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第1号 令和2年2月25日(火曜日)

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本分科会は令和二年二月二十日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      井野 俊郎君    伊藤 達也君

      鬼木  誠君    河村 建夫君

      川内 博史君    宮本  徹君

二月二十一日

 井野俊郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和二年二月二十五日(火曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 井野 俊郎君

      伊藤 達也君    上杉謙太郎君

      鬼木  誠君    河村 建夫君

      小寺 裕雄君    鈴木 貴子君

      古田 圭一君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    山田 賢司君

      川内 博史君    菅  直人君

      源馬謙太郎君    中谷 一馬君

      西岡 秀子君    日吉 雄太君

      宮本  徹君

   兼務 杉田 水脈君 兼務 務台 俊介君

   兼務 階   猛君 兼務 寺田  学君

   兼務 山崎  誠君 兼務 伊佐 進一君

   兼務 竹内  譲君 兼務 古屋 範子君

   兼務 藤田 文武君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   復興副大臣        菅家 一郎君

   文部科学副大臣      亀岡 偉民君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   財務大臣政務官      宮島 喜文君

   文部科学大臣政務官   佐々木さやか君

   文部科学大臣政務官    青山 周平君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総括審議官)           渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (内閣府日本学術会議事務局長)          福井 仁史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           増子  宏君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   山崎 雅男君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       菱山  豊君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            村田 善則君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            生川 浩史君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    瀧本  寛君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (文化庁次長)      今里  讓君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           野田  勝君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     山田 賢司君

  河村 建夫君     小田原 潔君

  川内 博史君     源馬謙太郎君

  宮本  徹君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     上杉謙太郎君

  山田 賢司君     伊藤 達也君

  源馬謙太郎君     川内 博史君

  本村 伸子君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     泉田 裕彦君

  川内 博史君     西岡 秀子君

  赤嶺 政賢君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     古田 圭一君

  西岡 秀子君     中谷 一馬君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     鈴木 貴子君

  中谷 一馬君     菅  直人君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     上野 宏史君

  菅  直人君     日吉 雄太君

同日

 辞任         補欠選任

  上野 宏史君     宮澤 博行君

  日吉 雄太君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     小寺 裕雄君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     河村 建夫君

同日

 第一分科員杉田水脈君、階猛君、第二分科員藤田文武君、第五分科員寺田学君、山崎誠君、伊佐進一君、竹内譲君、古屋範子君及び第七分科員務台俊介君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

井野主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました井野俊郎です。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算及び令和二年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。萩生田文部科学大臣。

萩生田国務大臣 おはようございます。

 令和二年度文部科学省関係予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 令和二年度予算案の編成に当たっては、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ、文化芸術関連施策を推進するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところです。

 文部科学省関係予算案は、一般会計五兆四千百五十二億円、エネルギー対策特別会計千八十六億円などとなっております。

 よろしく御審議くださいますようにお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

井野主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井野主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井野主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

井野主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。

山田(賢)分科員 おはようございます。私は、自由民主党の山田賢司でございます。

 萩生田大臣始め役所の皆さんにおかれましては、早朝より御出席をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、質疑に入らせていただきます。

 まず、昨年、大学入試の民間試験導入に当たってさまざまな議論がございました。実施直前まで課題を解消できなかったという点については問題ですが、他方、一旦決定したからといって、課題が解消されないまま強行するということは最悪であり、ひとまず導入を見送られたという大臣の御決断を私自身としては支持いたしております。

 その上で、よりよい試験制度にしていただくことは大変重要ですが、何より、受験生にとっては、いつからどうなるのか、とにかくはっきりしてくれというのが切実な声であります。どういう形になるにせよ、受験生の立場に立って対応を考えていただきたいと思います。

 その上で、まず、民間試験の導入を含め、入試英語の四技能の見直しは今後どうされる方針なのか、大臣、お聞かせいただけますでしょうか。

萩生田国務大臣 英語民間試験活用のための大学入試英語成績提供システムについては、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、ひとしく安心して受けられるようにするためにはさらなる時間が必要だとの判断から、来年度からの導入を見送り、延期したものです。

 現在、私のもとに設置した大学入試のあり方に関する検討会議において、新学習指導要領で初めて実施する入試となる令和六年度、二〇二四年度の実施の大学入試に向けて、入試と高等教育や大学教育との役割分担をどう考えるか、どこまでを入試で問うか、共通テストと各大学の個別入試との役割分担をどう考えるかなどについて検討を進めているところです。

 検討会議では、なるべく多くの関係者からの声を反映していくため、さまざまな方々からヒアリングを行いながら御議論をいただき、広く国民に受け入れられる提言をまとめていきたいと考えており、受験生が安心して受験できる仕組みについて、年内を目途にしっかり検討してまいりたいと思います。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 次に、大学入試になぜ英語が必要なのか、その理由について伺いたいと思います。

 本当に大学で英語を必要としているのか。一般教養として必要なのか、それとも、英語を使って調査、研究、発表、討議などをするためなのか。もし後者だとするならば、実際に入試に英語を課している大学・学部のどこまでがそれを実践しているのか。これは役所の方からお答えいただけますでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 大学入学者選抜におきまして、英語の試験に関してどのような英語の入試をするかというのは、各大学がそれぞれの教育目的に即して判断しております。すなわち、各大学は、それぞれの教育理念に基づきまして、生徒が高等学校段階までに身につけた力を大学において発展、向上させることを前提に、入学者受入れの方針に基づき、大学の入り口段階で入学者に求める能力を評価するということを行っているわけでございます。

 なお、大学入学後の英語教育の実施につきましては、例えば、広島大学では、学生の語学力向上に関する動機づけの一環として、新入生に対してTOEICなどの個人別到達期待値を設定いたしまして、卒業時までの半期ごとに到達状況を確認するなど、さまざまな取組が各大学で行われているものと承知しております。

山田(賢)分科員 どうもお答えを聞いていると、大学で英語が必要だというよりも、これぐらいの英語はできた方がいいというようなニュアンスで聞こえるんですけれども。

 次に進みます。

 もし本当に大学での学びに英語が必須であるとするならば、外国語の入試は一律英語に統一すべきであって、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語等、他の外国語を選択科目としているのはおかしいのではないかと思いますが、大臣、御所見をお聞かせいただけますでしょうか。

萩生田国務大臣 大学入試、入学の共通テストは、大学入学志願者を対象に、大学教育を受けるために必要な能力について把握することに加え、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを目的としております。

 高等学校における外国語教育については、英語に限定されるものではなく、他の外国語を指導する場合についても英語における目標及び内容等に準じて行うこととされており、大学入学者選抜において、英語以外の外国語を学習する生徒の学習成果を評価することも重要であると考えています。

 各大学の個別入試については、それぞれの入学者受入れの方針、アドミッションポリシーに基づいて出題教科・科目を設定しており、英語以外の外国語を選択できる大学もあると承知をしております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 確かに、さまざまな言語を学習するということは大事なんですが、今これだけ英語が重要だということを言われているんだけれども、他の言語でも受験ができるということはやや矛盾するのではないかなと思います。

 ところが、この試験の実績、平均点を見てみますと、英語の平均点に対して、大体、他の言語が二、三十点から、物によっては五十点ぐらい高いものがあります。本当に学習をした上での能力の差であればいいんですが、どうもこういった他言語を選択する方というのは、どちらかというと、そういった言語を母国語とされている方が多い等の要因もあるのではないかと思います。加えて、英語はヒアリングがあるのに対して、他の外国語では筆記のみであります。

 先般の英語四技能試験導入においても、他の言語では筆記のみであり、不公平ではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘いただきましたように、令和二年度センター試験におきまして、平均点は、二百点満点中、英語は百十六・三点、その他外国語については、英語の次に平均点の低いフランス語でも百三十八・四点となっております。一方で、この受験者数は、英語は約五十二万人に対して、英語の次に受験者数の多い中国語でも六百六十七人ということで、受験者数が大きく異なるということで、平均点を一律に比較するということは困難というふうになっております。

 大学入試センターでは、出題する教科、科目の問題作成過程におきまして、各科目の難易度についてもチェックする委員会を設けまして、各教科、科目に難易度において極端な得点差が生じないよう努力しているところでございます。

 また、他の外国語試験は四技能とせず、二技能を問う試験のままであり不公平ではないかという御質問でございますが、大学入試センター試験では、御案内のように、筆記とリスニング、その他外国語試験では筆記のみの試験となっております。

 高校において英語を履修する生徒は、四技能を総合的に扱うコミュニケーション英語1を必修科目として学んでおりまして、そうした意味で、リスニングを含めた四技能の教育が実施されております。

 他方、英語以外の外国語につきましては、学校設定科目としてそれぞれ高校で開設されているわけですけれども、開設されている高等学校が少ないため、受験者数の状況などを、さまざまな事情を勘案して、共通テスト、センター試験におきましてリスニング試験の導入がこれまで見送られてきたというものでございます。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 局長、ただいま英語と、低いものでフランス語とで比較をされましたけれども、中国語でいうと平均点は百六十七・四点ということで、五十点の差がついているということでございます。

 さて、次に、政府、文科省が目指す使える英語というのはどういうものを目指しておられるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 新しい学習指導要領の中で改めてお示しいたしましたように、目的や場面、状況に応じまして、英語で聞く、読む、話す、書くことを通じましてコミュニケーションを図る、相手と互いの考えなどを十分に伝え合う力を育てていくということが重要であると考えております。

 また、言語の背景にあります文化への理解を深め、他者に配慮しながら主体的にコミュニケーションを図ろうとする、そういった態度を育てていくということも重要な要素であると考えております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。大学入試に英語は本当に必要なのでしょうか。

 実は、私自身は、入試英語が日本人の英語力をだめにしているのではないかという疑念を持っております。義務的にやる受験英語に時間と労力を浪費するのではなく、むしろ、英語を使いたいと感じる機会をふやし、各自が学びたくなる教育体系にした方が、結果的に、使える英語が身につくのではないでしょうか。

 また、入試科目としての英語をなくすことで受験生の負担を軽減し、その分、国語や数学、科学、社会、教養についての深い学びに充てた方がよほど意味があるのではないかと思いますが、大学入試から英語を外してはいかがでしょうか。大臣の御見解をお聞かせください。

萩生田国務大臣 委員御指摘のとおり、発達段階に応じて、英語をツールとし、みずからの考えを述べ、コミュニケーションを豊かにしていく活動の機会をふやしていくことは非常に大切なことだと考えておりますが、日本の高校生の英語力は話す、書くに課題があり、今後ますますグローバル化が急速に進展する中、英語によるコミュニケーション能力の向上を図るためには英語四技能を総合的に育成することが重要と考えて求められており、大学入学者選抜においては、こうした学習の成果を適切に評価することが重要と考えております。

 英語以外の学習については、大学入学者選抜において出題される教科、科目にかかわらず、初等中等教育段階では各教科などをしっかり身につけていただくことが求められる、また、資質、能力をしっかりと育成していくことが大事だと思っています。

 山田先生の問題意識は、なるほどなと思う一面もございますが、やめるというのは、これまたちょっと大胆な提案じゃないかと思いますので。

 要は、中学校、今は小学校から始めていますけれども、学校英語を勉強して外形的な成績がかなりよくても、結局、コミュニケーションに全然使えていないじゃないかというのが今までの我々の反省でありますので、それをより活用ができる、そういう英語に変えていくためには、やはり受験も通じて変えていく必要があるのかというのが今議論の前提で始まったことなんです。

 いずれにしましても、この試験、延期をしましたので、そのあり方については、先ほど申し上げたような私のもとの検討会で、しっかりいろいろな角度から皆さんに議論を積み上げていただいて、よりよいものにしていきたいと思っております。

山田(賢)分科員 大臣、ありがとうございます。問題意識を共有していただけたかと思います。

 ところで、受験生に四技能を求めておるんですが、教える側は四技能を備えているのでしょうかという疑問があります。送り出す側の高校の英語教師も、受け入れる側の大学の教授陣も、果たして自分たちは四技能を備えているんだろうか、自分たちができない能力を受験生に求めているのではないかと思いますが、役所の方からお答えいただけますでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 高等学校学習指導要領におきましては、生徒が英語に触れる機会をふやすため、授業は英語で行うということを基本といたしております。このため、授業を英語で行うためには、指導者にも一定の英語力が求められております。高校の英語担当教員のうち、CEFR、B2以上、要するに英検準一級以上の資格を有しているという者は、平成三十年度の調査によりますと、約七割、六八・二%となっております。

 一方で、英語の教師には、自分が英語を使えるということではなく、生徒の英語によるコミュニケーション能力を伸ばす、授業におきます専門性が求められております。

 具体的に申し上げますと、文部科学省の調査によりますれば、生徒の英語力が高い地域におきましては、授業におけるICTの活用、ALT、外国語指導助手の活用、話すこと、書くことのパフォーマンステストの実施状況などが高いといった傾向が見られるところでございます。

 一方で、学年が上がるにつれまして、英語による授業の実施状況、パフォーマンステストの実施状況などが低下するといったデータも見られるところでございます。これについては、さまざまな要因が考えられるところでございますけれども、大学入試で四技能を評価しないことが高校の授業のあり方に影響を及ぼしているのではないかといったことも否定できない面があると考えております。

 こうしたことから、高等学校における英語の授業改善の取組を進めるだけでなく、高大接続改革の観点からも、大学入試における四技能の適切な評価、英語教育を含む大学教育の質の向上を推進していくことが重要と考えております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 今、高校の先生の英語能力についてはお答えいただいたんですが、大学の先生はどれぐらい英語ができるのかということは、あえて詰めないでおきますけれども。

 今、B2以上の方が七割とおっしゃいましたけれども、残り三割はB2以下なのか、それとも試験を受けていないのかという、ここもまだ疑問がありますけれども、ちまたでは、英語を話したりできない先生のために一生懸命研修をしようというふうなことも聞いておりますけれども、英語が話せない既存の英語の先生を今から研修してその方に授業をさせるのではなく、できる人を先生にすべきではないかと考えます。

 人数不足については、先ほどお話がありましたようなICTや、あるいはALTを始め、ネーティブの教員、海外の生徒との交流などに充てた方がより効果的ではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 英語教師には、教師自身が英語を使う能力を身につけていることだけでなく、生徒の英語力を高めるための指導力が求められます。このため、高い英語力を持つ教員であっても、指導力をより高めていくため、不断の研修や研さんが大切であると考えています。

 もっとも、今先生が申されたのは、ここに達していない先生の話なので、そこは確かにしっかり研修をする。じゃ、その時間があるんだったら、ALTなどを活用した方がいいんじゃないかというのは、一つの提案としては私は理解するんですが、多様な人材を英語教育に活用することは大変有意義であると考えておりますので、ネーティブスピーカーなどを海外から招聘して、希望する市町村等に配置するJET―ALTプログラムですとか、豊富な英語指導経験のある人材等が学校現場で活躍する特別免許状の制度や特別非常勤講師制度の活用促進などの取組を行っております。

 また、ICTを活用することで、例えば、その学校には非常にネーティブな先生がいないとしても、遠隔地のALT授業に子供たちが参加をしたり、海外の生徒と直接交流したりすることも、これからの授業を本物のコミュニケーションの場面とする上で大変有意義と考えておりまして、全国の多くの地域の学校でこうした実践が見られるようになりつつあります。

 なお、学校を取り巻く環境が大きく変わっていく中にあって、教師と生徒の信頼関係や、個に応じた指導といった我が国の学校教育が積み重ねてきた教師による実践教育は、引き続き生かしていくべきと考えます。このため、ICTを、教師を代替するためではなく、教師の指導力を高め、生徒の学びをより豊かにするために活用していくことが大切だと思っております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。ぜひそのようにしていただければと思います。

 次に、民間英語試験導入についてお聞きをしたいんですが、民間英語試験の導入に当たっては、過去問等の版権というのは、大学入試センター等、公の公共機関が共有して、誰でも自由に利活用できるようになっていたのでしょうか。お聞かせください。

伯井政府参考人 認定を受けていた民間英語試験実施団体が実施する試験の過去問等の著作権などの権利につきましては、大学入試センター等の公共機関は有しておりませんでした。

山田(賢)分科員 恐らくそうだろうなと思いましたけれども、現在のセンター試験の過去問と正解というのは、大学入試センターのホームページにも掲載されているように、誰でも自由に見ることができます。

 もし英語民間試験の版権をセンターが持っていないのであれば、受験対策をしようとすれば、当該民間業者の問題集を買い、当該民間業者の講座を受講しないと受験対策ができなくなってしまいます。それは、テスト業者にとっては莫大な利権となる一方で、一般の受験生にとって大変な負担になるのではないでしょうか。

伯井政府参考人 ただいま御指摘いただきましたように、受験生が民間検定試験の受験に向けて、民間事業者が出版する問題集を活用したり、あるいは講座を受講したりということは考えられるわけでございます。

 一方で、現行の高等学校学習指導要領におきましては、英語四技能を総合的に育成する指導を行うということとされております。

 学校の授業をきちんと受けて、家庭学習に継続的に取り組むということで、各民間試験に対応できる力をつけることも可能であり、そうした指導の充実に取り組むということが肝要であるというふうに考えております。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃったのは建前論だと思うんですけれども、英語を学んだ人は、最後、受験するときは、過去問を見たり問題の傾向を見たり、そういう形で、その点数の中で合否が判定されるわけですから、ぜひこの辺は解消していただきたい。今の制度であればただでダウンロードできるので、この点については、もし導入されるのであれば工夫をお願いしたいと思います。

 次に、民間英語試験を採用する大学というのは、点数評価のデータに利用料金は支払っているんでしょうか。支払うとすれば幾ら払っているのか、教えていただければ。

伯井政府参考人 民間英語試験を採用する大学ということでございますが、導入が延期された大学入学英語成績提供システムを活用する大学につきましては、大学入試センターに対し、成績提供の手数料を支払う予定となっておりました。

 なお、各大学の判断で英語の資格検定試験を活用する場合、受験生からその成績を提出させるということが通例でございますので、大学が民間事業者に手数料を支払うということはないと考えられます。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 私、この民間試験の導入というのは、本来、大学みずからが行うべき学生選考の手続、この問題作成とか採点の手間とコストを削減して、これを受験生に負担を負わせているのではないかという疑念を感じております。文科省としては、どのように考えられますでしょうか。

伯井政府参考人 そういう意味におきまして、大学入学英語成績提供システムというのは一旦導入を延期するということで、どういう方策があるのかというのを、今、冒頭大臣が申し上げましたように、検討しているというものでございます。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 そういう意味でも、見送っていただいて見直しをされるということで、私は支持したいと思います。

 続きまして、高等教育の無償化、これが四月から始まりますけれども、これについてお伺いをしたいと思います。

 貧しい世帯の子供であっても高等教育を受けられるという意義は大変重要であります。他方で、財源には限りがある中で、どんな分野でも無償とすべきではなくて、むしろ、国策として税金でもって支援する以上、国の重点分野に絞った方が納税者の理解を得られるのではないかと考えております。

 かつては、師範学校の例にあるように、優秀でも貧しい家庭の子弟を救済しつつ、将来の人材を育成する教育分野に優秀な人材を集めることができました。現代においては、例えば、AIや宇宙、医療、保育、介護といった、今後社会として人材をふやしていく必要がある分野に優秀な人材が集まるように、めり張りをつけて無償化することとしてはどうでしょうか。

 大臣、御所見をお聞かせください。

萩生田国務大臣 令和二年四月から開始される高等教育の修学支援新制度は、低所得世帯など、進学率が低いことを踏まえ、真に支援を必要とする低所得世帯の子供に対して、授業料等の減免措置と給付型奨学金の支給による支援を行うものです。

 特定分野の人材育成については、それぞれの分野の特性や重要性などに鑑みて、高等教育段階においても支援をしてきたところです。

 例えば、AI分野については、令和元年六月に策定されたAI戦略二〇一九を踏まえた、数理あるいはデータサイエンス、AI教育の推進による人材育成や、医療分野については、医学部定員の臨時増員や、地域医療に関する教育内容の充実による地域の医療人材の育成などに取り組んできており、引き続き充実に努めてまいりたいと思います。

 高等教育の修学支援新制度は、真に支援が必要な低所得者世帯の子供たちの高等教育へのアクセス機会の確保に資するものであり、学生の進路選択を狭めないように、支援対象となる分野の限定は行わないこととしております。

 文部科学省としては、令和二年四月から高等教育の修学支援新制度を着実に実施することで、低所得者世帯であっても、経済的な理由から進学を断念することなく、みずからの意欲と努力によって明るい未来をつかみ取ることができる社会の実現を目指してまいりたいと思います。

 先生の御指摘は、例えば世論の皆さんの御理解を得る上では一つの指針にはなると思うんですけれども、今の段階で、このジャンルが大切だとか、このジャンルは重要じゃないということを国があらかじめ決めるというのも、これもまた誤解を招くことになると思います。

 まずは、今まで高等教育に行くことを諦めていた人たちにぜひ高等教育機関に進んでいただいて、学習の幅を広げていただくことをまず目標にしたいと思います。

山田(賢)分科員 ありがとうございます。

 確かに、どの分野がと、国が重要だ、重要でないと決めるというのは、ぎりぎりのところにいっていくと微妙なものがありますので。

 加えて、東京一極集中、この地方の人口減少を是正するために、地方という観点から、地方国立大学の授業料を無償化するといったことはできないのでしょうか。大臣、お聞かせください。

萩生田国務大臣 文科省としましては、高等教育の修学支援新制度や奨学金事業などを通じ、支援を必要とする学生に対し確実に授業料等の減免がされるよう、大学等を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型及び貸与型奨学金を支給することで、学生や保護者の経済的負担の軽減に努めてまいりたいと考えています。

 地方の国立大学の授業料そのものを無償化することについては、大学教育を受ける者と受けない者との公平性の観点や、必要な財源の確保なども含め、極めて慎重な検討が必要であると考えております。

 他方、地方大学の活性化は重要であると認識しており、文部科学省としては、地域のニーズに応える人材育成、研究の推進などの、各大学の強み、特色を生かした国立大学の機能強化構想への重点支援などに取り組んでいるところでございます。

山田(賢)分科員 最後に、私立大学について、東京に新しく設立、定員増を認めないという通知がなされていると承知しますけれども、東京につくらせないということではなくて、設立、定員増は自由にさせて、都内の私立大学については私学助成の対象とせず、地方の大学を支援して、東京一極集中の是正や地方への人材回帰、地方創生を図るべきではないかと考えますが、役所の方からお答えいただけますでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたように、私ども文部科学省としましては、平成二十六年十二月に閣議決定をしました、まち・ひと・しごと創生総合戦略というもののもとで、大都市圏、なかんずく東京圏への学生集中の現状に鑑みまして、この入学定員超過の適正化、これを図ってきております。

 具体的には、二十八年度から三十年度にかけまして、入学定員充足率が一定の基準を超えた場合に、いわゆる私学助成を不交付とするという基準を段階的に厳格化してまいりました。このことによりまして、実際、大都市圏の私立大学においては入学定員の超過幅が縮小するということ、これとともに、地方の私立大学においては入学定員が充足率が改善をしたという効果も見られているということで、私どもは承知しております。

 なお、先生御指摘の、御提案のございました都内の私立大学について、例えば、設置、設立を自由にして、一方で私学助成の対象外とするという御提案でございましたけれども、私立学校振興助成法におきまして、例えば学生等の経済的負担の軽減を図るといったようなこともこの法律の目的として掲げているというようなこともございまして、先生の御提案を直ちに実現させていくということについては極めて慎重な検討が必要かな、このように考えているところでございます。

山田(賢)分科員 それは、直ちにできないのはわかって言っているんですけれどもね。

 だから、目的と手段の関係ですから、貧しい家庭の子が進学できないということを言っているんじゃなくて、低負担で行けるのを地方に持っていけば、地方活性化にもなるし、所得の低い世帯の子供たちも教育が受けられるということで、同じ税金を使って効果が倍になるんじゃないかと思ったので提案をさせていただきました。直ちにできないというのをわかった上で言っておりますので、ぜひそういった方向も含めて御検討いただきたいと思います。

 また、英語教育についても、ぜひさまざまな、大臣とはきょうは問題意識も共有できましたので、よりよい制度、何より生徒にとってよりよいものを、しかも早くはっきりしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

井野主査 これにて山田賢司君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本分科員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、いろいろな問題を質問させていただきます。

 まず初めに、幼稚園類似施設が無償化の対象から外された問題です。

 昨年の予算委員会で、萩生田大臣が、当時、予算委員会の中で、これは問題だという指摘をされて、そして大臣にもなり、これは無償化を目指すという姿勢だったと思うんですが、残念ながら、来年度の予算案では、実質七千円程度の一人当たりの支援ということになりました。これでは、無償化になっているほかの施設との差が余りにも大きいために、焼け石に水という状態だというふうに思います。

 実際、私もいろいろなところからお話を伺うわけですけれども、もう園児が集まらないために三月いっぱいで廃園にする、こういうお話も伺っているところであります。

 さらに、別の園では、園のあり方を変えて認可外保育施設として届け出たわけですよね。それで、それまで専業主婦の方がたくさんいたんだけれども、無償になりたいということで、毎日パートに四時間だけ出るということをし始めた、まだ下の子が小さいから、下の子のためにも家でゆっくりしていたいなというお母さんも、こういうゆがんだ制度のために働き始めなきゃいけなくなった、こういうお話も聞いております。

 萩生田大臣自身もそうした問題意識を持たれていると思いますけれども、こうした幼稚園類似施設というのは、幼稚園になじめなかった、あるいは幼稚園では受け入れてもらえなかった、さまざまな理由から、発達障害だとかいろいろなことがありますけれども、そういう方々も受け入れていた園です。こういう園がなくなるということになったら、その人たちの、親子の行き場もなくなるわけですよね。

 ですから、萩生田大臣があれだけ頑張っていたにもかかわらず、こういう予算になったのは大変私は残念に思っております。私は、今からでも考えを改めて、実質無償化へ、支援額の引上げが必要だと考えておりますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 昨年、予算委員会で、私、この問題について触れて、宮本先生から熱いエールをいただき勇気をいただきました。

 大臣に就任して、早速取り組む一つの大きなテーマとして、この類似施設の救済というのを積極的に取り組んでいこうということで作業にかかりました。ただ、あのときに、私も、当時は与党の一員として提案したのは、全ての類似施設を全部包含して無償化対象にするというのはやや無理があるんじゃないかと。

 要するに、我々国からすると、地方にあるさまざまな歴史やあるいはさまざまなメニューを持った園が全て地域にとって必要な園かどうかというのは判断できないわけでありまして、例えば、今たまたま、発達障害の子供たちを受け入れている施設ですとか、そういう例を出してもらいましたけれども、逆もありまして、ほかから見れば物すごくうらやましいような裕福な、物すごい高い授業料で、普通の幼稚園とは全く桁違いの内容をやっている類似施設というのもあるわけですから。

 今回の経済的な支援や若い世代の人たちへの応援を含めた政策の趣旨から判断すると、私は、それぞれ設置をされている自治体の皆さんが必要と認める、存続をしてほしい、これはかけがえのない施設なんだ、これからもぜひ園として我が町の中で頑張ってほしいんだというものについてはしっかり支援をしていく仕組みがつくれないだろうかということで、かなり自信を持って取組を始めたんですが、残念ながら、予算編成の段階で、市長会の皆さんの最終的な御理解をいただけませんでした。

 それは向こう側にも言い分があって、こういう新しい政策をやるときには、まずきちんとした検証をしてから前に進むべきだという提案がありましたので、やむを得ず、今回提案しておりますような、言うならば社会実証といいますか、こういった形でのスタートということになったところでございます。

 引き続き、類似施設であってもやはり地域にとって大切なものというのは、私は包含していきたい、救済していきたいと思います、せっかくの機会ですから。

 他方、社会福祉法人として行っている保育園ですとか学校法人格を取得して経営している幼稚園からすると、確かに、類似でいい内容をやっているものがあったとしても、こちらはいろいろな制約の中で、建物のハードを建てたり、必要な免許を取得する教員を採用したり、栄養士さんを持ったり、給食室をつくったりというのでコストがかかっているわけです。類似施設に関しては非常に簡易にやっているところもあって、これを全く同じ条件で支援するとなれば、今度は逆に、学校法人の皆さんが今まで積み上げてきて、こんなに苦労してこれだけの資産形成をして子供たちのために提供しているのにということもありますので、この辺のバランスもしっかり考えながらやっていきたいと思います。

 決して、今回の予算提案が最後じゃなくて、まさにスタートだというふうに思っていますので、引き続き御支援をいただければありがたいな、こんなふうに思っています。

宮本分科員 超党派の議連も発足しましたので、しっかりした制度ができるように、私たち、与野党を超えてしっかりやっていかなきゃいけないと思っております。

 ただ、一方で、認可外保育施設については、ある意味、何の検証もないまま、それこそ何の制限もなく無償化されているわけですね。そういうことからしたら、余りにも幼稚園類似施設に対しての対応というのは、やはり制度としては差別的なものになっているということは指摘させていただきたいと思います。

 次に、不登校になった子供の通級の問題について質問させていただきます。

 こういう相談があったんですね。小学生のAさんが、通常学級に通いながら通級の指導も受けていた、ところが、年度の途中で通常学級には通えなくなってしまった、しかし、通級にだけは通い続けているそうなんですね。ところが、学校の方から、来年度からは通級にも通えませんと言われたという話なんですね。その根拠は文部科学省の手引だという話なんです。

 きょう資料でお配りをさせていただいていると思いますが、「不登校の児童生徒は通級による指導の対象となりますか。」これは障害に応じた通級による指導の手引から抜粋したものですが、答えの二段落目を見ていただきたいんですけれども、不登校の状態にある児童についても、通常の授業におおむね参加しており、障害により一部特別な指導を必要とする場合は、通級による指導の対象となるものと考えられますと。この手引を根拠に、通常の授業におおむね参加とは言えないから通級はだめです、こういうふうに言われたという話なんですよね。

 大臣もよく御存じのように、発達障害がある子供は人間関係がうまくいかない、そういうことが原因で不登校になるケースも少なくないわけですよね。それでも通級にだけは通い続けるということができる子もいるわけですよ。そしてまた、通級にだけ通い続ける中で通常学級にも行けるようになるケースも少なくないわけですよね。

 ですから、通級での指導は必要としている子だ、通級にだけなら通える子供が、通常学級に不登校になってしまったという理由で通級にも行けないというのは、はっきり言って、私は憲法二十六条にもとる事態だというふうに思っております。

 手引の文言がこうあって、手引の解釈がそういうふうになされていて、こういう事態が生まれているわけですけれども、私は、これは手引そのものも改める必要があるんじゃないかと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 通級による指導は、当該児童生徒の障害による学校生活における学習上の困難等を把握し、その困難等が克服できるよう目標を立てて計画的に自立活動等に取り組むものです。

 このため、御指摘のように、通級による指導を受けている児童生徒が不登校になった場合であっても、通級による指導により障害による学習上の困難等の克服が期待できる場合には、引き続き通級による指導を継続すべきと考えています。

 御指摘のありました障害に応じた通級による指導の手引のQアンドAにつきましては、もともと不登校であった児童生徒が通級による指導を利用する際の考え方を示したものであり、児童生徒の状態等に応じた効果的な支援を行うことが適当である旨を記載したものです。

 文部科学省としては、通級による指導の趣旨や手引の記載内容の趣旨が正確に伝わるよう、教育委員会等に周知徹底してまいりたいと思います。先生が読み違えたんですから、そういうふうに思う方もいらっしゃるのも事実だと思いますので、そこは周知徹底していきたいと思います。

宮本分科員 じゃ、通知を出したり会議で徹底していただけるということでよろしいですね。

萩生田国務大臣 今申し上げたように、もともと不登校であった児童生徒が通級による指導を利用する際の考え方を示したものでありますので、それが誤解で伝わっているとすれば、これはきちんと伝えていきたい、会議や通達をもって対応していきたいと思っています。

宮本分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 それから、次に、特別支援学校の寄宿舎の問題についてお伺いしたいと思います。

 特別支援学校は、全国で大体三割のところで寄宿舎が併設されております。東京は少ないんですけれども、東京でも五校、寄宿舎があります。ところが、この東京でも保護者が希望したとおりの日数の寄宿舎が利用できている児童生徒の割合は六七・八%、つまり三分の一の児童生徒が寄宿舎に希望したとおりの日数が利用できていないという話です。

 こういうお話を伺ったんですね。今はもう高等部の方なんですけれども、中一から寄宿舎に入舎している生徒さんのケースです。

 生まれつきの全盲、知的障害、進行性の難聴で片耳がわずかに聞こえる、自閉症傾向があるために公共交通機関が使えず、自家用車で片道一時間十五分かけて親が送迎する。月曜から金曜まで寄宿舎での宿泊を希望していたんですけれども、これが減らされてしまいまして、今泊まれるのは月、火、木だというんですね。そうすると、週三回宿泊するといっても、月曜に送っていって水曜には帰ってくる、そしてまた木曜に送っていって金曜には帰ってくるということで、親が送迎しない日というのは火曜日だけになっちゃうわけですよね。ですから、仕事を再開したいと思ってもできないというのが親御さんのお話でございます。

 ちなみに、大臣の地元にも八王子盲学校、寄宿舎がありますけれども、宿泊は平均週に二・七日という話でありました。

 私が手にしました東京都寄宿舎連絡会の要望書を見ますと、原因はどこにあるかというと、職員、マンパワーが足りなくて希望宿泊数が認められていないということなんですね。そういう家庭がたくさんあるということでございます。保護者からは、職員をふやしてくれという要望があります。そして、東京都からも国に対して、寄宿舎指導員の定数、配置基準の改善を求める要望も毎回出ているというふうに思います。

 ぜひ、全国的に実態調査を行って、配置基準を見直して定数増を行う、これに踏み出していただきたいと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 公立特別支援学校の寄宿舎指導員や養護教諭の定数については、義務標準法及び高校標準法の規定に基づき、各都道府県、指定都市の特別支援学校の学校数、学級数、児童生徒数等に応じて必要な教職員定数が算定されております。

 具体的には、寄宿舎指導員については寄宿児童生徒五人につき一人、養護教諭については児童生徒が六十一人以上の学校には二人配置できる仕組みとなっており、このような配置基準のもと、令和元年度において、全国の千八十七校の公立の特別支援学校には、寄宿舎指導員が四千二百四十七人、養護教諭が千九百五十六人配置をされております。

 御指摘の東京都からの要望においては、寄宿舎指導員の定数改善が提案されておりますが、東京都の実際の配置は義務標準法で算定される定数を下回っており、まずは定数を踏まえた寄宿舎指導員を配置していただく必要があると考えております。

 また、特別支援学校の指導、支援体制については、東京都を始め全国の特別支援学校の児童生徒数が増加傾向にある中、現在、特別支援教育のあり方全般にわたって有識者会議で検討しております。その中で、看護師や作業療法士、言語聴覚士など、専門スタッフも含めて、今後、特別支援学校の指導、支援体制をどう考えるかについても検討を行っているところであり、文部科学省としては、現段階において、東京都からの要望のような養護教諭に限った定数改善は考えておりません。

 もとより、今後の特別支援教育のあり方の見直しの中で特別支援学校の指導、支援体制の充実を図ることは重要であり、これらの取組を通じ、障害のある子供が障害の状態等に応じた適切な指導や必要な支援が受けられる環境の整備に努めてまいりたいと思います。

宮本分科員 養護教諭の話は、私、今していなかったんですけれども。

 寄宿舎の指導員は、配置基準をつくられたのは随分前なわけですけれども、労基法の規制がなかった寮母の時代の基準なわけですよね。でも、労基法ができて、宿泊は週一回しかそれぞれできないわけですよね。そうすると、とても対応できなくなるわけです、今のマンパワーでは。しかも、年々、重度・重複児、知的障害児がふえてきているということなんですよ。

 ですから、八王子盲学校もありますし、ぜひ保護者や関係者の話を聞く機会を大臣御自身も持っていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 義務標準法、高校標準法は、学級数等に基づき特別支援学校の教職員の配置に必要な経費を算定する根拠として標準となる定数を算定する仕組みです。この定数を踏まえて、各都道府県が個々の実情等に応じて必要な教職員配置を行うこととなっておりますが、各学校における実際の教職員配置が標準法の規定する数を下回ったことのみをもって違法となるものではないというふうに考えております。

 いずれにしましても、今さまざまな児童生徒によって環境が違いますから、先生が御指摘のように、職員がいないことで寄宿ができないのか、あるいは通学をすることの何かさまざまな事情があるのか、個々によって事情はやや違う場合もあると思うんですね。しかしながら、職員がしっかりいればそれは解決できるんだとすれば、そこはしっかり検討を加えていきたいなと思っております。

 現場の皆さんのお声を聞くことはいつでも、我々としては否定するものではございませんので、機会があればお願いしたいと思いますし、さっきちょっと丁寧に言ったんですけれども、わかりやすく言うと、必要な経費は東京都にきちんと算定して払っているつもりでございますので、都議会などでもしっかり議論していただければありがたいなと。

宮本分科員 国が今、定数に応じた経費を払っているということなんですけれども、現場からすれば、今の定数でも、国が定数に応じても足りないということなので、そこもぜひ、今いろいろな、設置基準も含めていろいろな検討を有識者会議でされていると思いますけれども、寄宿舎の指導員の問題についてもそこでぜひ検討の課題にのせていただきたいと思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 具体的な寄宿舎のあり方については、設置者である自治体において児童生徒の障害の状態等や地域の特性なども踏まえ適切に判断されるべきものですが、文科省としては、寄宿舎における児童生徒の入居の状況を踏まえつつ、これら児童生徒の日常生活上の世話や生活指導がしっかりと行われることが重要と考えておりますので、寄宿舎指導員を含めた職員定数改善については、どの職種について、より手厚い教職員配置を行うことが必要か、そういった整理をしっかりして、また厳しい財政事情も踏まえながら慎重に議論はしていきたいと思っています。

宮本分科員 しっかり御検討をお願いしたいと思います。都議会議員宛てに出ている要望書がありますので、後でお渡ししたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、学校の制服、標準服の問題についてお伺いしたいと思います。

 今、小学校なんかでも、女の子はスカートで行っているかズボンで行っているかといったら、ズボンで行っている子もたくさんいらっしゃるわけですよね。好みはそれぞれですし、動きやすさ、あるいは冬だったら防寒ということを考えてもズボンで行っている子が多いわけです。

 ところが、中学校、高校となると、制服で、今、女子でもスラックス、ズボンが選べるところは大分ふえてきましたけれども、まだまだ女子はスカート、男子はズボンというところも少なくない。毛深いからスカートは嫌だ、足を見せるのは嫌だ、こういう人ももちろんいるわけであります。

 これは東京都内でも、中野区や世田谷区などでどちらでも選べるようになりました。あと、全国的に見ても、昨年十月から福岡、新年度からは北九州市で、男女関係なくズボン、スカートを選べるようになる。さらに、岐阜県の教育委員会が県立高校の校長宛てに、校則を見直すに当たって、生徒が抵抗感なく選択できるように明記してほしいという通知も出したという報道もありました。

 もうこういう時代ですから、ぜひ文科省自身が旗を振っていただいて、制服や標準服については、男女どちらでもズボン、スカートを選択できるようにする、こういうことをやる段階に来ているんじゃないかと思いますが、これも大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 一般的に、制服着用を含めた校則については、各学校がそれぞれの教育目標を達成するために必要かつ合理的な範囲内で定めるものであり、また校則に基づき具体的にどのような手段を用いて指導を行うかについても、各学校において適切に判断されるものと考えております。

 校則の内容については、学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化に応じて、絶えず積極的に見直す必要があると考えています。また、校則の見直しは、最終的には校長の権限において適切に判断するべき事柄でありますが、見直しの際には、児童生徒が話し合う機会を設けたり保護者からの意見を聴取したりするなど、児童生徒や保護者が何らかの形で参加した上で決定することが望ましいと考えております。

 このことは、平成三十年に発出した学校における通学用服等の学用品等の適正な取扱いに関する通知でも既に示しておるところでございまして、毎年二回開催している生徒指導担当者向けの会議などにおいて周知を図っているところであり、文部科学省としては、引き続き、さまざまな機会を捉えて周知徹底に努めてまいりたいと思います。

宮本分科員 その通知、私も存じているんですけれども、校則を見直すに当たっては、そういう意見を聞いてくれという話は書いているわけですけれども、私が今言ったような、男性、女性かかわりなくズボンでもスカートでも選べるようにしましょう、そういう話はどこにも書いてないわけですよ。だから、そういう中身も加味した通知にしていただきたいんですね。

 やはり、中野区なんかは、ちょうど一年前だったと思いますけれども、小学生の子供自身が区長さんに手紙を書いて、それで変わっていったという経過があるわけです。小学生みんながそういう行動をとれたらいいですけれども、誰もがそういうことをやれているわけでもないわけです。だけれども、小学生は、そういう、私、ズボンの方がいいわと思っている子は、別に中野区に限らず日本じゅうどこでもいると思いますので、ぜひ、子供の意見表明権を後押しする上でも、もうちょっと踏み込んだ通知を発出していただけないかと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 学校における通学用服等の学用品の適正な取扱いということで、説明会の中でも、例えば女子児童が、非常に冬場などは素足を出して寒いということでズボンを望みたいとか、あるいは行動的に活動したいのでズボン制服にしたいというような意見があって、それに対して学校でみんなで話合いをして、じゃ、そうしましょうねと変わっている事例なども示しておりますので。

 特別このことだけ特出しをして、制服の、例えば、男の子がスカートをはいてもいいですよ、女性がズボンでも構いませんよということを通知するということは今のところ考えていませんけれども、先生がおっしゃっている問題意識については、既に全国の教育委員会が我々は周知して理解をしていると思いますので、それぞれの学校の判断で、一方的な押しつけじゃなくて、皆さんから沸き上がるような話合いの中で、ぜひそれは、その方向がいいというのがあれば、我々何の異論もございませんので、大いに議論していただいて方向を決めていただいたらいかがかなと思います。

宮本分科員 いろいろな会議の場でそういう事例も紹介されているという話でしたけれども、そういう事例が紹介されていてもまだなかなか改まっていないというところもあるわけですので、更にその徹底の仕方について御検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、学童クラブでの昼食の問題についてお伺いしたいと思います。

 今、共働きが大変ふえて、保育園も学童保育も利用がふえております。学童保育には給食がないわけですよね。学校があるときはもちろん給食がなくて当たり前なんですけれども、とりわけ学校の長期休みのとき、夏休み、つくり続けるのが大変だという声を聞くわけであります。少しでも昼食を学童で出してもらえたらなという声が全国であるわけですね。

 そういう中で、大臣の御地元の八王子市が、昨年夏に、教育委員会、学校給食の調理員の協力を得て、幾つかの学童クラブで昼食の提供を行って、子供にも保護者にも大変好評であったということで、私も八王子の市役所に行ってお話を伺ってまいりました。

 この報道に接した全国のお母さん方から、こういうのを私たちのところでもやってほしいという声が上がっております。ぜひ、厚労省と文科省と協力して、好事例として普及していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 学校給食は、栄養バランスのとれた食事を提供することによって、子供の健康の維持増進を図ることに加え、食に関する指導を効果的に進めるための生きた教材として大きな教育的意義を持っています。

 御紹介いただきました八王子市の取組は、学校給食の意義を生かす一つの工夫例と受けとめていますが、人件費や運営費などの新たな負担を誰が担うのかという観点も含め検討いただき、地域の実情に応じ、各教育委員会において御判断いただくことがふさわしいというふうに考えております。

 先生、わざわざ八王子まで行っていただいて、いろいろなお話を聞いていただいたと私も聞きました。八王子の場合は、小学校給食が、直営式でやっているものと業者委託でやっているもの、業者委託でやっているものを一部センター方式に今変えようという、言うなら、ちょうどさまざまな端境期にあるんですね。

 その中で、直営も民間も含めてなんですけれども、せっかく年間を通じて、施設をつくって、そしてそこに常勤の職員がいるんだとすれば、給食を提供しない学校休業中であっても仕事はしているわけですから、その有効な時間を使いながら、こういった地域貢献を一つのツールとしてやってみたらどうだということで始まったことだと承知しています。

 非常に評判もいいので、私は、例えば直営だとこういうことも可能なんだなと思いますし、これからセンターに移行したとしても、同じように、例えば、センターで夏休み四十日間全く仕事がなくなったら働いている皆さんも困ってしまいますので、そういう民間への提供ですとか、あるいは、更に今考えておりますのは、ひとり暮らしのお年寄りなどの夜の給食の製造など、こういったものも、そういったツールを上手に使いながら、今までのような、学校施設だからということで一辺倒じゃなくて、さまざまな多様な使い方というのは各自治体がいろいろ知恵を出していく、そういう時期に来ているんじゃないかと思いますので、積極的に応援をしてまいりたいと思います。

宮本分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 時間もなくなってまいりましたけれども、奨学金制度についてお伺いしたいと思います。

 五年前に、JASSOの貸与奨学金について、経済困難による返済猶予期間をそれまでの五年から十年に延ばしました。資料を配付しているものの裏面に、文科省につくっていただいた資料を配付させていただきました。十年に延びたわけですけれども、今、九年から十年の間に、九年以上ですね、猶予期間になっている方が千七十六人いらっしゃるということなんですね。千七十六人ですから、選挙区単位で見れば、どの選挙区にも三、四人いる、平均的にはそういうことなのかなと思います。

 私の地元の方でも、都内の有名私立大学に通っていて、博士課程まで進んで、奨学金を全部で一千万円借りた方がいらっしゃいます。若い未来ある研究者だったんですが、ただ、大学でパワハラに遭って体調を崩してしまって、働けなくなってしまった。体調はよくなったり悪くなったりして、今、返済猶予期間にあるわけですけれども。

 この返済猶予の期間が十年に及ぶという方というのは、やはりそれぞれさまざまな困難があるというケースが私は大変多いんじゃないかというふうに思うんですよね。十年過ぎたら、じゃ、一千万円ある人が返せと言われて返せるのか。それは、そういう道はなかなか実際にはなくて、自己破産だとか、そういう道を選ぶしかないのかなというふうになってしまうわけであります。

 これはやはり、さらなる救済制度がこの段階で必要ではないかというふうに私は考えております。猶予の期限を更に延長するのか、あるいは旧所得連動型の場合は、親御さんが年収三百万円以下、本人も年収三百万円以下だったら期限なく返済猶予が続くわけでありますが。どういうやり方がいいのかというのはありますけれども、この一千人ぐらいの方が、これからまた恐らく毎年こういう返済猶予期限が切れる方があらわれると思うんですが、この方々へのさらなる救済措置をぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 さまざまな事情によって、卒業後、厳しい経済状況に置かれ、奨学金の返還が困難な方に対してはきめ細かな対応が必要と考えており、これまでも、返還期限を猶予する年数制限の延長や、減額返還制度における期間の延長など、返還者の立場に立って制度の充実を図ってきたのは先生今御指摘のとおりです。

 一方、返還期限猶予制度については二〇一四年に年数制限を従来の五年から十年に延長したところであり、奨学金事業について返還金が次の世代の原資となるため、事業の健全性確保の観点からも猶予期限のさらなる延長は難しいと考えております。

 所得連動型の返還を制度導入以前の貸与者に適用することは、既に返還を完了している者との不公平が担保されないことや、返還金が大幅に減少し、事業の健全性が確保しづらくなることなどの課題があり、また、有利子奨学金を所得連動型の対象とすることについては、返還者の所得が低く、返還月額が低額となる場合、利息の支払いが増大し、より返還者の負担を増大させることになる懸念があります。

 経済困難による返還期限猶予の十年を超える場合であっても、条件を満たせば減額返還制度や他の猶予制度への移行も可能としており、このような制度も利用しつつ、少しずつでも返還をいただきたいと考えておりますが、今先生御指摘になったように、例えば病気などで実際に働くことができない環境にある人たちについては、個々の対応というのをしっかりしてまいりたいと思います。全く無防備で、収入がない中でその返済を求めるような制度ではないということだけは御理解をいただきたいと思います。

宮本分科員 時間になりましたので、これで終わりにしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

井野主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐分科員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速ですが、まず最初、冒頭、将棋の質問をさせていただきたいと思います。

 国会の中にはいろいろな議連がありますけれども、将棋議連というのがありまして、今、参議院議長の山東先生が会長を務めておりまして、私も今、事務局次長をやらせていただいております。

 私は、小学校のころからずっと将棋をやっておりまして、今でも毎晩、もう、ほぼほぼ毎晩、夜な夜なオンラインで将棋をやっております。大臣政務官をやらせていただいたときは、在京当番というのがあって、東京に週末も待機しなきゃいけないというときには、時間があれば千駄ケ谷の将棋道場、将棋会館の方に通って、行くと、大体相手をしてくれるのが子供たちでして、もうこてんぱんにいつもやられるというようなことがあります。

 あと、将棋を通じて思っていますのは、この将棋というのは本当に日本の文化そのものだなというふうに思います。例えば礼節であったりとか和の心であったりとか、礼に始まり礼に終わる。最初、将棋というのは、向かい合って、居を正して、よろしくお願いしますというところから始まります。あとはもう全て運の介在の余地がなくて、全て実力で勝ち負けがはっきりして、最後は、自分で負けましたと言わないと終わらない。負けると、本当に悔しい思いをして泣いている子供たちもいるわけですが、こういう礼の部分であったりとか、あるいは思考力、集中力、決断力とか洞察力とか、こういうものも含んでいる。

 大臣に最初に伺いたいのは、将棋というのは、日本の文化という観点、あるいは教育的効果、こういう観点からも非常に有意義だというふうに思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 科学技術に精通した理科系の伊佐先生が将棋がお好きだということで、何かほっとしたような感じがいたします。

 将棋は、古くから国民的な娯楽として親しまれてきており、大切な我が国の伝統文化です。また、子供たちが将棋を通じて日本の伝統や文化に対する理解を深めたり、礼儀作法について学んだりすることは大変意義のあることと考えます。

 私の地元にも、羽生名人が出身でございまして、彼はもう子供のときから将来名人になると言われているぐらいすごく優秀だったんですけれども、先日久しぶりにお会いしたとき、やはり将棋の魅力とは、負けをみずから認めることというのがすごく大事だ、こう言われまして、何か示唆されたような感じがした部分もあるんですけれども、大切な、さまざまな要素が詰まっているのが日本の将棋だと思います。

 世界有数の頭脳スポーツでもあり、将棋を学ぶことで育まれる集中力など、能力は子供たちの成長にも大きな影響を与えるものと考えています。文科省としましては、子供たちが伝統文化を体験、習得する機会を提供する伝統文化親子教室事業などを通じて、引き続き将棋の普及について取り組んでまいりたいと思います。

伊佐分科員 大臣からも、将棋について高く評価をしていただきました。

 このすばらしい文化を世界に発信していくということも、私、非常に大事だと思っておりまして、今、将棋連盟では、国際将棋フェスティバル二〇二〇というのを計画をしておりまして、羽田空港で、いろいろな世界の棋士も集めて、そこで将棋をやる。和服の方もいらっしゃいますし、あるいは将棋盤とか駒、伝統工芸としての紹介というのもあって、いろいろな文化のよさが詰まっています。

 今、日本博のプロジェクトとして申請をしているということですが、こういうものに限らずに、こうした将棋、あるいは日本の文化というものを世界に発信するというところで、文化庁、更に御努力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 我が国には、将棋を含め、世界に誇るべき魅力ある文化が多くございます。文化庁におきましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会で世界の注目が集まる機会を活用いたしまして、組織委員会や関係省庁、地方公共団体、民間団体等と連携をしつつ、日本博を始めといたしました文化プログラムを全国各地において展開し、日本の多様な文化の魅力を国内外へ積極的に発信しているところでございます。

 このような取組など、さまざまな機会を捉えながら、引き続き、将棋を含めました日本文化の国内外への発信に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

伊佐分科員 さっき教育的効果というところも申し上げましたが、そこについても伺いたいと思います。

 思考力、集中力、決断力、洞察力。私、それ以外にも、人間関係というか人格形成、こういうところでも将棋ってすごい大きな役割を果たしているなと。例えば、私も、子供同士がやっているのを横で、結構うまいんですけれども見ていると、たまにけんかするんですよ。指を離したとか離していないとかで、いやいやまだ離していなかったとかですね。そうすると、子供ら同士が、けんかをしているところに仲裁に入っていくんです。おまえの言い分はどうだみたいなのをやり始めて。どうしてもそれで解決しないときは、道場の大人を呼んで、入ってもらって解決する。

 そういう一つを見ていても、人と人との人間関係というか、そういうところでも非常に勉強になっているんじゃないかというふうに思います。そういう意味では、小学校の道徳、こういうところに入れてもいいんじゃないかとも思いますし、あるいは、中学校では部活動、高校では総合学習もあります。それぞれの学校によってのもちろん判断ではあると思いますが、文科省としてもぜひ御支援いただきたいと思います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 子供たちが将棋を通じて日本の伝統や文化に対する理解を深めたり、礼儀作法について学んだりすることは意義のあることと考えております。

 各学校におきましては、例えば、総合的な学習の時間や小学校のクラブ活動、中学校、高等学校の部活動で将棋を扱うということは可能になっておりまして、実際に授業に取り入れている例も多々あると承知しております。

 また、御指摘の道徳科の授業に関しましても、例えば、「私たちの道徳」中学校版におきまして、誠実に行動し、その結果に責任を持つ態度を育てるという観点から、将棋を題材とした教材を取り上げておりまして、文部科学省のホームページでもダウンロードして活用することが可能となっております。

 文部科学省といたしましては、各学校の判断によりまして、こうした取組が地域や学校の特色及び児童生徒の興味、関心等に応じまして今後も広がっていくということを期待しております。

伊佐分科員 ありがとうございます。「私たちの道徳」という、国がつくっている教科書になるんですかね、副読本ですかね、資料ですかね。というところで既に将棋を題材にして、一つの教材として成立しているということでありました。

 教育的効果という点で有効性が本当にどうなのか、これを客観的に、科学的に立証しようということで、将棋連盟の方でも、学術面からそういうことができないか、つまり、将棋の教育的な効果、こういうものを調べよう、研究しようというところで頑張っておられます。こういうところも御支援をあわせてお願いしたいというふうに思います。

 次に、少し話をかえまして、フィギュア、オタク文化について質問したいと思います。

 私の地元の門真市というところに、海洋堂という会社があります。これは知る人ぞ知るフィギュアの会社でありまして、いろいろな伝説をつくってきました。

 例えば、一九八二年にガレージキットというのをつくって、円谷プロと組んで怪獣のフィギュアをつくって、五十年前にフィギュアというような、そもそもの概念というか製品を発明したのがこの海洋堂と言われています。

 一九九六年に秋葉原にフィギュアショップをつくって、これは最初のホビー、オタクショップで、ここから秋葉原のいろいろなオタク文化が広がっていったというふうにも仄聞をしております。

 一九九九年にチョコエッグ。チョコエッグって、チョコレートの中におまけが、フィギュアが入っているんですけれども、これは単なるおまけじゃなくて、コレクションとして集めて、昔は、大人買いみたいなのがここから始まったというふうに言われています。

 これは、アニメなら手塚治虫で、フィギュアなら海洋堂と言われるような、知る人ぞ知る会社なんですが、文化庁のメディア芸術祭でもこの功績がたたえられて功労賞を得ている。シン・ゴジラという映画がありました。萩生田大臣がもしかするとモデルじゃないかというふうに言われているあのシン・ゴジラでありますけれども、そのひな形をつくったのもこの会社であります。

 アニメからミリタリーも、少女キャラまでいろいろなものがあるわけですけれども、工房に行くと造形師という方がいて、本当に生き生きと作品をつくっています。すごい技術、世界に誇る技術力でして、まさしくこれは世界に誇るオタク文化じゃないかと。

 この海洋堂が今、フィギュアの殿堂として博物館をつくろうとしています。地元の門真市とコラボして、協力してやろうとしていますが、文科省に伺いたいのは、伝統芸能とか伝統文化に対する支援というのは今までもいろいろと進めていただいたと思いますが、日本のこうしたオタクカルチャー、こういうものを世界に売り込んでいく、応援するような施策を、文化庁、充実させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中岡政府参考人 委員御指摘のアニメあるいは映画等あるいはそれに関連いたしますフィギュアの作製でございますが、それを含みます我が国のメディア芸術は広く国民に親しまれているとともに、海外で高く評価されている。我が国への理解や関心を高めております。

 このようなメディア芸術は、我が国の文化振興はもとより、産業や観光の振興、国際文化交流の推進にも大きく寄与するものであります。そのため、文化庁では、メディア芸術の振興を重要な課題の一つに位置づけておりまして、例えばメディア芸術祭の実施及び海外のメディア芸術関連フェスティバル等における受賞作品の展示、上映や人材育成等を行っております。また、日本博におけるアニメ、映画等の展示場へ、体験等のメディア芸術作品の紹介などの取組も行っております。

 委員御指摘がございましたように、メディア芸術祭におきましては、フィギュアやプラモデルの普及に貢献のあった方々を功労者として顕彰した実績もございます。

 引き続き、委員、オタク文化の振興ということでございましたけれども、関係機関と連携協力しながら、幅広いメディア芸術の振興に努めたいと考えております。

伊佐分科員 次長の方から、幅広いという御答弁をいただきました。メディア芸術祭だけではなくて、文化庁、いろいろなツールがあると思いますので、そういうのを通じてオタク文化をぜひ広げていっていただきたいというふうに思います。

 あわせてもう一問なんですが、今国会で法案審議されるであろう文化観光推進法というのがあります。中身を見ますと、文化資源の保存や活用、あるいはその文化資源の解説、紹介、博物館などの拠点をつくって、文化観光の振興を図っていこうというものでありますが、この文化資源というところにフィギュアも含めたオタク文化というのは入るのかどうか、支援の対象となるのかどうかというところについて伺いたいと思います。

中岡政府参考人 今般、国会に提出させていただいております文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律案における文化観光拠点施設といいますものは、文化資源の保存及び活用を行う施設のうち、国内外からの来訪者が文化についての理解を深めることに資するよう解説、紹介するとともに、文化観光の推進に関する事業を行う者と連携することによって、地域における文化観光の拠点となるものでございます。

 このような文化観光拠点施設には、典型的な歴史博物館や美術館のみならず、漫画やアニメに関します文化施設等も含まれ得るものと考えております。

 また、本法案で認定された計画につきましては、博物館を中核とした文化クラスター推進事業を通じまして、多言語化対応、専門人材の確保、来館者の利便性向上等について支援したいと考えております。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 漫画、アニメ、こういったものも対象になるということでした。

 それでは、次に、伝統芸能について移っていきたいと思います。

 私、歌舞伎の歴史というものをある方にいろいろと教えていただきました。そうすると、昔は歌舞伎というのは広く本当に庶民のものだった。つまり、誰でも実力があれば歌舞伎役者になれた、庶民も役者になれた。ところが、戦後、GHQの統制もいろいろさまざまあって、歌舞伎の形態が変容していった。家柄。歌舞伎の家柄じゃないと役者になれないということになった。だから、大抵は、その家の息子であるとか、あるいは、その家に入るという方じゃないと歌舞伎役者になれないと。

 歌舞伎の興行というのは、今では民間企業の松竹さんが一手に支えていただいているわけですが、こうした歌舞伎文化を力強く広めるという点で、家柄とか力強い民間企業の存在というのは非常に意味はあるというふうには思います。

 ただ、一方で、歌舞伎の裾野を広げていくという観点からすると、例えば、さっき申し上げた民間企業であるとか家柄に属していないけれども、町で普通に子供たちに対して歌舞伎を教えているような、こういう方々も実は今でもいらっしゃいます。江戸時代ではもっとたくさんあったんでしょうが、今はそんなに多くはありません。

 なぜかというと、そもそも歌舞伎というのは、例えば舞台、あるいは化粧であったりとか、非常にお金がかかる。教室をやって歌舞伎を一生懸命教えている方々というのは、収入は月謝だけです。だから、何か子供たちの公演をやろうと思ったら、親御さんはかなり出費をしてこういったものを支えているというのが現状です。

