衆議院

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第25号 令和7年6月6日(金曜日)

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令和七年六月六日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      伊藤 達也君    稲田 朋美君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      河野 太郎君    小寺 裕雄君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      高木  啓君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    谷  公一君

      寺田  稔君    西銘恒三郎君

      平沢 勝栄君    深澤 陽一君

      古屋 圭司君    星野 剛士君

      山田 賢司君    石川 香織君

      市來 伴子君    今井 雅人君

      大西 健介君    神谷  裕君

      川内 博史君    城井  崇君

      小山 千帆君    近藤 和也君

      酒井なつみ君   佐々木ナオミ君

      階   猛君    西川 将人君

      福森和歌子君    藤岡たかお君

      本庄 知史君    水沼 秀幸君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      阿部 圭史君    池下  卓君

      徳安 淳子君    西田  薫君

      長友 慎治君    橋本 幹彦君

      赤羽 一嘉君    大森江里子君

      河西 宏一君    西園 勝秀君

      櫛渕 万里君    田村 貴昭君

      田村 智子君    緒方林太郎君

      福島 伸享君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   外務大臣         岩屋  毅君

   財務大臣         加藤 勝信君

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   農林水産大臣       小泉進次郎君

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 坂井  学君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)         高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 廣瀬 健司君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  檜垣 重臣君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    谷  滋行君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        望月 明雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 柏原  裕君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伊藤 学司君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            前島 明成君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     星野 剛士君

  土屋 品子君     黄川田仁志君

  山田 賢司君     小寺 裕雄君

  川内 博史君     水沼 秀幸君

  黒岩 宇洋君     福森和歌子君

  酒井なつみ君     城井  崇君

  藤岡たかお君     小山 千帆君

  西田  薫君     阿部 圭史君

  河西 宏一君     西園 勝秀君

  田村 貴昭君     田村 智子君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     土屋 品子君

  小寺 裕雄君     山田 賢司君

  星野 剛士君     高木  啓君

  城井  崇君     西川 将人君

  小山 千帆君     石川 香織君

  福森和歌子君     市來 伴子君

  水沼 秀幸君     川内 博史君

  阿部 圭史君     西田  薫君

  西園 勝秀君     河西 宏一君

  田村 智子君     田村 貴昭君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 香織君     藤岡たかお君

  市來 伴子君     佐々木ナオミ君

  西川 将人君     酒井なつみ君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木ナオミ君    黒岩 宇洋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(内外の諸課題)


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、内外の諸課題についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君外十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。星野剛士君。

星野委員 自由民主党の星野剛士です。

 質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 まず、いわゆるトランプ関税をめぐる日米協議についてお伺いをいたします。

 これまでも政府を挙げて、交渉妥結に向け、取り組んでこられました。今現在も、赤澤大臣は米国に渡り、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官たちと交渉を続行しております。赤澤大臣の訪米は、今回を含めると計五回となります。言うまでもなく、交渉の行方次第では、日本経済に大きな負のインパクトを与えます。

 特に、我が国の基幹産業である自動車産業については大変心配をしております。各社とも、程度の差こそあれ、大幅な減収を見込んでおります。自動車産業は、五百五十八万人が働き、部品の点数は約三万点にも及ぶ裾野の広い産業です。私の地元、神奈川県藤沢市にも大きなトラック製造工場があり、多くの自動車関連部品の受託企業がございます。自動車産業全体が、またその他の産業も含めて、交渉の行方を固唾をのんで見守っております。

 日米協議について、これまでの協議の進捗の状況と、今後どのような姿勢で協議に臨むのか、総理の見解をお伺いをいたします。あわせて、これまでの日米協議において何を具体的に協議をしてきたのか、協議対象をお伺いをいたします。

石破内閣総理大臣 星野委員にお答えを申し上げます。

 協議の対象ですが、日米間におきましては、自動車・自動車部品、鉄鋼、アルミニウム、相互関税を含め、全ての米国の関税措置について協議を行っておるものでございます。

 その上で、これまでの協議において、貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力について議論を深めておるところでございます。

 抽象的なことを申し上げて恐縮なのですが、どっちかが得をして、どっちかが損をする、そういうような交渉をしたくないと思っています。

 アメリカは多くの国と貿易を行っておるわけでございますが、日本とアメリカの関係を考えましたときに、我が国は、アメリカに対する最大の投資国であります。そして、最大の雇用を生み出しております。そこにおいて支払われる給与というのも、世界有数の高さでお支払いをしておるわけであります。

 そのことに着目をいたしました場合に、関税よりも投資である。我々がアメリカに投資をする、そこでよりよいものをつくる。日本の資本であり、また技術であり、そして、よりよいものを共につくる形で雇用を生み出し、それで世界に、多くの人々に便益を与える。共にウィン・ウィンの関係をつくっていくというような交渉をしていかねばならないと思っております。そういうことでございますので、私どもとして、関税よりも投資ということ。

 つまり、アメリカ大統領のいろいろな演説を見ますと、アメリカは今まで世界に市場を開放してきた、それの結果が何なんだ、多くの失業者、そして貿易赤字ということであります。それが大統領が選挙において最も強くアピールした点であり、先方がそのような考え方でいるとするならば、それに沿って日本ができることとは何なのだと。

 委員御指摘のように、日本の産業というものをきちんと守っていきながら、それでいてお互いがウィン・ウィンの関係をつくるということを目指して、今、政府を挙げて努力をし、多くの方々のお知恵を賜りたいと思っておるところでございます。

星野委員 ありがとうございました。

 次に、激動する国際情勢の中で、日米同盟の深化についてお伺いをいたします。

 トランプ政権は、自国の利益を優先する傾向が強いとの指摘が一部報道等にもありますが、予測がし難いという意味で、私も心配をする一人でございます。

 特に、ロシア、中国、北朝鮮と向き合う中で、我が国の外交、安全保障政策の基軸、基盤である日米同盟の深化は最重要課題であります。さらに、日米同盟は、自由で開かれたインド太平洋の基盤でもあります。

 また、日米同盟を基盤としつつも、他の同志国との重層的な連携強化も不可欠となってきます。米国が内向き志向を強めていく、さらに関税措置も加わるということで、これまで連携してきたG7の結束、あるいは、米国と中国とのはざまでバランスを取ることに苦慮しているASEAN諸国への影響が出てしまうと考えております。

 その中で、自由で開かれたインド太平洋を発展させる、また国際秩序を再構築するといった面で我が国が果たすべき役割があるとも考えますし、また、各国の期待というものも増してくると考えます。日米同盟の深化であり、石破総理とトランプ大統領の信頼関係だと考えております、この基盤を築くのはですね。

 そこで、総理にお伺いをいたします。

 トランプ政権は、自国の利益を優先する傾向が強いと指摘させていただきましたが、トランプ政権の日米同盟へのコミットメントについてどのようにお考えになっているのでしょうか。さらに、政府は、日米同盟を基軸としながらも、日米同盟を補完する同志国との連携についても強化すべきではないかと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。

石破内閣総理大臣 それは委員御指摘のとおりだと思っております。

 二十数年前のこと、私が防衛庁長官を務めておりましたときに、ブッシュ・ジュニア政権でございました。国防長官はドナルド・ラムズフェルド氏でありました。そのときから、アメリカは、今までのハブ・アンド・スポーク、アメリカがあって、そこから放射線状にいろいろな同盟が展開される、そういうような安全保障政策を取っておりましたが、そのハブ・アンド・スポークではなくて、いろいろな国の同盟をつないでいくネットワーク型に変わっていくのではないかというような議論をしたのが今から二十数年も前のことでございます。

 当然のことでありますが、アメリカにはアメリカの国益があって、日本には日本の国益があって、それがどのように重なり、地域全体の平和と安定に貢献するかということを考えていかねばなりません。

 同時に、アメリカのバンデンバーグ決議というのは、自分の国の国防について、防衛について努力をしない国をアメリカは決して援助しないというものでございます。我々はそれをよく認識をしていかねばならないのでありまして、日本の防衛費というものも、これは防衛力と言った方がよろしいかと思いますが、多くの方々の御理解を得ながら、これを高めていく努力を着実にしておるところであります。

 そして、日米同盟というものが有効に機能するように自衛隊に統合司令部というものをつくりましたが、それは、より緊密に、迅速に日米が連携できるようにということでつくったものでございます。

 そのように装備面においても、あるいは運用面においても、法制面においても、日本とアメリカの協力というものを更に深めてまいりたいと考えております。

 同時に、これは防衛大臣、外務大臣が大変努力をしておるところでございますが、アジア諸国との連携というものも強めていきたいと思っております。そこは同盟関係にあるわけではもちろんございませんが、いろいろな装備品の協力、訓練の協力、そういうものも高めてまいりたいと思っております。

 あわせまして、アジア太平洋、イギリスは、五か国同盟というのをこの地域に持っている。そして、この地域に広大な領土、領海を有しているのはフランスである。そして、ANZUS条約というものがアメリカ、ニュージーランド、オーストラリアというものにおいて結ばれている。こういうものを重層的に組み合わせていきながら、この地域において、自由で平和な、法の支配に基づくインド太平洋というものをつくる努力というものを、我が国は、受動的なのではなくて、主体的に果たしていかねばならないと思っております。

 今後とも委員の御指導を賜りたいと思うゆえんでございます。

星野委員 次に、中国についてお伺いをいたします。

 昨年十二月に与那国島南方の我が国排他的経済水域、いわゆるEEZで設置が確認をされていたブイに関し、海上保安庁は、本年、当該ブイが我が国EEZに存在しなくなったことを確認をいたしました。中国による日本水産物の輸入規制についても、早期撤廃の道筋がついたことを確認をしております。

 しかし、私が指摘をしたいのは、未解決の問題が山積をしている現実であります。尖閣諸島をめぐる情勢、邦人拘束事案、福島第一原発事故以来の日本産食品に対する輸入規制など、数多くあります。我が国として更に力を傾注しなければならないことは、これらの未解決の問題の解決なのではないでしょうか。

 そこで、岩屋外務大臣にお伺いをいたします。

 ブイや水産物の輸入規制などで一定の進展もありましたが、中国海警のヘリコプターによる尖閣諸島周辺での領空侵犯事案が発生したほか、邦人拘束事案や農水産物の輸入規制といった懸案も依然として残る中で、今後、日中関係をどのように進めていくのでしょうか。お伺いをいたします。

岩屋国務大臣 星野委員には、党の外交部会長として、外交政策全般にわたって御示唆、御指導をいただいておりますことに厚くお礼を申し上げたいと思います。

 日中関係についてのお尋ねでございますが、御指摘がありましたように、東シナ海また与那国島南方の我が国排他的経済水域で設置が確認されていたブイにつきましては、これまで中国側に対して、私も訪中時にも強く撤去を求めてまいりましたけれども、そのいずれも存在しなくなったことを確認をしております。

 また、中国による日本産水産物の輸入規制につきましては、早期撤廃を実現すべく、政府一丸となって取り組んでまいりました。また、日中議連の皆さんにも御尽力をいただいたところでございます。先般、日中双方が輸出再開のために必要な技術的要件について合意に至ったことは、一つの大きな節目だと考えております。しかし、まだ十都県のものは残されておりますので、これについても早期の輸入再開を求めてまいりたいと思います。

 中国との間では、首脳同士で確認していただいた戦略的互恵関係の包括的推進と、そして建設的かつ安定的な日中関係の構築という方向性の下に対話を重ねてまいりましたが、この度、懸案であったブイや日本産水産物をめぐって一定の進展が得られたところでございます。

 一方で、委員御指摘のように、今なお尖閣情勢を含む東シナ海などにおける力や威圧による一方的な現状変更の試み、また我が国周辺での一連の軍事活動、邦人拘束事案、まだ残る輸入規制など、課題や懸案が依然として残っていることも事実でございます。

 引き続き、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めてまいります。そして、対話を重ねることによって具体的な成果をしっかり上げるべく、努力をしてまいりたいと考えております。

星野委員 中国問題、しっかりと取り組んでいただきたいと心から願います。

 次に、米政策について小泉農水大臣にお伺いをいたします。

 先日、地元藤沢市内のスーパーに足を運びました。五キロ二千百六十円で備蓄米が販売をされておりました。少し遅い時間だったためか、その備蓄米は売り切れでしたが、随意契約の備蓄米の販売が全国で始まっているという実感を改めて持ちました。

 米価については、これまでも備蓄米を活用した対策等を取ってきたところでありますが、小泉大臣が就任され、随意契約により売渡しを行うことを決断をされたと考えております。

 今回、随意契約という新たな手法を導入し、米の流通関係者や消費者の不足感を払拭することに向けた断固たる決意についてお聞かせ願いたいと思います。

小泉国務大臣 ありがとうございます。

 神奈川県の藤沢のスーパーにも備蓄米が並び始めたということで、大変御尽力をいただいた民間企業の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思いますし、昨日からは、コンビニで備蓄米の販売も始まりました。

 こういった多くの方のおかげで、スピード感を持っての店頭販売につながったこと、引き続きスピード感を緩めずに、まだ価格の今後の行方は分かりませんので、あらゆる選択肢を持ちながら、消費者の皆さんに安心してお米を買い求めていただけるような環境を実現をしたいと思います。

 あわせて、生産者の皆さんには、今回、備蓄米を随意契約で出しているこの思いというのは、米離れを防ぐ。そして、今日、新たに大手スーパーさんがカリフォルニア米を四キロで二千六百円ぐらいで販売をする、こういった報道もありますが、事実、朝日新聞の最近の報道もありましたが、一年前と比べて、輸入米は八十倍に今増えています。手をこまねいている状況が続けば、間違いなく棚は外国産米が増える。

 こういったことを防ぐためにも随意契約の備蓄米を出しているんだ、これは生産者の皆さんのためでもあるんだというその思いをしっかりとお伝えしたいと思います。

星野委員 昨日、米政策をめぐる初の関係閣僚会議が開かれ、米の生産抑制から増産への転換を進める考えと報じられております。小泉大臣の英断により、今まさに二千円台の備蓄米がスピード感を持って世に出てきたところであります。今の米価を冷ますという意図はよく分かりましたが、一方で、こうした短期のスピーディーな対策だけではなく、米政策について中長期的に考えていくことも必要だと考えます。

 生産者、そして消費者、どちらにも寄り添った政策を実施していく必要があると考えますが、小泉大臣の今後の米政策に関する所感をお伺いをいたします。

小泉国務大臣 今後の中長期の米政策についてでありますが、その中長期を考える上で極めて重要なのは、なぜ今これだけ米の高騰が起きてしまったか、この原因をしっかりと特定をして解明をすることだと思っています。

 昨日、総理からは私に対して三つの指示が出まして、その三つの指示のうちの一つが、今の米の価格高騰の原因をしっかりと解明をすること、そして今までの米政策の検証もすること、これを今の備蓄米を世の中に届けていくことと並行して作業を進めよ、この指示が出ましたので、そこを力を入れていきたいと思います。

 やはり流通の中を見ていますと、今どこにお米があるのか、流通の流れの中でどこかに目詰まりもないのか、そして、卸、集荷業者、小売、こういったそれぞれの中で今何が起きているのかということも含めて、より情報開示も含めてやっていくことによって流通の適正化を図る。そして、その中で見えてきた課題が、中長期の、生産者の皆さんが安心して農業を営める、そして手取りが上がる、こういった方向につながっていくと考えていますので、しっかりと原因解明をしたいと思います。

星野委員 ありがとうございました。

 次に、警察関連の質問をさせていただきます。匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウについてでございます。

 闇バイト強盗や各種の特殊詐欺などの温床となってまいりました。かねてより、私自身、治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会の幹事長としてトクリュウ対策に取り組んでまいりました。既に多くの対策が導入されていますが、仮装身分捜査もその一つであります。いわゆる潜入捜査と思っていただいてもいいかと思いますが、大変危険の伴う捜査であります。この捜査員をバックアップするためのバックアップ要員として、ここでは明らかにできませんけれども、相当の人数をかけて、捜査員の安全を守りながら、この仮装身分捜査、潜入捜査を展開をしております。

 匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウに関し、自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会の提言を踏まえた対策とこれまでの成果、その壊滅に向けた今後の取組について、坂井国家公安委員長にお伺いをしたいと思います。

坂井国務大臣 星野委員が幹事長を務めておられる調査会からは、昨年十二月、本年二月、そして五月と提言を出していただきまして、我々も、犯罪対策閣僚会議において、国民を詐欺から守るための総合対策二・〇を策定をしたところでございます。

 御指摘の仮装身分捜査につきましても、都道府県警察において既に必要な取組を開始をしておりますし、また、架空名義口座捜査についても、関係省庁等と連携をし、導入に向けた検討を進めているところでございます。

 また、抑止面につきましても、犯罪に加担する可能性がある者に対する保護の呼びかけでありますとか、また、星野委員からも御指摘をいただいておりましたアドトラックを活用した闇バイトの危険性に関する注意喚起等の諸対策も相まって、現時点においては一連の強盗等事件の発生が止まっている状況にあるなど、対策に一定の成果が認められるところでございます。

 しかしながら、この匿名・流動型犯罪グループ、トクリュウを壊滅するためには、中核的人物等の取締りが不可欠であります。この秋をめどに警察庁及び警視庁の体制強化を図り、情報の集約、分析、中核的人物等への戦略的、集中的な取締りの強化を図るものと承知しており、社会一体となった対策を一層強力に推進するよう、警察を指導してまいりたいと思います。

