衆議院

メインへスキップ



第4号 令和7年2月4日(火曜日)

会議録本文へ
令和七年二月四日(火曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 村井 英樹君 理事 田野瀬太道君

   理事 井出 庸生君 理事 井野 俊郎君

   理事 青柳陽一郎君 理事 道下 大樹君

   理事 吉田はるみ君 理事 中司  宏君

   理事 村岡 敏英君

      上田 英俊君    鈴木 隼人君

      中曽根康隆君    深澤 陽一君

      三谷 英弘君    森下 千里君

      五十嵐えり君    井坂 信彦君

      高松 智之君   長友よしひろ君

      柚木 道義君    金村 龍那君

      田中  健君    吉田 宣弘君

      山川  仁君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議長           額賀福志郎君

   副議長          玄葉光一郎君

   事務総長         築山 信彦君

   参考人

   (検査官候補者(上智大学非常勤講師))      田中 淳子君

   参考人

   (検査官候補者(検査官))            挽  文子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月四日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     中曽根康隆君

  伊藤 俊輔君     柚木 道義君

  臼木 秀剛君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     高木  啓君

  柚木 道義君     井坂 信彦君

  田中  健君     臼木 秀剛君

同日

 辞任         補欠選任

  井坂 信彦君     伊藤 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 検査官任命につき同意を求めるの件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 検査官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る一月二十八日の理事会において、橘内閣官房副長官から、内閣として、検査官に上智大学非常勤講師田中淳子さんを任命し、挽文子さんを再任いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会の申合せに基づき、検査官の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として検査官候補者田中淳子さん、検査官候補者挽文子さんの出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、田中参考人、挽参考人の順で所信をお述べいただき、その後、それぞれの参考人の所信に対する質疑を順次行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、田中参考人、お願いいたします。

田中参考人 田中淳子でございます。

 本日は、このような機会を頂戴いたしまして、厚く御礼申し上げます。

 まず、会計検査院につきましては、内閣から独立した憲法上の機関として、国の会計検査を実施し、その結果に基づいて検査報告を作成し、内閣を通じて国会に御報告するという重要な使命を課されているというふうに認識しております。

 また、検査官につきましては、三人で構成される検査官会議の一員として、会計検査院の意思決定に関わり、事務総局を指揮監督するという大変重い職責を負っているというふうに承知しております。

 近年、日本の社会経済は、人口減少そして少子高齢化に伴う社会保障費の増大、また、安全保障環境が厳しさを増す中での防衛費の増額、さらに、物価の上昇や円安などを受けた国民の生活への不安といった現実への対応が喫緊の課題となっております。

 そうした中、会計検査院では、不正不当な事案に対する正確性、合規性の観点からの厳正な検査に加えまして、こうした社会経済の動向を踏まえながら、経済性、効率性、有効性といった観点からの検査を重視し、行財政の透明性や説明責任の向上、さらに、事業運営の改善に資するような分析そして評価を行っていくことが重要になっているというふうに考えております。

 私は、昭和六十三年に大学を卒業後、NHKに取材記者として入局し、去年まで三十七年間にわたって勤務しておりました。この間、ワシントン支局長を務めるなど、国際分野での報道に携わったほか、日本の外交や産業政策などの各分野、そして日本企業の動向など、国内外の政治、行政、経済について取材や報道に携わってまいりました。また、広報局長として広報の業務に従事したほか、複数の部署で組織のマネジメントに当たってまいりました。

 仮に検査官に任ぜられるとするならば、私は、こうした活動を通して得た知識や経験を生かし、国民の皆様の御関心の所在、そして国会における御審議の状況に常に注意を払うなど、多様な御意見に耳を傾けながら、検査官会議における公平かつ均衡の取れた意思決定に寄与することによって、職責を全うしたいというふうに考えております。また、社会経済の動向を分析し、検査官会議の議論に貢献するとともに、国民の皆様の目線に立って、少しでも分かりやすく会計検査の結果をお伝えする方策についても事務総局に助言していければというふうに考えております。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を頂戴いたしまして、改めて厚く御礼を申し上げます。

浜田委員長 ありがとうございました。

 次に、挽参考人、お願いいたします。

挽参考人 挽文子でございます。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。

 近年、我が国の社会経済は、急速に進行する少子高齢化や人口減少、潜在成長力の停滞、自然災害の頻発化、激甚化、厳しい安全保障環境、行政のデジタル化の遅れなどといった難しい問題に直面しており、これらへの対応が喫緊の課題となっております。

 会計検査院は、このような社会経済の動向を踏まえつつ、内閣から独立した憲法上の機関として、国の会計検査を実施し、検査の結果に基づき検査報告を作成して、内閣を通じて国会に御報告するという重要な使命を課されております。

 会計検査院の組織は、意思決定を行う検査官会議と検査を実施する事務総局で構成されており、三人の検査官から成る検査官会議は、合議によって会計検査院としての意思決定を行うほか、事務総局を指揮監督しております。

 私は、昭和六十二年に大学を卒業後、一橋大学大学院の教授等として、会計学、特に管理会計、原価計算について研究、教育を行うとともに、この間、政府の審議会等の委員を務めさせていただくなど、政府の施策等についても知見を深める機会を得ました。

 そして、令和五年に両議院の御同意をいただいて検査官に就任し、以降、一年五か月弱、検査官会議の一員として会計検査院の意思決定に携わってまいりました。

 前回の所信で申し上げましたように、事務事業などのライフサイクルコストや品質コストを検討する際に、私は、安全性と有効性を重視し、中長期的な視野に立ち、経済性を追求することが重要であると考えております。また、行財政の透明性、国民に対する説明責任の向上や事業運営の改善に資する検査が必要と考えており、私は、検査官として、これらのことを常に意識しながら、現在の社会経済の動向、国民の関心や国会での御審議の状況などにも注意を払って、検査官の職務に専念してまいりました。

 この間、三件の国会及び内閣への随時報告、一件の国会からの要請に係る検査結果の報告を行い、また、昨年十一月六日には、令和五年度決算検査報告を取りまとめて内閣に提出したところでございます。

 そして、令和七年次の会計検査について、国会における審議の状況に常に留意するなど、引き続き国会との連携に努めることとするなどの基本方針を定め、これに基づく検査の実施について事務総局の指揮監督に当たっております。

 仮に検査官に再び任ぜられるとするならば、私は、これまで研究者として、また、検査官として職責を果たしてきた中で培った知識経験を生かし、国民の皆様の関心の所在や国会における御審議の状況に常に注意を払うなど、国民の目線を大切にしながら、検査官会議における公平かつ公正な意思決定に貢献することによって、検査官としての職責を担ってまいりたいと考えております。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただき、改めて厚く御礼を申し上げます。

浜田委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 挽参考人は、お呼びいたしますまで別室にてお待ちいただきますようお願いいたします。

 議長、副議長は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより田中参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 井野俊郎君。

井野委員 自由民主党の井野俊郎でございます。

 本日は、こうして田中さんに御出席いただきまして、ありがとうございます。

 会計検査院の検査官という役職ですけれども、田中さん自身は、先ほどおっしゃっていたとおり、マスコミの御出身ということで、これまで行政経験等は全くないということで、経歴を拝見をさせていただきました。

 その上で、任命理由として内閣が考えているのは、国民に分かりやすく広報していくことなども考えているということでありまして、国民に開かれた行政というのは、それはそれで今の時代に求められていることなのかなというふうに私も思うところはありますけれども、しかしながら、いわゆる広報というものもまた難しくて、今、マスメディアの在り方等も問われています。テレビ、新聞等はオールドメディアと言われる時代にもなりましたし、SNS等が発達してきていて、様々な情報が錯綜してきております。そういう中に、かえって情報が錯綜するようなことがあっては、これは国としての正確な情報発信ともまた違ってくるわけでありますから、きちんとした情報発信、やるんだったら正確かつ丁寧に、かつ、それはまた職責の範囲内でやっていただきたいなというふうに思っております。

 これはちょっと自民党のある議員の方がおっしゃっていましたけれども、前任の田中弥生さんという方が、今院長でいらっしゃいますけれども、この方は検査院検査官、院長でありますけれども、何か、どこかのテレビ番組で、PBは黒字化しなきゃならないというようなお話をされたということで、指摘等もございました。それはそれで、その人の考え方ではありますけれども、果たして検査官としての立場としてはどうなのかなと私は感じるところであります。

 そういったところも踏まえて、検査官としての仕事を田中淳子さん自身はどのように感じて、考えて取り組んでいこうと思っているのか、マスコミ等の対応を含めて教えていただければと思います。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 御指摘のとおり、メディア出身で初めての検査官候補者ということで、大変緊張感を持って、重責というふうに受け止めております。財政監視機関として重要な使命を担う会計検査院の最終的な意思決定機関である検査官会議の一員ということで、大変重い職責というふうに捉えております。

 今委員がおっしゃられたように、広報というのは一部の仕事ではございますけれども、私、広報というのは広く捉えておりまして、一義的には、やはり国の会計をしっかり検査して、それを国会に御報告するというのが第一の使命である。その成果物というのが報告書、毎年御提出している報告書になりますけれども、それをまず正確に、そして充実した内容にする。さらに、分かりやすく説明する。しかも、社会のニーズに合ったテーマにフォーカスをして提示する。様々な点で、そこの伝え方、報告書の伝え方も含めて、広い意味で広報かなというふうに捉えております。さらに、その先に、国民の皆様に税金の使い方について関心を持ってもらうといいますか、国民の皆様の知るニーズに応えるというところが広報としての範囲かなと思います。

 その点でいいますと、まず、メディアでこれまでやってきたこと、国の行財政のチェック機能という点でも重なるところがございますし、また、国民の知る権利に応えるというところでも重なるところがあるかなというふうに思っております。

 特に、メディアの中で、取材者として様々な行財政も取材してまいりましたけれども、それに加えまして、例えばニュースデスクですとか支局長ですとか、監修者の立場で、より広い様々な取材情報を集めて、それを吟味をして、分析、評価をして、放送という成果物として出すというところまで責任を負う、そうした仕事、訓練を積んでまいりましたので、そうした仕事が検査官における仕事と重なるといいますか、役立てたいなというふうに考えております。

 検査官の仕事というのは、やはり、非常に広い、多岐にわたる検査報告、検査結果、実務を担う事務総局が検査したその結果を収集して、それを適切に評価をして、分析をして、分かりやすく出していくというところの最終的な意思決定に関わる役割と考えておりますので、メディアにおける私のそうした経験が生かせるのではないかなというふうに思っております。

井野委員 私も、正直、今の院長の田中弥生さんがもしかしたら意図せずにそのような発言をされた、もちろん、無駄はないようにした方がいい、若しくはプライマリーバランスも黒字の方がより望ましいというふうに考えていらっしゃるのであれば、それはそれでいい。だけれども、それをのりを越えて言うべきことでもないですし、はたまた、正直言って、PBの黒字化という言葉自体が逆に躍っていってしまったのかも、切り取られたのかもしれません。それはちょっと私にも分かりませんけれども、そういう点では、かなり、発言ないしはマスコミへの発表の仕方は気をつけてやっていただきたいなというふうに思っています。

