衆議院

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第2号 令和6年2月28日(水曜日)

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令和六年二月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 牧原 秀樹君

      金田 勝年君    塚田 一郎君

      平沢 勝栄君    保岡 宏武君

      青柳陽一郎君    奥野総一郎君

      藤岡 隆雄君    吉田はるみ君

   兼務 高橋 英明君 兼務 浅野  哲君

   兼務 北神 圭朗君

    …………………………………

   法務大臣         小泉 龍司君

   最高裁判所事務総局経理局長            染谷 武宣君

   最高裁判所事務総局家庭局長            馬渡 直史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  石川 泰三君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   太刀川浩一君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         猪原 誠司君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    迫田 裕治君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       上原  龍君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    押切 久遠君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  鎌田 隆志君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    田原 芳幸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西村 秀隆君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  塚田 一郎君     小森 卓郎君

  平沢 勝栄君     保岡 宏武君

  藤岡 隆雄君     青柳陽一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     塚田 一郎君

  保岡 宏武君     平沢 勝栄君

  青柳陽一郎君     白石 洋一君

同日

 辞任         補欠選任

  白石 洋一君     吉田はるみ君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田はるみ君     藤岡 隆雄君

同日

 第二分科員高橋英明君、第五分科員北神圭朗君及び第七分科員浅野哲君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (法務省所管)


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     ――――◇―――――

牧原主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中法務省所管について、政府から説明を聴取いたします。小泉法務大臣。

小泉国務大臣 令和六年度法務省所管等予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 法務省は、法秩序の維持、国民の権利擁護などの任務の遂行を通じて、国民の皆様の安全、安心な生活を守るとともに、時代の変化を踏まえた新たな政策課題に取り組む必要があることから、公正で公平な社会の実現に向けた所要の予算の確保に努めております。

 法務省の一般会計予算額の総額は八千百三十三億三千三百万円であり、所管別に区分いたしますと、法務省所管分は七千四百四億七千九百万円、また、デジタル庁所管として計上されております法務省関係の政府情報システム経費の予算額は六百五十六億五千三百万円、国土交通省所管として計上されております法務省関係の国際観光旅客税財源充当事業の予算額は七十二億百万円となっております。

 また、復興庁所管として計上されている法務省関係の東日本大震災復興特別会計の予算額は、五千四百万円となっております。

 何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願いを申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元にお配りしております印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

牧原主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま小泉法務大臣から申出がありましたとおり、法務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

牧原主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

牧原主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。青柳陽一郎君。

青柳(陽)分科員 おはようございます。立憲民主党の青柳陽一郎です。

 本日は、外国人材の課題について議論させていただきたいと思います。大臣、どうぞよろしくお願いします。

 まず、令和六年能登半島地震の被災地での外国人居住者の被害状況について確認させていただきたいと思います。

 私自身も、先般、二月十日、十一、十二と、石川県の被災地、志賀町、富来地区、内灘、輪島に行って、瓦れき処理や炊き出しのボランティア、避難所での車座集会や志賀町役場での意見交換会等を行ってまいりました。

 家屋やビルの倒壊、液状化による被害、避難所の皆さんは、生活の不安ですとか仕事の不安、将来の不安を、当然ですけれども口々におっしゃられました。一方で、我々のようなボランティアが支援に来てくれるというのは、とても力になるしうれしいし元気をもらえるということで、大変感謝された次第でございます。

 一番の不安は、被災地が取り残されて忘れられてしまう、このことが一番つらいというお話も数多く伺ってまいりました。政治としても、そして一国民の一人としても、被災地にこれから寄り添っていく、中長期の支援が必要だということを改めて実感した次第でございます。

 地域で暮らしてきた日本人でさえ大きな不安がある中で、外国人在留者の皆さんもこの石川県に数多くいらっしゃいますけれども、大きな不安があるのではないかというふうに推察いたします。

 そこで、まず冒頭、確認させていただきますが、令和六年能登半島地震で被災した外国人材の状況について、地域や人数、在留資格、そして支援策、今どういう対応をされていらっしゃるかについて、現状の報告をいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 能登半島地震被災地の外国人材全体の被災状況につきましては承知しておりませんが、石川県内の技能実習生の被災状況については、外国人技能実習機構が監理団体などを通じて確認した範囲で申し上げますと、二月二十日時点で、技能実習生の安否については全員無事であることは確認できておりますが、避難所に避難している実習生が三名いらっしゃることを確認しております。

 また、被災地域におられる外国人の方に対する支援につきましては、在留期間内に申請を行うことが困難な状況にあると考えられますことから、特定非常災害特別措置法に基づき、災害救助法が適用された市町村の区域におられる外国人の方の在留期間等を本年六月三十日まで一律に延長することといたしました。

 また、働くための在留資格を持ちながら、一定期間働くことができない外国人については、本年一月十五日以降、一日八時間以内の資格外活動許可を認めることとしております。さらに、困っている技能実習生等向けに外国人技能実習機構が特別相談窓口を設置しているほか、名古屋出入国在留管理局が石川県金沢市において、関係機関と連携し在留手続等に関する臨時相談会を複数回開催しております。

 入管庁としましては、関係機関とも連携し、被災地域に在留する外国人の方への適切な対応に引き続き取り組んでまいりたいと思います。

青柳(陽)分科員 ありがとうございます。是非、引き続き、きめ細やかで柔軟な対応を求めたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、我が国の外国人材の状況について議論させていただきたいと思います。

 資料一を御覧ください。

 我が国の外国人材は、昨年二百万人を突破いたしました。今や我が国の社会経済は外国人材なくしては成り立たないという状況です。そして、今後この傾向は更に増加するのではないかということが予想されるわけです。

 一方で、外国人材は、第一に賃金と働く環境を重視しています。生活環境、家族への支援、働く国、働く場所、これが決め手になるんだと思います。我が国は今、世界的に賃金は高くないという状況で、加えて、働く環境、生活環境も他国と比較して優れているのかといえば、自信を持ってイエスと言える状況ではないのではないかと思います。

 私は、今後の日本経済の持続性を考えれば、外国人材から、外国人から選ばれる国、その環境を政府が整備していかなければならないのではないかというふうに考えております。

 そこで、大臣の認識を伺いますけれども、現状、外国人材から選ばれる国、働きやすい国になっているのかどうか。そしてさらに、選ばれる国にしていくにはどうすべきなのか。そして、私は、そのためには、企業も選ばれる企業づくりを行っていかなければならないと思いますけれども、この点についての大臣の認識。

 そして、私は、外国人材が働きやすい環境を整えることが、劣悪な環境で働かせるよりも、より外国人材も、日本人もそうですけれども、働きやすい環境を整える方が生産性の向上につながるんだというふうに考えておりますが、こうした点について、全体として大臣の認識をまず伺いたいと思います。

小泉国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 誤解が生じないように少し慎重な言い方になりますけれども、本来の意味での、適切な意味での国を開く、開国するという段階に今来ていると思うんですよね。

 六〇年代、七〇年代、貿易の自由化が進み、九〇年代、金融の自由化が進み、いよいよ二十一世紀に入って、人が動く、移住する、人がまた労働のために動く、こういう世界の中に日本はおります。更に言えば、国内で人手不足が起こり、国外では、そういう状況を背景としまして、非常に熾烈な人材獲得競争が起こっています。ですから、我々は、その中で生き延びていくためにも、国民の幸せを守るためにも、正しい意味で国を開き、そして選ばれる国になるということが目指すべき目標だろうと思います。

 今実現できているのかどうか、様々な御評価があると思いますが、一刻も早く、今用意しております入管法改正等も含めて、具体的な措置を取る中で実現をしていきたい道であるというふうに思っております。

 外国人材の人権の確保、保護、働きやすい就労環境、安全、安心で暮らせる生活環境を整える、こういったものが重要であり、企業においても同じだと思います。こういった取組を企業においても行っていただきたい。結果として、生産性、また外国人労働者の定着、そういったものにつながってくるんだろうと思います。

 いずれにせよ、選ばれる国になるために必要なルールづくりに全力で取り組んでいきたいと思います。

青柳(陽)分科員 ありがとうございます。認識はほぼ共有できているんだということが確認できました。今第二、第三の開国の状況ではないかというお話もいただきましたし、国際的な人材獲得競争があるというお話もいただきました。

 その認識に立てば、まず、外国人材は労働者としてきちんと受け入れるべきであるというふうに考えておりまして、政府として外国人から選ばれる制度、環境を整える方向性をよりしっかり打ち出していかないと、今お話のありました国際的な人材獲得競争に敗れてしまうのではないか、その人材獲得競争に敗れれば、経済成長を阻害してしまうのではないかというふうに考えております。

 そして、もう一点伺いますけれども、資料一の中に、国籍別外国人労働者の割合というのがありますけれども、今、日本で働くベトナム人は五十万人を突破しました。そして、最大勢力に今なっているわけです。国と国の関係においても、昨年、包括的戦略パートナーシップに格上げされました。この包括的戦略パートナーシップは、ベトナム側から見ると最上位の位置づけになっているわけです。日本は最上位の位置づけになっている。

 私自身も、ベトナムとの交流事業や現地ベトナムの大学との交流に取り組んでいる一人なんですけれども、ベトナムでは、コロナ以降、日本への関心の度合いとか、日本への憧れとか、日本に来て働きたいという意欲を持った人が急速に減ってきているというふうに、私、毎年行っていますから、感じております。

 これは様々な要因がありますけれども、大きくは、やはり賃金、そして言語、入管制度も含めた労働環境だというふうに思っていますが、大臣は、ベトナムとの関係、今五十万人いるわけですから、人材の獲得状況とか国と国の関係についてどういった認識を持っていらっしゃるか、ちょっと感想をお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 私も、党の活動の中で、ベトナム議連で活動しておりまして、関心国の一つであります。

 おっしゃるように、ライバル国が増えてきている、韓国とか台湾といった近隣の国々が外国人労働者の受入れを拡大しつつあります。その影響はやはり受けていると言わざるを得ないと思います。また、円安の影響もあろうかと思いますし、ベトナムの中での賃金水準が上がってきているということもあります。

 ただ、信頼が失われるとか基本的な見方が変わるとか、そういう状況までには至っていないと思いますが、懸念すべき要素は幾つかあると思います。ですから、急いで我々が手当てするべきところは手当てをし、ベトナム人からも選ばれる国になっていくということは重要な課題だというふうに思います。

青柳(陽)分科員 ちょっと改めて伺いますけれども、確認させていただきますが、高度産業人材とか特定技能、これは間違いなく労働者としての在留資格だと思うんですけれども、技能実習生ですね、今いろいろ課題が指摘されている技能実習生、この制度は三十年前にスタートして、当初は研修生という位置づけの制度でした。つまり、研修生は労働者という位置づけではなかったんですね。このことが、当初、低賃金につながったり、研修生なんだから、あなた、勉強しなさいということで劣悪な労働環境を招いていたという実態があったと思います。

 それが、二〇一〇年から技能実習制度に変わって、この資料にもあるとおり、現在、四十万人以上がこの在留資格で働いているということでございますが、改めて、議事録に残す意味でも確認しますけれども、技能実習生は労働者ですよね。確認させてください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 技能実習生につきましては、入国直後の講習期間以外は、雇用関係の下で労働関係法令等が適用される労働者でございます。

青柳(陽)分科員 ありがとうございます。確認させていただきました。労働法制の適用を受ける労働者ということです。

 この位置づけの確認は非常に重要だというふうに私は思っていまして、労働者としてきちんと処遇されることで、賃金であったり働く環境が整っていくということです。昔の低賃金の研修生とは違うということですね。

 これから議論させていただきますけれども、まさに賃金とともに課題になっているのは、この技能実習生は転籍、転職の自由がないことで、さらに、場合によっては借金を背負って働きに来るということ。こうした環境は私は健全とは言い難いと思いますし、国際的な人権団体からも、転籍、転職の自由がないことは人権侵害ではないかという指摘もあるわけです。

 そこで、今般、技能実習制度を廃止して、育成就労制度に転換していくという法律がこの国会で提出されるという状況でございますが、この制度改正によって、今申し上げた技能実習制度の諸課題が本当に解決できるのかどうかをまず確認したいんですね。

 賃金の問題、転籍、転職の問題、そして、これは今般の改正に入っていないと思いますけれども、家族の帯同等について、今の育成就労制度でこうした課題が解決できるのかについて御答弁いただきたいことと、あわせて、今国会で育成就労制度の法律が成立したら、施行のスケジュールについて、関係者は非常に今注目しているわけですから、そのスケジュールがいつ頃施行されるのかということについて確認させていただきたいということ。

 もう一つは、当初、審議会等の答申では、転職できるのは、一年後から転職できますよということだったんですが、今私が仄聞している限りにおいては、これは二年に延長されるんじゃないかというふうに言われておりますが、この議論の状況と、もし二年になっていることが想定されるのであれば、なぜ二年になったのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

小泉国務大臣 技能実習制度というのは、さっき御指摘がありましたように、五年間働いてもらって、技能を習得して母国に帰ることが前提となっているスキームですよね。ですから、労働者であるのかどうか、非常に曖昧な部分があったことも否めませんけれども、今回の制度は、これを育成就労として三年に区切りますが、特定技能一号につなげていこう。

 つまり、帰っていただいてもいいんですけれども、できるだけいていただく。長く日本にいて、そしてスキルアップしていただいて、できれば永住者になっていくという道も開いていくという、戻ることが前提ではない仕組みになりますので、そこで、自由意思に基づく転籍というものも認めよう、労働者性というものを強めようという要素も入っておりますし、待遇の向上、高額な不当な手数料を防止する、そういう仕組みも入れまして、なるべく残ってもらえるように、長くいてもらえるようにしていこうというのがポイントです。

 だから、御家族の帯同については、十分な収益が得られるのかどうか、それが足かせになってしまって本来のルートが進めなくなる、そういう要素も心配されますので、当面それは難しいというふうに、我々は政府案の段階では考えております。あくまでこれはまだ政府方針でありまして、これから法案を作り、国会に出させていただきますが。

 転籍要件、一年から二年ですね、確かにいろいろ議論のあるところでございます。

 やはり企業の側からすると、定着してもらいたい、そして、予見可能性を持ちたい。毎年毎年人が入れ替わるのではなかなか困る、そういう意見も多々ございます。業種によってまたその性格も違うかもしれませんので。二年の中で、一年は共通の必要な期間として取って、二年との間で各業界ごとに検討していただく。また、有識者会議等も含めて、そこにまた関与してもらうという仕組みが適切ではないのかなというふうに今のところ考えております。これまた国会で御議論をさせていただければと思います。これ以上進めないので。

 それから、施行期日ですが、なるべく早くとは思います。ただ、周知期間が必要であったり、また、法令だけではなくて、運用の方針も統一をされていなければ、北海道と九州で違ったというわけにもいきませんし。業界は物すごく多岐にわたります、各省庁にわたります。多岐にわたり、またその下へ下ろさなきゃいけない、周知期間もありますので、どうしても必要な期間というのは出てきちゃうんですよね。でも、それを念頭に置いて、なるべくそれを縮めていく、そういう努力もしていきたいというふうに思っております。(青柳(陽)分科員「それがいつ頃なんですか」と呼ぶ)それは、まだちょっとこの場でお答えできる段階ではありませんので、お許しをいただきたいと思います。

青柳(陽)分科員 ありがとうございます。

 今大臣から御答弁があった、技能実習制度から特定技能につながるという話もありましたので、その点について伺いますけれども、一部の指摘では、技能実習生と特定技能は産業分野が結構重なる分野が多いし、働き方も近いので、この際、制度を一本化した方が分かりやすくていいのではないかという議論がありますけれども、この点について大臣に伺いたいと思います。

 それから、今、一年を過ぎて二年の間にと言うんですけれども、二年だったら、それが認められるんだったら、結局、二年間転職させないことになっちゃうと思いますよ。定着する自由もあれば転職する自由もあって、定着してほしいんでしたら、定着してもらえるような労働環境を提供すれば定着するんですよ。別に、二年過ぎても、いい職場だったら三年でも四年でも定着するんですから。その方が生産性が上がるんじゃないかというのが先ほどの議論であったと思うんですが、この点は結構です。