星野委員 時間の制約がございまして、最後に、オンラインカジノの規制をするギャンブル依存症対策基本法の改正案が衆議院で可決をされておりますが、オンラインカジノ対策についてお答えをいただきたいと思います。

安住委員長 坂井国家公安委員長、時間が迫っておりますので、簡潔に。

坂井国務大臣 オンラインカジノ対策では、今、議員立法で法案が提出をされて、参議院でこれから御審議ということだと思いますが、この議員立法が成立をしますと、オンラインカジノサイトを開設、運営する行為でありますとか、オンラインカジノサイトに誘導するための広告や書き込み等が違法化され、現在インターネット上に蔓延しているそうした情報がなくなれば、オンラインカジノサイトにアクセスする人の数は減少するものと思われます。

 警察の委託調査でも、オンラインカジノサイトにアクセスをする人の七五%が実際にお金を賭けているということでございますから、ここの人数を減らすということは極めて大事だと思います。

安住委員長 簡潔に。時間が過ぎました。

坂井国務大臣 ということで、あとは、多くの方にオンラインカジノが違法であるということを、今、民間の方にも御協力をいただきまして、広めているところでございます。

星野委員 終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて星野君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。石破総理、今回もよろしくお願いいたします。

 今回は、まず、年金法改正案の修正、特に厚生年金と遺族年金について伺います。

 今回の年金法改正案の修正は、現役世代の厚生年金の目減りを防ぐものです。現在の年金のままでは、今から三十二年後、二〇五七年までは、物価が上がっても年金額が上がりません。マクロ経済スライドがかかるためです。それが続くと、基礎年金の実質価値が三割下がり、厚生年金も減ってしまいます。基礎年金の九五%は、厚生年金の一階部分を占めるからであります。

 立憲民主党は、自民党、公明党と合意をして、年金の底上げを目指しています。今回の修正で、今から十三年後からは、物価が上がれば、受け取る厚生年金も物価上昇と同じ比率で増える仕組みに変わります。将来世代の年金の底上げです。この年金底上げは、就職氷河期世代が年金を受け取る時期に間に合います。

 一方で、厚生年金積立金の流用ではないかとの意見もあります。総理、今回の年金底上げの修正は、流用でしょうか。総理からはっきりお答えください。

石破内閣総理大臣 流用ではございません。

 それは、こういうことなのですよね。委員御指摘のように、厚生年金で積み立ててきたものをそっちの方に回すのは、それは流用であって、厚生年金を積み立ててきた人の意思に反するんじゃないの、こういうような御指摘はかなり前からございました。

 流用というのは余りポジティブな響きがございませんので、何かよからぬことをやっておるようなというようなイメージが持たれたということではないかと思っておりますが、委員御指摘のように、厚生年金の保険料には基礎年金分が含まれておりますので、従来から、厚生年金の保険料や積立金は、報酬比例部分だけではなくて基礎年金の給付にも充てられておったということが事実でございます。

 修正案によります措置は、申し述べておりますように、現在でも行っている厚生年金の積立金の基礎年金への、流用ではなく、活用を更に行うことで基礎年金の給付水準を上げるということを目的としておりまして、流用に当たるという御指摘は当たらないと考えております。

 令和六年財政検証におきます実質ゼロ成長を見込んだケースでは、厚生年金の積立金と追加的な国庫負担、これを活用して、仮にこれを実施した場合に、最終的には、九九・九%を超えるほぼ全ての厚生年金受給者の方の給付水準が上昇すると見込まれておるものでございます。

 いろいろな御提案をいただき、誠にありがとうございます。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

城井委員 総理から答弁いただきました。活用ということであり、流用ではないということでございました。

 総理、年金はただでさえ入り組んだ仕組みであります。分かりやすい説明が必要だと思います。また、厚生年金勘定の財政の再検証の話にも少し触れていただきましたが、ここでの追加的な負担などを含めて、ここを詰めた議論を分かりやすくやっていく、ここが重要だと思っていますので、引き続きお願いしたいというふうに思います。

 続いて、もう一つ、国民の皆様からいただく心配の声を御紹介して伺います。

 今回の修正によって、受け取る厚生年金が減るのではないかとの心配の声が届いています。さて、これが事実かということであります。

 資料とパネルを御覧ください。

 今回の修正は、現役世代を中心に多くの方々にとって年金の底上げにつながる、受け取る年金は増える、こういうことにつながるというふうに考えていますが、その一方で、一時的に減る方もおられるのではないかというふうに私は考えています。

 まず、受け取る年金が増えるケースを伺います。

 五十歳以下の現役世代の厚生年金の対象者何%が年金の受給額が増えるでしょうか。もうちょっと具体的に伺いますと、例えば、三十歳の夫婦、四十歳の夫婦、五十歳の夫婦、六十歳の夫婦のモデル世帯の年金で、それぞれ幾ら増えるでしょうか。厚生労働大臣、分かりやすく明確にお答えください。

福岡国務大臣 令和六年財政検証におけます実質ゼロ成長を見込んだケースでは、仮に厚生年金の積立金と追加的な国庫負担を活用してこの措置を実施した場合、先ほど総理もおっしゃいましたが、現在五十歳以下の世代では九五%以上の方が年金額が増えると見込まれておりまして、三十八歳以下の世代では九九・九%を超えるほぼ全ての方の年金額が増えると見込まれております。

 また、実質ゼロ成長を見込んだケースで、年代別の御夫婦の年金受給総額につきまして、モデル年金を平均余命まで受給するとして機械的に試算をいたしますと、現在六十歳の方は九十九万円、五十歳の方は三百八十九万円、四十歳の方は五百四十一万円、三十歳の方は五百四十六万円増加する見込みとなっております。

城井委員 現役世代にとりまして、就職氷河期世代も含めてですが、今ほど厚生労働大臣からお答えいただいたように、将来受け取る年金の底上げにつながること、そして受け取る年金が増えるということを確認しました。人生の見通しにつながる重要な年金の底上げであります。是非実現していきたいというふうに思います。

 さて、次が問題です。受け取る厚生年金が減るケースであります。

 例えば、六十三歳以上の男性や六十七歳以上の女性の厚生年金が減るのではないかとの御心配の声をいただいています。この点、心配がないようにきちんと手当てをすべきだと考えます。

 今回の修正で一時的に年金額が減ってしまう人に対してはどのように対応するのか、厚生労働大臣の認識を聞かせてください。

福岡国務大臣 衆議院で盛り込まれました御党を始めとする三党の修正案におきまして、仮に経済が好調に推移せず、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置を講じるとともに、その場合に生じる厚生年金の一時的な給付水準の低下といった影響を緩和するため必要な措置を講じるということも含まれております。

 現時点であらかじめこの具体的な措置の内容をお答えすることは困難でございますが、今後の社会経済状況を見極めながら、次期財政検証の結果も踏まえて、仮に基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了の措置を講じる場合には、国会での御指摘も踏まえて、影響を緩和する措置について具体的な検討を行ってまいります。

城井委員 今、お答えいただきました。一時的な年金の減額を緩和する措置ということでございました。併せて対応するということで確認をいたしました。年金の底上げとともに、受け取る年金を減らさない点もしっかり対応いただくことを政府に強くお願いをいたします。

 さて、政府が提起した年金法改正案の中で、遺族年金について不安の声があります。こういう声です。現在遺族年金を受けている人の年金は減りますか、五年で切れてしまいますか。低所得や障害者、困っている人の遺族年金を切るのですか。子供がいる遺族、子供がいない遺族への影響はどうなりますか。遺族基礎年金や加算はどうなりますか。

 こうした遺族年金について、制度の変更の時期、そして影響を受ける人数を含めまして、遺族年金への影響のあるなし、厚生労働大臣から、分かりやすく、明確にお答えください。

福岡国務大臣 今おっしゃられたそれぞれのケースについて申し上げます。

 施行日であります令和十年四月一日より前に既に遺族厚生年金を受給しておられる方々については、現行の給付を維持し、制度改正による影響は生じません。

 また、低所得の方であったり障害を有する方など配慮が必要な方には、所得等に応じて、有期期間終了後も、最長六十五歳まで給付を継続する配慮措置が講じられています。

 また、子供が十八歳になる年の年度末までにある方については、現行の給付が維持され、影響は生じません。

 そうでない場合の、令和十年度末時点で四十歳未満の女性がまずは見直しの対象となりますが、粗い計算で年間約二百五十名と見込んでございます。その後、二十年かけて段階的に実施する中で対象者は徐々に増加をいたしますが、遺族厚生年金の受給者数が約五百八十万人であることに鑑みますと、見直しの対象は限定的であると考えております。

 また、遺族基礎年金の見直しにつきましては、子自らの選択によらない事情により遺族基礎年金が支給停止されていたケースについて支給ができるように見直すものでございまして、その対象の方は、施行日である令和十年四月一日時点で約一万二千名程度と見込んでおります。

 遺族基礎年金等におけます子の加算につきましては、第三子以降の加算額を第一子、第二子の加算額と同額に引き上げた上で、その加算額につきましても、令和六年度の価格で二十三万四千八百円から二十八万一千七百円に引き上げることとしております。令和十年四月一日に施行する今回の見直しによりまして、増額等の影響を受ける子の数は約三十三万人と見込んでございます。

城井委員 今受けている遺族年金は減らないこと、そして多くの遺族にとっては受け取れる遺族年金額が増えるというお答えだったかと思います。

 ただ、二〇二八年度以降、将来的に、子供がいない女性遺族に影響が出る部分が課題として残る点についても触れていただきました。人数の多い少ないではありません。これらの子供がいない女性遺族が経済的に困窮することにならないよう、ここからの制度設計を慎重に進めていく必要があります。

 遺族年金に関し、一人も苦しむ遺族が出ないように取り組むということ、石破総理、明言していただけますか。

石破内閣総理大臣 そうあらねばなりません。そうあるべきものだと思っております。

 先ほど来、厚労大臣がお答えをしておりますように、今回の見直しは、女性の方々の就業率が上がっております、制度の男女差を解消するという観点も重要でございまして、有期給付となられる女性の年齢を拡大しつつ、男女共に受給しやすくなるということを行うものでございます。

 今回の見直しによりまして新たに有期給付の対象となられても、必要な保障が受けられなければなりませんので、給付額は約一・三倍に引き上げるということでございます。

 また、障害年金を受けられる方、収入が十分でない方は、有期給付が終わりました後も継続して遺族厚生年金を受給できるようにする等々、様々な配慮措置を講じて、きめ細やかに対応するものでございます。

 あわせまして、希望に応じた就労支援、正社員への転換支援を図る、生活にお困りの方には相談支援から家計改善、就労支援、お一人お一人の状況に合わせたきめ細やかな支援を行う、生活困窮者自立支援制度も活用していただくということでございまして、委員のお言葉をかりれば、一人も苦しむ遺族がないようにということを実現すべく、政府としては尽力をしてまいりたいと思います。

城井委員 総理、やはり年金は、特に収入や貯金が限られた方が自分の未来、将来で見通しが立つかどうかということで最も自分事で捉えている政治、行政の取組の一つだというふうに思っています。この点を是非心していただきながら、一人も取りこぼすことがないように、しっかり目を凝らして取組を続けていただくことをお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 続きまして、物価高対策について伺いたいと思います。

 いまだに続く物価高への追加の対応が必要です。私たち立憲民主党からは、物価高対策を政策のパッケージにして既に提案をしています。

 資料とパネルを御覧ください。これを踏まえて総理に順次伺っていきたいと思います。

 まず、政府・与党の対応であります。六月三日の産経新聞のネット記事によりますと、自民党の森山幹事長、公明党の西田幹事長は、三日、東京都内で会談し、物価高に対応する追加経済対策をめぐり、二〇二四年度の税収増加分などを財源として国民への還元策を検討することで合意した、還元策には給付も含まれる、追加経済対策は夏の参院選前に取りまとめ、自公の共通公約に反映させる、財源の裏づけとなる二五年度補正予算案は秋の臨時国会への提出を念頭に置いていると報じられています。

 総理、これは事実でしょうか。

石破内閣総理大臣 そういうような報道があることは承知をいたしております。新聞のネット記事の報道に一々論評はいたしません。そういうこともあったかもしれませんし、なかったのかもしれません。

 それは本当ですかと言われると、済みません、確認をしておりませんという答弁に相なります。

城井委員 せっかく質問通告しているので、事実かどうかだけははっきり言っていただきたい。報道は承知ということでございました。

 ただ、総理、このタイミングで秋の補正予算なんといいますと、夏の参議院選挙があるものですから、何かニンジンをぶら下げているようなことになっては本意ではないんじゃないかと思うわけであります。やはりそういう勘ぐりが出てしまいます。国民の皆さんはそんなに甘くないというふうに思います。

 その上で、もし仮に秋の補正予算だとしたときに、この追加対策は遅いと言わざるを得ないというふうに思っています。なぜなら、春以降に追加の物価高対策が行われなかったということを現在も懐厳しく苦しい生活が続く国民の皆さんが実感をしているからであります。

 私たち立憲民主党から提案している物価高対策、特に消費税の負担軽減策、三段ロケットで準備しましたので、これを政府においても速やかに実行すべきだということを申し上げたいと思います。

 この立憲民主党の消費税負担軽減策の三段階、まずは、目の前の物価高対応ということで、食卓おうえん給付金と名づけましたが、お一人当たり二万円の給付を準備をしました。食料品の消費税負担の半年分に当たる金額という計算であります。お米代の負担軽減にもつながるものと期待しています。必要額は二・五兆円、財源もめどを立てました。予備費や未使用の政府基金、そして所得税の増収分も活用します。単なるばらまきにならないように、給付金は課税対象にして、所得が高い方には応分の負担をお願いする設計です。

 総理、この場で、まず、短期の物価高対策として、お一人当たり二万円の給付、決断してください。お願いします。

石破内閣総理大臣 私どもとして、賃上げというものを一生懸命、皆さん方と一緒に、あるいは働く皆さん方と一緒に、経営者の皆さん方と一緒に一生懸命努力をしてまいりました。

 昨年が三十三年ぶりの賃上げでございました。今年も大方出そろいつつありますが、昨年を上回る賃金上昇というものが実現しつつあると思っております。これは政府の手柄だと誇るつもりもございません。皆さん方の努力のたまものだと思っております。

 賃上げが着実に実施されつつある、それを上回る物価上昇があってはならぬ。物価上昇を上回る賃金上昇ということでございますが、政府といたしまして、これは、御審議をいただきました六年度補正予算あるいは七年度予算、まだ六月でございますので、それを着実に実行するということをしていかなければなりません。

 お一人二万円から四万円の所得税減税、世帯当たり三万円、お子さん一人当たり二万円を加算する低所得者世帯向けの給付金、住民税非課税世帯以外の方も対象とする給付金、学校給食の無償化などが実施できる重点支援地方交付金、一定期間の育休給付の手取り、これまで八割でしたが十割にしましょうということを執行しておるわけでございます。

 何もしていないじゃないか、そのようなことはございません。御審議いただいた補正予算そして本予算にこういうものは含んでおり、我々はそれを実行しておるところでございます。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 そして、政府備蓄米の売渡し、先ほど来の質疑でもございました。確実にお米の値段が下がってくるという実感を持っていただく。そして、リッター当たり十円、ガソリン等の価格の引下げも実施をしておるところです。これは、ガソリンスタンドに行かれる方々が、下がったねということを実感していただいているものだというふうに思っておりますし、五月の二十七日に予備費の使用を決定いたしまして、米国関税措置を受けた緊急対応パッケージの一環でございますが、七月から九月の電気、ガス代について、標準的な御家庭、三か月で三千円、この効果を見込んでおります。

 この対象にはなりませんが、特別高圧電力、LPガス、そういうのを使用されておられます中小企業、病院なども実情に応じて支援できるように、重点支援地方交付金〇・一兆円を積み増しております。これから執行します重点支援交付金〇・二兆円と合わせまして、約〇・三兆円、この対策を実施をいたしておるところでございます。

 それは、やはりきちんと御認識をいただく必要があるだろう。賛成、反対はあるけれども、国会の御質疑を経てこの予算を可決をし、そしてまた、我々はその効果が早急に出るように今努めておるところでございます。

 政府は何もしていない、そのようなことはございません。それは、審議をいただいた国会がそういうことをお認めをいただいて成立した予算を誠実に確実に実行しておるということでございます。

 補正予算の話は本当なのかいというお話でございますが、私どもとして、今、この本予算、これをきちっと執行するということを専一に考えておるところでございます。

城井委員 総理の答弁でここまでの取組を御説明いただきましたが、そのやっているという認識を持ちながら、持ちながらも、今までの物価高対策では足りないということを申し上げているんです。実際に実質賃金が下がっているという厳しい状況に目を向けなきゃいけませんし、また、賃上げが物価高に負けている職場、まだまだあります。賃金を上げないと人が集まらないから苦労して歯を食いしばって賃金を上げている職場は増えていますが、それでも追いついていない。だから、当面の目の前の対応が必要なんだということで、私ども、腹をくくって、今回の二万円給付、ここは目の前やるべしということを申し上げているということを是非理解いただきたいということは申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

城井委員 さて、立憲民主党では、消費税の負担軽減策の二段目として、二万円給付の後に食料品消費税をゼロ%にする提案をしています。原則一年間、経済状況を見ながら延長するかを判断する仕組みです。制度変更に伴うレジ改修の補助も行う前提です。必要額は五兆円です。財源は、向こう三年間の政策実行に必要な金額を確保した上で活用可能な積み過ぎ基金、そして、為替が乱高下する対策を想定した上でも活用可能な外為特会の余剰金、そして、役割を終えた租税特別措置の見直しなどで賄うということで準備をしました。

