第1号 令和6年5月13日(月曜日)
本分科会は令和六年四月十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。五月十日
本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
小林 史明君 中谷 真一君
中西 健治君 西村 康稔君
森 英介君 青柳陽一郎君
櫻井 周君 浦野 靖人君
庄子 賢一君 櫛渕 万里君
五月十日
中西健治君が委員長の指名で、主査に選任された。
令和六年五月十三日(月曜日)
午前九時開議
出席分科員
主査 中西 健治君
大岡 敏孝君 小林 史明君
坂井 学君 中川 貴元君
中谷 真一君 中根 一幸君
森 英介君 吉田 真次君
鷲尾英一郎君 青柳陽一郎君
大島 敦君 櫻井 周君
階 猛君 山井 和則君
阿部 司君 浦野 靖人君
漆間 譲司君 金村 龍那君
庄子 賢一君 櫛渕 万里君
…………………………………
国務大臣
(原子力防災担当) 伊藤信太郎君
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(デジタル大臣) 河野 太郎君
国務大臣
(復興大臣) 土屋 品子君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(防災担当) 松村 祥史君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 加藤 鮎子君
国務大臣
(新しい資本主義担当)
(経済財政政策担当) 新藤 義孝君
国務大臣
(沖縄及び北方対策担当)
(消費者及び食品安全担当)
(地方創生担当)
(国際博覧会担当) 自見はなこ君
内閣府副大臣 井林 辰憲君
文部科学副大臣 今枝宗一郎君
内閣府大臣政務官 平沼正二郎君
衆議院事務総長 岡田 憲治君
裁判官弾劾裁判所事務局長 鈴木 千明君
裁判官訴追委員会事務局長 中村 実君
国立国会図書館長 倉田 敬子君
会計検査院長 田中 弥生君
会計検査院事務総局事務総長官房審議官 豊岡 利昌君
会計検査院事務総局第一局長 佐々木規人君
会計検査院事務総局第二局長 長岡 尚志君
会計検査院事務総局第五局長 片桐 聡君
最高裁判所事務総長 堀田 眞哉君
政府参考人
(内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官) 江浪 武志君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 長崎 敏志君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 福島 秀生君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 井上 学君
政府参考人
(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長) 坂本 里和君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 高橋 謙司君
政府参考人
(宮内庁次長) 黒田武一郎君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房審議官) 向井 康二君
政府参考人
(個人情報保護委員会事務局長) 松元 照仁君
政府参考人
(カジノ管理委員会事務局次長) 嶋田 俊之君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房長) 小宮 義之君
政府参考人
(こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君
政府参考人
(こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 村上 敬亮君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 山越 伸子君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 豊嶋 基暢君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 山碕 良志君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 木村 公彦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 伊藤 学司君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文部科学戦略官) 梶山 正司君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官) 山下 恭徳君
政府参考人
(文化庁審議官) 小林万里子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 日原 知己君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 茂木 正君
政府参考人
(経済産業省大臣官房首席スタートアップ創出推進政策統括調整官) 吾郷 進平君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 松原 英憲君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 佐々木俊一君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 岸川 仁和君
政府参考人
(国土交通省鉄道局次長) 平嶋 隆司君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
政府参考人
(沖縄振興開発金融公庫理事長) 川上 好久君
内閣委員会専門員 尾本 高広君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
決算行政監視委員会専門員 菊田 幸夫君
衆議院調査局第三特別調査室長 南 圭次君
―――――――――――――
分科員の異動
五月十三日
辞任 補欠選任
中谷 真一君 坂井 学君
西村 康稔君 中川 貴元君
青柳陽一郎君 大島 敦君
櫻井 周君 山井 和則君
浦野 靖人君 金村 龍那君
庄子 賢一君 佐藤 英道君
同日
辞任 補欠選任
坂井 学君 中谷 真一君
中川 貴元君 鷲尾英一郎君
大島 敦君 階 猛君
山井 和則君 大西 健介君
金村 龍那君 沢田 良君
佐藤 英道君 山崎 正恭君
同日
辞任 補欠選任
鷲尾英一郎君 吉田 真次君
大西 健介君 櫻井 周君
階 猛君 青柳陽一郎君
沢田 良君 住吉 寛紀君
山崎 正恭君 庄子 賢一君
同日
辞任 補欠選任
吉田 真次君 大岡 敏孝君
住吉 寛紀君 早坂 敦君
同日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 中根 一幸君
早坂 敦君 浅川 義治君
同日
辞任 補欠選任
中根 一幸君 西村 康稔君
浅川 義治君 漆間 譲司君
同日
辞任 補欠選任
漆間 譲司君 阿部 司君
同日
辞任 補欠選任
阿部 司君 浦野 靖人君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
令和二年度一般会計歳入歳出決算
令和二年度特別会計歳入歳出決算
令和二年度国税収納金整理資金受払計算書
令和二年度政府関係機関決算書
令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書
令和三年度一般会計歳入歳出決算
令和三年度特別会計歳入歳出決算
令和三年度国税収納金整理資金受払計算書
令和三年度政府関係機関決算書
令和三年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和三年度国有財産無償貸付状況総計算書
令和四年度一般会計歳入歳出決算
令和四年度特別会計歳入歳出決算
令和四年度国税収納金整理資金受払計算書
令和四年度政府関係機関決算書
令和四年度国有財産増減及び現在額総計算書
令和四年度国有財産無償貸付状況総計算書
〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府)所管、沖縄振興開発金融公庫、内閣府(警察庁、金融庁、消費者庁)、デジタル庁及び復興庁所管〕
――――◇―――――
○中西主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。
私が本分科会の主査を務めることになりました中西健治でございます。よろしくお願いいたします。
本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)、デジタル庁、復興庁及び沖縄振興開発金融公庫並びに他の分科会所管以外の国の会計についての審査を行うことになっております。
なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。
令和二年度決算外二件、令和三年度決算外二件及び令和四年度決算外二件中、皇室費、国会所管、裁判所所管、会計検査院所管、内閣所管、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)所管、デジタル庁所管、復興庁所管及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。
これより内閣府所管中内閣府本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。林内閣官房長官。
○林国務大臣 令和二年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額八百五十三億二千八百四十六万円余に対しまして、収納済歳入額は千三百五十四億千四百三十五万円余であり、五百億八千五百八十九万円余の増加となっております。
次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額六兆九千七十五億九千四百三十万円余に対しまして、支出済歳出額は三兆五千三百四十六億五百十二万円余であり、三兆三千七百二十九億八千九百十七万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度繰越額は三兆二千百十六億九百五十一万円余であり、不用額は千六百十三億七千九百六十五万円余であります。
内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁につきましては、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額六兆四千六百十三億四千八十八万円余に対しまして、支出済歳出額は三兆千四百八十一億七千六十一万円余であり、三兆三千百三十一億七千二十七万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度繰越額は三兆千七百二十二億千三百八万円余であり、不用額は千四百九億五千七百十九万円余であります。
次に、令和三年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額七百二十七億七十五万円余に対しまして、収納済歳入額は千百二十億四千八百六十三万円余であり、三百九十三億四千七百八十八万円余の増加となっております。
次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額十一兆八千七百二十九億四千六百四十八万円余に対しまして、支出済歳出額は六兆四千三百四十億七千六百二十四万円余であり、五兆四千三百八十八億七千二十三万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度繰越額は五兆二千三百五十七億七千三百四十七万円余であり、不用額は二千三十億九千六百七十五万円余であります。
内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額十一兆四千二百四十二億八千八十二万円余に対しまして、支出済歳出額は六兆六百三十五億四千百二十六万円余であり、五兆三千六百七億三千九百五十六万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度繰越額は五兆千八百五十八億千六百九十五万円余であり、不用額は千七百四十九億二千二百六十一万円余であります。
次に、令和四年度における内閣府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
内閣府主管の歳入につきましては、歳入予算額二千九十八億八千八百二十八万円余に対しまして、収納済歳入額は二千二十七億七千七百十万円余であり、七十一億千百十八万円余の減少となっております。
次に、内閣府所管の歳出につきましては、歳出予算現額九兆六千六百八十二億三千三百十九万円余に対しまして、支出済歳出額は四兆六千五百六十億六百八十二万円余であり、五兆百二十二億二千六百三十六万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度繰越額は二兆千三百八十四億五千三百九十一万円余であり、不用額は二兆八千七百三十七億七千二百四十四万円余であります。
内閣府所管の歳出決算のうち、警察庁、金融庁及び消費者庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会関係について申し上げますと、歳出予算現額九兆二千二百九十四億二千七百六十二万円余に対しまして、支出済歳出額は四兆二千八百七十七億六千七百四十八万円余であり、四兆九千四百十六億六千十四万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度繰越額は二兆九百四十八億七千八百九十七万円余であり、不用額は二兆八千四百六十七億八千百十七万円余であります。
以上をもちまして決算の概要説明を終わります。
何とぞよろしく御審議のほどお願いをいたします。
○中西主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 令和二年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、個人情報保護委員会及びカジノ管理委員会関係の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件及び意見を表示し又は処置を要求した事項三件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号一号から三号までの三件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
その一は、企業主導型保育助成事業の運営費に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求めたもの、その二は、緊急事態応急対策等拠点施設整備事業に係る交付金の算定に関して改善の処置を要求したもの、その三は、放課後児童健全育成事業に係る子ども・子育て支援交付金に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求めたものであります。
続きまして、令和三年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、個人情報保護委員会及びカジノ管理委員会関係の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項九件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号一号から九号までの九件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
これは、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施に関して、改善の処置を要求するとともに、意見を表示したものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
これは、災害により基幹LANへの接続が不可能となった場合に使用するDRシステムに関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。
最後に、令和四年度内閣府の決算のうち、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、個人情報保護委員会及びカジノ管理委員会につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十二件及び意見を表示し又は処置を要求した事項二件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号一号から一二号までの十二件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
その一は、認定こども園に係る子どものための教育・保育給付交付金に関して改善の処置を要求したもの、その二は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施に関して改善の処置を要求したものであります。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 次に、会計検査院片桐第五局長。
○片桐会計検査院当局者 まず、令和二年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度沖縄振興開発金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。
これは、住宅資金等貸付業務における個人住宅資金等の融資対象住宅について、借受け者が沖縄振興開発金融公庫の承諾を得ることなく用途変更していた事態に対して必要な措置を講ずるよう適宜の処置を要求し、及び継続して貸付条件に沿った利用となるよう、実態調査の必要性を判断するための端緒となる情報を自ら取得してその判断をする具体的な仕組みを整備して、融資対象住宅の融資後の状況を適時適切に把握するための体制を整備するよう意見を表示したものであります。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。伊藤国務大臣。
○伊藤国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府におきまして、交付金事業の執行に係る手引に行政財産使用料の取扱いについて記載し、関係道府県に対して通知するなど、所要の措置を講じたところでございます。
今後とも、一層適正な執行に努めてまいる所存でございます。
○中西主査 次に、新藤国務大臣。
○新藤国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました子育て世帯等臨時特別支援事業費補助金につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府におきまして、既に補助金を返還させるなど、所要の措置を講じたところでございます。
今後、適正な会計処理に努めてまいります。
○中西主査 次に、自見国務大臣。
○自見国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、内閣府におきまして、実施及び経理が不当と認められる事業等につきましては、既に交付金の返還等をさせ、また交付金事業の適切な執行に係る事務連絡を発出するなど、所要の措置を講じたところであります。
今後とも、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。
○中西主査 次に、川上沖縄振興開発金融公庫理事長。
○川上政府参考人 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、個人住宅資金等の融資対象住宅について、借受け者が当公庫の承諾を得ることなく用途変更していた事態に対して、原状回復を行わせるなど所要の措置を講じております。また、融資対象住宅の利用が継続して貸付条件に沿ったものとなっているか、融資後の状況を自ら適時適切に把握するための情報取得体制の整備について、所要の措置を講じたところであります。
今後とも、一層適正な業務の遂行に努めてまいる所存であります。
○中西主査 次に、こども家庭庁発足に伴い、便宜、厚生労働省についての会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院長岡第二局長。
○長岡会計検査院当局者 令和二年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五十四件、意見を表示し又は処置を要求した事項四件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号三二号は、保険料の徴収が適正でなかったもの、三三号は、保険料等の徴収が適正でなかったもの、三四号及び三五号は、委託費の支払いが過大となっていたもの、三六号及び三七号は、保険の給付が適正でなかったもの、三八号及び三九号は、医療費の支払いが過大となっていたもの、四〇号から八二号までの四十三件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、八三号から八五号までの三件は、介護給付費等の支払いが過大となっていたものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
その一は、国民健康保険の保険基盤安定負担金の交付額に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求めたもの、その二は、障害児通所支援事業に関して、適宜の処置を要求するとともに、是正改善の処置を求めたもの、その三は、新型コロナウイルス接触確認アプリ等の各種システムの開発、保守等に係る業務の実施に関して、是正改善の処置を求め、及び改善の処置を要求したもの、その四は、放課後児童健全育成事業に係る子ども・子育て支援交付金に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求めたものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
これは、離職者等再就職訓練事業の託児サービス経費に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。
続きまして、令和三年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項百四十六件、意見を表示し又は処置を要求した事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号五三号は、保険料の徴収が適正でなかったもの、五四号は、保険料等の徴収が適正でなかったもの、五五号から六一号までの七件は、委託費の支払いが過大となっていたもの、六二号から六四号までの三件は、保険の給付が適正でなかったもの、六五号は、医療費の支払いが過大となっていたもの、六六号から一九五号までの百三十件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、一九六号から一九八号までの三件は、介護給付費等の支払いが過大となっていたものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
その一は、障害児通所支援事業に関して、適宜の処置を要求するとともに、是正改善の処置を求めたもの、その二は、雇用調整助成金等及び休業支援金等の支給に関する事後確認の実施に関して、是正改善の処置を求め、適宜の処置を要求し、及び改善の処置を要求したもの、その三は、雇用調整助成金の支給に関して意見を表示したもの、その四は、生活保護業務における情報提供ネットワークシステムを通じた情報照会の実施状況に関して改善の処置を要求したもの、その五は、施設整備補助金により社会福祉施設等に整備した非常用設備等に関して改善の処置を要求したものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
これは、キャリアアップ助成金等に関するもので、これについて指摘したところ、改善の処置が取られたものであります。
最後に、令和四年度厚生労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項百四十六件、意見を表示し又は処置を要求した事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。
まず、不当事項について御説明いたします。
検査報告番号五九号は、保険料の徴収が適正でなかったもの、六〇号は、保険料等の徴収が適正でなかったもの、六一号は、支払い額が過大となっていたもの、六二号から六五号までの四件は、保険の給付が適正でなかったもの、六六号及び六七号の二件は、医療費の支払いが過大となっていたもの、六八号から一九九号までの百三十二件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの、二〇〇号及び二〇一号の二件は、保険給付に係る費用の徴収が適正でなかったもの、二〇二号から二〇四号までの三件は、介護給付費等の支払いが過大となっていたものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。
その一は、生活扶助費等負担金等の算定に関して、適宜の処置を要求するとともに、是正改善の処置を求めたもの、その二は、事実と異なる申請を行っていた指定医療機関等に関して、適宜の処置を要求し、及び是正改善の処置を求めたもの、その三は、国民健康保険特定健康診査・保健指導国庫負担金に関して、適宜の処置を要求し、是正改善の処置を求め、及び意見を表示したもの、その四は、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金により民間検査機関に整備した次世代シークエンサーに関して意見を表示したもの、その五は、後期高齢者医療広域連合が実施している高齢者保健事業に関して意見を表示したものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。
その一は、社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金の交付額の算定に関するもの、その二は、介護施設等における陰圧装置設置事業の実施に関するもの、その三は、労働保険事務組合に対する報奨金の交付額の算定に関するものであり、これら三件について指摘したところ、それぞれ改善の処置が取られたものであります。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。加藤国務大臣。
○加藤国務大臣 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項につきましては、会計検査院の検査の結果を踏まえ、当該期間において御指摘のありました事業を所管していた内閣府、厚生労働省におきまして、実施及び経理が不当と認められる事業については、補助金を返還させるなど、所要の措置を講じたところであります。
令和五年四月一日から当該府省の事業を引き継いだこども家庭庁として、一層適正な会計処理に努めてまいる所存でございます。
○中西主査 この際、お諮りいたします。
お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中西主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○中西主査 以上をもちまして内閣府所管中内閣府本府及び沖縄振興開発金融公庫についての説明は終わりました。
それでは、加藤大臣以外の大臣及び川上沖縄振興開発金融公庫理事長は御退席くださって結構です。
―――――――――――――
○中西主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。山井和則君。
○山井分科員 これから三十分間、質問をさせていただきます。十三問ありますので、ちょっと私自身早口になると思いますが、お許しをください。
今日は、加藤鮎子大臣、前半よろしくお願いします。それで、子供や障害者関係の質問が終わられたら、お忙しいと思いますので退席していただいて結構でございます。後半は、国土交通省と文化庁に質問をさせていただきたいと思います。
加藤大臣も、私も大変お世話になっておりますけれども、お父様の加藤紘一先生にも私も大変お世話になりまして、本も読ませていただきましたし、本当に尊敬する議員の一人でありました。六本木のカラオケで一緒に歌わせていただいたこともございまして、本当にお父様にもお世話になっておりました。この後質問させていただきます子育て支援とか児童虐待防止のこと、是非とも加藤大臣にこれからも力強く推進をしていただければと思います。
といいますのは、私も、統一教会あるいはエホバの証人の二世の方々と、大体、統一教会の被害者の方は三十人以上お目にかかりましたし、エホバの被害者と言われる方々にも十数人お目にかかって、一時間以上、全員、この二年間、話を聞かせていただきました。
そういう中で、もちろん私は信教の自由は大事だと思いますが、余りにも悲惨なケース、性暴力の被害、医療ネグレクト、あるいは家出、不登校を始めとして、ちょっともう筆舌に尽くし難い、涙、涙の話をお聞きしましたし、自殺未遂をされた方もたくさんおられましたし、また、今もなおメンタルを病んで苦しみ続けておられる方々もたくさんおられます。そういう方々の思いを込めて、質問をさせていただきたいと思います。
先日も、平田うららさんの監督、主演で「ゆるし」という宗教的虐待についての映画がございまして、私も拝見をさせていただきました。本当に深刻な問題となっております。
そしてこの間、厚生労働省、こども家庭庁の担当の方には、本当にこの二年ぐらい御尽力いただきまして、今回も調査をしていただいたわけですね。本当にこれは画期的な調査でありまして、宗教的虐待について調査をしてくださいました。また、この間、エホバの証人に対しましては、厚生労働省またこども家庭庁の担当の方も会っていただいて、宗教的虐待、児童虐待をしないようにというお話もしてくださいました。本当に感謝をしております。
ただ、今回のこの報告書を見ると、残念ながら、輸血拒否、医療ネグレクトで亡くなった方がおられる。そしてまた、もう一つ、お子さんであっても、信仰を離れると言ったら、排斥といってネグレクト、家庭内で無視される、放置されるという児童虐待のようなことが行われているという問題がございます。
ここにもありますように、本当に心が痛みますのは、配付資料にありますように、エホバのケースだと思われますが、「宗教関係者に手当てをしてもらい病院を受診せず、子どもが外来でそのまま亡くなった」、「骨髄移植を拒否し、みとりとなった」、そのまま亡くなったという十三歳のお子さんのケースもございます。
加藤大臣、やはり、当たり前の話ですけれども、必要な医療を受けられずに亡くなってしまう、そんなことが許されていいはずがありません。私も、二世の方々も含めて、輸血をしてほしい、手術を受けたい、生きたいという要望を直接お話をお聞きしたこともございます。当たり前ですよね。当たり前ですよ。
それと、今日の配付資料にありますように、これは今始まった話ではなく、エホバの証人では、一九八五年六月六日、大ちゃんという十歳、小学校五年生がダンプにひかれて、輸血をできずに亡くなりました。四十年前です。心痛みますのは、この記事にもありますように、大ちゃんはダンプにひかれて大量出血しながらも、生きたい、生きたいと大ちゃん本人が言ったんですね。でも、輸血してもらえずに亡くなってしまって。私は本当に深刻だと思っておりますのは、これは一九八五年六月六日のことですから、それから四十年たっているんです。四十年たってもまだ、十三歳のお子さんが骨髄移植を受けられずに亡くなっている。
政府、国会議員、繰り返し申し上げますけれども、宗教の問題は、これは本当に、私もこういう国会の場で特定の宗教のことを取り上げることはいかがなものかと思わないわけではありません。しかし、しかし、ここでこども家庭庁さんや加藤大臣に何とか取り組んでいただいて、少なくとも、少なくとも輸血あるいは手術を受けられなくてみすみす亡くなるお子さんを放置することは、今回の調査をきっかけに、なくす責任が政府にも国会にもあると私は思っているんです。
そこで、質問通告に従って質問しますが、今回の調査で、そのような医療ネグレクトで亡くなったエホバの証人のお子さんの事例なども報告されております。ついては、これらの輸血拒否や医療ネグレクト、また、エホバで問題になっております、未成年のお子さんであっても、その宗教から離れると言ったら、排斥といって口を利かない、面倒も見ないという、こうしたら生きていけないですよね、お子さんの場合は。そういうふうな排斥と言われる行為、こういうのは、改めて質問しますが、児童虐待に当たるのではないですか。
ついては、こども家庭庁が再度、エホバの証人の担当者の方に面会し、輸血拒否などの、輸血禁止などの医療ネグレクトを保護者や子供に強いる児童虐待がないように、また子供に排斥をするネグレクトという児童虐待がないように、再度面会し、要請、指導をしていただけませんか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
御質問の、令和五年度にこども家庭庁の補助を受けて民間事業者によって行われた、保護者による宗教の信仰等に起因する児童虐待に関する調査研究、これにおきましては、どの宗教団体かは調査されておりませんが、保護者の宗教の信仰等に起因する虐待の事例で対応が難しかったことという質問に対し、十三歳の子供の輸血を理由に骨髄移植を拒否、本人も洗礼予定、みとりとなったという回答があったものと承知をしております。
また、令和四年十二月に発出した、宗教の信仰等に関する児童虐待等への対応に関するQアンドAにお示しをしておりますように、医師が必要と判断する医療行為を受けさせないことはネグレクトに該当するとともに、児童を無視するなど拒否的な態度を継続的に示したりすることは心理的虐待に該当し、宗教の信仰を背景とするものを含め、その理由のいかんを問わず、許されるものではありません。
また、昨年来、こども家庭庁におきまして、エホバの証人法人関係者と面会をし、要請や対話を行ってきたところであり、同法人側からは、児童虐待を容認していないこと、輸血を含め、そのような治療を受けるかは各自が決めることであること、未成年の子供が脱退させられた場合でも、親は引き続き養育する責任があること等が表明されるとともに、信者に周知されたものと承知をしております。
さらに、今回の調査研究結果の報道に際しても、同法人に対する御指摘の排斥に関する取材に対し、活動していない人を避けたりしないという方針や、あらゆる形態の児童虐待を憎悪する旨の表明がなされているものと承知をしており、こども家庭庁としては、個々の事案に対し、児童相談所等の現場においてちゅうちょなく適切に対応がなされるよう、引き続き、QアンドAの周知等の必要な対応を進めてまいります。
○山井分科員 今日の配付資料の十ページの右にもありますが、「虐待対応指針 周知せず エホバの証人 「政府・行政の役割」」と言っているそうであります。こういう報道もありますが、是非とも、また面会して、指導、周知徹底のお願いをエホバの証人にお願いしてほしいと思います。
また、それに関連しまして、質問二に移りますが、エホバの証人のように、子供のけがや病気に対して輸血拒否や手術拒否の際には、一時保護による医療同意や親権停止を児童相談所に申し立てるように、厚生労働省と連携し、医療機関に改めて通知すべきではないか。
また、交通事故による大けがを始め、児童相談所に一時保護を依頼するいとまがなく、医療行為をすぐにしないと命が救えないおそれがあるが、その医療行為により医師が刑事や民事の責任を問われるようでは医師はとても命を救えないが、このような問題について、こども家庭庁は、法務省や厚労省と協議し、法的整理をすべきではないでしょうか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたとおり、輸血を含め、医師が必要と判断する医療行為を受けさせないことはネグレクトに該当するものであり、子供の生命身体の安全確保のための対応が求められると考えております。
このため、医師が必要と判断する医療行為の実施に保護者が同意せず、児童の生命身体の安全確保のための緊急の必要があると認められる場合等には、一刻を争う状況であることを踏まえ、児童相談所長は可及的速やかに一時保護及び医療行為への同意等を行うものである旨を改めて昨年三月にも通知をするとともに、全国の医療機関等に対して周知、これを行ったところでございます。
こども家庭庁としましては、引き続き本通知の周知について機会を捉まえて行ってまいりますが、特に、御指摘のような一刻を争う状況で救急搬送を受け得る医療機関に対していかに周知徹底を図っていくことができるかについては、厚生労働省とも連携の上、改めて対応を検討してまいります。
また、医療ネグレクトの事案において、児童相談所に一時保護及び医療同意を依頼する時間すらない緊急の場合に医療機関の判断で医療行為を行うことについては、親権との関係に関わる課題など、どういった課題があるかについて、関係省庁とも連携し、検討と整理を行ってまいります。
○山井分科員 繰り返し申し上げますが、私は、憲法上、信教の自由は当然保障されていると思いますし、私も、高校は仏教の高校でしたし、宗教は私のよりどころにしております。ただ、子供の命が失われるような宗教があっては絶対にならないと思います。
そして、次は質問ではなく要望にとどめますが、このような児童虐待を保護者などに教唆する組織や団体に対して児童虐待の防止を指導する法的根拠がもし不十分であるならば、それを可能にし、児童虐待を防止するための法整備が必要ではないかと提案をさせていただきます。
次に、加藤大臣のもう一つ担当でもあります障害者の差別解消、この四月から合理的配慮の提供が義務化をされました。
私も、スウェーデンに二年間、福祉の研究、勉強のため留学をしておりましたし、スウェーデンでは、本当に障害者の学びあるいは就労において非常に先進的でありました。
そういう中で、私も、毎週末、地元の多くの障害者の方々や、またその御家族の方のお話をお聞きしておりますけれども、是非とも、障害児や障害者が暮らしやすい社会づくりのためにより一層力を入れて取り組むべきと考えますけれども、担当大臣としての加藤大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
障害児や障害者の方々を含め、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会、これを実現することは大変重要であると考えております。
委員御指摘のとおり、本年四月に、事業者による合理的配慮の提供義務化等を内容とする改正障害者差別解消法が施行されました。
施行に向けて、これまで政府としては、政府広報などを通じた改正法の周知、内閣府や各事業分野を所管する関係省庁による事業者団体や事業者への説明会の開催等の取組を進めてまいりました。
今後とも、関係省庁が連携して、説明会の実施や広報活動など、共生社会の実現に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
○山井分科員 私も、二十四年前に初当選しましたが、最初の国会質問は、衆議院本会議場で、障害者雇用促進法について、ジョブコーチのそういう要望もさせていただきました。
そして、もう一つ、発達障害児の支援について質問をさせていただきたいと思います。
この記事、配付資料にもございますように、二〇二二年の十二月の調査でありますが、文科省によると、発達障害、一学級三人か、公立小中学校、文科省、指導体制整備へということで、この記事を詳しく読ませていただきますと、必ずしも増えたのではないかもしれないけれども、いろいろ取組を強化する、取組をしっかりやる中で、教職員の方も発達障害について気づかれるケースが増えたのではないか、そういうふうなこともありますが、逆に言えば、気づかれないケース、適切な支援が受けられないケース、適切な授業、教育が受けられないケース、もっと言えば、就職しようということになってから発達障害があるのではないかと気づいたり、あるいは大学に入ってから発達障害だということを自ら気づかれて適切な支援を受けられるケースとか、様々な支援がございます。
このような発達障害児、発達障害者を含む障害者の支援について更に力を入れるべきではないかと思いますが、特に、発達障害児の保護者の方々とも、私も様々、支援学校を訪問したりする中で、御要望、不安な声を聞いたりもしております。
その意味で、発達障害児やその御家族の不安や期待について加藤大臣の受け止めと、発達障害児やその御家族が暮らしやすい社会づくりのため、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
発達支援を受けている子供の数は、発達障害の認知の社会的広がりなども背景に増加してきていると承知をしております。こうした中で、発達障害のある子供とその御家族の不安をしっかりと受け止め、その育ちと暮らしを支えていく、地域の体制づくりを一層進めていくことが必要と考えております。
発達障害のある子供とその御家族の支援に当たっては、地域において関係者が連携し、気になる段階から早期に切れ目なく支援することが重要であると考えており、保健、医療と連携した発達相談の充実、児童発達支援センターを中核とした関係機関の連携による地域における支援体制の強化、相談援助や、障害特性に応じた子育ての支援等、家族支援の充実などに取り組んでまいります。
○山井分科員 是非とも、保護者の方々、当事者の方々の願い、不安、そのものに応えた政策を推進していただきたいと思います。
それでは、加藤大臣、御退席ください。
○中西主査 加藤大臣は御退席いただいて結構です。
○山井分科員 次に、国土交通省に質問をさせていただきます。
私も、議員になって八期二十四年間、ライフワークの一つが、京都南部の活性化のための新名神高速道路の全線開通であります。
二〇〇五年に小泉当時の総理大臣が工事の凍結を指示されて、その後、民主党政権になったのが二〇〇九年、それから三年三か月の間、私も京都南部選出の議員として凍結解除のために全力で頑張って、二〇一二年の四月にやっと凍結が、前田国交大臣の下でされた。
あれから十二年たちました。ところが、まだ全線開通のめどが立っていないということで、地元からは、本当にこれは大丈夫なのか、新名神の全線開通を見越して様々なアクセス道路整備あるいは様々な商業施設の誘致計画などはあるけれども、これはもう、京都南部の都市計画が成り立たないという悲鳴が上がっております。
ついては、是非とも、城陽―大津間、早期に開通してほしいと思いますし、もちろん、次に質問する高槻―八幡間も含めて、全線開通を急いでいただきたいです。是非とも、いつ開通するのかということの時期を明言していただきたい。地元では不安の声が高まっております。もちろん、そう簡単に明言できないのは分かっておりますけれども、強い強い地元からの要望として質問をさせていただきます。いかがでしょうか。
