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第1号 令和7年2月27日(木曜日)

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本分科会は令和七年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      高木  啓君    山田 賢司君

      藤岡たかお君    早稲田ゆき君

      大森江里子君    田村 貴昭君

      緒方林太郎君

二月二十六日

 高木啓君が委員長の指名で、主査に選任された。

令和七年二月二十七日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 高木  啓君

      山田 賢司君    荒井  優君

      安藤じゅん子君    岡田 華子君

      藤岡たかお君    道下 大樹君

      早稲田ゆき君    大森江里子君

      平林  晃君    緒方林太郎君

   兼務 石橋林太郎君 兼務 大西 洋平君

   兼務 國場幸之助君 兼務 福田かおる君

   兼務 辻  英之君 兼務 黒田 征樹君

   兼務 萩原  佳君 兼務 鳩山紀一郎君

    …………………………………

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   文部科学副大臣      武部  新君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     西海 重和君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   松田 浩樹君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  齊藤  馨君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         江口 有隣君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          源河真規子君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 須藤 明裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           斉田 幸雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 西條 正明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       日向 信和君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伊藤 学司君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       井上 諭一君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            塩見みづ枝君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            堀内 義規君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    寺門 成真君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高橋 秀誠君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    野村 知司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           松原 英憲君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  藤岡たかお君     荒井  優君

  早稲田ゆき君     市來 伴子君

  大森江里子君     福重 隆浩君

  田村 貴昭君     塩川 鉄也君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  荒井  優君     安藤じゅん子君

  市來 伴子君     道下 大樹君

  福重 隆浩君     吉田 宣弘君

  塩川 鉄也君     田村 智子君

  北神 圭朗君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤じゅん子君    藤岡たかお君

  道下 大樹君     岡田 華子君

  吉田 宣弘君     平林  晃君

  田村 智子君     赤嶺 政賢君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 華子君     早稲田ゆき君

  平林  晃君     山口 良治君

  赤嶺 政賢君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  山口 良治君     大森江里子君

同日

 第一分科員黒田征樹君、第二分科員石橋林太郎君、國場幸之助君、辻英之君、第三分科員鳩山紀一郎君、第五分科員福田かおる君、第七分科員萩原佳君及び第八分科員大西洋平君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

高木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました高木啓でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。あべ文部科学大臣。

あべ国務大臣 令和七年度文部科学省関係予算の政府案につきまして、その概要を説明申し上げます。

 令和七年度予算の編成に当たっては、教育、科学技術・イノベーション、スポーツ、文化芸術関連施策を推進するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆四千二十九億円、エネルギー対策特別会計千八十四億円などとなっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりですが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

 以上です。

高木主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高木主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田かおる君。

福田(か)分科員 自由民主党の福田かおるです。

 文部科学大臣におかれましては、通告はございませんので、御退出いただいて結構でございます。

 さて、資源を持たない日本の力の源泉は、人であって、教育でございます。教育というと、子供たちのための教育に話題が集中しがちです。しかしながら、変化の激しい社会にあって、大人になってからの学びにも、もっとフォーカスを当てる必要があるのではないかと考えております。

 技術や社会が急速に変化する中、働き方も大きく変わってきています。私が就職したのは、二〇〇八年、iPhone3Gが発売された年でした。当時は、まだメールやインターネットのブラウザー検索に慣れていない方も大勢いらっしゃいました。それが昨今では、生成AIによってホワイトカラーの仕事が失われていくといったことも言われるようになってまいりました。

 働き方が大きく変化する中で、子供たちは、将来のために何を学ぶべきなのでしょうか。

 私自身は、両親も教育者、学校教育の申し子のような育ちで、一生懸命勉強してきた方だとは思います。でも、自身を振り返っても、二十歳前後で、将来のために何を勉強するのが有益なのかなど、分かってはいませんでした。子供の頃によい教育を受けたら安泰ではなく、大人になってからの学びが大事な時代になりつつあるとつくづく感じております。

 また、様々な未成年期をお過ごしになった方もおられます。御家庭の御事情、御病気、いじめ、不登校、多感な思春期に学びの場から離れてしまった方々、子供の頃に思っていたような教育を受けることができなかったと感じておられる方々も少なくありません。誰もが、大人になってから知識や能力を更新し、社会で活躍できる、そんな場を探求できる、頼りになる教育体系に今こそ改革していく必要があるのではないかと考えています。

 折しも、高等教育の在り方については、中央教育審議会の答申が二月二十一日に出されました。我が国の「知の総和」向上の未来像と銘打った答申になります。大学を始めとする高等教育の存在意義、目指すべき姿について書かれておりますが、その内容を簡単に御説明いただけますでしょうか。文部科学省にお伺いします。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 去る二十一日に取りまとめられました中央教育審議会の答申におきましては、高等教育は、多様な人材育成や学術研究による知の創出、イノベーション等の役割を担う国力の源泉とされ、高等教育の目指すべき姿とし、我が国の知の総和を向上することが掲げられてございます。

 この知の総和は人の数と人の能力の掛け合わせであり、その向上に向け、高等教育全体の規模の適正化を図りつつ、地理的、社会経済的にアクセス確保策を講じ、教育研究の質を高めることが必要とされているところでございます。

福田(か)分科員 ありがとうございます。

 大変重要なことが書かれていると私も思っております。高等教育機関によって生み出された知の総和は、我が国の更なる成長、発展に欠かせないものでございます。また、高等教育機関で学ぼうとする意欲がある全ての方が高等教育を享受できる場にしていかなければならない。同時に、高等教育機関は、経済成長だけでは計り知れない、幸せや生きがい、豊かさを感じられる、個人が成長できる場にもなっていかなければいけません。強く共感しております。

 OECDのデータによると、我が国の高等教育機関への入学者の平均年齢は十八・四歳です。OECD諸国の中で最も低く、高校などを卒業したらそのまま高等教育機関に入学するという流れに乗って進学する方が多いということかと思います。我が国において、多くの方にとっては、大学を含む高等教育機関は、職業人生を送るに当たっての土台をつくる場と認識されているのではないかと思います。

 では、日本において、社会に出た後に高等教育機関に入学し直して学ぶ方というのは、諸外国に比べ、どのような状況なのでしょうか。文部科学省にお伺いいたします。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 社会人の高等教育入学者比率につきましては、社会人向け短期プログラムなどに関して比較できるデータはございませんが、今ほどお話ありましたOECD加盟国との比較可能な正規課程についてお答え申し上げたいと思います。

 学部学生に占める二十五歳以上の入学者割合につきましては、OECD平均では一六%のところ、日本では一・二%となってございます。また、修士学生に占める三十歳以上の入学者割合につきましては、OECD平均が二八・七%に対しまして、日本は九・六%。同じく、博士学生に占める三十歳以上の入学者割合は、OECD平均が四四・二%のところ、日本は四二・五%となっております。

福田(か)分科員 ありがとうございます。

 議場の方にも資料を配らせていただいていますが、皆さんの肌感覚にも合っているのではないかと思います。日本では、大人になってから大学、大学院に入り直す方は少ない。私自身は、海外留学した際に、海外の大学、大学院では社会人がスキルアップのために学び直しをすることが珍しいことではないと知り、新鮮に感じました。

 文部科学省にお伺いいたします。

 日本では大学、大学院などの高等教育機関が社会人の学び直しの場として選ばれない原因として、どのようなものがあるとお考えでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、日本の社会人がリカレント教育に向かわない理由についてお答えをしたいと思います。

 これは幾つかあると思いますが、調査物を引いてお答え申し上げます。

 まず、内閣府における世論調査によりますと、一、費用負担、二、学ぶ時間の不足、三、情報を得る機会の不足、四、実践的かつオンライン活用など、受講しやすいプログラムの不足、そして五、企業の評価、環境整備の不足、こういったことが上位に挙げられております。

 また、文科省で、企業に対し、大学等を活用しない理由、そういったことについて調査をいたしました。その結果、大学等を活用する発想がそもそもなかったであるとか、大学等でどのようなプログラムを提供しているか分からないとか、他の機関に比べて教育内容が実践的でなく現在の業務に生かせない、こういった旨の回答が多かったところでございます。

福田(か)分科員 ありがとうございます。

 社会人になってから、もっとこんな勉強をしておけばよかった、いろいろな事情があって勉強ができなかったが本当はしたかったなどというお話を、私も歩き回る中で聞いております。大学で学んだことが社会人になってからも生きているとおっしゃる方もいらっしゃいます。一方で、大学での教育が社会の実践の場において役に立たないとおっしゃる方々も少なくありません。

 先ほど御紹介もありましたが、プログラムの内容について、高等教育改革を考えるに当たっては、実社会に役立つ教育がどのようなものなのかフィードバックを得ながら改革をしていく、プログラムをよりよくしていくことはとても大切だと思います。変化のスピードの速い社会だからこそ、オンタイムで経済活動の中にいる方々の意見というのはとても貴重になってきます。

 高等教育改革に当たって、社会人の学び直しの場としてプログラムをもう一度構築していくということは、二重の意味で大切になってくるかと思います。一つ目は、高等教育機関にとっては、子供たち以外の学生が増えていくということ、そして二つ目は、社会人の厳しいフィードバックを受けながらプログラムを修正していくことができるということ。

 国内の十八歳人口は、一九六六年の約二百四十九万人をピークに減少しております。二〇二四年には約六十三万人いた大学進学者数は、二〇四〇年には推計約四十六万人になってしまう、十七万人も減る見通しだということも言われております。現在の入学定員の規模が維持された場合は約三割が埋まらない、こんな時代が待っています。こうした前提を踏まえると、社会人を受け入れる体制を迅速に整えていくことは、今後の大学を含む高等教育機関の在り方を考える上でも根幹となる重要な取組となると考えています。

 一方、先ほどの御回答にもございましたが、社会人として生計を立てながら高等教育機関に行く、学び直すということは、とてもハードルが高いものです。送り出す雇用者の側にとっても、コストや人手不足の観点からも対応しにくいというお声、たくさんいただいております。また、せっかく教育機関に行っていただいたのに転職されてしまったというお悩みの声もたくさんございます。こうした障壁に対する打ち手は、大きく、教育機関側の課題に対する打ち手と、また、受講者、雇用主側への打ち手に分かれてくるかと思います。

 まずは、文部科学省にお伺いします。

 社会人の高等教育機関での受講を促進するため、どのような政策を検討されておられるのか、どのような予算事業を措置されておられるのか、各種の奨学金制度は使えるのかも含めて、お聞かせいただければと思います。

武部副大臣 福田先生にお答えさせていただきます。

 私も一般企業に、民間企業に入って、企業を辞めて、海外でしたけれども修士課程の勉強をしました。その際、先生もおっしゃっていましたけれども、その学校で、大学院で、様々なキャリアを持って入ってこられて、また更にキャリアアップしていくために勉強されているという方がたくさんいらっしゃるので、大変新鮮な印象を持ったことを先生の話を聞いて思い出しておりました。

 今御質問あったとおり、大学など高等教育機関において社会人が学び直していくことは、地方創生や産業成長にとっても大変重要なことだというふうに認識しております。他方、事務方からもお答えさせていただきましたけれども、学び直しについては、個人は、費用の問題であったり、時間が足りない、時間が不足しているという問題もあります。また、企業は、人手不足等が発生している、そういう状況もある。大学等については、専門のコーディネーター等が不足しているので、なかなかうまく社会人にアプローチできていない、そういうこともそれぞれ課題を抱えているんだろうというふうに、状況にあるというふうに認識しております。

 こうした状況を踏まえて、文部科学省では、令和六年度補正予算において、地方の中小企業経営者等や成長分野に関わる人材に関わるリカレント教育について、産学官金等で連携して進める大学等に対して支援を実施しております。

 また、実践的な職業教育を行っている修士課程や短期のプログラムを文部科学大臣が認定し、そのうち一定の基準を満たすものとして厚生労働省の認定も受けたものは、教育訓練給付金の対象となるなど、両省が連携して学び直しを行う社会人の支援を行っております。加えて、正規課程でありましたら、令和七年度から、大学院修士段階において本格的に実施することとしております授業料後払い制度を含めた、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金を利用することも可能です。

 今後とも、社会人の高等教育機関での学び直しの推進に向けて、引き続き、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

福田(か)分科員 ありがとうございます。

 武部副大臣からも御自身の経験を御共有いただきましたが、やはり、時間やお金に余裕がある人だけではなく、誰でも高等教育機関で学び直しができるような状況をつくっていきたいと思っているところでございます。

 厚生労働省にもお伺いします。

 社会人の高等教育機関での受講を促進するためにどのような政策を検討されておられるのか、実施されておられるのか。昨年の雇用保険法の改正を受けた対応も含めて、お答えいただければと思います。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 高等教育機関での学び直しに対する支援につきまして、厚生労働省としましては、先ほども副大臣の方からも御答弁がございました職業実践力育成プログラムに関しまして、受講者の就職、在職率が一定水準以上あるなど、厚生労働大臣が定める基準を満たした講座につきまして、労働者が主体的に受講し修了した場合に受講費用の一部を支給する教育訓練給付制度の対象とするとともに、事業内職業能力開発計画の策定等の要件を満たした企業が、雇用する労働者に対しまして訓練を受講させた場合に訓練経費等を助成する人材開発支援助成金の対象となるなど、文部科学省と連携した取組を行っております。

 また、先ほど福田委員からもお話がございました、昨年成立をいたしました改正雇用保険法に基づきまして、教育訓練給付金の拡充を令和六年十月から実施するとともに、労働者が自発的に教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に賃金の一定割合を支給する、教育訓練休暇給付金の令和七年十月からの創設に向けまして準備を進めているところでございます。

 引き続き、関係省庁ともしっかりと連携を取りまして、社会人の学び直しを支援をしていきたいと思っております。

福田(か)分科員 ありがとうございます。

 企業にも個人にも支援策が現在設けられ、また、予算の検討もされているということ、そして、お話にございましたとおり、昨年の法改正を受けて、今年の十月からは教育訓練給付制度に休業補償の施策が加わっていくということ、皆様にもより周知していただきたいと思っております。

 リカレント教育、リスキリングは、どちらかというと雇用政策側から出てきた政策テーマではございますが、高等教育改革という教育政策や企業における人材育成といった産業政策とも密接に連携して運用していく重要なテーマだと思っております。

 リカレント教育の枠組みで、関係省庁や民間企業とどのように連携して取り組んでいるのか、政府にお伺いしたいと思います。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 福田委員御指摘のとおり、こういったリカレント教育を推進していく上で、関係省庁、関係機関、また民間企業との連携は大変に重要だと思っております。しっかりと連携を取った上で進めていくということで、その上で、厚労省の取組も紹介させていただきたいと思います。

 まず、リカレント教育に係る関係省庁間の連携といたしましては、内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が連携をいたしまして、リカレント教育の推進に係る関係省庁連絡会議を令和三年から定期的に開催をしておりまして、次年度予算案や問題意識などについて情報共有や意見交換を行っております。また、個別施策の連携も進めておりまして、例えば、先ほどもお答えいたしました教育訓練給付制度、これにつきまして、文部科学大臣が認定をした職業実践力育成プログラムのほか、経済産業大臣がIT、データ分野を中心とした高度なレベルの教育訓練講座として認定した第四次産業革命スキル習得講座のうち、一定の基準を満たした講座も対象とするなどの取組を進めさせていただいております。

 次に、民間企業や関連団体との連携につきましては、本年一月に開催されました関係省庁連絡会議におきまして、文部科学省の予算事業として、大学、大学院が地域や産業界と連携、協働し、リカレント教育エコシステムの構築を進めることを支援する事業、また、経済産業省の予算事業として、民間企業や団体と連携して様々な教育メニューを提供するデジタル人材育成プラットフォームの運営などの情報共有もあったと承知をしております。

 今後、新設を予定しております教育訓練休暇給付金の普及も含めまして、今、福田委員からも御指摘いただきましたリカレント教育やリスキリングの取組を進めていくために、関係省庁との必要な連携をしっかりと図るとともに、経済団体を通じた周知、広報、また、労働局、ハローワークを通じた周知、利用勧奨などをしっかりと進めてまいりたいと思っております。

福田(か)分科員 ありがとうございます。

 これまでも政府の取組の状況を様々お伺いしてまいりました。草の根でも様々な動きが出てきていると承知しております。

 先ほど副大臣から御紹介いただきました事業につきましても、文部科学省の職員さんが何十社と企業に足を運んで企業のニーズを調べ、大学と共同プログラムを作ってみないかと打診されたり、また、文部科学省の事業に関心を持った経済産業省の課長さんが企業に事業を紹介してくださったりしたといったお話も聞いております。マスで幅広く周知していくと同時に、このように魂を持った職員の方々がより強力に前に進んでいけるように、省庁間の連携を行っていっていただければと思っております。

 経団連からも、ちょうど二月十八日には、「二〇四〇年を見据えた教育改革」と題した政策提言が出されております。機運が高まってきているのを感じています。

 二〇二五年という年は、未来の雇用と教育を一体に構築していくスタートの年として大事な年になるのではないかと考えています。縦割りを排して、政府の展望と施策をパッケージでお示しいただきながら、産学官政で運動論をつくっていくことが大切だと思っています。私も全力で取り組んでまいります。関係省庁で協力し、予算を十二分に執行し、更なる変革、社会実装を進めていただくことをお願い申し上げます。

 本日は、論点を明確にする中で、高等教育の中でも大学や大学院を想起させる議論をしてまいりました。しかし、昨今、即戦力としての技術を持つ人材を育てる高等専門学校など、そのほかの高等教育機関にもたくさんの注目が集まっております。こうした教育機関における社会人向けの講座の存在も、今後、大きく日本の産業競争力、そして高等教育の在り方を変化させるかもしれないと期待を寄せております。

 文部科学省として、大学、大学院以外の高等教育機関の果たす役割への期待についてコメントをいただければと思います。

武部副大臣 大学、大学院以外の実践的な教育を行う高専、それから専門学校についても、それぞれの特色や強みを生かして教育活動を展開することは大変重要です。

 高専については、地域の産業や、私の地元である北海道もそうでありますけれども、AIや半導体等の成長分野を牽引する人材育成等への期待が大変高まっております。教育内容の高度化を図ってまいりたいと思います。

 また、専門学校につきましては、地域の社会基盤を支える人材の育成、専門学校を卒業されると地元の企業に就職される割合は非常に高いですから、地域の社会基盤を支える人材を育成すること、また、社会人、留学生などの多様な学習ニーズへの対応といった重要な役割を果たせるよう、教育の質の向上を図ってまいります。

 文部科学省としましては、我が国の持続発展に資する専門人材の育成に向けて、引き続き、産業界や関係省庁、地方自治体とも連携しながら、特色ある教育活動を推進してまいります。

福田(か)分科員 ありがとうございます。

 教育というと、子供たちのための教育に話題が集中しがちです。しかしながら、このように変化の激しい社会にあって、子供の頃の教育だけではなく、より広く、大人になってからの学び直しに着目すべき時期に来ている、また、そんな機運が高まりつつあると考えております。学び直しは、大卒の意識の高い方にとってだけの利益ではありません。むしろ、御家庭の事情、疾病、未成年期の環境など、様々な事情で高等教育を受けることができなかった方にとっても希望になる政策であると思っています。

 誰もが思い立ったときに教育を受け、自分の活躍の場を探すことができる、そんな教育の在り方を追求していきたい。そして、このことは、我が国の更なる成長、発展の根幹となると同時に、経済成長だけでは計り知れない、人生における幸せや生きがい、豊かさを実感できる社会にもつながっていく話だと思います。中央教育審議会の答申も大変重要なビジョンを示していただいていると思っております。

 私がこの教育の話を取り上げたいといろいろな方にお話をしたときに、今、子供のための教育ではなく、なぜ高等教育改革のお話をするのかというお声もたくさんいただきました。その一方で、様々な社会人の方々から、本当はもう一回学び直したいんだ、子供を育てながら厳しい環境にあるけれども、もう一回学び直して職場でもっと活躍したい、そんなお話もたくさんいただいてまいりました。

 雇用保険法が改正されて、十月からは休業補償が出るようになるんだよ、生活費の心配を大きくしなくても一歩踏み出せるかもしれないよというお話をさせていただいたときに、本当に、同世代、そして下の世代の若手の社会人の方々から、うれしい、こんなことが起こっているんだと知らなかったというお声もたくさんいただいてまいりました。

 一方で、この新しく変わった制度を使える方というのもまだまだ限られている状況です。制度については、まだここからスタートするという段階ではありますが、不断の見直しも必要となってくると思います。

 今回、この問題に取り組んで、本当に多くの省庁の中でも外でも、多くの方々が、これから先の教育を、新しい教育を、子供たちの教育だけではなく、社会人になってからの教育という新しいフィールドをつくっていくんだという思いで動かれていることを目の当たりにしてまいりました。どうか、是非、大きな視点を持って、関係省庁の皆様が協力し、社会人の教育という分野を切り開いていっていただきたいと思います。

 新しい分野だからこそ、政治の立場としても行っていかなければいけないことがたくさんあると思っています。短期的に考えれば、無償化の話、そういったものに議論が集中しがちですが、この国の未来を考えていく上で、十年後、二十年後、三十年後の子供たち、社会人の皆さんのことを考えていく上で、このテーマは本当に大切だと思っております。

 全力で働いてまいり、皆さんのお役に立てるよう取り組んでまいりますことをお誓い申し上げて、ちょうど時間になると思いますので、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、本当にありがとうございました。

高木主査 これにて福田かおる君の質疑は終了いたしました。

 次に、荒井優君。

荒井分科員 立憲民主党の荒井優でございます。

 衆議院議員として二期目になって初めての国会での質問になります。

 僕は、先ほど福田先生もおっしゃっていましたが、教育の申し子だというふうに、先ほど福田先生も、両親が学校の先生だからということでおっしゃっていたかと思います。僕もその意味では申し子だと思っていまして、おじいちゃんが、祖父が札幌で私立高校をつくりまして、その学校の立て直しをちょうど九年前にやらせてもらいましたので、そもそも学校教育のことをやりたくて国会議員になりました。四年目になっております。

 この四年の間に、実は文科大臣も五人目になりました。萩生田大臣、末松大臣、永岡大臣、盛山大臣、そして今日、あべ大臣というふうになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。経産委員会で、副大臣のときにお越しいただいて、今日最後に質問をしますが、奨学金の代理返還制度のときに少しお答えいただいたかと思いますが、今日は文部科学大臣としてお伺いしたいというふうに思います。

 僕も、民間人から私立学校の校長になったときに、実は結構経営が厳しくて、十億円ぐらいの売上げですけれども、非常に下降で、毎年生徒数が減ってきて、ずっと赤字で経営が厳しい、そんな学校を立て直すということになってまいりました。

 学校に校長として、まあ、教員免許もありません、着任するときに、実は前任の先生、校長先生からいろいろな引継ぎを受けたんですけれども、そのときに一つ言われたことが、来年も生徒数は減ります、非常に厳しいです、辞める先生もたくさんいます、大変厳しいです、でも一つだけいいことがありますというふうに言われました。それは何ですかと聞いたら、先生用のトイレがウォシュレットになりますというふうに言われたんですね。

 僕が着任したときに、実はその高校は、生徒のトイレは全部和式だったんです。先生のトイレだけが、学校というのは不思議なもので、高校でも生徒用と教師用、大人用と分かれていることがほとんどだと思いますが、僕が行ったときには、生徒用はずっと和式だったんですが、先生だけ替えて、洋式だったんですね。しかも僕が着任するときには、多分その前の理事会で決めたと思うんですが、ウォシュレットに先生のトイレだけするという話で、それを聞いたときに、いやいや、そうじゃないんじゃないかというふうに思ったんですね。

 やはり学校は生徒のためにあるもので、特に高校の場合には選ばれる必要がありますから、何をもって選ぶのかというときに、僕は何となくそのときに、高校生の男の子や女の子が、自分が受けたい学校を見に来たときに、トイレが和式だったらやはりがっかりするんじゃないかなというふうに非常に強く思って、本来学校というのはこういうところに先に手を打っていくべきなんじゃないかというふうに思いました。

 十億円の学校で、二千万円使ってトイレを改修させてもらいました、赤字でしたけれども。ちなみに、二千万円というのはほぼ売上げの二%に該当しますが、こういった私立の学校においては、大体利益率も、どんなに頑張っても二%、三%ですので、毎年のそういった利益分に相当するものを全部投入してでも、やはりトイレから変えたいというふうに思ったんですね。

 昨日も予算委員会で、石破総理そしてあべ大臣に、我が党のおおつき紅葉代議士から、同じくトイレの話があったかと思います。少し相談をされましたので、そのときに、学校の施設のことを少し考えたときに、そうだ、僕も校長のときに一番最初に学校施設で気になったのはやはりトイレだったよなという、そんなやり取りをしたところから、彼女が和式のトイレのことについてお伺いをしたというふうに思っております。

 質問を始める前に、少し、今日、あべ大臣のいろいろなプロフィールを拝見したときに、ちょっと教えてほしいんですけれども、大臣は、御出身は石巻なんですよね。小学校は石巻の小学校を卒業されたという、中学校は私立で仙台だと思うんですが、小学校は石巻というふうに考えていてよろしいですか。

あべ国務大臣 はい、そのとおりでございます。

荒井分科員 ありがとうございます。

 僕も震災の復興のときに、当時は民間人でしたが、震災復興の財団をつくって、本当に石巻の皆さんにいろいろなことを教わりましたし、大変自分の人生にとっても、震災の復興、石巻の皆さんに多くを教わりましたので、そういう思いを多分共感する者として少し御質問させてください。

 例えば、大臣が卒業された石巻においては、今もってこのトイレの和式というものは三三・八%だということだそうです。つまり、洋式は六六・二%なんだということです。恐らく大臣が小学校のときは、ほぼほぼの学校が多分和式だったかと思いますが、そこから何十年経ても、国全体でも約四割がまだ和式だというふうなことだそうですが、石巻もそれに近しい数字だというふうに理解しています。

 これは僕が推測するにですけれども、僕も、実はあした五十歳になるんですが、ちょうど団塊ジュニアでして、まさにこの団塊ジュニアで子供の数が一気に増えるから、ちょうど学校を大きく増やした時期に相当する、つまり、僕らの世代が学校にたくさん入学するので全国に学校を増やしたというふうに思います。つまり、築五十年ぐらいの学校の校舎というのは世の中にたくさんあるというふうに理解しております。先生の選挙区の御地元でも、恐らく、新しい校舎と、また古い、本当に五十年前、四十五年前ぐらいに造られた校舎と、二つあるんじゃないかと思います。

 一つの想像に、つまり、和式のトイレがまだ残っているというのは、その古い校舎のままのトイレ、古い校舎のまま、そのトイレも替えることなく使い続け、新しい校舎でわざわざ和式のトイレというのは造らない気がしますので、古い校舎のままなんじゃないかというふうに思っております。

 ちなみに、大臣になられると、たくさん学校訪問したりされるというふうに思うんですが、大臣は、訪問した学校で、和式のトイレだった学校という経験というのはありますか。教えていただけますか。

あべ国務大臣 私が大臣に就任してから訪問した小中学校は四校でございますけれども、そのうち和式トイレがあったのは三校でございまして、洋式化率は、二校が九割以上で一校が約七割となっているところでありました。

荒井分科員 ありがとうございます。

 そうですか。何となく、洋式の学校ばかりひょっとしたら行かれたんじゃないかなという気がしていたので、物すごくそれは聞いてうれしいです。ほっとしました。

 僕も学校を校長として運営していました。なので、たくさんの学校に校長時代に伺いましたが、僕は学校の、行く、見るポイントがあるというふうに思っています。以前の文科大臣にもお伝えさせていただいたんですが、重ねる形になりますが、学校というのは、もちろん校長室に行って教室を見るみたいなことが普通なんだろうというふうに思いますが、やはり、一つ、トイレを見ると、あと、階段の周りというのはなかなか掃除が進まないところなんですが、その階段の裏側とかを見る。そしてまた、教員ではなく、学校は職員さんによっても成り立っていますので、用務員さんですとか事務員さんとかも声をかけてあげる、見てみるというのが僕はすごく重要だというふうに思っています。

 そういう意味の一つにおいても、トイレというものがどういう状態にあるかというのは大変重要だというふうに思いますが、大臣は、和式のトイレ、つまり四校のうち三校が和式のトイレというのを御覧になったときにどういうふうにお感じになったのか、率直なお気持ちを教えていただければと思います。

あべ国務大臣 今、御家庭で和式のトイレのあるところが少ないので、多分、子供たち、苦労する子たちもいるのかなとは思いました。お手洗いというのはやはりすごく大切で、子供たちが、本当に自分たちが使いにくいところだと困るかもしれないなという感想は持たせていただきました。

荒井分科員 まさに本当におっしゃるとおりで、今、今回も予算に関して、いろいろな修正の中で、学校給食を無償化する等のお話もありました。食べる話という、これが無料になることはいいことだというふうに、我が党からも出させてもらっていますので、思います。

 当然、食べるものがあれば出るものがあるわけですね。でも、子供たちは、この出ること、出すことに関しては非常にネガティブに学校では捉えていて、いろいろなところが調査もしていますし、文科省でも一部調査したかと思うんですが、学校のトイレを我慢するというケースがやはりデータとしてたくさん出てくるわけですね。その我慢する理由として、学校のトイレが汚い、和式である、また、特に大便をすることが恥ずかしいみたいなことを子供たちとしては答えるわけです。でも、その気持ちというのはやはり分かるような気がするんですね。

 ちなみに、こういった学校のトイレをいろいろと造り替えている、そういった協会、これはトイレの会社とかでつくっている協会ですけれども、そういうところが調査をすると、トイレを新しくする、つまり、それは和式から洋式にし、トイレを改修すると、やはりこういった数字が一気に下がって、子供たちがトイレに行きやすくなって、学校で大便をすることも含めて非常にやりやすくなったというふうに、安心するということになっているわけですね。

 どうしても学校というのは教室の話が大変重要になってくるわけですが、実はトイレということも学校の施設整備においてはとても重要だというふうに思っていますので、今、六割までしか日本全国で洋式化が進んでいないということですけれども、是非、これはあべ大臣のイニシアチブでこういった洋式化というものを進めていただきたいというふうに思っていますが、今六八%ですね。

 大臣として、今のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

あべ国務大臣 本当に、洋式化を進めなければいけない、進めた方がいいというのは分かっている中でございますが、特に、公立小中学校のトイレの洋式化、その衛生環境を特に改善していく。特に、臭いが気になったりとか汚かったりして、我慢しないことが大切なので、日常的な教育活動、これに対して、子供たちの健康を確保するためにも、またさらに、お手洗いは災害時、学校の施設で使うこともありますので、避難生活の利便性、これを向上する意味でもまさに重要な取組だというふうに考えているところでございます。

 そうした中、文部科学省におきましては、トイレの環境改善に関しまして、必要な改修に対して学校施設環境改善による国庫補助というのを実はさせていただいておりまして、ただ、トイレの洋式化をどこまで進めるかというのも含めて、トイレの環境改善整備は各自治体が判断するということになりますけれども、文部科学省といたしましても、実施した調査で、大半のトイレを洋式化しようと計画している地方公共団体が過半数を実は占めております。

 文部科学省として、各自治体がトイレの洋式化を計画的に進められるように、引き続き、しっかり支援していきます。

荒井分科員 ありがとうございます。

 今日も、先ほど、ここの委員会室で後ろに座っていたら、目の前を小学生の子たちが見学で見に来て、ちょうど今歩いているかと思います。

 実は、うちの党でまさにこの話をしていたときに、国会の議事堂ももっと、和式トイレがあるけれどもこれを洋式化するんだということを、ちょうど近々に行うんだということなわけですね。まさに大人の世界ではどんどん和式から洋式に、この国会ですら替えようとしているさなか、子供たちのトイレだけは古いままでもいいんだというふうにしているのは、それは、そこの発想をやはり我々から変えていくべきなんじゃないかというふうに思っております。

 昨日の総理と大臣との、予算委員会のやり取りを見ていながら、確かにこれは自治体のものですから、自治体の施設ですので、そこを自治体が手を挙げて進めていかないといけないんだろうというふうには思いますが、改めて僕が申し上げるものでもないんですが、文科省の設置法というものを僕もちょっと手に取って見てみました。四条の所掌事務の中で、三十八号、文教施設の整備に関する指導及び助言を行うことというのが文科省の設置法に書かれていますし、また、四十一号の、学校環境の整備に関する指導及び助言に関すること、もちろん、指導と助言というのもいろいろな在り方があるんだとは思いますけれども。

 僕は特に、やはり女性の文部科学大臣ですし、こういった子供たちの、教室のことはもちろんなんです、今回は特に教育の無償化やそして給食のこと、いろいろ話をしておりますが、是非、このトイレのことに関して、どこかで誰かがイシューを設けないと、一向に進まないんじゃないか。

 もちろん、これから、今、学校も子供たちが減ってきますので、どんどん校舎の、そもそも学校の存続をどうするかという議論もたくさんあるかとは思いますが、でも、そういう中で、大臣のイニシアチブで、例えばこういった期限を決めて、それに向けて一〇〇%を目指していくとか、そういった目標を設定するみたいなことがあってもいいんじゃないかと思いますが、大臣の御見識を教えていただければと思います。

あべ国務大臣 文部科学省といたしましても、しっかり自治体に対してのいわゆる指導と助言もしていきながら、私ども、トイレの洋式化を計画的に進められるように、引き続きしっかりと支援していきますので、よろしくお願いします。

荒井分科員 ありがとうございます。

 ちなみに、我が党が今回、予算の組替えに関して、三・八兆円出させていただいておりました。その中に、高校の授業料無償化、これはほかの党も、維新の皆さん等も出したもので、ここには三千三十九億円の、学校無償化にはお金をつけるという形、これは実現するやには聞いていますが、もう一つ、実はこの議論をしているときに、私立の学校だけが何かプラスになるのであれば、公立の学校に関してもやはり何か手当てをしなきゃいけないんじゃないかということで、今回私たちの出した法律には、公立高校の施設整備促進応援法案というものも実は提出していて、校舎の改修に六百七十億円をつけるという形で法案としては提出させてもらっています。

 実は、この議論をしているときに、じゃ、校舎の改修とは何を指すのかという話をしているときに、僕は、そういった学校現場の思いとしては、やはりトイレを改修するということも、なかなか優先順位に上がらないからこそ国からイニシアチブを取ってほしいというふうに思って党内で議論してきましたので、是非そういう思いも大臣には御理解いただければというふうに思っております。

 長くなりましたが、次の御質問に行かせていただきます。

 続いて、学習指導要領のお話を伺いたいと思います。

 学習指導要領、これは御承知のように、十年に一回、学習指導要領というものを文科省が定めて、それに基づいて教育の在り方の柱となっているわけです。学習指導要領というのは十年に一回しか定めないのですから、実はこの影響というのは非常に大きくて、文科委員の皆さんは御承知かもしれませんが、例えば、一九七七年生まれ以降の人、僕は七五年生まれですから該当しませんが、七七年生まれ以降の人たちは、家庭科の授業は男女共修という、男女一緒に家庭科の授業をやるようになりました。これも学習指導要領によって定められたわけですが、これをしたことによって、男性の家事をする時間が二十六分長くなったり、女子が正社員になる率が四ポイント上がっていたり、また、女性の正社員の年収が二十一・三万円上がったということも、これは明治大学の原ひろみ教授が論文として書かれていて、教育界に一定のインパクトを与えているというふうに思います。

 そういうことで、単に十年先の教育を決めるだけではなく、やはりここで、学校で学んだ人たちのその先の人生を大きく左右することにもなる大変重要なものだというふうに思っています。指導要領に関してはいろいろ議論はありますけれども、大変重要なものだと個人的に思っています。

 ただ、その中で、実は前回の学習指導要領、これは二〇一七年に内容が決まって、小学校には二〇二〇年から学習指導要領が実施されてきたというふうに思いますが、僕もその直前の二〇一六年から、高校の校長をしながら、まさにアクティブラーニングですとか探求学習、そういったものが始まってきましたけれども、この二〇一七年のタイミング、ちょうど学習指導要領が決まったときから、不登校と、あと教員の休む数というのが比例して増えてきているんじゃないかというふうに、今日は何の資料もお持ちしておりませんが、ちょうどその数字が増えてきているんじゃないかというふうにずっと感じておりました。

 文部科学省としては、この学習指導要領、前回、二〇一七年、非常に変えたわけですね。僕はいい内容だとは思っているんですが、でも、これを変えたことによる教員の大変さ、それに、様々な理由で生徒たちも学校に通えなくなったというものが相関しているんじゃないかというふうに思っているんですが、文科省としての取り留めをお聞かせください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 荒井先生から、学習指導要領の重要性をいただきまして、ありがとうございます。

 まさに、九年あるいは十年に一回の教育課程の大綱的な基準で、これを基に教師が授業づくりをして、子供たちに学校教育で必要な知識、技能、資質を身につけていただいているというところでございます。

 今、荒井先生から御紹介いただきました、近年の不登校児童生徒数の増加あるいは教師の精神疾患による病気休職者数の増加ということに関しまして、我々としても非常に課題として重く受け止めているところでございます。

 ただ一方で、今回、令和五年度の不登校児童生徒に関する調査の中で、初めて我々としても、どういった要因で不登校になったのかというのを、これは、教員、教師、それからスクールカウンセラーが御家庭から聞き取りをして、なぜ不登校になってしまったのかというところで、児童生徒から、カウンセラーの聞き取りの中では、学校生活に対してやる気が出ないというアンケートが一番高く、また、次が、不安、抑うつというのが高いということでございます。

 精神疾患の教師の数も増えているところでございますけれども、これはその要因も様々でございますけれども、一番大きい理由は、子供たち一人一人のきめ細かな教育を実施するという観点から、やはり児童生徒に対する指導に関することが一番です。二つ目は、学校、職場での対人関係ということで、やはりストレスを感じてというところがアンケートでの二つ目になってございます。

 学習指導要領は、社会の変化あるいはこうしたいろいろな要請によりまして必要なものを改訂していくことでございますけれども、不登校児童生徒数の増加あるいは教師の精神疾患による病気休職者そのものの増加が、この学習指導要領によって直ちに直接作用したということの認識は持っていないところでございます。

荒井分科員 ありがとうございます。

 冒頭申し上げましたが、僕も議員になって五人目の文部科学大臣とこうしてお話をさせていただいていますが、この学習指導要領、ちょうど昨年末に大臣から諮問されたんだというふうに思います、次はどのような学習指導要領を作るのかということで。学習指導要領の作成に直接は大臣が関わるものではないのかもしれませんが、でも、関わった大臣というのは十年間の中でそんなにいらっしゃらないというふうに感じていますので、今大変重要な時期にあべ大臣には文部科学大臣をお務めいただいているというふうに感じております。