 我々立憲民主党も、この間、憲政史上初めて行われた予算委員会での省庁別審査、また国会議員七十名規模での立憲民主党本気の歳出改革作業チームなどで、手間暇かけて政策財源を検証してきました。

 短期の給付金も、そして食料品ゼロ税率も、国が新たな借金をしない、赤字国債を発行しない設計で、将来世代への責任を果たすようにしています。責任を持って財源を示した上での時限的な食料品消費税ゼロ税率の提案です。

 総理、この時限的な食料品消費税ゼロ税率の実現、是非決断いただけませんか。

加藤国務大臣 また財源については御議論をさせていただければと思いますが。

 消費税の引下げについては、従前から申し上げておりますけれども、全世代型社会保障制度を支える重要な財源として、その引下げは適当ではないと申し上げてきておりますし、また、その場合には、今お話があったレジシステムの改修等々、様々な影響が生じるため、相当の準備期間が必要だ。

 また、高所得者や高額消費も含めて負担軽減がなされることになるため、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者への支援という意味では効率性に乏しいという点に留意する必要があるということ。

 加えて、食料品に適用される軽減税率のみを引き下げる場合には、軽減税率が適用されるテイクアウトや総菜、弁当等の割安感が増すことから、標準税率が適用される外食の売上げに影響する可能性があるほか、農家のように、標準税率で仕入れ、軽減税率で販売される事業者におかれては、仕入れ時に支払う消費税分が変わらない一方で、売上時に受け取る消費税分が減るため、還付を受けるまでの資金繰りに影響が生じる可能性があること。

 さらに、たしか御党は一定期間の間という御提案だと思いますが、一時的、短期間の税率引下げについては、先ほど申し上げた値段設定の検討やシステム改修といった影響が、引下げ時だけではなく税率を戻す際にも生じることや、引下げ前の買い控え、税率を元に戻す際の買いだめ等による経済取引への影響、こういった点にも留意をしていく必要があると考えております。

城井委員 留意点の御指摘、ありがとうございました。

 そういうところこそ勘案しながら、財政の見通しも考慮した上で、安全寄りの試算で今回の実現可能な財源も準備しているということは、付言したいというふうに思います。

 実際、自民党さんの中でも、消費税の負担軽減については声が上がっているんじゃないですか。例えば、小林鷹之元経済安保大臣、「「今不確実性が高い中で給付あるいは減税、さまざまなアプローチがある。最初から「これはなしだ」と決めつけることなく、幅広く検討していけばよい」と述べ、消費減税も選択肢になり得るとの認識を示した。」と、六月四日の毎日新聞でも報じられています。

 総理、財源の裏づけを準備した、期間限定です、食料品消費税ゼロ税率、物価高対策として是非やりましょうよ、総理。総理、お答えください。

石破内閣総理大臣 財務大臣がお答えしたとおりなのですが、例えば、システムを変えるのが一年近くかかるということがございます。ということを私が国会で答弁をいたしましたら、一晩でできると言う方がありました。いろいろな考え方はありますが、実際にこのシステム全体を変えていくということになりますと、半年から一年かかるというのが、そういうのを実際にやった会社から子細に聞き取りました。それはそういうものだと承知をいたしております。

 当然、法律を変えていかねばなりません。当面の物価高に苦しむ方々に、数か月先ということでいいんだろうかということでございます。現場の混乱をどうするのかということが一つ。

 もう一つは、これは当然、委員御承知の上で聞いていらっしゃると思いますが、結局、一律に食料品ならまけましょう、ゼロにしましょうということになりますわけで、総務省の家計調査を基に計算しますと、年収が二百万円未満のおうち、そういう二百万円未満のおうちの食料品に関する消費税の御負担額は四万円ということでございます。他方、年収千五百万円以上、かなりのお金持ちですね、世帯の消費税の負担額は八万三千円ということになる。そうすると、一律に消費税、食料品、ゼロにしますよということになりますと、むしろお金持ちの方が得してしまうということでいいんだろうか。

 我々として、これからやり方はまた議論をいたしますが、本当に困っておられる方々に早く手当てができるやり方というのは何なんだろうかということでございます。時間がかかるということ、そしてまた、本当に困った方々に、困った世帯に十分に行き渡るというやり方は何なんだろうかということを我々は考えていかねばなりません。

 そして、財源の手当ては十分できているよということ、また、短い期間なんだから、それはワンショットのものでもよいではないかというお話でございますが、消費税の収入というものは全額社会保障に充てることになっております。消費がなかなか伸びないねという原因の一つに、先ほど来年金の御議論もいただいておりますが、年金はどうなるんだろう、医療はどうなるんだろう、介護はどうなるんだろう、そういうような御不安が国民の皆様方にあることもまた事実でございます。消費税を全部充てたとしても、まだ足りません。本当にこれでいいだろうかということでございます。

 私どもは、安定した財源、そして、年金の御議論もいただきましたが、どうやって年金を安定させ、医療、介護を安定させるかということについて、消費税は好きですかと聞いて好きですと言う人なんかいませんよ、私も消費税を入れるときから議論していますから。ですけれども、これを何のために使うというお話をきちんとして、それがワンショットではない、常に安定的に社会保障の財源に充てられるという消費税の意味合いというのは、決して軽視してはならないと思っておるところでございます。

城井委員 総理から、じゃ、こうしましょうよという話が聞けないんです。今伺っておりました、一生懸命聞いておりましたが、やらない言い訳ばかりでして、何だか、じゃ、どうするのというところがなかなか聞けない。

 高所得者については応分の負担が必要だということは、先ほどの二万円給付金の段階で私も申し上げています。そこは目をつぶるつもりは全くない。加えて、後ほど議論する給付つき税額控除の中では、安定した恒久財源についても私どもから示していく、こういう腹積もりであります。ですので、そうした具体的な話をぶつけ合うためには、じゃ、政府はどうするのというところを是非示してほしいというふうに思います。

 さて、この食料品消費税ゼロ税率を実行している間に、三段ロケットの三段目、給付つき税額控除の制度設計を行うということに私どもとしてはしております。

 給付と消費減税で必要な人に支援を届けるこの仕組み、中低所得者にとっては単なる減税よりも恩恵が大きいというのがこの仕組みだという理解です。所得が厳しい方ほど税金が重いなと感ずる消費税の逆進性も緩和できると考えています。立憲民主党では、給付つき税額控除検討プロジェクトチームを結成して、六月三日に第一回会合を開催、給付の方法や所得及び資産の把握などの制度化に当たっての検討を急いでいます。

 さて、この給付つき税額控除、五月二十一日の我が党の野田佳彦代表と石破総理との党首討論におきまして、石破総理は、給付つき税額控除について、一つの解だと思っていると述べられました。この石破総理からの御賛同の発言に、ちょっとびっくりしました。

 石破総理、この立憲民主党提案の給付つき税額控除の実現へ協力をいただけませんか。

石破内閣総理大臣 もう一度申し上げておきますが、消費税の持つ意味合いというものはきちんと議論しましょう。

 これは、売上税と言っておった、それを消費税に入れた、そのときに同時に議論をしたのは、年金制度をどう安定させるかというお話でした。もらう額を減らすわけにもいかぬだろう、保険料を上げるわけにもいかぬだろう、しかしながら、開始年齢をどんどん遅らすわけにもいかぬだろう、だとすれば、年金制度の安定のためにも消費税は必要ではないかということを、野党は全部反対でした。あのときに、平成二年の寒いときの選挙でしたが、なぜ消費税を入れなければならないのかということを訴えて、自民党の同志たちは選挙を戦いました。

 私は、御党が党利党略でおっしゃっているとは思いません。これから先どうやって社会保障を安定させるか、そのために消費税はいかにあるべきか、その中で、食料品に限ってゼロにするということがどういう意味を持つものなのかということについて、また城井議員と議論をさせていただければ大変ありがたいし、野田代表とも議論をさせていただきたいと思っております。

 その上で、給付つき税額控除でございます。

 私は、これは一つの解であるということはかなり前から考えておるところでございます。ただ、そのときにおいて、実務面においてどうなのだということになりますと、非納税者の所得あるいは世帯所得、これが現行制度では把握できておりません。これをどのようにして正確に把握をするか。あるいは金融所得も網羅的に把握できておりません。これをどのように把握をするか。そしてまた、その場合の企業、自治体の事務負担等々をどう考えるかということでございます。所得は低いんだけれども資産をいっぱい持っていますよね、そういうおうちもあるのでしょう。こういう場合にどう取り扱うか。

 あるいは生活保護その他の低所得の支援制度との関係。これはいつも議論になることでございますが、生活保護と給付つき税額控除をどのように整理をしていくか。それは制度の趣旨が違うものでございますが、現象面では同じようなことが表れてまいります。

 この辺りの議論をきちんと整理をした上で、私は給付つき税額控除の意味を、全く等閑視をしているものではございません。これは一つの見解だということはよく承知をいたしております。今申し上げましたような論点につきまして、いろいろな意見を交わしていただけて、解により近づけることは期待しておるところでございます。

城井委員 消費税が社会保障の支えの一つになっているという認識は私どもも持っています。だからこそ、財源、責任を持って、期間限定であってもこれは準備せねばならぬということで、努力して準備をしてきたわけであります。

 給付つき税額控除ですが、おっしゃるように所得把握など課題があります。なかなか細かい作業です。だからこそ政府に協力してほしい。その方が正確なものができますから。我々の粗い試算ではなかなか難しいところがありますから、そこは是非協力いただきたいということで申し上げているということをお伝えしたいと思います。

 さて、もう一点、物価高について伺います。

 物価高対策とともに、物価高に負けない賃上げが重要だということは先ほどからの話であります。私どもからも、収入を増やし負担を減らすこと、物価高に負けない賃上げ、企業利益を真っ先に賃上げへつなげ、中小企業が賃上げできる環境をつくり、希望すればみんな正社員になれる仕組みをつくる、こうしたことも提案してまいりましたが、ここで一つ総理にお訴えしたいことは、社会基盤を支える人たちの処遇改善であります。

 いわゆるエッセンシャルワーカー、ベーシックサービスを担う皆さん、医療、保育、幼児教育、介護、福祉、建設、運輸、公共交通。基本的に、公定価格や行政の規制の下で運営を行う仕事では、自ら価格転嫁を行うのは難しい、自ら賃上げの新たな元手のお金を賄うのは難しい、現状の政府の支援策では足りないというのが現場の声です。実際、全産業平均よりも平均賃金は低い職場ばかりだ。

 総理、こうした公的分野を担うエッセンシャルワーカーの賃上げへもう一歩踏み込んだ支援、具体的には、医療、介護、保育、福祉の公定価格の引上げ、そして、政府や自治体発注、公共調達における価格転嫁の徹底、これをやりませんか、総理。もう一歩踏み込んだ支援をお願いします。

安住委員長 石破内閣総理大臣、間もなく時間が参りますので、簡潔な答弁をお願いします。

石破内閣総理大臣 それは政府部内で、今、アドバンストエッセンシャルワーカーという言葉をつくって討議を多方面において行っているところでございます。そういう社会を支えていただいている方々が、今なかなか、労働は過酷である、十分な賃金が受け取れていないという実情は、私自身、よく認識をいたしております。

 介護にいたしましても看護にいたしましても、政府として、それにふさわしい収入が得ていただけるように、様々な施策を打ってまいりました。それが本当に現場に届いているか、届いていないとすればなぜなのかということは、早急に点検をいたしてまいります。

 そして、そういう方々がどうやってきちんと収入を得られるか。それは、一種の社会共通資本的な考え方になるのかもしれません。それをみんなの負担で支えるということについての理論というものをきちんと構築をしながら、エッセンシャルワーカーの方々が誇りとやりがいを持って安定的に働けるような、そういう社会づくりが必要だと思っております。

城井委員 これまでの取組だけでは足りないからこそ申し上げているわけであります。

 是非、現実に、働く方々の賃上げの原資を確保できるように、この公定価格の引上げと、そして価格転嫁の徹底を省庁横断的にやっていただくことを強くお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、石川香織さんから関連質疑の申出があります。城井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石川香織さん。

石川委員 立憲民主党の石川香織です。

 石破総理、どうぞよろしくお願いいたします。

 物価高の波が依然高いまま、今、生活やそして経営を圧迫をしています。東京商工リサーチによりますと、二〇二五年四月の原材料高騰などに伴う物価高倒産は、昨年十一月から六か月連続で、五十件以上で推移をしているということです。全国に八百五十四ある公立病院のうち七割が赤字であるとか、フードバンクでは物価高で企業からの寄附が減少をして本当に支援が必要な方に十分行き渡っていない、そんな話も伺いました。とにかく物価高から国民の生活を守り抜くことというのが、今政治に求められている最も優先する課題だと思っております。

 そして、その課題を解決するための先送りすることができない様々な政策が、今、実現のため、山場を迎えています。

 まずは、ガソリン税から伺います。

 最近は、原油価格が、若干以前よりは落ち着きまして、価格が下がってきたとはいえ、地方に住む方、それから運送業の方を始めとする国民の多くの皆さんがその実現を待ち望むのがガソリン税の撤廃です。しかし、いまだにいつからガソリン税を撤廃するのかという肝腎なことが分からないままです。

 六月の三日、暫定税率撤廃について、自公、維新の協議が決裂をいたしました。立憲民主党は、四月の十八日に、七月から暫定税率を廃止するという法案を既に提出をしております。今、国会の状況も、立憲、維新、国民で様々活発化しておりますが、三党が仮に同じ方向で一致をすれば、今の国会の状況では成立することができるというような状況になっております。こうなれば、七月一日からガソリン価格が二十五円下がるということになりますが。

 そこで、是非、総理に明確にお答えいただきたいんですが、いつからガソリン税を撤廃するのでしょうか。

加藤国務大臣 まず、ガソリン、軽油のいわゆる暫定税率については、これまでも申し上げておりますが、受益者負担、原因者負担の考え方を踏まえたインフラ整備や維持管理等の負担の在り方、国、地方を合わせた一・五兆円の恒久的な税収減に対応するための安定的な財源の確保、さらには、地方との関係で、地方団体からも唐突な廃止に対する懸念も示されておりまして、こうしたことを踏まえて、昨年十二月の幹事長合意に基づき、今申し上げた諸課題の解決策や具体的な実施方法について、引き続き政党間で真摯に協議が続けられるものと承知をしております。

 そして、暫定税率の扱いについて結論を得て実施するまでの間、先ほど総理が御説明いたしましたけれども、すぐに使える基金残高を活用し、リッター当たり十円等の燃料油価格の定額引下げの措置を五月二十二日から開始をしているところであります。

石川委員 今、説明いただきました。本当に時間がかかっている中で、いつという明確なお答えはありませんでした。

 今、財源の確保の話もありました。私たち立憲民主党は、例えば今年の本予算の修正案の中でも、ガソリン価格、軽油価格を引き下げた際の財源も示すなどして、何度もガソリン税撤廃を訴えてきた。

 しかし、いまだに決められないということでありましたが、これ以上時間をかけている場合ではないんです。

 運送業の倒産件数、二四年度がリーマン・ショック以来の高水準となっております。こうしたことも企業経営に大きく関わる話ですし、生活にも直接関わる話です。

 そして、今、加藤大臣のお話にもあった十円のガソリンの定額引下げというものでありますけれども、段階的に十円に近づいていくということで、まだ十円に今週は達しておりません。

 そもそも、補助金というやり方、この不透明な方法を続けてきたことに問題があるのではないかという指摘をさせていただきます。

 ガソリン価格を引き下げるための補助金は、そもそも、延長に延長を重ねまして、二〇二二年から八兆円使っております。補助金の効果でガソリン価格が抑えられたという面もあると思う一方で、その抑制効果のプロセスが非常に不明であるということで、常にその使われ方に疑念を持たれてきたと思います。

 二二年に報告をされました財務省の予算執行調査、予算がしっかり使われているかチェックをする調査でも、事業者の利益に回っていると見られるケースがあったと指摘がありまして、会計検査院からも指摘をされている。そして、さらに、四月には神奈川県で軽油のカルテル、そして長野県のガソリンの談合などもありまして、公正取引委員会の調査が入っている。

 こうした、価格をつり上げたり、きちんと補助金が価格を下げることに使われていないのではないかと疑問を持つような事例がこうやって出てきているということなんですね。これはそもそも補助金という仕組みだからではないかということを、まず指摘をします。

 だからこそ、ガソリン税を撤廃すれば、七月からガソリンは二十五円下がり、軽油は十七円下がるということで、非常に分かりやすいのと同時に、ごまかしが利かない、そしてその効果もすぐ実感ができるということです。例えばレギュラーガソリン四十リッターを給油した場合ですと今から千円も安くなるということで、この暫定税率、五十年間続いてまいりました。これを廃止して、消費者にとっても、分かりやすい、ごまかしの利かない、そして効果を実感しやすい、そんな柔軟な税財政をつくっていくということも日本に求められていることではないかと思いますが、七月からガソリン税を撤廃する、総理、御決断いただけないでしょうか。

石破内閣総理大臣 ですから、国、地方合わせて一兆五千億円の財源が飛ぶわけですよ。これをどうしますかということなんですね。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 国民の税金を使って、補助を行い、下げてまいりました。それは委員がおっしゃいましたように、一定の効果があり、一定の御評価はいただけているものだと思っています。

