円までは物価調整なんだ、そこから先は減税なんだ、そうはっきりと言おうじゃありませんか。百三万円の壁という言葉が流布することによる、日本社会への労働力確保のためのマイナスは著しいものがあると思っています。大臣の見解を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 ですから、今回出させていただいている、いわゆる百三万円を百二十三万円に、いわゆる非課税限度額を上げさせていただいている、それはまさに物価調整ということで二十万円の引上げを図っているということでありますし、その結果として、基礎控除が十万円であればその分だけ、基本的に、基礎控除がかかる年収の方々にはその分に応じた減税がなされる。また、給与所得控除は、最低限度額ですから範囲は限定されますけれども、そういったところの方についても減税はなされるということであります。
○緒方委員 それでは、仮に百二十三万円以上に基礎控除を上げるというのは、物価調整にも関わらない純然たる減税であるということになると思うんですけれども、大臣もそれは共有いただけるということでよろしいですか、加藤大臣。
○加藤国務大臣 今回の税制改正大綱の中において、十万円、十万円上げるというベースにおいては、この間の物価上昇、あるいは様々な基礎的な物価の上昇、これを踏まえてこういった判断をしている。したがって、それについては特段財源を求めていない、そういった判断であります。
ただ、ここから先の議論は今まさに議論されておりますから、それはどういう根拠でどういう考え方でなされていくのか、それを今私が限定的に申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。
○緒方委員 いろいろお苦しいのだなということはよく分かりましたが、ただ、皆さん、本当によく考えていただきたい。日本の労働力の供給ということで、本来百三万円のところで就業調整する必要が実際ないわけですけれども、している方はおられるわけですよね。それ以上働くと損をすると思っているから。だから、この言葉が広がれば広がって、認識がそういうふうに広まっていけば広がっていくほど、本来、百五万円、百十万円、まあ、百三十万円に壁があるので、そこから先はまた別の議論だと思いますが、もう少し働きたいという方々の労働力供給を著しく阻害をしているということ、この認識を是非この予算委員会の中で共有させていただきたいと思います。
質問を移したいと思います。
防衛費と加速化プラン、それぞれについての歳出改革ということなんですが、それぞれ、防衛費については非社会保障で、そして、加速化プランについては社会保障で歳出改革を行うということになっていて、防衛費については令和七年度当初で〇・六兆円、加速化プランについては令和七年度当初で千九百億円の歳出改革がなされていることになっています。
大臣にお伺いしたいと思います。これは何ですか。何が含まれていますか。
○加藤国務大臣 何が含まれているというのはちょっと答弁は難しいんですが、どういう考え方ですかというふうに受け止めさせていただいて。
令和七年度予算においても、経済、物価動向などを踏まえつつ、歳出改革の取組を実質的に継続することにより、全体として非社会保障関係費を令和六年度に比べてプラス三千億程度の伸びに抑制することが求められている中で、防衛力整備計画対象経費以外の非社会保障関係費をプラス九百億円程度に抑制することで、その差額分のプラス二千百億円の財源を確保しているというのが防衛力に係る歳出面からの対応であります。令和五年、令和六年度においても〇・二、〇・二やっておりますから、それを加えて根っこからいえば〇・六兆円、こういう説明をさせていただいております。
また、子供関係費でありますけれども、令和七年度予算においては、経済、物価動向等に適切に配慮しつつ、社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分に収めるとの方針に沿った姿を実現する中で、これまでの歳出改革の取組を継続した結果生じた公費節減効果を活用し、国、地方で〇・一八兆円程度の子供、子育て予算の追加財源を確保した、こういうことでございます。
○緒方委員 つまり、何か令和六年度と比較して具体的な事業を削減したのではなくて、一定のパラメーターを置くとこんな感じで伸びるんだけれども、その伸び率の傾きが少し緩くなった分を財源と言っているんですね。そうじゃないですか、大臣。既存の予算の伸び率が抑えられましたというところをもって歳出改革で財源が捻出できたというふうに言っているわけですよね。違いますか、今、首を振りましたけれども、大臣。
○加藤国務大臣 もちろん全体としてそういうことでありますけれども、その背景には個々の予算を削減してきている一つ一つの積み重ねがあって、結果的に、非社会保障でいえば先ほどの、あるいは、社会保障でいえばまた違う点も併せて説明しましたが、そうした形で予算を抑えることによって結果として財源を捻出している、こういう説明であります。
○緒方委員 これは、パラメーターの置き方次第で自然増がどれぐらいかというのは、余り変な操作をしているとは思いたくないですけれども、実は、具体的に今年やっていた事業を何か削減しましたではなくて、何だか分からないけれども、将来もしかしたらあり得たかもしれないものを削減していたということのみであるということ、これを前提にもう少し質問させていただきたいと思うんですが。
質問で言うところの四ポツなんですが、いわゆる財源についてなんですが、恒久措置に対しては恒久的な財源が必要であるというふうに、大臣はその思いは共有していただくということでよろしいでしょうか、加藤大臣。
○加藤国務大臣 これまでも申し上げておりますけれども、恒久的な支出等に対しては、恒久的というか安定的というか、いろいろな言い方はあるかもしれませんが、そうした財源で充てていくことが重要だというふうに考えています。
○緒方委員 そこでお伺いしたいんですが、恒久財源、恒久的と的をつけるのかどうか分かりませんが、そもそも恒久財源、恒久的財源、これは何を意味しているんでしょうか、加藤大臣。
○加藤国務大臣 恒久的財源、安定的財源、明確に定義されているわけではありませんけれども、例えば、防衛力強化のための財源確保に当たっては、これはたしか当時の財務大臣の答弁でありますが、防衛力の強化、維持を安定的に支えるためのしっかりとした財源を安定財源であると考え、こうした考え方に沿って必要な財源の確保に努めている、こういう答弁をされております。
安定的なというのは、一時的ではなくて継続的に支えられる財源ということであります。しっかりとしたというのは、例えば赤字国債とかそういうことではなくて、裏づけのある財源、こういう意味で言っておられるものと承知しています。
○緒方委員 いわゆる税金の上振れ分というのは恒久財源だというふうに加藤大臣は思われますでしょうか、大臣。
○加藤国務大臣 近年、税収が名目GDPの伸びを上回って伸びておりますけれども、その内容を見ると、まさにGDPの変動と連動しているものもありますが、必ずしも連動していない例えば金融所得に係る所得税、法人税あるいは相続税が、例えば円安等による企業収益あるいは好調な株式市場等を背景に伸びているということ、こういったことも留意が必要だというふうに考えています。
○緒方委員 なので、それは恒久的な財源になり得るというふうに大臣は思っておられますかというふうに聞いております、大臣。
○加藤国務大臣 ですから、自然増収にはそういった側面があるということを申し上げたところであります。
○緒方委員 もう一つお伺いしたいと思います。
単年度ベースでの基金の返納というのは恒久財源ではないという理解でよろしいですか、加藤大臣。
○加藤国務大臣 先ほど安定的なと申し上げたのは、継続的なという、要するに単年度限りではないということでありますので、基金の国庫返納はあくまでも一回限り、それに関して言えば一回限りのものでありますから、必ずしも恒久的な歳出を増加させるための安定財源ということには当たらないものと考えています。
○緒方委員 私、そろそろ質疑が終わりそうなので、もうこれで終えさせていただきたいと思いますけれども、いわゆる財源についても、いろいろなことをやるときに恒久財源として捻出できているものが本当にどれぐらいあるのかということ、予算委員会での議論を聞きながらも若干怪しいものがある。
実は、いろいろ野党の方からも予算の修正の提案が上がってきていますけれども、私が見る限り、恒久財源になり得るようなものを挙げて提案をしているところというのはほとんどないんじゃないかなと思うんですね。
なので、本当に日本の将来を真面目に考えたときに、やはり嫌なことも含めて、耳障りのすることも含めて議論しなきゃいけないと思うんですね。その議論が残念ながらですけれども、ここまで予算委員会にいて、つける話はみんな一生懸命やっているんです。けれども、国民から、お金を具体的に切るという行為はやはり嫌われる行為ですので、その気概を持ってこの予算委員会の審議に臨むべきであるということをあえてあえて強く申し上げて、私からの質問とさせていただきます。
終えさせていただきます。ありがとうございました。
○安住委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。
次回は、来る十七日午前八時五十五分から委員会を開会し、集中審議を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会
――――◇―――――
〔参照〕
派遣委員の群馬県における意見聴取に関する記録
一、期日
令和七年二月十二日(水)
二、場所
エテルナ高崎
三、意見を聴取した問題
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算について
四、出席者
(1) 派遣委員
座長 安住 淳君
稲田 朋美君 河野 太郎君
小林 茂樹君 齋藤 健君
深澤 陽一君 牧島かれん君
奥野総一郎君 神谷 裕君
川内 博史君 長谷川嘉一君
西田 薫君 浅野 哲君
赤羽 一嘉君 櫛渕 万里君
(2) 意見陳述者
群馬県知事 山本 一太君
館林市長 多田 善洋君
草津町長 黒岩 信忠君
太田市長
群馬県市長会会長 清水 聖義君
(3) その他の出席者
予算委員会専門員 中村 実君
財務省主計局主計官 今野 治君
――――◇―――――
午後零時三十分開議
○安住座長 これより会議を開きます。
私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の安住淳でございます。
私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いします。
この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。
当委員会では、令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算の審査を行っております。
今回御当地群馬県を選定いたしましたのは、当県は関東圏にあって、これまで地方公聴会が開催されていなかったことに加え、当県は温泉地を含む観光地を有しており、国が進めるインバウンドを積極的に進めている県であり、また、外国人の受入れの先進地、さらには、今問題となっております豪雪地帯も抱えておりますので、今日、日本が抱えている問題について最も現場の意見を聞くにふさわしい場所と判断した次第でございます。
本日御意見を述べていただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いを申し上げます。
それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長である私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようよろしくお願いします。
なお、御意見を述べていただく皆様から委員に対して質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見を述べていただき、その後、委員からの質疑に対しお答え願いたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
まず、派遣委員は、自由民主党・無所属の会の齋藤健君、牧島かれんさん、稲田朋美さん、河野太郎君、小林茂樹君、深澤陽一君、立憲民主党・無所属の奥野総一郎君、神谷裕君、川内博史君、長谷川嘉一君、日本維新の会の西田薫君、国民民主党・無所属クラブの浅野哲君、公明党の赤羽一嘉君、れいわ新選組の櫛渕万里さん、以上でございます。
次に、本日御意見を述べていただく方々を御紹介いたします。
群馬県知事山本一太君、館林市長多田善洋君、草津町長黒岩信忠君、太田市長、群馬県市長会会長清水聖義君、以上四名の方々でございます。
それでは、まず山本一太君に御意見を述べていただきたいと存じます。
○山本一太君 委員長、ありがとうございます。
かつて参議院の予算委員長だったときに地方公聴会に出席した経験がありますが、公述人は初めての経験です。真面目に務めさせていただきますので、よろしくどうぞお願いいたします。
初めに、安住委員長の方からもありましたが、今回、群馬県において初めて地方公聴会を開催していただきましたことに、厚く御礼を申し上げたいと思います。
また、国の令和七年度予算案では、地方交付税、一般財源総額とも前年度を上回る額を確保いただき、地方自治体の安定的な財政運営への御配慮に対し、重ねて感謝を申し上げます。
特に、石破内閣におかれましては、施政方針演説においても、地方創生二・〇の推進を力強く掲げていただきました。その上で、地方創生に関する交付金の第二世代交付金を予算額で倍増し、三千億円を確保していただきました。地方創生を重視する姿勢について、高く評価させていただくとともに、深く感謝を申し上げたいと思います。
私からは、群馬県の現況の説明、民間活力の活用、デジタルクリエーティブ産業の振興、地方の本社移転等の促進、温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録の四つの項目について、取組の紹介と意見を述べさせていただきます。十分間、守れるように、やや早口でお話をさせていただきます。
それでは、まず、群馬県の現況について御説明いたします。お配りしたスライドを御覧ください。
私は、群馬県知事に就任して以来、世界最先端の地方行政モデルを発案、実行し、群馬が中央を変え、日本を元気にするとの意気込みでトップセールスや情報発信などに注力してまいりました。その結果、令和五年の移住希望地ランキングにおいて、群馬県としては過去最高の二位を獲得いたしました。また、本社機能や生産拠点等の誘致実績、実質賃金伸び率では顕著な実績を上げております。
そうした経済活性化と同時に、財政健全化を意識して進めてまいりました。日本総合研究所が発表している最新の全四十七都道府県幸福度ランキングでは、財政健全度で全国二位になるなど、一定の成果を上げることができたと考えております。
以上が群馬県の簡単な現況です。
続いて、群馬県の重点的な取組の紹介と、国予算への意見を述べさせていただきたいと思います。
次のスライドを御覧ください。
まず、一つ目の項目としては、民間活力の活用についてです。
群馬県の県庁所在地である前橋市の中心市街地では、午前に御訪問いただいたと伺っておりますが、民間が主体となった整備が着実に進んでおります。
群馬県庁でも、開かれた県庁として、県庁前の芝生広場を開放し、アイドルやゆるキャラなどの大規模イベントを開催しております。さらに、民間投資と連携した町づくりとして、県庁から前橋駅クリエイティブシティ構想を打ち出しました。
この構想では、前橋駅から群馬県庁までのメインストリート一・五キロメートル区間について、一般交通を規制して、歩行者と公共交通を中心とする道路空間に再編し、多様な人々が出会い、にぎわいの創出を図ることを目指しております。
地方であっても、劣化東京とならない投資とするため、現在、最優秀賞を二千五百万円とする、国内最高額の国際デザインコンペを実施しているところです。世界中の建築家やデザイナーの才能が、日本の地域を目指すようなきっかけをつくりたいと考えています。
次のスライドを御覧ください。
今年秋にリニューアルオープン予定のぐんまフラワーパークプラスは、民間企業のアイデアと収益納付の仕組みを取り入れ、集客力を高めることとしています。
具体的には、収益力を高めることで、従来の運営に係る県負担額年間約一・七億円をゼロにすることができる見込みです。そのため、リニューアルに投じた県負担額約三十二億円については、二十年間で回収できる見込みです。さらに、利益の一部を群馬県に納付していただくことで、二十年間で約六億円の収入を見込んでおり、支出額を上回る投資効果を生み出してまいります。
また、県立赤城公園については、年間約二千万円の赤字経営が続いておりましたが、民間企業の活力を活用して経常収支を改善し、そこで得た年間数百万円の収益を自然環境や登山道の整備に活用する取組を進めております。
このような取組を今後も県内各地で進めていきたいと考えています。引き続き、国におきましても、財源などの面から御支援をいただきますようお願いをいたします。
次のスライドを御覧ください。
二つ目の項目です。群馬県は、製造業に並ぶ柱として、全国で唯一、デジタルクリエーティブ産業の創出に取り組んでおります。これは、製造業、農業、観光業、こうした他の産業の価値向上にもつながるもので、女性、若者の流出を防ぐとともに、賃金上昇にも寄与することを狙っております。
次のスライドを御覧ください。
特にデジタルクリエーティブ人材の育成につきましては、国からも多大なる御協力をいただいたことで、今年夏には、国際的に評価の高いアルメニアのデジタル人材育成機関のプログラムを取り入れた「TUMO Gunma」をアジアで初めて開所する運びとなりました。これまでの御協力に改めて感謝を申し上げます。
群馬県独自の取組でありますデジタルクリエーティブ体験施設「tsukurun」とも連携をし、デジタル人材の育成を進めてまいりたいと考えています。
このような群馬モデルと言えるような事業を展開するに当たっては、地方創生に関する交付金の活用が必要不可欠でした。国におかれましても、引き続き、こうした人材育成に関する最先端の取組について、きめ細やかな御支援をいただきますよう改めてお願いを申し上げます。
次のスライドを御覧ください。
三つ目の項目です。群馬県には、二〇二三年の日本ミシュランタイヤ、二〇二四年のIHIエアロスペースの本社など、東京からの本社移転が相次いでおります。
その流れを更に強化するため、東京二十三区から地方に本社等を移転する際に適用される地方拠点強化税制の拡充が必要だと考えています。
大きく二つの要望がございます。
一点目が、支援期間です。移転に効果のある三年間から、企業の定着まで効果のある十年間に延長していただきたいと考えております。
二点目が、法人住民税を対象とすることです。県と市町村分を合わせて一〇・二%になります。このくらいの大胆な措置がなければ、東京一極集中の流れは止まりません。移転から定着へと、地方拠点強化税制の在り方を見直していただければ大変ありがたいと思っています。
四つ目の項目です。スライドを御覧ください。
群馬県では、鳥取県、宮城県、石川県を始めとする四十四都道府県から成る知事の会の事務局長を務めておりますが、民間の活動団体である全国推進協議会などとともに、日本が誇る温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けた運動を進めております。
昨年十二月には、歌舞伎俳優の市川団十郎さんが温泉文化アンバサダーの第一号に任命されるなど、全国各地で温泉文化のPR活動が展開されております。
温泉地を取り巻く厳しい環境に鑑み、御出席をいただいた代議士の皆様におかれましては、既に大変お世話になっている方もおられますが、日本の温泉文化が登録になれば、これは地方創生にもつながる、国益にもかなう、引き続き、御指導、御支援をいただければ幸いでございます。
最後に、国予算への意見ではありませんが、昨年末から議論が活発に行われている、いわゆる年収の壁に代表される税制改正について、一言、知事としてお願いを申し上げたいと思います。
国民民主党の皆さんが今主張されている内容に基づいて群馬県への影響額を試算したところ、群馬県分だけでも、個人県民税と地方交付税の合計約三百六十億円の減少が見込まれました。これは、政策的な事業に活用できる一般財源が群馬県では約一千億円であるということを考えると、非常に大きな影響がある金額です。
令和七年度税制改正大綱に基づく改正については、継続する物価高に対応しつつ、地方の税財源に大きな影響が及ばないような配慮がされたものだというふうに認識をしています。
今後の税制改正に当たっても、地方自治体の財政に与える影響には十分御配慮をいただいた上で、慎重に議論を進めていただきますようお願いを申し上げます。
一応、約九分間の公述にさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)
○安住座長 ありがとうございました。
次に、多田善洋君にお願いいたします。
○多田善洋君 それでは、着座にて済みません、失礼いたします。群馬県館林市長の多田善洋でございます。
本日は、衆議院予算委員会の皆さん方におかれましては、国会の会期中の大変お忙しい中、お時間をいただきまして、ありがとうございます。また、このような機会を、群馬県において地方公聴会を開催していただき、意見陳述の機会をいただいたことに対しまして、重ねて感謝を申し上げさせていただきたいと思っております。
先に、館林は人口約七万五千人で、群馬県の南東に位置しております。農業が盛んで、特に米麦の産地として栄えてまいりました。そして、肥沃な大地と豊富な水資源から、食品産業の工場も数多く立地しております。
有名なのは、ヨーグルトのダノン、ブルドックソース、正田醤油が全国で唯一の工場となっております。全てがメイドイン館林です。そのほかにアサヒ飲料カルピス工場、そして、日清製粉の創業地でもございます。そして、皇室ゆかりの地でもございます。
それでは、本市の要望事項三つを順番に御説明させていただきたいと思っております。
まず、一点目に関しましては、学校給食費無償化に係る補助制度を創設していただきたいというふうなことでもございます。
学校給食は、子供たちの健全な成長と発達に欠かせない栄養を提供する重要な役目を担っております。全ての子供たちが平等に恩恵を受けられるような環境を整えることが急務であると考えております。
そして、学校給食費が家庭の経済的負担となっている中、学校給食費の無償化を独自に実施している自治体もございます。
群馬県内の市町村におきましては、全額無償化を実施している自治体もあれば、条件付で無償化をしている自治体もあるなど、各自治体の財政状況等により取組が大きく異なっておるのも現状でございます。そして、地域間の格差が著しい状況でもございます。
本市の取組状況につきましては、令和三年九月から、小学一年生から中学三年生における第三子以降の無償化を実施し、令和六年四月からは、中学三年生の無償化を実施しているところでもございます。
また、本市の学校給食費に関する予算に着目しますと、少子化による児童生徒数の減少に伴って給食用食材費の支出は減少しているものの、物価高騰に伴って公費負担等の経費は増加しております。このため、完全無償化を実施するためには恒久的な財源確保が必要であるというふうにも思っておりまして、それが大きな課題であるとも認識をいたしております。
お願いでございます。
そのような状況を改善するためには、国としての支援が不可欠であります。学校給食費の無償化が国策として実現すれば、子育て世帯に対する経済的支援及び子供たちの教育環境の充実に資するものと考えていることから、市町村が講じる学校給食費無償化に係る補助制度の創設を要望するものでもございます。
次に、二点目といたしましては、地域医療を担う自治体病院における医師の確保についてでございます。
現在、地方におきましては、医師の地域的偏在や特定診療科の医師不足から、地域医療の中核を担う自治体病院において診療科を維持できず、地域医療崩壊の危機にさらされております。
館林邑楽地区の中核病院でございます公立館林病院におきましても、医師不足による産婦人科や小児科などの入院受入れができない状況が長年続いております。平成十七年には産科が閉鎖となり、平成二十四年に群馬大学が産婦人科医の医師派遣引揚げを行って以降、群馬大学からの医師派遣を継続して要望しているところでもございますが、派遣が行われていない状況が続いております。
現在は婦人科の外来診療のみを行っているところでもございますが、産科を再開するためには、常勤の医師三名と非常勤の医師三、四名程度の配置が必要というふうにも伺っておる状況でもございます。
また、産科だけでなく、出産後の子供たちの対応体制も併せて整備しなければいけない中、平成二十一年に群馬大学が小児科医の医師派遣引揚げを行って以降、常勤の小児科医と非常勤医の医師数が十分でないことから、小児科が再開できていない状況が続いておるところでもございます。
そして、このような中、自治体病院の医師につきましては、その多くが大学病院からの派遣に頼らざるを得ない状況でもございます。平成十六年に新医師臨床研修制度が導入されたことによりまして端を発し、大学病院の医師不足、ひいては派遣先からの医師引揚げへとつながり、以後、医師不足が自治体病院の存続に関わる深刻な問題ともなっております。
医師対策は全国的な課題でもございますが、特に地方自治体病院につきましては、出産、子育てをサポートできるような体制を整える上で、医師の確保が必要でもございます。少子化対策につながるものと考えておることから、早急に取り組むべき喫緊の課題でもあると認識をいたしております。
そのようなことから、国におきましては、医師偏在の解消を図るべく、平成三十年に医療法及び医師法の一部を改正し、都道府県に対し、医師確保計画策定や臨床研修病院の指定権限の移譲等の措置が講じられました。
これを受けまして、群馬県では、医師確保計画を策定し、医師少数区域へ重点的に確保を進める方針をいただいておるところでございますが、引き続き、計画に基づきまして実施する医師の確保や偏在対策のための施策に対する更なる財政支援や、特に医師不足が深刻な産婦人科、小児科における医師確保のための即効的である支援措置を要望するものでございます。
最後に、三点目でございますが、水稲、米のカメムシ防除についてでございます。
近年、カメムシが水田に侵入し、水稲が被害を受ける事例が発生しております。出穂期に吸汁されることによりまして不稔米が発生し、減収につながるほか、乳熟期に吸汁されることによりまして基部斑点米が発生し、米の品質が低下するというふうな状況でもございます。二〇二〇年以降、このような事例が全国的に発生しており、群馬県東部におきましても、そのような事例が複数確認されております。
令和六年十一月の農林水産省の発表によりますと、一都九県における令和六年十月末現在での令和六年産米のうち、一等米の比率が七三%であり、前年同月比の一・五ポイント減となっておるのが、カメムシの被害の影響とされております。また、NHKでも、三十都道府県でカメムシ注意報を発表しているという現状でございます。
館林市のあるJA邑楽館林管内におきましては、令和六年産のにじのきらめきにつきましては、一等米の比率が七三%でございますが、そのほとんどがカメムシの被害というふうになっております。
カメムシの対策によりまして、農家による予防、駆除の徹底が必要でありますが、現状といたしましては、農家が個別に対策を実施している状況でもございます。
そして、そのために、予防、駆除を実施しない圃場が隣接していると、予防、駆除を実施してもその効果が十分に得られていないことから、水稲の減収や等級の下降、下落がありまして、農家の所得が減少することにつながっています。それだけでなく、米の流通量が減少することから米価の高騰、結果的には消費者が購買を控えるという現状でございます。
群馬県産米の安定的供給を図り、産地の維持を図るため、カメムシ抑制のための技術及び一斉駆除に対する要望をさせていただきたいと思います。
以上、三点ほどお願いさせていただきましたが、今後とも力強い御支援をいただけますようお願いさせていただきまして、意見陳述とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○安住座長 ありがとうございました。
次に、黒岩信忠君にお願いいたします。
○黒岩信忠君 草津町長の黒岩でございます。
お手元にある資料で説明をさせていただきます。
私が就任したのが十五年前でありますけれども、草津は不況のどん底にありました。その中、草津温泉百年の計というものを立てまして、官民挙げて取り組んでまいりました。
それで、最後に四つのお願いがありますが、その仕組みづくりについて御説明をいたします。
草津町は、人口が僅か六千人であります。そこに四百万人のお客様を迎えようとしているわけで。
一ページを御覧ください。
就任時が二百六十五万で、バブル期は三百二万人でありました。このように、いろいろありましたけれども、大変順調に推移して、令和五年度では三百七十万に到達し、そして、令和六年度三月末で恐らく四百万に到達するというものであります。
就任時、年間、お客様の七〇%が年配者であったわけでありますが、今は逆で、八〇%近くが若いお客様に変わってきたということで、特に女性が多くなったということであります。偶然ではなく、それを狙った町づくりを行ったということであります。
そして、お客様が増えると、消費単価が全て上がってくる。約二百の宿があるんですけれども、大きいところと小さいところ、つまり、シャンパンタワーのようにお客様が全部に行き渡る仕組みづくりができていったというものであります。また、飲食店、土産屋、ほかの業界も大変好調に推移をし始めまして、全ての業種が経営改善につながっております。
次のページをお願いします。
なぜこのようになったかということの理由があります。我々がしてきたのは、百年先を見た付加価値の高い町づくりということで、私の概念ですけれども、町づくりは景色づくりということで、その中で、時代を統一せずに、時代の物語のある草津温泉に変えていくというものでありました。そして、基本は本物志向で行こうということであります。
三ページをお願いいたします。
まず最初に御座之湯でありますが、これが明治の趣、そして熱乃湯が大正ロマン、湯路広場が昭和ということであります。
日本全国の観光地に言えるんですけれども、バブル期に、巨大なホテルが観光地、温泉地に乱立しました。これが景色を駄目にして、温泉地を衰退させるゆえんだと私は思っている次第でございます。そういう中で、我々が求めたものは、やはり一時草津もそういうときがあったんですけれども、それと、ホテルの中に閉じ込めるという政策が当たり前のようなものであったんですけれども、私の政策は、外に出すということで、これを進めてまいりました。
それから、例えば景色ということでありますけれども、日銀の本店が、クラシックな建物がある、その後ろにオフィス棟がある、だから景色として見える。それと、群馬県庁もすばらしいビルですけれども、その横に昭和館がある、この景色がやはり一番すばらしいものだと思います。我々も、ホテルの景色を修景するために、木造により様々なものを造ってきたものであります。
次をお願いいたします、四ページです。
次に進めたものが、西の河原公園の再整備事業という形の中で、トイレの整備や様々なものを行い、そして、この露店風呂の絵がありますけれども、日本で最も規模の大きいものになるだろうと思いますけれども、非常に人気の高いものであります。
次をお願いいたします。
全くここにはお客さんはいなかったんですけれども、地蔵エリアということで命名したのが、裏草津地蔵というテーマの中で、一万冊を超える漫画堂の設置や、源泉広場、その中に顔湯、そして、国の事業であるんですけれども、百年石別邸といいまして、中和工場がある、その仕組みづくりを、ここに、町として今改めてつくったものであります。
次のページをお願いいたします。
六ページですけれども、二三年には、新たな草津の玄関口、温泉門を誕生させました。ここが、スタンドがあるように、大渋滞を一時停止が起こすということで、何としても立体交差を入れることで事業を進めてまいりました。
しかしながら、立体交差をするということは、草津温泉の入口に味気ないコンクリの塊ができてしまうということで、ここに高価な木材を使い温泉門を設置し、三本の滝から毎分六百リッターの温泉を落としています。その下には足湯があり、皆さんが楽しまれるものであります。また、すぐそばには百一台の無料駐車場を造り、温泉門をくぐって湯畑につなぐこの道路については、全く概念を変えた道路の整備をして、非常におしゃれな道路に変わってきたというものであります。
次をお願いします。
草津町が決定的に変わったのが夜のライティング照明でございまして、これは、面出薫さんといいまして、世界に手がける照明デザイナーを使いまして、草津の照明を変えてまいりました。
その中、私が発想したのが、被写体やほとんど動くものに光を当てるのが、草津温泉は湯気に光を当てるという発想をして、揺らぎのある照明ということで、大変これが女性に受けております。ここで結婚式をやる方もおりますし、そのぐらい非常に受けているものであります。
次をお願いいたします。
もう一つの草津の顔がありまして、今度はリゾート草津というものがあるわけであります。
二〇一八年に本白根山が噴火して、スキー場の半分を失ってしまいました。そのため、天狗山というメインのところに改めて再投資を始めてまいりまして、ジップラインや、それから日本一巨大なブランコ、そしてパルスゴンドラというユニークなゴンドラの完成、さらには、その山頂部分には、千四百メーターのところで江戸前ずしが食べられる、恐らく海抜は日本一高いところの江戸前ずしだと思いますけれども、大変評判が高いものであります。
次をお願いいたします。
今工事を進めておりますのが、メインレストランの建て替え工事でございまして、特筆すべきところは、温泉熱で暖房をします。そして、草津の水道水は十一度しかありません。夏は大量に余っておりますので、その水道水の水冷式の冷房をかけます。一〇〇%自然エネルギーで冷暖房をかけるという、全国でも例がないと思います。
そしてもう一つは、草津白根山と温泉街の距離が皆さん分からないという中で、非常にアカデミックなジオラマを作り、日本一の温泉がどうやって湧き出るか、噴火してもどこが安全かという、そういうものが分かるようなジオラマを今制作しております。
そして、草津の火山エネルギーが、全国で三番の山でありますけれども、そういう中で、知事の方から提案があって、温泉熱発電も今年取り組んでまいりたいと思っております。既に今までも、温水や融雪道路、そして公共物の暖房等で年間一万五千トンのCO2を削減しております。
次のページで、今まで行った事業の、国からいただいている様々な補助金が一覧されておりますけれども、特に、観光の高付加価値事業につきまして、是非この事業を続けてほしいと思います。
次のページをお願いいたします。
十一ページですけれども、これらのおかげで、私ども、二十二年連続一位という、プロが選ぶ称号をいただきまして、このほかに、じゃらんとか、いろいろなメディアがいっぱいありますけれども、絶対的王者であった箱根が十五年連続一位だったんですけれども、それを我が町が抜き去り、二年連続一位となっております。
そして、今度は、テーマが変わりますけれども、火山情報の提供に関する検討会というものが、御嶽山が噴火したときに設置されて、私も首長として一人だけ参加したものであります。そして、どうしたらいいかといったら、私の判断は、危険が迫ったら山を閉じろ、これしか安全はないという判断をいたしました。
そういう中、すごいメンバーなんですけれども、その方々が、活動火山対策特別措置法が改正になって、防災協議会が任意から法適用に変わった、ならば防災協議会に連絡を取って対応させるという発言があったんですけれども、これは大きな間違いである。
