第1号 令和7年2月27日(木曜日)
本分科会は令和七年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。二月二十六日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
伊藤 達也君 齋藤 健君
古屋 圭司君 奥野総一郎君
酒井なつみ君 西田 薫君
二月二十六日
齋藤健君が委員長の指名で、主査に選任された。
令和七年二月二十七日(木曜日)
午後一時開議
出席分科員
主査 齋藤 健君
伊藤 達也君 福原 淳嗣君
古屋 圭司君 向山 淳君
東 克哉君 奥野総一郎君
酒井なつみ君 福森和歌子君
山 登志浩君 斉木 武志君
西田 薫君
兼務 小森 卓郎君 兼務 若山 慎司君
兼務 荒井 優君 兼務 井坂 信彦君
兼務 平岩 征樹君 兼務 大森江里子君
兼務 高井 崇志君 兼務 福島 伸享君
…………………………………
経済産業大臣 武藤 容治君
内閣府副大臣 古賀友一郎君
農林水産副大臣 笹川 博義君
経済産業副大臣 大串 正樹君
経済産業大臣政務官 加藤 明良君
会計検査院事務総局第一局長 佐々木規人君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 井上 学君
政府参考人
(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長) 馬場 健君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 大森 一顕君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房審議官) 向井 康二君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(警察庁警備局長) 筒井 洋樹君
政府参考人
(財務省主税局国際租税総括官) 細田 修一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 奥野 真君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 坂 勝浩君
政府参考人
(農林水産省農産局農産政策部長) 山口潤一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房長) 片岡宏一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 南 亮君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 河野 太志君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小見山康二君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 奥家 敏和君
政府参考人
(経済産業省貿易経済安全保障局貿易管理部長) 猪狩 克朗君
政府参考人
(経済産業省イノベーション・環境局長) 菊川 人吾君
政府参考人
(経済産業省製造産業局長) 伊吹 英明君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官) 茂木 正君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 木村 大君
政府参考人
(観光庁国際観光部長) 中野 岳史君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 小田原雄一君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 伊藤 哲也君
政府参考人
(防衛装備庁技術戦略部長) 松本 恭典君
経済産業委員会専門員 花島 克臣君
予算委員会専門員 中村 実君
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分科員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
古屋 圭司君 栗原 渉君
酒井なつみ君 福森和歌子君
西田 薫君 萩原 佳君
同日
辞任 補欠選任
栗原 渉君 向山 淳君
福森和歌子君 東 克哉君
萩原 佳君 斉木 武志君
同日
辞任 補欠選任
向山 淳君 上田 英俊君
東 克哉君 山 登志浩君
斉木 武志君 西田 薫君
同日
辞任 補欠選任
上田 英俊君 坂本竜太郎君
山 登志浩君 酒井なつみ君
同日
辞任 補欠選任
坂本竜太郎君 福原 淳嗣君
同日
辞任 補欠選任
福原 淳嗣君 向山 淳君
同日
辞任 補欠選任
向山 淳君 古屋 圭司君
同日
第四分科員荒井優君、大森江里子君、福島伸享君、第六分科員井坂信彦君、第八分科員小森卓郎君、若山慎司君、平岩征樹君及び高井崇志君が本分科兼務となった。
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本日の会議に付した案件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
(経済産業省所管)
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○齋藤主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。
私が本分科会の主査を務めることになりました齋藤健でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。
政府から説明を聴取いたします。武藤経済産業大臣。
○武藤国務大臣 令和七年度の経済産業省関係予算について御説明申し上げます。
日本経済を成長軌道に乗せるため、政府では、近年、大胆な施策を展開してきております。
昨年、三十三年ぶりに百兆円を超える国内投資や五%を超える賃上げが実現されるなど、ようやく明るい兆しが出始めています。この動きを本格化させ、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現してまいります。
特に、AI、半導体やGXを始め、これからの成長分野の国内投資を力強く後押しする施策を打ち出していくことが必要です。
このため、令和七年度経済産業省関係予算として、一般会計三千五百二十五億円、GX推進対策費六千八百三十九億円を含むエネルギー対策特別会計一兆四千二十二億円、特許特別会計一千五百四十四億円、さらにAI・半導体産業基盤強化フレームに関わる予算のうち、GX推進対策費などを除いた一千四百三十三億円も含め、合計二兆五百二十四億円を計上しました。また、復興庁計上の東日本大震災復興特別会計のうち、二百八十二億円が経済産業省関連予算として計上されております。
委員各位におかれましては、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
なお、詳細の説明はお手元に配付しております資料のとおりですが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。
○齋藤主査 この際、お諮りいたします。
ただいま武藤経済産業大臣から申出がありましたとおり、経済産業省所管予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○齋藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔予算概要説明は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○齋藤主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○齋藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。
質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。若山慎司君。
○若山分科員 自由民主党の若山慎司でございます。
本日は、経済産業の分野についてお尋ねをさせていただくんですが、本来であれば木曽川を挟んでの武藤大臣にいろいろとお話をお伺いしたいところではございますが、まだまだ私はその域に及んでおりません。本日の質問内容につきましては全て政府参考人の皆さんにということで予定をしておりますので、この場で一旦御退席をいただきましても結構でございます。長時間ですけれども、頑張っていただきますように。
○齋藤主査 では、武藤大臣、御退席、結構ですので。
○若山分科員 それでは、質問をさせていただきたいと思います。
今般、中小企業の助成や金融支援についてお伺いをしたいと思います。
我が国の中小・小規模事業者の多くは、コロナ禍以降、物価高、燃油高、人手不足、円安といった様々な要因により、大変厳しい経営環境にさらされております。
私の地元におきましても、多くの御相談が寄せられていますけれども、通常ですと資金繰りであるとか売上げの減少、原材料費の高騰といったところなんですけれども、そればかりでなくて、事業承継に不安を感じている、仕事はあるけれども、増産したくても人手がない、派遣で埋めても採算が合わない、利益率が悪化しているといった、農業でいうなら豊作貧乏というようなお話まで、ほぼ全面的に何がしかの課題を抱えているというものが実情でございます。
私自身は、こうしたお声に寄り添って、しっかりと御助言申し上げたり、いろいろな方を御紹介したりということで対応しておりますけれども、労働力の不足であるとか為替の問題については、しっかりと国として取り組んでいかなければならない問題だと思っております。特に、労働者不足の問題につきましては、多くの産業別団体から特定技能制度についての御要望が上がっていることと思います。経産省においては、遅滞なく関係機関との協議をお進めいただきますように、お願いを申し上げたいところでございます。
さて、中小企業の助成、支援という視点に戻りますと、より直接的なものとしては資金の注入であったり、また制度融資のメニューを用意することで、何とか再起を図っていくことが可能な企業を下支えしていく、こういうことが重要になろうかと思います。コロナ禍にあっては再構築補助金であるとかいろいろなメニューがございましたけれども、今般の厳しい状況にあって、政府として、こうした事態に直面している企業にどのような助成事業、また制度融資をお考えになっているのか、お聞かせください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
まず、金融面からの措置について申し上げます。
日本政策金融公庫は、多様なニーズに対応するべく様々な融資制度を措置しておりまして、例えば、コロナ特別貸付けを利用して、引き続き厳しい状況にある中小企業の皆さんの借換えに対応いたしますため、危機対応後経営安定貸付を新たに創設しております。
また、地域の民間金融機関との協調融資を促進する資本性ローンも拡充したところでございまして、現場の各支店は、必要となる計画策定に向けたアドバイスをするなど、寄り添いながらその利用をサポートしているところでございます。
加えまして、創業希望者やスタートアップ向けには、創業サポートデスクやスタートアップサポートプラザを開設いたしまして、個々の状況に応じた制度提案などの伴走支援を実施してきております。
こうした個々の中小企業の課題やニーズに対応した金融支援を全国の中小企業にしっかりお届けできるよう、日本政策金融公庫では、事業者に対する融資制度の周知に加えて、税理士や商工会議所等の地域の支援機関と連携し、勉強会等を繰り返し開催しているところでございます。これらの取組を含めて、引き続き関係機関と連携しながら金融面での支援を進めてまいります。
また、中小企業が新たな事業に挑戦し、企業規模や付加価値向上を通じた生産性向上につなげていくことは重要でございます。このため、補助金を新たに措置をいたしておりまして、今般、新事業進出補助金を措置いたしまして、中小企業の新事業進出を後押ししていくこととしております。
引き続き、中小企業を取り巻く状況を注視しながら、適切な支援を実施してまいります。
○若山分科員 ありがとうございました。
実際に、ほかにもこれまで動いている助成事業もたくさんあろうかと思います。中小企業の皆さん、経営者の皆さんから出てくることは、やはり、そういったものが多くあり過ぎて、どれが自分のところに当てはまるのかというのがなかなか分かりにくいというようなお話もございますので、是非、フローチャートのようなものの中で、分かりやすい補助事業の紹介の仕組み、適性診断みたいなシステムがあると非常に便利かなと思っております。
また、いろいろな補助事業の採択を受けた後の事務手続についても、なかなか事務局との、説明の不十分さとか行き違いなどでせっかくの補助金がもらえなかったというような事案もちょっと耳にしております中で、こうした点も踏まえてやっていただければなと思っております。
また、融資についても今お話しいただきましたけれども、政策金融公庫には、中小企業に寄り添った、しっかりと相談を聞いていただくこととともに、いろいろなアドバイスを引き続きやっていただきたいな、こう思うところでございます。
では次に、燃油高対策についてお伺いしたいと思います。
企業経営全般において燃油高が与えている影響というのは多うございまして、二〇二四年問題を抱えていた運送事業者さんを始めとしたこういった物流業界もそれに直面してきたわけでございますが、全産業にわたってこのエネルギー価格の高騰というものは影響を受けている。
本来、円安やロシアによるウクライナ侵攻といったものが要因で価格が上がっているというところもありますが、野党の提出されておられる基金を取り崩しての予算の修正案に基づくようなものというのは、これは私は本質的な問題の解決にはなっていないのではないかなというふうに感じております。
そもそも、油だけが高騰しているわけではなくて、エネルギー価格全般が高騰しているこの現実を受け止めなければならないときに、その時宜に応じたエネルギーの価格対策というものを打っていくためには、資源エネルギー庁による直接的な価格対策というのが最も効果的ではないかというふうに私は感じておるところでございます。
つけ加えるならば、これまでの価格対策について、私どもの地元の繊維業界の一部から、都市ガスに関して支援がないのではというようなお声がありました。ロシア・ウクライナ紛争後に原油よりも価格が高騰したんですけれども、原油と天然ガスとは異なるということで支援の対象外だったというようなお話もあって、二〇二三年二月に国の支援対象となった重油から都市ガスに転換した企業が不利益を被ったというような事態も生じていると伺っております。その救済というものは、全業種にわたって起こっている問題ですので、やはり漏れなく行われるのが本来ではないかというふうに感じております。
政府として、エネルギー高騰を受けたこうした燃油等の上昇に対してどういった対策をお考えになっているのかということをお聞かせください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
激変緩和事業でございますけれども、これは、原油価格の高騰が国民生活それから経済活動に与える影響を緩和することを目的とした補助事業として実施をしているものでございます。
これまで、原油価格の変動に応じまして、補助額を柔軟に調整しながら、小売価格の急激な上昇を抑制してまいりました。現在は、ガソリンの小売価格で申し上げますと、全国平均でリッター当たり百八十五円程度となるように支援を継続をしてございます。これは、補助がなければ百九十八円程度となるところ、十三円程度の補助を行うことで小売価格を抑制をしてきてまいっております。
本事業では、補助事業という特性を生かしまして、ガソリンだけではなくて、灯油、重油、様々な燃油についても支援の対象としまして、それから、迅速かつ臨機応変な価格抑制を図るということ、それから、補助の仕組みを調整することで買い控えとかそうした流通の混乱を防ぐといったことで、柔軟かつきめ細かに対応してきたところでございます。
結果、全体として見れば、想定した水準前後に価格を抑制することができておりまして、燃料油等の高騰に伴う負担を軽減するとの目的を一定程度果たしてきたものと考えてございます。
○若山分科員 国民生活、ひいては全産業に大きな影響を与える状況でございますので、しっかりとお進めいただくと同時に、こうしたことには不測の事態もこれまで何度も我々は経験をしてきたところでございます、どうぞ引き続き時宜を得た御対応をお願いしてまいりたいと思います。
次に、繊維産業の再生ということについてお伺いをいたします。
私の地元一宮を含む尾張地域というのは、繊維産業の一大集積地でございまして、尾州織物として世界に誇るブランドを有しております。これからもこのブランドを守っていくために、地域における繊維産業の実態を正確に把握して対策を講じていくという必要があるというふうに感じておるところでございます。
ただ、繊維産業全般にわたって大変厳しい時代を迎えておることも事実でございまして、価格転嫁の制度化とか、設備更新の支援、企業統合の促進であるとか、海外輸出の支援とか、賃金アップへの支援などということが常に繊維の各会社さんから求められるところではございますが、先ほどのエネルギー高騰のこともそうでありますし、人手不足についても同じく抱えているところでございます。
ただ、我が国の繊維産業の内実を考えますと、日本製の繊維製品の国内消費というのが確実に今減っていっている中で、国内繊維産業が今後生き残っていくためには、ほかの産業同様に、高付加価値の糸や生地、製品の輸出を増やしていくということがどうしても必要になってまいります。
しかし、欧米での繊維業界には、これを採用してもらうようにするためには、素材の国際的な認証というものを得ないとなかなか今採用してもらえないという現実もあります。私の地元の繊維産業の皆さんの構造を考えてみても、中小・小規模企業の分業制というようなもので成り立っているような側面もあることですから、国際的な認証をそういう小さい会社が取るというのはなかなか難しいところがございます。
日本のこうした繊維産業の構造を国際的に理解をしていただくということを働きかけていっていただくことも大事ではありますが、他方、経済産業省が独自に認証基準のようなものを設けて、その基準を満たした日本製素材を欧米各国に認めてもらえるような仕組みづくりということも是非実現していかなければならない。また、当面の問題としては、そうした中小企業が認証を取りにいくときに何らかの形で助成してあげられれば、これは強い力になるのではないかというふうに感じております。こうした課題について経済産業省としてどういう取組をお考えか、お聞かせください。
○伊吹政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の繊維産業、尾州、一宮産地を始めとする各地に形成された繊維産地が中心となって、高品質かつ風合いや肌触りがよい生地を製造することで、国内外から高く評価をされてきたというふうに承知をしています。
一方、先生から御指摘あったように、近年の繊維産業は、国内生産量が減少をしてございまして、その中で、事業者、従業員、減少傾向にございます。特に、撚糸、染色工程を中心に、高齢化、人材不足、こういったことで事業の継続が非常に難しくなるということも発生していますし、安価な海外製品に対する国内製品の競争力の低下の影響を受けて、製造工程におけるサプライチェーンが毀損する、そういうリスクがあるというふうに認識をしてございます。
このような状況を受けまして、経済産業省では、昨年の十月から繊維産地におけるサプライチェーン強靱化に向けた対応検討会というのを立ち上げてございます。この中で、事業継続、人材確保、それから、産地の価値向上の方策を含めた、産地の製造業者の支援、サプライチェーン強靱化を図るため、産地の中核となる企業のスケールアップ、それから海外市場を含めた販路開拓に対する対応策を検討しているところでございます。尾州産地からも一人、経営者の方に御参画をいただいているところでございます。
引き続き、業界の皆様、産地の中小企業の事業者を含む様々な関係者の意見を聞きつつ、中小企業支援施策等の様々な支援に加えて、我が国の繊維産業の競争力強化に向けてどのようなことができるか、引き続きよく検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○若山分科員 ありがとうございました。
まさに今、この瞬間、多分、その検討会、今日行われているのではないかなと思いますけれども、地元からも出席をさせていただいて、御意見をおっしゃっていただいているというふうにも伺っております。
繊維産業の構造について考えると、ただいま御説明のあった検討会に、製造工程の上流部分、今お話のあった撚糸であるとか染色であるとか、こういった工程に携わる企業の声も直接的に反映させられるような仕組みというものも今後引き続いて取り組んでいただきたいと思っております。
また、国の補助制度は、機械なんかの設備の部分で、先端技術の設備導入に関する補助金というのは多々あるわけなんですが、この繊維産業、昭和時代の、戦後高度経済成長期を支えた、よい製品を作れる機械というものをまだ持っていたりするんですけれども、やはりメンテナンスをする費用を賄えないというようなこともあったりで、泣く泣く手放したりスクラップにしたりというようなこともされている会社があるやに伺っております。どうぞ、先端技術だけでなく、古きよき設備も維持していける仕組みも併せて御検討いただければと思います。
次に移ります。
我が国の宇宙産業の将来性についてお伺いをしたいと思います。
私個人ではございますが、実は、内閣府の副大臣の秘書をさせていただいたときに、準天頂衛星の関係のお仕事をされている方の下でお仕事をしました。既にあれから十五年がたったわけでございます。初号機が打ち上げられてから既にこれだけの期間がたったわけですが、初号機の「みちびき」で、初号機の開発で四百億円がたしか当時投じられたのではなかったかと思っております。
衛星でこれぐらいお金がかかる話ですので、単年度で三千億円ぐらいのお金を積んでいくということはどうしても必要なことではあるのでないかと思っておりますし、また、補正での措置がというような御批判もありましたけれども、本予算はやはり国民生活に直結するようなところで組まれていくところを考えると、補正でこれだけのお金を積んでいかないと宇宙開発というのはなかなかうまくいかないのではないかなというようなことは正直な感覚として持っておるところでございます。
こればかりは、去る二月二日に「みちびき」六号機が打ち上げられましたけれども、獲得競争が激しい静止軌道を維持、確保するために五と六を逆転して先に打ち上げられたというふうにも伺っております。日一日こうしたものを世界の国々と争わざるを得ない宇宙開発の現実というものを直視せざるを得ないという思いでございます。
こういった高い測位精度を持っている技術というものが確立していけば、元々、自動運転であったりドローンであったり、こういったものの精度が上がればやれることというのは実は増えてまいりまして、今般の八潮市での陥没事故等も含めてですけれども、公共設備の、施設の老朽化というようなことも、衛星からのこういった技術が進んでいけば生かされることもたくさんあるのではないかと思っております。
是非、宇宙開発に資する物づくりに重要なこの基金の活用が、私の地元愛知県も航空宇宙産業の集積地でもございます、地元にとってもこの基金の活用というのは大いに期待されるところではございますので、国としてこの基金の活用についてお伺いをするとともに、どれほど重要なものであるのかというところを改めてお伺いしたいと思います。
○伊吹政府参考人 お答え申し上げます。
愛知県には、宇宙産業に加えて、自動車、航空機等の産業で培った技術力、製造基盤が存在しており、宇宙産業の成長を支えるポテンシャルのある地域の一つだというふうに認識をしてございます。
経済産業省としては、宇宙戦略基金等を通じた支援により、こうした宇宙産業の成長を後押しをしていきたいと思いますが、具体的には、昨年度、まず補正で千二百六十億円措置をされていますが、ここでやろうとしていることは、多数の衛星を配備をして高頻度な観測それからリアルタイムな通信を可能とすることで、国民の生活や産業を支え、安全保障にも寄与する衛星コンステレーション、これの早期実現に向けた取組を支援していくこととしてございます。また、今年度補正予算で措置された一千億円を活用して、衛星の競争力に直結するロケットの製造、それから衛星データを利活用するサービス、こういったものを支援していく予定にしてございます。
こうした取組を実施することは、地域の方から見ると、衛星やロケットのサプライチェーンを支える企業、地域経済の活性化、それから、衛星データを利用したサービスによる今先生からも御指摘あった防災とか減災、農業等の地域課題の解決、こういった地域への還元も期待できるところだというふうに考えてございます。
地域の企業による宇宙産業への貢献、それを通じた地域経済の発展が好循環となっていくよう、引き続き強力に後押しをしてまいりたいというふうに考えてございます。
○若山分科員 ありがとうございました。
あわせて、ここで申し上げるのもあれですが、今お名前を拝聴していて気づきましたが、私、秘書時代に大変お父様の伊吹先生にお世話になりまして、こんなところで御挨拶を申し上げることではないかもしれませんけれども、お名前から、うっと思って、気づいて、つい口に出てしまいました。申し訳ございません。
それでは、あとは、時間のこともあると思いますので、ちょっと一括してお話を申し上げたいと思います。万博と観光産業についてということで、この後、二問予定をしておりましたが、総括的にちょっとお話しさせていただいて、それぞれもし御答弁をいただけるものであれば。
大阪万博もいよいよスタートということでございますが、一生に一度、万博とオリンピック、一遍に経験できるというのはなかなか貴重な機会でございますけれども、残念ながら東京オリンピックは画面で感動を感じるしかなかった。今度の大阪万博は、いよいよ、コロナも関係なく、関係なくと言ってはいけませんね、感染には対処しながら、直接触れることができる機会を得ることが我々はできたわけでございます。
ただ、本当に多くの皆さんがまだ、万博のよさといいますか、どういうものになっていくのかということを感じられずいる方もいらっしゃるようでございますので、この機会に、地元の社会科見学なんかも私は、愛知県からですと日帰りできますので、促してみたいなと思ったりもしておりますし、そうした万博の御紹介をいただきたいと思うことが一つ。
改めて、それに関連してですけれども、こうした機会を生かして、観光産業の振興ということで、経済産業省としてアウトバウンドも含めどういう取組をお考えになっているのかということを、併せてそれぞれお伺いできればと思います。
○茂木政府参考人 御質問ありがとうございます。
万博では、参加国の特色を生かした海外のパビリオンですとか、それから、それを始めとした多彩なパビリオンが体験いただけます。それから、音楽ですとか文化関連のイベントも連日開催されますので、ある意味非常に魅力的なコンテンツがあふれているわけですが、御指摘ございましたとおり、まずは、何が見られてどんな体験ができるのかというのを分かりやすくお伝えしていくことが大事だというふうに私どもも考えています。
来場者の関心というのは、いらっしゃっていろいろ発見していただくというのが非常に大事だとは思っているんですが、あえて私の個人的な推しを申し上げますと、例えば、世界最大の木造建築である大屋根リングというのがございまして、これは、上から壮大な眺望も望めますし、それから下から見上げますと日本の伝統建築を体験できるという、そういう格別な施設でございます。それから、各国の文化的な特色がパビリオンで見られるんですが、その中で、それぞれのパビリオンも各国の料理なんかを御提供されるということなので、これはある意味、世界との予期せぬ出会いを体験できる、そういうことになるかと思います。それから、火星の石ですとかiPS心臓ですとか、こうした新しい技術にも触れていただけますし、政策的にもGXとかDX、ヘルスケアの未来、こういったものを体感できるということですので、こうしたものをしっかり皆さんにお伝えしていきたいと思っております。
加えて、やはり、来場に当たりまして、是非早めの来場をお勧めをしております。比較的混雑が少ない、かつ季節もいい前半を私どもは特にお勧めをしていまして、入場券もその時期はお得でございます。
それから、パビリオンの予約が難しいという御指摘も受けております。この点も、スマートフォンとかパソコンなどがなくても、当日御来場いただいていろいろ御覧いただける施設もたくさんございますので、こうしたものもしっかりとPRをしていきたいというふうに思っております。
既に全国の旅行代理店さんで二百五十を超えるツアーも販売されておりますので、こうしたツアーも御活用いただきながら、是非万博にお越しいただければというふうに思っております。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
インバウンド観光、アウトバウンド観光、それぞれ、地域の消費を拡大する観点又は旅行業や航空業界の活性化という観点から非常に重要であると認識しております。
経済産業省におきましては、インバウンド観光につながるイベントや日本の魅力を発信することを通じて観光産業を支援してきております。
具体的に申し上げますと、令和五年五月に観光立国推進閣僚会議において決定された新時代のインバウンド拡大アクションプランに掲げられた目標実現に向け、東京国際映画祭や伝統的工芸品月間国民会議全国大会のほか、地方誘客にもつながるクリエーティブ領域における地域資源の可視化等の取組を実施しております。
加えまして、アニメ等のコンテンツ産業についても、作品の聖地化に起因したインバウンドの拡大にもつながることから、そうした産業の振興等を着実に実施しております。
引き続き、観光庁を始めとした関係省庁と連携を密にしながら、観光産業の振興に寄与する取組を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○若山分科員 ありがとうございました。
私自身も非常に楽しみに万博を迎えたいと思っております。また、観光産業の一層の振興に私自身も微力を尽くしながらやってまいりたいと思っておりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。ありがとうございました。
○齋藤主査 これにて若山慎司君の質疑は終了いたしました。
次に、向山淳君。
○向山(淳)分科員 自由民主党の向山淳でございます。
本日は、質問の機会をありがとうございます。今回、議員としての初めての質問に立たせていただきます。(発言する者あり)はい。
武藤大臣宛ての質疑はございませんので、差し支えなければ御退席をいただきまして結構でございます。ありがとうございます。
○齋藤主査 大臣、御退席ください。
○向山(淳)分科員 それでは、続けさせていただきます。
さて、二月の十八日に、我が国のエネルギー基本計画及びGXの二〇四〇ビジョンというものが閣議決定をされました。令和七年度の予算においても種々その方針に沿った事業が掲載をされておりますが、本日は、その中でも、私の地元の北海道道南でも開発が進んでおります洋上風力発電について、まずお伺いをしたいというふうに考えております。
私自身、エネルギーの安全保障を一つのライフワークにしたいというふうに思っておりまして、前職の商社時代にダニエル・ヤーギンの「石油の世紀」という本を読んで大変衝撃を受けまして、歴史的にもエネルギーの獲得競争というのが国家間の紛争にまで発展するのかということについて非常に大きく痛感をしたところでありました。
前職では海外で火力、風力、太陽光、地熱などの電源開発又は投資という事業にも従事をしてくる中で、日本の国際競争力の低下ということについても非常に大きな焦燥感を感じているところであります。中国などの大型の需要家が台頭してくる中で、エネルギーについて、早晩、日本が買い負ける時代、これが来るんじゃないかということに危機感を非常に持っております。
そして、福島の原発事故以降、火力に依存する中での中東の情勢の不安定化であったり、シーレーンのリスク、又はウクライナ戦争によって、エネルギー価格の上昇や経常収支の悪化というところで、私たちの生活、目の前の日々についても、目に見える形でこの問題が明らかになっているところだと考えております。
正直、日本において完璧な電源というものはないというふうに思っておりますが、しっかりSプラススリーEの原則を堅持するということを前提に、輸入に頼ることなく発電できる再生可能エネルギーというのは日本にとって重要な電源だというふうに考えております。
第七次のエネルギーの基本計画では、再生可能エネルギーを四〇年度の電源構成で四割から五割と、初めて最大の電源と位置づけております。その中で、洋上風力については、主力電源化に向けた切り札というような記載でございます。
そこで、資源エネルギー庁にお伺いをいたします。
二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットの案件を形成するというのはかなり野心的な目標でもあるかと思いますけれども、その達成に向けて、政府としてどのような取組をしていくのか、御見解をお願い申し上げます。
○伊藤(禎)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘いただきましたとおり、洋上風力発電につきましては、我が国におきまして、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札の一つとして、第七次エネルギー基本計画にも明記したところでございます。
政府としまして、今御紹介いただきましたとおり、二〇三〇年までに十ギガワット、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットの案件形成目標を掲げておりまして、これまで既に約五ギガワットの案件を創出しているところでございます。今後、二〇四〇年の案件形成目標を達成していくために、領海内の案件形成を着実に進めていくとともに、洋上風力発電設備の設置エリアを広大なEEZ、排他的経済水域に拡大するための法律案を今国会に内閣府を中心に提出させていただく準備をしているところでございます。
その際、EEZを含む水深の深い海域に設置可能な浮体式洋上風力の開発が重要となってまいります。特に、浮体式洋上風力におきましては、高いコスト、また、大量生産に係る技術が課題であることから、経産省としまして、グリーンイノベーション基金を活用した大規模実証等により、世界でまだ運転実績のない大型風車を低コストに量産する技術の確立を目指してまいりたいと思っております。
また、洋上風力産業を支える国内サプライチェーンの構築につきましても、経産省として、浮体基礎の製造等に関する設備投資についても支援を行うこととしております。
御指摘いただきましたとおり、完璧な電源というのがなかなかない中で、国内に洋上風力発電の産業基盤、技術基盤を形成しながら、二〇四〇年の案件形成目標達成に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○向山(淳)分科員 御答弁ありがとうございます。
本当に、産業の基盤をつくっていくというところにも大きな期待をするところでございます。
その中で、私の地元の北海道は洋上風力の有望な地域というふうになっておりまして、再エネ海域利用法に基づいて、現在、渡島、檜山管内では、松前沖、せたな沖が洋上風力の有望区域として取組を進めているほか、石狩など日本海側でも開発が活発化をしているところであります。
洋上風力が切り札と位置づけられている一つの理由は、海に囲まれた島国ということもありますし、また、将来的なコストの低減ということも見込まれる部分かと思います。
一方で、本邦では、ラウンドワンで事業者が応札した千葉県の銚子沖の案件について、二〇二五年の一月の予定の着工を先送りをいたしまして、事業性を再評価するというような報道もございました。
世界的にも、一昨年から如実にインフレ等々で洋上風力の採算が厳しくなって停滞をしているという状況が起きているというふうに認識をしております。
洋上風力の世界最大手のデンマークのオーステッドが配当を停止したり、また、人員削減、ノルウェー、スペイン、ポルトガルの市場から撤退をするといったことであったり、又は、ノルウェーのエクイノールも、ベトナム、スペイン、ポルトガル、フランスから撤退をして、オーストラリアでも縮小をすると。
先般就任をされましたトランプ大統領も、初日に洋上風力事業向けに大統領令を署名するということで、連邦政府の管理の土地の貸与というのを停止をするということで衝撃を与えました。米国は、バイデン政権下では二〇三〇年までに洋上風力を三十ギガワットまで拡大をするという目標を出していたわけですが、恐らく明確に方針の転換がなされたものというふうに思います。
中国の次に大きな市場のイギリスも、二〇三〇年までに六十ギガワットの導入目標に達しないという見込みであったり、また、ドイツやオランダについても達成率が七割程度と、厳しい状況なのかなというふうに思っております。
こうした欧米の状況というのは、インフレであったり金利上昇、人件費、資材価格の高騰、サプライチェーンの混乱などなど、事業採算の悪化ということだというふうに思うんですけれども、主要部品の多くを欧米からの輸入に頼っている日本にとっても、今後、この高騰によって計画が難航するという可能性も高いのではないかというふうに考えられます。
政府は、切り札だというふうに言っています洋上風力の世界で、この状況というのをどのように受け止めておられるか、そしてまた、今後、洋上風力の開発が滞りなく進んでいくために、次のラウンドで入札の事業者が応札するのをちゅうちょしないというような手だて、又は運転開始まできちんと完遂をしてくれるというようなための対策というのをどのように考えているか、お答えをお願いいたします。
○伊藤(禎)政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたとおり、洋上風力発電につきましては、世界的なインフレの影響を受けまして、世界各国でプロジェクトの中断等が発生していると承知してございます。
こうした中で、日本国内の洋上風力発電プロジェクトについて、事業が完遂されることが大変重要だと考えておりまして、そのための事業環境整備が重要であるということで、今般、第七次エネルギー基本計画にも明記したところでございます。
この観点から、具体的には、入札後の物価変動リスクに対応して価格を調整する仕組みの導入でありますとか、あるいは、撤退や遅延を防止するための保証金の増額など、関係審議会におきまして公募制度の見直しを行うこととしまして、次回の公募プロセスから適用することとしております。
また、本制度見直しにおきまして、事業者選定済みのプロジェクトにつきましても、保証金の増額を含む今般の制度見直しを受け入れる事業者につきましては、将来の物価変動等を反映する仕組みを適用することとしているところでございます。
引き続き、国民負担に中立的な形で、事業実施の確実性を高めるための環境整備を進めるべく、着実かつ丁寧な対応を進めてまいりたいと存じます。
○向山(淳)分科員 御答弁ありがとうございます。
本当に、再生エネルギーの切り札として、国の戦略としてしっかりやり切らなきゃいけないという部分だと思っておりますし、また、受入れを検討している地域にとっても非常に産業として重要な取組だというふうに思っておりますので、こうした公募の改定ということで事業者の参入を後押しする、又は、証拠金の積み増しということでしっかり完遂していただくということについての後押しを今後もお願いをしたいというふうに思います。
そして、風力発電の更なる導入の拡大に向けては、北海道など風力の発電の適地と需要地を結ぶ送電網の整備が重要となっております。採算性の課題の一つとして、今まで洋上風力を含めて大規模な電源開発を余り想定をしていなかった地域というゆえに、送電網が脆弱であるという課題もあろうかと思います。
洋上風力の促進のためには地内の基幹系統が重要だと思っている中で、こちらをしっかり増強していくという取組をしていくべきではないかというふうに思いますが、ここについての御見解をお願いいたします。
○伊藤(禎)政府参考人 お答えいたします。
洋上風力を含む再エネの大量導入と電力の安定供給強化のためには、系統増強が重要と認識してございます。経産省におきまして、二〇二三年三月に策定したマスタープランを踏まえて、全国大で地域間連系線、また地内系統等の整備に向けた対応を進めているところでございます。
こうした中、洋上風力等の更なる導入拡大に向けては、委員御指摘ありましたとおり、地内の基幹系統等をこれまで以上に効率的に整備することが重要と承知しております。
このため、第七次エネルギー基本計画におきまして、各エリアの一般送配電事業者等が地内の基幹系統等を効率的、計画的に整備をし、そして、その費用をエリアを越えて負担する仕組みの検討を進めていくこととしてございます。さらに、整備を行う一般送配電事業者等の資金調達が制約となって系統整備に遅れが生じることがないよう、託送料金制度における費用の回収の在り方など、制度的な対応も検討してまいります。
こうした措置を通じて、再エネ導入に必要な地内系統等の整備を着実に進めていきたいと考えております。
○向山(淳)分科員 御答弁ありがとうございます。
地内の基幹系統ももちろんですし、今後、北海道と本州間の海底直流送電を始めとする地域間の連系線の整備というところも含めて、脱炭素電源をしっかり活用していく、そして、今回のエネルギー基本計画とGXプランの中でも指摘をされました、脱炭素電源を活用した産業集積というところにも力を入れていただければというふうに思っております。このGXとDXがしっかり脱炭素電源の確保も含めて行われるということが、我が国の国際競争力にもつながっていくものというふうに考えております。
そして、洋上風力関係で、価格競争力ということを考えたときに、一点、経済安全保障の観点についても申し述べたいというふうに思います。
欧米のメーカーより二割から半額というふうに言われることもありますけれども、中国のメーカーが圧倒的な価格競争力というところで市場を席巻をしております。中国の風力タービンの生産能力というのが世界市場の六〇%を占める、ブレードは世界市場の六四%、ギアボックスでも八〇%、発電機は七三%という状況と認識をしております。
先般、富山県の入善町沖に、着床式の洋上風力では国内初となるような、民間の一〇〇%出資で一般海域の洋上風力発電事業が設置をされました。ここでは、中国のミンヤン製の出力三メガワットの風車を三基設置をしているところであります。
米中の対立が先鋭化する中で、世界で、国家の安全保障、競争力を左右するようなデータというのも非常に重視をされております。特に洋上風力では、風力であるとか風向のほか、海に囲まれた日本の防衛にとって重要な海流のデータというのを集めるということもできるわけです。
欧州においては、EU域内のサプライチェーンの拡充に協調して、サイバーセキュリティー条項の導入という形で、ある意味、中国メーカーの排除ということも行っている現状があろうかと思います。価格競争力があるということではあるかと思いますけれども、中国メーカーに海上の風況であるとか海底地形ということを把握されるような、安全保障上の問題にならないような努力も必要かというふうに考えております。
とりわけ日本の場合は、日立製作所が一九年に国内生産から撤退して、国内の発電機を手がける国内有力メーカーが存在しないという現状の中で、また、この風力自体は、部品数も二万点と非常に多くて、産業の裾野も太陽光以上に広いというような産業だというふうに思っております。