 国民の税金である以上、これを還元しないで懐に入れ込むなぞということは断じてあってはなりません。そのようなことは許されるべきではないし、それがないということをきちんと確認をするという作業は、それは国民の税金をお預かりして使う政府の責務でございます。そういうことが全くないように、私どもとして更に徹底をいたしてまいります。

 じゃ、どうするんだよ、この一兆五千億円という話なのでございますが、これは今、時期的なこともございまして、都道府県知事さん、市町村長さん、随分といらっしゃいます。これがなくなっちゃったらば、もちろん目的税ではありませんが、地方のインフラ整備をどうする、あるいは八潮の事故も、事故というか事象もございましたが、ああいうように老朽化したインフラはどうするんだということ。それは、都市、地方を問わず、いろいろなインフラを整備して四十年、五十年たちました。一斉に老朽化をいたしております。ミッシングリンクの解消もそうですが、新しいこともやっていかねばなりません。老朽化対策もしていかねばなりません。

 そうしますと、今委員がおっしゃいますような、暫定税率を廃止して、その分の空いたものをどうするんだということを見つけていかなければなりません。私どもはそこを見つけるべく、今、三党で鋭意いろいろな議論を重ねてまいりました。ここについて、何とかこの解を見出して、暫定税率というもの、当分の間税率というんでしょうか、今は。どっちにしても同じことですが、それの廃止というものはお約束ですから、実行に向けて努力をいたしてまいります。

石川委員 いろいろと御説明いただきました。それは地方への配慮、これは必要ですし、財源の話もありましたが、とにかく、いつやるのかということが全く見えてこないということが、やはり国民の皆さんの、これだけいろいろな影響が生活とか会社の経営に出ている中で、それは決められない、先送りだということになってしまいます。

 何より、今、野党三党も活発に動きまして、立憲民主党も七月からやるべきだということを言っております。是非、これはもう現状を踏まえた物価高騰対策として、やはりスピード感を持って対応しなきゃいけないということ、是非決断をいただきたいということをお願いしたいんですが、残念ながら、いつガソリン税を撤廃するということは決めていただけませんでした。

 そして、もう一つ、総理に決めていただきたいこと、次は選択的夫婦別姓です。

 二十八年ぶりの国会での審議となりましたが、ここでも自民党の決められない態度が露呈をしております。今、野党各党が法案を出して考え方を示している中で、自民党が何を考えているのかということが分からない状況です。

 先日の参議院予算委員会の中でも石破総理は、多数決ですぐ決める問題だとは承知していないと述べられましたが、この問題は一九九六年に法務省が導入の答申をしてからもう三十年近くたっているということで、まだ決められないということなんでしょうか。

 そして、何より経団連や連合がその実現を強く望んでいるということ、この重要性をやはり認識するべきではないかと思います。経団連が五月七日に出した提言では、旧姓の通称使用拡大について、ビジネス上のリスクとなり得る事象、そして企業経営の視点から無視できない重大な課題という強い表現で言及をしている。やはりこれを重く受け止めるべきだと思いますが。

 自民党の総裁である石破総理にお伺いをいたします。まず、党としてどのような方針なんでしょうか。

石破内閣総理大臣 党といたしましては、世論の動向、あるいは国会の審議、そういう状況を見ながら適切に判断をするということでございます。

石川委員 もう趣旨説明も聞いた上で審議に入っているという状況でも、そういうことでありますが。この選択的夫婦別姓という問題は、各党、議員一人一人に様々な思いがあると思います。いろいろな意見があって当然だと思いますが、いろいろな意見があるからこそ、党として方針をしっかり示して、議論をするということが大事なんじゃないでしょうか。

 そもそも総理は、これまでその実現に対しては非常に意欲的だったはずです。フリップを作りました、ちょっと嫌なフリップで申し訳ありませんけれども。書いてあるのはごく一部の発言ですけれども、とにかく、やらない理由が分からないとか、早い方がいい、否定する理由はないということを総理御自身が発言をされているということで、世論の動向だとかもおっしゃっておりましたが、委員会はいよいよ大詰めを迎えておりまして、いよいよ採決に臨むかという局面に入ってまいります。

 そもそも党の方針が分からないのに党議拘束をかけるというのも変な話ですし、方針がないのであれば党議拘束を外してそれぞれの考えで採決に臨む、こういうことにもなり得るのではないかと思いますが、法務委員会で採決が行われる場合、党議拘束はかけるのでしょうか。

石破内閣総理大臣 今まで一度だけございました。それは、脳死は人の死であるかという問題でした。私は当選二回かな、もう何十年も前のことでございます。

 それは、それぞれの倫理観、死生観に絡む、関わるものでございまして、私自身は、そのときに、脳死は人の死だという立場にどうしても賛同できなかったので、これに賛成しないということを投票で明らかにした覚えがございます。党議拘束を外すというのは、まさしく死生観とか、価値観の根幹に関わるものではないだろうかと思っております。

 では、今回の夫婦別氏というものはそうであるのかどうなのかということは、今、あると断言的におっしゃる方もありますが、我が党内にはいろいろな意見がございまして、それは国民政党でございますから、いろいろな立場の方々がおられるのが自由民主党でございます。

 おまえは昔これを推進しておったではないかというような御指摘、それはそうです。私は今、自民党総裁でございますので、いろいろな立場の方の御意見というものが最大限に収れんされるように努力をいたしておるところでございます。

 あわせまして、私は何でも世論調査が全てだと申し上げるつもりはございませんが、何回世論調査を見ましても、これが三つに分かれている。すなわち、現行制度を維持する、旧姓の通称使用を拡大する、夫婦別氏制度の導入、これがきれいに三つに割れているというのが国民世論でございます。

 急ぐのかということをまた世論で問うた場合に、これは時間をかけて審議すべきだという回答が一番多いんですね。それは御覧ください、世論調査を。私は世論調査を調子のいいときだけ使うつもりはございませんが、こういうような意見があるということも踏まえなければなりません。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 だから、私は、いろいろな方の話をいろいろ聞いてきました。女性の方が本当に社会で生きていく上において、研究者の方、あるいはジャーナリストの方、海外で活動するときにいかに不便であったかというお話も聞いてまいりました。

 これは男性が姓を変える場合も同じですけれども、姓を変えるというときに、すごくアイデンティティーを喪失したような、喪失感のようなものが強くある。これは女性に限りません、男性の場合も同じだと思います。そういうことをどう考えるのだということを考えたときに、自分としては肯定的な立場におりました。

 今、党の総裁として、何とかそれが収れんできるような形にならないものかということを、党幹部の皆様方と相談をいたしておるところでございます。

石川委員 結局、党議拘束をかけるかどうかというお答えは、今のところ、どうでしょうか。

石破内閣総理大臣 これは総理大臣としてお答えをすることではございません。総裁として、また党の役員たちの話を聞いてみたいと思っておりますが、これは党議拘束を外すということになじむものなのかということを考えたときに、先ほどの脳死の例とはかなり趣を異にすると思っております。

石川委員 今いろいろお話しいただきました。

 今日は、議論の中身のテーマというよりは、やはり、審議入りしている中で、いまだに決められないとか、いろいろな意見があるからとかということ自体がやはりおかしいのではないか、姿勢としてどうなのかということを指摘をしています。

 そして、しっかり、採決から逃げない、せめて採決阻止しないということは、しないということだけでもお約束いただけませんか。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 それは議会においてそれぞれの担当が判断をし、党として決めることでございます。我が党としてどうするかということは、審議の状況を見ながら適切に判断をいたしてまいります。

 私どもは独裁政党ではございませんので、総裁がこうだと言ったら、そうですかというような党ではございません。

石川委員 来週は参考人質疑なんかもありまして、委員会も大詰めを迎えると思いますので、やはり、政治家として、党として、どう考えているんだという、賛成か反対かも堂々と言えずに、採決から逃げるということだけはしないでいただきたいと思います。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

石川委員 では、続いて、お米について伺わせていただきます。

 まず、この間の、お米に関する小泉大臣の対応、これは本当によくやっていただいているなと思っております。そして、スケジュールに合わせて対応していただいている農水省の職員の皆さんですとか流通業者の皆さんも本当に大変だったと思います。大臣そして関係者の皆様の御奮闘に本当に敬意を表したいと思います。

 今回のお米の話ですが、これはまさしく消費者には買い続けられる価格で安定供給できること、これはまさに国民の皆さんの命に直結する話だと思っております。

 大阪のある自治体では、お米の値段が高いということで、市内の小中学校の給食で、御飯を提供する回数を週三回から二回に減らすということを決めたという報道もありました。

 私が聞いたスーパーでは、お米が高くて買えずに菓子パンの売行きが伸びている、これはやはり子供の発育とか健康の観点からも大変心配をしている、とにかく買える値段に落ち着いてほしい、いつでも誰でも買えるようになってほしいという話も伺いました。

 そこで、総理にお伺いしますのは、まず、今現在交渉が行われているアメリカとの関税交渉でのお米の位置づけです。

 今、赤澤大臣が現在渡米中でありますが、五月二十一日の記者会見で、米の輸入に関してはあらゆる選択肢を持ちながら実現するという発言をされております。

 現在、今日本は、ミニマムアクセス米といいまして、アメリカ、中国、タイなどから七十七万トンお米を輸入している。

 よく知っているようで知らない方もいらっしゃるかもしれません。ちょっと説明しますけれども、七十七万トンのうち十万トンを主食用米にするということで、それ以外の六十七万トンは、飼料用ですとか、お煎餅に使う加工用ですとか、ごく僅かですけれどもアフリカなどに送る援助用として使われてきた。この主食用米が十万トンに制限されてきたのは、輸入米の数量を最小限に抑えて、日本の米と競合しないように、日本の米を守るためだということがあったと思います。

 このミニマムアクセス米は関税がかかりませんが、しかし、今回の米供給の不足ですとか価格高騰を受けまして、民間で、高い関税を払ってでも輸入した方がいいと判断した企業や事業者が増えているということでありました。

 大手飲食チェーンなども早くから輸入米と国産米を混ぜたブレンド米を使うなどして、日常的に日本人が輸入米を食べる機会が増えているという中で、今まさしく関税交渉は佳境に入っていると思いますが、今までもTPP交渉ですとか日米貿易協定などで常に日本の農作物というのは交渉のカードに使われてきた、犠牲になってきた面もあると思います。

 この点に関して、輸入に関してどのように考えているか。つまりは、その輸入枠をどう考えているか。そして、備蓄がなくなってしまった場合、これを輸入をしてまで埋めていくのか。そのことについてお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 委員がちょっと言葉でお使いになりましたが、ほかの産業を守るためにどこかの産業を犠牲にするということはいたしません。自動車は守っていかなければなりません。しかし、守るために農業を犠牲にするということは断じていたしません。それは申し上げておきます。

 仮に備蓄米が、仮にの話ですよ、なくなっちゃったらどうするのということでございます。それは、ミニマムアクセス米で主食用に、一〇%でしたかしら、ございます。それを活用することは当然あり得ることでございます。備蓄米というのはそういう性格も持っておりますし、今回、備蓄米の放出に至っておりますのは、国民の皆様方が高くてお米が買えないというような状況、これを何とかするのも備蓄米の役割であるというような考え方の下に放出をいたしておるものでございます。それはミニマムアクセス米であっても変わることはございません。

石川委員 今日、小泉大臣が閣議後の記者会見で、備蓄米が尽きた場合、外国産の緊急輸入も検討すると発言されておりますが、このことに関しては、総理、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 それは、国民に安定的に米を供給するというためには、あらゆる手法というものは考えられなければなりません。

 もう六月も半ばになりますが、早ければ八月の末からお米が取れ始めるわけでございまして、その分、これは小泉大臣も答えておりましたが、それぞれの御家庭がどれぐらい米を持っておられるのかというのがよく分かりません。どうもこれから先、米が足りなくなるらしいよとか、高いかもしれないよということで、それぞれが少しずつ少しずつお米を多くお持ちなのかもしれないという、これはあくまで推測にしかすぎません。

 しかしながら、国民の皆様方がお米が食べられないとか、異様に価格が高騰するとか、そういうことがないように、政府としてはあらゆる可能性は検討をいたすべきものと考えております。

石川委員 そして、もう一つ、小泉大臣がおっしゃっているのは、セーフティーネットづくり、これは必要だというお話も言及をされておりました。

 今日の新聞の見出しでは、米生産調整見直し、戸別所得補償制度の検討などが報じられておりますが、まず、戸別所得補償制度、報道によりますと来年夏に結論を出すということで、来年の夏ということで一年後ということになると思いますが、まず、この報道は合っていますでしょうか。

石破内閣総理大臣 政府として、そのようなことを決定した事実はございません。

石川委員 そういうことでありますけれども、かねてから総理も、生産を増やすことによって価格が下がる、この際の補填の仕組みについては議論の必要性というものを答弁されていると思います。

 私たち立憲民主党も同様の考えでして、かつて民主党政権時代、戸別所得補償制度、これがまさしく価格が下落した際の補填という仕組みでしたので、これを更にバージョンアップをして、米トリガーという名前で今回公約に入れております。

 ただ、万一のときだけの備えではなくて、平時の備えも大事ではないか。価格が下落したときだけではなくて、消費者の皆さんに食料を安定的に供給し続けなきゃいけないということですので、農家の皆さんがしっかり経営を継続していられる、農地を維持していただけるということそのものを価値とする農地支払いというものも今回セットで提案をしております。土地改良の予算は今回使いません。しっかり財源も示しております。

 この二つの補償、もしもの、万一の補償と平時の備え、この二つの補償、いかがでしょうか。

安住委員長 石破内閣総理大臣、間もなく時間が参りますので、簡潔な答弁をお願いします。

石破内閣総理大臣 それは、消費者の方々に安く、リーズナブルな値段でお米を食べていただくというためには、生産性を上げる、コストを下げるということが必要でございます。そのために、構造改善的な事業、土地改良みたいなものの必要性は今後更に重要になるものと思っております。

 帯広あたりは違うのだと思いますけれども、内地ですと、やはり一軒当たりの田んぼの面積が狭い、あるいは分散錯圃と申しまして、あちこちにばらばらにあるということになると、どうしても効率が低くなりますので、そのためのいろいろな整備に対する手当ては私は必要だと思っております。

 安くなります。そうすると、農家の所得が減ります。じゃ、その分はどうするのということでございまして、よく言われるように、価格は市場で、所得は政策でと言う方がありますが、どの地域のどういうような田んぼに対して、農地に対してお支払いをしていくべきか、それが国民の皆様方の御負担に資するものであるということ。

 そして、どういう方の再生産を可能にするか。そして、その対象と、例えば米を作るための農地は貸し出すという方があったとしましょう。じゃ、それが賃料によってかえって農家の所得は増えるという考え方もあるはずです。

 そのときに、そういうような政策をどうやって整合的に体系立てていくかということの検討を、これは野党の皆様方の御意見も承りながら、それは実現をいたしてまいります。それは早ければ早いほどいいが、それが粗製乱造のものであってはならないので、充実した議論というものをしていきたいと思っております。

安住委員長 とうに時間が過ぎているので。

石川委員 時間が来たので終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて城井君、石川さんの質疑は終了いたしました。

 次に、阿部圭史君。

阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史です。

 総理、私はこれまで現場の医師として、そして厚生労働官僚として、社会保障政策に取り組んできました。私は、我が国の内政における最も大きな課題は、社会保障だと考えております。

 私の愛読書でもあり、石破総理の愛読書でもある「昭和十六年夏の敗戦」、これを記した我が党の猪瀬直樹参議院議員が、先般、参議院の予算委員会の方で、大東亜戦争時代の軍事費と現在の社会保障費のアナロジーについて申し上げました。

 大東亜戦争時代の軍事費は国家予算の約七〇%、現在の国の一般歳出の中で社会保障関係費は約六〇%でございます。戦時中は若い軍人がその身を犠牲にして国を支えましたけれども、現在の社会保障も現役世代の犠牲の上に成り立っているということを忘れてはならないと思います。

 現役世代の社会保険料負担がどんどん増加しているというのが今の現状です。例えば、保険料を税に換算する場合は、保険料・税調定額という概念を使います。これは、国民健康保険税を税率で算定した被保険者への賦課金額というものでございますけれども、厚労省の算出した国民健康保険保険料・税の負担の変化を見ると、一九七〇年と比較して、一世帯当たり大体二三〇から二五〇%程度負担が増加しております。要するに、昔とは全く世界観が異なってしまっているということだと思います。

 現役世代は、もはや血だらけでこの国を支えているんだということだと思いまして、この現役世代の出血を少しでも抑えねばならない。命に関わる医療の中核を守りつつ、社会保険料を下げて現役世代の生活を守っていくんだ、我々日本維新の会は、社会保障改革が一丁目一番地、こういった思いで進めております。

 社会保障改革の中で最も改革の余地が大きいのは、医療分野だと思っております。我々は医療の統治機構改革を進めていかねばならないと考えておりますけれども、よく国民の皆様から言われますのが、社会保障や医療は何だか複雑で、細かくてよく分からぬということを言われることがあります。しかし、実際は非常にシンプルでございます。

 パネルを御覧ください。

 これは日本の医療の構造を模式化したものでございますけれども、我が国の医療政策、医療の統治機構改革は、五つの基準で成り立っていると言えます。箱の基準、人の基準、物の基準、金の基準、疾患の基準の五つです。この五つの基準をどのようにアップデートしていくのかというのが医療の統治機構改革だと考えています。