 まず最初の点、分かりづらいので、この際、技能実習制度と特定技能は一本化した方が分かりやすいんじゃないかという点について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 特定技能一号のスキルを身につけていただく、そこが到達点として育成就労は組み立てますので、育成就労と特定技能の対象業務分野、範囲、これはおのずと整合性が取れたものにしていかなければならないと思います。小学校を卒業したけれども中学校にコースがないというわけにもいきませんし、中学校に入ろうと思っているけれども小学校にコースがないというわけにもいきませんので、附属小中学校じゃありませんけれども、一つの建物に入るような形。

 ただ、制度として一体化するとなると、目的がやや、やはりずれがあります。それで、複雑な制度改正ですので、そこまで踏み込むと非常に定着するのにまた時間もかかるというふうに思います。第一段階としては、まず、基本的に特定技能と育成就労を一つの建物のように運用できるようにしていくということだと思います。

 それから、一年、二年の御議論がありましたけれども、一年であれ二年であれ、今度は海外から見たとき、その業界がどう映るかですね。一年で動けるところに人が来るかもしれませんね。二年であれば人が入ってこないかもしれない。外からのプレッシャーというのはおのずと受けますので、日本の労働市場は。ですから、その一年、二年というのも、様々なそういう効果を織り込んでみたときに、どこに設定するのがいいのかはやはり各業界の判断もあろうかと思います。それを生かす必要もあるんだと思います。

青柳(陽)分科員 もう一点、転籍の点について確認したいんですけれども、育成就労の人材の受入れとか紹介とかというのは監理支援機関が行うという想定で今進んでいます。この監理支援機関が転籍の支援を行うのであれば、人を海外から呼んできて一定期間研修することについて初期費用の経費がかかるわけですね。これは受け入れた監理支援機関が行う。レクだと、今度、転職の支援も転籍の支援もその監理支援機関が担うんだというお話がありました。

 その仕組みでいけば、労力をかけてきた受入れ監理支援機関が、転籍されてしまうと経費が無駄になってしまう可能性があるので、転籍の自由を阻害するんじゃないかという点もあるし、逆に、今度は、転籍を積極的にした方が紹介料とか手数料を稼げるとなっちゃったら、どんどんどんどん無理な転籍を誘発するんじゃないかという指摘があるんですが、この点について、参考人のお考えを。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 育成就労制度における監理支援機関につきましては、技能実習制度における監理団体と同様に、経費などを勘案した適正な費用を受入れ機関等から徴収可能とすることを予定しております。この点、現行制度における監理団体が外国人の入国後の講習費用といった費用を一時的に負担する場合があることは承知しておりますが、当該費用についても、受入れ機関からその後適宜徴収しているものと承知しています。

 その上で、御質問いただきました、今後、転籍がもう少し今より自由になった場合の費用分担につきましては、技能実習制度の見直しに係る政府方針のとおり、当初の受入れ機関が負担した初期費用などにつきまして、転籍後の受入れ機関が負担する仕組みを設けることによって、適切な費用分担及び支払いがなされるようにすることを想定しております。

 他方、監理支援機関は、技能実習制度における監理団体と同様、適正な費用以外には手数料又は報酬を受けてはならないものとする予定であり、御懸念のように、監理支援機関が紹介料によって不当な利益を上げることにはならないものと考えております。

 いずれにしましても、育成就労制度については、様々な御意見等を踏まえつつ、制度の在り方の詳細について引き続き検討してまいります。

青柳(陽)分科員 実際にやってみるといろいろな問題が出ると思いますので、ここはしっかりチェックしていただいて、不断の見直しを行っていただきたいなと。本当に働きやすい環境をつくっていっていただきたい。その方が絶対に生産性は上がると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 あと二点ぐらい伺いたいんです。

 もう一つ、資料一の、今度は在留資格別外国人労働者の割合のところを見てもらいたいんですけれども、専門、技術分野とか、いわゆる高度産業人材の資格で働いている外国人の数はもう六十万人ですから、技能実習よりも多いんですね。

 この高度産業人材について、私はここの枠をもう少し広げてもいいのではないかというふうに思っていまして、高度産業人材から中度人材ぐらいまで広げてもいいなと。例えば、自動車整備の分野とか電気通信設備の分野なんかは人手不足がすごく顕在化しているというか指摘されていますね。こうした高度産業人材の資格の緩和について、検討状況と見解をお伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、専門的、技術的分野の外国人については、我が国の経済社会の活性化に資するという視点から、積極的に受入れを推進する方針としております。そのような人材の受入れについては、一層の活躍の機会を提供する観点から、様々な御要望等を踏まえつつ、随時受入れ要件の見直し等を行っているところです。

 また、特定技能制度については、深刻化する人手不足への対応として、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人の受入れを行うもの、さらに、現在創設を検討している育成就労制度は、三年間の就労を通じて、特定技能一号の技能水準の人材を育成するものであり、人手不足分野により適切な人材確保がなされることを期待しております。

 また、留学生が卒業後に就職するようなケースは多うございますが、今後は専門学校からの卒業生についても柔軟化していきたいと思っております。

青柳(陽)分科員 時間がないので、最後に一問ですね。

 もう一つ、人材不足の課題が顕在化している分野として、IT人材、半導体人材は圧倒的に不足していると言われています。経産省の試算では、三〇年に四十五万人のIT人材が不足、半導体は十年で四万人が不足すると試算されております。さらに、この分野は特に、国際的にも、最初に大臣からも話があったとおり、人材獲得競争がすごく激化している分野です。

 こうした中、政府は、半導体に総額四兆円から五兆円とも言われる巨額投資補助金を支出することを決定しています。つい先日も、熊本のTSMCの第一期工場の開所式が大きなニュースになりましたけれども、第二期まで合わせれば一兆二千億円規模の巨額投資になります。

 これは、経済安全保障上、国の戦略として私も理解しておりますけれども、問題は、そこで働く人、人材です。これだけ巨額投資をしているわけですから、箱だけつくってもしようがないので、人材の獲得状況について、外国人も併せた獲得の戦略についてお伺いしたいと思います。

牧原主査 経済産業省西村大臣官房審議官、答弁は簡潔にお願いします。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体産業が我が国において産業基盤としてしっかりと根づいていくためには、人材の育成、確保も重要な課題でございます。

 委員御指摘のとおり、業界団体の調査では、今後十年間で四万人程度の半導体人材が必要になるとの結果も出ております。また、御指摘になりました九州地方においては、経済産業省主導で調査をしておりまして、半導体投資が進んでいる中で、今後十年間で約一万人程度の半導体人材が不足するとの見込みもございます。

 こうした半導体人材の不足に対しては、経済産業省としては、地域の教育機関、また地元の半導体企業などと連携して、地域の人材育成ニーズをきめ細かく把握しながら具体的な取組を進める地域人材育成コンソーシアムというものを立ち上げてございます。既に九州、東北、中国、中部等全国六地域においてこのコンソーシアムを立ち上げており、地域の大学、高等専門学校における半導体の実践的なカリキュラムの展開、企業による講師派遣の拡大、海外教育機関との連携など具体的な取組を進めていただいているものと認識をしております。

 また、御指摘の、海外人材の活用も重要と考えております。例えば、経済産業省では、昨年七月、インドとの間で日印半導体サプライチェーンパートナーシップを結び、人材育成の推進、こういったものを進めていくということで合意をしているところでございます。今後、具体的な取組を、検討を進めていきたいと思っております。

 これらの取組を通じ、外国人材の受入れを含め、各地における半導体人材の育成、確保に取り組んでまいりたいと思っております。

 以上でございます。

青柳(陽)分科員 終わります。ありがとうございました。

牧原主査 これにて青柳陽一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神分科員 有志の会の北神圭朗です。

 大臣、大蔵省の先輩であられますので、胸をかりて質問をしたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、資料を御覧いただきますと、先ほどの質疑でも最後に経済産業省の方からありましたけれども、今、人手不足という現状の中で、どんどん外国人を積極的に入れるという話があります。しかし、私はちょっと少数派かもしれませんけれども、それももちろん大事なことです、背に腹は代えられない。しかし、やはり、異文化を持っている外国人を国内に入れるということは、ただ経済的な話だけに限っては後々取り返しのつかないことになる。諸外国でも、最近の情勢ではそういうことが明らかになっているというふうに思います。

 資料一にありますように、これは永住者数の推移です。今、外国人総数、これは特別永住者というのは全部除いています、二〇二三年、最新の数字でいうと二百九十四万人弱おられます。大体、二十年で二倍ぐらいに増えている。そのうち、永住者というのが八十八万人強おられます。これは、法務省さんの認識では余り増えていないという認識だというふうに思いますけれども、二十年の長き、長いというか、二十年ぐらいの単位で見ますと三倍に膨れ上がっているという状況であります。

 こういう中で、私がお伺いしたいのは、我が国は、事実上、移民政策を取っている、移民国家を目指しているんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

小泉国務大臣 日本の政策を私の理解で申し上げれば、個々の産業分野、あるいは個々の産業分野の雇用、そういったものを見ながら、役に立つ、日本に貢献してくれる方々については入れていく、そうでない方々については、マイナスの影響も考慮しながら慎重に対応していくという、個々の対応を積み重ねた結果、一つの尺度でありましょうけれども、永住者の数がこうなっている。

 永住者の数を例えば百万人にするのが目的だ、そこへ向かっていくんだという政策では全くないです。一つ一つの積み上げの結果、八十八万人。多い少ないの議論はあろうかと思いますけれども、アプローチとして、日本は、いわゆるヨーロッパの移民政策のような、人口規模で国を成り立たせよう、ドイツとフランスの間で歴史的にありますよね、ドイツがフランスの人口を上回ることに対する危機感というのはフランスにはありますよね。そういう意味での、そういう観点からの移民の受入れ、家族帯同の無期限の受入れ、そういったことは日本はやっていないわけでありまして、個々の、個人個人がそれにふさわしい能力を持ち、日本に貢献してくれるのかどうかを積み上げていった結果、八十八万人。

 ですから、マクロの数字をやはりウォッチする必要はあると思いますけれども、だけれども、増えたから、ではそれが直ちに、まあ、中長期の問題を御指摘されましたので、そこも重要なポイントだとは思いますけれども、少なくとも今言えるのは、日本は移民政策は取っていない、そういう考え方も取っていないということは御理解いただきたいと思います。

北神分科員 意図が違うと。プロイセン戦争は、一八七〇年以降、人口の競争というのは両国でやっておられますけれども、そういう意図はないということなんでしょうけれども、おっしゃったように、結果として増えてきている。

 まだ比率は、ほかの国に比べると低い方だと思います。ただ、だからといって、やはり国柄というのはあります。我が国というのは、どちらかというと同質的な文化があります。ですから、こういう中で入れていくというのは、しかも、おっしゃっているのは、経済的、産業、産業で我が国にとって付加価値を与えてくれるような人材を入れるんだということで、それに限ってはよいことかもしれませんけれども、ほかのこともやはり考慮に入れないといけないということです。

 永住者の話をしましたけれども、移民じゃないというふうにおっしゃりますが、ほかの国を見ますと、移民政策で有名なところでいうと、アメリカとかオーストラリアとか、それからカナダ、フランス、こういった国々があります。これら、例えばアメリカやオーストラリアというのは永住者が移民なんですよ、基本的に。だから、これは移民じゃないというふうに言われても、結果としてやはりそういう配慮をしていかないといけない。カナダ、フランスは、永住者に加えて、いわゆる帰化された人々、これを加えて移民とみなしているということです。

 もっと具体的に言いますと、経済的な人手不足対応というのはよく分かります。しかし、その一方で、例えば教育の問題でいうと、二〇一九年に文部科学省が調査をして、外国籍の子供さんで学校に行っていないのが、外国人の中で一八・一%います。二割弱。高校の中退率でいうと、日本人の五倍いるんです。これは、日本語ができないとか、習っていないとか指導を受けていないとか、こういった現状があります。これは教育の面。それから、永住者であれば、当然、医療保険がもらえます。生活保護ももらえます。じゃ、財政上、今後の話ですよ、今後どういうふうに考えていくのか。それから治安の問題。これは例えば、各国、今申し上げたような国では警察証明書というものが義務づけられています。要するに、本国において犯罪歴があるかどうかというものをちゃんと示していかないといけない。犯罪がある場合は受け入れない可能性が高い。こういうことをやっています。

 もう一つ言うと、ただ人手が足りない、業界団体から突き上げが来る、それでどんどん緩和をしていって入れていくということなんですが、そもそも、やはり人口比はどのぐらいを目指すのかとか、こういった大きな方針というのも必要だというふうに思います。

 私が心配しているのは、法務省の事務方は一生懸命仕事をされていると思いますが、彼らは、基本的に、与えられた制度の中で、形式的に要件にはまったらどんどん入れていく。しかし、それで本当によいのか。しかも、大きな方針というのは、今おっしゃったように、ただ人手不足ということをお考えになっている。それだけでは、事実上、これから、別にこれは期限限定でもないわけで、今の政府の方針ではずっと、未来永劫とまで言えるかどうか分かりませんけれども、少なくとも中長期的にもこの政策を、どんどん人手不足は悪化しますから、中長期的に取ろうということなので、やはり大臣であるから、国務大臣として、ほかの大臣とも連携をして総合的な移民対策というのを考えるべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 確かに、法務省においては、水際で、在留資格というものを定めて、その在留資格をきっちり守ってくれているかどうか、それに違反する場合には退去強制する、海外に戻ってもらうということをきっちりと一生懸命やっているわけですよね。その結果なんですよ、今の状況は。

 その結果は結果として、中長期の視点から、総数についても意識を持つべきではないか、それはごもっともな指摘だと思います。それはまさに、こういう政治の場で議論するべきことであると思います。まさにこういう場で先生のお考えを伺い、私も政治家としての考えを述べる、そういうものは蓄積していく必要があると思います。

 その中で、私もちょっと言いたかったのは、マイナスはありますよね、目に見えない、就学率の問題とか様々な、こういう非行の問題。でも、一方で、日本人というのは多様性に欠けますよね、やはりファーイーストの、ヨーロッパから遠く離れた、海に囲まれた島国ですから、非常に隔絶されているし、同質性が高いし。イノベーションが起こりにくいというのは、やはり異質なものに対するインターフェースが弱いんじゃないかと私は思っていて、それが中長期、目に見えないんですけれども、海外からの人材受入れによって、目の前のGDPが上がるだけではなくて、日本の持つキャパシティーそのものが新しい付加価値を生み出す、その源のエネルギーが入ってくるという要素もあると思います。アメリカなんかがまさにそうですね、マイナスもありますけれども。

 その両方をしっかり、政治のこういう場において議論をしていくということは非常に大事だと思います。日々の法務行政はその中でまずはしっかりと、定められたものの中で運営していくことは当然のことでありますけれども。ちょっとお答えになっていないかもしれませんが。

北神分科員 いえいえ、受け止めていただいていると思います。

 だから、こういう場で議論するのももちろん大事ですけれども、やはりこれは内閣の中でちゃんとした方針をそろそろつくっていかないと、どんどん増えていくと、非常に大きな問題になっていくというふうに思います。

 やはり、先ほど申し上げたように、一旦入れますと、なかなか、諸外国の苦しみも多分御覧いただいていると思います。大きな国際情勢の変化でいうと、もちろん一時期は、冷戦が終わって一九九〇年代は、いわゆるグローバリズムということで、湾岸戦争以降、アメリカというのが圧倒的な経済力、軍事力を持って、ソ連がいなくなって、一極体制の中で、そのとりでがあるから、アメリカが中核になって人も金も情報も自由に行き来するという情勢でありました。何か私は、日本はいまだにその幻想を、幻想というか、その考え方をいまだに引きずっているんじゃないかと。

 これはもう、数年前、トランプ大統領のときから大分変わってきているんです。何が変わったかというと、中国の台頭なんですよ。中国という異質な、いわゆる自由主義でもない、民主主義でもない、国家総動員で経済もスパイ活動も何でもやるような、そういう国が出てきた。しかも、それが圧倒的な国力を持っている。そういう中で、かなり移民に対する考え方とか、あるいは土地に対する考え方とか、非常に、悪く言えば閉鎖的になってきている、よく言えば戦略的になってきている。その戦略性が我が国は欠けているというふうに私は非常に心配をしています。