日本は、保守や基礎を含めて、洋上風力のサプライチェーン全体で四〇年に国内調達比率六割という政府目標を掲げておりますけれども、今は主要機器について海外に頼らざるを得ないというような状況の中で、重要なインフラにとっての安全保障の影響がある部分というのについては、脅威を見極めた上で、技術の選択であったり、また国内の産業の育成に取り組んで、サプライチェーンの強化をお願いをしたいというふうに思っております。
そして、次のテーマに移ってまいります。
国内のエネルギーということを考えたときに、地熱発電も非常に大きな潜在力がある電源だというふうに考えております。
私の地元でも、昨年、南茅部地域で、北海道で国内最大規模のバイナリーの南茅部地熱発電所が運転を開始をしたり、又は、奥尻島で、離島でありながら脱炭素の先行地域として島全体で脱炭素を行っているという中で、地熱発電を活用をしているところであります。また、森町では農業への活用も行っているということで、各地域、様々な形で取組を進めているという現状がございます。
一方で、我が国としては、世界三位の資源量を誇るにもかかわらず、この有望なポテンシャルを生かし切れているのかという意味でいけば、地熱の開発というのが思うように進んできていないのではないかというふうに考えておりますが、政府としてどのように評価をされているのか、また、どのような対策を講じているのかということについてお伺いをできればと思います。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員御指摘のような課題は私どもとしても十分認識をしてございまして、昨年来、私どもの方で研究会も開催をして、どういうところが課題かというようなことは議論してまいりました。
その結果、三つぐらいあるのかなという話になっておるんですけれども、一つは、開発初期リスクが非常に高い、リスクが高いというところが一つ目でございます。それから、許認可の取得に伴う開発期間が長い、長期化というのが二つ目の課題でございます。それから三つ目が、地域の理解醸成、これが必要。温泉事業者とか様々な事業者との合意形成が必要だという三つぐらいの課題が分析をされているところでございます。
そういった課題を踏まえまして、私どもで、昨年、地熱開発加速化パッケージというものを策定をし、発表したところでございます。
その中では、一つ目のリスクが高いというところにつきましては、今後は、新たに、国自らが有望エリアの掘削調査を実施をいたしまして、蒸気の有無まで確認をした結果を事業者に譲渡するということで開発リスクを低減させていきたいと考えてございます。
それから、二つ目の各種許認可の取得につきましては、ワンストップで対応していく枠組みとして、私どもで地熱連絡会というものを組成をいたしまして、ここで、資源エネルギー庁が主導する形で、環境省とか林野庁とか、様々な省庁に入っていただいて、個別事案ごとの手続をフォローアップをしていくということでございます。
それから、三つ目の地元の理解につきましては、これは、毎年私どもで地熱シンポジウムというのを開催をいたしておりまして、昨年十月は函館で実施をしたわけでございますけれども、こういったものを開催をしていくとか、あとは、地元住民向けの勉強会とか専門家の派遣、こういったことで丁寧に地元理解の醸成に努めていきたいというふうに考えてございます。
○向山(淳)分科員 御答弁ありがとうございます。
まさに私も、商社時代にインドネシアで地熱の開発をしていたときに、一本二億の井戸を掘るかどうか、リスクを取るかどうかで非常にちゅうちょしながら開発を行ってきた経験がございますので、そういった意味では、JOGMECさんも含めて、かなり踏み込んで初期のリスクを政府が取って開発を支援していくということについては、非常に大きな後押しになるのではないかというふうに思っております。(発言する者あり)はい。
また、許認可についても、様々な省庁が関わるという中で、事業者さんの取組がなかなか進まないという部分につきましても、ワンストップという形で対応いただけるということで、大変評価できる取組なのではないかというふうに思います。
そして、地元の理解というところでいきますと、私どもの地元での開催もありがとうございます、自治体では、本当に、この地熱を使って出てきたエネルギーをどうやって地域の産業に使っていくかということも含めて考えていくことが、地熱に対する理解の醸成というところにもなっておりますし、実際にこの温水を使って、熱交換で農業を行っているというような事例も評価できるところなのかなというふうに思っております。
そういった中で、これは少し、小さなといいますか、技術的なところかもしれませんけれども、地熱のハードルというほどではないのかもしれませんが、一つ、事業者さん又は自治体を悩ませているところということで、発電で生じるタービンにつくスケールであるとか、又はそうした管につく部分というところで、非常にこの対策が苦労をしていますというお話もいただいております。
こうしたスケールの対策ということについては、国として何かお考えをお持ちでしょうか。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のスケール対策、これは大変地熱発電にとって重要な要素であるというふうに考えてございます。特に、熱水を地中からくみ上げる坑井、いわゆる井戸ですけれども、この中に生成されるスケール、これは放置すると発電能力の低下にもつながりますし、対策は重要だというふうに考えてございます。
現状では、通常、スケールを除去するためには、掘削時と同じように、やぐらを建てまして、坑井内のスケールはドリルで掘り崩すというような作業が行われているところでございます。
地熱発電の持続的な運転のためには、こうしたスケール除去作業に要する費用の低減、これは重要な課題だというふうに認識をしてございます。
このため、私ども資源エネルギー庁では、スケール対策のための技術開発を中心に進めておるところでございます。
一つは、先ほど申し上げたようなやぐらを必要としないような形。具体的には、薬剤を使用して、いわゆる化学的手法によってスケールを除去する、そういった技術の開発ですとか、それから、委員御指摘の、発電機のタービンにスケールが付着するということを抑制するために、いわゆるタービンの羽根にコーティングをするような、そういった技術の開発を進めているところでございます。
今後も、事業者それから自治体など、現場の声も踏まえながら、スケール対策に関する対応を進めてまいりたいと考えてございます。
○向山(淳)分科員 御答弁ありがとうございます。
そういったスケールの対処につきましても、技術開発を通じてということも含めて御対応を考えておられるということで、地熱発電につきましても、今の現行技術に加えて、次世代の地熱ということでの技術開発も期待をされているところだというふうに思います。
先ほどの洋上風力の件もそうですけれども、やはり技術開発の部分というのは本来日本が非常に得意としてきた部分だというふうに思います。一方で、太陽光のパネルにしても、いつの間にかコモディティー化をしてしまって、廉価な海外の生産力に追いつけないというような状況の中で、国内メーカーが撤退をしていくというような流れがずっと続いているのかなというふうに思います。
冒頭に申し上げました風力発電というところでも、浮体式ではまだまだ日本の技術というものの余地ということもあろうかと思います。そして、地熱発電についても、今後の、次世代を作っていくに当たっての技術革新というところも期待をされるところであります。
そして、太陽光も併せて進めていくということかと思いますけれども、こちらも環境問題等々発生をするところではありますけれども、ペロブスカイトの活用も含めて、分散型も含めて、家庭でも屋根置きで設置をしていくということをしていく中での環境負荷の低減であったり、又は、ドイツで普及をしているようなプラグインというような形で需要側の分散を図っていくということ、又は、様々なものの電化というところも含めて、今後のGX二〇四〇又はエネルギー基本計画の達成というところに御尽力をいただく、そして、国内技術の後押しというところをしていっていただければというふうに思っております。
私の観点では、本当に、この洋上風力の成否というのは、この地域の漁業者にとっても、ほとんど今海洋環境の変化で魚が捕れなくなってしまっていて、人口減少も厳しいという地域であります。この中で、新しい産業として、漁業者の皆様、自治体の皆様も非常に期待をしているところでありますので、合意形成を丁寧に進めていただいているというふうに思いますけれども、地元の要望というところも受け止めていただきながら、実効性のある形でプロジェクトを進めていただければというふうに考えております。
本当に、このエネルギーというのも、石破政権の掲げる地方創生二・〇の一つの大きなドライバーになるのではないかというふうに考えております。
私どもの北海道は、今まで、観光といったり、最近は半導体ということで産業をつくってきておりますけれども、エネルギーの供給地になるという中で、これからデータセンターの誘致をしていけるのかどうか、そういったことも含めて検討をしていくということを考えております。
時間の配分が非常に難しくなってしまっているところではございますが、私自身、本当に、エネルギーの安全保障ということを、今後も我が国の根幹を支える取組だというふうに考えていますので、しっかりと取り組んでまいるということをお誓いを申し上げて、私の質問を終えたいと思います。
本日はありがとうございます。
○齋藤主査 これにて向山淳君の質疑は終了いたしました。
次に、平岩征樹君。
○平岩分科員 国民民主党の平岩征樹です。
予算委員会分科会での質問は初めてでございまして、我が国の根幹たる予算を審議するこの場で質問する重責と感謝の気持ちを持って質問させていただきたいと思っておりますので、建設的な議論となるよう、御答弁よろしくお願いいたします。
それでは、早速ではございますが、質問に入ります。
一つ目は、開幕、開会まで二か月を切りました大阪・関西万博についてです。
現在、急ピッチで準備が進んでいると承知しておりますが、私は、大阪八区、豊中市、池田市が選挙区でありまして、地元でありまして、大阪生まれ、大阪育ちの者としても、開会が迫る中で、成功裏に終わることを心から願っております。
しかしながら、大阪・関西万博については、当初から、運営費の原資となるチケットの販売不振、そして、人手不足、資材価格高騰が深刻化する中での海外パビリオン建設の遅れや撤退、そして、膨らみ続ける万博関連費用等の問題が指摘され、この国会の質疑でも多く取り上げられていますし、その懸念は大きく報道されているところでございます。
まずは、この大阪・関西万博について、国が直接資する事業費として、令和七年度予算も含めて投入する総額と、そのうちの機運醸成に投入された総額、そして、機運醸成の現状における効果をお教えください。
○井上(学)政府参考人 お答え申し上げます。
令和七年度予算案を含みました大阪・関西万博の準備等に直接資する事業に係る国の費用の総額見通しにつきましては、約千七百四十億円となってございます。このうち、全国的な機運醸成に要する費用は、約五十九億円でございます。
大阪・関西万博の国の機運醸成事業といたしましては、万博参加国と全国の自治体との国際交流の促進、全国の学校における出前授業の実施、また、万博に来場しました訪日観光客の地方への誘客等の取組によって、万博がもたらす効果を全国に波及させ、地方においても万博を自分事として捉えていただくことを通じて、地方創生にもつながる万博の機運醸成を実施しているところでございます。
御質問でありましたこれまでの実績でございますが、各地方自治体等から御提案もいただきまして、例えば、自治体と万博参加国が交流を促進する国際交流プログラムにつきましては、北は北海道から南は沖縄まで、全国で多くの交流が生まれておりまして、姉妹都市交流もなかった国との交流というのも生まれている現状でございます。
あと、万博のプロデューサーや協賛企業から協力を得まして、全国の学校で出前授業もやってございますし、これについては、子供たちの将来の行動につなげていくいい契機になるかなと我々考えてございます。
いずれにしましても、今後、こうした地方での取組も一緒に、万博の中身を併せて広く情報発信して、全国的な機運醸成を図ってまいりたいと考えてございます。
○平岩分科員 ありがとうございます。
今、地方自治体、参加国、企業、住民等を巻き込んだ様々な効果を御説明いただきましたが、結局は、最終的には会場に足を運んでいただかないと、来場者が増えないと、投入をした税金がやはり無駄になってしまうと心配しております。
そんな中、現在も前売り券がかなり苦戦している、目標未達であるというような報道も大きく出ておりますが、機運醸成の効果には疑問が、いわゆる来場者という、チケット前売りという点に関しては、疑問があると言わざるを得ません。
今、最新のチケットの販売状況を教えていただけますでしょうか。
○茂木政府参考人 お答えを申し上げます。
大阪・関西万博のチケット販売枚数でございますが、二月十九日現在で、約七百八十八万枚でございます。
○平岩分科員 このチケット販売は二〇二三年の十一月から始まっておりまして、入場券二千三百万枚のうち千四百万枚を前売りで販売するということを目標としていたはずです。この前売り分千四百万枚中、七百万枚を企業がまとめて購入しているということを考えると、今お答えいただいた七百八十八万枚というのは、かなり厳しい数字ではないかと思っております。
そこで、これから万博が開会するまであと二か月を切っております、一か月少ししかありませんが、あるいは開会してからでも構いませんが、機運醸成として予定している施策、その効果の見込みをどのように考えているのか、教えていただけますでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
大阪・関西万博に向けた機運醸成ということでございますが、いろいろなアンケートをやってまいりますと、認知度はかなり高まってはいるんですけれども、来場意向というのがまだまだ十分に高まっていないということは御指摘のとおりでございます。
開幕直前からチケットの販売というのは更に伸びていくと私ども考えていますが、当然、開幕後も皆さんがチケットを買われて現地に行かれるということになっていきます。ただ、そのための条件として、やはり来場意向というのをしっかり引き上げていく、情報の発信の質を上げていくということになります。当然、万博の会場で何が見られて、どんな体験ができるのか、こうしたことをしっかりお伝えしていくということがポイントになってくるかというふうに思います。
機運醸成、それから販売促進という観点からいいますと、一つは、やはり混雑がそれほどまだ多くない、かつ気候も快適な早期の来場というのをしっかり促していきたいと思っています。万博の開幕期ですね、こうした来場を促していくということ。そして、そこで早期に来場した皆様からの評価というのが、やはり全国に速やかに展開していく必要があるというふうに思っています。これによって更なる来場を呼び込むという好循環をつくっていきたいと思っています。
それからもう一つは、やはり万博への関心は非常に高いですし、交通アクセス等の懸念が小さい関西圏、御地元のユーザーの方、この方たちにしっかりリピーターになっていただくということも非常に重要だというふうに私ども考えています。
そのために、やはり新しいCMなども先週末から関西圏では始まりましたけれども、こうしたCMですとか、それから駅とか空港等の公共空間でのサイネージポスター、こうしたものを通じて、やはり認知、興味喚起というのをしっかり図っていく。
それからもう一つは、年齢層とか地域別、関心事項などでターゲットを細分化して、SNS、ユーチューブ、こういったものも駆使しながらメディアを使った戦略、広報をしっかりやっていくということ。それから、インフルエンサーなどの発信も、今、非常に重要でございます。今、いろいろな形でスペシャルサポーターになっていただいているインフルエンサーの方もいらっしゃいます。こうした方々の発信もございますし、開幕後も、海外の方も含めたインフルエンサーをお招きして、そこでいろいろな発信をしていただく。こうしたコミュニケーションも戦略的に実施をしていきたいというふうに思っております。
引き続き、博覧会協会と一体となって万博の機運醸成に取り組んでまいります。
○平岩分科員 認知度が高まっているが来場意向が高まっていないということですが、やはり、何が見られるのかというのがいまいち伝わっていないというのがすごくあるんだと思うんですよね。もう余り時間はありませんが、やはり、これまでの効果を検証しつつ、更にいろいろな施策を打ち出していただけるようお願いしたいと思っております。
ただ、やはり予算を組む上で、最悪のシナリオというのも想定しなければいけないと思っています。これは開催する者の責務だと考えます。万博は入場チケットが運営費の原資となるために、一定数チケットが売れなければ赤字となるおそれがあります。その場合の対応について、現在の大阪府市、万博協会との協議状況についてお教えください。
また、これまでの報道や答弁ではまだしていないというふうに伺っておりますが、その場合はいつまでに協議を開始しなければならないと認識されているのか、それも併せてお答えください。
○茂木政府参考人 大阪・関西万博の運営費についての御指摘だというふうに理解をしています。
運営費につきましては、平成二十九年四月十一日の閣議了解におきまして、会場運営費は適正な入場料の設定等により賄うものとして、国庫による負担や助成を行わないことというふうにされています。
博覧会の実際の運営費でございますが、これは博覧会協会において、運営費の収支予測を含む資金計画に基づきまして、入場券の売上げ状況や民間企業からの協賛金、ライセンス収入等の動向を踏まえながら、赤字にならない適正な範囲で収支を調整していくというふうに承知をしております。
政府としても、この運営費を含む万博の主要な経費の執行状況については、有識者を含む予算執行監視委員会も活用しながら、計画との乖離による費用の上振れなどが生じないようにしっかりとモニタリングをしているところであります。
万が一にも赤字が見込まれるような事態が生じた場合には、これは博覧会協会を交えた関係者間でよく相談をする必要があるというふうには認識しておりますが、開幕を間近にした今の時点では、成功に向けて、府市も含めて一丸となってチケットの販売促進に全力で取り組むということで関係者間で一致しておりまして、まずは赤字にならないように取り組むものというふうに承知をしております。
○平岩分科員 もちろん、まずは赤字にならないよう取り組むというのはもちろんのことだと思いますが、その協議のタイムリミットというのは現在のところ決まっていないという認識だと思いますけれども、少し無責任にも感じます。
では、先ほど御答弁いただいたように、国庫による負担はしないということでございますが、今後、協議次第では、赤字になった場合、赤字補填のために国費を投入する可能性があるのか、それはお答えいただけますでしょうか。
○茂木政府参考人 これは繰り返しでございますが、開幕を間近に控えまして、まず関係者間では成功に向けて一丸となってチケットの販売促進に取り組むということでございます。
政府としての考え方は、先ほどの閣議了解として御紹介させていただいたとおりでございます。
○平岩分科員 政府としての考え方は先ほどのとおりということは、国庫による負担はしないということだと思いますけれども、一応、それが確認されたという認識でよろしいでしょうか。
○茂木政府参考人 繰り返しになって恐縮ですが、まずは赤字にならないようにチケットの販売促進ですとか、予算執行のモニタリングをしっかりしていくということでございます。
運営費の執行状況はしっかりモニタリングしていきますが、これも最初に申し上げましたが、万が一にも赤字が見込まれるような事態が生じた場合、これは突然なるわけではございませんので、そういった事態が生じた場合には、博覧会協会を交えて関係者とよく相談をする必要がある、そういうふうに認識しておるということでございます。
○平岩分科員 分かりました。これ以上聞きませんけれども、引き続き、万博の機運醸成と円滑な運営をよろしくお願いしたいと思っております。
それでは、二つ目は、AIとそれを支える半導体産業の強化についての質問でございます。
ここ数年、世界的に大きな産業構造の変化が訪れていると考えています。言うまでもなく、その中心はAIとそれを支える半導体であり、それらはゲームチェンジャーとして各国で輸出規制も行われるほどになっています。
現在、政府から十兆円規模のAI・半導体産業基盤強化フレームが提示されていますが、かなり額が大きく、また二〇三〇年度までと期間も単年度ではありませんので、やはり、その十兆円という額や、また、具体的に何をするかということについて不明瞭な部分が多いというのが率直な感想でございます。
そこで、AI・半導体産業基盤強化フレームについて、十兆円という積算根拠は何なのか、また、二〇三〇年度までですが、状況の変化が起きた際に額が増減される意思決定のプロセスはどうなっているのか、教えてください。
○野原政府参考人 お答え申し上げます。
半導体は、スマートフォン、家電製品など幅広い製品に使われております。スイッチになる機能などもありますので、電子、電気製品で使われていないものはないので、そういう意味では、日本人は毎日お世話になっている部品でございます。
経済安保上も非常に重要なものでございますし、今まさに、DX、GXなど、産業全体がパラダイムシフトを迎える中で、半導体は、自動運転、生成AI等々で使われるものでございまして、我が国の産業の未来を左右する非常に重要なテクノロジーでございます。
こうした中で、半導体製造能力の確保に向けて、主要各国、熾烈な政策競争、誘致合戦になっております。例えば、アメリカは約十四兆円、中国が約十七兆円、大胆な公的な支援策を講じて強化、誘致をやっているところでございます。
このような国際競争の中で我が国が後れを取らないようにするために、各国の投資規模を踏まえて、それらの各国と比較しても見劣りしない十兆円以上の公的支援の枠組みを用意したところでございます。
十兆円以上というフレームでございまして、将来の額の増減を現時点で予定しているわけではありません。このAI・半導体産業基盤強化フレームにおける支援に際しては、半導体市場の状況、事業者の設備投資計画等々を踏まえまして、各年度の予算編成過程においてそれぞれ議論、検討して必要な予算措置を講じ、国会で御審議いただいて決まっていくということでございます。
○平岩分科員 今御答弁いただきましたように、各国と見劣りしないということでございまして、具体的な根拠というよりも、十兆円という数字は、日本政府の本気度を示す、投資の呼び水であるみたいにちょっと理解したわけでございます。
さきの予算委員会でも、同じ、これに関連する答弁があったと思うんですが、AIと半導体、あらかじめそれぞれに枠を設けていないというようなふうに答弁されているわけですが、もちろん、AIをするための半導体もありますし、AIにつながらない半導体というのもあるわけでございますが、それも含めていわゆる半導体支援をしていくというような認識でよろしいでしょうか。
○野原政府参考人 こういう現下の情勢でございますので、AI関連が非常に重要性が高まっているということは間違いないと思いますが、それぞれの投資すべき案件ごとに重要性がございますので、それに応じて、AI関連、AIには関係しないけれども我が国の産業、生活、将来にとって非常に重要な半導体については支援対象に、カバーし得るというふうな構えになっています。
ただ、案件に応じて見ていくときに、AIの重要性からすると、実際に採択されるものはAI関連が多くなるということは間違いないというふうに考えておりますが、幾ら幾らというふうに、それぞれの枠を決めているわけではございません。
○平岩分科員 ありがとうございます。
それでは、十兆円の中身の種類についてお聞きしたいと思います。
基本的に、こうした支援は、出資、補助金、金融支援の総合的なパッケージなのだと理解しております。その中で、債務保証も予定されていると考えますが、その際、支援を行った企業が倒産した場合、これはどうなるのでしょうか。また、本債務保証が、支援企業が明らかに市場の需要を満たさなくなった場合でも、引き続き公金投入を行う動機づけにならないか、これについてお答えいただけますでしょうか。
○野原政府参考人 現在国会に提出している法案に基づきまして、次世代半導体の安定供給、量産投資を行う事業者に対して金融支援をするというメニューがございますけれども、独立行政法人のIPAが民間融資に債務保証を講じた場合、委員の御質問のように、支援対象事業者が倒産等で債務不履行に陥れば、IPAが代位弁済を実行し、求償権を有するということになります。
次世代半導体製造事業者への支援に当たっては、事業の進捗状況を確認しつつ、外部有識者の意見も踏まえ、債務保証を含む支援手法、それから規模感等を厳格に審査した上で決定してまいりますし、マイルストーンを設定し、その達成状況を確認しながら、支援継続の要否を含めて支援の在り方を議論していくということになりますので、しっかり取り組んでいくということでございます。
○平岩分科員 厳格に審査し、マイルストーンをしっかり決めるということで、少し安心いたしました。
では、逆に、支援した企業が利益を上げた場合、そのリターンをどのように国に還元するのか、政府のお考えをお伺いいたします。
○野原政府参考人 現在国会に提出している法案におきまして、支援措置として、債務保証に加えて、出資も規定として用意してございます。実際、令和七年度当初予算案におきまして、出資の原資として一千億円の予算を計上しているところでございます。
支援対象になる事業者は、法案に基づきまして、公募を通じて最も適切に実行できる者を選定することになりますけれども、例えば、事業が成功して株式上場したという場合などにおきまして、出資の対価として取得した政府側の株式、これを順次、上場後に市場で売却していくことなどによりまして、公的資金、投資した額の回収を順次図っていくということを考えております。
○平岩分科員 ありがとうございます。
さて、ここまでAI・半導体産業基盤強化フレームについて質問してきましたが、次に、政府の半導体支援の中でも最も注目される、直近で一番大きい案件でありますラピダスについてお伺いいたします。
私自身、先日、国民民主党の数名の議員とともに、北海道千歳に建設中のラピダスを視察しまして、現場の状況を確認し、東会長を始めとする経営陣や技術者の皆さんからお話を伺ってまいりました。現在、二ナノの半導体の開発、量産に向けてパイロットラインを構築中であるということを実感するとともに、その重要性を改めて認識した次第でございます。
ラピダスは、現在、国の委託事業として二ナノ半導体の開発を進めていると認識しておりますが、それでよろしいでしょうか。また、その際、技術者への給与等待遇を決定するイニシアチブというのはどこにあるのか、決定権はどこにあるのか、具体的に教えてください。
○野原政府参考人 ラピダスは、五年間の研究開発プロジェクトとして受託して、研究開発、量産技術の確立に取り組んでいるところでございます。
ラピダスが採用したエンジニアの給与、これは民間企業でございますので、ラピダス自身で決定しておりますが、この研究開発委託による委託費の中で、労務費を委託費の中で、予算で手当てをしているわけですが、これは独立行政法人のNEDOを通じて行っている研究開発プロジェクトでございまして、NEDOのルールで、健康保険等級に基づく労務費単価から算出して、それに人数を掛けて、予算で支援をする分の労務費というのは出てくる、そういうふうな仕組みになっております。
今、ラピダスはまだ売上げはございませんので、ほぼほぼNEDOからの研究開発委託費を基にエンジニアを雇って給与を払っているということになっていますので、健康保険等級に基づいた労務費単価の額、これでお支払いをしているということになります。
具体的に、優秀な技術者、意欲のある若手人材を確保するために、学部卒で二十六・一万円、修士卒で三十一・二万円の月給をお支払いしていまして、これは全国平均より三万円以上高い水準となっておりますけれども、それ以上もっとたくさん払うということは、今のところ、民間企業として自分で稼いで払うことができないものですから、そこの分の上乗せ分がないということで今のこの水準になっているところでございます。
○平岩分科員 どうしてこういう質問をしましたかというと、ラピダスの技術者には、今後、二ナノの半導体を目指すに当たって、世界最高レベルの技術水準が求められると考えられています。そんな中で、半導体産業というのは世界レベルの競争産業で、人材の取り合いが起こっているというようなこともありますので、技術者の給与等待遇が国際的に見て妥当な水準と言えるのか、その辺りはどのようにお考えでしょうか。
○野原政府参考人 この点は予算委員会でも議論があった点でございまして、委員御指摘のように、次世代半導体の開発、量産は極めて高度な技術を要するために、世界水準での技術力を確保し、その技術流出を防止する観点から、人材確保や適切な処遇というのは非常に重要な課題であるというふうに考えております。
ラピダスにおいて、優秀な技術者や意欲ある若手人材を確保するために、適切な給与水準の確保、それから、ラピダス社内で現在検討中というふうに承知していますけれども、ストックオプションの検討、それから職場環境の充実等の待遇整備にラピダスが努めておられるというふうに認識をしております。
ラピダスには、半導体分野で長年の経験を有するベテランエンジニアに加えまして、中堅、若手エンジニア、さらには半導体営業の経験者など、多様な人材が各社から入社をしております。
一方、今後の量産に向けて、体制の拡充が必要でございまして、人材獲得に向けた更なる方策、先ほども申し上げましたストックオプションの検討などについても、高い問題意識を持ってラピダスで今検討されているというふうに認識をしております。経産省としても、こうした問題意識を共有しておりまして、ラピダスともよく連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
○平岩分科員 国際水準ですので、日本の給与待遇で少し高くても、国際水準ではやはりすごく低いということが残念ながらあると思いますので、今おっしゃったようなストックオプションとか、いろいろな報酬体系の導入を御検討いただければと思っております。
これでAI、半導体の質問については最後にいたしますが、最後に、経済安全保障の観点から、AI、半導体産業における技術の育成と保護について、人材の観点も含めた政府の方針というのをお答えいただけますでしょうか。
○武藤国務大臣 ラピダスの視察もしていただいて、ありがとうございます。
大変な急ピッチで進んで、いよいよこれから始まってくるかなというのが、私もこの前行った感想であります。
今、参考人の方からお話がありましたように、半導体は、全てのものにこれまでも関わってきた。我が日本は、旧来ある意味で半導体政策というものを失敗した経緯もあります。
今回、次世代ということで、ある意味で経済安全保障、今先生おっしゃられるように、その観点からも大変重要な物資であると思っています。革新的な製品、サービスを、AIというものがまた昨今急激に進歩している中で、ますますAI、半導体の関係、また次世代半導体の重要性というものが増してきているというのが今の現実であると思っています。
その中で、AI、半導体に関して世界に負けない国内産業基盤を確保しなくてはいけない。要するに、これはもう、世界から買うのか、あるいは世界に対して貢献していく、まさにその分岐点に今あるんだ、この観点でラピダスというものの位置づけがあるんだと私は思っています。
その意味で、研究開発、設備投資への継続的な支援が必要であり、二〇三〇年度までに十兆円を超えるという大変大きな公的支援を行うわけで、AI・半導体産業基盤強化フレームを策定したところであります。
この観点で、世界トップレベルのAI、半導体分野の国内産業基盤の強化に全力を挙げながら、そして、先生が今おっしゃられたように、技術者、これをどうこれからも育成、確保していくのか、この強化が大変大きな観点でありますので、しっかりと経済産業省としても、各省とも連携をしながらも、これからも頑張っていきたいというふうに思っています。
○平岩分科員 ありがとうございます。
国民民主党は人づくりこそ国づくりというのを掲げておりますので、今後も協力して建設的な提案を進めていきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
最後に、いわゆるガソリン暫定税率の質問をいたします。
ガソリン価格の高騰を受けて、我が党は一貫してガソリン暫定税率の廃止を求めており、さきの臨時国会でもトリガー条項凍結廃止法案を提出いたしました。
一方、政府は、石油元売企業に対して補助金を出すという形の、燃料価格激変緩和補助金を政策の柱としてきました。その燃料価格激変緩和補助金について、実施年度ごとの予算額と、そのうちの事務費、発動していた期間、その効果について簡単に教えてください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、燃料油価格の激変緩和事業でございますけれども、これまで、補正予算それから予備費により予算を計上してまいりました。
年度ごとの予算額につきましては、令和三年度は約〇・四兆円、令和四年度は約五・八兆円、令和五年度は約〇・二兆円、令和六年度は約一・八兆円ということで、総額で約八・二兆円となってございます。
それから、事務費につきましては約百六十四億円を計上しているところでございます。
それから、発動していた期間でございますけれども、令和四年一月から足下までの約三年一か月でございます。
それから、効果ということでございますけれども、これまで、原油価格の変動に応じまして補助額を柔軟に調整をしながら、ガソリンなどの小売価格の急激な上昇を抑制をしてまいりました。全体として見れば、想定した水準前後に価格を抑制することができておりまして、原油価格の高騰に伴う負担を軽減するとの目的は一定程度果たしているというふうに考えてございます。
○平岩分科員 我が党の考え方はその逆でございまして、やはりそのやり方では無駄、無理がかなりある制度だと考えています。
ガソリン暫定税率は、よく言われますようにタックス・オン・タックスでもありますし、そもそも自動車関連の税が複雑な中で、暫定というものをつくって、更にまた補助金というものを、複雑な上に複雑なものをつくるみたいな制度になっていると考えています。
そんな中で、いわゆるガソリン暫定税率の廃止が補助金より簡便かつ明瞭であり、より効果的であると我が党は考えていますが、最後に、いま一度政府の見解をよろしくお願いいたします。
○武藤国務大臣 どちらが効果があるかという議論ですけれども、ここの案件につきましては、今も参考人からお話がありましたように、事務コストは生じるんですけれども、一方で、灯油や重油についても支援をできるというところ、そして迅速かつ臨機応変に価格抑制が図れたところ、補助の仕組みを調整することで買い控え等による流通の混乱を防げるなど、これは過去の例もあるんですけれども、原油価格の動向、取引環境等も踏まえながら、柔軟かつきめ細かく対応することが可能であると評価をしてきたところであります。
こういう形の中で、廃止という形については、御党そして自民、公明、これは昨年十二月ですけれども、幹事長間でガソリンの暫定税率は廃止するという方向性が示されたところだというふうに認識をしておりますし、今後、引き続き関係者間で誠実に協議を進めるということで合意がされているものと承知をして、我が省としても、適切に対応していきたいというふうに思っています。
○平岩分科員 その再考を強くお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。
○齋藤主査 これにて平岩征樹君の質疑は終了いたしました。
次に、高井崇志君。
○高井分科員 れいわ新選組の高井でございます。
今日は原発について経済産業省の皆さんと議論したいと思います。
原発を廃止する、即時停止する、これはれいわ新選組の結党の理念と言ってもいい。れいわ新選組は六年前の二〇一九年に山本太郎代表がたった一人で立ち上げた政党なんですが、現在は国会議員が十四名まで増えました。
その更に六年前、山本太郎代表は二〇一三年の参議院選挙で初当選し、政治家に、国会議員になるわけですが、その前に俳優をやっていたんです。結構売れている俳優だったんです。ところが、山本太郎代表が二〇一一年の福島第一原発事故を受けて、原発はなくすべきだということで、デモに参加したり、あるいはメディアで発信したりしていたんです。途端に仕事が全くなくなったということで、こんな世の中でいいのか、おかしいんじゃないかということで国会議員になり、そしてれいわ新選組は今あるので、まさに結党の理念であります。
私自身も、二〇一一年の福島第一原発事故、三・一一のときに民主党の国会議員でした。これはなくさなきゃ駄目だということで、当時民主党の中でも、若手の一期生だったんですけれども、グループをつくって原発廃止をとにかくやろうということで、それ以降、訳あっていろいろな党にいるんですけれども、どこに行っても一貫してこの原発ゼロだけは、実は、一番原発を推進している国民民主党の会派にいっとき所属していたことがあるんですが、そのときも玉木代表にはっきり、私は原発ゼロですから、それでもよければ会派に入れてくださいということでやっていたぐらいなので、筋金入りの原発ゼロでございます。
今日は是非、大臣、それから経産省の皆さん、あと委員長も、齋藤さんは前大臣で、しかも経産省出身ですから、ばりばりの原発推進派だと思いますので、もしよかったら、私の議論がおかしいということであれば自ら発言いただいても結構でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では、まずお聞きしますが、東日本大震災は本当に危機一髪だったと思うんです。福島の方あるいはその周辺の方は大変な苦労をされて、いまだに全国に避難されている方もたくさんいらっしゃる。そういう事故が東日本大震災のときに起きた。
しかし、その十倍の被害が出ると予想されている、土木学会とかいろいろなところが予想しているのが南海トラフ地震です。もちろん十倍かどうか分かりませんけれども、しかし、そのくらいの規模の地震が、しかも三十年以内に八〇%の確率で来る。そういうときにこのまま同じようにまた原発を動かしていくというのは、私は正直、狂気の沙汰としか思えません。
大丈夫なんですか、本当に。南海トラフ地震が起こるんですよ、必ず。東日本大震災の十倍規模の地震が起きても原発は大丈夫だと本当に言い切れますか。大臣、お答えください。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
震災が起きたときは、私はちょうど落選しておりました。そして復活して、そして、今からいうと七年前から八年前、私どもの経済産業省の副大臣を仰せつかりながら、内閣府の原子力災害対策本部長で一年間福島にお邪魔をさせていただきました。原発の事故というものに対しては、そういう意味で慎重に我々は対応していかなきゃいけない、これはまさに今もずっと持ち続けております。
その中で、今委員から御指摘がありましたけれども、当時民主党政権でありましたけれども、ある意味で仕組みづくりをやった。御承知のとおり、安全性につきましては原子力規制委員会が所管される、こういう形で判断されるものというふうに今時代の流れとしてなってきていると承知しています。
この中で、新規制基準に基づき、御承知だと思いますけれども、地震や津波などの自然現象に対して、極めて厳しい条件も考慮して耐震強化や津波対策を進めるとともに、電源や注水設備の多重化、多様化を図るなど、安全対策が進められているものと承知しているところです。
例えば、今おっしゃられたような南海トラフ地震の想定震源域から比較的近い場所に立地しています、例えば私どものすぐそばですけれども、浜岡原子力発電所、また、伊方発電所、川内原子力発電所においては、原子力規制委員会の適合性審査において同地震による影響について考慮されているものと承知しているところであります。
原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めない限り原子力発電所の再稼働が認められることはないというのが政府の方針であり、この方針は変わっていないところであります。
○高井分科員 東日本大震災の十倍というのは予想できないと思うんです。想定できない。
今るる説明いただきましたけれども、原発を推進しようとしている方々、経産省は経産省なりの理由があると思うんですけれども、国民の皆さんは、最近、本当に忘れてしまったかのように原発推進賛成という方の世論が徐々に増えているんですけれども、今の大臣の説明で、あるいは原子力規制委員会の説明で、南海トラフが起こるんですよ。本当にそれで六十基ある、しかも海沿いに、あんな危ない津波がいつ来てもおかしくないところにある原発を動かすというのは、私は、繰り返しますけれども、狂気の沙汰だと思います。
加えて、地震だけじゃないんです。ミサイル攻撃、これも、今どんどん緊張が高まっていますから、実際に戦争は絶対起こってはならないけれども、もし万が一のときに、もしミサイルが、六十基あるんですよ、日本には。中国は二千発ミサイルを持っているんですよ。中国だけか分かりませんけれども。そういう世界からミサイルが来たときにどうするんですかと、実は二月四日の予算委員会で中谷防衛大臣に我が党の八幡愛議員が聞いたんです。そうしたら、私は本当に驚きましたけれども、撃ち落とせる、PAC3とかイージス艦があるから大丈夫なんだと。本当に大丈夫なのか、私はよく言うなと思いましたけれども、改めて、今日、同じ答えなのかもしれませんけれども、防衛省に来ていただいていますので、本当に撃ち落とせるんですか。二千発ですよ、中国は。六十基あるんですよ、日本全国に。本当に大丈夫なんですか。
○伊藤(哲)政府参考人 お答え申し上げます。
原発に対する弾道ミサイルによる攻撃に対しましては、今委員からもありましたけれども、我が国全域を防護するためのイージス艦を展開させる、また、拠点防護のため全国各地に分散配備されているPAC3を状況に応じて機動的に移動、展開して対応します。その上で、近年、我が国周辺において、まさにおっしゃられたように質、量共にミサイル戦力が増強されていることを踏まえまして、極超音速滑空兵器への対処能力向上のための滑空段階迎撃用誘導弾の日米共同開発、あるいはイージス艦、PAC3といった迎撃能力の更なる向上に努めてまいります。
また、このようなミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手の領域において我が国が有効な反撃を加える能力、すなわち反撃能力を保有することでミサイル攻撃そのものを抑止してまいります。
防衛省といたしましては、こうした取組を通じ、国民の生命財産を守り抜くべく万全を期してまいります。
○高井分科員 国民の皆さんは信用できますか、本当に。PAC3とかイージス艦を何台どれだけ整備されているかと聞いても答えてくれないから聞きませんけれども、およそ六十基の原発を二千発のミサイルから守れる態勢があるとは到底思えないです。
もう一つ、ミサイルだけじゃなくてテロもあるんです。我が党の政策委員の伊勢崎賢治さん、東京外語大の名誉教授で、実は中谷防衛大臣とも親しいし、石破総理とも親しい、勉強会なんかをやって、ずっと盟友と言われていた伊勢崎さんは今れいわ新選組に入っていただいているんですが、その伊勢崎さんがはっきり言っています。自分がもしテロリストだったら必ず原発を狙うと。