 今、文化庁の歌舞伎に対する支援というのをいろいろと見ておりますと、家柄のあるところとか、あるいは大手の芸能に所属しているところ、こういうところの支援は結構たくさん、多いなというふうに思っております。ところが、裾野を広げる活動をしている、こういう方々に対してもう少し積極的に支援をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

中岡政府参考人 我が国の代表的な伝統演劇であります歌舞伎を保護し、次世代へ継承していくことは極めて重要であると考えております。

 このため、文化庁では、次代を担う子供たちに対しまして、歌舞伎を始めとした伝統文化、生活文化等に関する活動を計画的、継続的に体験、習得できる機会を提供する伝統文化親子教室事業を実施しております。

 子供たちが伝統文化を身近に体験できる機会が少ない近年におきましては、本事業には根強い要望がございまして、令和二年度政府予算案におきましては、前年度から増額して計上しているところでございます。

 文化庁といたしましては、引き続き、こうした事業等を通じて裾野の拡大に努めまして、歌舞伎文化の振興に努めたいと考えております。

伊佐分科員 次長のおっしゃっていただいた親子教室事業、これも存じ上げてはいるんですが、そうやって歌舞伎の機会に触れるとか体験するとか、こういうのも大事なんですが、私が今申し上げたのは、本当に、歌舞伎のわざの錬磨であるとか後継者の育成であるとか、こういったところを一生懸命、だから、単なる、そういう機会に触れるだけじゃない、後継者育成まで頑張ってやっているようなところも実はあるんです。ところが、そういうところは、さまざまな要件があって、大手に限られてしまっている。こういうところを何とかぜひ見直していただきたいという点でございますので、引き続き前向きに御検討いただければというふうに思います。

 次に、学校の長寿命化について伺いたいと思います。

 学校施設は、四十年代、五十年代に建てられたものが多いということで、今老朽化が進んでいるというのはもう近年ずっと言われている課題でございます。

 文科省の補助制度で長寿命化改良事業というのがあって、建屋を、学校の校舎を長寿命化する改修の要件というのがあります。それは、躯体の中性化対策。つまり、原則として、建屋全体、一棟全部を改修しないと、この長寿命化改良事業というのが使えない。

 ところが、自治体もなかなかやはり一気に改修できるほどの余裕がなくて、予算上の制約もあります。人手不足というのもあります。だから、まずは例えば屋上の防水だけやりたいとか、外壁の改修だけやりたいとか、こういうような声があります。いずれ躯体について、本体についてもしっかりとやるけれども、現時点では先にできるところからやりたい。ところが、そうすると、先にできるところからやるんだったら補助の対象にはならないということになっておりました。だから、まとめて一気にやれば対象なんだけれども、順次やったら対象にならなかった、こういう補助制度でありました。

 これは以前からずっとお願いを申し上げていて、自治体の財政状況も考えて、この要件を緩和できないか、内部と外部と、内部の工事と外部の工事を切り分けて工事してもこの補助の対象になるようにできないのかということをずっとお願いをしてまいりましたが、今の検討状況はいかがでしょうか。

佐々木(さ)大臣政務官 公立学校施設につきましては、近年、老朽化が大きな課題となっております。トータルコストの縮減、整備量の平準化を図りながら、計画的な整備を進めていく必要がございます。

 このため、文部科学省では、従前の改築型の整備手法から、工事費を抑えながら改築と同等の教育環境を確保でき、排出する廃棄物も少ない長寿命化対策へシフトするよう、各地方公共団体に促しているところでございます。

 委員御指摘の、この長寿命化改良事業を進めるに当たっての屋上防水や外壁の改修という点でございますけれども、地方公共団体からの御要望も踏まえまして、令和二年度予算案におきましては、築四十年以上の建物をこれまで対象としていた長寿命化改良事業を拡充をいたしまして、建物の長寿命化を図る前提で、築二十年からの屋上の防水層や外壁の工事について新たに補助対象とすることとしております。

 今後とも、地方公共団体の要望を踏まえまして、老朽化対策のさらなる支援を行ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

伊佐分科員 もう一度確認したいので、参考人の方でも結構なんですが、今の文科省の見解というのは、今までだったら一体でじゃないとできなかったものが、内部と外部、分けてもいいよ、これから分けてもよくなりますよ、こういうことでよろしかったんでしょうか。

佐々木(さ)大臣政務官 おっしゃるとおりでございます。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 さっき政務官から御答弁いただいたとおり、おっしゃるとおりだと。つまり、これからは、このR二年の予算からは、内部と外部を別々に行っても大丈夫と。私が文科省の方から事前に聞いていたのは、補助率も実は上がって、今までの地方負担というのは五一・七%だったのが二六・七%になる。しかも、本体の、躯体の工事が築四十年でやる、その前の二十年、その後の二十年、両方とも使えるようになる。かなりこれは使いやすくなる、使いやすい補助制度になるというふうに伺っております。自治体の要望を聞いていただいて、文科省、検討を進めていただいた結果、こうしてかなり使い勝手のいい制度になったというふうに思っております。ありがとうございます。

 次に、では、がん教育について残りの時間伺いたいと思います。

 私が議員になってすぐに、政府に対する申入れ文書を党の中で出すと言われて、ちょっと作文しなさいと言われて、一番最初に作文した文書というのが、私、このがん教育の申入れ、当時の文科大臣に申入れをさせていただきました。その後、このがん教育というのは、がん対策基本計画にも反映をされて、学習指導要領にまで反映をされるということになりました。

 我々がずっと訴えてきた一つは、がん教育をするに当たって、外部講師の活用ということでした。学校の先生ががん教育をするというだけじゃなくて、お医者さんであるとか、あるいはがんサバイバー、がんになられたけれども、がんと闘って、今生存されていらっしゃる、頑張っていらっしゃる方々、こういう方々に幅広く参画いただいて、がん教育を進めるべきだということを申し上げておりました。

 今回、がん教育の実施状況調査というのが、つい先週の金曜日に、二十一日に公表されました。そこでは、この外部講師の活用状況というのを見ますと、全体の八・一%しかありませんでした。文科省はこの結果をどのように受けとめているのか、伺いたいと思います。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の平成三十年度におきますがん教育の実施状況調査におきましては、外部講師を活用した学校の割合については、前年度から〇・九ポイントふえているものの、十分とは言えない状況であるというふうに認識をいたしております。

 その中でも、外部講師を活用しなかった学校からは、適当な講師がいなかったという回答が多く、外部講師を活用した学校からも、講師リスト等がなく、講師を探すのが難しいといった回答が多くあったところでございます。

 このため、文部科学省では、研修会等における好事例の実践発表や各自治体における外部講師名簿作成等の活用体制の整備を支援をするなど、外部講師の活用が一層進むよう取り組んでいるところでございます。

 引き続き、がん教育の充実に向けまして、外部講師の活用が一層進むように取り組んでまいりたいと考えております。

伊佐分科員 さっき局長の方から、外部講師を活用しなかった理由として、適当な講師がいなかったというようなことが答えで返ってきていると。あるいは、教師が指導したからいいんだ、こういう声も、私、伺っております。

 これは、何のために外部講師が必要なのか、外部講師の活用が重要なのかというところは、もう少し文科省としてもアピールしていただきたいなというふうに思っております。もちろんこれは、単なる知識を伝えるだけじゃなくて、健康とか命の大切さ、こういうものを学んでいく、こういう大きなテーマもあったというふうに思っております。こういうところをしっかりと踏まえた上で取組をお願いしたい。

 この外部講師の活用については、この国会の代表質問で、我が党から、斉藤幹事長から質問をして、総理が答弁をしております。総理の答弁の中にあったのは、医師等の外部講師の活用については、文科省と厚労省が連携して、体制整備を積極的に推進していくという前向きな答弁をいただいております。

 じゃ、この厚労省と文科省との連携、具体的にどのように進めていくのかについて伺いたいと思います。

丸山政府参考人 御指摘の外部講師の活用についてでございますが、厚労省におきまして、がん診療連携拠点病院等の指定要件というものが見直しをされまして、平成三十年の七月に、新たに、がん診療連携拠点病院、また地域がん診療病院、これは合わせて四百三十六カ所ございますけれども、その病院等が学校等でのがん教育に外部講師として協力をするということになったところでございます。

 このため、今後、がん診療連携拠点病院等における学校におけるがん教育の協力が一層進むように、厚労省、文科省連名による通知を発出することといたしております。

 引き続き、厚労省と連携をしながら、がん教育の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。

伊佐分科員 しっかりと連携をして、日ごろからいろいろな会議体で厚労省と一緒になっていると思います、より密にお願いしたい。

 というのは、これからいよいよ全国展開が始まります。今まではモデルケースで幾つか進めていた実態だったと思いますが、小学校では二〇二〇年四月から、中学校は二〇二一年四月から、学習指導要領に基づいて全国展開ということになりますので、ここは、最後の質問になりますが、国が前に積極的に進めるという観点からも、予算もしっかりと確保していただいて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 これまで文部科学省では、地域の実情に応じた各自治体の取組の支援や、教材等の作成、研修会等の開催など、がん教育の充実に向けた取組を進めてまいりました。

 来年度予算案におきましては、外部講師ががん教育を行う際の配慮事項や指導内容の具体例を盛り込んだ、外部講師向けのがん教育ガイドラインを作成をすることを予定をいたしております。

 今後、がん教育を着実に前に進め、一層の充実を図るように努めてまいりたいと考えております。

伊佐分科員 ありがとうございました。

 以上、終わりたいと思います。ありがとうございました。

井野主査 これにて伊佐進一君の質疑は終了いたしました。

 次に、上杉謙太郎君。

上杉分科員 おはようございます。自民党の上杉謙太郎でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。拍手、ありがとうございます。

 きょう、この予算委員会の分科会、文部科学省分野におきまして、まず冒頭、私、福島選出でありますから、亀岡副大臣にもお越しいただきましたが、お互い福島でございます。

 そこで、文科省さんの方では、原発に関することは、基礎研究ですとか賠償、また放射線教育をやっていらっしゃいます。きょう、もう二月はおしまいで、来月三月、三月十一日と、東日本大震災から九年、もう間もなく十年というところであります。

 そこでまず、廃炉ですとかそこら辺のお話を伺いたいんですけれども、きょう経産省さんにも、済みません、お越しをいただきました。現状、廃炉の進行状況と、そしてまた来年度の予算、どのようになっているか、教えていただけますか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策につきましては、中長期ロードマップに基づき、国も前面に立って、安全かつ着実に進めてきております。

 例えば、燃料デブリ取り出しに向けては、二号機で、燃料デブリと思われる堆積物をつかんで動かせることを確認をしております。また、汚染水対策につきましても、凍土壁やサブドレーンなどの予防的、重層的な対策により、汚染水発生量は着実に低減しております。

 また、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要がある研究開発について財政措置を行ってきており、これまで総計二千七百億円以上を計上しておりますが、その結果、凍土壁の開発による地下水流入量の削減や格納容器の内部の状況の把握等の成果が得られております。

 周辺地域で住民帰還や復興の取組が徐々に進む中、こうした進捗状況等も踏まえ、昨年十二月には中長期ロードマップを改定し、復興と廃炉の両立を大原則として、安全確保を最優先に進めていくことを改めて打ち出しております。

 引き続き、安全確保最優先、リスク低減の方針を堅持し、地域、社会とのコミュニケーションを一層強化しながら、必要な財政措置も含め、国も前面に立ってしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

上杉分科員 ありがとうございます。

 四十年、五十年かかるというふうに言われておりますので、汚染水処理の問題も含めて、引き続きお願いをしたいというふうに思います。

 文科省さんに伺いますけれども、四十年、五十年かかる廃炉に当たって、文科省さんの方では研究と技術開発ということでありますので、また、去年ですと、ロボットを使ってデブリのようなものをさわれたということでありまして進展をいたしました。ロボット開発もそうでありますし、この廃炉の技術を研究をしていくということが、廃炉のみならずいろいろな分野に応用できるようなそういう開発になるというふうに思うんですね。

 ということで、廃炉に向けた基礎研究、あと人材育成もそうでありますけれども、それを幅広く、ほかのことにも応用できるんだと、災害もふえておりますし。例えば噴火があって、噴火したところに、人が入れないところにロボットが行けるようになるかもしれないですし、いろいろな点で使えるようになるというふうに思います。

 文科省さんの方にもしっかりと予算をつけて取組を進めていってもらいたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

生川政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けまして、福島第一原子力発電所の廃止措置等研究開発の加速プランというものを策定をいたしまして、これに基づき、研究機関や大学等における基礎、基盤的な研究開発や人材育成の取組を推進をさせていただいているというところでございます。

 具体的には、日本原子力研究開発機構の廃炉国際共同研究センター、CLADSと言っておりますが、ここにおきまして、福島県富岡町に整備をいたしました国際共同研究棟などを活用し、燃料デブリの取扱いや放射性廃棄物の処理処分、事故進展シナリオの解明等の基礎、基盤的な研究開発を実施をしているところでございます。

 また、原子力分野だけではなく、今委員からも御指摘いただきましたけれども、さまざまな分野への応用ということもございます。さまざまな分野のすぐれた知識や経験を、大学や研究機関、企業等の組織の垣根を越えて緊密に融合、連携させるということから、中長期的な廃炉現場ニーズに対応するという研究開発あるいは人材育成の取組も進めているというところでございます。

 文部科学省としては、これらの事業を推進していくために、令和二年度予算案として四十二億円を計上をさせていただいているところでございまして、東京電力福島第一原子力発電所の着実な廃炉に向けて、関係省庁等と連携を図りながら、今後もしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。よろしくお願いしたいというふうに思います。

 来年で十年を迎えるわけでありますので、節目でありますから、復興庁も更に継続ということがもう決まりましたし、ぜひこの九年間を見返して、また、その技術開発もそうでありますし、汚染水の対応もそうでありますし、賠償もそうでありますし、いま一度ゼロベースに戻って、振り返りながら、福島県民のために、また日本の未来のために、どういうふうにやっていけばいいのかということをまた考えていただければと思います。自分も文部科学委員ですので、一緒になってやらせていただきたいというふうに思います。

 次に、原発事故が起きて、今まだ福島県は風評被害が残っております。

 風評被害も、これもまたずっと長く続くかもしれないということで、復興庁さんの方でリスクコミュニケーション強化戦略ということで、知ってもらう、来てもらう、食べてもらうという形で進めております。この中の知ってもらうというのが、放射線に対して正しい理解をしてもらう、これが風評被害につながるということであります。

 今、これも何度も部会でも委員会でもやらせてもらっていますけれども、今の風評を払拭していくということもそうでありますし、それだけでなくて、子供たちにしっかりと放射線に対して正しい教育をすることで、十年後、二十年後に放射線に対する誤解がないような状態をつくっておく、それを今からやっておかないといけない。文科省さんは、今にあって未来をつくる省庁でありますから、子供たちの教育が大事であるということであります。

 それで、放射線副読本、小学校から配っているものがあって、去年、改訂をしてくださいました。メーンでつくっている文科省の方に福島県にも来てもらっていますし、去年から配付をしております。しっかり来年もちゃんと配付するのか、予算計上されているのかの確認と、これも去年も何度もやらせてもらいましたが、ただ配って教えるだけではだめでして、しっかりフォローアップしないといけない、調査もしないといけないということでやっていらっしゃると思うんですけれども、そこら辺どういうふうになっているか、御教示いただければと思います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災から約九年が経過した現在におきましても、原発事故に伴います風評の払拭、あるいはいわれのない偏見、差別の解消には、今なお課題があると認識しております。児童生徒が放射線に関します科学的な知識を理解した上で、原発事故の状況、復興に向けた取組について理解を深めていくといったことは大変重要というふうに考えております。

 このため、令和二年度におきましては、引き続き、全国の小中高等学校等の新入学いたします児童生徒に放射線副読本を配付するとともに、現在実施中のフォローアップの意味を兼ねました放射線副読本の活用状況等に関する調査を通じまして、放射線副読本の効果的な活用事例を収集、取りまとめなどを行いまして、各教育委員会等に対して周知をしていきたいと考えております。

 また、教職員等を対象といたしました放射線に関する研修、それから児童生徒等を対象とした出前授業といったものも実施していきたいというふうに考えておりまして、こうした取組を通じて、引き続き、学校におきます放射線教育の充実に努めてまいりたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。

 学校現場では、先生方も大変な中で、またアンケートをとるのもちょっと大変ではあるとは思うんですけれども、ぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 また、去年つくったやつ、新しくしたものですのでまだいいですけれども、来年、再来年ぐらいには、中にあるデータとかもまた変えていった方がいいというのもあるでしょうし、調査の結果、構成だったり、もうちょっとこういうことを加えた方がいい、どんどん出てくると思いますから、今回の改訂版が最終版ではなくて、引き続き、もっとよりいいものをつくっていくということで、頭の中に入れておいていただけたらありがたいというふうに思います。

 続いて、放射線教育になりましたので、次に、教育現場の中の防災、防犯、交通安全、子供のですね、というところにちょっとお話を移したいというふうに思うんです。

 まず、交通安全でありますけれども、昨今、悲惨な交通事故がふえております。通学の時間だけでなくて、お散歩中に突っ込まれる、それで亡くなってしまう。やはり、今、平和な時代でありますから、なかなか人が死ぬということはない中にあって、交通事故で亡くなるというのは、これは人為的なものでありますから、限りなくゼロにしていく必要があるというふうに思います。

 そういったところで、政府としても、交通安全の緊急点検もやりましたし、進めているところでありますけれども、文科省さんとして今どういうふうに進めているのか、御教示いただけますか。

浅田政府参考人 昨年五月に大津市で発生しました保育園児が犠牲となる交通事故を始めとして、子供が巻き込まれる交通事故が後を絶ちません。子供の交通安全の取組は、文科省としても喫緊の課題だと認識をしております。

 このため、文科省としては、子供の見守り体制を強化するために、見守り活動の指導役であるスクールガードリーダーの配置予算について、令和元年度予算一・二億円から令和二年度予算案では三・四億円へと二・二億円増額するとともに、見守り活動時の対処能力を高めるために必要な装備品などに係る経費等の充実を図っているところでございます。

 また、教職員の安全教育の指導力を高めるために、都道府県教育委員会が実施する講習会についても支援を行っておりますが、令和二年度予算案ではこれも増額し、特に、交通安全教室、防犯教室の講習会実施回数をふやすなどの充実を図っているところでございます。

 今後とも、警察庁、国土交通省など交通安全にかかわる省庁とも十分連携して、子供たちの交通安全確保に向けた取組を進めていきたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 スクールガードリーダーもそうでありますし、朝の通勤通学の時間帯ですと、黄色い旗を持って、こうやってもらっている。私も朝、つじ立ちというのをやっていますので一緒になって、交差点に立つときは黄色い旗を持って子供たちに、横断歩道を渡るときにこうやってやらせていただいております。

 続いて、国交省さんにもお越しいただきましたのでちょっと一点伺いたいんですけれども、交通安全対策補助制度、地区内連携ということを、これは新規で、新たにおつくりをいただいたというふうに御説明を受けております。

 これはすばらしいなと思ったんですけれども、自治体と地域の方々が連携をして合意に基づいて、やはり地域の人たちが危険な場所を知っているわけであります。それを緊急安全点検等でも挙げているというのがあるんですけれども。自治体なりが主導で、交差点の補修を行ったりですとかハンプみたいなものをつくったりですとか、いろいろなことができるというふうに承知をしております。

 すばらしい制度だと思うんですけれども、御説明いただけますか。

野田政府参考人 安全、安心な歩行空間の整備など、交通安全対策を効果的に実施するためには、道路管理者、地元の警察、学校や幼稚園、保育園などの関係機関また地元住民、こういった皆様が連携し、合意形成の上で計画的に進めていくということが重要であると考えております。

 来年度創設しようとしております制度でございますが、車両の速度の抑制を促しますハンプ、路面に凸部をつくるというものでございますが、このハンプを設置する、あるいは生活道路のエリアへの車両の進入を防ぐためのボラードを設置する、歩道の設置あるいは交差点の改良などの交通安全対策を地域の皆様の合意に基づいて計画的に実施しよう、こういった取組を支援するものでございまして、国費といたしまして三十億円を計上しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、本制度も活用いたしまして、子供の移動経路などの安全確保を一層積極的に進めてまいります。

上杉分科員 ありがとうございます。

 個別補助制度と書いてあるので、もう自治体から直に国交省さんに上がってきているということですものね。ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 続いて、交通安全の次が防災なんですけれども、昨年、台風十九号等幾つも災害がありました。この災害、台風もそうでありますし、異常気象によるものではなくて、異常気象がもう常態化してしまって、毎年もしかすると起こるかもしれない。そういったときに、ここは文科ですので文科分野でいいますと、子供たちに避難させるときにどうするかというお話なんですけれども。

 去年の台風のときも私ども福島県は大変な被害がありましたが、ソフトの面でいうと、消防団の方々が本当にすばらしい活躍をしてくださったんですね。消防団の活躍があったからこそ救われた命があったというところでありました。

 では、小学校、中学校の学区というふうに見ますと、学区の中の登校班ですとか、必ずそこには消防団の方がいるわけであります。しかも、地元に住んでいますし、自分の子供だったりするわけで、小中学生だったりするわけであります。地域を熟知していますし。

 そういうときに、例えば台風とかが起きたときに避難するのが大体自分の小学校だったりするんですよね、公民館とかもありますけれども。通学路をそのまま行くと、実は川沿いに通学路を設定している班もあるわけですよ。川の土手のところの道を通って学校に行くとかもあるわけですね。そこから越水しているので通れないわけであります。そうすると、学校の通学のときの登校ルートと避難するときのルートは違ってくるという場所が出てくるわけでありますよね。

 ということは、災害があったときにどういうふうに学校に避難するのかというルートを細かくしっかり設定していかないといけない。例えばそういうときに、消防団の方々とかは非常に知見を持っているので、今、文科省さんだと地域コミュニティー制度とかありますから、そういうところにしっかり消防団の方を入れて、そういう万が一のときにこういうふうにやるんだということをシミュレーションしていく必要があるというふうに思うんですね。

 ということで、コミュニティースクール制度と消防団を盛り込んでしっかりと対応していく、学校で防災教育も防災対応もしていくということが大事だと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

浅田政府参考人 自然災害は、子供たちが学校にいる間に起こるとは限りません。登下校中とか家庭、地域にいる間に起こる可能性もございます。したがって、日ごろから、子供たちを守るという視点で、地域と連携、協働した防災教育の推進が必要と考えております。

 このため、文科省としては、学校安全資料「「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」という資料をつくっておりますが、そこでも、コミュニティースクールの活用などを通じ、学校安全の観点を組み入れた学校運営や地域ぐるみの防災の取組などの連携体制づくりを進めるよう促しているところでございます。

 例えば、コミュニティースクールを活用して、地域のことをよく御存じの地域住民の方あるいは消防団の方、防災部局と連携して協力体制を構築し、地域の実情を踏まえた効果的な防災教育を行っているという事例もございます。

 今後とも、こうした地域と連携しての防災教育の実践例も踏まえつつ、地域の人材を有効に活用した学校安全の取組を推進していきたいと考えております。

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 続いて、今度、学校の中になるんですけれども、小学校、中学校、特に中学校なんですけれども、部活指導員について伺いたいと思うんですが、今、教員の方々、負担軽減していかないといけないということがあります。それで部活動の指導員も外部から呼んでこようと。また一方で、部活動の時間を削減するというのもあって、土日どっちか一日ですとか、こういうふうにもなっている。

 教員の負担軽減という側面と、あともう一個、部活の時間が少なくなるのであれば、顧問の先生の専門性を高めるということが大事だなと思うんです。この二点、業務負担と専門性を高めるというこの二点から、部活動指導員をもっと推進していくべきだと思うんですね。

 例えば、私の場合、剣道をやっているんですが、剣道三段なんですけれども、中学生に教えるときには有段者が教えないと、ちょっとあれですけれども剣道未経験者の部活の顧問の先生ですとその学校というのはやはり強くならないですよね、私でさえ全然だめですけれども。

 やはり、そう考えますと、部活の顧問の先生、そのスポーツをやっていたかというのは四十数%ぐらいしかいなかったという、文科省さんの資料でですね、ということは、やはり経験者が顧問の先生をやるべきでありますので、それを外部から連れてくる。そうすることによって、専門性も高まって子供たちの技術のレベルも上がりますし、学校の先生の負担もとれるということであります。

 ということで、ことしも予算、増額になっておりますけれども、どのように進めているか、教えていただけますか。

丸山政府参考人 部活動指導員の予算の関係でございますが、令和二年度予算案におきましては、部活動ガイドラインを遵守するなど部活動の適正化に向けて取組を進めている学校設置者を対象に、部活動指導員の配置につきまして、一校一人以上の配置が実現する一万二百人、予算額で十一億円に拡充を行うとともに、各自治体により広範囲で人材確保が進められるよう、新たに交通費を補助対象経費として含めることといたしました。

 一方で、部活動指導員の人材確保については、学校任せにせず、各教育委員会において、教員経験者や競技の経験者、教師を志す学生など、老若男女を問わず幅広く人材を確保できるよう、人材バンクの整備といった取組を積極的に進めていただく必要があると考えております。

 実際に、教育委員会等におきましては、東京都や島根県の益田市におきましては、域内幅広く人材を確保できるよう人材バンクの設置、また、名古屋市では、大学と連携をしまして大学生の部活動指導員を確保といった部活動指導員の人材確保の工夫がなされておりまして、文部科学省としては、こうした好事例の横展開によりまして、各教育委員会等における人材確保の取組を支援してまいりたいと考えております。

    〔主査退席、鬼木主査代理着席〕

上杉分科員 ありがとうございます。

 交通費を新たに支給することになったということで、前進だと思いますので、さらに、月曜から金曜、土日で仕事をしている方もいらっしゃいますから、部活の顧問だけをやるというのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、例えば、六十歳で定年されて、その後、セカンドライフをどうするかというときに、子供たちに教えよう、部活の先生だったらできる、生活できるぐらいの給料がもらえて専門でやってもらうというのも一つ検討の材料でもあると思いますので、ぜひ、今後、いろいろなところで一緒になって検討させてもらえたらありがたいというふうに思います。

 続いて、教育の中の地方格差ということなんですけれども、やはり、首都圏の子供たちと地方の子供たちとでは、いろいろな教育の機会というのは格差があるんだろうなというふうに思っております。大学の進学率も、やはり首都圏の子と地方の子で違う。いろいろな要因があってそうであるんですけれども。そういった中で、今、もうどんどんどんどんIT、AIの社会になってきておりますから、いろいろとそういうツールを使えば全国均一で同じことができるわけでありますので、一部、地域の教育の格差の是正というものが進むんだろうなというふうに思っております。

 そこで文科省さん、どういうことを促進されていくかを御説明いただけますでしょうか。

丸山政府参考人 ICTや先端技術を効果的に活用することにより、学びにおける時間、距離などの制約を取り払うこと、また、個別に最適で効果的な学びや支援を行うことなどが可能になるというふうに考えております。

 このため、文部科学省では、GIGAスクール構想を掲げ、令和の時代における学校のスタンダードとして、全国津々浦々の学校において一人一台端末環境の実現を目指しております。

 また、このようなICT環境を基盤として、遠隔教育を活用し、過疎地や離島、小規模校を始め、全国どこでも子供たちが多様な意見や考えに触れたり、協働して学習に取り組んだりする機会の充実を図ることや、デジタル教材を活用し、一人一人の学習進捗状況に応じた、よりきめ細やかな指導を行うことや、先端技術を効果的に活用することにより、いつでもどこにいても子供たちの学びの質を高めることが可能になるというふうに考えております。

 文部科学省では、先端技術の効果的な活用に関する実証事業を行い、その成果も踏まえつつ、来年度中を目途に学校現場における先端技術ガイドラインを策定することとしており、全国の学校において先端技術の効果的な活用が進んでいくよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

    〔鬼木主査代理退席、主査着席〕

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 十分を切ってしまったので、説明を短くしてどんどん進めていきたいというふうに思います。

 続いて、今度はITじゃなくてAIとかなんですけれども、AI戦略二〇一九というのもありました。これからそのAIをやっていく上で、やはり、小学生からやっていく必要があるというふうに思うんです。昔だったら読み書きそろばんと言いましたけれども、これからはもうデータサイエンス、AI、数理とかですね。

 子供たちは、算数をやっているときから、将来こういうことをやるんだというイメージも出てくると思いますので、新学習指導要領も変わりますし、子供のうちから、数理、データサイエンス、そういったことを進めていくべきだというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

串田政府参考人 お答えします。

 ソサエティー五・〇の到来など、予測困難な変化の激しい社会におきましては、高い理数能力でAI、データを理解し、使いこなす力に加えまして、課題設定、解決力や異質なものを組み合わせる力などによりまして価値創造を行う、そういった人材の育成が重要というふうに考えております。

 このため、新しい学習指導要領におきましては、例えば、算数、数学科におきまして、小学校の算数においては、統計にかかわりましてデータの活用といった領域を新設するなど、小中高等学校を通じて統計教育の充実を図っております。社会生活などのさまざまな場面におきまして、課題を解決したり意思決定したりする能力、そういった能力を育成することといたしております。

 また、小学校におきましてはプログラミング教育を必修化しておりまして、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を育成するほか、高等学校の情報科におきましては、共通必履修科目といたしまして情報1を新設し、全ての生徒がプログラミングやデータベースの基礎等を学ぶこととしております。

 数理、データサイエンス、AIに対応できる人材の育成に向けまして、初等中等教育段階から、その基盤となります統計教育、プログラミングの教育にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

上杉分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 そのAIなんですけれども、AIで質問を一つつくらせてもらったんですけれども、時間もなくなってきましたので飛ばさせていただいて、量子技術の方もちょっと伺いたいんですけれども。

 これから、この量子技術というのはすごい大事だというふうに思っております。これからここに予算をどんどんどんどん注入していくべきだというふうに思うんですけれども、統合イノベーション戦略推進会議においても量子技術イノベーション戦略が策定されたところでありますし、どんどんどんどん進めていっていただきたいというふうに思いますが、取組、いかがでしょうか。

菱山政府参考人 今先生御指摘の量子技術につきましては、まさに経済産業、安全保障上の重要技術との認識のもと、アメリカや欧州、中国を中心に、巨額の投資を通じて、研究開発の取組が急速に進展しているところでございます。

 我が国でも、今御指摘のありました量子技術を科学技術イノベーション政策上の重要技術と位置づけまして、統合イノベーション戦略推進会議のもとで審議を進めまして、ことしの一月二十一日に量子技術イノベーション戦略として決定されたところであります。

 私ども文部科学省といたしましては、この戦略を踏まえまして、量子コンピューター、量子計測・センシングなどに対する重点的な研究開発、また、大学や国立研究開発法人等におきまして、国内外から人材や投資を呼び込み、基礎研究から技術実証までを行う国際的な拠点の形成、そして、すぐれた若手研究者、技術者の戦略的な育成確保、また、欧米などとの戦略的な国際協力を積極的に推進してまいります。

上杉分科員 ありがとうございます。

 恐らく、量子技術は世界を本当に一変させるすばらしい技術だというふうに思います。多岐にわたりますし、時間もかかることであるとは思うんですけれども。しかしながら、未来をつくる文部科学省としては、ぜひもっと予算をふやして、どんどんどんどん進めていってもらいたいというふうに思います。

 同じように、その量子と同じぐらい大事なのがナノテクノロジーなんですけれども、技術もそうでありますし、実はなかなか、日本の工業輸出の二割以上を占めていて、例えば自動車と同じぐらいであります。また、地方創生にもなるというふうに思います。いろいろな点で、このナノ技術の方も、ナノテクノロジーもどんどん推進していくべきだというふうに思います。

 きょうは亀岡副大臣にお越しをいただきましたので、そのナノテクノロジーについてと、あと、文部科学省として、しっかりとやはり先端技術の研究開発費、もっともっと予算を、もう倍増ぐらいやるべきだというふうに思います。未来に対する投資というのが大事だというふうに思います。ぜひ、御決意もあわせてお伺いできたらありがたいというふうに思います。

亀岡副大臣 まさに今上杉委員が言われたとおり、ナノテクノロジー、また量子も、大変な、これからの日本にとって重要な戦略の一つであります。特に、ナノテクノロジー、プラットフォームでつくりまして八年目になりましたけれども、これはかなり有効に手だてが、多くの方々が理解されて、去年も三千件ぐらいのお申込みがあって成果を上げています。また、九割以上の方が満足度があるということで、また若手の方も五〇%以上利用しているということで、これはまさに積極的にもっともっと取り組まなきゃいけないというふうに考えております。

 現時点で十五億の、しっかりとナノテクノロジー予算をつけておりますし、さらに運営補助ということで十九億ということで、三分の二の補助が入っておりますので、これを有効活用していただきながら更に進めていく覚悟でありますけれども、再来年、十年目を迎えますけれども、ここに向けてまたこれからしっかり取り組みながら、まさに日本のナノテクノロジー又は量子研究がしっかりと進むように、高度解析分析機器をこのプラットフォームで多くの官民合同で使ってもらう、又は産学官連携のもとに大いに活用していただくような環境づくりにしっかり取り組んでいきますので、予算もしっかりこれから考えていきたいと思います。

上杉分科員 ありがとうございます。

 さすが、江川卓投手のボールを受けておられただけあって、しっかりと私の直球を受けていただいてありがとうございました。

 質問がたくさんあったんですが、今、もう時間が終了いたしましたという紙をいただいてしまいました。ゲノムですとかDNA、宇宙、また海外の教育というところも御準備をいただいたんですが、質問できず時間になってしまいましたので、また次の機会に質問させていただくということでおわびを申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

井野主査 これにて上杉謙太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎誠君。

山崎分科員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 立国社会派を代表いたしまして質問時間をいただきました。ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 私からは、第一問としては、今、本当に日本全体あるいは世界じゅうで問題になっています新型コロナウイルス対策について、教育現場の今の現状、課題等について議論をさせていただこうと思っています。

 言うまでもありませんが、連日、メディアでもトップニュースでこのコロナウイルスの感染の話が出てきます。

 私は、文科省に質問させていただくということで、教育現場の様子を追っていましたが、けさも、北海道でまた感染が明らかになったということでございます。二十四日、江別市の学校に勤務する石狩地方の五十歳の男性教諭が新型コロナウイルスに感染していたということが発表になった。

 それから、二十三日に判明した方ですが、愛別町の七十代の男性、町のスクールバスの運転手だったということですが、十八日に発症してから二十一日に入院するまで、児童や園児合わせて二十人の送迎を担当していましたというようなニュースもございました。

 さかのぼると、これも北海道ですね、二十一日には、中富良野町に住む十歳未満と十代の小学生の兄弟が新型ウイルスに感染したと報告があったということ。報道によりますと、小学校は急遽、二十一日の授業を中止をして、約二百名を緊急下校させた。マスク約二百五十枚を配り、教職員手分けをして、校内のトイレやドアノブ、教室内などのアルコール除菌をしたということ。文科省としては、二十一日、休校や学級閉鎖などの臨時休業措置をとることが望ましいとの見解を道教育委員会へ伝えた。道教育委員会などは、週明け二十五日以降の授業再開について協議、判断をするということで、きょうを迎えていると思います。

 それから、石川県に住む男子中学生、この方も、二十一日にPCR検査の結果、陽性と判明ということでございまして、この男子学生が通っていた学校については名前も出ていました、金沢市立野田中学校、三月五日まで休校にするということでした。

 それから、これも重要な案件でございますが、中学校教諭の感染ということで、千葉県在住の市立中学校勤務の六十代の女性教員が二十一日の検査で陽性が判明ということでございました。この方は、記事によると、十一日に風邪だと診断をされて、十九日に発熱が高まって入院をして、二十一日に検査結果が出るということでございますが、十三日、十四日は試験監督をしたり、十七日には採点の返却事務をしたということでございます。

 このように、学校現場でも事例が出ています。

 こういう中で、まず、厚労省の方にも来ていただいているのでお聞きをしたいんですが、ちょっと質問要旨にはないんですが、基本的なことなのでお答えいただければと思うんですが、今、この感染、どういう段階にあるということであるのか。初期なのか、あるいは拡大期なのか。そんなお話も出ていると思います。今どういう段階にあるのか、教えていただきたい。

 それから、学校という施設の位置づけ。感染にとって、学校というのはどういう位置づけの施設なのか。一言で言えば、私は、大変危険性の高い、やはり感染が蔓延をする、そういうきっかけになる施設ではないかと思うんですが、そのあたりの御所見をいただければと思います。

橋本政府参考人 まず、今お尋ねいただきました現時点での段階ということでございますが、直近の状況を私つぶさには把握してございませんけれども、いずれにしましても、今の状況、患者の発生状況などを踏まえながら、また専門家の方々からのさまざまなアドバイスをいただきながら、逐次国民に対して適切な情報発信に努めているという状況でございます。

 また、学校という場でございますけれども、多くの子供たちがその場に集まってくるということで、感染症が発生した場合には拡大をしやすい一つのリスクのある場というふうに認識しております。

山崎分科員 この感染が今どういう状況にあって、これは専門家のいろいろな意見もあると思いますが、今、感染のやはり拡大期に入りつつある、あるいは拡大期なんだというような意見もある。あるいは感染の初期なのかというお話もある。でも、市中感染ということで、もう次の段階に入ったのは間違いないと言われています。いわゆる感染のルートが特定できないような方で、ぽつぽつぽつぽつと感染が広がっていくという段階です。

 今お話があったように、やはり教育現場というのは人が集まります。子供たちが集まるし、そういう子供たちは地域に散っていくわけですね。というと、もしそこで感染が広がれば、地域全体に広がっていくリスクも大変大きい。やはり子供たちは、大人よりもそういう感染対策にはある意味無頓着なところもあると思います。そういった意味では、学校の対策をきちっとここでとるというのは私は非常に重要だと思っています。

 そういった意味でちょっときょうは質問させていただきますが、まず、大臣、来ていただいていますので、教育現場の現状、対応についてお聞きをしたいと思います。

萩生田国務大臣 先週二十一日の金曜日以降、北海道や千葉県を始めとして、児童生徒や教職員の感染例が出てきており、保護者の皆様を始め学校関係者の方の中には不安を感じている方も多いのではないかと思っております。

 症状が出ている感染者が発生した北海道及び千葉市の教育委員会に対しては、児童生徒の安全確保を最優先とし、速やかに学校の全部又は一部の臨時休業を行うことが望ましいことをお伝えしたところです。

 また、臨時休業は、法令上、学校の設置者が必要と判断した場合に行うことができるものであり、文部科学省に判断の権限はないんですが、このように学校において新型コロナウイルス感染者が出始めている状況を踏まえ、各学校の設置者が円滑に判断する際の参考となるよう、文科省として、速やかに全国に方針や留意事項を周知したいと考えております。

 例えば、現在の国内での感染の発生状況を踏まえれば、自治体の判断として、衛生部局の見解を踏まえ、地域全体での感染拡大を抑える目的で、感染者のいない学校も含めて積極的な臨時休業を行うことも考えられます。

 こうした場合も含め、臨時休業等を行う場合に関するさまざまな留意事項、具体的には、臨時休業中の児童生徒に補充のための授業や家庭学習を課す等の学習面への配慮、教育課程の弾力的な扱いの考え方、休業期間中の子供の監督者の確保の問題など、保護者にさまざまな負担が生じ得ることから、首長部局とも十分に相談の上、保護者の負担を極力軽減するよう配慮すべきことなどについて文部科学省として示す予定です。

 また、あわせて、御家庭と連携して、児童生徒の登校前の検温など、厳重な健康確認を行うことにより、発熱など風邪の症状がある場合には登校することのないようにするとともに、児童生徒などと直接接する立場にある教職員に対して、今先生からも具体的な例を示していただきました、本当だったら休んでもらった方がよかったのに試験監督があって休めなかった、あるいはその後の採点もしなくてはならなかったという実情もよくわかりましたので、この点も、もう熱があったら休んでくださいということをこの際周知徹底してまいりたいと思っています。

山崎分科員 学校と教育行政の関係というのが、今お話の中に出てきました。一義的には学校の現場の判断が優先されるというのは一定理解をするところなんですが、事ここは緊急事態だと私は思いますし、大変未知なるリスクに対応しなきゃいけないということで、現場も非常に混乱をしていると思います。

 先ほど事例も読み上げましたが、やはり対応に既にばらつきが出ていて、どういうふうに休業の期間をとるのか、そして、それぞれが自分たちの専門家の皆さんとの意見交換をしなければいけないとか、ある意味、文科省としてはいろいろな支援をしているのかとは思いますが、こういう報道を見ると若干私は不安を覚えます。

 より具体的な、あるいは明確な指針というものをやはり出すべきではないかな。最終的にそれを採用するかどうかは学校の判断に委ねるとしても、より突っ込んだ処置の方針を私は出すべきだと思いますが、そのあたり、大臣、お考えはいかがですか。

萩生田国務大臣 そのとおりだと思います。したがって、先ほど申し上げたように、例えば校内で児童生徒あるいは先生、いずれにしても発症事例があった場合には、一部又は全部の休業をするべきだということを全国に通知をしています。

 加えて、小さな自治体などで一つの学校で複数の感染者があった場合には、町の中の学校そのものも閉鎖することもこれからは考えるべきだということを、きょう、実はこの後のお昼の対策会議で発信をさせていただいて、きょうじゅうに全国に発出をしたいと思っておりまして、先生に一番最初にお答えしているんですけれども、そういう意味では、そういう指針を示していきたいと思います。

 文科省として、決して地方任せにしているわけじゃなくて、さまざまなシミュレーションを議論したんです。ところが、例えば、同じ発症でも症状が全くない場合、あるいは、発症した人がその前に学校を休んでいて十分に安全確保ができている場合など、さまざまなケースが考えられるので、余り一律に、全て休校しろ、学級閉鎖にしろということを指導しますと、かえってこちらの方が混乱が起こるので、自治体ごとの状況に合わせて都道府県の衛生当局としっかり話合いをしてくださいということを一つのルールにしています。

 加えて、相談には文科省としてもしっかり乗る体制はできておりますので、できる限り、大きな指針の中で、それぞれ地域のレアケースに合わせて対応を考えていただきたいな、こう思っているところでございます。

山崎分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、具体的な指針というか、一歩踏み込んだ処置というのを、いろいろなケースもあると思います、でも、私は、ある程度のケース分けをしながらやはり示すことが今は必要なのではないかなと。

 現時点で、私は先ほど一番初めに質問をさせていただきましたが、やはり感染のタイミングというのがあると思うんですよね。感染が広がるのを待ってから厳しい処置をしても、もうそれはある種手おくれですから、ある意味、今がそのタイミングなのではないかなと。より積極的な休校措置とか前倒し実施、あるいは、春休みをどういうふうにとっていただくとか、前倒しをするとか、いろいろなケースも、いろいろな考え方もあると思います。

 ぜひとも、そうした蔓延する前の対策、だから、今も大臣のお話の中にありました、やはり感染者が発生していない学校も含めての対応というのは非常に大事で、今が私はその積極的に手当てをとるタイミングではないかと思いますので、くれぐれもその点をよろしくお願いをしたいと思います。

 ちょっと質問を飛ばしますが、教職員の皆さんの健康確保について、これもお聞きをしたいと思っています。

 どうも今の政府の対応で私が一つ不満なのは、やはり、いろいろな考え方があるのかもしれない、でも、PCR検査の実施の広がりがまだまだ十分ではないのではないかなというふうに思っています。

 そういった意味では、学校の先生方、やはり子供たちに接する先生方については、症状が出た方はもう言うまでもなく、出る前から検査をしていくということが必要なのではないか。

 千葉の事例でいえば、初めは風邪だと言われてしまって、その間、風邪なら無理をしてでも子供たちのためにということで勤務をしてしまうということですよね。これでは本当に後の祭りになってしまうので、学校の先生については積極的にPCRの検査、少なくとも、その地域で、感染が蔓延しそうな地域に関してはもう前もってとにかく受けていただくということが必要なのではないかと思いますが、そのあたり、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校現場において、児童生徒等のみならず教職員の健康を確保することは重要でございます。

 文部科学省では、新型コロナウイルス感染症に関して、最新かつ正確な情報を収集し教職員に提供すること、教職員が新型コロナウイルス感染症について正しい認識を持つとともに、基本的な感染症対策を含めた対応について共通理解を深めるよう努めることについて、教育委員会等に通知をしているところでございます。

 また、先生御指摘の、教職員は直接児童生徒に接する立場にあることから、一層厳格かつ迅速に対応する必要があると考えておりまして、教職員も発熱等の風邪の症状が見られるときは無理をせず自宅で休養するよう促すなど、教育委員会に周知を図っているところでございます。

 今後とも、児童生徒等のみならず教職員の健康が確保されるよう、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいりたいと考えております。

山崎分科員 PCR検査をぜひ実施を広げていただきたい。

 学校の先生、例えば、休んでいただくといっても、休んでその人が何だったのかわからなければ学校での対応は進まないんですよね。無症状で勤務をしていた、発熱をした、調子悪いな、学校を休む、その後だと思いますよ。その後PCR検査をやって、先生は大丈夫なのかどうかというのは、ちゃんとやらないと次の対応がとれないじゃないですか。いかがですか。

丸山政府参考人 先ほど来申し上げましたが、それぞれの地域においての状況というのがございますので、そういった教職員の健康というものが確保されるように、教育委員会、自治体の方とも相談してまいりたいと考えております。

山崎分科員 PCR検査についてお聞きをしています。検査を広げて、学校の先生にはちゃんと受けていただく、その点、どうですか。

丸山政府参考人 各自治体の衛生部局や、いわゆる保健所等ともよく相談をしながら検討してまいりたいというふうに考えております。

山崎分科員 もうこれだけ感染が学校で広がっていて、先生の事例、先ほども言いましたよ。広がっているじゃないですか。先生は優先して、私は、極端に言えば、全員の先生が受けるような体制を早期にとっていかないと、学校の安全、守れないじゃないですか。

 大臣、いかがですか。ちょっとお考えをお聞きしたい。

萩生田国務大臣 物理的にそれが可能でしたらPCRをやった方がいいというのは私も同意見なんですけれども、御案内のように、国内のPCRの検査状況、今報道でも出ているように、日々、数をふやして今三千を超えたところであります。

 少なくとも、症状が出た教職員に関しては、地元の保健所などと連携をしながら、できるならば検査をするべきだと私も思いますけれども、全ての教員をということになりますと、やはりちょっと物理的に無理もあるんじゃないかなと思っております。

山崎分科員 例えば医療従事者の方々あるいは交通機関とかそういった方々、PCRを受けるいろいろな優先順位が多分あると思いますが、ぜひ学校の先生も入れていただいて、できる限り早くたくさんの方が受けられるように。どうも日本のPCRの検査の実施状況が伸びないということで、いろいろな要因があると報道でも書いてあります。細かくはここでは追及しませんけれども、これは早くやらないと、結局、後手後手に回っていくということになりますので。

 また、PCR検査が万能かといえば、それもそうではないというのもわかります。なので、うまく効果的にそういうものを使って組み合わせてやっていかないと、本当にこの感染拡大、抑えられないのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、ちょっと順番が狂いましたが、マスクだとか消毒用品などの準備状況、あるいは保健室の対応状況等、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 児童生徒が使用しますマスクにつきましては、これは個人で用意するものであります。また、学校で使用する消毒用品等も、学校の判断で、学校のそれぞれの置かれている状況を踏まえて整備を行っております。各学校の整備状況について、そういったことから文科省では今把握はしていないという状況でございます。

 ただ、保健室では、日々の健康観察や保健室の利用状況等から、感染症の発生や流行の早期発見に努め、疑わしい感染症の症状があるときは、養護教諭は児童生徒に速やかに学校医や医師の診断を受けるよう指導しているところであります。

 文科省では、今回の新型コロナウイルス感染に関して、手洗いの大切さ等の感染症の対策について、また、症状が出た場合の対応等、先ほど来御説明をさせていただいておりますが、指導しているところでありまして、今後とも、情報収集や状況の変化に迅速に対応を行うことができるような体制をしっかりと整えるよう、新型コロナウイルス対策に遺漏なく取り組みたいというふうに考えております。

山崎分科員 これは、消毒用品とかマスクというのは基本中の基本でございまして、本当に市中に出回らなくなっていて大変困っている、病院ですら困っているというお話でございますから、私は学校現場でも大変厳しい状況があると思います。

 自治体、一生懸命手当てをしているのかもしれない。でも、これは国として、厚労省も含めて国としてこういったものをちゃんと整備していく。学校として備えておくべき物品に含まれていないというお話も聞いていて、こういったものは、今後の教訓としても、やはりこういう感染症対策が弱いのではないかと思います。ぜひとも、これは自治体任せにしないで、厚労省が中心になって対応をとっていただきたい。そして、学校現場の声もしっかりと上げていただきたいと思います。

 それから、地域との連携というお話の中で、私が、先ほどの事例でも、ちょこっと読み上げた中でも、いろいろな表現を使われているんですね。学校名が出てくるところもあれば学校名が出てこないところもあるし、いろいろな地域、地方名で呼んだりとか。こういう状況というのは、どうなんでしょう。

 個人情報だとか、いろいろなそういう情報の機微に触れる部分があるのはわかりますが、緊急事態で、どこでどういう感染が、今リスクが高まっているのかという情報を、やはりきちっと情報を統一して発表していくということもある種必要だと思うんですよ。その辺の情報公開のガイドラインみたいなものは、文科省としてはどんなふうに考えていらっしゃいますか。厚労省でも。

橋本政府参考人 さまざまな、感染が判明した場合の情報公開につきましては、それぞれのケースでの発生の状況、あるいは感染者がどういった行動をしていたかということがどこまで特定できているかとか、あるいはプライバシーへの配慮ですとか、さまざま考慮しながら、それぞれの主体において判断されているものと承知しております。

山崎分科員 そこで首をかしげないでいただきたいんですよ。私は基本中の基本だと思います。

 例えば、学校の名前を公表するのかしないのか、これは本当に基本的なところですよね。もちろん、いろいろな状況があるのはわかりますが、どこの学校でそういうことが起きたのかというのは基本中の基本の情報だし、地域の皆さんにはきちっと周知しなければいけないし、地域の皆さんは知っているのかもしれない、でも、そういったものをちゃんとオーソライズしていくことが私はリスク管理の第一義だと思うんですけれども、そのあたり、いかがですか。

橋本政府参考人 まさに感染の拡大の防止という観点から、委員御指摘のような、大変、情報公開を丁寧に行っていくということが重要であることはもちろんでございますけれども、一つ一つのケース、それぞれ対応が違いますので、適切にそれぞれの主体において判断されるものと思います。

山崎分科員 判断の基準を、どういうふうに国は示しているんですか。

橋本政府参考人 それぞれの自治体における対応につきまして、国から一律な判断基準というものは示していなかったというふうに承知しております。

山崎分科員 これは、危機管理として何が必要か、やはり専門家の意見なども聞いていただいて、そういういろいろな情報管理のノウハウ、スキルが要ると思いますよ、これから。ばらばらに対応していて、それでは本当に不安ばかりが広がっていって、保護者の皆さんとか、うちの学校は本当に大丈夫なのかな、学級閉鎖になったけれども、あれは何なんだろうみたいな話になると、そこからパニックが起きる。やはり、冷静な対応をするためにも、そういったものはきちっと一律の基準なりを定めていくべきだと思います。ぜひ、これは前向きに早く検討して、そういった指針も出していただきたいと思います。

 それからもう一つ、医療的なケアが必要な子供という問題について。

 この新型コロナウイルスの感染、劇症化する、あるいは重症化する、重篤になる率というのは比較的低いとは言われていますが、医療的なケアが必要な難病を抱えているような子供たちというのは、そういった意味では大変リスクが高いというふうに考えます。学校にはそういう方々もたくさんいらっしゃるわけで、そういった方に対する対応をどういうふうに考えているのか、お聞きをしたいと思うんですが。

丸山政府参考人 新型コロナウイルスについては、基礎疾患のある方は重症化しやすいため、医療的ケアが必要な子供たちへの感染予防の対応は特に重要であるというふうに考えております。

 文部科学省としては、最新の情報を迅速に提供するとともに、先ほど申し上げましたが、手洗いやせきエチケットなどの基本的な感染症対策を徹底することや、日常の健康管理として、児童生徒等に発熱等の風邪の症状が見られるときは、無理せずに自宅で休養させるよう教育委員会等に周知を図っているところであります。

 以上の取組を通じまして、引き続き、医療的ケアが必要な子供たちへの感染予防を推進してまいりたいと考えております。

山崎分科員 今のお話は、一般の子供たちに対するのとほとんど変わらないと思いますよ。特に医療的なケアが必要な、重篤化の危険がある子供たちに対してどういう対策を上乗せしてやっていくのかというのを聞いています。

橋本政府参考人 今御指摘いただきましたように、医療的ケアを必要とする子供たちの中には、呼吸の障害を持って、気管切開ですとかあるいは人工呼吸器を使用しているといった子供も多うございます。したがいまして、肺炎等の呼吸器感染症にかかりやすいというのは一つの特徴でございます。

 医療的ケアの実施に当たりましては、もとから感染予防のためのさまざまな方法をとられているわけでございますけれども、手洗いや手指消毒、手袋やマスク等の防護用具の使用を一層徹底するということとともに、できる限り子供の様子を丁寧に観察して早期発見、早期対応に努めることが大変重要というふうに考えております。

山崎分科員 私は、今の御答弁は非常に危機感が乏しいと思いますよ。そういう子供たち、じゃ、普通に手洗いとかきちっとやれば学校に通っていいんですか。

 私は、だから、そういう方々には、例えば、在宅で学習をしましょうということで、一定期間学校に通うのを停止するようなことがあってもいいと思うんですよ。ちゃんとそれを、学校の先生なり誰かがフォローしてあげるから安心して学校を少し休んでいなさい、落ちつくまでは、今危険があるかもしれない、そういう対応が本当に必要なんじゃないですか。一方的に休めと言っているんじゃないですよ。休んだ後、こういう手当てをして、きちっと学校、面倒見るからねという、手を差し伸べる支援がやはり個別に必要なんじゃないですか。そういう発想はないですか。

橋本政府参考人 学校への通学につきまして、さまざま判断があるわけでございますが、そういった学校の中での医療的ケア児への対応につきましては、文部科学省や教育委員会、それぞれの教育現場において判断がなされておるわけでございますが、私ども厚生労働省といたしましても、文部科学省の方と連携をいたしまして、在宅での医療的ケア児の対応に係る留意事項など、そういったことにつきまして、改めて自治体、団体関係者を通じて周知することなどを検討させていただきたいと思っております。

山崎分科員 文科省がいろいろ指針を出される中に、医療的ケアが必要な子供たちに対する指針を入れていただけますか。入っていますか、今。これから出すものにそういうものを入れていただく計画はありますか。

丸山政府参考人 医ケア児のそういった対応についても、そういった文科省から出す指針の中に整理をしていくということを検討してみたいと思います。

山崎分科員 ありがとうございます。

 時間なのであれですが、ぜひそれを入れて、明確にやはりそういう……(発言する者あり)大臣。じゃ、大臣にお願いします。

萩生田国務大臣 医療的ケアが必要な児童生徒と一概に言っても、いろいろケースが違うと思います。

 しかしながら、先生の問題意識は極めて重要だと思いますので、大事をとってしばらく休校し、その間をフォローするようなことは、実はきょう発出する中に、医療的ケアが必要な子供たちという対象じゃないんですけれども、もう少し広い範囲では出しているんですが、御指摘の概念も極めて重要だと思いますので、しっかり受けとめて対応を急ぎたいと思います。

山崎分科員 ぜひお願いいたします。

 ちょっと時間になりましたので、これで終わりかと思いますが、保護者の方が感染した場合のケアというのもやはり重要だと思います。医療的なケアが必要な子供たちは言うまでもありませんし、それ以外、普通の保護者の方がかかってしまったときに、その子供たちをどうするかというお話などもやはり考えていかないといけないと思います。

 当然、家族でお父さんがかかれば、家族にもいろいろな影響が出てきているわけですよね。そういう方々、例えば子供たち、学校に行けない、これも、本当だったら、PCRの検査を早くやってあげて、大丈夫だったら早く学校に行く、あるいは、学校には、とりあえずその検査の結果が出るまでは休みにするというような対応が必要だと思いますよ。

 この点、終了してしまったのでお聞きできませんが、ぜひともちょっと幅広で、一番初めにお話ししました、今このときやっておかなきゃいけないこと、前倒しで積極的な対応、明確な対応をぜひよろしくお願いを申し上げます。

 GIGAスクール構想、ちょっとできませんでしたが、またの機会でお願いをしたいと思います。

 ありがとうございました。

井野主査 これにて山崎誠君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階分科員 立国社共同会派の階猛です。

 本日は、国際リニアコライダーについてお尋ねをしたいと思います。

 国際リニアコライダー、ひょっとするとなじみのない方もいらっしゃるかもしれませんが、私は超党派の議連にも入っておりまして、この国際リニアコライダー、立地の最適な場所が岩手県の北上山地であるということで、積極的に誘致にかかわってまいりました。

 つい最近の話ですけれども、二十一日にアメリカのカリフォルニアで国際将来加速器委員会、ICFAの会議が行われました。これに関してきょうは質問を行いたいんですが、政府からは昨年三月に見解が出されておりまして、今回また二十一日の会議で新たな見解が示されたということを伺っております。

 今、手元に発表要旨というものをいただいておりますけれども、まず、このタイミングで、政府見解、新しいものを出したということの理由を教えていただいてもよろしいでしょうか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、現地時間でございますが、今月の二十日にアメリカで開催されましたILCの国際会議がありました。これは、文部科学省からぜひ出席するようにという要請がございまして、昨年三月に示しましたILC計画に関する見解以降の取組や考え方につきまして、私が出席し、説明を行ったということでございます。

 文科省が昨年三月に示しましたILC計画に関する見解に沿いまして、その後の国内の検討状況、欧州の検討状況、そして国際的な意見交換の状況を説明したところでございます。

 その上で、現時点でのまとめといたしまして、巨額の経費を要する国際プロジェクトでございますILC計画は、技術的成立性や国際的な分担を含むさまざまな課題が解決されるとともに、国内外の幅広い協力が得られることが必要であること、そして、これまでの国内外の議論を踏まえまして、引き続き、昨年三月に示しました見解に沿って、米国そして欧州との国際的な意見交換を実施するということを説明したところでございます。

階分科員 増子審議官におかれましては、本当にまだ日本に戻ってきたばかりのところ、きょうは質疑に参加していただきまして、ありがとうございました。

 それで、今、結論のところをお読みいただいたんですが、私の手元にある今回の政府の見解にちょっと沿った形で、より詳しく見ていきたいと思っております。

 最初に、この見解の最初の方にですけれども、マスタープラン二〇二〇において、ILC計画は重点大型研究計画に選定されなかったというくだりがあります。

 内閣府の学術会議の担当の方をきょうはお呼びしているかと思うんですが、この選定されなかった理由についてお答えいただけますか。

福井政府参考人 日本学術会議事務局でございます。

 最初に、このマスタープラン二〇二〇の趣旨だけちょっと御説明をさせていただきます。

 日本学術会議は、もう先生御承知のとおりでございますけれども、科学者の内外に対する代表機関として、独立してその職務を行っているところでございますけれども、約三年ごとでございますが、マスタープランという形で、学術的意義の高い大型研究計画を広く網羅して体系化して、それによりまして、我が国の大型研究計画のあり方について一定の指針を与えることを目的として策定したものでございます。方法としましては、大型研究計画を公募、整理しまして、我が国の政策機関、大学、研究機関等に示すことによって多様な学術の発展に貢献しようというものでございます。

 今回、御指摘がありましたマスタープラン二〇二〇につきまして、大型研究計画の中から、計画の妥当性や社会的価値、さらには国家の戦略性、緊急性等の観点から速やかに実施すべきものというのを選びまして重点大型研究計画としておりますが、御指摘の国際リニアコライダー計画の評価結果につきましては、この速やかに実施すべきものには入らなかったというものでございます。