○岸川政府参考人 お答えいたします。
新名神高速道路は、名古屋市と神戸市を結ぶ日本を代表する大動脈であり、延長百七十キロの高速道路です。
これまでに約八割に当たる約百四十キロが開通しておりますが、現在、委員御指摘のとおり、大津から城陽の区間と八幡京田辺から高槻の区間が未開通区間となっております。
このうち大津から城陽の区間につきましては、信楽川橋の橋脚基礎杭において硬い岩盤が確認されたこと、宇治田原インターや城陽スマートインターにおける地盤改良の範囲が増大したこと、また、宇治田原インターにおいて産業廃棄物の処分が必要となったことなどから、今年一月に、令和六年度としておりました暫定四車線での開通目標を見直し、精査することといたしました。
この区間につきましては、現在、信楽川橋の橋脚や上部工の施工、宇治田原インターチェンジの地盤改良工事や土工工事などをNEXCO西日本が鋭意実施しております。
一日も早い開通に向けて整備を進めてまいりたいと思います。
○山井分科員 是非急いでいただきたいのと、開通の時期を早急に明示していただきたいと思います。
引き続きまして、高槻―八幡間の新名神はいつ開通するのか、お答えください。
○岸川政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の新名神高速道路の八幡京田辺から高槻の区間につきましては、現在、枚方トンネルの発進立て坑の施工やシールドマシンの製作、淀川の渡河橋の上部工工事などをNEXCO西日本が実施しており、用地の明渡しやトンネル工事が順調に進捗した場合、令和九年度の開通を予定しております。
本区間と、先ほど答弁いたしました大津から城陽の二区間が開通することで、新名神高速道路が全線開通し、名神高速道路とのダブルネットワーク構築による周辺の高速道路などの渋滞解消、物流の効率化、災害時の代替ルート形成等が期待されるものでありまして、引き続き、新名神高速道路の一日も早い全線開通に向け、着実な整備を進めてまいりたいと考えております。
○山井分科員 今ありましたように、令和九年度には遅くとも全線開通するように是非とも頑張っていただきたいと思います。
また、それに関連して、今日の配付資料にもありますが、私の地元、南北に、城陽井手木津川バイパスというものを今進めていただいております。
これについては、私、一昨日も行きましたけれども、例えば井手町ではテオテラスいでという施設を役場の隣に造りまして、バイパスの整備が進捗したら道の駅にしようということで取組がなされておりますけれども、なかなか進まないわけです。また、木津川市も、人口が増えて、どんどんこれから発展しつつあります。
そういう意味では、二つの質問を一緒にさせていただきますが、是非とも、城陽井手木津川バイパス、もちろん、まだ用地買収が済んでいないところはたくさんあるわけですけれども、一日も早い全線開通になるように整備を進めていただきたいということで、特に、北の城陽―井手間に関しましては、このテオテラスいでというものが、バイパスの開通による道の駅の開店を心待ちにしておりますので、急いでほしい。
そして、もう一つ、確認ですけれども、今、新名神の工事が遅れているので城陽井手木津川バイパスの整備もそれに連動して遅れるのではないかという不安の声につながっておりますが、そのこととは無関係にバイパス整備を急いでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○岸川政府参考人 お答えいたします。
国道二十四号城陽井手木津川バイパスは、京都市南部木津川右岸地域の国道二十四号における渋滞緩和や災害時の道路ネットワーク強化を目的といたしまして、新名神高速道路へのアクセス道路としての機能が期待されるバイパス事業でございます。
平成三十一年度に事業化いたしまして、新名神高速道路寄りの城陽市から井手町間におきましては、令和二年度より用地取得、令和四年度より工事を推進し、また、その先の井手町から木津川市間におきましては、用地取得に必要な調査設計を推進するなど、準備事業を進めているところでございます。
開通予定時期でございますが、用地取得が必要な箇所がまだ多く残っていることからお示しできない状況ではございますが、沿線自治体の方からは御要望を熱心にいただいております。整備の進め方について検討をさせていただいているところでございます。
また、新名神の方の開通の遅延がいろいろバイパスの進捗に影響があるのではないかということでございますけれども、新名神高速道路の開通遅延による本バイパス事業進捗への影響については、現時点でないものと考えております。
引き続き、沿線自治体からの御要望を踏まえながら、このバイパスの早期開通に向けて事業を推進してまいります。
○山井分科員 是非急いでください。
それと、もう一つ、大きな課題があります。これも私のライフワークの一つですけれども、新名神がつながっても、私が住んでいる宇治市とはつながらないんですね。このことに関しては、地元の宇治市長の松村市長、また国交省出身の西脇京都府知事とも何度も何度も話合いもしております。
ついては、やはりこれは、宇治と新名神のアクセス道路の整備というのは、十年かかろうが二十年かかろうが、非常に重要であり、必要だと思っております。地元の商工会や観光協会からも強い要望もお聞きしておりますので、それについては、もちろん、当該自治体であります宇治市や京都府との協議が調えばですけれども、是非とも国交省としても支援をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○岸川政府参考人 委員御指摘のアクセス道路につきましては、新名神高速道路から宇治市へのアクセスを強化し、市内の人流、物流の活性化に資する道路として、令和三年三月に京都府が策定した新広域道路交通計画において、一般広域道路の調査中路線として位置づけられていることを我々も承知しております。
また、この道路は、令和四年五月に宇治市が策定した都市計画マスタープランにおいても、周辺市町との一体性や相互効果など、南部地域の将来、町づくりを強化する観点から位置づけられている、こういったことも承知をしているところでございます。
地域の拠点と高速道路をつなぐアクセスの強化は、周辺地域が一体となって相互連携が図られ、物流効率化や観光振興による地域の経済活動の活性化などが期待されることから重要であると考えております。
国土交通省といたしましては、引き続き、地域や周辺道路のネットワークの状況などを踏まえ、京都府や宇治市が行う検討に対して必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○山井分科員 引き続きまして、リニア新幹線について質問をさせていただきます。
京都は京都に新駅を、奈良は奈良に新駅をと要望しているわけですけれども、京都南部にとっては非常に関心の高いテーマであります。
ついては、昨年の年末以降、奈良市周辺で現地調査なども始まっているということでありますけれども、仲川奈良市長が先日、平城山駅周辺のリニア新駅の可能性というか、について発言したため、関心も非常に高まっております。
本当に、京都としては京都の新駅を要望しているわけですけれども、このことについて、今後、いつ、どういうふうに新駅が決まっていくのか、お聞きしたいと思います。
○平嶋政府参考人 リニア中央新幹線は、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一つの圏域とする日本中央回廊を形成して日本経済を牽引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図る、国家的見地に立ったプロジェクトであります。
名古屋―大阪間につきましては、昨年十二月、JR東海におきまして、計画段階環境配慮書の作成に必要となる概略のルートの絞り込みと概略の駅位置選定のため、こうした目的のためのボーリング調査を三重県と奈良県の駅候補地周辺において開始しております。これによりまして、環境影響評価に着手しているところでございます。
御指摘の駅位置の絞り込みの時期等につきましては、現在、建設主体でありますJR東海におきまして、御地元の御意向を踏まえながら技術的な検討を行っていると承知しているところでございます。
現時点でお答えすることが難しいと考えておりますが、いずれにしましても、国土交通省としまして、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整えまして、一日も早い全線開業に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○山井分科員 また、引き続き協議をさせていただきたいと思います。
そして、時間がありませんので、最後、文化庁に、二問すべきところを一問に質問を絞らせていただきます。
私の地元の悲願であります宇治茶の世界遺産登録についてなんですけれども、これについて現状はいかがかということと、それに関連して、時間がありませんので二問目もセットでしますが、今、抹茶ブームなんですけれども、抹茶スイーツが人気な一方で、飲む煎茶、玉露、抹茶の先行きは必ずしも明るくありません。二月から国会でも、マイボトルに入れてお茶やコーヒーが飲めるように解禁されましたので、今日も私、地元の新茶の玉露を飲みながら質問させていただいておりますけれども、是非とも、宇治茶の未来のために、世界遺産登録が必要であります。
この連休、私も地元の玉露、抹茶、煎茶のお茶摘みもお手伝いさせていただきましたし、このことに関しては、地元の市町村、また京都府も全力で取り組んでおります。そして、去年の四月には、文化庁も京都に移転をしていただきました。
是非とも、地元の市町村、京都府も取り組みますが、文化庁の支援や助言をお願いしたいと思いますが、宇治茶の世界遺産登録について御見解をお聞きしたいと思います。
○小林政府参考人 文化遺産の世界遺産登録につきましては、ユネスコが定める基準を満たす必要があり、世界遺産としてふさわしい顕著な普遍的価値の証明、構成資産の法的保護や保存管理計画の策定、地域コミュニティーの協力体制の構築などに取り組むことが必要です。こうした取組を進めつつ、文化審議会での審議を経て、暫定一覧表への掲載など必要な手続を進めていくこととなります。
御質問の構成資産の法的保護の現状につきましては、宇治茶の世界遺産登録に向けた取組を表明されている京都府内の八市町村のうち、文化財保護法に基づく重要文化的景観に選定されているのは一市、宇治市、それから、重要文化的景観の選定申出に向けた調査等を実施されているのは一町、和束町であると把握しているところでございます。
文化庁におきましては、文化的景観に係る調査や計画の策定などに対し指導助言をこれまでも行っているところでございますが、今後とも、関係自治体からの御相談があれば、必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
○山井分科員 宇治茶は、日本の宝、世界の宝だと思っております。是非ともよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○中西主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。
次に、金村龍那君。
○金村分科員 日本維新の会、衆議院議員の金村龍那です。
教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、この分科会で質疑をさせていただきます。
こども家庭庁が発足して一年を経過いたしました。この間、質疑をしたいしたいとずっと党に願ってきたんですが、ついぞ一度もできず、ようやくこの分科会を通して機会をいただきました。そういう意味では、一年間たまった思いをしっかり大臣にお伝えしていきたいと思います。
そもそも、こども家庭庁の質疑のときに、我々日本維新の会は、教育子ども福祉省といって、自分たちの独自の案を、法案を提出しておりました。柱は、教育、いわゆる義務教育の部分も含めて、しっかりと、子供の育ち、福祉、教育、全て横断的にやる必要があるんじゃないかということで我々は法案を提出いたしました。
そういう意味では、いわゆる就学前、未就学の部分は、もちろん、こども家庭庁が発足したことによって充実していくものだと理解はしておりますが、就学後の連携がどれだけ深化しているのか。
もちろん、子育てというのは、自分が育った環境、そういったところから哲学みたいなものができ上がりつつあると思います。私は大臣とちょうど同世代、同い年でして、お互い子供を育てる立場ということで、そういった家庭のある、実際に子供の育ちを見ている立場の人が大臣になることは非常にふさわしいと思うんですが、この教育と福祉の連携の部分についてを中心に、こども家庭庁が発足して一年、こどもまんなか社会の実現の進捗、その辺りをお答えください。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
先月、こども家庭庁の発足から一年を迎えました。この間、様々な取組を進めてきておりますけれども、幾つか主なものを御紹介をさせていただきますと、まず、昨年末に、こども未来戦略をまとめました。約三・六兆円に及ぶ、前例のない規模で政策強化を図る加速化プランをお示しし、今国会において、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を御審議いただいております。
また、同じく昨年末には、こども基本法に基づく、我が国初のこども大綱、これを閣議決定し、子供政策の基本的な方針と重要事項を一元的にお示しをしました。
さらには、子供を性暴力から守るため、いわゆる子供性暴力防止法案を今国会に提出するとともに、私の下で子供性暴力防止に向けた総合的な対策を取りまとめました。
加えて、子供や若者の意見を政策的に反映させる取組である「こども若者★いけんぷらす」を立ち上げ、全国から約四千人の子供、若者に参画いただいております。
このほか、こども大綱に基づき、本年四月に文部科学省との連名で、障害や発達に特性のある子供やその家族への支援に当たって、地域における教育と福祉の一層の連携等を推進いただくように通知を行いました。
今後の取組としましては、まずは今国会に提出した二つの法案の成立に向けて万全を期すとともに、スピード感を持って実行に移してまいります。
また、こども大綱の着実な実行に向け、骨太の方針までにこどもまんなか実行計画を策定するとともに、自治体こども計画の策定を促進してまいります。さらに、子供、若者の意見の政策への反映の取組を一層強化してまいります。
こども家庭庁があってよかったと、子供、若者や子育て当事者の方を始め一人でも多くの方に実感をしていただけるよう、文部科学省ともしっかり連携をしながら、こどもまんなか社会の実現に向けて、引き続き精いっぱい取り組んでまいります。
○金村分科員 今答弁を聞いただけで、非常に重責だということは大臣自らお感じだと思いますので、是非、子供の育ちは待っていただけませんので、しっかり頑張っていただきたいと思います。
続いて、障害児支援について御質問させていただきます。
私、議員になる前は、九年間、障害児支援の事業を選挙区である川崎とお隣の大田区で経営してまいりました。実際に、私、その事業を始めた後、結婚して子供が三人いるんですけれども、一番下の子が実は知的障害とそれから自閉症を伴っていて、港区の児童発達支援センターに通っておりまして、先日、「ぱお」という名前なんですけれども、その児童発達支援センターを大臣が視察に来るというのが保護者の間で駆け巡りまして、そうしたら、日程が合わず、結果お見えにならなかったんですけれども、前任の小倉大臣も実はお越しいただいていまして、私自身、そのセンターのおかげで、きょうだい児もおりますので、子育てしやすい環境をいただいたと、大変制度に感謝はしております。
その上で、今回、報酬改定で、全体を見るとプラス一・一二、上がっているんですね。私、これは非常に喜ばしいことだと思っていまして、従前は、トリプル改定だから、障害分野はどちらかというとマイナス改定なんじゃないか、今度マイナス改定があると事業所運営はどうなっていくのかという御相談が、私がそういう障害児支援に携わっていたからこそ、幾つかいただいていたんですね。
そういう意味では、今回、プラス改定になった、それもかなり大きく、プラス改定だけではなくて、制度全体で大きくいい変化をしていると思うんですね。その辺りも含めて、大臣の所感をお答えください。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
今回の障害福祉サービス等報酬改定では、物価高騰や全産業での賃上げが進む中、障害福祉分野で働く方々の処遇改善がしっかりと行われるとともに、サービスの質が確保、向上されるよう、必要な取組を行うこととしました。
具体的には、障害福祉の現場で働く方々の処遇改善を着実に行うため、介護並びの処遇改善を行うとともに、新規参入が増加する中で、サービスの質の確保、向上、これを図る観点から、経営実態を踏まえためり張りのある報酬設定を行いました。これにより、障害児、障害者全体での改定率は、全体で委員御指摘のとおりプラス一・一二を確保することができ、その中で、障害児支援におきましては、子供や家族への質の高い支援の確保、充実を図るとともに、児童発達支援センターを中核とした地域全体の障害児支援体制の強化を図ったところでございます。
引き続き、子供とその家族の皆さんのニーズに対応できるよう、障害児支援の充実に取り組んでまいります。
○金村分科員 これは賃上げの要素がやはりしっかり含まれていると思うんですね。
私、昔からずっと思っているんですけれども、日本というのはサービス業の方は賃金が低いじゃないですか。そうであれば、例えば、こうやって税や保険料から、賃上げ、国が設定しやすい分野の、エッセンシャルワーカーの皆さんの所得を大胆に上げていくと全体の底上げにつながる。もちろん決断は要るんですが、誰かがそのトリガーを引いていかなければならないとすれば、私は、今回のプラス改定というのは一つのきっかけにつながるんじゃないかなと思いますので、現場の皆さんの所得を上げる、そこにしっかりメッセージを届けていただきたいと思います。
続いて、児童発達支援センターについてお伺いします。
私が事業に携わってきたのは二〇一三年から二〇二一年までですから、もう三年ぐらい、少し時を経ておりますが、当時、児童発達支援センターというのはかなり質に違いがあったんですね。しかも、児童発達支援センターと一くくりになっていても、運営法人は様々なんですね。例えば、NPOみたいなところが担っているところもあるし、社会福祉法人、医療法人、様々なんですね。そういう意味では、児童発達支援センターを運営している運営母体によってかなり特性が異なるという認識を私は持っています。それは、川崎と大田区で、児童発達支援センターの運営法人も違うし運営手法も全然違うという意味では、かなり異なるんですね。
その中で、国としては、児童発達支援センターを中核機能として、地域の事業者、それから実際に利用する児童、そして御家族、行政、様々なステークホルダーの中心を児童発達支援センターが担っていく、その機能を強化するというのが今回の制度改定だと理解しています。
加えて、今回、中核機能強化加算というものが新たに追加されまして、じゃ、実際、これから応募段階だと思うんですけれども、児童発達支援センターがどのぐらい中核機能強化加算を志向していくのか、その辺りをお答えいただけますか。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
地域全体で障害児支援体制の充実を図るため、その中核となる児童発達支援センターの機能強化を進めていくことは大変重要であるというふうに考えております。
今般の報酬改定においては、児童発達支援センターの中核機能の発揮を促進する観点から、専門人材を配置し、子供と家族に対する専門的、包括的支援の提供と併せて、地域の障害児支援事業所や保育所等への支援に取り組む児童発達支援センターを評価する中核機能強化加算を創設しております。
この加算は、地域全体の支援体制の充実を目的とするものであることを踏まえ、市町村が体制や取組の実施状況などを確認の上、地域の障害児支援の中核拠点と位置づけられたセンターを対象とするとともに、市町村や地域の関係機関と連携して取組を進めていただき、その実施状況の公表や外部の者による評価を求めるなど、地域に根差した取組を評価する仕組みとしております。
本加算については、現在、各自治体で登録や算定の手続を進めていただいているところ、どのくらいのセンターが算定するかは現時点では把握しておりませんが、今後、算定状況等も確認し、その活用と適切な運用を図りながら、児童発達支援センターを中核とした地域の障害児支援体制の整備を進めてまいります。
○金村分科員 児童発達支援センターが御家族にとって入口であることは間違いないと思うんですね。いきなり事業所に連絡するというケースはレアで、やはり行政の窓口から児童発達支援センターを訪ねていく。その中核機能が強化されればされるほど、質が向上すれば向上するほど、事業者も含めて安心感を持ってその地域における障害児支援の質が向上していくと思いますので、是非とも中核機能強化加算に導いていくような後押しをしていただきたいと思います。
続いて、児童発達支援、放課後等デイサービスの報酬体系についてお尋ねをさせていただきます。
私、今回の見直し、なぜ私が事業をやっていたときにしていただけなかったのかなと思うほど、物すごく事業者にとってやりがいのある、自分たちの価値をまさに報酬体系で表してくれるようになっている。これは事業者の側、私ちょっと二、三聞いたんですけれども、すごく喜んでいました。つまり、努力が評価される、自分たちの価値が評価される報酬体系にようやく変わったと。
昔は、三十分でも五時間でも同じ報酬体系でしたよね。ですけれども、今回の改正によって、三十分から一時間半まで、そして一時間半から三時間、三時間以上と、まさに、これまでは療育という言葉と居場所という言葉がキーワードになってきたんですが、そこに、質、そして、何を志向するのか、何を提供するのかというところに踏み込んで報酬体系としているところに最も価値があると思っています。
一方で、事業者間連携、これは親、子の関係ですね。一つの事業所だけじゃない、複数の事業所に子供が通ったりしますので、事業所間連携もしっかりと加算がついていることによって、親の機能を果たすべきところが積極的に子の事業者に対してコミュニケーションを図っていく。
私がやっていた当時というのは、いわゆる市場の奪い合いみたいな、だから、どうしても寡占化というか、事業者が大きくなっていっちゃうんですね。大きくなればなるほど、まさに現場の声よりも効率とか効果とか、そういうことに偏ってしまう。
そういう意味では、例えば、ある特定の地域で、一事業者が、少ない数でも質で勝負していける、だから、逆に、質の高い事業者が今後増えていくんじゃないかという希望すら感じているんですけれども、この報酬体系の見直しと事業者連携加算について、お考え、見解をお答えください。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
今般の報酬改定においては、子供や家族への質の高い支援の確保、充実を図る観点から、様々な見直しを行っているところでございます。
児童発達支援及び放課後等デイサービスの基本報酬につきましては、令和五年三月に取りまとめられた障害児通所支援に関する検討会報告書において、支援に対する人員の配置状況や支援内容等にも留意しつつ、支援時間の長短を考慮したよりきめ細かい評価を行うことが必要であるとされたことを踏まえまして、先生から御指摘がございました、個々の利用者の支援時間に応じたきめ細かい評価が可能となるよう、支援時間による区分を創設したところです。
また、支援の適切なコーディネートを進める観点から、セルフプランで複数の事業所を併用する障害者については、利用する事業所間で支援に係る情報連携等を行うことを評価する事業所間連携加算を創設したところでございますが、この加算につきましては、市町村が、保護者の同意を得た上で、支援についてコーディネートを進める中核となる事業所、コア連携事業所を定めまして、当該事業所が中心となって取組を進めることとするとともに、利用する複数の事業所が全て同一の法人の運営による場合には算定できないこととすることなど、適切な運用を図る仕組みとしているところでございます。
今回の改定による報酬体系について、自治体や事業所に理解を深めていただきながら活用を進めていただき、引き続き、子供とその家族への質の高い支援の提供が推進されるよう取り組んでまいります。
○金村分科員 次の段階は、私はかねてより主張しているんですが、いわゆる自己負担を上げる。今、四千六百円とか三万七千二百円とか上限があるんですけれども、この自己負担額を上げると、当然親の負担にはつながるんですけれども、その分だけ価値を見極めるんですね。つまり、四千六百円だからここでいいやと漫然と選んでしまうんですね。だから、自己負担を上げるところまで踏み込むと、本当に質の高い療育施設が必要とする児童に届いていく。報酬改定によって働く人たちの賃金を上げること、そして、障害児療育の質を上げるためには、一定程度親が負担を背負うことで質を見極めていくというところが最後の自由な社会だと私は考えておりますので、是非政府においても御検討いただきたいと思います。
その上で、私、もう一つ驚いたのが延長支援加算ですね。
これまで、自治体もそうですし、国も、やはり療育を行う、だから、居場所のため、つまり、どうしてもお迎えに行けないから、この時間、少し預かってもらえませんかというサービスがこれまで認められてこなかったんですね。それは、当然、早期発見、早期療育という療育の大枠がありますから、当然と受け入れてはいましたけれども、やはり御家庭の都合でどうしても延長していただきたいときというのは存在していたんですね。それを、ある事業所はサービスで提供していたんだと思うんですね。けれども、それを適切にきちんと加算の対象にしていくことによって、親もそういうサービスが存在することによって選択肢が広がるし、事業所側も適正な加算がされればそういうサービスを提供することができる。
延長支援加算というのは非常に大きいということと、これは結局は家族支援なんですよね。私も、障害児を子育てしながら一番感じるのは、やはりきょうだい児なんですよね。どうしても障害児に安心、安全な場所にしかお出かけができない。そうすると、きょうだい児にとってはもはや楽しいと思えない場所なのかもしれない。きょうだい児が満足にそういう意味では遊んだり学んだりすることが、機会が減ってしまうかもしれない。そう考えたときに、やはり私はこの療育の中に家族支援をもっと強化していくべきだと考えています。
加えて、なかなか、制度というか、施設数が増えていかないんですけれども、本来は、例えば我が家であれば、一番下の障害を伴った息子が例えば一泊二日で短期入所のようにお泊まりに行く、その間にきょうだい児の満足度を高めていく、そういう選択肢があふれていくと、私はもっと家族支援につながるんじゃないかなと思うんですけれども、現在の家族支援の在り方について御見解をお答えください。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
今般の報酬改定においては、障害児支援における家族支援の充実の観点から、先生御指摘のように、家族への相談援助について、きょうだいも対象であることを明確化し、オンラインでの対応も含め評価を充実するとともに、家族に支援場面を通じた学びの機会を提供することを評価する加算の創設や、延長支援加算について、預かりニーズに対応した見直しを行ったところでございます。
また、障害のある子供の在宅生活の継続や、きょうだい児や親のレスパイト、一時的休息の観点から、短期入所も重要であると考えており、今般の報酬改定においては、医療的ケア児者の受入れや緊急時の対応等について評価の充実を行ったところでございます。
引き続き、障害のある子供とその家族が安心して地域生活を送るため、必要な支援の充実に取り組んでまいります。
○金村分科員 家族支援、どんどんどんどん質を高める、あと、量的緩和も是非検討いただきたいと思います。
そして、今度は、いわゆるエッセンシャルワーカー、働き手の側のお話をさせてください。
私、八年間、事業運営をしてきて、従業員は多いときで百名ぐらいだったんですけれども、一番大変なのが有休消化なんですね。これはどうしても、人員配置の問題、特に加配でついている人たちだと、その人たちが有休消化とはいえ長期でお休みになると、一日当たり守らなければいけない人員配置を怠ってしまうことにつながったりするんですね。人数は足りていても質が足りていないとか。なので、八年間で、満足に有休消化できた人というのはそんなに多くなかったなという認識なんですね。
今、当然、子育ての観点からも、男性の育休をきちんと取得できるように制度設計し直したりしていると思うんですけれども、実際に、こういうエッセンシャルワーカーの現場というのはほとんど難しいんですよね、本音で言えば。確かに、制度として使ってほしい、その分、人を多く雇用するとやはり事業所側のリスクにつながってしまいますから、安定した事業運営を考えるとなかなかそれも選択しづらいという中で、有休消化がしやすい仕組み、エッセンシャルワーカーの皆さんがどうしたら有休消化がしやすくなるのか、この辺りの見解を教えていただけますか。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
障害児通所支援においては、基準で求める人員体制に加えて職員を加配した場合に、児童指導員等加配加算や専門的支援体制加算により評価を行っております。これらの加算の算定に当たりましては、職員を常勤で配置した場合は、当該職員が病気で欠勤する場合や有給休暇を取得する場合であっても要件を満たすこととしております。
人材の確保や職場環境の改善といった観点も持ちながら、各事業所において子供の個々の特性や状況に応じた質の高い支援の提供が推進されるよう、引き続き取り組んでまいります。
○金村分科員 今の答弁ですと、有資格者で人員配置をしている人がいわゆる有休消化をしても大丈夫ですよということですか。もう一度お答えいただけますか。
○吉住政府参考人 まさに先生の御指摘のとおりでございます。
○金村分科員 これは物すごく画期的だと思うんですよね。つまり、これまで、有休消化をしたくとも、経営者側からすると有休消化をしてほしいと思っていても、持続可能性が危うかったのでどうしても我慢してもらわなきゃいけなかった事業所運営が、これから有休消化をしたいと思ったときにきちんと消化ができるようになると、いわゆる働き方改革の一環にもつながると思うんですね。
これはどれだけ事業所側にアナウンスができているのか。そこも周知徹底しないと、従来型のシステムのまま、結果働いてしまうというのはよくある話ですから。
それからもう一点、こういったエッセンシャルワーカーと呼ばれる皆さんや、それから、そういった、私が経営してきたような障害児支援だったりという経営者は、比較的アナログなものも重要視しているので、情報に対する感度というのはみんながみんな高いわけじゃないんですね。そうであれば、やはり、自治体が定期的に行ういわゆる説明会だとか、それから事業所に対する通知とかに明確に記載をしていただけると理解が進むんじゃないかなと思いますので、是非周知をいただきたいと思います。
その上で、大臣に先にちょっと、時間もありますので、質問させていただきます。
私は、いよいよ子育て支援というのは大きくフェーズが上がってきたなという認識です。
それは、今思えばですけれども、二十年ぐらい前というのは、保育園が足りない、待機児童の問題、働きながら子育てしていくために必要な制度はあれど、供給が追いついていなかったという段階でした。
私、ずっと保育園に子供を通わせながら思っていたのが、スーパーの袋を持って子供を迎えに行くと怒られるんですよね。仕事が終わったらすぐお迎えに来てください、スーパーは後で寄ってくださいと。実際、僕はそういうのを割と無視してスーパーに寄っていたんですけれども、ただ、ほとんどの親はやはり遠慮しちゃうんですよね。
そのぐらい、以前は待機児童解消とか需要と供給のバランスを整えていく段階から、今度は親の休息をどうつくり上げていくかという制度に上がってきているんだと思うんですね。それは、例えば、仕事が終わった後、保育園に一時間多く預けてもいいですよ、その分もちろん保育園側の負担は増えますから予算のかけ方は変わると思うんですけれども、ただ、そうやって親の休息をどうつくっていくのかというのを考えなきゃいけない子育て支援策の段階に来たという認識です。
その上で、実は、親が休息を持ちたいと思ったときに、例えばベビーシッターを呼ぶとか、いろいろな選択肢があると思うんですけれども、私、妻にベビーシッターを呼ぼうとお願いしたら、家の敷居をまたいでほしくないと言うんですよね、他人に。これは実は日本の文化としてすごくあると思うんですよ、他人に家庭の中で支援を受けることに対する違和感というか拒否感というか。
ですけれども、親の休息時間をどう確保していくかという子育て支援策の段階に来ているとすれば、夫婦が支援を受けるときに、敷居をまたいででも支援が欲しいときの支援を充実させなければならないんですね。それが産前産後のサポートだと思うんですよ。例えば、地方出身者同士が里帰りすることができず、今居住している先で夫婦で第一子の子育てをスタートさせようとすると、男性が育休を取れば万事解決ではないですよね、全く初めての出来事ですから、当事者は。
そういう意味では、産前産後のサポートを充実させていくと、その後の育児において家庭の中での支援を物すごく受けやすくなるんじゃないかというふうに私は捉えていまして、それは私の実体験でもあるんですね。妻にベビーシッターを呼ぼうとしたときに、それはちょっと難しい、だからあなたに早く帰ってきてほしいというのが彼女のメッセージだったんですね。
だから、そういう意味では、産前産後のサポートをどう充実させていくのか、大臣の今の見解をお答えください。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、身近に育児の支援者がいない御家庭においては、外部からの支援の必要性が高くなるものと認識をしております。
このような必要性等に応えるため、こども家庭庁においては、出産後の母子に対して心身のケアや育児のサポートなどを行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を図る産後ケア事業を実施しているところでございます。
また、令和五年度から、産後ケアを必要とする全ての産婦に対して利用料の減免支援を導入しております。加えて、実施要綱で定める対象者について、これまで心身の不調のある者等としていたところを産後ケアが必要な者と改め、産後ケア事業がユニバーサルなサービスであることを明確化をし、産後ケアをより一層利用しやすくするために必要な体制整備を進めているところでございます。
さらに、産後ケア事業の実施に当たりましては、妊娠中から出産後に至る支援を切れ目なく行う観点から、全ての妊産婦、子育て世帯への包括的な相談支援等を行うこども家庭センター等と必要な情報共有など、連携を図ることとしております。
引き続き、妊産婦とその御家族が産前産後にきめ細やかな支援を受けることができるよう取組を進めてまいります。
○金村分科員 私は、孫育てを社会に実装していけば子育て支援は更に充実すると思いますので、是非、こども家庭庁、しっかり牽引していただきたいと思います。
これで質疑を終わります。ありがとうございました。
○中西主査 これにて金村龍那君の質疑は終了いたしました。
次に、坂井学君。
○坂井分科員 坂井学でございます。
本日、松村大臣、お忙しいところありがとうございました。
そして、今日は、能登地震の能登半島における状況、特に輪島と珠洲を中心にお伺いをさせていただきたいと思っております。
まず最初に、私の地元の方が被災地のボランティアに行ったときに感じてきたことからお話をさせていただきたいと思います。
それは何かというと、避難所があちこちで開設をされているときに、避難所によっては、いわばコンビニ弁当と俗に言われる、そういったお弁当だけが配られる場所と、場所によっては温かい御飯が毎食出る場所と両方あったということで、御報告をいただいたところでありました。
その中で、特に、その方が行ったところは穴水と輪島と二か所あったわけでありますが、共に地元の料理人の方が炊き出しというか食事作りに協力をしていただいていたということでございまして、まずは、この地元の料理人、居酒屋をやっている方も、それから食堂をやっている方も含めて、もっと専門的な料理を出している料理人の方も含めて、いろいろな方が協力をし合ってやっている。
このよさは幾つもあって、一つはもちろん、避難者、避難所にいる方々の栄養を考えて健康にいいものを提供できる、温かいものを提供できるということもありますが、それ以外にも、臨機応変にメニューを考えられるので、例えば差し入れがありましたといったときに、その差し入れの中身に応じてメニューを変えていただいて提供していただくということで、食材の無駄がなくていろいろな方々の協力を受けることができる。
そして何よりも、料理人の人たち同士のネットワークがあるので、外部からの方も大変来やすい。その上に、NPOでこういう避難所の炊き出しなどの応援を、支援をしてくれるNPO等が幾つもありますが、そういったところの受入れも大変しやすいという、いろいろな意味でプラスになるんだということをお聞きをいたしました。
私自身も、輪島中学校に参りましてそこの状況をヒアリングをしてきたところでございますが、そういった中で、やはり平時のとき、災害がないときにもそういったことを想定をして準備をしておくということがこれから大事になってくるんじゃないかということでございまして、いろいろな災害の中で、今も既に、例えば地元の建設業者の方々とは、自然災害のときのいろいろな協定、災害協定等を結んで準備をしていると思いますが、こういった地元の料理人の方々も、是非、そういった協定や話合いをする中でうまく協力してくれる体制を平時からつくっていくということが必要かと思いますが、役所の考えをお聞きをしたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
避難生活が長期化する中で、メニューの多様化や温かく栄養バランスの取れた食事の確保は重要でございまして、委員御指摘の協定の締結も、非常に有用な方法と考えております。
内閣府では、自治体に対しまして、地域やボランティアによる炊き出しや企業による弁当の提供等に関する協定を締結する等の準備を事前に行っておくべきことを示すとともに、温かい食事の提供を可能とする調理師会等との協定やキッチンカー事業者との災害時の支援連携協定の締結の事例を示して、取組を促してきたところでございます。
また、今回の能登半島地震におきましても、被災地の事業者の営業再開状況を勘案し、近辺の事業者等と供給契約を結ぶなどいたしまして適温食の確保に配慮すること等につきまして、自治体に対し改めて周知してきたところでございます。
委員からも御指摘いただきましたけれども、例えば、穴水町や輪島市では、地域の飲食店と連携して、セントラルキッチン方式で調理をして各避難所に食事を配食するといった取組を行っていたりとか、また珠洲市では、地元の弁当事業者に対する委託を行って避難所への食事の提供を行っているものと承知をしております。
引き続き、自治体と連携しまして、被災者の方々が安心して避難生活を送れるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○坂井分科員 これは実は、だから、地元の飲食店をやっていた方々も被災を受けて、そしてまた、今回の場合は二次避難でかなり人がいなくなるというようなことで、営業ができない状況にあります。営業ができない、つまり仕事ができない、収入が断たれる状況にあるわけで、今回、輪島中などでは、NPOがその料理人の方の日当なども、決して多額ではありませんがお支払いをすることで、飲食店をこれからまた復活をしたいという方の支援にもなっているということでありました。
一方で、行政から入ってくるお金は、被災者の方の一日の食費千二百何円、たしかそのぐらいの金額だったと思いますが、それだけしか行政からは入ってきていないということでございますので、飲食店は今後、復旧復興する中で貴重な、いろいろな方々の交流の基点となってまいりますので、そういったことからも、日当も払うということも込みで是非ともこの制度を考えていただきたいと希望しておきたいと思います。
次に、汚水配管、要は下水道、浄化槽の話に移っていきたいと思っております。
まず確認でありますけれども、珠洲市の方から御相談がありまして、下水道サービスを提供している場所において、自分が家を修理したい、若しくは修理をして改修するんだか新築をするんだか、とにかく新たに家を建てて住みたいけれども、下水道にどうしてもつながなければ許可を出さぬ、こういうことを言われているということがありましたが、そういったことは今の法制度上あるんでしょうか。
○松原政府参考人 一般に、住宅の建設や修理の許可などの取扱いにつきましては、申請時点で下水道につながっていない場合でも自宅の建設や修理に着手することは可能でございまして、石川県も同様であると承知しております。
○坂井分科員 それはだから、つながないということは、合併浄化槽をいけて家を建てることができるということでよろしいんですか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
現行の建築基準法での取扱い、解釈になりますけれども、建築基準法では、三十一条におきまして、下水道法に定める処理区域内におきましては、汚水管が公共下水道に連結された水洗便所を設けることというのを義務づけております。
したがいまして、建築確認におきまして当該規定が満たされている建築計画となっているかを確認するということで、公共下水道とつながっている計画になっているかどうかということを確認させていただきます。
現時点で公共下水道が復旧していない場合でも、水洗便所が公共下水道に連結されるような計画とした上で確認申請を行っていただければ、当該基準に適合するものとして確認済証を交付することは可能であると考えております。
○坂井分科員 そこで大変私も状況が分からないので心配しておりますのは、今下水道につないで本当に大丈夫かという話なんですね。本管がこれだけやられて、本管は水道の中の水を圧をかけて流しますから、ちょっとでもそれが割れていたり壊れていると、そこからわあっと水が出ますから分かりますけれども、下水、汚水はあくまでも勾配で、自然流下で流れていきますから、これは分からないわけですよね。
これを、流下機能は維持しているから今下水道は使えるということでレクをいただいたと聞いておりますけれども、この流下機能を維持しているということと、下水道の本管が全く壊れていない、漏水していないということは同じということでよろしいんでしょうか。
○松原政府参考人 失礼いたします。
現在、市町が管理します下水道管路、いわゆる本管でございますけれども、これについて、全て流下機能を確保しているというふうに判断しております。例えば、マンホールが浮上したりしている場合でありましても、下水道管に多少のたるみがある場合には、その程度の被害でございましたら、高低差により流下機能が確保されているという場合がございます。
ただ、管路が破断したりですとか潰れていたりしまして流下機能が確保されていない場合、こういった場合には、仮設ポンプですとか仮設配管を設置するなどの応急対応を実施することによりまして機能を確保しているところでございます。
現在、いわゆる宅内配管の、本管はできているけれども、本管から……(坂井分科員「それは聞いていない、今」と呼ぶ)はい。失礼いたしました。