 済みません、質疑が終わったということでありますので、これにて終わりにさせていただきます。

田中参考人 田中院長の御発言ということで御指摘いただきましたけれども、大変申し訳ありません、私、その詳細を把握しておりませんで、私の立場でちょっとコメントすることはできませんが、先ほども申し上げたとおり、会計検査院というのは、財政の、予算がどのように使われたかということを事後的に、決算を検査して、それを国会に御報告するという役割ですので、そこのところをしっかりと肝に銘じて、仮に御同意をいただけた場合は、職務に取り組みたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

井野委員 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 田中淳子検査院候補にお伺いをさせていただきます。

 まず、御承知かと思いますが、今、国会で予算委員会が開かれていて、少数与党という中で、与野党がまさに知恵を出し合って、例えば、あしたからは予算委員会で初となる省庁別審査が行われます。是非、会計検査院としても、まさに検査官としても、より民意に沿った、例えば我々は予算の組替えなど、税金の使われ方の優先順位、こういったものについても是非検査、公表していただきたいと思うんですね。

 ちなみに、会計検査院が二〇二二年度補正予算で検査、指摘しておられるのは、例えば、三十四事業、計一兆四千八百七十三億円が使用されずに次年度に繰り越されていますね、コロナ対策とか。これを、今まさに国民的なニーズも高い、例えばガソリン減税とか、授業料、給食費の無償化とか、年金の壁の引上げ財源などへと、予算の組替えに資するような検査、まさに役割を是非今後果たしていただきたいと思います。そういった機能を強化していただきたいと思いますが、答弁を求めます。

田中参考人 ありがとうございます。

 先ほど答弁が長くなってしまって、大変失礼いたしました。

 委員御指摘のとおり、今、国会において予算について本当に様々な議論が交わされているのを拝見しております。御指摘のとおり、会計検査院は、その議論に資するような情報を提供する、そこのところで貢献していく使命を負っているというふうに認識しております。

 令和七年度当初予算の内容につきまして、国民の皆様が高い関心を寄せられていること、私どもも認識しておりますけれども、私としては、会計検査院の検査の結果が予算の編成や執行に適切に反映されること、そして、検査を通じて予算の執行状況に対する透明性の確保及び説明責任の向上に貢献していくことが大事であるというふうに考えております。

 これまでもそのような観点で様々な報告をしてきたというふうに承知しておりますけれども、引き続き、仮に御同意をいただけた場合は、そのような観点から取り組んでまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 まさに、時代に即して会計検査院自体の役割、権能もやはり対応していただきたいということで申し上げておりまして、更に具体的に言いますと、我々、例えば、基金なんかは積み過ぎ額が百一基金七兆七千八百十二億円、これは先日、予算委員会で我が党の城井委員からも指摘もさせていただいて、そういったものをまさに組み替えていくとか、あるいは、昨日は本庄委員の方から、予備費についても、特定目的予備費が五千億、一兆円に積み増して、もちろん理屈は分からぬでもないんですけれども、でも、積算根拠が不透明であれば、例えばそういうもの、基金ルールで三年、ちゃんと根拠がなければ積み増ししないというのも、これも既に形骸化していて、例えば宇宙基金なんかはその代表例と指摘もされておられますね。五千億円あったら、小中学校、公立の子供たちは全部、給食無償化できるわけですよ。

 そういうような、まさに基金ルールの実効性を高めるとか、あるいは、本予算と補正予算がセットで、無駄使い削減を実現するための何らかの実効性のあるルール、尺度、こういったものを是非検査院としてもお示しをいただきたいと思いますが、御所見をいただければと思います。

田中参考人 ありがとうございます。

 お尋ねの基金ルールにつきましては、デジタル行財政改革会議におきましてそのようなルールを制定していると承知しております。

 基金ルールは、基金の予算措置等に係るルールであり、会計検査院ではそのような基金ルールを策定する立場にはないと承知しておりますが、検査において、デジタル行政改革会議等で定められた基金のルールに沿って基金の見直しがなされているのかといった観点から検査を行い、不適切な事態が見つかれば、適切なタイミングで検査の結果を報告していくことが大切と考えております。

 また、お尋ねの本予算と補正予算や予備費に関してですけれども、無駄遣い削減を実現するために何らかの実効性のある尺度、ルールを作るべきではないかといった点につきましては、予算編成のルールをどのように定めていくのかという問題であり、検査官候補者である私がコメントする立場にはございませんが、会計検査院は、予算の執行状況につきまして適切に検査を行い、報告を通じて国会そして国民の皆様に対する情報提供を適切に行っていく。その際、委員の御意見も踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 先ほどの御質問の中でも、まさにNHK時代、広報部とか、たしか、キャスターというか、そういうことも私は拝見しました。答弁が長いという指摘がありましたが、あの「北の国から」の名優、田中邦衛さんの娘さんということもあって、おしゃべりが多分上手だと思いますが、ちょっと最後、端的に、まさにこの予算の組替え、優先順位化、今、下水管の問題が埼玉で起こったり、ああいうことを全国点検するとか、まさにそういう優先順位を柔軟に変えていく、こういう広報を是非しっかりとしていただきたいと思いますので、是非、ワシントン支局長と、シドニーもですね、世界の流れも含めて、そういった役割を担っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田中参考人 ありがとうございます。

 おっしゃるように、限られたリソースではございますが、社会のニーズを踏まえて検査対象を戦略的に組み立てていくということが大変重要になっていると思います。

 その際、やはり国民の安全、安心、今御指摘があった道路の問題もございますけれども、インフラの問題も、安全性もございます。そうした安心、安全というのはやはり最優先にならざるを得ないと思いますので、その点は、公共放送でもそれは重点分野でございましたので、私もそこのところはもう一丁目一番地と思っております。仮に検査官に任ぜられた場合は、そのことを肝に銘じて取り組んでまいりたいと思います。

柚木委員 終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。本日、田中淳子参考人に御出席いただきました。そしてまた、ただいま所信を述べていただきました。私から何点か質問させていただきます。

 所信で述べられましたとおり、会計検査院、重要な使命を課されているということ、そしてまた、三人の検査官、極めて重い重責を担っておられる、そういうわけでございます。田中参考人はジャーナリスト出身として初めての検査官候補だとお聞きしますが、先ほどは、国民の関心の所在に、ニーズに耳を傾ける、そしてまた国民の目線に立って国民に伝えていく、そういう思いを述べられたわけでございます。

 私は、これまでの御経験を大いに生かしていただきたいと思うわけでありますが、まず、検査官の重みをどう感じ、どういう点を期待されると自ら感じておられるか、そして、これまでのジャーナリストとしての御経験を検査官としてどう生かしていかれるのか、その辺をお聞きしたいと思います。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 会計検査院は、憲法第九十条に基づいて設置された国の財政監督機関で、内閣から独立した立場で、予算の執行結果等の厳格な評価、検証、そして国会への御報告、さらに、国民の皆様に対する説明責任を果たすという財政民主主義にとって重要な役割を担っていると理解しております。その検査官会議の一員である検査官というのは非常に重要な、重い職責であるというふうにひしひしと感じているところでございます。

 また、内閣から独立した立場で国の行財政のチェック機能を果たすという会計検査院の使命には、メディアの役割とも相通じる部分があると感じております。

 さらに、国民の皆様に必要な情報を提供するという機能につきましても、これまで報道の現場で内外の政府それから企業の関係者などを取材してきて、行財政や産業界などについて理解を深めてきたことが生かせるかなというふうに考えております。その中には、例えば、アメリカで会計検査院のカウンターパートに当たるGAOなどの機関も日常的に取材してまいりましたし、TPPなど、日本の行財政に関わるところも取材してまいりました。その取材者の立場に加えまして、先ほどもちょっと言及させていただきましたが、監修者として、幅広い情報を分析して評価して分かりやすく伝えていくというその経験が、検査官の活動にも生かせるのではないかなというふうに考えております。

 仮に検査官に任ぜられた場合、私は、メディア、特に公共放送の一員として得たそのような経験や知識を踏まえて、検査官会議に多様な視点を提供することで、公平かつバランスの取れた意思決定に貢献してまいりたいというふうに考えております。

中司委員 これまでも、情報発信とか広報活動の強化が必要だという意見はたくさんあったわけでございます。田中参考人、NHKの在職中、記者として活躍をされた、また管理職としての経験もおありということで、現場とマネジメントをどちらもよく理解をされていると思います。今後、会計検査官として、国民の皆さんに分かりやすく情報発信をする、また、会計検査について広く国民の皆さんに知っていただくことで各省庁への理解を深めていただく、そういう役割が期待されていると思います。

 そこで、どこに課題があって、国民に対して伝えたいことは何なのか、どのような手法で国民に分かりやすく伝えていかれるのか、お聞きいたします。

田中参考人 国民の皆様に伝えたいことでございますが、国の予算執行の適正を期するためには、納税者である国民の皆様お一人お一人に税金の使い方について関心を持っていただくことが必要であるというふうに考えております。そして、そのためには、会計検査院がどういった活動をし、どのような検査結果を報告しているのかという点を、まずは国民の代表である国会に御報告した上で、国民お一人お一人に関心を持っていただく、理解していただくという活動をしていければというふうに考えております。

 そのために私が果たすべき役割でございますが、メディアの環境が今激しく変化しております。その中で、なかなかどのメディアも急速な環境の変化に適応するのに苦労しているところかと思いますけれども、基本となるのは、やはり正確な情報と、それから信頼できる分析だと思います。なかなかそれが届きにくいという、今、皆さんのアテンションが短くなっていることもありまして、丁寧に説明しなくてはならない、ただ、そうすると見てもらえないというジレンマがございます。そこをどう乗り越えるかというのは本当に永遠の、永遠といいますか、今最大の課題で、私自身も一つの正解を持っているわけではございませんけれども。

 重要なことは、国民にそういう、例えば長期的な影響といった説明が難しいことも、本当は知る権利があると思うんですね。そこを丁寧に情報開示をして説明をしていく責任というのが私たちにもあると思いますので、そこは、何というか、メディア環境の変化についていくのがやっとの部分もありますけれども、それだけではなくて、やはり、しなくてはならないことというのをきちんと果たしていく、そのやり方は工夫が必要だと思いますので、これから探ってまいりたいというふうに考えております。

中司委員 二〇二三年度の決算検査報告では、コロナの対策に関わる事業で大規模な不適切な受給が見つかる、そういうことがありました。合わせて六百四十八億円余りが不適切に使われていたのではないかと指摘をされているわけでございます。また、コロナ禍を契機として予算の予備費の額が急激に増えたということ、また同時に基金の事業も増加をした、そんな状況があります。