 現役世代の社会保険料の負担を下げるべく、医療の統治機構改革を進めるために、かねてより、日本維新の会と自民党、公明党の三党で社会保障改革に関する三党協議を進めております。私も実務担当者として、メンバーの一人として参画をしておりますけれども、本日朝八時からもこの三党協議が行われました。本日は、これまで三党において約三か月間議論してきた内容が実を結び、無事、合意書への署名が行われました。

 合意の内容については、次のパネルを御覧ください。

 本合意は、本通常国会に提出された医療法改正案に連動しているものです。合意の中では、主には病床再編の拡大、そして電子カルテ普及の加速化が述べられています。

 一つ目は、余剰病床を十一万床削減して、一定の合理性のある試算に基づけば、約一兆円の医療費削減効果があるとされています。二つ目は、現時点で五〇%程度しか普及していない電子カルテの普及率を五年以内に実質的に一〇〇%にすることを実現するというものです。両方とも箱の基準に関する統治機構改革だと思っております。

 そこで、総理にお伺いしますが、三党で署名された医療法関連の合意書について、政府・与党として着実な実行を行っていただく必要があると思いますけれども、総理の受け止めと、今後の政府としての方針をお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 精力的な御協議、ありがとうございました。

 合意に基づきまして、病床再編の拡大につきましては、地域の実情を踏まえた調査を行った上で、次の地域医療構想までに病床の削減を図る、このようにされたことと承知をいたしております。これを踏まえまして、必要な対応を適切に行ってまいります。

 医療DXの加速化につきましては、医療DXの推進に関する工程表に基づきまして、遅くとも二〇三〇年には、おおむね全ての医療機関において必要な電子カルテの導入を実現すべく取り組んでいくということでございます。

 また、介護、社会福祉従事者の処遇改善につきましては、これも議論がなされたことかと承知をいたしておりますが、安定的、効果的、機動的な処遇改善に向け、保険料負担の抑制努力を行いつつ、報酬改定や予算措置を組み合わせて必要な対応を行うということになっております。

 委員御指摘のように、社会保障制度の改革というのを断行しませんと、この国の財政の持続可能性が失われるということになります。それは誰も幸せになりません。大東亜戦争の結末が、本当に誰も幸せにならなかった。国民の多くの犠牲の下にあのようなことになったのが八十年前のことでございます。

 それは、戦争と社会保障というのは違いますけれども、猪瀬議員が御指摘になっているように、一つの費目が六割を超えるようになると国というのは非常に危ないという認識は、私も委員と同じく持っておるところでございます。

阿部(圭)委員 今、石破総理からも言及がございましたけれども、医療法に関連するもの、病床の削減については、新たな地域医療構想と連動しております。合意書の中では、本年中に医療法成立を図ることとされておりまして、成立した場合には、新たな地域医療構想は令和九年四月より開始されます。

 そこで、改めてお伺いいたしますけれども、合意書によれば、病床の削減は令和九年四月までの二年間のうちに行う必要があるとされています。それを実行するために、政府としてどのような措置を実施するとお考えでしょうか。総理にお伺いします。

石破内閣総理大臣 具体的な対応についてでございます。

 今後検討してまいりますが、病床再編の拡大につきましては、地域の実情を踏まえ、調査を行った上で、次の地域医療構想までに削減を図る、こういうことになっておるわけでございます。

 現在、病床数を適正化する医療機関に対しましては、給付金による支援というものを行っておるわけでございますが、今後、合意にありますように、医療法改正案の成立を期し、必要な調査を行って、対応の在り方について議論を加速いたしてまいりたいと思っております。

 これは時間との勝負のようなところがございまして、なるべく、医療法改正案の成立を図りますとともに、この対応を急いでいきたいというふうに考えております。

阿部(圭)委員 まさに時間との勝負でございまして、迅速にやっていただきたいと思っております。

 本日署名された医療法関連の合意書に加えまして、本日は、今般の骨太の方針二〇二五に何を書き込むかという内容の合意も実務者レベルでなされました。各党の党内手続を経て、来週改めて、三党の幹事長、政調会長間で合意書に署名する予定となっております。

 その大まかな内容については、次のパネルを御覧ください。

 骨太の方針にこの六つの項目を書き込むことについて、実務レベルでは合意されました。

 一つ目、病床再編の拡大、二つ目、電子カルテ普及の加速化、三つ目、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し、四つ目、地域フォーミュラリーの全国展開、五つ目、金融所得を医療、介護保険の負担に反映すること、六つ目、生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進。先ほど述べた医療法関連の合意に記されたものがこの一つ目と二つ目でございまして、新たに四つが加えられたということでございます。

 この箱の基準に加えて、OTC類似薬と地域フォーミュラリーはいわゆる物の基準、金融所得は金の基準、生活習慣病の話は疾患の基準に相当すると考えます。

 そこで、総理にお伺いしますが、この骨太方針に関する合意についても、医療法関連の合意書と同様、政府・与党として確実に骨太の方針に書き込み、政府の重要課題と予算編成の基本方針として位置づけていただく必要があると思いますが、総理の意気込みと、今後の実施についてお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 合意の取りまとめというものが急がれると思っておりますが、取りまとめられました暁には、これを骨太に書き込むということは当然のことだと思っております。その箱というのでしょうか、病床再編の拡大、医療DXの加速化、これは本当に精力的な御議論で合意に達したものだと思っております。

 先般も参議院で猪瀬委員と議論したところでございますが、では、OTCはどうしますかということ、あるいは生活習慣病の重症化予防、データヘルスの推進というのは意外と幾つか複雑な問題を含んでおりますので、これらの点につきまして、精力的な御議論をいただき、合意が早からんことを願っておるところでございます。

阿部(圭)委員 骨太の方針に関する合意の内容につきましては、また改めて各党で回覧されると思いますけれども、一定の文言も含めて書いてございますので、是非総理にも御覧いただきたいと思っております。

 加えて、この合意書には附属書がつけられております。附属書は、参議院選挙以降も引き続き三党で社会保障改革を進めるべく、我が党から提案する改革項目として二十一項目を列記しておりまして、自民党、公明党の皆様からも、この内容を議論の俎上に上げることについて御理解をいただいております。

 そこで、総理にお伺いいたします。

 この三党協議の中で、改革案を出すのはいつも我々日本維新の会の側からであります。自民党からも是非とも改革案を出していただきたいというふうに思っておりまして、総理・総裁として現場に是非御指示をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 ここの議論の場に出ております我が党の議員は、みんな百戦錬磨というのか何というのか、この分野の専門家でございます。

 私どもとして、こういう方々を中心に、社会保障についてはずっと濃密な議論を行ってまいりましたので、自民党から改革案を出していないというような、そんなことはございません。そんな人たちではありません。そんなことでは済みません。

 ですから、そのようなことはないと承知をいたしておりますが、協議体におきまして、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を実現するため、これからも精力的に議論が行われていくものだと承知をいたしております。

 附属書の内容につきましては、御党から、三党の協議体において議論を行うことを提案いただいたものでございますので、こうした内容をどのように取り扱うかを含めまして、三党の協議体でお決めをいただければと思っておるところでございます。

阿部(圭)委員 今おっしゃっていただいたとおり、協議に出てきていただいている方々はプロ中のプロだと思いますので、やはりいろいろな腹案、改革案をお持ちでしょうから、是非、協議体の中で出していただきたいというふうに思っております。

 医療法関連の合意も、骨太方針に関する合意も、病床等の箱や薬剤等の物の基準に関する議論が多かったという状況です。今後は金の基準に関する議論もしっかりやっていかねばならないというふうに考えておりまして、例えば、この附属書に記載した金の基準に関する一例として、国民皆保険制度を守るための公的保険の在り方及び民間保険の活用の在り方というものがございます。

 超高齢社会が進行していることに加えて、非常に高額な薬剤が増えてきておりまして、公的保険制度の持続可能性を考えた場合には、どこまで公的保険で賄うのかという議論が、実は医療界からも出始めております。実際、総理も、高額療養費制度の関係で非常に御苦労されたことと思います。

 患者や低所得者の方々にしっかりと配慮しながら、組織、団体にも胸襟を開いて、タブーなく真摯に国の課題を共有し、向き合っていく必要があるのではないかと思っております。

 そこで、総理にお伺いします。

 公的保険の在り方と持続可能性、民間保険の活用の在り方について、これらについては様々な制度設計の手法があろうと思います。議論を行う公的保険の在り方に関する例えば国民会議のような、党派を超えて、専門家で御議論をいただくような会議体が必要なのではないか、保険の在り方、持続可能性についてですね。そういうふうに考えておりますけれども、総理のお考えをお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 それを会議体というかどうかは別として、議論の場は必要だということは認識を一にするものでございます。

 これは、国民皆保険という、保険証一枚で全国どこでも医療にアクセスできるというのは、ある意味、夢のような仕組みでありますが、そうであるがゆえに、これを持続可能なものにするというのは実に大変なことだと思っておるところでございます。

 そこで、国民がひとしく医療にアクセスできるという、これは一種の権利と言ってもいいのかもしれません、これを維持しながらも、医療の質を落とさないということをどうするか、そして負担をどれだけ低廉にしていくかということです。

 そこにおいて、民間保険の果たす役割というのはとても大事ですが、それが商品として成り立つものなのかどうなのかというのは、保険料をどうするか、あるいは給付金をどうするかで相当にいろいろな商品のタイプがあるんだろうと思っています。

 資本主義社会でございますからやむを得ないことかとは思いますが、財力のある人、資力のある人に余り有利な、そういうようなことがあってはならないと思っております。ただ、命の次に大事な何々と申しますから、命とか健康のために幾らお金をかけてもよいという考え方もあるのかもしれません。

 そこにおいて、ナショナルミニマムという考え方と併せまして、その制度設計について、また三党で充実した御議論を賜りたいと思っております。

阿部(圭)委員 今御発言ございましたように、私も先ほど申し上げましたが、患者や低所得者に対してもきっちりと配慮する必要があるというふうに思っております。

 その上で、夢のような仕組みとおっしゃいましたけれども、国民皆保険の、公的保険の制度をどういうふうに持続可能な形にしていくか、質を落とさないか、非常に重要な議論だと思っております。まさにナショナルミニマムをどうするか、これは党派を超えた議論だと思いますので、そこはしっかり三党協議でもやっていきたいというふうに思っておりますし、その枠を超えても議論が必要かなというふうに思っております。

 次に、いま一度、医療法関連の合意書について言及をしたいと思います。

 医療法関連の合意書には、次の一文がございます。当該削減が実現した際には、一定の合理性のある試算に基づけば、約一兆円の医療費削減効果と計算されるなど、一定規模の入院医療費の削減効果が期待できる。この試算というのは、あくまで厚労省の調査を基盤とした試算でございまして、一定の合理性のあるものであることが合意をされています。

 これまでの経路依存的な行政にとらわれず、政治の力が、今回は三党ですけれども、このようにまとまれば大きな改革が実行できる証左でございまして、結局は、最後は決意と腹決めの問題なんだと思っております。

 年末にかけて、診療報酬改定等の議論もこの三党でしっかりと行う予定だと思っておりまして、三党協議の出席メンバーの皆様にも、引き続き、大胆な改革案を出していただくと同時に、積極的に、前向きに、最後は腹決めの問題だと思いますので、進めていただくように総理からも是非御指示いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 改めて指示をしなくてもよく分かっている人たちでございますが、御指摘でもございますので、政調会長を通じまして、本当に、維新の皆様方の思いに正面から、ぶつかるというのかな、応えるという言い方が正しいかどうか分かりませんが、共に、このすばらしい医療制度をどうやって持続可能なものにするかという点について、党利党略抜きに議論するように心がけてまいりたいと思っております。

 そこは、スイッチOTCにしても、これはそうだよねという方は多いんですが、実際の現場をイメージしてみたときに何が起こるだろうかということ。そこにおいて、薬剤師の方々が果たす役割とはどのようなものなのだろうか。医師と薬剤師の関係、いろいろな場面を頭に描いてみたときに、なかなか、一番いい解というのは見つからないのかもしれません。

 ただ、見つからないからといって先送りしていい話ではございませんので、本当に充実した議論ができますように、私としても党に指示をいたしてまいりたいと存じます。

阿部(圭)委員 私も元々医療現場出身の人間でございますので、そこはしっかりと想像しながら、丁寧な議論を重ねていきたいと思います。

 次に、年金について伺います。

 昨日、厚生労働省は二〇二四年の人口動態推計を発表し、出生数が初めて七十万人を割って六十八万人となり、合計特殊出生率は一・一五となったことが分かりました。

 先日、我が党は反対いたしましたけれども、衆議院を通過した年金法案について、年金の制度設計の基盤となる二〇二四年の財政検証は中位推計を用いていました。しかし、一九九二年の財政検証から二〇一七年までの過去六回、実際の出生率は中位推計であったためしはありません。実際は推計をことごとく外してきており、実際の出生率は低下の一途をたどってきております。昨日発表された人口動態推計でも、やはり低位推計に近いことが分かります。

 これまで推計を外してきたという実態について全く触れず、実態に近いであろう低位推計を使わず、年金の持続可能性を見せるに当たりそこで中位推計を使うという姿勢は、やはり国民の目を欺くものであるとしか言いようがないのではないかというふうに思います。

 年金制度を議論する基礎たる財政検証の推計が全く現実に即していないという状況は、適切な制度設計とは言えないと思います。政府の年金制度の信頼性自体に疑問を投げかけるものであるということは非常に懸念されます。

 そこで、総理にお伺いいたしますけれども、これまでの厚労省の年金政策の進め方への反省や検証も含めて、やはりこれは、私も前回本会議で申し上げましたが、政局や党派を超えて、国民一丸となった新しい議論の場、そのときには内閣総理大臣主催による社会保障国民会議というふうに申し上げましたけれども、こういったものを設置して、専門家の方々にもしっかり入っていただきながら、党利党略を超えて、日本の国民の生活を支える年金制度を議論していくべきだというふうに思いますけれども、総理のお考えはいかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 統計を間違えると国が滅びますので。そういう例はございます。統計というのは、結局、語源をたどれば政治ということに行き着きますので、そういうことだろうと思っております。この数字が正確でなければなりませんし、統計に携わる人たちの数というものは、やはりちゃんと確保していかねばならないものだと考えております。

 やはり、そういうときに希望的な観測を持ってというか、願望を込めてというか、そういうことをやってもやがて必ずばれますので、そのようなことをしてはいかぬということは当然のことですし、私どもとしてそのようなことをしてきたとは考えておりませんが、御指摘を踏まえて、御懸念を抱かれることがないように努めてまいりたいと思っております。

 人口の前提につきましては、出生率のように、全然前提を下回っちゃいましたみたいなこともございます。他方で、外国人の入国超過数のように、全然上回っちゃいましたというものもございます。これは、出生数と外国人とは物が違いますので、一概に論じることはできませんが、統計というものは本当に、より正確を期して、政府の体制も含めまして、御指摘を踏まえながら、更に努力をいたしてまいります。

安住委員長 阿部君、間もなく時間ですから、まとめてください。

阿部(圭)委員 統計が駄目だと国が滅ぶということですけれども、統計が駄目だけれども突っ込んじゃったというのが、総力戦研究所の後の大東亜戦争ですから。

 これはまさに「昭和十六年夏の敗戦」に書いておりますので、私の、そして石破総理の愛読書でございますから、しっかりと統計を真っ正面に見据えていただいて社会保障改革をやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治でございます。

 今日の議論の中で、ガソリン減税についての質疑がありましたので、私からも一問、通告にないんですが、総理、一つ確認をさせてください。

 二〇二一年の衆議院の解散・総選挙、この際に、私たち国民民主党は、トリガー条項の凍結解除を公約に掲げました。このときにトリガー条項の凍結解除を公約に掲げた政党は我が党だけでございました。

 そして、二〇二二年、今度は参議院の選挙のときには、ガソリンの減税を訴えた政党が七党ございました。自民党、公明党さんは、激変緩和措置という補助金の手当てをするということで減税でございましたけれども、その他の野党は、ガソリンの減税をしていきたい、そういう公約を掲げております。

 そして、去年、二〇二四年の衆議院の選挙、この際は、ほとんどの政党がガソリンの減税をうたっております。

 そして、十二月には、自民党、公明党、そして国民党の幹事長が、三党合意ということで、ガソリンの暫定税率廃止を合意しているわけです。

 このようにガソリンの暫定税率の廃止、トリガー条項の凍結解除を含め、この議論を私たちはリードしてきたという自負がございます。

 その上で、総理に一問確認をさせてください。

 昨年の十二月、自民党、公明党、そして国民党の幹事長が三党で合意したガソリンの暫定税率の廃止、私たちは非常にこれは重く重要な合意だと思っておりますが、総理も同じ認識かどうか、見解を伺います。

石破内閣総理大臣 全く同じ認識でございます。

長友(慎)委員 同じ認識ということが確認できました。

 合意の中では、二〇二五年内に暫定税率を廃止するとうたっておりますので、そして、今はほとんどの政党がガソリンを価格を下げていきたいということを訴えておりますので、一刻も早く実現を努力していただきたい。

 我が党は、今年の夏の参議院選挙でもガソリンの暫定税率廃止を公約に掲げてまいりますし、また、今国会内では、維新の皆さん、そして立憲民主党の皆さんとも、ガソリンの暫定税率の廃止、この法案を共同提出していきたいと思っておりますので、総理も是非前向きに考えていただくことをお願い申し上げまして、質問に入りたいと思います。