以上でございます。
○坂井分科員 私が聞いているのは、だから、漏水していないということを確認をして、漏水していないということと一緒なのかということを聞いているんです。流下機能は確保しているとおっしゃったが、これは漏水をしていないということを担保することと一緒ですかということを聞いています。
○松原政府参考人 流下機能を確保していれば、漏水をしていないということでございます。
○坂井分科員 上水がこれだけ大変にあちらこちらで壊れていて、下水が何もしていないけれども壊れていないというのは、どういうふうに、その壊れていないという確認をしているんですか。
○松原政府参考人 失礼します。
確認に当たりましては、下水道管路に堆積した土砂を除去いたしまして、下水管路に破断や閉塞がないかどうかということを確認して、流下機能が確保されているかどうか判断しているところでございます。
○坂井分科員 それはまさしくよく分からないんだけれども、ずっと土の中にいけられているじゃないですか。それをだから全部確認できているということなんですか。
○松原政府参考人 土砂を除去した上で、破断、閉塞がないか確認をしているということでございます。
○坂井分科員 なので、土の中にいけられた配管を、どのように壊れていないかを確認しているかを聞いているんですけれども。
○松原政府参考人 カメラ等を入れて確認しているところでございます。
○坂井分科員 これは両方、今本管の話がありました、本管の話で、流れている、そして、しかも壊れていないということでございますので、ここで、じゃ、まずはその確認をさせていただいたということで、次の質問をさせていただきたいと思います。
次は、先ほど触れていただいた宅内配管でございますけれども、どう見ても、この宅内配管に関しても、今、上水道が通ってきているところがあります、今までの配管が使える家はほとんどありません。何軒も見てまいりましたが、基本的に今までの配管が使えないので、外から回して上水の配管をしているという家がほとんどであります。
これも、上水だけが壊れて、下水が壊れていない、要は汚水配管が壊れていないということは極めて考えづらいと思っているんですが、今現在、上水が復活をしているところで、水道屋さんに数社お話をお伺いをしましたが、宅内の汚水の配管、これもとにかく水を流してみなきゃ分かんねえといって、つまりは、今のところ、一切検査もせずに、調べもせずに上水だけつないでいるというところが、現場へ行けばほとんどだと思われます。私が聞いたところは全てそういう状況でした。
こういった状況で、当然、汚水がどこかに漏水をしているという状況が想定されるという、これは本管の話じゃなくて宅内の配管の話ですが、こういった状況をまずは環境省が知っているのかということと、環境省はこの現状をどう考えるのかということをお聞きしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘いただいたような状況につきましては、私どもとしてもまだ把握し切れておりませんので、国交省さんともしっかり連携をしながら、今後対応してまいりたいと考えております。
○坂井分科員 これは大変大きな問題だとも思うので、なかなか対処の方法も難しいところではありますが、しかし、あるという現状をしっかり把握した上で、情報収集からまずはスタートしていただきたいと思っております。
次に、解体について御質問したいと思います。
今解体がほとんど進んでいないというのが、復旧の遅れのある種の象徴となっておりまして、被災者の方々にもある種幻滅を与えているということが言えるんじゃないか、こう思っておりますが、この計画が、実は、地元の方々や業者さんにも、ほとんどというか余りはっきり示されていないということもあります。
行政からは、例えば外部から来る解体業者の皆さんの宿泊に関しても、宿泊の場所であったり人数であったりをちゃんと出しているんだと言うけれども、その外部から応援に来る解体業者の皆さんそのものがその状況、どうなっているかは全く知らされていない、行政に聞いても一切説明がないという状況だということをお聞きをいたしました。
実際、この外部からの応援の人たちの宿泊の段取りがどうなっているのか、また、五月、六月、七月、解体のチームを何隊入れてどのような解体を進めていく予定になっているのか教えてください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
公費による解体の計画の全体像につきましては、石川県が二月末に公表いたしました災害廃棄物処理実行計画において示されているところでございまして、解体棟数を、例えば、珠洲市で申し上げますと約五千六百棟、輪島市で申し上げますと約三千六百棟、県全体では約二万二千棟と推定をし、令和七年十月までに解体撤去の完了を目指すこととしております。
また、解体事業者の宿泊場所につきましては、特に奥能登二市二町では、当面は民間の宿泊施設等を活用いたしますが、今後の公費による解体の本格化に伴う需要の増加への対応につきましては、仮設宿泊施設の設置候補地九か所を今確保済みでございまして、仮設宿泊施設を六月をめどに設置をし、合計約千六百名分の宿泊地を確保することとしております。
こうした宿泊場所につきましては、石川県や石川県の構造物解体協会と調整を進めさせていただいているところでございまして、御指摘も踏まえまして、関係事業者にもしっかりと周知されるよう働きかけてまいりたいと考えております。
また、解体事業者につきましては、これまで百班規模が活動しているところでございまして、五月以降は更に追加で四百から五百班が順次現地に入り、夏頃には平均六百班が活動できるよう、県や市町の取組を支援してまいりたいと考えております。
こうした具体的な取組や計画の具体的な中身につきましては、御指摘も踏まえまして、関係事業者を始め関係者の方々にしっかり周知されるよう、私どもとしても引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○坂井分科員 それで解体の業者の話でありますが、昨年の売上高に対応して、入れるチーム、班数を限定をするということを現場でお話を聞いてまいりました。
一隊でも多く入れて一棟でも多く解体をし、そして復旧のステージに行きたいところに、なぜ、例えば二十隊用意できる会社があるにもかかわらず、前年度の売上げで五隊しか入れないというようなルールを作っているのかということに関して、その理由をお聞きしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
私どもといたしましても、ただいま御指摘いただきましたとおり、一班でも多く、そして少しでも早く解体を進めることは極めて重要であり、その方向に進むようにしっかり取組を進めてまいりたいと考えております。
ただいま御指摘いただきました点につきましては、まず全体像でございますけれども、公費による解体を行う解体事業者につきましては、石川県との災害応急協定に基づく石川県構造物解体協会の協力により、ピーク時に平均六百班を北陸ブロック内で確保することとしております。
このうち、福井県の解体事業者との調整状況につきましては、石川県を通じて、石川県構造物解体協会に確認をさせていただきました。その結果、御指摘のとおり、福井県解体工事業協会内では売上高を基準に班数の調整を行っている、こういうことでございました。
環境省といたしましては、公費による解体を速やかに進めるためには、可能な限り多くの解体事業者で班数を確保していただきたいと考えておりますので、御指摘を踏まえ、石川県を通じて、石川県構造物解体協会、さらには福井県解体工事業協会にこうした趣旨の徹底を依頼させていただいたところでございます。
石川県の目標である令和七年十月までの解体工事の完了を目指し、石川県と緊密に連携して、御指摘の点も踏まえまして、解体工事の加速化に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○坂井分科員 それともう一つ、売上高を基準とするというのに、やはり、隊を一隊でも多く入れたいというものに対して大きな課題があります。それは、工事が終わった、会社が工事をやりました、解体の仕事が終わりました、終わってから代金がその会社に入ってくるまで何か月かかるか知っていますか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
基本的には、工事が終わってから、市町村から三十日以内にお支払いをさせていただくというのが基本ルールになってございますけれども、そのとおりにしっかり動くかどうか、動くようになるように、私どもとしてもしっかり取組を進めてまいりたいと考えております。
○坂井分科員 大変ありがたいお話ですが、今どれだけかかっているかというと、八か月です、八か月。普通の通常の工事でも、工事が終わって、長くたって大体、手形、半年ぐらいじゃないですか。しかも、手形は割り引けるので。
そういう中で、入ってくるのが八か月待たされるということになると、これはしかも、隊で入ってきた人たちの宿泊の代金もどうなるか全然示されていないわけです。そういうのも入れると、例えば、五億円の売上げの会社だと大体七隊入れてもいいよということになっているんですが、七隊入れて八か月待たされると、大体、宿泊代も入れると三億円近い金額になります。つまり、その三億のお金を立て替えられなければ入ってくるなという状況になっているんです。
これは八か月というのはもっと短くしなきゃ。それは一か月だということでおっしゃっていただいたのでありがたいなと思いましたが、改めて、三十日以内ということで進めていただくようお願いしたいんですが、いかがですか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の点も踏まえまして、また、御指摘いただいたような実態についても私どもの方で改めてしっかり確認をさせていただいた上で、基本ルールにのっとり、しっかり取組が前に進むよう、私どもとしても最大限努力をしてまいりたいと考えております。
○坂井分科員 よろしくお願いします。
なお、解体が進んでいく中で、輪島市の解体後の瓦れきを置く仮置場が狭いという指摘をいただきました。
実際、私、珠洲は見たんです。珠洲はジャンボリーという場所があって、むちゃくちゃ広くて、えらい広いんですが、これでも足りなくなるかもしれないので、その場合はその奥をまた新たに置場にしますと、奥にも予定地がありました。ところが、輪島の場合、三か所と聞いたんですが、どれもこれもさほどではないということを聞いております。
実際にどれだけの面積が予定をされているのか。珠洲がどれだけ予定をされているのか、輪島がどれだけ予定されているのか、これで足りないとするならばどの場所をどれだけの広さずつ増やすのか。この計画が今なければ、解体を始めた後、そこでふん詰まってまた今度遅れていくのは間違いありませんので、その状況をお聞きしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
まず、珠洲市につきましては、現在、四か所の仮置場が設置されております。それぞれの面積が、十二万平方メートル、七千二百平方メートル、七千平方メートルと、あと四千二百平方メートルです。
一方、輪島市につきましては、現在、仮置場設置箇所は三か所でございまして、それぞれの面積でございますけれども、二万平方メートル、一万七千平方メートル、そして約七千平方メートルと、御指摘のとおり、珠洲市と比べますとその面積は広くない、こういう状況でございます。
今後、公費による解体が本格化した場合には、御指摘のとおり仮置場が不足する可能性、こうした点をしっかり見据えた上で、引き続き関係市町と緊密に相談をして、追加設置等の必要な調整を進めてまいりたいと考えておりますが、現時点で、ここに新しく造る、そういうところにはまだ行けておりませんので、引き続き、しっかりと相談、調整を進めてまいりたいと考えております。
○坂井分科員 今の時点で全くないということ自体が既に大分心配だということなので、そこはしっかり対応していただきたいと思います。
そして、国の役所の方々の仕組みからいって、ある意味仕方ないと思うんだけれども、やはり現場の状況をもっとしっかり把握をした上で、現場がちゃんと動くように、監督指導というんですか、動いていただきたいなと思っております。
現場の状況がほとんど入ってきていない中で、つまり、市や県からの情報、話ということなのでしょうが、その話の時点で既に現場とかなり乖離があるということをあっちこっちで感じておりますので、是非現場の状況を確認した上で動いていただきたいと希望したいと思います。
大臣にお聞きをしたいんですが、実は、能登半島の方々、いやが応でも、今、二次避難所に行かなきゃいけないという方々が多かったり、みなし仮設での生活を余儀なくされておりまして、つまりは、もう既に、二拠点、二地域で住まざるを得ない状況を余儀なくされております。
これが、例えば金沢で住むのに、金沢の行政サービスを受けるために住民票を移せという話になって、今何人も移しているわけでございますが、これが進むと、一旦、住民票を移した住民が、輪島でも珠洲でも穴水でも、戻るという可能性が極めて低いということが分かっておりまして、これは、二地域の居住をしっかり応援をしていく、そのことによって、今二次避難をしている、みなし仮設に住んでいる元々の被災地の住民の皆さんと被災地をしっかり結びつけておくということが必要ではないか、行く行くはそのことが、今度は復旧復興のタイミングになったときには、いろいろな、今度は外部の方々との関係人口づくりの中で生かされてくると私は思うんですが、その点、お考えをお聞きしたいと思います。
○松村国務大臣 お答え申し上げます。
坂井委員におかれましては、災害特別委員会の筆頭理事ということで平素からいろいろと御指導いただきまして、ありがとうございます。また、被災地にも入っていただきまして、ありがとうございます。
お答えする前に、先ほどの環境省とのやり取りでございますけれども、このことは既に分かってもおりましたので、輪島についての、やはりヤードの確保、これは環境省ともしっかり連携をしながらやってまいりたいと思っています。
そういう意味でも、解体の手順というのがやはり必要だろうと思います。ヤードを確保するための解体場所を先にやるであるとか、こういったものの現状、状況を把握しながら、しっかりやってまいりたいと思います。
それから、支払いサイトにつきましては、これは八か月というのはあり得ませんので、しっかりとまず現状を把握して、これも環境省としっかりと連携をしてまいりたいと思います。
お尋ねの件でございますけれども、今回、二次避難という形で避難をいただきました。地元を離れていただいて、他の町村でしっかり行政サービスを受けられるようにすることは重要と認識しておりましたので、現在、二次避難をしていただいている方々にも、それぞれ避難した市町におきまして行政サービスを受けられるように対応しているところでございます。
加えて申し上げるならば、今回、二次避難という苦渋の選択をいたしましたが、こういったものの準備も今後必要ではないかなというふうに考えております。現場の状況次第によってはやはり復旧が大変長期にわたる可能性がございますので、今後いろいろと精査した上で、今後の在り方についても検討してまいりたいと考えております。
○坂井分科員 もう時間がなくなりまして、やめなきゃいけないかもしれない時間ですが、最後に一つだけ大臣に。
今現場がなかなか動かない一つの大きな原因が、やはり、応援に来てもらう人の寝泊まりする場所の不足、人手不足、マンパワーを確保できないという大きなネックがあると思います。
今回、あちらこちらで、そういった外部からの応援をして来る方々の宿泊先なども今つくっていただいているということは聞いておりますが、しかし、大体、この人手確保は、元々は、国、県、あと市町村のうちどこの担当なのか、そして、実際に、国、県、市とそれぞれが連携しながら具体的にどのように動いているのか、お聞きしたいと思います。
○松村国務大臣 御指摘は大変重要な点だと思っております。インフラの復旧であるとか公費解体でありますとか、人手不足や財源不足で復旧が遅れることがあってはならない。このフェーズは過去の経験から予測をいたしておりましたので、今回の場合は、やはり宿泊所、いわゆる支援者の方々の宿泊所、これを知事ともお話をいたしまして、二月からいろいろ随時進めてきたところでございます。まだ完全ではございませんが、水が来る時期に合わせて復旧復興を加速させるために、順次進めているところでございます。
また、人手不足というよりも、業者不足というのが過去の経験でございました。そういったことを考えると、自治体や県、国がばらばらに発注をしていては、これは間違いなく不落が起き、人手不足というよりも、進みません。
したがいまして、これもまた知事とお話をして、是非、国、県、市町、こういったところでどれぐらいのキャパがあって、どの時期に何を優先して発注をやったらばいいのか、そのことで業界の皆さん方は対応できるのか、足りなければ外からでも入れるのか、こういった協議会をつくっていただいて、現在、調整をしながらやらせていただいているところでございます。
問題点というのは十分に理解をいたしております。十分ではございませんが、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えています。
○坂井分科員 ありがとうございました。終わります。
○中西主査 これにて坂井学君の質疑は終了いたしました。
〔主査退席、小林(史)主査代理着席〕
―――――――――――――
○小林(史)主査代理 これより内閣府所管中警察庁について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。松村国家公安委員会委員長。
○松村国務大臣 令和二年度から令和四年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
令和二年度歳出予算現額四千三億六千百九十七万余に対しまして、支出済歳出額は三千四百九十五億百四十九万円余であり、五百八億六千四十七万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度繰越額は三百三十三億五千二百三十五万円余であり、不用額は百七十五億八百十二万円余でございます。
続きまして、令和三年度歳出予算現額四千十億八千六百六十六万円余に対しまして、支出済歳出額は三千三百二十九億二千五百八万円余であり、六百八十一億六千百五十八万円余の差額を生じます。この差額のうち翌年度繰越額は四百五十六億五千七百三十一万円余であり、不用額は二百二十五億四百二十七万円余であります。
続きまして、令和四年度歳出予算現額三千九百六億五千五百二十七万円余に対しまして、支出済歳出額は三千三百四億二千万円余であり、六百二億三千五百二十七万円余の差額が生じます。この差額のうち翌年度繰越額は三百七十二億六千七百二十二万円余であり、不用額は二百二十九億六千八百四万円余であります。
以上で、令和二年度から令和四年度における警察庁関係歳出決算の概要説明を終わります。
何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○小林(史)主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 令和二年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
これは、水害時に浸水し非常用発電設備等又は通信機器が損傷する可能性のある警察施設について、その浸水のおそれ及び想定される浸水被害等を調査し、その結果等を踏まえて浸水対策の計画を策定することなどにより、浸水対策が効率的に実施されるよう改善させたものであります。
次に、令和三年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもちまして説明を終わります。
○小林(史)主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。松村国家公安委員会委員長。
○松村国務大臣 令和二年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりであり、誠に遺憾に存じております。
御指摘を受けた事項につきましては、直ちに是正の措置を講じたところであり、今後も警察施設に係る浸水対策に万全を期してまいる所存であります。
以上でございます。
○小林(史)主査代理 以上をもちまして内閣府所管中警察庁についての説明は終わりました。
これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、内閣府所管中警察庁については終了いたしました。
それでは、御退席くださって結構です。
―――――――――――――
○小林(史)主査代理 これより国会所管について審査を行います。
まず、国会主管歳入決算及び衆議院関係決算の概要説明を聴取いたします。岡田衆議院事務総長。
○岡田事務総長 令和二年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
国会主管の歳入につきましては、予算額二十三億四千四百四万円余に対しまして、収納済歳入額は二十一億九千三百八十一万円余であり、差引き一億五千二十三万円余の減少となっております。
次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は六百六十六億七千二百五十四万円余でありまして、これに前年度からの繰越額五千五十万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額十九億五千六十四万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六百四十七億七千二百四十万円となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は六百十八億四千八百九十八万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百二億九千八百二十五万円余、衆議院の運営に要した経費百九十九億三千四百七万円余、衆議院の施設整備に要した経費十億三千二百五十二万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費五億八千四百十二万円余であります。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額は二十九億二千三百四十一万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額六千九百二万円余、不用額二十八億五千四百三十九万円余であります。
以上が、令和二年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。
引き続きまして、令和三年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
国会主管の歳入につきましては、予算額二十二億四千九百九十七万円余に対しまして、収納済歳入額は二十二億三千五百一万円余であり、差引き千四百九十六万円余の減少となっております。
次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は六百九十一億一千九百八十万円でありまして、これに前年度からの繰越額六千九百二万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額十四億二百三十万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六百七十七億八千六百五十一万円余となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は六百三十七億二千百五十一万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百十五億七千九百十七万円余、衆議院の運営に要した経費二百億七千五百五十四万円余、衆議院の施設整備に要した経費十四億七千百五十九万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費五億九千五百二十万円余であります。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額は四十億六千四百九十九万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額二億五千四百四十六万円余、不用額三十八億一千五十三万円余であります。
以上が、令和三年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。
引き続きまして、令和四年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
国会主管の歳入につきましては、予算額二十億六千七百五十九万円余に対しまして、収納済歳入額は二十一億八百十四万円余であり、差引き四千五十五万円余の増加となっております。
次に、衆議院関係の歳出につきましては、当初の歳出予算額は六百六十五億四百五十六万円余でありまして、これに光熱水料等のための予算補正追加額六億七千六百四万円余、前年度からの繰越額二億五千四百四十六万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額八億四百三十三万円余を差し引きますと、歳出予算現額は六百六十六億三千七十三万円余となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は六百三十九億六千五百八十四万円余でありまして、その内訳は、国会の権能行使に要した経費四百十六億九千九百二十二万円余、衆議院の運営に要した経費二百億九百二十五万円余、衆議院の施設整備に要した経費十六億五千八十七万円余、民間資金等を活用した衆議院の施設整備に要した経費六億六百四十八万円余であります。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額は二十六億六千四百八十九万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額一億九千七百三十七万円余、不用額二十四億六千七百五十二万円余であります。
以上が、令和四年度国会主管一般会計歳入決算及び衆議院関係の歳出決算の概要でございます。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○小林(史)主査代理 次に、国立国会図書館関係決算の概要説明を聴取いたします。倉田国立国会図書館長。
○倉田国立国会図書館長 令和二年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
当初の歳出予算額は二百二億千六百三十四万円余でありまして、これに所蔵資料のデジタルアーカイブ整備等のための予算補正追加額六十三億九千二百五十九万円余、前年度からの繰越額十三億三百万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額七千八百八十九万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二百七十八億三千三百四万円余となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は百九十七億五千七十一万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費九十七億二千百五十九万円余、国立国会図書館の業務に要した経費七十七億六百六十一万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十一億三千五百三十八万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費十一億八千七百十三万円余であります。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額は八十億八千二百三十二万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額七十三億六千十四万円余、不用額七億二千二百十八万円余であります。
以上が、令和二年度国立国会図書館関係の歳出決算の概要でございます。
引き続きまして、令和三年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
当初の歳出予算額は二百二億三千六百二十三万円余でありまして、これに所蔵資料のデジタルアーカイブ整備のための予算補正追加額四十七億五千四百三十七万円余、前年度からの繰越額七十三億六千十四万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額一億五百五十七万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三百二十二億四千五百十八万円余となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は二百六十五億四千九百八十九万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費九十七億三千三百四十九万円余、国立国会図書館の業務に要した経費百三十六億五千三百十四万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十億五千九百一万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費二十一億四百二十三万円余であります。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額は五十六億九千五百二十九万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額四十七億九千七百四十三万円余、不用額八億九千七百八十五万円余であります。
以上が、令和三年度国立国会図書館関係の歳出決算の概要でございます。
引き続きまして、令和四年度国立国会図書館関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
当初の歳出予算額は二百二億四千三百三十六万円余でありまして、これに所蔵資料のデジタルアーカイブ整備等のための予算補正追加額五十四億四千三百六十四万円余、前年度からの繰越額四十七億九千七百四十三万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額四千二百三十万円余を差し引きますと、歳出予算現額は三百四億四千二百十三万円余となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は二百四十一億五千九百九十五万円余でありまして、その内訳は、国立国会図書館の運営に要した経費九十八億七千八百万円余、国立国会図書館の業務に要した経費百二十一億八千百三十八万円余、科学技術関係資料の収集整備に要した経費十一億千四十六万円余、国立国会図書館の施設整備に要した経費九億九千十万円余であります。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額は六十二億八千二百十八万円余となっておりますが、その内訳は、翌年度に繰り越した額五十六億五千三百十四万円余、不用額六億二千九百四万円余であります。
以上が、令和四年度国立国会図書館関係の歳出決算の概要でございます。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○小林(史)主査代理 次に、裁判官弾劾裁判所関係決算の概要説明を聴取いたします。鈴木裁判官弾劾裁判所事務局長。
○鈴木裁判官弾劾裁判所参事 令和二年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
当初の歳出予算額は一億一千四百十九万円余でございまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額七百四万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億七百十五万円となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億三百十二万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額四百二万円余が不用額となっております。
以上が、令和二年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。
引き続きまして、令和三年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
当初の歳出予算額は一億一千四百九十二万円余でございまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額五百七十万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億九百二十二万円余となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億五百九十七万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額三百二十四万円余が不用額となっております。
以上が、令和三年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。
引き続きまして、令和四年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
当初の歳出予算額は一億一千四百九十九万円でございまして、これに給与改善のための予算補正追加額一万円余を加え、既定経費の不用による予算補正修正減少額六百九十五万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億八百五万円となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億三百十万円余でございまして、このうち主なものは職員の人件費でございます。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額四百九十四万円余が不用額となっております。
以上が、令和四年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○小林(史)主査代理 次に、裁判官訴追委員会関係決算の概要説明を聴取いたします。中村裁判官訴追委員会事務局長。
○中村裁判官訴追委員会参事 令和二年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
当初の歳出予算額は一億三千八百四十六万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額六百二十万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億三千二百二十五万円余となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億二千七百十九万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額は不用額でありまして、五百六万円余となっております。
以上が、令和二年度裁判官訴追委員会関係の歳出決算の概要でございます。
引き続きまして、令和三年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
当初の歳出予算額は一億三千五百二十七万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額四百十万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億三千百十七万円余となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億二千六百十九万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額は不用額でありまして、四百九十八万円余となっております。
以上が、令和三年度裁判官訴追委員会関係の歳出決算の概要でございます。
引き続きまして、令和四年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
当初の歳出予算額は一億三千四百三十七万円余でありまして、これから既定経費の不用による予算補正修正減少額九百八十八万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一億二千四百四十九万円余となります。
この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は一億一千六百四十七万円余でありまして、このうち主なものは職員の人件費であります。
歳出予算現額と支出済歳出額との差額は不用額でありまして、八百一万円余となっております。
以上が、令和四年度裁判官訴追委員会関係の歳出決算の概要でございます。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○小林(史)主査代理 この際、お諮りいたします。
参議院関係決算の概要説明につきましては、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林(史)主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○小林(史)主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 令和二年度国会の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度国会の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。
これは、衆議院、参議院及び国立国会図書館における一括調達の運用ルールの対象とされている消耗品等の調達について、三機関において一括調達を実施することの可否等を検討した上で、一括調達が可能なものについては一括調達を実施することとしたり、現時点では仕様を統一することが困難であるものについては一括調達の実施に向けて継続して検討することとしたりするよう改善させたものであります。
最後に、令和四年度国会の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○小林(史)主査代理 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。岡田衆議院事務総長。
○岡田事務総長 ただいま会計検査院から御指摘のありました事項に対し、衆議院、参議院及び国立国会図書館が講じた措置について、三機関を代表して御説明いたします。
各府省等申合せの一括調達の運用ルールの対象とされている消耗品等のうち、一括調達を行っていなかった品目につきまして、衆議院、参議院及び国立国会図書館において検討を行い、仕様の統一が可能なものについては一括調達を実施することとし、仕様の統一が困難なものについては定期的な協議の場で継続して検討を行うこととする措置を講じたところでございます。
今後とも、なお一層、契約事務の適切な実施に努めてまいる所存でございます。
○小林(史)主査代理 以上をもちまして国会所管についての説明は終わりました。
それでは、御退席くださって結構です。
―――――――――――――
○小林(史)主査代理 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、これを許します。青柳陽一郎君。
○青柳(陽)分科員 立憲民主党の青柳陽一郎でございます。おはようございます。
今日は、分科会での質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず冒頭、私は前回、四月十五日の委員会質疑で、予備費の問題について取り上げました。それは、通常これまでの予備費は五千億程度でしたけれども、コロナ禍という特殊な事情があったにせよ、五兆円から十兆円という多額の予備費が計上されたこと、そして、多額の繰越しがなされたこと、未使用の特定目的予備費があること、予備費の不用額を含む多額の決算剰余金が防衛財源に充当されること、国会開会中、特に年度末に使用決定がなされたことなど、財政民主主義への大いなる挑戦とも言える予備費の積み増し、これを許してきたこと、これは、与野党問わず、国会が問題意識を共有すべき事態だと思います。
また、この間、国の基金事業についても、乱立、膨張、急拡大しました。特に、補正予算での措置は乱発と言える異常な事態です。基金は、設置後の運用ルールやチェック体制、評価が緩く、無駄遣いの温床との指摘もあります。二〇二〇年以降は十兆円規模に膨らみ、基金残高も最大十六・四兆円に達し、際限なく肥大化してきたと言わざるを得ません。
国の財政赤字が大変厳しい中、予備費と基金の積み増しの悪弊は、もう今後断ち切るべきです。さらに、租特、そしてこれから始まる定額減税についても、しっかり効果を検証していかなければならないと思います。これは、我々国会議員、国会の権威が問われる事態だと思い、厳しく指摘をさせていただきます。
その上で、本日は、国会の権威や品位、国会のデジタル化、DX化について、衆議院事務総長に見解を伺いたいと思います。
私は、この国会で議院運営委員会の理事を務めて三年目になりますけれども、特に二〇二一年の臨時国会、二〇二二年の通常国会は、野党側の筆頭理事も経験させていただきました。
この間、コロナ禍での対応、社会のデジタル化、オンライン化、リモート化の進展、ロシアのウクライナ侵攻など、国会の機能維持やデジタル化が問われる、そういう事態になりました。
議院運営委員会や理事会では、感染防止対策やソーシャルディスタンス確保策など様々な試行錯誤を行いながら、与野党、知恵を出し合って、国会機能の維持を図りました。
こうした議院運営委員会理事会での協議、決定、申合せについては、いわゆる国会質疑の議事録に残ることはほとんどありません。このため、本日、この機会に、議運理事会で取り組んだこと、そして今取り組んでいることについて議論し、議事録に残していければというふうに思います。
国会の品位と権威を保ちつつ、デジタル化、ペーパーレス化、効率化、利便性、多様性など、時代に合った形にバージョンアップしていく、こういう不断の改革や取組が必要との思いで議論をさせていただきます。
冒頭、事務総長、所感とコメントをいただきたいと思います。
○岡田事務総長 今ほど、先生からコロナのお話もございました。
コロナ禍におきましては、どのように立法機能、行政監視機能を維持するのか、前例のない中で、正副議長、議院運営委員長、議院運営委員会理事等の皆様と鋭意御相談しながら対応を進めてまいりました。
人と人との接触が厳しく制限される中で、国会は実際に会議に御出席いただいて物事を決めていくという形になっておりますので、先生方はもちろんのこと、秘書の皆さん、政党職員の皆さん、我々職員についても、感染防止を徹底すること、また、院内でのクラスター発生を阻止することに重点を置いて、制度の許す範囲で何ができるかということを終始考え、対応してきたように思います。