 僕の一つの仮説ではあるんですけれども、この学習指導要領、多分今回も大きくいろいろなことが変わっていくだろうと思います。恐らく、AIの利活用とか、また、前回までのいろいろな反省も含めて、そしてまた更に世界の変化がどんどん早くなってきていますから、こういった変化に取り組むために、様々に、特に文部科学省の中の会議室で、恐らくいろいろ、学習指導要領はこうあるべきだということで、いろいろな有識者の方に御議論いただいて決まっていくものだろうというふうに思います。

 それは決して間違いではないと思っているんですが、一方で、大きく激しく変えていったときに、それを展開していく際に、学校現場が受け止められるだけのリソースの、またその拡充も必要なんじゃないかというふうに感じております。

 ひょっとすると、今回、最近のこの教員のお休みの状況であったり不登校の状況であったりというのは、学習指導要領が二〇一七年に変化したときに、ついていくのに現行のリソースだけではやはり非常に厳しかったというところが僕は一個あるのではないかというふうに思っています。仮説ではありますが。

 でも、だからこそ、次の学習指導要領の改訂の際には、先生の数も増やしていくとか、校舎も更に変えていく、新しくしていくとか、生徒の、一人当たりの数を、先生と生徒の数を変化していく等の、やはり学習指導要領の改訂に合わせて教育の予算をしっかり拡充していくということをしていかないと、どんなにいい内容になっていっても、学校で展開がしにくくなってくるんじゃないかというふうに思っています。

 そういった意味での整備や、人的資本の整備、ヒューマンリソースの整備等が学習指導要領の改訂に合わせて必要になってくるんじゃないかというふうに思いますが、大臣はいかが受け止めでしょうか。

あべ国務大臣 委員がおっしゃるように、大変なときに大臣の任を受けまして、一生懸命頑張ります。

 なんですが、御指摘の学習指導要領のところでございますが、本当にこの要領の趣旨を実現していくために何が必要かということでございまして、指導体制また施設などの学校教育環境の整備も含めまして必要不可欠でございまして、次期の学習指導要領に向けた私からの中央教育審議会に対する諮問におきましても、実は教育課程の実施に必要となる条件整備にも意を用いて審議を進めていただきたいというふうにしているところでございます。

 次期の学習指導要領の在り方については、今後本格的な検討を進めていくことになるために、現時点で具体的なことを申し上げる段階にはございませんが、いずれにしても、委員御指摘のように、教育課程の実施に必要な条件整備、しっかりと取り組んでいく所存でございます。

荒井分科員 ありがとうございます。

 まさに大臣のイニシアチブで、是非、条件整備を進めていっていただきたいと思います。その中には、冒頭のお話の和式のトイレも、令和とかAIと言っている時代に、やはりここも条件整備の一つに入ってきてもいいんじゃないかというふうに思いますので、併せて御検討いただければと思っております。

 時間が短くなってきましたので、少し進めさせていただきます。

 先ほど武部副大臣もおっしゃられていましたが、高専のことについて、教育内容の高度化をしていくんだ、今、時代が高専に求めているニーズがあるというふうに思っております。

 今、私立でも、神山まるごと高専のような、今までのどっちかというと工業的な高専から、やはりAIや、若しくはスタートアップみたいな、そういう方向に向き合った高専というものができてきているわけですが、こういった新しい高専みたいな、つまり、物づくりだけではなく、世の中のニーズに適した高専というものをこれからもっと増やしていくべきじゃないか、そのための予算も必要なのではないかというふうに思っていますが、大臣、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 高専は実は本当に大切で、私は、我が党の自民党で高専を応援する会をずっとやってまいりまして、予算をどんどん増やしてきたと自負をしているところでございますが、まさに委員がおっしゃるように、技術が急速に進展する中でございますので、高度な専門技術者を養成する高専への期待はますます高まっておりまして、求人倍率も大変高くなっているところでございます。

 地域で一生懸命育てているんですが、実は、上場企業にみんな入っちゃって、全部都会に集まっちゃっているという現象も起きてしまっている中でございますが、特に、委員がおっしゃったように、徳島県の神山まるごと高専が開設された中で、私どもも実は何度もやり取りをさせていただきながら、私自身も視察にも行かせていただいたんですが、滋賀県では、令和十年度に県立高専を開設する方向で準備が進んでいるところでございます。

 新たな高専を設置すること、地域にとっても、産業界にとっても、まさにニーズを的確に捉えた人材育成、ここの有望な選択肢の一つであるというふうに認識をしているところでございまして、文部科学省といたしましても、大学、高専の機能強化に向けた基金の活用を通じまして、意欲のある高専の支援をしっかりと図ってまいりますので、よろしくお願いします。

高木主査 荒井優君、時間が迫っていますので、よろしくお願いします。

荒井分科員 強いお話をいただきまして、本当にありがとうございます。

 これから、高専は日本独自の高等教育機関でして、世界でもKOSENとして知られているものですので、是非文部科学省として積極的にやっていっていただきたいと思います。

 最後になりますが、企業による奨学金の代理返還制度、ちょっと今日は時間がありませんので細かくは申し上げません。ただ、奨学金を会社が代わりに返還するという制度は、文部科学省にとっても大変重要な施策だと思っていまして、僕は、実は今日、この後も経産委員会でも同じことを、もっと経産省としてしっかり文科省とタッグを組んでほしいということを聞くつもりですが、今、経産省も含めた連携というもの、また、文科省としての取組はどのようになっているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

高木主査 あべ文科大臣、手短にお願いいたします。

あべ国務大臣 企業による代理返還制度、奨学金返還の負担軽減の一つの方策として重要であると思っておりまして、利用企業の具体的な声を掲載したパンフレットを作成しているというふうに承知をしているところでございます。これも活用しまして、経産省と連携しながら一層の周知に取り組んでまいります。

 以上です。

荒井分科員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

高木主査 これにて荒井優君の質疑は終了いたしました。

 次に、鳩山紀一郎君。

鳩山(紀)分科員 国民民主党・無所属クラブの鳩山紀一郎と申します。

 今回の衆議院選挙で初めて当選させていただきまして、今日は、このような機会、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私自身に関しては、これまで、東京大学ですとか長岡技術科学大学ですとか、そういうところで研究者をしておりました。大臣、御存じだと思いますけれども、長岡技術科学大学というのは、各地の高専の子たちが更に勉強をする、しに来るというところでございまして、学生の八割が高専出身の子たちであります。私も何人も指導をさせていただきました。そういう意味では、高等教育に関しても私としてはいろいろな思いがございますけれども、本日は、初等中等教育に関する御質問を中心にさせていただこうと考えております。

 まず初めになんですけれども、私は、全ての子供たちにその能力や意思に応じた質の高い教育を保障するということは、これは国の責務であるというふうに考えておりますけれども、あべ大臣の御認識はいかがでございますでしょうか。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 まず、長岡科学技術大学の方にいらしたということでございまして、先日、私、視察をさせていただきまして、大変元気な大学でございまして、感銘を受けたところでございました。先生、そちらにいらしたということで、多分、質の高い教育に関しては本当によくお分かりだと思いますが。

 教育基本法におきまして、国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るために、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければいけないことというふうにされているところでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、子供たちの誰もが質の高い教育、これを受けることができるように、充実した教育のための環境整備とともに、また教育費の負担軽減に取り組んでいきます。

 引き続き、公教育における質の向上と教育機会の確保を両輪といたしまして、必要な教育予算を着実に確保させていただきながら、未来への投資であるこの教育施策の推進に取り組んでまいります。

鳩山(紀)分科員 ありがとうございます。大臣も同じ御認識でいらっしゃって、安心いたしました。

 このようにお伺いしたのは、今の日本においては、全ての子供たちにその能力や意思に応じた質の高い教育を保障するということが十分にはできていないというふうに考えておるからでございます。

 お手元に資料を配らせていただきました。この図表は、現在は京都の龍谷大学というところで准教授をなさっておられる松岡亮二先生という方が二〇一九年に書かれました「教育格差」という書籍から抜粋をしたものであります。この書籍は、二〇一五年に実施をされました、十年に一回調査があるんですけれども、社会階層と社会移動に関する全国調査というものがあるんですが、それを基に様々な角度から統計学的に教育格差を論じているというものでして、これは大変参考になる書籍でございますので、大臣も是非御覧いただきたいと思っておりますけれども。

 例えば、こちらの図表は、子供たちの生まれによって最終学歴に差が生じているという様子を示しておるものでございます。

 具体的には、図の一と表一、これは男性の、父親の学歴別に見た最終学歴の割合というものを示しております。図二と表二は女性のものであります。男性の図表の四大卒以上と書いてございますのは、四年制大学卒以上ということを表しております。女性は短大卒以上を基準としております。こちらを見ますと、性別、年代によらず、父親の学歴によって四割程度の開きがあるということがお分かりいただけると思います。

 裏をめくっていただきまして、図の三、表三、それから図の四、表四、こちらを御覧いただきますと、これは性別ごとに、三大都市圏出身かどうかで最終学歴の割合を示したものでございます。こちらを見ていただきますと、男性では常に一〇%程度の開きがある、そして女性は特に若年層において開きが顕著であるということがお分かりいただけると思います。

 そのほかにも様々な学者が、日本には親の経済状況ですとか環境によって教育格差というものが存在するということを指摘しております。改めてお伺いするまでもないかもしれませんけれども、今の日本には依然として深刻な教育格差というものが存在していると私は認識しておりますけれども、大臣、御認識はいかがでございますでしょうか。

あべ国務大臣 誰一人取り残すことがない、また、質の高い学校教育を全国どこでも受けられるようにすることは大変重要なことだと思っておるところでございます。

 そうした中で、家庭、地域の状況などにかかわらず、多様な学校行事などを含め、全ての子供たちが充実した教育活動に参加することができるように、国といたしましても必要な経済的支援などにも取り組んでいるところでございます。

 子供たちの実態が多様化する中にありまして、子供の学習状況や興味また関心などの多様性を適切に把握をさせていただきながら、一人一人の可能性を最大限に伸ばす学びを実現していくためにも、教育施策を一層今後充実させていくことで学校教育の質を更に向上させていかなければいけないというふうに感じているところでもございます。

鳩山(紀)分科員 ありがとうございます。

 冒頭に申し上げました、全ての子供たちにその能力や意思に応じた質の高い教育を保障するというのは国の責務だということを踏まえますと、依然として深刻な教育格差が存在しているというファクトがいろいろと示されているということは、これは政府の責任でやはり解決していかなければいけない大問題なのであろうというふうに認識をしております。

 この教育格差を何とかしようということで、例えば、私の地元であります東京都の中央区では、御存じだと思いますけれども、そこに本拠があるNPO法人のキッズドアさんという方たちがいらっしゃいますが、そういうキッズドアさんを始めとして、困窮家庭の子供たちへの無料の学習支援ですとか、放課後の時間を活用した様々な体験授業などを行ってくださっている団体というのが全国各地にございます。

 しかし、本当は、こういった大切なことをNPOの皆さんのボランタリーなお気持ちに甘えてしまっているというような今の状況というのは本来おかしいと私は考えております。教育格差をなくしていくための努力というのは、本来は政府が率先して行っていくべきだと私は思います。

 ある会議で、これは複数の与党の議員さんだったんですが、教育格差をなくすために活動をされているNPOの皆さんに対して、頑張ってください、応援していますというような声をかけていらっしゃっているのを聞いて、私としては強い違和感を感じました。それは、与党におられるんですから、頑張ってではなくて、御自身で政策で是非変えていっていただきたい、そのように思ったからでございます。

 さて、全ての子供にその能力や意思に応じて質の高い教育というのを保障していくというためには、言うまでもなく質の高い教員を抜本的に増やすという必要もございます。来年度予算案、拝見をいたしましたけれども、この中にも、教職員の定数を五千八百人程度増やすということが書かれておりますけれども、大臣はこのような拡充で質と量、共に十分だというふうに御認識でしょうか。

あべ国務大臣 教育をしていくのに、まさに優秀な人材が必要でございまして、教育は人なりとも言われるところでございます。そうした中で、特に技術革新などの社会変化、また教育課題の高度化と多様化を踏まえまして、特に、教師の在り方、指導体制の充実におきましても不断の検討と改善がまさに必要なときだというふうに考えているところでございます。

 文部科学省といたしましては、優れた教師人材を確保するために、学校における働き方改革の更なる加速化と、また学校の指導、運営体制の充実、さらには教師の処遇改善など、一体的、総合的に進めていくことが本当に重要だというふうに考えているところでございまして、さらに、教員養成段階の見直し、さらには、入職の経路の拡幅を進めるために、昨年末、中央教育審議会に対しまして諮問を行いまして、教育課程の在り方、さらには、社会人などが教職へ参入しやすくなるような制度の在り方について御審議をいただいているところでございまして、その結果を踏まえて、更に必要な改革を進めてまいりたいというふうに思っております。

鳩山(紀)分科員 ありがとうございます。

 おっしゃったとおり、量も必要ですけれども、質を上げていく、そのために実際の仕事の内容の改革というのも必要だというふうに私は思っておりますが、そもそも論として、やはり人数自体は今以上に増やしていかないといけないのかなという認識を私としては持っております。

 そういう意味では、教職員の定数が五千八百人ぐらい増えるというふうにされていますが、その横に自然減で八千八百人減るということが書いてございましたものですから、実質は人数がマイナスになっているというところも私としては大いに心配するところでございます。

 申し上げておりますとおり、能力や意思に応じた質の高い教育というものを保障するためには、子供たちの多様な才能というのをきちんと見つけ出しまして、そして伸ばしてあげられるような、そういうふうにしていきつつ、苦手な部分に関しては、必要な部分に関してはじっくりと習得できるようにサポートするような、そういう教育環境がやはり必要だと思っておりますので、やはり人数はそれなりに必要だと思っておりますし、例えば塾業界の人材の活用などをしながら、積極的な人材確保というものを行っていく必要があるのではないかと私としては考えておるところでございます。

 これは一例なんですけれども、リクルートという会社から、杉並区の和田中というところで校長を二十年ほど前に五年ほどなさっていて、様々な教育改革を実践されました藤原和博さんという方がいらっしゃるんですが、その方と最近お会いをしてお話を伺った際、小学校の算数において、本格的な分数の計算というものが始まる三年生から算数についていけなくなって算数が嫌いになる、そういう子供が増えているということでした。したがって、三年生の教員を増強すべきというのがその先生のお話でした。

 予算案に基づきますと、今回、教科担任制を小学四年生から行う、導入するということですけれども、例えば三年生ですとか、より早期から教科担任制というのを実施をいたしまして、子供たちが算数などで取り残されることのないようにすべきだと私としては考えますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、小学校におきまして教科担任制を進めていくということは、我々としても大変重要だと思っております。

 そういう意味で、小学校の五、六年生につきまして、まず、教科担任制ということで定数を増やしてきたわけでございます。特に、一年前倒しで、今年度、小学校五、六年生が完成する形で進めてきたという経緯がございます。

 その中で、学校教育法の施行規則で、年間の標準授業時数が、小学校四年生につきましては五、六年生それから中学校と同じだけの授業時数があるという観点から、まずは小学校四年生につきまして、来年度、教科担任制を拡充するために、定数改善の八百名を予算案に盛り込みをいたしました。また、これを計画的に四年間で整備をしていくということを考えてございます。

 教科の学習というのは、先生おっしゃるように、積み上げの部分がございます。子供たちのつまずきというものを、一度つまずいて、また振り返って戻って、また更にそこから発展していく、そういう学びを繰り返しながら理解していくということでございます。

 我々としても、小学校の教科担任制、小学校の四年生をまずは推進しながら、三年生等にも進めていけるかどうか、また学校の指導、運営体制の充実について検討してまいりたいというふうに考えてございます。

鳩山(紀)分科員 ありがとうございます。

 確かに、四年生から時間数が増えるということで、そこから始めていこうというのは理解はできますが、やはり子供の立場から見ますと、習っていることがより難しくなるタイミングでついていけなくなる子が増えるというのも確かだと思いますので、何をやっているかベースでお考えいただくのがいいのかなというふうに考えるところであります。

 何年か前の日経ビジネスの記事で、大手銀行でも新人の半分は消費税の計算に苦戦しているという記事がございました。そういうのを目にしたことがあるんですけれども、実際に、算数につまずいてしまって、そのまま中高と進んでしまうということは、将来、数字で失敗をしてしまったり、だまされてしまったりというようなリスクを高めてしまうということになりかねませんから、やはり義務教育の中でしっかりと教員も割り当ててケアをしていくということが重要だというふうに私としては考えておりますので、是非引き続き御検討をいただければと思っております。

 先ほど、失敗したりだまされたりするリスクと言いましたけれども、そのリスクを減らすというような観点では、法律ですとか金融といった知識なども含めて、大人になるまでに最低限身につけなければいけない、身につけるべきだと思われることというのはたくさんあると思っておりまして、そのように考えますと、これは私個人の考えですけれども、中長期的には高校まで義務教育化をいたしまして、社会的に取り残される子供のいない教育システムというものを築いていくことが重要だと私個人としては考えておりますが、大臣、いかがお考えになりますでしょうか。

あべ国務大臣 現在、高校への進学率は約九九%に達しているところでございまして、高校の義務教育化に関する論点として、例えば、高校へ進学しない層が一定数存在していること、また、高校は課程や学科の別がございまして、学習内容が一律ではなくて、生徒の進路選択が多様でございまして、例えば工業高校とか農業高校とかいろいろございまして、また、高校入学者選抜の位置づけの検討が必要であることなどが実は挙げられているところでございます。

 こういう中にありまして、高校教育に関しましては、生徒一人一人の個性また実情に応じて多様な可能性を伸ばしていき、また、社会で生きていくために広く必要となる資質、能力を共通して身につけられるようにすることが重要だというふうに考えているところでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、DXハイスクール事業の推進、また、地方創生二・〇に向けまして、産業界の伴走支援を受けた専門高校を拠点としている地方創生支援、地域人材の育成など、高校教育の充実に取り組んでいるところでございまして、引き続き、いずれの高校におきましても、生徒の多様な学習ニーズに対応した教育が実現されるよう、必要な支援をしっかり取り組んでまいります。

鳩山(紀)分科員 どうもありがとうございます。

 私としては、もちろん様々な進路がございますので、そういった中で、実務教育も含めて、いろいろな選択ができるような義務教育課程というのもあり得るかなとも思っておりまして、そういうことも含めて、やはり社会に出ていくときに、きちんと、だまされないと申しますか、そういう人、個人というのを育てていくということが必要なのかなというふうに考えるところでございます。

 将来的には、やはり高校まで私としては義務教育化して、子供たちの多様な才能をきちんと伸ばし、苦手な部分で必要なところはじっくり習得できる教育環境というのをつくっていく。それによって、全ての子供たちにその能力や意思に応じた質の高い教育を保障することがその先にできるというふうに考えております。

 義務教育と申し上げましたのは、当然、無償であるということが大前提でございまして、教育無償化については国民民主党も主張してきたところでありますので、そういう意味では、今般のお話で、この点が前進をするということを伺っております点については、国民民主党としても率直に評価はしているところでございます。

 その上で、義務教育にするということは、その中身、カリキュラムについてもしっかりつくり込んでいくということを意味していると考えております。

 先ほどは法律や金融と申しましたけれども、それ以外にも、例えば、若者の政治参加を促進するための主権者教育なども必要であろうと思っております。もちろん、子供たちに偏った思想を植え付けるということがあってはなりませんので、例えばですけれども、常に異なる二つの意見を提示する教師がいるように工夫をするであるとか、そういったことをする必要があるのかなというふうに思っております。

 ところで、先ほどから何度も申し上げていて恐縮ですが、私のテーマの一つなものですから申し上げておりますが、全ての子供たちにその能力や意思に応じた質の高い教育を保障するというためには、例えば塾業界の人材も含めた幅広い人材確保が、教育人材が必要になるということを申し上げましたけれども、そのためには、幅広い人材にとって教師という職業が魅力的じゃないといけないと思っております。

 そういう意味ですと、この予算案には、教師の処遇改善ということで、教職調整額を、現在の四%から、令和七年から一%ずつ上げていくということが書かれております。もちろん、人事院勧告に基づいて給与のベースというのはインフレに連動する形で増えていくということは存じておりますけれども、それにしても、この上げ方ですと、教員を志望しようとする人たちを増やすのには十分に魅力的なものではないのではないかと思っております。

 上げることができるんだったら、すぐに上げてしまえばどうかというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。

望月政府参考人 御指摘のとおり、公立学校の教職員を含む地方公務員の給与改定につきましては、地方公務員法等に基づき、均衡の原則等を踏まえまして、人事院勧告の内容や民間賃金の動向等を総合的に勘案して人事委員会等が勧告を行い、議会の議決により行われるところでございます。ちなみに、令和六年の人事院勧告が、これが月例給の改善、二・七六%の引上げが行われていると承知しています。

 そういう中で、今般の教師の処遇改善、こうした地方公務員全体の給与改定に加えまして、教職の重要性という観点から更に改善を図るものでございまして、給与改定と相まちまして、大きな改善になるというふうに考えているところでございます。

 また、処遇の改善のほかに、教職員定数の改善、あるいは支援スタッフの充実、働き方改革など、教職が魅力ある職業になるという観点では、給与以外の政策も総合的に、一体的に進めていく必要があると思ってございます。教職調整額につきましては、こういった観点を踏まえまして、段階的な引上げということとしたところでございます。

鳩山(紀)分科員 ありがとうございます。

 塾業界ですとかそのほかの分野から教師として来てもらうためには、やはりそれなりの給与というものが必要でしょうし、私としては、まだまだ不十分なのかなというふうに考えておるところです。

 社会全体として教師が求められているんだよ、重要なんだよというふうに捉えられるようにしっかりと給与水準を上げていくべきですし、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、教師の仕事も合理化して、教師が子供に向き合える時間というのを十分に確保する、最大限確保するということも必要だと思います。

 そういった意味では、今回、保護者からのクレームなどを専門家が対応する支援機関というのを構築するという計画があるようですけれども、これについては大いにやるべきですし、実は、これは聞いた話ですが、現場は各行政レベルから下りてくるアンケートだらけで疲弊をしているみたいな話も聞いたことがございますので、そういう状況を直していくということも含めて、是非合理化を進めていただきたいと思っております。

 その上で、長期的には、やはり今の給与の体系に超過勤務という概念もきちんと入れていくということも将来的には必要なのかなということを私としては考えておるところでございます。

 こういった人材の確保を抜本的に進めろとかいう話をいたしますと、どうしても財源論の話になると思いますけれども、国民民主党は、人づくりこそ国づくりという理念の下で、教育国債の活用というものを考えております。

 国債というと、すぐに無責任だという御批判をいただきそうですけれども、強い経済をつくっていくためには国民一人一人の能力を最大限活用できる社会というものをつくっていかなければいけませんし、そのための投資にこそ国債というのは活用していくべきなのではないかと考えるところでございます。

 さて、最後にですけれども、少しテーマを変えまして、このタイミングでかと思われるかもしれませんが、文化芸術の振興について一点お伺いしようと思っております。

 私の地元の浅草には浅草公会堂というホールがございまして、このホールには花道のある舞台がありますため、歌舞伎ですとか日本舞踊の公演によく使われるわけなんですけれども、先日、浅草公会堂に私伺いまして日本舞踊の公演を拝見したんですが、その際に、日本舞踊協会というものがありまして、そちらの方から、国立劇場はいつまた使えるようになるのかという質問をされました。

 日本の伝統芸術の継承に頑張っておられる方たちにとっては、その披露ができる場というのが限られてしまうということは、特に国立の施設の舞台で演じるということができないということはとても残念なのだそうでございます。

 国立劇場につきましては、既に二回、入札不調が起きているということを承知しておりますし、再開のめどが余り立っていないということも認識をしておりますけれども、なぜこういう事態になってしまったのか。また、当初は二〇二九年秋に完成予定とされていましたけれども、現状はどのような見通しになっているのかということをお伺いしたいと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立劇場の再整備につきましては、今先生からもお話がありましたように、大変いろいろ御迷惑をおかけし、御心配をおかけしていることをおわびを申し上げたいと存じます。

 過去二回の入札不成立の主な要因は、一回目の入札前に生じましたロシアのウクライナ侵攻などによる建設費の高騰、それからPFI事業の要件としてホテルの建設等を必須にしていたことがあったということでございまして、まず、令和六年度補正予算に、劇場施設において現時点で確実に見込まれる再整備費用の物価高騰相当分といたしまして二百億円を計上するとともに、昨年十二月末には国立劇場の再整備に係る整備計画を改定をいたしまして、ホテルの併設は必須としないこととするなど、民間事業者の参入を容易なものとするための手だてを講じたところでございます。

 今後は、改定された整備計画を踏まえまして、国立劇場の設置者でございます日本芸術文化振興会におきまして入札準備に着手するとともに、劇場施設の規模や性能等について具体的な見直し等を行うこととしてございます。

 国立劇場の再整備の予定時期でございますけれども、先ほどお話もございましたように、我が国の伝統芸能を担っておられる方々に御心配をおかけしているところでございます。私どもも、速やかにというふうに考えてございます。

 現段階で明確な時期をお示しすることは困難でございますが、関係者と調整及び協議を進めまして、建設市場にこの国立劇場の整備をしっかりやろうという機運をしっかり高め、それを私どもが受け止めて、速やかに再開場の時期を確定してまいりたいと存じております。

 いずれにしても、早期の再整備と開場に向けて全力を尽くしてまいりたいと存じております。

鳩山(紀)分科員 ありがとうございます。

 文化庁のレポートを見ても、日本の文化振興にかけている予算額というのは欧米諸国と比して少ないというふうにも言われておりますし、私としては、もちろん合理的な範囲内でですけれども、伝統芸術の維持、継承というのはやっていくべきですし、そういった日本の文化振興ということに関しても非常に重要な分野だと考えておりまして、今後も考えていってまいりたいというふうに、考えてばかりですけれども、考えておるところでございます。是非どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

高木主査 これにて鳩山紀一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西洋平君。

大西(洋)分科員 自民党、東京十六区選出の大西洋平でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣、急で恐縮ですが、私は現役の小学校のPTA会長をやらせていただいておりまして、まさに子育て世代ど真ん中でございます。日頃、保護者の方々や、あるいは同じ子育て世代の方々から、様々な御意見や貴重な御提言をいただいておりますので、今日はそういった思いも胸に文科省の方々と議論を深めたいと思っておりますので、御承知おきのほどよろしくお願いをいたします。

 大臣には通告はございませんので、御退席いただいて結構でございます。

高木主査 あべ文科大臣、どうぞ御退出ください。

大西(洋)分科員 それでは、質問に入らせていただきます。

 早速、スポーツの国際大会、国内大会などを契機としたレガシー事業についてお伺いをさせていただきます。

 スポーツ大会において、開催地域及び国全体の機運醸成は、その大会の盛り上がり効果を高める意味でとても重要でございます。この機運醸成において、レガシー事業は極めて有効です。

 私の地元の江戸川区では、ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会のレガシー事業として、二〇一九年の補正予算で三分の一の補助を受け、葛西ラグビースポーツパークを二〇二二年に開設をさせていただきました。この葛西ラグビースポーツパークの事業が発表され、江戸川区では、ラグビーワールドカップ二〇一九が区民に強く印象づけられ、ラグビーを身近に感じる機運が醸成をされました。

 今年十一月に、東京二〇二五デフリンピック大会が行われます。私も、地元江戸川区でボッチャ大会に参加するなど、その機運醸成の取組に参加をさせていただいています。

 聴覚障害者の方々のオリンピックとも言われるデフリンピックは、パラリンピックよりも古い歴史を持ちますが、国民の認知度が高いとは言えません。東京デフリンピックの機運醸成の取組と、機運醸成としてのレガシー事業の実施の必要性についてお伺いをさせていただきます。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 現在、全日本ろうあ連盟や東京都を中心に、大会開催一年前イベントを始め、全国各地でイベントを開催するなど、デフリンピックへの関心を高めるための取組を進められてございます。

 文部科学省といたしましても、こうした機運醸成のためのイベントに協力をするほか、文部科学省のエントランスでの広報物の展示ですとか、こども霞が関見学デーでの大会PR、コーナー出展などの機運醸成活動を行っているところでございます。また、令和六年度の補正予算におきまして、日本パラスポーツ協会や全日本ろうあ連盟を通じて、各地の体験イベント等にも支援をしておるところでございます。

 今回のデフリンピックの開催を通じまして、デフスポーツの認知度や教育の向上、ボランティア文化の発展などを始めとした共生社会への貢献など、委員御指摘のとおり、すばらしいレガシーが生まれ、引き継がれるように、まずはこの大会の成功に向けて、引き続き、スポーツ庁として必要な支援、協力を行ってまいりたいと存じているところでございます。

大西(洋)分科員 答弁をいただきました。ろうあ連盟の連携など、前向きな御答弁をいただいたと受け止めたいと思っております。

 国内大会においては、多くの場合、既存施設を活用するケースが多いことは承知をしております。実際、先ほどお伝えしたのは、まさに国際大会だけではなくて国内大会もあるわけでございます。

 国体におきましては、令和十七年で二巡目が終わり、三巡目の開催に当たって、全国知事会から日本スポーツ協会に見直しの考え方が提示をされていますが、こういった国内大会においても、あるいは国際大会だけではなく、インターハイや国民スポーツ大会などの国内競技大会におけるレガシー事業を国がバックアップしていくことが大変重要だと思っておりますが、改めてスポーツ庁の御見解も伺わせていただきます。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 国内で開催される各競技大会についての機運醸成、またその大会の開催によるレガシーの活用、承継については、御指摘のとおり大変重要であると認識してございまして、大会開催を契機に整備された施設の有効活用ですとか、そういったものについて、各自治体においてまずは取り組まれているものと承知してございます。

 御指摘の国民スポーツ大会につきましては、現在、日本スポーツ協会において、全国知事会も参加する有識者会議を立ち上げまして、既存施設の活用、大会の魅力向上、大会後も含めた地域活性化についても議論されてございまして、開催地の負担軽減のみならず、地域におけるスポーツ振興にもつながる重要な視点であると思ってございます。

 この有識者会議はスポーツ庁もオブザーバーとして参加してございまして、時代のニーズを踏まえた魅力ある持続可能な大会に向けた闊達な議論が行われるように、引き続き、スポーツ協会と連携をしてまいりたいと考えているところでございます。

大西(洋)分科員 答弁をいただきました。是非お取組をよろしくお願いをいたします。

 先ほど私が話しましたラグビーワールドカップのレガシー事業が二〇一九年、江戸川区で完成したのは二〇二二年。これは当時、萩生田文科大臣が担当大臣として推し進めていただきまして、これはラグビーという名前はつきますけれども、決してラグビーに限ったわけではなくて、サッカーですとかアメフトですとか、多目的に利用していただいて、競技をしていなくても開放されているので、まさに人工芝によって、幅広い世代の方々が、極端な話、寝転んでいただいたりとか、本当にラグビーのワールドカップのレガシーを共有いただいております。

 ですので、こういった施設が全国各地にできればよりスポーツの機運が上昇する、何よりスポーツの力は無限大だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、インターネットリテラシー教育の取組についてお伺いをしたいと思います。

 インターネットやSNSは、今や社会インフラと言えるほどに生活に欠かせないものとなりました。一方で、時には命をも奪う悪質な誹謗中傷等が散見され、子供たちの間でも、いじめなどの舞台となることも残念ながらございます。

 私が区議を務めていた江戸川区では、議会発議の提案責任者として、国に先駆け、令和四年に、悪質な誹謗中傷等からインターネット利用者を守るべく、江戸川区インターネット健全利用促進条例を制定をさせていただきました。

 インターネットリテラシーの向上は、この時代にとても重要であるにもかかわらず、実現についてはゴールが見えにくいものです。

 そこで、学習指導要領や学習指導要領解説におけるインターネットリテラシー教育の位置づけについてお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 デジタル技術が急速に進展し、インターネットの活用が進む中にありまして、御指摘のように、情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度である情報モラルの重要性が一層増してきていると認識しているところでございます。

 小学校、中学校、高等学校の学習指導要領におきましては、情報モラルを含む情報活用能力を学習の基盤と位置づけをいたしまして、教科等の特質を生かし育成をすることとしてございます。

 また、学習指導要領の解説におきましては、例えば、情報発信による他人や社会への影響を考えさせる学習活動や、ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味を考えさせる学習活動などを通じて、確実に身につけさせることをお示ししているところでございます。

大西(洋)分科員 いろいろとお示しをいただきましたが、是非更に更に深掘りをしていただきながら、充実をしていっていただきたいと思っております。

 小学校、中学校における学習指導要領解説では、児童と生徒という表現が違うだけで、同じ内容の位置づけとなっています。成長段階に合わせたインターネットリテラシー教育を可能にするための教員研修などの取組についてお伺いするとともに、インターネットの重要性を踏まえ、学校教育における憲法とも言える学習指導要領に成長段階に合わせたインターネットリテラシーの向上について定めるべきと考えますが、文部科学省の御意見をお伺いさせていただきます。

望月政府参考人 まず、教員の研修の件でございます。

 各学校の指導を支援するために、例えば、昨年十一月に、小中高等学校のそれぞれの教員からの情報モラルに関する授業実践事例の発表を内容とする教員研修を実施をしたところでございます。

 このほか、児童生徒の発達段階を踏まえまして、情報モラルに関する動画コンテンツの提供にも取り組んでいるところでございます。

 御指摘のとおり、教育に当たりましては、児童生徒の心身の発達の段階を十分に考慮しながら実施することが重要でございまして、学習指導要領では、各学校において、児童生徒の発達の段階や特性及び学校や地域の実態も十分考慮しながら、適切な教育課程を編成する旨記述しているところでございますが、御指摘のように、児童生徒の発達の段階を踏まえまして更に情報モラルの育成に取り組むことをまた検討してまいりたいというふうに考えてございます。

大西(洋)分科員 ありがとうございます。

 家庭でのインターネット、SNSの利用においても、また成長して大人になってからの利用においても、インターネットリテラシーの向上は必要と考えています。

 政府全体としての取組が重要となってきますが、インターネットリテラシーの向上についての法務省、デジタル庁、総務省、こども家庭庁などとの連携体制についてお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 文部科学省におきましては、これまで、総務省から参考となる情報をいただいたり、情報モラルに関する教員セミナーを実施する際に警察庁の担当の方から御講演をいただいたり、また、文部科学省の情報モラルポータルサイトにおきまして、こども家庭庁や法務省など関係省庁が提供するホームページ上の情報リンクを張ったりするなど、関係省庁と連携を図って進めているところでございます。

 引き続きまして、学校教育における情報モラル教育につきましては、文部科学省だけではできないこともございます。取組の効果を高める観点から、連携に取り組んでまいりたいと考えてございます。

大西(洋)分科員 御答弁をいただきましたが、是非、横串の強化をしっかり行っていただきたいと思っております。

 インターネットリテラシー教育についてお話をしてきましたが、インターネットリテラシー教育で、加害者にも被害者にもならないインターネット、SNSの利用に大きな課題がある中、オーストラリアの十六歳未満のSNS規制法のような踏み込んだ立法措置について、世界から注目が寄せられています。

 オーストラリアの未成年のSNS利用禁止法について、子供たちのSNS規制について、文部科学省としてどのように分析をされているか、お伺いをさせていただきます。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 SNSは、コミュニケーションツールとして利便性が高い一方で、その利用に起因するトラブルや犯罪に巻き込まれることについての懸念も指摘されているところでございます。

 このような情勢も踏まえまして、現在、政府においては、昨年九月に、第六次青少年インターネット環境整備基本計画、これを策定いたしまして、文部科学省においては、同計画に基づいて、青少年のインターネットの適切な利用に関する教育啓発活動、これを推進しているところでございます。

 他方、御指摘のあったとおり、海外において、未成年者のSNS利用を制限する動きもあると承知しております。

 昨年十一月、こども家庭庁におきまして、有識者や文科省を含む関係省庁を構成員とするワーキンググループを設置いたしまして、我が国におけるインターネット利用をめぐる青少年の保護に関する課題、そして論点、こういったことの整理を行っているところでございます。いまだ結論に至っておりません。

 ただ、文科省といたしましても、引き続き、こども家庭庁を始めとした関係省庁と連携を深めながら、こうした検討等を踏まえた取組をしっかりと進めてまいりたいと思います。

大西(洋)分科員 答弁をいただきました。このSNSは、本当に随時情報が更新される中で、常に最新の情報を分析していただいて、最善の策を取っていっていただきたいと思っております。

 先ほど話しました江戸川区インターネット健全利用促進条例は、手前みそで恐縮ですが、東京二十三区で初めて制定をさせていただいて、当時はヤフーニュースやNHKの首都圏ニュースにも取り上げていただいて、注目をいただきました。

 この条例を作っていくときに一番議論になったのが、批判や否定ができなくなるじゃないか、言論の自由の妨げになるじゃないかという議論があったんですが、もちろん批判と否定は認められているんですけれども、命を奪う悪質な誹謗中傷は全く別の議論だろうということで、そういった形で、仲間と皆さんと一緒に制定をさせていただきました。

 ですから、今日るるリテラシーのお話をしましたが、今、例えば、お子さんがナイフを持って人を傷つけちゃいけないというのはみんな分かっているんですけれども、SNS上であればどんなことも言っていいと思ってしまっている子供たちが残念ながらいるかもしれない、やはりこういう課題認識は持たなくちゃいけない中でこういった条例を作っていったわけでございまして、ですから、この幼少期に行うリテラシー教育というのは非常に重要なことだと思っておりますから、是非、文部科学省の皆さんのいろいろな見識を再結集していただいて、しっかりと執り行っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に行きます。いじめ防止対策と言われる寝屋川モデルについてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 いじめは、集団生活を送る意義を学ぶ場でもある学校教育において解決しなくてはいけない永遠のテーマでございます。人間が三人集まれば派閥ができ、多数と少数ができ、対立が生まれる場合もあります。場合によってはいじめに派生する可能性もございます。重要なことは、いじめを深刻化させないことと考えます。

 いじめを深刻化させない上で重要なことは迅速な事態対応と原因究明であると考えますが、いじめの深刻化の事例を分析すると、加害児童生徒及びその御家庭に配慮する余り、事態対応の迅速性や原因究明そのものを阻害しているのではないかというお声も寄せられています。いじめに際して、学校や教育委員会が加害児童生徒に対して教育的観点から接していくべき必要性がある根拠について、まずお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 御指摘の点でございますが、いじめ防止対策推進法第二十三条がございます。いじめが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、いじめを行った児童生徒等に対する指導を継続的に行う旨規定されているところでございます。

 また、文部科学大臣決定でございますいじめの防止等の基本的な方針におきまして、いじめの加害児童生徒に対しては、自らの行為の責任を自覚させることや、出席停止や警察との連携による措置も含めまして毅然とした対応を取ること、教育上必要があると認めるときには学校教育法第十一条の規定に基づき適切に懲戒を加えることなどを示すとともに、加害児童生徒へ懲戒を加える際には、教育的な配慮に十分留意し、いじめた児童生徒が自らの行為の悪質性を理解し、健全な人間関係を育むことができるよう成長を促す目的で行う旨を示しているところでございます。