その上に来る法律の災害対策基本法六十条、六十三条をどういうふうにするかは、首長にその決定権がある。ですから、火山というのは、ほとんど素人が多いです。その首長に、今の防災の仕組みは、首長に権限を与えて、首長が判断するようになっているんですね。この法の不備とか制度の不備があるというふうに私は申し上げていました。そういうものであります。ですから、気象業務法にも不備があるということを申し上げたものであります。
次をお願いいたします。
噴火と対応の判断ということで、二〇一八年一月二十三日、私どもの山が突如噴火して、当初は三千年ぶり、それが千五百年になり、二千年になったんですけれども、こういう数字の中で何が起きているか分からないという中で、私が直ちに判断したのが、次の日には天狗山スキー場の再開を命じました。しかし、噴火したエリアについても、次の日に、私の頭の中では、廃止する決断を取りました。大変重い決断ですけれども、せざるを得なかったということであります。
これらを踏まえて、草津町としてお願いしたいことは、町づくりを更に進めたいというふうに思いますので、社会資本整備交付金、それから街なみ環境整備事業交付金、それから高付加価値事業についても引き続き行っていただきたいと思います。
それから、ふるさと納税の制度について、秩序のある、ふるさと納税というものをお願いしたいと思います。是非それをよろしくお願いいたしたいと思います。
そして、三番目は、草津白根山の噴火でスキー場の全てを失い、その中にリフトやゴンドラの支柱が残っております。その物を壊せと国から命令が来ているんですけれども、好きでやめたわけではないので、災害でやめざるを得なかったので、何らかの補助制度を使って救済していただければと思います。
それで、最後ですけれども、草津町は国立公園内にあるわけでありますけれども、今環境省は海外から高級なホテルを誘致しようという動きをする中、我々に対する指導基準が大変昔のままである、あか抜けない。そういう中で、時代とともに合った指導基準の見直しを環境省にしていただきたい。
以上が私からのお願いでございます。
ありがとうございます。(拍手)
○安住座長 ありがとうございました。
次に、清水聖義君にお願いいたします。
○清水聖義君 群馬県の一番東の方にある、メインの産業はSUBARUであります。それとは余り関係ない話をちょっとさせていただきたいんですが、これは国の総務省にもちょっとダイレクトにかけ合いに行ったことがありますが、ふるさと納税についてであります、まず最初は。
これはどう考えてもおかしいんじゃないか。大分前から私はちょっと疑問視していまして、日本国憲法の三十条、皆さん御承知のように、国民は納税の義務を負う、これは非常に明らかであります。この納税の義務とは、例えば地方税をちょっと言いますと、個人住民税は、地方税法二百九十四条において、一月一日にそこの住所にいる者は課税対象であるというふうになっておるわけであります。また、総務省によると、個人住民税は、地域社会の費用の負担を住民が広く分かち合う、地域社会の会費的な性格を有する税である。これはもう法律に書かれているわけですね。
憲法で税の保障をして、内容的には地方税法に明記されているわけであります。ところが、現実はそうはなっていなくて、このふるさと納税という税制によってゆがめられている、この本旨がもう外れているんじゃないかということであります。
もう既に一兆円を超えて、その中の一番おかしいのは、税は市町村に払うということでありますけれども、これが約二〇%近くは民間企業に払われているんですね。
税というのは、我々みんな自治会みたいなもので、みんなでお金を払い合って、自分たちの、先ほど出ましたけれども、給食費の問題なんかもありましたけれども、自分たちで、やはり困難と思われているところにそのお金を出して、みんなで解決し合うというのが税であります。
にもかかわらず、例えばふるさとチョイスとかふるさと何とかと宣伝を一生懸命やっていますけれども、ああいう会社にもう一五%近くのお金が流れているわけですよ。税として払うわけなのに、払わないで企業に行ってしまう、これ自体がもう地方税法に違反しているんじゃないかということなんです。しかも、憲法にも違反しているんじゃないかと。
子供たちに税は何で払うんですかという質問をしたときに、これは企業の繁栄のために払うんですよ、そういう答えを返させるような税制ではいけないんじゃないか。このふるさと納税そのものが、根幹がもう間違えているのではないかという点を一つ指摘しておきたいんですね。
それからもう一つ、議会ですけれども、議会は、上がってくる予測し得る財源、これは当然ふるさと納税のことは全然分かりませんから予測できないわけですけれども、上がってくる税金について、全て執行者が議会に提案して、審議をしてもらって、用途を決めていく、これは当たり前の話、皆さん議員ですから、当たり前だと思う。これだけは別の問題ですよということはあり得ない話ですね。全部表に出して、それで審議をしてもらって、決めてもらって、執行していく、これは当たり前の手続ですけれども。
それから、地方税の約何%ですかね、まあ二〇%が消えてなくなっちゃっている、消えてなくなっちゃったやつで審議するわけですよ、議員は。こんなおかしな話はないわけで、議会が何も言ってこないんですけれども、議会だって、変だと思わなきゃおかしいですよね。我々執行者が変だと思うのも変ですけれども、出してこないんですから。
というのは、これは、すなわち、例えば、太田市から紋別に、ホタテを食いたいというので、誰かが向こうにふるさと納税するとなると、ワンストップという形で、うちが確定申告の手伝いをするわけですよ。うちの職員が確定申告のお手伝いをして、わざわざ紋別市にホタテを買いにお金を送るわけですよ。それで、そのお金は誰も、議会は誰もノータッチなんです、ノータッチ。こんなおかしな税制と議会と執行者の在り方というのは果たしてあるだろうかということが一点ですね。憲法に違反していないか、地方税法に違反していないか、これは根本的な問題を是非審議していただきたい。
それで、これがもう一兆円を超えて、二兆円を目指そうなんというばかなことを言う国会議員もいるわけですよ。ふざけた話をしているわけですよ。こんなにもゆがんだ税制というのはいかがなものと。
それともう一つ、ちょっと事例を言いますけれども、さっき紋別を言いましたけれども、紋別は北海道で約二万人ぐらいの人口であります。うちの隣町に邑楽町という町があって、二万五千人の町があります、大体似たような町。ところが、紋別の予算は三百六十八億円、邑楽町の予算は百四億円、いかにもおかしいと思いませんか。人口は邑楽町の方が多いですよ。だけれども、百四億円の予算ですよ。紋別は三百六十八億円。もう全然、多分、群馬県でいうとどこぐらいですか、レベルとして非常に高い予算を組んでいる。この中の大半はふるさと納税で入っているわけですね。
ふるさと納税は、全く地方交付税に関係ない。これは自主財源として全く関係ない財源。これはいかにもおかしいと思わなきゃいけないと思うんですよ。同じ町であって、片方は百億円、片方は三百億円でお金が余ってしようがない。これは問題じゃないか。地方交付税の中に当然これは基礎的に入らなきゃいけないのではないかな、簡単にそんなふうに思います。
以下、もう長いので、ちょっと。今、もっとあるんですけれども。
あともう一つは、法定受託事務です。例えば、マイナンバー。マイナンバーは、総務省があらゆる経費について全て見てくれます、全部見てくれる。ところが、今、戸籍に振り仮名を振れという命令が来ています。これは法定受託事務で、我々は受けざるを得ない。ところが、マイナンバーと同じように費用負担を一〇〇%しないんですよ。真面目にコールセンター等々をつくると、全く筋に合わないようなお金しか法務省がよこさない。これはいかにもおかしいですよ。
法定受託事務であるならば、絶対一〇〇%国が持つべきなんですよ。おまえやれという命令をかけるんだったら、おまえやれと同じように、おまえには金をくれると言わなければおかしいんじゃないか。これを地方に財政負担をさせるというのは、いかにもおかしい。これはちょっと言っておきたいし、是非予算で変えてもらいたいということですね。
それからもう一つは外国人ですけれども、外国人も、子供たちがどんどん増えています。うちで約千人弱の外国人が増えています。
この子供たちが、東大に行けるか、あるいは東工大に行けるか、早稲田に行けるか、慶応に行けるか、こういうレベルではないんですよ。外国人の子供というのは、もう当然ワーカーで仕方がないじゃないというような感覚が日本人にはあります。でも、共生社会の中では、彼らは日本人と同じように、やはり大学に行き、弁護士になり、あるいは検事に、検事はなれるかなれないか分からないけれども。だけれども、そういうところに行って、やはり自分たちは自分たちの持っている力を存分に日本で発揮しなきゃいけない。
ところが、これが欠けているんですよ。例えば、うちの場合に子供たちだけにかかっている金が、三分の一を国と県で払ってくれる約束にはなっているんですけれども、現実は、歳出で一億三千万、うちはかかっています。国と県から来ているのが三千六百万です。これは全然三分の一になっていないし、三分の一の理由も分からないんですよ。
共生社会であるならば、やはり共生社会らしく、子供たちの教育について十分な国の手当てをやらなければ、外国人を日本に入れて、入れっ放しで子供はほったらかしという姿勢ではないかというふうに思わざるを得ない。だから、これも是非十分に配慮して、子供たちの教育について、親は勝手に来たんだからいいとしても、子供は罪がない、彼らには十分な教育の機会を与えてほしいということであります。
以上です。(拍手)
○安住座長 ありがとうございました。
以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○安住座長 これより委員からの質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。深澤陽一君。
○深澤委員 自由民主党の深澤陽一でございます。
それぞれ、四名の首長様たちに御意見をいただきまして、ありがとうございました。
時間も限られておりますので、早速ですけれども、御質問させていただきたいと思います。
まず、山本知事様に質問させていただきたいと思います。
幾つか御説明いただいた中で、デジタルクリエーティブ人材育成ということで御説明をいただきました。これによって企業も実際に群馬県内に、デジタル関係、IT関係、来ているという中で、デジタル人材を育成することは大変重要だと。これは群馬県だけではないんですけれども、全国的に求められていることだと思います。
ただ、これがこれからしっかりと実っていただくことが大事なんです。私の個人的な感覚でいくと、子供の頃からずっと学びを通していくその中で、例えば高校とか大学ですよね、特に高校、大学にそういった学部とか学科がないと、そこからまた就職に対しての、やはり一度東京に行ってしまって、なかなか戻ってくるのが時間がかかるというようなこともあるのではないかなというふうに考えております。
なので、デジタルクリエーティブ人材事業、この育成、これは大変重要なことだというふうに感じておりますし、すばらしいと思うんですけれども、その中で、更にもっと国でこうしてほしいとか、あるいは、先ほどの大学の例もそうなんですけれども、もっともっとこういうのが足りないというのがもしあったら、御意見をいただきたいと思います。
○山本一太君 深澤委員、御質問ありがとうございます。
まず、ちょっとこれも早口で言いますが、デジタルクリエーティブ産業とは何かという御説明をする暇がなかったんですけれども、主に、日進月歩のデジタル技術を使ったコンテンツ制作、それからデザイン、それから映像、それからゲーム、アプリ開発、こういうものに特化した産業のことを言います。
どういうプレーヤーがいるかというと、例えばITのスタートアップもそうだと思いますし、例えば映画会社のような、基本的にエンタメ産業とも直接つながっているので、こういうところもそうかもしれませんし、今、出版社というのはほとんどデジタルにもつながっているので出版も入ると思いますけれども、かなり裾野の広い産業になる。特に、日進月歩なので、どんどんどんどん表現方法がVRとかARとか変わってくるので、その中で出てくる新しい表現方法を使った、いわゆる新しいビジネスモデルの創造というのもその中に入ってくる。
そういうことで、まずは、例えば、映画のロケとかドラマのロケをどんどんどんどん誘致していまして、自らトップセールスで、御三家の社長に会ったり、ネットフリックスのトップに会いに行ったりしながら、いろいろなロケを引っ張ってきて、まず現場をつくっていくと同時に、プロダクションみたいなものを少しずつ今群馬県に集めている。スタジオをつくったりしながら、一応、デジタルクリエーティブ産業の集積をつくる。
そこで大事なのが、人材も一緒につくるということで、全く説明する暇がなかったんですけれども、「tsukurun」という、小中高、全部無料で群馬県の学生が使える場所をつくる。
さっき教育の話を深澤さんはおっしゃいましたけれども、これから学力とか偏差値じゃなくて、いわゆる非認知能力じゃないですか。だから、子供たちが例えば映像を作りたい、プログラムをやりたい、映画を作りたいと言ったら、最先端のソフトをそこに用意して、実は勉強できる仕組みを群馬県でつくる。
この間、プログラミング大会、小学校大会とかいうもののチャンピオンを「tsukurun」から、その上に、TUMOという、これは河野委員が外務大臣だったときに発見して教えていただいた、アルメニアの非常に優れたデジタル機関なんですけれども、これを初めてアジアで誘致して、それで、ここは高校生までしっかり、またこれも全国で開きますけれども、全部無料で同じようにやる。
プラスアルファ、その上に、デジタルクリエーティブスクールというのを今度の予算で出していまして、これは将来大学になるのかどうか分かりませんが、これはやはり文科省から許可もいただかなきゃいけないんですけれども、こういうふうに社会人もできるような仕組みもつくって、ここについては、将来、かなり、人材育成機関としては大学院みたいなことになってくると思う。
こういう取組、どこの県もやっていないんですけれども、こういう人材を、まさに真田広之さんじゃないですけれども、こういう人たちをつくるみたいな仕組みをつくっているのは群馬県だけなので、是非注目していただいて、国の方からも、こういう、デジタル人材じゃないですよね、デジタルクリエーティブ人材ですよね、これを是非育成するために、いろいろな形で、深澤委員からも応援をしていただきたいと思いますし、我々もいろいろ地方創生の補助金等々も使わせていただきますので、この新しい形の、二十一世紀にふさわしいデジタルクリエーティブ人材のまさに発掘といいますか、拠点に群馬県をしていきたいというふうに思っております。
済みません、ちょっと早口で。
○深澤委員 御説明ありがとうございました。よく分かりました。
そういう意味では、まさにクリエーター、また最近ではメディアアートとか、様々な表現があると思いますけれども、国では、賛否はありますけれども、例えばクールジャパンとか、いろいろなことがあったんですけれども、結局、スポンサーといいますか、表現が合っているか、パトロンといいますか、そういったところが最終的に、知事が熱心に行かれているネットフリックスみたいな、最後に投資をしてくれるところ、クリエーターに作品の投資をしてくれるところがやはり肝になってくると思いますので、そこが育つまでは、やはり国がそこの最終的なところの作品制作の支援をしなきゃいけないと私もかねてから思っておりますので、是非これを成功させていただければというふうに思っております。
もう一点、お伺いしたいんですけれども、地方創生について大変御評価をいただいているという話をいただきました。ただ、御説明いただいた中で、フラワーパーク、あるいは赤城公園というところは、大変民間の活力を活用してプラスに持っていこう、プラスに持っていっているということで、すばらしいなと。午前中も前橋の町づくりを見させていただきましたけれども、これも民間活力ということで、すばらしいなと。
一方で、地方創生、評価いただいて、期待しているということなんですけれども、じゃ、国が地方創生二・〇をやっていこうというところで、こういった予算の使い道、使い勝手みたいなところはどのように、これからなんですけれども、期待をされているのか、何か一つでもあれば教えていただけたらありがたいなと思います。
○山本一太君 これも少し早口で申し上げます。
いろいろあるんですけれども、一言で言うと、石破総理はやはり地方創生大臣、初代でおられて、非常に地方創生に思い入れがあるので、とても期待しています。
今日、本社機能移転についての税制の拡充をお願いしたんですが、是非、ここら辺も覚悟を持ってやっていただきたいなと思っているんですね。
やはり、この拡充というか、こういう本社移転あるいは一部を移転したときの税制支援というのはあると思うんですけれども、ちょっとまだ足りない。つまり、来てくださいじゃなくて、そこに更に定住してもらうということを考えると、今、三年という仕組みになっている法人事業税みたいな話は、やはり十年にしてもらう。それから、今は対象になっていない法人住民税も、県と市町村の税を合わせると一〇%なんですよね。このくらいのやはり何というか減免があると、多分いろいろな企業も本気で地方に移転していくと思うので、是非そういう流れをつくっていただきたいと思います。
それから、もう一つだけ言うと、フラワーパーク、今日見ていただいた前橋の取組もそうなんですけれども、とにかく地方自治体は、国もそうかもしれませんが、財源が厳しいので、とにかく民間の活力を利用する、国の制度を最大限に使う、自分で稼ぐ、このワイズスペンディングのサイクルをつくるしかないというふうに思っています。特に、地方創生の交付金は群馬県が最も使い倒していますので、おかげさまで。
ですから、これを更に充実していただくと、フラワーパークも含めた、今までは何か県が補填するのが当たり前だった施設が、まさに収入を生むような形になるので、そこら辺についても是非応援をしていただければ大変うれしいなと思います。
○深澤委員 ありがとうございました。
それでは、ほかの首長さんたちにも質問させていただきたいんですけれども、まず、御意見の中ではなかったんですけれども、人材不足、人手不足について、ちょっと三市長の皆様からお伺いしたいと思います。
それぞれ、デジタルとかそういった人材が今は必要、IT人材が必要だということは私もよく分かっておるんですけれども、ただ、一般的に、やはり製造業とか農業とか、あるいは観光業とか、そういったところは慢性的な人手不足なのではないかなと私も感じております。
国は、どちらかというと、縦割りでといいますか、各省ごとあるいは局ごととか、あるいはもっと細かいところでいくのかもしれませんが、それぞれのテーマごとで人手不足対策をやっているような気がいたしますけれども、それぞれの市長の皆様が、今、人手不足で大変困っていると思いますけれども、例えばどういったところが具体的に困っていて、国の方に何か要望したいことがありましたら、何か一言ずつまずはいただけたらありがたいと思います。
それじゃ、館林市長さんから。
○多田善洋君 人手不足の問題は、本当に喫緊の課題だというふうに思っています。
館林地区におきましては、工場を、館林に来たい、こういうふうな要望がありまして、それで造成も今やっていますけれども、次に問題となるのは人手不足の労働者の確保、こういうふうな問題になります。
その中で、特に私と清水市長のところは工業地区でもございますので、ある意味では、農業も盛んですけれども、人手不足が顕著な地区というふうなところで、外国人の手によっての、確保ということが重要なテーマとなっております。
館林の農業が盛んだというふうに言いましたけれども、実態としましては、工業も、食品産業が盛んで、外国人の比率が五・二%、四千人の外国人労働者がいます。そういったことが現実問題かなというふうなことです。それは、金属加工業、そして介護問題、そしてまた食品産業、いろいろな分野においても、その補充をしていただけるのが外国人、それを補ってくれるのが外国人の手かなというふうなことで、地方においては本当に重要なテーマになっております。
そして、外国人の方に働く場、そして技能実習生に対しても、館林におきましては、それを補うために日本語検定補助金というのを、日本でも有数な日本語検定というのが、N1とかN2とかあるんですけれども、そこに補助金を出して、英検の補助金と同じですけれども、外国人に来てもらって日本語を習得していただいて帰っていただくような、プラスアルファで、それでまた来ていただきたい、こういうふうなことでも、外国人に対しての日本語教育、その普及までをやらせていただいているというふうなことが現状かなというふうに思っています。
以上です。ありがとうございます。
○黒岩信忠君 草津町は、先ほど申し上げましたように、六千人の人口であります。それで、なぜ四百万人を受入れできるかということでありますけれども、新しいホテルができますと、そっくりよそから知らない人が来るんです。しかしながら、残念なことに住所異動をしてこないんですね。住所を持ってこないんです。住所を持ってこないものですから、行政としては定住人口で基準財政需要額が出てきますので、そういう意味では行政はきついんです。ですから、何となく足りないのは分かっているんですけれども、それで、新しいホテルができますと新しい人が来ます。
しかし、今の若い人たちというのは、そこに永久就職しようという発想は全くないんですね。もう次の段階のところにまた行こうという発想の中で、この草津に来ている人たちのサイクルが非常に早く、出入りが激しい。だから、我々の人口としては六千人しかいないことの中では、実際、住んでいて仕事をしながらという人が約二千人ぐらいいるだろうというふうに思っております。
草津がちょっときついのは、お客様が来て楽しい、でも、働く人たちが、へんぴなところなものですから、オフのときに何をしていいか分からないという悩みがあって、つまり休みのときですね、そういうので、また来てもどこかへ行ってしまう。だから、非常に働く人たちがいっぱいいるんですけれども、長く続かずに、しかしまた来るということで、定住人口は少しずつ減っていますけれども、私は就労人口は増えていると判断しております。
それともう一つが、大きなホテルが物すごく人を雇ってやっていたんですけれども、人手不足という形の中で、入り込み客数の人員を絞っています、そのスタッフで間に合うような形の中で。
そうしますと、単価を上げてビジネスをする。そうすると、一番大きなホテルから更に今度は下に落ちる。それも同じような仕組みづくりをする。それが何段階も下に行って、今まで全くお客様に相手にされなかったような小さな宿までお客様が全部流れる。いわばシャンパンタワーの理論の中で物事がいっているということで。
人手不足は深刻だと判断していますけれども、派遣とか、もちろん外国の方々も働いていますし、そういう中で、しかしながら何となく草津温泉は回っているということで。きついのが、行政が定住人口で基準財政需要額が出てきますので、その辺はきついなという感じがしています。
以上です。
○清水聖義君 今の、居住地は、多分、外国人集住都市会議の中で、法律で決めたと思うんですよ、居住地イコール住所。だから、今みたいな、不良外人は、今排除されていると私は思うんです。
会議の中で一番法務省に文句を言っていたのは、幽霊の外人がいると。ここにいるはずなのにいない、これはもうとてもじゃないけれども管理しにくいということで、多分、法律で変わっていると思うんですね、そこにいなければいけないと。だから、行けば必ずそこへ住所移転をするというふうに、多分、今の、草津はちょっと分からないんですけれども、例外的か分からないんですけれども、一般的にはそういうふうに変わっていると思う。
うちの方の外国人は、今、一万五千人、うちの町にはいますけれども、足らないといえば足らないんでしょうね。今はネパールが非常に多いです。ネパールの、工科専門学校というのが、去年が百二十人で、今年が百二十人で、全部で六百人、学校に来て企業に就職しよう、勉強して就職しようというようなことであります。
もう一つは、農業も、これは外国人がいないと成立しないですね。今、うちの方で一億円ぐらい売り上げている農家もありますけれども、これはもう完璧に、外国人なしでは売上げは成立しないですね。今、農業は結構外国人が入っていまして、うちは観光がないので、工業と農業と二つでやっていますけれども、そんな状態です。
○深澤委員 それぞれ、ありがとうございました。人手不足の、地域ごとの感覚的なものがつかめましたので、何とか回っているという表現が何となく印象深かったんですけれども、分かりました。
もう一つ、流れの中で、黒岩町長様にもう一度お伺いしたいんですけれども、人手不足ではなくて、先ほど四百万人が来ているという中で、私は静岡でありまして、熱海があるんですけれども、そこがやはり人材不足でなかなか頭打ちになっているというんですかね、客室の割には伸び悩んでいるという話も伺いました。その中ですごく伸びていらっしゃるというのは非常に印象的だなというふうに感じております。
その中で、今回いろいろな、国土交通省などの、官公庁などの補助金をいろいろ使って町並みを整備していただいていますけれども、先ほど山本知事も御発言もありましたけれども、地方創生についてどのような印象を受け止めていらっしゃるのか。
いわゆる具体的な道路の予算とか景観とかというと、あるいは観光というテーマでは補助金をたくさんお使いいただいているかもしれませんが、今回の地方創生、あるいは地方創生二・〇という石破総理の発信についてはどのような受け止めでいらっしゃるのか、ちょっとお伺いできればと思います。
○黒岩信忠君 草津町は、今言いましたとおり、僅か人口六千人、幽霊人口は二千人ぐらいだと判断していると思いますけれども、いずれにいたしましても、我々は、交流人口、つまり、東京とか首都圏、いろいろなところからお客様が来て、そのお客様でにぎわって、観光地として成り立つという仕組みづくりであります。
ですから、地方創生というのは、そこにある産業が栄えることだと私は思います。ですから、我々はもう観光が一〇〇%と言って過言ではない町ですから、そこにお客様が来ることによって、地方創生、経済が全て回ってくるという仕組づくりになります。
それと、さっき時間がなくて言えなくて、清水市長とは全く真逆の判断をしているんですけれども、ふるさと納税も、我々の場合は、農産物、海産物はゼロなんです。どうするかといったら、それを、地域の中で使える通貨券をつくって、三割返しでしております。これが一度、総務省の目に留まって呼出しを食らいまして、不届きだからやめなさいと怒られたんですけれども。
そもそも論で、ふるさと納税というのは、所得税の寄附金控除、それから住民税の基本控除、住民特例控除、この三つでふるさと納税というのができているんですね。
そういう中で、大臣通達で、農産物、海産物は所得税法の一時所得になりますから、大量のものをもらったら、もらった納税者はそれは申告しなさいという通達を出しているんです。それを私が見つけたものですから、じゃ、農産物、海産物は金と総務省は言っているでしょう、何でうちの通貨券が駄目なんですかと言ったら、課長さんにへ理屈と怒られたんですけれども。そうじゃない、総務省が作ったルールだろう、それが何をへ理屈だと言ったら、私の意見を尊重してくれるようになったんです。
そういう中で、草津町は、集めた金額の三倍の経済効果をもたらします。つまり、集めた金額の三倍以上のお客様が来てくれて、この地域を活性してくれる。
それで、市長が言うように、何とかの間に挟まる者がいっぱいポイントをつけて取ろうとする。これは私は邪道だと思います。総務省では一割までという経費を見ているというんですけれども、我々も直接、自分たちの口座も持っていますから、本来自治体が直接やるべきものなんでしょうけれども、そういうふうにした中で物事をしていく。ですから、ふるさと納税というのは、一つ間違うと違う方向に行ってしまう。
だから、言葉は悪いんですけれども、余りえげつないやり方はすべきじゃない。だから、ポイントをつけるということは、私はそれはとんでもない話だと思っております。だから、紳士的にちゃんと淡々とやっている。そして、お客様がそれによってたくさん来てくれますから、我々は、それが地方創生に役立っているということで。
不交付団体であればそれはしようがないんですけれども、交付団体であれば、一旦税収が減りますけれども、翌年度には、それが今度は基準財政収入額が減りますから……
○安住座長 陳述人、時間が大幅にオーバーしているものですから、簡潔にまとめてください。
○黒岩信忠君 はい。
そういうことです。
○深澤委員 終わります。ありがとうございます。
○安住座長 次に、長谷川嘉一君。
○長谷川(嘉)委員 ありがとうございます。御指名いただきました長谷川嘉一と申します。
私は、出身が群馬県で、群馬県議会議員も三期十年間務めさせていただいて、ここでこういった機会をつくったというのは大変ありがたい限りであります。
ちょうど知事も、山本知事の前のお二人の知事にも、一緒に、議会と知事という形で対応させていただきました。
そういった中で、山本知事になって、この群馬県の躍進という部分で四つ挙げられて、移住地ランキングが全国第二位、これはすばらしい成果だと思いますし、またもう一つが、本社機能の流入数、これがかつて四十二位から八位に躍進した、これもすばらしい結果であります。これも地方創生の中の制度をしっかりとお使いになり切ったという結果ではないかと思います。また、賃金の伸び率も、県財政の中から、健全財政を維持して、県部局だけではないですけれども、民間企業もやっていらっしゃる、こういった機運が高められたということは、非常にこの群馬県にとっては大きな元気をいただいているということで、改めて感謝を申し上げる。
そういった中で、人口減少はこの群馬も栃木も同じような形で進んでいる。関東圏、東京から非常に近い場所でありながら、こんな状況にありますから、更にこういったものを推し進めていただけると同時に、様々な施策をこれから考えていただいているのかなと思っております。
そういった中で、知事として、この群馬県の人口減少、この施策も含めてどのように危機感を持って対応なさっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○山本一太君 長谷川委員、質問ありがとうございます。
これも時間の関係で少し早口で申し上げたいと思うんですが、人口減は最大の問題なんですけれども、魔法のつえみたいなものはないので、人口を逆転させるというのは何十年も多分かかることなので、いろいろな少子化対策をやっていかなきゃいけないんだと思うんです。
まずは、群馬県の場合は、子育てしやすい県ナンバーワンにしようということで、今回の当初予算でも、相当、全国でも例のないくらい、かなり子育て世代を意識したいろいろな対策をやってきているということで、とにかく人口を増やす、いろいろな言い方があると思うんですけれども、とにかく、結婚したいと思っている人が結婚できるような状況をつくるということでいうと、今言った教育の問題もというか、特に子育て世代に対する支援も必要だと思いますし、さっきちょっと深澤委員にも答えましたけれども、非認知能力みたいな、教育のイノベーションも大事だというふうに思うので、そういうところをしっかり充実させていくということだと思います。
それから、ちょっと今日は時間もないので言いませんが、外国、いわゆる多文化共生というのは、長谷川委員も御存じのとおり、ポイント・オブ・ノーリターンなんですよね。
私、国会議員を長くやってきて、知事として戻ってきて分かったのは、今、外国籍の県民がいないと産業は成り立たないです。これは、かつては建設とか農業だったんだけれども、今はサービス業も外国籍の人がいないと成り立たない。だから、多文化共生というのはマストなので、つまり、ある意味でいうと、人口減を支えていく、産業を支えていくということでいうと、この多文化共生もしっかり進めて、いい人たちが群馬県に来ていただくような、そういう環境をつくるということが大事かなと思っています。
○長谷川(嘉)委員 どうもありがとうございました。おっしゃられるとおりだと私も思っております。
そういった中で、人口減少に歯止めをかけるというのは難しいにしても、群馬の魅力を発信し続けていただいていることはありがたい限りであります。
そういった中で、草津町長、ちょっと今日は御質問する時間がないので申し訳ない。すばらしい御意見を賜って、私も勇気づけられた。
特に群馬県は観光資源が、草津温泉に代表される、水上温泉、伊香保もありますし、すばらしい資源があります。あと、谷川岳、尾瀬ケ原、こういったものがありますけれども、こういったところが遺憾なく活性化をして外から人を呼び込む、外国人も呼び込む、こういった施設も大切かと思っております。
この辺は御質問できませんけれども、そういった面で、この草津の成功例を他の県なりの温泉地や自治体の町村長さんに広げていただいて、更に活力がみなぎる群馬県にしていただけますことを草津町長さんには期待を申し上げます。
次の質問に移らせていただきます。
次は館林の方の課題なんですが、館林は非常に歴史ある文化の町でありますし、古くは徳川の五代の綱吉公の出身地でもありました。ずっと城下町として栄えて、歴史も文化も醸成した町でありますけれども、活力の喪失という部分ではなかなか難しい部分がある。そういった中で、財政というのは非常に厳しいやりくりを余儀なくされているのではないかと思うんですね。
そういった中で、今盛んに県内でやられている学校給食費の無料化を、本年の一月から三月を国の交付金を活用して実質無料化なさったというふうに聞いております。また、数年前に、隣接する自治体との合併協議の中でもこれが大きな壁になって、ハードルであったということも聞き及んでおりますし、この辺について、今回、これに踏み切り、今後、この財源を確保し続けなきゃいけません。こういった部分について、学校給食費の無料化についての多田市長のお考えをお聞かせいただければと思います。
○多田善洋君 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおりで、今年度ベース、三月三十一日までの六年度ベースですと、今、実は、館林において給食費が三億円強ですけれども、その中の二〇%は市費でやっております。残りの二〇%は財政、まあ物価高騰の補助金とかでやっていまして、それで四割強のものが無料化にしている、こういうふうな現状で、国の補助制度を使わなければ、地方自治体においては、私の館林においてはそれができないというのが現状です。
完全無償化をやっているいろいろな町があった場合というのは、やはり財政力の差によって、それが都市間競争にいっているのは、これはおかしな議論だというふうに思っています。
というのは、給食費の無償化だけだったら、それは、ざっくり言えば材料費の無償化ですけれども、元々は、給食費の問題は、根本の設備費というのは、一%強のものは投じている、館林の場合。それで、一%のものが材料費、これを無償化しようと今やっておりますけれども、そういった中で、全体では二%ぐらいまでは今費やすような、地域においては非常に比重が高いものだというふうに思います。
また逆に、ワクチン接種とかいろいろな地域要望が多うございまして、エアコンの設置問題とか冷暖房化とか、そういうふうなものが、給食費の一個だけじゃなくて、ほかの問題もございますので、そういった意味での市費だけ、そこに一〇〇%投じることはできないというふうな環境。
そういうふうな環境ですので、国の方で、やはり子供の負担軽減、こういうふうな位置づけで、補助金なり、また、いろいろな形での補助をいただければというふうにも思っているというふうなことが現状ではございます。
以上です。
○長谷川(嘉)委員 ありがとうございました。
私も、国会議員としての立場でいくと、まさに同感、思いは一つになっていると思います。
こういった部分で、学校現場で子供さんたちに対する差別があってはいけない、これはやはり国のレベルでこれをしっかりと保障していかなければいけないんだなと思っていたところ、先日、二月六日の県内の大手新聞、三大新聞の一つですけれども、この報道で高崎市のことが実は紹介されておりました。