階分科員 今の最後の方のお話はこの政府の見解にも書かれてあることなんですが、書かれていないこととして私が伺ったところによりますと、今回、重点大型研究計画の候補としてヒアリングがされたのが七十四件あった、そのうち、最終的に三十一件が重点大型研究計画に選ばれていますと。ただし、そのうちの半分ぐらいは継続的な申請をされていたもので、ILCのように全く新規で申請されたものは五十九件あって、そのうち十六件ぐらいしか選ばれなかったというふうに聞いています。

 ILCは、やはり新規だということで、既往のものに対して少し優先順位が下がったということはあり得るのかどうか、お答えください。

福井政府参考人 確かに、約半数が継続案件ということになっております。継続案件は、先ほど申し上げましたように、やっているものでございますから、速やかにやるべきものという評価がしやすいということはあるかと思います。

階分科員 ちなみに、既往のもの、継続のものは十五件申請して十五件とも通っているんですね。ただし、新規のものは五十九件のうち十六件だと。新規にとっては狭き門だったということは客観的に言えるかと思います。

 そういう中で、重点大型研究計画には漏れたけれども、この政府の見解の次のところに書いているのは、これから先、ロードマップを策定する段階に入るんですが、重点大型研究計画に選ばれなかったとしても、ロードマップに載るための審査の対象にはなるというふうに書かれております。

 ただ、さっきの学術会議の見解などを聞いておりますと、そもそも重点大型研究計画に選ばれなかったのは速やかに実施すべき計画ではないからだということだったわけなんですが、果たしてこのロードマップで復活する可能性はあるのかどうか、ここをぜひお聞かせいただければと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の計画についてはこれから御審査をいただくところでございますので、一般論としてお答えをさせていただきます。

 ロードマップでございますけれども、日本学術会議のマスタープランを参考に、文部科学省の科学技術・学術審議会の作業部会におきまして策定をしております。その方針として、次期ロードマップ二〇二〇においても、前回のロードマップ二〇一七と同様の考え方でございます。

 一番目としては、マスタープラン二〇二〇の重点大型計画に掲載された計画のうち、すぐれた計画を対象に選定すること、これが一点目でございます。二点目といたしまして、重点大型研究計画に選ばれなかった計画でも、マスタープラン二〇二〇の重点大型計画の選定においてヒアリング審査の対象となった計画のうち、特段すぐれた計画であれば掲載される可能性はあるということでございます。

階分科員 当然のことながら、国際リニアコライダー、宇宙の謎に迫るということで、私はヒアリング対象になった中でもすぐれた計画ではないかなと思っておりますが、ただ、他方で、そうした大型研究をする上でたくさんのお金がかかるわけですね。

 きょう、皆さんのお手元にもお配りしております、国際リニアコライダー、ILC計画の概要という一枚の紙の最初の方に、見積りの概要ということで表が上がっていますけれども、当初よりは見直しをして予算の規模は減らしましたけれども、それでも建設には八千億、それ以外にも運転経費もかかるということで、私が、今回、重点大型研究計画に選定された他のプロジェクトの予算規模と比較したところ、桁が一桁ぐらい違うのかなというふうに見ております。

 こうした予算規模の大きさ、これがロードマップに掲載される上で支障となる可能性はあるのかないのか、ここもお答えいただけますか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 ロードマップの審査におきましては、予算規模そのものが直ちに評価基準となるわけではございません。

 ただ、一方では、審査におきまして、計画の妥当性という観点から、予算計画が妥当なものとなっているかについて、これは国際的なプロジェクトであれば、海外からの資金提供を含め具体的に確認をするということとなっております。

 予算規模が大きいプロジェクトについても、所要の経費の確保に係る具体的な計画をお示ししていただく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。

階分科員 それでは、このロードマップに最終的に仮に掲載されなかった場合、これはもうILCは絶対に予算はつけられないということになるのか、すなわち、ロードマップへの掲載の有無が予算化に直結するのかどうか、ここもお聞かせいただければと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 ロードマップでございますけれども、これは、学術研究の大型プロジェクトを推進するに当たりまして、広範な研究分野コミュニティーの意向を踏まえながら計画の優先度を明らかにする、このために策定するものでございます。したがって、ロードマップは一定の優先度を評価するものであって、直ちに、これがついたから予算措置を保証するということではないわけでございます。

 では、先生からお尋ねの、仮に掲載されなかったということでございますけれども、これは仮定の話で、これから御審査いただく状況でございますので、仮定のことについては踏み込んだお答えは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、これについては、当然、学術コミュニティーの考え方、それから国際的な動向ということを踏まえながら対応を検討していくということになるんだろうと思います。

 ただ、学術コミュニティーの考え方ということを考える上では、このロードマップの記載ということは一つの大きな要素になるものというふうには考えてございます。

階分科員 あとは、予算化する上で大きな要素となり得ると考えられるものに、次期の欧州素粒子物理戦略、これがあるかと思います。

 きょうお配りしている紙の裏側に書いておりますけれども、一番最後のところですね、ことしの五月にこの欧州素粒子物理戦略が策定される。

 この中でILCがどのように位置づけられるかによって、日本がILC誘致を進める上で重要な影響を及ぼし得るのかどうか、この点についてお答えください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から今御指摘がございました欧州素粒子物理戦略でございますけれども、これは欧州の研究者コミュニティーとしての戦略をまとめるものでございまして、これが欧州各国政府のこの分野の政策立案でも参考にされるものと承知をしてございます。

 このため、国際的な分担を必要とするILC計画におきましては、当該戦略が欧州からの協力を得るための要素の一つであるというふうに考えておりまして、昨年三月のILC計画に関する見解におきましても、欧州素粒子物理戦略等における議論の進捗を注視するということでお示しをしているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、本年五月に策定が予定される当該戦略の進捗を注視してまいります。

 なお、一方で、ILC計画の検討に当たっては、欧州側からの支援表明のみならず、同戦略におけるILC計画の優先順位や、資金面も含めた具体的な協力に関する言及などを含め、総合的に考慮して検討することが必要であると考えているところでございます。

階分科員 今、資金面の支援というお話も出ましたけれども、増子審議官が出られた先日の会議の場で、政府見解の中には、英仏独三国は現時点でILC計画に参加する資金的な余力はないということで、国際的な費用分担について否定的なコメントを二月に出したということだそうですが、欧州素粒子物理戦略の内容いかんによっては、現時点ではと言っておりますので、当然これは変わり得るのではないかというふうに考えますけれども、その点、もし見解があれば、お願いします。お願いします、審議官。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 二十日にこちらの考え方を述べた際に、今月の、二月の七日に、初めてイギリス、ドイツ、フランス四者で意見交換を行いました。その際に、仮定の話として、今後どういう分担ができるかという話の上で、先方から、現時点では参加する余力がない、さまざまなプロジェクトを抱えているということで回答がありましたが、まずは、これは初めて意見交換を行ったので、いきなり向こうが、うちは貢献しますよということは多分無理だったと思います。

 そういう意味で、五月に策定されます欧州素粒子戦略、これが、ある程度具体化した踏み込みがILCに関してあれば、また欧州の主要国も考え方がいろいろ変わってくる可能性はあるというふうに考えております。

階分科員 ここの部分がちょっと私などにしてみると気がかりだったんですけれども、今の答弁からすると、今後まだまだ変わり得るし、最初のときのコメントなので、これがずっと続くわけではないという趣旨だということで伺っておきます。

 その上で、アメリカの方は前向きな見解を出しております。これは、文科大臣にお尋ねする質問として掲げておりましたけれども、審議官でも結構ですし、アメリカのスタンス、ここの見解に出ているとおり、米国は、エネルギー省が、日本がILC計画をホストする場合には支持する、あるいは、現物貢献が可能である旨のコメントがあるということから、私は前向きなスタンスではないかと思っているんですが、この点についてお答えをいただければと思います。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカからは、具体的、前向きな意見は出ております。これまでにも、DOE、米国エネルギー省とディスカッショングループというのを設けておりまして、定期的に意見交換をしてきております。

 また、アメリカとは、具体的に、先端加速器のコストダウンのための共同研究というものを今行っておりまして、その進捗も含めてさまざまな意見交換を行っているということでございます。

 その中で、昨年九月に、米国側から、日本のILC誘致について支持をするという説明がございましたし、具体的な現物貢献も可能だというふうに話が来ておりますが、ただ、現時点で、具体的な資金面も含めた貢献についてのコミットメントはないというふうに考えております。

萩生田国務大臣 ほぼ今審議官から御報告をしていただいたとおりなんですが、アメリカ政府としては、日本がホストとしてこのILCに取り組むその方向性については評価をいただいていると思います。しかしながら、先ほど来お話がありましたように、欧州も含めて、まだ具体的な費用分担などの話、そういったコミュニティーがとれていないというところがあります。

 学術会議の中に掲載されなかったということは、これは、日本の単独事業じゃなくて、もうかなり、先生もいみじくも一桁違うとおっしゃっていただきましたけれども、大きな事業であるがゆえに、実効性を含めてやはり慎重な対応が必要だということなので、私は、科学技術立国を所管する文科大臣として、こういった分野に積極的に、果敢に挑戦していく日本の姿勢は大事だと思っています。

 しかし、やはり、将来までの財政負担を全く考えない、海外からの協力も見えない中で、ただやるやるというだけでは、これは責任を果たすことができないと思っていますから、そういう意味で、皆さんが慎重な対応をしていることは一定事実だと思いますけれども、この点、アメリカとのコミュニティーもしっかりこれからも深めていきたいと思っております。

階分科員 ありがとうございます。

 それと、このILC、被災地である岩手が立地の候補地になっているわけですけれども、震災の復興について言えば、もう菅家先生も御存じのとおり、令和二年度をもって政府の復興期間が終わりを迎える。もちろん、その後も必要なことはやるんだという話なんですが、今伝え聞いている予算の見通しによりますと、この復興期間が終わった後は十分の一ぐらいになってしまう。

 他方で、被災地の人口は若い人を中心にどんどん首都圏などに流出しているわけでありますね。これから先が被災地にとってまさに正念場を迎えるという中で、若い人たちが希望を持って地元に残る、あるいはほかの地域から被災地に戻ってこられるようにするためにも、このILCという未来に希望を持てるようなプロジェクト、これは極めて大事なのではないかと思っております。

 被災地の復興に責任を持つ立場からも、ILCは推進すべきではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

菅家副大臣 御答弁を申し上げたいと思います。

 まず、いわゆる科学技術イノベーションの推進というのは、東北のみならず、我が国が将来にわたって成長と繁栄を遂げるために重要、このように認識をしているわけであり、このために、昨年末に閣議決定した復興・創生期間後の基本方針においても、先進技術の導入等による産業、なりわいや教育研究の振興を通じた魅力あふれる地域の創造について記載をさせていただいているところであります。

 御指摘の国際リニアコライダー、この計画についてでございますが、復興庁といたしましては、昨年三月に文部科学省から出された見解、これにおいて、日本学術会議の所見、これを踏まえ、さまざまな懸念が指摘されている、このように承知している一方でありますが、立地地域への効果の可能性があるもの、このように認識もしているところであります。

 いずれにいたしましても、今後、文部科学省において検討が継続されていくものと承知しておりますので、動向を注視してまいりたい、このように考えているところであります。

階分科員 ぜひ、魅力あふれる地域の創造を目指す、新しい東北を目指すという観点から、ILCについては復興庁も御協力をいただきたいと思っております。

 もう一つ、科学技術の進歩の関係では、総合科学技術・イノベーション担当の今井先生にもお越しいただいておりますが、宇宙の謎を解き明かす大型の研究プロジェクトということで、私も、このILCについていろいろ伺っていますと、今、宇宙を構成する物質で人類がわかっているのは五%ぐらいだ、残りの九五%ぐらいは謎である、こういうお話を聞くわけですね。

 そういう謎を解明していくことは人類の発展にとって非常に重要な意義を持つと考えますし、また、先行的な研究施設であるヨーロッパのCERNの方では、こうした素粒子の研究をすることによってインターネットの技術なども生まれたということで、今回のILCも思わぬところから新たな産業の種が出てくるかもしれないということで、ぜひ、科学技術を所管する総合科学技術・イノベーション会議としてもILCの推進に協力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

今井大臣政務官 一月三十日に日本学術会議のマスタープラン二〇二〇が公表され、国際リニアコライダー計画については、速やかに実施すべき計画である重点大型研究計画には選定されなかったと承知しております。この結果を踏まえて、文部科学省では、国外の議論も注視しつつ、慎重に検討が進められると承知しております。

 内閣府としては、引き続き文部科学省における検討状況を注視してまいりたいと思っております。

階分科員 もうちょっと前向きなお話もいただきたいんですけれども、一番重要な財務省にも来ていただいておりまして、先ほど来お話が出ているとおり、やはりかなりの予算規模が必要だということで、財政当局の協力が不可欠であると考えております。

 このILC、先ほど来申しておりますとおり、復興にとっても必要でありますし、人類の発展にとっても、また、我が国の新たな産業を生み出していく上でも大事なのではないか。必ずや予算に見合った成果を上げられると思っておりますので、財務省としても積極的な協力をお願いしたいと思っています。ぜひ前向きな答弁をお願いします。

宮島大臣政務官 お答え申し上げます。

 ILC計画に限らず、科学技術の個々のプロジェクトについては、政府内においては、まず、文部科学省において、計画を推進するか否かや、国内に誘致するかを含め、さまざまな観点から検討すべきものと考えているところでございます。

 その上で申し上げますと、ILC計画については、文部科学省が昨年三月に表明いたしました見解に基づき、国内の学術プロセスや欧州等の国外の議論の進捗を注視している状況と承知しているところでございます。

階分科員 今の段階では、端的に言って、前向きなのか、中立なのか、それとも後ろ向きなのか、財政当局としてはいかがでしょうか。

宮島大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生から御指摘の、委員から御指摘のお話はございましたが、まず、先ほど申しましたように、政府内においての分担として、主管する官庁としての文部科学省としての考え方、これをまず決めていただくことが先決だろうと私どもは考えております。

 その上で、進めるとか、具体的な計画が考えられた場合、御相談があれば御相談に乗るという立場だと考えております。

階分科員 しっかり門戸を開いて、そして前向きな対応をお願いしたいと思っています。

 きょうは、せっかく増子審議官にお疲れのところお越しいただいたので、今回参加してみて印象に残ったことなど、まだちょっと時間があるので、お答えいただけますか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 私のプレゼン、それから質疑応答を含めて四十五分間ございました。そのときには河村先生も、本日おられますが、河村先生からのプレゼンテーションがございました。

 非常に日本に対する期待がその国際会議で感じられました。特に、マスタープランで重点大型研究計画に載らなかったということは、そういう国際会議のコミュニティーのメンバーはみんな御存じでございまして、かなり後ろ向きな考え方が展開されるんじゃないかというふうに思われたと思いますけれども、そこは後ろ向きじゃなくて、引き続きしっかりと三月七日の見解に沿って国際的な意見交換をしていくということもしっかり述べましたので、コミュニティー全体として、国際会議の雰囲気としては、日本に対する引き続きの期待感があったのではないかというふうに考えております。

階分科員 そこで、最後に大臣に、今後のILC推進に向けての決意を伺いたいと思いますが、やはり政府部内ではまだ慎重な意見もあるわけでありますが、やはり文科省の方でイニシアチブをとってこのプロジェクトというのは進めていただく必要があるかと思います。増子審議官にも大変御尽力をいただいておりますけれども、ぜひトップである文科省の萩生田大臣にも決意を伺いたいと思っております。

萩生田国務大臣 ILC計画は、巨額の経費を要する国際プロジェクトであり、技術的成立性や国際的な分担を含め、さまざまな課題が解決されるとともに、国内外の幅広い協力が得られることが必要だと認識しております。

 先生、決して水を差すわけじゃないんですけれども、政府としては場所をまだ特定をしていません。東北も有力な場所ですし、目の前に九州の皆さんもいらっしゃいますので。

 そういうことを考えると、これからいろいろな課題もあると思います。あるいは、当初この計画の積算を始めたときは百メートル地下ということで考えておりましたけれども、本当に、じゃ、百メートルの地下深度が必要なのかどうなのか、それから、この間、技術的にも日本もいろいろ発達してきて、検査器そのもののコストを下げることも少しずつ可能になってきているんじゃないか、いろいろなことがありますので、ぜひこういったことをしっかり俯瞰をしながら、文科省としては、これまでの国内外の議論も踏まえ、学術プロセスや欧州素粒子物理戦略等の議論、またその進捗、アメリカとの意見交換、ヨーロッパの皆さんとのコミュニケーション、こういったものをしっかり大事にしながら、昨年三月に示したILC計画に関する見解に沿って必要な対応を行ってまいりたいと思います。

 先ほども私は自分の思いを伝えましたけれども、これは国内でやるかやらないか、どっちがいいかといえば、私はチャレンジした方がいいと思っています。ただ、財政的な裏づけなしに、ただやるやるというわけにいきませんし、繰り返しになりますけれども、国際プロジェクトですから、ヨーロッパやアメリカの、価値観をともにする国々が皆さん、日本がホストになって日本でつくるのが一番安全だし、高い技術を持ったいい研究所ができるよねということを皆さんが評価してくれることが極めて大事だと思いますので、こういった努力を引き続き文科省として続けてまいりたいと思います。

階分科員 ありがとうございました。

 終わります。

井野主査 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬分科員 立国社の源馬謙太郎でございます。

 きょうは、大臣におかれましても新型コロナウイルス対策で大変お忙しい中、質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 今本当に大変大きな社会問題になっているコロナウイルスとは全く関係ない質問をさせていただきたいというふうに思います。特に、今回は、学校の施設整備について、いろいろとお伺いをしていきたいなというふうに思っております。

 政府もさまざまな取組をされていて、公立学校施設の整備というメニューで、公立学校施設の安全対策や防災機能の強化、あるいは、そのほかにも、制度改正の内容として、特別支援学校なんかに対する既存施設の改修ですとか、さまざまなプランを用意して、令和二年度の予算額では六百九十五億円ということを出されていると承知をしております。

 そうした中で、今、耐震整備というのは大分終わってきていて、新たな施設整備の必要性というのが出てきているのが現状ではないかなというふうに思っております。

 例えば、ベネッセの調査によりますと、二〇一五年時点では、二〇一五年が最新の調査なんですが、この調査によると、公立小学校、中学校で整備をする必要があるというものの第一位がトイレ、これが五九%、そして、二位がパソコンとか電子黒板の整備、これが三〇%で、三位は空調設備、一時は空調設備というのはすごく言われましたけれども、これは二七%になっている。一位と二位、トイレと電子黒板、パソコンの開きもおよそ三〇%ぐらいあるほど、トイレが断トツで今整備が必要である、こういう認識だというふうに思います。同じように、小中学校ではなくて市町村に対しても調査をしたところ、各市町村もやはり一位はトイレ、こういう答えがありました。

 その前の、六年前に行った同じ調査では、二〇〇九年ですが、このときもトイレが実は一位だったんですけれども、二位に耐震工事が入っているんですね。先ほども言いましたけれども、当時はまだ耐震の必要性がかなりの小中学校であって、三八%。市町村からの調査によると、第一位は耐震工事をやってくれ、そして二位がトイレということになっておりました。

 こうした現状の、耐震工事が終わってきているですとか新たな需要がふえてきている、こういったことを鑑みて、現在、さまざまあると思いますが、学校の施設整備について、具体的に需要がどのように変化をしてきているのか、そして、政府としてはどの点を優先的に整備されるものだというふうに考えているかをまず参考人から伺いたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 学校施設は、児童生徒の学習の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難場所の役割をする極めて重要な施設であるというふうに考えております。

 このため、令和二年度予算案においては、公立学校施設整備費として、国土強靱化のための緊急対策に係る臨時特別の措置を含め、千百六十五億円を計上してございます。

 具体的な事業内容としましては、地方公共団体の整備需要を踏まえ、計画的、効率的な学校施設の長寿命化対策や、校舎の新築、増築による教室不足の解消、非構造部材を含む耐震対策やトイレ改修、自家発電設備の整備等、避難所としての防災機能の強化などについて優先的に採択することとしております。

 引き続き、地方公共団体からの要望をしっかり踏まえ、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

源馬分科員 ありがとうございます。

 事前にいただいた資料で、これまでの公立学校施設整備費の予算額の推移というのをいただきましたが、これは全体的な流れを見ると大分減ってきていて、ことしは当初予算でふえたという御説明でしたけれども、先ほどおっしゃった防災・減災、国土強靱化予算でふえたということはありましたが、当初の額でいえば、全体的に見ればそんなにふえてはいないということだというふうに思います。そういう中で、今おっしゃったような項目が優先的に挙げられるということでしたけれども。

 先ほどちょっと御紹介しましたが、ベネッセが行った調査では、やはり圧倒的一位にトイレの整備というのがあるわけですけれども、地元でもたびたび保護者の方から、学校のトイレが汚くて臭い、勉強にも集中できないという声も聞きまして、これはもちろん市の方にも相談をして、今、市の教育委員会ともいろいろやりとりをして、市からもそうした予算をとるようにしていただいていますけれども、やはり、国庫の補助も三分の一ということなので、なかなか、市が幾らやろうと思っても財政的に難しいというところもあると思うんですね。

 同時に、先ほど避難所になるというお話がありましたが、あるおばあちゃんから、私の地元の浜松でも台風の被害がありまして避難勧告が出たんですけれども、学校に避難すると、体育館が避難所になって、特に、教室の方のトイレはまだましだけれども、体育館のトイレ、その当該のトイレはいまだに男女共同で、そして和式、そういうところなので行きたくない、避難しないという方もたくさんいらっしゃいました。

 これは、必ずしも、避難施設になるから、指定されているからということではなくて、先ほどもちょっとお話ありましたけれども、まずは教育施設としての、子どもたちが学んでいく場としてのトイレのあるべき姿というか、どういうトイレの環境になっているのが望ましいと文科省は考えられるか、御所見を伺いたいと思います。

山崎政府参考人 お答えします。

 先生おっしゃるとおり、学校のトイレは、汚い、暗い、臭いの三Kなどと言われておりまして、特に、排せつ行為自体が恥ずかしいと無理に我慢する子供や、からかわれるのではないか、学校では行きたくないという子供もあり、健康を損なうおそれが指摘されております。

 そのため、文科省では、従来から、学校設置者向けに学校施設の計画、設計上の留意事項というものを示しております。学校施設整備指針と言っておりますけれども、その中で、学校トイレについては、清潔で使いやすい計画とすること、洋式便器を採用するなど、生活様式や児童生徒のニーズ等を踏まえた便所を計画すること、障害のある児童生徒や教職員、避難所開設時の高齢者、障害者等の要配慮者の利用を踏まえた便所を計画すること等が重要である旨を記載し、各学校設置者に周知しているところでございます。

 先ほど先生おっしゃった三分の一の話ですけれども、一応補助率は三分の一でございますが、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策については、裏負担が、一〇〇%起債の半分、地財で出ておりますので、実質上三分の一の地方負担というふうになっております。

 以上です。

源馬分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、文科省としても、指針として、整備指針ということで、トイレについてはかくかくしかじかの方が望ましいということは伝えているということでしたが、にもかかわらず、現在、洋式化だけを見ても、全国でいっても四割にとどまっていると思います。例えば東京ですとか神奈川ですとか、こういった都心部の学校については、比較的、洋式便器率というのは高くなっていますけれども、中には三〇%台とか、そういう地域もあります。平均して、ならして四三%。

 これは、指針を出しているにもかかわらず、この四割程度にとどまっているということは、どのようにお考えになっているんでしょうか。

山崎政府参考人 先生おっしゃるとおり、平成二十八年度、これは四月一日ですけれども、その調査によると、公立小中学校の全便器数のうち、洋式は、校舎は四四・六%、体育館では四二・二%というふうになっておりまして、今後、トイレの整備に際して、和式トイレよりも洋式トイレを多く設置する方針の地方公共団体が全体の八五%ございます。

 避難所における良好な生活環境の確保のため、バリアフリーや防災機能強化の観点から、洋式トイレを整備していくことは重要であるというふうに考えております。

 そのため、令和元年度、また二年度でも、防災・減災、国土強靱化の予算でトイレを重点的に扱っておりまして、その中でトイレの整備を加速化していきたいというふうに考えております。

源馬分科員 ぜひ加速化していただきたいと思います。

 先ほど来話が出ているように、学校というのはやはり避難所に指定されることが多くて、全国の九五%の公立学校が避難所にも指定されているということだと思います。そういう現状を踏まえて、トイレの整備というのは本当に重要だと思います。

 今、新型コロナウイルスの問題がありますが、和式便器だと排せつ物が飛び散る、そういう危険性も高いですし、今実際に、学校で子供たちが和式の便器で用を足して、それで流して、もしかしたら、きょう大臣から休校ですとか学級閉鎖のお話もありましたけれども、そこで蔓延する危険性も高いですし、今学校のトイレというのは、和式のところだと特にですけれども、床に直接水をまいて、湿式掃除というんですか、モップとかで掃除をする。これもやはり細菌を飛び散らせることにつながるということもあって、便器だけじゃなくて、床とかタイル、壁とか、こういうところも衛生上もしっかりと変えていかなくてはいけない、こういうことになっているというふうに思います。ですので、ぜひ加速をしていただきたいと思います。

 一方で、内閣府の参考人の方に来ていただいていますが、内閣府として、今、学校施設ということでトイレを取り上げましたけれども、避難所としてどういう環境や施設というのが求められ、指定するのはもちろん市町村の責任ですけれども、どういう設備が必要であると認識をされているのかということを伺いたいと思います。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 指定避難所の指定に当たりましては、想定される災害の状況、人口の状況等を勘案して、災害が発生した場合における適切な避難所の確保を図るということで、被災者等を滞在させるために必要かつ適切な規模のものであること、また、速やかに、被災者等を受け入れ、又は生活関連物資を被災者等に配布することが可能な構造又は設備を有するものであること、また、想定される災害による影響が比較的少ない場所にあるものであることなどの基準に適合する公共施設等を指定することとしております。

 また、災害が発生した場合において、避難所に係る必要な安全性とか良好な居住性の確保、生活関連物資の配布や保健医療サービスの提供その他、被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めるものとされてございます。

 内閣府では、取組指針や避難所運営ガイドライン、また、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインなどを定めまして、災害用トイレの確保、配備、また、トイレの安全性、衛生、快適性の配慮などを始めとして、平素から生活環境の整備に努めるよう、自治体に対し、取組を促しているところでございます。

 以上でございます。

源馬分科員 ありがとうございます。

 当初、避難所の想定というのは、そんなに長く滞在するというふうに想定していなかったというふうに聞いております。今でも災害の規模によっては長期化することもあって、仮設住宅に入る必要があるほどの大規模な災害ですと、更にそれが長期化していくということになっていると思うんですね。そうすると、やはり環境やこうした公衆衛生の観点というのはより大事だというふうに思います。

 新潟県中越沖地震の際の、福島大学の教授の方が行った調査ですけれども、避難所生活における生活環境の不満というものでは、一位はやはり空間の広さというのがありましたけれども、それに次いで、プライバシー、トイレ、それから温度とか、そういったものがほぼ同じぐらいの不満率で続いているということだと思います。

 これも繰り返しになりますけれども、きょうは特にトイレについてやりたいものですから、避難所のトイレは、学校の体育館のトイレを使うか、規模によっては仮設トイレを使う場合もあるわけですけれども、手すりもなく、和式であったりとか、そういったことで、特に、回数が多い高齢者の方はなるべくトイレに行かないようにしようとして、先ほど御答弁もありましたけれども、恥ずかしいというのもあって、そしてかえって脱水症状を起こしてしまう、こういった例も報告をされております。

 先ほど内閣府から御答弁いただいた施設のあるべき姿、それに照らすと、避難所として指定されている施設のトイレ、仮設トイレは必要に応じて置くということは別として、どういったトイレの環境状況が望ましいと内閣府は考えているか、教えていただきたいと思います。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 避難所においては、KTBと言われますけれども、やはりトイレの環境確保というのは非常に重要だと考えてございます。

 避難所のトイレについて、内閣府といたしましては、その確保、管理に関する基本的な考え方や具体的な取組方策を記載した避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを定めて、各自治体に周知し、取組を促しているところでございます。

 ガイドラインにおきましては、ライフラインの機能が途絶するなど、災害時におけるさまざまな制約を想定した上で、避難者に提供することが可能なトイレの必要個数を確保すべきとして、必要数計算シートを示し、活用を促しております。また、障害者や女性の意見を積極的に取り入れるよう求めるとともに、また、災害時のトイレの管理等に当たって、配慮すべき事項や配慮が必要な方への対応等をまとめ、チェックリストを示し、活用を促しておるところでございます。

 具体的に申しますと、安全性に配慮するということから、トイレを暗がりにならない場所に設置するとか、トイレの転倒防止を徹底する、施錠、ブザー等、防犯対策を実施することなど、また、衛生、快適性に配慮するため、手洗い用の水やウエットティッシュ、消毒液を確保することや、トイレの清掃用具を用意すること、また、女性、子供に配慮するという観点から、トイレを男女別に分けることや、オムツがえスペースを設けること、また、高齢者、障害者に配慮するという観点から、洋式便器を確保することや、トイレの段差を解消することなどを記載してございます。

 内閣府としては、自治体において、ガイドラインを参考に、避難所におけるトイレの環境改善に向けた取組が促進されるように努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

源馬分科員 ありがとうございます。

 第一義的には、市町村が避難所をそのガイドラインに沿ってどこに指定するかということだと思いますけれども、残念ながら、現状は、やはり市町村は、ガイドラインを全て見て、学校施設というのはそれにふさわしいんだといって避難所に指定しているようには思えないんですね。やはり、規模であったりとか、体育館という空間があったりとか、そういうことがあるので、全国の公立学校の九五%が避難所に、ほぼ自動的にと言ったらあれですけれども、指定されているのが現状だと思います。

 それはそれで必ずしもいけないことではないと思いますが、内閣府としても、さっき文科省からもお話ありましたが、やはり避難所、長期にわたる避難生活を強いられるケースがふえている中で、トイレのあり方について、もう少し踏み込んで、市町村なりに、あるいはその避難所なりに改善をするようにということを、いろいろな項目のある中での一つではなくて、今、衛生問題というのは大事ですので、もう少しそういうところに踏み込んだ指針にしていただきたいと思いますが、その点についていかがでしょうか。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 指定避難所の指定に当たりましては、想定される災害の状況や人口の状況等を勘案して、適切な避難所の確保を図るため、必要な基準に適合する公共施設等を指定するということとされてございます。

 学校施設は、住民に身近な公共施設でございまして、多くの被災者を収容することができることなどの利点があることから、多くの学校が指定されているものと認識してございます。

 先生おっしゃるように、その指定された避難所において生活環境の確保に努めることは重要だと考えてございます。先ほどトイレのお話ございましたけれども、トイレについては特別のガイドラインというものを作成し、周知に努めておるところでございます。

 こうしたガイドライン等を踏まえて、指定避難所として指定された避難所がその機能を十分に果たすよう、生活環境の整備に努めていただくよう、引き続き取組を促してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

源馬分科員 ありがとうございます。

 やはり、避難所として使われるという側面からのそうした市町村への指針というかガイドラインも非常に大切だと思いますので、引き続き、内閣府の方からも、施設整備についても力を入れてもらえるように自治体に働きかけをしていただきたいなというふうに思います。

 そして、やはり、学校の施設ということであれば文科省が所管ですので、今後、施設改修についてよりスピードアップしていただいたり、特に避難所機能を重視した視点で整備を促進していただきたいというふうに思います。

 きょうはトイレについて主に触れましたが、ある学校の先生から聞くと、やはり、台風なんかが起こった後、まだまだ非常用発電機の整備が整っていない学校もあって、これも、避難所に指定されているにもかかわらず、まだ発電設備もない、こういう現状もあると聞いています。

 事前にいただいた調査結果では、非常用電源、六割はあるというふうにしていますが、これは、ハード面の整備だけじゃなくて、実はソフト面で、ほかのところから持ってきて代替電源を使えるというようなものも含んで六割ということですので、まだまだ足りないのではないかと思います。

 危機対応に特に重要なこうした整備、それから、特にきょうはトイレの問題について取り上げましたけれども、こうした整備をよりスピードアップしていただけるように、例えば、大規模改造、トイレ改修事業という中に、体育館とか避難所になるところを重点的にと加えていただくことだけでも違うと思いますし、そうした何か、少し前進させていただけるようにしていただきたいと思うんですが、最後に大臣の御所見をいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 私、大臣になるずっと以前に、きょうお見えの河村先生たちと一緒に、党内で学校の耐震化ですとかエアコンですとかトイレのことについて議論してきました。そもそも学校のトイレというのはなぜ洋式じゃなくて和式なんだということを文科省に聞いても、答えはないんですね。要するに、昭和の時代からずっとスタンダードが和式だったがために、各自治体としては、やや金額的に高い洋式に踏み切れなかったということがあったんだと思います。

 しかし、もう世の中が変わってきて、先生からるる御指摘がありましたように、御家庭で和式のトイレを見つける方が難しい時代になっているわけですから、子供たちはトイレの使い方すらわからないという笑い話のようなことも起こっているわけでありまして、これからは、学校施設の洋式化というのは、令和の時代のスタンダードの一つに加えていきたいな、こう思っております。そのための全面的な支援をしていきたいと思います。

 平成二十八年の資料しかないものですから、四十数%じゃないか、こう言われたんですけれども、その後かなり加速していますので、現段階でいたずらな数字は言えませんけれども、五割を優に超えて、そして二年度までの三年間の強化策で一気に数字はふえると思います。各自治体は、八五%が洋式にしたいということを意思表明していますので、新築については洋式、また改修も急ぐということをしっかりやっていきたいと思っています。

 その上で、きょう大事な、さまざまな御示唆をいただきました。学校というのは、子どもたちの学びの場であって、生活の場であるんですけれども、それだけじゃなくて、地域の皆さんのコミュニティーの大事な拠点でもあります。また、万が一、災害時には、ほとんどの学校が避難所になる重要な施設であります。がゆえに、少子化の中で安易な統廃合をすれば、避難所も地域が失うということにもなりかねないわけでありますから、こういった点も文科省としては学校の重要性というのを内外にしっかりと発信をしていきたいと思います。

 その上で、避難所としての防災機能の強化というのは、先生御指摘のとおり、私も大事だと思います。文科省として、防災・減災、国土強靱化の三年間の緊急対策として、避難所となる学校施設の防災機能の強化のための取組を緊急的に支援しています。二年度予算では、学校施設の長寿命化対策や教室不足対策として六百九十五億円計上するとともに、国土強靱化のための緊急対策に係る臨時特別の措置として四百七十億円を計上し、洋式化を含めたトイレの整備や非常用電源の整備など、学校施設の防災機能の強化など、事業を推進しているところであります。

 たまたま私の地元では、阪神・淡路大震災をきっかけに、小学校の給食室のガスを、都市ガスとプロパンのツーウエー化というのをしました。万が一のときに火が使えるような環境というのを学校につくっていこうということをやりましたし、それから、駐車場も、舗装するときにできるだけマンホールをふやして、万が一のときには、マンホールをあければ直ちに下水に直結するような、マンホール型のトイレがぽつぽつと置けるような、校舎外でそういう対応ができるようなこともやってきたところでございます。

 学校というのは、まさに子どもたちの学びやですけれども、今御指摘がありましたように、今回、ICT環境を整える上で、民間事業者から、我々が想定もしなかった、学校の屋上に5Gのアンテナを、中継基地を置かせてくれという提案がありまして、これは自治体とも協議したいと思います。そうすれば、避難場所になった学校が、まさにネットを常に使える環境というのが逆に確保できるわけでありまして、学校にさえ来れば通信ができるということにもつながるんじゃないかと思っていまして、こういったことも含めて、今までの概念を超えて、新しい時代の学校のあるべき姿というのをしっかり求めていきたいな、そんなふうに思っております。

 そのためには、文科省として、各自治体の速やかな対応が行われるように、さまざまな財政的なことも含めて支援を図っていきたいと思いますし、また、決して手前みそで言ったつもりじゃないんですけれども、うちの自治体のように、そういういい展開は横展開をして、ほかの自治体にもぜひ情報提供しながら、学校がもしものときに頼りになる施設に更になっていくような努力をしっかりやっていきたいな、そう思っております。

源馬分科員 大変心強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。本当に大臣がおっしゃる方向性が実現すると、非常に安心できるのではないかなというふうに心強く思いました。

 最後に、附属学校の改革について一点お伺いしたいと思います。

 附属学校の改革に関する有識者会議の報告書が平成二十九年にありまして、附属学校が本来持つ教員養成のための目的ですとか、それから教育実習を行う、そして地域のモデル学校になったり、新たな教育課題についてそれを地域に広めていくような役割が附属学校にはあるというふうにされていると思います。

 一方で、この有識者会議の報告書でも、学校の規模ですとか、それから取り組む内容についての、改善策を、第三期中期目標期間中、これはつまり平成三十三年度末までに一定の結論をまとめるべきであるというふうに報告書があって、これに基づいて、文科省から各大学、これは附属学校なので、大学の方に、どうなっていますかというやりとりを今していますよというお話を事前にいただきました。

 あくまでも運営するのは法人となった大学であったり学校自体であり、この報告書も、まとめるべきであるという程度にしかできない現状もある。一方で、国の貴重な教育機関であり、また、研究目的であったりとか、モデルケースになる、新たな教育課題について取り組むべき学校であるという観点からすれば、やはり文科省も積極的にかかわっていかなくてはいけないと思うんですが、附属学校等について、教育内容や運営について、どの程度国なり文科省がかかわっていくべきなのか、どういうかかわり合いを持つべきなのかという点について、最後、お伺いをしたいと思います。

井野主査 浅田総合教育政策局長、答弁は簡潔にお願いします。

浅田政府参考人 国立大学の附属学校につきましては、平成十六年に国立大学が法人化されて以降は、文部科学省は国立大学の運営に関する基本的事項に対して関与するということになっておりまして、附属学校の教育、運営は、基本的に、設置者である国立大学法人の責任で行われているところでございます。

 先生御指摘のとおり、現在、国立大学法人において、将来を見越して今後どうしていくか、これは附属学校だけではなくて、それ以外も含めてさまざまな検討をしているわけですけれども、私どもとしては、附属学校は非常に教育上大事だと思っています。したがって、一層頑張ってほしいとも思っているし、さまざまないい取組をほかの附属学校にも参考になるように横展開したりしております。

 基本的には、国と直接の関係というよりは、国立大学法人の中で附属学校の必要性、重要性がしっかり認識、理解されるように頑張ってほしいと我々は思っておりますし、その応援をしていきたいと思っております。

源馬分科員 ありがとうございます。終わります。

井野主査 これにて源馬謙太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、古田圭一君。

古田分科員 自由民主党、中国ブロック比例の古田圭一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、GIGAスクールについてお伺いをいたします。

 日本は、諸外国に比べまして児童生徒が学校でパソコンやタブレットに触れる機会が少なく、PISA、国際学習調査の二〇一八年の結果におきましても読解力の得点が低いのは、児童生徒がパソコンの扱いや情報検索になれていないせいではないかということも言われております。これからの時代を生きる子供たちにとって、鉛筆やノートとともにパソコン端末が必須のものとなってくると思います。

 GIGAスクールという言葉を聞きますと、一ギガとか二ギガとか単位をあらわすギガを思い浮かべる人が多いんではないかと思います。私も、GIGAスクールと聞いたときには、その言葉から、高速通信網が整備された学校という意味でのみちょっと捉えていたんですけれども。

 まずは、GIGAスクール構想の事業概要や、補助を受けるための要件、それから、現在、地域によって、自治体によってかなりパソコンの普及率が異なっておりますけれども、その差をどうやってなくすか、その取組を含めて御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 ソサエティー五・〇時代の社会を迎えるに当たって、学校のICT環境の整備は必要不可欠でございます。しかしながら、委員から今御指摘いただきましたように、我が国のICT環境状況は世界から大きく後塵を拝しており、また、学校のICT環境は地方自治体間で整備状況に差が見られるなど、全国一斉に整備を進めていく必要があるというふうに考えております。

 このため、これまでの地財措置に加えまして、令和元年度補正予算で、GIGAスクール構想の実現として約二千三百十八億円を計上し、児童生徒一人一台コンピューターや高速通信ネットワークなどの学校ICT環境について、全国一律で抜本的な整備促進を行うこととしております。

 GIGAスクール構想の実現における公立学校への補助金の交付要件につきましては、一人一台環境におけるICT活用計画、さらに、その達成状況を踏まえた教員スキル向上などのフォローアップ計画、効果的、効率的整備のための、国が提示をする標準仕様書に基づく、都道府県単位を基本とした広域、大規模調達計画などの計画を各自治体から提出をいただくこととしておりますが、申請の手続や整備が円滑に進むよう、各自治体に対して丁寧に対応を今しているところでございます。

 文科省としては、令和の時代にふさわしい学校ICT環境の実現を目指し、多様な子供たちに対して教育の質を高め、個別最適化された学びが実現をされるよう、今後とも、関係省庁や産業界とも連携を図りながらしっかり取り組んでいきたいと考えております。

古田分科員 しっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、PC端末がまずは児童生徒に一人一台行き渡ることが第一ステップだというふうに思います。

 ただ、整備された後の費用も大きな課題だというふうに思っております。故障が起きたときとか、あるいは生徒が過ってうっかり落として壊れてしまったとかいうこともあると思います。その修理費用とか、また、数年ごとに端末の更新も必要になってくるかというふうに思います。それから、学習支援やセキュリティーのソフトウエア自体の費用、それからそのバージョンアップの費用とか。入れたはいいけれども、その後の費用負担というのはかなりまた手当てをしていかないといけないというふうに思いますけれども、これらの費用につきまして国としてどう対応されるのか、見解を伺いたいと思います。

丸山政府参考人 委員御指摘の有償の保守管理やソフトウエアに係る費用につきましては、GIGAスクール構想の実現における今回の補助金の交付対象とはなっておりませんが、今回の補正予算による整備では、各自治体が安価に学校ICT環境を整備し維持管理ができるよう、事業者への働きかけも含めてさまざまな施策を講じているところであります。文科省としては、各自治体での取組が円滑に進むよう引き続き丁寧に対応してまいりたいと考えております。

 また、更新に際しての費用負担につきましては、今後、関係省庁や地方自治体と協議をしながら検討してまいりますが、その検討のためにも、まずは、学校でのICT活用が当たり前である社会をつくり上げるといったことが前提であるというふうに考えております。

 今回の補正予算による事業と、地方財政措置を活用した自治体のいわゆる単費事業等との組合せで、構想の実現に向けてしっかり取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

古田分科員 これもですけれども、自治体間に格差が生じないように今後しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 それから、よく言われることなんですけれども、スマートフォンやPCで視力が低下するというような懸念もあります。長時間、同じ距離、近いものを見続けると視力低下につながるという可能性がありますけれども、児童生徒の健康、視力への影響についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。

丸山政府参考人 学校におきましてパソコンやタブレットなどを活用する際に、児童生徒の健康に留意をするということは大変重要であるというふうに考えております。

 文部科学省では、平成二十六年度に、視力への影響も含めて、学校においてパソコン、タブレットなどを活用した教育を実践する上での留意事項として、「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」を取りまとめたところでございます。現在も、学校におけるICT利用による健康面への影響に関する調査研究を行っておりますが、今回のGIGAスクール構想を受けまして、学校における一人一台環境を見据えて、来年度以降も調査研究を進めていく予定としております。

 このような取組を通じまして、児童生徒の健康に留意しつつ、学校におけるICT活用を推進する取組を行ってまいりたいと思います。

古田分科員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、学術情報ネットワーク、SINETについてお伺いをいたします。

 SINETは、日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として国立情報学研究所が構築、運営している情報通信ネットワークということですけれども、そのウエブサイトには、活用事例として、大学間の双方向の遠隔講義とか、特別支援学校における双方向遠隔授業というのが掲載されておりました。

 現在は、SINETを活用しているのは大学や研究機関に限られているということですけれども、初等中等教育機関でも、希望する学校にはこのSINETを活用できるようにしてはどうかというふうに考えますけれども、見解をお伺いいたします。

丸山政府参考人 主に高等教育機関を対象とした超高速の学術情報ネットワークでありますSINETは、初等中等教育段階の学校におきましても、安定した遠隔教育の実現や、オンラインコンテンツのスムーズな利用、大学研究機関との交流連携の強化など、さまざまな活用が想定をされるところであります。

 今後、令和二年度予算案における実証事業によりまして、初等中等教育段階の学校がSINETに接続するために必要なネットワーク、セキュリティーの要件、コストや具体的な活用なども含めまして検証を進めていくこととしております。

 このような取組を通じて、SINETへの接続を希望する全ての学校が円滑に利用ができるよう、自治体のニーズも踏まえながら準備を進めてまいりたいと考えております。

古田分科員 どうもありがとうございます。

 地元には、このSINETを活用したいという学校がありますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次は、大学入試につきまして、大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 二〇二〇年度から大学入試センターにかわって始まる大学入学共通テストにつきまして、英語四技能をはかるための英語民間試験の導入及び国語、数学の記述式問題について、さまざまな議論がなされてきましたけれども、最終的に延期ということになりました。

 また、二十二日の土曜日の新聞には、受験生の留学や社会貢献活動などの情報を生徒みずからスマホなどで入力、電子化して、それを入試で活用するということにつきまして、萩生田大臣が導入の見直しに言及されたという記事も出ておりました。

 元中央教育審議会会長の安西先生は、難関大学に入学した学生の多くが世界の舞台で通用しないことを痛感していた、受け身の学習ではなく、能動的な訓練を重ねることが重要で、入試を変えることで高校教育は変わるというふうに述べられておられました。

 一方、東京大学大学院教授の中村先生は、入試を変えれば教育が変わるという発想をこそ変えなければならないと述べておられます。記述式問題に関しても、学校の中でふだんから記述式問題をたくさん解いてきていますし、書くことや表現することも授業の中に組み込まれているということです。すべきことは入試改革ではなく、教育現場を変えることだという主張をされておられます。

 入試を変えなければ教育が変わらないという意見につきまして、萩生田大臣はどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、先生触れられた主体性について、私は、やめるということを決めたわけじゃなくて、一律の電子データ化が学校の先生たちの負担にもなる一面もあるし、かといって、学校以外でいろいろなことで活躍している学生たちのそのアピールはしっかり大学受験にプラスオンしてもらいたいなという思いもあるので、やめることを前提じゃなくて、今の仕組みでいいかどうかということをちょっと考えているということを申し上げたので、誤解のないようにお願いしたいと思います。主体性は大事だと思っています。

 その上で、高大接続改革は、新しい時代にふさわしい高校教育と大学教育をそれぞれの目標のもとに改革し、子供たちが各段階で必要な力を身につけ、次の段階に進むことができるようにするための総合的な改革です。両者を接続する大学入学者選抜は、高等学校教育以下の初等中等教育と大学教育にも大きな影響を与える存在であり、高等学校教育、大学入試、大学教育のいずれかを変えればよいというものではなく、大学入学者選抜も含めた三者を一体的に改革していくことが何よりも重要だと考えます。

 したがいまして、現在、私のもとに大学入試のあり方に関する検討会議を設置し、大学入試のあり方について鋭意検討を進めているところでありますが、高大接続改革の観点も念頭に御議論いただくようにお願いをしているところです。

古田分科員 いろいろな観点から検討していただきたいと思います。

 教育再生実行会議の第十一次提言の中には、ソサエティー五・〇をたくましく生きるためには、文系、理系のどちらかに偏ることなく、バランスよく資質、能力を身につけていくことが重要であり、例えば、教育理念に基づくことなく、大学入学者選抜を過度に重視した文系、理系に分断されたコースの開設等は、生徒に真に必要な力を身につけさせる観点からは、望ましいあり方とは言いがたいとの記載があります。

 現在、高等学校の普通科では、二年あるいは三年から理系、文系に分けての指導が広く行われておりますけれども、提言は、この文系、理系のコース分けは望ましいものではないと言っているようにも読めます。

 文系、理系のコース分けの是非につきまして、萩生田大臣はどう考えておられるのか、お伺いいたします。

萩生田国務大臣 高等学校においては、社会で生きていくために必要となる力を共通して身につけさせるため、国語、地理、歴史、公民、数学、理科、外国語及び情報等を必修科目とすることで、全ての生徒が、文系、理系を問わずに、幅広い教科、科目などをバランスよく履修できるようにしています。

 その上で、生徒の特性、進路などの多様化が進むことを踏まえて、生徒の能力、適性、興味、関心等に応じて、より深く高度に学んだり、より幅広く学んだりすることができるようにすることも重要です。このため、いわゆる文系、理系の類型など数種類の教育課程の類型を設け、一定の計画のもとで系統的、組織的な履修を行わせることも考えられます。

 しかしながら、その場合においても、類型自体を固定的なものとせず、生徒が自由に選択、履修できるよう配慮することが必要です。

 現在、中教審におきまして、いわゆる文系、理系の類型にかかわらず、学習指導要領に定められたさまざまな科目をバランスよく学ぶことについて検討いただいているところであり、こうした議論の状況も踏まえつつ、文科省としても所要の取組を進めてまいりたいと思います。

古田分科員 次は、教育再生実行会議の第四次提言で、知識偏重の一点刻みの大学入試からの脱却、及び学力不問の選抜になっている一部の推薦、AO入試の改革の必要性が指摘され、大学入試改革の議論がさまざまされてきましたけれども、このたびの英語民間試験や記述式問題の延期となりましたけれども、今後、知識偏重の一点刻みの大学入試からの脱却についてどのように取り組まれるのか、萩生田大臣にお伺いをいたします。

萩生田国務大臣 ソサエティー五・〇の変化の激しい予測困難な社会においては、新たな価値を創造していく力を育成することが必要です。このため、大学入学者選抜においては、知識の再生から、論理的思考力や想像力を評価していくことが必要であり、一点刻みの評価から脱し、入学志願者の能力、意欲、適性等を多面的、総合的に評価していくことが重要であると考えています。

 このため、文部科学省においては、一般入試のほか、大学教育を受けるために必要な基礎学力の確保を前提として、入試方法の多様化を推進しているところです。例えば東北大学では、AO、推薦入試を経て入学する学生が全体の二五%に達しており、国立大学全体としても、令和三年度までにAO、推薦入試等による入学者を三割とすることを目指して改革が進められているところです。

 引き続き、各大学の入学者選抜において、入学志願者の能力、意欲、適性など多面的、総合的な評価が進むよう、大学入学者選抜の改革を推進してまいりたいと思います。

古田分科員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 それでは、ちょっと問題を飛ばしまして、続けて萩生田大臣にお伺いしたいと思います。

 データに基づく教育改革についてです。

 先日、早稲田大学の松岡亮二准教授の話を聞く機会がありました。その話を聞いていて、教育界においてもっと使えるデータを集めなければいけないんじゃないかというふうに感じました。

 また、そのときに、福岡教育大学の川口先生の研究も紹介されておられまして、二〇〇七年から全国学力・学習状況調査が行われていますけれども、川口先生は、ある自治体の小学六年生のデータを利用いたしまして、学校ごとの国語の平均正答率を縦軸に、経済的な事情で自治体から就学援助を受けている児童の割合を横軸にとると明らかな関係が見られる、正答率が低いのは学校や教員の問題ではないということをデータで示されておられました。学校や教員のよし悪しが個々の子供の成績の平均からわかるというのは、そういう発想は間違いだろうということを述べておられました。

 学校や教員の努力の成果を知るには、複数時点での学力調査を行って、成績の伸びをはからなければならないということであります。埼玉県では、実際に、児童生徒一人一人の学力を確実に伸ばすために、小学校四年から中学校三年まで毎年、埼玉県学力・学習状況調査を実施して、個人の伸びをはかっているということであります。

 現在、全国学力・学習状況調査は悉皆調査で行っておりますけれども、これを抽出調査にすれば、現在の予算の範囲内でも、小六と中三を対象としているのを、もっと複数年、実施をふやすことができますし、同一の児童生徒を追跡できるようにすれば、生徒の指導にもっと活用できるんじゃないかということであります。

 私もその提案に賛同するところですけれども、国としても、個人の伸びをはかることのできるような調査を今後実施していくべきではないかと考えますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。

萩生田国務大臣 教育政策についても、より効果的、効率的な企画立案や国民への説明責任の観点から、客観的な根拠を重視した行政運営に取り組んでいくことが重要です。このことについては、第三期教育振興基本計画においても、今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき視点の一つとして位置づけているところでございます。

 文部科学省としては、これに基づき、政策立案に活用できるエビデンスの開発やデータの収集を進めるとともに、地方自治体における先進的な取組について周知を図るなど、取組を総合的に進めているところであり、客観的な根拠を重視した教育政策が全国的に進められるように取り組んでまいりたいと思います。

 一方、先生、エビデンスやデータは極めて大事なんですけれども、そこにはプロセスが見にくいところがあると思います。すなわち、結果が出せない生徒であっても、そこへたどり着くまでの努力というのは、肌感覚で、やはりアナログに担当の先生たちが感じ取ってあげて、もう一息で正解ができたのにとか、もう一息で達成できたのにというところを知っているのは唯一やはり教員の皆さんですから、どちらもやはり大事だと思います。両面を大切にしながら子供たちの能力を伸ばしていきたいと思います。

 全国学力テストの提案もいただきましたけれども、ことしから学校ICT、一気に進めようと思っています。パソコンやタブレットがあればCBTを活用した試験も可能になってくるので、予算的にも、あるいは人的な労力も含めて大きく改革ができると思いますので、こういったツールも使いながら、おっしゃるように、一人の生徒さん、児童さんを追跡して、どういうふうに伸びてきたか、何がどこでつまずいたかがわかるようにすることも極めて大事だと思いますので、今までとは違う思いで、教育現場をしっかり俯瞰をしていくように、文科省としては努力をしていきたいと思います。

古田分科員 大変心強い答弁、ありがとうございます。

 ただ、CBTを使うにしてもかなり時間がかかるんじゃないかと思いますので、しっかり前へ進めていただきますようによろしくお願いいたします。

 それから、先ほどの松岡先生が幾つか提案されている中に、ランダム化比較試験による効果測定というのがありました。対象者を、あることを実施するグループと従来どおり何も介入しないグループに無作為に分けて、二つのグループの間で、あることを実施したことによる効果を比較する試験ということです。

 例として松岡先生が挙げた中に、授業時間を二時間おくらせて授業を始めることによって授業中の集中力が上がったとか、それから、授業前に数百メートル生徒にランニングさせてやると半年後の学力が上がったとか、大変興味深い例を示されておられました。

 実験の項目や数をもっとふやすことによって、学力向上にとって有益な知見が得られるというふうに思います。確かに、行政の協力、それから予算も必要ですし、生徒や保護者の理解、協力も必要ですけれども、政府として、教育効果を客観的に測定できる環境を整備して、効果のあった実践につきましては全国に普及させることによって、国全体の学力向上につながるはずであります。

 日本の教育はデータと分析が圧倒的に不足しているというふうに言われておりますけれども、このような比較実験による教育効果の測定を更にふやすことによって、その結果をまた教育政策に生かすべきというふうに考えておりますけれども、萩生田大臣の見解をお伺いいたします。

浅田政府参考人 失礼します。

 例えば、文部科学省でもやっているものとしては、全国学力・学習状況調査で経年変化分析調査というのをやっておりまして、中長期的な、国全体としての学力の推移を見ることができるものもございます。

 それから、二十一世紀出生児縦断調査というのがありまして、これは学力ではなくて、個人単位でずっと同じ方々を追跡調査しておりまして、学校生活の状況とか学習時間の長さなどについて経年で把握をするということができるものでございます。

 さらに、先生御指摘のとおり、例えば埼玉などが非常に進んだ取組だと思いますが、地方自治体で、個人単位で経年で学力の変化を測定できる、そういうことにチャレンジしているということもございます。

 完全なランダム化比較試験は、今おっしゃったように、ほかの条件を全てそろえた上で、何か特定のところだけを変えてやるということで、実際やるとなると、これは、ほかの条件をうまくそろえられるかどうかとか、あるいはその対象となる子供たちや保護者や地域の方々の御理解と協力が得られるかとか、さまざまな課題はございますけれども、大臣からもお話あったように、可能な限り、やはりエビデンスに基づいて施策を進めていくというのが大事だと思っていますし、我々も、例えば埼玉県の取組には従来から非常に注目をしています。そうした進んだ地方自治体での取組などを好事例として広く周知をしていく、いろいろなことをやっていきたいと思っております。

萩生田国務大臣 松岡先生に反論をするつもりは全くないんですけれども、例えば松岡先生が、二時間始業時間を遅めたら子供たちの修学意欲が高まったというのは、我々肌感覚でよくわかるんです。ですから、エビデンスというのは、今ある数値を積み上げていくことも大事ですけれども、過去を振り返りながら、やはり日本人が肌で感じてきたもので正しいものというのはきっとあると思うんです。

 文部科学省は、古めかしいかもしれませんが、いまだに早寝早起き朝御飯という運動を奨励しています。これはやはり、今子供たちが夜更かしをして、睡眠時間が短くて、もう朝ぎりぎりまで寝ていて、朝御飯も食べずに学校に来るから、一時間目の集中力が落ちているんじゃないかというのは、これは言われてみれば何となくわかる話でありまして、こういうことも含めて、両面、ランダムな数字も大事ですし、先ほど申し上げた肌感覚も大事で、しっかり子供たちを見守っていきたいなというのが我々の思いでございます。

古田分科員 地に足がついたというか、しっかり文科省は考えておられるなというふうに感じました。これからもぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ただ、データが少ないというのは事実だと思いますので、これからそういうデータをとる環境といいますか、そういうのを進めていってもらえればというふうに思います。

 それでは、先ほどちょっと飛ばしました幼児教育についてお伺いしたいというふうに思います。

 幼児教育は、生涯にわたる人格形成や教育の基礎を培う上で大変重要であります。幼児教育を受けたことによって、将来の所得や、生活保護受給率が減るということなど、幼児期の教育効果が著しいという研究報告が海外でなされております。

 その教育政策をしっかり進めていくことは重要ですけれども、文科省としてどういうふうに幼児教育の重要性を考えておられるかどうか、お伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 幼児教育でございますが、子供の基本的な生活習慣を形成し、道徳性の芽生えを養い、学習意欲や態度の基礎となる好奇心を養い、創造性を豊かにするなど、生涯にわたる人格形成の基礎を培う上で重要な役割を担っていると考えております。

 先生の方からも御指摘いただきましたが、国際的な研究においても幼児期の教育の重要性が認められておりまして、質の高い幼児教育が将来の所得の向上等に効果をもたらすことを示す研究結果があります。

 また、このほかにも、OECDの報告等によれば、質の高い幼児教育は、幼児期の発達やその後の学校段階における学力や社会情緒面に大きな影響を与えること、また、その後の人生における健康、労働市場への参加、貧困の防止等に長期的な影響を与えることなどが明らかになっております。

 我が国において二〇〇六年に教育基本法が改正をされまして、幼児期の教育の重要性とともに、国はその振興に努める旨の規定が設けられているところでありまして、政府としては、幼児教育及びその振興の重要性を前提として各種施策にしっかり取り組んでいるところでございます。

古田分科員 大臣、所用があるということで、ここで退席されて結構です。

 最後にもう一問です。

 幼児教育に関係いたしまして、幼児教育は大事だということでありますけれども、今、幼稚園、保育所、認定こども園、教育無償化になっておりますけれども、そのどこにいても、またあるいは家庭にいても、質の高い幼児教育、また十分な幼児教育を受けることが非常に重要だというふうに思いますけれども、その取組についてお伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 幼児期の教育は、先ほども申し上げましたが、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、生涯にわたる学びと資質、能力の向上に大きく寄与することから、その質の向上を図ることは極めて重要であるというふうに考えております。

