第2号 令和7年2月28日(金曜日)
令和七年二月二十八日(金曜日)午前八時開議
出席分科員
主査 齋藤 健君
伊藤 達也君 島田 智明君
平沼正二郎君 古屋 圭司君
奥野総一郎君 酒井なつみ君
末松 義規君 山崎 誠君
西田 薫君
兼務 鈴木 英敬君 兼務 浜地 雅一君
兼務 辰巳孝太郎君
…………………………………
経済産業大臣 武藤 容治君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
経済産業大臣政務官 加藤 明良君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 古谷 一之君
政府参考人
(内閣官房健康・医療戦略室次長) 仙波 秀志君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 西海 重和君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 井上 学君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 稲熊 克紀君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 徳増 伸二君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 蓮井 智哉君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 清浦 隆君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 高橋 秀誠君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 南 亮君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 河野 太志君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 今村 亘君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦上健一朗君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 松原 英憲君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 長崎 敏志君
政府参考人
(環境省大臣官房政策立案総括審議官) 中尾 豊君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君
経済産業委員会専門員 花島 克臣君
予算委員会専門員 中村 実君
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分科員の異動
二月二十八日
辞任 補欠選任
古屋 圭司君 島田 智明君
酒井なつみ君 山崎 誠君
西田 薫君 市村浩一郎君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 平沼正二郎君
山崎 誠君 末松 義規君
市村浩一郎君 村上 智信君
同日
辞任 補欠選任
平沼正二郎君 古屋 圭司君
末松 義規君 酒井なつみ君
村上 智信君 西田 薫君
同日
第二分科員鈴木英敬君、第四分科員浜地雅一君及び辰巳孝太郎君が本分科兼務となった。
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本日の会議に付した案件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
(経済産業省所管)
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○齋藤主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算中経済産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。島田智明君。
○島田(智)分科員 皆様おはようございます。自由民主党の島田智明でございます。
大阪では唯一の自民党衆議院議員でございますので、本日は、大阪にとって極めて重要なイベントと位置づけられております二〇二五年日本国際博覧会、略称大阪・関西万博についてお伺いいたします。
本日、大臣答弁はございませんので、大臣におかれましては、適宜御退室していただいて結構でございます。ありがとうございます。
○齋藤主査 大臣、御退席ください。
○島田(智)分科員 本日は、様々な御質問や御意見をいたしますが、大阪・関西万博を全面的に応援する立場から申し上げることを、まずは御理解ください。
昨年十二月に大阪府と大阪市が実施したアンケート調査のデータによりますと、大阪・関西万博の開催を知っていると答えた人の割合は九四・七%、そして、大阪府民に限って言うと九六・六%という非常に高い状況でした。つまり、ほとんどの人が万博の開催を認知しているという結果でした。
ところが、大阪・関西万博に行きたい、あるいは、どちらかといえば行きたいと答えた人の割合は、全体で三四・九%、大阪府民に限って言うと三九・六%という状況でした。つまり、万博の開催を知っているけれども、行きたいと思う人は半分にも満たないという結果でした。
万博の認知度は極めて高いわけですから、万博の広告宣伝にこれ以上力を入れても、それほどの効果は期待できず、むしろ、どのような工夫をすれば、万博に行きたくないと思っている人々を万博に行きたいと思うに変えられるかを研究する必要があるかと思います。そういう意味では、並ばない万博という当初の考えを改め、当日券の販売を決めたことはすばらしい決断だと思います。
ほかにも、後で質問しますが、万博会場において、火星由来の隕石を実際に触ることができるようにすることは、万博に行きたくないと思っている人々を、是非万博に行きたいと思わせるための方策として一定の効果があると思います。ですので、今は万博の認知度向上の取組より、万博の魅力度向上の取組に注力すべきと考えます。
いずれにしましても、四月十三日に万博が開幕しますと、連日の報道等による話題性によって、万博への来場意向度は五〇%をはるかに超えると予想しております。特に関西においては、万博に行った人の割合が一定数を超えると、周りに合わせて自分も行かなければと思う人が急増し、万博会場は多くの人々でにぎわうことになると予想しております。また、日本人だけでなく、多くの訪日外国人観光客が万博会場を訪れることになると考えております。
そして、万博が実際に始まってみると、人の混雑に起因する課題を始め、新たな課題がたくさん出てくることでしょう。経済産業省や内閣官房、観光庁を中心に、政府の皆様には様々な課題に臨機応変に対応していただき、大阪・関西万博を大成功に導いていただくことをお願いし、質問に移ります。
まず、一つ目の質問ですが、万博は皆様御存じのとおり、万国博覧会の略称です。万国ですから、世界各国が参加し、そして、博覧会ですから、最先端の技術や芸術等を展示、公開する場です。もちろん、展示、公開するだけでなく、実用化、つまり、実際のビジネスにつなげることが肝腎です。万博において披露される最先端の技術が実際のビジネスにつながる取組として、具体的にどのようなことを計画されておられますか。
○浦上政府参考人 お答え申し上げます。
今次の万博では、GXそれからヘルスケア、あるいはAIといった様々なこれから世界を変えていくような最先端の技術、これを、いろいろな意味で現場で体験をしていただけるというところがすごく大きなポイントになってくると思っております。
委員御指摘のように、これらの技術を単に現場で展示をされた姿を見ていただくというだけではなくて、ビジネスに実際に結びつけていく姿、これにつなげていかなければいけないと考えております。実際、前回のドバイ万博におきましては、こうしたビジネスマッチングの取組というものが大変注目をされまして、今次の万博においてもそうした類似の取組を行うことによって、ビジネスにつなげていくということをやってまいりたいと考えております。
具体的には、経済産業省といたしまして、いろいろなプラットフォームを万博を契機としてつくっていくということをやっていこうと考えておりまして、例えば、中小企業の技術をマッチングさせるための取組、あるいは、いろいろ分野を区切りまして、ヘルスケア分野であれば、こういう形でグローバル規模でのスタートアップを結びつけるためのイベントなどを考えているところでございます。
また、スタートアップ全般ということで申し上げれば、優れた技術やサービスを持つスタートアップと国内外の投資家、企業、こういったものとの交流を目的といたしまして、グローバルスタートアップエキスポ二〇二五というものを九月中旬にも開催すべく、準備を進めているところでございます。
こうしたビジネスマッチングの取組に関しましては、本当に各国から高い関心が寄せられているところでございまして、今、ジェトロの方にも様々な要望をいただいているところでございます。こうした要望を、国内の様々な機関が協力いたしまして、しっかりビジネスマッチングにつなげていけるよう、関係者一同、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○島田(智)分科員 ありがとうございます。
最先端の技術に現場で触れられる、体験できる、これは非常に大事なことだと思います。万博の本来の意義を尊重し、ポスト万博も含め、最先端の技術を駆使したスタートアップを育成する仕組みづくりをしっかり考えていただきたいと思います。
万博会場では様々なものが展示され、そして、様々な催しが企画され、会場を盛り上げることになるとお伺いしております。火星由来の隕石を展示する計画だそうですが、万博においてどのような意義があるか、御説明いただけないでしょうか。
○浦上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の火星隕石でございますけれども、日本政府館に展示をする予定であります。これは世界最大級の大きさを誇っておりまして、我が国の南極観測隊が昭和基地の近傍で採取をいたしました科学的な試料ということでございます。
この隕石の中には、周囲に水がない限り存在しないような、そういう粘土鉱物が含まれておりまして、火星にかつて水が存在していた証拠である、これが生命の起源に関わる手がかりになる、こういうものでございまして、大変学術的価値も高いものでございます。大阪・関西万博、テーマを命に置いておりますので、そういう意味では、この命というテーマに深く関わる展示になるのではないかというふうに考えております。
また、大きなコンテクストで申し上げれば、七〇年万博のときに耳目を集めました月の石、これはアポロ計画で月探査を進める、こういう時代背景の下で展示されたものでございましたけれども、これから日本は、各国と協力しながら月を経由して火星を目指していく、こういう人類全体の動きがあるわけでございますので、ある意味人類のフロンティアを指し示すという意味でも象徴的な意味を持つのではないかというふうに考えております。
こうした展示に込められました意義、背景、魅力といったものを引き続き丁寧に発信をしてまいりたいというふうに考えております。
○島田(智)分科員 火星を目指すということで、本当に、未来社会のデザインという位置づけかと思います。単なる客寄せパンダの展示物でないということが理解できました。
国際博覧会条約第一条において、博覧会とは、名称のいかんを問わず、公衆の教育を主たる目的とする催しであると定義されています。先ほどのお話ですと、科学的試料に触れ、学ぶ機会があるということで御理解できました。大阪・関西万博が期間限定のレジャーランドのように扱われ、お祭り騒ぎで終わることだけは避けていただきたいと思っております。多額の予算を使って万博を開催する意義を尊重し、経済産業省主導で、日本の産業発展にうまくつなげていただけることをお願いいたします。
次に、万博特措法についてお伺いいたします。
正式名称は、令和七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律ですが、この法律において、国際博覧会推進本部長はどなたであると規定されておりますか。
○浦上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の万博特措法におきまして、国際博覧会推進本部の長は、内閣総理大臣をもって充てるとされておるところでございます。
○島田(智)分科員 ということで、内閣総理大臣が大阪・関西万博の推進に当たって中心的な役割を担っていることを改めて認識できました。
万博は国家プロジェクトなのですが、大阪府と大阪市による取組と誤解されている方々が多くおられます。人と金という二つの観点で、日本政府はどの程度関与し、同様に、大阪府と大阪市はどの程度関与しているか、お答えいただけないでしょうか。
○浦上政府参考人 お答え申し上げます。
国際博覧会、いわゆる万博でございますけれども、これはBIE条約という国際条約に基づくものでございます。万博を開催しようとする国の政府が、国際博覧会事務局に開催計画を提出をして、そして認められるということがまずもって必要になります。そして、各国に対する参加の招請というものも、開催国の政府から外交ルートを通じて行うものというふうにされております。
今次の万博に関しましても、日本国政府として申請を行って、BIEに認められたというものでございますので、日本国として開催するプロジェクトということになります。
その上で、政府といたしましては、先ほど御指摘いただいた万博特措法に基づきまして、全閣僚が構成員となっております国際博覧会推進本部を設置をいたしまして、博覧会の円滑な準備及び運営に関する施策を総合的かつ集中的に推進するということにしてございます。
予算面では、会場建設費の三分の一のほか、日本政府館の出展費用、そして途上国の出展を支援するための費用といったものを措置しているところでございます。
一方で、大阪府市は、あくまで開催地の自治体ということでございますので、万博推進局といった部局が中心になりまして、各部局において万博の開催に向けた様々な取組を行っております。
予算面では、会場建設費の三分の一、加えて、大阪ヘルスケアパビリオンの出展、万博ボランティアの受入れ準備、活動拠点の整備といった予算の措置をしているというふうに承知をしているところでございます。
○島田(智)分科員 今、予算面が中心のお話であったんですけれども、人というか体制面の方ももう少しお話しいただければと思います。
○浦上政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、全閣僚が参加をする国際博覧会推進本部、これには関係省庁が全て参画をしております。とりわけ経済産業省、こちらは、万博特措法の中で、博覧会協会を指定するという役割を与えられておりますので、博覧会業務に関する監督上必要な命令をすることができるという立場で、博覧会協会の指導監督をしてございます。
それから、関係省庁、国土交通省や各施策を持っておられるところが万博を活用して様々な施策のプレーアップを行うという意味で、本当にあらゆる省庁が参画をしているということになると考えております。
○島田(智)分科員 あらゆる省庁が関係するということで、本当にこれが国家プロジェクトであることが改めて認識できました。国家の威信に懸けて、内閣総理大臣を中心に大阪・関西万博の推進に御尽力いただけますようお願い申し上げます。
次の質問に移ります。
万博会場までの交通手段として近未来技術の空飛ぶ車を検討されていたと思いますが、法律上の問題、技術的な問題、安全性の問題など様々な課題を乗り越え、万博開催中に実現できそうでしょうか。お答えいただけますか。
○西海政府参考人 お答え申し上げます。
空飛ぶ車ですが、万博のアクションプランというのがございまして、そちらにおいて、遊覧飛行とそれから二地点間の運航、こちらに向けて、それぞれの運航事業者において調整が行われております。
万博で、今回、一般の旅客を乗せて運航する商用運航ではなくて、パイロットによるデモフライトとした理由でございますけれども、空飛ぶ車は、日本、それからアメリカ、イギリス、それぞれで技術開発を行っているところでございますが、一般旅客を乗せて安全に運航するには、まだ技術の検証が引き続き必要であるといった判断がそれぞれの各者であったからというふうに伺っております。
しかしながら、今回の万博で飛ぶ、空飛ぶ車につきましては、閉幕後、商用運航に近い将来つながるものであるというのは一つ言えます。また、国内外の開発の進んでいる空飛ぶ車が一堂に会しまして、それぞれが代わる代わる飛んでいくということは、将来の空飛ぶ車が社会的に実装されるという姿を来場者の方々に想起させるという意味で、非常に意義の高いものであると考えております。
○島田(智)分科員 今回は、一般の来場客を乗せない二地点間デモ運航のみということで理解いたしました。
私は、昨年八月二日まで、大阪府河内長野市において市長を二期八年務めさせていただきました。その河内長野で万博共創チャレンジに参画している河内長野駅前再生会議から、河内長野駅前から万博会場まで空飛ぶ車を飛ばせていただけるよう、万博関係者に強く強く要望してほしいという御依頼を受けました。その話題性だけで、多くの市民が万博会場を訪れるようになるという御提案でした。
大阪府には四十三市町村あり、河内長野だけでなく、各自治体から万博会場まで空飛ぶ車が飛べば確かに盛り上がることだ、そんなふうに思っております。ただ、先ほどの御回答をいただいた、近距離でかつ海上を飛ぶ二地点間デモ運航のみということであれば、各自治体から万博会場までの二地点間デモ運航もかなり厳しいものかと思います。
また、万博会場までのほかの交通手段として、レベル4の自動運転バスを検討されていたと思いますが、こちらについては万博開催中に実現しそうでしょうか。
○西海政府参考人 お答え申し上げます。
自動運転バスにつきましては、一部のバス車両が舞洲、会場の隣の島でございますが、舞洲にマイカーの駐車場がございますが、マイカーの駐車場からシャトルバスに乗り換えて会場まで行くまでの間、それから二つ目に、新大阪駅、それから大阪駅、中之島駅と会場を結ぶ一部の区間、さらに、会場内をぐるぐる回る道路がございますが、この道路の三ルートにおいて自動運転が行われる予定でございます。
このうち、特定の条件下で運転手を必要としない、いわゆるレベル4といたしましては、舞洲のいわゆるパーク・アンド・ライド駐車場ルートで、レベル4の自動運転車両に関する国土交通省の認可を運行事業者が二月十三日に取得をしたところでございます。
公道における大型のEVバス、電気自動車のバスでございますけれども、としては国内初の認可であると聞いております。
○島田(智)分科員 一部レベル4運行を実施するということで、理解いたしました。
私の河内長野市長時代には、高齢化が進む住宅街におけるレベル4運行に取り組みましたが、歩行者と一般車両が混在する環境下の一般道においてはレベル2が限界でした。万博開催を契機に、日本における自動運転バスレベル4運行の実現が一気に進むことを期待しております。
さらに、万博会場までのアクセスとして、MaaS、つまり、複数の交通手段を組み合わせて、検索や予約、決済などを一括で行うサービスを検討されていたと思いますが、こちらの方は万博開催中に実現できそうでしょうか。
○西海政府参考人 お答えいたします。
万博来場者に対して、各交通手段の予約、決済などのサービスをワンストップで提供するMaaSに、これは具体的にはモビリティー・アズ・ア・サービスの略でございますけれども、取り組んでいるところでございます。
具体的には、万博の来場者は、博覧会協会が公開しておりますスマホアプリやホームページにアクセスしますと、万博の入場券の購入、入場日時の予約等ができまして、更に流れに沿って進みますと、交通に関する情報がまとめられたページに誘導されます。そして、利用者が必要なサービスを選択することができるようになってございます。
例えば、博覧会協会が運営するパーク・アンド・ライド駐車場などの予約、決済が可能になります。さらに、関西の鉄道事業者七社が運用しております関西MaaSというのがございまして、こちらのシステムとも連携してございまして、万博の方から今度は関西MaaSの方に飛びまして、経路の検索、それから駅シャトルバスの予約、決済が可能でございます。
○島田(智)分科員 万博来場MaaSサイトにおいて様々な機能を持たせ、また、関西の鉄道七社が作った関西MaaSと連携していくということで、理解いたしました。
次の質問に移ります。
多くの方々が大阪・関西万博と言われる以上、大阪の万博会場に加え、関西全域で何らかの取組が行われる万博だと認識していますが、具体的にどのような取組を実施される予定でございますか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
万博の開催の恩恵は、開催地である大阪のみならず、関西各地に波及させることが重要と考えてございます。
御質問の大阪会場以外の取組につきましては、意欲ある自治体が万博開催期間中に関連イベントを開催することとしてございます。例えば、兵庫県各地において体験型プログラムを作る、ひょうごフィールドパビリオンという取組、鳥取県全体を万博のサテライト会場に見立てて魅力を発信する、とっとリアル・パビリオン、あと、けいはんな学研都市でございますが、そちらの方でも、けいはんな万博二〇二五という各地の取組が行われるという予定でございます。
○島田(智)分科員 了承しました。
大阪だけでなく、関西全体に経済効果があることを期待しております。先ほど、大阪には四十三市町村あるというお話をしましたが、関西二府四県には百九十八市町村あります。全ての市町村とは言いませんが、多くの市町村において、何らかの形で万博への参画が実現することを期待しております。
また、世界中から大阪の万博会場を訪れる人々に対して、関西のほかの地域を訪れることを促進する取組としてどのようなことを計画されておりますか。
○長崎政府参考人 大阪・関西万博は、日本の魅力を世界に発信する絶好の機会でございます。
観光庁といたしましては、万博プラス観光として、海外からの万博来場者を、関西全域を始め日本全国へ誘客したい、このように考えてございます。
このため、観光庁におきましては、全国のDMO、これは観光地域づくり法人でございますが、こちらに対して、博覧会協会が運用する観光ポータルサイトに各地域の魅力的な観光商品、旅行商品を掲載されるよう呼びかけ、また、その商品造成を支援するほか、JNTO、日本政府観光局でございますが、こちらを通じ、ホームページはもちろん、海外のインフルエンサーを通じたSNSによる情報発信、また、海外の旅行会社を招聘し、万博プラス観光の商品造成、こういったものの取組を推進してまいります。
特に関西におきましては、現在、全体の約三割を占める九十三件の旅行商品がポータルサイトに登録されてございます。具体的には、観光庁におきましても、和歌山県那智勝浦町における熊野における修験体験でありますとか、生マグロの競り見学、こういった具体的な観光コンテンツの造成に対して支援を行っております。
引き続き、関係省庁、博覧会協会等々と連携し、万博来場者の地方誘客、これに取り組んでまいります。
○島田(智)分科員 了承しました。
最後に、大阪府万博子ども招待事業についてお伺いしたいと思います。
この招待事業は大阪府の取組だと理解しておりますが、多くの来場客が予想される万博会場は学校単位で参加できるような体制になっているのでしょうか。つまり、多くの子供たちが集団で行動できるように、待機場所の確保や熱中症対策など、万全の体制になっているのでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
政府といたしましては、学校単位で安心して万博に来場していただけるよう、学校職員等を対象にして説明会、あと情報提供等も行いまして、しっかり意見交換を行いまして、対応を進めておるところでございます。
具体的には、学校単位で万博会場に来ていただく子供たちの待機場所、こちらについては、会場内に五か所の団体休憩所、あと、リング下の休憩コーナー、フードコート等を整備することとしてございます。
加えまして、熱中症対策でございますが、屋根つきの団体休憩所、日よけテントなどにより日陰をつくったり、ドライミストなどの送風設備の整備、ウォーターサーバーなど水分補給体制の確保、それ以外に、予約制の導入により待ち時間を短くする対策、アプリや会場内放送による熱中症の注意喚起等を行うことにしてございます。
加えまして、会場内の診療所とか応急手当て施設、これは計八か所設置して、診療所にはもちろん医師、看護師を常駐させることとしてございます。また、大阪市の消防局と連携し、会場内に救急車を配備します。あと、周辺の病院等とも速やかに搬送できるような体制もしっかり確保しますし、熱中症患者とかが発生した場合でも、速やかに医療救護に当たることとしてございます。