 そこでお聞きしますが、毎年多くの税の無駄遣いが指摘されているものの、指摘を受けてもなかなかしっかりと反映されない。そのようなことで、同じような指摘が繰り返されるということがあると思います。まず一点目として、無駄遣いや不正を根絶するにはどうすればいいのかということ。そして二点目として、予備費や基金事業の検査に関して、今後の課題とか取組についてどう考えておられるのか。答えられる範囲で結構ですので、お聞かせいただきたいと思います。

田中参考人 二点、お尋ねいただきました。

 まず、無駄遣い、不正の根絶に何が必要かという点でございます。

 ちなみに、この無駄遣いというのは、なかなか、どこをラインに無駄遣いと呼ぶのかというのが難しいということで、会計検査院では、無駄遣いという言葉自体は表現として使っていないそうです。報告書にも書かれていませんし、対外的な説明にも使っていないというふうに伺いました。

 その上で、委員が御指摘の点、よく分かりますので、お答えさせていただきます。

 まずは、会計検査院が報告した不適切な事態について、指摘を受けた当局が再発防止を着実に図るとともに、内部統制の体制整備、そして職員の適正かつ効率的、効果的な予算執行に対する意識の向上などについて不断の努力を図っていくということが必要であると思います。会計検査院は既にそうしたフォローアップを相当丁寧にやっているというふうに見受けておりますけれども、これはもう、やってもやっても完全ということはないと思いますので、それを、地道な作業ですけれども、繰り返すことで抑止効果につながっていくということを期待しております。

 そして、もう一問の、予備費及び基金の検査に関する御質問ですけれども、御指摘のとおり、会計検査院、予備費について、既にこの新しい検査報告で報告しております。また、基金事業につきましても、これまで、経済性、効率性、有効性の観点から、未利用になっていて今後も利用されない見込み、利用される見込みのない資産はないか、あるいは社会情勢の変化等を踏まえた資産の活用が図られているのかなどに着眼して行った検査を報告していると承知しております。

 仮に検査官に任ぜられた場合は、これまでの取組を十分確認して、更にできることがないかということを探ってまいりたいと思います。

中司委員 真摯にお答えいただきまして、ありがとうございます。

 田中さんならではの活躍を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 本日は、田中さん、ありがとうございます。

 私からは、田中さんが今おっしゃられました、昨年までいらした、三十七年間在籍していたNHKについてお聞きをしたいと思っています。

 NHKは、飲食を伴う取材活動の経費請求の承認手続で大変不正請求が繰り返される事態を招いたとして、一昨年の十二月、多くの管理職が処分を受け、役員も報酬の自主返納という事態が発生をいたしました。ある記者からは一千七十三万の弁済を受け、また、更に追加の二人の記者も処分がされました。

 この中で思い起こすのは、二〇〇四年のNHKの不正な経理請求、また空出張などであります。つまり、二十年前にも問題になったはずの不祥事をまた繰り返してきたとかということで、またかという議論が、ある一部では起きています。

 二十年前も今回も、田中さんはNHKに当時所属をしておりまして、直接、この不正経理には関係ないということはお聞きをしておりますが、今回の任命理由には、組織のマネジメントに当たってきた、また、組織運営について高い見識を有するとあります。これが大きな理由であります。

 御自身がいたNHKの組織マネジメントはどうなっていたのかということを、その見識を伺いたいと思います。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 お尋ねがありました事案ですけれども、両方につきまして、御指摘のとおり、私は一切関わっておりませんが、一職員として非常に衝撃と怒りを当時感じたのを覚えております。

 二〇〇四年の事案につきましては、私は横浜放送局の一記者で、まだ管理職でもなかったんですけれども、その内容性それから規模で、相当大きな報道もされまして、受信料の不払い運動も広がったことを覚えております。

 その後、職員の間で相当、公金意識を高めるための研修というのを継続的に受けてまいりました。私も含めて受けてまいりました。かなり、公金意識ですとか様々なチェック機能というのが強化されたなというふうに感じていた中でおととしの事案がまた発生してしまったということで、これは、御指摘のとおり、NHKは受信料という公金で支えられている組織でございますので、普通の企業よりも更に高い倫理、コンプライアンスが求められる中で、このような事案が起きてしまったことを非常に遺憾に思いました。

 私は、今回は国際放送局長の立場でしたので、全局的な経理の見直しということで証憑のチェックがございまして、それでも私の部局では不正事案は見つからなかったんですけれども、それを他山の石として、そのようなことが起きないようにという意識徹底の機会といたしました。様々な研修、それから、部局内で、繰り返し、その事案についての共有のみならず、何ができるかということを考えました。

 コンプライアンス、こうしたリスク事案の防止というのは、仕組みを幾らつくっても、やはり心が入っていないと残念ながら繰り返されてしまうというふうに考えておりますので、愚直ではありますけれども、やはり意識の徹底というのが一番、コンプライアンス意識の徹底、浸透というのがまずありきではないかなというふうに思っております。その上で、様々なチェック機能というのをおざなりにならない形で講じていくということが重要というふうに考えております。

田中(健)委員 まさにおっしゃっておられましたが、二〇〇四年のときはコンプライアンス委員会が設置をされ、不正処理の対象のみならず、ガバナンス全体を見直す組織改善が行われたんですね。二十年前ですね。しかし、同じようなことが起きた。二十年前は国会でも話題となって、まさに国会から会計検査院に検査要請も出されたという事実があります。

 そして、今回も、その事案を受けて、不祥事を受けてすぐに第三者委員会をつくったということです。何か第三者委員会をつくるといいことのように聞こえますけれども、実は二十年前のときに、余りに内部統制が働いていなかったので内部監査部門を強化し、さらに、会長に直結した内部監査室という部署までつくりました。しかし、今回はそこで全く監査ないしは調査がされずに、結局、第三者委員会に頼んだ。NHK内部に自浄能力どころか実態調査を行うガバナンス能力すらないんじゃないかといった厳しい指摘もあります。

 このような指摘についても、まさに今おっしゃっていただきましたが、広報局長という立場にいて、国民に分かりやすく広報していくことにも精通をしていると、今回の選任の理由にもありますが、やはり国民が納得できる説明というのを、是非、今回の第三者委員会、そして組織の体制というものについて、もう一度お聞かせいただければと思います。

田中参考人 ありがとうございます。

 そのような厳しい声があることを大変重く受け止めております。

 検査官という仕事にはひときわ高い倫理観が求められるということも重々承知しておりますので、私の今の立場で言えることというのは、そうした不祥事があるたびに感じた衝撃や怒りであったり、そこから学んだコンプライアンス意識の徹底や内部統制などについての教訓を胸に刻んで、自らを厳しく律して、仮に検査官に任ぜられた場合は、その任務の責任、職責を全うするために自らを律していきたいというふうに考えております。

田中(健)委員 本日初めてお会いして、田中さん自身の問題ではなくNHKの問題ではあるんですが、御自身がまさに三十七年間、去年まで在籍していた、まさにそこで培った能力をこれからどのように会計検査に生かすということでありますので、大変に厳しい話をしましたけれども、なかなか、国民のやはり信頼を得てやらなければ会計検査というのは成り立ちませんので、そういう状況にあるということを御理解いただきまして、これから取り組んでいただければと思います。

 以上です。

浜田委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 田中検査官候補の御経歴を拝見いたしました。国際ジャーナリストとして報道に従事され、国民の知る権利に奉仕をされてきたことと存じます。そして、国民の知る権利は国家の会計経理に及ぶことは言うまでもありませんし、また、国家の会計経理は国民の重大な関心事でもあると思います。したがって、田中検査官候補には、国家の会計経理について広く国民に広報し、もってこれに対する国民の知る権利に応えることができる人材であるという期待を持つものでございます。

 そこで、まず、検査官に臨むに当たり、田中候補者の御決意をお聞かせいただければと思います。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 会計検査院は、まず、内閣から独立した憲法上の機関として、国の決算や法律に定める会計を検査し、会計経理が正しく行われるよう監督する権限を有していることから、検査官として意思決定を行うに当たっては、中立的な立場から、ほかの二人の検査官とともに、客観的な事実認定に基づく公正な判断をしっかりと行っていきたいと考えております。

 同時に、検査官会議の一員として、メディアの仕事を通して培った社会経済の動向を踏まえながら、そして国民の皆様の目線や多角的な視点というのを意識しながら、均衡の取れた判断に寄与するように心がけてまいりたいと思っております。

 また、検査事務機関である事務総局に対する指揮監督につきましては、検査が効率的、効果的に行われること、また、事務総局は本当に検査のプロの、エキスパートの集まりですので、その力が十分に発揮できるよう、職員の士気の向上が図られることを念頭に置いて取り組みたいと思っています。

 その際には、これまで、取材、それから取材指揮、広報、組織マネジメントなどの仕事を通して培ってきました情報の分析や伝達、さらにマネジメントの経験を生かしまして、検査官会議の意思決定や事務総局に対する指揮監督に貢献してまいりたいというふうに考えております。

吉田(宣)委員 次の質問ですけれども、先ほどの所信で少しお述べになられましたけれども、会計検査院法には、「会計検査院は、正確性、合規性、経済性、効率性及び有効性の観点その他会計検査上必要な観点から検査を行うものとする。」と規定をされております。国家の会計経理、それに基づく財政支出が正確であり、法規に適合するものであり、経済的であり、効率的であり、かつ有効的であることは、私は、国民の期待そのものでありまして、そこに専門性が要求されることは百も承知ではございますけれども、ある意味、当然のことを規定しているものだというふうに思っております。

 そこで、私、注目いたしますのは、「その他会計検査上必要な観点」と別に規定されている点でございます。候補者は、その他会計監査上必要な観点というのはどのような観点であるとお考えになるのかについてお聞かせいただきたく存じます。

田中参考人 ありがとうございます。

 御指摘のとおり、会計検査院、検査の観点としまして、会計検査院法に定められている五つの観点のほかに、社会経済情勢の変化などに適切に対応していくために、多様な観点から検査を実施してきているものと伺っています。

 例えばですけれども、社会保障や租税の検査においては、給付や負担の公平性が確保されているかという公平性の観点ですね。また、予算規模が大きい施策分野等に関しては、事業が何を目的に、どのように執行されたのかなどを明らかにされているか、担当府省は国民の皆様に十分に説明をしているかといった透明性の確保及び国民への説明責任の向上等の観点があるものと承知しております。また、国民の安全、安心を守るという観点で、安全性ということで、例えば公共事業の橋や道路の建造物の安全性、耐震、強度などの非常に専門的な検査も行っているというふうに承知しております。