 ですから、大臣、こういう場で議論するのも結構なんですけれども、やはり内閣で大臣がそういうことを提案するというのはいかがでしょうか。

小泉国務大臣 今、中国のお話もありましたように、近隣諸国との日本の関係にもこれは左右されますよね、評価軸としては。ですから、非常に高度な、多岐にわたる観点からの議論が必要になると思います。

 ちょっと今ここで、内閣でというお尋ねでありますけれども、まだ私もそこまでの腹は固まっていないのでありますが、大変、今日の議論に啓発を受けた部分もありますので、よく深めた上で熟慮したいと思います。

北神分科員 是非、大臣に期待をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、国家公安委員会にちょっと伺いたいんですが、今いろいろ、外国人が増えることによって国家として考えないといけないことがあると申し上げました。私が一番心配するのは、やはり治安の問題であります。とりわけ、私ははっきり言っているんですけれども、これはやはり中国人です。今、全外国人の中で四分の一が中国人、永住者でいうと三七%が中国人であります。

 これについて、私は、もちろん、一人一人の中国人が何か悪い人たちだとか、そんなことは全く、毛頭思っていませんが、独特の国が本国でありますので、そういった意味で、治安の観点から、国家公安委員会としてこれをどのように捉えているのか、危機感はあるのかないのか、課題はあるのかないのか、この点について伺いたいと思います。

迫田政府参考人 お答えいたします。

 中国は、各国の政治、経済、行政、学術、そこには科学技術といったようなものも含みますけれども、そういった様々な分野の関係者に対しまして、各種情報収集活動ですとか、通常の外交活動とは異なる手法を用いた働きかけを行うなどの諸工作を積極的に行っており、我が国においてもそのような活動があるものと見られるところでございます。

 警察におきましては、我が国の国益が損なわれることがないよう、平素からこうした動向に関する情報収集、分析に努めておりますとともに、法と証拠に基づきまして、違法行為がありましたならば厳正な取締りを行っているところでございます。

北神分科員 今の御答弁は、何か事件があったら厳正に取り締まるということなんですが、やはり外国人というのは、いろいろ、文化的な背景もありますし、私は、とりわけ中国というのは一層目を光らせないといけないというふうに正直思っています。

 資料一枚目にありますように、これは私が何か「ゴルゴ13」を読み過ぎてこういう発想になっているわけではないということを申し上げたいんですが、二番目にありますように、イギリスの議会の中に、たしか国家情報安全保障委員会という委員会がありまして、そこが昨年、報告書を出しています。これは、中国のそういう工作に対して国民に警鐘を鳴らすような、そういう報告書であります。

 その中に、中国共産党はあらゆる国家機関、これは多分行政機関という意味ですね、つまり、政党が行政機関というものを牛耳っている。企業、民間企業も含まれます、そして市民を、これは中国人ですよ、組み込んでいる。この国家ぐるみのアプローチは、中国が英国を積極的に標的にできることを意味する。その下に、中国の法律は、現在、国民に中国情報部への協力と国家機密の保護を義務づけていると。こういう状況なんです。

 ですから、差別という話じゃなくて、資料の次のページにありますように、習近平さんというのは、軍民融合政策を堂々と、何も包み隠さず宣言をしています。軍民融合というのは、ここにいろいろ書いてありますけれども、軍隊、人民解放軍と民間、軍と民、これが溶け合っている、一体であるということなんです。それは、外国にいても同じなんですよ。多分、警察の情報でもつかんでいるというふうに思います。

 現に、昨年の一月だったと思いますけれども、スペインのオンブズマンに言われて、我が国にも中国の秘密警察の拠点が二つ見つかっています。これは多分氷山の一角だというふうに思います。この人たちも、何も、スパイですと看板を掲げてやっているわけじゃないんですよ。民間の人ですよ。こういう人たちが土地を買い、建物を買い、こういうことをして、秘密のそういう警察の拠点というものを置いている。

 だから、個々の事件に対して厳正に取り締まる、これはもう大いに結構な話で、頑張ってほしいと思いますけれども、やはり、特に中国に対して何らか特別のそういう方針というものがあってしかるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

迫田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のイギリスにおける報告書についても、私どもとしても大変注目しております。

 そういったことも含めまして、中国におきましては、通常の外交活動とは異なる手法を用いた働きかけを行うなどの諸工作を積極的に行っている、そういったところに特徴があるというふうに見ております。

 そういった点も踏まえまして、我が国においてもそういった活動があるというふうに見られるところでございますので、そうしたことによって我が国の国益が損なわれることがないよう、そうした動向に関する情報収集、分析にしっかりと努めてまいりたいと考えております。

北神分科員 先ほど小泉大臣にも私がお話ししたように、警察は警察で、国家公安委員会は国家公安委員会で、いろいろ治安対策というものを考えている。しかし、一方で、法務省さんは、どんどんどんどん、人手不足だということで入れている。だから、私は、こういうところがお互い情報交換をし、意見交換をして、やはり中国人に対しては例えば一定の数量の調整をすべきだとか、そういうことを議論すべきだというふうに思いますけれども、その点について国家公安委員会は何かお考えはありますか。

迫田政府参考人 お答えいたします。

 法務省の出入国在留管理行政ですとか中国人の在留資格審査の在り方につきましては、警察の立場から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一方、警察におきましては、先ほども申し上げましたけれども、我が国の国益が損なわれることがないよう、平素から情報収集、分析に努めておりますし、その際、法務省も含めまして、関係省庁とも緊密な連携を図っているところでございます。

 そうした中におきまして、必要に応じて情報の交換、意見の交換は行っておりますし、今後もしっかりとやっていきたいと思っております。

北神分科員 大臣、今のお話のように、警察庁とか国家公安委員会の事務方では、法務省さんに、もっと気をつけろとか、制度を変えろとか、なかなかこれは言えない。そういう意味でも、やはりこれは大臣同士、内閣の中でそういう問題意識を持って議論すべきだというふうに思います。これは、質問じゃなくて要請ですね。だから、そこをよろしく。何かありますか。

小泉国務大臣 外国人材の受入れ全般については、今の仕組みの中で法務省が総合調整機能を果たすべきだ、果たすという形になっておりますので、どこまでこれが深く連携が今入っているかどうか、私もよく実態を把握しまして、先生のお考えも頭に置きながら、現状をまず把握したいと思います。

北神分科員 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。

 結局、移民という言葉が日本の政治では御法度だから、移民じゃない、移民じゃない、結果として増えているだけだ、人手不足どうするんだ、こういう中でどんどん増えていって、結局、本来ほかの国が移民政策としてやっていることを全然考えていないという現状があるという非常に強い問題意識がありますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 次の質問に移りますが、これは統計の話で、出入国管理庁の統計の話であります。関連していますけれども、やはり数字を把握しないと議論もできないということです。

 ホームページを開きますと、法務省さんは、二十八種類ぐらいのいわゆる在留資格というものがずらっと列挙されています。そのうち、法務大臣が個々に外国人を指定して資格を与える、いわゆる特定活動という枠があります。

 この特定活動の枠の中は、更に大別して三つございまして、一つは、出入国管理及び難民認定法、法律で規定しているもの、二つ目が、いわゆる法務省の告示、省令によって決まっているもの、この二つはちゃんと公表されているんです。三つ目に、その他、そのほかというのがあるんです。

 このそのほかが全くなぜか公表されていない。そのほかだから、人数が少ないのかなというふうに思いきや、これは大体、特定活動全体の六四%を占めているんですよ。三分の二ぐらいですよ。四万三千七百三十二人もいるわけです。しかし、大臣、これが全く公表されていない。これについて、ちょっと問題じゃないかと思いますけれども。

小泉国務大臣 今御指摘ありました六四%、その他。これは、個々の外国人について指定する、個人に指定するというものの、それこそ積み重ねでありますので、こういう形になっていますが、六四%、社会的関心が高いものから抽出をして個別に計上すべきだと私も思います。その作業を進めております。この七月に、半期に一度発表する計数がありますので、今度の七月に向けて作業を進めたいと思います。できるだけ個別に出していくという作業を進めます。

北神分科員 大変前向きな答弁、敬服したいというふうに思います。

 やはりこれは国民の知る権利に関わる話で、外国人というのは、既に、多分、国民の中で不安に思っている人たちもいる、そういう中で、何か政治判断をするとか、選挙で判断をするとか、こういったときに、そういう材料というのは必要だというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 今申し上げたその他の枠組みの中で、さらに、いわゆる告示外特定活動というのがあるんですね。お聞きしたいのは、この告示外の特定活動の中で、これは我々が幾ら聞いても、なかなかどういうものがあるのかというのを法務省から教えてもらえないんですね。

 私が聞きたいのは、老親扶養、いわゆる本国の年老いた親を日本に寄せる制度がある、この総数は幾らなのか、そしてそのうち中国人というのはどのぐらいなのかというのを、公表されていないんです。ですから、聞いても教えてくれない。ですから、これを是非教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 これは極めて例外的な扱いでございます。ですから、あらかじめ項目を立てて、何人、何人とカウントしていくような性格のものではなくて、今後のことは別として、過去の数字を遡ろうとすると膨大な資料に当たっていく、ピックアップしていくということになってしまいますので、そこはお許しをいただきたいと思いますし、元々、例外の更にまた例外みたいな、本当に、なかなかないケースを指しておりますので、これを統計的に出すニーズがどこまであるのかなという思いもございます。

 その手間と効果の勘案の中から、今は数字は出せないというお答えを続けさせていただいています。そこは御理解いただきたいと思います。

北神分科員 膨大な作業だということで、それは一定の理解はあります。

 私がなぜこれに関心があるかということは、やはり、家族を寄せるというのは、それなりに、今までの在留資格制度の中でいうと、そんなに簡単な話ではない。しかし、この告示外特定活動でこういうものがどのぐらいあるのかということを知りたいということでありますので、ちょっとまた、今日はいいですけれども。

 というのは、例えば、皆さん、インターネットで検索して、特定活動、告示外というふうに検索をしますと、ずらっと行政書士の先生方のホームページが出てくるんですよ。彼らはもう堂々と、老親扶養ビザというものをちゃんと書いてありまして、その条件も書いてあるんですね。この条件というのは、これは大臣に情報としてちょっと申し上げますけれども、代表的なものとして、親の年齢が七十歳以上で独り暮らしであること、親の面倒を見れる親族が母国にいないとか、親を扶養できる経済力があることとか、親が病気を患っていることなどなど、堂々と書いてあるんですね。

 だから、法務省に言っても、いや、それは言えませんとか言われるんですけれども、ホームページで見たら、堂々と行政書士の先生方はこれを商売にしているわけですよ。だから、そういった観点からも一考いただきたいというふうに思います。

 まだ時間がちょっとありますので、資料の最後のページを御覧いただきますと、これは、大臣、私が先ほど申し上げたように、国際的な情勢というのは刻一刻変化している。今までは、オーストラリアとか英国とか米国がどんどん外国人を受け入れるという方針だったんですが、ゴールデンビザ、永住権つきの投資ビザに対する状況なんですが、二〇二二年、二年前にもうイギリスはゴールデンビザ制度を廃止しています。これは報道でしか分かりませんけれども、やはりロシア人に対する警戒心からきています。二〇二二年三月、その一か月後に、欧州委員会が、EUの各国政府に対し、安全保障関連対策として外国人投資家への市民権販売を禁止する決議を可決しています。二〇二三年十月、ポルトガルがゴールデンビザの申請の根拠から不動産投資を削除。二〇二四年一月、オランダが廃止、ゴールデンビザですね。オーストラリアが一部投資家ビザ廃止を発表ということ。これも、報道では、カンボジアのいわゆるエリートたち、政治家たちがいろいろと悪さをしているということで、これに対する対策としてやっている。だから、世界は非常に状況が大きく変わっているということを申し上げたい。

 我が国は、一つ前の資料を御覧いただきますと、事業・投資関連ビザ、これはこの前、予算委員会でも私が取り上げたんですが、これによってかなり大量の、今、最近の数字でいうと七割が中国人なんですよ。これが非常に中国の間では人気がありまして、五百万円ぽっちで日本で住めるぞ、家族も連れてこれると。ほかの類似の、今のそういうゴールデンビザとはまた違いますけれども、類似のビザを見ますと、もっと厳格な条件になっている。投資五百万円で、では売上げはどのぐらいなのかというと、三百万円ぐらいだと。それでよしとするという、これは行政書士が言っていますけれども。

 そういう意味では、経営・管理ビザというのもちょっと条件が緩いというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

牧原主査 申合せの時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

小泉国務大臣 このアメリカ、オーストラリア、シンガポールと日本を比べた表ですけれども、これを見る限りは、アメリカ、オーストラリア、シンガポール等は、取引額、資本金、ハードルは高いんですけれども、一度入れると、永住あるいは四年、五年、深く入れますよね。日本は、ハードルが低いんだけれども、入ってみても浅い、一年以上、おおむね一年という、そういう仕切りになっています。

 ですから、やり方が違うんだと思うんですよね。ハードルを下げて浅く、ハードルを上げて深くという、この組合せで効果が決まってきますので、ここだけ捉えて甘いとはちょっと思えないのですが、留意点として我々もしっかりこの表は見ていきたいと思います。

北神分科員 有意義な答弁、ありがとうございました。

牧原主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋英明君。

高橋(英)分科員 おはようございます。日本維新の会の高橋英明でございます。

 まずは、先日の予算委員会、小泉大臣、お世話になりました。ありがとうございます。また、大臣とは埼玉県ということで、私の埼玉の川口市、端と端なんですけれども、また、委員長も埼玉で、委員長は真ん中ぐらいなんですかね。今後ともどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 では、今日は、まず最初に、特別永住者、在日特権と言う方も今いらっしゃいますけれども、こちらについて御見解をお聞かせいただきたいなというふうに思います。

 まずは、これが生まれた背景と成り立ちについてお聞かせください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 特別永住者の制度は、平成三年に施行されたいわゆる入管特例法により創設されたものですが、その背景としては以下のような事情がございます。

 我が国には、終戦前から引き続き居住し、昭和二十七年の平和条約の発効に基づき日本の国籍を離脱した在日韓国・朝鮮人及び台湾人並びにその子孫が多数在留されているところ、これらの人々の我が国社会における定住性がますます強まりつつあり、これらの人々が我が国の社会秩序の下でできる限り安定した生活を営むようにすることが重要であると考えられたところでございます。

 また、特に、在日韓国人の法的地位等の問題に関し、いわゆる協定、永住許可を受けた韓国人の子孫に対する措置の方針などについて、平成三年、韓国政府との間で協議が決着したという事情がございます。

 入管特例法に基づく特別永住者の制度は、このような経緯を踏まえ、在日韓国・朝鮮人及び台湾人並びにその子孫に係る歴史的経緯及び我が国における定住性を考慮して、これらの人々の法的地位のより一層の安定化を図るため制定されたものでございます。

高橋(英)分科員 これは、他の永住者との違いを教えていただけますか。

丸山政府参考人 それでは、入管法の関係、ちょっと幾つか違うところを御説明させていただきます。

 まず、再入国の許可という制度がございますが、一般の永住者ですと最長が五年間でございますが、特別永住者については最長の期間が六年間というふうに長く長期化しております。また、退去強制事由が、一般の永住者ですと、例えば一年を超える懲役を受けたような場合が退去強制の対象になりますが、特別永住者については、内乱罪、外患誘致罪等、特に、かなり限定された罪を犯した場合に退去強制の対象となるというところに違いがございます。

高橋(英)分科員 恐らく、退去命令を出しても、退去する場所がないので我が国にいるんだろうというふうに思いますけれども、今の現在の人数を教えていただきたいんですけれども、全体と、地元ですから埼玉と、あと川口と。お願いします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 特別永住者数は、令和五年六月末時点で、全国で二十八万四千八百七人、埼玉県において八千百六十四人、うち川口市が千三百六十六人となっております。