 まず、ふるさと住民登録制度を質問させていただきます。

 これは、昨年の十二月の予算委員会で私が質問をさせていただきました雨風太陽の高橋博之氏が提案した、関係人口を可視化するふるさと住民登録制度の意義について質問をさせていただきました。そのとき、石破総理からは、このふるさと住民登録制度は、政府の中でよく検討してまいりたいとの答弁をいただきました。

 そして、ただいま内閣官房で取りまとめが行われている地方創生二・〇基本方針の目玉政策として、ふるさと住民登録制度の創設と、あわせて、十年間で関係人口を一千万人創出するとの目標が打ち出されたことは、スピード感を含めて評価をしたいと思います。

 一方で、二地域居住先など、関わる市町村を選んで、ふるさと住民として専用アプリに登録する実数の目標を一千万人、複数の市町村に登録してもらい、延べ一億人とする目標は、非常に意欲的で野心的である、これを実現するためには、強力なリーダーシップの下、国、自治体、民間団体を挙げて、いわば国民運動として展開していくことが必要であるというふうに考えます。

 そこで、総理に質問でございますが、どのように国民に対してこの新しい制度の周知を図り、そして目標を実現していくのか、スケジュール感も含めてお示しいただきたい。

 もう一点、関係人口の量を圧倒的に増やしていくことは必要ですけれども、一方で、関わりの深さ、つまり、関係の質も問われることになります。基本計画でも、関係人口の量的拡大と質的向上と書かれていますが、この二兎をどのようにして追っていくのか、総理の考えを伺います。

石破内閣総理大臣 御指摘のように、私も、この話は雨風太陽の高橋さんから直接教えてもらいました。高橋さんの御著書なぞを読みながら、私なりに研究もし、政府の中でこのような構想をまとめておるところでございます。

 構想自体はすごくいいんです。いいんですが、一体それは何かということはよく分からないのですね。むしろ、都会の方々に、二地域居住というんでしょうか、ふるさと住民登録制度というんでしょうか、こういうものをどれだけ分かりやすく御説明をするかということだと思っています。

 最近はやりの、いろいろな色を使った図の紙なんだけれども、情報量がやたらめったら詰め込まれて、見ただけで悲しくなって読む気がなくなる、これは実によくないなと思っておりまして、見ただけで、行ってみたいな、やってみたいなと思っていただけるような、そういう広報をしていかなければいけないと思っております。

 そこにおいて、どんなメリットがあるんだろうか。都会から行く人にとっては、二地域居住もあるだろう、そこにおいて新しい仕事もあるかもしれない、出会いもあるかもしれない、安らぎもあるかもしれない。都会の方々にとってどんなメリットがあり、地域にとってどんなメリットがあるか。地方創生の仕事をやっていますと、何かお祭りの後みたいなところがあって、そのときは楽しいけれども、終わってみたらむなしさが残るみたいな、そういうことであってはならぬと思っております。そういうような周知の方法をよく研究して、実行に移したいと思います。

 もう一つ、これは長友委員御案内のとおりかと思いますが、一番議論になるのは、地方で住民登録をした、そこでいろいろな行政サービスを受ける、その対価はどうなるのだという税の問題になってくるんだろうと思っております。やはり税の本質というのはサービスに対する対価でございますので、その部分の制度設計というものを、議論を賜りながら、急いでまいりたいと考えております。

長友(慎)委員 総理からも、ふるさと住民登録制度は、まだ多くの人が理解するには努力が足りていないというか、イメージが湧いていないんじゃないか、こういう御指摘がありました。これは、私との質疑を含めても、皆さんに理解をしてもらいたいと思います。

 ふるさと納税というのがあると思うんですね。恐らくまだふるさと納税とふるさと住民登録制度の差とか違い、ここも明確になっていないと思うんです。ですので、このふるさと納税制度とふるさと住民登録制度をどのようにすみ分けていくのか、また、どのようにふるさと納税を活用し、融合を図っていくのか。この点、まず総理に伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 関係人口と地域との関わり方につきましては、先ほど来申し述べているとおりでございますが、地場産品の購入とか地域へのリピート訪問、地域での副業、ボランティア活動、二地域居住、いろいろな形態がございます。

 ふるさと納税につきましても、ふるさと納税をされました寄附金を財源として、自治体が地域の発展に向けた様々な事業を実施することは可能でございまして、これを関係人口として、地域を応援していただく形の一つというふうには考えておるところでございます。

 このため、ふるさと住民登録制度について、ふるさと納税を活用される方も含めまして、できるだけ多くの方々に地域を応援していただけますような柔軟かつ間口の広い仕組みにしていきたいというふうに考えております。

 住民税等の取扱いにつきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな議論がございますが、このことについても解を出していかなければなりません。

 関係人口の拡大に向けて、いろいろな施策を総動員しながら、ふるさと納税ともリンクするような形で実施をしてまいりたいと考えております。

長友(慎)委員 ふるさと納税の返礼品としていろいろな行政サービスを充実させるということもできますし、ふるさと住民登録制度の方でもできるということを少し後ほど御紹介したいと思うんですが、今日は、小泉農林水産大臣に来ていただいております。

 実は、このふるさと住民登録制度を使って、私は、農村が活力を取り戻す機会にできないかというふうに考えております。農林水産業の担い手の確保につながることを期待するわけですが、農林水産省として、この制度の活用をどのように後押ししていくのか、小泉農林水産大臣に伺いたいと思います。

小泉国務大臣 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 このふるさと住民登録制度がどのような制度設計になるのか、これがまだ固まっていないと思いますので、それをよく見る必要がありますが、私自身、これに似たようなものの体験があります。

 例えば、以前、長野県の小布施にお伺いをし、あれは、地方創生担当大臣の石破大臣の下で地方創生担当政務官をやっていたときのことだと思いますけれども、第二住民票みたいなものを小布施の町長からいただきました。それを持っていますと、自分の気持ちの中でも自然と愛着が湧いたり、また行こう、こういうふうに思ったりするものです。

 そして、石川県の輪島にある白米千枚田の私はオーナーの一人なので、毎年お知らせもいただいたりします。

 そして、愛着のある地域というのは、地元の横須賀、三浦だけでなくて、復興に関わった東北、福島、そして祖父の生まれ育った鹿児島。

 今回のふるさと住民登録制度が、一体一人が幾つの自治体に登録できるのかというのはまだこれからだと聞いておりますが、こういった形で、今住んでいるところ以外でも、自分と何かしらのつながりを感じるところを当たり前に日々感じられる機会というのは非常に重要なことだと思います。

 今回、お米の問題も話題になっておりますが、ありがたいことに、インフルエンサーの方や有名人の方が、最近、田植をやったり農業現場に行かれたり、非常に発信が増えていると感じています。そういった方々にも御協力をいただきながら、ふるさと住民登録制度というものを多くの方に知っていただくということも含めて、農山漁村の活性化につながるように、農水省としてもしっかりと関係省庁と連携をしていきたいと思います。

長友(慎)委員 今、米の問題に触れていただきました。まさしく私も同じような思いを持っております。

 今後、農政が米の増産にかじを切るとしたら、規模の拡大路線を進めていくということがまずあると思うんですが、その一方で、日本は山が多いです。農地の耕地、耕作面積の四割は中山間地域、農家の総人口の四割も中山間地域、そして、農業の産出額を見ても四割が中山間地域となっているわけです。中山間地域では、効率化、規模の拡大というのは困難であります、限界があるわけなんです。

 なので、こういうところに都市住民が助っ人としてやってくる、そして農地の維持を自分事として取り組んでもらうためにも、ふるさと住民登録制度を活用して、例えば、稲刈りのときにも収穫に来るとか、あるいは田植のときに手伝いに来るとか、そうやって参加してもらう。そのきっかけから、さらに、自分で食べる米は自分で作ろう、ふるさと住民登録をしたところで米を作ろう、そういうような考えを持った都市部の住民が米作りで地方とつながる、そのような取組もこのふるさと住民登録制度で挑戦できるんじゃないかというふうに期待をしています。

 また、これはちょっと農業から離れ、趣旨は変わるかもしれませんが、有人離島の問題もあります。

 これは、今現在、有人国境離島法というのがありまして、離島に住む住民の方の交通費の負担軽減を目的とした島民割というものが行われておりますが、この島民割の対象となるのが住民票のある離島の住民でありまして、住民になれば、航空運賃や船の運賃の割引を受けられるわけです。

 ですが、現地の方からこういう声をいただいています。この割引を受けるためには、各自治体が発行する島民割引カード又は準住民カードなどの証明が必要だ。これで飛行機代も船に乗るお金も約半額になるわけなんですが、島には、単身赴任で仕事に来ている人たちもいるわけですね。こういう方は住民票を本土に置いておりますので、適用されません。彼らの住民票は本土にあるわけなんです。こういう方たちが家族の元に帰る際に島民割引が使えない。また、島から巣立った子供たちが、住民票がないから使えない。

 こういう状況に対して、島の方たちは、自分たちは使えている、でも、それ以外の人たちにも、準島民という形になっていただいて、島民割が使えるようにしてほしい、そうすれば島の経済の活性化にもつながるというふうに切実に私は聞いております。

 この問題も、ふるさと住民登録をした人が島民割が使えるようになるということも一つのアイデアだと思いますので、是非ふるさと住民登録制度の議論にこういった観点も取り込んでいただきたいなというふうに思っているところでございます。

 最後に一問、質問させていただきます。

 これまでの国の地方創生の支援事業は、単に働く人の地方移動に主眼が置かれているように思います。そこから一歩踏み込んで、ふるさとで働いて、三世代の近居を奨励するような地域社会の人口規模を維持する政策がこれからの地方創生には必要です。

 例えば、未就学児を持つ東京二十三区在住そして在勤者世帯が、夫婦いずれかの親世帯の居住自治体、これは東京圏を除くですけれども、そこに転居して、継続居住して就労する場合、三年間、年五十万円程度を所得税、住民税から税額控除する里帰り減税、こういう政策を提案したいと思いますが、総理の見解を伺います。

安住委員長 石破内閣総理大臣、時間が参りましたので、簡潔に答弁してください。

石破内閣総理大臣 大変いい御指摘をいただきました。ありがとうございます。

 これは、結局、地方で暮らそうという方々の御負担をどうやって減らすかということでございます。

 引っ越し代もございますし、先ほどお触れになりました家族が移住したところへ行ったり来たりするというのもございまして、どういう形で負担を減らしていくか、そして、ふるさとに住むということを、あるいは二地域居住ということを活性化するかということにつきまして、このことが一番適当かどうか、私はちょっと答えるだけの知識を持ちませんが、いろいろな御指摘をいただきました。これからも参考にさせていただきます。

 ありがとうございました。

長友(慎)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

安住委員長 これにて長友君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 今日は二十分と限られておりますので、大変恐縮でございますが、簡潔な御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 まず、物価高対策でございますが、まず米についてでございます。

 昨年来の米騒動につきましては、当時農林水産大臣政務官を務めておりました我が党の高橋光男参議院議員が備蓄米の活用をという提案をさせていただき、それを採用していただきまして、かつ、小泉大臣が随意契約で販売価格二千円台を実現したということは大変高く評価するべきだというふうに思っております。

 ただ、まだ、地元を回っておりますと、この二千円台の備蓄米が十分に流通しているとは、これからだと思いますので、是非それをプッシュしていただきたいと思います。

 質問の第一でございますが、その備蓄米とは別に、それまでのお米が相当流通の過程で在庫をされていると思います。これは、いわゆる生産者かつ消費者が妥当だと思われる適切な価格に、三千円台に引き下げる、これはなかなか簡単ではないと思いますが、どういう戦略を持って取り組もうとされているのかというのが第一の質問でございます。

 二つ目は、こうした米騒動を、主食ですから、二度と起こさないということは大事だと思っております。米の生産体制、私の地元も実は農村がありますが、押しなべて高齢化が進んでおりますし、規模もそんなに大きくございません。やはりこれは、農地の集約化を行ったり、スマート農業で人手がかからない、そして、やはり生産性を向上させて、若い世代が、農家に入るというんじゃなくて、米作りができるような、そうした新しい産業として競争力を持つ。これは、ですから、国内の需要も満たしながら、かつ、輸出もできるような、そうした産業にするべきだ。まさに日本酒なんかはもう相当世界に出ておりますし、そうしたことはできるというふうに思っておりますので、その点、二つについて、小泉大臣の御答弁を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 赤羽先生におかれましては、今、公明党の高橋光男先生のお名前も触れられて、備蓄米の放出に向けた後押しをいただいたことを御紹介いただきました。しっかりとそういった後押しを、今、中野国交大臣とも連携をして、物流面での支援もいただいておりますので、スピードを緩めずに、最後までこの価格安定に努めたいと思います。

 全体の平均を三千円台にどう下げるかということでありますが、これは、その実現のためにはあらゆる選択肢を持ちながら断固たる決意で臨むという政府の明確なメッセージが、流通の関係者、そしてマーケット、消費者の皆さん、そこに届くことは私は物すごく大事なことだと思っております。

 加えて、こういった、備蓄米が二千円で出ていって、ありがたいのは、マーケットのマインドも少し変わってきて、協力者が非常に多く増えてきました。例えば、JR東日本さんは、自社がポイントを負担をする形で、銘柄米を三千円台で販売をしています。そして昨日、私は、ファミリーマートさんに店頭販売の様子を見に行きましたけれども、社長が、備蓄米の販売だけではなくて、これからポイントなども活用して銘柄米を下げていく、こういったことを発表してくださいました。

 まさに、マーケット全体に対する影響というものが出てきて、結果として、生産者の皆さんが心配される、消費者の皆さんの米離れ、そして国産米離れ、こういったものを食い止める、そういった方向性に必ず実現しなければならないと思っております。

 そして、中長期どうするかという話が二点目でありましたが、昨日、石破総理から私に対して指示があった中長期の対策も考えるという前に、今回の米の価格の高騰がなぜ起きたのか、この原因を特定をしなければ正しい中長期への処方箋は生まれないと思います。

 しっかりと今回のことを解明をし、そして、赤羽先生が言われた輸出、これについては、基本計画の中に米は増産をしていくということはもう書いてありますから、その増産をしていくということと同時に、新たな需要を必ずつくらなければいけませんから、今まで以上に輸出の体制なども強化をして、規模拡大、そして大区画化、集約化、そしてスマート農業の更なる振興、しっかりと努めていきたいと思います。

赤羽委員 やはり、主食でありますし、そうした産業化をするということはすごく大事だというふうに思っております。また、ビジネスですから、いろいろな方たちがいらっしゃると思いますが、これだけ善意で、様々な取組を政府がしておるわけですから、これはそうした善意の中でいろいろな動きが出てきたということはいいことだというふうに思っておりますので、我々公明党としてもしっかりとフォローしていきたいと考えております。

 次に、物価高対策、減税とということですが、まず、そもそも減税は、昨年の年末の税制調査会におきまして、物価高、これを反映して、自民党と公明党と国民民主で議論をし、その中で、基礎控除をもっと上げるべきだということで、最終的にこれは維新の皆さんに賛成をいただいて成立したわけでありますが、課税最低限を百三万円から百六十万円に引き上げる。これは、実は年末の調整で、納税者、どの所得世帯についても一人当たり二万円から四万円の減税がもたらされる。共働きですとその倍、二万円から四万円ということがこれから来るわけですね。

 しかし、それで本当に事足りるかというと、やはり今、消費者物価、最近の報道ですと、総合指数ですと三月で前年同月比三・六%の上昇ですが、食料品については七・四%なんですね。やはりこれというのは、当然、エンゲル係数の高い子育て世帯ですとか年金暮らしの高齢世帯はもとよりですが、やはりここが、食料品というのは毎日買うものですから、一部の高額所得者を除くと、大半の家庭の家計を、相当ダメージを受けている。私は現場を歩いていてもそう実感するところでございます。

 やはり、名目賃金が上がっても物価が上がっているので、結局、実質の賃金が今日の報道でもマイナス一・八%でありますので、私は、この課税最低限を上げた、所得税減税、総額一・二兆円ですが、それに加えて、やはり、七月の頭になると税収の増がはっきりすると思いますので、この税収の増は、物価が上がっているから税収も上がっている、そういう理屈から、是非、実質賃上げをプラスにできるような額で、今、具体的な額が出るとは思いませんが、そうしたことを、物価高対策の、国民の皆様に還元する生活支援金という形で出すべきだ。これは私たち公明党も、今日の午前中に斉藤代表から公約として発表させていただいたところでございます。

 是非、政府としても前向きな検討をお願いしたいと思いますが、総理の御見解をいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 先ほど来の答弁でも申し上げておりますとおり、六年度補正、七年度予算、これは御党と一緒になってつくってまいりました。野党の皆様方の御議論も承りながら、今、早期の執行ということに努めておるところでございます。

 小泉大臣が答弁いたしましたように、お米は間違いなく、これから先、本当に下がったねというふうな実感を持っていただけるようにしたいと思っておりますし、しなければなりません。ガソリンもそうでございます。当面、今打っております対策が早期に効果を発現をして、国民の皆様方に、物価が下がり始めたねというふうな実感を持っていただくことが極めて重要であると思っております。

 今後のことにつきましては、また御党ともいろいろな御相談をさせていただきますが、基本的に物価上昇を上回る賃金上昇というものを確実に実現をしていくということであり、本当にお困りの方々にきちんとした手当てを施していくということ、それは本当に弱い立場の方々に一番配意せねばならない。政府として今後とも公明党さんの御意見も承りながら配慮をいたしてまいります。よろしくお願い申し上げます。