 教育内容については、二〇一八年度から実施をされております幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領において、子供に育みたい資質、能力を共通して明確化するなど、その内容について一層の整合性を図り、施設類型にかかわらず幼児教育の質の確保を図っているところであります。

 また、令和二年度予算案におきましては、幼児教育アドバイザーの配置など、幼稚園、保育所、認定こども園の垣根を越えた研修支援や、小学校教育との接続に取り組む自治体に対する支援などの予算を計上したところであります。

 文部科学省としては、今後ともこうした幼児教育の質の向上に係る取組をしっかりと進めてまいります。

古田分科員 エビデンスでも幼児教育は重要だという結果が出ていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 時間が参りました。これで終わります。どうもありがとうございました。

井野主査 これにて古田圭一君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

井野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古屋範子君。

古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 萩生田大臣には、副大臣在任中、副長官でいろいろとお世話になりました。きょうはよろしくお願い申し上げます。

 冒頭、新型コロナウイルス感染症に関して一問質問をさせていただきます。

 新型コロナウイルスの感染症の拡大、新たな局面を迎えていると思います。政府の方はきょうにも対策の基本方針を発表されるということでございます。専門家会議では、この一、二週間が感染の拡大を抑止をしていく瀬戸際、正念場であるという報告書を提出をしております。

 公明党は、政府よりもいち早く対策本部を立ち上げまして、二月の六日には提言を発表いたしました。六日時点ではまだ子供への感染は認められておりませんでしたけれども、その中で、さまざまなケースを想定して、学級、学校閉鎖、またスポーツイベントの開催などについて、二〇〇九年の経験を踏まえてあらかじめ検討しておくことということを盛り込ませていただきました。

 萩生田大臣、本日午前中の記者会見で、児童生徒の安全が最優先である、速やかに方針を周知する旨の発表をされております。

 当面の対策より少し中期的な問題になりますけれども、新型コロナウイルス感染症抑制に向けたワクチン開発の促進についてお伺いをしてまいります。

 御存じのように、中国の湖北省武漢を中心に新型コロナウイルスの感染患者が報告されて以来、わずか二カ月の間に世界じゅうで四万人を超える感染者、千名を超える死亡者が報告をされております。世界的に公衆衛生上の非常に大きな問題でありまして、早急な対策が求められております。現在、このウイルス感染症に対する治療薬及び予防法は確立をされておりません。

 新型コロナウイルス感染症は世界じゅうに蔓延する可能性が危惧をされておりまして、予防のためのワクチン開発が急がれていると承知をしております。このワクチンがあれば、医療従事者また検疫の関係者が安心して安全に対応ができるということだと思います。

 新型コロナウイルス感染症抑制に向けたワクチン開発の促進についてお伺いをしたいと思います。これまで日本で研究者が行ってきたSARS、MERSに関する知見を踏まえて、コロナウイルス感染症を制御するため、人材を集約をして基礎研究を強力に推進していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症に関する御指摘がございましたワクチン開発を含む研究開発につきましては、関係省庁連携のもとで、政府全体として取組を進めております。文部科学省としても、日本医療研究開発機構を通じ、海外における情報収集や基盤的研究を支援しているところでございます。

 こうした研究開発を進める上で、ウイルスの遺伝子組み換え実験等を行う場合につきましては、カルタヘナ法に基づく大臣の確認が必要となります。これまで申請がございましたものにつきましては、迅速に対応をし確認手続を完了したところでございます。今後とも、引き続き申請に迅速に対応してまいりたいと考えております。

 さらに、二月の二十日でございますけれども、お話がございましたSARS等に対する診断法開発の実績がある長崎大学の研究者を中心とした六大学十人の研究グループが行う新型コロナウイルス感染症に関する緊急研究に対して、科学研究費、特別研究促進費による助成を行うことを決定をいたしました。

 この研究では、六大学が、アジア地域に展開をしております感染症研究拠点におきまして、新型コロナウイルス感染症に関する検体や臨床情報を収集するとともに、集めた情報を活用して、簡易検査キット、治療薬やワクチン等の開発において基盤となる技術の確立を早期に目指すものと承知しております。

 文部科学省としては、こうした研究の進捗や成果も確認しつつ、引き続き必要な研究についてしっかりと支援をさせていただきたいと考えております。

古屋(範)分科員 長崎大学、ここはこうした感染症についてさまざま知見を積み重ねている大学だと思います。ここを中心に、アジアとも国際連携をし、またAMEDとも協力をしながら、できるだけ早くワクチンの開発をしていただきたいと思っております。

 ワクチンの開発は、安全保障上の問題だと思っております。いざというときに海外に頼っているようであっては、我が国の国民の生命、生活を守ることはできませんので、我が国のワクチンの研究開発力、この向上にも努めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、リカレント教育についてお伺いをしてまいります。

 人生百年時代の到来がうたわれておりまして、我が国でも生涯にわたるリカレント教育が注目を集めております。

 欧米では、会社に勤めてからもう一度学習する、こういうサイクルが比較的一般的になっております。しかし一方、日本では、学校を卒業するとずっと職業人として、企業人として働き続ける、こういうケースが一般的だと思います。また、学校卒業後は会社がそういった教育を担ってきた側面があると思います。しかし、大企業でもそのような余裕がだんだんなくなってきた、中小企業においてはそもそもそういう余裕がなかなかないという現状だと思います。

 会社の終身雇用制度も変化をいたしまして、また技術革新によってあらゆる業界の変化のスピードというものは急速に高まっております。それを全部個人で勉強してくれというのはいささか難しいと思っております。人生百年時代、技術革新が進む中で、誰もが幾つになってもライフスタイルに応じたキャリア選択を行って、新たなステージで求められる能力やスキルを身につける、そうした社会環境整備が必要だと思っております。

 骨太二〇一九の中で、このリカレント教育につきましては、社会人、女性、高齢者等の多様なニーズに対応して大学や専修学校等のリカレント教育を拡充をする、また、大学、大学院等において、産業界との連携、接続を強化をして、人文社会科学系も含めた幅広い分野の教育プログラムを構築し、社会人が学び直す機会を拡充するということが既に掲げられております。

 この生涯教育、またリカレント教育というのは、人生をより豊かにするということもありますし、社会人となった後も生涯教育の場を持ちたいという方々、新たな仕事に対応できるように社会人としてもう一度大学等で学び直しを求められる、そういう場合もございます。

 文科省では統計をとられておりまして、社会人になった後でも学び直しをしたいかという質問に対して、学習したことがあるあるいは現在学習している、学習してみたいという方が三六・三%いらっしゃいます。特に三十代の方々では五一・九%の、半分以上の方々が、学習意欲が高いという結果が出ております。

 社会人が大学などで学習しやすくするために必要な取組、これにはやはり費用の支援、経済的な支援が大事だと思います。また、時間の配慮、仕事をやめなければ大学、大学院に行けないというので非常に決意が要ります、難しいと思います。また、就職、資格取得などに役立つプログラム、あるいは、放送、インターネットなどで受講できるプログラム、こうしたプログラムの拡充また情報を得る機会の拡充が必要だと思っております。

 アメリカでは、コミュニティーカレッジという形式があります。これは多くの移民を入れてきたアメリカ社会で、社会の成長とともに、意思のある者なら誰でも学ぶことができる、こうしたコミュニティーカレッジの教育を充実させています。

 公立二年制で、全米大学約四千校のうち約一千二百校が設置をしております。平均年齢も二十八・五歳、親からも援助がないという方が半分以上いて、働きながら学ぶ方も六割以上ということで、地域住民が無償あるいは本当に安く教育を受けて学位を取得できる、こういう教育機関がございます。

 日本において、費用も安くて、働く人にとって学んでいこう、あるいは高校で学び損なったけれどももう一度大学に行きたい、こうしたコミュニティーカレッジのようなものが必要だと思っております。

 日本では、リカレント教育に関する公的な補助や支援制度、関係機関の連携はまだ未成熟な部分が多いと思っております。こうした欧米のような有給教育制度がある企業は日本ではまだ少ないと思っております。リカレント教育の機会が得られたとしても、費用負担が増大した場合、行政からの支援、給付金がまだまだ少ないということが言えるのではないかと思っております。

 働きたいと思っている女性、高齢者、また学びたくても学べなかった方々、あらゆる人々、全ての人々にとって、こうした大学、専修学校等でのリカレント教育を拡大して、希望する全ての人に門戸を開くリカレント教育を展開すべきと考えますけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 人生百年時代の到来や技術革新の進展等の中では、個々人が人生を再設計し、一人一人のライフスタイルに応じたキャリア選択を行い、新たなステージで求められる能力、スキルを身につける機会の提供が求められるため、リカレント教育の抜本的拡充が重要だと私も思っております。

 文部科学省では、人づくり革命基本構想などに基づいて、これまでも産学連携による実践的なプログラムの開発促進等に取り組んできたところですが、令和二年度の予算案におきましては、大学や専修学校等における産学連携プログラムの開発促進、それから社会人向け短期プログラムの開発促進、放送大学における実践的なオンライン配信コンテンツの充実、学び直しを支える実務家教員の育成など、多様なニーズに応じた取組の実施を検討しています。

 先ほど先生がリカレントの、言うならば日本における概念の中で、例えば、仕事をやめて、そしてもう一度リカレント教育を受けてキャリアアップを目指す人の例や、あるいは、働きながら少しスキルアップして給与の上昇を目指すなど、いろいろなパターンがあると思うんです。あるいは、チャンスがなかった人がもう一回学術的に豊かさを求めて学び直す場合もリカレント教育だと思うんです。

 実は、先日、政府の未来投資会議の中で、リカレント教育、まだ我々は歴史が浅いものですから、余り概念を広げちゃって、何でもかんでも学び直せばリカレント教育で、何でもかんでも国が応援するというのはいかがなものかと。

 例えば、アメリカの例を御提示いただきましたけれども、私も、先日、シンガポールのスキルズフューチャーというのをよく拝見をさせていただきました、視察をしてきました。これは、企業や業界側が、こういう人材を育て直してくれればうちで採用しますよ、お給料もアップしますよということを明確にしながら、要するにマッチングをちゃんとしながら勉強している、こういうものもありましたので。

 そう言ってしまうと、何か職業の選択を変えたり給料を上げることだけがリカレントの目的になってしまうのはちょっと寂しいので、確かに、豊かさを求めた学び直しもリカレント教育の一環でいいと思うんですけれども、じゃ、文科省としては何をやっていくか、あるいは経産省としてはどうするか。こういったものを、これからリカレント教育という概念の中でそれぞれ役割分担をしながら、いずれにしても、人生、一方通行じゃなくて、一度立ちどまってもう一回やり直しができて、一つ階段を上がってそしてまた違う景色が見えるような、そういう世の中をつくっていくことは私も大賛成なので、文科省としてできる努力を最大限頑張ってみたいと思います。

古屋(範)分科員 大臣おっしゃるように、目的とそれに対応した形態というものをしっかりつくっていくことが重要なんだろうというふうに思います。

 まず初めに、女性へのリカレント教育についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 転職でキャリアアップしていく、あるいは女性の社会進出の増加によって、職業技術や知識を外部の教育機関で学習したい、そういうニーズが出てきております。

 男性中心の長期雇用が大前提であれば、企業の中での教育に依存をしていても自然にそういった知識が身につくということも言えたかもしれません。また、転職を前提として短期間で企業をかえたり、女性が産休、育休を挟んでキャリアを積む、こうした企業内教育で継続的に仕事上必要な技術、知識を身につけることが難しい、女性はこういうビハインドを強いられております。自分のキャリアパスに合わせて、みずから学習機会をつくることが求められてきております。

 女性の職業キャリア形成にはいまだにさまざまな壁が残されておりまして、その活躍を実現するための政策課題は多いと思っております。また、出産、育児を理由に離職せざるを得なかった女性たち、この再就職支援強化が非常に重要であると思っております。リカレント教育、また大学、ハローワークなどで学び直しを支援していくことが重要だと思っております。

 私は、二〇一七年に日本女子大学に参りまして、そのリカレント教育の内容を学んでまいりました。これは、結婚、出産で一旦離職した女性が再就職をする、あるいはキャリアアップをしていく、そのためのリカレント教育であります。中身も、実践的なビジネス英語であるとか、また文書管理など今必要なそういう講座をそろえておりまして、企業とインターンシップがあって、二〇一五年度の就職率は九〇・二%ということですので、ほぼ皆さん、希望する方が就職を果たされております。

 また、兵庫県にあります兵庫大学というところでは、もう少し幅広く、看護師であるとか保育士であるとかそういう方々で一旦離職をした方々、こういう方々へのリカレント教育をしてそして再復帰をしていただく、そういう道筋をつける、このようなリカレント教育もございます。

 こうした、女性が自分の力を発揮できる、そういう能力を身につけていくための、女性のためのリカレント教育の充実というものも求められていると思います。これに関する文科省の取組についてお伺いをいたします。

浅田政府参考人 女性の力を社会のいろいろな分野でもっともっと生かすあるいは生かせるようにするということは、女性のためにもそれから社会のためにも本当に大事なことだと思います。

 文部科学省としては、リカレント教育を通じて、女性が復職あるいは再就職等をしやすい環境の整備に向けた取組を進めております。

 平成二十九年度、二〇一七年度から、女性に対するリカレント教育を推進する、男女共同参画推進のための学び・キャリア形成支援事業というのを実施しています。この事業では、大学や地域の財団法人への委託により、大学、男女共同参画センター、ハローワークなどの関係機関が連携して、地域の中で女性の学びとキャリア形成、再就職支援を一体的に行う仕組みづくりを進めてきたところです。

 例えば、今年度、委託先の一つであるせんだい男女共同参画財団では、シングルマザーなどの困難な状況にある女性を対象として、資格取得やキャリアアップを目指して基礎学力を身につけるための伴走型の学習支援あるいはキャリア相談や就職活動支援、さらに、子供がいる母親が安心して学習できる託児サービスなどを一体的に実施する取組を行っております。

 また、令和二年度の予算案では、新しく、女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援事業としまして、関係機関との連携のもとに、女性のキャリアアップやキャリアチェンジなどに向けた意識の醸成、相談体制の整備、学習プログラムの開発など、女性の多様なチャレンジを総合的に支援するモデルの開発や普及啓発を行うために必要な経費を計上しているところでございます。

 今後とも、こうしたさまざまな取組を通じて、女性が多様な支援と学びの機会を得て活躍できる社会の構築に向けてしっかり進めていきたいと思います。

古屋(範)分科員 既に、令和二年度予算案の中でもこの分野の予算を確保していただいていると思います。労働力が減少していく中で、働く意欲のある女性に労働市場に出てきていただくことが重要だと思います。それも、パートまた非正規という形で復職をされて、さらに、その先、正規の社員として働いていけるよう、リカレント教育の充実を求めておきたいと思います。

 次に、産学官連携による専門分野のリカレント教育についてお伺いをしてまいります。

 昨年末なんですが、私の地元にあります神奈川県立保健福祉大学、ここが川崎に大学院をつくっておりまして、そこのヘルスイノベーションスクールに行ってまいりました。ここは、昨年四月に開設をされたばかりでありまして、健康・医療分野の専門人材育成に取り組む大学院であります。

 ここでは、社会人が働きながら学べるように、授業時間は平日の夜間それから土曜の昼間となっております。授業は全て英語になっております。現在では、医療関係者あるいは民間企業研究者十六人が在籍をしているということであります。県立の強みを生かしまして、県内にある健康診断とか医療、介護、こうしたデータ、それから県立のがんセンターもありまして、こうしたデータを生かして、データサイエンスが中心なんですが、それを更に県の政策に生かしていく、こうした循環をつくっております。いわば県のシンクタンク的要素を持っております。

 ここの理事長は大谷さんなんですけれども、大谷理事長は、国際化に対応するため多くの授業を英語で実施している、また、実践重視で人材育成に取り組んでいるということをおっしゃっていました。企業の側も、川崎ですので非常に都内からも近く、多分、行ってこいと言われて、国内に留学するような形でここに送り込まれて能力を高め、そしてもう一回企業に戻っていく、こういう大学院であります。

 ここは健康・医療分野の専門人材を育成するという大学院なんですが、こうした高度なリカレント教育、世界に通用するような人材の育成というものが今重要だと思っております。社会人になっても専門分野を深められるリカレント教育への支援についてお伺いをしたいと思います。

浅田政府参考人 先ほど大臣からシンガポールの例の御紹介がございました。リカレント教育にはもちろんさまざまな性格のものがありますけれども、とりわけ職業につながるような分野においては産学がともに人材育成に参画する環境を整備する、そして、連携してより充実したリカレント教育の体制、機会をつくっていくということはとても大事だと考えております。

 文部科学省としても、大学あるいは専修学校などにおける産学連携による実践的かつ専門的なリカレントプログラムの開発促進などに努めているところでございます。

 具体的には、例えばですけれども、情報技術人材などの育成のための大学等での体系的で高度な産学連携プログラムの開発、やはり、大学の持っている研究力、力を生かすということです。

 それから、あるいは、専修学校もこのリカレント教育では大事な役割を担っていると思いますが、専修学校での分野横断型の産学連携プログラム、分野横断型というのは、例えば介護と美容をつなげたようなものとか、さまざまな試みが専修学校でもなされています。

 それから、実践的、専門的な社会人向けの短期のプログラム、受けていただきやすい短期のプログラムに対する大臣認定の仕組みもございます、職業実践力育成プログラムというものですが、こうした仕組みを生かしていくということも大事だと思います。

 さらに、専門的かつ実践的な教育を支えるいわゆる実務家教員の育成による産学共同教育の場をつくっていく、ふやしていくということもとても大事だと思っています。

 こうしたさまざまな産業界のニーズも踏まえて、かつ学習者のニーズにも応えられるものを充実していくことが大事だと思っています。

 引き続き、産業界等と連携してリカレント教育を推進していきたいと考えております。

古屋(範)分科員 大臣もシンガポールの例を引かれましたけれども、アメリカでも、例えばAT&Tとノートルダム大学が連携をして高度な人材を育成していく、五百五十万円の学費は企業が出して、そして大学で育成をしてまた企業に帰る、このようなシステムをつくっているところもございます。先ほど申しましたように、まだまだ日本では未成熟であると思います。こうした産学官連携のリカレント教育、これからも更に伸ばしていっていただきたいと思います。

 次に、このリカレント教育を支えていく実務家の教員というものが必要になってまいります。この実務家教員の育成が重要と考えますけれども、この取組についてお伺いをしてまいります。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 企業等での豊富な実務経験あるいは高度な実務能力を有する実務家の知見を、リカレント教育としての社会人向け教育プログラムに積極的に取り入れていくことは重要であるというふうに考えております。

 このような視点で、文部科学省では、令和元年度から、大学等において教育、授業を実際に行うに当たって必要な基礎的知識などを身につけるための実務家教員育成プログラムの開発実施、そして、そのプログラムを標準化し全国展開していく、また、そのプログラムの修了者の情報を収集提供するための仕組みづくり、これらのことを推進するための取組を支援しておりまして、令和二年度予算案においても必要な予算を確保しているところでございます。

 文科省としては、このような事業を通じまして、引き続き、実務家教員の育成、リカレント教育の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)分科員 人材の育成もよろしくお願いしたいと思います。

 大学等で行われているリカレント教育の情報なんですが、発信を支援する制度が必要だと思っております。キャリア等の課題を抱えた社会人が、学習をしたいという意欲は持っている、具体的に大学等におけるプログラムを受講するというところまでなかなかつながらないのが課題だと思っております。

 文部科学省にお伺いをいたしましたマナパスというポータルサイト、社会人の大学等での学びを応援するサイトができております。二〇一八年に開設をされております。恥ずかしながら、私もこれは知りませんでした。大学等における学び直し講座情報また学び直し支援制度情報を発信する社会人のためのポータルサイト、社会人がみずからのキャリアに適した学習プログラムの情報を効果的に入手できる、大学等で学びやすくするための環境整備の支援を目的とされています。

 私もアクセスをしてみましたけれども、地域を指定して、大学、大学院、この分野、この資格ということを指定をいたしますと、それに応じたさまざまな大学のプログラムが検索することができます。こういうこともまだまだ国民に周知が足りないのではないかというふうに思っております。

 さまざまな取組をされているんですけれども、学びに関するニーズを把握して、また、個人の関心、ニーズに合った学びのプログラムを見つけ、情報に効果的にアクセスできますよう、更に強力な取組をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

浅田政府参考人 社会人が大学などで学び直しをする際に抱える課題、これは、例えば平成三十年度の世論調査によりますと、やはり経済的な支援、費用とか、開講時間の配慮、時間とか、あと社会人向けのプログラムとか、先ほどお話ございましたが、放送とかインターネットで受講できるプログラムがあるといいね、そういうプログラムについての要望もございますが、学習に関する情報を得る機会がもっと欲しいという回答も約二三%、非常に多くなっております。

 お話しのとおり、さまざまな機会はあるのですけれども、それにちゃんとアクセスできる環境を整えることも大事で、今御紹介いただきましたように、文部科学省としては、大学、大学院、専修学校の講座、あるいはJMOOCなんかの講座も含めて、こうした情報を一元的に学習者に提供できる総合的なポータルサイト、マナパス、これは学びのパスポートの略なんですが、の構築に取り組んでおりまして、今年度の四月から試行的に運営しております。

 本年二月現在で掲載している講座数が四千三百五十二ということでございますが、知らなかったということでございますので、やはり知っていただくのがまず第一ですから、もっと知っていただけるように、かつ、それで実際にアクセスしていただいた方に役に立ったなと思っていただけるように、充実を図っていきたいと思っております。

古屋(範)分科員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

井野主査 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木貴子君。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。初めて文科省関連の質問をさせていただくということで、いつもの質問以上に大変緊張しておりますが、萩生田大臣のことでありますので、大臣のまた御丁寧な答弁がいただけるものと期待をして、質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、特別支援学校におけるトイレに関して質問させていただきたいと思います。

 道立養護学校に通うお子さんを持っていらっしゃる保護者の方から私のもとに御相談をいただきました。その相談というのが、施設、特にとりわけトイレ環境の整備を充実をしていただきたい、そういった内容でありました。

 というのも、最近は、老朽化若しくは耐震化の方はさまざま国土強靱化の関係もありまして予算もついて進んでいるわけでありますが、実は、このトイレというところで、こういった問題があると。それは何かというと、養護学校という特殊性、特性の中で、子供たちが、感覚過敏、例えば嗅覚に関して、若しくは音に関して、とりわけ過敏な状態を持つお子さんがまさにこういった養護学校に通われているわけなんですけれども、私の地元の道立養護学校には、実は、窓もない、明かり取りの窓もなく、そしてまた、換気扇があるんですけれども、非常に旧式のもので、正直言って、そのにおいというのは、よくある、昔の公園などの脇に申しわけなさ程度に設置をされている公衆トイレのような、においがなかなか抜けない状態である。これをもって、子供たちが、そのトイレを使いたくない、トイレが怖いといって、学校にも行きたくないんだ、こんな御相談を寄せられたところであります。

 トイレというのはやはり日常生活を送る上で非常に重要なところだと思いますし、切っても切り離せない部分でもあります。そういった意味で、トイレの環境整備に関してまずどういった見解を、重要性というものを認識されているのか、伺いたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるとおり、学校施設は子供たちが一日の大半を過ごす学習、生活の場であることから、快適な環境を確保することが重要である、特にトイレについては保健衛生に十分配慮した清潔な空間とすることが重要であるというふうに考えております。

 一方で、学校トイレは汚い、臭い、暗いの三Kなどとも言われておりまして、排せつ行為自体が恥ずかしいと無理に我慢する子や、からかわれるのではないかと学校ではトイレに行きたくないというふうに考える子もいるというふうに指摘をいただいております。

 文科省では、従来より、施設の計画、設計上の留意事項をまとめた学校施設整備指針、特別支援学校にもつくっておるんですけれども、その特別支援学校施設整備指針において、特別支援学校のトイレは、一人一人の障害の状態や特性等に配慮することや、清潔で使いやすく、良好な雰囲気となるよう計画することが重要である旨を記載し、各学校設置者に周知しているところでございます。

 また、予算ですけれども、都道府県立等の特別支援学校については、新築、増築、改築時はもとより、既存施設のトイレ環境の改善についても、国庫補助制度による財政支援を行っているところです。

 なお、公立学校の施設整備につきましては、令和元年度補正予算においては六百六億円を確保、令和二年度予算案におきましては、防災・減災、国土強靱化枠を含めまして、千百六十五億円を計上しているところでございます。

 これからも、特別支援学校において快適なトイレの環境が確保されるよう、各地方公共団体からの御要望も踏まえつつ、しっかりと支援してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 予算措置等も図られているということ、そしてまた、その重要性についても、今この場をもって共有もさせていただいた、共通の認識を持たせていただいた、このように思っておりますので、私も、引き続き、また現場の皆さんの声をいただきながら、また文科省とも連携をして、一人でも多くの幼児、児童、生徒、そしてまた保護者の皆さんが、安心に学校生活を送れるように、また送り出せるように努めてまいりたいなと思っておりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、通告でいいますと、ちょっと順番を変えさせていただきますが、専門高校について質問をさせていただきたいと思います。

 まさにこの学習指導要領、これは移行のタイミングでありますけれども、農業であるとか水産、こういった専門高校に関する教科の改訂ポイントについてまずお尋ねします。

丸山政府参考人 専門高校における職業教育につきましては、科学技術の進展、グローバル化、産業構造の変化などに伴い、教育内容に必要とされる専門的な知識、技術の変化や高度化への対応が課題とされているところであります。

 このような課題を踏まえまして、平成三十年三月三十日に告示をしました新しい高等学校学習指導要領におきましては、職業教育に関する内容の改善充実を図っております。

 例えば、農業科においては、安定的な食料生産の必要性や農業のグローバル化への対応など農業を取り巻く社会的環境の変化を踏まえ、農業や農業関連産業を通して、地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人を育成するよう、学習内容等を改善充実を図ったところでありますし、また、水産科におきましては、水産物の世界的な需要の変化や資源管理、持続可能な海洋利用などの水産や海洋を取り巻く状況の変化を踏まえ、水産業や海洋関連産業を通して、地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人を育成するよう、学習内容等を改善充実を図ったところであります。

 文部科学省としては、令和四年度からの年次進行による実施に向けまして、引き続き、さまざまな機会を通じて、新学習指導要領の趣旨の周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 今まさに、改訂ポイント、非常に具体的に細かく丁寧に御答弁いただいたんですけれども、その中でも、やはり、政府としても、今、特にこの農業を成長産業化の一つとして位置づけている、そしてまた予算措置等も充実をしてきているにもかかわらず、なかなかこの担い手対策、担い手、人が、後継ぎがいない、若しくは外からも担い手がなかなか充実してこないというのは今でも聞かれるところであります。

 そういった中で、今答弁の中にもありましたように、地域や社会の発展を担うための職業人の育成、これに資するのが専門高校である、その旨がありまして、私は大変、そういう意味でも、この専門高校の意義というのは非常に重要である、ここをしっかりと充実強化をしていくということが、まさに今成長産業とも言われている中で、担い手に困っているこの農業、水産というところにも、一つの解決というか一助になるのではないのかなと期待をしているところであります。

 そういった中でお尋ねをしたいのが、であるならば、この専門高校、特に農業の点で結構なんですけれども、魅力発信のために取り組んでいらっしゃることは何かありますでしょうか。

丸山政府参考人 農林水産高校、とりわけ農業の学校ですが、専門高校では、地域産業を支え、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するための特色ある教育活動が数多く行われているわけですが、必ずしもその実情というのが中学生や保護者に明らかになっていないことから、専門高校に対する中学生や保護者等の理解、関心を高めていくということが求められると考えております。

 このため、平成二十九年度から、農林水産高校等における魅力発信方策についての調査研究を実施をしておりまして、農林水産高校等の学習状況や職業との関係を中学生や保護者等に効果的に伝えるための取組事例を収集をした上で、農業高校や水産高校の魅力を発信するためのリーフレットやPR動画の作成を行ったところでございます。

 これらの成果物は、これから将来の進路選択を行う中学生や保護者の皆様を始め多くの方々に、農林水産高校等における実践的な職業教育に対する理解、関心を深めていただき、その魅力や多様性を知っていただくよう、都道府県の教育委員会や全国の中学校に配付をするとともに、文部科学省のホームページ等においても情報発信をしておりまして、文部科学省としては、引き続き、専門高校に対する理解や啓発に取り組んでいきたいというふうに考えております。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 二十九年にも調査研究というのがあって、リーフレット等々もつくられている。今私の手元にあるのがその農業高校におけるリーフレットなんですけれども、確かに網羅的に、農業高校とは何ぞやというのは出ているかと思うんです。

 ただ、私は、先ほど改訂のポイントでもあったように、地域の発展を担う人材、人の、職業人の育成なんだと、であるならば、例えば、一つに農業と言っても、私の地元北海道の農業と本州の農業というのはやはり違うわけであります。簡単に言えば、北海道の場合は主に専業、本州は兼業。言いぶりにしても、北海道では酪畜という言い方をしますが、本州に行けば畜酪というように変わってくる。

 であるならば、その学校、地域地域に応じて、一くくりに農業高校と言っても、もっと地域に特化した、その地域の皆さんが求めている人材というのを育成をしていくというのが一つの鍵になってくると私は信じてやまないところなんです。

 そういった意味では、確かに調査研究していただくことも重要です。パンフレットも重要です。しかしながら、地域に特化した学校づくり、これについての見解、そしてまた、若しくはそういったことに何らかもう既にお取組があるのであれば、ぜひ御紹介をいただければと思います。

丸山政府参考人 委員御指摘のとおり、地域産業を支える職業人育成ということで、特に農業高校においては、地元の状況をしっかり踏まえた上での担い手の育成、これが大事だというふうに思います。

 そういった中で、農水省と連携をいたしまして、できるだけ、教員の専門性の維持向上という観点も大事だということで、連携して、教員に対する研修でありますとか、農業高校と農業大学校の連携による研修や交流、連携の強化、それから、外部講師については農林水産業経営者等の外部講師における出前授業や、高度な農業技術を用いた実習など、そういった取組の促進について、都道府県の教育委員会等に対し取組をしっかり促しているということでございます。

 また、さらに、地域農業に精通した外部人材、専門性の高い人材を学校に配置をするために、特別免許状や特別非常勤講師制度の活用について、各都道府県に対しまして制度の積極的な活用を促している。

 そういった人的な、特に教職員の専門性の維持向上のための取組に力をこれまでも入れてきているということでございます。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 これまでにもう力を入れてきていらっしゃるということなんですが、これまでにも入れてきているのであれば、それに更に力を入れていただきたいというのが私のポイントであります。

 実際に、例えば教職員の質、つまり教える側の質の向上というのがこれはやはり重要になってくると思うんですけれども、一方でこんな指摘もありまして、北海道の場合は、その研修というのが往々にして札幌で開催をされる、そうなってきますと、私の地元、釧路であったり根室といいますと、これは一日仕事、若しくは道南の函館ですと、まだまだこれは一日かかったり。そういった中で、農業だと、例えば牛なんかを飼っていると、相手が自然若しくは命のある動物ですから、そういった研修なんかも、もっと現場の負担をなくしながらも最新のニーズ若しくは最新の事例をしっかりと共有できるような、現場の声というのをもう少し酌んでいただきたいなと思うんです。

 こういった指摘等に対して何か既に取組があるか、若しくは、ないというのであれば、ぜひともその部分、現場の声を聞いて前向きに取り組んでいくという前向きな答弁をいただけないでしょうか。

丸山政府参考人 教員に対する研修ということにつきましては、独立行政法人の教職員支援機構におきまして、教職員等を企業等に派遣をして農業経営について研修を実施する、そういったことであるとか、産業・理科教育教員の派遣研修、いわゆる指導者の養成、そういった観点で教員の指導力の強化を図っていくというようなことを行っております。

 また、農水省の方と連携を図りながら、研修については、先ほども申し上げましたように、教員の研修の充実ということが必要であるということで、都道府県の教育委員会と農林水産部局が連携をしまして、先ほど委員から御指摘のあった最新の知識という部分、それから各それぞれの地域地域で求められている事案がございますので、そういったことも研修の題材として取り上げて研修を進めていくといったようなことで、教育委員会だけではなくて首長部局ともしっかり連携を図りながら、そういった取組を一層進めていくことが大事かなというふうに考えております。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 教える人材の充実強化もあわせて、やはり最近では、農業一つ見ても、スマート農業などと、技術も日々進化をし、それに伴って機械そしてまたそういった資機材というものも日々変わってきております。

 ただ一方で、今の産業教育振興法の中でもさまざまな支援というものは講じてはいただいていると思うんですけれども、学校の現場に聞くと、どうしても、一度整備のための計画を出してくれと。しかしながら、技術というのは、いつ何どきどう変わるかわからないわけであります。それで、その機械を一度導入をすると、正直、すごい平たく言うと、エンジンがかからなくなるまで使えと。

 しかしながら、一方で、地元、例えば農業でいえば、もっと生産現場は日々更新があるわけです。その違いは何かというと、やはりこれはリース式で機材等を回していっている、こういったことがあると思うんです。

 お尋ねしたいのは、学校、専門高校においてもリース式などを導入をして、よりニーズに合った、時代に合った設備更新というものは可能なんでしょうか。

丸山政府参考人 農業における実験、実習による設備の整備といった観点の御質問だというふうに思いますが、それぞれの職業教育の特性を踏まえまして、農林水産業の各部署と連携をしながらというお話は先ほども申し上げましたけれども、各学校の設置者に対しまして実は通知を発出をいたしておりまして、産業振興等の所管部署とも連携を図りながら、企業等との共同による整備、施設設備の共同利用などのさまざまな手法を活用した施設整備の検討ということを、自治体、教育委員会を通じて今依頼をしているところでございまして、そういった取組を今後とも推進をして、農業高校、専門高校においても質の高い職業人の育成が推進されるように、施設設備の整備の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 私の地元の一つであります別海町というところは、生乳生産量が日本一の地域であります。しかしながら、そこの農業高校には、実は、大臣、牛が一頭もいないんです。(発言する者あり)へえと、もうちょっと大きい声で言っていただけると大変ありがたいんですけれども。いや、非常に私はびっくりしたんですね。日本の生産をそこが支えているにもかかわらず、牛がいない。これはいかがなものかなと。

 そして、その一方で、改訂のポイントにも地域の担い手を育てる場というので、私は若干の矛盾を感じているところでもあります。こういった今後の展望というものをしっかりと見詰めながら、時代に合った専門高校づくり、強化に引き続き当たっていただきたいと思います。

 最後に、大臣、せっかくなので、この点について一問、大臣に御答弁いただきたいんですけれども、設置者による取組、設置者という言葉が先ほど来から出てきているんですけれども、しかしながら、今の産業教育振興法の中には、国の任務は示されているんですが、設置者たる地方公共団体の任務というものは実は明記がされておりません。私は、まさに、これからそういった学校の質を上げていくという意味では、国及び地方公共団体の任務というようにもっと明記をすべきではないのかなという考えを持っております。その点について、ぜひ大臣の御見解をいただけないでしょうか。

萩生田国務大臣 平成の三十年間で少子化が進み十五歳人口が減少して、各都道府県が高校などの統廃合というのをすごく進めました。真っ先に矢面に立ったのが農業高校、工業高校、商業高校の専門高校だったというふうに思います。私は、振り返って、これはある意味間違っていたんじゃないかと思うんです。

 これからの時代を考えたら、物づくり産業を支える工業技術者、こういったものは日本にとって宝でありますし、農業も、昭和の時代に開設された農業高校というのは、多分地域の農業後継者の育成というところでとまってしまっていて、例えば、六次産業化をして海外に地元の農作物を輸出をしようなんてことは概念に全くない時代の農業高校のままであると思うんです。これからは、例えば、先生のお地元の北の大地では、広域な農業を維持していくためにはAIやICTを使った新たな時代に入っていかなきゃならない。

 そうしますと、先ほどから答弁で、たてつけは確かに都道府県が設置者なんですけれども、これからのそういった職業高校の果たすべき役割というのは、日本の、言うならば、人材、どういう人を育てていくかという大きな概念も必要になってくると私は思いますので、今お話があったように、酪農の地域で牛がいない農業高校でどうやって畜産の精度や技術を上げていくのかというのを考えたら、今までの概念ではだめだと思います。

 ぜひこういった質疑をきっかけに、これからの、農業も工業も大事な分野だと私は思いますので、人材育成のあり方というのを、設置者任せじゃなくて、国としっかりリンクをしながら、未来像というものを描いていく必要があるんじゃないかと思っています。

 余計なことなんですけれども、私、高等専門学校のことを非常に力を入れていまして、十五歳から五年間で学ぶあの技術機関というのは、多分日本の産業を支えてきた最大の人材育成だと思うんです。農業なども、高度化していくとなれば、例えば、三年で卒業するんじゃなくて、五年の農業専門高等学校があってもいいんじゃないかな。北海道なんかだったら、そういったものが一つ拠点となって、そして地域の農業高校と連携しながら、すぐに現場に出る人、更に勉強する人、もっと言えば、大学や大学院に進みながら農業を俯瞰的に見る人たちを育成するなんてことも今後考えていく必要があるんじゃないかと、今議論を聞いていて感じたところでございます。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 部屋に戻りましたら、早々に今の速記録を手に入れて、大臣の今の御答弁を手に、農水省そしてまた文科省と連携をしてさらなる充実のために私も引き続き汗したい、このように思っております。

 続きまして、教員免許管理事務について質問させていただきたいと思います。

 まず、これは質問しようかと思ったんですが、時間が限られてきましたので、ちょっと私の方で事実関係だけ述べさせていただきたいと思いますが、わいせつ行為等に係る教職員の懲戒処分等の推移というものを、まさに文科省さんから資料を事前にいただいたところであります。

 平成二十一年度から平成三十年度、この間を見ましても、処分を受けている合計人数、実はこれは右肩上がりに伸びております。平成二十一年度に百五十五人だったのが、翌年には百七十五、いっとき下がって、平成二十三年百七十、次、平成二十四年で百八十七、そして今、平成三十年は二百八十二までふえてきております。

 そういった事実、背景がある中で、教員免許というものを失効しても、実は今だと、三年が経過した場合、若しくは禁錮刑以上の刑に処せられても十年たった場合には、実は教員免許というのが戻ってくる、再取得ができる。私は、これはいかがなものかな、このように思っております。対応が急務だと私は思っておりますが、その点についていかがでしょうか。

萩生田国務大臣 児童生徒を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対してわいせつな行為などを行うことは、決してあってはならないことだと思います。

 こうした問題への対応は大きな課題と認識しており、過去に子供へのわいせつ行為などを原因として懲戒処分等を受けた者に対する教員免許状の管理や教員の採用、人事管理等のあり方について、より厳しく見直していくことが必要だと私は考えております。

 今先生御指摘がありましたように、三年、十年、これは三年たてばリセットできてしまう。もっと言えば、教員の皆さんの履歴というのはよくわかりませんから、配置をされる自治体にとってみますと、過去に学校でそんなことがあったことも知らないで、たまたま転校してきた先生、あるいはしばらくお休みしていた先生、そういう意識しかないわけでありますので。

 残念ながら、今御指摘いただいた懲戒処分は再発も非常に多いんですね。すなわち、一回そういうことで懲戒免職を受けたのに、また戻ってきて、言うならばまた同じことをやってしまうという方たちがいらっしゃるというのも事実でありますので、ここはやはりルールを厳格化していかなきゃいけないと私も思います。

 そのためには、ほかの免許証、例えば医師免許などとの横にらみなどのさまざまな法制上の課題がございます。他の制度との関係なども含めてしっかり検討していきたい、そう思っております。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。

 しっかり検討していきたいという御答弁をいただきました。やはり、子供の健やかな成長のためには、あってはならないことはしっかりと未然に予防していく、そのための策を講じていくというのが大人であり、また社会の役割だと思っておりますし、また政治の責務だと思っておりますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 最後に、性に関する教育について、非常に限られた時間になりますが、お尋ねをしたいと思います。

 事前に言いますと、私は、性教育、性に関する教育をもっと充実をすべきだという考えを持っております。今大臣にも御答弁いただきましたが、こういった性に関する諸問題がある中で、ルールの厳格化を一方でしているのであれば、やはり義務教育の段階で最低限の知識というものを子供たちにしっかりと示していくことが重要ではないのかな、このように思っております。

 ただ、一方で、中学校において、高校でもそうなんですけれども、性交という言葉は学習指導要領には出てきません、入っておりません。あくまでも性的接触という言葉が記されている程度であります。性的接触という方が、範囲が広過ぎて、逆によからぬ妄想でもないですけれども、逆にわからなくなって、子供にとっては負担過多なんじゃないだろうか、このようにも思っております。

 あわせて質問でありますが、刑法の性行為の同意能力があるとみなされる年齢である性的同意年齢、今これは現行で十三歳であります。しかしながら、性交については義務教育課程で教えていない。私は、これは矛盾をしていると思いますが、いかがでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 学習指導要領で、義務教育段階ということで先生の方から御指摘ございました。

 現在の保健体育の学習指導要領ないしはその解説において、義務教育、すなわち、小学校では、思春期の体の変化や異性への関心が芽生えることについて理解させること、ないしは中学校では、生殖に関する機能の成熟について理解させるとともに、異性の尊重や性に関する情報への適切な対処、あるいは性感染症の予防について取り扱うことなどについて示しているところでございます。

 こうした指導要領ないしは指導要領の解説等も踏まえながら、子供たちの発達段階等も十分踏まえた上で学校における性に関する指導というのが行われるべきものと思っております。

 個別の法律との関係につきましては答弁を控えさせていただきます。

鈴木(貴)分科員 この性的同意年齢十三歳ということは、仮にレイプに遭った、望まない性行為、性暴力に遭った、しかしながら、そういった場合に、十三歳の子が抵抗の証明もしないといけない、いかに私は拒否をしたかということも述べないといけない。一方で、学校においてこういった教育をしていないというのは、これは私は非常に矛盾を、違和感を感じるところであります。

 あわせて、今ほど答弁の中で性感染症について教えているとありました。そうなんです、性感染症については、これは中学校で、予防策として、性的接触をしないこと、コンドームの使用が有効だと記しています。しかし、性的接触とはどういう行為なのか、コンドームの具体的な使用についても教えていない。これは果たして学びと言えるのか。

 大臣、最後に、もうこれは最後の時間となりました。極めて抽象的な質問で大変申しわけありませんが、私は、子供の健やかな成長のためには、そして今の時代背景を鑑みたときに、この性教育というのはさらなる時代に合わせた充実が必要だと思っています。この点について、保護者も含めて、学校の現場も含めて調査研究が必要ではないでしょうか。

萩生田国務大臣 子供たちの発達状況に従って性教育の必要性というのはさまざま角度が変わってくると思います。もともとの学習指導要領で定めているものだけでは問題の解決ができない事例が出てきているのだとすれば、そこは一度しっかり調べてみたいと思います。

鈴木(貴)分科員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

井野主査 これにて鈴木貴子君の質疑は終了いたしました。

 次に、寺田学君。

寺田(学)分科員 寺田です。

 きょうは、質問時間をいただきまして、本当にありがとうございます。そして、大臣、長い時間、お疲れさまです。初めまして、寺田と申します。質問するのは初めてだと思いますけれども。

 余りずっと文科委員会の方に常駐はしておりませんが、ちょうど、きょう河村先生もいらっしゃいますけれども、河村先生や馳先生と一緒にフリースクールの議連の方では頑張らせていただいています。

 立場を超えて率直に申し上げると、安倍政権の中で、フリースクールに関しては私は飛躍的に進んだと思います。もちろん、望むところまでにはまだ到達していませんけれども、現職の総理がフリースクールに足を運んだという一つの出来事は大きなことでもありますし、子供、私も今ちびがおりますけれども、子供一人一人、柔軟な教育のあり方ということは、私は今後の日本の力をつけていく上で大事だと思いますので、質問とは関係ないですけれども、大臣、フリースクール、多様な教育機会ということに関してもぜひとも御関心を持っていただいて、進めていただきたいと思います。

 きょう、三十分をいただきまして、大きく分けて二つの項目を質問したいです。一つは、組み体操について、もう一つは、文科省の現職局長も絡んだ医学部医学科の不正入試の問題、この二点についてです。

 まず、最初の十分、組み体操について質問したいと思います。

 一言で言うと、看過できないほど私は危険な行為だなということを感じています。私が個人的なSNSの中で、同世代のお父さん、お母さんたちに体験談や自分の子供たちの今の学校の環境を聞いたところ、結構多くの方から反響がありまして、傾向として、私は東北の秋田ですけれども、東北はほとんど組み体操を公立ではやりません。私も記憶がないです。ただ、東京から西の方になると、急激に組み体操を運動会でやるというところがふえている。

 報道の中でも、その危険な、それによってのけが及び危険な行為であるという指摘等が時々ニュースになりますけれども、いまだ組み体操に関しては多くのところでやっていますし、このまま、うちの子供が進むところにもあるのかなというふうに思っています。

 これは参考人でも結構ですけれども、現状、年間において、この組み体操によってどれぐらいの事故が起きているのか、また、過去、死亡事例等もあると思いますけれども、その現状に対してどういうふうに把握されているか、お答えください。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の管理下における事故については、日本スポーツ振興センターが行う災害共済給付制度に基づいて医療費等の給付が行われておりますが、この中で、委員御指摘の事故件数についても把握をしております。

 組み体操の事故件数は、近年減少傾向にはあるものの、直近のデータでございます平成三十年度におきましては、小学校で三千二百十八、中学校で六百七十三、高等学校等で二百五十四、計四千百四十五件となっているところでございます。

 スポーツ庁においては、従来から、組み体操における事故防止を図るために、教育委員会等に対して、学校において、確実に安全な状態で実施できるかどうかをしっかり確認し、できないと判断した場合には組み体操の実施を見合わせるよう要請してきたところでございます。

 こうした内容に加えまして、今月新たに発出した通知の中でも、教育委員会等において、学校任せにせず、安全対策を確認するよう要請したところでございます。

 以上でございます。

寺田(学)分科員 まとめていろいろお話しされていますけれども、今、事故件数をお話しするときに、医療費の支給件数をもって事故件数と述べられたと思いますけれども、医療費支給件数というのは、まさしく骨折になったとか捻挫になったとか、本当に大きな事故以上のものです。実際のところ、軽くくじいたとか、もしかしたら、本来であれば支給対象だけれども、さまざまな理由からそれは申請しなかったケースもあると思います。

 ここは事務的に詰めますけれども、事故件数と医療費支給件数は一緒じゃないですよね、数は。

瀧本政府参考人 御指摘の中で、例えば、医療費が実際にかからなかった、あるいは保健室の手当てで済んだ、いわゆる養護教諭の先生がその場で傷等に薬を塗ったりして医療費が直接かからなかったものについては、今申し上げた数字には含まれておりません。

寺田(学)分科員 実態が見えていないんです。

 大臣、ちょっとお願いなんです。

 速報値で、三十年度ですかね、私がいただいた資料だと、小学校で三千二百件、医療費の支給が起きているレベルの事故がある。今、それ以外に、参考人が述べられたとおり、それ以外のことも、見えないけれども、あるということです。

 これは事務方にもちょっと確認しますけれども、事故が減った、通知の後、八千件ぐらいだったのが今四千、五千ぐらいになっていますけれども、事故が減ったのは、そもそも組み体操の実施件数が減ったからなのか、安全配慮があって減ったなのか、そういう分析はできていますか。イエス・オア・ノーでいいですよ。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げた件数は、医療費の申請のあった、その支給をした事案でございまして、その背景としては、文科省から過去にたび重なる通知等を出しているということも背景にあると思いますが、直接的な分析というのはできておりません。

寺田(学)分科員 大臣、いい悪いの前に、お願いなんです。

 実施件数もまずわかっていないんですよ。実際のところ、年間何千人という子供が、過去例でいうと死亡例もありますよ。文科省としての態度、やるべき姿勢というのは後々議論があるとは思うんですけれども、全体でどのように行われているのか、実施件数、その上でどのような対策をしているのか、どうやって今件数が、減ったといったって五千件弱ですよ、まず、調査をやる姿勢を、ぜひ大臣、示してくれないですか。お願いします。

瀧本政府参考人 先ほど、今月に入りまして、改めて、危険なわざについてのみではなくて、組み体操全般について、学校任せにせず、教育委員会においても安全確認をしっかりとするようにもお願いをしたところでございまして、今月発出した通知も踏まえた上で、今後の組み体操におきます事故件数の状況をしっかりと見きわめながら、必要に応じて教育委員会等から情報提供を受けるなど、組み体操の実施状況の把握には努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

萩生田国務大臣 今先生、実態についてお話しいただきました。

 これは、けがを前提で体育の授業をやるというのはおかしな話でありますから、当然、けがをしないような細心の注意が必要なんだと思います。

 他方、体育の場合は、実技を伴うものですから、けがのリスクというのはほかの競技でもあると思うので、ちょっとでもけががあるからやめるんだというわけにもこれはいかないと思います。

 したがって、活動の内容、危険性を十分に踏まえて、安全対策を講じた上で実施すべきものと思っておりますので、過去にも調査しています、過去にも調査して、結局、運動会当日よりも練習段階での事故が多いというのがよくわかってきました。その改善で今ここまで数字が下がってきましたので、今回、この御指摘を受けて、何らかの形で調査は続けていきたいと思います。

寺田(学)分科員 せめて実施件数でいいですよ。それはさまざまな機会を得ながら現地からとれると思うので、まず実施件数、どういう状態にあるのか。実施件数自体が減っていって、もしかしたら事故件数が減っているのかもしれませんから、実施件数の調査、そのことを念頭に調査していただけないですか。大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 実施件数より、危ないのをやめろというのがきいているんだと思います。高度な技術で、ピラミッドですとかタワーのようにけがのリスクが多かったものがだんだん減ってきているんだと思います。

 このような考え方のもと、組み体操について先週通知を発出し、安全対策を学校の判断のみに委ねるのではなく、教育委員会等においても確認するとともに、必要に応じて学校への助言を要請しました。

 この通知を踏まえた教育委員会や学校の取組状況や今後の事故件数も注視しながら、引き続き組み体操における安全対策を徹底を図ってまいりたいと思います。

寺田(学)分科員 大臣が言われたとおり、危ないことをやめろといって段数を減らす。ただ、死亡事故を見ていると、大体、二段、三段で死亡事故が起きています。なので、段数を減らすことが直ちにそれが事故の低減になるかどうかというのは、私は、因果関係があるんだとしたら、しっかり調査して証明してほしいと思っているんですけれども。

 大臣、私もこの質疑をする上でいろいろ調べました。言われるとおり、ピラミッドをやめよう、タワーをやめようというんですけれども、最近はやりなのは、トラストフォール、人間起こしだそうです。大臣、知っていますか。別にこれはクイズじゃないです。御存じですか、トラストフォールというんです。こうやって肩車の上に子供が立って、このまま後ろに手を広げたまま落ちていくんです。それを後ろで支えて、もう一回ワッショイと起こして、もう一回立って、それを何回もやるんです。それを十人ぐらいの山で並んで、その上に立った、わら人形のように立っている子供が、ばたばたばた、ばたばたばたといきながら、その演目みたいになっている。

 大臣が言われたとおり、ピラミッドとか危ないのをやめていって、最近、このトラストフォール、人間起こしの事故がふえているということで、大阪経済大学の名誉教授の西山さんという方が調べられたんですけれども、この三年間で、二〇一六から二〇一八の三年間で百四十五件で、ほとんど小学校です。事故内容が、当然、両手を広げたまま後ろに倒れていきますから、練習段階においてですけれども、頭部打撲、頭部外傷、脳振盪、あと首、頸椎捻挫、頸部挫傷、あと腰、手。支える側も、骨折やら何やら。

 形を変えてこういう危険なものがふえていっているんですよ。私も、正直、動画で見てびっくりしましたよ、こんなことを子供たちにやらせているのかと。なので、これは、大臣が言うとおり、一律禁止するのは難しいと言うかもしれませんけれども、学習指導要綱にも入っていないですから、私は、原則やめさせるべきだと思いますよ。

 今、文科省の方針としては、それは学校の判断に任せますと。学校の判断で、危なかったらやめなさいという指導をしながらも、年間五千件、申請ベースで、申請というか、医療費がおりたベースでこれぐらい事故が出ているということは、そもそも現場が安全を確保できるような環境になっていないということですよ。

 学校の先生たちにも聞いたんですけれども、危ないし、手間はかかるし、怖いからやめたいけれども、保護者だったり地域の方々が、俺らもやったからといって望むんだと。これは、やはり現場に任せていると、やめにくいですよ。

 大臣、最後、総括的な御答弁をいただきたいんですけれども、こういう問題を抱えているということで、以前の馳大臣は、文科省としてもちゃんと取り組まなきゃいけないという御答弁がありました。大臣としても一言お願いします。

萩生田国務大臣 事故をそのまま放置しておくわけにいきませんので、実態をきちんと確認をさせていただきます。(寺田(学)分科員「人間起こしを見てください」と呼ぶ)はい。

寺田(学)分科員 秘書官の方、動画で、すぐユーチューブで出てきますので、大臣にぜひ見せてください。

 次は、医学部の方に行きます。医学部の方というか、医学部の不正入試、文科省の局長も絡んだやつですけれども、全体論と、あと個別に、今問題を抱えていると認識している聖マリアンナ大学についてに分けて質問します。

 大臣、基礎的な認識ですけれども、女性を試験において減点をし、ないしは男性に、女性にはないような加点をするというのは、基本的なことですけれども、これは女性差別という認識でよろしいですよね。

 何で聞くかというと、以前、ほかのところで政務官の方が、女性差別と言われるようなとか、そういうような曖昧な発言があったんですけれども、このような、今回不正が問題になりました、性別によって、女性には減点したり、女性にはないような加点を男性にしたケースが散見されたんですが、これは女性差別ですよね。

萩生田国務大臣 性別により一律に取扱いの差異を設けることについて合理的な説明ができないこと、合否判定の際に、性別等の属性を理由として一律に取扱いの差異を設けることは不適切であること等の考えが示されているところでありまして、当然、これは差別に当たると思います。

寺田(学)分科員 各大学、十大学ぐらいピックアップされながら、さまざまな対処がありましたけれども、これは根絶したんですか。どうですか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年八月から文科省で実施した調査におきまして、不適切な事案、これが九大学、それから、不適切である可能性が高い事案、これが一大学でございました。この十大学以外の大学では、平成三十年度入試は適正に行われていたということでございます。

 そして、この不適切な事案又は不適切である可能性が高い事案として指摘した大学については、昨年五月から訪問調査を含めたフォローアップ調査を実施した上で、平成三十一年度入試の改善がなされたことを確認しております。

寺田(学)分科員 まず一旦改善していると思うんですが、今後同じようなことが起こらないようにする努力というのは私は大事だと思いますし、忘れちゃいけないのは、これは大学の問題だといいながら、文科省が絡んだ不正でしたからね。そのことを忘れずに、しっかりと文科省としても取り組まなきゃいけないと思っているんです。

 不正が行われたのではないかと疑義を持つ一つの指標というのが、合格者の男女比、男女の率、男女の合格率というのが一つの指標になっていました。これは、去年、文科省としては調べましたか、去年度の試験について。

伯井政府参考人 平成三十一年度入試の志願者数及び合格者数の男女別人数、合格率につきましては、全国医学部長病院長会議におきまして自発的に調べておられます。文科省としても、こういった取組を引き続き注視していきたいというふうに考えております。

寺田(学)分科員 何で文科省としては調べなかったんですか。

伯井政府参考人 全国医学部長会議は、全国医学部入学試験制度に関する規範を自発的に作成し、みずからそういうことを正していこうということでございますので、引き続き、その入試の公正確保につきまして、全国医学部長病院長会議で実施されることを期待し、文科省としての調査は行わなかったというものでございます。

寺田(学)分科員 そこでやったら、文科省はやらなくていいんですか。どうするんですか。

伯井政府参考人 繰り返しになりますが、全国医学部長病院長会議での調査、自発的な調査の実施ということに期待しておるわけでございますが、我々といたしましても、医学部医学科を置く大学において、男女別、年齢別の合格率等を含め、より積極的に入試情報をそれぞれ開示するよう要請しているところでございます。必要に応じてフォローアップをしっかりしていきたいと考えております。

寺田(学)分科員 いや、だから、そこがやらなかったら、文科省はやらないんですか。去年はどうしたんですかと言ったら、そこがやったから、うちはやっていません、参考にしましたというんですね。どちらかがやるのか、文科省がずっとやるのか、彼らが自主的にずっとやってくれることを約束してもらっているのか、それとも、もうやらなくていいと思っているのか、なので聞いているんです。

 もう一回、ちょっと端的に答えてください。調査しないんですか。

伯井政府参考人 まずは、全国医学部長病院長会議で自発的に調査をされることを期待しており、引き続き調査をされるものと考えております。

寺田(学)分科員 では、そこが調査しない場合には文科省が調査するという約束でいいですね。

伯井政府参考人 当然、こうした男女別、年齢別の合格率等を含め、必要な情報は、文科省としても必要に応じてフォローアップをすることが必要であると考えております。

寺田(学)分科員 男女の合格率は必要な情報ですか、必要な情報ではありませんか。このような不正が起きた後ですよ。必要な情報ですか、必要な情報ではありませんか、どちらですか。

伯井政府参考人 より積極的に我々としては各大学に情報を開示するよう求めておりますので、そういう意味では必要な情報であるということでございます。

寺田(学)分科員 大臣、お願いです。必要な情報です。

 僕、ぎりぎりとやるつもりはなかったんですけれども、せめて、文科省が絡んでまで起きた女性差別ですよ、もちろん、現役と浪人の問題もありますし、不正入学の問題もありましたけれども。私の知人で、娘さんを持っている国際結婚をした人がいるんですけれども、この問題を娘に説明できないといって、本国に帰りましたよ。やはり世界的に見て異常な行為ですよ、これは。もちろん、改善が見られて、その後ずっと不正が行われない環境が保たれることが望ましいですけれども、まだ起きたばかりですよ。

 大臣、お願い。せめて、男女の合格率、毎年、それは文科省独自にやるのか自主的にやってもらうのかは別ですけれども、ちゃんと出していただけるようにお約束してください。

萩生田国務大臣 先ほど局長が説明しましたように、全国医学部長病院会議で自発的に実施されることをまず期待しているんですが、先生の御指摘の議論は、実は、省内で同じ議論があったんです。しばらくはきちんと皆さんやるだろうけれども、これを見逃しちゃいかぬということで、入試情報の開示を徹底してまいりたいと思います。結果として、比率は出てくることになると思います。

 いずれにしても、今回のことを一過性にしないで、決して疑ってかかるわけじゃないけれども、しかし、文科省としてはしっかりウオッチをしていく、そのことはお約束したいと思います。

寺田(学)分科員 ありがとうございます。

 男女の合格率は、しっかりと、いずれかの方法でチェックしていく体制をとるというお話でした。

 もう一個踏み込んでですけれども、不正がない、当初は、最初は全部、ないだったんですけれども、結構ぐっと圧力をかけたときに、自分たちで手を挙げて、いや、私たち、やりましたというところもありましたが、数字として、例えば筑波大は六年連続と私は聞いていますけれども、男性の方が一・五、前回、三十年だと一・七ぐらいになっていたという資料がありましたけれども、続いているんですよね。

 これは一般論ですけれども、合格率が男女で大きな差があることは、文科省として望ましいことだと思っていますか。

伯井政府参考人 合理的な理由がなく、入試上のそういう不適切な取扱いが行われるというのは、これは望ましくないということでございます。

 ただ、それは一律に合格率がどうかということで判断されるものではなくて、まず、そうした状況を開示していくことによって、先生のような御指摘が出てくるということで、対応していきたいと考えております。

寺田(学)分科員 聖マリアンナのこともやりたいので、ここでとめますけれども、まず、お約束いただいた、しっかりとした男女の合格率の開示というものはしばらくずっと続けて、それでも長年続いていくことであれば、やはり何かしらの理由、合理的な理由ではないものがあるのではないかということをしっかりと、これは不祥事ですからね、起きたのであれば、やってほしいと思います。