それは、日本をどうこうというよりも、アメリカなんですよ。テロの標的はアメリカのことがあるから。アメリカにとって日本は最大の軍事拠点だ、だからアメリカを弱体化させるために日本の原発を狙う。そうすれば、原発にテロ攻撃があったら、東日本大震災のときだってアメリカ軍はみんな本国へ帰ったじゃないですか。日本から離れるんですよ。そうしたら、日本のアメリカの軍事基地から米兵がいなくなる。まさに狙いどおりなわけです、テロリストにとっては。こういうテロ攻撃だってあり得るわけです。
これは通告していないんですけれども、経産省の事務方に来ていただいているので、原発のテロ対策は大丈夫なんですか、どうなんですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、原子力発電所の安全性については原子力規制委員会において判断がなされるものでございます。
それを大前提といたしましてでございますけれども、新規制基準におきましてテロ対策につきましても新たに新設をされておりまして、テロを前提とした規制、対応がなされているというふうに承知してございます。
○高井分科員 担当ではないというか、原子力規制委員会ですから、済みません、いきなり聞いて。でも、日頃から経産省がどのくらいの認識を持っているかと思いましたけれども、大体今みたいな、原子力規制委員会が大丈夫と言っていますから大丈夫ですみたいなことですよ。大丈夫じゃないでしょう。原子力規制委員会に何でそんなテロの専門知識があるんですか。
しかも、さっきも言ったようにアメリカを標的にするテロです。だから、世界最高水準のテロで、それが日本に来る、そこまで考えて、電力が足りないとか安定しているとかコストが安い、コストは安くないと思いますけれども、そういう理由でこの国の安全を極めて脅かす原発を私は動かすべきではないと強く申し上げたいと思います。
私は、原発をやめられない理由は実は別のところにあると思っているんです。
というのは、二〇一一年の福島原発事故以来、民主党の当時一期生十人ぐらいが集まって、二〇一二年に、二〇三〇年代に原発ゼロを目指すという閣議決定をやろうとしたんです。ところが、それがすったもんだの挙げ句、閣議決定にならなかったという事件が二〇一二年の九月にあったんです。
我々は、絶対閣議決定しなきゃ駄目だ、とにかく二〇三〇年代に原発ゼロ、これを閣議決定しようということで、当時野田総理でした、野田総理にも言ったし、枝野経済産業大臣にも言ったし、それから、国家戦略担当大臣がそれの担当だったので、古川元久今の国民民主党の代表代行のところにも直談判に行きました。大体、与党の一期生が十人ぐらい集まって御飯を食べたいんですと言うと大臣は来てくれるんですよ。そういうのを利用して原発を何とかしてくださいと言いましたけれども、そのときに言われたことは、実は余り大きな声では、でも結構いろいろな説が流れていますから。アメリカが原発の技術を日本に残しておきたいと。それは、核兵器、核武装、こういったものを日本の技術までなくなってしまうのは困るとアメリカの強い反対があったと、私は当時の閣僚の人たちからはっきりそう聞きました。私は、それが一番の原因だったとそのとき感じました。
これはあるんじゃないですか。アメリカから言われ、そして、核保有のための技術を残しておきたい、そこが本音にあるから経済産業省も原発廃止に踏み切れない、あるいは、この後議論する再生可能エネルギーに力が入らない、私はあえてサボタージュしていると思っていますが、そういう理由が本当はあるんじゃないですか。大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 私はそういう認識は持っておりません。
原子力を造る技術の保有についての御質問ということで、原子力の利用の私どもの法律の基本というものは、将来におけるエネルギー資源を確保する、そして、学術の進歩、産業の振興及び地球温暖化の防止を図る、そして、人類社会の福祉と国民生活の水準向上に寄与することを目的とすることが原子力基本法に規定されているところだと私は承知しているところです。
原子力利用の際には平和目的に限るのが我が国の方針であって、原子力基本法にも「平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うもの」と明記されているところでありますから、当然のことですけれども、核兵器を造る目的で原子力を利用しているなどということはないと思っております。
○高井分科員 ここで大臣がそうだと認めたら大スキャンダルですから分かりますが、しかし、当時の二〇一二年のときも、改めて私は今日検索していろいろな新聞の記事とか見たら、財界とアメリカの圧力だという記事が多かったんです。財界もそうなんです。財界は、もちろんエネルギーは安定してほしいというのもあると思いますけれども、電力会社の強い意向もあると思います。それから、原発の製造に関わる産業があるので、そういう意向もあるんだろう。
実は、私は電力会社のとある幹部の方と議論したことがあるんです。そのときに結構本音を言ってくれたんですけれども、電力会社とすれば、これだけのお金をかけてつくってしまったものを今更止めろなんてことになったら経営が傾くし、それはとてもやってられない、そういう思いが本音である。だとすれば、私は、国がこの際原発を買い上げたらいいんじゃないか。原発を国有化して、その上で廃炉にするなり、あるいは進めたいというなら進めてもいいですよ。だけれども、電力会社にそこを委ねてしまうと、国の重要な政策決定のときに民間企業に命令するというのはなかなか大変ですから、私は、この際、原発を買い上げる、国有化するのが一番だと思いますが、原発を国有化するためにどのくらい予算が必要だと試算していますか、経産省。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
政府といたしましては、原子力事業の国有化をすべきというふうには考えてございません。こうした中で、今委員から御指摘いただきましたような国有化を行うことを前提として必要な予算を試算するということも行ってございません。
○高井分科員 試算ぐらいしてほしいです、やる意思がないとしても。これは、学者の人たちもやったり、あるいは、私は民主党の後は民進党にいたり立憲民主党にもいたんですけれども、その頃は原発ゼロに結構熱心だったんです。私は、立憲民主党は党の綱領にまで書いていますから、それが今トーンダウンしていて、綱領にまで書いていることを取り上げないというか、力が入っていないというのは情けない話だなと思いますが、かつていたときに、実は八十兆円という試算を出したことがあります。
大きいかもしれないけれども、私は出してもいいと思うんです。国債を発行して、これは国家の一大事というか、生きるか死ぬか、国家存亡の話ですから、私は、八十兆で原発を国有化できるんだったらやって、大臣にこの後お聞きしますけれども、止めるか進めるかはまた考えればいいですよ。まずは国有化して、原発という極めて国家の基盤となる、進むもやめるも国家の存亡に関わる重大事ですから、私は原発を国有化すべきと思いますが、大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 今、政府といたしましては、原子力事業については、あくまでも、炉の設置者であり、現場に精通している各電気事業者が自らの責任の下で担っていくべきである。これが国有化すべきではないという形の考え方だと思います。
他方で、原子力に対する様々な御懸念の声があることも真摯に受け止めていかなくてはいけないと思っています。それぞれの課題に対して国は前面に立って取り組んでいく。特に、廃炉ですとか使用済みの核燃料をどうするのか、こういう最終処分に至っての課題については将来世代に先送りしてはいけない話だと思っています。我々の世代で解決に向けて今後取り組んでしっかりと方向を出していく。
そして、政府としては、事業者が安定的に安全対策や廃炉等に関する取組を行うことができるように事業環境を整えていく。ここをリアルに今考えてさせていただいているところであります。
○高井分科員 経産大臣もそういうのがお得意そうな感じがするので、是非、電力会社の幹部と、あるいは労働組合とか、そういう人とでもいいですよ、一度腹を割って本音を話していただけたら、恐らく電力会社は、手放したい、買ってもらえるなら買ってほしいというのが本音だと思いますので、是非大臣もそれを聞いていただいて、もちろん大臣一人で決められることではないと思うので、石破総理に報告したり、あるいは、何世代かにわたる話だと思いますけれども、まず本音を聞くということは是非やっていただきたいなと思います。
それで、原発をなくせない理由として皆さんが言うのは、エネルギーが足りなくなると。もちろん、火力とかはCO2の話があるからそちらに頼れないということも分かっていますから、再生可能エネルギー、自然エネルギーをやるしかないわけです。
ところが、この再生可能エネルギーがなかなか日本は進まないわけです。世界では相当なエネルギーの比重を占めている中で、日本はいまだに二十数%でしょう。三・一一があった後から当時の民主党政権、菅政権でかなり力を入れて、力を入れる姿勢は正しかったけれども、やり方は私は間違っていたと思って、そこは実は経産省に任せてしまったことだと思っていますが、まず、再生可能エネルギーが日本で普及しない理由を経産大臣はどう考えていますか。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
再生可能エネルギーについてですけれども、地域との共生と国民負担の抑制を図りつつ、主力電源として最大限導入していくことが政府の基本方針であるのは変わりません。今回の七基でもそのような形になります。
日本は国土の約七〇%が森林で、私のところも七〇から八〇%が森林であります。これは、再エネを推進するドイツやスペインの約二倍。洋上風力発電の設置が想定される海についても、海底地形が急峻な我が国の特性がありますけれども、着床式洋上風力の設置可能面積がイギリスの八分の一となっているところであります。
こうした地理的制約の下でこれまでも再生可能エネルギーの普及拡大に取り組んできたところでありまして、具体的には、FIT制度が導入された二〇一二年度からこれまで約十年で再エネ発電量を倍増させており、平地面積当たりの太陽光発電の導入量は既にドイツやイギリスよりも大きく、主要国最大となっております。
その上で、今後も更なる導入拡大を図っていくため、住宅あるいは工場や公共施設等の屋根への太陽光発電の導入拡大を行うとともに、従来設置が困難であった壁面等を含めた様々な場所での設置が可能な、期待をされていますペロブスカイト太陽電池の社会実装を進めていこうと思っているところでもあり、水深の深い海域においても設置可能な浮体式の洋上風力の開発、実証を加速させていっているところであり、再生エネルギーも一生懸命頑張って推進してまいります。
○高井分科員 しかし、あれだけの原発事故が起きて再生可能エネルギーが大事だと言ってもう十数年たっていながら、いまだに二〇二二年度の数字で二二%という数字を今持っていますけれども、各国を見ると、ブラジルは九一%、スウェーデンは八六%、デンマークは八一%、カナダは七六%、あと、先進国でいうと、ドイツは四八%、イギリスは四四%です。
分かりますよ。今指摘された理由は私もさんざん聞きました。今挙げなかったけれども、よく言われるのがこの五つですかね。日本はコストが高いそうです。それから、天候、地形、地理上の問題、今おっしゃいました。それから、電源として不安定だ。天候に左右されないということで。それから、系統の制約がある。電力会社につなぐ送電網が空いていないとか。それから、調整力が必要だ。全部そうなんですけれども、これは本気になってやれば全部解決できますよ。
要するに、予算をかけてしっかり本気でやれば解決できる問題ばかりで、電力系統の問題だって、空き容量があるけれども実際に電力会社がいろいろな理由でつないでないとか、そういう問題もあるし、不安定な問題は調整力をつくればいいわけで。地形の問題はしようがないかもしれないけれども、だけれども、私はよく言うんですけれども、例えばドイツでは、私は二十年前に住んでいたんです。そのときは、ドイツは、市役所が航空写真を撮って、各家にどこに太陽光パネルが置けるかを調べて市民に提供しているんです。あなたの家に置くには幾ら初期費用がかかって何年で採算が取れます、ですから、よかったら置きませんかみたいな。
そのくらいのことをきめ細かくやらないと、日本みたいにFITをつくってメガソーラーでばんとやるみたいな、山を切り開いて水田を潰してなんてことをするから反対派の人たちも出てきて、まさに再生可能エネルギーの中で分断が起きるような政策を経産省が取ってきた。つまり、再生可能エネルギーに力を入れていないと私は見ているんです。
その理由はなぜかというと、経済産業省は原発を推進したいからですよ。財界の圧力やアメリカの圧力や、これは表には言えないけれども、そういうのがあって、そして、電力会社もそんな簡単にこれをやめるわけにはいかない。電力会社には経産省から天下りとかもあるわけじゃないですか。
そういう経済産業省として、しかも、資源エネルギー庁という小さな部局の中に新エネ・省エネ部と、今日来ている電力・ガス事業部長が原子力を担当しているわけですよ、隣同士で。私は電力・ガス事業部長の方が先輩だと思うんですよ、新エネ・省エネ部長より。それが隣の同じ部の中にいて一方に先輩がいたら再生可能エネルギーは進められないと思いますよ。予算だって、省内で再生可能エネルギーの予算を二倍にしよう、三倍にしようなんという空気にはならない。ここが私は問題だと思います。
これは経産大臣には言いにくいですけれども、私は、新エネ・省エネ部を資源エネルギー庁から引き離して、環境省とかどこでもいいですよ、ほかの省でもいいけれども、環境省が一番ぴったりくるのかなと思いますけれども、そういうところに移すのが再エネ、省エネを進める最大の方法だと思いますけれども、経産大臣、答えにくいと思いますけれども、どう思いますか。
○武藤国務大臣 御助言いただきましてありがとうございます。
正直申し上げて、私どもの党の中でもいろいろな議論をしてきました。再エネ一〇〇%派もいましたので様々な議論をしていますけれども、私が当時事務局長をやっていたときに思ったのは、先生も聞いていらっしゃると思いますけれども、DXとかGXの進展によって電力需要が増えてきますわな、ですから当初の見込みより大分変わっちゃいましたね、これをどういうふうに対応するのか。一方で、国民の安心、安全を考えると、いかに安定した電力、そして、できるだけ低廉な値段で国民生活を守っていかなきゃいけないという視点もあり、そういうことで考えると、再エネ、原子力も両方、これは対立事項じゃないですよね、両方とも必要なので。
また、トランジションの世界の中で生成AIの話もあり、そして自動車はどんどん進展していく。そういう形でいうと、我々としては、二項対立的な議論ではなくて、今は双方を最大限活用していかなきゃいけない時期であろう。そういう思いでおりますので、組織的なことは私は触れられませんのでお許しいただきまして、そう答えさせていただきます。
○高井分科員 双方両立しないから言っているんです。だから、アクセルとブレーキを両方踏んでいるような組織だと私は言うんですけれども、一方で原発を推進したいという省内の意思があると、再生可能エネルギーを同時に進めるという理屈にならない。ここに根本的な問題がある。私は、再生可能エネルギーは日本はまだまだ可能性があるので是非進めていただきたいと思いますので、是非経済産業大臣は頑張っていただきたいと思います。
最後に、委員長、今までずっと議論を聞いて感想があればお願いします。
○齋藤主査 大変傾聴に値する質疑でありました。
○高井分科員 ありがとうございます。
それでは、ちょうど質疑終了になりましたので、終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○齋藤主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。
次に、福森和歌子君。
○福森分科員 立憲民主党、福森和歌子です。よろしくお願いいたします。
本日は、武藤大臣への御質問はなく、御答弁に関しましては御一任いたしますので、よろしくお願いします。
本日、私からは、法人税の租税特別措置を中心にお伺いしたいと思っております。
法人税の租税特別措置に関しましては、我が国の産業の競争力強化や中小企業等の投資の促進、経営基盤強化などの政策目的により設けられているものです。経済が低迷する中、特別措置を設け、日本企業の研究開発を促す、産業の競争力を強化する、また、中小企業の経営を安定させるということは、私自身も非常に重要であると考えております。
しかしながら、その目的に対し、効果が出ていない、あるいは、もう一定の目的を果たし終えたということがあるとするならば、特別措置というものは解除して国の歳入を増やす、その分を次なる政策に振り向けるということを経済産業においては考えた方がいいのではないかと思います。
そこで、法人税の租税特別措置について、今回、見直すことができればと思います。よろしくお願いいたします。
まず、賃上げ促進税制についてお伺いしたいと思います。
賃上げを行うと税額控除が受けられるという制度ができて十年になります。現在は、大企業で三%、中小企業で一・五%の賃上げを行うと税額控除が受けられますが、どのように評価をしていらっしゃいますでしょうか。
ちなみに、お配りした表一では、私自身、賃上げ税制で減収額がどのぐらいあったか、あるいは、それに対して、大企業、中小企業それぞれでどの程度賃金を改定できたかというものを見たものでございます。調べました。二〇一四年から二〇二二年まで税の減収額はそれなりにあります。相当金額、実績があります。要するに、減税をしていたわけです。しかしながら、賃金の改定率というものは上がってきているとは言えません。
昨年は大幅に上がったということで、税制の効果があったという意見もあるかと思いますが、私自身、この十年間の推移を見ると、必ずしもそうは言い切れないと考えておりますが、いかがでしょうか。
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
賃上げ税制は、企業が実際に賃上げを行った場合に適用を受けられる税制でありまして、例えば、令和五年度におきましては、大企業と中小企業で二十五万社を超える企業が適用を受けているというような状況でございます。
一方で、これは厚労省さんの調査だと思いますけれども、賃金改定率が大きく伸びていないじゃないかという御指摘もございましたけれども、過去三十年間、我が国は、バブル経済の崩壊以降、長引く低い経済成長率とデフレの中で、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷し、企業が賃上げを行う余力がなかなか生まれにくい状況にあったというふうに考えております。
こうした中、賃上げ税制を二〇一三年度以降措置をしておりまして、例えば平成二十九年度、二〇一七年度でございますけれども、経済産業省において行いましたアンケート調査の結果によりますと、中小企業も含めて約六割の企業が、本税制が賃金の引上げを後押ししたというふうに回答しているところでございます。
経済産業省としては、関係省庁とも連携をいたしまして、この賃上げ促進税制の活用を含め、取引適正化の推進ですとか、生産性向上、省力化投資への支援ですとか、成長分野への国内投資など、政策を総動員して賃上げの環境に取り組んできたところでございます。
こうした取組の積み重ねの結果もあり、現在、三十三年ぶりの高い水準となった賃上げが実現するなど、成長と分配の好循環が動き始めたというふうな状況かなと思っておりますので、引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○福森分科員 ありがとうございます。
実際に六割の企業さんが評価をされていたということで、一定の成果はあったのかもしれません。また、二〇二四年を成果とした場合には、民間主要企業の賃上げ要求、妥結額は五%を超える、中小企業でも四%を超えるというところで、確かに少しはよくなってきているのかなと思います。
しかしながら、例えば、先月ですか、物価の上昇が四%超えをしています。ですから、私は、今後、物価の上昇をも上回る賃上げを促していかなくては経済は回復しないのではないかと思っております。
ですから、税制優遇のインセンティブとなるパーセントに関しましても、今のままというよりは引き上げていった方がいいかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の春季労使交渉でも三十三年ぶりの高水準の賃上げとなったということでございまして、こうした中、令和六年度、今年度の賃上げ促進税制の改正におきましては、大企業には物価の上昇を上回る持続的で構造的な賃上げを牽引していただくという観点から、更に高い賃上げ率となる五%、さらに七%の要件を創設をいたしまして、より高い賃上げを目指していただける制度体系としたところでございます。
今年度の税制改正の適用は始まったばかりのところでございまして、今後もよりよい制度になるよう議論を深めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○福森分科員 ありがとうございます。
是非成果があることを祈り、また、検証の場では私も一緒に見させていただければと思います。
ただ、逆に、中小企業の場合、六〇%以上が欠損法人で、法人税対象外というふうに聞いております。そうなると、中小企業の約六割がこの制度では賃上げのインセンティブがなされないということになると思います。令和六年度からは繰越控除が導入されて、欠損法人であっても一定インセンティブになるように工夫されておられると聞いておりますけれども、私が地元の商工会なんかで聞くと、いや、なかなかそうはなっていないというような声も聞きます。
もし評価の声ですとかこういう効果が見えてきているよということがあれば、お聞かせください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
中小企業向け賃上げ促進税制につきましては、令和六年度税制改正において、前例のない長期となる五年間の繰越措置の創設など、抜本的な強化を行ったところでございます。
今回の五年間の繰越措置は、業績が厳しくても、人手不足の中、人材を確保するためにしっかりと賃上げを行いたいとの中小企業の声に応えるものと考えてございまして、これまで本税制を活用できなかった赤字の中小企業が賃上げにチャレンジする後押しになるものと考えております。
この繰越措置に関する評価につきましては、令和六年度に実施いたしました経済産業省のアンケート調査によりますれば、賃上げ促進税制の利用意向がある企業の中で、この繰越措置の創設が自社の賃上げ実施のきっかけとなっていると回答した企業が約五割に上っております。
引き続き、抜本的な強化を行った中小企業向け賃上げ促進税制につきまして、しっかりと活用していただけるよう周知、広報を行ってまいる所存でございます。
○福森分科員 ありがとうございます。
本当に周知徹底も大切かと思います。御存じない欠損法人の方もいらっしゃいますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度における教育訓練費に係る上乗せ税額控除についてお聞きしたいと思います。こちらの適用状況を教えてください。こちらは会計検査院さんにお願いしたいと思います。
○佐々木会計検査院当局者 お答えいたします。
会計検査院は、本年一月の国会及び内閣に対する報告におきまして、法人税の租税特別措置のうち、教育訓練費に係る上乗せ税額控除等の適用状況を報告しております。
委員お尋ねの教育訓練費に係る上乗せ税額控除の適用状況についてでございますが、平成三十事業年度から令和三事業年度までに電子申告を行った法人について見ましたところ、大企業向けの措置は延べ二千百八十法人で適用され、その税額控除額は百四十八億三千百六万余円、中小企業者等向けの措置は延べ一万六百八十一法人で適用され、その税額控除額は百六十五億七百七十四万余円となっておりました。
以上でございます。
○福森分科員 ありがとうございます。
私、実はこの制度を知りませんでした。ただ、租税の特別措置、いろいろ見直すところがあるんじゃないかなと思うときにこの御報告書を拝見しまして、今おっしゃっていただいた、かなりの数の法人、そしてかなりの金額があることを見ております。
それが賃上げの後押しとなり給与を引き上げることになっていれば、あるいはリスキリングになっていればいいと思ったんですが、この報告書によると、教育費に係る上乗せ税額控除の適用法人、先ほどおっしゃっていただいた延べ一万二千八百六十一法人、税額控除額は三百十三億円なんですが、ここで表二を御覧いただければと思いますけれども、この一万二千八百六十一法人のうち七六・二%に当たる九千八百十二法人で、教育訓練費増加額を上回る金額の税負担が軽減されていて、その金額は二百十四億円に上るということでございます。
従業員の給与を増やす、あるいはスキルアップをしてもらう、そういうことに使うということは非常に有用であると思いますけれども、しかしながら、例えば、表二の右に示していただいたように、教育訓練費の増加額は五・二万円、教育訓練費支出額は三十・三万円、上乗せ税額控除の額が一千五十八・七万円という例もあったとなると、当税法に関しては見直した方がよいのではないかと考えます。
会計検査院の報告書を見ても、適切なものとなっていないおそれがあるとされていまして、検査によって明らかになった状況を踏まえ、経済産業省等及び財務省において、その効果及び要望措置の妥当性を検証し、当該検証結果を基に経済産業省等において見直しを検討することが重要であるとされております。
私自身も、実際増加した額が五万、全体の支出が三十万、でも税金の控除が一千万を超えるというのは、どうにもおかしいことのように考えます。適切なものとなっていないのじゃないかなと思います。
今後の御対応についてお聞かせください。
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の教育訓練費に係る上乗せ税額控除でございますけれども、人的投資が生産性の向上ひいては賃上げの実現につながるという考え方の下、平成三十年度の税制改正において導入されたものでございます。
この賃上げ促進税制ですけれども、企業が賃上げを行った場合に、給与等支給額の増加額の一定割合を法人税額又は所得税額から控除するという税制でございまして、この制度の中で、企業が従業員の教育訓練ですとか、女性活躍の推進、子育て支援などの人材投資を行った際には控除される割合を高めているということをしているわけでございますけれども、減税額が教育訓練費の増加額を上回ることは、御指摘のとおり、あるということでございますけれども、賃上げ額そのものを上回るということはないということで、制度の趣旨に鑑みまして、必ずしも過度な減税になっているというふうには考えていなかったところでございます。
しかしながら、今般の会計検査院の報告書も踏まえまして、教育訓練費に係る上乗せ控除がもたらす賃上げへの政策効果の検証をするために、経済産業省としても、追加的なデータの収集や分析手法などの検討を開始したところでございまして、よりよい制度となるよう議論を深めていきたいというふうに考えているところでございます。
○福森分科員 ありがとうございます。
先ほど会計検査院の佐々木様もおっしゃってくださったように、これは大企業でも中小企業でも一定使われています。よりよいものとなるように、あるいは正しく使われるように制度を変えていっていただけたらと思います。
賃上げ促進税制に関しましては、今申し上げたように、税額控除が受けられる賃上げ率の数値を見直す、実際に七%に上げるというお話でしたけれども、そちらも物価上昇を見ながらということはあると思いますし、中小企業の六割を占める欠損法人への賃上げフォロー、あるいは、適切なものとなっていないおそれがあるものは即座に改善していくということが必要であると思います。見直していただけますでしょうか。
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
賃上げにつきましては、全体としては着実に賃上げが進展してきたというふうに考えておりますけれども、引き続き、企業の規模ですとか業種、地域によってばらつきがありまして、より低い賃上げ率の企業の方が依然として多数存在しているという状況なので、賃上げの定着に向けて、まだ道半ばの状況というふうに考えております。
さらに、令和六年度税制改正の適用も始まったばかりのところでございまして、この春の春季労使交渉の結果や今年度の適用実態等の状況を丁寧に見極めた上で、より実効的な効果検証に向けて、追加的なデータの収集、分析手法の検討の結果も活用いたしまして、今後ともよりよい制度となるように議論を深めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○福森分科員 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、実際、産業によっても、あるいは企業規模によっても、かなり、賃上げができるかどうかということですとか、その状況というのは異なると思いますので、きめ細やかにフォローし、見ていっていただければと思います。ありがとうございます。
次に、研究開発税制についてお伺いしたいと思います。
研究開発税制については、立憲民主党からもいろいろな質疑が行われておりますけれども、改めて、この目的を共有したいと思いますので、お聞かせいただけますでしょうか。
○菊川政府参考人 研究開発税制の目的についての御質問がございました。
研究開発税制は、将来の経済成長の基礎となります企業の研究開発投資、これを維持拡大することによりまして、イノベーション創出につなげて我が国の成長力、国際競争力を強化する、こういうことを目的にしていると認識しております。
企業の研究開発の成果は広く経済全般に恩恵を及ぼすものである一方で、成果が本当に生まれるかどうか分からない、また、成果が生まれるまでの時間がかかるといったリスクを有するものである、したがって、市場原理そのものに任せるだけでは十分な活動が行われない可能性があるということを踏まえたものだと思っております。
科学技術・イノベーション基本法第二十条におきましては、国は、我が国の科学技術活動及びイノベーションの創出に係る活動において民間事業者が果たす役割の重要性に鑑み、民間事業者の自主的な努力を助長することによりその研究開発及び研究開発の成果の実用化によるイノベーションの創出を促進するよう、必要な施策を講じるものとするというふうにされております。その一つとして研究開発税制が位置づけられているものと承知をしております。
○福森分科員 ありがとうございます。
実際、そのとおりなんだと思いますけれども、この研究開発税制で減収と想定される金額というものがかなり大きいものですから、今おっしゃっていただいた目的にきちんとかなっているかということは、きちんと見るべきであると私は思います。
私なりに見てみたというのが表三でございます。こちらは、二〇〇八年以降の税収がどの程度減収になったかということと、そういった研究開発費がある中で設備投資をどのぐらい行われたか、あるいは労働生産性がどの程度上がったか、あるいは実質GDPの成長がどの程度であったかということを見たものです。このほかにも、日本の競争力ランキング等も見ておりますけれども、かなり長いスパンで見てみましたけれども、効果が出ているとまでは言えない状況かと思いますが、いかがでしょうか。効果が見えないまま延長を続けているということで、理由は何か、教えていただけますでしょうか。
○菊川政府参考人 データの御指摘、ありがとうございました。
先ほど申し上げましたとおり、研究開発税制は、将来の経済成長の基礎をつくっていくということの研究開発投資を後押しするということでございます。
この税制そのものの効果ということにつきましては、民間企業の研究開発投資というものは、収益の状況でありましたり国際的な競争環境の動向など、様々な要因の影響を受けるということが考えられますので、今委員から御指摘いただいた労働生産性でありましたり実質GDPの成長率、こういったものを挙げていただいておりますけれども、それを、税制のみによって効果を定量的に測るということは難しいのかなということに思っております。
ただし、最新の実績データでございますが、令和五年度の企業研究開発投資額、これは前年比で約一・一兆円増加をしております。十八・九兆円と過去二十年で最高の研究開発投資というふうになってきてございます。研究開発税制は、そういった意味で、企業の研究開発投資を押し上げる一定の効果ということがあったのではないかなというふうに思ってございます。
○福森分科員 ありがとうございます。
実際、研究開発費は増えているよということでございますけれども、目的に照らし合わせますと、その結果、日本の産業がどうなったか、あるいは経済が成長しているかということだと思いますので、引き続き成果を見て御判断いただければと思っております。
また、税収の減収額に関しまして、金額ベースで見れば大企業が多くなっている。上位一社で八%、上位十社で二七%。件数で見ると七割が中小企業だから、中小企業も結構いるんだよということでございますが、日本の中小企業比率は九九・七%であり、七割だからといって必ずしも多いと言うことができないのではないかと思います。一部の大企業に偏っているとは言えないでしょうか。
○菊川政府参考人 大企業への支援に偏り過ぎていないかという御指摘でございます。
他方、適用される減税の、我々、控除率というふうに言っていますが、これは、大企業は一%から一四%の範囲ということになっていますが、一方で中小企業は一二%から一七%ということで、中小企業に対しての優遇を行っております。
そしてまた、七割ということについてはどうなのかということがございましたが、適用件数で見ておりますけれども、我々、合計一万七千件、減税の適用を受けた件数がございますが、中小企業の利用が七割ということなんですが、大企業だけでなくて幅広い企業に利用されているというふうに考えております。
また、その七割の意味というところなんですが、令和五年度の総務省の科学技術研究調査というものがございます。これの中によりますと、研究開発を実施している企業全体の中で、研究開発を実施している中小企業の割合がどれぐらいかということをその調査では指摘していまして、六四%となっております。
したがって、研究開発全体、実施している企業の中で六四%が中小企業ということとの比較でいえば、研究開発税制の適用件数の七割が中小企業というところについて言えば、幅広く御活用いただいているのではないかなということで我々の方は認識をしているところでございます。
○福森分科員 ありがとうございます。
そもそも、研究開発、六四%だということだと思うんですけれども、私自身は、中小企業が九九・七%あるとしたら、その全部じゃなくても、やはり中小企業ももっともっと研究開発をして、ボトムアップしていくことが非常に重要であると思いますので、そこら辺、中小企業も使いやすいように一層変えていっていただけたらと思います。
また、そもそもこの税制が目的にかなっているかどうかということを検証するためには、一層の透明化が必要ではないかと思います。私自身、この成果というのはどうなんだろうなと見ようとしたときに、なかなか効果が分かりにくいなということを感じました。
国の税に関することですから、やはり評価基準というものは明快に、透明にしていくべきだと考えています。ですから、今実績は教えていただきましたけれども、どのような評価基準、物差しで見ておられるかをより具体的に教えていただけたらと思います。
企業名の公表を始め、効果を目に見える形にすると、この企業は研究開発に力を入れているんだな、投資しようかな、あるいは、研究開発によって日本経済が確かに元気になってきたな、我が社も頑張ろう、そういう波及効果も私はあると思うんですね。ですから、そういうプラスの意味でも企業名をオープンにするということはいいのではないかと思いますけれども、無理でしょうか。
○菊川政府参考人 まず、研究開発税制の評価、ここに対する御指摘がございました。
評価基準の考え方でございますが、科学技術・イノベーション基本法に基づく最新の第六期の計画におきましては、二〇二一年度より二〇二五年度までの官民合わせた研究開発投資の総額について、約百二十兆円にするとの数値目標を掲げているところでございます。この数値目標は、政府投資が呼び水となりまして民間投資が促進される相乗効果でありましたり、我が国の政府負担研究費割合の水準等を勘案するものとされてございます。
研究開発税制はこれを達成するための一つの政策とされておりまして、官民合わせて研究開発投資の総額を二〇二一年度より二〇二五年までに約百二十兆円にする、こういうことが基本的な考え方というふうに思ってございます。
また、予算委員会の方でも多く御議論いただいた、企業名をオープンにできないのかどうかという点にございますが、これは総理始め様々な大臣、閣僚の方々が御答弁されておりますので、それをなぞる形になってしまいまして恐縮でございますが、企業自らが公表するということであれば問題ないと考えますが、一般論として申し上げますと、個別の租税特別措置の適用状況というのは有価証券報告書よりも非常に詳細になりますし、個別企業名とともに開示することで、経営戦略上の情報が明らかになるなど、価格交渉への影響等の競争上の不利益を生じる可能性があるということになっておりまして、財務省の、国会にも御報告されている租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書、ここにつきましても、適用額上位の十社の適用額は公表されておりますが、個別の企業名は公表されていないという形で承知をしております。
○福森分科員 ありがとうございます。
今お話を聞いていて、何となく分かった気にはなるんですけれども、やはり腹落ちしないんですよね。企業間競争を阻害しかねないとか、研究開発の中身までオープンになってしまうと守秘義務みたいなものもあるからということかもしれませんが、今お話があったように、有価証券報告書だと、こちらは金融商品取引法によるものですけれども、企業は、企業概況や事業の状況、経理の状況、投資判断に資する企業情報はオープンにします。あるいは、企業自身、研究開発や設備投資に必要な資金を集める際にも当然オープンにしていきます。
ですから、私自身、つまびらかに、事細かにということになれば不都合があるかもしれませんけれども、一定の、もう世の中に出ているものが、有価証券報告書なんかがそうですから、そういった部分、企業名をオープンにするということはできると思いますので、引き続き御検討をいただければと思っております。
ごめんなさい、時間がなかなか、なくなってまいりましたので、あとちょっと、法人税の租税の特別措置の効果について、もうちょっとマクロな視点でお聞きしたいと思います。
政府が目指してきた成長と分配の好循環、なってきているんじゃないかと先ほどの御答弁にもありましたけれども、表四を見ていただくと、コロナ禍以降、確かに大企業の経常利益は上がっている、倒産件数も一桁とよいコンディションになってきているなと思いますけれども、大企業の非正規雇用率は一向に改善されていません。あるいは、中小企業のマークアップ率というものも改善されていません。
私は、こういった数字、あるいは中小企業の方のお声を聞くに、価格転嫁がなかなかできないんだという声ですけれども、そういった声を聞くに、好循環になっているとは言えないのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
政府としては、これまで、成長と分配の好循環の実現に向けて、税制に限らず予算や制度改正を含めた幅広い取組を行ってきたところでございますが、なお道半ばというふうに考えております。石破内閣においても、賃上げと投資が牽引する成長型の経済の実現を目指すため、様々な政策を総動員して進めているところでございます。
御指摘の租税特別措置については、国内での投資、そして賃上げの取組を後押しするために、企業を取り巻く経済状況に応じて必要な見直しを行ってきたところでございます。
租税特別措置も、企業の投資活動等に一定の貢献をしてきたというふうに考えておりますけれども、今後の税制改正のプロセスの中でも引き続き改善を検討していきたいというふうに考えてございます。
○福森分科員 ありがとうございます。
特に中小企業は価格転嫁等も困っていますので、そちらの方もよろしくお願いしたいと思っております。
そんな中、経済産業省の方では、価格交渉促進月間の実施、その後のフォローアップ調査など予算事業をしてくださっている、あるいは下請代金法の執行を強化しようとしてくださっている。こちらに関して、より効果があるといいなと思っておりますけれども、こちらの現状と今後の具体的な強化策を教えていただけますでしょうか。これを最後の質問としたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
これまで中小企業庁では、価格転嫁対策といたしまして、今御指摘いただきました年二回の価格交渉促進月間に基づきます発注企業ごとの交渉、転嫁の状況の公表や事業所管大臣名での指導助言、また、下請Gメンによる取引実態の把握、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知徹底、官公需法に基づく国等の契約の基本方針の策定やその浸透に向けた働き方などに取り組んできているところでございます。
これらの取組を引き続き粘り強く継続いたしますとともに、今後、公正取引委員会と連携いたしまして、協議に応じない一方的な価格決定の禁止や規制対象の追加を盛り込んだ下請法の改正法案を提出させていただき、公正取引委員会や中小企業庁に加え、事業所管省庁が連携を一層強める法改正を行うことで執行力を強化してまいりたいと存じます。
さらに、先月、石破総理から関係大臣に対しまして、価格転嫁を阻害する商慣習の一掃に向けて取り組むよう指示がございました。これを踏まえ、経済産業省といたしましても、関係業界団体や関係省庁に対して働きかけを行い、一層の価格転嫁を推進してまいる所存でございます。
○福森分科員 ありがとうございました。
中小企業さん、本当に、賃上げままならぬ、価格転嫁が先だというお声も聞かれますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
最後に、ちなみに、この強化で企業名をオープンにされるんですよね。こういうところこそ企業は実はオープンにされたくないのに、ここはオープンにできて、さっき言いましたけれども、研究開発はオープンにできないというところは、ちょっとまた引き続き検討いただければと思います。
私からの質疑は以上です。ありがとうございました。
○齋藤主査 これにて福森和歌子君の質疑は終了いたしました。
〔主査退席、伊藤(達)主査代理着席〕
○伊藤(達)主査代理 次に、井坂信彦君。
○井坂分科員 立憲民主党の井坂信彦です。
日本は課題先進国であります。少子高齢化、医療や介護のお金が足りない、今後は人手も足りなくなる、またインフラの維持更新、都市への人口集中と一方で過疎化、そして運輸、食料、自然災害と本当に課題だらけであります。これだけの課題を政府が解決をしようとすると、年間百十五兆円の予算では全く足りません。
一方で、世界の個人金融資産は二京円、すなわち二万兆円あるというふうにも言われています。このお金の一部だけでも社会課題を解決する事業に使って社会の課題解決をしようというのがインパクト投資であります。単に経済的リターンだけを求めて投資をするのではなくて、その事業が社会全体に与えるよい影響、すなわちインパクトの大きさに着目をして投資先を決める手法であります。世界のインパクト投資残高は二〇二四年に二百三十九兆円に拡大をしており、日本でも、二〇二二年は六兆円、二〇二三年は十一兆円、そして二〇二四年は十七兆円とどんどんどんどん急拡大をしているわけであります。