 さらに、令和五年二月の通知におきまして、特に犯罪に相当する事案につきましては、加害児童生徒の健全育成を図るための注意、説諭等が期待できることから、直ちに警察に通報、相談を行いまして適切な援助を求めなければならないことなど、警察との連携の徹底を求めているところでございます。

 るる申し上げましたが、こうした記載を踏まえまして、加害児童生徒が抱える課題や家庭環境、事案の内容を踏まえながら、必要な指導等を行うことが求められると考えてございます。

大西(洋)分科員 答弁をいただきました。

 教育的観点から、加害児童生徒にも指導を行い、成長を促す必要があることは十分理解はさせていただいているところでございますが、一方で、いじめは被害児童生徒に対する人権侵害であり、心理的、身体的に大きなダメージを与え、時には命をも奪いかねません。

 大阪府寝屋川市では、いじめを人権問題として捉え、被害者と加害者の概念を用い、いじめを即時に停止させる行政的アプローチを行う、いわゆる寝屋川モデルという手法が有名となっております。こども家庭庁において、寝屋川モデルを参考に、学校外からのアプローチによるいじめ解消のモデル事業を行っているということを伺っておりますが、寝屋川モデルの必要性についてお伺いをさせていただきます。

高橋(宏)政府参考人 お答え申し上げます。

 いじめ防止対策につきましては、これまで学校や教育委員会におきまして精力的に取り組んでいただいていると承知してございますけれども、実態として、いじめ解消がなかなか進まないという場合もございまして、学校や教育委員会による対応だけでは限界があるという指摘がございます。

 こうした中で、今先生から御紹介のありました大阪府寝屋川市におきまして、首長部局にいじめ対応を専門とする監察課という部署を置いて、いじめについての通報とか相談があれば監察課が直接、被害者あるいは加害者、教員などから聞き取り調査を行うなど即時に対応し、いじめ行為の停止を図っているというふうに承知してございます。

 こうした取組を参考といたしまして、こども家庭庁におきましては、令和五年度より、自治体の首長部局におけるいじめ解消の仕組みづくりに向けたモデル事業を開始いたしました。現在、十二の自治体で取組を実施しているというところでございます。

 こども家庭庁といたしましては、この事業の実施を通じまして、寝屋川の取組などの好事例を横展開し、多くの自治体で学校外からのいじめ防止対策が進むよう取組を進め、文科省や学校等におけるいじめ防止対策とも連携して進めていきたいというふうに考えてございまして、いじめの長期化や重大化を防止できる地域の体制構築につなげてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

大西(洋)分科員 こども家庭庁より御答弁をいただきました。モデル事業のお話ですとか他省庁との連携についてもお話をいただいたと思っております。

 いじめについては、学校に限らず、子供が生活するあらゆる場面で行われること、寝屋川モデルでは首長直属の組織形態であることから、こども家庭庁での学校外からのアプローチによるいじめ解消の取組は、お伝えしたとおり有効だと思っております。

 一方で、いじめが深刻化するのは、その主な舞台が学校という空間で行われることに起因することを思えば、寝屋川モデルと言われる大阪府寝屋川市の、いじめを人権問題として捉え、被害者と加害者の概念を用い、いじめを即時に停止させる行政的アプローチの全国的普及に当たっては、教育委員会の協力がなくては実現不可能ではないかと思っております。

 仮定の話で恐縮ではございますけれども、この瞬間にもいじめに悩み苦しんでいる児童生徒がいることを思えば、文部科学省が主導し、地方自治体の手挙げ方式の形を取るなど、寝屋川モデルの全国的普及も選択肢の一つではないかと考えております。

 教育委員会の協力を円滑に得て全国的普及を実現するには文部科学省の役割が大きいものになると思いますが、文科省のお考えをお伺いさせていただきます。

望月政府参考人 大西先生から御紹介いただきました、また先ほどこども家庭庁からも御説明ございました寝屋川モデル、これは、いじめの問題を深刻化させない、どの地域でも、どの子供にも、どの学校にでも起こり得るという認識を、いじめについては社会全体で共有して対応していくことが大事だというふうに考えてございます。学校や教育委員会のみならず、首長部局が一体となって一定の関与を行うことは意義が大きいというふうに考えてございます。

 文部科学省といたしましても、令和六年度の補正予算におきまして、個別事案への早期対応、加害児童生徒への指導を行うための支援を実施するために、新たに警察OB、OG等の多職種の専門家をいじめ対策マイスターとして教育委員会に設置するモデル事業も着手することとしてございます。

 こども家庭庁とも連携しまして、こうした寝屋川モデルなどの好事例の普及を進めまして、引き続き、教育委員会、学校が関係機関とも連携しながらいじめへの対応を行っていけるよう、必要な指導助言を行ってまいりたいと考えてございます。

大西(洋)分科員 答弁をいただきました。ありがとうございました。是非、更なるお取組をよろしくお願いをいたします。

 次に、教員の負担軽減についてお伺いをさせていただきます。

 先ほどお伝えをさせていただきましたが、私、今、区立小学校のPTA会長を務めさせていただいておりますが、こうした中で、学校の先生方の業務量の多さ、子供の成長を促す中での役割の重要さを強く認識させていただいております。

 政府から今国会に提出しております教育職員の給与等に関する特別措置法改正案において、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりとして支給される教職調整額を四%から一〇%に段階的に引き上げることとしており、給与面での改善が急がれるところでございます。一方で、先生方が先生方でなければできない業務に集中できるように、業務の仕分が重要となります。

 二〇一九年の中央教育審議会答申では、教育における周辺業務、付随業務について、基本的には学校以外が担うべき業務、学校の業務だが必ずしも教員が担う必要のない業務、教師の業務だが負担軽減が可能な業務の三分類を行い、それぞれ、先生方以外が担う方法について見直しを促しています。

 そこで、先生方の付随業務を減らすために、先生以外で事務を担う方を充実確保する必要性及び予算措置についてお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 教職の魅力を高め、教師に優れた人材を確保するためには、給与の改善のみならず、学校の働き方改革を進めていくことが待ったなしでございます。教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備していくこと、そのために、御指摘ございました平成三十一年の中教審の答申でも整理されました、学校教師が担う業務に係る三分類の考え方に基づきまして、業務の精選、役割分担、見直しを推進してございます。

 教師が行う授業準備あるいは採点業務といった業務の補助を担う教員業務支援員の配置充実に近年努めてきているところでございまして、令和七年度予算におきましても、全ての小中学校への教員業務支援員の配置の支援など、学校におけるいわゆる支援スタッフの配置充実に必要な経費を計上しているところでございます。

 こうした支援スタッフの充実とも相まちまして、学校における働き方改革を教師の処遇改善とともに一体的に進めてまいりたいと考えてございます。

大西(洋)分科員 答弁をいただきました。お話のとおり、いろいろ取組もいただいている中、あるいは、各自治体でも独自の予算でやっているところとかもあったりしますので、それに更なる後押しができたらいいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 先生方の負担の大きな業務として部活動が挙げられますが、先ほどの平成三十一年の中教審答申において、部活動は、学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務に位置づけられています。先生方の負担軽減とともに、競技によっては部員数の不足を補う点でも、部活動と総合型地域スポーツクラブとの連携は重要な選択肢であろうかと思います。

 部活動を総合型地域スポーツクラブ等へと移行する地域移行に関する現状と、今後の展開に向けた取組についてお伺いをさせていただきます。

寺門政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、令和五年度から七年度までを改革推進期間といたしまして、生徒のスポーツ、文化芸術活動の場について、学校が主体となる部活動から、委員御指摘のとおり、総合型地域スポーツクラブを始めとした、地域が主体となる地域クラブ活動への移行を進めてございます。

 このため、各地方公共団体が地域の実情に応じた取組を進められますように、運営団体、実施主体の整備ですとか、また、指導者の質の確保、量の確保、参加費用の負担への支援を含めた実証事業を実施してございまして、令和六年度は、運動部活動は五百十自治体、文化部活動は百六十二自治体において取り組んでいただいてございます。

 また、令和八年度以降の部活動改革について、現在、有識者会議におきまして御議論いただいてございます。文科省といたしましては、この有識者会議の議論も踏まえまして、新たな地域スポーツ、文化芸術の創造と部活動改革の取組を推進してまいりたい、このように考えているところでございます。

大西(洋)分科員 ありがとうございました。よろしくお願いをいたします。

 私も、PTA会長としてPTA活動を行う中で、平成三十一年の中教審答申で基本的には学校以外が担うべき業務について、PTAに担っていただくケースが散見されます。子供により身近な存在であるPTAが担うことで円滑になることももちろん承知していますし、実感もしています。一方で、地域のシルバー人材センターなどに外注することも選択肢として確保するべきものと、現場で私も経験しながら考えているわけでございます。

 基本的には学校以外が担うべき学校の周辺業務において、過度にPTAに任せるのではなく、専門業者を含めた、外注させることも選択肢とするため、専門業者の予算を措置する必要性についてお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 御指摘のとおり、学校の業務の仕分を行いました、三分類。その中で、基本的に学校以外が担うべき業務につきまして、大変、PTAの方々、地域の方々に御協力をいただいて進めているところでございますが、さらに、首長部局あるいは民間事業者等を含めまして、多様な主体との連携を検討することも大事であるというふうに考えてございます。

 学校の安全対策、あるいは校庭の整備、教育の情報化などの学校の管理運営に関する必要な経費につきまして地方財政措置も講じられているところではございますけれども、こうした地方財政措置につきまして、地方公共団体の判断によりましては、こうした業務の一部を民間業者にも委託することは可能でございます。

 各教育委員会におきまして、業務の精選や役割分担の見直しを効果的に進めることができるよう、引き続き、必要な財源の確保に努めるとともに、こうした様々な自治体の取組を促してまいりたいというふうに考えているところでございます。

大西(洋)分科員 御答弁ありがとうございました。

 次に、道徳教育についてお伺いさせていただきます。

 価値観が多様化する中で、児童生徒の成長に合わせて、ディスカッション形式を中心に、児童生徒自身の気づきを促し、自ら考えさせる形での道徳教育が行われていることを承知しております。

 いずれにしても、日本のすばらしさ、日本に生まれてよかったという気持ちを育む道徳教育の必要性と、そのアプローチとしての日本の伝統文化教育の必要性について、文部科学省のお考えを伺わさせていただきたい。大変時間が、端的で、恐縮です。

高木主査 望月初等中等教育局長、短めにお願いします。

望月政府参考人 道徳教育の推進に当たりましては、教育基本法等を踏まえて、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに他国を尊重すること、あるいは国際社会に生きる日本人としての自覚を身につけることなどに留意しながら、教科等を横断的に学べるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。

 その中で、社会科の中で県内の文化財や年中行事、あるいは音楽科でも我が国の伝統音楽、国語科では我が国の伝統的な言語文化などについても指導しているところでございまして、各教科、いろいろな様々な形で道徳教育と伝統文化教育を関連させながら推進しているところでございます。

高木主査 時間が過ぎておりますので。

 これにて大西洋平君の質疑は終了いたしました。

 次に、萩原佳君。

萩原分科員 日本維新の会、萩原佳でございます。

 昨年の十月、初当選いたしまして、本日が初めての分科会での質疑となりますので、何とぞお手柔らかに、よろしくお願いしたいと思います。

 早速なんですけれども、ちょっと通告にはないんですけれども、大臣、二月二十五日、おととい記者会見されていた中で、中央教育審議会の答申のところで、国立大学の大学の授業料を百五十万円にした方がいいんじゃないのかというような意見等々、質疑を会見でされている中で、検討会の議論の状況、これを踏まえつつ丁寧に検討を進めるとの話をされていました。

 実際、大臣としては、百五十万円という金額、私も、一九九〇年代に大学に入ったときには四十数万円だったと思うんですけれども、三倍ぐらいになっているような、大学の授業料に関してそういう声が出ていることに対して今どのように考えられているのかというところと、あともう一点、入学金の二重払いの問題、それについてもコメントされておりましたが、文科省としては各大学に対して授業料の抑制等々を講じるようにお願いをしているという話をされておりましたが、実際そうなってはいないという現状についてどのように考えられているのか、お示しいただければと思います。

    〔主査退席、山田(賢)主査代理着席〕

あべ国務大臣 大学の授業料に関してでございますが、大学の授業料に関しては、各大学の設置者においてこれまでも適切に設定いただいてきたというふうに認識をしているところでございます。

 その上で、大学の授業料の件、大学の授業料、入学金の部分でございますが、これは実は令和七年から、多子世帯に関しての学生などを対象としては、所得制限なく、いわゆる無償とする法案を、今国会、提出することにしているところでございます。

萩原分科員 国公立ですと、余り費用負担がかかるという形というのは本意じゃないと思いますし、独立行政法人ですかね、そういう意味でも、適宜、授業料に関して、また入学金に関しては、結局、大学に入るときに選択肢が狭まってしまうということにもなってしまいますので、是非、大学の、商売としては理解ができるんですけれども、そうじゃない形、対応を文科省としてもしていただくことをお願いできればなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 早速ですが、通告に基づいて質問させていただきます。

 教育の無償化についてお聞きします。

 先日、三党合意で、令和八年度に小学校の給食無償化、これを実現するという合意がなされました。学校給食無償化については、昨年末に、日本維新の会は、立憲民主党、国民民主党とともに法案を共同提出している状況ですので、非常に、合意されたのはよかったなと考えておりますが、小学校については来年度から無償化を実施しますが、中学校、これについては、できる限り速やかに実施するということになっております。

 ここで確認いたしますけれども、無償化をするにせよ、中学校、どれぐらいの割合の学校が中学校給食を現状実施されているのか、その割合をお示しください。

日向政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月に公表した学校給食に関する実態調査の結果では、全国の国公私立中学校における完全給食の実施率は八九・八%となっています。

萩原分科員 昨年度の資料、それによると八九・八とはなっているんですけれども、今回お示しいただいた給食というのは、いわゆる完全給食の割合だと思っております。この完全給食の中には、弁当持参の選択制のものも含まれていると考えております。

 やはり弁当持参の選択制の場合は、多くの場合は弁当を持ってきてしまうというところで、実質、なかなか給食としては難しい、全員喫食という意味では難しいのかなと思っておりますし、やはり給食といえば、小学校の多くがやられているように、全員給食が前提だと考えています。

 私の地元、大阪の茨木というところなんですけれども、その茨木市でも、今年の一月から全員給食が始まりました。茨木では、全ての小中学校の給食調理を行うための中学校給食センター、これを完成させて、それがPFI方式になりまして、二〇三九年の七月までの事業費として約百十七億円かけていて、建設費等々は四十億円ぐらいかかっているような状況です。これで、大阪に関しては、四十三市町村のうち、茨木市が三十五市町村目の全員給食であり、二〇二八年度の吹田市と枚方市の二市の移行をもって、大阪でも二〇二八年度にやっと全員給食という状況になります。

 そういう意味では、中学校給食に関しては無償化を図るとなっていても、大阪の例が示すように、特に都市部に関してはそうだと思いますけれども、一定の割合で、これから、全員給食の前提の自校式であるとか親子方式、若しくはセンター方式にかかわらず施設整備を行うことになります。

 その施設整備に関しては、現在、学校施設環境改善交付金として、国が二分の一補助をしている、二分の一若しくは三分の一ですね。それを国庫補助金として補助しておりますけれども、小学校並みの整備を目指して、更にこの交付割合等を増やすような考えというのは現状あるのかないのかというところをお示しいただければと思います。

日向政府参考人 お答えいたします。

 三党合意に基づきまして、今後、具体的に学校給食無償化について検討を進めていくということと承知しておりますので、現時点でどうするかということは決めておりません。

萩原分科員 分かりました。現時点では未定ということです。

 そういう意味では、確認なんですけれども、どの程度、例えば全員給食をしている割合が全国で九五%とか、そういうのを超えると実行しますよとか、そういう、何%になれば中学校給食を無償化するというような、そういう計画もまだないという理解でいいでしょうか。

日向政府参考人 現段階では、三党合意が今週結ばれたということで、具体にどうしていくのかということについては、今後検討してまいります。

萩原分科員 御答弁ありがとうございます。これから決めていくというところだと思います。

 実際、給食費という意味では、食材費を幾ら補助していくのか、全国平均の金額を補助していくことになるのかとか、また、給食の質を高めるという意味では、品川区のオーガニック給食みたいに一定費用がかかるような給食を出しているところもありますので、その補助の範囲というところはこれからこれも検討していくことになると思っておりますので、この話は小学校の全員給食の場合も同じかと思いますが、是非詳細に、また、平均を出すと、大阪とか東京とか都市部に関すると結構手出しが増えるというところもありますので、そこら辺も手厚くやっていただければなというところを要望させていただいて、給食に関するところは、質疑は以上とさせていただきます。

 次に、また同じく三党合意の話ではありますけれども、高校教育無償化に関連した質疑をさせていただきます。

 現在の高等学校等就学支援金、この所得制限がなくなって、令和八年度に関しては、私学加算額、これは四十五・七万円まで引き上げるという話になっております。

 そして、三党合意では、その支給方法については十分な検討を行うとされておりますが、とはいえ、現状の制度を前提にすると、就学支援金は、申請は生徒側で、学校が受け取ることになる、いわゆる代理受領方式になると理解しておりますけれども、その理解でいいのか、まずお答えください。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、現行の法律に基づく就学支援金制度の支給方法でございますが、これは、受給権者は生徒である、それを、高校等の設置者が生徒に代わって受領する仕組みとしてございます。これは、個人に支給しました就学支援金が授業料以外に流用されることを防止するとともに、地方公共団体等の事務的な負担も軽減することを理由として導入したものでございます。

 三党合意文書で、いわゆる高校無償化の論点の一つといたしまして、支給方法の考え方、代理受領か直接支給か、あるいはDX化による効率化の推進が記載されてございまして、今後、この三党合意に基づきまして十分な検討を行うとされていると承知してございます。

 今後、具体的な検討を進めてまいりたいと考えてございます。

萩原分科員 今、代理受領方式を採用されていて、その場合の流用であるとか、そういうところの懸念点というところもお示しいただきました。

 ただ、代理受領方式、これを採用すると、学校側への単なる補助金というふうになってしまうおそれもあるんじゃないのかなと考えております。

 私個人としては、やはり生徒家庭に直接支給する。直接支給として、生徒側に学びの機会と、そして責任を持たせて学校を選んでもらう、学校に関しては、選んでもらえるように切磋琢磨していく方がよいと考えておりますが、今のところは、これから詳細に検討していくということではありますけれども、代理受領方式をされている。

 ただ、この代理受領方式、ちょっと先ほど補助金という話もしましたけれども、学校が、ある意味、四十五・七万円確実にもらえるということで、授業料の引上げ、これを変に図っていくことが懸念されますが、就学支援金制度を引き上げる、今回の引上げによってそういう便乗値上げみたいなのは起こり得ると思うんですけれども、そのようなケースが生じた場合、どのような対応を考えられているのか、お答えいただければと思います。

あべ国務大臣 高校の授業料無償化に関しまして、一般論として申し上げれば、教育基本法などの規定の趣旨に鑑みまして、特に私立高校の授業料を含む経費に関しまして、私立の学校の建学の精神に基づく自主性の尊重に留意すること、また一方で、この支援の拡充に伴いまして、各学校で合理性のない授業料の値上げ、いわゆる委員がおっしゃるところの便乗値上げが行われないようにする観点にも留意をする必要があるんだというふうに考えているところでございます。

 高校教育全体にとって意義があるものになりますように、本年度からいわゆる取組を開始した大阪府、また東京都の先行事例の成果、課題も踏まえさせていただきながら、文部科学省といたしましては、今後、具体的に検討をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

萩原分科員 ありがとうございます。

 具体的にこれから検討していくというところです。この検討の中で、今、直接支給の話をさせていただきましたけれども、お金を家庭に直接支給するという場合も流用のおそれというのも生じると思いますけれども、これに関しては、いわゆるバウチャー制度、これを利用すれば、お金の流用という意味でも一定防止が図れるのかなと考えております。

 文科省では、以前、教育バウチャー研究会でバウチャーの課題について検討されていたと理解しておりますけれども、その際、どのような課題があったのか、そして、今回のケース、もしバウチャー制度を当てはめるのであれば、どのような課題に対しての懸念が生じ得るのか、お願いします。

あべ国務大臣 一般に、バウチャー制度といいましても、その対象範囲、また具体的な制度設計、様々なものがございまして、教育の質の効果を含めまして、一概にバウチャー制度のいわゆる適否をお答えするのは非常に難しいところでございますが、今、自民党と公明党、日本維新の会の三党の合意文書におきましては、いわゆる高校無償化の論点といたしまして、支給方法の考え方、代理受領か直接支給か、DX化による効率化の推進が記載されているところでございまして、この十分な検討を行うとされているところでございます。

 文部科学省としては、合意内容を踏まえまして、今後、具体的に検討を進めてまいりたいというふうに考えています。

萩原分科員 具体的な検討ということで。

 先ほどのバウチャー研究会のところでも挙がっていた具体的な課題の中で、文言ですけれども、諸外国のように経済的負担軽減策など特定目的のために配分するバウチャーを検討することが考えられるのではないのかという文言がありましたけれども、まさしく今回のバウチャーというのはこれに該当するんじゃないのかなと思っております。

 具体的に検討するということですので、直接支給の中でも、現金かどうか、またバウチャーかどうかというところもありますし、そして、直接支給にした場合に想定される不正受給であったりとか、今、代理受領の場合でやっていた作業効率とか学校側の負担みたいな話も、マイナンバーなどを活用して、DX推進で対応していけば対応可能であると考えておりますし、ポイント、バウチャーをポイントとして渡すかどうかというところも含めてですけれども、そうすれば、それを売るとかいうこともないでしょうから、より、不正への懸念というのは少なくなると考えておりますので。

 具体的に今後検討というところだと思いますので、是非、そこに関しては意見を出し合って、いい制度構築、そして、子供たちの教育の機会の均等、教育の機会を確保するというところに対して共に頑張っていきたいなと思いますので、その点、よろしくお願いいたします。

 続きまして、二つ目の質疑として、大阪府の万博子ども招待事業の話をさせていただければと思います。

 いよいよ四月の十三日から大阪・関西万博が始まります。ただ、大阪・関西万博、チケットの購入や予約等々がめちゃくちゃしづらいという課題もありましたけれども、それも徐々に解消に向かいつつありますし、当日券の導入、これも決まって、徐々に機運がこれから高まっていくような状況にあるんじゃないのかなと考えております。

 大阪では、次代を担う子供たちに、世界百六十か国を超える国々の英知が収集された最先端の技術、そしてサービス等に直接触れる体験によって、将来に向けて夢と希望をたくさん感じてもらうために、万博子ども招待事業、これを展開している状況でございます。

 本当に、この大阪の取組、非常にすばらしいと考えておりますけれども、政府として、各都道府県にこのような動きをサポートするというか、全国展開を行うサポートをしてもよいとは考えておるんですけれども、お考えをお示しいただければと思います。

西海政府参考人 お答えいたします。

 まず、大阪・関西万博ですが、子供たちにとって学びの多い場になるものと考えておりまして、政府としては、一人でも多くの子供たちに万博を学びの機会としていただきたいと考えております。この点、基本認識は先生と一緒でございます。

 その上で、政府、博覧会協会といたしましては、まず、小中学生の団体、教育旅行で行くのは団体になりますので、団体のチケット料金は千円ということで、安く設定をいたしました。これは、地域の差関わりなく安く設定させていただいております。

 また、来られない学校を念頭に、全国の学校に万博関係者の人によるいわゆる出前授業、それから、万博に来場しなくてもインターネットを通じて無料で万博や万博のコンテンツについて体験をできるバーチャル万博というのも実施しておりまして、日本全国のより多くの子供たちの方に学びの機会を提供をしようとしてきたところでございます。

 先生の御質問の大阪の招待事業でございますけれども、これにつきましては、大阪・関西万博の地元である大阪に加えまして、追随して周りの近畿地方の各県も同じような事業を行っていると承知してございます。

 政府といたしましては、ベースの、安く設定する料金はいたしましたので、各自治体がこういった大阪府の取組、それから近県に広がっていった取組を参考に、それぞれの学校でよく御相談いただきながら、各自治体の方で御判断いただいて実施されて、行っていただくものと考えてございます。

萩原分科員 ありがとうございます。

 料金を安く設定して来やすくしていただけているということですけれども、また、関西の各地域ではその取組というのは広がっているような状況というところではありますけれども、関西以外というのはなかなかそういう状況になっていないのかなと考えています。

 例えば、関西の学校であれば遠足で来るとか、関西以外であれば修学旅行で大阪・関西万博に来るというような場合で、そういうケースでは、例えば、その場合に、修学旅行で来る場合とか、一人千円とかでもいいと思うんですけれども、そういう形で交通費補助というのを行って、各自治体でお任せしますということではなくて、協会としても後押しをするという取組もまだできるんじゃないのかと思っておりますけれども、お考えをお示しください。

西海政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしました、まず小中学生の団体のチケット料金を安く設定することに加えまして、私どもでは、これまで二度ほど修学旅行を引率する先生方に対して御説明をしてまいりまして、こういった万博への周知を強めてまいりました。

 さらに、御質問の自治体による独自の招待事業等もできるだけ発信をしてまいりまして、各自治体の方で、それぞれ学校とよく御相談いただきながら、できることを自治体の御判断でやっていただけるようにしていただければと考えてございます。

萩原分科員 各自治体で頑張ってくださいということだとは思いますが、今ちょっと無理筋なお願いはしておりますけれども、金銭的な援助はできないまでも、情報発信、情報提供、それは、内閣府であったりとか文科省としてできることはたくさんあると思いますので、是非、日本一体となって大阪・関西万博を盛り上げていただければと思いますので、更なる支援をよろしくお願いしたいと思っておりますので、お願いして、次の質問に行かせていただきます。

 三つ目として、部活動の地域移行についてお話をお聞きいたします。

 今、公立の中学校において、かなり部活動の時間というのが制限されているような状況にあります。十七時までで部活は終了ですよというところで、結局一時間も活動ができない、そのような状況になっていて、本当に部活動の活動時間が極端に少ないというのが、現状の、現代的な課題として残っております。

 先生の働き方改革、これは本当に大事なことですし、理解できるところでありますけれども、結果的に部活からクラブチーム等に移行するところが増えてきつつありますけれども、現状、指導員不足で活動できなくなった部活もあるような状況になっております。そしてまた、クラブチームに移るとしても、体育館の利用料に関してもクラブ持ちになるので、追加のお金がかかる、そういう状況になっております。

 中学校の部活動は、人間関係の形成強化というところで、過去、部活動に入るというのは推奨されていたところだとは思いますが、そのような制度と現場のはざまで、現在、弊害が起きているような状況であり、ある意味、子供たちに負担を強いているような状況になっているんじゃないのかなと思っています。

 そういう中で、現在、スポーツ庁の有識者会議は提言を取りまとめて、令和七年度末をめどに部活動の地域移行を目標を掲げている状況ですけれども、その進捗状況、今どのようになっているのか、課題とともにお示しいただきたいと思います。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 まず、現状についてでございます。急速な少子化が進む中、従前のように部活動を一つの学校で運営することは困難な場合も出てきておりまして、地域において生徒の豊かなスポーツ、文化芸術活動の機会を確保するために、部活動の地域クラブ活動への移行を進めてございます。

 文部科学省では、令和五年度から七年度までを改革実行期間として、実証事業によりまして地域移行を進めてございます。令和六年度におきましては、運動部の活動では五百十自治体、文化部活動では百六十二自治体において取り組みいただいてございます。

 次に、課題でございますが、この実証事業を進める中で、地域クラブ活動における指導者の確保、また、地域クラブ活動の運営団体、実施者の整備等が挙がっていると認識をしているところでございます。

萩原分科員 ありがとうございます。

 今、課題として五百十一団体、百六十二団体というところで、一定進みつつはあるのかな、ただ、全国でこの数というところは、やはり進捗に課題があるのかなと思っています。その中で、指導者の確保であったりとか整備に対して課題があるということですけれども、この指導者不足、そして整備に関して、スポーツ庁として対応を取られていることがあるのであれば、お示しください。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 対応につきましては、まさに各課題に応じた、地域の実情に応じた対応ができるように、文部科学省といたしましては、部活動の地域移行に向けた実証事業を実施をしてございまして、この中で各団体の取組を、きめ細かに対応をしているところでございます。

 先ほど、済みません、訂正でございますが、令和五年度から七年度までは改革実行期間でございまして、まさにこの期間中にそれぞれの課題に合った対応を取っていただくべく丁寧に対応してございます。また、地域スポーツクラブ活動アドバイザー事務局を設置いたしまして、各自治体からのお問合せについて、実務的な、丁寧に対応を行ってございまして、引き続き、こういう取組の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。

萩原分科員 ありがとうございます。

 課題への対応というところもお示しいただきました。

 ちょっと自分の地元の話ばかりして申し訳ないんですけれども、地元の茨木市では、令和七年度より、中学校の休日の部活動を地域においてスポーツ、文化芸術活動等を行う地域クラブ活動へ段階的に移行する取組、これは実証実験として始める予定でありますけれども、これに対する具体的な補助というと、補助のメニュー、また、メニューも示したところで競争が激しい場合、なかなか採択されないという場合もあると思うんですけれども、その採択率とかというのはどのような割合になっているのかなというところもお示しください。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 国会にお認めいただきました実証事業の予算、各年、拡充をしてお認めいただいてございます。そのおかげをもちまして、基本的には、各自治体から御申請があれば、その要望に極力、最大限沿って引き続き執行に意を用いてまいりたい、このように考えているところでございます。

萩原分科員 ありがとうございます。各自治体の要望に従って応えていくということでした。

 それに関しては是非よろしくお願いしますということなんですけれども、ただ、あくまで現状想定している補助金というのは、スポット的なものかなというふうに思っています。

 仮に想定されている地域移行というのが実現した場合、外部指導者を確保するための費用負担であるとか、そこが保護者に重く、重くというか、保護者が背負うことになりますので、結果、部活動への参加をちゅうちょする家庭というのも結果として生じてくる懸念もあるんですけれども、今後もそういう継続的な補助というのを学校若しくは各自治体に行う予定があるのかないのかも教えていただければなと。

 働き方改革の一環として教員の負担軽減を図ることは非常に重要なんですけれども、その過程において、もっと子供たちの立場というのを考えてほしいなというのが割と地域から言われておりまして、御見解をお示しください。

寺門政府参考人 お答え申し上げます。

 令和八年度以降の地域部活動の移行の考え方につきまして、まさに今、スポーツ庁の有識者会議におきまして検討を進めてございます。令和七年度予算案においても、この実証事業を拡充して措置をお願いをしてございますけれども、令和八年度以降の部活動改革の在り方につきましては、有識者会議の議論を踏まえまして、引き続き、地域の事情に応じた持続可能な形での多様なスポーツ、文化環境の整備が進むように、委員御指摘の点も十分に留意しながら、一層その推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。

萩原分科員 是非、持続可能になるよう、継続した対応をお願いしたいと思います。

 最後に、金融リテラシー教育、これについてお聞きします。

 金融リテラシー教育に関しては、二〇二二年度から、学習指導要領が改訂されて、高校で金融教育が必修化されました。まだ制度化されて間もないんですけれども、今の金融教育の現状と見えてきた課題、あればお示しください。

望月政府参考人 児童生徒が、その発達段階に応じまして、金融に関する基本的な仕組みとともに、お金に関する知識や判断力を身につけることは大変重要であると考えてございます。経済活動が身近なものとして、自分事として捉えていくということが大事だと思ってございます。

 こうした金融に関するリテラシーにつきましては、全国全ての学校の教育課程編成の基準である学習指導要領におきまして、小学校では買物の仕組み、あるいは金銭の大切さと計画的な使い方、中学校では金融や経済活動の仕組みなど、高校では金融の働きと仕組み、家計管理などについて学習することになってございますが、昨年六月に民間団体が実施した調査によりますと、金融教育の実施に当たりましての課題としまして、おおむね五割の教員が、生徒にとって理解が難しい内容であるという意識、あるいは、教える側の教員の専門知識の不足などを挙げているところでございます。

萩原分科員 順次教育をされているということですけれども、今、最後おっしゃった課題、なかなか学校の教員の方というのも、教えてはいるものの、理解していないというところがあるんじゃないのかなと思っております。

 是非、専門的な話ではありますので、その課題ですね、専門家の方もより使う形にして対応いただければなと思っております。

 そして、時間が終了したので、私の質疑、以上といたします。ありがとうございます。

山田(賢)主査代理 これにて萩原佳君の質疑は終了いたしました。

 次に、道下大樹君。

道下分科員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 あべ大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、幼稚園教諭免許取得の単位認定試験について伺いたいと思います。

 今月二十二日付の北海道新聞によりますと、北海道内のある専門学校が、保育士の国家資格を取れる教育課程に加え、同じ学校法人が運営する短期大学の通信教育課程で講義と試験を受けて幼稚園教諭二種免許取得に必要な単位の認定試験の際に、模範解答が載った資料の持込みを学生に許可し、書き写すだけで高得点が取れるようにしていることが分かりました。関連法などには抵触しないということでございますが、専門家は、試験の形骸化によって、専門知識が備わっていない教諭が幼児教育の現場に送り出される懸念があるということで、教育機関として極めて不適切な運用だと指摘しています。

 これについて、文部科学省は取材に対して、単位認定に法的規制はなく、試験への資料持込みも認められると説明する一方で、一般論として学習の評価が骨抜きになるような単位の認定が行われているのであれば問題があるというふうに文部科学省の教育人材政策課が指摘しているということでございますが、この報道に関して文部科学省としてどのように認識しているのか、伺いたいと思います。

    〔山田(賢)主査代理退席、主査着席〕

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 短期大学におきます単位の授与につきましては、それぞれの短期大学で定める適切な方法によって学修成果を評価し、単位を与えるものとすると定めてございまして、具体の試験等の在り方については各短期大学の判断において決定、実施をされるものでございます。したがいまして、試験等の在り方が適切であるか、また学修成果を適切に評価できているかについて、当該短期大学に説明責任があるところでございます。

 仮に、試験等の在り方も含め学生への教育や学修成果の評価が適切に行われていないのであれば問題があるものと考えており、現在、当該短期大学に対し事実確認を行っているところでございます。

道下分科員 同様の事例を聞いたことはありますか。

伊藤政府参考人 現在、当該短期大学の方にどのような状況だったかというのを確認しているところでございますので、同様のというようなところにはお答えすることはまだ、現時点では難しいところでございますけれども、大学の試験の在り方については、様々な資料の持込みを可とするというような場合もありますし、特に通信教育課程の場合、当然、それぞれウェブ上でその試験を行うような場合に様々な資料というものも参考にしながら答えを出していくというような場合もございますので、どのような状況かということも含めて、しっかり当該短期大学の方に状況を確認したいと思っております。

道下分科員 試験の在り方にもいろいろあるということで、資料の持込みも許可しているということでございます。

 そうした中でも、やはり、しっかり真面目に勉強して答えている生徒さんと、そうじゃない、本当に模範解答が書かれてあるものを持ち込んでそれを書き写せばいいというのは、それは不公平でもあると思いますし、また後で申し上げますけれども、先ほどの、知識が備わっていない方に免許が与えられるということも、ちょっとこれは、ある意味で、子を持つ親としても心配でございます。

 こうした試験が行われる要因について、私も、今少子化で学生集めが大変だということだとか、あとは、受け持つ学生が単位を落とせば翌年担当する授業のこま数が減らされて給与に響く、そういう回答もあるんですね。また、実質的なカンニングであり、形だけの試験で資格を与えることは教育機関として信頼を損なう行為だという指摘もございます。

 是非、これについては、私はいろいろと試験の在り方ももう一度考え直すことも必要だと思いますが、ある有識者は、新聞の取材に対して、養成校の責任は幼児教育という重要な仕事に必要な力を育てて現場に送り出すことであり、単位を与えて終わりではないと指摘していますし、また、別の有識者は、公正な成績評価がなされていないとすれば教育機関の信頼にも関わると懸念しておられます。

 今後文部科学省としてどのように対応されるのか、大臣に伺いたいと思います。

あべ国務大臣 学校現場が大変複雑で多様な課題を今抱えている中にありまして、短期大学含め大学等における教職課程におきましては、教員として必要な資質、能力を確実に身につけさせて学校現場に送り出すこと、これがまさに教職課程に期待される役割であるというふうに私ども考えているところでございます。

 文部科学省といたしましては、現在、当該短期大学に対しまして事実確認を行っているところでございまして、必要に応じて指導などをしっかりと行ってまいります。

道下分科員 よろしくお願いします。

 私も、いろいろ、丸暗記してそれを答えればいいということではないと思うので、やはり、身につけて、実際に教育現場に立ったときにしっかりと学んだことを生かしてもらうということが大変重要だと思いますので、その点を含んで取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、学習指導要領と不登校、いじめの関係について伺いたいと思います。

 北海道教職員組合が昨年実施した独自調査によりますと、学習指導要領の改訂による教育課程の過密化と不登校やいじめとの間に何らかの相関関係があることは明らかであるとの分析結果を公表しました。皆様に資料を裏表でカラーでお配りしております。

 これを見ますと、表一、少し青いところですが、一九九八年学習指導要領。これは、その前の学習指導要領で詰め込み教育だと言われたものから、九八年、ゆとりというふうに言われた時期の学習指導要領。小学校五年生の算数でも、文字数は前と、ちょっと減っている、それから教科書のページも減っている、一標準時数当たりの教科書ページ数も前年と変わりなく一・二ページということなんですが、そこから、次の黄色のところの二〇〇八年の学習指導要領、第七回の改訂ですけれども、これは脱ゆとりということで、文字数が増え、ページ数が増え、そして、一標準時数当たりの教科書ページ数一・六ということで、これはつまり、同じ時数でページ数が、教える速度が速くなる。今は第八改訂ですけれども、文字数がどんと二倍近く増え、ページも増え、そして一・八ページということで、非常に速くなっているわけでございます。また、表二を見ていただきますと、時数も、大体これは六時間ですね。

 ということで、非常に、学習指導要領の改訂によって、文字数だとか教える量、そして教えるスピードが速くなっている。

 その下のグラフ一を見ていただくと、ちょうど時数が増える二〇〇二年度あたりからじわりじわりと、さらに、五・五時間から五・八時間、今の六時間になると、時数が増えることによって不登校の比率が増えてきているのが見て取れます。

 それから、裏面のグラフ二なんですけれども、これは、上が小学校、下が中学校ですけれども、こちらも、ゆとりのときには不登校といじめはそんなに多く増えていませんが、脱ゆとりになったら急激にいじめ認知件数と不登校の比率が増え、今の第八回でも増加傾向にございます。

 こうした過去二回の学習指導要領の改訂によって、教えるボリュームが増えて、教科書ページ数や文字数も増えて、一方で、一標準時数当たりの教科書ページ数、つまり教えるスピードが速くなり、過密化した教育課程が子供たちに学習負担を強いることで、理解度や学習意欲の低下を招いている可能性があるということであります。