赤羽委員 総理の御答弁、よく理解します。我々公明党は、現場力の公明党ですので、全国三千名の議員が歩いている、その実感を私が代表して今日質問させていただきましたので、是非前向きに検討していただきたいと思います。

 次に、私たち公明党は、今、「We connect」といって、現場の皆様からどんな政策をしてほしいかということを実は取っていて、AIで整理をして、これは実は十万人を超える回答が寄せられておりますが、一番はやはり物価高対策なんですが、二番目は、実は、青年世代だと思います、恐らく就職氷河期以降の世代の皆さんから強く御要望があったのを具体的に言いますと、奨学金の返還支援なんです。

 やはり、就職氷河期以降というのは日本の経済も停滞しておりましたので、そのときに非正規雇用にならざるを得なかった。なかなか日本というのは途中から、再チャレンジができにくい社会ですし、そもそも賃上げもなかなか進んでこなかった。大変な状況をしている若手の世代というか、四十代後半から若い人たち、こういう人たちがいて、そのときに奨学金の返済が、年収の二倍も三倍も抱えながらスタートするというのは大変なんだと。やはり、私は、社会人のスタートというのは新しい人生のスタートですから、本当に元気いっぱい活躍してもらわなければいけないので、そうしたことについて何らかの対応をしてほしい、こういった強い声が寄せられております。

 今、このことについては様々な対策というのがありまして、御承知ですが、企業が採用した場合に代理返還制度というものがあるんですけれども、これは実は全国でまだ三千社余りしか活用していない。

 これは多分、仕組みが余りよくなくて、モチベーションというか、やっても意味がないとか、途中で会社を替わると、そこで消失してしまうとか、なかなか難しいことがあるし、返還期限の猶予制度とか減額返還制度というのもあります。これは年収制限の要件緩和とか期間の延長とか、それはやる余地があると思いますが。

 それに加えて、これは税制に関わることなので、私は党の税調会長として余り、自分が言うのは大変なことを抱え込むんですが、毎年の返済額を所得控除できるような、そうした税制も考えないと、会社を移転するケースが出てきた、流動性が高まってきた、その中で、奨学金の返済を真面目にしている人に対して、公平性を維持しながらも、そうした様々な検討をしてほしいというのが十万人を超える世代の強い強い希望で、これは実は若手世代だけじゃなくて、その親御さんたちの世代からも強い声が寄せられております。

 こうしたこと、今すぐ回答というのはないかもしれませんが、是非、日本のこれからはこうした世代の皆さんが本当に活躍をしていただかなければいけない、私はそう思っておりますので、具体的な問題で大変恐縮でございますが、総理からの御答弁をまずいただければと思います。

石破内閣総理大臣 足らざるところは文部科学大臣から答弁をさせていただきますが。

 貸与型奨学金の代理返還につきまして、民間資金等の活用も重要ですが、これは余りメリットがないというのか何というのか、そういうお声が現場からあると今承りました。よく調べます。

 これが、今、三千社とおっしゃいましたかしら、これがもっと広がるように私どもとして努力をいたしてまいります。

 減額割合の拡充あるいは減額返還が可能となる収入要件の緩和等々を行ったところでございますので、これの周知に努めてまいりたいと思います。

 先ほどの控除のお話は、なるほど、そういう考え方もあるのかと思いました。済みません、私はお答えする立場におりませんが、これは税の仕組みとしていかなる意味を持つか、控除に値するものなのかどうか、少し検討させてください。

 御指摘ありがとうございます。

赤羽委員 私も税制調査会の会長として、しっかりとやりたいと思います。

 やはり、今どの業界も人手不足というのがすごく深刻なんですね。しかし、他方で有為な人材が埋もれてしまっているというのは、これは実に残念な話であって、私は、やはり、誰もが活躍できる社会をつくらなければいけない。これまで政府はリスキリングの支援もやっていましたけれども、これを大幅に拡充するですとか、雇用政策ですから、今日は厚労大臣もいらっしゃらないので回答は求めませんが、やはり、同一労働同一賃金、正規雇用を原則とするという社会にするべきだと私たちはかねてから強く思っております。

 そして、そうした中で、今日も何人かの方が質問されていましたが、まさにエッセンシャルワーカー、例えば保育士の皆さん。私の孫も、孫って、息子も娘も共働きなので、やはり保育士さんがいないと全然子育てができない、働きながらですね。介護士の方も全く一緒だと思います。この人たちというのは、実は、資格を持っていながら実際仕事をしていない方がたくさんいらっしゃる。これは、賃金が少ないし、働く環境がしんどい。こうしたことは本当に何とかしなければいけない。

 公定価格の引上げというお話も出ました。それは大事なんですけれども、積み上げて、保育士さんの待遇って、よくしてきているんですけれども、それでも全産業の平均ですとまだまだ低いので。これからの日本を持続可能にするためには、世界最高水準の保育士さんや介護士さんたちの賃金の実現と労働環境の実現というのは、目標に掲げて、政府として取り組むべきだと私は強くお願いをしたい、こう思っております。

 また、物流についても、この国会で貨物自動車運送事業法の改正というのが、実は、全国トラック協会の坂本会長の大変なリーダーシップで、全党が賛成をして、実現をしました。これは、適正な運賃を実現して、ドライバーの賃上げを実現するという、本当にそこがなくなると、物流、生活物資、災害があったときの救援物資が全然届かなくなってしまう。こうしたことを、本当にドライバーを育てなければいけないという思いのこもった法律です。

 この大前提は、やはり、荷主の皆さんがしっかりとこのことを理解して、協力して、荷主がちゃんとした適正な運賃を出すということが大前提ですので、是非、政府として、閣僚会議もあると承知をしておりますので、徹底をしていただきたいということです。答弁は結構でございます。

 時間も迫っておりますので、防災・減災、国土強靱化。

 防災、減災が主流となる社会を目指す。これは公明党のかねてからの主張でございまして、それを実現するための司令塔として、防災庁の実現というのが今いよいよ現実のものになっていると私は思っております。これは公明党も長らく公約に掲げておりましたが、石破総理自身も政治家としての主張として掲げられ、この政権でようやく具体的な、防災庁設置担当大臣も赤澤さんが任せられ、着々と進んでいる。

 私は、阪神・淡路大震災で自ら被災をして、一年生議員でした、家を失いました。それから、中越地震、東日本大震災、今回の能登半島地震、全て関わってきましたが、どこに行っても、初動体制というのが一番大切なのに、自ら被災された被災自治体の職員さんが、マニュアルを手に、罹災証明の発行ですとか、公費解体がどうだとかということをやっている。そこに物すごく時間がかかっているんですね。ここに時間をかけていることによって、被災者の皆さんが立ち上がる元気がなくなってくる。これは何とかならないのかなと。やはり、専門家の人材を育てなければ駄目だと。

 私たちは、防災大国として、被災者の人権と尊厳が守られる復興であらなければいけないと思っておりますし、被害を最小化して、災害関連死をゼロにする。そのための、国の防災力だけではなくて、地域の防災力も強化しなければいけない。

 そうしたこと、もろもろのことですね、国で立派な専門家を養成し、行政だけじゃなくて、プロの集団というのがいるわけですから、餅は餅屋に任せながら、そうしたものを国としてつくりながら、各県庁にそうしたものをつくる。こうしたことができるすばらしい防災庁を、是非、石破政権で実現していただきたいと強く思いますが、御決意を伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 御指摘のとおりです。できれば世界一の防災庁にしたいと思っています。

 委員の御指摘、本当に全て、私はそのとおりだなと思いながら、委員が当選一回で、私が当選三回で、共に苦労してまいりましたが。

 被災した行政職員が、自分も被災している、家族も被災している、その中で罹災証明を一生懸命書いているなぞということがあってはならぬと思っております。どこどこの何市が被災したらどこどこの職員が行くという体制を、事前にきちっとやっておかねばなりません。これは、ボランティアの組織化と同時に、行政職員のそういう支援体制の組織化というものも防災庁の大きな仕事であり、政府部内で早急に検討し、実現をしたいと思っております。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。

赤羽委員 これは先日も要望書を出したところでございますが、AIですとかスーパーコンピューターとか、やはり防災DXもやりながら、予測を精密にできるようにするということも是非お願いしたいと思います。

 済みません。もう時間が限られているんですが、今日、文科大臣に来ていただいたのは、リスキリングの一つで、やはり英語教育を抜本的にしてほしいんですね。文科省として何十年関わりながら、英語が、日本は英語が通じない国だと思われていて、海外からの融資の壁になっているんですね、投資の。

 ですから、私は、今後、インバウンドもこれだけ増えてきて、地方創生、やはり地元の人が英語をしゃべってコミュニケートできるということが大事ですし、やはり、私自身もネイティブスピーカーの英語を聞いたのは大学三年生のときです。こんなことって本当はおかしいんですよね。

 私は、会社に入って、台湾に留学して、半年で中国語をしゃべれるようになった。これは別に優秀だとか言いたいんじゃなくて、語学教育が間違っているんですよ。ノーベル賞を取るような人材を育てろと言っているわけじゃなくて、子供でも誰でもしゃべっている外国語を、せめて英語をしゃべれるような教育というのを、やはり真剣に取り組んでもらいたい。真剣にやっていると思いますけれども、成果が出るように頑張っていただきたい。

 文科大臣自身、大変な英語の使い手だと承知をしておりますが、簡潔に最後の答弁をよろしくお願いします。

安住委員長 あべ文部科学大臣、時間が来ていますから、簡潔に。

あべ国務大臣 英語力は大変大切でございまして、私ども、しっかり英語教育、AIを活用しながら、努力してまいりたいと思います。

赤羽委員 終わります。どうもありがとうございました。

安住委員長 これにて赤羽君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 まず、冒頭、自民党の裏金問題についてお聞きいたします。

 パーティー券の裏金は、都議会自民党でも問題となっています。パネル一です。金額の多い人で、二十三区内でいえば、世田谷区の三宅茂樹都議が二百五十一万円、練馬区の柴崎幹男都議が二百四十一万円、杉並区の小宮安里都議、二百五十万円、同じ杉並区の早坂義弘都議、二百十四万円などです。にもかかわらず、練馬の柴崎議員、杉並の早坂議員には、来週から始まる都議会議員選挙で自民党は公認まで出しているんですよ。

 総理、都議会の裏金議員に自民党公認は妥当なんですか。総裁として端的にお答えください。

石破内閣総理大臣 我が党の仕組みといたしまして、都議会における公認は自民党東京都連において行うものでございます。政治責任の程度を踏まえまして公認、非公認を判断をしておるということは今までと同様であります。

櫛渕委員 裏金問題が発覚して一年半がたつんですが、何一つ明らかになっていないんですよ。自民党都議会も、そして自民党本体も全く反省していない。まさに選挙で国民に判断いただくしかありません。

 さて、総理、まずこのデータを見ていただきたい。パネル二です。石破総理就任から半年の景気の評価なんですが、日銀の生活意識に関するアンケート調査で、一年前から景気が悪くなったと答えた人が、総理の就任から半年で一〇%も増えているんですよ。まさに石破内閣の通信簿じゃありませんか。四月の消費者物価指数は四十四か月連続で上昇、そのせいで実質賃金も減っているから、もう国民は限界です。この状況を打開するには、やはり消費税の廃止しかありません。

 見てください。パネル三です。マスコミの世論調査では、消費減税、廃止を求める声が七割を超えています。れいわ新選組は、山本太郎代表を中心に、一貫して消費税廃止を求めてきました。国会でも、街頭でも、選挙があってもなくてもです。今や全部の野党が、公明党まで何らかの消費税減税を言い出し、それは歓迎しますけれども、なぜ選挙前だけなんですか。国会でやりましょうよ。

 あれだけやらないと言っていた立憲民主党も減税公約を出しました。パネル四です。こちらは、参議院予算委員会で立憲からクレームがつき、許可が出なかった幻のパネルです。消費税一年のみ食料品だけゼロに。これは普通に新聞記事の写しで、事実そのものです。なぜ駄目なんですか。れいわ新選組に対する言論弾圧はやめていただきたい。

 では、れいわ新選組の案と立憲案を比べてみます。パネル五です。右側、れいわ新選組が主張する消費税廃止だと、月二万五千円、あなたの使えるお金が増えます。左側、食品のみ消費税ゼロは月五千三百円しか増えません。しかも、立憲民主党の案ですと、基本、一年後には元に戻る。言い換えれば、一年後の消費税増税の政策ですから、家計の負担軽減効果が薄いだけでなく、個人の消費が拡大するのか、そして景気は回復するのか、全く期待できません。

 この一年限定食料品ゼロと、れいわ新選組の消費税の廃止は、考え方のベースが根本的に違うんです。私たちは、もちろん物価高対策としても打ち出していますけれども、しかし、それ以上に、この三十年の不況をもたらし、日本の経済を衰退させた原因は消費税ですから、消費税廃止以外ない、これを経済政策として訴え、そう考えているんです。

 石破総理に質問いたします。改めてお伺いしますが、消費税の廃止、やりますか、やりませんか。お答えください。

石破内閣総理大臣 そんな天下の悪税であるならば、何で多くの国がこれを採用しているのでしょうか。多くの国がこれを採用しているのは、特に北欧から始まりました、ヨーロッパにそれが伝わり、多くの国が導入しているものでございます。安定的に収入があるということ、そして、多くの方に、大変これはプラスマイナスというかな、明暗はあるんでしょうけれども、御負担をいただけるということ、やはり、それはこの種の税金の非常に大きなメリットだと思っておるところでございます。

 ですから、消費税ゼロしかないとおっしゃるのであるならば、それでは、それが目的税、一種、目的税でございます、社会保障の財源をどうするのだということも併せて言っていただきませんと、それは議論として成り立ちません。そこは是非ともよろしくお願いしたいと私は考えております。

櫛渕委員 何度お聞きしても、総理は、社会保障の財源という答えが返ってくるんですけれども、でも、本当ですかね。社会保障はそれで充実したのでしょうか。例えば年金はどうか。消費税を増税した分、皆さん、年金は増えていますか。

 パネル六を見ると、国民年金の二十年間の変化、調べてみました。二十年前、二〇〇四年の保険料は月一万三千三百円、給付額は月六万六千二百八円。これが、二〇二四年だと、保険料は月一万七千円、給付は六万八千円。この間、払う額は二七・七%も上がったのに、もらう額は二・七%しか増えていないんです。その差は十倍ですよ、十倍。

 他方、厚生年金のモデル世帯の給付は、二十年間で二十三万三千円から二十三万円に下がっています。しかも、二十年前の消費者物価を一〇〇とすると、二〇二四年は一一三・六と一〇%も上がっていますから、生活への影響は悪くなっているわけですね。消費税の増税で年金が充実したとはとても言えません。

 経済が悪かったから年金が減った、だから高齢者の五人に一人が貧困というのが現実です。

 一方、年金への公的支出はどうか。国際比較で高齢化率を見ると、日本は二八・九%、OECD平均一八%で、大きく差があるのに、年金で公的支出をどれだけ支出しているかを見ると、GDP比の数字はほぼ一緒なんですよ。つまり、日本は高齢者が多いのに財政をけちって年金への財政支出を少なくしていることが高齢者の貧困率の高さにつながっていることが明らかです。

 れいわ新選組が今の年金受給者を救うためにもっと財政支出をすべきと主張するのは、こういう背景があるからです。高齢化が進み、保険料だけではもたない、だから、公的支出を増やして、現役世代の負担を減らしていく。成熟社会では当たり前です。それが実体経済を立て直し、年金制度も持続可能にしていく道ですよ。

 自民、公明、立憲の三党が、年金改革法案を強引に、たった三日で衆議院を通過させました。しかも、年金が底上げになるかどうかは四年後の財政検証を見ないと分からない。言語道断です。公的支出を増やせば、今すぐ年金の底上げができるじゃないですか。なぜやらないんですか。

 財源はある。当面は国債です。国債の金利が上がっていくのが心配とか日本の財政はギリシャより悪いという声がありますけれども、全く問題ありません。そもそも、十年国債の金利だと、こちらです、パネル七、日本は一・四七%とまだまだ低く、調べた六十五か国の中で、スイスに次いで低い。総理の言うギリシャより悪いというのも、それが本当なら、金利は日本の方がギリシャより高いはずですよね。六月三日の十年国債入札の倍率は三・六六倍と人気だったではありませんか。総理、国のトップが国益をおとしめるような発言はやめていただきたい。

 総理が直視すべきは、国民の日々の生活です。最後のパネル、生活が苦しいと訴える世帯は実に六割。国民はもう限界なんですよ。

 総理にもう一度伺います。国民を救うために、消費税の廃止、年金の国費投入、今すぐやってください。いかがですか。

安住委員長 石破内閣総理大臣、間もなく時間が来ますので、手短にお願いします。

石破内閣総理大臣 済みません、どちらを向いて何をお尋ねなのかよく理解ができないもので、きちんとお答えできなければ恐縮ですが。

 私は、いかにして社会保障制度を持続可能なものとするか、そして、全然年金はよくなっていないじゃないかという御指摘ですが、本当に頑張って頑張って保険料も抑えてまいりました。受領される方々の数は物すごく増えております。そういう方々にどれだけきちんとお支払いをするかということで、見識ある野党の皆様方の御意見も承りながら、私どもはここまで年金制度をつくってまいりました。その延長線上に今回の年金の関連法案の修正があるものと思っております。