迷子が発生した場合もございますので、そちらは東西各ゲートの迷子センターで保護も行いますし、迷子情報の案内所や巡回サービス等も行って、その辺の対策もしっかりやっていこうかと考えてございます。
○島田(智)分科員 会場内に医師や看護師を配置するなど、万全の体制であることが理解できました。
個人的には、学校単位の学校行事の一つとせず、子供たちに無料入場券を配付し、家族単位で参加する仕組みの方が有意義であり、責任の所在が明確化されて望ましいと思っております。家族単位での参加にすると、混雑する土、日曜日が更に混雑するので、平日に分散するという狙いもあるのかと思います。
大阪府においてだけでも百万人近くの子供たちが万博に招待される中、一つでも大きな事故が起こりますと、それ以降の学校単位での参加を取りやめることになるかもしれませんし、また、万博の全体的なイメージを損なうことになりかねません。非常に大変なことだとは思いますが、子供たちに対し、事故が起こらないよう、万全の対策をお願いいたします。
ちなみに、私は、日本万国博覧会、つまり大阪万博に行きました。残念ながら、ゼロ歳のときでございますので、全く記憶にございません。日本は高度経済成長期の真っただ中でしたので、そのときのテーマは「人類の進歩と調和」でした。
そして、今回の大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」ということで、八人のプロデューサーが主導するシグネチャーパビリオン、民間パビリオンを含む国内パビリオン、そして四十以上ある海外パビリオンの多くを回ることを楽しみにしております。
現在の少子高齢化、人口減少という社会潮流の先にある未来社会のデザインに期待し、私からの質疑を終えさせていただきます。
ありがとうございました。
○齋藤主査 これにて島田智明君の質疑は終了いたしました。
次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳分科員 日本共産党の辰巳孝太郎です。
前回二月十四日は、政府の半導体政策がアメリカの軍需に応える形で進められてきた問題を取り上げました。今日は、半導体製造の過程で欠かせない水の問題について取り上げます。
半導体製造の三割が洗浄工程であり、大量の水が必要であります。政府が巨額の補助金で熊本に誘致したのが台湾の半導体受託生産企業、TSMCであります。昨年の売上げは十三兆七千六百億円、最終利益は五兆五千八百億円の巨大企業であります。政府からすれば誘致した半導体企業でありますけれども、TSMCの狙いは、熊本の水、つまり地下水ではないか。当然のことながら、その狙いに対する地元の懸念が高まっております。
経産省に確認しますけれども、一・二兆円の補助金に加えて、熊本の地下水の存在がTSMCが熊本進出を決めた要因ということで間違いありませんね。
○野原政府参考人 TSMCが日本進出に当たって、製造拠点の立地先については、顧客のニーズ、インフラの整備状況、周辺に存在する関連のサプライチェーン、優秀な人材の確保のしやすさなど、様々な検討要素を総合的に判断し、熊本県に進出先を決定されたものと承知しております。その中で、地下水を始めとした豊富な水資源があったことも立地を決定した要因の一つであったろうというふうに聞いております。
○辰巳分科員 そうですよね。二〇二三年六月二十二日の民間企業のインタビューに対しても、経産省の当時の大臣官房参事官は、TSMC側からすると、台湾の中は水の問題があるんだ、補助金の金額だけではないんだ、水の供給不安とかも考慮されていると語っております。
改めてもう一回聞きますけれども、台湾の水の供給不足、あるいは汚染の問題、こういう問題があったということですか。
○野原政府参考人 台湾の国内にたくさん工場を建ててきたことによって、台湾でどんどん製造拠点を増やしていくことについて幾つか律速になっていることはあると思っています。水の供給だけではなくて、電力供給の問題、人材のプールの問題、いろいろ課題がございます。地政学的なリスクもありますから、供給拠点をそれぞれ需要があるところに分散したいという点もあると思われますけれども、そのような複数の要因の中の一つとして水の供給の問題についてもあるんだろうと考えます。
○辰巳分科員 至れり尽くせりの巨額補助金と熊本の地下水を交渉材料にして政府が国策としてTSMCを誘致したということではないかと思うんです。
この熊本の地下水は、熊本市など、市町村百万人の水道を賄う、地元が世界に誇る命の水であります。土木の天才と言われた加藤清正が、白川から農業用水を引くための堰や用水路を数多く整備しました。阿蘇の噴火、火山活動でできた水を通しやすい性質の水田から大量の水が地下水に浸透、良質の地下水を育んでまいりました。
今もなお熊本市民の水道水源は一〇〇%地下水で賄われており、熊本市のウェブサイトでは、ミネラル成分がバランスよく含まれており、天然のミネラルウォーターそのものと。水道水の蛇口をひねればミネラルウォーターが出てくるんだ、こういうことですよね。県内のシンクタンクは、熊本市民が使用する水道量をペットボトルの水に換算すると年間三十五兆円に値するという試算も出しております。
その地域住民が今直面している問題が地下水の枯渇と汚染であります。熊本では、水田に水を張ってしみ込ませる人工涵養によって地下水の枯渇を防ごうとしてまいりました。
ただ、このTSMCの子会社であるJASM第一工場、第二工場は、合わせて年間八百三万トンの地下水を使用することになります。これは立地自治体である菊陽町が使用する年間使用量と同量であります。そして、農地が減れば人工涵養も減ります。つまり、地下水が減少することになります。
環境省に確認しますけれども、熊本地域の水田からの地下水の涵養量や今直面している課題は何か、述べていただけますか。
○伯野政府参考人 お答えいたします。
二〇〇八年に熊本県等が策定した地下水管理計画によりますと、熊本地域の地下水涵養量は年間六億立方メートルと見積もられておりまして、そのうち、水田からの涵養量は二億一千万立方メートル程度であるとされております。つまり、水田からの涵養が全体の約三分の一を占めております。
熊本地域の地下水保全上の課題としては、熊本市のホームページでは、宅地化や転作により水田の作付面積は年々減少し続け、地下水減少傾向の要因となっていると分析されております。
以上でございます。
○辰巳分科員 今読んでいただいた中には最後にこうあるんです。地下水を守るためにも水田を守っていくことが必要、こういう話なんです。政府の文書で、環境省が出している冊子の中ではっきり述べております。地下水を守るためには水田を守っていくことが必要、こういうことなんです。
熊本県と熊本地域十四市町村が策定している熊本地域地下水総合保全管理計画でも、地下水の減少は、流入量、涵養量ですね、と流出量、採取量あるいは湧水量のバランスが崩れている結果であり、水量の保全は、涵養量の確保、採取量の削減、両面から取り組む必要がある、こう書かれてあります。特に、TSMCの工場が立地している白川中流域に位置する二市二町、菊池市、合志市、菊陽町、大津町での流出量と流入量のバランスが重要だとされております。しかし、工場立地や開発が進めば結局農地が転用されていくわけです。
確認しますけれども、TSMCの誘致以降、どれぐらいの農地が転用されましたか。経産省。
○野原政府参考人 熊本県によりますと、二〇二一年十月から二〇二四年九月にかけて、御指摘の菊池地域におきまして農地面積が二百三十一ヘクタール転用されたと認識しているということでございました。これが、二〇二三年七月時点の農地面積は一万一千三百平方メートルでありますが、その約二%に当たると聞いております。
○辰巳分科員 今言っていただいた農地転用というのは、これは、例えば、熊本へTSMCの誘致に伴って進出してきた企業が八十六社ありますよね。この八十六社の企業進出に伴う農地転用も含まれている数字でしょうか。
○野原政府参考人 御指摘の八十六社は、TSMCの進出時点以降、熊本県へ進出又は設備拡張が決定された企業の数を公表情報に基づき経済産業省で集計したものでございます。地元の金融機関からは、この八十六社以外にも公表されていない案件が多数あるという御指摘を受けております。
したがって、この八十六社に対応して農地転用がどれだけ起きたかということは分からない。そういう意味では、八十六社一社ずつチェックしたわけではありませんので、全部が対応して含まれているかどうかというのはよく分かりませんが、先ほどの時点で切ったところではこれだけ転用されているということは熊本県で把握されています。
○辰巳分科員 答弁がありましたように、二百三十一ヘクタールの農地転用があったということです。
ある報道によりますと、一ヘクタールの農地が減るごとに一万トンの地下水が減少するというものもありますので、これは物すごい量だと思うんですね。八百三万トンがJASMの第一工場と第二工場で採取される水。それに加えて、農地が減っているということですから、涵養量は二百三十一万トン減ることになるわけですよね。
経産省にもう一回聞きますけれども、様々な企業の進出があります。今分かっているだけでJASM、TSMCの誘致に伴って八十六社という話がありましたけれども、この企業でどれだけの水田や農地が転用されたか、あるいはどれだけの地下水が採取されるのか、これは把握していますでしょうか。
○野原政府参考人 熊本県の方で地下水保全推進本部を立ち上げておられまして、JASMによる取水の将来影響等も含めて調査を行った結果、影響は局所的というふうに報告されております。
今後、熊本県の地下水保全推進本部におきまして、関連企業の進出も含めた周辺開発の影響についても調査をする予定と聞いています。
○辰巳分科員 局所的だという中身がよく分からないんです、具体的なことをおっしゃいませんから。地元の懸念は物すごいものがあるわけです。今申し上げたような命の水である地下水が取られていく。
企業が進出しますと道路ができる、宅地ができるということになりますので、どんどんコンクリートで舗装されていくと、結局、涵養量も農地転用とともに減っていくということになるわけです。地下水を維持するバランスが崩れる。JASM第三工場も取り沙汰されていますから、国策としてTSMCを誘致したのは経産省ですから、当然熊本の地下水の危機に責任を負わなければならないと思うんです。熊本県民は、開発規制とともに、二十年、三十年先の長期にわたる地下水の将来予測、収支ですよね、出ていくもの、入ってくるもの、これを求めております。
経産省は、この間、毎回の会議の中でTSMCによる地元への経済波及効果をちゃんと計算して誇示しているわけです。だったら、熊本県民が懸念している地下水は大丈夫なのか、将来予測を国の責任でちゃんと調べるべきじゃないですか。大臣。
○武藤国務大臣 辰巳委員から御指摘をいただいた水の問題でありますけれども、私どもは、JASMのプロジェクトの成功に向けて、その効果を地域にしっかり根づかせていくためにも、今の水のお話もそうですけれども、地元の御懸念に対して一つ一つ丁寧に対応していくことが重要だと認識しているところです。
経済産業省としても、JASMが地下水保全対策に取り組み、地元住民に対して丁寧な説明や理解を得る活動を行うように指導しているところです。
また、今、参考人からもありましたけれども、熊本県の方の本部も設立されながら実施されるこれからの地下水の影響評価の調査も踏まえつつ、地元の懸念の声にどのような形で国として対応することが適切なのか、熊本県あるいは関係省庁とも今後もよく議論しながら積極的に検討してまいりたいと思います。
○辰巳分科員 地下水の将来予測を国の責任でやってほしい、これが地元住民の願いなんです。国の責任でやるというようなことははっきり大臣は言いませんでした。
懸念に対する丁寧な説明とおっしゃるんですけれども、大臣はJASM、TSMCのホームページを御覧になったことがあるかどうか分かりませんけれども、住民からの声に答える例えば問合せがどこになるかというのはホームページにないんです。聞けないんです。地元の声を吸い上げるという姿勢は今のところJASM、TSMCにはないんです。これが最も県民が懸念しているところなんです。
地下水が将来どうなっても知らない、これは絶対許されませんので、国の責任で地下水の将来予測、地下水を守るということをきちっとやるべきだと言いたいと思います。
いま一つの地元の懸念は汚染です。半導体工場で使用される有機フッ素化合物PFASの問題であります。
先ほど紹介した熊本地下水総合保全管理計画では、白川中流域は浸透性の高い地質、汚染物質も容易に深層に達し、汚染が短期間に広範囲に拡大するおそれがあると述べております。しかも、熊本県は、水俣病による深刻な健康被害拡大防止のための必要な措置を取らず、被害を拡大させてきた歴史があります。だからこそ県民はTSMCを始めとした企業のPFASについても危機感を持って注視しているわけです。
経産省に確認します。
一月二十七日、TSMCは、熊本工場で使用するPFASの種類について経産省を通じて私に回答しました。どういうPFASが使われるのか、答えてください。
○野原政府参考人 JASMは、製造工程におきましてPFBS、PFPeS、PFBAは使用していると聞いております。
これらのPFASは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律により製造、輸入、使用が禁止されている物質ではございませんが、JASMとしては、産業廃棄物として専門の外部業者に引き渡す等、適切な対応を取っていると承知しております。
○辰巳分科員 環境省に聞きますけれども、今使用しているPFASについては日本では規制の対象になっていないという話がありました。一問飛ばして、PFBS、PFBAについての海外の規制状況を教えてください。
○伯野政府参考人 お答えいたします。
アメリカやドイツ等において、飲料水に関してPFBS等が今後規制される予定であることを承知しております。
例えば、アメリカにおいては、PFBA及びPFPeSの規制はございませんが、PFBSについては規制値として二千ナノグラム・パー・リットル等が設定されており、二〇二九年から施行予定と承知しております。
また、ドイツにおいては、PFBS、PFPeS及びPFBAを含む二十種類のPFASの合算値として百ナノグラム・パー・リットルが規制値として設定されており、二〇二六年から施行予定であると承知しております。
○辰巳分科員 JASMで使われているPFASは日本では規制されていないというんですけれども、海外では規制されているということです。健康被害の懸念から規制されているわけであります。PFPeSもアメリカのニュージャージー州では暫定的な地下水の水質基準を設定して規制しております。
今、日本は規制が緩いわけです。しかし、PFAS規制を強化しようとしているのが世界の流れであります。ところが、その世界の流れに逆行しているのが日本なんですよ。
そこで、PFAS規制強化に対する経産省の姿勢をただしたいと思います。
EUでは、欧州十六の報道機関による国境を越えたPFAS調査が永遠の汚染プロジェクトとして取り組まれました。結果、ヨーロッパ全土の約二万三千か所でPFAS汚染が明らかになりました。欧州化学品庁は二〇二三年にPFAS規制強化案を公表。これは、PFASの残留性、不可逆性などに鑑みて、つまり、未来を含めて人間の命を守るために必要な措置ということで、一万種以上ある全てのPFASの製造、販売、使用を制限しよう、そういう動きが出ています。
この規制強化案について、二〇二三年三月から九月までパブリックコメントの募集が行われました。驚いたことに、届いた五千六百四十二件のパブリックコメントのうち約二割、九百三十八件がEUの当事者ではない日本の企業からのもので、国別で見ますと、スウェーデン一千三百六十九件、ドイツ一千二百九十八件に続く多さなんです。ちなみに、スウェーデンはその九割が規制強化を求めるものとされております。一方、日本企業のコメントは、いずれも規制強化案に強く反対する内容でありました。
EUのパブコメは二〇二三年三月から募集が始まりまして、特に五月に日本企業の提出数が一気に増えました。なぜか。これは、ある協議会が三月二十二日から二十九日にかけて開催したEUのPFAS規制強化へのパブコメ提出を呼びかけるウェビナーが大きく影響していると考えられます。このウェビナーとは、PFASを製造、販売している企業、ダイキン工業、三井・ケマーズフロロプロダクツ、AGCなど十社でつくる日本フルオロケミカルプロダクト協議会という団体が主催したウェビナーであります。
この協議会の二〇二四年八月の最新規制動向という文書で、EUのパブコメについてこう記されております。日本政府や経団連始め、パブコメ提出に協力いただきましたことを感謝申し上げます。
ウェビナーは全十一回開催され、各回の定員は五百名。協会はたくさんの御参加に感謝を述べており、最大で五千五百名の企業関係者が参加したと見られております。これだけの参加は企業、業界またがっての参加ですよね。
これは経産省自身が各業界団体に対してウェビナーへの参加を呼びかけたということではないですか。一体幾つの団体、何社に対して呼びかけたんですか、大臣。
○野原政府参考人 経産省といたしましては、御指摘の欧州PFAS規制案に関するウェビナーが企業や団体にとって有用な情報提供の機会になるということから、一般的なイベント案内の一環として本ウェビナーが開催される旨、所管団体に開催案内を共有したというふうに報告を受けております。
共有の方法についてはメールや口頭等で周知を行ったということでございまして、ウェビナー自体が行われたのは約二年前でございますので、現時点で当時具体的な周知先がどこだったのかという情報は保存されておらず、残っておりません。
○辰巳分科員 一般的なイベントとおっしゃいますけれども、経済産業省の素材産業課長自身がパブコメを送っていたということも分かっているんです。また、素材産業課の所管でもないオフィス家具協会、アパレル・ファッション産業協会、西日本プラスチック製品工業協会などが、経産省から案内されたんだ、こう言っているんです。経産省全体が乗り込んで規制強化反対の旗を振ってきたということじゃないですか。
このパブコメは課長だけの判断で出したんじゃないですよね。大臣とも示し合わせていますよね。
○野原政府参考人 欧州のPFAS規制案は、一万種以上あるPFAS全てを対象として欧州域内での製造、使用、上市を禁止するもので、必需品の貿易制限にもつながり、日本を含む世界中のサプライチェーンが混乱するおそれがあるということで、世界中からパブコメがあって五千六百件超パブリックコメントが集まっていたということで、非常に広範な製品、業種に及ぶものでございますので、関連する産業は非常に広いわけでございます。その後も議論がヨーロッパで続いておりまして、代替物質が利用可能になるまで規制の猶予期間を設けるなど、特例措置に変更されるなど、いまだに議論が続いている案件でございます。
そういう関係が広いので、関係する所管のいろいろなところに周知していたということだと思いますし、当時の経産大臣は西村大臣でございまして、西村大臣の御了解を得て素材産業課長名でパブリックコメントは意見を出したというふうに聞いております。
○辰巳分科員 経産省ぐるみでやったということが明らかになりました。世界中のパブコメと言うんですけれども、今言ったように、EUの規制案に対してスウェーデン、ドイツに次いで日本が三番目なんです。しかも、それを政府が大臣込みで経産省ぐるみでやっていたのは日本しかないわけです。
二〇二三年五月三十日に、経団連の部会ですけれども、経産省の素材産業課の企画官が講演しているんです。こう言っています。回答がなければ規制案を認めることになる。自社、業界に関連する物質について除外や猶予期間の対象化の措置が講じられるためには、具体的な根拠を提示しつつパブリックコメントへの回答を含めてEUに働きかけることが重要だと。経産省が財界と一緒に呼びかけていたということも明らかになったわけです。
大臣、他国の地域の規制について政府が多数の企業に働きかけて反対のパブコメを殺到させるなど、内政干渉と言われても仕方がないんじゃないですか。
○武藤国務大臣 PFASをめぐる今の世界の動きというのは、委員もそうですけれども、私自身も地元でもそういう声もお聞きしているところもあり、今の参考人からのお話もそうですけれども、EUはEUで先行してルール作りをやるというところもありますし、先生御承知のとおりアメリカでもいろいろな動きが今出ています。
そういう中で、今おっしゃられたように、今回新しくこういうのをやりますよということで私の許可を得るということになったら、多分私は、先生のおっしゃられている意味ではなくて、承知していただけるような機会は平等に示していくべきだろう。産業振興の立場からいっても、企業の皆さんによく御理解いただくというところではコミットしていくべきではないかという気がしております。
そして、PFASの関係については、今、厚生労働省あるいは環境省の方で水質基準を全国的に基準値をもう一回算定する等々いろいろな動きもある中で、国民の皆さんあるいは産業界の皆さんにもしっかり御理解いただきつつ前に進めていかなくてはいけないだろうと思っていますので、委員の御指摘の点もありますけれども、意図するところは私どもと違うかなという気がしております。
○辰巳分科員 この日本政府の異様な動きに、国際的な非営利機関のChemSecというところがあるんですけれども、こう言っているんです。日本は化学物質汚染と無縁ではない。一九五〇年代に工業排水が水俣湾に流され、深刻な中毒を経験した水俣病などの産業公害の歴史がある。このような歴史があるにもかかわらず、日本にある世界有数の化学産業は多くのPFAS化学物質を製造又は使用している。日本の現状に警鐘を鳴らしているわけです。日本として余りにも恥ずかしいことだと思いますよ。
環境省に改めて聞きます。環境や人命あるいは健康よりも経済が優先されたのが水俣病の教訓ではないですか。いかがですか。
○中尾政府参考人 お答え申し上げます。
水俣病につきましては、平成十六年の水俣病関西訴訟最高裁判決におきまして、昭和三十四年の時点で、国はいわゆる水質二法に基づいて、熊本県は熊本県漁業調整規則に基づいて、それぞれ対策を講じる義務があったにもかかわらず、それを怠った責任があると判示されてございます。
このように、国が経済成長を優先させ、水俣病を発生させた企業に対して長期間にわたり適切な対応をすることができず、被害の拡大を防止できなかったという経験は、初期対応の重要性を示すとともに、科学的不確実性のある問題に対し、不確実であることを理由に対策を遅らせるのではなく、科学的知見の充実に努めながら予防的な対策を講じるという予防的な取組の方法の考え方に基づく対策も含め、適切な対応の在り方を問いかけており、今日に通じる課題を示していると考えております。
○辰巳分科員 まさにそのとおりですよ。経済成長を優先した、これが水俣の教訓ですよね。そして、今、予防原則に基づいてPFASを規制強化しようというのが世界の流れです。それに逆行しているのが日本政府です。
大臣、PFAS不使用の感光材が日本の企業によって開発されているんです。規制強化反対一辺倒ではなくて、規制の中で新たなイノベーションが起きるということは日本の経済が高度成長期のときにも経験してきたじゃないですか。そして、何よりも命と健康を守ることを最優先にする、これなしに経済成長はないんですよ。イノベーションはないんですよ。私はこのことを強く申し上げて質問を終わりたいと思います。
以上です。
○齋藤主査 これにて辰巳孝太郎君の質疑は終了いたしました。
次に、鈴木英敬君。
○鈴木(英)分科員 おはようございます。
武藤大臣には今日御質問させていただきませんので、大臣の大変貴重なお時間ですから、御退席いただいて結構ですので、よろしくお願いします。
○齋藤主査 武藤大臣、御退席いただいて結構です。
○鈴木(英)分科員 それでは進めたいと思いますけれども、今日委員長役をやっていただいている齋藤健前大臣は私の採用責任者で、あと、さらに、今日答弁していただく方は一緒に経産省で仕事した先輩ばかりですので、大変質問しにくいなと思いながらも、伸び伸びとしっかりやらせていただきたいというふうに思っています。
齋藤先生が大変尊敬をされている二十世紀のスーパー政治家、原敬。原敬さんは、いかなる政策を実行するにせよ、常に民意の存するところを考察すべしということをおっしゃっています。
今国民の皆さんが苦しんでいるのは物価高です。経済は、マクロ指標はそんなに悪くないけれども、それでも実感がないのは物価高だからです。でも、物価が下がり賃金が下がるという負のループに戻すわけにはいきません。物価が緩やかに上がっていく、でも、それで苦しんでいるのは賃金が上がらないから、賃上げができないから、とりわけ中小企業や地方において賃上げができていかないからであって、でも、中小企業の経営者の皆さんも悩んでいる。賃上げしてあげたいけれどもなかなかできない、そんなに売上げがまだ上がっていない。
そこで、そういう国民の皆さんの苦しみを和らげたり中小企業、小規模企業の経営者の皆さんの悩みを解決するために重要なことが、稼ぐ力の強化です。稼ぐ力を強化することによって、中小企業の経営者の皆さんの悩みを解決し、そして国民の物価高に対する苦しみを和らげていく。