 また、それだけではなくて、学校生活全般での不安やストレスの増大につながり、結果として、このストレス発散のために他者にいじめをしたり、又は精神的に不安定になって不登校になったり、より深刻な問題を引き起こすきっかけになりかねないとこの調査の文書では警鐘を鳴らしています。

 この調査だけでは教育課程の過密化自体がいじめや不登校の直接な原因であると断定するのは難しいと北海道教職員組合も述べておりますけれども、この調査分析は、私は十分検討に値すると思いますが、文部科学省の認識を伺います。

望月政府参考人 道下先生から本日お示しいただきました北海道教職員組合の調査について、本日拝見しましたので、なかなか私ども詳細を承知しておらず、分析が難しいところではございますけれども、例えば五十年前と比べまして、小学校の四教科、中学校の五教科で授業時数は減少している部分もありますけれども、最近はちょっと上がってきていますけれども、教科書のページ数は小学校で三倍、中学校で一・五倍に増加しているということは実際ございます。

 一方で、不登校やいじめの増加につきましてはやはり様々な要因が複雑に関わっているものと考えてございまして、学習指導要領のみ直接作用したものとは認識はしていないところでございます。

 一方で、学習指導要領の実施に伴う負担への御指摘というものは真摯に向き合うべき課題だというふうに考えてございます。

 このため、現在、検討を開始してございます新しい学習指導要領の検討におきまして、学習指導要領やその解説あるいは教科書、入試の影響、教師用の指導書も含めました授業づくりの実態を全体として捉えまして、教科書の内容、分量の精選も含めまして、過度な負担や負担感が生じない在り方を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

道下分科員 私も子供が三人おりまして、子供の試験とかを見ると、私の子供時代とはレベルが全然違うんですよ。教える学年でも、大きくなってから教えることが、今本当に、中学生のときに教えることかとか、レベルが上がっているんですね。これは大変だし、教科書も分厚くて、小学校一、二年生のランドセルを背負ったら、重た過ぎるんですよね、後ろに踏ん反り返るんですよ。それぐらいあって、今の子供は大変だなとか思いながら、ただ、これを何とかしてあげなきゃいけない。僕は、基礎学力だとか、やはり学ぶ意欲とか想像力をつけさせてあげなきゃいけないなというふうに思っているんですね。

 そうした意味で、局長もおっしゃったように、今、新たな学習指導要領の改訂に向けた検討を昨年十二月に中央教育審議会に諮問されました。文部科学省として、主にどのようなことを重視して学習指導要領を改訂しようと考えているのか、大臣に伺いたいと思います。

あべ国務大臣 我が国の学校教育は、実は、教師の努力と熱意で支えられて大きな成果を上げているところでございますが、一方、不登校児童生徒の大幅な増加を始め、現状の学校教育の中で主体的に学びに向かうことができていない子供が実は多いなどの様々な課題も明らかになってきているところでございます。

 こうした中で、教育課程の実施に伴う負担の御指摘にも真摯に向き合いながら、特に、課題を乗り越えて新たな時代にふさわしい初等中等教育を構築するために、学習指導要領の在り方について諮問を行わせていただきました。

 諮問におきましては、まず第一に、質の高い、深い学びを実現するための、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方、また、二つ目は、多様な子供、これを包摂する柔軟な教育課程の在り方、三つ目といたしまして、情報活用能力の抜本的な向上、これを始めとする各教科の目標、内容の在り方、最後になりますが、教育課程の実施に伴う負担が生じにくい在り方など、学習指導要領の趣旨の着実な実現方策などの論点につき、いわゆる検討をお願いしたところでございまして、引き続き中央教育審議会での議論を進めてまいりたいというふうに思います。

道下分科員 先ほどの資料でもお示しさせていただいたんですけれども、余りにも、教えよう教えよう、勉強してもらいたい、覚えてもらいたいという量が多過ぎると、子供たちがあっぷあっぷで、しかも、コロナ禍でもあったとおり、いつコロナで休校になるか分からないから早く教えようと先生方も頑張って、もう今も、教科書を最後まで教えようというふうになって、スピードが速くて、それで、ちょっと分からないことがあったら、次からもう分からなくて、もう勉強は面白くない、諦めるという子供が私は増えていると思うんです。

 だから、そういった意味で、立ち止まったり、少し余力があってもう一度学び直せるような、学校における余力を、子供たちにも、そして先生方にも私は必要だというふうに強く申し上げたいと思います。

 この学習指導要領の改訂については、教職員の立場から考えても、一日の勤務時間の大半を占めるまでに肥大化した授業時数を削減する必要があると思います。本来業務が所定勤務時間外に行われている現状は大きな問題であります。この見直しが行われないまま時間外在校等時間を削減しようとすれば、授業準備や教材研究が十分に行えなくなり、ひいては教育の質の低下によって子供たちの学びに深刻な影響を及ぼすことが懸念されますので、是非、そういったことも含めて学習指導要領の改訂については御検討いただきたいというふうに思います。

 次に、教職員配置と学級編制並びに働き方改革について伺います。

 小学校に教科担任制が導入されました。これによりまして、学校現場からは、空き時間ができた、持ち授業時数が減ったと喜んでいる声が届いております。空き時間ができれば、そのために次の授業の準備や教材研究ができるわけですね。しかし、前年から行われている高学年も含めて、全ての小学校に配置されたということではございません。今後、全国全ての学校に配置していく計画等はどのようになっているのか。

 また、中学校生徒指導教員の配置についても、同様に全ての学校に効果のある配置拡充をすべきと思いますけれども、どのように計画しているのか。政府参考人に伺いたいと思います。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、教育は人なりでございますので、教師一人の力というのは大変大きい。そういう意味では、教員定数について、現場のニーズも踏まえながらしっかり対応していくことが重要かと思ってございます。

 小学校の教員定数につきましては、学級を基本としながら、学級担任外の教師も若干名配置できるよう基礎定数が算定されてございまして、学校あるいは自治体のニーズを踏まえて、従来から、音楽や家庭等の教科を中心とした専科指導が行われてございます。

 その中で、御指摘のありました小学校の高学年の教科担任制をまず進めていくという観点で、令和四年度からの定数改善三千八百人と既存の加配分五千六百人を活用いたしまして、九千四百人分の定数を充てて措置して、今年度でそれが一応できるということでございます。

 七年度からは、小学校四年生の教科担任制の拡充、あるいは新規採用教師の持ちごま数を減らすために支援の充実に努めまして、四年間で計画的に三千九百六十名の定数改善を予定しているところでございます。

 また、加配定数が配置されていない場合でも、学級担任間の授業交換や近隣の小学校との授業交流ということでもそうした教科担任制が展開されている場合もあるとは承知してございます。

 中学校でございますけれども、中学校の生徒指導担当教師の配置拡充につきましては、不登校生も増えてきているという中におきまして、十八学級以上の中学校には基礎定数として生徒指導担当教師を想定した定数が配置されていることを踏まえながら、まずは標準学校規模である十二学級以上の中学校の体制整備を図ることといたしまして、令和七年度からの四年間で計画的に二千六百四十名の定数改善を図ることとしてございます。

 引き続き、教職員定数の改善に取り組んでまいります。

道下分科員 文部科学省さんも、今、配置拡充だとか定数改善だとか、そういったことは、思いは同じだと思います。

 それで、次に、四年前のこの分科会でも私は当時の萩生田文科大臣に質問したんですけれども、少人数学級ですね。

 そのときに、ちょうど四十年ぶりに、小学校における一クラスの生徒を四十人から三十五人にするというふうに決まったわけでございます、始まったわけでございます。萩生田大臣に、これは三十五人でいいんでしょうかねと聞いたら、もっと少人数学級を推進すべきじゃないですかねと聞いたら、いや、私は三十人学級を目指していたんだというふうに答弁されたんですね。私は非常に心強く思いました。

 あべ文科大臣は、この少人数学級についてどのようにお考えでしょうか。

あべ国務大臣 令和三年のこの第四分科会におきまして、道下委員からの御質問に対して、当時の萩生田大臣から三十人学級を目指していたという趣旨の答弁があったことは承知をしているところでございまして、その後、同じ年の令和三年義務標準法の改正、これで公立小学校の学級編制の標準を四十から三十五に引き下げることによって、児童一人一人のニーズの、きめの細かい指導を可能とする指導体制を整備していくことといたしました。

 この小学校の学級編制の標準を引き下げたのは実は約四十年ぶりでございまして、教育現場にとって大変有意義なことがあると思っておりまして、私といたしましても、一人一人にきめの細かい指導が必要と認識しておりまして、学校の指導、運営体制の強化充実を図ることがまさに重要だというふうに考えております。

道下分科員 今までの経緯、経過とかは十分承知しておりまして、私は、あべ大臣のお気持ちをお聞きしたかったんです。

 あべ大臣は外務副大臣もされて、海外をいろいろ回られて、もしかしたら海外の教育なども御覧になったかもしれませんけれども、海外では大体二十人以下学級が普通なんですね。私も、アメリカだとかに行ったり、ヨーロッパも教育現場を見ましたけれども、本当に、先生の数も多いし、少人数学級が進められて、一人一人に向き合い、寄り添い、そしていろいろと相談とか、すぐに受け答えができる、そういう環境なんですね。

 文科大臣、どう思われますか。今の三十五人でいいと思われますか、それとも、もっと減らした方がいいと思うか。御本人、あべ大臣個人の御意見を伺いたいと思います。

あべ国務大臣 一人一人に向き合っていく教育が私はまさに重要だというふうに思っておりまして、今、子供たちの多様性がある中にあって、様々な対応、人数だけではない対応も私は必要だというふうに思っておりまして、またしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

道下分科員 三十五人でも、先生が二人とか三人とか、そういうスタイルもあると思うんです。そうすると、先生一人が受け持つ児童生徒の数も本当に少なくなってくるので、そういったこともあるかなと思いますけれども、是非率直な御意見を伺いたかったなというふうに思います。

 この一クラスの人数は、二〇二五年度は小学校六年生が、二六年度からは中学校が三十五人以下学級になります。一方で、財務省は、クラスの人数が減っても負担は減らないとか、また教員数の変化はないとも言います。しかし、通信表や通知箋やその他必要な書類作成など、四十人分作るか三十五人分作るかは違いがあって、業務負担軽減につながっております。

 今後、高校についても人数を減らすことを検討しているのか。加えて、四十人から三十五人にした効果等を検証して、三十五人から更なる少人数学級を検討しているのか、伺いたいと思います。

望月政府参考人 まず、今回、三十五人学級を小学校で進めていくに当たりまして、義務教育標準法改正で三十五人学級の効果検証というものが求められてございます。現在、令和七年度までの実証研究として実施をしてございまして、これは、少人数学級の効果と外部人材活用の効果につきまして、児童生徒の学力のみならず、社会情動的スキル等に与える効果を多角的に検証する、教師の指導方法や精神的健康への影響などについても検証することとしてございます。

 こうした検証はしっかりと行いつつ、中学校の三十五人学級を、小学校の三十五人学級の完成した後にしっかり続けまして、高等学校につきましてという御質問でございますが、こうした効果検証もする中で、財源確保も併せてまた改めて検討していかなきゃいけない課題だというふうに考えてございます。

道下分科員 是非、そうした報告等、速やかに行って、早め早めに、私は、少人数学級だとか教職員の定数改善に生かしていただきたいと思います。

 学校現場からは、働き方改革を進めると同時に教職員定数の大幅な改善が不可欠であるとか、給特法改正でちょっと給料が上がったところで一人当たりの仕事量が減らなければ状況は変わらないという意見が多く寄せられております。

 教職員の人数を増やすこと、教職員定数改善は、私は本当に必要だというふうに考えますが、あべ大臣のお考えを伺います。

あべ国務大臣 まさに教師は学校教育の充実発展に欠かせない存在でございまして、教師の厳しい勤務実態がある中にございまして、いわゆる少人数学級の推進を含めまして、それだけではなく、教職員定数を改善することは、まさに大変重要なことでございます。

 令和七年度予算案に関しましては、小学校六年生までの三十五人学級の完成、さらには小学校の教科担任制、先ほども委員がおっしゃってくださった四年生への拡充、また新規採用教師への支援の充実、また中学校における生徒指導担当教師の配置拡充などのため、過去二十年間で最大となる五千八百二十七人の教職員定数の改善に必要な経費を計上いたしました。

 さらに、財源確保とあわせまして、令和八年度から、中学校における三十五人学級、これを整備するための定数改善を行うことにしておりまして、文部科学省といたしましては、引き続き、学校の望ましい教育環境の指導体制の在り方、またこの検討を進めまして、学校の指導、運営体制の充実をしっかりと図ってまいります。

道下分科員 文部科学省のこの取組にはある一定の評価はさせていただきますが、多くの皆様は、本当に今、全然学校の先生が足りないだとか、不登校とかいじめとか、いろいろ課題があります。早急に変えていかないと日本の教育が崩壊してしまうという強い危機感というか、警告を発している専門家の方もたくさんいらっしゃいます。

 先ほど御紹介した北海道教職員組合は、九月勤務実態記録というものを行って、そして報告をしておりますけれども、その調査においては、時間外在校等時間は高止まりの傾向にあり、教職員の長時間労働の実態は改善されていない、教職員のおよそ五人に一人が過労死の危険性があることだとか、勤務時間管理は、服務監督権者である教育委員会や校長の責任とされているが、まだ半数以上の学校で休憩時間、週休日、休日の業務時間が在校等時間に含まれていないだとか、一人当たりの持ち時間数削減が必要であるということをこの調査によって分析して、公表されています。

 教職員一人当たりの持ち授業時間数を削減することが必要であり、教職員の配置数を増やし、授業の負担を分散させることが重要というふうにも指摘しています。義務標準法や高校標準法といった教職員定数を規定する法律を改正し、一人当たりの持ち授業時間数を削減する必要があって、それが、教職員が教育活動に専念できる環境の整備につながるということでございますので、これはやはり、ひいては、子供たちの教育環境、子供たちのために、豊かな教育環境の整備につながるわけでございますので、是非取り組んでいただきたいというふうに思います。

 最後に、最後の時間、日本の特別支援教育と国連勧告について伺います。

 これも二年前の分科会で質問させていただきましたけれども、日本が批准する障害者権利条約に基づいて、二〇二二年九月に、国連障害者権利委員会が日本の障害者に対する教育の状況について審査を行いました。そこで、国連障害者権利委員会は、日本の特別支援教育、つまりインクルーシブ教育システムは分離教育であり、インクルーシブ教育ではないとはっきり断言して、中止を勧告したのであります。そして、特別支援教育のみならず、日本の教育政策全般の方向性と施策が条約に反することが指摘されて、改善を求められているわけでございます。

 次回の日本の審査、報告書提出締切りまで、二〇二八年二月、それまでに、勧告で出されたように、真のインクルーシブ教育に移行するための具体的な達成目標や期間、予算、国家行動計画を示したロードマップを策定すべきというふうに思います。

 この国連障害者権利委員会の勧告が出されたときの文科大臣は永岡文科大臣でしたけれども、そのときは一切拒否されました。非常にこれで、障害当事者らは今でも落胆と怒りを覚えています。

 是非、外務副大臣も経験されたあべ大臣には、こうした点、しっかりと勧告を受け止めて、今後の障害者教育、障害児教育を進めていただきたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

あべ国務大臣 インクルーシブ教育のシステム、いわゆる障害者の権利条約第二十四条、教育に規定された、障害者を包容するあらゆる段階の教育制度であると認識しております。

 その中で、文部科学省としては、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの整備を進めておりまして、いずれの場でも、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学べる環境整備を進めているときでございまして、具体的な取組としては、本年度よりでございますが、本年度より、特別支援学校と地域の小中学校を一体的に運営するモデルの構築に向けて、障害のある子供と障害のない子供が共に学ぶための新しい授業の在り方などの実証的な研究を行っているところであります。

 加えて、障害のある子供が通常の学級で学べるように、ICT機器の活用、また、必要な合理的配慮の提供、さらには、通級による指導に関わる教職員定数の基礎定数化、さらには、特別支援教育支援員の配置などの環境の整備にも努めてまいりまして、次回の審査に向けまして、引き続きこうした取組を進めまして、インクルーシブ教育システムの推進に努めてまいります。

高木主査 道下大樹君、時間が来ておりますので。

道下分科員 質問を終わりますが、インクルーシブ教育とインクルーシブ教育システムは似て非なるものでございます。そうした点をしっかりと御認識いただいて、進めていただければと思います。

 終わります。ありがとうございました。

高木主査 これにて道下大樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻英之君。

辻(英)分科員 立憲民主党の辻英之です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。私は、初当選後、初めての質問となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、地域を徹底的に歩いて得た課題について、大きく三点質問したいと思います。よろしくお願いいたします。

 私は地元が福井県でありまして、この二月上旬と、今週もこの明けまで、大変な大雪に見舞われておりました。山間部の町、集落等に被害状況などを視察に行ったんですが、二メートルを超す積雪がありました。屋根の雪の重みで今にも潰れそうな家もありましたし、屋根の雪下ろしをされている人も多く見ましたが、大変危険な作業でした。

 私も、昭和五十六年、いわゆる五六豪雪を小学校五年生のときに経験をしております。三週間学校が休校となりまして、毎日毎日、雪かき、雪下ろしで、友達にも会えず、大変泣いて暮らしました。雪なんか見たくもないというような豪雪でした。

 雪国の暮らしの苦しみというのは、多分、そこに住んだことがない人にはなかなか分かりにくいことだろうなと思います。その地で暮らす子供たちが毎冬ごとに置かれている過酷な状況に、是非とも思いをはせていただきたいなと思います。

 その上で、福井県の多雪地帯での現場の教職員、そして地域住民に対してヒアリングを行ったことを基に伺いたいと思います。

 今、普通教室、体育館も、暖房はまだまだ灯油ストーブがたかれていました。この灯油代が高くて、ただでさえ学校が使える予算は少ないんですけれども、こういう声を聞きました、ストーブの使用期間を短くして節約していると。簡単に言うと、子供たちに我慢を強いている状況でした。そして、これは簡単に言えば、子供たちの学びに障害が出ているな、そんなふうに思っております。

 まず伺います。積雪期における光熱費の補助等について、現在取られている措置について伺います。

須藤政府参考人 お答えいたします。

 公立小中学校の光熱費については、普通交付税の単位費用において措置するとともに、寒冷地域においては、これに加え、暖房用燃料費が割高となる経費について、寒冷補正を講じております。

 寒冷補正においては、基本データを踏まえた寒冷の度合いにより寒冷地の市町村を一級地から四級地に区分し、各級地ごとに必要とされる暖房用燃料費に係る財政需要を普通交付税の算定に反映しております。その際、直近の物価の動向を反映して暖房用燃料費に係る単価を見直しており、直近の令和六年度の普通交付税算定においては、対前年度比四・六%程度増加させております。

 今後も、寒冷地の地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいります。

辻(英)分科員 ありがとうございました。

 気温による区分けがあるとは聞いておりますが、気温が低い地域が豪雪地帯とは限らないんですね。例えば、長野県の南部は太平洋気候に属していますが、気温は非常に低いですけれども、ほとんど雪が降らないわけです。

 国土交通省が指定する豪雪地帯というのもあるわけで、福井県全域が指定されておりますけれども、多分、日本海側はほとんどそうですね。とりわけ過疎地は、特別豪雪地帯という区分けもあります。せめて特別豪雪地帯に配慮をお願いしたい、そんなことをまたこれからもお願いをしていきたいと思います。

 次に、体育館のエアコンについてお聞きします。

 多雪地帯は、グラウンドが使えなくなる期間がとても長いんですね。雪が消えても、ぐちゃぐちゃですよ。体育の授業も休み時間も、みんな体育館に集まると聞きました。多くの子供が行き交うので、実は冬にけがが多いとも聞きました。そして、寒いのが体育館ですね。

 まず伺います。令和六年度補正予算で公立学校体育館空調設備が進められています。まず、体育館空調設備の進捗状況を伺います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 令和六年九月一日時点の全国の公立小中学校体育館等における空調設置率は一八・九%でございます。

辻(英)分科員 ありがとうございます。

 一八・九%、これは令和十七年度までに九五%を達成できるかということを大変疑問に思っておりますが、福井県に至っては僅か一・三%ですね。これはもっと加速すべきだとまずは思います。

 そして、もう一つお聞きしたいんですけれども、この空調というのは、資料によりますと冷房と書いてあるんですけれども、これは暖房機能も入っているんでしょうか。入っているのであれば、暖房の設置状況も併せて伺います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、文部科学省では、まず、熱中症の観点から、公立学校施設の空調設備の設置状況について調査を実施しております。

 本調査では、冷暖房両方の機能を有する空調設備は対象としてございます。ですので、調査結果には暖房機能を有する空調設備も含まれているということでございます。ですので、暖房だけを抜き出したという数字については把握をしてございません。

辻(英)分科員 ありがとうございました。

 ただ、先ほど聞いた今の空調なんですけれども、普通教室は九九%設置となっていますね、おおよそですけれども。ただ、実際には灯油ストーブを使っている学校が今たくさんあるわけなんですね。これは実態と合っていないなというふうに思っています。この点、どんなふうにお考えでしょうか。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 先生御案内のように、普通教室の方が早期に空調設備が設置を進められております。御案内のように、最近の空調設備につきましては、かなり冷房と暖房を兼ねたものが増えてございます。昔のものについては空調だけのものがあったというふうに認識してございます。そういうことからも、普通教室については、冷房は入っているんだけれども、別途、暖房としてはストーブがあるというようなことを考えられるというふうに思ってございます。

辻(英)分科員 ありがとうございました。

 猛暑対策を考えれば冷房のニーズは当然、これは福井県だってそうです。ただ、多雪地帯の冬の子供たちの学びを考えると、やはり暖房設置も喫緊の課題だというふうに捉えております。古いエアコンが、暖房が難しいのであれば、暖房の方の設置についても是非御検討いただきたいと思っております。

 次です。

 積雪期が長くなって、体育館の屋根に雪が積もり続けると雨漏りがひどくなる、こういう声も聞きました。普通の雨であればそんなに雨漏りはしないわけなんですが、ずっと積もっているとしみてくるんですよね。これは天井の腐食などにもつながって、最悪は子供の安全に影響があるのではないかなと危惧をしている先生が多くいました。

 埼玉県八潮市の下水道老朽化問題もあって、老朽化する学校現場のインフラは大変心配されることだろうと推察をしております。多雪地帯も、学校施設、屋根とかですね、こういったものの緊急点検等々をすべきじゃないかと思っておりますが、見解を伺います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 学校施設における積雪等の対策については、まず、計画、設計上の留意事項を示しました学校施設整備指針というのがございまして、そこで、大雪等の災害に対し、十分な防災性など安全性を確保することが重要であるというふうにしてございます。こうした中で、日頃から、屋根などを含め、関係法令に基づき定期的に点検し、適切な維持管理を行うよう、各学校設置者に対し指導助言を行っているところでございます。

 また、積雪期の前には、児童生徒の安全対策について、多雪区域内の学校建物、とりわけ体育館、御指摘のありました体育館ですが、倒壊事故の発生を未然に防止するなど、適切な雪害防止対策を実施するよう依頼しているところでございます。

辻(英)分科員 ありがとうございます。

 点検等が適切に行われているということはお聞きしました。ただ、これはやはり事故が起こってからでは遅いわけであって、事故が起こって初めて対策とか全国的な調査とかをすると思うんですが、是非事故が起こる前に、これほど異常な気象が続くような時代になっておりますので、是非とも、また点検につきましては進めていただければ、そんなふうにお願いをしたいと思います。

 次に、学校全体の断熱化等について少しお伺いをしたいと思っています。

 寒さと暑さ対策に、エアコン設置はもちろんですけれども、学校全体の断熱化も必要なのではないかと考えています。

 文部科学省も、体育館の空調設備の促進に際しましては、設置要件に断熱性が確保されていることとあります。子供の安全確保と同時に、不必要なエネルギーを抑制することになり、温暖化対策にもなると思います。

 学校施設整備は、まず耐震化、老朽化対策が優先されてきたと思われますが、断熱化も進めるべきだと考えております。学校全体の断熱化の必要性につきまして、現時点での見解を伺います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 学校施設の断熱性向上は、先生もお話しございましたけれども、児童生徒の快適性の観点ですとか、避難所機能の観点ですとか、施設の省エネルギー化の観点からも重要であるというふうに認識をしてございます。

 先ほども申し上げました学校施設の計画、設計上の留意事項を示した学校施設整備指針におきましても、断熱化というのは、学校施設における温室効果ガスの排出量を削減する観点、災害時に避難所となる場合においても良好な温熱環境を確保する観点、屋内の熱の損失、結露等外気の影響を低減し、居住性を高める観点からも重要であることを示してございます。

 ですので、断熱性、気密性を向上するための改修工事につきましても国庫補助を行っているところでございます。

辻(英)分科員 ありがとうございます。断熱性は早急に進めるべきだと思いますが、また今後、委員会の方でも質疑をしていきたいと思っております。

 このほか、現場の教員や住民から切実な声をいただきました。非常に多くの声をいただいたのは通学路なんですね、特に歩道、学校周辺の除雪について、この二つでした。除雪後の道路というのは、排雪が追いつかず、どかすところ、持っていくところがないわけですね。道路に高く雪が置かれてしまうわけですね、積まれるという。よくテレビニュースで見られると思うんですが。この壁をよけようと、子供たちが車道を歩くことになる。このリスクが非常に高いんですね、特に一年生、二年生、低学年ですね。

 また、屋根からの落雪も大変怖い状況です。そして、隠れたリスクは、雪の重みによる空き家の倒壊なんですね。これが通学中だと本当に危ないなという声を聞きます。それでも、車道は除雪が入りますが、歩道の除雪は住民の善意頼みになっている状況です。

 また、学校周辺の除雪も優先にしてほしいという訴えも聞きました。学校周辺の除雪が後回しになることは、子供の通学リスクが高まるだけではなくて、教職員が早朝からやはり雪かきに来ますので、働き方改革にも逆行するようなことになるかなと思います。

 多雪地帯の質問の最後に、大臣に伺いたいと思います。

 除排雪に関しては地方自治体の役割、承知はしておりますけれども、多雪地帯への国の配慮、例えば国から自治体に、優先的に除雪をしろとか、そういった指導や指示、あるいは予算措置をいただくことはできないかと考えています。

 省庁別審査で立憲の津村議員が、文部科学省七年度予算のうち、全国学力テストの関連予算、道徳教育予算、国民スポーツ大会予算、私立大学助成の無駄と思われる予算を指摘しました。これらの無駄と思われる予算により捻出される財源というのを、過疎地で大雪に苦しむ子供の教育の環境整備に向けるべきではないかと思います。文部科学大臣の見解を伺います。

あべ国務大臣 辻委員におかれましては、今回、大雪で二メートルで、多分、本当に、除雪車が走った後、歩道が全くない状態で、子供たちの通学路も大変な厳しい状況なんだというふうに思っております。

 通学時における子供たちの安全の確保、本当にまさに重要なところでございまして、学校だけじゃなくて、地域の関係機関、また団体とも連携を図りながら対応を行うことが必要なところでもございますが、文部科学省におきましては、特に、この登下校時の見守り活動に対する支援を行っているだけではなくて、特に積雪のときにおきましては、豪雪により危険が予測される場合には、必要に応じて、授業を行わないなどの措置を講じるとともに、地域の関係機関などとともに、連携を取りながら、通学路における児童生徒の安全対策、万全を期していただけるようお願いをしているところでございます。

 特に豪雪地帯などの厳しい環境にありまして、子供たちがそういう中でも生き生きと活動していきながら安全に学ぶことができるよう、文部科学省といたしましても、関係省庁と連携を図らせていただきながら、引き続き通学時における子供たちの安全確保、しっかり努めてまいります。

辻(英)分科員 ありがとうございます。

 雪はやがて消えるんですね。なので、雪国に暮らす人にとっても、自分事にならない日がいつかやってくるんですね。多分一か月後には雪は消えてなくなっちゃいます。しかし、課題は消えません。

 最後に、大雪で今なお苦しんでいる子供や教職員、そしてそれを支える地域住民の皆さんに是非ともまた思いをはせていただくことを強くお願いをしまして、まずは一つ目の質問を終えます。

 次に、文化財の保存等につきましての質問です。

 私の地元、福井なんですが、国内屈指の伝統技術が息づいております。越前和紙、越前焼、越前漆器、越前打ち刃物、若狭塗箸、若狭漆器などなど。越前市を始め県内には多くの神社仏閣も存在しています。とりわけ、私の地元、小浜市なんですが、大臣も最近来られたようですけれども。(あべ国務大臣「はい、お伺いしました」と呼ぶ)ありがとうございます。小浜市には国宝や重要文化財の神社仏閣も多いんですね。海のある奈良とも言われています。

 文化財や伝統技術の恩恵にあずかることは豊かなことではあるんですが、当然のことながら、この伝統文化の技術、文化財の保存は喫緊かつ重要な課題であると、地元の当事者の皆さんからも悲鳴にも似た声が届いております。これは全国にも同じことが言えるのではないかと思っております。

 文化財保護法にはこうあります。文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術又は技能で保存の措置を講ずる必要があるものを選定保存技術として選定し、その保持者や保存団体を認定する制度を設けている。これはとても重要な制度だなと考えております。

 まず、この選定保存技術の選定、認定状況と、この制度についてどのような予算措置が取られているか、伺います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がございましたように、私ども、選定保存技術、これを文化財保護法に基づきまして支援をしているところでございます。令和七年二月現在、選定保存技術につきましては、御地元の研ぎ炭製造も含めまして八十九件を選定をいたしてございまして、保持者は六十七名、それから保存団体は四十団体を認定してございます。

 文化庁では、これらの選定保存技術の確実な伝承のために、その保持者や保存団体が行う伝承者養成、技術の向上等に必要な経費についての補助を行ってございまして、令和七年度予算案、御審議をいただいている予算案でございますが、選定保存技術の保存団体等への支援として三億七千九百万円、選定保存技術の保持者に対する補助として八千六百万円をそれぞれ計上させていただいているところでございます。

辻(英)分科員 ありがとうございます。

 選定保存技術者の方の話をしますけれども、一人につき百十万六千円と聞いております。昭和五十一年から始まった、そのときは八十万円で、平成八年から百十万六千円に増額された、これはいいことですね。令和四年度からは、後継者育成をする人にはプラス百万というふうに聞いております。国はこの選定保存技術を守ると言っているんですが、その割には余りにも少ない額じゃないかというふうに考えています。

 平成八年から百十万六千円に増額したと言っていますが、これは九六年から三十年近く増額はないですよね。賃金が上がらず物価が上がっている、こういう状況で、今いろいろと議論されていますが、この技術者についても、そもそも守る気があるのかどうかというのが私はちょっと疑問に思っております。

 そこで、大臣に二点伺いたいと思っています。

 まず一点目。

 例えば、地元福井、若狭には、先ほども紹介されましたが、研ぎ炭製造の技術を持つ国内唯一の技術者がいます。研ぎ炭というのは、資料がございますので、漆器の製作の漆を重ね塗りしていく工程において、表面を磨いて塗りむらをなくすために用いる研磨用の炭です。精密機械の研磨にも用いられるんですね。

 この研ぎ炭製造者の方は、原木の確保から焼成、選別に至るまで全ての作業を行っています。ほかの分野では成立している分業がなくなって、全部自分でやっているんですね。簡単に言えば、あれもこれもやらなきゃならない中で、そして、炭の価格が上がらない中で、物価が上がってしまう中で、とてもこの補助額ではやっていけない、つまり、守れないんじゃないかなと思います。

 守る意思というのが本当に国にあるのかということと、守るというのであれば、この額が妥当なのかどうか、見解を伺いたいと思います。

合田政府参考人 今のお尋ねでございますが、私どもとしては、文化財保護法に基づきまして、引き続きしっかりと守っていきたいと思ってございます。

 今先生からもお話がございましたように、選定保存技術の保持者への補助額、平成八年に年額百十万六千円への増額を行ったところでございます。また、令和四年度からは、修行期間中の後継者への研修経費に充てる場合には年額二百十万六千円への増額を可能とする改善を行わせていただいたところでございます。

 今、なかなか十分ではないというお話もございました。引き続き、例えば御地元の木戸口武夫様を始め、支援対象となる保持者の皆様の個別具体のニーズもしっかりと伺いながら、柔軟で幅広い支援の在り方について、しっかり対応させていただきたいと存じております。

辻(英)分科員 大臣にも一言いただきたいと思いますが、この額が妥当でしょうか。

あべ国務大臣 本当に選定保存技術の保持者に対する支援は大切なところだと思っておりまして、今担当の方からもお話がありましたように、改善を行ったばかりでございまして、やはり、皆様の個別具体的なところをしっかりと私ども伺わせていただきながら、柔軟で幅広い支援の在り方について、しっかり検討を進めてまいります。

辻(英)分科員 ありがとうございます。是非ともここは増額をまた検討していただければと思います。

 二点目です。

 先ほども伝えましたが、研ぎ炭製造者の方の場合は、多くの工程、作業を一人で全部やっているんですね。他の分業制が成り立っている分野では、一つの工程だけやって同じ額がもらえております。これを一律で百十万というのは、余りにも柔軟性を欠いているのではないかと思います。

 技術だけじゃなくて、その技術を支える作業や暮らしなど、もっと実情をしっかり調査して、その技術に合った柔軟な金額、この人はもうちょっと多い方がいいよねとか、この人はもう少し少なくてもいいんじゃないかとか、こういった柔軟な対応がもっとあっていいんじゃないかなと思います。一律補助の見直しについてのお考えがあるか、お考えをお聞かせください。

合田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、大臣からも申し上げましたとおり、私ども、これは先生からは一律支援だとお叱りをいただくと存じますけれども、百十万六千円を支援いたしまして、仮に不用分が出た場合には返還をしていただくというような取扱いにさせていただいております。

 先生は恐らく、これを超えるものがあるんじゃないかという話かと存じますので、今大臣からも御答弁申し上げたとおり、よくよくニーズを承りながら、今後、引き続き検討させていただきたいと存じます。

辻(英)分科員 ありがとうございます。こちらも是非とも御検討をよろしくお願いします。

 改めて、研ぎ炭製造者の方、例えばこの話をしておりますけれども、原木の確保も全部自分でやっているんですね。研ぎ炭の材料はニホンアブラギリという木で、しかも四十年以上の樹齢のものだけ使います。

 選定保存技術を守る、そのためには、技術、人を守るだけじゃなくて、原材料の確保とか運搬とか、もしかしたら販路等、出口の確保も併せて検討しなければならないのかなと思っております。

 とりわけ、原材料の確保は重要な課題と思われます。選定保存技術に係る原材料や文化財修復に必要な原材料など、素材の確保についてどのような取組をされているか、伺います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、用具、原材料の確保は大変重要だというふうに思ってございます。

 文部科学省といたしましても、令和四年度からの五か年計画となる文化財の匠プロジェクト、これをスタートさせていただいておりまして、用具、原材料の確保の予算措置といたしましては、美術工芸品の保存修理に必要となる良質な用具、原材料の継続的な供給を確保するために、国内の製造、生産者に対する補助を行っているところでございます。

 また、建造物の修理に必要な修理用資材の安定確保に向けても、文化庁におきまして、ふるさと文化財の森というのを設定をいたしまして、材種としての漆につきましても、その資材を確保するために、八か所を含む全国九十二か所でございますけれども、この設定をいたしまして、文化財修理資材の産地の管理業務や普及啓発等について支援を行わせていただいているところでございます。

辻(英)分科員 ありがとうございます。どれも大変重要な事業だなというふうに私も思っておりますので、是非とも、この増額も含めて、文化財を守る、この政策は行っていただければなと思います。

 先ほど大雪の話もしましたが、大雪で文化財が倒壊しているという声もたくさん聞いております。是非ともここはしっかりと考えていただければな、そのように思っております。

 また、文化庁だけじゃなくて、農水省とか経産省とか国土交通省等とも連携が必要だろうと思いますので、是非ともお願いをしたいと思います。

 次です。

 国指定の文化財の修理、修復のためには、材料もそうなんですが、修復材もまた国産材にすべきではないかと思っています。修復材に使われる代表的な漆、にかわとか、こういった修復材の国産、輸入の割合、もし分かっておりましたら教えてください。

合田政府参考人 御指摘のとおり、文化財の修理は本来の手法での修理が望ましく、国産漆が使われた文化財については国産漆を使用しての修理が望ましいということでございます。

 私ども、先ほど申し上げましたふるさと文化財の森などの設定によりまして、漆も含めた国産修理用資材の供給体制等の整備を図ってきているところでございますが、私ども、この需要と供給、今御質問がございました需要と供給につきまして、これは林野庁の方に確認をさせていただきましたところ、ここ数年、生産量は増加傾向にありまして、供給量は需要をカバーする見込みであるということでございますが、私ども、今まで続けてきた努力、取組というものを引き続きしっかりと行わせていただきたいと考えてございます。

辻(英)分科員 ちょっと今日は時間がないので余り詳しくは話をしないんですけれども、是非とも、文化財の修復、修理のための材料と、あと、修復材につきましても国産化を進めていただきますように応援をしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。国の文化財を守るためにしっかりと一緒に考えていければなと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。

 最後です。

 私の地元福井県に、世界が注目する奇跡の湖があります。資料をもう一枚つけてあります。正確に言うと、その湖底に眠る奇跡の泥と言われています。

 考古学や地質学で年代測定の世界基準の物差しとして絶大な信頼を得ている泥、これが、三方五湖の一つ、水月湖の湖底に堆積している年縞です。年縞は、泥や植物の葉、花粉などが積み重なってできる地層みたいなものですね。非常に壊れやすいです。水月湖では、直接流れ込む川がない、湖底に生物がいない、時間が経過しても埋まらないなどの奇跡的な条件が重なって、現在までに世界最長の七万年以上の層が連続しているんですね。長さにして実に四十五メートル、これは横にして県立博物館に展示されております。

 一年に一層形成される年縞というのは、過去の気候変動の年代など、地球上でいつ何が起こったかを正確に調べることができる極めて重要なものです。年縞は日本が世界に誇る価値を持つと思われますが、この年縞の価値について文科省の見解をお聞かせください。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 水月湖の年縞については、今先生がおっしゃったとおりでございます。

 文化庁所管の国立科学博物館によりますと、これらの年縞に関する研究成果というのは国際的に高く評価をされておりまして、二〇一三年には放射性炭素年代の国際標準時計に採用されたり、地球上の様々な事件が起こった年代を共通の時計で計るために水月湖年縞堆積物の活用が期待されているものというふうに承知をいたしてございます。

辻(英)分科員 ありがとうございます。大変価値があるものだという見解をいただきまして、うれしく思っております。これは県立の博物館ですが、国立にすべきじゃないかなぐらいに思っているところです。

 この年縞の十一年ぶりの採掘調査が今年夏に実施されます。新たな発見への期待が高まっています。この調査が未来の気候変動への対応を検討する上で重要な意味を持つと言われています。今日の質問冒頭でも触れましたが、大雪も降り方が異常となっておりまして、気候はもはや、異常というよりか、暴れ出していると言う研究者もおります。年縞にかかる期待というのは非常に高いんですね、世界的にも、現代的にも。