高橋(英)分科員 これはみんなちょっと気になっているところがあるんですけれども、税制面での優遇とか、そういうのはあるんでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 国税当局が、対象者の国籍でありますとか特定の団体に所属しているということをもって特別な扱いをするということはございません。

高橋(英)分科員 例えば朝鮮総連だとか、それに関わる法人、個人とか、そういった方々も一切そういった優遇措置はないという判断でよろしいですか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、特定の団体なり、その会員に対しまして特別な取扱いを行うということはございません。

高橋(英)分科員 ありがとうございます。

 これは結構勘違いしている方が多くいらっしゃるので、あえて今聞きましたけれども、そういった特別な税制面においての優遇措置はないということで、はっきり答弁いただきまして、ありがとうございます。

 そして、何でこれを聞いたのかなといいますと、先ほど言いましたけれども、私の地元は川口なんですけれども、次の質問にもありますけれども、実は、北朝鮮の拉致被害者が、内陸にもかかわらず非常に多いんですね。五人もいるんですね。これは全国的に見てもちょっと異様だなというふうに思うんです。

 地元川口、鋳物産業が非常に盛んでして、朝鮮特需とかもあったんでしょうけれども、当時は、そういった鋳物の工場に多くの朝鮮系の方々が働いておりました。これは当然、鋳物会社の経営者も非常に助かっただろうというふうに思います。要は、当時から外国人労働者が非常に多いんですね、川口というのは。そういった面では、外国の方々を受け入れる土壌というのは多分市民にはあるんだろうなというふうに思います。

 ただ、内陸でこんなに拉致被害者が多いというのは、恐らくそういったネットワークが当時からもうでき上がっていたんじゃないかな、だからこそ川口では拉致被害者が多いんじゃないか、そういうふうに言う方々が非常に多いんですね。

 あえて人数等々もお聞きしましたけれども、拉致被害者の方に移らせていただきます。

 現状と、今後どうやっていくのか、非常に難しい問題だと思いますけれども、お聞かせください。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 拉致問題についての御質問でございますが、我が国の方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化の実現を目指すというものでございます。

 とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的な制約のある拉致問題はひとときもゆるがせにできない人道問題と考えております。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組んでまいります。

 岸田総理も、これまでも、北朝鮮との間の諸懸案の解決に向け、金正恩委員長との間の首脳会談を実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を進めていきたいと述べてきているところでございます。そのために、様々なルートを通じて様々な働きかけを絶えず行ってきているところでありまして、北朝鮮に対して、引き続き、更に働きかけを行っていきたいと思っております。

高橋(英)分科員 特に最近、地元を回っていますと、どうせ無理でしょうと言う人が結構いるんですね。これはちょっと厳しいんじゃないのと言う人が結構おります。これは本当に残念なんですけれども。

 要は、風化させないための手段というのは、どういったことをお考えなのか。

石川政府参考人 お答えをいたします。

 政府におきましては、拉致問題の啓発のため、毎年、全国各地で、地方公共団体や民間団体などとの共催によります拉致問題を考える国民の集いでありますとか、あるいは、地方公共団体などとの共催によりまして、拉致問題啓発のための舞台劇公演「めぐみへの誓い―奪還―」などを開催をしてきております。

 さらに、毎年十二月十日から十六日までの北朝鮮人権侵害問題啓発週間に合わせまして、政府主催のシンポジウムを開催するなどの取組を進めてきているところでございます。

高橋(英)分科員 ありがとうございます。

 とにかく、これは風化していくのが一番懸念されるので、お願いしたいと思います。

 あと、岸田総理が訪朝するといううわさがちらほらと耳に入ってくるんですけれども、是非訪朝していただいて、解決に向けて頑張っていただきたいんですけれども、仮に、訪朝して拉致被害者の方を一人、二人連れ戻して手打ちなんということには絶対にさせないようにお願いしたいんですよね。先ほど、冒頭おっしゃっていましたけれども、全員の帰国、これがやはり大原則ですので、仮に、総理が行っても、そういったことにならないように、これは小泉大臣からも是非とも総理にお伝えしていただきたいなというふうに思います。

 とにかく、これはとんでもない犯罪ですから、中途半端な手打ちというのはあり得ないので、全員の帰国に向けて最後まで頑張るようにお伝え願えればというように思います。

 では、次に、改正入管法についてお聞きしたいと思いますけれども、先日の予算委員会でも、小泉大臣から、六月十五日がリミットだという発言がございました。そして、一日でも早くこれは施行に持っていきたいという御答弁もいただきました。

 そして、ここでちょっと小泉大臣に意気込みをお聞かせいただきたいんですけれども、一日でも早くやるんだという。是非お願いします。

小泉国務大臣 長い間の懸案事項を解決しようというための法律でございますので、本当に、おっしゃるように、制度は施行してこそ生きてきますから、早くしたい。我々の思いです。

 ただ、前回の予算委員会でも申し上げましたように、改正項目が多い、重要項目もたくさん入っている、入管庁だけでは済まない、他の行政機関に関わる事項も多い、下位の法令のみならず運用の在り方も丁寧に検討する必要がある、また制度の周知期間を設ける、こういう要素がたくさんありますので、一生懸命急いでいますけれども、一定の期間を要するということについては御理解をいただきたいと思います。

 なお、先生の御指摘を踏まえて、極力早期に施行できるように努力してまいります。

高橋(英)分科員 ありがとうございます。とにかく一生懸命お願いいたします。

 あと、子供の特定枠というのを齋藤前法務大臣がつくったと思うんですけれども、これの現状とこれからの点についてお聞かせください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の方針は、入管法等改正法の施行までに、我が国で出生して、小学校、中学校又は高等学校で教育を受けた者を対象としたものでございますが、令和四年十二月末時点で、送還忌避者のうち、我が国で出生した子供二百一人について申し上げますと、昨年十二月末の時点で、その全ての家族に対しての連絡を終えております。

 この二百一人の子供とその家族につきましては、基本的には施行日までに結論を出せるように手続を進めておりますが、手続の進捗については、個別の事案によるため、一概にお答えすることは困難でございます。

 この二百一人の子供の少なくとも七割に在留資格を与えることができるのではないかと考えておりますが、いずれにしましても、この二百一人の子供のうち、実際に在留特別許可をされた人数については、最終的には明らかにする方向で検討しております。

 引き続き、一件一件、丁寧に対応してまいります。

高橋(英)分科員 これは、実は、昨年のこの場所だったのかな、私が、齋藤法務大臣のときに、我が国で生まれた子供たちに対してはちょっと配慮した方がいいんじゃないかという質問をさせていただいて、大臣はそれに答えていただいて、ありがたいなというふうに思いました。

 でも、これは結構賛否はあるんですよね、そんな甘いことをするんじゃないよとか。結構賛否はあるんですけれども、私としては、やはり、子供に責任もないし、これは私の地元で、そういう子はいっぱいいるんですよ、実は。極力声をかけたりしているんですけれども、中には何だこのやろうというようなのもいますけれども、でも、やはり子供の可能性にはちょっとかけてみたいなという思いもございます。

 ただ、これは、やはり親がルール違反を犯しているような親御さんの子供さんは残念ながら認められないんだろうというふうに思いますけれども、これはやはりしっかりとチェックはすべきだと思います。こんなものでいいかなみたいな、そういった中途半端なことはしないで、しっかりとチェックをしてやっていただきたいなというように思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、仮放免者、当然、不法滞在者もそうなんですけれども、これは改正入管法が施行された後の話ですね。今度は期間がある程度絞れるじゃないですか。今までは、何回でも何回でも難民申請ができて、十年、二十年、ずっといられるというケースだったんですけれども、今度は違うじゃないですか。例えば、三回だったかな、分からないですよ、もっと早められるのかもしれないんですけれども、一回出すのに半年だったら、三回だと大体一年半になりますよね。

 そうしたら、その期間が分かっているんだから、その期間の間だけは就労してもらった方がいいですよ。そして、やはりしっかりと納税をしてもらう。そして保険も、健康保険にもきちんと加入をしてもらう。やはり税金を払っていれば、健康保険に加入して病院に行ったって誰も文句を言うわけもないんですね。

 これは実際問題、体を壊すのは、好きで壊す人はいませんから。事故に遭うのもそうでしょうし。そうすると、絶対病院に行くんですよ。そうすると、お金がなきゃ払えるわけもないし、結局のところ踏み倒されるわけですね。踏み倒される先は地方行政なんですよ。こんなばかな話はないので。今度はやはり期間が限定されますから、是非これはやっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 仮放免された外国人につきましては、退去強制手続中という立場に鑑み、基本的に就労は認めておりませんし、ちょっと在留資格制度との兼ね合いではなかなか就労を認めるというのは困難な状況でございます。

 また、一般論として、法令に違反し、手続の結果、退去強制が確定した外国人は、速やかに日本から退去することが原則でございまして、仮放免中の生計は本人の資産や身元保証人や家族の支援等によって賄われることを想定しているところでございます。

 なお、お尋ねの健康保険の件につきましては、入管庁で直接所管しておりませんので、ちょっとお答えすることは困難でございます。

高橋(英)分科員 言っていることはよく分かるんですよ。でも、それは今までの法律の下でじゃないですか。今までは、だって、本当にいつまでいるか分からないわけですからね。今度はそうではないので、これはちょっと柔軟に考えていった方が絶対にいいと思います。それの方がやはり町に暮らしている日本の方々も納得しますので。

 何で納得しないかというのは、税金を払っていないのにどういうことなんだ、ほとんどがそういう意見なんですよ。だったら、これは期間が限定されるわけだから、やはり就労してもらって、納税してもらって、そしていろいろな手当等々を受ければいいんですよ。そうすれば誰も文句は言わないですからね。是非これは前向きに御検討をしていただきたいと思います。もう一回いいですか。

丸山政府参考人 改正入管法が施行された後、一点、変わる点がございますので、ちょっとそこを御紹介させていただきます。

 まず、退去強制手続で退去するかどうかを決める前の段階で、監理措置、取れた場合は、本人の生計が維持困難な場合には限定的に就労ができるという仕組みができ上がっています。これは最終的に退去強制するかどうか決定していない段階ではございますけれども、新しい制度ではそういうことも可能となりますので、そういったことも適切に対応してまいりたいと思います。

高橋(英)分科員 じゃ、その期間は納税するわけですね。はい。うなずいているからね。分かりました。

 じゃ、次に行きますけれども、やはり基本的に仮放免の方は働けないですよね。当たり前ですね、ルール上。働けないイコールお金がない、イコール資産が持てないわけです、当然のごとく、通常で考えれば。ところが、どう見ても資産を持っているんじゃないのという方々が結構いるんですね。

 昨日も言いましたけれども、警察の方と入管の方、やはりタッグを組んでいただいてパトロール等々、そういった面のパトロール強化をしていただきたいんですけれども、やはり、そうなってくると、これは国税も入って一緒にやった方が絶対いいので、その点をちょっと聞いていきたいというふうに思います。

 仮に、パトロールをして資産を持っていると分かった場合には、これはおかしいので、どのような対応をいたしますか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで入管法令上の観点からのお答えになりますが、入管法令上、不法就労において得た資産を没収する規定はございません。仮放免者の資産を正確に把握しているものでもございませんが、不法就労している事実を把握した場合には、仮放免を取り消して再収容するとともに、必要に応じて、仮放免の際徴収しておりました保証金の全部又は一部を没取するなど、対応しているところでございます。

高橋(英)分科員 これは国税になるんですかね。やはり税金を払っていないのに資産があるというのはおかしな話ですから、何かしらの収入があるんでしょうから。我々も、当然、差押えだとか、日本国民にはありますけれども、そういった納税義務を果たしていない場合には、これは国税ですよね、差押え等々、これはできるんですか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 一般論になってしまいますけれども、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な各種資料情報の収集に努めております。これらの資料情報と、申告が出されておるのであればその申告書を分析して、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところであります。

高橋(英)分科員 これは、申告しているわけはないし、申告できませんよね、基本、働けないというのが大前提ですので。これはしっかりとタッグを組んでやっていただきたいなというふうに思います。

 あとは、仮放免者を雇用している法人がもし分かった場合には、その法人もおかしいわけですよ。だって、仮放免者という働けない人間を実際は働かせているわけですからね。そういったときには、どう考えても、多分、税務上もおかしなことをやっていると思うんですよ。

 それが分かった場合には、その法人に対して国税は調査に入りますか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 特定の条件に当てはまる企業への調査方針など、個別にわたる事柄につきましてはお答えすることを差し控えさせていただきますが、繰り返しになりますが、一般論として申し上げますと、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効と思われる各種資料情報を収集しております。これらの資料情報や申告書とを分析して、課税上問題があると認められる場合におきましては税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

高橋(英)分科員 課税上問題があるという、それはどうやって把握するんですか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、国税当局におきましては、様々な機会を捉えまして、課税上有効な各種資料情報の収集に努めてございます。そうした資料情報と提出された申告書とを分析いたしまして、課税上の問題があるかどうかを判断しておるということでございます。

高橋(英)分科員 今、様々な機会というふうな言葉もありましたけれども、是非、警察、それで入管、パトロールを強化、おかしな部分は、日本の会社でもそうでしょうから、強化をしていただいて、横のつながりをしっかり持っていただいて、国税の方とも。是非これはお願いしたいというように思います。

 大体、日本の企業にもどんどん入っていきますからね。国税が入った後はペンペン草も残らないぐらいなことを言う人までいますので、是非これは平等に、こういった企業にも平等に税調査を行っていただきたいと思いますので、是非お願いを申し上げます。

 あと、警察官に関してちょっとお聞きしたいんです。

 私もそうですけれども、普通の考えでいくと、やはり犯罪の多いところとかは警察官を増やすのが当たり前なんだというふうに思うんですけれども、どう考えても増えていないんですよね。これは何でなんですかね。

太刀川政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方警察官の定員は、警察法五十七条第二項において、条例で定めることとされておりますが、その定員は政令で定める基準に従わなければならないとされております。この基準は、それぞれの都道府県の人口や面積、あるいは犯罪発生状況その他の事情を考慮して定められております。

 これまでも、警察においては、治安情勢の変化などを踏まえつつ、人的基盤の強化を進めるため、この政令で定める警察官の定員の基準を改正して、警察官を増員してきたところでございます。

 例えば、新たな手口による犯罪が出現するなど、治安への脅威が増大したときには、それに応じて警察官を増員し、各地域の実情に即した人員配置を行ってまいったところでございます。

高橋(英)分科員 この警察法五十七条でしたか、これはいつ制定されたんですか。

太刀川政府参考人 ちょっと手元に条文がないんですが、昭和二十九年であったと記憶しております。

高橋(英)分科員 昭和二十九年で、この部分に関する改正みたいなのは。

太刀川政府参考人 警察は、警察活動と組織に関する基本法でございまして、昭和二十九年の制定以来、何度も改正は経ております。

 ただ、この特定の警察法五十七条二項が改正をされているかどうか、今確認ができませんので、恐縮でございます。

 ただ、この考え方、先ほど申し上げた政令で定める基準については、それぞれの都道府県の人口ですとか、面積ですとか、あるいは犯罪の発生状況などを考慮して定めている、これは制定以来一貫した考え方でございます。

高橋(英)分科員 この五十七条を見ましたけれども、直近の改正がもしあったら、後でいいので教えてください、いつ行われたか。どうにもちょっと解せない部分が多いので。

 やはり、ちょっと地元の話をしてあれなんですけれども、非常に川口は犯罪が多い。埼玉県内の一〇%以上かな、一〇%から一五%が恥ずかしながらうちの町で起きているという現実がございます。

 今度、新しい警察署もできますけれども、新しい警察署ができても埼玉県警の警察官の人数は変わらないと聞いたので、どういうことだろうと思ったので今質問したんです。通常、新しく警察署ができれば、警察官の人数は当然増えるものだというふうに誰しもが思うので、それはちょっと解せないなというふうに思いましたので、質問をさせていただきましたので、改正の件、後で教えてください。

 そうしたら、時間も迫ってまいりましたので、最後にさせていただきますけれども、先ほどの質問者の方も言っておられましたけれども、やはり、中国人の方々の話をしておりましたね、中国人の数量、調整できないのかと。実は、川口は、多分もう三万人近くいるんですよ、数年前で二万人を超えていましたから。とんでもない数の中国の方々がいらっしゃるんですね。