 これまでの私の経験の関連では、特に、透明性、それから説明責任の向上という観点から検査を行うこと、そこに何か助言をしていければなというふうに考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 次に、会計検査院が出しておりますパンフレットがあります。その令和六年度版を私は拝見させていただいたんですけれども、その中に、会計検査院の検査効果は、毎年度の検査報告による指摘金額等にとどまるものではない旨記載がされており、それ以外の仕事もあるということなんですね。検査結果を活用した内部監査等による是正、検査実施中に行われる指導助言による是正、波及効果、牽制効果などが挙げられております。そして、検査報告事項のフォローアップ、これも書かれておりまして、国等の損失は回復されたのかとか、再発防止のためにどのような処置が取られたのかとか、関係者に対してどのような処分が行われたかとかが挙げられております。これらは会計検査院に対する国民の期待そのものだと私は感じております。

 そこで、候補者が検査官として職責を果たす上で、自分が検査を果たす上で、その効果は国民にどのように享受をされるか、また、フォローアップについても御自身が職責を果たす中でお考えになることが何かあれば、お聞かせいただければと思います。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 私は、報道の経験を通じて、日本の様々な、行財政ですとか企業の動向、それから、ニュースの監修者の立場では、各記者が収集してきた情報を俯瞰的に分析し、報道する内容を適切に判断するなどの経験を積んでまいりました。

 会計検査院の意思決定機関である検査官会議の構成員である検査官は、事務総局が検査した結果について、情報を適切に理解、分析する能力が求められていると承知しているところです。今回、任命について同意をいただいて検査官に任ぜられた場合は、そのような観点、これまでの経験を生かして貢献しつつ、国民の皆様にそれを分かりやすくお伝えするというところで、広報の経験も生かして取り組みたいというふうに考えております。

 また、御指摘のフォローアップについてでございますが、私、これは非常に地道で大変な作業だということがだんだん分かってまいりましたけれども、実効性を上げる上では欠かせない作業だというふうに思っております。それがやはり、そういうフォローアップが行われている、その中で改善されるもの、改善されないものがあるということをやはり一人でも多くの、まずは行財政に関わっている担当の皆様に知っていただきたい。その中で、行政の現場でそれを生かしていただきたいと思いますし、国民の皆様にも、そういう検査が行われていて、行財政の現場でその改善に取り組んでいるんだと課題も含めて開示することが、透明性、そして信頼感につながるのではないかなというふうに考えております。

吉田(宣)委員 終わります。

浜田委員長 次に、山川仁君。

山川委員 れいわ新選組の山川仁といいます。どうぞよろしくお願いいたします。

 田中検査候補について、少し、四点だけ質疑をさせていただきたいと思います。

 元々、日本放送協会、NHKに長い期間お勤めされていたということですが、そのNHKの中でも、主にアメリカのワシントン支局や国際放送局長など、海外での経験も長いということです。この度、検査官に就任したときを想定して、国際的な観点からも、例えば、アメリカにも無駄遣いはあるでしょうし、またNHKにもそれはあるかと思います。そういったことを踏まえて、田中氏の、日本政府の無駄遣い、いわゆる不適切なというものについて、どういったものがあるのか、お考えをいただきたいと思います。

田中参考人 難しい質問をいただきました。

 それは、私の立場でこれとこれが無駄遣いですと言うのはなかなか難しいんですが、まさに、その判断の材料になる情報がたくさん会計検査院の検査報告に書かれております。私もそれを今勉強しているところでございますけれども、それを国会の皆様だけではなくて広く国民の皆様にも知っていただいて、会計検査院としては、客観的な、まさにエビデンスといいますか、ファクト、それから分析を御提示して、これは無駄遣いだと思うというのは国民お一人お一人が判断することかなというふうに私は考えております。もちろん、国民の代表である国会での御審議というものにも役立てていただきたいなというふうに考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 それでは、次の質問です。

 現在は大学の非常勤講師をお務めされているようですが、これまでほぼ一貫してマスメディア、NHKで過ごしてきておられます。その中で、会計検査の実務実績について何かありましたら、お話しいただけますか。

田中参考人 ありがとうございます。

 これはNHKの会計ということになりますけれども、実は、支局長というのは、海外の支局長は小さな企業の社長みたいなもので、人、物、お金の管理を一手にやりながらのプレーイングマネジャーでございます。ですので、毎月の会計経理というのは自分でやっておりました。また、部局のポスト長になったときは、その部局の予算の管理の責任者でございますので、予算管理のプロセスですね、予算の策定から執行、そして決算、そのレビュー、そのレビューをまた次の予算に生かしていくというサイクルを主導し、監督しておりました。そこで学んだものも大変多うございました。更に申し上げますと、広報局の仕事として、NHK全体の予算、決算について外部に御説明するという仕事にも携わってまいりました。

 NHKの会計と申しますのは、御存じのとおり、公会計、厳正厳格な狭義の公会計ではございませんけれども、かなり似たところがあるというふうに私は捉えております。財源は受信料という公金に支えられておりますし、支出は営利目的ではなくて公共サービスのコストである。だから、その評価の仕方というのも政策評価と似ていて、施策がどのような成果を上げているかという質的な評価も入ってまいります。そうしたことも含めて、自分でも実践しましたし、対外説明をするということも経験してまいりました。

山川委員 ありがとうございます。

 先ほど田中検査候補からも広報局というお話がありましたが、メディア出身ということで、今回検査官に就任した際には、会計検査院が国民の目に届きやすくなるような広報のやり方があってもいいかと思いますが、田中氏にそういったお考えがあるかどうか、お聞かせください。

田中参考人 ありがとうございます。

 それは是非取り組みたいと思っていることです。それは、何といいますか、組織の宣伝ということではなくて、やはり、会計検査院が担っている、税金がどのように使われているかという、その機能について知っていただくことで、国民の皆様が自分たちの負担している税金がどのように使われ、そして効果を上げているかということに関心を持っていただく、ひいては、やはり、社会それから政治への参加感というのを強めていただくというようなことに結びつく、その一端になればいいなというふうに考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 それでは、最後の質問になりますが、我々れいわ新選組は積極財政というものを党是として掲げております。会計検査で指摘されるような無駄遣い、不適切な支出というのはさておき、国民が望むようなことに対して国はどんどん出資、支出をするべきだという考えがあります。田中氏の積極財政に対する考え方を教えていただければと思います。

田中参考人 財政政策につきましては、立法政策上の権限でございますので、まさに国会で御審議されていることと存じます。

 会計検査院の役割としましては、その御議論に資するような情報を提供するというところに尽きるかなというふうに思っております。是非その検査結果を皆さんも御活用いただいて、よりよい予算の在り方に反映させていただければなというふうに思っております。私の個人の見解をここでちょっと述べるのは、申し訳ありませんが、控えさせていただきますが、そのような観点で、会計検査院が果たす役割も大きいかと存じますので、よろしくお願いします。

山川委員 時間を多く残しておりますが、会計検査院のお力添えで、無駄遣い、不適切な支出、不用額、執行率の問題、また、私は沖縄選出の者なので、沖縄振興予算の、ハード、ソフトの面のいろいろな支出のちょっと不透明な部分があるかと考えております、そういったところを是非ともしっかりと厳しい目でチェックをしていただいて、必要なところには必要な財源を確保していくというような助言等もいただけましたらありがたいと思います。どうぞ今後とも、検査官になりましたら是非ともまたお力添えをいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 田中参考人にお尋ねいたします。憲法第九十条の意義についてです。

 憲法第九十条では、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、」と規定しております。

 戦前、機密費は調査対象から除外をされ、軍事関係費は旧会計検査院法の適用が除外をされ、増える軍関係経費等を検査できなかった反省から、日本国憲法は全てを対象とするとして、このような例外を認めないことを明らかにしたのではないでしょうか。例えば、官房機密費の検査にも例外はない、こういった基本認識はお持ちでしょうか。

 また、検査結果に関する国民に対する説明責任について、いかなる基本姿勢で臨むのか、お尋ねをいたします。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 お尋ねいただきました憲法第九十条には、国の収入支出の決算は全て毎年会計検査院が検査を行うというふうに規定されているのは御指摘のとおりでございます。ですので、私の理解としましては、そこに聖域はないというふうに考えております。全てが検査の対象である、そういう基本方針にのっとって会計検査院でも検査を実施しているというふうに理解しております。

 また、会計検査院は国民の負託を受けて会計検査を行う機関でございますので、その国民の御理解と信頼を得るために、全ての対象について公正公平な検査活動を行う、そしてそれを説明責任を果たしていくということが極めて重要なことであるというふうに考えております。

塩川委員 次に、防衛費に関してですけれども、田中参考人、雑誌での論考においても、トランプ政権をにらんでの日本のリスクや、またそこに果たす役割についてのコメントがあると承知をしております。トランプ政権では、日本に対して防衛費をGDP比で三%に増額すべきと主張する人物を国防次官へ起用する等の報道もあります。

 二〇二三年度決算検査報告によれば、「防衛予算の執行においては、契約を締結した翌年度以降に多額の支払が必要となるなど、その執行の全体像を把握しづらい状況となっている。」と指摘をしております。FMS、対外有償軍事援助の調達のように、余りにもアメリカに都合のいい契約方法も問題となってまいりました。

 更なる防衛費増の動きに対してどのようなチェックをされていかれるお考えか、お聞かせください。

田中参考人 まずは、私の執筆しました記事を読んでいただいて、ありがとうございました。

 御指摘の記事は去年五月に書いたものですので、実は民主党のバイデン大統領が選挙戦から撤退する前で、もちろんまだ選挙結果は見通せず、混沌とした状況でございました。したがって、その時点でアメリカの政治状況がリスクというふうに申し上げたのは、選挙結果はもちろん、その後の、選挙結果がすんなり受け入れられるかどうかも含めて、アメリカの政治状況が不安定化するのではないか、それによって世界各国も大きな影響を受けるのではないかといった不確実性のリスク全体について私は言及しておりました。

 その上で、お尋ねのあったトランプ新政権への対応につきましては、外交、防衛上の問題であり、私からコメントすべきではないと思いますが、国会での御審議を注視してまいりたいと思います。

 会計検査院は既に防衛費に関しても様々な観点から検査を行っておりますので、仮に検査官に任ぜられた場合は、御指摘の点も含めまして、防衛費の検査もしっかりと行っていく所存でございます。

塩川委員 次に、過去、その不透明な支出が問題となってまいりました官房機密費についてお尋ねをいたします。

 三類型ある官房機密費のうち、調査情報対策費、活動関係費は領収書等支出先が確認できるものを保存することになっておりますが、官房長官が直接扱う政策推進費については、いつ、誰に、どのような目的で幾ら支払ったのか、適切に記録する仕組みがありません。まさに官房長官にしか知り得ないことがあるということで、官房長官が直接扱う官房機密費について、会計検査院が適切な検査をこれまで行ってきたと考えておられるでしょうか。

田中参考人 内閣官房報償費につきましては、情報収集等に使用される経費ということで、その性質上、機密保持が必要なものというふうに承知しておりますが、現行憲法の規定におきましては、先ほども申し上げましたとおり、国の収入支出は全て会計検査院が検査することとされており、検査の対象とならない、いわゆる聖域は存在していないというふうに承知しております。