その中で、コロナ禍で取られた措置を契機に、改めて、効率性、利便性、多様性の観点から物事の見直しが進みつつあるものと考えております。
○青柳(陽)分科員 まず、そもそも、我々、国会議員として働いておりますけれども、衆議院や国会の規定や規則は衆議院規則と国会法でそれぞれ規定されていますけれども、衆議院規則とはどういうものを規定し、国会法とは何を規定しているのか。
そして、加えて、議運理事会、委員会の申合せの位置づけについて御説明いただきたいと思います。
そして、ふだん、議運にいないと余り感じないんですけれども、衆議院先例集とか委員会先例集、こういう分厚いものを衆議院の方で発行していただいているわけですけれども、これはどういうものなのかについても、せっかくですから御説明いただいて、議事録に残していきたいと思います。どうぞ。
○岡田事務総長 衆議院規則は、憲法五十八条二項本文にあるとおり、議院の会議その他の手続及び内部の規律に関して各議院の議決によって定められる法規範であり、議院の自律権の重要な一内容を成すものであります。
衆議院規則の改正には、本会議の議決を要します。これまで二十三回ございました規則改正の大半は、議院運営委員会において起草、提出の案が成立したものです。
国会法は、両議院の相互関係、国会と内閣、国会と国民の関係等を規律するもので、法律という形を取っております。
次に、議院運営委員会における申合せでございますが、法規や先例のほかに、議院運営委員会において、議会運営上、必要に応じて、一定の運営方針や細目を定めることがございます。これを申合せとして決定し、周知することで、一つの規範として機能しているものという認識でございます。
次に、先例集についてお答えいたします。
本院におきまして、先例集は、明治二十四年に衆議院先例彙纂の名称で発刊されて以来、国会となって、衆議院先例集及び衆議院委員会先例集と名称を変えて、編集が継続されてまいりました。その編集は、実務的、中立的、専門的な立場から、歴代の事務局が責任を持って行っております。
先例は、円滑な議院の運営に不可欠となる重要なよるべき基準、いわば先人のよき知恵の集積であります。そうした一定の規範性、方向性を持った先例を事例とともに収録したものが先例集でありまして、先例、先例集の存在は、議院の運営の適正化、効率化、安定化や問題解決の迅速化に資するものであると考えております。
先例集の内容につきましては、法規の解釈に関する事項、法規の定めを補完する事項、法規の運用に関する事項のほか、管理、庶務的な事項まで多岐にわたっています。帝国議会以来の先例も、現行憲法等の精神に反しない限りにおいて相当数含まれてございます。
改訂の頻度につきましては、国会となって最初の昭和三十年版の発刊後、直近の平成二十九年版まで五回の改訂がございますが、法規改正の有無等の事情により、その改訂の間隔は必ずしも一定しませんが、平均で約十二年に一回の改訂を行っているところでございます。
○青柳(陽)分科員 ありがとうございます。
まず、衆議院規則というのは、憲法に基づいて、非常に重い法規範であるということが確認されたわけです。
そして、この先例集についても、衆議院の規則が全て載っているわけじゃなくて、議会運営に資する必要なものを衆議院が編集してくれているということでございます。
次に、国会の品位と権威について伺いたいと思います。
四月十八日、衆議院本会議で、国民民主党の玉木代表は、国会のDX化について、本会議場でのタブレット使用について品位、権威の問題で進まない、本会議場でのタブレット使用が品位、権威に欠けるのか、総理に認識を問いましたが、総理の答弁は直接何も答えなかったわけですね。
それでは、国会の品位そして権威についてどういう規定があるのか、御説明いただきたいというふうに思います。
そしてまた、タブレット使用についての、これを明示的に禁止する規定や先例というのがあるのかということについても伺いたいと思います。
○岡田事務総長 まず、品位につきましては、衆議院規則二百十一条において、「議員は、議院の品位を重んじなければならない。」と規定されております。
なお、権威という文言を用いての直接的な規定はございません。
また、議場内におけるタブレット端末等の使用に関する明示的な規定等、これもございませんが、平成八年四月二十六日の議院運営委員会申合せが携帯電話等の使用を禁止すべきであるとしていることや、衆議院規則の、ただいまの議院の品位尊重や新聞紙等の閲読禁止の規定等の趣旨から、議場内におけるタブレット端末の自由な使用は現在認められていないというのが現状でございます。
○青柳(陽)分科員 ありがとうございます。
品位については品位を重んじろという規定があり、権威については特段の規定がないということでございますが、今日の趣旨は、品位や権威を汚さないよう、損なわないようにしながら効率化、多様性、利便性を実現できる国会にしていこう、そのためにはどうすればいいかという議論を議運でも引き続きやってまいりたいということで今日の議論をさせていただいているわけでございます。
実際に、国会のデジタル化とペーパーレス化については、議運の中に国会のデジタル化に向けた各会派代表者検討会というのが設置されておりまして、私もこのメンバーの一人になっているわけですけれども、この国会でこれまで三回の議論を行いまして、こういう請願文書表というのがあります、そして委員会報告書、こういう紙で出ているものがあります、そして衆議院の本会議速報版、こういうのがありまして、この三つは印刷配付をやめることにいたしました。
あわせて、今年の夏の、解散がなければ、委員会派遣というのがあることが想定されるわけですけれども、この海外派遣報告書のホームページ公開、これはやってきていなかったんですね、これをやるようにしようということ。そして、この国会で、この国会か前国会か、済みません、ちょっと失念しましたが、官報の電子化、これも法律で規定しましたけれども、これと会議録との関係の申合せについても議運理事会で決定をさせていただきました。
ちなみに、本会議場にいつもあるこの法案の要旨というのは、これは使うだろうということで、引き続き紙で本会議場で配付をさせていただくということになっております。
この請願文書表や委員会報告書のペーパーレス化で、まず、どのぐらい経費削減効果があるのかということについて御説明いただきたいということと、衆議院の海外派遣についてのホームページ公開、どういうものを公開していくのかということについて、御説明をお願いします。
○岡田事務総長 先生から御案内いただきましたとおり、請願文書表及び委員会報告書等は、次期常会召集日以降、印刷物の配付を取りやめ、院内イントラネットに電子データを掲載することになってございます。
ちなみに、衆議院本会議等の速報版についても、印刷配付を取りやめ、議事速報の院内イントラネット掲載に統合することとなっております。
これらの印刷に要する経費でございますが、令和五年度の実績で、請願文書表約六百六十万円、委員会報告書約六百二十万円、会議録速報版約二百十五万円の計約一千四百九十五万円となっており、ペーパーレス化により、当該印刷経費の削減が見込まれるところでございます。
海外派遣の情報公開につきましては、現在、議長の閲覧に供した後、原則公開とされ、衆議院国際部で海外派遣報告書を閲覧に供しているところでございます。
先生から御紹介がございました各会派代表者による検討会、こちらにおきまして、今年夏以降の公式海外派遣団から、派遣前に派遣計画書を、帰国後に報告書の概要及び海外派遣報告書を衆議院ホームページで公開することで合意をされ、四月十一日の議院運営委員会理事会において、「海外派遣報告書等の衆議院ホームページ公開について」が了承されております。
こちらの「ホームページ公開について」には公開目的が記載をされておりまして、海外派遣に関する情報を衆議院全体の財産として共有し、議員の立法及び調査活動に資すること、また、海外派遣活動の国民への説明の機会を確保することとされているところでございます。
○青柳(陽)分科員 小林委員長もデジタル化は非常に専門家だというふうに仄聞していますけれども、こういう議論も議運でやっているということを御承知おきいただきたいと思います。
そして、一言だけ言っておきますと、今日の委員会でもそうですね、こういう紙を一々配付していただいているわけですけれども、これは、慣れるとこれが当たり前だと思っちゃうんですが、新人議員の頃や、今でも我が党の新人議員の皆さんから、これは一々配ってどういう意味があるんでしょうかという指摘を受けることもあります。これは、特に地方議会出身の議員は、こんなものはありませんから、地方議会でもデジタル表示で質問をしています。国会は非常に時間の交渉が多いところでもあるんですけれども、一部試験的に導入してみることも私は必要じゃないかなというふうに思いますし、この紙を配ることが私は品位や権威につながるとはとても思えませんので、これも今後、私も議論してまいりたいというふうに思います。
次に、コロナ禍で課題となったオンライン審議について確認をさせていただきたいと思います。
このオンラインでの委員会の開催、本会議、委員会へのオンラインでの出席、参加については、憲法上の制約、五十六条の「出席」の解釈や、国会法四十九条の出席規定から、現在なかなか認められていないんですね。
ただ、IPUの調査では、今、百二十三か国中、委員会審議のオンライン採用は七七%まで行っています。そして、そのうちの五一%は本会議でもオンラインでできるように採用されたという報告があります。
また、我が国の地方議会では、既に、総務省の通達によって、条例を改正すれば委員会のオンライン開催が可能となっているわけです。
このオンラインでの委員会の開催での課題、議員のオンライン出席、地方議会での状況について、それぞれ御報告いただきたいと思います。
そして、国会でも、では何もやっていないかといえば、まさに私が議運にいたときに、二〇二二年の三月でしたけれども、ウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説、これをオンラインで開催したわけですけれども、この経緯について、そしてこの国会演説の位置づけについて御説明いただきたいと思います。
○岡田事務総長 では、私から、国会について御説明をいたします。
まず、本会議ですが、従来、議会は、全国民の代表である先生方が一堂に会し議論を行い意思決定を行うということで、憲法五十六条の「出席」につきましては、現実に議場にいることと理解されてきており、議長が先生方の出席を現認し、定足数の確認や議決の認定をすることができる、そういった環境が必要でございます。
本会議におけるオンライン審議の導入につきましては、憲法の解釈にも関わる問題でございますので、また、現実の出席と同視し得る環境の整備等が必要となってまいるところでございます。
委員会につきましては、委員の出席や表決について規定した国会法四十九条、五十条、衆議院規則五十一条も、委員が現存する必要があるということでございます。
このため、令和四年六月の議院運営委員会の申合せにおきましては、「正規の委員会をオンライン形式で行うためには、国会法及び衆議院規則の改正等による制度の変更を行うことが前提となる。」と整理されております。
オンライン審議に係る議論につきましては、議院運営委員会等の場で、各党各会派間において御議論いただき、慎重に御検討いただくべき事項であると承知してございます。
それから、ゼレンスキー大統領の演説につきましてでございますが、この演説の位置づけでございます。これは、開催を決定した議院運営委員会理事会において、両院議長主催で行うオンラインによる特別な国会演説とされたところでございます。
開催経緯につきましては、令和四年三月、駐日ウクライナ大使から衆参両院議長に対し、ゼレンスキー大統領によるオンラインでの国会演説の開催について申入れがございました。これを受けて、同月二十二日の衆議院及び参議院それぞれの議院運営委員会理事会において、翌二十三日午後六時にゼレンスキー・ウクライナ大統領による国会演説をオンラインで行うことを決定し、衆議院第一議員会館国際会議室において実施されたものでございます。
○三橋政府参考人 地方議会のオンライン委員会の開催についてのお尋ねでございます。
地方議会のオンライン開催につきましては、まず、委員会におきまして本会議における審議の予備的審査を行うものであること、また、地方自治法上、委員の選任その他委員会に関し必要な事項は条例で定めることとされておりますことから、オンラインによる方法を活用して開催することも差し支えない旨を令和二年四月の通知にお示ししているところでございます。
現在の状況でございますけれども、オンライン委員会を開催できるよう条例等の改正を行った都道府県及び市区町村は、令和五年一月一日現在で千七百八十団体中三百四団体と承知しております。また、当該三百四団体が条例等に規定しているオンライン出席の要件につきましては、複数回答可能という要件でございますけれども、感染症の蔓延を定めているものが二百九十団体、災害の発生を定めているものが二百七十団体、育児、介護などが八十二団体、その他八十八団体となっているところでございます。
私どもといたしましては、それぞれの委員会におけますオンライン委員会の開催につきましての事例でありますとかQアンドA、こういうものを各地方団体に周知をしているというところでございます。
○青柳(陽)分科員 ありがとうございます。
IPUの調査もあるし、もう地方議会では条例改正すればできるようになっている。やはり国会が少し遅れているなと言わざるを得ないと思います。
私は、まずは、国会の審議に資するという意味では、参考人の質疑についてはオンラインも可能にすべきではないかなというふうに思っています。例えば、海外や地方に住んでいる、あるいは出張中の有識者、ゼレンスキー大統領のようなケース、これはオンライン参考人ができるようにすべきではないか。また、今もありましたけれども、答弁にもあったとおり、災害時に被災地から参加できるようにするですとか、また障害等の事情があって国会への移動が困難な場合の方など、国会での議論に有益、充実した審議に資する場合は導入を検討すべきだというふうに思います。
是非、これは見解を聞こうと思いましたけれども、時間もありませんので、議運理事会の検討会議でも提案してまいりたいというふうに思います。
次に、電子請願の課題について議論させていただきたいと思います。
請願というのは、国民の多様な意見表明として、議会と民意の関係、民主主義の基盤の一つでもある制度だと思います。
現在、電子請願というのは認められていませんけれども、議会への参画の方策を多様化させる観点から、検討を要する課題だというふうに認識しております。
請願制度の意義と電子請願の課題を御説明いただきたいと思います。
○岡田事務総長 請願の制度は、先生ただいまお示しいただきましたとおり、国民が国政に対する要望を直接国会に述べることができる、憲法第十六条で国民の権利として保障されている重要な制度であると認識をしてございます。
御指摘の電子請願の導入は、議員の紹介を要することから広く全議員に及ぶ問題でもあり、必要に応じて法規、国会法、衆議院規則の改正を検討する必要がございます。
また、請願者にとっても、紹介議員や紹介提出手続を実際に行う議員秘書にとっても、また事務局にとっても使い勝手がよい、利便性が高まるシステムを構築する必要がございます。
一方で、費用対効果の見地からどのようなシステムを導入するのが最適であるかの検討や、システム構築のためには相応の予算、工期が必要にもなってまいります。
いずれにいたしましても、新たなシステムの導入には、オンライン請願制度を導入した海外の事例の調査研究や、行政手続におけるオンライン化の手法の調査や、デジタルの専門家からの技術的助言の聴取、請願団体、秘書協からの意見聴取、参議院との協議、調整など、様々な観点から調査検討が必要になると思われます。
○青柳(陽)分科員 それはそのとおりなんですけれども、今少し触れられた海外の事例、これもIPUの調査がありますけれども、世界各国の議会のうち、主要国始め二三%が既に電子請願を活用している、そして、それ以外の二八%が導入を検討しているという報告があります。導入している国では、特に見直しが必要という報告はなされていないということですね。
ですから、今おっしゃられたとおり検討すべきだというふうに思うんですけれども、既に行政や地方議会では電子請願が可能になっていると思います。これも国会だけが遅れているんだと思いますけれども、行政、地方議会はできるというふうに私は解釈していますけれども、事前の衆議院の方のレクでは、五月一日と五月十日、二回にわたって、行政、地方議会の電子請願について確認しましたが、事務局からは、行政の電子請願はできないというふうに回答、説明がありました。これはできるんじゃないんですか。
○岡田事務総長 行政の方で電子請願ができるかどうかというところでございますが、今そういう取組が進んでいるということは承知をしてございます。
申し訳ございません、詳細な制度につきましては、ちょっと私からお答えすることが適当かどうかということでございます。
○青柳(陽)分科員 私、五月一日と五月十日、二回にわたって、国会の電子請願をやるときに、行政は電子請願、もう既にデジタル化法というのがあって、できるようになっているんじゃないかというお話をしたんですが、明確に、できないと二回にわたって説明されているんです。これについてお答えいただかないと、この質疑の前提が崩れます。
○岡田事務総長 済みません、地方議会では行われているんですが、行政、政府の方はまだそこまで完全に踏み切っていない、そういう趣旨で御説明を差し上げたと思います。
○青柳(陽)分科員 できるかできないかですよ。
○岡田事務総長 そこはまさに先生方の御議論の中で……(青柳(陽)分科員「いやいや、行政ですよ」と呼ぶ)行政ですか。(青柳(陽)分科員「行政はデジタル化法でできるようになっているんじゃないかということですよ。やっているかやっていないかじゃなくて、できるかできないかを聞いたんです」と呼ぶ)その点は……(青柳(陽)分科員「できないと言われましたよ、二回にわたって」と呼ぶ)そうですか。申し訳ございません。
ちょっとその辺りは、私、まだ不勉強でございまして、しっかりと研究してまいりたいと思います。申し訳ございません。
○小林(史)主査代理 少しそこは確認をしておいていただいて。
青柳さん、もう一度、どうぞ。
○青柳(陽)分科員 それはしっかり確認してください。こんなのじゃ国会質疑の前提が崩れますからね。いや、その場で聞いて分からないなら分からないでいいんですよ。私、一日と十日と二回やっているんですから。これは私は指摘をさせていただきたいと思います。
最後にもう一つ、議運で取り組んだことについて紹介をさせていただきたいと思います。
二〇二二年の六月、これはまさに私が議運の野党の筆頭をやっている頃に、衆議院でジェンダー配慮に関するアンケート調査というのを実施して公表しました。こういう分厚いものを作ったわけですけれども、これは憲政史上初の全議員アンケートでした。回収率も、全体としては八二・二%、我が党の立憲民主党は一〇〇%だったわけです。
他方、世界経済フォーラムによる調査で、我が国のジェンダーギャップ指数は百四十六か国中百二十五位、IPUによる下院女性議員割合は、百九十三か国中、我が国は一〇%で百六十二位と、驚くほど遅れているわけでございます。
時間が来ましたので質疑はできませんが、せっかく調査したので、今後ともこの調査に基づく改革を引き続きやっていかなければならないということを申し上げて、そして、繰り返して、国会の品位と権威を保ちつつ、デジタル化、ペーパーレス化、効率化、利便性の向上、多様性など、時代に合った国会の形を追求するために不断の取組をしていきたいということを申し上げて、質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。
○小林(史)主査代理 これにて青柳陽一郎君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。
午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○中西主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより裁判所所管について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。堀田最高裁判所事務総長。
○堀田最高裁判所長官代理者 まず、令和二年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。
裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は六百十一億八千七百五十四万円余であります。これに対しまして、収納済歳入額は六百四十七億三千六十九万円余であり、歳入予算額に対し三十五億四千三百十四万円余の増加となっております。
この増加は、相続人不存在のため国庫帰属となった相続財産の収入金が予定より多かったこと等によるものであります。
裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百六十六億二千四百十八万円余でありますが、これに令和元年度からの繰越額五十六億六千五百五十六万円余、予算補正追加額三十三億七千七百三十一万円余、予算補正修正減少額三十七億六百六十八万円余、差引き五十三億三千六百十九万円余が増加となり、歳出予算現額は三千三百十九億六千三十七万円余となっております。
これに対しまして、支出済歳出額は三千百二十四億五千百十七万円余であり、歳出予算現額との差額は百九十五億九百二十万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は百九億四千四百六十九万円余、不用額は八十五億六千四百五十万円余であります。不用額となった経費は、人件費三十四億六千五百五万円余とその他の経費五十億九千九百四十五万円余であります。
続きまして、令和三年度の概要を御説明申し上げます。
裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は六百三十四億二千三百十四万円余であります。これに対しまして、収納済歳入額は六百九十六億四千八百七十八万円余であり、歳入予算額に対し六十二億二千五百六十四万円余の増加となっております。
この増加は、相続人不存在のため国庫帰属となった相続財産の収入金が予定より多かったこと等によるものであります。
裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百五十三億六千七百九十一万円余でありますが、これに令和二年度からの繰越額百九億四千四百六十九万円余、予算補正追加額三十一億二千九百八十三万円余、予算補正修正減少額三十一億六千三百七十三万円余、差引き百九億千七十九万円余が増加となり、歳出予算現額は三千三百六十二億七千八百七十万円余となっております。
これに対しまして、支出済歳出額は三千百九十六億七千五百六十九万円余であり、歳出予算現額との差額は百六十六億三百万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は八十一億千七百七十七万円余、不用額は八十四億八千五百二十三万円余であります。不用額となった経費は、人件費二十三億四千九百九十四万円余とその他の経費六十一億三千五百二十八万円余であります。
最後に、令和四年度の概要を御説明申し上げます。
裁判所主管の歳入につきましては、歳入予算額は六百六十三億七百二十万円余であります。これに対しまして、収納済歳入額は八百二十五億七千四十五万円余であり、歳入予算額に対し百六十二億六千三百二十五万円余の増加となっております。
この増加は、相続人不存在のため国庫帰属となった相続財産の収入金が予定より多かったこと等によるものであります。
裁判所所管の歳出につきましては、当初予算額は三千二百二十八億千三百五十五万円余でありますが、これに令和三年度からの繰越額八十一億千七百七十七万円余、予算補正追加額四十四億七千七百四十六万円余、予算補正修正減少額三十二億七千一万円余、差引き九十三億二千五百二十二万円余が増加となり、歳出予算現額は三千三百二十一億三千八百七十七万円余となっております。
これに対しまして、支出済歳出額は三千百七十一億五千八百五万円余であり、歳出予算現額との差額は百四十九億八千七十二万円余であります。この差額のうち翌年度へ繰り越した額は六十一億九千二万円余、不用額は八十七億九千六十九万円余であります。不用額となった経費は、人件費二十九億三千九百十四万円余とその他の経費五十八億五千百五十四万円余であります。
以上、令和二年度、同三年度及び同四年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。
○中西主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 まず、令和二年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 以上をもちまして裁判所所管についての説明は終わりました。
これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、裁判所所管については終了いたしました。
それでは、御退席くださって結構です。
―――――――――――――
○中西主査 これより会計検査院所管について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。田中会計検査院長。
○田中会計検査院長 令和二年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
会計検査院主管の歳入につきましては、予算額六百一万円余に対しまして、収納済歳入額は四百十二万円余であり、差引き百八十九万円余の減少となっております。
収納済歳入額の主なものは、雑入百六十三万円余であります。
次に、会計検査院所管の歳出につきましては、歳出予算現額百六十七億五百八万円余に対しまして、支出済歳出額は百五十三億五千八百七十二万円余、翌年度繰越額は二千五百七十四万円でありますので、歳出予算現額との差額十三億二千六十一万円余を不用額といたしました。
支出済歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百三十九億九千四百五十一万円余、会計検査業務に要した経費として十二億九千七百九万円余となっております。
次に、令和三年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
会計検査院主管の歳入につきましては、予算額五百七十八万円余に対しまして、収納済歳入額は七百二十六万円余であり、差引き百四十七万円余の増加となっております。
収納済歳入額の主なものは、物品売払い収入三百十三万円余であります。
次に、会計検査院所管の歳出につきましては、歳出予算現額百六十六億三千七百六十万円に対して、支出済歳出額は百五十五億八千六十九万円余、翌年度繰越額は一億四千五百三万円余でありますので、歳出予算現額との差額九億一千百八十六万円余を不用額といたしました。
支出済歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百四十億二千八百四十四万円余、会計検査業務に要した経費として十四億八千六百二十九万円余となっております。
次に、令和四年度会計検査院主管一般会計歳入決算及び会計検査院所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
会計検査院主管の歳入につきましては、予算額四百六十八万円余に対しまして、収納済歳入額は七百四十七万円余であり、差引き二百七十九万円余の増加となっております。
収納済歳入額の主なものは、弁償及返納金三百八十二万円余であります。
次に、会計検査院所管の歳出につきましては、歳出予算現額百七十五億五千八百二十万円余に対しまして、支出済歳出額は百五十六億六千九百六万円余、翌年度繰越額は十一億七千六十九万円余でありますので、歳出予算現額との差額七億一千八百四十三万円余を不用額といたしました。
支出済歳出額の主なものは、会計検査院の運営に要した経費として百四十億九千八百八十三万円余、会計検査業務に要した経費として十四億一千八百四十二万円余となっております。
以上、会計検査院関係の決算の説明を終わります。
よろしく御審議のほどお願いいたします。
○中西主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 まず、令和二年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度会計検査院の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 この際、お諮りいたします。
お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中西主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○中西主査 以上をもちまして会計検査院所管についての説明は終わりました。
これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。
それでは、御退席くださって結構です。
―――――――――――――
○中西主査 これより内閣府所管中金融庁について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。井林内閣府副大臣。
○井林副大臣 令和二年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。
歳出予算現額二百九十億円余に対し、支出済歳出額は二百三十三億円余、翌年度繰越額は四十一億円余であり、不用額は十五億円余であります。
以上をもちまして、令和二年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。
次に、令和三年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。
歳出予算現額三百二十二億円余に対して、支出済歳出額は二百五十一億円余、翌年度繰越額は二十七億円余であり、不用額は四十三億円余であります。
以上をもちまして、令和三年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。
次に、令和四年度における金融庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。
歳出予算現額三百十五億円余に対し、支出済歳出額は二百五十六億円余、翌年度繰越額は二十九億円余であり、不用額は二十九億円余であります。
以上をもちまして、令和四年度金融庁歳出決算の概要説明を終わります。
よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
○中西主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 まず、令和二年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度金融庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 この際、お諮りいたします。
お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中西主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○中西主査 以上をもちまして内閣府所管中金融庁についての説明は終わりました。
これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、内閣府所管中金融庁については終了いたしました。
それでは、御退席くださって結構です。
―――――――――――――
○中西主査 これより内閣府所管中消費者庁について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。自見消費者及び食品安全担当大臣。
○自見国務大臣 令和二年度から四年度における消費者庁歳出決算の概要を御説明申し上げます。
令和二年度の歳出予算現額は百六十八億三百九十六万円余でありまして、これを支出済歳出額百三十六億一千五百八十九万円余に比較いたしますと、三十一億八千八百七万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度へ繰り越した額は十八億五千百七万円であり、不用額は十三億三千七百万円余であります。
続きまして、令和三年度の歳出予算現額は百五十三億五千七百六十四万円余でありまして、これを支出済歳出額百二十四億八千八百七万円余に比較いたしますと、二十八億六千九百五十七万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度へ繰り越した額は十五億四千万円であり、不用額は十三億二千九百五十七万円余であります。
続きまして、令和四年度の歳出予算現額は百六十六億一千七百九十七万円余でありまして、これを支出済歳出額百二十二億一千五百四万円余に比較いたしますと、四十四億二百九十三万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度へ繰り越した額は三十三億三千九百二十六万円余であり、不用額は十億六千三百六十七万円余であります。
以上をもちまして、令和二年度から四年度における消費者庁歳出決算の概要説明を終わります。
よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
○中西主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 まず、令和二年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度消費者庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 以上をもちまして内閣府所管中消費者庁についての説明は終わりました。
これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、内閣府所管中消費者庁については終了いたしました。
それでは、御退席くださって結構です。
―――――――――――――
○中西主査 これよりデジタル庁所管について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。河野デジタル大臣。
○河野国務大臣 お疲れさまです。
令和三年度デジタル庁主管一般会計歳入決算及びデジタル庁所管一般会計歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。
まず、一般会計歳入決算について申し上げます。
歳入予算額は四十二万円余に対しまして、収納済歳入額は七百十九万円余であり、六百七十七万円余の増加となっております。
次に、一般会計歳出決算について申し上げます。
歳出予算現額は一千百五十七億九千五百九十七万円余に対しまして、支出済歳出額は六百四十七億七千七百八十三万円余、翌年度繰越額は四百三十八億二千六百八十二万円余、不用額は七十一億九千百三十二万円余となっております。
引き続きまして、令和四年度デジタル庁主管一般会計歳入決算及びデジタル庁所管一般会計歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。
まず、一般会計歳入決算について申し上げます。
歳入予算額は二百九十一万円余に対しまして、収納済歳入額は二千五百四十万円余であり、二千二百四十八万円余の増加となっております。
次に、一般会計歳出決算について申し上げます。
歳出予算現額は二千百十九億二千八百八十四万円余に対しまして、支出済歳出額は一千二百九十四億四千五百四十一万円余、翌年度繰越額は七百五十四億四千八十七万円余、不用額は七十億四千二百五十五万円余となっております。
以上をもちまして、令和三年度及び令和四年度の決算の概要説明を終わります。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○中西主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院豊岡審議官。
○豊岡会計検査院当局者 まず、令和三年度デジタル庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和四年度デジタル庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 この際、お諮りいたします。
お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中西主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔決算概要説明等は本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○中西主査 以上をもちましてデジタル庁所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○中西主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、これを許します。大島敦君。
○大島分科員 どうもこんにちは。多くの方、役所の方、お願い申し上げております。よろしくお願いをいたします。
一九八七年、海外駐在から本社の輸出部に帰ってきたときに、一人一台マッキントッシュが置いてありまして、そのときが初めてですね、パーソナルコンピューターと知り合ったのは。インターネットはなかったので、モデムを使ってのパソコン通信の時代で、今でもPXKで始まるニフティサーブのアドレスを持っています。
一九九四年、管理職になったばかりで、製鉄所の私の係で一人一台マッキントッシュを配付したところ、優秀な若手社員がアップルトークでマックをつないで、私たちのチームは、チャットで会話しながら、エクセルのマクロを使って業務改善提案をしておりました。今振り返ると、エンドユーザーコンピューティングの最先端のチームでした。
当時、ハワード・ラインゴールドが書いた「思考のための道具」という本を読んでおりまして、考えるための道具がコンピューターであり、私たちはコンピューターの道具ではないと強く意識しました。考えるための道具がコンピューターであり、私たちはコンピューターの道具ではない。
マイナンバーカードを持っているかということですが、五年前、地元の公民館祭りで、市役所の皆さんがマイナンバーカードの受付をしていて、ちょうど誰も申し込んでいなかったので、その場で写真を撮っていただき、所定の用紙に記入して提出しました。後日、市役所の窓口で丁寧に説明を受けながら暗証番号などを設定して、交付となりました。二十分から三十分間ほど時間を要したことを覚えています。昨年の十二月、市役所から、五年たったので更新手続の通知が来ました。これまで、五年間でマイナンバーカードを利用したことは一度もありません。
昨年、クリニックの方々とお話しする機会があり、マイナ保険証の利用状況について伺うと、患者さんの半分以上の方が利用しているクリニックは一つで、医師が利用を促すと患者さんは率直に応じてくださると聞きました。もう一人の医師の方からは、勧めても二、三割で、他は一日数名の利用だそうです。
また、マイナ保険証を使用してのクリニックでの受付は、カードリーダーで保険証を読み込んだ後に顔認証で本人確認することが基本ですが、顔認証に代えて暗証番号を入力する方もいらっしゃいます。
幾つかの市役所に聞いてみると、これは昨年のマイナ保険証のポイントの最終局面だと思うんですけれども、マイナ保険証でのひもづけミスは、市役所に聞いてみると、ありません。ありませんでしたが、マイナポイントを取得するために、期間中は窓口に多くの方が集まり、長椅子を出したり、長時間待たされたりして怒られたりと大変だったと切に訴えられました。私は市役所の方に写真を撮っていただきましたが、市役所の職員の方からは、持ち込まれた写真は修正があったりと質は様々で、本人確認がしっかりできるのかと不安だとも伺いました。
それで、マイナ保険証を普及するために投入された予算額についてまず御説明していただけると助かります。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
まず、マイナンバー制度のシステムの構築やカード発行に要した経費について、私の方からお答えを申し上げます。
マイナンバー制度の関連費用につきましては、関係府省におけるマイナンバー法が成立した平成二十五年度から令和四年度の決算、令和五年度の決算見込み及び令和六年度の予算、十二年間累計の数字で、制度の導入、運用に係るシステム整備について約四千六百億円、情報提供ネットワークシステム、マイナポータル、個人情報保護委員会システムの維持、運用などについて約千二百億円、マイナンバーカードの交付などに関する経費について約五千九百億円、十二年間で以上合計約一兆一千七百億円となってございます。
○大島分科員 確認します。今のは、マイナ保険証を導入するためのポイント、トータル額が、予算規模が二兆円に対して一兆四千億円の支出だった、そういう理解でよろしいでしょうか。
○山越政府参考人 お答えいたします。
マイナポイント全体の第一弾、第二弾の予算額の総額が二兆一千百十三億円、執行額で一兆三千七百七十九億円となります。その一部が、マイナ保険証の登録に関わる部分でございます。
○大島分科員 予算額がほぼ二兆円で、一兆四千億円が、ほぼ、多分、マイナ保険証の普及のために導入されたコストであると理解をいたします。
引き続き、マイナンバーカードを国民全体が持つことは義務ではないと聞いております。マイナ保険証が国民全てに普及することは制度上難しいかなと思っておりまして、そのことについて伺いたいと思います。
まずは、マイナンバーカードを持つことが義務であるかについて教えていただけると助かります。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
マイナンバーカードは、本人の申請に基づいて交付するものであり、その取得が義務づけられているものではございません。
○大島分科員 そうすると、二〇二四年十二月二日までと期限を区切って、従来の保険証を全てマイナ保険証化することは不可能な決定だと思うんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
マイナ保険証でございますけれども、これは、患者御本人の健康医療情報に基づくよりよい医療を受けることができることなど、様々なメリットがございます。今後の医療DXのパスポートとなるものでございまして、一人でも多くの国民の皆様にマイナ保険証を利用していただきたいと考えてございまして、利用促進に取り組んでございますけれども、マイナ保険証を利用されるか否かは、あくまで御本人の意向によるものでございます。
○大島分科員 デジタル化については、国の生い立ちが強く反映されると思います。二〇二〇年一月に北京を訪問した際に、スーパーマーケットの決済は顔認証でした、試験的ですけれども。レジで何も持たずに、顔をカメラに向けるだけでした。中国は、闇社会撲滅のために紙幣の流通を抑えてキャッシュレス決済を進め、さらに、デジタル通貨で個々のマネーの流れを政府が捕捉できる政策を進めていると考えています。