稼ぐ力を強化するために重要なことを、今日、三つの赤字について聞きたいと思います。デジタル、バイオ、エネルギー、貿易収支において、この大きな三つの赤字があります。これらを解消、減少させるための産業を育成する対応策、また一方で、その赤字も活用しながら逆に稼ぐ力を強化していくチャンスをつくる、こういうような対応策について順次聞いていきたいと思います。
特に、今日はあえて余り細かいことは聞きません。むしろ大きな方向性や戦略を聞いていきたいと思います。私、経済産業省でお世話になっていた頃、やはり、そういう大きな方向性や戦略をみんなで額に汗してつくっていくということが非常に醍醐味であったし、細かいことばかりに気を遣って政策をやるより、やはり、大きな方向性をみんなで考えていくダイナミックな政策をやっていく方が、働いている皆さんもやりがいが出るだろうし、そういう情熱は必ず国民に伝わると思いますので、今日は、あえて細かい話というよりは、戦略、方向性を聞いていく、そんなことでやっていきたいと思っています。
まず、デジタル赤字についてです。
御案内のとおり、デジタル赤字は二〇二四年に七兆円、これはOECD諸国で最大と言われています。経産省の有識者会議では二〇三〇年までに八兆円になるとされていますので、将来的には原油の輸入を超えるというような状況です。
生成AIの活用が本格化をしまして、そのサービスを提供しているのはほとんどが海外の企業でありますので、それらのサービスを日本企業が使えば使うほど国の富が流出していくというようなことになります。また、特定国や企業にそういうサービスを依存することは、経済安全保障上も課題があるというふうに思っています。ですので、こういうデジタル赤字を解消、減少させるための産業の育成、そして、デジタル赤字が仮に増えたとしても、それを逆にチャンスに変えて稼ぐ力を強化していく、そういうことが大事なんじゃないかと思っていまして、順次質問したいと思います。
まず一つ目は、量子コンピューター。
加藤政務官に聞きたいと思います。
AIはこれまでとは規模感が異なる巨大な計算能力を必要としていまして、次の時代の計算資源の切り札とされるのが量子コンピューターです。先日、私も理化学研究所を視察させていただきました。大変皆さんやりがいを持ってやっていただいております。
新たな領域に最初にリーチした者が圧倒的優位性を獲得することになりますし、現在、日本の量子コンピューターに関する研究開発は、諸外国と比べて、部素材やミドルウェアを中心に強みを有していると聞いていますが、油断するとすぐに追いつかれてしまう状態というのも聞いています。
そして、私は、量子コンピューターをやるときに重要なのは、実は日本の中小企業しか作れないような部品もあるんです。だから、量子コンピューターを作っていくときに、サプライチェーンをしっかり強化していくことが重要だと考えています。
そこで、今後更に研究開発を加速させるとともに、我が国のリードを確実なものとするためには、国産のサプライチェーン構築や人材育成なども力を入れていく必要があると考えますが、経産省の見解を伺います。
○加藤大臣政務官 鈴木委員にお答えいたします。
鈴木委員御指摘のとおり、量子コンピューターは、次世代の計算基盤として、我が国の産業競争力や経済安全保障上の自律性を確保するために重要な技術であり、産業化に向けて各国で熾烈な開発競争が起こっているところでございます。
我が国としましては、部素材、ソフトウェアの領域などで有する高い技術力や量子コンピューターのユーザー候補である製造業が多く立地する強みを産業創出につなげるため、令和五年、今年七月、産業技術総合研究所に、産学官連携の研究センターでありますG―QuAT、量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センターを設置し、産業化に向けた研究開発を進めているところでございます。
その取組を強化すべく、今年度の経済対策では、センターの更なる拡充、国内サプライチェーン強化に向けた研究開発支援や量子人材育成等を加速するとともに、今年五月には量子技術の国際標準化に関する会議を日本で開催するなど、国際的なルール形成にも取り組んでいるところでございます。
今後も、量子コンピューターの産業化に向けて、戦略的な取組を加速してまいりたいと考えております。
○鈴木(英)分科員 加藤政務官、ありがとうございました。
先ほどおっしゃっていただいた国際ルール形成のための会議、大変重要ですから、是非日本がリードしていくような、そんな会議にしていただきたいと思います。
加藤政務官、ここまでで結構です。
○齋藤主査 加藤政務官、御退席ください。
○鈴木(英)分科員 続きまして、AIロボティクスについて聞きたいと思います。
日本はロボット産業大国と言われていたと思います。それは、世界のロボット市場の三・六兆円のうち、いわゆる産業用ロボットというもので、これは確かに日本のシェアは六五%あります。でも、その市場規模は、実はさっきの三・六兆のうちの〇・八兆しかありません。それ以外の二・八兆というのは、実はサービスロボット、サービス用のロボットですね、介護とかで使うやつです。ここは、実は日本のシェアは一二%しかなくて、アメリカの三六%、中国の三三%の後塵を拝しているというような状況であります。
一方で、日本は構造的な人手不足になっていますから、ロボット導入は不可避であります。
一方で、現時点でロボット分野のAI開発というのは、実はまだまだ進んでいませんので、ここを我が国が積極的に進めていくことで、あるいは、それらの実証の過程でデータを集めたり、そういう仕組みを構築していくということが重要だというふうに考えております。
そこで、AIロボティクスの分野を我が国が牽引をして、ロボット産業大国日本を復活させていくための経産省の戦略と施策の方向性を伺います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の介護や物流といったサービス業、こういった新たな市場、さらには、多品種かつ少量の生産を行う生産現場、こういった分野においてロボットの実装を推進することが、国内での人手不足対応だけでなく、ロボット産業を更に日本で盛り上げるためにも重要だと考えております。
そのためには、ロボットが、人間と接する複雑な環境において様々な動作を自律的に行うことが不可欠であり、その実現にはAIとの融合が鍵だと考えております。
こうした観点から、経産省では、AIを含む様々な最先端のソフトウェア、これをロボットに組み込むことができるオープンな開発環境の構築、さらには、ロボットのより高度な判断、動作を可能とするためのデータの蓄積、活用、循環、この仕組み、それらのデータを用いるAI基盤モデルの開発、これを推進することとしており、本年度補正予算において必要な予算を計上させていただいております。
これらの施策を通じまして、関係企業の挑戦を後押しして、世界のAIロボティクス分野を我が国が牽引してまいります。
○鈴木(英)分科員 ありがとうございます。
田中審議官がおっしゃっていただいたとおり、ソフトウェアのところを海外のものを使っていたら、これまたデジタル赤字がどんどこどんどこ増えていくだけでありますので、AIのところ、ソフトウェアのところを含めてパッケージでロボット産業大国日本が復活できるように、是非お願いをしたいと思います。
続きまして、ガバメントAIというのを提案したいと思います。
これはデジタル庁にお聞きします。一緒に官房総務課で働いた蓮井先輩にお聞きしたいと思います。
AIの分野も負けてしまうと、またデジタル赤字がどんどんどんどん膨らんでいってしまいます。もう既に、ディープシークの登場で、AIは、大きいところが独占するものではなくて、AIの民主化、AIのコモディティー化、これが進んできていると思います。だから、いかにAIの開発を早く進めていくかということが重要で、デジタル庁はこれまで、ガバクラ、ガバメントクラウドとかGSS、ガバメントソリューションサービスを提供して、いろいろな省庁や自治体とかがアプリの開発とかをどんどんできるように、そういう支援を行ってきました。
そこで、AIについても、いわばガバメントAIみたいなものをデジタル庁が装備することで、省庁や自治体のサービス、AI開発をスムーズに、かつ迅速にできるような環境を整えるべきというふうに考えておりますが、デジタル庁の見解を伺いたいと思います。
○蓮井政府参考人 お答え申し上げます。
人口減少に直面する我が国において行政サービスの質を維持向上させるためには、政府の業務におけるデジタル技術、とりわけAIを実装するということは、委員御指摘のとおり、重要な政策課題であると考えております。
同様な問題意識を平大臣からもるるいただいておりまして、平大臣の就任直後の御指示を踏まえまして、デジタル庁では、行政職員の課題を解決するためのAIアイデア・ハッカソン、これは東京のみならず地方でも開催してございまして、こういった取組を含めまして、ユースケースの発掘や実用化のための検証を進めてきたところでございます。
例えばその中で、いわゆる闇バイトに関しまして、警察庁と連携した取組として、デジタル庁からAI活用の高度化に向けた技術的な助言ですとか分析AIのプロトタイプの開発、提供を行ったところ、警察庁における業務の大幅な効率化が進んだというふうなことを伺っております。
このようなAIの業務利用に関する検証や実装作業を継続的に進める中で、業務の効率化の効果が大きいと見込まれた好事例について、デジタル庁での率先的な業務利用はもちろん、関係省庁や地方自治体等への横展開を進めることなどにより、AIの行政での利活用を進めていきたいと考えております。
こうした取組と併せまして、政府横断でのAIの利用促進やガバナンスを適切に行う観点から、政府機関などでの生成AIを業務利用する場合の注意事項などを関係省庁間で申し合わせておりますけれども、これに加えまして、現在、AIの政府調達や利活用に係るガイドラインの策定を、総務省、経済産業省等、関係省庁と連携しながら進めているところでございます。
御指摘のガバメントクラウド上での生成AIの利活用なども含めまして、デジタル庁といたしましては、引き続き、行政の進化と革新を安全、安心に実現するため、行政におけるAIの利用促進を適切なガバナンスと併せて着実に進めてまいります。
○鈴木(英)分科員 ありがとうございます。
是非ガバメントAIをやっていただきたいと思いますし、そういうAIとかを活用することで行政が効率化していくことで、本当に、それぞれでやらなければならない戦略をつくったり、民間の皆さんと協業して、連携して新しい政策を、日本をリードすることをやっていけるようにするためにも、行政も人が足りていませんから、そういうふうなことを考えての是非ガバメントAI、ちょっとAI本丸とは違う話をさせてもらいましたが、極めて重要だと思います、我が国のために、全体にとっても重要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、自動車産業のSDV、ソフトウェアの話を少し聞きたいと思います。
自動車産業では電動化と並んでデジタル化が進んでいて、ソフトウェアを搭載したSDVの領域で競争が激化すると言われています。今後十年から十五年の間に、自動車の総売上げに占めるソフトウェアの売上割合が最大三〇%に達するというような推測もされています。
このSDVの領域で日本が競争力を高めていくことは、我が国全体の自動車産業の競争力のみならず、デジタル赤字の解消にも貢献すると考えますが、政府の今後の取組について伺いたいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御指摘のとおり、自動車産業については、自動運転を始めとしたソフトウェアの徹底活用、これが大きな競争軸になってきております。
こうした状況を踏まえまして、政府として、昨年五月、モビリティDX戦略を策定し、クラウドとの通信により車の機能を継続してアップデートすることが可能なSDV、これについて、二〇三〇年に日系自動車メーカーの世界シェアを三割とする目標を掲げました。この目標の実現に向けまして、高性能半導体などSDV関連技術の開発支援、自動運転の社会実装の加速化、サプライチェーンの強靱化に向けたデータ連携の推進などの取組を進めているところでございます。
我が国の自動車産業がDXの領域でもグローバル市場をリードできるよう、官民が連携してこうした取組を進めていくとともに、こうしたソフトウェアにおける競争力強化がデジタル収支の改善にも貢献できるよう取り組んでまいります。
○鈴木(英)分科員 今、トランプ大統領になられて、自動車の関税をどうするかとか、いろいろ議論をしていて、もちろんそういう議論もしながら、自動車産業全体の競争力を高めていくという観点からソフトウェアの話はかなり重要であると思いますので、是非力を入れて、経産省でも体制も強化して、しっかりやっていってほしいと思います。
続いて、コンテンツについてお伺いします。
日本発のコンテンツの海外売上げは四・七兆円です。したがって、これは半導体や鉄鋼の輸出額に匹敵をします。国内市場規模も十三兆円、輸出高は十年間で三倍、日本経済復活の切り札となり得るというふうに考えておりますが、有識者の方々などによれば、この日本のコンテンツ産業の状況は、ピンチとチャンスの境界線上ということを言っています。ですので、ここからいかにどうちゃんとやっていくかということが、チャンスに行くのかピンチに行くのか、その分水嶺となっていくというふうに考えています。
例えば、日本は、アニメや家庭用ゲームの海外収入では中国や韓国に勝りますけれども、実は、スマホ向けゲームとかPC向けのゲームになると、中国や韓国の後塵を拝す状況です。クリエーターの育成や利益配分も重要であります。
そこで、日本のコンテンツの優位性や中韓の台頭を踏まえて、今後の海外展開を含めた政府の戦略や具体的アクションをお伺いしたいと思います。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
まさに委員の御指摘のとおりですが、経済産業省としては、コンテンツ産業を外貨を稼ぐ基幹産業として捉えまして支援を強化しております。
具体的には、令和六年度補正において九十五億円を盛り込みまして、海外展開に向けた翻訳、広報や制作に対する支援、エンタメ分野のスタートアップへの支援、海賊版の集中対策等を実施しているほか、海外進出をサポートするジェトロの支援拠点との拡充を進めております。
さらに、エンタメ、コンテンツ産業の海外売上高を二〇三三年までに五兆円から二十兆円とする政府目標の実現に向け、コンテンツ産業各分野において、特に海外展開の拡大を目指した官民の具体的なアクションを特定することを目的とするエンタメ・クリエイティブ産業政策研究会を今開催しております。本研究会では、各分野の有識者や事業者等に参加をいただき、各分野ごとの実態に即した実効性のあるアクションプラン策定に向けて議論を進めております。
こうした議論を踏まえて、海外展開に向けた支援、海賊版対策や国際連携の在り方について、本年三月を目途に、エンタメ、クリエーティブ産業戦略を策定してまいりたいと思っております。
○鈴木(英)分科員 ありがとうございます。
エンタメ、クリエーティブ戦略、大変期待をしておりますし、今朝、この質問の直前は、党で、私が事務局長をやらせていただいているデジタル社会推進本部のヒアリングをやっていたんですが、ネットフリックスからコンテンツのAI活用について聞いてきました。そういうところでも、ネットフリックスとか海外勢はかなりAIも使っていますので、コンテンツ産業におけるAI活用も是非しっかり取り組んでほしいと思います。
続いて、データ利活用の話をさせていただきます。
先日、二十日のデジタル行財政改革会議で、石破総理から、データ利活用制度の在り方について、新たな法制度の必要性を含め検討し、基本的な方針を今年六月をめどに策定するよう指示がありました。これは大変重要なことを石破総理はおっしゃっていただいたと思います。
このデータ利活用を促進するため、今EUなどでも法制度が進んでおりますけれども、政府を挙げて一刻も早く我が国でも法整備を進めていって、この利活用、もちろん個人情報の保護なども重要ではありますけれども、データの利活用をしっかり進めていくことが必要であるというふうに思っていますので、この点は意見だけ求めておきたいと思います。
具体的な内容は、データ利活用が重要と考えられる分野の一つが金融です。
私は、オープンファイナンスにしていく必要があると思っています。でも、今、我が国はオープンバンキングだけです。つまり、平成二十九年の銀行法の改正で、金融機関にオープンAPIに係る体制整備を実装せよというのが努力義務化されました。それによってフィンテック事業者とかが新たなサービスの提供をどんどんやっていっているという状況ですが、一方で、クレジットカードなどのほかの決済データへのAPI連携の検証、検討が求められているものの、まだそこは進んでいません。
これは、先ほど言いましたように、オープンバンキングだけじゃない、オープンファイナンスにしていくことで、家計あるいは資産運用、様々なところの利便性を高めていって、またそのデータも取れるようにしていくべきと考えています。
カード会社がAPIを受け入れるために、確かに、システム投資とかの費用負担、こういうものがあるというような課題もあると思いますが、その課題を官民挙げて、ほかにも様々課題があると思いますけれども、そういう課題を官民挙げて克服をして、オープンファイナンスを我が国で実現していかなければならないと考えています。
是非、経済産業省が積極的に動いて、クレジットカード業界と、電代業といいますけれども、電子決済等代行事業者、この皆さんとのコミュニケーションを積極的に行って、それで、具体的な協議の場を設定して、議論の期間を区切って一定の結論を出していくということが大事だと思いますけれども、日本のオープンファイナンスに向けて、現在の検討状況と今後の方向性を経産省に伺います。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
金融部門におけるデータ利活用の一つとして、クレジットカード等の決済データの利用についても期待が高まっている、そのように認識をしているところであります。
この分野について、経済産業省としては、日本クレジット協会と電代業協会においてクレジットカードのAPI連携に係る課題やそのメリットについての相互理解を深めるため、昨年九月に両者が対話を行う機会を設けたところであります。
今後、この場での両業界の議論が確実に進むよう、引き続き建設的な対話を促してまいりたいと思っております。
○鈴木(英)分科員 対話の場を設けていただいたということは私も聞いていますけれども、大事なことは、やはり期限を区切って結論を出すということが大事だと思います。
デジタル行財政改革の中でも挙げられていますし、先ほど、石破総理もデータ利活用は重要だという御指示を出されているわけでありますから、是非前進するように経済産業省にはしっかり汗をかいていただいて、一定の期間で結論を出すということを是非お願いをしたいと思います。
それでは、続きまして、バイオの話を聞きたいと思います。
バイオ医薬品の赤字は二〇二三年に一・六兆円、一方で、バイオ医薬品は医薬品全体の五一%に二〇二八年にはなると言われています。
そこで、CDMOの話を聞きたいと思います。
私は先日、台湾の半導体関係者の皆さんと話をしました。日本の産業政策について、こういうことを言われました。日本は何でも自分で作りたがる、何でも自分で作ろうとする、もっとデザインとか開発とかそういうところに注力をして、製造のところはファウンドリー、受託製造をどんどんしていって、そして、その製造のスピードを速め、製品サイクルも早めていく、そしてシェアを取るのをもっと早めていく、何でそういうふうにやらへんのやということを台湾の半導体関係者から言われました。これは大変、我が国の産業政策にとって非常に大きな示唆をいただいたと思っています。
そこで、このバイオ医薬品についても、今回予算でCDMO、受託製造の予算ができた、これは大変有意義なことであると思いますし、例えばiPSなんかも、せっかく開発は日本でしたのに、それを生かした製品の製造は韓国に持っていかなあかんとか、そういうことが続いていっては、日本の国富がまたまたどんどんどんどん流出していくということになりますし、国内でそういう受託製造を含めた生産がもっと加速していけば、アジアの需要を取り込むということもできると思います。
そして、CDMOの工場の設備なんかも、やはりサプライチェーンが重要であるというふうに思っております。
そこで、今後更にCDMOの取組を進めて、創薬エコシステムの構築を政府として強力に後押しすべきと考えますが、今後の戦略を伺います。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
まさに、先生がおっしゃるとおり、世界のバイオ医薬品市場が成長し、そしてまた分業化していく中で、我が国のバイオ医薬品のCDMOが競争力を持ちグローバルに稼いでいくことは非常に重要だと思っております。
経済産業省では、バイオ医薬品の国内製造拠点の整備を進めておりまして、二〇二八年度までに海外への輸出も見据えた十六の製造拠点が立ち上がる予定であります。これに加えまして、令和六年度補正予算において再生医療等分野の国内製造拠点の整備についても新たに措置し、取組を強化しているところであります。
CDMOをめぐるエコシステム構築のため、サプライチェーンの国際化や人材育成も進めていきたいと思っておりまして、バイオ医薬品の製造工程で使用される機器や部素材について、国内中小企業等の設備増強、納入先とのマッチング支援、こうしたことも実施しております。既に国産の部素材を採用する動きも出てきております。また、整備するバイオ医薬品の製造拠点では、千人を超える雇用を生み、人材育成が進んでいるところであります。
今後、我が国がバイオ医薬品のCDMOがグローバルに稼いでいけるよう、創薬エコシステムの構築に向けて引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○鈴木(英)分科員 是非よろしくお願いします。
続いて、バイオ医薬品だけじゃないんですけれども、ディープテックスタートアップの育成、資金調達という観点から、国内のプライベート・エクイティー・ファンドの育成の観点で聞きたいと思います。
投資案件が大型化しています。でも、その投資案件、大型化しているものに対応できる国内ファンドは極めて限定的です。なので、国内のPEやVCのスケールを大きくしていかないといけないと思います。そのためにも、私は、GPIFが、今、オルタナ投資ですね、五%を上限としているんだけれども、実は今、一・四六しかありません。その投資割合を大きく早期に引き上げる必要があると思うし、さらに、それを国内のPEやVCに重点的に供給するというのが極めて重要だと思っています。
こういうような問題意識から、国内PEの育成、こういうことに向けての経産省の考え方を教えてください。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆるPEファンドでございますけれども、健全なPEファンドの市場が育っていくことは、我が国企業の生産性向上、更に言えば競争力の強化にも資するものと考えてございます。
今後、御指摘のとおり、案件数の増加、さらに大型化も見込まれる中、この大型案件を扱うことができるいわゆるファンドのプレーヤーの層を厚くしていくことは重要だと考えてございます。
市場の厚みを増していくという観点から、御指摘のとおり、やはり、機関投資家から長期視点の資金が継続的に流れていく、こういうシステムをしっかりとつくっていくということが重要な要素の一つであるというふうに認識してございます。
こうした観点から、やはりPEが魅力的な投資対象となっていくということが大事でございまして、これまで、我々所管の産業革新投資機構、いわゆるJICでございますが、いわゆるプレーヤーの裾野の拡大に向けまして、業歴の浅い新興ファンドを中心に出資で支援をしていくということをしてまいりましたけれども、今後は、ファンドの規模の大型化に向けましても、民業補完を徹底した形で、JICの様々なスキームを活用していくことを含めて、経産省としても市場の厚みを増す手法をしっかり検討してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(英)分科員 是非よろしくお願いします。GPIFと明示はされませんでしたけれども、機関投資家は重要だというふうにおっしゃっていただいたと認識しています。
続いて、エネルギー赤字です。
エネルギー赤字は、二〇二四年に、原油で十一・四兆円、LNGで六・五兆円、石炭で五・九兆円、石油で二・七兆円というふうになっています。
そこで、ちょっと順番を入れ替えるかもしれませんが、まずちょっとLNGについて。
今回の第七次エネ基、これは大変高く評価されるべきものだと思いますが、その中で、絵に描いた餅に終わらせず、それを具体的にするために重要なのは、実は火力だと私は思っています。