 会計検査院は、内閣官房報償費につきましても過去に指摘を行った事例もあるというふうに聞いております。今後も引き続き厳正に検査をしていく必要があるというふうに考えております。

塩川委員 官房機密費は三類型ある。官房長官が直接取り扱う政策推進費については領収書等が残されない、これをやはりどう検査をするのか、官房長官に面談をするということなどもあるということがあるわけですけれども、この点についてしっかりとした対応をどう保証していくのかについて、改めてお答えいただけますか。

田中参考人 会計検査院の過去の検査報告におきましては、例えば平成十九年度の検査報告におきまして、報償費の執行について、領収証書等の証拠書類が保存されていないなどのため、その使途が確認できない状況となっていて、会計経理が著しく適切を欠いているものがあるというような、お尋ねの件とぴったりマッチするかは定かでございませんが、そのような指摘もしております。

 仮に私が検査官に任ぜられた場合は、その詳細を確認いたしまして、御指摘の点も参考にさせていただいて、しっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 終わります。

浜田委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

柚木委員 済みません、一分以内で。

 先ほどもありがとうございました。柚木でございます。

 田中検査官候補のワシントン支局長時代のインタビューとか、あと「国際報道二〇一六」でしたかキャスター時代のインタビューとかを読みました。御所見をお持ちだと思うので、さっきの更問いみたいになるんですが、今まさに少数与党時代に入った日本で、世界の流れも踏まえて、まさにオバマからトランプ、そしてヒラリーとの選挙、その後と、激動のワシントン支局長時代も踏まえて、我が日本の、例えば民意に沿った政府予算の組替えなど国会審議の活性化ですね、だって、世界だったら予算修正なんか当たり前だと思うんですよ、何のために国会があるんだという話なので。

 是非、もちろん与野党を超えて、与党さんの中でもそういう意見はあると思うんですよ。ですから、民意に沿った政府予算の組替えなど、新たに会計検査院の果たす役割も含めて、是非、経験に基づいた御所見をお述べいただければと思います。

田中参考人 大変難しい御質問をいただきました。

 ちょっと繰り返しになってしまいますけれども、予算をめぐって財政政策について御討議されるのは国会であり、また、財務当局がそれを執行していく。会計検査院としては、その議論とか検討の材料になる、ベースになる材料を御提示する、情報を御提示するという役割が私は非常に重要だと思っています。

 御指摘のような、民意も反映した活発な議論というのは、やはりそのベースになるファクトというのがとても大切だと思っております、それは日本にかかわらずですけれども。そこで、やはり、一部だけをピックアップして分かりやすいところで議論をするということとか、目先のことに目を奪われがちなんですけれども、私は、重要なのはもう一つ中長期的な影響ということ、そこにも目を向けるべきだというふうに考えております。中長期的な視点でどういうビジョンがあるのか、どういう社会を目指していて、この政策、施策の先には、そしてその施策を支えるのが予算ですけれども、その先にはどういうことが考えられるのか。

 国民は、もちろん、日々の暮らしの中で、例えば目先の物価上昇などに目を奪われがちなのは当然でございますけれども、同時に、なかなか伝わりにくい中長期的な影響、そういうところを開示していく、その材料に一つなればなというふうに、会計検査院の検査報告もしかりですし、メディアの報道というのもしかりだと思います。

 世界的に見ますと、やはり今ポピュリズムが台頭していて、そこは分かりやすいキャッチフレーズで動いているところもあると思うんですけれども、それも、分かりやすいメッセージというのもとても大事だと思うんですけれども、同時に、なかなか伝わりにくいそういう中長期的な意味合いですとか影響というのも、知る権利に応えていくということが重要ではないかというふうに考えております。

柚木委員 ありがとうございました。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 森友学園への国有地売却をめぐる財務省による公文書改ざん問題についてお尋ねします。

 改ざんを強いられ自ら命を絶った元財務省近畿財務局職員の妻、赤木雅子さんが、国に対し、改ざんの経緯に関わる行政文書の開示を求めた大阪高裁の控訴審判決が先日ありました。国が文書の有無も答えないで不開示としたことを違法とし、不開示決定を取り消しました。国は控訴せず、全ての文書の開示に応じるべきであります。

 同時に、森友学園問題に対する会計検査院の対応も再度問われております。会計検査法第一条、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」とあります。財務省の説明をうのみにした森友報告をめぐる検査院の対応は、その独立性を揺るがす事態であり、国民の信頼を失いかねない重大な問題だという認識はお持ちでしょうか。

田中参考人 ありがとうございます。

 学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する状況については、長い様々な経緯がございますが、平成二十九年三月に国会からの御要請があり、会計検査院はこれを受諾して検査を実施し、その年の十一月に国会に対して報告したところというふうに承知しております。

 また、その後実施した検査の過程において財務省から改ざんされた資料が提出されるなどあってはならないことが行われていたと判明し、会計検査院で改めて検査を行って、その結果を三十年十一月に公表したというふうに伺っております。

 私自身は、この森友学園の検査について詳細を把握しておりませんけれども、検査の過程に対して厳しい御批判が当時あったということを伺っております。

 仮に検査官に任ぜられたとするならば、こうした経緯を踏まえて、再発防止策がきちんとなされているか、既に当時から会計検査院の中では再発防止の様々な取組が行われております、それがうまくワークしているのかということを確認した上で、内閣から独立した地位を有する会計検査機関として、その職責を十分に果たすことができるよう努力してまいりたいというふうに考えております。

浜田委員長 よろしいですか。他にございますか。ございません。

 これにて田中参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 田中参考人、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより挽参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 井出庸生君。

井出委員 井出でございます。本日はよろしくお願いをいたします。

 挽さんは再任ということで、一年五か月近い経験に基づいてお話を聞かせていただきたいと思います。

 今日お聞きしたいことは、検査官と会計検査院の現場の事務職員との関係性、指揮監督をするとありますが、当然、日々のコミュニケーションが様々あろうかと思います。

 挽さんのように、外部から検査官をされて、研究職という専門性もあって、そうした外部から検査官に入られることがプラスに働くこと、挽さんの助言が役に立つ、そういうケースも多々あったかと思いますが、そうした、何か実例等も含めて、外部の人間が参画することについてのお考えをお聞かせください。

挽参考人 御質問いただき、ありがとうございます。

 検査官は自分で会計検査を行うわけではございませんが、検査官会議で議決された事項が会計検査院の決定として公表されることになっております。

 外部から来た検査官としては、会計検査の実務については、職員からの説明をよく聞き、その上で助言することを心がけております。

 この場合に、製造業とかサービス業で重要なのは、源流管理と呼ばれるものがありまして、例えば製品であれば商品開発、企画の段階に、実際にはコストと品質の大部分が決まります。製造現場で実際に発生するわけです、コストは。でも、その発生するコストを決めるのは源流段階でありますから、検査計画も、会計検査についても、プロジェクトと考えますと、やはり源流の段階から携わっていくことが重要である。

 検査については職員の方はプロです。私よりも会計検査経験は長いです。でも、私はフィールドワークをずっと、二十年以上、三十年近くやってきましたので、幅広に考えることができますので、そこで自分の知っていること、調べてほしいことなどについて、源流の段階から申し上げて、適時適切に、フィールドワークだと外に行くんですけれども、検査院の場合には検査官室に来るというやり方のようで、適時適切に呼んで進捗管理を行っています。

 その場合も、私はずっと教育者でもありました。これも二十数年以上ゼミを持っておりましたけれども、その中で重視してきたのは、若者は自信がないだけで本当は能力が高いんだということで、ゼミにおける組織化というのを行ってまいりました。責任、権限を明確にした上で任せる。だけれども、任せっ放しにすると負担になり過ぎるから、そこで適時適切に助言をして、助言をするんですけれども決めるのはあなたですよということで進めてまいりました。

 会計検査院におきましても、職員は非常に検査能力が高く、秘めた思いというのが強い組織であると思っておりますので、そこを引き立てる形で進めていければというふうに思っております。

 その一方で、検査報告に関しましては、伝統が長い組織ゆえに、言葉が古過ぎて辞書を引かないと分からないとか、あるいは論理的に一貫性があるのかとか、あるいは、図表をせっかく入れているのにその図表が浮いちゃっているよねとか、もうちょっとそこを解釈できるんじゃないかとかというところがありますので、そこについても意見を述べさせていただいているところです。

 常勤の官職であります検査官として、検査官会議やその会議のための事前説明等で、事務総局の職員とは若手も含めて積極的にコミュニケーションを取っております。

井出委員 専門性を発揮してこられたということはよく分かりました。

 今度は、一方、逆に、検査は事務職員がやる、報告書の原案も作ってくる、皆さんとのコミュニケーションがある、その中で、挽さんの御意思と事務職員の御意思が相入れない、対立するときもあると思うんですね。そのときに、場合によっては事務職員の意思を尊重するようなケースも、尊重というか納得というか、事務職員の意思を尊重するようなケースもあろうかと思うんですけれども、そんなようなことというのは、これまであったり、どのようなお考えでやってきたか。

挽参考人 一つ、私が入って、令和四年度の決算検査報告を取りまとめている段階で、その場合は源流管理ができません。九月に入って、もう一回限りに近い状況で入りました。一件だけ、二回ほど検査官室に来ていただいて、戦って、私は否定的な意見を申し上げました。検査官会議は合議であります。合議は多数決ではありませんけれども、三人ともそれについては駄目だということで、合議の結果駄目になったということでございます。

 それ以外については、対話を何回もして、お互いに納得する形で持っていくように、先ほども申し上げましたが、職員は検査については、教授をやっていた身から見ても相当幅広に、深く掘り下げて考えようとしておりますので、今のところは相入れないというのはそこの一件だけでございました。

井出委員 済みません、ちょっと確認なんですが、駄目というのは、三人で合議をした結果、事務職員の持ってきた意思と違う結論を出した、そういう理解でいいですか。

挽参考人 決算検査報告に載せることはできないということです。それで、もちろんその理由についても事細かに説明をいたしました。

井出委員 ありがとうございます。

 こういうことを聞いた背景といいますか、それぞれの省庁に、政治家から大臣、副大臣、政務官が入る。私も一度、副大臣の経験がございます。そのとき私が率直に官僚の方とコミュニケーションをしていて感じたのは、外から来ていて、任期があって、純然たる上司と部下でもないなと。ある程度、緊張感、もっと言ってしまえば対等性、こちらからアドバイスすることもあれば、教えを請うこともあるんだろうしと。本当にいいかげんな言い方ですけれども、半分は職員の皆さんの話を聞こう、半分はこちらの思いを伝えてみよう、そんな思いで一年やってみたんですが。

 そうしたところの、少し抽象的な聞き方になりますが、事務職員の皆さんと今後どのようなコミュニケーションを取っていきたいと思われるか、再度伺いたいと思います。

挽参考人 私は、検査官という職は非常に重い責任を負っていると思います。PDCAは重要です。私個人にとっても、PDCAというのは非常に重要です。ですから、最初に入ったときに、森田院長の後だったので、期間が決まっておりました、一年五か月ということで。そこで、やるべきことを決めて、それに向かってやれることをやってきたわけですね。