高崎市は県を代表する市の一つですが、県内三十五自治体の中で、唯一学校給食費についての無償化に取り組んでいらっしゃらなかったというふうに聞き及んでおります。この中で、その記事の内容としては、いよいよ高崎市においても、第一子、これについては給食費を一〇%軽減します、第二子以降は全額軽減にしますと。
高崎市で一〇%だけ軽減、考えさせられましたけれども、今、様々な需要があって、その中で健全な運営をやりながらやっていくとなると、これが一つの賢明な判断基準の一つなのかと改めて思わせていただきました。
その中で、高崎市市長は、この工面をするために、今まで、クリーンセンターというところの事業がようやく終わった、そこを振り向けよう、あと、ほかの財政需要も削りながらやって、何とかここにおっつけたということでありますので、これは非常に苦労なさってのことだというふうに思っております。
また、高崎市長のコメントが実は出ておりました。それは、高崎市の市長は、御存じのように旧文部省出身の方で官僚、ベテランの市長さんということでありますけれども、この高崎市の現状を踏まえて、市町村の財政状況等により地域間格差が著しい状況にあることから、学校給食費の無料化は国の助成制度を創設する、これが当たり前だというふうなコメントでありました。
やはり、国の制度も知って、国の役職も持って、地方自治のトップとしてやっていらっしゃる。恐らく、太田市長さんもうなずいていただいておりましたけれども、まさに国がしっかりしろよ、あるいは、国会議員もしっかりしろよという私は叱咤激励かなと思わせていただきましたことを申し添えさせていただきます。
これについて、太田市長さんがうなずいていただいているので、ちょっとコメントをいただければと思います。
○清水聖義君 今の件ですけれども、あえて国にお金がなければ、全額国が払わなくていいと思うんですよね。例えば、国が二分の一を出す、県が四分の一を出す、市が四分の一を出せ、そういう負担割合で、要は子供たちと親がターゲットですから、負担する方は主従関係でいえば従ですよね、主はお客様ですよね、お客様というか学ぶ側ですよね。だから、学ぶ側から見れば、どういった負担割合だろうが全く関係ないわけですよ。
だから、ここは大人の議論ができて、全体として、知事がいるから、知事は俺は嫌だよと言うかもしれないですけれども、でも、でなかったら国が四分の三を出したっていいと思うんですけれども、何かそういう負担割合で、市も当然負担すればいいかなというふうに私は思います。
○長谷川(嘉)委員 ありがとうございました。
清水市長は県の市長会会長ですから、恐らくは高崎市長と同じ御認識でいらっしゃるということが分かりました。ありがとうございます。
次の点に移らせていただきます。
やはり館林の方の関係、東毛地域ということなんですが、地域医療を担う自治体病院における医師の確保、先ほど冒頭にありましたけれども、産婦人科医が派遣取りやめになってからずっと今日まで、いまだに実現していない。中核病院の状態としては異常事態にあると思っております。
これは、かつて医師の研修制度が十六年あたりに行われて、医局制度がかなり変わってしまった結果、大学病院に残る医師がみんな他県に行ってしまう。群馬大学はたまたま医学部があって幸いなんですが、その医局が地域の医療を守ってくれていた、とりでになっておりましたけれども、ここにお医者さんが、初年度、実施されて、五十四人しか残らなかった、半分はどこかの魅力ある病院に行ってしまった。
これを行ったのは国の制度なんですね。おかしいなと思っておりまして、私などもこれは国会議員になってから早々に、二〇一八年の七月に、厚労委員会において、愛知医科大学の理事長であった三宅先生をお呼びしてこの辺についてのお考えをお聞きしましたけれども、やはり平成十六年度に医師派遣制度が改正され、今日の医師の偏在の大きな原因になっているとおっしゃられている。私もそう思っている。
実際、それがまだ解消されていない中にありますけれども、今、この医師の問題について、多田市長のお考えをもう一度お聞かせいただければと思います。
○多田善洋君 今、長谷川先生がおっしゃったのは、平成十六年の新医師臨床研修制度になってからおかしくなったというふうなことであって、まさしくそのとおりだというふうに思っていますし、地方には、医師の引揚げばかりで来てくれないというのが現状です。医局が回してくれなくなったというのが根本的原因かなというふうにも思っています。
そんな中で、やはり地方においては大学病院との関係、こういうふうなことが重要でございますし、その中で何とか、特に二次病院ですから、やはり産婦人科とかそういうふうなもの、出産のものが必要であったり、また、緊急の外科が必要であったりというふうな、その根本がなくなって引き揚げられているというふうなことが原因かなと思っています。
また、二次病院ですから、産婦人科があっても小児科とセットですから、それで二十四時間回すとなったら医師数がすごい数が必要だというのは重々分かっていますけれども、そういうふうなことでもやはりその問題が生じているというふうなことです。
地方が何を対処しているかというと、産婦人科とかそういう問題じゃないですけれども、全体の医師の確保というふうなことでいろいろと知事なんかもやっていただいているんですけれども、修学資金貸与制度、こういうふうなことでも苦労しながら、要は、資金を使っていただいて、その分だけ働いてくださいよというふうな、医師の偏在を、今努力しているというふうな現状です。
そういったことで、本当に、地方においては医師不足というのは喫緊の課題ですし、財政的負担もあります。例えば、館林だったら、一人頭、人口に対して一万円ぐらいを公立病院の維持費に費やしております。だから、九億円、一人頭一・五万円ぐらいの費用を通して、それで維持しているというのが現状でございまして、是非、そういったことで御支援をいただければというふうに思っています、医師確保等を含めまして。
○長谷川(嘉)委員 ありがとうございました。
あの当時を思い浮かべると、東毛、太田市においても周産期の救急医療を行っていた病院から小児科医がいなくなり、産科は何とか残ったんですが、超未熟児の対応ができなくなって、周産期医療が東毛については、太田も館林も医療圏が崩壊してしまったんです。これが国の制度の結果なんです。唯一、桐生厚生が何とか細々と受け入れてくれていたんですけれども、そこでも賄えない。また、地元に帰ってお産ができない。この状態が続いていたので、この国の責任というのは重いですし、この責任をしっかりとやっていかなきゃいけないと思います。
ここで、知事の方に一点、医師確保計画、これは都道府県が作成することになっておりますし、その基となる医師偏在指数、これは国がお出しすることになっていますけれども、この辺の制度についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○山本一太君 長谷川委員、質問ありがとうございます。
御存じだと思うんですけれども、知事になった直後に、ドクターズ・カムホーム・プロジェクト、そのままじゃないかという、結構ダサい名前のグループをつくって、もう毎回のように、本当に、研修医、それから若手医師、女性医師、群馬県に移住してくださった医師、ベテラン医師、こういう方々とずっと定期的に懇談をやってきました。
その結果、分かったことは、やはり医師の偏在、例えば、お医者さんに群馬県に来てもらうというのはいろいろな実は側面があって、教育機関がなければいけないとか、いい進学校がなきゃいけないとか、あるいは、昔と違ってドクター・コトーとか赤ひげみたいな人たちはいないので、やはりチームじゃないと基本的に医療をやりたくないという方々もいたり、意識のいろいろな世代による違いもあったりして、いろいろな理由があると思っているんです。
少なくとも研修医を、私がなる前は全国で最下位だったものは、一応、百人を超えて真ん中ぐらいまでは来ました。ここからが結構長い道のりなんですけれども、研修医の皆さんからしっかり増やして、あとは、一つ一つドクターの方からお聞きした条件を整えるということで、一人でも多くの方に群馬県で勤務していただきたいなと思う。
ただ、あともう一つ言うと、何かほかの県からお医者さんを持ってきても、ゼロサムゲームなんですよね、これはとてもむなしいなと思うんです。やはりそこは、実は、例えば群馬県でいえば、太田とか高崎とか前橋は多い方なんですけれども、東毛地域は少ないんですが、じゃ、そこにずっと産婦人科の人に来ていただけるかというとなかなか難しい。
やはりそこは、幾つかの拠点を決めて、そこから派遣してもらうとか、あるいは、まさにデジタルを使った医療を提供するとか、いろいろな形でバランスをつくりながら県全体の医療をカバーしていくという方が少し現実的かなと、何百人というドクターの方との意見交換を重ねてきて、そんな思いがしております。
○安住座長 長谷川君、残り一分ですので、まとめてください。
○長谷川(嘉)委員 はい。
ありがとうございます。その点については、まさに、県知事に施策が委ねられたけれども、権限も、財源もない、その指数だけは知らされている、それはお手上げだよということで、関東の知事会からもこれは反対の声が上がって、委員会で附帯決議を、当時、西村智奈美さんが立憲でいらっしゃったときに、四項目か五項目、私、入れさせてもらって、この法案を通したことがありました。ですけれども、実態は余り変わっていない。
本当に、こういった、これは群馬県の財務局からいただいた地図なんですけれども、黄色いところが消滅都市。前橋、高崎、板倉を省いた東毛は残っておりますけれども、みどり市も残っておりますが、ほとんどがそういった場所。
ここに人が定住するためには、やはり医療、それと、そこにあっても教育、この二つが絶対条件だと思うんですね。あとは、草津の町長さんがやったような活力ある職場、これが絶対条件だと思いますので、是非、この辺の拡充については、国、県、力を合わせてやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○安住座長 次に、西田薫君。
○西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。
本日はありがとうございました。
先ほど、お話をずっと聞かせていただきまして、清水市長、子供たちに対する熱い思いというのを聞かせていただきました。ただ、時間の制約があったということで、最後までお話しできなかったんじゃないかな、そういった部分を少し補助もさせていただきたいという思いから、最初にお伺いさせていただきたいんです。
国が外国人を受け入れている、そういった中で、三分の一、国、県も補助はあるが、国の政策であれば国がしっかりと教育の面倒を見るべきじゃないか、そういった御意見だったんじゃないかなというふうに思うんですが、具体にこういった部分というのはもっとしっかり国がやってほしいとか、具体な事業であったりとか、政策、この部分はしっかりやってほしいとかいうものがあれば、是非お聞かせいただきたいなと思っています。
○清水聖義君 先ほど話しましたように、三分の一の補助金が来て、三分の二は地域でやれという話ですけれども、現実問題として、外国人を入れている責任も、あるいは出す責任も、全て国がやっているわけでありまして、そこに赤ちゃんは必ず生まれるんですね。だから、生まれない前提で、大人だけの入管をやっているのではない、そこには二人ないし三人の赤ちゃんが必ず生まれてくる。
これは、幼稚園から小学校から、みんな教育を地域でしなければいけないというふうになるわけです。そこにかかる経費が、今言ったように令和六年で一億三千万円かかっているわけで、国、県から来ているのが三千六百万円ということでありまして、一億円弱が市の持ち出しになっているわけですね。別に市で持ち出したって、いずれは太田市に戻ってくる子供たちだったらいいですけれども、そうじゃなくて、やはりまた元へ戻るか、あるいは、この子供たちをどうやって育成していくかというのは非常に大事なことだと思うんです。
昔ならば、ニューカマーと言っていまして、ブラジル、ペルー、あの辺から来ている、もう三十年も四十年も前、ニューカマーと言われる時代は、それがワーカーとして来ていて、当然、子供たちもワーカーの子供だからという、そういうものでしたけれども、もう今となったら、彼らをやはり日本の戦力にしていかなければいけないんじゃないか。例えばデジタルにしても何にしても、やはり一丁前にしていく必要がある。それで、定住させて、日本の力にしなきゃいけない。これならば、一億円は、余りにも地方にばかりよこしている負担が多いんじゃないか、もう一度ちょっと考えた方がいいのではないか。
太田はそんなに、それでも上位ですね、浜松が一番多いかな。浜松とかああいうところはとても多いんですけれども、ああいった多いところの、外国人の定住している町へもうちょっと意識をしていただいて、子供たちの教育と。
うちは、今、多文化共生のセンターをつくって、子供たちの学習塾をやっている。これはなぜかといいますと、家に帰っても、親は外国人ですから、日本語の宿題ができないんですね。あるいは、進学校に行こうとしても、学習塾のことは家に帰っても誰も教えてくれない。ならば、しようがないから、うちが先生を雇って、それで子供たちに別途に教える、放課後、塾みたいなことをやる。こういう経費はみんな自分たちで持っているわけですよね。
だから、その辺を十分に考慮していただいて、そういう余分な話は余分で、自分で勝手にやるんだから太田市が負担すればいいんですけれども、学校にかかるお金は、これは国が全額に近い、どこまでが正解かは私には分かりませんが、応分の負担は必要ではないか。これはやはり共生社会の中のベースではないかな、そんなふうに思っているわけです。
一億円負担はちょっと多過ぎるんじゃないかということであります。
○西田(薫)委員 ありがとうございました。
国がそういった形で、制度としてある以上はもう少し国がというような思いで、なかなか我々の住む地域はそう多くありませんので、そういった問題というのはなかなか気づかない部分でもあったんですが、御意見をありがとうございました。
それでは、次の質問に移りたいと思います。
今、長谷川先生の方からも質問であったんですが、人口減少、これはもう全国で言われる問題じゃないかなというふうに思っておりますし、今日ここへ来るまでに、新幹線で着いてからバスで、一件、午前中は視察先に行かせていただいたんですが、そのときに財務局の方から資料をいただいていまして、それが先ほど見られた、こちら、黄色くなっているのが消滅可能性自治体というところで、多くが黄色になっておられるということですが。
平成の大合併のときには、それ以前は七十市町村ぐらいあったというふうに、それが今は三十五市町村になったということで、平成の大合併で随分合併をされたんだな、半分になったというふうに知ったんですが。
これからの基礎自治体の在り方、人口規模は何人が適正なのかどうなのか、いろいろな意見があろうかと思うんです。ただ、やはり人口減少社会の中で、基礎自治体がどういった規模でやっていくのが一番効率がいいかということも、これからはやはりしっかりと考えていかないといけないのかなというふうに思っているんです。
現に、私、守口なんですが、平成大合併のときに、四自治体二か所で合併の議論が沸きました。私の住んでいたところも合併の対象にはなりました。結果、住民投票を実施しまして、その合併は成立はしなかったということなんですが、これを見ますと、群馬県は平成の大合併で随分市町村合併が進んだなというふうに思っているんです。
そのとき、合併特例債であったりとか、いろいろな施策というのはあったと思うんですが、現にもう合併されて今の新市になられている首長さんもいらっしゃっていますが、もっとこういうところがあったらよかったのではないかとか、何かその辺の、平成の大合併のときにこういった部分がもう少しあればよかったというようなものがあるのであれば、ちょっと教えていただきたいなというのと。
これはなかなか知事は御答弁しづらいかと思うんですが、今後、基礎自治体の在り方がどうあるべきなのか、合併を含めて。なかなかお答えづらいかと思うんですが、もし御答弁できるようであれば、お答えいただければなと思います。
○山本一太君 西田先生、御質問ありがとうございます。なかなか難しい御質問なので、どう答えたらいいかなとは思うんですけれども。
まず、人口減少を急激に止めることはできないんだと思うんですよね。今、政府も、いろいろな政策は、ある程度人口減少というものを前提にいろいろと立案していると思うんですけれども、基礎自治体がどのくらいの規模がいいのかというのはなかなか難しい。そこはまさに市町村長にお聞きになっていただいた方がいいかというふうには思うんですが。
平成の大合併自体は私は必要だったというふうに思っているんですね。やはり、基礎自治体が余りにもちっちゃいと、特に災害が何回か起こったときに非常に対応が難しい。能登の地震を見ながら、多分、それぞれの特徴のある、いい町村があるんだと思うんですけれども、なかなかあのレベルだと災害対応が難しかったというところもあるので、災害対応という面からも、どのくらいの自治体の規模がいいのかというのは少し考えたらいいんじゃないかと思うのと。
あとは、人口は、残念ながら、大きなトレンドとしては減っていきますので、それをどうカバーするかというところで、まさにデジタルがあるんだと思うんですよね、あるいはAIがあるんだというふうに思いますので、そういう全体のところを見ながら、それぞれの地域でいろいろ工夫していけばいいのかなと。
消滅自治体の予想というのは、ほとんど信じていないので。それぞれの市町村は結構元気で、何か何年までに消滅するなんて言われていますけれども、消滅しないと思っているので。
それはやはり、釈迦に説法ですけれども、コロナが起こって、みんなパンデミックはもう来ないと思っていますけれども、また必ず来ると思いますから。そのときに、やはり地方の価値というのは再定義されたと思うので、今までは過疎だったとか密がないということが強みになったりしたので、そういう意味では、工夫をしながら、デジタルを使いながら、あるいはAIを使いながら、それぞれの地域が独自の発展を遂げるということは可能じゃないかなというふうに思っています。
○清水聖義君 うちは一市三町をやったんですけれども、人口は一切減っていません。今二十二万五千人近いんですけれども、減らずに、製造品出荷額はどんどん今上がっている状態であります。
これから合併するとしたらという、ればたらの話ですけれども。
今、下水が、更に一市三町ですね。大泉、千代田、邑楽、これは下水が一体です。あとは、水道事業は一体でやっています。それから、ごみ処理も一体でやっています。何でも一体で、大体、病院についても、結構、太田病院というところに来られる方が多いです。それから、消防も一部一体ですね。
こういう一体型でやって、同じ幸せを住民がみんな得ようということを考えるならば、さっきの給食も、医療費も、うちはおむつも出していますけれども、だから、そういうのをみんな得ようとすれば、そういったところはほとんど共同でベースはやっていますので、一体型でいいのではないかな、余り特別、住民に不利益を与えないものであればいいのではないかなというふうには思います。
何も大きければいいわけではないですけれども、でも、ベースを、基本的なものを一体としてやっていて、太田市が約七割出して、残りの三町が三割出しているわけですけれども、そういう一体型で進んでいるところは一体で、仮にそういう話になれば、ノーじゃなくても、イエスでもいいんじゃないかなというふうに私は思いますけれども。でも、多分駄目でしょうけれども。
でも、みんな一体でやっているんですよ。だから、うちはもう電気もみんなバイオマスで、脱炭素の電気を全部使ってやれるようになっているんですよね。ほかの町もみんなそうなっている、脱炭素でやっているんですけれども。まあ、そういうことです。
○西田(薫)委員 私は大阪でして、大阪は四十七都道府県の中で一番面積も小さいところなんです。私の自治体も十二平方キロしかないんですね。それで人口は十四万人いるという地域ですので、大阪においての合併というのはある意味まだ分かるんですが、この群馬県は面積が広いですよね、一つ一つの自治体が。これを合併するというのは、私は大変じゃないかなと。だから、一くくりに国から合併を例えば促進するとか推奨するとかというのは、やはり地域の実情を考えないといけないなというのを今回改めて感じたんですね。
決して、これは合併すべきだという思いで今回質問したのではないということだけは御理解いただきたいなというふうに思っておりますし、やはり、これから事務組合をどうしていくかということも含めて、一緒になって考えないといけないなというのを改めて感じております。
そういった中で、これから人口減少、これは本来、国がしっかりと人口減少に歯止めをかけていくというのが、我々の仕事でありますから、そこをしっかりやっていかないといけないなというのは改めて感じました。
それでは次に、先ほど給食の無償化、多田市長の方からお話がありましたが、私もこれは大賛成なんですね。やはり食育という観点からも、そして、どういった家庭状況に置かれても、しっかりと子供に食育という観点から、給食は全員喫食で取ってもらうべきだというふうに思っているんですが、実際、今回これも要望もされておられますが、どうでしょうかね、基礎自治体の長であられますので、やはり多くの保護者の皆さんの意見であったり、市民の皆さんの御意見を聞かれていると思うんですが、やはり給食の無償化というのは、結構声が、要望が高い項目になっておられますか。
○多田善洋君 おっしゃるとおりで、保護者からの要望は非常に強いものがございます。
結論から言いますと、負担軽減という位置づけだと思うんですね。やはり教育費がかかりますから、そういった意味での、毎日必要なものというふうなものは削減したい、また無料にしてくださいというふうな位置づけかなというふうに思っていますので。
特に、この辺の、群馬県は比較的多い地区ではないかなというふうに思っています。何らかの形で三十五市町村の中で今やっていない市町村はないですよね。完全という意味じゃないです。館林も完全にできていませんから、一部ですけれども、そのぐらい敏感な問題じゃないかなというふうにも思っています。
ただ、それプラス、名前を、給食費というものは給食費のほかに設備費もありますので、食材費とか、そういう名前にも変えていただければ、実際は、自治体運営をしているものに対しましては、給食費は設備費的な給食費もあるし材料費もありますから、そういった両方を兼ね備えてやっているんだというふうに表現していただければ非常にありがたいなというふうに思います。
以上です。
○西田(薫)委員 そうですね。御負担もやはり多いでしょうから、そこはしっかりと、我々、表現の仕方も変えていかないといけないなと改めて思います。
黒岩町長も清水市長もどうですか、やはり給食の無償化というお声というのは結構上がったりしますか。
○黒岩信忠君 給食費、それから保育料、もう三年ほど前から全て無料化です。町が全額負担してやっております。
そして、コロナ禍、例えば休校になったと、小学校、中学校。そうすると、昼食どうするんだと親が言ってくることになるわけですね。先駆けまして、私が、コロナ禍で給食を食べられなかった方々には、後払いですけれども、一日五百円をその方々にプレゼントして、うちで何か買って食べてくださいと、そこまで踏み込んだ給食費の無料化と、それから、保育料の完全無料化もしております。我が町は不交付団体に近いときもありましたものですから、何とか財政としてやりくりできると。
それから、さっきの先生の話の中で、もう一つ、消滅市町村、我々は当然入っていますけれども、東京二十三区を入れて千七百四十一ある、その中で消滅市町村は約九百ある。しかしながら、我が町は絶対に消滅しない。草津温泉が、そこに経済がある限り、百年たっても必ずさすがに残っているはずだという考え方です。
○清水聖義君 給食費はうちも無料ですけれども、幼稚園まで延ばして、小学生と同じだけの負担を幼稚園にも全部やっているということで、幼稚園から中学三年生まで無料です。
多分、群馬県の市長会で、是非無料の方向に行ってくれという請願か何かを出している、要望書を全部の市でまとまって出していると思いますよ。やはり隣の町、館林は隣ですけれども、うちが無料であっちが有料というのは、子供にとってというか、本当に首長だって立つ瀬がないんですよね。これは気の毒な話で。
是非、どういう負担割合であろうと国が一定限度負担をして、市がもちろん持ったっていいですよね。でも、ターゲットであるお母さん方、子供たちが、今物価が大変、物価が高い状況にありますし、下がる気配はないですから、だから、こういったものは、是非、物価高の対策としても取り入れてもらえればすごくありがたい。うちは一応、十四億円ぐらい払っていますけれども、大変ですけれども、でも我慢して払っています。
○西田(薫)委員 私たちも、給食の無償化、そしてまた保育の無償化、教育の無償化も掲げておる政党でもありますので、しっかりと引き続き訴えていきたいなというふうに思っておりますし、やはりこれが国からとなると随分違いますよね。そこはしっかりと引き続き訴えていきたいなと思っております。
もう余り時間がないので、最後に一つなんですが、山本知事に、このいただいた資料、これは年収の壁が百七十八万円に引き上げられた場合の影響ということで、三百六十億円減額になってしまうということですが、当初国民民主党さんが百七十八万円という御提案をされたということで、この数字を出されたということですよね。百五十万であったりとか百二十万円であったり、そういったときの数値も計算はされているかと思うんですが、どの金額であってもやはり減額になるんだったら大変だ、しっかり国が補填しろよという意味でのお考えということでいいでしょうかね。
○山本一太君 西田委員、御質問ありがとうございます。
もう細かいことを言ってもしようがないと思うんですが、それはまさに、この話というのは国の方でお決めになることだと思うんですね。
ただ、西田委員も首長になれば分かると思うんですが、やはり、最悪の場合、これだけ税収が減るということになると予算を組めないので。群馬県の場合、大体、本当に自由に使えるお金は一千億円ぐらいで、そのうち三百億円ぐらいそのまま減ってしまった場合には、これは大変なことになるので、そこは、どんな結論になるにせよ、しっかり地方のことは考えていただきたい。
こういうことを申し上げて、それぞれ皆さん御地元もお持ちなので心配はしていませんが、せっかくこの機会があるので、念のため、そのことだけはちょっとお願いを申し上げたいというふうに思います。
○西田(薫)委員 吉村さんも、頑張るということを会見で言っていましたのでね。
時間が来ましたので、終了させていただきます。ありがとうございました。
○安住座長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野です。
今日は、四人の皆様、お忙しい中、様々な観点からお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
非常に参考になる話ばかりで、質問もたくさんあるんですけれども、まずはやはり、最初に知事さんがおっしゃっていた企業の誘致、そして、清水市長さんがおっしゃっていたふるさと納税の問題点、ここを少し絡めながら質問させていただきたいと思いますので、お二人にまずはお伺いしたいと思うんです。
まず、ふるさと納税という制度が、法的な根拠の面からしても様々な疑問点、問題があるのではないかというところについては、しっかり今日伺いまして、私も今後考えていきたいと思っておるんですけれども、実際にどのくらいの財源へのインパクトが起こっているのかということを、少し具体的な数字が示せるのであればイメージを教えていただきたいということと。
もう一つは、個人のふるさと納税以外に、今、企業版ふるさと納税というのがあります。これはやはり、御承知のとおり、都市部に企業が集中していて、法人税、法人住民税が東京などの大都市に集中している、これを地方に分散させようという考え方なんですが、これについてはどう思われるのかというのを清水市長さんに。そして、この企業版ふるさと納税制度というのは、知事から見たときに、どのように今見解をお持ちなのかということを、お二人にお伺いしたいと思います。
○清水聖義君 地方分権ということを本当に考えてくれるならば、国が地方税についてがちゃがちゃいじくり回さないでほしい。地方税というのは、地方税法で決まって、先ほど言った憲法三十条で、税はちゃんと納めなきゃいけませんよということが決まっているわけですよね。地方税法では、自分たちの町に納めて、自分たちの幸せを考えてくださいというのが税法で決まっているわけですよ。そこに国が手を突っ込んで、ガラガラポンして、ゼロサム社会をつくろうとしているわけです。財源の偏重を起こそうとしているわけですよ。
先ほど言ったように、邑楽町は百何億円なのに、同じ人口で紋別は三百何十億円という莫大な予算を組んで、人口はほとんど同じ。しかも、交付税は、紋別はへんぴなところだから七十億円もお金が行くわけですよ。それで、ふるさと納税が二百億円も行くわけですよ。
だから、国は地方分権を考えて、地方創生を考えるなら、そんなことをやって、人のうちの中に権利としてあるものに、指を突っ込んで、こうやってがらがらがらがらいじくり回さないでくれと。これは基本的に、憲法と法律で決まっていることをちゃんと遵守してください。それで、子供たちには、税金はちゃんと納めるんですよ、それで自分たちの町が幸せになるんですよということを教えられるようにしてください。
今の環境なら、企業にお金をくれていいですよ、一千億円なら、一千三百億円なら企業に、アマゾンにくれても楽天にくれてもいいですよという、それは、税金を議会に諮らないで、そういうところに勝手にくれちゃうわけですよ。こういう税金の在り方というのは、いかにも貧弱、悲しいというか、これは議会を軽視している。全く議会がかわいそうですよ。
執行者は、なくなってしまうんだから、決算でこれはなくなりましたと報告すればいいわけですけれども、でも、審議するべき力を持った、いわゆる権限を与えられている議員が無視されて、企業、楽天とか、ふるさと何とかとか、ああいうところに、あるいは貴乃花の給料に変わっていっちゃうわけですよ。あんなのは余りにもおかしくないですか。貴乃花にお金をくれてもいいですよと議会が決めればそれでもいいと思うんですけれども、議会は全く無視ですよ。こんなやり方というのは非常によくない。だから、個人のものはよくない。
それから、企業版は、うちは企業版はいただいて、アリーナを造って、バスケットボールをやっています。それで、企業版は地方税から来ているかどうか分かりませんけれども、企業版は個人でやり取りするのと全然意味が違うと私は思っているんです。
企業は、企業の収益、いわゆる法人から出ていくわけですから、個人の所得でみんなから集めて何かを、だから、うちがいただいたのも、何のお土産も与えていません。
ただ、そういう制度があるからいただけたということで、アリーナができて、群馬クレインサンダーズというのが、今、千葉ジェッツに負けないぐらいの力を発揮して、宇都宮の次に、二位でいて、今、CSに、チャンピオンシップに出るんじゃないかとみんな非常に盛り上がっているところです。
別に、企業版についてはつべこべ言う気持ちはないです。ただ、個人のやつを、国が決めて、人のうちの財産を動かし回すというのは法律的にいかがなものかと。別に、どこに幾ら金が行こうが私には関係ないんです。幾ら行ったって構わないですよ。だけれども、法的に、憲法からいってもおかしいんじゃないですかということが言いたいということです。
以上です。
○山本一太君 御質問ありがとうございます。
ふるさと納税については、これまでもいろいろな問題点とか御指摘はあるんですけれども、私自身は、ふるさと納税の制度については、ちょっと清水市長と違って、反対ではありません。ただ、ここで特に市長に反論するつもりもないので。私の大事な太田の後援会長でもありますので、ここで一々議論するつもりもないんですが。いろいろな欠点はあったとしてもだんだん定着してきて、それなりに私は機能している部分もあるんじゃないかなと思います。
それから、企業版ふるさと納税については、今市長がおっしゃったように、我がクレインサンダーズが強くなったのは、オープンハウスが企業版ふるさと納税を使ってすばらしいスタジアムを造っていただいたおかげなので、これはこれで、実は、群馬県がいろいろと民間と連携したり投資を引き出していく上ではいろいろな形で活用できるので、それはそれでしっかり活用していけばいいのかなというふうに考えております。
○浅野委員 ありがとうございました。
ちょっと、それでは時間の関係で次のテーマに移りたいと思うんですが、次は、地方創生の観点で黒岩市長さんにお伺いしたいと思います。
今日の草津市の資料で本当にいろいろと工夫をされて、しかもそれがしっかり結果に結びついているということで、非常に、横展開を是非するべき事例だなと思いながら聞かせていただいたんですが、最後の方で、それぞれどういう補助金、交付金を使ったというのが一ページに載っているんですが、これを見ますと、社会資本整備総合交付金、あるいは街なみ環境整備事業、いずれも国交省の事業ですね。
今、やはり国会の中では地方創生という観点で議論が行われるときに、昨年の補正予算で策定した重点支援交付金ですとか、第二世代の交付金というものが話題に上がることが多いんですけれども、市長の御地元では国交省の事業を中心に御利用されているということで、少し、既存の地方創生臨時交付金あるいは第二世代交付金に対して、それらを使わなかった理由というか、何か御見解があれば是非伺わせていただきたいと思います。
○黒岩信忠君 社会資本整備交付金というのは、自治体が何かやるときに、国の方からの補助金というか制度の中でいただいているものでありまして、それから、街なみ環境整備事業、これは民間の建物もきれいにしましょうという制度なんですね。私が町長になったとき、一件の申請も出なかったです。なぜか。町民が諦めていた。町を、自分のうちをきれいにしても、お客なんか来ない。
しかしながら、町が今申し上げた制度できれいにしていったら、お客さんが来始めた。それなら、うちもきれいにすればお客さんが来るかなということの中で、お客さんが来て。今、全部で百十七件、私になってからこれを採用して、これは国が三分の一、町が三分の一、個人が三分の一、金額はそんな大きくないんですけれども、これで非常にうまくいって、町並みがおしゃれ、きれいになってまいりました。
そこに、今度は高付加価値の事業という中で、これも国交省の観光庁が主管するところなんですけれども、これは、やはりホテル、旅館をきれいにしましょう、それで我々に該当したんですけれども。
そういう中で、財務省の主計官が調査に来ました。本当に効果があるのかということだったと思うんですが、ほかの地域ですと、ただ一件の宿をリニューアルしても、お客さんというのは私の判断はそんなに増えるはずがない、だから、余り効果が出なかったんだと思うんです。
しかし、今申し上げたように、行政として町並みをがらりと変えてきましたから、そこにホテル、旅館のリニューアルが加わって、それで、相乗効果で大変町が活性化をしてきたという。この補助制度がなければ、ここまで草津町は事業ができなかったということで、この三つの事業は大変草津町にとってありがたい事業だと思っております。
そういう中、お客さんが増えるのはインバウンドであろうという認識を持つと思うんですが、我が町は五%までインバウンドは行っていないんです。じゃ、何で増えたか。これから大学の女子会とか卒業旅行の若いお客様が、閑散期にもかかわらずたくさん来てくれるようになりました。これは、町づくりの最たる効果だと判断しております。
○浅野委員 ありがとうございました。
非常に、具体的なビジョンといいますか、計画性を持ってこうしたものを使ってこられたというのはよく御説明で分かりました。
ちょっと更に重ねてしまうんですが、これは確かに国土交通省の事業でそれがマッチをしていたということだと思うんですが、やはりこれから地方創生、より幅広い視野で考えたときに、今の地方創生臨時交付金の課題感ですとか、あるいはこの第二世代交付金に対する市長のお考えというのがあれば、そこも少しお聞かせいただければと思うんですけれども。
○黒岩信忠君 今先生が申し上げられた制度について、私も不勉強で、内容は少し理解していないところがあります。