後で言う原発や再エネはもちろん大事なんですけれども、絵に描いた餅に終わらせないためには、何か供給危機が起きたときに大事な役割を果たすのも火力だし、再エネ等の調整電源になるのも火力ですから、引き続き三割、四割の電源構成でいくとも書いていますので、そのためには、この前の日米首脳会談でもありましたが、アメリカを含めた世界中の資源国との関係を着実に構築し、積極的に上流権益を確保することを通じて安定的な価格でLNGを確保する、そういう環境整備が大事だと思いますが、経産省の見解を伺います。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
LNGは、化石燃料の中でも温室効果ガスの排出が最も少なく、再生可能エネルギーの調整電源の中心的な役割を果たしまして、カーボンニュートラル実現後も重要なエネルギー源と認識をしてございます。
政府といたしましては、まず、地理的な近接性とか資源ポテンシャルとか資源国との中長期的な協力関係、こういった様々な要素を総合的に勘案した積極的な資源外交を進めてまいりたいと思っております。それから、JOGMECによるリスクマネーの供給であるとか、あるいは、資源国におきまして幅広い分野で産業協力を行ったりプロジェクトの組成支援を通じまして、日本の企業の上流権益の確保、それから長期契約の締結、これを支援しているところでございます。
今後も引き続き、LNGの安定供給確保に必要な環境整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○鈴木(英)分科員 時間が来ましたので、最後、要望だけにしておきたいと思いますが、原発については、安全性が確認された原発の再稼働、リプレースを含む新増設、これをしっかり進めてほしいと思いますし、その中では、サプライチェーンの維持強化、それから人材育成もやってほしいと思います。今年は、柏崎刈羽を始め、原発再稼働について重要な節目を迎える、そういう時期を迎えますから、経産省としてしっかり頑張ってほしいと思います。
あわせて、エネルギーの輸入国から輸出国に転換できる可能性のある国産再エネや次世代の再エネ、これの推進を是非しっかりやっていただきたいと思います。とりわけ、ペロブスカイト、それから地熱、波力、洋上風力発電、こういうものについて、エネルギー輸入国からエネルギー輸出国に転換していくんだ、そういう思いで、国産再エネ、次世代再エネ、是非頑張ってほしいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○齋藤主査 これにて鈴木英敬君の質疑は終了いたしました。
〔主査退席、伊藤(達)主査代理着席〕
○伊藤(達)主査代理 次に、山崎誠君。
○山崎(誠)分科員 立憲民主党、山崎誠でございます。
貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、経済産業省ということで、私も経済産業委員会にも属していますので、その中でもまた取り上げていきたいんですが、せっかくの時間ですので、予算関係というか、お金の使い方、これについて、まず第一問、お尋ねしてまいりたいと思います。
一つ目が、電力・ガス価格激変緩和対策等事業ということでございまして、この事業について、少し遡りますけれども、会計検査院から指摘を受けたということで、少し私もこれに注目をしております。
というのは、コロナ禍にあって、持続化給付金の給付の事業で、この業務委託に問題があるということで、かなり経産委員会で激しく議論をした経験があります。業務委託の委託先の実態が不明なまま、九〇%以上の再委託で、中抜きがあったんじゃないか、こういう経費の使い方は問題だということで、いろいろ議論をしていました。
同じような事業がやはり経産関係でもたくさんあります。電力・ガス価格の激変緩和対策、この事業についての中身にまたそうした疑義が生じているのではないかということで、会計検査院の指摘についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
簡潔でいいので、どんな指摘を受けたか、その内容を教えてください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきました事業でございます電気・ガス価格激変緩和対策事業、これは、国際情勢の緊迫化等を背景としてエネルギーの国際価格が急騰する中で、二〇二二年十月に閣議決定された総合経済対策において、二〇二三年春以降の急激な電気料金の上昇によって影響を受ける家計や価格転嫁の困難な企業の負担を直接的に軽減するため、思い切った負担緩和対策を講じるということで導入されたものでございます。
会計検査院からの指摘についての御質問がありました。
一つには、本事業の行政事業レビューシートの成果目標、指標等が事業開始後に変更されたため、当初の成果目標の達成を確認することができないのではないかという御指摘、あるいは、事業者が提出した理由書に委託の妥当性や適切性の説明が不足しているのではないかといったような御指摘をいただいているところでございます。
○山崎(誠)分科員 一点目も、これはよかれと思って目標の設定を変えたというお話を聞きましたけれども、やはりちゃんと評価できるようにはしていただかなきゃいけない、これは言うまでもないことなので、注意をいただきたいと非常に思います。
二点目です。再委託先の選定に問題があったのではないかという指摘。これは以前、持続化給付金でも取り上げていた問題点であります。
その選定の理由ですね。再委託先の選定の理由が明確になっていないとか、相みつが取られていないというような指摘も聞きましたけれども、こうしたことがやはり繰り返されているということは私は非常に問題を感じるのでありますけれども、ここは、大臣、いかがですか。こうした業務の遂行、そしてそのルール、そしてその中身についてのチェック、ちゃんと経産省では行われているかどうか、もう一回確認させてください。
○久米政府参考人 事実関係からまずお答え申し上げます。
事務局の公募に当たって、応札する事業者における委託費率が五〇%を超えている場合、事業者に対して、委託の必要性、委託先の選定理由等を記載した文書の提出を求めるということをしております。
この会計検査院の指摘については、委託の妥当性や必要性について、第三者審査委員会による審査を経た上で、理由書だけでなく、三百ページにわたる提案書等の資料から総合的に判断した結果、事業者の提案内容は、執行体制も含めて、委託の妥当性や適切性に問題がないと判断したところでございます。
ただ、会計検査院の御指摘にあるとおり、経産省の判断理由が文書で記録に残っていなかったという点については真摯に受け止めて、今後は、判断理由等について記録に残し、事後検証も可能となるよう、省内の契約締結プロセスの改善を行ったところでございます。
○武藤国務大臣 持続化給付金のときもそうだったんですけれども、今回もまた急激な、ウクライナの侵攻でエネルギー価格の高騰という背景があって、今回、そういう形の中で、緊急対応措置として、先生方の、国会にも御理解をいただいてこれまで来ておりますところなんですが、こういう形で検査院からの御指摘は踏まえて、やはり不公正なことがあってはいけない、そして皆さんにやはり御理解をいただけるようにしっかりやっていかなきゃいけないということですので、これからも省内の徹底した形でのチェックをやっていきたいというふうに思っております。
○山崎(誠)分科員 いろいろ改善もあると思います。私も書類を見せていただきました。前よりは一定そろっているとは感じたのでありますけれども、それでもまだこういう会計検査院から指摘があるということ、私はこれは大事なことだと思うんですよ。常に見直しながら、そして厳しくチェックをしていく、問題を発生させない、その取組を続けていただきたいということで、この点は確認させていただきました。
もう一つは、この業務に係るコストをいかに削減していくかという、その工夫のお話であります。
実は、この事業は令和四年からスタートしていますけれども、令和四年の事業のスキームと、令和五年、六年のスキームは変えていますよね。委託先も変わって、事業の中身が変わりました。
この変更の概要と、どうしてこれを変えたのか。ついでにお聞きをすると、それによってどのくらいのコスト削減ができたのか、お尋ねをしたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
一番最初の事業は、限られた時間の中で可及的速やかに開始を目指すということで、短期間に準備を進める必要があったことから、審査やコールセンターなど、業務に多大なリソースがかかるということで、民間に業務を一括して委任する間接補助のスキームを選択してございまして、支援に万全を期すという観点で、人員等について十分な体制を整えたということで、事務費が後の事業に比べると大きくなってございます。
その後、この実績を踏まえて業務効率化を進めて、後期事業では事業をより効率的にできるようになりました。このときに、民間への委託業務を限定したり人員の適正化を図ったりして、人員の縮減等を行ってございます。
このことによりまして、事務局経費につきましても、当初三百億円以上かかっておりましたものが、まず、後期事務局におきましては五十二・三億円ということで、相当程度縮減ができたということでございます。
○山崎(誠)分科員 内容が必ずしもイコールではないので比較も難しいかもしれませんけれども、でも、三百億円かかっていた委託費が五十億円で収められたということですから、これで二百億円、高額療養費の負担増に当たる予算が二百億ですから、それがこの事業の工夫だけで出てくるわけですよ。
私が言いたいのは、今この事業というのは三月までで一旦終わりますけれども、また夏場に例えば高騰が起これば対応しなけりゃいけないとか、冬、まだまだこれはいろいろな形で続くかもしれません。そしてまた、同様な事業というのはいろいろと経産省も抱えていらっしゃると思います。これをやはり適切な業務スキームで、コストをきちっと抑えて実現できるようにするということ、これにやはり注力をしていただきたいと思います。
先ほどお話があって、一回目の令和四年の段階は緊急で大変だったんだというのは分かります。それはおいておいたとしても、でも、その実績もあって、その後の実績もあって、これはできるだけ普遍化をして、業務スキームとしての妥当性、そしてその処理のキャパとかパターンとか、そういったものを是非蓄積をして、次の発注に生かしていただきたいと思います。大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 誠に委員のおっしゃられるとおりで、今後、同様の事業を実施する場合には、今回の運営経験を踏まえた効率的な運営を行っていかなくてはいけないというふうに思っています。
○山崎(誠)分科員 これはノウハウでありますから、しっかりと受け継いで、スキームを精緻化していただきたいと思います。
同様なことが私はガソリンの価格の高騰対策でも言えるのではないかと。
政府はずっと補助金のシステムでやっているわけですね。我々は、暫定税率の引下げで対応しよう、税制で対応しようと言っています。これも、ここでその比較を細かくお聞きするのにはちょっと時間がありませんけれども、業務委託とかその費用というのはやはり違うと思うんですよ。税制をいじるにもいろいろコストはかかるんでしょうけれども、経費はどちらがいいのか、それからまた、その効果が、どちらがしっかりと確実に国民に戻るのか、発揮できるのか、そういったことはきちっとやはり精査をしながら政策選択をしなきゃいけないと思います。ちょっと一言、いかがですか。
○武藤国務大臣 燃料費の高騰対策の方は、これはまたちょっと次元が違った話だというふうに承知をしています。
いずれにしましても、国民負担を緩和させるという意味で、やり方があるんですけれども、御党を始めとして国民さんもそうですけれども、燃料油は、いわゆるトリガー廃止という形もありますし、今の補助金をやめたらどうか、違うやり方で、税金の方でやったらどうかという話もありますけれども、いずれにしましても、今の補助方式というものが、トリガーの廃止とはまた別に、軽油の問題ですとか、様々な形で柔軟な対応ができているということも踏まえて、これはその前に、検討しますけれども、今現在、そういう意味では、自民党、公明、そして国民さんの三党協議というものがありますから、そういう意味の中でまた協議をしていく話だというふうに思っております。
○山崎(誠)分科員 是非、こうした経費、効果、総合的に考えていただいて、適切な対応、最良な選択をしていただきたいということを強く申し上げておきます。
二番目のテーマに移らせていただいて、株式会社JERA、日本最大の発電事業者になりますけれども、このJERAの業務に対して、二〇二四年の十一月十二日、昨年ですけれども、電力・ガス取引監視等委員会から相場の操縦を理由に業務改善勧告が出されました。
この背景としては、今、スポット取引で電力の取引が行われているわけでありますけれども、その取引においては、市場支配力を有する事業者に対しては、余剰電力の全てを限界費用でスポット市場に提供しなさい、こういうガイドライン、ルールがあって、それに基づいてオペレーションが行われなければいけないのでありますけれども、このルールに残念ながらJERAのオペレーションというのが反したということで、相場操縦という指摘を受けています。
これは詳しく中身を聞くと大変でありますけれども、どんな内容だったのか、簡潔にお答えいただけますか。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の昨年十一月に当委員会が業務改善勧告を行った事案は、JERAにより、遅くとも二〇一九年四月から二〇二三年十月までの間、送電線の制約等により出力の一部に制約がある発電機を完全に停止させ、余剰電力の一部をスポット市場に供出しなかったものでございます。これは、当委員会事務局のJERAを対象とした監視の中で二〇二三年八月に発見し、システムの改修について同社に指示をしたものでございます。
当委員会の調査において、JERAでは、スポット市場において長期にわたり未供出を生じさせていることを認識していた職員が存在し、未供出が市場価格の高騰を生じさせ得る状態であることを認識していたにもかかわらず、業務繁忙やシステム改修の難易度が高いといった理由から改善が実施されず放置されていたことが判明をしており、市場相場を変動させる目的を有していたと認めざるを得ないと判断し、相場操縦に該当するものとして、昨年十一月に同社に対して業務改善勧告を実施したものでございます。
○山崎(誠)分科員 これは実に四年間なんですよね。四年以上ですかね。JERAの、それも、中部電力側というか、西側のオペレーションは正しかった、東京電力エリアの、東側のオペレーションがこういう間違ったオペレーションをしていたということでありまして、これは、私は、JERAという会社のガバナンスの問題もやはり非常に問われるので、この業務改善勧告は必要だし、最低それぐらいやらなければいけない事案だと思います。いろいろな、意図がなかったといっても、市場に与えた影響というのは極めて私は大きいというふうに思います。
これは、二番目の質問になりますけれども、市場にはどんな影響を与えたのか、皆さんが把握した内容を教えていただけますか。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
当委員会は、JERAに対する調査結果から、遅くとも二〇一九年四月から二〇二三年十月までの約四年間は、同社が売惜しみによる相場操縦を行っていたと判断をしております。
この間、市場価格が高騰し、同社の売惜しみによる電力量が多い数日を抽出し、その影響を試算した結果、特に影響が大きいある一日については、JERAの相場操縦行為によって、一キロワットアワー当たりの市場価格を五十円以上上昇させ、一億円以上の利益を不当に得ていたことが判明をしております。
また、影響が大きかった特定の三日間では、卸電力市場における買手に約四十億円以上の額を不必要に支払わせたものと考えております。
○山崎(誠)分科員 今の金額だけ聞いても非常に私は問題が大きいと思うのでありますけれども、これはこの四年間でトータルどのぐらいの影響を市場に与えたんですか。計算できませんか。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
当該影響額については試算をしておりません。
○山崎(誠)分科員 これは是非私は試算をしていただきたいとお願いをいたしたいと思います。
それは、三十分のこまがそれぞれあって、そのときにどういう約定価格が決まっていて、そのときにJERAが供出できたものがどのぐらいあってというのは皆さん把握しているはずですよ。それがもし入っていれば市場価格、約定価格はどうなったのかということは計算できるはずです。
影響の大きかったところを拾って今は計算しているんだと思いますけれども、市場というのは全体で動いていますから。それは、JERAあるいは特定の方だけではなくて、全ての市場に参加している、例えば電力会社、ほかに売り札を入れていた事業者は高く売れたわけですよね、そのために。また、買手の方は、高く買わされた、もっと安く買えたものが買えなかった。市場全体では大きな影響がこの未供出によって生じているわけであります。
これは是非、ちゃんと、市場全体にどういう影響を与えたのか、金額ベースでお示しをしていただきたいと思います。可能ですかね、不可能ですかね。その辺り、どうですか。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
今回のJERAによる相場操縦事案につきましては、過去の入札に関するデータが残っている範囲で、合計で約五十四億キロワットアワー分、日数にして四百六十八日分の未供出を確認をしております。
同社に業務改善勧告を行うに当たっては、必ずしも全ての日について一日ごとに具体的な影響額を算出しているわけではございません。これは、監視に当たるリソースが限られている中で、JERAによる未供出が相場操縦行為として認めるに足りる行為であるかについて迅速かつ確実に確認することを目的に、必要な範囲で試算をしたものでございます。
○山崎(誠)分科員 今の御説明は、リソースをかけてちゃんと時間をかければデータ的には計算ができるというお話だと思います。
私が何を言いたいかといえば、これは、一定の損害や、あるいは、不当のとは言わないですけれども、想定外の利益を上げた事業者がいて、これはある意味、市場のメカニズムの問題、課題なわけですよ。JERAという会社の間違ったオペレーションによって生じた市場のゆがみなんです。
私は、今それが分かった以上は正す必要があると思うんですよ。幾ら余計に利益を上げた電力会社がいて、それによって高く買わざるを得なかった事業者がどれだけいて、何億というお話ですから、これはきちっと正して、それを是正する仕組みを、是非私は市場なり電取委の中の仕組みとしてやはり構築するべきだと思いますよ。
ちゃんと計算をして、例えば、その金額については、余計な利益が上がった、余剰な利益が上がったところに関しては回収をして、それを基金化するなりして、それを使って消費者あるいは小売電気事業者で影響のあったところにきちっと戻すという、これは原状回復ですよ。誤ったオペレーションに対して原状回復という、この取組を是非入れるべきだと思うんですよ。
以前もいろいろ市場のやはり不都合で価格高騰が起こったりしました。こういった仕組みを是非検討しなければ、この電力市場というものがまだいろいろな問題を抱えながら動いている中で、私はその原状回復の仕組みというものを入れるべきだと。それができるのであれば、今から検討でもしていただいて、今回の事案のような場合にはきちっとそれを戻す、それを検討いただきたいんですけれども、どうですか。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、JERAによる未供出が相場操縦行為として認めるに足りる行為であるかについて、今回、迅速かつ確実に確認することを目的に、必要な範囲で試算したものでございます。
JERAによる本件未供出が相場操縦に該当するものと確認し、同社に対して業務改善勧告を実施した現在において、今後、JERAにより再発防止策が策定され、同社による徹底した対策が取られていくこと、同社を含め事業者による相場操縦行為によって取引価格や市場の流動性に影響を与えることがないよう、日々の監視を実施していくことが重要であると考えております。
○山崎(誠)分科員 私はその点を言っているのではありません。ちゃんと戻す仕組みをつくらなきゃいけない。経済的にそれをやらないと、これは市場が、いや、失敗しました、操縦、システムを誤っていました、済みませんで済む問題ではない。お金が実際に動いちゃっているわけです。
それはちゃんと計算をすれば出せるはずですよ。それぞれ、先ほど何こまと言いましたかね、三十分のその未供出のこまは見えているんですよ。四百幾つでしたっけ、そのこまについて一つ一つ計算すれば、どれだけの余計な利益が生じて、どれだけの高値で買った事業者がいるかは分かるんですから、それをちゃんと分析をして、それを戻す、現状を正しくする、そういう操作をしたらどうですか、するべきではないかと。
また、これはJERAが最近になってもまた問題がありましたよね。二五年の二月の二十二日にまた未供出が起きていますよ。理由はどうあれ、いや、システム改修の途中で難しいオペレーションが入って未供出でした、それは起こるかもしれませんよ。だから、起こった後が問題だと私は思うんですよ。もちろん、起こしちゃいけないんですよ。JERA以外でそういう事例はたくさんあるわけじゃないですもの。何度もそういうことが起こっているということがまずJERAに対しては問題ですよ。
だけれども、それをちゃんと元に戻す作業をできるようにしないと。分かっているんだから、何が起きたか。そして、それを元に戻すためには何をすればいいか分かっているんだから。高く売ったところからその余剰の利益を回収をして、高く買ったところに戻す、そういうオペレーションをちゃんとシステム化すべきじゃないですか。
私は、JERAに対しては、そういう原因をつくったんだから課徴金などを賦課して、戻してもらう、そういうことをやらなかったら、これはいつまでたってもこの市場の信頼性は上がらないと思いますよ。どうですか。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
電気事業法では、卸電力市場において、不正行為等が行われていると認められているときは、卸電力取引所が売買取引を行う者に対して、調査を踏まえて、過怠金や一部取引の制限を課すなどの必要な措置を講ずることができるとされているところでございます。
御指摘のJERAに対してこのようなことを繰り返させないための業務改善のための報告を受けておりますけれども、それについては適切に指導して、そういったことが起きないようにしてまいりたいと思っておりますが、現行の電気事業法の範囲の中でどのように対応できるのか、引き続き検討してまいりたいと思います。
○山崎(誠)分科員 これは、電気事業法の中にこういう市場に対しての罰則規定とかがないんですよ。だから、証券取引法であれば、厳しい相場に関するルールが決まって、それを犯したときには罰則が決まっているわけですけれども、電力事業法にはそれがないから勧告、それでJEPXの市場の方で対応しようとしているけれども、そこまでなんですよ。
私が言いたいのは、原状回復のオペレーションをしなさいよ、したらいいじゃないですかと。できるか、できないかを教えてくれますか。幾らの影響があって、どこの電力会社がどのぐらいそのこまで余剰の利益を得たか、それは分かりますよね。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、電気事業法の業務改善勧告を行う範囲で、市場相場操縦として認めるに足りる行為であるかどうかを迅速かつ確実に確認することを目的に、必要な範囲で試算したものでございます。
○山崎(誠)分科員 技術的にできるかどうかを教えてくださいよ。技術的にこのオペレーションで未供出分がそのこまに入ったときに価格がどうなったのか、それが計算できるかできないか、技術的に教えてください。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
技術的には不可能ではない、こういうふうに理解しております。
○山崎(誠)分科員 そうなんですよ。ちゃんとやればできるんですよ。だから、それを仕組みにして原状回復をする、そのオペレーションをしてくださいと。これは四年間も放置しちゃったから、大変だと思いますよ、作業。
じゃ、何で四年間見つからなかったんですか。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
JERAに対して業務改善勧告を行いました相場操縦行為の背景には、スマートブロック入札というものに対してJERAの東日本側のシステムのみ対応できていなかったということが挙げられます。より多くの電力を市場に供出して収入を得る観点からは、この入札方法に対応できないシステムを使い続けていることは極めて異例でございまして、その後の調査でも、他社では同様の事象は確認をされておりません。