 それで、聖マリアンナ大学ですけれども、第三者委員会までつくって、不正があったと認めながらも、自分たちはそういうことはやっていないということで、他の大学、私学助成を二年連続なくされたところだったり、減額されたところがある中において、保留状態が続いています。

 まず、同大学、私がレクの段階で聞いたのは、一月のときに第三者委員会の報告書が出て、不正があったというような話でしたので、それに対する説明を文科省として受けたというところまではレクで聞きましたけれども、今後どうなさるおつもりなのか、お答えください。

伯井政府参考人 今御指摘いただきましたように、聖マリアンナ医科大学の医学部医学科の入学者選抜につきましては、平成三十年十二月の緊急調査の最終まとめにおきまして、文部科学省としては、不適切である可能性が高い事案と指摘し、平成三十一年二月に、第三者委員会を設置し事実関係を調査するよう文書で指導し、そして、今御指摘いただきましたけれども、本年一月十七日に、第三者委員会の調査報告書が公表されました。

 この報告書においては、性別、現浪区分という属性による一律の差別的取扱いが行われたものと認めざるを得ないと結論づけられており、これに対しまして、聖マリアンナ医科大学としては、意図的ではないにせよ、属性による評価の差異が生じ、一部受験者の入試結果に影響を及ぼした可能性があったとの認識に至っているものの、みずから不適切な事案であったとは明言しておりません。

 文科省としては、大学としての第三者委員会の報告書に対するこの受けとめ方、そのような見解に至った理由を大学みずからが、社会の納得を得られるような、丁寧に説明することが必要であるということで、その旨を大学に伝えるとともに、現在、大学に対して、大学としての第三者委員会の報告書に対する受けとめ、そのような見解に至った理由等をヒアリングしているところでございます。

 文科省としては、大学から再度説明を聴取し、その合理性を確認した上で、大学に対する今後の対応を検討したいというふうに考えております。

寺田(学)分科員 第三者委員会の調査報告書に関して、文科省として、不十分な点は認められましたか。要は、報告内容に対して、報告内容自体に対するクレディビリティーが文科省として持てていないんだとしたらまた違う議論になりますけれども、報告書自体に対しては、文科省として、不十分な点は見当たりましたか。

伯井政府参考人 まさに今そうした観点から、大学に対して、大学として実施した入試において属性による一律の差別的取扱いが行われたと、この報告書の結論に対する大学としての見解、あるいは、指摘や、大学と見解が異なるのであれば、その合理的理由とかエビデンスを挙げて説明してほしいということで大学に求めているところでございます。

寺田(学)分科員 ごめんなさい、私の問いは、聖マリアンナ大学がどうやっているか、そのことに対しての文科省の評価ではなくて、第三者委員会が出した報告書に対して、文科省として、何かしらの疑義であったり不十分な点とかは見当たりましたかと、報告書自体に対する文科省の評価を聞いているんです。

伯井政府参考人 報告書につきましては、我々としても一定の妥当性を認めておりますが、聖マリアンナ医科大学としては、それは意図的ではない、その結果、そういう結論に至ったが意図的ではないということの反論をしているということでございますので、その辺の説明をしっかりするとともに、我々に対しても納得のいく合理的理由を説明してくれということでヒアリングを行っているというものでございます。

寺田(学)分科員 この大学の対応自体が特殊なんですよね。ほかのところはみずから認めて、こういうことをやりましたということを、不正を認めて、それなりの処分を受けているんですが、そのことに対して一貫して聖マリアンナ大学は、うちはやっていませんと。なので、第三者委員会というものがあって、第三者委員会の結論に関しては、今御答弁いただいたとおり、一定の納得をしているという状況にあるわけです。

 もう恐らく、山場というか判断の時期に来ているんだと思うんですが、大臣、通告もしているのであれですけれども、私は、いや、私たちは本当にやっていません、意図的ではありませんということが証明できている、及び納得、局長の言葉で言うと、納得できるような説明ができているのであればいいですけれども、いや、それはありませんと。第三者委員会の報告書はこのように意図的と認めざるを得ないといいながら、それを認めない状態が続く中で、私学助成金を私は出すべきではないと思いますよ。

 レクの段階では、三月に決定して交付だというんですけれども、いや、事実は私は今断言するつもりはないですよ、本当に意図的ではなかったという説明ができたのか、いや、意図的でしたというのかわかりませんけれども、何かしらのしっかりとした説明がない限りにおいて、私学助成に対して交付する、そういうことは私は国民としても納得できないと思いますよ。

 ここは大臣の政治判断だと思うので、ぜひ大臣、御答弁ください。

萩生田国務大臣 第三者委員会が出した結論に対して学校側は、意図的ではないにせよ、属性による評価の差異が生じ、一部受験者の入試結果に影響を及ぼした可能性があったとの認識を表明しました。では、誰が、いつ、どういう段階で毎年こういうことが起こったのかを国民にも我々文部科学省にもわかるように説明をしてくださいという、一回目の説明が終わったところです。全く納得も理解もしていませんから、引き続き、きちんと論理的な説明があるんだろうと期待をしております。

 今先生のお話は、補助金をということなんですけれども、現段階では学校側が説明をする責任をまだ果たしていない途中にありますので、年度末の配分を保留し、翌年度に持ち越すというような仕組みがございません。

 したがって、不適切な事案として整理された際には、日本私立学校振興・共済事業団の運営審議会において、令和二年度私立大学等経常費補助金の減額について議論いただくこととなっておりますので、我々としては、余り予断を持たずに、きちんと説明をしてくれることを待ちたいと思います。

寺田(学)分科員 その仕組み自体がどれぐらい行政の裁量の中でできるのかどうか、私は今御答弁いただいてわかりませんけれども、このような、まあ、どっちかわからない前提に立ってしゃべりますけれども、第三者委員会までつくって、大臣のお言葉をかりて言うと、理解できないような説明しかない段階で、一応、仕組みはないからお金は渡しますというのは、後々それが減額されるものだ何だとはいいながらも、国民感情的には私は納得できないですよ。

 もう一個問いますけれども、これは、みずから認めなければ、責任というのは認められないんですかね。どうですか。

伯井政府参考人 そういう仕組みでございます。

寺田(学)分科員 そういう仕組みである以上、認め続けなければ、責任は問われないですよ。この仕組みはおかしくないですか、大臣。

萩生田国務大臣 いろいろな思いはあるんですけれども、あらかじめ結論を断定するわけにもいかない立場にあるので、御理解いただきたいと思います。

 他方、今後、医学部とかいうことじゃなくて、私学助成のあり方については一つ問題提起があったんじゃないかというふうに思いますので、直ちにということではありませんけれども、しっかり考えてみたいと思っています。

寺田(学)分科員 時間になったようですので終わりますけれども、やはりこういうところ、文科省も絡んだ不正ですから、そこをもってしっかりと取り組んでいただきたいということをお伝えして、大臣、頑張ってください。よろしくお願いします。

井野主査 これにて寺田学君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内分科員 公明党の竹内譲でございます。

 きょうは、京都の地元の、京都大学に今度、がん免疫総合研究センターの設立について予算が計上されているということでございますので、まず、このがん免疫総合研究センターにつきまして少し質問をさせていただきたいと思います。

 このセンターは、新しいがん治療の幕あけとして期待されているわけでございますけれども、経緯もございまして、私もかつて厚生労働省の副大臣をやっておりましたので、本庶先生がノーベル賞を受賞される以前から、新しいがん免疫治療というのは大事だということで、厚生労働省としても、いろいろ勉強会を持ったり、いろいろ動いておった経緯がございます。

 それで、今回の本庶先生のノーベル賞受賞は、改めて繰り返すまでもなく、がん細胞が免疫機構にブレーキをかける分子、PD―1を発見されまして、そういう分子、PD―1を阻害する免疫チェックポイント阻害剤というものが開発された、こういう経緯によりましてノーベル賞を受賞されたわけでございますけれども、活性化した免疫細胞ががんを自滅に追い込んでいくという全く画期的な発見、発明であったというふうに評価されているところでございます。

 残された課題点というのはまだあるというふうに言われておりまして、例えば、まだ約半数以上の患者に効果が出てこない、原因がわからない、それから、有効な効果判定バイオマーカーがないとか、まだ約一〇%程度の患者に副作用が起こる等々、そういう課題点も指摘されているところでございます。

 今後、これらの有効性を高めて医療費を大幅削減していく必要もございますし、それから、画期的な知財の確保による国際的競争力の強化を図る必要がある。さらに、次世代のがん免疫研究者の育成といった大きな課題もある。こういうことから、創薬開発力を備えたがん免疫研究の国際拠点というのがどうしても日本に必要ではないか、こういうふうに言われておりました。

 そういうことで、文部科学省としても、この辺に着目をしていただいたというふうに思っておるんですが、改めて、今回の予算計上の意義や目的につきまして、大臣からお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 がん免疫総合研究センターにつきましては、ノーベル生理学・医学賞を受賞された本庶佑先生が中心となり、令和二年度の発足に向けて、現在、京都大学において準備を進めているものと承知しています。

 京都大学では、我が国におけるがん免疫研究の拠点形成により、治療効果を最大限に高めた、副作用が少ないがん免疫治療法や、バイオマーカーの新規開発を行うことを通じ、がん免疫の諸課題の解決を目指しており、その成果を大いに期待をしております。

 このため、令和二年度予算案において、センターの組織の整備や、最先端の解析装置、研究棟の整備を順次進めるために必要な予算を計上しております。

 文部科学省としては、引き続き、センターが着実に整備され、がん免疫研究において世界的にも高い研究成果を上げられるように取り組んでまいりたいと思います。

竹内分科員 そこで、センターとしては、がん免疫細胞の制御であるとか、がん免疫最適治療部門であるとか、薬理であるとか、それから生体マーカーの開発とか、いろいろ非常に組織整備も必要だ、それからまた、がん免疫の作用機序を総合的に捉える基礎、臨床を分野融合した横断的な解析が必要だというふうに言われておりまして、そういう意味では、免疫学的解析であるとか、遺伝子解析であるとか、イメージング解析であるとか、非常に高度な設備も必要だと言われております。

 そういう意味で、まだまだ予算がこれからでございますので、詳しいことはお話ししにくいかもわかりませんが、この設備の必要性等の認識につきましてお答えいただければありがたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 がん免疫総合研究センターでございますけれども、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、この研究というのは、がんの免疫に関し、高度な基礎研究と臨床研究によります新たな治療法の開発が期待できる極めて重要な研究と認識してございます。

 このため、文部科学省では、京都大学におきます準備状況を踏まえて、センターにおける研究活動に応じたすぐれた研究環境を整備することが必要であると考えておりまして、令和二年度の予算の中でも、一つは、国立大学運営費交付金におきまして、新たな研究組織整備に必要な予算を計上するとともに、二番目といたしまして、国立大学の法人先端研究等施設整備費補助金におきまして、研究に必要な最先端の解析装置を整備をいたすということといたしております。また、国立大学法人の施設整備費補助金におきまして、基礎研究から応用研究までを一つの場で総合的に行うための研究施設を整備するため、必要な予算を予算案に計上させていただいております。

 文部科学省としては、引き続き、京都大学と連携しつつ、センターの実現に向けまして、所要の予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

竹内分科員 そこで、もう一点だけお聞きしたいと思うんですが、新センターは、がん免疫治療法に関する諸課題を世界に先駆けて解決するための画期的な拠点である、このように言われているわけでありますけれども、そのためには相応の施設規模も必要であるというふうに考えておるところでございます。

 財務省との折衝とか、いろいろ大変な面もあるかと思いますけれども、このあたりにつきまして、大臣の認識、決意をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 がん免疫総合研究センターの施設整備について、京都大学からは、がん免疫分野において、基礎研究から応用研究までを一つの場で総合的に行う研究拠点として、基礎系、臨床系の研究スペースや動物実験スペースを含む施設の要求があり、文科省としても、その必要性、重要性は十分認識しております。

 文部科学省としては、大学からの要求内容も踏まえ、国立大学法人の施設整備費について、令和二年度予算案に必要な経費をしっかりと計上しました。

 問題は、予算よりも、先生の学びやですからよく御存じだと思うんですが、敷地がもういっぱいいっぱいで、やはり医学部に附属していた方が研究の中身はよくなるんだろうと思うんです。加えて、あの地域は高さ制限がかかっていますので、建物の高度利用ができないという物理的な問題があって、限られたスペースの中で、できるだけ大学の研究機関、学術機関、医学部附属病院に近いところで、何とか、今申し上げた全ての要素を含めた建物をしっかりつくっていこうと思っておりますので、国会における予算審議及び関係省庁との協議を踏まえて、必要な施設整備の支援をしてまいりたいと思います。

竹内分科員 ありがとうございます。ひとつ、何とぞよろしくお願いしたいと思っております。

 それでは、残された時間、大学入試のあり方につきましてちょっと私なりの意見を述べさせていただきたいというふうに思って、きょうはやってまいりました。

 いろいろ経緯があったところでございますけれども、私の結論、現時点での考えは、やはり、高校までの履修内容の達成度を測定することが主目的の共通テストというものと、また大学が求める個別の試験と、この二つに分類されるわけでありますけれども、共通テストにつきましては、センター試験法の法律を見てもわかりますように、知識、技能の確実な習得ができているか、これをもとにした思考力、判断力が備わっているかということが目的であるというふうに書いてあるわけでございまして、それを踏まえて、私なりに留意点として四つぐらい考えております。

 生徒の学習の達成度を正確に評価できるかどうか。それから二つ目に、受験生の負担を少なくした方がいいんじゃないか。地域面、経済面という問題があります。三つ目に、平等な受験の保証、それから同時に、公正な採点の保証ということが大事ではないか。そして四つ目に、短時間で効率よく採点ができることということだというふうに思っております、五十万人以上の受験者がいるわけでありますので。

 こういう留意点があるんだろうというふうに思っておりまして、いろいろ私どもも今考えておるところでございますが、学力の三要素を共通テストで評価するには、現在のところ、やはりマークシート方式しかないのではないかなというふうに思っております。記述試験、面接試験などは、やはり各大学が求める試験で行うのがベターではないかというふうに現時点では考えているところであります。

 それに関連しまして、英語の四技能評価のあり方につきましても、きょう、私なりの意見を申し上げたいと思っておるんです。

 四技能習得は理想ではあります。これは理想であります。習得できた方がいいに決まっています。しかし、この四技能全ての評価を、一回の共通テストでこれをしっかりと評価するということは現状ではなかなか難しいのではないかというのが私の意見であります。

 なぜこんなことをきょう申し上げるかというと、実は私、昨年に、日本の政治、この十年間の政治につきまして、英語の本を自分で書いてみたんですね。十年間、実際かかっているんですけれども。この十年間の日本の、民主党政権から現在の自公政権までの状況とか、それから私どもの考え方を世界に発信するために書いてみたんですね。それで非常によく改めてわかったことがあるんですね、英語の勉強の仕方につきまして。それで、ちょっとだけ僣越ながら申し上げているんですけれども。

 やはり、日本で、聞く、書く、話す能力を上達させるのはなかなか容易ではない。これらの中でも、しかし、その中でも、書くということが最も重要だと私は考えたんです、残された、読む以外の三つの中でもですね。書くことで主張が明確になって、主張が明確になれば話すことができるようになるというふうに考えたんですね。主張が明確になれば、それに必要な情報を収集するために、当然、聞く能力も高まってくるというのを私なりに感じた次第です。

 そして、当然、もっと基礎的な話として、中学校、高校の教科書とか参考書をもう一回取り出しまして、単語集などももう一回チェックをいたしました。やはり、単語とか文法とか熟語とか、そういうことを知らなかったらまず読めないし、書けない、当たり前ですけれどもね。単語、熟語、文法の知識がなかったら聞くこともできないし、当然話すこともできない、そういうのを改めて私なりに痛感をした次第であります。

 もっとも、これを本にまとめるには、世間に出すんですから、最終的にチェックしてくれるネーティブの人に見てもらわないといけないんですよ、やはり、一回一回。私の場合は、一回一回これをブログ形式にしておりますので、テーマごとに書いて、チェックしてもらっただけではなくて、ネーティブと議論をして、同時に話しているんですね。聞いて、話して、議論して、再度、その論旨がきちっとしているかどうか、間違いないかということを確認した上で海外に発信していたんですけれども。

 そういうことをやった経験から、五十の手習いじゃないですけれども、五十過ぎてからそんなことをやり出して改めて感じたんですけれども、やはり、語学習得には順番があって、単語、熟語、文法の知識をしっかりやる、それからしっかり読む、その上であとの三技能に挑戦するしかない、日本で暮らす以上は、ネーティブじゃありませんので。

 ただし、英語を聞く、書く、話す能力を習得するには、やはり、大半の高校生が日本で育っていますから、ハンディキャップがある。帰国子女や外国人のように、そううまくはいかないということを痛感した次第であります。

 そういう意味で、私のちょっと感想めいた話ですけれども、来年から施行の共通テストでも、読む、聞くを半々の配点にしておるんですけれども、これまでは二百点対五十点だったんですよね、四対一だったんです。これを一対一にしているんですけれども、ちょっと受験生には気の毒な感じがします、はっきり申し上げて。今ごろこんなことを私が言うと問題になるかもわかりませんが。日本ではなかなかヒアリング授業が少ないものですから、その辺どう考えるかという点はあると思います。

 それから、全ての高校生に共通テストで四技能全てを求めることは、経済的にも時間的にもなかなかちょっと困難があるのではないか、ほかにもやらねばならないことがたくさんあるという感じがしました。

 私の感じでは、感覚ですけれども、書く、聞く、話すなどの能力評価は、やはり個別の大学入試試験に委ねた方がいいのではないかと思っております。共通テストでは、その基礎となる単語、熟語、文法、読む力、そしてまた基礎的な聞く力、これは一つのノウハウはできていますので、これはしっかり問えることはできると思います。

 そういう意味で、より高い能力を持つ、書く、聞く、話す能力のある高校生は、それにふさわしい大学を当然受験されるでしょうから、そういう努力もされているでしょうから、やはり、一つの、ある一種の、何もかも国で抱えようとするのはちょっと無理があって、個別の大学入試と共通テストと、ある程度の割り切りをどこかでするしかないんじゃないかというふうに思っております。

 国語、数学など、他の科目にも共通することをちょっとだけ申し上げておきますと、やはり、そういう意味では、塾や予備校に行かなければ解けないような問題ではなくて、教科書をしっかり履修して本質を理解した上で、素直に考えれば解けるような問題が望ましいと思います。難問奇問は避けるべきでしょう。

 センター試験は、私もいろいろやってみましたけれども、高校の勉強をするだけではちょっと無理でありまして、特別の訓練を受けないと、あの短時間で解くことはなかなか難しいんじゃないかというふうに思った次第であります。それから、小規模大学なども、今後、共通テストは、使いやすい、そういうレベルの試験にすべきであろうというふうに思っております。

 その意味で、各大学の個別試験こそ、求める人材の能力を評価できる良問をつくるように努力すべきであって、何でもかんでも国にお任せで、各大学が楽をして、国に全部お任せする、いろんな高い能力を国が評価しないといけないとか、それはちょっとおかしいんじゃないか。各個別大学はかつてはやっていたんですから、しっかりとやはり入試選抜のいい問題をつくるべきである、このように思っている次第であります。

 そういう意味で、私のきょうの質問は、私は実は共通一次試験より前の世代なんですよ、もう古い古い世代なんですけれども、旧試験がやめになって、かつて共通一次試験が実施された、そしてまたセンター試験がことし最後となったわけでありますけれども、このような共通一次試験、またセンター試験の総括的な評価を踏まえて、新たな共通テストが必要になった理由を改めてお伺いしておきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生、多岐にわたってさまざまな御示唆をありがとうございます。

 かつての共通一次学力試験や大学入試センター試験は、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的として実施され、大学の二次試験との組合せによる多様な選抜の実現に寄与するとともに、難問奇問を排した良質な問題を確保するなど、重要な役割を果たしてきました。

 来年度から実施をされる大学入学共通テストでは、これまでの蓄積を生かしながら、知識、技能のみならず、思考力、判断力、表現力を発揮して解くことが求められる問題を重視し、大学入試センター試験と同様、マーク式問題で行われるものです。

 なお、英語成績提供システム及び記述式問題の導入については、受験生が安心して試験を受けられるような配慮などの準備状況が十分でないことから来年度からの実施を見送ったことを受け、現在、私のもとに大学入試のあり方に関する検討会議を設置し、よりよい制度を構築するために指摘された課題や、延期や見送りをせざるを得なかった経緯を踏まえ、改めて方向性を議論いただいておるところでございます。

 先生からさまざまな御提案をいただいて、この場でうなずいてしまいますと会議の方向性が決まってしまいますので、貴重な御意見として受けとめさせていただきたいと思うんですけれども、一つだけこの場で申し上げてもいいと思うのは、各大学はアドミッションポリシーで、どんな学生を採りたいのかということは、裁量権、自由権が学校に与えられているわけですから、共通テストを上手に活用していただくことは決して否定しませんけれども、しかし、やはり、各大学がどんな学生を採りたいのか、そのためにどんな試験をつくるのか、作問をするのか、採点は責任を持って教授陣がやるのか、こういったことは今回の延期を機に学校側にもぜひ一緒に考えてもらいたいなという思いがございます。こんな点も、ぜひこれからの会議の中で皆さんで議論をしていきたいと思っています。

 高大接続改革そのものや、英語によるコミュニケーション能力、思考力、判断力、表現力を育成、評価することの必要性は変わるものではなく、これから、重要性を踏まえた上で、入試と高校教育や大学教育との役割分担をどう考えるか、どこまでを入試で問うのか、共通テストと各大学の個別入試との役割分担をどう考えるかなどについて、大学関係者や高校関係者、保護者などの幅広い御意見も聞きながら、率直な議論をいただいて、ことし末までを目途にしっかりと検討をしてまいりたいと思います。

竹内分科員 もう一つだけお聞きしておきたいんですが、二月十九日の産経新聞で、大学入学共通テストの国語問題を作成する分科会の複数の委員が記述式の例題集を出版し、利益相反などの疑念を指摘されて辞任した問題で、大臣が十八日の閣議後会見で、誤解を招くような仕事に期間中に携わることは好ましくないと思っていると述べ、大学入試センターにルールの厳格化を求めたことを明らかにした、こういう記事が出ているわけであります。

 私は全くそのとおりだと思っておりまして、やはり、作問委員の倫理、それからルールの、厳秘、厳守、当然のことであるというふうに思っておりますし、こんな誤解を受けるようなことを絶対してはいけないというふうに改めて思います。

 そういう意味で、今後、試験内容が、さまざまな関連の民間事業者というものがいると思うんですけれども、そういう人たちの意向を受けて、仮にも曲げられてしまうようなことがあってはならないというふうに思います。民間事業者、塾とか予備校とか出版社とかいろいろあろうかと思いますけれども、そういうことがあってはならない。あくまでも、きちんとした、法の目的に沿ってしっかりと試験を進めてもらいたいというふうに思う次第でございます。

 この点につきまして、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 今般報道のあった内容につきましては、大学入試センターの規則において、任期終了後も含めて問題作成委員は厳格な守秘義務が課されているところですが、試験問題の機密性、公平性の観点から、どのような形であれ、社会的な疑念が生じないようにすることが必要であると考えます。

 これを踏まえ、今後、問題作成委員の守秘義務に関し、改めて大学入試センターにおいて検討するよう私から要請したところです。

 今回のケースは、たまたま作問委員に就任する前から携わっていた仕事が続いたというふうに確認はしておりますが、いずれにしても、後から見れば、そういう誤解を招くこともあると思います。

 他方、先生、一緒に考えてもらいたいのは、それなりの分野で優秀な先生方というのは、やはり学校での授業を持っていたり講義を持っていたり講演をしていたり執筆活動をしていたりしていますから、そういう人たちが二年間全くその活動に携わることができないというと、優秀な先生方を作問委員にセンターが確保することも困難になるんだろうと思いますので、その辺のバランスをきちんと誤解のないようにつくって、試験問題の機密保持の徹底をしながら、社会的な疑念が生じないような仕組みをしっかり検討していくことを期待をしておりますので、センターと協力して対応してまいりたいと思います。

竹内分科員 最後に一問だけ。

 文化庁の京都移転というのが少し建物の都合でおくれるんですけれども、文化庁に、おくれるとはいえ、文化庁の京都移転に伴う新たな文化政策の基本的考え方や方向性につきまして、お伺いしておきたいと思います。

萩生田国務大臣 文化庁の京都移転につきましては、平成三十年四月に先行移転として地域文化創生本部を京都に既に設置をし、伝統文化親子教室などの事業を実施するとともに、地元自治体や関係団体とのネットワーク構築等に向けた取組を進めております。

 その結果、現場のニーズや文化庁への意見をより一層把握できるようになったことや、関係者との意見交換が日常化をし、地域の知見やノウハウなどを生かした連携協力が促進されていることなど、現場との距離感がより近くなったことによる効果が生じてきております。

 一方で、京都と東京に組織が分かれることに伴う国会対応、他省庁との連携、ICT機器の活用に関する課題もあることから、業務の試行、改善を図りながら、これら課題の解決に向け取り組んでいく必要があると思います。

 いずれにしましても、京都への本格移転を進めることにより、地方創生の観点に立った文化行政の企画立案能力の向上、ひいては全国各地の地方文化の掘り起こしや磨き上げにつなげ、我が国全体の文化行政のさらなる強化、文化芸術立国の実現に取り組んでまいりたいと思います。

竹内分科員 大変ありがとうございました。

 以上で終わります。よろしくお願いします。

井野主査 これにて竹内譲君の質疑は終了いたしました。

 次に、西岡秀子君。

西岡分科員 国民民主党、衆議院、西岡秀子でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 まず、先ほどから議論があっておりますけれども、新型コロナウイルス感染に対する文部科学省の対応についてお尋ねをいたします。

 既に学校現場にも感染が広がっておりまして、子供たちの健康面、また、教員の方を始めとして、学校現場にかかわる、関係をしていただいている方々のことが大変心配をされますし、保護者の方も大変心配な状況であるというふうに思っておりますけれども、今の文部科学省の取組について御説明をお願いいたします。

萩生田国務大臣 先週の二十一日金曜日以降、北海道や千葉県を始めとして児童生徒や教職員の感染例が出てきており、保護者の皆様を始め、学校関係者の方の中には不安を感じておられる方も多いのではないかと思います。

 症状が出ている感染者が発生した北海道及び千葉市の教育委員会に対しては、児童生徒の安全確保を最優先とし、速やかに学校の全部又は一部の臨時休業を行うことが望ましいことをお伝えしたところです。

 また、臨時休業は、法令上、学校の設置者が必要と判断した場合に行うことができるものであり、文部科学省に判断権限はございません。しかし、このように学校において新型コロナウイルス感染者が出始めている状況を踏まえ、各学校の設置者が円滑に判断する際の参考となるよう、文部科学省として速やかに全国に方針や留意事項を周知、本日させていただきたいと考えております。

 例えば、現在の国内での感染の発生状況を踏まえれば、自治体の判断として、衛生部局の見解を踏まえ、地域全体での感染拡大を抑える目的で、感染者のいない学校も含めて、積極的な臨時休業を行うことも考えられます。

 こうした場合も含め、臨時休業等を行う場合に関するさまざまな留意事項、具体的には、臨時休業中の児童生徒に補充のための授業や家庭学習を課す等の学習面への配慮、教育課程の弾力的な扱いの考え方、休業期間中の子供の監督者の確保の問題など保護者にさまざまな負担が生じることから、首長部局とも十分に相談の上、保護者の負担を極力軽減するよう配慮すべきこと等について文部科学省として示す予定です。

 また、あわせて、御家庭と連携して、児童生徒の登校前の検温など厳重な健康確認を行うことにより、発熱など風邪の症状がある場合には登校することのないようにするとともに、児童生徒等に直接接する立場にある教職員に対しても厳格な対応を求めるよう、改めて周知徹底をしてまいりたいと思います。

西岡分科員 今大臣からございましたように、やはり、インフルエンザについては今まで対応した経験があると思いますけれども、こういう初めて対応する新型コロナウイルス感染症に対しましては、学校としても大変判断が難しいところもあると思いますので、文部科学省として、またそして大臣としての方針ということをぜひお示しをいただくことが大変重要ではないかと思っております。

 また、学校と、学校医を通じて医療機関と連携をするということも大切ではないかと思いまして、日ごろから学校医の先生がおられると思うんですけれども、その学校医の方を通じてさまざまな、例えば、御家庭から、熱が出たけれどもというような御相談があったときに、そういう学校としての、保健所も含めて連携をとるということについてのお取組がありましたら、教えていただきたいと思います。

丸山政府参考人 学校と首長部局の、衛生の担当の部局との連携ということをしっかりと進めていくように、今、関係自治体に対しましては事務連絡等を発出をしているということでございますけれども、よりその取組を柔軟にしっかり進めていくということで、厚労省の方とも連携を図りながら進めていきたいというふうに考えております。

 先ほど大臣の方から答弁ありましたように、また本日、そういったあたりにつきまして整理をした形で自治体の方にお知らせの方をしていきたいというふうに考えております。

西岡分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、きょうお伝えすることの中にも、そのことも含めて、しっかりと自治体の方にも文部科学省の方からの方針というものをお示しをしていただきたいというふうに思います。

 また、いろいろな感染が発生をいたしましたときに、やはり、感染をした子供たちに対する偏見ですとかそういうことが生じてくるということも大変心配をされますし、お友達の中で感染をしたということがあって、子供たち、児童生徒の心身のケアというものも大変大切だと思いますけれども、そのことについても、どのように学校の方に御指導されるのかということも、きょう発信される中に含まれておりますでしょうか。

丸山政府参考人 そういう方向で、今、調整を進めておるところでございます。

西岡分科員 また、きょう、国公立大学の二次試験が開催をされましたけれども、この入試につきましても、もし感染をした受験生若しくは感染が疑われる受験生に対しましての対応というのが、各教育委員会も大変対応を迫られているところがあるのではないかと思っておりまして、自治体ごとにいろいろな対応というものがあっているというふうに思います。

 追試ですとか、病院で受験をする制度、また、内申書で判断をするですとか、そういう各自治体でのさまざまな御判断もあるというふうに思いますけれども、やはり、感染をしてしまった受験生の受験機会を確保するというのは大変重要なことだというふうに思いますので、このことについての文部科学省の対応ということについても教えていただけないでしょうか。

丸山政府参考人 入試についてのお問合せでございますけれども、まず、高校入試の選抜におけるコロナウイルス感染症への対応につきましては、去る二月三日及び十九日に、都道府県教育委員会等に対しまして事務連絡を発出をしているところであります。

 この中で、試験会場の小まめな換気やアルコール消毒液の設置など、可能な範囲で感染症対策を行うとともに、新型コロナウイルス感染症に感染した生徒等への受験機会を十分に確保する観点から、追試験の実施等の対応を検討し、入学志願者や保護者に対する情報提供や相談対応に努めていただくように要請を行っているということでございます。

 また、加えて、大学入学者選抜につきましても、一月三十日及び二月七日に国公私立大学に対して事務連絡を発出をいたしておりまして、感染の拡大防止を念頭に置きつつも、受験生の進学機会の確保を図る観点から、別の試験日程での受験を認める振りかえ受験など柔軟な対応の検討や、受験会場の衛生管理体制の構築、受験生等からの相談体制の整備などを依頼をしているところであります。

 さらに、二月二十日付の事務連絡におきましては、各大学の対応について、ホームページ等での早急な情報提供に努めるように求めたところであります。

 今後も、状況を注視をしながら、必要な情報提供を行うなど、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。

西岡分科員 ありがとうございます。

 やはり、日々刻々と状況が変わっておりますので、その都度、なるべく先手先手の、早目早目の、文科省としての、地方自治体を含めて、教育委員会に対しましても発信をしていただくということをぜひお願いをしたいというふうに思っております。

 また、この感染症の関係で、私、地元が長崎でございますけれども、中国とは距離的にも、また歴史的にも大変近いところでございますけれども、中国におられる日本人の方が中国から一時帰国をされる、又は中国から一時帰国を予定している児童生徒への対応ということについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 そのお尋ねさせていただくときは、感染をされていない状況で一時帰国をされる状況をもし想定した場合は、健康管理、また就学機会の確保、また、長期間にわたりますと、日本の学校への転入学、また、児童生徒の、先ほども申し上げたように、こういう、感染症が拡大をしている中で、心身のケアも含めて、中国からの一時帰国、また予定者に対しての対応について教えていただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 中国から帰国をしました児童生徒等の学校での受入れにつきましては、適時、教育委員会や大学等に対しまして最新の状況等を周知をしているところであります。

 これらの児童生徒等については、特に帰国後二週間は、本人又は保護者との連携を密にし、必要に応じて自宅に滞在していただくよう要請をするなど、厳重な健康観察等を行いつつ、最新の情報をもとに適切な対応を行うように求めているところであります。

 この点を踏まえた上で、新型コロナウイルス感染症を理由としたいじめや偏見が生じないようにするなどの配慮や、転入学の希望を受けた場合の受入れ、心のケアを含む健康相談等を行いながら、適切に就学の機会を確保すべきことについても示しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、政府全体の方針のもとで引き続き情報収集に万全を期すとともに、状況に変化があった場合に、迅速かつ適切に各教育委員会等と連携して対応するなど、新型コロナウイルス対策に遺漏なく取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 それから、先ほど申し上げた、いじめ等、心のケアに関係して、私、答弁させていただきましたけれども、本日、今まとめている通知にそのことを盛り込むというふうな御発言をさせていただきましたが、これはもう過去に既に通知をしているところでございますので、その点、修正をさせていただきたいと思います。失礼しました。

西岡分科員 先ほども申し上げましたけれども、刻々と変わる状況に対しまして、的確に対応を早目早目にしていただくということをぜひ御要望をさせていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 学校の安全性の強化、これもきょう質疑の中であっておりますけれども、やはり児童生徒の学習の場、生活の場である学校というのは、同時に災害時の避難所ともなる大変重要な場所だというふうに認識をいたしております。

 耐震化については、本当に御努力いただいた中で大分進んでまいりましたけれども、公立高校についてはほとんど完了している状況でございますけれども、私立高校についてはまだおくれている面があると思いますので、引き続き耐震化については特段の御支援をいただきたいということをお願いをさせていただきたいと思っております。

 また、耐震化と並びまして、体育館のつり天井の落下防止というものは進んでいるように聞いておりますけれども、それ以外のいろいろな危険物についての整備というものはまだ十分でないということ、また、大変老朽化している建物においては、それ以外の装飾品も含めて大変危険なものがある場合があるということ、このこともぜひあわせましてお取組をいただきたいと思います。

 そして、避難所としての学校の設備を整備するという件でございますけれども、バリアフリー化を進めること、また空調の整備をしていくこと、また給食設備を充実する、トイレの整備を含めて、このことも引き続いてぜひお取組をいただきたいと思います。

 その中で、断水時に使用できるトイレを準備するということについては、データによりますと五八%の学校でそういう設置をされているという状況がありまして、やはり、断水時ということも災害時は考えておく必要があるというふうに思っております。

 また、停電時の電力確保についても、自家発電の設備ということについても、六一%が設備をしているということでございますけれども、このことも大変喫緊の課題だと思っております。このことについて、今の状況も含めて、御説明をお願いいたします。

    〔主査退席、鬼木主査代理着席〕

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるように、学校施設は子供たちの学習、生活の場であり、また、災害時には地域住民の避難場所にもなるということから、その安全性の確保や防災機能の強化は重要であるというふうに考えております。

 先生御指摘いただいた構造体の耐震化ですけれども、重点的にこれまで支援した結果、平成三十一年四月一日現在での幼稚園から高等学校等の耐震化率が、公立学校では九九%、私立学校では九一・四%となっております。

 それから、避難所にも使われる屋内運動場、体育館のつり天井の落下防止対策ですけれども、これも、東日本大震災を契機に、児童生徒等の安全に万全を期す観点から、天井撤去を中心とした対策を推進するとともに、点検や対策の手引を作成してきました。その結果、三十一年四月一日現在での幼稚園から高等学校等の屋内運動場等のつり天井落下防止対策実施率が、公立学校で九八・一%、私立学校で八一・二%となっております。

 一方で、それ以外の落下物等、窓ガラス、照明器具、内外壁といったような非構造部材、つり天井以外の非構造部材ですけれども、人的被害が生じないように、国庫補助による財政支援を行い、非構造部材の耐震対策を推進してきました。

 その結果、例えば、これも平成三十一年四月一日現在ですけれども、公立学校の非構造部材の耐震点検実施率は八九・三%、耐震対策実施率は四二・七%となっております。

 これらを進めるために、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策、これは令和二年度の当初予算でも計上しておりますけれども、等によりまして、児童生徒等の安全確保や学校施設の防災機能強化のため、引き続き、関係省庁と連携しながら、非構造部材を含めた耐震化などに全力で取り組んでまいります。

 また、先生、防災機能のことに言及されましたが、防災機能の整備率は、これも三十一年四月一日現在ですけれども、備蓄倉庫に関する防災機能は七八・一%、自家発電設備など電力に関する防災機能は六〇・九%、マンホールトイレ、これは先生御指摘いただきましたけれども、トイレなどの、断水時のトイレに関する防災機能が五八・三%となっております。

 これらも含めて、防災・減災、国土強靱化も含めて推進してまいりたい、全力で取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

西岡分科員 今いろいろ御説明いただきましたけれども、昨年から大変災害が頻発をしておりますので、ぜひ喫緊の課題としてお進めをいただきたいというふうに思います。

 具体的には、ちょっと通告の中では入れておりませんけれども、被災地に伺いますと、学校自体が大変川の近くに立地をしていて、実際に視察に伺わせていただいたところでは、学校自体が大変被害を受けているというところも多くあると思います。

 子供たちの安全の面からもそうでございますけれども、避難所として、そこが避難所になっているからといって、地域の住民の方がそこに行かれたら災害に遭ってしまうということはあってはならないことでございますので、この全国の学校の立地ということについても、ぜひ調査をしていただいて、すぐに移転ということも大変難しいかと思いますけれども、やはり、立地ということも含めて、抜本的に考えていかなければいけない面があると思いますので、そのことも含めまして、お取組をぜひお願いしたいと思います。

 次の質問に参ります。

 産業高校について、お尋ねをさせていただきます。

 高等学校の中でも、農業、工業、商業、水産業、家庭、看護、福祉、そして情報など、職業に関連する教育を行う高校でございますけれども、優秀な職業を担う人材、そしてまた、いろいろな学習を通して大変豊かな人間性を育むことができる人間教育の場でもあると言われております。大変長い歴史を持った学校でございますけれども、今、大変、私の地元においても在籍者が少ないということで、大変歴史のある高校の学科が閉じてしまうということも全国各地であっているというふうに思いますけれども、今の全国の産業高校の状況について、教えていただきたいと思います。

丸山政府参考人 産業高校の現状でございますが、農業、工業、商業など、職業に関する学科を置く高校は、実験重視、実習を重視した実践的な教育を通じて、専門的な知識、技術を有する職業人を育成をしており、各地域ひいては我が国の産業の発展に大きな役割を果たしていると考えております。

 令和元年度の五月現在でございますが、これらの職業学科を置く高等学校の数は延べで千九百七十九校でございまして、生徒の数は約五十七万三千人と、高校全体の一八・一%となっております。その割合は、近年横ばいの傾向にあるというふうになっております。

 これらの高校におきましては、近年の科学技術の進展、グローバル化、産業構造の変化に伴い、必要とされる専門的な知識、技術の変化や高度化への対応が課題となっているところであります。

 このため、文部科学省としては、これらの職業学科を置く高等学校における専門人材の育成に向けた教育内容の改善充実、実験、実習のための施設設備の充実、地元地域や産業界等との連携促進等について取り組んでいるところでございます。

西岡分科員 ありがとうございます。

 その中でも、第一次産業を支える農林水産畜産高校につきましてお尋ねをさせていただきます。

 大変校舎が老朽化している学校が多いことと、今、第一次産業を取り巻く状況というのも、技術革新であったり、国際的な規格のことであったり、大変、先端技術や国際化に対応できる施設や設備の導入というのが不可欠な状況があると思っております。

 ある方がおっしゃっておりましたけれども、農業高校、水産高校の姿というのは、将来の日本の農業であるとか水産業の未来の姿であるということをおっしゃっておりましたけれども、今、大変、後継者不足、人材不足という中で、この第一次産業にかかわる産業高校に通っている生徒というのは、大変、将来を担う本当に大切な人材だと思いますけれども、やはり、今の時代に適応した状況の中で、一般的な産業界の施設との乖離が余りにもあるということで、しっかりやはり設備を整備していくということが大変重要だと思いますけれども、このことについて御説明をいただければと思います。

丸山政府参考人 先生からございました専門高校の教育の充実ということでございますが、農業高校等の専門高校においては、地元産業の中核たる農業や水産業を担う人材を育成をしていることから、地元の産業界からの期待は極めて大きいものがあるというふうに考えております。

 このため、文部科学省としては、これはソフト面の事業でございますが、専門的な知識、技術を身につける、地域を支える専門的職業人を育成をするため、地域の産業界や大学等と連携、協働しながら地域課題の解決等に向けた実践的な職業教育を推進をする、地域との協働による高等学校教育改革推進事業を実施をしております。

 さらに、高度な知識、技術を身につけ、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するため、先進的な卓越した取組を行う、いわゆるスーパープロフェッショナルハイスクール等の事業を進めているところでございます。

 また、農業高校等の専門高校における産業教育のための施設設備に要する経費につきましては、ハード面でございますが、国として補助を行っておりまして、令和元年度補正予算、令和二年度予算案におきまして、その充実を図っているところであります。

 さらに、農林水産省と連名で、各都道府県の教育委員会及び農林水産部局に対しまして、農林水産業界と高等学校の連携強化の促進を要請する通知を発出をするなど、関係省庁とも連携を進めているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、これらの取組により、農林水産業を始めとする地域産業の人材育成を担う専門高校をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

西岡分科員 今御説明いただきましたように、御支援はいただいている、予算もつけていただいているというふうに思いますけれども、なかなか、今、急に設備を充実するというのも大変難しいことだと思いますけれども、大変大切な時期ではないかと思いますので、なるべく早くそういう体制を整えることが大変重要だというふうに考えております。

 今の産業高校に通っている子供たちが、先ほど御説明にありましたように、地域の皆様や企業と一緒にいろいろなものを開発して、それを地域のお祭りとかで売ったりしているということが、地域の皆さんにとっても大変高校生との交流の場になっていたり、それで、今、産業高校の生徒さんたちでございますけれども、将来、地域を担う大切な人材であるという、もし農業ですとか水産業に従事を卒業後しなくても、地域に残って、その地域を支える本当に大切な人材であるという側面も大変あると思いますので、ぜひそういう大きな視点で捉えていただきたいというふうに思います。

 また、第二次のまち・ひと・しごと総合戦略の中でも、これは産業高校ということではございませんけれども、高等学校の機能強化ということが示されております。

 これは、特に離島ですとか中山間地におきますと、その市町村に唯一あった高校がなくなってしまうことによって大変人口が流出をしていくという、転出超過になるというデータも出ておりまして、そこに高校があるということが、その地域にとっての本当に大切なことだということが今言われておりまして、今度のその中にも高等学校の機能強化ということがうたわれておりますので、高校を統廃合していくということも、通う子供たちが少なくなるということで、いたし方ない面もあると思いますけれども、逆に高校を充実をして、一校ある高校を残していくということが、地方創生や人口をふやしていくことに、逆の発想といいますか、そこに充実をしていくことが地方創生の一つの本当に大事な視点だということを思っております。

 今回、こういう形で高等学校の機能強化という項目が入ったというのは大変すばらしいことだと思いますので、ぜひ、この面についても、文部科学省、大臣、引き続きのお取組をぜひお願いをしたいと思います。

 ちょうど時間となりましたでしょうか。それではこれで、まだ質問させていただきたい項目があって、御準備いただいたと思いますけれども、ちょっと時間の関係でこれで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木主査代理 これにて西岡秀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉田水脈君。

杉田分科員 自由民主党の杉田水脈です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 連日、新型コロナウイルスに関する感染報告などの事例が相次いでおります。医療関係や政府、関連省庁の各部局において、新型コロナウイルス感染拡大阻止に向けて対応に当たられております皆様の御尽力に、まずもって心から敬意と感謝を申し上げます。事態が一日も早く鎮静化し、国民の不安が一掃され、平穏な日常生活が戻ってまいりますことを祈っております。

 まず、文部科学省の新型コロナウイルスへの対応についてお尋ねをいたします。

 国内においても新型コロナウイルスに感染した事例が報告される中、二十二日土曜日には千葉県千葉市の中学教諭が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。お子さんをお持ちの保護者の方々は、毎日、幼稚園や学校に子供たちを送り出すことに不安な気持ちでいっぱいだろうと思います。

 文部科学省として、各種学校に対して、新型コロナウイルスへの感染対策の指導等、対策は行っているのでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、新型コロナウイルスを理由としたいじめや偏見は決して許されないことであり、文科省としては、児童生徒等の人権に十分配慮するよう教育委員会等に通知をするとともに、二月七日に、保護者、学校の教職員に宛てたメッセージを発出をしているところでございます。

 先週二十一日の金曜日以降、北海道や千葉県を始めとして、児童生徒や教職員の感染例が出てきており、保護者の皆様を始め、学校関係者の方の中には不安を感じている方も多いのではないかと思います。

 そこで、症状が出ている感染者が発生した北海道及び千葉市の教育委員会に対しては、児童生徒の安全確保を最優先とし、速やかに学校の全部又は一部の臨時休業を行うことが望ましいことをお伝えしたところです。

 また、臨時休業は法令上学校の設置者が必要と判断した場合に行うことができるものであり、文部科学省に判断権限はないんですけれども、しかし、このように学校において新型コロナウイルス感染者が出始めている状況を踏まえ、各学校の設置者が円滑に判断する際の参考となるように、文科省として速やかに全国に方針や留意事項を周知したいというふうに考えておりまして、きょう改めて、午後、発出をしたいと思います。

 例えば、現在の国内での感染の発生状況を踏まえれば、自治体の判断として、衛生部局の見解を踏まえ、地域全体での感染拡大を抑える目的で、感染者のいない学校も含めて積極的な臨時休業を行うことも考えられます。

 また、こうした場合も含めて臨時休業を行う場合にはさまざまな留意事項がございまして、臨時休業中の児童生徒に補習のための授業や家庭学習を課す等の学習面への配慮や、教育課程の弾力的な扱いの考え方、休業期間中の子供の監督者の確保の問題など、保護者にさまざまな負担が生じ得ることから、首長部局とも十分に相談の上、保護者の負担を極力軽減するよう配慮すべき等のことについて文科省として示す予定です。

 また、あわせて、御家庭と連携して児童生徒の登校前の検温など厳重な健康確認を行うことにより、発熱など風邪の症状がある場合には登校することのないようにするとともに、児童生徒等と直接接する立場にある教職員に対してもより厳格な対応を求めるよう改めて周知徹底してまいりたいと思います。

 特に、先生の事例は、人手不足で試験の監督官がいないということで、熱があるにもかかわらず学校へ行ったら後ほど感染が確認されたという事例がありましたので、熱がある場合はしっかり休んでいただくということをこの際徹底してまいりたいと思います。

杉田分科員 大臣、ありがとうございます。

 きょうは多分、朝からこういった答弁を何度か繰り返されていらっしゃると思います。ありがとうございます。日々状況が変わってまいりますので、これに応じて適切な判断をぜひ示していただきたいなと思います。

 本日の報道にもございましたけれども、臨時休校のことについても今御答弁をいただきました。

 平成二十一年に新型インフルエンザの感染が確認された際、厚生労働省は大阪府や兵庫県に全中学、高校の臨時休校を要請し、大阪府内では公立の全中学、高校で、兵庫県内では公立の全小中学校、高校で、それぞれ臨時休業の措置がとられました。

 厚生労働省と文部科学省で連携し、感染拡大を食いとめることができるよう、場合によってはこういった学校の一括休校を指示するなど、子供たちの健康と命をしっかり守っていただきたいと思います。

 これからの季節、卒業式や入学式など、大人数が同じ空間に長時間集まる行事を控えております。通学とか習い事とかで感染経路とかが特定しやすい子供だけではなくて、長距離通勤だとか会食とか、生活ルートでそういった接触者が多岐にわたる大人も混在した空間となる行事ですが、これらの行事への対応について何か指針などは出していらっしゃるのでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 先日、厚生労働大臣から、イベントの開催に関しまして、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討してもらいたい、なお、イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではないというメッセージが出されたところでございます。

 文部科学省としては、学校におけるかけがえのない行事であります卒業式などの行事に対して、一律に中止を求めることは考えておりませんが、特に、既に感染が確認されている地域におきましては、自治体の衛生部局とよく相談をいただきまして、感染拡大防止の観点から、実施方法の変更や延期などを含め、対応を検討していただきたいというふうに考えております。

 また、卒業式など行事を実施をする場合には、参加者の手洗いの推奨や会場の入り口にアルコール消毒液の設置、風邪のような症状のある方には参加をいただかないといったことを徹底するなど、感染拡大防止に向けた可能な範囲での対策を行っていただきたいというふうに考えております。

杉田分科員 ありがとうございます。

 先ほど、かけがえのない行事であるという御答弁をいただいたんですが、もう一つ、これからの季節、受験というものがやってまいります。

 先ほどの西岡委員の質問の中と若干重なる部分があるんですけれども、受験に対しても同様のお尋ねをしたいと思います。また、万が一受験生が感染してしまった際の対応などはもう決まっているのでしょうか。

    〔鬼木主査代理退席、主査着席〕

丸山政府参考人 受験に関してですが、まず、高等学校の入学者選抜につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応について、二月の三日それから十九日に、都道府県教育委員会等に対して既に事務連絡を発出をいたしておりまして、この中で、試験会場の小まめな換気やアルコール消毒液の設置など、可能な範囲で感染症対策を行うとともに、新型コロナウイルス感染症に感染した生徒等の受験機会を十分に確保する観点から、追試験の実施等の対応を検討し、入学志願者や保護者に対する情報提供や相談対応に努めていただくように要請をしているということでございます。

 また、大学入学者選抜につきましても、一月三十日、二月七日に、国公私立大学に対しまして事務連絡を発出をいたしております。感染の拡大防止を念頭に置きつつも、受験生の進学機会の確保を図る観点から、別の試験日程での受験を認める振りかえ受験など柔軟な対応の検討や、受験会場の衛生管理体制の構築、受験生等からの相談体制の整備などを依頼をしているところであります。さらに、二月二十日付の事務連絡におきましては、各大学の対応について、ホームページ等での早急な受験生に対する情報提供等に努めるよう求めたところであります。

 今後とも、状況を注視しながら、必要な情報提供を行うなど、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

杉田分科員 多くの国民の皆様が不安を抱えております。先ほど大臣の答弁の中で、先生が非常に責任感があって試験官というようなこともあったんですけれども、受験というのにはこれまでの努力がかかっているわけですから、多少体調が悪くても不調を隠して頑張ってしまうようなこともあると思います。受験生や保護者に対して、今御答弁いただいたような対応をしっかりと周知していただくことで、本人だけでなくて周りへの感染を食いとめることもできるんだということを広報していただければというふうに思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは次に、あいちトリエンナーレについてお尋ねいたします。

 本件は、新聞やニュース等で大きく報じられたため、経緯などについては皆さんよく御存じかと思いますので、私からの説明は割愛いたします。

 ここで話題になったのが、憲法で保障されている表現の自由についてであります。あいちトリエンナーレについて、当初予定されていた文化庁からの交付金が不交付となりました。このことについて、表現の自由を侵害しているとの意見が相次ぎましたが、あいちトリエンナーレへの交付金の不交付は、表現の自由を侵害しているのでしょうか。

萩生田国務大臣 今回の補助金の不交付決定は、補助事業の申請手続において、補助金申請者である愛知県が、会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず文化庁に申告しなかったことを踏まえて判断したものであり、展示物の表現内容自体の適否について評価したものではありません。

 文化芸術活動において表現の自由は極めて重要で、我が国の憲法第二十一条で保障されており、また、平成二十九年に改正された文化芸術基本法においても表現の自由の重要性について明文化されております。

 文科省としては、文化芸術活動や国際文化交流の推進に当たり、文化芸術基本法の基本理念を踏まえ、文化芸術活動を行う者の自主性と表現の自由を十分に尊重しつつ施策を推進してまいりたいと思います。

杉田分科員 ありがとうございます。

 表現の自由ということではなくて、手続に瑕疵があったから不交付になったという御答弁であったかと思います。

 あいちトリエンナーレに関しては、実に多くの報道がなされましたが、この不交付の経緯については余り報じられておらず、一部に政府による検閲があったかのような誤解をされている方々もおられますので、手続の瑕疵によるものであったということが誤解なく周知されることを望みます。

 今回の騒動を受けて、愛知県名古屋市がアーツカウンシルの導入を検討しているとの報道がありました。日本国内にも、東京都など既にアーツカウンシル制度を導入している自治体もありますが、国の方では、独立行政法人日本芸術文化振興会によってアーツカウンシル機能が担われていると認識しております。

 欧米などの諸外国のアーツカウンシルにも、発祥地であるイギリスなどの準公共機関型、フランスなどのガバメント型、オランダなどの折衷型など、さまざまなモデルがあると思いますが、日本におけるアーツカウンシルが目指しているモデルはこのうちのどれに当たりますか。また、その理由などもお聞かせください。

今里政府参考人 文化芸術団体への助成金交付のあり方といたしましては、諸外国の動向を整理いたしますと、今御指摘のございましたように、イギリスのように国とは別の準公共的機関に資源配分が委譲されている事例、フランスのように国の文化省の組織が中心的役割を果たす事例、さらに、オランダのように国の文化省と準公共機関の両方が役割を果たす折衷型の事例の三種類に分類できると言われております。

 我が国におきましては、文化芸術の振興に関する基本的な方針、平成二十三年の決定でございますけれども、ここにおきまして、「文化芸術への支援策をより有効に機能させるため、独立行政法人日本芸術文化振興会における専門家による審査、事後評価、調査研究等の機能を大幅に強化し、諸外国のアーツカウンシルに相当する新たな仕組みを導入する。」という方針が示されたところでございます。

 これを踏まえ、独立行政法人日本芸術文化振興会におきましては、御指摘の三つのモデルの中では英国の事例等を参考にしながら、独立行政法人が実施する文化芸術活動への助成に係る審査、評価等の仕組みを検討いたしまして、平成二十三年度から、日本版アーツカウンシルとして、専門家による助言、審査、事後評価、調査研究等の機能の試行的導入を行いまして、平成二十八年度より本格導入を行ったところでございます。

 日本版アーツカウンシルは、文化芸術活動への助成に係るPDCAサイクルを確立することにより支援策をより有効に機能させることを目的としておりまして、現在、音楽、舞踊、演劇、伝統芸能・大衆芸能の分野、及び調査研究担当として専門家であるプログラムディレクターやプログラムオフィサーを配置し、審査基準の作成、事前公表、文化芸術団体からの相談への対応、助成対象活動の採択のための審査と調査、事後評価、調査研究の実施などを行っているところでございます。

杉田分科員 イギリスなどの準公共機関型のアーツカウンシル機能は、今お答えいただいたところにも重なるところがあるんですけれども、本来、高い専門性を持った識者による助成事業の審査基準の明確化や事後評価などが設立の趣旨であり、評価内容を今後の助成事業に反映させていく、いわばシンクタンク的な役割も担っているのではないかと思います。

 この日本芸術文化振興会によるアーツカウンシル機能は、この点において設立の趣旨を達成しているのかどうか、今、こういう機能を担っているという答弁はいただいたんですが、それをどのように評価、検証されておりますでしょうか。そこをお尋ねしたいと思います。

今里政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、平成二十三年度からの試行的な導入、そして、段階的に体制、分野を拡大して二十八年度から本格導入というのが、日本芸術文化振興会におけるアーツカウンシル機能の進展でございます。

 これらの取組を進めていく中で、独立行政法人の評価である第三期中期目標期間、この評価におきましては、平成三十年に実施されたものでございますけれども、審査基準の公表による審査の透明化の向上、事後評価の実施、さらに、プログラムディレクター、プログラムオフィサーの配置による評価体制の確立が整った、このように評価をされているところでございます。

 助成事業に関する審査基準を明確化し透明性を図るとともに、事後評価により評価内容を今後の助成事業へ反映することは、指摘のとおり非常に重要なことでございますので、引き続き、日本芸術文化振興会における取組の充実を期待してまいりたいと思ってございます。

杉田分科員 ありがとうございます。

 芸術だけではなく、例えば学問や研究において、日本学術振興会による科研費など税金を用いた助成事業がありますが、審査基準や事後評価など検証の部分において、果たして納税者である国民が納得できるような公正、公平性や透明性が確保されているのだろうか、これまで私はこの予算委員会の第四分科会で質問をさせていただきました。

 あいちトリエンナーレの話に戻りますが、一部の展示作品に異論を唱えていた方々の多くの意見は、そこに税金を投入する是非についての疑問であったかと思います。私自身も、政治的なメッセージを含んでいると解釈されかねない作品があったとしても、公的援助を受けない形で展示されることについては何ら異論はございません。しかし、表現の自由と同様、自分たちが納めた税金の一部が、例えば、昭和天皇の御真影を燃やす映像を展示するために使われることを知った国民もまた、抗議の意思を示す権利がございます。

 愛知だけではなくて、今後、各地で芸術祭が開催されます。

 広島県尾道市で開催されたひろしまトリエンナーレのプレイベントでは、大変申し上げにくいんですけれども、使用済みのコンドームでつくったベビーシューズや作者の便を使ってつくった人形などの排せつ物を用いた作品が展示されていました。

 繰り返しになりますが、このような展示作品も、民間の美術館など公的な支援を受けない形で行われるのであれば異論を唱える人はそう多くはないと思います。しかし、もし税金による助成があるのであれば、一体なぜ税金を用いて展示をする必要があるのか、この展示にどのような公的意義があり、社会にどのように貢献するのか、納税者が納得するような形で示せるよう検証する役割もアーツカウンシルに期待される役割ではないかと思います。

 先ほど御紹介したひろしまトリエンナーレのプレイベントでは、昭和天皇と女性の下半身をコラージュした作品や、反天皇制運動連絡会によるデモ行進の映像など、天皇陛下を嘲罵、侮辱しているともとられかねないもの、原爆をモチーフにしたとおぼしきものなどがありました。

 愛知に続いて、このような作品に日本国民としての感情や尊厳が傷つけられたと感じる国民が少なくない中で、このような意見を受け付ける場所が明確に示されなかったことも混乱を招いている要因の一つではないかと考えます。一括して意見を集約する場もまた、アーツカウンシルに求められる役割ではないかと思っております。

 一部の展示作品の政治的なメッセージやイデオロギーばかりが脚光を浴びて、他のアーティストの方々の作品や芸術そのものについて議論がされないことは、アーティストの方々にとっても不本意なのではないかと思いますので、芸術祭の本来の開催意義が果たされますよう、アーツカウンシルの機能に期待をしたいと思います。

 また、検証に際しては、公正、公平性が保たれるよう、一部の担当者の意見だけが採用されたのではないか、又は恣意的な検証なのではないかといった疑念が持たれる結果にならぬよう、透明性のあるものにしていただきたいと願います。

 それでは、公正、公平性の観点から、教科書検定についてもお尋ねしたいと思います。

 次世代を担う子供たちの教育の基盤となる教科書の検定については、公正で公平な検定基準が求められます。一方で、検定の担当者の主観が反映されてしまうおそれもあるのではないかと思いますが、教科書検定の公平、公正性を担保するための取組についてお教え願います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 教科書検定は、教科用図書検定基準等に基づきまして、教科用図書検定調査審議会の学術的、専門的な審議により行われるものでございます。それぞれの分野の専門家や学校現場の経験のある教員など、複数の委員の視点によりまして、公平、公正な審査が行われているところでございます。