それで、なぜ三つを掲げたかというと、草津町を整備する上でこれが一番ぴったり事業に合った、その補助制度を利用したということで、今先生がおっしゃったことを再度我々も研究して、使えるものなら使わせていただいて、更にパワーアップした草津温泉に変えていきたいと思います。
○浅野委員 ありがとうございました。
それでは、続いてのテーマなんですが、ちょっと今日はこの四人の皆様の話の中にはなかなか出てこなかったテーマではあるんですが、やはり今、災害と、あとは高齢化という問題が非常に地方では重要な課題になっていると思います。
是非、ちょっと残り時間も少ないんですが、四人の皆様に一言ずついただければと思うんですが、今、昨年の補正予算で、公明党の皆さん、そして我々も主張させていただきましたが、全国の避難所となる学校の体育館への空調設備などは導入をしているんですけれども、一方で、災害が起きたときの高齢者、要介護者の避難というものを誰がやるのか、しっかりできるのか、そこに行政がどのように対応していけるかどうかという意味では、やはりどの自治体も不安を抱えているというふうに認識をしています。
これからますます高齢化が進む中で、要介護者、介護の問題と、災害対策、この観点で、予算という観点から、もし一言ずついただければと思うんですけれども、どなたからでも構いません。
○安住座長 残りが六分なので、約一分ぐらいずつでよろしゅうございますか。
では、山本陳述人から順次お願いします。
○山本一太君 御質問ありがとうございました。
群馬県は災害レジリエンスナンバーワンというのを掲げていまして、やはり災害対策、特に今委員がおっしゃった高齢者対策は大事だと思っているので、各市町村もいろいろ避難計画を立てていると思うんですが、群馬県もかなり、新たなといいますか、新しい避難計画を作って。
やはり、特に避難所ですよね。これをきちっと、体育館じゃなくて、群馬県にあるホテル、旅館に収容するという一応のアグリーメントを結んでやっているので、そういう高齢者の避難の手順だけじゃなくて、どうやって健康を維持していただくかということもしっかり群馬県としては考えていきたいと思っています。
○多田善洋君 高齢者の災害ということで、個別避難計画を今進めておりまして、そういったことで落とし込む、こういうふうなことで今作業を進めております。
ただ、個人情報が余り開示されないという欠点もありますので、そういった問題を、柔軟な対応をしていただきたいというふうなことと、もう一点、要望といたしましては、避難所であります体育館、これが、緊急防災対策債が令和七年度で終わってしまう、こういうふうなことがありまして、今現在、館林市も体育館の空調設備を入れているんですけれども、それを延長していただきたい、こういうふうなことが地方の声としましてはあります。
文科省で、何か体育館の設備改善になるんですけれども、断熱化とかいろいろなことで躯体をいじくらなくちゃいけないとか、それは使えないんですよ、現実問題は、文科省の予算は。清水市長も同じことを言うかもしれませんけれども、そういった使えない予算を組まれても困っちゃうので、緊急防災、緊防債の延長をお願いします。
以上です。
○黒岩信忠君 私どもは、避難所というものは、公的に必要なものは造りますけれども、考え方は、いざというときはホテル、旅館を避難所にします。これが一番安全なんです。耐震ができておりますし、それで食料が十分担保できているということで。
一つの事例として、東日本大震災のときに、南相馬市から約五百名の人を受け入れました。一円もお金はなかったんですけれども、私の専決処分で一億をつくり、宿泊は全部ホテル、旅館を使わせました。個人単位、家族単位、友達単位で使わせて、その金は全部町が持ちました。それで、旅館に指示したのが、一泊二食、二千八百円で泊めました。昼食を、飲食店に三割引きにしろと、そこに更に草津町が二百円足すから、ほとんど無料に近い形で三食食べられたということで、非常にうまくいきました。
我々は災害に強い町だと思います。火山を抱えておりますし、危機管理というのはどこよりも持っているつもりでおります。
○清水聖義君 太田は、四十二校全校、冷暖房、空調はもう既に入れちゃっています。これも、さっき館林市で言ったように、文部省に、体育館が今もう暑くて子供たちはどうしようもないから、補助金、三分の一かな、あるというのを知って、申請したけれども、全滅。
使えない補助金を文部省は持っているんです。なぜならば、天井が断熱材を使っていない、ガラスが断熱仕様になっていない、ドアが断熱じゃない、そんなものは当たり前じゃないですか。もう容易じゃなく人口が増えてきて、ばたばた体育館を造ったわけですから。全部適用にならなくて、自費で造らせてもらう。だから、使える補助金にした方がいいと思いますね。
それともう一つは、水道管。これはあと水がないと駄目なので、今、第二期の水道の計画、一期は、館林市まで本管は全部完了しました。もう随分早く始めて、やっちゃったんです。次が、今の避難所に向けていくわけですけれども、今度は国交省、厚生労働省から国交省の方に移ったんですけれども、国交省の方でちゃんと補助金メニューを作っていただきたい。そうすると、避難所までの、あるいは透析患者とか病院とか、こういった第二次の必要なところに水道が送られる。
大体空調は我が方でやっちゃいましたけれども、是非水道についてはよろしくお願いしたいというふうに思っています。
○浅野委員 ありがとうございました。
今日、冒頭、山本知事の方からも年収の壁の話、地方財政への配慮をということで言及いただきまして、ありがとうございました。私たちも、しっかりその辺り、十分に留意をしながら、地方のためにも引き上げられるようにということでやっておりますので、その点を最後に付言させていただきまして、私からの発言を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○安住座長 次に、赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党副代表を務めております衆議院議員の赤羽一嘉でございます。
今日は、大変平日のお忙しい中、四人の首長の皆様には、この地方公聴会に御足労いただきましたことにまず心から感謝を申し上げたいと思います。
また、どの地方都市も共通の人口減少、少子高齢化、過疎化という中で、共通の中で様々な課題の御提示、そして、その御提言をいただいたことにも心から感謝を申し上げます。
様々な課題について多岐にわたったことで、本当はいろいろな方に質問したいんですけれども、ちょっと全員に質問ができるかどうか余り自信がありませんし、私、ちょっと三つのテーマについて質問させていただきますので、失礼があれば御容赦をいただきたいと思います。
まず、最初に知事に御質問したいんですが、今、埼玉県の八潮市で、いわゆる下水管の老朽化によって道路の陥没、大変な事故が起こっております。
このことというのは、実は、昔は公共工事というのは無駄の象徴のように批判をされ、公共工事の国の予算も随分激減をされたわけでありますが、私もたまさか国土交通大臣をやらせていただいたときから、やはりそれは間違っている、国土強靱化、防災・減災ということで、まず、防災・減災、国土強靱化三か年緊急対策、総事業費八兆円を超える予算を組み、そして、今は加速化五か年対策で十五兆円を組んでいるわけでございますが、これは来年度から新しくしなきゃいけない。先日の石破総理の所信表明演説でも、十五兆円を超える大型のということを、実施中期計画を作るという表明がありました。
私たち公明党は、実は、これまでの、資材も高騰しているし、賃金も上がっているので、まだまだ必要なこと、特に老朽化対策というのは、まだまだやったら切りがないぐらい大切なことなので、二十兆円以上ということを申し上げているわけでございます。
群馬県につきましても、令和元年の東日本台風では、まさに八ツ場ダムが試験湛水で空き容量を持っていたので、私も夜中に当時の河川局長から電話があって、暗い声で、ひょっとしたら利根川があふれてしまうかもしれません、大変なことになりますみたいな電話があったのを今でも覚えていますが、八ツ場ダムのおかげでそうしたことが免れた。そうしたことで、上流ではダムや遊水地で水をため、そして流域治水という、抜本的に変えていこうということをやったわけであります。
そうしたことをまだまだやり続けなければいけないと思っていますが、この公共工事について、防災・減災対策について、御所見があれば簡潔にお答えいただきたいと思います。
○山本一太君 ありがとうございます。
今日、私がちょっと言及した温泉文化については、議連の幹部として大変お世話になっていることをまずお礼を申し上げたいというふうに思います。
今のお話を伺いながら、知事になって直後に例の台風が来まして、県庁に泊まったことを思い出しました。八ツ場ダムのおかげで実は利根川の氾濫を防げたということも、当時の赤羽国交大臣に大変御支援をいただいたということで、公共事業は非常に大事だと思っていますし、この間の千葉県の事件を受けて、うちの県土整備部ともいろいろと議論していますが、一応定期的にしっかりチェックはしていますけれども、これだけのことがあったので、果たして今のチェックで大丈夫なのかということを今県庁内で議論をさせていただいています。
公共事業は、必要な公共事業というのはもちろん多くありまして、特にやはり、ここに来て、インフラ整備だけじゃなくて維持管理の部分、これをしっかりやっていかなければいけないというふうに思っていますので、特に群馬県は、地域の災害対応力という観点を初めて新しい県土整備計画の中に入れましたので、地域の建設事業者にもしっかり頑張ってもらわなきゃいけないということで、これからも必要な公共事業についてはしっかりと進められるような体制をつくっていきたいと思いますので、いろいろな御助言、また、お力添えをいただければ幸いでございます。
以上です。
○赤羽委員 どうもありがとうございます。
災害法制、先ほど浅野さんの質問でもありましたが、福祉の概念、これはうちの党も強く言っていて、この国会で災害対策基本法とか救助法に福祉の概念を入れる。加えて、石破総理の下で防災庁、司令塔をつくる。こうしたことをしっかりと、やはり私は、災害は常日頃からの備えに全て尽きる、そう思っておりますので、是非また御協力をいただきたいと思います。
次に、私は、地方創生について、地方創生というのは、やはり観光と農業、これに尽きるというふうに思っていまして、観光立国ということを国で掲げ、一生懸命やってきているわけであります。
やはり、先ほどどなたかの御発言にもありました観光資源、群馬県がいろいろあると言われているんだけれども、それもそうなんだけれども、私は、大臣のときに、コロナだったので、そんなこともあって、全国六十か所で、観光地でミーティングをしたんですね。今、公明党の観光立国推進議員懇話会の座長もやっているので、二十か所、いろいろなところに行きますけれども、いろいろなところに、観光資源というのはどこにでもあるんですね。大事なのは、その観光資源をどう磨き上げるのか、誰が磨き上げるのかということが大事だ。その差が根本的に大きな差になってしまう。
先日、草津町の黒岩町長に御案内をいただいて見せていただいたんですが、別に、見せていただいたからお世辞を言うわけじゃないんですけれども、私、全国を相当回っていますけれども、相当投資をして観光地として磨き上げているという意味では、やはり日本で一番だと思いました。
先ほど、一位になったというのは、やはり掛け値なし。私は、審査員じゃありませんし、関係ありませんけれども、やはり町づくりは景色づくり。どんなところに行っても、ぼろぼろの大きな旅館が残っていたりとか、もう本当に歴史が伝わってこないとか、本当にたくさんございまして、そうした意味で、やはり本当によくやられているなと。
それで、私自身、高付加価値化事業を実行した大臣だったんですけれども、あれはめちゃくちゃ財務省に嫌みを言われて、何で民間の旅館やホテルの投資を国が二分の一や三分の二を出さなきゃいけないんだと大変批判で、今でも風前のともしびになっているんじゃないか、財務省はいつでもやめたいと思っているんだけれども、私も全国に行くと、高付加価値化事業というのはやはり効果があるなと。
昔でいうと、旅館、ホテルが抱え込んでいたんですね。有馬温泉もそうだったんです。町を歩くともうぼろぼろなので、これはどうにかならないのかといって、町づくりをしていこうということでやって、すごい皆さん努力していただいて町がよくなって、その結果、新しい若い人たちが来たりとか外国人が来て、それで物すごく活性化になって、雇用が生まれて、私は、大変景気がよくなっているんじゃないかと自画自賛しているんです。
これは、使っていただいている黒岩町長から、高付加価値化事業は大事だと言われておりますが、まず、その点、地方創生の効用というか、観光地づくりについて、話せば長くなるのはよく分かっているんですけれども、端的に、高付加価値化事業の今後の継続の必要性について御発言いただきたいと思います。
○黒岩信忠君 大変効果の高いものだと思っております。これは各民間事業者が利用する付加価値の高い交付金でありますけれども、それと、さっき私が言いました社会資本整備事業、それから街なみ環境整備事業、これはどちらかというと行政が主体でやる事業、それから、高付加価値事業は国が直接やる事業ということで、両方が相まったからこそ草津町が一気に元気になってきた。つまり、旅館だけやっても駄目だし、町だけやっても駄目だ、両方やったから急速に伸びてきたということであります。
日本の温泉地の宿命というのは、鉄筋コンクリートが乱立しました。そして、中に閉じ込める手法を取りました。これが温泉地を駄目にしたんです。それではお客様はリピートしない。外に出て観光してこそ、そこの魅力を感じる。ですから、行政は街環とかそういうもので町並みをきれいにして、それで今度は旅館をきれいにしてもらうという、その事業が相まってこのようにうまくいっている。
ですから、先生のおっしゃるとおり、高付加価値というのは大変事業としてありがたい。ですから、是非継続をしていただきたいと思います。
○赤羽委員 ありがとうございます。
私、みんなそう思ってくれているんだけれども、やはり首長が決定権を持っているんですよね。ですから、どうしても観光協会で全部やるというわけにいかないし、公共事業はやはり行政の仕事だし、そうした意味では、お世辞を言うわけじゃないんだけれども、群馬県は、山本知事をリーダーに、草津町長さんとか、それぞれの人たちがこの高付加価値化事業を非常にうまく使ってもらっているという意味で、大変感謝をしております。
次に、ふるさと納税について、浅野さんの質問とちょっとダブるんですけれども、清水市長が言われるように、住民税とか所得税というのは基幹税制ですよね。
ですから、冗談じゃないよ、本当はうちにこれだけ来るはずなのに、何がふるさと納税だ、そういう気持ちはすごく分かるんだけれども、やはり、人口がどんどん減っていってアクセスが不利なところというのは何とかしなきゃいけないと、あれは菅さんが官房長官のときかな、総理のときかな、総務大臣のときか、ふるさと納税ということで爆発的に当たった。その中で、ちょっとやり過ぎなところもあったり、今言った民間企業がやるというのは、私もちょっとどうなのか、人のふんどしで相撲を取るなよみたいに思うんです。
ただ、私は、他方で、地方活性につながっているということはやはり評価すべきだと思うし、草津町長さんも言っていたけれども、通貨をつくったことによって来てもらう、来てもらって三倍の消費を落としてもらうということは、すごく私は賢いんじゃないかな、こう思うんですが、そうした効用は認めつつも、秩序立ったふるさと納税というか、基幹税だという趣旨を外さないようにという趣旨の御発言ということでよろしいでしょうか。
○清水聖義君 先生の言うとおり、別に、自分のふるさとで特徴的なものを皆さんに、全国に知ってもらって、それを例えば商売に結びつけていくというのは、決して悪いこととは、とてもいいことだというふうに思います。
ただ、住民税、市民税に狙いを当てるというのは、しかも二〇%ですから、だから、ほかに何か考えようが、賢い先生方だからあるのではないかと。地方分権というのを言われて久しいわけですけれども、その分権の根っこは何かといったら、地方税ですよ。その根っこの地方税に腕を突っ込んでくるわけですから、だから、これはしかも二〇%ですから、これは、結構な打撃のあるところは打撃がある、打撃のないところは非常に多くの収入が得られる。
地方交付税も全くそれは関係なくやっています。収入額に入っていませんので、全く関係なく別途で入ってくるから、もうどうしようもないぐらいお金があふれている。都城とか、今言った紋別とか、どうしようもない、お金をどうするのというぐらい入っているわけですね。泉佐野なんかもそうかも分からない。
だから、別にそれはいいとは、入ることに努力しているんだから別にいいと思うんですけれども、ただ、根幹となる、我々がみんなでごみを、ごみだけは置いていかれちゃうわけですよ。それで、うちの職員がみんな使われるわけですよね。それで、確定申告をしなくてもいいというふうになっていくわけで、ちょっとその辺を考え直すときではないだろうかという提案をさせてもらいたいというふうに思う。
○赤羽委員 次に、人手不足のテーマに移りたいと思います。
人手不足というのはすごく深刻で、実は、群馬県の建設業協会、青柳会長もよく親しくしているので、この前ちょっといろいろ御指導いただいたんですが、群馬県の建設業の九割の企業で人手不足が一番の問題だという指摘があるということです。
これはやはり、私、働き方改革のテーマと外国人の労働者のテーマということで、まず、働き方改革については、全部関係があると思うんですけれども、知事に代表して御質問したいんです。
この四月から、建設業も運送業も週休二日とか、時間外労働時間の上限等を決めたわけですね。これはいいことなんだけれども、しかし、やはり建設業だと、例えば、雪が降る地域なんかは実際仕事ができないのが三か月ぐらいあって、それを押しなべてやると、年間でいうと、実際働ける時間がすごく短くなるので、もう少し工夫ができないかとか、様々な御意見があるのも事実だと思うんです。知事の方がよく聞いていると思うんです。
私も、やはりいろいろな業界によって働き方というのはいろいろあるので、この働き方改革というのは、総論としては正しいと思うんですけれども、実際、今後どうしてやっていくのか、人手不足の中で働き方改革を機能させていくという意味では、そうした業界ごとの様々な働き方の違いを反映するということはやはりやらなきゃいけないんじゃないかなと課題として思っているんですが、知事に御所見があればよろしくお願いしたいと思います。
○山本一太君 御質問ありがとうございます。
赤羽委員は、青柳会長ともよくお話をされているんですが、例えば、群馬県の建設業協会でいうと、恐らく全国で最も先端的な議論をやっているところで、働き方改革についても、協会が中心になって事業者を集めて、いろいろなセミナーをやったりされているんですね。
おっしゃったとおり、なかなか建設事業者は大変なんですが、建設業に絞って言うと、地域では、実は産業になっているところもあったりとか、あと雇用の受皿にもなっているので、治安にも実は非常に貢献したりしているという実態がある中でいうと、先ほどちょっと言及したんですけれども、今度の県土整備計画の中で、地域の災害対応力というものを初めてコンセプトとして入れて、ある程度地域には、建設業がしっかりしていないと、例えば、台風の災害が起こったときも、大雪の災害が起こったときも、豚熱が起こったときも対応しているところがないので、そういう形で少し建設業はサポートしていきたい。
かといって、若い人が全然入ってこないので、イメージチェンジも必要だし、働き方改革も必要だということなので、やはりその業界の中の努力をよく見守りながら、県としていろいろできる後押しをしていければというふうに思っています。
○赤羽委員 その問題とやはり外国人をどう受け入れるか。先ほど、ポイント・オブ・ノーリターンだと。まさにそういう思いで、多分、技能実習制度から育成就労、永住もできるような、受け入れるということだと思うんですね。
私は、党のプロジェクトチームで以前浜松に訪問したときに、日系ブラジル人の子弟が多いのに、ポルトガル語を教える学校なんてないんですよね、日本で。NPOの皆さんが本当に手弁当でやっていて、これは本当に申し訳ないなという思いを強くしましたし、今、いろいろな公立学校に行っても、必ずベトナムの子供とかフィリピンの子供さんがいて、それがなかなかいい環境になっていないというのは事実だと思うんです。
そうしたことというのは、根本的には、国が外国人労働者を受け入れるというまだ腹が決まっていない。だから、私は、太田市なんかは多分条例を持っていると思うんだけれども、外国人と共生社会をつくる条例みたいなことを国として本当に法定化しないといけないのではないかなと。それですと、やはり良質な外国人を受け入れるという道にならないんじゃないかなと。日本に行ったら、今は円安だし、どうも子供の教育も駄目だからみたいな話で、選択されないんじゃないかということをすごく心配もしています。
外国人を随分多く抱えている太田市の市長さんとして、清水市長の、外国人共生問題について、国の姿勢についても御意見があれば簡潔にお願いしたいと思います。
○清水聖義君 余り国にどうのこうのと、まあ、自分でやろうと。浜松をお手本にして共生センターをつくって、そこで、親は働けばいいんだけれども、子供には罪がないと私はずっと思っていて、親に何か教わろうと思っても教わることができないその隙間を、学校でも宿題までは見ない、やはり学校でないものを、そこのところで何か、子供たちに涙を流させないような環境をつくりたいということで、今年の四月から学習支援を、特に外国人に対して学習支援をやるようにしたんです。その中から東大でも一人ぐらい入ってくれればすごくいいなというふうに私は腹の中では思っていますけれども、やはりそういう学力をつけて、日本人と共生ができる子供たちをつくる。
だから、これは是非国の方で法律を作ってくれてでもしたら、例えば群馬県に一校つくらせるとか、例えば浜松とか静岡でどこかにつくらせるとか、あるいは名古屋につくるとか、こういう学校をつくっていっていただければ、彼らのすごい励みになるのではないでしょうかね。是非そういう方向になってくれれば、共生社会が生きてくるというふうに思っております。
○赤羽委員 どうもありがとうございます。国もしっかりと取り組みたいと思います。
最後に、もう時間が限られていますけれども、知事が先ほど、冒頭発言をいただきました、温泉文化をユネスコの文化遺産に登録する、これを言い出したその思いは、限られた時間ですけれども。
○山本一太君 ありがとうございます。
温泉は、日本の独自の文化だというふうに思っています。
おととし、サウナが世界遺産の無形文化遺産に登録された。今、温泉地、ほとんど全国にありますけれども、みんなかなり、コロナから窮乏して、希望を失いかけている。そのときに、やはり自分たちが一生懸命関わっている温泉が文化遺産に登録されるということは、彼らに希望とプライドを与えるということになると思うんですね。
これは、無形文化遺産ですから、文化的な側面からしっかりもちろん説得していかなきゃいけないんですけれども、やはりこれによって間違いなくインバウンドも増えていく。大変な、やはりデジタルの翼みたいなものを与えることになる。
そういう意味から、どの観光地も温泉があって、まさに日本の文化だと思いますし、この間もハンガリーに行って温泉に入ってきましたけれども、全く違いますから、日本の温泉とは。やはり日本の独自の温泉文化というのを是非皆さんに応援していただいて、何とか登録できるように、改めて、今日来られている議員の皆様にもお願いをさせていただければと思います。
以上です。
○赤羽委員 私も頑張ります。
以上で終わります。
○安住座長 次に、櫛渕万里さん。
○櫛渕委員 れいわ新選組共同代表の衆議院議員、櫛渕万里です。
私は群馬県出身でして、沼田市で生まれて沼田で育ち、今日も群馬県人としてこうして首長の皆さんに質問させていただける機会を、心から感謝を申し上げます。
本当に、「つる舞う形の群馬県」、小学校のとき、上毛かるたの時間が大好きだったんですね。「草津よいとこ薬の温泉」、「太田金山子育呑龍」、そして「花山公園つつじの名所」、我が町は「沼田城下の塩原太助」ですから、本当に今日は、こうした文化がもっともっと発展する元気な群馬県になってほしいという思いを込めて質問をさせていただきます。
また、実家は、幼児教育を六十年以上私学でやってきまして、幼稚園、保育園、そして今はちぐさこども園ということで、学童もやっております。県や市の皆さんに大変お世話になっておりまして、もし後半に時間があれば、各地の幼児教育センター、これをどうもっと盛り上げていけるのか、先ほど子育てのお話がありましたけれども、やはり子供が減っている中で、一方で、大変残念なことに、子供の自殺者も現在全国的に増えているわけです。やはり、生まれてきた子供たちの命をどう守り、そして質の高い教育をどうしっかり供給できるのか、この辺についても後半にお話を伺えればと思います。
さて、まず知事にお話を伺いたいんですが、この県の資料を拝見させていただくと、しかし、残念ながら、私は今日は北毛地区の代表のつもりででも質問させていただきたいんですが、関東財務局の資料、今朝配られたものを見ますと、先ほど、消滅可能性自治体、これは、消滅しないということはやはり現場の努力でそうなっているわけであり、今この統計を見てみると、ここの全国のへそと言われる渋川の周辺から北の方が大変大きな潜在的な消滅可能性というのを言われているわけであり、特にみなかみ町が大変面積が広いわけですね。
知事の資料の中では、やはり人口密集地域とこうした北毛地域の過疎地域、ここのすみ分けであるとか、あるいは戦略性、この辺について、連携をどのような形で考えておられるのか、ちょっとお聞きしたいんですね。
というのも、特にみなかみの地域でありますと、高齢者の足がとにかくない。そして、単に公共交通、じゃ、どうしますかという問題もそうなんですが、現在、結局、家族もみんな今働いているから、本人よりも家族が困るというような状況になり、現役世代にまで影響が出るような状況になっているというふうに聞いています。
先ほど福祉の話もありましたけれども、医療機関の話もありましたが、同じ、やはり病院がない、ドクターヘリはばんばん飛ぶようになったけれども、身近なところで安心してかかれるお医者さんがいないということが特に言われている地域がこの辺りじゃないかというふうに思っています。
その辺り、高齢者の足の問題、そして医療機関の問題、国についての要望も含めてお聞かせいただければと思います。
○山本一太君 ありがとうございます。
櫛渕委員から御質問いただいて、北毛の代表ということですと、私の生まれ故郷は草津温泉でございますので、私も北毛出身でございます。
それから、今の御質問に答えるのは大変なので、なかなか、どういうふうに言ったらいいのかということなんですけれども、医療の、いわゆる医師不足については、先ほどちょっと申し上げたとおり、例えば、いわゆる地域枠を一生懸命今私立大学まで広げて増やしているということと、あと、研修医は、一応、山本県政になってから過去最高で、百人以上をずっと超えているんですけれども、これをいかに医師の定住に結びつけていくかというのは、これからも引き続きいろいろ努力をさせていただきたいということと。
それから、北毛について言うと、この間、例の小児医療センターを吉岡から前橋の方に移すときに、北毛圏に産婦人科がなくなってしまうという話があって、ほとんど、車で行けば、救急車で行けば十五分ぐらいの距離だったんですけれども、ここは、協議会もつくったりして、さっき言ったデジタルとか、いろいろな工夫をしながら対応していくということなので。
全体にお医者さんをわっと増やしていくということはできないんですけれども、片一方でお医者さんを増やす努力をするのと同時に、今言ったような様々な、デジタル技術も使いながら対応していくことを考えていくということだと思います。
人口密集地域と、それから、例えばみなかみを例に挙げておられましたけれども、違いということですけれども、人口密集地域の方は、例えば太田も高崎も伊勢崎も、みんな元気ですから、ほっておいてもどんどん自分でやっていけるんじゃないかと思うんですが、今言ったみなかみは、確かに、面積も広くて高齢者も多いかもしれませんが、今世界的に注目をされていまして、大きな企業も結構投資しているし、レジャーの面でも物すごく可能性があるところなので、それぞれの地域の特徴を生かして頑張れるように、いろいろな後押しをさせていただければと思います。
高齢者の足の問題は、群馬県だけじゃないと思いますけれども、群馬県は自動車王国で、とにかく、免許、保有台数も全国トップクラスなんですけれども、結局、みんな十年、二十年で乗れなくなるので、そこに向けて公共交通をもっと充実させていく、あるいは、もうちょっと先は自動運転もしっかり普及させていくということで、今、公共交通については、どうやってこれに対応していくかということをいろいろ議論をしておりますし、三鉄の問題についても、いろいろな鉄道の存続についても検討して、様々なサポートをしているところでございます。
○櫛渕委員 ありがとうございます。なかなか、高齢者の足の問題、難しい問題だとは思うんですけれども。
先ほど、温泉をユネスコの無形文化財にという話がありましたが、みなかみはユネスコのパークなんですね。ユネスコのパークを取っているんですよね。移住ランキング、群馬県は二位ですけれども、これをやはり定住に向けていく。
特にみなかみ地域は、利根川の上流で、水そして森林、大変今の時代に合ったコンテンツがあります。そして、ここに来た移住の方々が、アクティビティーも含めて、そして観光、温泉もありますから、ここをしっかり定住に向けていくためには、やはり公共交通と医療と福祉といった問題については、中央だけじゃなく、過疎地域にもポイント、ポイントを絞って、選択と集中も必要かもしれませんが、特に過疎地域の中でも選択という考え方もあると思いますから、是非その点もお願いしたいし、国も支援していきたいというふうに思っています。
あともう一つ、知事と、また館林の多田市長にお伺いしたいんですけれども、農業の話がこの資料に出てこなかった、ほぼ出てこなかったのが大変私は残念でありました。デジタルクリエーティブ産業ですか、この誘致も大変いいことだと思いますが、ここは一次産業、二次産業と違って、彼らは場所にとらわれずに、撤収もある意味簡単なわけでして、現在メリットを供給しなければ、いつ去っていってしまうかも分からなかったりするわけですね。
一方、農業をしっかりと強くする、山間地を、やはり農業の六次産業化、大変頑張っていらっしゃる現場の方がいますので、ここを是非注目していただいて、行政的な支援もお願いしたいと思うんですね。
例えば、こんなことがあります。
沼田市のとある農業者が六次産業化で商品開発をして、世界の品評会で好成績を収めた。だけれども、更なる飛躍を目指すために行政に支援を相談してみたが、県も市も残念ながら何もしてくれなかったという声があったりします。
例えばどんなものかというと、薫製ブドウ。これは、干しブドウと違って、冷凍のCAS技術で、取れたばかりのブドウを、ぎゅっと水分とうまみを閉じ込めて、香りと果肉のジューシーさが物すごく残る絶品だそうで、去年、日本でグランプリ、そしてシンガポールでも世界準グランプリを取っている。これをやっているのが完全な個人農家さんなんですね。高齢者が一人でやっている。やはり、こういったところを行政的にも市場にもっともっと拡大していけるような支援をしていくことが、一つは農業を強くするという道ではないかというもの。
あと、群馬の地元沼田はリンゴが有名でありますけれども、取れたばかりのリンゴで廃棄しなければならないリンゴも一方である。そういったリンゴを使ったシードルが、例えば、大変権威のあるスペインのスパークリングワインの国際品評会で、去年、最高受賞を取っているんですね。こうしたところは、比較的、先ほどの個人農家と違って資金力があるわけですけれども、やはりここも群馬をアピールし、そして地元の農業を強くしていく、こうしたことが十分可能なことだと思います。
よく例として、利根実の高校と、そば打ち甲子園というのがありますけれども、北海道の幌加内高校、これは行政と一緒になってアピールすることで、そば打ち産業がすごく伸びたということで、地元のアピールにもなったと聞いています。
是非、この点、お考えをお聞かせいただけないでしょうか。農業についての支援ということです。
○山本一太君 御質問ありがとうございます。
農業を入れなかったのは本当に申し訳なかったんですけれども、十分にするためにはどうしてもしようがなかったということなんですが、農業は本当に、もちろん大事だと思っています。
あるいは、日本の地方の未来というか、群馬県の未来も農業と観光にあると思っていますし、デジタルクリエーティブ産業をつくるということは、実は、ほかの産業のクリエーティビティーも上げる、生産性も上げるという戦略の下でやっていることは、ちょっと申し上げておきたいと思います。
それから、知事になって以来、本当にいろいろな商品開発をしている人たちと会っているんですが、今、櫛渕委員のおっしゃった薫製ブドウとワインの方には会っていないので、早速、戻ったら担当部局から連絡させて、知事室でお目にかかりたいというふうに思っています。
農業について言うと、ここにおられる齋藤委員が農水大臣だったときに会ったときに、一太さん、人口というのは人の口と書くんですよと。そもそも人の口が足りないんだから、今までの農業をやっていたらじり貧じゃないかと農水大臣がおっしゃったので、名言だなと思っているんですけれども、群馬県もいろいろな工夫をしていきたいと思います。
まさに品評会の話なんですけれども、ここから、群馬県の未来はもう外にしかないと思っているので、どうやって海外の販路を開拓するかというのはかなり力を入れておりますので、いろいろな形で、今言ったお二人にも是非会いたいと思いますが、群馬県として様々な、知事のトップ外交等も使って、ベトナムに三十社連れていって百億円ぐらい投資を決めてきましたから、今度は農業でしっかり後押しをしていけるようにしたいと思いますので、また櫛渕さんからもいろいろな、お知恵とか今みたいな情報を是非寄せていただければありがたいと思います。
○櫛渕委員 多田市長にも一言、もしいただければと思います。
○多田善洋君 農業に対しましては非常に力を入れております。
一点だけ、カメムシも一応農業対策でございますので。俗に言う、昔、沼田はどう言ったか分からないけれども、ヘップリムシとか言いませんでしたか。そういうのがもう大量にやっていて、それで米の品質を下げていて非常に問題になっている。
いろいろ対策は、農薬なんかで散布することになると高いんですよね、一反当たりで三千五百円とか、いろいろかかってしまう。こういうふうなことで、これが一都九県ぐらいまで広範囲に今行っていますので、それを止めなければ日本のお米の品質が下がってしまうというふうな話題でございますので、御理解をいただければというふうにも思っております。
その中で、館林においては、農産物の一番顕著な例は、分かりやすく言うと、農産物直売所が、実は群馬県で一番販売しているところが館林でございます。そういったことで、出るところに対しても支援をしているというふうなこと。もちろん、そこには、作ってもらうところは、零細の農家さんが自分ちの小さい面積でもいろいろな品種を作っている。フランス料理でいえば、いろいろなものが、商材ができるぐらいの人気がある、そういうふうなことでやっている。こういった意味では、ある意味では間接的に支援をしているのではないかなというふうに思っています。
また、後継者対策というようなことで、圃場整備を積極的に今やっております。館林の特性は、東毛地区は平たんになっていますから、面積はあるんですね。でも、後継者がいない。それを、農地の区画整理をやりながら、スマート農業とかそういった面では、今、力を入れさせていただいているというふうなこととかです。
そして、六次産業は、イチゴとかそういうのは、乾燥物などですか、そういうのは今はもうここではやっていますので、あとはジャム化とか、いろいろなことにも支援させていただいています。
以上です。