御指摘のように、当委員会が本件を発見するまで約四年を要したことは事実であり、引き続き、このような事案の発見に向けて日々の監視作業を徹底し、事業者に対する指導等を強化してまいりたいと考えております。
○山崎(誠)分科員 是非そうしていただかなきゃいけないんですが、実際に、じゃ、人員が足りているのか、監視が本当にどうやってできているのか。私は、非常にブラックボックス的なところがあって、事業者じゃなきゃシステムの様子だとかは分からないと思いますよ。それを皆さんがどうやって把握するのか。システムの監査をするのか、あるいはそういう定期的な報告の何かそういう仕組みをつくるのか、あるいは内部に入ってシステムの動きを見ることができるようにするのか、いろいろな施策は必要だと思いますけれども、是非そうしたことを前向きに検討して、今お話をした原状復帰をする仕組みを是非検討していただきたい。大臣、いかがですか。
○伊藤(達)主査代理 時間が経過していますので、簡潔にお願いします。
○武藤国務大臣 電取委の監視体制というものは、令和七年の予算にも、ちょっと増員をしまして監視体制を強化していこう、委員の御指摘のとおりだと思います。
それから、今の、計算ができるかどうか、これはちょっと私に預からさせていただいて、今後の課題として検証していきたいというふうに思います。
○山崎(誠)分科員 ありがとうございます。
是非、市場のメカニズムをよくするためにも、検討してください。お願いします。
○伊藤(達)主査代理 これにて山崎誠君の質疑は終了いたしました。
次に、西田薫君。
○西田(薫)分科員 皆さん、おはようございます。日本維新の会の西田薫でございます。
大臣、昨日は、午後一時から夜八時まで、長時間にわたりまして本当にお疲れさまでした。今日はまだ十二時まで残っております。引き続き、よろしくお願いいたします。
そして、加藤政務官、随分御無沙汰をしております。一層活躍をされている姿、非常にうれしく、また誇りに思っております。旧友の一人として非常にうれしく思っております。もう二十年前ですかね、当時、加藤政務官は参議院議員の狩野安先生の国会担当秘書として、そしてまた、私は同じく自民党の参議院の吉村剛太郎の秘書として、同じ議員会館で働いておりました。よく一緒に飲みにも行きました。その後、私は郷里大阪に帰りまして、守口の市会議員、そして大阪府議。そして、加藤政務官は茨城県議会議員を経験された。
一度、政務官は大阪に来られて、府庁に来られましたよね。そのとき、私はたまたま大阪にいなかった。一方、今度、私が茨城県庁に行政視察に行ったときには、そのときにはいらっしゃらなかったということで、地方議員時代は一度もお会いはできていなかったんですが、二十年たって、今、こういった場で、またこういった立場で、こういった議論をさせていただける、非常にうれしく思っております。
今は政党、党派は違いますが、この日本を愛し、この国をよくしたいという気持ちは一緒だというふうに思っております。引き続き、日本のために頑張っていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、質問させていただきます。
まずは、万博についてお伺いをさせていただきます。
まず大臣、先ほどほかの議員の方から、この万博の正式名、もうその委員さんが自分の口で言われていましたので、今更聞くような質問でもないんですが、この万博の正式名、御答弁をいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 今回開催される万博の正式名称は、二〇二五年日本国際博覧会であります。
○西田(薫)分科員 そうなんですよね、二〇二五年日本国際博覧会。これは、多くの皆さんが、国民の皆さんが、大阪・関西万博、これが正式名であるということを勘違いされている方が非常に多いんじゃないかなというふうに思っております。あくまでも、正式名は二〇二五年日本国際博覧会であるということなんですが。
それでは、この万博、そもそも主管、主体となっているのは一体どこなのか。これは、大阪府なのか大阪市なのか、経済界なのか国なのか、御答弁願います。
○浦上政府参考人 お答えさせていただきます。
国際博覧会は、国際博覧会条約という国際条約に基づきまして、開催しようとする国の政府が、BIE、国際博覧会事務局の方に開催計画を申請をして、認められるということが必要になります。各国に対する参加の招請といったことも、開催国の政府から外交ルートを通じて行うということになってございます。
今次の国際博覧会につきましても、日本国政府として開催のために申請を行い、BIEの総会で承認をされたものということになりますので、これは日本国として開催する博覧会、プロジェクトであるということでございます。
○西田(薫)分科員 そうですね、これは国の事業ですよね、万博というのは。
先般の予算委員会を聞いていると、まあ、万博の費用というのは上振れをしております。そういった中で、これ以上上振れした場合国としては予算は出さないでいいのかという質問があったと思うんですね。恐らく、その方というのは、これ以上国が出すべきではないという思いでそういう質問をされたんじゃないかなというふうに思うんですね。
確かに、費用負担というのは、国が三分の一、大阪府市が三分の一、経済界が三分の一ということになっておりまして、いわば大阪府民の皆さんからすると三分の二が税金になる。これ以上大切な国民の皆さんの税金を使うべきでないという思いで質問されたのであれば、全く私も同じ思いなんですね。ただ一方で、いや、これは国が出すべきじゃない、大阪府市に払わせたらいい、そういう思い、そういう趣旨で質問されたのであれば、それはちょっと違うんじゃないかなと。まあ、これは他会派の議員さんの質問ですから、そこはちょっと違うんじゃないかなというふうに思うんですね。
この万博誘致に当たっては、共産党さん、社民党さんは当初から反対をされておりましたが、当初、これは全ての政党、皆で盛り上げようということで、誘致にまず動いたかと思うんですね。大阪府議会におきましても、当時、私は大阪府議会議員でおりました。二〇一六年ですか、これは産経新聞の記事なんですけれども、大阪維新の会、自民党、公明党、民進党、この当時から民進党というのは大阪府議会で会派はなかったんじゃないかなと思うんですが、記事によると、民進党、賛成多数で可決した、誘致の決議をですね、というのがあります。まあ、共産党が反対というのはこの記事にも書いていたんですね。
ところが、今、成功すると、これは大阪の成果、言えば吉村知事であったり横山市長の評価につながる、失敗をすると、逆に吉村知事、横山市長に責任を転嫁できる、まあ維新の会を悪者にできる、そういうふうな流れが今少しあるんじゃないかなというふうにはちょっと感じておりまして、そこが非常に危惧するところなんです。
これは公明党さんのホームページです、二〇一九年のホームページにおいても、これはいまだにずっと掲載されている記事ですので。この当時も、これは二〇一九年ですが、国会の方で万博準備、運営に関する特措法が本会議で可決をされたということで、自民、公明の与党や立憲民主、国民民主、維新などの各党が賛成したが、共産党と社民党は反対したということが書かれているんですよね。
ここからちょっとなかなか厳しい指摘をずっと公明党さんは共産党さんに対してされていまして、これは全文読むのがちょっと申し訳ないなと思うぐらいなんですが、一番最後の方にも、今回のこの大阪・関西万博に反対した共産党が、成功への世論が更に高まってくれば賛成に転じ、いかに自らが推進してきたかのように豹変する可能性も否定できない、反対しても実績、このこそくな手法ほどと、ばあっと書かれているんですけれども。
反対しても成功すれば自分たちの成果だというふうなことを危惧されてのこういった内容だと思うんですが、今、逆に、賛成している皆さんが反対に転じていっている、そして責任転嫁をしているという風潮があろうかと思うんですが、これは決して政局にしたらいけないと思うんですよ。やはり、この大きな事業ですから、国全体がしっかりと盛り上げていかないといけないなというふうに思っているんですが。
そこで、本来の万博の意義、この万博の意義について、是非、加藤政務官、御答弁をいただきたいと思います。
○加藤大臣政務官 西田委員の御質問にお答えをさせていただきます。
先ほどは二人の関係性につきましても丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございました。この大阪・関西万博は、西田委員の御出身ということでございまして、思いもひとしおだと思っております。また、意気込みも本当に相当なものだと感じております。
大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマの下、世界中の来場者を出迎え、未来社会の実験場として、AI、ロボット、GX、DX、ライフサイエンスといった分野の最先端技術を発信し、社会実装していくまたとない機会だと考えております。
私も十一月に万博会場を視察をしました。会場のシンボルとなる、世界最大級の木造建造物であります大屋根のリングに上がりまして、その全体像を拝見をさせていただき、圧倒的な存在感を体感してまいりました。また、日本政府館の建設状況も確認し、循環をテーマにいたしました様々な展示が行われることに期待を膨らませてまいりました。
また、建設途中でありましたけれども、様々な海外パビリオン、これが完成し、また、これから四十四日後に開催ということに迫ってまいりましたが、開催をされましたら、その圧倒的な迫力を多くの皆様方に楽しんでいただけるという期待感を持ったところでございます。
万博は、国内のみならず海外からの来場者の方々に、大阪、関西地域のみならず、日本各地の魅力を知っていただく絶好の機会でもございます。万博の来場者が日本各地へも足を延ばしていただけるような取組を進め、地方創生にもしっかり寄与していきたいと考えております。
また、子供たちに対しまして、将来を担う子供たちがどのように未来をつくっていただく、また、夢や希望を持ってその未来を捉えていただくかについてもしっかりと考えられる場所にしていきたいと思っております。
将来についてこの万博がレガシーの精神をしっかり残せるよう、そして国内外からの多くの来場者の皆様方に楽しんでいただけるよう、しっかり取り組んでいく所存でございます。
○西田(薫)分科員 力強い御答弁、ありがとうございました。
本当にそうなんですよね。子供たちに夢と希望を与えるのが万博じゃないかなというふうに思っておりますし、ノーベル賞を受賞された山中教授も、八歳のときに万博に行かれた、その経験から、頑張ってノーベル賞まで受賞されたという、本当に多くの子供たちに夢と希望を与える、そしてまた近未来を見ることができる、体験することができる、これが万博なのかなというふうに思っております。
昔の万博でいいましたら国威発揚型だったと思うんですが、今の万博、近年の万博というのは課題解決型の万博になっているんじゃないかなというふうに思っておりますし、世界の人類の英知が結集する万博ということですから、しっかりと盛り上げていきたいというふうに思っております。
先ほど、もし万博が失敗したらほかの政党の責任にするというような話の中で、一つ気になった記事、これは随分前の記事なんですけれども、新聞記事なんですが、維新の会は、万博誘致が決定したというこの成果を基に、看板政策である大阪都構想や統一地方選挙の追い風にしたい考えだと書かれているんですね。全くこんな思いはありません。
我々大阪の議員からすると、やはり、この大阪・関西万博を契機に、関西経済の大きな起爆剤になるんじゃないかということと、先ほど言いましたとおり、子供たちに夢と希望を与える、これが大阪で開催できるということで、是非万博は成功したいというふうに思っておりますし、ここはやはりオール・ジャパンでしっかりこれからも取り組んでいくべきじゃないかなというふうに思うんですね。
そこで大臣にお伺いしたいんですが、今、ずっとメディアの報道を見ましても、マイナスの報道が非常に多いんですね。
これは、過去の報道を見ましても、参加を表明していた国が辞退をしたという記事があったんですね。これで辞退をした国が何か国目になるという記事があったんです。
ただ、その辞退をしたという記事のときに、ほぼ同時期です、新たに参加を表明された国が二か国あったんですよね。でも、新聞記事は、マスコミのメディアは、辞退をした国が出たという、そこしかなかなかクローズアップされない。結局、その二か国新たに参加を表明されているにもかかわらず、そういった部分というのはなかなか伝わっていないというのが今の現状じゃないかなと思うんですね。
そこで、今回、万博を開催することによって経済効果も非常に大きいものがあるというふうに思っているんですが、その経済効果について大臣の御所見をお伺いします。
○武藤国務大臣 大阪・関西万博の開催に伴う経済波及効果について御質問いただきました。
これは、建設投資あるいは来場者消費などを基に産業連関表を用いて試算したところ、全国で約二・九兆円になると見込んでおります。
大阪・関西万博は、世界中の来場者を出迎え、未来社会の実験場として、AI、ロボット、GX、DX、ライフサイエンスといった分野の最先端技術を発信し、社会実装していくまたとない機会でもあると思います。
先ほど来、山中教授の話が出ていましたけれども、私は十五歳でございましたが、ノーベル賞も全く遠く及ばずですけれども、こういう社会実装していくまたとない機会であると思っています。そういう意味で、数値上の経済波及効果に表れない効果も大変大きいと考えているところです。
○西田(薫)分科員 御答弁ありがとうございます。
ちなみに、私は二歳でした。その三か月前に私は父を亡くしまして、親戚のおじさんが寂しいだろうということで、連れていってもらった。でも、写真で残っているのを見たことしか記憶が全くなく、どこを回ったかというのは全く記憶になかったんですが、でも是非行ってみたいなというふうに思っております。
経済効果、二・九兆円ということだったんですが、これはこの前の読売新聞ですかね、過去に、一七年、一八年に経済効果を一度数値を出されている。恐らく、あと一か月先ですのでもう数値は出されないと思うんですが、当初は、その一七年、一八年当時は二・三兆円、二・四兆円だったと思うんですよね。ですので、経済効果も四千億ほど上振れしているということですから、こういう話というのはもっとPRをしていただきたいなというふうに思っております。
ただ一方で、やはりこれ以上費用がかかってしまうのはよくないですから、そこはしっかりと予算の範囲内でできるように、これは我々もやっていかないといけないんじゃないかなというふうに思っております。
先般の読売新聞でしたか、の中で経済効果を見ると、三兆三千億という数字も出ているということですので、こういったこともしっかりとアピールをしていただければなというふうに思っておりますし、今こうやってメディアでも批判されている中で、いやこれはあなたたちがやったんでしょうとか責任転嫁していく、ほかの政党に対してそういったことで言うんじゃなく、やはり、万博が終わった後に、いや、これはやはり大阪府、大阪市のおかげなんだ、いやいや、これは国のおかげなんだ、いやそうじゃない、これは経済界のおかげなんだ、そういう思いを皆さんが持っていただいたら絶対万博が成功すると思いますし、それこそやはりオール・ジャパンでしっかりと取り組んでいかないといけないというふうに思っておりますし、また、大臣は陣頭指揮を執って更にこの万博を盛り上げていただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に移りたいと思います。
当初、今日私は六問用意をさせていただいておきながら、大体各質問五分ぐらいかなと思っていたんですが、この質問だけでもう十五分過ぎてしまいましたので、あと通告している質問は場合によったらちょっとできなくなるかもしれませんが、御理解、御了承いただきたいというふうに思っております。
次の質問に移ります。
次は、いろいろな同業種の皆さんが展示会に出展して、自社のPRであったりとか自社の製品のPRをする、またそこで商取引を成立するというような展示会というのが全国各地で開催されているかと思うんですね。
その中で一つ例を挙げて言いますと、関西機械要素技術展というのがインテックス大阪で毎年開催をされております。加工業者の皆さん、製造業者の皆さんが集まって、そこに出展をする。
そういった中で、私の選挙区になるんですが、大阪の門真市、門真市が市内のそういった製造加工業者を十数社束ねてこういった展示会に出展をしている。それぞれの事業者の方が単体で応募する、出展する、これは当然できるわけなんですが、ただ、どうしてもそうなるとブースが小さくなってしまう、多くの費用を払えば大きなブースは使用できるんですが。そこで、門真市は、業者をまとめて集めて大きなブースで出展している。これが非常にやはり効果を得ているというふうに地元市長からも聞いております。
この令和六年も門真市が主体となって、また、門真市というのはパナソニックの本社のある町でして、その関連する町工場が非常に多い地域なんですね。そういった中で、門真というのとマイスター、名人、たくみですね、この門真とマイスターをかけ合わせてカドマイスターという認証制度もしているのが門真の自治体なんです。そういった中で、門真市長がそういった業者を集めて出展をしている。令和六年度のその商取引の金額が約二千五百万、正式に言うと二千四百八十八万円ほど成立したという、非常にこれは効果もあるんです。
ただ、門真が事業を行うに当たって、この原資となるのが内閣府の地方創生交付金を使用させていただいているというふうに聞いているんですね。この地方創生交付金というのは時限的なもので、自立を促していくというような事業趣旨、目的でありまして、三年というふうにこれは期限が決まっていますよね。延長すれば更に二年間、最大で五年間、延長になるとは聞いているんですが。やはり、こういった事業というのは大切だと思うんですね。
そもそも、まさしくこういった分野というのは経済産業省が所管になるべきじゃないかなというふうに思っておりますので、これは是非、大臣、そういった経産省の所管でこういった事業、頑張っている自治体をバックアップするような事業というのを応援いただきたい。そしてまた、この門真市というのが、非常に、この市長も門真愛にあふれた市長でして、何とか門真の商工業を盛り上げようと今懸命に頑張っておられますので、そういった現状においての御所見をお伺いしたいなと思います。
○武藤国務大臣 御地元門真市、カドマイスター企業というのが、大変勉強させていただきました。元々、松下さんの発祥の地でもあるということで、大変、そういう意味で、中小・小規模の方々が一生懸命頑張っている姿が目に浮かぶような気がしているところです。
各自治体が地域の優れた中小物づくり企業を支援する取組というものは、個々の企業の成長のみならず地域全体を盛り上げていく、これは大変すばらしい試みだというふうに思います。さらには、我が国の物づくり産業の基盤を支えることにもつながり、まさに重要な取組なんですが、経済産業省としても、中小物づくり企業の稼ぐ力の強化に向けて、もの補助、よく言われていますけれども、ものづくり補助金ですね、新製品等の開発に必要な設備投資等の支援ですとか、小規模事業者の展示会出展等による販路拡大への支援に取り組んできているところです。
また、御紹介の門真市では、電気機械器具や金属製品等の産業集積を生かした物づくり産業振興に取り組んでおり、地域未来投資促進税制等を通じて、こうした地域産業振興の取組も後押ししているところであります。
そういう意味で、中小物づくり企業の発展に向けて自治体とも連携をしながらやってまいりますけれども、マイスターについては今委員長が一番詳しいと思いますけれども、中小企業が本当に力をどうやってつけていくのか、地方創生交付金も、今の期限が限られているという話ですけれども、今回、石破総理の下で倍増にしたいという気持ちもあり、まさにそういうところも今後含めて各省ともやっていかなくてはいけません。
我々経産省としても、内閣府が今地方創生担当になっていますので、また連携を取りながら進めていきたいというふうに思います。
○西田(薫)分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。
引き続きまたしっかり門真もやっていくというふうに思いますし、今の大臣の御答弁を聞いて、また一層やりがいも持っていただいたんじゃないかなというふうに思っております。引き続き、よろしくお願いいたします。
いよいよもう時間が大分なくなってきたんですが、次にオープンファクトリーの質問を予定しておりましたが、少しこれは割愛をさせていただきたいというふうに思っております。その次の中小企業支援についても、今日は厚労省の参考人の方も出席いただいているんですが、ちょっと時間の関係で割愛をさせていただきます。
その次に行きます。商店街の振興についてお伺いをしたいと思うんです。
これは全国でも問題になっているんですが、商店街が今もうシャッター通りになっていると。いろいろな要素があろうかと思うんです、大型店舗の出店であったり、また今の、商品を買うというのが通販であったりとか宅配ということで、社会変化に伴って商店街も衰退しているんじゃないかなという中で。しかし、商店街組合の皆さんは、自分の商売を盛り上げたい、自分の商売の利益を得たいという目的じゃなく、やはり、商店街というのは地域の皆さんが触れ合う場所であって、地域の皆さんの交流の場である、商店街を活性化することが地域の発展、にぎわいにつながるということから、この商店街を盛り上げていきたいという思いを、私の地元、守口なんですが、守口の商店街の組合の皆さんもおっしゃっておられます。
そういった中で、経産省としては、商店街を盛り上げるという中で、アドバイザーを派遣する事業があったというふうに聞いております。ただ、私、地元守口の市長にも聞いてみましたところ、一時的にアドバイザーが来てアドバイスをするんじゃなく、少し腰を据えて見守っていただきたいというお声も聞いておりました。そういった中で、済みません、もうどんどん早口になるんですが、令和六年から、アドバイザーの派遣支援というのと巡回型、パッケージ型支援というのを新しくつくっておられるという中で、この守口の市長の話も聞いていただいて、こういった少し滞在するというような施策になっていただいたのは非常にうれしく思っております。
ただ、もう少し地元自治体の意見というのも一層聞いていただいて、これは本当にすばらしい事業だと思っていますので、地元自治体の意見を聞きながら、更にこの事業というのをグレードアップ、バージョンアップをしていただきたいなと思うんですが、大臣の御所見をお伺いします。
○武藤国務大臣 では、もう簡潔になりますけれども、まさに地方創生絡みでもそうですし、シャッター通りというのは、もうこれはずっと今まで我々も苦労してきて、何とかしなきゃいけないということで、今年度予算にもいろいろとまた新しい制度をつくってみていただいたようです。
しっかりとこれは地域と連携を取って、なおかつ、やはり、地域の中にそういう頑張ろうという人がいないとなかなか難しいと思いますので、そういう方々との連携をしながら、もうこれ以上シャッターが増えないように頑張っていただきたいというふうに思います。
○西田(薫)分科員 ありがとうございました。
その次に、AI、生成AIについての質問も予定させていただいておりました。そのことから今日は内閣府の方もお見えいただいているということでありますが、少し質問を割愛させていただきたいと思います。
ただ、先ほどの質問もありましたとおり、中国のディープシーク、これは非常にやはり私も脅威と感じておりますので、その辺りをしっかりと御対応いただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
もう残り時間が僅かになりましたので、一つ、これは大臣そして政務官に知っていただきたいということから、最後、もう一度、万博に絡んで質問させていただきたいというふうに思っているんですが。
今、ニューヨークの国連本部の前に平和の鐘という鐘、これは、お寺にあるような、除夜の鐘の鐘ですね、お寺にあるような鐘がニューヨークの国連本部前にもう常設で設置をされているんですね。
この鐘の由来といいますのは、中川千代治さんという方が戦争を体験されました。戦争を体験された後に、やはり平和は大切だ、戦争をしてはならないという思いから、鐘を造ろうと。世界六十五か国のコイン、その中には、ローマ法王にもお会いをして金貨七枚を預かって、あとは、軍刀であったり弾薬武器、戦争当時使われていた武器を鋳造して、鐘を造ったんです。その鐘を是非国連に寄贈したいという申入れをされたのが二十八年です。その翌年、その鐘が完成しまして、昭和二十九年に国連に寄贈されたというのがこの国連平和の鐘という鐘なんですね。
そして、そこから二十年、時が経て、一九七〇年の大阪万博のときに、日本からいただいたその国連の前に置いている鐘、大阪万博で国連館があるのであれば、その間は日本に里帰りをさせてあげようということで、ニューヨークの国連本部に置いていた鐘を大阪万博の国連館の前で常設で展示していたというんですね。