 また、それぞれの申請図書の調査を担当する教科書調査官につきましては、あくまで審議会における審議のための原案を作成するにすぎません。審議会の決定には参画していないという状況でございます。

 さらに、原案の作成に当たりましては、各調査官の専門性を踏まえまして、社会科など専門性が多岐に及ぶ教科におきましては複数の調査官が申請図書の調査を行っておりまして、個人の主観で検定が行われているというものではございません。

 文科省といたしましては、今後とも、公平性をしっかりと確保し、教科書検定を行ってまいりたいと思っております。

杉田分科員 先ほどの答弁におきましては、複数の方々が検定に携わっていらっしゃるので主観によってされることはない、それに複数の方々が携わることによって公平性、公正性が担保されているという答弁でございました。

 昨年、私は、この予算委員会の第四分科会の質疑におきまして、教科書について質問をさせていただきました。

 東京書籍の小学校六年生の社会科の教科書に、人々の抵抗を軍隊で抑え、朝鮮(韓国)を併合しました、多数の朝鮮人や中国人が強制的に連れてこられて、工場や鉱山などでひどい条件のもとで厳しい労働をさせられたりしましたなどの記述があることを御紹介したところ、多くの方々から反響をいただきました。子供たちに誤解を与えるような記述がなぜ検定に合格しているんだとの御意見も多くいただきました。

 また、領土教育や近隣諸国条項などについても質問したところ、こちらも大変多くの方々から賛同の御意見をいただきました。

 多くの国民が、次世代を担う子供たちには自虐史観から脱却をして正しい歴史を学んでほしい、偏った情報があたかも真実のように取り上げられることがないようにしてほしいと感じておられる、この国民の声を文部科学省は正しく受けとめていただきたいと思っております。

 先日も教科書検定に関する報道がございましたが、過去の検定では指摘がなかった部分についても指摘があったと報じられるなど、一般的に理解しがたい検定基準や根拠は多くの国民に誤解を与えるおそれがあるかと思います。オリンピック・パラリンピックの開催など、国際交流が活発になる中で、自国の歴史や文化を正しく発信する国際人の育成のためにも、国民に疑念を抱かれない教科書検定であることをお願いしたいと思います。

 近年、いじめや虐待など、子供たちの命にかかわる痛ましく悲しいニュースがふえております。子供たちを守っていくのはもちろんのこと、これから大人になる子供たちへの教育こそが、このような悲しい事件を未然に防いでくれるのではないかと考えております。

 三つ子の魂百までという言葉があるとおり、幼い子供のころから、暴力はいけない、弱い者をいじめてはいけないといった教育をしっかりと受けていれば、学校でのいじめはもちろんのこと、その子供たちが大人になったときに虐待なども防ぐことができるのではないかと思っております。

 子供たちがこのような道徳的課題を学校の授業を通して学べるように、取組はなされているのでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘のいじめや児童虐待の未然防止の観点から、道徳教育において、児童生徒の発達の段階に応じて、生命の大切さや他者への思いやり、家族や家庭生活の大切さについて指導することが重要と考えています。

 このため、平成三十年度から実施している特別の教科、道徳においては、生命のとうとさ、友情、信頼、相互理解、寛容、公正、公平、社会正義、家族愛、家庭生活の充実など、いじめや児童虐待の未然防止にかかわることについて指導することとしています。

 文部科学省としては、道徳の特別教科化を機に、各学校において、児童生徒が道徳的な課題を自分自身の問題として受けとめて、多面的、多角的に考えるような授業を通して、豊かな道徳性を育んでいきたいと考えています。

杉田分科員 本当に痛ましい虐待事件の報道を目にするたびに、幼い命がどうしてこういう形で奪われなくてはいけなかったのかと非常に無念な思いがいたします。

 今、目の前で虐待に遭っております子供を早急に救い出すということも非常に必要なんですけれども、それと車輪の両輪で、虐待する大人をどのように減らすのかということも進めていかなければいけない課題であるというふうに認識をしております。

 そういった面におきまして、やはり教育は国の根幹であると思っております。今後、この日本において罪のない子供たちが犠牲になることがないように、学校で単に学問や教科を教えるだけではなくて、正しい道徳教育の推進をしていただきたい、そのことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

井野主査 これにて杉田水脈君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮澤博行君。

宮澤分科員 自由民主党の宮澤博行でございます。

 本日は、こうして質疑のお時間をいただきまして、まことにありがとうございました。

 天下国家を論ずるのも政治家、国会議員の仕事ではございますが、地元の要望をちゃんと予算という形で実現するのも国会議員の仕事でございます。

 そういう視点から、きょうは、地元のことについて、文部科学省の予算に照らして質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 令和二年度の予算案主要事項の文言に基づいて質問させていただきたいんですが、まず一点目は学校教育です。

 「一人一人の「可能性」と「チャンス」を最大化するための教育政策の推進」という言い方になっていますが、まあ学校教育ということですよね、これは。

 まずは一点目、学校遊具の更新についてお話をさせていただきます。

 主要事項の方には、教育政策推進のための基盤の整備、(9)として公立学校施設の整備、六百九十四億七千九百万円、「子供たちの安全と健康を守り、計画的・効率的な長寿命化を図る整備を中心とした教育環境の改善等を推進する。」となっております。

 ちょっと、地元の磐田北小学校というところがあるんですが、教職員駐車場を拡張をしたわけなんですけれども、また更に拡張するという中で、一部遊具の撤去が行われるということになりました。これが二月十四日にPTAに伝達があって、二月二十四日に工事開始という突然の話だったものですから、PTAの側としても、遊具が一部なくなってしまうのはどうかとか、急に言われても困るとか、いろいろ話がありまして、結局、この前の金曜日、二月二十一日の説明会で反対論が多かったものですから、計画が撤廃になったわけなんです。

 しかしながら、やはり遊具そのものは古いわけなんです。これはこの学校に限ったことではありません。もう全国でも、各県内でもそういったことが予想されるわけなんですけれども、そんなわけで、ちょっと質問をさせていただきます。

 遊具の更新について、文部科学省として基本的な方針はどうなっているのか、通達はどうなっているのか、そして標準的な使用期限というものが存在するのかどうなのか、これについてまずはお聞きをしたいと思います。

浅田政府参考人 まず、学校保健安全法の施行規則においては、遊具を含む学校の施設設備について、毎学期一回以上安全点検を行うことを義務づけております。

 また、文部科学省が平成三十年に示した学校の危機管理マニュアル作成の手引において、学校の遊具における事故の防止のため、例えばぐらつきや腐食、さび、腐朽はないかなどの点検、管理のポイントを示しているところでございます。

 このほか、公園遊具の事故情報については、国土交通省から情報提供があった場合は、文部科学省からも都道府県教育委員会等に周知して、同様の事故の防止のための注意喚起を行っております。

 なお、御参考までに、公園の遊具につきましては、日本公園施設業協会が二〇一四年に定めた遊具の安全に関する規準というのがございまして、遊具の標準使用期間を、構造部材が鉄製の場合は十五年、木製の場合は十年を目安として設定するということになっておりますけれども、学校の遊具については、これは直接は適用されません。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 その公園遊具に関しての協会の規準、鉄製が十五年、木製が十年ということをおっしゃいましたね。そういう規準があるのであるならば、やはり学校遊具の方においてもなるべくそれに準ずる必要があるかもしれません。

 この規準に照らして、これを超えている遊具というものが全国でどのくらいのパーセンテージあるのかというのは把握していらっしゃるでしょうか。

浅田政府参考人 現状としては把握しておりません。

 学校としては、何年たったらというよりも、日常的に生徒が使うものですから、むしろ必要があるときはもう臨時でも安全点検を行わなきゃいけないし、さっき申し上げたように、少なくとも毎学期一回以上は安全点検をしてくださいということを義務づけているところでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 確かに、期限が来る前に更新しても別に構わないものですから、それはいいと思うんですけれども、たしか数年前に公園の遊具の事故が相次いでいたかなと思います。その記憶に照らすと、学校遊具での事故ではたしかなかった、余り記憶にないなと思うんですが、何か近年、記録とかはございますでしょうか。

浅田政府参考人 申しわけありません、現在ちょっと手元にはございませんし、把握していないのではないかと思います。

宮澤分科員 いずれにしても、安全には最善を尽くしていただきたいなと思います。

 もう一点、学校遊具について聞きたいんですけれども、言ってみれば、小学校は市町村立なわけですよね。施設については市町村で頑張って整備してくれ、確かに理屈はそうなんですけれども、国の方から何かしらの補助があるのかないのか、これによってやはり市町村のインセンティブは大分変わってきますので、それについての説明があればぜひお願いしたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 学校施設は、児童生徒の学習の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難場所の役割を果たすことから、その安全性、機能性の確保は重要であるというふうに考えております。

 このため、令和二年度予算案においては、先生おっしゃった当初予算六百九十五億を含めて、公立学校施設整備、国土強靱化のための緊急対策に係る臨時・特別の措置、四百七十億でございますけれども、これを含めて千百六十五億円計上してございます。

 この中で、児童生徒等の安全を確保する上で必要な遊具の更新工事につきましては、一定の要件のもとではございますけれども、防災機能強化事業として国庫補助の対象としております。

 引き続き、地方公共団体からの要望を踏まえ、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 国庫補助の対象ということですけれども、その負担割合ですとか金額ですとか、もう少し話があればありがたいなと思います。

山崎政府参考人 国庫補助の負担割合は三分の一でございます。下限額が四百万円というふうになっております。対象は、公立の幼小中、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校、高等学校ということになってございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。引き続き、ぜひよろしくお願いいたします。

 学校教育についての二点目です。

 学校教育に直接絡む問題ではないですけれども、私の静岡県西部というのは、リーマン・ショック前は非常に日系人の方が多かった、外国人の方が多かったわけなんですね。言ってみればブラジル人だったんですけれども。そういった方々の子弟、それからそういった方々、大人そのものの日本語学習、日本語教育というものに対しては、市のレベルで非常にこれは苦労をいたしました。

 そして、リーマン・ショック直前、直後ぐらいでしょうか、防災訓練に外国人が参加してくれて、自治会長さんが物すごく喜びまして、ここまで来たか、ようやく人間関係がここまで来たかと喜んでいたんですね。でも、やはり一番最初は、これは日本語教育なんですよ。これがしっかりしていないと、どうにも学校も落ちつかない。学校に行かなくなると、やはりそれはいろいろな別の道に進んでしまうということがあるわけなので、この外国人の日本語教育についてもちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 これは四十ページですね、主要項目でいうと。誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティーネットの構築、(6)に、外国人受入れ拡大に対応した日本語教育・外国人児童生徒等への教育の拡充、これは十七億九千五百万円つけてくださっています。これは、「外国人の受入れ拡大に向け、外国人が日本社会の一員として円滑に生活できる環境を整備し、日本人と外国人の共生社会を実現するため、日本語教育・外国人児童生徒等に向けた教育の充実を図る。」と書いてあります。

 生活者としての外国人に対する日本語教育の推進、これは九億五千五百万円とありますけれども、この事業についてまずは簡潔に説明をしていただきたいと思います。

今里政府参考人 今御指摘のございました、生活者としての外国人に対する日本語教育の推進でございます。

 文部科学省といたしましては、令和二年度政府予算案におきまして、今ほど御指摘ございましたように、九億五千五百万円を計上しているわけでございますけれども、中身といたしましては、日本語教育の全国展開の観点から、都道府県等が市町村等と連携して行う日本語教育環境を強化するための地域日本語教育の総合的な体制づくりの推進、そして、NPO法人、公益法人等が行う日本語教育の先進的取組に対する支援、日本語教育の質の向上を目指して、日本語教育人材の養成、研修カリキュラムの開発、実施、普及、これらが、以上の内容となっているところでございます。

宮澤分科員 今話を聞いていますと、先進事例、それから質の向上ということで、実際これをやることに対する補助というようなイメージを私は持てなかったんですよ、今の説明では。そうなんですか。

今里政府参考人 今申し上げましたもののうち、例えば地域日本語教育の総合的な体制づくりの推進と申しますのは、これは、実際に都道府県や市町村が地域日本語教育を進めていく上で体制づくりの取組を進める、こういったことでございますので、決してそれぞれの取組に対して支援しないということではございません。

宮澤分科員 では、今そうやっておっしゃってくださった総合的な学習体制の整備、そこのところについては、今、事例というものはあるんでしょうか、それとも来年度が初めてということなんでしょうか。どうでしょう。

今里政府参考人 総合的な体制づくりの推進事業は、本年度の予算額が四億九千八百万円でございますけれども、昨年、四億九千七百万円の既に実施をしている事業でございまして、新規の事業ではございません。

宮澤分科員 では、うまくいっている近年の事例を、一つでも、代表的なものでもいいので、挙げて説明していただけますでしょうか。それから、静岡県内でも事例があれば御紹介をいただきたいと思います。

今里政府参考人 静岡県は、まず、静岡県そのものに対しまして、この地域日本語教育の総合的な体制づくり支援事業といたしまして四百五十万円の補助をしているところでございます。これは令和元年度でございます。また、浜松市に対しまして、同じく二百三十万円の補助を行っているところでございます。全体が令和元年度七千百五十万円のところ、六百八十万円が静岡県内への補助ということでございます。

 これは、現在のところ、静岡県及び浜松市で行われている事業は、標準的なカリキュラム案等の活用による取組ということでございまして、日本語教育の実際の実施、人材の育成、教材の作成などを取り組んでいらっしゃると承知しております。

宮澤分科員 来年度はたしか、ことしからでもありますかね、総務省の方で外国人の窓口一本化ということが行われております。これは政令市と、たしか外国人の住民の数が一万人以上というような縛りがかかっていたと思うんですけれども、やはりそういった意味でも、窓口だけではなく、大人の教育に関しても、ある程度基準を統一する必要があるかもしれません。

 今後、この教育について拡充する意図があるのかどうなのか、検討する余地があるのかどうなのか、見解を伺いたいと思います。

今里政府参考人 まずは、令和二年度の予算を今御審議いただいているところでございますけれども、御指摘のように、非常に、我が国の在留外国人数は二百八万人を超えておりまして、過去最高を更新して増加傾向にあるところでございます。当然、日本語教育に対するニーズが高まっているところでございますので、今申し上げたような取組を通じて、引き続き、日本語教育環境の整備を着実に実施して、日本語教育を推進してまいりたいと考えております。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 では、もう一点、虹の架け橋教室というのがありますね。あったと言った方がいいのかもしれませんね。これは平成二十六年度までだったというふうに聞いたんですけれども、さっきの事業が大人対象であるならば、今度、これは子供対象の教室だというふうに私も記憶しているんですが、大変重要な事業であろうと思います。

 地元の人もやはりこれに対しては期待しているところが大なんですけれども、今これがどのような形で継承されているのか、そして、令和二年はどのような形でこれが予算化されているのか、説明をしていただきたいと思います。

浅田政府参考人 外国人の児童生徒等が日本における生活の基礎を身につけ、その能力を伸ばすためには、学校において日本語指導を含めたきめ細かな指導を行うなど、適切な教育の機会が確保されることが必要であります。

 文部科学省では、平成二十一年度から二十六年度にかけて、定住外国人の子供の就学支援事業、これが虹の架け橋教室事業でございますが、これを実施し、日本語指導や教科指導などを行うNPO等を支援してまいりました。

 平成二十七年度からは、これを引き継ぐ形で、定住外国人の子供の就学促進事業として、地域の実態に応じた取組を進める観点から、各自治体が主体となって行う取組に対する補助を行っております。

 令和元年度の実績では、二十四の自治体等に対する補助を実施をしております。この二十四のうち、実は四つが静岡県内でございます。例えば、静岡県の菊川市、掛川市、御前崎市から成る協議会では、虹の架け橋菊川・小笠教室等の就学支援教室の運営などを行っております。

 令和二年度の政府予算案につきましては、本事業を含む、帰国・外国人児童生徒等教育の推進に係る経費として、対前年度比二億二千二百万円増の七億一千二百万円を計上しているところでございます。

 引き続き、外国人児童生徒等に対する支援を適切に図ってまいりたいと考えております。

宮澤分科員 菊川、掛川、御前崎を中心とした虹の架け橋教室という名前のNPOがあるというのは私も承知しておりますけれども、それ以外、静岡県内はどうでしょうかね。やはり、ここから静岡県の西部が、ほかの地域もあるでしょうけれども、極めて外国人が流入してくる可能性が高い地域です。

 そういった点で、現状の市町村の取組を把握しておく必要が私もございますので、ぜひ静岡県内の様子をお知らせいただきたいと思います。

浅田政府参考人 先ほど申し上げたように、二十四のうち四件が静岡県でございまして、さっき申し上げた協議会以外に、浜松市、袋井市、焼津市でもそれぞれ事業を行っていただいて、補助をしております。

 先生もう御存じと思いますけれども、この中では、例えば、子供たちが学校にできるだけ早く適応できるようにといった、基本的な学習指導であるとか、あるいは日本の学校でのルールとか習慣に関する指導であるとか、さらには、地域社会との交流という視点から、学習指導以外にも、いろいろな社会見学や交通安全教室とか、いろいろな行事とか、さまざまな取組をしていると承知しております。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 大き目の市である磐田市が入っていないというのが非常に気になるんですけれども、それは私がどうこう言うものじゃないなというふうに思います。ありがとうございました。

 では、次の大きい質問に移りたいと思います。次は文化財行政についてお聞きいたします。

 主要項目の方には、「文化芸術の力で未来を切り拓く」というような題名になっているわけなんですね。その中の、(1)文化財の確実な継承に向けた保存・活用の推進、四百六十二億九千五百万円、これは四十二ページですね。その中の、文化財の公開活用、伝承者養成、鑑賞機会の充実等に六十六億七千万円。さらに、その細分化された中に、無形文化財の伝承・公開等が十四億三千四百万円というふうになっているわけですね。

 私の地元にも国の重要無形民俗文化財があるわけなんです。そしてもう一つ、新たにその登録を目指そうという動きがありまして、やはり国の重要無形民俗文化財を目指す以上、私としてもこれは支援をさせていただかないといけないなと思っております。

 それが何かといいますと、掛川市大須賀地区の横須賀祭りというものなんですね。これは、東京の皆さんにあえて申し上げたいんですが、東京の三社祭礼囃子、東京の祭りばやしが、実はこの静岡県の横須賀に伝わり、ここだけに残っているという、そういう歴史があるわけなので、これをきちんと、ちゃんと調査をして、なるほど、価値のあるものだというふうに高めていきたい、そういうこともあり、今回地元の皆様も頑張っているんですが、昨年報道されたこの名称が、国選択無形民俗文化財という、聞いたことのない名称だったんですね。正式名称で言うと、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財、これが行政用語であるわけですよね。ですので、行政用語に従って質問をさせていただきます。

 記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財、この記録作成等、調査ですね、この調査のため、全国で、来年度予算額は一体どのようになっているのか。そして、およそ今まで、その一件当たりの標準的な調査額というのは一体どういうふうになっているのか。ちょっとこれを説明していただきたいと思います。

今里政府参考人 委員御指摘の、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財の調査費を含めまして、民俗文化財の伝承等に関しましては三億五千九百万円を令和二年度予算案に計上しているところでございます。

 民俗文化財の調査費につきましては、令和元年度におきまして三十三件、約五千五百万円を交付決定しておりまして、一件当たり平均で申しますと百六十七万円を補助しているところでございます。

宮澤分科員 補助ということは、調査主体がどこであって、国の負担割合がどうか、これを確認としてちょっとお聞きしたいなと思います。どうでしょうか。

今里政府参考人 補助事業者は地方自治体でございます。都道府県の場合もございますし、市町村の場合もございます。補助率は二分の一でございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 申請されたものはきちっと採択していただいて、調査した結果マルかバツが出てくるわけですから、ぜひ調査については御支援をいただきたいなというふうに思います。

 それで、もう一件、この無形民俗文化財についてお聞きしたいんですけれども、交付税交付金の話の可能性がありますので、よろしいですか。事前通告してありますので、よろしいですね。

 見付天神裸祭というものがあります、私の地元に。それで、国の重要文化財については、交付税の方でその保存のための交付金が出ているやに聞きました。これは一度、省庁に聞いたことがあるんですけれども、改めてこれもちょっと聞いてみたいと思います。

 見付天神裸祭がある磐田市に交付金として来ているんでしょうけれども、所管がどこの省庁であって、目的は何のための交付金なのか、これをまず整理させてください。

今里政府参考人 地方交付税措置につきましては、所管は総務省ということでございますけれども、お尋ねの件でございますが、各地方公共団体が文化財保護に関する事務を処理するために必要となる経費につきましては、普通交付税措置に加えまして、特別交付税として、その算定の根拠として、重要無形民俗文化財の存する道府県においては一件につき八万円、市町村においては一件につき六十六万円が措置されているところでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 事務処理のお金という文言がありましたね、事務処理のお金という言葉が今聞こえました。それから、特別交付税という話も聞きました。

 地方公共団体に交付金として交付されているんでしたら、確かに使途は自由ですよ。それは確かにそうです。ですけれども、これは保存団体にお金が回らないと、地元とするとやはり納得できないという心理的な問題があります。これは行政上の理屈じゃありません。

 実際、この特別交付税交付金をもとにして、それが保存団体に渡って活用されている事例というのはあるんですか。

今里政府参考人 今委員も御指摘のとおり、特別交付税でございまして、事務を処理するためというのは、事務処理という役所側の事務の処理だけではないわけでございますけれども、民俗文化財の保存会等に直接支給をされるものではないわけでございます。

 各地方公共団体においては、域内の文化財の保護のために適切に活用しているものと承知しておりますが、例えば、事例ということで申し上げますと、埼玉県の秩父市におきましては、重要無形民俗文化財、秩父祭の屋台行事と神楽の保存、継承のため、屋台等の維持管理や、子供歌舞伎公演への支援を市の単独事業として行っているといったことでございますので、こうした事業実施には特別交付税も活用されているのではないかと認識しているところでございます。

宮澤分科員 大変わかりやすい説明をありがとうございました。確かに市単になっちゃいますものね、交付金だと。

 ありがとうございます。ちょっとこれはまた地元と相談させていただきたいと思います。

 では、もう一点、文化財について。地域文化財の総合的な活用の推進ですね。

 山車等の修復を行っている地域文化財総合活用推進事業、これはすごく人気なんですよ、すごく人気。いい事業だなと思うんですが、来年度予算と、公募、締切り、それから審査の状況、これはどのようになっているでしょうか。

今里政府参考人 御指摘の地域文化財総合活用推進事業でございます。

 これにつきまして、御指摘のように、地域の伝統行事の山車等の修復について、この事業において支援をしているところでございます。地域文化遺産として、来年度の予算額としては、十億七千八百万円を計上しているところでございます。

 また、来年度の補助対象事業につきましては、本年一月に公募の受け付けを終了しておりまして、現在、内容を審査しているところでございます。

 以上でございます。

宮澤分科員 この予算の主要事項の中に、古典に親しむという文言があります。ソフト事業にもこれは使えるのかなと今思っているんですね。

 地元においても、橘逸勢、書道の名人ですね、彼が亡くなったのは静岡県の袋井市じゃないかという、それをきちんと記録に残そうという事業もあるんですが、これが使えないのかなというような話も今聞いておりますし、申請しようという動きがあります。

 ソフト事業については、これはどのような態度で臨んでいくんでしょうか。

今里政府参考人 地域文化財の総合活用推進事業、地域文化遺産、今御指摘のあった件でございますけれども、伝統行事や伝統芸能の公開、それから後継者養成、古典に親しむ活動など、地域の文化遺産を活用した取組を支援しているところでございます。

 地域に古くから継承されている文化遺産を活用した取組、これは非常に重要なことでございますので、私どもといたしましても、これを支援することによって、地域文化財の総合的な活用を推進していきたい、こういうふうに考えてございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。文化財に対する質問は以上です。

 最後に、科学技術行政について質問をしたいと思います。

 表題は「ソサエティー五・〇の実現に向けた科学技術イノベーションの推進」とありますが、私がここで質問をさせていただきたいのは、核融合発電のことなんですよ。

 この前、私も、東京大学のシンポジウムに行ってまいりました。政務官も御参加されたことと思います。非常に重要なプロジェクトであり、やはりこれは、未来のエネルギーとして、もっとお金を出すべきじゃないのかと私は考えているんですけれども、各国の拠出額は今どうなっているのか、日本は少な過ぎないのか、そして、今後予定どおりプロジェクトは進んでいくのかどうなのか、それについて、ちょっと見解を伺いたいと思います。

生川政府参考人 核融合研究開発についてお尋ねをいただきました。

 その主要な計画でありますITER計画の件について、各極の負担について御説明をさせていただきたいと思います。

 ITER計画については、事業を開始するに当たり、建設段階におきまして、ホスト極の欧州が四五・五%、日本を含む各極がそれぞれ九・一%の負担をするということを参加極間で合意をしているというものでございます。

 この分担割合を踏まえ、二〇二〇年は、欧州が二・一億ユーロ、日本を含む各極がそれぞれ四千二百万ユーロをITER機構に対して拠出することとされているところでございます。

 また、これに加えまして、各極が担当する機器の物納貢献というのがございまして、これも別途行っているというところでございます。

宮澤分科員 額が少な過ぎるんじゃないのかということについて、今後の見通し、政治判断があれば、政務官からコメントをお願いします。

青山大臣政務官 宮澤委員、ありがとうございます。

 お尋ねのとおり、非常に重要な計画であるということでありますが、国際社会の中で分担をしつつ進めるものでありますので、言い過ぎれば、日本だけがたくさん出しても計画は進まないというところはあります。

 ただ、日本としても、非常に重要な研究であると認識しておりますので、しっかりと力を入れて推進してまいります。

宮澤分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

山崎政府参考人 済みません、ありがとうございます。貴重なお時間、失礼します。

 先ほど、学校遊具の更新の補助事業のことで、私、対象校が中等教育学校、高等学校も対象だというふうに申し上げましたけれども、失礼しました、中等教育学校の後期課程と高等学校は対象外でしたので、おわびして訂正させていただきます。済みません。

宮澤分科員 はい、結構です。

井野主査 これにて宮澤博行君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤田文武君。

藤田分科員 日本維新の会の藤田文武でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日は、公立学校における教職員の働き方改革の推進について質問をさせていただきたいと思います。

 給特法が改正されまして、公立学校におきましては、一年単位の変形労働制が自治体の判断で適用可能となりました。この一年単位の変形労働制は、今でも組合等の反対が多くて、私も聞き及ぶところによると、現時点でも反対の署名活動が結構各地で行われている。私の事務所にも反対のファクスが山ほど来た時期もあるんですけれども。

 その主な反対理由としては、今の長時間労働を追認してしまうおそれがあるであるとか、又は実態に合っていない、それから、特に部活動を担当する者は、休暇のまとめ取り、これはまとめ取りを狙った施策でもありますけれども、このまとめ取りがとりにくいということで、教職員の間で不公平が出るというようなことが、代表的なものとして声が上がっております。

 私は、この変形労働制は賛成の立場でして、いろいろ改革を進めていく中のまず第一歩ということでお聞きしておりますから、これを皮切りにいろいろ改革を進めていただきたいというふうに思うわけであります。

 まず、現状確認として、長い歴史の中で、現状に合っていない部分というのが教職員を取り巻く環境でもたくさんございまして、まず一点、公立学校における教師には残業代が発生しないわけですけれども、四%の教職調整額というのがかわりに支給されておりまして、そもそもなぜこのような仕組みになっているのか、経緯と理由をお聞かせいただけますでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この制度の制定の経緯でございますけれども、戦後、昭和二十二年度から学校教育法に基づき新しい学校制度が開始をされ、その際、公立小中学校の教師の給与は一般職の公務員の給与法が適用されるということになったわけでございます。

 その後、公務員の給与制度改革によりまして、昭和二十三年度から、教師の給与については、勤務の実態などを踏まえ、給与の優遇措置として一般公務員より一割程度増額をされたことに伴いまして、教師に対しては超過勤務手当は支給しないこととされました。

 しかしながら、その後の給与改定の結果、教員給与の優位性が失われ、また、超過勤務を命じないようにと指導したにもかかわらず、超過勤務が行われる実態が多くなり、超過勤務手当の支給を求める訴訟も提起をされるようになったところでございます。これらを踏まえまして、人事院は、昭和四十六年二月に、教職調整額の支給などに関する法律の制定について意見の申出を行いました。

 このような経緯を経て、教育が教師の創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことなどの教師の職務と勤務態様の特殊性に基づき、時間外勤務手当は支給しないかわりに、勤務時間の内外を包括に評価した処遇として、教職調整額を本給として支給すること、また、時間外勤務を命ずる場合は、超勤四項目に限定することなどを内容とする、いわゆる給特法が昭和四十六年五月に制定をされたものであります。

 また、教職調整額の四%という支給率につきましては、当時の文部省が昭和四十一年度に行った教員の勤務状況調査の結果、年間の月平均の残業時間が八時間程度となっており、この八時間分の時間外勤務手当の額が給料の約四%に相当することを考慮したということでございます。

藤田分科員 ありがとうございます。

 四%は八時間の超過勤務から計算されているということですが、実態的にもう今はかなり長時間勤務化が進んでおりまして、これを全部残業代で出してしまうかというのは、これは大きな予算もかかわってくることですから非常に難しいところではありますし、先ほど御答弁いただいたように、教員の仕事の特殊性というものも鑑みないといけないことだと思います。

 その中で、やはり今回の変形労働制で働き方改革をしっかりと進めていく中で、どうしても自分の力ではなかなか短時間化していけないという部分が幾つか要素としてあるわけでありますけれども、その中で、特に中学校、また高校もそうですけれども、中学校では、部活動の問題、これが非常に長時間労働の原因になっているというのがございます。

 部活動についてちょっと議論したいんですけれども、教員勤務実態調査の分析結果を見てみると、勤務時間の長時間化の主因は、小学校では、授業準備、学校行事、そして成績処理がベストスリーに入ります。それから、中学校では、部活動、授業準備、学校行事、それに加えて学年・学級経営や成績処理というものが挙げられます。

 私も学校現場の知り合いがたくさんおりまして、いろいろ聞いてみると、これ以外にも、実は保護者対応というのが、これは数字に実は少なく見積もられているんですが、保護者対応は帰ってからやっていることが多くて、今は、昔のように固定電話が、ほとんど親御さんは持たれていませんから、共働きが多いというのもありまして、携帯でのやりとりを夜にやるというのが結構あるというふうにお聞きしていまして、昔では余りこの程度では親に連絡しないということでも、保護者さんに、ちょっと遅刻があったとか、そういうことでもやはり丁寧に対応するというのが現場での慣例になりつつあるということで、これも負担が大きいところでもあります。まあ、余談ですが。

 こうやって要素を見ていくと、今の保護者対応のところはなかなか時間換算が難しいので、これはすぐに解決する問題ではありません。

 それから、授業準備とかに関しては、これも大きな問題ですが、これは、スキルや経験である程度カバーしていくことができる、努力次第で効率化していくこともできる要素として挙げられると思います。

 それから、学校行事に至っては、学校のマネジメントとか、仕事の割り振り、役割分担、こういったことでも工夫の余地がある。

 その中で、やはり部活動に関しては、一旦ある部活動で顧問についてしまうと、なかなかこれが自分本位では調整できない、努力でなかなかこの短時間化を進めていけないというのがあります。

 私は、この部活動に関しては、教員の働き方という観点からも、また、スポーツの普及発展という観点からも、まあ、部活動は文化系ももちろんございますから芸術振興もそうですけれども、特に部活動という側面においては、ここにちょっと改革のメスをぜひ入れるべきだというふうに思うわけであります。

 そこで、お聞きしたいのが、まず、部活動の法的な位置づけ、これがどうなっているかをお聞かせください。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 部活動は、中学校及び高等学校の学習指導要領におきまして、学校教育活動の一環として、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものであり、御指摘のとおり、スポーツや文化あるいは科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質、能力の育成に資するものと位置づけているところでございます。

 あわせて、部活動の実施に当たりましては、学校や地域の実態に応じて、地域の人々との協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い、持続可能な運営体制が整えられるようにすることを、同じ学習指導要領の中で明記をさせていただいているところでございます。

 以上です。

藤田分科員 ありがとうございます。

 学習指導要領の中で、生徒の自主的な活動というのが、今答弁いただきましたが、これは非常に曖昧な位置づけで、教員が必ずこれを業務内で見ないといけないというような位置づけではないわけです。

 部活動指導員というのが最近ありまして、これに国からの補助も出ておりますが、これのちょっと実情、実態についてお聞かせいただけますか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 部活動については、部活動を担当する中学校の教師の約半数に競技経験がないこと、あるいは土日を含めた長時間の活動が行われているとの課題の指摘がございますことも踏まえまして、適切な指導体制の構築や教師の負担軽減を図るため、文部科学省としては、平成二十九年度に、部活動における専門的な指導や大会の引率を行う部活動指導員の制度化を行いました。

 特に、公立学校における部活動指導員につきましては、文部科学省として、その配置を促進するために、平成三十年度の予算から、中学校における部活動指導員の配置事業におきまして支援を実施してきておりまして、現在御審議いただいております令和二年度の予算案の中では、十一億円、一万二百人分の予算を計上させていただいているところでございます。

 以上です。

藤田分科員 ありがとうございます。

 部活動指導員ということが始まったことは、私はすごいいいことだと思っているんです。

 その中で、ちょっと実情を見ますと、部活動指導員で生計を立てるというのはほぼ不可能に近い。

 実際に、大阪府のとある学校でいろいろ聞いてみると、とある部活に一回来ていただいたら三千円から五千円ぐらいの上限で、年間三十回までぐらいにしましょう、こういうようなやりとりがあるわけです。そうすると、年間にすると約十万円ぐらいの収入になりますから、これはボランティアに近い位置づけなんですね。

 実際に、教員のOBとか大学生、非常勤講師が兼務するとか、部活のOBの方とか、それからもう全くの地域のボランティアとか、こういう方々が部活動指導員の制度を活用して部活動にかかわってくださっている。これはいいことなんですけれども、一方で、これを拡充しようかといったときに出てくる問題が、人員確保が難しいよね、なかなかそんな都合のいい人はいないよねというのがあるわけです。

 実は、国からの補助は、一時間当たり補助単価千六百円というふうになっておりますけれども、千六百円と聞くと、補助単価が千六百円で、行政がプラス、自治体がプラスオンしてもいいわけですけれども、数字だけ聞くと非常にいい、よく聞こえるんですが、その方の報酬を年間とか月で考えた場合、到底、これが自分の働き方の一部に組み込めるかというと難しい、どうしてもボランティアの域を出ないというふうなことがあります。こういうことがあるので、人材確保が難しいんじゃないか。

 私は、逆転の発想で、部活動指導員というものをもう少し拡充するなりして、実際に、例えば、報酬の単価をアップさせるとか、それから法人が契約できるようにするとか、それから商取引が成り立つような仕組みにまで引き上げて考えていく。

 これは、予算を、例えば三千人分、四千人分拡充しましょうというような、少し上増しするという予算組みの発想では恐らく出てこないと思うんですけれども、この部活動を、実際に大きな改革を、メスを入れていこうという観点から、そういった報酬アップですとか、法人がちゃんと契約できやすくするとか、そういうような仕組みはできないものかというふうに考えますが、今後の展望も含めてお考えがあればお聞かせいただきたいんですが、自治体の努力では無理です、自治体は予算がそこまでとれませんから。ですから、これはやはり国の問題になってくると思うんですが、お考えがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 部活動の指導員の派遣事業につきまして、指導員の報酬単価でございますが、我々としては、和歌山県や横浜市などの先行して部活動指導員の配置に取り組んでいた自治体の実態を踏まえまして、報酬、賃金として一時間当たり千六百円を設定をしているところでございます。

 また、来年度の予算案におきましては、委員の方からも御指摘がありましたが、より広く人材確保を進めるということで、自治体の要望等も踏まえまして、交通費の補助をできるように、その関係経費を新たに計上したところでございます。

 学校の働き方改革の観点から、教員にかわって部活動指導や大会引率が可能となるように、公立学校においては、部活動指導員を学校教育法施行規則に規定される非常勤の公務員として配置をすることが重要であるため、部活動指導員配置事業において、民間委託による派遣等は現在も対象としていないということでございます。

 なお、少子化の中で、これまでのように学校ごとに各種のスポーツ競技や文化活動に関する部活動を維持することが困難になっている状況を踏まえまして、これらの活動の持続可能性のためにも、省内の、現在、文部科学省の大臣政務官を座長とします部活動のあり方検討チームにおきまして、地域や民間など、学校以外の主体による部活動のあり方などについて検討を進めているところであります。この中で、企業等の民間事業主体とどう連携をしながら子供たちにスポーツや文化活動の場を提供できるかについても検討を重ねてまいりたいと考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 いろいろ状況を、各地を見ていただいて検討を進めていただきたいんですが、きょうは提案も含めてなんですが、部活動指導員は、一番最初に始まったときは、例えば校外への引率とか学校をあけ閉めするみたいなことはできませんでしたが、引率なんかもできるようになってきています。ということは、教員でない者がそこを受け持つというのはできるようになってきているという考え方もできます。

 もっと踏み込んで、私は、諸外国の多くの例を見てみますと、学校教育と、例えばスポーツとか、文化活動もそうですけれども、部活動は切り離されているところが多い。クラブチーム化して切り離すということも、今後の考え方としては必ずこれは選択肢に、踏まえていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。つまり、学校教育とセットで行われてきた部活動というもののあり方自体をぜひ抜本的に検討していただきたい。

 例えば、これはいろいろな効果がありまして、今、部活動で、例えばスポーツに限定しましょう、スポーツでしたら、私はラグビーをずっとやっていましたが、ラグビーで、公立の中学に入って部活をやっていて、そうしたら、二年生のときに先生がいなくなりました。そうすると、やったことのない人が部活を見ることになって、そのスポーツの経験がない先生に、ある種の指導というか、管轄になる。そうすると、伸びるはずだった選手が伸びなくなるということももちろんありますし、そういうパフォーマンスの面もそうですし、あとは、けがのこともあります。やはり適切な運動指導、スポーツ指導をするというのはけがのリスク低減にもつながりますから、指導者の安定性というのは、やはり外部の力をかりられる枠組みというのをぜひ考えていただきたいというのがまず一点。生徒側から見た利点も一点。

 それからもう一つは、やはりきょうの一番冒頭に申し上げましたが、先生の働き方のところで、先生がとある部活動につくと、もちろん、部活動の指導もそうですけれども、夏休みも出ないといけない、春休みもやはり出ないといけない、それから連盟の仕事もしないといけない、こうなりまして、私、ラグビーで大阪ですけれども、大阪には花園ラグビー場というのがあって、高校のラグビー大会がありまして、ほとんど年末年始、最後の、定年まで連盟の仕事で行く、協会の仕事で行く。これは結構かわいそうなこともありまして、できれば、スポーツ、広く部活動の環境とそれから学校教育というのを切り離して、それぞれ整理して、それぞれの質を上げていくということをぜひやっていただきたいというふうに思います。

 そこで、今、働かれている教員の方々も、部活動指導員に正採用の先生がなって報酬をもらうというのは多分できないと思うんですけれども、そこにも門戸を開放して、短時間労働化した上で、学校の先生が指導したいのであればできるという体制も考えられるでしょうし、そのように先生の働き方改革の観点とそれから部活動、スポーツや文化とか、文化系も含めて、そういうものの質を上げていくということを仕組みの面でぜひ検討していただきたいなというのを提案も含めて思っておりますが、これについてお考えがあれば、お聞かせいただけたらと思います。

萩生田国務大臣 部活動は、生徒の体力や技能の向上だけでなく、向上心や規範意識など人間力の向上にも資するものであり、教育的意義を有する活動だと思います。

 一方で、中学校教師の休日勤務の大半を占めているという実態とともに、運動部活動を担当する教師の約半数が競技経験を有していない状況にあり、部活動における教師の負担軽減を図ることは喫緊の課題であると考えております。

 文科省としましては、平成三十年に策定した部活動のガイドラインにおいて、活動時間と休養日の基準に沿った適切な部活動の実現、学校単位で参加する大会の見直し、部活動の地域移行と地域のスポーツ環境の充実のための取組を進めることとしております。

 このうち、ガイドラインの基準に沿った適切な部活動の実現については、短時間で効果的な指導等を推進するため、競技団体と連携し、指導の手引の作成、活用を図るとともに、教師にかわって指導や大会への生徒の引率を行う部活動指導員の配置を促進しております。

 次に、大会の見直しについては、主催者である中体連や高体連に対し主体的な検討を依頼しているところです。両団体からは、来年度中に結論を得る見込みであると伺っており、文科省としても、関係団体と連携しながら、大会の見直しを推進してまいります。

 また、三番目の部活動の地域移行、先生からも御提案がありました。これにつきましては、学校の部活動の活動日程を縮減し、そのかわりに地域のスポーツクラブの活動として実施している事例があり、文部科学省としても、このような取組の横展開を図りながら、部活動の地域移行を段階的に進めていきたいと考えております。

 お話のあったラグビー部などは、最低十五人いないとチームが組めないわけです。今、小規模校が非常に多くなって、一つの学校でラグビー部を維持するというのは難しいので、拠点校をつくって、そこに放課後移動してもらう。こうなると、もはや学校の部活動じゃなくて、地域スポーツクラブとして受皿をつくってもらった方がより中身が充実するのではないかという一面もありますので、検討してみたいと思います。

 一方、部活動の指導に熱心に取り組む先生や、例えばアスリートの経験を有する先生もいらっしゃいますので、それらの方々が引き続き生徒の指導に携わることができる仕組みも重要だと思っています。先生方が地域のスポーツ活動や文化活動の指導に、例えば兼業や兼職の許可を受けて参加すること、すなわち、一回教師という立場を切って、その後は、アルバイトといいますか、民間の指導と同じような形で参加することも今後の重要な選択肢であると考えております。

 たまたま先日、マーチングバンドの関東大会というのに私は文科大臣として出たんですね。ちょうど、先生が最初にお話ししていただいた、言うなら給特法の改正の直後だったので、日曜日の大会に引率で大変御苦労さまですということで、さぞ大変だろうと思ってお声をかけたら、そこに来た先生方に、皆さんに囲まれて、大臣、我々からマーチングバンドの部活の顧問をとるようなことはやめてください、我々の生きがいなんです、日曜日にどんなコンサートを聞くより、教え子たちのこの演奏を見て、我々は月曜日からの勇気と元気をもらっていると言われると、なるほどな、そういう先生方もいるんだなということを感じたところでございますので、一概に、一本道で議論するのではなくて、いろいろな多様性の声を入れながら、学校の部活動の充実を検討してみたいというふうに思っています。

 学校の働き方改革の実現にも資するよう、引き続き、部活動改革をしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

藤田分科員 前向きな御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 確かに、大臣おっしゃるように、やはり好きで一生懸命やられている先生もいらっしゃるので、その先生方が部活動指導を継続できるという枠組みの中で前に進めていただきたいと思いますが、これは、さっきありました合同チームみたいな話は、私の母校も合同チームになったりとかしているんですけれども、単一のチームになったりとか。これはやはり連盟や協会が全国大会に出る縛りにしてしまっている、合同チームは出られないというようなこともありますから。そういったことはやはり政治サイドから正していくべきことだとも思いますので、ぜひとも前向きに、この部活動のあり方について抜本的に考える時期に来ていると思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、教員の免許更新制についてお伺いしたいと思います。

 端的に言うと、これはメリット、デメリットで考えるとデメリットの方が多く、私は、ちょっと見直すべきじゃないか、もっと端的に言うと、やめた方がいいんじゃないかというふうに思っております。

 もともと、制度の目的としては、時々で求められる教員として必要な資質、能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身につけることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものである。ちなみに、不適格教員を排除することを目的としたものではないという注釈がついてあります。

 これは、十年を有効期限に、三十時間の受講が義務づけられているわけですけれども、この目的に合致しているのかというと、なかなかそうじゃないんじゃないかなという現状があります。それから、今、労働不足の時代で、教員をいかに確保していくかというのがある中で、デメリットのところで私がちょっと気になるところを申し上げますので、それについての見解を、この制度における見解をお聞かせいただきたいんです。

 まず、受講者の負担が厳しい。三十時間以上の受講、受講料、それから、時間もそうですしお金もそうですし、テキスト代、又は、田舎の場合には交通費や宿泊代もかかってくる。先生によっては、一回の受講、一回更新するのにやはり十万円ぐらいかかってくるという方もいらっしゃいます。

 それから、更新時期の通知が全免許保持者にあるわけではないので、これは失効してしまう場合がある。特に、産休、育休中なんかに免許を失効してしまうケースもあります。

 それから、受講資格が私は極めて排他的であるというふうに思いまして、これが雇用の流動性を阻害しているとも思います。

 例えば、非常勤講師とかをどうしても使わなければいけないといったときに、ペーパーティーチャーのような、それから、教員経験が今までなく、社会人で活躍されてきた方がそこに参入するというのが非常に難しくなっている。例えば、今まで教員の経験がない人は、講師を登録しないと受講さえできない。これは非常に排他的だなというふうに思います。

 これが新たにそういう方が参入するのの障壁になっているというのもあるし、学校側からすると、特に、教員不足の、まあ、都会はいいですけれども、教員不足の地域によっては、臨時採用とか非常勤の選択肢が非常に狭まってしまうというふうなことが挙げられます。

 テストをやる側の、教育委員会側の事務量というのもありますから、これはそろそろちょっと見直して、この制度は私は廃止した方がいいんじゃないかなと思いますが、御見解をお願いいたします。

浅田政府参考人 社会が刻々と変化して、教育についてもいろいろな期待、要請がある中で、教員が新しい知識技能を確実に身につけるということは、教育の充実を図る観点から重要だと考えています。

 教員免許更新制は、全ての教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られるようにすることを目的として、平成二十一年度、二〇〇九年度から導入されたものでありまして、十年に一度、教師の資質、能力を刷新するための重要な制度であると考えております。

 一方で、例えば、免許状更新講習とほかの研修を同時に受講しなければならない場合など、教育活動や公務との調整などで教員にさまざまな負担感が生じているということも承知をしております。

 こうしたことを踏まえて、文部科学省では、免許状更新講習と都道府県等が実施している研修を兼ねて実施をすることで受講の重複を避けるなど、体系的、効率的に免許状更新講習を受講できる、あるいは先生方の負担を少しでも軽くすることができるように取組を進めているところでございます。

 さまざまな課題は我々も承知をしております。文科省としては、引き続き、先生方の負担軽減、あるいは受講環境の整備などを図りながら、より体系的、効果的な免許状更新講習の受講ができるように取組を進めていきたいと考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 先生の負担軽減も一つの大きな論点で、申し上げましたように、やはりこれから労働力不足の時代で、教員の数もなかなか確保が大変という中で、その参入障壁になるようなことを、できるだけその障壁を下げていただきたい、その観点からもぜひ検討いただけたらと思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたが、最後に、支援教育、療育環境、そういったことについて御質問させていただきたいと思います。

 子供を取り巻く環境は、現在、子供の発達障害に目を向けると、年々ふえ続けている。これは、診断技術の向上もありまして、認知度も上がっていることから、早期発見、早期療育、早期支援ということが一番の重要課題というふうになっています。

 民間の放課後等デイサービス、それから児童発達支援事業所というところは、現在、利用者数が、放課後デイでいうと約二十三万人、事業所は一万四千カ所となっていまして、これは非常にふえている。なので、発達障害を持っておられるお子さんは、大体事業所にお世話になっている方が多くなっている。その中で、親御さん、保護者の方、それから学校、医療機関、そして民間の事業者がやはり連携して、いい療育を提供していくというのがこれからの非常に大きな課題となっているというふうに思います。

 この放課後等デイサービスには、関係機関と連携したら加算が出る。つまり、報酬がもらえるので、そういう連携を加速させなさいというインセンティブが働いているんですけれども、学校側の連携体制、これは学校によってはまだ周知されていなくて、何でそんなことを我々が業務の中でやらなあかんねんという認識の方も、まだまだ学校の先生、おられますので、今の学校の連携体制についてどのようになっているか、お聞かせいただけますでしょうか。

丸山政府参考人 発達障害を始めとする障害のある児童生徒の支援につきましては、先生御指摘のとおり、教育分野のみならず、医療や福祉を始めとする関係機関の連携が重要であると考えております。

 特に、教育と福祉の連携については、学校と放課後等デイサービス事業者等における相互理解の促進や情報共有などの連携の必要性が指摘されていることを踏まえ、文部科学省では、厚生労働省と連携をしまして、トライアングルプロジェクトを立ち上げ、平成三十年三月に報告を取りまとめたところでございます。

 文科省では、この報告を踏まえ、障害のある児童生徒及び保護者に対する一貫した支援の提供に資することを目的としまして、学校教育法施行規則を改正をし、個別の教育支援計画の作成に当たって、放課後等デイサービスなどの関係機関等と情報共有を図る必要がある旨、新たに盛り込んだところであります。

 また、これまで、厚生労働省との連名による自治体向けの通知や各種会議を通じまして、報告書の内容等について周知を図ってきたところでございます。

 学校におきましては、例えば、放課後等デイサービス事業者とのやりとりの担当者を明確にしたり、放課後等デイサービス事業者等の連携会議を実施をするなど、連携の促進に向けた取組が行われてきていると承知をいたしております。

 今年度、文部科学省では、学校と放課後等デイサービス事業者等の連携を更に促進をするため、他の自治体への波及が可能な連携に際してマニュアルを作成することを内容としたモデル事業を新たに開始をしたところであります。

 引き続き、厚生労働省としっかり連携をしまして、各自治体における教育と福祉の連携を深め、障害のある子供とその保護者への支援がしっかり行き渡るように、各種会議等で周知をするなど、取り組んでまいりたいと考えております。

藤田分科員 時間が来ましたので、最後一問、ちょっとできませんでしたが、今の話、ぜひ学校の先生方にしっかりと、連携していくというのを周知徹底していただきたい。ここ数年、ちょっと認知が広がってきましたが、やはり最初のころは、それは業務外じゃないかというような認識がずっと現場にあったものですから、事業者がなかなか連携がとりづらいというのが非常に多く専門領域の方々から声が上がっておりましたので、文科省側から、これは文科省と厚労省の、さっきありましたトライアングルの話ですけれども、ぜひとも周知徹底していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

井野主査 これにて藤田文武君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷一馬君。

中谷(一)分科員 立憲民主党の中谷一馬でございます。

 よろしくお願い申し上げます。

 本日は、菅直人元総理と連携をいたしまして、教育行政に係る基本的な諸課題について、るる伺ってまいりたいということを思っております。

 まず、私の方からは、萩生田大臣の教育行政に関するさまざまな基本的な考え方について伺ってまいりたいということを思います。

 私自身は、自分自身が母子世帯の貧困家庭で育ちました。その原体験から、世の中の貧困と暴力を根絶したい、平和で豊かな社会がいつもいつまでも続く世の中をつくりたい、こんな思いで政治の道を志しました。

 父と母は、私が小学校のときに離婚をいたしました。母は、私と妹二人、きょうだい三人を何とか養っていこうと早朝から深夜まで働きに出てくれましたが、働いても働いても生活は苦しくなるばかりでした。

 この国の一人親家庭のお父さん、お母さんたちは、八一・八%の方が働いているにもかかわらず、平均年収は約二百万円にすぎません。そして、相対的貧困率は五〇・八%にも達します。こうした状態は、本人の努力が足りないのではなく、やはり社会的な問題に欠陥があることの証左だということを思っています。

 そして、働き続けた母は、体を壊し、寝込むようになりまして、生活保護をうちは受けることとなりました。

 こうした家庭環境で育った私から見て、政府がさまざま実行される政策の中でやはり視点として欠けているなと思うことが、市民生活に対する想像力と社会的弱者に対する共感力だと思っています。

 そして、特に子供たちは、自分の努力だけでは乗り越えられない壁があります。私も、当時、やはり、母のかわりに働きに出て家計を支える力はありませんでした。だからこそ、それを社会の、今の、当代の大人の責任として、私たちが支えていく、そうした環境をつくっていくことが、今の時代を、政治を担う者の責務であると思っています。

 そこで、萩生田大臣に伺いますが、萩生田大臣は、今までの人生の中で、お金に困った経験はありますか。エピソードなどがあれば教えてください。

萩生田国務大臣 今、先生が生い立ちをお話しいただきました。私、こういういでたちなので、よく誤解をされて、いいとこのお坊ちゃんで政治家になったと思われるんですが、両親共稼ぎのサラリーマン家庭に生まれ育ちました。行きたい学校にもなかなか、選択肢が広がらない中で、親には苦労をかけて、そして、二つ年下に双子の妹がおりまして、我が家は高校生三人を抱えなきゃならない、こういう時代の中で、私だけが私立の学校に無理を言って行かせてもらった、そういう経緯もあります。

 私、政治に参加をしようと思った、もっと言えば国政に参画をしようと思った原点というのは、家庭の経済事情によって子供たちの人生の選択肢がどんどん狭まっていくこの日本は夢がない国だ、これを何とか変えたいと思って国政に参画したという自負がございますので、ある意味、先生と同じ思いで、きょうこの場に立たせていただいている、そんな感じでございます。

中谷(一)分科員 私も、萩生田大臣の昔の写真を拝見させていただきまして、リーゼント時代の、あのいかつい写真を拝見させていただきまして、ああ、いろいろ御苦労があった方なんだなということを実は事前に知っておりました。そうした大臣だからこそ共感をしていただける部分があるんじゃないかなと思いまして、本日るる質問をさせていただきたいと思っているんですが。

 まず、大臣、大臣は、教育基本法、これを読まれたことはございますか。

萩生田国務大臣 教育基本法全体は、とりあえずは目を通したことはもちろんございます。

中谷(一)分科員 その中で、第四条はどういった内容か、簡単な趣旨を御説明いただけますか。

萩生田国務大臣 恐縮です、手元に基本法がないので。

中谷(一)分科員 済みません。教育の機会均等のことが書いてあります。

 その中で、教育機会の均等について、大臣は、身の丈に合わせて頑張ってとの発言を英語民間試験のときにされました。この発言をめぐって、私は、やはりこの四条の教育機会の均等から大きく外れるんじゃないかなということを思っているんですが、当時、どういった意図でこの発言をされたのか、簡単に御説明ください。

萩生田国務大臣 繰り返し答えてきましたけれども、決して、私、教育そのものの身の丈を言ったんじゃなくて、チャンスの平等はつくることができたとしても、そこにたどり着くまではいろいろな家庭環境の違いというのがあって、そこはもう、自分たちで一つ一つ頑張って、チャンスを生かして頑張ってほしい、こういう思いで申し上げたので、決して、切り捨てるような上から目線で身の丈というワードを使ったんじゃないんですけれども、後々、文字になってみますと、そういう誤解もあるなと思って、撤回をし、反省をしたところでございます。

中谷(一)分科員 国民の皆様に、特に受験生の皆様におわびを申し上げると謝罪をし、反省をされているということを私も拝読をさせていただきました。その中で、反省をされているとすれば、私は、文部科学大臣として責任を持って教育機会の均等を国民に保障していただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 全くのイコールをつくり上げることができるかは、さまざまな課題がありますけれども、先ほど申し上げたように、家庭の経済事情によって選択肢が限られていくような世の中は変えていきたい。そのために、一つ一つ、そのチャンスの幅を広げていきたいと思っております。

中谷(一)分科員 そのお言葉、私も受けとめまして、各論の方に入らせていただきたいと思いますが、教育などに関する公的な支出の現状、日本ではかなり支出が少ない現状があるように感じております。

 例えば、教育機関への公的支出はOECD諸国三十四カ国中の三十四位、大学生への公的支出、OECD諸国中三十四位、一人親世帯の貧困率はOECD諸国中三十三位、幼児教育に対する公的支出はOECD諸国中二十九位、一クラス当たりの生徒数はOECD諸国中二十六位、そして教員の仕事の時間、OECD諸国中二十三位。これらは日本の教育、子育ての環境の現状をあらわす数字ですが、いずれも先進国の中では非常に低水準です。

 また、日本では、貧困と格差が拡大し、家計はどんどんと苦しくなっています。日本で働く人口五千六百六十万人中、非正規社員は二千百六十五万人、約四割の方がこういった状況にありまして、この方々の平均年収は百七十九万円。月十五万円にも満たない水準です。こうした現状に置かれている方々が、安心して結婚したり、出産したり、育児を行ったり、教育を受けたり、奨学金を返済したりできる生活環境ではないことは、明らかに想像がつくと思います。

 そうした中、日本学生支援機構が行った調査によれば、学生生活費のうち、家計からの給付は、二〇〇〇年度が百五十六万円であったものが、二〇一二年度には百二十一万円まで急激に落ちています。そのため、大学生の多くがアルバイト漬けの生活を余儀なくされており、学業に大きな支障を来している現状があると言われています。

 私も、専門学校に進学をした際、授業や研修を受け、国家試験の勉強をしながら、入学金の借金返済と卒業までにかかる授業料と生活費、これを確保しなければならず、平均して一日十八時間、月五百時間程度を学業と労働関係に費やすといった生活環境でありましたが、本来的には、こうした教育環境が学生にとってよいわけがなく、大学生の二人に一人、半分程度の方が何かしらの奨学金で借金をしなければならない教育環境そのものが大きな問題だと思っています。

 そこで伺いますが、教育の機会均等の確保、将来を担う人材の育成、保護者の経済的負担の軽減を図るなどの観点から、政府は、教育における公的財政支出をOECD平均以上まで引き上げ、教育環境を抜本的に改善すべきであると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

萩生田国務大臣 OECDのデータ、今先生御披露いただきました。我が国のGDPに占める公財政教育支出の割合は三・一%であり、データのあるOECD加盟国三十五カ国中三十四位です。また、公財政教育支出のうち教育機関に対する支出に限った場合の対GDP比は二・九%で、これは最下位でございます。いずれも低い水準であることは受けとめなくてはなりません。

 御指摘の教育格差について申し上げれば、家庭の社会経済的背景、すなわち、家庭の所得や保護者の学歴などと子供の学力や四年制大学への進学率には相関関係が見られること、そして、学歴等により生涯賃金に差が見られることも指摘をされております。

 これらを考えると、家庭の経済状況に左右されることなく質の高い教育を受けられるようにすることは極めて重要であると考えており、文部科学省としては、さまざまな教育課題に対応し、我が国の国際的地位にふさわしい政策を実施するために、十分な教育予算を確保する必要があると考えております。

中谷(一)分科員 その教育予算を確保するということは、OECDの平均以上にしていただけるということですか。それとも、そうではありませんか。

萩生田国務大臣 直ちにOECDの基準にということにはならないと思いますけれども、必要な政策をしっかり実施するために、十分な予算、教育予算というものは確保する努力をこれからもしていきたいと思います。

中谷(一)分科員 ぜひ前向きに進めていただきたいということを思っています。

 そして、学費も以前と比べて非常に高騰しています。

 今、立憲民主党の青年局において、学生の皆さんから意見を伺うという企画をしておりまして、その中で、学費の高騰や若者の貧困の現状について御教示をいただきました。きょう、教えてくれた方も傍聴に来てくださっているんですが。

 私の方でもさまざま実態を調べたところ、労働者福祉中央協議会が行った奨学金や教育費負担に関するアンケート調査によれば、高等教育負担の軽減策で実現してほしいこととして、大学などの授業料の引下げと答えた方が七二・四%、学費の減免制度の拡充と答えた方が五六・六%、給付型奨学金の拡充と答えた方が四八・二%、貸与型奨学金を無利子にすると答えた方が四〇・二%となっており、皆、経済的負担、これが重たいから何とかしてほしいということを切実に訴えておられます。