○櫛渕委員 ありがとうございます。
市長がおっしゃったように、六次産業化一つ取っても、農業そのものはやはり細かな基盤がないと無理だと思うんですね、このカメムシの防除ということなども含めて。
つまり、何が言いたいかというと、最初の質問のように、やはり過疎地で農業を担っていらっしゃる方が多いということは、強固な山村、強固な農業をつくるためには、住環境であるとか、福祉であるとか医療であるとか、そこを充実させないと、幾ら六次産業化、商品だけ作っても、市場だけで成り立つものではないというような点を御指摘させていただきながら、総合的な、過疎地とはいえ、農業対策としての視点で是非力を入れていただきたいと、国もそこをしっかり応援し、戸別所得補償ですとか、あるいは就農者支援ですとか、これは国の農水省に求めているところですけれども、その辺りは是非、財政的にはお考えはどうか、ちょっと市長、お聞きしてもよろしいですか。
○多田善洋君 直接的な支援ではないんですけれども、耕作放棄地に対しまして、いろいろな形でのそれを、いろいろな品種ができるようにというふうなことを含めた補助金というのをやらせていただいて、ある意味では、これが新しい品種、例えばオリーブをやるとか何とか、いろいろな形での品種とか、そういったものは取組をさせていただいている、こういうふうな現状、ただ、地域差が多少あるのではないかなというふうにも思っています。
○櫛渕委員 農業政策、また引き続き意見交換させていただきながら、農業者への戸別所得補償制度などの議論なども国で展開していきたいと思っています。
次に、太田市長にお伺いします。
先ほど赤羽議員からもありましたとおり、外国人政策について、国の役割がやはり私は急務ではないかなと、市長のお話も聞いていて思いました。特に、外国人政策については法務省の出入国管理に関する庁しかないわけでありまして、ほぼもう自治体に、いわば教育も含めて、国から見ると押しつけている状況になっているんじゃないかというふうに思っています。
先ほど共生センターというお話がありましたけれども、やはり、国に多文化共生庁であるとか、あるいは共生社会庁みたいなものをつくるというお考え、どう思われるか、御意見をお聞かせいただけますでしょうか。
○清水聖義君 庁をつくろうが何をしようが関係ありませんけれども、とにかく外国人に注目をしていただきたい。
今、農業の話が出ましたけれども、うちも農業はすごいんですよ。ホウレンソウは多分日本一だと思いますし、ヤマトイモとか、ああいったものは結構トップクラスでやっているんですけれども、やはりそのほとんどは外国人が従事しているんですね。ですから、外国人がいないと農業は成立しないということは確実に言えます。
ですから、しっかりとした外国人の対策、あと、日本語の学習、これがきちっとできる。今ボランティアの皆さん方が日本語を教えてくれているんですけれども、やはりきちっとした組織、システムの中で、彼らが自信を持って仕事ができるような環境づくりを、先ほど言ったように、例えば、群馬県にどこか本店を置いて、太田市に支店を置くでも何でも構わないんですけれども、こういったものをやはりちゃんとオーソライズしてもらえれば、多分、外国人も自信を持って日本で生活していこうという気になるんではないかな。そういう社会をつくらなきゃいけないと思っているんですよね。
よろしくお願いしたいと思います。
○櫛渕委員 現場の取組、本当にリアリティーのある御意見をありがとうございます。
赤羽委員もおっしゃっていましたけれども、海外から来られる外国人の方というのは、ある種その国の中から見たら優秀な方が来られているというふうに私は思います。ですから、どう、こういった方々を本当にいい環境で、活用という言葉が正しいか分かりませんが、本当にその方の人生も含めて、しっかり社会全体が責任が持てるような体制にしていくかというのが喫緊の国としての課題でもあると思っていますので、これからも是非……
○清水聖義君 おっしゃるとおりだというふうに思います。
ちょっと一例ですけれども……
○安住座長 質問でいいんですか。(櫛渕委員「お願いします」と呼ぶ)
○清水聖義君 余分な話ですけれども、今、うちは、アフリカのマラウイというところと、国とうちでつき合っているんですけれども、マラウイというのはほとんど誰も知らないような非常に平和な国なんですけれども、そこは、青年海外協力隊、JICAが随分力を込めて行っているんです。そこと、今、姉妹都市になろう、そこへ日本人学校を造ろうかと。
例えば、そこで日本語がきちっとできる人を養成して、若者がすごく多いので、先ほど言った建設業とかあるいは農業とか、そういったところで、今うちは外国人の指導助手がマラウイから来ているんですけれども、そこで造って、そこから、日本語をちゃんと覚えた、ちゃんと勉強した人を、JICAから行った人が指導して、日本語を教えて、輸入してくる、輸入というか、来るというようなケースができればすごいなというふうに思っていまして、前に一回、日本語学校を造ろうよということで向こうの大使館に話したら、大変うれしそうな顔をしていたんですけれども。
そういうことも我々地方自治体がやろうと思えばできますので、支援をしていただくとか、何か一緒に協力してやってもらうとか、そういうことができれば、農業も、例えば建設業も運輸業もみんな国際化してくるんじゃないか、いいんじゃないかなというふうに思ったりしています。
○櫛渕委員 ありがとうございます。
残り二分……
○安住座長 櫛渕君、時間が僅かなので、まとめていただきたいと思います。
○櫛渕委員 最後に、草津町長にお伺いしたいと思います。
災害についてなんですけれども、国は防災庁をつくるということで石破総理は言っていますが、単なる箱物にせずに、私、NPO出身なんですが、特に、何か起こったときに、被災した自治体の職員が避難所の運営とかをやらなくてもいいような、人材をしっかり育て、災害救援NPOなどが随分蓄積を持っていますから、外から入ってこられるような仕組みづくりというのを我々提案しているんですけれども、御意見があれば、最後にお願いします。
○安住座長 質疑時間が過ぎておりますので、手短に陳述をしていただきたいと思います。
○黒岩信忠君 私どもは、水害というものはほとんど経験がございません。一番危険なのが、火山を抱えていまして、火山防災について物事というのを考えていかなきゃならないということであります。
さっきも申し上げましたとおり、火山防災の意思決定をするのは、市町村長に六十三条、六十条の決定権を持たせているんですけれども、火山を知らない首長が火山の避難指示や警戒区域を設定するという仕組みづくりがおかしい。ですから、これの法整備といいますか、制度の見直しというものは、町として行っていただきたいと思います。
お答えになったかどうかは分かりませんけれども、そのように感じております。
○櫛渕委員 終わります。
○安住座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
意見陳述者の皆様におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。
また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
これにて散会いたします。
午後三時十五分散会
―――――――――――――
派遣委員の広島県における意見聴取に関する記録
一、期日
令和七年二月十二日(水)
二、場所
リーガロイヤルホテル広島
三、意見を聴取した問題
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算について
四、出席者
(1) 派遣委員
座長 井上 信治君
高木 啓君 谷 公一君
寺田 稔君 山下 貴司君
山田 賢司君 東 克哉君
大西 健介君 岡本あき子君
酒井なつみ君 山井 和則君
三木 圭恵君 福田 玄君
平林 晃君 本村 伸子君
(2) 意見陳述者
広島県知事 湯崎 英彦君
日本労働組合総連合会広島県連合会会長 大野 真人君
一般社団法人中国経済連合会会長 芦谷 茂君
東広島市長 高垣 廣徳君
(3) その他の出席者
財務省主計局主計官 菅野 裕人君
――――◇―――――
午後零時四十五分開議
○井上座長 これより会議を開きます。
私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の井上信治でございます。
私が会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。
当委員会では、令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算の審査を行っております。
本日御意見をお述べいただく皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、会議の運営につきまして御説明申し上げます。
会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。
なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
まず、派遣委員は、自由民主党・無所属の会の山下貴司君、高木啓君、谷公一君、寺田稔君、山田賢司君、立憲民主党・無所属の岡本あき子君、山井和則君、東克哉君、大西健介君、酒井なつみ君、日本維新の会の三木圭恵君、国民民主党・無所属クラブの福田玄君、公明党の平林晃君、日本共産党の本村伸子君、以上でございます。
次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
広島県知事湯崎英彦君、日本労働組合総連合会広島県連合会会長大野真人君、一般社団法人中国経済連合会会長芦谷茂君、東広島市長高垣廣徳君、以上四名の方々でございます。
それでは、まず湯崎英彦君に御意見をお述べいただきたいと存じます。
○湯崎英彦君 ありがとうございます。
まずは、井上座長を始めとして、衆議院予算委員会の皆様方、こうやって地方公聴会を開催いただきまして、こういう発言の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。
私の方は、今日は四点ほどお話をさせていただこうと思うんですが、いろいろと国に申し上げたいことはたくさんありまして、全部言うと三時間ぐらいかかるのかなと思いますので、今日は十分ですので、四点に絞らせていただきたいと思います。お手元に資料を二つお配りしておりますが、参考資料という方もちょっと開きながら御覧いただければと思います。
まず初めに、東京一極集中の是正についてでございます。
石破総理は、本国会の施政方針演説で地方創生二・〇というのを打ち出されまして、都市対地方という二項対立ではなくて、都市も地方もその魅力を高めて、一極集中を是正して、多極分散型の多様な経済社会を構築していくというふうに御発言をされております。
過度な東京一極集中というのは、合計特殊出生率の低い東京圏に人が集まることによって、日本全体の出生数の減少、これは一部、いや、そんなことはないというお話もありますけれども、参考資料をまた御覧いただければと思いますが、やはり大きな問題だと思います。また、大規模災害によるリスクであるとか、あるいは、他地域に比べて実は東京は経済成長率が低いんですね。これも資料にあるので、後で御覧いただければと思います。そこに資源が集中することによる日本全体の経済成長の低下ということがあろうかと思います。日本の持続的な発展を阻害しているとも言えるのではないかと思いますし、放置すれば日本全体の衰退を招きかねない。これは是正しなければならない構造的な課題だというふうに我々は考えております。
東京一極集中の是正に向けましては、これまでの十年間、各自治体において地方創生の様々な取組が行われてきたところでありますが、構造的要因が大きく作用していると考えておりまして、そのために、大きな流れを変えるには至っていないと思っております。
明治以来、国策として構造的に東京圏に人口集中するような施策を講じてきたことから、今度は逆に、地域は地域でもちろん取り組む必要があるんですけれども、国策としても構造的に地方分散を推し進める抜本的な対策を実施しなければ、政府が掲げる地方創生の目標は実現が難しいのではないかと思います。国としては、東京一極集中是正を求める地方の声を真摯に受け止めていただきまして、取組を進めていただきたいと思います。
二点目は、地方創生を推進する財政措置でございます。
地方におきまして取組を推進するに当たりましては、財源が課題となってまいります。人口減少対策などの重要課題に対応しつつ、地域の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを提供できるように、地方単独事業も含めた歳出の積み上げを行うとともに、地方の税収動向を的確に反映していただきまして、今後も安定的な財政運営に必要な地方一般財源総額をしっかりと確保、充実していただきたいと思っております。
また、地方創生二・〇に合わせて創設されました新しい地方経済・生活環境創生交付金におきましては、前身のデジ田交付金から予算額を大幅に拡充していただきましたことには、これは大変感謝を申し上げたいと思います。
しかしながら、交付金のスキームとして、これは以前と同様なんですけれども、複数年間の事業内容等が具体的に決まっている取組が対象となっています。このため、事業者が試行錯誤しながらいわば探索を行うような事業には、これが対象になりにくいということがございます。
こういう探索的なものは、これは非常に創発的、創造的なものでありまして、その試行錯誤の過程を通じてイノベーティブなアイデアであるとか施策を生み出していく、未来を切り開く成果獲得の確度の高い施策の実施に次第につながっていくというものであるので、本交付金の対象となるように、要件の緩和であるとかKPIの柔軟な設定といったような弾力的な運用をお願いをしたいと思っております。
それから、地方の重要な財源であります地方交付税、もちろん地方税もそうですけれども、これらは、特に交付税は基準財政需要額に基づいて額が決まっております。つまり、地方の財政というのは自主の税と交付税で、枠は基準財政需要額で決まるということですね。基準財政需要額というのは国が実施を認めた施策につくという形になっていますので、それ以外は実行が難しいというような状況です。
資料の十一ページを御覧いただくと、我々が自由になるお金というのは、実は県の場合でも総予算の一割ぐらいしかないのが現状です。地方の創意工夫による独自の取組が実施できるように、交付金も含めて自由度の高い財源を確保していただきたいと考えております。
三点目でございます。地域医療体制の確保についてでございます。
本県におきましては、地域医療構想であるとか、あるいは総務省の公立病院経営強化ガイドラインといったものに基づきまして、大都市圏であります広島都市圏の医療の再編統合を進めております。
大規模な再編を伴う地域の基幹的な病院の整備というのは国も進める地域医療構想の推進に大きな役割を果たすものだと考えておりますけれども、今般、御承知のとおり、非常に建築資材などが高騰しておりまして、投資額が非常に大きくなってきております。
しかしながら、保険医療機関というのは公的価格である診療報酬によって運営されておりますので、物価や賃金高騰の影響を価格に簡単に転嫁できないような構造的な問題がございます。そのため、医療機関であるとか自治体の努力のみによる対応というのは限界がありまして、また、既存の地域医療介護総合確保基金といった支援制度を活用してもなお財政負担が非常に大きいことから、支援制度の新設や拡充をお願いをしたいと思っております。
また、病院事業債特別分の普通交付税措置対象となる建築単価がございますが、これも、令和七年度に予算で引き上げていただいて、これは非常に感謝を申し上げるところでございますけれども、建築単価はどんどんどんどん更に上がっておりまして、こういった実態に応じた見直しなど、財政支援の更なる拡充をお願いできればと思っております。
次に、鉄道ネットワークの在り方でございます。
そもそも、これはJRの話に絞って申し上げさせていただきますけれども、JRは、国鉄改革時に債務の切離しや事業用固定資産の承継を受けて、鉄道事業以外を含めた会社全体の経営の中で、内部補助によってローカル線を維持するということが基本とされています。
また、JR西日本でいいますと、その経常利益は、JR発足時の昭和六十二年は八十億円の黒字でした。完全民営化の平成十六年には九百五十九億円でした。それが直近の令和五年度は一千六百七十三億円です。大幅に増加をしております。
そういった利益状況があるにもかかわらず、単独では維持がローカル線は困難だというふうなことで在り方検討をJRから求められているということがございまして、これは、全国につながる鉄道のネットワークというのがいわばJRの判断のみで分断されていきかねないということがあると思います。これは非常に強く懸念をしているところです。
JRは上下分離とかというお話もあるんですけれども、これは、鉄道の運営に係る負担を、負担の大きさ自体は変わらないわけで、JRから自治体に、つまり税による負担につけ替えるということにすぎないわけでありまして、そもそも、国鉄の民営化以降、国鉄債務の返済のために税とそれからJR株式の売却費約二十二兆円が返済に充てられているという中で、自治体、あるいは税で鉄道を運営していくということが本当に適切なのかということを疑問に思っております。
JR各社が担っております全国的な鉄道ネットワークというのは、国民にとって非常に重要な社会インフラとして、国土の強靱化であるとか地方創生を始めとして、国土の均衡ある発展などの観点から重要だと考えております。
このため、将来の国土の在り方を見据えた鉄道ネットワークの位置づけであるとか、あるいは国費投入を含めた国鉄改革の経緯や現在のJRの経営状況を踏まえた内部補助の考え方、またローカル線の維持に係る国の責任の在り方といったことについて国の考えを明らかにしていただく必要があると考えておりまして、全国知事会などとも連携して、これまで国に対して繰り返し求めているところであります。
こうした中で、JR西からの要請に基づいて、今、全国で初めてになります再構築協議会というのが芸備線を対象に行われておるところでありまして、議論が進められているところでございます。
鉄道ネットワークの在り方の整理というのは個別路線の議論を行う大前提だ、つまり、全体のやはり考え方というのをしっかりと定めた上で個別路線の議論かなと思っておりますので、これらの整理を行わないまま再構築協議会の議論を強引に進めるというのは適切ではないのではないかなと思いますので、これは直ちに国の考えを示していただきたいと考えております。是非、先生方の格段の御理解と御協力をお願いするところでございます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○井上座長 ありがとうございました。
次に、大野真人君にお願いいたします。
○大野真人君 改めまして、皆さん、こんにちは。御指名をいただきました連合広島の大野と申します。
本日は、まずもって、このような意見反映をさせていただける機会をいただきまして、ありがとうございます。広島県に居住して働く者の立場、そして納税者の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
まず初めに、予算案全体感について触れておきたいと思います。
二〇二五年度予算案につきましては、一般会計の歳出総額は三年連続で百十兆円超えとなる約百十五・五兆円と、過去最大の予算編成となっております。必要な予算の積み上げということを理解をした上でですが、歳入の柱となる税収は七十八兆四千四百億円となっていますが、国の借金に当たる公債金が約二十八兆六千四百九十億円となっております。一方で、国債費は二十八兆二千百七十九億円となっていますが、歳出全体の約四分の一が借金の返済に充当されていることや、国債費を上回る公債金が充当されているこの予算編成は、日本の財政の硬直化が年々深刻化しているというふうに感じています。将来にツケを回す構造には不安を抱かざるを得ないという思いをまずはお伝えしておきたいと思います。
二点目は、地方創生についてです。
石破内閣は地方創生を重要政策課題と位置づけ、地方創生交付金は倍増となる二千億円としています。東京一極集中を是正し、地方回帰に焦点を当てる政策として一定の評価はしておりますが、広島県においても、人口減少や人口流出に歯止めをかける政策に生かされるものと、その効果に大きな期待を寄せているところであります。
一方で、東京一極集中を是正するという目標に照らし合わせて、この財政規模が十分と言えるのか、また、施策としての継続性を担保するためには、単年度のみの施策では実効性に乏しく、より長期的に展開されるべきと考えております。地方創生が、地方の実情に合った地方自治体の特効薬とは言わないまでも、継続することによってその効果が期待できる漢方薬としての作用をすることを期待したいと考えております。
あわせまして、こうした交付金については歓迎はしつつも、国主導の中央集権的体制から、自治体に権限や財源を移譲して自治体固有の課題に主体的に取り組めるように、真の意味での地方分権、地方主権となることを望みます。
三点目は、人口減少についてです。
日本全体の構造的な課題として、人口減少と少子高齢化が挙げられます。
広島県の人口につきましては、自然減に加えまして社会減も増加傾向となっておりまして、緩やかではありますけれども、一九九八年の二百八十八万人をピークに、今年の二〇二五年には二百七十一万人まで減少する見通しとなっています。
その社会減となっている背景の一つですが、若者の就学や就職による転出に問題があると考えております。あるアンケート調査によりますと、県内出身大学生の広島県への愛着、これは全国平均より高いということになっておりますが、働きたい企業や業種、職種の不足を理由に県外への就職を選択するという層が一定程度存在しているという結果になっています。成案は持ち得ておりませんけれども、近年、移住希望地としての人気度が高い広島県であるがゆえに、就業地としての魅力を高めていく、その必要があると感じております。
一方で、少子化は、今当たり前の社会の全ての根幹を揺るがすことにつながります。社会保障制度を始め、公共サービス、交通手段の維持など、多くの課題が挙げられます。少子化対策は喫緊の政策課題だと認識しておりますけれども、間違いなく訪れる十年後、二十年後、三十年後の人口減少社会に向けて、将来のビジョンを描き、持続可能で包摂的な社会の構造の構築に向けて、与野党の垣根を越えた議論を是非お願いしておきたいと思います。
四点目は、賃金引上げについてです。
昨年の春闘につきまして、連合広島全体の賃上げですが、六・〇四%と過去最高の水準を記録して、全国平均を上回る結果となりました。そのうち三百名未満の中小組合は四・五三%と、こちらも過去最高という数字にはなりましたが、企業規模間の格差は更に拡大するという結果になっております。
一方で、賃上げは実現したものの、実質賃金がプラスに転じていないこと、また、今後も物価上昇が見通される中での今次春闘となります。具体的に、連合広島としては、賃金引上げは定期昇給を含めて五%以上とし、中小組合は更に格差是正分を一%上乗せする六%以上としております。
その賃上げ原資を生み出すためには、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配と、働き方を含めた公正な取引が最重要課題と考えております。そのためには、労務費の適切な価格転嫁のための価格交渉に関する指針を周知するとともに、この指針を反映したパートナーシップ構築宣言を一層拡大する必要があります。
広島県においては、年々、宣言する企業は増加しておりますけれども、現段階では十分に浸透し切っているとは言えない状況となっています。また、広島県の価格転嫁は進みつつありますけれども、やはり二次、三次請負になるほど厳しい状況がまだまだ見受けられます。
政府においても、賃上げということのみを強調して発信するのではなくて、賃上げの原資を生み出すために、労働に対する価値を認め合い、適正な評価がされるよう、経団連、経済界に対しての働きかけをお願いしておきたいと思います。
特に、直接価格交渉を行っているのは購買担当者です。その購買担当者にその思いを徹底することが重要であって、全ての企業間取引において、宣言に基づいた商慣行の早期浸透を期待をしております。
そして、このことは公契約にも同様の対応が必要と考えております。とりわけ建設業は、他の産業と比較して労務費は低く抑えられています。労働時間が長いなどの理由から就業者が減少し、担い手の確保が困難な状況にもなっています。先ほどの価格転嫁とも関連した内容となりますが、国としての後押しとなる法的な対応も含めて取組を進めていただくことを要望します。
最後、五点目になりますが、核兵器廃絶に向けて意見を申したいと思います。
人類史上初めてとなる原子爆弾が投下され、十四万人もの命が犠牲になったこの広島では、今年の八月六日に被爆八十年という大きな節目を迎えることになります。
連合広島としては、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」、その思いを継承し、広島県被団協の皆様とも連携をしながら、核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現に向けて地道に取り組んでおります。
そうした中で、昨年十二月に日本被団協がノーベル平和賞を受賞されました。被爆地広島としての大きな誇りであると同時に、このことを契機に、核兵器廃絶に向け大きな一歩を踏み出さなければならないと考えております。
その一歩となり得る、来月、三月ですが、開催されます核兵器禁止条約第三回締約国会議へのオブザーバー参加について、多くの国民の期待や被爆者からも参加を求める声があるにもかかわらず、いまだ明言を避け続けています。
唯一の被爆国である日本が締約国会議へオブザーバー参加することは、核兵器の非人道性を世界に発信するだけではなく、軍縮に向けた環境をつくり出す動機づけなどの効果をもたらすことにもつながると考えております。
是非ともオブザーバー参加いただき、核兵器廃絶に向けた機運をより一層高めていただくことを要望しまして、私からの発言とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○井上座長 ありがとうございました。
次に、芦谷茂君にお願いいたします。
○芦谷茂君 ただいま御紹介いただきました中国経済連合会会長の芦谷でございます。
本日は、このような意見陳述の機会をいただきまして、御礼を申し上げたいと思います。
我々の中国経済連合会は、中国地域全体の経済活性化を目的に地域課題の解決に取り組んでおり、本日はそのような立場で意見を発言させていただきたいと思います。
まずは予算案の全般に対する意見を述べさせていただいた上で、当経連がこれまで行ってきた国への政策提言を踏まえた重要課題に関して意見を述べさせていただきます。
それでは最初に、予算案全般に対する意見を述べさせていただきます。
現在、我が国では、官民一体となった取組により成長と分配の好循環が回り始め、令和七年度の予算作成においても、大幅な税収増という形でその効果の一端が表れているのではないかと思っております。
しかしながら、残念ながら、基礎的財政収支黒字化の今年度の実現は難しくなったようでございますが、肝腎なのは成長型経済の定着化に向けたモメンタムを持続していくことであり、様々な施策を織り込む中で、総じてバランスの取れた予算案が策定されているものと受け止めております。
とりわけ、地方創生二・〇として、地方再生を経済成長のエンジンとしていくことが示され、財政的な支援の拡充がなされたことは、地方の経済界として大変心強く感じております。
ただ、当経連の最新の経済調査によると、当地域の経済活動は、足下ではやや足踏み感が見られる状況にあることに加え、流動的な国際情勢も懸念材料になっていると考えております。
国におかれては、こうした中でも成長型経済への移行の流れが腰折れしないよう、機動的な財政出動も含め、的確な政策のかじ取りをお願いしたいと思っております。
続きまして、当経連が重視している個別課題六項目について申し述べます。
お手元に、当経連が今年度政府に行った政策要望に関する資料の抜粋をお配りしております。適宜御参照いただければと思います。
まず一点目は、イノベーションの創出についてであります。
地域の成長と雇用の源泉である産業振興に向けては、地域企業の競争力の強化や新たな産業創出に向けた変革を進める必要があり、当経連でも、これに向けたDXの促進などに鋭意取り組んでいるところでございます。また、地域を牽引する新たな産業創出に向け、ディープテック分野のスタートアップの創出、育成を加速していかなければならないと考えており、大学等研究機関のシーズを発掘し、事業化に導く支援活動を推進しております。
昨年当経連が実施した海外視察において、英国等では、産官学が連携してこの分野のオープンイノベーションを強力に推進する環境整備がなされており、大変感銘を受けました。
今回の予算でディープテックスタートアップの事業開発支援及びグローバル化強化を盛り込んでいただいていることは大変ありがたいことと受け止めており、こうした海外の国々に打ちかち、グローバルに活躍するスタートアップを創出するためにも、更なる国の御支援をお願いしたいと考えております。
二点目は、カーボンニュートラルへの対応についてでございます。
当地域は、コンビナートを中心に、鉄鋼や化学などエネルギー多消費型産業が集積しており、カーボンニュートラルへの対応は極めて大きな課題であります。
現在、我が国では、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向け、GX移行債による先行投資を進めることが基本的枠組みとなっており、先行して投資する、いわゆるファーストムーバーを中心に財政支援を講じることとなっております。
当地域では、産業の需要地点が東西に点在しており、また企業規模も中小企業が多いことから、セカンドムーバー以降への切れ目のない支援が不可欠だと考えております。
こうした地域の実情やカーボンニュートラル燃料の供給量、さらには国際政治の動向などを踏まえた上で、国益と地域経済に配慮した戦略的な御対応をお願いしたいと思っております。
また、脱炭素社会の実現に向けては、国、企業、国民が一体となって取り組んでいかなければならないと思っております。国には、コスト負担等の国民への理解醸成に率先して取り組んでいただくことを強く希望しておりますので、よろしくお願いをいたします。
三点目は、交通基盤整備の関係につきまして申し述べます。
人口減少、高齢化が進展する地方において、社会基盤の整備は、地域の経済社会活動を下支えする基礎として大変重要です。また、中国地方は従来から物づくり産業の集積地として我が国の経済に大きな役割を果たしてまいりましたが、新たな企業立地を促すためにも、交通、物流拠点の充実や高速アクセス網の整備など、交通基盤の整備は不可欠であります。
現在、山陰自動車道など高規格道路の整備、広島や岡山など都市圏の機能連携に資する道路網の整備、広島港など国際物流機能強化のための港湾施設の整備などの事業が推進されております。こうした事業を今後も滞ることなく継続的に整備していただくことが、当地域の持続的な成長に向け重要と考えております。
加えて、昨年の能登半島地震により、改めて、地域道路ネットワークの強靱化、とりわけリダンダンシー確保の重要性を認識いたしました。当地域においても、交通基盤の老朽化、耐震対策や防災・減災対策などの予算を確実に確保していただき、災害に強い、誰もが安全、安心に暮らすことができる地域でありたいと考えております。
令和八年度からの国土強靱化実施中期計画は、資材価格の高騰等を勘案し、現在実施中の五か年加速化対策を上回る水準の事業規模が適切との考えで検討されていると聞いております。是非しっかりと対策を進めていただきたいと思います。
四点目は、観光振興に関して申し上げます。
おかげさまで、中国地域の観光需要はコロナ禍前の水準を超えるまで回復しておりますが、一方で、山陰両県のインバウンド回復は遅れるなど、地域差が見られる状況にあります。観光客が集中する首都圏や大阪、京都から地方へ、さらには中国地域全体への誘客を促すことが当地域の課題だと認識をしております。
二〇二五年は、大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭などの国際イベントを間近に控え、地域の魅力ある資源を活用した観光需要の掘り起こしや、インバウンド需要の受入れ拡大に向けたプロモーション活動など、観光消費拡大につながる取組を一層推進してまいりたいと考えております。
観光振興は、島嶼部や中山間地域が多い当地域の資源活用という観点で、極めて重要だと考えております。是非とも持続可能な観光地域づくりやインバウンド誘客の戦略的取組への継続的な支援をお願い申し上げます。
五点目は、デジタル共通基盤の整備について申し上げます。
デジタル化は地方こそ必要な施策だと考えており、この度、省庁横断的なデジタル共通基盤の整備計画であるデジタルライフライン全国総合整備計画が策定され、予算措置がされたことは、地方創生に向けたデジタル実装の強力な後押しが始まったものと心強く受け止めております。
当経連でも、昨年、本整備計画の地域浸透、展開のイベントを全国に先駆けて開催したところであり、今後、各地で実装が進んでいくことを期待をしております。
新たなビジネスモデルの創出や、地域課題の解決につながる革新的なサービス開発の促進、頻発する自然災害への対応など、諸課題の解決に向け、データ利活用推進に向けた環境整備や情報通信インフラの戦略的な整備など、国主導で強力に牽引していただき、デジタル実装を具体的かつ着実に進めていただくようお願いをいたします。
最後に、六点目は、地域を支える高度専門人材の育成についてでございます。
地方創生を進めるに当たっては、人材の確保が最も重要な課題です。とりわけ、企業のデジタル化やイノベーションを創出する高度専門人材が地方においては決定的に不足しており、今回、これに関する各種予算が新しく手当てされたことを喜ばしく思っております。
当経連でも、大学や民間の教育機関と連携を取り、ウェブによる優良な講座の提供などの支援に取り組んでいるところでございますが、必要とする人材の質と量にははるかに及びません。首都圏で活躍する人材の地方での活躍強化施策を含めた国の更なる御支援をお願いできればと思っております。
以上、日頃、当経連の活動の中で痛感している個別課題について申し述べました。人口減少を始め地域課題への対応は待ったなしの状況にあり、今回が地方創生のラストチャンスだと考えております。
石破総理が言及されているように、地方創生は地方自らが知恵を絞り取組を強化していくことが重要という考えでおりますが、地方創生は、官民一体、国も地方も共に取り組むことが必要不可欠だと思っております。国におかれては、地方創生に向けた機運の醸成と全面的な支援を改めてお願い申し上げ、私からの意見陳述とさせていただきます。
本日はありがとうございました。(拍手)
○井上座長 ありがとうございました。
次に、高垣廣徳君にお願いいたします。
○高垣廣徳君 東広島市の高垣廣徳でございます。
まずは、東広島市に意見陳述の機会を設けていただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、東広島市における課題、特に産業と女性、若者の流出及び農業の課題につきまして意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、二ページの目次を御覧ください。
本市のこれまでの発展の経緯と地方が抱える課題と海外の地方都市の成長戦略を説明し、これらを踏まえた本市の成長戦略とその課題を御説明させていただきます。
三ページでございます。
本市は、広島大学の統合移転を契機として一九七四年に東広島市として誕生し、賀茂学園都市建設と広島中央テクノポリス建設の二大プロジェクトの推進によりまして約二十万人の都市へと成長し、昨年、市制施行から五十周年を迎えたところでございます。