そうなると、国連の本部の前には鐘がいなくなる。そこで、この中川千代治さん、後に愛媛県の宇和島市長になられた方なんですが、もう一つ同じような鋳造で造ろうということで、今度は更に多くの世界を回って世界のコインを集めて、鐘を造りました。留守番鐘として、姉妹鐘を造ったわけです。大阪万博開催のときには、その鐘をニューヨーク国連本部に設置をしていたということなんです。
一九七〇年、万博が終わりました。国連館に置いている鐘をもう一度国連本部に戻しました。では、その留守番鐘だった鐘をもう一度大阪に今度は戻したんです。吹田市に、前回は、一九七〇年万博は吹田市で行われましたので、そこが今、万博記念公園という大きな公園になっているんです。そこに今、その留守番鐘が常設されているということなんですね。
これを私は大阪府議会のときに教育常任委員会で質問をしまして、こういった平和の思いがこもったすばらしい鐘が大阪にはある、是非これは小学生の修学旅行、校外学習等においてはその鐘を見学してほしい、ついてほしいというような要望をしましたところ、大阪府内の市町村教育委員会にその話をしますということで、今、何校か校外学習でその鐘を見に行っている、見学しているということを大阪府教育委員会からも聞いているんですね。
大臣、そしてまた政務官も、これまた万博に行かれる機会もあろうかと思います。大阪に足を運ばれたときに、是非、ちょっと吹田は少し距離はあるんですが、吹田までちょっと足を延ばしていただいて、その平和の鐘を見ていただきたい。そしてまた、万博の期間中というのは多くの各国の要人の方も来られます。そういった皆さんに、こういった鐘が大阪にはあるんだということも周知を図っていただきたいというふうに思うんですが、どうですか。答弁はもう無理ですかね、時間が。
○伊藤(達)主査代理 いや、まだ大丈夫です。
○西田(薫)分科員 大丈夫ですか。じゃ、はい。
○加藤大臣政務官 西田委員からすばらしいお話を伺いまして、本当に今感銘を受けたところでございます。
この平和に寄与していただいた中川千代治様の思いをしっかりレガシーとして受け止めまして、政府としましても、これが、何ができるかということになりますけれども、子供たちにしっかり見ていただけるような、そういうようなアピールはしっかりしていきたいと改めて思ったところでございます。よろしくお願いいたします。
○西田(薫)分科員 是非、大阪に来たときは、私、車を運転しても結構ですから、御案内させていただきます。よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。
○伊藤(達)主査代理 これにて西田薫君の質疑は終了いたしました。
〔伊藤(達)主査代理退席、主査着席〕
○齋藤主査 次に、末松義規君。
○末松分科員 立憲民主党の末松義規でございます。
今日は、最低賃金アップというのと、あと賃上げについて質問させていただきます。
まずは、私の方、ちょっと自己紹介しますと、立憲民主党の中でも最低賃金アップ男と言われていまして、仲間とともに様々な勉強会も開いて、立憲民主党の公約に最低賃金千五百円というのを入れ込んだ、そういう自負心もあるわけでございます。
石破内閣が今後五年間で最低賃金を千五百円までアップする、これは私も大歓迎をしているところなんですね。まあ、今は私、最低賃金二千円ということでまた動き始めていますけれども。
この場合、最低賃金アップにやはり困難を伴うのは中小零細企業だろうと思うんですけれども、統計のざくっとした対象範囲を確認するという意味で、賃金レベルが千五百円までになっていない企業というのは、大体、中小企業の方で何万社ぐらいおられると想定していますでしょうか。
○武藤国務大臣 賃金が千五百円未満の中小企業者数につきましてですが、各企業の賃金に関する情報を網羅的に取得することは難しいということでございまして、正確な数をお答えすることは困難だと思っています。
一方で、日商の最低賃金に関する調査によると、二〇二三年十月の最低賃金引上げを受けて、最低賃金を下回ったため賃金を引き上げた企業は三八・四%という結果もございます。
こうしたアンケート結果等の活用や地域産業局を通じた情報収集を通じて、更にまた数字を上げていきたいというふうに思います。
○末松分科員 中小企業も三百三十六万社でしたか、そのくらいいる中で、それが最低賃金千五百円に引き上げるまでに、大体、百万社なのか五十万社なのか、それぐらいいると、具体的な企業も知る必要もあると思うので、これは私のリクエストですけれども、そういった調査を一回かけていただければと。そういう中で、中小企業はどのくらいいるんだということが分かるかと思うので、そこは大臣に是非お願いを申し上げます。
○武藤国務大臣 中小企業庁でいろいろな様々な調査をやっていますので、今後、そういう形のものができるかどうか、検討していきたいというふうに思います。
○末松分科員 よろしくお願いします。
今度は、従業員について厚労省の方から。
今、千五百円までになっていない企業というか団体の人数、従業員の数は大体どのくらいだと思っていますか。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
中小零細企業に限定したものではございませんが、五人以上の事業所を調査対象としました賃金構造基本統計調査におきまして、令和五年調査の特別集計によりますと、時間当たり賃金が千五百円未満の労働者数は約二千二百九十万人となっております。
なお、千百円未満につきましては約八百六十万人、千二百円未満は約千二百九十万人、千三百円未満は約千六百六十万人、千四百円未満は約千九百九十万人となっております。
○末松分科員 こういう方々が賃金を上げていくことによって、最低賃金のレベルをクリアしていくということになるんだろうと思うんですね。
それでは、二〇二五年までに、最低賃金千五百円となると、ペースとして年平均でいくと、大体、ざくっと、ペースで八十九円、年に上げていかなきゃいけない。その場合、多分、今までの慣行でいくと、二十五円から三十円ぐらいは自然の企業の力あるいは団体の力で上げていくということになるんだろうと思うんですね。
そうすると、そういうふうなのを引くと、大体、それ以降、何とかそういう企業、団体の力でこの八十九円をクリアしていかなきゃいけないと思うんですけれども、そういう意識を持ってやっていらっしゃるのか。それとも、具体的に今年の予算で八十九円という、一年一年やったらそういう話になるわけですから、そういったものをクリアしていくようなことを予算あるいは政策目標として、頭の中に置いておられるのかどうか、それを伺いたいと思うんですね。大臣の方にお願いしたいんですけれども。
それで、私も一時期、私、そのときは通産省だったんですけれども、ちょっといて感じたのが、結構、ばっと政策を、メニューをどんどん出して、やっているぞという意識は高いんだけれども、それが結果どうなったのかという成果について、何か意識が薄いようなことを私も昔感じたことがあるので、それを含めて、ちょっとそれはどうなっているのかというのをお伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 御指摘の年八十九円であります。目標の達成に向けて必要となる最賃上昇額を、年平均で機械的に算出したものであると理解をしているところですが、毎年の具体的な最低賃金引上げ目安額は、厚生労働省所管の公労使三者で構成される最低賃金審議会で定められているものと承知をしているところであります。
経済産業省といたしまして、最低賃金審議会で定められた引上げ目安額を踏まえつつ、中小企業支援等に取組を進めてまいりたいと思っております。
○末松分科員 これまで、千五百円とかいう具体的な目標を示さないときの答弁はそれでよかったんですね。
最低賃金審議会、私も過去の議事録を読んでみましたけれども、労使では大体ぶつかるわけですよね。公益委員というのがいて、公益委員のいろいろな評価とかなんとかに基づいてやっていくと。
ただ、安倍総理が出てきて違ったのが、三%上昇だということを彼が言い始めて、そこから、大体毎年二十五円から三十円近くに一挙に上がって、そのペースで進んでいるんです。だから、政府の閣議決定とか政治決定というのは、大きな要因を占めていくんですね。
そういった意味で、是非、私の質問の意図は、そういったことも踏まえた形で年八十九円というのを実現していくんだという予算、あるいは、それをしっかりと踏まえてやっていただきたい、それは大臣にちょっと決意をお願いします。
○武藤国務大臣 安倍総理のときの三%、二十五円時代というのは、まさにデフレからの脱却ということで、ぐっと来ているところで、今回、岸田政権からまた石破政権になって、勾配がすごく急に今ぐっと上がっているところで、現実、たゆまない努力をして目指すという文言が一応ついているんですけれども、とにかく、こういう急勾配を成し遂げるためにも、生産性向上、まさに価格転嫁、こういう支援策をしっかりとやっていかなきゃいけないという、今、非常にリアルなところに来ているんだというふうに承知をしています。
特定の支援策の効果だけを取り出して定量的にお示しすることは難しいと思いますけれども、もの補助等、また今回のいろいろな様々な経済対策を含めて、政策効果を不断に検証、分析していくことも大変重要であると思いますので、引き続き、効果検証を行いながら、関係省庁や自治体とも連携をしながら、中小企業の賃上げ原資確保に向けた取組を行っていきたいというふうに思っております。
○末松分科員 大臣の方は、私の次の質問の回答までいただいたような気がしますけれども。
やはりそこが重要で、年八十九円というのを頭に置いていくのであれば、本当にそういった最低賃金がそこまで引き上がるのかなというところ、なかなか効果測定は難しいとは思うんですよ。思うんだけれども、ただ、経産大臣の所掌範囲でしか私は今聞いていませんから、この最低賃金の中で、保育士の賃金を上げるとか介護士の賃金を上げるとか、いろいろなことをやらなきゃいけないということは当然そうなんですけれども、そこは効果を、どのくらいになるんだろうということを想定しながらやっていくというので、是非そこはお願いしたいと思うんですね。
それと、あとは、そういった意味で一番効果が分かるのが、私自身が千五百円、最低賃金と言ったときに考えていたのは、政府の直接支援なんですよ。そうなると、例えば先ほど、二千万人前後、従業員の方、低い方がおられると。私の方の計算では、大体十兆円ぐらい、ブーストアップのために使いながら、五年間やって、大体年間で二兆円ぐらいですか、集中期間としてやっていって、直接支援をするということであれば、五年間で達成できるというような計算も我々はやっていたわけでございます。
そういった、どうしても間接的な支援だけでは結果が出ないという話になるので、直接支援というものが私は有効だと思っているんですけれども、その辺について御所見をいただければと思います。
○武藤国務大臣 事前にお聞きした内容ですと、韓国の例はあるようですけれども、また、我々、最低賃金近傍の従業員を抱える中小企業に対する直接支援ということになりますと、中小企業の持続的かつ構造的な賃上げには生産性の向上を伴うことの方が必要であって、その点に効果を発揮する施策かどうかを慎重に見極めていかなきゃいけないということだろうと思います。
政府は、二〇二〇年代に千五百円、高い目標を掲げたわけですが、賃上げ原資を確保することが本質的なアプローチと考えているところであり、こうした考えの下で、先ほど申し上げましたとおり、生産性向上、価格転嫁の促進といった施策の強化をまずはもって取り上げていきたいというふうに思っています。
○末松分科員 最低賃金というのは、昔は厚生労働省関係の、社会保障とか福祉とか、そういう形から考えてはいたんですけれども、今では経済政策として私なんかは考えているわけですね。
最低賃金レベルの方がそういったことで千五百円までになれば、どんどんどんどん買えなかったものを買い、受けられなかったサービスを受けていく、エンゲル係数の高い方々の中でどんどん需要が盛り上がっていく。そうすると、企業もそこで繁栄していき、GDPも上がっていき、それを受けて今度は会社の中で給料も上がっていくという、好循環というんですかね、善の循環をやることが一番だろうと。それをまずやった上でいくと、需要も非常に出てきて、いいのかなというのが私たちの発想だったんですね。
今まで、確かに、おっしゃることは正論なんですよ、企業の体質を強めていくと。でも、なかなかそれが最低賃金の方には行かなかったんですね。だから、日本というのは、OECDに比べて、今、OECDの中で、主要な国が大体二千円程度、最低賃金、やっていますよ。日本は千円ちょいですよね。
私は本当に思うんですけれども、一日一万円を稼ぐといった場合に、スイスだと、最低賃金は四千二百円なんですよ、二時間半で一万円稼げる。あとは、例えば余暇に使うとか家族の団らんに使うとか、さらには、デートに使うとか趣味の時間に使う、自己実現の時間に使うとか、いろいろな豊かな生活ができるんですね。
OECD、英独仏とか、ああいうふうなのでは二千円ですから、そうすると五時間ぐらい働けば一万円はゲットできる。でも、日本の場合、千円ちょっとですから、十時間働かないと一万円をゲットできない。これだったら、若者とか女性は希望が持てないんですよね。だから、何とかそこは最低でも二千円に上げていってやっていかなきゃいけないと私は常に思っているわけですけれども、是非、そこは経産大臣も性根を入れて頑張ってほしいと思います。
あとは、私の方は、例えば、そういった賃上げをする企業が優遇される環境、高い評価を受ける環境をつくっていかなきゃいけないな、メリットもつくっていかなきゃいけないなと思うので、例えば、GPIFとか大口投資家の投資基準に、賃上げをやっている企業によりよく投資をしてもらう、そういう環境づくりというのは私は非常に有効だと思うんですね。
ただ、例えばGPIFも法的には制限があるので、日本全体の賃上げ政策の流れの中で、人材投資政策とか、さらには賃上げ政策によって間接的に収益が拡大されれば、当該企業の高評価につながることになる。そうすると、GPIFの投資先がそういう方向に動いていくんじゃないか、行かせたいなというところがあるんです。
そういうことも期待されると思うんですけれども、GPIFの担当の厚労省はいかに考えていますか。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
GPIFの年金積立金の運用は、法令に基づきまして、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から行うこととされており、他の政策目的や施策実現の手段として年金積立金の運用を行うことはできない仕組みとなっております。
その上で、GPIFにおきましては、投資先及び市場全体の持続的成長が長期的な投資収益の拡大に必要との考え方を踏まえ、被保険者の利益のために長期的な収益を確保する観点から、非財務的な要素であるESGを考慮した投資に取り組んでおります。
賃上げを始めとする企業の人的投資の取組が、当該企業の生産性や収益の向上を通じて株式市場における当該企業の企業価値の向上につながる場合、長期的な投資収益を確保する観点から、GPIFが投資に当たって考慮するESGなどの非財務的要素の一つになり得ると考えております。
いずれにいたしましても、投資に当たっての考慮要素も含めまして、GPIFにおける具体的な投資手法等につきましては、専ら被保険者のための利益を確保する観点から、GPIFにおきまして、市場動向等も踏まえつつ、その専門的知見に基づいて検討していくものと考えております。
○末松分科員 非常に教科書的な答弁で、いいかと思いますけれどもね。
何とか、日本全体で賃上げ企業をめでていくような政策をやっていかなきゃいけない。例えば、政府と取引をするような企業、こういう企業に対して、やはり賃上げの政策をひもづけていくような観点も必要なんですね。政府と何かかなりの会社が取引していますから、そういう企業に対して、例えば、最低賃金はクリアしているよねと、これは当たり前の話なんですけれども。例えば、賃上げ目標をクリアしているかとか、あるいは中小企業への買いたたきはしていないよねとか、そういったことをひもづけていって、条件づけていって、まずは政府と取引をする企業から、そういう形で賃上げマインドをどんどん醸成していく。
私はこれも一つの方法だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 官公需関係ですけれども、最低賃金の遵守は、企業が国と取引関係にあるか否かにかかわらず、法律に基づき、事業者として守るべき義務となっているところであります。まあ、最賃の意味ですね。
そうした中でも、我が省が、経済産業者が行う入札の際には、企業の賃上げ促進の観点も踏まえ、総合評価落札方式において、賃上げを表明している企業に対し加点措置を実施しているところであります。
先生言われるように、いろいろな形でこれから官公需の在り方もやっていきませんといけませんし、やはり、まずは隗から始めろで、価格転嫁ということに関しては、また今国会でもいろいろと議論させていただきたいというふうに思います。
○末松分科員 是非そこを促進してください。
それから、これも大臣にお伺いしますけれども、賃上げ優良企業に対して、法人税優遇とかいろいろなメリット、これは税になると財務省も関係してくるし、いろいろとあるんですけれども、大臣の認識はどんな感じで考えていますか。(武藤国務大臣「ごめんなさい、もう一回」と呼ぶ)いやいや。
賃上げの優良企業とかあるじゃないですか。ああいうのにメリットを与えるという意味で、法人税をまけてあげるとか、税控除を含めて、そういうメリットをつけるような税制とか、そっちでもやっていますよね。それをちょっと確認したいだけです。簡単で結構ですから。
○武藤国務大臣 済みません。
例えば、賃上げ促進税制の活用促進ですとか、取引適正化の推進、それから、生産性向上、省力化投資への支援、成長分野への国内投資などに取り組んでいくという形の環境整備を今やっているところであります。先生のおっしゃられるように、そういう意味でいうと、賃上げ促進税制が一番適しているのかなということだと思いますけれども。
○末松分科員 そこもまた促進をしてもらえると思いますので。
あとそれから、株主への情報公開ということで、労働者への還元というんですかね、いわゆるこれは賃上げにつながるんですけれども、こういった投資家を誘導する政策という中で、やはり、企業の情報公開というのは多分金融庁が担当だとは思うんですけれども、そういった中で、この情報の中に、やはり賃上げとか、株主への還元をやっている項目を入れ込んで、そして、あっ、これはそういうふうなことに協力的な企業なんだなと。
それが、本来であれば、欧米の企業なんか、本当に伸びる会社というのは賃金が高いんですよ。本当に、日本に比べてあっちの欧米の企業は高いですよね。高いから、逆に、みんな喜んで働いて、アイデアを出して、更に企業の力が増していくというのが、これは長期的な企業利益の向上という話になるんですけれども。
そういう情報を入れ込んで、ああ、これがあるんだったら、さっき言ったESGですか、これはいいねというようなこともやってもらいたいんだけれども、ただ、これは大臣の所掌を越えるかもしれないけれども、ちょっと大臣の認識で、そこは問いたいと思います。
○武藤国務大臣 所管のことじゃないんですけれども、有価証券報告書には、従前より従業員の平均給与の記載が求められてきたところで、二〇二三年には、人的資本に関する情報を記載をし、ステークホルダーへ公開することが義務づけられたと承知をしているところです。更なる情報開示につきましては、ステークホルダーの要請等も踏まえ、各企業において判断いただきたいと考えております。
経済産業省においても、六百を超える企業等が参画をする人的資本経営コンソーシアムというものがありますけれども、ここで、投資家との対話などを通じて、企業による人的資本経営の実践や開示を促してきたところでもあります。
さらに、中堅・中小大規模成長投資補助金においては、補助金交付企業がコミットした賃上げ率を公表する等、支援措置を活用する企業の賃上げ情報を開示する取組を進めているところでもあります。
引き続き、企業による賃上げや人的資本投資を促し、物価高に負けない持続的な賃上げの定着に向けて取り組んでまいりたいと思います。
○末松分科員 方向性はその方向で、がんがんやっていただきたいと思うんですね。
要は、政府の方で、やはり賃上げ企業は高評価だ、我々としても優遇するし税金でもいろいろな仕組みでも優遇していくよという話をすれば、ああ、メリットはあるんだなと。特に中小企業ですけれども、そういったメリットがあるんだなと思ったら彼らはそれなりにそっちに進んでいきますから、そこを是非お願いしたいと思います。
私の最後の質問になるかと思うんですけれども、価格転嫁というのは今なかなか中小企業もできないということで、それが賃上げのネックになっているというのは当然有名な話でありますけれども、そういった賃上げ方針で頑張ろうとしている中小企業製品に対して、公正取引の慣行を逸脱するような大企業の買いたたきというのもあるわけですね。これを防止するような政策が何とか打てないかと考えているわけですけれども、これについて、大臣の今までの政策、あるいは今後の政策についておっしゃってください。
○武藤国務大臣 今の大企業の買いたたきの話でございますけれども、発注企業ごとの交渉、転嫁の状況を調査しながら、今年一月にも二百十一社の社名を公表しました。そして、約十者の発注企業トップに対して大臣名で指導助言をし、大企業の取引方針の改善を促してきたところであります。
先月、石破総理からも関係大臣に対して、価格転嫁を阻害する商習慣の一掃に向けて取り組むように指示がありましたし、今後、関係の業界団体に向けて、私自身も先頭に立って働きかけていきたいと思っております。
また、公正取引委員会と連携をしながら、検討中の下請法の改正ですとか執行の強化を含めて、中小企業の価格転嫁を更に推進してまいりたいと思います。
○末松分科員 こういう中で結構効果が出てくるのは、やはり一罰百戒というのも重要なんですね。こうしてマスコミにどおんと挙げられて、ああ、あれ、ブラックな企業だよねというふうな形になっていくと、日本企業というのはどんどんそっちの方向に、いい方向になっていくというのはありますから、今、行政指導という話がありましたけれども、これは法的には担保されているんでしたか。
○古谷政府特別補佐人 公正取引委員会としましても、独禁法ですとか下請法の積極的な運用を通じて、取引の適正化という観点から価格転嫁の円滑化を促したいということで、いろいろな取組をいたしております。
下請法で買いたたきというのが禁止をされておるわけですけれども、この違反事案について積極的に勧告、公表をしたりするという取組をしておりますけれども、委員が御指摘になった買いたたきというのは、これまで下請法ではどちらかというと値引きを強要するというような想定でやっておりましたけれども、やはり価格転嫁が重要であるということで、今、通常国会に向けて検討しております下請法の改正の中では、コスト上昇分を価格を上げてくれというふうにお願いをしたのに、協議や交渉に応じずに一方的に価格を設定される、そうした行為についても禁止事項として新たに加えるといったことなども検討事項として、今、改正法案の準備をいたしております。
そういうことを含めまして、法律の改正や下請法の執行を通じまして、中小企業庁などとも連携をして、厳正に対処をしていきたいと思っております。
○末松分科員 公取で、組織的に見たら、全国で二十三か所でしたか、職員はどのくらいですかね。Gメンといった場合に、どれだけ効果があるのかというのは、昔ちょっと疑問視したところがあるんですけれども、人員は、その程度で足りるんですか。
○古谷政府特別補佐人 Gメンという観点からは、中小企業庁の方に下請Gメンがいらっしゃいますし、国交省の方でもトラックGメンということで、物流関係での監視を強化をしておられます。
私どもの方も取引適正化ということで、かなり重点的に取り組んでいる関係で、定員とか人員の増を認めていただいておりますので、いただいた体制の下でしっかりと関係省庁とも連携をしてやっていきたいと思っております。
○末松分科員 そういうことで、日本全体が、賃上げの方向をやっている企業が善だ、それに応じない、あるいは買いたたきみたいな、もってのほかのことをやっているのは悪だというぐらいの大きなうねりをつくっていただいて、やっていただくことが重要だと思います。
さっきの法的担保は、大臣に突然質問したのでそこは申し訳なかったんですけれども、きちっと公取の委員長が答えていただきましたので。
そういった中で、是非全体で頑張って、賃上げそして最低賃金千五百円を実現をしていただきたいという希望あるいは期待を申し上げまして、私末松からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○齋藤主査 これにて末松義規君の質疑は終了いたしました。
次に、浜地雅一君。
○浜地分科員 公明党の浜地雅一でございます。
三十分質問をさせていただきます。
まず、今日は経産省所管の第七分科会でありまして、本来でありますと大臣に冒頭一問質問をしてと思っておりましたが、今日は水道のスマートメーター化についてお話をしますので、最後、計量法について大臣にお答えいただきますが、その前に国交省や規制改革会議に様々質問をします。少々おつき合いいただければと思っております。