 ですから、結構休んでいる時間はほとんどなく、元々、一橋大学でもちょっと責任が重い仕事をしていたので、仕事が好きでやっている面がありますので、ゆっくりするということはないので、むしろ、ここに来てから注意をしているのは健康管理です。気持ちだけでは、もう六十になりましたので、倒れてしまう。倒れることがないように、仕事が好きだからやるけれども、きちんとリフレッシュしながら。倒れて、それこそ事務総局の皆様に御迷惑がかからないように、あるいは、ひいては国民に迷惑をかけてはならないので、そこだけ注意しております。

井出委員 再任ということで、御自身の健康管理ももちろんでございますし、今日、御質問させていただきましたが、ほかのお二方も大変すばらしい方ばかりでございますので、何か先生が御助言ということもないのかもしれませんが、再任の御経験を生かして頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 挽検査官候補者に大きく三点お伺いをいたします。

 まず、租税特別措置についてですが、研究開発税制とか賃上げ促進税制など、巨額の企業向け減税について、本当にインセンティブ効果が発揮されているのかとか、その租特がなければ研究開発や賃上げが行われないのかとか、大企業にそのような巨額の減税が必要なのか、こんな観点で重点的に検証、検査していただけないでしょうか。

挽参考人 租税特別措置について、会計検査院は、これまでも重点を置いて検査を実施し、その検査結果を検査報告に掲記するなどしておりまして、直近では、令和七年一月に租税特別措置における教育訓練費に係る上乗せ税額控除の適用状況、検証状況等について、国会及び内閣に報告したところであります。

 今後も引き続き、重要であると思われる課題につきまして積極的に、厳正に検査を実施するように事務総局を指揮監督してまいりたいと考えております。

井坂委員 一月の報告書は、私も大変よかったというふうに思っております。

 次に、基金や特別会計の資産規模について伺います。

 現在、百九十八の基金事業に合計十八・八兆円もの積立金が存在します。今後、三年間に使う見込額を超えた積立金を基金ごとに精査するなど、各基金が国庫返納すべき額を会計検査院として検証、精査していただきたいと思いますが、どうでしょうか。

挽参考人 基金事業につきまして、その事業規模、基金の運用等について、国会において様々な御議論がなされているものと承知しております。

 基金事業につきましては、令和六年六月に参議院から国会法の規定に基づき検査の御要請をいただき、基金の設置造成等の状況、基金事業の実施や基金の管理費の状況、基金に対する点検等の取組状況につきまして、現在、検査を実施しているところであります。

 なるべく早く御報告できるように頑張ってまいりたいと考えております。

井坂委員 是非そこに、必要な積立額という観点も入れていただきたいというふうに思います。

 同じく、外為特会などの特別会計ごとに、これも、政策目的のために必要な積立額と含み益も含めた現状の資産総額との差額を精査して、毎年の国庫繰入れルールや取崩しルールの妥当性を検証していただけないでしょうか。

挽参考人 委員お尋ねの繰入れなどのルールについては、特別会計において、法律等において定められているものと承知しています。

 会計検査院としましては、国会での御議論、社会経済の動向等を踏まえて、多角的な観点から、定められたルールに沿って繰入れや取崩しなどがなされているかのほか、ルールそのものについて不合理な点がないかなどにも着眼し、適切に検査をしていく必要があると思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 最後に大きく、効果測定や将来予測の妥当性について伺います。

 会計検査で政策効果を検証する際に、事業ごとのエビデンスの妥当性や、エビデンスを測定できるような事業執行方法が設計されているかどうかなど、英国のホワット・ワークス・センターのようなエビデンスセンターの役割を会計検査院にも担っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

挽参考人 政府の組織としてどういった組織を設置すべきかについては、立法政策に関わるものと認識しており、この場で私の見解を申し上げることは控えたいと存じますが、EBPMについては、政策過程においてエビデンスや確実性の高い推計に基づいた判断がなされることは大変重要と考えております。

 これは、社会保障について、フランスでは会計検査院がこのような検査をしておりますが、御存じのとおりフランスの会計検査院というのは潤沢でございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 次に、社会的インパクトの測定についても伺います。

 官民共にインパクト投資が今後重要となる中で、施策や事業のもたらす社会的インパクトについてのヒアリングや、インパクト測定方法の妥当性の検証なども会計検査院の守備範囲に含めていただけないかどうか、伺います。

挽参考人 会計検査院としては、近年の厳しい財政状況にも鑑み、経済性、効率性及び有効性の観点からの検査を通じ、特に有効性の観点から施策や事務事業及び予算執行の効果について積極的に取り上げてきており、有効性の観点の中に御指摘のような観点も含まれているのではないかと考えております。

 今後も、社会経済情勢の変化等に適切に対応して、多角的な観点から検査を実施してまいります。

井坂委員 是非、有効性の中に、単に目先の効果だけでなく社会的インパクトという、より波及効果も含めた観点を入れ込む、またそういう測定の方法の妥当性などもチェックをしていただければというふうに思います。

 最後に、独立財政機関について伺います。

 長期の経済見通しなど、とかく甘くなりがちな将来予測を独立財政機関のような将来推計機関で行うべきだと私は国会で議論を重ねてまいりました。会計検査院も、検査をする政策の前提となった将来予測の事後検証などを行い、政府の将来予測をチェックする独立財政機関的な役割を発揮していただけないでしょうか。

挽参考人 大変恐縮ですが、それも立法政策の問題であると考えておりますので、会計検査院の検査官として見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

井坂委員 終わります。

浜田委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村龍那です。

 今回、再任に当たってということになると思いますけれども、令和五年九月から就任されて、会計学への深い知識を持って、専門性を持って取り組んでおられたと思いますが、まず、この一期目、この一年と数か月ですけれども、その間に、自分の専門性を持って取り組んだけれどもなかなかうまくいかなかったなという積み残した部分と、それから、これからまた複数年にわたって同じ役を担ったときに、今度それをリカバリーして、その見識を生かしてどういう結果を残していきたいのか、そこについてまずお伺いさせてください。

挽参考人 前回の所信のときに議員の方から指摘されたことがあります。会計検査院は、一つ一つの事業、施策についてはしっかり検査をしているけれども、それを束ねた、政策には複数の施策がついているけれども、その全体を俯瞰する見方ができていないのではないかと。

 これは事後的ではありますけれども、令和六年度の決算検査報告に当たりまして、事後的に新型コロナについての、事後的に振り返ってみて、何年にどういう検査をしたかという一枚紙を作りました。これは事後的に作ったものですけれども、私はすごく評価しています。それは院長主導の下で作られたものです。

 それを引き継いでいく、三人で引き継いでいくわけですけれども、今度はそれを事前にやりたいと。政策についてはある程度中長期的なものがありますし、過去にやってきたものも少なくないので、そこを、新たに検査する部分と、過去の検査報告から引用するなどといった形で、もうちょっと体系的にまとめるということを今後やっていきたいと考えております。

金村委員 政治の指摘がきっかけとなって、事後とはいえ、いい方向ができたというお話だったので、私も政治家の一人ですから、それはいいことだと思います。

 その上で、会計検査院の役割として、無駄遣いや不正を正していくことというのは非常に必要だと認識しています。その上で、私、実は、事業をやっていたときに、会計検査院から連絡をいただいて、会計検査と言えばいいのか、受けたことがあるんですね。それは障害児支援の事業だったので、当然、ランダムに事業者を抽出して会計を見るということはあるようなんですが、当時、自治体の監査も受けている最中だったので、何かすごい後ろめたい気持ちがして、公明正大に受けるのがちょっと心苦しかったような意識があったんですけれども。

 そのときに私が実感したのは、確かに会計については非常にプロフェッショナルだと思うんですけれども、事業そのものへの理解というのはそんなになかったんですね。だから、私が主張することと会計検査院の方が主張されることがうまくマッチしなくて、最終的にはそういうものなんだなと思った次第なんですが。

 実は、ほかの、例えば各府省に対して会計検査院が指摘をしていても、相手が本当に腹落ちして、そうだよねとなっていなければ、毎年同じようなことが繰り返されてしまって、非常にもったいないんじゃないかなと思うんですけれども、その中で、同じような指摘がともすれば繰り返されてしまう中でも、不正や無駄遣いをどうやってしっかりとなくしていくのか、解消していくのか、このことについて御所見をお願いします。

挽参考人 会計検査院が報告した不適切な事態について、まずは指摘を受けた当局が、同種事態の再発防止を着実に図るとともに、内部統制の体制整備、職員一人一人の適正かつ効率的、効果的な予算執行に対する意識の向上などについて、不断の努力を図っていただくことが重要であると考えております。

 会計検査院としては、指摘した事態が確実に改善されるよう、改善状況についてフォローアップ検査を行うとともに、同種の事態が他の府省で生じることのないよう、検査を他の府省等にも広げるなどして検査の充実を努めております。

 また同じような指摘が繰り返され、なかなか是正がなされない場合につきましては、個別の事態を不当事項として指摘するだけではなく、事態が繰り返される発生原因の分析、究明に努めまして、人員体制の不足、職員意識の醸成などの努力が足りないのかなど幅広に原因分析を行いながら、改善策を検討して、発生原因に焦点を当てて制度の是正、改善を求めるなどしていくことが重要であると考えておりますが、その際には、被検査対象の方とのやり取り、コミュニケーションというのが非常に大切です。九十条に載っている組織ではありますけれども、そこはフラットに。

 結局、何を目的にしているかというと、国民の税金をいかに効果的、効率的に使うかというところで大きな思いは一緒なわけで、そこを重視して対話をしていければいいなというふうに考えております。

金村委員 ありがとうございます。しっかり御尽力いただきたいと思います。

 その上で、最後にEBPMについてお伺いさせてください。

 政府においても、今、EBPMへの取組を推進していると思いますが、会計検査院においてもこのEBPMを取り入れてしっかり効果的に取り組んでいくべきだと考えていますが、その見解についてお伺いさせてください。

挽参考人 政策立案の根拠となる実証データのエビデンスというのがEBPMでは非常に重要となります。残念ながら、研究者出身なので、研究の論文が日本はそんなに欧米ほど多くないということがEBPM導入の一つの阻害要因に残念ながらなっているという認識を持っております。

 会計検査院が会計検査において施策、事業の効果の検証等を行う際にも、EBPMで使った実証データというのは有用な情報源の一つになります。

 例えば、税制調査会の答申において、法人税関係の特別措置の必要性、有効性について、EBPMの観点を踏まえた不断の効果検証を行い、真に必要なものに限定する必要があるという提言が行われております。