 ところが、この世界の物差しとも言える価値を持つ採掘に予算が非常に少ない状況です。前回採掘調査を実施した福井県ですが、現時点では、今回の採掘調査には予算を措置をしていません。誰が措置しているかというと、大学の研究者たちが、年間一千七百万円の科研費を五年間獲得して進めると言っております。とてもじゃないが採掘できるような金額ではないと思っております。

 そこで、大臣に最後に伺いたいと思っております。

 採掘調査に関わる研究者に研究の機会とか、後進の育成を支えていくためにも、お金の獲得のような、そこに力を入れるのではなくて、国として積極的に、この価値のある年縞の採掘調査の予算措置などなど行うべきではないかと考えますが、見解を伺いたいと思います。

高木主査 文部科学省塩見研究振興局長、手短にお願いします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 文科省といたしましては、研究者の自由な発想に基づく学術研究を助成する科学研究費助成事業、科研費でございますが、これにおきまして、年縞の発掘調査、これを研究計画に含む研究課題も採択させていただいているところでございます。これは御指摘いただいたとおりでございます。

 引き続き、科研費等の事業を通じまして、多様で独創的な学術研究の振興を図っていきたいと考えております。

辻(英)分科員 ありがとうございます。

 年縞の価値は本当に世界的なものですし、福井県だけじゃなくて日本が誇るものだと思っております。是非ともよろしくお願いします。年間千七百万円で研究者たちが世界の新発見に取り組んでおります。是非とも、今後、基礎的研究の予算拡充等も併せて検討をいただければと思います。

 以上三点につきまして、なかなか光の当たらない人たちを支えることについての質問をさせていただきました。この三点につきまして、今後も文部科学委員会等で細かく質疑を重ねていきたいと思っております。

 このことを申し上げまして、質問を終えます。ありがとうございました。

高木主査 これにて辻英之君の質疑は終了いたしました。

 次に、平林晃君。

平林分科員 公明党、平林晃と申します。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。あべ大臣、政府参考人の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 早速始めさせていただきます。

 まず、あべ大臣にお聞きできればというふうに思います。

 先日の省庁別審査におきましても冒頭で申し上げたことで、あのときは質問をしませんでしたので、今日は改めてさせていただけたらというふうに思います。

 H3ロケットの四回連続の打ち上げ、本当にすばらしいことだというふうに思っております。これは何といっても、一回目の打ち上げに失敗をされて、二回目、三百四十八日間あったということでございますが、この間の、本当に苦難を乗り越えて成功されたということが大きかったんだというふうに思っております。

 原因のあらゆる可能性をシラミ潰しに調べて検証していく手法を取られ、なかなかそれでも原因が解明されずに時間が過ぎる中、ロケット本体の技術者ではなくて、その失敗のときに衛星が失われているわけですね、その衛星の技術者が、私たちもお役に立てるかもしれない、そんなお申出もあったりして、あまたな可能性の中から七つに絞られて、それを全て対策を打って、二回目の打ち上げの成功をかち取られた、こんな話を伺っているところでございます。

 技術に限らない話かもしれませんけれども、華々しく見える結果もそこに至るまでの道程は極めて地味である、全く光の当たらない作業を幾つも幾つも重ねて執念で答えを導き出していく、その苦しい過程を応援し、後押しをしていくのがリーダーであり、我々政治の役目かな、こんなふうにも考えさせていただいております。

 一方で、なかなか今苦しいのが固体燃料ロケットのイプシロンSの方であるというふうに思います。一昨年の結果を受けて昨年の十一月に行われたのも、残念ながらの結果になっているということでございます。本当につらい状況なんですけれども、ここで踏ん張ることによってしか将来は開けてまいりません。

 H3のように、思わぬ助っ人が現れないとも限らないというふうに思っておりまして、現場で奮闘される技術者の皆様には、引き続きの御奮闘を、心よりお願いを、御期待を申し上げるところでございます。

 基幹ロケット開発、今次予算案では八十六億円ですか、令和六年補正予算と合わせれば百四十五億円との認識をさせていただいております。この予算を使って、今後、基幹ロケット開発にどんなお考えで取り組んでいかれるのか、あべ大臣にお伺いをいたします。

あべ国務大臣 平林委員には、しっかり応援をいただいて、ありがとうございます。

 我が国の自律性の確保、さらには国際競争力の強化等に向けまして、基幹ロケットの開発及び安定的な運用は極めて重要であるというふうに、委員と同じ考えを持っているところでございまして、H3ロケットにつきましては、一号機の失敗以降、二号機から四機連続で成功しておりまして、実績を積み重ねているところでございます。

 今後、段階的な高度化、さらには打ち上げのいわゆる高頻度化を図らせていただきつつ、安定的な運用にしっかり努めてまいります。

 固体燃料ロケットであるイプシロンSロケットにつきましては、昨年十一月の第二段モーターの再地上燃焼試験におきまして爆発が生じたところ、現在、JAXAにおいて原因調査と対策の検討にしっかりと取り組んでいるところでございまして、次の開発に向けて進めているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、この両基幹ロケットの開発、運用を進めてまいりますので、応援をよろしくお願いします。

平林分科員 ありがとうございます。

 大臣、本当に熱を込めて今御答弁をいただきまして、本当に感謝を申し上げます。

 本当に私も、H3頑張れ、イプシロン頑張れ、そういう思いでこれからも応援をさせていただきたいというふうに思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 大臣への質問はここまでですので、よろしかったら御退席いただけたらと思います。

高木主査 あべ文科大臣、御退出ください。

平林分科員 それでは、続きましての質問に移らせていただきます。

 こちらも重要な技術開発に関してでございます。

 AIに関する研究の世界情勢、歴史的には欧米が主導してきたわけでございます。第一次のブームも第二次のブームもそうでありました。

 しかしながら、今ですけれども、第三次ブームにおきまして、徐々に状況が変わってきております。私が現役の研究者であった頃参加しておりました国際会議の受賞者、徐々に中国系の研究者が入ってこられるようになりました。それも、当初は所属が欧米の大学であったわけですけれども、徐々に中国本土の大学の所属になっていった、こんなような変化を目の当たりにしてまいりました。今はまさに米国と中国が覇権を争っている、そんな状況にあると認識をさせていただいております。

 言うまでもなく、AIの開発に必要な三要素は、データであり、計算パワーであり、それと計算モデルである、このように認識をしております。二〇〇〇年代以降のビッグデータと呼ばれる大量データは、当初アメリカの巨大IT企業が独占をしてこられたわけですけれども、それが、二〇一〇年代に入ってからは中国も所有をされる、こんなような状況になってきているというふうに考えております。

 また、計算パワーに対しましては米中共に巨額の投資を行っておられる。東大の松尾先生の資料によりますと、GPT―3の学習に数億円から数十億円のコストというふうに言われておりまして、今や最新の4・5でありますとか5でありますとか、こういったモデルに関しましてはもっともっと巨額のコストがかかっていると推測をするというところでございます。

 データと計算パワー、これらの二大要素がAI開発において支配的であり、だからこそ米中が覇権を争っている、こんな状況かなと思うわけでございますが、日本はこれら二要素においてどうしても見劣りをしている、こんな状況にあるんじゃないかなというふうに思うわけです。

 では、日本はどうしていくのか。ここで重要になるのが、第三の要素であるモデルというところでございます。これは、もっと平たく言えば、工夫であり、知恵であるというふうに思います。

 例えば、データが大量にあればいいんですけれども、なければどうするか。猫の画像は幾らでもあるので、猫が映っている画像と映っていない画像をラベルづけしてモデルに提示をすれば、モデルは徐々に猫を判断できるようになっていくわけですけれども、では、難病データ、これは元々少ないわけですね。そういった病気であっても判定できるようにするにはどうすればいいか。こういった部分で工夫することによって認識精度を上げるという研究テーマがあるわけですけれども、これは日本の研究者はこれまでもずっと取組を進めているところでございます。

 つい先日、中国浙江省のディープシークが低コストで高性能のAIを開発したことが世界に衝撃を与えたわけでございますけれども、いろいろなことを言われておりますけれども、私、方向性には非常に興味を持っております。低コストに加えて、ディープシークは低コストなわけですけれども、更にそれに、データが少ない、こんな制約も加えながらも高性能なモデルを開発できればすばらしいのではないかな、こんなふうにも考えるわけでございます。

 ちょっと話は変わりますけれども、例えば米作り。広大な国土がある米国や中国と、平地が限られた傾斜地ばかりの日本とは、おのずと違いが出てくるわけですね。日本には日本にしかない知恵があり、発想がある。こういったところをどんどん伸ばしていって、AI分野においても日本らしさを発揮して日本の競争力を高めていく、こんな必要があるんじゃないかなというふうに考えております。

 今次予算では、AI関係で百三十八億円が計上されているところでございます。この予算を使って今後どのような方向性で研究開発を進めていかれるのか、文部科学省に伺います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、我が国の国際的な研究力、産業競争力を強化していくため、国内の基礎的、基盤的なAI研究開発力を高めていくということが必須であると考えております。

 このため、昨年六月に閣議決定されました統合イノベーション戦略二〇二四等に基づきまして、関係府省とも連携しながら、AIイノベーションの加速に向けまして、アカデミアを中心としたオープンな生成AIモデルの研究開発を通じた透明性、信頼性の確保、また、生命科学や材料分野など我が国の強みを有する特定の先端科学分野で活用する科学研究向けAI基盤モデルの開発、共用、AI・フォー・サイエンスと申しておりますけれども、こうした取組、さらに、理化学研究所を始めとしました研究機関、大学等での革新的なAI基盤技術の研究開発などに取り組むため、令和六年度補正予算におきまして約六十一億円、また、御指摘いただきました令和七年度予算案におきまして約百三十八億円を計上しております。

 引き続き、こうした取組を関係府省ともより密接に連携しながら強力に推進し、我が国のAI研究開発における国際競争力の強化に貢献してまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 今様々御言及がありましたけれども、AI・フォー・サイエンスは科学を変えるのではないか、こんなような期待もあるところでございますので、本当にしっかりと進めていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続きましての質問になりますけれども、今言及させていただきました日本らしさ、これは目指すというものよりも、自然にそうなっていくものなのかもしれないとも思うところでございます。研究者の自発的な、自由な発想によりにじみ出てくる、そういったものかもしれないと思います。そのために必要なものが、やはりお金と時間であるということでございます。

 お金については省庁別審査でもお聞きしましたので、本日は聞くことなしに、逆に時間についてお聞きできればというふうに思います。

 昨年五月に公表されたNISTEPの調査報告書によれば、大学教員の約八割が研究時間の不足を認識をしており、その結果、論文等の成果物の作成、公表等々、まとまった時間や考えを深めることが必要な活動を犠牲にする傾向が見られたということでございます。

 これは昨年二〇二四年の報告書に書かれてあることですけれども、正直、私もいた現場からすれば、もうこの三十年間ずっと認識をしてきた、こういうことでございます。今や本当にもう最終段階じゃないかな、そんなような危機的にも感じているところでございます。また、八割が不足を認識しているというこの数字も、僕は逆に驚きで、約二割の人は不足と認識していないんだなみたいなことも、驚いているところがあります。

 背景として、人材不足、これは後でお聞きするところでございますけれども、研究費の不足や、入試の多様化、多様な学生へのケアの必要性、手続負担の増加等が挙げられているわけですけれども、これに私からもう一点付言させていただくとすれば、講義とか実験の担当あるいは内容が結構変わることがあるんですね。特に、私がいた情報系であれば、変化が加速しています。また、講義の変更とかこういう改善というのは、大学が、教育力のアピールにもなりますので、やはりこれが変わることに結構力を入れるわけですね。

 そうしたときに、こういう変更を担当するのは、往々にして若手教員なんですね。講義はまだいいんですけれども、実験の変更となると、テーマの具現化でありますとか、テキストの執筆でありますとか、環境の構築など、本当にこれは大変な作業でして、結果として若手の研究時間が吸い取られる、こういったこともあるのではないかなというふうに考えております。

 では、どうすればいいのか。教員レベル、大学レベル、政策レベル、報告書の中にも様々指摘があるところですけれども、この研究時間の減少の改善を促すために文部科学省としてどのような取組を行っておられるのか、見解を伺います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 平林先生御指摘の調査によりますと、研究時間の確保に当たりまして、大学運営業務、まさに御指摘いただいたような教育専門教員の不足、それが制約になっている、そういったことが明らかになっております。

 このため、文部科学省におきましては、創発的研究支援事業や、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業、また国際卓越研究大学制度などを通じて、大学におけるマネジメント改革を促し、研究時間の質、量の向上を図っております。また、競争的研究費の直接経費から研究以外の業務代行経費を支出できるバイアウト制度を可能とする見直し、また研究開発マネジメント人材の育成、確保などの取組を進めているところでございます。

 文部科学省といたしましては、これらの施策効果の把握に努めて、引き続き必要な取組を進めてまいりたいと思っております。

平林分科員 ありがとうございます。

 バイアウト制度という話も今ございましたが、これは私が現役の頃はなかった取組じゃないかなというふうに思いますので、こういったことも是非進めていただきたいと思うんですけれども、科研費自体も結構減ってきているというか、ほかの経費が大きくなってきている中で、なかなかここに回せるかどうかということも、やはり、今おっしゃられたとおりですけれども、しっかり効果を検証していただいて、見ていただきたいなというふうに思います。

 これはもうNISTEPの報告書にもあるんですけれども、僕のところにもいろいろな深刻な声が上がってきておりますので、本当にしっかりと改善に取り組んでいきたいというふうに思います。

 関連してになりますけれども、次の質問でございます。人材でございます。

 今次予算案におきましても、研究開発マネジメント人材、この体制整備事業といたしまして、新規に五億五千三百万円が計上されているということで、ここは本当にありがたく思っているところでございます。

 その上で、この事業の効果を最大限に引き出していくために、私は二つのポイントがあるというふうに考えております。

 一つは、研究者の業務のより一層の分業ですね。NISTEP報告書でも度々指摘されている点ですけれども、研究に取り組むべき教員が研究に時間を使えることが必要であることは論をまたない、これは当たり前のことですね。だからこそ、これも報告書の表現ですけれども、研究成果に結びつかず、研究者としての能力が必要でない活動に費やされている時間があるということなんですね。これを研究者から引き剥がして、それをURAなどのマネジメント人材に担っていただく必要があるというふうに思うわけでございます。

 そのためには、研究者自身の意識変革も必要になっていくと思うんですね。小中学校の教員に業務三分類が示されていますけれども、大学教員におきましてもそんな分類指標を示していって業務分担を促す、こんなこともあってもいいんじゃないかなというふうに考えているところでございます。

 第二のポイントといたしましては、人材確保ですね。大学幹部を務める知人からは、研究開発マネジメント人材を募集しているんだけれども適当な人材を確保することが難しい、こういった声もいただいております。

 今の日本、どの分野も労働力不足ではございますけれども、URAというのは若干特殊性があると思うんですね。研究者と事務との中間的な立場ですので、なかなかそこに手を挙げるという勇気も必要な部分があると思いまして、キャリアを明示していくみたいなことも何か大事なのではないかなというふうに思っております。

 こうした問題に対してどのように取り組んでいかれるのか、文部科学省の見解を伺います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、分業あるいは人材確保、こういったことを進めることは非常に重要であります。特に、研究開発マネジメント人材、これの確保や資質、能力の向上に向けた取組、これが非常に重要で必要不可欠と認識しております。

 文部科学省といたしましては、このような新専門人材のキャリアパスの確立、そして適切な処遇、これが非常に大きな課題であると認識しております。

 このために、それぞれの機関内におけるキャリアパスの構築などを定めた研究開発マネジメント人材の人事制度等に関するガイドラインの策定を進めるとともに、まさに先生が言及いただきました令和七年度政府予算案におきまして、大学等で新たに研究開発マネジメント人材を育成、確保するとともに適切な処遇やキャリアパスの構築等に取り組む大学を支援する、こういった事業をまさに開始することとしております。

 是非、今後ともこのような大学等における研究力を一層高めるべく、研究者、研究開発マネジメント人材、多様な科学技術人材の育成、確保に向けた取組を総合的に強化してまいりたいと思っております。

平林分科員 ありがとうございます。

 今局長おっしゃられたように、キャリアパスの確立は本当に大事だというふうに思います。URAの方が単なる下請みたいな立場になってしまうと、これはよろしくないと思うんですね。本当に主体的に仕事をしていける人にはこういうキャリアパスがあるんだ、これを示してあげると、ここは本当に大事なんじゃないかなというふうに思いますので、是非よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、博士人材の育成について伺いたいというふうに思います。

 昨年三月に発表されました博士人材活躍プランの効果もありまして、産業界、大学、それぞれで博士人材の育成、活躍促進の取組が活発化している、こんなことも伺っているところでございます。ただ、なかなか大きな変革には至っていないような感じも私自身は受けているところがございます。

 当然、これは一朝一夕に成る変革ではございませんので当然といえば当然なんですけれども、私としては、これまでとは異なる抜本的な改革も必要なのではないかなと感じているところでございます。

 すなわち、今までのように大学で育成した博士人材が社会で活躍する、これはこれでいいんですけれども、逆に、社会には優秀な人がたくさんおられます。こういった人たちが博士人材になっていく、こういうことも大事なのではないかなと私は常々思っているところでございます。社会から大学、そしてまた世界に行って活躍していっていただく、こういうパスを広げていく、今までより広い観点から博士人材を育成していくべきなのではないかなというふうに思っております。

 これは特に、理系は理系でいいんですけれども、文系分野においてもこういった取組が推し進められていっているように感じているわけです。文系の先生は、教授職であっても意外に博士号をお持ちでない、こういう方もいらっしゃるわけですよね。こういう方に取っていただくということもあるというふうに思いますし、より広げていくということが大事なんじゃないかなというふうに思っております。

 社会と大学という流動性の高さという意味におきましては、欧米の先行があるというふうに感じております。そもそも、欧米の大学では、企業と大学、それぞれのポストを研究者が頻繁に行き来するんですね。日本ではそれが余りないわけであります。こういった研究者の意識や体制の違いが博士人材の育成や活躍に影響を与えているようにも感じます。

 こうした海外状況などを詳細に調査をして、日本の現状にどこに問題があるのかを明らかにした上で状況の変革を目指していく必要があるのではないかと考えますが、文部科学省の見解を伺います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 博士課程でどのような人材を育成するかにつきましては、各大学が学位授与の方針等において明確化することとしており、その方針に基づいて、学内規程において具体的な審査の方法、また審査基準を定めることとなってございます。各大学におきましては、その中で、社会で活躍する高度人材の業績などを積極的に評価し、博士の学位授与につなげていくことも重要と考えてございます。

 また、先日取りまとめられました中央教育審議会の答申におきましては、学位の質保証に留意しつつ、意欲、能力、一定の研究業績を有する社会人に対する早期の学位授与など、ニーズに応じた早期修了等の仕組みの各大学による積極的な活用についても提言が出されたところでございます。

 文部科学省におきましては、各大学における取組の充実に資するよう、海外の動向なども踏まえつつ、大学院教育の質向上や評価方法の見直しなど、必要な取組を進めてまいります。

平林分科員 ありがとうございます。本当に是非進めていただきたいというふうに思います。

 官僚の皆様も、立派な本を書かれる方もいらっしゃいますよね。ああいう人たちなんかも本当にもうそのまま博士人材なんじゃないかなというふうに思いますし、技術の方にもっともっと博士人材にふさわしい方がたくさんいらっしゃると思います。そういう方がしっかりと博士人材になっていくということも、これから私もしっかり後押しをさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、研究活動の国際的な展開に関しまして、我が国の研究レベルの向上にとってもこれは重要な観点だというふうに思っておりまして、科研費の拡充、この観点に立って行われていることも承知をしておりまして、まずその現状を確認をさせていただきたいということとともに、この科研費以外にも国際展開を広げていく取組、どんなものがあるのかなということも教えていただきたいと思います。

 これは、例えばなんですけれども、コミュニケーションですね。国際会議、夜、バンケット等があります。こういった場所におきまして、結構、海外の方と話をしていくことによって、新たな共同研究が生まれるみたいなこともあります。こういったコミュニケーション能力を鍛えていくということも大事なんじゃないかなというふうに思っておりまして、こういった点も含めまして、国際性への取組について、文部科学省の見解を伺います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、科研費につきまして、令和三年度補正予算において国際先導研究、また令和六年度補正予算におきまして国際・若手支援強化枠を創設いたしました。また、令和七年度予算案に国際性の評価に基づく重点配分を盛り込んだところでございます。

 また、そのほかの事業といたしましては、令和四年度補正予算案において、先進国との戦略的な大型国際共同研究を推進する事業、また、令和五年度補正予算におきまして、ASEANとの戦略的な研究連携を強化する事業を創設しております。

 また、人材交流につきまして、大学間の共同研究のために、我が国の大学に研究滞在するインド人の若手研究者への支援の強化を令和七年度予算案に盛り込むなど、戦略的な強化を図っているところでございます。

 さらに、平林先生御指摘のコミュニケーション能力もありますけれども、日本の若手研究者を海外に出すということが非常に重要でありまして、我が国の若手研究者が海外で研究活動を行うのを支援する海外特別研究員制度、これも令和七年度予算案において支援額の拡充を盛り込んでいるところでございます。

平林分科員 ありがとうございます。

 予算の制約は当然あるわけですけれども、本当に若い人にたくさんチャンスを与えていただいて、しっかりと活躍をしていただき、又は日本の研究力を高めていただきたい、このように思っているところでございますので、進めていただきたいというふうに思います。

 それでは、最後の質問に入ってまいりますけれども、今お話もございましたが、中教審の答申に関して伺えたらというふうに思います。二つほどお聞きできればというふうに思っております。

 今回の高等教育機関の在り方に関する答申の最大の眼目は、二〇四〇年に大学進学者が二〇二一年度比で二七%減る、この現実を前に、我が国の知の総和、これの維持よりも向上、これをいかに図っていくのか、この点にあるのではないかなというふうに思っております。そのために、質の向上、規模の適正化、アクセス確保の三目的を掲げ、さらに、四つの観点、すなわち教育研究、学生支援、機関運営、社会連携を重視しながら変革の方向性を示されている、こんなふうに認識をさせていただいており、非常に重要な内容と考えております。

 その上で、二点伺えたらと存じます。

 まず、学修者本位の教育の更なる推進という項目におきまして、認証評価制度の見直しが述べられております。

 この中では、在学中にどれくらい力を伸ばすことができたのか等を含む教育の質を数段階で評価する新たな評価制度への移行とありまして、これは本当に重要なことだと思うんですね。大学が学生の能力をどれだけ伸ばすことができたのか、これをもって大学間が競い合うのは私は健全だと思っております。ただ、従来、どうしても器的な評価が多かったような感じがしておりまして、この学生の伸びを直接評価するということに関して、私はすごく大事だと思っております。

 この観点から、令和二年発表の教学マネジメント指針において、学修成果、教育成果の把握、可視化などの取組を進めてきておられたということも認識をさせていただいております。

 こうした取組の現状と今後の課題をどのように捉えておられるのか、文科省の見解を伺います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 予測困難な時代におきまして、未来の社会を支える学修者が自ら主体的、自律的に学び、多様な価値観を持つ人々と協働し、社会や世界に貢献していくための力を身につけるべく、高等教育の質を更に高度化させていくことが重要でございます。

 文部科学省におきましては、大学が何を教えたかから、学生が何を学び、身につけることができたのかといった学修者本位の教育への転換を目指すための方策を教学マネジメント指針として提示をし、大学における教育改善の取組を促進をしてまいりました。

 具体的には、大学が自ら定める学位授与等の方針に基づいた教育課程の編成、開講授業科目の精選、厳格な成績評価等を実施することや、学生の学修成果の把握、可視化及び情報の公表を行うこと等の教育の質の保証と更なる改善を実現する方策を示しており、既に多くの大学においてこうした取組が進められているところでございます。

 今後、文部科学省としては、こうした各大学における教育の質向上に向けた取組を踏まえつつ、二十一日に取りまとめられました中教審答申における、在学中にどれくらい力を伸ばすことができたのかといった大学等の教育の質を数段階で示すことを含めた新たな評価制度への移行に向け、検討を進めてまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございます。

 続きまして、もう一点だけ、高等教育全体の規模の適正化という観点から、縮小や撤退の支援を強化とあるわけですけれども、この判断に当たっては、充足率という単一尺度で判断することには若干の危惧を感じております。充足率も大事な指標ではありますけれども、同じ努力でも立地によって変わってまいりますし、大学が撤退すれば地域への影響も甚大であります。

 その意味で、答申で構築を求められました地域構想推進プラットフォームや、さらには地域研究教育連携推進機構の果たす役割は小さくないというふうに思います。これらの組織体については、既に前回答申にも含まれたと伺っております。

 そこで、前回答申からこれまでの取組と、今回の答申で改めて盛り込まれた意義について、文科省の見解を伺います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘いただきましたように、平成三十年度の中教審答申、いわゆるグランドデザイン答申と呼んでございますが、この答申の中で、これまで、大学が産業界や地方公共団体と地域の将来ビジョン等を恒常的に議論する地域連携プラットフォームの構築や、国公私立の枠組みを超えて大学同士が連携する大学等連携推進法人の設置を促進するという御答申をいただきました。

 これを踏まえまして各地域においてもこうした取組が進んだところでございますけれども、連携するためのコーディネーターの不足など、課題も指摘されてきたところでございます。

 そこで、今回の答申では、コーディネーターの育成、配置や地方公共団体における高等教育振興のための部署の整備を進めるとともに、少子化の中でも各地域で高等教育へのアクセス確保を図り、地域に必要な人材を育成するために、従来の取組を発展させ、大学同士や大学と地域の連携を更に強化することが提案をされたところでございます。

 今後は、四月に省内の方に新たに新設をいたします地域大学振興室を中心に、地域構想推進プラットフォームや地域研究教育連携推進機構の制度設計、普及等を通じ、各地域における質の高い教育機会の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

平林分科員 ありがとうございました。

 様々答えていただきましたけれども、本当に大きな転換点にあると思います。私もしっかり働いていくことを申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

高木主査 これにて平林晃君の質疑は終了いたしました。

 次に、國場幸之助君。

國場分科員 自由民主党の國場幸之助です。

 それでは、早速質問に入ります。

 まず、事故と災害について、一問ずつ質問をします。

 八潮市道路陥没事故につきまして、被害に遭われた方へのお見舞いと、一日でも早い救出を切に祈念します。

 災害、事故時のドローンの活用について質問をします。

 二月五日、陥没事故から六百メートル離れたマンホールからドローンを投入し、キャビンらしきものが発見されました。同日の夕方、埼玉県がその旨を発表しております。今後、上下水道老朽化点検の際、ドローンの活用は死活的に重要となると考えます。

 現在、下水道の法定点検は、下水道法第七条の三において維持修繕に関する責務を規定し、維持修繕に関する技術的な基準は施行令の中で定められておりますけれども、適切な時期に、目視その他適切な方法となっております。また、腐食するおそれが多いところとしては、省令によりまして、五年に一回以上の適切な頻度で行うと定められておりますけれども、この下水道法改正法というのは、平成二十七年、今から十年前のことであります。

 今や、DXや新技術を含め、特にドローンの技術はかなり進んでおります。こういったものも含めて、下水道老朽化点検にはドローンを積極的に活用すべきであると考えます。そのための予算措置や、ガイドライン等に関する現状と今後の取組について、答弁を求めます。

松原政府参考人 お答え申し上げます。

 高度経済成長期に集中的に整備されてきた下水道施設は老朽化が進展しており、計画的な施設の更新や長寿命化を実施するため、予防保全型メンテナンスへの転換を加速することが重要であると認識しております。

 このため、現在、国土交通省では、予防保全型の施設管理を推進するためのガイドラインの策定や、ドローンを含む点検、調査などの施設管理に関する技術開発などの技術的支援に取り組むとともに、地方公共団体が行う維持管理のうち、ドローンの活用を含む施設の点検や調査、点検、調査結果に基づく計画的な改築更新などの重要な対策について、財政支援を行っております。

 今後、地中の管路内部の点検などにDX技術をフル活用することは必要でございまして、ドローンを含む上下水道DX技術のカタログを本年度中に策定、公表するとともに、DX技術について、今後五年程度で全国で実装するという目標を大幅に前倒しし、三年程度で全国で標準実装できるよう取組を進めてまいります。

 また、埼玉県八潮市での道路陥没事故を踏まえて国土交通省が設置いたしました、下水道の施設管理の在り方などについて検討する有識者委員会においては、点検技術についても議論することとしており、その議論も踏まえ、必要な対応をしっかりと検討、実施してまいります。

國場分科員 是非そのように進めていただきたいと思います。

 続きまして、沖縄県の国頭村、これは昨年十一月の大雨災害によりまして大変大きな被害を被りました、道路、河川、キャンプ場、家屋等。その際に、政府としましても、災害査定官を現地に派遣をし、復旧方針の助言や、机上査定の上限額を通常の一千万から八千万に引き上げる等、様々な積算書類等の簡素化や迅速な対応をしていただいたことには感謝を申し上げます。今後も、設計変更の際の技術支援等、国交省、内閣府の協力すべき点は多々あると思いますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

 質問としては、キャンプ場の復旧でございます。

 これは知花村長からも強い要望があった内容でありますけれども、まず、大雨被害で生じた木材等の撤去費用とキャンプ場の再建への取組について、政府として支援できるところは対応していただきたいわけであります。

 今伺いますと、単独災害復旧事業債の活用が検討されていると聞いております。この内容は、被害を受けたキャンプ場の撤去の対策、撤去費用と、また、復旧対策の双方を対象としているのか、是非そのような形で進めていただきたいんですけれども、答弁をお願いします。

齊藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 昨年十一月、沖縄県北部地域一帯において、線状降水帯の発生に伴う記録的な大雨により、河川の氾濫、土砂崩れ等の災害が発生して、甚大な被害が発生いたしました。

 公共土木施設や農業用施設等の災害復旧については、被災自治体と各施設等の所管省庁において、速やかに手続及び作業が進められており、内閣府沖縄担当としても、発災当初から地元からの御要請を関係省庁に伝達する等の対応を行ってきたところでございます。

 お尋ねの国頭村の比地大滝キャンプ場についてでございますけれども、内閣府としては、本年一月、伊東大臣が現地視察した後、直ちに管理職クラスの職員を現地へと派遣いたしまして、災害状況を確認するとともに、国頭村で担当者と打合せを行い、災害復旧の方向性について確認した上で、具体的な事業メニューについて提案をし、その後も職員を派遣して、引き続きフォローしているところでございます。

 先ほど御紹介ございましたとおり、その結果、同施設の復旧事業につきましては、国頭村が沖縄県と調整をし、一般単独災害復旧事業債を活用する方針となったところでございまして、内閣府といたしましても、引き続き被災地の状況をしっかりとフォローして、必要な支援を行ってまいる所存でございます。

國場分科員 局長、つまり、キャンプ場の被害を受けた撤去の費用と、また復旧も併せてやるということで理解してよろしいですか。はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。

 続きまして、沖縄盲学校から多くの要望を受けておりますが、その中で二問質問をしたいと思います。

 特別支援教育就学奨励費負担金、国庫補助対象限度額の中におきまして、これは特別支援学校、特別支援学級の新入学児童生徒学用品、通学用品購入費等が、今、昨今の物価高騰を反映して、小中高とそれぞれ補助対象限度額が上がっております。

 これは非常によい対応だと思いますけれども、修学旅行の部分がまだであると認識しております。是非、この部分も上限額の引上げをお願いしたいんですけれども、これはあべ大臣から答弁をお願いしたいと思います。

あべ国務大臣 國場委員にお答えさせていただきます。

 御指摘のとおり、令和七年度予算案におきまして、特別支援教育就学奨励費の新入学用品、通学用品購入費の補助上限額を引き上げて計上させていただいたところでございます。修学旅行費に関しましても、特別支援教育就学奨励費の対象としているところでございまして、交通費やホテル代の高騰によりまして、一部の自治体におきまして、補助上限額を超過して実施せざるを得ない状況にあるというふうに伺っているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、文部科学省といたしまして、来年度、各自治体の状況をしっかりと把握をさせていただきまして、その結果を踏まえて、適切に対応してまいります。

 以上です。

國場分科員 あべ大臣、ありがとうございます。

 それぞれの自治体の状況を把握するということは、非常に大切だと考えております。また、沖縄県は多くの離島を抱える島嶼県でもありまして、地元の方からの声としては、例えば、本土の方に修学旅行に行く際にも、離島の子供たちは沖縄本島に一泊せざるを得ない。それだけ多くの費用がかかる現状にあります。

 恐らく、修学旅行対象の支援といったものも全国一律になるかもしれませんが、やはり沖縄の特殊事情というものも加味して是非とも検討いただきたいんですけれども、その点について、もし大臣が答えられることがありましたら、よろしくお願いします。

望月政府参考人 特定の自治体のみに手厚い支援を講じるということはなかなか難しいとは考えてございますけれども、各自治体の実情によりまして、補助上限額の範囲内で柔軟に対応できるように、補助上限額の引上げに向けて対応してまいりたいと考えてございます。

國場分科員 是非よろしくお願いします。

 続きまして、障害者スポーツについてお尋ねをします。

 沖縄盲学校卒業生でパリ・パラリンピックに出場した安室早姫選手は、沖縄盲学校の後輩たちや沖縄県民の大変な誇りと励みになっております。

 パラスポーツの裾野を広げるための国の支援や施策、今後の計画をどのように描いているのかということについてお尋ねをしたいと思います。どうしても、健常者に比べて施設や移動手段や機材整備の遅れというものが指摘されておりますので、この点についても答弁をお願いします。

寺門政府参考人 お答えをいたします。

 スポーツ庁では、障害のある方のスポーツの実施率の向上やスポーツを通じた共生社会の実現に向けまして、障害者スポーツの振興を進めてございます。

 御指摘のとおり、障害のある方がスポーツを実施するための環境の整備は大変重要となってございまして、令和四年度にはスポーツ施設のユニバーサルデザイン化ガイドブックを公表し、スポーツ施設のユニバーサルデザイン化に関する普及啓発を行ってございます。

 また、障害者スポーツを支える指導者の養成、また、障害の有無にかかわらず共にスポーツを行う体制の機会の創出にも取り組んでいるところでございまして、引き続き、障害者の方のスポーツを実施される環境の整備に努力してまいりたいと考えているところでございます。

國場分科員 是非よろしくお願いします。

 続きまして、国立沖縄青少年交流の家の老朽化対策についてお尋ねをしたいと思います。

 全国に青少年交流の家は二十八施設ありますが、その中でも、人口六百四十九人の離島自治体である沖縄県渡嘉敷村の国立沖縄青少年交流の家の存在、役割というものは非常に大きいものがあります。地元の新里村長や當山議長からも真っ先に自治体の要望として上がってくるのがこの国立青少年交流の家の老朽化対策なんですけれども、この交流の家は、国土強靱化の中でも、災害時の拠点として極めて重要な施設として位置づけられております。

 沖縄県の国立青少年交流の家、ここは、地元からの声としては、排水管の老朽化、漏水というものが深刻な緊急課題として要望を何度も受けております。

 令和六年度の補正予算の中にライフラインの機能強化整備として十一・五億円が計上されており、国立沖縄青少年交流の家も対象施設として位置づけられております。そのことを踏まえまして、是非防災拠点として、老朽化した施設整備、特にライフラインに関する修繕は急務だと思いますけれども、この点についての答弁をお願いします。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただいたとおり、国立青少年教育施設は、体験活動の機会と場を提供する中心的な役割を担うほか、災害時の防災拠点、こういった役割も果たす重要な施設であると考えております。

 国立青少年教育施設の施設整備につきましては、今ほどお話がありました令和六年度補正予算において、国立沖縄青少年交流の家を始めとした七施設のライフラインの機能強化等の老朽化対策として、配管を含む受水槽整備のために約十二・四億円を確保したところでございます。

 御指摘もありました点も踏まえながら、この中で必要な対応を速やかに進めてまいりたいと思います。

國場分科員 災害時に活用されるということで、特にライフラインは最重要でございますから、しっかりと地元の声を聞きながら整備に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、沖縄の、これは沖縄振興局長はよく御存じだと思いますけれども、南西諸島で、かつて総合事務局がインフラメンテナンス国民会議というものを開催しました。その際に、琉球大学の下里教授が調査をした結果、沖縄県内の建造物の劣化、これはさび、カビ等もありますけれども、日本本土の太平洋沿岸部の約十倍、日本海側の約五倍のスピードで劣化が進んでいるということが分かっているという調査結果を発表しました。

 私自身も、県会議員の頃から、また国会議員になって、防衛省や海上保安庁や様々な公共インフラ施設等を見るときに、これは車両関係もそうです、塗装業界の方からも言われたんですけれども、沖縄という地域は、亜熱帯気候であり、そしてまた湿気も多い地域でもあります。また、塩害の被害というものが、塩害平均飛来量というものがありますけれども、本土の大体六倍ぐらい、台風通過時には約二十四倍にもなるということで、これは米軍からも同じことを言われたんですけれども、こんなに劣化がスピードが速い地域はない、そういうふうに指摘をされております。

 ですから、老朽化対策というものは、これから日本にとって最大の課題の一つでありますが、各地域の特色というものも踏まえながら優先順位というものに取り組んでいただきたいと思いますけれども、まず、ここで私が聞きたいことは、日本政府として、各地域の劣化のスピード、現状というものを把握するデータというものは持っているんでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほどお話ありました、沖縄県のような、亜熱帯気候などの影響でカビ又はさび、劣化が激しく、老朽化がほかの地域よりも進んでいるといったような声は聞いてございます。

 今御指摘ありましたデータについては、国立の少年の家等について持っているわけではございませんが、そういった地域における特殊な事情であったり安全性であったり緊急性、こういったこともしっかりと加味しながら、先ほど来話が出ております国立の交流の青年の家について、しっかりとその対応を進めてまいりたいと思います。

國場分科員 せっかく齊藤沖縄振興局長もお見えでございますので、にこにこしておりますが、是非この部分は、やはり沖縄の特殊事情というものはいろいろな側面がありますけれども、劣化が著しいというのはやはりしっかりと調査をしていただきたいと思います。これは問題意識を持っていただきたいんですね。

 やはりこれは、少し現場を回ればすぐ把握できることでありますので、今、南西諸島というのは、公共の、もちろん文教施設もありますけれども、様々な、インフラもありますし、また防衛の部分もありますし、海上保安庁の部分もありますし、非常に本土に比べて劣化が著しいというのは明らかなことでございますので、しっかりと取り組んでいきたいということをちょっと、せっかく座っておりますから、発言をお願いします。

齊藤政府参考人 お答えいたします。御指名いただき、ありがとうございます。

 昨年の夏に着任以来、私も、できるだけ多くの沖縄の施設を拝見して、今まさに國場先生がおっしゃったような状況をしっかりと確認してございます。

 今後とも、しっかり関係省庁とも連携をして、そういった特殊事情に配慮した対策が取れるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。