 ちなみに、一九七五年、昭和五十年時点の大学における初年度納入金、授業料と入学金の平均額は、国立で八万六千円、公立が五万二千九百十五円、私立が二十七万八千二百六十一円でありましたが、その一方で、現在、二〇一九年、令和元年の平均額を見ると、国立で八十一万七千八百円、公立で九十三万千百二十五円、そして二〇一八年、平成三十年、私立で百十五万四千百三十一円と急騰しております。

 四十年前と比べて、物価は約二倍となっていますが、国立の負担は九・四倍、公立の負担は十七・六倍、私立の負担は四・一倍となっており、相対的に学費負担が高くなっている現状がデータからも明らかとなっています。

 その一方で、OECD三十四カ国中、フランスやドイツなど十七カ国では大学授業料が無償化されています。

 私は、全ての子供たちが、その子たちにとってよりよい教育を受けることができる社会の実現を目指すことが不可欠であると考えており、幼児教育、初等教育、中等教育、高等教育など、教育環境を子供たちに保障すべく、教育費の無償化を漸進的に進めるべきであると考えております。

 そこで伺いますが、世界的に見ても極めて高くなってしまった学費負担を引き下げるために、国立大学校運営交付金や私立助成を拡充すると同時に、授業料等減免制度、給付型奨学金については、大学院生も利用できる制度にしていただき、支援対象となる学生の範囲を世帯年収三百八十万円以下程度の住民税非課税のみに限らず、経済的に修学することに苦慮をしている子供たちが幅広く利用できる制度に拡充していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。所見を伺います。

萩生田国務大臣 本年四月から開始する高等教育の修学支援新制度は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなども踏まえ、真に支援が必要と考えられる低所得世帯に限って実施をすることになっております。

 これまでも、希望者全員に対する貸与の実現など、無利子奨学金の充実を進めてきたところです。また、経済的理由から奨学金の返還が困難となった方には、返還の期限を猶予したり、将来の収入に応じて返還できる制度を導入したりするなど、きめ細かな救済措置を講じ、高等教育への進学の支援の充実を図ってまいりました。

 給付型奨学金を更に拡充することについては、低所得世帯以外は貸与型奨学金の拡充により進学機会が開かれていること、また、高校卒業後の進路が多様であり、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることを十分に踏まえ、慎重に議論する必要があると思っております。

 文部科学省としては、新制度や無利子奨学金などの教育費の負担軽減策を着実に実施することにより、家庭の経済事情にかかわらず、安心して学べる環境の整備に努めてまいりたいと考えています。

中谷(一)分科員 るる御答弁をいただきましたが、奨学金の返済猶予、これもあり方に問題があると思っていますし、十年たった段階でその方に収入がなかったとしても、やはり返済を始めなければならない。全く実態には即していない制度であるということを言わざるを得ませんので、やはり、期間も十五年、二十年と、私は、もう少し奨学金をゆとりを持って返せる制度というものをしっかり検討すべきだと思っています。

 利子についても、今の機構の奨学金においては、無利子と有利子の制度があります。そして、平成十五年時点では、無利子奨学金を利用していた人の総数は約百八十五万人でした。貸与総額は二兆百五十一億円余、そして、有利子奨学金を利用していた人の総数は約九十六万人、貸与総額で一兆三千六百六十億円余であり、無利子奨学金の方が当時は二倍程度の規模だったんです。

 これが、十五年たった今、平成三十年度では、無利子奨学金を利用している人の総数が二百二十五万人、貸与総額で二兆八千二百九十一億円余で微増はしているんですが、有利子奨学金を利用している人の総数は約三百六十九万人で十五年前の三・九倍、貸与総額が六兆六千七百七十五億円余で十五年前の二・四倍であり、有利子奨学金の規模が拡大を続けている現状があります。

 奨学金が、憲法第二十六条及び教育基本法四条に基づいて、経済的理由により修学が困難である学生等に対して教育機会の均等及び人材育成の観点から経済的支援を行うことを目的としている制度ならば、外部からの財政融資資金等を受けて年利三百五十億円を苦学生上がりの社会人からむしり取り、機関投資家に納めるような組立てではなく、本来は、国が責任を持って一般会計から必要額を支出して、基本的には全ての奨学金を無利子で貸し付ける制度に僕は移行するべきだと思うんですが、いかがでしょうか。大臣の所見を伺います。

萩生田国務大臣 有利子奨学金の利率は、財源である財政融資資金等の利率と同じになるように設定することとしているため、利率を下げるには差額分を国費で補填する必要があります。

 また、有利子奨学金の利息収入は、日本学生支援機構の二〇一八年度決算において約三百二十六億円であると機構より聞いており、無利子化を行うには、これを毎年度国費で賄う必要が出てまいります。

 御指摘のように、国費により利子を補給する方式で有利子奨学金の無利子化を行うことについては、将来的に金利が上昇した場合には国の財政支出が増加する等の課題があるため、慎重な検討が必要であると考えています。

中谷(一)分科員 今はマイナス金利が非常に続いていて、はっきり言って、今、利息を一%以上取られている奨学金を受け取っている方というのは今でも百十一万人以上いるんですが、これは何とかできるんじゃないかなということを思っています。

 奨学金返済のそもそも基礎となる所得だったり雇用、これが、非正規労働や低賃金、不安定労働の増加によって厳しい状態になっています。要するに、奨学金を返したくても返せないという現状が生み出されていますから、こういったものを改善をしていかなければいけません。

 あとは、貯蓄ゼロ世帯、これも現政権下で急増しています。

 家計の金融行動に関する調査、これによれば、二〇一九年の現政権下の貯蓄ゼロ単身世帯は二十代で四五・二%、三十代で三六・五%となっております。また、老福協の調査でも、奨学金返済が貯蓄に影響していると答えた方は二十代で八〇%、三十代で七〇%となっており、奨学金が原因で貯蓄ができなくなっている現状は明らかです。

 こうした現状を鑑みて三点伺いますが、マイナス金利などが続いている、一%未満の金利が主流である中、奨学金の貸付けで二%、三%の金利を取ることは、本来の目的から見てもいかがなものかと思いますので、一%以上の金利を払っている百十一万四千二百六十件の債権に関しては、全て一%未満まで引き下げることを検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 また、延滞金賦課率が現状では五%となっていますが、二〇二〇年四月より施行される改正民法では法定利率が五%から三%に引き下げられることを踏まえれば、延滞金賦課率も三%に引き下げることは当然だと思いますし、もっと言えば、返済困難の大きな要因となる延滞金自体を廃止することを検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 さらに、元本返済が後回しとなる現行の充当順位について、延滞金、利息、元本から元本、利息、延滞金に変更すべきであると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

萩生田国務大臣 繰り返しになりますけれども、有利子奨学金の利率は、財源である財政投融資資金等の利率と同じように設定することとしているため、利率を下げるには差額分を国費で補填する必要があります。

 加えて、一部の者に対してのみその利率を見直す等の措置については、既に返還を完了した方や他の返還中の方との公正性や公平性の観点からも、慎重に検討することが必要と考えております。

 学生支援機構の遅延損害金については、期日どおりに返還するように促すこと、また期日どおりに返還している者との公平性から課しているものであり、それを廃止するというのは少し難しいと思います。

 なお、遅延の抑制を目的として、従前は、遅延金に係る賦課率を一〇%と設定していたところですが、遅延損害金としては高過ぎるのではないかという御意見等もあった中で、平成二十六年に、民法における法定利率である五%に合わせるよう、引下げを行ったところでございます。

 奨学金の返還に際しては、長期にわたって遅滞に陥らないことが重要であり、停滞初期段階での返還促進や返還困難時の救済措置の案内により、遅延の防止、解消に努めてまいりたいというふうに思っております。

 先生の問題意識はよくわかるんですけれども、今、確かに、社会に出ても、なかなか仕事に安定してつけない方たちもいらっしゃいます。その人たちのためには、先ほど十年と言いましたけれども、じゃ、十年たったら直ちに元本を返せという、そういう仕組みではなくて、ちゃんと相談に乗れるようにはしてきていますので。本当に返済が不可能な人たちに対して、生活費を削って、生活に大きな支障を来すような状況の中で奨学金の返済を先に求めるということは現段階で機構としては行っておりませんので、そこは個別いろいろなケースがあると思うので、柔軟に対応していきたいと思っています。

中谷(一)分科員 今大臣のおっしゃられたことで、私はちょっと残念ながら違うなと思うところが何点かあって、まず、返済の猶予を設けているし、そこは柔軟に対応しているということなんですが、世の中の声としては、どちらかというと、やはり強制的に徴収をされたり、ブラックリストに入れられてしまったという声がよく聞かれます。

 あと、ちゃんと返している人に対して不公平じゃないかという話もあるんですが、その話をしてしまうと、制度が変わったら全部不公平になってしまって、昔は給付型の奨学金なんてなかったのに、減免制度なんてなかったのに、二十年前の利率はそもそも三%じゃないか、今は〇・何%で返しているのに、そんな話を言い出したら、制度は何も進められなくなってしまいます。

 だからこそ、今、目の前に困っている人がいる、これをちゃんと改善をしていくことというのを、私は、当時苦労された経験のある萩生田大臣だからこそ改善をしていただきたいということを思っているんです。

 その中で、本来、奨学金制度というものは、他の貸付制度とは異なって、我が国の将来を担う若者を見守り、支える制度です。

 これも労福協が行った調査ですが、奨学金の返済が苦しいと答えた方が、正規社員で四〇・六%、非正規社員で五八・七%。また、今後の奨学金の返済に不安を感じると答えた方が、正規社員で五三・六%、非正規社員で七一・七%という数字となっており、多くの方が返済に不安を持ち、苦しんでいる現状があります。さらに、奨学金返済による生活への影響として、結婚に影響していると答えた方が三四・八%、出産に影響していると答えた人が二七・五%、子育てに影響していると答えた人が三〇・一%。この現状を放置すれば、当然ですが、未婚化、少子化に歯どめはかかりません。

 こうした中、アメリカの大統領選挙においては、サンダース議員が、高水準の教育を受けるという正しい行いに対して、生涯の借金という罪を宣告するばかばかしさに終止符を打たなければならないと語り、全てのアメリカの学生ローンの債務を免除する政策を発表しました。対象者は四千五百万人で、総額は百七十二兆円、財源は金融取引への課税で賄うとのことです。

 また、日本でも、私が大変敬愛をしている山本太郎代表、れいわ新選組が、奨学金の徳政令という政策を掲げています。九兆円で五百五十五万人の人生をもう一度スタートさせることができるんだったら、こんなに価値のあることはないと思っているんですと語り、所得税の累進強化や法人税の累進化などによる財源確保についても述べられております。

 私も、日本の長期的な発展を見据えたときに、少子化対策と教育への投資は不可欠であると考えており、出産、育児、教育にかかる基礎的な国民負担は実質的に無償化することが、持続可能な社会をつくることに直結すると確信を持っております。

 こうした観点から、日本においても、現実的に奨学金の返済を完全に免除する仕組みを本格的に検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

萩生田国務大臣 日本学生支援機構の奨学金事業は、貸与した学生等からの返還金が次世代の学生等への奨学金の原資となっており、返還できる方からは返還してもらうことが重要であると認識しています。

 一方、さまざまな事情により卒業後厳しい経済状況に置かれ、奨学金の返還が困難な方に対してはきめ細かな対応が必要と考えており、これまでも、返還期限の猶予制度における年数制限の延長や減額返還制度における期間の延長など、返還者の立場に立って制度の充実を図ってきたところです。

 政府としては、こうした取組を通じて、意欲と能力のある方が経済的理由により進学を断念することがないように、また返還困難に陥ることがないように、大学等の奨学金事業の充実に取り組んでまいります。

 大臣どう思うのかと先生から問われたので、私、将来は大いに検討することは決して否定しません。そこはやはり国の形を大きく変えることになると思いますので、法律や制度じゃなくて、もう少し大きな議論を国民的に行ったらいかがかと思います。

中谷(一)分科員 大臣、最後に一歩前に出た答弁をいただきまして、ありがとうございます。私も、将来的にはそういった制度をしていくことが日本の発展につながると確信を持っておりますので、ぜひ、文科省の皆様におかれましても御検討のほどよろしくお願いします。

 そして、済みません、時間がなくなりましたが、最後に、新型コロナウイルス感染症対策の会合について一問伺わせていただきます。

 萩生田大臣が欠席をされたことが、世の中に大きな波紋を呼んでおりました。コロナウイルスの対策は、今我が国にとって最も適切に対応しなければならない重要な課題であります。

 そうした中、この対策会議は二月二十三日までに十二回も開催をされておりますが、私の知る限りでは、文部科学省にかかわる議題は一度も議論をされておりません。こうした現状を鑑みますと、残念ながら、萩生田大臣、文科省の意識が甘過ぎるんじゃないかなと危惧をいたしております。

 私のところにもさまざまな方からコロナウイルスに関する御意見をいただきますが、学校現場の教員の方からも切実な御意見をいただきます。例として何点か読み上げます。

 学校内で予防できないことに加え、多くの高校生は電車通学をしています。省庁や企業において、大人はテレワークや時差出勤を行い、満員電車に乗るリスクを避けているのに、高校生だけは無策のまま、なぜ毎日、満員電車に乗せなければならないのでしょうか。

 予防法として手洗い、うがい、消毒、マスクが挙げられていますが、御存じのとおり、品切れで購入できない生徒が多いです。

 もちろん、全員分の消毒液を学校が用意することはできませんし、十分間の休み時間に全員手を洗うこともできません。飛沫感染を防ぐために二メートル離れることもできません。

 保護者や生徒もコロナウイルスに感染することを恐れながらも、欠席日数がふえると成績が下がり、進学できなくなるのではないかと思い、仕方なく登校しています。親の考えで自主的に欠席をしているおうちもありますが、やはり成績のことを考えて休めない生徒が大半です。児童生徒が感染する前に臨時休業としてくださったら、欠席日数はふえませんので、余計なことを考えずに過ごすことができますなど、他にもたくさんの御意見をいただいております。

 コロナウイルスが広く社会問題になってから約一カ月。本日になってやっと、複数の感染者が出た場合、思い切って一つの市や町の学校ごと休みにするのも選択肢に入れてほしいと、患者がいない学校でも休校や学級閉鎖の検討を要請する感染拡大防止の方針を都道府県教育委員会などに伝達するとのことでありますが、余りにも遅過ぎる対応です。

 今、教育行政の責任者を務める萩生田大臣の行うことは、地元の叙勲祝賀会に出ることではなく、こうした教育現場の最前線で日々悩み、葛藤している先生や生徒に寄り添った対策を講じることです。

 そこで伺いますが、新型コロナウイルス対策は喫緊の課題でありますから、新型コロナウイルス感染症対策本部にはもう欠席せずにしっかりと出席することをお約束していただき、教育行政にかかわる議題についてもしっかりと議論を行っていただいて、現場の教員や生徒の目線に立った対策を講じていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

井野主査 萩生田大臣、答弁は簡潔にお願いします。

萩生田国務大臣 もちろん、会議にはきちんと出席させていただきます。

 先生ちょっと認識が違うのは、文科省関連の協議はされていないというのは事実と違いまして、今までも複数回にわたって文科行政にかかわるものをやっています。それから、特に抗ウイルス剤の開発など、遺伝子組み換えは私が責任者でございますので、こういったことも会議では報告しています。

 多分、会議のブリーフは大枠での発言の中身だけであったんだと思いますので、今までも何度も文科省関連のことも議題となって、私から皆さんに報告をしたり了解を求めたこともございますので、その辺は御理解いただきたいと思います。

中谷(一)分科員 時間が来たので終わりますが、衆議院の調査室にも調べていただいて、この十二回の会合の中では文科省にかかわる議題は一度も議論がなされていないということでしたので、質問をさせていただきました。もしミスがあったとしたら、ぜひやりとりをしていただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

井野主査 これにて中谷一馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮路拓馬君。

宮路分科員 自由民主党の宮路拓馬です。

 本日は、特別支援教育についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 質問に入らせていただく前に、その前提として、私ごとですが、私は、大学時代、手話を学んでおりました。手話サークルに所属し、そして、その中で聾の友人ができました。それまで私は、障害者というのは弱い存在であり、あるいは守られなければならない存在として考えておったんですが、私が出会った聾の友人は、その私のイメージを全く変えてくれました。

 私より年のころは三つ、四つ上だったと思います。もう既に社会に出られておりました。そして、いわばイケメンでありましたし、スポーツマンで、デフリンピックのスノーボードの代表候補にまでなった方でした。ですので、大変女性にもよくもて、私は、むしろ彼から、高校までずっと鹿児島の方で過ごしましたから、余り遊び方も知らず、彼から遊び方を教えてもらい、あるいは酒の飲み方を教わり、そして、時として恋愛相談も乗ってもらいましたし、あるいは、スノーボードもその友人から教えてもらいました。

 そんなわけですから、言語を習得するに当たって一番手っ取り早いのは、その言語を話すネーティブの恋人をつくること、あるいは友人をつくることと言われますから、私は、彼とつき合う中で手話を大変よく学ばせていただいて、大分抜けてしまいましたけれども、今でもそれなりに手話をしゃべることができる、そういうわけでありますが、その中で、まずお伺いしたいことがございます。

 デフリンピックは、昨年、冬季デフリンピックが行われ、そして来年、夏季デフリンピックが行われます。当然、その中では国歌が斉唱というか流れるわけでありますが、表彰式の際などです。はて、その国歌は選手である聾の方に、聴覚障害の方に聞こえるんだろうかという疑問が私の中で湧き上がりました。

 そうした中で、ちょっと問題意識を持って調べてみたんですが、ニュージーランドは、国歌が手話で表現されるようでありました。先般、ユーチューブで拝見したんですが、大変美しいメロディーとともに美しい手話でその国歌が表現をされておりました。

 あるいは、今月、二月二日に行われたNFL、アメリカンフットボールのスーパーボウルにおいては、ナショナルアンセム、国歌斉唱の際に、それが韓国系アメリカ人の女性の方によって手話で表現をされていたということをお聞きしました。

 そこでお伺いしますが、我が国も国旗・国歌法によりまして君が代が国歌として位置づけられまして、各場において国歌が流れ、斉唱されておりますが、その日本国歌を手話で表現するに当たり、その表現方法などについて、国として定められた規定などはあるのでしょうか。

渡邉政府参考人 内閣府におきましては、国旗及び国歌に関する法律を所管しておりますけれども、先生お尋ねの手話による国歌は、特に定めはございません。

宮路分科員 来年、デフリンピックが開催されます。その中で、ある国は国歌が手話で表現されている。それを選手も、そして、それをごらんになっている方々も見れる。一方で、日本はそれがない。選手にとっても、それは寂しいことなんじゃないかなと思います。

 確かに、君が代は大変、国歌の内容も手話にするのが難しい点もあろうかと思います。だからこそしっかりと研究を行っていただきたいなという思いがございますので、その点について、よろしくお願いしたいと思います。

 この国歌の話、手話の話をお聞きしたのは、ほかでもありません。国歌を手話でどう表現するかという検討がこれまでなされていないことに象徴されるように、これまで手話というのはなかなか国政の主要課題として取り上げられる機会は少なかったのかなと思っております。

 特別支援教育、聾学校においても、これは不幸な歴史だと私は考えておりますが、かつては手話がその教育の中で否定され、そして口話教育一辺倒だった時代もあったというふうにお聞きしております。

 もちろん、口話をしっかり学ぶことができればそれはそれにこしたことはなかったのかもしれませんが、しかし、全ての生徒にとって口話を身につけるというのは大変難しいことだった、したがって、聾学校に通う生徒さんに十分な教育の機会が提供されてこなかったという歴史もあるというふうにお伺いをしております。

 その特別支援教育、聾教育のまず前提となる、手話に対する基礎研究についてお伺いをしたいと思います。

 柴山前文科大臣の際に、柴山大臣、筑波技術大学を御視察されたということをお伺いをいたしました。筑波技術大学、これは聴覚、視覚障害者のための高等教育機関でありますけれども、その場で闊達な意見交換がなされたと、私も前大臣より直接、その際の様子をお伺いしたことがございます。

 手話は、もちろん言語学的な側面もありますし、あるいは情報学といったような側面もあるんだと思います。

 昨今、電話リレーといいますか、電話を手話で通訳するというような施策も進められているところでありますが、いずれにせよ、手話に対する基礎研究というのが非常に重要だと考えております。

 例えば、言語学の観点からいえば国立国語研究所、文科省所管になろうかと思いますが、ございます。そうした大学あるいは研究機関における研究者の育成、あるいは研究体制の整備、これについてどう考えるのか、お伺いをしたいと思います。

萩生田国務大臣 まず冒頭、先日、冬季のデフリンピックで入賞した皆さんへの大臣表彰の式典を行いまして、そのときに改めて、そのデフリンピックの歴史等について学ばせていただきました。お恥ずかしいんですけれども、私、何で聾唖スポーツがパラリンピックに入っていないんだろうなと思ったら、そうじゃなくて、こっちの方が歴史が長くて、こっちの方が由緒あるんだという皆さんプライドを持っていらっしゃったので、無理に一元化する必要もないのかな、しかし、将来を考えたら一つの方法かななんということも議論したところでございます。

 手話言語については、筑波技術大学を始め、大学や研究機関の判断により、さまざまな形で研究や人材育成が行われていると承知をしております。

 手話言語に関しては、筑波技術大学における文化芸術活動に特化した手話通訳分析研究や、手話単語に関する日本手話研究所との共同研究、また、関西学院大学の手話言語研究センターにおける手話の言語としての学術研究、また、国立民族学博物館の手話言語学研究部門における海外の手話の研究など、大学や研究機関において、手話言語に関してさまざまな学術研究や人材育成が行われております。

 なお、御指摘の国立国語研究所については、手話言語を直接目的とする研究は残念ながら行われておりませんが、研究の一環として、手話言語に関する共同研究に参加する研究者がいると承知をしております。

 文部科学省としましては、大学や研究機関において、障害者基本法を踏まえ、手話などにより障害者の方々の意思疎通の向上が図られるよう取り組むことが重要であると認識しており、手話言語に関する教育研究を含め、大学や研究機関における学術研究の振興に努めてまいりたいと思います。

宮路分科員 ぜひ、今御紹介いただいたとおり、各機関において手話の基礎研究というのが進められている状況にあるとは思っておりますが、まだまだ、先ほど大臣がおっしゃったように、デフリンピックは歴史が長い、それよりも更に手話はもっと歴史が長いわけでありまして、やはり我が国の誇る文化の一つなんだろうと思います。

 文化としての手話というのもございますので、そうしたふくそう的な、あるいは多面的な研究がなされることが、令和の時代、人々が心を美しく寄せ合う中で文化が生まれ育つ、その中にあって、国民の皆さんがあすに希望を持って暮らせる社会という思いを込めてつくられた元号だというふうにお伺いしておりますが、その文化の時代だからこそ、改めて、手話文化も含めまして、手話の基礎研究が更に進められていくことを期待したいと思います。

 そして、その基礎研究の上にあって初めて、しっかりとした聾教育が特別支援学校、聾学校において行われていくというふうに考えております。

 聾学校は、先ほど申し上げたとおり、一時期、手話が否定され、そして口話教育一辺倒だった時期もあったということでありますが、そうした状況は、障害者基本法、先ほど大臣からも御言及いただきましたけれども、において、言語に手話が含まれるということが規定をされまして、状況は大分改善したんだと思います。しかし、いまだに、聾学校では、聴覚障害の免許ですかね、教員免許の中で聴覚障害に特化した教育の免許の取得者は半数を超える程度だというふうにお伺いをしておりますし、その資格を持っていたとしても、決して手話ができることが担保されるわけではない。聾学校における手話教育の教育者の層というのはまだまだ脆弱なんだろうなというふうに私は認識しております。

 そこで、お伺いをいたします。

 例えば、私も先般伺ってきたんですが、群馬大学、ここでは金沢教授が、聴覚障害教育の教員養成課程に関連して、手話で手話を学ぶレベルまで持っていくべく、今、そのプログラムを進められているというふうにお伺いをしておりますし、実際、私も現場で、学生の皆さん方が手話を学ぶ、その教育をする教員も聾者で、手話で手話を学んでいる様子を拝見をさせていただきました。そうした取組も、徐々にではありますが広がってきているところであります。

 ただ、教員として採用された後、せっかく聾学校で先生を経験して、そして手話を徐々に身につけても、人事異動で、せっかく身につけたときに異動してしまう、そしてまた今度、手話ができない先生が着任してしまうといったようなことも課題として認識されているというふうに伺っておりますが、聾学校の現職教員の手話のスキルをどのようにして高めていくか、これは大変重要な点だろうと思っております。この点について、政府の見解をお伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 聴覚障害の特別支援学校に在籍をする児童生徒の聴覚障害の状態や興味、関心、教育歴等の実態もさまざま多様であることから、教員が指導に当たって、児童生徒の実態に応じて、音声、文字、手話、指文字等を適切に選択をし、活用することは重要であると考えております。

 委員御指摘の、大学の教育課程におきまして個別具体の課題をどのように取り扱うかについては、各大学の自主的な判断に委ねられているところですが、群馬大学におきましては、手話に関する科目も開設をされ、聴覚障害教育領域の特別支援学校教諭免許状の取得を目指す学生も、その科目を多く履修をしているというふうに聞いております。このような取組は、聴覚障害特別支援学校教員の専門性を確保する観点からも大変意義のあるものであるというふうに考えているところでございます。

 また、現職教員に対する研修につきましては、各自治体においても取り組まれているところでありますが、文科省においても、障害に応じたコミュニケーションに関する専門性を向上させる研修に対する支援を行っておりまして、その中で、手話や手話を使った指導に関する研修も行われております。

 加えて、独立行政法人特別支援教育総合研究所におきましては、各地域における特別支援教育に関する指導的立場に立つ者に対する研修が実施をされており、その聴覚障害教育のコースでは、授業における手話の活用等についても取り扱っているところであります。

 文部科学省においては、昨年九月に有識者会議を設置をいたしまして、新しい時代の特別支援教育のあり方について検討を進めておりますが、その中で、教員養成や研修のあり方など、特別支援学校の教員の専門性の確保についてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。

宮路分科員 今、特総研のことについても言及をしていただきました。そうした機関における、そもそもの聾学校における教員の育成について取組がなされているということでありますが、なお一層の振興というか促進が必要だというふうに考えておりますので、群馬大学のような、パイロット的に、先進的に取り組んでいる機関を更に後押ししていただくような方法で、方針でぜひお願いをしたいと思います。

 今言及いただきました特総研、実は私も伺ってきたんですが、それは、聾教育もさることながら、盲聾教育の現場というか、盲聾教育、研究についてお伺いするために伺ってきたわけであります。

 と申しますのも、先ほど私の個人的なお話をさせていただきましたが、大学時代、私は手話を学ぶ中で、さらに、盲聾の男児の支援をさせていただく機会を得たわけであります。当時まだ小学校五年生だった先天性盲聾者の男の子でありました。名前は森敦史さんといいます。当時小学校五年生でしたから、もう今は二十六歳、七歳ぐらいになったでしょうか。先ほど申し上げた筑波技術大学の大学院生として学んでいます。恐らく先天性の盲聾者、つまり、ヘレン・ケラーよりハンディが大きいわけですね。生まれながらにして目が見えない、耳が聞こえないわけです。しかしながら、奇跡的に言語の概念を習得し、そして、より質の高い教育を受けるべく、生まれ故郷の岐阜から出てきて出会ったのが大学時代であったわけであります。

 その森敦史さんは、筑波大附属盲学校で学び、そして、恐らく日本初、場合によっては世界初だと思うんですが、先天性盲聾者として大学に進学をしました。ルーテル学院大学。私は、ルーテル学院大学は英断をされたなと思います。彼の入学に当たっては、当然ながら多くのサポートが必要になります。手話通訳、手話といっても目が見えませんから触手話です。手話を手でさわりながらコミュニケーション、通訳をする。その通訳者が常時二名は必要ですし、加えてノートテーカー、そしてまた、日々の活動をサポートする必要もあります。

 ですので、そうした体制を整備するという覚悟で森敦史さんの入学がルーテル学院大学によって認められたというか受入れが決まったわけであります。

 その彼との出会いがあったがゆえに、私は今、盲聾教育というのがどういう状況にあるのかというのを改めて伺いたく、特総研に訪問したところでありました。

 盲聾教育というのはなかなか知られておりません。そもそも盲聾者というのが、社会でその存在を認識される機会というのもなかなか少ない状況でありますから。しかし、今後、盲聾者がより社会に出ていく時代になってくるんだと思います。そうした中で、盲聾教育の充実に向けて文科省としてどのように取り組んでいるか、この点についてお伺いをしたいと思います。

丸山政府参考人 盲聾児に対する教育は、情報量の不足や他者とのコミュニケーションの困難さなどから、日常生活の指導から教科指導に至るまで、あらゆる面で非常に困難が伴うところであります。

 また、他の障害者の子供に比べて人数が少なく、子供の障害の状態もさまざまであることから、教育実践の蓄積も共有も困難となっている状況でございます。

 このため、委員に御視察をいただいた独立行政法人国立特別支援教育総合研究所におきましては、盲聾教育のための教員研修プログラムを開発をし、ホームページで公表しているほか、研修において、盲聾に対する理解や盲聾児の指導についての講義を実施しております。また、研究者が盲聾児在籍校などを訪問をして研修を行うなど、各地の学校の支援も行っているところであります。

 文部科学省では、こうした盲聾児に対する教育の現状や課題を踏まえまして、令和二年度予算案において新たに、盲聾児に対する教育に係る調査研究を盛り込んでおり、その成果を今後の盲聾教育の推進に生かしていきたいと考えております。

 今後とも、こうした取組を通じて盲聾教育の充実を図ってまいりたいと思います。

宮路分科員 そうした特総研における研究の成果が全ての自治体、全国においてしっかり共有されるように、情報発信も大事だと思います。盲聾児を受け入れて、どうすればいいんだと途方に暮れる先生もこれまでおられたというふうに聞いております。せっかくそうした研究を行っているわけですから、そうした情報があまねく伝わるように、各教育委員会への情報提供なども行っていただければというふうに思っております。

 次に、大学等の高等教育機関における研究者としての障害者の雇用促進についてお伺いをしたいと思います。

 障害者雇用については一昨年大変話題になったところでありますが、昨今、先ほど森敦史さんの例を申し上げましたが、障害のある学生に対する修学支援、これは充実をしてきているのは確かだろうと思います。それ自体、喜ばしいことであると思いますし、更にそうした状況が広がっていってほしいというふうに思っております。

 ただ、学んで、その先ですね。つまり、雇用がどうかというと、ここはやはりまだまだ改善の余地があるのではないかなと思っております。特に、高等教育機関、つまり大学の研究者や教員への道を志した際には、その障害をお持ちの方に対するサポート体制が整っていることが大変重要になってまいります。

 そしてまた、やはりモデルというのが大事なんだろうと思います。先ほどの森敦史さんについては、盲聾者にとって大変勇気づけられるモデル像だろうと思いますし、私を森敦史さんに引き合わせてくれたのは、今、東大の先端研で教鞭をとっておられる福島智先生でした。福島教授は、後天性の盲聾者でありますが、盲聾者としての世界初の大学の常勤の講師となられ、今は東大の教授として活躍されておりまして、また、福島先生の姿を見て、研究者に自分もなりたいんだ、なるんだというふうに勇気づけられる障害をお持ちの方も多数いらっしゃるんだろうと思います。

 そういう意味では、そうした高等教育機関において、研究者として障害をお持ちの方が雇用される、そうした機会がよりふえていくことが必要だというふうに考えておりますが、一方で、先ほど申し上げたとおり、研究者として研究を続けるためには大変多くのサポートが必要になります。研究者としての障害者雇用の促進について、文科省の見解をお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、大学等における障害者雇用の促進に向け、厚生労働省と連携しながら、各種会議等を通じて制度の周知を図るとともに、各国立大学法人等における雇用促進に向けた取組事例について情報提供を行っております。

 また、複数の大学や関係機関がネットワークを構築して、障害のある学生の修学支援の充実を推進する事業を平成二十九年度より実施しております。その事業の中におきまして、障害のある研究者や教員も参加して、障害のある学生の環境整備のための活躍をしているというような事例を促進しているということでございます。

 我々といたしましては、そうした障害のある研究者、教員のサポート体制を含めたモデル事例というのを、やはり先生御指摘のようにしっかり把握して、それを横展開を図っていくような取組も必要かというふうに感じております。今後とも、各法人、大学におきまして、障害のある教職員が希望や能力、適性を十分に生かして障害特性等に応じて活躍できるような環境の整備ということに取り組んでまいりたいと考えております。

宮路分科員 先ほどの森敦史さん、実は、柴山前大臣が筑波技術大学を御視察された際に、柴山大臣とも意見交換をされたというふうに伺っております。今年度には筑波技術大学大学院を卒業する、ただこれからも研究を続けていきたいというふうにも聞いておりますので、ぜひ、モデルとして、そうした頑張っている方の支援を行っていただきたい、心からそのように思っております。

 最後、時間が参りましたので一問、医療的ケア児の就学支援についてお伺いをしたいと思います。

 医学の進歩によりまして、医療的ケア児がふえております。これまでなかなか生き長らえることが難しかった子供たちが医療の進歩によって生き長らえるようになっている。その分、医療的ケア児の人数がふえているということなんだろうと思います。

 今後、この医療的ケア児が、あるいはその保護者の方が、やはり、インクルーシブ教育という中で、普通の学校に通わせたい、あるいは、やはり特別支援学校の方が安全だね、安心だねということで特別支援学校を希望される方もいらっしゃると思います。そうした医療的ケア児、あるいはその保護者の方の希望にそれぞれ沿った、その希望をかなえられる支援体制が大切だというふうに考えておりますが、政府の見解あるいは取組についてお伺いをしたいと思います。

丸山政府参考人 先生御指摘の医ケア児でございますが、文科省の三十年度の調査によりますと、公立の特別支援学校に在籍する医ケア児が八千五百六十七人、また、小中学校に在籍する医ケア児が九百七十四人となっておりまして、いずれも増加の傾向にあるということでございます。医療的ケア児に対する教育の充実を図るためのさまざまな教育環境の整備が重要であるというふうに認識をしているところであります。

 文部科学省においては、医療的ケアのための看護師配置に係る経費の一部を補助しており、医療的ケア児が増加傾向にあることから、令和二年度予算案においてもそのための予算を拡充をしているところであります。また、質的な面でございますが、学校で医療的ケアに対応する看護師の環境を充実をさせていくということで、令和二年度予算案に、看護師に対する研修機会の提供の充実のための予算を新たに計上をしたところでございます。

 引き続き、自治体等における、学校における医療的ケアの実施体制の整備の支援をしっかり取り組んでいきたいと考えております。

宮路分科員 一億総活躍、その考えは非常に令和の時代にこそふさわしいものだと思っています。障害をお持ちの子供さん方が十分な教育を受けられることこそ、この令和の新時代に求められることだと思いますので、今後の文科省の活躍も期待して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井野主査 これにて宮路拓馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅直人君。

菅(直)分科員 萩生田大臣には、たしか初めての質疑の場になるかと思います。

 まず最初に、萩生田大臣御自身、奨学金というのは受け取られた経験はありますか。

萩生田国務大臣 ございません。

菅(直)分科員 実は私もその経験がないんですが、せんだって、先ほど質疑をした中谷議員が立憲民主党の青年局というところで「逆転!?おしゃべり教室」という企画をしました。

 そこでは、逆に現役の学生さんが幾つかのテーマ、この場合は若者の貧困のリアルというテーマでしたが、それを先生になってまず三分間から五分間レクチャーし、それを私を含む政治家が聞いて質問する。きょうは、そのときの先生も傍聴に来ていただいています。

 私もこのことは非常に気にはなっていたんですが、どちらかといえば介護とかそういうことに、厚生大臣をやった経験もあって重きを置いてきたんですが、やはり若者の現状というのは本当に厳しいということを改めて感じまして、きょうはこの質疑に立たせていただきました。

 そこで、先ほどの中谷議員とのやりとりを聞いていて、率直に言って、大臣の答弁は、しっかりやらなきゃいけないことはわかっているけれども、いろいろな理由でなかなか前には進めないという、現状維持的な答弁であったように私は感じました。

 そうではないのかもしれませんが、その姿勢について、萩生田大臣、やはりここはもっと、自分の責任で前に進めようと思っているんだというその思いがあるならば、まずそのことをお聞かせいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 最後の質疑の中で、将来的に高等教育も無償化ということも視野に入れたらどうかという中谷先生からの御提案でした。

 私は、その目指す方向については否定をするものではありませんけれども、それは文部科学大臣がとか財務省がとかというよりは、国の形を大きく変える議論なので、そこは別の次元でしっかり議論をする必要があるんじゃないかということを申し上げました。

 できる限り、学生を目指す皆さんがチャンスを広げる、そういう政策は一つ一つ拡充をしていきたいと思っております。

菅(直)分科員 余りこれ以上は言いませんが、やはり政治家なんですから、まさに今おっしゃったように、国の将来の姿をまさに議論をするのが政治家なのであって、自分の担当がこうだからこれ以上は言えないというのであれば、それは単なる、官僚の皆さんの答弁と変わらない。そのことだけは指摘を申し上げておきます。

 そこで、少し具体的な話になっていきますけれども、奨学金という表現ですね。これは、私など比較的古くからの人間のイメージだと、優秀な学生さんがどこかから応援をいただく、奨学金をもらえるなんていうのはなかなか優秀なんだね、そんなイメージが強いわけですけれども。私は、今の奨学金は、奨学金という呼び方がもしかしたらそういう誤解を招いている。実質は学生ローンですよね。学生の皆さんが、大学に行くのにローンを借りている。

 そこで、大臣に、まずはこの学生ローンの残高は今どのくらいになっているでしょうか。

伯井政府参考人 平成二十九年度末現在で、奨学金の総貸与残高は九兆三千七百四十三億円であると日本学生支援機構から聞いております。

菅(直)分科員 学生ローンに並んで額が多いのは、住宅ローンというのがあります。ただ、この住宅ローンと学生ローンは、私はかなり性格が違っていると思うんですが、これはわかればで結構ですが、どういう性格の違いがあるかということを大臣は認識されていますか。

萩生田国務大臣 民間の金融機関の住宅ローンは、資力があり返済能力を持つ者を貸付けの対象としており、返済能力について厳格に審査した上で資金の貸付けを行うものです。

 一方、日本学生支援機構等の貸与型奨学金は、国の教育施策の一環として、教育の機会均等に寄与するために、能力があるにもかかわらず経済的理由によって修学が困難な者に対し貸与を行うものです。

 その貸与に際しては、住宅ローンとは異なり、与信審査は行わず、一定の収入以下の学生等を対象としていること、無利子又は低利で貸与していること、卒業後、低収入など返還が困難な場合に減額返還や返還猶予などの救済措置があること、在学中の適格認定により支援を継続して受けるために勉学に励むことを求めていることなど、民間機関の住宅ローンとは異なり、教育的な観点に立った制度設計となっていると思います。

菅(直)分科員 今の答弁を聞くと、何か住宅ローンよりも学生ローンの方が恵まれているように聞こえるんですが、私はもっと本質的なところで違っていると思うんです。

 つまり、今の大臣の答弁にもありましたが、住宅ローンの場合は、もう収入があって、場合によったら、自分の収入に合わせて、どの程度の例えばマンションを買おうか、自分の力だったらこの程度かなと、大体の返済の見通しを持って借りるんですよ。

 しかし、大学に入る世代というのは十八歳です。十八歳の高校を卒業する前後の学生さんが、二十五歳、三十歳に果たしてどの程度の収入があるかという見通しは立たないんですよ。そうすると、やはり、親の資力が、自分が考えて、おやじたちも苦労しているから、できるだけ自分のことは自分でやろうと思ったら、返済のことが、考えないけれども、やはり家庭の環境を見て、このぐらいは自分でやろうということで借りるんですよ。

 ということは、先ほどの、何か与信がないからいいだろうということを言われますが、そうじゃなくて、十八歳の高校を卒業する前後の若い人が、二十五歳、三十歳、あるいは四十歳、五十歳のその段階で返す、つまり、見通しがないまま返さなきゃいけない。

 ですから、中には、返却が非常に苦しい人が多くなって、その結果、結果的には結婚するのをちゅうちょする、あるいは子供を持つのをちゅうちょする、そういう原因になっている。そのことが今の答弁には一切入っていないんですね。制度設計のことしか言っていないんです。

 そういう社会的影響があるということについて、大臣はどう思いますか。

萩生田国務大臣 先生に住宅ローンとの違いについてどう思うかと聞かれたので、外形的なことを申し上げたんですけれども、仕組みとしては、今先生御議論いただいたような内容というものは当然包含されていると承知をしております。

菅(直)分科員 そこが一番のポイントじゃないですか。将来の日本のことを考えると冒頭で言われましたけれども、そこが一番のポイントじゃないですか。

 私が大学に通ったころは、国立大学は年間一万二千円の授業料でした。私の初任給は三万五千円でしたから、初任給の三分の一から半分で年間の授業料が払えました。今、幾ら何でも、初任給の半分で、国立大学といえども、そんなものは払えません。

 社会が変化しているんですよ、既に。その変化していることに対してどういうことになっているのか。だから、そういう住宅ローンと学生ローンの本質的な違いを理解した上で、それが、例えば先ほど申し上げた、結婚をためらう、出産をためらうということに影響しているとしたら、それはまさに日本の国のあり方を左右する、そういうある意味でのマイナスの影響を与えている、そういう認識について、お持ちじゃないですか。

萩生田国務大臣 そういう問題意識は否定はしませんけれども、私は逆に、高等教育への進学を諦めていたあるいは諦める人たちが、奨学金を使うことによって自分の道を開いていくチャンスもあるんだというふうに思います。

 結果として返済困難に陥る方たちがいることは否定しませんし、また、それは助けていかなきゃいけないと思いますけれども、必ずしもネガティブな要素だけがあらかじめ包含されているということではないんじゃないかと思っております。

菅(直)分科員 余りここにこだわっても仕方がありませんけれども、結果としてといっても、我々は先を見なきゃいけないんですよ、現在と未来を。現在、少なくとも私が学生時代よりは今の学生さんは大変ですよ。多分、今からの学生さんが社会に出たときは大変ですよ。ある意味で見えていることですよ。その見えていることに目をつむって、そういうことは余り制度設計には考えていないというような言い方に聞こえるわけですが、私はその点は、もっと本質的なところを大臣にも見ていただきたい。

 そこで、少し具体的なことに入っていきたいと思います。

 現在の学生ローンについてどのように考えるかというのは、安倍政権下でも、二〇一七年には閣議決定で、新しい経済政策パッケージ、高等教育の無償化というのを発表され、二〇一八年、閣議決定で、人づくり革命の実現と拡大を発表され、二〇一八年には関係閣僚合意で、幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針、この国会では高等教育の修学支援制度と、次々に方針が示されてきております。もちろん御存じだと思います。

 私は、そういう前向きの議論がある中で、この新聞を見てちょっとびっくりしました。これは、つい先日、二月の二十二日の朝日新聞。そちらに資料もお渡しをしてあります。ここには何と書いてあるか。国立大学の授業料、自由化検討。自由化というと、どっちに自由化するのか、これだけ見たらわかりませんが、記事を見てもらえばわかるように、簡単に言えば、大学自身の判断でいわゆる国立大学の授業料を高くできるようにすることを文科省の中で検討しているという記事なんですよ。

 こういう事実があるのかないのかをまずお答えください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 国立大学法人の戦略的大学経営を可能とする改革の実現に向けて、有識者会議を設けて必要な検討を行うこととしております。その会議では、経営基盤を強化するための規制緩和として、授業料の自由化の是非について検討事項としているところでございます。あくまで、各国立大学がその判断で経営基盤を強化するための規制緩和策として、自由化の是非について検討事項とし、これから御議論をいただくというものでございます。それ以外の検討事項も当然ありますが、そうしたものでございます。

 現在、国立大学の授業料は、国において標準額五十三万五千八百円を示しつつ、その一二〇%を上限として、各大学が個別に授業料を設定することができる仕組みとなっておりまして、各大学の判断により一層柔軟に取り扱うことを可能とするかどうか検討いただくというものでございます。

菅(直)分科員 いいんですか、こういう話は。

 何か大臣の先ほどの答弁を聞いていると、こういう形でいろいろと考えているんだ、猶予とかいろいろ考えているんだと言いながら、一方で、国立大学の二〇%の引上げを容認するような議論が始まっている。

 経営強化。実は、私が卒業した東京工業大学も、経営強化のために、財界からの支援なども受けるようなことを強化をされております。しかし、経営強化ということそのものを決して否定するわけじゃありません、それが別のお金なら。例えば、民間からの資金が寄附で集まってくるとかなら結構です。

 学生さんの負担をふやすような議論を検討するのはおかしいんじゃないですか、大臣。

萩生田国務大臣 今御説明を申し上げましたように、国立大学の授業料については、国においての標準額五十三万五千八百円を示しつつ、一二〇%を上限として、各大学が個別に授業料を設定することができる仕組みと既になっているわけでありまして、それとこの自由化の検討というのは必ずしもリンクいたしません。

 いみじくも菅先生おっしゃったように、経営基盤を強化するために、例えば寄附制度、寄附控除も今拡大をさせていただいております。高等教育機関の支援策として今まで行ってきた授業料免除などが、ことしから、国が一律の線を引いたために、もしかしたら新入生の中で今まで使えた制度が使えなくなるかもしれない、そういうものは、交付金やあるいは学校での寄附などの自己資金をもって学校独自に対応することも考えております。

 確かに、この記事を見る限りでは上がることだけが前提の議論のように見えますけれども、そういうことではなくて、上がることや下がることや横出しで応援をすることも含めて、検討を始めたという段階でございます。

菅(直)分科員 言葉で余りごまかさない方がいいと思いますよ。

 この記事の中に、文科省によると、国立大学の収入の柱となる国からの運営交付金は一九年度で一兆九百七十一億円、国立大学が独立行政法人となった〇四年から約一二%減った。

 これは事実ですか。

伯井政府参考人 運営費交付金が法人化後減少してきたのは事実でございますが、ここ数年は据置きという状態でございます。

菅(直)分科員 つまり、国から国立大学に出される資金が減ってきて、いろいろな意味で大学の経営が苦しくなった。もちろん、民間からの資金が寄附などで入るのは、私はそれは否定しません。しかし、先ほどの答弁の中でも、自由化というものの中には、学生さんの負担というものが入らない資金というふうには書いてないんですよ。少なくとも、二〇%は上げられるということを先ほど認めたんじゃないですか。そういう逆行するやり方を今進めようとしている。それを審議会としてやろうとしている。

 私は、これが私の学生時代だったら、東京の、あるいは全国の大学の、当時半分ぐらいでストライキをやっていましたから、私が通っていた大学でさえ、余りそういう学生運動の盛んな大学じゃありませんでしたけれども、それでも半年ぐらいストライキをやっていました。当時であれば、間違いなく大ストライキが起きるところですよ。私は、半ば、若い人たちが自分の力で立ち上がってもらいたいと思っている一人でありますけれども。

 もう一度聞きます。大臣、先ほどの話だと、上がることも下がることもあると言うけれども、負担が上がることがあるということを承知で検討をするということですね。

萩生田国務大臣 先生、もう一度申し上げますけれども、一二〇%上限で授業料を設定できるのは、この検討会で始めたことじゃなくて、今までも既存の制度として持っている制度です。

 その上で、経営基盤を考えていって、例えば都市部の大学と地方の国立大学ではかかる環境というのが異なってくると思います。例えば、地方については授業料を下げていかないと生徒がなかなか集まってこないということがあったり、あるいは、できるだけ地元の人たちが地方創生で地元に近い学校に行っていただくこともあると思いますので、あらかじめ、値上げを前提の検討をしてくださいなんてことは全く申し上げている検討の中身ではございませんので、いろいろな角度から国立大学のあり方というものをしっかり専門家の皆さんに検討していただこうと思っております。

菅(直)分科員 一二〇%までにしたのは今でないから関係ないんだということにはならないんですよ。

 一二〇%になっている大学があるのかどうか、私は国立大学は知りませんけれども、先ほどの答弁でも五十三万円ですか、ほぼ一律で今来ているわけですよ。それを、これによると、改めて検討しようという中に入っているという。この記事が間違っているなら、はっきりと間違っていると言ってください。

 そういう指摘があるにもかかわらず、上がったり下がったりということを現実に言われたわけですから、私は、少なくとも、学生負担が上がるようなそういう検討はやめるべきだ、こう思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 国立大学の授業料について、各大学の判断により一層柔軟に取り扱うことを可能とするかどうか、国立大学の役割等にも配慮しつつ検討していただくことを目的とした検討会でございます。

菅(直)分科員 ですから、私が言ったことに対してイエス、ノーで答えてください。

 柔軟には、上がることも下がることもあるとさっき言われたじゃないですか。ということは、上がることも含めた検討ということをやれということですね、大臣は。

萩生田国務大臣 上がることを含めた検討をやれじゃなくて、上がることも下がることも含めて、柔軟な検討をしてほしいということでありますから、上がることは絶対ないのかと先生に言われれば、それは否定はできません。しかし、上がることを前提の検討会じゃないということだけは改めて申し上げておきたいと思います。

菅(直)分科員 聞いていただいている方はよくおわかりだと思いますけれども、国から出す金が一二%もこの数年で下がっている現状を踏まえて、そういうことも踏まえて、残念ながら日本ではアメリカほどたくさん寄附が集まるという風土もありません、一般の企業とか。そういう中でいうと、上がることも下がることもある、柔軟だとか言われても、結局は上がることを念頭に置いた審議だということを、少なくとも朝日新聞はそのことを心配してこういう書き方をしておるわけです。

 ですから、余り口先でごまかすようなことをやられると、大臣、やはり大臣がこれからもっと大きな政治家になるには、余りそういう口先でごまかすようなことはやめられた方がいいということを若干の先輩としてアドバイスを申し上げておきますが、次に移ります。

 そこで、やはり制度改革を行うべきだと思うんです。その制度改革の方向は、当然ながら、学生さんあるいは若い人が、奨学金を借りたことによって、よく大学で勉強できて、そして高い収入が得られる仕事についた、それは大変結構なことです。しかし一方で、現実に、非正規雇用がふえた中で、正規雇用につけなくて、収入が少なくて、そして返せなくて、場合によっては破綻処理をされて、場合によったら保証人にその負担がいくような例、いろいろ聞こえてきているわけですよ。

 そういうことを考えたときに、私は、もっと制度の根本、つまりは負担が減る方向での、そういう大きな姿勢での制度設計を検討すべきときが今来ている、こう思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 どんなに貧しい家庭に育っても意欲があれば大学等に行くことができるようにし、学生生徒が安心して学ぶことができる環境を整備することは極めて重要だと思っています。

 このため、政府としては、これまで、無利子奨学金における残存適格者の解消や、低所得世帯の子供たちに係る成績基準の実質的緩和による貸与人員の増、また、卒業後の返還負担の軽減を図るための取組として、卒業後の所得に返還月額が連動する所得連動返還型奨学金制度の無利子奨学金への導入など、さまざまな制度の改善を行ってきたところであります。

 さらに、給付型奨学金を平成二十九年度から創設するとともに、令和二年度からは、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況も踏まえ、真に支援が必要な低所得世帯の学生に対し、授業料等減免制度の創設と給付型奨学金の給付額、給付人員の拡充をあわせて行う高等教育の修学支援新制度を実施することにより、大学等の修学に係る経済的負担の軽減を図ります。

 今後とも、意欲と能力のある学生等が経済的な理由により進学等を断念することがないように、奨学金制度の充実に努めてまいりたいと思います。

菅(直)分科員 最後に言われた大学における修学支援に関する法律、これはこの国会で出ているんですよね、現在、たしか。そうでしょう。

 私は、この制度は、低所得層だけを対象とする限定的な貧困対策と競争力人材の育成策を結びつけたもので、高等教育費の私費負担構造はそのままで、学費負担に苦しむ中間層を支援するものとはなっていない。これは専門家の意見を私も聞いたんです。しかも、新制度では新規利用者が対象で、現在返済に苦しんでいる人を救済するものではない。

 必要なのは、返済が困難に陥っている人、あるいはそういう陥る可能性がある人の実情に合った救済制度であって、ことし法案が出ているこの案は、一部についての効果はあるけれども、今私が申し上げたような、全体的な効果にはつながっていない制度だと思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 本年四月から始まる高等教育の修学支援新制度は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、真に支援が必要と考えられる低所得世帯に限って給付奨学金の支給及び授業料等減免をあわせて実施するものです。

 この支援を受けた学生が大学等でしっかり学んだ上、その勉学が職業に結びつくことにより社会で自立、活躍できるよう、学問追求と実践的教育のバランスのとれた質の高い教育を実施する大学等に通う学生たちを支援措置の対象としております。

 中間所得層の支援について、これまでも奨学金制度の充実を図ってきたところ、新制度の対象を更に中間所得層まで拡大することについては、低所得世帯以外は進学率が高い状況にある中、貸与型の奨学金の拡充で進学機会が開かれていること、高校卒業後の進路が多様であり、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることを十分に踏まえ、慎重に議論する必要があるというふうに思っております。

菅(直)分科員 ちょっと私の勘違いもありまして、もう既に法律が通っていて、四月から施行されるということですが、今まさに私に言われたことを事実上認められているわけですよ。

 つまり、一部の経済的に非常に困っている方で、そして特に優秀な人についての手当てはなっているけれども、しかし、中間層に対応したことではないと。公平性とかなんとか、それを対象にしていないことを認められて、さらに、新制度は、新しい人にとってプラスは一部あるかもしれないけれども、既に奨学金を借りている人、借りていた人にはこの恩恵は行かないんですね。そこで、じゃ、どうするかということですね。

 今アメリカの民主党の大統領予備選挙では、サンダース候補が、アメリカの学生も大変なんですね。アメリカの学生の学生ローンが総額幾らか、大臣、御存じですか。

伯井政府参考人 承知しておりません。

菅(直)分科員 一兆五千億ドル、日本円にして百七十兆円。

 サンダース氏は公約の中で、これを全部他の税金で賄うと言っているんです。日本は、まだ九兆円です。先ほど中谷議員からも、例えば山本太郎さんはこの九兆円は全部徳政令でチャラにすると言っているんです。私は、まだ九兆円規模であれば、どういう基準を設けるかはいろいろな基準の立て方はあるけれども、負担をゼロにすることを目標にして一つの制度設計をすべきじゃないですか。

 先ほど来私やほかの議員に対する答弁を聞いていて、全体のウエートを減らすという、つまり負担を減らすという言葉が全然出てこないんです。一部のことばかりなんです。トータルで減るのかどうか。

 減らすためには、もうわかっているんですよ、まずは学費の値下げです。もちろん、値下げをするためには、場合によっては先ほどの運営費を出さなきゃいけないかもしれない、あるいは、給付型奨学金が必ずしも導入されていない制度についてそれを導入すること、貸与奨学金の無利子化、能力に応じた返済制度の導入、これは一部入っていますよね、今でも。こういうことを組み合わせて、もっと思い切った、若者が将来社会に出たときに結婚するのが難しい、そして結婚して子供を産むのが難しい、そういうマイナスな要素をなくするための大きな制度改革として、私は一つの政権がそれを目指した公約として掲げる価値がある政策だと。

 あるいは、萩生田大臣が将来を考えられるのなら、そういう政策を率先して主導されるせっかくのポジションにおられるんだから、そういう政治家として私は期待もしたいんですが、御意見を聞かせてください。

萩生田国務大臣 総理大臣経験者である菅先生に期待をいただくお言葉をいただいて、大変光栄です。

 私自身は、先ほど中谷先生にもお話ししたように、そういった目指す方向を否定するものじゃありません。否定するものじゃありませんなんという非積極的な答弁をするなとまたお叱りいただくかもしれないんですけれども、給付型奨学金が始まったのはことしの四月なんですね。率直に申し上げて、今までは奨学金の利息をどうするんだという議論をこの十年やってきましたから、私は、この令和二年の教育の大きな改革支援策というのは、まさに元年だと思います。

 勇ましいことを言って、私の時代に大改革をやりますということを言ってみたい気持ちはなくはないんですけれども、ここはまず制度がスタートしましたので、その中で、先ほどから御指摘のあった、それでも日の当たらない方々、それでも困難に陥っている方々を引き続きしっかり救済をしていく、その上で大きな方向についてはまた、ぜひ議論をしたいなと思っております。

菅(直)分科員 これ以上繰り返しても水かけ論でしょうが、何が言いたいかというと、先ほど来大臣も言われているように、日本社会は変化してきて、ある意味で若い人たちにとってはより厳しい社会になってきているという認識がまずあるかないかなんです。

 私なんかは、非常に恵まれた時代に生まれたんでしょう、多分、昭和二十一年の団塊の世代は。それが崩れてきている。その中で、いまだにそれに目をつむって、一部の改革が入っているからこれで認めろというのでは、私は将来を見通した政策とは言えない。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

井野主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。

 次に、務台俊介君。

務台分科員 中山間地を選挙区に抱える自民党の務台俊介です。

 教育と地方創生の関係について、きょうは伺わせていただきたいと思います。

 その地域に教育機関があるか否かで、地域の元気度は大きく異なってまいります。教育はそれ自体に価値がありますが、それが及ぼす地域への影響ははかり知れないものがあります。それを考えた上での各種の施策を打っていく必要がある、そうした観点で質問をさせていただきます。

 まず、中山間地にとって、小学校、中学校の存在は、コミュニティー存立のシンボルでございます。それがなくなると地域社会は存続できない、そんなことではないかと思っておりますが、文科省の小規模校に対する政策を伺わせてください。

    〔主査退席、鬼木主査代理着席〕

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、少子化の進展による学校の小規模化に伴い、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学んだり、社会性を高めたりするのが難しくなるなどの課題が顕在化しており、教育的な視点でこうした課題の解消を図っていく必要があるというふうに認識をしております。

 その際、地域コミュニティーの核としての学校の役割を重視する観点からは、地域の実情に応じて、小規模校のデメリットの克服を図りつつ学校の存続を図る場合や、学校統合により魅力ある学校づくりを行い、地域の活性化を図るなど、複数の選択があると考えられ、文部科学省としては、市町村のいずれの選択も尊重し、きめ細かな支援を行うことといたしております。

 このうち、小規模校の存続につきましては、平成二十七年一月に策定をした公立小中学校の適正規模、適正配置などに関する手引において、小規模校のメリットを最大化し、デメリットを最小化するための方策をきめ細かく示しているほか、小規模校支援のための教員加配措置、過疎地域などの児童生徒の通学手段として有用なスクールバス等の購入費補助、事例集やフォーラムを通じた好事例の横展開などを行っているところであります。

 文科省としては、自治体の意向も踏まえ、各種施策の充実に努めてまいりたいと考えております。

務台分科員 自治体がどちらの選択をするかは自治体に任せたいという、そして、選択した場合には一定の支援策ということでございますが、もう少し踏み込んだ対応を求めたいという趣旨で質問させていただきます。

 私の選挙区には、他地域からの山村留学で学校存続を果たしている学校があります。長野市立の大岡というところにある小中学校でございます。この児童の半数は、実は他地域からの山村留学でございます。

 こうした山村留学に注目して支援措置というものがあるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

浅田政府参考人 御指摘の山村留学につきましては、子供たちが自然豊かな農山漁村地域に滞在し、地域の小中学校に通いながら、学校内外でさまざまな体験活動を行う取組であると承知しております。

 先生が例に挙げられたような長期間の、転校を伴うような山村留学に対する文部科学省としての支援は行っておりませんけれども、独立行政法人国立青少年教育振興機構が行う子どもゆめ基金の事業において、体験活動の普及啓発の観点から、短期の山村留学について助成を行っているところでございます。

務台分科員 例えば、長野市の教育委員会の中には、他地域からの山村留学生に長野市民の税金を充てることはおかしい、そういう市民の声を気にして、山村留学に対する支援をやめて、その上で小学校、中学校の存廃を議論する動きが一時期あったというふうに私も承知しています。そうした見方は、理屈の上ではありますが、地域社会存続という視点が決定的に不足している、そのように思います。