 会計検査院は、これを踏まえるなどして検査を実施し、令和七年一月に租税特別措置における教育訓練費に係る上乗せ税額控除の適用状況、検査状況等について検査をしましたが、そこで使ったデータは経産省が政策立案の際に使った論文でございます。私は研究者出身なので、そこで参考にした二つの論文とも読みました。特に二つ目については、英文ジャーナル、日本で発行しているんですけれども、英文ジャーナル、これは非常に評価されている雑誌に掲載されている論文であるということも含めて精査しております。

金村委員 執行されたものの無駄遣いを正す以上、EBPMは大切だと思いますので、是非取り組んでください。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。挽審査官、よろしくお願いいたします。

 挽さんが検査官になってから様々な指摘が検査院から出されています。新型コロナの対策では六百四十八億円の不適切な支出、さらに、今年に入ってからも、電通グループが一億一千万の水増しや、また、省庁においても九千九百七億円の旅行振興策、これが監査できないというような、資料を残していない、さらには、三億八千万の紙クーポンの廃棄、次々と様々なことが判明しています。

 この間、コロナ対策と物価対策の検査については大変重要な検査が行われて、次々と課題を指摘してきたことは大変評価をされることだと思っていますが、一方、指摘された課題について改善ができたかどうか、事後検証というのがますます重要になってくるかと思っています。田中弥生院長も、共通の課題としては事後検証の問題が見て取れるということを指摘されています。

 是非、これをどのように更に進めていこうと考えているのか、まずお聞かせください。

挽参考人 時間の方、大分プレッシャーをかけられておりますので、手短に。

 具体的には、不当事項については、その是正措置の状況を毎年度の検査報告に掲記しております。意見を表示し又は処置を要求した事項については、その後の処置状況を検査し、要求等した全ての処置が取られるまで、処置状況を毎年度の検査報告に掲記しております。その他の事項につきましても、その後の事態の推移を注視し、問題点が残る場合は必要に応じて再度当該問題について検査を行い、検査報告に掲記しております。検査報告の方には、どこの庁が、何について証拠がない、記録がないと言っているかということを明記させていただいております。

 院長がメディアに出演されて、あるいはキャスターの方も危機感を強く持っている方々が発言してくださっているので、検査報告が以前よりも多くの国民に届くのではないかと期待しております。

田中(健)委員 先ほども、決算が締まる前から早めに検査をするということもこれからしていきたいというようなこともありましたので、できるだけ早く改善を求めていくサイクルをつくっていただきたいと思いますし、また、オリパラの検査報告書にも書いてありましたけれども、事後的に経費精算全体に関する情報を取りまとめする、そういったことをあらかじめつくっておく仕組みなど、十分な情報提供を行う体制というのも是非検討しながら、私たちも一緒に進めていきたいと思っています。

 引き続きまして、人材の件についてお聞きします。

 昨年の十二月、会計検査院は、デジタル推進と公認会計士の外部人材採用を初めて実施をいたしました。二〇二二年度には検査支援室を立ち上げて、デジタル技術や統計的手法など、新たな検査手法を開発をしてきました。また、会計検査院にも公認会計士の資格を持った方もいらっしゃり、官民の交流人事も行ってきたということも聞いていますが、そんな中で、今回初めて民間を始め外部人材を広く募集するに至った経緯と、またその狙いについて伺います。

挽参考人 会計検査院が国民の期待に応えるような検査を十分に行っていくには、現場の第一線で検査に関わる職員の専門的な知識を向上させることが必要であると認識しております。

 そのため、人事院の派遣研修制度や本院独自の制度を活用して国内外の大学院に職員を派遣し、統計、計量経済学等のデータサイエンス分野の高度な専門教育を受ける機会を設けるなどの取組を実施しております。

 また、会計検査の対象は行財政全般と大変広範なものとなっていることから、研修等によるプロパー職員の育成に加えて、様々な専門的知識や実地経験を持った民間人を任期付職員として受け入れたり非常勤職員の特別調査職として採用したりするなどして、多様な人材を確保することにより、組織として新たな知識の習得等を図り、検査能力の力を高めているところです。

 お尋ねいただきましたデジタル人材や公認会計士の有資格者の募集は、このような理由により実施したものであります。

田中(健)委員 会計検査と会計監査というのはアプローチと手段の違いがあるということをお聞きをしています。会計情報の適正化も、あるいは会計経理の適正化を期すという意味では目的は一緒でありますけれども、手段の、いわゆる証明業務なのか、ないしは個別の指摘をして全体を正していくのかというような違いがある中で、会計検査における会計の専門家、今でいえば公認会計士ですね、そういった人たちの役割というのをどのように考えているのか伺いたいと思いますし、また、今、デジタルの話がありましたけれども、これまでは紙ベースで行ってきた伝統的な、職人とも言える検査院の皆さんの中で、業務があったというのも聞いていますが、どのようにこれまでのやり方とデジタルのやり方というのを融合させていくのかについてもお聞きをいたします。

挽参考人 御指摘のとおり、近年のAIを基盤とする新しい社会インフラの構築、行政のデジタル化の進展等を踏まえて、これらの分野における新しい知識や技術に基づいた業務遂行能力の涵養が大切であると考えております。

 会計検査院においては、これまでの検査手法を発展させるとともに、人事院の派遣研修制度や本院独自の制度を活用して国内外の大学院に職員を派遣し、統計、計量経済学等のデータサイエンス分野の高度な専門教育を受ける機会を設けるなどして、新たな検査手法の獲得に努めているところであります。

 検査支援課というところに公認会計士、大手を辞めて、試験を受けて本院に来てくださった方がいらっしゃいますけれども、公認会計士というのは、会計だけではなく、やはり数字に強い方です。そういう意味でも、データサイエンスの観点から見ても、公認会計士というのは来ていただいて活躍できる職場であるなと思いますし、ネットワークを持っているという強みもあると思います。国内外の大学にいて、私が期待しているのは、自分だけじゃない、ネットワークを先生とつくって、その先生といつまでもつながっていてくださいということをお願いしております。

田中(健)委員 会計検査院の大きな役割、また期待も増えておりますので、是非とも御活躍をまたいただきたいと思います。

 以上です。

浜田委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。どうかよろしくお願いします。

 挽検査官は既に一期お務めになられて、その経験を生かし、更にこれからも検査官として、国民の期待するところの会計検査院の役割において、もちろん同意が前提でございますけれども、お力を尽くしていただきたいと思っております。

 挽検査官は、特に管理会計の専門家ということをお聞きいたしました。そして、管理会計学とは、経営者の経営ガバナンスにも資する学問であるというふうにお聞きをしているところです。

 そこで、挽検査官は、会計監査の職責を果たすにおいても、より民間、国民の視点に立って会計検査に臨まれてきたのではないかと思料いたしますけれども、一期お務めになられた所感を伺えればと思います。

挽参考人 御質問いただき、ありがとうございます。

 私は、検査官に任命されるまで、管理会計、原価計算を専門に研究してきており、検査官就任後は、委員御指摘のとおり、より民間、国民の視点に立って事務総局の指揮監督に当たることを心がけてまいりました。

 例えば、会計検査院が重視している経済性、効率性及び有効性、つまり三Eの観点や、安全性の観点からの会計検査などは、まさにこれまでの学識経験における知識が役立つ領域でありますし、多面的な視野から実効性の高い意味のある所見を掲記することにより、検査対象機関における是正や改善を促すことを通じて、国民の皆様の期待に沿うことを意識してまいりました。

 外部から検査官に就任した私から見た会計検査院という組織に対する所感としては、まずは職員の真面目さと検査能力の高さを評価しております。官僚制組織ではあるんですけれども、その実は、上から言われたことだけをやるというよりも、特に会計検査については、自律的組織の要素を多分に備えた組織であったことに驚きました。

 自律的組織の要件というのは、職員が自ら自発的、主体的に意思決定ができるというところです。もちろん、主体的に意思決定を行えるということは、トップとの信頼関係がある。あるいは、そこはもうちょっと強くしてほしいなと思うところですが、トップマネジメント層から、価値観であるとか会計検査院の意義ですね、存在意義です、なぜ検査をするか、誰に対して検査報告を行うのか、何のために行うのかということをより強く意識してほしいということは思っておりますが、いずれにしても、そういうところは感動いたしました。

 今回、任命について御同意をいただいて、引き続き検査官に任ぜられた場合には、研究者として、また検査官として職責を果たしてきた中で培った知識経験を生かし、国民の目線を大切にしながら、検査と検査報告の質の維持向上のため、他の二人の検査官とともに事務総局を指揮監督してまいる所存でございます。

吉田(宣)委員 次の質問です。

 会計検査院からは、毎年多くの問題、課題が各省庁に対して指摘されております。問題が指摘されるたびに、国民からは、民間の感覚が欠けているのではないかという指摘を受けることがよくあります。公会計においても民間の感覚が必要な部分が多分にあるのではないかと私は思っておりますし、国民もそのことを望んでいるのではないかと思っております。

 そこで、もちろん公会計と民間の会計との違いは質的にあるとは思われますけれども、その上で、挽検査官から見て、民間の感覚を公会計にも取り入れることの有効性がありますれば、是非お聞かせいただければと思います。

挽参考人 会計制度の改革には相当なコストがかかります。それを望む、コストを望むのではなくて、発生主義の会計を望むニーズが高いとすればベネフィットが大きいでしょうから、それに見合うコストをかけるべきだと思いますが、例えば、イギリスで公会計を導入したときに、導入してからそんなに効果が上がらなかった。要するに、制度を導入してからその活用方法を考えるという、ちょっと逆のプロセスを経ているという事実がございます。

 民間の感覚で私が大切だと考えているのは、会計にとどまらず、顧客の視点です。企業が発展していくためには、顧客にとっての価値がある物やサービスを顧客が望む価格で顧客が望むときに提供した上で利益を上げていくことが求められております。

 民間企業では、財務情報のみならず、非財務情報の開示も進んでおります。サステーナビリティーの分野でございます。

 行政組織においても、顧客すなわち国民の視点に立つことの重要性はどんなに強調してもし過ぎることはありません。納税者である国民に分かりやすい形で、税金を何のために幾ら使ったのかなどの使途を公表すること、透明化を図ることを通じて説明責任を果たしていくことが大切だと考えております。

 こういった視点に立った場合、公会計に発生主義会計を導入するのがどうなのかというのは、コスト・ベネフィットの観点から見ていくべきであると個人的には考えております。

吉田(宣)委員 最後の質問になりますが、会計検査院のパンフレットを見ますと、有識者や総務省行政評価局、また日本公認会計士との意見交換会、研究者との学術交流なども行われていることが分かります。院外との交流活動が活発に行われていること、非常によい取組だと私は思っております。

 この点、挽検査官は教育者でもあられます。多くの学生を指導してきた実績もお持ちだと思います。

 そこで、会計監査院に対する国民の理解を醸成する意味でも、また、これからの会計実務を担う人材を育成する意味でも、会計を履修している大学生などと交流を行うことも私は有意義ではないかと考えるのですけれども、挽検査官の御意見を伺いたく存じます。