國場分科員 続きまして、学校体育館等への空調整備の加速化についてお尋ねをしたいと思います。

 学校体育館は、災害時の拠点としても非常に重要であります。また、石破総理の所信表明演説の中でも、学校体育館の空調整備のペースを二倍に加速をするということを明言をしております。

 今、小中学校になりますでしょうか、この体育館の空調の設置率は全国平均一八・九%にとどまっておりますが、沖縄県は二・九%と全国最下位ということに、残念な状況にあります。

 今日は、これは金城泰邦文部科学大臣政務官に答弁を求めたいんですけれども、私もこのユーチューブを四分三十秒しっかりと拝見させていただきました。これは金城政務官が大変に使命感を持って、体育館の空調設置に関して一生懸命に頑張っていると思いますが、なかなか、地元の教育委員会やいろいろな声を聞くと、それぞれの自治体の優先順位の問題であるとか、また、体育館の断熱の現状を把握していないとか、いろいろなことで進んでいない傾向があると思います。

 やはりこれは災害対応という側面もありますので、加速をして進めていかなければならない部分でありますので、是非とも、金城政務官の方から、しっかりと前に進めていくんだという決意を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

金城大臣政務官 國場先生、ありがとうございます。

 現在、公立の小中学校においては、その約九五%が避難所として指定を受けているにもかかわらず、体育館への空調設置率は、御指摘のとおり一八・九%ととどまっておりまして、設置率の向上は喫緊の課題となっております。

 先生御指摘のように、沖縄県の空調設置率は、令和六年九月時点において、小中学校で二・九%、高等学校で二・二%という状況でございます。非常に、お互い、出身の沖縄の人間としては残念なことでございますが、このため、文部科学省におきましては、令和六年度の補正予算において、避難所となる公立小中学校の体育館への空調整備の加速化を図るための、新たに臨時の特例交付金を設けることとなりました。

 沖縄県を含めて、各自治体におかれては、地域の実情を踏まえて計画を立てているものと承知をしておりますが、是非、今回、これまでにない交付率ですので、この補助率の高い交付金を活用して、スケジュールを前倒しして空調整備を進めていただきたいと考えているところでございます。

 現在、文部科学省におきましても、本交付金のメリットや効果的な整備事例の周知などに取り組んでおりまして、私自身も、今、全国に向けて、先ほどのPR動画、発信したりなど、また、沖縄県を始めとして、複数の都道府県の教育委員会にも直接今お電話をして、交付金の内容について説明を行っているところでございます。

 先ほどのやり取りからしましても、やはり、沖縄県はさびが発生しやすい、防錆処理の効果も、例えば、今やっている断熱、遮熱の設置も併せてやりますが、遮熱の塗装も防錆処理の効果が高まりますので、そういったことも含めて、文部科学省としましては、引き続き、今低い沖縄県を始めとして、学校体育館への空調整備が加速するよう、今後ますますの取組の充実に努めてまいりたいと思っております。

 ありがとうございます。

國場分科員 是非、金城政務官の御活躍をお祈りしたいと思います。

 断熱の部分は、これは後年度でも構わないというふうに理解しているんですが、それをやらなければ空調設置はできないと誤解されている声もありますし、やはり、文部科学省はしっかりとスピード感を持って対応できる体制が整っているということを、政務官も一生懸命頑張っていますので、また私も応援をしていきたいと思いますので、引き続きの連携のほど、よろしくお願いします。

 それでは最後に、これは警察庁の方にお尋ねをしたいと思います。

 内容としましては、今、警察白書の中でも、特殊詐欺、これはSNSを中心とした経由で、トクリュウ、匿名・流動型犯罪というのが深刻な問題になってきております。また、国民の体感治安というものも非常に悪化をしてきている。この最大の理由の一つがこのトクリュウ犯罪というものにあるとも言われております。

 特に、最近のニュースでも、私も驚いたんですが、タイ、ミャンマー国境付近の方で、特殊詐欺グループに日本人の高校生が巻き込まれて、保護されたということで、外務省の領事局の方から報告を受けたんですけれども、やはり、こういった海外まで匿名・流動型犯罪の事例が出てきている。それは、今、実態としては、断片的な報道では把握しているんですけれども、一体どの程度深刻な現状にあるのか、また、そして、その対策というものをどのように取っているのか、この点についての答弁をまずお願いします。

江口政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘をいただきました特殊詐欺などにつきまして、今、警察のみならず、政府を挙げて取り組んでいる、こういう状況にあるところでございます。

 また、今御指摘をいただきました案件につきましては、今般、タイ当局によりまして二人の高校生が無事に保護をされ、両名が滞在していた拠点は、いずれもタイとの国境近くのミャンマー国内にあるというふうに認識をしているところでございますが、ミャンマーの政治的な情勢等から現地当局を通じての把握というのが容易ではないという状況にございますので、警察といたしましては、事件捜査における関係者の供述などを通じまして状況把握に努めているところでございまして、この拠点につきましては、日本国内に対する特殊詐欺等の拠点になっている、あるいは、ほかにも日本人が滞在している可能性があると見ているところでございます。

 また、拠点の運営には外国人の犯罪組織が関与しており、また、高校生はオンラインゲームあるいはインターネットを通じて知り合った人物からタイへ出国することを誘われたというようなことなどから、日本人の関与もうかがわれると見ているところでございます。

 警察といたしましては、この事案につきましては更なる実態の把握ということに努めていきたいと考えておりますが、この件に関します対策ということでございますけれども、警察では、若年層も念頭に、海外でもうかる仕事があるなどと誘われて海外に渡航し特殊詐欺等の犯罪に加担させられた事例を取りまとめた資料をこの度新たに公表いたしまして、警察への相談を呼びかけるなど、注意喚起を行っているところでございます。

 また、この種の事案を含めまして、子供が犯罪に巻き込まれるきっかけとなり得るオンラインゲームに関しまして、オンラインゲーム特有のリスクなどについても注意喚起などの取組を行っているところでございます。

 さらに、昨年の十二月に犯罪対策閣僚会議におきまして決定をされました緊急対策に基づきまして、特に若者を対象に広報啓発に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、SNS等において、犯罪実行者募集に応募する可能性がある者などに対しまして、いわゆるターゲティング広告によりまして注意喚起を行っております。また、明日から首都圏の繁華街など若者が多く集まる地域においてアドトラックを巡回させまして、このような募集に応じないよう呼びかけを実施することとしているところでございます。

國場分科員 多岐にわたる対策を行っていることは理解できました。と同時に、伝えるというのと伝わるというのはまた違いますし、やはり、こういったSNSのトクリュウ犯罪は約七割が被害者、加害者、若年層であるというデータもありますので、しっかりと若者に届くような形で、引き続きの取組を強化していただきたいと思います。

 また、特に海外渡航というときには、パスポートの取得の際であるとか、いろいろ、海外渡航も含めた、特殊詐欺に巻き込まれないような、関わり合う接点というものはたくさんあると思います。これをしっかりと、各省庁とも連携をしながら、取組の強化をしていただきたいと思います。

 また、最後になりますけれども、やはり、若年層が巻き込まれている、また犯罪に加担しているという現状を踏まえると、学校教育の現場でどのような取組をしているのかということが死活的に重要だと思います。特に、高校に進学をしない方々もいらっしゃいますので、義務教育の課程から伝えることが大事だと思いますが、この部分についての答弁を最後によろしくお願いします。

高木主査 望月初等中等教育局長、時間が来ておりますので、短めにお願いします。

望月政府参考人 闇バイトへの応募をきっかけに、児童生徒が犯罪に加担することがあってはならないことでございます。アルバイトなどではなく犯罪であるということをしっかりと教える必要があります。

 警察庁と連携して、一人一台端末を活用して、政府の広報チラシというものも、できる限り、教育委員会や、大学の方も含めて周知をするようお願いをしていてございまして、文科省自身でも、SNSに起因するトラブルや犯罪等に巻き込まれることがないように、闇バイトを題材とした動画コンテンツも新たに作成して提供しているところでございます。

 関係省庁と連携しまして、周知啓発に努めてまいりたいと考えてございます。

國場分科員 ありがとうございました。

高木主査 これにて國場幸之助君の質疑は終了いたしました。

 次に、安藤じゅん子君。

安藤(じ)分科員 立憲民主党の安藤じゅん子です。

 まず冒頭、新年度、あべ文科大臣としての教育に対する決意についてお聞かせいただきたい。お願いします。

あべ国務大臣 安藤委員にお答えさせていただきます。

 これからの学校教育におきまして、子供の学習状況、また興味、関心などの多様性を適切に把握をしていきながら一人一人の可能性を最大限伸ばす学び、これを実現していくことが重要だと思っております。

 そのためには総合的な取組が必要でございまして、まず、教師を取り巻く環境整備、また、GIGAスクール構想の推進、不登校、いじめ対策の推進などの取組を、教育費の負担の軽減を含めて、総合的にやってまいりますし、誰一人取り残されない社会の実現に向けて、文科省一丸となって全力で取り組んでまいります。

安藤(じ)分科員 あべ大臣、ありがとうございます。

 閣僚の中でも、女性ということで、やはり日本における教育や政治のジェンダーギャップの解消にも、本当に、あべ大臣がしっかりと旗振り役としても務めていただきたいと思います。誰一人取り残されない、そういった日本の教育の実現に向けて共に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 大臣におかれては、これにて退出いただいて結構でございます。ありがとうございます。

高木主査 大臣、御退出ください。

安藤(じ)分科員 では、通告に従いまして質問させていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 まず、令和六年度補正予算で四・三億円、令和七年度当初予算で八・八億円のこどもの居場所づくり支援体制強化事業について伺います。

 私は、子育て支援策の充実を訴えて、二〇一〇年十一月に松戸市議会議員として議会活動をスタートさせ、二〇一五年四月、県会議員としてこれまで三期、自治体議員として活動をしてまいりました。二〇〇六年、母となり、仕事を続けながら子育てをする生活に入りました。

 就職氷河期世代でしたので、正規の仕事に就くまでも競争社会でありましたが、保育園の入所倍率も非常に、本当に高くて、駅に近い保育園の倍率はそうでない場の倍率と比較するとはるかに高く、その後、東京近接地域の県内の自治体がこぞって駅前送迎ステーションを設置すること等は、間違いなく働く子育て世代のニーズに合致した子育て支援策であったのだろうと推察をいたします。

 少子化対策として、待機児童解消対策のため次々と保育園を設置し、保育士確保に取り組みました。しかし、この十年、二十年で母になる人口は減少し、本日もニュースで、速報でございましたけれども、七十万人を切っていくのではないかという報道を目にし、少母化、お母さんも少ないという進展、まさに少子化が進展し続けているところとなっています。

 働く子育て世代には小一の壁、子供たちには中一ギャップ、いじめ、不登校や自死などなど、子供、子育て世代を取り巻く問題は深刻化をしております。

 千葉県では、二〇一九年一月、野田市において、当時小学四年生の女児が父親による壮絶な虐待によってその貴い命を落としました。女児のSOSをキャッチした学校や教員が関係機関と連携し、適切な虐待防止対応につなげていれば救えた命であったことを教訓に、千葉県子どもを虐待から守る条例が改正され、松戸市含め県内に二か所の県立の児童相談所が、令和八年度の開設に向け準備を進めています。あわせて、中核市である柏市、そして船橋市においても、市立の児童相談所が新設をされる予定となっています。この間、県議会においては、現在も不足している、あるいは休職者が多数発生してしまっている職員、専門職職員の確保対策を、児童福祉向上のため、全庁を挙げて取り組んでいます。

 恐らく、こうした状況は、全国どの自治体においても待ったなしの課題であると思います。国には、失われた三十年、少子化、高齢化、生産年齢人口は減り続け、非正規労働者は増えてしまったこの失われた三十年、そして、円安、物価高でエンゲル係数二八%と生活が厳しい状況、このまま景気が持ち直していかないのであれば、賃金が上がらないのであれば、せめて食品の消費税を何とかと思わざるを得ない現状に、対症療法ではなく抜本的に、この国で暮らし続ける、育ち、学び続ける国民に向き合っていただきたいと思います。

 では、改めまして、令和六年度補正予算四・三億円、令和七年度当初予算八・八億円のこどもの居場所づくり支援体制強化事業について伺います。

 子供の視点に立った多様な居場所づくりが行われるよう、地方自治体における子供の居場所づくりの支援体制の構築等に必要な実態調査、把握や広報啓発活動の支援を行うとともに、NPO法人等が創意工夫して行う居場所づくりのモデル事業を継続して実施する。本事業により、子供の居場所づくりを推進するために有効と考えられるこどもの居場所づくりコーディネーター配置等支援事業の実施率の向上につなげる。令和八年度までの三年間集中して推進するものであるとのことでございます。

 しかし、松戸市においても、また全国的にも子供の居場所が不足している中においては、人的支援の補助メニューよりも、子供との接点となる場、量の拡大や遊具等、例えば、子供の貧困対策や子育て支援、地域づくりとして定着している子供食堂、児童福祉法第四十条に規定する児童厚生施設の一つでございます、遊びや生活体験を通して地域の子供たちの健全育成と子育て支援を行う施設である児童館や子供館、小学校、中学校、高校生がそれぞれカードゲーム、ボードゲーム、軽い運動、ボール遊び等、あるいは宿題、勉強、おしゃべり等雑談などをして過ごす青少年の居場所などですが、これらが充実されると、より効果的な居場所づくり予算につながるのではないかという声を地元関係者からもいただいております。

 私も、駅ビルに所在する青少年の居場所等に伺い、宿題やスタッフと談笑する中高生の様子を拝見し、有意義であると確認しております。居場所数や開所時間については拡充の余地があると実感しております。令和七年度当初予算で八・八億円予算化されているこどもの居場所づくりコーディネーター配置等支援事業は、量、さきに挙げた様々なニーズに応じた居場所の拡充の後に必要になってくるとも思います。

 そこで伺いたいと思います。

 コーディネーター配置事業予算を令和七年度は居場所づくりに予算集中し、子供の居場所を圧倒的に増やしてはどうか。

高橋(宏)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から、子供の居場所づくりについて、非常に有意義だということの御指摘をいただきました。

 居場所につきましては、先生御案内だと思いますけれども、令和五年十二月に、こどもの居場所づくりに関する指針というものを閣議決定いたしまして、政府として取組を進めているというところでございますけれども、この指針の中で、今ほど先生から御指摘いただいたような、場の確保であったり、あるいは居場所を増やすということの重要性などが示されておるところでございます。

 これを踏まえまして、こども家庭庁が実施している事業、まさに先生御指摘の、こどもの居場所づくり支援体制強化事業の中で、NPO等と連携した居場所づくりを行う際に、場の開設費も補助対象にしておるほか、自治体が児童館等の児童福祉施設を活用して場の整備を行う際にも、次世代育成支援対策施設整備交付金による補助が可能となっているところでございます。

 こども家庭庁といたしましては、こうした取組を通じまして、場の確保に関する好事例を収集し、自治体を始め各方面に積極的に周知、提供することによって、場の拡充が一層図られるよう、必要な支援に努めてまいりたいと考えているところでございます。

安藤(じ)分科員 御答弁ありがとうございました。

 子供たちの視点に立った居場所づくりが先であると思います。限られた財源の中で、子供支援の最前線で頑張る自治体のニーズと予算の有効活用につながりますことを重ねてお願いしたいと思います。

 続いて、令和七年度当初予算で二千百三十八億円が予算化されている子育て世帯訪問支援事業について伺います。

 当該事業は、令和六年度から児童虐待予防の一環として子育て世帯訪問支援事業が創設され、松戸市でもいち早く事業を実施しました。しかし、本事業の利用者負担軽減加算は、生活保護世帯や市民税非課税世帯など、家庭の経済的な視点に限られています。これももちろん重要ですが、例えば、所得制限なく、一人親家庭や多胎児家庭といった家族構成による育児負担の視点を加えた補助メニューがあると、より効果的な支援につながると考えます。家族構成に着目した支援メニューを加えることで、経済的な面に加え、育児負担でも困っている御家庭を訪問支援しやすくなります。

 そこで伺います。

 子育て世帯訪問支援事業の対象を家族構成に着目して拡大すべきと考えるが、どうか。

高橋(宏)政府参考人 お答え申し上げます。

 子育て世帯訪問支援事業は、虐待等のリスクを予防するため、養育環境に課題を抱える家庭を対象として家事、育児支援等を行う事業でございまして、必要性、緊急性が高い要支援、要保護世帯にサービスを届けることを目的とした事業でございます。

 御指摘の一人親世帯でありますとか、あるいは多胎児家庭につきましても、事業の実施主体は市町村でございまして、今ほど申し述べました事業の趣旨、目的に照らして、この事業による支援が必要だと市町村が判断すれば、現在も事業対象とすることが可能となっているところでございます。

安藤(じ)分科員 ありがとうございます。

 一人親の方、あるいは多胎の方で育児をされている方々にとって、訪問支援員の方、様々な自治体の研修プログラムを受けられて、本当に心強い方だと思います。こういった方々に支援していただくことが、どれだけ当事者の方々にとって心強いのか。事業目的を真に達成するために、対象がどうあるべきなのか、是非とも家族構成にも着目した対象拡大を要望します。よろしくお願いいたしたいと思います。

 続きまして、鑑賞教育について伺います。

 鑑賞教育のメリットは、一人一人が学習に参加し、体験的に学び、共同で知識を構成していくことで、美術作品の理解が深まる。問題解決能力や主体的思考力、コミュニケーション能力などの知的能力の育成が期待できる。対話による鑑賞では、自分の意見を伝える、互いの意見を受け入れるといった、あらゆる活動に必要な能力が養われる。鑑賞者の主体性の保障を目的として行われるべきであり、そのためにコミュニケーション能力の育成に重点を置くことが望ましいなどとされており、私は、鑑賞教育の実践は、これからの時代を生きる子供たちにとって大変重要であると考えます。

 国も、これからの社会を生きる全ての子供たちに求められる資質、能力の育成における芸術教育の意義、人格の形成、完成を目指す豊かな感性や創造性の涵養とソサエティー五・〇時代に向けた社会の創造として、表現及び鑑賞の活動を通して、育成すべき資質、能力と学習内容との関係を明確にするとともに、芸術系教科等の見方、考え方を働かせ、生活や社会の中の芸術や芸術文化等と関わる資質、能力の育成を目指すことを示しております。そう書き込んでおるところからも、国が、芸術教育、鑑賞教育が子供たちにとって重要な教育であると位置づけて、そして実践を重ねてきたのであろうと思います。

 そこで伺います。

 鑑賞教育に対する見解はどうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、子供たちが自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値ある存在として尊重するなど、尊厳が尊重され、公正な持続可能な社会のつくり手となるために必要な資質、能力を育む上で、鑑賞の活動を通じた学びというのは大変重要だというふうに思っております。

 学校教育では、例えば、中学校の美術における学習のうち、鑑賞の活動におきましては、作品などについて、先ほどお話がございましたように、説明し合うなどを通して、他者の考えも聞きながら、自分にはなかった視点や考えに立ち、自分の中で新たな意味や価値をつくり出す学びを実施してございます。

 また、芸術教育における鑑賞の活動を通じ、自分で問いや答えをつくり出しながら、既存概念にとらわれない自由な発想で物事を捉える力を育成することは、子供たちにとって非常に重要なものと考えてございます。

安藤(じ)分科員 ありがとうございます。

 では、学習指導要領の中で、美術館、博物館、図書館、劇場、音楽堂等の活用が記載されております。鑑賞教育の実践に当たり、国として教育委員会や学校等に対しどのような支援を行っているのか、お伺いします。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘をいただきましたように、学習指導要領におきましても、地域の美術館施設等の積極的な活用というのが位置づけられているところでございます。

 文化庁といたしましては、芸術系教科等の教員を対象とした全国研修会を実施しておりまして、その中では、東京芸術大学、常葉大学、武蔵野美術大学などにおきまして、鑑賞をテーマにした研修を実施いたしておるところでございます。

 また、全国の美術館を会場とした鑑賞、体験の機会を提供する文化施設等活用公演でありますとか、国立美術館におきまして、学校の教員等を対象とした、鑑賞教育の充実と美術館との一層の連携を目的とした指導者研修を実施するなど、各学校が美術館等と連携した実践が充実するような取組を行っているところでございます。

 次期改訂を見据えながら、私ども、鑑賞教育の充実に引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。

安藤(じ)分科員 どうも御答弁ありがとうございます。

 作品を描かせるから、作品を語る、鑑賞する力を育む教育は、少子化が進む一方で、子供の自死やいじめ認知件数、児童虐待は増加傾向を示している我が国においては、本当に欠かせない教育の一つであると考えます。

 ベルギー・ブリュッセルでは、医師が市内の美術館や博物館への無料入場を処方するプロジェクトが行われているそうです。

 自立とは多くの依存先を増やすこととは、脳性麻痺の小児科医であります熊谷晋一郎氏の語った言葉でございますけれども、私はこの言葉に出会ったとき、大変な感銘を受けました。

 どうか、子供たちが義務教育課程で鑑賞する力をつけていくことを期待します。

 また一方で、行政主導ですと、アートフェスといった芸術に触れる貴重なチャンスの一つが、なかなか、一過性となってしまったり、地域によっては担い手が固定化してしまっているのが現状となります。

 我が国で学ぶ全ての子供たちが義務教育課程でアートに触れる機会を確保するとともに、作品を、先ほど御答弁の中にありました、作り手であるアーティストとの対話であるとか、さらには、アートを絡めた町づくりへの参画であるとか、アートを売買するなどのビジネス体験といった文化経済活動といった展開も期待したいなと思っています。よろしくお願いいたします。

 次に、学校施設についてです。

 今から五年前、二〇二〇年二月、新型コロナウイルス対策の全国一斉の臨時休校要請で、子供が学ぶ場として、そして一日の大半を過ごす場である学校施設の在り方が問われたことは記憶に新しいと思います。

 学校施設とは、校舎、運動場、体育館等を指し、学校設置基準に定められており、学校教育を成り立たせる施設です。少子高齢化に伴う施設複合化や、事故防止、防犯、防災機能の強化、特別支援教育の推進等、社会的状況を踏まえ、国は学校施設整備指針の改定を重ねてきました。

 本日は、学校施設に関することについて、断熱事業、プール、施設開放について伺いたいなと思います。

 まず、断熱事業です。

 こちらは國場委員の方からも御質問がありましたけれども、子供たちの学習、生活の場であるとともに、災害時には避難所として活用される学校体育館等について、避難所機能を強化し、耐災害性の向上を図る必要がある。

 しかし、学校体育館等における空調設置率は約二割にとどまっており、更に設置促進が必要な状況であるとして、公立学校施設における体育館等への空調設備設置事業費として令和六年度補正予算で七百七十九億円措置、空調設備整備臨時特例交付金として算定割合を二分の一に引き上げ、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に関する中長期目標である十年後の令和十七年度には、体育館空調設置率を九五%とするものです。

 これにより、これまで、学校施設環境改善交付金の大規模改造事業の内部環境改善を図る改造工事メニューにある、建物の断熱性、気密性を向上させるための改修工事と併せて行われることが多かった空調設備設置工事が先行、単独化することが危惧されます。賢い支出とするために、断熱事業と空調設置は同時に行うことが私は欠かせないと考えます。

 そこで伺います。

 省エネのために断熱を進めていくべきと考えるが、取組はどうか。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 学校施設の断熱性向上は、まさに児童生徒の快適性の観点ですとか、避難所機能の観点、先生もお話しいただきました施設の省エネルギーの観点からも重要であるというふうに認識してございます。

 それらについて、先生から今御紹介いただきましたけれども、設計、計画上の留意事項を示しました学校施設整備指針におきまして、断熱化というのは、学校施設における温室効果ガスの排出量を削減する観点ですとか、災害時に避難所となる場合においても良好な温熱環境を確保する観点ですとか、屋内の熱の損失、結露等外気の影響を低減し、居住性を高める観点からも重要であるということを示してございます。ですので、断熱性ですとか気密性を向上するための改修工事についても国庫補助を行っているところでございます。

 引き続き、学校施設の断熱性の確保につきまして、学校施設、学校の設置者の取組を支援してまいります。

安藤(じ)分科員 御答弁ありがとうございます。

 では、学校施設断熱改修工事を補助事業化、単独で行うというのはいかがなものでしょうか。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたけれども、文部科学省では、教育環境の改善等を図るために、公立小中学校施設の断熱性ですとか気密性を向上するための改修工事につきましては、既に国庫補助を行っているところでございます。

 これらの内容につきまして、各自治体の方に様々な手法とともに周知をすることによって、学校施設の断熱性の確保の取組を推進してまいりたいと考えてございます。

安藤(じ)分科員 御答弁ありがとうございます。

 私は、自治体議員時代から、松戸市議会議員の関根ジローさんを始め、自治体ネットワークで、学校トイレの洋式化というものに取り組んできました。

 子供たちの学習環境の改善はもちろん、災害時避難所になる学校、そのトイレの洋式化は、避難者の排せつ不安に寄り添い、さらに、和式トイレの三分の一の水道量で流れる洋式トイレは、子供にとっても地域にとっても財政にとっても効果のある取組であり、トイレについてはリースも補助対象となることなどから、国も積極的に推進してこられたと理解しています。

 断熱工事を伴わない空調設備設置の促進は、今後発生する自治体の電気料金負担の観点からも、私は看過できないと考えています。

 また、これまで各地で断熱ワークショップを実施してこられたゼロエミッションを実現する会の方々によれば、断熱改修費用はランニング低減で回収することができる、学校保健安全法の室内温度基準の厳格化や建築基準法の採光基準を見直すことで、断熱効果がアップするということであります。

 文科施設防災も、ホームページにおいて、調査、分析、そして設計、工事についてを流れで示していらっしゃって、屋根、壁、床、建具、窓の断熱改修工事の工期や工事費についても、パターンごとに本当に丁寧に事例紹介をされています。そして、まさにこの中で、体育館の断熱性確保による電気代削減効果についての試算と銘打っていらっしゃいます。断熱を後退させてはならないと考えます。

 学校施設の電気料金を低減させることは、地域の消費電力負荷の軽減にもつながります。

 千葉県では、二〇一九年十月に発災しました令和元年台風で人的、物的被害に見舞われました。送電塔が二本、電柱も八十四本倒壊し、二千本の電柱が損壊したことによって、大規模停電になりました。想定外の大規模気象災害は繰り返し発生します。平時においてもいかに、省エネルギーの推進に取り組んでおくことが欠かせません。

 データセンターの新増設で電力需要が増す中、次期エネルギー基本計画においては、原子力依存度を可能な限り低減するの文言が削除され、原発の建て替えに言及し、原子力を最大限活用すると明記されて、このことについて、市民からは不安と失望の声をいただいております。

 再生可能エネルギー、地産地消の推進や、これによる雇用創出を実現している自治体がある一方で、国の原発政策が、二〇一一年の三月十一日に発災した東日本大震災から十四年目を迎える今、政策転換を図っていることに、そしてまた、地元松戸市においては指定廃棄物を管理し続けている観点からも、是非とも明確な回答を国に求めていきたいと思っています。

 今年の夏も、気象庁の予報によれば、猛暑だそうです。子供たちの学習意欲の低下や食欲不振の要因ともなる暑さに対する対策を、一層の学習教育環境の充実を、賢い支出とセットで図っていただきたく、強く要望します。

 次に、学校プールについて伺いたいと思います。

 先日、岩手県滝沢市が中学校のプール授業を廃止するという報道を目にしました。水難事故防止の観点からは実技そのものは欠かせないと考えるものの、昨今の異常気象により、屋外プールでの実技時間の確保や教職員の働き方改革等の観点から、見直しを考える必要があるのかもしれないと考えます。

 そこで、以下伺います。

 施設劣化に伴いプール実技を取りやめる自治体が現れたが、国としての見解はどうか。

寺門政府参考人 お答えいたします。

 子供たちが水に慣れ親しみ、身を守る方法や知識を身につけることは、水難事故防止の観点からも重要でございます。

 学習指導要領におきましては、水泳の授業は小学校から中学校二年生までは必修となってございますけれども、適切な水泳場の確保が困難な場合には実技指導を扱わないことができること、実技指導を扱わない場合でも、水泳の事故防止に関する心得については必ず取り上げることといたしております。

 現在、一部の自治体において、御指摘のとおり、学校プールの老朽化を始め様々な事情を考慮し、地域の公営、民営プールを使用したり、また、水泳の実技指導を取りやめたりする事例も出てきたことは承知してございますけれども、文部科学省といたしましては、各学校設置者、学校において、学習指導要領の趣旨を踏まえ、適切に子供たちの水泳の学習機会を確保いただきたいと考えておるところでございます。

安藤(じ)分科員 ありがとうございます。

 適切に対応してもらうよう自治体に働きかけるということでございました。学校外での適切な施設であるとか、専門人材による実技的な指導が今後望ましいと思います。

 学校プールは、猛暑や少子化、コスト削減などの理由から、本当に今転換点、転換期を迎えていると思います。国には、是非とも、こういった自治体にも寄り添う形で、施設機能等も考慮し、そして、プール実技の方もしっかりと子供たちが受けられるように対応をお願いしたいと思います。

 済みません、最後、ちょっと飛ばさせてもらいまして、入学試験の方について伺いたいと思います。

 今日は、まさに二十七日、千葉県立高校の追試験、追検査の日になっています。

 昨今、推薦入学者の割合が増えている傾向もあるようでございますけれども、本試験当日に感染症や体調不良等、ないしは痴漢被害等に遭ったことによって本試験の一部若しくは全部を受けられなかった受験生の受験機会確保について、国はどのように取り組んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 入学者選抜につきましては、生徒にとって、その後の進路等を決める極めて重要な機会でございます。

 高校入試の実施方法等につきましては、実施者である各都道府県教育委員会等の判断によりまして決定するものでございますけれども、痴漢の被害に遭った場合、あるいは月経随伴症状等を含む本人に帰責されない身体、健康上の理由等により受検機会を失うことのないよう、追検査等の受検機会の確保のための柔軟な対応を依頼する通知等を発出しているところでございます。

 また、大学入試につきましては、各大学の個別試験におきまして、人為災害など不測の事態によりまして遅刻又は受験できない場合には、試験時間の繰下げ、別日程への振替など、受験機会の確保に配慮することを求めているところでございます。

 文科省としましては、入学者選抜において生徒たちが安心して受験に臨むことができるよう、引き続き、内容の周知を徹底し、関係者とも連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。

安藤(じ)分科員 どうもありがとうございます。取組に感謝申し上げます。

 千葉県でも本当に、追試験の二三年通知後に三・七倍になったりとかして、随分周知が進んでいるのかなと思ったんですけれども、一部報道によりますと、まだ一割しか知らなかったりとかということもあります。本当に人生の大事な場面でございます。男女問わずだと思いますので、そういったところについては、是非とも引き続き啓発、周知をお願いしたいと思います。

 最後、復職支援プログラムについて伺いたいと思います。

 公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業が令和五年から令和七年度の予定で行われておりますけれども、こちらの方につきまして一点伺えればと思います。

高木主査 時間が過ぎておりますので、まとめてください。

安藤(じ)分科員 まとめます。

 大変、復職に向けた取組というのが、各教育委員会によってまだばらつきがあります。教職に戻りたい、教職を目指していただいた先生の復職後のサポートの体制についても、自治体によって差が出ることがないようにしっかりと対応いただきたいと要望申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

高木主査 これにて安藤じゅん子君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡田華子君。

岡田(華)分科員 立憲民主党の岡田華子でございます。

 本日は、質問の時間を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。また、通告から本日までが物すごく短時間の間で御準備いただいておりますこと、心から感謝申し上げます。

 私は、今、息子が二人おりまして、上の子が小学校の二年生なんですね。学校の参観などに行きますと、学校の先生たちが、声をかけるのもはばかられるぐらい忙しい環境にあるというところで、今の学校教育に非常に課題を感じておりますし、子供たちの学習環境についても、やはり息子を通わせているというところもあり、当事者意識を持って取り組んでいきたいなと思っているところであります。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、小中高等学校の不登校の子供の数についてでございます。直近の調査で約三十五万人という数になってきております。これに対する大臣の御所見をまずはいただければと思います。よろしくお願いいたします。

    〔主査退席、山田(賢)主査代理着席〕

あべ国務大臣 不登校に関してでございますが、不登校の児童生徒は過去最多になっているということで、極めて憂慮すべき状況が継続していると認識をしておりまして、文部科学省といたしましては、COCOLOプランなどを踏まえて、引き続き、こども家庭庁とも連携していきながら、不登校児童生徒の学びの継続、相談体制の充実に全力を尽くしていきたいと思います。

 また、委員がおっしゃるように、本当に先生方がお忙しくて、先生が好きな言葉が、笑顔は人生の花ということで、学校の先生もやはりしっかり笑うことができるような、余裕のある、そういう働き方改革も共に必要なんだというふうに思っておりまして、しっかりと文部科学省としても取り組んでまいりたいと思います。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 今までの先生方のお話にもありましたけれども、今、様々な活動、COCOLOプランを始めとして、文科省の皆様でやっていただいているところだと思います。

 不登校になって、親が働けなくなるといったこともあって、貧困のリスクにもつながる、そういったことが昨今は指摘されております。やはり自力でその環境から抜け出すことができないというのがこの問題の大きなところだと思いますね。行政の支援が一層必要な場面と思います。あべ大臣ほか文科省の皆様におかれましては、この不登校の問題に是非力強く取り組んでいただけたらと思います。

 もう一点、不登校につながる問題で、児童生徒の自殺者数のところについてお伺いしたいと思います。

 二月十日の通知が出ておりますけれども、令和六年の児童生徒の自殺者数が過去最多の五百二十七人となる見込みであるということで、文科省の方から、自殺者数の公表を踏まえた児童生徒の自殺予防に係る取組の強化についてという通知がなされております。

 その中で、教育相談体制の構築、校内連携型危機対応チーム、ネットワーク型緊急支援チームの設置等というところを促していただいているところなのでございますけれども、現場の先生方にお聞きしたところ、今もかなり人手の少ない多忙な状況の中で頑張っているんだ、これ以上、もう人手のない中できめ細かい支援というのはなかなか難しい、正直、これ以上何をやったらいいのか分からないというのが現場の率直な感想ですというようなことを聞いております。

 改めて、今回通知を出されました御趣旨について、現場に求める対応について、御説明をいただけたらと思います。

望月政府参考人 先にちょっと私の方から御答弁をさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、先般報道されました、小中高生の自殺者数が、暫定値ですけれども、過去最高になっている。我々としても大変重大に受け止めているところでございます。

 ただ、一方で、学校だけでは解決できない、改善できない点も多かろうというふうに思っています。学校の中でも自殺への対応というのは、専門家でも、やはり一人で抱えていくことはなかなか難しい場面が多いと思ってございます。きめ細かな継続的支援をしたいと思っても、先生一人で孤立してしまうということがないように、やはり学校全体で、チームで対応していくことが必要かと思ってございます。

 そういう意味におきましては、校内での対応チーム、あるいは教員以外の専門家、例えばスクールソーシャルワーカーとかスクールカウンセラーの方々、また、今一人一台で進めている心の健康観察アプリなんかのこういう情報を先生方が無理のない形で察知をして、もちろん、個人情報保護には気をつけながらですけれども、それをチームで共有しながら、関係機関あるいは専門家とも連携して自殺対策を推進していくことが大事かというふうに考えているところでございます。

 そういう観点から、昨今、こども家庭庁、厚労省とも連携をしまして通知を出させていただいたところでございます。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 現場の負担が、現場も今頑張っているというところでありまして、その中で、ほかの関係機関、先生が一人で抱え込まないようにというところの御配慮をいただきながら進めていくという御趣旨の答弁と理解をいたしました。本当に自殺者数が五百二十七人というのはかなり衝撃的な数字かと思いますので、我々大人が連携して対策を取っていけたらと思います。

 今御答弁の中で出ました心の健康管理のアプリのところで少しお伺いしたいんですけれども、一人一台端末を利用した取組ということで、端末とアプリの普及率のところについて少しお伺いできればと思います。お願いします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 不登校児童生徒の心の状態というものをなるべく早く察知をするというために、心の健康観察アプリを利用したそういった情報共有というのは大変大事かと思ってございます。

 先ほど大臣から申し上げました文部科学省のCOCOLOプラン等も踏まえまして、一人一台端末、GIGAスクール構想の中で心の健康観察の導入推進に取り組んできたところでございまして、令和六年度現在でございますけれども、小学校で四六・五%、中学校で五五・二%と、ようやく導入がかなり浸透してきているところでございます。

 その上で、令和七年度につきましては、こうした心の健康観察について、どの学校でもやはり標準でやっていただきたいという観点から、ICT環境整備三か年計画を、新たに二〇二五年、つまり来年度から三年計画でスタートするところでございますけれども、この中では、基礎自治体での標準装備のような形で、一人一台端末を活用した学校生活を支援するツールの整備として地方財政措置が講じられる予定でございます。

 こうした地方財政措置をしっかり各自治体それから学校の方でも受け止めていただいて、不登校児童生徒の心身の状況に、できる限り無理のない形で変化に気づき、共有できる体制を整えていければというふうに考えているところでございます。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 地方財政措置も取られてということだったんですけれども、アプリの利用料のところについて、誰の負担になるか。自治体の方で負担するようにといった、そういった推奨がされているのか等を含めて教えてください。

望月政府参考人 御承知のように、心の健康観察のアプリはいろいろな種類がございまして、一種類に国が限定して決めているわけではございません。無料のアプリもありますけれども、確かに有償のものもある。そのために、地方財政措置を講じながら、それぞれの自治体や学校の状況に応じて活用していただきたいというふうに考えてございます。

 そういう意味では、保護者負担という観点で、自治体の方でのそうした裁量性というか自主性の中で、地方財政措置をうまく活用していただきたいというふうに考えているところでございます。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 そうなんですね。アプリの利用料のところが自治体の判断に任されているところがあって、親御さんの負担にされているところがある。金額自体はそれほど大きくない、何十円といったレベルのものであるんですけれども、学校の先生が親御さんにアプリの導入を依頼するときに、有償なんですけれども、有料なんですけれどもというところでお願いをしなきゃいけない。そこで渋られてしまったら、強制はできないので任意ですというところになって、そのアプリを入れている生徒さんと入れていない生徒さん、今回の心の健康アプリに限らないところの話にもなるんですけれども、そういった問題が出ていると承知しております。

 学校の先生が親御さんたちに、アプリの導入、有償ですというところをお願いしなければいけない手間、そして、アプリを入れている生徒さん、入れていない生徒さん。入れていない生徒さんに対しては、本来だったらアプリで通知ができるものについて、入れていないので紙で渡さなきゃいけない、そういう手間が先生のところに降りかかってきている、そういった声も聞いております。