私は、厚生労働委員会でふだん、年金積立金、GPIFの資産運用をインパクト投資でできないかということを議論をしてまいりました。当時は、年金積立金を減らすわけにはいかないから、経済的利益以外は考えちゃ駄目なんだと言われていましたが、しかし、先月公表されたGPIFの中期計画は、ついにインパクト投資の解禁が盛り込まれました。今後は世界最大の機関投資家と言われるGPIFからも巨額のお金がインパクト市場に流れ込んでくるわけであります。
インパクト投資をするプレーヤーや投資総額は増えていますが、インパクト投資を受ける企業やプロジェクトは果たして国内で増えているのでしょうか。課題は山積みで、課題解決の投資資金も十分、しかし、課題解決を行うプレーヤーがいなければこのインパクト投資は海外に流れ出ていってしまいます。
大臣に伺いますが、インパクトスタートアップを始めとするインパクト産業の規模を大きくして、日本経済の主軸に育てていただけないでしょうか。
○武藤国務大臣 井坂委員にはいつもいろいろと御教授いただきまして、ありがとうございます。
インパクトスタートアップの必要性について、まさに新しい技術やアイデアによって社会課題をスピード感を持って解決し、地域の活性化をもたらす存在だというふうに承知をしています。今後の日本の経済社会にとって重要な役割を担うと期待をしております。また、能登半島地震でもスタートアップの企業が水不足の解消に貢献するなど、活躍の実例が出てきているところも承知をしているところです。
こうしたインパクトスタートアップがより多く生まれることは大変重要だ、先生おっしゃられるとおりだと思います。
産官学金共同のインパクトコンソーシアムにおける自治体とスタートアップとの連携促進ですとか、新しい地方経済・生活環境創生交付金によって、地域の社会課題解決に向けた調達や実証等の取組の促進、また、官民一体で集中支援を行うJ―Startup Impactプログラムの実施等に取り組んでいるところですけれども、引き続き関係省庁と連携をしながらインパクトスタートアップの育成を図っていく、これはまさに先生からも今後とも御指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○井坂分科員 更問いというか、大臣に、簡単な受け止めというか、お聞きをしたいと思うんですけれども、なぜ今これだけインパクト投資が増えてきたというふうに見ておられますか。これは何か答えがあるわけではないんですけれども、大臣の受け止めをお聞きしたいと思います。
○武藤国務大臣 世の中がやはりいろいろ変化している中で、私ども昭和の生まれで、非常に石破総理と近いですけれども、やはり世の中の変化がそういう形で起きてきている。ミドルエージと若い方々との時代、それからネットの社会のいわゆる世界的な変化もあり、また、今回特にまたAI等が出てきて、やはり、世の中の変化に対応して、若い人たちが新しく、スタートアップの起業的な発想で、だんだん地ならしができつつあるのかなというのが、正直、私からの見方です。
○井坂分科員 ありがとうございます。
本当に、大臣おっしゃるとおり、若い世代の方と話していると、単にビジネスを大きくしたいとかリターンを得たいというだけじゃなくて、やはり、何か課題を解決したい、社会の問題、困っている人を助けたいという思いがより強く感じる、おっしゃるとおりだと思います。
私は、もう一つ、インパクト投資が何でこんなに増えたのかなと思うと、これは大臣のおっしゃった話と実は真逆の話にもなるんですけれども、やはりもうかるからということだと思うんですよね。
投資家というのは、もちろんよき心も持っていますけれども、一方で、やはりリターンがない限り投資はしないわけであります。普通の投資よりもインパクト投資の方が中長期的に見てやはりリターンがある、インパクト事業をやる企業の方が中長期的に見て必ず成長する、そういう確信が今持たれてきているので、要は、単にいいことだから投資するというのではなくて、ESG投資がまさにそうだったんです。環境にいいから投資しているんじゃなくて、環境にいいことをちゃんと社内でやっている会社の方が行く行くやはり伸びているという事実がはっきり出てきたのでESG投資は伸びてきた。同じように、インパクト投資は、やはり、社会にいいだけじゃなくて、そういうところの方が伸びる、インパクト産業は成長産業だ、そのようにも思うんですね。
大臣、是非、成長するインパクト産業とそうでない非インパクト産業、どちらを日本の主軸に据えるべきか、答えは私は明らかだというふうに思いますので、インパクト産業、単にいいことだからちょっと応援しようというレベルではなくて、インパクト産業が伸びる、少なくとも損得を一番重視する投資家はそう見て巨額を投資をしているわけでありますから、そこを是非受け止めていただきたいというふうに思います。
続きまして、インパクト産業を日本で伸ばすために、インパクト特区ということを御提案したいと思います。
インパクト企業が普通の企業と違うのは、単に売れた、もうかったということに加えて、やはり、社会がどれだけよくなったのか、問題がどれだけ解決をされたのかというインパクトの測定を行う点であります。しかし、インパクト測定を一企業、とりわけスタートアップが行うことは、事前の実証実験も含めて非常に難しいことであります。
そこで、インパクト特区、自治体がテーマを決めて、例えば、うちの町は健康問題のインパクト特区になりたいですと自治体がまず手を挙げる。その問題を解決しようというインパクト企業とかインパクト事業、プロジェクト、また、健康に関する専門家、専門機関がその町に集まってくる。自治体は、例えば、この企業の製品を使った住民と使わなかった住民でその後健康状態がどう変わったのか、こういうことはやはり自治体でなければできない調査でありますので、自治体は、そういったインパクト測定のためのデータ収集とか、あと、インパクト事業の参加者募集などをお手伝いをする、インパクト企業が活躍しやすいように、様々な町中での手配を手伝ったり、あるいは必要があれば規制も緩和をする。その町を健康をテーマにしたインパクト産業を育てるためのフィールドにしようということであります。
更に申し上げれば、大企業はその自治体にふるさと納税という形で資金援助ができます。ふるさと納税、大企業さんに聞くと、やはり、自治体、ここと決めて寄附するのは実は結構難しい、理由が問われる、ただ、特区でもあれば、それは健康企業のうちが健康特区のこの町に寄附するのは当たり前でしょうということで、非常に寄附をしやすいというふうにも伺っています。企業版ふるさと納税のいいところは、単にお金を出すだけではなくて、社員の派遣という形の寄附も可能になっています。そうすると、大企業の社員が例えば健康特区の自治体に行って、健康のスタートアップとまさに人的交流をするということが自然に可能になるわけであります。
大臣に伺いますが、テーマごとに自治体が実証実験のフィールド等を提供して、そこにインパクト企業が集まるようなインパクト特区を創設をしてはどうでしょうか。
○武藤国務大臣 インパクトスタートアップの育成には、自治体を含めた地域ぐるみでこれに取り組んでいく実証の取組、これがまさに重要と考えておりまして、これはもうまさに委員と共有をするところであります。
経済産業省といたしましては、内閣府等と連携をしながら、スタートアップ支援に積極的に取り組む自治体に対して集中的に積極支援を行うエコシステム拠点都市や、産官学金共同のインパクトコンソーシアムにおける自治体とスタートアップの連携促進などの取組を通じて、スタートアップと自治体や地元企業が参加する実証事業等の支援を既に進めているところであるのは、もう先生御承知のとおりです。
こうした取組の効果を見極めながら、関係省庁とも議論しながら一層の取組の強化が必要である、私もそう思っておりますので、積極的に検討してまいりたいと思います。
○井坂分科員 大臣、ありがとうございます。
是非、特区にするメリット、一つは交流によるイノベーション、二つ目が、実証実験、面的にフィールドが用意されるということ、三つ目が、世界から投資が集められる。一スタートアップではとても見つけてもらえませんが、健康問題のインパクト特区があれば、じゃ、そこでどういう事業、どういう企業があるのかと目に留まるというふうに思います。是非前向きに研究、検討をよろしくお願いいたします。
続きまして、参考人に伺います。
中小企業の進化を支援するというテーマで、一つは、予算委員会で大臣ともAIの議論をさせていただきました。ソブリンAI、国産AIを日本で作れるように頑張りましょうということであります。一方で、社会や産業がAIを使ってそれぞれの事業を進化させていくということも大変重要であります。
その後押しとして、中小企業のAI導入、また、もう既にある簡易なAIサービスと中小企業のマッチング、こういった支援ができないか、お伺いいたします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業、小規模事業者がAI技術等も活用しながらデジタル化、DXを推進することは重要だと認識しております。
このため、経済産業省におきましては、AI製品も含めてITツールの導入を支援するIT導入補助金を措置しているところでございます。この補助金では、中小企業等が申請可能なITツールの中から自身のニーズに合ったITツールを選んでいただき、導入できる仕組みとなっております。
加えまして、中小企業基盤整備機構によるIT経営サポートセンターなどの相談窓口の整備を通じまして、IT技術の具体的な活用方法が分からない事業者に対しまして支援体制を構築しているところでございます。
また、中小企業等に対しましてIT導入を含むDXの取組や効果を普及啓発することも重要であるというふうに考えておりますので、DXで優れた成果を残している中小企業等を表彰するDXセレクション、あるいは、全国の優れたDX推進を行う企業事例をまとめたデータベースの整備、こういった取組も行っているところでございます。
今後も、こういった取組を通じまして、AI技術の活用も含めた中小企業のデジタル化、DXの促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○井坂分科員 もう一つ、中小企業の高度化ということでお伺いをしたいと思います。
日本はこれまで、設備投資を一生懸命やってきた反面、無形資産への投資が遅れてきたと言われてまいりました。
ただ、無形資産、三つあるうちの一つ目、情報化資産、デジタル資産はこの間大分進んできたというふうに思います。二つ目の革新的資産、研究開発とか特許、知財、それからデザイン、この辺りも国会で議論をして大分進んできているというふうに思います。今最も足りないと言われているのが、無形資産の三つ目、経済的競争力というふうに言われる、ブランドであったり人的資本、組織やマーケティングのノウハウ、こういったところが特に中小企業はまだまだ足りないのではないかと見ています。しかし、一方で、中小企業が高い専門家を雇ってブランド構築をがっつりやるというのはまだまだ大変ハードルが高い状況であります。
そこで伺いますが、ブランディングだけではなくて、ブランディングもできる例えばウェブデザイナーとか、ブランディングがちゃんとできるSNSの代行業者、こういう辺りにお願いをして中小企業のブランド構築を支援をできないか、お伺いいたします。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
中小企業が新たな価値を創造して収益を拡大し成長していく上で、ブランディング等により商品の差別化に取り組むことは重要であると認識しております。
中小企業庁は、中小企業の相談に応じるワンストップの無料相談窓口である全国のよろず支援拠点に、先ほどおっしゃったようなデザイナーも含めて多様な専門家を配置しているところでございます。各地の相談内容を踏まえまして、例えば、開発された商品の仕上げのデザインとか、商品を魅力的に売り込むためのパッケージに関する助言なども行っているところでございます。
また、補助金関係で、ものづくり補助金では、創造的なデザインを製品化するための設備投資が必要であればそれに係る費用とか、あるいは製品のデザインを外注する場合にはその経費、小規模事業者であれば、小規模事業者持続化補助金においてウェブページなどのデザインに係る経費を補助対象にしているところでございます。
こうした支援策が効果的に活用されるように、個々の相談にきめ細かに対応しながら、中小企業のブランディングあるいはデザインに対する取組というのも後押ししてまいりたいと考えております。
○井坂分科員 ありがとうございます。
是非、何か新たな制度が必要とまでは思わないんですけれども、ブランディングだけやりましょうというと、なかなか中小企業は難しいですし、それだけにお金を出すのは難しいんですが、ホームページを作るとか、あと、最近絶対あるのが、そろそろSNSをちゃんとプロに任せてやろうというところは今非常に多いと思いますから、そのときに、ただSNSだけをきれいにやってくれるところに頼むのか、それとも、それと同時に、ちゃんとブランディングとか一番根本の部分も同時に見てもらって、それと併せてSNSで情報発信をできるようにするのかというところで大分変わってくると思いますので、是非一工夫をよろしくお願いをいたします。
次に、大きな三つ目のテーマで、再生可能エネルギーの地産地消ということについてお伺いをいたします。
政府のエネルギー基本計画で、再生可能エネルギーは二〇四〇年に最大の電源ということで位置づけられております。しかし、最近は、風力発電とか太陽光発電を地方に造ろうとしても、環境問題あるいは景観の問題等々で反対運動が起こったり、地元とトラブルになることも多くあります。
一部の自治体や事業者は、地域のエネルギー会社というようなものをつくって、新しく造る再エネ発電所から地域の学校とか地域の公共施設、あるいは場合によっては地域の住民さんに安く電気を卸すということで、単に雇用が増えるとかだけじゃなくて、ここが来たから電気代が安くなったという、直接的に利益が感じられる、利益還元などもやろうとしているわけであります。確かに、発電したその場所で、すぐ隣で電気を使うということができれば、送電ロスもなくなり、エネルギー効率も非常によくなります。
参考人に伺いますが、再生可能エネルギー発電所がちゃんとその地域の直接的な利益となって、エネルギーの地産地消が進むような取組はできないかということをお伺いいたします。
○伊藤(禎)政府参考人 お答え申し上げます。
再生可能エネルギーにつきましては、地域との共生と国民負担の抑制を図りつつ、主力電源として最大限導入することを政府の基本方針としてございます。
委員御指摘ございましたとおり、導入された再エネを地域で活用する地産地消につきましては、災害時のエネルギーの安定供給の確保に加えて、地方創生、そして地域活性化に資するものとして大変重要であると承知をしております。
具体的な点としまして、再エネ設備の建設工事や設備の補修、メンテナンス等におきまして、地域に継続的な雇用あるいは需要の発生が期待され、また、例えば、事業規模が大きく、産業の裾野も広い洋上風力発電におきまして、サプライチェーンの構築や雇用効果などを通じ、地域経済に大きな波及効果をもたらすことが期待されるところでございます。
こうした点を踏まえまして、政府としまして、再エネ海域利用法に基づく各地域での洋上風力発電の案件形成、また自治体と連携した地熱発電や小水力発電の導入など、地域との共生を図りながら、委員御指摘ございましたように、地方自治体ともよく連携をしまして、地域活性化に資する、そして地域の利益となるような再エネの導入拡大をしっかりと進めてまいりたいと存じます。
○井坂分科員 ありがとうございます。
今のは大きな再エネ発電所が地方に進出したときの話でありましたが、一方で、今、ペロブスカイトの太陽電池などなど、安くて軽い発電施設を屋根とか壁とかに貼り付けて、建物単位での発電ということも以前にも増して簡単になってきております。
こうした企業や住宅が小さな発電施設と蓄電池を持って、互いにそれをつなげて電力を融通し合うような分散型発電、あるいはマイクログリッド、こうした取組も更に進めていただきたいというふうに思いますが、参考人、よろしくお願いいたします。
○伊藤(禎)政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきましたとおり、工場等への屋根置き太陽光発電など、再生可能エネルギー等を活用しましたいわゆる小さな電源ということで、分散型エネルギーシステムの構築は、自家消費の促進あるいは地産地消の観点で大変重要と承知をしてございます。
経産省としまして、分散型エネルギーシステムの構築に向けまして、需要に近接して設置できる住宅、工場等の屋根設置太陽光発電の施策を強化し、また、FIT、FIP制度で投資回収の早期化を図っているところでございまして、さらに、蓄電池等の需要側の分散型電源の導入促進、そして、分散型電源を地域で活用するマイクログリッドの構築支援等に取り組んでいるところでございます。
引き続き、今御指摘ございましたような分散型エネルギーシステムの構築支援を通じ、地域における再エネの導入をしっかり進めてまいりたいと考えてございます。
○井坂分科員 ありがとうございます。
最後に、大きなテーマの四つ目で、地域でお金を循環させる地域経済循環ということについてお伺いをしたいと思います。
一番最初に議論をいたしましたインパクト特区のように、世界から仮にお金を、投資を集めることができても、そのお金が結局、地域ではなくていろいろなところで海外にお金が流れ出てしまったり、あるいは都市部にお金をどんどん持っていかれてしまったりということでは、なかなかその地域の経済はよくなりません。
食べ物とか電気だけでなく、あらゆる商品やサービスをなるべく地元で買ってもらうために今使われているのが、デジタル地域通貨、これは一つの有効な手段だというふうに思います。
たまたま、うちの政策秘書の佐藤さんが住んでいる板橋区なんですけれども、いたペイというデジタル地域通貨、これは成功例としてよく挙げられているんですが、聞くところによると、ふだんは一%還元なんですけれども、何か二〇%還元の時期があって、その時期は板橋区内の飲食店が大繁盛しているというような状況で、実際、その地域通貨を使っている経済規模、あるいは利用者数、どんどんどんどん拡大をしているということであります。まさに、デジタル地域通貨を介して、域外にお金が流れ出さずに、域内でぐるぐるぐるぐる回っているという状況であります。
参考人に伺いますが、こうしたデジタル地域通貨を導入をする自治体、あるいは複数自治体による圏域、こういったものを支援をしていただけないでしょうか。
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上に向けた地方公共団体の自主的な取組を支援するため、新しい地方経済・生活環境創生交付金デジタル実装型を令和六年度補正予算において措置しております。
この交付金では、例えば、書かない窓口や医療MaaSなど、地域の特性に応じた様々な取組への活用が可能であり、複数の地方公共団体における地域間連携事業としての申請も可能であります。
委員御指摘がありました地域デジタル通貨につきましても、本交付金の対象となり得る取組でありまして、本交付金の前身であるデジタル田園都市国家構想交付金等においても多くの地方公共団体で御活用いただいているところであります。
内閣官房としましては、引き続き、地方創生に資する地域の独自の取組を強力に後押ししてまいりたいと考えております。
○井坂分科員 ありがとうございます。
実は、これも経産省かなと思って通告を出したら、経産省では、国全体のクレジットとか、そういうデジタル化のことは一生懸命やってくださっているんですけれども、何か特定の地域のこういったことについては経産省の所管ではないような感じになっておりまして、今日はちょっと代わりに来ていただいたという経緯があります。
ただ、やはりこれは、もちろん地方創生という文脈でもあるんですけれども、地域で経済を回すということはやはり経産省さんにも大事なテーマとして考えていただきたいというふうに思っておりますので、今ある制度は、単に、別にデジタル地域通貨向けの制度ではないんですけれども、これを使って実際にデジタル地域通貨を導入している自治体はたくさんあるという状況ですから、今ある制度もうまく経産省さんも何か使って、地域経済のために展開をしていただきたいというふうに思います。
そして、もう一つ。地域でお金を回すためには、やはり、真面目にやろうと思ったら、地域ごとの経済循環の分析といったことが欠かせないというふうに思います。どの部分、地域でお金がぐるぐる回っているときのここの部分にこの産業が足りないから仕方なしに域外から物を買う、サービスを買うというような、どこでお金が漏れてしまっているのか、そして、そこに例えばどんな産業を持ってくれば、あるいはどんな工場を持ってくれば、あるいはどんなサービスがあればお金が漏れずにぐるぐる回り続けるのかというのが地域経済循環の分析であります。
日本にはRESASという大変優れた分析ツールが公開をされていて、誰でも使えるようになっております。しかし、優れたツールがあるということと実際にそれを使って本当にいい分析ができるということはやはり全く違う話であり、分析は簡単ではありません。幾つかの自治体は、あるいは圏域は、このRESASなどを使って、うちの地域ではどういうお金の回り方をしているのか、どこでお金が抜けていっているのか、じゃ、どうすればいいのかという、こういう真面目な分析をやっています。
是非、これは経産の参考人にお伺いをしたいんですけれども、自治体や圏域ごとに経済循環の課題分析を行う、これを経産省が全部やるのがいいのか、あるいは、やろうとする自治体を後押し、あるいはやらない自治体をやりなさいよというのがいいのか、やり方はいろいろあると思いますが、地域ごとの経済循環の課題分析を行い、そこに足りない要素を補う、こうしたことへの支援をしていただけないでしょうか。お伺いいたします。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、自律的な地域経済の発展に向けましては、地域の様々な主体自らが地域経済の課題を主体的に分析そして把握できるような基盤整備が重要であると考えてございます。
まず、御指摘いただきましたとおり、経産省におきましては、今、地域経済に関する様々なビッグデータを見える化できる地域経済分析システム、今御指摘あったいわゆるRESASを提供しているところでございまして、地域のユーザー自身がデータ分析を実施できる環境を整備しているところでございます。
他方で、これをどう使っていくのかという視点だと思いますけれども、まさに内閣官房におかれましても、自治体向けのワークショップの開催といった形で、RESASの活用促進に向けた普及啓発を今推進していただいていると承知してございます。
加えまして、我々所管の法律になりますけれども、地域未来投資促進法におきましては、各自治体が基本計画を策定するわけでございますが、その際に、今のこのRESASなどを活用したまさに地域経済の定量的な把握そして分析に関する記載を求めておりまして、その活用をうまくやっていただくというところを促しているところでございます。
いずれにいたしましても、これは我が省の関東経産局のところでも進めている取組などもあると承知しておりますけれども、いろいろな事業を展開しておりますので、こういった事業を通じて得られた知見も生かしながら、今後の施策展開というのをしっかり考えていきたいと思ってございます。
○井坂分科員 ありがとうございます。
最後に、大臣、是非お聞きをいただきたいんですけれども、実は、この質問を作っているときに、最初、経産省のページでこういった資料が出てきたんですね。だから、経産省はちゃんとやっているんだと思って。そうすると、実は関東経産局、要は地方組織が結構進んだことを、調査をやっていたりして、本庁の方は余りまだそこにタッチできていなかったりということが、これは全然悪いことじゃなくて、せっかくいろいろな地方組織があるので、地方組織では更に地域密着のいろいろな分析とかいろいろな取組をやっていますので、それはいいことだというふうに捉えて、是非本庁の方でも、地方がやっているいろいろな取組を是非全国展開をするようなことを考えていただければというふうに思います。
本日は、本当に日本の経済をどう強くするかというテーマで議論をさせていただきました。大臣そして参考人の皆様、本当にありがとうございました。
○伊藤(達)主査代理 これにて井坂信彦君の質疑は終了いたしました。
次に、東克哉君。
○東(克)分科員 立憲民主党、広島三区、東克哉と申します。
本日は、このように予算委員会分科会にて質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。大臣も長時間ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
本日は、私からは、予算の、事業の見直し、そして中小企業への支援の取組、公正な取引による労務費等の価格転嫁への取組、そしてヘルスケア産業について、この三点を大枠として質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
一月三十一日から始まりました予算委員会において、我が党の多くの先輩議員から、予算の無駄や削減、そして実際に見直しにつながるであろう指摘がたくさんなされております。これらの予算は、国民の皆様からお預かりした税金であり、無駄なく効率的に使わせていただく。やはり、予算や事業についての見直しは国会においての最大の責務だと考えております。
そこで、行政事業を見直す取組である行政事業レビューという行政評価が毎年、行政改革実行本部のプラットフォームに基づいて各省庁に行われていると把握しております。こうした不断の見直しや改善は、国民の皆様からお預かりした税金で予算措置をされておられる。そして、事業が実施されていく中では、非常に重要で、当然行うべき取組だと考えております。
この行政事業レビューの取組について、政府参考人にお尋ねさせていただきます。
経済産業省では、毎年どのようにこのレビューに取り組んでおられるのか、見直しの対象や方法、外部からの意見、これをどのように取り組んでいるのか、そしてその見直しや意見をどのように予算へ反映させているのかをお聞かせください。よろしくお願いいたします。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省におきます行政事業レビューの取組ですけれども、行政改革推進会議が定めました行政事業レビュー実施要領、これに基づきまして、毎年度、原則、全ての予算事業において実施をしてございます。
その中で、御指摘の外部有識者による点検につきましては、前年度に新たに事業を開始したものでありますとか事業の最終実施年度に当たるものなどを対象に行うこととされてございまして、レビューシートを点検いただく形で、こうした形で実施してございます。
さらに、一部の事業につきましては、春の公開プロセスあるいは秋の年次公開検証といった公開の場におきまして、外部有識者に直接御議論をいただいているところでございます。
こうした中で外部有識者から頂戴した御指摘を踏まえまして、予算要求などのプロセスにおきまして、例えば、短期、長期の成果目標、それらのつながりを示しましたいわゆるロジックモデル、この見直し、あるいは事業のガバナンスや透明性を確保するための公募、契約方法の見直し、こうした事業の改善などに取り組んでいるところでございます。
○東(克)分科員 ありがとうございます。
前年度新たにされているもの、そして今年度最後のものに取り組まれていることを見直しされているということを伺わせていただきました。
実際の事業レビューでは、各事業の点検が集約されて、外部の有識者から書面で点検作業が行われるということを理解はしておるんですけれども、ただ一方で、概算要求に含まれていない補正予算について、レビューシートを作成するタイミングとの兼ね合いで予算額と比較しにくいという課題があるということは認識しております。
例えば、令和六年度の補正予算、総額四・四兆円に上る、ですが、令和七年度の当初予算は二兆五百二十四億円です。このように、比較しづらい現状があること、これもやはり見直しが必要であると感じております。これまで始まった予算委員会においても各先輩議員方が既に指摘をされておられますけれども、改めてこの点を改善していただきますようにお願いをいたしたいと思います。
そこで、政府参考人にお尋ねさせていただきます。
比較しづらい状況であるとはいえ、この行政事業レビューを通じて見直された事業、改善された事業、具体的な数値、有識者の意見など、これらがどのように反映されたのか、そして、若しくは反映されなかった、行政事業レビューの反映状況、成果について、令和七年の予算を用いて、例としてお聞かせくださいますでしょうか。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年度における行政事業レビューの取組を令和七年度の概算要求にどのように反映したかにつきまして、行革事務局の定める定義がございまして、これに基づきまして申し上げますと、事業の廃止、これが一つでございまして、七十億円でございます。二つ目に、五つの事業につきまして令和七年度の概算要求を縮減してございまして、それは十一・五億円でございます。さらには三番目に、二十一の事業で執行面での改善などを行ってございます。
令和六年度の行政事業レビューにおきましては、外部の有識者からは事業の成果目標の設定の在り方などについて御指摘を頂戴したところでございます。
例えばユニコーン創出支援事業におきましては、短期、長期の成果目標のつながりを示したいわゆるロジックモデル、これにつきまして見直すべきだという御指摘をいただきまして、具体的には、金額からユニコーンの数といった形で見直すなどの成果目標の修正を行った上で予算要求を行ったところでございます。
今後とも、外部有識者から頂戴した御指摘も踏まえながら、更なる政策の改善や適切な予算の執行に努めてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○東(克)分科員 ありがとうございました。
令和六年度の廃止をされた事業七十億円、そして五つ縮減したのが十一・五億円ということですけれども、決して小さい額ではありません。ですが、令和六年度予算の総額は四・四兆円ですので、比較がやはり容易ではないということが分かります。やはり、補正予算の比較、補正予算でされた事業の比較を容易にすること、それが継続的に不断の検証で行うことでより一層予算措置の改善、適正化が期待できると思われますので、しっかりと行政事業レビュー自体の見直しを含めて検討いただきますようによろしくお願いいたします。
そして、行政事業レビューの中で、秋のレビューというものが実施されていると把握をしております。これは公開の場で、外部有識者から直接、経済産業省が実施した事業について様々な指摘、意見を受け議論する場となっておると把握しておりますが、令和六年度の行政事業、秋のレビューでは、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業がその対象となっておりました。リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業というものは、転職を望む方を支援するため国が費用の一部を負担する事業であり、この秋のレビューでは、事業に対して四名の外部有識者から幾つか指摘がありました。その内容を取りまとめさせていただいております。抜粋して三つお示ししていきたいと思います。
一つ目が、基金設置法人に係る管理費。この事業に見合った水準に抑えられているのかどうかを点検、見直しをしていくべきであると言われたのが一つ。二つ目が、基金事業における効果的なガバナンスが確保できるよう、個々の補助金の審査、採択を国と基金設置法人が連名で立ち上げた第三者委員会において行う、そして経済産業省が四月に策定したルールに沿って管理体制を速やかに構築すべきであるということが二つ目です。そして三つ目。本基金に限らず、基金を所管する全ての所管府省庁において、事業の効果的な検証に必要な成果目標や指標、そして具体的にそれが設定されているのかされていないのか、基金に関する業務を民間企業に外注する場合、適切なルール、厳格な運用を通じ、各府省庁による責任を持った、丸投げではなく責任を持った事業の管理が徹底されているのか、そして管理費の水準は適切なのか、これらの観点から、早急に基金の再点検を実施すべきである、このような指摘が繰り返されないように、各所管府省庁の責任の下において点検を行い、基金の適切な管理に不断に取り組むべきであると有識者が御指摘されておられました。
そこでまた、政府参考人にお尋ねいたします。
秋のレビューによる、今私が申し上げたごく一部の抜粋したところも踏まえて、令和七年度の各種基金事業へのこのような御意見をどのように反映されているのかをお聞かせください。
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、秋の行政事業レビューについて、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業に関しましては、基金設置法人に関する管理費の水準や効果的なガバナンスの確保などについて御指摘をいただいたところでございます。
これを受けまして、経済産業省としては、管理費については、基金事業終了までに不断に点検を行う、そして現地検査による証憑類の確認などを通じまして経費の算定方法や単価の適切性などの確認を行うこととしております。
また、ガバナンスの確保も御指摘をいただいたところでございますけれども、経済産業省が昨年四月に策定をしました基金見直しのルールにのっとりまして、本事業の実施要領の改正を行ったところでございます。これにより、事業者の審査、採択を行う第三者委員会の運営に国も責任を負うようにするなど、執行体制の在り方を見直し、ガバナンス強化に努めているところでございます。
経済産業省としましては、このリスキリングの事業のみならず、あらゆる事業において国によるガバナンスの確保は大変重要だというふうに考えておりまして、先ほど申し上げた新たなルールにのっとって基金事業の更なるガバナンス強化に努めているところでございます。
引き続き、有識者の御意見も取り入れながら、より効果的な施策を講じてまいりたいと考えてございます。
○東(克)分科員 ありがとうございます。
やはり、国によるガバナンス強化をしていくことで、丸投げしやすい事業が起きないように、これからの点検をよろしくお願いいたします。やはり、経済産業省、これから様々な事業を日々変わっていく経済状況の中で行っていかないといけないと思いますので、その点だけをよろしくお願いいたします。
そして、基金事業につきまして、幾つか先ほどもお伝えしましたけれども、見直しが必要な点、そして有識者の御視点、国会での議論を踏まえてさらに、私、今回初めて質問させていただいておりますけれども、これからも先輩議員の御意見を踏まえながら改善していただければなというふうに思います。
続いて、令和七年度予算の中小企業の支援についてお尋ねさせていただきたいと思います。
これは先ほど同僚議員の福森議員も少し触れておられましたが、私自身、去る二月十二日、予算委員会の地方公聴会が広島で行われました。その場でも、私は意見陳述人からいろいろな御意見を聞かせていただきました。その際には、湯崎広島県知事、連合広島の大野会長、中国経済連合会の芦谷会長、そして高垣東広島市長が出席されて、地方の賃上げ、価格転嫁の取組等について御意見や御発言をいただいております。
そこの声は、ありましたように、まず、連合広島の大野会長より、価格転嫁の取組について改善されているところはあるものの、二次、三次の、どんどん下に行けば下に行く下請になるほど厳しい現状にある、価格転嫁できない厳しい現状にある、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分と働き方を含めた適正な取引が重要であると指摘がされておられます。
また、労務費を適切に価格転嫁するための価格交渉に関する指針を周知するとともに、より一層パートナーシップ構築宣言の周知を拡大する必要があるという意見陳述がありました。広島でも約六割の企業としかまだパートナーシップ宣言構築ができていないという状況で、これをどんどんどんどん推進していかないといけない、そして二次、三次、四次と下に行けば行くほどそれをもっと徹底させていかないとということを痛切に大野会長はおっしゃられておられましたので、やはり何とかしないといけないという思いがあります。
そこで、これは大臣にお伺いさせていただきます。
このパートナーシップ構築宣言の周知、実効性の向上、加えて、これから三月に向けて始まる価格交渉月間の実施、より実効性のある価格転嫁対策について、経済産業省の施策の現状と、下請法の改正なども含めて今後の方向性、そして支援策、取組についてお聞かせください。
○武藤国務大臣 地方公聴会、御苦労さまでございました。
まさにこの価格転嫁なんですけれども、これまでもいろいろと議論をし、そして公正取引委員会も含めて様々な対処をしてきたところであります。
現状ということでまずお話を申し上げれば、年二回、価格交渉促進月間に基づく発注企業ごとの交渉、転嫁の状況の公表、また事業所管大臣名での指導助言、そして下請Gメンによる取引実態の把握、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知徹底、今おっしゃっていただいたパートナーシップ構築宣言の周知や実効性の向上など、様々に今までやってきたところであります。
まさに、物価が高い、それを上回る賃金を何とかしなきゃいけない、これを地方という形で考えればほとんどが中小企業、ということで考えれば、まさにその価格転嫁をどうやっていこうかというところの実効性が求められるということだろうと思っています。今おっしゃっていただいたように、二次、三次、四次、地方では、僕も岐阜県ですけれども、いろいろな、そういう、地域それぞれ特性があるのの中で、正直言うと、本当にどこまで掘り下げていけるか、ここがまさに今年正念場を迎えているんだと思います。
御指摘のパートナーシップ構築宣言なんですけれども、参加企業の拡大については、関係省庁とも連携をしながら、ここは、業界団体、経済団体への働きかけ、補助金における加点措置などのインセンティブの拡充を進めているところであります。
そして、実効性の向上につきましては、取組状況の調査、あるいはフィードバックに加えて、宣言の取りやめ条件の明確化と拡充を行ったところであり、これに基づく措置をしっかりと行ってまいります。
さらに、公正取引委員会と共同で下請法の改正法案を今国会に提出をする予定であります。この法改正では、協議に応じない一方的な価格決定の禁止ですとか、下請法の執行力を強化するため、公正取引委員会や中小企業庁に加え、事業所管省庁との連携についても盛り込むことを検討しております。
また、先般ですけれども、石破総理から関係大臣に対しまして、価格転嫁を阻害する商習慣の一掃に向けて取り組むよう指示があったところであります。経済産業省としても、関係業界団体や関係省庁に対し働きかけをなお一層行い、一層の価格転嫁を推進してまいりたいと思っております。
○東(克)分科員 ありがとうございました。
今国会では、先ほど言われたように、公取の法律が提案されるということを非常に中小企業の皆さんは期待しておりますので、少しでもよいものに、中小企業にとって、地方にとっていいものになるように、私も汗をかいてまいりたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。
価格転嫁をしやすい環境づくりというのは、やはり先ほど言いました法制度の面から非常に重要であるというふうに強く感じております。何度も言いますけれども、地方公聴会での連合の大野会長の思いも私の思いも同じです。パートナーシップ構築宣言に基づいて、大臣も先ほど言われました、あしき商慣行をどれだけ取り除くことができるのか、そして、労働の価値を認め合い、適切な評価がされるよう、是非、大臣からも経団連や経済界への働きかけをよろしくお願いいたします。地方で働く者の声だと認識していただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そして、今は民間同士の経済のお話をさせていただきましたが、民間経済に加えて、地方にとっては、公契約、官公需というものは非常に大きな役割を担っています。公契約、官公需も労働の価値に対する適切な評価を国がしっかりと押し上げることで、後押しすることで、地方の官公需における労務費などの価格転嫁、労働環境の改善、そして賃上げ、さらには人手不足の解消につながると考えています。
そこで、政府参考人にお尋ねさせていただきます。
こうした官公需における労務費などの価格転嫁について、経済産業省が何もしていないとは言わないんですけれども、やっている施策の周知がまだまだ足りていないなという認識がございます。この周知、そしてこの施策をどのように対策されているのか、是非お聞かせください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
官公需における価格転嫁の状況につきましては、これを把握するための新たな取組として、昨年九月の価格交渉促進月間におきまして、官公需における価格転嫁の状況を調査し、初めて結果を公表しております。コスト上昇分に対する価格転嫁率は五五・八%でございまして、更なる取組が必要と認識しております。
これを踏まえての対策でございますけれども、中小企業庁では、毎年度、国等の官公需について、中小企業による受注機会を確保するため、官公需法に基づき国等の契約の基本方針を策定し、閣議決定をいただいているところでございます。
昨年四月策定の令和六年度の基本方針におきましては、契約の途中で実勢価格に変化が生じた場合には契約変更も含め適切に対応すること、また、受注者の申出があれば迅速かつ適切に協議を行うなど、申出が円滑に行われるよう配慮すること、さらには、労務費の適切な転嫁のための価格交渉の指針の趣旨を最大限に考慮して対応することなどを定めております。
本年一月、先ほど大臣からもございました、石破総理から関係大臣に対しての御指示の中に、官公需についても適切に価格交渉、価格転嫁に応じるよう御指示がございました。これも踏まえまして、このような内容の更なる周知徹底、こうした措置の更なる浸透が実現するよう、引き続き経済産業省として働きかけてまいる所存でございます。
○東(克)分科員 ありがとうございました。
契約変更も含めて価格転嫁に対応していくことということが、恐らく、今、中小企業の方々、知らない方も私の周りではやはり多いですので、私も一生懸命汗をかいて、こういうのがあるよということを周知してまいりたい、周知の一助になれればなと思って今お話をお聞かせいただきました。
やはり、中小企業がこれから、特に地方、私の地元広島もそうですし、働く者の、中小企業で働いている人たちが地域を担っていくというのは間違いありませんので、その一助として、これからの官公需の適正な動きを一緒に進めてまいりたいなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そして、続いて、地方都市でのヘルスケア産業についてお尋ねさせていただきます。
地方都市では、ヘルスケア、今日は特に介護の方のヘルスケア産業についてお伺いさせていただきたいと思っております。介護を必要としている人のサポート、働く場の提供という意味でも、支援が必要な産業の一つだと考えています。私の地方に行くと、働く場所が病院か介護施設か、そして町役場か、そういうところしかない地方もありますので、そういうところでやはり介護が働き場の一翼を担っているということを強く感じています。