 私は、予算委員会でも質問をしましたけれども、やはり総量規制的なものは絶対に必要なんだというふうに思うんです、ある特定のところに集中して来ますから。これは中国の方に限らずそうなんでしょうけれども。

 そういった部分で、外国人への土地の売買、地域での総量規制みたいなのは必要だと思うんですけれども、これはこれからの話で非常に難しいと思うんですけれども、ちょっとお考えをお聞かせいただきたいんです。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 一般論といたしましては、法令で、特定の行政目的に基づき一定の範囲で外国人の土地取得等を制限することはあり得ると考えます。その場合には、対象とされた外国人の財産権を制限することとなるため、それぞれの所管府省庁において、規制の目的と態様に応じて、財産権の保障に反していないかどうかの検討が必要となります。

 法務省といたしましては、各府省庁において、特定の行政目的に基づいて外国人の土地取得等の制限を検討する場合には、民事基本法制を所管する立場から、必要な協力をしてまいりたいと考えております。

高橋(英)分科員 でも、もたもたしていられないなという気はしているんです、実は。

 これは余談になるかもしれないですけれども、駅から歩ける範囲、十五分圏内とか、そういうところに建て売りが建つと、ほとんど中国の方が買うんですね、便利なところは。要は、五千万、六千万しますから、うちの方、高くて買えないんですね、日本の若者は。最近は中国の経済もちょっと芳しくなくなってきているからどうなのかなというふうに思いますけれども。そして、バスで行って、不便なところに行くと、ほとんど中国の方はいないんですよ。日本の方だけなんですね。建て売り価格が、住宅価格が下がるから買えるんでしょうけれども。

 そういった実情があるから、要は、本当に限られた場所に集中して、小学校でも半数が中国の方というのがもう二、三校ありますからね、我が町では。これはだから、すぐにでも実は対応していかなければいけないんだろうというふうに思っていますので、今後の課題として今日は質問をさせていただきました。

 いつの間にか時間が来てしまいましたので、今日はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。

牧原主査 これにて高橋英明君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野分科員 国民民主党の浅野哲でございます。

 今日は、予算委員会の第三分科会ということでお時間をいただきました。ありがとうございます。

 今日は、離婚協議中若しくは離婚後の親と子の交流の在り方について、少し議論を深めさせていただきたいと思っております。

 まず初めに、現状について伺いたいと思うんですけれども、現在、親子の面会交流に関しての面会調停件数と、面会に要する平均期間の参考となるような情報があれば、御答弁をいただきたいと思います。

    〔主査退席、金田主査代理着席〕

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 調停についてのお尋ねということで、面会交流調停の事件数についてお答えいたしますと、令和五年の新受件数は、一部の能登半島地震の被災地庁の数値を除く速報値でございますが、一万二千五百七十六件となります。なお、令和四年の新受件数は、一万二千八百七十六件でございました。

 また、面会に要する平均期間ということにつきましては、例えば手続中にも別居親と子との交流が任意に行われることもありまして、そうした事案も含め、親子の交流が事実上実現するまでの期間については把握しておりませんが、面会交流の調停、審判の手続を通算した、事件の受理日から終局日までの平均審理期間について申し上げますと、令和五年の速報値で、これも被災地庁の令和五年の十二月分の数値を除いたものでございますが、約十一・六か月となっております。

 以上でございます。

浅野分科員 ありがとうございました。

 私も事前に少し歴年の調停の件数の推移を見させていただきましたけれども、このところほぼ横ばい。ただ、気になるのは、今、最後に答弁いただきましたけれども、調停が始まって、調停が調う、あるいは審判まで行ってそれが調うまでの平均期間が十一・四か月前後、約一年間かかっているということで、これだけの時間をかけないと、少なくとも、親と子供が会うことができない状態が続いてしまっている。この現状は私は一刻も早く改善すべきだというふうに思います。

 次の質問に行く前に、一つだけ、ちょっと、是非お願いをさせていただきたいんですが、最高裁の方に。

 今、答弁の中でも、親と子が結局その後会えたのかどうかというところまでは情報がないということは私も聞いておるんですが、やはり、親と子供の面会ができたかどうか、それが統計的にどういう実態にあるのかということは、これから議論する制度全体を考えていく上でも大変重要な情報になると思いますので、是非、そうした情報の収集については前向きに今後検討していただきたいということを申し添えさせていただきます。

 次の質問です。

 今回、まず、親と子供が会えない状態になってしまう原因の一つに、DV等支援措置によって相手の居場所が分からない、それによって会えない、そういったことがあるというふうに聞いております。

 このDV等支援措置を適用するべきか否か、その必要性をどういうふうに現在確認をしているのかについて、過去にもやり取りをさせていただきましたが、改めて、簡潔に教えていただきたいと思います。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 住民基本台帳事務におきましては、DV等の被害者の相手方が住民票の写し等の交付等を不当に利用して被害者の住所を探索することを防止するDV等支援措置を実施しております。

 本措置の実施に当たりましては、専門的知見を有する警察、配偶者暴力相談支援センター等の相談機関から支援の必要性を確認することとしております。具体的には、申出の内容に相違がなく、支援の必要性があると認めるか否か等につきまして、相談機関の職名及び公印を付して意見を提出してもらうとともに、必要に応じて市区町村から相談機関に内容を確認しております。

 なお、より適切に相談機関からの意見を聴取する観点から、相談機関が申出者に対しまして対応した内容を新たに記載事項に加えるなど、本措置の申出書様式を変更することとし、本年一月に総務省から各地方団体に対しまして周知したところでございます。

 引き続き、DV等支援措置の適切な運用に努めてまいります。

浅野分科員 ありがとうございます。

 本年一月から様式の一部変更にも取り組まれているということで、不断の見直しというのは是非進めていただきたいんですけれども、過去にも、このDV等支援措置、ある種、ドメスティック・バイオレンスの被害に遭っている状況下にある方を保護するための取組でもあるので、よりスピーディーな判断というのは確かに大事なんですけれども、この制度によって、一部の方々に関しては、実際、DVはしていないと主張している方々もいて、その方々が子供と会えない、子供の居場所が分からない、それによって多大な苦痛を今感じていらっしゃる方も少なからずいるという現実もありますので、迅速な判断に加えて、正確な判断だったのかということの検証についても、しっかり今後、議論を深めさせていただきたいと思うんです。

 本日は、まずその前に何点か確認したいことがありますので、ここからは、家族法制の見直しに関する要綱案について、これは一月三十日の家族法制部会で了承され、二月十五日の法制審議会総会で了承されたというふうに聞いておりますので、この内容について聞いていきたいと思います。

 まず、基本的な事項ですけれども、離婚に関して、父母が協議上又は裁判上の離婚をする際、親権者が確定するまでの間、親権は父母双方が保有している、この理屈は成り立つかどうか、まず答弁をいただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 現行民法は、「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。」と定めておりまして、離婚の際に親権者が定められるまでは、父母双方が親権者であると考えられます。

 家族法制の見直しに関する要綱も、このような規律を改めることは予定をしておりません。

浅野分科員 ありがとうございました。明快な答弁をいただきました。

 そのとおり、親権者が確定するまでの間は、当然ながら、父母双方が親権を有している状態というのが法的にも明確にされているところであります。

 一方で、先ほどのDV等支援措置の話に戻るんですが、私がこれまで複数の方々から聞いてきた実情として、このDV等支援措置を申請した者が、まず一方の親から、子供と自分を引き離す際に突然いなくなってしまうというケースが、もう既に私のところにも複数件、そういうケースで子供と引き離されてしまいましたという声が届いておるんです。

 ただ、その時点では離婚は成立していませんので、今の理屈でいえば親権は父母双方にあるというわけでありますが、親権がある状態においては、子供がどこに住むか、どこで過ごすかというのを指定する居所指定権という権利が親権者には与えられます。

 これは父母双方に持っているものなんですけれども、一方の親が子供を連れ去ったりしたケースにおいて、連れ去った側の親は、連れ去られた側の親の居所指定権の侵害をしているのではないか、そのように私は解釈をしているんです。

 これについて、今回、父母双方が親権者である状態においては、一方の同意を得ずに行う強引な連れ去り、これが今申し上げたように居所指定権の侵害になると考えているんですけれども、このような議論は、これまでの法制審、家族法制部会、それぞれの中でどのような議論が行われてきたのか、是非ちょっと御紹介をいただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 法制審議会で採択された要綱におきましては、父母双方が親権者である場合は、子の居所の変更を含めて、親権は父母が共同して行うとした上で、急迫の事情があるときは父母の一方が親権を単独で行うことが可能であるとし、さらに、父母の意見対立を調整するための裁判手続を新設することで、親権行使のルールを整理しているところでございます。

 父母の一方が子を連れて別居する行為につきましては、その背景に様々な事情があり得るため、一概にお答えすることは困難ではありますが、事案によりましては、先ほど述べました親権の行使のルールに反することとなる場合があると考えられます。

浅野分科員 ありがとうございます。

 子の居所指定権については、民法の八百二十二条で定められている項目になるんですけれども、それぞれ、DVから避難しなければいけない、様々な理由が考えられるんですけれども、児童虐待のケースもあります。ですから、一概に子の居所指定権の侵害と言うことが難しい。

 これは私も理解をしているところではあるんですが、現に、DV等支援措置の適用を受けて、一方の親に対しては子供の居場所を教えない、自分の居場所も教えない。その間に離婚協議を進めて離婚した夫婦もいますし、その後、時間がたっても我が子と会えない立場にいる方がいるのも現実であります。

 こういった環境においては、この後話しますが、親子の交流の支援をするというのは当然なんですけれども、居所指定権の侵害があったのかどうか、これをしっかりと精査することによって、その家庭でDVがあったのか、児童虐待があったのか、その夫婦、父母の双方の主張のどこに問題があるのか、こういった議論を深掘りする機会にもつながりますので、是非、居所指定権の侵害の有無について、今後しっかりと行政の方でも目を配っていただきたいということをまずお願いしたいと思います。

 そして、次の質問に移りたいと思います。

 今回法制審で了承された要綱案の中では、民法七百六十五条第一項の規定、父母の一方を親権者と定めなければ離婚の届出を受理することができないという従来の規定を見直し、親権者の指定を求める家事裁判又は家事調停の申立てがされていることを条件に、離婚の届出を受理することができるようにするとされています。

 私は、これを最初見たときに、親権者をどっちにするかというのをちゃんと決めた後じゃないと離婚届は受理しませんよ、これまでのルールがそうだったんですが、それを一部緩和して、親権者を決めるための裁判若しくは申立てを起こしていれば、必ずしも決まっていなくても離婚届を受理しますというふうにこれからは変えましょう、こういう内容になったわけです。

 これは、本当にこれでいいのかという部分について懸念を持っておりますので、なぜそのように変えたのか、その理由、背景についてまずは説明をいただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 現行民法におきましては、協議離婚の場合には、父母が離婚するのと同時に、その後の親権者を父母のいずれに定めるかを決定しなければならないこととされております。

 もっとも、このような規定に対しては、DV等があるなどの理由で早期に離婚することを望む父母の一方が、親権者の定めについて、他の一方からの求めに安易に応じてしまうなどして、不適切な定めがされてしまうおそれがあるとの指摘がございます。

 そこで、要綱では、離婚時に親権者に関する父母の協議が調っていない場合であっても、親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てがされていれば、協議離婚の届出を受理することができることとしておるところでございます。

浅野分科員 ちょっと今の部分について私が思うのは、やはり、夫婦の離婚協議で親権者を早く決めないと離婚ができない、早く離婚したい、だから親権についても妥協してしまう、そういったことを避けるために今回の措置をした、そういうふうに聞こえたんですね。安易に妥協してしまわないように、親権は親権でちゃんと議論してほしい。離婚は離婚で、双方合意ができるんだったら離婚をする。問題を切り分けようとしているわけです。

 ただ、親権の問題について安易に妥協するのは、やはりそれは子供の利益にかなわないわけです。子供からしてみたら、ちゃんと親が親権について話し合って、きちんと結論を出してほしいわけですね。なので、安易に妥協することを半ば認めた形で、親権はちょっと切り分けて考えましょうねというようなことを、安易に行政側が言ってしまっていいのか。

 この国の家族法制の在り方として、子の利益を最大限尊重するのであれば、しっかりそれを両親に議論してもらって、結論を出してもらってから離婚を受理する、このプロセスをむしろ大切にするべきじゃないかというふうに思う部分もあるんですが、国が、安易に妥協してしまうのはもうしようがない、それは避けられないみたいなものを半ば受け入れているように見えるんですけれども、その点については少し、私としては、もうちょっと、プラスアルファの理由を伺いたいというところであります。

 特に、ちょっともう一件、これに関連して、養育費や親子交流に対する定めを離婚前に決めることを離婚届の受理要件にしている国も海外にはあると聞いています。今回、養育費や親子交流に対する定めを離婚前に決めることを要件に加えた方がいいんじゃないかとか、そういった意見がなかったのか、これについて、状況を教えていただけますでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、父母の離婚時に養育費や親子交流を含めた子の養育に関する事項を取り決めていただくことは、子の利益にとって大変望ましく、取決めの促進は重要な課題であるというふうに認識をしております。

 他方で、離婚時に養育費や親子交流に関する定めを必須とすることにも、先ほど御答弁申し上げたのと同様に、早期に離婚することを望む父母の一方が他の一方からの求めに安易に応じてしまうなどして、不適切な合意がされてしまうおそれがあるとの指摘がございまして、慎重に検討すべきであるとの意見がございましたため、要綱には盛り込まれなかったものでございます。

浅野分科員 先ほどと同様で、不適切な内容で合意がされてしまうおそれがあるということなんですけれども、これはもう考え方だと思うんですね。

 不適切な内容で合意されてしまうのをどう防ぐのかというのを是非国には考えていただきたいですし、その問題を存置したままでも早期に離婚したい夫婦の望みをかなえるために、問題を切り分けるという解決策を今回取ろうとしているわけですけれども、それが本当に子の最善の利益につながるのか、これは大変難しい問題であります。

 恐らく、この私の質疑時間の中では当然答えは出ませんし、専門家の方々がしっかりと議論を重ねていただかなければいけない問題だと思うんですけれども、是非、これについては、法制審の中で今後ひとつ議論を深めていただきたいことをお願い申し上げます。

 そして、次は大臣に伺いたいんですけれども、今までの議論のように、不幸にも子供と引き離されて会えない環境にある親御さんも世の中には実在をしていらっしゃいます。

 今回、この要綱案の中では、親子交流の早期実現に向けて、家事事件手続法の規律の新設という項目の中で、子との交流の試行的実施を促すことができることとされています。この試行的実施という言葉にその思いが表れているのかなというふうに思っているんですが、私も、まずは試しに会ってみようという、離婚協議中であっても調停中であっても、親と子が会うということが子供にとって急迫の危険を伴うものでないのであれば、是非、会う機会は一日も早く確保するべきだと思います。

 冒頭申し上げたように、調停、審判の期間を合わせると平均十一・四か月、一年近く、協議に入ってしまうと親と子が会えない。こんな現状がある中で、一刻も早く会わせるためのこの制度、どうやって実現性を高めるべきなのか、今の大臣のお考えがあれば伺いたいと思います。

小泉国務大臣 裁判手続中に会えない、これが約一年に及ぶ。子供の成長を考えますと、その一年は大きいですよね。小さい子供の場合には、本当に急速に変わっていきます。その間、親が接触できない、これはやはり見逃すべきではない場面だと思われます。

 したがって、今回の要綱案では、調停あるいは審判手続において、その手続中に、裁判所の中で安全に、また短時間、試行的に顔を合わせるということを、試みとしてやってみたらどうだということを織り込んだわけでございます。まさに子供の成長が一番大事だ、子供の健全な成長が一番大事だというところを中心に置けば、こういう結論になるんだと思います。初めての試みでありますけれども、先生御指摘のとおり、非常に重要な項目であると我々も認識しております。