先ほど冒頭申し上げましたとおり、今日の議題としまして、私は水道のスマートメーター化の導入促進についてお聞きしたいと思っております。
昨年四月に水道行政の所管が厚生労働省から国交省に移りました。厚生労働省時代は、老朽化した水道管の更新をゆっくりやりますと百三十年かかってしまうという問題があったり、また、水道行政に関わる職員が各水道事業体で不足している、そして、有収水量、人が住んで水道料金が取れる範囲も狭まってきてしまう、また散らばっているという課題がございます。その結果、水道料金の上昇につながってしまうという懸念が私の初当選以来から行われてきたわけでございます。
一時、PFI、コンセッション事業も検討されましたが、これもなかなか進まなかったのがここ十年の水道行政だろうと思っております。ですので、まずはその第一歩として、水道メーターのスマート化でしっかりと水道行政の効率化を図っていくべきだというのが私の考えであります。
そこで、まず国交省にお伺いしたいんですが、水道のスマートメーター化の導入促進に向けて私はしっかり加速していただきたい。所管も替わりましたので、この点について国交省にまず確認させていただきます。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
人口減少社会において検針員の方などの水道事業を担っていただいている方々の不足が見込まれる中、水道のスマートメーターは、検針員が各住宅を訪問することなく水道使用量と料金を自動で検針できるほか、平時だけでなく、災害時にも現場に行って調査することなく水道使用量の変化の有無を自動で把握することにより、漏水の可能性を早期に検知できるなどの効果が期待されております。
国土交通省では、水道事業の効率化に大きな効果を有するスマートメーターの導入を推進するため、水道事業者を対象にモデル事業を行い、その効果や課題を把握するとともに、優良な事例や成果について取りまとめて公表するなどにより、全国に横展開していくことを図っているところです。
さらに、今後、スマートメーターの導入推進方策について有識者の会議でも検討いただき、その議論も踏まえながら必要な対応をしっかりと検討し、実施してまいります。
○浜地分科員 ありがとうございます。
所管も替わりましたので、国交省に替わると推進が進むんだという声もございますので、期待しております。所管省庁として、中心者としてしっかり取り組んでいただきたいと思っております。
今、規制改革推進会議では、水道メーターの検定有効期間、現在八年でございますけれども、この見直しを始め、様々、水道DX化に係る議論がなされていると承知しております。
具体的に水道スマートメーター化、水道DX全般に関してどのような課題が提起され、どのような議論がなされているのか、ここは規制改革会議、内閣府の担当の方に御答弁をいただきます。
○稲熊政府参考人 お答え申し上げます。
先般二月七日に開催されました規制改革推進会議のワーキンググループにおきまして、水道スマートメーターの普及促進に向けてはコスト面が大きなネックになっており、その背景には、現行ルール、すなわち計量法施行令でいかなる水道メーターも検定の有効期間が一律八年と定められていること、水道スマートメーターから得られるデータの利活用を促進することなどにつきまして、委員や所管省庁のほか、日本水道協会、地方公共団体、スマートメーターの製造業者なども参画の上で議論が行われました。
議論の総括におきましては、経済産業省に対して、水道メーターの検定有効期間につきまして、メーターの構造、すなわち羽根車式、電磁式、超音波式、それぞれの特性に応じて有効期間を早急に見直すよう要請がなされたところでございます。
また、水道スマートメーターから得られるデータの利活用につきましては、例えば漏水の検知、災害時の安否確認、離れて暮らす家族の見守りなど、様々な観点で活用が期待される一方、データの取扱いについての明確なルールが存在していないという現状を踏まえまして、電力データの先行事例も参考にしつつ、法令やガイドラインの策定により、データの活用範囲や利用目的、匿名加工処理等のルールを明確化するよう国土交通省に対して要請がなされたところでございます。
○浜地分科員 ありがとうございます。
主な論点がコストの面であったということ、そしてもう一つ、データの利活用ということが今御答弁にございました。
特に、データの利活用につきまして、災害時とか見守りということが大事なんですが、例えば、電力は比較的スマートメーター化されている。しかし、仮に、ある場所で災害が起きて、亡くなっているかどうか又は御存命かどうかという判断をするときに、エアコンだったら、ずっとつけっ放しでやっているのでその変化が分からないんですが、水は、トイレに行ったりお風呂に入ったりするということでありますので、結局、水量をどう使ったかということになりますと、人の動態、動いているのか動いていないのかということがより詳細に分かるだろうと思っています。
ですので、当然、電力スマートメーターも災害時には役に立つと思うんですが、また見守りにも役に立つと思うんですが、水道量の変化というのは、人がまだ生存しているのかどうか、又は、見守りにおいてどういう状態なのかということがつぶさに分かりますので、この点もしっかり進めていただきたいと思います。
次に、もう一度国交省にお伺いしますが、先ほど一番目の質問の御答弁で、五十九の実証事業、モデル事業をやっている、これの有効な事例を横展開していきたいという御答弁があったところであります。これは実証事業の結果をしっかり詳細に分析しないと水道スマートメーター化は進まないというのが私の問題意識でございます。
私は地元が福岡県でありますが、そのうちの新宮町というところがございます。ここもスマートメーターを導入しております。これについては、全戸に行うとコストが高いということで、例えば島であったり、又は、都市部でも、なかなか検針員が行きにくいような、例えば検針のメーターがビルの奥の方に入っているところに入り込むよりも、このスマートメーターを使って受信ができるということであります。
スマートメーターといっても方式が様々ございます。AMR方式とAMI方式があるというふうに業界では言われております。国交省さんにお聞きしましたら、AMRとAMIの方式の考え方が業界の標準とちょっとずれておりましたので、そこも是非しっかり業界の皆様方の意見を聞いて行っていただきたいと私は思っております。
実際にはAMR方式を使っている多くの自治体があります。このAMR方式は、要は、スマートメーター、既存の羽根車式等のこれまでの水道メーターの上に読み取り用のデバイスをつけまして、そのデバイスが水量のデータを飛ばします。しかし、これは無線を使いますので、遠くまで電波が届きません。ですので、結局、水道事業者に直接そのデータが届くのではなく、途中で受信器、レシーバーが必要でございまして、検針員、若しくは、場合によっては郵便局の方々を使ったり、また、時には電力のスマートメーターを一度経由することによって水道事業者に届くという方式が私が理解するAMR方式でございます。
片や、AMI方式、これは東京都で行われていると聞いておりますけれども、これは、読み取り器から直接、通信電波、キャリア通信を通しますので、遠くまで電波が行きます。結局、間のレシーバーを通さずに、受信器を通さずに水道事業者に直接このデータが受信されるという方式であります。
何が違うかというと、今日私は資料を作ってまいりましたけれども、資料一にありますとおり、先ほど規制改革会議でもコストの面がございましたが、コストが大幅に違うということであります。
左側がAMI、先ほど言いましたとおり、読み取り器から直接、受信器を介さずに水道事業体に対して電波が届く方式。しかし、これはキャリアシステム、通信電波を使う。AMRは、途中でレシーバーを介して、無線方式ですから電波が弱いので、一度どこかで受け取って、それをもう一度事業体に運ぶということであります。
コストの面でいうと、元々のデバイスの費用、これは私がある業者さんに聞いて作ったものでございますので、いわゆる役所の公式資料ではないということも承知をしていただきたいと思いますが、一台について、AMI方式は、性能が高いといいますか、電波が遠くまで飛びますので、三万円かかる。AMR方式は一万八千円で済むということでございます。ですので、初期の導入コスト、三段目にございますが、一万個つけると四億円かかる。片や、AMR方式は二億円で済むというデータがございます。
そして、次はランニングコストです。AMIは、何度も申し上げましたとおり、キャリア通信、通信電波を使いますので、当然この分のコストがかかりまして、年間のランニングでいいますと、一万個つけた場合の想定として二千四百万円かかるというデータであります。片や、AMRは無線電波を使います。ですので、通信費は不要でございます。ただ、レシーバーとか、受け取った後はスマートフォンのアプリ等で管理しますので、その分の管理料が三百万円ということであります。
いわゆる初期の導入コストの段階でも金額が違いますし、また、ランニングの面でも費用の大きな差があるということであります。それは、どちらがいいというわけではなく、何度も申し上げますが、AMIの方が通信電波を通して遠くまで飛ばせるので、検針員の途中の手間はないというメリットが当然ありますが、コストが高いということが問題であります。
実際にどういう方式が実証事業で一番使われているかといいますと、私の理解ではAMR方式であります。電力会社とかガス会社は大きな会社が多いのでスマート化できるんですが、大臣も御案内のとおり、水道事業体は各自治体がやっておりますので体力がないですね。ですので、最初の導入コストに関してちゅうちょするということであります。
ですので、比較になるか分かりませんが、資料二のように、左側の羽根車式という従来のスマート化されていないメーターの上にぴたっとデバイスを、読み取り器をつけて、ここはスマート部分なんですけれども、いわゆる複合型でやっているんです。従来型とスマートのデバイスを取り付けて、元々分離しているものを一体として取り扱う運用が多くなされているんだろうと私は理解しております。
では、海外はどういう方式が使われるかといいますと、資料三を御覧になっていただきたいと思います。これは規制改革推進会議で出された参加企業の資料でございますので、会議で使われたいわゆる公式なものであると理解していただきたいと思います。
箱の中を見ていただきますと、上がAMR方式であります。下がAMI方式。北米ではスマートメーター化は進んでいると言われておりますが、実は、北米の中で、先ほど言いました、電波を途中で介さなきゃいけない、しかしコストが比較的安いAMR方式が四二%。そして、コストは高いが途中の受信器を介さずに直接データを運べるAMI方式は三三%というのが海外の事例でございます。
これは私の理解ですが、海外もAMRからスタートしてAMI方式に徐々に移行していると私は様々な業界の方から聞いているところであります。ですので、将来的にはAMIを目指すということが一つのスキームなんですが、一足飛びにAMIに行ってしまうと、体力のない水道事業体については恐らくコストの面で障害になる。ならば、AMR方式、これは先ほど言いましたとおり、従来の羽根車式の、機械式の上に読み取り器をつけて、更に受信器が必要になる場合でありますけれども、この方式を先に進めていくべきだろうと私は思うところであります。
したがいまして、国交省にお願いしたいのは、有効な事例を横展開したいと御答弁いただきましたが、実際に実証事業の中でAMR方式を使っているのか、AMI方式を使っているのか、もしAMI方式に行くんだったらコストの面やいろいろな面でどういう障害があるのか、導入するにはどういったところをクリアしなきゃいけないのか、こういったことを詳細に実証事業を分析して展開していかないと、ただ単にスマートメーター化と言ってやっているようでは恐らく自治体は迷うだろうと思いますので、その点をしっかり実証事業の結果も踏まえて分析をしていただきたいというのが私のお願いでございます。この点について御答弁をいただきたいと思います。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
スマートメーターの実証を行っている水道事業者につきましては、先ほど委員からもお話がありましたけれども、令和四年度末時点において、国交省が実施しているモデル事業の対象である五事業者を含め、全国で五十九事業者と承知しております。
今後でございますけれども、国土交通省によるモデル事業、五事業団体以外の水道事業者による取組も含めて、その効果だけではなく、コストなどの導入に向けた課題についてもしっかり調査をして、その結果を踏まえてスマートメーターの導入を推進するための方策についてしっかりと検討し、実施してまいりたいと考えております。
○浜地分科員 是非、運用の方式、通信の方式をよく見ていただいて、恐らくAMRを先に進めながらAMIに移行していくんだろう、海外の事例を見てもそうだと私は理解しております。そういったところも含めてしっかり分析をお願いしておきます。
お待たせしました。大臣に計量法における水道メーターの検定有効期間の延長について質問させていただきます。
先ほどの規制改革会議の内閣府の政府参考人の御答弁の中でも、規制改革の議題の中心が水道メーターの検定有効期間、現在八年間ということを延長すべきという議論でありました。
でも、大臣も御案内のとおり、水道メーターには電磁式というものがあったり、又は、超音波式、我が国でもこの春に出るそうでございます。そして、今まで使っている羽根車式というのがございます。電磁式、超音波式は羽根車式と違って、要は羽根を回しませんから摩耗しない。ですから、恐らく検討の結果になると、電磁式や超音波式は、私の勝手な理解ですが、摩耗しませんので、今の八年というのは多分延長されるんだろうと私は思っております。
しかし、羽根車式についてしっかりと延長していただきたいというのが私の今日のお願いでございます。なぜかというと、羽根車式の検定有効期間が決められたのが昭和十九年でございます。私は平成の間違いかと思いましたが、戦前の昭和十九年であります。さすがに昭和十九年よりは様々な技術は進んでいると思いますし、使う部材の品質も向上しているだろうと私は思うわけでございます。
先ほど何度もお示ししましたとおり、AMR方式は、既存の羽根車式の水道メーターの上にデータの読み取り機能のデバイスを取り付けて運用しております。ですので、既存の羽根車式の有効期間が実はポイントになるわけでございます。せっかく導入コストが安いといっても、下についております既存の羽根車式を八年に一度取り替えるとなると、せっかくのコスト削減効果もなくなってしまうということであります。
ヨーロッパ等では全品検定ではなく、我が国は全品検定なんですけれども、サンプル検定もして、そういった考慮もあるそうでございます。資料四を見ていただきますと、海外の事例ですが、下から二番目のイタリアは、羽根車式という従来の方式においても実は十年間の有効期間を定めております。当然、超音波式とか電磁式のような、いわゆる機械式ではない、羽根車が回らない摩耗しないものについては十三年ということであります。
ですので、当然、超音波式、電磁式というのは摩耗しないので長くもつだろうというのは推認できますけれども、羽根車式であったとしても、海外の事例におきますと十年間ということでありますので、こういったことも参考にして検討していただきたいと思っております。大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 浜地委員とは随分長いおつき合いですけれども、こういうことをやっているとは知らなかったので、済みません。
今御質問いただきました水道メーターは、流量の測定方法に応じて、従来型の今の羽根車式、新しいタイプのおっしゃった電磁式や、春に出る超音波式ということでございましょう、軽量化や計量精度の向上などの技術改良が進んでいるものだと承知しています。
こうした技術進展などを踏まえて、本年二月七日に開催されました、先ほど委員からも御指摘があった規制改革推進会議のワーキンググループから、水道メーター方式の特性に応じた検定有効期間の見直しの検討などに取り組むよう意見をいただいたところであります。
水道メーターの検定有効期間の見直しに当たりましては、国際基準との整合化により、求められる性能基準が高まっていることも踏まえ、経年劣化による影響などを技術的に検証することも必要だと思っております。
今後、経済産業省において、製造事業者やユーザーである水道事業者、関係省庁等とともに、技術的な検証を行った上で、水道メーターの検定有効期間の見直しについて速やかに検討を進めてまいります。
○浜地分科員 大臣、ありがとうございます。大臣のリーダーシップで、この検討会を含め、また、審議会に早く移るように是非お願いしておきます。
大臣はここで結構でございます。長時間おつき合いいただきましてありがとうございます。
○齋藤主査 武藤大臣、御退席いただいて。
○浜地分科員 残り五分で、私は、経産省における創薬、薬をつくる力ですね、この経産省の取組についてお伺いしたいと思います。
経産省は、現在、主査も大臣を務められまして御案内のとおり、創薬につきましては、認定ベンチャーキャピタル制度を使って、民間のベンチャーキャピタルが投資をした金額の二倍の金額を、認定されたベンチャーキャピタルが投資をすると予算をつける、補助をするという取組がございます。
これについては、実際に創薬で一番お金がかかるのは、御案内のとおり、第三相の臨床試験に行くところであります。多くの方々を使って検証を行う臨床でございますので、多くのマンパワーを使いますし、お金がかかるということでありますけれども、実は、ここに谷があるのではなく、もう一つの創薬の谷というのは、基礎研究から応用研究に至り、そして非臨床、動物実験でありますけれども、ここに至るまでの間に実はもう一つの谷があると言われております。
どういったことかといいますと、研究者は自分の研究をする。しかし、これが創薬事業として将来実用化されるかどうか。将来はPMDAの承認を受けなきゃいけませんので、そういったデータの取り方を行わない研究者もいらっしゃるということでございます。当然、研究の自由があります。
しかし、もう少しデータの取り方を製薬会社やベンチャーキャピタルが注目をし、これは将来のブロックバスターになるな、そういったデータの取り方があればいいものを、なかなかそういったことが知見が分からずに、データの取り方が少し実用化に向いていないものがあったり、実はそういった壁があって、もったいないシーズが埋もれているという現状がございます。
アメリカでは、こういうアーリーの段階、早い段階ではエンジェル投資家が多くおりますけれども、日本ではなかなかそういった方がいらっしゃいません。創薬エコシステムが十分にまだ発展しておりませんので、早い段階のリスクを取るという投資家は少ないわけでございます。
したがいまして、この経産省の認定VCの事業、ベンチャーキャピタルを支援する事業においては、第三相のところでお金を入れるんじゃなくて、その手前で入れるんじゃなくて、基礎研究、応用研究、非臨床に行くアーリー段階で速やかにこれを支援する取組が私は不可欠だと思っておりますけれども、この点につきまして経済産業省の御担当の方に御答弁をいただきます。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
創薬ベンチャーエコシステム強化事業におきましては、医薬品等の実用化開発を行う創薬ベンチャーへの支援を通じまして、十年間かけて日本の創薬ベンチャーエコシステムの底上げを図る、そういったことで取組を進めております。
先生がおっしゃる創薬シーズの実用化に向けてですが、まさに創薬ベンチャーに対するアーリーステージからの切れ目のない支援が重要だと我々も考えておりまして、本事業においても、よりアーリーな段階から支援ができるよう、昨年八月に運用の弾力化を行い、実行しているところでございます。
こうした支援を通じまして、創薬ベンチャーによる開発の支援など、我が国の創薬エコシステム強化に向けた進捗も見られ始めているところでありまして、引き続き、関係省庁とも連携し、政府一丸となりまして取り組んでまいりたいと思っております。
○浜地分科員 ありがとうございます。
先ほども御答弁があったとおり、アーリー段階での投資も行っていく。聞いたところによりますと、これまで、認定ベンチャーキャピタルが十億入れないと、予算が、補助がつかなかったものを、アーリーステージは一億でいいんだと聞いておりますので、ここが大事で、アーリーの段階で一億、二億入ることによって研究はがらっと変わっていくんだろうと思います。
最後の質問にしたいと思いますが、逆に今度はレーター段階での資金の供給の課題について質問したいと思います。
大体、バイオベンチャーがIPOをするのは第二相の試験が終わったところであります。ここでIPOをして上場するんですが、実は、ほかのベンチャー企業と違って、まだ第三相試験が残っている段階で結局上場しますので、まだリスクが残っているということで、実は、レーター、本来であればここに大きなベンチャーキャピタルのお金とか投資家のお金が入るべきなんですが、ここが実は停滞し、IPO後、株価が下がってしまって魅力がなくなってしまっているという指摘があるところでございます。
したがいまして、最後に、このレーター段階での資金の供給について内閣府の御担当の方に御答弁をいただきます。
○仙波政府参考人 お答えさせていただきます。
創薬力を向上させ、国民の皆様に最新の医薬品を速やかにお届けできるよう、昨年七月に示した工程表に基づいて、アーリーからポストIPOまで幅広い施策を推進しているところでございます。
先生御指摘のとおり、レーターに関しては、スタートアップが第二相試験、第三相試験を実施するに当たって十分な資金調達ができず、シーズを実用化につなげられないという課題があることは認識しています。
そこで、現在、希少疾病用の医薬品の一定の開発費用を補助する事業は行っているところでございますが、一方、それ以外の医薬品の開発に関しては市場に委ねるべきではないかといった議論もあり、現在、スタートアップやベンチャーキャピタルといった当事者の御意見を伺いながら、関係省庁と連携してどのような支援が適切、効果的なのかを検討しているところです。
この四月からは、AMEDの統合プロジェクトの一つとして、創薬ベンチャーに対する非臨床試験段階から臨床試験段階までの研究開発や、ベンチャーキャピタルによるハンズオン支援の強化を目指すイノベーションエコシステムプロジェクトが開始するところでもございます。
引き続き現場の声を踏まえながら関係省庁と連携して検討を深めてまいります。
○浜地分科員 時間になりましたので、終わります。
ありがとうございました。
○齋藤主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。
次に、平沼正二郎君。
○平沼分科員 自由民主党の平沼正二郎でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私、大臣通告をしておりませんので、武藤大臣、ここで退席いただいても結構でございます。
○齋藤主査 大臣、御退席いただいて。
○平沼分科員 私も、父が長らく経済産業大臣をやっておりましたけれども、経産省に対して質問をさせていただくのは実はこれが初めてでございまして、今回あえて、分科会で、今まで質問のないところを選ばせていただきました。
本日は、我が国のエネルギー戦略を中心に質問をさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
近年は、皆さん御存じのとおり、国際情勢の悪化や変化により、我が国のエネルギーの情勢は著しく変化をしているわけでございます。ロシアによるウクライナの侵略や中東情勢の緊迫化、DXまたGXの進展などであります。また、今後、大きな経済政策面においても、例えば、現在国を挙げて推し進めている半導体の生産であったり、また、今後開発が見込まれる量子コンピューター、こういった世界においても、エネルギーというのは非常に欠かせないものでありますし、これは大量の消費が見込まれているわけでございます。
さらには、気候変動により、夏は年々非常に過熱化をしている状態でもございますし、この冬も大変な寒波となっておりまして、降雪量というのも多くなっております。また、今まで雪が降らなかったような地域でも非常に降雪が増えている、こういったところも非常にあるわけでございます。夏のエアコンの使用量の増加、暖房設備の稼働が増え、これはますます電力需要が高まるといういろいろな一般的な状況も生まれているわけであります。
先般も、報道を見ておりますと、例年より降雪や積雪が長引いた影響で、ビニールハウスの日照が妨げられた上、さらに暖房期間の増加ということによって、電力使用量が非常に増加をしているという報道も目にいたしております。
日本経済のあらゆる部分に関わってくるこのエネルギーという問題でございますけれども、特に安定供給というのは今非常に喫緊の課題となっておりまして、国際情勢も不安定な中、不確実性が増す中において、エネルギー自給率が二〇二三年度において一五・二%となっている、非常に海外依存度が高い我が国において、今後のエネルギー計画というのはまさに我が国の屋台骨とも言える重要なものであります。