ですが、この年初に東京商工リサーチが調査した記事によると、令和六年の介護の倒産件数は過去最多の百七十二件に上るという報道がなされていました。百七十二件のうち百三十七件が訪問介護、デイサービスなどの在宅サービスで占められています。この理由として、令和六年度の報酬改定による売上減少、人手不足が原因となっているということなんですけれども、これと同時に、政府の推計で、令和八年度には必要な介護職員が二十五万人不足するという見込みがなされています。実際に、厚生労働省の調査によると、令和五年度に介護職に従事する職員数が初めて減少するという、いわゆる介護に非常に厳しい状況が続いています。地方は更に厳しいです。
そして、これは、今在宅の話もしましたけれども、在宅系だけではなくて、介護分野で働く皆さんの処遇を改善するためには、まずは介護事業所がしっかりと収益を上げていただく環境をつくらないといけません。
実際に現場の声を聞くと、一番に言われるのは介護報酬を上げてほしいなんですが、もう一つの大きい声がありまして、そのもう一つの大きい声というのが、今いる利用者さんのニーズに応えられない、介護保険内のサービスでは対応できないという声がたくさんあります。スマホの使い方を教えてほしい、もっとリハビリしたい、どこかに連れていってほしい、ささいなニーズなんですけれども、多様なニーズがここにはあふれています。
これらのニーズにやはり応えなければならないというのが、介護士さんとしては心からは思うんですけれども、逆に言うと、これはビジネスチャンスだというふうに捉えることもできると思います。そして、身近にサービスを提供している介護事業者さんは、利用者さんの介護保険内のサービスではなくて、介護保険外のサービスと一体的に提供できるようにならないかという声も聞いています。
そこで政府参考人にお尋ねいたしますが、現在経済産業省で、介護保険外のサービス等の振興に関して実証的に検証しているとお伺いしております。この取組の状況、今後の見通しについてどのような考えを持っているのかをお聞かせください。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでありますが、介護をめぐる様々な課題に対応していくためには、介護保険外サービスも適切に活用していくということが重要であります。
経済産業省としましては、このような問題意識から、高齢者、介護関連サービスの振興に向けまして、事業者が保険外サービスを提供するモデルの実証調査を行うとともに、保険外サービスに関する認証制度創設を担う業界団体の設立支援、こういった取組を行っているところであります。
引き続き、厚生労働省を始め関係省庁とも連携して、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○東(克)分科員 ありがとうございます。
認証支援業界団体をつくるということでございましたので、是非、介護保険外、ニーズはやはりたくさんありますので、それをビジネスモデル化、そして地域の大事な働き場の一つとして基盤をつくっていくことをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そして、今までは在宅系の介護サービスについてお尋ねいたしましたが、続いて、施設に関するヘルスケア産業についてもお伺いさせていただきます。
人手不足対策として、介護職員さんの事務負担の軽減、身体的負担の軽減がやはり重要な課題になっております。日々の記録、データの入力、そして身体介護を行う際の身体的な負担はとても大きいです。まず、こうした事務的負担と身体的負担、この二つが大きな負担になりますが、この二つを軽減するための機器の導入は、人手不足解消のための一つの大事な方法であると考えます。
導入することは厚生労働省さんで日々様々に実施していただいているんですけれども、実際に、サポート機器の使い勝手の向上、そして新たな機器の開発、こちらは介護事業が産業として生き残っていくためには必ずやらなければならないことです。さらに、地方においては、限られた人員で必要な介護を、利用者が満足する形で、しかも介護職員さんの、先ほど言った二つの負担を軽減していかなければなりません。非常に、新しい機器を開発していくことが大事になってきます。
そこで、政府参考人にお尋ねいたします。
現在、経済産業省においてこのような機器の開発支援に取り組んでいると聞いておりますが、この取組の現状と今後の見通しについてお聞かせください。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
高齢化の進展、それから介護人材不足といった社会課題を解決するためには、先生おっしゃるとおり、介護する側の生産性向上や負担軽減、それから介護される側の自立や社会参画の促進に資する介護テクノロジーの開発が求められていると考えております。
経済産業省でですが、これまで百二十五件の介護テクノロジーの開発及び改良への支援を行いまして、三十五件が実用化されたところであります。さらに、現場改善を加速化する必要性に鑑みまして、介護テクノロジーの開発及び普及をモデル的に推進する事業を今年度の補正予算として十九億円で立ち上げたところでございます。
経済産業省としては、こうした予算もしっかりと活用して、デジタル技術の進展動向や介護現場のニーズ等も踏まえ、介護テクノロジーの開発、普及をしっかり進めてまいりたいと思っております。
○東(克)分科員 ありがとうございます。
介護テクノロジー、この令和六年の補正予算で十九億円を積まれた、そして、今までの実績として百二十五件の支援があり、三十五件が実用化した。これが本当に普及して、地方の介護に推進して、少しでも現場の職員さんが楽になるようなものをつくっていきたいなと思います。
本当に、今日は、経済産業省として、地域の産業振興として、雇用の維持、促進から、予算の、事業の見直し、労務費の価格転嫁、そしてヘルスケア産業、特に介護分野についてお伺いさせていただきました。これからも、私も一生懸命汗をかいてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
本日は終わります。ありがとうございました。
○伊藤(達)主査代理 これにて東克哉君の質疑は終了いたしました。
次に、荒井優君。
○荒井分科員 立憲民主党、衆議院議員の荒井でございます。いつも経産委員会でもお世話になっております。
今回の衆議院の選挙で二期目を迎えてここにおりますが、やはり、そのときの選挙のときも、ずっと物価高に関してやはり大きな課題だということを有権者の皆さんに訴えてまいりました。うちの党ではまだオーソライズはされていないんですが、やはり、この物価高に向き合うためには、食料品の消費税をゼロにするという政策は必要なんじゃないかというふうに個人的に思っていて、そういったことも有権者の皆さんにもお伝えしてきましたし、今党内でもそんな議論も進めているところです。
ただ、とはいえ、食料品の消費税をゼロにするには約四兆円ぐらいの減収だということで、兆円規模の減収、兆円規模の税収というものをどういうふうにするのかというのは、やはり大変難しいことだなということも同時に感じております。
特に、今回この予算委員会を通じて、僕も衆議員としてはまだ四年目ではありますけれども、改めて政府の予算というもの、特に経済産業委員会、経済産業省の予算を、どうやってこれをよりよくするのかということをこの約一か月という非常に短い中で、同僚の議員やみんなと一緒にいろいろ議論をしながら、でも、とはいえ、簡単ではないですし、政府の皆さんでいろいろ作ってきた予算に対して軽々に見直しはできない中、少しでもよりいい予算にするためにはどうしたらいいのか、そのお金の使い方をみんなで考えて三・八兆円の削減と、それに加えての新しい案も出したりした次第ではあります。
いずれにせよ、国家の予算を兆円規模でいろいろ考えていくことは大変難しいことだというのを、肌触りをもって今回感じてきていました。
そういう中で、実はちょっと思い出したことがありまして、ちょうど今、あしたで僕、五十歳になるんですけれども……(発言する者あり)ありがとうございます、ちょうど二十五年前ぐらいですかね、社会人になりたてぐらいの頃にリクルートという会社に勤めていましたが、当時、みんな普通にグーグルとかそういったデジタルサービスを使っている中で、中国政府が、グーグルとかを使わないようにしよう、そういう議論をしていると。そして、その数年後には完全にグーグルが撤退する、その代わり、バイドゥという中国のデジタルサービスを使って検索しているみたいなことがあったときに、一IT系のサラリーマンとしては、何でそんなことを国が規制してやるんだろうというふうに思いながら、グーグルで便利なのに、十分にいいじゃないか、そんなふうに思っていたわけですが、そこから二十五年たってみると、最近は、デジタル赤字というものが言われるようになってきました。
デジタル赤字、様々な海外の、特にプラットフォームとかを使って、日本が外国にデジタルの利用をすることで払うお金が、年間約六兆円ぐらいあるということなわけですね。まさに兆円規模のお金が海外に、検索をするとか、音楽を買うとか物を買うという、便利だからいいなというふうに思って使っていれば、でも、結果的に兆円の単位のものが自動的に出てしまっているということに、改めて、そうか、あのときの二十五年前のそういった判断というのは結果的にここにつながってきているんじゃないか、そんなふうに思ってきているわけです。
GAFAMと言われるようなプラットフォーマーに関しては、その六兆円のうちの約半分の二・六兆円ぐらいがそこに。我々は、僕ももちろん使っています、大変便利でいいなと。もちろん日本製のサービスもあるんですが、何となく長年の慣習でそれを使っているわけです。
今、世界中、特にヨーロッパを中心にこういったデジタル課税、GAFAMについて課税をしていくみたいな議論もあるというふうに伺っていますが、今、直近のこういう世界でのデジタル課税、特にアメリカのプラットフォーマーに対しての課税というものをどんなふうに今検討しているのか、経産省に教えていただけますでしょうか。
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、いわゆるデジタルサービス税の海外の導入状況についてお答え申し上げます。
例えば、フランスですけれども、二〇一九年から導入されて施行されておりまして、対象でございますけれども、デジタルサービスの年間売上高が全世界で七・五億ユーロ超、かつフランス国内で二千五百万ユーロ超のデジタル企業を対象とし、利用者同士がオンラインで取引をするサービスやネット広告サービスなどによるフランス国内の売上げに対して三%の課税をする制度であるというふうに承知をしております。
そのほか、フランス以外にも、英国、イタリア、カナダなど約三十の国・地域で類似の制度が導入されているもの、こういうふうに認識しております。
○荒井分科員 ありがとうございます。
ヨーロッパを中心に、こういった、特にアメリカのプラットフォーマーに対して厳しく課税しているというふうに認識しています。
我が国、日本ではこれに対してはどういうように向き合っているのか、教えてもらえますでしょうか。
○野原政府参考人 お答え申し上げます。
日本独自のデジタルサービス税について、現時点で具体的な検討は行っておりません。
我が国としては、経済のデジタル化に伴う課税上の問題に対しまして、デジタルサービス税のような各国独自の措置ではなく、多国間による枠組みでの解決を図るものとしてOECDにおいて議論されている第一の柱の多国間条約について、これまで各国政府とよく議論し、早期交渉妥結に向けて議論をしてきた、そういうことでございます。
○荒井分科員 そうですね。日本はまだ進んでいませんし、このデジタル課税については、OECDで議論をしたものを国際協調によって進めていくという形で、一歩後ろに引いているというか、そんな感じがいたします。一歩引いているうちに、毎年六兆円規模のお金が海外に出ていっている。まさに、先ほど申し上げた食料品の消費税をゼロにするのに四兆円のお金がかかる、それを超えるものが海外に出ていっている、そういう現状なんだなというふうに思っています。
ちょうどこの質問を通告した後に、トランプ大統領が、デジタル課税をかけるところには更に報復的な対応をするぞみたいなこともニュースで拝見をしたわけで、トランプ大統領はタリフマンということを御自身でもおっしゃっていますが、まさにここの部分というのを非常に敏感に感じられているんだというふうに感じてもおります。
こういった公的な場で大臣にその部分も含めて伺うのはなかなか難しいところもあるんだというふうには思いますが、とはいえ、現状の経済産業大臣としてのデジタル課税への取りまとめというのをどのようにお考えなのか。さらには、これからアメリカに行かれる予定があるというふうに伺っていますが、このことについて何かしら議論する余地があるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。
○加藤大臣政務官 お答えいたします。
アメリカの動向につきましては、予断を持って申し上げることは差し控えたいと考えております。
なお、現時点で、経済産業大臣の訪米予定が決まっているという事実はございませんが、アメリカにおける検討状況を注視しつつ、必要があれば日本政府として適切に対応させていただきたいと考えております。
○荒井分科員 ありがとうございます。
僕も四年目になりまして、経済産業大臣も四人目になりました。萩生田大臣、西村大臣、齋藤大臣、そして武藤大臣というふうになっていますが、毎回、特に今回は本当に大変難しいお役柄なんだろうなというふうに想像はしております。でも、是非、国益のために、本当に頑張っていただきたいというふうに思ってございます。
その意味で、もう一つ、先ほどのトランプ大統領が車の関税を二五%にするということ、これもニュースで出てきているわけですが、これも本当に僕ですらびっくりしたわけですから、所管の経済産業省、若しくは特に自動車関連産業の皆さんにとっては相当な大きなショックなんじゃないかというふうに思っておりますが、こういった、もしも本当に二五%というのが実施された場合には、その影響というものの試算を経済産業省として行っているのか、教えていただけますでしょうか。
○伊吹政府参考人 お答え申し上げます。
まず、自動車産業は、出荷額で製造業の二割、それから設備投資、研究開発投資は製造業の三割ということですので、我が国の基幹産業ということでございます。
お尋ねになった関税の件は、現時点ではアメリカから具体的な措置については示されていないということなので、今の状態では、引き続き、まずそれを注視をしていきたいという段階でございます。今後明らかになる措置の具体的な内容、それから我が国への影響を十分に精査しつつ、先ほど申し上げたとおり自動車産業は非常に重要でございますので、しっかり対処をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○荒井分科員 報道では、日本経済新聞に載っていたものでは、NRIの試算では、日本の実質GDPも約〇・一から〇・三%押し下げる可能性がある、最大では一・四%下げる可能性もあるみたいなことがこういった調査機関からも出ていますし、これは日経新聞だったと思いますが、日本車大手六社の損失見込額が約三兆円規模ということも算定し得るのではないか、これは六社合計の営業利益を約三割押し下げる水準だということも言われてきているわけです。
自動車産業は、日本の雇用のまさに約一〇%もある本当に日本にとっての基幹産業でもあり、とはいえ、最近は、基幹産業である自動車産業も、中国の自動車産業を含めて世界中でもいろいろ押されているんじゃないか、そういう状態がある中で、今回のこの二五%関税の可能性というのは、本当に大きな課題を抱えているというふうに思います。
事前のレクのときには、特に、僕も横浜出身ですので、小学校のときには日産の追浜工場に工場見学に小学校で行ったことも覚えていますが、日産が非常に厳しい経営状況にある中で、日産もアメリカで販売している車も多い、若しくはカナダ、メキシコで造っていて、そこから輸入している量も多いので、今回のこれが実施されると、特定の会社にはなりますのでこの場で特に伺うことはありませんが、そういったいろいろな会社に大きな影響を及ぼすというふうに思っております。
この点も、改めて今回、いずれ訪米されるというふうに思いますが、この二五%の関税について、日本政府としてどのようにアメリカ政府と向き合っていくのか、経産大臣若しくは政務の方からお聞かせいただければと思います。
○武藤国務大臣 先ほど政府参考人からもお答えを自動車関係にはさせていただいております。私も岐阜県でございますので、まさに自動車産業も、東海地域としてトヨタの下請もあり、本当に基盤の一つとして大変憂慮しているところであります。
自動車関係も、二十五日の日に自動車業界等、お集まりいただいて、意見交換といいますか、御要望をお聞きしたところでもあります。そういう中で、米国との協議に際しての政府への要望をいただいた上で、いつになるかというのはまだ決まっていないんですけれども、できるだけ早いタイミングで訪米をしながら、自動車業界からも伺った懸念ですとか御要望も踏まえて、自動車産業の競争力を確保できるように、トランプ政権としっかり協議をしていきたいというふうに思っています。頑張ってまいりますので、またよろしくお願いいたします。
○荒井分科員 僕自身は、実は、その後、ソフトバンクの社長室で八年間働いていまして、孫さんと一緒に八年、横でつき合ってきました。昔、もう四十三年の会社になりますが、創業して、創業期のときに、ミカン箱に乗って、アルバイトの人、女性二人か三人に、いつか豆腐を一チョウ、二チョウと数えるような、そういう会社にするぞというふうに言ったら、翌日から人がいなくなったみたいなことをよくおっしゃっていました。
兆円規模で物事を考えるような経営をしていくんだ、そんなことを創業期から思っていて、今回もトランプ大統領に十五兆円という民間の規模で投資をするみたいなことを、孫さんらしいなというふうに思いながらテレビでは拝見していましたけれども。
やはりそういうディールを得意とする大統領ということで、そうやって民間の人たちもいろいろ工夫しながらいろいろと大統領に向かってディールをしてきているんだというふうに思いますが、武藤大臣としては、何をディールとして、今回、大統領、アメリカ政府と向き合っていくのか、少しそのお考えのところがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。
○武藤国務大臣 対外的に、今ここで申し上げると、えらいことが起きますので、ちょっとそういうコメントは控えさせていただきます。
ただ、お気持ちはよく分かるので、孫さんもいろいろな意味でまたいろいろ御指導いただける機会があるんだと思っています。よろしくお伝えくださればと思います。
○荒井分科員 是非、日本政府として、これは本当に大きなところだと思いますので、頑張っていただきたいと思います。
第一次政権のときにも同じように鉄鋼で大分難しい宿題があって、それを、でも大分経産省は頑張って押し返したというふうにも伺っていますので、今回も経産省を挙げて、政府を挙げて向き合っていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。
今日は、あと農水省にもお越しいただきました。そうやって食料品の消費税をゼロにしたいということを考えていくと、改めて食品というものの在り方について勉強する機会が増えていきました。
ちなみに、先ほど来話していたアメリカの自動車の自給率というのはおおよそ七〇%から八〇%だそうです、アメリカで造っている自動車の自給率ですね。
食料品のことを調べていくと、もちろん国会議員の先生方、政府の皆さんも食品の自給率が三八%だというのは大変有名ですが、食品の種の自給率というのは、これは大分低いんだというふうに知って結構びっくりもいたしました。
まず、農水省に伺いたいのは、現在の種子の自給率、少し分類ごとに教えていただけますでしょうか。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
稲、麦及び大豆の種子につきましては、ほぼ全てが国内において生産をされております。また、野菜の種子でございますが、国内流通の約九割、それから飼料作物の種子においては、ほぼ全量が海外で生産をされてございます。
一方で、これらの種子については、日本の種苗会社が海外、種子生産に適した世界各地にリスク分散をして生産をしているものと承知をしております。
また、加えまして、国内の備蓄といたしまして、野菜種子であれば約一年分、それから飼料作物種子であれば一定量を保有するなど、それぞれの品目で安定的な供給体制が構築されていると承知してございます。
○荒井分科員 ありがとうございます。
米や麦や大豆の種は一〇〇%日本で作っている、ただ、野菜に関しては自給率が一〇%、九割は海外から輸入している、そして、飼料に関しても、トウモロコシなどだと思いますが、ほぼゼロ%という言い方なんだと思いますが、海外のものに依存しているということになっているわけです。
僕は、北海道の選挙区、札幌市内ですけれども、北海道選出でもありますので、今、北海道ではラピダスという、半導体を作るべく、まさに経産省が大きく旗を振ってやってくださっているわけですし、それを応援したいと思っている者の一人ですけれども、その中で半導体は、つまりこれは産業の米なんだということをよく説明がされているわけです。だからこそ、何かあったときも含めて、やはり自給率を高めなきゃいけないんだ、その中で北海道が適地なんだ、そういう話があるかと思います。
この種子に関して、百歩譲って、米や麦や大豆は一〇〇%あるので、これに関しては食いっぱぐれることはないというふうには聞けます。でも、例えば野菜に関して、それが日本の会社が作っているかいないかに限らず、仮に海外からの輸送が止まるような事態が、つまり食料安全保障みたいなものを考えたときに、この野菜の種が入ってこないという緊急的な事態が起きた場合に、日本人が、一年分はあるのかもしれませんが、その翌年から野菜が食べられなくなるという事態も想定し得るんじゃないかというふうに心配になってきたんですが、その辺りをどう考えているのか農水省に伺いたいというふうに思います。
ちなみに、海外ではこういったことに対して何か対策を取っているんじゃないかというふうに思うんですが、お聞かせいただけますでしょうか。
○坂政府参考人 お答え申し上げます。
種子の中でも、先ほど委員御指摘のありました野菜それから飼料作物の種子、これにつきましては民間の種苗会社が主な生産を担っておりまして、良質な種子を安定的に供給するということを目的にいたしまして、適地適作、それからリスク分散の観点から、北半球及び南半球の複数の国に分散して生産が行われているところでございます。この仕組みにつきましては、我が国の種苗会社、それから海外の主要な種苗会社についても同様の仕組みを取っているところでございます。
このような中で、種苗業界からの聞き取りによりますれば、海外の主要国も同様の動きを取っているということでございまして、今のところ、種子の国産化についてかじを切っていくような、そういった大きな動きはないというふうに承知をしております。
○荒井分科員 今回、この経産委員会では、デジタル課税でしたり車の二五%の課税だったり、輸出入における課税のことについて冒頭お聞かせいただきましたけれども、やはり、この種みたいなものも、改めて日本でしっかりと生産していくということにかじを切っていくということがあってもいいんじゃないかというふうに感じています。
安全保障上もあるし、また、農家の皆さんや、こういった研究所の皆さんの仕事を増やしていく、人をしっかり充てていくという意味でも、しっかり国産種子の開発への予算を増やすとか、農家による購入への補助や助成などをしっかりしていくべきなんじゃないかと思いますが、農水省としての考えを教えてください。
○笹川副大臣 委員、いろいろと御指摘いただきまして、大変ありがとうございました。
委員の御指摘もございますし、いずれにしても、種子の安定的な供給の確保というのは、非常に農業の生産にとって必要不可欠ということになります。
特に、野菜種子につきましては、今、委員、いろいろ御指摘ございましたけれども、いわゆる気候変動の要因というのは大きく、やはり課題として取り組んでいかなきゃなりませんので、ある意味、採種地、新たなものを開拓していくのは、国内外において適地を探していかなきゃいけないというふうに思っておりますので、そういった意味では、効率的な採種技術の開発、実証は進めていかなきゃならない。
同時にまた、飼料用の作物の種子につきましても、これもやはりいろいろな要因を考えれば、リスク分散をしていくということになると、それぞれの各地でやはり分散をしていくことは大事だと思いますが、今言ったように、民間で飼料作物の種子の備蓄の取組も含めての予算、それから品種開発、これについては、農研機構の運営費交付金による開発に加えて、産官学の連携による、例えば多収性等の政策ニーズに対応した特性を持つ品種の開発を加速化する等々のことで、当初予算、それからまた令和六年度の補正予算でも措置をしたということでございます。
○荒井分科員 まさに農研機構がこういった取組を頑張ってきているというふうに思いますが、僕のちょうど地元にも農研機構の施設がありますけれども、大変古い施設で一生懸命頑張っているというふうに思っていますので、是非、こういった新しい投資ができるようにしっかりと予算をつけていただいて、日本の種子の自給率を高めるように頑張っていただきたいというふうに思いますので、副大臣、よろしくお願いいたします。
続いて、AIと半導体のことについてお伺いします。
今回の予算、法案でも、AI・半導体産業基盤強化フレームというふうなもので御提案いただいているわけですが、「AI・半導体」というふうに書かれているわけですが、そもそもはAIと半導体というのは一つのワードではなく別々なものだというふうに思いますけれども、それをまとめて今回は基盤強化のフレームだということだと思いますが、今回のフレームというものの中で、明確にAIと半導体というものは区別されているんでしょうか。
僕が想像するに、半導体というのはどちらかというとハードのことを指す言葉だと思いますし、AIというのはソフトのことを指すのではないかというふうに思うんですが、特に予算の部分で、AIには幾らぐらい、半導体、ハードには幾らぐらいというふうに明確に分かれているものなのかどうか、教えてください。
○野原政府参考人 AIに関して、最先端の半導体、それを使った計算資源、それを使って開発するモデルということで一気通貫で、日本の国内に一定の能力を持つということで一体的に支援をするというフレームでございます。
このフレームの中では、産業競争力や経済成長につながること、経済安保上の重要性、公的支援がなければ投資を行えないことを条件に優先順位を判断する、それで支援対象を決定するため、あらかじめAI用の枠が幾らというふうには決めていないということでございます。
ただ、令和六年度補正予算それから七年度の当初予算案合わせて一・八兆円の予算案を考えているわけでございますが、この支援を想定している案件にはやはりAIに関連し得る事業が大変多いわけでございまして、今後もAI関連の案件が増加していくことが想定されることから、実際に、AI関連の支援に対して十分な支援額を確保できる、そのように考えております。
○荒井分科員 まさに北海道では半導体のラピダスが、もう建物はほぼ建て終わって、中にどんどん今いろいろな機材が入り、四月からはパイロットが、モデルを作るということですので、着々とオンスケジュールで進んでいるというふうに伺っています。
このハードの話は非常に分かりやすくてイメージもしやすいところがありますが、AIのことに関しては、それがどれだけ進んでいるものなのか、どういうものなのかというのはちょっと手触り感がないので見えにくいところがあるわけです。
ただ、そうこうしているうちに、例えば中国では、突然ディープシークみたいなものが出てきてそれが地球上を騒がすみたいな、これだけ安価なシステムでできるんだ、それぐらいの投資額でこういうことができるんだなんということを、みんながびっくりもしたりするわけです。
このAIへの政府の投資金額というのを大体幾らぐらいだというふうに想定しているのか、教えていただけますでしょうか。
○野原政府参考人 お答え申し上げます。
これまでの実績で少しイメージをお示しできればと思いますが、令和五年度の補正予算において千九百億円確保いたしまして、生成AIの基盤モデル開発とか計算資源の整備に対する支援を行ってまいりました。
その結果、三百名を超える人材が大規模言語モデルの開発に実際に携わって経験をした、それで世界の最先端モデルよりも高い日本語性能を持つモデルを開発するなどの成果が出ております。
また、計算資源についても、二〇二七年度末までに累計で六十エクサFLOPS、エクサFLOPSというのはコンピューターの性能を示す指標でございますが、規模を整備するとの目標実現に向けて着実に整備が進んでいる、そういう成果が上がっているところでございます。
○荒井分科員 大臣にお伺いしたいんですが、まさにAIに関しても人材の育成というものが非常に重要になってきているというふうに思っています。ただ、なかなかAIの人材育成というのは、これは本当にそれに特化するというやり方は高等教育だけではないという思いはするのですが、でも、本当は今、高専みたいなものをもっと数を増やしながら、それに専門特化した育成が必要なのではないかと思います。
もちろん、高専は所管は文科省ではありますけれども、こういった人材育成のところ、経済産業省としてどのように考えているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○加藤大臣政務官 お答えいたします。
AI開発促進と人材育成につきましてでございますが、AIモデルの開発をする際には、高度の人材育成とAIを実際に業務に組み込む利活用の人材育成の両方を育成することが重要だと考えております。
このため、AIモデル開発を行う高度な人材育成につきまして、経産省では、AI開発に対します計算資源の調達支援を通じた開発経験の蓄積、またもう一つには、アメリカ、ビッグテックの有識者を招いた国内事業者向けのセミナーなどを開催しております。このため、三百名を超えるエンジニアがAI開発を経験しているというような実績を持っております。
また、AIの利活用人材を含めたデジタル人材の育成につきましては、政府全体で二〇二二年度から二〇二六年度末までに二百三十万人を育成するという目標を掲げてございます。関係省庁一丸となって取り組んでいるところでございますが、経済産業省としましては、DX時代の人材に必要なスキルなどを示すデジタルスキル標準の策定、また民間の学習コンテンツをまとめたポータルサイトの整備、また優れたアイデア、技術を持つ突出した若手IT人材を発掘、育成する未踏事業などを行っております。
引き続き、AI開発また利活用の推進に向け、AIの人材育成に取り組んでまいりたいと考えております。
○荒井分科員 時間になりましたので今日はここまでといたしますが、企業による奨学金の代理返還制度について文科省の皆さんに御説明いただく予定ではありましたが、しっかりと経産省の皆さんにも御理解いただければと思います。
終わります。ありがとうございました。
○伊藤(達)主査代理 これにて荒井優君の質疑は終了いたしました。
〔伊藤(達)主査代理退席、主査着席〕
○齋藤主査 次に、福原淳嗣君。
○福原分科員 質問に入る前に、大臣におかれましては長時間お疲れさまでございます。今回の私の質問は、大臣にではなくて、経済産業省を始めとする政府関係機関の見解をお聞きしたいと思っておりますので、どうぞ御無理なさらずに退室されて結構でございます。ありがとうございました。
○齋藤主査 大臣は退室いただいて結構です。
○福原分科員 それでは、質問に入らせていただく前に、私の経済産業省に対する思いから始めたいと思います。
経世済民という言葉があります。世を経め民を済う、まさに経済という名を冠する経済産業省に私は前の通商産業省も含めまして非常に憧れを抱いております。それは後ほどお話ししますが、そういう意味も込めまして、今回は鉱業政策に関するものについて質問をさせていただく次第であります。
まず、私は新人議員でありますので、石破総理大臣の施政方針演説の中で特にこの文脈に重きを置いています。エネルギー自給率が低い現状では、外的な事象に国民生活が大きく影響を受ける懸念がある。より自立した形で国民生活を守ることができるよう、戦略的な国家運営が必要である。持続可能で自立したことを重視しなければならない。この総理大臣の文脈であります。
実は、私は財務金融委員会にも所属しておりまして、加藤大臣の所信に対する質疑をさせていただきました。加藤大臣に、石破総理が指摘している日本の産業構造の脆弱性をより強靱的なものにするためにも、この国の国際収支と産業構造についての大臣のお考えをお聞かせくださいということに関しまして、加藤大臣は次のように答えております。
かつては、輸出主導で経済発展を成し遂げ、貿易収支は長らく黒字、逆に円安であると輸出がそれに応じて更に伸びるという状況であったが、近年は円安もある中で赤字基調だ。背景には、我が国産業の国際競争力の低下、生産拠点の海外移転、こうしたことによって輸出が伸び悩む一方、資源はそもそも価格上昇等もあって輸入が更に増えてきている。投資については、御承知のとおり、海外からの配当金あるいは利子の受取が拡大した結果、先ほど申し上げたとおり第一次所得収支の黒字は過去最高だ。これは、ある意味では国内に投資が向かわずにより海外に投資が向かっているということも言えるのではないかと大臣が言っています。
そして、政府としては、省エネの促進あるいは脱炭素効果の高い電源の活用等を通じてエネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現、ひいては、日本の潜在成長力を高める国内投資の拡大、日本経済の成長力そのものを強化すべく努力していきたいという旨の発言をしているところであります。まさに日本の産業構造を変えていく好機に私たちはあると捉えております。
総理が掲げる令和の日本列島改造、いわゆる地方創生二・〇を実現する上でも、私は、経世済民たる経済産業省の果たす役割は非常に大きい、こういう思いをまず申し上げて、通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。
まず、昨今一番印象的だったのは、ウクライナの鉱物資源をめぐるトランプ大統領の発言であります。御存じのとおり、私は、秋田県北部の大館市、鉱山町に生まれましたので、あの一連の発言は、鉱山というインフラの重要性、鉱山が持っている供給網、国内だけじゃないんです、世界の鉱山が今つながっていますので、それから、鉱山、マイニングが持っている技術の重要性を端的に示すそれだなと私は感じました。
実は、経済産業省の前身の通商産業省は既に二十六年前に我が国の鉱業政策の重要性を看破していました。私が高校生の頃の一九八五年九月のプラザ合意の後、国内の鉱山はのべつもなく閉山になってしまいます。うちの鉱山も閉山だとメディアが取り上げるものだから非常に不安だったんです。ところが、そのとき通商産業省が打ち出したリサイクルマインパーク、これが私たちの鉱山町の心を救ってくれました。二十七歳だった当時の私は、リサイクルマインパークは国の宝だ、実現しようということを掲げて市議会議員に当選させていただき、それから十四年後、一九九九年十一月十日、秋田県北部エコタウン計画が認定されることになります。
この秋田県北部エコタウン計画の中核事業は家電リサイクル事業でありますが、既に当時から、風力発電、焼却灰を活用した軽量トラフの製造、比内地鶏の鶏ふんを利用したコンポストセンター、そう、二十六年前にGX二〇四〇ビジョンのようなものを国と秋田県でつくっていた。
これが今どうなっているか。実は、先ほど申し上げましたとおり、国外の鉱山ともつながっています。私は昨年八月まで市長をしていましたが、最後の出張はチェコのリベレツにあるDOWAさんのリサイクルプラント、それとスペインのマドリードのプラント、それが秋田に入ってきているんです。それだけではありません。国内外の鉱山とつながっているだけではなくて、国内外の都市鉱山、アーバンマインともつながっています。これは鉱山というインフラがあってマイニングという鉱業があればこそこれまでにない供給網が形作られている。
こういうところが私はきちっと高く評価されなければならないと考えておりますが、経済産業省としてどのように捉えておるのかをまずお聞かせいただきたいと思います。
○伊吹政府参考人 御質問ありがとうございます。
まず、鉱山で採った後は製錬をすると思うんですが、非鉄の製錬をすると副産物として非常に有用なレアメタルがたくさん出てくるということで、今、経済安全保障という言葉がありますけれども、そういう観点からも非常に重要なものだと思っています。
政府として、重要鉱物の安定供給の確保のためには、海外の山への投資をもちろん応援するわけですけれども、必要に応じて経済安全保障推進法に基づいて日本企業の鉱山開発、製錬事業の両方について支援を行うことにしてございます。
加えて、先生から御指摘があったところですけれども、都市鉱山にもレアメタルは非常にたくさんございますので、この有用な金属資源を回収するために三つ取組を政府としてやっています。
一つは、御指摘があったとおり、小型家電リサイクル法で小型家電の回収、リサイクルの取組をしっかりやるということ。二つ目が、資源有効利用促進法という法律がございまして、こちらはパソコン、電池のメーカーの自主回収の取組ですが、これをしっかり促進していくということ。三つ目は、そうやって集めたものを選別して製錬技術を高度化するというところに技術開発がありますので、そこへの支援をしっかりやっていくということを取り組んでございます。
こうした支援を通じてレアメタルの生産、リサイクルを行う企業を政府としてもしっかり後押ししていきたいと考えてございます。
○福原分科員 ありがとうございました。非常に様々なメニューで支えていっていただいているし、これからもいただけるものと確信しております。
ですので、プラスの情報なのでありますが、実は、私がスペインとチェコのリサイクル工場に行ったときに担当のDOWAの方がこう言っていました。当時私は市長でしたので、福原市長、あと三十年はこのビジネスモデルは続きますよと言うんですよ。自動車のフィルターから白金類を回収する事業ですけれども、何でですかと聞いたら、二〇三〇年までにEV一〇〇%というのをいきなりEUはがくっと変えましたよね。どこの国とは言いませんが、その国のEVに席巻されたくないということを表には出しませんけれども、そういう意味で、EUは日本の資源リサイクルあるいは環境リサイクル産業をちゃんと見て、確かに囲い込みの動きもありますが、そこはきちっと連携することで私はウィン・ウィンの関係ができるのではないか。米国と違いまして、EUは日本と同じように国際法を遵守して、しかも、多国間で動くというところにおいては私はEUとは非常に親和性があると思っています。是非鉱業分野政策においても進めていただきたいと思います。
実は、鉱山というインフラがあるおかげで二つの大きな流れがあります。そのことに関しまして質問したいと思います。
まず一点は、国外の鉱山、都市鉱山とつながっている鉱山が持っている鉱山物流、これを静脈物流と申し上げますと、実は、この静脈物流と輸出の動脈物流が今秋田でつながろうとしています。
実は、DOWAさんが持っている、私の出身地大館市の花岡から二十キロと離れていないところに秋田県営工業団地と大館市営工業団地があります。そこに、医薬品、医療機器メーカーであるニプロさん、ニプロさんは別の言い方をすると、人工透析器ダイアライザーで今世界第二位のメーカーであります。うれしいことに、東洋紡が岩国工場の一部を大館に移転しまして、一階と二階がジョイントしているので、血液をきれいにする人工繊維を、空気に触れない作りなので、非常に高品質。かつ、生産性が私が市長のときに一六〇%ですと言ったら、二〇〇%を超えるんだそうです。
今、世界中に輸出をしているこのいわば静脈物流があればこそ、動脈物流とつなげられないのかということを協議会をつくって議論しています。往路のコンテナと復路のコンテナのコンテナラウンドユースをするという一連の流れです。具体的には、内陸型保税蔵置場、いわゆるインランドデポは財務省の税関の行政でありますし、物流システムそのものを見れば物流・自動車局であったり港湾局であることはよく知っています。でも、これはあくまでも鉱山インフラと鉱業、マイニングというなりわいがあればこそできる。国内初の静脈物流と動脈物流がつながっていく。こういう流れに対してどのように経済産業省は捉えているのか、是非お聞かせいただきたいと思います。
○南政府参考人 今先生からお話がございましたが、動脈物流と静脈物流が一つになって、医薬品分野などもそうなのかもしれませんが、新しい産業が出てくるというのは、地方の産業活性化を勇気づけ、そして実際の雇用も生む非常にいい取組だと思っています。私たちもそういった実態をよく勉強しまして、同様の取組を展開してまいりたいと思っております。
○福原分科員 ありがとうございます。是非ともリサイクルマインパーク、秋田県北部エコタウン計画を通じて地元の事情は非常によく御理解いただいているはずなので、是非全面的なバックアップをお願いしたいと思います。
そして、こういう流れがある一方、もう一つ、実は、秋田だけではなく、地方においては、急速な人口減少が起こっている中で行政のニーズは多様化しています。ですので、より広域的に政策的なシナジーを求めていこうという自治体のあらゆる分野での連携協力が進んでいます。その最たるものが家庭から出るごみ、一般廃棄物の処理でございます。
私は市長をしていましたので、勝見補佐、昨日はありがとうございました、よく分かっています。環境省の循環型社会形成推進交付金で国と県と市町村でしっかりと焼却施設を造っていく。ところが、人口が急速に減少していくと、百億以上の借金をして起債をしてするよりも、実は委託した方がいいだろう。そういうときに、鉱山インフラが持っている焼却施設が非常に有効ではないのか。これは既に周辺の自治体と県が入って協議会をつくっています。
最終的な方向性は自治体が出すものでありますが、環境省の所管であることはよく分かっておりますが、これも鉱山インフラがあればこそ新しい手法で環境行政が行われようとしている、しかも官民連携で。これは総理が掲げる地方イノベーション創生構想にも合致すると思っておりますが、是非この点に関しまして政府の見解をお聞かせください。
○小田原政府参考人 一般廃棄物の処理につきましては市町村が統括的な処理責任を有しており、処理方式を含めて各市町村において検討が行われているものでございます。
持続可能な一般廃棄物処理体制を構築する観点から、広域化、集約化によって効率的な施設整備、維持管理に努めることは極めて重要であり、環境省では、平成九年以降、広域化、集約化に関する通知を発出するなど、広域化、集約化を促進してきているところでございます。
委員がおっしゃられましたように、今後、人口減少の課題を踏まえれば更なる取組の推進が必要であるため、令和六年三月には、脱炭素の観点も踏まえまして、都道府県に対しまして二〇五〇年までを見据えた長期広域化・集約化計画を令和九年度末までに策定するよう求める通知を発出するなどしているところでございます。
委員からお話のございました民間委託も広域化、集約化を進めるための方式の一つであると認識しております。一般廃棄物の統括的な処理を有する市町村における検討の参考としていただけますよう、関係する手引の充実、周知などを図ってまいりたいと考えてございます。
○福原分科員 小田原審議官、ありがとうございました。