挽参考人 会計を学んでいる大学生と交流を図ることが有意義であるという議員の考え方に賛同いたします。

 会計検査院では就活生に向けて業務説明会を行っておりますが、霞が関合同など、まとまっての説明を聞いて本院に興味を持つ学生がいるかどうか、甚だ疑問でございます。

 検査官に就任後、学部、挽ゼミの中で直近の公認会計士試験の合格者を本院に招いて、交流の場を設けました。公認会計士の勉強をしてきた学生でさえ、私が検査官に就任して初めて会計検査院を知ったそうです。

 交流の場において、職員から本院の業務説明をしたんですけれども、若いうちから自分で問題意識を持って主体的に検査に取り組めるのは魅力的である、なぜ先生はもっと早く教えてくれなかったんだと責められたぐらいでございます。

 今回、御同意をいただいて、引き続き検査官に任ぜられた場合には、委員の言われるような、会計を学ぶ学生とのより積極的な関わり方について、他の二人の検査官の意見も伺いながら、事務総局に勉強を一緒にしていただきたいと思います。

 これは、GAO、アメリカ会計検査院のインターンシップの話が結構参考になるかなと個人的には考えております。

吉田(宣)委員 予定した質問が終わりましたので、終わります。

浜田委員長 次に、山川仁君。

山川委員 れいわ新選組の山川仁です。

 早速質問をさせていただきたいと思います。

 会計検査院のホームページの中には、予算が適切かつ有効に執行されたかどうかをチェックすること、また、その結果が次の予算の編成や執行に反映されたことが国の行財政活動を健全に維持していく上で極めて重要ですというふうに記載されています。

 その中で、一般的には、監査というもの、会計検査院というところは、無駄な出費に対してメスを入れていくというようなイメージがありますが、そこでお伺いしたいんですが、挽氏の考える無駄についての考え方、そのようなことをちょっとお聞かせいただけますか。

挽参考人 御質問いただき、ありがとうございます。

 誰が見ても無駄というのは、公共工事における設計、コンサルタントの失敗です。

 安全性を重視しますから、土木にしても何にしても、きちんとマニュアルがあるんですね。そこで安全性、最低守ってほしい基準というのが明記されているにもかかわらず、それを守らない設計が何と多いことかということです。それで、設計を誤ったままそれを造りますと、手直し費という、これは完璧に無駄なコストがかかります。これは非常に分かりやすい話だと思います。

 ですが、難しい話もございます。

 ここは会計検査院の、昔、会計検査院ですけれども、工事検査院というふうにやゆされたこともあるぐらい、工事検査については非常にしっかりとした検査を特に行っております。

 そこで指摘した案件で、緊急輸送道路の橋脚の工事の問題がありました。要するに、橋脚が上下線で別々に造られているところは、普通の造るときの工事であれば、片方、全面開通させて、あとはちょっとというやり方をしていたにもかかわらず、今度それを、予防の工事のときは、上下線共に工事をするという方法を採用しています。

 そうすると、道路というのはネットワークで、どこが緊急輸送道路になる、緊急輸送道路だけれどもここについては迂回路がある、迂回路があるときも後回しできるんです。なぜならば、執行率が六割も行っていないぐらい、たしか、ちょっと細かな数字を覚えていませんけれども、そうすると、緊急にやはり予防保全していかなきゃいけないわけで、補修していかなきゃいけないわけで、そのときに優先順位を考えて、残念ながらいなかったんですね。でも、そのことを指摘しましたら、二年にわたって、優先順位をつけますということを言っていただきました。

 これは、短期的に考えると、上下線で一緒に工事した方が経済的には安いんじゃないかと思うんですけれども、そうではないでしょうと。やはり、安全性があってこその経済性です。もしその地域で地震があったらどうなりますかというと、これは長期的に見ると、何かあって橋が通れないというときに、食事も取れない方々が出たりとか、いろいろ被害がありますから、トータルのコストでいくと経済性は物すごくかかるわけです。

 ですから、安全性のためには短期的に経済性を考えてはいけないというようなことを、授業だと学生が理解するのにちょっと時間がかかるんですが、本院は皆さん理解していただいております。

山川委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げた、挽検査官がお考えしているような無駄というのもたくさん、多くあったというふうに認識しておりますが、その中で、無駄とは逆に、事業に対して、最初からもっと予算執行額を増やした方がよかったのではないかという考え方があってもいいと思うんです、逆に。

 そこでお伺いしますが、今申し上げたような予算執行額をもっと増やした方がよかったと思われる検査事案が、挽氏が就任されてこの約二年あたりの中であったかどうか、少しお聞かせいただけますか。

挽参考人 その着眼点を私、持ち合わせておりませんでしたけれども、先ほど申し上げたフランスの社会保障費に関する指摘というのは、お金を使うなということではなくて、少子化対策に当たってどれが一番有効なのか、あるいは、有効であるというふうに思われない場合に、違う案がないか、代替案の作り込みというのは非常に重要だと考えます。

 本院の場合には、人数的にもまだまだやらなければいけないところがありますので、もっと上の次元に行くまでには、ちょっと私は、再任いただいたとしても四年です。

山川委員 ありがとうございます。

 なぜこの質問をしたかというと、私たちれいわ新選組は積極財政を訴えている党でございます。その中でも、無駄遣いではなくて足りないところにはどんどん出していく、支出をしていくべきだと思っておるので、先ほどその考えを少し聞いたんですが、挽氏に対して、積極財政に対するお考えというのはどのような見識をお持ちなのか、聞かせていただけますか。

挽参考人 財政に関することについては、今の立場からはお答えするのは控えさせていただきます。

山川委員 ありがとうございます。

 それでは、最後になりますが、先ほど来、まず予算というものの源流があって、その流れの中で予算執行、もちろん、決算というものがあって、検査官がいろいろとるるお調べされていると思うんですけれども、その検査官の中の合議体の中で、多数決じゃないんだというお話をされていました。その表現の中で、多数決じゃないにしても、一人の検査官がやはり指摘をしたという意味で、それがある意味、政府の今後の予算編成の中で、様々ないい影響、逆に、国民目線のいい影響を与えていくというふうに考える部分の表現が出てくるかと思うんですね。

 何が言いたいかというと、この合議体で、いいことだけ表に出ていくのじゃなくて、指摘をするものに関してもどんどんどんどん出していただきたい。それで、国民のチェックを受けていただいて、しっかりと国会の中で議論をしていただきたいという表現の中で、今回、検査官に再任された暁には、しっかりとそういった状況に取り組んでいただきたいと思いますので、そこで質問を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

挽参考人 肝に銘じてまいります。

 ありがとうございます。

山川委員 ありがとうございます。

 質問を終わります。

浜田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 三点お尋ねをいたします。

 二〇二五年度の防衛省予算は、過去最大の八・七兆円となりました。安保三文書以降の三年間で三・三兆円も増えております。その結果、防衛省予算は文教予算の二・一倍、また、後年度負担は十六兆三百五十億円にも上ります。

 二〇二三年度決算検査報告によると、「防衛予算の執行においては、契約を締結した翌年度以降に多額の支払が必要となるなど、その執行の全体像を把握しづらい状況となっている。」と指摘をしております。

 この間の防衛費増に対してどのような検査を行ってきたのかについて、御質問します。

挽参考人 会計検査院では、防衛予算及びその決算はどのような状況になっているかなどに着眼して検査し、令和五年度決算検査報告において、特定検査対象に関する検査状況として、後年度負担額が増加し、また、支払い期間が長期化している状況を始め、委員御案内の状況等について報告したところです。

 会計検査院としましては、これまでの検査結果により明らかとなった状況や、国会での御議論も踏まえて、防衛予算が適正かつ適切に執行されているかについて、今後も検査していくことが重要であると考えております。

塩川委員 次に、FMS、対外有償軍事援助調達についてお尋ねをします。

 FMS調達額、一昨年、一兆四千七百六十八億円、このことは浜田防衛大臣のときにも質問したことですけれども、過去最大の突出した伸びとなったことが議論となりました。

 FMSについては、余りにアメリカに都合のいい契約方法が問題となってきたわけであります。

 「防衛法研究」という雑誌に元防衛装備庁長官官房会計官が論文を書いております。FMSではアメリカ政府の手数料や管理費等も加算される、通常三・五%から五%、この手数料、管理費は、FMSを担当する国家安全保障協力庁における人件費等の諸経費や輸出推進の経費などに充てられるとあります。

 米国政府の職員の人件費や米国兵器の輸出推進の経費をなぜ日本国民の税金で払わなければならないのか。メスを入れる必要があるのではないのか。二年前、同じ質問を挽参考人にはしました。その際には、原価計算の専門家として、管理が適切か検査していきたいと述べておられました。

 その後、どのように対応されたでしょうか。

挽参考人 FMSについては、現在進行形で検査中でございますので、ここでの発言は控えさせていただきたいと存じます。

塩川委員 是非、しっかりとした検査、成果をつなげていただきたいと思います。

 最後に、森友学園問題に対する会計検査院の対応についてであります。

 会計検査法第一条、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」とあります。財務省の説明をうのみにした森友報告をめぐる会計検査院の対応は、その独立性を揺るがす事態であり、国民の信頼を失いかねない重大な問題だったとの認識はあるか。挽参考人は、現職の検査官としてどのように任に当たってこられたのかについてお尋ねをいたします。

挽参考人 決裁文書の改ざんを見抜けなかったことについて会計検査院に対し厳しい御批判をいただいたことは、私も十分承知いたしており、平成二十九年の報告の作成に当たって決裁文書の真正性について適切な検証がなされなかったことについては、誠に遺憾であります。

 会計検査院では、このような事態を踏まえて、検査の実施に当たり、収集した書類等の信頼性に留意するよう、全職員に対して改めて通知を発するとともに、全ての管理監督職員に対し研修を行い、収集した書類等が、会計経理等の事実を裏づけ、検査上の判断の基礎とすべき信頼性を備えているかに留意することの重要性について周知したと承知しております。

 私は、入ってすぐに研修のプログラムをチェックいたしましたが、これはもうちょっとしっかりやっておかないといけないなと、教育者の立場からそのプログラムを見て思いました。これは日本の大学教育にも問題があると考えております。

 私どもは、まず最初に職業倫理のところを説明します。これは自分を守るためでもあるんですね。巻き込まれる可能性があるということで、アメリカのテキストなんかには必ず最初の方に載っているかと思います。

 まず上司に、上司が巻き込まれているときは上司の上司に言う。社内で言う。社内でも駄目だったときは、アメリカですから、顧問弁護士に言う。それでも駄目だったらイグジットだ、ボイスを上げて駄目だったらイグジットだということまで教えているぐらい重要な問題です。

 コンプライアンスといいますけれども、コンプライアンスと倫理、どっちが強いんだということも、大学のときには説明をしていました。倫理の方が広いです。

 以上です。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

 よろしいですか。

 それでは、これにて挽参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 挽参考人、ありがとうございました。

 以上をもちまして検査官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.