この間、本市の町づくりに対し、国から多大なる御支援を賜りましたこと、この場をおかりし、厚く御礼を申し上げます。
さて、こうして成長、発展してきた本市でございますが、今後も、持続可能な都市であるために、本市に本社が立地している半導体企業のマイクロンメモリジャパンの大型投資を追い風とした産業施策等により、人口も二十二万人へと増加していくことを見込んだ町づくりを進めていこうと考えております。
その一方で、本市においても、将来を担う女性や若者の定着や中山間地を支える農業の衰退など、日本の人口減少社会における課題が徐々に表面化してきております。
四ページでございます。
こうした状況への対応を検討する中で、広く世界に目を向け、マイクロン社の本社の立地するアメリカのボイシ市やアリゾナ州立大学が立地するテンピ市を調べてみますと、これらの市は、大学という知的資源と国際的企業の立地を生かし、首都などの大都市を介さず国内外の企業を顧客や連携先にできる、世界と直結した稼げる地方都市、いわゆるローカルハブとして成長をし続けている都市であることが確認できました。
五ページでございます。
このような視点で我が市を見てみますと、本市には、既に世界を舞台とした大学とグローバルな企業が立地しており、そこでの研究等を通じて新たなイノベーションの動きが生まれ、産学官による新たな経済価値を生み出すエコシステムを構築していくための環境が備わるなど、本市はローカルハブとしてのポテンシャルを持つ都市であることを再認識いたしました。
六ページでございます。
こうした中で、東広島市と広島大学で次世代学園都市構想を描き、町づくりを進めていくこととし、成長を続ける町づくりのためのエコシステムとして、市と大学の連携によるタウン・アンド・ガウンの取組を推進することといたしました。
タウン・アンド・ガウンは、市が持つ行政資源と大学の研究資源をベースとして地域課題解決に資する科学技術の社会実験や人材育成のための地域共創の場を形成し、そこに民間企業なども加わることで持続的な地域の発展と大学の進化を目指す取組です。
七ページでございます。
また、本市には、世界の先端半導体分野をリードするマイクロンメモリの継続的な投資が続き、近年の生成AIの進化により急速なニーズも高まっておることから、国からも昨年、一千九百二十億円の支援が決定されました。
また、広島サミットを契機に、広島大学を含む国内外十一の大学と半導体企業による半導体人材の育成の取組も始まっており、これはまさに、本市と広島大学で進めているタウン・アンド・ガウンのモデルとなる取組になっていると考えております。
八ページでございます。
このように、ソフト面における共創の仕組みは着実に進化しておりますが、その受皿となる道路や住環境の都市インフラと、半導体関連産業の立地のための産業用地の確保が課題となっており、民間投資を呼び込む上でも早急な対応が必要となってございます。
九ページでは、国土交通省、県、市で交通課題に対応するための道路網ネットワークを検討しているものであり、一部には地域産業構造転換インフラ整備推進交付金を活用させていただき整備を進めておりますが、この交付金の拡大をお願いするものであります。
十ページでございます。
本市としては、この半導体産業のエコシステム形成を起点として、二〇五〇年を目標に、持続可能な次世代学園都市の実現に向けて取組を進めているところでございます。
次に、十一ページでございます。
女性、若者が定着し活躍する町に向け、地方の現状と、国を挙げて考えていただきたい事項につきまして述べさせていただきます。
現在、本市では、先ほど説明いたしました広島大学や研究機関、企業における様々な共創の取組を中心に、国内外から様々なバックグラウンドを持つ人材が集まってきております。
一方で、そこにコミットしない本市で生まれ育った女性や若者は、他の地方都市と同様に、東京や大阪などの都市圏に流出する傾向にあります。
こうした状況に歯止めをかけるため、市では、若者の起業支援や企業、地域社会におけるアンコンシャスバイアスの解消、多様な主体の共創による自己実現のための環境構築など、地方でできる取組を行っており、その財源には新しい地方経済・生活環境交付金を活用する予定としております。
十二ページでございます。
こうした地方でできる取組を行っておりますが、地方での採用職種は限定的で、学んだスキルを生かした仕事に就きにくいといった状況がございます。また、地方では、人の流れも限定的であり、多様性が尊重されにくい企業、地域社会の風土が依然として残っております。
これらのことから、官公庁、企業の拠点が首都圏にあるといった日本全体の構造に問題があり、その解消に向けて、本社機能の地方移転の促進などが必要ではないかと考えております。
本日視察をされた酒類総合研究所は、国の研究機関の地方移転第一号であり、現在も本市の活力の一翼を担っていただいております。こうした流れを一定程度つくることで、脆弱な国土のリスク分散、東京一極集中の解消、ひいては女性や若者が地方にとどまる流れが生まれてくるのではないかと考えております。
次に、十三ページでございます。
中山間地における農業施策についてでございます。本市では、「活力ある農業と魅力ある農村が育むまち東広島」を将来像に掲げ、農業を通じた地域保全と農業の高収益化に係る施策を両輪として展開しているところでございます。
まず、農業を通じた地域保全では、集落コミュニティーの醸成や農村への定住を基礎とし、農村資源の活用と保全、ライフスタイルに応じた生産活動を通じて地域社会と良好な生活環境を持続させる農業を、次に、農業の高収益化では、若者が職業として農業を選択し、次世代に引き継がれていく魅力ある地域産業として他産業と遜色のない所得を形成し、意欲ある者が夢と未来を描き、地域経済に活力を生み出す農業を目指しております。
この将来像を実現するため、本市では様々な取組を行っているところであり、集落営農組織など担い手の設立支援と農地集約を始め、主な取組を資料に記載しておりますが、これらの事業の実施に当たりましては、農地中間管理機構事業等多くの国の支援制度を活用させていただいているところでありまして、深く感謝を申し上げるところでございます。
十四ページでございます。
こうした国の支援制度を活用しながら、市においても様々な取組を行っておりますが、農業者の減少と耕作放棄地の増加の課題はいまだ解消されておりません。
この要因といたしましては、三点。一つは、集落営農法人も高齢化が進み、これまでの米価の低迷により後継者の確保が困難であること。二番目に、主に小規模兼業農家により多くの農地は維持されておりますが、生産資材の価格の高騰等により所得が上がらず、農業者の離農、規模縮小が加速していること。三番目に、圃場整備した農地であっても狭隘で農業の効率化が難しく、スマート農業のメリットも享受できないため、農業者の省力化が進まず、耕作放棄地が増加していることでございます。
農業者の減少、耕作放棄地の増加に歯止めをかけるためには、中山間地に適応した農業施策の展開が必要であると考えておりまして、農業所得補償制度、適正な価格形成の仕組み、水稲栽培の効率化のための再圃場整備、中山間地で活用できる安価なスマート農業機械の開発導入について、国の御支援をいただきたいと考えているところでございます。
以上、持続可能な地方都市はどうあるべきか、農業を含む産業分野の視点から意見を述べさせていただきました。
今後とも、地方の持続的な発展に向け、引き続き国の御支援を賜りますことをお願い申し上げまして、私からの意見陳述とさせていただきます。
本日は、このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございました。(拍手)
○井上座長 ありがとうございました。
以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○井上座長 これより委員からの質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。
○寺田(稔)委員 自由民主党、寺田稔でございます。
今日は、質疑の時間をいただきましたことに感謝を申し上げますとともに、地元県での開催ということになりましたが、諸準備またお世話をいただきました地元関係者の方々にも感謝を申し上げ、限られた時間ですので、早速質疑の方に移らせていただきます。
まずもって、四人の意見陳述をしていただいた方々、貴重な御意見を誠にありがとうございました。それぞれのお立場から貴重な御意見を頂戴したわけですが、まず、私の方から、広島県の今の経済状況、とりわけ中小企業、あるいは小規模事業者も含む中小企業についての現況、またそれに対する取組をお伺いしたいと思います。
直近の国の中小企業景況調査、これは十―十二月期、昨年の第四・四半期でございますが、総じて景気回復で収益環境は向上する中、やはり、中小企業に限って見ますと横ばい、あるいは業種によってはマイナスポイントとなっております。とりわけ、サービス業、飲食業といった業種、あるいはまた一部製造業において足踏み状態が見られる。恐らく、当県においても、そうした傾向、トレンドが見られることと思います。
私も、地元の中小事業者の幾つかから直接お声を頂戴いたしております。代表的な声として、一つは、半導体関連を除いて、顧客の主要製品に対する引き合い、すなわち需要が非常に停滞をしている、すなわち売上げが伸びないといった問題点。二点目は、原材料価格の高騰や、あるいは、最近、直近時点での金利の上昇によって収益が大変圧迫されているという経費の上昇、コストの上昇による収益の圧迫。三点目は、慢性的な人手不足によって、業容を拡大したい、あるいは仕事を請け負いたくてもできないという人材確保の問題。これは、全国的にもほぼ同様の傾向が見られているところでございます。
国としても、御承知のとおり、賃上げ支援税制、省力化補助金、あるいはまた中小企業の事業承継支援あるいは中小企業金融など、施策を行っておりますが、まず、行政を担っておられるお二方、県としての中小企業対策の取組について湯崎知事から、また、自治体、東広島市の取組について高垣市長から、それぞれお伺いしたいと思います。
○湯崎英彦君 御質問ありがとうございます。
まず、中小企業の状況でございますが、今、寺田先生がおっしゃったとおりの部分と、それから、県内、比較的、観光が好調に推移をしておりますので、そういった面では一部好調なところもあるかと思っております。一方で、御指摘のような人手不足などは深刻でありまして、やはり、宿などではフルにお客様を受け入れることができないとか、そういった状況も起きていると思います。
我々といたしましては、やはり、賃金の上昇を中小企業が実行できることが経済の好循環にも資するということも含めまして、生産性の向上というのが非常に重要なことだと思っております。
このことについて二つありまして、一つは、やはり設備投資、特にDX関連の設備投資ですね。製造業では、これまでも例えば個別の設備投資に対する支援ということも進めてきておりますけれども、今般、トータルに見た全体最適を行おうと。そのためには、一定の伴走支援的なものも必要になってきますけれども、そういったものを提供しながら、企業全体の最適化を図る。DX、ロボット等ですね、こういったものの導入を図っていくというようなことをやっておりますし、サービス業向けにも、やはりデジタル化に対する支援というものを進めていこうというふうにしております。
そして、もう一つの流れとしましては、今のはソフトも含めたハードというかの部分なんですけれども、やはり、人的投資、これを進めるということが非常に重要だと考えておりまして、人的資本経営の推進ということで、中小企業が人的資本経営を行うに当たって非常に多岐にわたる項目に取り組まなければいけないんですが、それが中小企業だとなかなか難しいところがあるので、それを非常に簡易に自己チェックをした上で、課題を洗い出して取組を進めることができるというようなツールも開発しまして、それを活用して人的資本経営の強化をする、こういったこともやっております。
いずれにしましても、ハード、ソフト、そして人の面から生産性の向上を図るということを進めているところでございます。
○高垣廣徳君 賃上げの動きにつきましては、我が市にも大きく広がってきているということでありまして、今後、中小・小規模企業が人件費上昇に耐えられるのか、あるいは引き続きちゃんとした雇用の確保ができるのかということが課題ではないかというふうに思っています。
まず、鍵は、一つは、人件費上昇分を適切に価格転嫁ができるような社会の受容性というんでしょうか、そういうことを増していく必要があると思いますし、人手不足が向上していく中で生産性をいかに向上させていくのかということも、これまた大きな課題ではないかというふうに思います。
本市でもこの二点を、国の交付金を活用しながら、あるいは、補正予算や新年度予算に計上されている、中小企業対策を打ち出されておりますけれども、こういうふうな予算を活用しながら、今後取り組んでいく必要があると思っています。
物価高騰チャレンジ応援補助金などにおいては、省エネ投資、先ほど湯崎知事もおっしゃいましたGX、あるいは、これまでDXもコロナ禍の中で進めてまいりましたけれども、こういうような設備投資をする中で、生産性の向上、省エネ化を図っていくということが必要。そしてさらに、効率化、高収益化を図ること、新商品、新サービスの開発をするための伴走支援の仕組みをつくっております。ハイビズという伴走支援の仕組みをつくっておりますけれども、そういうものを活用しながら、この課題に向けて対応していきたいというふうに考えているところであります。
○寺田(稔)委員 ありがとうございます。
中小企業の抱える大きな問題として、価格転嫁率が非常に低いということが、これは予算委員会の場でも度々指摘をされているところでございます。中小企業取引環境の適正化の取組というのが、これは国としても当然進めていかないといけないわけですが、これは経済界を代表して芦谷会長にお聞きをするのでありますが、予算委員会の中でも、我が国の商慣行の中で価格転嫁を阻害をする要因があったという指摘もなされております。
これは、調達をする側の大手企業が調達をされる方の中小事業者に対して、一定の価格以下でお願いをするというふうな慣行が長らくあったということで、これは現在においても度々聞かれる声ではございますが、こうした阻害要因について経済界としては現状をどう認識をされ、今後適正化に向けて経済界としてどのように取り組んでいくのか。
また、労働界を代表して大野会長、先ほど価格転嫁の問題についてもお触れになられましたが、やはり、円滑な価格転嫁が進まないと、中小企業の賃上げ率がなかなか向上しない。かなり野心的な目標を今度は掲げられているということでございますけれども、連合として、先ほど申し述べられた点に含めて更なる御所見があればお伺いをいたします。
○芦谷茂君 御質問ありがとうございます。
我々経済界としても、地域経済の好循環に向けては、従業員数の約九割を雇用する中小企業の生産性向上の成果を賃金に反映することが重要だという具合に考えており、適正な価格転嫁を通じて賃上げの原資を安定的に確保することが非常に重要だという具合に思っております。
しかしながら、昨年の中小企業庁の調査によると、価格転嫁率は約五割と、価格転嫁は依然道半ばだという具合に聞いておりますし、また、当経連が実施しております景況アンケートにおいても、原材料や資材価格に関しては約七割の企業が価格転嫁ができているという回答をしている一方で、人件費に関しては約七割の企業が転嫁できていないという回答をしておるところでございます。
中小企業において、構造的な賃上げの実現に向けては、経済三団体が推進しておりますパートナーシップ構築宣言の実効性を高めるということが非常に重要だという具合に思っておりますし、消費者に向けても、よいものやサービスには値がつくということを浸透していく取組も非常に重要じゃないかなという具合に思って、今後も我々もそういうような活動を続けていきたいと考えております。
以上でございます。
○大野真人君 中小企業の価格転嫁に向けて、広島県もパートナーシップ構築宣言の普及に向けてかなり力を入れてもらって、その一方で、価格転嫁に向けたセミナーというのも開催してもらっています。そういった意味で、広島県も大分進んできているとは思っているんですけれども、パートナーシップ構築宣言普及促進ということで見れば、広島県の企業の五〇%ぐらいの宣言だというふうに思っています。
ただ、なかなか転嫁できない背景として、やはり、日本の根強い昔からの価格交渉の仕組みというんですか、価格は据置き、景気が悪くなると価格を引き下げるという、その古い慣行が残っているということなんですけれども、一方では、これも慣行になりますけれども、中小企業がなかなか元請の親会社の賃金を超えて賃上げできない、こういう風土も残っているというのも事実。それと、今、足下で見れば、交渉を行うと、価格交渉をしようとすると、もう契約を打ち切られるんじゃないかという企業も存在しているということ。価格交渉して、原材料価格とエネルギー価格までは実現できたけれども労務費まではという、そういう取引もあるということなんですよね。
そういった意味では、私は、今トップダウンの価格転嫁はできていると思うんですね、大企業から一次請負に対する。ただ、それが今下まで伝わっていないということだと思うんです。本当の意味の価格転嫁というのは、ボトムアップで価格転嫁をすべきだというふうに思っています。それができれば一番いいんですけれども、そういった風土をつくればもう少し早めに価格転嫁が進むような気がしています。
以上です。
○寺田(稔)委員 それぞれ貴重な御意見ありがとうございました。
次に、地方創生、四方からもそれぞれ意見の表明がございました。今回の地方創生二・〇の一つの大きな柱として、女性、若者に選ばれる地方、すなわち、女性、若者が定着をして、そこで働き、そこで生活を営むということを大変大きな一つの柱に据えておりますが、広島県の一つ大きな問題として、既に御指摘ありますように、転出者が非常に多いというふうな問題、これがあるわけでございますが、これは湯崎知事にお伺いいたしますが、その原因は一体どういうふうなところにあり、県としてどういうふうな対策を考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○湯崎英彦君 ありがとうございます。
大きく言って、構造的な問題とそれから個別の問題とあると思いますけれども、まず、構造的な問題としては、広島県の大学進学者数に対して県内の大学の定員が少ないということがございますので、これは確実にその分は県外に出てしまうということがございます。
それからもう一つ、これは構造的でもある反面、広島県の課題でもあるわけですけれども、やはり企業が東京に集中をしておりますので、特に採用力の強い、ブランド力の高い企業が集中している。そうしますと、やはり、県外に出た、特に東京に出た学生というのは、そういうブランド力の高いところに採用されてしまうということがございます。
昨年、広島県で、転出の理由について、特に若者に対して詳細な調査を行いましたけれども、成長志向の人たちはやはり多く県外に出ている。住む場所を優先してどこで働くかというのを選択する人もいまして、そういう人も一部は、やはり都会への憧れということから都会を選択するというようなことが起きているというふうに思っております。
なお、これを解決するためには、一つは、我々が取り組もうとしておりますのは、やはり、少し低年齢の時代から、小学校、中学校ぐらいから県内の企業についてしっかりと知ってもらうという取組を進めていきたいというふうに考えております。つまり、もう出ていった後では、なかなか県内企業のことについて情報収集が事実上難しくなっていきますので、広島にいる段階、若い段階からしっかりと、どんなことをやっているかということを知ってもらうということが一つ。
もう一つは、やはり、若い人が就きたいような魅力的な仕事をつくっていく。これは、スタートアップであるとかあるいはテクノロジー関連であるとか、そういったものを中心に県内への集積を図っていくということがございます。
それから、やはりイメージですね、イメージであるとか、あるいは町の魅力を高めていくといったようなこと、これは広島市であるとか福山市と連携もして取り組んでいく必要がありますけれども、そういった魅力を向上させていくというようなこと。こういったことに取り組んでいきたいと思っております。
一方で、先ほども申し上げましたように、やはりこれはかなり構造問題なので、私、常々言っているんですけれども、例えばイメージも、テレビドラマなんかでもほとんどが何か東京のおしゃれな生活ばかりが出てくる、そういうことも含めて変えていかないと、なかなか若者の意識というのも変わっていかないと思うので、それから今の企業の立地状況、こういったことにもしっかりと国としても取り組んでいただければというふうに思っておるところでございます。
○寺田(稔)委員 ありがとうございます。
国としても、今回、地方創生二・〇の一つの大きなテーマが女性、若者の地方定着ということでありまして、これから補助金要綱、具体的な申請のフォーマットも作成をされます。高垣市長からも是非これで申請をしたいという御要望もございましたが、しっかりとお応えをすることができればと思っております。
時間の関係で、もう次が最後の質問になろうかと思います。
財務大臣も、予算委員会の場で、やはり経済あっての財政であり、今後、追加的な対応が生ずることも念頭に置くし、成長率の引上げに重点を置いた対応を進めるということでございまして、国の予算に対する御要望、これは既に御要望をされておられる方もおられるわけでございますが、大野会長、そして芦谷会長、高垣市長の三名から、もう既に言ったことに尽きるということであれば割愛していただいて結構です、特にこれをお願いしたいということがございましたら、一言でよろしくお願いいたします。
○井上座長 それでは、簡潔にお願いいたします。
○大野真人君 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、予算の大きさというよりは、やはり地方分権ということで、地方が責任を持って対応できる、スピーディーに対応できるということが一番望ましいんだろうというふうに思います。これからも、自然災害も含めて、全くもって先に防ぐということはできないと思いますので、そういうことも含めて、やはり地方は地方の権限を持って進められるという形をつくってほしいということ。
それと、繰り返しになりますけれども、冒頭言ったように、予算の今の規模が適切かどうかというのは私には分かりません、無駄があるかどうかも分かりません。ただ、国債に頼るという予算の枠組みが果たしていいのかどうかというこの不安は拭い切れないので、そういった意味で、執行するに当たっては、予算のそういったことも含めて執行いただきたいということはお願いしておきたいと思います。
○高垣廣徳君 私からは、特に二点お願いできたらなと思います。
本市の成長、あるいは、これは我が国においても重要なテーマと思いますけれども、半導体産業をどういうふうに我が国において世界に負けないような、そういう産業として成長さすかということが必要ですけれども、この分野は非常にスピード感が速い。しかも、投資が、これまで我々が経験したことがないような大規模なものが展開されます。そういう意味でいうと、地方においてもそれについていく必要があるわけでありますけれども、支援の枠組みについて、国において積極的な形の支援がお願いできたらなというのが一つ。
それと、能登半島の地震、あるいは今回の八潮の下水道でもございましたけれども、いかに強靱な国土になっていくのかということが大変重要で、これから御審議されると思いますけれども、国土強靱化に向けた予算というものはしっかりと確保していただく必要があるし、それによって、脆弱な国土、この国土の中で将来共々繁栄していく日本であるためには、そこの基盤というものが大変重要であるということで、その二点をお願いできたらと思います。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
今回の予算案では地方創生を経済成長のエンジンとしていくことが示されており、国におかれましては、成長型経済への移行の流れが腰折れしないよう、的確な政策のかじ取りをお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○寺田(稔)委員 ありがとうございました。
○井上座長 次に、東克哉君。
○東(克)委員 ありがとうございます。
本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。立憲民主党の東克哉と申します。
皆様方におかれましては、様々な現場の御意見、そして御要望等を伺いまして、本当にありがとうございます。
早速ですけれども、質問の方に伺わせていただきたいと思います。
まず、御意見の中のほとんどがやはり賃上げ、価格転嫁という話であったと認識しているんですけれども、先ほど大野会長が言われました、ボトムアップの価格転嫁という発想があったんですけれども、それをもう少し具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか。
○大野真人君 ありがとうございます。
その前に、賃上げの必要性と価格転嫁の必要性というのは、春闘に入る入口で、経済界と連合本部、東京で意見交換もしてスタートしたんですが、この広島においても、一月の三十一日に、いわゆる政労使会議ということで、湯崎知事にもお越しいただいて意見交換させていただきました。その場でもそうですけれども、賃上げの必要性と労務費を含めた価格転嫁、価格転嫁が必要だということはもう全会一致なんですよね。ここ数年ずっと言っているんですけれども、なぜそれが進まないかというのが問題だと私は思っています。
全然進んでいないかといえば、大企業と一次請負は進んでいます。おおむね進んでいます。じゃ、その先はどうか。どんどん確率が落ちてくるんですよね。そういった意味で、今はトップダウンの価格転嫁は進んでいるけれども、むしろ下からの積み上げで初めて製品の価格というのは決まるんじゃないかなというふうに思っています。これは非常に難しいことなんですけれども、言うのは簡単ですけれども、難しいと思っています。そういった意味での価格交渉ができればということを望んでいるという意味です。
以上です。
○東(克)委員 ありがとうございます。
先ほど、大企業、一次、二次、三次、四次、下に行けば行くほど難しいというふうに言われておられましたけれども、芦谷会長の方にお伺いさせていただきたいんですけれども、それをどうやったら下まで、二次、三次、四次までの受注側に対してスムーズに価格転嫁の交渉ができるようなものになるのかどうかという、何が阻害だというふうな認識を今お持ちでしょうか。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
先ほども意見を述べさせていただきましたけれども、やはり、中小企業における構造的な賃上げの実現には、パートナーシップ構築宣言の実効性を高めていくとともに、消費者の考え方も変えていく必要があり、よいものに、さらにはサービスにはお金がかかるんだということを社会全体としても受け入れながら取り組んでいく必要が我々経済界としてもあるんじゃないかなという具合に思っており、今後もそういうことを訴えていければという具合に思っております。
以上です。
○東(克)委員 ありがとうございます。
社会全体の、消費者の値上がりしてもいいというものの機運について、これまた大野会長と芦谷様それぞれにお伺いしたいと思うんですけれども、国がそういう機運をつくっていくべきだというふうに思われるのか、若しくはそれぞれの企業が頑張ってそういうことをやっていくのか、若しくは同じようなレベルで、先ほど言いました、政官民連携してやっていこう、具体的にこういうふうに進んでいけばそういう機運が高まるなというイメージがありましたら、お二方、お伺いしたいんですけれども、お願いできますか。
○大野真人君 遡れば、日本は、バブルが崩壊して、一九九〇年代半ば以降、ある意味、いいものを安くということで日本の企業は頑張ってきたと思うんですね。そのときには、コストを削減するという企業が先に手をつけたのが人件費というところですね。この人件費を削減するということに対して、組合は、人の雇用を守るということを優先して、賃金を上げないけれども雇用を守れという春闘をしてきたんですね。それがしばらく続いてきたことを失われた二十年、三十年と言われていますけれども、ここ数年でそのステージが変わったと私は思っています。
この二、三十年で世界はどうなったかというと、物価も上がるけれども、賃金が上がっているんですよね、諸外国を見ると。日本だけが、いいものを安く頑張ってきたときに、今、原材料価格とエネルギー価格が上がったときに、このコストを自社で抱え込むことができない状況になっている中で、やはり労務費も含めた価格転嫁というのが重要だということです。
そのときに、価格が上がるという、消費者にとってみれば、それは避けたいところ、いいものを安く買いたいんです。ですから、これは企業が発信するとか誰が発信するとかいうことじゃなくて、やはりみんながそういうふうに思えるように、我々労働組合としても組合員に対してそうした消費者のマインドを変えていくというのも発信しなければいけないと思いますし、国全体でこれは取り組んでいくべき課題だというふうに思います。
以上です。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
私は両方の取組が重要だという具合に思います。国も、そういう価格転嫁をする必要があるということを国民の皆さんにも十分周知する必要があるという具合に思いますし、消費者も、我々が使っているそれぞれの商品についてはそれぞれの原材料があるわけで、そういうものが非常にかかっているというようなことを十分理解しながら日々の生活を送っていく必要があるんじゃないかなという具合に思っております。
これから話があるかもしれませんけれども、例えばカーボンニュートラルを進めるにしても今後コストがかかっていくわけですけれども、そういうことも国民としては十分理解をしながら、理解した上でそういう取組が進んでいくというようなことも踏まえて考えていく必要があり、両方がそういう思いで取り組んでいく必要があるんじゃないかなという具合に思っております。
以上です。
○東(克)委員 ありがとうございます。
先ほども言われましたように、みんなが値上げしていくのはいい機運だということをつくっていくための雰囲気づくりにおいて、先ほども、原資をどうするのかと。値上げが先なのか賃上げが先なのかという話にはなってくると思うんですけれども、これは国としての支援がいろいろあると思うんですが、これもまた連合の大野会長と芦谷様にお伺いしたいんですけれども、今、賃上げを行ったところに税制優遇という形も、大手企業しかできていないという現状もあって、中小企業にはなかなかその恩恵を受けていないというところもありますし、賃上げが先か値上げが先かということの、どちらが先かという議論になってきますけれども、このことについてどのようにお考えか、教えていただけますでしょうか。
○大野真人君 企業とすれば、価格転嫁が進むというのが先だと思います。消費者からすれば、値上げをする前に賃金を上げてほしいというのが先だと思います。どちらが先かというと、どちらがいいかというと、日本の全体の、要するに、賃金がなければ消費に移らないわけですね。消費を拡大するためには、賃上げはするけれども物価も上がるという世界が望ましいと思っています。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
正常な状態でいえば、利益が上がって、それを賃金に反映するというのが正常な形じゃないかなと私自身は思っております。
ただ、昨年の賃上げ等においては、なかなか最近労働力を確保することが難しいとか、採用に当たって、非常に企業の採用が難しい中で、初任給を上げるというようなことを取り組む中で、防衛的な賃上げをするというようなこともあったという具合に思っておりますけれども、こういうやり方は長続きはしないんじゃないかなという具合に思うので、やはり、企業が適正な利益を上げて、それを従業員に分配するというのが適正な流れじゃないかなという具合に私自身は思っております。
以上です。
○東(克)委員 ありがとうございます。
やはり、そこで必ずどちらが先かというところに、それぞれの企業によって、業界によって考え方の違いが出てくるというのは分かるんですけれども、先ほども大野会長が言われましたように、ステージが変わったということを、賃上げが徐々にスタートし始めたと言われたところの、このギャップを国の支援として埋めていかなければならないのかなというふうに私は今の皆様のお話を聞きながら感じているところなんですけれども。
国の支援として、こうあればいろいろな中小企業も大企業も使いやすい、そして、できるだけ幅広く利益を誘導して、価格転嫁ができて、そして賃上げが進められるというような、こういう支援があったら進むなという、イメージで構いませんので、それぞれまたこれも大野会長と芦谷様からお伺いできればと思うのですが、本当にざっくりの、イメージで構いませんので、税制優遇なのか補助金なのか、様々なことでそういうことを教えていただければなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○大野真人君 国の支援ということで見れば、中小企業も大企業もそうですけれども、やはり、ステージが変わったとはいえ、生産性を向上させるというのはやはり企業の責任だと思います。使命だと思います。
ただ、そのときに、特に中小企業ですけれども、それが原材料価格、エネルギー価格が上がっているこのスピード感に追いついてできるかというと、そうじゃないと思っているんですね。将来的にはやはり生産性向上につながるいろいろな設備投資もしていくということになるんですけれども、その体力があるかどうかという視点で見れば、中小企業に対するそういう生産性の向上に取り組む施策に対する支援というのは、県の方でも対応いただいていますけれども、それが県だけで対応できるのかという問題も出てきますので、是非国の方からもそういった視点での支援をお願いしたいというふうに思います。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
企業の生産性を上げるという意味でいえば、なかなか今後人を増やすということが難しい中で、やはりDX等の活用により生産性を上げていく必要があるという具合に思っております。そのためにも、中小企業等に対するDX推進のための財政支援等が有効じゃないかなという具合に思っております。
以上です。
○東(克)委員 ありがとうございます。
先ほど中小企業の生産性のことを県や市町でされているというふうにお伺いしましたが、実際に実行されている湯崎知事と高垣市長にお伺いさせていただきたいんですけれども、今の国の支援として制度があるもの、新しくつくってもいろいろな不具合があると思うんですけれども、もっと自由度が高まればいいという大きな話だとちょっと大きな話になってくるんですけれども、今あるもので、もっとこうなればもっと様々なところに支援策は広がるのになと率直に感じられたこと、若しくは中小企業の支援というピンポイントの視点でお二方に御意見をいただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
○湯崎英彦君 これはスケーラビリティーの問題だと思います。
結局、例えば中小企業が先ほど申し上げたような全体の最適化を図るというようなことをやっていくにしても、あるいは売上げを上げるためのイノベーションを進めるということにしても、それをやる上では中小企業にはリソースが足りないので、そこにやはり誰かが入って手伝っていかないとなかなか実効的に進まない。ただ、これは、中小企業は何万社もあるわけでありますから、それをいかにスケーラブルにできるかということだと思います。