新型コロナウイルス感染症流行時にデジタルでの対応が素早かったイスラエル、台湾、韓国、シンガポールなどの国々は、徴兵制が導入されています。二〇二三年九月に台湾を訪問して、国防研究所の所長、あるいは経済団体の代表や国政選挙での若手候補者と意見交換を行いました。蔡英文政権は、徴兵期間四か月を、二〇二四年、今年から十二か月に延ばします。個人情報の扱い、また、国が持っている有事への対応能力も我が国とは異なります。
我が国はデジタル化が遅れていると指摘されていますが、有事をどのように想定するかによって、国として持つべきデジタル能力に差が出ますので、一概に他国との比較は難しいと考えます。
したがって、我が国のデジタル化を進めるのであれば、例えば、これまで三十年間、人口は一億二千五百万人でしたが、二十年後には一億人になってしまいますので、人口減に、デジタル化によって行政をどのように合理化してどう備えるのか、また、どのように安全保障環境が変化して、我が国の国益を守るには、何をデジタル化して、何をアナログで残すのか、これからの国の形を見極める必要があると考えております。
まず、マイナンバーカードに健康保険証も運転免許証も公金受取口座もひもづけすることがデジタル化とは思えません。カードを持つことは、紛失のリスク、暗証番号の管理、更新手続の煩雑さなど、ストレスを感じざるを得ません。カードを持たない社会がスマートと思います。iPhoneでも指紋認証できますし、銀行のキャッシュディスペンサーも生体認証ですし、顔認証と組み合わせて、何も持たずに治療を受けられることがストレスを感じないと考えます。もちろん、国が国民の顔認証や生体認証のデータをどのように持つかについては、国民との議論を積み重ねながら決める必要もあります。
先日、事務所女性スタッフから、今でもLINEは使用していないと言われました。今はコミュニケーションアプリとして我が国ではデファクトスタンダード、事実上の標準になっているアプリケーションですが、そのアプリが広まり始めた十年以上前に、女性スタッフに、この会社のデータセンターが海外にあるとすれば、個人情報が外国に流れるおそれがあるから使用しないと伝えました。
二〇二一年中に、中国から同社が持つ個人データへのアクセスがあったので、個人情報保護委員会は同社に個人情報保護法に基づく改善を指導していますが、この事例について手短に御説明ください。
○松元政府参考人 お答えいたします。
令和三年に行政指導を行っておりますが、こちらは、LINEヤフー社の前身であります旧LINE社がシステム開発を再委託しておりました中国の子会社におきまして、LINEユーザーに関する個人情報にエンジニア四名が計三十五回のアクセスを行っていた事実関係が認められた事案であります。
この事案について、個人情報保護委員会は旧LINE社に対し、個人情報保護法に基づき、委託先における個人データの取扱いに関して自ら講ずべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう適切な監督等を実施するよう、指導を行ったところでございます。
○大島分科員 国民一人一人にマイナ保険証を持たせる政策も、もっと使いやすくして、カードを持たずに、顔認証と生体認証を組み合わせて、何も持たずに医療を受けられるようにすることも、アプリケーションの使い勝手のよさの比較であって、実は本質ではないと考えています。
私は、情報を保管するデータセンターこそが最重要と考えています。クラウドと専門用語で言われると雲をつかむような話と聞こえますが、要するに、情報をどこのデータセンターに、どのサーバーに、どのように保管するかが重要なのです。
政府や自治体が持っているデータをそれぞれがそれぞれのデータセンターで管理することはコストがかかるので、まとめて特定の事業者に預かってもらう政策をデジタル庁が進めています。そこで、政府のデータシステムや自治体の基幹業務システムをガバメントクラウド、政府の統一データセンターに移行しようとしています。しかし、データセンターの起用を入札で選んだところ、グーグル、アマゾンなど海外企業が受注したのでした。情報が置かれるデータセンターは国内立地を条件にしていますが、有事の際には外国政府が当該企業に圧力をかけ、我が国の情報が漏れてしまうおそれが指摘されています。その後、データ事業を行う日本企業が条件付で起用されております。
私たち政治に携わる者が考えなければならないことは、何を国がやらなければならないのか、何を民間の競争に委ねるかという線引きです。私は、日本のデータセンターのセキュリティーレベルが一定の水準に達していないから外国企業に委託するのではなく、なぜ我が国の世界標準のデータセンターを構築できなかったのかを検証した上で、我が国が主導して世界で一番安全なデータセンターを構築してから、そこに国民の個人情報を預けることが、多少時間はかかりますが、近道だと考えています。
これまで、離れている二か所のデータセンターで同じ情報を持つことで、一つが壊れても、もう一つでバックアップしているので安全だと考えられていました。研究段階ですが、一つのデータを乱数を用いて三つに分解して、それぞれ三つのデータセンターに置いて、どれか二つのデータセンターからの情報を合わせることで元どおりに復元できるとすれば、仮に一か所のデータセンターのサーバーが攻撃を受けて情報が流出しても、二つの情報を合わせないと復元できないという技術があるかと思うんですけれども、その点について総務省の御答弁をお願いします。
○豊嶋政府参考人 今委員から御指摘のあったものについては、量子セキュアクラウドと呼ばれているものかと存じます。
この量子セキュアクラウドにつきましては、量子の性質により盗聴を確実に検知できる量子暗号技術と、ただいま委員から御指摘ありましたとおり、複数拠点にデータを安全に分散保管できる、これは秘密分散技術と呼んでいますが、これを組み合わせることで、クラウド上での重要データを安全に分散保管を可能とするものでございます。
現在、この量子セキュアクラウドにつきましては、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムにおきまして、将来の量子、古典計算機との接続を視野に入れた研究開発を推進をしております。また、情報通信研究機構のテストベッド等を活用しまして、例えば、金融あるいは医療等の分野におけるユースケースの具体化に向けた実証を行っているところでございます。
この研究につきましては、二〇二七年度を研究終了目標としておりまして、この研究を進めるとともに、二〇二七年度以降、関係府省とも連携をしながら、社会実装に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。
○大島分科員 一つのデータを乱数を用いて三つに分解して、それぞれのサーバーに持たせて、一つがクラッシュしたとしても、あるいは一つについてサイバー攻撃を受けたとしても、二つから突合すれば元のデータが完成するというこの考え方は前々からあった考え方ですけれども、日本が実用化に向かって進めているのであればしっかり応援したいと思っていまして。
それで、こういうクラウドを、そのような考え方であれば、もっと安いデータセンター、海外にも移しても構わないと私は思うんですけれども、海外に仮にデータセンターを一か所か二か所移した場合の、そのときの安全レベルについて聞かせていただければ幸いです。更問いなんですけれども、答えられれば答えてください。
○豊嶋政府参考人 ただいま委員から御質問あった件でございます量子セキュアクラウドにつきましては、先ほど申し上げたとおり、秘密分散技術によって、まさに委員が御指摘あったように、データを三つに分散するということですが、海外に拠点を移すという御質問の点については、この量子セキュアクラウドにつきましては、同時に、量子暗号技術との組合せになっております。
一方で、この量子暗号技術につきましては、当然のことながら通信技術を伴うものでございまして、この量子暗号通信技術につきまして、例えば海外で行う場合については、より長距離の通信を実現をするということが多分前提になるかと存じておりますが、現在、この量子暗号通信技術につきましては、おおよそ大体百キロ程度の伝送距離を持っている状態でございますので、より長距離の通信を可能にするという技術開発の研究も同時並行に進める必要はあるかなというふうに存じております。
○大島分科員 先行して答弁いただいて、ありがとうございました。
一つには、このサーバーの技術を、二〇二七年までに一通りの研究が終わって実証化になる。もう一つは量子暗号での通信技術だと思っていて、この技術も何年か前に一回、国会で取り上げさせていただいて、非常にいい技術だと思っています。当時は、NICTに伺ったときに、スマホ間で量子暗号キーを持たせながら、完全秘匿の会話のデモを見せていただいたりもして。ですから、やはり、この二つの技術を組み合わせると、日本が世界に先行しながら、完全に秘匿できるデータセンター、あるいは通信手順を持てる国になるかなと思っておりまして、このような技術こそが必要だと私は思っています。
それで、今後、民間金融機関などに活用していただくために、国が技術開発費や運用する費用を助成することも普及を加速させると思っていまして、先ほどの御答弁の中で、一兆四千億円かな、マイナ保険証のために使われた予算がある、マイナカードとマイナ保険証ですから、トータルとしてどういうふうに切り分けられるかは分からないにせよ、国の決算行政監視委員会ですから、どのように予算を配分した方がいいかなというと、こういう研究開発に使った方がいいかなと考えております。
ただ、どの個人情報をどのように保管し管理するかについては、政府とは別に、国会に監視委員会を新設して、国民の代表が関与することも一案だと考えています。
なぜかというと、なかなか、国民の機微に触れる情報、今の情報プラス生体認識の情報だったり顔認識の情報を国のデータセンターに持たせることについては、国民の政治に対する信頼ができないと難しいなと思っていまして、ですから、ここの議論というのは、今後の国会の中で進めるべき議論だと思っていまして、私たち政治に対して国民の信頼を取り戻して、どうやって構築していくのかも併せて必要だなと思っております。
国のシステムは、健康保険証も公金受取口座も運転免許証も、全ての情報を一枚のカードに集約すればデジタル先進国になれるという表層的なものではありません。そして、国の施策として、ポイントでマイナンバーカード取得を誘導することにも違和感を覚えます。自信のある政策でしたら、法制化で対応すべきと思います。
私は、先ほど御答弁のあった一兆四千億円もの予算を投じてマイナンバーカードの普及を図るよりも、世界最先端の秘匿が完璧なデータベースを構築する研究開発や、導入し普及させるための民間企業への資金的な支援、並びに、顔認証や生体認証で、何も持たずに医療を受けられるカードレス社会を実現するための研究開発や基盤整備に向けることが我が国の競争力を強化すると思いますし、そのことこそが将来に備えた国の役割だと考えておりまして、冒頭述べましたように、コンピューター化、デジタル化は私たちの道具であって、私たちはコンピューターの道具ではないと思っています。
それで、時間がそろそろ押し迫ってきましたので、最後に、医療機関の窓口で支払う医療費は、マイナ保険証を利用した際には、従来の健康保険証利用よりも若干安くなります。日本の医療制度はすばらしい制度で、健康保険証があれば、所得格差なく、国民はあまねく一定水準の医療が受けられます。がんになっても、県立や国立のがんセンターで安心して医療を受けられます。このように整備された制度を持つ国は日本だけです。
今回、マイナ保険証の利用促進のために、公的保険に価格誘導的な制度が導入されたことに、我が国の医療制度の綻びを感じ、残念です。そこには、国民にあまねく平等に医療を提供するという国民皆保険についての哲学が感じられないのです。
それで、伺いたいのは、マイナ保険証を利用した場合と従来どおりの保険証の場合の、患者さんが医療機関に支払う医療費について御答弁ください。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
今御指摘をいただきました医療情報取得加算でございますけれども、これは、質の高い医療を提供する観点から、オンライン資格確認等システムを導入した医療機関でありまして、初診及び再診時に患者の方の医療情報を適切に取得することを評価するものとして設けたものでございます。
この加算でございますけれども、これは、患者の方がマイナ保険証を利用された場合には、オンラインで患者の方の医療情報を確認できて、医療機関の事務負担が軽減すると考えられますことから、マイナ保険証を利用しない場合の初診時三点と比べまして、点数を一点というふうに低くしてございます。
このため、窓口でお支払いいただく自己負担額として見ますと、三割負担の方でありますと、マイナ保険証を利用された場合の方が六円低くなるということでございます。
○大島分科員 若干の支払い金額の差ですけれども、国民皆保険こそが我が国の平等性を保たれていて、我が国の社会を支える制度だと思っているので、医療費についての値差が生じることについては、哲学というのかな、国民皆保険を守るということとは多分違うのかなと思っています。
それで、冒頭聞いたように、今の法制度であると、国民の、マイナ保険証に変えない人が一人でもいた場合には、マイナ保険証のデジタル化推進する制度と、もう一つの制度を持たざるを得ないのかなと思うんですけれども、その点について御答弁いただけると助かります。
最後に、時間が来ると思うので、私はマイナンバーカードにこだわる必要はないと思っていて、やはり将来的にはカードレスの社会。私もいろいろな暗証番号をA4二枚程度に全部整理してありまして、覚え切れないのが皆さんだと思う。高齢者の方になれば、カードがどこにあるのか忘れてしまうおそれだってあります。だから、やはり将来的には、顔認証と生体認証で本人を特定して、何も持たないで医療を受けられることがいいかなと。
ですから、私が考えるには、最初から、マイナ保険証じゃなくて、従来の保険証があって、国に対して顔認証データと生体認証データを預けていただければ、その後、一切保険証がなくても大丈夫ですよということで、こちらの方で誘導しながら、ある程度、五年、十年たって、先ほど言った全く安全性のレベルが高い我が国のデータセンターができたら、そのときに私たち政治に対する国民の信頼があれば、法制化して、お金を使わないでスマートに移管した方がいいのかなと私は思っています。
ですから、今皆さんが苦労されている点についてよく分かるので、時間が来ましたので最後の答弁の方は必要ありませんので、是非今後も誠実にお仕事をしていただければ助かります。
以上です。ありがとうございました。
○中西主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。
以上をもちましてデジタル庁所管についての質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○中西主査 これより内閣所管について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。林内閣官房長官。
○林国務大臣 令和二年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額七億二千九百八十九万円余に対しまして、収納済歳入額は六億四千三百五十五万円余であり、八千六百三十三万円余の減少となっております。
次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額千八百二十五億二千三百四十二万円余に対しまして、支出済歳出額は千三百九十八億八千二百八十五万円余であり、四百二十六億四千五十七万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度繰越額は三百四十八億千五百三万円余であり、不用額は七十八億二千五百五十三万円余であります。
次に、令和三年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額七億八千三百四十八万円余に対しまして、収納済歳入額は二十億九千二百三十二万円余であり、十三億八百八十三万円余の増加となっております。
次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額千六百七十六億六千四百九十八万円余に対しまして、支出済歳出額は千四百五十五億四千七百十七万円余であり、二百二十一億千七百八十万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度繰越額は百五十二億二千八百九十万円余であり、不用額は六十八億八千八百九十万円余であります。
次に、令和四年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
内閣主管の歳入につきましては、歳入予算額四億八千二百八十八万円余に対しまして、収納済歳入額は二億一千三百四十八万円余であり、二億六千九百四十万円余の減少となっております。
次に、内閣所管の歳出につきましては、歳出予算現額千五百三十八億三百四十万円余に対しまして、支出済歳出額は千二百五十五億七千四十万円余であり、二百八十二億三千二百九十九万円余の差額を生じます。
この差額のうち翌年度繰越額は二百三十七億九千百十二万円余であり、不用額は四十四億四千百八十七万円余であります。
以上をもちまして決算の概要説明を終わります。
何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
○中西主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 まず、令和二年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 以上をもちまして内閣所管についての説明は終わりました。
―――――――――――――
○中西主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。
○櫻井分科員 立憲民主党の櫻井周です。
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、まず最初に、SDGsについて官房長官にお尋ねをさせていただきます。
まず、SDGs実施方針の十三ページを見ますと、ここに、科学的エビデンスに基づくSDGsの進捗管理及び達成に向けた取組を進めていくこと、かかる取組を国際社会全体のSDGs達成に向けた取組に有機的に統合すること及び国際社会において主導権を発揮していくことを十分踏まえる、こういったことが書かれております。
要は、国内でもしっかり取り組むことが、我が国のこのSDGsの取組が国際社会において主導権を発揮するということで、国内での取組が非常に重要だということだと思います。
こうしたことから、四月八日の決算行政監視委員会で、SDGsの進捗状況について質問をさせていただきました。このときは御答弁を外務大臣にしていただきました。ただ、外務大臣というのは、外向けの官庁というか、外交というか、国外の事案について担当する省庁でございまして、例えば、SDGsの中で、開発途上国の課題に取り組むというのでは外務省は非常に大きな役割を果たすところだと承知しておりますが、日本国内での取組になってくると、各省庁で調整をしていかなければいけない。
そういった中で、外務省は余りそういった分野が得意ではないといいますか、そういった機能というのはなかなか十分ではないのではないのかと。やはり、もう一人の副本部長でいらっしゃる官房長官の役割は非常に大きいのではないのかというふうにも考えます。特に日本は、SDGs、十七あるゴールのうち、もちろん当初から達成できているゴールもあれば、まだまだ取組未達成というゴールもございます。国内において目標年の二〇三〇年までに全てのゴールを達成するために、更なる取組が必要と考えます。
官房長官にお尋ねしますが、国内の実施については、外務大臣任せではなく、官房長官が主導する必要があるというふうに考えますが、官房長官の熱意について御答弁をお願いいたします。
○林国務大臣 国連総会においてSDGsが採択をされました。これは二〇一五年の九月でございますが、採択以降、我が国におきましては、内閣総理大臣を本部長、私、官房長官と外務大臣を副本部長とするSDGs推進本部が設置されまして、その下で、政府全体としてSDGs達成に向けた強力な取組が続けられております。そうした中で、SDGsの国民的な認知度は約九割に達しまして、民間ビジネスや地方自治体を含めて、国内各界において様々な具体的取組が大きく進展をしております。
同時に、我が国におけるSDGsの取組について様々な課題が指摘されている、これも事実であります。
こうした中で、政府においては、昨年十二月にSDGs推進本部におきまして改定をされましたSDGs実施指針にあるとおり、引き続き、SDGs推進本部が司令塔の役割を果たして、この体制の下で多様なセクターの主体的な参画を促しつつ、SDGs達成に向けた取組を加速していきたいというふうに考えております。
○櫻井分科員 SDGsの課題、特に目標五ですとか目標七、十二、十三、十四、十五あたり、まだまだ我が国国内においても課題は大きいと思いますので、是非取組を加速していただきますようお願い申し上げます。
続きまして、ギャンブル依存症対策についてお尋ねをいたします。
ギャンブル等依存症対策推進本部長は官房長官が務めておられるということで、本日質問させていただきます。
さて、あしたからの一週間、ギャンブル等依存症対策推進本部長にとってとても重要な一週間だというふうに承知をしております。本部長としての意気込みをお聞かせいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 ギャンブル等依存症ですが、当事者そして家族の日常生活や社会生活に支障を生じさせるものでありまして、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の重大な社会問題を生じさせる場合もあると認識しておりまして、ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をなくして、健全な社会を構築していくということ、これは重要な課題であるというふうに認識をしております。
こうした認識の下で、政府において、ギャンブル等依存症対策基本法に基づきまして基本計画を定めるとともに、担当大臣を置きまして、政府一体となって対策を総合的かつ計画的に推進しているところでありまして、引き続き必要な取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○櫻井分科員 まさにあしたからはギャンブル等依存症問題啓発週間ということで、五月十四日から二十日まで、特に力を入れてやるということでございます。是非取組をよろしくお願いしたいと思うんですが、ただ、これまでの取組、必ずしも十分であったとはとても思えないということで、個別具体的に質問させていただきます。
昨年度に、久里浜医療センターがギャンブル依存症の実態調査を行ったというふうに承知をしております。これは、法律に基づく実態調査ということでされているかと思います。事前にお尋ねしたら、調査はやったけれども、アンケートはしたけれども、その結果についてまだ取りまとめ中だということで、何も教えてもらえなかったんですが、そもそもギャンブル依存症の患者が増えたのか、減ったのか、これぐらいは分かりませんかね。いかがでしょうか。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
今御指摘のございましたギャンブル等依存症問題の実態把握のための調査でございますけれども、令和五年度に実施した調査につきましては、現在鋭意集計作業を行っているところでございます。この集計作業が終了し次第、速やかに結果を公表させていただきたいと思っておりまして、現時点では御答弁が難しいことを是非御理解賜りたいと思います。
○櫻井分科員 いや、ギャンブル依存症が疑われる方々の人数ぐらいは分かりませんか。
○日原政府参考人 繰り返しになりまして大変恐縮でございますが、今一生懸命この集計作業を急いでいるところでございます。その内容につきまして、現時点では御答弁はちょっと難しい状況でございます。
○櫻井分科員 ちょっと官房長官にお尋ねしますけれども、コロナ禍でギャンブル依存症が増えたのではないのか、巣ごもりの中でずっとパソコンとかスマートフォンを部屋にこもって見ている中で、オンラインのいろいろな各種ギャンブルが急増したという話もございます。
それから、実際、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会への相談件数というのは、二〇二〇年から二〇二三年で十倍に増えている、これはオンラインに関することですけれども、十倍に増えている、こういう話もございます。
私は、ギャンブル依存症問題、さっき官房長官がお話しされたように、大変深刻な問題だというふうに思っているので、こういうふうに、増えたのではないのかという報道があれば、本当に増えたのかどうか、もう心配でいても立ってもいられなくて、少なくともその傾向ぐらいは早く知りたいと思うんですが、官房長官はいかがでしょうか。
○林国務大臣 今、厚労省から答弁がありましたように、この調査は今最終的な取りまとめということですので、なるべく早くその結果を把握をしたいというふうに思っております。
なお、この第一回の調査は、令和二年度に実施して令和三年八月に調査結果公表、こういうことでありましたので、令和五年度に実施されました今の調査、なるべく早くその集計を行っていただいて、結果を把握したいと思っております。
この調査の結果に基づいて、しっかり分析を行ってまいりたいと思っております。
○櫻井分科員 三年前というか、令和二年度に行った調査の結果は確かに令和三年八月ということで、私も手元に持っておりますけれども。いや、三年に一回というのも、特に今回、コロナ禍という特殊事情があって、やはり大変気になるところですので、八月と言わず、早くまとめていただくようお願いいたします。
今度は、ギャンブルの依存症の治療方法についてもお尋ねをいたします。
これはどうやって治療するのか、治療薬はあるのか、完全に治るものなのか、この点についてお答えをお願いいたします。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
ギャンブル等依存症に対する治療法でございますけれども、例えば、外来での依存症集団療法等がございまして、医療機関におきまして医師の診断の下に適切に実施される際には保険適用というふうになってございます。
また、薬剤についてもお尋ねをいただきましたけれども、ギャンブル等依存症に対する有効な薬剤療法として医学的知見が確立されたものは、現在はないものというふうに承知をいたしてございます。
○櫻井分科員 今、一部保険適用もあるというふうにおっしゃいましたけれども、ただ、実態、行われているのは、いわゆる自助グループといいますかでいろいろ助け合いというようなことが行われている。それが多分、重度の方は入院治療をされるんでしょうけれども、多くの場合は入院治療ではなくて自助グループでの活動ということになっているのではないのかというふうに思います。
その中で、このギャンブル依存症対策の費用について、どの程度あるのか、ギャンブル依存症対策の国及び地方自治体の予算、決算というか、一体どれぐらいお金を使っているのか。また、自助グループに対する活動として国や地方自治体の補助金というのはあるのかどうなのか。あるんだったら幾らなのか、また、民間の補助金、特に、ギャンブルをやっている団体、ああいう公営ギャンブルとかはいろいろなところがやっていますけれども、そういったところからこの自助グループ等の活動に対して補助金等を出しているのかどうなのか。この点についてお答えをお願いいたします。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
まず、厚生労働省におきましては、全国規模で依存症問題に取り組んでいただいております民間団体が実施しておられます研修や、あるいは普及啓発などの活動への支援を行ってございまして、令和六年度予算にも約五千万円を盛り込んだところでございます。
また、この支援事業におきましては、令和五年度実績で申し上げますと計十四団体を支援させていただいておりますけれども、このうち、ギャンブル等依存症も含めて支援を実施しておられます団体は六団体というふうに承知をしてございます。
引き続き、この民間団体の支援を含め、ギャンブル等依存症対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
○櫻井分科員 十四団体というか、うち、ギャンブル依存症に対しては六団体ということですが、それはどれだけのお金を支援しているんでしょうか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました六団体に対してでございますけれども、令和五年度の実績で申し上げますと、総額約一千六百万円を交付させていただいているところでございます。
○櫻井分科員 そのほか、競馬なりモーターボートをやっているところ、競馬ですとJRAがやっていたりということで、そこからもいろいろな民間団体の活動に対して支援をしているということは承知をしております。支援の金額というのは、数百万円とか、モーターボートの方はちょっと多くて四千万円とか五千万円、こういう金額で支援をしているというふうに承知をしています。
ただ、このギャンブル依存症患者の方々の数、二百万人とも三百万人とも言われている中で、全然少な過ぎるんじゃないのか、全然足りないのではないのかというふうにも考えます。
例えば、お隣の韓国では、韓国人が入れるカジノは一か所、国内に設けられていますけれども、ここでは、少し前の数字ですけれども、日本円に直して十億円程度の予算が充てられている、ギャンブル事業者がちゃんとその分を負担するというような仕組みになっているというふうにも考えます。
ちょっと官房長官にお尋ねをいたしますが、日本のギャンブル依存症対策費は少な過ぎると思うんですが、数百万円とか数千万円という単位では到底、全国規模の活動を支援し切れないのではないのかと考えますが、いかがでしょうか。もっと増やしていただけませんでしょうか。
○林国務大臣 政府におきましては、平成三十年にギャンブル等依存症対策基本法を公布、施行しておりまして、基本計画を策定するとともに、担当大臣、今は自見大臣でございますが、これを置いて、関係省庁が一体となって総合的かつ計画的に、ギャンブル等依存症、進めてきております。
相談拠点、専門医療機関等の整備、予防教育、それから、先ほど御紹介いただきましたような、明日からのギャンブル等依存症問題啓発週間を含めた普及啓発活動、それから関係事業者によるのめり込み防止のための取組、こういった対策も推進しておるところでございます。
PDCAサイクルに基づいて計画的な取組を推進しろ、こういうふうになっておりますので、先ほど御指摘いただいた実態調査の結果、それから、依存症の当事者、関係事業者、有識者から構成される関係者会議、こういったところの御意見を聞きながら、今委員が予算のお話もされましたけれども、実効性のあるギャンブル等依存症対策をしっかり推進してまいりたいと思っております。
○櫻井分科員 依存症の費用については、もちろん国なり地方で一般会計の中から手当てするというのも一つですけれども、一義的には、ギャンブル、公営ギャンブルも含めて、やっている事業者から、その結果として生まれている依存症なわけですから、そういった団体からももっともっと多くの負担金を求めていくということが必要ではないかというふうに考えます。
続きまして、ギャンブル依存症の治療について、その実績、特に法律ができて以降、どういった実績があるのかについてお答えをいただきたいというふうに思います。患者だった人がどれぐらい治ったのかとか、PDCAサイクルを回していくということでしたので、その結果を御説明をお願いいたします。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほども少し御答弁をさせていただきましたけれども、ギャンブル依存症に対する治療としましては、この依存症に対する有効な治療法が確立されたということを踏まえまして、ギャンブル依存症の集団治療プログラムについて、令和二年度の診療報酬改定から新たな評価を実施して、診療報酬の方でも手当てをさせていただいたところでございます。
ただ、大変恐縮でございますけれども、その人数等につきましては、ちょっと御答弁できるものがございません。恐縮でございます。
○櫻井分科員 いや、成果についてもちゃんと教えてくださいと申し上げましたし、先ほど官房長官は、本部長ですよね、PDCAサイクルをちゃんと回すというんですから、当然、どれだけ患者が減りましたとかいうことが分かってしかるべきだと思うんですけれども。これは通告でも申し上げたはずなんですが、結局、手元にそういう数字がないということなんですかね。
これは、PDCAサイクルがちゃんと回っていないとともに、政府の取組として非常に不十分と言わざるを得ないと思うんですが、官房長官、いかがでしょうか。行く行くは、すぐには無理かもしれないですけれども、ギャンブル依存症患者をゼロにする、日本国内ではそういう方はいないという状況にするのが本来目指すべきところだと思うんですが、そこに向けてどの程度進んでいるのかということをちゃんと把握するべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたような点の実態把握、これにつきましても、先ほど御答弁申し上げました実態調査が大変重要であるというふうに考えてございます。
様々御指摘をいただきましたけれども、これは少し説明をさせていただきますと、今、回収しました回答につきまして、有効な回答の選別、そういったものはもちろんですけれども、回答の間の整合性の評価とかあるいは年齢調整、今後分析できるように、そういったものを進めているところでございます。
いずれにいたしましても、今御指摘ございましたようなPDCAサイクルをきちんと動かしていくためにも、先ほど御答弁申し上げましたとおり、この調査の解析、集計作業、これに鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
○櫻井分科員 今おっしゃられたのは久里浜医療センターがやっている調査のことだと思いますけれども、これはどちらかというとマクロで、日本社会全体としてどうかという状況を調べるアプローチだと思います。それだけじゃなくて、個別にいろいろな取組をやっているとおっしゃるのであれば、ミクロ、個別の取組の中で、どれだけ依存症患者を減らしたかとかいうことも把握できるはずですよね。それもちゃんと、この久里浜医療センターとは別に、ちゃんと報告というか、PDCAサイクルの中に入れて確認をいただきたいと思います。
それから、患者も、新たに日々ギャンブル依存症になる方が生まれてしまっているというのが現状だと思うんです。新たになっている方、それから、既になっていて、ただ、治療方法はあるとおっしゃいますけれども、すぐに、じゃ一週間で治りますとかそういう種類のものではなくて、もう何年も何十年もかかって、ずっと日々努力しながらやるものだというふうにも聞いています。すぐに治ったりするものではないので、じゃ、そういう方々が、既にギャンブル依存症になっちゃった方々がどうなっているのかということも、そこからどれだけの方が治ったと言えるような状況になっているのかということも確認するということで、そういういろいろな切り口から把握をしていくようにお願いをいたします。
続きまして、ギャンブルに係る広告規制についてもお尋ねをいたします。
町じゅうにパチンコがあったり、あと、公営ギャンブルのCMがテレビで頻繁に流れていたりというようなことで、非常にこれは誘惑が多いと思うんですね。特に、最近はテレビコマーシャルの中身もかなり刺激的になっておりまして、それこそ、宝くじのCMでは、真面目はつまらないと言わんばかりの宣伝で、刺激を求めていると射幸心をあおりまくっているわけなんですよ。
こういうCMが世の中にあふれている、看板もあふれているという状況だと、ギャンブル依存症の患者さんで、これから立ち直ろうと思って一生懸命努力されている方がそういう広告とかに接すれば、ギャンブルにまた誘惑されてしまって、結局ギャンブル依存に逆戻りということになってしまいかねない。依存症患者にとっては、再発防止が非常に難しい社会環境になっているというふうに思います。また、こうした射幸心をあおる広告は、新たなギャンブル依存症患者を生み出しているのではないのか、こういうふうにも懸念をします。
官房長官にお尋ねをしますけれども、ギャンブル依存症患者が再びギャンブルに誘惑されないようにするために、また、新たなギャンブル依存症患者を生み出さないようにするために、広告規制というのは必要だと考えますが、本部長としての見解はいかがでしょうか。特に、パチンコなどの派手な看板、ネオンとかをばんばんつけているような看板は禁止するとか、CMを禁止するとか、そういった措置が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 公営競技、そしてパチンコの広告宣伝でございますが、ギャンブル等依存症対策基本法の第十五条におきまして、国及び地方公共団体は、関係事業者の自主的な取組を尊重しつつ、予防等が図られるものとなるようにするため、必要な施策を講ずるものとする、こういうふうになっておりまして、この規定を踏まえまして、基本計画において、公営競技やパチンコの関係事業者が自主的に広告・宣伝指針等を策定、運用することになっております。
全ての公営競技及びパチンコの関係事業者が広告・宣伝指針等を策定、運用しておるところでございまして、量についての具体的なルールはございませんが、広告が射幸心をあおる内容にならないようにするとともに、各種媒体を通じて、券の購入は二十歳になってからであるとか適度に楽しむであるとかの注意喚起標語の表示等によって、広く一般に注意喚起を行っていると承知をしております。
いずれにいたしましても、基本計画に定める施策につきましては、先ほど申し上げましたが、PDCAサイクルに基づいて計画的な取組を推進することとしておりまして、今御指摘のあった広告宣伝に関する取組も含めまして、適時に進捗状況の評価等を行いながら、法の趣旨を踏まえつつ、実効性のあるギャンブル等依存症対策、これを推進してまいりたいと思っております。
○櫻井分科員 公営ギャンブルについては、本来、収益金は公共のために使うといいますか、例えば、地方自治体が主催しているものであれば、自治体の一般会計に繰り入れて行政サービスに充てるということが本来目的なのに、それに回さずにCMにばんばん使っちゃっているというのは、何か本来の目的とは違うんじゃないのかというふうにも思いますので、例えば総量規制ですとか、内容規制だけでなく総量規制とか、そういったことも含めて対策が必要だと思いますので、是非取組を進めていただきますようお願いいたします。
それから、今日は金融担当の副大臣にも来ていただいておりますけれども、ギャンブル依存症患者への貸付けの貸し手責任というのもしっかり問うていくべきではないのかと思います。
ギャンブル依存症患者の特徴として、借金してでも、そして、あと、お金を盗んででもギャンブルを続けようとするという傾向がございます。ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の通訳を務めていた水原さんも、一番信頼されるべき大谷選手からお金を盗んだのではないのかということで報道もされておりますが、アメリカで裁判が進んでおりますけれども、こういったことになってしまうわけなので。
日本の場合、消費者金融等からお金を借りるということで借金漬けになってしまうということがございます。借金の金額が大きく膨らむ前に、早々に例えば自己破産できるようにする、また、自己破産できるということを啓発することで、傷が大きくならないようにしていくという取組が必要だと思うんですが、この点についての政府の見解をお願いしたいのとともに、逆に、こうやってギャンブル依存症患者の自己破産が増えれば、つまり、金融機関にしてみれば返済されない事例が増えれば、融資をするに当たって慎重に審査をするようになるということで、結果、ギャンブル依存症を減らす効果が期待できると考えますが、これについても併せて政府の見解をお願いいたします。
○井林副大臣 まず、現行制度について申し上げますと、借り手の返済能力を超える過剰貸付けを禁止する枠組みとして、貸金業法上、貸金業者には借り手の年収の三分の一を超える貸付けを原則禁止する総量規制が導入されてございます。
また、他方、銀行カードローンにつきましても、全国銀行協会が二〇一七年三月に申合せを行いまして、各行では、貸金業法における多重債務の発生抑制の趣旨や顧客保護等の観点から、融資上限枠の設定等の対応を行っていると承知してございます。
これらに加え、ギャンブル依存症対策の一環として、日本貸金業協会及び全国銀行協会におきましては、本人等からの申告を受け、信用情報機関に登録することにより、本人に対する新規の貸付けを制限する貸付自粛制度を運用してございます。
こうしたものを活用して、しっかりとギャンブル依存症対策を行ってまいりたいというふうに思っております。
○櫻井分科員 ただ、ちょっとこれは事前に聞かせていただいたんですが、自己破産の数ですけれども、同時廃止の制度を利用しての自己破産というのは年間四万件程度というふうに聞いております。ただ、ギャンブル依存症患者の方は二百万人とも三百万人とも言われている中で、これでは多分数が全然合わないので、やはりもう少しいろいろな取組が必要ではないかというふうにも考えます。
最後に、ちょっと時間も迫ってきておりますので官房長官にお尋ねしますが、こうしたギャンブル依存症対策が必ずしも十分な成果を上げているとは到底言えないような状況の中で、大阪にカジノを開帳しても大丈夫なんでしょうか。私は大阪でカジノをやるなんてとんでもないというふうに考えるんですが、パチンコとかだったら負けてもせいぜい一日数万円ですけれども、カジノとかは一気に億単位で負けることもあり得るわけなので、これはちょっと、大阪のカジノはちゃんと考え直した方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 カジノについては、今、仕組みができて、いろいろな手続が進んでいるということで、担当大臣もおりますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたような、ギャンブル等依存症対策基本法に基づいてPDCAを回しながら、しっかりとこの対策を推進をしてまいらなければいけない、これには変わりはないというふうに考えております。
○櫻井分科員 時間になりましたので、これで終わります。
ありがとうございました。
○中西主査 これにて櫻井周君の質疑は終了いたしました。
次に、櫛渕万里君。
○櫛渕分科員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。
まず、通告はしておりませんが、林官房長官にお伺いいたします。
十日、国連総会において、パレスチナの国連加盟に関する決議案が百四十三か国の賛成多数で採択をされました。日本の賛成に評価をいたします。
日本は決議案に賛成したわけですから、引き続き、安保理理事国、特に同盟国のアメリカとイギリスに賛成するよう外交努力が重要であると考えますが、官房長官のお考えをお聞かせください。
○林国務大臣 突然のお尋ねでございますが、一義的には外務大臣からお答えすべきところだろうというふうには思いますけれども、今委員からお話がありましたように、このパレスチナの決議については、総合的な判断として賛成をしていただきました。