 ですので、是非文科省さんの方にお願いしたいのは、こういったアプリについては、できれば国庫負担、地方の自治体に任せず、国の負担で導入を促すというところを検討していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

望月政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、やはり各それぞれの地域や学校の状況に応じまして、アプリを、保護者の御理解もいただきながら使っていただくという標準装備として、地方財政措置というものを次の三か年計画でも措置をしているところでございます。

 また、そうした教師が紙を保護者に配らなきゃいけないということに関して、我々としては、各小中学校に一人ずつ教員業務支援員というところも配置支援をしているところでございまして、そういった教員、教師以外の支援スタッフの力もかりながら、また行政の方でも、それを保護者への理解を進めるところも支えていただきまして、各それぞれの自治体、学校でも考えていただきたいというふうに考えているところでございます。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 学校の先生の多忙なところに是非御配慮いただきながら、今後御検討いただきたいんです。

 私が青森選出で、青森は人手不足がかなり進行化しているというところがあって、今御指摘いただいたサポートの支援員のところ、そこも、支援員の人探しを学校にお願いするといったような状態にもなっておりまして、学校の負担が今本当に大きくなっているという状況であります。

 なかなか難しい問題というところはもちろん承知しているんですけれども、今回、給特法のところでも、教職調整額が上がるといった、私は物すごい第一歩だったと思うんです。なので、この勢いで、あべ大臣には是非もっと二歩、三歩と頑張っていただきたく、学校の先生の負担軽減のために、何とぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、次の地方の学習環境のところの質問に移らせていただきます。

 過疎地域といいますか、地方においてなんですけれども、少子化の加速が著しいです。今、三十五人学級が推奨されているというところはありますけれども、地方においては、おのずと少子化が進んでおります。児童にとっての最適な教育環境というものの維持が今危ぶまれているというふうに思います。

 特に、中学校の小規模校では、免許外の先生が教科指導をするといったことが常態化しているというようなことがあって、少子化に対応した学校教育の在り方というところについて、いま一度考えなければならないというふうに思います。

 文科省におかれましては、ちょうど十年前、二〇一五年に公立小中学校の適正規模・適正配置等に関する手引というものを配置して、少子化に対応した活力ある学校づくりを目指すとされておりますけれども、その後の進捗について御教示いただければと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 学校は、児童生徒が集団の中で多様な考えに、多様な価値観に触れて、認め合い、協力し合うことを通じて資質、能力を伸ばしていく、そうした場所であって、一定の規模を確保することが望ましいというふうに考えてございます。

 このため、先生御指摘ございましたように、学校規模の適正化を検討するに当たりましては、児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据えまして、学校教育をよりよく実現するために行うべきという視点が重要と考えてございます。

 直近の調査では、中学校の場合、文科省が標準学校規模を十二学級から十八学級というふうに定めてございますけれども、この標準学校規模に満たない学校が約五割となっているところでございます。

 そうした子供たちの学びを豊かにするという観点を含めまして、自治体において、学校の統合でありますとか、あるいは、それぞれの各地域のコミュニティーの核としての学校の役割ということを総合的に考えて、市町村において御判断いただく必要があるかなというふうに考えてございます。

 先ほど学校の統廃合に関する学校規模の目安や手順、留意点、又は手引について御紹介いただいたところでございます。その後、私どもも、やはりこうした御不安、あるいは御紹介のいろいろな御相談があります、そういった観点から、部局横断的な体制で、つまり、首長部局と教育委員会が連携をしながら体制を整備している事例をまとめたり、それを周知したり、首長のリーダーシップの重要性については報告書などで周知していたり、あるいは関連の全国フォーラムを毎年開催して自治体から実例を紹介いただくなどをしているところでございますけれども、引き続き、各市町村の検討に資するような情報提供等に努めてまいりたいと考えてございます。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 子供たちの学びを豊かにする観点で進めていかなければならないというところは、本当にそのとおりだと思います。

 そこのリーダーシップのところが、ただいま出たように、首長さんにリーダーシップを発揮していただいて進めていくというふうになっているんですけれども、やはり学校の統廃合は、首長のリーダーシップをお願いしますといっても、学校の統廃合というのはかなり住民の反発が大きい施策であると思います。選挙で選ばれる首長さんにとってはすごく進めにくい施策なんだろうなと思いまして、子供の学びを本当に第一に考えたそういった活動ができるのかというところについて、私は少し不安を感じているところです。

 また、人口減少のところに関しては、昨年の四月に人口戦略会議が消滅可能性自治体というのを公表されましたよね。これでやはり地方の人口減少問題について国民の課題認識が一層高まって、より深刻に、より真剣に考えていかなきゃいけないというフェーズに入ったと私は認識しております。

 そんな中で、やはり首長のリーダーシップに任せていると、急速に進む人口減少、子供の数の減少というところについて、子供第一で進むのかというところに課題があると思うんですけれども、この点について、大臣、課題意識をお持ちかどうか、どうお考えかについて、御意見をいただければと思います。

あべ国務大臣 大変この問題は重くて、首長のリーダーシップの重要性は確かに大きいんですが、本当に地域の方々と、すなわち、子供たちの適正な学ぶ環境整備というところが大変バランスの難しいところだというふうに思っています。

 やはり学校規模の適正化をしっかりと検討していくに当たりましては、児童生徒の教育条件の改善の観点、これを中心に捉まえた上で、学校教育をよりよく実現するために行うという視点がまさに重要でございまして、引き続き、私どもは、各市町村の検討に資するように、必要な情報提供を文部科学省からしっかりさせていただきながら、財政支援とともに努めてまいりたいというふうに思います。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 本当に文部科学省のリーダーシップに期待をしておりますので、是非よろしくお願いいたします。

 続いて、特別支援教育についての質問に移らせていただきます。

 少子化の中でも、特別支援学校や特別支援学級の児童生徒さんというのは増えてきているところかと思います。私は、個人的な活動として、福祉作業所の工賃を上げるための活動をずっとしておりまして、その中で感じたことは、やはり日本においては、障害者と健常者というのが、ぱっかり世界が分かれたような感じで今暮らしているなというような印象を持ちました。

 例えば、電車の中で大声を上げる人を見たときに、みんな恐怖感を感じてしまう、目の見えない人が道を歩くときに困っているんだけれども、どう声をかけていいのか分からない、そういう感覚というのを日本人は今持っているんだろうなというふうに感じました。

 そこで大事になるのが、やはり小さい頃からのインクルーシブ教育だと思うんですよね。

 そこで、令和四年四月の通知で、「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」というところで、特別支援学級の児童生徒は、原則として週の授業時間の半分以上を特別支援学級で学ぶようにという、そういった方針を文部科学省の方から出されたと承知しております。

 私は、これが結果として通常学級の児童さんと支援学級の児童さんが過ごす時間を減少させたんじゃないかと。例えば豊中市というのはインクルーシブ教育が進んでいるということで知られていると思うんですけれども、こういったところの取組にブレーキがかかったんじゃないかなと私は思うんですけれども、こういったことは文部科学省として意図したところなのかについて、御見解をお願いします。

望月政府参考人 障害のある児童生徒と、それから障害のない児童生徒が共に学ぶという大切さというようなことは、今もう学校にだんだん浸透してきているというふうに考えてございます。

 今先生御指摘の令和四年四月の通知でございますけれども、一部の自治体におきまして、特別支援学級の児童生徒が大半の時間を通常の学級で学んで、障害の状態等に応じた特別な指導を十分に受けていない実態が明らかになったことを受けて発出をしたものでございます。

 通知では、特別支援学級の子供に対しまして、障害の状態等に応じた特別な指導を行う観点から、授業の半分以上を特別支援学級で受けるとともに、その必要のない子供は通常の学級に在籍を変更することを促してございまして、むしろ、インクルーシブというものを推進しているというところもあるんじゃないかというふうに考えているところでございます。

 豊中の事例を御披露いただきましたけれども、この状況を我々も十分に把握していないところでございますけれども、いずれにしましても、この通知で、障害の状況等に応じた特別な指導を行う必要がある場合というものに関して、適切に一人一人にきめ細かな教育を実施する観点ということから、改めまして、通常学級と特別支援学級のそうした一つの目安を示させていただいたところでございます。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 特別な指導が必要、ケアが必要という生徒さんはもちろんいらっしゃって、その観点も大事かと思うんですけれども、やはり子供のうちから健常者の友達がいる、子供のうちから障害者の友達がいるというのは、大人になってから物すごく利いてくることだと思うんですよね。接し方が分かる、障害者がいる生活が普通になるというところで、私は、できるだけ、通常級に行ける生徒さんがいるのであれば、そっちを支援するというような観点で進めるべきだと思うんです。

 今、通級で、特別支援学級のように授業をやらずに、普通級に籍を置く子に対してサポートする、そういった仕組みもありますけれども、そこの通級においても、今、全部の学校に通級があるわけでもない。今、地元でちょっと聞いたところでは、巡回通級をやっていたのをやめてしまったというような事例があるんですね。それはやはり先生の働き方の観点からだとは思うんですけれども。

 そうすると何が起きているかというと、お父さん、お母さんの負担が増えている。通級に行かせるために送り迎えをしなきゃいけないといったことがあって、親御さんの負担も大きくなっているというところに私は大きな懸念を持っているところです。

 二〇二二年の九月に国連の障害者権利委員会から、日本の障害者政策について、障害のある子供を分離する特別支援教育をやめることを勧告されております。先ほどの通知についても、撤回というところを強く要請されているところでございます。

 私は、やはり先ほどの通知については世界の潮流と逆行しているような気がしておりまして、是非見直し、撤回を御検討いただきたいんですけれども、大臣のお考えを是非いただければと思います。

あべ国務大臣 様々な子供たちが、それぞれのいわゆる特性、障害を持っていたり持っていなかったり、そういう中にあって、やはり私たち文部科学省としては、インクルーシブ教育をしっかりとやっていくために、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための条件整備、さらには、一人一人の教育ニーズはそれぞれ違いますので、それに応じまして、通常の学級と通級による指導。

 実は、学校の先生方も、障害のことをよくお分かりじゃない先生方もいらして、なかなかその対応も難しい中にあって、特別支援学校、また特別支援学級なども含めた連続性のある形で、やはり一人一人の特性にしっかりと対応できるような多様な学びの場をしっかりと整備していくことを両輪として、まず取組を推進させていただきたいというふうに思います。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 今、子供目線、親御さんの負担目線というところも併せて御検討いただければと思います。

 続きまして、放課後デイサービス等で障害児の家族さんが利用する通所受給者証の利用上限額のところについてお伺いをさせてください。

 今、利用上限額のところは、非課税世帯さんなんかはゼロ円、それから、世帯収入が九百二十万円以下の御家庭さんは四千六百円、九百二十万を超えると三万七千二百円と、四千六百円から大きくジャンプして三万七千二百円になるというところで、何でこんなにジャンプするんだという声をいただいております。これを収入に応じて段階的にしてほしいという話がございますので、是非御検討いただきたいんです。

 昨今の高校無償化でも、所得制限撤廃の流れもあります。こ家庁さんといたしまして、この方針、段階的にする、若しくは限度額を下げるというところについての御見解を是非お願いします。

源河政府参考人 お答えいたします。

 障害児支援に関する福祉サービスの利用につきましては、一割の自己負担を原則としつつ、それが過剰な負担とならないよう、保護者の所得に応じた自己負担の上限額を設定しております。

 障害児支援の利用者負担の一月の上限額につきましては、平成十八年の制度創設時からこれまでの間、負担軽減の観点から累次の軽減を図ってきたために、先ほど議員から御指摘いただいた負担額となっております。

 障害児支援に関する福祉サービスの利用については、制度の持続可能性や公平性等を踏まえて設定しているものでございまして、累次にわたる負担軽減がなされた経緯もある中で、その見直しについては慎重な議論が必要であると考えております。

 いずれにいたしましても、障害児とその家族の支援は大変重要と考えておりますので、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思います。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 もう一点、形式的なところの質問で恐縮なんですけれども、所得制限のところで、障害児のサービスにおいては、世帯の合算で算定されますよね。ですけれども、児童手当、今、所得制限は撤廃されましたけれども、児童手当においては、所得制限は主たる生計者が基準として算定されている。

 どうしてこの主たる生計者と世帯というところの違いが出てくるのかについて、御教示をお願いします。

源河政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘いただきましたとおり、障害児支援サービスの利用者負担上限額の所得区分につきましては、同一生計にある世帯全体の所得によって判定することとしております。

 この私どもの考え方でございますが、障害児支援サービスを利用するに当たっては、負担能力のある方にはその能力に応じて負担していただくという考え方の下、障害児については世帯で監護されているということに鑑みまして、サービス利用に係る利用者負担上限額の所得区分につきましても、世帯全体の所得によって判定することとしているところでございます。

岡田(華)分科員 ありがとうございます。

 応能負担の考え方はもちろん承知なんですけれども、障害児だけじゃなくて普通の子供も世帯で監護している、保育しているというところもありますので、是非見直しをいただきたいと思います。

 特に、障害児を育てていらっしゃる御家庭さんというのは、普通の御家庭よりも、見えない出費というものもあります。そして、将来に対する不安、親亡き後の自分の子がどうなるんだろう、そういう不安の中で生活されている御家庭ですので、そこでほかの健常児の家庭と比べて厳しいような条件で算定されるというのは私は間違っていると思いますので、是非見直しの御検討をいただければと思います。

 放課後デイサービスのところをもう少しお話ししたかったんですけれども、時間が参りましたので、本日の質問は終了させていただきます。

 ありがとうございました。

山田(賢)主査代理 これにて岡田華子君の質疑は終了いたしました。

 次に、石橋林太郎君。

石橋分科員 自由民主党の石橋林太郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 大臣、済みません、今日は大臣への通告がございませんので、御退席いただいて構いませんので、よろしくお願いいたします。

    〔山田(賢)主査代理退席、主査着席〕

高木主査 大臣、どうぞ御退席ください。

石橋分科員 それでは、改めまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず初めに、拉致問題について少しお伺いをさせていただければというふうに思います。

 言うまでもなく、拉致問題は歴代政権において最重要課題とされてきているわけでありまして、現石破政権でもそれは当然のことであります。そんな中、先般、有本明弘氏が御逝去されたこと、本当に悔しくもありますし、本来であれば恵子さんにきちんと帰ってきていただいて、家族共に暮らしていただきたかった。それを実現できなかったことに対して、私たち政治に携わらせてもらっている者は、しっかりと反省といいますか、自戒の念も込めながら、今後も拉致問題の解決に向けて取り組んでいかなければならないということを、私自身にも、自分が自分に対してもそういうふうに強く思わせてもらっているところであります。

 そうした中で、文科省が直接の所管でないということは分かっているつもりでありますけれども、そうはいいながら、政権においての最重要課題でありますこの拉致問題について文部科学省としてはどのように取組を進めてきていただいているのか、そういったことを少し御披露いただければと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮当局による拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題と認識してございます。

 文部科学省としても、その解決に向けて若い世代に一層の理解促進を図るため、各学校における取組を促しているところでございます。

 具体的には、各学校に対して、アニメ「めぐみ」等の映像作品や、子供向けの「たいせつな人をとり戻すために」というパンフレット、電子漫画の「母が拉致された時 僕はまだ一歳だった」等の各種コンテンツの一層の活用や、政府拉致問題対策本部が実施する作文コンクールへの協力を促すとともに、教育委員会の人権教育担当者等を集めました会議の場で、拉致問題に関する参考資料を周知し、教育委員会や学校における研修の実施を促してございます。拉致問題も含め、人権教育の好事例の普及等を行う人権教育研究推進事業を実施する、この中でも拉致問題を含めているところでございます。

 引き続きまして、内閣官房拉致問題対策本部事務局とも連携しながら、理解促進に向けた取組を進めてまいりたいと考えてございます。

石橋分科員 御答弁ありがとうございました。

 言うまでもなくではありますけれども、この拉致問題は私たちも絶対に忘れてはいけないわけでありまして、そのためにも、小学校、中学校、高校、学校で子供たちにこの拉致問題をしっかりと分かってもらうということはとても重要だというふうに思っています。

 私、出身が広島なんですけれども、広島の有志で年に一回か二回かぐらい、拉致問題の街頭活動をさせてもらうことがあります。そのときに今御紹介いただいたパンフレットをお配りをさせていただいたりチラシをお配りしたりするわけでありますけれども、そのときに、歩いている中学生、高校生にも話しかけるんですね。メンバーはみんなブルーリボンをつけて活動しているので、少し、話しかけられる子には、拉致問題というのは知っていますか、このブルーリボンを見たことはありますかとかいう話をするんですけれども、そんなに多くの子が認識をしてくれているわけではないなというのが、これは広島のごく限られた地域の限られた時間の話ではありますけれども、率直な感想であります。

 文科省の取組が不十分とは言いませんけれども、まだまだ取り組む余地はあるのではないかと思いますし、何より現場の先生方がどれぐらいその認識を持ってくださっているか、どれぐらい重きを置いてくださっているかというのは、これはなかなか分かりませんので、できましたら、しっかり各学校でこの拉致問題、特に、おっしゃっていただいている主権の侵害でもありますし、人権の侵害でもありまして、我が国の国民の生命が危機にさらされている、我が国の主権が侵害されているということには変わりがないわけでありますので、これからの我が国を担ってもらう子供たち、主権者である子供たちが我が国の主権をしっかり守るんだという意識を持っていただけるようなことに向けて、引き続きしっかりと取り組んでいただければということをお願いを申し上げます。

 続きまして、君が代について、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 平成十一年に国旗・国歌法が制定されて以来、これまでの慣習上だけではなく、法律上も国歌と定められているわけでありますけれども、この君が代の歌詞の意味を、考えてみれば、現代語でといいますか、習ったことがないなとちょっと思いまして、今申し上げたとおり、国家の主権者たる国民を育てる学校現場で、国歌も非常に重要なわけでありますけれども、その国歌の意味合いについて今学校現場で子供たちにどのように指導して教えているのかということを少し教えていただければと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちが世界の中の日本人という自覚を持ち、国家及び社会の形成者として必要な資質を養う上で、国歌を知り、歌うことを通じて、国歌を尊重する態度を養うことは重要でございます。

 このため、小学校の音楽におきまして、学習指導要領に定めるところにより、国歌君が代は、いずれの学年においても歌えるよう指導しているところでございます。その際、国歌の指導に当たっては、「国歌「君が代」は、日本国憲法の下において、日本国民の総意に基づき天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念した歌であることを理解できるようにする」とする小学校学習指導要領解説音楽編を踏まえ、歌詞についても指導がなされているものと承知をしてございます。

 具体的には、国歌君が代は、「さざれ石」、細かい石が集まって、「いわお」、大きな岩となり、それがコケで覆われてしまうほどとても長い月日、年月に例えて日本の末永い繁栄と平和を願う歌ですといった教科書の記述を活用しつつ、国歌の歌詞の意味を児童と確認した後、国歌を歌うといった指導が行われているところでございます。

石橋分科員 ありがとうございました。

 今、意味合いについてはしっかりと御説明いただきましたし、誰もがおおむねそういう理解をしているんだということでありますけれども、ちょっと確認だけなんですけれども、現代語に訳したみたいなものはないということでよかったでしたか。

合田政府参考人 これは、私どもも持ち合わせておりませんし、全ての教科書を確認したわけじゃございませんけれども、教科書の記述は、先ほど申し上げましたように、学習指導要領の解説音楽編を踏まえまして、この国歌君が代全体の趣旨というものをお示しをして指導しているというものでございます。

石橋分科員 ありがとうございます。

 そういった全体の趣旨はしっかりとお教えをいただいているということでありまして、逐語訳のようなことはしていないというふうに思いますけれども、そうなると、なかなかほかの言語への翻訳というものも国歌としてはないのかなというふうに、君が代の歌詞そのものをほかの言語に訳しているものはないのかなと想像するわけでありますけれども、これもちょっと確認でありますけれども、君が代の歌詞そのものを、英語、またほかの言語に翻訳をしている事例があるかどうかを教えていただければと思います。

松田政府参考人 君が代についてでございますけれども、国旗及び国歌に関する法律において「国歌は、君が代とする。」とした上で、その歌詞と楽曲のみを定めておりまして、政府としてその外国語訳を定めることはいたしておりません。

石橋分科員 ありがとうございました。

 それと、今外国語訳はありませんということでありましたけれども、もう一点、翻訳という意味で、今年十一月にデフリンピックという大会が、聾唖の方のスポーツ大会ですけれども、これが日本で初めて開催をされるというふうに承知をしております。その場では各国の選手たちが手話で国歌を歌うというふうに思うんですけれども、手話における国歌の翻訳があるか、翻訳というか、手話での国歌の訳があるかどうかというのもちょっと教えていただけますでしょうか。

松田政府参考人 先ほども御答弁申し上げたとおりでございますけれども、法律上は歌詞と楽曲のみを定めておる、こういうような状況でございまして、手話表現、こちらにつきましても、定めることはいたしておりません。

石橋分科員 ありがとうございました。

 外国語への翻訳に関しましては、それはなかなか翻訳は正直難しいだろうなと私も思います。なぜならば、天皇という御存在そのものが他国に例を見るわけではありませんので、外国語に訳そうとしたときに、その外国語の中に適切な訳語がないというのは容易に想像がつくわけであります。

 現状、英語ではエンペラーという言葉が使われていると思いますけれども、これとて当時の英語圏の方が日本の天皇を何とか自分たちの言葉に直そうとしたときに、エンペラーかなということで当てたんだろうと思いますので、実際に、エンペラーは日本語ではむしろ皇帝と訳されることが多いかと思いますけれども、この皇帝という言葉と天皇という言葉は全くイコールにはならないわけでありますので。そういう意味で、エンペラーという訳語も必ずしも適切ではないかなと、これは私の個人的な思いでありますけれども、思うところでもあります。

 国際大会がせっかくあるわけでありますので、いろいろな団体さんが今独自の手話表現で君が代を表現しようと苦労を重ねていらっしゃるというお話は聞いております。せっかく、今般、デフリンピックが開催されるということでありますので、また手話での君が代についても、いろいろな団体さんからの御意見をいただきながら、文科省としても協力できるところは協力をしていただきたいなというようなことを思ったりもするところであります。

 先ほど君が代のことで、学校現場で、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴である天皇の世が長く続くようにというような全体の趣旨は教えていただいているというお話はいただきました。

 おっしゃるとおり、天皇陛下が、今上陛下百二十六代に至るまで、長く我が国にずっといらっしゃり続けているというのは、これは一つ我が国の特色でもあるというふうに思うわけであります。

 その中で、昨今少し話題になりましたけれども、その天皇陛下という御存在が、男系、父方の血統をつなぎ続けているということは皆さん御承知かと思いますし、その父方一系の中でも、八方十代の女性の天皇陛下も御即位を過去にされたということも御承知かというふうに思います。

 それを踏まえた上で、小学生、中学生、学校で天皇という御存在について教えたりすることもあるかと思うんですけれども、そのときに子供たちが、男系で父方の血統でずっとつながってきているんだということを理解できるような場面があるのかどうなのか、少し教えていただければと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 学校教育では、学習指導要領に基づきまして、小学校の社会科におきまして、天皇の地位を理解させるとともに、日本国憲法に定める天皇の国事に関する行為などを取り上げ、天皇についての理解と敬愛の念を深めること、中学校社会科において、日本国及び日本国民統合の象徴としての天皇の地位と天皇の国事に関する行為について理解することなどを盛り込んでございます。

 先生御指摘の天皇の男系、女系の存在について、学習指導要領上、記載がされておりません。今、私どもの確認している限りでは、教科書でも取り扱っている例はございません。

石橋分科員 ありがとうございました。

 日本国の象徴であり国民統合の象徴ということは理解をさせるようになっている、そして理解と敬愛の念をということは学習指導要領上もあるということでありましたが、しかし、男系、女系、いわゆる血筋の話についてはないということでありました。ないというのはよく分かりました。その上で、これは私は非常に重要な点ではないかなというふうに個人的には思います。

 私は三年前に初当選して初めての国会での質問がこの第四委員会でありまして、そのときには、少し神話のことに触れながら、神武天皇が初代で御即位をされて以来の血統であるというようなことをお話しさせていただきました。

 そういったことも今の学習指導要領ではもちろんないわけでありますけれども、そこのところの理解を少しずつでも促していく、そこのところをきちんと教えていかなければ、なかなか世界の中の日本人であるという誇りでありますとか自覚でありますとかというのを持ってもらうのは難しいといいますか、そういった側面で日本という国を理解することも必要ではないかなというふうに思うわけであります。

 今、静ひつな環境の中でではありますけれども、皇室典範の議論も進んでいて、それを中学生、高校生もニュース等々で目にすることもあるわけでありますが、そのときに、少なくとも男系、父系なのか女系なのかで、女系と女性の天皇陛下の区別がなかなかつかないということでありますと、我が国のありようについてなかなかきちんと理解をしていくことが難しいのではないかなと心配もするわけであります。

 これは学校の先生も同様でありまして、今の先生たちもそういった教育を受けていない。私も四十七ですけれども、同世代で学校の教師をやっている友達もいますが、私たちの世代も当然、そういった区別があるというか、そういった父系でずっとつながってきたんだというような認識を持つような教育は受けていないわけでありますので、是非そういったことも可能であればしっかりとお伝えをいただきたい。

 そして、その状態での天皇陛下が日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であると憲法に定められているわけでありまして、そういった事実を踏まえた上での天皇の地位への理解、また天皇に対する敬愛という念を育んでいくということも、国民を育てるという意味での学校教育においては非常に重要だと思いますので、是非御留意をいただければなということを思うわけであります。

 次の質問に移らせていただきますけれども、先ほど少し国歌君が代の話をさせていただきましたが、今度は国旗について少しだけお伺いをしたいと思います。

 私は以前にも同じような質問をさせていただきまして、そのときに、外交儀礼、プロトコルというやつで、国旗に対する敬意の表し方というか、国旗の掲揚の仕方に対しては非常に厳格なルールがある、これは国際慣習上成り立ったものであって、それを間違えると非常に相手国に対して失礼に当たるということがあるということを教えていただきました。

 今日お伺いしたいのは、国旗に対する掲揚の仕方ではなくて、掲揚ないしは表示をされている国旗に対しての敬意の表し方というものが何かあるのかどうなのか。画一的なものはないのだというふうには聞いているんですけれども、であるならば、我が国の子供たち、児童生徒は我が国なりの方法でしっかりと国旗に対して敬意を表することを学んでいるんだろうというふうに思うんですけれども。

 学校現場で、入学式、卒業式などが特に子供たちが国旗を目にする機会かと思いますけれども、そうした学校における行事におきまして、教育活動の一環として児童生徒に国旗に対してどのような態度を取るように教えていただいているのか、教えてください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 学習指導要領では、入学式や卒業式などにおきまして、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するよう指導するものと規定してございます。

 国旗掲揚の具体的な実施方法や児童生徒の態度に係る指導は各学校やその設置者である教育委員会等の判断に委ねられているところではございますが、学習指導要領等の趣旨を踏まえた方法で実施していただくことが大切だと考えてございます。

 国旗の具体的な掲揚方法は、今申し上げましたように、それぞれの具体的な判断に委ねられているところでございますけれども、一般には、掲揚するというのは、式場等において誰もが目につくところに掲揚されるというのが通常の形であるというふうに考えているところでございます。

石橋分科員 済みません。今、国旗の掲揚方法に関してはいろいろ委ねてあるというお話をいただきましたけれども、ごめんなさい、もう一回質問をさせていただきますけれども。

 掲揚されている国旗に対してどのような形で敬意を表すべきかという、その敬意の表し方、敬意を表する態度、国旗に対する態度というものを子供たちに卒業式、入学式などでどのように教えていただいているのかということをお答えいただければと思います。

望月政府参考人 失礼いたしました。

 学習指導要領の解説の方でございますけれども、入学式や卒業式で国旗掲揚を行う趣旨を「学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、新しい生活の展開への動機付けを行い、学校、社会、国家など集団への所属感を深める」と示しているところでございまして、この学習指導要領及びこの解説の趣旨を踏まえて、国旗に対する態度をそれぞれの学校において深めていくということを大切にしているという感じだと思います。

石橋分科員 済みません、例えば、具体的に、脱帽をするであるとか、正対するであるとか、直立になるんですかね、日本の場合は胸に手を当てたりということは基本的な慣習じゃないと思います、でも、正対をするでありますとか、そういう具体的な指導は特段ないということでよろしいでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 きちんと正式な形で国旗に対して向き合う、そういった具体的な形での学習指導要領上の指導はございません。先ほどの指導要領あるいは解説を踏まえて、国旗に対しての向かう態度を育てるということが基本となってございます。

石橋分科員 ありがとうございます。

 学習指導要領上にそういう細々したものはないけれども、各学校でしかるべき態度を養うように指導していただいているというようなことで理解をさせていただきました。

 これは非常に大切だと私は思っていまして、というのが、かつて、私の知り合いの方の話ではありますけれども、子供たちを連れて海外に野球の試合に行った。国際試合の大会があって、その場で相手国の国歌が流れているとき、国旗が掲揚されているときに、残念ながら子供たちがずっとおしゃべりをしていたという話がありました。それは子供たちは悪くなくて、そういうときにはこうするべきだよということを教えてもらえていなかっただけなんですけれども。

 しかしながら、そのことで、おしゃべりをやめなかったことで不利益を被るのはその子たちだと私は思ったんですね。よその国の人たちからすれば、何だ、この子たちは、他国の国旗が揚がっているときに、他国の国歌が流れているときに、きちんと敬意を示すこともできないのか、どこの子なんだ、日本の子だみたいになると、それは非常によろしくないわけであります。

 そのためには、日頃から、日頃の学校活動の中でしかるべき態度を取るように先生ないし大人が範を示す、子供たちもそれをしっかりと見てもらう。また、これからますます国際交流の場は増えていくんだと思いますので、そうしたときに相手の国の人に対して礼を失することがないような姿勢も大事だということも、この国旗というものを通じてしっかり教えてあげてほしいなということを思います。

 また、自分の国の旗に対してきちんとした態度を示している、その姿を見せることも、その子たちに対する、尊敬とまでは言いませんけれども、きちんとしているなという、国際標準での当たり前のことではありますけれども、そういった態度を子供たちが自然に取れるように育てていくのも、これまた国民を育てるという意味での学校教育の大事な役割だと思いますので、是非お願いをしたいなというふうに思います。

 そうした中で、国歌に対しての、次の質問でありますけれども、現状、基本的には、式典等々で国歌を歌うときにはみんな起立をして斉唱するわけでありますけれども、そうはいいながら、児童生徒の中にはどうしても君が代を歌いたくないという子供さんもいらっしゃるというふうに思います。そうしたときには、今、学校ではどのように対応するようになっているのか、教えていただければと思います。

望月政府参考人 先ほど合田次長からも御説明させていただきましたとおり、国歌に関しては音楽の指導等におきましてしっかり指導をしている、学校教育におきまして、国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を育てることは大事であるという観点から、国歌の指導をしているところでございます。

 ただ、このことは児童生徒の内心に立ち入って強制をしようとする趣旨のものではございません。あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくということをしてございます。国歌を尊重する態度が一人一人の児童生徒の心の中に自然と育まれていくように指導することが大切であると考えてございます。

石橋分科員 内心の自由に立ち入らないというのは非常に重要だとは思いますが、しかし、その子が特段何かの理由があって君が代を歌いたくないというのがあるんでしょうから、それは尊重する、しかしながら、その子がきちんと他国の歌や旗に対してしかるべき態度を取れるように教育をすることもまた大事だろうというふうに思うところでもあります。

 私は広島出身であります。何でこんなに君が代だとか日の丸の質問をさせていただいているかといいますと、さっきの、平成十一年の国旗・国歌法ができる、その年の二月二十八日に、広島県立の世羅高校の石川敏浩さんという当時の校長さんが自ら命を絶たれるという痛ましい事件がありました。その背景にあったのは、先ほど来お話がありますとおり、学習指導要領にのっとってのきちんとした国旗を掲揚し国歌を斉唱する卒業式を執り行おうとした校長先生に対して、当時の一部の先生たちが猛反対をした、民間の団体とともに猛反対をして、詳細は申し上げませんけれども、そのことが原因で石川校長は自ら命を絶たれた。その石川校長の自死も一つの要因となって、国会の方で御議論をいただいて、国旗・国歌法が成立したという経緯がございます。

 もう二十六年ほど前の話になりますので、だんだん当時のことを知っている方、認識してくださっている方も少し減っているのかなと思うんですけれども、事の本質は私は変わっていないと思っております。ですので、しっかりと、日本国の国民を育てる学校教育でありますので、その中で国民としてのきちんとした自覚を持ってもらう、同時に、それは、先ほど来お話をするように、天皇という存在に対する理解を深めることであったり、我が国の神話からつながるところの建国のことも含めた歴史に対する思いをきちんと持ってもらうことであったり、理解を深めてもらうことであったり、そして、それが、先ほど言っていただいたように、自然と国旗や国歌に対する敬意が出てくるようにというのは、そういったところを通じて出てくるものではないかなというふうにも思います。

 ですので、そういった思いを持ってまた学校教育をしっかりと進めていただきたいというふうに、これは本当に心からのお願いでありますけれども、是非進めていただきたいなと。私も、これは本当に、協力できることが何かありましたら絶対に協力をしていきたいというふうに思っているところであります。

 続いて、外国人の児童生徒さんのことについて少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 昨今、外国人の方が我が国にも増えてきたわけでありまして、そうなると外国ルーツの子供さんも増えてきておりまして、その子供たちも地元の学校に通ってくれているわけでありますけれども、その子たちに対応するための費用というのが、やはり日本人の子供だけの場合と比べますと、ほかの追加の費用がいろいろかかってきたりすると思うんですけれども、その費用面のことについて少し、どれぐらいお金がかかってくるものなのか、そこら辺を少し教えていただければと思います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 外国にルーツのある児童生徒数や、対応するためのその費用の増加見込みに関するデータというものはございませんが、日本語指導が必要な外国人の児童生徒等は、平成二十六年より約十年間で一・九倍に増加しており、今後もその増加の見込みがなされており、支援の充実が求められているところでございます。

 そのため、文部科学省では、日本語指導のための特別の教育課程を制度化し、併せて、日本語教育、日本語指導に必要な教員定数の着実な改善を行っているところでございます。

 加えまして、予算事業でございますが、日本語指導補助者や母語支援員の配置など、外国人児童生徒等への支援に取り組む自治体に対する支援を行っているところでございます。

 ちなみに、三番目に申し上げました自治体に対する支援、これは補助事業でございますが、帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細やかな支援事業、これを前年度比一・五億円増の十一・五億円計上しているところでございます。

 引き続き、日本語指導が必要な外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援に取り組んでまいりたいと思います。

石橋分科員 御答弁ありがとうございました。

 一定お金がどうしてもかかってくるんだなということがよく分かったように思います。これからも増えてくるであろうと思いますし、学校の現場の先生方の対応の話を少し聞いておりますと、いろいろな国の子がいるので、その国の子供たちの母語で対応するなんというのはやはり難しいわけでありますので、何とかしっかり日本語がしゃべれるように指導していくということが大事だと思います。

 また、外国ルーツの方に限らず、日本人の子供でも、外国で暮らしている時間が長くて、戻ってきたときになかなかその年齢の学年にすっと入るのが難しい子もいるやにも聞きますので、そういった点での日本語、国語の指導というのも大事なのかなと思いますので、この点もしっかりお取り組みいただきたいなということを思います。

 もう一点、外国ルーツの子供のことに関してお伺いしたいんですけれども、外国ルーツの子供に対する歴史教育についてであります。

 当然、外国ルーツでありますので、日本人ではないことが多いと思うんですけれども、そうはいっても、日本の国内で学校教育を受ける場合には、特に、数学とかそういうテクニカルの話は世界共通でいいんですが、歴史というのは、当然その国の歴史を学ぶわけでありますので、各国で違う、立ち位置も違う。その中で、外国ルーツの子供たちが日本の学校教育で歴史教育を受けるときに、もちろん日本の歴史を教えるということだと思うので、その確認と、同時に、外国のルーツの子供、その子の母国の歴史についても何か取組をしたりとかしているのかどうなのか、教えていただければと思います。

望月政府参考人 外国にルーツのある児童生徒にも他の児童生徒と同じ教育内容が学習指導要領で課されますので、同じ歴史教育についての指導をしてございます。

 具体的には、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な社会の形成者に必要な公民としての資質、能力を育成するということを目指して、我が国と諸外国の歴史や文化、国際社会における我が国の役割などについての学習、これは共通して行われておるところでございます。

 一方で、外国にルーツのある児童生徒につきましては、例えば、他の児童生徒が経験していない異文化での経験あるいは見方、考え方、感情、情緒などを持っていることも配慮いたしまして、自信や誇りを持って自己実現ができるよう、学習指導要領等におきまして一人一人の実態に応じた配慮を求めてございまして、実際に、各学校の工夫によりまして、そうした歴史教育の場ではないかもしれません、特別活動の場等を通じまして、いろいろな子供たちの学びを、その価値観、多様な価値観の中で交わりながら学習を進めているという事例は承知をしているところでございます。

高木主査 石橋林太郎君、時間が参りましたので、まとめてください。

石橋分科員 御答弁ありがとうございました。

 学校という場も一つの国際社会になり得るのかなということも思いますし、その中で多面的な価値観を学びながら、そうはいいながら、我が国の子供たちが日本の主権者として、しっかりと日本人としての自覚、誇りを持って育っていけるような学校教育の推進をこれからもお願い申し上げまして、質問を終わらせてもらいます。

 どうもありがとうございました。

高木主査 これにて石橋林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、黒田征樹君。

黒田分科員 日本維新の会、黒田征樹でございます。

 会長、大臣を始めたくさんの方々がまだ残っておられますけれども、長時間、本当にお疲れさまでございます。僕を入れて残り二名ということで、最後までおつき合いの方、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 我々が掲げておりました教育の無償化、そしてまた社会保険料の値下げ、こういったことが、昨年の末から自民党さん、公明党さん、そして我々日本維新の会は断続的に協議を続けてまいりまして、先日、合意文書が交わされました。その中の教育の無償化に関わる内容と無償化の意義、これについて大臣の認識をお聞かせいただきたいというふうに思います。

あべ国務大臣 黒田委員にお答えさせていただきます。

 先日、二十五日でございますが、自民党、公明党、日本維新の会の三党におきまして合意文書が取り交わされましたことは承知をしております。

 また、合意文書におきまして、全ての若い世代に対して多様で質の高い教育を実現するとともに、経済的事情による教育格差を是正し、また子育て世帯への支援を強化する観点から、論点の十分な検討を行い、いわゆる高校無償化を始めとして、給食の無償化や高等教育の支援などの改革を実現することとされているところでございます。

 文部科学省といたしまして、希望する誰もが質の高い教育を受けられるよう、教育費の負担軽減に取り組むことが重要であるというふうに考えているところでございまして、今回の合意内容の実現に向けて、御党の御意見もよく拝聴しながら取り組んでまいります。