そのための例えば体制、我々は商工会とか商工会議所とかというところも頼りにしていますけれども、銀行なんかもそうですけれども、そういった経営支援ができるところを更に強化をしていくということは非常に重要なことじゃないかと思います。ただ、これも時間がかかるので、スケーラブルにするということはやはり何をやるにしても時間がかかるので、そこにやはりじっくりと腰を据えて取り組んでいただければなというふうに思います。
○高垣廣徳君 コロナのときに、中小企業対策について国から大変多くの支援策が出てきました。しかしながら、中小業者の皆さんにとって、その制度にアクセスするということが実は大変ハードルが高かったんです。恐らく、予算の執行率という視点から見ても、必ずしもその施策は高くなかったのではないでしょうか。
そういう中で、我が市とすると、中小企業の皆さんができるだけそういうところにアクセスしやすいように、商工会議所と連携しながら、サポーターをつけてその申請についての支援をするであるとか、そういう形で省エネへの投資であるとかDXの推進であるとかというのができたと思います。
国において様々なアイデアの中で施策は立案されますけれども、それをどういうふうに中小業者の皆さんに活用していただくか、その取組を、恐らくこれは市の役割、あるいは商工会議所の役割かも分かりませんけれども、そういうことをしっかりすることによって活用していただき、生産性の向上でありますとかそういうものに、価格転嫁にも結びついていくような形にしていく必要があるのではないかなというふうに思っています。
○東(克)委員 ありがとうございます。
先ほど市長も知事も言われましたように、今いろいろな制度があるのを、腰を据えて、商工会議所さんであったり銀行さんに教えてもらう、サポーターをつけて市で取り組んでもらう、だけれども、今国がやっていることに対して情報を取りに来るということがまだまだ難しい中小企業は多いということの認識があるんですけれども、これもまた芦谷様と大野会長にお伺いしたいんですが、今国がやっている情報をどうやって現場の会社、特に中小企業が情報を取りに行っているかということがもしお分かりでしたら、分かる範囲でも構いませんので、教えていただけないでしょうか。
○芦谷茂君 我々は経済団体でありますので、いろいろな企業の皆さんとお話しする機会があって、そういう機会をまとめた上で政府要望等をさせていただいているんですけれども、そういう中で、地方の企業の声を政府なりそれからいろいろな国の機関に届けながら、政策が進むようにやっていけたらという具合に思っております。
○大野真人君 企業がどう発信をされたものに対して取り組んでいるかというのはちょっと分かりにくいんですけれども、県もそうですけれども、幾らいいことをしても、その発信が届いていないというのが一番残念な話なので、県にも要請しているのは、いろいろな取組をそういう対象の企業のところにどう届けるかというところを問題視してやってほしいということはあります。これはどういうふうにしたら届くのかということにもなるんですけれども、これは国の施策も含めての課題だというふうに思います。
○東(克)委員 ありがとうございます。
やはり私も、経済産業委員会に所属させてもらって、いろいろなところの補助金の話であったり、使いやすい、使いにくい、こんなのがあったのかと、先ほども高垣市長が言われたように、今まで知らなかった情報をこれから知っていってもらうということを進めていくことと、価格転嫁の、先ほど言った、皆さんで、国民みんなが値段が上がるのが常識だという雰囲気をつくっていくことというのはかなりリンクしてくると思っているんですね。
最後にお一言ずついただきたいのが、そういう雰囲気をつくる、若しくは、情報の発信を国はもっとこうやってほしいというものが、具体的なことであったり御要望のこと、情報発信の点、雰囲気づくりの点でそういうことがありましたら、最後にお一言ずつお伺いさせていただいて私の質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○井上座長 それでは、順番に簡潔にお願いいたします。
○湯崎英彦君 先ほど申し上げたように、スケーラビリティーの観点から、国が本当に細かいところまで手を届けていくというのは非常に難しいと思います。
ですから、やはり県であるとか市町であるとか、そういうきめ細かいところを活用できるようにしていただくのがいいんじゃないかと思います。
○大野真人君 国からの発信ということになるんですけれども、先ほどと重複しますけれども、やはり適切な価格取引が重要だということは国からもいろいろな場面で訴えてほしいというふうに思いますし、県からもそういう発信も必要だというふうに思います。
もう一つは、重複しますけれども、要するに、我々生活する者に対しての、値段が高いということに対するそういうマインドを変えていく、そういった取組も発信いただければなというふうに思います。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
我々経済団体に対してそういうような分かりやすく説明していただいたら、我々は下部組織に対して丁寧に説明し、また、そういう意見を吸い上げた上でまた上層部等に展開していくというような、循環をこうやって回していくことによって理解が深まり、また、いいものができていくんじゃないかなという具合に思いますので、是非我々を活用していただけたらという具合に思います。
○高垣廣徳君 まずは、市としても、しっかりと商工会議所と先ほど申し上げましたように連携する中で、その支援に向けて、申請に向けて事業者の皆さんを支援していくというのは、これは大変重要で、引き続きやっていきたいと思います。
一方で、制度については、目的を明確にし、かつその中で自由度を最大限上げていく、そして使いやすいような制度設計をしていただくと大変助かるのではないかというふうに思います。
○東(克)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○井上座長 次に、三木圭恵君。
○三木委員 ありがとうございます。日本維新の会の三木圭恵でございます。
本日は、意見陳述に皆さんお越しいただいて、御出席いただいて、本当にありがとうございます。
私、兵庫県の方から来たんですけれども、皆様方の御意見をお伺いしていると、やはり、東京一極集中、地方分権が必要だ、皆様方、働いている方々の賃金のベースアップ、そして処遇の改善、女性が活躍できる社会、やはりそういったことに皆様御言及なさってこられたと思います。
湯崎知事にお伺いをしたいんですけれども、まず、湯崎知事がおっしゃっていた、東京一極集中をしているのだ、地方分権を進めていくべきだ、地方財源の総額は確保していってほしいというような御要望がございました。
その中で、やはり地方分権を進めていくためには、補助金をもらえばそれにひもづいていろいろな規制が起きてくる、そして、指導や勧告、許認可、そういった問題が様々、規制という名の下に国から地方に下りてくるというふうに思うのですけれども、この規制緩和ということに関して知事はどのようにお考えでいらっしゃるのでしょうか。どのような権限が地方にあれば、どのような政策がもっと自由に行えて地方が活性化するというふうにお考えなのか、そのお考えをお聞かせください。
○湯崎英彦君 規制緩和とそれから分権というのは微妙に違うと思うんですけれども、分権という観点で言うと、これは大きく言うと、やはり、基本的に国内の課題については地方が担うという、国と地方のこの大きな役割分担の見直しですね。道州制というのが近頃ほとんど議論に上らなくなっているんですけれども、我々広島県としては、中経連さんとも一緒に、やはり道州制的な、大幅に地方に権限を、権限を移譲するのではなくて、適切なガバナンススコープに応じた権限の再配分を行うべきだと。
つまり、例えば、今、予算にしても、財務省が最終的に取りまとめていますけれども、百兆円を超えるような予算のそんなきめ細かいところまで、これは財務省に失礼ですけれども、全部見るというのは、これは事実上難しいと思うんですよね、そんな二百人か三百人ぐらいの体制で。
それをやはり、もっときめ細かい把握をした上で効果を測るとか、そういうことの設計とかも、それもやはりできなければいけない。まあ、EBPMとか言われますけれども、そういうことも含めてちゃんと回そうと思ったら、かなりやはり分散的な権限と財源の体制にしないといけないと思うんですね。
今、やはりそれが求められているんじゃないかなと。つまり、課題も非常に多くなっていますし、地域における地域ごとの課題も大きく異なってきているという状態になってきているわけなので、それぞれに対応できるような、そういう体制にするということが非常に重要だというふうに思います。
○三木委員 ありがとうございます。
規制緩和と権限移譲、地方分権はちょっと違うのだというのは、まさにそのとおりだとは思うんですけれども、許認可の部分においては、やはり規制緩和、こういった許認可を県が下ろしていく、独自のそういった実情に合わせたものをやっていくという意味ではやはり大切なことなのかなというふうには思っています。
そこで、一点、ちょっと細かい政策になるんですけれども、細かいというか、一つの政策になるんですけれども、ライドシェアについて、広島県の方でも今後導入されていくと思うんですけれども、これについては今の現状に御満足かどうかというのを少しお聞かせいただけますでしょうか。
○湯崎英彦君 ライドシェアは二つあると思います。
まず一つは、いわゆる過疎地におけるライドシェアですね。これはもっと全面的に我々に任せてやらせていただければというふうに思います。
都市部におけるライドシェアというのは、これはやはりタクシーとの関係というのがあって、ライドシェアを全面的に進めるということであれば、これは、タクシーに対する規制緩和も同時に進めた上で、イコールフッティングにしないとやはりおかしなことになるんじゃないかというふうに思います。
特にアメリカなんかは、そもそもタクシーがいない世界でライドシェアが始まっているわけなんですよね。ニューヨークなんかは別にして、サンフランシスコとかシリコンバレーとかは全然タクシーがいないわけなんですね。あっても非常に高い。なので、ライドシェアがそこを、穴を埋める形で進んでいるわけですけれども、日本の場合は、特に都市部にはタクシーも非常に多くあるので、そことのやはりバランスを取っていく必要があるんじゃないかというふうに、私は、個人としては思っております。
○三木委員 ありがとうございます。
タクシーに対する細かな規制というのは、私も非常にタクシー会社にとって負担になっているとは思っているので、そこは非常に問題だなと思っているんですが。
そのライドシェアについて、東広島市でもライドシェアを導入されていくということで、高垣市長も、今のライドシェア、日本版ライドシェアですね、それに対しての御見解がもしあればお聞かせください。
○高垣廣徳君 一部、新幹線の新駅でのタクシーが、非常に、ニーズに応じた対応をしていただけないということで、試験的というんでしょうか、ライドシェアが導入されて約半年たっているんだろうと思います。中山間地を抱える我が市にとって、そういう地域への公共交通をどういうふうに確保していくかというのは大変大きな課題になっています。
コミュニティーバスであるとかディマンドであるとか、そういうものも導入しますが、必ずしもこれが持続可能な形になっていない。そういう中で、日本版ライドシェアですかね、こういうものをどういうふうに活用していくかというのは、実はまだ我が市においても検討段階で、これからどういう取組をしていくかというのは、もう少し、他の事例なども踏まえながら、しっかり検討していきたいという段階でございます。
○三木委員 また国に対する要望などございましたらお伝えいただければと思いますが、今のところはないという認識でよろしいんでしょうか。
それでは、次の質問をさせていただきたいと思います。
大野会長、芦谷会長の方から賃上げについてのお話がございました。価格転嫁が人件費に行われていないという現状が今まだあるんだというお話をお聞かせいただきました。
私、去年は国交委員会の方に所属をしておりまして、物流二〇二四年問題に取り組んできたんですけれども、物流でもそうですし建築業界でもそうなんですけれども、一次請、二次請、三次請、四次請、五次請、六次請ぐらいまで、やはり多重構造になっている。この多重構造になっているがゆえに、物流のことに関して言えば、元請の発注する会社の方は、最終の人件費まで幾ら回っているのか全然分からないというような状況にあるというふうな問題点が指摘をされておりました。
私、いろいろと調べたら、アメリカはこの多重下請構造というのを禁止しているんですね。元請が一次請まで、そして水屋が一次請まで、そこまでしか許可していないんですね。二次請から下は厳重に罰則をもって許可をしないという体制を新たに、これは、適正運賃を受け取れるようにするためにこの多重下請構造を改革していくということで、アメリカはこういう改革を行っているんですけれども、こういった改革をもし日本で行うとすれば、それが可能なのか、それとも、問題点があって、これはやはりちょっと難しいと判断されるのか、どうであるのかというのをちょっとお聞かせいただけたらと思います。
○大野真人君 これは連合というよりは、ちょっと私の私見が入るか分かりませんけれども、日本は、今の言われた業界だけに限らず、多重構造になっていると思うんですよね。これは、多重構造になればなるほど、その賃金が、いわゆる多少の格差が生まれてくるということなので、先ほど言われた五次、六次になればなるほど賃金が下がるという仕組みがあるので、解消するべきだとは思います。
先ほど言いました物流の二〇二四年問題、これは、物流関係の業界組合の皆さんに聞いても、やはり、二次、三次、四次になると、なかなか回っていないという実態もはっきり分かりました。
特に、一番下で請け負っている方については、やはり、コストがどんどん、賃金がカットされるんですよね。カットされた挙げ句に、高速に乗れない、高速に乗ると赤字になる。時間で稼ぐしかないんですね、下道を走って。
そういった実態もあるので、この多重構造というのは日本にとって余りいい状況にはなっていないと思いますので、連合の意見ではありません、私の私見的には、やはり多重構造は、アメリカ並みとはいかないとしても、少なくしていくべきだと思います。
以上です。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
中経連の会員企業の構造がどういう具合な下請構造になっているかというのは全部を把握していないんですけれども、私自身、今、電力会社の会長をやっているんですけれども、電力会社の状況について話をすれば、例えば、今、島根原子力発電所の建設工事等を精力的にやっているんですけれども、五千人を超える作業員の方が入ってきて工事をやっていただいているんですけれども、それを一次下請、二次下請でやっていくというのはなかなか労働力の確保という面で難しくて、多重構造になっているという具合に思っておって、なかなかそれを解消するというのは難しいんです。
やはりそういう中で、下請の方にも適正な利益が出るように、そして、何よりも安全面で意識が浸透するようにやっていくということが必要であり、そういうことに心がけておるんですけれども、多重構造を解消するというのは、私が今やっている立場ではなかなか難しいなという具合に思っておるところです。
○三木委員 ありがとうございます。
ただ、元請会社の方が、本当に最終の下請会社の方がどれぐらいの賃金をもらっていて、どのような生活をなさっているかということを調査をして調べていただいて、きっちりと分かっていただく、そしてまた、多重下請になっている五重目、六重目みたいな方々も勇気を持って自分たちの賃上げを交渉していくということが、やはりまず日本では大事だとは思いますけれども、なるべく多重の構造的な部分を少なくしていくように努力をしていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次の質問に入らせていただきます。
これは湯崎知事と高垣市長にお伺いしたいんですけれども、特に高垣市長は広島県の元土木局長とお伺いをしております。知事も市長も、昨今の水道管の道路の陥没の件もございましたし、土木の、下水道や橋梁、道路の老朽化について、今後のリプレースを含めて、強靱化対策としてどのようにお考えなのか、お聞かせください。
○湯崎英彦君 まず、これについては、今の強靱化中期計画、これに大きく期待をしたいというふうに思っております。
やはり、今、我々は、長期の平準化を図ろうということで、長寿命化も含めて、長期の計画に基づいてこういった老朽化対策を進めておりますけれども、そこにしっかりと財源がつくということが非常に重要です。特に、そうはいっても新規のものもやはりありますので、強靱化の部分が別枠になっているというのは、これは非常に大きな心強い点になっております。
○高垣廣徳君 かつて、一九八〇年代だったと思いますけれども、アメリカで、荒廃するアメリカというふうに言われた時代がありました。高速道路などの舗装が劣化して、それがまさに、戦後すぐのぴかぴかの道路から穴ぼこの道路に変わった。これをどうするのという問題が大きくクローズアップされて、それからアセットマネジメントという概念が我が国にも私は導入されたのではないかというふうに思っています。
アセットマネジメントは適切に管理をしていく、そして、インフラも時代に応じてリニューアルをしていかないと陳腐化していくこともあります。
そういう意味からして、国土強靱化、そして、新たな、今後必要となってくる、そういうインフラ投資というものを積極的にやっていく必要があるのではないかというふうに思っていまして、八潮市であるとか先般の地震における道路の崩壊を見たときに、やはり強靱化というのは大変重要であり、建設コストが上がっていく中、しっかりとした予算獲得を先生方には是非やっていただきたいなというふうに思っているところです。
たしか現在の強靱化は十五兆円の規模だったと思いますけれども、少なくとも三割以上のコストアップをしているということを考えること、そして、更に我が国が発展していくための投資というものを考えたときに、おのずから適正な規模が出てくるのではないかというふうに思っているところです。
○三木委員 ありがとうございます。
確かに強靱化の予算は本当に必要なことだと思いますので、きっちりと予算要望をしてまいりたいというふうに思います。
高垣市長に続けてお伺いしたいんですけれども、東広島市というのは、中山間地域の農業ということで、農家の高齢化、それから担い手不足というのが加速していると先ほどの意見陳述の中でも申し述べられておられました。
集落営農の農業法人も、主力の方々があと五年で八十歳代になってしまうと地元の代議士からも聞いているんですけれども、所得補償制度と適正な価格形成の仕組み、水稲栽培の効率化のための再圃場整備の緊急性につき、どのようにお考えか再度お伺いしたいのと、圃場整備といいましても、中山間地域というのはやはり大規模農業化しづらいと思うんですね。そういった意味では、効率化というものが非常に取りにくい地域なのかなというふうに想像させていただくんですけれども、これはどこまで圃場整備をした上で効率化が進められるのかという、そういう先の視点についても是非お聞かせください。
○高垣廣徳君 今、農業については、それぞれの地域で地域計画を作りながら、今後十年先の農業のあるべき姿について、どういう後継者をそれから当てはめていくのかというようなマッピング作業がされています。
その現状を見たときに、今後耕作ができなくなる土地は、たしか二〇%以上のエリアにおいてそういう不耕作地が出てくるというようなことが明らかになってきました。特に我が市は、中山間地を多く抱えている、そして、小規模農家で、基本的には兼業農家が多い地域であります。これまでも集落営農法人をつくってまいりましたけれども、集落営農法人が耕作するエリアは、全体、我が市は八千七百ヘクタールぐらいあるんですけれども、約二割。あとの八割は小規模兼業農家が対応しているということであります。
そして、ここに来て米価が少し上がりましたので一息ついた感はありますけれども、やはり、ちゃんとした農業収入をどう確保するかということが大変重要であり、そのためには、基本的にこういう中山間地において所得補償ということをしっかりと考えていただきたいなと。
ヨーロッパなどの農業においては相当国における支援があり、そして、その地域の農業が継続され、あるいはその地域が集落として維持できるような形になっている。まさに中山間地はそういう地域でありますから、大きな平野を持つ大規模農業が展開されている東北であるとか北海道とは我が地域は少し違いがあります。そういう意味でいうと、そういうところにも目を配っていただくような農政を展開していただきたいなというふうに思っているところです。
○三木委員 ありがとうございます。
もう最後の質問になろうかと思うんですけれども、湯崎知事にお伺いしたいんですけれども、また芦谷会長にもお伺いしたいんですが、二〇二五年の県政運営の基本姿勢の中で、特に重点的に取り組む中に観光の更なる振興がございますが、大阪・関西万博の開催に伴い、広島県に海外の観光客を呼び込む特別な施策があれば教えていただきたいなと思います。
広島県は、距離的にも新大阪から約一時間半と十分射程範囲内だと思いますので、是非広島の方にも大阪・関西万博のいい余波が出ればなと思っております。知事と芦谷会長に是非お答えいただければと思います。
○井上座長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○湯崎英彦君 ありがとうございます。
一つは、万博に我々が出展をして、そこから広島に引っ張るようなことが一つ。それから、西のゴールデンルートというのは、西日本の地域の皆さんとともに進めて、プロモーションなんかもやっております。それが一つ。それからもう一つは、実は我々、京都と連携しておりまして、その京都との連携の関係で、万博に来た方、関西に来た方が広島に来てもらう、そういうようなことを取り組んでおります。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
万博だけじゃなくて、先ほども言いましたけれども、福山でバラ祭りとか、それから瀬戸芸等、重なるところがあるので、そういうこととの抱き合わせでパッケージとしてのプログラムを組んで、国内外のお客様に多く来ていただくような取組を今後力を入れてやっていきたいという具合に思っております。
以上です。
○三木委員 ありがとうございました。
湯崎知事、大野会長、芦谷会長、高垣市長、是非、大阪・関西万博にいらしてください。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○井上座長 次に、福田玄君。
○福田(玄)委員 改めまして、国民民主党の福田玄でございます。
選挙区は地元広島二区でございまして、広島でこのような意見陳述の機会に恵まれたこと、改めて御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
私、昨年の十月に、第五十回の衆議院選挙で当選をさせていただきました。私たち国民民主党は、手取りを増やすという政策を掲げて、選挙戦、躍進をさせていただいたわけでありますが、やはりその意味は、今の国民経済、特に地方の経済、生活が疲弊をしているということに主眼を置いた政策を幾つも組み立ててまいったわけでございます。
その中で、今大きな議論になっておりますのが、百三万の壁を私たち国民民主党は百七十八万円まで拡大をしたい、そしてもう一つは、ガソリンの暫定税率廃止ということで、この政策に力を今まさに注いでいるところでございます。
その中で、この百三万の壁については、令和七年度予算では百二十三万円までという今数字が出てきておりますが、私たちは、更なる拡大をという交渉を進めているところでございます。
皆さん、それぞれお一人お一人にお聞きしたいと思いますが、この百三万の壁、百七十八万という話と、ガソリンの暫定税率、私たちはできる限り早く廃止にして、今ガソリンは本当に高くて困っている方は多いと思います、その流れをつくっていきたいと思いますが、それぞれの受け止めと、何か御意見ございましたら、お聞きできますでしょうか。
○湯崎英彦君 まず、所得を上げて経済の好循環をつくっていくという観点からいうと、こういった実質的な所得が上がるという政策というのは非常に重要かというふうに思っております。
一方で、私の資料の十一ページを御覧いただければ、先ほどお示しした円グラフですけれども、実際に、広島県の財政を見ますと、一兆円ぐらいが我々の予算規模なんですけれども、そのうち、実質的に我々が自由になるお金というのは九百二十九億円。その中から、公共事業費であるとか、あるいは私立学校の支援とかを行っておりますので、そういったことはほぼほぼ経常的に必要なもので、残りは五百五十億円ぐらい。
この中で、百七十八万円で、この財源の手当てがないと、それはガソリンもそうなんですけれども、財源の手当てがないと、このうちの半分ぐらいがすっ飛ぶということになるわけですね。これはあり得ません。なので、その財源をきちんとやはり手当てしていただいた上で、その上で行うということが強く求められるところだと思っております。
○大野真人君 手取りを増やす、いいフレーズだなというふうに思います、分かりやすくて。
それで、今議論されています百三万の壁というところなんですけれども、むしろ連合としては、百三万の壁より、ほかに壁がいっぱいありますよね。百六万の壁も百三十万円の壁もあるということなので、こうしたことも含めて議論が必要ではないかということ。
先ほど意見の中で言いましたけれども、私は、十年後、二十年後、三十年後を見据えた、人口減少社会を見据えたやはり将来のビジョンを描いて政策をつくってほしい、そんな発言をしたんですけれども、まさにそれなのですね。将来の税の在り方とか、社会保障の在り方とか、ここも、昭和にできた仕組みがいまだに残っているということなので、変えるべきだと思いますが、百三万だけにこだわる必要もないと思いますし、皆さん働いて、しっかり税を納めてもらう、社会保障も納めてもらう、それを今すぐできないとしても、できるような世の中にしてほしいなというふうに思います。
○芦谷茂君 百三万円の壁について、中経連として議論をしていることはないんですけれども、私個人の考えとして、この百三万円の壁の問題は、現役世代の可処分所得の増加であるとか働き控えの抑制を図る措置として議論がされているという具合に思っております。
また、この問題は、年収の問題にとどまらず社会保険に関する議論も含められており、国民の負担軽減の税収減による財政への影響を総合的に視野に入れながら、税、財政、社会保障の問題を時代に即して一体的に解決すべく、今後も与野党で議論をしていただければという具合に思っております。
以上です。
○高垣廣徳君 この問題は、いずれもその財源をどこに求めていくのかということに最終的には帰着すると思うんですね。
今、様々なサービスも一方で求められてきました。言うならば、ベーシックサービスというものが大変重要な位置づけになってきました。実は、昨年デンマークを視察することができたんですけれども、高福祉・高負担の国でありますけれども、ウェルビーイングは非常に高く、しかもDXが進んでいる。投票率は九〇%国政選挙においてもあるというような国でした。言うならば、税とその使い方というものが国民の信頼を得ているというような国だったと思います。
これは、税の問題に対して国民に非常に関心を与えるという意味からして、大変重要なテーマだと思いますけれども、どのような国を目指して、その財源をどういう形で見出すのかというのをやはり国会の先生方にはしっかりと考えていただきたいなというふうに私は思っているところです。
○福田(玄)委員 貴重な御意見を承りまして、ありがとうございました。
次に、これは大野会長からもございましたが、それぞれの皆さんにお聞きしたいと思いますが、やはり、ここ広島での公聴会ですので、核兵器廃絶に向けての取組についてお伺いをしたいと思います。
今、この三月の締約国会議にオブザーバー参加という議論が、国会の中でも様々な声が聞こえてきているところではございますが、やはり、広島そして長崎からこの声というのはより大きく上げていかなければいけないと思って私も国会の中で取り組んでいるところではございますが、県としても、そして基礎自治体、市としても、そして、労働界、経済界、それぞれにやはり広島からの声というのがあるかと思いますが、今までやってきた取組と、それから何か御希望というものがあれば、それをお伺いしたいと思います。
○湯崎英彦君 私は、前回の核兵器禁止条約の締約国会合に出てまいりまして、パネリストとしても発言をいたしました。主に被爆者支援についてでありますけれども、そういった日本の経験というのは貢献できることが非常に多くあると思いますし、それから、もう一つは、やはり橋渡しをまさにしていかなければいけないというときに、お互いの議論を聞いていかなければいけないと思います。
そういう意味で、日本の果たす役割というのは非常に大きいと思いますので、これは、我々としては常に、常にというか、もう何度もお願いをしているところですけれども、最終的には署名、批准をしていただきたいということと、それから、それがなかなか急には難しいという現実もありますので、オブザーバー参加をしていただきたいというふうに思っております。
○大野真人君 平和の取組ということで見れば、連合として、全国の仲間とともに、平和四行動というのがありまして、これは広島、長崎を中心に、沖縄と根室というそれぞれの拠点で平和活動を全国の仲間でしています。広島でも二千人ぐらいの皆さんに集まってもらってそういった取組をしているんですけれども、今年は八十年という節目になるので、特に、被爆された方が八十年たっているということで、恐らく証言できる人がこれからいなくなる世界が来るということでありますので、その証言を引き継げる、そういった取組もやっていかなければならないと思います。
そうした意味では、今、全国に高校生平和大使ということで、連合もそこに関わって、選考しながら活動を一緒にやらせてもらっています。そういったところに対しまして、物心両面で、お金も含めての支援もしてきてもおりますし、被団協に対しても、そういった支援をしてもらいながら一緒に活動しているということになります。
さらに、八十年の節目なので、この広島で大きなイベントを打ちながら、次世代につながる、そういった取組をしていきたいということで今検討しているところであります。
望むことは、先ほどもう湯崎知事がおっしゃったとおりでありますので、オブザーバー参加、署名、批准というところに対して、国としても、いろいろな理由はあると思いますけれども、是非この広島の思いを酌んでもらって、そういう行動に移していただきたいというのを期待しています。
以上です。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
中経連としてこの問題を議論したということがないので、中経連としての考えということはなかなか難しいということを思っております。
また、中経連は中国五県の経済界を代表する団体であって、この問題について、いろいろな考え方がある中で、中経連として答えるということはなかなか難しいので、この問題については意見を控えさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。
○高垣廣徳君 我が市は、非核兵器平和都市宣言をして、実は今年四十年になります。昨年の被団協のノーベル賞受賞というのは大変大きなインパクトを与えたものだというふうに思っていまして、今年は何らかの取組もしていかなければいけないなというふうな意識を持っています。
そういう中で、やはり、未来を変えるのは若者であるという視点から、若者とともにこの問題にどういうふうに正面からぶつかっていくのかということが大変重要ですし、それと、広島というのは、ある意味でいうと、大変立場が難しい。国の立場と、それと広島市あるいは広島県の立場の違いというところがあります。そういう中で、市民社会に向けていかに訴えていくのかというのが我々の役割ではないかなというふうに思います。
希望からすれば、国においてオブザーバー参加をしていただきたいという気持ちもありますけれども、我々がまず自らも動いていくということが重要ではないかというふうに考えているところです。
○福田(玄)委員 それぞれに貴重な広島の御意見をいただき、ありがとうございました。
次に、実は私、常任委員会は衆議院の総務委員会に所属をしておりまして、地方自治、そして公務員の皆さんのことも担当しているわけでありますが、人材確保について、今日皆さんからの御意見の中にも多数ございましたが、特にDX人材の確保について、芦谷会長からも、高度専門人材の育成、そして地方への流れをという話もありましたが、これは湯崎知事と高垣市長にお伺いをしたいと思っておるんです。
本当に、DXの人材が不足をしているという状況が大きくあると思っています。東京だからといって余っているわけではないというような状況だとは思うんですが、これを地方に持ってくると、行政のDXという声がよく聞こえてきますけれども、その人材がいない、そして、県、さらには市町村に下りていくと更にいない、ただ、施策だけはどんどんどんどんやってくれというふうに下りてきているというふうに感じているんですが、これは、例えば国に要望として、DX専門人材のための人件費を確保するとかそういった要望があるのかどうか、若しくは何かほかに手だてを考えていらっしゃるかどうか、お教えいただきたいと思います。
○湯崎英彦君 今、広島県では、市町と連携をいたしまして、デジシップという仕組みをつくっております。これは、県と市町で共同のデジタル人材をプールするという形ですね。それで、県と市町を移動しながら、人材育成も含めて、市町も、独自で採用するのは難しいけれども、プールして、採用することによって適切な人が配置されるということをやっています。
なおかつ、今、我々、情報職というのもつくりまして、そこのスキルマップというのも作りまして、どういったスキルが必要なのかということをやり、県独自の、これは国家公務員に準拠しない給料表も作って、ですから、ちょっと高くなるということになりますけれども、市場競争力のある給与を払って確保していくというようなことを取り組んでいます。
我々としては、もちろん、こういった取組、財政的にも、お金もかかる側面もありますから、こういう取組に対して御支援をいただけると、これは非常にありがたいなというふうに思います。
○高垣廣徳君 もうDX人材は、恐らくどの分野でも必要で、実は争奪戦が始まっているんだというふうに思っています。
これまで地方自治体も、ある意味、DXを進める上で、ベンダーにお願いして、そこで開発してもらうということが多かったわけでありますけれども、なかなかそれも思うように進まないような時代にもなってきていると思いまして、内部でそういう人材を育成していくという取組が多分大変重要だろうと思います。
DX人材も、いろいろ、まず、仕事の仕組み、あるいは仕事のやり方自体を変えていくというような人材も要りますし、それをプログラミングするような人も要る、あるいは、どういうふうに変えていったらいいかというようなデザイナーも要るということで、そういう人たちが共に連携しながら物を進めていくというのが必要だと我々は思っていまして、そういう意味でいうと、経験者を採用する中で、グループを組みながらそれぞれの取組を進めているということであります。
そういう意味からすると、専門人材をスポットで活用させていただきながら取組を進めているというのが現状でありまして、いずれにしろ、将来に向けたらば、長い目で見ると、そういう人材を確保していくという取組をしていかなければならないなというふうに思っているところです。
○福田(玄)委員 ありがとうございます。
非常によい取組だと思いますので、まさに好事例の全国展開へつながるような成功事例にしていただきたいなというふうに思います。
時間もなくなってまいりましたので、あと一、二問で終わらせていただきたいと思います。
これも湯崎知事と高垣市長にお伺いしたいと思います。
今日の地元紙で、会計年度任用職員の問題が取り上げられておりました。会計年度任用職員。