実は、大館市は、環境省の指導もありまして、小電リサイクルに積極的に取り組んでいます。先ほど伊吹局長がおっしゃいましたけれども、自治体がより住民、市民、県民、国民に向き合うことで回収率はすごく上がります。あと、あえて申し上げたいんですが、GX二〇四〇ビジョンの中にも出ていますが、実は、ベースメタルを地金で作るよりも、リサイクルをして、例えばGXで重要な銅を作ると、七〇%から九〇%、CO2が出ないんです。脱炭素循環経済をつくる上でも自治体と連携して事を進めていくことは非常に重要だと捉えておりますので、是非これからも御指導いただけますよう、審議官、よろしくお願い申し上げたいと思います。
それでは、二点目に移りたいと思います。
私のふるさと秋田におきましては、皆さん御存じのとおり、我が国初の商業ベースの洋上風力発電事業が展開されているところでありますが、御存じのとおり、今、この事業を展開しているJVが事業計画の再検討をしているということで、秋田県民は一瞬青ざめました。
そういう中で、実は、私は、先週二月二十二日土曜日、地元の能代港大森地区岸壁完成式典に出てまいりました。そこでどういうことになったのかというと、高橋克法国土交通副大臣がしっかりと、先般閣議決定された第七次エネルギー基本計画において風力発電はまさに再生可能エネルギーの中軸であることは全然変わらないということを明言していただきまして、ほっとしたところであります。
そこで、私が岸壁を見たときに改めて思いましたのは、多くの国民の皆さんは、多分、洋上風力発電は、基礎を建て、タワーを建て、ナセルを横に置いてブレードがぐるぐる回るあそこだけを見ている。でも、大切なのは、そこに資材を持っていく役割、その資材をストックしていく拠点港、そういうふうなものが大切だと考えていたところでありますが、国土交通省におきましては今通常国会に港湾法改正案を出していて、その中で明確に、海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾における港湾施設の利用を調整する制度の創設等の措置を講ずるということで、本当にいいタイミングで改正案を出してくれたなと安堵しているところであります。
だからこそ、現場を知る私とすれば、バックアップ拠点港だけではなくて、その後背地に、実は、経済産業省のおかげもありまして、洋上風力発電を支えるチーム秋田のピラミッド構造の産業構造をきちっとつくっていただいております。これが一つのシステムだとすると、ソフトに関わる人材をどういうふうに地元で育てていくのか。そして、今回の港湾のようなハード、耐地能力をどんどん強度を高めていく。洋上風力発電はどんどん大きくなっていきますので、それだけの重さに耐えられる港でなければなりません。そういうソフトとハードとシステムを連携させて整備を進めていく必要があると考えておりますが、この点に関しまして政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○伊藤(禎)政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御指摘がございましたとおり、洋上風力発電につきましては、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札の一つとして第七次エネルギー基本計画にも明記したところでございます。政府として、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに三千万から四千五百万キロワットの案件形成目標を掲げておりまして、これまでに既に約五百万キロワットの案件を創出しているところでございます。
秋田県は、洋上風力発電について、国内最多となる四つの再エネ海域利用法に基づく促進区域を擁するとともに、二つの港湾内のプロジェクトが既に稼働しているまさに日本をリードする洋上風力の先進地域であると承知しております。
秋田県におきまして開発中の洋上風力事業は、発電所の維持管理に重要な役割を担う部品を地元企業が開発する方針を既に示されており、新工場を建設するほか、事業期間も長期にわたることから、まさに御指摘がありましたとおり、飲食、宿泊を始め、また、拠点港としての位置づけも含めて、地元経済への波及効果は大変大きいものと認識してございます。
さらに、秋田県男鹿市におかれましては、年間一千人程度の受講者を目標としました人材育成拠点も整備されているところでございまして、洋上風力産業が地方創生にも資することを体現している取組の一例となっているところでございます。
経産省としましては、御指摘がございましたように、ソフト、ハード、そしてシステムを一体としまして企業の設備投資、人材育成拠点の整備などを積極的に支援し、国内に強靱なサプライチェーンを構築して産業競争力の強化を図りながら、地方創生にも寄与する形で洋上風力発電の導入拡大を引き続き進めてまいりたいと存じます。
○福原分科員 ありがとうございました。是非ともお願い申し上げたいと思います。
石破総理が掲げている令和の日本列島改造の五つの柱のうちの二つ目、産学官の地方移転と創生、そして三つ目、地方イノベーション創生構想、そして四つ目、新時代のインフラ整備の全てに合致する事業だと思っております。GX二〇四〇ビジョンにおきましても、より高品質な人材が移動するということをきちっとうたっておりますので、是非バックアップをお願い申し上げたいと思います。
さて、秋田においては沿岸部だけが盛り上がっているわけではありません。日本海側だけではありません。東北地方を南北に連なる奥羽山脈側、私がいる大館の方、いわゆる内陸側の方も再生可能エネルギーに非常に着目しております。大分ほど温泉はたくさんありません。有名な温泉もちょっとしかありませんが、実は地熱発電に対する理解が非常に進んでいます。
実は、私は、昨年の十月に当選させていただいて、一番最初に革新エネルギー議連に入りまして、クローズドループの勉強をさせてもらったら非常にうれしくなって、私が年末年始の挨拶回りではクローズドループの話しかしなかったらどういうふうなことになったか。今、毎週県議会の先生ですとか市町村議会の先生が勉強に来てくれるようになりました。
是非、この革新的な地熱発電の進め方について本気で取り組んでくれるのかどうか、この点に関しましても政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
地熱発電につきましては、これまでの従来型の地熱発電に加えまして、委員の御指摘のとおり、日本も含め世界中でクローズドループ、超臨界地熱、そういった次世代型の地熱技術に関する研究開発、実証が進められていると承知してございます。これらの技術が実用化できれば日本の高い地熱ポテンシャルを更に活用することができると大いに期待しているところでございます。
特に、委員から御指摘のクローズドループにつきましては、従来型の地熱とは異なりまして、自然由来の熱水を必要としないということで、熱水を利用する従来型の地熱発電に比べまして開発可能エリアも大いに拡大いたしますし、温泉資源に影響を与えない開発が可能となると考えてございます。
今後、事業者、金融機関、研究者などによる次世代型地熱技術の官民協議会を立ち上げまして、ここでの議論を経まして国内での実証支援を行っていきたいと考えてございます。こうした取組によりまして次世代型地熱技術への事業者の投資を呼び込みまして、技術の早期の実用化、国内での導入拡大を目指していきたいと考えてございます。
○福原分科員 ありがとうございます。
先ほど超臨界地熱等も触れていただきましてありがとうございました。元々鉱山があったおかげでボーリングの技術に非常に長けた企業さんがすごく多くて、自治体も非常に期待しております。どうか頑張っていただきたいと思います。
それでは、三点目に移ります。
今回の私の質問の趣旨は、国内投資をしっかりとしていかなければならないというものがベースにあります。その中で、ふるさと秋田だからこそできる物づくりの形があるだろうと考えています。
と申しますのも、トランプ大統領率いるアメリカ合衆国だけでなく、先ほど挙げましたEUも自国の産業競争力を高めるために国内投資を加速させています。非常に面白いなと思ったのは、トランプ大統領は就任した初日にパリ協定から脱退するという大統領令に署名したにもかかわらず、アメリカを代表するGAFAは思い切り脱炭素志向だというところ。ここは非常に重要だと思います。
日本は長らく経常黒字国でありますし、日本には技術もある、資本もある、そして人材もいる。今こそ国内投資をしていくべきだと思います。
鉱山のある私の大館、秋田だけではなくて、北東北全体を改めて俯瞰して見ると、実は脱炭素電源がたくさんあります。好きか嫌いかは別にして、原発もあります。地熱も洋上風力も風力も、そして、脱炭素電源ではありませんが、火力発電所もあります。火力が駄目だ、原発は駄目だではなくて、基本計画でもうたっていますが、全てがあってエネルギーのベストミックスで私たち国民の暮らしの安全と安心を守っていくためのエネルギー基本計画だと思います。
そこで、脱炭素電源の供給ということでは、広大なフィールドを持っている北東北においての物づくり、特に、私のふるさと秋田では、地元の秋田大学と三菱重工業が次世代型の飛行機の素材、あるいは、私の家から車で一時間かかりますが、三菱重工業の国産ロケットエンジン噴射試験場、こういったものもあります。それから、世界第二位の人工透析器ダイアライザー、それから、ジェネリック医薬品ではありますが、ニプロファーマ、国内への安定した供給の拠点がありまして、この点に関しまして政府の見解を是非お聞かせいただきたいと思います。
○伊吹政府参考人 いろいろお話をしたいんですが、時間も迫っていますので、ポイントをかいつまんで申し上げます。
一つは、航空機と宇宙のお話がありましたが、秋田は航空機のエンジン部品をしっかり造られている企業さんがいらっしゃるということ。それから、宇宙の方ではロケットの燃焼試験場があります。この二つは秋田にとって非常に強みだと思います。経産省は宇宙産業とか航空機産業全体を応援するわけですが、その中で、サプライチェーン全体を強いものにしていかなくてはいけませんので、いろいろな施策、宇宙の方だったら宇宙戦略基金等がございますので、しっかり応援をしていきたいと思いますというのが一点でございます。
それから、脱炭素電源のお話がありましたが、秋田だけではなくて東北全体でということですが、脱炭素電源を利用して例えばグリーン鉄を造るとか、蓄電池の関係とかデータセンターとか、そういったサービスも含めて大きな付加価値を生むために、脱炭素電源を活用して製造業を含めていろいろな企業を誘致しようということが顕在化しておりまして、秋田県でも脱炭素電源の開発を進めて企業の誘致を進めたいという動きがあると承知しております。
GX二〇四〇ビジョンは、先ほど御言及いただいたまさにこういう考え方を示しているのがこのビジョンでございますので、製造業を含めた我が国産業集積の在り方をしっかり検討してまいりたいと考えてございます。
ありがとうございます。
○南政府参考人 医薬品分野でございますが、まさに先生御指摘のとおり、秋田県において、ニプロなど、大館市を中心に医薬品分野の企業が立地して大活躍していることは承知しております。
私たちも、医薬品分野の物づくり企業の発展を通じて、秋田県全体、地域の活性化を実現できるよう、そういった企業の支援を進めてまいりたいと思っております。
○福原分科員 最後になりますが、最後はエールです。
北東北は、世界自然遺産白神山地、そして、北海道・北東北縄文遺跡群、二つの世界自然遺産を抱えています。是非こういったものも日本の物づくりのブランド力として使っていただければと思います。
ありがとうございました。終わります。
○齋藤主査 これにて福原淳嗣君の質疑は終了いたしました。
次に、斉木武志君。
○斉木分科員 斉木武志でございます。
長丁場になってまいりましたが、大臣、よろしくお願いいたします。
今日は、私の地元福井県に対して関西電力さんが、新たな使用済燃料対策計画、ロードマップなるものをまた出し直しをしてまいりました。これは、二〇二四年までに六ケ所村の再処理工場が操業できる、完成するということが困難になったので新たな計画を出し直してきたというてんまつなんですけれども、福井県がまさに二十七年間ずっと求め続けてきている県外搬出が本当に実現できるのか、その実効性も含めて、今回また関西電力さんが新たに出し直されてきた二〇二五版のロードマップ、どう評価されていますか。
○武藤国務大臣 関西電力のロードマップでありますけれども、六ケ所再処理工場における二八から三〇年度の受入れ量のうち、関西電力からの受入れ量を明確化をし、日仏共同での再処理実証研究に伴う搬出量の積み増しを行うことで、同社の各発電所における貯蔵量は、原子炉等規制法に基づく制限容量以下で推移をし、将来的に減少する見通しが定量的に示されており、国としても実効性がある内容と考えているところであります。
委員、いろいろ御指摘、今までもお聞きしていますけれども、この実現に向けて、関西電力は、国や全事業者と連携の下、最大限の取組を行う強い決意を示したとしております。国としても、私から、使用済燃料対策推進協議会の場で、全事業者及び日本原燃のトップに対し、ロードマップの確実な実行を含め、事業者全体で一層連携しながら使用済燃料対策を強化するよう求めたいと考えております。
加えて、国も参画する実務レベルの幹事会をおおむね四半期に一度開催をし、その進捗をきめ細かく管理をしていきたい。これにより、ロードマップが確実に実行されるよう、国としても責任を持って取り組んでまいります。
○斉木分科員 強い決意というのは、二〇二三年のときも、関西電力さんはまさに不退転の決意でということを連発をされて、再稼働を容認してくださいということを福井県知事に対して何度もおっしゃられて、再稼働に福井県として同意したという経緯があります。不退転とか決意とかは、もう二十七年間、二十七回聞いているんですね。決意は担保じゃないんですけれども、何か担保はないんでしょうか。
本当に、大臣、では、お聞きしますけれども、あと何年間たったら、福井県内の、美浜三号機、大飯の二つ、そして高浜の一、二、三、四、七基が今福井県で動いておりますけれども、あと何年後にはプールがいっぱいになると把握していらっしゃいますでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
本年二月十三日に関西電力が発表いたしましたロードマップの参考資料におきまして今後の推移見通しをお示ししてございますけれども、早いもので申し上げれば、今後四年から五年以内に搬出されるということが示されているというふうに承知しております。
○斉木分科員 ちょっと答えになっていないですね。
搬出されるものではなくて、あと何年したら今のプールがいっぱいになると把握しているんですかということに、エネ庁の方、把握していないんですか。
○久米政府参考人 搬出されなければ、今後四、五年以内というふうに承知してございます。
○斉木分科員 はい、それで正解です。
大臣、事は急を要するんですよ。発電所を稼働すれば当然、使用済燃料は増えていく、これはもう自明の理でございます。ですので、あと三年から五年以内にこの七基は全て管理容量、今搬出できなければ、限界を迎えていくという、もう待ったなしの状況になっておりまして。
正直、ちょっと大臣にお聞きしたいんですが、じゃ、仮に今回のロードマップが実現できなければ、福井県外への使用済燃料の搬出が実現できなければ、燃料プールはいっぱいになるわけですから、使用済燃料は冷却できなくなるわけですから、発電所の稼働を止めざるを得ないというような強い覚悟を持っていらっしゃるのかどうか。
要するに、原子力発電を継続して、関西地域の全原子力エネルギーを供給していますから、この美浜、おおい、高浜、三町で。これを継続していくためには、できた使用済燃料は出さなきゃいけないんですよ、冷やして外に。これはもう自明の理です。なので、いっぱいになっちゃったら止めざるを得ないというような、それだけせっぱ詰まった状況である、そして、発電を止めざるを得ないんだというぐらい強い覚悟を持って使用済燃料対策に当たるお覚悟はおありなのかというのをまずお聞きしたいですね。
○武藤国務大臣 今回の関西電力のロードマップについて、見直しが必要な状況となったことは国としても大変重く受け止めているところであります。
これでどうなっちゃうのというところだと思いますけれども、事業者間での連携体制の強化がまさに要となっているんだろうと思っています。国としましても、使用済燃料対策協議会を開催をしながら、私からも、先ほど申したとおり、原子力事業者十一社及び日本原燃のトップに対し、関西電力のロードマップの確実な実行を含め、事業者間全体で一層連携しながら使用済燃料対策を強化するよう求めたいと考えているところであります。
その幹事会の開催頻度も高めて、事業者の取組の進捗をきめ細かく管理するなど、ロードマップが確実に実行されるよう、国としても責任を持ってまいりたいと思います。
○斉木分科員 最初の答弁を繰り返されているんですけれども。
幹事会というのは、じゃ、最初にできたのは何年ですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
幹事会、これは協議会の下で事業者の取組状況の管理、実務的な調整を行うための会議体でございますけれども、最初にできましたのは二〇二一年でございます。
○斉木分科員 要するに、二〇二一年にもうできていたので、二〇二三年、今回破綻したロードマップの下でも行われていたじゃないですか。それを今更、幹事会をやっているから進捗しますみたいに言っても、到底、福井県民は二十七回裏切られていますので、また言っているよというふうに私は県民から言われているんですが、もうオオカミ少年になっているんですよ。それはそうですよね。齋藤先生も知見はおありなので。
二十七回も、二十七年間も裏切られ続けたら、信用してくれと言われたって、人間、信用できませんよ。何か証拠を、担保を、保険を示してくれ、もういいかげんにしてくれ、茶番はいいかげんにしてくれというふうに、私はもう、というか、この声は、実は先日、敦賀で安全管理協議会、安管協というものが開かれまして、安管協でも県民の方々から提起された声なんですよ、どうせまた今回も破綻するんでしょうと。
要するに、福井県知事さんに二〇二三年版ロードマップで再稼働を同意していただいたから、そのメンツを保つためには何か示さなきゃいけないから、二〇二五年版で新たに関西電力で六割枠を取りましたというようなことを手土産にしたロードマップを持ってきたけれども、結局は、六ケ所村が動かなければ一ミリたりともドライキャスクも使用済燃料も県外に動かせないという状況に変わりはないじゃないですか。
だから、もう二十七回裏切ってきている側として、地元の立地地域に対して、もう一回俺の言うことを信じてくれよというのであれば、何かあってしかるべきだと思うんですけれども。もうオオカミ少年になっているんですよ、福井県民は、どうせできないと。「もんじゅ」だってなくなったじゃないですか。「もんじゅ」も、プルサーマル、まさに要の施設として国の懇願をもって造ったけれども、いつの間にか廃炉ですよ。今度は、約束されていた県外搬出も、二十七回も、二十七年間連続記録で今裏切ってきているわけですから、いいかげんにしろというふうに県民から言われていますので、それに応える答弁は何かないですか。
○武藤国務大臣 六ケ所の話が絡んでくるんだと思いますけれども、これまで竣工延期が続いてきてしまったということは、これは国として重く受け止めなきゃいけないと思っています。
日本原燃には、竣工目標を見直しした昨年八月以降、審査の説明の全体計画を策定をし、原子力規制委員会と共通認識を持ちつつ対応を進めているところでありますけれども、これにより進捗管理のいわゆる物差しがやっとできたというふうに考えております。
国としても、さっきも申し上げましたとおり、実務レベルでおおむね四半期に一度、全体計画に基づき進捗をきめ細かく管理をしていき、必要があれば国から日本原燃のみならず産業界全体に機動的な対応を働きかけるなど、竣工目標に向けて、官民一体で総力を挙げて取り組んでまいります。
○斉木分科員 使用済燃料対策協議会というのは、お教えします、二〇一五年にもうできているんですよ。二〇一五年にもうできていて、これも敦賀市民の方から安管協で言われましたけれども、なめるな、今こういう協議体を電力事業者と経産大臣でつくったから、まさに連携を密にして、じゃ、規制に対してどういうふうな手を打っていこうかということを密に連携をしながらやっていきましょうと今更言うのか、二十七年前からやって当たり前だろうと。
本気なのかどうかということをずっと私聞いているじゃないですか。ごみがたまったら、使用済燃料がいっぱいになったら、もう作れないんだから、使用済燃料は。発電を止めるというぐらいの覚悟はおありですかという本気度を問うたわけですよ。それを、二〇一五年にできている対策協議会があります、二〇二一年にはさっきエネ庁から説明ありました幹事会をつくって、頻度を上げます。でも、こんなことは当たり前じゃないですか、昔からやっていて。
そもそも、これは結局、大臣もお分かりだと思いますけれども、六ケ所村が本当に動くのかどうかというところに帰結してくるわけですよ。何で動かないんですか。技術的にもうできないんじゃないのと。フランスで動いているものを持ってくるだけだから大丈夫ですというふうに電気事業連合会さんも何度も説明されています、経産省さんも何度も説明されていますが、二十七年も動かないというのは、これは本当に、できないことをできるできるというふうに、まさにオオカミ少年、イソップのように言い続けて今日を迎えてしまっているということではないですか。
何がこの六ケ所の完成と稼働を阻んでいるんですか。それは、政府の側の今全然感じ取れない本気度、本気度が足りないのか、日本の技術が足りないのか、それとも、規制庁との、事前に、今回も、三か所で地震動のエリアを設定したけれども、規制庁から十か所と言われちゃったから出し直すのに手間がかかっているんだ、規制庁が悪いんだみたいな声が電力業界から聞こえてきますけれども、そんなことは、電力業界として、テストを受けるときに、どんなテストが出てくるのか、規制側と、どれだけのものを用意したらいいですかと普通はお伺いを立ててやるのが当たり前、事前にお伺いを立てるのが当たり前だと思うんですよ。めくら撃ちして、いや、三か所じゃ足りないから十か所出せと言われて、そんなことをずっと、延々キャッチボールを繰り返していたら、一ミリも進みませんよ、審査は。こんな茶番をいつまで続けるんですかということなんです。なぜ、この六ケ所村を動かすのに何が欠けているんですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
まず、六ケ所がなぜ動いていないのかという点について御質問いただいたかと思います。
技術的な課題につきまして、まず、再処理技術そのものについては、委員御存じのとおり、フランスで操業中のラ・アーグ再処理工場で累計約三・八万トンの再処理実績がありまして、これは既に確立されているというふうに承知しております。
六ケ所再処理工場につきましては、二〇〇六年から実施したアクティブ試験の中で、廃液をガラス固化するプロセスでトラブルが生じたところでございますけれども、その原因となった白金族元素の堆積を抑制するべく設備や運転方法の改良を講じた結果、二〇一三年までに、六ケ所再処理工場において、実際の廃液を使用した試験により、ガラス固化のプロセスを適切に行えるということを確認済みでございます。こうしたように、ガラス固化を含めて、再処理に関する技術的課題は解決されているというふうに認識いたしております。
一方で、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、地震、津波、竜巻などの自然災害、加えて重大事故への対策を抜本的に強化する新規制基準が二〇一三年に施行されてございます。現在は、再処理技術そのものではなく、この新規制基準に対応するため、膨大な設備を一つ一つ確認するための審査に時間を要しているということでございます。
日本原燃としては、この竣工目標の見直しの原因について、再処理工場はいわゆる一品物でございますので審査の前例がなく、設備物量が原発の六、七倍と非常に膨大だという特有の難しさがあって、審査対応において課題の把握や進捗管理に問題があったというふうに分析をいたしております。
こうした反省の下で、日本原燃は、他社から審査対応経験者を多数受け入れ、審査上の課題を徹底的に分析を行ってございます。これに基づきまして、原子力規制委員会に対しても、審査対応の全体計画を示して、審査の論点や進め方について共通認識を持って、計画的に対応を進めるという取組を行ってございます。
本年一月の公開会合でも、規制委員会の規制委員から計画どおりに進んでいるという発言がなされているというふうに承知しております。こうした前提に立ちまして、これまで一年に一回程度でありましたチェックを四半期に一度ということで、しっかり確認を取ってまいりたいというふうに考えてございます。
○斉木分科員 お聞きしていると、二〇一三年ですね、新規制基準ができたのが。もう十二年たっているわけですよ。それで、何も、そのエントリーをするときに、規制委員会さん、これで、三か所でいいですか、まさか後から十か所なんて言いませんよねというような、どこまでの書類を作ったらいいのかすらコミュニケーションを取っていなかったということですか。
○久米政府参考人 審査の詳細なプロセスにつきましては、規制委員会、規制委員長と日本原燃のやり取りでございますけれども、今回の見直しの前提として、昨年二月に耐震評価の基礎となる基礎モデルの大枠が固まった、昨年七月にはそれに基づいて耐震評価の方針が決まるといった形で審査が進捗してきたという流れがございます。
そうした審査の過程で追加的な課題も生じてきたということでございまして、そのために、耐震評価が、委員御指摘ありましたように、当初は敷地を三分割ということでモデル化したわけでありますけれども、その中で、規制委員会からの指摘を受けまして十分割に細分化することになった、その結果、最終的に全ての建屋、設備についての耐震性の再評価を行うことになった。こうした追加的課題に対応するために、日本原燃は、課題を全て洗い出し、所要期間を精緻に積み上げた上で、昨年八月に竣工目標を見直すことになったというふうに承知をいたしてございます。
○斉木分科員 どうも、今の御説明だと、電力業界として、本気で危機感を持って、あと三年から五年でもう発電も止めざるを得ないかもしれない、自分たちの売上げがなくなるかもしれないという危機感を感じないですね。
非常に、後ろのバックエンドがなければ新しい使用済燃料は増やせないのは当然なんですから、大臣、もう一度お聞きしますけれども、その覚悟ですよね。やはり使用済燃料対策というのは最終処分地の選定を含めて覚悟が必要です。そういった覚悟を本当にお持ちなのかどうか。
エネ基でも定められましたが、原子力エネルギーを活用するということであれば、当然、そこで生み出される使用済燃料もしっかり処分をしていくというのは、一つの輪が完結しないんですよ。ずっとごみばかり出していったら詰まります、ジェネレーターのところは。だから、発電機を動かすためにもごみの処分というところはもう不可分なんですよ、発電産業にとっては。
これは、まさに裏の部分、バックエンド、ごみの部分、これを本当に福井県外に出せないようではもうやはり発電機を止めることも考えざるを得ないぐらいの覚悟を私は言っていただければまだ二十八回目も信用してみようかという気にもなりますが、今のままではちょっと、県民の方、安管協でも言われましたけれども、出ていましたけれども、どうせまた破綻するだろう、どうせ茶番だろう、プロレスを見ているみたいだとも言われましたけれども、これではちょっと余りにも信用を失墜していますので、覚悟が何かないですか、二十八回目も信用してみようかと。
○武藤国務大臣 今回、エネ基の作成に当たっても、やはり、バックエンドの話にしても最終処分の話にしても、しっかりこれは一緒に進めないと国民の理解を得られないという前提の中で、私は、これはもうしっかり覚悟を持って進めていかなきゃいけないと思っています。
福井の御事情も、私も岐阜県ですので、お隣ですのでよく分かっているつもりでございますけれども、そういう意味で、御理解をいただくために、真摯に重く受け止めながら、六ケ所の問題も含めて、出口をしっかり現実化にしていかなきゃいけないということだろうとは思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○斉木分科員 なかなか、裏切られ続けている側としては、それで納得というところまでは到底ちょっと到達していないなというふうに、正直、一県民として感じております。
その上で、もう一つ関西電力さんが今国に申請していることがあるんですね。ドライキャスクの設置です。
要するに、出せないから、中間貯蔵施設も決まっていない、六ケ所も動いていないから、ドライキャスクで、搬出準備のために、大飯、高浜、美浜の敷地内に乾式貯蔵施設を造らせてほしいということを今国に申請して、今審査中でございます。間もなくその回答が出るだろうというふうに予想されておりますけれども、これは、大臣、アメリカでもイギリスでもどこでも、ドライキャスクを設けている国は、そこが事実上の最終処分地になってしまっているじゃないですか。
アメリカは、二〇一〇年にユッカマウンテンが破綻をして、廃炉に決定されている各原子力発電所の敷地内であるとか、砂漠の真ん中であるとか、ドライキャスクがどんどんどんどん置かれて、要するに、ユッカマウンテンとか、持っていく先がないから、最終処分地とは政府も言っていないけれども、事実上、もう二十五年以上動いていない。イギリスもそうです。これは直接処分を選択している国だろうと言いますけれども、フランスはそもそもドライキャスクがありません。これは、要するに、燃料サイクルが回っているから、造る必要がないんです、ドライキャスクという逃げ場を。
私は、例えば前任の更田規制委員長とも話しましたけれども、蹴飛ばして横に置いておいても安全なものですよ、ドライキャスクは、安全性は高いんだと分かりやすくおっしゃっていましたけれども、私もそう思います。であるがゆえに、各国ともぼんぼんぼんぼん増やしていっているんですよ。各原子力発電所の敷地内を事実上の最終処分地にしていっている。
当然、美浜、大飯、高浜にこれを設置を許可すれば、そこが最終処分地に、六ケ所村や中間貯蔵施設なるものができなかったら、結局、そこが置場になるんでしょう、処分地になるんでしょう、ごみ捨場になるんじゃないのということが、いまだに県民がまさに表裏一体で疑念の思いを持っているんですが、これをさせないための担保というのは何かあるんですか。
○武藤国務大臣 本当に信用を失っているので大変つらいところもあるんですけれども、使用済燃料を再処理する核燃料サイクルの推進を基本方針と我が国はしているところは、もう委員も御承知のとおりです。
こうした方針の下で、乾式貯蔵施設は、使用済燃料を搬出するまでの間、一時的に管理するものが今の乾式でありますので、この施設が最終処分場になることはないんだと私は思っていますし、こうした観点からも、搬出先となる六ケ所再処理工場を本当に早期に竣工しながら、稼働させることがまさに要だというふうに思っています。
竣工に向けて、進捗状況のきめ細かな把握と、先ほど来参考人からもおっしゃったとおり、機動的な対応を図りながら、官民一体で総力を挙げて取り組んでいくということになるんだと思います。
○斉木分科員 しつこいなというふうにお思いになるかもしれませんが、実は、官民とおっしゃいますけれども、私は民の態度もいかがなものかなというふうに思うところがあるんですね。
私は、ドライキャスク、本当にこれは、昨年かおととしか、関西電力さんが二〇二三年のロードマップを発表されて、ドライキャスクを置かせてほしいと福井県に対して申請されてきました。そのときに、関西電力の地域共生部長さんであるとか、燃料事業部長さんであるとかと議員たちとヒアリングをして、そのときにおっしゃっていたのが、中間貯蔵施設は本当にできるのか、六ケ所村は本当に動くのかと先生たちはお聞きになりますけれども、そういうものができなければ、結局、ドライキャスクは持っていく場がないんだから、発電所の中に置かざるを得ないじゃないですかというふうに開き直られたんですね、地域共生部長さんが、関西電力さんが。
いや、それは、ごみは引き受けませんよ、だから発電を許可したんです、今回も。なのに、持っていく、出す場所が見つからないんだったら置かざるを得ないじゃないですかと最初からおっしゃられちゃったら、そういうつもりなんですねと。破綻しました、中間貯蔵施設も六ケ所村も動かないから、ドライキャスクを置かざるを得ないじゃないですか、処分地になっちゃったってしようがないじゃないですかという、こういう関西電力さんの部長さんのお考え、スタンスというのも、はっきり言えば、なめているのかというふうに県民から言われていますよ。
これはちょっと事業者の態度と本気度としてもいかがなものかと思うんですが、大臣、所管官庁としていかがですか。持っていけないんだったら、置かざるを得ないでしょう、各発電所にと、そういう開き直りをおっしゃるような覚悟ではいけないと思うんですが。
○武藤国務大臣 現在、私への、直接そういう話はまだ聞いていないんですけれども、しっかり指導していかなきゃいけない立場にありますので、指導してまいりたいと思います。
○斉木分科員 本当に、この話というのは世界的に頭を悩ませていますよ、アメリカもイギリスも。原子力発電を活用するときのまさに一番頭の痛い部分ですから、使用済燃料対策というのは。でも、だからこそ、オバマさんだって失敗したし、ユッカマウンテンで。皆さん失敗していますよ、歴代大統領、首相は。やはりそういうだけの難題ですから、非常に難しいことは百も承知しております。
ただ、それはやはり、覚悟が本当に見えないという、協力している地元市民、地元県民からいうと、茶番はもういいよと。破綻したからまた持ってきます、この計画でまた同意してください、またドライキャスクを置かせてください、二年たったら、ごめんなさい、動かなかったのでまた新しい二〇二七年版を持ってきましたと。これを延々二十七年前から繰り返しているんですよ。こういう、マスコミの言うプロレス、たちの悪い出来レースみたいなことはやめていただきたいなと。本当に信頼できるものを持ってきていただく必要があるというふうに私は思います。
それともう一つ、このドライキャスクの受入れ判断のときに、県知事が同意するかどうかというときに、私もいろいろ申し上げましたけれども、そのとき言ったのが、一つは、県民に目の見える、ドライキャスクを置きますということであれば、今、立地地域対策として、例えば、おおい、高浜、美浜、敦賀のような地元市町は電気代の一〇%相当を各電力会社から郵便為替を送って値引きをしている、周辺市町は五%値引きをしている。じゃ、ドライキャスクをまた置かせてくださいというのであれば、それを拡充する。例えば五パー上乗せをする。そういう目に見えた分かりやすい形というのも、当然、これだけ裏切ってきている対価としてあるべきではないかと申し上げたんですが、大臣、その辺り、一般県民が裨益するような、ドライキャスクを置かせてくれ、また破綻をした、ドライキャスクを置かざるを得ないじゃないかというんだったら、当然、その対価として、県民が広く裨益するような、電気代の値引きの拡充であるとか、そういうことはお考えありますか。
○武藤国務大臣 今の、地元に対する裨益の話であります。迷惑料として、住民の電気代補助、こういうものの増額とか対象地域を増やすというお考えがあるかどうかということだろうと思います。
電源立地交付金において、原子力発電施設が所在する市町村又は隣接する市町村等の地域内の世帯等を対象に、実質的な電気料金の割引となる給付金を交付しているところであります。
そうした電源立地関係の交付金については、先生おっしゃられるように、更なる増額、また対象地域の拡大といった様々な御要望が立地地域からも寄せられているというのもあり、その一方で財政上の制約もあるところであります。
そうした制約がある中で、できる限り立地地域の実情に沿ったものになるよう、その在り方について不断に検討していくことがまさに重要であるというふうに考えております。
○斉木分科員 二十八回目なんだから信じてくれ、心を入れ替えたんだということをおっしゃりたいのかもしれませんが、到底、今日三十分質疑してみて、なかなか、久米さんも満杯になる時期をちょっと間違えたりとか、本当に危機感を持っているのかなと、経産省、エネ庁は。ちょっと逆に疑念が深くなったなというのが本当に心配なところです。
やっている協議会をさも今回つくったかのように言って言い逃れをするのはちょっとやめていただいて、本当に出せなかったら発電所を止めざるを得ないぐらいの覚悟を持ってこの問題に向き合わないと一ミリも進みませんので、その覚悟を求めて、今日は終わります。
ありがとうございました。
○齋藤主査 これにて斉木武志君の質疑は終了いたしました。
次に、小森卓郎君。
○小森分科員 今日は一時から分科会が始まっておりまして、私で十一人目の質疑者ということであります。私の次の福島委員も先ほど顔を見せておられましたけれども、残り四人ということでございます。
武藤大臣のお隣に、私もふだんからお世話になっておる大串副大臣がいらっしゃっていますので、武藤大臣、ここで御退出をいただいて、新鮮な空気を吸っていただきたいと思うんですけれども、私、後ほどなりわい補助金の適用対象につきまして中小企業庁の皆さんと議論をさせていただこうと思っておりますので、思いだけお伝えしておきたいと思います。どうぞ御退室ください。
○齋藤主査 武藤大臣、御退室願います。
○小森分科員 齋藤主査におかれましては、引き続きどうぞよろしくお願いをいたします。
早速、質疑に入らせていただきます。
初めのテーマは、スタートアップの育成についてであります。
二年ちょっと前、二〇二二年の十二月に、スタートアップ育成五か年計画が閣議決定されております。我が国経済は、長年の間、低成長に悩まされてきておりましたけれども、この経済の活性化においてスタートアップ企業の役割が決定的に重要であるということを踏まえた、画期的な計画であるというふうに思っております。計画の作成途上の段階から、経済産業委員会での質疑も含めまして、私も応援をしてまいったところでございます。
さて、この計画におきましては、二〇二七年度、五年後に、スタートアップ企業への投資額をその当時の約十倍、十兆円規模とするということをうたっているところであります。大変野心的な目標であると感じておりますけれども、まず、これまでの進捗について御答弁をお願いします。
○馬場政府参考人 小森先生、どうも御質問ありがとうございます。
先生御指摘いただきましたとおり、私ども、二〇二二年十一月に取りまとめましたスタートアップ育成五か年計画におきまして、計画策定時に八千億円規模でありましたスタートアップへの投資額を、その五年後の二〇二七年度に十倍を超える規模、十兆円規模とすることを目標に掲げまして、官民一体で取組を進めることとしております。
スタートアップへの投資額につきましては、先生も御案内のとおり、二〇二二年以降、ウクライナ侵攻による地政学リスクの高まりなどによりまして、ベンチャーキャピタルの資金調達額が減少し市況も低迷する中で、世界的に落ち込んでおります。民間の調査結果では、海外主要国における二〇二四年の投資額、速報値でございますが、二〇二一年比で、米国は約四七%減、中国が約五五%減、英国が約六二%減と大きく減少しております。
一方で、我が国では、同じく民間による調査結果によりますと、二〇二四年のスタートアップへの投資額、本年一月の速報値でございますが、七千七百九十三億円、対二〇二一年比で一二%減と、他国に比べまして、その減少幅は相対的に小さくなっております。
この背景には、先生御指摘いただきましたとおり、スタートアップ育成五か年計画の実行に着手をしたことによりまして、起業家の皆様、事業会社の皆様、国内外のベンチャーキャピタルの方々などの関係者におきましてスタートアップの創出、投資への機運が高まったことがあるものと考えております。
政府といたしましては、今後、裾野が広がりつつあるスタートアップを大きく育成し、投資額十兆円規模の目標達成に向けまして、一つに、若手起業家の海外派遣など人材、ネットワークの構築、二つに、官民ファンドを活用した成長資金の供給など資金供給の強化と出口戦略の多様化、三つに、オープンイノベーション促進税制の活用などオープンイノベーションの促進の三本柱を中心に、引き続き五か年計画の取組を着実に実行いたしまして、スタートアップを生み育てる環境の整備を進めまして、我が国がアジア最大のスタートアップハブになることを目指してまいりたいと存じております。
○小森分科員 御答弁ありがとうございました。
始まった頃と比べると一二%減少しているのが現段階だということであります。世界的な経済金融環境そしてまた市況の中で、世界ほどは落ちていないんだという御説明でありました。
五年で十倍まで増やしたいというかなり野心的な目標でありますので、これまでのところ、十分ですねということはとても言えない状況でありますけれども、他方で、五か年計画による様々な取組の成果も出てきているのではないかというふうに私自身も感じているところであります。
また数年しないうちに、再び追い風が吹くといったようなことも考えられると思いますので、そうした場合には、是非そうしたことをつかんでいけるように、引き続き力を入れて、政府を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思っております。
さて、スタートアップ政策の源流としては、例えばベンチャー企業支援と言われたり起業率の向上など、様々な取組がなされてまいりました。
私もかつて国際通貨基金、IMFで勤務していた二十年以上前のことでありますけれども、これらに関わりました。また、金融庁の市場課長として、スタートアップ企業への資金供給を行う市場環境の整備などの面からも、私自身も取り組んできたことがございます。
私は、日本では小さな均衡が成り立ってしまっていることが課題だと感じておりました。そこでは、システムの一部だけにてこ入れをしたとしてもほかの部分が動かなければ効果が薄いのではないのか、そして、エコシステムの全般にわたるオーバーホール、今少しおっしゃった点もあるんですけれども、例えば、国民意識ですとか起業志向ですとか人材育成、フェーズごとの資金供給、専門家による支援、出口戦略など、こうしたことを、全般を一度に見直していかなければ効果を出すことが難しいというふうに認識をしておったところでございます。そのため、今回のスタートアップ育成計画、三本柱とおっしゃいましたけれども、大変包括的で、野心的な計画に強く共感をしているところでございます。
今日は、このエコシステムの中でもPEファンド、プライベート・エクイティー・ファンドについて取り上げたいというふうに思います。
PEファンドは、一定段階まで伸びてきたスタートアップ企業を更に飛躍をさせる資金供給主体として役割に期待が集まっておりますが、その一方で、我が国のPEファンドには様々な課題があることも事実だと考えております。
まずは、我が国PEファンドの現状、そして課題についてどのように認識をしているか、経済産業省からお答えいただきたいと思います。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
民間団体の調べによりますと、我が国のPEファンドの市場の規模ということになりますけれども、二〇〇〇年前後から拡大をしておりまして、足下では、小中規模案件の堅調な伸び、それから大型案件の継続的な成立によって、六兆円規模までに成長してございます。これは、二〇〇〇年代初頭で見ると、二千億、三千億程度の規模だったという数字もございます。かなり大きな規模にはなってきているという理解でございます。