それぞれの国がいろいろなことを総合的に判断してそれぞれの国の立場というものを表明をする、こういうことであろうかというふうに思いますが、我々としては、我々の表明した立場、賛成という表明した立場に基づいて、しっかりと、賛成の表明をしたということ、これが推進をされますように、独自の我々としての外交努力を重ねていくべきだというふうに考えております。
○櫛渕分科員 御答弁ありがとうございます。
我が国の憲法前文は、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、生存の権利を有するということをうたっています。イスラエルによるガザへのジェノサイドが一刻も早く止まるよう、イスラエルと関係国に強く引き続き申し入れていただくようお願いを申し上げます。
そしてもう一点、アメリカ絡みで、林官房長官にお伺いいたします。
オースティン国防長官らが、広島と長崎への原爆投下が第二次世界大戦を終わらせたという見解を示したことについて、上川外務大臣が、適切ではないとし、核兵器の使用は国際法の精神にそぐわないというふうに申入れをしたと聞いています。
しかし、林官房長官、そのような他人事のような申入れでいいんでしょうか。原爆という人類史上初めての大量破壊兵器、それによって広島では十四万人以上、長崎では七万人以上の無辜の市民の命が奪われ、そして、今なお原爆症で苦しんでいる人がおられます。
本当にこの状況を考えると、核兵器、これは非人道的な兵器であるということを我が国としてアメリカに明確に抗議することが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 これも突然のお尋ねでございまして、外務大臣から御答弁した、これは政府としての見解であろうか、こういうふうに思っておりますので、それに何かつけ加えてということはございませんが、広島、長崎という人類が経験をしたことのない経験をして、唯一の戦争被爆国である日本として、しっかり核廃絶に向けての外交努力、歩みを続けていく、このことは申し上げておきたいと思います。
○櫛渕分科員 この件は私も譲れません。
ウクライナ戦争や中東で、核兵器による威嚇が繰り返されております。かつてないほど核戦争による危機が世界中で高まっていると思っています。
官房長官おっしゃるように、我が国は唯一の戦争被爆国として、長崎が最後の被爆地であると言えるような外交努力と働きかけが歴史の責務であると考えます。是非、引き続きお願いをしたいのと同時に、この件は重ねて、明確な抗議をアメリカにしていただくよう私からは求めさせていただきます。
さて、能登半島地震から四か月以上がたちました。死傷者は千四百四十四名、建物の被害は十万を超えています。五月八日時点での避難者数は、資料一、指定避難所だけで四千百三十人。熊本地震では、発災から四か月半後、最大避難者数の九九・七%が自宅に戻る、あるいは仮設住宅に入るなどしていました。能登半島地震では、最大の避難数は四万六百八十八人、いまだその一割以上の方々が少なくとも指定避難所で生活を強いられ、そのほか在宅避難や広域避難を続けている人を考えると、全く対応が進んでいないと言わざるを得ません。
私も一月と三月に現地に入りまして、二月十六日の内閣委員会で質問したときのパネルを資料二として配付をさせていただいていますので、御覧ください。
これは発災から三週間後の写真ですが、今もほとんど変わっていません。二月の委員会でも述べましたが、私はNGOの出身で、国内外で様々な災害支援をしてきましたけれども、このような、道路からマンホールが一メートル近くも飛び出している、そのような状況は初めて見る光景でした。
内閣委員会の質疑から約三か月がたちましたけれども、資料三のように、今でも珠洲市とそして輪島市では三千戸を超える断水が続いています。しかも、その数字は、水道事業者が管理する水道管の状況のみなんですね。宅内配管、つまり水道管から自宅の蛇口に水を通すまで、自己手配で、業者も順番待ちで追いつかない状況。これも、順番待ちは、半年後ようやく順番が取れるかどうか、そのようなケースが多々あると聞いています。
なお、断水が解消されれば問題が解消するわけでもありません。能登町では、断水は解消したとされるものの、下水道管が被災しているために下水が流れにくく、今でも節水を呼びかけたり、内灘町も、下水道の被害によりトイレが使えない地区があるそうです。これでは避難先から自宅に戻れない。生活の再建は難しいと言わねばなりません。
一月の発災後、一週間たってようやく簡易トイレが届いたときに、トイレは神様だというふうに話していた珠洲市の副市長の言葉が思い出されます。
政務官にお尋ねいたします。
断水の解消時期について、資料二にあるように、当初四月以降というふうにしていたわけですが、宅内配管の対応を含めて、完了する時期、そしてさらに、下水道が完全復旧する時期の見通しについて教えてください。
○平沼大臣政務官 お答え申し上げます。
能登半島地震の復旧復興については、今御指摘のとおり、断水の解消というのを一生懸命進めておる状況でございますけれども、断水については、五月中の解消に向けて上下水道一体となった復旧を進めておりまして、しっかりと引き続きやりたいと思っておりますし、政府の方では、国交省中心となって、宅内配管のお話もありましたけれども、そこの事業者に全てヒアリングをして、いつぐらいの時期になるかという形の公表を県のホームページ等々でも公表させていただいております。
また、県独自の取組として、かかり増し経費の対応であったり、そういうところも進めておりますので、しっかりと早期の復旧に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
○櫛渕分科員 午前中の質疑のときに、政務官から、下水について、流下機能を確保されているというふうな答弁があったかと思うんですけれども、それって漏れているんじゃないですよね。確認させてください。
○平沼大臣政務官 済みません、私、午前中には質疑を受けていないんですけれども、ちょっとそこの詳細についてはまた御確認をさせていただきたいと思います。
○櫛渕分科員 失礼しました。国交省の方だったかもしれません、失礼いたしました。
ただ、いずれにしましても、下水について本当にめどが立たないという状況、大変不安な声だけでなく、そもそも、上下水道がある文明的な生活が戻されない、被災者に向けて一番の大事な生きるための水とトイレということが戻らない状況であるわけですから、とにかく、どんな状況で何をやっているのか、被災者に見える形での支援ということが大変重要だと思います。
人とお金と資材がどれぐらい投入されているのかということを併せて、本当に復旧復興に大きく関わる基本のところですから、是非とも国を挙げてやっていただくよう強くお願いを申し上げます。
もう一つ、二月の質疑で使用したパネルを持ってきています。資料五を御覧ください。この三十年における避難所の様子なんですね。
ここから少し、避難所の在り方と被災者支援について議論していきたいと思います。
写真のように、日本の避難所の貧弱さは三十年前から余り変わっていないのが現実であり、大変衝撃です。三十年前の阪神・淡路大震災、十二年前の東日本大震災、二〇一六年の熊本地震、そして今回、避難所の環境がほとんど変わっておりません。結局、体育館に雑魚寝。今回、段ボールベッドなどが入るようになったのも数週間たってからがほとんどです。
一方、資料十一を御覧ください。こちらは台湾の避難所です。四月三日、マグニチュード七・二の大規模地震のあった台湾の花蓮市では、当日のうちに、プライバシーが確保されたテントと、中にはベッドが設置されています。温かい食事が配布され、被災者のストレスを軽くするためのアロママッサージもあり、子供はゲームで遊ぶことができたそうです。
台湾が特別なのではなくて、資料十、イタリアの避難所も、テント村が設置され、内部には簡易ベッドと暖房器具が完備されているんですね。食堂用の大きなテントも準備され、提供される食事は温かいものが基本、メニューはパン、パスタ、ハム、野菜、ワインつきだそうです。
でも、台湾もイタリアも最初からこんな形だったわけではありません。台湾は、一九九九年、この百年間で最も大規模な地震災害をもたらしたと言われる九二一地震、マグニチュード七・三、イタリアは、二〇〇九年のラクイラ地震、マグニチュード六・三の震災を教訓として、国を挙げて災害対応のシステムを整えていったんですね。
特に台湾は、気候や地形など自然災害を受けやすい条件が日本と似ているわけですから、何事も経済優先だったと言われる台湾に、人間と大自然の関係を改めて見詰めさせる大きなきっかけになったと聞いています。
私が注目するのは二点、災害対応の被災者支援に向けた取組です。一点目は、災害のない平時でも訓練と研修を重視し、人材育成に力を入れていること、二点目は、災害対応における民間組織や専門ボランティアと行政が連携していることなんです。
イタリアには、防災と国民保護を目的とした市民安全省という国家組織も存在しています。本部には陸海空軍や警察、消防、赤十字やボランティア団体などが常駐しており、司令部では二十四時間モニター監視や情報収集が行われています。
災害ボランティアは事前に研修を受け、災害派遣登録をしたり、医療、福祉だけでなく、土木系、機械系、調理系、こうした職能ボランティアも備えて、重機やキッチンカー、そしてヘリなどを所有しているところもあるそうなんですね。いざ災害時には、ボランティアは研修済みなので被災地も安心して受け入れられるし、最大二週間の日当や交通費も出て、職能ボランティアは事業主から労災保険も保証されているということです。
この災害ボランティアを分類しているのは台湾も同じで、平時から自治体の危機管理課と連携体制をしいて、緊急時にはすぐに駆けつけることができる、そのような仕組みです。だからこそ、災害直後から被災者支援が可能となる。
特に日本と違うところは、避難所運営を被災自治体や避難者任せにしない点です。被災自治体の職員は本来業務に専念し、そして被災住民は安心して避難できるよう、こうした災害ボランティアや民間組織が外から駆けつけ支援する。
一方、日本はどうか。実際に、阪神・淡路大震災から三十年、特に三・一一以降、いち早く地震や水害の被災地救援に入り、災害救援の経験やノウハウなどを蓄積して専門性を有する災害救援NPOが組織的に活動しています。
しかし、こうした災害NPOのみならず、ボランティアに対する政府や社会の認識、そして国の制度が追いついていないと言わざるを得ません。被災自治体の現場でも、行政職員は二年で交代するため経験が積み上がらず、当然、マニュアルがあっても非常時になかなか機能しづらいわけですね。むしろ行政側は現場の災害NPOを頼りにしている、そのような状況です。
行政支援されている支援組織の方々に聞きますと、被災地に入るたびに毎回ゼロベースで同じ課題が繰り返されていて、例えば、避難所はどう変化していくのか、物資の配布や炊き出し調整はどうするかなど、三・一一以降、それはほとんど一〇〇%状況は一緒だと言える事態だということなんです。結局、対応が遅れることによって、そのしわ寄せは被災者である国民に行きます。
今回の能登半島地震の対応でも、初動の遅さ、総理視察の時期、炊き出しや水、トイレの不足、全く進まない瓦れき撤去、災害ボランティアへの対応など、我が党の山本太郎代表を始め野党から多くの批判の声が上がっております。
林官房長官、これを受けて政府は、自治体支援、避難所運営、物資調達などの災害対応における検証チームを立ち上げましたが、是非ここに、発災直後から現場に入っている災害NPOをメンバーに加えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今委員からお尋ねのありました、チーム、そこにNPOの方を、こういうことでございましたが、これは防災担当大臣の下にあるチームでございますので、よろしければ政務官からお答えさせていただければと思います。
○櫛渕分科員 じゃ、政務官、簡潔にお願いします。
○平沼大臣政務官 今まさに、委員御指摘のとおり、検証チームという形で検証を進めさせていただいております。また、今後、有識者会議等も立ち上げて、今回の半島地震の検証を行っていくところでありまして、委員の御指摘についてもいろいろと検討してまいりたいと思います。
○櫛渕分科員 是非検討をお願いいたします。
このメンバー表、ここにもあるんですけれども、これを見ますと、メンバーは国の官僚ばかりなんですよ。恐らく県や市町村からヒアリングをするんでしょうけれども、それだけでは被災者の実態は見えてこないと思います。是非、災害NPO、そして支援団体、現場の声を聞いている方々をメンバーに入れていただきたい。
そして、恐らく、これは男性ばかりじゃないかと思うんですね。ですよね。女性の視点に立った避難所運営、災害救援という点、大変重要ですので、是非、ジェンダーバランスもよろしくお願いしたいと思います。
次に、資料四を御覧ください。内閣府防災の災害救援法の概念図ですけれども、ここにも災害NPOは出てこないんですよ。災害が発生したとき、どの主体がどういう行動をするかをまとめた表ですけれども、最も被災住民に近い現場で、被災市町村と連携しながら、指定避難所だけでなく自主避難や在宅避難者もフォローする支援団体の存在が認識されていないのは大変問題だと思います。
恐らく、右下にあるボランティア、ここに全部くくられると思われるかもしれませんが、全国各地から駆けつける、家屋の泥かきや片づけなどを担ってくださる一般のボランティアの方々と、マネジメントを行う専門的なスキルや知識、そして現場の経験を持つ支援組織は別の役割があるんですね。その点を政府にはしっかり認識していただいて、いざというときに備えられる救助法の概念図に変えていただきたいと思います。
実際、今回、被災地では、被災者から避難所ガチャという言葉を聞きました。つまり、被災自治体によって災害救助法の理解や運用に差があって、法律上、ベースとするお弁当が提供されていなかったり、自衛隊への要請の仕方に違いがあって、避難所に格差が生まれたというわけなんですね。
専門家からも、避難所運営は住民の負担が大きい、行政職員だけに任せるのは難しいという指摘があって、避難所運営のプロである災害支援団体に委託する方が効率的かつ効果的であると考えます。是非、このような結論づけられた専門家の意見もお聞きいただいて、避難所運営を行政職員だけに任せない、被災者だけに任せない取組を考えていただきたいと思います。
そして、行政職員だけに任せられない理由のもう一つに、自治体側の体制の不足を指摘しておきたいと思います。
資料七を御覧ください。過去十年で、災害に見舞われず、災害救助法の適用がされていない自治体は半数を超えるんです。つまり、その自治体には災害対応のノウハウはないということであり、災害のたびに出動する民間の支援組織とは大きく違うんですね。
更に言えば、資料八。元々、自治体の防災体制は脆弱と言わなければなりません。ここにあるように、国は、南海トラフ地震や首都直下型地震など巨大地震が予想される地域を防災対策推進地域や緊急対策区域に指定しておりますけれども、こうした危険地域にある自治体ですら、専任職員を置いていないところが二割を超えるんです。
職員は、地域防災計画やハザードマップの作成、防災訓練に加え、災害が起きたときは災害対策本部や避難所の運営などが仕事ですけれども、ただでさえ公務員の数が減少していますよね。専任職員なしに、平時も非常時もきめ細やかな対応ができるはずもありません。
林官房長官、更に遡って今から二十一年前、二〇〇三年の中央防災会議の、人材の育成についての専門調査会というのがありました。そこで防災専任職員の配置が既に言われているんです。しかし、現実には、その指摘どおりには進みませんでした。
しかも、人数が少ないのは何も地方の小規模自治体ばかりではありません。人口二百六十九万人、職員数で三万五千人を超える大阪市は、防災専従職員は人数こそ四十四人いますけれども、人口一万人で見ると〇・一六人しかいないんです。日本の自治体には、大都市も含めて、災害に対応する力が欠けているのではないでしょうか。
林官房長官、現在、中央防災会議の防災対策実行会議座長として、二十一年前の指摘がいまだに実現していないことについてどうお考えか、そして、今後どうしていくか、お聞かせください。
○林国務大臣 今委員からお話がありましたように、今回の能登地震で非常に人口の少ない地域が被災をしたということもありまして、市町村、被災もされたということもあってなかなか大変であったということをずっと感じておりましたので、そういう思いを持ちながら聞かせていただきました。
さらに、五二%は経験がないということ、それから、一人もいない自治体が二〇%ということ、まさにいろいろな、これは総務大臣からお答えすべきだと思いますが、いろいろなことがあってなかなか人が割けないという事情があるいはあるかもしれないなと思いながら、その前段の、NPOの皆さんは一方でノウハウを蓄積されておられる、こういうことでありますから、これが一つの、そういったものの答えになるのかな、こういうふうな思いを持ちながら御指摘を聞かせていただきました。
こういうことも含めて、先ほどの検証チームでもジェンダーバランスにも配慮しながらしっかりと意見を聞かせていただくことによって次の対応、今後の対応にしっかり生かしていかなければならない、そういうふうに、今委員の御指摘を聞きながら考えさせていただきました。
○櫛渕分科員 官房長官は危機管理の最前線にいらっしゃるお立場ですから、この災害対応についても今日はお聞きをさせていただいております。
次に、もっとも、脆弱なのは、先ほど自治体の例を申し上げましたけれども、実は、資料九、内閣府防災の今年度の予算、七十三億円なんですね、むしろ国の方が更に脆弱なんじゃないか、私は体制として思いました。一般会計全体の僅か〇・〇〇七%です。
一方、例えば、防衛省が買う電波情報収集機、RC2の価格は、装備を入れると六百三十六億円。日本の災害対策の司令塔であるはずの内閣府防災の予算は、自衛隊の飛行機一機の十分の一くらいなのが現状だということになります。
林官房長官、内閣府防災の予算はこの十倍、いや百倍あってもおかしくないと思いますが、どうお考えでしょうか。司令塔であるべき内閣府防災にはもっとお金をかけていいんじゃないですか。いかがでしょうか。
○平沼大臣政務官 予算のことに関して、私の方からちょっとお答えさせていただきます。
委員御指摘の内閣府防災における七十三億円の予算でございますけれども、こちら、地震、火山、風水害等への対応の強化、防災デジタルプラットフォームの構築など防災DXの推進、被災者支援の充実強化、防災を担う人材の育成など防災体制の充実強化、そして国際防災協力の推進等に関して約七十三億円を計上しているところでございます。
しかし、このほか、政府全体としては、科学技術の研究、災害予防、国土保全、災害復旧等といった防災関係の予算は関係各省で適切に計上されているものと承知しておりまして、とはいえ、いずれにしても、防災に関してしっかりと関係省庁でも取り組まれるように、しっかりと引き続き働きかけてまいりたいと思っております。
○櫛渕分科員 様々な省庁に予算が広がっていることは私も存じ上げています。
ただ、災害というのは、起こってから復旧に対する予算だけでは足りないということを今日は申し上げているんです。平時の訓練だとか研修であるとか人材育成とか、そこに力を入れるべきだということなんですね。なので、この予算では国全体の防災能力がないと言わざるを得ません。国防と同等レベル、あるいはそれ以上に、災害大国として国民の命を守る体制が必要であると考えます。
資料六を御覧ください。この図はここ十年ぐらいにあった災害についてのある統計ですが、大きな地震や水害が毎年各地で発生しているんです。災害はいつ起こるか分からないではないんですよ。五十年前の四倍、五倍、災害が増えていて、気候変動の影響もあり、風水害は毎年です。地震は、五年から六年に一度、大きい地震が起きています。
本日述べてきたように、非常時の避難所運営について、被災自治体や被災住民任せはやめて、プロである災害支援NPOや支援組織に運営を委託していく。平時については、自治体や社会福祉協議会、一般ボランティアへの訓練や研修を重ねて、いざというときに駆けつけられる人材育成と、自治体における災害救助法、この運用を平準化していくことが必要であると考えます。
内閣府防災の官民連携について、緩やかな情報共有のレベルから、こうしたもっと実効性あるものへと早急に強化することが最低限必要だと思います。
そのために、先ほど来予算の話をしておりますけれども、政府と連携するJVOADというボランティアのネットワークがあるわけですが、この事務局に公的予算をつけて、現場経験のある人材を公務員的に雇用し、体制づくりに力を入れるべきではないでしょうか。
既に内閣府防災では、災害中間支援組織のモデル事業や、防災基本計画を改正して避難所運営を専門性ある団体の協力支援を書き込むなど、その必要性は御理解いただいていると思うんですけれども、余りにもアリのような歩みなんですよ。それに比して、近年、災害が起こる頻度は大幅に増加、被害の規模はほとんど激甚化しています。このままの体制では、能登半島地震で明らかなように、国民の困難が続くだけでなく、繰り返しの災害になりますと、更に経済も低迷し、国力も奪われかねません。
林官房長官、南海トラフ地震や首都直下型地震を想定したとき、今、多くの国民が不安の中にいます。ある意味、四十三兆円の防衛費強化よりもはるかに早急な体制整備が必要であると考えます。国家の危機管理の最前線にいるお立場として、官民連携の質と量の強化と大胆な財政措置、その方向性について是非お考えをお聞かせください。
○林国務大臣 予算については先ほど政務官からお答えをしたとおりでございまして、各省にもそれぞれ予算が計上されていると答弁したとおりでございます。
体制につきましては、国会でも様々御議論いただいております。アメリカのFEMAを引いていろいろな御質問も、私も伺ったこともあるわけでございます。
大規模災害のときにやはり国、地方を通じて関係機関が持てる力を最大限に発揮できる、これが重要であるというふうに申し上げております。それに加えて、今日御指摘をるるいただきましたけれども、やはり官民の連携、これは非常に大事であろうというふうに私も考えております。
そうしたことも含めて、万全の体制の確保、これに向けて、先ほど示していただきましたように、私も平成七年以来国会におりますけれども、平成七年が阪神大震災の年でありました。それ以前と比べて体感として大規模な災害が増えているのではないかということを考えておりましたが、データで今委員から示していただいたのではないかというふうに思っております。
こうしたことに対応するために万全の体制を確保しなければなりません。関係省庁、地方自治体の連携の在り方や、今ちょっとお触れになっていただいた人材の育成の在り方、こういった点も含めて不断に検討を進めてまいりたいと考えております。
○櫛渕分科員 時間がなくなってきましたので、最後、まとめていきたいと思いますが、予算の関係、なぜ申し上げるかというと、これは是非御理解いただきたいのは、ずっと災害支援を現場でやっていらっしゃる方からお聞きすると、民間の寄附頼みの災害支援は、災害の起こりやすい夏から秋には寄附が集まりやすくて活動ができるけれども、一月から六月の余り雨風が多くない時期は寄附が集まりにくく、年間を通じて人を雇うことが難しい、プロフェッショナルをこれ以上育成することができない、このような実情を抱えているということなんです。これは内閣府の官民連携検討会でも指摘があるところです。災害支援の知見や経験が人の中に蓄積されていないのは、国にとっても大きな損失になると考えます。
林官房長官、最後に提言したいのは、この資料十三です。その受皿となる防災省の設置、れいわ新選組は提言をしております。是非、こうした受皿となる防災専門の省庁、これを御検討いただき、金融庁や消費者庁、こども家庭庁があるんですから、これだけの災害大国で防災省庁がないのはおかしいと思います。是非、最後、御検討いただけるかどうか、御決断、お願いをしたいと思いますが、一言だけお願いします。
○林国務大臣 体制につきましては、先ほどもお答えしたように、今の委員の御提案も含めて、様々な議論があると申し上げたとおりでございます。
やはり、持てる力は最大限に発揮する、国と地方、官民、あらゆる力を結集する、これが大事だと思いますので、そうした点も含めて不断に検討を進めてまいりたいと考えております。
○櫛渕分科員 終わります。ありがとうございます。
○中西主査 これにて櫛渕万里君の質疑は終了いたしました。
次に、漆間譲司君。
○漆間分科員 こんにちは。日本維新の会の漆間と申します。自見大臣、今日はよろしくお願いいたします。
まず、万博のテーマウィークについてお伺いさせていただきたいと思います。
近年の万博は見る万博から参加、体験、行動する万博に変わってきているということは、もう自見大臣、本当に何度も国会でおっしゃっていただいています。
大阪・関西万博では、人類共通の課題、社会課題を解決する場として、社会の様々な主体が関わるテーマウィーク、対話プログラムであったり、ビジネスマッチングであったり、そういったことが設定をされております。いろいろなテーマで、例えば強制労働だったり、脱炭素、気候変動だったり、様々なテーマについてやることになっておるんです。
一方で、近年、社会課題解決に向けたお金の流れだったり、社会解決に係る経済の動きというものが非常に重要となってきております。例えば、テーマウィークで扱われます強制労働だったり人権ということに関して言えば、中国の新疆ウイグル自治区で強制労働で作られた綿を使ったユニクロの服がアメリカで輸入停止になったという事例が、二〇二一年だったと思うんですけれども、あったところでございます。
そういった人類共通の課題や社会課題解決が、実は近年は、経済やお金の流れに大きく関わる、関わっているといった事例がほかにもたくさんあると思うんですけれども、幾つかその事例についてお伺いさせていただきます。
〔主査退席、小林(史)主査代理着席〕
○井上(学)政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のテーマウィークにつきましては、地球規模で課題となっております八つのテーマを一週間ごとに設定しまして、各国政府や民間企業など幅広い関係者が集いまして解決策を話し合うことになってございます。
近年、ビジネスの分野におきましては、サステーナビリティーの重要性の認識が高まっておりまして、テーマウィークで取り上げる社会課題に対する関心も高まっていると承知してございます。
具体的に申し上げますと、テーマの一つであります、例えば健康とウェルビーイングに関しましては、経済産業省におきまして、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、健康の保持増進につながる取組を戦略的に実践する健康経営について、特に優良な企業を選定して見える化する健康経営優良法人認定制度を創設しまして、関係企業や金融機関など、評価を受けることができる環境整備が進められてございます。
もう一つ、別のテーマであります地球の未来と生物多様性に関しましては、近年、ESGを考慮した投資というのが増加してございますので、そのような投資につきまして、金融庁が公表しております責任ある機関投資家の諸原則、いわゆる日本版スチュワードシップ・コードにおいて、投資家がESGの観点も踏まえた投資先企業との対話を行い、企業と企業価値向上やその持続的成長を促すことが掲げられております。
○漆間分科員 幾つか事例を述べていただきました。
本当にESG投資というのは、近年、その投資の額が世界で三千兆円から四千兆円と物すごく大きくなっている。それがまさに社会課題解決とも関わっている。経営に関しても、健康、ウェルビーイングだとかが非常に重要だということもおっしゃっていただきました。
その上で、こういったテーマウィークに、例えば、日本の子供たちがしっかり関わっていって、それで、関わっていきながら、そこに金融教育だったり経済教育だったり、そういった観点、要素をしっかり入れていくことが重要だと思っておりますが、こういったテーマウィークに、そういったことに関する人々を呼んでいただいたりすることというのは、今後予定されていたり、できるものなんでしょうか。お伺いいたします。
○井上(学)政府参考人 お答え申し上げます。
テーマウィークでは、八つのテーマごとに、博覧会協会が主体となりまして、対話型プログラムや展示型プログラムを実施するアジェンダ二〇二五を実施する予定になってございます。
こうした取組にどのような方々に参加していただくかにつきましては、現在、博覧会協会が検討していると承知しておりますが、経済や金融の知見を持った方の参加が重要であるというのは御指摘ごもっともでございますので、博覧会協会と連携して検討してまいりたいと考えてございます。
○漆間分科員 ありがとうございます。
今御説明のあったとおり、金融教育だったり経済教育といった観点を是非、このテーマウィークに取り入れていただくことは非常に重要なのかなと思っております。こういった社会課題解決に、大阪の子供たち、日本の子供たちが触れることによって、それが将来のお金の流れであったり経済の流れを、子供たちや、国民ももちろんそうなんですけれども、しっかりと理解してやっていくということは、これは経済効果以上のすごい効果があるんじゃないかと思いますが、そういったことも含めて、大臣にお伺いいたしたいと思います。
○自見国務大臣 お答えいたします。
非常に重要な御議論だと思ってございます。
近年、ビジネスの分野におきまして、テーマウィークで取り上げられます社会課題に対する関心が高まっていると承知してございます。
こうした中、テーマウィークでは、各国政府や国内外の民間企業など様々な主体が参加をしたビジネス交流を実施し、また、社会課題の解決を通じたビジネスの展望につなげていくことを予定してございます。
こうしたテーマウィークの取組に多くの子供たちあるいは若者たちに参加してもらうということは、日本の将来の経済成長やイノベーションにつながっていくと期待をしてございます。
現在、多くの子供たちに万博会場に足を運んでもらえるよう、修学旅行や校外学習による来場の促進を働きかけるとともに、企業等の協力も得ながら、企業の社会課題の解決に向けた取組や、万博でどのような体験ができるかについて事前に学習できる出前授業等の取組を検討しているところでございます。
こうした取組も通じまして、多くの子供たち、若者たちが万博への参加を通じまして社会的課題に関心を持つ機会となれば、委員御指摘のように、我が国将来のイノベーション、そしてまた経済成長にも大きな意味を持つと考えてございます。
○漆間分科員 大臣、ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
続きまして、ちょっと話題が変わるんですけれども、先日、井上尚弥対ルイス・ネリのボクシングの世界マッチの試合がありましたけれども、自見大臣は御覧になられたでしょうか。御覧になっていない。一ラウンド、まさかというダウンが井上尚弥、チャンピオンにありまして、本当にそのとき私はすごいびっくりしたんですけれども、それ以上にもっと心臓が止まりそうになってびっくりした人たちが多分日本にはいっぱいいると思います。それは、井上尚弥の勝利にお金を賭けていた人たちだと思います。
今、日本では、いわゆるスポーツベッティング、スポーツの勝敗にお金を賭けるという行為なんですけれども、これは基本的には日本国内では違法とされているんですけれども、非常に間口が広がって、しかも、海外の事業者であるゆえになかなか取締りも難しいということで、本当にいろいろな方が、例えばユーチューバーが勝敗予測とともに様々なオンラインベッティングの紹介までして、しかもその人たちは、たとえ捕まったとしても、今の現行法ではなかなか取り締まられないといったような、軽い罪で済んでしまうといった現状もあるようなところです。
こういったことにかかわらず、オンラインによるギャンブル依存症、これに関する懸念の声が、私、地元でも、よく報告会でいろいろな方から寄せられております。オンラインスポーツベッティングもそうですし、あと、特に多いのはオンラインカジノですね。
もう一つ、これは違うんじゃないかと言われるかもしれませんけれども、オンラインガチャ、これも、結構、皆さんも多分、うちの息子が勝手にクレジットカードの番号を盗んで、いつの間にかオンラインガチャで、知らない間に三十万、四十万の請求が来たみたいな声をたくさん周りでお聞きになられていると思います。
これらは、普通のギャンブルであればアクセス規制ですね。例えばIRに関して言うと、IR推進法ができてカジノが設定されているわけなんですけれども、カジノに行くためには身分証も出さなければならないですし、週に三回しか行けないですし、入場料も六千円と、かなり行くのに手間がかかる。
ところが、オンラインカジノは、手元のスマホで、いつでも、三百六十五日、二十四時間、簡単にできる。しかも、インターネットの広告、アフィリエイトだったり、先ほど申し上げたユーチューバーみたいな人たちが盛り上げたりとかで、簡単に間口が広がっていて、子供でも、例えばユーチューバーが盛り上げている様子を普通に見れるような状態に、今、日本の国はあるような状態です。
そういった中で、オンラインに対するそういう規制とかに関して、なかなか日本は遅れている。先ほど、そういったことをあおった人たちへの罪も軽いですし、例えば資金決済ですね、決済を許してしまった事業者への取締りも、取締りはしても罪が物すごく軽かったりするような状態であります。
そもそも、海外事業者である場合はなかなか取締りが難しいような状態。事業者には、もちろん、その国では法律でオーケーなものですから、何もできないような状態であります。
もちろん、やった人たちにはいろいろと、やっては駄目ですよ、国内でインターネットカジノは違法ですとか、こういった啓発活動だとかは一定は進んでいるんですけれども、実態は、物すごく、オンラインを通じたギャンブル依存症、今、日本の子供たちも、多くの人たちが危機にさらされている中で、日本国はなかなか対策を打てていないような状態にあると私は認識しております。
これは、昔、中国が清の時代に、アヘン戦争というものがありました。アヘンで国民がぼろぼろにされて、その間に中国は戦争にも負けて、賠償金も払って、たくさんの銀が当時中国から流出した。
ある直近の報道では、日本国内からのカジノサイトへのアクセス数というのが、二〇一八年十二月には月におよそ百万回であったのが、二〇二一年九月にはおよそ一億二千万回に及んでいると調査結果もあるところでありますし、海外の大手オンラインカジノ運営会社の決算では、日本からの収益が二〇二〇年に二百七十億円、二〇一七年比で二・五倍と。
民間のこういう数字を見ると、爆発的に増えていることが分かる。なおかつ間口も広い中で、政府はもっと危機感を持って対応していただきたい。
法改正にしても、いろいろな対策があるかと思うんですけれども、そもそも、内閣がその司令塔だと思うんですけれども、その危機感を持って対処しているのかどうかというのが私は甚だ疑問でありまして、この数年間、いろいろな議員が質問しているんですけれども、結構対策が後手後手で、近年のオンラインの爆発的な増加と、いろいろな方がその危機にさらされている、オンラインによるギャンブル依存症の危機にさらされているというこの危機感を政府は本当に持っているのかということに関して非常に疑問なんですけれども、ここは是非危機感を持って対応いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○自見国務大臣 お答えいたします。
ギャンブル等依存症は、御本人やその家族の日常生活、社会生活に大きな支障が生じることに加えまして、多重債務や犯罪など重大な社会問題にもつながりかねないものと認識してございます。
政府全体で依存症対策を総合的かつ計画的に進めていくことができるよう、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づきまして、関係省庁が一体となりまして幅広く取組を推進しているところでございます。
その上ででありますが、いわゆる公営競技におけますインターネット投票の利用が増加していることを踏まえまして、令和四年三月には基本計画を改定し、インターネットにおける依存症対策を一層充実させることとしたところでございます。
またさらに、御指摘のオンラインカジノにつきましても、警察におきまして取締りを強化するとともに、様々な広報啓発などを通じまして、海外で合法的に運営されている場合においても、日本国内から接続して賭博を行うと犯罪になる旨を広く発信するなど、オンラインカジノを利用させないための対策を着実に推進をしているところでもございます。
私はギャンブル等依存症対策推進担当大臣でございますが、その立場といたしましても、関係省庁とも緊密に連携しながら、危機感を持ってこうした取組を始めとするギャンブル等依存症対策を引き続きしっかりと推進していく所存でございます。
○漆間分科員 大臣、いろいろ対策は取られている、危機感を持ってやっていただけるということなんですが、やはり、法改正だったり、そういったことが、近年のインターネットを通じたギャンブル依存症に対してはまだまだだと思っております。特に、幇助をした方々への罪の、もっと罰則を重くしていくだとか、そういったことは必要だと思っておりますので、是非御検討もよろしくお願いいたします。
また、ちょっと言及させていただきますけれども、政府の方で、ギャンブル依存症対策推進本部会議、この会議が、岸田政権になってからはずっと持ち回りなんですね、三回連続で。しっかり対面で話さず、持ち回りで役所の人がばあっと説明してそれで終わりみたいな感じでもありますので、やはりここも政府の危機感のなさの表れかなと思っていますので、しっかりとやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
その上で、オンラインギャンブル依存症に関しては、実態把握に関して厚生労働省が所管してやっているということをこれまで質疑の中でも何回も聞かせていただいているんですけれども、オンラインを通じたギャンブル依存症という側面から実態把握というのをしっかりやっているのかどうか、お伺いしたいと思います。
海外事業者の展開するスポーツベッティングやオンラインカジノはもちろんのこと、オンラインガチャとか、先ほどオンライン公営ギャンブルは対策を取っているということであったので、その実態も把握しているのかなとは思いますが、この実態把握、すごい大切だと思いますけれども、状況や進捗はどんな感じか、教えていただきたいと思います。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の点の取組、大変重要だと思っておりまして、まず、実態把握につきましては、ギャンブル等依存症対策基本法に基づきまして、三年ごとに必要な調査を実施することとされてございます。
令和五年度に実施した調査は、現在、集計作業を行っているところでありまして、調査票の個別の調査項目は、これは集計作業がまとまって結果を公表する際にいつも公表しているところでございますけれども、今回の調査におきましては、関連する項目も含んでいるところでございます。
○漆間分科員 もうこの三年で、恐らく状況は大きく変わっているかと思います。先ほどの、民間の調査ですけれども、アクセス数が増加していたりとか、海外のカジノ事業者の収益が二・五倍になっているだとか、そういった数を見ていると、恐らく、これは分からないんですけれども、もしかすると国民は少ない国民がたくさんはまっているだけかもしれないですけれども、多くの国民が危機にさらされている中で、多くの国民がはまりつつあるというような実態が恐らく出てくるんじゃないのかなと思いますので、それに合わせた対策を是非よろしくお願いしたいと思います。
あと、対策としてはほかに、私もこれまでの質疑の中で申し上げているのが、オンラインサイトへのサイトブロッキングですね。中国でありますと、グレートファイアウォールといいまして、中国政府の意に沿わないホームページは全部見れなくなったりとか、そういうサイトブロッキングというものが有効な手段、対策の一つであるというふうに思っているんです。
これは先週、内閣委員会で立憲民主党の本庄議員がサイトブロッキングの適否について質疑した際、総務省から、憲法二十一条第二項の規定を受けて電気通信事業法に規定されております通信の秘密の保護、これを侵す行為を行うものというふうに考えていますということで、なかなかこれは難しい、憲法の関係上難しいということを答弁の方で政府は述べているところなんですけれども、実は、今年二月五日の衆議院予算委員会において、アクティブサイバーディフェンスの質疑だったかと思うんですけれども、その中で、近藤内閣法制局長官は、通信の秘密はいわゆる自由権的、自然権的権利に属するものであるということから最大限に尊重されなければならないものである、その上で、通信の秘密についても、憲法第十二条、第十三条の規定からして、公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度において一定の制約に服すべき場合があるというふうに考えております、このように答弁をされております。
国民がオンラインを通じて依存症になってしまって、これはもう国家の存亡だということである場合は、これは公共の福祉に当たるんじゃないかと思うんですけれども、その点、見解の方はいかがでしょうか。国家を守る、サイバーディフェンスという観点からも、単なる依存症対策というだけじゃなくて、国を守るという観点の公共の福祉に当たらないのか、御答弁よろしくお願いいたします。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
憲法上保障された通信の秘密であったとしても、公共の福祉の観点から、一定の制約が許される場合があるという点につきましては、委員御指摘のとおりだというふうに理解をしてございます。
この点に関しまして、重要な権利の制約につきましては、必要最小限の範囲となるように、その必要性、合理性といったもの、そういったことについて慎重に判断すべきものというふうにされていると承知してございます。
今回問題になっておりますオンラインカジノサイトへのアクセスの遮断、これにつきましては、例えば、ほかに実施可能な手段はないかだとか、サイトへのアクセス自体は違法でない中で保護される法益と権衡が保たれているかといった観点から、具体的な措置が公共の福祉のために必要最小限となっているかどうかについて、極めて慎重な検討が必要ではないかというふうに考えているところでございます。
○漆間分科員 これは、公共の福祉とのバランスということでお答えいただきましたので、実態調査の数が出て、それが驚くほどの数だったり、公共の福祉をこれは潰すだろうみたいな実態調査の数が出た場合は、是非御検討いただきたいと思います。
あとは、個々人で自衛していくということで、教育でしっかりとやっていくことも必要だと思うんですけれども、これもこれまで質問させていただいて、依存症対策としては、依存症の仕組みをよく知ること、並びに周りや相談機関にすぐ相談するといったことを教育で教えていくことが重要だということを文科省から答弁でいただいているところです。
ところで、こういったことをやるのは高等教育になってからやるということで私は理解しているんですけれども、これは小中の頃からやはり強烈に教えていくことが必要なのかなと思っております。
私、中学校のときに、保健体育の教科書に、ビーカーの中に水が浸してあって、そこにミミズが入っているんですね、そこにニコチンの液体をぱぱっと入れるとミミズがぼかんと爆発しているという画像を見て、うわっ、たばこって怖いというふうにちょっと理解したんですけれども、それぐらい何か強烈な啓発も必要なんじゃないか、それも小中の頃からですね。例えばオンラインガチャにはまった話というのはほとんど中学生だったり小学生だったりするものですから、やはりそういったことを小さい頃から教えることが必要かと思いますが、進捗の方、どうなっていますでしょうか。