黒田分科員 ありがとうございます。

 この実現に向けて取り組んでいただくということで、心強い答弁をいただいたというふうに思っております。

 教育の無償化の意義についてでありますけれども、大きく二つあると思っています。

 一つは、現役世代の可処分所得を増やすということです。

 先ほど厚生労働省が人口動態統計の速報値、これを公表いたしました。二〇二四年の出生数は七十二万九百八十八人で、統計を取り始めた一八九九年以来過去最少となったということで、前年度と比較すると三万七千六百四十三人減っている、前年度比で五%減少ということであります。

 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口では、出生数が七十二万人台となるのは三九年ということで、統計よりおよそ十五年早く少子化を迎えている、進んでいるというような状況で、その原因といたしまして、やはり物価の高騰による子育ての経済的な不安が高まったこと、そして未婚化の傾向が進んだということが背景にあるそうであります。

 ですから、現役世代の可処分所得を増やしていくという意味で、教育の無償化を進めていく、そして社会保険料を引き下げていく、この二つは本当に必要なことであるというふうに考えておりまして、今回の三党合意によってこれらが動いていくということは非常に意義のあることだというふうに思っておりますので、これはまさに大臣にお答えいただきましたけれども、実現に向けて全力で取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 そして、教育無償化の意義の二つ目ですけれども、やはり先ほども御答弁でもありましたけれども、子供たちが家庭の経済状況にかかわらずひとしく質の高い教育を受けられるということです。

 我々維新の会というのは、自立する個人、自立する地域、自立する国家というものを目指しておりまして、その中で、国民全体が機会平等、要は機会均等ですね、こういった環境の整備が必要だというふうに考えております。

 そういった考えの下で、大阪においては先んじて教育の無償化に取り組んできたということで、肝腎なことは、その財源をどうしていくかということだというふうに思います。国債発行とか増税、そういうことで国民とか次の世代に負担を求めるということをしていては本末転倒であります。

 先日、予算委員会でうちの西田議員が大臣にも質問されたときに、大阪は決して財政状況がいいところから始まったんじゃないと。非常に厳しい財政状況がある中で、改革によって立て直していく。その改革の中には、当然、公務員の皆さんにも御負担をお願いすることもありましたし、各種業界団体といったところの補助金も見直していく、若しくはゼロにしていく、そういった反発を受けることもやってまいりました。若しくは、高齢者に対する様々な優遇されている部分を見直していくということで、まさに改革を進めるといろいろな返り血は浴びることはありますけれども、それでも、やはり必要なことはやっていかないといけない。

 その前に、我々がずっと掲げ続けております身を切る改革というのは、やはり人に何か言う前に、まずは自分たちが身を正していきましょうというその覚悟の表れであります。当然、議員報酬の削減、議員定数の削減、これは大阪でも自分が出身の堺でも、予算全体からしたら微々たるものかも分かりませんけれども、それでも、やはりこの改革をする覚悟、税金の使い方を正していくというその覚悟を行政組織に伝え続ける。そのことによって、行政組織の皆さんが今全力で改革に取り組んだ結果、財源を生み出して次の世代に投資をしていく。そういう好循環な政治というものが大阪で行われているということは御理解いただきたいなというふうに思っております。

 そんな中で、合意文書の中にもありますけれども、今回のこの無償化の財源、これは国債発行とか増税じゃなくて改革によって賄うべきだというふうに記載もありますし、考えております。その点について、この財源確保、これは大臣の認識をお聞かせいただきたいというふうに思います。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 御指摘がありましたとおり、合意文書には、安定的な財源を確保するということが盛り込まれております。政府全体で徹底した行財政改革を行うなどにより安定財源を確保する、そういう記述になってございます。

 今後のスケジュールでございますが、骨太であったり八年度の政府予算案の編成過程、こういったことが待っているわけでございますが、そういった過程の中でしっかりと関係省庁と議論をし、また三党のいろいろな御意見を拝聴しながら、政府、そして三党と一緒になって取り組むべき課題と認識してございます。

黒田分科員 大臣、よろしいですか。今、大臣のお答えを聞きたくて、政治家としてのお答えを聞きたくて、大阪ではこういう改革をしてきたんですよという御説明をさせていただいたんですけれども。お願いします。

あべ国務大臣 文部科学省といたしましては、合意文書を踏まえた上で、令和七年度における具体的な制度設計を速やかに検討していきます。

 また、令和八年度以降の措置に関しましても、引き続き、三党の枠組みにおきまして合意事項の実現に取り組まれるものと承知しておりまして、その状況を踏まえながら、安定財源、特に政府全体においての安定財源の確保とまた併せて検討していくことが必要だというふうに考えております。

 以上です。

黒田分科員 大臣、ありがとうございます。

 繰り返しになりますけれども、大阪では、やはり様々な改革で財源を生み出した、まさに経常的にかかってくる経費に対して、借金や増税とかそういったことじゃなくて対応してきたということがありますので、そういったところはしっかり念頭に置いて進めていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

 それでは、合意文書の中にあります高校間での単位互換について、現在の取組についてお聞かせいただきたいと思います。

望月政府参考人 三党合意の合意文書の中に、高校間での単位互換の文言があることは承知をしてございます。

 今月取りまとめられました中教審の高校教育の在り方のワーキンググループの審議まとめにおきましても、学校間連携等を推進するために、単位制への移行への取組を更に進めていくことが有効であると考えられるとの御提言をいただいたところでございまして、文部科学省としましては、こうした提言を受けまして、高校生の多様な学びが選択できるよう、他の高校や他の課程、全日制、定時制、通信制とありますので、他の課程、学科の単位の修得を可能とする学校間連携等を推進するとともに、今年度から新たに、学年による教育課程の区分を設けない単位制への移行の在り方などの調査研究も進めてまいります。

 多様な学びが選択できる、そうした観点から必要な取組を進めてまいりたいと考えてございます。

黒田分科員 今も既に取り組んでいただいているということでありますけれども、文科省も推進してきました主体的、対話的で深い学びの実現、こういう方針に対して、今、現時点でそこが果たして目標とするところまで達成しているのかなというところは疑問に思っておりまして、高校は単位制というところであるはずですけれども、学年とかクラスを超えて履修するということはほぼないわけであります。

 そんな中で、例えば近隣の高校でコンソーシアムを構築して、単位の互換性を高めていく、そしてまた、学年、学校の枠を超えて好きな授業を選択できるようにするとか、さらに、そこにバウチャー制度、こういったものを利用しながら、子供たちが責任を持って自由に学びを選択できる、そういった制度も必要じゃないかなというふうに思っております。

 生徒が自分の学びを自由に選択するということで主体的な学びの強化も深まるんじゃないかなというふうに考えますし、この激動の時代に求められるのは、指示どおり正確に早くこなす人材ではなくて、自ら学んで、自己選択をして、そして自己決定ができる、そういった人材が必要だというふうに考えております。

 そういった環境をより整えていくことが必要だというふうに考えておりますけれども、そういった認識についてお聞かせいただきたいと思います。

望月政府参考人 高校生が主体的に学び、国家、社会の形成者としての資質を身につけるという観点は大変重要でございます。

 今、主権者教育も進めてございますけれども、今回の新しい、令和四年から適用されております高等学校の学習指導要領でも、探求的な学びということを一つ大きな柱に据えて教育課程を組む、編成をされてございますし、まさに委員御指摘の主体的、対話的で深い学びというのは、教科間を通じて、あるいは他の学科や他の課程の学びなどを通じて育まれていったり、あるいは、今、学年制、単位制を多くの学校が併用しているところでございますけれども、元々高等学校は単位制を趣旨とする学校でございまして、単位制の趣旨をしっかり生かしながら生徒の学びに向き合っていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。

黒田分科員 ありがとうございます。

 だから、方向性としてはおおむね一緒なのかなというふうに思うんですけれども、やはり今ある制度の中でなかなかそれを実行に移していくというのは難しい部分もあるんじゃないかなというふうに考えています。

 やはりこの制度自体を抜本的に見直していくという必要性があって、その問題提起でもあるわけですので、そういったところ、我々自身も、この三党合意の中でどうなっていくのか分かりませんけれども、しっかりと意見もさせていただいて、子供たちのよりよい学びの環境づくりのために力を尽くしていきたいというふうに思っていますので、その辺はまた勉強させていただくことも多いかと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、体育館のエアコン設置についてお伺いをしたいと思います。

 今出されております空調設備整備事業でありますけれども、これは新たに新設をしたということで、その背景とこの事業の特徴についてお聞かせいただきたいというふうに思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 まず、空調の設置率が低いということがございます。具体的に申し上げますと、令和六年九月一日現在における公立小中学校体育館等の空調設置率は一八・九%と、全国的に低いという状況がございます。

 そういう中で、近年の自然災害の激甚化ですとか頻発化を考えますと、その整備率の向上が喫緊の課題となってございます。そういう背景があって、今回の補助金が設けられたということでございます。

 今回の補助金の特徴につきましては、従来よりも補助が手厚いということですとか、断熱性を一緒に進めるですとか、そういう幾つかの特徴を持ってございます。

黒田分科員 ありがとうございます。

 設置率は確かに低いということで、自分が出身の堺市でも、昨年度、調査費がようやくつきまして、来年度から五年かけて全小中学校、支援学校を整備するということで進めていく。

 これまで緊防債の補助金を使ってというところを考えていたところですけれども、今回この事業を創設していただいたということによって、聞くところによると、堺市では、こちらを採用してやらせていただきたいということもおっしゃっておりましたので、この辺については、市の実情というか、踏まえていただいた上での制度創設なのかなということで、感謝を申し上げたいと思うんですけれども。

 一点気になっているのが、この予算が総額に達してしまうと次年度に回されるんじゃないかなという懸念も自治体はお持ちかなというふうに思いますけれども、そこは補正予算等で、その予算を超えたときも柔軟に対応できる、そしてまた、それによって自治体の計画に影響が出ないようにするべきじゃないかなと考えますけれども、その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 まず、初年度に必要な額として、令和六年度の補正予算で七百七十九億円を計上させていただいているところでございます。

 次のものについては、自治体からの計画を踏まえながら検討していく必要があるというふうに思っておりますが、我々としては、精いっぱい予算の確保に努めてまいりたいと思います。

黒田分科員 足りなくなったらどうなるとかはありますか。

笠原政府参考人 まず、初年度につきましては、スタートしたばかりでございますので、まだ若干の、幾つかの予算はございますので、追加の募集を今かけているところでございます。

黒田分科員 ありがとうございます。

 いずれにしても、各自治体では、設置していくとなれば、アナウンスも兼ねて、堺市だと、五年かけてやりますと市民にも発表した上でやっていくというところがありますので、その辺は影響の出ないように取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、続きまして、学校施設の老朽化対策についてお聞きをしたいと思います。

 今現在、全国的に学校施設の老朽化、こういったことが課題になっているというふうに思いますけれども、そもそも、文部科学省として、施設の老朽化に対する認識と現状の取組についてお聞かせいただきたいと思います。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、地域のコミュニティーの拠点となりますし、災害時には地域の避難所としての役割も果たしておりますので、老朽化対策は非常に重要であるというふうに認識してございます。

 そのため、文部科学省におきましては、やはり教育環境の向上と老朽化対策を一体的に行う長寿命化に向けた取組に対しまして、学校施設環境改善交付金により国庫補助を行うなど、自治体の取組を支援をしているところでございます。

黒田分科員 ありがとうございます。

 予算を見させていただきますと、何かちょっといびつな形になっているなと思うのが、これは、当初予算ですと六百億円後半、七百億円弱ぐらいで推移していますけれども、補正予算としてその倍の値段、一千三百億円とか、今年度は二千七十六億円とか、三倍近い補正予算がついたりもしております。

 単純に思うのは、これは何で当初予算のときに、初めからそれぐらいの金額を積んでいないのかなというところは気になるところではあるんですけれども、その辺について何かお答えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 我々としましては、自治体の計画が円滑に進むように、まずは政府としての概算要求をさせていただいています。その中で、国全体の財政状況を踏まえまして、政府全体として、補正予算と当初予算を合わせて、いずれにしても予算を確保していくというような形で今進めさせていただいております。

 いずれにしましても、補正予算と当初予算を合わせまして、自治体の計画がきちんと行えるように、我々としても取り組んでまいりたいと思います。

黒田分科員 合わせていただくのはそれでいいと思うんですけれども、やはり当初予算と補正予算が余りにも違い過ぎる、そして補正予算が多過ぎるというところで、本来は当初予算でしっかりと積算をした上で予算組みをしていくのが通常なのかなというふうに思いますので、どこまでそれが改善できるかはちょっと分かりませんけれども、そういったところは直していくように要望しておきたいというふうに思います。

 地方におけるインフラの整備、これは学校だけじゃなくて、道路、橋梁、トンネル、いろいろあろうかと思いますけれども、特に学校施設は、一九五五年から一九七三年の高度成長期、そしてまた、一九七一年から一九七四年にかけての第二次ベビーブームの世代が学校に通う一九八〇年代、ここに大きく整備が行われました。

 僕の地元堺市では、小学校が九十二校、中学校が四十三校、それに加えて、支援学校、幼稚園、高校とありまして、全体の延べ床面積の八割以上がこの時期に整備されたものであります。つまり、整備からおおむね五十年ほど経過しておりまして、現在、一斉に更新時期を迎えております。

 先ほども述べましたように、これは学校だけじゃなくていろいろなものが更新を迎えるという中において、地方自治体にとって大きな財政負担となっております。これは、多少は時期がずれても全国的に同じ傾向だというふうに思っておりまして、こういった自治体の財政負担に対して、文科省にも認識いただきたいのは、地方の厳しい財政状況と、あとは都市間競争における施策の優先順位、これの構造的な問題がやはり横たわっているわけなんですね。

 要は、今、人口を誘導していくために、各自治体は、経常収支が、指定都市だと九六%を超えています、一般市町村でも九三%を超えているという状況の中で、余力のある部分はどうしてもそういう住民サービスに振りがちになるというところで、特に堺市の場合は、数年前に財政危機宣言を発出して、経常収支は今も一〇〇を超えているというような状況で、そうなると、やはり投資的経費、維持補修費、こういったところの予算がどうしても先送りになるという現状があります。

 ですから、そもそも、今、文科省として整備に関する予算措置として取っている部分が、潜在的に潜んでいて、表に出ていない。要は、もっと本当はやりたいけれども、実際に自治体の負担としてのしかかってくることを考えれば、どうしても抑制をしてしまうというところがありますので、やはりその辺の正味の実態、要は、今、表に見えてくるその数字だけをもって自治体の需要を判断するんじゃなくて、潜在的に、本当に改修が必要なところにお金が回せないという実態を理解していただいた上で、そこは積算の根拠として乗せていただきたい。

 なかなか個別の案件について、自治体一つ一つというのは難しいかもしれませんけれども、ただ、これも全国的な傾向としては同じだと。財政は、いいところはいいんですけれども、多くの自治体が厳しい財政状況だというところを考えますと、やはりそういった実際の需要というところをつかむことに力を入れていきたいというふうに思っております。

 そんな中で、だから、これを進めていこうと思えば、当然、財政的な支援というものが地方自治体にとっては欠かせないというような状況で、一つは、今あるメニューの補助率を上げていくのか、それとも、新たなメニューを創設してやっていくのかというおおむね二つに分かれるのかなというふうに思いますけれども、子供たちの安全とか安心を考えると、これは待ったなしだと思います。

 これから全国的に施設の老朽化が課題になっていくという中で、やはりエアコンの設置、先ほどお話がありましたけれども、これは設置率が低いということで、ある意味、政治判断によって新たなメニューが創設されたということであると思います。僕自身は、エアコン設置も大事ですけれども、こういった老朽化対策に対して新たなメニューを作ってでも前に進めていく、そういう集中期間をつくってもいいんじゃないかなというふうにも考えております。

 そういった今のお話しした現状も踏まえて、認識をお伺いしたいと思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 我々としても、マクロの状態としては、先生がお話しいただきましたように、四十年以上経過した建物が半数あって、そのうちの七割の改修が必要だというマクロの状況はまず押さえてございます。

 あとは、先生おっしゃいますように、自治体の状況も我々も受け止めながら、きちんと検討していく必要があるというふうに思ってございます。

 補助率ですとか新たなメニューというお話がございましたけれども、非常にありがたいお話ではございますが、まさに今老朽化の補助メニューはございますので、まずそれをきちんと活用していただくということと、やはり補助率というものは、全体の国の財政状況が厳しい中で、全体の採択の件数にも影響することもございますので、慎重にいろいろなことを検討しながら進めていく必要があるというふうに思っております。

黒田分科員 国も厳しい財政状況なのは理解しているんですけれども、先ほどから言っていますように、地方自治体も非常に厳しいという状況です。

 自分自身も、学校施設を使った地域のイベントとかになると、施設の点検というか、僕自身が建設業出身なもので、外壁は大丈夫かなとか、そういったものは一応見させていただいた上で、何かあれば教育委員会に報告をする、そして補修をしていただくというようなこともしています。

 例えば、大きなモルタル片が落ちてきてとかというのもニュースでもありますけれども、実際に校舎とか体育館においてそういうモルタルが剥がれている事例とかというのもたくさん見受けられるという状況ではあります。これは、下に人が歩いていたら、子供が歩いていたら大惨事になりますので。そういった状況を目の当たりにしているからこそ、今こうやってお願いをしているわけであります。

 そういう実態を捉まえていただいて、すぐにそんなメニュー創設といっても、はい、分かりましたということにはならぬのは理解しているんですけれども、それぐらい地方の自治体は深刻だということを御理解いただきたいなというふうに思います。

 最後に教員の職場環境についてやりたかったんですけれども、これはほかの委員会メンバーに託すことにして、僕の質疑は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高木主査 これにて黒田征樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 最後、三十分、よろしくお願いいたします。

 高木主査、そして山田副主査、本当にお疲れさまでございます。そしてあべ大臣、本当に長丁場お疲れさまでございます。

 まず冒頭、子供のスポーツ、特に、例として、格闘技におけるルール形成の在り方について御質問させていただきたいと思います。

 二〇〇五年度以降の学校事故で亡くなった子供千六百十四人、何らかの障害が残った子供七千百十五人というデータがございます。運動中の心臓、循環器系での突然死であるとか、熱中症での死亡等があるそうでございます。また、フルコンタクトの空手とかキックボクシング、ボクシング、総合格闘技等、習い事としてのコンタクトスポーツの低年齢化が進行をいたしております。

 動画投稿サイトには、二歳の子供が空手の試合で蹴られて転倒する映像とか、小学生同士が練習で心臓の上を殴り合う映像とか、骨が未完成で命のリスクがある映像が多数見られます。昨年十一月には、小学生が反則攻撃で意識を失い、動けなくなった。そして、周囲の大人がその状況をしばらく放置するという映像が話題になりました。

 私自身、柔道をやるんですけれども、かつてフランスに住んでいまして、フランスにおいて柔道で人が亡くなるというのは、私からすると全く想像ができないです。けれども、日本では、亡くなる方がやはり歴史的に見ておられるということなんですね。

 まず、今日は厚生労働省にお越しをいただいております。子供の脳とか脊髄、頸椎、腰椎とか心臓といった、そういう部位に対する衝撃は、その後の成長に大きな悪影響を与えるのではないかというふうに思いますが、厚生労働省。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 幼少期を含めて、脳などに打撃を受けるということによって、御指摘のように生命を失う危険性があるということがあります。さらに、生命を失わずとも、その後遺症として、身体であるとか精神とか、そういった面に障害が生じる可能性がございます。

 先生の方から脳とか脊髄等々と御指摘がありましたが、例えば脳で申し上げますと、脳を損傷した場合には、それに起因をして、記憶障害であるとか注意障害であるとか遂行機能障害、社会的行動障害などの認知の障害が生じ、いわゆる高次脳機能障害となるような場合もある、このように承知をしております。

緒方分科員 我が国において、少なくとも、スポーツで子供の命が失われるとか、あるいは長期にわたって機能障害が残るとか、そういう事例はゼロを目指すべきだと思います。その実現に向けて、スポーツ庁、さらには、場合によっては厚生労働省の知見も得ながら、教育、啓蒙等を含むガイドライン整備が必要なのではないかと思います。特定のスポーツ、競技ということでなく分野横断的に、子供というのは、二歳児、三歳児というのはこういうことは控えるべきであるとか、そういった競技横断的なガイドラインが必要なのではないかと私は思います。

 大臣は看護師であります。この件は分かっていただけると思います。大臣の力強い答弁を求めたいと思います。あべ大臣。

あべ国務大臣 緒方委員にお答えをさせていただきます。

 スポーツにおける安全の確保は本当に重要でございまして、スポーツ団体等に対しまして安全対策を促す仕組みを整備することは大変重要であるというふうに私も考えております。

 文部科学省といたしましては、スポーツ団体、スポーツ大会関係者、また指導者等による取組が適切かつ確実に行われるように、大会、指導現場における安全確保の実態等について調査をしっかりとさせていただき、必要な対策に対して、早期に検討を進めさせていただきたいと思います。

 その上で、委員御指摘のガイドラインの作成という手段も含めて、文部科学省として必要な対応を整理をいたしまして、速やかに実行に移したいと考えています。

緒方分科員 大臣、ありがとうございます。

 本当にその答弁を待ち望んでおりました。もちろん、課題を整理して、そしてどういう手法があるのかというのは行政官の皆様方が考えていただければいい話でありまして、ともかく、子供の命が失われる、障害が残るというようなことにならないように。恐らくこれはスポーツ庁の長官、室伏長官も分かっていただけると思います。絶対分かってくれると思います。

 今日、実は、後ろの傍聴席のところに、私の福岡県立東筑高校の同級生で、現在医師をやっております二重作拓也さんという方が来ております。K―1のリングドクターをやったりして、こういった問題を間近で見ている人間でして、この問題、何度もスポーツ庁、文部科学省に申入れをしてきましたが、彼にアイデアを出してもらって、そして、私がいわば国会内で根回しをしながらということでこれまでやってまいりました。本人は喜んでいると思います。これが絶対にうまくいくように、大臣の御配慮をよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、質問を移したいと思います。

 なかなか文部科学省のこういう質疑の中で出てこない、日展、そして日本芸術院の問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 萩生田大臣の時代に改革が行われまして、そしていろいろなことが変わったんですけれども、萩生田大臣の改革の後、懸念されたのが、現会員が候補者をたくさん擁立して、そして、自分たちの意に沿わない有力な候補が日本芸術院の会員として選ばれないようにするというような、そういうことが結構懸念されたんですね。なので、萩生田大臣の改革の後、更に二年後ぐらいに少し選考の規定を見直しているというふうに理解をいたしております。

 今日、尊敬する合田次長、来られておりますので、何を行ったか、まず答弁いただければと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本芸術院の会員選考でございますけれども、今、緒方先生に御指摘をいただきました。緒方先生にも、平成二十七年三月十日の本分科会で、この点、御質疑をいただきました。私ども、それをしっかり踏まえて改革をさせていただいたところでございます。

 改革のポイントは、一つは日本芸術院の閉鎖性の問題、それからもう一つは、新しい分野への取組が不十分ではないかという点でございました。

 細かい改革の方向性については御説明は省かせていただきたいと存じますけれども、今、緒方先生からお話がありましたのは、選考方法の中で、まず、これまでと異なりまして、文化庁が指定する外部有識者の方も含めて推薦を行う、そして、外部有識者の方も入った選考委員会が、補充予定数の二倍というところまで絞り込みを行う。

 その上で、それまでは、一部、二部、三部の各部の投票を行って、過半数を得た者を部会が推薦する者とするということだったわけでございますが、今御指摘をいただきましたように、令和四年度よりこれを二回の投票というふうに変えてございまして、一回目の投票で補充予定数まで絞り込んで、二回目については信任投票という形にしたところでございます。

 それによりまして、私ども、これは御指摘を賜っておりますように、例えば写真、映像、デザイン、映画、漫画といったような新しい分野を加えてございます。こういった新しい分野の方々がしっかりと会員になれるような選考過程になっていっている、実際にそういう大きな流れになっていっているというふうに考えているところでございます。

緒方分科員 上に法があれば下に対策がありというような感じで、制度を見直すと、どうやっても、つまり、昔は何だったかというと、現職の会員の選挙によって選ばれるというので、現職の会員からかわいいやつだと思ってもらえない限り日本芸術院に行けない、そういう構図があったのを、十年前、私はこの場で指摘をして、そこからしばらく動かなかったんですが、私の落選中の二〇二〇年、二一年ぐらいだったと思いますが、これは日本学術会議の話と結構似ているんです、そこで改革が行われた。しかし、引き続き、現会員が、自分たちの意に沿わない人をどうにかしてはじこうとする力がやはり働いていたというのがあって、今のように信任投票の形に変えたというのがあったんですが。

 私が二〇一五年に日本芸術院について質問したのは、元々、二〇一三年に発覚した日展不祥事がきっかけでありました。当時、日展五科におきまして、日展顧問が入選とか特選とかの割り振りをするときに金銭が絡んでいたというところから、日展改革、そして日本芸術院のところまで波及していったということなんですね。

 当時の下村文部科学大臣は、うみが出切るまで改革をするという表現を使ったことを私、すごくよく覚えています。現在の日展は、うみが出切った状態であるというふうに思われますか。合田次長。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 公益社団法人日展は、平成二十六年七月二十八日に取りまとめた改革案に基づきまして、組織運営や日本美術展覧会の審査体制について改革を進めました。先ほど申し上げましたように、翌二十七年三月十日に本分科会で緒方先生からこの点について御指摘をいただいたところでございます。

 私ども、本分科会での御指摘も踏まえまして、平成二十六年十月三十一日から十二月七日まで行われました改組第一回日本美術展覧会、このときには文化庁の後援名義はなかったわけでございますが、これにつきまして、文化庁による確認を行いました。

 具体的には、外部審査員から審査状況のヒアリングをいたしました。また、全ての審査関係者に対するアンケート調査を行いました。その結果、私どもとしては、今回の取組というのが、審査が公正かつ公平に実施されている体制が十分確認されており、問題になったような事案が再発する懸念はないという状況であると評価をいたしまして、平成二十七年八月十七日付で文化庁の後援名義等を許可したところでございます。

 文化庁といたしましては、その後、現在に至るまで、日展において改革案で示されていた事項が全て実施され、日本美術展覧会における審査が公正に実施されている体制が十分に確立されていることを、毎年度毎年度、誓約書を提出させて確認の上、文化庁の後援名義の使用等を許可しているところでございます。

 下村大臣の言葉をかりれば、うみは出切っていると存じますが、ただ、気を緩めることなく、今後とも、日本美術展覧会につきましては、公正で適切な運営が確保されるように、文化庁としてしっかりと取り組んでまいりたいと存じております。

緒方分科員 かつては、日展入選百万円、日展の特選一千万円、日本芸術院会員一億だと言われた時代があります。

 二〇〇四年に出た、黒川博行さんという方が書いた「蒼煌」という本がありますが、帯のところに、先生、一億まかなあかんのでっせと、日本芸術院会員の選挙に関して書いてある。フィクションなのかノンフィクションなのか分からないんですけれども、非常によくできた本なんですけれども、先生、一億まかなあかんのでっせというような言葉で売り出された小説でありました。

 今、この日展入選百万円、特選一千万円、そして日本芸術院会員になるには一億必要だというような時代は解消されているというふうに思われますでしょうか。合田次長。

合田政府参考人 私どもは、文化芸術というのは、人間の尊厳に関わる重要な、大事な営みだと思っております。そのことが毀損されるような行為というのは絶対あってはならないというふうに思っておりまして、私どもは、先ほど申し上げたように、日展につきましては、外部審査員からのヒアリング、あるいはアンケート調査などを通しまして、そういうことはなくなっているというふうに認識をいたしております。

 ただ、先ほど来申し上げておりますように、私ども、日本美術展覧会というのは、若い方々も含めて、美術に対して志のある人にとってフェアな、公正な挑戦の場であるということが大事だというふうに思っておりますので、公正で適切な運営が確保されるように引き続き対応してまいりたいと存じます。

緒方分科員 改革後の日本芸術院第一部美術の会員の選考では、建築とかそういった分野の方を除くと、日本芸術院賞の受賞者がそのまま会員になっていっているというケースが大多数なんですね。しかも、その日本芸術院賞受賞者については、その後、芸術院会員に推薦していくときに、やはり会員の方が推薦に絡んでいるというのが、大体、例外は幾つかあるんですけれども、パターンなんですね。

 まずお伺いしたいと思うのが、日本芸術院賞の選考方法というのはどういうふうになっておりますでしょうか。合田次長。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本芸術院賞の選考でございますが、会員からの候補者の推薦、それから授賞候補者選考委員会及び選考部会というところで選考していくという流れでございますが、私ども、日本芸術院賞の選考におきまして、規則上は外部の有識者の意見を聞くことができるということになっているわけでございますが、記録により確認できる範囲内では、過去、外部より意見を聞いた実績はないというふうに承知いたしてございます。

 しかしながら、私ども、広く意見を聞くことは重要であるというふうに考えておりますので、改革の一環として、日本芸術院賞の選考に当たりましては、外部の意見が取り入れられる仕組みとなるように、私ども文化庁として、日本芸術院に強く求めてまいりたいと考えてございます。

緒方分科員 少し私の次の質問の答弁にも入っていかれたんですが。

 結局、どこかで、現職の会員たちが自分たちの意向に沿うような形で日本芸術院の会員を選べるように、その体制を維持したいと思ったときに、これまでは、古い体制のときは、そもそも投票するわけですからそこで権限を行使できたわけですが、実際選ぶところについては制度が改正されて、なかなか手を突っ込みにくくなった。そうすると、その一歩手前の日本芸術院賞のところで、ここは会員がもうほぼ有権的に賞を選んでいくわけですから、そこで選ばれた人間が事実上日本芸術院会員になっていくというような、そういう仕組みの見直しを、影響力を残すために、そういうことをやっているのではないか。

 そうすると、結果として、現会員の覚えがめでたい人間でないとやはり日本芸術院会員になれないという状況が引き続き維持されるんじゃないかということを、私はすごく危惧をするわけですね。今、合田次長、そこについても、恐らく、通告のときに私の問題意識を伝えたことを踏まえての次長答弁だったと思います。

 実際のところ、幅広い層から日本芸術院会員が選ばれてほしい。百二十人の大きな組織ですけれども、一部、二部、三部で、二部と三部は余りこういうことが起きないんですね。一部だけなんです、美術のところだけこういうのが起きるんです。金が絡む、そして、特定の人間からかわいいと思ってもらえないとなれないような体制にはしてほしくないと思います。

 大臣、一般論で結構ですので、そういう体制にはしないんだという、本当に細かいことは結構ですので、大臣の思いをお聞かせいただければと思います。あべ大臣。

あべ国務大臣 次長からも御説明がありました。

 やはりしっかりと改革をしていきながら、次長とともに、また、私どもは芸術文化はまさに大切だと思っておりますので、取組をしてまいりたいというふうに思います。

緒方分科員 二〇一五年の、私がこの場で質問したときに、下村大臣は何と言ったかというと、改革の検討を日本芸術院に求めたいと思いますと言ったんです。それで、実際求めたんです。求めたんですけれども、中で検討してもらっても、五年間ぐらい全く動かなかった。会議は何十回とやっているんです。動かなかったんです。

 何で動くようになったかというと、日本学術会議、あの話と、実は芸術の世界と学術の世界というのは物すごく仕組みが似ているんです。あのときに、日本学術会議が問題なのであればこっちだってという話になって、日本芸術院の方に火がついて、そして改革になった。

 実は、文化庁が動き始めないと、中で検討してくれといったところで、中で検討することが余り現実的でないというのを、だって、五年間あって、五年間、何回も会議をやったけれども動かなくて、実際、立憲民主党の菊田真紀子さんがたしか文部科学委員会か何かで質問したときに、萩生田大臣が、では、やりましょうというふうにやって動き始めたら、三、四か月ぐらいで改革案ができて、ばっと進んだということがあったんですね。

 なので、やはり文部科学省、そして文化庁が主体的に動かないとこの件は動かないのであるということを強く強調させていただきたいと思います。

 そして、この件は終わりまして、続きまして、質問を移したいと思います。

 特別支援教育の振興についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 地元北九州市では、特別支援学校等による指導のために、個別指導等に当たる職員や医療的ケア看護職員を配置しています。しかし、これらの職員については定数化されていないので、会計年度任用職員として雇用して、任用上の困難が生じています。

 また、特別支援学校のスクールバスの運営費についても市費負担となっています。さらには、バスに乗ることができない医療的ケア児については通学支援をしているんですけれども、通学費自体は都道府県の就学奨励費の対象経費となっているんですけれども、送迎車両に係る交通費が支給対象となるかどうかというのは自治体判断です。なので、都道府県ごとに扱いが異なります。

 このような問題意識から、特別支援教育を推進する人員の定数化、就学奨励費における通学費の取扱いの基準を統一することを含む通学支援運営費への支援を検討すべきではないかというふうに思いますが、これは望月局長、よろしくお願い申し上げます。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 学校における障害のある児童生徒の支援体制を整備していくこと、これは今待ったなしの課題であるというふうに考えてございます。

 今、北九州市の例を緒方先生から挙げていただきましたけれども、特別支援教育支援員、これは省令改正をしまして、各学校で必要な職として定めてございますけれども、だからこそ、各それぞれの学校で必要なことであるということで、配置状況を毎年度把握しつつ、その実績を上回る地方財政措置を講じてございまして、令和七年度の措置は、三千二百人をプラスする七万六千四百人の措置を考えているところでございます。そうした自治体による配置を、いろいろな相談に乗りながら後押しをしていきたいという考えでございます。

 医療的ケアの看護職員につきましても、今、補助事業でやってございます。ここも、七年度につきましては、保護者の付添いの解消に向けた配置に関する補助を、拡充を考えてございまして、医療的ケアの看護職員の配置事業としては、七年度予算案としては、三百五十人増の四千九百人を定数化する。この定数化というお話でございますけれども、各自治体の在籍する児童生徒等の障害の状況等も踏まえまして、柔軟に雇用形態も含めて判断をしていただくという観点から、現在、地方財政措置あるいは補助事業として運用しているところでございまして、これも、自治体の状況も踏まえながら、我々としても拡充をしたいというふうに考えているところでございます。

 もう一点の、スクールバスの運営費に関することも御指摘がございました。各自治体における標準的な運用として、平成十七年度から地方財政措置を講じてございまして、運行委託費についても、三十年度より地方財政措置の拡充が図られてございます。

 医療的ケアの必要なお子さんに対する通学に要する交通費も、交通費も、これは福祉タクシー等による送迎も支援の対象とはしてございます。その点を自治体が集まる会議でも周知をしているところでございまして、通学費の取扱基準を統一するという御指摘でございますけれども、この事業は自治事業として実施をしてございます。財政事情、それぞれ個々の児童等の障害の状況を踏まえまして、我々も相談に乗りながら、御判断をいただきたいというふうに考えているところでございます。

緒方分科員 先ほどから何度か地方財政措置ということを言われましたが、つまり、地方交付税ということですか。

 地方交付税の算定根拠のところに入ってきても、一括でばんと来ちゃうので、実際に、では、財政当局との折衝の中で、それが皆さんが想定するようにきちっと回るかと言われると、なかなかそれは回らないんですよね。

 だって、算定根拠、ましてや、例えば主査の御地元なんて東京ですから、そもそも地方交付税をもらっていないわけですし、そういう、別に不交付団体の話をいろいろ言うつもりはないですけれども、ただ、地方交付税に入っているから、だからしっかり対応してくださいというのは、これは言われた地方自治体は、結構心を折るんですよね、またそれかというふうに思うんです。

 もう一歩踏み込んでやるべきではないかというふうに思いますが、局長、もう一言。

望月政府参考人 地方財政措置ということを、私ども、繰り返しでございますが、学校として、あるいは自治体として標準的な経費として、我々としては必要なものという形で積算をさせていただいてございます。

 これは、自治体の意気込みもあって、更にそれ以上実は措置している自治体もある一方で、確かに、緒方先生おっしゃるとおり、それをうまく活用していないというのが、医療的ケアの支援に関すること、あるいは特別支援教育の支援も、更にプラスである自治体もあるけれども、そこまでいっていない自治体もあるところでございまして、我々としては、いろいろな必要性も含めて、いろいろなお問合せもいただきますので、それを周知し、やはり必要に応じてしっかりと活用していただくということを進めたいというふうに考えてございます。

緒方分科員 地方交付税で対応しますというふうに言われても、地方交付税というのは、皆さん議員をやっていれば分かると思いますけれども、せえのドンでまとめて来るわけでありますので。

 一応、我々が聞かされるのは、ミシン目がついていますと。ここは実はこれ用です、ここはこれ用ですというんですけれども、実際の自治体の中の財政折衝の中で、では、本当にミシン目どおりに切り分けてくれるかというと、いや、うちは優先順位がこっちですからというので蹴散らされているケースなんて幾らでもあるわけですよね。だから定数化の話をしているんです。この件はそう簡単ではないと思うので、課題としたいと思いますが。

 最後に、全く別の問いを一問させていただきたいと思います。

 英語教育の中で、英検とかいろいろな検定があるんですけれども、外務省が後援している国連英検というものがあります。とてもいい試験だと思います。国連の知識を身につけた上で試験を受けて、難しいんですけれども、しないと合格しないということで、国際人を育成していくのに非常にいい試験だと思って、私も実は受けまして、特A級に合格したんですけれども。

 ただ、現在、受験者の減少等の課題があると理解をいたしております。実際、私も去年の表彰式に行きましたけれども、要するに、今は国連協会の会長の大宗匠がおられるので何となく盛り上がっているんですけれども、それがなくなってしまうときにどうなるのかということを非常に不安を持ちました。

 こういった国際人を養うのにとても重要な英語の検定、様々な場で活用してもらうべきだと私は思っています。国連英検の合格資格をいろいろな資格の認定の際に使っていくように営業をかけていくべきではないかというふうに思います。

 答弁は、外務省、平成六年、同期入省であります斉田参事官にお願いしたいと思います。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、緒方先生からございました、一九八一年に日本国際連合協会により開始された国連英検は、国連の理念である国際協力、国際理解をコンセプトに、真に役立つグローバルコミュニケーション能力の育成を目的、目標とするものであり、外務省も後援しております。

 日本国際連合協会では、ホームページやSNSでの広報、受験対策動画の掲載などを通じて、国連英検の受験者増加を図っていると承知します。また、一部の高校で無償のトライアル受験を開始するといった、受験者の裾野拡大を図る取組も予定していると承知します。

 このような協会の取組を外務省として後押しするため、今申し上げました外務省の後援に加えまして、国連英検特A級上位合格者への外務大臣賞の授与を実施してきております。また、国際機関に若手の人材を派遣するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、JPO、この選考試験において、国連英検の特A級合格を審査の際の考慮要素としております。

 外務省としましては、これらの点も含めて、日本国際連合協会と引き続き連携していきたいと考えております。

緒方分科員 それでは難しいんじゃないかと思いますが、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

高木主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日金曜日午前八時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時七分散会


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