浅野分科員 大臣自身も、非常に重要な取組とおっしゃっていただきました。

 是非、法務省の中でも、この早期実現に向けて、これが一人、二人ではなくて、先ほど、調停件数が年間一万数千件あります。その全ての子供が親と会えないわけではないんですけれども、かなりの数の子供が親と会えない。そして、会えない間に、そばにいる親との関係が築かれてしまって、会えない方の親との関係が希薄になってしまう。

 そして、ちょっとデータを見ますと、離婚をした夫婦の子供で一番多い年代は未就学児なんだそうですね。三歳から五歳、六歳、この辺りの年齢層の子供たちが、ちょうど親が離婚してしまう年齢層としては一番多いというふうに聞いているんです。まさにこの年代の一年というのは、とても長いです。ですから、この重要性を法務大臣にも御理解いただけたと思いますので、今後、是非取り組んでいただきたいと思います。

 では、次の質問に移りたいと思うんですが、ちょっと先ほども申し上げましたが、離婚手続の在り方について、そして、今後の面会交流事業についても少しだけ聞きたいと思います。

 先ほども少し触れたんですが、例えば、隣の韓国では、子のいる夫婦については、離婚届と同時に、養育費の金額や受取口座、面会交流のスケジュールなどを定めた養育協議書を提出することが義務づけられているということなんですね。

 このような考え方は、先ほどの答弁に沿えば、不適切な内容で合意されるのを防ぐため難しいという考え方だと聞いているんですけれども、こうした制度の在り方について、私は、是非今後、この法制審家族法制部会の中でも議論を深めていただきたい。

 ちょっとこのリクエストを添えて、もう一度質問をさせていただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、諸外国の中には、離婚に当たって、子の養育に関する協議書の作成を義務づけている例もあると承知をしております。父母の離婚時に養育費や親子交流を含めた子の養育に関する事項を取り決めることは、子の利益にとって望ましく、取決めの促進は重要な課題であるとも認識をしております。

 他方で、先ほどもお答えしたとおりではございますが、協議離婚が一般的な我が国において、離婚時に養育費や親子交流に関する定めを必須とすることは、早期に離婚することを望む父母の一方が他の一方からの求めに安易に応じてしまうなどして、不適切な合意がされてしまうおそれがあり、かえって子の利益に反するとの懸念もあるところでございます。

 したがいまして、離婚に当たって御指摘の協議書の提出を義務づけるということについては、慎重に検討すべきところであると考えております。

浅野分科員 慎重に検討すべきテーマではあると思います。ただ、議論をすることはとても有意義だと思いますので、是非今後、部会の中で議題にしていただきたいなと思います。

 続いての質問です。

 続いては、こども家庭庁に伺います。

 現在、先ほども話題になりました、親子の交流支援事業をこども家庭庁が行っているということなんですが、これは全国の取り組む自治体に支援をする事業だというふうに聞いております。

 では、今現状、全国でどのぐらいの自治体がこの事業に取り組んでいるのか。現状について教えてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 親子交流支援事業につきましては、直近の実績、これは令和三年度ということになりますけれども、十八の自治体において実施されているというところでございます。

 経年でお示ししますと、平成三十年度には九自治体、令和元年度には十自治体、令和二年度には十五自治体で実施されているという状況でございます。

浅野分科員 ありがとうございます。

 一言で言って、決して多いとは言えない数だと思います。約千八百ある自治体の中で十八自治体ということなんですが。

 これはちょっと更問いになってしまいますけれども、なぜそんなに少ないのか、こども家庭庁から見たときの普及率の低い原因、どのようなことをお考えになりますか。

高橋政府参考人 私ども、補助事業として、包括的な事業の中の一つのメニューとしてこの親子交流支援事業というものを設けてございまして、自治体の方で、そのメニューの中、いろいろ取れる中でここを選択しているところが、今のところ、令和三年度では十八にとどまっているというところでございます。

 我々といたしましても、内容については改めて周知をして、もし仮に、自治体の方で、何か使い勝手等においてちょっと支障等があるということであれば、そこは見直していきたいと思いますし、よく現場のお声をお聞きして、見直すべきところは見直すということで努めていきたいというふうに思っております。

浅野分科員 是非よろしくお願いします。

 もう一問伺いたいんですが、この親子交流支援事業については、過去、衆議院から提出された質問主意書の答弁の中で、限られた財源の中で低所得者を重点的に支援するという観点から、一定の所得要件を設けることが適切という答弁がありました。つまりは、所得制限を設けているということなんですね。

 ただ、やはり親子交流事業については、私自身は、経済力が低いから子供と会えないという類いの問題ではないと思うんですね。

 現状の制度は所得制限を設けているということなんですが、この事業は、そもそも面会交流を求める者の経済的負担を軽減、支援することを目的とした制度なんでしょうか。私の認識では、やはり経済的支援というよりは、専門家による相談支援だったり、事務連絡調整などの実務支援が主だと思うんですけれども、この辺り、現状について伺います。

高橋政府参考人 先生御指摘のとおり、そこは親の所得にかかわらず、親子交流を促進するということは非常に大切だというふうに思っておりまして、私ども、支援させていただいております。

 これまでは、御指摘のとおり、所得制限というものがあったところでございますけれども、今、国会の方で御審議いただいておる来年度予算案におきましては、親子交流につきましては親の所得にかかわらず重要なものということで、この事業の利用者の所得要件については撤廃するということを盛り込んでおるところでございます。

 こども家庭庁といたしましては、引き続き事業の活用に取り組んでいきたいというふうに思っております。

浅野分科員 ありがとうございます。

 所得制限を令和六年度から撤廃ということで、今、政府の中でも方針を出しているということなんですが。

 ですので、これからは、経済的支援という位置づけよりも、しっかりと専門家による相談支援、そして、全ての該当する望む者に対して支援を行き渡らせるためにも、先ほど言った十八自治体を、できることなら一桁、二桁増やすような取組をしていただきたいと思います。

 最後になりますが、これはもう一つ問題があって、一人親家庭に対する支援の一環として行われている事業だというふうに聞いております。

 ただ、確かに一人親家庭です。ただ、その一人親家庭になっていない状態、まだ離婚前の方々も子供との面会を望む立場にある、そういったことも考えられますので、是非、支援対象に幅を持って取り組んでいただくようにお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

金田主査代理 これにて浅野哲君の質疑は終了いたしました。

 次に、保岡宏武君。

保岡分科員 自民党の保岡宏武と申します。

 大臣、本日は、御答弁もこの後お願いをさせていただいております、どうかよろしくお願いをいたします。

 法務関係の委員会での質問は初めてとなります。多少緊張しておりますが、思い切って地元の声を中心にぶつけてみたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 まず一つ目は、外国人労働者についてでございます。

 今回、法改正がなされるというふうに伺っております。今までの技能実習と特定技能を併せ、また、移行をスムーズにするという形で、育成就労という形に切り替わるというふうに伺っておりますが、その前に、現在の外国人技能実習生の失踪の問題をそのままにしてこの制度に移るということは非常にリスクがあるかなということで、このことについて、まず一問目は質問させていただきたいというふうに思います。

 外国人技能実習生の失踪に関して、失踪件数の割合の高い国、また、その国ごとに対策を打っているのか、現状をお示しください。お願いいたします。

    〔金田主査代理退席、主査着席〕

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年における失踪技能実習生の数は九千六人であり、令和三年末の技能実習生と令和四年に新規入国した技能実習生の合計人数に対する失踪技能実習生の割合は約二%となっております。一万人以上の技能実習生を受け入れている国の国籍別の失踪割合については、多い順に、カンボジアが約五・六%、ミャンマーが約二・六%、ベトナムが約二・四%となっており、最も少ない国はフィリピンで約〇・二%となっております。

 技能実習生の失踪原因を明確に特定することは困難な面もありますが、一部の実習実施者の不適切な取扱いや、当初見込んでいた入国後の収入額等が実際と異なり、入国前に支払った費用を返済するため新たな就労先を求めるなどの技能実習生側の経済的な事情があり得るものと考えております。

 特に、費用の点で見ますと、失踪率が高い国の人たちについては、借金とか送り出し機関等への来日前の支払い費用が多い傾向がございますので、二国間取決めの中で、日本側が不適正な事案を把握した場合には、相手国政府に通報し調査を依頼した上で、その結果に基づき、指導や送り出し機関の認定取消し等を求めるなど、制度の適正化に向けて、引き続き、技能実習法の下で取組を進めてまいります。

保岡分科員 ありがとうございます。

 是非、傾向と対策をしっかり持って、次の移行に沿っても、そのような失踪者が出ないように努めていただきたいと強く願います。

 次に、今回の法改正に関しては自民党も提言を出しましたが、その議論の過程でも、転籍の問題、日本語能力の問題、失踪の問題等、様々な意見が出ました。

 今回の法改正をするに際して、担い手不足によって経済や地域の暮らしが成り立たない状況が進行しているという点、そして、進まぬ賃上げや円安などの影響もあり、日本が隣国韓国や台湾と比較しても外国人労働者に選ばれない国になりつつあるという現状もございます。

 外国人に選ばれ、長く住み、暮らし、仕事を続けてもらえる環境整備をするためにも、法改正を有意義なものにしていかなければならないというふうに思います。

 とりわけ、私のような地方出身の議員からすれば、次期法改正において、地方が都会への外国人労働者の供給基地の役割を担うというような状況だけは避けたいというふうに考えております。地方からも特に懸念が高い、水産加工分野、機械分野において対応がどのように今後取られていくのか。そしてまた、担い手不足に悩まされている地方の農林水産業、建設業、また運輸の分野なども今後担い手不足が進んでいくと思いますが、そのような分野において、どのように就労育成によって変わっていくのか、見解をお示しください。お願いいたします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の人手不足の分野については、出入国在留管理庁を始めとする制度所管省庁及び各分野を所管する省庁において、各分野の人手不足の状況、生産性向上や国内人材確保のための取組、外国人の業務内容や技能水準といった点について整理、精査し、現在、特定技能制度の対象分野としての追加等を検討しているところです。

 また、今回、創設を検討している育成就労制度で、本人意向の転籍を認めることにより、地方から人材が流出するのではないかという御意見があることは承知しております。

 この点につきましては、そもそも、育成就労制度では、一定の要件の下、同一の業務区分内に限って転籍を認めるものであるため、無制約に転籍が可能となるものではありません。

 その上で、育成就労制度では、監理支援機関が中心になり、外国人育成就労機構やハローワークが連携して転籍が行われる一方で、当分の間、民間職業紹介事業者の関与を認めず、またブローカーの関与を徹底的に排除すること、各自治体での受入れ環境の整備等により地域への定着が図られることなどによって、地方からの人材流出への懸念に対しても一定の手当てを行うこととしているところでございます。

保岡分科員 ありがとうございます。

 加えて、運用面におきましては、各省庁との連携を密にして、先ほど、何度も申し上げますけれども、地方が都会への人材供給基地ということにならないように、是非御留意をいただけたらというふうに思います。

 次に、地方が都会への人材供給基地にならないということに関してなんですけれども、私は、やはり、都会の方がどうしても賃金は地方に比べれば高くなる傾向は間違いなくあると思います。では、地方の、都会に比べる、インセンティブというか、得意な分野は何かというふうに考えたときには、福利厚生、とりわけ住居なのではないかなというふうに考えております。

 これは、日本人も同じように、例えば、若い子たちの住居を提供する、そして、その子たちが結婚をしたらまた更に家族用の住居を提供していくといった、ライフステージに合わせた住居提供というのは、非常に地方にとっては、有効な人材に住み続けていただくためのやり方なのかなというふうに思いますが、この点において、地域の受入れ体制というのを官民挙げて整備をしていくというような観点があるのか、視点があるのかどうか。現状、居住施設整備などへの国の支援があるのかどうかということをお示しいただきたいと思います。お願いいたします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、都市部と地方との所得の差、賃金の差については、現行の特定技能制度において、都市部への集中を回避する、回避に関する取組の一つとしまして、大都市に比べ家賃や生活費がかからないことなど、地方で就労するメリットを広報する取組を行っているところでございまして、このような取組についても引き続き取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

保岡分科員 広報だけでなく、是非、実質的な取組も各省庁と連携をしてお願いできれば助かります。よろしくお願いいたします。

 そして、今回の法改正において、外国人の、転籍の自由がある程度認められるといったことやら、人権問題というのは非常に大事な観点だというふうに思いますが、一方で、受け入れる民間事業者にとっての雇用のバランスというのも大事なのではないかなというふうに考えております。

 例えば、私の地元でこういう例がありました。ある事業者が、A登録支援機関から人材を派遣してというか、いただいていた。それが、有期雇用が終わって、そこの支援機関との関係が少し、これはどうなのかなという疑念を抱き始めたので、B支援機関からの受入れに変えたいということで、一応、有期の間は全部雇用をする、でも、その後は、日本人と同じように、こういう状況だけれどもどうかということを事前にお伝えした上で、向こうも、外国人の方も、特に雇用を延長するというような意思もなく、また、支援機関を通じて新しい事業所も紹介してもらって就労することができたということで、B支援機関からの受入れをすぐにできるだろうというふうに考えていたところ、実際には、ちょっと待ったということで今回ストップがかかって、これが、特定技能外国人に従事させる業務と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないことを求めるという項目にひっかかるのではないかということで、ストップがかかったということでございました。

 何が言いたいかと申しますと、外国人労働者とはいえ、その人格やその背景、また先ほどの登録支援機関の実態などもありますので、雇用する会社が全てを受入れということは、多少、今後の法改正をするときに見直していただくことができないかと。雇用する際には、社会保険、給与、待遇など日本人に合わせるということはもちろんですけれども、であれば、同様に、日本人同様、雇用する基準もできるだけそれに即したものにしてほしいというような要望も上がっております。また、中には、今回転籍を認めるということであれば、その分を少しでも多く採用をしておいて、転籍をするということを見越して採用をしておきたいという企業もあります。

 このような雇用側からの要望ということについて、どのようにお考えになるか、お答えいただけたらと思います。お願いいたします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会での提出を目指している育成就労制度、今まだ法案の準備中でございますので、今お尋ねいただいた部分については、細かい運用の部分も含めた、いろいろ検討課題として認識いたします。

 これまでの特定技能の運用状況も踏まえ、またいろいろな関係者の方の声を聞きながら、まずは法案を出させていただいて、成立後の運用、制定に向けて、いろいろ関係者からお声を聞きながら、適切なものを作ってまいりたいと思います。

保岡分科員 ありがとうございました。

 今回の改正において、私は、外国人の方が、特に地方においては本当に切実な労働力不足なので、長く仕事をして、そこに暮らして、住んでいただくことが非常に大事になってくるのかなというふうに思っております。そのためには、やはり善良な外国人、そして善良な受入れ企業、そして善良な登録支援機関というのが大事になってくるというふうに思っております。

 よい外国人に住み続けていただくためには、やはり、受入れ企業は賃金アップなど環境整備をしっかりしていく、利益をちゃんと出していく、そして、それをきちんと管理組合はサポートしていくということで回していくことが肝要だというふうに思っておりますので、是非、そういう理想に近づけるような形で今回の制度がスタートしていっていただけたらありがたいなというふうに思うところでございます。

 また、今回の新制度移行への不安も多く聞かれております。新制度への移行は、受け入れる側、そして在日の技能実習生双方に、激変に支援が追いつかない状況にはならないように、是非、周知期間や準備期間を十分に設けた上で、技能実習生の目的を達することを主眼に置いた適切な移行措置及び期間を設けていただきたいというふうに思いますし、また、外国人材に選ばれる国になるためには、是非、日本語要件の引上げなども慎重に協議をしていただきたいというふうに思っております。具体的には、入口は現状に即して要件を設けて、定期的にチェックしていくような仕組みの方が私はいいのではないかというふうに考えております。

 続きまして、共同親権について伺いたいというふうに思います。

 今回の民法改正によって、両親が離婚後の共同親権が認められるというふうに伺っています。離婚後の子の最善の利益を整えることが大事だというふうに思っておりますが、今回、単独親権が離婚後に認められる場合において、象徴的なのがDVの問題だというふうに考えております。DVからの避難が必要な場合もあれば、虚偽のDVによる実子連れ去りといった問題も今顕在化をしております。