今後、案件数の増加、それから案件の大型化も見込まれるという中でございますけれども、足下の数字で見ると、海外の有力なPEファンドで見ますと、アジア・ファンドというような形で一兆から二兆円規模の大きさである一方、国内のPEに目を転じますと、有力なPEファンドで数百億から一千億規模という程度の大きさになっているところでございまして、このPEファンドの投資が、先生御指摘のとおり、日本企業の価値の向上ですとか生産性の向上にも寄与するということを踏まえますれば、国内の大型案件をしっかりと扱うことができるプレーヤーの層を厚くしていくということが重要な課題だというふうに認識してございます。
○小森分科員 ありがとうございます。
御答弁いただいたように、我が国PFファンド、急成長を続けてきておりますけれども、それでもまだ物足りないところがあるというふうに感じております。
今、国内のPEファンド、そして海外、アジアのファンド、アジア枠として数十倍ぐらい違いがあるといったようなお話もありました。五百億を超えるような投資案件につきましては、国内のPEファンドよりもこうしたグローバルなPEの方がより大きな存在感を発揮しているのが残念ながら現状であるというふうに考えておりまして、こうした大型の投資案件に対応するためには、国内PEファンドの規模の大型化を進めていく必要があると考えております。
我が国経済の活性化にとりまして、この国内ファンドの大型化をさせることが持つ意義について、お考えを伺います。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、PEの市場の厚みを増していくという観点から見ますと、やはり、機関投資家から長期の視点の資金が継続的に流れていくといったことが重要な要素の一つにはなるのではないかというふうに考えてございます。
そういった観点で見ますと、PEのファンドがそういう資金をしっかりと呼び込んでいくというためには、機関投資家の皆様にとってやはり魅力的な投資対象とならないといけないという観点からしますと、十分な投資実績、さらにはリターンを上げているという実績に加えまして、やはり、相応のファンド規模に拡大していくという今の論点は非常に必要であり、かつ重要な論点だというふうに理解をしてございます。
足下で、小さい規模、それから中規模の案件を中心に投資実績を積み上げているような民間のファンドにつきましても、投資先に極めて高い投資実績を求める海外の大学の基金からの出資は受け始めているという状況だというふうに理解してございまして、今後こういった機関投資家からの長期のお金を呼び込むという観点から、例えば我々が所管しております産業革新投資機構によります民間ファンドへの出資のスキームを活用していくなど、今後いろいろな形でこういった論点に関する政策の在り方につきましては検討を深めていきたいというふうに考えているところでございます。
○小森分科員 ありがとうございます。
大体の認識はそろっているのではないかと思いました。全てのファンドが大型化しなければいけないというものでも恐らくなくて、他方で、一定数のファンドというのが大型化に向かっていく必要があるのだろうというふうに思っておりますが、このためには、PEファンドへどうやって資金供給をしていくのかということが必須であります。
昨今、我が国経済では、お金が不足しているわけでは全くありませんけれども、この潤沢な資金がPEファンドに流れていないということが課題であるというふうに感じております。とりわけ、巨額の資金を運用している機関投資家による投資がPEファンドにも振り向けられるということが、我が国が学ぶべき例である米国などを見ても重要であるというふうに思っています。
機関投資家のオルタナティブ投資の充実がPEファンドにとっても重要だと考えますが、認識をお聞かせください。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
今先生御指摘のとおり、繰り返しになりますけれども、やはり機関投資家からの長期の視点の資金が、ある意味、ファンドを最終的には超えて、企業の成長資金、リスク投資のためのお金として安定的にしっかりと流れていくというシステムそのものをしっかりとつくっていくということが極めて大事だろうと。これは日本の産業の競争力の観点から極めて大事な課題だと考えておりますので、そういった視点をしっかりと踏まえながら、システムをどうつくっていくのかということをしっかりと検討していきたいと思います。
○小森分科員 なかなか機関投資家の行動については御答弁がいただけなかったんだろうと思いますけれども、是非とも政府全体でいろいろな働きかけも行いながら、機関投資家によるオルタナティブ投資というのがPEファンドに流れ、それが我が国の経済成長につながっていくといったことが大変大事だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
そして、先ほどJICファンドについてお話もありました。
PEファンドが十分な規模となっていない過渡期、現在もまだ過渡期の始まりだと思いますけれども、過渡期におきましては、公的なファンドの役割も重要ではないかというふうに考えております。スタートアップ企業が成長を続ける過程において、資金供給を行える主体が変わっていくわけですけれども、これが切れ目なく存在していくということは、スタートアップの育成計画の達成のためにも大変重要なことであると考えております。公的ファンドのそうした役割に強く期待しているということについてもお伝えをしておきたいというふうに思っております。
では、二つ目のテーマ、デジタル赤字についてお尋ねをいたします。
私が気がついた感じだと、昨年あたりくらいから、経済産業省がこのデジタル赤字について強い危機感を外に対して表明をされ始めてきていると思います。例えば、このデジタル赤字について、原油などの化石燃料と並ぶ双子の赤字になるといったような発信を経済産業省の方で行われておられます。
私自身もこの新しい国際収支赤字への懸念を共有しておりますけれども、まず、このデジタル赤字とは何を指しているのか、そしてまた、その内訳について現状の数字を教えていただくとともに、併せて、これがこのままいくとどのようになってしまうのか、見通しについてもお答えをお願いいたします。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘をいただきましたデジタル赤字について明確な定義は存在しませんが、国際収支統計のサービス収支のうち、コンピューターサービス、著作権等使用料、専門、経営コンサルティングサービスの三つの項目の収支を合計したもので議論されています。
このいわゆるデジタル赤字は、二〇二四年で六・五兆円。その内訳ですけれども、コンピューターサービスで二・三兆円、著作権等使用料で一・七兆円、専門、経営コンサルティングサービスで二・五兆円の赤字となっています。
AIを始めとして、デジタル技術を取り巻く環境は変化が激しいものですから、今後のデジタル赤字の先行きを見通すというのは難しいところですけれども、経済産業省の半導体・デジタル産業戦略会議では、二〇二〇年度から二〇二三年度までの赤字の増加率がそのまま継続した場合、そうなった場合には、二〇三〇年度には約十兆円まで赤字が拡大するおそれがあると試算を示しています。
○小森分科員 このままいくと、化石燃料の赤字などに匹敵するようなものになってしまう、また、伸び続けてしまうのではないかという危機感だというふうに思います。
私たち日本人が知恵を絞り、そしてまた汗水垂らして稼いだお金がこうした形で巨額の赤字となって国外に流出してしまうことは、座して看過することができない事態だというふうに思っております。
今後このデジタル赤字が増加するのを抑制していくには、具体的にはどのような対策を行えばよいのか。警鐘をいただいておりますが、単に警鐘を鳴らすだけではなくて、政府としてどのように答えを用意すればよいのか、経済産業省の現時点での考えをお伺いしたいと思います。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
デジタル赤字は、デジタル分野の競争力が十分でないことの裏返しでもあります。クラウド、AIなどのデジタルサービスが社会活動の基盤としての役割を増している中で、デジタル分野の競争力を強化する、これは、デジタル赤字の抑制のみならず、社会活動の高度化のためにも極めて重要だというふうに考えています。
そのため、まず、デジタルサービスのインフラとなっているクラウドサービスについて、日本国内の事業者が競争力のあるサービスを提供できるようにするために、経済安全保障推進法に基づきまして、高度なクラウドサービスを実現するための技術開発等の支援を行っているところです。
また、生成AIを始め、AIが急激に進化しています。検索、翻訳などの様々な機能がAIによって高度に提供されるようになって、社会に実装される時代の、今入口に立っている。こういう中で、日本発の生成AIの開発、普及、さらには赤字という観点からは、海外でも利用される環境の実現に向けて、AI向けの高度なコンピューターの整備支援、スタートアップなどによるAI開発の加速に向けた支援と大企業などとのマッチングの支援、そして人材育成などを通じた利活用の促進、こうした施策に現在スピード感を持って取り組んでいるところであります。
AIやそれを支えるクラウドサービスといった革新的な技術の開発、利活用の促進に注力することで国内におけるデジタル産業基盤を強化しまして、さらにデジタルサービスを海外市場に展開していくことを促進することで、デジタル収支の改善に取り組んでまいりたいと考えています。
○小森分科員 今、クラウドサービスやAIについて御答弁をいただきました。
クラウドサービスのようにこれまで米国の企業が寡占しているような分野において、日本の企業がこれに伍していくこと、そしてまた、それを支援していくということは大変重要なことだと思いますし、また、AIの開発や活用によって、将来に向けて、今後切り開かれていく有望なビジネス領域で競争性を獲得していくということは大変重要なことでありますので、是非とも頑張っていただきたいなというふうに思っております。
その上で、若干自問自答みたいなところもあるのですけれども、例えばポータルサイトですとかあるいは検索エンジンに関連するビジネス、こうしたところにつきましては、これまで米国などの企業に先行者利益を奪われてしまっているといったような分野がございまして、こうした分野において、今後も巨額なデジタル赤字が発生し続けていくのではないかというふうなことも想像に難くないところであります。
こうしたことへの対策について、政府において現時点において必ずしも効果的な施策があるというわけではないとは思うんですけれども、今後ほかの分野においてこれらの分野と同じような轍を踏むことがないように、先を読みながら様々な対応をお願いしたいというふうに思っているところでございます。
三つ目のテーマとして、次に、近いうちに今国会に提出が見込まれる下請法の改正の法案について伺いたいと思います。
三十年近く続いておりますデフレ経済から脱却するためには、毎年大幅な賃上げを続けていくということがその肝になるところであります。エネルギー価格や輸入物価などが上がる中で、適正な価格転嫁が行えないと、新たな経済局面に移行していく道筋におけるボトルネックになりかねないところでございます。そこで、政府としても、ここ数年、価格転嫁に関しましては、大規模な調査を定期的に行う、そしてまた対応が不適切な会社の名前の公表など、これまでにはなかった強い取組を進めてきているところでございます。
そうした中で、今回、約二十年ぶりと聞いておりますが、下請法の改正、これは、不当な価格の据置きなどを許さないという政治や政府の意思を明らかにする上でも大変重要度が高い法案だと考えておりまして、本国会有数の重要経済法案であるというふうに考えているところであります。
この具体的な内容について伺いたいと思いますが、これまでは、自らの資本金の額若しくは取引相手の資本金の額を操作することで、いわゆる下請法逃れ、これを行っている企業が存在しているという指摘も多く見られたところであります。
今回準備されている法案では、これまでの資本金基準に加えて新たに従業員の数の基準も用いることによって、資本金の額の操作による下請法逃れに対して一定の網をかけることを意図するものだと理解をしておりますが、その効果についてどのような期待をしているか、御答弁願います。
○向井政府参考人 お答えします。
今指摘のとおりでございまして、現行の下請法の適用基準につきましては、資本金基準を採用しておるところでございます。そのため、幾つかの課題が指摘されております。例えば、事業規模は大きいんですが資本金の額が少額ということでありましてこの法律の適用を受けないというケース、自ら減資をすることによりまして下請法の適用を逃れるようなケース、そして、この法律の適用を逃れるために相手方に対しまして増資を求めるというような課題が指摘されておるところでございます。
これらの課題につきましては、公正取引委員会と中小企業庁と共同で昨年開催をいたしました企業取引研究会において議論がなされたところでございます。結論といたしましては、現行の資本金基準に加えまして、従業員基準を新たに導入することなどを内容とする下請法改正の検討を行うべきという旨の提言が取りまとめられまして、昨年の十二月に報告書が公表されたところでございます。
このような従業員基準の追加を盛り込んだ下請法の改正法案につきましては、今国会に提出するべく政府におきまして検討を急いでいるところでございますが、仮にそのような方向性の法改正がなされた場合には、先ほど申し上げましたようないわゆる下請法逃れ、そういうものに対応できますし、さらには下請法の適用の範囲も拡大をするということでございます。
下請法は、簡易迅速に違反行為を処理をするということで取引の適正化を図るということを目的とした法律でございますので、このような改正によりまして、適切な価格転嫁など、より一層の取引適正化が図られるというふうに考えております。
○小森分科員 今、御答弁の中で有識者会議の報告書について御紹介していただいたのを聞いて思い出しましたが、昨年の前半、自民党の競争政策調査会、そして中小企業調査会連名でこの議論を行いまして、当時の齋藤経済産業大臣に対しても申入れを行いまして、そうしたことも受けながら議論を進めていただいているものと承知をしております。
今回の法案、本当に、経済取引の公正という社会正義のためにも重要ですけれども、それとともに、コストカット型の経済から脱却して賃上げなどが牽引する経済を実現していくという、経済の歴史的な転換を後押ししていく上でも重要な法案だというふうに考えております。十分な効果が上がることを期待しておりますし、万一これで足りなければ、今後更に強い手も打っていかなければいけないというふうに考えております。しっかり執行していただいて、効果が上がることを期待いたしまして、最後のテーマに移りたいと思います。
最後のテーマとして、能登半島地震の被災地対応としてのなりわい補助金についてお伺いをします。
まず、お礼から始めます。
能登半島地震の前からも、被災地支援のために、支援を必要とする被災者にとっての敷居を下げる工夫が繰り返されてまいりました。熊本地震までは、グループ補助金ということで補助金の申請のハードルを下げましたけれども、今回、能登半島地震では、なりわい補助金というふうにつくりを変えて、入口を更に広げて、支援が被災者に届きやすいようになっております。
その一方で、新たに顕在化してきた課題として、なりわい補助金の対象業種の制限について伺いたいと思います。
なりわい補助金は各県別に制度が構築されるというたてつけですけれども、各県で共通して、風俗営業法の許可業種、届出業種を原則としてなりわい補助金の対象にしないようになっております。指摘しておきたいのは、突然の被災に襲われた都道府県がこうした内容に事前に通じているわけではなくて、政府のサポートを受けながら各県が対応しているので、これらが共通になっているという実態であります。
警察庁に伺います。
なりわい補助金の対象として風俗営業法の関連の業種が外されていますが、これは風営法を所管する警察庁の意向の反映によるものでしょうか。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
風営適正化法では、パチンコ営業や接待飲食営業を始めとする風俗営業と、いわゆるソープランド等の性風俗関連特殊営業を明確に区別しております。
パチンコ営業や接待飲食営業等につきましては、本来、国民に娯楽と憩いの機会を提供するものであり、適正に営まれる限りにおいては取締りの対象ではないことから、許可制を採用し、必要な規制を課すとともに、業務の適正化を図ることとしております。
他方で、性風俗関連特殊営業につきましては、性を売り物とするいかがわしい営業であり、専ら取締りの対象であることから、行政機関がその存在を公認することは望ましくないため、届出制を採用し、営業地域等について厳しい規制を課しております。
このように、風営適正化法におきましては、パチンコ営業や接待飲食営業を始めとする風俗営業と性風俗関連特殊営業とは明確に区別されていますが、それを踏まえまして、どういった業種を補助金の対象とするかにつきましては、制度を所管する中小企業庁において判断がなされるものと考えております。
○小森分科員 どうもありがとうございました。
被災地の実態をちょっと申し上げたいと思うんですけれども、同じ震災の被災者であるにもかかわらず、例えば、今お話にあった許可の業種であるパチンコ店あるいは雀荘などについては、なりわい補助金を得ることができないということで事業再開を諦めることに追い込まれて、その結果、元々極めて乏しかった被災地の娯楽施設というのが消滅する事態に陥ってしまっているところでございます。
なりわい補助金を所管する中小企業庁において、風営法に基づきながら、この許可業種も含めて対象としないというふうなことで石川県始め各県とも御連絡を取っておられるんだと思うんですけれども、私は、意見として申し上げると、これをどうしていくといった判断について各県に負わせるということではなくて、国として、政府として方針を示して、一律に緩和していただくことがふさわしいのではないかというふうに考えております。
時間がありませんけれども、中小企業庁において何か答弁がありましたら、簡潔にお願いいたします。
○岡田政府参考人 お答えさせていただきます。
なりわい補助金の対象につきまして、現場の実態をよく知り、個別案件も含め補助金の実施主体として責任を持って対応してこられました石川県とも改めてよく相談をさせていただきましたけれども、能登半島地震から一年以上が既に経過しているという状況でございまして、既に事業を再開された方、あるいは逆に事業再開を断念された方、今委員御指摘あったとおりですけれども、こういった方々がいらっしゃる中で、対象範囲の拡大という制度の根幹に係る変更を今行えば公平性を欠くことになり、現場の混乱を招くという認識に至っております。
他方で、娯楽産業のうちスナックとかバーにつきましては、店名がスナック、バーというふうに名のっていたとしても、実際には風営法上の許可が必要ない事業者も数多く存在していると聞いておりますところです。こうした事業者につきましてはなりわい補助金の対象となりますので、正しい情報がしっかりと伝わるように更なる周知徹底を図ってまいりたい、このように考えております。
引き続き、被災地に寄り添った支援を進めるべく、個別の事情を伺いながら、丁寧に対応してまいりたいと思っております。
○小森分科員 副大臣、せっかく来ていただいたのに、ちょっとお答えの機会をつくれずに大変申し訳ありませんでした。
娯楽が極めて乏しい被災地におきまして、被災者、そして作業員、あるいは支援者にとっても過酷な環境をつくり出していることについては是非知っていただきたいというふうに思いますし、先ほど、一年以上たった、今更というような感じのお話もありましたけれども、またこれから起こる災害なども含めて、しっかりと御対応いただくことをお願い申し上げまして、私からの質問にさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○齋藤主査 これにて小森卓郎君の質疑は終了いたしました。
次に、福島伸享君。
○福島分科員 有志の会の福島伸享でございます。
八時までの、深夜までの議論、本当にお疲れさまでございます。
今日は、私の中学校の同級生のギャル軍団が、支援者の方も傍聴に来ておりますので、張り切って質問してまいりたいと思っております。
委員長、おにやけになっていらっしゃいますけれども、話は硬派な話でありまして、日本の国策として行っている技術開発が、中国などの安全保障上懸念のある国に流れるおそれについての、今日は質問をさせていただきたいと思っております。
二〇一八年に、堀江英明氏という方と慶応義塾大学のベンチャーキャピタルによって、APBという会社が設立され、約百億円の資金を調達して、全樹脂電池の開発が始まりました。
堀江さんというのは、ノーベル化学賞を受賞した旭化成の吉野彰氏や、ソニーの西さんと並ぶリチウムイオン電池の世界的なレジェンドと言われる方でありまして、世界初の大量生産EVの日産リーフの開発の中心人物でもあります。
この全樹脂電池というのは、集電体に人類史上初めて金属を使わない樹脂材料を使う技術でありますから、熱暴走がなく、発火や爆発を起こさない世界で唯一の電池で、低コスト、長寿命、電池の形状や寸法が自由にデザイン可能な、革新的な技術であると言われております。今後、AIなどのデータセンター、あるいは再生可能エネルギー、EV、様々な需要急増を控えて、世界をリードする製品になる可能性があると言われております。
これまでリチウムイオン電池は、吉野氏の旭化成、あるいは西氏のソニー、堀江氏の日産など、当初日本はリードしていたんですけれども、それらの技術は、例えば、リチウムイオン電池からどんどん撤退し、売却し、技術が海外に流出して、今は中国企業が圧倒するような状況となっております。
こうしたことを踏まえて、まず大臣にお聞きしますけれども、我が国の産業にとって、全樹脂電池の価値とか可能性というのはどのように考えているか、御答弁お願いいたします。
○武藤国務大臣 福島委員におかれましては、去年まで国交委員会で、弁舌鋭い御質問をいつも拝聴をしておりましたので、こういう意味で、今回、全樹脂電池の御質問をいただきました。
正極や負極等の基本部材に樹脂を活用した電池であって、安全性向上ですとか、コスト削減の面でポテンシャルがあるというふうに承知をしているところです。
一方で、現時点において、実用化に必要となるエネルギー密度が十分に達成されておらず、量産に向けた準備も整っている状況ではないというのが、今の承知をしているところであります。
○福島分科員 幾つかの課題、ブレークスルーしなきゃならない技術もあるということだけれども、可能性があるということなんだと思います。
この全樹脂電池というのを使えば、例えば、潜水艦の航行距離は飛躍的に延びると言われております。高強度の電気が必要なレーザーなどにも使えると言われております。
今、ウクライナとロシアの戦争で多用されているのはドローンとか無人航空機でございますけれども、この全樹脂電池は発火や爆発を起こさないので、今後主流になる可能性があると言われております。現に、APB社は、川崎重工と次世代潜水艦に関する共同開発を進めている会社でございます。
そこで防衛省にお聞きしますけれども、全樹脂電池の安全保障上の技術的な可能性はどのようなものと考えているのか、あるいは、どのような技術開発の可能性を考えているのか、その辺りについて御答弁をお願いいたします。
○松本政府参考人 福島先生、御無沙汰しております。
お答え申し上げます。
先ほど先生がお尋ねございました、まず電池一般についてでございますけれども、防衛省におきましては、質量エネルギー密度が高いリチウムイオン電池を、先生御指摘のとおり、潜水艦やUUV等に用いるなど、電池の特性に応じて様々な分野で活用しているところでございます。
今お尋ねの全樹脂電池につきまして、現時点で防衛省としてその詳細なデータを把握できているわけではございませんので、具体的にお答えすることは今時点で困難なんですけれども、例えば、数値のデータの経済性等あるいはそのコスト等がどれぐらいのものなのかというものを我々は把握させていただいた上で、それが現在使用しているリチウムイオン電池等々を上回るようなものであるのであれば、我々も積極的に関係省庁と連携しながら検討していきたいと考えております。
○福島分科員 ありがとうございます。
というように、防衛上も重要な技術であるということが今答弁で確認されたと思います。
そこで、二〇二二年、APBの筆頭株主で三洋化成工業という会社があるんですけれども、そこと先ほどの堀江さんの間で経営方針が違って対立が発生いたしまして、三洋化成は保有するAPB株を株式会社トリプルワンという会社に売却いたしました。その結果、トリプルワンは三〇%の株式を持つ筆頭株主になりました。トリプルワンは取締役を二名派遣し、三洋化成から派遣された取締役と合わせて全取締役五分の三を押さえて、過半数を押さえているという状況にあります。
今日、朝、理事会で資料配付が認められなかったということなんですけれども、ちょっとここに紙がありますけれども。
そこで、二〇二三年三月、このトリプルワンが入って以降、武生に工場があるんですけれども、そこにトリプルワンから送り込まれた大島APB副社長の引率、この紹介によって、ファーウェイの社員、ここにありますけれども、四人が視察に訪れる、見学に訪れるということになりました。その見学に当たって、そのメールを実は示そうと思ったんですけれども。
十七日確定いたしましたと大島副社長トリプルワンからメールが来て、先方の技術目利きの責任者が来社予定でかなり技術寄りの話となると思いますと言って、ポリマー電池の樹脂集電体に使われる素材は業界で多く見られるどうたらこうたらでしょうかとか、仮に全樹脂なのであれば導電機能はどのようにして実現していますかと、物すごい細かいことを技術的に聞いているんですね。
さらに、見学した後も更にメールが来て、詳細な技術を聞くリストというのが来て、そこで、添付のQAへの回答をお願いできますか、海外投資家より受領している質問状となりますと来ているんですね。
堀江さんは、大島さん、さっと質問を読ませていただきました、かなり詳細まで、かなり的確な御質問となっていますが、どちらからの質問ですか、知財の保護的な観点から知っておきたいと思うんですが可能でしょうかと。
そうしたら、この大島副社長は、早速にありがとう、御理解のとおり同業者となりますが、弊社側でハンドリングできる先となります、今後情報開示をさせていただきたいと思いますが、まずは知財戦略の観点で、可能な範囲での回答にとどめていただきたくよろしく、とはいえ、回答不可とするのではなく、丸く回答をいただき、ヒントを与えない程度でまずはとどめてと。
要するに、どんどん情報を出してくれというメールのやり取りを資料で示そうと思ったんですけれども、これは本物にそういうものが、私は確認しております。
この新たに筆頭株主になったトリプルワン社は、正体が不明な会社です。そこで、元国家安全保障局長で警察庁出身の北村滋さんの北村エコノミックセキュリティ合同会社が、トリプルワンという会社についてレポートを出しております。
トリプルワン社社長の山口拓也さんという人は少年時に警察にお世話になった過去がある、こういう警察じゃなきゃ分からないことをなぜか御存じなんですけれども。取締役に潘忠信という方がおりまして、中華人民共和国の浙江省出身で、ムロオシステムズというところの代表を務めております。ファーウェイ財務本部長の張海燕氏と同姓同名の人物と上海で合弁会社を設立していて、この人がファーウェイとの窓口であるという疑惑が存在すると、この北村レポートには書いてあります。
さらに、トリプルワン社監査役の荒井裕樹氏は、香港在住の弁護士兼ファンドマネジャーであるんですけれども、マニラにおけるカジノ事業をめぐって中国系企業とトラブルになって、弁護士会に懲戒請求が出されております。
そこで、この北村レポートでは、トリプルワン社の関係者と中国の関係は多岐にわたり、APB社の取り扱う技術と商材を鑑みたときに既存株主がどのように行動するかについては一考の余地があるものと思料というふうに結論づけております。
今、警察庁は、大川原化工機冤罪事件などを受けて、こうした経済安保絡みのことには慎重になっているのかもしれませんけれども、私は、こうしたものは徹底的に捜査、調査を行って、仮に、安全保障上機微な技術が剽窃されている、そんな可能性があるのであれば、ちゅうちょなく摘発すべきであるというふうに思っております。
そこで、警察庁にお聞きします。
このAPB社の筆頭株主となったトリプルワン社に経済安全保障の懸念があるんじゃないかと思うんですけれども、実際、調査をされているんでしょうか。お答えください。
○筒井政府参考人 お答えをいたします。
個別の企業についてのお答えは差し控えさせていただきたいというふうに存じますが、経済安全保障を確保する上で、先端技術等の流出防止対策、これは極めて重要であるというふうに認識をしております。警察としても、このような観点から、必要な情報の収集、分析を行っているというところでございます。
その上で、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処することとしておりますほか、外国からの働きかけの手口やそれに対する有効な対策について企業等に情報提供をするアウトリーチ活動を推進し、企業等が自主的に対策を強化するための支援を行っているところでございます。
警察庁といたしましては、今後とも、先端技術の流出防止対策などの経済安全保障の確保に係る取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。
○福島分科員 もうちょっとお聞きしたいんですけれども。
北村さんというのは、もう皆さんにとっての、経済安全保障のある意味のレジェンドですよね。その方がここまで調べている。多分、恐らく警察の方とも連携を取ってやっているんじゃないかと思うんですね。個別のことは答えられないと言うのはいいんですけれども、こうした事例が見逃されることはない、しっかりこうした事例は警察として網を張って見ているんだという安心感を与えられるような答弁をもう一度いただけませんでしょうか。
○筒井政府参考人 個別の事案についてのお答えについては、繰り返しになりますが、差し控えさせていただきます。
その上で、一般論として申し上げれば、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処することとしております。
○福島分科員 しっかりやっていただきたい。もう相当な情報が警察にも入っているんじゃないかというふうに思いますので、私は、そこはしっかりとこれから調査をし、法に触れることがあれば、ちゅうちょなく適切な対応を取っていただければというふうに思っております。
こうしたAPB社の技術がこのトリプルワンという会社を通じて安全保障上の懸念のある国に流出するおそれがあるなんてことは、経産省は、政府の中できちんと情報共有して、受け取っているんでしょうか。政府参考人の答弁を求めます。
○猪狩政府参考人 お答えいたします。
個別企業に関する関係省庁との情報共有に関する質問については、お答えを差し控えたいと思います。
他方、一般論といたしまして、我が国経済が直面する様々なリスクと脅威を把握しまして、我が国の自律性向上、不可欠性の確保に必要な措置を講じていくということが経済安全保障上、非常に重要でございます。
このため、技術流出防止対策につきましても、警察庁を含む関係省庁と引き続き連携して取り組んでまいりたいと思います。
○福島分科員 昨日事務方に聞いたことと全然違うんですね。
昨日、事務方から聞いたことは、全然聞いていないと言うんですよ。聞いていないんじゃない、聞いていないことが知られること自体が安全保障上の危機だから、そう答えざるを得ないというのであって、私が聞いている範囲では、そんなことは聞いていないということを事務方は言っておりました。余り、言ったなといじめないでくださいね、部下をいじめないでいただきたいんだけれども、やはりちゃんと連携がされていないと思うんですね。
もう一つ重大な問題は、トリプルワン社から派遣されたAPBの大島副社長は堀江氏に、ファーウェイの子会社と言って、アンパワーという別の中国企業を紹介いたしました。どういう紹介をしたかというのは、中国企業の全固体電池、今回の全樹脂電池と違う、それは中国からそのまま欧米に売れなくて困っているんだ、アメリカの規制があるから。APBが表面的な製造会社となって、中国のバッジをつけないで米国や欧州に売れないかという打診を受けたわけですね。
米国は、御存じのように、二〇一九年の五月の大統領令で、安全保障上の脅威がある外国企業からの通信機器等の調達を禁止しております。
この北村レポートではここを一番問題視しておりまして、特にアンパワー社からの打診は、明確に米国の規制を米国法で違法な手段でかいくぐろうとする意図を隠そうともしない悪質なものであり、非常に危険な状況であると言えると言っております。
大臣の感想をお聞きしたいんですけれども、欧米の規制から逃れるため、中国製品を日本企業が受託製造し、それを米国、欧州等に販売する規制逃れの迂回行為、これはほかにもあるんじゃないかと思うんです。そうしたものにしっかりと私は対応する必要があるんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 御指摘のような事例ですけれども、一般論としては、同志国における貿易制度の趣旨、目的を損なうことになりかねないということもあるんだと思います。その結果、我が国から当該同志国への輸出や投資に制限を課されることにもつながりかねず、我が国が不利益を受ける可能性もある意味で考えられるということだろうと思います。
経済産業省といたしましては、経済安全保障に関する様々なリスクについて情報提供を行う官民対話を進めながら、日本企業の経済安全保障に対する意識の向上を図っているところでありまして、こうした意識の向上を通じて、御指摘のような事例が起こることも回避したいと考えているところです。
その上でになりますけれども、実際に日本企業を経由する形での他国制度への違反が認められた場合には、外国当局と情報交換を行うなど、必要な対応を行ってまいります。
○福島分科員 私が申し上げたように、現にその当事者の方がそういう打診を受けたということを言っているから、私はそれをちゃんと調査した方がいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 委員の問題意識は共有したいと思っています。
○福島分科員 ありがとうございます。是非しっかりと対応していただきたいというふうに思います。
このAPBには、NEDOから、グリーンイノベーション基金というもので七十五億円の資金が投入されております。ある意味、国策として国のお金を使って研究開発されたプロジェクトが、先ほど冒頭、幾つかの課題があると言っておりますけれども、安全保障上懸念のある国に技術流出する可能性があるということを、私は国として傍観してはいけないと思うんですね。
技術開発をやる以上は、税金を使ってある意味研究が行われているわけですから、しっかりとそれはこの国のために使われるものとして守っていくというところまでやって、私は、それで初めて国の技術開発というのは完結すると思うんですけれども、今、この会社は経営危機に陥ってできなくなっていて、先ほど大臣おっしゃった課題の、量産の準備ができていないということをおっしゃいましたけれども、まさにその量産技術を開発するために資金調達を行っている途中で、ある意味この企業の乗っ取りともいうべき事案が起きて、それで今スタックしてしまっているというのが現状なんですね。
基礎的な技術は、冒頭申し上げたように、リチウム電池のレジェンドの人が開発した技術で、量産化の技術までもう一息。しかし、それにはお金が必要で、これ以外の資金調達の道も探っている途中にこうしたことが起きてしまって、これはこのまま破綻したら技術だけ持っていかれるという可能性だって、ないわけないんですね。
だから、私は、国として傍観するんじゃなくて、しっかりと伴走していくということが必要なんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがお考えでありましょう。
○武藤国務大臣 技術流出の防止という意味では、経済安全保障の観点に加えて、産業界自らの利益を守る観点からも重要なんですね。これはもう委員と共有するところであると思います。
今おっしゃられたように、このAPB社の今の状況というものがちょっと厳しいものがあるというのも聞きました。
その中で、情報が、技術が流出するということについては、これは技術流出という意味ではまた別の問題がありますけれども、今回、NEDOという形の中で支援が行われ、研究開発をやられているというところですから、そういう意味で言って、我々としては、やはり技術がちゃんと実用化されるというところは、ちょっとこの辺の個別具体の技術が支援対象になるかどうか、非常に予断を許せないようなことになっちゃうんだろうから、私からそのことについてあえて具体的に話を申し上げることはできませんけれども、あえて申し上げるならば、その上で、この次世代蓄電池は国際的に開発競争が大変激化している中で、全樹脂電池に限らず、我が国が強みを持ち得る技術には、今後とも必要な支援をしっかり講じていかなくてはいけないと思います。
その際には、将来性のある技術をしっかりと見極めなきゃいけないということが大事であって、有望な技術については、他国に流出しないよう、管理を徹底することも加えて申し上げたいと思います。
こういう考え方の中で、APB社で進めてきた全樹脂電池の開発について、GI基金、支援の継続基準を満たさないというのが、実は、専門家による審査委員会で議論を重ねた結果、判断をされたところだというふうに聞いております。エネルギー密度の、先ほど申したとおり達成が十分ではない等、目標達成が困難な状況にあると判断されたものであって、経済産業省としては、こうした検討結果も尊重すべきであるというふうに考えているところであります。
○福島分科員 そうはいっても、その結果いったら、逆に中国にその先の技術開発を越される可能性があるわけですよ。それで、中国が逆にこの全樹脂電池の量産化に成功して、そして潜水艦に搭載することができたら、日中間の軍事力がまるっきり逆転する可能性だって大げさに言えばあるわけですね、それは。
だから、私は、二〇二二年に成立した経済安全保障推進法、この法律の第四章で、先端的な重要技術の開発支援に関する制度として、政府が策定する特定技術の研究開発及びその成果の適切な活用に関する基本指針ということに基づいて、個別に、プロジェクトごとに協議会を設置して、守秘義務をかけながら政府が積極的な伴走支援をするということになっております。
これは単なるビジネスのことだけじゃなくて、安全保障が絡むものだとするならば、製品化までまだ遠いにしても、あるいは短期的に経済性がないとしても、あるいは技術的ブレークスルーのためにまだ高い壁があるんだとしても、それを守るために、この法律に基づいて、この制度を活用して、全樹脂電池の技術が安全保障上懸念のある国に流出するのを防ぎながら技術開発する、まさに伴走していく、そうした方法があるんじゃないかと思いますけれども、どうですか、大臣。
せっかく、我々は苦労して法律を作って、この制度を使う一番いい機会だと思うんですよ。恐らく、NEDOのやっていた評価というのは単なる技術上の評価だと思うんですよ。それに安全保障上の評価というのはあるんですか。私は多分ないんだと思うんですよ。どうですか、それはありますか。じゃ、どうぞ、答弁してください。
○野原政府参考人 何点か、委員から御指摘ありました。
まず、APB社についての技術開発の状況なんですけれども、昨年十一月にステージゲート審査をしまして、外部有識者の委員の方々が進捗点検をされました。そのときに、車載用電池としてのエネルギー密度の達成が十分じゃないことだけでなく、量産化のための製造プロセスや製造ラインの見通しが立っていないとか、事業実施のための体制が十分でないとか、いろいろ、数々の指摘を受けておりまして、目標達成が困難な状況にある、それで支援継続の基準を満たさないとして審査委員会の全委員が事業の終了、中止というのを合意した、そういう状況でございます。
一方、研究開発支援をして形成した資産が流出してしまうと困るわけでございまして、この点については、グリーンイノベーション基金におきまして取得した、形成した、実際、全樹脂電池を開発するためには研究開発した設備を使わなければいけませんので、その装置等の財産については、APBが一定額以上の財産を処分しようとする場合は、あらかじめ日本政府の承認を受けることが義務づけられております。そういう意味では自由に処分できないようにしてあります。
それに加えまして、APB社からは、今、自社において使用し、補助事業以外の、目的外の使用をしていないというような報告を現状で受けているところでございます。
○福島分科員 優秀な先輩の野原さんの答弁をいただいたんですけれども、私は、それこそ官僚的な言い方だと思うんですよ。
だって、何で今後の事業を実施する体制が整っていないかといえば、経営が混乱をして、そして経営方針が変わって、資金調達が困難になった状況にあるからできていないわけです。原因はそこにあるわけです。それがなければ、ほかの資金も調達をして、量産化に向けた技術開発とか、さっきのエネルギー密度の目標をどうやって達成するかというプロセスを描くこともできたし、まさに、そのための準備を行っているさなかで、会社の中の対立によってそれが継続できない状況になったことを受けてNEDOがお金を出さないとなって、それは装置は外に行かないかもしれないけれども、技術者とかその技術は外に行く場合だってあるわけですね。
そうした、このトリプルワン社という会社が入ることによって、安全保障上影響のあることが、もしかしてこれは過失じゃなくて故意で行われているとしたら、本当のスパイ行為なんです、これは。産業スパイなんですよ。それをしかけている途中に、NEDOからある意味はしごを外されて、逆に言えば相手からすれば、はしごを外させたことによって、より技術を得やすくするという状況を生んだとも言えるわけですね。
私は、この間、ずっと聞いていて、防衛省、警察庁そして経済産業省の間で、こうした十分な情報の流通が行われていると思わないし、連携も行われていると思えません。経済産業省に、私はそこまで自分のいた省の悪口は言いたくないけれども、将来の技術を見る目利き力がないと思っております。
現に、太陽光発電だって風力発電だって、基礎的な技術は日本が先行していたわけですよね。今、結果としてほとんどが中国に行って、日本は産業としてマーケットを押さえるに至っていない。そうした事例はいっぱいあるんですよ。日本の企業だって産業界だって、EVだって、先ほどEVの大量生産は日産が成功したと言ったけれども、結局、EVの世界の中で日本は負け組に今なろうとしているわけですね。
日本の経営者というのは大体、文系の人だ。経済産業省も、僕ら、文系の人間が見て、何か適当に誰かから聞いたことを聞きかじって、官僚的にこれはマルだバツだとかとやっていては駄目なんですよ。これは日本のある意味欠陥で、文系と理系と分かれている欠陥でもあるんだけれども、齋藤大臣の本じゃないですけれども、失敗の歴史から我々は学ばなきゃならないわけですよ。
日本企業が芽がないと思って捨てた技術を中国が拾って、それが物になって、それで中国の軍事能力がアップしちゃって安全保障の脅威になったらこれは本当に取り返しのつかないことになるし、経済産業省は、経済安全保障に関わる以上はそこまでも私は見なきゃならないんだと思いますよ、防衛省や警察庁と協力をしながら。
大臣、これは本当に責任を取れますか。このまま放置して、この技術が外に流れて、今までも、リチウム電池だって多くはそうだったわけです。液晶テレビだって何だって、元々日本が圧倒的に有利だった技術が、いつの間にか中国に渡って、向こうがよりその技術を進歩させて、しかも、それが軍事上活用されて日本の脅威になっているというのは、この十年、二十年でさんざんいろいろ味わってきたことじゃないですか。