ここ三十年で公務員というのが四十万人減らされて、一時期、公務員をたたいておけばいいんじゃないかというような社会の風潮もありましたが、そのことによって本当に人材が不足をしている、DX人材だけじゃなくて、土木人材含めて、人材が集まらなくなってきているという状況があると思っています。
その中で、今、県としても、それから市としても、会計年度任用職員の活用というか、これを、できれば私は正規にどんどん、できる限り変えていく必要があるんじゃないかというふうに思っていますが、今の県、市のそれぞれの方向性を教えていただければと思います。
○湯崎英彦君 会計年度職員については、今様々な処遇の改善ということが進んでおりまして、いわゆるボーナスみたいなことも含めて進んでいるんですけれども、これはもちろん多用すると問題があると思います。
一方で、一定のスキルというか、いわゆる正規の職員でやらなければいけないものなのかどうかということも含めて、やはり仕分をした上で、適切に会計年度職員ないしは正職員を配置をしていくということが必要ではないかと考えておるところです。
○高垣廣徳君 働き方改革が求められる中で、正職員も、そして会計年度任用職員の処遇の改善というのは、これは大変重要なテーマだと思っています。とりわけ会計年度任用職員については、ここ二、三年だったでしょうか、相当に処遇改善もされてきました。
そういう中で、我が市においても、専門職を含めて相当数の会計年度任用職員がいるという状況の中で、そうであれば正職員にしてもいいではないかという議論も当然そこから出てくるところです。
そのためには、やはり仕事が、本当に正職員がやるべき仕事なのか、会計年度任用職員の皆さんにお願いする仕事なのか、そういう仕分をする中で、任用について、今後、様々な検討が必要なテーマではないかというふうに思っているところです。
○福田(玄)委員 ありがとうございます。
やはり、もうどこに行っても今人材がいないという、これは民間も公務員も含めて、そんな日本になってきていますので、しっかりDXを活用しながら、人材の確保、そして事業がしっかりと回るようにやっていただければというふうに思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○井上座長 次に、平林晃君。
○平林委員 公明党、平林晃と申します。
本日は、四人の陳述人の皆様、本当にお忙しい中、このような場を持っていただいておりますこと、心から感謝を申し上げます。また、関係の皆様にも心から感謝を申し上げます。
様々、もう本当に議論がなされてきたところですけれども、私の方からも、核兵器禁止条約の締約国会議オブザーバー参加に関しまして、大野会長からも話もありましたし福田委員からもありましたので、一言申し上げたいと思うんです。
私どもの斉藤代表から、政府に対しては再三にわたって、石破総理に対しても直接、様々なチャネルを使ってオブザーバー参加を求めているところであります。また、一昨日も、東京の議員会館におきましてNGO団体が会合を開きまして、その場におきましても、斉藤代表が、オブザーバー参加を改めて求める、こういうことも明言をしているということでございます。
また、先ほど高垣市長がおっしゃられましたけれども、地域地域における取組も大事であるということで、今日もここの会場に私どもの同志、地方議員のメンバーが参加しておりますけれども、それぞれの議会におきまして、参加を求める議決というんですか請願というんですか、それをなしているところでございまして、そういったものを通して、本当に大きな流れを、うねりを起こしてまいりたい、このように考えているところでございます。
昨年の三月に、未来アクションフェスというものが国立競技場、東京で開催されました。これは、本当に超党派の人たちが集まって、二つのテーマを議論したんですね。一つは核廃絶でありました。もう一つが気候危機を乗り越えるという、この二つのテーマだったんですけれども、そのオブザーバー参加という意味におきましても本当に大きな声が集まり、今その枠組みで署名活動も行っておりますので、こういったこともしっかりと政府に届けてまいりたい。
また、私どもの政党としては、代表を一回、二回送ってきていますけれども、三回目もきちっとお送りしていく、このこともお伝えをさせていただきたいというふうに思いますが、ちょっとこれはお話を申し上げるだけで終わりにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、芦谷会長にお聞きできればというふうに思います。
今申し上げたとおり、七万人が集った会合のもう一つのテーマが気候危機の打開ということでございまして、カーボンニュートラル、これは本当に若い人も物すごく強い関心を持って、自分たちの問題と捉えて、これは核兵器廃絶も同じなんですけれども、やっておられるということを、私もその場にいましたので、真摯に感じたところでございます。
それで、二つお聞きしたいんです。
まず一つ目が、この度、第七次のエネルギー基本計画、これが昨年の十二月十七日に発表されたところでございます。この中で、二〇四〇年の電源構成、これが発表されております。現在、二〇二三年の速報値では、やはり火力が多い、七〇%弱になっておりまして、再エネが二三%程度、原子力が八・五%というような状況でございます。二〇四〇年におきましては、再エネを四割から五割程度、主力電源として位置づけるということとともに、原子力二割、火力三割、四割程度、こういった見通しが示されたところでございます。
言うまでもなく、芦谷会長は電力事業者の会長でもあられるわけでございまして、中国地方でのベストミックスも常に苦慮されているというふうに推察をするわけですけれども、今回の第七次エネルギー基本計画をどのように受け止められたか、この点、お伺いできますでしょうか。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
エネ基のお話ですけれども、これまでの第六次のエネ基におきましては、電力需要が減るという中で、今後のエネルギー供給をどうするかというような論点で進められてきたわけでありますけれども、今回、七次のエネ基については、データセンターであったり半導体工場の増加に伴うエネルギーが増加する中で、エネルギーをどう賄っていくかということがベースになって議論されているという具合に思っております。
特にこの中国地域は、今後、エネルギーの増加という面においては、北海道それから東京に次いで伸び率が高いという地域にあるということで、我々にとっても非常に関心のあるところであります。
今回のエネ基においては、これまで原子力においては可能な限り低減するという状況であった中で、今回は利用を促進するという状況に変わってきたというのは、我々にとっても非常に前向きな議論がなされるようになったかなという具合に思っております。
御案内のとおり、我々の島根原子力二号機についても、今年の一月十日に営業運転を開始し、現在、非常に寒い日が続いておるんですけれども、安定供給という面でも非常に貢献しているということがありますし、それから脱炭素という面でも貢献しているという具合に思っておるところであります。
そうした中で、今後のエネルギーミックスをどうしていくかということが議論されておりますけれども、再エネそして原子力を最大限活用するというのは非常に重要なことだと思います。
一方で、火力電源においても、調整力であったり、それから周波数調整等のバランスを取るという面でも非常に重要な電源だと思っており、その火力電源をどういう具合にカーボンニュートラルに向けて取り組んでいくかというのが我々事業者にとっても大きな課題だと思っており、この動向を注視しながら今後進めていきたいと思っております。
また、電源それからそれを提供するネットワークの整備については、一定程度の期間がかかるというようなことも視野に入れながら今回の取組をやっていく必要があるのかなという具合に私自身は思っております。
以上です。
○平林委員 ありがとうございます。
本当に、供給される側の強い責任感の下に様々教えていただきまして、ありがとうございました。
もう一方で、カーボンニュートラル、供給とともに需要の方も話があるわけでございますけれども、実は私、先月二十日に、お隣の山口県ですけれども、周南地域と宇部地域の企業を訪問させていただきまして、カーボンニュートラルの取組についてお話を伺ってまいりました。アンモニアを活用するだとか、石炭をバイオマスに転換するとか、様々な取組をしておられまして、結構お金もかかっているということをまざまざと拝見したところでございます。
こうした取組を後押しするため、経産省でも、排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業も今回の予算でも二百五十六億円計上されたり、GX移行債の活用もされているというようなことも先ほど冒頭も話がありましたけれども、国によるこうした事業についての受け止めと、その上での更なる御要望、もし現場の声としてございましたら、伺いたいと思います。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
中国地方においても、コンビナートごとにカーボンニュートラルへ向けてどう進めていくかというような議論が進んでおる中でありますけれども、そうした中で、現状の技術の動向であったり、それから経済面、それぞれの、アンモニアにしても水素にしても非常に価格が高騰している中で、経済性を見た中でどういう具合に進めていくかということを真摯に考えておられるという具合に思っております。
そうした中で、倉敷におけるJFEスチールの革新電炉を今後進めていくということで国の補助金がついたということは、我々にとっても非常によかったことだという具合に思っております。ただ、その電炉に使う電気をどういう具合に確保して、現地にどうやって届けていくかというのは、今後の大きな課題だという具合に思っております。
例えば、送電線が今の送電線容量じゃとても賄い切れないので、それを増強していく必要があるんですけれども、その手当てを誰がするのか。今の国の法律に基づくと、事業者がやっていかないと駄目だというのがあるんですけれども、それをどうしていくかというようなことも大きな課題だという具合に思っておりますし、そのほかの企業においても、カーボンニュートラルを進めていく中で、自社の自家発の設備を新しい燃料に変えていくのか、それとも系統電源から電気を受けていくのかというようなことを悩んでおられる方もおられて、その系統の制度をどうしていくのかというようなことも大きな課題として捉えておられるんじゃないかなという具合に思っております。その辺の制度設計についても御議論いただければという具合に思っております。
また、大きなことは、今後そういうカーボンニュートラルなり電炉によって製品ができてくるわけでありますけれども、その価値を十分に認めるような制度にしないと、日本が独り負けするような格好のことも起こるという具合に思っておるので、是非、国においては、国際的な枠組みの中で、そういう製品が価値として認められるような制度設計をしていただくことを望んでおるところであります。
以上です。
○平林委員 ありがとうございました。本当に貴重な御意見をいただきました。
やはりカーボンニュートラルを進めていくと同じ製品が高くなるということが出てくるというふうに思いますので、それを消費者側の意識の変革というんですか、そういったものをしっかりとしていかなくちゃいけないということで、それも経産省にも共有させていただきたいというふうに思います。
では、続きまして、用意していたのが人口減少で一極集中の話をしていたんですけれども、様々議論がありましたので、もし時間があったら後でということで、先にちょっと半導体のことを聞かせていただけたらというふうに思います。これは高垣市長と湯崎知事の方にお聞きできればというふうに思います。
広島といえばメモリー半導体で、先ほど冒頭にも高垣市長の方からも様々お話がございました。
一九八八年九月、NEC広島として設立をされて、二〇〇三年九月にエルピーダとなって、本当にこの後様々激動があったわけですけれども、二〇一三年八月にマイクロンに買収をされて、今に至っている。
この企業そのものもそうなんですけれども、この歴史とともに忘れてならないのが、やはり、お隣にあります広島大学の統合移転というものも、これも大きなストーリーの一角を担っているのではないかなと思います。
広島大学そのものは、越智学長のリーダーシップの下、大いに今発展をしておられるところでございますけれども、工学出身の私からすれば、半導体に非常に強い大学だな、こういう認識を持っております。
少し歴史を調べさせていただきましたところ、昭和四十年代からシリコン集積回路技術に重点化した研究、教育体制を強化されていたということで、昭和六十一年、一九八六年のことですけれども、集積化システム研究センターを立ち上げられて、それが平成八年に発展的に改組されたりしながら、現在の半導体産業技術研究所に至っている、このような認識をさせていただいておりまして、昨年、寺本研究所長も訪問させていただきましたけれども、本当にすばらしい設備が整っているなということも拝見をさせていただいたところでございます。
重要なことは、この間、何年ですかね、もう五十年は超えるこの歴史の中で、半導体を始めとするデバイス分野は今すごく脚光が集まっていますけれども、決してその間ずっとそうであったわけではないということだと思うんですよね。それどころか、本当についこの間まで、なかなか学生が集まらないようなそういう分野。僕も情報出身なので、情報もそうだったんですね。ところが、急に今、AIやら何やらということで脚光が集まっているというような。こういう冬の時代であっても、この広島大学さんにおかれてはずっときちっと取組をされてこられたということは、物すごくこれはすごいことだと思っていまして、心から敬意を表したいというふうに思っております。
今後、生成AI、データセンター、スパコンを始めとして最先端半導体の需要は高まる一方でありまして、日本の半導体産業の復活を遂げていくために、ここ広島は、九州や北海道とともに一大拠点であるということは間違いないと認識をさせていただいております。
更なる発展を遂げていくために、今後の展開、どのように描いておられるのか、高垣市長、そして半導体にも非常にお詳しい湯崎知事にも、この順番でお聞きできればと思います。よろしくお願いいたします。
○高垣廣徳君 我が市も、半導体をこれから牽引していく全国の四拠点の一つの都市であるというふうに実は思っています。
今、平林委員が御指摘になられたように、広島大学は、かつて半導体人材をしっかりと養成する大学であり、今はマイクロンとなっておりますけれども、NECから始まってエルピーダ、そしてマイクロンというふうに展開をしてまいりました。
そういう中で、大学と連携してどういうふうに半導体人材を育てていくかというのが大変重要なテーマであり、実は、一昨年、日米の十一大学の連携協定が結ばれました。国内大学はたしか九州大学、東京科学大学も入っていたと思いますけれども、そういう大学と連携をして、アメリカの大学と人材育成を図っていこうという取組になっています。
こういうものをしっかりと我々としても後押しをする必要があるし、今後、半導体人材というのは、言うなら、外国人も増えてくるであろう、そして日本人もグローバルに活躍するような人材が恐らく我が市にも入ってくる。ということになると、そのような町づくりを今後我々としては志していく必要があるのではないかなというふうに思っています。
いずれにしろ、この取組というのは、県や国としっかりと連携をさせていただきながら取り組んでいくテーマではないかというふうに思っていますので、よろしくどうぞお願い申し上げます。
○湯崎英彦君 マイクロンはアメリカの企業ですけれども、この広島の拠点というのは、実質的に、先ほどの経緯からいうところの日本企業ですね。今、グローバルの技術のトップも、実は広大出身の、広島拠点にいる日本人がやっていまして、このマイクロンでの開発と製造というのは、これは今、実は、韓国、台湾含めてメモリーでは世界トップを走っています。
その他にもいろいろ広島県に立地していますけれども、それを支えるために、広島県としては、必要な工業用水だとか産業用地、あるいは道路といったインフラの整備をしておりますし、広大あるいは東広島市等とも連携しながら、この半導体関連の企業の集積であるとか、半導体人材の育成であるとか、外国人を含む従業員の生活環境の整備とか、こういったことに取り組んでいます。
今、日本がもう一度半導体に力を入れていこうという中で、今後私ども重要だと考えていますのは、やはり集積をするということだと思います。
台湾は、いわゆる台北から台湾の南の端ぐらいまで、これはちょうど新幹線と高速道路で結ばれているんですけれども、この中に集積をしているということが非常に大きな競争力の源泉であるというふうに台湾の人たちは言っていまして、この距離、実はちょうど広島から熊本なんですね。片や、メモリーの世界最先端があり、片や、そのロジックの、最先端ではないんですけれども、最先端に近いものがある。この地域に様々な半導体、開発であるとか、今後重要になってくるような後工程と言われるような工程であるとか、あるいはサプライヤー、こういったものを集積をしていくことが、この日本の半導体産業の競争力強化に重要だと思います。
従来、シリコンアイランドというふうに九州は言われたり、九州自身が言っていたんですかね、と言われているんですけれども、アイランドじゃなくて、もうちょっと延ばしてシリコンアイルにして、ここの最先端、現に特に広島の場合はもう既にあるので、EUVもあるので、ここに集積をさせていくということ、これはなかなか自治体だけでは構築できないので、これは国に是非強い支援をお願いしたいと思いますし、この半導体の競争というのも、数千億円単位の研究開発と生産設備の投資が必要なので、引き続き、今十兆円の枠がありますけれども、今申し上げたような、マイクロンといいながら日本発の技術で、今、世界。エヌビディアの最先端も、マイクロンの広島で作ったHBMと呼ばれるDRAMがないと動かないんです。
これが継続的に、次の世代、その次の世代も広島で開発して生産できるように、非常に大きな単位になりますけれども御支援をお願いしたいと思いますし、先ほどのインフラ、排水だとか道路だとか水の確保、これについても、あるいはまた電力も今後グリーン電力を調達していかなければいけないというようなことが出てきますので、そういったことに対して支援をお願いしたいですし、あと、人材も、この間ちょっと低迷していたので、今後、どんどんどんどん、もっともっとこれを確保するということにも、是非御支援をお願いしたいと思っております。
○平林委員 もう本当にお二人の熱い熱い思いを受け取らせていただきました。
私は、実は、党の半導体基盤強化プロジェクトチームの事務局長でして、委員長が九州を拠点にしている河野参議院議員ですので、これでがっつり半導体、シリコンアイルも構想を承らせていただきますので、頑張ってまいります。ありがとうございます。
最後、一点だけ。
もう時間がちょっとなくなってしまったんですけれども、外国人就労の取組、広島県はすごく先進的に取り組んでこられております。特定技能外国人受入モデル企業支援事業というのもやっておられて、その方が特定技能二号試験に合格されたということも大きく報道されておられました。
こういった取組、もしその後広げておられる部分がありましたら、知事、簡潔に教えていただけたらと思います。
○湯崎英彦君 今後、また今度は育成就労というのも入ってきますので、そこで大きなボリュームがあると思います。
我々は、やはり、一つは分野を拡大していくということ、今の技能実習と同じようにしていただきたいということと、日本語の学習ということがやはり重要になって、それから次の段階というふうに行きますので、特定技能に円滑に行けるように、日本語学習あるいは生活環境の確保、こういったことに対する支援を、我々もやっていく予定にしておりますし、国においても是非そういったことに対する支援をお願いしたいと思います。
○平林委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○井上座長 次に、本村伸子君。
○本村委員 今日は、お忙しい時間を割いていただきまして貴重な御意見を聞かせていただいた四人の皆様に、心からの感謝を申し上げたいというふうに思います。
日本共産党衆議院議員、本村伸子です。
私は長崎の被爆二世でありまして、今日は広島に訪問させていただいたということで、まず原爆の問題、核兵器の廃絶の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
今年は、被爆八十年という節目の年です。私は、この年を本当に大切な年にしていきたいというふうに思っております。広島や長崎の被爆者の皆さんが、本当に人生を懸けて魂の声を上げ続けてこられました。そのことが世界の人々の心を動かし、そして、都市としても、この広島の皆さんが本当に大きな声を上げていただく中で、核兵器禁止条約、こういうところに実を結んだというふうに思っております。本当に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
まず、湯崎知事にお伺いをしたいんですけれども、私、毎年、広島市の死没者慰霊式、平和記念式典、知事の発言を大変注目をしております。核抑止論者に対してしっかりと反論をされている、このことに私は大変敬意を申し上げたいというふうに思っております。
湯崎知事に是非核兵器廃絶への原点と核抑止論についてのお考えを改めてお伺いをしたいというふうに思います。また、被爆八十年に際して思うところを是非お聞かせいただけたらというふうに思っております。
○湯崎英彦君 ありがとうございます。
原点といいますか、やはりここは被爆地でありますので、被爆地広島市、そしてその広島市を抱える広島県の首長としてこの核兵器の問題にしっかりと取り組むということは、我々に課せられた一つの宿命というか使命というか、そういうものだというふうに私は認識をして取り組んでいるところでございます。
核抑止論については、いろいろなところで私も発言させていただいていますけれども、非常に重要だと思っていますのは、核兵器というのは物理的な現実として存在をしているわけですね。核抑止論というのはいわばゲーム理論でありまして、ゲーム理論というのは、人間のサイコロジーに依拠した頭の中の存在、戦略であるとか、そういったものであります。
頭の中で考えていることというのは物理的な現実には勝てないというふうに思っておりまして、物理的に核兵器が存在する限り、これが使われる可能性というのは絶対になくならない、どんなに抑止という考え方をもってしても使われる可能性がある。これは、過去の人類の歴史の中でいわゆるリアリズムと言われるような抑止の考え方がありますけれども、破られたことがないことは一度もないというふうに思っています。
そういう意味で、核兵器はいろいろな理由で今のところ使われていないということもありますけれども、これが永遠に続くというふうにはとても考えられない。それが使われたときには残念ながら人類も地球も存続不可能になってしまうおそれがあるということを考えると、やはり物理的な現実を早く排除をしていくということが重要だというふうに考えているところでございます。
これについては、広島県は、僅かながらの我々の乏しい資源を使って、核兵器がない世界はどういう安全保障になるのかということですね、核抑止を代替する安全保障論ということを考えていかなければその次の世界というのはできないということで、そういった研究も海外のトップの研究機関と連携しながら進めているんですけれども、実は私は、是非日本政府にもこういった研究に資源を投下していただきたいなというふうに思っておるところでございます。
○本村委員 ありがとうございます。本当に重要な発言を毎年していただいていることに心から敬意を申し上げたいというふうに思います。
私の地元は愛知県なんですけれども、愛知にも広島の被爆者の方々がいらっしゃいます。被爆者の方々から、広島の被爆者の方から、ノーベル平和賞の授賞式にも参加をされた方なんですけれども、自分が生きているうちに、被爆者が生きているうちに核兵器禁止条約に批准をしてほしいという、本当に切なる思いを伝えていただいております。そして、少なくともオブザーバーとして締約国会議に参加をしてほしいという思いを私もいつも聞かせていただいて、本当に被爆者の皆さんの思いに応えていかなければいけないというふうに痛感をしております。
先ほど四人の皆様から、それぞれこのオブザーバー参加や核兵器禁止条約に関するお言葉をいただきましたので、私からは繰り返し質問はしないわけですけれども、是非政府にもそういうふうに、私たちも党としてもしっかりと今も伝えておりますけれども、与野党を超えて、この点では力を合わせていきたいというふうに思っております。
もう一つなんですけれども、広島の原爆投下後の黒い雨の裁判で勝利をしたわけですけれども、日本政府の新たな線引きの下で、約三百人の方が被爆者として認定をされずに却下をされているという現実をお伺いをいたしました。
国の責任で証言に基づく再調査を行い、黒い雨の降雨の地域を今きちんと確定をしていくことが必要だというふうに考えております。やはり、被爆者の方々は高齢化をして、証言できる方がいなくなってしまう。私の父も体が弱っておりまして、本当に被爆者の方々がいなくなってしまう、そういう時代が来てしまうのではないかということを大変心配をしておるんですけれども、やはり、今やらなければ永久に不明になってしまうというふうに思います。
被爆の実相、この黒い雨の降雨域もそうなんですけれども、被爆の実相を更に鮮明に明らかにしていくというために、今国がやるべきことということを四人の方にお伺いできればというふうに思っております。
○湯崎英彦君 ありがとうございます。
黒い雨については、今般、菅総理の大きな決断によりまして降雨域の拡大というのはされました。それは、その他の地域に降っていないということを確定したわけではありませんので、やはり一定の線を引かないと、事務処理をするという意味では非常に大変になる、一つ一つ全部検証するというのは大変なので、それを簡易化するという意味ではよかったと思いますし、残りのところについては、今度は逆に少数になっていますので、きちんと検証しながら認定をいただければと思います。
その他、被爆の実相というのはますます今後伝えていくのが難しいというふうに思いますので、今広島市が様々な、AIなんかも使いながら、伝承の努力をしております。そういったことを、やはり、ラストミニットといいますか、強力に進めていく必要があろうかというふうに思っております。
○大野真人君 被爆の実相を伝えるということに対して意見したいと思いますけれども、先ほどおっしゃられたとおり、広島県の被団協の方から言われる言葉が、私たちが生きているタイミングで核兵器廃絶というのは難しいかもしれないけれども命ある限り闘うという、私もこれで感銘を受けているんですけれども、それをちゃんと次世代に引き継ぐというのが我々の役目だと思っています。これも、連合もその役割を担っていると思います。
そうした意味で、年々この被爆の実相というのが、そうした八十年前にあったことが薄れてきているというのは間違いない、そのスピードを緩めること、確実につなげていくというのが我々の役目であるので、連合としても、若者を集めた、今できる、被爆者から話を聞かせてあげるということ、その人たちから伝わるようにしていくというのが我々の役目だと思いますので、連合としては、そういう取組を更に強化していきたいと思います。
○芦谷茂君 ありがとうございます。
連合会としての考えじゃないんですけれども、被爆された方が高齢化する中で時間がなくなってきておるという具合に思いますので、実態も把握した上で適切な措置ができればいいなという具合に思っております。
以上です。
○高垣廣徳君 被爆者の人が高齢化をし、どんどん亡くなっていく中で、この実相をどう伝えていくかというのは大変大きなテーマであり、これをいかに次世代につないでいくか、そのために若者たちにこの実相をどのような形で伝えていくのかというのは、大変重要なのではないかというふうに思います。
もちろん、今ある被爆者の方々の声をアーカイブすることも重要でありますけれども、生の声としてどういうふうに発信していくかというのは大変重要で、そういう取組を我が市においても少しずつやっていく必要があるのではないかというふうに考えているところです。
○本村委員 それぞれ貴重な御意見をこの点に関しても言っていただいて、ありがとうございます。
続きまして、賃金の引上げについてお伺いをしたいというふうに思っております。
私は愛知県の豊田市出身なんですけれども、マツダさんとトヨタ自動車さんと少し比較をしてみましたけれども、価格転嫁の問題でいいますと、下請の方々に今中小企業庁の方が調査をしておりまして、各企業さんがどういう状況なのかということを調べております。
そうしますと、マツダさんでいいますと、価格転嫁、しっかりとコスト増の分、原材料費の高騰、エネルギー価格の高騰、労務費の高騰分のところの価格をどのくらい補償しているかというと、一番上の方の七割以上というところに位置をしておりまして、残念ながら、トヨタ自動車さんは四割台から六割台のところのグループにいるんですけれども、自動車・自動車部品の下請中小・小規模事業者の皆さんでいうと、コスト増した分の五一・九%しか補償されていないという現実がありまして、やはり最上位の企業が一〇〇%補償するということをしっかりとルールづけなければ、なかなか。国の方も、少しずつではありますけれども、改善しているんですが、それをずっと続けていくと多分何年もかかってしまう、十年単位でかかってしまうという状況で、やはり今すぐ上げなければいけないというふうに思っております。
そういう下で、私も総理に質問させていただいたんですけれども、その後に、企業取引研究会というものをやって、それで下請法の改正というふうになってまいりました。ここで下請さん、取引企業さんと上位の企業と協議をすることを義務づけるというふうになってまいりましたけれども、協議をしても一〇〇%補償しなくてもいいみたいにも取られかねないんですけれども、ルールを作るという観点についてはどういうお考えをお持ちかということを、是非大野会長にお伺いをしたいというふうに思っております。
○大野真人君 ルール作り、大切だと思います。それがパートナーシップ構築宣言、宣言をするということだと思います。その宣言に基づいて、全ての発注になる、請負になる企業がそれに沿ってやるということです。
これまで、恐らく、長い歴史の中で、二次、三次会社になればなるほど、請負になると言い値でやっているというところもあるやに聞いております。それが、今回のこの宣言をする、この様式に沿って取り組むということが大切であって、いつまでも値上がりをする、原材料価格が上がるということじゃないので、では下がったときにはどうするかということも含めてこの宣言の下で取り組むというのが必要でありますので、是非このパートナーシップ構築宣言に基づいた対応が全ての企業でできるように改めてお願いしておきたいと思います。
○本村委員 ありがとうございます。
私からすると、一〇〇%補償しないというのは不公正な取引であるというふうに感じてしまうんですけれども、アメリカでは、不公正な取引に対して三倍の賠償請求ができるというルールがあるということで、そういった厳しめのルールも必要なのではないかというふうに思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。大野会長、できればお願いをしたいと思います。
○大野真人君 難しい質問ですね。そこまでしなくてもいいように、平和な日本であってほしいと思います。
○本村委員 ありがとうございます。
続きまして、医療や介護の労働者の確保というのは、本当に、社会の維持にとって、そしてこれから経済成長をしていく上でも、非常に大事な基盤だというふうに思っております。しかも、切迫した課題だというふうに思っております。
私の地元は愛知県の豊田市ですけれども、合併した旧町村の部分で、訪問介護ができない、ヘルパーさんが派遣できない地域が実際に出てきておりまして、介護が必要にもかかわらず訪問介護が受けられないという現実が実際にあるということを地域の病院からお伺いをしております。
愛知県の第二番目の都市でもそうであるのであれば、全国どこでもそうであるのではないかというふうに思うんですけれども、この広い広島県内でそういう状況がないのかという点をお伺いしたいのと、賃上げにおきましては、医療や介護の分野といいますと、本当に置き去りにされている現状がありまして、その点での問題意識、国への要望を是非聞かせていただきたいなというふうに思っております。これは、湯崎知事、大野会長、高垣市長にお願いを申し上げたいと思います。
○湯崎英彦君 まず、訪問介護の状況ですけれども、御指摘のように、非常に厳しい状況にあるというふうに理解をしております。これは、介護者もそうですし、ケアマネについてもそういう状況がある。どの程度まで実際に介護ができていない人たちがいるかというところまではまだ把握できておりませんけれども、我々、業界の皆様からお話を聞くと、非常に厳しい状況であるということは伺っております。
この介護、看護の処遇改善というのも非常に重要だと思いますけれども、これは公的価格に基づいたものになっておりますので、今これは、来年我々はまた取り組む予定にしておりますけれども、やはり、生産性の向上というか、新しいテクノロジーも導入をしていくということと、それからもう一つ、算定の部分でいいますと、やはり、特に中山間地域においては移動の時間が非常に時間がかかるんですけれども、それが考慮されないというところでの苦しさということがあるので、そういったことについては、是非制度的な改善を図っていただきたいと思います。
一方で、ただ、それがどんどんどんどん上がると、今度は介護保険がすごく高くなってしまうという問題もあるので、そこでもう一度戻って、先ほどの生産性向上といったことも非常に重要な取組ではないかというふうに思っております。
○大野真人君 訪問介護、その現状というのはちょっと認識していないんですが、いろいろな意見を聞くのは、やはり実態は足りていないという話と、訪問介護だけじゃなくて、既にこういう経営がもう成り立たなくなっているんじゃないかなというふうに思います。現実的に破綻をする、そういうのもこの広島県下でも起きているような気がしています。
その理由は、やはり元々収益が上がる仕組みじゃないということで、今、周りが賃金が上がっている中で極端に賃金の差が開いてしまった、決して高くない、むしろ低過ぎるという賃金だと思っています。
そういったところに対して、やはり国としてもっと分厚い支援をすべきじゃないかなというふうに思っていますので、そのことをお伝えして意見とします。
○高垣廣徳君 中山間地域も多く抱える我が市にとっても、この医療・介護人材の確保というのは大変大きな問題です。今、その確保で非常に困難であるという状況にはないところでありますけれども、いずれ、近い将来、そういうことにもなり得るというようなことを考えています。
医療については、恐らく遠隔医療の議論が国においてもされていると思いますけれども、そういうところで一定のカバーはされるかも分かりません。しかし、介護においては、これはなかなか、マンパワーをどう確保するかということが課題になりますし、それについては、恐らく処遇改善をどういうふうにしていくのかということも、これは大変重要だと思いますし、あるいは、介護人材とともに、新しいテクノロジーで、例えばロボットみたいな話であるとか、そういうふうなこともやりながらカバーをしていくような時代がもうまさに目の前に来ているのではないかという認識を持っているところです。
大変厳しい状況下に現在なりつつあるという認識をしているところです。
○本村委員 貴重な御意見、本当にありがとうございました。
○井上座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
意見陳述者の皆様におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。
また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
これにて散会いたします。
午後三時三十七分散会