 このDVの認定というのはセンシティブな問題ではあるかというふうには思いますが、とりわけ離婚時のDVの認定の判断というのはどのような基準でなされるのか。また、アメリカなどでは離婚時のスクリーニングが一般的に行われているという事例もあるというふうに聞いておりますが、日本において導入などの検討がなされているのか、見解をお示しください。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 子の利益を確保するためには、父母双方が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが望ましいと考えております。

 他方で、離婚に関する裁判手続では、DV等の有無が適切に審査されることが重要になってまいります。

 家族法制の見直しに関する要綱では、裁判所が、子の利益を考慮して、父母の双方又は一方を親権者と定めることとされており、その場合に、父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず父母の一方を親権者と定めなければならないこととされ、これに該当する場合の例としまして、虐待等のおそれがあると認められるときと、DV被害を受けるおそれ等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときが挙げられております。

 この民法改正がされた際には、裁判所において、改正後の規定の趣旨に従いまして、当事者双方の主張と証拠に基づき適切な判断がされるものと認識をしております。

保岡分科員 ありがとうございます。

 いろいろな諸外国の例も是非参考にされて進めていただければと思います。

 私は、仮にDVというのがその当時起こっていたとしても、それは、DVを与える側、加害者の方にも問題がありますし、また、受ける側に、問題があるとは言えないんですけれども、やはりそういう性質というかキャラクターというか傾向もあるのではないかというふうにも思っています。昔で言うと、いわゆるダメンズウォーカー的な、そういうような性質を持った女性というのはいる。その場合には、やはり、次におつき合いをする男性がまた同じような暴力的思考を持っている男性であれば、より子供は危険にさらされるというような現状もあるかというふうに思っております。

 是非、様々な観点から、子供にとっての最善とは何かということで、DVのスクリーニング等もお考えいただけたらありがたく存じます。

 次に、今回の法改正が、養育費の未払い問題や、先ほども質問にもありましたけれども、子供にとっての最善の面会交流の実施など、現状の課題を抱えている、離婚をされた御両親、また子供たちへもこれが適用されるということで、関心が大いに高まっているというふうに承知をしております。

 今申し上げたような観点において、子供にとって最良の環境整備に今回の法改正がどのように寄与するのか、今の当事者の皆さんに分かりやすいメッセージとしてお伝えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 まず、養育費でございますが、養育費の履行確保は、子供の健やかな成長のために大変重要な課題であると認識をしております。しかし、現状では、養育費の取決め率も受領率も低調な状態になっております。

 そこで、家族法制の見直しに関する要綱では、養育費等の債権に先取特権を付与するとともに、父母が養育費の定めをすることなく離婚をした場合であっても一定額の金銭を請求することができる法定養育費に関する規定を新設することとされ、養育費の履行を確保することとされておるところでございます。

 また、要綱では、民事執行の申立てへの負担を軽減する規定や、家庭裁判所の手続における収入情報の開示命令に関する規定を新設することとされ、裁判手続の利便性向上を図ることとされております。

 また、親子交流に関しましては、父母の別居後や離婚後も適切な形で親子の交流の継続が図られることは、やはり子の利益の観点から重要であると考えております。また、親子交流の実施に当たりましては、その安全、安心を確保することも重要なことになってまいります。

 こうした観点から、家族法制の見直しに関する要綱では、婚姻中の父母の別居時における親子交流に関する規定や、家庭裁判所が、当事者に対し親子交流の試行的実施を促すための規定、あるいは、父母以外の親族と子との交流に関する規定を設けることとされております。

 法務省といたしましては、こうした要綱の内容を踏まえ、今国会に所要の法律案を提出したいと考えておるところでございます。

保岡分科員 ありがとうございました。

 続きまして、両親離婚後の子の最善の利益の整備には、先ほど来、裁判所、裁判所という言葉がたくさん出てまいりましたけれども、裁判所の関わりというのが非常に大事になってくるというふうに感じております。もちろん、職員、人材確保など予算的な措置もこれからは必要になってくるというふうに思いますが、見解をお示しください。

染谷最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 家族法の改正につきましては、先日、法制審議会の答申が行われたというふうに承知をしておりまして、法案提出前の現段階におきまして裁判所として確たることを申し上げるというのは困難ではございますが、そのような家族法の改正が行われましたら、裁判所に期待される役割というのがこれまで以上に大きくなるというのは委員御指摘のとおりであるというふうに考えております。

 最高裁といたしましては、これまでも、適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために、必要な人的、物的体制の整備及びこれに必要な予算の確保に努めてきたところでございます。委員御指摘の法改正があった場合におきましても、裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、引き続き、必要な体制の整備及び予算の確保にも努めてまいりたいと考えております。

保岡分科員 ありがとうございました。

 是非、丁寧かつ迅速な対応、そして、今回は非常に案件も多く、ストレスもかかってくることも多くあると思いますので、人材確保なども、人員確保なども含めて力を入れていっていただければというふうに思います。

 次に、更生保護について質問させていただきます。

 私も、田中先生始め、再犯防止議員連盟のメンバーの一員でもございます。一番最初に国会で質問したのも、このことを取り上げさせていただきました。総務委員会で、地方公共団体への支援を是非お願いしたいということで質問させていただきました。また、保護司の会長は谷垣先生でもございます。谷垣先生にもいつも大変御指導賜っておりますし、この両先生への敬意も込めて質問させていただければというふうに思います。

 まず最初の質問ですが、地方公共団体の策定する地方再犯防止推進計画の策定状況、これは、都道府県は全て、四十七都道府県完了しているというふうに伺っておりますけれども、基礎自治体においてはここ三年間でどのような推移でいるかということをお示しください。あわせて、地方再犯防止推進計画の策定に向けた国による地方公共団体への働きかけについてお示しください。お願いいたします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、都道府県につきましては、令和四年一月までに全ての都道府県において地方再犯防止推進計画を策定いただいたところでございます。また、特別区を含む市区町村では、令和三年四月時点で百四十六団体、令和四年四月時点で三百二十四団体、令和五年四月時点で五百二十五団体で計画を策定いただいておりまして、その数は着実に増加しているところでございます。

 法務省といたしましては、地方公共団体における計画策定に向けて、地方公共団体との協議会においての計画策定の働きかけ、地方再犯防止推進計画策定の手引きの作成、配付、保護観察所による相談対応、助言などを行ってきたところでございます。引き続き、未策定の地方公共団体に対しては、地方再犯防止推進計画の策定に向けた働きかけを行ってまいりたいと考えております。

保岡分科員 ありがとうございます。

 犯罪を犯した方が社会に戻るといったときの社会は、私は基礎自治体にあるというふうに思っております。是非、今後とも支援を強化していただければというふうに思います。

 また、地元に戻ると、保護司の仕事に大きな誇りとやりがいを持って献身的にその任を全うされていらっしゃる保護司の方々に、いつも私は感銘を受けております。ただ、その保護司の活動のほとんどはボランティアで、そのような状況を鑑み、昨今、実費弁済金制度も少しずつは改善はされているというふうに伺っておりますが、やはり年間九万円程度の実費弁済で、その活動の多くはいまだ保護司の持ち出し分というふうに伺っております。

 保護司適任者を確保するために、保護司による費用の持ち出しがないよう、経済的な負担を軽減する必要がまだまだ私はあるというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。見解をお示しください。お願いいたします。

押切政府参考人 お答え申し上げます。

 保護司の経済的負担の軽減は、保護司適任者を確保する上で重要であると考えております。

 委員御承知のとおり、保護司法では、保護司には給与を支給せず、その職務を行うために要する費用の実費弁償を行うこととされており、これまで、保護司の活動の実情を踏まえ、保護司実費弁償金の充実に努めてまいったところです。

 令和六年度予算案におきましても、可能な限り、保護司の方々の御負担が生じないよう、関係機関等との連携活動経費の充実が図られたほか、保護司による元保護観察対象者等への相談対応、援助に要する経費や、面接場所の借料が新たに盛り込まれたところでございます。

 法務省として、引き続き、保護司の経済的負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。

保岡分科員 ありがとうございます。

 次も、現場の保護司さんから伺った話でございます。

 これは質問ではなくて、時間もありませんので、提案というか提言というふうにさせていただければというふうに思います。恐らく回答は否ということであると思いますので。

 今、保護司の方が大分高齢化をされています。そして、若者のなり手不足というところもございます。一方で、協力雇用主というような制度もあるというふうに伺っております。

 例えば、私が聞いた例であれば、保護司である会社の会長さんが、自分たちの建設業が協力雇用主として犯罪を犯した人を雇う、入れる。ただ、やはりなかなか定着というのは本当に難しくて、これは自分だからここまで粘り強くできるけれども、普通の協力雇用主だとなかなか大変だろうというふうにおっしゃっていました。実際に、我が県でも、離職率、犯罪を犯した方が協力雇用主の会社に就職をして、そこで離職をするというのは非常に高い数字になっております。

 そこで提案なんですけれども、今の会長のように、保護司であり協力雇用主でありみたいな、法人の保護司みたいな制度というのができないものかなというふうに提案をさせていただきたいというふうに思います。そうすれば、より、保護司の経験もありますし、犯罪を犯した方が仕事を定着して社会に戻る非常に大事なきっかけをつくっていただくことにもなります。そして、実際に、その会社は息子さんに継がせているんですけれども、息子さんもその状況をずっと見てきていますので、その方も保護司になって、同じようにまた次の時代においても受入れをするというようなことが可能な状況になっております。

 是非、このような好事例を捉えて、少しでも制度化につなげていっていただければありがたいなというふうに思います。これは提言です。

 最後に、本日質問をしました入管行政、民法の家族法制、更生保護や、加えて犯罪被害者支援など、今後、法務行政の諸施策は、法の支配を実現するため国家インフラの整備とも考えられるが、その予算の獲得というのが非常に重要だというふうに考えております。また、ハードルも非常に高い分野だというふうに思っております。ここは大臣に最後に質問させていただきたいと思います。

 その点について、大臣の意気込み、御決意などがありましたら、是非お聞かせいただければと思います。お願いします。

小泉国務大臣 今日委員から御質問いただきました入管行政、新しい展開です。また、民法の家族法制、これも本当に大きな改正だと思います。裁判所の力もかりますけれども、法務行政がまた新しい展開に向かっていきます。さらに、更生保護、今御指摘ありました被害者等の支援。

 法務行政は裾野が急速に広がっておりまして、御指摘のとおり、予算面の手当てが非常に重要な鍵を握るところに来ていると思います。衆参の法務委員会でも、超党派で多くの委員の方々が予算獲得に向けてお力をいただいておりますけれども、今日そういう御指摘をいただきましたので、心強い限りでございます。是非、先生からもお力をいただきながら、全力を尽くして予算獲得に努めたいと思います。

 幸い、来年度の一般会計予算では二百十六億円の増額を認められておりますけれども、まだまだ越えなきゃいけない山は高くありますので、是非お力をいただきたいと思います。私も全力を尽くしたいと思います。

保岡分科員 ありがとうございました。力強い御答弁、本当にありがとうございます。

 委員長が財務省に討ち入りをされる際には、私も露払いぐらいは精いっぱいさせていただきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 今日は本当にありがとうございました。

牧原主査 これにて保岡宏武君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田はるみさん。

吉田(は)分科員 立憲民主党・無所属の吉田はるみです。

 今日は、小泉大臣始め委員長、そして法務省の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 午前中最後の質疑ということで、皆様、お疲れさまでございます。今日は、選択的夫婦別姓に関しまして、この三十分のお時間をいただきまして質問させていただきたいと思います。

 まず、大臣も御存じだと思うんですけれども、三月八日に東京と札幌の地方裁判所に、選択的夫婦別姓が認められないのは違憲ではないか、憲法に反するということで、東京そして北海道、長野に住む事実婚のカップル五組と御夫妻一組の合わせて十二人で提訴されます。

 大臣、三月八日という意味合いというのは御存じですか。なぜこの日に訴訟が出されるかというところなんですけれども、三月八日に予定されています。このニュースは御存じでいらっしゃいますか。この訴状が出されるということは御存じでいらっしゃいますか。

小泉国務大臣 そういう動きがあることは聞いております。三月八日、どうしたか、そこはちょっと、済みません、答えられない。

吉田(は)分科員 法務大臣、実は訴状を出された皆さんには、この日というのはすごく大事なんですよ。というのは、三月八日は国際女性デーになりまして、この日に、やはりジェンダー不平等な日本の中で、そこに思いを乗せてこの日を選ばれたということですので、是非、御理解いただければと存じます。

 では、選択的夫婦別姓なんですけれども、仮に訴状が出されても、地裁から高裁、最高裁まで行くということになれば、また三年、四年という時間がかかってしまうわけなんです。でも、大臣もニュースなどを見られていて感じていらっしゃるんじゃないかなと思うんですが、すごい世論が高まってきています、選択的夫婦別姓の実現に関して。

 そこで、ちょっと、大臣が二〇二一年の総選挙の際に書かれたアンケートで、選択的夫婦別姓に関して、これはNHKのアンケートなんですけれども、その際、小泉大臣は、選択的夫婦別姓、どちらかというと賛成というふうに答えていらっしゃるんですけれども、今もそのお立場ということで変わりはございませんでしょうか。

小泉国務大臣 その時点で個人的な意見として申し上げました。今は法務大臣ですので、私の立場で自分の個人的な賛否を申し上げるのは適切ではないと思います。

吉田(は)分科員 大臣として言うのは確かに、内閣の一員でいらっしゃるので、内閣の方針にというところはおありだと思うんですけれども、一議員としては小泉大臣もお持ちだと思います。これ以上は聞きませんけれども、是非、そのときを私は御期待申し上げているという点を申し上げたいと思います。

 では、選択的夫婦別姓に賛成の方、そして反対の方といらっしゃるわけなんですけれども、反対の方がいつもこの点を持ち出されるんですけれども、夫婦同姓は日本の伝統だというふうにおっしゃる、この点を指摘される方もいるんですけれども、ちょっと法務省の方から、時系列で簡単に日本の氏に関する経緯を教えていただけますか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 江戸時代におきましては、一般に、農民、町民には氏の使用は許されておらず、当時の呼称でございますが、平民に氏の使用が許されたのは明治三年の太政官布告によるものであると承知をしております。

 その後、明治八年の太政官布告により氏の使用が義務化をされまして、妻の氏については、明治九年の太政官指令により実家の氏を用いることとされております。

 しかし、妻が夫の氏を称することが慣習化していったと言われておりまして、明治三十一年に施行された民法において、夫婦が同じ氏を称するという夫婦同氏制度が導入されたものであります。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 そもそも明治になってからであって、かつ、同姓にするようにということになったのは明治三十一年ということで、これは遡ってみると、百二十六年の歴史であるということなんですね。日本の長い歴史の中で、同姓になったのは明治三十一年からということで、私は、この点だけを取って日本の伝統だというのは無理があるんではないかなというふうに感じます。

 そして、もう一つ、反対の方が、夫婦別姓を導入すると家族の一体感が失われる、家族が壊れてしまうというふうにおっしゃる方もいらっしゃいます。そして、戸籍ですね。今、日本には戸籍制度というのがあるんだ、この戸籍も壊れてしまう、これは戸籍上も問題があるというふうに御指摘される方もいるんです。

 これは、私、ちょうど一年前になりますね、当時の齋藤法務大臣に伺いました。戸籍は壊れますかということを伺ったら、当時の齋藤法務大臣は、それは戸籍に大きな問題は生じない、つまり、戸籍は壊れないというふうに明確に答弁いただいておりますし、家族が壊れるかというところでは、当時の少子化担当大臣の小倉將信議員にも伺いまして、当時の小倉大臣は、一般的にそういうことはないです、つまり、家族はそれによって壊れることはないというふうに御答弁いただいているんですが、改めて、小泉大臣にお伺いしたいと思います。

 選択的夫婦別姓を導入すると家族は壊れると思いますか。そして、戸籍は壊れると思いますでしょうか。

小泉国務大臣 まず、戸籍について申し上げますと、日本国の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿であり、仮に選択的夫婦別氏制度が導入された場合であっても、その機能や重要性は変わるものではなく、そのことによって大きな問題が生ずることはないと考えております。