先般、第七次エネルギー基本計画が閣議決定されました。先ほど述べましたとおり、こういった背景も踏まえた計画となっていると承知はしておりますし、SプラススリーEの原則に基づいたバランスの取れたエネルギー計画になっていると考えてはいるんですけれども、その中でお伺いをいたします。
第七次エネルギー計画においては、二〇四〇年の見通しに、再生エネルギーの割合が四から五割と、個人的にはなかなかチャレンジングな目標になっているんじゃないかなと思っているんですけれども、安定供給が非常に困難とされる再生エネルギーの安定供給に関しての取組を教えていただけますでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
再生可能エネルギーにつきましては、地域との共生、そして国民負担の抑制を図りつつ、主力電源として最大限導入するということを政府の基本方針としてございます。二〇四〇年の再エネ比率については、四割から五割という見通しの水準をお示ししているところでございます。
委員御指摘ございましたとおり、地政学リスクの高まり、そして自然災害等への対応ということでエネルギーの安定供給が大変重要になっているということで、再生可能エネルギーの導入拡大に向けまして、住宅そして工場等の屋根への太陽光設置、また再エネ海域利用法に基づく洋上風力の着実な案件形成、そして北海道―本州間の海底直流送電線などの系統整備等に取り組んでいることとしてございます。
また、エネルギーの安定供給の観点から、太陽光発電あるいは風力発電といった自然変動再エネを導入しつつ、電力の需給バランスを維持するために、蓄電池等の活用により、一般的に電力の余剰が生じる昼間から需給が厳しくなる時間帯に供給をずらすピークシフトが大変重要となってくると承知をしております。
こうした取組を促進するため、発電する時間帯にかかわらず、常に一定の価格で電気の買取りを行う、いわゆる固定価格買取りではなく、発電事業者の売電収入を時間帯ごとの電力市場価格に連動させるFIP制度を二〇二二年四月に開始したところでございまして、その活用を強力に推進しているところでございます。
また、蓄電池の導入を更に進めるため、系統用蓄電池などの導入支援補助金、あるいは脱炭素電源への新規投資を促進するための長期脱炭素電源オークション等の措置を講じております。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、政府全体で地域と共生した再エネの最大限導入をしっかり進めてまいりたいと存じます。
○平沼分科員 ありがとうございます。
様々な努力をしていただいて、特に、蓄電等も力を入れていただいたりピークシフトということで、非常にバランスの取れた形を取られているとは理解はいたしました。
私自身は、問題提起はいたしましたけれども、再エネ自体に異を唱えるものではありません。やはり、大前提としては、エネルギーというのは安定供給が最も重要なファクターであると思っておりますし、その前提なくして、余り過度に頼ってしまうと、特に、気候などに大きく左右される供給源に関しては注意が必要であると思っております。
冒頭申し上げたとおり、気候変動というのは、我々がコントロールできる問題ではありません。つまり、自然という非常に大いなる、神の手と言われる、左右されるもので、非常に不確実性が高いものであります。そのためにやはり様々な工夫を凝らしていかないといけない、そう思っております。
また、自然エネルギーの中でも、安定的な供給が期待できるのではないかといった地熱、こういったところもありますけれども、発電量のボリュームがどれぐらいあるのか、こういったところもまだまだ課題が多いのも事実であります。
そういった中において、更にお伺いしたいのが、二〇四〇年の再生エネルギー見通しの内訳として、二三から二九%が太陽光発電となっておりますけれども、これは、今の実際の技術レベルの水準であったり今の状況であったりというのをそのまま踏襲をしている延長目標なんでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきました二〇四〇年のエネルギーミックスにつきまして、二〇四〇年度の温室効果ガス七三%削減、また二〇五〇年カーボンニュートラル実現といった野心的な目標に向けまして、ペロブスカイト太陽電池を含めた一定の技術進展が実現することを前提としまして、将来のエネルギー需給の姿をお示ししたものでございまして、二〇四〇年度の太陽光発電の比率は、御指摘いただきましたとおり、二三から二九%とお示ししているところでございます。
既に、御承知のとおり、我が国の国土面積当たりの太陽光発電の導入量が主要国で最大級となっている中で、この水準を達成するためには、適地制約の課題を乗り越えて、従来設置が進んでいなかった耐荷重性の低い建築物の屋根やあるいは建物の壁面等への設置を進めていく必要があると承知してございます。
こうした点を踏まえれば、軽量で柔軟という特徴を生かし様々な場所での設置が可能となる、いわゆる次世代のペロブスカイト太陽電池の早期社会実装は、従来型の太陽電池の活用に加えまして、今後の再エネ導入拡大に当たって不可欠なものであると承知をしております。第七次エネルギー基本計画においても、その旨を明記をしまして、導入拡大に向けた取組方針を対応しているところでございます。
政府としまして、ペロブスカイト太陽電池の導入拡大に向け、量産技術の確立、生産体制整備、そして需要の創出に三位一体で取り組んでまいりたいと存じます。
○平沼分科員 ありがとうございます。
次世代型のペロブスカイト等を活用した形の、あくまでも指標であるということは理解をいたしました。
やはり、今のところ、非常に技術的にもすばらしくて、柔軟にいろいろな、今まで使えなかったところにも使えるということで汎用性もあると思っておりますけれども、やはり、ここも絵に描いた餅にならないように、十分注意をしていただきたいところでございます。
また、現状の太陽光発電は非常に広範囲に設置していただいておりますけれども、いろいろな問題もやはり発生しているというのが今の太陽光の問題でございまして、土地の問題であったり、廃棄パネルの処分の懸念、山林の開発により防災力低下の懸念であったり、また景観の悪化など、様々な課題を発生しております。
これはたまたまなんですけれども、この質問を作っている最中に、私、地元の方からあるメッセージをいただきまして、たまたま、私のひいじいさんに当たる平沼騏一郎というのがいますけれども、そこの碑が建っているんですね。そこの碑が建っていて、その周りが結構田んぼになっていたりするんですけれども、そこが今後大規模な太陽光発電の設置箇所になっていて、これはどうなんだという話がいて、私は、調べたところ、地元の合意も取れていて、自治体も合意していて、事業者もしっかりやっているということなので、なかなか難しいところではあるんですけれども、種々こういう大小様々な問題が発生をしているというのも今事実でございまして、やはり、山林の開発なんかが非常に今課題となっております。再生可能エネルギーの確保と拡大も重要でもありますけれども、やはり計画段階において考える課題の把握と予測を是非ともお願いをしたい次第であります。
もちろん、ペロブスカイトという新しく出てきたところは新しい設置場所になりますので、やはり、そこでどういった課題が抽出できるのかというのは今のうちにしっかり対応していただければ、今のような太陽光の発電の問題を最小限に抑えることができるのかなと思っておりますので、計画も重要なんですけれども、それを見越した裏づけみたいなところも細かくやっていただければ大変助かる次第でございます。
また、続けて太陽光発電に関してお伺いをいたしますけれども、次世代太陽光発電回りの国産化、これが極めて重要であります。現在の太陽光発電パネルは、中国製パネルが多いという現状があります。当然、太陽光発電全体の部品や修理、そういったサプライチェーン回りも関わる問題であります。
そこでお伺いをいたしますけれども、ペロブスカイト技術などにおける次世代型発電技術の技術保護政策について、現状取り組んでいるものを教えていただけますでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず冒頭、メガソーラーを始めとして太陽光の問題につきましては、やはり、事業規律の強化が大変重要であるということで、再生可能エネルギー特別措置法も改正したところでございますので、しっかりとその法律に基づきまして規律強化を図ってまいりたいと思ってございます。
その上で、今御指摘ございました技術保護に関しまして、いわゆる従来のシリコン型太陽電池につきましては、二〇〇〇年代半ばに、一時、日本企業が世界シェアで五割以上を有していた、こういうこともあったわけでございますけれども、その後、競争力を残念ながら失ってしまったという経緯がございます。反省の一つとしまして、御指摘のとおり、人材あるいは製造装置を通じた技術流出により競争力を失ったことが挙げられておりまして、次世代の国産再エネ技術でありますこのペロブスカイト太陽電池につきましては、この過去の反省もしっかりと踏まえて、適切に対応していく必要があると承知をしてございます。
具体的に、ペロブスカイト太陽電池に関しては、材料加工や製造プロセスに関するノウハウが産業競争力を左右する状況にございまして、このため、特許と製造プロセスのブラックボックス化を最適に組み合わせ、技術と人材の両面から戦略的な知的財産の管理を行っていくことが重要と承知をしております。
具体的に、ペロブスカイト太陽電池の国内生産体制の構築を支援する予算事業におきましても、採択した案件について、専門家の視点も取り入れながら、生産規模拡大の進捗に加え、事業者の知財管理の状況をしっかりと確認をしていく、そういうこととしているところでございます。
引き続き、国内事業者と丁寧に対話をしつつ、このような取組を通じまして、技術流出をしっかりと防ぎ、国内においてペロブスカイト太陽電池の強靱な生産体制を構築してまいりたいと存じます。
○平沼分科員 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、やはりこれは本当に、今の時点でしっかり守っていくというのが非常に重要であると思っておりますし、今様々な工夫を凝らしていただいているということも理解をいたしました。
これも御答弁にあったとおり、先ほど日本のパネルは世界で五〇%ぐらいのシェアを持っていたものが今僅か一%未満ということになっておりまして、産業として、日本の産業として非常にもったいないということがありました。
やはり、この次世代型でしっかり世界の覇権を取っていくというのは、国内のエネルギー計画上を超えて、日本の国益を確保していく上で非常に重要でありますので、引き続き是非しっかりと進めていただきたいと思います。
やはり、こうした新たな基幹技術があれば、世界での覇権を取ることは私は必ずできると信じておりますし、確立できれば、これは先ほどの繰り返しになりますけれども、これは大きな国力となるわけであります。
私は、こうして現在、かつて日本が力を持っていた産業というのがここ数十年で数多く毀損をされてきたのかなと感じているわけでございます。これは、太陽光パネルもそうですけれども、半導体も、今頑張っておりますけれども、かつては日の丸半導体ということで非常に覇権をしていたが、今は失われてしまっている。こういったところをやはりしっかりと一つ一つ、いい技術は持っている、技術者もいる、そういったところをもう一度やはり育てていくというのが今非常に喫緊の課題であり、今後の日本を左右するものであると思っております。
引き続き頑張っていただきたいんですけれども、重ねてちょっと申し上げたいのは、やはり、太陽光パネルというのは、生産だけではなくて、発電事業者というのも非常に中国勢が多くなっているという事実があるわけでございます。
パネルの設置というのは当然土地取得に関わってくるわけでありまして、発電事業はやはり土地取得を前提とするということによって、中国の事業者が土地を取得をしてきているのではないかという問題があります。
安全保障上の問題というのも非常に課題であると思っておりますし、一部では、やはり水源の近くだったり広大な森林を土地取得というのも問題になっておりまして、また、中国共産党には国防動員法というのがありますので、一たび中国政府が有事があると判断した場合、中国企業が運営する事業者は、日本国内であってももしかすると送電停止などの可能性もある、非常にリスクが高いということであります。
手前みそになりますけれども、私、さきの内閣では重要土地法の担当政務官でもありましたけれども、しかしながら、現在は、例えば原子力発電所の近くであったり駐屯地だったり基地だったり、また離島等というのは、重要土地法ということで今一部調べてという措置を取るような法律もできてはおりますけれども、やはり一般的な森林や土地というのは必ずしも対象でないというのが現状であります。
こういった観点からも、是非経産省と内閣府、非常に連携を取っていただいて、中国事業者の大規模太陽光パネルにも是非課題感を持って引き続き取り組んでいただきたいなと思っている次第でございます。
続きまして、ちょっと原子力に関しての質問に入ります。
二〇四〇年度におけるエネルギー需給の見通しでは、電源構成として原子力の割合が二割でありますけれども、これは現在稼働可能な原子力発電所を稼働した場合という、ストレッチな印象は私は持っておりますけれども、しかしながら、これは私はしっかりと目指すべきだと思っております。
脱炭素を達成するためには現実的に見て原子力は不可欠でありますし、当然ながら、この目標達成のためには、点検中も含め、早期の原子力の再稼働が必要であります。もちろん、安全性の担保というのは大前提でありますけれども、やはり、福島の原発の事故以来、新規プロジェクトの停止や、既存原発の停止や点検期間というのが長引いたことも背景に、原子力に関するイメージの低下や原子力にまつわる産業の将来の予見性というのが非常に低下をしております。
それに伴って、現在、原子力を支えるサプライチェーン、これは約一千万点の部品点数があるともされておりますけれども、このサプライチェーンの毀損、存続というのが非常に危ぶまれている状況になっておると聞いておりますけれども、現状の対策をお伺いできますでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の二〇四〇年エネルギーミックスにおける原子力の比率であります二割程度の実現に向けては、安全を大前提に原子力発電所の再稼働を進めつつ、設備利用率の向上や次世代革新炉の開発、設置など、様々な取組を進めていく必要があると考えております。
そのためには、今御指摘いただきましたサプライチェーン、これは必須の要素でありまして、部品の供給体制の維持や現場の技術の継承、人材の確保、育成が重要でございます。他方、長きにわたる建設機会の喪失や再稼働の遅れなどにより、こうした産業基盤が脅かされつつあり、その維持強化は喫緊の課題であることも御指摘いただいたとおりであると考えております。
経済産業省では、原子力関連企業、団体から成る原子力サプライチェーンプラットフォームというのを二〇二三年に立ち上げまして、こうした枠組みを通じて、供給体制の維持、事業機会の拡大などのための支援を、全国約四百社の原子力関連企業を対象に展開しております。例えば、部品供給体制の構築のために必要な設備投資補助、撤退企業の技能承継のための別会社による技術開発支援、海外の建設プロジェクト参画に向けた官民ミッションの派遣などに取り組んでいるところであります。
引き続き、現場の実態やニーズに即した形で、原子力サプライチェーンの維持強化にしっかりと取り組んでまいります。
○平沼分科員 ありがとうございます。
これはやはり極めて重要でありまして、先ほど、いろいろな産業がかつて毀損されたという中に、やはり、こういった幅広いところのサプライチェーンのものが非常に海外に流出してしまったりしたとか、そういった部分もありましたので、やはり裾野の部分がしっかりしていないと本丸がしっかり稼働しないという状況になりますので、是非引き続き取り組んでいただきたいと思います。
やはり、安定稼働や安全性確保の観点からも、原子力におけるサプライチェーンの維持と確保は極めて重要でありますし、また、今後の次世代革新炉、これも、先ほど答弁にありましたけれども、見据えて、それを支える新たなサプライチェーンを拡大していくことが必要であります。
先ほど原子力関連の将来予見性の低下について申し上げましたけれども、これは原子力に限った話ではないんですけれども、やはり見通しというのが見えないとその分野へ人、物、金というのが集まらないというのが常でございまして、次に、この人に関してお伺いをいたします。
このサプライチェーンというのは、当然人材というものも含まれていると考えておりますけれども、昨今、原子力関連の学科の入学者数が減少しているとも聞いております。
現状の原子力の課題や点検、修理の人材、そして今後の次世代革新炉の研究開発人材というのも欠かせませんけれども、人材育成に関しての取組をお伺いできますでしょうか。
○清浦政府参考人 お答えいたします。
原子力は、発電を始めとするエネルギー利用等の観点から重要な分野であり、これまで培われた知見や技術を適切に継承するとともに、将来にわたって技術革新を推進していくため、原子力分野の人材育成は大変重要と考えております。
このため、文部科学省では、国際原子力人材育成イニシアティブ事業を通じ、産学官が連携した人材育成コンソーシアム、ANECを構築し、原子力に関するカリキュラムを参画機関が共同で開発して相互に活用するなど、原子力人材育成の体系的な教育研究基盤の整備を進めています。
また、原子力分野におけるキャリアパスを提示し興味を持ってもらうことも重要であることから、文部科学省においては、ANECの活動と連携して、高校生や高専生を対象とした原子力オープンキャンパスを開催し、昨年は百七十名を超える参加がありました。
引き続き、経済産業省を始めとした関係府省、原子力関係機関とも連携し、原子力の利用と安全を支える幅広い分野における人材育成をしっかりと進めてまいります。
○平沼分科員 ありがとうございます。
今、少しずつ、先ほどあったような応募者も、高校生とか高専生というのも興味を持っていただいているということがあるんですけれども、やはり全体のイメージをしっかりと上げていかないと、やはり原子力って将来的に非常に有用な分野なんだよというところをしっかりと示していかないと、ややもするとほかのところにその技術系の人たちも流れてしまうというのもあるでしょうし、また、やはり今後の人材のつくり方というのは、私はすごく変わってくると思っております。
例えば、AIのようなものが非常に発展していく中において、現実、今求められている人材と、また新たな、AIを利用してこの原子力に関わってくるような、産業開発に関わってくるような人材となると、今まで目をつけていたところとはまた違った土壌の人材というのを目をつけて引っ張ってこないといけない。こういった、多分、少し革新的な部分がここ数年で加速をしてくるのかなと思いますので、是非、今やっていただいていることも非常に重要なんですけれども、さらに今後の将来的なものを予測して取り組んでいただければなと思っております。
もう一点、ちょっと原子力に関してあえて申し上げますと、現在停止中の原子力発電所は維持にもやはり多大なコストがかかっているわけでございまして、これが非常に各電力会社を圧迫をしております。また、安全基準を満たすためにも、非常に、追加の設備投資なんかも行っておりますので、予見性という部分に関してはしっかりと広範囲にわたって経産省の皆様方も含めて是非とも取り組んでいただいて、しっかりと推進をしていただければなと思っております。
次に、GXの推進についてお伺いをいたします。
冒頭申し上げたとおり、気候変動が顕著な中においてGXの推進は必要なことではありますけれども、これは地球規模の課題であって、日本単独では当然解決できない、これが気候変動の問題であります。
世界のCO2の排出量の内訳が、二〇二〇年においては、日本は約三%でありますけれども、ちなみに、中国は約三二%、アメリカは約一三%であります。当然、人口や国土の広さというのも違うので、これは一つの指標ではありますけれども、先ほど申し上げたとおり、日本だけでやはり環境が改善するというわけではありません。
そのような中、アメリカでは先般トランプ政権が誕生して、GX推進から後退へとかじを切っております。パリ協定からの撤退、脱炭素を目指す国際的な銀行連合、ネットゼロ・バンキング・アライアンスから米大手金融機関が相次いで脱退を表明をしております。日本にも少なからず影響があると思いますし、アメリカの今後の戦略にも注視が必要であります。
自動車がここに来て、自動車産業は当初、欧州勢を中心にかなりEV化を推進をしておりましたけれども、これが今少し鈍化をしている印象でございます。PHEVや合成燃料に緩和的な方向に切り替わりつつあります。例えば、メルセデスグループが二〇二四年二月、全ての新車を二〇三〇年までにEVにするという方針を撤回したり、こういったことがあります。
こういった中において日本の今後の方向性が非常に気になるところではありますけれども、こうした欧米勢の背景がありますけれども、一方で、GXを進める観点からは、世界の、CO2排出量の一八%を占めている運輸部門、自動車に限れば一六%でございますが、この推進を図らなければなりませんけれども、日本の自動車産業におけるEV化に関しての経済産業省の見解をお伺いいたします。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のような動向、今後も注視が必要だと考えておりますけれども、世界全体で脱炭素に向けて取り組んでいく必要性は変わらないと認識しております。我が国も、引き続き産業競争力強化と脱炭素の両立を目指すGXの取組を続けていく必要があると考えております。
自動車分野におきましては、カーボンニュートラルの実現に向けまして、EVやプラグインハイブリッド車などの電動車、水素、合成燃料など、多様な選択肢を追求するマルチパスウェー戦略を我が国の自動車政策の基本方針としております。
我が国の強みを有する内燃機関はもとより、今後市場が拡大していきますEVでも勝つべく、蓄電池の国内製造基盤強化、購入補助や充電インフラ整備支援など、総合的に取り組んでまいります。
○平沼分科員 ありがとうございます。
バランスが非常に重要だと思いますし、日本は当初、完全EVシフトしないで、非常にバランスの取れたという点では、これは正解だったと思っております、今になって。
最後にちょっと質問いたします。
やはりEV推進をやっておりますけれども、今CEV補助金というのがありますけれども、これが海外のEVにも適用になっておりますけれども、これについての見解を経産省にお伺いできますでしょうか。
○田中政府参考人 委員御指摘のCEV補助金、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金でございますけれども、自動車産業は、国内のみならず、海外においても幅広い市場があるグローバル産業でございます。この国内の購入補助制度におきまして、特定の国で生産されたEV車両に対して差別的な取扱いをすることはWTO協定違反となるおそれがあるため、海外メーカーが生産する車両も含めて補助対象としております。
その上で、我が国においてEVなどが持続的に活用されていく環境を構築することが重要だと考えており、その実現に向けて内外無差別に事業者の多様な取組を促しているところでございます。
こうした考え方の下、令和五年度補正予算の事業執行からは、新たな補助額の算定方法を導入いたしました。具体的には、車両の性能だけではなく、インフラ整備やアフターサービス環境の構築、災害時の地域との連携などの分野でメーカーの取組を総合的に評価して、これらに積極的に取り組むメーカーの車両を重点的に支援していくこととしております。
○平沼分科員 ありがとうございます。
先ほど答弁いただいたとおり、いろいろな指標を使っていただいて判断をしていただいているということでありますけれども、一方で、やはり中国が非常に補助金をつけて、安価にこれを大量生産して輸出をしているんじゃないか、こういった問題もあって、欧米勢はこれに関税をかけるような動きも今見せております。
やはり公平性というのは非常に私は重要だと思っております、このやり取りに関して。しかしながら、公平性というのは、やはり基本的にそのルールをしっかり守っているというのが私は大前提だと思いますので、そこを含みまして、しっかりと様々な視点を含めて今後のこういった動きにも注視をしていただいて、是非とも取り組んでいただければなと思っております。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○齋藤主査 これにて平沼正二郎君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。
これにて散会いたします。
午後零時一分散会