○梶山政府参考人 お答え申し上げます。
学校教育におきましては、心の健康について、学習指導要領に基づき、発達段階に応じての内容を系統性を持って指導することとしております。
その上で、ギャンブル等依存症につきましては、高等学校の保健において精神疾患の予防と回復について学習する際に、アルコール、薬物など物質への依存症に加え、ギャンブル等は習慣化すると嗜癖行動になる危険性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすことなどが学ばれております。
文部科学省といたしましては、指導の参考となるよう、教員向けの指導参考資料と生徒向けの啓発資料を作成、周知しており、生徒向けの啓発資料では、行動嗜癖の内容や、生み出す要因、行動嗜癖が及ぼす悪影響、ギャンブル等にのめり込むことにより問題化するプロセスなどの内容を示しております。
また、小学校におきましては、心の発達及び不安や悩みへの対処について理解するとともに、簡単な対処をすること、中学校においては、心身の機能の発達と心の健康について理解を深めるとともに、ストレスへの対処をすることについて指導することとしております。
病気の予防の発展的な学習内容としてギャンブル等依存症が取り上げられている体育科、それから保健体育科の教科書もあるところでございます。学校の実情に応じて、文部科学省作成の啓発資料も活用可能であるというふうに考えているところでございます。
今後も、文部科学省では、啓発資料の周知等を通じて、ギャンブル等依存症に関する指導の充実に取り組んでまいります。
○漆間分科員 すごく間口が広がっておりますので、是非、小さい頃からの対策を、自分を守っていくための教育をよろしくお願いいたします。
大臣においての質問はここまででございますので、退出していただいて大丈夫でございます。ありがとうございました。
○小林(史)主査代理 どうぞ、大臣は退出していただいて結構です。
○漆間分科員 次に、こども誰でも通園制度についてお伺いさせていただきます。
こども誰でも通園制度は、令和五年度からモデル事業としてスタートし、令和八年度に新たな給付制度として実施すべく、今、参議院の方でも子ども・子育て支援法案が審議中でございます。
これはモデル事業として私の地元自治体でも既にやっているところなんですけれども、このこども誰でも通園制度については、定期利用であったり、一か月十時間利用といったところを進めることで、子供の育ちや孤育てに悩む保護者の支援においてすごく効果があった。例えば、子供の変化とかをそういったところがつかんで子供の育ちを確実なものにしたり、児童虐待だったりDVを発見したりとか、そういったことで非常に有効であったと考えております。
ところが、令和八年度からの今審議されております給付化に当たっては、自由利用、その園に限らず、どんな園でも利用できるということが可能とされている。例えば、あとほかには、一か月十時間以上の利用なんですけれども、一か月三時間以上での利用もオーケーということになっております。
こういうことがもし令和八年度から可能になった場合に、これは、今までのこども誰でも通園制度は意味があるのか、こども誰でも通園制度で担保されていた、定期利用だからこその、子供の育ちを把握しつつ確実に応援できるというところがしっかりと担保されるのかどうか、これに関してお伺いさせていただきたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
こども誰でも通園制度と一時預かりといった違いについて、あるいは、今回のこども誰でも通園制度の意義や実施要件などについてお尋ねがございました。
まず、こども誰でも通園制度、一時預かりと、少し違いがございます。まず、目的面、定義面、あるいは給付制度や事業といった制度的なたてつけなどがございます。
目的、定義面につきましては、一時預かりが保護者の立場からの必要性に対応するものであるのに対しまして、こども誰でも通園制度は、預かりというよりは、家庭にいるだけでは得られない様々な経験を通じて子供が成長できるように、子供の育ちを応援するということを主な目的としております。
また、制度的なたてつけの違いとしては、一時預かり事業は事業である一方で、こども誰でも通園制度は給付制度とすることから、一定の権利性が生じる、あるいは、全国どの自治体でも共通で実施をする、こういったことの意義がございます。このため、今回の誰でも通園制度については、新たな給付制度として創設をすることを予定をしてございます。
また、お尋ねのございました現在行っている試行的事業の実施に当たっては、定期利用や自由利用など、利用方法については、いずれかを選択したり組み合わせたりということで柔軟な利用方法を可能としているところでございます。
また、上限時間についてもコメントがございましたけれども、試行事業の中では、現在、月十時間ということを上限としております。
今後、通園制度を制度化したときの上限の設定につきましては、現在のこの試行的事業の状況ですとか、それから全国的な提供体制の確保状況も踏まえながら、都市部を含め全国の自治体で提供体制を確保できるかといった観点から、検討をしっかり進めていきたいと考えております。
ただ、月三時間以上という経過規定を法律上設けております。これは、最終的に八年度の上限設定は別途検討するんですが、当面どうしても確保ができないというふうなために、附則の規定で二年間の経過規定を設けておりまして、こちらも、八年度、九年度についての二年間の経過規定ということは設けておりますけれども、できるだけ早期に本格実施ができるようにということで、しっかりと検討を進めていきたいというふうに考えております。
いずれにしましても、一時預かり事業については、パートで働いていらっしゃって保育の必要性認定を受けられないような方も対象としておりますので、こども誰でも通園制度が創設された以降も継続していく必要があると考えております。こども誰でも通園制度を前提とした上での一時預かり事業の在り方についても、試行的事業の検証を行いながら、しっかり検討していきたいと考えております。
○漆間分科員 こども誰でも通園制度の目的が自由利用だったり三時間以上で本当に果たせるのかということについてはちょっと再質問したい感じなんですけれども、時間がないということでありますので、これは、あと、誰でも通園できるようになったら自治体の負担も物すごく大きくなると思いますので、そういったところの支援もしっかりよろしくお願いしたいと思いますということを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○小林(史)主査代理 これにて漆間譲司君の質疑は終了いたしました。
次に、阿部司君。
○阿部(司)分科員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部司でございます。
本日は、スタートアップの育成政策についてお伺いをしてまいりたいと思います。
経済成長、経済活性化を目指す上で、新しい企業が生まれていくということは非常に重要だと私も考えております。その観点で、我が国はアメリカ、中国に非常に後れを取っていると言われているわけでありますが、政府でもようやく危機感を持って対策を進めているという認識であります。
スタートアップ育成五か年計画では、ユニコーンを百社、スタートアップを十万社創出することによって、我が国がアジア最大のスタートアップハブとして世界有数のスタートアップ集積地になることを目指すとあります。この目標を達成したとき、我が国の経済社会にどのような効果がもたらされるのか、新藤大臣、御見解をお伺いいたします。
○新藤国務大臣 まさに、委員が御指摘いただいたような、他国に後れを取っている、それは解消しなきゃいけないというふうに思っておりますし、個々の技術のレベル、能力において、私は、世界最先端にある、このことは自負もありますし、客観的評価としていいと思います。
しかし、その技術、また学術研究がいかに社会に反映されて、そして産業化して社会に実装されるか、それが社会の課題や新しい経済の活力になるか、このスタートアップのいわばエコシステムをどうやってつくり出していくかということ、それに参加できる大学や研究機関、科学者たち、そして、それを支援するサポーティングメンバーであるとかベンチャーキャピタルだとか、そういうものをきちんと組んでいきたいと思っています。
それは、つまるところ、日本の経済が新しいステージにステージを移行して、そして、活力ある自律性の高い民需主導型の経済、当然、スタートアップをするということは、それに対する投資も活性化することになります。そして、それは需要を生み出さなければ産業化いたしませんから、その意味において、我々が目指す新しい経済のステージに、大きな推進エンジンになってくれるのではないかな、このように期待をしているわけであります。
○阿部(司)分科員 ありがとうございました。
新しい経済のエンジンをつくり出して新しいステージに移行していく、このような趣旨の御答弁だったかと思いますけれども、もう少し定量的な観点からもお伺いをしてまいりたいと思います。
スタートアップ支援として、今エコシステムと大臣はおっしゃいましたけれども、人、物、金と言われることが、これは大事だと言われます。物というのは主に制度のことを指すのかなと思いますけれども。
政府は、資金調達に関する環境整備というのを積極的に進めていると承知をしております。レーターステージ、こちらでの資金供給等には課題があるものの、一定程度、以前と比べれば随分進んできたというふうにお伺いをしておりますが、この金の観点で、今の現状認識、大臣にお伺いいたします。
○新藤国務大臣 スタートアップの育成五か年計画において、二〇二一年に八千二百億円だったスタートアップへの投資、これを五年後の二〇二七年度に十倍増、いわば年間十兆円規模にしよう、これが私たちの目標です。
そして、それに向けまして、人材、資金、オープンイノベーション、これを官民一体で三本柱として進めていく、こういうことを進めているわけであります。
今、資金的な問題につきましては、OECDの国際比較によれば、二〇二〇年の民間、政府を含めた日本のVC投資額は、GDP比で〇・〇六%、これはG7の中ではイタリアに次いで低い、こういう状態がございます。
ですから、スタートアップの資金供給の強化、これをしっかりとやっていきたいというふうに思っておりますし、その中で重要なことは、民間の資金をスタートアップにどう振り向けていくか。
特に日本の場合は、企業の開発投資というのはそれなりの規模があるわけです。しかし、それがどこに向けられているのか、国内もございますが、海外に出ていく割合というのも、かなりの例で、高いのではないか、私はそういうふうに思っているわけなんですけれども、こういったものをしっかりと国内のスタートアップにも振り分けていかなきゃならない、こういうふうに思っています。
そして、官民ファンド等の公的資金を呼び水としての民間資金の誘発、これを積極化させることによって十倍増の目標を達成したい、このように思っているわけであります。
それから、スタートアップで大事なことは、経済性を身につけてもらうこととともに、社会課題の解決につながるもの、これを実業化させること、これは期待できるんじゃないかと思っています。
ですから、そういう意味において、政府が率先をしてスタートアップに投資をする、それから民間の投資を呼び込むような、そのためにも、政府が起爆剤となるようなそういう仕掛けも考えていきたい、このように思っているわけであります。
○阿部(司)分科員 今、いわゆる国内にある資金が海外にも行ってしまっていて、また、スタートアップというよりか大企業というんですかね、うまく新しい事業投資に振り向けられていない状況があると。
八千二百億円から十兆円にまで増やしていく、十倍に増やしていくという非常にチャレンジングな目標であると思いますけれども、こちらは、今大臣御答弁いただいた、OECDの、今下から二番目というところでありますが、これは十兆円を達成されるとG7の中では何位ぐらいになるんでしょうかね。いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 今、私、OECDと言いましたか。ごめんごめん、それはG7の中でイタリアに次いでということですから、六番目です。
○阿部(司)分科員 六番目の現状から、十倍に増やすことで、大体、一位なのか二位なのか三位なのか、その辺、意思も込めて、何位で頑張りたい、何位を目指したいという御答弁をいただけないでしょうか。
○新藤国務大臣 今、十兆円規模になったときに何位になるかというのは、ほかの国も動いているわけであります。ですから、順番を何位にしようではなくて、私は、そもそもが、世界の中で我々はまさにスタートアップのハブになれるということは、これは国内投資だけではなくて、スタートアップというのは世界を巡っているんですね、その中で、大きなビジネスを、世界を変えていくための経済というものを、動きをつくるべきだし、その中で日本はふさわしい活躍をする。
ですから、当然のごとく、十兆円規模になったときに、それは順位というのは相対的に上がっていると思いますが、何位とかいうことを前提とした試算をしているわけではございません。
○阿部(司)分科員 ありがとうございました。何位ということではないですけれども、相対的に順位を上げていくといった御答弁、非常に重要な御答弁だったかなと思います。
世界の国際競争力ランキング、IMDから毎年出ている有名な統計がありますけれども、二〇二三年ですと、国際競争力ランキング、過去最低の三十五位にまで日本は凋落してしまったと言われております。いかに国力を高めていくかという観点からも、スタートアップの育成は非常に重要だと私も思っております。
我が国からいわゆるユニコーンを百社生み出すという目標も掲げていらっしゃるわけですけれども、ユニコーンももちろんすばらしいんですけれども、世界レベルで戦える企業、いわゆるトヨタ、ソニー、ホンダ、昔はこうした企業が世界を席巻したわけですけれども、このような企業を生み出すこと、これを目指していくことは非常に重要だと思っております。
更にユニコーンの上のレベル、今言ったソニー、ホンダの再来のような企業を生み出していく上での課題認識を大臣にお伺いいたします。
○新藤国務大臣 これは非常に重要な質問だと思うんですね。
私は、スタートアップの担当大臣になりまして、様々な指標を見る中で、非常に心に残った一つのバロメーターがあるんです。それは、世界の株式時価総額トップテン、これは全てアメリカの企業なんです。その十社のうちの何と七社はVCバック、ベンチャーキャピタルの支援を受けて大きくなった企業なんです。そして、そのうち五社は、何と三十年以内に設立した企業が世界の株式評価のトップテンの中にいるということなんですよ。日本はもちろんトップテンには入っておりませんからゼロなんですが、日本の上位十社の、株式総額のですよ、この十社の中のVCバック、ゼロですよ。
ですから、今御指摘いただいたようなトヨタやソニーやホンダ、これは世界に誇れる企業です。それも元々を言えば、ベンチャーというか、最初に立ち上げたものもあります。でも、大事なことは、これらの企業がどんどん大きくなっていってくれることとともに、トヨタもどんどんと更に大きくなってもらいたいと思います、でも、それを超えていく、そういう流れをつくることで初めて日本の経済というのは大きくなるし、世界経済が大きく動き、各国GDPが、アメリカなどはここ三十年間でGDPが三倍になっているわけです。我々は一・二倍程度ですからね。
ですから、この状態を直すための起爆剤として、私はスタートアップというものに大いに期待をしたいし、スタートアップが全てを解決するわけではありません。しかし、それが起爆剤となって、もちろん既存企業の中にだって、企業内のスタートアップも生まれていくでしょう、新しいものも生まれてくるでしょう。そこから時代や社会の要請に応じて新しい巨大企業を生んでいく、それはすなわち世の中の人々のためになる。そういう産業ができてくるということだと思っております。
○阿部(司)分科員 ありがとうございました。ソニー、トヨタ、ホンダのような企業の再来は非常に重要である、これからの経済成長にとってもなくてはならないものだという趣旨の御答弁だったと理解いたしております。
世界レベルのスタートアップを生み出していくことが重要であるということですけれども、世界レベルのスタートアップを生み出していく上で、海外への人材派遣、こちらが非常に重要であると思いますし、今も実際に経済産業省さんの方でリードして行っていると認識をしておりますけれども、送り出した人材のその後の状況に関する検証、この検証の状況がどうなっているのか、こちらをお伺いできればと思います。
○吾郷政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、世界で勝てるスタートアップを生み出すためには、やはり最初から海外で展開をしていくということを考える起業家は非常に重要だというふうに考えております。
経済産業省におきましては、御指摘のとおり、ジェトロと連携いたしまして、二〇一五年から、毎年約二十人程度の起業家、学生あるいは企業の新規事業担当者を米国シリコンバレーに派遣をして、投資家や先輩起業家とのネットワーキング、あるいはピッチなどを行うという取組をしてまいったところでございます。
この方たちのフォローアップをいたしましたところ、二〇一五年から二〇一九年の参加者につきましては、当時アメリカに行かれていましたときに事業化を考えられていたプロジェクトのうち四分の一が事業化に成功している、そして、海外派遣されたそのスタートアップの時価総額が二〇二二年七月時点で合計約七百億円ということで、一定の成果が出たものというふうに考えております。
こうしたフォローアップも踏まえまして、二〇二三年からは、政府の五か年計画をベースにして、五年間で千人の派遣を行う事業へと規模を拡大いたしまして、米国以外にも欧州、アジアへの派遣を開始したところでございます。
今後につきましても、派遣した後の卒業生のネットワーク形成、あるいは定期的なフォローアップアンケートなどを通じまして、参加者の動向を把握することで効果的な政策の企画立案につなげてまいりたいと考えております。
○阿部(司)分科員 ありがとうございました。
この海外派遣、いわゆるSNS、Xなんかでよく言われておりますのが、こんな、海外に送り出すだけだと向こうの起業家の方にも迷惑だし意味ないだろう、そういったことをおっしゃる方もたくさんおられて、私もそういうポストを目にしたんですけれども、今おっしゃったように、時価総額七百億円の価値が創出されたですとか、このような結果を公表していくこと、継続的にモニタリングをしてフォローアップしていくことが非常に重要であると思います。結果の公表について、しっかりこれからも継続的に行っていただくという御認識でよろしいでしょうか。
○吾郷政府参考人 お答え申し上げます。
今おっしゃったような評価をされている部分もあるというふうに私も存じております。ただ、私もスタートアップのイベントなどに出席いたしますと、当時このプログラムに参加をして世界が変わったんだという方に何人もお会いしますので、私は、実感としてはこれは十分効果のある制度であったなというふうに感じておるところでございます。
いずれにいたしましても、検証をしっかりやり、公表できるものは公表していくという形で進めてまいりたいと思っております。
○阿部(司)分科員 ありがとうございます。しっかり効果が出ているという実感もある、しっかり公表もできる部分はしていくという御答弁、しっかり頂戴いたしました、ありがとうございました。
このスタートアップの政策に関する質疑に当たりまして、私も関係者に何人かお話をお伺いしてきたんですね。スタートアップに携わる人の観点、経営者、アカデミア、VCなどのいろいろ実践されている方からは、まだまだ課題が大きいという指摘があります。今、お金の話、先ほどちょっと十倍に増やしていくというお話をお伺いしたんですけれども、全部大事かもしれませんが、人、教育面にしっかり力を、より強く入れていく必要があるのではないかと思いますが、御見解、大臣、いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 いかに、人というのは、それぞれのプロセスにおいてどういう人材が必要か、必要な体制を整えるという意味で、エコシステムの中で適切なタイミングで適切な人材を用意するというところが必要だ、このように思っています。
そして、何といっても大本には学術研究がございます、科学があります。これをどうやって産業化するかという、そこの視点で折々に必要な人々がいるわけです。まず目利きをする人が必要ですし、それらに対して研究者に、実業するためにはやはり経営的な視点が必要だと。それを研究者に求めたところで、その研究者にそういう教育を施したところで、それはちょっと専門が違うわけですよね。ですから、そういう研究者に対しては、いいシーズが出たならば、速やかにそこに経営的な支援をできるようなものを送り込む仕組みをつくるとか、そういうふうに、それぞれのところで人を配置していきたい。
VCも、日本のVCも今すごく頑張っています。しかし、このVCのネットワーク、VCがいろいろなところからいい技術をいろいろなところに紹介してマッチングさせる、こういうようなところでの活躍の場、それから活躍できる人材、こういったものを更に御支援していきたいな、このように思います。
それから、さっきの話で、答弁で私は株式評価の世界のトップテンが全部アメリカと言ったんだけれども、よく見たら、一社、サウジアラムコがおりましたから。でも、そこはVCバックじゃないんですね。ですから、そこはちょっと付言をしておきます。
○阿部(司)分科員 人に関してもう少し御議論を進めていきたいんですけれども、人の教育ですね。私、お伺いしたのが、やはりテクニカルなことだけでは不十分であると。例えば、アメリカのスタンフォード大学、こちらでは、自らが何をなすべきか、なすことができるか、こういう深く人生について考えさせる教育がある、徹底的に問い直すという話をお伺いいたしました。
そこで、今枝副大臣、先日は済みません、お越しいただいて質問に入れなかったんですけれども、大学、高等教育において起業に係る社会的意義ですとか自分が何をすべきかといったところを問い直すような学びの拡大を推進すべきと考えますけれども、御見解はいかがでしょうか。
○今枝副大臣 まず、阿部先生におかれましては、青山社中にもいらっしゃいましたので、スタートアップにとてもお近しいんじゃないかなと仄聞しておりましたが、スタートアップに関心を持っていただいて、本当に感謝を申し上げたいと思います。
また、スタートアップの人の部分に特にフォーカスを当ててもいただいていること、私もスタートアップ推進にずっと携わってきた者として、今このような職責でやらせていただけることに感謝をしながら、本当にありがたいと思っておりますので、真摯に御答弁させていただきたいと思います。
まず、我が国のスタートアップの起業の動機の非常に多くは、実は、社会的課題の解決ですとか、もちろんイノベーションの創出ですとか、そういった社会的意義を果たすというところが非常に多くなっております。
スタートアップの担い手を育成していくには、急激な社会環境の変化を受容しながらも、新しい価値を生み出していくチャレンジ精神を涵養していく教育ということが非常に大事でございまして、私も副大臣にならせていただいてから、アントレプレナー教育、アントレプレナーシップ、こういったものを行っていくことが重要であるというのを大きく立てさせていただきながら頑張っているところであります。
そこで、現在、文部科学省としましては、大学生向けのアントレプレナーシップ教育を実施するとともに、さらに、大学だけではなくて、もっと早い、高校、更に言えば中学校、小学校等々から展開をしていくように今進めております。
これは単なるビジネス教育にとどまらず、自ら社会課題を見つけて、その解決に向けてチャレンジをしたりですとか、ほかの方と協働していくことによって解決策を探求していく知識ですとか能力ですとか、態度とか姿勢とか、そういったものを身につけられるような教育プログラムというのを提供しております。
引き続き、全国の希望する全ての学生たちがアントレプレナーシップ教育を受講できる環境を整備すべく、アントレプレナーシップ教育の普及、展開を図ってまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○阿部(司)分科員 ありがとうございました。希望する全ての学生が起業家教育を受けられる環境整備に力を入れていくという御答弁、非常にありがとうございます。やはり裾野を広げていくこと、こちらがまずは非常に重要なことだと思っておりますので、是非、文科省さん、期待しておりますので、よろしくお願いします。
続けてまいりたいと思います。
起業家そのもの、プレーヤーそのものの不足のほか、特に大学の研究成果を事業成果につなげていく上での伴走する専門家の不足、こちらも指摘されております。プレゼンテーション、株式分割から、事業デザインを起業段階から描ける人材、いわゆる事業化の脚本家とも言える人材の確保、育成が重要だと考えますが、新藤大臣、御見解をお伺いいたします。
○新藤国務大臣 私、海外においては、チューリヒ工科大、それからスイスのベンチャーラボ、さらには過日は、イギリスのケンブリッジ大学、またインペリアルカレッジ・ロンドンとか、様々なそういうスタートアップ拠点にお邪魔しているんです。そこで本当に切実に思いましたけれども、それぞれの大学、研究機関で工夫をしたいわば伴走支援であって、一体スタートアップの元々のシーズをどうやって拡大し世の中に出していくかというこの仕組みが、非常に工夫しながらそこに注力しているということが印象的でございました。
特に、スイスのベンチャーラボというのは、チューリヒ工科大の研究者たちをいかに研究室から外に出すかということをテーマに、スタートアップを支援するためのスタートアップができているんですね。そのトップは実業家なんです。科学者と一緒に組んで、よいものを評価して、それをどうやって外に出すかということを、それを仕事にしているという機関もございました。
ケンブリッジなどは、大学が一〇〇%出資して技術移転機関をつくって、そこが、ケンブリッジ・エンタープライズというんですけれども、そういうところが専門にケンブリッジの広いキャンパス、カレッジの中を探して、こちらに集めてどんどんと大きくしていく。
ですから、技術シーズの発見や改良、研究開発、それからまさに特許などの知財の保護、その支援というのも必要だと思っています。それから、資金調達にインキュベーションの設備の調整だとか、様々な分野を集めて。何度も申しますけれども、いろいろな人たちが役割分担しながら大きくしていく、この流れを日本においてももっと充実させたいと思いますし、個々の、一つ一つのところを見れば日本はきちんとそれなりのものがあると思いますけれども、それらの連携をさせていくことがもう一工夫必要ではないかな、このように痛感しているところでございます。
○阿部(司)分科員 ありがとうございます。スイスですとかケンブリッジで行われているような、テクノロジーとビジネスをしっかりつなげるような機関の創設を加速していくこと、しっかりやっていくという御趣旨の御答弁だったかと思いますので、是非よろしくお願いします。
私、お伺いしたのが、さらに、いわゆるテクノロジーとビジネスを知っているだけではなくて、確固たる世界観、こうしたものが非常に重要であると。要は、社会、世界をどう変えるのかという哲学がないと、強いものがないと世界を相手に戦えない時代が来ている、それを培うにはリベラルアーツが大事なんだということを関係者の方からお伺いいたしました。
その意味でも、例えば外国の実業家は昔の起業家の方々、松下幸之助ですとか稲盛和夫を非常に深く研究しているという話も聞いておりまして、リベラルアーツもそうですけれども、過去のメガベンチャーをつくったような関係者の方々のお話をしっかり聞いてその哲学を学ぶですとか、失敗事例を学んで同じ轍を踏まないというような、いわゆる人物教育といいますか、ケーススタディーといいますか、こうしたものは非常に重要だと思うんです。昔の日本の経営者だけではなくて今の海外で活躍しているような起業家からもしっかり話をして、オーラルヒストリーのようなものを学ぶ機会を設けるべきだ、推進すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 そこの規範意識というか、何のために自分の能力を生かすか、どんな可能性があるか、世界ではそれをどうやって実現したかということを知るということは基本だと思いますね。ですから、まずは教育の機会においてそうしたものを自然に身につけるように。先ほど今枝副大臣が申しましたけれども、子供の頃から、小学校、中学校、高校、大学と課程を踏む中で自然とそういうものが身についていく。日本にだってたくさんの歴史の好例はあるわけですから、こういったものをまず身につけていくという、これをみんなで当たり前のように社会通念として持つ。
私たちは、持っているはずなのにそこが少し分からなくなっている、情報化社会のここまでの発達の中で。余りにも情報量が多いがゆえに、最後の結果だけを求めることになっていないかというところはやはり常に我々は心に留めて、あらゆる段階で心の育成というのを図っていかなきゃならないと思いますし、これは言わずもがなで、それらを全てのところできちっと打ち込んでいく、それは政府全般の政策について心がけていくべきだな、このように思います。
○阿部(司)分科員 ありがとうございます。
今枝副大臣、お伺いしたいんですけれども、スタートアップの人材育成、裾野を広げていく上で私は大学改革は必須だと思うんです。今、新藤大臣がおっしゃられたような日本人が大事にしてきた心みたいなところもそうですし、人物教育もそうかもしれませんし、また理系の知識というものも非常に重要になってきて、要は、学際的に両方学んでいる人材、文理融合をどんどん進めていくべきだと思うんです。
そうした観点で、例えば、文系学部の受験で数学を必修化するような大学、文理融合を進めるような大学に補助金をしっかり上げて、インセンティブを与えて文理融合をとにかく強く推進していく、こうした政策が重要だと思うんですけれども、御見解はいかがでしょうか。
○今枝副大臣 お答えいたします。
まず、スタートアップ人材の裾野を拡大していくというのは非常に大事でありますし、そのために文理融合人材も重要であるということを我々も強く感じております。ちょっと私ごとで恐縮ですが、私、元々文系人間で、でも理系にちょっと行かなくちゃいけないと自分で思ったので行ったんですけれども、やはり文系のことが好きだったので、大学で文系の授業に潜り込みまくっていたので個人的には文理融合人材になれたらなと思っていた人間ではありますが、それはちょっと置いておきまして。そういった中において文理融合人材の育成というのが非常に重要であるというふうに考えておりますので、文科省としても、様々な取組を実際に進めさせていただいております。
一方で、大学入試選抜においてどの科目を課すかということに関しましては、いわゆる各大学の入学者受入れの方針等に基づきまして、各大学学部等の目的や特色、専門分野等の特性に応じて各大学において判断をされるものであり、数学が課されるかどうかというのは大学や受験者の方々の選択によることというふうになってまいります。
文科省においては、各大学の自主的な判断により、学部段階の教育改革と一体的に入学者選抜における文理横断、文理融合に向けた取組が進められていくということを期待しております。
以上です。
○阿部(司)分科員 時間が来ましたので終わりますが、今、今枝副大臣から、文理融合は非常に重要で進めていくという趣旨の御答弁をしっかり頂戴したと思いますが、これは重要な御答弁だと思いますので、しっかり推進をしていただきたいと思います。スタートアップ、私も盛り上げていけるように、しっかり力を合わせて頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○小林(史)主査代理 これにて阿部司君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○小林(史)主査代理 次に、内閣府所管中内閣府本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。
質疑の申出がありますので、これを許します。庄子賢一君。
○庄子分科員 公明党の庄子でございます。
新藤大臣には、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
まず、賃上げのことについて総括的に大臣にお尋ねをさせていただきたいと思っておりますが、大臣が、ほかの委員会でも、総理もそうですけれども、日本の経済は停滞から成長の転換局面にある、そしてコストカット型から成長型経済への移行、加えて、デフレ克服の好機を迎えている、こういう認識を示していただいておりまして、この間、政府の御努力もあって、企業の皆様は賃上げの原資をつくり出すことができる環境になりつつあるというふうに思っておりまして、春闘などにおきましても賃上げ率が平均五%を超えておりますし、従業員三百人未満、いわゆる中小企業においても四・六六という高い水準で推移しているわけであります。これは、もちろん政府の施策だけではなくて、事業者側の御努力、そうしたものが相まっての話かと思っております。
そこで、まず、岸田政権におけます賃上げの実績について現時点でどのような総括をしていらっしゃるか、伺いたいと思います。
〔小林(史)主査代理退席、主査着席〕
○新藤国務大臣 今御紹介いただきましたように、春季労使交渉は非常に、昨年も三十年ぶりの水準になりました、そしてさらに、今年はそれを上回る力強い動きが起きているわけであります。これは、とにもかくにも、この労使交渉に当たられた関係の皆様方が、双方が最大限の努力を払っていただいているものだというふうに思っておりますし、心強く感じております。
私どもとすれば、この春闘の労使交渉に加わった、ラインが出たところの、まずはそれを速やかに実施に移していただく、これが大事です。しかし、労使交渉に加わっていない中小企業や全国津々浦々の地域の経済、ここにどうやってこの賃上げの流れを波及させていくか、これが極めて私たちは重要だと思っておりますし、構造的賃上げというのは、安定的な物価上昇率に加えて、それを上回る賃金上昇率をカバーする、それが持続的に続く。ですから、今年のものを一過性に終わらせるわけにはいかないという意味において、これを津々浦々までに広げ続けるためには、やはり更なる努力が必要だと。そこで大事なことは、やはり何といいましても価格転嫁が成し遂げられているかどうかが第一です。
それに加えて、結局、今委員もおっしゃいましたけれども、賃上げの原資が出なければ、予防的賃上げは、続くことは難しいです。ですから、稼ぐ力を強化するための設備投資ですとか、それからリスキリング、これによって自分の能力また努力に応じた賃金を得られるような、そういう水準をつくっていくことがとても重要だと思っているわけであります。
我々とすれば、公取が労務費の指針を出し、交渉のフォーマットまで出させていただきました。これらを徹底したり、それから省力化投資、今度は新しい、カタログ式と呼んでおりますけれども、補助金をつくったり、そういったことで、賃金が上がっていくんだということ、これが三十年間なかったわけですから、これが当たり前だという社会通念、ノルムと呼んでいますけれども、それをきちんと我が国に定着させられるように努力していきたい、このように思っております。
○庄子分科員 大臣から、極めて分かりやすく、また重要な御説明をいただいたというふうに思っております。
まさに三十年間上がってこなかった賃金がようやく上がる局面に入ってきている中で、今度は、じゃ、物価上昇をどうやって乗り越えられるかという次のステップ、そして、大臣おっしゃっていただいたように、地方部、中小企業にどう波及をさせていくかという次のフェーズに入ってきたんだというふうに思っております。
毎月勤労統計の調査によりますと、直近、実質賃金は二十四か月連続でマイナスという数値が出てまいりました。依然として物価の上昇に賃上げが追いついていないというのが数字で明らかでございますし、足下の円安の進行、また、企業はどこもそうですけれども、深刻な人材不足。取り巻く環境は厳しいと言っていいんだろうと思います。
ただ、そんな中で、例えば経済エコノミストを始めとする複数の専門家は、近いうちにいわゆる実質賃金はプラスに転じるだろう、こういう見立てを示し始めておりますし、日銀の植田総裁も、先般、参議院の予算委員会では、実質賃金の伸び率は次第にプラスになり、生活実感も改善していくというふうに御答弁をされております。
この実質賃金がプラスになっていくかどうかという見方は両面分かれているわけでございますので、そこで、この問題の政府の責任者でもいらっしゃいます大臣から、政府として、実質賃金プラスの実現についての考えや意気込みといったものについて、是非お示しをいただきたいと思います。
○新藤国務大臣 まず、今年の一月に公表いたしました政府の経済見通しにおきましては、二〇二四年度に一人当たりの賃金上昇率が年度平均で物価上昇率と同程度の二・五%程度になるということを見通しているわけであります。加えて、政府経済見通しでは年度平均の姿をお示ししておりますけれども、その後の今回の春闘の結果で更に力強い成果が出ているわけですから、昨年を上回る力強い賃上げの動きが見られる中で、最新の民間エコノミストなどの見通しによりますと、二〇二四年後半には実質賃金がプラスになるとの見方が多いということが言われていることは承知をしております。
これに加えて、私どもとすれば、賃上げの取組を支援していくこととともに、来月から定額減税が始まります。これで、まだ賃上げが十分に、この春闘の結果がまだ全面的に波及していない中で、ボーナス月に定額減税があって、そして家計所得を押し上げる、これによって、物価上昇を上回る家計所得の伸び、これを確実につくり上げることが消費につながってくれればなということを期待して、与党からの御提言もいただいて、我々、こういったこともやっているわけであります。
あわせて、先ほど申しましたけれども、やはり、賃金を一律に上げるに加えて、その賃金を上げられる、生産性を向上させるためには、ここで一気に省人化の投資を拡充させて、企業の生産性を向上していただかなきゃならないと思います。
今、人手不足というお話もございました。ですから、必要なところに必要な人間が、きちんと労働市場、労働供給の流動化、円滑化というものもやるためには、やはりジョブ型の給与というもの、そして、リスキリングによって新たに得た能力をもって自分の満足する仕事に、転職しなくても、その企業内でもそういった役職を得て報酬を得る、若しくはそれぞれそういった技術を身につけた方が労働市場を回っていく、こういう中で、私は、所得増と成長の好循環がつくれるのではないか、これを実現させるために努力していきたい、このように思っているわけです。
○庄子分科員 ありがとうございます。
非常にチャンス到来でございますので、フォローの風が吹いているときに一気に進めてまいりたいというふうに思っております。
この賃上げを持続するためにも大事なプレーヤーになってくるであろう中堅企業の話に触れさせていただきたいと思います。
これまでは大企業と中小企業という二つの領域しかなかったところを切り分けて、従業員二千人以下は中堅企業というふうに切り分けたわけでございまして、令和六年度の税制改正から本格導入をされます。投資やMアンドAに関する税制優遇などが予定をされておりまして、全国で約九千社が該当するだろうというふうに言われています。
この中堅企業は、大手元売と取引をするときには受注側になり、そして中小企業と取引をする場合には発注側にも回る、そういう大事な接点の役割をするわけでありますので、大企業から適切な価格転嫁を受けること、そして転嫁された分を中小企業に適切に転嫁をし直すこと、これが重要になってまいります。
中堅企業のあるべき商流の定着に国としてどのように関与していかれるか、伺います。
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
中堅企業についてでございますけれども、国内売上げや国内投資の着実な拡大を通じ、サプライチェーンの中核となっている場合もございまして、委員御指摘のとおり、中堅企業の価格転嫁はサプライチェーン全体での価格転嫁の浸透という観点から重要だというふうに考えております。
委員からも御指摘がございました産業競争力強化法の改正案でございますけれども、今国会で御審議いただいているところでございます。新たに中堅企業の定義をいたしまして、特に賃上げや投資への意欲が高い中堅企業に対して、複数の中小企業をMアンドAする場合や大規模な設備投資を行う場合の税制措置等を講じることとしておるものでございます。
加えて、法案の措置以外にも、中堅企業の省力化等の大規模成長投資を後押しするべく、三年で三千億円という予算を確保いたしまして、補助制度を創設したところでございます。
これらの施策でございますけれども、中堅企業の成長や競争力強化に資する取組でございまして、大企業との価格交渉を有利に進めることにつながるものというふうに考えております。
また、中堅企業の調達先で下請となる中小企業にも価格転嫁が着実に広がっていくように、予算や税制等を活用する中堅企業に対して下請事業者の価格転嫁に配慮することを求めていきたいというふうに考えているところでございます。
○庄子分科員 是非お願いをしたいと思います。
一問飛ばさせていただきますが、そういう意味でいうと、フォローアップは公取さんなんかがとても大事な役割を果たすと思っておりますので、お願いをしたいと思っております。
パートナーシップ構築宣言にちょっと移らせていただきたいと思うんです。
日本商工会議所の意見文書を拝見したんですけれども、日本経済の強さについて、このように書いてありました。大中小の石が組み合わさって風雪に耐える石垣のようだというふうに表現をしておられまして、確かに、石垣というのは同じ大きさ、同じ形の石が並んでいても実は強固ではなくて、大中小、形も様々な石の組合せで強固になるそうですけれども、大企業と中小企業の共存共栄というのは、この形も大きさも何もかも違う企業群が一つになっているところが日本経済の特徴であり強さだという、そんな話の中で、この石垣をより強固にしようとするのがパートナーシップ構築宣言だというふうにされておりました。
ちょっと調べてみましたところ、地域別にこの構築宣言の登録実績にはばらつきもあるなというふうに思っておりまして、推進が遅れている方面、地域について、是非対応を取っていただきたい、そういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
パートナーシップ構築宣言の取組を地域に波及させていくことは地域経済を活性化させる上で極めて重要と認識しております。
そのため、昨年、各地方経済産業局から地方自治体、経済団体に対しまして、三つの取組について働きかけを行ったところであります。
具体的には、第一に宣言の推進を目指す協定の締結、第二に宣言事業者への自治体独自の補助金加点等のインセンティブの付与、第三にセミナー等による宣言の周知、これら三つの取組を行うように働きかけまして、昨年十一月にはいずれかの取組が全四十七都道府県において実施されたところでございます。
しかしながら、今委員御指摘があったように、引き続きの取組が必要と存じます。こういったパートナーシップ構築宣言の拡大に向けた取組が各都道府県で実施、拡充されるよう、引き続き働きかけてまいる所存でございます。
○庄子分科員 このパートナーシップ構築宣言、地味な取組のようで、私は効果が絶対に上がってくるというふうに思っておりまして、今、全国で四万五千社余りにまで広がってはまいりました。ただ、全体の企業数から見ればまだ一部だという見方もできると思います。