 家族が壊れるかどうか、これは、こども家庭庁でまず御判断いただくべきことだと思います。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 まず、戸籍上は問題ないと。家族が壊れるかというところでは、こども家庭庁というお言葉だったんですけれども、小泉大臣のお考えも伺いたかったなと思います。

 また、家族に関して一言私の考えを述べさせていただければ、家族というものは、多分、その家族が決めることなのではないかなと思うんです、家族の在り方。それぞれ様々な家族の形があると思うんですね。そこをちょっと私は一言触れさせていただきたいと思います。

 では、世論の高まりというところで、ちょっといろいろな側面から見ていきたいと思います。

 これも、ちょうど一年前に質問をしました。地方自治体からの意見書というのが法務省に提出されています。それぞれ、選択的夫婦別姓に賛成してくださいという意見書、また、賛否というより、まずこれをちゃんと議論してくださいという意見書、また、反対という意見書、それから、旧姓使用を進めてくれという意見書、こういった意見書があると認識しておりますけれども、一年前からちょっと増えたのかどうか知りたいと思います。法務省、教えてください。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年四月一日から本日までに地方自治体の議会から法務省に提出された意見書のうち、選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見書が百五十三件、選択的夫婦別氏制度の導入について議論することを求める意見書が百七十五件、選択的夫婦別氏制度の法制化に反対する意見書が六件、旧姓の通称使用の拡充を求める意見書が十九件でございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 増えましたね。選択的夫婦別姓の導入を求める意見書は八件増えました。そして、議論してくださいは十三件増えました。反対の意見書は増えていません。一年前から増えていません。そして、旧姓使用は二件増えたということで、もう二十以上の自治体が新たにこういった意見書を提出しているという状況です。

 小泉大臣、実は、この意見書を出した自治体の人口を合わせると、全国の六割以上をカバーしていると言われているんです。ということは、日本国民の六割以上の自治体からこういう声が上がっているということを是非御認識いただきたいんです。

 今のはちょっと自治体からの世論の上がりだったんですけれども、今度はこちらのパネルを御覧ください。大臣のお手元にもあるでしょうか。

 これは、選択的夫婦別姓を求める人がどれぐらいいるかということで示されたアンケートなんですけれども、人数からいくと、過去最大の人数に聞かれています。選択的夫婦別姓、賛成あるいはやや賛成を合わせると、既に八三・九%の方々が選択的夫婦別姓を求めるという世論が高まっています。

 この数字にも表れていますけれども、この二月に入ってすごい動きがあります。まず、メディアの方が連日報道しています。

 本年二月二十三日は、TBSのニュース23で、夫婦同姓しか選べないのは日本だけ、夫婦別姓求め十二人が提訴、先ほど大臣にお伺いした件です。それから、日テレでも、翌日の二月二十四日、子供はかわいそうじゃない、別姓夫婦の子供の声と、選択的夫婦別姓実現を求める家族の思いという形で特集が放映されている現状です。

 それに加えまして、これも皆様、もうニュースなどで繰り返し報道されていますので、ああ、知っているということだと思うんですけれども、経済界からかなり強い御要望が出ています。

 経団連の十倉雅和会長も、本年二月の記者会見で、選択的夫婦別姓制度をやるべきだと思っていますと明確に答えていらっしゃるんです。これは、私は、本当に真剣に取っていただきたい。この十倉会長が言った、政府として、女性の働き方改革をサポートする一丁目一番地として進めてほしいと思う、ここまで言い切っていらっしゃいます。

 これは経済界だけではありません。労働組合の中央組織である連合の芳野友子会長も度々インタビューで、ジェンダー平等や選択的夫婦別姓の実現など、一人一人の人権を尊重する政策を前面に出してほしいというふうに発言されています。

 岸田内閣の一つの重要なミッションは賃上げだと思うんですね。賃上げ、そして待遇改善を図っていく上で、政労使間での連携というのはとても大事だと思うんですけれども、選択的夫婦別姓に関しては、労使の方は、これだけ明確な言葉を発し、要望を発し、かつ政治に対して望んでいます。それも働き方の方から言っているわけなんですけれども、大臣、これらの世論の高まりを受けて、大臣としてどのように考えていらっしゃるか。具体的にアクションを何か取る御計画があれば、是非伺いたいと思います。

小泉国務大臣 確かに、国民の各界各層において、地方も含めて、この問題に対する関心が増加しつつあるということは間違いのないことでありまして、私も、この職責にいる立場上、それはひしひしと感ずるものはあります。

 ただ、これまでの経緯、先生御存じのとおり様々な議論があって、なかなか政治の中でうまくそれが進めなくなってしまった過去の経緯、あるいは、国民のアンケート調査を取ると、やはりお一人お一人はいろいろな意見にまだ分かれているという現状、そういったものもありますので、一足飛びに結論にはなかなかたどり着けない状況だろうなとは思いますが、そういう御議論を幅広く我々はよく注視をして、そしてそこにある真意をもっと奥深く洞察もして、法務省としては、国民のコンセンサスというか理解、大きな理解、そういったものを見極めていきたいなというふうに思っています。

吉田(は)分科員 大臣、ありがとうございます。

 是非、その姿勢を、実は私、共同親権にも持っていただきたいと思うんです。

 選択的夫婦別姓には、これだけ、この次に法務省に伺いますけれども、二十八年間、答申が出てからたなざらしの状況です。相当議論は熟している、かつ、世の中から、世論が、この選択的夫婦別姓を求める声が上がっているわけです。に対して、今、共同親権、先ほどから質問があるんですけれども、これは一体議論が尽くされているんだろうか。私は、ちょっと疑問を持っているんですね。

 まず、法務省に伺います。

 選択的夫婦別姓の議員立法の提出、それから内閣提出の法案提出状況、法制審議会が立ち上がった年、法制審議会から答申が出た時期、それぞれ、選択的夫婦別姓そして共同親権について教えてください。

竹内政府参考人 まず、法案の件数の方でございますが、議員提出法案につきましては、衆参各議院に提出されるものでありますので、法務省において正確にお答えすることは困難ではございますが、確認することができるものといたしまして、平成九年の第百四十回国会から本国会までに提出された議員提出法案で、選択的夫婦別氏制度の導入を内容とするものは、平成九年から平成十三年までの間は毎年一件から四件、平成十五年から平成十八年までの間は毎年一件又は二件、平成二十年、二十一年、二十七年及び平成二十八年に各一件、平成三十年に二件、令和四年に一件の合計二十五件と承知をしております。

 他方、内閣提出法案の方でございますが、法務省は、平成八年及び平成二十二年に、法制審議会の答申を踏まえまして、選択的夫婦別氏制度の導入を内容とする法案を準備しましたものの、いずれも提出までには至らなかったものでございます。したがいまして、内閣提出法案で選択的夫婦別氏制度の導入を内容とするものは、これまで国会に提出されたことがないと承知をしております。

 法制審議会の時期でございますが、まず、父母の離婚後の子の養育の在り方、いわゆる共同親権の問題ですが、この見直しに関する法制審議会でございますが、法務大臣から諮問がされたのが令和三年二月、家族法制部会で調査審議が開始されたのが令和三年の三月でございます。

 答申の方でございますが、家族法制の見直しに関する要綱案が取りまとめられましたのが令和六年の一月、その後、法制審議会の総会においてその要綱が採択されて、法務大臣に答申されましたのが令和六年の二月でございます。

 夫婦同氏制度の見直しを含む婚姻及び離婚法制の見直しの方につきましては、法務大臣から法制審議会に対して包括的な諮問がされましたのが昭和二十九年の七月……(吉田(は)分科員「最初と最後だけでいいです」と呼ぶ)

吉田(は)分科員 最初と最後の方で、選択的夫婦別姓の方に関しては教えてください。済みません、長くなりそうなので。

竹内政府参考人 選択的夫婦別氏の審議会につきましては、民法部会で調査審議が開始されましたのが平成三年の一月、答申がされましたのが平成八年二月でございます。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 済みません。詳しくおっしゃっていただいて、ありがとうございます。

 今、事前にもレクをいただいているんですけれども、要は、選択的夫婦別姓は、一九九六年に答申が出されて、法案が作成されてからもう二十八年がたつ。一方で、共同親権は議論開始からまだ三年というところですかね。もし間違っていたら、御指摘いただきたいんですけれども。

 これだけ、本当に民法に関わるところで、まさに慎重にならなければいけないところなんです。片方では、すごく何か慎重にといって長年たなざらし、世論も高まっている、経済界、労働界、そして民間からも声がわあっと出ている状況なのに、進まない。私、これはちょっとおかしいと思います。

 これも、私、昨日ざっと調べてみました。新聞各紙の社説です。これは、共同親権に対して、子の利益を最優先に考えて慎重にあるべきだという論調、DV、虐待、加害者、この問題点はまだ残っているよという社説を書いた新聞社というのは、実は大手五紙全部です。

 読売新聞は二四年の二月二十二、東京新聞、二月二十日、そして日経、二月十七、毎日新聞、二月五日、朝日、二月二日、大手五紙、まさにこういう論調で社説を書いています。求める声というのはどこにあるんだろうと私なんかは逆に思ってしまうんですね。

 これを考えたとき、やはり今、私の理解では、共同親権の方が何か先に提出されるんじゃないか、選択的夫婦別姓のこれだけ求める声があり、かつ、長年議論されているのに、何でこれが後回しになっているんだという声があるんですが、大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 それは、概括的に申し上げますと、平成八年の答申を受けて、平成八年また平成二十二年に改正法案を準備したんですよね。準備して、出す段取りを踏もうとする、踏み込みをしたんですが、当時の政権の中で、それぞれの政権の中で合意が得られなかった、政治的にそれが通らなかった、そういう過去の経緯が本件についてはございます。かつ、国民の意見がまだ割れているということ、そのことが大きく影響していると思います。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 国民の意見が割れているということである、共同親権もそうだと思います。大臣、その世論調査がないかなと思っていろいろ探してみたんですけれども、共同親権に対して賛成か反対かを問うような世論調査はなされていないんですよ、ずばり聞くところ。むしろ、あるなら見せていただきたいと思うんですけれども。こういう状態で、私は、やはりちょっとここは納得できないなというふうに思います。

 私がちょっと感じているのは、例えば、名前を変える、改姓をするのは九五%が女性です、今現在、令和四年の調査だったと思うんですけれども。女性の改姓しなければいけない大きな負担があるときに、別姓も選択でやれるようにしようと。みんなやれと言っているのではなくて、同姓を望む方はどうぞ同姓で、そして、選択して別姓にしようという方は別姓にしよう、こういう意向であるわけなんですけれども、この九五%の女性の皆さんに選択の自由を保障するというのはなぜ問題なんだろう。同姓でいたい方の権利は全く侵害していません。なのに、これを止められるというのはどうしても納得がいかない。

 翻って、共同親権に関しては、親権の、やはりこちらも九四%が女性なんです。その九四%の女性が親権を持っている、それは様々な理由があると思うんですけれども、今度、この女性の九四%から、その親権に関して何だか疑問符をつけられ、その権利が奪われていくような、そんな不安を持つ方もいらっしゃる一方で、本当に、ジェンダー平等、女性の権利というところを私は真剣に考えていただきたい。やはり司法をつかさどる法務省ですから、人権に関しては、是非敏感でいていただきたいなと思うんです。

 済みません、たくさん準備してきたんですけれども、ちょっと時間がありませんので、最後の経済的損失というところにお話を進めたいと思います。

 もう一つ、パネルを御覧ください。

 選択的夫婦別姓、これは女性活躍の一丁目一番地だと経団連の十倉会長がおっしゃいました。

 この図はボストンコンサルティンググループが出した女性活躍に関する日本への提言というところなんですけれども、大臣、これを御覧くださいませ。

 これはEBITDAという利益を示すものなんですけれども、そして、リターン・オン・エクイティー、リターン・オン・アセット、こういう経済的指標があるんですけれども、これは全部、一番グラフが高くなっているのは女性役員の割合が二〇%以上の企業です。これは、つまり、女性役員が増えているところの方が経済的利益も確実に生み出しているということなんですよ、本当に。

 遡って考えると、女性役員三〇%というのを、本当は二〇二〇年までにという政府目標だったんですけれども、今、二〇三〇年に後ろ倒しになってしまいました。これも私は大変悔しい思いをしているんですが、こういう経済的効果もあり、働く女性、プロフェッショナルな女性にとってみると、旧姓の併用では、海外に行ったときに、パスポートの併記も、これは困るんですよ。これは世界では日本だけ、法律で別姓を選べないのは日本だけという状況で、非常に女性活躍を阻んでいるんですね、夫婦同姓ということは。みんな変えろと言っているんじゃないんです。そういう意味で、これは、大臣、どう考えられますか。

 ちなみに、この経済的損失に関して私は本当に強調したいので、大臣の所感を伺いたいのと、あと、法務省内でもプロフェッショナルな女性といったら、女性検察官の方もいらっしゃると思いますし、女性の弁護士さん、裁判官もいらっしゃると思います。お声を聞いたことはございますか、この選択的夫婦別姓に関して、大臣。

小泉国務大臣 この統計資料は初めて拝見しましたが、取締役に女性が入っていると明らかに倒産率が低いという有名な統計がございました。もう五年、十年ぐらい前ですかね、そういう経済効果というものを、女性の持つ強い経済効果、それは事実だと思います。

 その女性の方々から、婚姻前の姓が使えないことによって支障がある、経済活動に支障があるというお声があります。それは十分配慮しなければいけないと思います。制度論においてもそうでありますし、旧姓使用の拡大という現実的なところにおいてもそれは当てはまるというふうに思います。

 法務省の中の女性の方々の意見、これは、私自身はまだ伺っていません。そういう機会を、努力したいと思います。

吉田(は)分科員 大臣、是非聞いていただけたらと思います。法務省の中にも、本当にそうしたプロとして仕事をされていらっしゃる女性の皆さんはいっぱいいらっしゃると思いますので、是非広く声を聞いていただきたいと思います。

 最後に、やはり、こういう経済指標だけではありません。今まさに岸田総理が進めている貯蓄から投資へ。この投資のところでは、もう今、インデックスとしてジェンダーインデックスがあります。ESG投資。この中にもジェンダーの視点が入っていないと投資をしないということになっていて、全体のこういったファンドの投資の二五%まで伸びているんです。でも、日本はまだ数%です。これは、言ってみれば、何か悲しい話ばかりになると嫌なんですけれども、悲しくないんです、まだまだ日本には伸び代があるということなんです。ここをどう引き出していくか。これが、経済成長、日本の経済を再生していく上で本当に重要なところになるので、そのまず第一歩として選択的夫婦別姓、大臣、是非進めていただきたいんですね。

 これは、最後に御要望を申し上げて、大臣のお考えを伺いたいんですが、この選択的夫婦別姓を求める提案書というものを、今、岸田総理の方にNPO法人の「あすには」の皆さんが持っていきたいというふうにおっしゃっています。総理が決めることではあると思うんですけれども、所管の法務大臣として小泉大臣の方からも、今日こういう質問があった、岸田総理、これも重要な点だからちょっと考えてみてくれないかとおっしゃっていただけないでしょうか。

小泉国務大臣 今、総理と個人的な、個人的なというんですか、個別の問題についてゆっくりお話しする時間は取れませんので、心がけておきたいと思います。重要な問題だということはよく認識しております。そういう機会があれば、お話はしたいと思います。

吉田(は)分科員 ありがとうございます。

 もし岸田総理が会ってくれたら、ああ、もう小泉大臣はおっしゃってくださったんだなというふうに思いたいと思います。

 最後に、ちょっと厳しいことを申し上げます。

 こういう動き、自民党が抵抗勢力だと見られないように、是非一緒にこれを進めましょう。もう時代が本当に要請しています。そして、こういう、今まさに、岸田総理は所信演説で、経済、経済、経済とおっしゃいました。とても大事な点だと思いますので、この時代の流れをつかみ取る、これも岸田総理が所信の演説でおっしゃったことです。これを是非、選択的夫婦別姓で共に進めていけるように、協力するその姿を国民の皆さんは待っていらっしゃるのではないかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

牧原主査 これにて吉田はるみさんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会所管の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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