 私どもは、本当に次の時代にもこの制度が持続可能となるように、いかにしてお支払いになる方の負担が減るかということ、そして、今委員がおっしゃいましたが、公的支出を増やしてというのは、一体どうやって増やすのか、それが一時的なものであっていいはずがないと思っております。それが恒久的に安心していただけるものになるように、これから先も、三党を始め多くの皆様方の御意見をいただきながら、努力をいたしてまいります。

 以上でございます。

安住委員長 時間が参りましたので、終わってください。

櫛渕委員 経済をよくして税収が増える、国民を救ってください。それができないなら石破内閣は即刻退陣、山本太郎総理を実現するしかありません。

 終わります。

安住委員長 これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。

 次に、田村智子さん。

田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。

 消費税減税は、世論調査で七割を超えるなど、切実な国民の要求です。また、消費税を納める事業者からも痛切な声が上がっています。

 インボイスに反対するフリーランスの会の一万人アンケート調査では、負担が重過ぎるという回答は実に九割です。生活費を取り崩して、あるいは消費者金融から借金をして納税したなど、弱い立場の個人事業主が、消費税によって仕事や生活が破綻しかねない事態となっています。

 日本共産党は、消費税は廃止を目指し、五%への緊急減税を求めています。食料品だけゼロ%にするよりも二倍の減税効果があり、複数税率をなくすことで、インボイスをきっぱり廃止できるという提案です。

 しかし、総理は今も、消費税の減税はやらない、その一番の理由は、消費税は社会保障の財源だというふうに述べておられる。

 一点に絞ってお答えいただきたいんです。社会保障の財源に所得税や法人税を充ててはならないと総理は考えておられるんですか。

石破内閣総理大臣 充ててはならないとは申し上げておりません。

 ただ、これはずっと歴史を見れば明らかですが、そういう法人税にいたしましても所得税にいたしましても、直接税の税収の振れがいかに大きいかということでございます。景気がよければどんと入るが、景気が悪ければどんと減収をいたします。社会保障は安定したものでなければなりません。

 それは、いろいろな御議論はあるんでしょうが、消費税のメリットは、景気の動向に左右される度合いが比較的少ないということでございます。大切な社会保障を税収の振れが非常に大きい直接税に求めるということは、私は適切だとは考えておりません。

田村(智)委員 私の聞いたことについては、所得税、法人税もいわば社会保障の財源であるということもお認めになったと思います。安定的かどうかは別としてです。

 社会保障の財源は、もちろん消費税だけではないんですね。問題は、私も、社会保障を支える力をどこに求めるかということだと思います。

 消費税を導入した一九八九年度と今年、二〇二五年度の税収、これは地方税も含めています。GDP比での比較です。

 税収全体、これは国内で生み出された新たな価値、新たな富、GDP比での比較で、八九年度も今年度も二〇・五%で同じです。ところが、消費税は、〇・九%から実に五・〇%へと約六倍。一方で、法人所得課税、国と地方を合わせた法人税は、六・九%から四・二%へと激減し、個人所得課税、所得税、住民税、これも七%から六%へと減少しています。

 社会保障の財源でもある税収が、特に法人税から消費税へと置き換わった。これは、この資料からも一目瞭然ですよね。

石破内閣総理大臣 この数字は事実だと思っております。

 それを置き換えることを企図して、消費税を増やして、その分、法人税を減税しようというようなことを考えておったわけではございません。

田村(智)委員 今、この構成、この資料は事実というふうにお認めになられた。これは税収が置き換わっているとしか言いようがないものなんですよ。

 私が問題にしたいのは、GDPというのは、経済活動で生み出された富ですよね。最も大企業に流れ込んで、内部留保として積み上がっている。そして富裕層にも流れて、格差は広がっている。

 その富から払われるべきなのが法人税であり、そして所得税なんですよ。そこの割合が減って、生活が苦しい方からも搾り取る消費税の税収に、これは事実として置き換わっているんですよ。

 そして、もう一つの資料。これはもう何度も示してきた資料でもあります。税率の推移です。

 消費税の増税と同時に、所得税最高税率を引き下げた。税金を払う力のある人に減税をして、消費税にまさに置き換えた。ここでちょっと揺り戻しているのは民主党政権のときですよね。そして法人税は、消費税の税率を上げるたびに税率を引き下げて、これも消費税に置き換えをしたとしか言いようがないんです。

 特に、アベノミクスのときでの大企業の減税というのは、大企業に史上最高の利益をもたらしましたが、賃上げや設備投資には回らなかった。失敗だったんです。総理御自身も、期待した効果はなかった、反省していると国会で答弁しておられる。ならば、その失政を正せばよいというだけだと思うんですよ。大企業と富裕層への減税と税優遇を正して、社会保障の財源に充てればよい。

 総理、私は、社会保障の財源という理由、消費税減税を拒む理由、これは、でも、理由として成り立たないと思うんですよ、やってきたことを見れば。いかがですか。もう消費税減税を決断すべきだと私も思う。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 社会保障と消費税が議論されたときに、消費税は、先ほど総理がおっしゃった、安定的な財源であるということと、それから、やはりこれから人口構造が変わって高齢化していく中で、働く人を中心にかかる所得税という形で特定の層に集中するということではなくて、まさに広く負担をしていただく、それが社会保障を支えていく財源として大事ではないか。こういった議論の中で、消費税というものを社会保障の中心として置いてきた。こういった議論の流れがあるわけで、まさにそれが、ここに示されていた、まさに個人所得課税から、ある意味、消費税が増えてきている。

 そして、法人税の関係については、まさにこの間、世界的な法人税の引下げ競争がある中で、この国の企業を守ろうということで進めてきたわけでありますが、それが結果として、より多くの設備投資、また賃上げにつながるということを目的としていたわけであります。

 ただ、それがその成果どおり上がらなかった。これは自民党の税制調査会等の中においても、大綱の中で明示されているということで、今後、めり張りをつけた税制、法人税の改革、こういったことが指摘されているものと承知しています。

田村(智)委員 今いろいろ言われたけれども、結局、力のある大企業と富裕層、ここにちゃんと税金の負担を求めていないということになるじゃありませんか。違いますか、総理。違いますか。

石破内閣総理大臣 大企業やお金持ちにおもねってというお話でございますが、そうであれば、今の自民党はございません。

 ただ、今財務大臣がお答え申し上げましたように、やはり私どもは、企業に賃上げをしてもらいたかったです。設備投資も行ってもらいたかったです。もっと下請の方々にお金を払ってもらいたかったです。そういうような願いを込めて法人税減税というものをやってきましたが、それが上がらなかったということについては、率直に我が党の税調としても反省をしております。私自身もそうでございます。

 ですから、これから先、応能負担という議論をするときに、その能力とは何なのだということを中心に議論をしてまいりたいと思いますし、消費税というものが社会保障の財源になっておるということは、繰り返しになりますが、安定的に入ってくるということ、そして、多くの方々に御負担をいただく、できるだけ、広く薄くという言い方を消費税を導入するときにいたしましたが。

 日本の消費税率というのは一〇%でございますよね。諸外国に比べればかなり低い水準でございます。いかに低く広く薄く御負担いただくかという、消費税を導入したときの原点にもう一回返る意味もあるのだと私は思っておるところでございます。

田村(智)委員 結局、消費税は社会保障を支える安定財源、ここなんですよ。

 その安定財源というのはどういうことか。景気が悪化して収入が減ろうが、失業しようが、最低限の生活にも消費税を容赦なくかける。だから安定なんですよ。そして、事業者にとっては、どんなに景気が悪くとも、売上げがある限り、消費税の納税からは逃れられないんですよ。

 それが何をもたらしているか。建設、土木の個人事業主の声、利益もなければ税金すら払えない、子供に進学を諦めさせて、自分たちは日々の食費すらひねり出せない、そのうち一家心中でもするか、夜逃げするかしか道はない。そういう思いをしながら消費税を納めているんですよ。

 消費税が安定財源、この意味は、困っている人からも容赦なく安定的に搾り取る、こういうことでしかありません。こんなやり方では経済も暮らしも安定などしない。そのことは、この三十年間でもはや証明済みです。

 どこに力を求めるか。利益ですよ。利益に対してですよ。

安住委員長 田村さん、時間が参りましたので、まとめてください。

田村(智)委員 税金は、もうかっている大企業、富裕層に応分の負担を。消費税は減税、インボイス廃止。強く求めて、質問を終わります。

安住委員長 これにて田村さんの質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 最後、トリを務めさせていただきます。

 昨年から、自民党派閥パーティーの裏金問題を契機にして、企業・団体献金の在り方について議論が積み重ねられ、この国会でも、三月までは精力的に議論されてまいりましたけれども、残念ながら、政治改革特別委員会での議論は、今、膠着状態にあると思っております。

 これまで国民世論を盛り上げるだけの議論ができたかと言われると、私自身もじくじたる思いがあって、単なるこれは与野党の泥仕合じゃないかと思われている部分もあるんじゃないか。何のための議論なのか、本質論が余り議論されていないように思います。

 私は、昨年五月二十日に予算委員会で岸田首相と議論したときに、リクルート事件をきっかけとする平成の政治改革で大きな役割を果たした民間政治臨調が平成四年に示した基本方針を紹介しました。

 ここには、政権交代の欠如による政治の停滞、不毛な利益誘導政治による疲弊から政党と政治家を解放し、健全な政党間競争と政策選択によって政治のダイナミズムを蘇生する、それが平成の政治改革の目的である。そして、何よりも、日本の政治行政システムが、業界優先のいびつな経済構造を再生産し、対外摩擦の拡大と国民の生活水準の頭打ち状態をつくり出し、その是正に対して政治がほとんど無力な事態を招いたことを知るべきだというふうに指摘しております。

 私自身も、昨年四月の政治改革特別委員会の意見表明の場で、平成の政治改革は未完成のまま、相も変わらぬ利益誘導型の資源配分の政治が続いたことによって、我が国は三十年間、名目一人当たりGDPはG7のトップクラスの世界四位から今や三十位前後と、アジアの二流国に転落する寸前にまで凋落してしまっている。すなわち、未完の平成の政治改革こそが我が国の停滞の最大の要因であるということを、私たち国会議員自身、強く自覚しなければならないということを申し上げました。そして、その利益誘導型政治の象徴がまさに企業・団体献金であって、令和の政治改革の一丁目一番地は企業・団体献金の廃止でなければならないということを昨年申し上げさせていただきました。

 その後、政治改革特別委員会で、石田真敏団長の下、ヨーロッパに調査に行ってまいりました。

 これは主要国、G7における企業・団体献金規制ですけれども、これを見ると、例えばイギリスとかドイツも企業・団体献金が可能のように一見見えるんですけれども、百聞は一見にしかず、行くと違うんですね。

 確かに、ドイツの保守政党のCDUの財務責任者は、企業・団体献金についてはドイツでも議論があるところだが、我々は正しいものと考えているとしております。一方、SPDの財務責任者は、我々から積極的に企業献金を募るようなことはしていないとおっしゃっておりましたし、イギリスの保守党の重鎮のクラーク元下院議員は、英国でも個人献金は善、企業献金は悪という見方は日本と同様、これは異論がある方もいらっしゃると思いますが、十四年間続いた保守党政権でも上場企業が献金したことはないというふうにおっしゃっておりまして、大っぴらに、堂々と、企業・団体献金が必要という議論は余り見受けられていないように感じました。ましてや、政治家個人とか候補者個人が企業、団体からお金を集めるなんということは、それをよしとする国は先進国の中ではないように感じます。

 これまで、岸田首相は、政党助成金と、企業・団体献金や個人献金を始めとする他の収入とのバランスが大事などとおっしゃっていましたけれども、やはりこれは違和感があるんじゃないかと思うんですね。

 各政党の収入の比較を見ると、これは赤が企業・団体献金なんですけれども、ほかの政党、自民党以外は赤は見られません。なおかつ、自民党の構造をひもとくと、真ん中が自民党本部、そしてこっちが自民党支部ですけれども、自民党本部は実はそんなに企業・団体献金に頼っていないんですよ、これはむしろ政党助成金の分が。それで、地方支部が三〇・六%なんですね、地方支部なんですよ。

 次の、政党支部の在り方。

 平成六年の法改正で政党支部のみが企業・団体献金を受け取れるようになりましたけれども、そうした途端に激増しているんですよ、政党支部の数。七千もの政党支部を果たして党本部がガバナンスできているのかというのも、私は大いに疑問なんですね。

 総理は、派閥パーティーの裏金問題が明らかになった後の東京新聞のインタビューで、政治改革をできなければ党は潰れる、むしろ自民党が先手を打って、こんなに議論しているということを見せなければならないということをおっしゃっています。さらに、一二年から一四年に自民党幹事長を務めた際に、党の機能強化はできたが、政党資金を党に一元化することができなかったとおっしゃっているんですね。私は、それは正しい認識だと思うんです。

 でも、総理になったら、企業・団体献金を禁止してお金持ちや世襲議員しか国会議員になれなくていいのかと答弁されていますけれども、どう見てもお金持ちは企業・団体献金をもらっている自民党の議員であって、僕らは政党助成金も企業・団体献金も受け取らないでやっているわけですよ、無所属で。ちょっと国民の感覚からかけ離れているんじゃないかなと思うんですよ。

 私は、石破政権の支持率低迷の一つの原因は、これまで、自民党の中で総理は一番国民の感覚に近いと思われてきた政治家なんだと思うんですね。ちょっと総理になったら変わったんじゃないかと思われてしまっていることが支持率低迷の一つの原因だと思うんですね。

 果たして、そうした状況の中で、何もしないで、このまま公開と透明性の向上だけで、ほかは何もやらなくて国民の理解を得られると思いますか。総理が国民の期待に応えていると思われますか。その点について、まず御答弁をお願いいたします。

石破内閣総理大臣 いろいろな御議論をいただきながら、透明性の向上には努めてまいりました。そしてまた、大学の先生が何か月もかけて一生懸命やらないと分からないというようなことではないように、納税者が誰でも、この人は一体どこから幾らもらっているのということが分かるようなシステムの構築、これは透明性の向上にとって大事なことだったと思います。そういう点において、多くの前進が見られたと承知をいたしております。

 ただ、委員がおっしゃいますように、やはり自民党は企業、団体というものの声を聞いているんじゃないのというふうに多くの方が、多くの方かどうかは存じませんが、思っておられるとするならば、そこは変えていかねばならないのだというふうに思っております。また、政党支部も物すごく激増いたしておりますが、そのことにつきましても、党として、ガバナンスの観点から、更に精査は必要だと思っています。

 ただ、これは委員にはもう御案内のことかと思いますが、確かにお金はかからなくなりました。それは間違いないことでございます。私は中選挙区で三回やりましたが、恐ろしいお金がかかりました。そのときから半分、三分の一ぐらいになったとは思っております。そこは、やはりいろいろな改革の努力というのが実を結ぶのでありますが、それが逆に、お金に左右されるということを助長してしまったとするならば、その是正は極めて大事だと思っております。

 また御意見を承りながら、少しでも前進をするべく努力をいたします。

福島委員 これまでにない真摯な答弁をいただいて、率直に感謝申し上げたいと思います。

 三月三十日のNHKの「日曜討論」で、今を時めく小泉さんが自民党の弱体化を狙った作戦だとおっしゃっているんですけれども、私はそうであってはいけないと思うんですね。

 やはり政治と金、誰が負担するかによって政治の構造が決まり、その政治の構造が日本の経済力や国力を決めるのだとするならば、この三十年間、明らかに日本の国力が低下しているわけです。そして、それは平成の政治改革が生んだものであるという仮説に立って、今、検証しなければならないんじゃないか、そうした立場に立って議論しなければならないんじゃないかと思っているんです。

 総理自身も、やはり派閥パーティーの裏金問題が出た後のフジのフジLIVE、プライムニュースで、自分の反省も込めて言えば、自民党の政治改革大綱の五本柱のうち、選挙制度改革、つまり小選挙区導入に特化してしまい、政治資金をめぐる新しい秩序、政治倫理の確立、党改革などがきちんと実行されずに来てしまった、残している部分が多いと答えていらっしゃるんですね。

 総理は平成元年の政治改革大綱というものを非常に大事にされているし、私もこれを改めて読み返してみましたけれども、その決意たるや、やはりすごいものだと思うんですよ。

 であるとするならば、やはり、国会が終わって、もう一回これをちゃんと議論しましょうよ。我々有志の会は応じますよ。広い観点から、高い観点から、平成の政治改革をもう一度再検証し、政治改革をする。

 その思い、是非、総理、いかがでございましょうか。

安住委員長 石破内閣総理大臣、時間が過ぎていますので、簡潔に答弁願います。

石破内閣総理大臣 今御指摘の大綱は平成元年のものでございます。その頃のことを知っている人は本当に少なくなりました。自民党内でも、麻生最高顧問、額賀議長、あるいは船田先生、私、渡海さん、村上さん、それぐらいになっちゃいました。

安住委員長 総理、簡潔に。

石破内閣総理大臣 だけれども、これはもう一回読み直してみたいと思っています。

 ポイントは、政党法をどうしますかということ。つまり、我々が国民から血税を受け取るという権能を有する以上、我々は政党として国民にいかなる義務を果たすべきかということが政党法の本質だというふうに私は思っております。

 政党法というものを作るべきだとここの提言にはございますが、そこも含めて、また委員と真摯な議論をさせていただきたいと思います。

 よろしくお願い申し上げます。

福島委員 ありがとうございます。

安住委員長 これにて福島君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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