このパートナーシップ構築を宣言するかどうかというのは、あくまで民間事業者の自発的な事柄ではございますが、しかし、これを牽引する政府として、是非、例えば十万社を目指していこうというような、サプライチェーン全体を国は引き上げるんだという意思を、政府の本気度を示すという意味でも、そうした目標値を掲げていただくことなども重要ではないかなというふうに思っておりますが、政府の見解を、大臣の見解を伺いたいというふうに思います。
○新藤国務大臣 このパートナーシップ構築宣言、これが半年間で一万社増加したんですね。そして四万五千社になりました。ですから、着実な広がりを見せているということでございます。
昨年末に私どもで開催いたしました、未来を拓くパートナーシップ構築推進会議、こういったものを政府の中で行いました。そこで、業界全体への浸透をする、それから地方の中核的企業への普及、さらには全国的広報、この三点を切り口に取組を強化しようということ、これは産業界の皆さんとも話合いをしたところでございます。
そして、業界団体ごとに、今、自主行動計画というのを定めていただいています。その中にパートナーシップ宣言に取り組む旨を明記していくということ、これを求めるとともに、日本商工会議所と協力しまして、全国各地の商工会議所の役員企業の方々に、まずは、まだお入りいただいていない、宣言されていない方についてはそういう宣言をお願いする働きかけを進めていこうというふうに思っています。
それから、全国的な機運を醸成する、その意味でも、地方紙を中心とした政府広報も実施したところでございまして、やはり、今、構造的賃上げ実現に向けて、このパートナーシップ宣言をしていただきながら、そこで行動していただく企業の協力というのはとても重要だと思っております。
それぞれが自主的な判断の下で宣言をいただくわけでありますけれども、今委員からいただいた、そのような目標のことも含めて、是非、大いに拡大できるように、働きかけをこれからも進めていきたい、このように考えます。
○庄子分科員 十万とか二十万という数字はどうあれ、是非、新藤大臣の発信力で牽引をしていただければというふうに思います。
大臣、ここまでで結構でございます。ありがとうございました。
○中西主査 大臣は御退席いただいて結構です。
○庄子分科員 次に、能登半島の災害に見る災害対策の諸課題について伺ってまいりたいと思います。
二〇一六年十二月にまとめられております熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策の在り方というペーパーについてでございますが、今後の広域災害における受援、つまり応援を受ける受援を想定した体制整備を進めるべきだと報告をしております。
まず、この受援力がなぜ必要なのか、政府の所見を伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
災害時、被災市町村では短期間に膨大な災害対応業務が発生し、多くの人的資源が必要となりますが、行政機能が低下している被災市町村自らの体制だけでこうした業務を行うことは困難な状況でございます。
例えば、必要な応援職員数の見積りができないために応援要請が遅れたり、受援の担当者が選定されていないために現場が混乱するなど、受援体制が不十分であるため応援職員等の力を十分に生かすことができないなどの事態が懸念されるところでございます。
このため、被災市町村では、外部からの応援を迅速的確に受け入れて情報共有や各種調整等を行うための体制、いわゆる受援体制を整備することが不可欠であると考えております。
○庄子分科員 今お答えいただいたように、極めて重要な、大事なものだということでございますが、残念ながら、現時点でこの受援計画を持たない自治体が全体の二四・六%ございます。
私は、全ての自治体が、個別に持つ、あるいは隣接する自治体と合同計画を作ることも含めて、全部、とにかく全国どの市町村でもこの受援の計画があるという体制を構築すべきだと思いますが、どのように支援をしていかれるか、伺います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、受援に関する規定を定めていない市町村は、消防庁の調査によりますと令和五年六月時点で二四・六%であり、その要因として、マンパワー不足やノウハウの不足等があるものと認識をしております。
このため、内閣府では、過去の災害対応の検証も踏まえ、これまで、手引の作成また改定を行うとともに、計画のひな形や具体的な取組事例を示す、また、消防庁と連携した研修会の開催等を通じまして、受援体制の整備を促進してきたところでございます。
今後とも、受援体制の更なる整備促進を図るため、関係省庁とも連携しながら、地方公共団体に対する必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○庄子分科員 是非お願いしたいと思います。
この受援計画を自治体が持つということと同時に、ボランティアやNPO、地域住民と行政機関との間を結ぶ調整役としての災害中間支援組織、これも極めて重要でございます。
政府としては、昨年の五月に防災基本計画を修正して、都道府県がこの中間支援組織を育成、強化するように努めるべき、こう明記をされておりますが、現在、実は二十一都道府県にとどまっております。
今後、全国でこの災害中間支援組織をどのように整備していくのか、取組を伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
能登半島地震におきましては、発災当初から多くのNPOや専門ボランティア団体等が被災地入りをされておりまして、支援活動に当たっていただいているところでございます。
災害時にNPOや専門ボランティア団体等の活動が効果的に被災者に行き渡るためには、都道府県域でNPOや専門ボランティア団体等の活動支援や活動調整を行う災害中間支援組織の役割が重要だというふうに考えております。
内閣府では、委員から御紹介をいただきましたように、昨年度、防災基本計画に、都道府県による災害中間支援組織の育成、強化や関係者の役割分担の明確化等について追記するのと併せまして、災害中間支援組織の設置、機能強化のためのモデル事業を実施しているところでございます。
同モデル事業におきましては、行政、民間団体等との訓練、また自治体職員や地域住民に対する研修、行政や民間団体等との官民連絡会の立ち上げなどの取組を行い、都道府県に対する支援に努めているところでございます。
能登半島地震における経験も踏まえ、引き続き、被災者支援に当たる多様な主体間の連携が促進されるよう努めてまいりたいと考えております。
○庄子分科員 今の受援計画にしても、それから災害中間支援組織についても、国の基本計画とか指針というところに十分地方がついてこれていないというのは数字で明らかでございますので、是非丁寧にフォローアップをお願いしたいと思います。
次に、大規模災害時における臨時災害放送局、いわゆる災害FMの有用性についてであります。
百年前の関東大震災で、流言飛語が広まり、情報源としての活用の機運が高まったのが、災害時のラジオであります。阪神大震災の経験を踏まえて、九五年に制度化。自治体が総務省に申請し、許可を得て、臨時に設置ができるものでございます。
東日本大震災では二十八の市町村が開設をし、熊本地震等でも開設をされていますが、今般の能登半島地震では開設をされておりません。その理由についてお知らせをいただきたいと思います。
○山碕政府参考人 お答え申し上げます。
分科員御指摘の臨時災害放送局は、災害発生時にその被害軽減に役立つことを目的として、自治体等が免許及び運営主体となり、臨時かつ一時的に開設されるFMラジオ局です。
阪神・淡路大震災をきっかけに制度化されて以降、東日本大震災や熊本地震等の大規模地震のほか、大型台風や豪雨災害等に際しても開設されており、これまで五十五件の開設実績があるところです。
総務省でも、自治体による臨時災害放送局の円滑な開設支援に資するため、全国十一か所の地方総合通信局等にアンテナや送信機等の設備を配備し、自治体からの要請に応じて貸出しを行っております。
今般の能登半島地震に際し、これら設備の貸出しや開設、設置の支援等について被災自治体へ御紹介してまいりましたが、継続的に放送を行うための人員や環境の確保が困難であること、地形的な制約から十分な放送エリアが確保できないこと、スマートフォン等の普及が進んだことにより、被災者が生活に必要な情報を通信経由で入手できるようになっていること等の事由により、現状、今回の被災地において開設を希望される自治体はないところです。
しかしながら、災害時において地域住民の生命、安全に直結する情報伝達を担う臨時災害放送局は有用であると考えており、今後も引き続き、自治体のニーズに応じて、臨時災害放送局の開設を支援してまいります。
○庄子分科員 つまり、石川を始めとする、高齢化が進み、自治体職員のマンパワーも極めて不足している状況では、やりたいし、やらなきゃいけないのは分かっていても、手が回らないというのが現実なので、平時から、災害FMの立ち上げ、運営体制を準備し、かつ、人手が足りないとき、国あるいは都道府県の代行支援等をしっかり検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○山碕政府参考人 お答え申し上げます。
分科員御指摘のとおり、災害時において自治体が円滑に臨時災害放送局を開設するためには、平時からの支援が重要と考えております。
全国の地方総合通信局等に配備している貸出し用のアンテナや送信機等の設備は、これまで、平時においても、各自治体の防災訓練等の機会を捉え、放送事業者等関係団体の協力も得ながら、開設、運用の実地訓練に活用しているところです。
引き続き、関係団体の皆様とも連携し、災害時に備えて臨時災害放送局の開設支援に取り組んでまいりたいと考えています。
○庄子分科員 毎日放送に勤務をしていらっしゃる大牟田さんという方が、大規模災害とラジオ、共感放送の可能性という著書を出版されました。この本の中で、日本民放連加盟の全ラジオ局に実施したアンケートで、災害情報の発信で重視した点として、被災者相互のコミュニケーションの手助け、相互の励ましとなる情報が最も多かったと書いてございました。
SNSや掲示板と違い、被災者への励ましや寄り添い機能を持つ災害時のラジオを評価し、整備していくべきだ、これは要望をさせていただきたいと思います。
最後に一問。
直近、大手のメディアの調査によりますと、被災後に心身への負担などが原因で命を落とす、いわゆる災害関連死について、全国の主要八十七市区のうち四八%の四十二市が審査会の設置を条例に規定していないことが分かりました。災害関連死の認定によって遺族に弔慰金が支給され、亡くなった方が生計維持者だった場合など、まさに生活再建の原資そのものになるケースもございます。
政府は、二〇一九年、災害弔慰金支給法を改正、迅速な審査につなげるため、自治体が条例で審査会設置に努めることを定めたところでありますが、政府として、速やかに条例による審査会の設置が促進されますように自治体を後押しすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
災害により亡くなられた方の御遺族等に対しまして災害弔慰金等を迅速に支給することは大変重要であると認識をしております。
このため、災害弔慰金法第十八条に基づき、市町村に対し、条例の定めるところにより、災害弔慰金等の支給に関する事項を調査審議するため、医師や弁護士等の有識者から構成される審議会その他の合議制の機関を置く旨の努力義務規定が設けられており、その設置を推進しているところでございます。
具体的には、内閣府におきまして、市町村において制定すべき条例のひな形を示すとともに、自治体関係者向け説明会等の機会を捉えてその旨を周知するなどの取組を進めているところでございます。
委員御指摘のとおり、発災時に災害弔慰金等を迅速に支給できるようにするためには、平時からの準備が大変重要でございます。関係自治体に対しまして改めてその旨を周知するとともに、審議会等の設置が進むよう支援してまいりたいと考えております。
○庄子分科員 被災された方々が置かれている生活の状況などを軽視してはなりません。しっかり国として取り組んでいただきたいと思います。
以上で終わります。
○中西主査 これにて庄子賢一君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして内閣府所管中内閣府本府及び沖縄振興開発金融公庫についての質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○中西主査 これより復興庁所管について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。土屋復興大臣。
○土屋国務大臣 令和二年度における東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
東日本大震災復興特別会計の収納済歳入額は二兆四千九百八十四億二千九百一万円余、支出済歳出額は一兆八千五百四十四億四百七十八万円余でありまして、歳入歳出差引き六千四百四十億二千四百二十二万円余の剰余を生じております。
この剰余金は、特別会計に関する法律の定めるところにより、翌年度の歳入に繰り入れました。
引き続き、令和三年度における東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
東日本大震災復興特別会計の収納済歳入額は一兆四千二百九十五億八千八百万円余、支出済歳出額は一兆一千百二十三億七千二百九十八万円余でありまして、歳入歳出差引き三千百七十二億一千五百一万円余の剰余を生じております。
この剰余金は、特別会計に関する法律の定めるところにより、翌年度の歳入に繰り入れました。
引き続き、令和四年度における東日本大震災復興特別会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
東日本大震災復興特別会計の収納済歳入額は一兆千百四十億三千六百七十四万円余、支出済歳出額は八千九百四十四億九千五百七十八万円余でありまして、歳入歳出差引き二千百九十五億四千九十六万円余の剰余を生じております。
この剰余金は、特別会計に関する法律の定めるところにより、翌年度の歳入に繰り入れました。
以上をもちまして決算の概要説明を終わります。
何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
○中西主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 まず、令和二年度復興庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度復興庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度復興庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 以上をもちまして復興庁所管についての説明は終わりました。
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○中西主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、これを許します。階猛君。
○階分科員 立憲民主党の階猛です。
被災地岩手県の代表として、今日は質問させていただきます。
今せっかく報告があったので、ちょっと数字のことについて確認したいんですが、だんだんと決算のときの剰余金が減ってきているんじゃないかというふうに今お聞きしていました。直近では二千百九十五億円ですか、こういう数字が今余っているんですが、第二期復興・創生期間が終わる令和七年度、これが終了した段階では、今の剰余金、これはもうなくなるという理解でよろしいんでしょうか。
○土屋国務大臣 今の段階で、今使っている段階なので、最後までなかなか分からないような答えしかできないと思いますが、御理解いただきたいと思います。
○階分科員 通告していなかったので、後で事務方からでも結構ですので、教えていただければと思います。
その上で、本題に入ってまいりたいと思います。
私、今日資料を何枚かお配りしているんですが、最初のものを御覧になっていただければと思います。
被災地の人口減少を示した朝日新聞の記事から抜粋したものなんですが、震災前、一一年三月一日と、直近、二四年二月一日、この差を見てみますと、例えば、岩手県の大槌町では三三%、つまり三分の一、人口がいなくなっているわけです。あるいは釜石とか陸前高田、こういったところは四分の一、人口がいなくなっているわけです。これは、確かに全国でも人口減少が進んでいますけれども、この間全国でどれぐらい減ったのかと見てみますと、大体三%ぐらいなんですよね。十倍ぐらい減っているわけですよ。
復興、復興と我々言ってきましたけれども、確かにインフラは整備されてきました、ありがたいことだと思うんですが、人口減少の数字を見ると、岩手だけではありません、宮城でも、仙台圏を除くと多くのところで人口が減少していますし、福島県は言うに及ばずです。こういうものを見ますと、まだまだ復興は道半ばだと思っておりますし、これからますます人口減少が進む可能性も高いわけですね。
こうした中で、どうやって津波被災地の社会活動、経済活動を維持発展していくのか。これはまさにこれからの日本の縮図であり、また日本の先駆けとなっている地域でもあるので、この被災地の復興をどういうふうに進めていくかがこれからの日本も左右すると思っております。
この辺りについて、大臣の見解を伺いたいと思います。
○土屋国務大臣 私もこのデータを見させていただきましたが、全国と比べるとかなりの差があるなということを認識しております。
国勢調査に基づく人口推計データ、平成二十二年から令和二年の十年間で、岩手県沿岸自治体は一七・一%です。仙台は除いて宮城県沿岸自治体は八・一%、人口減少を記録しておりまして、同様の統計により、両県全体や全国の人口減少率と比較しても、この海の地域というのは非常に厳しい状況にあるというのを認識しているところでございます。
全国的に見ても、同じような部分では、進学とか就職に伴って若い人が都市部に出ていっている現象、こういうのも、被災地ではありながら同じような現象はあるのかなと思いますけれども、それと同時に、未婚化とか晩婚化とか高齢化、これに伴う自然減等の様々な要因が挙げられているものではありますが、被災地においては、やはり、なりわいもなかなか増えていかない部分もありますし、そういう意味で、今後、人口が増えるためには、いろいろな企業の誘致とかなりわいとか、そういうものをしっかりと支援していく必要があるのかなとも思っているところでございます。
こうした状況も踏まえまして、避難等をした方の帰還の方のみならず、移住とか定住の増加、それから関係人口、交流人口の増加、これが非常に重要になってくるのではないかと最近痛切に感じております。
このためにはどうしたらいいか。つまり、行ってみたい地域、魅力ある町づくりを行っていくことが重要であって、じゃ、それは本当にどういうものが必要なのかということを地域の皆さんと、また、全国的にもいい例があれば岩手の皆さんに紹介するとか、そういうことも大事なんじゃないかと思っております。
現在、産業、なりわいの再生等に取り組むことが重要と考えていて、被災地における雇用創出を通じて地域経済の活性化を図る取組を行ってきたところではございますが、例えば宮城県の女川、これは岩手じゃないんですけれども、女川町のように、女川駅等を中心としたエリアに都市機能を集約して、人口減少下でも活力を維持、創出することを目指した事例とかもありますし、宮城県仙台市の荒浜地区、まあ、仙台はちょっと違うのかもしれませんけれども、でも、集団移転の元地を大規模体験型観光農園として非常に魅力ある場所をつくったことによって、交流人口が増えているというようなことがあると思います。
人口減少は全国の地域にも共通していますが、中長期的に取り組むべき課題であるという認識はしておりますが、今後も、関係省庁と連携して、また違った視点で、災害の施策だけでなくて、地方創生の施策を始めとする政府全体の施策を地域に紹介しながら、被災自治体と連携してしっかりと復興に取り組んでいきたいと考えております。
○階分科員 なりわいとか土地の活用についてはまた後ほどお聞きしていきたいと思いますが、次に、資料の二ページ目を御覧になってください。災害ケースマネジメントの事例ということで、私の地元盛岡市の事例を書いております。
震災を契機に新しい地域で居を構えられた皆様にとっては、孤独とか孤立といった問題もあるわけです。この盛岡の事例なんですが、「SAVE IWATE」という団体が委託を受けて、もりおか復興支援センターというものを開設しています。沿岸部から盛岡に転居された方々の見守りや各種相談への対応などを行っているということです。
こうした被災者の支援活動について、三月に復興の基本方針が一部変更されましたよね。これを見ますと、令和七年度までの第二期復興・創生期間内に終了しないものについては、事業の継続というのではなく、政府全体の総合的な施策の活用も選択肢として加わったというふうに見えます。
仮に事業が継続できないとしますと、被災者の生活環境に大きな悪影響を及ぼしかねないと考えております。事業を継続した場合にかかる経費としましては、福島は大変なお金がかかるわけですけれども、それと比較すればそれほどの額にはならないと思います。
大臣として、こうした被災者支援活動を継続していくという決意をお示しいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○土屋国務大臣 東日本大震災から十三年が経過して、被災者の方々の置かれた状況は多様化しています。そしてまた個別化しているということから、それぞれの状況に応じた被災者支援をきめ細かく行っているところではございます。そんな中で、各自治体等において一般施策化に向けた動きが進んでいることも承知しております。
このような状況を鑑みて、御指摘の記述の追記を行ったということでございますが、第二期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針においては、地震、津波被災地域は、第二期において、国と地方公共団体が協力して被災者支援を始めとする残された事業に全力を挙げて取り組むことにより、復興事業がその役割を全うすることを目指しているのが今でございます。
ただし、同方針において、個別の事情を丁寧に把握して、第二期復興・創生期間内に終了しないものについては、政府全体の施策の総合的な活用も含めて、事業の進捗に応じた支援の在り方を検討し、適切に対応するとされているところでございますが、第二期復興・創生期間までの復興施策の総括に関するワーキンググループを立ち上げまして、今一回目が終わりました。これから、きめの細かい、それぞれの事業について議論をしていただくことになっております。これまでの復興の取組の成果を総括することによって、やはり残された事業で必要なものはしっかりとやっていくということは考えております。
そういう意味で、このワーキンググループの個別の細かい意見聴取の中で、今おっしゃられた団体等も多分コメントを聞かれると思いますので、是非、今の事業についてしっかりと訴えていただきたいなという思いでございます。
○階分科員 災害ケースマネジメントはこれから重要になってくると思っていまして、今日は内閣府さんにも来ていただいています。
三ページ目を御覧になっていただきたいんですが、災害ケースマネジメントを全国的に展開し、いつでも機能させるようにするために、こちらは、三・一一から未来の災害復興制度を提案する会という会からの提言なんですけれども、三つの課題があって、それぞれについて解決策を示しているわけですね。
これを見ますと、課題一ということで、「災害救助法に福祉的支援がなく配慮が必要な人ほど厳しい環境におかれる」という課題に対して、解決策の一、「個人の尊厳の保持を災害対策の目的にし福祉を災害救助法に位置付ける」といったことを挙げている。課題の二、「平時は民間が担い手なのに、災害時は慣れない地方自治体が急に担い手になる」、この課題に対しては、解決策の二、「民間と連携した被災者支援を基本とする」。そして課題の三、「社会保障に関係するプロが被災者支援で活動することになっていない」、これに対して、解決策の三、「社会保障関係法に被災者支援を位置づけ平時から人材育成を行う」。
こうした提言がなされているわけですけれども、こうしたことについて必要な法改正を行っていくべきではないかと私は考えますが、この点、内閣府はいかがでしょうか。
○平沼大臣政務官 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、この提言も読ませていただきまして、やはり、様々な困難を抱えて、自らの力だけではなかなか自立が、生活再建が難しいという被災者について、一人一人の課題に応じて継続的に寄り添って支援を行うことが非常に重要であると考えておりまして、災害ケースマネジメントの普及には取り組んでまいっております。
自治体においてこの災害ケースマネジメントを実施していくに当たっては、訪問等によりお一人お一人の状況を丁寧に伺っていくための体制の構築であったり、課題解決に向けた、多様な専門分野、多職種の関係者との連携の確保、官民の連携といった点で課題がまだまだあるものとは考えております。
こうした観点からも、これまで、先進事例を取りまとめた取組の事例集であったり、標準的な取組手法を整理した手引書を作成、周知しているほか、昨年度は、自治体における取組実施につなげるべく、防災基本計画において、災害ケースマネジメントに取り組むべきことを明確化いたしました。それとともに、官民の関係者を対象とした説明会を全国十一県と連携して実施することなどにより、この取組の普及、底上げを図ってまいっているところでございます。
内閣府といたしましては、今後の自治体における取組の普及、定着状況や、自治体や関係者の御意見も伺いながら、災害ケースマネジメントの更なる普及や改善、またその取組の後押しをしっかりと行ってまいりたいと思っております。
○階分科員 取り組んでいらっしゃるということは昨年来伺っておりますけれども、法改正ということも進めることによって、更に災害ケースマネジメントが普及促進されるのではないかと思いますが、法改正についてはいかがお考えでしょうか。
○平沼大臣政務官 法改正のお話がありましたけれども、災害の対策については、個々の災害の教訓も踏まえて不断の見直しを図ることが重要であると思っております。
私も、内閣府の政務官で今回の能登半島地震の対応にも当たらせていただいておりますけれども、今回の能登半島地震においても、災害対応の振り返りを今まさに行っておりまして、今後の初動対応、応急対策を強化するための措置等について順次取りまとめ、今後の対応策に反映するように取り組んでまいっております。その中において、法改正がどういう形で必要なのか、そういった必要性を含めて、不断に検討してまいりたいと考えております。
○階分科員 我々国会の側でもこうした法改正について更に議論を深めて、そして政府の方とも協議しながら前に進めていきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いします。
さて次に、グループ補助金の話をさせていただければと思います。
能登半島地震でも活用されているグループ補助金なんですが、民主党政権の時代に、東日本大震災で被災した中小企業の皆さんの声を取り入れて始めたものであります。
これで事業を再建できた企業も多かったわけですけれども、十三年たちまして、冒頭述べた人口減少に加えて、基幹産業である漁業の不振であるとか、コロナ禍、物価高、こうしたことが追い打ちをかけていまして、このままでは事業継続は困難だという声が最近になって多く聞かれるようになりました。
その解決策として、二つ必要なことがあると考えております。
まず第一に、四ページ、岩手日報の記事を御覧になってください。グループ補助金の活用、県内企業の声ということでいろいろ書いてありますけれども、その中で、グループ補助金で整備した施設とか設備、これは申請の際に示した用途に縛られて、用途を変更したり設備を更新したりすると補助金の返還を求められるケースがある。
これについて、私は、事業の継続のために合理的な必要性が認められるのであれば、柔軟に対応して、用途の変更あるいは設備の更新、こうしたものを認めるべきではないかと考えるわけですが、いかがでしょうか。
○土屋国務大臣 グループ補助金に関しては、経済産業省において、ほかの補助金事業と同様、関係法令や交付要綱に基づいて執行しているものと承知しております。具体的には、補助金で取得した財産を処分する場合は、今おっしゃったように、原則として、必要な金額を国庫納付することを求められています。
現場における被災事業者の状況は様々であると承知しております。事業者の厳しい状況を踏まえた対応が可能となるよう様々な負担軽減措置も講じているものと認識しております。例えば、当該事業を第三者に譲渡し継続する場合や、資金繰りの悪化により取得財産を維持管理することが困難となり取り壊す場合などは、国庫納付を求めておりません。そして、国庫納付を必要とする場合にも、必ずしも補助金額全額ではなく、一定の要件の下では、簿価ではなく譲渡価格に補助率を乗じた額となるなどが挙げられております。
この件については、引き続き、経済産業省を始め地域の自治体等とも連携して状況を丁寧に把握するとともに、個々の被災企業の実情に応じたきめ細かい対応を心がけてまいりたいと考えております。
○階分科員 元々、グループ補助金は、事業を再建したくてもできないという人を救うために設けられた異例の措置ですね。異例の措置で始めて事業を再建してもらったわけですから、この後もやはり柔軟に、異例な措置、講ずるべきは講じていただきたいというふうに思っております。
もう一つ、このグループ補助金に関して問題があります。それは、補助割合が四分の三までということになっていまして、残りの四分の一、自己資金がなければ借入れによって賄う。
岩手県の場合ですと、制度融資などで借りている方も多くいらっしゃいます。この制度融資部分について返還を求められたことがきっかけとなって廃業や倒産に至っているというケースもあるやに聞いております。これでは、再建のために投入したグループ補助金がやはり無駄になってしまうのではないかと思います。
こちらも柔軟な対応が必要だと思いますが、この点について、復興大臣、いかがでしょうか。
○土屋国務大臣 委員御指摘の事業者の自己負担については、多くの場合、独立行政法人中小企業基盤整備機構の高度化スキームを活用した貸付制度において、各県の公益財団法人によるグループ補助金の交付決定を受けた事業者に対する無利子、長期の資金貸付けを活用していただいているものと承知しておりますが、本制度に関しては、令和二年三月に、経済産業省が関係機関に対し、資金の償還が困難な事業者から償還猶予等の相談や申請があった場合には柔軟に対応するよう周知するなど、個々の事業者の事情に寄り添った対応を行っているものと認識しています。
引き続き、経済産業省とも連携して、被災企業の個々の実情に応じたきめ細かい対応を心がけてまいりたいと思っております。
○階分科員 是非よろしくお願いします。
そして、グループ補助金と同様、津波によって壊滅的な被害を受けた中小企業への支援策として、これも異例の措置だと思います、事業資産がなくなって借入金だけが残った、そういう人たち、そういった企業に対して、事業再建をするために新たな借入れを行って二重ローンにならないようにするということで、借入金の負担を軽減する方策、これが東日本大震災事業者再生支援機構、あるいは、岩手県の場合では産業復興機構というのがあるわけです。
まず、東日本大震災事業者再生支援機構についてお尋ねしますけれども、これによって支援を受けた企業の現状、私どもの方にも毎月のように資料が届いていますけれども、支援先が何社あって、支援が完了したのは何社あってとかいう数字だけは来るんですけれども、果たして、支援の結果、ちゃんと事業が軌道に乗っているのかどうか、この辺がよく分からないというところがあります。
現状はどうなっているのかということと、業況が厳しい先に対してはどのような対応を取っているか、これについて、復興大臣の答弁を求めます。
○土屋国務大臣 財務状況の厳しい事業者も含めて、七百四十七件を再生支援しております。そして、支援完了先は令和六年三月末時点で三百三十八件でありまして、そのうち五十五件は、倒産や廃業により事業継続がかなわなかったということでございます。二百八十三件は、事業再生により事業の継続が可能となったものと承知しております。
また、コロナや不漁など、事業者を取り巻く環境に厳しいものがあるとは承知しております。こうした中、震災支援機構では、支援先企業のための返済猶予や金融機関からの新規借入れの調整といった金融面の支援に加え、各種補助金制度や専門家派遣制度も活用しながら、販路拡大や新商品開発など、本業における収益回復に向けた支援を行ってきたところでございます。これからも引き続き、支援を決定した事業者の再生に全力で取り組んでいきたいと考えております。
また、二重ローンを抱える事業者が金融機関からのリファイナンス等を通じて再生を果たすことを目的に設置された、震災支援機構というのはそういう組織でありまして、支援完了後の事業実態については、各金融機関において適切なフォローがなされていると承知しておりまして、私どもでは、今、その後のことは把握はできておりません。
震災支援機構による事業者への支援期限は、東日本大震災事業者再生支援機構法において最長十五年とされておりまして、今後、支援期限が到来する案件が多く発生することが見込まれております。機構では、金融機関とも連携して、事業者の円滑な支援完了に向けた対応の在り方を個別の事業者ごとに行っているところです。期間が来る前にいろいろ事情を聞いて慎重に支援をしていくということでございますが、また、本年四月には、関係の金融機関が機構と十分な連携を図って事業者の事業について主体的かつ継続的にモニタリングや支援を行うことを内容とする要請文を金融庁等が発出していると承知しております。
引き続き、この件に関しましては、金融庁を始めとする関係省庁と連携しまして、支援を決定した事業者が再生に全力で取り組んでいけるように、支援をしっかりとしていきたいと考えているところでございます。
○階分科員 まだ支援が完了していない先が四百件ぐらいありますよね。これについてちゃんとフォローしていく。それこそこれもケースマネジメントが必要ではないかと思いますので、是非丁寧な対応をよろしくお願いします。
経産省にも来ていただいていますので、簡潔に、産業復興機構についても、今と同じような質問です、業況が厳しい先にどのような対応を行っているのかお答えいただけますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
委員から御紹介がありましたとおり、岩手県では産業復興機構が買取り支援を行っております。これまで百十先、買取り支援を行ってございまして、このうち九十八先が、被災事業者による買戻しが完了済みでございます。その他十二先のうち、今後買戻し期限が到来するものもございますけれども、法的破綻した先は二件ございます。これらはいずれも、買戻し期日が到来する前の支援期間中に破綻した残念な案件でございますけれども、こういったような状況でございます。
こちら、今後の対応につきましても、買戻しの期日が到来するまでは、産業復興相談センターが設けられておりますので、こちらが事業計画に沿って再生を支援しつつ、買戻しに必要な融資を金融機関から受けられるように調整を実施をいたしております。
また、買戻しの期日が到来したけれども買戻しが困難な場合が仮にあった場合、これは直ちに買戻しを求める対応はせず、調整を継続するべきということで、中小企業庁は、他の関係省庁とともに、二〇二二年四月にも、政府系金融機関に対して、民間金融機関と協調の上柔軟な対応を要請しているところでございます。
今後、買戻しの期日を迎える先について、産業復興相談センターの支援のみならず、中小企業庁の中小企業活性化協議会等もございます、これらの専門家支援も活用いただきながら、収益力の改善を引き続き支援してまいる所存でございます。
○階分科員 是非そちらもよろしくお願いします。
最後の質問になりますけれども、資料の五ページを御覧になってください。
こちらは国交省に用意していただいた資料なんですけれども、土地区画整理事業、いわゆるかさ上げ、それによる造成地の活用状況、岩手、宮城、福島、全体ですと七四%ですが、岩手県は非常に利用率が低い、五八%です。そして、移転元地、これは高台移転で移転された後の土地、こちらの利用割合、こちらも、全体では七五・一%ですが、岩手県は六二・二%というふうに低くなっております。
こういった問題をどうやって解決していくか、要は土地をどうやって活用をしていくかということで、土地活用ハンズオン支援なるものをやっているというふうに私どもかねがね聞いておりますけれども、その支援の実績ということなんですが、移転元地、それから区画整理造成地、全体で、被災三県合わせて十一地区とか八地区ということで、私から見ると、少し実績が乏しいのではないかと思っております。
これを更に実績を上げていくことが、冒頭大臣もおっしゃられた、なりわいであるとか、そして、土地の利用を活性化させてにぎわいもつくっていくということにつながってくるわけですね。これは非常に大事な問題だと思います。
更に土地の活用を進めていく上でどうしたことを考えているのか、大臣の考えをお願いします。
○土屋国務大臣 移転元地の活用の問題は、私自身も非常に重要な課題だということを認識しております。
私も被災地をあちこち訪問いたしまして、首長さんからも移転元地の問題が大変厳しいという声はあちこちで聞いておりまして、どういう支援ができるのかなということをいろいろ考えておりますが、ある自治体で、ハンズオンの支援のことを余りよく理解していない自治体があったところがありまして、首長さんと私がじかにお話しして、是非ハンズオンを申請してくださいと言ったこともあります。
そういう意味では、今後やはり、なかなか難しい問題ではありますが、この課題に対応するため、復興庁として、土地活用に関するワンストップ相談窓口を設置してあるのと同時に、今おっしゃった、復興庁の職員が現場に出向いてサポートを行うなどのハンズオン支援を行っているところでございまして、これはワンストップ相談窓口に相談していただいてもいいですし、ハンズオンが分からないよということで、ワンストップでじっくりと自治体の関係職員が相談をしていただくことはすごく大事なことだろうと思っています。
今、数が少ないような気がするとおっしゃったんですけれども、これからもしっかりと、ハンズオン支援を通じて、政府全体の施策の総合的な活用も図りながら、何とか被災自治体の土地活用を進めていきたいし、なりわいを増やしていきたいと考えております。
○階分科員 時間が参りましたが、私はもうずっと復興の問題について取り組んでまいりまして、やはり、交流人口とかあるいは関係人口を増やしてその後の移住につなげていくためには、まず二地域居住というのを増やしていかなくちゃいけない。そのためには、二地域居住に必要となる交通費の支援を充実させたりとか、あるいは、サテライトオフィスあるいはサテライトキャンパス、こうしたものをどんどん立地させて土地を活用する。そして、そうした立地したところには補助をしていくといったようなこともやるべきだ。ここも本当に今が正念場だと思いますので、大臣、是非積極的な取組をお願いします。
今日はありがとうございました。
○中西主査 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして復興庁所管についての質疑は終了いたしました。
―――――――――――――
○中西主査 これより皇室費について審査を行います。
まず、概要説明を聴取いたします。黒田宮内庁次長。
○黒田政府参考人 令和二年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。
皇室費の歳出予算現額は百四十一億三千六百四十三万円余でありまして、これを支出済歳出額八十六億四千五百八十四万円余と比較いたしますと、五十四億九千五十九万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は四十六億三千七百八十五万円余でありまして、不用額は八億五千二百七十三万円余であります。
翌年度繰越額は、施設整備費等でありまして、計画に関する諸条件の関係等により、年度内に支出を完了しなかったものであります。
また、不用額は、庁費等でありまして、国際親善行事がなかったこと、行幸啓が予定を下回ったこと等のため生じたものであります。
次に、令和三年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。
皇室費の歳出予算現額は百七十億五千五百五十一万円余でありまして、これを支出済歳出額八十四億五千九百八万円余と比較いたしますと、八十五億九千六百四十三万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は七十八億二百二十三万円余でありまして、不用額は七億九千四百二十万円余であります。
翌年度繰越額は、施設整備費等でありまして、計画に関する諸条件の関係等により、年度内に支出を完了しなかったものであります。
また、不用額は、庁費等でありまして、国際親善行事がなかったこと、行幸啓が予定を下回ったこと等のため生じたものであります。
次に、令和四年度における皇室費歳出決算について、その概要を御説明申し上げます。
皇室費の歳出予算現額は百五十一億一千百十七万円余でありまして、これを支出済歳出額百四十三億五千二百十七万円余と比較いたしますと、七億五千九百万円余の差額が生じますが、この差額のうち翌年度繰越額は二億八千五十八万円余でありまして、不用額は四億七千八百四十二万円余であります。
翌年度繰越額は、施設整備費でありまして、計画に関する諸条件の関係等により、年度内に支出を完了しなかったものであります。
また、不用額は、報償費等でありまして、国際親善行事が予定を下回ったこと等のため生じたものであります。
以上で決算の概要説明を終わります。
よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
○中西主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐々木第一局長。
○佐々木会計検査院当局者 まず、令和二年度皇室費の決算につきまして検査をいたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
次に、令和三年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
最後に、令和四年度皇室費の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。
以上をもって説明を終わります。
○中西主査 以上をもちまして皇室費についての説明は終わりました。
これより質疑に入るのでありますが、その申出がありませんので、皇室費については終了いたしました。
それでは、御退席くださって結構です。
これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。
この際、一言御挨拶申し上げます。
分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。
これにて散会いたします。
午後五時十六分散会