 教育委員会というよりも、むしろ長野市全体として、長野市内の市街地からの域内留学で中山間校への児童確保を図るべきではないか、そんなことを私も申し上げているんですが、これがなかなか進みません。こうした取組を促す仕組みというのを考えるべきではないでしょうか。

丸山政府参考人 いわゆる小規模特認校についてということであろうと思いますが、平成三十年時点で百九十二自治体でこの制度を活用しております。

 児童生徒数について網羅的に把握をしておりませんが、文科省としては、小規模校における教育魅力化の好事例の発掘を行い、事例集の作成やフォーラム開催による横展開などを行っているところでございます。

 引き続き、小規模特認校の好事例の発掘を含む実態の把握や、小規模校を魅力化する施策について、しっかり検討してまいりたいというふうに考えております。

務台分科員 私が聞いたのは、市の中の山村留学について検討できないかという、そういう質問、通告してあった問三なんですけれども、どうでしょうか。

丸山政府参考人 学校選択制のお話だと思いますが、いわゆる従来の通学区域を残したままで、特定の地域の学校について、その域内のですね、通学区域に関係なく、当該市町村のどこからでも就学を認める、松本市の市街地の学校に、松本の中山間にある学校から、そこの通学区域は残したまま認めるということ、これは学校教育法上の特認校制というふうに言っておりますけれども、そういったものについて、今私が申し上げたのは小規模特認校という類型のことでございまして、まさにそういうお話を説明をさせていただいたという。

務台分科員 済みません。そういう、一般論、一般的に言うので。やはり山村留学という言葉が相手に伝わらないとだめだと思うんですけれどもね。教育委員会の人たちも、一般制度ではなくて、地域を元気にするためにこの制度をどういうふうに使うか、そういう意識をぜひ植え付けたいので、ぜひこういう言葉を使っていただきたい、そのように思います。

 中山間地の小規模校への教師の加配の現状というのも伺いたいと思います。

 加配の充実で少人数教育が充実すれば、結果として教育水準も上がると思います。むしろ、中山間地域の学校で学びたいという要望が生じ、児童がふえる可能性もあります。私の地元で、大町市の美麻小学校が、すごく小さいんですが、加配によって教育水準が上がって、大町市内で最も偏差値が高いという、そんな結果も出ております。

 中山間地の加配の充実についてのお考えを伺いたいと思います。

丸山政府参考人 加配の関係でありますが、文科省としても、小規模校における教育上の課題の解消は重要なものであるというふうに受けとめておりまして、公立小中学校の教職員定数について、実質的な複式学級の解消にも活用が可能な小規模校支援のための加配定数を七十五人、令和二年度予算案に盛り込んでいるところであります。

 これに加えまして、令和二年度予算案におきましては、二校以上の小学校及び一校以上の中学校を含む学校群による学校運営により義務教育九年間を通じた教育活動を一体的に行う場合であって、小学校高学年における専科指導に積極的に取り組む場合に支援するための加配定数を新たに二百一人盛り込んだところであります。小規模校についても、要件を満たしていればこの加配定数を活用することができるというふうに考えております。

 このような加配定数の支援に加えて、小規模校において子供たちがより大きな学習集団で対話や協働ができる環境を整備をするため、例えば、長野県の喬木村で行われておりますICTを活用した遠隔合同授業のような取組への支援も行ってまいりたいというふうに考えております。

 中山間地域における小規模校への支援を含め、引き続き、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実に取り組んでまいりたいと思います。

務台分科員 ぜひ、この中身をもっともっと充実していただきたいと思います。

 中山間地の高校生が市街地の高校に通う交通費の問題が保護者の間では切実な課題となっております。このことで、子供の高校進学を機会に市街地に引っ越すという動きも出ております。市街地で下宿をして子供が地元を離れる、そういう実態もございます。

 高校生は、いざというときに本当に頼りがいのある若手でございますので、地域の元気のあかしという側面もあります。地域社会を維持するという観点から、通学困難地域からの高校生の通学費用、これを一定の公費負担をするという仕組みが必要ではないか、そういうふうに思うんですが、これについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 通学困難な中山間地域を含め、全国の学ぶ意欲のある高校生が安心して教育を受けられるよう、必要な支援を行うことは重要だと考えております。

 高校の修学支援については、国において、一定の所得要件のもと、高等学校等就学支援金により授業料負担を軽減しており、また、来年度からは私立高校授業料の実質無償化を行うこととしているほか、家庭の経済状況に応じ、高校生等奨学給付金により学用品や教材費などの支援を行い、保護者の負担の軽減を図っています。

 他方、通学支援については、全ての子供たちが学ぶ義務教育段階は、国も一定の責任を担いつつ、スクールバスや遠距離通学費の支援を行う一方で、義務教育が終わった後の高等学校段階では、それぞれの地域の実態を踏まえて、各地方自治体の責任において必要な支援が行われることを基本としつつ、例外として離島振興法がございますので、島については、高校未設置の離島に住む高校生の通学費については国による支援が行われているところです。

 このような中で、中山間地域における高校生の通学支援についても、主に高校生が居住する自治体において、各自治体の判断により、定期券の購入費の補助などを行うなど、通学費にかかる保護者の負担軽減が行われています。

 文科省としては、こうした各自治体の取組とあわせ、中山間地域を含めた全国の学ぶ意欲のある高校生が安心して教育を受けられるよう、国と地方の役割分担を踏まえ、関係省庁とも連携して、高校生の修学支援について引き続き取組をしてまいりたいと考えております。

務台分科員 離島についての前例はあるということでございますが、中山間地、過疎地は陸の孤島でございますので、そういうこともちょっとお考えいただいて、今後詰めていっていただきたい、このように思います。

 子供の自然体験教育も、地域を元気にする役割を果たします。自然の中で一定期間過ごす子供は、ほぼ例外なく元気になっております。文科省でも、学校教育課程の中で自然体験教育の重要性を認識し、二泊三日以上の体験教育を推奨していただいております。子供の自然体験教育に関する、文科省も含めた各省庁の取組について伺いたいと思います。

浅田政府参考人 子供の自然体験活動につきましては、生命や自然を尊重する精神、環境保全に寄与する態度を養う観点からも重要と考えておりまして、内閣官房、総務省、文部科学省、農林水産省、環境省で連携を図りつつ取り組んでいるところです。

 文部科学省の取組としては、小中高等学校における二泊三日以上の宿泊体験活動や、学校教育における農山漁村体験活動導入の取組に対する支援、あるいは家庭や地域などが体験活動に対する理解を深めていくためのフォーラムなどを通した普及啓発、体験活動に関する調査研究などを行っております。

 また、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部の事務局では、学校教育における長期、これは四泊五日以上ですが、長期の子供の農山漁村体験の取組に対する支援など、総務省では、送り側、受入れ側、双方が連携して行う実施体制の構築や体験交流計画策定の推進、小中学校の取組等に対する地方財政措置による支援、そして農林水産省では農山漁村地域の受入れ体制の整備、環境省では国立公園等における子供の自然体験活動への支援といった事業を行っているところでございます。

 今後とも、関係省庁の連絡会議もございますので、その開催等を通じて、関係省庁間で十分に情報共有、連携を図って、子供の自然体験活動を推進していきたいと思っております。

務台分科員 最近は、関係各省の連携で、予算の中身が相当充実してきている、このことについては感謝申し上げたいと思います。

 一方で、過去に、事業仕分により自然体験教育予算が大きく減額された時期がございました。この際どういう議論で削減が行われたのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

浅田政府参考人 平成二十一年、二〇〇九年の十一月に行われました行政刷新会議のワーキンググループの事業仕分におきまして、文部科学省が実施する自然体験活動に関する事業のうち、農山漁村におけるふるさと生活体験推進校という事業がこの対象とされまして、地方でも既にやっているので国がする必要はないなどの理由から、国として行う必要性が見受けられなかった、国として事業を行わないという結論になりまして、このときは、当初要求していた事業についてはゼロ査定とされたところでございます。

 一方で、その後で行われた国民からの意見募集では、やはり国が行う必要があるという御意見など、事業仕分の結果に反対する御意見も約七割以上いただいたところです。

 これらの状況を総合的に勘案して検討した結果、それまでの国による委託事業から、学校・家庭・地域連携協力推進費補助金のメニューの一つとして、やり方を変えまして、自治体に対する補助事業とする見直しを行ったところでございます。

務台分科員 こういう経緯を経て、今日の予算があるというふうに思います。

 当時はやはり相当、事業の効率化を図るという議論が一世を風靡して、まあ、ある意味で仕方がなかったかなというふうに思いますが、昨今の子供をめぐる環境の大きな変化の中で、改めて、子供の自然体験教育が及ぼす効果について御認識をいただきたいと思います。立憲民主の川内先生もいらっしゃいますが、よく聞いていただきたいと思います。

浅田政府参考人 自然体験活動も含めて、豊かな体験活動が子供たちの育ちにどれほどいい効果があるかというのは、多くの人が感じておられるものだと思います。

 例えばですけれども、独立行政法人国立青少年教育振興機構が平成二十八年度に行いました青少年の体験活動等に関する意識調査というのがございますが、そこからも、自然体験や生活体験を多く行った人ほど、自己肯定感が高い、道徳観や正義感がある、あるいは自立的な行動習慣が身についているといった傾向が見られるという、まあ、これはデータの一つでございますが、そういった調査の報告も出ております。

 こういったデータもございますし、それから、多くの人が体験というか実感していると思いますが、やはり、子供たちの健やかな成長のためには、できるだけ多様な体験の機会を充実して、一人一人がそれぞれの課題を乗り越えながら、ほかの人と協働しながら何かをなし遂げる、そういった豊かな経験の機会を充実することがとても大事だなと思っております。

務台分科員 自然体験教育を体系立って行うためには、やはり体制の整備が必要だというふうに思います。

 教師の働き方改革が大きな課題になる中で、教師にさらなる負担を強いるのはいかがかという意見もございます。その中で、この自然体験教育、二十年以上にわたって実施してきている武蔵野市では、一週間の農山漁村体験を非常にスムーズにやっています。どのような工夫でこれをこなしているのか。運用の実態、そして財源がどうなっているのか、伺いたいと思います。

丸山政府参考人 武蔵野市の事業でございますけれども、平成八年度から、市内全ての小中学校において、小学校では第五学年、中学校では第一学年の児童生徒を対象に、自然に恵まれた農村、漁村に一週間程度滞在し、自然との触れ合いを通し、子供たちの豊かな情操や感性を育むとともに、子供同士の協働による自主性や協調性を育てることなどを目的とした、武蔵野市セカンドスクール事業が実施をされております。

 このように、市内全ての小中学校を対象とし、一週間程度の宿泊体験活動を円滑に実施するための工夫の一つとして、教員の負担軽減や児童生徒の安全確保などを図ることなどを目的に、大学生などを生活指導員として配置をし、宿泊体験等においても教員のサポートを行う体制が構築されているものと承知をいたしております。

 武蔵野市におけるこのような取組については、昨年六月に内閣官房が作成をしました「子供の農山漁村体験活動の充実・推進に向けた手引き」におきましても優良事例として盛り込まれており、他の自治体の参考となるよう、全ての都道府県教育委員会などに周知を図ったところでございます。

 また、これらの体験活動事業に係る事業費でございますが、令和元年度予算で約一・五億円でございますが、その一部について、文部科学省の補助事業であります健全育成のための体験活動推進事業から支援をしておりますが、その大半については、武蔵野市の市費、一般財源において予算が計上されていると承知をしております。

 また、保護者等の負担も、児童生徒に係る食費のみ負担を求めているというふうに承知をいたしているところであります。

 文科省におきましては、武蔵野市のような農山漁村体験活動の取組が各地域や学校に広く普及されるよう、関係府省ともしっかりと連携を図りながら、関連施策の推進に努めてまいりたいと考えております。(発言する者あり)

務台分科員 これは、夏休みということではなくて、四季を通じて行っているというふうに私も理解しておりますので、ぜひよろしくお願いします。

 今は武蔵野市は交付税をもらっていない、大変財源的に恵まれた自治体です。そこが一・五億円を十分出せるということですが、世の中の一般の自治体は、これをやるのは本当に難しい。そういうこともありまして、バックアップ体制も含めた体制整備をするという意味で、今、衆議院の文部科学委員会に継続しております子供の自然体験教育の制度化を目指す法案、これがございます。我々も、こういう法律をしっかり成立させて、文科省の取組をバックアップしていくつもりでございますので、ぜひ、文科省におかれては、法案の趣旨を先取りして予算拡充、体制整備を図る、そんな努力をしていただきたいというふうに思います。

 次に、「森のようちえん」について伺いたいと思います。

 自然体験教育を基軸にした子育て、保育の取組である「森のようちえん」を支援する議員連盟を、先月の二十九日に設立させていただきました。萩生田文科大臣も顧問に御就任いただいておりますが、NPO森のようちえん全国ネットワーク連盟の皆様のお話を聞くと、「森のようちえん」は都会の保護者の皆様によく知られており、地方に移住する大きなインセンティブになっているという、そんな調査もあるようでございます。現に私の地元にも「森のようちえん」がありますが、何人かの親子は移住者でございます。中には、配偶者を都会に置いて移住してくる、そんな親子もいらっしゃいます。

 一方で、その「森のようちえん」が幼児教育の無償化の影響で存廃の危機に瀕しているという、そんな現状が出てきております。

 「森のようちえん」の入園者の中には、条件に合わず、無償化の対象にならないために、やむなく無償化の対象になる幼稚園へ移っていく人もおります。制度の差が逆選択を促しているという、そんな現象でございます。

 こうした矛盾に対して、大臣、いかがでしょうか。この間、予算委員会で質問をされていた、大臣になる前に。私も、本当に印象深く、いい質問だったなというふうに思っておりますが、当事者になってみて、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今般の幼児教育、保育の無償化の対象範囲については、法律により幼児教育の質が制度的に担保された幼稚園、保育所、認定こども園を基本としながら、待機児童問題により認可保育所に入りたくても入れない方もいることから、代替的な措置として認可外保育施設等も対象とするという考え方で整理がされており、法律上、一定の線引きがなされています。

 御指摘の「森のようちえん」につきましては、幼稚園、保育園の認可を受けているものもあれば、認可外保育施設あるいは自主的なグループなどさまざまな施設、団体が取り組まれていると承知しており、今般の無償化の対象となるかは、その設置形態等によると承知をしております。

 また、今般の無償化の対象とならない施設の中にはさまざまなものがあることから、国が一律に支援することにはなじまないと考えておりますが、これらの施設の中には、各地域に固有の、さまざまな歴史的な経緯を経て、現在も地域や保護者のニーズに応え、重要な役割を果たしている、地域にとってかけがえのない施設があり、こういった施設を大切にしていくことが重要だと考えております。

 このため、これらの施設に対しては、まずは自治体がどう考えるかとの判断を尊重した上で、認可施設とのバランスや安全面を含めた一定の質の確保の観点も考慮しつつ、支援のあり方について検討していく必要があると考えております。

 これを踏まえ、令和二年度においては、まずは地域にとって重要な役割を果たす施設への効果的な支援の方策について調査を行うための予算を政府予算案に計上しています。

 各自治体におかれては、本事業の実施を契機に、地域にとってかけがえのない施設等に対する支援の充実につなげていただきたいと考えております。

 今後、並行して地方団体とも協議、調整を行いつつ、本事業で得られる知見も踏まえ、新たな支援策の実施を目指して、取組を進めてまいりたいと考えています。

務台分科員 これまでの政府の答弁の中では最も踏み込んだ答弁をいただいたというふうに理解したいと思います。それぞれの地域にとってかけがえのない施設として機能しているという、その大臣の本当に温かい認識、感銘させていただいております。

 地方自治体がそれぞれの立場で単独支援を行うところも出てきております。ただ、地域によっては対応に差異がありまして、公立幼稚園、保育所のあるところは、児童確保の観点から、「森のようちえん」に非常に冷淡だ、こんな例も出てきております。

 長野県や鳥取県は独自の認定基準を用意して、優良なところについてはしっかり支援していくという動きもあります。

 こうした基準を国としてもしっかり認定して、近い将来、「森のようちえん」に対しても無償化の対象にできるようという気持ちなんですが、今大臣は非常に前向きでございましたが、所管局長としても、それを裏書きする答弁をしていただきたいと思います。

丸山政府参考人 「森のようちえん」でございますが、委員御指摘のとおり、長野県や鳥取県などにおきまして独自に基準を定めた認証制度が創設されており、県が独自の財政支援等を講じている場合があるということは承知をいたしております。

 令和二年度においては、このような無償化の対象となっていないものの、地域にとって重要な役割を果たす施設への効果的な支援方策について調査を行うための予算を予算案の中に計上しておりまして、各自治体における認証制度も含め、調査を行ってまいりたいと考えております。

 今後、調査事業の実施状況も踏まえまして、並行して地方団体とも協議、調整を行い、新たな支援策の実施を目指して、しっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。

    〔鬼木主査代理退席、主査着席〕

務台分科員 この調査はとても大事だと思います。

 聞くところによると、サンプル調査をする、そんな情報もあるんですが、これはやはり悉皆調査をしてもらいたいというふうに思います。そして、その調査をいつまでに行い、それに基づいて何を決定するのか、そのめどを示していただきたいと思います。

丸山政府参考人 現在、政府予算案に計上しております調査事業は、国と地方が協力した支援のあり方の検討に資するよう、就学前の幼児を対象として集団的な活動を行う施設などに現に支援を行っている自治体に対し、それらの施設などの支援の方策についての調査を委託するものであります。

 現在、公募要領等の詳細につきまして検討を行っているところですが、準備が整い次第、速やかに公募を行いたいというふうに考えております。

 今後、調査事業の実施状況も踏まえ、並行して地方団体とも協議、調整を行い、新たな支援策の実施を目指して議論を進めてまいりたいというふうに考えております。

務台分科員 これから保育園、幼稚園に子供を入れたいというお母さん方、この調査の結果をすごく意識しております。それによって、中山間地のある地方に移るか、今のままでとどまるか、それを決める、そんな重要な調査になると思いますので、ぜひ、地域にとって教育というものがいかに重要なインパクトを持つか、そういう意識をもっともっと文科省には持っていただいて、地方創生のために教育が十分機能するんだ、そんな考え方で対応していただきたい、以上申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

井野主査 これにて務台俊介君の質疑は終了いたしました。

 次に、日吉雄太君。

日吉分科員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、まず、下関市立大学の問題についてお伺いさせていただこうと思います。

 昨年、下関市立大学では、専攻科を新たに設置するに当たりまして、その手続に重要な問題があったのではないかということで、教授会のメンバーの九割超の方々が署名運動をして反対をしている。また、学外の弁護士さんが意見書という形で、重要な不備があったというようなことを言っております。こういった中で新設が決定し、既に新しい教員三人の採用が決まったというような流れになっています。

 そこで、お伺いさせていただきます。

 まず、学校教育法九十三条では、大学には重要な事項を審議するために教授会を置かなければならないというふうに定められておりますが、この教授会の決定過程、教員採用に係る教授会での意見聴取、このあたりの手続はどのようになっていたのでしょうか。

伯井政府参考人 下関市立大学の特別支援の専攻科の設置及び教員の採用につきましては、同大学においては、教授会に意見を聞くことなく学長が決定したという経緯でございます。

日吉分科員 それは学校教育法に違反するものではないんでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘いただきました学校教育法の第九十三条第二項では、学生の入学及び卒業、課程の修了、そして学位の授与、そして教育研究に関する重要な事項で学長が定めるものについて、学長が決定を行うに際してあらかじめ教授会が意見を述べるものとしております。

 この教育研究に関する重要事項として具体的にどのような事項について教授会の意見を聞くこととするかは、各大学の実情等を踏まえて学長が判断するというものとされております。

 下関市立大学における特別支援教育特別専攻科の設置や専攻科を担当する教員の採用が、同大学における教育研究に関する重要な事項で学長が定めるものに当たるかどうかについては、同大学において判断されるべきものでございまして、教授会の意見を聞くことがなかったという理由について、その説明責任も同大学にあるというふうに考えております。

日吉分科員 大学では教授会の意見を聞かなかったということなんですけれども、どういったことについて教授会の意見を聞くのか聞かないのか、聞くことについて書面でルールか何か、大学では決まっていなかったのでしょうか。

伯井政府参考人 大学に我々が聴取したところ、本学の教授会は全学教授会ではなくて経済学部の教授会、もともと経済学部の単科大学ですので、そういう認識で、このため、教授会の意見を聞く事項における教員には新設の専攻科の教員が含まれていないという判断を大学としてされたというふうに聞いております。

日吉分科員 他の学部の新設だから経済学部の教授の意見は聞く必要がない、そういう判断だったというふうに理解しましたが、ただ、全体の教授の中での九割以上の方が反対しているということからしますと、今後、この専攻科が新設されて学内がうまく回っていくようにはとても思えないわけなんですね。だから、実質的にはその判断は間違っていたんじゃないのかなというふうに思うんですけれども。

 そんな中で、もう一つ、この手続において、教育研究審議会の意見も聞かなければいけないというふうに定まっていると聞いております。それと、経営審議会の審議も経なければいけないというふうに言われておりますが、そちらの方は審議を経たということなんですけれども、教育研究審議会の審議は経ていない。にもかかわらず、採用が決定してしまった、この理由を教えてください。

伯井政府参考人 まず法律でございますが、地方独立行政法人法第七十七条第三項におきまして、教育研究に関する重要事項を審議する機関を置くものとされておりますが、その構成員、組織、審議事項等については各公立大学法人の定款において定めるということとされております。

 下関市立大学によりますと、同大学の定款では、理事長は、教員の人事や教育課程の編成に係る方針等に関する事項について決定しようとするときは、教育研究審議会の議を経るものとするというふうに定款上規定されております。

 同大学では、教育研究審議会の招集を複数回試みたということでありますが、しかしながら、委員の審議拒否があり、定足数を充足せず、審議会は開催できなかったということであります。そのことをもって教育研究審議会の議を経たものとみなして、理事長として決定したとのことでございました。

 このような場合に教育研究審議会の議を経たものとみなすかどうかというのは、これも同大学において判断されるべき、大学の定款の解釈の問題でございます。その説明責任は設立者である市や大学にあるというふうに考えております。

日吉分科員 会が流れたということなんですけれども、通常、私たちも委員会をやっています、本会議もありますけれども、仮に定足数が足りなかったとか会が流れたとしても、それで何か賛成というふうに判断したとか、議を経たとかということにはならないで、必ず定足数を満たして開催するはずだと思いますので、それを大学の、定款の判断について大学が責任を持って判断するみたいなことではなくて、それは明らかにおかしいと思うんですね。それはどう思われますか。

伯井政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、同大学においては、教育研究審議会の招集を一度ならず複数回試みたものの、なかなか審議に応じていただけなく、定足数が充足できなかったということで、そういう努力をもって、教育研究審議会の議を経たものとみなして、理事長として決定したということでございます。

 これも大学の定款の解釈の問題でございますので、しっかりその説明責任を市側あるいは大学側において果たしていただきたいというふうに考えております。

日吉分科員 それは議を経たではなくて、会が開催されると新設が強行されてしまうから、その会を開催させないように、会を流そうとした、そういうふうに皆さんが思ってやっていたことなんじゃないでしょうか。

 あと、教員採用についてなんですけれども、下関市長が教員を独自で探してきたというふうに聞いております。

 しかしながら、本来であれば、教員は公募をしたりとか、教員の採用の可否というのは慎重に検討されるはずだと思うんですけれども、公募というような手続、これは行われていたんでしょうか。

伯井政府参考人 大学によりますと、公募手続はとっていないということのようでございます。

日吉分科員 それは定款か何かで、規則で、公募をするとか、そういった決まりはなかったんですか。

伯井政府参考人 これは恐らくということではございますが、新設の特別支援の専攻科ということもございますので、その辺の規定というところまではなかったのではなかろうかと思います。ちょっとこれは、そこまで詳細には聞いておりませんので、推測でございます。

日吉分科員 済みません、わかったら教えてください。経済学部で新たに講師、教員を採用するときに、公募を経なければいけないとか、そういった決まりなりはあったんでしょうか。

伯井政府参考人 今確認中でございますが、通常、大学において教員を採用する場合は、公募手続をとることが通例であろうかと考えております。

日吉分科員 通例、公募手続をとるというわけなんですから、新設の専攻科であろうが、公募手続は多分とるわけなんですよね。定款に記載がなかったとかというわけではなくて、あったとしても、その規定を設けたとしても、通常であれば公募するわけですよ、経済学部でしているわけですから。だから、当然大きな瑕疵があったのではないかということだと思うんですね。

 となると、先ほどの教育研究審議会の議も経ていない、教授会の話も聞いていない、公募もしていないといったことで、文科省としては、この手続について何か指導されたんでしょうか。

伯井政府参考人 基本的には、大学における意思決定プロセスに関する定款や学内規程等の解釈、運用ということでございますが、その説明責任は大学においてしっかり果たしてもらいたいという事柄ではございますが、文科省としても、大学執行部と教員組織との間での意思疎通をしっかり図りつつ、定款や学内規程等に基づく適正な手続がとられることが重要であるということでございますので、これまでもそういう観点での助言をしておりますが、今後も、大学からの説明を聴取しながら、引き続き、適切な大学運営がなされるよう、必要な助言をしてまいりたいと考えております。

日吉分科員 助言を、指導をした。指導、助言。

伯井政府参考人 我々、公立大学に対しては、基本的には、その権限の範囲で助言をしていくということで、これはしっかり説明責任を果たした方がいいですよ、あるいは、今後に向けて教授会の規定というのを整備した方がいいですよといったようなことを助言する立場であろうかと考えております。

日吉分科員 その助言をするに当たって、法的に問題があったから助言をした、こういう理解でよろしいですか。

伯井政府参考人 教授会の議、あるいは先ほどの審議機関については、先ほど私が答弁したとおりでございますので、必ずしも違法かどうかということではないけれども、必要な対応をされた方がいいという意味での助言でございます。

日吉分科員 済みません、何の法律に違反する可能性があるから助言をされたんですか。法律の根拠を教えてください。

伯井政府参考人 必ずしも違法というふうに判断しているわけではございませんが、先ほど言った学校教育法、あるいは地方独立行政法人法の根拠に照らして助言をしようというものでございます。

日吉分科員 済みません、具体的な条文をよろしかったら御紹介いただけますでしょうか。

伯井政府参考人 学校教育法は、先ほど言った教授会の権限について九十三条第二項で規定をしておりますので、先ほどの、「教育研究に関する重要な事項で、教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの」という九十三条第二項第三号の規定などでございます。

 また、地方独立行政法人法につきましては、第七十七条で、公立大学法人は、定款で定めるところにより、当該公立大学法人の経営に関する重要事項を審議する機関、経営審議機関を置くものとするということがあり、公立大学法人は、定款の定めるところにより、当該大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関を置くものとするということでございますので、そうしたことの運用についてどうかということで話を聞き、助言をしているというものでございます。

日吉分科員 法律の根拠はわかりました。

 具体的にそこに抵触する可能性があるのか、法令違反なのかどうかというのは、それは明確に判断しなくていいんですか。

伯井政府参考人 今聞いている範囲の手続として、明確に法律違反に該当するわけではないというのは、先ほど来答弁しているとおりでございます。

 ただ、先ほどこれも申しましたが、執行部と教員の間で意思疎通が十分でないとか、あるいは今後に向けて教授会等規定を整備した方がよいとか、そういったことはしっかり対応し、また、説明責任というのを当該大学においてしっかり果たしてほしいということをお願いしている、助言しているということでございます。

日吉分科員 でも、外部の弁護士さんが、違法なのではないか、手続に不備があるのではないか、こういうふうに意見書を出されているんです。それを踏まえて、本当に違法なのかどうかということを検討しなければいけないと思うんですけれども、本当に違法かどうか、違法ではないと現時点では考えられているんですか。

伯井政府参考人 先ほど答弁いたしましたように、教授会の権限というのは学長が決定するということでございますし、教育研究審議会に関しましても、定款で定めるということでございますので、その解釈の問題であるというふうに我々は認識しております。

日吉分科員 文科省からは助言をされたということなんですけれども、当の下関市立大学は、それを無視するかのように、強引に教員採用を決定し進めているような状況だと思うんですけれども、これを所管する大臣、これはどう思われますか。

萩生田国務大臣 先生から通告があって初めて、この中身、詳細について承知をしたんです。

 それで、今高等局長が答弁したとおり、直ちに何かの法律に抵触しているかと言われると、ここは我々も確信を持ってこの法律に違反しているという項目はございません。

 ただし、せっかく市長さんも新しいインクルーシブ教育を地元の市立大学でやりたいということであれば、やはり執行部と教員組織の間で意思疎通をきちんとしていただいて、皆さんから祝福されて学部はスタートするべきじゃないかなというのが基本的な考えなので、今のところ、ちゃんと説明責任を大学として果たしてくださいよと。これは市立大学ですから、例えば市議会の議決案件も必要になります。

 定款だとかの読み方が、やや、お互いに両面から読んでいた部分もあるんだとすれば、この機会によく話合いをして、きちんとした、今後、将来、そういう遺恨を残さないようにしてもらいたいなということで、まずは意思疎通を図ってもらいたい、学内の定款や学内規程を厳格に手続をきちんととってほしいということを今助言している状況にございますので、大学の自治もありますから、何か文科省がいきなり入っていって行司役をやるという性格のものではないことは御理解いただけると思うので、しばらくしっかり地元の市立大学の中で対応していただきたいな、引き続き文科省としてできるアドバイスや助言はしていきたいなと思っています。

日吉分科員 今お話ありましたけれども、そもそも仕組みとして、市長が理事長を任命するという仕組みになっております。その理事長の進め方について、大きな問題はなかったと弁護士さんの資格を持っている監事さんが言っているんですけれども、この監事さんも市長が任命することができるんですね。かつ、この新しい専攻科の設置については市長が教員を探してきたということで、一方で、その市長は選挙で総合大学化したいというようなことも言っていたやにも聞いております。

 そうすると、経営サイドで、理事長と監事、そして経営審議会がどんどんどんどん進めていった、教授会とか教育研究審議会という学校教員サイドの意見を聞かないまま進んでいって、九割以上の教授の反対署名が集まったということなんです。

 だから、今大臣おっしゃりましたけれども、いろいろ経過を見ていくということなんですけれども、一回立ちどまって、もう一度、審議や過程を、本当によかったのかどうかというところをやっていかないと、多くの教授が反対しているわけですから、これはうまくいくわけがないと思いますので、そこのところ、もう一回御検討いただきたいなというふうに思います。

 次に、加計学園の話をちょっとお伺いしたいと思いますが、今、入試のシーズンですけれども、まず最初に、加計学園の獣医学部の志願状況、合格状況、直近までの状況を教えていただけますでしょうか。

伯井政府参考人 岡山理科大の獣医学部の志願者数、合格者数でございますが、二〇一八年度は、志願者数二千三百四十七人、合格者数は五百六十四人、二〇一九年度は、志願者数二千百二人、合格者数五百八十三人でございます。また、二〇二〇年度入試について、まだ終了していませんが、岡山理科大に確認したところ、現段階、二月二十一日現在で終了した入試については、志願者数千九百八十二人、合格者数三百十一人であるというふうに伺っております。

日吉分科員 ありがとうございます。

 そうすると、たしか定員が二百人ですので、大分上回る合格者数が発表されているのかなと思いますけれども。

 あともう一つ、四国枠というのがたしかありました。六年間、毎年の学費約百万円を支払いを猶予して、その後五年間、四国で仕事につくと返済を免除される、こう理解していますけれども、この四国枠の志願状況と合格状況を教えてください。

伯井政府参考人 四国枠の志願者数、合格者数でございますが、二〇一八年度は、志願者数六人、合格者数四人、二〇一九年度は、志願者数六人、合格者数一人、二〇二〇年度は、志願者数四人、合格者はいなかったということでございます。

日吉分科員 たしか、もともと四国で獣医師さんが不足しているということで進めてきたと思うんですけれども。実際に、この四国枠というのは、四国に残って獣医師として働いていただくという方を集めようと思ってやられている制度だと思いますが、これが、三年たちましたけれども、志願者もふえず、合格者も、たしか二十名ぐらいですかね、合格者を予定していたと思うんですけれども、それにも大きく足りていない、ことしはゼロ人ということなんですけれども、この状況、大臣、どう思われますか。

萩生田国務大臣 開校二年目ということもありますし、今の四国枠については、ただ希望しても、多分条件もあるんだと思いますので、ちょっと私、詳細はわからないんですけれども。

 いずれにしても、今まで全く獣医学部がなかった四国に構造改革特区でつくった以上は、四国で働いてくれる獣医師さんも養成していただくことも期待をしているところでございますので、ぜひそういった取組を強化してほしいなというふうに思っております。

日吉分科員 強化していただく。

 一方で、合格者はふえているんですけれども、たしか、獣医師の需給バランスに影響を与えないようにというような、こういったことも慎重に考えながら新設を決定したと思うんですけれども、獣医師さんの需給バランスに加計学園の合格者が影響していくことはないですか。

伯井政府参考人 合格者につきましては、合格者のうち入学者とは当然ずれがございます。二〇一八年度で入学者は百八十六名、二〇一九年度は二百十五名ということで、入学定員を二〇一九年度は若干上回っているものの、御指摘のようなことはないというふうに考えております。

日吉分科員 しかし、四国に残るという方じゃなくて、多分ほかに行っちゃうかもしれない方が、合格者がふえているわけですよね。こういった状況で本当に影響はないんですか。もう一度お願いします。

伯井政府参考人 最終的に、入学者が、四国枠に限らず獣医学科の卒業生が四国の獣医師として定着することが重要というふうに考えておりますので、岡山理科大学におきましても四国枠の獲得ということでいろいろ努力をしているようでございますし、また地域の獣医学の充実ということでも努力をされておるというふうに伺っておりますので、引き続き状況を注視していきたいと考えております。

日吉分科員 結果的に、当初の目的、思いというのが達成されていないのかなというのが今の状況かなというふうに思うんですけれども。

 それともう一つ、大臣にお伺いしたいんですけれども、たしか大臣は、加計学園の設置している千葉科学大学でしたでしょうか、で客員教授をやられていて、その後、名誉客員教授になられたんでしょうかね。今は、その名誉客員教授という立場のままなんでしょうか。

萩生田国務大臣 現在は辞職をしております。

日吉分科員 どのタイミングで辞職をされたんでしょうか。

萩生田国務大臣 私、全く後ろめたさがなかったので、意地でも続けようという気持ちもあったんですけれども、しかし、要らぬ誤解を招いてもいけないと思いましたので、大臣就任以前に辞職をさせていただきました。

日吉分科員 ありがとうございます。

 そういうことで、辞職はされたということなんですけれども。

 ちなみに、大臣、最近、加計孝太郎理事長とはお会いされたりはしていますか。

萩生田国務大臣 最後に会ったのがいつかちょっとわからないんですけれども、私、個人的に、加計理事長と個人的な交流はございません。

 国会に戻った後の平成二十五年以降に、二度、複数の方たちと御一緒したことがございます。そのうちの一つがバーベキューの写真でございまして、あれが、要するに、うそじゃないか、こう言われたんですけれども。

 私、議事録を見てもらえばわかるんですけれども、当時、参議院で櫻井先生に、教授の在任中に理事長と会ったことがあるだろうと言われたから、ありました、こう申し上げて、ただ、獣医学部のお話を聞いたことはありませんという答えをした後に、個人的なつき合いがないと、そのときも同じ答弁をしたんですけれども、バーベキューの写真が出て、仲よしじゃないかということで非常に皆さんから御批判をいただいたんですけれども、そのときも、大人数の中のあれで、個人的なおつき合いはなくて、それ以降、ここ何年か、残念ながらお会いした機会はございません。

日吉分科員 まあ、お会いしていないとおっしゃられるので、お会いしていないと思うんですけれども。ただ、客員教授もやられていたという関係もございますので、ちょっと個人的なつき合いがあるかどうか。まあ、ないというのもちょっとどうなのかなとは思うんですけれども。

 ただ、申し上げたいのは、そういったいろいろな関係が少なくともあった中で、今、文科大臣として学校法人を御所管する立場にあられる中におきまして、やはり利害関係があるとかというふうに思われたらよろしくないのかなというふうに思います。

 そんな中で、今、加計学園の獣医学部の四国枠が合格者ゼロという中で、本当に設置がよかったのかどうかということもしっかりと検証していかなければいけないなと思うんですけれども、大臣としまして、そこは関係なく、しっかりそこは判断し、必要があれば指導していくという思いをちょっとお話しいただけたらと思います。

萩生田国務大臣 わざわざ構造特区で新設をされた大学ですから、その設置目的に合った運営をしていただくことを期待をしたいと思いますし、過去に、系列大学に一時期、非常勤とはいえ席があったからといって、何か特別な思いをかけて便宜を図ることも、あるいは指導を緩めることも全くございません。きちんと対応していきたいと思います。

日吉分科員 厳しい対応をしていかれるということがわかりました。

 最後に、もう一つだけ。客員教授にはなぜなられたんですか。

萩生田国務大臣 これは話すとすごく長くなりますけれども、実は、紹介をされたのは亡くなった町村先生だったんですね。それで、別段、国会議員をやりながら客員教授をやりたかったわけじゃなくて、落選をしてしまって、その後の再起の中で、専門分野で少し勉強しながら仕事にもなることがないかということで紹介されたのがきっかけでございます。

日吉分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、下関市立大学の件もそうですし、加計学園の件もそうですけれども、しっかりと、大臣のリーダーシップのもと、指導していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

井野主査 これにて日吉雄太君の質疑は終了いたしました。

 次に、小寺裕雄君。

小寺分科員 自由民主党滋賀第四選挙区選出の小寺裕雄でございます。

 本日は、質問の時間をいただきましたが、よもや最後の最後になるとは思いもよらず、皆さん早く終わりたいと思っておられると思いますが、できるだけ、地元ネタなんですけれども、やらせていただきたいと思います。

 前段に、私の地元滋賀県が、さまざまな調査等ですべからく地味であるということで有名なわけですが、ことしは全国的に注目を浴びて大変喜んでおります。それは、NHK朝の連続テレビ小説「スカーレット」と大河ドラマの「麒麟がくる」、それぞれの舞台が滋賀県であるからです。特に「スカーレット」は、私の選挙区、甲賀市信楽町が舞台となっており、ドラマの人気にあやかって信楽地域は大変なにぎわいを見せております。また、織田信長の居城であった安土城址も、私の地元、近江八幡市安土町でもあります。偶然のこととはいえ、テレビ小説の舞台と大河ドラマの舞台が同じ県というのは初めてのことだそうでありまして、この機会に皆様方もぜひ滋賀県においでいただければというふうに思うところであります。

 それでは、私からは、地方における産業人材確保の観点から、高等専門学校、いわゆる高専について、さまざまな角度から現状と課題、今後の方向性などについて質問をさせていただきたいと思います。

 人手不足が深刻な状況でありまして、さまざまな分野で非常に人手不足が叫ばれております。少子高齢化が進む日本の社会では、生産人口が減少していくのですから仕方がないということかもしれませんが、現実の社会では、はいそうですかというふうにはなかなか言っておられない状況であります。ですから、一億総活躍社会の実現ということを目指して、定年の延長でありますとか女性のさらなる社会進出に取り組んでいるところでもありますし、外国人労働者の受入れ拡大策というのもそうしたところにあるものと考えます。

 一体、新しく社会に出ていかれる方々はどこへ行ってしまうのかといいますと、それは紛れもなく東京であります。この五年間、地方創生の実現に向けて、全国の地方自治体ではさまざまな取組を進めてまいりましたけれども、結果的には、十分にそうした東京への一極集中というものは改善するというところまでには至りませんでした。

 私の地元滋賀県では、大都市への通勤圏ということもあって、数少ない人口が維持されている県ではありますけれども、とりわけ主要産業である製造業の関係者からは悲痛な叫びというものが上がっております。新年会で出会わせていただいたり、あるいは企業訪問等でお邪魔をさせていただいて幹部職員の皆さんとお話をさせていただきますと、必ずいただく御要望が人手不足と人材不足、とりわけ工業系とICTに対応した人材が全く不足しており、何とかしていただきたいというふうなことをいつも聞かせていただきます。

 生産現場ではまさに人手が不足しているということで、外国人の技能実習生で対応したりしているところではありますけれども、地方において、高度化した製造技術の設計を担う人材でありましたり、現場において研究開発を担う人材の不足感にはかなり厳しいものがございます。滋賀県でも、県立大学を始め立命館大学や龍谷大学から理工系人材は多数輩出しているものの、残念ながら、そうした多くの卒業生の皆さんは県外で就職をされます。まさに東京へ行ってしまわれます。

 そういう観点からいたしますと、滋賀県に進出をされている、先ほどお話ししたような地場の企業が強く求めておられる人材を輩出しているのが、この高等専門学校であろうというふうに思います。製造業を中心とする産業界から全国で高い評価をいただいている高等専門学校ですが、残念なことに滋賀県には高等専門学校がございません。滋賀のほかには、佐賀と山梨そして神奈川と埼玉には高専がございません。

 そこで、実は滋賀県では、昨年の九月の県議会で高専の設置に関する質問が、自民党県議団の団長の奥村芳正議員と、また非自民系会派からもございました。そのとき三日月知事からは、いわゆる平成二十八年度に誘致検討に当たって文部科学省に問合せはしたけれども、若年人口の減少していく中で国立での新設はなかなか理解が得られないということ、それから、滋賀県は、先ほどお話しさせていただいたように、昭和五十年代後半から理工系大学の誘致を進めてまいりまして、立命館であるとか龍谷大学であるとか県立大学にも理工系の学部を新設させていただいたりということで、最後に平成十六年、沖縄で高専が設置をされて以来、国立では設置がないというふうな認識をしていただきました。

 そこで、県議会からの要請も受けて、現在、滋賀県では、高等専門人材育成機関検討会というものを立ち上げられて、調査検討を進めておられるところであります。

 この検討会では、高専だけに限らず、さまざまな可能性もあわせて調査をしておられるのですが、いずれにしても、高専はその中で最も期待される選択肢となっています。さらに、この検討委員会である一定の報告がなされると、外部有識者を交えた検討会の設置へと移行されるという情報もありまして、地元産業界では大変期待も高まっているところです。

 そこで、まず、基本的な質問で恐縮ではありますけれども、現在の高専の概要等をお尋ねいたします。特に、卒業生の進路あるいは就職率、また卒業生を受け入れた進路先の企業からの評価はどのようなものなのか、教えてください。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 高等専門学校、高専、現在、国公私立合わせて五十七校設置されております。創設以来、約六十年にわたりまして、五年一貫の実践的技術者育成を行っており、産業界や諸外国からも高い評価を受けているところであります。卒業生のうち、四割の学生が大学や高専の専攻科に進学、六割の学生が就職ということになっております。

 就職する学生のうち、情報処理技術者を始め、製造技術者、建築、土木などの専門的、技術的な職業に従事する学生が九割を超えており、我が国の産業を支えているという評価を得ているものと認識しております。また、就職希望学生の就職率は長年にわたりほぼ一〇〇%となっておりまして、就職先企業からも、その資質、能力、仕事ぶりに高い評価を得ているというふうに考えております。

小寺分科員 ありがとうございました。

 予想はしておりましたけれども、非常に高い評価をいただいている、聞けば聞くほど滋賀県にも高専があったらなというふうなことをつくづく思うところであります。

 そこで、高専の評価が非常に高いということはこれでわかったわけですけれども、実は、私は日ごろ、きょうは文科の分科会で質問をさせていただいておりますけれども、農林の分野で活動をさせていただいておりまして、農林部会で農業高校の問題が今、結構大問題になっていまして、いわゆる農業高校の実習施設が大変老朽化して大変やということで、そうした課題が実は農林の部会で話し合いをされて、農水省としても、何かできることないんかといったことが今ちょうど検討をされているところであります。

 そこで、私自身、個人的に、滋賀県へ帰りまして、滋賀県庁で勉強会を開催させていただきました。県議会の四十四名のうち約三十名の先生方に出席をしていただいて、農業高校の実情を知る勉強会ということで、県内の農業高校の校長先生でありますとか実習の先生、合計七名四校から集まっていただいて、つまり、施設の現状についてお話をいただいたところであります。大変大きな反響があり、滋賀県の地方新聞でありますとか日本農業新聞にも記事として掲載をしていただきました。

 全国的に、学校施設の老朽化とか、今、耐震はほぼ終わったので、トイレの洋式化でありますとかいろいろ進めてこられましたけれども、高専も実質同じではないかなというふうに思って見ておりました。

 党の高専の小委員会に出席をかねてよりさせていただいておりましたけれども、その折にも、高専の施設の老朽化が著しいことや、時代に即した人材を輩出していくためには、これから高専を更に近代化、高度化していくべきである、さらには、海外から高い評価をいただいているこの高専のシステムそのものを海外に輸出すべきである、そういった意見が小委員会の中で出てきたように記憶をしております。

 そこで、現在、高専の施設の老朽化対策や近代化、高度化対策はどのようになっているのでしょうか。お尋ねをしたいと思います。

伯井政府参考人 今先生から御指摘いただきましたように、高専の施設設備は老朽化が著しく、計画的な整備、更新が喫緊の課題というふうになっております。

 施設整備につきましては、高専の創設期に集中的に建設されたため、老朽化が急速かつ一斉に進行しているということから、新しい時代にふさわしい国立の高専の機能の高度化、国際化を実現し、老朽施設の改善整備や寮の整備などを推進するため、令和元年度補正予算及び令和二年度予算案等におきまして二百二十九億円を計上しているところでございます。

 また、基盤的設備の整備につきましては、老朽化の改善とともに、時代に即した教育の高度化に資する新たな設備の導入のために、令和元年度補正予算及び令和二年度予算案におきまして四十三億円を計上しているところでございます。

 高等専門学校は、三年後の令和四年には創設六十周年を迎える予定であります。機能の高度化、国際化の基盤となる施設設備については、二〇二四年度までの五年間で計画的、集中的に整備、更新を行うことを目指しておりまして、その実現に向けて必要な予算確保に全力で努めてまいりたいと考えております。

小寺分科員 ありがとうございます。

 小委員会の中で進められた議論が、こうして補正予算と本予算とあわせて計画的に施設の整備が進むということを大変うれしく思うところであります。

 また、特に高度化のところ、海外の方にこの高専のシステムが移るということも今お話もいただきましたし、とりわけ国際化の観点でいうと、外国人の方々が日本の高専で学ぶといったことも想定もされますし、この国際化についてはぜひしっかりと取り組んでいただきたいというふうに期待をするところであります。

 しかし、こういう教育施設のいわば整備というのは、これは科研費等にも言えることなのでしょうけれども、私自身は、こうした日本の将来、未来を背負って立つ人材に関するいわゆる投資が余りにも最近少な過ぎるのではないかなというふうに考えるところであります。

 私が先ほどお話し申し上げたような勉強会を開催した農業高校もそうなんですけれども、いわゆる実業系の高校には、ハード面、ソフト面、両面で課題が山積をしております。今回は高専ということに関する質問で立たせていただいているわけでありますけれども、萩生田大臣も本日は御出席いただいておりますので申し上げますけれども、私自身も党内でもっと声を上げさせていただきたいというふうに思います。ぜひ、そうした学校の施設面でありますとかハード、ソフト両面でさらなるお力添えを賜って、充実した環境が整えられるようにお願いを申し上げておきます。

 そこで、ようやく近代化と高度化が進んでいく高専ですが、出口における課題もあるというふうに考えております。特に、輩出される人材を受け入れたい地元の企業と卒業する高専生の進路とがマッチしていないのではないかということであります。この課題は、検討を今現在進めている滋賀県でも議論されているテーマでもありますが、一体どうやったら高専の卒業生が地元に定着をしてくれるのかということが最大の課題であろうというふうに思います。

 そこで、関連する五つの質問を一度に申し上げさせていただきますけれども、先ほどお話がございましたように、高専の卒業生の約四割ぐらいが大学と専門科へ進まれるというお話でございました。結果的には大学へ編入を希望される方々が多数を占めているわけで、本来であれば、特に地元の皆さんからすれば、本科で勉強していただいてできればそのまま地元に定着をしていただく方が望ましいということであるにもかかわらず、大学へ編入されますと、また大学への進学、あるいは先ほどお話しさせていただいたように東京の方の企業に就職をされてしまって、結局、地元にはなかなか残っていただけないという現実があるわけであります。

 つまり、専科への進学がいわゆる大学編入に負けて少ないのは一体なぜなのかということをお尋ねします。

 それから、高専は基本的に、どちらかというと、言葉は語弊があるかもしれませんが、田舎に大体立地をしておりますので、高専のそうした卒業生を地元につなぎとめるためには、地元企業との連携や協力等が必要ではないかと考えます。そこで、高専が設置されている自治体の企業や経済界との連携や協力体制はどうなっているのかといったことをお尋ねします。

 あわせて、卒業生が地元に定着してもらうために、何か具体的にさまざまな高専の中で取り組んでおられるような事例があれば教えていただきたいと思います。

 さらに、滋賀県の場合ですと、冒頭申し上げましたように、大学誘致を積極的に行ってきた結果、立命館大学、龍谷大学、そして県立大学に理工系の学部が既に存在をしております。その上で県立で高専を設置していこうというふうに考えますと、育成される人材のすみ分け、それぞれの役割の整理と連携をどう考えていったらいいのかといったことが課題になろうかと思います。その点で、お答えがあればお尋ねをいたします。

 そして、先ほどの高専の高度化、国際化の中に既に答えがあったかもわかりませんけれども、例えばこれから十年先の社会ニーズを見越した形で高専が育成すべき人材の姿というものが想定されていれば、お尋ねをしたいと思います。

伯井政府参考人 まず、専攻科進学が少ないという課題でございます。

 高専では五年一貫の実践的技術者教育を行っていますが、更に学びを深化させたい学生を対象に、本科卒業後に二年間の専攻科を設けております。ただ、この定員が、高専の入学定員でいうと本科が一万五百十人に対して専攻科が千二百三十一人と、もともと一割程度になっております。

 この点については、学生のニーズ等を踏まえ各高専において設定しているというのが現状でございますが、大学への進学希望者も多い中、学生のニーズ等をしっかり踏まえて、高専からの希望があれば適切に対応していかなければならないというふうに考えております。

 次に、高専と地元企業との連携と定着についてでございます。

 現在、ほとんどの高専では、地元企業との産学連携教育あるいは共同研究などに相当取り組んでおられると思います。具体的には、そういうことを進めるために技術振興会というのを設置しておりまして、在学中から地元企業への理解を深め、地元定着率の向上ということで頑張っておられるというふうに考えております。

 文科省といたしましても、令和二年度予算案におきまして、より産学連携による地域課題の解決に向けた取組を支援する経費を計上し、こういった取組を促進していきたいということでございます。

 また、大学との役割の違いでございます。

 高専は、大学とは異なり、より実践的な、実務者の行う高等教育機関として設立されました。一方で、その役割は時代とともに変化し、近年では研究開発に従事する技術者の育成においても期待されております。大学とも協力しつつ、すぐれた技術者の育成ということを図ってまいりたいというふうに考えております。

 最後に、十年後の社会ニーズを見越した人材育成でございますけれども、高専では、グローバル化の進展、あるいはソサエティー五・〇時代の産業構造、就業構造の変化に対応できる人材、あるいはサイバーセキュリティーといった社会的要請が高い分野の人材育成にも対応しております。

 文科省としても、そうしたことに設備等の支援で対応をしっかりしていきたいというふうに考えております。

 引き続き、地域に求められる人材育成機関としての高専の機能強化に努めてまいりたいと考えております。

小寺分科員 言いたいことがたくさんありますが、時間の関係で次の質問に進ませてもらいます。

 実は、滋賀県が高専について調査するようになってから、私自身も高専についていろいろ調べさせてもらいました。小委員会に出席もさせていただいたり、過去の経緯も調べたりさせていただきました。

 すると、以前は議連があったことがわかりまして、平成二十六年の十月十五日に、高等専門学校を考える議員連盟が党本部の七〇二号室で設立総会を開催しておられました。もうお帰りになりましたけれども、河村建夫会長でありますとか、保利耕輔顧問あるいは八木哲也事務局長というふうに役員が選任されておりました。

 そこで、私、八木先生の事務所のところに伺いましたら、その当時の資料が残っておりまして、いろいろ読んでおりましたら議事録が残っておりました。すると、その中の第一回目の議事録の一番最初に、萩生田大臣が当時発言をしておられました。

 大臣は当時、高専から大学への編入が多く地元企業から就職に対する不満がある、専科から地元企業への誘導が必要だ、そして、高専は工業系、水産系があるが、地方創生という観点から農業系や商業系の設置も必要だ、ただし、地元に就職できる密着型の高専が必要であるというふうに発言をされたと記してありました。まさに小委員会で今でも出ている議論や、滋賀県が検討を進める中で出ている課題でもあります。

 また、第七回まで議連の資料は残っているんですが、大臣はかなり出席をよくされておりまして、こうした状況を見てみますと、大臣が高専の改革や高度化についてかなり御関心が高かったことがよくわかります。

 そういう経緯があったからこそ、大臣が就任直後の新聞のインタビュー記事の中で、地方で工業、商業、農業高校と短大で県立高専をつくれないかという御発言につながったのだというふうによくわかりました。

 実は、滋賀県では、現在、地元産業界からの要請を受けて、県立高専の設置可能性について調査検討を進めているところであります。萩生田大臣が高専に対してどのようなお考えや思いをお持ちであるのかをお尋ねしたいと思います。特に、実業系の高校を高専化するということ、そして県立高専の考え方について教えていただければと思います。

萩生田国務大臣 高等専門学校は、創立以来約六十年にわたり、五年一貫の実践的技術育成を行っており、その卒業生は、長きにわたり日本の産業界を支えております。私、いろいろな機会に発言しているんですけれども、誤解を恐れず申し上げれば、戦後の日本の物づくり企業を支えてきたのは全国の高専卒業生だと言っても過言ではないというふうに思います。

 先ほど昔の議連の発言がありまして、地元企業の皆さんから不満があるという発言があって、まんざら間違っていないんですけれども、一方、この六十年のうちの後半の三十年は、もっと言えば設立当初は、わかりやすく言うと、地元の中小企業に就職する技術者の養成という一面が強かったんだと思います。ところが、この教育カリキュラムが極めて先進的で正しいものだったからこそ、結局、その人たちが地元企業じゃなくて大企業から引き合いがあったり、あるいは大学や大学院などに編入するという人たちが後半ふえてきたんだと思います。

 日本を代表するさまざまな物づくり企業の役員の中にも、実は卒業生は大勢います。ところが、最終学歴しか会社の定款に書いてないものですから、高専出身者だというのが見えないので、今、この見える化をしようということを卒業生の皆さんに機構を通じて呼びかけをしているところでございます。

 この日本独自の教育システムは、産業界や諸外国からも高い評価を受けており、最先端の産業とともに地域の中堅企業を支える高度かつ実践的な人材の育成を担う高等教育機関として期待をしております。

 大臣に就任した直後の昨年九月には、最も古い学校の一つであります沼津工業高等専門学校を視察し、地元企業と連携したお茶の渋みを抑える研究など、産学連携による地域課題の解決に向けた取組などについて説明を受け、行われている教育の質の高さ、そして社会からの期待の大きさを感じることができました。

 先ほど先生、どうしたら地元企業に就職ができるようになるのかというお話がありましたので、私の私見を申し上げますと、一つは、沼津もそうなんですけれども、高専の中にもうラボができていて、地元の企業等々と共同研究、共同開発をしています。すなわち、決して企業等にとっては、別に囲い込みじゃないんですけれども、学生時代から自分の会社の製品開発などに携わっている人たちは、間違いなく地元の企業に就職してくれます。

 私の地元に東京国立高専があるんですが、菊池製作所という会社、これはたびたび福島県などでもクローズアップされるんですが、ロボットですとかあるいはさまざまな機械をつくっている会社なんですけれども、圧倒的に高専の卒業生によって組織をされております。

 ちなみに、上場を果たしまして、そういう企業としての価値評価も上がっているところでございますので、その社長さんやあるいは機構の理事長さんたちに聞くと、何が大事か、どうしたら地元でとってもらえるかというと、ややもすると、さっき申し上げた前半の三十年は地元の中小企業への人材育成、人材養成のような感覚があったので、大卒よりも安い初任給で雇用ができるというところに多くの中小企業の皆さんが目をつけたんですけれども、もはやそんなことは言っていられません。高専の卒業生であっても、大卒と同等の初任給を提示することによって地元企業への雇用はふえるということを理事長などはおっしゃっていますので、一つの参考にしていただいたらいかがかなというふうに思っております。

 昨年十一月には、高専のロボコンを直接見せていただきました。これはめちゃめちゃ興奮します。学生たちが四月の時点でテーマを与えられて、七月までの県予選でロボットをつくって、そしていよいよ全国大会に来るというこういうプロセスで、夏の甲子園に負けずとも劣らない、そういった物すごい迫力を感じるものと、技術力の高さというものをすごく誇りに思いました。

 議員がお考えの公立の高等専門学校の新設については、地方自治体における人材育成の選択肢の一つとして認識をしております。文科省としては、地方公共団体から高等専門学校の整備について具体的な意向がある場合は、その構想やニーズを伺いながら必要なサポートを実施するとともに、高専全体の振興に向けてしっかり注力してまいりたいというふうに思います。

 私、就任期間中に地元から要請があれば積極的に支援をしたい、こういう意向でございますので、ぜひ、地元の皆さんとお話合いを進めていただいて、先ほど午前中の質疑でも申し上げたんですけれども、例えば農業なんかでも物すごくニーズが変わってきていると思うんですね。ですから、農業高校を三年間で卒業して、農業後継者になるということには十分なんでしょうけれども、六次産業化などを目指したりすれば、当然、海外とのやりとりも勉学の中でやっておかなきゃならないことでありますし、技術も物すごく、AIを使ったりICTを使ったりするので、高度化していくと思います。

 そういう意味では、多分、十五歳からスタートして五年間のこの勉強期間というのは、すごく日本人にもあるいは世界の若者にも合っているからこそ、タイですとかモンゴルですとかあるいはアフリカなどからも、熱い、言うならラブコールをいただいているんだというふうに思っていまして、六十年間培ってきた高専の仕組み、制度というものを更に磨きをかけて、全国の人材育成の拠点にしていきたいな、こんな思いでおります。

小寺分科員 ありがとうございました。非常に、御支援いただけるような前向きな御発言をいただいて、大変うれしく思っております。

 滋賀県、今検討を進めているところでありますけれども、今まさに言われたように、いわゆる滋賀県の地元企業が求める人材を育成するような学科とは何なのかといったことを考える必要があろうかというふうに思います。

 また、県立ということを考えますと、滋賀県の場合は、工業高校を高専にするのか、同じ施設に併設をするとか、あるいは県立大学の附属高専という手法も考えられますけれども、施設を具体的にどうしていくかというのは、その前に、もちろん、規模感も学科も何も決まっていないので言うことではないのかもわかりませんけれども、タイムスケジュールと費用を考えれば、既存施設を活用できる方がよいのかなと私自身は考えております。

 さらには、教員の問題もございます。普通の工業高校を転換となればそうした先生の活用はそれぞれできるわけではありますけれども、大学で教える先生を新たに集めるというのはまた自治体にとってはハードルの高い課題もございます。ぜひ、今大臣からお話いただいたように、地元自治体から御相談に上がったときには親切丁寧に御指導をいただければと思います。

 また、最後には、やはり設置、運営に対して、自治体に対して特別扱いをしろとは申し上げませんけれども、ぜひ、財政的な支援の御配慮も賜れればと思います。

 私自身は、滋賀県で県立の高専ができればと思ってこれからも活動を進めてまいりたいと思いますので、ぜひ、文科省の皆さんあるいは大臣には御指導賜りますことを改めてお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

井野主査 これにて小寺裕雄君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時五十九分散会


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