それが行われたときに、いや、もうNEDOのお金は止めました、いろいろ問題があって、評価委員会で駄目だと言うから止めましたと。最初の全樹脂電池に対する評価も、できない理由ばかり考えているんです。できない理由なんて考えたら、新しいことはできませんよ。やれるために何をするかと伴走するのが政府の役割じゃないですか。
大臣、この技術が中国に行って、済みません、怖い声で言って申し訳ないんですけれどもね、それで向こうが実用化して日本の脅威になったら、大臣、責任を取れますか。だから、私は、ここでちゃんと調べて、しかるべき対処をすべきだと言っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 経済安全保障についての概念というのは非常に委員と共有しているところが多いので、しっかりそういうことのないように、やはり我々もしっかり連携をしながらまとめていかなきゃいけないと思っていますので、また今後とも御指導のほどお願いしたいと思います。
○福島分科員 私は、この案件は、トリプルワンという会社の正体はどうか分かりません、私もこの北村さんのレポートで見る限りですけれども、ただ、経済安全保障のプロの北村さんから見ても、かなりリスクのある話だと言われているんですよ。
ですから、是非、大臣、傍観しないで、ちゃんと調査をして、NEDOの手続に問題がなかったという役人的な対応ではなくて、国家の危機の可能性があるんだ、そういう思いでこの問題に取り組んでいただきたいと思いますけれども、大臣、最後、決意をお伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 先ほど川崎重工でのお話もありましたので、私なりにちょっと調査をしてみます。
○福島分科員 ありがとうございます。
ふだん私は短い時間しかいただかないので、短い質問に慣れてしまって、三十分の時間を使い切ることができなかったかもしれませんけれども。ただ、この思いだけは、大臣、これは政治家じゃなきゃ判断できないんです。役人は、法令上正しいことをやったというだけであって、国家のために何が必要かというのは我々政治家が判断するものでありますので、ずっと国土交通委員会で席を並べていた大臣に、日本の国を背負ってしっかりと仕事をしていただきますことを望みまして、私の質問とさせていただきます。
どうもありがとうございます。
○齋藤主査 これにて福島伸享君の質疑は終了いたしました。
次に、山登志浩君。
○山分科員 立憲民主党の山登志浩です。
開幕四十五日前に迫った大阪・関西万博に関連して大臣にお尋ねいたします。よろしくお願いいたします。
運営費のお話であります。
運営費は一千百六十億円ということで、二度上振れしたんですけれども、もう上限が決まっております。そして、国費は投入しないというルールになっておりまして、二〇一七年四月十一日に閣議了解をされています。
これに関連しまして、二月五日の予算委員会で我が党の岡本あき子議員が伊東万博担当大臣に対しまして、本当に赤字補填することはありませんかという確認の質問をいたしましたところ、伊東大臣からは、基本的にはこの一千百六十億円の枠内ということでやっておりますけれども、この先の話でありますから、それにつきましてはまたそのとき対応していきたいと思う次第でありますという答弁がされました。
この答弁の真意を確認するために、伊東大臣は病気でお休みされていたので、武藤大臣が我が党の今井雅人議員の質問に対して答弁いただいているわけでありますけれども、武藤大臣は、おっしゃるように、行わないというもので認識しているところでありますと答弁されました。また、閣議決定に記載されているとおりである、こういうふうに答弁されております。
恐縮ですけれども、再度確認させていただきます。万が一、余り考えたくはないですが、運営費が赤字になった場合でも国費による負担や助成は一切、絶対に行わないということをもう一度明言いただけませんでしょうか。
○武藤国務大臣 これまでも予算委員会等で御質問いただきました。大阪・関西万博の運営費について、御指摘の平成二十九年四月十一日の閣議了解において「会場運営費は適正な入場料の設定等により賄うものとし、国庫による負担や助成は行わないこと。」とされており、この方針について現時点でも変更はございません。
○山分科員 ありがとうございます。
運営費は一千百六十億円、そのうちの八割、九百六十九億円を入場券、チケットの収入で賄うということになっております。想定の来場者数は二千八百二十万人とされていまして、そのうちの七八%の二千二百万人に来ていただく、こういう前提になっておりまして、万博協会の事務総長も、御本人の言葉をかりれば、これはあくまでも保守的に見積もった、堅め堅めの見積りだということであります。入場券が計画どおりに売れなかった場合は運営費が赤字に陥る可能性が高いわけですね。
今、現状どうなっているかといいますと、二月二十一日時点で前売り券の販売実績は、目標の一千四百万枚に対して七百八十八万枚にとどまっており、販売状況は不振なままであります。昨年十月からは紙のチケットをコンビニとか旅行代理店で販売されておりますけれども、なかなか売れていないということであります。危機感を感じて大阪府から非常に強い要請があって、先日、当日券ですとか、ID登録が不要な簡単来場チケットというそうですけれども、こうしたものを新たに販売することになりました。
ただ、普通に考えれば分かることなんですけれども、万博会場の入口に販売所を設けるなり自動販売機を置くなり人を配置するなりして当然コストもかかりますし、これから更に万博のチケットを買ってくださいという宣伝をしていけば営業の費用もかかるわけであります。
通常の入場券はIDが必要なものでした。これを原則としていたものが、今申し上げたように簡単来場チケット、そして紙のチケット、当日券、通期パスということで、種類も多いですし、値段や入場できる期間とか時間帯もまちまちで、正直、ホームページを見たんですけれども分かりにくかったです。
そこでお尋ねいたしますけれども、入場券の販売にどれだけの営業費用、コストをかけておられるのか。そして、紙の入場券、今回決定しました当日券の販売にどれぐらいのお金がかかっているのか、どこからそれを捻出するのかということを確認したいと思いますが、参考人の方、いかがですか。
○茂木政府参考人 まず、入場券の販売の費用ですが、これは、もろもろのシステム構築をしておりますので、こうしたシステムの中で対応していきます。
それから、販売のためのPRの費用、こうしたものもございますが、それは、既に予算の全体の枠を公表しておりますけれども、その中で言いますと、営業関係の費用というのは、昨年十一月末時点で契約している枠が五十六億円というのがございます。この中の内数ということになります。これが一つの数字でございます。
その上で、今御指摘があった例えば当日券の販売が行われたり簡単来場チケットというのができますが、例えば、当日券の販売を行いますと、先ほど委員から御指摘があったとおり、当日、会場のゲート前で販売するということになります。窓口を設置いたします。
これは、元々、コンビニでチケットを売ることにしておりましたので、コンビニで買っていただいた方はこれをゲート前でQRコードつきの入場券に交換するという形になっていましたので、既にこの点については運営費の中で対応しておりまして、そういう意味では、既存の入場券の販売体制の中に組み込まれるので、当日券の販売によって新たな運営費の上振れは生じません。
それから、簡単来場チケットについても、これはいわゆる電子チケットでございますので、電子チケットを販売して、これまでの万博IDを取得して取ったチケットと同様のシステムの中で対応できますので、これも新たな費用の増額はないというふうに考えています。
○山分科員 五十六億円という数字が出てきましたけれども、実際にどれだけかかっているんですか。五十六億かかっているんですか。具体的な金額は分かりますか。
○茂木政府参考人 具体的な数字は私も今お持ちしておりません。
これは、全体のチケットのシステム構成費用ですとか個々の販売のPR、これはチケットだけではなくて、いろいろなイベントのPRですとか、そういうものも含めた全体のPRの費用の中の一部ということになりますので、今私は手元にその数字は持っておりません。
○山分科員 そうしましたら、今の答弁を信じるのであれば、追加的な費用はほとんど発生しないし、発生させてはいけないということを改めて強調しておきたいと思います。
それで、紙の入場券、当日券ということですけれども、何万枚売るとか、販売目標はあるんですか。
○茂木政府参考人 紙の入場券につきましては販売目標はございません。これは当日券の販売でございますので、その日の予約状況を踏まえまして、その予約の空き枠の範囲内で当日券を販売するという形になります。
○山分科員 この間の運営費の議論の中で、万博協会が赤字にならない適正な範囲内で収支を調整していくですとか、運営費を含む万博の主要な費用の執行状況について、有識者を含む予算執行監視委員会も活用しながら計画と乖離が生じないようにしっかりモニタリングをしていくというふうに大臣始め参考人が答弁をされています。
経産省に設置されている予算執行委員会はこれまで都合六回開催されていると伺っておりますが、事後チェックがメインで、結局、建設費や警備費は、後で取り上げますけれども、増額になっております。この委員会のモニタリングの手法などに実効性の問題はないんでしょうか。いかがでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の執行監視委員会でございます。これは博覧会協会の執行のモニタリングを行う機関でございまして、これまでも、コストの推移、これは博覧会協会で随時把握しておりますけれども、こうした博覧会協会におけるコストの推移の監視方法を改善させたり、それから、協会の執行管理体制を強化するということで、CFOの設置を提言して、これを博覧会協会も受け入れてCFOを設置したりということで、しっかりとその機能を果たしていると承知しております。
引き続き、執行監視委員会の枠組みを活用しながら、収支両面から適切な運営を確保してまいりたいと考えています。
○山分科員 開幕四十五日前ということで、私も万博は成功してほしいし、いろいろな方に来場してもらって知見を深めていただきたいと思うんですけれども、この予算執行監視委員会の昨年三月一日の議事録を拝見しました。議事要旨ですが、運営費は差し迫ったものに対しての支払いということで、今お金がないからこれ以上出せませんとか、こういうのは現実的に無理でしょうとか、あるいは、運営費の支出については、片仮名言葉ですけれども、コンティンジェンシープランが必要だと。要するに、もし何か起こった場合にどこの支出を削るのかとか、そういう計画をあらかじめ、半ば公的な団体であるので作成しておかなきゃいけないよということを委員の方が述べておられるわけであります。
赤字にならないように調整していくというような答弁でありますが、政府も答弁されていますが、万博協会内で運営費が万が一赤字になった場合、あるいは収入が大幅に伸び悩んでしまった場合、どこを削るのか、あるいはどこが赤字補填をするのかというようなことをあらかじめ検討しておく必要があります。
この万博協会は、言い方は悪いかもしれませんけれども、寄り合い所帯であります。国と地方自治体、民間企業などから八百人ほどが出向していると伺っておりますけれども、基本的には協賛金ですとか自治体のお金を使って運営されているわけですので、単独で負債を負うことはできませんし、冒頭に大臣も運営費は赤字補填しないと明言していただいたわけですので、万が一の場合の対応をきちっと検討させる必要があるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 これは、今までもずっと答弁させていただいているので、とにかく運営費ということで、チケットを売りさばいていく、これが大変大事なことだろうと思っています。
先週の土曜も万博の地元を見てまいりまして、大分でき上がってきました。私も海外へ行くたびにいろいろな国へお願いをして、そうしたら、海外の方が逆に非常に盛り上がっているところもありまして、先生も江南市出身ですから愛知万博を多分御存じだと思いますけれども、あのときの雰囲気よりは今回の方が大分醸成してきつつあるなというところがあると思います。
その中で、いずれにしても、協会の方もそうですけれども、様々な形でチケットをお願いしながらチケットの販売を増やしていくということに今は尽きるんだと思っています。ですから、マイナスが出るということはそういう意味では想定をしなきゃいけないかもしれませんけれども、今のこういう状況の中でしっかりとチケットを販売していくことが我々が今なすべきことなのかなと私は思っています。
○山分科員 大臣が私の出身地まで覚えていただいてありがとうございます。
大臣と私のところは隣同士ですけれども、愛知万博に私も何度か行きましたけれども、皆さんが入場券を前売りで買って盛り上がっていたのを私も記憶しておりますし、今度もそうなってほしいんですけれども、繰り返しになりますけれども、万博協会は独自の財源を持たないですよね。物販で収益を上げるとか言いますけれども、限界があろうかと思います。八割を入場券、チケットで賄うわけでありますので、そのときのリスク分担、責任の所在、万が一のことはあってはならないが、きちっと対応していく必要があるんですけれども、再度大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 これはしっかり対応していくと今もお答えさせていただいたとおりでありますので、委員も応援をしていただく立場で是非今後ともよろしくお願いしたいと思います。
○山分科員 時間が限られていますので次に進みますけれども、やはり万が一の場合は、余り考えたくないですが、地元が負担すべきだということは強調しておきたいと思います。
続いて、チケットの販売にも関わるんですが、万博の来場意向度ということで、二月十五日、十六日に毎日新聞が実施した世論調査では、万博に行きたいと思うという回答が一六%、それに対して、行きたいと思わないが六七%でした。近畿二府四県でも行きたいと思わないという回答が五〇%という状況でありますし、昨年の十二月に大阪府市が実施したインターネットの調査によれば、万博に行きたいという意思表示をしたのは全国で三四・九%、地域別では、大阪府内で三九・六%、京阪神圏、京都、大阪、神戸が三二・五%、首都圏が二二・五%、そして中京圏が二九%ということで、本来の目標は五〇%でした。開幕時は五五%という想定をされていますが、そこには遠く及ばないわけであります。
入場券のチケットの販売の不振ということとも関係してくると思うんですけれども、なぜこういう状況なのか。国民の皆さん、地域の皆さんの意識が高まってこないんだろう。目玉がほとんどないとか、海外パビリオンの中身がよく分からないとか、空飛ぶ車の商用運航が断念されたといったようなことが報道されていますけれども、大臣としての所感をお聞かせいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 不足があれば後で参考人の方から答弁させていただきたいと思いますけれども、どういうものが中へ入って見られるのかという点がちょっとスタートが遅れてきていると思います。さっきも言った瀬戸博に比べると、あるいは大阪万博は私も経験していますけれども、相当そういう意味ではスタートが遅れている。これはどういう意味かというと、こういうものがありますという最近のイベント情報の発信というのが世の中が大分変わってきていて、なおかつ、今回はSNSで登録をしながらという形でスタートしていますから、ちょっとその辺が遅れてきているのかなという気がしています。
ただ、後で参考人から申し上げますけれども、いろいろな形で、例えば、ぴあさんの情報誌ですとか、様々な形で急激に今進展が進んでおりますし、盛り上がりは今の委員のアンケート結果とは急激にこれから変えていかなきゃいけないだろうと思っていますし、是非そういう意味でも前向きに捉えていきたいと思っています。
○茂木政府参考人 まず、委員の御指摘がございましたアンケートの結果でございますけれども、御指摘のとおり、全国的に、認知は上がっているけれども、来場意向がなかなか上がっていかないというところはあるかと思います。
ただ、一方で、直近は、関西圏は着実に増えてきていますし、関東圏も少し上昇が見られますけれども、ほかの地域でなかなか浸透していっていないというところもあるかと思います。
それで、来場意向度を上げていくためには、どうしてもその地域あるいは世代に応じた広報をしっかりやっていくということですし、そうした層に向けた発信も進めていく必要があると思っています。
例えば、シニア層の方は七〇年の万博を体験された方もたくさんいらっしゃると思いますが、こういう方に対しては、チケットが買いにくいという声に対して、旅行代理店ですとかそういうところでツアーが二百五十ほど出ていると聞いていますので、こうしたツアーを活用していただいたり、ファミリー層ですとか若者はSNS等で情報を得ますので、こうしたところに重点的にいろいろな新しいパビリオンの情報ですとかイベントの情報をしっかりと流していく。こうした取組を進めながら機運醸成を進めていきたいと思っております。
○山分科員 大臣なり政府の方がお仕事を進めるに当たって、感覚的には上昇してきているなというふうに受け止めたいと思いますけれども、一部報道によれば、海外パビリオン、タイプA四十七か国中、外観工事の完了が証明されたのは、二十一日時点で六か国、内装まで完了しているのはゼロというニュースもございましたが、海外パビリオンの建設は当然間に合わなきゃいけないんですけれども、大丈夫ですか。簡単に答弁してください。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
海外パビリオンの進捗については、現在、全てのパビリオンが開幕までに完成するという計画で準備を進めております。
ただ、各国のパビリオンはそれぞれ今工事がいよいよ大詰めになってきております。これは内装も含めてでございますが。かつ、独自で創意工夫を凝らしたものも多いので、私どもとしては、最後まで予断を持たずにしっかりと進捗管理をしていくことが大事だと認識しております。
○山分科員 くれぐれも労災事故が起こらないように進めてください。そのことだけは強くお願いしておきます。
機運醸成ということでお話が出ておりますが、機運醸成についての主な目的というのは、別の分科会も先ほど傍聴しましたけれども、来場者を増やすことだけが目的ではないということですけれども、この点、目的は何なのかということを簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○古賀副大臣 お答え申し上げます。
日本で万博を開催する目的でございますけれども、そもそも、多くの方々に未来社会への希望を感じていただいて、様々な人々との交流の機会などを通しまして地球規模の社会課題の解決につなげていく、これが万博の本来の目的である、このように認識いたしております。
そうした目的を踏まえますと、委員のおっしゃるとおり、より多くの方々に万博会場に足を運んでいただくことは大変重要なことだと思いますけれども、それ以外の方々についても万博について感じていただく、接していただく、そういった取組も重要だと考えておりまして、そういった取組を通じて、来場される方も、それ以外の方についても万博の目的に資するような取組を進めていきたいと考えております。
○山分科員 ただ、私が確認したところでは、今日ペーパーをお配りしていますけれども、機運醸成の支出で直接的なものだけでも五十九億円、六十億円近く使っておりますし、大阪府や市の予算でも機運醸成の目的で数十億円支出されておりますので、国際交流とか雰囲気を盛り上げていくことは大切ですけれども、来場者を増やすことにもきちっと努力をしていただきたいと重ねてお願いをいたします。
関連しまして、機運醸成のツールの一つとして、先ほど答弁がありましたけれども、SNSがどれぐらい管理費がかかっているのか、きちっと活用されているんだろうか、この点について簡潔に御答弁をお願いいたします。
○茂木政府参考人 SNSの活用でございますが、この時代においては、SNSをどれだけ活用できるかというのが機運醸成にも来場意向を上げていく上でも重要だと考えています。
博覧会協会は、ユーチューブ、フェイスブック、X、インスタグラム、こうした公式アカウントを運営していますし、既にユーチューブでは、万博会場のリアルな動画ですとかハローキティとコラボした動画など、既に四百三十七本の動画がアップされています。
Xやインスタグラムでは日々新しい情報をアップしておりますし、スペシャルサポーターがいらっしゃるんですが、こういう方のメッセージなどもこういったところを活用して発信しています。
こうしたSNSの運用体制でございますが、博覧会協会内において民間企業でBツーCの広報プロモーションを経験された方などで構成するチームを組織しまして、外部の事業者なども活用しながら積極的なSNSの発信を行っているところでございます。
○山分科員 広告会社だとかそういったところに幾ら支出しているんですか。全く手弁当でやっているということじゃないと思うんですけれども、いかがですか。
○茂木政府参考人 基本は、協会内の先ほど申し上げたSNSのチームがあって、そこでXやインスタグラムは発信しています。一部コンテンツの制作等は外注しているところもございますので、そこの正確な費用は私は今把握しておりません。
○山分科員 SNSを有効に活用すれば安価な費用で拡散していきますので、何とかここをうまく使ってください。お願いします。
続きまして、時間が押していますので、警備費用についてお尋ねいたします。
当初百九十九億円と想定していた警備費が約五十五億円膨れ上がりました。予算委員会の議論などで、各国の要人の数が相当増えたとか、要人が優先的に入場するための会場の整備だとか警備、それに伴う車両やスタッフが想定外に増えたというような答弁がございました。
ただ、万博の参加国とか企業だとか、日本人もそうですし、外国の方もそうですけれども、基本的にそんなに構成団体とか参加者が増えたわけではないんですが、五十五億増えたというのは国民一般の感覚として理解してもらうのは難しいと思いますので、なぜ五十五億膨れ上がったのかということを明快に簡潔に答弁していただけませんでしょうか。参考人、お願いします。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
安全確保のため、警備のための費用の増額でございますが、元々昨年の春の時点で想定していた状況からの変化を踏まえたものでございます。
それで、特に夏以降、海外の各パビリオンの出展の内容ですとか会場内のイベント等の具体化が進みまして、各国の開催を想定しているイベントの数が大幅に増加しました。正確な数字というよりは、それぞれの各パビリオンが今想定している数ですけれども、おおむねイベントの数で三倍ぐらいになっております。
これに伴いまして、当然、関係するそれぞれのパビリオンの要人の会場の入構も相当増えてくるということでございまして、車両の入構ゲートの増設ですとかゲート警備員の増員が必要になったということでございます。これによって発生した費用の増が五十五億円であったということでございます。
○山分科員 人件費も上昇していますし、人手不足ということもあるので、こういうスタッフの方の賃金が上がっていって警備費が膨らむというのはある程度は理解しますけれども、それにしても五十五億というのは私はにわかに理解し難いです。
例えば、イベントは三倍でしたけれども、要人の数がどれだけとかスタッフの数がどれだけ増えるとか、いろいろ守秘義務があるかもしれませんけれども、差し障りのない範囲で答弁できますでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
今申し上げたとおり、各国の開催するイベントがおおむね三倍ぐらいになっていると確認しております。それに応じて、連れていらっしゃる要人、お招きする要人の数も増えてまいります。この数字自体は先ほどの三倍に近い数字になると考えています。
もう一つは、例えば、国によっては、これは単独の国なんですが、百八十日間の開催期間中に百五十回ほどビジネスイベントを企画するというような国も増えてきまして、ある意味、それぞれの国が万博を単なる文化的イベントというよりは、経済交流の場として最大限活用したい、そういう非常に高い期待も出てきているということでございます。
私どもとしては、招請国政府として、博覧会協会と連携してこうした声にしっかり応えていくことが大事だと考えております。
○山分科員 時間も押していますので結びの質問にしたいんですが、政府の観光局が万博協会と連携して外国人観光客へのプロモーションを行っております。大臣も答弁がありましたように、外国では万博に対しての熱が高まっているということでありましたが、これは単なるイベントとか興業ではありません。国家プロジェクトでありますし、きちっとレガシーも残していかなくてはいけない非常に重要なものでありますが、外国人が三百五十万人来場目標ということは達成可能なのか。あるいは、私は富山が選挙区ですが、外国人の地方への誘客、本当に来ていただけるのか、この点どうお考えなのかをお尋ねいたします。参考人の方で結構です。
○中野政府参考人 万博来場者の地方誘客についてお答え申し上げます。
大阪・関西万博は日本の魅力を世界に発信する絶好の機会でありますので、観光庁といたしましても、万博プラス観光という形で海外からの万博来場者を日本全国へ誘客したいと考えております。
このため、観光庁におきましては、全国の観光地域づくり法人などに対しまして、博覧会協会が運用する観光ポータルサイトに各地域の魅力的な旅行商品が掲載されるように呼びかけ、その商品造成を支援するほか、日本政府観光局を通じてホームページ、さらには海外のインフルエンサーなどを活用したSNSによる情報発信、また、海外の旅行会社を招聘した万博プラス観光の商品造成の促進などに取り組んでまいります。
引き続き関係省庁、博覧会協会などと連携して万博来場者の地方誘客に取り組んでまいります。
○山分科員 時間がなくなりますのでこれで終わりますけれども、今日御答弁いただいたように、国として、地方自治体、民間企業、あるいは国民の皆さんにも御協力、御理解いただきながら、やれることを総動員でやっていただいて、あと一か月半、四十五日しかありませんので、せっかくやる以上は、国民の皆さんの期待に応えられるよう、不信感とかそういったものを払拭できるよう、大臣が先頭に立ってリーダーシップを取ってやっていただきたい、このことを強く申し上げまして私の質疑とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○齋藤主査 これにて山登志浩君の質疑は終了いたしました。
次に、大森江里子君。
○大森分科員 公明党の大森江里子でございます。本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
御答弁は政府参考人にお願いしておりますので、武藤大臣におかれましては御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。
○齋藤主査 大臣、御退席ください。
○大森分科員 私は、前職は税理士をしており、お客様は主に中小企業や小規模事業者の皆様でございました。
賃上げの機運が高まることはよいことだとは思いますが、大企業並みの賃上げが容易ではない中小企業では、募集をしてもなかなか人が集まらないといった状況が続いており、人手不足は相当深刻であると感じておりました。
今年は、いわゆる団塊の世代が全員七十五歳以上の後期高齢者となる年です。少子高齢化が進むことで労働力人口が減少し、働き手の確保に悩む企業が増えていくことが予想されております。
そこで、企業の人手不足に対しての経済産業省の取組例について御質問させていただきます。
まず初めに、昨年新設されました中小企業省力化投資補助金についてお伺いいたします。
民間の調査によると、人手不足による倒産は二年連続で過去最多であり、人手不足を感じている企業割合は五割を超えています。特に中小企業の人手不足は深刻であり、人材の確保や採用のために、業績が改善していなくても賃上げをせざるを得ない中小企業が増えています。中小企業が直面している現状に対しての御見解をお聞かせください。
○岡田政府参考人 お答えさせていただきます。
委員から御指摘ありましたように、日本商工会議所の賃上げに関する調査結果によりますれば、賃上げを行う理由の一つとして、人材の確保、採用など、人手不足への対応が挙げられております。
今後、我が国の雇用の約七割を占める中小企業が持続的な賃上げを実現するためには、省力化投資を含めた生産性向上や価格転嫁などをより一層推し進め、賃上げの原資を拡大させていくことが重要であると考えております。
このため、中小企業庁といたしましては、省力化投資、生産性向上支援の拡充、サプライチェーン全体で価格転嫁、取引適正化を定着させるための公正取引委員会と連携した下請法改正と執行強化、それから売上高百億円を目指す中小企業への成長投資支援などの取組を行ってまいりたいと考えております。
引き続き、こうした取組を通じまして、中小企業の稼ぐ力を抜本的に強化して、持続的な賃上げを実現してまいりたいと考えております。
○大森分科員 ありがとうございました。
今お話をいただきましたとおり、中小企業の人手不足対策として、省力化や生産性を向上させることも必要と言われています。
昨年、中小企業省力化投資補助金が新設されました。カタログ注文型の補助金の現時点における申請件数をお聞かせください。また、利用が多い業種についてもお聞かせください。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
中小企業省力化投資補助金は、人手不足解消に効果のあるロボットやIoTなどの設備、システムの導入を支援する補助金でございます。簡易で即効性のある制度としており、従業員が少ない企業や様々な業種で御活用いただくことが可能となっております。
本年一月末時点でございますが、申請件数につきましては合計二百三十六件でございまして、業種につきましては、宿泊、飲食サービス業が一番多うございまして、あとは製造業、建設業という形で続いてございます。
○大森分科員 ありがとうございました。
申請件数ですが、全国の中小企業数から考えますと、まだまだ少ない申請数かと思います。
中小企業や小規模事業者の人手不足の解消のために創設された補助金ですが、現場では補助金の存在すら知らない中小企業がまだ多い印象でございます。これまでも周知の努力をなさってきたと思いますが、広く利用してもらうためには更なる周知の取組が必要かと思いますが、御見解をお聞かせください。
○岡田政府参考人 省力化投資補助金の広報につきましては、これまで、全国四十七都道府県における説明会、それから関係省庁と連携した業種ごとの周知、カタログの更新情報をSNSやメールマガジンで発信し中小企業が簡単に欲しい製品を見つけられるようにするなど、積極的に広報活動に取り組んでまいりました。
また、今年の三月からは新たに、一般型といたしまして、事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイドによる省力化投資への支援も開始するところでございます。したがいまして、製品カタログの更なる充実に加えまして、新たな一般型につきましてもより一層広報活動を強化していく所存でございます。
具体的には、新聞社と連携したオンラインセミナーの実施、それから主要都市における追加の説明会と個別相談会の開催、今年一月に開催されました第一回省力化投資促進プランの策定と実行のための関係府省連絡会議における議論を踏まえまして、関係省庁と連携した業種ごとの更なる周知などを進めてまいりたいと考えております。
これに加えまして、昨日ですけれども、新たに本補助金の実際の活用の事例集を公表したところでございますので、これも活用いたしまして、取組の横展開を更に進めてまいりたいと思っております。
本補助金を中小企業の皆様に広く活用していただけるように、引き続き全力で広報にも取り組んでまいりたいと考えております。
○大森分科員 ありがとうございました。
せっかくよい制度でございますので、知られていなければ活用していただくこともできませんので、是非とも、御紹介いただきました周知方法を活用していただきまして目指している効果を得ていきたいと思っておりますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。
補助金を利用する場合、製品の導入後に補助金が交付されるという流れになっています。資金繰りが厳しい企業は、導入資金の全額を用意することが難しいため、資金を一時的に借り入れるなどして調達する必要がございます。制度を利用したくても、資金調達を負担に感じて補助金の活用をちゅうちょしてしまう中小企業もあるかと思います。対応策などがございましたら、お聞かせください。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業省力化補助金では、設備導入後、支払いのための審査が終了した後に中小企業等に補助金が交付される形となっております。
その際、設備導入時の資金繰りが厳しい中小企業等に対しましては、今年の三月より新たに、日本政策金融公庫による特別融資制度を措置する予定でございます。この制度は、中小企業省力化投資補助金を活用する企業を対象にいたしまして、省力化投資に必要な資金を特別利率で貸し出す制度であります。これにより、資金調達の負担が軽減されるものと考えております。
こういった取組を通じまして、中小企業の省力化投資を更に後押ししてまいりたいと思っております。
○大森分科員 ありがとうございました。
利用する企業の規模は様々でございますが、小規模な企業ほど資金調達の厳しさは大きいということを御認識いただきまして、より利用しやすい仕組みを更に御検討いただければと思っております。
これまで皆様の御努力のおかげでカタログの充実が図られてきましたが、小規模事業者の皆様からは導入しやすい製品がまだ少ないとのお声もあります。制度の利用を促進して小規模事業者の人手不足に対処するためには、小規模事業者が使いやすい製品を増やす必要があるかと思いますが、御見解をお聞かせください。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
中小企業省力化投資補助金につきましては、事業者のニーズも踏まえまして、カタログの充実や運用の改善に注力しているところでございます。
カタログの充実のため、カタログの登録のための手続の簡素化、柔軟化、申請手続に関する個別相談や説明会の実施といった運用改善を進めておりまして、カタログに製品等を登録するメーカーや工業会が使いやすい仕組みとなるよう、日々対応を進めているところでございます。
その結果といたしまして、一月末時点ですけれども、登録の機器のカテゴリーの数につきましては五十八カテゴリー、製品登録数でいいますと三百三十九製品まで増加してきているところでございます。
今後も引き続きカタログの充実を更に加速してまいりたいと考えております。
○大森分科員 ありがとうございました。
中小企業といいましても、従業員の人数や資本金など規模も様々でございますので、また、事業所の大きさなどもそれぞれ違っておりますので、是非製品の種類を幅広くそろえていただきたいと思っております。
従来のカタログ注文型に加えて、オーダーメイド方式である一般型も新設されまして、公募が始まっていると思います。一般型を新設するに至った経緯をお聞かせください。
○岡田政府参考人 中小企業の省力化に関しましては、これまでも省力化投資補助金によりまして、先ほども申しましたが、カタログ形式によって簡易で即効性のある支援を実施してきたところでございます。
その一方で、中小企業の現場におきましては、オーダーメイドの設備あるいは複数の製品を組み合わせた設備投資等、カタログ形式では支援しにくい省力化投資のニーズも存在するといった声が寄せられてまいりました。
そのため、これまでのカタログ形式の支援に加えまして、新たに一般型と称しまして、事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイドによる省力化投資にも幅広く支援できるような補助金として、一般型を新設させていただきました。
○大森分科員 ありがとうございました。
これまでも、カタログ注文型の随時申請への変更や製品の追加など、常によりよく更新し続けてくださっている御努力に感謝申し上げます。新設された一般型では中小企業の実情に合った設備の導入が可能になるかと思いますので、より広く活用していただけるような取組を引き続きお願い申し上げます。
次に、ビジネスケアラーに対する取組について御質問させていただきます。
仕事をしながら家族などの介護に従事する人は、ビジネスケアラーやワーキングケアラーと呼称されています。本日は、経済産業省で主に使用なさっているビジネスケアラーを使用させていただきます。
ビジネスケアラーの従業員は増加傾向であり、経済産業省の推計によると、二〇三〇年には、家族を介護する八百三十三万人のうち約四割の三百十八万人がビジネスケアラーになると予想されています。そして、介護離職などによる経済的損失は約九兆円に上ると見込まれています。経済産業省としてどのような問題意識を持っているか、お聞かせください。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省では、仕事をしながら家族等の介護を行う働く家族介護者に関連する労働生産性低下等に伴う経済損失額について試算しております。その結果として、働く家族介護者の数がピークを迎える二〇三〇年時点において、経済損失は先生がおっしゃったとおり約九・二兆円と推計したところであります。
介護者本人への心身の負担が発生していることに加えまして、仕事と介護の両立が困難になることに起因した労働総量や生産性の減少による労働損失は、人材不足等の課題に直面する企業の活動そのものに与える影響は甚大であると認識をしております。
仕事と介護の両立支援は、このような労働損失の抑制に寄与することに加えまして、人的資本経営の観点から企業価値向上にも資することでありまして、経済産業省としては、企業の人材戦略の一環としても、介護両立支援の取組の充実を行うことが重要であると認識しているところであります。
○大森分科員 ありがとうございました。
私自身も団塊の世代を親に持つ子供の世代でございまして、私の周りにもまさに今ビジネスケアラーになっている友人がたくさんおりまして、人ごとではない問題として思っております。
企業側といたしましては、ビジネスケアラーとなる従業員が増加した場合に企業側が負うリスクというのもいろいろあるかと思いますが、企業側が負うリスクを軽減するためにどのような対策を講じているのかもお聞かせください。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたとおりでありますが、働く家族介護者の労働生産性低下等の課題への対応は非常に重要だと思っております。
こうした問題意識を踏まえまして、経済産業省では、昨年三月に仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドラインを策定したところであります。この中で、企業による仕事と介護の両立支援の意義を始め、両立支援に取り組むことによる人的資本経営の実現や人材不足に対するリスクマネジメントとしての有効性に加えまして、企業経営への影響を整理し、企業に求める具体的なアクションや先進的な取組事例を併せてお示ししたところであります。
また、特にリソースの制約がある中小企業に対しては、地域や業界団体単位で介護両立支援のハブとなる主体を育成しまして、複数の中小企業に対する支援を実現するモデルの構築を目指し、実証事業を実施しているところであります。
こうした政策を含めまして、引き続き、関係省庁とも連携しながら、企業における仕事と介護の両立支援を推進してまいりたいと思っております。
○大森分科員 ありがとうございました。
昨年、仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドラインが発表されましたが、まだガイドラインの存在自体を知らないという中小企業もまだ多いように思います。
取組を促進するには、まずは大企業が先に全面的に取り組む必要があると思っております。大企業に向けてどのような働きかけを行っているのか、お聞かせください。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたとおりですが、経済産業省においては、昨年三月に仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドラインを策定したところであります。
本ガイドライン策定後、経済団体等と連携して情報発信を行うとともに、企業経営者や人事部門等を対象にしたセミナーを通じて、本ガイドラインの大企業等への普及に取り組んでいるところであります。
また、健康経営優良法人認定制度においても、昨年度から仕事と介護の両立支援を評価項目に加えておりまして、今年度は、ガイドラインを踏まえて、選択肢の拡充、整理なども行ったところであります。
こうした取組も含めまして、引き続き、関係省庁とも連携をし、大企業を含む企業経営層に対して、仕事と介護の両立支援の意義を訴求してまいりたいと考えております。
○大森分科員 ありがとうございました。
是非とも、取り組む企業が更に増えますように、更なる推進をお願いいたします。
従業員の人数が少なく、人手不足が深刻な中小企業は、中核を担う従業員がビジネスケアラーになった場合、事業に甚大な影響を及ぼす可能性がございます。中小企業は、仕事と介護の両立支援に充てることができるリソースが不足している場合が多いと思います。
先ほど少しハブのお話もいただきましたが、中小企業が抱えている課題への対応策、もう少し具体的に教えていただけましたらと思います。よろしくお願いいたします。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御指摘のとおりでありますが、仕事と介護の両立支援につきまして、特に中小企業はリソースが限られ、企業単体での取組には限界があると認識しております。
先ほど申し上げましたとおり、こうした問題意識を踏まえまして、経済産業省では、地域や業界団体単位で介護両立支援のハブとなる主体を育成しまして、複数の中小企業に対する支援を実現するモデルの構築に向けた実証事業として、中小企業経営者に対する意識啓発、従業員への相談窓口提供、施策の効果測定などを実施したところであります。
実証事業を通じまして、経営層への意識啓発とともに全社的な介護実態調査など、経営層が両立支援に取り組むに至る意思決定を促すことが重要であることが判明しているところであります。
引き続き、関係省庁と連携しまして、中小企業においても両立支援を促進してまいりたいと考えております。
○大森分科員 ありがとうございました。
従業員が仕事と介護を両立できる環境を企業が整備するということは、従業員のキャリア継続のためだけでなく、企業の事業継続や人的資本経営の実現にもつながると思っております。多くの企業でこの重要性を御認識いただけるような取組を更にお願い申し上げたいと思っております。
済みません、すごく端的に、明快に御回答いただきましたので、本日御質問さしあげたい内容は以上になりましたので、以上で私からの質問を終わらせていただきます。
大変にありがとうございました。
○齋藤主査 これにて大森江里子君の質疑は終了いたしました。
次回は、明二十八日金曜日午前八時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時五十七分散会